★カージナルスの田口壮116 AKAメキシカン・タグチ★
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1/2:
2005年9月29日
レギュラーシーズン最後の休日。
セントルイスは夜ともなると息が白く、いかにもプレーオフ間近、という雰囲気が漂ってきました。
そして、我が家のプレーオフ名物といえば、僕の両親の渡米。
一ヶ月の滞在予定で、明日の到着を前に、今頃アメリカに向かう飛行機の中です。
これまでは開幕、そしてプレーオフと、年に2回招待していたのですが、
今年はスケジュールがかみ合わず、結局今年の開幕は呼ぶことができませんでした。
寛や僕の様子に関しては、ヨメが毎日欠かすことなく詳細な報告メールを入れているので、情報に飢えるということはなかったでしょう。
でも、たったひとりの孫の成長を間近で見せてあげられないのは、息子として申し訳ない限り。
同時に、離れ離れの環境を受け入れ、応援してくれている両家の両親には、感謝の気持ちでいっぱいです。
ところで僕の父は、社会人野球の選手でした。
現在でも還暦野球のチームでプレーし、野球に関しての知識は、プロ顔負けと言っても過言ではありません。
僕と兄の野球は、すべてこの父の教えが基礎になっています。
しかし、子供はいつか旅立つもの。
でも、僕が(俺はもう家庭持ちの36歳やで)(俺は一応プロで14年やってんねんで)と思っていても、
父が僕に接する態度は、小学生の頃のそれと、何ら変わりません。
親にとっては、子供はいつまでたっても子供。
その親心がありがたいような、面倒くさいような、複雑な気持ちはなかなか口に出せません。
きっと僕も、いつか寛に鬱陶しがられて初めて、親の気持ちがわかるのでしょう。
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2/2:2005/09/30(金) 18:11:52 ID:KtODlghe
そういえば、先日こんなことがありました。
カージナルスのピッチングコーチ、デイブ・ダンカン・コーチの息子、クリス・ダンカン(内野手)が、
9月のコールアップでメジャーデビューし、初ヒットを打ったのです。
父と息子が世界最高のフィールドに共に立つ、非常にうらやましい光景。
まして息子のメジャー初ヒットを目前にした父の誇らしい気持ちは、見ていた僕らにも存分に伝わってきました。
本当は駆け寄って、よくやったと抱きしめたかったかもしれない。
でも、立場上それをぐっとこらえたダンカンコーチは、半べそのような顔をして、ダグアウトに戻ってきた息子に片手を差し出しました。
気の利くジミー(エドモンズ・外野手)が取り戻した「初ヒット記念ボール」を、もう一方の手にしっかり握り締めたままです。
息子のクリスは、表情を変えないまま、差し出された父親の手をパチンと叩き、そのままベンチ裏に消えました。
父親の顔すら見なかった息子と、その背中をずっと見つめていた父親。
その姿は、まるでどんなに距離を置かれても、片想いし続ける人のようでした。
ミズーリ州セントルイスにて 田口壮