それでは、「チリチリおにこ」最終話
>>15-19の続きを投下しまス。
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今にも火を吐こうとしていたデカブツの動きが一瞬とまったよーに見えた。いざとなったらアチぃの覚悟で
オレっちが身を盾にしておにこを火炎から守ってやろうかと思っていたが、こりゃぁチャンスだ。
「よっしゃっ!今だ!おにこ!いっちめぇ!!」
オレっちはおもいっきり、おにこをすっ飛ばした。
「たぁぁぁぁぁああああああああっーーーー!!!」
気合い一閃!!
デカブツは頭のてっぺんから下まで真っ二つに斬り裂かれた。おぉ、相変わらずおっとろしー威力だぜ。
デカブツは雄叫びをあげるヒマもなく、身体ン中に溜め込んだ炎をまき散らしながら、自分で自分の身体を
焼き焦がして崩れ落ちやがった。
んで、次の瞬間、デカブツから吹き出した膨大な『気』がどこかに吸い上げられ、運び去られた。そンで、
パキャァァァンっと、ガラスが砕けるみてーな音がして、この周囲一帯を覆っていた結界が砕け散るのを感じ取った。
おぉ、なンか圧迫感ンがなくなったナ。
「おし、紅葉のねーちゃんもうまくやったよーだな」
「! もみじっ!?」
オレっちの頭の上に着地したおにこが思い出したように叫んだ。
おっと、そういや、まだ崖にぶら下がってンかな。あのねーちゃん。あの結界破りは印を結んで起動させるとか
いってたが、あの状態でどうやったんだ。
──が、結論から言うと紅葉のねーちゃんは居なかった。その場所にはクナイが一本、ぶっ刺さっているだけだった。
「もみじっ!もみじーーーーーーーーっ!!」
おにこの悲痛な声が響きわたる。そんでおにこのヤツぁ取り乱してメッチャ泣いた。オレっちらは限界ギリギリまで、
辺りを探しまくったが、紅葉のねーちゃんはどーやってもクナイ以外、何ンも見つかンなかった。
「で、でーじょーぶだって。何ンで、オレっちらの前から姿を消したかわかんねーケド、あのねーちゃんが簡単に
死ぬわきゃねーって。そンうち、フラリと顔を見せるって!なっ?」
ホントにどーしよーもなくなって、オレっちはエリアを離れながら、そー言っておにこをなだめたが、おにこは
長いこと泣きじゃくってた。
だが、これ以上居続けたら人間どもが調査用の式鬼を寄越してくる可能性が出てくる。見つかるのぁヤバい。
何ンかが近づいてくる気配を察知したンで、オレっちらは逃げるよーにソコを離れるしかなかった。
……しかし、ホントの所、どーしちまったンかね。
状況からして、溶岩の河ン中にドボンしちまったとしてもオカしかねーんだが、あのねーちゃんがそーそー
簡単に死ぬたぁ考えづれぇ。かといって、オレっちらを追っかけるのをヤメちまうってのも変といやぁ変だ。
いってぇ、どういった心境の変化だ?なンともモヤモヤする結末になっちまったもンだ。
「ま、なンだ。あンだけしつこかったんだ。いつかまたフラリと姿現すにちげーねーって。あン時みたくよ」
オレっちは振り切ったと思ったのにアッサリ見つかっちまった時の事で、おにこを慰めた。
「……うん」
おにこは例のクナイを握りしめ、涙声でぽつりとうなづいた。今となっちゃ、そのクナイがあのねーちゃんの
居た証しだな。
「あ、そーだ。なンならよ。紅葉のねーちゃんと同じ事してみっか?そしたら、そのウチ見っかるかもしんねーしよ?」
オレっちはおにこのヤツを元気づけたいあまり、何を口走ったかあんま深く考えなかった。
「おなじこと?」
おにこはさんざっぱら泣きはらした目で問いかけてきた。
「おぅよ、鬼退治」
オレっちは適当な事をいった。まー紅葉のねーちゃんに会った時にねーちゃんのやってたシゴトだから間違いねーだろ。
「それで、もみじ、みつかる?」
ここがオレっち、嘘月鬼の本領発揮よ。
という訳で、「チリチリおにこ」最終話
>>22-24を投下しましタっ!
【専門用語解説】
DNA編集技術:でぃーえぬえーへんしゅうぎじゅつ
作中で「手軽にDNA編集が可能」といった記述があるが、『人権』を持つ生体へのDNA編集は実の所様々な法規制や煩雑な
手続きがあり、それなりの金額と手間を要する。
逆に屍体からの臓器移植は比較的規制が緩い為、一般ではこちらの方が頻繁に行われている。
その際に臓器は蘇生処理が施され、方式としては薬物を用いた「薬物蘇生」と式鬼を憑依させる「式鬼蘇生」などが存在する。
それぞれ、メリット・デメリットがあり、状況に合わせて選択するのが一般的である。
【専門用語解説】
鬼子の分身/クローン:おにこのぶんしん/くろーん
かつて、ひのもと鬼子はクローン培養され、「制御された傀儡の鬼」として活動していた。しかし、色々あって制御を
振り切り、イチの存在に戻った……ハズであった。その群体から何かのエラーにより「ひのもと鬼子」から株分け
されたのがチリチリという存在である。
もとは「鬼子」であったため、不完全とはいえ、ある程度の記憶を有する。そのため、かつて共闘したことのある紅葉に
対して不自然な程、信頼を寄せている。
(実際は背中を任せあう程信頼しあった共闘ではなかったが)
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長かったこの物語もこれで終幕となりまス。
いままで、お付き合いくださった方、どうもアリガトウございましたっ!
>>21 紅葉の援護射撃がなければ、嘘月鬼は火炎が直撃して半壊になってたかもっ …そんなルートもあったかもしれない……