巫女「来たれ!異界の勇者よ!」

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327創る名無しに見る名無し
勇者さまはハローワークの求人票を眺めていた。

だが、そこには派遣とバイト、しかも給与は最低クラス。正社員の募集などカケラも存在しない。
勇者さまは低学歴な脳味噌で月給を換算してみたところ、月給は約9万円ほどであった。
今まで魔王と戦ってきた勇者さまだが、ファンタジックな夢から目覚めてみれば、月給10万円にも届かない非正規労働者でしかないのだ。

まあ、「魔王」なんてもの持ち出してみたけど、この現実社会における資本主義と新自由主義の方がよっぽど魔王にふさわしいわけだ。
その魔王という名の資本主義が新自由主義の嵐の中で大暴れし、ギリシャとスペインとイタリアがやばいことになり、
過酷な円高で輸出企業は青色吐息となって生産拠点を東南アジアなど海外に移し、日本国内は産業及び雇用の空洞化が進み、
企業は固定費負担を減らすために雇用規制を次々と緩和させ、「痛みを伴う自己責任」の名の下で中産階級は没落し、
格差はさらに邁進し、若年層の多くは非正規雇用の労働者としての生活を余儀なくされ、それゆえ国内市場の縮退が進み、内需は落ち込み、
そして>>1のような頭の弱い底辺低学歴が、このスレに描かれているような中二病丸出しのファンタジーな夢の中に現実逃避をして自分を誤魔化して過ごしているのだ。

確かに慰みは必要だろう。自分は実は「勇者さま」なんだと思ってでもいなきゃ、>>1みたいな卑小で卑屈なプライドの持ち主はやってらんねーもんな。
だが、冒険の旅に出ようとも路銀は必要だし、そのためには仕事をしなきゃならない。
モンスターを斃しても金もアイテムも落としてくれないし、そもそもモンスターなんて居やしないんだから。
そんなこんなで勇者さまはハローワークを尋ねた次第である。

工場内軽作業、早番シフト8時〜17時、時給670円。遅番シフト18時〜翌6時、時給750円。
まあ時給は安いかもしれないけど、軽い作業なら楽かもしれないな、と、勇者さまは思った。
交通費を支給してもらえる、という条件に勇者さまは魅力を感じたのだ。
空飛ぶドラゴンや早駆けの名馬を飼ってるわけでもない以上(つか、そんなもん飼ってても維持費なんかねえよ)、
この世界の住人たちと同じく電車と地下鉄とバスを乗り継いで移動するしかない。金がなきゃ徒歩だ。

こうして勇者さまは、工場内軽作業の仕事を選んだ。これでしばらくは凌げるだろう。