日米のボールの反発係数の比較
日本の公式球の反発係数規格 0.41〜0.44 (測定速度 時速270キロ)
日本 統一球 反発係数 0.4134 (測定速度 時速270キロ)
メジャー球 反発係数 0.546 (測定速度 時速85マイル=136キロ)
あれ??
国際球のメジャー球とは規格が違います。 何かおかしいですね。
反発係数とは
反発係数とは鋼鉄板に定速でボールを衝突させボールの跳ね返り速度から求められます。
時速100kmで鋼鉄板に衝突させたときの跳ね返り速度が時速50kmなら 反発係数0.5です。
最大の反発係数は1で反発係数0.4なら衝突時に60%の運動エネルギーがロスしていることを意味します。
ボールの反発係数は打球速度、すなわち飛距離を決定する重要な要素の一つです。
反発係数が大きくなるとバットから放たれた打球の速度が速くなりやすいです。
(なりやすいと書いたのは反発係数だけでは打球速度が決まらないからです)
日米の反発係数測定条件の違い(
>>35)、日本のおかしな点
日本のNPBが採用している反発係数の測定は時速270kmで鋼鉄板に衝突させたときの
跳ね返り速度(推定値)から測定しています。
NPBが主張する測定条件 時速270kmの意味は
投手が投げる球速146km+スイングスピード124km=270km 合計値に合わせたそうです。
この値は一見正しそうですが・・・・
反発係数測定に用いられる厚い鋼鉄板は変形しないためエネルギーロスは少なく反発係数はほぼ1.0です。
一方野球で使われるバットは木製です。木製バットの反発係数は0.3〜0.35とされています。
木製バットはボールの衝撃で変形するため衝突エネルギーの損失が生じるのです。
バット側のエネルギー損失によりボールに伝わる衝撃力も弱まり
同じ速度の衝突で比較すると木製バットのボールの変形量は鋼鉄板上より小さくなるでしょう。
ボールと鋼鉄板の衝突ではボールと木製バットの衝突よりもボールの潰れ量がかなり大きくなるでしょう。
バットのエネルギー損失以外にも人間が手で握っているので衝撃を手を通して柔らかい人間の体が
吸収しています。
すなわち相対速度をボールとバットの衝突条件270kmに合わせても鋼鉄板上では野球よりも
過大な衝突エネルギーを与えた条件下での反発係数測定になってしまうため現実的ではないのです。
鋼鉄板に相当するような衝撃力、低く見積もっても時速200キロを超えるピッチャーや
飛距離200mを超すようなバッターなどこの世にはいません。
規格の見直しの必要性
メジャーリーグの規格は日本の半分の速度136kmです。こちらの方が人間が行う野球の
バットとボールの衝突条件により近いと言えるでしょう。
米国では反発係数だけでなく、ボールの剛性、バットの反発係数
スイング角速度・・・様々な角度から野球を物理学的に解析し先進的な研究がされています。
国際球であるメジャー球と特性を合わせるなら反発係数の測定条件をメジャーの測定条件で比較し
公表されているべきでしょう。国際球に合わせる目的なら日本の従来規格にこだわり
国際規格を採用しない理由はどこにあるのでしょうか?
反発係数をメジャー球に合わせるなら ボール速度vs.反発係数の曲線を
メジャー球と新球で一致させることが要求されるでしょう。
また、多くのファンが抱いている疑念を解くためにも測定された生データを公開すべきだと思います。
余談ですが今の規格のままでは270km/hの規格は合格しても136km/hの性能はバラバラでも合格になります。
136km下での反発係数の高いものと低いものをつくり攻撃時と守備時で使い分ければ
一方のチームを有利にすることも理屈では可能になってしまいます。
公平公正なルールにするならばボールの規格の見直しは急務だと思います。
一つの衝突条件のみの反発係数規格では無意味になってしまいます。
ボールの反発係数はボールを自由落下させて鋼鉄板に落とし
反発係数=√(跳ね返った高さ/落とした高さ)
でも求められます。
http://www.youtube.com/watch?v=wvcPJkKjiNg 左 統一球 右 メジャー球
このビデオで見られるように「木製床板上の低速での反発係数」はメジャー球が高く、統一球はかなり低いようですね。
前述したとおり反発係数はボールの材質で異なってきます。
事実関係から推測すると
反発係数
1 低速衝突 約10km/h メジャー球 >>> 統一球
2 スイング衝突(MLB条件136km/h) メジャー球=0.55 > 統一球
3 超高速衝突 (NPB条件270km/h) メジャー球 ≒ 統一球=0.41
このような特性になっている推測も成り立ちます。
野球で重要なのは打球や送球のバウンド(地面との衝突)からスイング衝突に関係する1〜2までの条件の反発係数であり、
3の270キロ条件になるようなボールが潰れすぎる反発係数は人間が野球をする限り関係ない数値です。
少なくともビデオのような違いが生じているとすると国際規格に反発係数を合わせたというNPBの説明は乱暴です。
反発係数は定数ではなく衝突条件により変動するのです。
低速から高速まで、様々な衝突条件を考慮した反発係数を合わせなければ同じようなプレーはできないでしょう。
シミュレーションだけでなく選手が使用しているバットをサンプリングして
実際にボールを打つとどうなるのか検証することも必要でしょう。
どちらが 飛ぶか?飛ばないか? 現在の議論はナンセンス
ここまでお話してきた通り、反発係数だけとってみても
衝突条件によって変わるわけですからあるバッティング条件の反発係数ではAが大きく
その他のバッティング条件の反発係数はBが大きいということもあるのです。
今の議論にプロ野球選手の感想を当てはめると
一部の条件では統一球とメジャー球はあまり変わらないが
その他の広範囲なバッティング条件において統一球はうまく飛ばない、難しいという
ことだろうと思います。
反発係数だけを合わせれば良いのか?
反発係数だけの話をしましたが、統一球は実際にプロ野球にどういう変化をもたらしたのか?
目で見て確認していかないといけませんね。
問題点も出てきてると思うので時間がかかりますが徐々に紹介していきたいと思います。
鋼鉄板上の反発係数だけ合わせてもダメなんじゃないの?という結論になるかもしれません。
考察が深まり最後にプレーしている者、見ている者が快適になり今あるモヤモヤ感というものが
なくなるような結論が導き出されれば良いですね。
メーカーの統一球の飛距離の説明
投手の投げるボールスピード144km/h、バットのスイングスピード126km/h、飛び出し角度27度とした場合、
従来のボールの飛距離は約110.4mとなるのに対し、新ボールでは約109.4mとなり、
飛距離を約1.0m抑えられます。
http://www.mizuno.co.jp/whatsnew/news/nr100823/nr100823.html つまりミズノ '05低反発球(反発係数0.417)とミズノ'11統一球(反発係数0.4134)を
反発係数測定条件と同じ条件で飛距離比較すると110mくらいの飛距離でボール間の差は
たった1mだとメーカーは言ってる。反発係数は誤差のような0,0036でほとんど同じなのだからシミュレーションしても差が出ない。
メーカーは飛距離差がほとんどない、ボールの反発力はほとんど同じだと答えてるに等しい。
反発係数からはそのように読み取れる。
2010年の1試合当たりの本塁打数 2011年の1試合当たりの本塁打数 変動率
ミズノ'05低反発球(反発係数0.417)→ミズノ'11統一球(反発係数0.4134) (%)
東京D 3.06 → 1.47 -52%
ナゴヤ 1.28 → 0.59 -53%
横浜 2.29 → 1.55 -33%
マツダ 2.00 → 0.95 -52%
札幌 1.28 → 0.90 -29%
ヤフー 1.57 → 0.97 -38%
西武 1.91 → 1.30 -32%
大阪 1.92 → 1.33 -31%
ミズノ'05低反発球(反発係数0.417)→ミズノ'11統一球(反発係数0.4134)
メーカーが答えている反発係数はほとんど同じなのにもかかわらず
各球場ともに30〜50%ものホームランの減少がみられる。
よって、公表されている反発係数は実際の打球の飛距離を反映していない数値なのである。
現在の反発係数測定は打球の飛距離を反映しない条件で測定されているのだろう。
もっと低速での反発係数を公開すべきだ。
47 :
名無しさん@実況は実況板で:2012/11/16(金) 11:14:05.73 ID:ZBN3dDT0
低速でというのは一理あるのかもしれない
というのも、統一球でも引っ張った打球に関しては極端な打球速度や飛距離の低下は感じられない
逆方向への打球が以前に比べ急激に失速が目立つようになったという印象
あるいは引っ張りによる正面衝突とは違い、角度の入った逆方向は回転エネルギーに吸収される割合が増えたとか