メジャーリーグの現状を見ると、21世紀以降ではアメリカ人選手よりも
ラテン系プレーヤーの活躍が顕著だ。したがって、
WBCでアメリカが強さを発揮することは、メジャーリーグだけでなく、
かつて国民的娯楽と呼ばれた野球の人気を取り戻すうえで非常に重要なイベントになりそうだ。
一方でアメリカ国内では、インナーシティ(大都市の中心地区)における
野球の競技人口が減っている。このエリアはアフリカ系アメリカ人の居住者が多いが、
この地区の少年たちはフットボールやバスケットボールに熱中し、野球をしている数が少ない。
リトルリーグは盛んであるが、プレーヤーの多くは郊外に住む中流家庭以上の白人。
その影響もあってか、アフリカ系アメリカ人のメジャーリーガーの数は減る傾向にあり、
今季ナ・リーグを制したヒューストン・アストロズには、ポストシーズンの25人枠に1人もいなかった。
メジャーリーグはここ数年、インナーシティにおける野球を盛り上げようとする活動を行っている。
デトロイト・タイガースの指名打者ドミトリー・ヤングもその1人で、「(競技者の)底辺を
広げたいし、子供たちに野球を体感してもらいたい」という願いがある。しかし、
バスケットボールやフットボールと違い、現在のメジャーリーグでは、インナーシティの
子供たちのカリスマとなるような存在がいるとは、決して言えないのが現状だろう。
もし、記念すべき第1回のWBCで、アメリカがすばらしいパフォーマンスを見せて頂点に立てば、
インナーシティの子供たちにも少なからずいい影響を与えるかもしれない。
http://inews.sports.msn.co.jp/columns/MLB_1405.html