★アイオワカブスの田口壮167 遠い上を目指す★

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226名無しさん@実況は実況板で
2009年4月19日

恐れていた日がついにやってきました。
それはある店にて、僕が寛のお願い事をお店の人に
伝えようとした時のこと。寛が、
「パパ、やっぱり、いい‥‥」と、しょんぼりするのです。
「んー、どうした?いいよ、パパが言ってあげるよ」
「だって」
「だって?」
「・・・パパ英語ヘタだから、いいです」

その瞬間、ヨメはそろーっと視線を外しました。
寛は申し訳なさそうに下を向いています。
僕は悲しいのと恥ずかしいのとみっともないのと悔しいので、
たぶんこれまでの人生で、一度もしたことのないような表情を
見せていたことでしょう。

ああ、下手ですとも!
と、5歳の子供相手に開き直ってみるのもなんだか情けないし、
下手なりに、通訳なしでここまでやってきた俺の過去7年は
なんだったんや、と叫びたくもなる。
子供の表現力ですから、「うまい」と「ヘタ」しかないはずで、
ならばヘタの中でもちょっとは上の方かもしれないし、と、自分を
慰めるしかありませんでした。
227名無しさん@実況は実況板で:2009/04/20(月) 20:32:08 ID:D5Ezrat6
伝え、聞くのが何よりもの優先事項で、
発音は二の次。とりあえず単純な日常生活と野球ができるんやから、
勘弁してほしい。しかし生後1ヶ月からアメリカで暮らし、
日本でも英語で学校生活を送る彼からすると、僕はいつまでたっても
「ヘンな英語を話すパパ」なのです。

「パパ、そんなに英語ヘタか?」
「うん」
「すごくヘタ?」
「すごくヘタ」
「ママは?」
「ママとかんくんはオーケー」
「パパだけダメ?」
「パパだけダメ」

まっすぐ目を見て律儀に繰り返すなっ!

寛が生まれたその時に、
「いつかは二人とも、英語のことで馬鹿にされるんやろうなあ」と
ヨメと話していたものでした。しかし、気がつけば一人。
家庭内に、国境線が透けて見えます。


アイオワ州デモインにて 田口壮