ロワイアル×ロワイアル Part2

このエントリーをはてなブックマークに追加
1創る名無しに見る名無し
原作でバトルロワアルをしている作品のキャラを集めて新たにバトルロワイアルを行うリレーSS企画です。
企画の性質上、参加キャラに対する残酷な描写、死亡描写があります。苦手な方は注意してください。
また、参加作品の原作ネタバレ内容を含む場合がございますので、こちらも同様にご注意ください。


まとめwiki ttp://www43.atwiki.jp/rowarowa/pages/1.html 
ロワロワ専用掲示板 ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/14292/

前スレ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1292234885/
2創る名無しに見る名無し:2011/03/20(日) 23:19:48.10 ID:E32K+ZHM

【基本ルール】
 ・最後の一人になるまで参加者は殺し合いを続けなければならない
 ・最後の一人を優勝者として、願いを叶える権利を与える
 ・会場内での参加者のやりとりに一切の反則は無い
 ・会場から逃げ出すことはできない


【参加者名簿(作品別)】

【仮面ライダー龍騎】6/6
○城戸真司/○秋山蓮/○北岡秀一/○浅倉威/○霧島美穂/○香川英行
【金色のガッシュ!!】6/6
○ガッシュ・ベル/○キャンチョメ/○ティオ/○シュナイダー/○ゼオン・ベル/○レオパルドン・パピプリオ
【バジリスク〜甲賀忍法帖〜】6/6
○甲賀弦之介/○陽炎/○霞刑部/○朧/○薬師寺天膳/○筑摩小四郎
【ブレイブ・ストーリー〜新説〜】6/6
○ワタル/○ミツル/○ハード/○チャン/○カントリーマン/○ブック
【未来日記】6/6
○天野雪輝/○我妻由乃/○来須圭悟/○戦場マルコ/○美神愛/○雨流みねね
【ローゼンメイデン】6/6
○水銀燈/○金糸雀/○翠星石/○蒼星石/○真紅/○雛苺
【銀齢の果て】5/5
○宇谷九一郎/○猿谷甚一/○津幡共仁/○是方昭吾/○乾志摩夫
【バトルロワイアル】5/5
○七原秋也/○三村信史/○杉村弘樹/○桐山和雄/○相馬光子
【BTOOOM!】4/4
○坂本竜太/○平清/○ヒミコ/○吉良康介
【WaqWaq ワークワーク】4/4
○シオ/○レオナルド・エディアール/○ヨキ/○ノール
合計54/54名

【参加者名簿(五十音順)】※参加者にはこちらを支給

01:浅倉威/02:秋山蓮/03:天野雪輝/04:戦場マルコ/05:乾志摩夫/
06:宇谷九一郎/07:雨流みねね/08:朧/09:香川英行/10:陽炎/
11:我妻由乃/12:霞行部/13:ガッシュ・ベル/14:金糸雀/15:カントリーマン/
16:北岡秀一/17:城戸真司/18:キャンチョメ/19:吉良康介/20:霧島美穂/
21:桐山和雄/22:来須圭悟/23:甲賀弦之介/24:是方昭吾/25:坂本竜太/
26:猿谷甚一/27:シオ/28:シュナイダー(ウマゴン)/29:真紅/30:水銀燈/
31:翠星石/32:杉村弘樹/33:ゼオン・ベル/34:蒼星石/35:相馬光子/
36:平清/37:筑摩小四郎/38:チャン/39:津幡共仁/40:ティオ/
41:七原秋也/42:ノール/43:ハード/44:雛苺/45:ヒミコ/
46:ブック/47:美神愛/48:ミツル(芦川美鶴)/49:三村信史/50:薬師寺天膳/
51:ヨキ/52:レオナルド・エディアール/53:レオパルドン・パピプリオ/54:ワタル(三谷亘)/

※()内の表記は参加者支給の名簿には記載されていない
※死者の確認はまとめwikiをご覧ください

【参加作品媒体】
 ・漫画
  金色のガッシュ!!、バジリスク〜甲賀忍法帖〜、ブレイブ・ストーリー〜新説〜
  未来日記、ローゼンメイデン、バトルロワイアル、BTOOOM!、WaqWaq ワークワーク
 ・特撮
  仮面ライダー龍騎
 ・小説
  銀齢の果て
3創る名無しに見る名無し:2011/03/20(日) 23:20:32.46 ID:E32K+ZHM

【スタート時の支給品について】
 ・参加者には開始時に支給品として以下の物資が与えられる。
 「会場地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「ランタン」「時計」「ランダム支給品(2〜3個)」
 ・尚、参加者が原作世界での愛用の武器がある者についてはそれを支給する。その種類によりランダム支給品の数が減少する。
 ・荷物は通常のちょっと大きめのリュックサック。明らかに入らない不明支給品は初期配置付近に設置。

 ・以下の支給品は支給品枠2つ分とする。
  カードデッキ@仮面ライダー龍騎
  護神像@waqwaq
  旅人の証・玉・杖等@ブレイブ・ストーリー〜新説〜


【参加作品固有の制限について】
 ・未来日記について    → 各自専用の未来日記のレプリカを支給。予知能力が劣るが破壊されても死ぬことは無い。
 ・金色のガッシュについて → 『魔本』は術ブースト装置である。魔物の子単体でも術は使用可能だが若干弱体化する。その際の使用量は魔物の子自身の心の力を消費。
               パートナーの心の力を本に通すことにより本来の威力になる。この場合はパートナーの心の力を消費。
               魔本は燃えても強制帰還にならず、術ブーストが失われる。
 ・BTOOOM!について    → 右手に埋め込まれたレーダー装置の効果範囲は同エリア内のみ有効(半径500m)。同じくレーダーを持っている人間にしか効果は無い。
 ・バジリスクについて   →甲賀弦之介の瞳術 半径10メートル以内の敵にしか効果は無い 強い精神力で無効化可能 
              薬師寺天膳の蘇生 首と胴体分離、木っ端微塵は死亡。それ以外の怪我は基本的に時間が経てば治る。
 ・仮面ライダー龍騎について→ミラーワールドには侵入禁止。 変身時間に制限は無いが長時間変身していると疲労。
 ・ローゼンメイデンについて→nのフィールドには侵入禁止。
 ・その他         →細かいキャラ毎の制限事項については先に書いた書き手準拠!


【放送について】
 ・0:00 06:00 12:00 18:00の一日四回主催者からの放送が入る。内容は以下の通り。
 ・放送間での死亡者発表、禁止エリアの発表


【禁止エリアについて】
 ・侵入すると首輪が爆破されて参加者は死亡する。
 ・放送から1時間後、3時間後、5時間後に放送で発表した箇所が禁止エリアとなる。以降ずっとそのままである。


【作中での時間表記】(0時スタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 日中:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24



4創る名無しに見る名無し:2011/03/20(日) 23:21:19.26 ID:E32K+ZHM

【書き手参加の心得(初参加編)】
 ・したらば掲示板の予約スレにてトリ付きで予約するべし (名前欄に#○○○と記入するとでるやつ。例:#rowarowaと入力すると◆uL6jaaW6Jk となる) 
 ・予約期間は5日間、延長は2日間、時間は遵守するべし
 ・内容、展開に不安がある場合は一時投下スレにて投下するべし
 ・書き手参加で不安があったら勇気を持って質問するべし 優しい人が答えてくれるから
 ・展開のための展開にならないよう注意するべし


【書き手参加の心得(共通編)】
 ・リレーSS企画なので、一人で先走りすぎないこと、書き手参加の皆でひとつの物語を作ることを意識するべし
 ・キャラへの愛情を持って書くべし 
 ・特定の参加者の時間だけ進めすぎることがないようにするべし 取り残されると動きが制限されてしまうので


【禁止事項・作品NGについて】
 ・過去の作品で死亡が確定している参加者を蘇生してはいけない(優勝賞品除く)
 ・文章そのものが小説の体をなしていない(日本語として意味が通らない)
 ・過去の作品との大きな矛盾がある作品は修正。不可能な場合は破棄。
 ・修正要求は主観的な意見は一切受け付けない。明確な指摘がある場合は本スレかしたらば修正用スレにて該当箇所の指摘。本スレでの指摘後はしたらばに移動。
 ・修正要求を受けた書き手は48時間以内に返答、必要とあらば修正をする。
 ・2ch本スレッドでの修正議論は行わない。したらばに誘導し、従わない場合は対応しない。


【その他注意事項】
 ・ここに書かれていないこと=しても良いこと、ではありません。ルールの悪用は避けましょう!
 ・特定の書き手の誹謗中傷はしないこと 議論でなく罵り合いにならないように注意!
 ・作品が投下されたら誤字脱字の指摘や矛盾点の報告の前にできるだけ投下乙!の声を! 書き手の動力源です!
 ・みんなで仲良くリレーしていきましょう


【SS用キャラのテンプレ】
【エリア(A-1など)/地名/○○日目・時間(深夜・早朝・昼間など)】


【キャラ名@作品名】
[状態]:体調、精神状態、怪我 など
[装備]:装備 手に持ったりとすぐに使える状態の物
[道具]:基本支給品、不明支給品、などリュックに詰まっている物など
[思考・状況]
基本行動方針:ロワ内での基本的指針 
1:
2:
3:
現在の状況での行動・思考の優先順位


[備考]
その他、SS内でのアイテム放置、崩壊など
5創る名無しに見る名無し:2011/03/20(日) 23:39:39.63 ID:s4y5cuMu
おつ!
6創る名無しに見る名無し:2011/03/23(水) 12:19:26.56 ID:DNA4sJxt
スレ建ておつ!
遂に2スレ目か
ひとつの節目、おめでとう!

そしてちょい遅れたが前スレの感想

ご隠居蒼星石コンビは見ててほのぼのするなあ
そしてブックの話術はえぐい
ちゃんとそれなりの説得力があるのがすげえ

教授は頭いいな
闇に関してもだけど、それ以上に人に関する考察がそう思わせた
なるほど、確かにここは逃げる奴少ないな
みんな殺し合い経験者だし、のるにしろ、立ち向かうにしろ

上げて落とす
前半の会話がにこやかだった分、哀しいな、これは
愛はおくびにも出さずやってのけるか、中々に厄介だ
7創る名無しに見る名無し:2011/03/24(木) 02:52:04.18 ID:9KMGYX/O
朧は殺し合い開始前参戦だけど逃げようとはしないだろうなあ
というか色々とフラグ立ち過ぎだあの娘はw
8 ◆1yqnHVqBO6 :2011/03/25(金) 20:52:11.67 ID:hLmkvcEl
投下します
9Not Enhanced Empowerd and Tactic ◆1yqnHVqBO6 :2011/03/25(金) 20:55:19.73 ID:hLmkvcEl

蛇のような目をした男がスコップをふりあげて
大入道のような外見をした男へ襲いかかる。

蛇の名前は浅倉威。大入道の名前は霞刑部。
そしてその二人を少し離れたところから
訳がわからないと言いたそうな顔で見ているのは坂本竜太。

腕力任せ、暴力だけに身を委ねた浅倉の攻撃は普通の人間ならばまずかわすのが不可能。
だが浅倉が攻撃を仕掛けたのは普通の人間ではなく忍。
それも魔物というべき術を身に秘めた魔人の域に達した存在。

霞刑部の大きすぎる手によって攻撃は呆気無く腕を掴まれる形で防がれる。
もう一方の手で浅倉の口を塞いだ刑部は恫喝するような声音で問う。

「頷くだけでよい。貴様、伊賀忍ではないな?」

それを受けた浅倉は眼を炯々と光らせながらではあったが
何も言わずに首をわずかに下へ動かす。


「やはり、か。だがその凶相、生かすには禍々しすぎる。
このまま死んでもらうぞ」

刑部がそう言った瞬間、枝が折れるような音が坂本の耳にも飛び込む。
呆気無く折ったのだ。浅倉威の腕を。腕力だけで、腕の力だけで軽々と。
右腕が折られると浅倉はくぐもった声を漏らすが表情に大きな変化はない。

その男の眼はまさに、見るものの心胆を凍らせる大蛇の如し。

「やめろ!」

そう声をあげたのは獲物から傍観者に浅倉の登場で変わった坂本だ。

「もう勝負はついただろう。それ以上、続ける必要はないはずだ」

その言葉はこの浅倉の眼を直に見ていないからこそ言えたことだろう。
刑部は坂本に目もやらずに言う。

「貴様、本当に伊賀忍か? 
邪魔をする気がないのなら人別帳を置き、ただちに去れ」

「これでもか!?」

そう叫ぶと坂本は刑部に銃を向ける。
震えた手で撃つようでは当たらないのは明白である。
だが刑部にとって不運だったのは銃の形だ。

長筒が一般的な銃器とされていた刑部の時代では
坂本の銃はいささか奇異に見えた。
何か仕掛けがあるのかと刑部の注意が一瞬だが浅倉から逸れる。

その隙に浅倉は残った方の腕でポケットにあるカードを取り変身する。
拘束していた男の身が突如、変貌したことへの刑部の反応は見事といえた。
刑部は掴んでいた手をすぐに離し、壁の中へと逃げようとする。
だが相手は魔人を超えた能力をもった存在。
逃げの一手すら、仮面ライダーには悪手となる。
10Not Enhanced Empowerd and Tactic ◆1yqnHVqBO6 :2011/03/25(金) 20:57:34.02 ID:hLmkvcEl

狂ったような笑い声をあげながら浅倉は逃げようとする刑部の腕を掴み、
体ごと床へと叩きつける。
刑部の苦鳴を満足気に聴くと浅倉ははしゃぐように刑部を何度も蹴る。

「お、おい! やめろ!!」

浅倉の凶行を見た坂本は慌てたように再び制止を求める。
だが相手は人の心からは遠く離れた男、浅倉威だ。
耳すら貸さず、ひたすらに笑いながら刑部の体を蹴り続ける。

骨が砕け、肉が潰れ、口から音も立てずにされるがままとなった刑部。
その様を坂本は震えることすら忘れ、呆けたように見るしかできない。

こんな男が本当にいるのか。
まるで子どもがゲームの敵の肉を裂くような軽さで、
楽しさで人を殺す存在が本当にいるのか。

坂本の視界が揺らぎ、現実感が喪われていく。

ひゅるるるる

坂本の耳に空気が奇妙な形で動く音が聞こえる。
そして、音が聴こえた瞬間には浅倉の立っている場所の空気が捻じれる。

装甲に身を覆われているとはいえ、さすがに空気そのものの異常は防げないのか。
腕を折られても動じることのなかった浅倉が苦痛に体を曲げる。

「そこの男。人別帳を持ってこっちに来い」

物陰から姿を現した新たな男はまさに忍者という出で立ちで坂本にそう告げる。
その声に応じたように坂本は男のところへ走る。

「あんた。外から来たのか?」

先導するように前を走り、その場から離れようとする男に
坂本はそう尋ねる。

「そうだ」

「いつから見ていた?」

「最初からだ」

「どうしてあの男を助けなかった」

「甲賀忍を助けるつもりはない」

男の言葉に坂本は忍者ねえ、と口元を引きつらせながら呟く。
まるで○○○の世界だと坂本は思った。

「もう少し速くは走れんのか? あの奇っ怪な男が追いつくぞ」

忍、筑摩小四郎の言葉に坂本はああ、と心ここにあらずといったふうに返事をし
11Not Enhanced Empowerd and Tactic ◆1yqnHVqBO6 :2011/03/25(金) 20:59:54.80 ID:hLmkvcEl

「それは大丈夫だ」

と答えた。
そのすぐ後で背後から大きな爆発音が聞こえ
小四郎もすぐにその意味を理解したようだが
目の前のやわな男が持つには過ぎた量の火薬が必要であろう音に少しだけ眉をひそめる。

出口を通り、雪に囲まれた場所にでると
坂本はもう一つポシェットからBIMを取り出し来た道へ放り投げる。

ほんの少しの間を置いてからの爆発をその目で見た小四郎は驚愕する。

「貴様。今のはもしや忍術か?」

その言葉を無視した坂本は持っていた巻物を小四郎へと放り、何処へと歩き出す。
地面に足がついていないような頼りない足取りで坂本はその場を去った。

【B-2/刑務所/1日目・黎明】

【坂本竜太@BTOOOM!】
[状態]:後頭部に痛み、現実感の喪失?
[装備]:BIM(タイマー式)@BTOOOM!(6/8)、デリンジャー(2/2)@現実
[道具]:基本支給品、予備弾薬12発、
[思考・状況]
基本行動方針:不明
1:ここは現実なのか…?
2:出来るなら平さんと合流したい

[参戦時期]ヒミコの名前を認識する前から参戦。
 ヒミコと合流しているかどうかは後の書き手にお任せします

【筑摩小四郎@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:健康
[装備]:鎌@バトルロワイアル 、人別帖@バジリスク〜甲賀忍法帳〜
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:天膳様と姫様(朧)を守る。その為にも一刻も早く合流したいが……。
1:無駄な戦闘は避ける。
2:他者と行動するつもりは無い。
3:坂本に対する僅かな不信感
※香川英行の名前を知りません
12Not Enhanced Empowerd and Tactic ◆1yqnHVqBO6 :2011/03/25(金) 21:02:06.65 ID:hLmkvcEl

瓦礫の中から這い上がった仮面ライダー王蛇はただ吼える。

見くびっていた相手に予想外の一撃を食らったことと
殺戮を楽しんでいたところに横槍が入ったことが
浅倉の心に新たな苛立ちを生み出した。

彼の心が真の意味で休まることはない。


【霞刑部@バジリスク〜甲賀忍法帳〜 死亡確認】
【残り45名】


【浅倉威@仮面ライダー龍騎】
[状態]:興奮状態、極度の苛立ち、右腕骨折、ダメージ(中)
[装備]:スコップ
[道具]:基本支給品、カードデッキ(王蛇)、不明支給品1
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを楽しむ
1:筑摩小四郎と坂本を必ず殺す

[備考]
※浅倉は名簿をよく確認していません。
※霞刑部の死体と支給品は周辺に放置。
※刑務所の入り口が爆発で崩れました。
[参戦時期]
不明 後の書き手にお任せします。

13 ◆1yqnHVqBO6 :2011/03/25(金) 21:04:50.28 ID:hLmkvcEl
投下終了です。

うん、スペルをミスっていたというね
EmpowerdじゃなくてEmpoweredです。
失礼しました。
14創る名無しに見る名無し:2011/03/26(土) 23:10:58.50 ID:xzapd+h0
投下乙です! 感想は後ほど……
◆CFbjQX2oDg氏の代理投下します
15◇CFbjQX2oDg:2011/03/26(土) 23:11:54.76 ID:xzapd+h0


“あの”ガッシュが殺し合いに乗った。



オレとガッシュは魔界の王様を決める戦いで戦ってきた敵同士だ。
ガッシュと初めて出会ったのは遊園地だ。
弱そうな外見と裏腹に中々強いやつだった。
でも、オレとゾロボンのコンビに手も足も出なかったぜ。

…………ティオが助けにきてそのときは負けちまったけどな。

次にあいつに会ったのは東南アジアでオレがレインってやつを勧誘しようとしていたときだ。
オレの名前を間違えるし、関係無いといったのに邪魔してくるし、オレの最強呪文をあっさりと打ち破るし。
ロデュウ様が助けに来てくれなかったら危うく魔界に送還されるところだったぜ。

ガッシュはいつだって『ともだち』のために自分を犠牲に出来るやつだと思っていた。
だから、あいつにはオレにもいない『ともだち』を持っているんだ。
あまり認めたくないけどな。

ガッシュとティオの二人を見たとき、本当は羨ましかったんだろうな。
ゾロボンとはコンビを組んだけど、あいつは全然しゃべらない。
あいつのパートナーは意地悪だしで楽しくは無く、ゾロボンたちが攻撃を受けそうなときに助けるどころか互いに盾にしあった。
オレのは自分が王様になるために、魔物の子の闘いを勝ち抜くというためだけのコンビだった。

リオウの命令でロデュウ様ともコンビを組んだけど、ロデュウ様は怒ると怖いし子分だったし。
やっぱりガッシュたちとは違った。

ティオがいて、レインがいて、きっとオレの知らない魔物の子の『ともだち』が大勢いて
みんなで楽しく遊んだりしていたんだろうな。
そんな楽しそうな世界にオレは憧れていた。

ガッシュが人を殺したのを目撃した時に、オレの憧れていた、オレが心の奥底で求めていた『世界』は崩れ去った。

突然放り込まれたこのバトルロワイアルという場は、あの『ガッシュ』ですら殺すことを躊躇わない場だ。
何十発も電撃を放つなど、明確な殺意がないと出来ない。
信じられないがガッシュが人を殺したのは事実だ。
オレはこの事実をティオに、『以前のガッシュの友達』に知らせなければならない。
震える体に鞭を打ってでもやらなければならない使命感に襲われた。

ガッシュには気づかれていない。怖いからこのまま隠れていればいい。
頭の中でそういう声も聞こえる。
何でだろうな。自分でも不思議だけど、『ともだち』というものを汚して欲しくないのかもしれない。
とにかくオレはタワーを降りて走り出した。
16◇CFbjQX2oDg氏代理投下:2011/03/26(土) 23:12:45.60 ID:xzapd+h0
数十分か、それとも数十秒か
しばらく走ると前方に人間の男と、その頭に乗る赤い服を着た金髪ツインテールの少女が見えた。
初めて見るけどあいつも魔物の子だな。
ガッシュのことを伝えようとして、脳裏にガッシュが人を殺す映像が蘇る。
さらに、こっちはパートナー不在。
魔界にいたときみたいに何故だか呪文は使えるみたいだけど、ルーパーに唱えてもらうよりもなんだか弱い。
万一あの魔物が殺し合いに乗っていたら唯でさえ攻撃呪文が少ないオレがパートナー無しで勝てるわけが無い。

殺されてしまう。

とりあえず見知らぬ魔物からは逃げよう。ティオに伝えてからにしよう。
気の小さいパピプリオが見知らぬ相手から逃げを選択したのは当然のことだった。
そして術を発動する。この術ならあいつらは“かゆみ”で隙だらけになるはずだ。

煙を浴びたツインテールの魔物は地面を転がっている。
これで逃げられる。あいつは術を使えない。そう思っていた。

パァッン!

人間の方から大きな音がした。
右腕から火を噴出すような熱を感じた。
転げた拍子に砂が口の中に入る。
けれど、その不快感以上の何かを右腕から感じる。
蹲って熱さを主張する自分の右腕を見ると右腕が文字通り無くなっていた。
確認すると麻痺していた痛みが我先にと襲い掛かってくる。

魔界の王を決める戦いでは人間のパートナーは本を読むことに徹していた。
一部のパートナーは積極的に戦いに参加しているが、パピプリオが知る限りではそうだった。
だからこそ、魔物の子の方を無力化できれば逃げられると思ってしまった。
人間の方にもう少しだけ注意を払っていれば、こうはならなかったのかもしれない。
だが、現実にはパピプリオの右腕はショットガンをくらい、喪失した。

(あいつらに殺されてしまう!)
必死の脳内に浮かんだのは、銃声によって停止状態にあったままの逃げろという信号だ。

そこから先はよく覚えていない。無我夢中で走り回った。
何回も転んだり、ふら付いたりもしたけれど、立ち止まったらあの二人が、ガッシュが襲いに来る気がして止まれなかった。

もう限界、そう思ったときに空から黒い翼の持ち主が飛来する。

「……ロデ、ュウ…様? ティオに、伝え、ないと…。ガ、ガッシュが人を殺した……」

そこでパピプリオは意識を失った。




◇ ◆ ◇
17◇CFbjQX2oDg氏代理投下:2011/03/26(土) 23:13:27.05 ID:xzapd+h0
時は少し遡る


参加者以外の生物の存在が確認できないこの会場の大空を自由に飛びまわるものがいる。

あれは何だ?

鳥だ!

飛行機だ!

いや、白髪鬼だ!!


清明院大学から飛び続けること約2時間
彼は誰も見付けることができないままD-5市街地にたどり着いてしまった。

シルバーバトルでは死の苦しみを味わうために、町内でも数少ない自分の認めたご隠居こと宇谷九一郎との戦い、そして死んだ。
自分の想像以上の苦痛を味わい、自分の本懐である死があのようなものとは。
あれをもう一度達成したところで、自分の生は満足しない。
どのような因果か二度も殺し合いに参加できるのだ。
前回の余興でやった志多梅子にやった怯える弱者の恐怖を煽るのでなく、怯える弱者の恐怖の源を排除してみよう。
そう意気込んで出発したのに誰にも出会うことはできなかった。

市街地なら他の参加者がいるだろう、もしかしたらどこかの民家で就寝しているのかもしれない。
どこかの民家に押し入ってみるか? 考えを巡らせていると町外れから煙が昇る。
誰かがいることは間違いない。すぐさま煙の方角へと飛翔する。

煙に到達するよりも早く、彼の目的を果たせそうなことに気づく。
煙の方から走ってくる少年の姿が見えた。
しかも少年はふら付きながら、自分の走ってきた道に血の道標を残している。
間違いない。少年は助けるべき弱者だ。

少年の前に降り立つと少年の怪我は自分が思っていた以上に酷い。
右腕が無くなり、傷口がグチャグチャに潰れている。
意識があるのが不思議なくらいだ。

「……ロデ、ュウ…様? ティオに、伝え、ないと…。ガ、ガッシュが人を殺した……」

誰かと勘違いしているのだろうか。ロデュウという名に心当たりは無い。
だがティオとガッシュの二人の名は名簿にも記載されていた。

おそらくこの少年はガッシュが人を殺す現場に居合わせ、口封じのために襲われた。
そして煙幕弾か何かで命からがら逃げ出したということだな。

まだ息はあるようなので病院まで運んでみるか。
あいにくこのような大怪我を治療できる術は持ち合わせていないが、この場にいるよりはマシだろう。
死の直前の苦しみというのは存外気分が悪いものだ。
この少年には出来るなら早くその苦しみから解放してあげたい。

少年を抱きかかえて、病院のあるD-3エリアまで急いで向かうことにした。
18◇CFbjQX2oDg氏代理投下:2011/03/26(土) 23:14:08.56 ID:xzapd+h0
【D-5/市街地/1日目・黎明】

【津幡共仁@銀齢の果て】
[状態]:健康
[装備]:クシャスラ@waqwaq、コルト・シングル・アクション・アーミー(6/6)@現実
[道具]:基本支給品、簡易工具セット
[思考・状況]
基本行動方針:英雄として行動する
1:少年(パピプリオ)を病院まで連れて行き、出来るだけの治療をする。
2:万一の場合はティオという名の参加者に少年の最後を伝える。
3:ガッシュという名のものを危険視

[備考]
※香川教授のミラーワールド研究レポートは研究室にそのまま放置されています
※工具は現地調達品です


【レオパルドン・パピプリオ@金色のガッシュ!!】
[状態]:右腕喪失、恐慌状態 、気絶
[装備]:魔本@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:死にたくない、ルーパーの所に帰りたい
1:……(気絶中)
2:ティオを探してガッシュのことを伝える。あと守ってもらいたい

[備考]
※19巻、レインと戦った直後から参加。
19◇CFbjQX2oDg氏代理投下:2011/03/26(土) 23:14:51.12 ID:xzapd+h0
129 名前: ◆CFbjQX2oDg[] 投稿日:2011/03/26(土) 17:49:29 ID:yVQh0FKo [6/6]
以上で投下を終了します。

誤字脱字、おかしな点、その他ご不明なところがございましたら指摘してください
よろしければどなたか代理投下をお願いします

タイトルは『歪む世界!? 空から飛来する黒い影!』 でお願いします

-----
以上をもって代理投下を終了します
20創る名無しに見る名無し:2011/03/26(土) 23:48:43.97 ID:xzapd+h0
続いて感想をば。

>Not Enhanced Empowered and Tactic
刑部さんグロ死! 相手がライダーではさしもの伊賀者も分が悪いか
しかし浅倉は納得せず……閉じ込められたくらいでどうにかなる奴とは思えんが、さて。
そしてやや覚醒気味の坂本。退路の確保もCoolにこなすが……?
小四郎はまた走るのかな?w
先が気になる感じです。

>歪む世界!? 空から飛来する黒い影!
白髪鬼から後光が差して見えるぜ……
そして「ともだち」を想うパピプリオ。頑張れ!
しかし病院にはあのロワ充がwそして通り道にもロワ充がw

改めて投下乙です!
21創る名無しに見る名無し:2011/03/27(日) 00:20:18.49 ID:0BT1wctY
刑部さんは甲賀者でした。すみません
22創る名無しに見る名無し:2011/03/27(日) 07:23:45.76 ID:3o/oUTKH
投下乙!!

パピーはなんとか保護されたか
目が覚めたらどういう反応するやら
っていうか進路ヤバイw 目的地もヤバイw
でも猿渡のことは知ってるから大丈夫かな。チャンは厄ネタ過ぎるけど

あと今月のBTOOOM!に平のおっちゃん再登場!
初っ端から喘ぎ声をかましてくれるとはヒロインはさすが格が違う
23創る名無しに見る名無し:2011/03/27(日) 10:01:37.82 ID:9LoHsFrf
投下乙です
「ともだち」というものを意識するパピプリオいいなw
ガッシュが殺人という事実を前にどっち方向にも転がりそうな感じがw
キャンチョメとのエピソードが好きなだけに期待
チャンは放送前だったけどすれ違うのか、ぶつかるのかw

>>22
猿谷?
24創る名無しに見る名無し:2011/03/27(日) 12:25:20.57 ID:3o/oUTKH
それだw
申し訳ない。素で間違えた
25創る名無しに見る名無し:2011/04/02(土) 00:28:08.61 ID:aeatJnca
一日過ぎたけど報告
>>1にあるロワロワしたらば掲示板没スレにて、エイプリルフールネタが2作投下されてますw
まだご覧になっていない方いましたらどうぞwww
あれはひどいwww
26創る名無しに見る名無し:2011/04/03(日) 16:09:35.06 ID:42Lg31Cx
テスト
27 ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/03(日) 19:27:48.37 ID:42Lg31Cx
投下します
28乞い願う利益者  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/03(日) 19:33:12.72 ID:42Lg31Cx

######

君は最悪の環境に陥った時、どうする?

######

「もうすぐ朝が来るよ」

桜見タワーの展望台。
昇る朝日が次第に紫色だった空間を白に染めなおしていこうとしている。
ヨキは美神愛とともにここまで飛んで来た疲れを見せるように手摺に体重を乗せる。

#######

少しだけ脱線をしよう。

#######

「ここにいれば君の愛する戦場マルコは必ず来る。
 そうだったよね?」

美神愛の携帯電話を手に持ち、
ここまで来た同行者にまるで平時の医者として患者に接する口調で語りかける。
優しく、相手の不安を取り除くように。

########

彼女は夫に虐げられ、舅や姑にも日常的に不快な思いをさせられ疲弊しきっている。
まあ、最悪の環境と言ってもいい。

########

「健やかなる時も病める時も死が二人を別つまで共にいることを誓う。
 美しい言葉だね。
 心の底からこれを誓うことができるのなら
 君たち二人は本当にかけがえのない“愛”の絆で結ばれているのだろう」

ヨキは首だけ動かして美神愛を視界の内に置きながらそう言う。
割れた展望台のガラスへと吹き込んでくる
高所独特の風が肩に届きそうなまで伸ばされたヨキの髪を大きく揺らす。

########

それを見かねたある女性はその花嫁を夫と別れさせ、自分の養女にする。
その際に行われる儀式というものがあってね。
花嫁の髪に自分が調合した香水をふりかけ、祈りの言葉を唱えて
その新たな自分の娘を神の祝福とともに生まれ変わらせるんだ。

########

「君たち二人の日記は距離が近づけば近づくほどに効力が上がる。
 君が私に提案したようにこの殺しあいに参加する人間を探すうえでも
 君の日記とともに動きまわることは有益といえよう。」
29乞い願う利益者  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/03(日) 19:35:32.95 ID:42Lg31Cx

ヨキはガラスの外にいる美神愛を見おろす。
特殊な弦が桜見タワーの外にいる美しい女性を吊るしている。

時計の振子のように強風に揺られて。
失った血により零れていく活力で赤々としていた肌を白くして。
美神愛は桜見タワーに吊るされている。

「けれどももう一つ。君の日記の効力を高める方法があると思うんだ。
 恐らくは君も気づいていたのだろうけどね」

口元にたたえていた笑みを消し、瞳を無機物なガラス玉のような色に変えて、
ヨキは告げる。

「それはDEAD ENDへと君の”今”を近づけることだ。
 お互いの絆の強さが生んだその未来日記が君の死を見逃さないわけがない。
 二人で一つの未来日記なら片割れの死はもう片方の死と同義でもあるからね」

#########

これは砂漠の民に伝わる習慣だけれども
美しいと思わないか?
人は人の力で最悪を変えようとする。
その為には最悪から生まれ変わったという明確な通過点を設けるのは
心を切り替えるのにも大きな効果を発揮するだろう。

#########

美神愛の太腿が赤く濡れ、
そこを伝った赤い血液が足先を滑り遥か下へと落ちる。
その様を興味なさそうに見ながらヨキは愛の日記の更新をチェックする。

「おめでとう。と、言うべきだね。
 君たちの愛はこの死線に直面することでこのゲームのホストが行った
 細工を見事に打ち破った。
 戦場マルコは間違いなくこの場所へ来る。
 君の“愛”の日記がそう教えてくれる」

本来ならば喜ぶべき愛する人に関する知らせに
美神愛はただ小さく首を横に振ってか細く声を出す

「ダメ……」

「君がいくら嫌がろうと彼は間違いなくここに来る。
 自分の愛する人がもうどう足掻こうと助からないと知っていてもだ」

美神愛の衣服に異常はない。
あるとすれば彼女の両肩にかけられた
悪趣味なマリオネットの糸だけ。
30乞い願う利益者  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/03(日) 19:37:08.14 ID:42Lg31Cx

##########

未来日記の力もそれに似たものかもしれない。
最悪の未来を教えて早い段階での人為的な生まれ変わり、成長を促す。
忌むべき未来を知るというのは生きるものならば
誰しもが持つ“願いでもある。”

##########

大きく抉られた美神愛の内腿は彼女の美しさを損なわせずに
重要な血管を破壊して彼女を失血死にいたらしめるだろう。

今の美神愛を例えるならば餌。
地上にいる者が上空を見ればすぐにわかるであろう高さに吊るされた女性の姿は
示威としても、ここに殺し合いをする者がいると伝えるにも
悪くない成果を挙げてくれるだろう。
ヨキの持つ首輪探知機が彼に敵の接近を教えてくれるし、
スプンタ・マンユの“能力”で来訪者の出鼻を挫くこともできる。

もし来なかったとしても戦場マルコの襲来は間違いない。
まず確実に一人以上のキルスコアを得ることはできる。

「医者の見立てからしても君はもう死ぬのだけれども。
 言い残したいことはある?」

ヨキは死が近づく美神愛にそう呼びかける。

###########

さて。情報交換のついでの長話もすんだし、私は君を殺す。
身構えても無駄だよ。君と私ではそれこそ“力”の質が違うしね。
君の力は自力で“願い”を叶え、現状を変える契機となる“未来日記”。
ある意味、とてつもなく魅力的なものではあるけど純粋な暴力には弱い。
そして私の力は“願い”に近づく為に用いるその純粋な暴力である“護神像”。
当然のように美神愛は死ぬ。
空を飛ぶような存在に会った時点で薄々感づいていただろう?

###########

31乞い願う利益者  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/03(日) 19:39:04.24 ID:42Lg31Cx

「マルコ。あなたは。生きて」

「それが君の遺言だね。了解した。
 彼と会ったら可能な限り君の最期の言葉を伝えよう」

美神愛の最期の言葉にヨキはそう応える。
展望台のいる彼と外に吊るされている彼女を繋ぐのは
伊賀谷で編まれた糸で作った限りなく簡易な糸電話。

美神愛の目の前で空に浮かぶ護神像の手。
その手にある紙コップは美神愛の死とともに握りつぶされる。

「これで一人目」

口にあてがわれた紙コップを前にヨキは静かにカウントする。
彼と彼女を繋いでいた原始的な電話の要である弦に
鋏の形にした指をそっとそえる。
そしてもう一つの手には美神愛と戦場マルコの繋がりを象徴と携帯“電話”を。

############

何でこんなことをするのかって?
君も殺し合いには乗っているじゃないか。
なら私達は相容れないのが当然だろう。
手を組むことは考えないのかって?
それは不可能だよ。
何故ならそれは――――

############

ジョキンとヨキは糸電話の弦を切る。

グシャリとヨキは“未来日記” だった携帯電話を握りつぶす。

#############

君の血が赤いからさ。
それだけで殺すには十分すぎる。

そう言うとヨキはわけのわからない手で愛の内腿を大きく抉る。

美神愛は数時間後に出血死する。

DEAD END

#############
32創る名無しに見る名無し:2011/04/03(日) 19:39:44.84 ID:yyghANzK
 
33乞い願う利益者  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/03(日) 19:41:48.83 ID:42Lg31Cx

【美神愛@未来日記 死亡確認】
【残り 45名】


【E-4/桜見タワー/早朝】

【ヨキ@waqwaq】
[状態]:疲労(中)
[装備]:スプンタ・マンユ@waqwaq、首輪探知機@オリジナル 、ヒミコのレーダー@BTOOOM!、
    夜叉丸の糸@バジリスク、スタンガン@BTOOOM!、BIM(タイマー型)@BTOOOM!(8/8)
[道具]:基本支給品×3、交換日記のレプリカ、逆ナン日記のレプリカ、手鏡、果物ナイフ
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して赤き血の神を抹殺する
1:体を休めながら来訪者を待つ。

※美神愛の日記はすべて破棄されました。
※ヒミコのレーダーは手に埋め込むことはできませんが意識を集中させることで
 レーダーの役割を果たすことはできます。感度は当然普通に使うよりも落ちます。
34 ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/03(日) 19:42:17.07 ID:42Lg31Cx
以上で投下終了です
35創る名無しに見る名無し:2011/04/03(日) 19:55:52.23 ID:yyghANzK
投下乙です!

愛……前回のヒキでなんとなくDEAD ENDが立った気がしていたが……
ヨキ先生の前に赤い血の人間を差し出したら危険よ!! 力を持っていない赤い血の人間(ほとんどw)は逃げてー!!
てか、ヨキ先生w ちゃっかりヒミコのレーダー回収しやがったw 予め用途を知っていたのか!?

指摘をひとつ
日記全部壊したのなら状態表の日記は消し忘れ? 
それとも日記機能が消えただけでまだ所持しているよ!ってことでしょうか?
36 ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/03(日) 20:04:07.75 ID:42Lg31Cx
あれ、本当だw
すいません。状態表修正で
愛の日記は全て無くなったということでお願いします
37創る名無しに見る名無し:2011/04/03(日) 20:08:47.90 ID:yyghANzK
了解です

そしてマーダーが初めて死んだ! 
というか十人の死者に対して、殺人者が十人ってどうよww
対主催チームとまでは言わないが、ロワロワに平穏なグループは無いのかwww
38 ◆W91cP0oKww :2011/04/06(水) 00:48:19.76 ID:MpFQTl0b
投下します。
39私が彼の迷いを忘れないように ◆W91cP0oKww :2011/04/06(水) 00:49:20.07 ID:MpFQTl0b
「三村……」

足を地に付けて跪いた秋也の目の前にあるのはすでに生を終えた肉塊。元は三村信史と呼ばれた人の成れの果てだった。

「おい起きろよ三村。俺、あの時より強くなったんだぜ? 銃の扱いや格闘技だって上手くなった。
 お前の十八番だったパソコンだってさ、そりゃあお前ほどじゃないぜ?
 でも見違えるぐらいにはいろいろと出来るようになったんだ」

ゆさゆさと揺するが返事はなかった。返答替わりに黒い煤がポトリと地面に落ちるだけ。
恐怖におののいて開いたままの目には生気はなく、つんつん逆立っていた髪はしなっと垂れて見る影もない。
黒焦げの身体。本来の肌色は黒く染まり、顔はもはや判別できそうになかった。
だけど秋也にはわかってしまったのだ。これが、この死体が三村信史であるということに。
証拠は耳に付けているピアス。反政府組織に属していた叔父の形見だと秋也は何度も聞かされた上に見せられた。
それがこの黒焦げの死体が三村信史だと決定づけるものとなった。

「俺、今度こそ止めてやるんだ。こんなクソッタレプログラムぶっ潰して主催者にカウンターパンチ食らわせてやるつもりだ。
 爽快だぜ〜、思いっきり気の済むまで殴ってやるんだ、誰でも参加自由! 主催者が気に入らねぇって奴は仲間にしてよ」

秋也は快活に笑って信史の手を握る。温もりはもう消えて、冷たく硬くなった手だが強く握りしめた。
そうしたら信史が戻ってくるかもしれないなんて馬鹿げた妄想を抱いてしまったから。
一回黄泉の国から帰ってきたんだ、もう一回くらいご都合主義を見せたっていいじゃないか。

「俺は、お前も仲間に加えるつもりだったんだぜ?」

最初のプログラムで果たすことが出来なかったこと。
一度も出会うことがなかった親友と一緒に戦うことを夢見た。

「幾ら俺がパソコン出来るようになったとはいえ、三村には敵わねえよ」

もう会うことができない親友と再会できる、秋也の心には僅かだがこのプログラムに対して喜びもあったのだ。
失ったものを取り戻すチャンスが到来した。今度は間違えずにやろう、そう意識して望んだはずだった。
だが結果は散々、最初に仲間を作ることはできたが恐怖から子供を撃ってしまう愚挙を犯してしまった。
さらに、こんなにも近くにいた親友を護ることが出来なかった。
秋也の頭の中でグルグルと負の感情が廻る。

「だからさ……」
40私が彼の迷いを忘れないように ◆W91cP0oKww :2011/04/06(水) 00:51:19.03 ID:MpFQTl0b
心が締め付けられるくらいに苦しい。
胸にポッカリと穴が開いたような虚無感が身体を支配する。
だけど、なぜか秋也は泣けなかった。涙が流れない。
どうしてなんだろう、と自分で自問自答した。何度も、何度も答えを探した。
されど答えは見つからない。

「三村ぁ……目を覚ませよ……!」

先行きが何も見えない。
結局はあの時と変わらないんじゃないか? やっぱり俺には無理なのか?
川田みたいに人を救うなんて? 
黒い感情が絶え間なく思考を包み込む。
秋也はもう二度と後悔しないように必死に努力してきた。
体を鍛えて、知識を蓄え、大抵のことは出来るようにした。
それでも尚、足りない。
ただ怯えていた子供を銃で撃った。
大切な親友を護れなかった。

「俺は、間違っていたのか?」

そうして目の前が真っ暗になる感覚が秋也を――。

「シュウヤ――貴方バカ?」

秋也は声が掛かった方向へ振り向いた。そして眼前に飛び込んできたのは金色の髪。
ビチッとムチを打つような音と共に秋也の頬に痛みが襲った。
秋也の足元に歩いてきたのは真紅。
プンプンといかにも私怒っていますよオーラが全身からにじみ出ている。

「な、何だよ。真紅!?」
「さっきから黙って聞いてれば……学習しなさい」

秋也には真紅の言葉がすぐには理解出来ない。学習しなさいと言われても何を学べばいいのか。
しばらく長考。
そして秋也が真っ先に学ぶべきと思いついたのは現実を見ること。
理想なんて、捨ててしまえ。真紅の学習しろという言葉には言外にそのようなニュアンスが含まれているのだろう。
長考の末に秋也はそう理解した。

「そうだよな、もう理想論なんて語ってる場合じゃないんだよな……いい加減現実を見ろって言いたいんだろ?
 それでも、俺は諦めたくないんだっ! 御免、真紅……やっぱり捨てられないや」

だけど秋也は諦めたくなかった。そんな大人になるために今まで努力してきた訳ではない。
大切な人を護るために、絶望を抱いて毎日を生きる人達を救い出すために力を蓄えてきた。
秋也は俯きながらも自分の言葉でしっかりと口に出す。迷って迷った末の結論。
それは。
41私が彼の迷いを忘れないように ◆W91cP0oKww :2011/04/06(水) 00:53:00.17 ID:MpFQTl0b

「……そう」
「皆救うとか絶対に人を殺さないとかだいそれたことは思わない。もし、襲われたら殺す覚悟はとっくにできている。
 だけど、甘い理想を少しぐらいは持っていたいって気持ちもあるんだ」
「……」

現状の維持。つまるところは理想を捨てないことを選んだ。
秋也とてこの道が辛く険しい道だということは理解している。
それを承知して尚選んだのだ。後悔なんてあるわけない。いや、してたまるものか。
この意志を貫くのには迷いや後悔は不純物同然。

「だから、俺は――――今のまま進む」

それはこの殺し合い、真紅、自分に対しての宣言だった。
その宣言を受けて真紅は。

「落第点ね、シュウヤ」

否定。あなたの理想を認めないと言われたようなものだ。
無論秋也もこう言われ、簡単に真紅の同意を得れそうにないことは予測していた。
説得には時間がかかりそうだ、心中で覚悟を決めて真紅に向き直る。

「それでも……!」
「私が言いたいのはそういうことじゃないのよ」

その意外な答えに秋也は思わずへっと間の抜けた声を出してしまった。
最初の落第点という言葉から否定の意を示していると思っていた秋也からしてみたら驚きである。
それならば、真紅は何を言いたいのか。その点に関しては秋也は未だに疑問だった。

「貴方は確かにすごいわ。銃火器を扱えて、重い剣も持てる。それに機会技術系にもそれなりの知識がある。
 パソコンも扱える……大抵のことは出来るのでしょうね」
「あ、ああ」
「だけどね、貴方は一人で抱え込みすぎ。何でも一人でやろうとしている」

違う、とは言い切れなかった。現に首輪解除や戦闘なども自分一人でやればいいという考えはあった。
あの頃とは違って自分は強くなった、今度こそ。
よく良く考えてみるとその思いが先行しすぎていたという自覚もあった。

「私達は仲間でしょ?」
「あ……」

仲間。最初のプログラムでも仲間に助けられてばかりだった。
川田章吾には戦闘面で大きく助けられた。中川典子には精神面で大きく助けられた。
そんな自分が嫌で強くなろうと努力した。大切な人達を護れる強さを得るために。
42私が彼の迷いを忘れないように ◆W91cP0oKww :2011/04/06(水) 00:53:58.28 ID:MpFQTl0b

「俺は、もっと真紅を頼ってもいいのか……?」
「当然でしょう。シュウヤ、もっと仲間を頼りなさい。一人で抱え込まなくてもいいのよ」

どうしてそんな簡単なことにすら気づけなかったのだろう。
真紅の温かい気遣いが身に染みる。心臓の鼓動がドクンと跳ねた。
自分は張り詰めすぎていたのかもしれない。秋也は改めて実感した。
孤独な戦いに身を委ねなくてもいい。
秋也にとってそれは光が差してきたかのような錯覚を感じたくらいだ。

「ありがとう……」
「まったく、世話をかけさせるわね。それで、いろいろと吐き出さなくて大丈夫?」
「大丈夫、もう落ち着いたから。今は泣く時じゃない」

そのまま勢い良く秋也は立ち上がる。その様子は先程までとは違って少しだけだが晴れ晴れとしていた。
友人の死を完全に吹っ切るにはまだ時間が必要だ。
だけど、信頼できる仲間となら。いつかは立ち直れる。

「あのさ、真紅……俺が苦しい時、悲しい時に側にいてくれるだけでいいんだ。
 誰か、信頼できる人が側にいたら頑張れるから。まだ、俺は俺でいられるから」
「ふふっ、それぐらいならいいわよ。私達は仲間なんだから」

秋也と真紅はお互いの顔を見て軽く笑ってもう一度信史の死体に振り向く。
迷いは吹っ切れた顔だった。

「三村……俺、強くなるから。もう二度と、こんなネガティブな思考に負けねぇから。
 お前をこんな風に殺した奴、こんな殺し合いに乗った連中を一人残らずぶっ飛ばせるぐらい、強くなるから……。
 俺が死ぬまで……待ってろよ。今度は絶対、間違えないから。俺は仲間と一緒に強くなる。
 だから、見守っていてくれ」

そう言って、信史の耳についているピアスを取った。ピアスは軽く力を入れただけで簡単に秋也の手の中に入った。
取ったピアスを耳につける。信史を忘れないために。同じ愚は犯さないために。

「行こう、真紅。今度あの子にあったら、今度こそ救ってみせる!」
「その意気よ。まあ、シュウヤ一人じゃ心配だから私も手伝うわ。危なっかしくて見てられないわ」

二人の行く先には幾多の困難が待ち受けているだろう。
時には挫けるかもしれない。
それでも。
二人は、行く。このふざけた殺し合いの打倒を指針として突き進む。
仲間と一緒に。
43創る名無しに見る名無し:2011/04/06(水) 00:54:03.36 ID:/HzZjfGc
支援
44私が彼の迷いを忘れないように ◆W91cP0oKww :2011/04/06(水) 00:55:09.27 ID:MpFQTl0b



【E-4/市街地/一日目・黎明】

【七原秋也@バトルロワイアル】
[状態]:強い決意
[装備]:レミントンM870(7/8) 、ヴァルセーレの剣@金色のガッシュ、信史のピアス@バトルロワイアル
[道具]:基本支給品、レミントンM870(8/8)、レミントンM870の弾(30発)
[思考・状況]
基本行動方針:プログラムの打倒
1:脱出の為の情報収集、工具等の道具集め。
2:次にあの子に会ったら……
3:仲間を頼る。そして一緒に強くなる。
※本編終了後から参戦。

【真紅@ローゼンメイデン】
[状態]:健康。左足からアンモニア臭。
[装備]:
[道具]:基本支給品、ホーリエ、ハリセン@現実
[思考・状況]
基本行動方針:脱出する
1:七原秋也と行動をともにする
2:秋也が苦しい時、悲しい時は側にいる。
45 ◆W91cP0oKww :2011/04/06(水) 00:55:57.55 ID:MpFQTl0b
投下終了です。
46創る名無しに見る名無し:2011/04/06(水) 07:13:35.62 ID:zG+S+N3b
投下乙です
七原……三村の遺体に話しかける背中の寂しさが……
真紅が一緒で良かった。真紅の叱咤が無かったら積み上げてきたものが一気に崩壊しただろうな
典子さんと良い真紅といい相方運がいいな。
七原と真紅がどのようにこのバトルロワイアルをぶち壊すのか、はたまた砕け散るのか
続きが楽しみです。
あと、最後の台詞に上条さんの姿がダブったw

改めて投下乙でした!
47 ◆CFbjQX2oDg :2011/04/07(木) 22:36:08.00 ID:wbeY6Nym
ギリギリになって申し訳ないです。
ハード投下します
48 ◆CFbjQX2oDg :2011/04/07(木) 22:38:16.29 ID:wbeY6Nym
シグドラ左頭 ハード。
今、彼女はさきほどの戦場から少し離れた民家の中に身を潜めている。
手に持つコーヒーカップはこの家の台所から勝手に拝借したものだ。
食材の類はないが、珈琲やお茶類は棚に残っていたのでそれを頂くことにした。
支給品として用意されたサンドウィッチを一緒に口に運びながら体を休めている。

「あいつは一体何者だったんだ」

誰に伝えるわけでもなく呟く。

ヨキが去ってからしばらくハードはその場で他の参加者が来るのを警戒していた。
積極的に戦闘を仕掛けてくるものが近くにいた場合、傷ついた獲物を狩るため絶好の狩場に必ずくると踏んだ。
だが、結論から言ってその行為は徒労に終わった。誰の気配も感じない。
気配を消して隠れているのかもと、逆にこちらから殺気を垂れ流してみたところで反応は無い。
周囲に他の参加者がいない、もしくは音に恐怖して逃げ出したか。
ここまで人の気配が無いと近くに人がいないのはほぼ確定的だ。

一度使用すると長時間は使えない封印魔法は先ほど使った。
いや、“使わされた”と言うべきか。それくらいヨキという男は強かった。
『狙撃手(スナイプ・ライセンス)』としての腕と『絶対的な空間把握能力』である程度は切り抜けられる。
使えない切り札をブラフとして使うことも出来る。
だが、所詮ブラフはブラフ。本当の強者の前には何の役にも立たない。
周辺に他の参加者がいないにしても、防人ヨキやチャン右頭のような参加者と戦うこ可能性を考えるなら万全を期すべきだろう。
そこで周囲への警戒を続けながら適当な民家に移動し、休息をとることにした。
今は体を休めて、動き回るのは夜が明けて放送を聞いてからにしよう。

取り出した名簿の名前を改めて確認する。
自分の見知った名前はどいつもこいつも曲者揃いで思わず溜息が漏れる。

チャン右頭
――間違いなくこの場でもトップクラスに脅威となる男。常人を遥かに超えた格闘術と『風水師』の能力。
  この殺し合いにおいて最要注意人物である。

ブック第五足
――『魔獣使い』だが、ワタルに一度敗れてシグドラに背信した私に匹敵する強者。
  配下となる魔物がいて初めて全力を発揮するがここにいるのかは不明だ。出来るなら手を組みたいが。

カントリーマン第六足
――狡猾なジジイだ。私自身がかかったフリをしていただけに判断がつかないが、おそらく「破経の呪法」は解呪された。
  五つ目の玉か優勝を狙うはずだ。

ミツル
――シグドラの新米ながらも自他共に認める天才魔導師。ワタルやカオリの友人“だった”らしいが所詮は旅人同士。
  幻界では『願い』を叶えるためにシグドラに入隊したやつだ。信用はしにくいうえに、戦うのも厄介だ。

ワタル
――私の『願いを叶えてくれた』少年。そして、私が『願いを叶えてあげたい』少年。
  きっとあいつはここでも運命を変えようと戦っているはずだ。私はその手助けをしてやりたい。

さらに『旅人』以外に『防人』という存在もいる。
防人にして三賢者の一人ヨキ、と名乗る男は主催者である影の男の存在を知っていた。
影の男の言葉通り幻界で『願い』を賭けて戦っていた旅人が複数いたことから防人も複数いるだろう。
ヨキ同様に主催者について何か知っている可能性が高い。
積極的に防人についての情報を集めたい。
49 ◆CFbjQX2oDg :2011/04/07(木) 22:39:38.13 ID:wbeY6Nym
「あとはあれか」

メモに各旅人の身体的特徴や職業、防人ヨキの存在についてなどを書き記したハードは席を立ちあがると脱衣所へ向かう。
ベルトなどの装飾品をテキパキと外しその艶やかな肢体をあらわになる。
幻界(ヴィジョン)随一の科学国家であるザクルハイムのシャワーの性能は抜群だ。
すぐに湯が沸き、それを頭から浴びる。
きめ細かく、そして美しく伸びた黒い髪の隙間を縫うように湯が体へと浸っていく。
何人もの男を魅了し吸い寄せる唇、磁石が引き合うかのごとく触れたくなる豊満な胸部
程よい筋肉によって引き締まった腰部、すらっと伸び肉付きの良い脚部
と異性なら涙を流しながら悔しがる彼女の体を存分に味わった湯は排水溝へと姿を消していく。

憂いを帯びた瞳の奥に映るのはかつての同僚の姿。
さっきのは“あいつじゃない”。幻影にすぎないとわかっている。だから躊躇わず攻撃もした。
戦闘においても心に揺らぎは見せなかった。
だが、理屈ではない。戦闘の緊張感が一度解かれると“あいつ”は私の心を掻き乱す。
以前のように問い質したいわけではない。それはワタルが教えてくれた。その答えが間違っているとは思わない。
単純に“あいつ”のあの情けないけど頼りがいのある笑顔がもう一度みたいのか?
「ハッ、馬鹿馬鹿しい。仮に本物のあいつが笑って私の前に現れても銃弾をこめかみにぶち込んでやるよ」
そう言いながらも口角は穏やかにつり上がり、愛おしいものを見るかのような眼をしていたことに彼女は気づいているだろうか。

等身大の鏡に近づき見つめる。風呂場だが再び眼鏡をかけてある一点を見つめる。
参加者に等しく付けられた首輪だ。
鏡で見る限りでは継ぎ目は見えない。溶接したようにも見えない。一体どうやってつけたのだ。
他にも気になる点はある。
このサイズに通常の火薬を詰め込んだところでその辺の奴ならともかくチャン右頭が殺せるとは思えない。
というかそもそも、私たちはこの首輪が爆発するのかどうかをまだ知らない。
影の男はこういっていた。
――身体の耐久力に自信のある者もいるだろうが、無意識の内にここに連れて来られた意味を考えれば不用意な行動はしない方が良

いだろう
そのまま受け止めるなら、参加者を充分に殺せるだけの爆発は起こせるということになる。
だけど、ヨキの言うとおり真実全てを参加者に教えているとは限らない。
だが、もし本当にどのような参加者でも殺せるだけの威力があるとしたらその動力は?
首輪を簡単に外せる人間を参加させるとは思いにくいが、機械に詳しい人間くらいはいるだろう。
そいつに会ったときのために首輪のサンプルがほしい。
手に入れるためには死者の首を切り落とす必要がある。ワタルが死者のとはいえ首を切り落とすような非道なことが出来るか?
きっとできないだろう。だから私がワタルの代わりにワタルがしなければならないことをやる。
私自身がシグドラにいたときそうだったように、首輪を外したところで全員が殺し合いを辞めるとは考えにくい。
だが、それでも何人かの運命を変えることができるかもしれない。
「私はそれだけで良いんだ」
確認するように声に出して言う。

夢でなく現実に出会ってしまったから、聞きたいことは無くても黙って一緒にいるだけでも良いと思った相手だったから
満足したはずの彼女自身の『願い』のスペースが彼女の心の隅に再び陣取り始めたのかもしれない。
どちらの思いも決して嘘ではない。だからこそ本人は気づけない、気づかない。
今はただ自分を救ってくれた少年の『願い』のために、元シグドラ左頭ハードは存在する。


【G-1/崩壊したザクルハイム/1日目・早朝】

【ハード@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:疲労(大)
[装備]:千銃@ブレイブ・ストーリー〜新説〜、
[道具]:基本支給品、ブーメラン@バトルロワイアル
[思考・状況]
基本行動方針:ワタルがしたいであろうことの手助けをする。
1:ワタルと合流する
2:主催者の目的が知りたい
3:首輪を手に入れたい。
50 ◆CFbjQX2oDg :2011/04/07(木) 22:46:31.22 ID:wbeY6Nym
以上で投下を終了します。
矛盾点、読んでいてご不明な点、その他文章的におかしな点など感じましたらご指摘下さい。

タイトル何ですが……wiki収録時につけるので申し訳ありませんが今は無題で……
51創る名無しに見る名無し:2011/04/08(金) 07:28:16.61 ID:Kpa3B87v
投下乙です
残っている防人か
レオとノールどっちもマーダーだwまともな情報手に入るのか疑問だw
52 ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/12(火) 07:22:15.47 ID:8DKJp8pj
投下します
53天国とは神のおわすことなり  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/12(火) 07:24:20.65 ID:8DKJp8pj


レオは頭を掻き毟る。
爪が頭皮を突き破ることも気にせずに。
頭から流れる血が隈がなくなった目元を
新たに赤く塗りなおしていくこともかまわずに。

レオはただ刺激を求めた。
唐突に喪われた”願い”を求め、再び胸に宿そうと
彼はひたすらにもがく。

思い出せ。思い出せ。
自らを責めるように唱え続ける
彼の目にはくっきりと彼の家族が機械に虐殺された記憶が
繰り返し繰り返し流れている。

圧倒的な力を持った機械が大切に思っていた人々を殺している。
感情もなく、目的も見えず。
道端にいる虫けらを気づかずに踏むような無感情さで機械は殺していく。

その映像に欠けている色はない。
何度でもどこまでも
レオは彼の心が壊れる切っ掛けとなった出来事を思い出すことができる。

なのに。
54天国とは神のおわすことなり  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/12(火) 07:26:24.28 ID:8DKJp8pj

「どうしたんだ。俺は」

今にも泣き出しそうな表情で、
道に迷った子供のような心もとなさでレオは歯軋りしながら言葉を零す。

”願い”が無くなった。

レオを長年悩ませていた偏頭痛はキレイに癒え、
彼の視界が憎悪で縁取られていた証であった目の周りの大きな隈も跡形なく消えていた。

レオの”願い”は長年苦しめ続けていた偏頭痛を治すこと。
そのためには憎しみの対象である機械をwaqwaqから一匹残らず消し去る。

そのために彼は護神像アシャとともに神を手に入れようとした。
このゲームでも全員を殺して”願い”を叶えようとした。

そのはずだった。
けれども。

「どうして。今なんだ」

震える声でレオは呟く。
代価もなく齎された救い。
予兆もなく奪われた憎しみ。

新しい朝がレオの世界には珍しかった草花を照らしていく。
彼の眼が澄み渡った青い空を映す。
風がふき、草木同士が擦れあう音がレオの耳に入る。

願いを喪い、
視界を歪ませていた憎しみや恨みのフィルターを外した眼で見る世界は
とても美しかった。

美しすぎて。眩しすぎて。
眼を潰したくなるほどに。


…………………………………………………………………………………………………………。

ゆっくりと車を走らせる二人。
会話と呼べるものはなく。
あるのはただ一方的な北岡のおべっかだけだ。

会った当初は律儀に頬を染めたり
声を荒げていたみねねもだんだん慣れてきたのか
お世辞を言われても反応するのをやめていた。

しょせんは殺し合いで別れる仲。
意味のない言葉を交わすのも
場を繋ぐ意味しか持たないことはすでに暗黙の了解となっていた。

「お、あそこに人がいるね」




55天国とは神のおわすことなり  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/12(火) 07:29:50.80 ID:8DKJp8pj

そしてこれは少しだけ意味のある言葉。
とはいえ、みねねと北岡は同じ方向を向いている以上
みねねもソレを見つけていて当然なのだが。

「私たちに用がある。にも見えねえな」

車が進むにつれて進行方向に立っている人の姿形がハッキリしてくる。
佇んでいるのは男。
うつむいているために表情は見えないが
ライオンの鬣のように立てられている金の長髪が朝日を反射している。

「こっちには気づいていないのかな?
 どうする? もう眼と鼻の先って言ってもいいけど」

そう尋ねる北岡にみねねは興味なさそうに答える。

「死なない程度のスピードで跳ねればいいだろ」

「嫌だよ。車が傷ついちゃうじゃない」

顔を顰めながら反論する北岡に
みねねはムッとしたような顔を見せる。

「ケチケチすんなよ。ベンツ様は頑丈なんだろ!?」

「あ、ちょっと!」

北岡の制止を無視してみねねは足を伸ばしてアクセルを踏む。

速度を増した車がすぐそこまで迫った男に襲いかかる。

次の瞬間。
車は両断された。

衝突する直前に足を戻していたみねねは慣性に従い
器用に片足走行を続ける車から転げ落ちる。
いくらか体の数カ所を擦りむいたが
相手を死なせないレベルの速度だったことが
体勢を立て直すのにプラスとなった。
みねねはすぐに日記を確認して逃走経路を確かめる。

目の前の男は今、顔を上げてハッキリとみねねと北岡を見ている。
車を斬ったと思えない少年のような顔立ちだが
手に持っている折れ曲がった刀が何を行ったか示している。

「ちょっと、まだ子供じゃない。
 いきなり車を斬るなんてどういう教育受けてんのさ」

呆れたようにそう言う北岡はすでに仮面ライダーに変身している。

「その姿。お前も仮面ライダーか」

そう言う少年。
レオナルド・エディアールは
もはや使用不可能であろう刀をみねねへと投擲する。

野球選手の剛速球すら超えるソレは
みねねの眼前で北岡の銃に撃ち砕かれる。
56天国とは神のおわすことなり  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/12(火) 07:32:55.66 ID:8DKJp8pj

「…………合体。だ。アシャ」

恐れ、躊躇うような間を置いてから。
レオはみねね達からは見えない位置に浮かんでいた護神像と融合する。

「仮面ライダーじゃあないのかな」

変化したレオの姿を見て北岡はそう呟く。

「俺は防人だ」

何もない手に剣の形をした炎を出し、
レオは北岡へと駆ける。
弾丸の雨がレオへと降りそそがれるが
レオの炎がその全てを呑みこむ。

「おい北岡! 弾丸は飲み物らしいぞ」

みねねが北岡に叫ぶ。

その言葉に反応する余裕がない北岡はレオの攻撃を必死に避けながら
銃弾を撃ちこもうとする。
だがレオは左右にステップすることで
銃口の軌道から巧みに逃れる。

これはまずいと思ったみねねは迷わず未知の兵器の使用に踏み切る。
烈火ガスタイプらしいBIMを初めて使うには
少し物足りないシチュエーションではあるがそうも言っていられない。

下手をしなくても北岡まで巻き込まれる可能性が大きいが
彼が負けたらレオは間違いなくみねねに向かってくる。
逃走プランは日記を見てあるていど立てているが、成功するかは怪しいところ。
彼女に北岡と共倒れする気は毛頭ない。

BIMのスイッチを押したみねねは
綺麗なフォームで戦ってる最中の二人へ投げつける。

――位置は良し。
   短い間だったけどじゃあな北岡。ついでに知らないガキ。――

ガスが噴出し、北岡とレオがいた場所を包む。

ガスの範囲は予想以上に狭い。
効果的に使うには場所と風を選ぶ必要があるだろう。
みねねはそう結論付ける。

(さて。肝心の効果はと)

みねねは距離をとりながら
二つの死体の出来栄えを見ようと眼を凝らす。

凝らしていた眼が驚愕で見開かれる。

中心にいたレオは無傷でこちらに顔を向けている。

57天国とは神のおわすことなり  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/12(火) 07:35:05.23 ID:8DKJp8pj
「なに!?」

みねねの頭を疑問符が埋め尽くす。

どういうことだ。説明書は偽りアリか。
責任者出て来い。ってかおかしいだろ。
あ、遠くに北岡見えるわ。どうでもいいけど。

予想だにしていなかった事態がみねねに隙をうみ、レオの接近を許す。

炎の剣がみねねの首の数センチ前で止められる。

「動くな」

レオ静かにそう告げる。
みねねとの戦いで用いた榴弾砲を出していた北岡は肩をすくめて返す。

「その女性に人質の価値はないよ」

レオは黙ったままみねねと北岡を見る。

「ただ答えるだけでいい」

レオは続ける。

「お前達の”願い”は何だ?」

その言葉にみねねと北岡はしばし沈黙してから答える。

「……神を殺す」

「面白おかしく生きる」

「お前、最低だな!」

「君には言われたくないね」

「勝手に喋るなお前ら!」

剣を突きつけられていることを気にせず
ケンカを始めようとする二人に対してレオは怒鳴る。

「神を殺す。か」

みねねの言葉を繰り返すレオ。
レオは剣を持っていないほうの手を手刀にして、
唐突にみねねの腕を浅く斬った。

赤い血が空を舞う。

「赤い血……なのにお前は神を殺すのか」

「はぁ? 人の道でも説こうってのか?」

血を流したことを頓着せず、
ただ嘲るみねねにレオは首を振る。

「いや、お前に興味がわいた。
 お前がここでどう生きるか見てみたい」
58天国とは神のおわすことなり  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/12(火) 07:38:04.18 ID:8DKJp8pj

言葉と共にレオは炎を消し、初めの姿に戻る。
レオの豹変にみねねが警戒を隠さずに言う。

「いきなり何のつもりだ?」

「いいじゃない。
 信用できないのはみんな同じでしょ?
 三人いたら一人が寝ていても
 二人がお互いを見張ることができるから安心だしね」

北岡がレオの言葉に真っ先に賛同したことで
みねねも最終的にはレオの同行を受け入れた。
日記があればまず逃げることができるだろうと
踏んでいたことが大きいが。

「一つだけ教えろ」

「なんだ?」

「どうしてあのガスをくらっても平気だった?」

みねねの質問に北岡も同意するように興味深げな眼差しでレオを見る。

「俺の属性は炎だ。
 超高熱で空気に気化する兵器だったようだが俺に熱は効かない。
 ……そこの仮面ライダがくらっていたらひとたまりもなかっただろう」

「いや、余計なことは言わなくていいから」

何のこともないといった風な口調でレオが答えるのを聞き
みねねは拍子抜けする。

「お前みたいなのが何人もいるのか?」

「防人では俺だけだ」

レオの言葉にみねねは少し満足したように頷く。
爆弾魔の彼女にとって炎を司る彼はまさしく天敵。
最終的には殺さなければいけないが
そこは北岡や他の参加者と潰しあうように煽ればいい。

「じゃあ収穫あったってことで先に進むか」

「歩きで? 冗談きついよ」

「しかたねえだろ」

不平を漏らす北岡にみねねは素気無く言うと
新たな同盟者レオとともに南へと進む。


神を憎み、殺そうとする女は知らぬ間に自らが神となったことに気づいておらず。
神に憎悪を奪われ、戦う理由を喪った少年は、神を憎む赤き血の神に興味を持つ。


この出会いはまだ喜劇の域を出ていない。

59天国とは神のおわすことなり  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/12(火) 07:40:05.03 ID:8DKJp8pj

【D-6/1日目/早朝】

【北岡秀一@仮面ライダー龍騎】
[状態]:疲労(小) 、
[装備]:カードデッキ(ゾルダ)
[道具]:基本支給品一式、マスターキー@オリジナル、黒のアタッシュケース
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して永遠の命を手に入れる
1:D-7、清明院大学に行く
2:雨流みねねとレオを利用しつつ優勝を目指す
3:知らないことについて情報が欲しい (レオからはちゃんとした情報がほしい)
4:女性とはあまり戦いたくない

[備考]
※参戦時期は劇場版開始前のどこかからです。詳しくは後の書き手にお任せします。
※未来日記の世界観、雪輝、由乃、来須、マルコ、愛のみねね視点で知っている大体の情報を把握しました。
※逃亡日記は所有者の逃走経路を予知するものだと勘違いしています。


【雨流みねね@未来日記】
[状態]:疲労(小)、若干の後悔
[装備]:MKU手榴弾[4個]@現実 BIM(烈火ガス式)[7個]@BTOOOM!
[道具]:基本支給品一式、逃亡日記@未来日記、
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して“神”を殺す
1:D-7、清明院大学に行く
2:北岡秀一とレオを利用しつつ優勝を目指す
3:他のゲームについて情報が欲しい (レオからはちゃんとした情報がほしい)
4:時間を見つけてBIMを使いこなしたい
[備考]
※参戦時期は原作六巻以降のどこかからです。詳しい時期は後の書き手にお任せします
※龍騎の世界観、城戸、秋山、浅倉についての大体の情報を得ました。(霧島については聞いていません)
※カードデッキは他人が使うと死ぬと誤認しています。


【レオナルド・エディアール@WaqWaq ワークワーク】
[状態]:疲労(少) 軽度の打撲、
[装備]:アシャ@WaqWaq ワークワーク、
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:機械、それに関わる人間を頭痛薬にする
1:みねねに興味があるのでついていく。
2:他の“神”らしき女にも会いたい。
3:防人以外にも戦えるやつがいるみたいだ 。今はどうでもいいが
※由乃の返り血を浴びています。
60 ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/12(火) 07:42:07.42 ID:8DKJp8pj
以上で投下終了です
61創る名無しに見る名無し:2011/04/13(水) 21:17:57.90 ID:SalGORuE
投下乙です

第一放送前に願いが叶うってwww
目的を見失いつつあるレオが興味を示したのがみねねか。
松田とみねねは正反対だがこの2人の絡みに期待

はて? 誰か一人忘れているような……w
62創る名無しに見る名無し:2011/04/13(水) 21:22:31.81 ID:GSYcumWz
マグナギガ「ウシをムシするとかw」
63創る名無しに見る名無し:2011/04/13(水) 22:30:31.37 ID:SalGORuE
マグナギガさん! 
ADVENTなのにGUARDVENTの役割も果たすという
動かぬデカブツのマグナギガさんじゃないっすか!

それはそうと、大人数予約キターー!!
ガッシュ&ユッキーに由乃が乱入(おそらくnot合流)するのは読めたが、杉村キャンチョメもか。
これは一体どうなるんだw
64 ◆W91cP0oKww :2011/04/15(金) 21:59:03.69 ID:eo8UwraJ
投下します。
65創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 21:59:53.12 ID:ACZnyH6Z
 
66混迷する少年少女のバトルロワイアル ◆W91cP0oKww :2011/04/15(金) 21:59:58.60 ID:eo8UwraJ
遊園地にはバラエティ豊かな建物がたくさんある。
メリーゴーランド。観覧車。ジェットコースター。コーヒーカップ。想像するだけで気分が高揚してくるだろう。
だが、全ては静止しており明かりは電灯がポツンと灯っていただけ。
そんな暗闇に支配されていた遊園地に朝の光が差し込もうとしていた。
太陽が空の中央に登ろうとしている。後数時間もすれば燦燦とした日光が世界を照らすだろう。
その遊園地に四人の騒がしい参加者がのんびりと歩いていた。
最も、一人は黙ったままで他の三人が騒ぎの元凶なのだが。

「そうして私と清麿は最後の戦いに勝利したのだ!」
「メルメルメー!」
「おうまさん、さっきからどうしたの〜」
「メル!」
「ウヌウ……どうしたのだ、ウマゴン。おなかがすいたのか?」

雪輝は三人のやりとりを侮蔑した目で見ていた。暗澹な気分は依然と晴れず。
雛苺の甘ったれた声がいらだたせる。ウマゴンの困ったような顔が見ていて吐き気がする。
そして何よりも。

(何が、やさしい王様だ)

ガッシュの英雄譚が、仲間と共に巨悪を打ち破ったという結果が気に入らない。
どうしてだ。黒い黒い、真っ黒な心が雪輝の頭の中をジクジクと猛毒のように支配していく。

(何が、仲間だ……!)

疑問の感情が際限なく湧き上がる。何故ガッシュ達は幸せで自分は不幸なのか。
片や家族も友達も地位も名誉も財も全てを手に入れた。
片や家族は殺されて、友達は自分の手で殺した。全てを元に戻すという意志の名のもとに。
どうしてここまで差があるのか、自分とガッシュの環境の違いに。

(死者蘇生なんて嘘かもしれない……でもっ! それに賭けるしかなかった……!)

何もかもが狂ってしまった日常を取り戻すために。
家族三人で星空を観るために。
幸せが欲しかった、ただそれだけなのに。
雪輝の願いは普通の少年少女が持つありふれた、そんなものだった。

(なりふりなんて構っていられないんだ、もう迷う時間は終わりだったんだ……!
 例え可能性がゼロに近くても、僕は)

思わず指先に力が入り、痛いぐらいに掌を握りしめる。
感情の制御がきかず歯がギリギリと音を立てて鳴った。
67創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:00:11.79 ID:0MpduBvn
68創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:00:37.73 ID:370I4oRD
 
69混迷する少年少女のバトルロワイアル ◆W91cP0oKww :2011/04/15(金) 22:00:56.45 ID:eo8UwraJ

(神になる道を行くと決めたんだから)

爪の跡がくっきりと残っている。軽く触ったが痛い、が心はそれ以上に痛い。
雪輝の思考は闇の呪縛によって雁字搦めにとらわれていた。
ふとガッシュが振り返ったがとっさに笑顔の仮面を作って対応。
仮面に騙された憐れな子供はそのままにへらと笑ってまた前を向く。

(――ああ、殺したい)

この笑顔をめちゃくちゃにしてやりたい。雪輝の黒い願望が表面に這い上がろうとしている。
今、この場で裏切ったら。どんな顔で泣いてくれるんだろう。
ガッシュの言う“戦い”というものを自分のしてきた“戦い”に塗りつぶしても、やさしい王様になるなどと戯言をほざけるのだろうか。
思考が白から黒へ。押し隠していた殺意が徐々に雪輝の本来持っていた善意と迷い、死の恐怖を無くしていった。

(それに、同調しているあの二人も同罪だよ……! 何で笑っていられるんだよ)

ガッシュと一緒にきゃっきゃっと笑顔を振りまいている雛苺。
変な鳴き声で何かを伝えようとせっせと腕をふっているウマゴン。
まるで二人はここが戦場でないかのように笑う。
雪輝は三人を見ていると此処は殺し合いなんて行われてなくて、ありふれた日常だと錯覚してしまう。
このワンシーンだけを切り取ったとしたら殺し合いなんて嘘だって思ってしまうだろう。

(きっと、こうやってる今も……戦いはあるんだ。僕らはまだないけど……)

死人ゼロなんて楽観的な考えを雪輝は思っていない。
放送でどれだけの脱落者が呼ばれるかは知らないが、それなりの人数は呼ばれることだろう。
そう、判断した。

(由乃は大丈夫かな……)

自分の彼女である我妻由乃は今どうしているだろうか。
下手に喧嘩を売って傷ついてはいないだろうか。
雪輝の心中は穏やかではない。由乃が大人しくしているはずがない、そう確信めいたものがあったからだ。

(早まったことをしてなければいいんだけど)

由乃が自分を最後の一人にするために参加者を殺しまわっていたとしたら。
まず思ったのが由乃を止めること。だがそれはほぼ不可能に近い。
加えてその場は止められたとしてもまたいつ暴走するかは予測できない。
それならいっそ。
70混迷する少年少女のバトルロワイアル ◆W91cP0oKww :2011/04/15(金) 22:01:36.04 ID:eo8UwraJ

(僕も由乃と一緒に……)

殺してまわろうか。最後の言葉までは出なかった。まだ迷いが完全に払拭されたわけではない。
死にたくない。取り戻したい。それが雪輝の根幹にある感情なのだ、殺人を楽しむ思考はあいにくと持ち合わせていない。
だから最初は乗らなかった。ガッシュとの初対面でも対話を選んだ。
だが今は状況が違う。
雪輝の心中にはガッシュへの嫉妬がグルグルと渦巻いている。

(全てを手に入れたガッシュが、憎いんだ)

どうして幸せなのはあいつで僕は幸せでない。
雪輝の思考はこれにつきた。
幸せに餓えている雪輝からするとガッシュは妬みの対象。
手から大切なものがほとんどこぼれ落ちた自分と違って手ですべてを掬い上げたという事実が気に入らない。
だから。

(……ぁぁ)

ポケットに入れた投げナイフに指先が触れる。金属特有の冷たさが熱くなっていた指を僅かだが冷ました。
それでも頭は冷やしてくれず。ありったけの黒い憎悪が刃に注がれる。
さあ。殺せ。殺すんだ。悪魔がキャラメルのような甘い誘惑を囁く。
殺すな。何の罪もない子供を殺してもいいのか。天使がどこまでも綺麗な理想を囁く。

(僕は……!)

雪輝は、悪魔の誘惑に負けた。
投げナイフの持ち手を強く握る。残すは後ろからこっそりと刺すだけ。心臓一直線に強く押しこむ。
それだけで甘美なる快楽が訪れるのだ。
そっと投げナイフを外に出す。そして――。

「メルメルメ〜!」

視界に飛び込んでくる馬の顔。ウマゴンが雪輝の腹めがけて飛び込んできたのだ。
汚い悲鳴をあげながら雪輝は地面に倒れ込む。
何故自分はこんな目にあっている?
雪輝は気付かなかった。
投げナイフを持ち、殺意をぎらつかせている状態をウマゴンに見られていたことに。
内面に入り込みすぎたために周りを見ることを怠っていたことに。
71創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:01:51.95 ID:370I4oRD
 
72混迷する少年少女のバトルロワイアル ◆W91cP0oKww :2011/04/15(金) 22:02:18.36 ID:eo8UwraJ

「な、何するんだよ!」
「メルっ!」

そのままウマゴンは雪輝の手を力いっぱい噛む。くぐもった悲鳴があたりに響いた。
手首に鋭い痛みが走り、投げナイフが手から離れる。

「ウマゴンどうしたのだ!?」
「おうまさん!?」

ガッシュと雛苺がもみ合っているう雪輝達に驚きの表情を見せながら駆け寄ってくる。
この状況は非常にまずい。下手に事がややこしい方向へ進もうとしている。
雪輝がこの状況から脱出するプランを考えたところだった。

「ユッキーに何をしている、このブサイクな馬がああああああああああっっっ!!!!」

雪輝でもなく、ウマゴンでもない。ましてやガッシュや雛苺でもない。
辺りの空気を切り裂くかの如く絶叫が雪輝達の耳に反響した。
刹那。ウマゴンの身体が大きくバウンドし吹き飛んだ。

「ゆ……の……?」
「大丈夫、ユッキー?」

雪輝の真上の視界に我妻由乃が怒りの表情を見せながら映っていた。
何故ここに由乃がここにいるのか。理由は単純だ。

##########

4:48

ユッキーがウマみたいな何かに襲われてる!?
助けないと! 待っててねユッキー!

##########

由乃は雪輝日記に現れたこの文を読んで一気に暴発してしまった。
これを見た後からの行動は早かった。即座に雪輝のいる遊園地に向かった。
そして由乃の目の前に飛び込んできた光景はウマゴンが雪輝に襲いかかっている様子であった。
IMIウージーを使ってしまったら雪輝を巻き込む可能性があるために直接的な打撃にしたのだ。
全ては雪輝のために。我妻由乃の何もかもは雪輝に差し出すと決めているから。
だから。

「馬程度が私の男ボコッてんじゃないわよ、殺すよ!?」

雪輝を傷つけたこの“三人”は敵だ。殺していい奴等だ。
このブサイクな馬を止めなかった時点で残りの二人も同罪、女の人形はもとから殺すつもりだったけどガキもムカつく、判決は死刑。
73創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:02:50.29 ID:ACZnyH6Z
  
74混迷する少年少女のバトルロワイアル ◆W91cP0oKww :2011/04/15(金) 22:03:17.98 ID:eo8UwraJ
殺意の激情が由乃を燃え上がらせる。

「まあ謝ろうが何をしようが――」

苛立つ。

「アンタ達全員――」

最高に苛立つ。

「ブッ殺すんだけどね」

その苛立ちをなくすために、お前ら全員贄となれ。



◆ ◆ ◆



(どうしてこうなった……!?)

雪輝の心中は焦りでいっぱいだった。
目の前では由乃とガッシュ達が戦闘を開始している。
最も、ガッシュ達は困惑で攻めあぐねていて由乃の一方的な攻撃となっているが。
IMIウージーからは弾丸が射出される。ガッシュ達は周りにある障害物を上手く利用して弾丸から身をかわす。
だがそのせいで由乃に接近ができていない。

(僕は、止めるべきなのか? それに由乃のあの怪我は……!)

このままだと由乃か、ガッシュ達のどちらかが血の海に沈むだろう。
無論この戦いは怪我をしている由乃の方が圧倒的に不利だ。
武器という面からすると勝っているかもしれないが他の面では全て分が悪い。
この状況で自由に動け、由乃を助けることができる者は雪輝しかいない。

(僕は――)

憎しみに突き動かされるかの如く動くのか。
優しさに突き動かされるかの如く動くのか。
どちらの道を進むとしても戻ることは許されない。中途半端に進んで後戻りなど言語道断。
迷いは死に直結する。故に、長考。
こうして雪輝が迷っている中でも戦闘は進んでいく。

「死に、晒せ――――っ!」
75創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:03:19.32 ID:0MpduBvn
76創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:03:21.10 ID:370I4oRD
 
77混迷する少年少女のバトルロワイアル ◆W91cP0oKww :2011/04/15(金) 22:03:50.50 ID:eo8UwraJ
凶弾がガッシュ達を襲う。当たったら行動不能。空を駆け抜けて標的へと高速で迫る……!

「ウヌウ……これじゃあ近寄れん!」
「どうしよう、ガッシュ……このままじゃヒナ達……!」

今のところは全員弾丸に当たっていなく、怪我もない。だがそれも時間の問題だ。
直に避けられなくなり血飛沫をあげながら倒れるのがオチだ。

「ウマゴンは何かいい案が……?」

自分らと同じように弾丸から逃げ延びてきたウマゴンに対して何か聞こうかと横を見たら。

「おうまさん!?」

雛苺の視線の先には隠れている建物の影から飛び出して由乃目がけて疾走するウマゴンの姿があった。
当然、由乃はその行動を見過ごしはしない。
銃口をウマゴンに向けてトリガーを引く。そうするだけでウマゴンは死に至るだろう。

「えっ?」

あくまで、術を行使していなければだが。

「メルメルメー!」

ウマゴンに全身に装着された鎧に頭に付いた大きな一つの角。
建物の影から出る前にゴウ・シュドルクを発動させたのだ。
この恩恵によってウマゴンの身体能力は強化され弾丸の回避など楽に行われる。
駆ける、駆ける、駆ける! 弾丸は悠々と回避、由乃との距離は着々と縮まっていく。

「メルっ!」

ウマゴンは思う。こいつらは危険だ、ここで何か対処をしないと殺される。
それは本能だった。明確な理由はないが感じるものはある。
由乃から溢れでている狂気の念。そして雪輝の黒く淀んだ殺意。
これらに気づいてしまったがために見過ごすことは出来ない。
先程の雪輝はまだ未遂だったからそこまでは感じなかった。
だが今度の由乃の襲撃は明らかに殺意を持って行われたものだ。これで二人の危険性はもはや確信に変わった。
親友の未来を護るために。望まぬことではあるが、少し痛い目を見てもらう。
ウマゴン自身も知らぬうちに殺し合いの空気に当てられたのだろうか、普通ならこんな行動には出なかったであろう。
だが、此処は普通ではない。バトル・ロワイアルの舞台だ、戦わなければ生き残れないのだ。
78創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:04:21.95 ID:0MpduBvn
79混迷する少年少女のバトルロワイアル ◆W91cP0oKww :2011/04/15(金) 22:04:25.57 ID:eo8UwraJ

「チッ」

由乃は舌を鳴らして右に大きく跳ぶ。その刹那にウマゴンが由乃のいた場所を高速で駆け抜けた。
当たったら大怪我必死。真正面から戦うなんてしない。
最優先は雪輝の安全確保。そのためにはこの戦闘は負けられない。
気を引き締めるのと雪輝分を補給する意味合いを込めて雪輝を見る。

「なっ……!」
「うわあっ!」

その時由乃の目に写ったのは驚愕に価する光景だった。
ウマゴンが雪輝目がけて突っ込んでいる。
そう、由乃なんて眼中にないかのように。
結論から言うとウマゴンの狙いは最初から雪輝だった。
見たところ、由乃は雪輝が第一として行動している。
なら雪輝を押さえればいいのではないか。

「メル!」

後は簡単だ、雪輝を無効化する。それで終わりだ。
由乃は一拍遅れでその事実に気づいてしまった。気づいてしまったが故の絶叫が自然と口から漏れ出す。

「ユッキイイィィィィイイイイ!!!!!!」

IMIウージーを使えば雪輝に当たる可能性がある。
もし誤って雪輝を撃ち殺してしまったら悔やんでも悔やみきれない。
由乃にそれを止めるすべはなかった。
このまま雪輝が傷つくのを指を咥えて見ているだけ。
焦燥する感情。それゆえに気づけなかった。
雪輝日記に新たな文が映っていることに。

##########

4:59

ユッキーが変な怪人に無事だった!
怪我がなくてよかったよユッキー!

##########

「そこまでだ」

ウマゴンが雪輝に接触する前に銀色の何かが前に立ちふさがり、突進してくるウマゴンを掌底で吹き飛ばした。
80創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:04:42.93 ID:370I4oRD
 
81混迷する少年少女のバトルロワイアル ◆W91cP0oKww :2011/04/15(金) 22:05:13.06 ID:eo8UwraJ
バウンドしながら後方へウマゴンは吹き飛ぶが四つの足で地面に力を張り少し離れたところで停止する。

「銃声が聞こえたからやばいことになってるとは思ってたけど……」

威風堂々と立っているその姿は銀色の人形だった。
銀色を基調としたフォルムに所々青い線が入っている。素顔は仮面に覆われていて判別はできない。
しかし、声からは力強い男の声が発せられた。
仮面ライダータイガ――――杉村弘樹、此処に見参。

「とりあえず此処は収めてくれないか、穏便に済ませたい」
「メルっ!」
「頼む……出来れば傷つけたくはないんだ」
「メルメルメー!」

杉村の説得にもウマゴンは揺るがない。否定の意を首を横に振ることで伝えた。
ウマゴンとしては雪輝がナイフを持ってガッシュを襲おうとしている現場を見たのに加えて、
由乃に突然襲いかかられたことからとてもじゃないがこの二人と話し合いなんて出来ないと感じていた。
両者ともに譲らず。そうなれば戦いは必然。
ドンと強く地面を踏みしめる音を皮切りに戦闘が開始された。
杉村は雪輝を、ウマゴンはガッシュ達を巻き込まないようこの場から離れていく。
そして弘樹の登場で固まっていた残りの面々もそれに釣られて動き出す。

「ちょ、ちょっと待つのだウマゴン!」
「ガッシュ危ない!」

この状況についていけず呆けていたガッシュが意識を戻す。
これは誤解が誤解を生むすごくまずい状況なのではないか。
このままだといけない。そう思って隠れている建物の影から出ようとした。
だがそんなことを由乃はさせない。IMIウージーから放つ弾丸によりガッシュは隠れる他ない。

「アンタ達の相手は私」

この機会は偶然の重なりからきた幸運。逃すすべはない。
今ここで二人を殺して最後に残った馬の化物も殺す。
由乃の頭の中ではこれからの予定が着々と固まっていく。

「ユッキーをいじめた奴等をちょっとぶち殺してくるからちょっと待っててね♪」
「由乃!?」

最後に雪輝に向かって軽く微笑むと由乃はガッシュ達が隠れている方向へ走りだしていった。
82創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:05:46.75 ID:ACZnyH6Z
 
83創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:06:00.16 ID:0MpduBvn
84混迷する少年少女のバトルロワイアル ◆W91cP0oKww :2011/04/15(金) 22:06:36.16 ID:eo8UwraJ
雪輝は考える。
このままだと由乃は負ける。ウマゴンが減ったとはいえ人数で負けている上にガッシュは相当の手練だ。
その未来を書き換えることができるのは雪輝のみなのだ。
選択が、迫る。




◆ ◆ ◆



「大丈夫かなあ、弘樹……」

遊園地の待合室にキャンチョメは一人佇んでいた。杉村にここで待っていろと言われて一人残っているのだ。
最初、二人は市街地に向かう予定だったが杉村が何か不穏な気がしたと言って目的地を遊園地に変更したのだ。
その不穏な気がチャンによる気の放出だとは二人は気づきはしなかったが。
そして遊園地に着いた時に銃声が聞こえたのだった。
キャンチョメが最初に感じたのは恐怖だった。銃で撃たれて血まみれになった自分の姿を想像するだけで震えてくる。
ガタガタと歯を鳴らして震えてるのを杉村は蔑みもせずに受け止めてくれた。

「キャンチョメはここで待っていてくれ。俺がどうにかしてくるから」

そう言い残して杉村は銃声が鳴る方へと駆け出して行った。
杉村は勇気がある人物だ、自分なんかとは違って戦うことができて、他人を思いやることにも長けている。
羨ましい。僕も誰かを護れるくらいに強くなりたい。
心中で燻っていた強さへの渇望がドクドクと溢れてくる。

「僕も……戦いたい。でも怖いんだ……」

戦いに挑む勇気よりも死に至る恐怖が勝る。
遊んでいたい。生きていたい。フォルゴレと一緒にいたい。
死んだらそこで終り、やりたいことはもう出来ない。
キャンチョメの心はそれらを失う恐怖でいっぱいだ。他のことを考える余裕などない。

「僕みたいな弱っちい奴が戦うなんて無理だよ……」

少年は、まだ自分の中に眠っている強さを知らない。
85創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:07:16.50 ID:0MpduBvn
86創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:07:16.86 ID:370I4oRD
 
87混迷する少年少女のバトルロワイアル ◆W91cP0oKww :2011/04/15(金) 22:07:17.83 ID:eo8UwraJ



【A-7遊園地/一日目/早朝】

【ガッシュ・ベル@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康
[装備]:魔法のマント@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品、ガッシュの魔本@金色のガッシュ!!、ポップコーン@現実、粘土@現実
[思考・状況]
基本行動方針:やさしい王様としてこのバトルロワイアルを止める。 
1:由乃をどうにかする。
2:ティオやキャンチョメ達仲間との合流。
※参戦時期は本編終了後です。

【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、クレヨン@現実、人参@現実
[思考・状況]
基本行動方針:誰も傷つかない世界が欲しい。
1:由乃をどうにかする。
※シュナイダーの愛称はウマゴンでいいよねと思っています。

【我妻由乃@未来日記】
[状態]:左手首切断(処置済み)
[装備]:雪輝日記@未来日記 、IMIウージー(20/32)
[道具]:基本支給品、IMIウージーマガジン(3)
[思考・状況]
基本行動方針:ユッキーと合流する。ユッキーを殺そうとするやつは容赦しない。
1:ユッキーをいじめた奴等は皆殺し♪
2:ユッキーを守るためなら利用できるものは利用する。
3:ユッキーユッキーユッキー。

【天野雪輝@未来日記】
[状態]:健康、ガッシュへの抑えきれない強い嫉妬
[装備]:無差別日記@未来日記、投げナイフ(15/15)@未来日記
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:????
1:????
※参戦時期はDiary46.5終了以降からの参戦です。
88混迷する少年少女のバトルロワイアル ◆W91cP0oKww :2011/04/15(金) 22:07:55.27 ID:eo8UwraJ
【シュナイダー@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:魔本@金色のガッシュ!!、基本支給品、マキビシ@バジリスク〜甲賀忍法帖〜、煙草@現実
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を探す。
1:銀色の怪物をどうにかする。
2:雪輝と由乃は危険だから信用できない。
3:戦いはまだ終わってないんじゃないの?

【杉村弘樹@バトルロワイアル】
[状態]:疲労(小)、精神的疲労(小)
[装備]:英雄の証@ブレイブ・ストーリー〜新説〜 、仮面ライダータイガのカードデッキ
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本行動方針:七原、三村(本人なら)と合流 
1:馬の怪物をどうにかする。
2:時間を見つけて仮面ライダーとしての力の使い方の練習をしたい。
3:城戸真司に会えたら霧島美穂からの伝言を伝える
4:もし、桐山が琴弾を殺したのだとしたら、俺は……

[備考]
この殺し合いを大東亜帝国版プログラムだけでなく、
それとよく似た殺し合いの参加者も集められていると暫定的に推測しています。
仮面ライダーへの変身の仕方を理解しました。
参戦時期:琴弾と合流後、桐山襲撃直後



【A-7遊園地の待合室/一日目/早朝】

【キャンチョメ@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康、強い恐怖、力への渇望
[装備]: キャンチョメの魔本@金色のガッシュベル!!
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を探す
1:怖い……でも……
2:あの女の人はなんだったんだろ?
3:フォルゴレがいないのになんで呪文が使えたんだろう?

[備考]
何故かパートナーがいなくても術が使えることは理解しました。本がフォルゴレ以外に読めるとは思っていません。
参戦時期:ファウード編以降
英雄達の像に安置されていた盾斧@ブレイブ・ストーリー〜新説〜は甲賀弾正屋敷に隠してきました。
89創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:08:20.33 ID:370I4oRD
 
90混迷する少年少女のバトルロワイアル ◆W91cP0oKww :2011/04/15(金) 22:08:35.68 ID:eo8UwraJ
投下終了です。支援ありがとうございました。
91創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:09:20.66 ID:370I4oRD
 
92創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:33:09.37 ID:GxZ44Ygy
投下乙!
乱戦だ! ロワの華の乱戦だ!!
wktkせざるをえねえぜ!!
三村のKOOLフラグを継承しかけている気がしなくもないぜ杉村!!
ユッキーと由乃もヤバイな。誤解が解けたら周りに超人しかいねえw
93創る名無しに見る名無し:2011/04/16(土) 13:54:54.31 ID:qrpHpKrD
投下乙!
遊園地組が未来日記勢2人により混沌としてきたw
ガッシュ、ウマゴン、雛苺、杉村、キャンチョメ。こいつらだけなら対主催同盟が結べそうなのにw

ガッシュが話せば話すほどユッキーの心の汚れが浮き彫りになるとは皮肉だ。
2箇所でバトルが発生したがユッキーはこれからどう動くんだ!?

改めて投下乙です!
94創る名無しに見る名無し:2011/04/19(火) 20:04:01.42 ID:xznn7ZLO
保守
95 ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/19(火) 23:47:23.79 ID:+jMVV5t3
投下します
96創る名無しに見る名無し:2011/04/19(火) 23:49:10.64 ID:Ng0X4T6A
 
97増えるジジイに逃げるジジイ  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/19(火) 23:50:11.32 ID:+jMVV5t3

ジジイが空から降ってきた。

白髪鬼はパピーを抱えながら窓を突き破り、病院へと入った。
場所は普通の病室。あるのは殺風景なベッドだけ。
白髪鬼は散乱した窓硝子の破片を踏みしめ、ベッドまで歩き。
ベッドに破片がかかっていないのを確認するとパピーをそこに横たわらせた。

そして、融合を解く。

白髪鬼の体を滝のような汗が濡らしていた。
慣れない護神像の使用。
パピーのために可能なかぎり振動を与えないよう注意しながらの最速の維持。
人智を超えた未知の力の最大限の行使は
老体である白髪鬼から確実に体力を奪っていた。

白髪鬼はパピーの傷を手当てしようと物資を探しに部屋を出ようとした。

ドアへと歩き、ドアノブを回そうとするその寸前に
ドアが蹴り飛ばされたような勢いで開けられる。

ドアを開けられる寸前。
気づいた白髪鬼は一歩後退し、懐に忍ばせておいた拳銃を抜く。

開かれたドアの先にいたのは白髪鬼が参加していたシルバーバトルの乱入者、猿谷甚一。

白髪鬼と向かい合う形で彼もまた銃を構えていた。
だが白髪鬼の姿を眼にしておや、という風に眉を上げる。

「まさかまた会うことになるとは。
 縁というのも分からんもんですな教授」

「おお、お前さんは。そうかそうか、ここにいたのか」

猿谷は笑顔で白髪鬼に語りかけ。
白髪鬼も笑顔でそれに返す。

「そういえば、わしに撃たれた傷はどうなった?」

「それがここに来ておかげさまで傷ひとつないキレイな体に。
 むしろいっそう健康になったくらいで」

二人はかつてお互い殺しあった間柄であったことには
まるで頓着していなかった。

そして、銃口を向け合いながらの会話は
自然と銃口を降ろした会話へと移る。

「ご隠居をどこかで見かけませんでしたかね?」

「いやあ、見とらんなあ。一緒ではなかったのか?」

「いやあ、それが出発したのは別々の場所のようで。
 そういえばそこにいる男の子は何です?
 やけにハイカラなかっこをしているようですが」
98創る名無しに見る名無し:2011/04/19(火) 23:50:33.47 ID:Ng0X4T6A
 
99増えるジジイに逃げるジジイ  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/19(火) 23:53:01.82 ID:+jMVV5t3

猿谷の問いかけに白髪鬼は笑みを浮かべたまま答える。

「そこで拾ったんじゃよ。今から手当てしようというわけだ」

「ほほう。白髪鬼と恐れられた教授も優しいところがあるんですなあ」

顎を撫でながら感心したように呟くと猿谷はパピーへと近寄ろうとする。

その動きを白髪鬼が制する。
犬に命じるかのように手を掲げて猿谷の動きを止める。

「お前さん。このゲームではどうするつもりだ?」

白髪鬼の問いに猿谷は不思議そうな顔をする。

「どう、とは?」

「このゲームでどう動くか。
 そして優勝したら何を要求するかということだ」

猿谷はああ、と得心がいったように頷く。

「いやあ。わたしのような小市民の老いぼれには
 何でもという言葉が一番困るのですよ」

少しはにかむような口調で猿谷は続ける。

「ただ、そうですなあ。
 もっと人を殺せる場が欲しいとでもお願いしてみましょうか」

「ずいぶんと謙虚じゃな。殺しがしたいのなら
 大量破壊兵器でも要求してみたらどうだ。
 とんでもないものをもらえるんじゃないか?」

白髪鬼の言葉に猿谷はぶんぶんと首を振る。

「そんなそんなもったいない! 
 人をただ殺すというのは存外味気ないものですよ。
 狭い空間内で面と向かって一人ひとり殺す。そういうのが好みなんです」

「ハハ。ならこのゲームでもお前さんは」

「ええ! 精一杯、殺すだけです。
 もう叶えてもらったようなものですよ」

白髪鬼は笑い。
猿谷は老後の生きがいを語るような口調で言う。
事実そうなのだろう。外からわざわざやってきて殺し合いに参加するような男だ。
よほど殺しが好きでなければやれないことだ。

100創る名無しに見る名無し:2011/04/19(火) 23:53:15.29 ID:Ng0X4T6A
 
101増えるジジイに逃げるジジイ  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/19(火) 23:55:16.25 ID:+jMVV5t3

だが

「賛同できんなあ」

白髪鬼はガッカリしたように呟き。
改めて猿谷に銃口を向けた。

「殺しを目的にするのは芸がなさすぎる」

銃口を向けられ。
鉛玉が飛び出すだろう昏い昏い穴を目の前にかざされても
猿谷は動じない。

「それなら教授はどうするおつもりで?」

「わしはなあ」

白髪鬼は楽しげに笑う。
銃のトリガーをゆっくり引きながら笑う。

「英雄の道を歩んでみたいのだよ」

鉛玉が吐き出される。
銃弾が猿谷の顔のすぐ横を通り過ぎる。
護神像を駆っていたことによる疲労が狙いを外す一助となり。
それを見抜いていた猿谷は銃が火を噴く直前に体ごと大きく地面へ倒れこむ。

追撃はない。
白髪鬼の体を濡らす滝のような汗が物語っていた。
本来は立っていることすら辛い状態だったのだと。

だが猿谷はそうそう容易くあの白髪鬼を倒せるとは思っていないのだろう。
殺せる相手は確実にキッチリ殺しておくべきと判断したのか
猿谷は銃口を横たわっているパピーへと向ける。
猿谷は引き金を引き絞り。撃つ。

「合体だ。クシャスラ」

その寸前。
銃弾を外した白髪鬼はすぐさまクシャスラと融合する。

だが、間に合わない。
射線を遮るには疲れが溜まり過ぎていた。

手を伸ばしても叶わない。
正確に狙いを定められて発射する弾丸は容赦なくパピーの体を蹂躙するだろう。

そうはさせん。

白髪鬼は強くそう思う。

あれは子供。子供を守るのは英雄たる務め。
英雄には観客たる子供の存在が不可欠。
いわば絶好のファクター。
少年を救い出し、死の淵から救った英雄として記憶されておきたい。
そうも白髪鬼は思う。
102創る名無しに見る名無し:2011/04/19(火) 23:55:42.68 ID:Ng0X4T6A
 
103増えるジジイに逃げるジジイ  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/19(火) 23:57:18.01 ID:+jMVV5t3

手を限界まで伸ばす。
疲労が白髪鬼を鎖のように雁字搦めに縛る。

――そんなにその子供を救いたいか?

白髪鬼の眼にクシャスラが浮かぶ。

ああ。助けたいな。

――受け入れる覚悟はあるか?

クシャスラは白髪鬼にそう語りかける。
だがクシャスラはそもそも語る相手を間違えている。

白髪鬼は鬼。

津幡共仁は鬼。

鬼に受け入れられないものなど。
喰えないものなどあろうはずもない。

  力をくれるなら……よこせ。何だろうとかまわん。

白髪鬼は。
鬼は。
津幡共仁は数千年の願いを流し込まれる。

津幡共仁の脳に流れてくるのは“願い”

下衆な“願い”。高尚な“願い”。優しい“願い”。
ありとあらゆる“願い”が津幡共仁へと流れこむ。

震える体を必死に津幡共仁は抑える。
喜びのあまり震えそうになる体を必死に抑える。

これだ。これなのだと津幡共仁は歓喜する。

願い。星の数のようにある願い。
それを背負うことは彼の行動そのものに意味をもたらす。

受け継いだ、ある“願い”に沿う生き方をする一方で
他の受け継いだ“願い”を踏みにじる。

そんな傲慢な生き方ができる。
まさに英雄に相応しい道。

   ああ。これだから。
   人生は面白い。

津幡共仁は願いをインストールし、
本当の意味で護神像を駆る者となる。

これまでのやりとりは一瞬にも満たない刹那。
104創る名無しに見る名無し:2011/04/19(火) 23:57:37.79 ID:Ng0X4T6A
 
105増えるジジイに逃げるジジイ  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/20(水) 00:00:35.52 ID:U7Hg08zx

銃口は已然としてパピーに向けられたままであり。
疲労は津幡共仁の体に重くのしかかっている。

だが今の津幡共仁には新たに得たであろう能力がある。

手が届かないのなら。
足が動かないのなら。
体そのものを――

子供の為に。死の淵で苦しむ子供の為に。
不安を消し去ってやる為に。



      ジジイは――

             
    ジジイは分裂する!!



分裂。それこそがクシャスラの真の能力。

部屋をジジイが埋め尽くす。
猿谷の視界をジジイが染めていく。
今この瞬間。
猿谷の世界はたしかにジジイが支配していた。

吐き出される銃弾を壁となったジジイがその体で弾く。
銃弾を通さない装甲が銃弾から子供を防る。
疲労で動くことはできなくとも増えることはできる。

「こりゃ逃げないわけにはいかんようですなあ!」

想像の埒外であろう事態を眼にしながらも
猿谷は冷静に状況を判断して逃げ出した。

津幡共仁は。
白髪鬼は。
鬼は子供を防ることができた。
106増えるジジイに逃げるジジイ  ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/20(水) 00:02:37.94 ID:U7Hg08zx


【D-3/一日目/早朝】

【猿谷甚一@銀齢の果て】
[状態]:健康
[装備]:ニューナンブM60(4/5)@現実
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×1〜2(本人確認済)勇者の剣(ブレイブレード)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜、ノコギリ@現実、救急箱@現実
[思考・状況]
基本行動方針:優勝を狙う。
1:協力者を探す。 津幡共仁には用心する。
2:ひとまず病院を拠点にする。
[備考]
※ワタルから幻界の知識をある程度得ました。


【D-3病院/一日目/早朝】

【津幡共仁@銀齢の果て】
[状態]:疲労(極大)
[装備]:クシャスラ@waqwaq、コルト・シングル・アクション・アーミー(5/6)@現実
[道具]:基本支給品、簡易工具セット
[思考・状況]
基本行動方針:英雄として行動する
1:少年(パピプリオ)を治療をする。そのあと休む
2:万一の場合はティオという名の参加者に少年の最後を伝える。
3:ガッシュという名のものを危険視

[備考]
※香川教授のミラーワールド研究レポートは研究室にそのまま放置されています
※工具は現地調達品です


【レオパルドン・パピプリオ@金色のガッシュ!!】
[状態]:右腕喪失、恐慌状態 、気絶
[装備]:魔本@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品一式、月の石@金色のガッシュ!!、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:死にたくない、ルーパーの所に帰りたい
1:……(気絶中)
2:ティオを探してガッシュのことを伝える。あと守ってもらいたい

[備考]
※19巻、レインと戦った直後から参加。
※出血は止まりかけているが、傷口はそのままです。

107 ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/20(水) 00:04:38.38 ID:U7Hg08zx
以上で投下終了です。
支援ありがとうございました!
108創る名無しに見る名無し:2011/04/20(水) 00:14:27.77 ID:VqgSkZxj
新作お疲れ様でした。
かっこいいいジジイたちだなあ。
増えるとは光景を想像するとひたすらカオスだw
銀齢は未読だけど興味を持たせられる内容でした。
109創る名無しに見る名無し:2011/04/20(水) 00:19:06.64 ID:SAJAz0Yt
投下乙!
猿谷さんと津幡教授の会話がらしいなw 殺伐としながらも軽くそして親しげなジジイ同士の会話がいいw
銀齢原作との違いとしてクシャラスの存在だな。
疲労極大ながらもある程度使えるようになったか。
パピーも病院についたことで一安心かな?
110 ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/20(水) 05:01:28.16 ID:U7Hg08zx
あれ。猿谷の残弾数間違えた
wiki収録の時に直しておきますね
111創る名無しに見る名無し:2011/04/20(水) 23:07:36.74 ID:LelEzUh8
投下おつです。爺分裂ww シュールすぎるwww
そして爺同士の会話がしぶくていいなあ。
112創る名無しに見る名無し:2011/04/21(木) 23:45:53.07 ID:dkholPRd
今月のBTOOOM!。
地雷タイプのBIMの性能が説明されてたね
けどアレは使いづらそうだなあw 
113創る名無しに見る名無し:2011/04/24(日) 09:20:29.74 ID:rbd4TySR
保守
114 ◆W91cP0oKww :2011/04/26(火) 00:12:13.61 ID:SHkN0hq5
お待たせしました、これより投下を始めます
115創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 00:12:38.63 ID:esIliB6D
116 ◆W91cP0oKww :2011/04/26(火) 00:13:30.60 ID:SHkN0hq5
「見知らぬ天井だ……」

城戸真司が気絶から立ち直った際の第一声は如何にもテンプレな一言だった。
実際に彼の視界に入っていたのは本当に見知らぬ天井だったのだから仕方がない。
彼の最後の記憶では見知らぬ少年と対峙していた。
そこで互いに勝負を決めようと必殺技を繰りだそうと――。

「うーん、思い出せない」

最後の視界は燃える炎。そして草原。それがどうして家の中なのか。
絶え間なく疑問が浮かぶが真司は最終的に無視を決め込んだ。
考えてもわからないことは仕方がない。

「おう、やっと起きたか」

ふと視線を目の前にあったドアに向けるとそこには小柄な年寄りが立っていた。
その後ろにはドアの影に隠れた朧がこちらを伺っている。

「えーと、貴方は……」
「ああ、まだ自己紹介をしていなかったな。カントリーマンだ」
「あ、これは御丁寧に。城戸真司です。ジャーナリスト見習いやっています」

互いに軽い自己紹介を済ませて真司はとりあえずベッドから起き上がった。
そして軽いストレッチをして身体に異常がないか確かめる。

「体の調子は大丈夫なはずだゼ」
「本当だ……カントリーマンさんが治療してくれたんですか?」
「まあな。最もお前さんはそこまでひどいケガじゃなかったからな。
 それよりも礼を言うなら嬢ちゃんにも言っとけ。お前さんをここまで運んできたんだからな」

真司はそこでドアの影に隠れていた朧に目を向けた。
その様子は少し異様だった。全体的におどおどとしていて目線を合わせようとしない。

「し、真司殿……その、」
「御免、俺……朧さんを護ることが出来なかった」
「そんなことはありませぬ! 真司殿は何のとりえもない私を護ってくださった。
 私のせいで、怪我をさせてしまって」

そして朧はつらつらと語り始めた。
破幻の瞳という瞳術。あらゆる忍法を打ち消す浄化の瞳。
その瞳のせいで真司の変身は解けてレオに敗北することとなった。
全て自分のせいだ。自分がいなければあんな事にはならなかった。
自己嫌悪の負のスパイラルに思考が陥っていく。

「そんなことはない」

そんな朧を真司がほうっておくはずがない。
117創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 00:13:43.33 ID:esIliB6D
118絆を結び/憎しみ ◆W91cP0oKww :2011/04/26(火) 00:14:29.38 ID:SHkN0hq5
彼のお人好しは敵である仮面ライダーを助けようとするぐらいなのだ。
今、彼の目の前で苦しんでいる人をそのまま放っておくなどありはしない。

「あれは事故みたいなもんだよ、というか俺は全然気にしてないし。
 むしろありがとな、俺をここまで運んでくれて」
「元々は私のせいなのですからから当然だと……」
「それでも、だよ。それに最初の出会いの時も俺を信じてくれたじゃん。
 嬉しかったんだ、こんな殺し合いで誰も彼もが乗ろうとする環境で一緒に抗ってくれる仲間ができて」
「真司殿……」
「だからこの話はおしまい。辛気臭いのは苦手なんだ」

そう言って笑って真司は朧に手を差し伸べた。
世の事に疎い朧でもわかる。握手。手を取り合って助け合おうという証明。
差し伸べられた真司の手をおずおずと握り返す。

「うんうん、日本の言葉でいう仲よき事は美しき哉ってやつか? なかなか泣かせてくれる」

今まで黙っていたカントリーマンが二人のやりとりをニヤニヤと笑みを浮かべながら茶化す。
慌てて二人は手を離して通常通りにしようと振舞うが朧の方は顔が真っ赤で振る舞いきれていない。

「茶化さないでくださいよー、俺はマジで嬉しかったんですから」
「なぁに、これぐらいいじゃねえか」
「朧さんだけじゃないですよ、カントリーマンさんのことだって信じているんすから」

その言葉にカントリーマンはぎょっとしたような顔をした。
そんな言葉が真司の口から吐かれるとは思いもしなかったためだ。
何故そう簡単に信頼できる? カントリーマンの頭に疑問が浮かんだ。

「おいおい、まだ会って間もないんだゼ? 普通は何かされたーとか疑うべきなんじゃねえのか」
「何言ってるんすか、いまこうして俺が健康体だってことが何よりもの証拠ですって」
「へっ、お前さんは本当に真っ直ぐなんだな」

――私と違って。
言葉は最後まで紡がれなかった。なにせ搦め手で優勝を狙っている身なのだ、真っ直ぐな心意気なわけがない。
無論、優勝して更なる医学の発展という崇高なる願いに後悔はない。だが、カントリーマンはこの三人で過ごす空間を良い心地だとも思っていた。

(後ろから刺されるって心配もしなくていいしな。それにこいつらはバカみてえに真っ直ぐだから心配はまずない)

シグドラにいる時はそれぞれ己が願いのために手を組んでいるだけであって仲間というよりは同盟といったものだった。
119創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 00:14:49.26 ID:esIliB6D
120創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 00:15:30.16 ID:NxFpNABi
 
121創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 00:15:54.71 ID:esIliB6D
122創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 00:15:58.84 ID:cmaB/qoG
     
123 ◆W91cP0oKww :2011/04/26(火) 00:16:10.87 ID:SHkN0hq5
そこに甘さはない。ただの利害関係だった。
この殺し合いでも同じだと最初は思った。誰も彼もが表面上だけニコニコしているだけだ。
真っ正直な奴など同じくここに呼ばれているワタルぐらいだと考えていた。

(まさか他にも本物のお人好しがいたとはねえ)

仲間と手を取り合い戦いを止めて此処から脱出しよう。それは理想論だ。戦いは止まらない。
だが、この理想論がカントリーマンはなぜか嫌いになれなかった。医学を発展させて多くの人を救うというのもまた理想論。
根本的には同じ理想論を抱いている同士のようなものだ。
加えてカントリーマンは情に厚い。ただ、何を犠牲にしても叶えたい願いのために冷酷に振舞う他ないからそうしているだけなのだ。

(医者として、患者を殺すのは気が進まねえ。気が進まねえけど……!)

迷いがカントリーマンの頭にこびりつく。医者が患者を利用しなければならない、そして最終的に裏切るのだ。
そうしないと多くの人を、自分を救えない。だから彼は再び仮面を被る。願いを叶える道を進む故に。
迷いはあれど、もう戻ることなどできはしないのだから。

「さてと、これからどうする?」
「どうってやっぱ」
「きゃあああああああああああああああああああああッッ!!!」

そしてこれからの方針を決めようとした最中。三人の耳に入ってきたのは女性の強い悲鳴。聞いている方が思わず耳を塞ぎたくなるくらいにその悲鳴は大きかった。
それを聞いて真っ先に動いたのは真司だった。

「この付近で戦いが……? どっちにしろ助けに行かないと……!」
「おいおいちょっと待て。あの悲鳴の声の主、さっきじじいを殺していた女の声だ」

カントリーマンは真司達に先程見た光景について説明する。
色仕掛けと毒を利用して一人の老人を殺した二人組の女性のことを。
そしてその間にも悲鳴は響く。前の悲鳴よりも大きなものだ。

「それでも、例え殺し合いに乗っていたとしても……! 命には代わりはないんだ!
 助けられるのなら、助けなくちゃ……! 心配してくれて感謝はします、だけど俺は行きます!
 人を護る為に仮面ライダーになったんだから!」
「ったくよ、とりあえずは落ち着け! そんな大きな声でしゃべっていると私達の場所が気づかれる。
 早く気配を消すぞ。先手を打たれたら笑い事にならんゼ」
「ふん、貴様らの声など丸聞こえだよ――――ジャウロ・ザケルガ」

それに気づいた時にはもう既に遅し。
少年――ゼオン・ベルの言の葉と同時に幾重もの電撃の塊が三人のいた家に着弾。
124 ◆W91cP0oKww :2011/04/26(火) 00:16:38.49 ID:SHkN0hq5
まだ陽の光が当たらない街に光が灯る。

「やはり威力が落ちているな。なら、それ以上の呪文を使うだけだ、ジガラディス・ウル・ザケルガ」

さらなる白光が世界を染め上げる。雷撃のビームがただでさえ火が燃え上がり崩れかかっていた家を完全に消滅させた。
跡に残るのはプスプスと音を立てて残る家だったもの。そこに建っていたはずの建築物はほぼ消滅し、空地になってしまった。
力が制限されているとは言え炭すらも残らない最大の威力を誇る雷撃、これで確実に始末できたはずだ。

(もし生きていたとしても既に死にかけなはずだ。ともかく、一度戻るか)

そう心中で呟いてゼオンは身を翻して置いてきた二人の少女の元へ向かう。
碌なことをしていなければいいが。それは心配から来る言葉では当然無い。
ただ、嬲って殺すのが面倒なだけ。心の力を余計に使いたくないというあくまで冷製な考えから来る言葉だ。
彼女らの力など最初から当てになどしていない。気に入らなかったら殺せばいい。

(何、使えるなら使えるだけ使って最終的にボロ雑巾のように捨ててやればいい)

黒い笑みを浮かべながらゼオンは陽炎達への扱いを考える。
そのくつくつと笑いながら歩くその姿はまさしく、魔王と呼べるものだった。



◆ ◆ ◆



「はぁ、危機一髪だったゼ。生きた心地がしない」
「あんな強い忍術を使う幼子が甲賀と伊賀以外でいるとは……」
「アレは忍術というか……魔法みたいだったんじゃ……」

三人は黎明の街を高速で駆けていた。三人とも所々焦げているがひどい怪我はない。
カントリーマンは素の身体能力が高く、真司は仮面ライダーに変身している為に速度は早い。
朧だけは二人のように超人的な身体能力がない為に真司がお姫様抱っこで運んでいる。
現在は、破顔の瞳により動きが鈍くならないように、真司の変身が解けないようにと朧は目をつぶっている。

「嬢ちゃんの破幻の瞳のお陰で助かった、それがなかったら死んでいたかもな」
「あんな攻撃をまともに受けたら死ぬって!」

電撃が彼らを襲う直前、朧が向かってくる電撃を“視た”ことによって最初の攻撃は幾らかは軽減された。
だが次はそうも行かなかった。大きな力を感じた三人は即座にその場から脱出したのだ。
125 ◆W91cP0oKww :2011/04/26(火) 00:17:10.74 ID:SHkN0hq5
脱出に関しては真司が無理やり家の壁を破壊してジガラディス・ウル・ザケルガが辺りを消滅しつくす前に射程から逃れた。
ゼオンはまさかそんなことをしているとは思っていない。制限されているとはいえ自分の力に自身を持っているのだ。
これだけの威力を前にして五体満足で生きているとは露程も思っていないだろう、と三人は考えていた。

「さてと、とりあえずここから離れるぞ。こんな有様じゃ助けに行くなんて出来ないゼ。
 嬢ちゃんはこの眼以外じゃあ無力だしな」
「すいません、お役に立てずじまいで……」
「朧さんは謝ることないって。カントリーマンさん、俺が単独であの悲鳴の女の子の下に向かいます。だから、」
「何言ってるんだ、もし別れた後にあの雷撃の奴に襲われたら嬢ちゃんがいるとはいえ敵うかどうかわからん。それに殺し合いに乗っている奴を助けるほど私はお人好しではない」

真司は歯噛みをしながら目の前で助けを求めている人の元へいけないことに悔しがる。
もっと力があれば助けられるのに。仮面ライダーになり少しでも多くの人々をモンスターから護るため、戦いを続けてきた。
これからもそうしていこう。もう、自分の前で死んでいく人を見るのは嫌だから。
だがその考えは脆くも崩れ去った。

「人を助けるのはいいがお前さん自身が死んだらそこで終りだぞ、何にも残りはしない」

そう、死んだらもう何も出来ない。人を助けることも護ることも。
それに自分の勝手な考えで残りの二人を危険な目にあわせ、もし死なせてしまったら悔やみきれない。
全てを護り切るなどこの殺し合いではどれほどの苦難か。真司は改めて道の険しさを思い知った。

「畜生……俺は、無力だ」

真司は選択を迫られた。助けるか。見捨てるか。
結論から言うと真司が選んだのは今の仲間達を護ること。どうしても、二人を危険な目に合わせたくなかった。
特に朧は戦闘に関しては素人なのだ、いくら破幻の瞳があるとはいえ襲われたら一溜まりもない。
126 ◆W91cP0oKww :2011/04/26(火) 00:17:48.70 ID:SHkN0hq5

(あの悲鳴の子が護れないのなら……! せめて、手の届く範囲にいる人だけでも、護ってみせる……!)

そして彼らは気づかない。
その姿を殺意を滾らせて見ている者がいることに。



◆ ◆ ◆



時は少し前に遡る。陽炎と光子はとある民家でただじっとしていた。
本来ならゼオンとの情報交換をしていたのだが、実際には行われなかった。
理由は気絶した光子を運ぶ道中、とある民家から大きな話し声が聞こえてきた為だ。
そしてゼオンが情報交換をする前に始末してくると言って飛び出し、陽炎達は待っていろと言われたのだ。

(あんな童子に踊らされるとは……甲賀の忍者として恥ずべきことじゃな)

あの最初の邂逅からほとんどゼオンにアドバンテージを取られていた。
今は何とか協力体制を築けたとはいえいつ切り捨てられるかわかるものではない。
重要な局面でそれをされたら一巻の終わりだ。

(今の内に逃げるか? だが踏ん切りがつかぬ)

今この場にゼオンはいない。この隙に自分は逃げることができる。光子は置いていくことになるが知った事ではない。
元より頼りにしていないためにそこまで重要な駒ではない。だが、陽炎は動く動機がはっきりとつかめなかった。
ここで行動に移れる強いきっかけが欲しい。そう思っていた最中、大きな音と強い光が外から家の中へと響いてきた。
ゼオンが敵を補足して攻撃を始めたのだろうと予測する。外を覗いてみると少し離れたところで爆発したかのような大きな光の塊がとある民家を飲み込んでいた。

「……っ。まさかあれ程だとはな」

その雷撃の威力は予想をはるかに上回るものだった。最初に見た電撃とは桁が違う。
自分の忍術は搦手を用いたものだ、ゼオンの雷撃を真っ向から打ち破る手はずは存在しない。
ここはやはり大人しく従おう、そう決めた矢先のことだった。

「あれは朧……!」

ゼオンの攻撃から逃げるようにしてこちらに向かってくる三人の参加者。
一人は老人、一人は全身を何かで覆った仮面の人物。だが、これらの二人は今の陽炎にとってはどうでも良かった。
朧。憎き伊賀の首領の娘であり陽炎が密かに思っている甲賀弦之介の婚約者。
嗚呼憎い。この手で八つ裂きにしてやりたいくらいに、憎い。
陽炎の中に潜んでいた憎悪の炎が激しく燃え上がる。

「殺す……アレだけは許さぬ」

そう。許すつもりもない。必ずやあの首を殺ってみせる。
だがここで軽率に動いていいものだろうか。光子を殺すことはいい。躊躇もなくできる。
ただ問題はゼオンだ。彼はここで大人しく待っていろと言った。朧を殺しに外へ出ていくのはそれを真っ向から反逆する行為だ。
アレだけの力を持つ少年に真っ向から敵対などとってみたら。予想は簡単につく。嬲り殺されるのが落ちだろう。
127創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 00:18:03.92 ID:esIliB6D
128創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 00:18:05.97 ID:NxFpNABi
 
129 ◆W91cP0oKww :2011/04/26(火) 00:18:27.07 ID:SHkN0hq5
ゼオンはもはや手を緩めずに自分を殺すだろう。

「ここは、どうする?」

こうしている間にも彼らは此処から離れていく。ここで逃したら次に会えるかどうかはわからない。
彼女の行動次第で転がる方向はガラリと変わる。この邂逅は誰も死なずに収まるか、誰かが命を散らすことになるのか。
決断が、迫られる。



【C-4/1日目/早朝】

【カントリーマン@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:健康
[装備]:奇跡の執刀(ハイブリッド・メス)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品、不明支給品×1、首輪(是方昭吾)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する。
1:攻撃場所から離れて体制を整える。
2:城戸真司、朧を利用する。
3:チャンに勝ち得る方策を模索する。
4:薬師寺天膳の体に強い興味。
[備考]
※是方昭吾の死体をアンデッドとして従えました。
※陽炎、相馬光子の武器を毒と判断しました。

【奇跡の執刀(ハイブリッド・メス)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
カントリーマンの専用武器。非常に鋭利な刃物。
凄まじい速さの外科手術を可能とする。


【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
[状態]:全身打撲(処置済み)、軽度の火傷(処置済み)、龍騎に変身中
[装備]:カードデッキ(龍騎)
[道具]:基本支給品一式、桜田ジュンの裁縫道具セット@ローゼンメイデン
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを止める 
1:攻撃場所から離れて体制を整える。
2:朧、カントリーマンと共に動く
3:神崎は焦ってる…?

[備考]
バジリスク勢は六名全員が味方だと認識しています

※参戦時期は後の書き手の方にお任せします
130 ◆W91cP0oKww :2011/04/26(火) 00:19:02.22 ID:SHkN0hq5
【朧@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:良好
[装備]:鉈@バトルロワイアル
[道具]:基本支給品一式、、BIM(クラッカー型)×6@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:弦之介達と合流する(その後のことはまだ考えていない) 
1:攻撃場所から離れて体制を整える。
2:真司、カントリーマンと行動を共にする
3:弦之介様に会いたい……

[備考]
破幻の瞳の効果について:防人や仮面ライダーが技を発動時には技を消失させ、しばらく見つめることで変身も解除される。
旅人の場合はしばらく見つめていることで戦力の低下と魔法の使用が不可となる。
他の世界の参加者についてどのように作用するかは不明 朧は制限を正確には認識できていません。

※参戦時期:漫画版1巻、不戦の条約が解かれたことを知る前から参戦
※三人がいた民家はほぼ跡形もありません。



【C-4/市街地/一日目・早朝】

【ゼオン・ベル@金色のガッシュ!!】
[状態]:疲労(小)、心の力消費(中)
[装備]:魔本@金色のガッシュ!!、ゼオンのマント@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×2〜4(ゼオン、三村(武器ではない))
[思考・状況]
基本行動方針:何としてもガッシュを生還させる
1:陽炎と手を組む(裏切る行為を見せたら容赦はしない)
2:陽炎と情報交換をするために戻る。
3:ガッシュを優勝させるため、他のすべての参加者を殺す
4:ガッシュとその仲間が主催者に勝てそうなら、自らガッシュに討たれる

[備考]
※自身にかけられた制限をほぼ完璧に把握しました。
※魔界に帰った後からの参加。
131 :2011/04/26(火) 00:19:11.69 ID:esIliB6D
132 ◆W91cP0oKww :2011/04/26(火) 00:19:23.09 ID:SHkN0hq5



【C-4/とある民家/一日目・早朝】

【陽炎@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:健康、朧への強い憎悪
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品×2〜3
[思考・状況]
基本行動方針:甲賀弦之介を優勝させる
1:どうする?
2:ゼオンと手を組んで情報交換? それとも朧を殺すために……?
3:相馬光子と協力して(弦之介、霞刑部以外を)殺す方に回る。
4:頃合いを見て相馬を殺す


【相馬光子@バトルロワイアル】
[状態]:健康、マフラー着用、中度の火傷、失禁、気絶
[装備]:制服の所々が焦げています 剃刀@現実(首輪につけています)
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×2〜4(是方0〜1、相馬2〜3)、レミントンM700@現実
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する
1:(気絶中)

[共通備考]
C-4市街地に相馬の悲鳴が2度ほど響きました。近隣の参加者は聞こえた可能性があります。
133創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 00:20:35.80 ID:cmaB/qoG
   
134◇W91cP0oKww氏代理:2011/04/26(火) 00:23:07.67 ID:esIliB6D
名前: ◆W91cP0oKww 投稿日:2011/04/26(火) 00:21:12 ID:UENBF.fw
さるったんでこちらに。投下終了です。
タイトルは「絆を結び/憎しみを放つ」です。
135創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 00:33:22.25 ID:cmaB/qoG
投下乙!!
さすが朧、破幻の瞳は使いどころが良ければ無敵に近いぜ
そして可愛いぜ朧!
陽炎と出会ったらやばいぞ色々とw
136 ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/26(火) 19:26:52.22 ID:cmaB/qoG
投下します
137創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:27:41.62 ID:zLtTXA/I
 
138優勝者達のエピローグ ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/26(火) 19:30:20.50 ID:cmaB/qoG

『虎』と『馬』が場をところ縦横に駆けながら戦っているのとは
対称的に我妻由乃とガッシュ達の状況は膠着していた。

雛苺が由乃の隙をつこうと茨を発現させているが
その隙そのものがなく。
無理矢理押さえこむにも由乃の限界知らずであろう狂気が
攻撃の結果の予測を困難にさせていた。

ガッシュならば銃弾の嵐をかい潜り由乃を攻撃することもできるだろう。
しかし、それはあくまでも相手の生死を問わなかった場合のことだ。

百戦錬磨、
少なくとも闘いを宿命付けられたガッシュと雛苺。
その二人ですら由乃につけいることのできない一番の理由は彼女が持つ異常なほどの勘の良さ。

攻撃の出始めを予知していたかのような速度で的確に潰していくその様は
デュフォーや清麿と同じアンサー・トーカーとすら思えるほどである。

だが遅かれ早かれガッシュ達は勝利するだろう。
何故なら由乃の武器は銃であり、当然だが弾丸には限りがある。
銃は補充がきかない術と言える。

つまりガッシュ達は直接攻撃しようとはせずに
由乃が銃撃するよう誘導すればいい。

物陰から出るか出ないかというギリギリを保ち、
二人は待つ。

そして由乃は撃つ。撃つ。
壊れたように撃つ。
壊すように撃つ。

そしてついには音がやむ。
由乃はすぐさま気づいてリロードにとりかかる。

だが、遅い。
ガッシュと雛苺には大きすぎる、致命的に過ぎるロス。
ガッシュが物陰から飛び出し、
雛苺は茨の長雨を由乃へと繰り出そうとする。

「やめろ由乃!」

ガッシュと雛苺が今にも由乃を拘束しようとするのを
遮るようなタイミングで今まで傍観者に過ぎなかった雪輝が行動を起こす。

雪輝は携帯を手に持ちながら由乃へ掴みかかる。

少しの間押し合い取っ組み合いが続いていたが、
片手である由乃に最終的には突き飛ばされて終わる。

「邪魔しないでよユッキー」

リロードが完了した由乃の前で尻餅を付いている
雪輝は武器か何かなのか携帯電話を目の高さへ掲げる。

「やめよう由乃。僕はこんなの望んでいない」

雪輝の言葉に由乃は少し考えるような間を置く。
139創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:30:29.64 ID:zLtTXA/I
 
140創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:30:49.42 ID:ol5eyHO5
141優勝者達のエピローグ ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/26(火) 19:32:45.98 ID:cmaB/qoG

「駄目だよ。
 コイツらはユッキーを虐めようとしたんだよ?
 しっかり殺しておかないと」

そう言うと由乃はリロードを終えた銃を構え、
雪輝に向ける。

「邪魔をするのならユッキーでも容赦しない」

そう告げると、由乃は雪輝に向かって銃を撃つ。
雪輝はそれでもなお由乃へと立ち向かおうとするが
銃への恐怖を抑えられないのだろう。
一か八かな行動を起こすことはできず、
ただひたすらににげるだけであった。

「こちらだ雪輝!」

物陰に隠れていたガッシュが雪輝を誘導する。

それを聞いた雪輝は由乃を見て辛そうな顔を浮かべたが
ガッシュのいる方へと逃げてくる。

「ガッシュ、ごめん! 僕は由乃を止められない」

雪輝が逃げた際にもその足跡を辿るように由乃は銃を撃ち続け。
それは今も続いている。

だが由乃の行動がどうにも不可解。
そもそも由乃自身が言っていたように
今の状況はウマゴンが雪輝を攻撃したことに端を発している。

つまり由乃がガッシュ達を殺そうとしているのは
あくまでも雪輝のためだったはず。
なら何故由乃は雪輝に銃を向けたのか。

慣れない思考の海に意識を浸らせようとするが
本来これは清麿の仕事。

清麿ならば状況を整理した上で真相を見ぬくことが出来るだろうが
幼い王である彼はまだそこまでの知恵を身につけていない。
そして最適解を見つけようとするその間に――

雪輝は行動を起こす。

「ザケルガ」

気付かずにガッシュのリュックから
魔本を取り出していた雪輝が術を唱える。

間髪入れずに発動するガッシュの電撃。

王になってからも成長を続けていたガッシュは
魔本なしの術の行使ならば気絶せず使うこともできる。
だが魔本を通しての発動はまた話が別だ。
142創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:33:02.01 ID:ol5eyHO5
143創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:34:09.42 ID:zLtTXA/I
 
144優勝者達のエピローグ ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/26(火) 19:34:46.70 ID:cmaB/qoG

強大な力を発動する上での負担がガッシュから意識を奪う。

「ザケルガ」
「ザケルガ」
「ザケルガ」
「ザケルガ」
「ザケルガ」

連なり発動する術。

栓を喪った蛇口から水が暴れ流れるかのような乱用。

突然の雪輝の凶行。
雛苺は目を見開いたまま。驚き。声を失い。
ただ見ることしかできない。

「術の使用がコレの発動条件だったよね」

意識を無くし聞こえないであろうガッシュに雪輝は確認するかのように呟く。

「これが僕の招いた事態なら負担も罪も僕が負う。だから――」

雪輝は辛そうな表情を浮かべ。宣言する。

「僕が由乃を殺す」

事態の異常を鋭敏化された本能で感じ取ったウマゴンが
必死に雪輝に喰らいつこうとする。
そしてそれを杉村が防ぐ。

雪輝は唱える。
場をひっくり返し、戦場ごと由乃を喰らうであろう最強の術を。

「バオウ・ザケルガ」

ガッシュの口から巨大な龍が飛び出す。
喰らい。蹂躙し。襲う。

遊園地には定番の施設が全て呑み込まれ、引き裂かれる。

それに付随して湧き、吹出す。
炎。炎。炎。

『虎』と『馬』の闘いも。
恋人を殺さんとする少年の凶行も。
それに利用された子供たちも。

全ては一度に中断された。


…………………………………………………………………………………………………。
145創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:35:32.49 ID:ol5eyHO5
146創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:36:35.44 ID:zLtTXA/I
 
147優勝者達のエピローグ ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/26(火) 19:36:49.15 ID:cmaB/qoG


巻き上がる火が生き物のように蠢く遊園地。

雷竜の攻撃を食らったはずのの由乃は
未来日記を確認していた雪輝と会い、何事かを言葉を交わす。

そして持ち物をやり取りした後に
ガッシュを探しに行くと言った雪輝を由乃は笑顔で見送った。

そして、炎の中から魔獣が現れる。
身にまとい、体毛と見紛うかのようなレベルで体に定着している火炎。

そして魔獣、ウマゴンは友のために心を燃え上がらせ、
生得として身に秘めていた溢れんばかりの野生を
この危機定期状況で限界までに目覚めコントロール術を身につけた。


そして発動する新たな術。
最大の敵のためにほんの少し未来で修得するはずだった術。

――シン・シュドルク――

発動したウマゴンの体はもはやただの馬を超えている。
一角は高く高く伸び。
大きくなった体は洗練された鎧へと変わる。

騎馬にして戦士。
まさに王となるに相応しい存在となったであろう
ウマゴンが由乃と向き合う。

ウマゴンの変化を見ても由乃の表情に揺らぎはない。
嘲るような口調で。屠殺対象を前にするような立ち居でナイフを構える。

「ここから先は通さない」

死刑宣告のように告げる由乃へウマゴンは突進する。
常人が視認などできようはずもない速度。
できるのはウマゴンの挙措からどの方向へ進むかの予測だけ。
そして呆気無くウマゴンの角は由乃の体を貫いた。

だが、体内の重要な臓器全てを角が震わせ、破ろうとも。
由乃の瞳に正気が戻ることはなく。苦痛の声を漏らすことすらない。

「私を……逝かせるのは……お前じゃ……・ない!!」

そう叫ぶと由乃は自らの体を動かし、角を体内へと押し進めさせる。

予想を飛び越えるような由乃の行動にウマゴンの動きが止まる。
由乃の眼を間近で直視し、濁りきった狂気がウマゴンの心を怯ませる。
友のために戦おうとしていた心の炎が一瞬だけ弱まる。

ソレを見て由乃が満足そうに哄う。



148創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:37:20.28 ID:ol5eyHO5
149優勝者達のエピローグ ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/26(火) 19:38:50.62 ID:cmaB/qoG

嗤い。嘲り。
そして左手を。
否。
左腕の皮膚と骨を念入りに削り、尖らせておいた骨で――
剣のように。鈍器のように。ウマゴンの右目を突き潰す。

火の音を破り、四隅まで轟くであろうウマゴンの苦鳴を聞きながら
由乃は叫ぶ。

「ざまあみろ。ざまあみろ。
 ユッキーをイジメた罰だこの家畜」

叫び。叫び。
由乃は左手に持っている雪輝から受け取ったナイフを自らの首筋にあてる。

苦痛に。恐怖に。ウマゴンは堪らず後退し、
角を由乃の体内から抜く。

腹から腸が出ても由乃は笑うことを止めない。

そして由乃は躊躇わずあっさりと自らの頸動脈を切り裂く。
血がアーチとなって由乃から飛び出す。

「お前は痛みで泣いている! 
 私は痛くたって笑っている!」

由乃は自らの体中を突き刺す。
楽しそうにただ刺す。

「だって私はこんなに気持ちいいから!!
 ユッキーのナイフが。
 ユッキーが私を刺してくれるならいくらでも気持ちよくなれるから!」

血まみれとなった少女はたった一人の世界に身を包みただ笑う。

「ユッキーが私を逝かせてくれるなら――」

死の間際であろうと由乃は笑い続ける。
天と地の区別が付かなくなっても笑い続ける。
死を少しも気にすることなく笑い続ける。

彼女の正気はとうに過去のものとなっていたのだから。
彼女の願いは彼女にもわからなくなってしまっているのだから。


…………………………………………………………………………………………………。


150創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:39:08.14 ID:ol5eyHO5
151創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:39:51.48 ID:zLtTXA/I
 
152優勝者達のエピローグ ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/26(火) 19:41:05.46 ID:cmaB/qoG

遊園地は燃やされ、喰われた。
雪輝の凶行によって破壊された。

気絶した雛苺を抱えたガッシュの前に現れるのは
先程までウマゴンと戦っていた
仮面ライダータイガ。杉村弘樹。

「大丈夫か君たち!?」

安否を問う杉村の声にもガッシュは呆然としたような表情を浮かべたままだ。

「ウマゴンは……?」

「ウマゴン? ウマ……馬……。
 ああ、彼は……走り去ってしまった。
 きっと……」

言い淀む杉村を見てガッシュは雪輝と由乃を追いに行ったのだと理解した。
争いはまだ続いている。
ならば王である自分が戦いを止めなければならないのだと
ガッシュは心を奮い立たせる。

「俺は彼らを探しに行く。
 君たちは待合所にいるキャンチョメという少年と合流してくれ」

「そうか。お主はキャンチョメの仲間だったのだな」

友の存在を確認できたガッシュは安心したかのような声音で呟く。
そして雛苺を杉村の手に預ける。

「おい……?」

「ワタシが皆を探しに行ってくる」

「それは無茶だ!」

引き止める杉村にガッシュは首を振り、
持っているもの全てを渡す。

そして、杉村の手に紙粘土を握らせる。

「キャンチョメに伝えて欲しいのだ」

止める言葉を必死に見つけようとしている杉村の眼を真っ直ぐ見る。
ガッシュはニッコリ笑って言う。

「私達の武器は決して牙でも爪でもないのだと」

そして、ガッシュは背を向けて炎の嵐の中へと進む。

「待ってくれ! 君の、君の名前は?」

「ガッシュ・ベル」

そしてガッシュは走りだす。


…………………………………………………………………………………………………。
153創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:41:30.31 ID:ol5eyHO5
154創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:42:03.48 ID:zLtTXA/I
 
155優勝者達のエピローグ ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/26(火) 19:43:22.34 ID:cmaB/qoG

ガッシュが雪輝を見つけたのは
今にもポキリと折れそうな観覧車の下。

雪輝は炎に囲まれ。魔本を守るかのように抱きしめ。倒れ伏していた。
足が濡れていたことから恐らく怪我をしているのだろう。

曲がり、ヒビ割れ、倒壊しそうな観覧車。
ガッシュに気づきこちらに来るなと雪輝は声を上げる。

観覧車が折れて。落ちて。

雪輝を潰そうとする。

その瞬間、ガッシュはラウザルクを発動する。
火が体を焼くのをモノともせずに
雪輝の側に走り、落下する観覧車を受け止める。

ラウザルクの効果持続時間は短い。
魔本を経由しない術では速さも力も少ししか上がらず。
すぐに術の効果が消えてしまったガッシュは自らの力だけで支えなければならない。

「ガッシュ。どうして?」

驚いたような口調で雪輝はガッシュに問う。

「決まっているだろう。ワタシたちは……」

体中が観覧車の圧に悲鳴をあげ、砕けようとしている。

自力で術を発動するには一瞬の隙を生む。
普段ならばなんてことのない隙だが今このときはそうも言っていられない。
だが雪輝は魔本を持っている。
彼が術を発動してくれれば状況を打破する見込みはある。

苦し気にガッシュは声を出す。

「仲間なのだぞ……」

「……僕は仲間だった由乃を見捨てた! 殺そうとした!
 それどころか君を利用してこんなことに……!」

雪輝の言葉にガッシュは微笑む。

「過ちを犯しても……やりなおせば良い……
 ワタシ達は。生きているのだ。強くなれるのだ。
 だから……雪輝」

火花が周囲を赤く濡らし、雪輝の顔を照らす。
雪輝は太陽から目を逸らすかのように目を細め、俯く。

「ガッシュ……君は…………君は……本当に……」

震える声で雪輝は呟く。
156創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:44:02.48 ID:ol5eyHO5
157創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:44:54.35 ID:zLtTXA/I
 
158優勝者達のエピローグ ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/26(火) 19:46:33.26 ID:cmaB/qoG


”そして雪輝は平然と立ち上がる”


” 立ち上がり、ガッシュに背を向け観覧車の倒壊に巻き込まれない位置へと歩く”


” 健やかな足取りで。まるで、怪我など無いかのような足取りで”


よく見ればわかることができただろう。
ここが火の海でなかったのならすぐにわかっただろう。
血で濡れているのは雪輝のズボンだけであることに。

雪輝の突然の行動を見てガッシュは表情を失う。

「僕は君の“闘い”を否定したかった。
 だから君の眼の前で死ねるのならそれでも良いと思った。
 全てを救えた君の“闘い”を僕の死で否定できるのならさ」

ガッシュが顔を歪めて雪輝へ叫ぶ。
音で火を穿ち。
雪輝の心へ直接、届けようと。

雪輝は微笑む。

「けれども君はそうしなかった。
 馬鹿なことをした僕ですら救おうとした。
 君は本当に金色の心を持っているんだね」

続ける。
それは懺悔のような女々しいものではなく勝利に酔う行為であった。

「君の行動は無意味だったよ。
 この血は由乃のものだし、僕はもう彼女の死を受け入れると決めた。
 死を否定して抗おうと闘い勝利した君とは反対にね」

コレは死刑宣告だったのだろう。
癇癪を起こした子どもが怒りのまま相手に雑言を浴びせるような
くだらない行為でもあったのだろう。

そして雪輝はゆっくりとガッシュの魔本を開く。

「ついでにいうと僕の能力は未来に起きる事柄を
 無差別に教えてくれるものなんだ。
 だから無事に生き延びる算段もちゃんとついているよ。
 君の友達の能力。アンサー・トーカーだっけ? それと似たようなものなんだ。
 何もかもが僕と由乃が示し合わせてやったこと。
 だから安心して後悔して」

雪輝はページをめくる。

「騙して。裏切って。蹴落として生き残る。
 これが僕の“闘い”なんだ」
159創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:47:24.78 ID:zLtTXA/I
 
160創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:47:29.69 ID:ol5eyHO5
161創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:48:20.60 ID:zLtTXA/I
 
162創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:49:46.19 ID:zLtTXA/I
 
163創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:50:12.24 ID:ol5eyHO5
164優勝者達のエピローグ ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/26(火) 19:50:38.48 ID:cmaB/qoG


1ページ。
ガッシュが悲痛な顔で雪輝に訴えかける。

2ページ。
雪輝はそれに耳を貸さずに未来日記をチェックしながら
本に目を通す。

3ページ。
考え直せ。苦しいのだろう。悲しいのだろう。
そんなに悲しそうな顔をしているじゃないか。
ガッシュは叫ぶ。

4ページ。
これだね。
大丈夫、君は苦しまずに死ねる

静かに一文字一文字を言葉にする。
涙が一筋、ガッシュの頬を伝い。
笑みを浮かべて雪輝は唱える。

「さよなら。優しい王様」

ガッシュの意識を奪う言葉を。



「ザケル」



意識が消える。
肘が裂け、膝が砕ける。
頭が潰れて地面と同じになる。
何もかもが分からなくなる。
あったはずの理想。
それを願うことはもうできない。




〜こうしてやさしい王さまと狂った神さまは死にました。〜

〜うでも。あたまも。あしも。せなかも。おなかも。〜

〜せんぶせんぶ、わからなくなってしまいました。〜

〜たったひとりでそうなってしまいました。〜

〜そばで泣いてくれるひとは だれもいませんでした。〜

〜時空の神。愛の神さま。真っ赤な血の神さま。〜

〜金色だったガッシュ。真っ赤になったガッシュ。〜


165創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:51:23.26 ID:ol5eyHO5
166創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:51:51.57 ID:zLtTXA/I
 
167優勝者達のエピローグ ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/26(火) 19:52:41.28 ID:cmaB/qoG


【我妻由乃@未来日記 死亡確認】
【ガッシュ・ベル@金色のガッシュ!! 死亡確認】
【残り 43名】


【A-7崩壊した遊園地/一日目/早朝】

【天野雪輝@未来日記】
[状態]:健康、心の力の消費(大)
[装備]:無差別日記@未来日記、投げナイフ(14/15)@未来日記、IMIウージー(27/32)
[道具]:基本支給品 ×3、IMIウージーマガジン(2)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して全てを元通りにする
1:とりあえずここから離れる
※参戦時期はDiary46.5終了以降からの参戦です。
※ガッシュの他の持ち物は消失しました(魔本も)
※マントがどうなったのかは後続にお任せします。

【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:気絶
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、クレヨン@現実、人参@現実
[思考・状況]
基本行動方針:誰も傷つかない世界が欲しい。
1:???
※シュナイダーの愛称はウマゴンでいいよねと思っています。

【杉村弘樹@バトルロワイアル】
[状態]:疲労(中)、精神的疲労(小)
[装備]:英雄の証@ブレイブ・ストーリー〜新説〜 、仮面ライダータイガのカードデッキ
[道具]:基本支給品、 粘土@現実
[思考・状況]
基本行動方針:七原、三村(本人なら)と合流 
1:雛苺を連れてキャンチョメと合流する。
2:時間を見つけて仮面ライダーとしての力の使い方の練習をしたい。
3:城戸真司に会えたら霧島美穂からの伝言を伝える
4:もし、桐山が琴弾を殺したのだとしたら、俺は……

[備考]
この殺し合いを大東亜帝国版プログラムだけでなく、
それとよく似た殺し合いの参加者も集められていると暫定的に推測しています。
仮面ライダーへの変身の仕方を理解しました。
参戦時期:琴弾と合流後、桐山襲撃直後

【シュナイダー@金色のガッシュ!!】
[状態]:ダメージ(中)、心の力の消費(中)、右目失明、恐怖、混乱
[装備]:なし
[道具]:魔本@金色のガッシュ!!、基本支給品、マキビシ@バジリスク〜甲賀忍法帖〜、煙草@現実
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を探す。
1:ガッシュは!? ガッシュはどこ!?


168創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:53:43.52 ID:zLtTXA/I
 
169優勝者達のエピローグ ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/26(火) 19:56:05.32 ID:cmaB/qoG

【A-7・遊園地の待合室/一日目/早朝】

【キャンチョメ@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康、強い恐怖、力への渇望
[装備]: キャンチョメの魔本@金色のガッシュベル!!
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を探す
1:何が起こってるんだよ!?
2:怖い……でも……
3:あの女の人はなんだったんだろ?
4:フォルゴレがいないのになんで呪文が使えたんだろう?

[備考]
何故かパートナーがいなくても術が使えることは理解しました。本がフォルゴレ以外に読めるとは思っていません。
参戦時期:ファウード編以降
英雄達の像に安置されていた盾斧@ブレイブ・ストーリー〜新説〜は甲賀弾正屋敷に隠してきました。


……………………………………………………………………………………………………。
……………………………………………………………………………………………………。
……………………………………………………………………………………………………。
……………………………………………………………………………………………………。
















            因果律の神、時空王。死亡。
               魔界の王。崩御。



 
            『次期時空王を決める闘い』
             『魔界の王を決める闘い』






――――――――――――RESTART――――――――――――――――

170創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:57:18.87 ID:zLtTXA/I
投下乙!
ガッシュかっけええええええ!
名を名乗るシーンとかすげええ原作絵で再現されたああああ!
そしてやっぱし死んだあああw
いやこうなるとは思ってたんだよ
初めのザケルガ連打で意識失わせるところ見て、上手い使い方だなー、反動をそう扱うかーとは感心したし
だからこそ、遊園地での罠もからくりはよめてたんだ
――それでも
それでも淡々と語るユッキーが
悲痛に叫ぶガッシュが
苦しげに由乃の死を覚悟していたというユッキーが
涙を流したガッシュが
脳裏に流れていってやばかった
ってかシュナイダー生き残ってびっくしw
由乃、そうなるか
そう死ぬか
そりゃあシュナイダーじゃなくてもびびるわ
おもろかった!
171 ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/26(火) 19:59:26.56 ID:cmaB/qoG
以上で投下終了です。
支援ありがとうございました!!
172創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 20:00:46.64 ID:zLtTXA/I
投下乙です。そして感想を終了宣言前に打ち込んでしまい申し訳ありません
173創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 20:01:25.46 ID:ol5eyHO5
投下乙です。
ガッシュと由乃が…
でもやっぱりガッシュかっこいい!
ユッキーの今後が気になる作品でした。
174 ◆IRxFfnsX8c :2011/04/29(金) 03:18:18.11 ID:QDivvv+C
金糸雀・平清・戦場マルコ投下します
175悪夢の灯火 ◆IRxFfnsX8c :2011/04/29(金) 03:21:21.92 ID:QDivvv+C
平は相変わらず大きな寝息を立てている。
金糸雀は先程感情を吐露したおかげか安定したようで、寝てこそいないものの、横になって何かを考えている。
――――一番場数を踏んでる俺がこれかよ。
火の番は必要だが、それ以上に自身が落ち着かないためにこうして暖炉に薪をくべている。
こんな手持ち無沙汰な時にやることといえば、交換日記の確認だ。
こっちは動いていなくても愛は動いているかも知れないではないか。
そして30分ほどが過ぎた。

――……ザザッ……

紛れもない“未来が書き換わった音”
慌てて確認する――愛が、愛が来たのか!?



「マルコ、どこへ行く気なのかしら?」
抜き足差し足、でとりあえずの同盟相手から離れようとした時だった。
「どこって、外の空気を吸いにな」
「嘘……デタラメなのかしら」
金糸雀は裾にしがみつき押しとどめようとする。
サイズ差から言ってすぐに振り払えそうなものだが、何故か出来なかった。
「……俺は愛を探しに行く」
「それは朝になってからだったはずだわ」
「事情が変わったんだ。俺はすぐにでも愛の所に行かなきゃいけねぇんだ」
「事情……それはカナや変平との関係が『殺し合い』になることも含んでいるのかしら?」
176悪夢の灯火 ◆IRxFfnsX8c :2011/04/29(金) 03:23:27.28 ID:QDivvv+C

答えない。

同盟こそ組んだがいずれそうなるだろうと諦めに近い感情を抱いてはいた。

だが、この人形の少女も愛情に飢え、それ故に戦ってきた――姉妹たちと。
孤児院の仲間たちとそんなことになったら、とすると怖気がする。
平清も悪い男ではない。こんな場でなければ飲み明かすことも出来ただろう。
つまりは情が移った、ということ。
愛がいればその辺りのフォローをしつつ、苦笑するのだろう。
あなたはお人好しだから、と。


――――愛。


177悪夢の灯火 ◆IRxFfnsX8c :2011/04/29(金) 03:25:29.76 ID:QDivvv+C


「俺にはこのアムルタートがあるし、金糸雀は強い。平のオッサンは色々不安だが武器は協力だ。無理に同盟組んでいてもしゃーねーんじゃねぇの?」
カラカラと笑い踵を返そうとする。
「でも外は相変わらず雪なのかしら。それで凍死でもされたらカナの目覚めが悪くなるのかしら」
「寝るんだな、人形も」
「薔薇乙女(ローゼンメイデン)を嘗めないで欲しいものかしら? そして話を逸らさないで欲しいのかしら」
「……愛(LOVE)には天気なんて関係ねぇんだよ」

だんだん感情が高ぶり、傍に浮かんだアムルタートが今か今かと合体を待ち望んでいた。

「変平を押し付けられるこちらの身にもなって欲しいものかしら」
「いーや、アレはアレで土壇場じゃやるタイプだぜ」

金糸雀の巻き毛が揺れる。
表情が曇ったままマルコを睨みつけた。

「お前たちだって“お父様”に会うまで戦い続けるんだろ。俺にとっての美神愛は全てだ」
「じゃあひとつだけ教えて欲しいかしら……何故“今”なのかしら?」
「……詳しくは言えねーが、俺と愛のLOVEパワーって奴だ。それで通じ合っているから、俺には愛のピンチがわかる。それが今、だ」
すすっと金糸雀が動き出した。
「そういうことなら変平を起こして3人で行く方が確実かしら」
「信じるのか!?」
「同盟しようと言い出したのはマルコなのかしら。それを自ら解除して雪原に行くなんて余程のことかしら」
平清が寝ている所に向かっていく金糸雀。

――――ああ、いい奴らだよ、本当に。
何か放っとけないしな。

「変平ー、変平ー、起きるのかしらー」

178悪夢の灯火 ◆IRxFfnsX8c :2011/04/29(金) 03:27:46.78 ID:QDivvv+C


――――でもな。

アムルタートと合体し、植物の根を伸ばしていく。
少しずつ、少しずつ、絡みつき、生気を吸い取っていく。
「マルコ!?」
「ってマルコはん!?」
「そもそもここに留まる原因になったのがお前らだ。俺一人なら雪原を越えられる……越えなきゃならねぇ」
掴みかかろうとするが、生気が抜けて膝をついていく。
「足手まといなんだよ。ここでじっとしてな」
吸収力を強め、平と金糸雀の意識が朦朧としたのを後ろ目に、部屋を去る。

トドメを、差して置いたほうが良かっただろうか。
暖炉の火は消しておいた。あのまま朦朧とした状態ならそのまま寒さで夢のなかで死ねるはずだ。
随分甘いのね、という愛の台詞が聞こえた気がした。
――殺すだけの手間が惜しいだけさ。

【A-1/クリスタル・パレス/1日目/早朝】
【金糸雀@ローゼンメイデン】
[状態]:生命力低下により睡眠中
[装備]:金糸雀のバイオリン@ローゼンメイデン、レーダーのレプリカ@BTOOOM!
[道具]:基本支給品、不明支給品×1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:ズル賢く立ち回る。
1:マルコ、どうするのかしら……
2:お父様、みんな……

【平清@BTOOOM!】
[状態]:生命力低下、睡眠中
[装備]:ジョゾの服@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品、BIM(ホーミングタイプ)×8@BTOOOM!、レーダー のレプリカ@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:脱出する。
1:マルコはん!?
2:金糸雀と身の安全が確信できるところまで行動を共にする。
3:信頼出来る仲間を探す。
[備考]
※4巻で指を切り落された以降の参戦です。
179悪夢の灯火 ◆IRxFfnsX8c :2011/04/29(金) 03:29:47.41 ID:QDivvv+C


アムルタートを装着したまま雪原を駆ける。
あの2人の生命力を吸ったおかげか充分元気がいい。
植物にとっては寒さは天敵のはずだが、この護神像はそうでもないらしい。

――レプリカ版交換日記の初記述は、DEAD ENDフラグだった。
自分のではない、愛のものである。
フラグが立った後でも行動次第で覆せる――1stや2ndが何度となくやってきたように。

故に、駆ける。

場所は書かれていなかったが、自分と愛といえばあそこしかない。
とうに手遅れだろうと構わない。諦めた瞬間愛は死ぬ。
「待ってろ、愛。俺達のLOVEパワーはこんなもんじゃないって見せてやろうぜ!」


【B-2/雪原/1日目/早朝】
【戦場マルコ@未来日記】
[状態]:健康、かなりの焦り
[装備]:交換日記のレプリカ・戦場マルコ用@未来日記、常勝無敗のケンカ日記のレプリカ@未来日記、
     アムルタート@waqwaq
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:愛と合流し二人で生き残る
1:愛のDEAD ENDフラグを覆すため桜見タワーに直行する
2:ゴメンな、金糸雀におっさん……
180 ◆IRxFfnsX8c :2011/04/29(金) 03:32:54.73 ID:QDivvv+C
以上で投下完了です。
指摘・感想などあればどうぞ
181 ◆1yqnHVqBO6 :2011/04/29(金) 07:10:32.29 ID:1t9k4Zop
投下乙!!
マルコおおおおおお!
切ないなあマルコは本当に
そしてそっこかしこに優しさが見え隠れしているのもまた何とも皮肉
金糸雀、状態的にはヤバイのだろうけどそもそも凍死というのをするのだろうかw
182創る名無しに見る名無し:2011/04/30(土) 04:19:53.47 ID:rdOpyJhM
投下乙!
マルコ、いい奴だなー
ただ同行は許可した方がよかったかも
何せ相手はヨキ先生w
183 ◆CFbjQX2oDg :2011/04/30(土) 22:01:43.65 ID:vABrhcM3
秋山蓮、桐山、霧島美穂
以上三名を投下します。
184仮面ライダーの夜明け  ◆CFbjQX2oDg :2011/04/30(土) 22:04:14.11 ID:vABrhcM3

太陽。
地球上の全ての生物に平等に光を注がれる。
あらゆるものを浮き彫りにし、曝け出す。
三人の仮面ライダーは、各々の瞳を通してみる太陽に何を見るのか。


◇ ◆ ◇


程よい大木を見つけたので、その根っこのところに腰を下ろす。
悲鳴を上げる体に鞭打って周囲の警戒は欠かさずにここまできた。
誰にも見つかってはいないだろう。

手を何度か握りしめを繰り返し体の調子を確認する。
腹部の痛みは今尚続いており、手足は痺れていている。
少なくともある程度の戦闘が出来るようになるまではこれ以上移動はしない方が良さそうだ。

支給された食料と水を口に運びながら、なんとなしに木々の隙間から空を見上げる。
夜の闇に白みが増してきており、ちょうど夜と朝の中間。
一日の始まりであり、生命が活発に活動する時間だ。
朝日が射し込むその景色は見る人によっては癒しを覚えるだろう。
だが、霧島が受け取る感情は憂い。

朝と夜。
光と闇。
正義と悪。
そして
お人よしと復讐者。

彼女は死の間際に城戸真司と朝日を見たかった。
ライダーバトルのこと、願いのことを忘れて生きてみたいと思った。
だが、現実はそれを許さない。
『願い』を賭けて闘うライダーの運命の連鎖からは決して逃れられない。
真司そっくりの黒いライダーの手によって私は致命傷を負わされた。
本物の真司が来てくれて、男はミラーワールドに逃げた。
でも、私の体はもう限界だった。
真司に自分の死に様を見せるわけにはいかない。
彼はきっと全ての原因が自分にあるかのように自分だけを責める。
だから、私は彼と笑顔で別れた。
彼に気づかれないように日常の何気ない挨拶のように。
『ライダーバトル辞めろよな』『考えておく』
少しでも彼の心の重荷を減らせるように。
そして一度目の人生を終えた。

私はここで二度目の生を受けた。
課せられる運命はやはり殺し合い。
想いを寄せる二人の男も参加している。
自分から奪っていった男と自分に与えてくれた男。
元の世界での死の間際に選んだのは後者。
真司に対しての気持ちには“仕事”のような偽りでは無かった。
ライダーバトルなんて辞めて普通に暮らすのも悪くないと確かに思った。
でも、
浅倉も再び生きている。お姉ちゃんの復讐は未だ達成出来ていない。
自分が生き返ったんだ。浅倉も間違いなく生き返っている。
この事実を頭ではなく心で理解したとき、
私は再び『殺し合いに乗った』
185仮面ライダーの夜明け  ◆CFbjQX2oDg :2011/04/30(土) 22:05:43.18 ID:vABrhcM3

結局、私の心は復讐というドス黒い炎で焼かれ、穢れていたんだ。
自分で選んだ道は、後戻りが出来ない。
私は他人を殺してでもお姉ちゃんともう一度会うことを選んで仮面ライダーになった。
ごめん……

さっきの少年と真司は出会ったら、私と違って共に歩んでいけるだろう。
少ししか話していないのに少年の真っ直ぐな心が伝わってきた。
二人はよく似ている。
出会ったばかりの人間だろうが関係なく、決して人殺しを是とせず、自らの身を挺してまで他人の道を戻そうとする。
……もう後戻りできない人間もいるのに。


太陽がその輪郭の全体を確認出来るくらいまで現れる。
そろそろ最初の放送が近い。
日の光が、城戸真司のような真っ直ぐな輝きが
今の私には毒のように心を蝕む。
願わくば、真司には会いたくない。私が再び戦う姿を見せたくない。
彼の中でくらい『ライダーバトル』を辞めた私でいたい。
再び復讐の炎に身を焼かれ、真司と交わした言葉を嘘にするような自分を見せたくない。
今、真司と出会ったら私は……


◇ ◆ ◇
 

黒い龍騎との戦いのあと、秋山はG-4分校にまで移動した。
空き教室の椅子に腰掛け疲労した身体に休息を与える。

「ライダーは倒す……そう決めたはずだ……」

ライダーといえども中学生くらいの少年との戦いは確実に蓮の精神を磨耗させていく。
昏睡状態に陥った恋人の小川恵理を救うために、仮面ライダーとなった秋山蓮。
冷酷な人間を装い、他のライダーに対して非情になろうとした。
神崎優衣と共にいたのも彼女が神埼士郎の妹で何らかの情報が得られると思ったからだ。
決して、その事実を他のライダーが知ったら彼女を襲いにくるから守ろうとしたというわけではない。
城戸真司との奇妙な共同生活だって奴から借金を取り立てるためだ。
自分を殺しにこないライダーは後回しにしても問題ないからだ。
秋山自身、自分の本音がどこにあるのかわからない。

パンと水だけという簡素な食事をとる。
腹は膨れるが、味覚を満足させるには程遠い。せめて飲み物が紅茶なら、と秋山は思った。
もうしばらくしたら放送らしい。
死者の発表。
一体何人の脱落者……いや、死者が出たのだろう。
契約モンスターを倒されたあの少年はどうなっただろう。
俺はモンスターだけでなく、何人をこの手で倒せばいいのだろう。
恵理が望むから、恵理のために戦っているんじゃない。
俺が望むから戦うんだ。
俺のために戦うんだ。
次の奴はこの手で必ず――

186仮面ライダーの夜明け  ◆CFbjQX2oDg :2011/04/30(土) 22:06:36.63 ID:vABrhcM3
耳鳴りにも似た金属の擦れるような音が耳に届く。
聞きなれた音だ。
教室の窓ガラスに目をやると何かの影がすっと消えた。

「神崎……か?」

声を発したのとダークウイングが窓ガラスから飛び出し何かを吐き出した。
モンスターを倒した後に捕食する光玉に似ているが、どこか違う。
いつもの無機質な光とは異なり、穏やかで生命力に溢れる印象を受ける。
この光を浴びたものは無生物でも動き出してしまいそうだ。
こいつの正体はわからないが何だか捨てる気が起きないのでリュックにしまう事にした。

教室内も大分明るくなってきた。
備え付けの時計を見ると放送まであとわずか。
内容のメモの準備をしながら外の景色をみる。
眩しさに少し目を細めながら、それでも外の景色を見ることを辞めなかった。

秋山蓮はいまだに気づかない。
彼が殺したのは人を襲うミラーモンスターなどではない。
確かに人間ではないが、究極の少女を目指す、小さな小さな乙女だった。
リュックにしまったそれは彼女の生きていた証。
彼がその事実を知ったとき、彼はどのように受け止めるだろうか。

漆黒の騎士、仮面ライダーナイト。
夜が明けても彼の心は闇を彷徨っている。
行きたいところはハッキリしている。
だが、歩むべき道は闇の中。
それでも進まなければならない。
闇の中でもがき、他人を傷つけ、そして自分を傷つけてでも。
別の未来での太陽の役目を果たした青年は、今この場にはいない。



◇ ◆ ◇


水銀燈“だった”ものを硬貨が入っていた袋に詰めて墓場まで運んだ。
何故、わざわざ墓場まで運んで埋めたのか。
主と認めたものに対する彼なりの礼儀から? 
彼女の誇りを守るという命令に野ざらしにすることは出来ないと感じたから?
それとも、地図を見て近くの施設が偶然にも墓地だったから?
本心は桐山にしかわからない。ただ、事実として桐山は彼女の亡骸を墓場に埋めた。

ほとんど灰と化していたため、底まで深い穴を掘る必要が無いこと、元々墓場という土が掘り返しやすい場所であることから
埋葬が終わるのにそこまでの労力はかからなかった。

桐山の手には彼女の象徴とも言える羽。
それを見つめながら先ほど起こった出来事を思い返す。

彼女の骸に浮かび上がってきた発光体――ローザミスティカ――である。
騎士の男が去ったあとに、突然自分の手鏡の中から男が従えていた異形の蝙蝠が現れた。
まさかの再襲来に反応が遅れているうちに、蝙蝠は水銀燈のローザミスティカを自分の手から奪って再び鏡の中へと逃げていった。
追いかけようにも水銀燈との検証で鏡の中には入れないことは知っていたためにどうしようもなかった。

アリスゲームの概要はこうだ。
ローザミスティカを集めることで彼女たちローゼンメイデンが創造主たるお父様に会うことを目的とする。
そのための必要不可欠なものがローザミスティカである。
187仮面ライダーの夜明け  ◆CFbjQX2oDg :2011/04/30(土) 22:10:22.35 ID:vABrhcM3
水銀燈は命じた。
アリスゲームを守れ、と。
ローザミスティカは取り返さなければならない。
ローザミスティカはローゼンメイデンの誰かの手に無ければならない。

ここは正規のアリスゲームの場では無い……らしい。
命令を守るためには姉妹たちを無事に元の場所へ送り届る必要がある。
もし姉妹たちが志半ばで倒れるとき、そのローザミスティカをまた他の姉妹の元へと受け継ぐ必要がある。

水銀燈の話だとこの会場にいる姉妹は6体。
薔薇乙女は全部で7体。
万一他の姉妹がこの会場で倒れたとしても、自分が全員分のローザミスティカを最後の一人に届ければ
それでアリスゲームは守られる。

大分時間が経ってしまったようだ。
当面の行動指針は決まった。

『ローゼンメイデンを探すこと』
『黒い騎士からローザミスティカを取り戻すこと』

平行して脱出の手段も探す必要があるが、アリスゲームを守った上での脱出で無くてはそれ自体に価値はない。

新たなる決意を胸に秘めた桐山に朝日が射し込む。
だが、桐山はここで見る太陽に対しても然したる興味も感慨もしめさない。
ただ、闇に潜むものへの警戒を緩められる。
彼にとってはそれくらいの意味でしかない。
“今の”彼の生きる意味は既に決まっている。
水銀燈の『願い』を叶える。
それ以上でもそれ以下でもない。


リュウガのカードデッキを所持していた男は、ある女の子の『願い』を叶えようとした。
空虚だった男にとってそれは唯一の生きる意味だった。
それがその男にとっての全てだった。
男の『願い』は叶う寸前のところまでいった。
だが、男は戦いの途中で倒れた。

桐山が途中で倒れるかどうか、という話ではない。
ただ、桐山と男との共通項が多数ある。
それは偽りの無い事実だ。
ただ、それだけの話。
188仮面ライダーの夜明け  ◆CFbjQX2oDg :2011/04/30(土) 22:14:20.22 ID:vABrhcM3


◇ ◆ ◇


三人の仮面ライダーが見上げるは太陽。
幾千の歴史と願いを照らしながらも
いつも変わらずに昇り、そして沈む。


【B-5 大木の下/一日目・早朝】

【霧島美穂@仮面ライダー龍騎】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(小)
[装備]:仮面ライダーファムのカードデッキ
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して姉を生き返らせる。  浅倉威を殺す
1:死なない限り、どんな手を使ってでも突き進む
2:もし、城戸真司に会ったら……
[備考]
死後参戦

【G-3/水辺/一日目・黎明】

【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
[状態]:健康、ダメージ(中)、疲労(小)
[装備]:カードデッキ(ナイト)
[道具]:基本支給品、不明支給品×1、ローザミスティカ(水銀燈)
[思考・状況]
基本行動方針:戦いに乗るかどうか決めかねている 
1:出会う人とは戦う?

[備考]
参戦時期:少なくとも恵理が目覚めるより前、手塚との出会い以降からの参戦
水銀燈を新種のミラーモンスターだと認識?
[共通備考]
F-2の墓場には、参加者の元いた世界の脱落者、関係者の墓が多数存在。(※死者に限る)


【F-2/墓場/一日目・早朝】

【桐山和雄@バトル・ロワイアル】
[状態]:健康、疲労(小)、ダメージ(小)
[装備]:カードデッキ(リュウガ)
[道具]:基本支給品×2、たくさん百円硬貨が入った袋(破れて中身が散乱している)、手鏡
     水銀燈の首輪、不明支給品1、水銀燈の羽
[思考・状況]
基本行動方針:アリスゲームを守る。そのために影の男を殺す。
1:協力者を求める(ローゼンメイデン優先)
2:ローザミスティカをローゼンメイデンの元に集める。
3:黒い騎士からローザミスティカを取り戻す

【備考】
※参戦時期は死亡後です。
189仮面ライダーの夜明け  ◆CFbjQX2oDg :2011/04/30(土) 22:16:18.00 ID:vABrhcM3
以上で投下終了です。
矛盾、おかしな点などありましたらご指摘をお願いします。
190 ◆CFbjQX2oDg :2011/04/30(土) 22:35:38.25 ID:vABrhcM3
遅れましたが投下作品に感想を。
投下乙です!

>絆を結び/憎しみ ◆W91cP0oKww氏
真司復活! 真司の熱血正義感にカントリーマンもたじたじw
そうなんだよなー
カントリーマンも原作では敵役だったけど、願いは医者としての願いだったしロワロワでは珍しいマーダーからの対主催フラグか?w
中級呪文は消すけどさすがに上級呪文はきつかったかw
陽炎に見つかった朧の明日はどっちだw
光子? あぁ、そんなやつもいたねw

>優勝者達のエピローグ ◆1yqnHVqBO6氏
ガーーーッシュ!!
かっけえよ! 既に言われているけど炎をバックに名乗るガッシュが雷句絵で脳内再生できたよ!
>「ガッシュ……君は…………君は……本当に……」
この台詞が出たときに嫌な予感が走ったが、現実になるとやはりきついな……
ユッキーとガッシュ。両者の時間軸が違えば良コンビになれそうだったのに、ロワは非情だ……
由乃の狂いっぷりもすげぇw
ウマゴン右目失明した状態で火に包まれているのって何気にやばくね?w

>悪夢の灯火 ◆IRxFfnsX8c氏
マルコが切ない…
優しくて、かっこよくて、これってどこの対主催キャラ?
愛が既に死んでいるというのがもうね……
取り残された金糸雀と平さんはどうなってしまうのか!?
平さんは取り残されないで良かったね、と思わされる魅力の平さんマジ平。

改めて投下乙でしたー!

あと、某所で書き手紹介してくださった方に感謝!!
今後も頑張っていくんで、ロワロワをよろしく!!
191創る名無しに見る名無し:2011/05/01(日) 00:02:11.94 ID:9ruGVSnv
投下乙!!
霧島美穂切ねえなあ
秋山は薄々自分がなにしたか気づいてるんだろうなあ
ローザミスティカは秋山が所有したかこれはパワーアップフラグか
桐山はある意味一番安定した対主催だな
192創る名無しに見る名無し:2011/05/01(日) 00:46:46.23 ID:/riuSIhS
投下乙。
蓮は殺したのがモンスターじゃないって気付いたら転げ落ちそうだなあ。
和雄は相変わらずの安定。美穂は真司と会ったらどうなるかなー
193創る名無しに見る名無し:2011/05/01(日) 10:09:00.49 ID:+mu+TPS3
投下乙
ローザミスティカの使い方がおもしろいなあ
桐山との因縁がより強固になったな
さすが桐山はブレないw
霧島の切なさは伝わってきたよ…
真司近いしどうなることか
194創る名無しに見る名無し:2011/05/02(月) 22:32:13.56 ID:JvUndTdZ
もうすぐ放送ですね
お気に入りのキャラとかってある? 生死問わず

自分は今予約入っている七原真紅ペアが好きだ
正統派対主催コンビってことで期待してます
195創る名無しに見る名無し:2011/05/02(月) 23:06:48.90 ID:O//eWmbm
わりとすぐ死に別れちゃったけど翠星石とシオのコンビは好きだったなあ
アールマティを引き取った翠星石のこれからにも期待
持ち直したら対主催最強戦力にも成りうるw
196創る名無しに見る名無し:2011/05/02(月) 23:34:00.13 ID:JvUndTdZ
シオは場所が悪かったよねw
チャンと出会わなければもうちょっとほのぼの出来ただろうに…
197創る名無しに見る名無し:2011/05/03(火) 00:09:21.15 ID:exNrmubv
みねねと北岡コンビもいいな
なんか仲よさそう
198創る名無しに見る名無し:2011/05/03(火) 01:10:33.62 ID:rPvTS4/K
ノールと来栖さんかな
ノールはゴーイングマイウェイだけど、来栖さんはこの先ブレそうで楽しみ
199創る名無しに見る名無し:2011/05/03(火) 14:42:33.83 ID:0xQVlLg+
別れちゃったけどマルコ金糸雀平のトリオもいい
マルコと金糸雀の関係がなんかいい
200創る名無しに見る名無し:2011/05/05(木) 18:40:01.88 ID:gFnCLJz/
二人とも追加予約か
薔薇乙女殺しに定評のある蓮が追加か

真紅よ、安らかに眠れ
201創る名無しに見る名無し:2011/05/06(金) 00:42:50.47 ID:b+n0pV5+
てす
202 ◆CFbjQX2oDg :2011/05/06(金) 00:44:28.41 ID:b+n0pV5+
ロワロワの専用チャットを作ってみました。
掲示板とはまた違う交流に使えたらいいなと思ってます。
トリップも対応していますが、適当なHNでの入室でももちろん大歓迎です。
書き手、読み手問わず誰でも気軽に参加ください!
URLは>>1まとめwikiに貼ってあります!

ってことで告知あげ
203創る名無しに見る名無し:2011/05/08(日) 21:39:39.58 ID:Cf5eaN5w
代理投下します
204対主催  ◇1yqnHVqBO6 代理:2011/05/08(日) 21:42:15.80 ID:Cf5eaN5w
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「俺は絶対に死ねない。
一つでも命を奪ったら、お前はもう後戻りできなくなる」

「………………俺はそれを望んでいる」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「変身しろ」

そう七原秋也と真紅の前で言い放つ青年は秋山蓮。

七原達は秋山の言葉に困惑する。

先程の少年を探しながらなにか役に立つものを
調達しようと思ったがどこの家にも碌なものがおかれていない。
電器店すら見つけることはできず。

少し遠くなってしまうが大学で機材を調達することを
視野に入れ始めた二人は秋山に出会った。

「ヘン……シン? なんのことだかわからないなあ。
 妙な勘違いしてんじゃないか?」

おどけたように言いながらも
七原はいつでも戦闘へ移れるように、足を少しだけ開く。

「とぼけるな。お前の頭に座っている
 ソレは間違いなくミラーモンスターだ。
 ……ミラーモンスターのはずだ」

言葉の端に噛み締めるような
苦悩を感じさせながら秋山は言う。

「なら変身しろ。俺と戦え。俺と殺し合え!
 お前にも願いがあるのだろう!!」

それは激高か。それは懇願か。

どちらにせよ七原は首を振り。
その動きに追従し頭の上でゆっさゆっさと揺られながら
真紅は憤慨する。

「失礼ね。私はモンスターじゃないわ」

「それに俺達は戦う気なんてないぜ」

キッパリと告げる二人を見て
秋山は唇を強く強く噛みしめる。

「なら。こうなってもそう言い続けることができるか」
205対主催  ◇1yqnHVqBO6 代理:2011/05/08(日) 21:44:44.23 ID:Cf5eaN5w
秋山はデッキを掲げる。
腰にベルトが浮き出るかのように現れる。

「変身!」

そして秋山は鋼の鎧を纏う”騎士”へと変わる。

「おおっ、ファンタジーだよ真紅。
 アレ何だか知ってる?」

「シュウヤ。私をファンタジーなら
 何でも知っているみたいに言わないでちょうだい」

頭から降りた真紅と軽口をたたきあう七原を見て
秋山はさらに苛立ちを強くする。

「これでもまだ変身する気がないというのなら。
 斬る!」

秋山が地面を蹴ることで道が抉れる。
十分にあった距離を消されたのは七原秋也。

超常のスピードに七原は反応できない。

秋山は剣をもって一刀の煌きにより首を獲ろうとする。

それを防ぐのは舞うバラの花弁の奔流。
吹き飛ばされた秋山は空中で身を捻り着地する。
そこを追撃するのは七原秋也の銃撃。

その狙いは正確無比。
その胆力はまさに豪傑。

仮面ライダーの力を目の当たりにしても
七原秋也の心は恐怖を乗り越え。武器を離さない。

体勢を崩していたところへ空気を貫く弾丸が襲う。
着弾点は足。散弾特有の複数箇所同時攻撃が秋山の足を払い転倒させる。

「サンキュー真紅!」

「気を抜かないでシュウヤ。
 彼の意志はまだ折れていないわ」

無様と称することができる形で尻餅をついていた
秋山はすぐに立ち上がる。

「何故だ……どうして追い打ちをかけない。
 お前は仮面ライダーだろう?
 “願い”のためなら殺しを躊躇う理由なんてないはずだ!」

秋山の叫びに七原は応える。

「俺は。
 誰かを生きかえらせるためだろうと何のためだろうと。
 殺し合いをする気はないよ」

七原の言葉に秋山は剣を構える。
206創る名無しに見る名無し:2011/05/08(日) 21:45:20.84 ID:FsqbhX7C
支援
207対主催  ◇1yqnHVqBO6 代理:2011/05/08(日) 21:47:14.99 ID:Cf5eaN5w
「お前は大切なモノを奪われたことがないのか?」

「あるさ」

「あるわね」

七原の肯定に真紅も続く。

「どうしようもない現実を変えたいとは思わないのか?」

「思うよ」

「思うわね」

肯定はまた。

「秋也といったか。
 ならお前も……そうなはずだ。
 人を殺してでも願いを叶えるしか未来はないはずだ。
 そんな奴らが集まっているこの“闘い”で」

秋山は腰を落とし再度の攻撃を繰りだす構えを取る。

「“闘い”を否定するお前たちは間違っている!」

その言葉と共に秋山の懐が光り輝く。

「あれはローザミスティカ?!」

その光を見て真紅は知る。
目の前の男が何をしたのかを。
姉妹の一人が既に脱落したことを。

ローザミスティカの輝きが速さを押し上げる。
輝きが剣を振るう腕へ新たな神経束のように行き渡る。

黒き翼の天使の魂が“騎士”を強くする。

踏み込みは音速。

七原の本能が。
殺し合いを生き延びてきた経験が。
本能に警鐘を鳴らし、剣が体を両断する寸前に大きく後退させるに至る。

そして七原は撃つ。
先の子供を撃ったような理想に敗北した形ではなく。
七原の。七原と真紅の理想を貫くために撃つ。

だが今の秋山には体のどこを狙おうとも効くことはない。
強化された仮面ライダーに人の兵器は敵わない。

不利を感じ取った真紅は花びら一つ一つに
全力で秋山へと放つ。
だがそれを秋山のマントが変化した蝙蝠の超音波が
全てを防ぐとまではいかなくとも軌道を逸らす。
208対主催  ◇1yqnHVqBO6 代理:2011/05/08(日) 21:48:10.40 ID:Cf5eaN5w
秋山が秋也を切り裂こうと剣を振り下ろす。

だが七原はわかっていた。
秋山の動きに迷いがあることを。

例え音にまで昇華された攻撃であろうと。
迷いのある攻撃を予測するのは
数年間血尿を流すほど拳法に打ち込んだ秋也には容易い。
手に持つ銃を大剣に持ちかえて斬撃を受け止める。

秋山と対峙しているのが桐山だったなら
斬撃を見切った上で一撃与えることができただろう。

秋山と対峙しているのが杉村だったなら
斬撃を見切った上で相手を打倒することさえできただろう。

だが七原にはこれが限界。
相手の迷いという思いをこめた一撃を受け止めるだけ。

ともすれば受け止めた腕が砕けるだろうと思われた
一撃の威力は予想以上に弱い。

七原は慣れぬ大剣をもって、
元天才エース兼ショートの再来と言わんばかりに
秋山を横薙ぎに斬りかかる。

だが秋山は仮面ライダーナイト。
“騎士”に剣で張り合うには分が悪すぎる。
たとえ七原の得物が相手の力を奪い、蓄える魔界の剣であってもだ。

秋山は大剣が来るのを構わずに剣先を地面へ向ける。
そして限界まで大剣を引きつけると、
上体を大きく逸らし柄頭を渾身の力で
大剣の先へ打ち当てることにより秋也の手から武器を弾き飛ばす。

予想外の秋山の行動に秋也は目を見開く。
だがさらなる驚愕が待っていることを
腹にめり込む秋山の足が教える。

秋也は大きく蹴り飛ばされ数メートル転がる。

「シュウヤ!」

真紅がローザミスティカにより強化された
ダークウィングを退け。
七原へと走る。

「さあ、これで生身では殺されるとわかっただろう。
さあ、変身しろ。俺と戦え。
アレはミラーモンスターだろう。
お前は仮面ライダーだろう!」

秋山の前に真紅が立ちふさがる。

「だ……めだ真紅。逃げろ」

腹部を襲う地獄の苦しみに耐えながら、秋也は真紅に言う。
209対主催  ◇1yqnHVqBO6 代理:2011/05/08(日) 21:48:57.29 ID:Cf5eaN5w
「馬鹿ね」

真紅は少しだけ秋也に眼をむけて、
口元にほんの少しの笑みを形作る。

「私達は仲間でしょう?」

真紅と秋也を秋山は困惑したように見つめる。

「何故だ? お前は何だ?
ミラーモンスターだろう!?
化物だろう!?
なのに……どうしてそんな眼をする!
 お前までそんな眼をする!!」

事実からは必死に目をそむけ。秋山は叫ぶ。

「貴方が何を勘違いしているのかわからないけれども」

「お前が何を勘違いしているのか知らないけどさ」

真紅と七原は誇りをこめて言う。

「私は誇り高きローゼンメイデンの第5ドール。
 そして幸せな……ここにはいないマスターのお人形」

「コイツは俺の大切な友達なんだ。
 辛くて心が折れそうだったとき。支えてくれたすごく良い友達なんだ」

二人は続ける。

「だから私はモンスターなんかじゃないわ」

「だからコイツは化物なんかじゃない」

二人の言葉は。秋山蓮へと届いた。
届いて。そして掻き乱した。

仮面ライダーナイトを包む光が捩れる。
散乱する。濁りきったものへと変わる。
ダークウィングが苦鳴の声をあげる。
仮面ライダーナイトが頭に手をやり苦しみで体を折り曲げる。

ダメージから立ち直った七原が真紅のそばに立つ。

「ローザミスティカが彼を蝕み、苛んでいるのだわ」

真紅が悲しそうに呟く。

「あの輝きは……この地獄の底からでも執念深く相手を苦しめようとする
 性根の悪さが滲みでているようなローザミスティカは。あの子の…………」

真紅は目を閉じ。
宿敵とも言えた姉妹との思い出に心を馳せる。
だがそれも少しの間だけ。
210対主催  ◇1yqnHVqBO6 代理:2011/05/08(日) 21:50:31.34 ID:Cf5eaN5w
「どうするのシュウヤ? 
 今なら簡単に逃げられると思うけれども。
 いえ……逃げるべきかもしれないわね。今すぐに」

提案にも似た真紅の言葉に秋也はニカリと笑う。

「よくわからないけどさ。
 ローザミスティカって大切なモノなんだろ?
 じゃあ、取り返してやらないとさ」

真紅は秋也を見上げる。
秋也は笑みを絶やさず言う。

「もっと頼れよ。抱え込むなよ。
 せっかく友達になれたってのにそれじゃあ寂しすぎるぜ?」

真紅の表情はほんの少しだけ震えていて。
友の言葉が真紅の魂――ローザミスティカ――を
より美しく咲き誇らせる。

「貴方は……馬鹿ね。それに生意気だわ」

七原はその言葉に笑いながらも肩を竦め。
苦しむ秋山へ対峙する。

「お前が言うとおり。
 この殺し合いはみんなが必要としているものかもしれない。
 けれど。それでもいいんだ。
 俺は言い続ける。貫き続ける。
 世界中のみんながそれを肯定したとしても。
 殺し合いなんて間違っているって」


七原秋也は宣言する。


「人も世界も変える。
 俺は。俺達は。
 “革命家” なんだからさ」
211対主催  ◇1yqnHVqBO6 代理:2011/05/08(日) 21:51:12.40 ID:Cf5eaN5w
【E-4/市街地/一日目・早朝】

【七原秋也@バトルロワイアル】
[状態]:強い決意 、腹部に中ダメージ(ヴァルセーレの剣が吸い取った力で僅かに回復)
[装備]:レミントンM870(8/8) 、レミントンM870(8/8)、ヴァルセーレの剣@金色のガッシュ、信史のピアス@バトルロワイアル
[道具]:基本支給品、レミントンM870の弾(22発)
[思考・状況]
基本行動方針:真紅と共にプログラムの打倒
1:秋山からローザミスティカを奪う
2:脱出の為の情報収集、工具等の道具集め。 大学に向かうことも視野に入れる。
3:次にあの子に会ったら……
4:仲間を頼る。そして一緒に強くなる。
※本編終了後から参戦。

【真紅@ローゼンメイデン】
[状態]:健康。左足からアンモニア臭。 疲労(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ホーリエ、ハリセン@現実
[思考・状況]
基本行動方針:七原秋也と行動をともにし、脱出する 。
1:秋山から水銀燈のローザミスティカを奪う
2:秋也が苦しい時は側にいる。

【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
[状態]:健康、ダメージ(小)、疲労(中)、ローザミスティカにより強化、暴走
[装備]:カードデッキ(ナイト) 、ローザミスティカ(水銀燈)(暴走中)
[道具]:基本支給品、不明支給品×1、
[思考・状況]
基本行動方針:?????? 
1:俺は。俺は! 俺はっ!!

[備考]
参戦時期:少なくとも恵理が目覚めるより前、手塚との出会い以降からの参戦
水銀燈を新種のミラーモンスターだと認識?
アリスゲーム等の正規の形でローザミスティカを手に入れたわけではないので
ローザミスティカは所有者に力を与えますが同時に心身を蝕みます。
同意のもとで手に入れたらどうなるかは後続の書き手にお任せします。
あと人工精霊も。
[共通備考]
F-2の墓場には、参加者の元いた世界の脱落者、関係者の墓が多数存在。(※死者に限る)
212対主催  ◇1yqnHVqBO6 代理:2011/05/08(日) 21:51:54.35 ID:Cf5eaN5w
以上で代理投下を終了します
213 ◆CFbjQX2oDg :2011/05/08(日) 23:43:01.39 ID:Cf5eaN5w
蒼星石、宇谷九一郎、ティオ、ブック、ミツル、坂本竜太を投下します

まだ満月が空を支配しているころ、ローブを纏った少年が悠々自適に歩いていました。
少年は神に代わり全てを支配するために、失った妹を取り戻すために歩みを止めません。
だけど、少年が歩むと決めた道は一方通行です。
ゴールを間違ったからと行って戻ることは出来ません。一度進んだ道を簡単に変えることは出来ません。
なので少年は道を間違えないように、しっかりと下調べをし、より確実にゴールに辿り着ける道を探すことにしました。

少年は何かに導かれるようにある地点へ辿り着きました。
そこで少年が見つけたものを見て微笑みを浮かべます。

「ほぅ…これはおもしろそうだ」

少年は色々な道を模索しています。
今思いついた行為もその一つ。
何かが壊れる音がした後、少年はまた歩みだします。



◇ ◆ ◇




朝日が水面に反射して、キラキラと輝いている。
河には流れを出すために段差が設けられていて、水しぶきかが朝の清々しい空気を演出している。
このような場所で散歩でもしたら、気持ちよさから通行人同士笑顔で挨拶が交わされることだろう。
この場で三名の人物が顔を合わせた。
和服の老人、蒼を基調とした服を着る少女、そしてピンクを基調とした服を着る少女。
だが、この気持ちの良い朝に出会った三人が浮かべる表情は笑顔だけではない。

「貴方達は何なの? 何がしたいの? 教えてくれる?」

突然現れたピンクの少女は疑問をぶつけてくる。
傷だらけながら笑顔。
アンバランスな少女に対して九一郎は保護欲よりも恐怖心を駆り立てられそうになった。
性的に襲われたかもしれない少女を前に怖気づく必要などあるのか。
少女が怯えているだけなのではないのか。
少女を癒してあげなければ、共に脱出を目指そう、力になってやる。
だが、
差し伸べようとした手は
踏み出そうとした足は
石化したように動かない。
少女の笑顔に歪みが九一郎の体を釘付けにしていた。

「その血は……」

ギリィッ
依然ピンクの少女との距離は遠い。
なのに大きな歯軋りが聞こえてくるようだ。

「そう……貴方達は誰かを殺したのね? 悪い人なのね?」

もはや少女の顔は笑ってなどいない。
親の敵でも見るかのように顔を歪めている。
シルバーバトルで恐怖に耐え切れず狂った老人を何人も見てきた。
哀れに思える狂い方をするものもいた。
だが、少女の表情はそのどれにも当てはまらなかった。
瞳に宿す感情は恐怖でなく狂気。
背筋に冷たい汗が流れる。
215創る名無しに見る名無し:2011/05/08(日) 23:45:26.23 ID:312yayVt
    

「ご隠居。下がってて。あのこは人間じゃないよ」

「ろうぜんめいでんってやつか?」

「ううん、違う。ただ心の感じが人間とは違うんだ。そして、あのこの心の樹は多分、周りの草に覆われている」

「心の樹? 一体何の喩えだ?」

「喩えじゃないんだ。僕は夢の庭師だからわかる。あのこの心の樹は苦しんでいる」

蒼星石はワシみたいに怯えずに真っ直ぐに少女を見据えている。
それに引き換えワシは……

「なら、一緒に説得し――」

九一郎の言葉は最後まで紡がれることは無かった。
人間じゃない、と言われたところで見た目は傷ついた孫ぐらいの少女。
まさか成人男性以上のスピードで背後に移動して襲いくると初見で誰が予想できようか。
目を離したのは蒼星石と言葉を交わす一瞬だけ。
その隙に少女は背後に回り、飛び掛ってきた。
九一郎の後頭部を狙った少女のその腕は蒼星石の鋏によって受け止められる。

「ハァッ!」

小さな体躯を器用に使い鋏を振りぬく。
弾かれたように距離を開ける二人。

「ここは僕に任せて。薔薇乙女の、庭師の誇りに懸けてあのこを止めてみせる!」





(あのこを出来るだけ傷つけたくない……意識さえ奪えば夢の世界にいけるはず……)

先に仕掛けたのは蒼い少女――蒼星石。
小柄な身体と同じくらいの大きさの鋏を振りかぶり、ティオに跳びかかる。

「セウシル!」

「そんなもので防げると思っているのかい?」

ピンクの少女――ティオの周囲にドーム状のバリアーが展開される。
だが、それに動じることもなく蒼星石は空中で庭師の鋏の口を大きく開く。
セウシルは音を立てて斬り崩された。
ティオの真後ろに着地した蒼星石は振り返りながら閉じた鋏を横薙ぎに振るう。
狙いはあくまでもティオの命では無く意識を奪うこと。
刃先で傷つけないよう側面でティオを襲う。

だが、ティオも幾度の戦闘を越えてきた一人。
後ろを振り返ることなく前方に転がるように跳びこれを回避する。
四つん這いの姿勢で蒼星石と対峙する。
空振りして態勢を崩した相手に今度はティオが跳びかかる。
217創る名無しに見る名無し:2011/05/08(日) 23:48:48.05 ID:312yayVt
     
(速いッ……!)

こちらも少女とは思えないスピードで連続して腕を伸ばしてくる。
打撃……ではない。投げを狙っているのだろうか。
迫ってくる腕を鋏で切れば容易くこの猛攻から逃れられるだろう。
だが、それは蒼星石の本意ではない。
そのため鋏を開かずに迫り来る腕を
ときに弾き、ときに身を屈め、ときに跳んで避けながら凌いでいる。

(このままでは埒が明かない)

足元の砂を蹴り上げティオの視界を塞ぎ再び距離をとる。
本来、蒼星石は薔薇乙女人形の中でも随一の接近戦の達人である。
だが、ティオを出来るだけ傷つけないよう鋏の刃の部分を使わずティオを相手に出来るほど両者の間に差は存在しない。
なので距離を開けざるを得ない。
必然的に決定打を与えることが非情に難しくなる。

「君はさっき僕たちに質問したね。僕から逆に聞かせてもらいたいのだけど、この行為は本当に君が決めたことなのかい?」

確証は無い。
ただ、心の庭師として数多くの人間とその心を見てきたから何となくわかる。
自らの意思で狂気に呑まれる者がいた。
自らの倫理観を他者に押し付ける者がいた。
元マスターである結菱一葉は
自らの妄執に焦がれ、自らの心の樹を省みずに自縛していた。

今の彼女の纏う雰囲気は元マスターに似ている。
だからこそ、彼女の心の樹も綺麗な一本は残ったままだと僕は思うんだ。

「うるさいっ! サイス!」

ティオの両腕からエネルギーの刃が繰り出される。
蒼星石が鋏で撃ち落す。

「サイス! サイス! サイス!」

落とされようが関係無いと言わんばかりの連打。
元々の威力も無い呪文なため蒼星石は数が増えたところで真正面から叩き落していく。

「自分の本当の気持ちと向き合うんだ! 君が本当にしたいことは何なのか考えるんだ!」

ティオの狂ったような猛攻を弾き落とし続ける。
有効打は互いに無し。
だが、戦況に変化はあった。弾き落としたサイスにより砂煙がもくもくと上がり互いの姿がよく見えなくなった。
ティオ自身、盲目的に攻撃していたため、そこに気が回っていなかった故だ。

「チイッ! どこいった! サイスッ! サイスッ!」
さらに闇雲にサイスを撃つティオ。
さらに舞い上がる砂煙。
ティオの背後が切り裂かれ、蒼き少女が柔らかい微笑みを浮かべ現れた。

「大丈夫だよ。今度こそ僕が正しい道を示してあげるから」

結菱一葉のときは自分も弱い心に負けてしまった。
翠星石を、姉妹たちを傷つける最悪の道を選んでしまった。
その結果ローザミスティカを失ったことに不満はない。
だけど、後悔はあった。
自分がマスターに出来ることはあったんじゃないか。
誰も悲しまない傷つかない結末を選べたんじゃないのか。
だから、今度こそ間違えない。

最初で、そして最後の蒼星石の一振りがティオの無防備な後頭部に直撃する。
暴行によるダメージの蓄積。
過度な運動。
呪文の連続使用。
そして精神の揺らぎ。

ドサリと音を立ててその場に倒れるティオ。
立ち上がる気配は無い。
勝敗は決した。
蒼い少女が桃色の少女を制した。

「大丈夫か、蒼星石。まったく無茶をしおって」

「僕は大丈夫だよ。ご隠居、心配ついでにもう少し待っててくれないかな」

「心の樹……ってやつか?」

「うん。nのフィールドとは違う夢の世界なら、この会場でも入れるかもしれない。
 それが僕の仕事だし、何より彼女のために僕がしたいんだ」

蒼星石の新たな表情を見た九一郎は不謹慎ながら喜びを感じる。
自分よりも永い時間を過ごしてきたという蒼星石。
だが、自分から見たらまだまだ子供、いや、孫同然だ。
少女のころは感情は隠さずにどんどん出すといいと九一郎は思った。
何となく蒼星石の頭を撫でてやりたい気持ちになり、伸ばした手は再び止まることになる。

「グギャオオオオォォォォォォォォ!!」

「「!?」」

突然の乱入者。
黄土色の甲殻。
緑色した眼がふたつ。
首が無く、頭と胴体が一緒になったような体躯。
天を仰ぐ両腕に付随した大鋏。

一目で人間でないとわかる怪物だ。

「あの化け物も参加者なのか!? 」

「ご隠居、あいつには首輪が無い。正体はわからないけど、僕が食い止めているうちにその女の子を連れて逃げて!」
鋏と鋏がぶつかり合い、火花が飛び散る。
先ほどのように手加減なんか必要ない。
だが、両者の体格の差は推進力の差となって顕著に現れる。
黄土色の蟹――ボルキャンサーが万歳のように鍔迫り合いしていた鋏同士をあげて蒼星石を吹き飛ばす。

「何て力だ……!」

蒼星石の体が大きな放物線を描く。
派手に飛ばされたがダメージは対してない。
空中で鋏を落とさないように強く握りなおし、バク宙の要領で体勢を整えボルキャンサーがいた地点を睨む。

「……ッ! いない!?」

ボルキャンサーは蒼星石を吹き飛ばすと同時に彼女の真下を並走していた。
せっかく体勢を整えたのに、敵を見失ったことから再び隙が出来る。
そこに真下からの頭突きが繰り出される。

「蒼星石!」

敵の攻撃が直撃し、受身も取れないまま地面を転がる蒼星石。
手から離れた庭師の鋏がクルクルと回転しながら地面にささり、蒼星石のシルクハットも頭から外れ、ふわふわと地面に落下する。

「止まれ! 化け物!」

パァァァン! パァァァン! 

懐から取り出したワルサーでボルキャンサーを撃つ。
だが、蟹型のモンスターの甲殻は硬い。
大口径の銃ならともかく、ワルサーでは傷をつけることすら出来ず小さな火花を上げることが精一杯だった。
当然、ボルキャンサーの歩みを止めるには足りない。
まるで蒼星石の何かを追い求めているかのように執拗に蒼星石だけを狙っている。

「くそっ! 襲うならワシから襲え!」

カチッ カチッ
装填されている銃弾を撃ちつくし、渇いた音だけが響く。
九一郎は力なく跪く。
シルバーバトルは増えすぎた老人たちを減らすための殺し合い。
参加する老人たちの感情はどうあれ、それは若者が未来を生きるための法律だ。
決して未来ある若い命を命を失わせるために殺しあっているのではない。
自分には蒼星石や背負っている少女のような身体能力は無い。
孫ほどの少女が怪物に殺されそうになっているのに何も出来ないで。

「あの少女は仲間ですか? 俺が誰も殺させない」

Pi
一陣の風が吹く。
九一郎の肩に手を置きながら見たことも無い青年が話しかけている。
肩から手を外すと、突然現れた青年は何かを化け物に向かって投げた。

BTOOOOOOOOOOOOM!

青年の投げた何かがボルキャンサーの足元で爆発を起こした。
爆風に髪を揺らしながらこちらへと振り返る。
九一郎は状況の理解に脳が追いつかない。
何を警戒し、何を信用すればいいのだろうか。
「桜見タワー」

「え?」

「桜見タワーってところで合流しましょう。あの子は俺が連れて逃げるから爺さんは背負ってる子と先に行ってください」

「ワシだって――」

「俺は誰も死なせたくないんです。頼む、俺に任せてください」

背負っているピンクの少女とはまた違った悲痛な目をしているが
青年の目は嘘をついているような印象はない。
ワシが一緒にいたら逃げられない。だから先に逃がそうとしているのだろう。
何故この青年が話したことのない老いぼれたちを助けてくれるのか。
一体何を根拠にあの化け物相手に戦う気なのかは皆目見当も付かない。

「蒼星石を頼むぞ」

「はい。あとこれを持っておいてください。握って力を込めると大体の居場所がわかります。
 だけど、他の連中にもバレる可能性があるから多様はしないでください」

そういって楕円形のガラスを手渡されるので懐にしまう。

「ワシは宇谷九一郎じゃ。死ぬなよ」

「坂本竜太です。蒼星石を連れて必ず追いかけます」

二、三度後ろを振り返ったあと、九一郎は森の中へと消えていった。
坂本は化け物が襲い掛かってくる前に老人たちが離脱出来たことに安堵する。

吹き飛ばされたボルキャンサーが坂本を排除する敵と定め雄叫びをあげる。
銃弾程度では見向きもしなかったが、先ほどの爆撃に対して怒りを覚えているようだ。

倒れている蒼星石。その10Mほど離れた位置にボルキャンサー。さらに10Mほど離れた位置にいるのが坂本だ。
三者は一直線に並んでいる。

(チクショウ。BIM1発直撃しても倒れないとか本物の化け物かよ。
 持っているBIMはタイマー型5個。化け物を別に必ず倒す必要は無い。
 これを駆使して女の子を救い、離脱できればいいんだ。BTOOOM!世界ランカーの俺なら出来るはずだ!)



◇  ◆  ◇



坂本竜太が宇谷九一郎たちに合流する前まで時間は遡る。
忍者を名乗る長髪の男と一方的に別れ一人で歩いている。
雪原を抜け、橋を渡り、ふらふらとC-2エリアまで辿り着いた。
森の中の広い部分に小さな花畑を見つけ、疲弊しきった心を癒すために腰を下ろしている。


「あの島でもここでも人が簡単に殺されていく……」

日常生活から切り離されて約一週間。
テレビや漫画、ゲームとも違う。現実で人間同士が殺しあっている。
その事実が、目の前で人が日常ではありえない死に様が脳裏に蘇る。

人間の顔面が、手が、足が、腸が、脳が、
潰れ、溢れ、紛れ、拉げ、歪み、
坂本の視覚を、聴覚を、触覚を、味覚を、刺激してくる。

自分を襲ってきた大男もや蛇のような仮面の男も、助けてくれた長髪の男も
人を殺すことに戸惑いや躊躇なんて無かった。
まるでゲームのように、BTOOOM!の世界のように。

平さんはどこにいるんだろう。
二人で助けた金髪の女の子もここにいるのかな……そーいや、あの娘の名前も知らないや。
名簿にあったヒミコって名前が俺のBTOOOM!内での最愛の人で、あの女の子だというのを都合が良すぎるよな。
あの金髪の娘じゃなくても、このヒミコが俺の知っているヒミコなら会ってみたい。

「会いたい……殺すだとか殺されるとかを考えなくていい相手に……」

雪原を抜けてしばらくレーダーを使っていなかったことに気づく。
さっき会った連中の左手にはレーダーはついていなかった。
動いているのに反応も無かった。
あのリアルBTOOOM!島からの連中だけしかレーダーは無い可能性が高い。
反応があれば、1/2の確率でで平さんのはず。

ピコーン

「近い!」

「今のはお前か?」

探す、隠れるなどの選択肢を選ぶ間もなくそれは現れた。
平清でも吉良康介でもない少年。
年齢は吉良ほどだろうか。何かのコスプレをしている。
レーダーに反応があったということは、あの島にいたのだろうか。
だが、少年の左手にレーダーの役割を果たすガラスは埋め込まれていない。

「ふん……シウバのような能力かと思えば、貴様からは魔力を一切感じないな。大方、このガラスにだけ反応するってところか」

「おい、お前。そのガラス、どこで手に入れた?」

「気になるのならくれてやるよ」

金髪の少年は興味無さそうに坂本を見ると、ガラス片を投げつける。

「一応聞くがお前は影の男について何か知っているか?」

「いや、何も。というかお前じゃない。坂本竜太だ。お前は誰だ?」

「シグドラ左蛇頭尾のミツルだ。この先に闘技場があるだろう。その近くのガキ死体から拾った。興味があるなら勝手に行け」
そう言うと金髪の少年は振り返りもせずに立ち去っていった。
追いかける気は不思議とまったくおきなかった。
言うことを信じるなら吉良は死んだのだろう。
道端の石を見るかのような少年の目を前に、何も言い返せなかった自分に腹が立った。

『考え方を“切り替えなきゃ”いいんだよ。現実をゲームのように考えて生きるのさ』

吉良の言葉が蘇る。
ゲームなら、BTOOOM!なら相手を殺して楽しむものだ。
それが楽しくて、相手を蹂躙して賞賛されることが楽しくて
オレもハマっていた。それが快感だった。

だけど、やっぱりゲームと現実は違うんだ。
人が死ぬというのは、重い。
オレはこのバトルロワイアルに参加したくない。
オレは誰の命も奪いたくない。
このクソったれな世界から脱出してやる! 

◇  ◆  ◇

「ああ〜ティオちゃん倒されちゃったね」

一部始終をずっと観察している男がいた。
シグドラ第五足、魔物使いのブックだ。

「見たこともない魔物も出てきたし、楽しみはまだまだ続きそうだね、ジュリー」

「さあて、連れて行かれたティオちゃんを追うかな〜、でも蟹型の魔物もおもしろそうだな〜」

心の底から楽しそうな微笑を浮かべている。肩に乗る小動物も小さな鳴き声でそれに答える。

「ねぇ、キミはどっちが良いと思う? ミツルくん」

何も無い空間から小さな舌打ちと共に黒いローブを纏った金髪の少年が姿を現す。
消影(バニッシュ)を用いてブックの背後に佇んでいたのだった。

「消影は匂いまでは消せないからな。さすがに魔物使い様は鼻が利くな」

「ふふっ。シグドラの新隊員さんは口の利き方ってものを知らないみたいだね」

互いに武器を構える。
空気が一瞬で張り詰めて、木々が殺気を感じ取ったかの如くざわめく。
沈黙。睨みあい。
ジュリーの唸り声だけが響いている。

だが、すぐにミツルは何かに納得したように武器を下ろした。

「どういうつもり? まさか、ネオやスロープを倒した君が今更シグドラ同士では争えないとでもいう気かい?」

「俺は今お前と戦うつもりは無いよ。そんなことするメリットが無いじゃないか」

ブックはミツルが何を言いたいのかを察すると自らも構えを解く。

「それもそうだね。幻界かどうかもわからない場所で玉を焦って5つ集める必要はないか」

「せいぜい頑張れよ、あいつと魔物は俺からの選別だ」

そういい残し、再びミツルの姿は周囲に溶け込むように消えていった。
残されたブックは鼻歌を歌いながらどちらがより楽しめるかを選択する。
224創る名無しに見る名無し:2011/05/09(月) 00:04:07.92 ID:A8MFb1zQ
     
225創る名無しに見る名無し:2011/05/09(月) 00:06:36.57 ID:A8MFb1zQ
         
【D-1/橋の上/一日目/早朝】

【蒼星石@ローゼンメイデン】
[状態]:疲労(中)、気絶
[装備]:庭師の鋏@ローゼンメイデン 、神業級の職人の本@ローゼンメイデン、
     葬いのボサ・ノバ@銀齢の果て
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界に戻る。
1:……(気絶中)
2:少女(ティオ)の夢の世界に入りたい
3:九一郎と行動を共にする。
3:ドールズと合流する。
4:雛苺を警戒。
5:水銀燈にローゼミスティカを返すよう言われたら……?

[備考]
※参戦時期は原作4巻終了時
※雛苺が雪華綺晶である可能性を考えています
※シルバー・バトルの概略のみ知りました
※雪華綺晶のコスチューム@ローゼンメイデンと柱時計@ローゼンメイデンは
 水上コロシアムにおいてきました。
※水上コロシアムの凡その構造は把握しました。

【坂本竜太@BTOOOM!】
[状態]:後頭部に痛み、現実感の喪失?
[装備]:BIM(タイマー式)@BTOOOM!(5/8)、デリンジャー(2/2)@現実、レーダー@BTOOOM!
[道具]:基本支給品、予備弾薬12発、
[思考・状況]
基本行動方針:バトルロワイアルからの脱出
1:目の前の化け物をどうにかして少女(蒼星石を救う)
2:桜美タワーに行く
2:出来るなら平さんと合流したい

[参戦時期]ヒミコの名前を認識する前から参戦。
 ヒミコと合流しているかどうかは後の書き手にお任せします

【ブック@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:ダメージ小 、心の力消費小
[装備]:契約の玉@ブレスト、ジュリー(銀嶺)@ブレスト 、 双眼鏡@現実
[道具]:基本支給品、青酸カリ@バトルロワイアル、魔本(ティオ)@金色のガッシュ!!、
[思考・状況]
基本行動方針:
1:どっちに行こうかな。ティオちゃんか蟹の魔物か。
2:ティオに狂戦士の術をかけて、人間を殺す。
3:ガッシュ達魔物の子に興味

[備考]
※参戦時期はワタル戦前のどこか、ミツルやワタルを知っているかについては後の書き手にお任せします。
※魔物の子の王を決める戦いの概略のみ知りました。
※魔本を読めることを知りました。

[共通備考]
シザースのデッキは破壊されました。
ボルキャンサーが解放されました。
227創る名無しに見る名無し:2011/05/09(月) 00:09:30.03 ID:A8MFb1zQ
     
【C-2/一日目/早朝】

【ミツル@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:健康
[装備]:ミツルの杖@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品、不明支給品×1、BIM(爆縮型)@BTOOOM (7/8)
[思考・状況]
基本行動方針:妹を生き返らせる。手段は選ばない
1:情報を求める。あの影の関係者が望ましい
2:チャン以外の旅人と同盟を結ぶ(カントリーマンとも?)(できればワタルがいい)
3:チャンとは可能なかぎり戦いを避ける

[備考]
参戦時期:ゾフィが虚になった後。
魔法を使うと体力消耗。

【E-2/一日目/早朝】

【宇谷九一郎@銀齢の果て】
[状態]:健康
[装備]:ワルサーP38(0/8)@現実
[道具]:基本支給品、ワルサー予備弾×16、動物園の鍵@銀齢の果て、
     サバイブ(烈火)@仮面ライダー龍騎
[思考・状況]
基本行動方針:影の男へ反逆する。 
1:桜見タワーに行き、坂本と蒼星石を待つ。
2: 少女(ティオ)と話がしたいが……。
3: 猿谷と合流する。

[備考]
※アリスゲームの概略のみ知りました。
※水上コロシアムの凡その構造は把握しました。


【ティオ@金色のガッシュ!!】
[状態]:ダメージ(大)、疲労(中)、男への生理的嫌悪感? 、気絶
[装備]:
[道具]:基本支給品、ヨキの弓矢(9/10)@waqwaq
[思考・状況]
基本行動方針:???
1:……(気絶中)
2:ブックと行動する。
3:ガッシュ達は信用したい……けど
4:人間の…男は……

[備考]
宇谷九一郎に背負われています。
以上で投下を終了します。
支援してくださった方ありがとうございます。
矛盾、おかしな点、その他ご不明な点があればご指摘ください。
230創る名無しに見る名無し:2011/05/09(月) 00:28:03.11 ID:qd4PqMtS
感想を

投下乙!
七原かっけぇ! 迷いがあるとはいえ、ナイトの一撃を受け、そして高らかな宣言!
タイトル含めて燃える展開だぜwww
水銀燈のローザミスティカが蓮を蝕む!

>ソレは間違いなくミラーモンスターだ。
 ……ミラーモンスターのはずだ」
この台詞だけで心にクルものがあるね……

熱血展開乙でした!
231 ◆W91cP0oKww :2011/05/09(月) 23:35:09.74 ID:A8MFb1zQ
お待たせしました。これより投下を始めます。
232I want to smile for you ◆W91cP0oKww :2011/05/09(月) 23:36:06.16 ID:A8MFb1zQ
「行くぜ、真紅」
「ええ」

秋也と真紅が二手に分かれて駆け出す。
秋山はどちらを狙うか一瞬苦悩するがすぐに決めて地面を踏みしめて接敵した。
その相手とは。

「やっぱり俺か」
「おおおおおおおおおおっっ!」

秋山は身体能力的にも差がある秋也を狙うことに決めた。
手に持った剣を横薙ぎに一閃。
それは常人にはとてもじゃないが見極められない一撃であるが秋也は安々とヴァルセーレの剣で防ぐ。
止められるとは思っていなかったのか秋山の動きが一瞬止まる。隙はそれだけで十分だった。
剣を振り払い秋山の腹部目がけてヴァルセーレの剣を横薙ぎに振るう。

「がァっ!」
「ホームランってな! これでも元野球部、バッティングには自信があるぜ」

直撃を食らった秋山はたたらを踏み、崩れ落ちそうになるが気合で態勢を元に戻す。
元に戻る勢いついでに秋也の頭目がけて頭突きをするが既に秋也は離脱している。
その代わりに。

「あら、私を忘れてもらっては困るわ」

バラの花弁の奔流が秋山に迫る。真紅がダークウィングとの戦闘の傍らに精製したものだ。
さすがに剣で薙ぎ払うには面倒だと思ったのか、秋山はベルトからカードを取り出して武器を召喚する。

――SWORD VENT――

カードの恩恵により天から舞い降りる突撃槍――ウイングランサー。
それを手に取り、迫る花弁を一刀両断、するはずだった。

「なっ!?」

花弁は即座に方向を変えて秋山ではなく、落ちてくるウイングランサーを狙った。
真紅が遠くでニヤリと笑う。してやったりといった顔だ。
こうなってしまってはただ座して待つのではなく自分で動いて取りに行くしかない。
秋山はそう判断して後退してウイングランサー目がけて跳躍しようとするが。

「俺を忘れんなよ!」

秋也がそれを許さない。レミントンによる銃撃が空を翔ける。
弾丸は見事命中して秋山をのけぞらせた。
その間にウイングランサーは花弁によって吹き飛ばされあらぬところに行ってしまった。
233I want to smile for you ◆W91cP0oKww :2011/05/09(月) 23:36:49.00 ID:A8MFb1zQ

「邪魔ばかりして!」
「これは“闘い”なんだ、当たり前だろ!」

秋山は悪態を吐いて剣を強く握り締め、横に縦に縦横無尽に襲うヴァルセーレの剣を受け止める。
袈裟に振り落とされるのを下段からの振り上げで受け止め、横薙ぎの斬撃は力任せに弾き返す。
返答替わりの唐竹割りは安々と受け止められた。

「……何故当たらない!」
「さぁな、やっぱり迷ってんじゃないのか!」

ヴァルセーレの剣と秋山の剣が打ち鳴らす金属音が次第に大きくなり、斬裂の音だけが世界に音となって広がっていく。
五月蝿いぐらいに響く金属音。だがそれを咎める者は誰もおらず。両者は一心不乱に刃を走らせる。

(最初と比べて動きが単調だ、幾ら速くてもこれなら俺でも戦える!)

秋山の動きは確かに速かった。仮面ライダーナイトの名は伊達ではない。だが、現在はただ速い“だけ”だ。
何の戦略も無くただ心の赴くままに暴れているだけ。そんな攻撃は幾多の修練と修羅場を乗り越えた秋也には通用しない。

「くそっ!!」
「……それでも受けているのが精一杯だな、コンチクショウ」

傍からは秋山が一方的に秋也に攻撃を繰り出しているように視えるだろう。
だが実態は違う。追い詰められているのは秋山の方だ。
斬撃は徐々に雑になってはいるし、息も上がってきている。

(でも最初の勢いがなくなってきている……このまま持久戦に持ち込むと勝てる!)

ヴァルセーレの剣には触れた魔物の力を奪い、蓄える能力がある。秋山の剣に何度も触れて、肉体にも大きな一撃を与えた。
仮面ライダーの力はヴァルセーレの剣の能力によって吸収されたのだ。
最もそれに気づかない秋山はだんだんと落ちていく動きに戸惑いを隠せない。

「チッ!」

舌打ちと共に秋山は一旦後退して新たなカードをデッキから取りだそうとするが、その動作は最期まで行われない。
秋也は素早くヴァルセーレの剣からレミントンに持ち替えて銃撃。カードを見事撃ち抜き、秋山の手から弾かれた。

「そのカードがお前に力を与えてるってのはさっきの動作でわかった。もうそれは使わせない」
234創る名無しに見る名無し:2011/05/09(月) 23:37:05.53 ID:vbHwdHAb
私怨
235I want to smile for you ◆W91cP0oKww :2011/05/09(月) 23:37:18.16 ID:A8MFb1zQ

戦闘の間も秋也は秋山の動作などを観察していた。カードによってウイングランサーが召喚されたことを把握していたのだ。
杉村や桐山のように打倒し、一撃を与えることができないのなら頭を使うまで。

「…………だ」
「なんだ?」
「どうしてだ! お前達は大切なモノを奪われたはずだ! どうしようもない現実を変えたいはずだ!
 なのに何故協力する! 何故優勝を目指さない! 何故平然と“闘い”を否定する! 」

秋山の慟哭が辺りに響く。それは泣いているのか、怒っているのかどちらとも取れない慟哭。
だが、秋山の心からの叫びであることだけは確かだ。この慟哭に全員が動きを止める。

「答えろ秋也! 真紅!」
「そうだな……」
「そうね……」

秋山の問いに二人は静かに答える。先程まで金属音が響いていた戦場とは思えない静けさだった。

「俺は数えきれない程の後悔をしてきた」
「私も後悔したわ、もっと力があればいいのになんて何度も思った」

こんなハズでは、もっとうまくやれたらなどの後悔は飽きるくらいにした。

「銃で撃たれて痛い思いだってした、大切な人が死んで悲しい思いだってした」
「もうこんな運命から逃げ出そうとさえ思った時もあったわね」

大切なモノの喪失、いっそ死んでしまいたい。痛くて悲しい感情は何時だって色褪せなかった。

「だけど、現実が痛くても悲しくても投げ出したくても」
「例えどれほどの苦渋が待ち受けていたとしても」

先行きが見えない暗い現実、騙され裏切られ、果ては死ぬかもしれない未来が降りかかろうとも。



「「乗り越えなくてはいけない」」



そこで足を止めたらおしまいだから。理想を貫くという意志が諦めを許してはくれない。
236I want to smile for you ◆W91cP0oKww :2011/05/09(月) 23:37:47.19 ID:A8MFb1zQ

「確かに苦しいさ、この道のりは。果てが見えない」
「むしろ果てなんてあるのかどうかすらわからないわ」

この行先は崖で一人では登れないかもしれない。

「だから、協力するんだ。一人じゃ苦しいからさ」
「それに優勝なんてナンセンスよ、たった一人だけなんて寂しいしね。一人で飲む紅茶も美味しくないわ」

それなら二人で助け合いながら登ればいい。いつだって人は助け合いながら生きていくものだから。
人は一人では生きてはいけないから。

「それに俺は“闘い”を否定しているわけではないんだ」
「私達だって“闘い”を肯定しなくてはいけない時もあるわ」
「俺は、いや俺達は護る為の“闘い”をするんだ」
「大切な人達に胸をはって誇れるような“闘い”を、ね」

その理想はこの戦場では一笑されることだろう。ここはバトル・ロワイアル、たった一人の優勝者のみが生き残れる狂気の戦場だ。
護るだなんて何だ? そう疑問符を浮かべられることだろう。
それでも秋也や真紅にとっては貫きたい理想だったのだ。

「……俺だって護りたかった」

誰にも聞こえない小ささのつぶやきだが、二人の耳には届いた。蚊の鳴くようなつぶやきだが、確かに届いた。

「俺だって護りたかったさ! 正義の味方として力を使いたかった! あのふざけた影の奴を倒す為に協力したいさ!
 胸をはれる”闘い”だってしたかった!」

それは秋山の本心だということが痛いほどに理解できた。顔は仮面で隠れているが涙が止めどなく流れている、二人はそんな気がした。

「だが、俺は……救わなくてはいけない! 今も眠っている恵理を!
 恵理の為ではなく俺自身の為に、俺が俺である為に! 幸せになる為に!」

大切な人と共に歩む未来、それはこの世のありとあらゆるモノをとっぱらってでも欲しいモノだった。
その為に仮面ライダーになった。だが、その思いと同時に考えたこともあった。
これでいいのか? 疑問に対する答えは出せなかった。その疑問を封じてただ一心不乱に戦うことしか出来なかった。

「恵理を護れなかった俺にっっ! 護る為に動く資格なんてないんだ!」

それはある種の呪いであろう。秋山をどこまでも苦しめるが最後の拠り所としている呪い。
ぬぐってもぬぐっても落ちない汚れのように。それからは願いを叶えるまでは永遠に解放されない。
237I want to smile for you ◆W91cP0oKww :2011/05/09(月) 23:38:08.03 ID:A8MFb1zQ

「お前達がだぶるんだよ、……いくら裏切られても人を信じ続けるあのバカみたいなお人好しと」

秋山の脳裏に浮かぶのはモンスターから人を護る為だけに変身するある一人の男。
馴れ馴れしく、何度も衝突したこともあるが不思議と決別まではしなかった。
この戦場でも変わらずに人を護る為だけに力を使っていることだろう。

「戦うのが全員俺みたいなライダーだったらよかった……それだったら心置きなく戦えるから……。
 なのに、何故お前達なんだ……!」

秋山は頭を抱えて悩みこむ。秋也達がライダーではないということはよく分かっている。
だが、戦わなければ願いを叶えられない、戦わなければ生き残れない。
俺が死んだら誰が恵理を救うんだ。なら戦うしかないじゃないか。
心中での重いつぶやきは当然の如く誰にも聞こえなかった。

「もうこれ以上――――俺を迷わせるなっっ!!!!」
「なら俺達がアンタを救ってみせる。こっちへ来いよ、お前が立っている場所は暗すぎて何も見えないぜ?」
「ええ、私達は諦めない、絶対に」
「それでも、だ。俺は、もう戻れないんだ」

再度空気が凍った。秋山はこの一撃で決着をつけるのだろう。秋也達にもその気迫が伝わってくる。
全ては次の一瞬で決まる。ダークウィングは再び真紅との戦闘を開始した。
真紅は意地でも秋也に近づかせない様に花弁の奔流を操りダークウィングを翻弄させる。

「行くぞ―――っ!」

疾駆。一陣の黒い風が吹いた。秋也に音速の一撃が押し迫り――。

「ガハッッ……痛いな……何度味わってもこういうのは慣れない」

――秋山の剣が突き刺さった。

「だけど、捕まえた、ぜ! 幾ら動きが速くてもこれだったら、捉えられる!」
「なっ…………!」

ただし秋山が狙った胸への音速の突きは秋也が体を無理やりそらすことにより右肩に。
秋也はわざと攻撃を受けることにより秋山に接敵する作戦を取ったのだ
作戦は見事に成功した。秋山が狼狽している内に左手にはレミントンが握られる。

「これだけ近いとすっげー衝撃になるだろっ!」

トリガーを引く。銃口から弾丸が発射された。
至近距離からの大量の弾丸の銃撃は仮面ライダーの防御力といえども耐え切れるものではない。
238創る名無しに見る名無し:2011/05/09(月) 23:38:20.11 ID:AE9AIIBP
支援
239I want to smile for you ◆W91cP0oKww :2011/05/09(月) 23:38:54.82 ID:A8MFb1zQ
そのまま秋山は勢い良く吹き飛ばされ宙に浮く。

(俺は、負けるのか? やっと、楽になれる、のか……?)

宙に浮いている間、秋山の頭は今まで歩んできた道の走馬灯がほとばしった。
恋人の恵理との幸せな毎日。その日々を壊されたあの日――仮面ライダーになった日。
神崎優衣との出会い。孤独な闘いの毎日。城戸真司との出会い。
全てが早送りのように流れていく。

(恵理……すまない。俺はここまでのようだ……)

そして、最後に秋山は最愛の恋人の事を思い浮かべながらゆっくりと意識を手放した。



◆ ◆ ◆



「何とか、勝てたな……」
「何とかじゃないわよ! 貴方一歩間違えば死ぬところだったのよ! わかっているの?」
「わかっていたさ、でもこうでもしないとあいつを止めることなんて出来なかったから」

あの激しい戦いの後、秋也達はやっとのことで探し出した薬局で怪我の治療と疲労回復の為の休息をしていた。
最も、病院と違って本格的な治療道具はないので傷口の消毒、止血、包帯を巻くなどのことしか出来なかったが。

「本来なら手も足も出なかった。身体的にも差があったし。勝てたのはこいつに迷いがあったからだよ。
 それぐらい本来は強いと思う」
「仮面ライダーだったかしら。恐ろしい力ね、これは善にも悪にもなる」

秋也はデイバッグに突っ込んでいた四角いカードケースを取り出す。
ちなみに秋山は弾丸の衝撃を受けたダメージが大きいのか目を覚まさずに眠ったままだ。

「何の変哲もないカードケースだけど、ものすごい力になるんだな」
「そうね……」

どこか上の空の真紅はじっと掌の上に乗っている光をただ見つめている。
ローザミスティカ。水銀燈の生きた証だ。

「あの子は……きっと誇りを持って生き抜いた」
「うん、その水銀燈って子もきっと最後の最後まで諦めなかったと思う。真紅の宿敵だったんだろ?」
「ええ。あの子とは何度もぶつかったわ」
「そんな子が簡単に屈する訳ないよ」
「さすが、気持ちのいい啖呵を切っただけはあるわ、慰め方は天下一品ね」
240創る名無しに見る名無し:2011/05/09(月) 23:38:55.70 ID:vbHwdHAb
紫煙
241I want to smile for you ◆W91cP0oKww :2011/05/09(月) 23:39:15.65 ID:A8MFb1zQ

真紅が薄く笑い、秋山との戦いでの宣言を茶化した。それを秋也は真正面から受け止めて笑い返す。

「でも、俺は実際、細かいこととか考えてないよ。
 みんな笑って暮らせる世界が欲しい。せめて手の届く範囲だけでもいいから、それだけを考えていたんだ。
 こいつも、真紅も、俺も全員が笑って生きていければいいのになって、さ」



【E-4/市街地/一日目・早朝】

【七原秋也@バトルロワイアル】
[状態]:強い決意、右肩に刺突痕(応急処置済み) 、腹部に中ダメージ(ヴァルセーレの剣が吸い取った力で回復)、疲労(大)
[装備]:信史のピアス@バトルロワイアル
[道具]:基本支給品×2、レミントンM870(0/8) 、レミントンM870(8/8)、ヴァルセーレの剣@金色のガッシュ、レミントンM870の弾(22発)
    カードデッキ(ナイト)、不明支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:真紅と共にプログラムの打倒
1:今は休息を取る。
2:脱出の為の情報収集、工具等の道具集め。 大学に向かうことも視野に入れる。
3:次にあの子に会ったら……
4:仲間を頼る。そして一緒に強くなる。
※本編終了後から参戦。

【真紅@ローゼンメイデン】
[状態]:左足からアンモニア臭。 疲労(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ホーリエ、ハリセン@現実 、ローザミスティカ(水銀燈)
[思考・状況]
基本行動方針:七原秋也と行動をともにし、脱出する 。
1:今は休息を取る。
2:秋也が苦しい時は側にいる。

【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
[状態]:ダメージ(大)、疲労(極大)
[装備]:
[道具]:
[思考・状況]
基本行動方針:?????? 
1:????

[備考]
参戦時期:少なくとも恵理が目覚めるより前、手塚との出会い以降からの参戦
水銀燈を新種のミラーモンスターだと認識?
アリスゲーム等の正規の形でローザミスティカを手に入れたわけではないので
ローザミスティカは所有者に力を与えますが同時に心身を蝕みます。
同意のもとで手に入れたらどうなるかは後続の書き手にお任せします。
あと人工精霊も。
[共通備考]
F-2の墓場には、参加者の元いた世界の脱落者、関係者の墓が多数存在。(※死者に限る)
242I want to smile for you ◆W91cP0oKww :2011/05/09(月) 23:39:45.19 ID:A8MFb1zQ
投下終了です。感想はまたあとでー。
243創る名無しに見る名無し:2011/05/09(月) 23:54:58.49 ID:A8MFb1zQ
感想を書くぜ。

>対主催
七原カッコ良すぎるだろ……これは惚れる。
真紅もなんか誇りを持って生きているのがかっけーし。
それと対比して蓮の迷いがすごく浮き出ててなんというかもう!

>水のように優しく、華のように激しく
ニートがかっこいいとかやだすごい……!
ブックとミツルはいろいろと暗躍しているようでw
後爺ちゃん、桜見タワーは危険だよ!
244創る名無しに見る名無し:2011/05/10(火) 00:03:22.09 ID:pz57zmFI
投下乙!!

やべえ熱いwww 原作でも無かった蓮の叫びだけど、すっげぇ良い!
真紅と七原の闘いに対する思いとの対比もおもしろい。対桐山・水銀燈のタイトルとの対比もおもしろい
結論、おもしろいw
熱いSSを投下乙でした!!
245創る名無しに見る名無し:2011/05/10(火) 16:15:11.83 ID:O/yITpaO
投下乙。七真いいなあ、熱くて綺麗だ。カップルよりも友という呼び名が似つかわしい爽やかさ。
それに比べて蓮の哀しいこと・・・。相対的にヘタレちゃってるが、原作でも割とこんな感じだよなあ。
果たしてこのまま対主催に転換できるのか、というかそうでなければどうなれるのか、楽しみであり不安であり・・・。
246◇1yqnHVqBO6氏 代理:2011/05/15(日) 00:06:31.64 ID:X881jNiE
代理投下します
247◇1yqnHVqBO6氏 代理:2011/05/15(日) 00:06:53.71 ID:X881jNiE

躱す。躱す。

坂本は必死にボルキャンサーの攻撃を避ける。
無様であろうとも坂本には確信があった。

逃げ続けることで理解したものがあった。
この蟹の化物は生き物と言うよりは
何らかのプログラムに基づき行動している
ゲームの敵モンスターに近いのだということを。

ならば坂本にとっては相性の良い化物と言える。

ゲーマーが強敵に勝つのに必要なのは繰り返し。
そしてそこから導き出す攻撃への対処法を
脳ではなく条件反射のレベルで体に叩き込むこと。
それに成功したら凄腕ゲーマーの反射速度は対プラウザ限定で光速をも上回る。

だから躱す。躱す。

そして必死に相手の攻撃パターンを
坂本の脳内でチャートとして組み立てていく。

「よし。
 来い。来い。来いよ化物! 
 俺はこう見えて蟹好みの味だぜ!?」

言葉が通じるかは不明。
だがボルキャンサーの狙いを
向こうで気絶している少女から離すため。
坂本は挑発をする。

そしてついにボルキャンサーの行動パターンを掴み、
それに対する行動プランを構築した。

重要なのは一発で状況を覆せる一手。

蟹の化物をゲームのモンスターと仮定すると
体力を無為に削るのは愚策。
ここまで複雑で高度なAIを持つモンスターならば
体力の消費により行動パターンを大きく変えることはザラだからだ。

1、ボルキャンサーが一直線に突っこんでくる。
2、鋏を坂本の首に突き刺そうとする。
3、距離をとって坂本の出方をうかがう。

その全てを1フレーム単位の精密さで坂本は避ける。

「攻略するぜ。蟹野郎」

つたう汗はそのまま。
拭うのはクリア後のリザルト画面を見てからでいい。

難易度は最高。
設定は当然ノーコンティニュー。
坂本は己のフィールドを構築したことへの快感に
口をわずかに笑みへと歪める。
248◇1yqnHVqBO6氏 代理:2011/05/15(日) 00:07:35.73 ID:X881jNiE

――攻略開始――

坂本はボルキャンサーから目を離さず、大きく後ろへ下がる。
蟹の速度は横歩きではないのにとてつもなく速い。
蟹の突進を横転することでかわした坂本は欄干を背に立ち上がる。

蟹の次の攻撃はもはや決まっている。
坂本の行動が蟹の攻撃を決めている。
蟹は欄干を背に立つ坂本へ鋏を持って突き刺さんとする。
それを首の皮をかすらせながらも辛うじて避けた坂本は蟹の背後へ回りこむ。

そして倒れている少女。蒼星石へと走る。
蒼星石との距離は坂本の身体能力と照らし合わせると遠すぎる。
まず蟹に追いつかれ、背後から鋏で貫かれGAME OVERを迎えるのがオチだろう。

だがそれは坂本が何も手を打っていないのならばの話。

蟹の足元を二つのBIMのカウントが小鳥のような小さな声で囀る。

「蟹は川に帰れ!」

爆発が橋を揺らす。
二つのBIMの威力で蟹が橋の上から川へと飛ばし、落とす。

川への落下は計画通り。

少女。
抱え上げてようやく彼女が
人形だと知った女性との交流経験が皆無な坂本は
桜見タワーへ向かおうと走りだす。

――だが待って欲しい。

――何かおかしな音が聴こえないか?

坂本は水を弾く音に走ろうとした足を止めてしまう。
そして、音の元を確かめようと川に眼を向ける。

唖然とした。呆然とした。
言葉を失った。

それはありえない光景だった。
明らかにおかしいモノだった。

音はもはや小型船が駆動音に匹敵するまでになっている。

船。
いや、それは船ではない。
それは蟹であった。
バタフライで華麗にスウィミングする蟹の姿であった。

それは蟹というにはあまりにも優雅すぎた。
美しく、猛々しく、重く、そしてありえなさすぎた。
だがその様はやはり蟹そのものだった。
249◇1yqnHVqBO6氏 代理:2011/05/15(日) 00:08:10.44 ID:X881jNiE

「蟹がバタフライだとぉ!?」

驚愕からようやく立ちなおった
坂本は少しでも遠くへ逃げようと足を動かす。

だが遅すぎる。
泳ぐ蟹にはそのタイムロスは永遠に等しい。
追いつかれる。
絶望と敗北感が坂本の心を潰そうとする。

「こっちに来るんだ!」

坂本の逃げる先に男、ブックが立っていた。

「ここは僕に任せて先に行くんだ」

ブックの両手にはいつの間に拾っていたのか
蒼星石の大鋏と帽子がある。
ならば、どう考えても先程の闘いを見ていたはず。
不審に思った坂本だが今は疑う意味が無い。

ブックも敵ならば蒼星石を抱えている坂本が生き延びる道は皆無。
つまり、敵だろうと味方だろうと坂本はブックを信じるしかない。

「信じるぞ! 絶対に死ぬな!!」

ブックから蒼星石の鋏と帽子を受け取った坂本は桜見タワーへと走る。
250◇1yqnHVqBO6氏 代理:2011/05/15(日) 00:08:40.58 ID:X881jNiE

……………………………………………………………………………………………。


ボルキャンサーがブックの仲間になった!

【D-2/一日目/早朝】

【ブック@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:ダメージ小 、心の力消費小、
[装備]:契約の玉@ブレスト、ジュリー(銀嶺)@ブレスト 、 双眼鏡@現実、
    ボルキャンサー(フルボッコ)@(仮面ライダー龍騎)
[道具]:基本支給品、青酸カリ@バトルロワイアル、魔本(ティオ)@金色のガッシュ!!、
[思考・状況]
基本行動方針:
1:さて、ティオちゃんのところへ行こう。
2:ティオに狂戦士の術をかけて、人間を殺す。
3:ガッシュ達魔物の子に興味
4:ボルキャンサーは鉄砲玉として利用したい。

[備考]
※参戦時期はワタル戦前のどこか、ミツルやワタルを知っているかについては後の書き手にお任せします。
※魔物の子の王を決める戦いの概略のみ知りました。
※魔本を読めることを知りました。
※ブックが力づくでボルキャンサーを従えたのか
契約の玉を使って契約したのかは
  後続にお任せします。

[共通備考]
シザースのデッキは破壊されました。
ボルキャンサーが解放されました。
251◇1yqnHVqBO6氏 代理:2011/05/15(日) 00:09:21.43 ID:X881jNiE


……………………………………………………………………………………………。

「宇谷さん!」

声のした方へ振り返ると蒼星石を抱えた坂本が駆け寄ってくる。

「おお、無事だったか」

坂本と蒼星石を見て九一郎は顔を綻ばせる。

「その子は大丈夫ですか?」

坂本が九一郎に背負われているティオに目をやり。
尋ねる。

「どうじゃろうなあ。蒼星石がどうにかするとは言ってはいたが」

九一郎が首だけを動かしてティオの方を見る。
そしてそのまま固まる。

「九一郎さん?」

坂本は突然動きを止めた九一郎を見て何かあったかと声をかける。

そう。何かが起きた。
九一郎の首が文字通り”真後ろ”へ向いている。

坂本の顔が再び驚愕で歪む。
九一郎の首には年端もいかないであろう少女の指がかかっている。

首を締められ。折られ。曲がっている。

少しの間を置いてから。
命を無くした九一郎は膝をつき。倒れる。


「男」

ティオはすでに気絶から目を醒ましていた。
そしてとっくに九一郎の背から降りている。
九一郎の死体には眼もくれていない。

そして次の狙いがそこにいると言わんばかりの眼で
坂本を見つめている。

「男」

その眼は狂っている。
その顔は狂っている。
その指は狂っている。

まだティオが完全に壊れていないのは偶然か。
それとも何かがティオの心の防波堤となっているのか。
252◇1yqnHVqBO6氏 代理:2011/05/15(日) 00:09:49.42 ID:X881jNiE

「男」

壊れてはいなくとも殺意が無いわけではなく。
坂本へとゆっくりと歩を進める。

坂本は先ほどとは違う意味での非現実的な光景に
またも呆然として、唖然とする。

「男」

何だコレは。
何なんだ目の前の少女は。

「やっぱり、男は殺さなきゃ」

笑みを浮かべてティオは歩く。

「ガッシュの代わりに。王さまとして。ね?」

ただの子供にしか見えない少女が
あんな簡単に人の首を曲げ折ることができるのか。
人を殺した後で笑うことができるものなのか。

ネットでよく見るロリコンはこんな生き物に欲情しているのか。
ありえない。ありえない。
この少女を見てもなおロリコンを名乗るには睾丸がいくつあっても足りない。

坂本はただ生存本能に突き動かされるようにして
ポシェットからBIMをとりだす。
残る全てのBIMをとりだす。

投擲。
そして爆発。
だが結果を坂本が確かめることはできない。

坂本は逃げた。
九一郎を殺した化物に背を向けてみっともなく逃げたのだ。

蒼星石を見捨てていなかったのがせめてもの救いか。
いや、坂本はただ惰性として抱えていただけだろう。

坂本は走る。走る。

そして時間はただ過ぎる。
ニートに相応しいだろうと嘲笑うかのようにただ、ただ、無為に過ぎる。

放送と最狂の男の殺気が坂本の心を襲う時はすぐそこまで来ている。


【宇谷九一郎@銀齢の果て 死亡確認】
【残り 42名】
253◇1yqnHVqBO6氏 代理:2011/05/15(日) 00:10:47.10 ID:X881jNiE

【E-2/一日目/早朝】

【ティオ@金色のガッシュ!!】
[状態]:不明
[装備]:
[道具]:基本支給品、ヨキの弓矢(9/10)@waqwaq
[思考・状況]
基本行動方針:???
1:???

【坂本竜太@BTOOOM!】
[状態]:後頭部に痛み、現実感の喪失? 圧倒的恐怖
[装備]:BIM(タイマー式)@BTOOOM!(0/8)、デリンジャー(2/2)@現実、レーダー@BTOOOM!
[道具]:基本支給品、予備弾薬12発、
[思考・状況]
基本行動方針:バトルロワイアルからの脱出
1:桜美タワーに行く ?
2:平さんに癒されたい

[参戦時期]ヒミコの名前を認識する前から参戦。
 ヒミコと合流しているかどうかは後の書き手にお任せします

【蒼星石@ローゼンメイデン】
[状態]:疲労(中)、気絶
[装備]:庭師の鋏@ローゼンメイデン 、神業級の職人の本@ローゼンメイデン、
     葬いのボサ・ノバ@銀齢の果て
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界に戻る。
1:……(気絶中)
2:少女(ティオ)の夢の世界に入りたい
3:九一郎と行動を共にする。
3:ドールズと合流する。
4:雛苺を警戒。
5:水銀燈にローゼミスティカを返すよう言われたら……?

[備考]
※参戦時期は原作4巻終了時
※雛苺が雪華綺晶である可能性を考えています
※シルバー・バトルの概略のみ知りました
※雪華綺晶のコスチューム@ローゼンメイデンと柱時計@ローゼンメイデンは
 水上コロシアムにおいてきました。
※水上コロシアムの凡その構造は把握しました。
254◇1yqnHVqBO6氏 代理:2011/05/15(日) 00:11:56.12 ID:X881jNiE
以上で投下終了です

色々と危険玉を投げてる気もするので
指摘があったらお願いします

タイトルは

『ニートの異常な恐怖〜また俺は如何にして働きたくねえと思うようになったか〜』

です





代理投下終了です。
255創る名無しに見る名無し:2011/05/15(日) 00:17:29.44 ID:9ypeGDHG
投下&代理乙!
蟹wwwww
そしてカッコイイと思ったら坂本はやっぱり坂本でした。
うん、でもバカにはしないよ。君はよくやった。
タイトルは見なかったことにするw
そして流れの中でさりげなく死んだご隠居に黙祷。
256創る名無しに見る名無し:2011/05/15(日) 01:31:22.79 ID:H+qSA5lp
投下と代理投下乙!

蟹のバタフライw
ゲーム的思考で蟹を翻弄する坂本やるなぁ
無事に合流できたか、と思ったらご隠居ーーーーーー!!
これは逃げるって……あんまニートを責めんといてや……
目の前で助けたと思った人の首が一周するんだよ?
ホラーだよw
257 ◆CFbjQX2oDg :2011/05/15(日) 09:52:14.67 ID:H+qSA5lp
連絡
ほとんどの参加者が早朝に到達して、まだ黎明の浅倉威・筑摩小四郎も放送後でも問題ないと思います。

放送についてですが、通常のSS通り予約制とします。
>>1したらば掲示板、予約専用スレにて第一放送予約します。と宣言してください。
ただ、上記した黎明の2人含めて他のキャラの予約が入っている場合はそちらを優先で。

ご不明な点があれば本スレ、避難所問わず質問ください。

以上です。
258 ◆CFbjQX2oDg :2011/05/15(日) 09:53:01.21 ID:H+qSA5lp
告知あげ
259創る名無しに見る名無し:2011/05/15(日) 16:03:28.51 ID:4f69yDIx
かつてここまで蟹が輝いたロワがあっただろうか?いやない。
と思ってたらフルボッコにされていた。何を(ry
・・・とにかく投下乙。
260 ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/17(火) 23:46:30.33 ID:cAk4Tqwe
テスト―
261 ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/17(火) 23:57:13.68 ID:cAk4Tqwe
あれ、投下できるのか
投下始めますー
262第一放送  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/18(水) 00:01:22.07 ID:NDo5DgcM


すべての参加者がそれを見ただろう。
鏡、窓ガラス、水たまり、川、水。
そして、首輪。
反射するほどに磨き抜かれた首輪。
あらゆる映すものに影が現れるのを。


「我が子らよ。まずは祝福しよう。
 お前達は生き残った。他を殺し。裏切り。
 ときには手を結びながらもここまで生き残った。
 
 だが、“願い”の成就へはまだ遠い。
 
 まだだ。
 戦え。闘え。
 
 闘わなくては願いが叶うことなどない。
 お前達に未来が齎されることなどない。
 
 死亡者の発表を始めよう。
 
 ワタル。是方昭吾。三村信二。吉良康介。甲賀弦乃介。シオ。水銀燈。
 ヒミコ。霞刑部。美神愛。我妻由乃。ガッシュ・ベル。宇谷九一郎。
 
 子よ。愛しき我が子らよ。
 
 以上のものが死んでいった。“願い”の半ばで死んでいった。
 忘れるな。お前たちは彼らの“願い”を喰らって殺し合ってきたことを。
 生き残ってきたことを。
 
 さて、禁止エリアの発表をしよう。
 
 禁止エリアは七時、D-4。九時、A-6。十一時、F-1。だ。
 
 D-4が閉鎖されることを忘れるな。
 D-4。D-4。D-4だ。
 
 誰にとは言わないが…………
 
 
 残  念  だ  っ  た  な !


 …………これを最後に私は一度、
 お前たちの前から姿を消す。
 また会おう。我が子らよ。」



そうしてコトは参加者の視界から消える。

コトの四方を囲んでいた鏡は
すでに霧が失せるように消えていた。
263第一放送  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/18(水) 00:04:00.90 ID:NDo5DgcM


「さて。キクよ。
 進行に異常はないか?」

コトが後ろに立つモノに問いかける。


長く艶やかな髪とたしかな知性を持っていることを伝える瞳。
それは人のような機械であった。

「問題ない」

そこは“願い”の中心。
蜘蛛の糸の最深部にある、巨大な塔。

キクの返答にコトは満足そうな表情でクックックと笑う。
そして両の手を広げて高らかに謳う。

「喝采せよ! 喝采せよ! 
 おお。おお。震えるがいい!
 盲目の戦士たちは未だ戦いを続けている。
 “幼心の君”よ。震えるがいい!!」

その時、魔人がやって来た。襲いかかってきた。
コトを殺そうとその腕をふるい。
彼女の中にある怒りを鎮めようと。

だがその一撃はあっさりと前に出たキクにより防がれる。
彼女。オンバの憤怒を嘲笑い、コトは虚空へと霧散する。

「何のつもりだ。オンバ?」

キクの問いにオンバは大きく距離を開け。
眼から涙を流す。

「おお。いたわしやワタル。
 かなしやワタル。
 何故じゃ。何故そなたが死なねばならぬ。
 妾はそなたとなら共に歩めると思うた。
 そなたと二人なら如何な地獄であろうと滅ぼし。
 妾達だけの楽園へ辿りつけるだろうと思うていたのに」

悶え哭くオンバを見て、キクは納得する。

「やはり、あの勇者が“玉”無しだったのは」

「妾じゃ! それの何が悪い!
 妾が力を貸せば。
 ワタルはあのチャンとさえ渡り合える力をえることができた!」

なのに。ああ、なのに。

オンバは涙を流し続ける。
彼女のために涙を流したただ一人の少年のために。
264第一放送  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/18(水) 00:06:16.15 ID:NDo5DgcM

「妾は必ず、あの地へ舞い戻る。
 ワタルが死なせた全てを引き裂き。
 “願い”を掴みとってみせる」

「無駄だ。お前には首輪がない。
 お前は“願い”を追い求める資格がない
 だから、あの少年のことは……」

どこか気遣うような響きと共に説得するような声音で
キクはオンバに言う。

キクの言葉にオンバは不快そうな顔をする。

「黙れ。黙れ。黙れ!
 妾は必ず首輪を手に入れる。
 資格を携えあそこへ征く!」

そう言い捨てるとオンバはキクに背を向けその場を去る。

「妾は必ず“幼心の君”を超えてみせる」

そうとだけ、言い残して。

「白薔薇。彼女の動向から目を離すな」

誰に向けたものではないはずの言葉。

「クスクス」

それに応えるのは少女の笑い声。

そしてキクもまた何処かへと去る。

最後に残るのは。


『“シルバーバトル”。“BTOOOM!”。“魔界の王を決める闘い”。
 “次期時空王を決める闘い”。“女神へと至るための闘い”。
 “アリスゲーム”。“甲賀伊賀忍術勝負”。“ライダーバトル”』

ただ一つ残されたのは“プログラム”の進行を記録し続ける
赤き血の神の像のみ。


――――全ては流血により成就されるでありましょう――――

265 ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/18(水) 00:08:17.33 ID:NDo5DgcM
以上で投下終了です
266創る名無しに見る名無し:2011/05/18(水) 18:27:48.13 ID:rPwM8F4Y
投下乙です

意味深な台詞と状況が多いなぁ
色々と想像できるけど……
なんか第二放送が楽しみになりそうな放送でした
267 ◆CFbjQX2oDg :2011/05/18(水) 21:14:49.00 ID:p/W6zzBi
放送投下乙
あいつやこいつの影がチラホラ……w

そして放送後の予約開始についてのお知らせです。
一応今週の土曜までは予約凍結。
22日0時から、つまり日曜日から放送後のパートの予約を開始にしようと思います。
一応キリが良いところでは足並みを揃えようということでご了承ください。
予約期限については得に変更はなしです。
どなたでも5日間+延長2日間です。>>1避難所予約専用スレにてトリップつきで予約となっております。

何かご不明な点などございましたらお気軽にどうぞ。
268創る名無しに見る名無し:2011/05/21(土) 23:06:44.14 ID:LTMefPWf
保守
269 ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/25(水) 02:57:41.23 ID:NQSlHa4l
投下します
270受け継がれる龍騎  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/25(水) 03:00:26.85 ID:NQSlHa4l


異常な殺気と宣言の後、影が現れ。
そして放送が終わった。

「急ぐぞ、お前たち」

リュックを担ぎ立ち上がるカントリーマンの顔には
明らかな焦燥が浮かんでいる。

彼らがいるのは民家の一室。
玄関に入ってすぐの階段を登った先。
窓のある部屋に三人はいる。

バトルフィールドにするには向かない場所。
チャンを迎え撃つには向かない場所。
いや、チャンを迎え撃つに適した場所など果たして存在するのかどうか。

「行くのは……どの方角ですか?」

カントリーマンと同じく立ちながら真司は問いかける。
バカである真司にも今がどういう状況かわかるのだろう。

殺気と宣言が聞こえてきたのは北。
異常な闘気が彼らを縛り付けたのもそれと同じ時。
そして、その後の放送の内容。

チャンは間違いなくD-4にいる。
そして奴は移動を始める。
戦いを求めるあの男は人がいるであろう市街地を目指す。

つまり、この殺し合いにおける“JOKER”がこちらに来る確率は四分の一。

「南だ。お前さんだってさすがに割りきれるだろう」

チャンは間違いなく人を殺し続ける。

「けど」

「けどじゃねえぜ城戸よ。
 アレは別格だ。アレから逃げるのは何の恥じゃねえ。
 むしろ逃げない奴が馬鹿だ」

カントリーマンの言葉に真司は拳を握り締め、俯く。
葛藤が心に渦巻いているのだろう真司に
カントリーマンはほんの少し優しく諭す。

「全部助けられると思うな城戸。
 今は芽を育てるのが大事なんだ。
 逃げて、同盟を作って。改めて奴を潰す。
 それで良いんじゃねえか?」

それを聞いても真司は首を振る。

「違う。違うんだ俺は。
 そのチャンって奴も殺したくないんだ。
 ソイツに殺される人たちを見殺しにするのも嫌なんだ」

271創る名無しに見る名無し:2011/05/25(水) 03:00:55.25 ID:gS0SMJ+2
支援
272受け継がれる龍騎  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/25(水) 03:03:13.54 ID:NQSlHa4l

続く言葉。
それは多くの戦士と接してきたカントリーマンすら驚かせる。

「そのチャンって奴とわかりあうことは……できないのかな?」

カントリーマンは確信する。
この男はダメだ。
殺し合いには決定的に向いていない。

城戸真司。
彼もあの闘気に恐怖したはずだ。
身体中を縛り付けられたはずだ。

なのに、それを提案するのか。
凶気に真正面から向き合い、飲み込もうとするのか。

カントリーマンには無理な道だ。
全ての“願い”に向き合い、背負うには。
旅人たちの“願い” は重すぎる。

真司を何とか言いくるめようと
カントリーマンは口を開く。

けれども、喉を通る息は音にはならない。

カウントダウンの音が聴こえる。
最初は禁止エリアに入ってしまったのかと馬鹿な考えをおこした。

音の元はすぐにわかった。
あまりにも近い場所。
ただ一人、座ったまま。
涙も流さず虚ろな瞳でBIMを胸に抱く朧の姿。

『甲賀弦之介』
先ほど呼ばれた名前をこの時になってようやく思い出す。
完全な失態だった。
チャンへの恐怖が頭を占めるあまり、気をかけることができなかった。

ピッ。ピッ。

カウントダウンは止まらない。

真っ先に行動に移ったのは真司。
仮面ライダーへと変身し、素早く朧からBIMを奪う。
そして、地面に伏せ、爆発を逃さず全て受け止めようとする。
外に投げると音が周囲を震わせ他の参加者にも聞こえてしまう。
チャンを呼び寄せてしまう。

だから、こうしてこの場で爆発元そのものを覆うのは
良い判断と言える。
まず間違い無く床に穴が開くだろうし、
真司も多少はダメージを負うだろうが。

273創る名無しに見る名無し:2011/05/25(水) 03:04:59.57 ID:gS0SMJ+2
 
274受け継がれる龍騎  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/25(水) 03:05:40.58 ID:NQSlHa4l

ほんの少しカントリーマンは安堵する。
朧の心のケアは必要だろう。
最悪は見捨てる必要があるだろう。

そこでまた真司と悶着があるかもしれない。
だが誰も死なずに場を収めることができるだろう。

そう。
思っていたのに。

朧は呆けたような表情でこちらを向く。
真司とカントリーマンを“視る”。
仮面ライダー龍騎を破幻の瞳に映す。

変身が。
解かれる。

城戸真司が仮面ライダーからただの人へと戻ってしまう。
ただの人では爆発を抑えきることは不可能。

カントリーマンは焦る。
爆風は間違いなく真司だけでなく
カントリーマンも包むだろう。

精液ジジイのゾンビを召喚する?
できない。カントリーマンも朧の視界に入っている。

旅人の身体能力で逃げる?
それもできない。破幻の瞳が旅人の想波を鈍くしている。

ここで、終わりか。
そう思ったカントリーマンの前で城戸真司は立ち上がる。

カントリーマンと朧は城戸の顔を視た。

恐怖と悲しみで崩れそうになるのを必死に堪え。
笑みを浮かべるその貌をたしかに視る。

チャンの、影のモノとは違う。
必死な、まっすぐな言葉が二人をうつ。

「生きろ!!」

そう叫び。
城戸真司は体ごと窓にあたる。
破る。二階から落ちて。弾ける。


275受け継がれる龍騎  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/25(水) 03:07:45.67 ID:NQSlHa4l


…………………………………………………………………………………………………………。


あの男だ。
あの男がやったに違いない。

ゼオンと陽炎はそう考えた。

ガッシュはゼオンの心すら溶かす強い心とゼオンを真っ向から打倒する力の持ち主だ。
ヘタな強者に殺られるはずがない。

甲賀弦之介は最強の忍び。
その瞳はまさに魔人の域に達している。
そう易々と殺されるはずがない。
例えゼオンであってもその瞳の魔能から逃れることは敵わないだろう。

あの男だ。
北で高らかに宣戦布告の声を上げたあの男に違いない。

必ず殺す。
仇はとらねばならない。

だが、アレに勝つには手勢が足りない。
最強に届くにはあらゆるモノに頭を下げてでも同盟を作る必要がある。

ある程度の信用を得るには何らかの手土産が必要だ。
それも殺し合いを打倒する者が欲しがるような。

ソレは決まっている。
ならば誰からとるべきか。

陽炎の術にはまだ利用価値がある。

ゼオンはそう結論づけると。
拘束されながらも意識をとりもどした相馬光子にゆっくりと歩み寄る。

それを押しとどめるのは肩に置かれた陽炎の手。
陽炎は横たわる相馬光子の側によると
顎に手をやり、顔を持ち上げる。

「快楽が好きなのじゃろう?」

唇と唇が合わさる。
舌と舌が絡みあい、粘液が音をたてて淫靡な様子を醸す。

そして、女の毒が少女を殺す。


…………………………………………………………………………………………………………。

276受け継がれる龍騎  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/25(水) 03:09:46.90 ID:NQSlHa4l


気絶した朧を背負い、外に出た。
眼に入るのは予想通りの焦げて散らばった肉片。

これではこの肉片どもがもとは城戸真司という男だったと
知るのは不可能だろう。

爆風と共に散らばっている支給品を拾い上げる。

「これは……」

カントリーマンは眉を上げる。
それは仮面ライダー龍騎のカードデッキ。

「馬鹿野郎」

奇跡的に無事だったそれを握り締め、
カントリーマンはかすれた声で呟く。

城戸真司。
自分の“願い”がわからないと言っていた城戸真司。

けれどもカントリーマンは知っている。
“願い”を追い続けているからこそ共感できた。
闘いを止めたいと言っていたその言葉。
その決意。それはまさしく“願い”だったのだと。

「城戸よぉ」

なのに、こんな場所で死んだ。

殺す者と対峙してではなく。
殺される者を守るためではなく。

死のうとする者を守るために。
殺す者を守るために。

馬鹿だ。愚かだ。

だが“願い”のために闘うのが仮面ライダーだとするのなら。
どこまでも殺し合いを、死を否定しようとしたその様はまさしく――――

277創る名無しに見る名無し:2011/05/25(水) 03:10:00.71 ID:gS0SMJ+2
 
278受け継がれる龍騎  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/25(水) 03:12:16.06 ID:NQSlHa4l


「お前も“仮面ライダー”だったんじゃねえか」


カントリーマン。田舎者。
数少ない症例しかない病の研究に身を捧げても決して報われることのなかった男。
どれだけの研究結果を発表しても否定の言葉と僅かな同情しか得ることができなかった。

だから、カントリーマンには殺し合うしか道はない。
医学の壁を壊すため。人の限界を超えるため。

50の命を贄に未来に生きる人と。彼自身を救ってみせる。
それが彼の“願い”。

「おい」

デッキを手に短い間の物思いにふけるカントリーマンの前に
二つの人影が現れた。
電撃で彼らを襲った少年、ゼオン・ベルと
精液ジジイを殺した女、陽炎。

「お前たちが殺し合いを止めようとしているのはわかっている」

見当違いなことをゼオンは言う。

城戸真司の死はカントリーマンの道を変えることはないのだから。
一貫してカントリーマンは人を殺す気なのだから。

ゼオンは物を扱うかのように背負った死体を
カントリーマンの前へ投げる。

それは傷一つない少女の死体だった。

「手土産だ。首輪は必要だろう」

たしかに必要だ。
殺し合いを壊そうとする者へ取り入るための手土産には。

だが。

「提案だ」

ゼオンは北の方へ眼を向ける。
チャンがいるであろう方角へ。

「アレを殺すために手を貸せ」

何故だ。
カントリーマンは心のなかでそう呟く。
何故、お前たちがそんな眼で自分を視る。
まるで、殺し合いを壊そうと奮闘する者を視るような眼で。

「ああ、いいぜ。
 だがまずはここから離れて体勢を立てなおさねえとな」

カントリーマンはゼオンの提言を受け入れた。
その背に城戸真司が守った少女の重みを確かに感じながら。

279受け継がれる龍騎  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/25(水) 03:14:19.77 ID:NQSlHa4l


【城戸真司@仮面ライダー龍騎 死亡確認】
【相馬光子@バトルロワイアル 死亡確認】
【残り 39名】


【C-4/1日目/早朝】

【カントリーマン@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:健康
[装備]:奇跡の執刀(ハイブリッド・メス)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜 、カードデッキ(龍騎)
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×2、首輪(是方昭吾) 、首輪(相馬光子)、
桜田ジュンの裁縫道具セット@ローゼンメイデン
[思考・状況]
基本行動方針:……優勝する。朧の“命”は守りたい?
1:ゼオン達と手を組む。
2:チャンに勝ち得る方策を模索する。
3:薬師寺天膳の体に強い興味。
[備考]
※是方昭吾、相馬光子の死体をアンデッドとして従えました。
※陽炎、相馬光子の武器を毒と判断しました。

【朧@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:気絶
[装備]:鉈@バトルロワイアル
[道具]:基本支給品一式、、BIM(クラッカー型)×5@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:??? 
1:???

【ゼオン・ベル@金色のガッシュ!!】
[状態]:疲労(小)、心の力消費(中)
[装備]:魔本@金色のガッシュ!!、ゼオンのマント@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×2〜4(ゼオン、三村(武器ではない))
[思考・状況]
基本行動方針:何としてもガッシュを生きかえらせる
1:チャンを殺す。
2:陽炎と手を組む(裏切る行為を見せたら容赦はしない)

[備考]
※自身にかけられた制限をほぼ完璧に把握しました。
※魔界に帰った後からの参加。


【陽炎@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:健康、朧への強い憎悪
[装備]:
[道具]:基本支給品×3、
不明支給品×4〜7 (是方0〜1、相馬2〜3)、レミントンM700@現実
[思考・状況]
基本行動方針:???
1:チャンを殺す。そのためには朧と手を組んでもかまわない
2:ゼオンと手を組んで情報交換? それとも朧を殺すために……?
280 ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/25(水) 03:21:02.91 ID:NQSlHa4l
 早速修正します。朧のBIMはクラッカー式ですので。

>>272

> カウントダウンの音が聴こえる。
> 最初は禁止エリアに入ってしまったのかと馬鹿な考えをおこした。
>
> 音の元はすぐにわかった。
> あまりにも近い場所。
> ただ一人、座ったまま。
> 涙も流さず虚ろな瞳でBIMを胸に抱く朧の姿。
>
> 『甲賀弦之介』
> 先ほど呼ばれた名前をこの時になってようやく思い出す。
> 完全な失態だった。
> チャンへの恐怖が頭を占めるあまり、気をかけることができなかった。
>
> ピッ。ピッ。
>
> カウントダウンは止まらない。


 

異常に気づいたのはどちらが先か。

何も言わず、動くことのない朧に気づいたのは。

ただ一人、座ったまま。
涙も流さず虚ろな瞳でBIMを胸に抱く朧の姿。

『甲賀弦之介』
先ほど呼ばれた名前をこの時になってようやく思い出す。
完全な失態だった。
チャンへの恐怖が頭を占めるあまり、気をかけることができなかった。

祈るように胸元に寄せられた手が少し動く。

スイッチは押された。

爆発の未来は定められた。


に変更します。
支援ありがとうございました。
投下終了です。



281創る名無しに見る名無し:2011/05/25(水) 03:23:41.24 ID:gS0SMJ+2
投下GJ
真司……お前は確かに仮面ライダーだったよ……
光子は……まあ、しゃあないねw
282創る名無しに見る名無し:2011/05/25(水) 05:07:12.92 ID:mC9MmKdZ
投下乙!
真司かっけぇ! カントリーマンもかっけぇ!
ただ陽炎の毒は男にしか効かないという設定があったような……
そのため女が生まれるまで彼女の母は苦しみ続けたとか何とか。
アニメ版とかと混同しているかもですが。
283 ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/25(水) 05:20:56.42 ID:NQSlHa4l
>>282
漫画の記述だと色気に当てられるのが男だけだからっていうのと
男にしか作用しないって言う二つの解釈ができるので

まあ、前者でいいよねと思った次第ですw
284創る名無しに見る名無し:2011/05/25(水) 10:47:53.71 ID:pbTg3b28
投下乙
朧はとんでもねえ爆弾だ
この人とライダーが一緒にいるなんてリスキーすぎるぜ
285創る名無しに見る名無し:2011/05/25(水) 23:57:10.68 ID:KNmqr2cP
ワタルとかヒミコとか書いてあるから、魔神英雄伝ワタルが参戦してるのかと思ってたら、全然違った
286 ◆IRxFfnsX8c :2011/05/26(木) 00:06:13.97 ID:SnTfG7Gc
投下します
287誇り高く穢れを知らない ◆IRxFfnsX8c :2011/05/26(木) 00:08:16.70 ID:SnTfG7Gc


水銀燈の名が、呼ばれた。


「ざ、ざまあ見やがれですぅ……いつも高飛車だからこんな、所で……こんな…………」
翠星石が続きを紡ぐことは叶わなかった。
水銀燈とて薔薇乙女の一人、彼女の姉妹なのだ。
攻撃的ではあったがその分アリスゲームに対する執着も強かった水銀燈が“こんな所”でその華を散らすなどと。
先程の赤い影のように前触れもなく現れて嫌味を言ってくるのがお似合いだ。

だが、これが現実。
水銀燈の名は死者のものとして告げられた。
いつ翠星石自身や他の姉妹があの無機質な文字列に組み込まれるかわかったものではない


そして、水銀燈と並んで告げられたもうひとつの名。

「……アールマティ……もれ人間は……シオは強かったですか?」
最後に見たシオの笑顔が浮かぶ。
先程出会った別の防人の攻撃もちらつくが、かぶりを振ってシオのことを思い出そうとする。
288誇り高く穢れを知らない ◆IRxFfnsX8c :2011/05/26(木) 00:10:27.34 ID:SnTfG7Gc

「おい、そこの君」

アールマティが背後に周り、それを追いかけるように翠星石も振り返る。
背広の男がこちらを見ていた。
だが、そんなことはどうでも良かった。

やたらと泣いていたあの防人が、共にいた。

シオのイメージが虚しく水流に流されていく。
「お、お、お前は! 増援とは卑怯ですぅ!」
「待て、俺たちは……」
頭を地面に擦りつけた――防人の頭も同様に抑えながら。
刃があったならばすぐにその首が落とせただろう。
「こいつが攻撃したのは詫びる! このとおりだ!」
「翠星石は騙されねーです! そうやって油断させてズドン、とやるつもりに決まっているです!」
「本当は同盟を組みたいが、その仲間になれとは言わない。だが情報交換だけでもしてくれ」
「……これだけは聞いてやるです。私と似たような人形を見かけなかったですか?」

男――来栖は顔を上げ首を横に振った。
防人――ノールも頭を上げて眼をぱちくりさせる。

「それなら用はねーですぅ。行くですよ、アールマティ」
「……君は防人なのかい? 機械が選ばれるなんて初めて聞いたけど」
「何をわけのわかんねーこと言っているですか? アールマティはシオの友達です……シオはお前と違って口先だけで綺麗事を抜かす奴じゃなかったですよ」
「ならその左手の『防人のおしるし』は何なんだい?」
言われてその手をかざす。
服に半ば隠れていたが、甲には黒い文様がしっかりと浮かんでいた。
シオの手にあったのと同じものが。
289創る名無しに見る名無し:2011/05/26(木) 00:11:27.87 ID:ox/w4hyf
    
290誇り高く穢れを知らない ◆IRxFfnsX8c :2011/05/26(木) 00:12:27.78 ID:SnTfG7Gc
「さ、防人……!? 翠星石がシオの代わりに!? アールマティ、これはどういうことです!?」
物言わぬと知りながら問いかけてしまう。
しかし、護神像は応えた。
それは言葉ではなく、光の玉のような幻影。
『戦いをなくしたい』というシオの願いが心に伝わってくる。
『翠星石が無事に姉妹に会えるように』という微かな願いも。
そして、その願いを残し伝え受け継がせるのが護神像であることも。

「シオ……」

目を伏せる翠星石の前に来栖が立った。
しかし彼女には背を向け、ノールを睨みつける。
「どうしたんだい、クルス?」
「どうせ『防人同士は争いあう宿命』とか言ってこの子を攻撃するつもりだろう」
「そのとおりさ。そのアールマティを喰らえばハルワタートも強くなる。僕と同盟した君にとっても良いことじゃあないかな」
「! だが……!」
「そこまででいいです、ケータイ人間」
翠星石の声に今までにない響きを感じ取る。
「シオの願い、アールマティでの戦い方……色々ありすぎて、正直重たいです……戦うのもやっぱり怖いです……」
それは鋭く、しかし決して冷たくはなかった。
「でも、アールマティはやらせないですぅ……それに翠星石の本当の願いが何なのか見つめ直す時間が欲しいです……だから」
口の端を吊り上げた。
「…………今日の所はこの辺にしといてやるですよ! 次は話をしてやらんこともないですぅ!」
そう言い残すと、踵を返し走り去った。



【F-4/一日目・朝】

【翠星石@ローゼンメイデン】
[状態]:疲労中、若干の人間不信
[装備]:庭師の如雨露@ローゼンメイデン 、護神像アールマティ@waqwaq
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×1〜3
[思考・状況]
基本行動方針: 蒼星石達とは戦わないで済む方法が欲しい
1:アールマティと行動を共にする。
2:姉妹を探す。
3:最後の姉妹がいるかもしれない…
[備考]
※参戦時期は蒼星石の死亡前です
※waqwaqの世界観を知りました。シオの主観での話なので、詳しい内容は不明です
※護神像アールマティに選ばれました。
291誇り高く穢れを知らない ◆IRxFfnsX8c :2011/05/26(木) 00:14:28.52 ID:SnTfG7Gc


  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


「逃がしちゃったか……クルス、君はどうしたいんだい? 確かに情報は必要だけど、戦うべき相手と戦わないのは願いに対する冒涜だよ?」
「……その基準がお前と違うだけだろう」
――――それに目的は果たされた。
握りしめたままだった『捜査日記』を開いて検める。
『捜査日記』には新しい情報が書き込まれていた。

「願いを見つめ直す時間、か……」


【F-5/森林/一日目・朝】

【来須圭悟@未来日記】
[状態]:健康。腹部に打撃、左頬に切り傷あり。
[装備]:大型カッターナイフ@現実
[道具]:基本支給品、捜査日記のレプリカ@未来日記、サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎
[思考・状況]
基本行動方針:バトルロワイアルの全貌を掴みたい。優勝は……?
1:集団や同盟関係を作りたい。
2:とりあえず市街地に着いたら暖かい場所で休息をとる
3:天野雪輝は保護対象、雨流みねねは交渉する、戦場マルコを警戒

【ノール@waqwaq】
[状態]:疲労(中)
[装備]:ハルワタート@waqwaq、由乃の日本刀@未来日記
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い、ただしなるべく大人しくする
1:バトルロワイアル……何て業が深いのだろう!
2:現状にやや不満
292創る名無しに見る名無し:2011/05/26(木) 00:16:42.65 ID:SnTfG7Gc
以上で投下終了です
293創る名無しに見る名無し:2011/05/26(木) 01:05:08.94 ID:ox/w4hyf
投下乙!!
翠星石はなんとか持ち直したかな?
来栖は操作日記パワーアップしたか
これからが楽しみ
294創る名無しに見る名無し:2011/05/26(木) 01:16:11.48 ID:TfrqhFV2
投下乙でっす
アールマティを引き継いだ翠星石には、頑張ってほしいなぁ
ノールと来栖のコンビは先が見えなくて楽しみw
295 ◆awAAQ1.p1w :2011/05/26(木) 01:26:21.03 ID:TfrqhFV2
ゆっくりと投下します。
296賢者の瞳〜水一滴も無し〜 ◆awAAQ1.p1w :2011/05/26(木) 01:28:56.32 ID:TfrqhFV2


 金属製の手すりに映ったあの男の姿が、何事もなかったかのように掻き消える。
 『放送』が終わった、ということか。
 話には聞いていたが、実際に見ると若干の驚きを抱かずにはいられない。
 たしかに、秀逸な方法である。
 音だけで放送するのとは異なり、これならば障害物に遮られてしまうこともない。

「悪くない」

 バトルロワイアル開始から、未だ六時間しか経過していない。
 にもかかわらず、十三もの参加者がすでに脱落した。
 五十四名中の十三、だ。
 すなわち、約四分の一ということになる。
 このペースで進行していくならば、四度目の放送前後には――願いが叶う。
 無論、そううまく行くとも限らない。
 理解いているが、私は二千年待ったのだ。
 多少の誤差は生じるだろうが、もうしばらくということに変わりはない。
 だから――悪くない。
 その、はずなのだ。
 わざわざ口に出さずとも、自らに言い聞かせるような真似をせずとも。
 黒き血の賢者たる『ヨキ』ならば。
 純白の護神像『スプンタ・マンユ』を駆る最初の防人『ヨキ』ならば。
 そう、思うはずなのだ。
 だというのに、心臓が激しく波打つ。
 自分らしくもなく、心が乱れてしまっている。
 気持ちの揺らぎが、どうしても抑えきれない。

 ――――原因など、分かり切っている。

 第四の護神像『アールマティ』を駆る彼が。
 アールマティを引き継いだばかりの彼が。
 機械とさえも極力戦おうとしない彼が。
 防人として民には弱さを隠した彼が。
 憎き赤き血の神を慕っていた彼が。
 親友『アル』の一人息子の彼が。

 その命を、散らしてしまった。

 覚悟はしていたはずだ。
 私には、叶えねばならぬ願いがあるのだから。
 なんとしても、最後の参加者とならなければならないのだから。
 知った顔であろうとも、素知らぬ顔で殺し――
 知らぬ顔であろうとも、知ったような顔で殺す。
 そう決めていた。
 そう、決めたものだと――思っていた。
297賢者の瞳〜水一滴も無し〜 ◆awAAQ1.p1w :2011/05/26(木) 01:29:50.00 ID:TfrqhFV2

「――スプンタ・マンユ」

 我が護神像に、融合を命じる。
 分子的に分解された護神像が、肉体を覆い尽くす。
 着脱可能な面も構成し、髪以外の部分が表に出ていない状態とする。

 スプンタ・マンユ――
 第一の護神像にして、最強の護神像。
 参賢者などと名乗る決意をしたあの日より思っていたことを、再認識する。
 やはり、こいつはとても便利だ。
 人である限り必ず存在する心の弱さを突く『変身能力』。
 離れた場所から無数の貫手を高速で放つ『千手』。
 戦闘において、この二つを有効活用すればそうそう追い詰められることもないだろう。
 しかし――現在に限っては、それらとは別の機能がありがたかった。

 スプンタ・マンユの合体形態は、完全に顔を隠してしまう。
 仮面の下にある私の顔など、私以外には分からなくすることができるのだ。
 こんなものを流す資格は、黒き血の賢者にはない。
 分かっている。理解している。
 だけど、それでも――溢れてしまう。
 お願いだ。
 私の胸に抱え込むから。
 他人に見せつけて同情を誘うつもりなんてないから。
 許してくれ――いや、許しを請う資格もありはしないな。
 すまない…………シオ。



【E-4/桜見タワー/朝】

【ヨキ@WaqWaq】
[状態]:疲労回復
[装備]:スプンタ・マンユ@WaqWaq、首輪探知機@オリジナル 、ヒミコのレーダー@BTOOOM!、
    夜叉丸の糸@バジリスク、スタンガン@BTOOOM!、BIM(タイマー型)@BTOOOM!(8/8)
[道具]:基本支給品×3、手鏡、果物ナイフ
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して赤き血の神を抹殺する
1:体を休めながら来訪者を待つ。

※美神愛の日記はすべて破棄されました。
※ヒミコのレーダーは手に埋め込むことはできませんが意識を集中させることで
 レーダーの役割を果たすことはできます。感度は当然普通に使うよりも落ちます。
298 ◆awAAQ1.p1w :2011/05/26(木) 01:30:41.67 ID:TfrqhFV2
短いですが、これで終わりです。
なにかまずかったら言って下さい。
299創る名無しに見る名無し:2011/05/26(木) 01:34:05.20 ID:ox/w4hyf
投下乙!!
覚悟を決めたはずのヨキでも
さすがにシオの死はこたえたか
けれども願いを変えるには至らないっていうのもまた当然か
300創る名無しに見る名無し:2011/05/26(木) 02:11:09.63 ID:z3oZS4Ys
投下乙
タイトルで元ネタ思い出して笑ったら…賢者ヨキとしては無しってことか……
スプンタ・マンユの仮面を被るヨキ先生が切ない
>知った顔であろうとも〜 の文がいいなぁ
301 ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/29(日) 06:25:58.10 ID:sl/dBlu6
投下します
302護るヒトたち  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/29(日) 06:28:08.51 ID:sl/dBlu6

女が涙を流していた。

桐山はどうしてか。
その女が悲しんでいるのと同時に
どうしようもない程、怒っているのを察することができた。

「なあ。お前」

空を見上げ。
眼鏡の奥からとめどない悲しみを零し続ける女。
ハードは桐山に話しかける。

「ワタルという少年を知っているか?」

「知らないな」

即答。
続くは。

「金糸雀、真紅、雛苺、蒼星石、翠星石。
あともう一人いるようなんだがそれはいい。
この名前に心当たりはあるか? 人形なんだが」

桐山からの問い。
それにハードは首を振る。

「お前に願いはあるか?」

ハードは何の前置きもなしに桐山に尋ねる。
問いかけに次ぐ問いかけ。

ハードの目は未だ空を向いたまま。
涙を通した空になにがあるのか。
何を探しているのか。

桐山にはわからない。
興味を抱くこともない。
だが。

「俺に願うことなどない」

ハードの問いかけを無視する気は無いようだった。

願いがない。
その言葉にようやくハードは空を見るのをやめ。
桐山に視線を移す。
悲しみとは少し違う小さく笑みをこぼす。

「なら……お前は何故闘う?」

「俺には二つの道があった。
 殺す道と、抗う道」

ハードの言葉には間違い無く自嘲がこめられていた。
彼女自身への問いかけでもあった。

「だがそれはどちらも粉々に砕かれた。
 一人の少女の手によって」
303護るヒトたち  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/29(日) 06:30:34.58 ID:sl/dBlu6

だから。

桐山は真っ向からハードの眼を見つめる。

「ワタル……その“脱落者”のための復讐で
 薔薇乙女が死ぬ可能性があるのなら」

桐山はハードの悲しみの奥にあるモノを見抜く。
心を壊すほどの悲しみと体を焦がす憎しみが彼女の内にあるのを見抜く。

「アイツが。水銀燈が示した道まで、願いまで壊されるのなら」

ハードは涙を止めることはない。
なのに、手には銃が握られて。

「俺はお前を殺す」

桐山の手にもはやコインの裏表は必要無い。
握りしめるべきは水銀燈が託した彼女の願いを貫く『剣』。

「変身」

桐山の変貌を目の当たりにしたハードは銃を構える。

「その姿。お前も防人か」

「仮面ライダーだ」

闘いが始まる。


ことは無かった。


「ストォゥップ!!」

叫び声と共に両者の間に多くの樹が生え、
行く手を塞ぐ。

桐山とハードは声が聞こえた方を見る。

小さな小さな姿。
濃い深緑の上品なドレス。
恐怖を悟らせまいと必死にオッドアイで睨みつけるその表情。

瞬間。
桐山は乱入者、翠星石へと駆ける。
突然の行動。
あまりにも早過ぎる反応。
それは見敵必殺を命じられたロボットを思わせた。

桐山の動きを見て、
ハードの眼に今までとは違うモノが宿る。
悲しみに濡れる瞳。怒りで焼かれる体。
すべてを健やかな想波が包む。
それは去りし勇者が彼女に遺したモノか。
果たして彼女はそれを自覚できたか。

304護るヒトたち  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/29(日) 06:32:43.75 ID:sl/dBlu6

銃声が空気を震わせた。

銃が狙ったのは確かに桐山だった。
だがソレを守ったのは防人へと
変わった翠星石が作ったバリアー。

ならば当の桐山は何をしているのかというと。
抱きしめていた。翠星石を。
限りなく優しく。愛おしそうに。

「な、何をやっていやがるんです?」

訳がわからないといった風に言葉を紡ぐのは翠星石。
殺そうとしているのではないということはわかった。
だが、まさか抱きしめられるとは。

「見つけたぞ薔薇乙女」

腕の中にある翠星石をゆっくり引き離すと
桐山はハードに言う。

「ここは退け。お前とはまた殺し合うことになるかもしれない。
 だが俺は今から翠星石に事情を説明する作業に入らなければならない。
 そしてこの少女を守りながらの探索を始めなければならない」

死闘の予感に震える空気はすでに平静を取り戻している。

ハードの奥にあった捻れは消えてなくとも鳴りを潜めている。
銃をホルスターに収めたハードは毒気を抜かれ、
呆れたような口調で桐山に言う。

「つまり、その人形たちを守るのがお前の願いだったと」

「違う。水銀燈の願いだ」

否定する桐山はほんの少し羨望に眼を細めて踵を返す。

「ローゼンメイデンは殺すな……か。
 考えておいてやる」

そう言い残してハードはその場を去ろうとした。
それを止めたのはまたも翠星石。

「待つです!! お前は……闘う気ですか?」

翠星石の問いにハードは……やや躊躇い、応える。

「そうだ。と、言ったらお前はどうする」

「止める」

その言葉。
現実を見ない愚か者の理想論と一笑されるような言葉。

しかし、その奥にあるたしかな何かを感じ。
ハードはこの場で何度も繰り返した問いかけという行為をする。

305護るヒトたち  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/29(日) 06:35:57.13 ID:sl/dBlu6
胸に寄せられた手を強く、固く握りしめる。

「翠星石のローザミスティカは幾億もの“願い”が受け継がれた先にあるのです。
 この胸には大好きな友達の優しさが強く刻まれているのです。
 翠星石にだって闘いの肩代わりは誰にもできないなんてことはわかっているですよ」

でも。

先の桐山と同じように翠星石は続ける。
その先は正反対なモノ。

「シオに託された願いが否定されるよりは。
 蒼星石達が傷つくのを黙って見ているよりは」

ハードは眩しそうな眼をしながら、翠星石の言葉を聞く。
悲しみ。怒り。
完全には収まっていなくともハードは今この瞬間、
たしかに少女の優しさに触れていた。

「翠星石は無理だとしてもみんなの分も闘うです。
 “闘い”を、無くすために」

翠星石の表明。
それを聞いてハードはようやく笑みを浮かべる。
勇者と通じる心を少女に認める。

「ソイツを守ってやれ。仮面ライダー」

これが最後という様子で今度こそハードはその場を去る。


……………………………………………………………………………………………………。


翠星石と桐山が少し離れたところからハードを尾行している。

「何をしているんだコレは?」

チッチッチと指を振りながら翠星石は生徒に教えるように話す。

「アイツが闘いに関する捜し物をしているのは一目瞭然。
 闘いを始める可能性バリ高。
 こうきたら後をつけるのが最良ですよ」

「俺は水銀燈にお前たちを守れと言われたんだが」

不平ではなく、ただ事実を伝えるように桐山は言う。

「む〜。あの性悪がそんなことを頼むなんて……
 ともかく、細かい話はあのオニババ人間の後をつけながらにするですよ。
 翠星石と一緒にいれば一応は守ったことになるハズです。
 まあ、あの高慢ちきのことですからわかったもんじゃねえですけど」

桐山は翠星石の言葉に腑に落ちないのか言葉を返す。

「お前はなんで俺を信じられるんだ?
 今の俺はいきなり抱きついてお前を守ると宣言したりと
 どう考えても不良以下の不審者に思えるが」
306護るヒトたち  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/29(日) 06:37:59.10 ID:sl/dBlu6

翠星石は平穏を守りたいと願い続けていた。
例え、それが殺し合いの合間の仮初めでしかないとしても。
人が善を見せれば疑うことを放棄し、信じようとした。

人形たる本質を最も色濃く備えた翠星石。

一時しのぎの危うい均衡のもとに
彼女の精神は成り立っていた。

そして、人殺しを願った蒼星石のマスターが
翠星石に不信の心を根付け。
彼女の心はとてつもなく弱々しいモノになってしまった。
だが今の彼女は…………。

翠星石は精一杯に胸をはって桐山に言う。

「姉の舎弟は妹の舎弟ですからね。
 責任とって面倒見るですよ。
 っていうわけで荷物持ちを命じるです。
 下僕。パシリ、パシられ、パシルれど。ですよ」

青空の下で翠星石は笑いかける。
荷物持ちを命じ、中にある武器も全て桐山に託す。

彼女はローゼンメイデン。
手にはアリスゲームを勝ち残るための武器、庭師の如雨露。
もう一方の手には防人の力。全てを喰らう腕。
従えるのは姉の下僕たる、薔薇乙女を護る『剣』。

そして彼女の魂にシオの“願い”が、“勇気”が刻まれているのなら。

翠星石の心はいつも平穏を支えてくれる善とともにある。
善の心が人形を戦士へと変えてくれる。

だから翠星石は桐山とこっそりハードの後をつける。
彼女の心を癒すための道を探すため。
戦いを止めるため。

…………バレバレでは。あるけれど。
307護るヒトたち  ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/29(日) 06:40:53.14 ID:sl/dBlu6

【F-3/一日目・朝】

【ハード@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:疲労(小)、 黙って去らせてくれんのかアイツらは。
[装備]:千銃@ブレイブ・ストーリー〜新説〜、
[道具]:基本支給品、ブーメラン@バトルロワイアル
[思考・状況]
基本行動方針:ワタルを殺した奴を必ず殺す
1: ワタルを殺した奴を探す
2:主催者の目的が知りたい
3:首輪を手に入れたい。


【翠星石@ローゼンメイデン】
[状態]:疲労(小)
[装備]:庭師の如雨露@ローゼンメイデン 、護神像アールマティ@waqwaq
[道具]:
[思考・状況]
基本行動方針: 闘わないで済む世界が欲しい
1:アールマティと行動を共にする。
2:桐山と一緒にハードをストーキングする。水銀燈のことを聞きたい。
3:姉妹を探す。
4:最後の姉妹がいるかもしれない…
[備考]
※参戦時期は蒼星石の死亡前です
※waqwaqの世界観を知りました。シオの主観での話なので、詳しい内容は不明です
※護神像アールマティに選ばれました。

【桐山和雄@バトル・ロワイアル】
[状態]:健康、ダメージ(小)
[装備]:カードデッキ(リュウガ)
[道具]:基本支給品×4、たくさん百円硬貨が入った袋(破れて中身が散乱している)、手鏡
     水銀燈の首輪、不明支給品1、水銀燈の羽 、フレイム型BIM@BTOOOM! 
     エディアール家の刀@waqwaq 、七夜盲の秘薬@バジリスク
[思考・状況]
基本行動方針:アリスゲームを守る。そのために影の男を殺す。
1:翠星石と行動を共にする。ハードをストーキングする
2:協力者を求める(ローゼンメイデン優先)
3:ローザミスティカをローゼンメイデンの元に集める。
4:黒い騎士からローザミスティカを取り戻す

【備考】
※参戦時期は死亡後です。

【フレイム型BIM@BTOOOM! 】
X字方向に超高温で燃えるオイル出して燃やす。
簡単にいえばまんまボンバーマンの爆弾リアルバージョン。

【エディアール家の刀@waqwaq】
アシャを喰われたレオが使っていた刀。
火艶 THE KATANA FOR HOUSE HEDIARO 
との銘が刀身にある。
切れ味抜群。何でも斬れる。

【七夜盲の秘薬@バジリスク】
七日間盲になるという対朧において、銃や刀や拳やあらゆる暴力の次に有効な物。
名前のとおり、七日間、盲目で過ごさなければならない。
308 ◆1yqnHVqBO6 :2011/05/29(日) 06:42:53.77 ID:sl/dBlu6
以上で投下終了です。
なにか変なところがあったら指摘お願いします

っと、BIMの数は収録の際に明記しておきます
309創る名無しに見る名無し:2011/06/01(水) 00:43:50.61 ID:yAfgntnT
投下乙

これはトリオ結成なのかな
ハードの心情にそこまで触れていないところが何となく怖い
翠星石に…いや、シオの思いにワタルを重ねてみているハードの今後が楽しみだ
310創る名無しに見る名無し:2011/06/01(水) 21:34:34.38 ID:9fChX+mS
投下乙

これは上手くまとめたなぁ ストーキングとはw
もっとも危うさもあるけど
さて、どうなるやら
311 ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/03(金) 00:54:49.01 ID:p0X1Lvsi
投下します
312I can cry for you  ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/03(金) 00:57:50.80 ID:p0X1Lvsi


人工精霊が金糸雀の周りで瞬く。
チカチカと。フワフワと。

人工精霊に金糸雀は微笑みかける。

「大丈夫」

大丈夫。そう、大丈夫。
彼女たちは生きている。
金糸雀に支給されたファウードの回復液を平と
わけあい、生命力を回復させることができたから。

放送が終わり。
平は知人の死を聴き、俯くと、
拳を震わせ、涙を流していた。

死者。
放送で呼ばれた名前。

「水銀燈」

金糸雀は部屋の中で一人、死した姉妹の名を呟く。

水銀燈。
狡猾で冷酷で、ただひたすらにアリスゲームを闘っていた薔薇乙女。
金糸雀は水銀燈とは他の姉妹と比べてともに過ごした時間が長かった。
向かい合った時間が長かった。
 
二人だけの想い出。

「貴女はどうやって闘ったのかしら」

朝日はもう昇ったはずなのに、
陽の光は水晶宮の奥までは届かない。

足音が、無骨な音が部屋へと続く廊下から聴こえてくる。
音が近づき、扉がそっと開けられる音がする。

平が遠慮がちに顔を出す。
出発の準備が整ったことを告げる。

ふかふかなベッド。
鞄の中で眠る薔薇乙女には無縁なさわり心地。
けれどもその心地良さは人形にもわかることができて。
けれども未練なく金糸雀はベッドから降りて。

平とともに出口へと続く廊下を歩く。

無言の中、鼻をすする音が絶えず聴こえる。
音を武器にする金糸雀はその音色がどうにも不快だった。
鼻水も涙もただただ流れるままであればいいのに。

大きな門が見える。
叩きつける吹雪の音が分厚い鉄を通り抜けて宮内に入る。

前を進む平の足が止まる。
天上を仰ぎ、頭を掻く。
313I can cry for you  ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/03(金) 01:01:46.84 ID:p0X1Lvsi

「アカンな。おっちゃん、
 こういう時なんて言うたらええのかわからんのや」

涙で濁っているだろうと思った声はそんなことはなく。

金糸雀が感じたのは小さな頭におかれた手だけ。

「少しだけ…………ここにいよか」

それはダメだと金糸雀は言おうとした。
なのに、声になるのは意味を成さない音ばかり。

死のないローゼンメイデン。
体が滅べば少し遠いところへ行くだけのローゼンメイデン。
視界が揺らいで姉妹たちとお茶を飲んで騒いだ光景が映る。
鏡はここにないのに。夢も見ていないのに。
楽しかった想い出が金糸雀の眼を覆っている。

想い出が眼から零れて。
けれども、そこには水銀燈の姿はない。

金糸雀は知っている。
姉妹もマスターも全てはアリスゲームのため。
だから正しいのはきっと水銀燈の方。
全ては究極の少女のための過程でしかない。

「水銀燈」

口から漏れるのはいなくなった姉妹の名前。

「どうして?」

金糸雀は知らない。
姉妹たちとお茶をしている間、水銀燈が独り何を想っていたのか。
何を願っていたのか。

黒い翼の彼女は行ってしまった。
遠い遠い過去だけ共有したまま行ってしまった。
小さな楽士に今の時代の想い出を何も遺さず。
何も教えず。
それがどうしようもなく金糸雀には悲しく、切なかった。

金糸雀は気づく。
涙も悲しみも引きずっていたのは平ではなく金糸雀であるということを。
泣いているのは彼女。

そんなことにこの瞬間まで気づかなくて。
気づいた後。

音、高らかに。金糸雀は泣いた。

314I can cry for you  ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/03(金) 01:03:47.35 ID:p0X1Lvsi


【A-1/クリスタル・パレス/1日目/朝】

【金糸雀@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:金糸雀のバイオリン@ローゼンメイデン、レーダーのレプリカ@BTOOOM!
[道具]:基本支給品、不明支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:ズル賢く立ち回る。
1:水銀燈……
2:お父様、みんな……
3:マルコを探す? それとも放っておく?
[備考]
※支給品であるファウードの回復液@金色のガッシュは既に飲み干されました。

【平清@BTOOOM!】
[状態]:健康
[装備]:ジョゾの服@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品、BIM(ホーミングタイプ)×8@BTOOOM!、レーダー のレプリカ@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:脱出する。
1:金糸雀が泣き終わった後、
金糸雀と身の安全が確信できるところまで行動を共にする。
2:マルコを探す? それとも放っておく?
3:信頼出来る仲間を探す。
[備考]
※4巻で指を切り落された以降の参戦です。

315 ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/03(金) 01:06:02.48 ID:p0X1Lvsi
短いですが以上で投下終了です
316創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 00:20:28.89 ID:9Gr6/mXT
投下乙!

金糸雀はちょっと抜けているところはあるけれど、もしかしたら一番姉妹思いなのかもしれない
水銀燈に対しても涙を流している薔薇乙女は多分こいつだけなんだろうなーw
でも可愛いかしらー!
317 ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:16:35.83 ID:2wlMQP3V
おまたせしました。これより投下を開始します。
318Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:17:16.01 ID:2wlMQP3V
「クソッ、四分の一の確率がどうやら当たっちまったようだな」
「そのようだな、あの禍々しい闘気がこちらに向いた」
「ふむ、厄介なことになりそうじゃのう」

愚痴るカントリーマンと陽炎、これからについて考えるゼオン、未だに眠ったままの朧。
四者はチャンと対峙しやすい場所への移動、同盟の仲間づくりのため南下していた。
できれば、チャンが自分達がいる方向に向かわなければよかったのだが既に起こったことに愚痴を言っても仕方がない。
後はひたすらに戦場にふさわしい場所に移動して仲間を集めることに集中するだけだ。

「追いつかれたら絶望だ、ペースを速めるぞ」
「別にそのようなことをしなくてもいい。オレ達だけでも十分な戦力になる」
「確かにのう。戦闘の巧者が三人もいるのじゃ、勝てるのではないか?」

ゼオンと陽炎は直接チャン会ったこともないし戦ったことはない。間接的に放たれた闘気を受けただけだ。
もしかしたらあの闘気は虚仮脅しなのかもしれない、実際に相対したら案外楽に勝てるのかもしれない。
彼ら二人はほんの少しではあるがそんな甘い考えを持っていた。

「お前ら、直接チャンと対峙してみろ。そんな事言えなくなっちまうゼ」
「ふん……」
「どっちにしろやることは変わらん。チャンとやらは必ず滅殺する。それだけじゃ」

三人は草原を高速で駆ける。後ろなど振り返っている余裕はなく、くだらない口論をしている場合でもない。
一刻も早く仲間を集めてチャンを滅殺する、何よりもそれが優先されるのだ。

「んなことよりほら。前を見ろ」
「戦闘中か、ご苦労なことだ」
「どちらも仮面をつけておるから素顔が見えんのう」

三人の視界に映るのは二色の仮面の戦士の戦闘。両人共に得物を持ってしのぎを削り合っている。
高速で接近し交錯、そのまま離脱。その繰り返しを何度も行っていた。

「くうっ!」
「ぬっ!」

白の戦士の持つレイピアと黒の戦士の持つ大剣がギンギンと金属音が鳴らし、二つの得物の激突と同時に空気が震える。
互いに無言で敵を仕留めようとする姿はまさしくこの戦場にふさわしかった。

「とりあえず止めるぞ、こんな事やっている場合じゃねえって」
「それにあいつらは戦力になりそうだしな」
「決定じゃな」

三人は二人の仮面の戦士を無理矢理に引き離し、それぞれ動けないように武器を構える。
319創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:17:34.18 ID:EYr3iAvs
   
320Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:18:09.96 ID:2wlMQP3V
そして、ドスをきかせた声で二人を脅す。その声に怯えたのかは定かではないが二人の動きは止まった。

「動くんじゃねえ」
「戦闘を止めろ」
「無論、拒否は認めておらんからの」

このバトルロワイアル最大の脅威が迫りつつあるというのだ。
こんな小競り合いをやっている場合ではない。
一秒でも早くこの場から離れて態勢を整えねばならない。

「今から話すことをよく聞け。こっちに間もなくこの会場にいる最強な奴が来る」

説明するのはここにいる参加者の中で誰よりもチャンのことをよく知るカントリーマン。
なにせチャンとは元同僚なのだ、知らない訳がない。
戦闘力も性格も姿も嫌という程に知り尽くしている。

「そいつはとてもじゃないが一人で敵う奴じゃねえ。それこそ、束になっても勝算は薄いぐらいにな」

敵の魔法を相反する属性の魔法で相殺することであらゆる魔法攻撃を無効化する専用武器の八卦鏡。
大地から気を取り込むことで得られる圧倒的な身体能力。傭兵としてあらゆる戦場を渡り歩いてきた経験。
拳一つで山を消してもおかしくはないと思えるぐらいの強さは恐怖そのものだ。

「だから協力しろ。別にずっとなんかじゃねえ、そいつ――チャンを倒すまででいい」

情も無く、たった一人を殺すだけのものという利害の一致だけの同盟。
全員が全員いつ裏切るかわからないのだから薄氷を踏むにも等しいものだ。
それでも、自分の信念を曲げて協力をしなければ倒せないのだ、チャンという化物は。

「チャンを殺したら敵同士でさようならだ、別に何時までも仲良しこよしって訳じゃねえ」

既に同盟を組んでいるゼオンも陽炎もカントリーマンもチャンを倒し終えた瞬間に敵同士。
互いに寝首をかこうとする汚い汚い戦いへと早変わりするだろう。

「どうだ、お前さん方にも悪くはないと思うゼ? とびっきりに強い奴が一人消えるってのはなかなかの好条件なんじゃねえか?」

カントリーマンは頬を釣り上げてニヤリと笑う。チャンの強さについてはありのままに伝えたつもりだ。
そして、目の前の二人は見る感じ戦力として成り立つ者達であり、先程の小競り合いを見ても少なからずとも闘いの経験はあると三人は判断した。
戦力として数えても問題はない。二人の戦士の返答はいかに。

「はあ!? いきなり割り込んできて何言ってるんだか。そんなうさんくさい同盟に協力なんて出来る訳ないじゃん」
「……それにこの人はいきなり襲いかかってきました。殺し合いに乗った者と背中合わせで協力できるとは思えませんね」
321Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:18:39.98 ID:2wlMQP3V

白の戦士――霧島美穂はその提案を軽く嘲笑して拒否。
黒の戦士――香川英行は殺し合いに乗った者との協力なんてできるかと同じく拒否。
互いに一度襲った襲われたといった間柄では信頼など出来る訳ない。
ねじれ曲がった二人の溝はそう簡単に解消されなかった。

「まあ普通はそう返答するわな」
「何を言っているんだ、カントリーマン。お前らに拒否権はないんだぞ。出来れば快く承諾して欲しいんだがな……」
「そうじゃのう。私達としても手荒な真似はしたくない」
「……脅しているのか、私達を」
「いいや、これはお願いだよ。なぁに、可愛らしいものだろう? 協力して悪を討伐しようと誘いをかけているだけじゃないか」

ゼオンがいい笑顔で哂う。陽炎とカントリーマンもそれにつられてにっこりと哂う。
数分間、辺りが沈黙した。風がひゅうひゅうと吹く音だけが大地に響いている。
先に返答をしたのは最初と同じ美穂だった。

「……わかったよ、お前達に協力してやる」
「仕方ないですね、巨悪を打ち倒すのも英雄の役目というものでしょう」

美穂に続いて英行も同意する。これにて総勢六人の大同盟が完成した。
破幻の瞳を持つ朧。
毒のスペシャリストである陽炎。
雷の申し子、ゼオン・ベル。
医学のプロフェッショナル、カントリーマン。
仮面ライダーファム、霧島美穂。
オルタナティブ・ゼロ、香川英行。
全員が何らかの特殊能力を持ち、修羅場をくぐりぬけた経験がある者達である。

「一時的とは言えよ、せっかくの同盟なんだ。皆で“仲良く”やろうゼ」
「ああ、オレ達はみんな志を同じにする“仲良し”なんだからな」
「そうじゃなぁ、何しろここにいる全員が“仲間”なのじゃから」
「よく言うよ、ほぼ脅しみたいなお願いで協力を取り付けたくせに」
「まあ、そう言わずに。こうして“仲間”と共に戦うのも悪くはありません」

五人は気持ちを切り替えて、互いの情報の共有と称して情報交換をすることにした。
最も、チャンが迫りつつあるので移動しながらであり、最低限度のものではあるがしないよりはマシだ。
ここで仲良く情報交換をしている最中、美穂がとあることを指摘する。

「これから戦うのはいいとしてさ、そこでのびてる奴はどうすんだ?」

美穂が指摘したのは未だに眠りから目を覚まさない朧だ。
真司の死が余程堪えたのか瞼は上がらずにすうすうと寝息を立てている。
ちなみに、カントリーマンは真司から美穂について聞いていた。
322創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:19:13.58 ID:uKzm0fF/
 
323創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:19:20.76 ID:9Gr6/mXT
しえんするしかないな
324創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:19:41.52 ID:EYr3iAvs
   
325Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:19:43.58 ID:2wlMQP3V
故に真司の死を伝えるべきかほんの少し悩んだが、戦いの前に余計な負担をさせたくないと考え、自分の心の中に閉まっておくことにした。

「起きてほしいんだがいくら声をかけても駄目だ。朧の破幻の瞳はチャンに対して有効だと思うんだがな」
「そんなめんどくさいことをしなくてもオレの電撃で起こしてやるぞ?」
「手荒いことはしたくないんでね」

カントリーマンがやれやれと肩をすかし、ゼオンが腹立たしそうに鼻を鳴らす。
この同盟は見てわかるとおりに今にも壊れそうなくらいにガタガタだ。だが、チャンはそれら全てを封じてでも協力せざるをえないほど強敵だ。
だから全員が何も反論しない。余計に仲を乱したくないから。

「よし、スピードを上げていくぞ。このまま他の仲間探しに当たる」
「これでもう十分なんじゃないの?」
「いいや、多ければ多い程いい。前に戦った奴等も数は揃えていた」
「それ程に強いのですか? チャンとやらは?」
「強いなんてもん通り越してるわ。ありゃあ同じ人類ってレベルじゃねー」
「確かに闘気だけならすごかったな、あんなのはそうそうお目にかかれるものではない」
「お褒めに預かりまして光栄――ところでその会話……私も混ぜてくれないかな」

その言葉と同時に五人が一斉に後方へ勢い良く跳ぶ。そして、全員が驚愕の表情を浮かべ息をのむ。
さり気無く入ってきた男の声が耳に残響として残り、五人は戦慄する。
チャン、シグドラの右頭――最強の旅人。
闘いの始まりの鐘が鳴る前に出来るだけ戦力を整えておきたいという五人の考えは脆くも崩れ去った。

「此奴が弦之介様を……」
「ふん、ガッシュの仇だ……殺してやる」
「英雄として、貴方を見過ごすわけにはいきませんね」
「まあさ、黙って殺されてくれよ」
「ところで、チャンよ。どうして私達に気付かれずにここまでこれた」
「なに、闘気をコントロールして無にしていただけだ。それくらい私には造作もないことだ。
 しかし、全員威勢が良くてなにより。そうでなくては食べ応えがない」

笑う。哂う。チャンが嘲う。口を三ヶ月にしてそれはそれは楽しそうに。
一人、二人、三人、四人、五人、六人……気絶しているので除外。
数えて五人の強者が自分に向かってくる。ああ、何と甘美なることか!
チャンは喜びのあまりに内に秘めていた闘気を大地に拡散させる。

「いいぞ、実にいいぞ! 此処には幻界と違い無数の強者が存在する……。
 私に立ち向かおうと抗う者もいる! それはとても喜ばしいことだ。
 そう簡単に諦めてくれるなよ、私はこの闘争を楽しみたいのだからな」

溢れ出る闘気に五人は身を固くする。
微かな震え、汗が流れ落ちる、強烈な頭痛。それぞれがチャンという強大な敵に後ずさりしている。
326創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:19:44.70 ID:5qD4tMy6
支援
327Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:20:13.55 ID:2wlMQP3V
甘かった。何が案外楽に倒せるだ、逆に全滅の危険性があるではないか。
だが、その考えをすぐに打ち消す。

「諦められるかよ……“願い”を叶えずして死ねるかよ!」
「当然じゃ。弦之介様の仇を討つまで私は戦う」

カントリーマンは朧をチャンの届かぬ所に優しく置く。今の朧はただのお荷物でしかない。
戦場から幾分か離さないと余波で死んでしまう、それに医者として患者を護るのは当然のことだから。
そして、自分の専用武器である奇跡の執刀を取り出し戦闘態勢を取る。
陽炎もカントリーマンから受け取った鉈を取り出しすぐにでも飛び出せるように構えた。

「正面場ですよ、みなさん」
「わかってるって。いいさ、戦ってやろうじゃん」
「言われずとも。こいつさえ倒せば後は楽になる」

残りの三人もそれぞれ武器を持ち、殺意を凝縮させる。
戦闘が、始まる。

「ハハッ……さあ! 宴の始まりだ!」

刹那、六人の地面を踏む音を皮切りについに戦闘が始まった。それは一人に対しての一方的な――殲滅戦。
328創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:20:13.95 ID:5qD4tMy6
私怨
329Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:20:32.26 ID:2wlMQP3V



◆ ◆ ◆



「始まったか……」

戦場の遥か後方、ミツルは六人の戦闘の始まりをじっと観察していた。
そのうちの一人であるチャン、ミツルがこの戦場で一番会いたくない者だった。
殺したはずなのにまだ生きている、それについて疑問が残るが先程出会ったブックがいい証拠だ。
何らかの魔法で生き返らされたのだと判断した。

「さてと、俺はどうするかな」

この闘いに乱入するか、否か。ミツルは悩む。
今のチャンは五対一であり少なからずとも不利であることは間違いない。
チャンを倒すに当たって有利な機会も終盤になるにつれて参加者の減少という避けられない現象によりなくなっていくだろう。
それなら、気力も体力も十全、弾除けの参加者も数多くいる今、チャンを倒すべきではないのだろうか。

(だが、イマイチ踏ん切りがつかないな……)

ここで参戦したとしてもチャンを確実に倒せるとは限らない。
加えて、ミツルが得意とする魔法はチャンの専用武器である八卦鏡に無効化されてしまう。
それならばここは遠くへ離脱するべきではないか。
煩悶がミツルの頭を痛ませる。明確な答えが出ないまま数分が経過する。

「……出てこいよ。そこにいるのはわかっている」
「あらら、バレていたか。それはいいとして坊ちゃん、覗き見はいけないなあ。趣味が悪いよ?」

後ろからかけられた声にさほど驚きもせずにミツルは振り返る。
そこにいたのは角刈りの老人――猿谷甚一だった。
両手は上に上げ、戦う意志がないことを示している。

「人のことが言えるのか? お前の方こそさっきからずっとその木の影から覗いていただろう。趣味が悪いのはどっちだ」
「これは手厳しいねぇ」

ミツルの張り詰めた表情を見てくつくつと猿谷は楽しそうに笑う。
それが気に障ったのか、ミツルは軽く舌打ちして苛立ちの感情を隠さない。
それを見て更に猿谷が笑う。その繰り返しだった。

「俺に何か用か? 用がないなら立ち去れ」
330Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:21:02.19 ID:2wlMQP3V
「坊主になくともわしにはあるんだよ……わかるだろ? 向こうにとてつもない奴がいやがることに」

依然と笑みを崩さない猿谷は戦闘の音が響く草原の向こうを顎で指す。
そこには宴があった。刃鳴散らす音、拳が風を斬る音、大小様々な音が交響曲を演奏している。

「あの宴には参加しないのかい?」
「俺は戦闘狂じゃないんでね、避けれる闘いは避けた方がいいだろう?」
「もったいない、若い時は無鉄砲に行くもんだぜ?」
「貴様の挑発には乗らん」

憮然としながらもミツルは冷静に思考を張り巡らしていた。参戦か、退却か。どちらをとってもリターンもリスクも存在する。
そしてこれは命がかかっている選択だ、安易には選ぶことは出来ない。

「貴様は行くのか?」
「当然。今は、少しあんな乱痴気騒ぎの中で暴れたい気分でなあ……」

その時、一瞬だが猿谷の顔が悲しみに染まった。何か大切な親友を失った、心にポッカリと穴が開いた喪失感。
あの戦いをやりどころのない感情をぶつけるための捌け口に猿谷はしようとしている。
ミツルはそう感じ取った。

「坊主もそうなんじゃないのか? お前さんも同じで何かを」
「それ以上言うな」

やりどころのない感情を持て余しているのはミツルも同じだった。心にあるモヤモヤとしたモノ。自分ではわからない何かにイラついて顔をしかめ続けている。
それはあの放送を聞いた後から生まれた気持ちだった。何故? 疑問が頭の中で反響する。
自分でもわからない感情なのだ、幾ら問いかけてもわかるはずがない。

「違う……俺はあんな奴が死んだところで何も感じはしない」
「まあそういうことにしておいてやるよ……ところでどうよ、坊主も一緒に暴れねえか?」

それは甘美なる誘いの言葉だった。この黒い感情を思う存分に吐き出すことが出来る。それはミツルにとっては重要なファクターだ。
だが、一時の感情に流されてはいけないと抑制の声をかける自分もいる。
なにせ、相手はチャンだ。いずれ倒すべき敵ではあるがこんな早くから戦うのは得策なのか?

「俺は――――」
331創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:21:20.48 ID:5qD4tMy6
支援
332Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:21:48.37 ID:2wlMQP3V



◆ ◆ ◆



「行きますよ!」
「言われなくても!!」

戦闘は混迷を極めていた。五人と一人による一進一退の攻防は絶え間なく続く。
正面から仮面ライダーの身体能力を活かして美穂と英行が地面を高速で駆け抜ける。
美穂のレイピアが、英行の拳が、風を切ってチャンを屠ろうと肉薄し、激突。

「はあっ!!」
「っ!!!」
「ふん……功夫が足りんな」

刃と拳がチャンとぶつかり合い、ギチギチと音を鳴らす。
だが拮抗は一瞬、すぐに弾き飛ばされ二人は宙に浮き、吹き飛ばされる。

「はん……! あい変わらず化物っぷりを発揮してやがるなあ!」

カントリーマンが背後から高速でチャンに迫る。手には切れ味鋭し奇跡の執刀を持ち、刹那を疾走。
そして接近すると同時に連撃、一瞬五斬。コンマ一秒の瞬間に五月雨を穿つ。
だがその斬撃も。

「いいぞ、その調子で更なる閃光を私に見せてくれ」

チャンの身体に軽く掠めるだけにとどまり致命傷にはならない。
返答替わりに放たれた裏拳でカントリーマンも勢い良く後方へ転がり込む。

「ジャウロ・ザケルガ!」

チャンの凶悪な強さに顔を歪めながらもゼオンはひたすらにどうやれば殺せるか、そのことだけを考え続ける。
そして、陽炎と何かしらの言葉を数回交わしコンタクトをとる。その時、カントリーマンを蹴散らしたチャンが二人の方に眼を向ける。
だが、遅い。もうゼオンは作戦を伝え終り、呪文も唱えてしまっている。
唱えた瞬間、ゼオンの掲げた手には光の円が現れ、そこから幾重もの電光がチャン向けて発射された。

「私に魔法の類は効かんよ、カントリーマンから教えてもらわなかったのかな?」
「誰が貴様を狙うと言った……」

電光はチャンの方向へ飛んだとは言ってもチャン自身を狙ってはいなかった。
狙っていたのはチャンの周りの大地。電光は次々と地面に着弾し、地面を吹き飛ばしていく。

「ぬっ……!」

電光の影響は八卦鏡によって無効化されるのでそれに付随するダメージはない。
だが吹きすさぶ土煙までは無効化出来ない。チャンの視界は一面に靄がかかる。
333創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:21:51.59 ID:uKzm0fF/
 
334創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:22:19.34 ID:EYr3iAvs
チャンが来たあああああ!!
335創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:22:23.92 ID:5qD4tMy6
支援
336創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:22:49.70 ID:9Gr6/mXT
しえん
337創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:22:53.63 ID:5qD4tMy6
支援
338Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:22:53.59 ID:2wlMQP3V
その隙を陽炎は逃さない。

「その首、貰い受ける」

地面を強く蹴り上げて加速。その速さ疾風の如く。陽炎の通った後には風が巻き起こり草が舞う。
忍者故に音も立たず無音。そしてそのままチャンに接敵、すれ違いざまに銀色の閃光が首筋を通過した。

「ふむ、今のはなかなか肝を冷やした」
「な…………!」

閃光は空を切っただけだった。チャンは首を後ろに倒してぎりぎりの所で鉈による斬撃を躱したのだ。
何故躱せた? そこに深い理由などない。躱せるから躱したにすぎない。
実にイージー。この程度を出来なくて最強を名乗れるか。この程度は飽くなき闘争を望む者として息を吐くかのように出来る行為だ。

「まずは一人――涅槃にて躾を受けてこい」
「……! 弦之介さ」

しかし、どちらの言葉も最後まで紡がれない。そう、轟音と共に飛んで来る平頭銛に掻き消されて。
平頭銛は陽炎の全身を消失させ、チャンの肉体も――――。
339創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:22:55.04 ID:kivLgsYT
しえん
340Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:23:28.67 ID:2wlMQP3V



◆ ◆ ◆



「すいません……私にはこうするしかなかった」

土煙の外では英行が強固な意志を秘めた目で前を向いていた。
英行に支給された捕鯨砲。それは大掛かりなものでとてもじゃないが実戦向きではない。
だから先程のような隙がなければ使うことが出来なかった。
その分、威力は絶大だ。爆薬による発射。銛先火薬もロワだからと増量されてある。
これで死なないという方がおかしいくらいだ。

(ですが……仕方が無いことです。大を救う為には小の犠牲をいとわない……私が目指す英雄とはそのようなものですから)

陽炎一人を見捨てるだけでチャンという巨悪を討つことが出来るのだ、英行には何の躊躇いもなかった。
ゼオン達もチャンを倒したのならそれには異存はない。ただ陽炎は運が悪かった、それだけである。

「……殺ったのか?」
「これぐらいで殺れるもんなら、」

消える土煙から表れる一人の影。無論その影は陽炎ではなく。

「苦労はしないんだがなぁ」

チャンだ。しっかりとした足取りで一歩ずづ前へ進む。だが、全くダメージが無い訳ではない。
右腕は赤く染まりグシャグシャになっている。血がぽたぽたと流れ落ち、骨がむき出しになったその腕は見るも無残だった。

「まさかここまで策を重ねていたとはな。見事だ。
 思わぬ一撃のお陰で私も驚いてね」

それでも顔色に変わりはない。むしろ、喜びの色が最初よりも増している。

愉しい。自分を追い詰めるためだけにここまでするなんて快なり。
ああ、この戦場こそが我が聖地。一度死んだ私に対しての地獄とでも言うのだろうか! 実にいい!

チャンの喜びが急速に上昇していく。興奮を抑えきれずに思わず闘気を全開で放出してしまう。
それも仕方が無いことだ、何しろチャンの望みである満足する闘争を現在進行形で味わっているのだから。
341創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:23:42.31 ID:5qD4tMy6
支援
342Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:24:09.46 ID:2wlMQP3V

「あんなのが来るとはな、予想もしなかった……あれを正面から受け止めたお陰で右腕がこの様だ」
「出来ればあの一撃で死んで欲しかったのですが……」
「まだ死ねないさ……私は満足していない!!」
「付き合ってらんない……一人でやってろ」

四人は冷や汗を流しながらも目に灯る意志の強さには弱まりは見られない。
この場でチャンを必ず殺すという目的を達成するために。
それぞれが叶えたい“願い”のために。

「行くぞ……化物退治の続きだ!」
「ふん、貴様ら……即死などさせてはやらんぞ。じっくりと闘争を愉しんでから朽ちていけ」

全員が散開し、チャンに向けて疾走する。チャンの片腕を封じたとはいえ脅威は今だ健在だ。
ダメージを与えたから楽になる、怖気づいて逃げる、そのようなことはありえない。
完全に肉体を消し去る勢いで戦わなければ倒せないのだ、チャンは。

――SWORD VENT――

英行の手にはスラッシュダガーが、美穂の手にはウィングスラッシャーがそれぞれの手に握られる。
ゼオンはラウザルクを唱えて身体能力の強化、カントリーマンも魔力を最大限に放出して。
全員が持てる力を出し惜しみなく使い、この戦いを乗り切ろうと強く、強く思う。

「……その意気だ。それでこそ戦う意味がある」

美穂が右から、英行が左から。ゼオンとカントリーマンが中央から。
各自、大地を揺らしながらひた走る。

「だが、」

美穂の繰り出した弾丸の如き突きを受け流し、カントリーマンにぶつけてそのまま蹴り飛ばす。
蹴り飛ばされた二人はボールのように地面をゴロゴロと転がっていき、動きが止まった。
これにて二人脱落。

「私を倒すには」

ゼオンの拳を八卦鏡で受け止めてそのまま拳を一閃。轟と風を捩じ曲げながらの一撃をまともに受けたゼオンは血反吐を吐きながら大地に伏せる。
最そして後に残った英行を血だらけの右腕を力強く振ることで吹き飛ばす。

「足り……!」

そう、吹き飛ばすはずだった。
343創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:24:19.71 ID:uKzm0fF/
 
344Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:24:36.92 ID:2wlMQP3V

「幾らあなたの一撃が速くても、私には躱すことができます」

英行は一度見たものを完全に記憶することができる完全記憶能力を持っている。その特殊な能力を利用してチャンの拳法の型を覚えたのだ。
故に右腕による一撃を完璧に躱すことができた。そのまま懐に入り、両手に持ったスラッシュダガーをチャンの胸に深く突き刺そうとするが。

「ここで倒れる終りなど認めんよ」

英行による必殺の一撃をチャンは身体を無理矢理によじらせることにより軌道から逃れる。
とはいっても、スラッシュダガーは脇腹に深く抉り、完全に避けることは出来なかった。
ゴボゴボと口から血を吐くチャンに英行は仮面の下でうっすらと笑みを浮かべる。
チャンは口の周りを赤く染めながらも反撃の一手として無事な左手で首筋目がけて手刀を横薙ぎに振るう。

――ACCELE VENT――

手刀が届く前にバイザーにカードを挿入。読み込んだのは瞬間的な超加速を可能にするACCELE VENTのカード。
放たれた手刀は突然の加速を捉えきれずにブンと宙を切る。英行はそのまま加速した身体の勢いに任せてチャンから離れて一定の距離をとった。
ここで決める。そう考えた英行の手に握られたカードの名前はFINAL VENT。仮面ライダーの最後の必殺技を繰り出すためのカード。

――FINAL VENT――

英行は虚空から現れたバイク――サイコローダーに飛び乗ってその場でグルグルと回転をし始めた。
そして、その勢いのままに高速回転しながらチャンを轢き潰さんと趨る!

「多くを助けるために、一つを犠牲に出来る勇気を持つものが真の英雄なのです……故に私は英雄になるために」
「………………貴様のような奴が」

チャンの頭に浮かぶのは過去の惨劇。国に裏切られて仲間が全滅したまともだった頃の残骸。

(ああ、そうだ。このような人物が自分達を殺したのだ、許せるものか……!)

左腕を後ろに引き、出来る限りの威力をつけようと大地から気を吸い取っていく。
近づきつつある英行を拳一つで撃ち倒さんと掌底が迸る。

「貴方を討つ……!」
「英雄になるなどとほざくな……!」

掌底一閃。爆発的な威力を伴って射出された一撃は英行が乗っているバイクごと貫いた。
手は煌く閃光のように綺麗に、心は獄炎の如く熱く、頭は氷の冷たさを感じさせる程に冷静に。
その一撃は夜空を駆け落ちる流星を想起させる程の強く、綺麗な一撃だった。
345創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:24:50.48 ID:9Gr6/mXT
しえん
346Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:25:18.40 ID:2wlMQP3V

「がっ…………」
「ただ安全なぬるま湯にずっと浸かっていた奴が英雄になるだと? 笑わせるな」

グチュリ。何かが潰れる音と同時に英行の腹に開いた穴から大量の血液が流れ落ちる。
緑の草原を赤く染めるその姿は英行の目指す英雄の姿ではなかった。

「絶望的な戦場を地獄で経験してから出直してこい」
「……わ……ぃは……………ぇ……うに……」

口からはもはや声にもならないしわがれた音と止めどなく流れる赤い赤い血しか出てこない。
身体は南極に裸に放り込まれたと錯覚するぐらいに寒い。温かいと感じるはずの血液も冷たい水としか感じない。
香川英行は、英雄になどなれない。なぜならもう死んでいるからであり、死人はもう人ではなくただの肉の塊なのだから。

「他愛もない」

ゴミを捨てるかのように英行を投げ捨てて残りの三人に向き直る。
最初は六人もいた対チャン同盟も 四人に減ってしまった。
霧島美穂、カントリーマン、ゼオン・ベル、未だ眠りに落ちている朧。
誰も彼もがこれ以上の戦闘を困難としている。

「これで二人始末した。残りは貴様達だけだ」

ゼオンは依然と地に伏せたまま起き上がらない。否、起き上がれない。
ラウザルクによる身体能力の強化を施していたにもかかわらずだ。このことからチャンの一撃の重さがよくわかる。
美穂はチャンの蹴りをまともに受けてから動きを見せない。ぴくぴくと動いていることから生きてはいるがもう戦闘は続行不可能であろう。
それどころか生命の危機に立たされているのかもしれない。
そんな中、一人ゆらりと起き上がる小柄な男がいた。
カントリーマンだ。直接的にダメージを与えられていないお陰で三人の中では一番ダメージが少ない。
だから、一番先に起き上がれたのだ。

「はっ……ったくよぉ。ホント、化物だなぁ」
「次はカントリーマン、貴様か」
「期待裏切るようで悪いけど、もう立ち向かう勇気もねえんだわ。さっさと殺ってくれ」

カントリーマンは奇跡の執刀を放り捨て両手を上げて降参のポーズを取る。
目には光が灯っておらず、抜け殻のようにぼうっと立っているだけだ。

「何を言ってる。まだ私は生きているし貴様も生きている。闘争は終わらんぞ」
「お前さんとサシで戦って勝てるかよ、戦いなんて止めだ」
347創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:25:37.59 ID:uKzm0fF/
 
348Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:25:47.70 ID:2wlMQP3V

もう勝てない。陽炎と英行は死に、残りのゼオンと美穂はもはや再起不能。戦えるのは自分だけ。
それならば逃げるべきだ、とカントリーマンは思ったがチャンと対峙して逃げるなど出来るわけがないと早々にその考えを放棄。
もはや、死を待つだけだ。何をしたところでこの先に光は見えない。
だから諦めた。生きることから逃げ出した。

「腑抜けが……ならば――死ね」

チャンが大地を蹴りつけカントリーマンに迫る。拳をカントリーマンの腹部目がけて振り抜いた。
躱せない、いや躱さない。もう生きる意志も、“願い”も、何もかもがどうでもいい。
ただ、楽になりたかった。
349Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:26:03.88 ID:2wlMQP3V






「…………え?」






そして拳は確かに突き刺さった。





「ははっ……まに、あった」






突然割り込んできた霧島美穂に。

「きり、しま」
「無事かよ……クソジジイ」

目の前がスローモーションになる。世界が一秒ずつ動いていく。美穂が地面に崩れ落ちる。
カントリーマンは思わぬ光景にへたり込む。そこにいるのは自分のはずだ。なのに、何故。
口からは疑問の言葉しか出ない。
350Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:26:28.42 ID:2wlMQP3V

「なんでだ……なんで助けた」
「そんな気分だったから、じゃ駄目かな……」
「ふざけるな!!!! 私はもう死ぬって決めてたんだ! 邪魔してんじゃねえよ!」
「うるっせーなぁ……あんた、まだ動けるんだから逃げるなり何なりすればいいじゃん」
「じゃあお前さんが逃げれば……!」
「無理だよ、だって私……もう最初の一撃の時点で死にかけだったから」

最初の腹部による一撃は美穂にとって致命傷だった。
内蔵はグチャグチャで横たわっているだけでも辛かった。だが、即死するまでの傷ではないことが美穂を生かしていたのだ。
どちらにしろ戦闘は続行不可能。このまま緩やかに死を待つだけかと美穂は思っていた。

「それに、死ぬんだったらさ……最後は、あいつの真似して、死にたかったんだ」

ふと考えたのだ。最後は城戸真司のように。復讐なんて捨て去ってに正義の味方として死んでみるのも悪くない。
最初は片隅にぽつんとあった想いだが徐々に大きくなっていき――最終的には勝手に体が動いてしまった。
ばかだなあ、と美穂自身も思ったが不思議と後悔はなかった。

「真司……私、がんばれた、かな? もう……ゴールして、いいよな…………」
「おい! 待てよ……! 何医者の前で勝手に逝こうとしてんだよ! 止めろ……止めろ――っ!!!」

最後に美穂は笑って。太陽のような笑みを浮かべて。目をゆっくりと閉じた。
霧島美穂の道は復讐の為の道だった。だが、最期は本当に進みたかった道への一歩を踏み出せた。
それは美穂にとって何よりも救いだったのではないか。戦いの中で惹かれた“彼”と同じ道を一歩でも歩めたのだから。

「あ、ああっ……! ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!」

カントリーマンの慟哭が反響する。両の瞳からは止めどもなく涙が溢れてくる。
どいつもこいつもなんで自分なんかをかばう。殺し合いに乗っている者をかばって死ぬなんて。
城戸真司も、霧島美穂も。自分勝手でバカだ。どうしようもない、お人好しだ。

「無駄死か……くだらんな」
「…………っ!」

その言葉が耳に届いた瞬間、カントリーマンの頭の中で何かがプツンと切れた音がした。
チャンの呟いた言葉が何故自分を熱くさせるのか。
失われた戦意が戻っていく。むしろ、前よりも闘争の炎は燃え上がっている感覚さえある。
351Holocaust ◆W91cP0oKww :2011/06/04(土) 01:27:24.35 ID:2wlMQP3V

「城戸……お前さんの力を借りるぜ――――変身」

変身。その言葉と同時にカントリーマンの全身は覆われていき、赤を貴重とした仮面の戦士へと早変わりする。
仮面ライダー龍騎。城戸真司の『生きろ!!』という言葉を胸に、今此処に再び降臨した。

「やっとやる気になったか」
「ああ、お陰さまでなあ。どうやら私はテメエのことを殺してやりたい程に憎いらしい……」

先程とは百八十度違いカントリーマンは戦意に満ち溢れている。
素晴らしい。これでこそ我が闘争の相手としてふさわしい。
チャンはニヤリと口を歪めて笑う。声に出して大声で哂う。

「例え一人になろうとも私は戦ってやる。テメエは絶対に、殺す」
「威勢はいいんだが、一人で敵うとでも?」
「残念ながら一人ではないんだなぁ、これが!!!」

その言葉が最後まで紡がれる前に飛んでくる二つの何か。
それを悠々とチャンは躱して飛んできた方向へ目を向ける。

「何者だ」

そこにいたのは二人の人間。片方は変な装甲に覆われている老人。
もう片方は以前に戦ったこともある魔法使いの少年。
新たに戦場に現れた二人の参加者。チャンという強大な敵を潰す為、今この地に舞い降りた。

「しがない元刑事と」
「今から貴様を殺す魔法使いだ」

戦いは終わらない。どちらかが死に絶えるまで。
この混迷する戦場でそれぞれが“願い”を賭けて戦っているのだから。

「ここからが、本当の闘争だ!!!!!!」



【霧島美穂@仮面ライダー龍騎 死亡確認】
【香川英行@仮面ライダー龍騎 死亡確認】
【陽炎@バジリスク〜甲賀忍法帖〜 死亡確認】
【残り 36名】


352創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:28:10.87 ID:9Gr6/mXT
しえん
353創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:28:14.93 ID:uKzm0fF/
 
354創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:30:24.99 ID:uKzm0fF/
 
355創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:34:16.05 ID:uKzm0fF/
 
356代理投下:2011/06/04(土) 01:35:05.18 ID:9Gr6/mXT
【B-4/1日目/午前】

【カントリーマン@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:全身ダメージ(大)、龍騎に変身中
[装備]:奇跡の執刀(ハイブリッド・メス)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜 、カードデッキ(龍騎)
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×2、首輪(是方昭吾) 、首輪(相馬光子)、
桜田ジュンの裁縫道具セット@ローゼンメイデン
[思考・状況]
基本行動方針:生きる。
1:チャンを殺す。
2:城戸が伝えてくれた「生きろ!!」という言葉を忘れない。
3:薬師寺天膳の体に強い興味。
[備考]
※是方昭吾、相馬光子の死体をアンデッドとして従えました。
※陽炎、相馬光子の武器を毒と判断しました。

【朧@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:気絶
[装備]:
[道具]:
[思考・状況]
基本行動方針:??? 
1:???
357創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:35:07.07 ID:EYr3iAvs
                  
358創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:36:37.50 ID:uKzm0fF/
 
359創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:39:03.13 ID:uKzm0fF/
 
360代理投下:2011/06/04(土) 01:39:46.22 ID:EYr3iAvs

【ゼオン・ベル@金色のガッシュ!!】
[状態]:腹部ダメージ(極大)、全身ダメージ(大)、心の力消費(大)
[装備]:魔本@金色のガッシュ!!、ゼオンのマント@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×2〜4(ゼオン、三村(武器ではない))
[思考・状況]
基本行動方針:何としてもガッシュを生きかえらせる。
1:チャンを殺す。
2:陽炎やカントリーマン達と手を組む(裏切る行為を見せたら容赦はしない)

[備考]
※自身にかけられた制限をほぼ完璧に把握しました。
※魔界に帰った後からの参加。

【ミツル@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:健康
[装備]:ミツルの杖@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品、不明支給品×1、BIM(爆縮型)@BTOOOM (7/8)
[思考・状況]
基本行動方針:妹を生き返らせる。手段は選ばない
1:チャンが弱っている今だからこそ……戦う。
2:チャン以外の旅人と同盟を結ぶ(カントリーマンとも?)。猿谷とは?
3:このモヤモヤする気持ちは……。
[備考]
参戦時期:ゾフィが虚になった後。
魔法を使うと体力消耗。

【猿谷甚一@銀齢の果て】
[状態]:健康
[装備]:ニューナンブM60(3/5)@現実、ウォフ・マナフ@W?・qw?・q
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×0〜1(本人確認済)勇者の剣(ブレイブレード)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜、ノコギリ@現実、救急箱@現実
[思考・状況]
基本行動方針:優勝を狙う。
1:憂さ晴らしに戦う。
2:協力者を探す。 津幡共仁には用心する。ミツルとは?
3:ご隠居……
[備考]
※ワタルから幻界の知識をある程度得ました。

【チャン@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:所々衣服が破れて裂傷有り、右手重傷(使いものにならない)、脇腹に深い刺し傷、全身ダメージ(大)
[装備]:八卦鏡(フォーチュンテリング・ミラー)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを求める。
1:戦う。
[備考]
※B-4に基本支給品×6、捕鯨砲の残骸@銀齢の果て、壊れた鉈@バトルロワイアル、BIM(クラッカー型)×5@BTOOOM!、
 仮面ライダーファムのカードデッキ@仮面ライダー龍騎、不明支給品×4〜7 (是方0〜1、相馬2〜3)、オルタナティブ・ゼロのカードデッキ@仮面ライダー龍騎が落ちています。
361創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 01:40:53.47 ID:uKzm0fF/
 
362代理投下:2011/06/04(土) 01:40:54.52 ID:EYr3iAvs
【捕鯨砲@銀齢の果て】
 火薬の爆発力によって銛を発射し、クジラを捕獲する道具。
 ちなみに当ロワロワでは火薬は何割か多めに使われております。
 これで憎いあの子のハートも刺しちゃおう!

【ウォフ・マナフ@W?・qw?・q】
 護神像No.2。アランの護神像。
 縞模様の獣のような外見をしている。角を取り外し、ブーメランとして飛ばすことができる。
363代理投下:◇W91cP0oKww:2011/06/04(土) 01:42:57.14 ID:EYr3iAvs
投下終了です。多くの支援、ありがとうございました。
364創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 02:46:03.73 ID:9Gr6/mXT
投下乙!!

大乱闘だ!!
やべえw 1 VS 5 でも圧倒するチャンやべええええええ
ラウザルクゼオンすらやられるとは…
霧島の最後は真司を真似たか。霧島自身はもちろん、カントリーマンの心にも確かに響いたぜ
教授ーーーーー!!
たしかにあんたの発言はチャンの過去を考えると不適切すぎるわ… チャンもただの戦闘狂ではないんだよな…
そしてミツルと猿谷さんも参戦してさらに場が混沌としてきやがったw
ミツルは猿谷さんがワタル殺しの犯人だとしったらどうなることやらw

言いたいことはたくさんあるけど、熱くて切なくて今後が楽しみで、楽しかった!

改めて投下乙です!!
365 ◆CFbjQX2oDg :2011/06/04(土) 02:54:33.73 ID:9Gr6/mXT
皆さんいつも作品投下や感想等ありがとうございます。
引き続き連絡事項があります。

今まで投下直後の予約時期についてのルールは明確に定まっていませんでした。
今回を機に正式にルールとして定めて、書き手参加したい方すべての足並みをできるだけ統一したいと思います。

投下したSSから24時間以上経過した次の日の0時が予約解禁としたいと思います。

≪例≫
6/4の7時に投下されたSS→24時間後は6/5 7時 

この次の日の6/6の0時を予約解禁日としたいと思います。

何かご質問があった場合はココか本スレで聞いて頂ければお答えします。
とりあえず今回の1yqn氏の先程の予約は無効ということでお願い致します。
366創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 12:28:27.74 ID:2nuVTZoC
またあの人か
銀様の時もそうだが、毎度美味しい振りを独占しては微妙な話にするよなぁ

せっかくの展開が台無しだわ
期待してただけに残念
367創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 12:48:16.10 ID:zz1KfP8f
そうかぁ?どれもレベル高いと思うぞ
まあ俺は楽しめてるしいいよ
368創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 12:59:33.78 ID:EYr3iAvs
投下乙!!
スゲエ。チャンがやべえええええええ!!!!
香川も陽炎もよく善戦したと思えるのにこの圧倒ぶり
霧島はよくがんばった。彼女の終わり方としてはある意味で最高のものの一つだと思う
とにかく面白かった!!
369創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 13:00:24.26 ID:zz1KfP8f
投下乙!
チャン強すぎだろ…
ライダーとか最強の魔物の子相手にしてここまでやるかと思うわ
陽炎の死もシンプルだけどチャンの実力を物語ってるよなー
香川教授はチャンが一番嫌いなタイプだったんだね、御愁傷様
んでカントリーマンはかっけえ…
生きることを諦めたときはおいおいと思ったが
美穂の熱い死に様を見たらそりゃ燃えるよな
ワタル殺した猿谷さんとミツルが参戦するし
笹食ってる場合じゃねえな…
これはブッコフでブレスト買うしかないわ
買ってくる
370創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 13:34:12.59 ID:9Gr6/mXT
幻想殺しを身に纏い、さらに界王拳を使えるケンシロウ
それがチャンです。

ブレストはあまり知られていないけど最後まで一気に読める良作ですよ!
371創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 13:39:39.11 ID:EYr3iAvs
チャンを倒したいって? それなら話は簡単だ
まずあらゆる魔法無効化というチート能力をどうにかするんだ
そして次はあらゆる力場を自分の力に変換するチート闘法をどうにかするんだ
残ったのは北斗神拳伝承者なみの身体能力。これをどうにかすればチャンなんて楽勝さ!!
372創る名無しに見る名無し:2011/06/04(土) 18:32:22.78 ID:NrOmSwpP
鉄アレイで頭殴り続ければ倒せるのなら
まあ対丈夫だろう
373創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 01:47:48.84 ID:JDamfAtc
ミツルにゼオンなら原作のアレができるからいけるだろ
つーかこの面子でダメだった場合、これ以降全参加者対チャンみたいな構図になるんじゃね?
374創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 05:33:49.49 ID:Rd4img/r
>>373
あれ、水晶が必要だったからなあ
375創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 17:23:23.79 ID:rzQc0vty
ブレイブ・ストーリーよく知らないんだけど
このチャンって奴は制限特に受けなかったの?

これまで参加者列強ポジだったゼオン相手に制限受けてこれだとしたら凄いな
376創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 17:39:53.58 ID:Rd4img/r
ガッシュで例えるなら術無効化能力持ちのクリアに近い
このロワは基本、身体能力や術の制限はない
むしろガッシュやブレストや龍騎は原作での制限が無くなってるから強化されてると言えるかもしれない
377創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:12:32.01 ID:FloDG3je
テスト
378 ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:18:57.55 ID:FloDG3je
投下します
379創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:19:56.24 ID:TKz7LuML
支援
380創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:20:04.00 ID:X6TKPxnh
 
381レボリューション  ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:21:39.78 ID:FloDG3je


〜〜誰だって世の中を変えたいと思ってる。
   だけど、殺し合いに頼ろうというなら。
   悪いが俺は加担する気はない。
   そんなことするまでもなく、今に何とかなるさ。
   大丈夫。何とかするよ〜〜

  いや、これ盗作なんだけどね。いやはや。

歌い終わった後、そう言って彼は恥ずかしそうに笑った。


……………………………………………………………………………………………………。


化け物退治が始まる。

相手は人。
旅をする人。
心に虚を抱えながらも願いを賭けた殺し合いに身を投じた狂人。

対するは仮面ライダーとなった旅人が一人。
防人となった老人が一人。
そしてただの旅人が独り。

それでも彼らは諦めることなく構える。

そして、駆ける。
最強、チャンへと向かって。

歓喜を隠そうともせず。
身体中を悦びに震わせながら迎えたんとチャンは拳を振り上げ、
想波を練り上げる。

――SWORD VENT――

龍騎へと姿を変えたカントリーマン。
彼の左手には旅人の武器、奇跡の執刀があり。
彼の右手には仮面ライダー龍騎の武器、ドラグセイバーがある。

二本の武器。
それでも目の前の片腕しか使えないであろう男を倒すには足りなさすぎる。

カントリーマンの背後から角が投げられチャンを襲う。
攻撃は右と左からの同時。
退路は限られている。

チャンが選ぶのは当然前進。
標的を見失ったブーメランには目もくれず。
チャンはカントリーマンへ攻撃を繰り出す。

カントリーマンとチャンとの距離は目測半歩。
しかも誘い込んだ結果ではなく、
反応を遥かに上回る速度で踏み込まれた結果のもの。

右からの鈎のような軌道を持つ肘鉄を
右手の武器で受け流すことをせず。
カントリーマンは左手にあるメスを以て体ごと突撃する。
382創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:23:36.11 ID:+xm5eZOA
383レボリューション  ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:23:51.38 ID:FloDG3je

捨て身。
特攻。
この攻撃を形容するにはどれも足らない。
強いて言うなら愚行。
チャンの武器は腕だけではなく“チャン”という1生命体そのもの。

チャンは軸足となった左足を地面に据えたまま右足を浮かせ。
肘鉄の威力に身を任せくるりと回転する。
回転。それによる対象の喪失。
ならばカントリーマンの突進は数歩のダッシュに終わったはず。

だが相手は繰り返すもチャンだ。
右足を軸に体を旋回した彼の左足はカントリーマンのすぐ後ろ。
カントリーマンとチャンはちょうど背中合わせの形になる。

突撃を上回るその速度すら驚嘆すら生温い魔人の技。

だがチャンの回避は回避だけにとどまらない。
全身全てが凶器ならば。
背面すら凶器。

チャンの体が豪速でカントリーマンへと倒れこむ。
チャンの体がカントリーマンの全身を地面で挟む。

苦鳴の音がチャンの背中、正確には地面から漏れる。
そしてチャンの眼に映るのはカントリーマンごと
チャンの首を刈り取ろうとするミツルの姿。

三又槍が首に触れる。
否。触れたのはチャンの歯。
チャンの顎がミツルの武器をがちりと固定し。
ミツルは首の力だけで数十m先へと投げ飛ばされる。

倒れ伏すチャンを文字通り背に悠然と起き上がる。

「さあ、もっとだ。まだ私を倒すには程遠い」

チャンは唯一立っている猿谷へと走る。

踏み出す足が大地を砕いた音がしたころには
既にチャンの貫手が猿谷の腹を貫いていた。

猿谷の融合が解かれる。
防人がただの老人へと戻る。

「呆気ないなあ」

まあ、こんなこともあるだろうという体で猿谷は笑みを浮かべる。

「だが、殺気は見事だった。
中々に愉しませてもらったぞご老体」

賞賛。そして。

「だがそれだけだ」

たむけに贈るのは興味を失ったような言葉。
384創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:24:46.74 ID:X6TKPxnh
 
385レボリューション  ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:26:01.77 ID:FloDG3je

ミツルは無言だったが彼も拒む気は無いようだ。

ノールも手加減する気はないようで、
この殺し合いで初めての護神像との合体を行う。
そして改めて闘いが始まろうとして。

「まあ、待て」

それを制したのはチャン。

臆したかという希望的観測をする過ぎた楽観主義者はいない。
この男の求めるものは一目瞭然。
ならば。
来るのは当然。

「俺達も共闘するぜ!!」
「ちょっと、下品な大声を出さないでちょうだい」
「なんだろうといい。俺は闘うだけだ」

仮面ライダーナイト、秋山蓮。
ローゼンメイデン第五ドール、真紅。
そして革命家、七原秋也。

新たな乱入者により、地獄が更に賑わう。
幹事たるチャンは参戦者をぐるりと見渡し。
ゆっくりと手招きする。

「さあ、さあ。
戦場だ。地獄だ。素晴らしき哉。素晴らしき哉。
ようこそ勇者たちよ。私にさらなる歓喜をくれ。
闘わなければ殺されることもできない!!」

男の空虚なる狂気。
それを受けても戦慄し、足を止めることは許されていない。
闘わなければ生き残ることができないのだから。

戦場の幕が再び開く。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。


闘争という名の絶望は終わることがない。
新たな参戦者がいくら来ようとも。
チャンとの差は大きすぎる。

的確な指示を来栖が急場凌ぎの協力者達にくだそうとも。
異能が効かないことを知らされたノールが工夫を凝らして水を駆ろうとも。
ローザミスティカで力を増幅した真紅が薔薇の花弁の雨を降らせようとも。

あらゆる強者が手を尽くそうとも。
無双の絶対者の優位は揺るがない。

「何でだよ!?」


386創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:26:38.75 ID:+xm5eZOA
387創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:27:55.88 ID:w6UfU8Sa
388レボリューション  ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:28:08.89 ID:FloDG3je

闘いのさなか、
魔界の大剣でチャンの力をいくら削ぎ落とそうとしても
源が文字通り無尽蔵であることを悟りつつ、七原が叫ぶ。

「どうしてアンタみたいな人が殺し合いをするんだよ!?
 アンタが自力で叶えられなかった願いって何なんだよ!?」

先の秋山との闘い。
そして、七原の心を徹底的に変える契機となった殺し合い。
それらを経験したからこそ七原は知っている。

例え現実を諦めても、未来に期待しなければ
殺し合いを生き抜くことは不可能なのだと。

「私が闘うのはただの闘争の為だ。
 “願い”を持つ純心など既に喪われている
 強いて言うなら闘争こそ“願い”か」

「嘘だ! 
 アンタは。アンタの力はそんなモノのために練られたものじゃない!」

闘うことで気づいた。
チャンの武術は杉村のものと、とても近い場所にあるものだと。
七原の杉村への信頼は揺るぎない。
彼自身、殺し合いから脱出した後、死に物狂いで同じ流派を探し、学んだ。

だからこそわかる。

「アンタの力は。
 みんなを守るための」
「ならば聞こう。」

七原の叫びに何かを感じたのか。
チャンは七原へと眼を向け問う。

「お前は何故闘う?
 何を願う?」

その言葉に七原は少しだけ口を閉じる。
突然の問答。
それが戦局をまるで一時停止したビデオのような様にしていた。
七原は口を開く。

「それが国だろうと何だろうと。
俺は。俺はかつて俺たちを殺し合わせた全てのモノを許さない」

その言葉を聞き、チャンは七原を失望し、嘲る。

「吼えていても望むは復讐か」

「違う。俺は変えるんだ」

大剣を握る手に力をこめる。
それを合図に全員があらん限りの力を振り絞り。
最強に挑まんとする。
389創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:28:29.71 ID:bIeVOeuK
390創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:28:55.22 ID:w6UfU8Sa
 
391創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:29:08.60 ID:+xm5eZOA
392創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:30:46.72 ID:bIeVOeuK
v
393レボリューション  ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:31:02.97 ID:FloDG3je

「世界も。人も。変えてみせる」

「笑止」

チャンは初めて明確な表情を浮かべる。

「恨みある改革は復讐と同義と知れ!!」

チャンはその言葉とともに掌底を虚空へと突き出す。
遠当て。空気の塊。
想波の塊が七原を構えた大剣ごと吹き飛ばす。

七原を受け止めるのは真紅。

「助けてもらってばっかりだなホント」

「お互い様よ」

秋山がそんな二人を見て。
決心したような表情で七原にデッキを投げる。

「七原。闘いを肯定し、殺し合いを否定する“お前達”が正しいかどうか。
 俺は共に戦うことで見極めると決めた。
 だから」

七原は受け止めたデッキを見つめる。

「さらなる力を求めるなら。それを使え」

七原はデッキをかざす。

「お前が」

腰にベルトが現れる。

「まだ」

叫ぶ。

「諦めていないのなら」

永遠の闘いへの切符を手にするために。
ベルトにデッキを挿し込む。

「変 身!!」

薔薇乙女を背にして
オルタナティブ・ゼロがナイトと並び立つ。

「これで仮面ライダーが3人。
 揃いもそろって碌でなしがまあよくも雁首揃えたもんだぜ」

少し離れたところで龍騎の姿をしたカントリーマンが肩をすくめる。


394創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:31:11.41 ID:+xm5eZOA
395創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:32:28.93 ID:w6UfU8Sa
 
396創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:33:17.47 ID:+xm5eZOA
397創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:33:50.42 ID:bIeVOeuK
398>>383と>>385の間のレス   ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:35:50.07 ID:FloDG3je
引き継ぎのために猿谷を食おうとしたウォフマナフを
猿谷から抜いた左手で掴み。
起き上がったカントリーマンへ渾身の力で投擲する。

チャンの背中潰しをドラグセイバーを間に挟むことでダメージを軽減させていた。
だがそれでもカントリーマンに与えたダメージは大きい。
飛んでくるウォフ・マナフ。

「黒医伝術(ブラックジャック)」

已むを得ず、
カントリーマンは奥の手の一つである最強の魔法を護神像へ行使する。
護神像2ウォフ・マナフ爆散。

「ああ。護神像が!
なんということだろう。
上手いことパワーアップしようと思ってたのに!」

緊迫した戦場を少女のような悲鳴が響き渡る。

「緊張を削ぐような声を出すな!」

涙を滝のように流しながら
取り乱す少女のような風貌をした少年、ノール。
そしてそんな彼を怒鳴りつける来須圭悟。

新たに二人が地獄にやって来た。

「俺の名前は来須圭悟!
 先に言っておくがこの殺し合いでどう動くかはまだ保留している!
 コイツはノール! ハッキリ言ってこの殺し合いには乗る気満々だ!
 気をつけろ!!」

乱入者の一人、来栖が一息に叫ぶ。
そして。

「アンタらの名前は?」

明らかに何か裏があるだろう問い。
だがこの手の問いには
答えが誠名でなければならないという大原則がある。
カントリーマンもミツルも魔法には慣れ親しんだ身だからこそ
それを瞬時に理解する。

「ミツル」
「カントリーマン」

それぞれの名前を告げる。
それを聞いて頷いた来栖は共闘を申し出る。

「この闘気を身に当てられながらもやって来た戦士だ。
 拒む理由などあるまいよ。そうだろう?」

それに返事をしたのは当の敵であるチャン。
カントリーマンとミツルにまさか追い返しはしないだろうなと釘をさすように
同意を求める。

「ああ。歓迎するぜ。
 ちょうど敵の手も欲しいと思っていたところだ」
399創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:36:06.22 ID:+xm5eZOA
400創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:37:37.58 ID:bIeVOeuK
401創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:38:06.86 ID:w6UfU8Sa
 
402創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:38:09.12 ID:+xm5eZOA
403レボリューション   ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:38:17.31 ID:FloDG3je

「いや、違うな」

チャンの背後から、
何も無い場所から“速”のライダー。
仮面ライダーファムとなったミツルが現れ。
斬りかかる。

「旅人も新たな力を望むか。“願い” のために」

それを予測していたチャンは宙へと飛び
離れたところへ着地する。

そして彼の手にあるのは。

「おい。いや。
 ウソ。嘘だろ?」

引き攣った声で誰もが思ったことを
誰かが言う。

チャンの手にあるのは紛れもなく仮面ライダーのカードデッキ。
仮面ライダーインペラーになるための媒体。
陽炎との闘いによる戦利品。

「いいや、現実だ」

さも当然とチャンは左手をかざし、
宣言する。

「私もさらなる孤独たる無双へとなろう」

ベルトが。
現れる。
魔神への道が、最強の前に開かれる。


――変身――


「これで5人だ」

絶望、
そのさらに先の虚無。
闇。
それを目の当たりにしても心が折れぬ人間など――――

咆哮。それは王というよりも野獣に似ていた。
倒れ伏していた幼き雷帝、
ゼオンが身体中の力を掻き集め、立ち上がる。

「ノール、水流をあの子とミツルの周りに展開させるんだ!」

来栖がゼオンの復活を予測していたかのような自然さで
ノールに指示を出す。

「オーケー!」

404創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:39:57.49 ID:w6UfU8Sa
 
405創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:40:17.68 ID:+xm5eZOA
406レボリューション   ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:40:33.85 ID:FloDG3je

水がゼオン達の周りを龍のようにとぐろ巻く。

「少年。それにミツル、それにありったけの電撃を流すんだ!」

意味を理解したいたのはミツルだけ。
だが、復讐に突き動かされている
ゼオンの意識は本能でそれが正しい道だとわかった。

まだだ、まだ。
誰も諦めていない。

ありったけの電撃を受けた水流が電磁石となり、
それをノールがチャンの周囲へと動かし。体内磁石を狂わせる。

異能を弾く結界は解かれ。
チャンの身体能力もまた、半減する。

針の穴よりも小さい勝機が見え始めた。

「ハハッ」

来栖が笑う。

「俺の“願い”はやっぱ」

チャンは気づいている。
誰の指示でこれを成したのか。

「ああいう奴をボコることなんだよな」

来須圭悟は。
仮面ライダーナイトにカードを――
仮面ライダーオルタナティブ・ゼロに意志を――

「なんで俺が会うまともな奴はいつもテロ系なんだろうなあ」

大地を。チャンが蹴る。
重点的に強化された脚力。
それが産み出す速度は誰であろうと反応はできない。

「まあいいさ。やっちまえ、“革命家ども”」

――託す。

チャンの残る左腕が手刀の形を取り、
来須圭悟を両断する。

そして、攻撃地点が誰にでも読めていたのなら。
後手での対応は可能。

残る戦士。
仮面ライダーナイトサバイブ、龍騎、ローゼンメイデン、オルタナティブ・ゼロが
チャンを打倒せんと雪崩のように攻撃を繰り出す。

先陣を切るのは予期せぬだろう大幅な強化を果たした秋山蓮。
まだスペックはチャンに悟られてはいない。
闘いの決着を遅らせる理由はない。
己が分身を幾つも作り出し、チャンへと斬りかかる。
407創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:40:50.11 ID:bIeVOeuK
408創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:43:06.17 ID:+xm5eZOA
409創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:43:18.71 ID:w6UfU8Sa
 
410創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:43:24.71 ID:bIeVOeuK
411レボリューション   ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:43:45.59 ID:FloDG3je

「着地点を観測した。その程度のことで私を倒せると?」

今の状況は互角にも程遠い。
魔神、魔王、魔怪、そのどれもが彼を形容するには慎ましすぎるのだから。

トリックベントによる全ての攻撃をチャンはただ一つの動作で
ナイトサバイブの群れを薙ぎ払う。

それはただの回し蹴り。
だが、仮面ライダーの力すら付与された
その足が産み出す威力と余波はいかなるものをも寄せ付けない。

秋山の後に続くのは七原とカントリーマン。

魔界の大剣を完全に使いこなすに足るスペックを得た七原が
天高く飛び上がり、天空ごと突き刺すかのように
チャンの頭頂を落下速度を乗せて突き刺そうとする。
チャンの脚はまだ回し蹴りから戻されていない。

ならば必然、揚げられた脚は踏みしめるように勢いよく降ろし。
開いた左手で剣の軌道を逸らす。

そして背後からはカントリーマンが新たに斬りかかる。

それにも対応しようとチャンが
足を動かそうとして。
動かない。

正確には動きが鈍い。
脚が深く埋まる地中は泥濘を超えて沼のようなネバつきを持っている。
何故、一箇所だけ土がこのようになっているのかとチャンは眉を上げる。

「来栖がただ殺されるためだけにそこにいると思ったのかい?」

膨大な電気を込められ続けた水流を周囲に蠢かせ。
ノールが我が意を得たりと大粒の汗を浮かべつつも
彼には似合わない獰猛さを秘めた表情で微笑む。


「始めから来栖に誘導されていたんだよ。
 ボクが細工した場所へね」

チャンの反応が。ついに遅れる。
如何なる力を持つ脚であろうとも、いやだからこそ。
足場の悪さが決定的な要因となる

城戸真司に託された龍騎の力と、
霧島美穂によってによって生かされた命を携え。

ドラグセイバーはついにチャンの右腕を切り飛ばし。
奇跡の執刀ついにチャンの体に致命傷を負わせる。

412創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:44:52.20 ID:X6TKPxnh
 
413創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:45:30.99 ID:bIeVOeuK
414創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:45:41.68 ID:w6UfU8Sa
 
415レボリューション   ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:45:48.56 ID:FloDG3je

そして、

喪った命への悲しみを堪え、
七原は叫ぶ。闘いをともにした戦友に。

「場は整ったぜ」

周囲に散乱していた支給品。
真紅はそこから彼女の持ち物を見つけた。

懐中時計。
真紅の力を元に物の持つ時間を
ほんの少し巻き戻せることができる時計。

「右ストレートパンチだ。やってやれ」

ソレによって、
真紅は英雄になろうとしていた男が用いた銃を復元させる。

「相棒!!」

狙いを定めて。
真紅は捕鯨銃を撃つ。

チャンに残された防御手段は左腕のみ。
左腕に想波をコーティングしてもなお、
強大な一撃を防ぎきるには能わず。
左の掌を突き破り、腕の中、深く深くへと銛がうたれる。

好機。
ついに好機がやってきた。

七原はすぐさま距離を取り、真紅の側へ戻り。
秋山、カントリーマンも最大の一撃を繰り出すためのカードを取り出す。


――FINAL VENT――
――FINAL VENT――


ナイトサバイブは空高く飛び。
ミラーモンスターと共にマントに包まれたミサイルへと姿を変える。
龍騎も空高く飛び。
ミラーモンスターの火炎を推進力にチャンへと一個の槍のように突撃する。

そして。
416創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:47:04.44 ID:+xm5eZOA
417創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:47:31.45 ID:w6UfU8Sa
 
418創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:49:11.10 ID:+xm5eZOA
419レボリューション   ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:49:16.57 ID:FloDG3je

「準備は。聞かなくてもOKだよな!?」

空高く飛び上がるのは仮面ライダーオルタナティブ・ゼロとて同じ。
背に負うのは宿敵のローザミスティカの力を借りた真紅。

「当然。だから」

七原から離れて。
真紅はあらん限りの薔薇の花弁の嵐を七原の背へと送り。
推進力とする。

「やりとげなさい……相棒」

本来なら持たぬはずのオルタナティブ・ゼロの蹴り技。
だが今、友の力を借りてここに成されるのならば。
付けるべき名はただ一つ。


――RIDER KICK――


三方向からの同時攻撃。

これを迎え討つには今のチャンには些か心もとないか。
いや、これはただの“劣勢”。
乗り越えるべき障害がようやく現れたに過ぎない。

「楽しい。楽しいぞ諸君!!」

チャンは渾身の力をこめた蹴り技でそれら
全てを一度に退けんとする。

瞬間。チャンの身体中に雷を伴った水龍が巻きつかれる。
チャンの動きが止まる。

「もう、限界なんだ」

ノールが、ミツルが、ゼオンが膝を付きながらも。
チャンを睨みつける。

「全力をくらえ」

そして三人のライダーの攻撃が、
チャンを。


「見事也!
 戯れではなしに私の本気を真っ向から引き出すとは。
 無双の孤独を耐え忍び続けた甲斐があったというもの!」

両の手が使えなくなろうとも。
奥の手が使えないことには決してならない。
言葉遊びにすらならない道理。


――天地開闢 有為転変――


420創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:51:16.55 ID:+xm5eZOA
421レボリューション   ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:51:24.96 ID:FloDG3je

封印魔法、発動。
ありとあらゆる想波がチャンの周囲へと集められていく。
八卦鏡の助けがないとしても、
産み出される威力は会場丸ごと滅ぼすことすら可能だろう。

破壊が、周囲のエリアごと彼らを包み。
断とうとする。

それでも退かない防人の全力攻撃。
三人の仮面ライダーの同時攻撃。
余波が周囲一帯を吹き飛ばして彼らはまだ攻撃を打ち砕かれてはいない。


「諦めることもせず。
立ち向かい続けるか勇者達よ!」


素晴らしい。素晴らしいとチャンは賞賛する。
まだ誰も諦めてはいない。
最強を倒すことを。
“願い”を、未来を諦めることを彼らは諦めてはいない。

だから、

「受けて死ね」

力を使い果たしたミツルは既に変身が解かれ。
普段の姿に戻っている。
それでも。
諦めて良い理由にはならない。


――エターナル・エンド――


ミツルの封印魔法も加わり。
エネルギーのせめぎ合いはさらに激化する。

そして、チャンの攻撃はついに破られ。

仮面ライダーの攻撃がチャンを打ち砕く。


ハズだったのに。


カントリーマンが手駒にしたゾンビに守られていた朧が。
度重なる精神への負担に耐え切れず心を無くした者が。
あまりにもの衝撃に眼を醒まし。

起き上がり、戦場を破幻の瞳で見つめる。

破幻の瞳があらゆる異能から身を守り。
彼女の諦めが全てを台無しにする。

諦めが。
勇者達を殺す。
422創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:51:27.33 ID:w6UfU8Sa
 
423創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:51:56.18 ID:bIeVOeuK
424創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:52:11.08 ID:VzK12TgB
 
425創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:52:33.78 ID:w6UfU8Sa
 
426創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:53:21.36 ID:X6TKPxnh
 
427創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:53:34.98 ID:+xm5eZOA
428レボリューション   ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:53:42.15 ID:FloDG3je

変身が解かれた仮面ライダー達はそのまま落下し地面を転がる。
立っているのはぶつかり合いにより、
インペラーのデッキを壊されていたチャンのみ。

だが仮面ライダーの運命であるミラーモンスターの襲来はない。
ミラーモンスターの乱入ごと吹き飛ばす苛烈なる激突。決闘。

それを最悪の形で邪魔されたチャンは特に動じることもなく
一足飛び出朧の前へと現れる。

「やめろ!」

カントリーマンの懇願にも似た制止の声も虚しく。
チャンはあっさりと朧を蹴り飛ばす。

全ての水を使い果たしてしまい。
合体すら解かれてしまったノールに
内蔵の全てが壊された朧が肉の弾丸となり。
朧から突き出た骨がノールの身体中を突き刺す。

死体となって崩れ落ちるノールと朧を尻目に
異能殺しの軛から解放されたゼオンが真っ先にチャンへと突進する。

心の力をありったけ振り絞った術で己の体を強化し、
チャンへと殴りかかる。

だが、消耗が。ダメージが大きすぎた。


「まだだ。俺は! 俺はガッシュを殺した貴様を必ず殺す!」

復讐の念すべてをこめての攻撃をチャンは足裏で受け止める。

「ガッシュ?」

チャンがゼオンの怒りを目の当たりにして言う。

「誰だそれは?」

それはただの言葉。
ブラフである可能性も十分にあった。
だが、ゼオンは。
王の素質を十二分に兼ね備えたゼオンは理解してしまう。

その言葉に、嘘はないと。

ゼオンの眼から光が喪われる。
己の徒労を知り。力が抜ける。
そして、
諦めたゼオンの体をチャンの足裏が拳ごと押し返し。
踏み潰す。

真っ赤な血の塊となった三人。

地面を転がっていた七原達はようやく立ち上がる。

429創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:55:19.76 ID:X6TKPxnh
 
430創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:55:28.08 ID:w6UfU8Sa
 
431創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:55:52.74 ID:+xm5eZOA
432創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:55:58.31 ID:bIeVOeuK
433レボリューション   ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:57:00.43 ID:FloDG3je

疲労の影を隠しきれなくとも。七原は憤り、叫ぶ。

「どうしてだ!
 どうしてそんなことができる!?」

七原に眼を向けたチャンは先の中断された
問答の続きであるかのように嘲笑う。

「無意味だからだ。
 幾億の“願い”も、信念も。
 その全てが無意味だからだ。
 死ねば、裏切られれば全てが虚無へと変わる」

チャンは七原達の方へと歩き出す。
握る拳がなくとも溢れんばかりの闘気が対峙する者達へ突き刺さる。

「だから私は想うのだよ。
 闘争だけが真実。
 “願い”のためであろうと復讐のためだろうと、
 それによって突き動かされた戦士の織り成す闘争は」

そこにあるのは空虚な最強に残されたほんの少しの郷愁か。
チャンは続ける。

「闘争だけは。真実で在り続けると」

恐らくは、これがチャンの心。
これに真っ向から触れた者は既に死した勇者ワタルだけだろう。

たしかな重みを持った言葉。
受け止めるには殺意もなく、真摯過ぎて、灼かれそうなその想い。
ある意味で潰されそうな純粋さ。常人には触れることすら厭うであろうソレ。

だが、今の彼らは違う。
カントリーマンは言う。

「けれども私の中には生きている。
 私が救った命が、私達を救おうとした際の言葉を憶えている。
 生きろ。
 俺はその言葉で、
 医者として行動してきたこの世界での私が救われたように想えた」

 秋山は言う。

「アンタの願うソレは。求めるソレは。
 真実じゃない。ただの地獄だ。
 闘い続けなければ生き残れない。それは確かだ。
 だが」

秋山は確信をこめて告げる。

「殺しあい続けなければ生き残れない“願い”は。
 きっとそんなに多くないんだ」

何を言われようともチャンは動じない。
ただ闘いを迎え撃ってくれるだろう者達へ歩み寄るだけ。
434創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:58:06.53 ID:+xm5eZOA
435創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:58:28.67 ID:w6UfU8Sa
 
436創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 20:58:48.33 ID:bIeVOeuK
437レボリューション   ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 20:59:17.42 ID:FloDG3je

「良い意志を感じる」

そして、間合いに入り。
チャンは攻撃へと移る。

「だが。意味はないがね」

最大の好機を逃したがゆえの脱力は
秋山とカントリーマンの力を、意志を疲労以上に奪っている。
体が。チャンに立ち向かう力を与えてくれない。

「お前達もまた、諦めているのだから」

前蹴りが秋山へ繰り出される。
それを七原が前に出て庇う。
ただ一人、諦めていなかった七原が大剣で受け止める。

受け止めきれなかった衝撃が。
オルタナティブ・ゼロのデッキをついに壊す。

仮面ライダーの運命が七原を襲う。
ミラーモンスター、サイコローグが現れ、七原へと襲いかかる。

七原が、喰われようとする。

「お前は本当に諦めなかったな。七原」

それを阻むのは、
七原と真紅の生き様を短い間だが共有した仮面ライダーナイト、秋山蓮。

サイコローグの腕が、秋山蓮を貫く。

「一度殺したらもう戻れない、か」

清々しい顔で
秋山は、最期の言葉を遺す。

「それでも、同じ道を歩むことはできるんだな」

そして、渾身の力でサイコローグの首を跳ね飛ばし。
秋山蓮もまた、倒れ伏した。

倒れ伏していく者達の命が。
意志が、“願い”が、七原の心を震わせて。
人知れず引き継ぎを終えていたハルワタートを呼び寄せ。
ハルワタートに選ばれ。
闘志が“願い”のインストールを終わらせ。

数多の“願い”が七原の脚を、更に前へと動かす。
生身で。ただ一振りの大剣を手に。
チャンへと挑む。

「愚行なり。革命家、七原秋也よ」

けれども。
どれほどの意志が宿ろうと、“願い”が宿ろうとも。


438創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:00:10.19 ID:+xm5eZOA
439レボリューション   ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 21:02:11.71 ID:FloDG3je


それはチャンの攻撃が
七原の胴体を突き破る妨げにはなってくれない。


だが。だが、それでも。

「アンタは死んだら意味がないって言うけどさ」

七原は大量の血を吐き出しながら、
力の抜けた手から大剣を落としながらもチャンを見つめる。

「俺は知っているんだ。
 短い間しか一緒にはいられなかったけど。
 悲しい別れもたくさんあったけど。
 少ししかわかり合うことが出来なかったとしても。
 俺は知っている」

意志が七原の手に銃を握らせ。
チャンの顔へと狙いを定める。
零れ落ちる命を。必死に繋ぎとめながら。
震える手で。

「死んだんじゃない。
 みんな生きていたんだ!
 ここでも! どこでも! 命が続くまで、必死に!!
 未来の為に生きてきたんだ!!」

だから。
七原は笑みを浮かべる。

「アンタもたしかにここで生きていたって憶えてやる。
 背負ってやる。そして、一緒に死んでやる。
 けど未来に繋げてやる」

震える手を鼓舞して七原は引き金を振り絞る。
チャンは動くことができない。
脚を抜くことも。
動くこともできない。
彼の体を渾身の力でカントリーマンが羽交い締めにしているから。


「さようならだ。最強」


虚闇のような銃口を目の前にし、
チャンは笑みを浮かべた。

銃声が鳴る。

その笑みの意味を知ることは誰にもできないだろう。




440創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:02:19.34 ID:bIeVOeuK
441創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:02:22.88 ID:+xm5eZOA
442創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:04:29.61 ID:+xm5eZOA
443創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:04:36.98 ID:w6UfU8Sa
 
444レボリューション   ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 21:04:56.96 ID:FloDG3je


………………………………………………………………………………………………。


暗い。寒い。体が冷えていくのを七原は感じていた。
視界は闇で覆われて。体の先から熱が喪われていって。

側にいるハルワタートが教える。
次の防人を。

――いや、俺1分も防人やった気が全くしないんだけども。
   まあ、いっか。チクショウ。いや、チクショウじゃないか。
   ああ、でもやっぱりやっぱりコンチクショウ。チャンにはカッコつけたけどまだまだ生きてえよ俺――

けれども、
自分の頭が小さな小さな膝の上にあることだけはわかった。

――よかった。
   どこに吹き飛ばされたんだと思ってたけど無事だったんだな――

友の無事を知り、七原は安堵する。
押し寄せる悲しみと無念を抱きながら。

――ごめん。ごめんな典子。俺、帰ることできないみたいだ。
   すまない、すまないノブ。俺、約束破っちまったよ。
   川田。俺、俺。お前みたいに戦えたのかな?――

顔に雨があたる。
温かい。そしてとても優しい雨が。
大粒で、なのに、不思議なほどにささやかな雨が。

――悲しませちゃったよな。
   でもさ。でも、俺は伝えたいんだ。お前に――

必死に七原が真紅の顔があるであろう所へ手を伸ばす。
小さな手がそれを強く強く握りしめる。

「俺、最期に――――」

言葉が出ない。
出るのはもう、血だけで。
ヒュウヒュウとした呼吸音だけが七原の口から流れる。

引き継ぎの時間がやってくる。
七原の体を雨ではない水が包み、砕き、溶かす。
そして、ハルワタートの口へと吸い込まれる。

七原秋也もまた、革命の志半ばで死ぬ。

けれども。

新たな防人、真紅が彼の“願い”、知識を全て受け継ぐ。
“願い”は、七原の意志はローザミスティカに刻まれた。



445創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:06:19.30 ID:bIeVOeuK
446創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:06:33.82 ID:+xm5eZOA
447レボリューション   ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 21:06:57.57 ID:FloDG3je









――俺、最期にさ。
   良い友だちを守ることができて。
   本当に良かった――






七原との消えない絆とともに。
448創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:07:18.83 ID:w6UfU8Sa
 
449創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:08:48.64 ID:w6UfU8Sa
 
450レボリューション   ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 21:09:00.05 ID:FloDG3je

【猿谷甚一@銀齢の果て】
【来須圭悟@未来日記 死亡確認】
【朧@バジリスク〜甲賀忍法帖〜 死亡確認】
【ノール@waqwaq 死亡確認】
【ゼオン・ベル@金色のガッシュ!! 死亡確認】
【秋山蓮@仮面ライダー龍騎 死亡確認】
【チャン@ブレイブ・ストーリー〜新説〜 死亡確認】
【七原秋也@バトルロワイアル 死亡確認】
【残り 28名】


【B-4/1日目/午前】

【真紅@ローゼンメイデン】
[状態]:左足からアンモニア臭。 疲労(極大)、
“願い”インストール、七原の戦闘技術と知識継承
[装備]: ハルワタート@waqwaq、真紅の懐中時計@ローゼンメイデン
[道具]:基本支給品、ホーリエ、ハリセン@現実 、ローザミスティカ(水銀燈)、
     レミントンM870(8/8) 、レミントンM870(8/8)、
     ヴァルセーレの剣@金色のガッシュ、レミントンM870の弾(16発)
    カードデッキ(ナイト)、不明支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:七原秋也の意志と共に 。
1:???

【カントリーマン@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:全身ダメージ(極大)疲労(極大)
[装備]:奇跡の執刀(ハイブリッド・メス)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜 、カードデッキ(龍騎)
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×2、首輪(是方昭吾) 、首輪(相馬光子)、
     桜田ジュンの裁縫道具セット@ローゼンメイデン
[思考・状況]
基本行動方針:生きる。
1:???
[備考]
※是方昭吾、相馬光子の死体をアンデッドとして従えました。
※陽炎、相馬光子の武器を毒と判断しました。

【ミツル@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:疲労(極大)
[装備]:ミツルの杖@ブレイブ・ストーリー〜新説〜、 
     仮面ライダーファムのカードデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品、不明支給品×1、BIM(爆縮型)@BTOOOM (7/8)
[思考・状況]
基本行動方針:妹を生き返らせる。手段は選ばない
1:???
[備考]
参戦時期:ゾフィが虚になった後。
魔法を使うと体力消耗。

※B-4に落ちてた基本支給品×6、捕鯨砲の残骸@銀齢の果て、
壊れた鉈@バトルロワイアル、BIM(クラッカー型)×5@BTOOOM!、
は放置されて消し飛ばされました。BIMくらいなら無事かもしれません。
カードデッキ(ナイト)、サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎
由乃の日本刀@未来日記、不明支給品(ノールの)、
不明支給品×2〜4(ゼオン、三村(武器ではない)が落ちています
451創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:09:05.54 ID:+xm5eZOA
452創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:09:18.31 ID:bIeVOeuK
453創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:09:38.42 ID:VzK12TgB
 
454 ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/07(火) 21:11:01.39 ID:FloDG3je
投下終了です。
何かミスがあったら指摘お願いします
455創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:14:50.15 ID:VzK12TgB
投下乙です!
うおおおおおおおおおお!熱い!熱い!熱い!
チャンの圧倒的な強さとか、受け継がれる意志とか
もう、なんか言葉に出来ない!
超面白かったです!
456創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:15:17.91 ID:bIeVOeuK
この言葉を万感の意を以て贈るしかない
投下乙、と
七原がかっけええ
まじかっけえええ
あんた主人公だったよ
閃光のように生きて俺達のまぶたに焼き付いてったよ
しかし七原がテロリストで革命家なのがまさかここで美味しくいかされようとは
来栖やチャンとの絡みがすんげえうまかったな
三者の味を引き出してた
今回も安心の無双したチャンだけど、こいつはこいつで心の中がほのめかされてよかったな
戦いにこだわるわけに触れれた気がするぜ
あとチャン封じの磁場緩衝がその手があったかと俺も痺れた
そして医者としてこの場で動きつづけ、医者として死んだカントリーマンが満足気でほろり
戦わなければ生き残れない、けれど……と答えを示した蓮もお疲れさん
ああ、でもほんとローゼン勢×バトロワは相性いいんだなー
残されたのがドールとマスターって逆な結果なのもなんか感慨深い
他のみんなもおつかれだ
魂震えた面白かったぜ
457創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:16:26.46 ID:+xm5eZOA
投下乙! 乙!
なん言えばいいか分かんねぇ! スゲェ、マジすげぇ!
何これヤバイ、言葉が浮かばないくらいヤバイ!
大作お疲れさまでした!
458456:2011/06/07(火) 21:21:06.94 ID:bIeVOeuK
(ダメージ極大だけど死んでなかった、カントリーマン
 でもかっこよかったのは本当です)
459創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:39:13.77 ID:WS5B1cJW
個々のキャラ死亡描写が薄いなあズガン連発みたい
460創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 21:47:57.57 ID:ud5UuXcT


乙なんだが…うん、俺も>>459と同じ感想持った
死者の数の割に描写はどれもあっさりしてるから壮絶という感じがしない
筆が早いのはいいことなんだけど、二日でこれだけ書けるなら期限いっぱい使って内容を濃くしてほしかった
461創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 23:53:15.12 ID:fonBUww/
投下乙
これは正直はしょりすぎてなんとも微妙
七原の最後の部分だけは熱いがそこをやりたいがためにどんだけ無理やり時間とキャラを動かしているんだ
七原たち乱入、ノールたち乱入の流れとか唐突すぎてわけがわからないし
はっきり言って、即日予約しようとしてこれはひどい
展開のぶつ切り感が強すぎる
破棄要求とかじゃないですけど、地味に楽しみにしていたロワなだけにこの展開は残念
山場も何も残っていないじゃないか
第一放送前にもどんどん即リレーで山場を消化していってるが、今回のは全体に関わるものなだけに気になる
462創る名無しに見る名無し:2011/06/07(火) 23:53:48.53 ID:dJNCRSWs
だから嫌だったんだよ…
内容がスカスカすぎて、ただのズガンにしか見えない
今まで繋いできた話の全てを無にされた感じだわ
463創る名無しに見る名無し:2011/06/08(水) 00:08:40.70 ID:EgM2orn2
うーん
これはさすがにちょっとなぁ
最後の展開がしたいがために他のキャラを壊しすぎだわ
ライダー展開がしたいから無能に落とされてるゼオンとかもうね

正直、盛り上がりどころを片っ端から潰されて平坦にしかなってない
464創る名無しに見る名無し:2011/06/08(水) 00:29:33.32 ID:G2d3LAEM
投下乙
これは…たまげたなあ…
まさかチャンを殺したのがハルワタートがいるにしても所詮は一般人に過ぎない七原とは
にしてもチャンさんの名だたるキャラ達をまるで有象無象の輩かのごとく屠る姿はマジ圧巻!!
あっさりした表現も合わさってチャンの前ではまるで人がゴミのようだぜ、良い意味で
それと俺が好きだったのはゼオンの復讐心を容赦なく掻き消す一言だな
正直、七原の最後より俺はこっちのシーンのほうが印象に残ったっていうか好きだわ
こうアニ3の光秀とか新漫画のキンブリーとかみたいに徐々に誘導するタイプとは違うんだけどね、シンプルで
だけどだからこそうわーってなったのか
猿谷さんの死も銀齢の果てらしく呆気無いって言うか死ぬ時ってそんなもんだよねって想いを抱いた
同じ一般人というくくりでは七原も猿谷さんも一緒なんだけどな
やっぱり若く正義を求め短く太く生き抜いたテロリスト七原と、
長く生きたからか悪党を自称するチョイ悪爺猿谷さんとの違いってのが彼らの死に様で差を生み出しているのかな
にしても誰が死んでてもおかしくない話だったなー
真紅はラッキーだね、チャンに狙われず、水銀灯のローザミスティカを得て
何より七原という最高のパートナーと最初に出会えたことが
465創る名無しに見る名無し:2011/06/08(水) 00:56:23.19 ID:RPwA+Pjk
なんか『映画版』って冠がつきそうな話な気がする。
466創る名無しに見る名無し:2011/06/08(水) 01:09:15.67 ID:Sxtg538s
467創る名無しに見る名無し:2011/06/08(水) 01:09:50.72 ID:ONoMfyik
投下乙
チャンがチャンしてチャンだった!
468創る名無しに見る名無し:2011/06/08(水) 01:13:26.76 ID:Sxtg538s
お、忍法帳に邪魔はされなかったようだな
まずは面白かったです、GJ
濃縮された死に様もとい生き様に魅せられた
淡白な死も燃える死も後に繋ぐ死も無情な死も全てロワの醍醐味さ
個人的には全員を全員濃くすればぐだぐだになったり冗長になるのでこれでいいかと
他の方がちょいちょい文句言いたくなるのも、ちょい分かるけどねw
それだけ氏が書く自分の好きなキャラ大活躍が観たかったからかと
にしてもお前はもう頼むから寝ていろ、朧w
チャンチャン言われてるけど後半の死者は全部こいつのせいなようなw
469代理 ◇CFbjQX2oDg:2011/06/08(水) 05:40:20.16 ID:0mT/CTXs
連絡も入れずに大幅に遅れて申し訳ありません。
マルコ、小四郎、浅倉を投下します。
470代理 SNOW STORM ◇CFbjQX2oDg:2011/06/08(水) 05:42:36.04 ID:0mT/CTXs


唯一人を残して皆が去っていった刑務所内だが、破壊の音は依然変わりなく響いている。
コンクリート片が付いた鉄パイプで
爆風でひしゃげたスコップで
己の拳と足で
心の奥底から湧き出る苛立ちを発散させるべく、周囲の物に対してぶつけている。

折れた右腕は先ほど添え木を付けて固く縛る応急処置をした。
そのため何かを握るくらいは出来るようになった。
所々の壁に穴があき、机や椅子は既に本来の用途で使用することは不可能になって転がっている。
見えない何かと戦っているが如く男は暴れ続ける。

不意に男の動きが止まる。
そして、あるモノの前まで歩いてしゃがみこむ。
霞刑部だったものだ。

四肢は有り得ない方に曲がり、爆風に煽られて焼け焦げていて異臭を放っている。
男はその死体に手を伸ばすと躊躇なく肉を引きちぎって口に入れた。
数回咀嚼した後ににやりと微笑みを浮かべると何度も手を伸ばした。

血抜きもしていない、先程まで確かに生きていた人肉を男は貪るように食す。
忍者として引き締まった筋肉は柔らかさの中に筋がしっかりとあり
そのコリコリとした食感が浅倉の食欲をさらに増幅させる。
表面はしっかり焼けているが、傷の裂け目から無理やり引きちぎると、まだまだピンク色をした肉部分が顔を覗かせる。

戦闘前に厨房から拝借していた香辛料をかけ、まだ死体の周囲に残っていた火種で炙ってみる。
如何に筋肉質な大男と云えども多少なりとも脂肪分はある。
火で炙ることにより脂が滴り火力が増進させる。
パキッパキッと音を立てながら収縮していく。
内部にも程よく火が通ったことを確認すると、そのまま口の中へと入れる。
先ほどとはまた違った香ばしさがあり浅倉の食欲を満足させていく。

支給品の水を豪快に飲み干しボトルを投げ捨てる。
腹が膨らみ幾分気持ちが落ち着いた浅倉。
この刑務所内に自分以外いないことは先ほど暴れたのに誰も戦いに来ないことからほぼ間違いない。
入口の瓦礫をどうにかして外に出ないことには、浅倉の望む闘争は得られない。

“食べ残し”から引きちぎった首輪にカードデッキをかざす。
聞きなれた金属音が耳に響きベルトが腰に装着される。
腕の力を抜き、深く深呼吸をする。
ゆっくりと右肘を曲げながら胸の前へ運び、左腕は腰の辺りに移動させ、正拳突きを繰り出すかの構えになる。
挙げられた右手が獲物を狙う蛇に見立てるかのように眼前の空間に喰らい付き、引き戻す。
その動作と同時に紡がれられる言葉は

「変身!」

合わせ鏡の鏡像のように、幾重にも浮かび上がる仮面を被った戦士が浅倉威と一つに重なる。
ダラリと首を回し、声に出しながら快楽に溺れる溜息のように息を吐き出す。
仮面ライダー王蛇、ここに現る。
471代理 SNOW STORM ◇CFbjQX2oDg:2011/06/08(水) 05:44:41.41 ID:0mT/CTXs

腰のデッキから一枚のカードを取り出し、セットする。

――ADVENT――

電子音と共に現れたモンスターは彼を象徴する蛇……ではなく、サイ型モンスター『メタルゲラス』。
浅倉とは異なる本物の野生の唸り声を上げると刑務所入口の瓦礫に突進する。

しかし、ミラーモンスターの中でもトップクラスの突進力を誇るメタルゲラスの体当たりをもってしても
入口を塞ぐ瓦礫を撤去するにはもの足りない。
続けて浅倉はカードをセットする。

――FAINALVENT――

再び瓦礫に突進するメタルゲラスの肩に乗り、その勢いに乗った王蛇。
カードの力が付与され、先ほどとは比較にならないほど加速するメタルゲラス。
空気が摩擦により火花を散らし、黄金色の弾丸となった王蛇がそこに突っ込む。
猛々しい音と共に、蛇は閉じ込められた巣穴から脱出した。

「さて、祭りの会場はどこだ?」

蛇は只々闘争を求めて歩み出す。
行く先に誰がいるのかなどわからない。
自らの勘を頼りに進むだけだ。
その先に闘争があることを疑いもしない、しっかりとした足取りで。



◇ ◆ ◇



――また会おう。我が子らよ。


「そんな……有り得ねぇ…」

首輪から発した音声は戦場マルコの足を止めさせる。

「俺たちの愛(LOVE)パワーはこんな簡単に終わっちまうもんなのか?」

地面に拳を叩きつける。
鍛え上げられたマルコの腕が放った拳は雪のコーティングを軽々と突き破り大地に突き刺さる。
何度も何度も拳を打ち付ける。
雪が朱に染まっていく。

「何がDEAD ENDを回避するだよ……愛、俺は……」


14年前、孤児院の皆で桜見タワーに行った。
そこで、愛と出会った。
一目見て自分たちと同じ境遇だってことはわかった。
最悪だと呟いた愛に俺は言った。

『良かったじゃねえか。明日は今日よりいい日にしかならねえってわけだ』

これが愛と俺との出会いだ。
472代理 SNOW STORM ◇CFbjQX2oDg:2011/06/08(水) 05:46:42.88 ID:0mT/CTXs

俺は愛に約束したんじゃないのか?
俺と二人でいることで最高にしてやると。

高校を卒業するのが決まった時は二人で桜見タワーに行った。
俺たちは孤児院の仲間でなく、男女としての交際をしていた。
ガキなりに一生懸命だった俺のプロポーズに対して愛はこう返した。

『マルは最悪を最高に変えてくれた。だから桜見タワー(ここ)で式を挙げたいの』

バカやろう。
俺のいないところで一人で死んで最高なわけがあるかよ……
俺はお前を再び最悪に突き落としてしまう男なんだ……

拳から流れる血液とは違う液体が雪に染みる。

――…ザザッ
ここに連れてこられる前から何度も聴いたノイズ音。
条件反射のように体が動く。
いいぜ、ちょうど一暴れしたいと思っていたんだ。
どこの馬鹿だか知らねぇがボコってやる。

ポケットから取り出した携帯電話をチラリと見て、時計と時間を見比べる。
後ろを振り返ることなく横に数歩移動する。
先ほどまでいた場所に鎌を振り下ろしていた男が驚愕の眼差しでこちらを見ている。

いいねぇ。その顔最高だねぇ。
そういう顔した連中を逆にぶん殴ってやるのが快感なんだよ。

『マルったら、また喧嘩して帰ってきたの? 危ないことはやめてよね』

もう二度と聞くことは出来ない愛の言葉。

脳裏に浮かんだ他愛の無い日常を振り切るかのように大地を蹴り、男の顔面に向かって強烈な右ストレートを繰り出す。
決まった。いつものタイミング通りだ。
しかし、マルコの拳は男の顔面を捉えることなく空を切る。

常人を遥かに超えたバネで無理やり跳び間合いの外に離脱したのだ。

「なんだあ、手前は? いい年して忍者のコスプレか? 12thみたいにヒーロー気取りかよ」

「霞刑部だけでない。甲賀の弦之介も死んだ。天膳殿が討ち取ったに違いない
 ならば、天膳殿が動いたなら俺も動くが道理。伊賀の者以外は皆討ち取ってくれよう」

ひゅるるるるる

男は言い終わると同時に唇を窄めて独特の音を発する。
山中や集落で発生した場合は空気の歪みがどうにか見ることはできる。
だが、この白銀の世界ではそれを確認するのは不可能と言えよう。

#######
コスプレ野郎(モサモサ頭)
見えない何かで攻撃してくる。
ギリギリまで引きつけたが
カウンターは取れなかった

 DEAD END
#######
473代理 SNOW STORM ◇CFbjQX2oDg:2011/06/08(水) 05:48:44.31 ID:0mT/CTXs

突きつけられた未来は死の宣告。
最愛の女性、美神愛には既に確定した過去の宣告。
覆したかった。デウスに覆すことは奇跡だと言われても自分たちの愛(LOVE)なら出来ると信じていた。

(ふざけんな! 俺の未来は俺が決めるんだよ!!)

それはまったくの直感だった。
相手が口笛のような仕草をしたことが見えない攻撃のトリガーなら、風か空気のようなものではないのかと。
確かに風や空気なら見えない。
なら色を付けてやればいい。
先ほど殴りつけ朱に染まった雪のように。

腕を大きく奮って拳から滴る血液を辺りに散らす。
既に血液が染みている雪を毎降らすように天高く投げる。
何も無い空間に雪と血液が吸い込まれていく。

「見えたぜ! お前の攻撃の正体!」

見えない何かが吸引力を持っているならそれから離れればいい。
マルコは大きく後ろに跳び、即座にアムルタートと合体する。
触手の半分を謎の攻撃に伸ばし吸い込まれ切り刻まれながらも無理やり進路を変えて防ぐ。
残りの半分を小四郎めがけて伸ばす。

小四郎は思惑が外れたことに舌打ちをしながら迫り来る触手に鍛え上げられた身体能力のみでかわしていく。
屈み、飛んで、身を捻って、紙一重の所で全て交わす。
交わすだけでなく、腰に差していた鎌を抜き出し迫る触手数本を切り刻む反撃まで見せた。

「見たことも無い忍術だ。先程の者といい、伊賀と甲賀以外にも忍びの里があったのか?」

どうにかDEAD ENDを回避したマルコ。
だが、生き延びたという安堵の感情は一向に湧いてこない。
頬を濡らす汗ではない液体。

何でなんだよ……
俺には今みたいにDEAD ENDを回避する奇跡が起こすだけの力があるじゃないか。
なのに、何で……
何で俺は愛を守ってやれなかったんだ……

持てる力を発揮して危機を乗り越えたはずなのに
心に吹き荒れるのは無力感の嵐。

「祭りの場所はここか?」

二人が同時に声の方を観る。
視線が交差していた状態から三角形を描くように変化する。

「ん? お前もライダーなのか? まぁいい、俺と戦えよ」

「何だぁ手前は……? とりあえずお前もボコッてやるよ」

「さっきの……ここで二人とも討ち取ってくれる!」

雪原に吹き荒れる嵐はまだまだ止まない。
474代理 SNOW STORM ◇CFbjQX2oDg:2011/06/08(水) 05:50:57.05 ID:0mT/CTXs

【B-2 雪原/1日目・朝】

【浅倉威@仮面ライダー龍騎】
[状態]:興奮状態、極度の苛立ち、右腕骨折(応急処置済)、ダメージ(小)、満腹
[装備]:スコップ
[道具]:基本支給品×2、カードデッキ(王蛇)、不明支給品3〜4、首輪(霞刑部)
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを楽しむ
1:目の前の二人と戦う

[備考]
※浅倉は名簿をよく確認していません。
※刑務所の入り口が爆発で崩れました。
[参戦時期]
不明 後の書き手にお任せします。


【筑摩小四郎@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:健康
[装備]:鎌@バトルロワイアル 、人別帖@バジリスク〜甲賀忍法帳〜
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:天膳様と姫様(朧)を守る。その為にも一刻も早く合流したいが……。
1:二人の首を手土産に天膳に届ける。
2:坂本に対する僅かな不信感
※香川英行の名前を知りません

【戦場マルコ@未来日記】
[状態]:疲労(小)、かなりの焦り
[装備]:交換日記のレプリカ・戦場マルコ用@未来日記、常勝無敗のケンカ日記のレプリカ@未来日記、
     アムルタート@waqwaq
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:とりあえずボコる
1: 愛……
2:ゴメンな、金糸雀におっさん……
475代理 SNOW STORM ◇CFbjQX2oDg:2011/06/08(水) 05:53:47.79 ID:0mT/CTXs
以上で投下を終了いたします。
本当に申し訳ありませんでした。
ご指摘、矛盾点等ありましたらご指摘ください。
476創る名無しに見る名無し:2011/06/08(水) 06:39:14.29 ID:0mT/CTXs
投下乙!!
やっぱりマルコはかっこいいぜ!!
小四郎、殺したのは天膳さまちゃうねん
あの人、まだ殺されてばっかやねん
この三つ巴がどういう結末を迎えるか気になってしょうがないssでした!
477丸猿 ◆IRhVZh63ks :2011/06/08(水) 10:59:55.22 ID:TtRuHKPZ
【発情期の猫】

「シュレディンガーの猫」という言葉を知っているだろうか
最近では有名な言葉となっているのでご存じの方も多いと思う

ある病気の猫を小さな箱の中に入れふたを閉じ、その箱の中を見ないようにする
すると、「箱の中で猫が今尚生きている世界」「すでに死んだしまっている世界」
2つの世界が可能性として存在する事になる・・という確率論の話らしい

ボクはこの話についてよく考える時がある
「箱の中の猫が生きているか死んでいるか」そんなくだれない話じゃない

この理論は「箱の外側にいる」観測者の主観によって成り立っている話だろう
じゃあ・・「箱の中にいる」猫にとってはどうなのか

その猫にとっては「世界が今尚あり続ける世界」と「世界がなくなった世界」
2つの世界が存在する可能性が現れるのだろうか

「世界がなくなった世界」の中で箱の中に取り残された猫は、
いったい何を考え何を思い生きるというのだろう
「世界が尚も存在する世界」で「世界がなくなった世界」を想像しながら
生きる猫は、どれほどの不安と寂しさを募らせている事だろう

478創る名無しに見る名無し:2011/06/08(水) 11:17:20.79 ID:Db0NrBX1
 
479丸猿 ◆IRhVZh63ks :2011/06/08(水) 11:20:27.82 ID:TtRuHKPZ
GOBAKUデス☆
スレ汚し本当にすみませんでした
480創る名無しに見る名無し:2011/06/08(水) 18:38:38.14 ID:mCDaeo09
それが謝る態度か
死んで詫びろ
481創る名無しに見る名無し:2011/06/08(水) 19:47:58.57 ID:Sxtg538s
>>480
それもまた指摘する態度じゃないぞ
やっこさんの照れ隠しかも知れないじゃないか、☆は
二行目はきちんと謝ってるんだしさ
丸猿氏はお気になさらず
少々今このスレはピリピリしてるため、アタリがきつくなってしまい申し訳ない
482創る名無しに見る名無し:2011/06/08(水) 22:16:22.05 ID:EgM2orn2
結局スルーですか
書き手以外でロワを作る気は無いということですね
わかりました
483創る名無しに見る名無し:2011/06/09(木) 00:05:21.35 ID:LPtKX1Vg
感想とかも構成要素とはいえロワを作るのはやっぱ書き手だと思うよ
逆に考えるんだ、書き手になっちゃえば意見が通せると考えるんだ

……はともかく、今回は濃い指摘が多かったから返ってくるのに時間はかかるだろう
もうちっと待ってみようぜ
484創る名無しに見る名無し:2011/06/09(木) 00:46:57.92 ID:dSJCnta/
てす
485創る名無しに見る名無し:2011/06/09(木) 00:54:19.12 ID:Mnq/Ar3c
>>482
意味不明すぎてワロタw
486 ◆CFbjQX2oDg :2011/06/09(木) 01:00:21.82 ID:dSJCnta/
皆さんこんばんわ。

今回の◆1yqnHVqBO6氏の投下作品『レボリューション』について多数の意見がありました。
この作品についてどうするのかを決定いたしましたのでご報告します。

・話の大筋については変更なし
・所々を修正、一部加筆等をする
・修正期間は特に定めませんが、リアルの都合を考えて大体2週間くらいで
・もちろんその間当該パートの予約は禁止

このようにさせてもらいます。
沢山の方に読んでいただいていたことにまず驚きましたw
日頃から感想、ご指摘等ありがとうございます。

そして、さらに報告としまして今後の指摘等をどうするのかも決めました。
避難所したらば掲示板に議論・修正スレを立てますので、今後は何かありましたら避難所での指摘をお願いいたします。
そこを利用する注意事項としまして
修正をした方がいい箇所がある場合は具体的にどこがおかしいのかを書いてください。
あと、必ずそこに書かれた通りに対応するとは限りませんのでご了承ください。

あと何かこの件、その他諸々ご質問がある方はいつでもどうぞ。
即答出来るかは微妙ですが、遅れてもご質問とかならお答えします。

最後にロワロワを今後もよろしくお願いします。
487創る名無しに見る名無し:2011/06/09(木) 01:01:04.67 ID:gObznqpb
感想と愚痴だけで「スルーですか」もクソもないと思うんだが
全レススレじゃあるまいし
何かしら修正してほしいならきちんとした指摘をしろよ
何をどうしてほしいのか、具体性に欠けすぎていてさっぱり分からん
488 ◆CFbjQX2oDg :2011/06/09(木) 01:11:20.41 ID:dSJCnta/
今回の件では具体的な指摘等はもう大丈夫です。
あと、今後は煽り、罵声罵倒はお控えください。
またそれを含むレスにも反応は控えてください。
お願い致します。
489創る名無しに見る名無し:2011/06/09(木) 02:38:17.74 ID:3GTSS2od
>>487
作者乙

誤爆スレからこっちまで忙しそうですねw
490創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 13:37:48.58 ID:tVNOyU8y
私が◆1yqnHVqBO6氏の作品をリレーしようと思い立った動機は「レボリューション」内で描写されたキャラの行
動に納得いかねるものを感じたからです
そこで桃香のキャラを原作に近いものにするため悠に狂ってもらいました
それをもってキャラ崩壊といわれるのでしたら「Exactly」としか申せません
その後の経過を見るにつけこれ以上の自己主張はスレの雰囲気を悪化させるだけだろうと判断し撤退を
決意いたしました
<嫌みったらしい最後っ屁>については「さっさと死ね」「死んだほうがいいよ」という暖かいお言葉を頂い
たお礼に皮肉のひとつぐらい言わせろよということで平にご容赦を
最後に拙作について「通しでもかまいません」と言ってくださった◆IrvsHUdeng氏と多大なご迷惑をお掛け
したしたらば管理人様にこの場を借りてお礼とお詫びを申しあげます

それでは今度こそごきげんよう
491創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 13:38:32.63 ID:tVNOyU8y
あ、自殺するときは首吊って死んでね
492創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 13:39:23.96 ID:tVNOyU8y
   どこに吹き飛ばされたんだと思ってたけど無事だったんだな――

友の無事を知り、七原は安堵する。
押し寄せる悲しみと無念を抱きながら。

――ごめん。ごめんな典子。俺、帰ることできないみたいだ。
   すまない、すまないノブ。俺、約束破っちまったよ。
   川田。俺、俺。お前みたいに戦えたのかな?――

顔に雨があたる。
温かい。そしてとても優しい雨が。
大粒で、なのに、不思議なほどにささやかな雨が。

――悲しませちゃったよな。
   でもさ。でも、俺は伝えたいんだ。お前に――

必死に七原が真紅の顔があるであろう所へ手を伸ばす。
小さな手がそれを強く強く握りしめる。

「俺、最期に――――」

言葉が出ない。
出るのはもう、血だけで。
ヒュウヒュウとした呼吸音だけが七原の口から流れる。

引き継ぎの時間がやってくる。
七原の体を雨ではない水が包み、砕き、溶かす。
そして、ハルワタートの口へと吸い込まれる。

七原秋也もまた、革命の志半ばで死ぬ。

【七原秋也@バトルロワイアル 死亡確認】
【残り 28名】
493創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 13:40:12.37 ID:tVNOyU8y
結局スルーですか
書き手以外でロワを作る気は無いということですね
わかりました

483 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/06/09(木) 00:05:21.35 ID:LPtKX1Vg
感想とかも構成要素とはいえロワを作るのはやっぱ書き手だと思うよ
逆に考えるんだ、書き手になっちゃえば意見が通せると考えるんだ

……はともかく、今回は濃い指摘が多かったから返ってくるのに時間はかかるだろう
もうちっと待ってみようぜ
494創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 13:41:01.86 ID:tVNOyU8y
GOBAKUデス☆
スレ汚し本当にすみませんでした
495創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 13:42:04.34 ID:tVNOyU8y
>>487
作者乙

誤爆スレからこっちまで忙しそうですねw
496創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 13:42:51.68 ID:tVNOyU8y
意味不明すぎてワロタw
497創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 13:44:10.77 ID:tVNOyU8y
459 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/06/07(火) 21:39:13.77 ID:WS5B1cJW
個々のキャラ死亡描写が薄いなあズガン連発みたい

460 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/06/07(火) 21:47:57.57 ID:ud5UuXcT


乙なんだが…うん、俺も>>459と同じ感想持った
死者の数の割に描写はどれもあっさりしてるから壮絶という感じがしない
筆が早いのはいいことなんだけど、二日でこれだけ書けるなら期限いっぱい使って内容を濃くしてほしかった

461 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/06/07(火) 23:53:15.12 ID:fonBUww/
投下乙
これは正直はしょりすぎてなんとも微妙
七原の最後の部分だけは熱いがそこをやりたいがためにどんだけ無理やり時間とキャラを動かしているんだ
七原たち乱入、ノールたち乱入の流れとか唐突すぎてわけがわからないし
はっきり言って、即日予約しようとしてこれはひどい
展開のぶつ切り感が強すぎる
破棄要求とかじゃないですけど、地味に楽しみにしていたロワなだけにこの展開は残念
山場も何も残っていないじゃないか
第一放送前にもどんどん即リレーで山場を消化していってるが、今回のは全体に関わるものなだけに気になる

462 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/06/07(火) 23:53:48.53 ID:dJNCRSWs
だから嫌だったんだよ…
内容がスカスカすぎて、ただのズガンにしか見えない
今まで繋いできた話の全てを無にされた感じだわ

463 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/06/08(水) 00:08:40.70 ID:EgM2orn2
うーん
これはさすがにちょっとなぁ
最後の展開がしたいがために他のキャラを壊しすぎだわ
ライダー展開がしたいから無能に落とされてるゼオンとかもうね

正直、盛り上がりどころを片っ端から潰されて平坦にしかなってない
498創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 13:45:02.13 ID:tVNOyU8y
腰のデッキから一枚のカードを取り出し、セットする。

――ADVENT――

電子音と共に現れたモンスターは彼を象徴する蛇……ではなく、サイ型モンスター『メタルゲラス』。
浅倉とは異なる本物の野生の唸り声を上げると刑務所入口の瓦礫に突進する。

しかし、ミラーモンスターの中でもトップクラスの突進力を誇るメタルゲラスの体当たりをもってしても
入口を塞ぐ瓦礫を撤去するにはもの足りない。
続けて浅倉はカードをセットする。

――FAINALVENT――

再び瓦礫に突進するメタルゲラスの肩に乗り、その勢いに乗った王蛇。
カードの力が付与され、先ほどとは比較にならないほど加速するメタルゲラス。
空気が摩擦により火花を散らし、黄金色の弾丸となった王蛇がそこに突っ込む。
猛々しい音と共に、蛇は閉じ込められた巣穴から脱出した。

「さて、祭りの会場はどこだ?」

蛇は只々闘争を求めて歩み出す。
行く先に誰がいるのかなどわからない。
自らの勘を頼りに進むだけだ。
その先に闘争があることを疑いもしない、しっかりとした足取りで。
499創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 13:45:50.35 ID:tVNOyU8y
私が◆1yqnHVqBO6氏の作品をリレーしようと思い立った動機は「レボリューション」内で描写されたキャラの行
動に納得いかねるものを感じたからです
そこで桃香のキャラを原作に近いものにするため悠に狂ってもらいました
それをもってキャラ崩壊といわれるのでしたら「Exactly」としか申せません
その後の経過を見るにつけこれ以上の自己主張はスレの雰囲気を悪化させるだけだろうと判断し撤退を
決意いたしました
<嫌みったらしい最後っ屁>については「さっさと死ね」「死んだほうがいいよ」という暖かいお言葉を頂い
たお礼に皮肉のひとつぐらい言わせろよということで平にご容赦を
最後に拙作について「通しでもかまいません」と言ってくださった◆IrvsHUdeng氏と多大なご迷惑をお掛け
したしたらば管理人様にこの場を借りてお礼とお詫びを申しあげます

それでは今度こそごきげんよう
500創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 14:01:37.38 ID:tVNOyU8y
1 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/03/20(日) 23:17:49.45 ID:E32K+ZHM
原作でバトルロワアルをしている作品のキャラを集めて新たにバトルロワイアルを行うリレーSS企画です。
企画の性質上、参加キャラに対する残酷な描写、死亡描写があります。苦手な方は注意してください。
また、参加作品の原作ネタバレ内容を含む場合がございますので、こちらも同様にご注意ください。


まとめwiki ttp://www43.atwiki.jp/rowarowa/pages/1.html 
ロワロワ専用掲示板 ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/14292/

前スレ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1292234885/

2 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/03/20(日) 23:19:48.10 ID:E32K+ZHM

【基本ルール】
 ・最後の一人になるまで参加者は殺し合いを続けなければならない
 ・最後の一人を優勝者として、願いを叶える権利を与える
 ・会場内での参加者のやりとりに一切の反則は無い
 ・会場から逃げ出すことはできない


【参加者名簿(作品別)】

【仮面ライダー龍騎】6/6
○城戸真司/○秋山蓮/○北岡秀一/○浅倉威/○霧島美穂/○香川英行
【金色のガッシュ!!】6/6
○ガッシュ・ベル/○キャンチョメ/○ティオ/○シュナイダー/○ゼオン・ベル/○レオパルドン・パピプリオ
【バジリスク〜甲賀忍法帖〜】6/6
○甲賀弦之介/○陽炎/○霞刑部/○朧/○薬
501創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 14:05:24.59 ID:tVNOyU8y
なるへそー
ようやく読んだんだけど、まあなんちゅーか…いい素材を揃えて下味まではちゃんとつけたのに
直火じゃなくて電子レンジで熱を通しちゃった料理、みたいな。
もちろんそういう料理法だってあるんだけど、そのための仕込み方やレシピってまた別だからね。
502創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 14:06:53.27 ID:tVNOyU8y
ご利用は計画的に。

644 :やってられない名無しさん:2011/06/08(水) 11:40:01 ID:???O
誤爆

なら君たちも一作でも良いから書き手参加してみなさいといいたい。

仕事帰りに細々やってて期限とか守りにくいから
盛況な所に参加したいのに参加出来ない社会人書き手は
いっぱいいるんだぞ、と。
ニートやヒッキーの書き手何て俺の知ってる
書き手の人達には一人もいないんだぞ、と。

645 :やってられない名無しさん:2011/06/08(水) 12:01:49 ID:???0
誤爆

時間が無いことは描写を疎かにしていい理由にはならないよね
仕事をしながらも期限をしっかり守ってちゃんとした話を投下してる人はいっぱいいるんだし
時間が無いなら予約しなければいいだけの話

646 :やってられない名無しさん:2011/06/08(水) 12:12:11 ID:???0
>>645
どこぞのベテラン書き手ですら入院を理由に描写を疎かにして投下してたよ
503創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 14:07:40.42 ID:tVNOyU8y
いや、むしろレベルが低いからこそスルーされてたんだろ
良くも悪くも空気と言うか何と言うか
勿論それも一つの形だし内輪で楽しむぶんには何の問題もないんだけどね

毎度同じ人かどうかはわからないけど
前代未聞だとかレベル高いだとか、ともすれば他ロワ下げに取られかねない表現で過剰にマンセーするのはいい加減止めてくれ
そんなのが荒らしを呼ぶ一因になるんだから
504創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 14:08:58.29 ID:tVNOyU8y
誤爆
やっぱやめた
楽しさよりつまらなさの方が勝った
なんか騙された気分
誤爆
なんかもう溜息が止まらないよ……

591 :やってられない名無しさん:2011/06/08(水) 00:14:52 ID:???0
最悪すぎる…
面白い引きも魅力的なフリも片っ端から無にしていくんだもんなぁ



594 :やってられない名無しさん:2011/06/08(水) 00:26:38 ID:???0
まぁ何らかの感想が湧いたときにしか書き込まないのが普通だからね。
それが良い感想か悪い感想かの差はあれども。
感想を書かないっていうのもひとつの反応だしな。

595 :やってられない名無しさん:2011/06/08(水) 00:29:08 ID:???0
まあ、中々感想を書きにくいってのはあるな。
やたらとハイテンションで、見てるだけで嫌になるような感想が複数あるとなおさらだw
褒めるものであれ、貶すものであれ。

596 :やってられない名無しさん:2011/06/08(水) 00:29:51 ID:???0
>>594
>何らかの感想が湧いたときにしか書き込まないのが普通
そうなんだよね
ただの荒らしと判断するには早計だと思う


600 :やってられない名無しさん:2011/06/08(水) 00:38:10 ID:???0
どうしたもんかね
どっちの考えもわからないこともないだけに難しい

601 :やってられない名無しさん:2011/06/08(水) 00:41:01 ID:???0
それがロワの特色って事でいいんじゃないかね
山場の一つもない淡々としたロワってのも回答の一つだろうさ

602 :やってられない名無しさん:2011/06/08(水) 00:46:03 ID:???0
もう少し、というかかなり盛り上げられる事もできたと思うんだよね。
一話で多数をストイックに殺害する話に憧れがあって、
その前提を理解せずにやっちゃったか、単純に気が逸り過ぎてただけなんじゃないかと思う。

603 :やってられない名無しさん:2011/06/08(水) 02:54:00 ID:???0
そりゃ死んだキャラの分が多ければその内の一人くらいの死に良い感想はつくよ
だけど、これは色々飛ばしすぎじゃないかな。意図してか、無意識かはわからないけど


605 :やってられない名無しさん:2011/06/08(水) 03:55:38 ID:???0
思っているところのことならさすがに議論は必須になりそうだけどな
これをスルーするということはもう最終回目前なほどぽっかり穴があくぞ
穴の被害でバラバラになりそうだけどw
というか、もう途中参加は受け付けなくなったのか
505創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 14:09:38.90 ID:tVNOyU8y
私が◆1yqnHVqBO6氏の作品をリレーしようと思い立った動機は「レボリューション」内で描写されたキャラの行
動に納得いかねるものを感じたからです
そこで桃香のキャラを原作に近いものにするため悠に狂ってもらいました
それをもってキャラ崩壊といわれるのでしたら「Exactly」としか申せません
その後の経過を見るにつけこれ以上の自己主張はスレの雰囲気を悪化させるだけだろうと判断し撤退を
決意いたしました
<嫌みったらしい最後っ屁>については「さっさと死ね」「死んだほうがいいよ」という暖かいお言葉を頂い
たお礼に皮肉のひとつぐらい言わせろよということで平にご容赦を
最後に拙作について「通しでもかまいません」と言ってくださった◆IrvsHUdeng氏と多大なご迷惑をお掛け
したしたらば管理人様にこの場を借りてお礼とお詫びを申しあげます

それでは今度こそごきげんよう
506創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 14:10:19.75 ID:tVNOyU8y
GOBAKUデス☆
スレ汚し本当にすみませんでした

480 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/06/08(水) 18:38:38.14 ID:mCDaeo09
それが謝る態度か
死んで詫びろ

481 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/06/08(水) 19:47:58.57 ID:Sxtg538s
>>480
それもまた指摘する態度じゃないぞ
やっこさんの照れ隠しかも知れないじゃないか、☆は
二行目はきちんと謝ってるんだしさ
丸猿氏はお気になさらず
少々今このスレはピリピリしてるため、アタリがきつくなってしまい申し訳ない


482 名前:創る名無しに見る名無し[] 投稿日:2011/06/08(水) 22:16:22.05 ID:EgM2orn2
結局スルーですか
書き手以外でロワを作る気は無いということですね
わかりました

483 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/06/09(木) 00:05:21.35 ID:LPtKX1Vg
感想とかも構成要素とはいえロワを作るのはやっぱ書き手だと思うよ
逆に考えるんだ、書き手になっちゃえば意見が通せると考えるんだ

……はともかく、今回は濃い指摘が多かったから返ってくるのに時間はかかるだろう
もうちっと待ってみようぜ

484 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/06/09(木) 00:46:57.92 ID:dSJCnta/
てす

485 名前:創る名無しに見る名無し[sしいのかを書いてください。
あと、必ずそこに書かれた通11/06/09(木) 01:11:20.41 ID:dSJCnta/
今回の件では具体的な指摘等はもう大丈夫です。
あと、今後は煽り、罵声罵倒はお控えください。
またそれを含むレスにも反応は控えてください。
お願い致します。


489 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/06/09(木) 02:38:17.74 ID:3GTSS2od
>>487
作者乙

誤爆スレからこっちまで忙しそうですねw

490 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/06/10(金) 13:37:48.58 ID:tVNOyU8y
私が◆1yqnHVqBO6氏の作品をリレーしようと思い立った動機は「レボリューション」内で描写されたキャラの行
動に納得いかねるものを感じたからです
そこで桃香のキャラを原作に近いものにするため悠に狂ってもらいました
それをもってキャラ崩壊といわれるのでしたら「Exactly」としか申せません
その後の経過を見るにつけこれ以上の自己主張はスレの雰囲気を悪化させるだけだろうと判断し撤退を
決意いたしました
<嫌みったらしい最後っ屁>については「さっさと死ね」「死んだほうがいいよ」という暖かいお言葉を頂い
たお礼に皮肉のひとつぐらい言わせろよということで平にご容赦を
最後に
507創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 14:11:24.22 ID:tVNOyU8y
突きつけられた未来は死の宣告。
最愛の女性、美神愛には既に確定した過去の宣告。
覆したかった。デウスに覆すことは奇跡だと言われても自分たちの愛(LOVE)なら出来ると信じていた。

(ふざけんな! 俺の未来は俺が決めるんだよ!!)

それはまったくの直感だった。
相手が口笛のような仕草をしたことが見えない攻撃のトリガーなら、風か空気のようなものではないのかと。
確かに風や空気なら見えない。
なら色を付けてやればいい。
先ほど殴りつけ朱に染まった雪のように。

腕を大きく奮って拳から滴る血液を辺りに散らす。
既に血液が染みている雪を毎降らすように天高く投げる。
何も無い空間に雪と血液が吸い込まれていく。

「見えたぜ! お前の攻撃の正体!」

見えない何かが吸引力を持っているならそれから離れればいい。
マルコは大きく後ろに跳び、即座にアムルタートと合体する。
触手の半分を謎の攻撃に伸ばし吸い込まれ切り刻まれながらも無理やり進路を変えて防ぐ。
残りの半分を小四郎めがけて伸ばす。

小四郎は思惑が外れたことに舌打ちをしながら迫り来る触手に鍛え上げられた身体能力のみでかわしていく。
屈み、飛んで、身を捻って、紙一重の所で全て交わす。
交わすだけでなく、腰に差していた鎌を抜き出し迫る触手数本を切り刻む反撃まで見せた。

「見たことも無い忍術だ。先程の者といい、伊賀と甲賀以外にも忍びの里があったのか?」

どうにかDEAD ENDを回避したマルコ。
だが、生き延びたという安堵の感情は一向に湧いてこない。
頬を濡らす汗ではない液体。

何でなんだよ……
俺には今みたいにDEAD ENDを回避する奇跡が起こすだけの力があるじゃないか。
なのに、何で……
何で俺は愛を守ってやれなかったんだ……

持てる力を発揮して危機を乗り越えたはずなのに
心に吹き荒れるのは無力感の嵐。

「祭りの場所はここか?」

二人が同時に声の方を観る。
視線が交差していた状態から三角形を描くように変化する。

「ん? お前もライダーなのか? まぁいい、俺と戦えよ」

「何だぁ手前は……? とりあえずお前もボコッてやるよ」

「さっきの……ここで二人とも討ち取ってくれる!」

雪原に吹き荒れる嵐はまだまだ止まない。


474 名前:代理 SNOW STORM ◇CFbjQX2oDg[sage] 投稿日:2011/06/08(水) 05:50:57.05 ID:0mT/CTXs
508創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 14:34:52.94 ID:7hp1mba+
あーあ
結構期待してたってのに周りの事を考えない書き手のせいでこのロワも終わったな
509創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 14:38:47.79 ID:7hp1mba+
まぁ土台からして
今はロワロワみたいなコンセプトロワが伸びてる(笑)リレー新人なんて信じられない(爆笑)こんなにレベル高いのに荒らしがいないなんて前代未聞(大爆笑)
とかなんとか勘違いしてるロワだし仕方無いか
何ヵ月もかけてやっとこさ第一放送を越えた、しかも大して面白くもない話を積み上げただけの低レベルなロワなのにね
510創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 14:47:39.70 ID:7hp1mba+
当の書き手も
自分のせいで荒れたってのに呑気にチャットしてるは毒吐きで醜い自己弁護やらマンセーやら繰り返してる屑野郎だしなー
511創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 14:48:53.69 ID:7hp1mba+
こんなオナニー野郎が書き手気取りとか吐き気がする
512創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 14:53:00.17 ID:7hp1mba+
どうせ兄弟姉妹の荒らしも件の書き手だろ
文章力の低さが一緒だわ
513創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 14:54:18.30 ID:7hp1mba+
誤爆スレでも自分達に都合悪くなると不自然に兄弟姉妹の話題にすり替えられてる
ほんと人として最底辺過ぎるね
514創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 15:00:09.74 ID:7hp1mba+
あんな書き手もどきが来なかったらもう少し続いただろうにね
515創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 15:01:04.60 ID:7hp1mba+
【ロワイアル×ロワイアル 終了確認】
516創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 15:01:30.57 ID:7hp1mba+
戦犯レボリューション
517創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 15:03:23.52 ID:7hp1mba+
キャラ崩壊酷すぎ
あれでよく投下しようと思ったなー
まぁ自己顕示欲を満たすための駒としかキャラを見てない典型的屑書き手のパターンか
518創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 17:30:48.57 ID:dzFYFn9P
現在地ツール管理人です。
すごい今更感がありますが、地図の背景をちょっと変えてみました。
併せて破損データの修復も行いましたので、何か不具合を発見した場合はお知らせ願います。
519創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 18:07:30.47 ID:4E51sXYy
>>718
乙です
520創る名無しに見る名無し:2011/06/11(土) 00:37:06.97 ID:AePQL8S2
>>518
おぉ! ロゴが入っている!!
骸骨もなんかかっけぇw 
乙です!
521創る名無しに見る名無し:2011/06/11(土) 00:51:44.59 ID:tGGwcL4f
>>518
超乙です!!!
カッコイイしなんか怖いww
522創る名無しに見る名無し:2011/06/11(土) 16:17:40.07 ID:8xR7SlzL
ブレスト買って読んでるけど
最初はそこまで面白いと思わなかったけど
ロンメルさんが出てきてからどんどん面白くなってくるな
ワタルはショタっぽくなるしミツルもライトっぽくなるし
523創る名無しに見る名無し:2011/06/11(土) 16:47:02.58 ID:AePQL8S2
ロンメルVSシグドラ幹部複数
ロンメルさんがあんなに強いとは最初思わなかったよ
絶対にかませになると思ったのにw
524創る名無しに見る名無し:2011/06/11(土) 19:42:00.09 ID:tGGwcL4f
ワタルが想波の闘法修得してからのバトルは
インフレが物凄いからなw
チャンで天上突破したけど
525創る名無しに見る名無し:2011/06/11(土) 21:18:04.54 ID:Hg9Fv3EA
ミツルの目潰しで怯むチャンはまさしく黒歴史
526創る名無しに見る名無し:2011/06/12(日) 01:35:16.94 ID:VjBKwtON
あんだけ壮大な戦いをやってたかが目潰しでなあ、鳴海みたいになるのかと思いきや
しかも凶戦士状態になって野獣みたいになってるのかと思ったら案外素面だったからな
527創る名無しに見る名無し:2011/06/12(日) 13:16:35.79 ID:ipu3+4Qn
まあ、ワタルに人一人通れるだろっていう穴ぶち開けられても
再構成して復活って言うトンでもやったからイーブンに思っておこうw
528創る名無しに見る名無し:2011/06/12(日) 20:20:13.91 ID:q+lP7sqL
ワタルもオンバにあれくらいの大きさの穴を腹に開けられたけど
ワタルは普通に死んじゃったんよね
529創る名無しに見る名無し:2011/06/14(火) 00:45:51.71 ID:ucpfIpl5
ガッシュの文庫版、1巻ガッシュ、2巻ティオ、3巻がキャンチョメなのは分かるけど
4巻ウォンレイかよw
ブラゴはどうしたw ってあんまりロワロワと関係ないかもしれないこれ
530 ◆CFbjQX2oDg :2011/06/14(火) 01:28:52.90 ID:h+hhwgbu
こんな時間ですが、天野雪輝、シュナイダーことウマゴンを投下します。
531君に触れて未来が変わる  ◆CFbjQX2oDg :2011/06/14(火) 01:30:26.14 ID:h+hhwgbu
燃え盛る遊園地をウマゴンは走り続ける。
つい先程、首輪から放送が流れて来た。
しかし、炎により倒壊していくアトラクションに巻き込まれて危険な目にあっているかもしれない大切な仲間がいるのだ。
崩れゆく音に紛れてはっきりと聞こえないが、放送を気にかけている暇はないとばかりに搜索を続ける。

既に自分のコントロールを離れて、自然現象として発生している炎だ。
できる限りは避けて進まなければいけない。
こうなる前にガッシュや雛苺と乗りたいねと話していた観覧車は先程盛大な音を立てて崩れた。
だけど、その時の崩れ方に気になる点があった。
倒れてから崩壊する音が響くまでに時間差があったことだ。
もしかしたらガッシュがあそこにいて何かしたのかもしれない。
そう思って観覧車があった所まで向かっているところだ。

「ウマゴン! やっと見つけた!」

観覧車までもう少しといったところで
今、一番聞きたくない声に呼び止められた。

ウマゴンは気力を振り絞ってシュドルクを発動させる。
もうシン・シュドルクを使うだけの心の力は無い。
こいつとあの女が自分たちをここまで追い込んだんだ

「ははは……そうだよね。今更僕なんかを信用してくれるわけないよね……」

てっきり、出会い頭に殺しに来るものだと思っていた。
なのに何故、雪輝はここまで哀しそうな表情を浮かべているのだろう。
はち切れそうな程に膨らんでいたウマゴンの感情に小さな穴があき、隙間が生まれる。
まるで魔界に送還されたときのパートナーのように、哀しい目をしている。

送還?
そうだ。
ガッシュは一体どこにいる。
雪輝と一緒にいたんじゃないのか。
疑問が浮かぶとほとんど同時にウマゴンは雪輝の肩に羽織られている見覚えのある黒いマントに気づく。

「ガッシュは……死んだよ。僕を助けようとして」

死……んだ?
何を言っているのかわからない。
雪輝は肩にある自分が見慣れた黒いマントを握り締めている。

「ガッシュはあんな馬鹿なことをした僕を信じてくれたんだ。倒壊した観覧車に押しつぶされそうになった僕を庇って、そして……」

涙を流しながらも、歯を食いしばって必死に説明しようとする雪輝を見て悟った。
ガッシュはこの少年を許したのだ。
自分たちを裏切り、追い詰め、殺そうとしたこの少年を。

「僕はウマゴンたちに許されないことをした。でも、ガッシュのおかげで僕が間違っていたことに気づいたんだ」

思い返せばガッシュはどの闘いでもそうだった。
パムーン、パティ、ピョンコ、ゼオン、バリー、その他にも数多くの最初は敵対していた魔物も
ガッシュとの闘いを経て、ガッシュの王としての器に触れて、
今では掛け替えのない大切な仲間となった。
皆が皆、最初から友好的な間柄だったわけではない。
パティやゼオンが当時したことを今でもしていたらもちろん許せない。
だが、彼らはガッシュをきっかけに変わったでは無いか。
過去の過ちに気づき、それから目を背けずに前を見て進み、
そして、背中を預けられる仲間に。
532君に触れて未来が変わる  ◆CFbjQX2oDg :2011/06/14(火) 01:32:16.22 ID:h+hhwgbu

「自分勝手に聞こえるかもしれない。でも、僕はこのガッシュのマントに誓うよ! もう二度とあんな馬鹿なことをしない!」

まだ見えている片目を閉じると浮かんでくる。
ガッシュの最後の姿が。
きっとガッシュは最後の瞬間まで金色の太陽の輝きを放っていたのだろう。
その光でこの少年の心の暗い部分を全て照らしたのだろう。

――唯一今までと違うのは、もうガッシュの輝きは二度と拝めることは無いということ。

「だから、僕と協力してくれ。もう一度僕と仲間になってくれないか、ウマゴン」

ガッシュが死んだのなら、ガッシュがいなくなってしまったのなら
ガッシュが信じたものを代わりに清磨たちの所に届けてあげよう。
ガッシュの代わりに、ガッシュの『願い』を背に乗せて駆け抜けよう。
それが、騎馬である自分の宿命だ。
本音を言うとこの雪輝はまだ完全には信用できない。
自分が信じているのはあくまで、雪輝を信じたという“ガッシュ”だ。
だから、今回は先程の雪輝の過ちを水に流すとしよう。

「メルメルッ」

ウマゴンは術を解いて、いつもの姿に戻る。
その懺悔を受け入れた。

その時の雪輝の哀しそうな表情は、炎による屈折のせいなのだろうか
少し歪んで見えたことに、片目を失明したウマゴンは気付かなかった。

「さぁ、行こう。ウマゴン。
 ガッシュの王様としての意思を、思いを、願いを僕たちが未来に運ぶんだ」




◇ ◆ ◇




二人は比較的火の手の少ない地域まで移動して、そこで偶々発見した医務室らしき場所でウマゴンの応急処置を行っている。
応急処置といっても、医療知識が特にあるわけではない只の中学生の雪輝に出来るのは
精々飲み水を用いて体中の傷を洗浄し、擦り傷ようの消毒液をガーゼに染込ませて当てることくらいだ。
特に酷い目を洗浄するときはウマゴンが暴れたが、処置しないで放置するわけにもいかず苦労しながらもどうにか終えた。
部屋に備え付けられていた眼帯と包帯を身につけ、栄養補給のために簡単な食事を取ったあと、ウマゴンをベッドに横にさせる。
ウマみたいな外見なのにベッドで寝る姿が割りと様になっているな、と雪輝は思った。

横になるとすぐにウマゴンの寝息が聞こえてくる。
体に負荷が大きい『シン』の術を酷使し、さらに酸素の薄い遊園地内を片目を失った状態で走り回ったのだ。
これで疲れるなという方が無理である。

雪輝も部屋に備えられていた椅子に腰掛け、パンを口にした後に水を一口飲む。

(ふぅ、何とか上手くいったぞ)

“もし”あの時ガッシュの思いが通じた僕が考えそうなことウマゴンに話せば
ガッシュが言った甘い甘い、夢と友情と希望に満ちた闘いを経てきたウマゴンなら騙せると踏んで正解だったようだ。

(それにしても演技で涙を流せるとは僕も中々やるなあ。そっちの才能もあるのかな)
533君に触れて未来が変わる  ◆CFbjQX2oDg :2011/06/14(火) 01:33:43.88 ID:h+hhwgbu
そんなことを考えながら名簿を取り出して、放送で呼ばれた死者の確認をする。
支給された赤ペンで死者の名前に線を入れていく。

『我妻由乃』

バオウ・ザケルガにより死体の確認はできなかったが、確かに死んだみたいだ。
由乃は僕を一番大事だと言いながらも、暴走することが多かった。
正直早めにいなくなってくれて助かった。
パパとママと同じく僕がデウスの後を継いで神様になったら生き返らせてあげるからまっててね。

『ガッシュ・ベル』

馬鹿なやつ。最後まで僕を信じて、あっさりと騙されて、僕に殺された。
濁った瞳で名簿のガッシュの欄を他の人よりも色濃く赤で染め上げる。
何度もなぞった赤いラインが不意に滲んで他の名前へと侵食を始めた。
一箇所、二箇所と滲みは増えていく。
その正体は無意識に雪輝の瞳から流れ出た液体だった。

雪輝の頬を涙が伝う。
ガッシュが死んだ事で
ガッシュを殺した事で
ガッシュを否定した事で
頭の片隅で理解してしまった。

雪輝が神を目指す目的は、両親と友達を、喪っていった人達を蘇らせること。
それを達成したガッシュの未来を奪うことで、自分自身の未来への道をも見失ってしまった。

両親たちを、犠牲となった人たちを生き返らせるということが、殺人という多大な精神的負荷に雪輝が耐える最後の依代だ。
ガッシュという言わば『理想の闘いの結末』を自らの手で穢したことで
自分の望む未来には結局辿り着けないと自ら否定したも同然だ。

しかし、雪輝はその考えを認めたくない。
なので雪輝は何故今自分が涙を流しているのかわからない。
ただ流れる涙を袖口で拭い続けるだけだ。

その啜り泣く子供の小さな背中を見ているものは誰もいなかった。





「さよなら。やさしいやさしいぼくのともだち」





534君に触れて未来が変わる  ◆CFbjQX2oDg :2011/06/14(火) 01:35:15.52 ID:h+hhwgbu
【A-7・遊園地の医務室/一日目/朝】

【天野雪輝@未来日記】
[状態]:健康、心の力の消費(中)
[装備]:無差別日記@未来日記、、ガッシュのマント@金色のガッシュ・ベル、投げナイフ(14/15)@未来日記、IMIウージー(27/32)
[道具]:基本支給品 ×2、IMIウージーマガジン(2)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して全てを元通りにする?
1:ウマゴンを利用して、他の参加者に取り入る。
2:ある程度ウマゴンが回復するまでは待つ
3:その後に北か東の橋を渡る。

[備考]
※参戦時期はDiary46.5終了以降からの参戦です。
※雪輝は自分の中の矛盾に気づいていません。


【シュナイダー@金色のガッシュ!!】
[状態]:ダメージ(小)、心の力の消費(小)、右目失明、
[装備]:なし
[道具]:魔本@金色のガッシュ!!、基本支給品、マキビシ@バジリスク〜甲賀忍法帖〜、煙草@現実
[思考・状況]
基本行動方針:ガッシュの思いを継ぐ。仲間と共に主催を撃破して清磨たちのいる所へ帰る
1: 睡眠中
2:雪輝と同行する。

[備考]
※第一放送をしっかりと聞いていません。ガッシュが死んだことだけは理解しましたが、他はどの程度聞いていたかはわかりません。
※右目の後遺症については不明。洗浄し、消毒液をかけた程度の処置しかしていません。
535君に触れて未来が変わる  ◆CFbjQX2oDg :2011/06/14(火) 01:39:31.73 ID:h+hhwgbu
以上で投下を終了いたします。
矛盾点、誤字脱字などありましたらご指摘いただけるとありがたいです。

タイトルの元ネタは仮面ライダー龍騎 挿入歌 『Revolution』の2番サビ寸前の一節です。
536創る名無しに見る名無し:2011/06/14(火) 01:58:32.81 ID:fOkZoHtY
投下乙
騙すために流した涙は……いや、なにも言うまい。貫いてくれ
まったく疑ってないウマゴンは先大変そうだけど、振り切って走りぬいて欲しい
537創る名無しに見る名無し:2011/06/14(火) 06:12:39.89 ID:OVlI3+k2
パパママじゃなくて父さん母さんです
538創る名無しに見る名無し:2011/06/14(火) 11:53:30.68 ID:ucpfIpl5
投下乙!!
ウマゴンは損なポジションについちゃったなあw
ユッキーの独白もせつねえ
こいつが幸せになる日は来るのか
539君に触れて未来が変わる  ◆CFbjQX2oDg :2011/06/15(水) 01:06:53.44 ID:633SGTE0
>>537
そうでした。 何でパパママにしたんだろう?w
収録時に該当箇所を修正しておきます。

感想どうもありがとうございます!
540創る名無しに見る名無し:2011/06/15(水) 05:17:48.59 ID:/Y1OC1X0
これからどうなるの?
541創る名無しに見る名無し:2011/06/16(木) 16:28:16.34 ID:shB3scP+
                   _   .     _
             ,. '"´ ̄ .  ̄`゙ヾ´ ̄ . ̄`゙ヽ、
             / .  . . .. ..:.:.:::;:;:;;;:.:..   . . .:.:;:ヽ、
           / .  .    . ...:.:.::::;:;:;;;;,:.:.. .   . ..:.::;:;、
             i       . . ...:.:..:;:;;;;;;:.:..  .. ..:.::;:;;i
       ;'⌒ヾ__( .    . ..:.:.::::;:;:;;;;;;;:.:.. . . ..:.::;:;;!'⌒ヽ
        '、     .::`;  .  . ..:.:::霞刑部  . . .:.::;:;;i . .::;i
         ;'   ..:.:.:::;ノ⌒   . ..:.:.::::::;:;:;;;;;;;;:.:.. . . ...::;:;;;!  `!
       、_ ,.イ ̄ ̄(    .. ..:.:.::::;:;:;;;;;;;;:.:..    ..:.:.:;:;;i、 _;:ノ
           !  .  .   . ..:.:.:::::;:;:;;;;;;;;:.:..  .. ..:.:.::;:;:;;!
          '、   . . ...:.:.:.:.:::::.:;;;;;;;;:.:.. .. ..:.:.:.;:;;;/
              ヽ. .. ..:.:.:.::::.:;:;:;;;;;;;;;;;;;;::.:.... .:.:.:.:::;:;:;;;〆
            ヽ、::::;:;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;:.'"、:;;;;;;;;;;;;;;;;;;: '
                   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 


いや、特に意味はないんだけどね
542創る名無しに見る名無し:2011/06/16(木) 20:04:27.47 ID:DGX8awYC
ここに期待してる人はまだまだいるよ
自棄にならずに頑張ってね
543 ◆CFbjQX2oDg :2011/06/17(金) 02:22:53.08 ID:Ibq+kSsM
告知

◆1yqnHVqBO6の『レボリューション』の修正版がおそらく今週末の金土日辺りに投下できるそうです。
量が多いので避難所の仮投下スレッドに投下になるそうです。
何かある方は議論スレに指摘箇所を明確にして書き込みお願いします。
544創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 09:07:32.70 ID:8uR8YPhP
量が多いwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
あのぺらッぺらな内容が原型でwwwwwwwwwww
545創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 09:08:16.04 ID:8uR8YPhP
たった一人の癌書き手がいるせいでここも終わっちまったよ…
546創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 09:08:52.41 ID:8uR8YPhP
期待してたのに、最悪すぎる
あの癌取り除かれねぇかなぁ
547創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 09:09:33.44 ID:8uR8YPhP
あの癌は気付いてないんだろうね
自分がここを終了させたこと
548創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 09:10:50.33 ID:8uR8YPhP
本気でいい加減にして欲しいわ
なんでロワを潰そうとするんだろう…?
癌が書かなければもう少しまともなロワになったのに
549創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 09:11:33.98 ID:8uR8YPhP
いっばしの書き手気取りみたいだけど、あの癌は癌でしかないし荒らし以下の癌
550創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 09:12:32.76 ID:8uR8YPhP
チャットしてる暇があったら少しでも向上心を見せれば良いのに
自分が荒らしたってのに呑気なこった
551創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 09:13:19.41 ID:ia/A5X/1
他所様のスレに自己紹介を書き込むのはやめましょう。
552創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 09:13:46.69 ID:8uR8YPhP
自分のやりたい展開のためにキャラを崩壊させるとかガチ屑すぎる
その展開も陳腐で安っぽくて寒いし
553創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 09:14:28.33 ID:8uR8YPhP
あっちでもこっちでも自演擁護
動けば動くほど醜いな
554創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 09:15:19.97 ID:8uR8YPhP
あの癌が大人しくいなくなればまた上手くいくのに
まじ空気読めよなー
555創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 13:11:14.08 ID:8uR8YPhP
またまた毒吐きでの自分擁護御苦労様です
556創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 13:12:14.67 ID:8uR8YPhP
何だかんだ偉そうなことぬかしてるけど、結局この癌が下手くそ過ぎるレボリューション(笑)を書いたのが悪いわけでwww
557創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 13:13:14.03 ID:8uR8YPhP
あのレベルで叩かれるのは異常(キリッ
とかどんな顔で書いてるんだろうねwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


痛すぎるわ
558創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 13:13:59.65 ID:8uR8YPhP
本気でロワを成功させたいなら出ていってくれるのが一番なんだけどな…
559創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 13:14:48.03 ID:8uR8YPhP
色んな書き手の繋いだフラグを滅茶苦茶にしてまで自己の虚栄心を満たしたいんかねぇ
560創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 13:15:24.51 ID:8uR8YPhP
あんなヤツ書き手とは呼ばない
真性の荒らし
561創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 13:15:57.11 ID:8uR8YPhP
ほらほら毒吐きでまたふぁびょってやがるwwwwwwwwwwwwwwwwww
562創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 13:17:23.84 ID:8uR8YPhP
自分の力量もわからないで書こうとするからこうなる

馬鹿だねぇ
563創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 13:17:59.12 ID:8uR8YPhP
このロワの癌が一刻も早く取り除かれる事を祈る
564創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 13:18:46.19 ID:8uR8YPhP
ほんとに、あの癌がいなければ最高のロワだったのに
565創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 13:20:05.67 ID:ia/A5X/1
スレ違いな自己紹介ツイートは自重しましょう。
いつまでもスルーしてもらえるわけではありません。
このロワの書き手に甘えないでください。
566創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 13:36:11.23 ID:2MsX2vTE
無駄に草生やしてないで毒吐き来いよ、遊んでやるから
567創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 14:27:10.98 ID:8uR8YPhP
>>565
スルーしてもらってる(笑)
だったら反応してみろやwwwww
568創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 14:27:46.47 ID:8uR8YPhP
>>565
オラオラオラオラレスおせーぞwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
569創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 14:29:11.03 ID:8uR8YPhP
>>565
つーかさっきから俺を他所から来たヤツと思い込みたいみたいだけど
元からいた住民だからねw
印象操作御苦労様でーすっ
570創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 14:29:47.12 ID:8uR8YPhP
>>566
行くわけねーだろ
馬鹿か
571創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 14:31:26.07 ID:8uR8YPhP
つか
ここは一応SSスレなんだろ?
つまらないものをつまらない、癌な書き手を癌だと言って何が悪いの?
つまらないものを面白いだとかマンセーしてるお前らのが荒らしだわ
572創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 14:32:04.15 ID:8uR8YPhP
>>565
どうなんだよ答えてみろよ
573創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 14:33:10.32 ID:8uR8YPhP
一番悪いのはつまらない何てレベルじゃない吐き気を催すレベルの話を書いた癌
574創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 14:33:50.84 ID:8uR8YPhP
中途半端に擁護するから癌が付け上がる
575創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 14:35:02.94 ID:8uR8YPhP
本当にこのロワの事を想うなら叩いてあげるべき
576創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 14:35:56.41 ID:8uR8YPhP
あんだけ批判が出て揉めた時点でなんで破棄するって選択をとれなかったのかね
そうすりゃここまで酷いことにはならなかった
577創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 14:38:27.85 ID:mHcEQ/cg
これでさるさん引っかかったか。バカだなーおまえ
どうせやるなら一回に書き込める容量いっぱいまでAAなりなんなり投下して埋めちまえよ
あと100kbだからやってやれないことはないぞ
忍法帳復活したから立て直すのも難しいしな
578創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 14:57:23.93 ID:D3jBrA/P
>>543
それってどこからの情報ですか?
579創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 15:24:41.67 ID:ia/A5X/1
二度にわたって大変不快なログをお見せすることになってしまい、申し訳ございません。
◆1yqnHVqBO6氏ならびに書き手・読み手諸氏の寛大な対処には心から感謝しております。
このID:8uR8YPhPなる人物には非公開手段にて注意と指導を行なっております。
この人物と私の発言は今後もスルーしていただきますよう、お願い申し上げます。
尚、関係者を自称する他ロワ書き手がトリップつきで書き込んだ場合も、同様にスルーしてください。

>>573-576
本気でそう思うなら自ロワの問題書き手をこれ以上野放しにしないでください。
580 ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/17(金) 22:28:55.86 ID:R2kEDrVO
知らせるのが遅くなって申し訳ありません
一時投下スレにて再投下終了しました
何か問題があるようでしたら議論スレにてお願いします
581創る名無しに見る名無し:2011/06/17(金) 22:43:51.19 ID:2hA0JKSu
一読してみたんだが変更点がよくわからない
できれば何を追加したか・どこを変更したかの説明が欲しい
582創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 13:42:13.79 ID:9kKgmZ5Z
元が酷いから描写をちまちま追加しても違和感が抜けないな
展開構成そのものを修正しないと
まあめんどくさいからこれでいいんじゃね?どうせもう書く気しないし
583創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 14:14:05.32 ID:oDzrWO5f
議論スレで各自疑問に思ったことを言っているみたいだよ
584創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 17:00:25.62 ID:VE/fJNXh
俺は文句ないがな
それでも文句言ってる奴は…
585創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 17:01:25.04 ID:kXygn4Pr
〜だから不可能と判断って、いや、その状況作ったのあなたですよね?
まぁ別にいいけど
586創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 17:18:29.72 ID:746iy7HY
>>585
そういうのはここで言うことでもないでしょう
587創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 18:55:22.71 ID:P6FQD4oV
とりあえずは議論スレへ
588創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 20:07:42.98 ID:fhu9MBWG
まあなんだ、疑問に答えてる裏でチャットでそういう風に雑談するのはやめといた方がいい
そういう軽いノリで応対してるのかと思うから
やるならせめてささやきでやって

問題点あるなら前回言っておけばよかったわけで、修正終わった今になって言うのは卑怯
そもそも他の書き手(特に発起人)が問題と思って無いようだから読み手がケチつけることじゃないっしょ

個人的には護神像と合体してるわりに一行で死んだ爺様とか、破幻装置としてしか使われずセリフもない朧が哀れだとは思うけども
この辺は矛盾とかではない、展開の運び方なわけだしね
589創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 21:19:26.12 ID:k5eCK4sK
>582や>585は批評家気取りのお客様じゃないかな?
特に582は荒らしが書き手のフリをしてるだけかと
書き手なら描写の薄い部分の補完は後続話で可能なわけだし
590創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 22:03:24.21 ID:9kKgmZ5Z
荒らしねえ……まあいいけど
問題から目をそらしてまとまな書き手の意気をそぐようなSSを通すような企画の末路が悲惨だと言うことだけは知っておいた方がいい
この板だけでも何個のロワがこの手で潰されたことやら
591創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 22:12:13.89 ID:k5eCK4sK
やっぱりなりすまし常習者の批評家(笑)さんかー
592創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 22:24:21.45 ID:oDzrWO5f
いや、>>589の考えがここの総意じゃないと思うよ
というか、そういう見下したような発言をしてフォローしている気になっているなら気を付けた方がいい
反応しちゃいけないと思っていてもしてしまう自分も自分だけど
593創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 22:25:54.37 ID:oDzrWO5f
見下したような発言でフォローしているつもりってのは>>589に向けた言葉ね
594創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 22:29:54.36 ID:746iy7HY
言ってることは大して間違ってはいないと思うけど
見下す発言で返したら泥沼になっちゃうからね
595創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 22:39:13.73 ID:WOwUF2PI
どうせ去るんだし、鳥出しちゃえば早いんじゃね
疑心暗鬼も避けられるし、言葉に説得力が出るよ
596創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 23:43:45.37 ID:fgVCoIxh
気に入らないなら潰しちゃえ俺は悪くねぇてか
ゴミだな
597創る名無しに見る名無し:2011/06/18(土) 23:44:53.11 ID:CFKG38zG
見下す発言しているのは>>582の方だと思うがな
598創る名無しに見る名無し:2011/06/19(日) 17:20:32.99 ID:ttSQp65X
破幻の瞳で効果が消えるのって変身じゃなくてカードの効果じゃなかった?
599創る名無しに見る名無し:2011/06/19(日) 17:55:18.41 ID:QHDLEhu+
朧の思考が一切わからずに処理されたな
それはともかくとして>>598の指摘は議論スレで言ってもいいんじゃないか?
本人の脳内補完を言われて修正なんてされないだろうけど
600創る名無しに見る名無し:2011/06/19(日) 18:08:18.77 ID:ZX9LSvSl
破幻の瞳の効果は原作でもよくわからんからな
蛞蝓とか視界にはいった時点で死んでもおかしくなさそうなもんなんだけど
601創る名無しに見る名無し:2011/06/19(日) 18:24:19.13 ID:ttSQp65X
すまん、よく読んだら備考にこう書いてあった
破幻の瞳の効果について:防人や仮面ライダーが技を発動時には技を消失させ、しばらく見つめることで変身も解除される。

こういうの備考だけで決めるのやめてほしいぜ…
602創る名無しに見る名無し:2011/06/19(日) 18:31:29.06 ID:QHDLEhu+
どこからその備考があったのか調べて見たら
赤龍激突◆CFbjQX2oDgから つまり最初からだな
603創る名無しに見る名無し:2011/06/19(日) 19:33:10.35 ID:6QBECHGr
最初からあったなら問題なかろう
604創る名無しに見る名無し:2011/06/19(日) 23:19:33.42 ID:EXE2f0f7
猿谷よりはマシじゃね
そーいや銀齢キャラ殺したの全員この人か
605創る名無しに見る名無し:2011/06/19(日) 23:47:32.46 ID:QHDLEhu+
九一郎も猿谷も無情ってか無意味な死だよな
後に残るものが何もない
この人の殺し方はほとんどが無意味ってか処理感が強い
もうここのロワも駄目だな
たった一人の書き手に好き勝手されて終了
606創る名無しに見る名無し:2011/06/20(月) 00:12:24.06 ID:1ENWXFcs
そんな中でも何かを残して死んだ水銀燈と七原の願いを受け継いだ真紅と、お気に入りっぽいブレイブキャラ
二人を次回で相打たせて全滅させてやったら泣き叫びそうだなw
607創る名無しに見る名無し:2011/06/20(月) 01:26:41.84 ID:ESA6G0sZ
前の話からしてそうだったんでこの人だけのせいって訳じゃないが、おいしいキャラが軒並み死んでるのがなぁ
対主催だが犠牲をいとわない教授や、放送でガッシュ蘇生に転向したであろうゼオン、マーダーなノール
と首輪役の来栖とか
中盤も始まったばかりというところでこの焼け野原じゃあ、あとは消化試合にしかならん気がする
608創る名無しに見る名無し:2011/06/20(月) 02:00:17.68 ID:o4q+LmdS
完結させる気なんかないんだろ
もう少し数が減ればスレ覗く気もなくなる
609創る名無しに見る名無し:2011/06/20(月) 17:04:15.32 ID:OuCkwlpB
本スレを毒吐きスレにするのはどうかと思うが?
610創る名無しに見る名無し:2011/06/20(月) 18:39:08.11 ID:ikfrJR9a
まぁここらが潮時だろうね
こっからはあの書き手がひたすらつまらない話を羅列するだけのオナニープレイが続くだけだわ
611創る名無しに見る名無し:2011/06/20(月) 22:05:57.44 ID:tsTldJ9B
剣客ルートはかんべん
612創る名無しに見る名無し:2011/06/21(火) 01:03:26.40 ID:lr8JeLNY
あれ…
単発IDばっかだ…
613創る名無しに見る名無し:2011/06/21(火) 11:20:43.70 ID:XGcUwoMx
単発IDなのに、文体が奇妙なまでに一緒なんだよな。
614創る名無しに見る名無し:2011/06/21(火) 11:33:40.44 ID:5T+o2NRS
もうこれを機にしたらば進行にしないか?
615創る名無しに見る名無し:2011/06/21(火) 11:34:38.97 ID:Xn0TAtLR
下衆な推測はやめたほうがいいと思う
部外者が言うのもなんだけど、この状況になったのはどっちもどっちに見える
616創る名無しに見る名無し:2011/06/21(火) 15:10:12.35 ID:bUEWrNsl
あれ…
単発IDばっかだ…
617創る名無しに見る名無し:2011/06/21(火) 21:04:04.96 ID:+fs2bMAE
単発IDなのに、文体が奇妙なまでに一緒なんだよな。
618創る名無しに見る名無し:2011/06/21(火) 21:16:21.21 ID:+zplxvuF
もうこれを機にしたらば進行しないか?
619創る名無しに見る名無し:2011/06/22(水) 00:51:14.81 ID:8WulWCLW
下衆な推測はやめたほうがいいと思う
部外者が言うのもなんだけど、この状況になったのはどっちもどっちに見える
620創る名無しに見る名無し:2011/06/22(水) 01:20:34.12 ID:JnC/VTVA
あれ…
単発IDばっかだ…
621創る名無しに見る名無し:2011/06/22(水) 06:52:50.74 ID:k5LleM9o
単発IDなのに、文体が奇妙なまでに一緒なんだよな。
622創る名無しに見る名無し:2011/06/22(水) 07:25:43.67 ID:APapnZRi
喧嘩両成敗にしようぜ
623創る名無しに見る名無し:2011/06/22(水) 07:33:17.55 ID:LMkCJh/W
下衆な推測はやめたほうがいいと思う
部外者が言うのもなんだけど、この状況になったのはどっちもどっちに見える
624創る名無しに見る名無し:2011/06/22(水) 08:04:07.02 ID:ttxHnrPk
予約きたな
625創る名無しに見る名無し:2011/06/22(水) 10:11:11.29 ID:IiDGE3Fu
単発IDしかいないな…
626創る名無しに見る名無し:2011/06/22(水) 11:09:51.75 ID:CP27Nw9H
そういうお前も単発だと言ってほしいのか
627創る名無しに見る名無し:2011/06/22(水) 16:48:59.36 ID:ADlWKfE7
もうこれを機にしたらば進行しないか?
628創る名無しに見る名無し:2011/06/22(水) 19:07:56.10 ID:APapnZRi
コピペする脳しかないんですね、分かりますw
629創る名無しに見る名無し:2011/06/22(水) 19:20:56.89 ID:QETK7ePQ
コピペする脳しかないんですね、分かりますw
630創る名無しに見る名無し:2011/06/23(木) 00:12:02.76 ID:ThJ2Sw+A
てs
631創る名無しに見る名無し:2011/06/23(木) 01:14:03.32 ID:iWfoDU/E
でもみんな文体一緒だよな
2ch的な文章っていうか…
632創る名無しに見る名無し:2011/06/23(木) 17:38:29.13 ID:X7MASAuy
いい加減自演やめろ
文体でマルバレなんだよ
633創る名無しに見る名無し:2011/06/23(木) 20:36:06.35 ID:vlSFQ7Tp
>>632
いい加減自演やめろ
文体でマルバレなんだよ
634創る名無しに見る名無し:2011/06/23(木) 21:50:35.43 ID:xD/QgWKW
>>633
いい加減自演やめろ
文体でマルバレなんだよ
635創る名無しに見る名無し:2011/06/23(木) 23:53:53.41 ID:6uiGK6bK
あれ…
単発IDばっかだ…
636創る名無しに見る名無し:2011/06/24(金) 00:47:30.85 ID:NZYuBOr7
したらば進行にしようぜ
そんで、単発がすぐにわかるように、全スレ同一ID表記にしよう
日付キャンセルなしで
637創る名無しに見る名無し:2011/06/24(金) 06:32:48.79 ID:vkO5sSEh
賛成
638創る名無しに見る名無し:2011/06/25(土) 22:04:52.35 ID:2Q/+S+uj
予約が来ているじゃん
坂本蒼星石組はそっちに行ったのか
639創る名無しに見る名無し:2011/06/25(土) 22:20:43.03 ID:UbBoG0ny
白髪鬼達が移動したのかもな
ガッシュもう死んでるからパピーが怖がるもの一個減ったし
640創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 02:02:28.88 ID:GCEVLbNO
出会わないって可能性もあるな
すれ違いとか放送の反応とかで
641創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 10:48:09.47 ID:GCEVLbNO
延長がなければ今日の夜に雪輝ウマゴンの投下だな
こっちはどういう風に転ぶのかな
642創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 14:59:44.76 ID:LoIMK4u5
こっちに投下するのかな?
したらば投稿でいいと思うが…
643 ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/26(日) 16:10:55.33 ID:W+f4eIwI
投下します
644”0(チャラ)”ンポランな未来  ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/26(日) 16:15:07.94 ID:W+f4eIwI


――理想はいらない。決して信じない。


天野雪輝はそう思う。
傍らに歩くウマゴンを強く意識しながら。

陽が上り、時刻は既に朝を過ぎ。
A-6はもう禁止エリアになっている。

あの時、遊園地にいた仮面の男と雛苺が
どうなったのかはわからない。
仮面の男は名前を知らないから死んでいたのかもしれないが
雛苺はまず生きているだろう。

移動を始めた時は
未来日記が再会を予知するかと思ったがそれもない。
あれだけ大きな火があがったのだ。
他の参加者が集まりかねない
遊園地からはもう離れたのかもしれない。
ウマゴンを見捨てて。

雪輝達がとった進路は途中で敵に足止めされても
安心して対応することができるB-7 を経由してB-6にある橋へと至るもの。
一直線に東を通らなかったのは地図に記載されている
真東にある大学から来る参加者と会わないようにするため。

ウマゴンは雛苺を探そうと主張するかと思ったが
そんなことはなく。
素直に雪輝の提案に従った。
少しだけうなだれながらも歩くその姿は
友を守れなかった無力感によるものなのか。
それともこうして雪輝と行くことへの抵抗がまだあるのか。
雪輝には判断できない。


645”0(チャラ)”ンポランな未来  ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/26(日) 16:17:18.39 ID:W+f4eIwI


――僕は全てを諦めてみせる。


B-6についた雪輝達の前にあるのは巨大な像、女神像。
タイルが敷き詰められた広い場所にぽつんと設置された
それは決してみすぼらしくはなく。
見る者の心をたしかに動かす強烈な何かを持っていた。


雪輝の未来日記の一番の利点は
所有者が傍観者で在り続けるのなら、かなりの生存率が見込めること。
そして一番の欠点は傍観者の性質であるが故に
周りのあらゆる事象を無差別に予知していくが
持ち主である雪輝の未来を予知してはくれない。
観測者以下の傍観者で在り続けることがどこまでできるかが
この未来日記の鍵。
ずいぶんと他者に阿る未来日記だと雪輝は改めて自嘲する。

それを踏まえて
雪輝は自分の方針について改めて考えを巡らせる。
雪輝がすべきことは他者への深入りを可能なかぎり避けて
傍観者としての立場を維持すること。
それと同時に最後の数名になるまで生き残っても
確実に相手を殺せる武力を確保すること。

その点、ウマゴンはある意味で理想的な利用対象と言える。
ガッシュを死に追いやったわだかまりを捨てきることはできないが
同時にガッシュが守ろうとした雪輝を見捨てようともしない。
近くなりすぎない適度な距離を保ちつつも背後から殺せる化物。

雪輝はただ参加者と表面だけ関わって
確実に誰にもバレずに殺せるとき以外は
情報の伝達者として動けばいい。

ウマゴンという善なる存在を介してならば、
無力な市民に向けられる無条件の信頼と
強者による顔のない者が享受できるくらいの
庇護を得ることができるはず。

軋轢を産みだし、扇動する必要は今のところない。
万が一、それが知られたなら参加者の雪輝への認識が変わってしまう。
雪輝が無力な傍観者から銃を持つ殺人者へと変わってしまう。
そこまで手札を切るのはもっと生き残りが減ってからでいい。

言葉の通じないウマゴンから雪輝の行いが漏れることはないだろうし、
雛苺も遊園地での事をどこまで正しく認識できていたのかは怪しい。

少なくともガッシュへの殺意を見ぬいたのはウマゴンだけ、
そしてウマゴンは今、雪輝といる。
雛苺から見た雪輝は由乃を止めようとしたが
諦め、殺そうとした少年がせいぜいと言ったところ。
まだ、取り繕うことはできる範囲だろう。

646”0(チャラ)”ンポランな未来  ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/26(日) 16:20:10.91 ID:W+f4eIwI

雛苺。
ローゼンメイデン第六ドール。
別の殺しあい、アリスゲームの参加者にして敗退者。

殺しあい。
それに臨むに際の雪輝の危惧。
それは外部勢力の介入。
望む殺し合いを中断されたことで
異世界の神、主催者が
このバトル・ロワイアルへの制裁が行うこと。
それは避けたい。

アリスゲームの主催者、“お父様”。
あらゆる世界を渡り歩く力を持っているのだろう存在。
それを聞いて真っ先に連想したのは時空王デウス。

デウスが“お父様”であったとしてもある程度のつじつまは合う。
未来日記所有者は狭い地域に集まるよう
因果律を操作したとデウスは言っていた。

アリスゲームもまた、雛苺が死亡した時代の戦いでは
初めて全てのドールが同じ時間軸に集まり、
狭い地域の中に集まっていた。
偶然とは思えない。
“お父様”もまた因果律を操作できると見ていいだろう。
『次期時空王を決める戦い』を開く際に
デウスはこれまで幾つもの闘いを戯れに開いてきたと言っていた。
もしも二つの殺し合いが同じ存在に開かれたのなら危惧は一つ減ることにはなる。

デウスの寿命はもう尽きかけていた。
彼が異世界に干渉することは不可能だろう。
必然、このバトル・ロワイアルが外部から壊される危険性は減る。
デウスが“お父様”だとしたら更に減る。
楽観視はできないが、死者の蘇生ができる殺しあいから
死者が蘇らない殺しあいに帰される要因は減るに越したことはない。

殺しあいの穴は恐らくこのゲームにもあるだろうと雪輝は考える。
例えばガッシュとウマゴンが参加していた『魔界の王を決める戦い』。
百人の魔物同士の殺しあい。
恐らくは途方もなく長い間、繰り返されたのだろうソレ。
イレギュラーはあった。

石版の魔物。
前の戦いの敗退者。
敗退してはいても彼らは王が執行する最大の権限、
魔界の命の剪定から逃れるという大きすぎる利点もあった。
たった一人の魔物の力がそれを為した。
伝統と秩序ある殺しあいも些細なことで例外を産みだすのだ。



647”0(チャラ)”ンポランな未来  ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/26(日) 16:22:18.49 ID:W+f4eIwI

外部介入と同じくらいに雪輝が恐れるのは
このゲームの穴がゲームの破壊を目論む者達に知られること。

ゲームが壊された後、
ガッシュ達のように死者が生き返る殺しあいに戻るのなら良いが
雪輝達の殺し合いはそうではない。
参加者の立場であってもゲームが破壊される欠陥だけは
隠匿しておきたい。
隠匿するにはまず、何がこのゲームの欠陥かを見極める必要がある。

情報が欲しい。
全てが幸せになる結末を迎えるために
中断されることなくみんなを殺すことができるようになる情報が。


思考をある程度に纏めあげ。
雪輝は女神像を見上げた。

その像の顔を眼にして、雪輝は顔を歪める。
眉間に深い皺をよせて、唇を噛みしめる。
一筋の血が、雪輝の破けた唇から零れる。

女神像の顔、その表情。
それは雪輝が一度も見たことがない
穏やかで安らかなもの。
口元を微笑で彩る母性の現れのようなその表情。

「ゆ……の……!?」

予想もできない物を眼にした雪輝は驚愕の声を漏らす。
女神像、それはたしかに雪輝が見殺しにしたばかりの
我妻由乃の姿をしていた。
648”0(チャラ)”ンポランな未来  ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/26(日) 16:24:35.63 ID:W+f4eIwI


――何だコレ?

混乱した頭で雪輝は考える。
何故こんなところに由乃の像がある。
何故、由乃が女神像のモデルに選ばれる。
由乃は。何を隠していた?

「女神……?」

我妻由乃にこれほど似つかわしくない言葉はないだろう。
ないはずだと雪輝は強く自身に言い聞かせる。
それとも、雪輝の知らない一面が由乃にあったのか。

「行こう、ウマゴン」

生理的な強い不快感。
それに抗いきれなくなった雪輝は隣に立つウマゴンにそう声をかける。
ガッシュの死に少なからず関わっている由乃の姿をした女神像だ。
ウマゴンとしても見ていて気分はないだろう。

雪輝がそう思っていたのとは反対にウマゴンは女神像へと近寄り、
親しげに鳴く。

「ウマゴン?」

ウマゴンの行動に疑問を持った雪輝は
ウマゴンの近くにより膝を曲げて
彼と同じ頭の高さにする。

ウマゴンの前にあるのは一つの文章。
それを解読するのに一瞬、間があいたのは
その文が異世界語で書かれていたせいではなく。

「鏡文字か」

反転された一つ一つの文字で構成されたセンテンス。
土台に刻まれたそれはこう書かれてあった。


〜〜常闇の鏡と闇の宝玉〜〜
〜〜血を捧げた果てにそれはあり〜〜


――僕が求めるのはバカみたいな夢、幻じゃない。
   ただ間違った方へ進んでしまった現実を“0”にしたいだけ。
   そうだ。僕の道に王が受けるような喝采はいらない。
   …………祝福もいらない。

649”0(チャラ)”ンポランな未来  ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/26(日) 16:26:57.67 ID:W+f4eIwI


【B-6・女神様の像前/一日目/午前】

【天野雪輝@未来日記】
[状態]:健康、心の力の消費(中)
[装備]:無差別日記@未来日記、、ガッシュのマント@金色のガッシュ・ベル、投げナイフ(14/15)@未来日記、IMIウージー(27/32)
[道具]:基本支給品 ×2、IMIウージーマガジン(2)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して全てを元通りにする?
1:ウマゴンを利用して、他の参加者に取り入る。
2:情報を集める。そしてゲームの破壊に繋がるようなものは隠す。
3:東の橋を渡る。

[備考]
※参戦時期はDiary46.5終了以降からの参戦です。
※雪輝は自分の中の矛盾に気づいていません。
※雪輝は女神像の外見を由乃であると認識しました。
他の参加者もそうであるかは不明です。
【シュナイダー@金色のガッシュ!!】
[状態]:心の力の消費(小)、右目失明、
[装備]:なし
[道具]:魔本@金色のガッシュ!!、基本支給品、マキビシ@バジリスク〜甲賀忍法帖〜、煙草@現実
[思考・状況]
基本行動方針:ガッシュの思いを継ぐ。仲間と共に主催を撃破して清磨たちのいる所へ帰る
1: 睡眠中
2:雪輝と同行する。

[備考]
※第一放送をしっかりと聞いていません。ガッシュが死んだことだけは理解しましたが、他はどの程度聞いていたかはわかりません。
※右目の後遺症については不明。洗浄し、消毒液をかけた程度の処置しかしていません。

650 ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/26(日) 16:29:20.68 ID:W+f4eIwI
以上で投下終了です
651創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 19:13:04.52 ID:GCEVLbNO
投下乙です
女神像になにやら不可思議なギミックが…
雪輝はステルス狙いか
それで対主催メンバーにまた入ってもまた自分の心が傷つくんだろうなあ

シュナイダーの状態表の思考欄の1がまだ睡眠中になっていますが、これはミスでしょうか?
652 ◆1yqnHVqBO6 :2011/06/26(日) 19:19:09.20 ID:W+f4eIwI
>>651
あれ、本当だw
ウィキ収録の時に直しておきますね。
指摘感謝です。感想も大感謝。
653創る名無しに見る名無し:2011/06/28(火) 21:17:59.93 ID:JGA0nJjo
投下乙です

ステルスで優勝狙いだが冷酷に成り切れないと言うか……痛々しいな
そしてなんか不可思議なギミックが…
654創る名無しに見る名無し:2011/06/29(水) 07:22:50.47 ID:aLSr8H5l
>>651
>>653
あれ…文体が一緒だ…
655創る名無しに見る名無し:2011/06/29(水) 18:43:20.33 ID:SdvObllZ
久々にこんなわかりやすい自演を見たw

作者乙です
656653:2011/06/29(水) 23:07:16.63 ID:QTfdGTeH
人の感想にまでいちゃもん付けるなよな
657創る名無しに見る名無し:2011/06/30(木) 10:34:57.26 ID:e34Le2vG
654らが疑うのも分かるし、かといって真相がどうだかは分からない
ただ、反応すべきではなかったのは確かだと思うよ、653
658創る名無しに見る名無し:2011/06/30(木) 13:24:36.12 ID:Tl2vGaMY
そりゃ人がいないんだから自分で感想書いて水増しさせるしかないって
659創る名無しに見る名無し:2011/06/30(木) 22:26:13.87 ID:8c6j9gYv
誤解されたくないなら感想くらい自分の言葉で書けよ
その後の指摘も含めての自演なのか?
660創る名無しに見る名無し:2011/06/30(木) 22:44:29.05 ID:l6fkchPh
いちいち下衆な勘ぐりするほうが駄目なんじゃないのか?
661創る名無しに見る名無し:2011/07/01(金) 03:41:25.10 ID:e4USwzsd
いや、単発IDの自演とかが疑われてる時に、ケツ振って誘うようなレスする奴も確信犯(誤用だろ
662創る名無しに見る名無し:2011/07/01(金) 20:28:01.73 ID:CL8q/5+I
さすがに最初のゲスの勘ぐりしたゲスと同じはないわ
663創る名無しに見る名無し:2011/07/01(金) 21:19:41.57 ID:p6yIO0uB
クソみたいな自演ばっかだな
664創る名無しに見る名無し:2011/07/02(土) 00:32:36.47 ID:fcQuXqeF
612か・・・
665創る名無しに見る名無し:2011/07/04(月) 18:07:48.41 ID:lG5aNmNx
自演感想なんて誰が困るわけでもないんだから放っておけばいいだろ
書き手が自演で感想つけなくてもいいようなロワにすれば何ら問題ないんだし
666 ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/10(日) 01:10:33.63 ID:uQkjTCnH
投下します
667All You Need   ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/10(日) 01:15:22.32 ID:uQkjTCnH

雪が舞い、三人の男が殺し合う。
三人。だが彼らは状況を二対一にしようとはしていない。
殺すことを躊躇うような情を持つ理由もない。

殺し合いは膠着寸前。
だが筑摩小四郎、戦場マルコ、浅倉威。
その誰もがここから退くことをまだ考えていない。

単純な実力で言うならば浅倉が一歩リードしている。
それは経験が違うから。
殺してきた命が違いすぎるから。
そして、浅倉には…………

楽しげな声をあげながら、
仮面ライダー王蛇は手にある片手剣を振るう。
狙うのは戦場マルコ。
護神像に蓄積された幾億もの“願い”を己の愛でねじ伏せ、受け入れ、
アムルタートに“願い”を求める者と認められた男。

一閃。
マルコの首が宙を舞う未来が誰の眼にも映っただろう攻撃。
それをマルコは避けようとはせず、
逆に浅倉へと一直線に突っ込むことで
首筋に迫る刃を後方に置き去りにする。

間合いは額と額が当たりそうなほどの近さ。
攻撃の手段は無い。
普通ならばそう思うだろう。
だがマルコはアムルタートと合体し、
頭にいくつもの樹である触手を生やしている。

頭から武器が生えている。
それは、零距離攻撃が可能なことと同義。
戦場マルコは最短距離をとり、
浅倉へカウンター頭突きを仕掛ける。

額を襲う強烈な衝撃。
それを浅倉は嬉々として同じく頭突きで迎え打つ。
幾層にも積み重なった雪原。
縫い付けるように踏みしめられた二人の足。

衝撃が体全体へと額から体全体へと響き、
足元の雪を爆発したかのように吹き飛ばす。
浅倉とマルコの姿を覆い隠すような膨大な雪。
それが二人の顔へと引き寄せ、渦を巻くかのように一点へと吸い込まれる。
空気のねじれ。

直撃するかしないかの瞬間。
ぶつかりあっていた二人は大きく後退し、舌打ちする。
浅倉は無傷。
だが対するマルコは攻撃したところを襲われたせいか
僅かながら頭部に傷を負っている。

668All You Need   ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/10(日) 01:17:28.07 ID:uQkjTCnH

残る一人。筑摩小四郎はこの中では一番弱い。
身体能力は人間の常識を超えているが
それでも人間という分類からは逸脱しきれていない。
その程度の身体能力でも場の撹乱に専念されると
浅倉やマルコといえど捉え、殺すことは難しい。
そして、チョロチョロ逃げまわるならば無視して残りを殺そうとしても。
闘いの合間、隙を見計らって一網打尽にしようと割りこんでくる真空による攻撃が
放っておいても無害とは認識できなくさせている。

殺し合いが持久戦へと移行する空気を帯び始めた頃。
行動を起こしたのはマルコ。
狙いはやはり浅倉威。
大きくふりかぶられた巨大な拳が
大槌のように浅倉の頭部を潰そうとする。
だがそれは見切ることが容易な攻撃。
嘲るように笑いながら浅倉は半歩下がり攻撃を避ける。

そして片手に握られた剣、ドリルのような刀身を持つベノサーベルが
再びマルコへ振るわれる。
下弦を描く斬撃が雪の輝きを反射し白銀の月を作り、命を刈ろうとする。

「あめえよ」

剣がマルコの数センチ横で止まる。
浅倉の、仮面ライダー王蛇の身体中に蔦が巻かれ、
動くことを不可能にさせている。

マルコの狙いは雪。正確に言うならば雪に含まれる水。
アムルタートの産みだす木は水によって成長が加速する。
雪を媒介にした木を用いた攻撃のスピードアップ。
予想外の攻撃に浅倉は避けることができず。
巻き付かれた蔦から逃れようと必死にもがく。

だが、その攻撃を嘲笑うかのように浅倉とマルコの間の
空気がひゅるるるるるるるると変質していく。

寸前、マルコは足元に創っておいた木のバネを足場に大きく跳躍する。
方向は筑摩小四郎。
高速で空を飛ぶマルコ。
彼の右手は小四郎の首を掴み、そのまま浅倉の視界から消える。

残された仮面ライダー王蛇は射程距離から外れたことから
拘束から脱するが真空から逃れることができず、頬を大きく抉られる。


――筑摩小四郎は己の忠義を貫く。
   幼少の頃より目をかけ、ここまで導いてくれた薬師寺天膳。
   そして、里の次なる頭領である朧。
   彼の全ては彼らに賭ける。
   右眼で薬師寺天膳を後を見て、
   左眼で姫である朧を見続ける。
   それでいい。それでいいのだと小四郎は信じ続ける。
   二人の道が違えることなど、ありえないのだから。

669All You Need   ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/10(日) 01:20:08.73 ID:uQkjTCnH

……………………………………………………………………………………。


「俺と手を組め」

浅倉は既にまき、“ある場所”に行くよう仕向けた。
彼女たちが死んでいるかは不明だが殺してくれるのならば万々歳だ。
そう、戦場マルコは思う。

右手で小四郎の首を締め上げながら、マルコは言う。
酸欠で変色していく小四郎の顔を無表情に見つめながらマルコは続ける。

「断言していいがテメエは絶対に勝てねえ。
 テメエの攻撃は種が割れれば避けるのは簡単だし
 身体能力も狙いを絞れば捉えられねえって程、高くはねえからな」

残酷な事実にも聞こえかねない言葉をマルコは小四郎に浴びせる。

「だが、サポートとしてなら別だ。
 テメエの空気を操る能力は冗談抜きに強力だからな。
 二人一組で相手を潰しにかかればメチャクチャに強力だ」

マルコは冷淡に言葉を述べる。

「なあに、最後まで一緒にいろってわけじゃねえ。
 適当なところで同盟は解消していい。
 生き残るのは一人だからな。
 そうなったらテメエは迷わず俺を殺そうとするだろうし、
 もちろん俺も躊躇わずテメエを殺す」

マルコは小四郎の眼を見る。
そして通告をする。
それは、死刑宣告にも近く。
また、小四郎がマルコに
小四郎を殺す理由を与えてくれるのではないかと
どこか期待する響きも持っていた。

「手を組むのがOKなら。頷きな」


――マルコはもう迷わない。
   誰が相手であろうと情はかけない。
   それが父に捨てられた少女であろうとも、絶対に。
   マルコの魂の伴侶は失われた。
   マルコの未来は“愛”によって紡がれていた。
   戦場マルコは決して“愛”を見捨てない。
   だからマルコは何があろうと……愛を必ずとりもどす。
   死の壁を越えて未来をとりかえす。
   二人の永遠をこの手で掴む。
   愛が、奪われたのならば。
   賽が、投げられたのならば。
670All You Need   ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/10(日) 01:22:09.89 ID:uQkjTCnH


【B-1 雪原/1日目・午前】

【筑摩小四郎@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:首筋に痣。疲労(中)
[装備]:鎌@バトルロワイアル 、人別帖@バジリスク〜甲賀忍法帳〜
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:天膳様と姫様(朧)を守る。その為にも一刻も早く合流したいが……。
1:天膳と朧に会うまでマルコと手を組み参加者を減らす。
2:坂本に対する僅かな不信感
※香川英行の名前を知りません

【戦場マルコ@未来日記】
[状態]:疲労(中)、頭部に傷
[装備]:交換日記のレプリカ・戦場マルコ用@未来日記、
     常勝無敗のケンカ日記のレプリカ@未来日記、 アムルタート@waqwaq
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:愛をとりもどす
1: 皆殺し。(まずは桜見タワーに行く?)
2:小四郎と手を組む
3:好きなだけ恨んでいいぜ。金糸雀に平のオッサン。


671All You Need   ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/10(日) 01:25:34.52 ID:uQkjTCnH


…………………………………………………………………………………………………。


浅倉威はひたすらにマルコと小四郎が飛んでいった方角を走り続ける。
装甲を越えて自らに傷を負わせた
あの二人の姿が瞼に、脳に焼きつき、
飽くなき衝動に我を失った蛇のような衝動が内で暴れ続けている。

叫ぶ。
浅倉威は叫ぶ。
闘いを求め、己の衝動を鎮めるために脚を動かし続ける。

朝日が雪を美しく照らそうとも。
行き着く先が目を奪うような美しさを持つ宮殿であろうとも。
浅倉威には、なんの意味もない。


――浅倉威は何も求めない。
   正確には何かを求めるということを知らない。
   浅倉威の手には何もなく。
   浅倉威の眼は何も見ていない。
   己の衝動にただ狂い続けるだけ。
   ただ快楽のために殺すことを望むだけ。
   浅倉威の願うもの。強いて言えばひたすらの闘争。
   浅倉威は誰も必要としていない。
   だから、決して絶望せずに歩き続けることができる。



【A-1 雪原/1日目・午前】


【浅倉威@仮面ライダー龍騎】
[状態]:興奮状態、極度の苛立ち、右腕骨折(応急処置済)、ダメージ(中)、満腹、
     顔に大ダメージ、あああああああああああああああああ!!!!!!!!
[装備]:スコップ
[道具]:基本支給品×2、カードデッキ(王蛇)、不明支給品3〜4、首輪(霞刑部)
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを楽しむ
1:戦場マルコ、筑摩小四郎を殺す殺す殺す殺す。
2:二人が行ったと思われる方向を進む。

[備考]
※浅倉は名簿をよく確認していません。
※坂本のことは忘れているかもしれません
[参戦時期]
不明 後の書き手にお任せします。

672 ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/10(日) 01:27:35.10 ID:uQkjTCnH
以上で投下終了です
673創る名無しに見る名無し:2011/07/10(日) 20:55:47.57 ID:fVXfYPn1
投下乙!
とりあえず一言
金糸雀と平さん逃げてえええ!
マルコは小四郎と組んで、苛立ちMAXな浅倉は城へ
なんだかんだでスッキリとした闘いに恵まれていない浅倉の苛々でクリスタルパレスがやばい!
そして小四郎が一体今後どう動くのか
674創る名無しに見る名無し:2011/07/11(月) 21:41:18.98 ID:nRdf6upG
投下乙です!
苛立ち+興奮状態の浅倉とはなんて恐ろしいものを……
そしてマルコと小四郎のペア結成か。
こっちもこっちで怖いなぁ。
675創る名無しに見る名無し:2011/07/12(火) 15:23:39.69 ID:ycX9dUB0
投下乙です

怖くて嫌な連中しかいねえw
三すくみの戦闘の後で生れたのはマーダーコンビと荒れ狂う野獣か…
城にいる連中は逃げろおォ
676 ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/14(木) 04:39:42.12 ID:WurTpKGM
投下します
677賢者、歴史の道標とダベる  ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/14(木) 04:43:16.64 ID:WurTpKGM


時が無為に流れる。
ここで時の定義を明確にすることほど愚かなことはないが
いくら待とうとも“愛”に縛られた哀れな男はやってこない。

「未来が変わったか」

ヨキは口の端を吊りあげる。

「そんなこともあるだろう。
 因果を司る神は死んだのだから」

これ以上の皮肉はないとヨキは思う。

ヨキは望遠鏡を通して、闇を覗く。
深く、深く、暗い空間が世界の果てで蠢いている。
侵食は人の歩みと比べたら緩やかに、
だが起こっている事態だけを正確に観測すれば驚異的な速さで進んでいる。

「闇。闇……
 こうして改めて見ると恐ろしいものだね」

望遠鏡からは眼を離し、
少しだけ曲げていた腰を労るかのように
伸びをしながら背後へ語りかける。

それはヨキが殺し合いを共にする
スプンタ・マンユへの語りかけか。

いいや、違う。
語りかけるのは背後に設置されていた大きな姿見に映る男。
男の表情は能面のようにのっぺりとしており
その姿はどこか茫漠としていた。

「お前にも恐れるものがあるのか。
 黒き血の賢者」

その言葉を文面通りに受けとるのなら。
その男がヨキの言葉を意外に思ったということか。

いいや、違う。
彼の声は抑揚を失ったように平坦であり。
起伏は長い時を過ごしてきたことで磨り減り錆びついた
金属音のようにも感じられる。

それは、まさに。

「そうさ。私は闇が怖い。
 百億の夜を独りで過ごし。
 いくら空を見上げようとも。
 闇の本質を見極めることはできなかったよ。
 あれは眼に見えるモノの外にあるからね」

砂漠。荒廃した街並み。
そこで裾の長いコートを纏い、ひとり佇む姿。
そんな光景が簡単にヨキには想像できた。

678賢者、歴史の道標とダベる  ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/14(木) 04:46:19.72 ID:WurTpKGM

「お前は賢者ではないのか?」

「賢き者は知っている」

ヨキはようやく男の声が聞こえてくる背後を見る。
そこにいたのは鏡に映った男の姿だけ。
鏡に投射されるべき実体が
ヨキの視界に映ることは永遠にないだろう。

「眼に映るモノは現実であり真実」

そして。

ヨキは静かな声で男へとそう語りかける。

「眼に映らないモノを人は真理と呼ぶのだとね。
 真理を壊すのは賢人の役目ではない」

それは静かな声。
静かな声は平坦であることと同義にはならない。
だから、それがとても優しく響く声色であっても
深淵よりもはるかに深い憎悪を潜ませることができる。

「神の役目さ」

その憎悪は目の当たりにすれば多くのモノが震えただろう。
だが男はそれが彼自身にも浴びせられていることを
自覚しながらも動じない。
彼にはもはや赤き血の流れる体はない。
死もなく。あるのはただの絶望の果ての自害じみた消滅のみ。
それを知っている男は表情を変えない。

「俺は優衣を死なせないためだけに動く」

男はただそれを告げる。

「決して死なせない」

それが答えだと言うかのように。
それが答えで在り続けるのだと証明するかのように
男は平坦な言葉に僅かに力をこめる。

「お前は願いを掴むための首輪を持ってはいない。
 この世界を流れる想波に
 実体も持たず触れたのならば一秒と経たずに融けていくだろう。
 そしてこの闘いがどう転ぼうとも時はもう戻らない」

「わかっている。
 これが最後だ」

「そうさ。
 もはやここがあらゆる歴史の、因果の終着点だ」

「過去も未来も。現在すらここにはない。
 俺は、俺のすべきことをするだけだ」

679賢者、歴史の道標とダベる  ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/14(木) 04:48:44.64 ID:WurTpKGM

これは会話かただの言葉の羅列か。
それを判断できるのは当事者のみであり。
彼らが無意識の海の何処に足を浸しているのか。
それすらもわかることはできない。

「予定通りに。
 コトは俺が殺す」

それを最後に、男は鏡の中からも姿を消した。

波が引いたかのような静寂が場を満たす。

「愚かな男だよ」

残された黒き血の賢人は呟く。

「幾百万の悲劇を踏みにじり。幾千億の絶望に溺れながらも。
 ひとり、歴史に干渉し。多くの人の因果に関わり。
 望む結末のために時を繰り返し続けるとはね」

思いだすのは想い出せない時。
自我もなく、
ただひたすらに歯車の一部として働かされた時。

ただ一つの言葉が、投げられた石が波紋を起こすかのように
無いはずの心を震わせ。
黒き血の人形の内に果てしない海を持たせ。

機械人形はいつしか黒き血の人になった。
たった一人の目覚めは、不思議と他の人形たちの目覚めにつながった。
まるで彼らが皆、同じ無意識の海に足を浸して繋がっていたかのように。

「その“願い”。愚かで、憎き男だ。
 もはや赤き血を持たぬ身であろうとも。
 お前がやってきたことは、私の心を醜くざわつかせる」

そして人になった元人形達は強固な意志を持ち。
武器を手に長き時を闘った。
戦友たちがみな死んで。
百億の夜をひとりで過ごし、
彼らの顔が砂のように心から零れ落ちたとしても。

「お前のことはこう呼ぶべきだろう」

始まりの言葉だけは忘れたことがない。

「“歴史の道標”。神崎士郎」


――私たちに自由を!!

680賢者、歴史の道標とダベる  ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/14(木) 04:50:46.29 ID:WurTpKGM


【E-4/桜見タワー/午前】

【ヨキ@WaqWaq】
[状態]:健康
[装備]:スプンタ・マンユ@WaqWaq、首輪探知機@オリジナル 、ヒミコのレーダー@BTOOOM!、
    夜叉丸の糸@バジリスク、スタンガン@BTOOOM!、BIM(タイマー型)@BTOOOM!(8/8)
[道具]:基本支給品×3、手鏡、果物ナイフ
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して赤き血の神を抹殺する
1:誰も来ないので移動する

※美神愛の日記はすべて破棄されました。
※ヒミコのレーダーは手に埋め込むことはできませんが意識を集中させることで
 レーダーの役割を果たすことはできます。感度は当然普通に使うよりも落ちます。

681 ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/14(木) 04:52:53.39 ID:WurTpKGM
以上で投下終了です
682創る名無しに見る名無し:2011/07/17(日) 17:45:04.93 ID:9xlvivee
投下乙です

これは色々と意味深な…
683創る名無しに見る名無し:2011/07/22(金) 12:24:37.69 ID:8jFwLBks
誤爆の>>988ってここのことだろ
あの話自体は悪くないが流れから浮いてるよね

はいはい。読み手様の戯れ言ですよ
684創る名無しに見る名無し:2011/07/24(日) 01:42:28.20 ID:HWApDpJw
どのキャラが気になる?
自分は雪輝かな

他の気になるのは全滅したし……
685創る名無しに見る名無し:2011/07/24(日) 01:45:15.86 ID:JJ1PrnWF
みねねチームとか
686創る名無しに見る名無し:2011/07/24(日) 11:36:02.36 ID:UCNmehAm
あの三人はなんか良いよね
遠近のバランスもいいし頭もいい
さらに大学へと移動として大多数が死んだ戦闘回避する強運
687創る名無しに見る名無し:2011/07/24(日) 11:41:04.52 ID:JJ1PrnWF
あとは勃発するだろう金糸雀VS浅倉とかかな
金糸雀もけっこうなロワに出てるけど
万全の状態で戦闘に臨むのって初めてだろうし
688創る名無しに見る名無し:2011/07/24(日) 13:34:08.97 ID:UCNmehAm
愚痴に聞こえるかもしれないけど七原たちは無理にチャンのところに行かさないでヨキ先生と会って欲しかったな
七原秋山はヨキ先生と絡むとすごい化学反応をひきおとしそうな赤いでしょうか血の人間だし、真紅も人形(ワークワークでいう機械)の身でありながら人間との絆を力にするし
こっちの三人組も期待してたんだよな…

生存で気になるのは桐山かな
秋山との再戦フラグはバッキバキだけどまだまだ気になるな

689創る名無しに見る名無し:2011/07/24(日) 13:52:18.50 ID:308N6c3H
参戦時期次第だけどあれがきらきーだとしたら
桐山はきらきーとも地味に強いフラグをもってそうだな
ヨキ先生は翠星石と会っても面白いことになりそう
690創る名無しに見る名無し:2011/07/24(日) 15:56:43.54 ID:308N6c3H
>>688
恵理に変身されて瞬殺される秋山の絵がスムーズに再生されたw
691創る名無しに見る名無し:2011/07/24(日) 20:39:40.02 ID:HWApDpJw
>>689
あれって何のこと?
何かあったっけ?
692創る名無しに見る名無し:2011/07/24(日) 22:40:02.43 ID:308N6c3H
放送の時白薔薇って言われた誰かが出てたから
原作だとめぐってきらきーに洗脳さられてる状態だしさ
693創る名無しに見る名無し:2011/07/25(月) 12:13:38.23 ID:ZuK3CN5G
真紅がどうなるかだよな
皆が期待していたであろう七原と秋山と関わり深いのが真紅だけだし
原作の主役ってか少なくとも第一放送前の主役っぽく書かれていたキャラいないから真紅や雪輝に期待している
694創る名無しに見る名無し:2011/07/26(火) 21:03:53.08 ID:G8Wd6bvA
金糸雀は変に策に走らなければ薔薇乙女上位なんだよな
さて、浅倉との対決はどうなるか…
695創る名無しに見る名無し:2011/07/27(水) 00:00:16.54 ID:ScCCjNXn
薔薇乙女一の頭脳派に策に走るなってお前
カナからそれとったら何が残ると
696創る名無しに見る名無し:2011/07/27(水) 01:22:22.39 ID:fJl5pzqz
でも自称策士が策に走ったらただのいたずら少女じゃないかw
それがいいって連中もいるのは知ってるがw
697創る名無しに見る名無し:2011/07/28(木) 03:32:02.08 ID:X5KCT1h5
test
698 ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 03:33:37.29 ID:X5KCT1h5
投下します
699金色の彼に花束を ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 03:35:09.05 ID:X5KCT1h5


そこは遊園地の待合室。
けれど置かれた質素な備品はそこをまるで監獄かのように見せていた。
あるのはベンチとテーブルと安物のパイプ椅子。
そして鏡だけ。
普通ならばありそうな
子供のための着ぐるみや人形、おもちゃのたぐいは一切ない。

窓からさす陽が少しでも
部屋を明るく見せるのではないかと思っていたが、
現実はただ四隅を照らし、物品の少なさを際だたせるだけだった。

放送が流れるまで。
光が入ってくる窓から、
杉村は何度も外を見渡しあの少年を待っていた。

仮面ライダーの力を調べ、
カードなるものの効果を知ることができたのは大きな収穫だった。

それでも幾度となく火の海へと飛び込み探しに行こうか迷ったが、
ここには気絶したままの少女の形をした人形がいる。
逃げる場合、キャンチョメが彼女を抱えて逃げるのは
彼の術を見ても少し酷だろう。

それでも杉村弘樹は少年とまた会いたかった。
親友であるキャンチョメと会わせてやりたいというのももちろんある。

少年の死を知らされてもまだ。
火の中に飛び込み。
友を、命を、
助けに行こうとした彼の姿が瞼に焼きつき離れない。
あの迷いのない眼。小さくても力強い背中。

ガッシュ・ベル。
もう二度と会えないと放送により知らされた少年。
ほんの短い出会い。
彼が杉村に伝えた言葉は杉村の心から離れることはなく。

「牙でも、爪でもない武器。か」

同時に知らされた親友の再度の死。
どちらも杉村にたしかな衝撃を与え。
けれども我を忘れるほど悲嘆にくれるということもなかった。

つくづく薄情になったものだと杉村はため息をつく。
ガッシュ・ベルの死に悲しみ大声をあげて泣いていた
キャンチョメを見つめながら思う。

「それで。これからどうするヒロキ?」

赤い眼をこすりながらもキャンチョメは杉村にそう聞く。
鼻水だらけだった顔で、涙を流しきって乾いた眼でキャンチョメはそう聞く。

「お前はどうすればいいと思う?」

パイプ椅子にだらしなく背を預けながら
杉村は質問に質問で返す。
700金色の彼に花束を ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 03:36:34.76 ID:X5KCT1h5

杉村の中で何度もリピートされるのは
先程の乱入したあとに起こった一部始終。
己の心に背くことをしたとは思わない。

けれども、あの馬、ウマゴンもまたキャンチョメの親友であり、
生きてはいるようだが詳しい状態を知ることはできない現状にしてしまった。
キャンチョメはそのことを教えられても杉村を怒り、憎むことはしなかった。

いや、こんな今だからかもしれない。
共にいる杉村を否定するのはこの殺し合いに独りで立ち向かうのと同義だから。
唯一の同行者を突き放すのはこの糞ったれなゲームでは大きく死に近づく。

俺は何をしたいんだろうか。
杉村は繰りかえし己の心に問う。
キャンチョメの友を攻撃し。見殺しにして。心に傷を負わせ。
俺が得たものはなんなのだろうかと。

杉村の脚は動こうとしてくれない。
杉村の心は挫折から奮い立とうとはしてくれない。

「考えたんだけどさ」

そこにあるのはどこか杉村を勇気づけようとするような。
気遣うような響き。

キャンチョメも同じくパイプ椅子に座っているが
そもそも背の高さからして違う。
向かい合う杉村からはテーブルに
アヒルのクチバシが乗っているだけのように見えてしまう。

その愛らしく、幼い姿。杉村はあらためて認識する。
目の前の奇妙な姿をしたアヒルの彼も間違いなく子供だ。

子供から親友を奪う原因の一つと自分はなってしまった。
その思いは罪悪感となって
茨のようにじくぅりじくぅりと杉村の心を苛む。

「聞いてる?」

キャンチョメの言葉で弱く堕ちそうな心を立て直し、
だらしなく崩れていた姿勢も改める。

「すまない。えっと、どこへ行くかという話だっけ?」

「うん。さっきの放送を見て思ったんだけどさ」

キャンチョメは待合室に置かれている鏡を指さす。

「当然と言えば当然なんだろうけどさ。
 放送のとき、鏡に写るのと首輪とか小さなものに映る影じゃあ。
 映すものが大きい方が大きく見えたんだよね。
 鏡だとほとんど全身が映ってたりさ」

杉村はキャンチョメの言葉に放送の時を思いだす。
そうだったろうか?
いや、あのときは三村達の死の衝撃でそこまで
注意してみることなんて自分にはできなかった。
701金色の彼に花束を ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 03:38:32.15 ID:X5KCT1h5

「すごいな。キャンチョメは」

心から感心して杉村は賞賛する。

「え、えへへへへ。やめてよ照れるから!」

涙にかすれた声でキャンチョメは胸を張って笑みを浮かべる。

ああ、この子は強い。
少なくとも俺よりはずっと。
杉村は無力な結果しか産まなかったデッキを知らずに握りしめる。

「でさ。地図をよく見なおして見たんだけども。
 砂漠にはオアシスがあるみたいなんだよね」

そこまで言われて杉村もようやく合点がいく。

「なるほど。鏡としての広大な水か。
映すものが大きければ大きいほど
こちらからも相手が見えるんだもんな」

「どう思う?」

杉村は微笑みながらキャンチョメの提案を首肯する。

提案が間違っていなかったことに喜ぶキャンチョメ。
彼の手にあるのはガッシュの形見とも言える紙粘土が握られていて。
まだなんの形にもなっていないソレが
キャンチョメとガッシュの絆の強さを教えてくれる。

それと共に渡されたガッシュの言葉。

きっと、ガッシュとはまた会うことができる。
そう思って、信じていた杉村は
キャンチョメにまだその言葉を伝えていない。

「とりあえずは」

杉村はベンチに横たわる少女人形を見る。
気休め程度に布団替わりに調達してきたカーテンを敷いてその上に寝かせた少女。
安らかに眠ることができているように見える少女。

「この子が目を覚ましてからだな」

702金色の彼に花束を ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 03:42:22.19 ID:X5KCT1h5

………………………………………………………………………………………………………。


ここは雛苺の世界。
第82633世界。
お菓子と、おもちゃ。
たくさんの楽しいものにあふれた世界。

だからみんな楽しく遊んでいる。
ここでは何も辛いことはない。
真紅達と殺しあわなければいけない絶望も。
全てを焼き、喰らい尽くす
ザーバウォッカのような巨大で恐ろしい龍も。

なにもかもがいない。

「だってここは夢だもの」

たくさんの大好きな人に囲まれながら雛苺は独りつぶやく。

「だって夢は楽しいものだもの。
 明るくきれいなものだもの」

ほんの僅かに目を伏せ、睫毛に影を宿す。

「いつかヒナの眼が醒めて。
 みんなはまた殺し合いを強制されるの」

けれど。
せめて。どうかせめて。
時が経ち。瞼が開かれるその瞬間までは。
この安らかな世界で――――

暗転。焼失。消失。
そのどれかであり、そのどれもである現象が雛苺の世界を覆う。

目覚めの時が来たのだろうか。
そう雛苺は思ったのだけれど。
闇と呼べそうなほどの暗がりに光が射す。

そこは、広いお屋敷の中。
ほんの少し昔。
一緒に遊んでいたマスターが雛苺の前にいる。

悲しそうな顔。
憐れむような顔。

ああ、この顔は知っている。

「かくれんぼしましょう。雛苺。
 静かに。見つかるまで。
 鞄の中で待っていてね」

かつてのマスター、コリンヌは雛苺に諭すように言う。

「わかったわ。
 ずっと待っているわ」
703金色の彼に花束を ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 03:43:34.69 ID:X5KCT1h5

だめ。これはだめ。
知っているの。あなたがどういうつもりでいるのか。
これが決して終わることのないかくれんぼになるって。
あなたは決して見つけてくれることはないんだって。

そう、雛苺はコリンヌに言おうとして。
ここは夢のなかでも、この過去を今、見せられるのは苦しくて。

雛苺は、手を前に伸ばす。
コリンヌを引きとめようと手を、ただ前に。

けれども手は動いてくれず。
口は少し開いても音を出してはくれず。

雛苺が今いるのは楽しかった夢のなかではなく。
苦しかった過去の幻影。

知らぬ間に横たわっていたのは鞄。
寝心地のよいそこは。
これから起きる……起きたことを知っていると
棺にしか思えず。

雛苺は懸命に声をだそうと。手を伸ばそうと。

コリンヌはゆっくりと鞄を閉める。
降りてくる暗がり。
狭くなっていく光。

だめ。お願いやめて。
独りにしないで。
もう開くことのない暗闇にいるのは嫌。
雛苺はただそれだけを願って。
それでも、体は動いてくれなくて。

閉じられる瞬間。
ようやく雛苺の手はほんの少し動き。
コリンヌを引きとめようとして――――

なのに、どうしてか。
雛苺の小さい手。指先。
そこから白い白い茨が、肉を突き破るかのように飛び出し。

「さようなら。雛苺」

閉じられる瞬間。
コリンヌの顔は巴へと変わり。
無情な顔で、光を閉ざす。

「いや。いや。嫌。」

違う。この茨は違うの。
あの白薔薇はもう離れているのだから。
だからこれも夢。夢。
みんな、夢なの。

指を突き破り、蠢く触手めいた茨のソレ。
引き抜こうとしても掴む指を傷つけるだけで動きはせず。
704金色の彼に花束を ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 03:45:00.34 ID:X5KCT1h5

「出して」

雛苺は叫ぶ。
鞄の裏を必死に叩きながら。
体内から己を食い破ろうとする触手の脈動に意識を犯されながら。

「おねがい! だして!
 ここからだして! こわい! いたい!」

雛苺。ローゼンメイデン第6ドール。
最も幼い少女の形に作られたドール。
触れることすら躊躇われる。
笑顔ふりまくのが相応しい彼女。

その雛苺の胎を陵辱する白薔薇の棘、白薔薇の蔓。
雛苺の胎内でゆっくりと収縮しながらそれは動き出し。

「……ぁ。
 痛っ! …………いや! いや!
 ひとりにしないで! のり! 真紅! 翠星石! かな!」

白薔薇はここにはいない。
これはかつて起きた出来事の再生にすぎないのだから。

夢。夢。
なのに、触手はゆっくりと
内側で這うように領土を広げ。

「いやっ…………!」
705金色の彼に花束を ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 03:46:12.74 ID:X5KCT1h5

――雛苺はもうずっと鞄にしまっとこう。
――そうしましょう。
――いらないものね。
――おまえなんかいらない。
――だれがおまえを必要とするものか。

大切な人達の声が、否定の言葉をかたどって。

「あ、あぁ。あああああああああ!!」

茨は突き破りながらも皮膚の下を食い進み。
次第に顔へとそれは伸びて。

ついには右眼へと。

「助けて! 助けて!!」

鞄をいくら叩いても。声を張りあげても。
応えてくれるものは誰もいなくて。

茨はゆっくりと、静かに雛苺のアイボールを抉り、摘出して。
アイホールに白い薔薇が咲く。

「トモエ!」

夢のなかでも。
雛苺の精神は確実に喰い壊されていく。

「ジュン!!」

残る左眼が茨に包まれていく彼女の右眼を捉える。

それでも。
鞄が開けられることはなく。
706金色の彼に花束を ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 03:47:22.47 ID:X5KCT1h5

…………………………………………………………………………………………………………。


「これは!?」

部屋を埋め尽くすかのように発生した茨を見て
杉村は驚愕の声を上げる。

決して広くはない。
10歩も歩けば壁についてしまうようなそんな部屋。
その中で嵐のように茨が暴れる。

「キャンチョメ!」

よく見ればところどころに苺を実らせている棘の鞭が
キャンチョメに襲いかかる瞬間。
杉村は茨を背中で受け止め、キャンチョメを抱え大きく跳ぶ。
体内の肉が弾けるような衝撃が杉村の意識を揺らす。

「大丈夫かい弘樹!?」

身を案じるキャンチョメの言葉に杉村は頷くと
茨の海へと眼を向ける。

その動きはそう、渦に似ていて。
周囲のテーブル、椅子、鏡を粉砕し。
壁に深い傷をつける。

全てを壊すような茨。
その中心にいるのはガッシュから託された人形の少女。
その顔はよく見えず。
何か悲鳴のような苦鳴のような声が
聞こえるような気がしなくもないが
部屋を満たす破砕音が判別を困難にさせている。

「あの子に何が起こってるんだ!?」

困惑しながら破砕音の中、杉村は叫ぶ。

「わからない!
 けど…………」

震える脚を抑えつけるかのようにキャンチョメは
大きく足を踏み鳴らす。
その手にある紙粘土はまだどんな形をとってもいないが
確かな勇気をキャンチョメに与えている、

「すごくいやな予感がする。とめないと。
 ガッシュみたいに……死んじゃう前に」

707金色の彼に花束を ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 04:01:23.82 ID:X5KCT1h5

その声は震えていて。
今にもその場から逃げ出しそうな弱々しさを持っていて。
けれども奥底にあるのは強く輝く勇気。

「もう、怖いことから逃げるのはいやだ」

杉村はその言葉に応える代わりに
キャンチョメの隣に並び、魔本を受けとる。

ガッシュとの出来事から知ったこと。
パートナーでなくとも行使可能な魔本を通じての術。

「フォウ・スプポルク!」

魔本を開き、
異世界の言語を心で解読した杉村は高らかに
読み上げる。

相手へダイレクトに術の停止を命じる新たな術。
ガッシュの死が新たな扉を開けたのか。
少女を止めようとする意志がキャンチョメを奮い立たせたのか。
初めて発動した彼らが正しい効果を知らないとしても
動かない相手ならこれ以上ないほど有効な一手。

だが茨はさらに勢いを増し、壁に大穴を開け。
杉村達の皮膚を傷つけていく。

「外したのかキャンチョメ!?」

「たぶん違う!」

己の直感に確信を持ったキャンチョメは強く拳を苦悩に握りしめる。

「あの子の力が暴走しているんだ」

暴走。
ならこれは彼女の意志を超えたものなのか。
それとも彼女の意志が壊れた証なのか。
杉村には判断がつかない。
ならばどうするのか。
いや、どうにかできる選択肢があるのか。

眼に浮かぶ火の海に飛び込んだ
ガッシュはこんな時どうするのだろうか。
誰よりもCOOLな三村はこんな時、どんな手を打つか。

鋼の鎧を纏い、白銀の爪を生やし、牙を持つ化物を従えて
少女を討つしかないのか。

わからない。
なにもかもが。
無力感がまた杉村の心に重くのしかかる。
708金色の彼に花束を ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 04:02:27.36 ID:X5KCT1h5

「……あれ?」

眼が眩みはじめ、天と地の区別がつかなくなるような大渦の中。
キャンチョメの声が杉村を現実に呼び戻す。

「なんでボクたちは無事なんだろう」

杉村はその言葉に眼を見開く。

そうだ。
こんなに狭い部屋の中で、
こんなにも荒れ狂う茨に打ちつけられ、
そんな中、当然のようにあらゆる物が破壊されているのに。
なぜ杉村とキャンチョメは無事でいられるのか。

「キャンチョメ。
道をつくってくれ」

「だ、ダメだよ弘樹!
 ここは僕が」

「俺たちの武器は牙でも爪でもない。
 君の親友はそう伝えて欲しいと俺に言った。
 ……本当にそうだって心から信じられるか?」


杉村の言葉にキャンチョメは瞳を揺らがせる。

「俺はきっとそこまで強くはいられない。
 けれど、せめてそれが答えの一つになれるって証明したいんだ」

二人同時に気づいたありえる事実。
だがまだ一つの可能性でしかないもの。
それに賭けるには無手で望まなければいけない。
命を死地にさらさなければいけない。

だが。

「君の親友ならきっと諦めなかったと思う。
 思いたい。だから、キャンチョメ。
 俺に力を貸してほしい」

「……わかった!
 やってやろうぜ弘樹」

キャンチョメは親指を立てながら杉村に応える。
何度も茨に打たれ。
それでも死なぬ二人の男の眼。
その先にあるのは、何か。

「目指すは茨の海の中心だ」

魔本を片手に、ライダーデッキはキャンチョメに預け。
クラウチングスタートに近い前傾姿勢をとる。
709金色の彼に花束を ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 04:03:57.46 ID:X5KCT1h5

「ディマ・ブルク!!」

再度、術を高らかに読み上げると杉村は魔本を
キャンチョメに放り、走る。

その前を行くのは8体のキャンチョメの分身。
だがそれは全てはっきりと実体を持っており。
身を呈して杉村を茨から守る。

走る。走る。
茨の与えるダメージが大きくなろうとも
杉村は決して足を止めない。

3歩。
筋肉がちぎれかける音がその耳に聞こえても
進んだ距離はまだそれだけ。

だが止まってはいない。
四歩目、五歩目。
さらに、さらに!

「くっ……ううおぉ!!」

視界は既に棘の鞭が作った傷と血で埋まっている。
何も見えない。

それでも杉村は駆ける。賭ける!
少女が己の絶望に抗っているからこそ
自分たちは死なずにいられるのだと信じる。

あらゆる物を砕く茨が杉村達を破壊できないはずがない。
生身はそれほど強いものではない。

ならば、答えはきっと。
少女が懸命に傷つけまいとしているからだと
杉村とキャンチョメは信じる。
ガッシュはそう信じただろうと信じる。

目を閉じ。
あらゆる痛みが五感を叩いても、
杉村はただ前を見て。

閉じた瞼の先にも宝石のように尊く美しく輝くような光にむけて。
ただ前へ、両手を伸ばして――

手を伸ばし、脚を動かし。
全身で海を掻きわける。
ガッシュ・ベルが命を救うために炎の海に飛び込んでいったように。

そして、ついにソレを掴む。
守ってくれていたはずのキャンチョメの分身は全て消え。
剥き出しの攻撃が手加減なしかのように襲いかかる。

突き進む爪が剥がれ、体中が押し潰されるような悲鳴をあげる。
そして、その光が杉村の内にと直接触れて。
感情が濁流のように流れこむ。
710金色の彼に花束を ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 04:05:18.34 ID:X5KCT1h5

それは内に蠢く食い破る者への恐れ。
それは殺し合いへの強い忌避感。
あの遊園地を喰らった火の海が、混沌が、
彼女の中の何かを呼び起こしたのだろう。

だがその感情はきっとまだ対処できる。
懸命に抗おうと淡く輝くそれを感じることができるから。

彼女の恐れの元は、内に蠢く者は今はいないのだから。

茨の棘が体中を傷つけても杉村は構わず
人形の少女、雛苺を抱きしめる。
爪をもって引き裂かぬよう優しく、
爪に恐れを抱かぬようそっと。

そして、牙を剥かぬ口で力強く、
牙をもたない口だからこそ穏やかに言葉を伝える。

「俺達は」

感情の奔流が杉村の心までも壊そうとする。

だが、彼の瞼には炎の中で煌めく金色が色褪せず残り。

「君の味方だ」

その言葉、水面を伝う波のように雛苺へと送り。
揺らめく波紋のように彼女の心を震わせる。
711金色の彼に花束を ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 04:06:34.61 ID:X5KCT1h5


天井を埋め尽くしていた茨は幻だったかのように消え失せ。
雛苺を抱きしめたままの杉村は力が抜けたのか床へと仰向けに倒れこむ。

キャンチョメが歓声をあげながら杉村へ駆け寄ってくる。

「やったよ弘樹!!」

全身に傷を作ったキャンチョメは
同じく傷だらけの杉村に笑顔をむける。

「何やったか全然覚えてないんだけどな」

疲れきった顔の中に達成感を浮かべて杉村は応える。

「いや、もう凄かったんだよ!」

「どんな風に?」

ぼやける頭を起こすように頭を大きく振って、
杉村は尋ねる。

「ええっとねえ……」

顎に手を当ててキャンチョメは相応しい言葉を探す。

「足を動かして。
 両手を前に伸ばした……かんじ」

苦心してひねり出したキャンチョメの表現に
杉村は苦笑する。

「それ、誰でもできることなんじゃないか?」

「いや、違うんだよ!
 ああ、もうなんて言えばいいかなあ!」

もどかしそうに手を振るキャンチョメを微笑ましそうに見ながら。
杉村はほんの一瞬の邂逅だった少年の姿に想いを馳せる。

――きっと君との出会いがなかったらこうすることはできなかった。
   だからこれは君への手向けだ。

眼に浮かぶのは誇り高き金色の眼差し。
暴火に負けない眩しき金色の髪。

「牙も爪も。
 俺たちの武器じゃないんだよなやっぱり」

静かに、杉村は独り呟き。

――さようなら。
   やさしい少年王ガッシュ・ベル。


そして、雛苺の瞼が開く。
712金色の彼に花束を ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 04:07:18.34 ID:X5KCT1h5


【A-7・遊園地の待合室/一日目/午前】

【杉村弘樹@バトルロワイアル】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(中)、心の力消費(中) 、全身裂傷、
     指の爪剥離
[装備]:英雄の証@ブレイブ・ストーリー〜新説〜 、仮面ライダータイガのカードデッキ
[道具]:基本支給品×2、
[思考・状況]
基本行動方針:七原と合流 
1:少し休んだあと、オアシスに行くことを考える
2:時間を見つけて仮面ライダーとしての力の使い方の練習をしたい。
3:城戸真司に会えたら霧島美穂からの伝言を伝える
4:もし、桐山が琴弾を殺したのだとしたら、俺は……

[備考]
この殺し合いを大東亜帝国版プログラムだけでなく、
それとよく似た殺し合いの参加者も集められていると暫定的に推測しています。
仮面ライダーへの変身の仕方を理解しました。
カードの使い方も大体把握しました。
参戦時期:琴弾と合流後、桐山襲撃直後

【キャンチョメ@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康、力への渇望、全身裂傷、疲労(中)
[装備]: キャンチョメの魔本@金色のガッシュベル!! 、粘土@現実、ポップコーン@現実
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を探す
1:ちょっと休んだあと、オアシスに行くことを考える。
2:あの女の人はなんだったんだろ?
3:フォルゴレがいないのになんで呪文が使えたんだろう?

[備考]
何故かパートナーがいなくても術が使えることは理解しました。
本がフォルゴレ以外でも読めると知りました。
フォウ・スプポルクを修得
参戦時期:ファウード編以降

【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、クレヨン@現実、人参@現実
[思考・状況]
基本行動方針:誰も傷つかない世界が欲しい。
1:???
※シュナイダーの愛称はウマゴンでいいよねと思っています。

713 ◆1yqnHVqBO6 :2011/07/28(木) 04:09:13.42 ID:X5KCT1h5
以上で投下終了です
714創る名無しに見る名無し:2011/07/28(木) 18:55:47.57 ID:yUXFQIez
投下乙!
キャンチョメが半覚醒したな
雛苺は目覚めたがまだまだ油断はできんな
715創る名無しに見る名無し:2011/07/28(木) 21:22:54.94 ID:W4BJ3X0E
投下乙です

ああ、波乱はあると思ッたがそれを乗り越えたか…
傷つき、疲労しつつも、それでも先へ進もうとするか…
この対主催チームの頑張りが実ればいいなぁ
716 ◆1yqnHVqBO6 :2011/08/08(月) 05:12:04.86 ID:k7Tvdwzt
投下します
717薬師寺天膳は大体で5、6回死ぬ  ◆1yqnHVqBO6 :2011/08/08(月) 05:14:02.28 ID:k7Tvdwzt

水路が行き着く場所。
そこは本来、海や川に合流するための道筋だ。
だからこそ、乾はあの哀れなドザえもんの後をついていき、
ある程度の地形を把握しようとした。

地図を見る限りではここは孤島のような場所ではなく、
乾が住んでいた市街地のように一エリアを封鎖した形に近い。
ならば一定のセオリーに基づいた場所に辿りつくはず。
だが結果は乾の推測とは大きく違ったものだった。

水は規則正しく道として流れるものだった。
だが。

「ここは?」

長らく優雅に水をたゆたうドザえもんだったが
死体はいつしか、それ自体が意思を持つように流れに逆らった移動を始めた。
歩を進めると地下水路の内にふさわしい暗さをもっていた内観は
清潔さを感じさせる白く無菌室のような内観へと変わっていき。
それとは反対に流れはいつしか清く青い水から濁った赤い水の流れ……
おそらくは大量の血であろうどろりとした水へとなっていた。

赤い血が導く先は、
地下水道の一つの果て。
地図には遺跡と記された場所に設置された地下扉。

扉を開けると巨大な螺旋階段が乾の視界を覆った。

「凄い余興だなあ。
 政府はどれだけこの殺し合いに金をつぎこんだんだか」

さすがに、一地方自治体が建設した建物ではないだろう。
一介の企業が建てるにはあまりにも手が込みすぎている。
ここがシルバーバトルの会場ならば当然、行われている国は同じはず。

「シルバーバトルが行われた場所を大々的な観光名所にする……」

ないだろうと乾は結論付けた。
さすがに悪趣味がすぎる。
政府の露悪趣味をいまさら疑う気もないが
限度を超えては利用者や国民が離れていくのはわかっているだろう。

「ぬぅ!
 なんだこの場所は!?」

突然、乾の背後から声が聞こえ。
確かな気配を伴った男が水から這い上がる音の後。
乾を横切り螺旋階段へと足を進めた。
718薬師寺天膳は大体で5、6回死ぬ  ◆1yqnHVqBO6 :2011/08/08(月) 05:15:29.31 ID:k7Tvdwzt

「これは!?」

先ほどまで確かにドザえもんとしてその艶めかしい
死体と肢体を存分にさらけだしていた
男はすっかりかつての生気を取り戻していた。

元ドサ衛門、薬師寺天膳は先客を見つけると
驚きの声を上げながらその者へと駆け寄っていった。


「これは……甲賀弦之助!」

先客、それは死体である男。
薬師寺天膳の恒例と同じく、
死体に身をやつし。
薬師寺天膳とは違い、
もう二度とその身を動かすことはない死体であった。

「ふ、ふはははははははははははは!!
 これで! これで我らが伊賀者の勝利も決定した!
 朧よ、これでお前も晴れてわしの物じゃゲフャッ!?」

遺跡中に響き渡るような大声で笑う天膳を遮ったのは
乾の銃声。

「まったく、いくら死んで嬉しいからって。
 周り一帯に響き渡るような大声を出す必要はないだろう」

溜息をつきながら乾は天膳の頭部にも銃弾を撃ち、穴をあける。

「妙だなあ。
 この仏さん、さっきまではたしかにドザえもんだったのに」

頭を傾げながら呟く乾を余所に、
新たに作られた胸部と頭部の傷から血を流す薬師寺天膳。

そして、天膳から流れる血に反応するかのように
遺跡がわずかに淡く明滅する。

その様に眉を上げた乾は幾らか気分を高揚させる。

719薬師寺天膳は大体で5、6回死ぬ  ◆1yqnHVqBO6 :2011/08/08(月) 05:16:28.09 ID:k7Tvdwzt
「一応は
 傷が塞がらないように栓をしておくか」

乾はランドセルから中に入っていたリコーダーを取り出し、
薬師寺天膳の傷を抉り、潜るように突き刺した。
これで薬師寺天膳の心臓の穴は塞がらないはずだ。

「どうやって死ぬか検証すべきなんだろうが」

乾は遺跡が赤い血に反応したのを見逃さなかった。
またもや死体に戻った天膳に血袋としての価値を見出した乾は、
天膳を抱えると遺跡の探索を始める。

「童心に帰るって言うんだろうな。この気持ち」

おかしそうに笑みを浮かべて、乾は歩く。
 
【G-7 古代遺跡/一日目/朝】

【薬師寺天膳@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:死亡中、胸部・頭部に銃創、胸にリコーダーが突っ込まれている
[装備]:
[道具]:
[思考・状況]
基本行動方針:邪魔者を皆殺しにした後、主催者を殺す。
1:???
[備考]
※薬師寺天膳の向かった方向は不明です。後の書き手にお任せします。
※ノールの独白を天膳は聞いています。
※支給品、不明支給品はF-5に放置されています

【乾志摩夫@銀齢の果て】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、子供服@現実、ランドセル@現実、コルトジュニア(4/6)@現実
[思考・状況]
基本行動方針:以前と同じようにして、生き残る。
1:面白そうだから薬師寺天膳を血袋にして遺跡を探索。
[備考]
※参戦時期は死亡直後です、が本人はいまいち覚えていません。
※地下水路への行くためには橋付近にある階段を利用するか、地下階がある建物内からの侵入、
 或いは会場内に隠れている蓋を開け梯子を降りていく必要があります。
※ドザえもんになった死体は古代遺跡の地下に辿りつくことがわかりました。
※古代遺跡は血に何らかの反応を示すようですが詳細は不明です。
※甲賀弦之助の死体は古代遺跡の地下に放置されています。
720 ◆1yqnHVqBO6 :2011/08/08(月) 05:17:20.15 ID:k7Tvdwzt
以上、かなり短いですが投下終了です
721創る名無しに見る名無し:2011/08/09(火) 23:59:32.99 ID:TIve9ZHy
遅れましたが投下乙!

おい、タイトルwwwww
誰も行かなかった遺跡に小人レスラーが挑む…!
722創る名無しに見る名無し:2011/08/14(日) 19:46:32.37 ID:mgnd4XKe
投下乙です

なんちゅうタイトルだwww
そして油断しすぎですよ、天膳さまww
723創る名無しに見る名無し:2011/08/26(金) 18:17:08.22 ID:ldsvh+7P
てす
生き残ってるかな?
724 ◆1yqnHVqBO6 :2011/09/04(日) 18:48:09.40 ID:T2w2rmi2
投下します
725北岡秀一  ◆1yqnHVqBO6 :2011/09/04(日) 18:50:10.82 ID:T2w2rmi2

やはりもう長くはないと北岡は実感する。
数キロでしかない距離。
周囲を警戒しながらだったとはいえ消耗はあまりに大きい。
これが死へ向かうということか。
自嘲に歪む口元を隠すように北岡は髪をかきあげる。

「本当に大学があるとはね」

「来たことはあるんだろ?」

「どうしてこんなところにあるんだろうってことさ。
 アトラクション、余興のつもりなら
 あの影はずいぶんと暇みたいだ」

殺風景な廊下を歩く北岡とみねね、一歩後ろを付き従うレオ。
レオは大学という建物に縁がないのか珍しそうにあちこちを見ている。

「おい、神」

「神じゃねえって言ってるだろ」

不快に眉をひそめるみねねに構うことなく
レオは続ける。

「お前もこのダイガクとかいう建物は知っているのか?」

「………………来たことはないけどな」

少しの沈黙。それは何を意味するのか。
北岡は未寧々の反応を吟味するように反芻する。

「在校生じゃなかったけど俺はしょっちゅう来ているよ。
 講演会には何度も呼ばれているしね」

「お前には聞いてない」

「可愛くない子供だ」

北岡は失笑を浮かべ肩をすくめる。
この大学。
清明院大学によく来ているというのは真っ赤な嘘だが。
ハッタリはきかせておくに越したことはない。
少なくとも雨流みねねの未来日記を相手取ることを想定する上では。
この女は予想以上にネジが外れているのだということが
先の戦闘でよくわかった。

目的地は階段を登った先、
三人の足音が無人の構内に響く。
ここに来たのは数えるほど。
だが迷いなく北岡達は歩を進める。

通りすぎていくのは壁に張り出されている張り紙。
サークルの勧誘や地域行事の告知。
その中のあるものが北岡の目に入り、足を止めさせる。

726北岡秀一  ◆1yqnHVqBO6 :2011/09/04(日) 18:52:12.62 ID:T2w2rmi2

「なんだよ?」

胡乱な口調で尋ねるみねね。

「いや、これ見てみなよ」

「ミスコン?
 …………なんだそれは?」

北岡が指さしたポスター。
着飾った多くの女性がポーズをとっている
それを見てレオは不思議そうな顔をする。

「美人決定戦みたいなものさ」

「暇なことをするんだな」

「暇じゃない大学生なんていないよ。
 君も出たらどう?」

「まあ……気が乗ったらな」

憤り、声を荒げるかとみねねは予想に反し、
微妙な顔と共に疲れたような声で返す。

「それで? どこに連れていこうってんだよ。
 案内を買ってでたのはお前だぞ?」

「急かさないでよ。もうすぐだからさ」

歩みを再開した北岡は多く並ぶ部屋の前に立ち、
ドアを開ける。

そこは研究室だ。
一見しても何に使うのか判断できない機械と
乱雑に置かれた資料がそこで行われた研究の忙しさを語っている。

室内に入る北岡に迷いはない。
真っ直ぐ机の上に置かれている資料の山へと向かい、
その内の一つを素早く手に取り懐にしまう。

「さてと。
 レオだっけ? 話を聞こうじゃない」

「待てよ」

みねねの声に北岡は眉を上げる。

「なに?」

「いま手にとったのはなんだ?」

「ああ。これは香川英行って男が書いた
 仮面ライダーに関する考察だよ。
 仮面ライダーの弱点に繋がるものを見つけんだけど
 おかげで神崎士郎に殺されちゃってね。
 一応回収しておいたってわけ」
727北岡秀一  ◆1yqnHVqBO6 :2011/09/04(日) 18:54:31.47 ID:T2w2rmi2

北岡が何気ないことのようにつらつらと情報を述べる。
それに反応するみねねを見て北岡は内心ほくそ笑む。

レオは何のつもりかしらないが雨流みねねに興味を抱いている。
まさか一目惚れなどという思春期の少年にありがちな現象でもないだろうが
それが引き起こす事態は北岡の立場を確実に追い詰めていた。

爆弾魔と炎使い。
それはあまりにも相性が良すぎる。
匹敵する組み合わせは爆弾魔と空気使いくらいのものだろう。
同盟を破棄され、
二人がかりで来られたら北岡には逃げるか死ぬかの道しかない。

もちろん北岡がとったレポートに
仮面ライダーの弱点などというものはない。
ミラーワールドと仮面ライダーに関する考察は書かれているが
あくまでライダーバトルに乱入する力を作る程度のもの。
ライダーバトルを真っ向から壊すほどのものではない。

だが、重要なのは北岡が
“その情報を持っているかもしれない”ということ。
そして、記録媒体がよりにもよって燃えやすい紙だということだ。

爆弾魔と炎使い。
紙を奪うのにこれほど相性の悪い組み合わせもない。
奪うには困難。けれど見逃すには惜しすぎる情報。

北岡がその情報を得たことで他のライダーに
対して無敵でなければおかしいとみねね達は思うだろう。
そして自分たちとの同盟は必要ないとも思うだろう。

前者は“裏切り”を前提にした同盟が効果を発揮する。
敵の前で自分の弱点でもあるものを晒す馬鹿はいない。
後者はまさにこのゲーム。
仮面ライダー以外も参加しているという事実が同盟の必要性を証明してくれる。 

「……名簿に香川ってやつの名前はあったぞ」

搾り出すようなみねねの声。

「ゲームの進行には中々有用だったからね。
 生き返らせたかタイムスリップか。
 熱心だったよあいつは。
 妻子を人質にとられても平然としていたんだから」

「なぜそんなものがここにある」

みねねと北岡のやりとりを見ていたレオが口をはさむ。

「それなんだけどさあ」

北岡は困惑したようなふりをして
芝居がかった動作で両手をあげる。

「この建物。なんかおかしいのよ」

机の上に置かれた新聞をみねねに放る。
728北岡秀一  ◆1yqnHVqBO6 :2011/09/04(日) 18:57:53.79 ID:T2w2rmi2
「日付がちょうど香川が死んだ日のあたり。
 そりゃあ、部屋の主がいなくなったんだから当然なんだけども」
 
机に腰掛け、注目を集めるように北岡は指を立てる。

「問題は大学中に貼られたポスターが俺のいたときより
 少し前みたいなんだよね」

「つまりあの影は時間を操れるってことか」

「時空王とやらが協力しているのかもね。
 ならここにいる香川も
 仮面ライダーの弱点に辿りつく少し前から来たのかも」

仮面ライダーのデッキは本来の持ち主とは違う人間でも
使用することができる。
この事実はゲームが進んだらば自ずと判明するだろう。
だからこそ最初はカードデッキを守るために牽制する必要があった。

嘘はあくまで短い間の時間稼ぎのため。
本命はこの不確かな。
けれども重要な情報を持っているかも知れないと
同盟者に思わせること。
今はプラスアルファに相当する手札を持つことができた。
大人気ない子供じみたハッタリでも効果があるのなら遠慮なく使う。

粗はあってもいい。
例えば香川が真っ先にこの大学に向かったら?
そんなのスタート地点を弄ればいい話だ。
他の仮面ライダーがこの情報を手に入れた可能性は?
悪いが俺と香川以外の生き残った仮面ライダーは
いずれも頭が残念だ。ここに書かれた話を理解できるとは思えない。

そう。つまりは

「おまえに都合が良すぎるだろ色々と」

「俺からすれば爆弾魔を慕う放火魔のほうが
 何倍も都合が良いように見えるけどね。
 なんなら今から殺しあう?
 俺は間違いなく、呆気無く、爆発するか焼け死ぬよ」

北岡に誤魔化せないことはないということだ。
それを自覚している北岡は懐にしまった紙がある箇所に手をやり
悠然と微笑む。

北岡の言葉にひとまずは納得したのか
レオは興味を失ったようにみねねへ視線を移す。

告ぐ言葉がでてこないのだろう。
みねねは低く唸りながら北岡を睨む。

「じゃあ、改めて。レオから情報をもらって。
今後を決めようか」

「……そうだな。まさかついて来ときながら
 ダンマリってことはねえよなあレオ?」

気分を変えるように頭を掻きながら
みねねはレオを見る。
729北岡秀一  ◆1yqnHVqBO6 :2011/09/04(日) 19:00:26.16 ID:T2w2rmi2


…………………………。
…………。
……。


「ねえ。これはどっちの世界の未来だと思う?」

「…………知るかよ。
 どっちでもない世界の未来かもしれないだろ。
 っていうか違う世界だって決まったわけじゃない」

「この俺を知らないんでしょ?」

「知らねえよ。そもそもここにある情報見たら間違いだらけじゃねえか。
 ライダーデッキが本人しか使えねえとか大嘘こきやがって。
 おまえ実は誇大妄想狂なんじゃねえの?」

「俺を知らないならそれは異世界の人か
 よほどの馬鹿かだよ。俺としては後者でも愉快だけどさ。
 うん。やっぱり後者にしようか」

「殴るぞてめえ」

レオが語る彼を取り巻く
世界の話は北岡達に少なからず衝撃を与えた。

「文明の崩壊に黒き血の人ねえ。
 その眼を覆ってるの化粧だと思ってたら
 まさか血だったとは」

俯き、何かを考えているみねね。
その腕に赤い傷を少し見た後。
天井を仰ぐ。

「そりゃ君は神様なわけだよ」

「言うな」

椅子に身をうずめ。
PCに何か使える情報はないか忙しく手を動かしていたみねねは
レオの言葉を聞くと。
自然と手を止めていた。

730北岡秀一  ◆1yqnHVqBO6 :2011/09/04(日) 19:02:43.60 ID:T2w2rmi2


――永遠の命。
文明の崩壊を視野に入れたらちょっと微妙だよねえ。

目を閉じ。北岡は思いを巡らせる。
どうやったら世界が滅んだのか。
興味がないこともないが北岡にとって重要なのはただひとつ。

――じゃあ、べつの願いでもいいか。
  人生楽しまなきゃ損だよね。

北岡の最大の武器はなりふり構わず動けることだ。
生きるためなら相手に土下座もするし、
悪を断罪するのは誰かと訊かれたら躊躇わず当然警察の仕事だろうと応える。
それが北岡秀一。

スーパー弁護士は楽しく生きたいのである。

そんな北岡に反応するように、
ガラスが金属音をわずかに鳴らせる。

北岡が駆るマグナギガ。
それが狙うのはレオの背後を付き従う護神像か
それとも。それとも雨流みねねの内にある――


3:防人以外にも戦えるやつがいるみたいだ 。今はどうでもいいが
※由乃の返り血を浴びています。
731北岡秀一  ◆1yqnHVqBO6 :2011/09/04(日) 19:04:47.70 ID:T2w2rmi2


【D-7/清明院大学:香川英行の研究室/朝】

【北岡秀一@仮面ライダー龍騎】
[状態]:疲労(小) 、
[装備]:カードデッキ(ゾルダ)
[道具]:基本支給品一式、マスターキー@オリジナル、黒のアタッシュケース
     香川英行のレポート?
[思考・状況]
基本行動方針:優勝してどうしようか
1:D-7、今後を決める
2:雨流みねねとレオを利用しつつ優勝を目指す
3:知らないことについて情報が欲しい
4:女性とはあまり戦いたくない
[備考]
※参戦時期は劇場版開始前のどこかからです。詳しくは後の書き手にお任せします。
※未来日記の世界観、雪輝、由乃、来須、マルコ、愛のみねね視点で知っている大体の情報を把握しました。
※逃亡日記は所有者の逃走経路を予知するものだと勘違いしています。
※香川英行のレポートに仮面ライダーの弱点が書かれていると
 北岡は言っていますが真っ赤な嘘です。

【雨流みねね@未来日記】
[状態]:疲労(小)、色々と考えたい
[装備]:MKU手榴弾[4個]@現実 BIM(烈火ガス式)[7個]@BTOOOM!
[道具]:基本支給品一式、逃亡日記@未来日記、
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して“神”を殺す
1:今後を決める
2:北岡秀一とレオを利用しつつ優勝を目指す
3:他のゲームについて情報が欲しい
4:時間を見つけてBIMを使いこなしたい
[備考]
※参戦時期は原作六巻以降のどこかからです。詳しい時期は後の書き手にお任せします
※龍騎の世界観、城戸、秋山、浅倉についての大体の情報を得ました。(霧島については聞いていません)
※カードデッキは他人が使うと死ぬと誤認しています。
※仮面ライダーデッキを誰でも使えると知りました

【レオナルド・エディアール@WaqWaq ワークワーク】
[状態]:軽度の打撲、
[装備]:アシャ@WaqWaq ワークワーク、
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:頭スッキリ。お目々パッチリ。俺、どうしよう?
1:みねねに興味があるのでついていく。
2:他の“神”らしき女にも会いたい。
3:防人以外にも戦えるやつがいるみたいだ 。今はどうでもいいが
※由乃の返り血を浴びています。

732 ◆1yqnHVqBO6 :2011/09/04(日) 19:06:49.08 ID:T2w2rmi2
投下終了。
状態表直前にある意味不明の文はコピペミスです
もうしわけない
733創る名無しに見る名無し:2011/09/05(月) 23:19:38.92 ID:p7s+GMdM
投下乙!
掲示板のポスターから時間のずれを認識するとはさすがスーパー弁護士
会話だけ聞くと仲良しトリオなのに、その胸中は……
続きが気になるヒキだw

改めて投下乙!
734創る名無しに見る名無し:2011/09/08(木) 15:10:36.45 ID:KTGywXRS
予約が複数来てるぞw
735創る名無しに見る名無し:2011/09/08(木) 15:46:09.37 ID:EOtGxxn1
桐山、蒼星石とも会うのかな
翠星石も再会か
ただヨキいるからなあ
736 ◆IRxFfnsX8c :2011/09/09(金) 03:26:03.20 ID:0MZBmFlo
ブック、ティオ、投下します
737優しさに飢える少女 ◆IRxFfnsX8c :2011/09/09(金) 03:26:59.49 ID:0MZBmFlo

逃げられた。
老人――といってもこいつも男だが――を見捨てて逃げ出した、男。
しかもきっと戦いに乗っている。攻撃してきたし、男なんてそんなものだ。
最初の男と同じ。

一息ついた。
男たちを、戦いを広める愚かな男を。
優しい王様の治める、優しい国のために。

ティオはそれに思考が支配されていたが、首輪から不快極まりない男の声が突如響き思わず身構える。
首輪を掻きむしり外してやろうとする。
しかしその手が止まった。


――――ガッシュ・ベル。

この嫌味な声は確かに、ガッシュの名を呼んだ。
他にも何か言っていたが耳には入らない。

「何で、ガッシュの名前を……」
「それは、ガッシュくんが殺されてしまったからさ」
738優しさに飢える少女 ◆IRxFfnsX8c :2011/09/09(金) 03:27:40.68 ID:0MZBmFlo

背後から何でもないことのように声をかけてくる。
ブックだ。
「ガッシュ……殺された…………?」
「そう。この会場にいる悪い奴にね」
悪い奴。それをブックは強調した。
ティオの見開いた虚ろな眼に再び狂気の光が宿る。
「これでガッシュくんはもう王様になれなくなってしまった……君が王様になるしかない」
「ガッシュ……ガッシュ……!」
「王様として、人間を、その心を殺していくんだ」
「ガッ、シュ……」
聞いているのかいないのか、ガッシュの名を呼び続ける。
――――これでいい、これで。

「ガッシュ、わたしたち2人で優しい王様になるって、約束したじゃない……!」

そして、何かが弾けた。
ティオの姿が変化していく。
「いやあああァァァァァァァ!! ガッシュ、ガッシュ!」
熱い。痛い。苦しい。悲しい。
ガッシュもこんな風に思いながら死んでいったのかな――――
ティオに最後に残った僅かな心は、儚く、押しつぶされていく。


――――後に残ったのは、心を持たない、パートナーと協力する魔物の子ですらない、単なる化け物だった。
739優しさに飢える少女 ◆IRxFfnsX8c :2011/09/09(金) 03:29:07.02 ID:0MZBmFlo



表には出さないが、ブックは笑いが止まらなかった。
いとも簡単にティオの心は消えてしまった。
ガッシュが勝手に死んでくれたので、キッカケを用意してやる必要すらなかった――ここは最高だ。
心を消し去るなんて、簡単なことなのだ。
ティオは“人”ではない。単なる実験台であり手駒だ。
このまま戦い邪魔者を潰し、人の心を消していく。
“願い”が叶うのもそう遠くはない。


「ウウッ……グッ……」
「では、行こうか。病院あたりが良さそうかな? ああ、少し離れて歩いてね? ボルキャンサーのように隠れているのが理想的だね」




【D-2/一日目/早朝】

【ティオ@金色のガッシュ!!】
[状態]:狂戦士(バーサーカー)の術により狂化・外見にも変化
[装備]:
[道具]:基本支給品、ヨキの弓矢(9/10)@waqwaq
[思考・状況]
基本行動方針:???
1:……ガッシュ……
※魔法が使えるかどうかは不明です

【ブック@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:ダメージ小 、心の力消費小、
[装備]:契約の玉@ブレスト、ジュリー(銀嶺)@ブレスト、双眼鏡@現実、
    ボルキャンサー(フルボッコ・ブック怖い怖い怖い怖い)@(仮面ライダー龍騎)(周囲に隠れています)
[道具]:基本支給品、青酸カリ@バトルロワイアル、魔本(ティオ)@金色のガッシュ!!、
[思考・状況]
基本行動方針:人の心と生命を殺していく
1:ティオを利用し人間を殺す
2:ガッシュ達魔物の子に興味
3:ボルキャンサーは鉄砲玉として利用したい。
740 ◆IRxFfnsX8c :2011/09/09(金) 03:31:11.26 ID:0MZBmFlo
投下終了です。
タイトル元ネタはブレストのミーナ狂化回「愛に飢える少女」
感想・指摘などあればよろしくお願いします。
741 ◆IRxFfnsX8c :2011/09/09(金) 07:55:55.24 ID:0MZBmFlo
時間帯間違えてた……正しくは「朝」ですorz
742創る名無しに見る名無し:2011/09/09(金) 17:58:19.35 ID:YGqZOTuo
投下乙!!!!
ティオがついに堕ちたかー
よく持ったほうだよねほんと
魔界の王候補で狂戦士とかどうなるんだかw
743創る名無しに見る名無し:2011/09/09(金) 23:34:31.81 ID:/qyZjWtM
投下乙!
ティオーーーー!
ご隠居を手にかけるは、ガッシュの死を放送で聞くはでこりゃあきついわな……
ブック様……闘えば最強クラスのくせにまったく表に出る気が無いこいつやべえわw
744創る名無しに見る名無し:2011/09/13(火) 23:24:32.25 ID:MD3WhQAx
投下乙です。
ティオついに狂化きたーーーーーーーー!
うん、ブックに遭遇したのが運の尽きだったねw
ガッシュも死んだし後は負の方向へ爆走するだけだろうなあw
745創る名無しに見る名無し:2011/09/14(水) 02:31:23.25 ID:Wlcl6czR
次スレは「パロロワ総合板」に移転となりました。
既にあちらでは新しいSSも投下されております。乗り遅れないようご注意ください

ロワイアル×ロワイアル Part3
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/14759/1315840175/

ありがとう創発板!
746創る名無しに見る名無し:2011/09/14(水) 02:34:13.10 ID:1FY0hTi+
>>744
まだだ。まだキャンチョメが……
747創る名無しに見る名無し:2011/09/14(水) 15:54:16.17 ID:U5KIdc8e
投下乙です

ああ、ティオはやっぱりそっちに行ったか
キャンチョメがなんとかしてくれ…やっぱり見通しは暗そうだ
ブックは嬉しそうだなぁw
748創る名無しに見る名無し:2011/09/14(水) 21:10:04.94 ID:0sHRo6K9
>>745
新スレ乙です

こっちは埋める?
749創る名無しに見る名無し:2011/09/14(水) 21:12:21.17 ID:1FY0hTi+
予約分の投下をこっちにするかもしれないからそれが終わったあとでいいんじゃないかね
750 ◆CFbjQX2oDg :2011/09/14(水) 23:38:11.73 ID:aAeq9nz/
すいません。ちょっと遅れましたが、今から投下します。
751立ち上がれども  ◆CFbjQX2oDg :2011/09/14(水) 23:44:41.97 ID:aAeq9nz/
猿谷が逃走を図ったあと、パピプリオをベッドに寝かしつけた。
津幡も同様に休息したかったが猿谷やその他の参加者が潜んでいる可能性を捨てきれず病院内を探索することにした。
各病室には誰かが潜んでいる様子も訪れた様子も伺えなかった。
診療室は先に病院にいた猿谷にもっていかれたのか、既に医薬品の棚はスカスカである。
残っていた大量製品である包帯やガーゼや消毒液を回収しリュックに詰めた。
輸血用血液でも余っていることを期待して備え付けの冷蔵庫を開ける。

「なんじゃ…コレは」

結果から言うと輸血用血液は手つかずのまま残っていた。
A型、B型などの全種類揃っている。
津幡が言葉を漏らしたのは輸血用パックに詰まっている黒い液体のことである。
通常の赤い血液と同じ数だけある黒い液体。
試しに封を開けて見ると油のような臭いがした。
何故このようなものが輸血用血液と一緒に保存されていたのだろうか。
とりあえず黒い液体も含めた一通りの血液も回収し、さらに注射器、メス、医療用ハサミなども片っ端から回収した後で診療室を後にした。

病室に帰った津幡は当初の予定通りベッドで寝ている少年の右腕に出来るだけの処置をしようとした。
と言っても、輸血するには少年の血液型がわからないためにガーゼに消毒液を染み込ませ包帯で撒く程度でしか現状は出来ない。

「これは……」

また同じ言葉を漏らす。
少年の右腕の切断面は完全にでは無いが塞がりつつあり、顔の血色も少しづつではあるが良くなってきている。

常人では考えられない回復力を見て津幡は一瞬眉を吊り上げたが、すぐに何かを察して無言で頷いた。
鏡の中にいた影の男、死んだのに生き返った自分自身、護身像クシャラス、ミラーワールドの研究レポート
実にファンタジーな代物だ。見た目が子供の超回復能力者がいたところで何ら不思議ではない。

片腕を吹き飛ばされた少年が普通歩けるだろうか、例えどれだけ必死になったとしても不可能だろう。
だが、現実に少年は命の火を残したまま私の元にたどり着いた。
おそらく見た目は6〜10才くらいの少年だが、彼はきっと人間では無いのだろう。

「だが――」

津幡は微笑みを浮かべる。

「どんな存在であれ子供を守るのが英雄である私の目指す道だ」

病室の隅に置かれたリュックの中身が呼応するかの様に輝いていたが、窓から差し込む朝日に紛れて津幡は気付かなかった。


――『我が子らよ。まずは祝福しよう』


静寂に包まれた病院に響きわたる男の声。
津幡はやれやれといった顔立ちで視線をパピプリオから外した。




◇◆◇
752立ち上がれども  ◆CFbjQX2oDg :2011/09/14(水) 23:46:14.84 ID:aAeq9nz/
「……ロデュウ様?」

放送からしばらく経ってパピプリオは目を覚ました。

「目覚めたのか。ロデュウというものは参加者名簿に無い、ここにはいないのだろう。私の名前は津幡共仁だ。
 お前さんの名前は何というんじゃ?」

聴き慣れない老人の声が耳に届いた瞬間、パピプリオの脳は一気に覚醒しベッドから跳ね起きようとする。
だが、血液を大量に失っているため頭がふらつきバランスを崩してしまう。
その体を支えようと右腕をベッドの手すりに伸ばしたところで空を切り再びベッドの上で倒れてしまう。

「無理をするな。もう出血は止まったとはいえ常人なら動けるような怪我では無い」

「うるせージジイめ! だっ……誰がお前の言うことなんか聞くか!」

強気な口調とは裏腹にパピプリオの全身はガタガタと震えている。
誰が見ても怯えていることがわかる。左手に掴んだ枕は盾にしているつもりなのだろう。
右腕の怪我が原因で怯えているのか、それとも彼は元々怖がりなのか、あるいはその両方か。

「ガッシュ・ベルという者は死んだ」

「え?」

津幡はパピプリオの恐怖の原因となっていると予想していた名前を取り上げる。
パピプリオは予想外といった表情を浮かべ、その体の震えが止まった。

「お前さんを治療するために運んでくる途中で何度もうわ言の様に呟いておったな。
 その腕はガッシュという者に襲われたのか?だが、もう焦ることは無い。その名は先程の放送で呼ばれた」

「嘘つくんじゃねえ! あんなに強いガッシュが……そう簡単に死ぬわけないだろ!」

殺し合いに乗ったガッシュが死んだ。それが本当なら危険が去ったという意味では喜ばしいことだ。
だけれども、パピプリオは不思議とちっとも嬉しいという気持ちが湧いてこない。
だって、ガッシュは――

「嘘ではない。放送で呼ばれた名だ。確かに死んだ」

そういう津幡も誰かのことを思い浮かべるかのように、一瞬だけ哀しそうな表情をしたがすぐに元の戻る。

「お前の目的は何なんだよ。何でオレ様にそんなことを教えるんだ?」

「病院に連れてこられているってことで理解してもらいたいものだがな。
 いいか小僧、よく聞け。ワシはな、英雄になる男じゃ」

「は? いい年したジジイが何を言っているんだ?」

パピプリオは拍子抜けする。
既に自分の体が震えなくなっていることに気づいてはいない。
しかし心のゆとりは次なる頭の回転へと繋がる。

「そうだ!ティオだ……! ガッシュのことを伝えなきゃ!」

「ほう……」

津幡が口元に手をやりながら試すように投げかける。
753立ち上がれども  ◆CFbjQX2oDg :2011/09/14(水) 23:48:26.15 ID:aAeq9nz/
「ガッシュと同じ元々の知り合いか? だが、殺し合いにのったガッシュはもう死んだのだ。その体で焦ることもあるまい」

「違う! それが本当なら尚更行かなきゃ! ティオはガッシュが人を殺したことをまだ知らない。
 友達のガッシュが死んだと思っているんだ! あれだけ友達想いの優しいあいつだ。きっと悲しんでいる。側に誰かいないといけないんだぜ!」

津幡は何も言わずに部屋の隅に置いてあった荷物を拾い上げクシャラスの背に乗せる。
その動きに疲労困憊の老人の姿は伺えない。

「ほれ。なら、早く行くぞ。南側からワシは来たが誰も見なかった。ティオというものを探すならこのまま北上するのが良いだろう」

「……は? なんで勝手に決めるんだよ!そもそもお前がティオを探す必要なんてないだろうが!」

津幡は衣服の下を伝う疲労からくる冷や汗を無視してニヒルに笑いながら答える。
辛いときに辛いと言えない、いや、言わないのが英雄の努めだ。

「さっきも言っただろう? 私はな、英雄なんだよ。だから子供であるお前さんはワシを頼れば良いんだ」

そう言うとクシャラスに指示を出しパピプリオをそのクシャラスの背に荷物と共に乗せると病室の窓から飛び出した。

「へっ。なんだかよくわからないけど、オレ様は悪(ワル)だからジジイを利用させてもらうぜ!」

何でも構わんと小さく返答する津幡の背中は、パピプリオの目からはやけに大きく見えた。

(待っていろよ、ティオ。オレ様にはいなかったけど……友達がいなくなって嬉しいわけが無いことくらいわかる。
 たしかにオレ達は魔界の王様を目指す敵同士だけど、別にオレ様とお前は友達でもないけど、理由なんて無くても力になりたいんだ)

少年の少女の支えになりたいという決意という名の願いを胸に歩み出す。
しかし、時を同じくしてある場所で、その少女は怪物としての産声をあげていた。
怪物となった少女は最早ガッシュという友達のことすら理解出来るか怪しい。
その事実を少年はまだ知らない。


【D-3病院/一日目/朝】

【津幡共仁@銀齢の果て】
[状態]:疲労(極大)
[装備]:クシャスラ@waqwaq、コルト・シングル・アクション・アーミー(5/6)@現実
[道具]:基本支給品、簡易工具セット、輸血パック(各種血液型、黒い血のも)
[思考・状況]
基本行動方針:英雄として行動する
1:ティオを探しに行く。
2:パピプリオに同行


【レオパルドン・パピプリオ@金色のガッシュ!!】
[状態]:右腕喪失、恐慌状態 、気絶
[装備]:魔本@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品一式、月の石@金色のガッシュ!!、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:死にたくない、ルーパーの所に帰りたい
1:ティオを探しに行く
2:津幡と同行(利用)する


[備考]
※19巻、レインと戦った直後から参加。
※出血は止まりかけているが、傷口はそのままです。

754立ち上がれども  ◆CFbjQX2oDg :2011/09/14(水) 23:50:03.67 ID:aAeq9nz/
以上で投下を終了致します。

誤字などありましたらご指摘お願い致します。
755立ち上がれども  ◆CFbjQX2oDg :2011/09/14(水) 23:51:43.38 ID:aAeq9nz/
>>748
あと少しで500kb行くけど、もうSS投下はきつそうなので今週末にでも自分の方で埋めますので、今後は総合板の方でお願いします。
というか、こっちで告知するべきでしたね。失礼致しました。>>745さんありがとうございます。
URLは>>745です。
756創る名無しに見る名無し:2011/09/15(木) 09:57:47.80 ID:7oBWHwF/
投下乙
ティオが暴走したけどパピプリオだけじゃきつそうだな

757創る名無しに見る名無し:2011/09/17(土) 20:01:11.26 ID:8hw8/hgD
投下乙です

津幡は無理するなと言いたいが止まらないだろうな
パピプリオの気持ちは伝わってくるがティオは…
758 ◆CFbjQX2oDg :2011/09/18(日) 13:22:54.27 ID:5X2LbSmr
創発板の方々へ
お世話になりました! これからはhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/14759/1315840175/にて進行致します

あと5kbなので埋めちゃいますね。
759 ◆CFbjQX2oDg :2011/09/18(日) 13:24:48.08 ID:5X2LbSmr
                      /ヽ            /ヽ
                     / /            \ \
      | ̄ ̄ ̄\        / /             \  \
      |      \     /    ̄|    γ ⌒ヽ  | ̄ ̄    ヽ
      \:::::    |:::\  /    | ̄/ ̄| |/ヽ::/ヽ|  | ̄ ̄|    |   <ジジイ無理すんなよ
        \    | |/\    |/   | |::::::::::::::::|  \ ´|/|\ノ|
         ヽ\  \   |_/ ̄   / |::::::::::::::::|  /|/::::::::\ |
          |:::::\  \/         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ |/::::::::::::::/
          丶::::::\             ┃      \:::::::::::/
           \::::::\            ╋       \::/
            \::::::\        /¨\╋/¨\     |
             \::::::|\          ●       \\
              \/:::\       護神像05    /:::::::|
                    \     Khshathra  /\::::::::\
                     ヽ|           ハ   \::::::::\
                      |\        / \    \:::::::|
                      |::::::\     /:::::   ヘ/\  \|
                     /::::::::/\:::::/:::::::::::   ::::| \  |
                   /:::::::::::/  /\       :::/   \/
                 /:::::::::::::/  /ヽ  \     /
               /::::::::::::::::::| /|:::::::::::\   \   /
               |:::::::::::::::::::::|/ |    \   \/
                ̄ ̄ ̄ ̄   |\     \  ソ
                        |::::::\     /
                        |:::::::::::\ / \
                       /:::::::::::::/ \   \
                     /    /    \   |
                   /    /       |_/
                  |   /\
                 /  /\  \
                 |_/   \/
760 ◆CFbjQX2oDg
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
  ./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
 ../:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/   ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
 .l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/     l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
 i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/      l::::|::::::::|::::|:::::::::::::::::::::::::::::|
 l::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::l::|       |::::|:::::::|::::|::::::::::::|::::::::::::::::|
 l::::l::::::::::::::::::::::::ii::::::l|::|   ∩  |:::i:::::::|::::|::::::::::::::|::::::::::::::|
 l::::l::::::::::::::::::::::::i_l::::| ||   ∪  l::l l::l l::ll::::::::::::::l:::::::::l:::|
 l::::!::::,:::::::::::::::|:::|::j:ヒェ‐ト、     //-||l ィ''|::|:::::::::/:::::::::::ll
 l:│lil:::::::::::::.l|::::ll;_|ノ`ゝ 丶    /rィ´l::!ソ`j::|::::::::/:::::::|:::i:li
 l/|:::l::l::::::::li::::l|::lf- |゙    l  /  `T´ー|::l::::::/::::::::/:::ヽヽ
../  |:::ヽl:::::|:l:::l:::l|| !     |        l::l::::/:::::::/::::|:|  ヽ
   |ii::::/ ̄ ̄ ̄\     |        l::/:::::::/:::::|::|    \
   |/   絶  さ .\   .l,       //::::::::/:::::::|:::|     ヘ
   |    .望 もあ  | 、,,_,,._,,,    ./ !::::/:::::::::l|:::|     ノ
  .│  し   う   |  `ニニニ´    イ  l/:::::::::::::|l::l    ノ
  .│  て   一   ゝ      / |  /:::::::::l::::l ||
  .│ おも   度   |ヽ、,   ,/  _,ナ`/:::::::::::l::::l |
  .│ うら       /`\``_´ョキ-ー´  !:::::::::/ l::l  |
   \か       /  /`'´ \     |:::::::::l !/
     ゝ───‐   / /\ l     |:::::::l !