■RAGNAROK Online Ep1.5 Lv789 りゅう君

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952名も無き冒険者:03/01/31 01:32 ID:QNPneCDR
【神奈】「………」
ぽかっ。
【神奈】「なにゆえおぬしから先に殴ってくるかっ」
【柳也】「すまん。殺気を感じたんで手が動いてしまった」
【神奈】「こっ…」
その時、いきなり裏葉が叫んだ。
953名も無き冒険者:03/01/31 01:33 ID:2a/2ZN0o
【裏葉】「…柳也さまっ!」
【柳也】「なんだよ、いきなり」
【裏葉】「南の社というのは、神社とはかぎらないのでは?」
【柳也】「ああ?」
【裏葉】「貴人を衆目から隠すには、襤褸(ぼろ)をかつがせましょう?」
【裏葉】「あるいは、袈裟(けさ)などを…」
954名も無き冒険者:03/01/31 01:33 ID:9YQS0d3g
あべし!
955名も無き冒険者:03/01/31 01:33 ID:KtYGfLod
【柳也】「袈裟?」
神社ではなく寺院に隠すという意味か?
俺がわからずにいると、裏葉はするりと立ち上がった。
地面に放ったままの絵地図を広げなおし、俺の目前にかかげる。
【裏葉】「この辺りが神奈さまの社、こちらが都でございます」
【裏葉】「斑鳩(いかるが)を越えて、さらに南に下りますと…」
956名も無き冒険者:03/01/31 01:33 ID:ba8O9JWp
うわらば!
957名も無き冒険者:03/01/31 01:33 ID:+iO9z6MP
裏葉の指が、地図の一点を示した。
【裏葉】「ここに金剛がございます」
正しくはそれは、広大な山群そのものを表していた。
俺は二の句がつげなかった。
裏葉が辿り着いた答えが、それほど突拍子もないものだったからだ。
『意に従わない翼人は金剛に封じる』
958名も無き冒険者:03/01/31 01:33 ID:mRsU0CEJ
「それは、とてもとても悲しい」
「冬の日の、幻想物語なんですよ」

と見えた俺は、既にカプラさんの虜なのかもしれない。
959名も無き冒険者:03/01/31 01:34 ID:2a/2ZN0o
金剛とは何のことか?
悪鬼を封ずるほどの力を持つ『社』とはどこなのか?
【裏葉】「…ここが真言の霊山」
【裏葉】「高野山、金剛峰寺でございます」
その晩は、なかなか寝つけなかった。
何の気配もしないのに、心がざわついておさまらない。
960名も無き冒険者:03/01/31 01:34 ID:35/0b/nA
やがて、妙な夢を見た。
神奈がひどく真剣な顔つきで、俺を覗きこんでいる。
背後に月がある。
濡れたような唇のあたりが、妙になまめかしい…
【神奈】「…柳也どの」
俺の名をささやいている。
961名も無き冒険者:03/01/31 01:34 ID:V+IbCwao
【神奈】「柳也どの…柳也どのっ」
眼を開けると、本当に神奈の顔があった。
ほのかな月光の下でも、頬が上気しているのがわかった。
【柳也】「…なんだよ」
木の幹に寄りかかったまま、俺はそう訊いた。
【神奈】「柳也どのに、見てほしいものがあるのだ」
962名も無き冒険者:03/01/31 01:34 ID:NdWcWVBV
【神奈】「まだ、ちと恥ずかしいが…」
【神奈】「見てくれるか?」
ほっそりとした神奈の指が、着物の襟元に触れる。
そして、神奈は言った。
【神奈】「ではゆくぞっ」
【柳也】「………」
963名も無き冒険者:03/01/31 01:34 ID:28gCT1Oe
【柳也】「それは何だ?」
神奈がふところから取り出したものを指し、俺は訊いた。
【神奈】「お手玉だぞ」
【柳也】「…念のために訊くけどな。おまえはこれから何をするつもりだ?」
【神奈】「だからお手玉だと申しておるであろうが」
【神奈】「さっきな、三つきちんと舞ったのだぞ」
964名も無き冒険者:03/01/31 01:34 ID:yjcTsOFa
斑鳩か〜。
965名も無き冒険者:03/01/31 01:34 ID:hHKRl2dZ
【柳也】「………」
【神奈】「その目は疑っておるな」
【神奈】「まことだぞ、まことに三つきれいに回せたのだっ…」
【柳也】「………」
【柳也】「……」
【柳也】「………」
966名も無き冒険者:03/01/31 01:34 ID:zGf0xxA+
【柳也】「おやすみ…」
【神奈】「寝るでないっ!」
【柳也】「寝かせろっ! こっちはさっき寝ついたばかりなんだ」
【神奈】「ええいっ、寝るでない寝るでない寝るでないっ!」
【神奈】「主が秘芸を見せてやると申しておるのだ。ひれ伏して拝見するのが臣下の務めというものであろっっ!」
【柳也】「無茶苦茶言うなああっっ!」
967名も無き冒険者:03/01/31 01:34 ID:U1izZVoS
深夜の森に絶叫がこだまする。
まさに悪夢のようだった。
このままでは埒(らち)があかないと思ったのだろう。神奈が最終手段に出た。
【神奈】「では、余はおぬしに命ずるぞっ…」
【柳也】「わああっ。待て待てっ!」
俺はあわてて神奈の口をふさいだ。
968名も無き冒険者:03/01/31 01:34 ID:JMh4ZLsG
例の不殺の誓いだけでも大変なことになっているのだ。
この上、妙な誓いを増やされてはたまらない。
【神奈】「ふむむ〜。ふむうむ〜むむむうむぐむう…」
じたばたじたばた。
あばれる神奈を押さえつけていると、何だか空しくなってきた。
眠気など、もうとっくに失せてしまっている。
969名も無き冒険者:03/01/31 01:34 ID:V+IbCwao
【柳也】「…はいはい、わかったよ」
【柳也】「見てやるから、早めに済ませてくれ」
ぱっと手を離しながら、俺は言った。
神奈が俺をぎろりとにらみつける。
が、文句よりも先にお手玉を披露したいらしい。
【神奈】「よいか? よ〜く見ておるのだぞ」
970名も無き冒険者:03/01/31 01:34 ID:agdyGkj9
言いながら、俺の前にぺしゃりと座りこむ。
神奈がお手玉を持って構えた。
ぴんと背筋を伸ばした姿勢は、なかなか堂に入っている。
【神奈】「それっ」
ひょい…ひょい…ひょ…。
【神奈】「…あう」
971名も無き冒険者:03/01/31 01:34 ID:/nhDriwB
失敗した。
二つ目を投げるのが早すぎて、右手がついていかないのだ。
【神奈】「さっきはできたのだ」
【神奈】「もう一度するから、よく見ておれ」
【柳也】「ああ、何度でもやってくれ」
お手玉を拾い集め、もう一度かまえなおす。
972名も無き冒険者:03/01/31 01:35 ID:ilYKD1h/
【神奈】「…それっ」
お手玉は山なりに宙を舞い、右手へと渡る…
【神奈】「むっ…」
だが、左手が動かなかった。
【柳也】「今度は溜めすぎだな」
【神奈】「嘘ではないっ。さっきは本当にできたのだぞ!」
973名も無き冒険者:03/01/31 01:35 ID:uVttbjSz
【柳也】「だれも嘘だなんて言ってないだろ」
【柳也】「落ち着けって。気を静めてやらないと、名人でもできないぞ」
【神奈】「うむ。わかった」
【神奈】「…すう…はあ」
大きく息を吸い、そして吐く。
【神奈】「ゆくぞ」
974名も無き冒険者:03/01/31 01:35 ID:V+IbCwao
【柳也】「ああ」
【神奈】「…今度こそ」
つぶやいて、お手玉を宙に放った。
ひとつ、ふたつ、みっつ……。
お手玉は不器用ながらも、たしかに輪を描いていた。
【神奈】「ほら、できたであろっ!」
975名も無き冒険者:03/01/31 01:35 ID:WvhewJEa
だが、喋ったとたんに輪が崩れた。
お手玉が神奈の指先をかすめ、地面にぽとりと落ちた。
【神奈】「…あ」
視線が宙を泳ぐ。
夢中でお手玉を拾い、もう一度投げようとする。
そこで、俺の視線に気づいた。
976名も無き冒険者:03/01/31 01:35 ID:hHKRl2dZ
【神奈】「さっきはもっと回せたのだっ」
噛みつくように言う。
【柳也】「それだけできれば大したもんさ」
【神奈】「慰めなどいらぬ」
【柳也】「慰めで言ってるわけじゃない」
【柳也】「そこまでできるようになったのは、おまえが頑張ったからだろ」
977名も無き冒険者:03/01/31 01:35 ID:qn6jM9tY
言いながら、自然と笑みがこぼれてしまう。
神奈の様子がおかしかったからじゃない。
最初の時のことを思い出したからだ。
石つぶてかなにかのように、勢いよく宙を飛んだお手玉。
あれから毎日、神奈は手習いを繰り返していた。
ここまで上手になるとは考えてもいなかった。
978名も無き冒険者:03/01/31 01:35 ID:QNPneCDR
【柳也】「あきらめが悪いってのは、すごいことだな」
【神奈】「誉められておるのか、けなされておるのか、わからぬ」
困ったようにつぶやく。
【柳也】「誉めてるんだって」
【柳也】「何にせよ、よくやったな。神奈」
頭にぽんと手を置いてやった。
979名も無き冒険者:03/01/31 01:35 ID:2a/2ZN0o
やわらかな髪の感触が、たしかに伝わってくる。
【神奈】「………」
【神奈】「もっと、上手になりたいぞ」
【柳也】「毎日続ければ、きっと達人になれるさ」
【神奈】「大げさよの」
【柳也】「本当だって」
980名も無き冒険者:03/01/31 01:35 ID:KtYGfLod
戸惑った神奈が、やがてぎこちなく微笑んだ。
【神奈】「…余のお手玉、また見てくれるか?」
【柳也】「ああ、俺でよければいつでも見てやるよ」
【柳也】「ただし、夜中はもう駄目だぞ。裏葉が心配するからな」
俺の言葉に、こくりと頷く。
【神奈】「わかった」
981名も無き冒険者:03/01/31 01:36 ID:rgdZAYK2
そろそろ1000?
982名も無き冒険者:03/01/31 01:36 ID:+iO9z6MP
【柳也】「じゃあな。おやすみ」
神奈の後ろ姿が、闇の奧に戻っていった。
ひとりになると、虫の音がいやに淋しく感じられた。
【柳也】「………」
まあいい、寝よう。
木の幹に背中を預け、太刀を抱えたまま目をつぶる。
983名も無き冒険者:03/01/31 01:36 ID:wxv1Tmfj
ヽ(`Д´)ノウワァァン
984名も無き冒険者:03/01/31 01:36 ID:BX6CaBhY
1000
985名も無き冒険者:03/01/31 01:36 ID:2a/2ZN0o
やわらかな眠気が波のように満ちてきた。
これならすぐに熟睡できそうだった。
【裏葉】「おはようございます、柳也さま」
【柳也】「…ぐをあっ!」
今度は裏葉の顔が真正面にあった。
【裏葉】「お二人で、楽しそうでございましたね〜」
986名も無き冒険者:03/01/31 01:37 ID:35/0b/nA
地獄の底から響いてくるような、重苦しい声音で言う。
【裏葉】「裏葉はひとりで寂しゅうございました」
【柳也】「見てたんなら、来ればよかったのに」
【裏葉】「お呼びくださるのをずっと待っておりましたのに…」
【裏葉】「神奈さまのお手さばきを間近で拝見したかったのに〜」
よよよ、と泣き崩れる。
987名も無き冒険者:03/01/31 01:37 ID:+V0K5JmV
988名も無き冒険者:03/01/31 01:37 ID:V+IbCwao
単にうらやましかっただけのようだった。
月光が、降りそそいでいた。
名もない森の隅々まで、淡い光が満ちていた。
俺は思いだしていた。
蒸し暑い社殿の夜。
神奈がつぶやいた言葉。
989魚醤屋:03/01/31 01:37 ID:RywtRsCF
■正規の方法で楽しむ人の、情報交換(雑談)スレッド(sage必須)です。■

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 -【webマネー】 http://www.webmoney.ne.jp/dealer/cvs.html

 鯖別スレ・その他・お約束等>>2-10あたり参考
990名も無き冒険者:03/01/31 01:37 ID:28gCT1Oe
『逢いたい…』
すべてはあの夜からはじまった。
あれからちょうど、一月が過ぎようとしていた。
霊峰高野山。
金剛峰寺のふところに、俺たちはいた。
【神奈】「寺などどこにもないではないか」
991名も無き冒険者:03/01/31 01:37 ID:NdWcWVBV
『逢いたい…』
すべてはあの夜からはじまった。
あれからちょうど、一月が過ぎようとしていた。
霊峰高野山。
金剛峰寺のふところに、俺たちはいた。
【神奈】「寺などどこにもないではないか」
992名も無き冒険者:03/01/31 01:37 ID:hHKRl2dZ
【神奈】「どこまで行っても見たような森ばかりだ」
【神奈】「景色がかわらず退屈だぞ」
【柳也】「…だまって歩け」
金剛峰寺とは、高野山にある幾百もの寺院をまとめて指す名だ。
高野山そのものも、同じように金剛峰寺と呼びならわす。
【柳也】「もう高野の領内に入っているはずだ」
993名も無き冒険者:03/01/31 01:37 ID:acj3Hjaa
とりあえず998をください
994名も無き冒険者:03/01/31 01:37 ID:wxv1Tmfj
(´・ω・`)
995名も無き冒険者:03/01/31 01:37 ID:zGf0xxA+
警護の者がいても不思議はない。
【神奈】「さっきから同じところを回っている気がするぞ」
【柳也】「気のせいだ、だまって歩け」
【神奈】「…むぅ」
さっきから同じ会話を何度もしている。
俺も何かおかしいと思いはじめていた。
996名も無き冒険者:03/01/31 01:37 ID:l8O3E1vG
【柳也】「1000!」
997名も無き冒険者:03/01/31 01:37 ID:U1izZVoS
山中で道に迷うのは、周りの景色に頼りすぎるためだ。
ここまで俺は、月を頼りに歩いてきた。
方角を間違えるはずはないのだ。
だが、何かが微妙におかしい。
夏の夜にはめずらしく、月は冴え渡っている。
満月にはほんの少し満たない月。
998名も無き冒険者:03/01/31 01:37 ID:84H3JYXE
バウムクーヘン分割
999名も無き冒険者:03/01/31 01:37 ID:JMh4ZLsG
しんがりを歩いていた裏葉が、不意に立ちどまった。
【柳也】「どうした、裏葉」
【裏葉】「柳也さま、これを」
見ると、太い杉の幹に麻縄が巻かれていた。
そこから等間隔に、白い紙が垂らされている。
【柳也】「注連縄(しめなわ)か」
1000名も無き冒険者:03/01/31 01:37 ID:ANXO3ZAK
と千尋!
10011001
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。