自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第74章

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952951:2013/02/08(金) 03:15:22.80 ID:97KA9T1Q
すまん間違えた。

http://20m.ziploader.net/dl.phpx?id=ziploader1480

pass 13579
953創る名無しに見る名無し:2013/02/08(金) 07:00:39.27 ID:b4wpc3bf
>>948-950
石動さんの作品
iPadで読もうと思ってまとめてたやつだけど
http://www1.axfc.net/uploader/so/2784924
954創る名無しに見る名無し:2013/02/08(金) 09:59:40.88 ID:62AweLRI
題名がまだ決まってなくて、序章のサブタイもところどころ抜けてるのか。
955創る名無しに見る名無し:2013/02/08(金) 16:40:26.61 ID:6sgV9ogR
>>953
thx
956 ◆dqVzDvT5pM :2013/02/08(金) 18:42:25.93 ID:Kckd1Tf/
>>940から>>944まで書いたものです。トリップつけます。

>>946
有難うございます。ファンタジー世界に召喚された自衛隊って、考えてみたら物凄い可哀想な、過酷な状況に
置かれるよなあと思って書き始めました。今後もよろしくお願いします。
>>947
有難うございます。派手にやる予定です。
957創る名無しに見る名無し:2013/02/08(金) 22:46:44.29 ID:5Loe6xW5
>>945
投下乙です!
未だ見ぬ敵、というか強大な脅威の予感がビリビリきています。
描写が良く、文章も読みやすくて、面白いと思いました。突然の召喚に混乱したまま、魔獣と戦う羽目になるのでしょうか。
次回を楽しみに待っています。
958創る名無しに見る名無し:2013/02/09(土) 13:51:05.78 ID:ce0KivBa
941、>敷き詰められたタイルの表層はガラスのように透明で、幾何学的な紋様を描く青白い溝が銀色の内側に確認できた
物質文明がシリコンでLSI作ってるように、魔法文明式の集積回路なんかいな?
魔法と区別できない純粋科学文明とか、不得手な分野を超自然で補う科学中心文明かもしれんけど
959 ◆dqVzDvT5pM :2013/02/09(土) 19:12:48.33 ID:74hTlKDh
>>957
お褒め頂きありがとうございます。自衛隊がハイテク兵器、というか現代兵器でバリバリするのも弾薬がある内の話ですし、
やれる内はやった方が良いかなと思っています。
>>958
魔術回路は字の通り、「魔力を流す通路」です。特定の強さの魔力を特定のパターンで流すことで、特定の効力を発揮する、
という程度の設定です。
960創る名無しに見る名無し:2013/02/11(月) 00:56:10.15 ID:Qa8p3HP7
設置者は居ないようだけどなんらかの意図もしくは意思があって召喚したみたいですね
そうでなきゃ総合火力演習の日時と場所にタイミング会うはず無いし>通常はただの原野
961創る名無しに見る名無し:2013/02/11(月) 16:20:27.81 ID:Oy0wjaAJ
あ、たぶん覚えている人いませんが
「そらのいくさ」です。

何やら1年近く自宅からの2chが規制されているので、投下は相当後になりそうです。
投下するときは、自宅以外のPCが基本になりそうだわ。

あと、今全面リメイクしています。何やら壮大なものになりそう
と言うか、世界VS世界な異次元大戦が始まりそうな雰囲気ががが
というわけで、生存報告でした。

>>959
乙です! 度派手な戦いを期待しています。
962創る名無しに見る名無し:2013/02/11(月) 17:33:11.49 ID:7s1JrFSy
リメイクですかー。リメイクは嫌な感じしかしないんですよね、某帝国召喚はリメイクで停滞しちゃったし。
963 ◆dqVzDvT5pM :2013/02/11(月) 18:23:24.60 ID:xcWeg2fq
続きが書けたので投下します。

>>960
そうですね。少なくとも自衛官を召喚するという意図のもとで、魔術が作動しています。
>>961
新参者ゆえリメイク元が分からないのですが、異なる世界同士の大戦と聞くとわくわくしますね。
私のは小規模でぬるい感じですから。投下をお待ちしています。
964 ◆dqVzDvT5pM :2013/02/11(月) 18:24:29.57 ID:xcWeg2fq
 空間に生じた波紋から現れたのは、暗緑色の身体を持ち、ライトグリーンに光る8つの
目を持つ蜘蛛に似た異形だった。先端が鋭く尖った8本の脚をせわしなく動かし、足元の
土を引っ掻き雑草を千切る。粘液に濡れた大顎を鳴らし、甲高く不快な声を上げた。
 大型犬ほどのサイズを持つそれが、夥しい数の波紋から這い出してくる。
「烽火を上げよ。青い烽火だ」
 ヴァレリアンの言葉に、老人が手にした杖を掲げた。炸裂音と共に、杖から放たれた
青い光が空へ上っていくのを見届けた後、騎士団長へと視線を転じる。大男が剣を抜き、
次々と湧き出してくる存在に切っ先を向けた。他の騎士達も次々と武器を手に取る。
彼らの剣と盾、そして鎧の輪郭に白い光が宿るのに合わせ、ヴァレリアンもまた背負った
両手剣の柄に手をかけ、構える。長い刃の根元が赤く光り、先端へと伝っていった。
「二等陸佐!」
 歪む景色と、次々に出現する生物めいた何かに目を見開いたままの巌へ、
剣を携えたヴァレリアンが声をかける。
「魔獣だ。数が揃うのを待って押し寄せてくる。生きたまま餌食となりたくなければ、
迎え撃つ他にない」
 銃の弾は補給できず。戦車は燃料も修理する資材も機材もない。日本へ帰る手段はない。
増援は得られない。日本と連絡を取ることはできない。巌の頭に圧し掛かっていた、
そんな悩みが吹き飛んだ。改めて、自衛隊員達を見つめる。女性の隊員が1人、LAM手に
装填を命じた後、MINIMIを持った別の隊員に声をかけている。ボックスマガジンを
指差し、残弾について訊ねているようだった。しかし大部分は巌と、増え続ける魔獣を
交互に見つめていた。
 誰かが全体の指揮をとらねばならなかった。それも、今すぐに。
「殿下。我々はあの位置から応戦します。これから、彼らの態勢を整えさせます」
 ヴァレリアンに背を向けたまま、巌は隊員達を指差して歩き出す。時間が惜しい。
「そして戦闘が始まった後は、決して我々の前に立たれぬようお願いします!」
「承知した!」
 言うだけ言って離れていく巌の背に声をかけ、ヴァレリアンは顔をしかめる騎士団長に
向き直った。不機嫌な顔をしているのは他の騎士達も同様で、巌を睨みつける者もいる。
「何と無礼な! 我らと肩を並べることもなく、殿下に指図を……」
「構うな。うろたえているのだろう。それに我らだけでは生き残れん。騎士団長」
 ヴァレリアンに呼びかけられた大男が頷き、声を張り上げた。
「半数は殿下をお守りし、残る半数は同行せよ! 祭壇上の左右で魔獣を叩く!」

「彼らには射線から退いて貰った。最大限引いたこの位置から、あの怪物を迎撃する!」
「迎撃!? あいつら襲ってくるんですか!?」
「そうだ! 生きている人間をむさぼり食うらしい」
965 ◆dqVzDvT5pM :2013/02/11(月) 18:26:30.21 ID:xcWeg2fq
 可能な限りの早歩きで隊員達に近付きながら、巌が答える。彼の返答を聞いて絶句した
隊員の脇を抜けて戦車へと向かう巌に深草が駆け寄って、巌が着る制服の肩に目をやる。
「二等陸佐。深草美雪 三等陸尉です。小銃による一斉射撃を行うのですか?」
「ミニミがあればそれも参加させる」
「了解。射撃が途切れないよう、小銃手を2グループに分けます。LAMもありますが」
 巌が足を止める。ここは薄暗い閉所だが、パンツァーファウスト3のバックブラストを
放出できる程度のスペースはある。振り返って、指示を待つ彼女と、剣と盾を構えた
アルトラム王国の人々、そして暗緑色がざわめいて見える森を睨んだ。
「敵がまだ散開しているし、前方の彼らを爆風で巻き込みかねない。発射は待て」
「了解」
 隊員に指示する深草の声を背に受け、巌は10式戦車に辿り着いた。ハッチを開けて
機銃座についた隊員を見上げる。
「戦車は前進して……」
「不可能です! 現在全てのシステムがダウンし、移動も砲塔の旋回もできません!」
「砲撃は可能か? 復旧の目途は?」
「撃つだけならば出来ますが、怪物の背丈を考えると角度が! 復旧ですが、とにかく」
 突如、獣を思わせる低い唸り声が上がった。苛立ちの混じった言葉のような音がそこに
被さる。機銃座についた隊員が、車内を気味悪げに見下ろした。
「エンジン、というか燃料タンクの辺りから、今のような声が何度も聞こえてきているんです」
「……とりあえず、復旧作業を続けろ。今以上の異変を感じたら降車してよろしい」
「は、はい」
「来ます!」
 背後で上がった声を聞き、ひとまず指示を出し終えた巌はそちらを振り向く。暗緑色の
群れが蠢き、集まった8つの目が魔獣の細かい動きに合わせて揺れていた。そして、
一斉に前進する。尖った足の先で地面を抉る無数の音が戦車の傍まで届いた。
「戦車は動かせない! 攻撃を開始せよ!」
「セレクターを三点バーストに!」
 膝立ちになった10人の前で、伏射姿勢を取った10人が殺到する魔獣の群れに銃口を
向ける。バイポッドを展開した軽機関銃のMINIMIが鈍く輝いた。
「撃て!」
 魔獣の鋭い足が銀色の床に触れると同時に深草の声が上がり、かわいた発砲音が
ドーム内に反響し、自衛隊員のいる薄暗い場所をマズルフラッシュが照らす。横一列に
並んだ銃器の右側から高温の空薬莢が飛び出し、殺到する暗緑色の波が砕け散った。
5.56mm弾に足を千切られ、目と大顎のついた胴体を貫かれ、硬質の内容物と粘液を
撒き散らす魔獣達の骸が吹き飛ぶ。それをかき分け、あるいは乗り越えやってくる魔獣も
また、銀色の床でグロテスクな残骸と成り果てた。
966 ◆dqVzDvT5pM :2013/02/11(月) 18:27:59.54 ID:xcWeg2fq
「騎士団長! 自衛隊に戦意はありません! 奴ら寝転がるか、屈みこむか、頭だけ出して
隠れているかです! このままでは全滅します!」
「無駄口を叩くな! 殿下は承知したと仰ったのだ! たとえここで」
 豆を炒るような異音が騎士団長の言葉を遮る。祭壇奥が一瞬光ったように見えるや否や、
なだれ込む魔獣が一斉に跳ね飛ばされた。砕け、ひしゃげ、バラバラになった足が散る。
「……なるほど。そういうことか」
「き、騎士団長! これは? 強力な防御魔術でしょうか! 英雄の祭壇にこんな力が……」
「違う。……恐らくこれが自衛隊の攻撃なのだ」
 先程と同じく連続した破裂音と共にドームで薄暗くなった祭壇の奥が再び光った。
波と化して押し寄せる魔獣達が再び、伏せている自衛隊員の遥か前方、つまり剣と盾を
構える騎士達の眼前で残骸に変わる。
「非常に小さな物体を、超高速で発射しているのだろう。前に立つなという二等陸佐の
警告もそれなら説明がつく」
「どうだ騎士団長! 私が正しかったではないか!?」
 祭壇の反対側にいるヴァレリアンが、なぜか勝ち誇って胸を反らす。
「大英断と言えよう!  あの時逸って斬りかかれば、我々がこうなっていたのだからな!」
「殿下、もっとお下がりください! 魔力の圧はまだ弱まってさえおりません!」
 両手剣を持つ若者を、杖を持った老人が押しとどめ、戸惑う騎士達が自衛隊員と魔獣を
交互に見る。洪水の如く押し寄せていたはずの魔獣が見る見るうちに数を減らし、前進の
勢いを弱まらせていった。
「背後と側面を壁に囲まれ、前方にのみ注意を向ければ良い状況であれば、彼らは殆ど
無敵と言える。……うん?」
 伏せていた何人かが立ち、後ろで屈んでいる者と入れ替わった。そして、彼らの持つ
物体から光が放たれ始める。
「そうか。無限には攻撃できぬのだな。……皆、正面は問題あるまい! 屋根伝いに来る
魔獣を警戒せよ!」
 言いつつ、ドームの外に出て空を見上げた騎士団長が戦慄する。視界全てを覆う程の
波紋が空を歪ませ、分厚い甲羅に覆われた8本の足を持つ巨大な魔獣が円形の屋根の上に
浮かんでいる。全幅およそ20メートルの魔獣が、大顎から薄緑色をした粘液の雨を白い
屋根に降り注がせ、液体の落ちた所が煙を噴いた。
「二等陸佐! 上だ! 屋根の上に大型の魔獣がいる! 落ちてくるぞ! 脱出しろ!!」
 真上を指差し張り上げた騎士団長の声は、ドーム内で反響する発砲音に掻き消された。

「良いぞ! 奴らの足が鈍ってきた。……なんだ?」
 戦車の傍で、巌が軽く右手を握る。しかし、鎧を着た大男の様子に訝る声を上げた。
直後、激震が襲う。戦車に手を突き身体を支えた左肩に、白い石の粉が落ちた。
967 ◆dqVzDvT5pM :2013/02/11(月) 18:28:59.65 ID:xcWeg2fq
 騎士達やヴァレリアンが、こちらに何かを叫びつつドームの外に出ていく。何かが軋み、
ひび割れる音が頭上で上がった瞬間、状況を理解した巌が目を見開く。
「攻撃を中断しろ! ドームが崩れる! 脱出だ!」
「射撃中止! ドームの外へ移動!」
 前進したことで残存する魔獣との戦闘に入ったアルトラムの騎士達と、自分の言葉を
命令に変換して伝達する深草の背を見たあと、巌は機銃座についたままの自衛隊員へと
振り返った。相手も同じように、引きつった顔でこちらを見下ろしている。
「……車内に入り、ハッチを閉めろ!」
「り、了解! 二等陸佐も車内に避難して……」
「ハッチを! 閉めろ!! 直ぐに!!」
 鬼気迫る表情で怒鳴る巌に無言で頷き、その隊員は指示に従った。自衛隊員の足取りが
鈍い。魔獣がまだ祭壇の前にいて、騎士達が半ば包囲されているからだ。頭上の天井に
亀裂が入り、太陽の光が銀色の床を照らし出す。
「急げ! ドームの外で再度攻撃態勢を取るんだ! 行けえっ!!」
 騎士の援護を考えたのか、移動しながら魔獣を狙おうとする隊員の肩を強く叩き、巌が
叫ぶ。更に破砕音が上がって強い日差しが差し込んだ。直後、ドームが崩壊する。
見上げた巌の視界一杯に、湾曲した屋根材が迫る。意識が闇に包まれた。

「くそっ! 弾が効いてねえ!」
「甲羅で弾かれてるんだ! 良く狙って撃つんだよ!」
「LAMはどこいった!? LAM手はっ!!」
 ぼやけた喧噪と視界の中で、巌はぐったりと仰向けになった自分の身体が、後ろに
引きずられていくのを感じていた。巨大な魔獣が10式戦車を跨ぐように立っている。
先程まで銃撃によって蹴散らしていたものとは違う。ずんぐりとした脚は巨木のように
逞しく、表面は甲殻類を思わせる。ぎらつく複数の眼球の中で光がちらつき、全てが
自分を見下ろしているかのように錯覚させた。
 石材の粉を吸ったのか、むせた巌が激しく咳き込む。右上に視線をやった。男性の
隊員が、右腕で持った小銃を魔獣に向けつつ左手で自分の後ろ襟を掴んでいる。天井が
落ちて巨大な怪物に真上から襲来された割に、落ち着き払った表情なのが印象に残った。
「助かった。礼を言う……名前は?」
「弓長 陸士長です」
「そうか弓長。銃を持っている者から助けろ。直ぐにだ」
「了解」
 直ぐにという言葉に従ったのか、弓長はいきなり巌から手を離して駆け出す。角ばった
石材に後頭部を強打して、巌の視界が再び霞みかけた。彼の頭のすぐ横を、鎧の具足が
踏みしめる。先程の魔獣を打ち倒した騎士達が、マントをはためかせ巨体へと走っていく。
968 ◆dqVzDvT5pM :2013/02/11(月) 18:30:44.96 ID:xcWeg2fq
「自衛隊の後退を援護せよ! 距離を取らせ、攻撃態勢を整えさせるのだ!」
 赤く輝く両手剣を振り翳して跳躍したヴァレリアンが、巨大な魔獣の脚に袈裟掛けの
斬撃を見舞う。火花が散って焼けた痕を残した。おぞましい叫びを上げ、斬り付けられた
脚を跳ね上げる。それを、アルトラムの王子は身体を避けさせつつ剣を傾けて受け流した。
甲羅に生えた突起が羽織っていた上着に掛かり、引き裂きながら吹き飛ばす。
「恐れてはならん! 殿下に遅れるな!」
 雄叫びを上げる騎士団長がすぐさまそれに続き、八本脚の内側に飛び込んで関節に剣を
突き入れ、体液を噴き出させた。巨大な魔獣の目が一層強く輝き、大顎と下部の殻が
目一杯に開かれる。暴徒鎮圧用の放水に迫る勢いで、薄緑色の液体が放出された。正面で
身体を起こそうとしていた巌がまともに浴びる。顔面だけは庇ったものの、立ちのぼる
煙を吸い込んでえずき、咳き込み、涙を流しながら再び倒れた。歪む視界の中で、魔獣が
液体を辺りに吐きかけている。それを浴びるか、煙を吸った騎士達や自衛隊員も膝を突き、
崩れ落ちていく。瓦礫の下にいる幾人かは、ぴくりとも動かない。
「く……こんな、こんな……っ!」
 その時、獣のような唸り声が周囲に響き渡り、巨大な蜘蛛の魔獣が動きを止めた。声は、
その足元の10式戦車から上がっている。唸りは咆哮に変わり、咆哮は怒気を纏う絶叫と
化した。後部のエンジン排気口から紅色の光を撒き散らし、怒りに任せて何事か叫び
続ける10式戦車が、最大速度で後退する。その履帯でドームの破片を蹴散らし、踏み潰し、
側面のゴム製スカートを波打たせながら右折し、砲塔を旋回させた。
車体を停止させないまま、120mm砲が轟いて周辺の粉塵を一斉に巻き上げる。砲火と
共に放たれた徹甲弾が巨大な魔獣の腹に直撃し、甲羅を粉砕して光と粘液を撒き散らした。
身の毛もよだつ悲鳴を上げ、魔獣は八本脚をよたつかせながら、恐怖を覚えたように
逃げ出そうとする。罵るような、ヒステリックに嘲るような、そうかと思えば怒り狂って
耳を塞ぎたくなるような悪態を吐き散らす10式戦車が今度は前進した。複数の脚で木々を
掴み、姿勢を変えて森へ分け入ろうとする魔獣の背に二発目を発射する。轟音が大気を
震わせた。
 堅牢な甲殻を紙のように引き裂き、中心にあった人一人が収まりそうな輝く球体が
粉砕され、既に粉砕された腹を貫通した砲弾が地面に大穴を開ける。一本の樹に脚を
かけたまま、巨大な蜘蛛が全身を痙攣させ、脚部を内側に折り曲げる格好で硬直した。
戦車が沈黙し、砲塔が旋回して定位置に戻るのを見上げつつ、巌は咳き込んで口の中に
入った液体を吐き出しながら立ち上がる。回復した幾人かの騎士が立ち上がって剣を収め、
10式戦車を見上げていた。
「二等陸佐! 御無事ですか!」
「ああ……多分」
 駆け寄る深草を巌が右手で制す。ヴァレリアンが両手剣を掲げ、切っ先を空に向けた。
騎士団長と配下がそれに倣って勝ちどきを上げる姿を、疲れた笑顔で眺めていた。
969 ◆dqVzDvT5pM :2013/02/11(月) 18:31:28.80 ID:xcWeg2fq
2話目は以上です。よろしくお願いします。
970創る名無しに見る名無し:2013/02/11(月) 23:26:35.70 ID:gvsyBV4j
この10式欲しいです。続きも期待
971創る名無しに見る名無し:2013/02/11(月) 23:29:31.44 ID:gvsyBV4j
うわ、ごめんなさいageちまった…
972創る名無しに見る名無し:2013/02/12(火) 09:06:20.34 ID:0DAdCBGT
乙でした
戦車砲くらって生きてるのと白兵戦するんだから大変だわ
973 ◆dqVzDvT5pM :2013/02/12(火) 22:22:12.26 ID:eMl7zpph
>>970
有難うござます。後ろがすごい光るしすごいうるさいですが大丈夫でしょうか<この10式

>>972
有難うございます。今回最後に出た魔獣はかなりタフな方という設定なので、今後こういうのを
毎回出す予定はありません。
974創る名無しに見る名無し:2013/02/13(水) 00:13:15.22 ID:aCaowYge
>>968
ワクワクします。今回の戦闘描写も情景が浮かぶようでした。
混乱の中での遭遇戦闘。やっぱり自衛隊は巻き込まれるのが似合っていますね。
弾薬の先行きや負傷者の割合、10式の不思議なうなり声。色々気になります。二佐を始め、自衛官達が戸惑う中でもちゃんと上位者の指揮に従っているのが、好きですね。

異世界側も聡明な人物の様で、次回がますます楽しみです。
975創る名無しに見る名無し:2013/02/13(水) 00:14:49.01 ID:aCaowYge
>>961
いやいや、覚えていますよ。
大変な作業でしょうが、期待して待っています。
976創る名無しに見る名無し:2013/02/13(水) 18:15:18.96 ID:Vd7weXn1
>>968
投下乙
なんか10式戦車がえらいことになってる気がしますが
「ガーディアンオブ○○○バース」になっちゃうかとドキドキw
977 ◆dqVzDvT5pM :2013/02/13(水) 21:57:34.04 ID:fqQN2jVc
>>974
お褒め頂き有難うございます。これからも、動きのあるシーンでは描写を厚くしたいと思っています。
大混乱の中、将兵がそれぞれ能力を発揮して状況に対応するのって格好良いよね、と思ってああいう風にしました。
異世界側が注意深い性格なのには理由がありまして、以後の話で明らかにしていきたいと思います。

>>976
有難うございます。10式戦車は実はとんでもない事に、しかも取り返しのつかない事になっています。
978創る名無しに見る名無し:2013/02/14(木) 01:06:34.65 ID:R9q06ix2
つまり陸自部隊総力を挙げた、エルフを狩るモノたちフラグなのか
979創る名無しに見る名無し:2013/02/14(木) 08:33:24.62 ID:OA6T/pUY
これはヒトマルが、ギリアンさん♪ギリアンさん♪となるか天然オイルを欲しがる奴に変じるフラグか。
980創る名無しに見る名無し:2013/02/14(木) 08:35:40.40 ID:DGNnM7de
乙乙
981創る名無しに見る名無し:2013/02/14(木) 13:56:06.55 ID:I1t/78Zu
これはあれか。ドラえもんの海底鬼岩城のバギーみたいな感じで、10式戦車がラスボスに特攻するフラグなんだろうか?
982創る名無しに見る名無し:2013/02/14(木) 20:53:25.27 ID:lTlt8iE/
そのうち搭載弾薬が尽きたらプラズマキャノン吐くな
983創る名無しに見る名無し:2013/02/14(木) 23:48:14.75 ID:HhBJlD9m
元の世界に帰るためにエルフを脱がすかもしれん
984創る名無しに見る名無し:2013/02/15(金) 00:30:54.70 ID:xaXF0ipc
異界の武装HENTAI集団としてエルフの黒歴史に名を刻むのか
985創る名無しに見る名無し:2013/02/15(金) 01:22:27.61 ID:2VhNWWhJ
> そのうち搭載弾薬が尽きたらプラズマキャノン吐くな
パワー炸裂プラズマキャノン!

> 異界の武装HENTAI集団としてエルフの黒歴史に名を刻むのか
WEBで連載再開したな。淳平に妹がいたりとか。
986977:2013/02/15(金) 08:38:31.80 ID:nymXaIh5
どうも規制に巻き込まれたようです。さすがに携帯からは投下できないので、しばらく休みます。
987創る名無しに見る名無し:2013/02/15(金) 10:37:53.07 ID:QlZdDOm4
そう言えば、980過ぎてるね。
988創る名無しに見る名無し:2013/02/15(金) 16:02:54.47 ID:YaNCT54P
ファンタジーに染まって魔改造された10式戦車か。
今まで無かったけど、折角のファンタジー世界転移なんだからそのぐらいの要素は無いとな。
989創る名無しに見る名無し:2013/02/15(金) 18:33:41.71 ID:r4u67SKM
魔改造というか魔界転生だな

喋れるようならこの一言だな
「ワレハ 仲魔イチマル コンゴトモ ヨロシク」
990創る名無しに見る名無し:2013/02/15(金) 19:23:42.12 ID:giO8qXFo
>魔界転生
メガテン?
991創る名無しに見る名無し:2013/02/15(金) 22:54:05.48 ID:f8u7eOSz
たぶん魔神転生の間違いだと思う
メガテンの派生作品でシミュレーション

途中で全滅するが自衛隊の対悪魔部隊が出てくる。
指揮官が増長天だったりするが・・・
992創る名無しに見る名無し:2013/02/16(土) 03:29:49.17 ID:+QPDvxYR
ほうほう
993創る名無しに見る名無し:2013/02/16(土) 07:11:33.69 ID:l5sSPBvy
>>991
魔界転生じゃスーパー剣豪大戦になっちゃう。
994創る名無しに見る名無し:2013/02/16(土) 20:31:05.94 ID:9RSkVRdg
石川版なら剣豪が銃火器使いはじめるから大丈夫
995石動 ◆a11CQqukNsdH :2013/02/16(土) 22:32:47.21 ID:DgTLQ4ua
新しい物語が始まり、賑やかになってきましたね。限られた戦力を遣り繰りする戦い、とても楽しみです。

遅くなりましたが、私も次スレに投下します。


ちなみに私は携帯で投稿しているのですが、パソコンで見ると改行が少なくて読みにくいかな、と思ってしまいました。
難しいところです。
996創る名無しに見る名無し:2013/02/16(土) 22:53:21.10 ID:1qcNaxg0
新スレ
ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1361022572/l50
誰も立てないけどもうすぐ1000なっちゃうんで独断で立ててきた
997創る名無しに見る名無し:2013/02/16(土) 23:40:54.04 ID:GPGMcNtw
>>996

安心した
998創る名無しに見る名無し:2013/02/16(土) 23:56:54.15 ID:SU5wI+yg
石動氏投下期待
999創る名無しに見る名無し:2013/02/17(日) 04:20:33.21 ID:vG93UU1+
一応、次スレ建つまで書き込み自重してた
1000創る名無しに見る名無し:2013/02/17(日) 04:24:25.69 ID:vG93UU1+
>>1000なら次スレ>>50はF世界に転移する
10011001
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             (_´∀`)_     創る阿呆に見る阿呆!
           /,/-_-_-_-_-_\     同じ阿呆なら
    ( (   /,, /― ((神輿))―\    創らにゃソンソン!! //
        (。'。、。@,。,。,。,。,。,。,。,。,。,。,。@  ) )
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         †人=†††¶┌┐¶††††              このスレッドは1000を超えた!
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 (´∀(匚二二( ´∀( ´∀( ´∀`).□´∀` )Д´)□           レッツ 創作発表!!
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