今なら、今なら
私はバットに手を掛ける。
木製バットには
「何をする!」
相手バッテリーが気づいた。
「止せ!倉野!」
観客が恫喝した。
「君なんかがメイデン野球するには百年早い!君も宜野座や必由館のように“向こう側”に
行きたいのか!」
向こう側――そこには幸せが
「君がそのつもりなら僕はいいがね。どうもメイデンにいる連中は皆それを
望んでいるようだ。いいか、それは幻想だ。開けてはならぬものなのだ!」
私は全身の力が抜けて、その場にくたくたとへたり込んだ。
丁度、逆転ホームランを打たれたメガネッシュの様に
「メ、メイデンとは、いったい何だ」
「メイデンとはな倉野。“境界”だ。軽はずみに近寄ると向こう側へ
引き摺り込まれるぞ」
「ぼ、僕は」
知らず知らずのうちに、必由館と同じ無駄メイデンになっていたのだ。
他人のエラーを覗くうちに。そのメイデンを知る度に。
2 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/05 03:57 ID:kyFuiHi/
魍魎の箱?
何この駄スレ