蒼星石「そして水銀燈と金糸雀を無理やりにでも一休みさせてあげてほしい。
これは僕の希望的観測だが、君達全員の体力が回復する頃合いは恐らく一致する。
できれば四人で足並みを揃えて行動してくれるとありがたい」
翠星石「善処するですが、水銀燈がしぶったら翠星石には止められんですぅよ」
蒼星石「その時は、僕がミスティカを渡す約束を考え直すと言っていたと伝えればいい。
あと、基本的に僕達は庭師先遣隊を捜索しながらワタハミの樹の根元へと向かう」
翠星石「……了解です」
ナナキ「おおよその作戦も決まったようだし、いよいよ島の秘境に突入ね」
蒼星石「そうですね。いろいろ手間取らせてすいません」
ナナキ「何言ってんの。蒼星石達がいなければ私はこの島に来ることもできなかった」
雛苺「蒼星石もナナキも早く行くの! ヒナもう待ちくたびれたのよ!
庭師のみんなもきっと待ちくたびれてるの!」
薔薇水晶「あんまり張り切り過ぎると後が続きませんよ雛苺」
§此岸島・砂浜捜索中
雛苺「うゆゆ~! おっと、危ないの」ザッパーン
雪華綺晶「全然、元気が萎えませんわね苺のお姉様。先ほどから波打ち際で戯れ続けて……」
薔薇水晶「お楽しみのところ申し訳ありませんが、そろそろ波ともおさらばですよ雛苺」
雛苺「うぇ?」
蒼星石「岸辺で庭師先遣隊が救助を待っているかとも思ったが、どうやらその痕跡もない」
ナナキ「ええ。いるとしたら、もっと島の奥」
雛苺「今度はジャングルなのよね!」
薔薇水晶「……どうです? この辺りから岸壁も低く緩やかになってきましたし
島の奥へと入り込むに適しているかと」
蒼星石「うん。これ以上歩きまわっても多分同じような地形だろう」
雪華綺晶「……!」ぴくっ
雛苺「うにゅ? どうしたの雪華綺晶?」
雪華綺晶「そこの茂みから誰か、人間がこちらに向かって来ます。それも複数です……五人」
ナナキ「なんですって!? まさか……トキ達?」
渡し守A「……やはり、薔薇乙女か」ズシャッ
渡し守B「皮肉なもんだ。あの悪魔達が運命の女神に見えるよ」
渡し守C「まさに禍福はあざなえる縄が如し」
蒼星石「この人達は……!?」
ナナキ「わ、渡し守!!」ズザッ
渡し守D「そう、身構えるな庭師の女。我々に敵意は無い」
渡し守E「無くなったって言った方が正しいかもしれませんけどねぇ」
ナナキ「……え?」
渡し守A「しかし、いくらかの薔薇乙女が庭師同盟と懇意にしているとは知っていたが
貴様までつるんでいるとはな白薔薇」
雪華綺晶「それは心外ですわね。私は誰とでも懇意にいたします」
渡し守A「……貴様の苗床に食われた部下達、いずれ返してもらうぞ」
雪華綺晶「どうぞ、ご自由に。いずれと言わず、何なら今すぐでも」
ナナキ「ちょ、ちょっと雪華ちゃん!? 急に何の話を!?」
渡し守A「……」
渡し守B「隊長……、今は!」
渡し守A「分かっている。私情は抑えるさ。今は、俺達の生還が第一」
蒼星石「生還!? この島で何があった?」
渡し守D「東果の軍艦に我々の大半は沈められた」
渡し守C「それをくぐり抜けて何とか島へたどり着いたのも束の間」
渡し守E「今度は痘痕(あばた)のお出迎えだぁね」
雛苺「アバタ?」
ナナキ「此岸花……ワタハミに寄生された死体の俗称よ。体表のどこかに
あまり目立たないけど痘痕そっくりのくぼみができることから、そう呼ばれる」
雪華綺晶「……」
ナナキ「けど、そもそもこの島には人間自体いなかったはず……、いえ、まさかッ!?」
渡し守A「そのまさかだ。東果の黒襟の死体だ」
薔薇水晶「!?」
雛苺「!?」
渡し守C「そいつらに襲われて、今じゃ生き残ったのは私ら五人だけ」
渡し守D「ただの東果社員なら黒襟だろうと我らは対応できる。だが
ワタハミの共感覚で統制されたアバタ達の連携には歯が立たなかった」
ナナキ「ちょ、ちょっと待って! 本当に東果の奴らがアバタに!?
ワタハミは確かに恐ろしい菌類だけど、宿主特異性は高い!
同じ人間だとは言え、子供以外の死体には……!」
渡し守E「……東果の奴らは頭がおかしいんじゃないのかねぇ」
蒼星石「?」
渡し守A「今回奴らが寄越した黒襟上陸部隊のほとんどは少年兵だ」
ナナキ「なっ!?」
薔薇水晶「何故……そんな真似を? いくらなんでも
ワタハミが子供の死体にとりつくことぐらいは……」
渡し守D「我々でも知っていることだ、東果も当然知っている。
しかしそれでも東果は少年兵の黒襟見習い達を送り込んだ」
蒼星石「ひょっとして、わざと……!?」
渡し守A「そうだ。俺達はそれに気付くのがあまりにも遅かった。
東果の目的は次世代黒襟の強化兵作出のために
ワタハミによる寄生を利用しようと考えているに違いない」
雪華綺晶「ワタハミの樹が手に入ればそれでよし。
そうでなくとも、アバタのサンプルが大量に手に入るだろう……と」
渡し守E「そのとおりだぁね。何とも業突張りのイカレ東果らしいさ」
渡し守B「他にも、正規の黒襟達の多くを
お前達のロゼリオン崩しのせいで失ったからという理由もあるみたいだぜ。
実際問題、動かせる黒襟の多くが少年兵しかいなかったという台所事情だ」
雪華綺晶「……あれだけ叩いてやったのに
へこたれずに逆にその経験を活かしてくるとは……」
蒼星石「雪華綺晶の蜘蛛の糸からヒントを得た兵の運用思想だろうね。
それにワタハミによる意識共有が有効利用できれば
金糸雀の音による通信妨害も用を成さない」
薔薇水晶「そう全てが狙い通りうまく行くとは到底思えませんが……」
雛苺「東果重工は悪い意味でチャレンジ精神に溢れているの」
渡し守A「で、俺達はワタハミの樹を手に入れることは断念し、生還に尽力することにしたが」
渡し守C「海にはあの軍艦がまだいた。どうやって脱出しようか考えていたら……」
渡し守D「突然、煙を吐きだしてオジャンだ」
渡し守B「東果のお家芸の社内事故かとも思っていたけど」
渡し守E「その後、この島に近付いて来る漁船が見えたので」
渡し守A「何者かの仕業と判断し、注意深く時を待った」
ナナキ「なるほど。おたくらの事情は分かったわ。
正直、私達庭師連盟から見れば渡し守も東果も同類なんだけど」
雛苺「ケ、ケンカするの?」
ナナキ「逃げ出す敗残兵にかまっている余裕はない。
それにわざわざ島の現状という情報を提供までしてくれた」
渡し守A「邪魔な軍艦を沈めてくれた礼代わりだ。これ以上は無い」
渡し守E「あと言えることがあるとしたら
『悪いことは言わないからお前達も帰れ』ぐらいかねぇ」
蒼星石「その言葉に僕達が従うとでも」
渡し守B「思わないさ。お前達は天下のローゼンメイデン様だ」
渡し守D「我々が避けて通るしかなかった軍艦をああもあっさりと沈めちまう。
きっとアバタどもが相手でもそうなんだろう」
渡し守C「雑魚は雑魚らしく、隅を逃げ回らさせてもらうことにするよ」
渡し守A「時々、仲間を喰われながらでもな」
雪華綺晶「……」
渡し守A「じゃあな。せいぜいお前らもアバタにやられちまう事を祈ってるよ」
雛苺「渡し守さん達……行っちゃったのよ」
蒼星石「賢い人達だ。『ほぼ壊滅状態』と『全滅』の差が
『勝利』と『敗北』のそれ以上に大きいことを知っている」
ナナキ「できればもっと早い段階で……島に来ないって英断をしてほしかったけどね」
薔薇水晶「一方の東果重工はそういう英断をさらさら期待できない相手ですが」
ナナキ「よもや、黒襟候補生、少年兵とは……! やってくれる」
薔薇水晶「しかし、庭師連盟もトキを出していますよね?
実年齢があやふやなnのフィールドの世界ですが、『少年』には違いない」
ナナキ「それは……そうだけど! トキは候補でも見習いでもなく既に一人前の庭師だから」
蒼星石「口論はよそう。アバタがうろついているとなれば
そのトキ達、庭師先遣隊の安否がさらに気がかりだ」
雪華綺晶「既にアバタの仲間入りをしている可能性もありますわね。そのトキ君が」
ナナキ「ッ!?」
蒼星石「雪華綺晶も嫌味はよせ。確かにアバタは問題だが、それよりも大きな問題がある」
雛苺「なぁに? 蒼星石?」
蒼星石「ワタハミは子供の死体に寄生する。
送り込まれた黒襟少年兵達は最初から死体だったわけじゃない」
ナナキ「見習いとは言え、黒襟達を死体にした存在がいる、てことよね」
蒼星石「そうです。そして、それは……」
薔薇水晶「野薔薇の仕業……ですか」
今日はここまで
もう少し、もう少しでキリがいいところになります
と言いますか終わるはず
乙。今回の尻ASSっプリはロゼリオンと同等かそれ以上だな…
770 :
創る名無しに見る名無し:2012/03/02(金) 20:59:07.13 ID:T+hrtylL
乙
乙女力の話以降
真紅の生命が心配でならない
>>676から『蒼星石とワタハミの樹』を続行中ですが
小ネタができたのでそちらを投下します。
>>676からここまでの話は一瞬の間でいいので忘れてください。
【バラトーーク!『ジョジョの奇妙なメイデン』】
§桜田ジュンの部屋
雛苺「オオオッー! うおっ! うぉっ! おおおおお~~~」ビエー
ジュン「落ち着け! 雛苺! 泣いてばかりじゃ何も分からないだろ!」
真紅「いつになく雄々しい泣き方ね」
翠星石「野獣の慟哭かホモの喘ぎ声かと思ったですぅ」
雛苺「ゥゥウウ!! ヒィイイイイ!! オオッ! オオ! オェッ! ウゴォエッ」
真紅「泣きすぎて、えづいているのだわ」
翠星石「随分と気合の入ったガン泣きですぅ」
ジュン「確か、今日は柏葉の家に遊びに行ってたんじゃないのか?
どうしてすぐに帰って来たんだ?」
雛苺「ウウオオオッ! ウオッ! あんまアアアアアアアアアアッ!!」
ジュン「ふんふん。今日は桃の節句、雛祭りだから
トゥモエにヒナを飾って可愛がってもらおうと思っていた……」
翠星石「なるほどなるほど。チビ苺らしい浅ましい考えですぅ」
真紅「と言うか、よく雛苺の言葉が分かるわねジュン」
雛苺「ウウッ! グスッ! うあああっ! うぉえっ!」
ジュン「けど、いざトゥモエの部屋に入ると既に立派な雛人形セットが飾られていた……」
真紅「この国の女子なら雛人形の一つや二つ持っていて当然なのだわ」
翠星石「ですね。あの通い妻気取りの家も結構な旧家っぽいですし」
ジュン「そう言えば、子供の時見せてもらったことがあるが
立派な雛壇つきの人形を飾っていたな。10段ぐらいのヤツ」
雛苺「ああああっ! ウウッ! うおあああ!!」
ジュン「自分こそがトゥモエの一番の人形なはずだから
お雛様にしてと頼み込んだが、『それは危ない』と断られた……」
翠星石「いくらチビチビとは言え、ヒナ人形代わりとして雛壇に座るには大きいですから」
真紅「柏葉巴が断るのも当然よね」
ジュン「だな。バランス崩して雛苺が転落するかもしれないし」
雛苺「うにゃああああっ!! オオオオッ!! オオオアアアア!」
ジュン「仕方ないから、無理矢理お雛様をどかして雛壇に登ったらトゥモエに怒られた……」
翠星石「で、号泣しながらウチに帰って来たというわけですか」
雛苺「ウウゥ! ウウッッ」コクン
雛苺「オオオッ! オオ! オオオエップ!」
ジュン「トゥモエは酷い。トゥモエはもうヒナの事なんか嫌いで要らなくなった……」
真紅「落ち着きなさい雛苺。今の話、どう考えてもあなたの方に非があるのだわ」
雛苺「オオオオアアアア!! ああああんまああああああああ!!」ビエーッ
翠星石「ぐああああああああっ! 完全に駄々っ子モードに入ってるですぅ」
ジュン「なまなかのことじゃ泣き止みそうにないな」
真紅「なんとかして落ち着かせないと……」
ジュン「聞き分けのないガキは疲れるまで泣き叫ばせとけばいいだろ?
どうせ、疲れて眠っちゃうだろうし……」
翠星石「その前に、チビ人間がチビ苺に力を吸われ尽くされて永眠するですけどね」
ジュン「え!? なんで!?」
真紅「なんでもクソも、泣くってわりとエネルギー使うのよ。
雛苺が消費するエネルギーは当然、ジュンから持っていかれる。
柏葉巴も当初、雛苺のぐずりで力を吸われてかなり衰弱していた」
ジュン「そ、そう言われれば何か体がだるくなってきたような気が」
雛苺「オオオオオオオッ!! ウォエッ! くはっ! おおおっ!」
ジュン「わ、分かった! 雛苺! お前の言い分もモットモだ!
お前の言う通り! 柏葉が全面的に悪い! だから泣きやめ!!
このままじゃ僕の命が危ないんだ! 分かるだろ!? な? な!?」
雛苺「ああああっーーー! うにゃあおおおおお!!」
真紅「ぜんっぜん泣き止みそうにないのだわ」
翠星石「こりゃ最悪の事態に備えて予備マスターのデカチビ人間を呼びよせるですか?」
真紅「そうね。とりあえずジュンがオシャカになっても、ビッグジュンがいれば私達は何とかなる」
ジュン「アイツを非常電源装置みたいに扱うのはやめろ」
巴「あの……桜田君?」ひょこっ
ジュン「う、うわっ!? 柏葉!? な、なんでここに! いつの間に!!」
巴「ごめんなさい。チャイムは鳴らしたんだけど反応が無くて
でも、雛苺の泣き声が聞こえてきたから」
ジュン「だ、だからって! せめて部屋のドアのノックぐらいは……」
翠星石「そうです! そうですぅ!! 思春期の男子中学生の部屋は聖域です!
世のお母様方諸氏もそこに立ち入る際には細心の注意を払うですよ!」
真紅「私達ですら、ジュンだけがいる時の部屋に入る場合は
まず人工精霊に中を探らせてジュンが自家発電中でないことを確認しているのだわ!!」
巴「え……?」
ジュン「だーっ! お前ら余計な事を言うな!!
それより確認って何だ!? 今までそんなことしてたのか!?
そういう間違った方向の気遣いなんかいらん!!」
巴「雛苺……」
雛苺「うゆゆゆゆ……? トゥモエ……なのぉ」グスッ
翠星石「お! チビ苺のぐずりが止まったですぅ」
ジュン「ひとまず助かった。流石は柏葉だ」
柏葉「ゴメンね雛苺。でも、私は雛苺の事が嫌いになったわけじゃないの」
雛苺「本当?」
柏葉「ええ、本当よ」
真紅「一時はどうなる事かと思ったけど、どうやら一件落着のようね」
ジュン「ああ。良かった良かった」
翠星石「いい話だったですぅ」
雛苺「それじゃトモエはヒナをあの雛壇の上に飾ってくれるのよね?」
巴「それはダメ」
雛苺「うにゃあああああああああああああああああああっ!!」びえ~ん
真紅「ッ!?」
翠星石「!?」
ジュン「ぬあああっ!? こらぁ柏葉! お前、雛苺を慰めに来たんじゃないのか!?」
巴「それはそれ、これはこれよ、桜田君。
第一、あの雛人形は私だけのものじゃなくて
お母様がそのまたお母様から受け継いできた大切な雛人形と雛壇だし」
ジュン「う……」
真紅「確かに。やはり柏葉巴の言い分の方が正しい」
翠星石「ほらほら、聞こえていたですよねチビ苺?
いくら人形社会のピラミッドの頂点であるローゼンメイデンとはいえ
土足で踏み込んでいはいけない領域はあるものですぅよ」
雛苺「おおおおおおおおっーーー!! うごおおおおおおおおぇっ!!」
ジュン「くっ! ダメだ……! まったく聞く耳を持たない。
このままじゃ、僕が干からびてしまう」
巴「どうしてこんなことに……」
翠星石「えぇと、確かビッグジュンの携帯電話の番号は……と」ポチポチ
真紅「巴、携帯電話の使い方はこれであってるのよね?」
巴「え、あ、うん……。上手になったわね二人とも」
ジュン「うぉいッ!! 勝手に僕の携帯を持ちだすな!
それより、もう一人の僕を呼ぶ前に雛苺を泣きやませることを優先しろ!!」
翠星石「ちっ……! うるせぇチビ人間ですぅ」
真紅「けどまあ、ビッグジュンを呼んだとしても、雛苺がジュンに引き続き
ビッグジュンから無理矢理エネルギーを奪うかもしれない」
翠星石「むむむ。チビチビを黙らせねば、結局、何の解決にもならないですか」
雛苺「ううううううおおおおおおおおおおおおお!! あんまぐぉおおおえっ!!」
巴「そ、それじゃ、こういうのはどう? 雛苺、あの雛壇は無理だけど
私があなたを、ちゃんとお雛様としてふさわしい雛壇に飾ってあげる」
雛苺「うぇ!? ほ、本当!?」ぴたっ
ジュン「おい柏葉、そんな安請け合いしていいのか!?」
巴「けど、多分これ以外に雛苺の気をなだめる方法は無いと思うの」
雛苺「わぁい! やったのーっ! トゥモエのお雛様になれるのよ~~!!」ぴょんっぴょんっ
翠星石「あんなに喜んじゃってるですから今になってやっぱり無理とか言ったら
ますます手がつけられなくなるくらい泣きわめくですよ……」
ジュン「アテはあるのか柏葉?」
巴「ええと、のりさんの雛人形セットの雛壇は……?」
ジュン「ウチのは柏葉の家より全然しょぼいヒナ人形だ。雛苺を座らせるスペースは無い」
巴「そう。それじゃ、最終手段ね」
真紅「最終手段?」
巴「翠星石ちゃん、電話かしてくれる」
翠星石「いいですよ」
ジュン「電話? 誰にするんだ?」
巴「みんな、ちょっと静かにしててね」ピポパ
巴「あ……、もしもし柏葉巴です。はい。いつもお世話になっています」
真紅(繋がったようなのだわ)
ジュン(相手は誰なんだろう?)
巴「実は……、え? フフフ、これはまた冗談ばっかり」
翠星石(むむむ? 何だか世間話を始めたですか?)
雛苺(早くヒナのための話を切り出してなのよトモエ)
巴「やだ、それじゃイカが可哀そうじゃないですか。
ホント、下ネタが好きなんですから~~」
ジュン(……!?)
巴「それはともかく実は雛苺を雛壇に……、え!? ちょうどいいのがある!?
すぐに使えるんですか? はい……! はい! ありがとうございます!
みんなでこれからお伺いします! では、失礼します」
翠星石「随分早いこと商談がまとまったようですが、結局どうなるんです?」
巴「うん。槐先生がちょうど薔薇乙女用に作った雛壇を持ってるから
是非に使ってくれって……!」
ジュン「電話の相手、槐先生だったの!?」
巴「現在、薔薇水晶ちゃんしか座ってなくてさびしい思いをしているから
できれば全員来てくれると助かるとも言ってたわ」
真紅「今は薔薇水晶オンリーなの!?」
翠星石「どんな羞恥プレイですか!?」
§ドールショップ・槐
槐「やあやあ! 待ってたよ! 巴ちゃん! それにジュン君達も来てくれてありがとう!」
巴「お久しぶりです槐先生」
ジュン「薔薇乙女に合わせたサイズの雛壇を作ったそうですね」
真紅「しかも、薔薇水晶一人だけそこに座らせてるとか」
翠星石「あまりにも哀れですから翠星石達も座りに来たですぅ」
雛苺「ヒナは! ヒナはトモエに雛壇に載せてもらうのよ!」
巴「それじゃ早速……槐先生!」
槐「そうだね! ささ、どうぞ奥へ! 薔薇水晶もお待ちかねだ!」
槐「どうだ! これが僕が徹夜で作った雛壇だ! 薔薇水晶もサマになってるだろ!」
薔薇水晶「……zzZ」ぐ~ぐ~
真紅「薔薇水晶、座ったまま寝てるじゃない」
翠星石「しかも……これ……」
ジュン「雛壇は雛壇でも……」
巴「二段しかないというか……」
真紅「随分、質素というか」
ジュン「アメトークとかでよく見る芸人用の雛壇じゃないっスか」
槐「あれ? 何か間違ってる?」
薔薇水晶「……あら? これはこれは皆様来ていたのですね。これは粗相を」むくり
翠星石「おはようですぅ薔薇水晶」
真紅「でもまぁ、すぐにサヨナラなのだわ」
薔薇水晶「な、なぜです!?」
槐「この雛壇の何が気に入らないというんだ!!
理論上はマツコデラックスが座ってもびくともしないんだぞ」
ジュン「だから雛壇違いだって言ってるでしょうが」
巴「ええ。すいませんが槐先生、この雛壇では雛苺が納得しな……」
雛苺「ふおお……」キラキラ
巴「え? ど、どうしたの雛苺? やけに目を輝かせてるけど」
雛苺「テレビでよく見る雛壇なのよ! 今をトキメク輝いている人達だけが
座ることを許される伝説のステージなの!! ねぇ! 本当にこれにヒナ座っていいの!?」
槐「勿論だ。さ、特に雛壇芸人御用達と呼ばれる後列右隅を使いたまえ」
雛苺「うわぁい! ね! トモエ! ヒナをそこに運んで! 座らせてほしいのよ!!」
巴「う、うん……。いいけど、本当にこの雛壇でいいの? 雛苺」
雛苺「もっちろんなのよ!」
槐「うむ。やはり無垢で素直な感性を持つ雛苺には、この雛壇の良さが分かると見える」
翠星石「何か色々と勘違いしているみたいですがね……」
真紅「まあ、本人が満足するならそれでいいのだわ」
ジュン「今さら、違う雛壇を探すのもメンドーだしな。しかし、こうなると……」
雛苺「ほぉら~! 真紅と翠星石も座るの~。みんな座らないと雛壇は完成しないの」
薔薇水晶「そのとおり。さ、どうぞどうぞ」ちょいちょい
翠星石「うげげ? やっぱりそういう流れですか……」
真紅「くっ! こうなったらもうヤケなのだわ! 他の姉妹も全員呼ぶわよ!!」
§そんなこんなでバラトーク開始
配置概略図
雛壇後列左から・真紅 薔薇水晶 雪華綺晶 雛苺
雛壇前列左から・水銀燈 蒼星石 翠星石 金糸雀
司会者役・槐
副司会役・ジュン
ゲスト役・巴
蒼星石「僕達!」
翠星石「私達は!」
ドールズ『家電メイデンです!』
槐「へぇ~。家電メイデン? それは一体どういうことだい?」
水銀燈「こっちが聞きたいわよ。いきなり呼び寄せられて座らされて、
今の台詞も無理やり言わされて……何が何だか全然ワケ分かんなぁい」
金糸雀「ちょっと水銀燈! そんなノリの悪い事を言うだなんて雛壇乙女として失格かしら!
分からないなら分からないなりに、適当に最初それっぽい事を言って
あとはガヤに徹するのがプロかしら!」
蒼星石「正確に言うなら僕達が座っている雛壇前列は雛壇芸人の範疇じゃないんだけどね。
今、金糸雀が言った内容は後列の人がやる仕事だ」
真紅「あら、そうなの? じゃ、私達はテキトーやって、楽ができるのね」
翠星石「ぐあああ! だったら翠星石も後ろに移動するですぅ!
チビ苺! 席を代われです!」
雛苺「やぁなの! ここは雛の特等席なのよ!」
蒼星石「後列だから楽ができるってわけじゃないけども……」
槐「お~い、みんなぁ……。元気なのはいいけどもテーマにそった話をしてくれよ。
バラトーク開催して、その司会をするのが僕の夢だったんだから」
雪華綺晶「めんどくさい夢をお持ちだったんですわね」
薔薇水晶「すいません。もうしばらくお父様のワガママにお付き合いください」
ジュン「えぇと、それじゃ最初のお題は『家電』だから……
取り敢えず、柏葉は最近気になる家電とかない?」
巴「無い」
ジュン「しゅーりょー!」
槐「ちょっとぉ!? 君達まで非協力的になることないじゃないか!!
あ、そうだ! じゃあテレビ! みんなテレビ大好きだろ! 地デジとか3Dとかさぁ!!」
真紅「3Dには私も興味があるのだわ。くんくん探偵にも最近CGの波が押し寄せてきている。
3D対応だとそれはもう物凄いド迫力になるとか」
雛苺「ヒナも! ヒナも3Dで動き回るくんくんが見たいの!」
巴「あれ? くんくん探偵って人形劇じゃ……?」
ジュン「第一期はな。第二期からアニメーションになってるんだよ」
槐「へぇ~」
水銀燈「でも、3Dって確か変なメガネつけなきゃいけないんでしょぉ?
赤と青(緑)のセロファンみたいなやつ。いくらなんでも不格好過ぎるわ」
薔薇水晶「ということは、翠星石と蒼星石は普段から3Dを楽しんでいると……?」
翠星石「なっ!? そ、そうだったのですか!? 全然、自分では気付かなかったですぅ」
蒼星石「えぇと瞳の色は関係ない……と言うかリアルはみんな3Dだし、
そもそも薔薇水晶は全部分かってて今の話を翠星石に降ったでしょ」
薔薇水晶「雛壇乙女として当然の責務です」
金糸雀「さりげなくやるじゃないかしら薔薇水晶。それに引き換え水銀燈
あなたの言ったことは素だったみたいだけど情報が時代遅れ過ぎるかしら」
雪華綺晶「ええ。それは立体視や俯瞰図の話ですわね黒薔薇のお姉様」
水銀燈「はぁ? 何が違うってのよ?」
雛苺「えっとね! 水銀燈! ヒナが教えてあげるの!」
水銀燈「あんたが?」
雛苺「こうして鉛筆の端を指でつまんで高速で振ると
途中で曲がって見えるの。これが真の3Dなのよ」
水銀燈「へぇ~、なるほど。これが本当の3Dかぁ」
巴(雛苺、それは全然違うわ……)
槐「なんだか軌道修正が不可能なところまで話のレベルが下がっているから
別の家電の話にしよう。ほらジュン君、話題を切り返して場を盛り上げて!」
ジュン「どんな無茶ブスですか槐先生。仕方ない、それじゃアレだ。
掃除機についてどう思う翠星石?」
翠星石「チビ人間もかなり無茶ブリしやがるですね……」
ジュン「だってお前、掃除機好きだろ」
翠星石「バ、バカ言ってんじゃないですぅ! す、翠星石が好きな人はちゃんと別に……!」
ジュン「誰が恋愛対象として掃除機を語れと言った」
翠星石「え?」
ジュン「よく掃除機を振り回したり乗っかったりして遊んでいるじゃないか。
取り敢えず、薔薇乙女の中で掃除機に一番親しいのは翠星石……のはずだ」
翠星石「むむむ……、そうは言ってもですねぇ
それほど翠星石は掃除機マニアでもねーですし、詳しくねーですよ」
真紅「マニアと言えば、掃除機にチンポ吸わせながら車運転していて
事故った掃除機マニアというか変態がいたわよね。リアルで」
ジュン「お前はいきなり何を言いだすんだ」
真紅「いや、だって掃除機関連の話をしろっていうから……」
雪華綺晶「空気を読んでください紅薔薇のお姉様」
薔薇水晶「いきなり下ネタをぶっ放すのはNGですよ」
真紅「そんな……私はただ場を盛り上げようと」
巴「一応、乙女なんだから下ネタで盛り上げるのはちょっと」
翠星石「蒼星石も空気読めないですけど、真紅も案外空気読めねーヤツですね」
蒼星石「え!? 僕って空気読めてないの!?」
水銀燈「まあ、しばしば……」
金糸雀「く、空気と言えば最近の掃除機は空気清浄化能力も付いているのがほとんどかしら!」
槐「お、金糸雀! ナイス話題転換」
水銀燈「マイナスイオンだとか眉唾ものよねぇ。ほとんどオカルトじゃなぁい」
薔薇水晶「一部の隙もなくオカルトの私達がそう言うのも滑稽ですが」
雪華綺晶「それに黒薔薇のお姉様、マイナスイオンは古いですわ。今、時代はナノイーです」
水銀燈「なのいー?」
真紅「響きはオナニーに似ているわね」
ジュン「おい、ちょっとカメラ止めろ」
§真紅さんがつまみだされました
雪華綺晶「ナノイーというのは超微粒子イオンが……」
水銀燈「はいはい。まぁたイオンがどうたらとか謳ってんのね。
大体カタカナ使えばカッコいいって勘違いしてんじゃないのぉ?
私らを見習いなさいよ私らを。西洋人形なのに漢字なのよ」
蒼星石「それはそれでおかしい面もあるんじゃない?」
雛苺「ヒナは漢字ですらよく読めないのよ!!」えっへん
翠星石「それは威張れるこっちゃねぇですよチビ苺」
金糸雀「でも例えば……打ち水の原理は知っていても
仮にハイエヴァポレーション効果だなんて言い代えられでもしたら
もはや意味不明かしら」
薔薇水晶「打ち水機能搭載掃除機よりもハイエヴァポレーション機能搭載型と言った方が
売れ行きは良さそうですけれどね」
雛苺「んーとね、ヒナは掃除機さんのオナラが『まいなすいおん』や
『ぷらずまくらすたー』になるよりも、甘~いイチゴの香りになればいいと思うの~!」
槐「フルーティーな香りを出す掃除機か。そういうの、もうあったような気もするな」
水銀燈「甘い排気の掃除機だなんて気持ち悪い」
巴「やっぱり人気のあるのはナノイーやナノミストとかですよね」
水銀燈「結局、そういう怪しげなものにいきつくわけか」
雪華綺晶「そろそろアストラル発生機能付き掃除機とかも出そうですわね」
槐「言えてる。オーラとかだと逆に知名度があり過ぎて、うさんくささを助長するけど
アストラルなら、まだ誤魔化しがきく気がする」
翠星石「お、じゃあ今の内にアストラルの商標登録しておくですか?」
ジュン「下世話な話はやめい」
槐「よーし、わりと盛りあがって来たところ悪いが次のお題へ行くよ~」
巴「え? まだあるんですか?」
槐「勿論。バラトークは二回撮りさ」
ジュン「本気でいつか放送するつもりかよ」
真紅「ねぇ、もう雛壇に戻っていいかしら」コソッ
ジュン「下ネタ言わないって誓うか」
真紅「誓うのだわ」
ジュン「嘘ついたら針千本飲ますぞ」
真紅「まあ、千本くらいなら本気出せば軽いわね」
ジュン「……反省していないようだな」
真紅「ちょ!? ジョークよジョーク! 今のは軽いジョーク!
雛壇乙女としてのドールズトークのならしに過ぎないのだわ。
第一、この真紅ちゃんが雛壇にいなくちゃ絵面が良くないでしょ」
槐「確かに赤色は映える」
真紅「でしょ? でしょでしょ!?」
槐「それに次のテーマは薔薇乙女が八体揃っていることが望ましい」
真紅「いぇ~い! それじゃ雛壇に戻るわね」すたた
ジュン「……たく」
巴「それで次のお題はなんなんです?」
槐「ああ、これだ……っ!」
蒼星石「僕達!」
翠星石「私達は!」
ドールズ『ジョジョの奇妙なメイデンです』
ジュン「ジョ、ジョジョの奇妙な冒険……?」
槐「あれ? ジュン君知らない? 本家アメトークでもやってたじゃん」
ジュン「いや、知ってますけど! こいつらにそれ語らせるんですか!?
ローゼンメイデンとジョジョは全然合わないでしょ! 客層も!」
巴「でも、どっちも人間賛歌のロマンホラーよ」
ジュン「目を覚ませ柏葉。大概の漫画は人間賛歌だ」
槐「ジョジョは第八部が始まった事だし、薔薇乙女も丁度八体だ。
姉妹の序列順に第一部から語ってもらうと面白いと僕は思うんだ」
ジュン「さりげなく、薔薇水晶に一番ホットで美味しいジョジョリオンを
あてがいましたね槐さん」
槐「と、ともかく、それじゃ最初は水銀燈!
第一部ファントムブラッドについて語ってみよーっ!」
水銀燈「そう言えばスターウォーズEP1ファントムメナスが3D映画化されるそうね」
槐「ちょっと! まだ3Dの話を引きずってんの!? ジョジョの話してよジョジョの!
ジョジョも映画化されるんだからさ!」
巴「けれども、ジョジョの各部のサブタイトルが一新されたのって
スターウォーズのEP1~3あたりが公開された時期と重なってるわよね。
ファントムメナスとファントムブラッドってのも語呂は似ているし」
ジュン「ミーハーとまでは言わないが
わりとその時の流行りや映画に乗っかること多いからなジョジョ。
家政婦のミタみたいなキャラも最近登場してたし」
水銀燈「そもそもジョジョの話しろったって、私はそんな詳しくないのよ。
主人公のジョナサンだって、最初はファミレスと勘違いしたし」
金糸雀「でも、作者がそのファミレスで打合せをしていたから
主人公の名前の由来になったという説があるかしら」
翠星石「へぇ~。それじゃもしかしたら『びっくりドンキー・ジョースター』や
『華屋与兵衛・ジョースター』になっていた可能性もあるですか?」
真紅「流石に英国紳士で華屋与兵衛は無い」
蒼星石「ジョジョにならないし……」
水銀燈「びっくりドンキーだとビジョの奇妙な冒険になっちゃうしねぇ」
真紅「AVにありそうなタイトルなのだわ」
金糸雀「思い返せば、ジョジョの最初のシーンは美女が登場するかしら」
翠星石「ああ、いきなり族長が『血は生命なり』と叫んでブっ刺さす
オッパイボインちゃんですね」
水銀燈「へぇ。やっぱ少年誌だとそういうサービスシーンが無いとダメなのぉ?」
蒼星石「エロスで引き付けようだなんて僕は感心しないなぁ」
雪華綺晶「……お二人とも本誌で全裸になってましたよね?」
巴「なんだかんだでおっぱいの需要は高いのね」
雛苺「ジュンもおっぱい好きなの?」
ジュン「やかましい」
槐「ええと、水銀燈……。他に言いたいことは無いかい? 第一部限定で」
水銀燈「だぁから、私ジョジョ詳しくないって言ってんでしょう?
知らない人間がテキトーな事ふかすのはマナーに反する」
巴「ディオとか波紋とか一切触れなくてもいいんですか槐先生?」
槐「まあ、いいんじゃない。ジョジョ知ってる前提で進めてるから」
ジュン「じゃ、二部の話に移ろうか。金糸雀、何か話題はあるか? 無くてもいいぞ」
金糸雀「もっちろんあるかしら! 何しろローゼンメイデン一の策士金糸雀が
ジョジョで一番大好きなのは知恵者ジョセフが大活躍する二部かしら~!
同じ策士として親近感を覚えまくりなのかしらー!!」
翠星石「同じ……策士……?」
ジュン「水銀燈みたいに、あっさりと退くのも勇気だぞ金糸雀」
金糸雀「ちょ!? ちょっと酷いかしら! カナはちゃんとジョジョを語れるかしら!!
最早バイブルかしら!」
水銀燈「で、一部と二部って何が違うのぉ?」
真紅「ドラクエ1と2みたいなものね。第一部は味方はいなくて一人だけ、ボスも一人。
けれども第二部だと準レギュラー的な味方も増えて、ボスも多くなった」
槐「ははあ、そういう見方もできるのか」
ジュン「第一部にも仲間はいただろ。スピードワゴンとかダイアーさんとか」
真紅「スピードワゴンは非戦闘員だし、ダイアーさんはダイアーだし」
蒼星石「二人の仲間の内、シーザーは男性でリサリサは女性。
この構成もドラクエ2と同じと言えば同じだ」
水銀燈「そりゃ仲間二人つけるなら、性別は変えてくるのがフツーでしょうが。偶然よ」
薔薇水晶「同じく偶然、と言うわけではないでしょうが
第二部にもサービスシーンがありましたよね。それもリサリサで複数回」
真紅「ええ。胸の谷間をさらけ出していたのだわ」
雛苺「やっぱり、おっぱいがみんな好きなのよね」
ジュン「けど、アレでハァハァしていた人達はリサリサが
実は50代でおまけにジョセフの母親だと判明した時、どんな気持ちだったんだろうな」
金糸雀「他にも他にも第二部にはジョセフの魅力がいっぱいかしら! 例えば……」
槐「熱くなっているところ悪いが金糸雀、もう尺が無い。第三部の話に移る」
金糸雀「ちょっ!? まだ、サワリぐらいしか語ってないかしら!!
『スト様が死んだ』とか『大人は嘘をつくだけです』とか言いたいことはまだ沢山……」
ジュン「それどっちも本編とあんまり関係ないだろ」
翠星石「がーはっはっは! ついに来たですね! 翠星石の時代が!」
ジュン「出たよ翠星石の馬鹿笑い」
翠星石「ジョジョの看板とも言える第三部を
ローゼンメイデンの看板娘翠星石が語るとはまさに運命ですよ。運命の車輪ですぅ」
真紅「無理にジョジョネタ入れると不自然になるわよ翠星石」
槐「それじゃ、その人気の由縁を語ってもらおうか翠星石」
翠星石「なんといってもスタンドですよ! 最早ジョジョ=スタンドは世界の常識。
その図式ができたのが第三部なのです!!」
ジュン「そんな事は誰でも言えるから、翠星石ならではの視点から第三部を語ってくれよ」
翠星石「え? す、翠星石ならでは……ですか!?」
巴「例えば、翠星石ちゃんが承太郎に魅力を感じている点だとか、そういったのでいいの」
翠星石「うむむ……」
雛苺「翠星石、あいと! あいとーなの!!」
翠星石「こ、困ったですねぇ。翠星石はあまり承太郎好きじゃねーんですよ」
蒼星石「そうなんだ」
雪華綺晶「どうしてです? 翠のお姉様」
翠星石「いかんせん完璧超人すぎるですよ承太郎は。
漫画的に主人公と言えば最強がお約束だという時代だったせいもあるですが」
水銀燈「そうだったっけ? 聖闘士星矢も大体同じような時代だったけど
主人公最強ってわけじゃなかったはずよぉ」
金糸雀「星矢には詳しいのかしら水銀燈」
翠星石「翠星石のような繊細なガラスのハートでは
承太郎のようなタフガイには感情移入しづらいです。
ですから断然、翠星石は承太郎よりも花京院の方が好きです」
真紅「ああ、そう言えば内面が少しジュンに似ているところもあるわよね花京院。
なんていうか影があるというか、孤独を心に秘めているというか」
翠星石「チ、チビ人間に似ているかどうかはどうでもいいじゃないですか真紅」
薔薇水晶「そう言えば最初、花京院は操り人形を使ってもいましたが
あれ、なんだったんでしょうね?」
翠星石「翠星石は密かにあの人形が小道具として登場し続けてくれて
花京院が人形使い的なキャラになってくれることを期待していたのですが」
蒼星石「でも、実際に三部で登場した人形使いキャラはデーボだったね」
翠星石「アレにはガッカリしたですぅ。ポルナレフに見抜かれるほど頭脳が間抜けでしたし
スタンドの口調はひわいで下品でしたし」
真紅「あらそう? 首グルングルン回しながら 『テメーのキンタマ噛み切ってやるぜー!』は
人形なら誰でも一度は真似したと思うのだわ」
ジュン「……」
雛苺「そんなのは真紅だけなのよ……」
翠星石「それでもって花京院が死んじゃった時は号泣したです。鞄を涙で濡らしたです……。
第二部のシーザーでも泣かされたですが、花京院にはことさらだったです。
花京院はまさに自分のスタンド同様の『静』なる死だったですぅ」
雛苺「うゆゆ、翠星石カワイソーなの」
蒼星石「翠星石は漫画でよく泣くけどね。前も孤独のグルメ読んで泣いてたし」
雪華綺晶「あれって泣き所ありましたっけ?」
槐「よーし、ちょっとしんみりしたところで次は第四部いってみよう! 四部」
ジュン「ちょっと槐先生、さっきから進行テキトーすぎやしませんか?
もっとジョジョについて掘り下げた方が……」
槐「あんまり掘り下げたところで、一部の極マニアしかついて来ないし
そういった人達は自論も強烈だから、議論になってめんどくさくなる。
深夜ならまだしもゴールデンだったら、これぐらいの当たり障りのない
ガヤで盛り上げて流すのが正解だろう? 刹那的享楽番組としては」
巴「いきなりゴールデン狙ってるんですか……」
しんく・・・
蒼星石「ええと、僕の番だね。何から話そうか迷っちゃうな~」
翠星石「ぬぬぅ! 薀蓄蒼星石のおしゃべりスイッチが入る音が聞こえたですぅ。
けど、単なるトリビアの連発じゃダメですよ! 蒼星石ならではの視点でもって……」
蒼星石「僕ならではか、難しいな」
金糸雀「蒼星石は帽子キャラだから、第四部の帽子キャラについて語ればいいと思うのかしら~!」
蒼星石「帽子キャラ? 第四部にそんな人いたっけ……?」
雪華綺晶「ええと、承太郎とか……ジョセフとか」
蒼星石「前の部での主人公達じゃないか! 僕はできれば仗助について語りたいんだけど」
真紅「でもジョセフは置いとくとして、承太郎の存在感は別格だったのだわ」
雛苺「困った時の承太郎さん頼みだったのよ」
翠星石「無敵のスタープラチナは伊達じゃねぇですし、そもそもの経験値の違いが大きいです」
水銀燈「少年漫画的にはオッサンだろうけど、戦国武将だったら脂が乗りきってる時期だものねぇ」