野球は中国では蚊帳の外「スピード感がなくて退屈」

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1五輪除外球
【野球、中国では蚊帳の外】
日本では五輪の野球は注目の的だが、中国ではほとんど報道されていない。
日本がキューバに敗れた十三日、中国も初戦でカナダに0−10で負けた。地元で屈辱のコールドゲーム。
日本の大学野球程度といわれる代表チームの実力では、世界の強豪を相手にするのは厳しい。
中国にもプロ野球は存在する。2002年に発足、複数の日本のスポンサー企業の支援などで、どうにか運営している。
日本プロ野球の球団が技術援助や人材派遣で協力するケースもあり、徐々に力はつけているが、
客席には閑古鳥が鳴き続けている。13億人の魅力に飛びついたものの、見切りをつけて撤退する日本企業も出ているほどだ。
「野球?そんなマイナー競技を誰が見るの」五輪サッカーを観戦した若者は冷たかった。スピード感がなく、退屈なのがその理由。
中国人は選手がダイナミックに動き、目の離せないスポーツを好む、と教えてくれた。
不人気のもう一つの原因はその弱さだ。開幕前、中国人に観戦したい競技を尋ねたある調査によると、卓球、陸上、体操などが
約60%に達した一方、野球は近代五種、トライアスロンなどと並んで最下位。「好成績を上げる可能性があり、
スター選手がいる競技に人気が集中している」との結論が出た。
野球が盛んな国は世界をみまわしても、日米などごくわずかしかない。次回ロンドン五輪では実施競技から除外される。
中国のプロリーグでは北京五輪後、存続自体が不透明との声も聞かれる。「世界の野球」の行く末は前途多難である。

2008年8月15日 日本経済新聞朝刊『五輪的生活』より