30球団と交渉解禁 松井秀喜の「低評価」にヨミウリが頭を抱えている
松井秀喜が完全なFAになった。日本時間3日午後1時をもって、アスレチックスの独占交渉権は消滅。他の29球団との交渉が解禁された。
アスレチックスのビーンGMは本拠地移転問題を理由に「FA選手との交渉は急がない」とコメント。移転が決まれば多くのカネが必要になるのは事実としても、だから松井との交渉を急がなかったわけではない。
必要と判断したFA選手とはひそかに接触する一方で、松井とは交渉すらしなかったことが関係者への取材で分かった。つまりアスレチックスにとって松井は、どうしても欲しい選手ではなかったということになる。
アスレチックスでFAになる主力野手は4人。そのうち打率2割4分のデヘスース(31=年俸約4億6000万円)は再契約の見送りが早々と決定。注目は29本塁打、98打点のウィリンハム(32=年俸約4億6000万円)、打率2割6分4厘、49盗塁のクリスプ(32=年俸約4億4000万円)、
打率2割5分1厘、72打点の松井(37=年俸約3億2000万円)の3人だった。ビーンGMはこのうち、松井を除く2選手の代理人と交渉しながら、金銭面で折り合いがつかずに決裂したと聞いた。
松井は37歳という年齢と、前半戦で調子が上がらなかったことがネックになったようだ。アスレチックスは地力のあるチームではない。ビーンGMは開幕ダッシュに貢献できる選手を欲しがっていた。
松井獲得に積極的な球団が他にないという読みもあるのだろう。アスレチックスも含めて松井にオファーがあるとすれば、12月のウインターミーティング後になる。
◆数十億円がパー?
ところで、そんな松井の低評価にヨミウリ新聞が頭を抱えているという情報が入った。来春、アスレチックス対マリナーズの日本開幕戦に、だれより積極的だったのが主催者であるヨミウリだ。松井対イチロー、日本が生んだスター2人の対戦を当て込んでいたのは確実だ。
日本で大リーグの公式戦を行うには膨大な費用がかかる。04年、ヤンキース―レイズの日本開幕戦を実現させるために、主催者のヨミウリが投じたカネは30億円というウワサもある。今回もかかる経費はおそらく数十億円にのぼる。
イチローがマリナーズの一員として日本でプレーするのは確実だが、松井が来季もアスレチックスの選手である保証はどこにもない。それだけのカネを投じて、アスレチックスに松井がいなければ興行としての魅力は半減してしまう。頭が痛いわけだ。(ロサンゼルス在住ジャーナリスト、マイク・ウォン)
日刊ゲンダイ 2011/11/4
http://v.gendai.net/q?uid=1&sid=A817&i=article%2Fdetail&aid=248765&p=1