代表監督辞任にまで発展 台湾野球の八百長は底なし [戸部良也 語られざるプロ野球]
3月10日の「復興チャリティーゲーム」は大丈夫か
3月10日に東京ドームで開催される日本代表対台湾代表の「東日本大震災復興チャリティーゲーム」をあとわずかにして、なんと中華職棒(台湾プロ野球)の監督・呂文生が八百長と黒い交際で取り調べを受けている。
台湾球界は過去5度にわたって大量の選手や監督、コーチまでが黒い交際や八百長に関与したとして摘発。追放処分になってきた。ようやく09年11月2日に兄弟監督の中込伸(元阪神=写真)や張誌家(元西武)ら14人が拘束され、10年4月に起訴事実(賭博、詐欺罪)を認めて一段落した。
以後、台湾球界は検察、警察、政府体育委員会などと協力しあってクリーンなプロ野球に徹してきた。そのはずが、昨年の優勝チームの監督に、黒い疑惑が発生したのだ。
即座に中華職棒連盟では呂監督を辞任させ、給料の支払いも停止させた。
台湾側は「日本に迷惑はかけられない」と、すぐに羅国璋統一ヘッドコーチに代役を務めるように指示した。ひとまずこれで3月10日のゲームの支障は解消されたが、昨年から今年にかけて、アジアのスポーツ界は大揺れだ。
韓国ではプロサッカーで57人が追放になり、プロバレーボールも八百長が発覚し、プロ野球にも拡大している。中国プロサッカーも協会副会長が服役中であり、大々的な調査が行われている。日本も大相撲で揺れた。続いて台湾野球である。
呂監督の場合は、以前から友人であったアマの選手に誘われ、気を許して謝馥玉夫人ともども賭博集団の組頭とその夫人らと密接な交際があったとされている。
呂文生は交際を認め「まさか賭博と関連があると思わず、チーム内の情報や選手の好不調、先発などを“雑談”と思って話した」と述べている。これを参考に先頭打者の四球か三振か安打かを賭けたり、三回までの得点に賭ける賭博を行っていた。
一連の事件について、日本ではごくわずかしか報道されていないが、中込伸元兄弟監督は有罪となって判決確定後の昨年2月21日にようやく帰国を許可された。当の中込は「私は一切、八百長に関わっていないが、認めないと帰国させてもらえないので」と言っている。
(続く)
日刊ゲンダイ 2012/2/24
http://v.gendai.net/q?uid=1&sid=A817&i=article%2Fdetail&aid=258027&p=1