魔女っ子&変身ヒロイン&魔法少女創作スレ7

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118幼馴染みは魔法少女

――某日。
僕の部屋に幼馴染みの同級生、立川柚姫(たちかわゆずき)が上がり込んでいた、

「ケンちゃんの部屋ってゲーム機ばっかりだよね?」
「地下室にはもっとあるけど、それがどうかした?」
「けどソフトって全部女の子が出てくるヤツでしょ?」
「僕はギャルゲ(2D)にしか興味無いんだ。3Dはお呼びじゃないんだ」
「それってヘンタ……」
「おっと、ゲームのヒロイン達をディスるのはそこまでだ」
「ゲームじゃなくてケンちゃんに問題があるんじゃ……」

僕は佐久間ケンイチ。
隣に住んでいる柚姫とは幼稚園からの付き合いだ。
授業中だろうと帰宅中だろうと携帯ゲーム機を手放さず、あまつさえ家の地下には専用のゲーム部屋を設けている身としては当然ながら周囲から白い目で見られているのだけれど、コイツだけは別格で普通に話し掛けてくる。
というか、本音を言えばウザい。
今だって「じゃあケンちゃんチに寄るね」なんてさも当たり前のような台詞を下校間際に吐いたかと思えば、こちらの思惑なんて素知らぬ顔で部屋に上がり込んでいる。
僕は一刻も早く美少女ゲーム、略してギャルゲにどっぷり浸りたいというのに……!!

「ねえ、ケンちゃん」

そんな、幼馴染みの肩書きを利用して他人の楽しみを邪魔するひでぇ女が、ふとした沈黙の後にやけに神妙な面持ちで呼び掛けた。

「あ?」

思わず喧嘩口調で返した僕の心情なんて理解しようともせずに柚姫がズイッと身を乗り出してくる。

「ななな、なんだよお前!」

他に誰も居ない部屋で幼馴染みが息の掛かる距離まで顔を寄せてきたら、そりゃあ誰だって動揺するわな。
それなのにコイツは相手の期待を完全に裏切るような言葉を吐きやがったのさ。

「あたし、魔法少女になっちゃった」
「……はあ?」

ヤバいヤクでもキメてるんかこの女は。
思い切り不審そうな顔でデムパな同級生を見遣る。
すると、そんな僕の態度が不満なのか学生鞄から何やら黒い物体を取り出して見せた。

「妖精さんがくれたの」

見てくれは薄っぺらい菱形の黒い石。
真っ先に思い浮かんだのが教科書で原始人が手にする槍の先っぽにくっついているアレ。
とはいえ表面に電子基板を彷彿させる幾何学的な筋が淡く光を放っていて、その辺のオモチャにしては出来が良すぎるようにも思える。
いやいや、本題はそこではなくて、妖精さんってなんだ!?
ってかオマエは見知らぬ人物から受け取った得体の知れない物体を鞄に入れて持ってくるな!!

「え〜と、それで僕は今からお前のお花畑全開の物語を聞かされる事になるのか?」
「嘘じゃないもん!!」

柚姫は憮然とした顔で、その石が魔法の変身アイテムだと教えてくれた。
僕は何をどう言うべきか悩んだけれど、考えた末に一つの答えに行き着いた。

「よし、じゃあこうしよう。お前が不審人物から貰ったその魔法の石とやらで街の平和を守ろうが欲望の限りを尽くそうが、それはお前の自由だ。
 思う存分やってくれ。でも僕を巻き込むな。僕のギャルゲライフを邪魔するな」
119幼馴染みは魔法少女:2011/09/23(金) 22:41:06.36 ID:xwIbLHwB
鋭い目で言い切った。
オレカッコイイ!!
内心で自画自賛しつつ見ると、言い切られた相手は涙目で「む〜」なんて唸っている。
ふんっ。僕のギャルゲ脳が囁いているのさ。
お前が魔女っ子アニメにありがちな『協力してくれる一般人』の役割を僕に押しつけようとしているって事をな!!
だがしかし、そんな使い古された凡作以下のシナリオに乗ってやるほど僕はお人好しでもなければ暇人でもない。
そう、リアルはお呼びじゃないんだよ。わかったか3Dキ○ガイ女めフハハハハッ!!

頭の中に勝利のファンファーレが鳴り響く一方で、現実世界の幼馴染みはすっくと立ち上がると手にあった黒石をこれ見よがしに突き出した。

「せ〜っと、あ〜っぷ!!」

SET・UP?
それが合言葉なのだろう。
柚姫の輪郭が突然光に包まれたかと思えば、次にその姿が変容したじゃあないか。
それまであった学校制服が光の粒になって飛散して、入れ替わりに新しく形作られる衣装。
それは可愛らしいピンク色の、フリルのいっぱい付いた洋服だった。

「ねえ、見た見た? 可愛いでしょ?」

コイツ本当に変身しやがったよ。とか。
その格好で表出歩くのかこの女は。とか。
思う所は色々あったのだけれど、まず口をついたのは次の言葉だった。

「変身するとき一瞬だけ裸になるのは仕様なのか?」
「ばかぁ!!」

ズゴンッ。
衣服が切り替わった時から握り締めていたピンク色のステッキが僕の脳天を直撃する。
でもって、視界が赤く染まる。
あれ……?
意識が遠退いて、視界が真っ暗になっていく。
柚姫の僕を呼ぶ声が遠くで鳴っていたけれど、返事すら出来ないままに意識が落ちていった。

「……っ!!」

意識が戻ってハッと飛び起きたとき。
僕の前には制服姿の柚姫がいて、さっきの事は夢だったんじゃあないかと思った。
けれど、床に敷いてある絨毯に赤い物がべっとりと付着しているのを発見したとき、僕は考えていた以上に深刻な状況に巻き込まれているって事を知ったんだ。

「さっきはゴメンね」
「お前、僕の頭をかち割ったワケか。それから慌てて魔法か何かで治した、と」

とても申し訳なさそうな顔で正座している幼馴染み。
それを見ているとあまり強く非難もできなくて、湧き上がる怒りをどうにか押さえ込む。
そう、次にあった発言さえ聞かなければ、僕は差し障りのない言葉でその場を取り繕っただろう。

「実はケンちゃん、さっきので死んじゃったの。テヘッ☆」

「……なに?」

まて、コイツは一体何をぬかしてやがりますか?
自分の手を見る。いつもの繊細で優美な指が見える。
机の上に置いている鏡を手にとって殴られた部分を見る。
でも決してスプラッタ的な見てくれにはなっていないし、それどころか傷口一つ見当たらない。
怪訝な顔で振り返ると、薄気味悪い表情を顔に貼り付けた柚姫が立っていて、その肩に真っ白い猫なのか狸なのかよく分からないシュールな生き物が乗り掛かっているのが見えた。

「損傷した細胞を魔力で補っているから生きているように見えるけれど、君は生物的には死亡しているよ」
120幼馴染みは魔法少女:2011/09/23(金) 22:42:36.43 ID:xwIbLHwB
「え〜と、この面妖な生き物はなんだ?」
「妖精さん」
「はじめまして。ボクはアーベル=シュタットハイム。彼女をサポートするために派遣されてきたアドバイザーだよ」

まあ、魔女っ子アニメでお馴染みのマスコットキャラ担当なのだろうが、その名称がゲルマン系なのは何か意味でもあるのだろうか。
……それとも、単なる笑いどころなのか?

「いいかい、君は頭蓋骨を割られているし脳の一部も損傷を受けている。
  脳細胞が無酸素状態で生きていられるのは3分が限度だから、魔力による生命維持が同じ時間途切れた時点で君の死は確定してしまう。
  つまり君は肉体的な損傷が完全に癒えるまでの間、術の施行者である柚姫を守り続けなくちゃいけないんだ」

シュールな生き物が流ちょうな日本語で難解な説明をしている。
だがちょっと待って欲しい。
突然現れた妖怪もどきの言葉をそんなに簡単に信じてしまって良いものか?
絨毯を汚している液体が絵の具の類だったとしたら、そいつの言い分は全てが嘘と言う事になる。
とはいえ真偽を確かめる唯一の方法は魔力供給とやらを切る事なのだが、もしも言っている事が全て本当の事だったとしたら間違いなく僕は死んでしまう。
くそっ。選択肢は表示されていても実際には一択しか無いじゃないか。

そういや前にやったクソゲーにこんな展開があったような……。

「それはどれくらいの期間なんだ? 一生なんて言うなら僕はパスだ」

アーベルなんとかの言葉を信じるとするならば、僕は自分が死んでしまわないために柚姫に協力しなければいけないらしい。
柚姫が死ねば掛けられた魔法も失われ、自動的に僕も死んでしまうからね。
だけど、そのために必要な情報が全く集まっていない現状ではお話にもならない。
最低限、コイツの知っている事全てを聞き出さなくてはいけないんだ。
くそっ。なんでこんな無駄な事に時間を費やさなくちゃいけないんだ。僕がこうしている間にも新作の発売日が刻一刻と迫ってきているというのに!
……いや、いっそのこと死ぬ直前までギャルゲしてようか?
僕の考えをよそに猫だか狸だか知れない生き物が言葉の羅列を吐き出してゆく。

「擬似的にとはいえ生命活動が継続している以上、自然治癒力も失われていない。むしろ代謝は上がっているから、多く見積もっても三ヶ月といったところかな」
「三ヶ月……。それで、その間、柚姫は何をしなければいけない?」
「特に義務は無いよ。データを取るのが目的だからね。ただ、他の魔法少女から攻撃を受ける可能性はあるね」
「まて。それはつまり、石は柚姫だけが持っているってわけじゃないって事か」
「当たり前じゃないか。被験者が一人きりじゃあ意味が無いだろ?」
「全部で幾つだ?」
「3つ。といってもボクがここへ来る直前の話だからまだ増えるかも知れないね」
「つまり、最低でも2人の同類がいるって話か。それで他の魔法少女を倒した人間には何か賞罰があるのか?」

それはとても重要な事だった。
僕のやってきたそういう種類のゲームじゃあ、最後まで残った少女は何でも願いが叶ったり不老長寿の命を得たりと何某らのメリットがあって、だから戦うハメになる。
逆に言えば戦う事にさしたるメリットが無いのであれば交渉することで争いは回避できると言う事だ。

「特にないよ。ただ、戦って勝つということは所持している石を破壊もしくは奪う事を意味するから。石を奪う事に成功すれば同時に複数の魔法を使えるようにもなるし、悪い事は無いだろうね」

「複数の……、どういうことだ?」
「石は一つにつき同時に一つの魔法しか発動できないんだ。そして柚姫の場合、すでに枠が埋まっているから君に対する魔法を一度解除しない限り他の魔法が使えない」
「あ〜、つまり治癒魔法は『治るまで掛け続けなきゃいけない』ってことか」
「そうだよ。君は物分かりが良くて助かるよ」
121幼馴染みは魔法少女:2011/09/23(金) 22:44:12.51 ID:xwIbLHwB
頭を抱えて当の本人を見る。
柚姫はちんぷんかんぷんといった面持ちで僕と妖怪の会話を見守っている。

「分かってて僕を殺害して治したのか?」

一応確認してみるが案の定、幼馴染みはプルプルと頭を振って答えるばかり。
そんな魔法少女に、マスコット役は「聞かれなかったから答えなかったんだ」なんて冷たい言葉で反論を封じた。

「お前の雇い主は僕らに対して何かしてくれるのか?」

コイツはさっき『派遣されてきた』と言った。
それはつまり、コイツには雇い主、いやこの場合は製造した組織・もしくは企業があることを意味している。
石はテスト段階のベータ版。
だからデータを取るために見ず知らずの少女に手渡した。
まあ、話を聞く限り本当に見ず知らずかも疑わしいけどな。
ということは今もどこからか監視されている?
いやひょっとしたらコイツ自体に監視カメラの機能が備わっているのかも知れないが。
どちらにせよデータを取る以上は被験者にイヤと言わせないための役得がなければおかしい。何らかのサポートはあって当然だろう。
ところが白狸は臆面もなく言い放ったのさ。

「そんなの、あるわけないじゃないか」

コイツは……!!

「いいかい? 柚姫は石を手に入れた事で超常の力を行使する事ができるようになったんだよ。
 それは普通の人間では絶対にできない奇跡をいとも簡単に引き起こす事ができるという事でもあるんだ。それ以上一体何を望むと言うんだい?」
「じゃあ、巻き込まれた僕はどうなるんだ?」
「君の場合は不運としか言い様が無いね。諦めてよ」
「ダメだコイツ、早く何とかしないと……!!」

拳を握り締めて、この奇っ怪な生き物を闇に葬る手立てを考える。
ごく客観的な物言いをすれば、仮に三人の魔法少女が生き残りを賭けて戦うとかいった設定なら僕と柚姫は素晴らしく不利な立ち位置からのスタートになる。

Q・どうして?
A・魔法が使えないから。

魔法の石1つにつき同時に発動する魔法は一つきり。
しかし柚姫はその手で殺害した僕の肉体を修復するために日常的に魔法を使い続けているのだ。
ならば必然的に僕がブレインになって、柚姫が魔法を使わなくて良い状況に持っていくしかない。
くそっ、現実め!!
どうして部屋に引き籠もってギャルゲ生活を謳歌したい僕の願望を阻害するんだ。
とりあえず、やるべき事は他の魔法少女を見つけ出すこと。
見つかってからの対応では遅すぎるからここは先手が肝心だ。
そしてその個人情報を手に入れて、交渉に持ち込む。場合によっては脅迫してもいい。
こちら側に付ける事が出来れば『魔法が使えない』というハンデはクリアできるわけだし。
と、まあ、プランとしてはこんなところだろうか?

「あと聞いて置きたい事は2つ。一つはその魔法とやらの限界。もう一つはお前から見て柚姫個人の能力がどの程度なのか。
 他に知らないで済まされない事があるなら言っておけ」

御伽噺でいう魔法なら何でもできるだろうけれど、現実はそんなに甘くない。
万能ではありえない。
だったら尚のこと、自分の出来る事と出来ない事を把握しておかなければいけないだろう。
なぜなら万が一でも、僕に掛かっている治癒魔法を一時的にキャンセルしなきゃいけない自体が訪れるかも知れないから。
122幼馴染みは魔法少女:2011/09/23(金) 22:45:33.11 ID:xwIbLHwB
「彼女の資質はかなり高いと思うよ。現に君に掛かっている魔法は相当に高度なスペックが要求されるからね」
「もう一つは?」
「それは個人の資質によるだろうね。けれど分かりやすく言って、最低の魔力の持ち主であったとしても民家を破壊するくらいは簡単にできるよ」

ああ、つまり一般人ではどう足掻いても太刀打ちできないってワケか。
もちろん、有り得ない事だが僕が柚姫を守ろうと自らを盾にしたところで全くの無意味。
だが、それは悪くない情報だ。
今こいつは『魔力』という単語を使った。
資質とはこの場合、魔力の量ということだろう。
魔法の石は、要するに電化製品で、魔力という名の電気が無ければこれっぽっちも動かない、そういったものなのかも知れない。
というか、そういう前提でなければコイツの話は筋が通らないのだ。

「だいたいは把握した。とりあえず柚姫、お前はもう帰れ」
「え〜?!」
「僕はこれからギャルゲで忙しいんだ」

壁掛け時計はそろそろ8時に届こうとしている。
隣に住んでいるのだから送り届ける必要も無いだろう。
まだフリフリ洋服から着替えていない幼馴染みにとりあえず変身を解除するよう言ってから、僕は一人部屋を出ようとする。

「どこいくの?」
「下のゲーム部屋」

夕食と言っても冷蔵庫に入っているパンと飲み物だけで済ますつもりだし、その後はシャワーでも浴びてサッパリすればギャルゲ攻略にも集中できるってもんだ。
ところが扉を開けた僕を追い越したのは柚姫で、何を考えたのかコイツは魔法少女ルックのまんま階段に足をかける。

「晩ご飯、あたしが作ってあげる!」
「おい、待て!」

確かに過去に何度かコイツは家にやってきて勝手に晩ご飯を作っていった。
でもそうなると必然的にゲームする時間が削られるわけで。
いやいや、それ以前に、お前その格好のまんま料理するのか。
とか。
冷蔵庫に食材になりそうなものなんてあったっけ?
とか一瞬でも考えてしまったものだから引き留める事が出来なくて、トントンと軽い足取りで階段を降りきった彼女は脇目もふらずにキッチンへと向かう。

「君も災難だったねえ」
「他人事みたく言うな妖怪」

遅れて廊下に踏み入った白狸が、僕の足下でやれやれといった調子の事を言う。
そんな妖怪もどきを今すぐに踏み潰したい気持ちでいっぱいになった。

おわり
123幼馴染みは魔法少女:2011/09/23(金) 22:48:57.18 ID:xwIbLHwB
投下終了です。
単なる思いつきで書いただけだから続くかどうかは分かりません。
まどマギとカミのみをごちゃ混ぜにしたらこうなった的な話です。
124創る名無しに見る名無し:2011/09/26(月) 12:40:10.70 ID:9sET8NIJ
投下乙
125幼馴染みは魔法少女:2011/09/27(火) 00:05:52.84 ID:hhweQB75
魔法の石は三つ。
一つは脳みそ湧いた幼馴染みが持っている。
名前は立川柚姫(たちかわゆずき)。
コイツに殺された挙げ句に甦らされた僕としてはこのDQNが死のうが何しようがどうでも良い話なのだけど、コイツが死ぬとコイツに魔法を掛けられている僕まで死んでしまうから、イヤでも守らなきゃいけない。
いくら二次元(ギャルゲ)にしか興味のない僕でも二回も殺されるのは御免なのさ。

幼馴染みの隣に現れた不気味なマスコット、アーベル=シュタットハイムの言ったルールは以下の通り。

@所有者は魔法の石一つにつき、同時に一つの魔法しか使えない。
Aしかし他の者から石を奪い取る事で同時に複数の魔法を使う事が出来る。
B柚姫はすでに蘇生の魔法を僕に使用しており、それは継続的な術式なので、少なくとも僕の負っている傷が癒えるまでは他の魔法を使用する事が出来ない。
C魔法の石を発動させると使用者の衣服は戦闘用のコスチューム(ローブと呼ばれるらしい)に換装されるが、これは魔法の残り枠を圧迫しない。
D石の所有者は、たとえ最低クラスの魔力の持ち主であったとしても一般人では太刀打ちできない。
Eそして何より重要なのが、僕に掛けられている治癒魔法を一時的にキャンセルしたとしても、柚姫が自由に魔法を行使できる時間は最長で3分間だということ。
それ以上になると脳細胞が壊死して僕の死が確定してしまうのだ。

と、書き出してみるとかなりマゾい縛りあるルールだと分かる。
ついでに言っておくと、僕自身には何の能力もない。
特別に強いわけでもなく、ありあまる財力を持っているわけでもない。
強いて挙げれば頭がキレるって事くらいだろうか?
と言っても授業中のゲームプレイを教師に認めさせるほど成績は良くないし、同時に12個のゲームを攻略できるほどのネ申でもない。
ようするに普通の人ってこと。
僕は佐久間ケンイチ。ゲームをこよなく愛するギャルゲーマーだ。

「おはよ〜ケンちゃん!!」
「お前はいつでも元気だな」
「それだけが取り柄ですから☆」

柚姫から魔法少女になったことを告げられたのが数日前の事。
あれから僕はギャルゲ攻略に勤しむ一方で色々考えて居た。

「……どうしろってんだ」
126幼馴染みは魔法少女:2011/09/27(火) 00:07:06.73 ID:hhweQB75
柚姫の置かれている立場は非常に危うい。
だから残り二人の魔法少女に対してはこちらから先制して動かなければ勝機はない。
というか戦いに持ち込まれた時点でアウトなのだから、その前に話し合いで解決しなければ明日の日の目を見ることができないのだ。
それなのに、と思う。
一体どうやって相手を特定すればいいんだ?
『私が魔法少女ですよ〜』なんて名札をご丁寧に掲げてくれる魔法少女なんて皆無(というかそんなヤツでは使い物にならない)だろうし、
かといって相手が変身する現場に居合わせるなんて狙って出来る事でもない。
くそっ。今は待ちの一手を決め込むしかないってワケか。
不幸中の幸いは柚姫がまだ誰にもそれを話していないって事だ。
こちらの事を知られていない間は向こうだって動きが取れないだろう。
もちろん『絶対に人前では変身するな』って事は昨日も一昨日も、口を酸っぱくして言い含めてある。
せめて相手が接触しやすい環境に居てくれたらと願わずにはいられない。

「ケンちゃん、昨日のテレビ見た?」
「んあ?」

学校に向けて二人並んで歩く登校風景。
学生鞄を小脇にPSPの四角いモニタを見つめていた僕がふと顔を上げて幼馴染みを見る。
柚姫はどんより曇った天候とは対照的に、ポカポカ陽気な笑顔で僕を見つめている。
くそっ。誰のせいで僕がこんなに悩んでいると思っているんだ。
曖昧な相づちを返しつつ視線を前にやる。
僕らは丁度、大通りに面した交差点に差し掛かっていた。

「……ん?」

その瞬間に見た光景には強烈なインパクトがあった。
ブレーキを踏む様子のないダンプカー。
点灯する赤信号。
歩道橋を渡ろうとするのは幼い女の子。
誰にも入り込めない時間の間隙。
撥ねられる。
そう思った。その幼子の人生はたった数歩で終わってしまう。そうとしか思えなかった。

『トランスフォーム!!』

そんな時に声があった。凛とした音色。
視界の端っこを凄まじい早さで駆け抜ける輪郭。
その輪郭は今まさに轢かれようとする幼子の体を引ったくって向こう岸へと到着した。
遅れてこだまする急ブレーキ。
ダンプカーの影から見えたのは少女だった。
艶やかな髪はダークブラウン。
周囲と比べても「どこの学校のコかな?」って思う程度の、違和感のない制服衣装は全体的に落ち着いたブラウン色が基調になっている。

少女はまだ状況が分かっていない幼女のたどたどしいお辞儀に軽く手を振って、微笑みと共に去ってゆく。
僕はと言えば追いかけようと駆け出すが、もうちょっとで声の掛かる範囲に到着するという頃合いで見失ってしまう。
見上げるとジャンプして建物の屋上に身を隠す輪郭があった。
魔法少女は魔法を使わなくても5メートル以上の跳躍が可能なのか。
新しい情報を得た僕の心境は複雑だ。
攻略すべき相手が願い通り近場にいてくれた幸運。
しかし正体を突き止められなかった焦燥感。
そんなこちらの心情なんてこれっぽちも理解しない幼馴染みが、遅れてやって来て「今の凄かったね〜」なんて脳天気にほざきやがる。

「なんとしてでも突き止めなきゃな……」

周囲に溶け込めるコスチュームであれば、人通りの多い場所でも変身できるってことだ。
そんなヤツに狙われたらひとたまりもない。
一刻も早く排除するか、もしくは味方にしなければいけないのだ。
……っていうか、魔法だの魔法少女だのといったそんな非日常がゴロゴロ転がってる現実ってどうよ?と思わずにはいられない僕だった。
127幼馴染みは魔法少女:2011/09/27(火) 00:08:05.25 ID:hhweQB75
+++

そんな事があって学校に到着した僕と柚姫。
2−Aの教室にはいつもと同じ風景があって、やってきた僕と柚姫を感情のない目で出迎えた。

「おはよ〜柚っち!」
「うん、おはよ〜」
「ついでにオタケンも」
「……僕はついでかよ」

学校じゃ僕はオタケンなんて呼ばれている。
その由来は、想像にお任せするとして、僕は席に着くなりPSPを取り出して電源を入れた。
もちろん入っているのはギャルゲだ。
行きがけにあんな事があったものだから攻略が止まっちゃったのさ。
HRが始まるギリギリまでプレイしてセーブすれば時間の有効活用にもなるし、そんな人間にワザワザ話し掛けてくる暇人も居ないから、
結果として僕は心安らかに朝の一時を過ごす事が出来るのだ。

「ホームルーム始めるぞ〜」

と、そうこうするうちに担任が入ってきて生徒達は起立する。
これもいつもの光景だ。
だが次に起こった現象は僕の知らないものだった。

「喜べ男ども、今日から転入生が来る」

見てくれ冷たい印象を受ける上に乱暴な言葉遣いが玉にキズな女教師25歳がパッと横を見る。
つられて目を扉にやると、そこにオズオズと入ってこようとしている女子生徒の姿。

(……コイツは!!)

僕はこの幸運に感謝した。
転入してきた女子生徒の顔は、朝見た魔法少女のものとほぼ一致したのだ。
「ほぼ」というのは黒髪だったということ。
そっくりな別人さん、という考えも出来なくはないけれど、変身すると髪の色も変わると考えるなら同一人物と見なしても問題無いだろう。
ククッ。
探す手間が省けた。

「今後とも宜しくお願いします」

名前は逢坂恭(あいさか きょう)。
親の転勤の都合で引っ越してきたらしい。
肩に掛かる黒髪を揺らしながら、どこを見ているのか分からない視線でクラスを見回している。
転校生ゆえの緊張なのか、それとも対人恐怖症の気質があるからなのかは分からない。
だが、ベラベラと個人情報を垂れ流してくれるあたり、とても親切なヤツだ。
ふと視線を感じてめを斜め前にやると、幼馴染みから送られてくる視線とかち合った。

(頼むから、ルートを乱すようなことはしてくれるなよ?)

次の授業で使う教科書を引っ張り出しながら僕は策を練る。
どうやって近づくか?
人間は利害よりも感情を優先させる生き物だから、悪い印象を持たれては困る。
かといってギャルゲにありがちな、運命を感じさせる出会いシーンを演出するのも手間が掛かる。
ではいっそのこと「僕の友達が魔法少女なんだけどさ」なんて切り出すか?
いやそれはマズイ。相手との関係が固まっていない時点でこちらの情報を教えれば不利になる。
となると……。
それなら柚姫を使って……、いや、アイツには万が一に備えてスタンバって貰わないといけないから、呼び出す事さえ僕がやらなきゃいけないのか。
まったく面倒臭いことだ。
一通りの作戦を組み立てつつ、しかし表面上は印象に残らないモブキャラ的な存在感で授業風景に溶け込む僕だった。

おわり
128幼馴染みは魔法少女:2011/09/27(火) 00:10:41.96 ID:hhweQB75
とりあえずこんなモンで。
129創る名無しに見る名無し:2011/09/27(火) 00:34:41.59 ID:e2Xr6iyM
テンポいいね
wktk
130創る名無しに見る名無し:2011/09/28(水) 05:38:55.15 ID:QpP9agUO
>>125
投下乙
131幼馴染みは魔法少女:2011/10/02(日) 07:14:00.41 ID:nPmKn1bs
転校生、逢坂恭(あいさか きょう)はたぶん、ほぼ99%の確率で魔法少女だ。
そう考えた僕は放課後、一階下駄箱で待ち伏せして呼び掛けた。

「やあ、逢坂さん。ちょっとだけ良いかな?」
「えっと、あなたは……?」
「同じクラスの佐久間だよ」
「佐久間くん……。それで、なに?」

靴に履き替えた彼女が振り返り、露骨に警戒した面持ちで僕の顔を見る。
こちらとしては内心で気合いを入れ直して、すでに十手先まで練り込んだ台詞を淡々と吐き出すんだ。

「今日の朝、なんだけどさ。見ちゃったんだ」
「何を?」
「君が車に轢かれそうになっていた女の子を助け出すところ」

その瞬間、彼女の顔から血の気が引いたように思われた。
良い反応だ。まずは『彼女が魔法少女である』という事項が確実になった。
これで本題に入れる。

「人違いです。あたしあんな髪の毛茶色くないし」
「その人が茶髪ってことは知ってるんだね」
「……場所を変えませんか?」

と、逢坂がやや強張った口調で切り返す。
これも想定内だ。僕が彼女の立場だったなら人目に付かない場所まで移動して、相手の真意を探り、こちらに不利益と判断したなら即座に抹殺するだろう。

「うん、そうだね。そうしよう」

身の引き締まる思いとはこの事か。
背筋に冷たい物を感じながら、でも顔には笑顔を貼り付けて応じる。
歩きながら彼女は冷静さを取り戻すだろう。だから拒否はしない。
平和的交渉に持ち込むためにはその時間はどうしたって必要な物だから、移動中はあえて沈黙を貫く。
この時点での僕の動作パターンは完璧だ。

こうしてやってきたのは校舎の裏だった。
放課後だから不良グループも溜まっていないし、告白イベントの為に訪れる生徒も無い。
逢坂はそこまで僕を引っ張ってくると躊躇いがちに振り返った。

「それで、どんな用件ですか?」
「単刀直入に言うよ。君に協力させてもらえないかな?」

僕が彼女の秘密を知っているという情報を与えた。
次に、その人物が彼女にとって有益になる可能性も示唆した。
拒否すれば秘密をバラすぞ的な含みも持たせてある。
とはいえYESとNO、確率は60%と微妙なところだ。
もちろんそのどちらの答えだったとしても僕には対応するプランがある。問題は無い。
132幼馴染みは魔法少女:2011/10/02(日) 07:14:40.95 ID:nPmKn1bs
「協力って、何をしてくれるの?」

そう、確かに彼女は何かと戦っているわけじゃあない。
仮にどこぞの得体の知れない組織やら悪魔的妖怪的な怪物と戦っていたとしても一般人である僕では戦力になどならないだろう。
でも。

「情報を提供するよ」

そうでない平和な現代社会だからこそ、情報の重みは増すんだ。
たぶん彼女の傍にもマスコット気取りのシュールな生き物がついているだろう。
でもヤツらは聞かれなければ答えない生き物なのだから、恐らく今現在の情報量はこちらの方が多い。
とはいえ魔法少女として実際に何が出来て何が出来ないのか僕には分からないから、情報で結びつく事には大きな意味がある。
本当は情報の提供ではなく、交換だった。

「どうして?」
「え?」
「今日会ったばっかりで、お互いの事なんて全然知らないのに、どうして協力しようとしてくれるの?」

「君の事が気になるから」

聞かれたので答えた。なるべく素っ気なく。
本音を言えば5つくらいの項目があるのだが、そういう台詞を吐くギャルゲ主人公はいないのさ。
僕の言葉を聞いた途端、なぜか逢坂の顔に赤みが差した。

「あたし、あなたの事、全然知らないし……」
「それはこれから知っていけば良いんじゃないかな?」

立ち消えそうになる音色とたたみ掛ける言葉。
そうだ、もっと情報をよこせ。
住所も、家族構成も、悩みも大切にしている物についても、お前が知りうる全てを僕にさらけ出すんだ!
逢坂は目を閉じて考え込む素振りをした後、躊躇いがちに口を開いた。

「じゃあ、その、えっと、よろしくお願いしますです……」
「こちらこそ」

僕は握手を求めて手を差し出す。逢坂はそれに応えるようにおずおずと手を握ってくる。
交渉成立だ。

「じゃあ、いつでも連絡がつくように携帯の番号とメアドを渡しておくよ」
「うん」

ここで携帯電話の番号とメアドを走り書きしたメモ紙をポケットから取り出して握らせる。
こちらから聞いても教えてくれるかどうか微妙だったし、何よりこのタイミングで聞くと警戒される恐れがあるから聞かない。
ともかく、こうして第一関門をクリアした。
拒否されてからの巻き返しを期待しなかったと言えば嘘になるけれど、障害は少ないほど良い。
これから彼女が僕を守るよう仕向けていかなきゃいけないし、今もこっそり物陰から覗いているはずの幼馴染みとも良好な関係を築かせなくちゃいけない。
やることは沢山ある。

「じゃ、帰ろうか」
「うん」

あくまで淡々と、楽しげな雑談など一切無く、背を向けて歩き出した僕。
振り返って見ると逢坂は僕から数歩離れた場所を歩いていた。
133幼馴染みは魔法少女:2011/10/02(日) 07:15:16.34 ID:nPmKn1bs
+++

逢坂とは途中で別れて、無事に帰宅した僕。
そんな人間を玄関前で待ち伏せしていた幼馴染みはこちらの顔を見るなりプウッと頬を膨らませた。

「ケンちゃん、良かったね、上手くいって」
「何を言ってるんだ。重要なのはこれからじゃないか」

嫌がらせ程度に頭に手を乗せてワシャワシャすると幼馴染みは髪が乱れるからと嫌がった。
鍵を開けて家に入り、靴を脱いでとりあえず自室に向かう。
幼馴染みはと言えばさも当然といった顔で一緒に上がり込んでいる。

「お前は家の中までついてくんな」
「い〜じゃん、別に」
「いや、良くないだろ、ってか僕はギャルゲするんだから邪魔するな」

制服を脱ぎ捨て、普段着に着替えようとすると後ろで慌てて部屋を出る音があった。

「逢坂さんってさ、可愛いよね」

扉の向こう側からくぐもった声がする。

「可愛い? そうなのか?」
「うん、絶対に可愛いよ。クラスの男子達も騒いでたじゃん」
「他人は他人だよ。それに僕は3D女に興味は無いんだ」
「もっと現実に目を向けた方が良いよ。(…こんな可愛い幼馴染みがいるんだからちょっとは気にしてよね)」
「何か言ったか?」
「い〜え、別に何も〜」

上下セットのジャージに着替えて部屋を出るとすぐ隣に柚姫がいて、何やらつまらなそうな目をこちらに向ける。
そんなことはお構いなしに階段を足に掛ける僕。

「というか僕はゲーム部屋に籠もるわけだけど、お前はどうするんだ?」
「あたし、帰る」
「そっか、じゃあな」

素っ気なく対応して部屋に直行する。
柚姫は隣に住んでいるのだから見送りに出る必要も無いだろう。
やや遅れて階段を降りてくる彼女は、地下へと向かう階段へは足をかけず玄関に向かう。
パタリと扉の閉まる音がしたけれど、僕がそれを気に掛ける事は無かった。

おわり
134幼馴染みは魔法少女:2011/10/02(日) 07:17:34.73 ID:nPmKn1bs
投下終了です。
135創る名無しに見る名無し:2011/10/02(日) 15:03:57.85 ID:mC/qFQ5O
何リアルギャルゲやってんだよおおおおお
136幼馴染みは魔法少女:2011/10/08(土) 17:45:06.83 ID:I592c+w4
二人目の魔法少女『逢坂恭』。
彼女への情報提供者としてのポジションを獲得した僕はこれからどうすべきかを考える。
まずこれまでに手に入れた基本的な情報、たとえば魔法の石一つにつき同時に一つの魔法しか使えない事などを実際にこの目で確認しておく必要がある。
アーベルから得られた情報が事実である事を可能な限り実証しておかないと、窮地に陥ったときの対応に困る事になるからだ。
僕はアイツをあまり信用していないのだから。
それはそうと柚姫が同類である事は僕の口からは言わない方が良いだろう。
その情報は柚姫が直接逢坂に伝えなくてはいけない。
いや、本音を言えば幼馴染みの存在そのものを秘密にしておきたいくらいなのだけれど、こうも生活圏が近いと隠し通すのは無理がある。
だから自然な流れで知るよう仕向ける。僕に対して不信感を覚えないように。

それで、これから逢坂をどう使う?
三人目の魔法少女をあぶり出すための釣り針になって貰うのは確定として、その三人目に対して排除と友好どちらの方向でシナリオを進めていくか。
個人的にはつぶし合って欲しい。共倒れなら尚良し。
しかし逢坂は見たところ平和主義者で押しが弱い。
秘密を知っていると言った僕を攻撃しなかったのが証拠だ。
だったら友好路線で行くか?
しかしそれだと何か些細な切っ掛けで衝突する事態になれば、その度に僕は命の心配をしなくてはいけなくなる。
三人目も逢坂と同じような平和主義者とは限らないしね。
だとすると、最初に友情で結びつかせておいて、後から裏切り&同士討ちコンボを仕掛ける作戦が無難だろう。
もちろん柚姫にも働いて貰わなければいけないだろうけれど、上手くいったときには僕の生存確率が飛躍的に上昇するのだ。

そんな事をつらつら考えつつ、PSPのモニタを見つめる。
登校途中の僕。隣にはもうすっかり見飽きた感のある幼馴染みの姿。
同じ制服の生徒達が早足に僕らを追い越していくが気にしない。
そのペースで学校に向かうと、教室に到着してからチャイムが鳴るまで15分と40秒もの時間を持て余してしまうじゃないか。

「ケンちゃん、歩きながらゲームしてると車に轢かれちゃうよ?」
「心配はいらない。心の目があるから。お前の方こそ事故に遭わないでくれよ」

柚姫に死なれると僕まで死んでしまうんだ。
お前のおっちょこちょいに巻き込んでくれるなよ。

「あはは、大丈夫だって。あたしこれでも運動神経良いんだよ」

僕はPSPを掴む手を離すとおもむろに幼馴染みの腕を掴んで引き寄せる。
柚姫は上擦った悲鳴をあげるが、その後ろからギリギリでバイクが通り過ぎたものだから驚きと尊敬の眼差しで礼を言う。

「運動神経があっても注意力がないと死ぬ事になる。これが現実だよ」

現実はクソゲーだ。
セーブもできなければリセットも効かない。
努力したって報われるのはほんの一握りの人間だけ。
どれだけ正しい選択肢を選んでもトゥルーエンドはおろかベストエンディングにさえ辿り着けない。
だから僕は現実に絶望している。
僕に夢と希望を与えてくれるのはゲーム世界のヒロイン達だけなんだ。

いつも通りの通学路を突っ切ると見慣れた校庭と、その奥にある校舎が迫ってきて、僕らはその中へと吸い込まれてゆく。
それはつまり、有象無象のその他大勢の仲間入りを果たすということで。
PSPを仕舞い込んだ僕がやるせない溜息を吐いたとしても、誰も見向きもしないのさ。

+++
137幼馴染みは魔法少女:2011/10/08(土) 17:45:48.63 ID:I592c+w4
その日の放課後。
夕刻間近の教室で僕は逢坂に呼び止められた。

「佐久間くん、一緒に帰りませんか?」
「うん、いいよ」

微笑んで返すと逢坂は恥ずかしそうに俯いてしまう。
その隙を突いて教室の隅っこで歯がみしている幼馴染みにそっと目配せする僕。
しかし妙なのはこのタイミングで下校イベントという事だ。
逢坂恭の僕に対する好感度は10段階で1か2といったところだろう。
ギャルゲじゃあ、女の子からのお誘いなんてそれなりに好感度が高くなければ発生しない。

「佐久間くん、あのね」

下駄箱で下履きに履き替えて二人並んで校門を出る。
ポジション的に彼女を先行させようとしたけれど相手はどうにも前に出るのを嫌がって、結局は居並ぶ格好になる。
ここでもPSPと睨めっこする僕は、しかし相手の挙動に集中しているために全然ゲームにのめり込めない。
道すがら逢坂はポツリと呟く。

「あたし思ったんだけど、佐久間君の周りに魔法少女になった子、いるんじゃない?」

?!
一瞬言葉に詰まった。
なぜコイツがそれを?
それは伝えていない情報なのに。
考えてすぐに思い至る
コイツの傍にいるであろう妖怪が何か吹き込んだんだ。
それに昨日の遣り取りで僕は「情報を提供する」と言った。
それは裏を返せば「魔法少女に関する情報を持っている」ということになる。
無関係な人間にその知識は有り得ないことを考えれば、僕という人間の周囲に同類が存在するという答えが見えてくるだろう。
しかしこの女、意外に頭の回転が早い。受けに回ったらどんどん事態が悪くなる。
手早く考えを整理して言葉にした。

「どうしてそう思うんだい?」
「だって、その、凄く落ち着いているんだもの」
「僕のやってるゲームじゃあ、魔法の力で変身する女の子はザラに出てくるよ」
「あ、げ、ゲームの話?」
「魔法の変身アイテム、持ってるだろ? あとマスコットキャラが居て色々と教えてもくれるだろう?」
「そんなことまで?!」
「ゲームの中じゃあ、そんなの定番中の定番だよ」

もちろんギャルゲの話だけどね。
逢坂は僕の言葉を信じたようで、ただただ驚きに目を丸くしている。
僕は事実しか言ってないのだから疑いようもないのだけれど、とりあえず議題を良い感じに回避できた。
でもせっかくの好機でもあるのだからこの話題を使ってもっと情報を搾り取ろうと思う。
138幼馴染みは魔法少女:2011/10/08(土) 17:46:31.90 ID:I592c+w4
「よく見るゲームの設定じゃあ、現れる魔法少女は三人くらいで、大抵は出会った早々から敵味方に分かれて殺し合っている」

「……」

「それでまず確認しておきたいのだけれど、君は他の魔法少女が現れたとき、どうするつもりなの?」

「どう、って。そんなの分からないわ。あたしはお友達になれたら良いと思うけど…」

つまり友好を選択するワケか。
でも言葉を濁す辺り、場合によってはやり合う事もあると理解している様子だ。
いいぞ、とても良い。僕の計画通りに事を運んでくれそうだ。

「君のマスコット、名前は知らないけれど、そいつは僕のこと何て言ってる?」

ちょっと反応が見たくて素っ気ない態度で聞いてみる。
すると彼女はギクリと表情を強張らせて、取り繕うような笑みを浮かべた。

「特に何も言ってないわ。気をつけろみたいな事は言われたけど……」

分かり易すぎる反応だ。
つまり(逢坂の視点からだと)二人目の魔法少女が僕の影に隠れていると入れ知恵したのは妖怪もどきで確定だ。

「ふ〜ん。ところでそのマスコット同士は連絡取り合ったりはしていないのかい?」

ちょっとした話題転換を装って、実は核心に迫る質問をする。
妖怪同士が何らかのコミュニケーション手段を持っていて、部分的にであれ情報を共有しているなんて話になったらかなり危険な状態になる。
幼馴染みに対しても気を抜けなくなってしまうからだ。
逢坂は考え込むような素振りをした後に答えた。
139幼馴染みは魔法少女:2011/10/08(土) 17:46:58.23 ID:I592c+w4
「知らない。聞いた事も無いわ」
「そう」
「今度聞いてみるね」

問いかけの真意には気付いていない様子だし、単純に「その発想は無かった」とでも言わんばかりの表情だ。

「あ、そうだ。次の日曜日、あいてる?」
「どうして?」
「デートしない?」
「あぅ」

街の輪郭に夕日が差し掛かる頃合い。
横断歩道を渡る最中に僕は囁いた。
逢坂は驚いて、でも即座に否定することもしない。

「もちろん君に憑いているマスコットも同伴で。ソイツと話がしたいんだ」
「ああ、なんだ……」

ホッとした様子で息を吐く逢坂。
それでも頬には少し赤みが差している。
っていうか、僕と一緒に居るのはそんなに恥ずかしい事なのか?
いやいやギャルゲ的に言えば、もしかしたら僕が予想しているより彼女の好感度は高いのかも知れない。

「うん、いいよ」
「待ち合わせは駅前でどう?」
「うん、分かった」

人通りの多い場所なら出会い頭に変身して襲い掛かって来る事もないだろう。
幾つかのシナリオを練りながら、僕はなるべく良い笑顔で彼女の目を真っ直ぐに見つめる。

「じゃあ楽しみにしているよ」
「うん……」

本当に楽しみだ。
それはデートでもなければ座談会でもない。
本当の目的は逢坂の傍にいるマスコットであり、コイツに幾つかの情報と行動指針を与える事。
逢坂はマスコットの事をかなり信用している様子なので、コイツを誘導する事が出来れば計画を次のステップに移す事ができるんだ。

「僕はこっちだから」
「うん、ばいばい」

折良くT字路に差し掛かったので僕は別れの言葉を口にする。
彼女の顔はまだ少し赤らんでいたけれど、それでも笑顔で見送ってくれた。

おわり
140幼馴染みは魔法少女:2011/10/08(土) 17:48:56.87 ID:I592c+w4
投下終了です。
141創る名無しに見る名無し:2011/10/08(土) 21:56:41.10 ID:wx6Ru7px

佐久間くん手馴れすぎです
142幼馴染みは魔法少女:2011/10/22(土) 22:15:36.41 ID:jY7pE1+A
約束の日になった。
僕は季節感のないジャケットとジーンズに着替えて駅前に向かう。
準備はできている。
これから僕が行うのはデートではなく、駆け引きだ。
会話内容は何度も何度もシミュレートしている。
とはいえ昨日は眠れなくて気分転換にとギャルゲを始めたら止まらなくなって、結局一睡もできなかったけれど。
それでも大丈夫。なぜなら僕はスーパーギャルゲーマーだから!
道すがら振り返って見ると、100メートルくらいの距離を置いて立っている幼馴染みの姿があった。

「……ついてくるなって言ったのに」

溜息と一緒に呟く。
今回は終始人通りの多い場所で遣り取りする手はずなので、どんな結果になったとしても相手が変身して襲い掛かって来ることはない。
柚姫が居合わせる理由は無いんだ。
それどころか他の魔法少女の存在に勘づかれでもしたらせっかく立てたフラグが全て台無しになる。
なので一昨日は行く行かないで揉めた。
昨日は大人しかったから納得したものと考えて居たけれど、どうやら甘かったらしい。
双眼鏡まで持参してくる辺りヤツの本気度が如何ほどの物か窺い知れるが。
それにしたって上下黒スーツの黒帽子&サングラスなんて格好は逆に目立ちすぎると思うのだがどうだろう?
ってか、どうやってそんな尾行ファッションを入手したのかと小一時間ほど問い詰めたい気持ちでいっぱいだ。

「あ、佐久間くん」
「逢坂、お待たせ」

尾行を撒く事もできないまま、こうして待ち合わせの場所に到着した僕は、シュールな生き物を胸で抱く逢坂と落ち合った。

「え〜と……」
「やあ、はじめまして。ボクはハインケル。魔法少女を脅した命知らずというのは君の事かな?」

ソイツは猫なのか狸なのか、はたまたウサギなのか、幼馴染みの傍にくっついているのと同じような輪郭を持つ生き物だった。
ソイツは感情なんて欠片ほども感じさせない無機質な目で僕を見ている。

「なんか戦闘機みたいな名前だね」

やっぱりコイツもゲルマン系の名前だった。
ということは、コイツらを派遣した人間もしくは組織はドイツが発祥か、そうでなければよほどのドイツ大好きっ子だろう。
っていうか、そもそも少女達を魔法使いに仕立て上げている人間の本拠地についてどうして気にしているのかと言えば、国内組織かそうでないかで状況がガラリと変わってしまうからだ。
たとえば国内にその組織・団体があったとするならば僕が直接コンタクトするなんて事だって可能性として出てくる。
それに、出てくる魔法少女が全部同じ国の人間なら会話だって出来るしね。
日本人的な気質を考えると実験を海外で行うとは考えにくいんだ。
でも国外の組織だったとすれば被験者になった少女達は世界各国に一定数居ると考えた方が良い。最終的に対立させられるなんて目も有り得る。
しかもこちらからのコンタクトは格段に難しくなるしね。
僕が昆虫のような目で妖怪もどきを見ていると、妙な雰囲気に耐えかねたのか逢坂が口を開いた。

「ねえ、佐久間くん。これからどうする?」
「移動しよう。ここじゃあ落ち着いて話しも出来やしない」

言ってから切符販売機に向かう。
そう、ここは駅前で、雑多な人通りのある場所だ。
命の危険を伴う会話は人混みの中で行うのがセオリーだけど、それは裏を返せば無関係な通行人にまで話を盗み聞きされるということだ。
そして彼らが全くの無関係なら問題無いのだけれど、未だ顔も分からない三人目がどこに潜んでいるか分からない現状を考えるとここでの遣り取りは最善とは言い難い。
そこで考えた。
人通りは激しいけれど自分達に注意の向けられない場所を。
それがここだ。
143幼馴染みは魔法少女:2011/10/22(土) 22:16:37.65 ID:jY7pE1+A
「え、遊園地……?」
「うん。何か問題あったかな? えっと、イヤだったら別の場所にするけれど……」
「ううん、全然。あ、でもあたしあんまりお金持ってないわよ?」
「それについては僕が出すよ」

やって来たのは20分ほど電車に揺られた先にある遊園地。
今日は天候的に行楽日和ということもあって家族連れやカップルで賑わっている。
くそっ。
本当は来月に出る新作ギャルゲーのために貯めていたお金なのに、何故リアル女のために使わなければいけないのか。
自分の命が掛かっているとはいえ不条理にもほどがある!!
逢坂は少しばかり顔を赤らめて「じゃあ、思い切り楽しんじゃおっかな」なんて、いけしゃあしゃあとほざきやがったのさ。

チケットを購入してゲートをくぐった僕らは、案内板で巡回コースを模索する。
ジェットコースターを皮切りにティーカップやら観覧車やら、次々とメニューが組み立てられてゆく。
こういう所で実感するものだが。
逢坂は、見た目はトロくさそうな女子だが、ある程度の方向性が定まれば頭の良くキレる性質だ。
しかもメニューの中に休憩や息継ぎの時間を挟む辺り自分の限界もある程度理解しているらしい。
押しが弱いから仕掛けるのは簡単だが、意志が強いだけに後の扱いが難しいタイプ。
言うなれば正統派ヒロイン型。
大抵のギャルゲでそういったキャラはメインヒロインになっている。
……ってか、なんで3D女を攻略しなきゃならんのだ!!
ちきしょう。元はと言えばあのイカレ幼馴染みが僕をぶっコロしたのが悪いんだ!!

「どうかしたの?」
「ん、なんでもないよ」

そういえば尾行グッズに身を包み後方100メートル地点から僕を監視していたはずの腐れストーカーの姿を見かけない。
おそらくゲートをくぐったところで見失ったのだ。
だがそれは僕にしてみれば厄介者が居なくなって心配の種が一つ減ったに過ぎないというだけのことで。
なので笑顔で足を前に出すと逢坂を促した。

「さあ、行こう!」
「うん☆」

……それからの事を述べる。
ジェットコースターで吐きそうになった。
ティーカップで目を回した。
お化け屋敷は寒かった(色んな意味で)。
誰だこんな不愉快なテーマパークを街の中に造ったのは!!
まったく、女の我が儘に付き合わされて散財を余儀なくされる世の男共の気持ちもちょっとは考えろってんだ!!
とはいえ逢坂は楽しんでいるようで笑顔が絶えない。
ギャルゲ一筋の僕でさえドキッとするような微笑みを絶えず向けてくる。
童心に返った瞳で「次あれに乗りましょ☆」なんて言われるとイヤとは言えない。
くそ! 良いじゃないか遊園地!!
144幼馴染みは魔法少女:2011/10/22(土) 22:19:56.59 ID:jY7pE1+A
そんなこんなで昼頃。
僕と逢坂は園内のカフェテラスにいた。
休憩と簡単な腹ごしらえが表向きの理由。でも、僕としてはここが本題。
列を作っている売店の焼きそばが食べたいからと言って並んだ逢坂。
彼女の空席を埋めるためにと置き去りにされた妖怪もどき。
僕が攻略すべき相手は、本当はコイツだった。

「ところでハインケル、だったっけ?」
「なんだい」
「幾つか聞きたい事があるんだけど、良いかな?」
「それは恭が居ない方が都合の良い話なのかい?」
「さあ、それは僕には分からない。でもお前としてはその方が良いかも知れない」
「……聞こうか」

一瞬、ほんの一瞬だけど、無表情のハズのマスコットが心を揺らした、ような気がした。

「まず、お前は逢坂を監視するためにここに居る。そうだな?」
「……やっぱり君の周囲には他の魔法少女が居るんだね?」
「質問しているのは僕だ」

やっぱりコイツ、頭が良い。逢坂以上によく回る。

「……管理も含まれているから正確には観察と呼ぶべきじゃないかな」
「それで、得られた情報をどこに送っている?」
「なぜ、そんなことを聞くんだい?」
「生き残りがかかっているわけじゃない。他の魔法少女を倒しても役得がない。そもそも戦う相手が居ない。
 その条件下にも関わらず観察し続けるってことは活動を観察する事そのものに意味があるってことだ。違うか?」

「つまり君はボクらを派遣した組織が何を目的としているのか、真意を知りたいということだね?」

組織……、やっぱり個人ではなく組織・団体ってことか。
それに今コイツ、組織の名称を詮索される事を回避しようとした。つまり、コイツらが他に与える情報は限られているってことだ。
もちろん僕だってこの場でそれが聞けるとは思っていないけどね。

「実験場は日本だけじゃなく、世界各国に一定数あるんだろ?」
「君はなかなか想像力が豊かなようだね。それとも別のTCにでも聞いたのかい?」

TC? 新しい単語が出てきた。
何の略語かは分からないが、少なくともコイツらが同族(?)を指して使う言葉のようだ。

「何度も言わせないでくれないか。質問をしているのは僕の方なんだ」

コイツは明らかに警戒している。だから向こうからの質問は可能な限りシャットアウトする。
ハインケルは無表情を決め込んでいるが僅かな沈黙が頭の中の回転速度を物語っていた。

「君はかなりの情報を有しているようだね」
「少なくとも協力者を名乗り出るくらいのことは分かってるつもりだよ」

あくまで平静を装いつつ、さらっと述べる。
僕がかなりの深度で情報を持っている事を提示した。そしてそんな僕が協力の意志を持っている事も。
危険人物と見なして排除しにかかるか、それとも口車に乗って情報を提供するのか。さあ、どっちだ?

「いいよ。ルール違反にならない程度で君に情報を提供するよ。本来そんな義務は無いんだけどね」

よし、乗ってきた!
心の中でガッツポーズ。でも表面上は関心のない素振りで聞き流す。
ここからが本番だ。気合いを入れ直して取りかかろう。数百もの会話パターンを頭で復唱しつつ、相手の次の一手を待つ僕だった。

おわり
145幼馴染みは魔法少女:2011/10/22(土) 22:23:40.28 ID:jY7pE1+A
ちょっと日数が開いてしまいましたが投下終了です。
ってか頭脳戦って難しいですねマジで。
146幼馴染みは魔法少女:2011/10/31(月) 19:52:34.75 ID:iIefGEut
「じゃあ、さっきの質問に答えて貰えるかな?」

遊園地のカフェテラス。
逢坂は売店に並ぶ列から帰ってこない。
安っぽいプラスティック机を挟んで言葉を交わす僕とハインケルはここぞとばかりに腹の探り合いをしていた。

「残念だけど、その情報を開示する事は規約に違反するんだ」
「依頼主のプライバシーは守るということか」
「人間の概念で言えば、そうなるね」

情報を提供するよと言いながら、なかなか核心に迫る話は聞けなかった。
ルールとやらを盾にして回答を拒否するんだ。
いくらか予想していたとはいえ、我ながらちょっと選択肢を間違えたかな、なんて思う。

「じゃあ、次の質問なんけど。お前はどれくらい前から逢坂恭に目を付けていたんだ?」
「……随分と前からだよ」
「選別する手段は?」
「生後間もない赤ん坊には病院による検診が行われるだろう?」
「つまり候補のリストはそこで作られていたってワケか」

それは衝撃の新事実と呼ぶには少々実感の湧かない話だった。
ようするに国の医療施設を牛耳っているって事なのだから。
コイツら妖怪もどきを現地に派遣したヤツらが実は裏から世界を操っているような巨大組織でしたなんて、それじゃあ無力な一般人の枠を出ない僕ではどうする事も出来ないじゃないか。

いやいや落ち着け僕。
話が大きくなりすぎているからここでは最小単位で考えよう。
とにかくコイツら、TCだっけ、その後ろには謎の巨大組織Xがついていて魔法少女の観察を命じている。
とはいえ少なくとも魔法少女そのものをどうこうしようといった思惑は無いらしい。
でも、本当にそうか?
組織名称についての返答を拒否したハインケルは、だけど少女の選別に関してはペラペラと喋ってくれた。
それは僕を信用してというよりは、僕に特定の答えに行き着くよう誘導しているように思われる。
そこで追加の質問だ。

「TC同士は連絡を取り合ったり、情報を共有していたりは無いのか?」
「無いよ」
「でもここで得たデータは逐一報告してるんだろ?」
「三日に一回程度だけれどね。
  というか、君はもしかしてボクらを派遣した人間が情報を操っているとでも言いたいのかい?
  だとしたら勘違いも甚だしいよ。
  ボクらに与えられた命令は指定された人間に石を渡し、被験者となったその少女を観察すること。
  必要な情報を与えてサポートする事だけ。それ以外には無いんだよ」

「だったら、お前が独自の判断で魔法少女同士を戦わせたいと思ったら、そうなるように誘導するってのも有りなのか」
「本当に君は捻くれた考え方をする人間だね。可能性だけで言えば有り得る話だけれど、だからといって自分の観察対象を危険に晒すようなマネをするはずが無いじゃないか」
147幼馴染みは魔法少女:2011/10/31(月) 19:53:28.90 ID:iIefGEut
確かに同じ程度の力を持った者同士が争うのは危険だ。
だって2ぶんの1の確率で観察対象が居なくなってしまうのだから。
僕はかなり納得した。けれど、幾ばくかの不安が残っている。

「そういえば重要な事を聞いていなかったな。観察が行われている期間は?」
「三ヶ月だよ。もちろんこのまま何事もなく与えられたミッションを終えられたらの話だけど」

ミッション?
また新しい情報だ。アーベルはそんなこと一言も言わなかったぞ。
僕は知ってますよとでも言いたげな顔を取り繕う。

「それで今回のミッションの内容は?」
「銀行強盗を制圧する事」

おいおいおい、えらいハードな内容だな?
制圧する事がではなくて、強盗に押し入られている銀行を探し出す事が。
数秒に一回犯罪が起きているような国と違ってこの街は平和なんだぞ。

「どうやってその現場に遭遇するんだ?」
「探す必要は無いよ。その状況は向こうからやって来るんだ」

ああ、つまり自作自演で組織の誰かが犯人役をやるって事なのか。
しかしそんなことでデータが取れるのか?

「おまたせ〜」
「ああ、うん。時間かかったね」

色々考えて居る間に質問タイムが終わってしまった。
皿に盛られた大盛り焼きそばを大切そうに両手で抱え込みながら、逢坂恭がやってきたのだ。

「ホント、人多すぎよね」

文句を言いながら、だけどニコニコ顔の逢坂。
彼女は僕とハインケルを交互に見つめて「何の話してたの?」なんて聞いてくる。

「ああ、状況の整理だよ。ゲームの設定と現実にどれくらいの違いがあるのかなって」
「……」

ハインケルが感情のない目で僕を見上げた。

「あれ、言わなかったっけ?
  僕が持っている情報というのはテレビゲームの中の話なんだよ」
148幼馴染みは魔法少女:2011/10/31(月) 19:54:11.14 ID:iIefGEut
それは『僕の身近に魔法少女は居ない』とも取れる内容だ。
嘘は言ってない。現にこれとよく似たシナリオのギャルゲを何本も攻略しているワケだし。
必要な情報を揃えた僕は頭の中で作戦を組み直す。
『魔法少女には遂行しなければいけない課題が与えられる。』
ミッションを与えるのは恐らく組織X。
そして三ヶ月の期間なのだから、ミッションは幾つもあると考えた方が良い。
だとしたら終盤になって『他の魔法少女を殺害しろ』なんて課題も出てくるかも知れない。
……そうか、アーベルがミッションについて言わなかったのは治癒魔法を使い続けている柚姫には遂行能力が無いからなんだ。
僕の怪我が完治する頃には観察期間が終わってしまうから、予定していたかも知れないミッションを全て無しにした。
そう考えると辻褄が合う。
しかし、それなら尚のこと柚姫の存在は隠し続けなきゃいけない。
僕と柚姫の安全を確保しつつ、二人の魔法少女につぶし合って貰うプラン。
似たようなシナリオのギャルゲは31本。
しかしここからのルートではトゥルーエンドには辿り着けない。
そこであらゆるジャンルのギャルゲからルートの選定を行う。
数秒ほどの思考の末に見つけ出した選択肢は一つだった。

「ところで逢坂。次のミッションには僕も混ぜて貰えないかな?」
「うん、いいけど、危ないよ?」
「別に戦うわけじゃないよ。ただ、ミッションっていうのを直に見ておきたいんだ」
「だったら良いけど……」

逢坂は渋々といったふうに、それでも了解の意向を示してくれた。

「まあ、本音を言えば逢坂をもっと見ていたいからなんだけどね」
「へ、変な事言わないでよ。もうっ」

顔色が一瞬で赤くなった。
よしよし、この反応なら僕に危険が迫っても守って貰えそうだ。
内心でニヤリ、顔はニッコリ。
芝居臭くなってやしないか心配だったけれど、とりあえずは次のステージに向けた足がかりができてホッとした。

「ねえ、次、アレにしない?」

簡単な昼食を終えた僕らが向かった先は遊園地で一際目を引く観覧車だった。
午前中、ジェットコースターなどで吐きそうになっていた僕としては大助かり。
二枚のチケットを購入して、勢い良く乗り込む。
観覧車は一周15分ほど。ちょっとした息抜きといったところか。

「ねえ佐久間くん」
「ん、なに?」

どんどん降りてゆく風景を見つめながら逢坂が口を開いた。

「あなたはこれで良いの?」
「君に協力する立場になったことが、かい?」
「危ない事が無いとは言い切れないし、きっと後悔するわ」
「う〜ん。でも、少なくともその間は逢坂と一緒に居られるワケだろ。だったら別に構わないよ」

それに僕はもう引き返せない所まで足を突っ込んでいるんだ。
だったら最後までやり抜くさ。
逢坂は嬉しそうな、けれどどこか悲しげな顔で僕から視線を逸らした。
149幼馴染みは魔法少女:2011/10/31(月) 19:55:03.67 ID:iIefGEut
ガコンッ。

と、そのとき変な音がした。
観覧車の頂上付近。窓の外には平坦な街並みが広がっている。

「止まった……?」
「故障、かな」

しんと静まり返った密室。
緊張と不安が押し寄せてくる。
耐えきれなくなった逢坂が申し訳なさそうに囁いた。

「ねえ、そっち行って良い?」
「良いけど、あんまり動くと危な……」
「きゃっ!!」

返事を待たずに腰を浮かせた逢坂は、バランスを崩して座っている僕へと飛び込んできた。
咄嗟に抱き止める。
座椅子の上でもつれ合う格好になった二人。
彼女の微かな吐息が聞こえた。

「ご、ごめんなさい!!」
「いや、良いけど。動くと危ないよ」

慌てて立ち上がろうと藻掻く彼女を制するように肩に手を掛ける。
思っていたより軽い。見た目以上に柔らかい。暖かい。
華奢な肩口をしっかり抱き止めて、胸の辺りまで迫った顔を見つめる。
ああ、確かに面立ちがすっきり整っている。男子生徒にもそりゃあ大人気だろう。
だがそれはあくまで3Dの枠内での話だ。
数多のギャルゲヒロイン達と比べるに普通かそれよりちょっと上といったところで、僕のハートを鷲掴みするほどではない。
まあ、全く無反応というワケにはいかないけれど。
そんな事を考えているうちにはたと気付いた。
狭い密室の中に二人きり。しかも相手は超絶的な能力を持つ魔法少女。
それってヤバくないか?

「逢坂」
「佐久間くん……」

こんな場所で敵意を持たれでもしたらそれだけで殺害されるリスクが高まる。
マズイ。ここは相手に何も考えさせないよう攻めの一手しかない。

「少しの間、このままこうしていたい」
「……うん」
「逢坂はさっき、僕に後悔は無いかって聞いたけど。本当に後悔は無いんだよ」
「どうして?」
「君とこうやって言葉を交わすかけがえのない時間を手に入れる事が出来たから」
「……信じても、良い?」
「もちろんさ」

普段なら鼻で笑われるレベルの臭い台詞も、もういう特殊な状況下では効力を持つ。
特に相手がいかにも純情そうな娘さんなら効果は絶大だ。
囁き合って、妙な雰囲気に背中を押されるように自然と唇が近づく。
もう一寸顔を寄せれば触れ合うという時になって、急に音を立てた観覧車。
ビックリして咄嗟に離れてしまう二つの影。
再び回り出した窓の風景はもう止まる事が無くて、おかしな沈黙を保ったまま元来た場所まで戻ってきた。
150幼馴染みは魔法少女:2011/10/31(月) 19:55:35.93 ID:iIefGEut
「故障で止まるなんて思いもしなかったよ」
「そ、そうよね。あはは」

どうにもぎこちない笑みを浮かべたままタラップから降りる僕ら。
逢坂が胸に抱く妖怪は一言も発しないまま。
他にも色々と乗っていく予定だったけれど漂っている空気がそれを許さなくて。
彼女は「帰ろ」なんて呼び掛けるとこちらの事などお構いなしに、早足にゲートへと向かう。
本当はこの後彼女の能力を見せて貰う予定だったけれど、今は無理と悟った僕。
まあ、こちらとしてもギャルゲ購入資金が考えていたほど削られなかったワケだし、まずまずの成果を上げられたから良しとしている。

駅前まで戻って来た僕らはそこで手を振って別れた。
去り際に「また誘ってね」なんて言われると「もちろんだよ」としか答えられない。
彼女とは別の方向へと歩き出した僕は、そこでけったいなシルエットに出くわした。

「ケンちゃあぁぁん」
「……柚姫か」

ふうと溜息を吐く僕とヨレヨレになった黒スーツを着崩して泣きべその幼馴染み。
聞かなくてもだいたい察しはつくけれど、いちおう経緯を聞いてやる。

「途中で迷子になったの。んで、お財布落としたみたいでご飯も食べられなかったの」

お前の迷子は途中じゃなくゲートくぐった瞬間からだろ。とか。
財布落とさなくても大して持ち合わせないだろ。とか。
とりあえず見つからなくて良かった。とか。
思う所は色々あったけれど、どうせここで辛辣なツッコミ入れるとワンワン泣きじゃくって僕を困らせること受け合いなので黙っておく。
僕は再三ため息を吐いて、幼馴染みの背中を叩いた。

「ラーメンくらいならおごるよ」
「ホント? やった〜☆」

ちっ。げんきんなヤツめ。
脳みそ発酵してんじゃなかろうかと思えるまでに脳天気な幼馴染みが、子犬よろしく嬉しそうに腕にしがみついてきた。

おわり
151幼馴染みは魔法少女:2011/10/31(月) 19:58:22.44 ID:iIefGEut
投下終了です。
152創る名無しに見る名無し:2011/10/31(月) 21:21:46.08 ID:3WcApvbL
くそうこやつめえええええ
153創る名無しに見る名無し:2011/11/22(火) 06:05:05.13 ID:PBnYZ0J8
保守
154創る名無しに見る名無し:2011/12/07(水) 22:57:14.66 ID:kGJYPVsh
保守
155創る名無しに見る名無し:2012/01/05(木) 19:38:03.15 ID:bumhtGpV
新作祈願
156創る名無しに見る名無し:2012/01/25(水) 21:31:34.41 ID:LVk+HASs
隆盛を極めるところもあれば、一方で閑古鳥が鳴くところもある
昔はそこそこ盛り上がっていたこのスレも、平野同然だな…
157創る名無しに見る名無し:2012/01/29(日) 00:47:28.92 ID:aLqDY2cq
まあ、そもそもこのジャンルって魔法(とか特殊な能力)を使ってちゃぶ台返し的に
都合の悪い事象をどうにかするって部分が根底にあるわけだし
だからこそ全体的な組み立てがしっかししてないと読み手(書き手自身も含めて)がしらけちゃう的な所があって
ま、要するに飽きられやすい上に入っていきにくいジャンルなんだと思います。
いや思いつきて言ってみただけだけど。
158思いつきだけで書いた:2012/01/29(日) 02:20:48.64 ID:A8IXDfpm
 腰が抜けた青年に、少女は優しく微笑んだ。
「ケガ…ありませんか?」
 車が一台、宙に浮いている。
 青年はこの車に轢かれかけた。
 少女は、杖から放つ波動で車を滞空させ続け、その間に青年を退避させた。
 単なる酔っ払い運転だったが、悪は悪だ。
 波動を断ち切り、車を着地させるや少女はドライバーを引きずり出す。
「ダゴちゃん、GO!」
「了解しやした姐さんっ!」
 少女の傍らにいた、小さな黒山羊。それが巨大化し、ドライバーに襲いかかる。
 酔っている事も忘れ、逃げ惑うドライバー。
 壁際に追い詰められ、少女に詰め寄られる。
「もう二度としない?」
 ふと見れば、先刻の杖は死神の鎌に似た刃を伸ばしている。
 必死に頷くドライバーに、少女は満足げに笑い、黒山羊と共に闇に消えた。
 漆黒の衣に身を包んだ少女は、人気の無い所でパジャマの姿へ変わる。
「夜ぐらい寝かせてよぉ」
 黒山羊、ダゴちゃんに愚痴る少女、夏樹レイナ。
 ダゴちゃん、すなわちダークゴートは首を振る。
「ソイツぁ通りませんぜ姐さん!姐さんには魔女の末裔としての仕事をまっとうしていただかねぇと!」
 夏樹レイナは、日本人の父とスウェーデン出身の母を持つ。
 そしてこの母が、中世の魔女狩りを生き延びた数少ない「魔女」の血をひいていた。
 今、レイナが住んでいるこの街には、人の血や恨みを吸って力を増す妖刀「カイ」が眠っている。
 邪心を持った人間が力を蓄えた妖刀「カイ」を手にすれば、それは持ち主のみならず、他の人々をも狂気に陥れ、この街を中心に世界中に殺戮を広める。
 先に「カイ」を破壊すれば良いのだが、強大な力を恐れた先人により封印されたそれは、この街のどこに眠っているのか分からない。
 どこにあるか分からない妖刀は、血や恨みを吸収する。
 故にレイナは、この街で悲劇を起こさぬよう、魔女の力を行使して些細な悲劇も食い止めてきた。
 とはいえ、眠い。
 明日は学校の実力テストだというのに、帰宅したレイナは睡魔に負けた。

 翌日、結局一問たりとも自信のある答を書けなかったレイナ。
 同級生の神藤 藍司がレイナの肩を突く。
「ダメだったって顔に書いてあるぜ」
「あんたが隣の席だから調子が出ないのよ!」
 藍司とレイナは、小学校からの腐れ縁だ。
 互いにムキになり一触即発となった瞬間。
「夏樹さん?いいかしら」
 担任教師に呼ばれ、ケンカのタイミングを逸した。
159思いつきだけで書いた2:2012/01/29(日) 02:59:32.27 ID:A8IXDfpm
 正直、と教師は前置きする。
「テストの結果は良くなかったわ。夏樹さんはいつも真面目に授業聴いてるのにね」
 教師は、怒るでもなくただ首を傾げる。
 レイナも困る。
 まさか、魔女へ変身して街を救ってるせいで寝不足だとも言えまい。
「その…丁度月に一度のアレだったので…」
 年若い女性教師は、素直に納得したようだった。
「先生もお見合いの日に丁度アレが来てね。イラついて大失敗しちゃった事があったなあ」
「ミコト先生でもですか?」
 魔女である、という宿命を忘れ、夏樹レイナは氷室命教諭としばし談笑した。

 帰路は夕刻になった。
 自販機のボタンを押すレイナの指から、彼女を姐さんと呼ぶ声が聞こえた。
 正確には、縮小し指輪の中に潜むダゴちゃんの声だ。
「どうしたの?『カイ』が見つかった?」
「違いやす。でも、魔界からこちらの世界に侵入者が!」
 魔の力を秘めるのは自分だけで充分だ。
 レイナは、人気の無い場所へ隠れ、指輪からダゴちゃんを解放した。
 湾曲した角より放射される「暗闇」がレイナを包み、黒く禍々しい衣を装着させた。
 手には彼女の魔力を引き出すロッドが装備された。
 ダゴちゃんが指示する場所へ、空間より呼び出したホウキで飛翔する。

 到着したそこは、人通りの少ないうらぶれた路地。
「ねダゴちゃん。魔界の使者ってことは…私、戦わなきゃダメなんじゃないの?」
 これまで、他人の命を救う、心を救う任務は遂行してきた。
 ただ、厳然と敵が存在し、それと直接戦うなど初めてだ。
 その時、レイナの周囲を複数の人影が取り巻いた。
 この路地の住人だろうが、総じて白眼をむいており、肩や手足からは異形の触手が垂れ下がり、魔界の神の名を呪文のように唱えている。
 更に、全員が何かしらの凶器を携え、レイナを襲う。
「酷い…『魔に寄るを許さぬ!』」
 レイナがロッドを突き出し、魔力を込めた波動を放つ。
 レイナが最も多用する術であり、対象の活動を封じ込める性質を持つ。
「出て来なさい!」
 怒るレイナ。
 住人らを半分人外の怪物へ変えた、魔界の使者はどこにいる。
「出て来ればいいのか?」
 暗闇から、完全なる異形が現れた、
 クモにもアヒルにも似ていた。
 おぞましい姿への嫌悪を隠しつつ、レイナは怒声を張り上げる。
「何てコトを!みんなを怪物に変えて…一体何がしたいの?」
「レイナ。君のスカウトさ」
 異形は事も無げに言う。
160思いつきだけで書いた3:2012/01/29(日) 03:33:53.30 ID:A8IXDfpm
「私のスカウト…?」
 異形は、無数の腕の内、一本のみを人間の形状に変えてレイナを指差す。
「魔女狩りを逃れた幸運な血脈…だが、魔女の魔力を何故、人間のために用いる?」
 捕らえられた「魔女」が、如何に残酷な最期を遂げたかは母から幾度となく聞かされた。
「人間はそんなものだ。異端者は排斥され、多数派が正義となり、悪は残酷に死ぬ」
 レイナは異端者だ。
 そんな事は承知だし、異端者だから人間を救えていた筈。
 今更魔界へ帰れなど、人間の中で過ごしてきた自分には耐え難い。
「私は…魔女だけど、人間の世界が好き!帰って!この人たちも解放しなさい!」
 異形は笑う。笑うことができた。
「解放してもいいが…ほら」
 肩口より垂れ下がった触手が抜け落ちた老人。
 だが、そのまま昏倒する。急ぎレイナが抱き起こすも、既に脈は無い。
 異形はやはり笑っている。
「言い忘れてたけど、ソイツらは既に全員死体だ。俺が殺してから操ってる」
「…許さない」
 レイナのロッドから、鎌が生えた。
 そのままロッドを天に掲げる。
「『魔の雷よ!我が道を阻む者を焼き払え!』」
 天空よりどす黒い電光が、異形へ降り注ぐ。
 だが、堪えた様子は皆無だった。
「妖刀『カイ』があれば、君も俺を殺せるんだろうがな」
 言って異形は、クモの脚から爪の弾丸を乱発し、レイナを襲う。
 間一髪、魔力の防壁を張るレイナだが、背後からはゾンビ軍団が迫る。
「妖刀『カイ』…それもあなたの狙いなの?」
「魔界全体の狙い、と言った方が正しいな。カイを目覚めさせないために君はこの街を守ってきた。人間のために」
 それはその通りなのだが、何故、この異形がそこまで熟知している。
「あなた…誰」
 唐突な不安感に苛まれるレイナ。
 異形はゾンビらを制止し、脚のみならず全身を人間の姿へ変える。
 見覚えがあり過ぎる顔だった。小学校からの腐れ縁。
「…藍司?」
 少年は笑った。
 これまで、レイナには一度も見せた事が無い黒い笑顔。
「本物は、とっくの昔に殺した。お前に近づくためだが、まさかずっと気付かなかったとはな」
 すり替えられていたのか。
 レイナは魔女で、魔女は異端者だ。
 そしてレイナは、魔女としても未熟だった。
 藍司の存在もまた、人間を守る重要な動機だったのに、その藍司は昔から魔界の使徒だった。
 意味を為さない絶叫と共に膝を折るレイナ。
 藍司は異形へ戻り、やはり笑う。
161思いつきだけで書いた4:2012/01/29(日) 04:08:03.36 ID:A8IXDfpm
 戦意を失ったレイナを見下し、異形はゾンビらに目配せする。
「ジャンヌ・ダルクの末路は知っているな?魔女さん」
 自分へ群がるゾンビ共。
 喉の奥で、潰れた悲鳴をあげるレイナ。
 その刹那、鋭い光が一閃した。
 ゾンビ一体の首が落ち、断面より生じた炎が首、胴体をまとめて焼き尽くす。
 光の方角を見るレイナ。

 女が立っていた。
 顔は分からない。
 もしかしたら覆面を被っていたのかも。
 ただ体つきからして女だった。
 恐らくは自分より年上の。
 自分のように黒い衣。
 手に輝く抜き身の刀。
「…『カイ』?」
 封印された妖刀を、何故この女が持っている。
「ちょうどいい。その刀を奪え!」
 異形の指示を受け、ゾンビ軍団は目標をその女へ変えた。
 位置としては、レイナが女とゾンビ軍団に挟み込まれた状態。
 だが次の瞬間には、女はレイナを飛び越えてゾンビ軍団の背後に在り、ゾンビ軍団はその一瞬の間に全員が切り裂かれていた。
 八つ裂きにされ、断面から発火し、炭化しつつ崩壊してゆくゾンビ軍団。
 その中から平然と現れる女。
 この速度も、刀の妖力によるものだろうか。それとも。
 女はレイナを一切無視し、異形へ刀を向けた。
 ようやくレイナは立ち上がり、彼女を制止する。
「待って!確かにアイツは藍司を殺して私を騙してたけど…」
 いつ成り代わったのかは分からない。
 分からない程に、レイナは未熟だった。
 ただ、藍司になりすました異形は、それでもレイナの善きケンカ友達でいてくれた。
 自分が魔女である事を知りながら、人間として見てくれたのだ。
「だから…」
 懇願するレイナに、女は初めて声を出した。
「罪は罪よ」

 レイナが止める間も無かった。
 女が投げた折り鶴は、空中で火の鳥と化して異形の腹部へ突き刺さる。
 悶絶する異形の眼前から、女が消えた。
 否、既に頭上にいた。
 妖刀「カイ」を振り下ろす。
 声を出さぬ女。声を出せぬ異形。声をあげるレイナ。

 僅かな沈黙の後、異形は縦から両に断たれ、やはり断面から炎が燃え広がり、灰燼に帰した。

 灰が水滴で固まる。
 レイナの涙。それを冷たく見やる女。
「分かっ…てるの。あなたが…正しいって…それでも…」
 声を振り絞り、理性的であろうとするレイナ。
 女は、黙して物陰に消えた。

 壁に寄りかかった女の顔を街灯が照らす。
「ごめんね…夏樹さん」
 氷室命教諭だった。
162思いつきだけで書いた奴:2012/01/29(日) 04:09:46.74 ID:A8IXDfpm
唐突に占拠して申し訳ありませんでした。
正直、特に続けるつもりはないですが。
163創る名無しに見る名無し:2012/01/29(日) 09:18:11.91 ID:FYcrQbUz
>>158
投下乙
164創る名無しに見る名無し:2012/02/14(火) 17:49:34.97 ID:d5U/X7ax
保守
165創る名無しに見る名無し:2012/03/08(木) 00:49:55.52 ID:AIO9ulQC
時間の流れ、早すぎでしょwww
おジャ魔女開始ですら、もう13年前で
最終シーズンがもう10年前で



orz
166創る名無しに見る名無し:2012/04/08(日) 18:56:11.77 ID:UqKWc2Fx
>>165
プリキュアも来年で10作目だな
167創る名無しに見る名無し:2012/05/15(火) 06:00:53.24 ID:dPyk4OkJ
誰もいない
保守
168創る名無しに見る名無し:2012/06/17(日) 09:59:24.97 ID:ZwdDyg9o
保守
169創る名無しに見る名無し:2012/07/17(火) 10:55:55.85 ID:4ax6QpWw
保守
170創る名無しに見る名無し:2012/08/02(木) 02:17:56.09 ID:Fg+flBXY
>>165
ホントにそう…
なんか鳴きそうになる
171創る名無しに見る名無し:2012/08/27(月) 18:39:23.77 ID:8JnLigXv
過疎化しすぎだ
172創る名無しに見る名無し:2012/09/11(火) 03:37:50.42 ID:lNq53pvs
かつての職人はもういないからな
活性化してないところにご新規様が来る可能性も低いわけで
173創る名無しに見る名無し:2012/09/11(火) 12:09:27.24 ID:6/xPjBOp
馬鹿設定考えるのタノシス→だめだSS書けNEEEEEEEEE!なので糞設定だけ垂れ流す。
【ジャンル】ハートフル(ボッコ)似非SF変身ヒロイン(ロリ)
【タイトル】真人躯破(トゥルーマン)☆ペロりこン!
【粗筋】
繰世津町(くりよつちょう)のjs、白板(しらいた)りこが、突如飛来した
「ACMEシステムトリガー・自律浮遊行動型(フローター)」の桃ろう太(りこ命名)と共に、
地球を第二の居住星「セカンド・ジャングリラ」にすべく侵略活動する調教部隊グローマゾネス、それを率いる異空侵略教団「GLOW-MAN」と戦う。

【人物・名称説明】
白板りこ
主人公。何の変哲もない(はず)の少女。小2〜3。桃ろう太の協力で「ペロリコン」に変身する。育ちきらない身体が秘かな悩み。生えてない。
桃ろう太(仮称)
所謂、淫獣(メカ型)。ショッキングピンクで掌サイズ。モチーフはネズミ。現代の地球では当然オーバーテクノロジーの産物。
(フォルム自体は地球のいかがわしい小型マッサージ器具にそっくり)
正式名は「アクティブ・チェンジ・メタモルフォーム・イクイップ・システムトリガー」の「自律浮遊行動型(フローター)」。
りこと遭遇した際、密なスポンジ状の緩衝防護被膜(丸みがある逆ハート型、りこ曰く浮遊する大きな桃型風船)
の中から抜け出した時の感じが桃太郎風なのと、カラーリングがピンク色、長い正式名の中で強調した「フローター」、
このトリプルニーミングで桃ろう太(仮称)と、りこ的には決定。本人(本メカ)は納得できず「じまい」。
…まぁ、桃ろう太の装着とかは例のアレに似たり寄ったり。インしたり飛び出たり隠密待機したり。
ただし出入りはワープに近い。隠密待機が「凹みにハマってぴったり食い込む」感じ。
会話は空中浮遊時に「本体を振動させて擬似音声として意志疎通」と隠密時は骨振動(?)しか無い。
どうよ。
174創る名無しに見る名無し:2012/09/11(火) 12:55:44.90 ID:6/xPjBOp
>>173の続き設定
ペロリコン(トゥルーマンメタモルフォーム)
白板りこの変身後の姿。
ヘルメット+ゴーグル+メタリック絆創膏三点防御+ヌルテカボディ。あとリストバンド・ブーツ位
このメタリック絆創膏を頂点に逆三角の防護バリアーを展開。
(ある程度拡大できるが薄くなる。エネルギー消費増やす事で変身時間を犠牲に強化可)。
リストバンドに移動させて盾やフリスビー風に投てき(当たれば強力な電気的ショックダメージ)
ブーツ下に配置して空中浮遊する足場やスノボのように斜面を滑ったりある程度は滑空も可。要エネルギー。防御力は当然落ちる。
175創る名無しに見る名無し:2012/09/11(火) 13:22:03.97 ID:6/xPjBOp
>>174続き
基本的に、その攻撃では敵をある程度の間は無力化出来るが決定打にはならない。
フィニッシュブロウはリストバンドに桃ろう太を装着、ランス状のエネルギーフィールドを形成、
敵ウイークポイントにぶちかます「デストラクト・エンド・ニードル」
その追加で変身エネルギー等を全て破壊力として注ぎ込む「マックス・アタック」となる。
無論、使ったら無防備な全裸なので外したら色々大ピンチ。
176創る名無しに見る名無し:2012/09/11(火) 13:29:38.30 ID:6/xPjBOp
…で、ノリノリの設定で力尽きた。グローマゾネスや「GLOW-MAN」、トゥルーマンの意味とか書いてたら全然書ききれないしSSに、なんてむりぽ。
誰かに期待しつつ、さいなら。
177創る名無しに見る名無し:2012/10/15(月) 21:15:22.57 ID:E8wUexmA
保守
178わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/06(火) 19:52:20.38 ID:TZbzUHG1
スレのみなさん、初めまして。
魔法少女ものを書いてみたので投下します。前編です。
179魔法少女イヌミミ系 ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/06(火) 19:52:53.84 ID:TZbzUHG1

 危機的状況だった。ちょっと昼寝していたら、ぱんつがずり落ちているし!

 学校から帰って居間のソファーでごろり。一日の疲れがどっと出たのか制服のまま、わたしはお休みモードに入ってしまったのだ。
 誰もが営み続ける真っ昼間、それをも恐れず夢の中へ飛び込む時間は贅沢なもの。誰からも制約を受けることのない快眠タイム。
 しかし、需要あれば供給あり、消費あれば生産あり。この世には相対する二つの事象が存在することをわたしは拒めなかった。
 拒めなかったことに対するわたしが受ける報復が……ぱんつずり落ちる!いりません! 

 「ひえーん!誰かに見られたかな……」

 とは言え、家族だけど。

 わたし、犬見圭(いぬみ・けい)はごく普通の家庭に育ち、ごく普通の人たちに囲まれて、ごく普通の生活をしてきたつもり。
 家族だって優しいし、特に不満を感じることはなかった。わたしにとっては、大切な家族。かけがえのない家族。
 お友達だっているし……でも、なかなか会えないけどね。

 だからと言って、ぱんつずり落ちて太ももでストップだなんていう、実にだらしない格好を晒していいわけではない。
花も実もある『じょしちゅーがくせい』として、れでぃの振る舞いぐらいは心得ています。ずり落ちたぱんつを履き直して、
部屋の隅にある姿見でお色直し。いつ何時、誰がこの部屋に来るのか分からないからだ。ため息をつくと、鏡の中のわたしも
同じようにため息をついていた。黒髪ショートのメガネっ娘は真面目のまー子の証なんですってば!

 「……何、これ」

 自分のことだから、自分が良く知っているはず……という、自意識を軽く打ち破る、真実の鏡。わたしは部屋にある姿見を
食い入るように見る。人の振り見て、我が振りなおせ。姿見は意志を持って真っ直ぐにこのわたしへと問いかけていた。

 「こんな飾り、つけてないし」

 まるで、獣のような耳。イヌがはやしているような耳だ。
 恐る恐る頭に手を伸ばし、直に触ってみる。

 「くすぐったい……し」

 何故か感覚がする。抓ると痛いし、塞ぐとどくどくと管を巡る血潮の音が聞こえた。
 太ももが寒くなる。またも、ぱんつか?再び履き直そうと姿見を覗くと。

 「尻尾?」

 ふっさふさ。
 ゆーらゆら。
 ふりふり。

 頭上の耳と合わせると、非常にお誂えなイヌミミ、尻尾の女の子!
 ぱんつをずり落としていたのは、すべてこいつのせい!
 絶望のどん底、気の動転、冷静さの欠如、どんな表現を使おうともわたしを形容する言葉はそのとき見当たらなかった。
 前例もなく、元に戻る見込みのない、ごく普通の世界との決別は、覚悟をする暇を与えてくれずにやって来た。

180魔法少女イヌミミ系 ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/06(火) 19:53:26.52 ID:TZbzUHG1

 「わーん!」
 『呼んだ?』

 誰もいないはずの部屋から声がする。少年のようなあどけない声。

 『ぼくのことを誰か呼んでくれた?』

 振り向いても、姿は見えず。空耳にしてははっきりしすぎ。幻聴にしては現実味を帯びすぎ。

 わたしの家族は両親とわたしだけだ。弟はいない。ましてや、そんな年頃の親戚や知り合いもいない。
そして、くやしいけれど夢中になれる恋人もいない。お友達はいるけど、同い年の女の子だ!百合百合しちゃう……何を言わせるんだ。

 『やっと、会えたね』
 「どこにいるの?あなた」
 『懐かしいなあ、このソファー。ぼくのお気に入りだったし。おしっこ漏らしてよく怒られてたし』
 
 懐かしい……って。一度はこの部屋に来たことあるような言葉だ。おしっこを漏らしていた……って。
いや、わたしではありませんって!とにかく声の主を手当たり次第に探す。
 
 分からない。どこかからか、わたしの耳に訴えかける男の子の声。耳に入るというよりも、鼓膜を直接揺さぶる感覚だ。
居間中を探し回り、廊下に出て、二階に上がるも、声は続く。しかも、この家を懐かしむような語り口調。
間取りを全て把握しているかのような、そして、声が語る出来事をわたしが全て知っているような既視感。

 『圭ちゃん、忘れちゃダメだよ』
 
 わたしの部屋に入ったとき、その言葉は聞こえた。
 本だらけのわたしの部屋。いつも扉を開けば、かわいらしい雑貨より、くすぶっている古本が真っ先に目に入る。
『犬見堂古書店』の異名を頂戴してもおかしくもない、わたしの大切な宝物たちが並ぶ部屋。

 『ぼくが寂しがってたとき、この部屋で慰めてくれたんだよね』
 「ねえ。誰なの?」
 『ぼくは……「ふう」』

 ふう。誰?きみ?
 それでも纏わり付く子犬のように『ふう』と名乗る少年の声はわたしの耳を揺らし続けた。 

 『ぼくのやり残し』

 『ふう』は、その言葉を残して消えてしまった。同時にわたしのイヌミミと尻尾も消えた。
 まるでこの出来事がなかったことにしようと言わんばかりに。
181魔法少女イヌミミ系 ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/06(火) 19:53:57.69 ID:TZbzUHG1

 その日の夜。誰もが寝静まるミッドナイト・キングダム。二階、わたしの部屋、別名『犬見堂古書店』のベッドで眼をぱちくり
させながら、枕を抱いていた。明々と光る蛍光灯が憎らしく、小石があれば投げつけたろか?と言いたくなるぐらい、わたしのハートは
ちょっとばかし不安定だった。とにかく昼間の熟睡が祟って眠れないのだ!

 眠れない!眠れない!眠れない!

 昼間にぐっすり惰眠を貪ってしまっちゃったから、ツケとして良い子は夢で浮かれる時間に、現実に虐げられてるんです。
世の中のバランスは上手く出来てるんだねって、したり顔でわたしのまぶたの上に踏ん反り返る目覚めの堕天使が憎らしい。
 時間つぶしに見ていたネット記事はご近所の噂で持ちきり。キャッチーな言葉だったからか『ネコ泥棒』ってなんだよ?って感じだ。
 気になって、文字だけの情報に引きずり込まれて、深入りしてしまい、カチカチと時間だけが夜明けに近付いてゆく。

 「寝なきゃ、お肌に悪いんだよー」

 って、言っても、わたしのお肌を見てくれる男子はいません!と、悲しいわたしは部屋で起きた異常事態に気付いた。
それほどでもないけれど、耳慣れない音が部屋に響いていたのだ。

 こん!こん!

 冷たく固い音。小さく、昼間の明るさでは波に飲まれる程の音。部屋のガラス窓を外から叩いているようだった。
しかも、人間の手でなく、何かをぶつけるような無機質な音。カーテンを開け、ガラス窓を開け、真っ暗な下界を見下ろした
わたしが目にしたのもの。それは道の明かりに照らされてわたしの部屋の方を見上げる親友の姿だった。

 「幸ちゃん?みゆきちゃん、外に出れるの?」
 「……」
 「そうなんだ」

 金色に染めた長い髪の少女はゆっくりと頷いて、わたしの問いに答えてくれた。直接会って話をしたげな幸ちゃんの為にわたしは
音を立てないように外へ出た。不安定だったわたしの精神状態は幸ちゃんのお陰で平常心を取り戻すことが出来た。やったね!
 真夜中の親友の顔は白かった。特に体が悪いと言う訳でなく、同い年の幸ちゃんは極端に人と出会うために外へ出ることを嫌う。
そして、その自分の決めた揺るぎない意志の為ならば、義務教育さえも投げ出しちゃう子だ。美人の幸はどんぐりを手にしていた。

 早い話、幸ちゃんは。

 「わたしが引きこもりでも、きちんと世界の歯車は廻っているんだ」

 きっと幸ちゃんはどんぐりをわたしの部屋の窓に投げつけて、わたしを呼んでいたんだろう。
 こうすれば、わたしに直接会うことが出来るって。デジタル全盛の時代だというのに、アナログに訴える幸ちゃんがかわいい。
 わたしたちは幸ちゃんを全力で受け止める為に、誰もいない真夜中の公園へと移動した。

182魔法少女イヌミミ系 ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/06(火) 19:54:29.25 ID:TZbzUHG1

 公園入口で一匹のネコがわたしたちに擦り寄ってきた。オトナになる前のようで、子ネコとも言いがたい若いネコだ。
 幸ちゃんは知り合いかのようにそのネコに手を差し出すと、その子は躊躇うことなく幸ちゃんの手の平に顎を乗せた。

 「はなちゃん、かわいいね」
 「幸ちゃん、その子『はな』って言うの?」
 「うん。元々そんな名前だったのかもね」

 『はな』と呼ばれたネコは何度も何度も幸ちゃんの手の平に頭を擦り付けていた。
 目を細める姿は愛らしくも、頼る相手がいないことを物語りわたしの和んだハートに針を刺す。

 「捨てられたのかな……」
 「捨てネコ」
 「誰もがこの子を『はな』って呼んでたし。人に懐き過ぎだし」

 ネコを平気で捨てる輩の気が知れない。湧き上がる感情を抑えるつもりなのか、闇夜はわたしを冷やした。

 真っ暗な公園はわたしたちを無条件に受け止めてくれる。
 パステルカラーの遊具も。
 捨て猫を止めるように訴える立て札も。
 役目を終えた藤棚も。
 夜会に耽る野良ネコたちも。
 幸ちゃんの足元でくつろぐ『はな』も。

 心地よく、わたしたちを受け入れてくれた。わたしはブランコを漕ぐ幸ちゃんと言葉を交わした。

 「……圭は信じてくれるかな。今日ね、イヌになったの。お昼ぐらいのころ。『わんわん!』って四本脚で尻尾を生やして」
 「いつぐらい?」
 「お昼ぐらい」
 「そっかあ。わたし、寝たよ。その時間」
 「イヌと言えばさ。ここの公園って、『ネコ泥棒』が現れるって噂だってね。捨てネコなのをいいことに、ネコを攫ってゆくバカが」
 「……ひどいよね。わたしもそれ読んだ。とくに子ネコが多いんだってね」
 「金になるからって、売り飛ばすんだよ。子ネコばかり狙ってってさ、働けっつーの。でも、お金。欲しいよね」
 「そうなの?幸ちゃん」
 「ネットの情報だから半分半分」
 「半分半分」
 「でも、『はなちゃん』のことは本当だった。飼いネコだった『はなちゃん』は捨てられたって事実」

 防衛本能だ。わざと話をはぐらかせているんだ。その時間の幸ちゃんが自身を思い出したくないと。そして、わたしを試しているんだ。
今の幸ちゃんなら受け入れてくれるかもしれないけれど、今宵の宴は幸ちゃんに杯を支配してもらいたいから、わたしは黙っていようね。
 さあ!宴を始めましょう!誰もいないけど、誰も歓談してないけど、わたしたちの賑やかな宴をしましょうね。幸ちゃん。
幸ちゃんの言葉なら、なんでも受け止める自信はあるよ。ほら、『はな』も足に尻尾絡めて背伸びして喜んでるし。

183魔法少女イヌミミ系 ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/06(火) 19:55:02.92 ID:TZbzUHG1

 「やっぱ圭だ。わたしの話、突っ込んだり、揚げ足取ったり、否定しないし」
 「だって。幸ちゃんはわたしにとってさ……だからね」

 幸ちゃんは白い頬を赤くして、溜め込んだ感情を爆発させながらわたしの顔面、メガネにぶっかけるように真っ白な言葉をぶっかけた。
だらりと垂れた真っ白な言葉は頬を伝わり、息遣い感じるわたしの口へと入る。ほろ苦い、人間の味がわたしの舌の上を駆け巡った。
 そして、幸ちゃんの足元に飽きたのか『はな』。ちょっとした隙にすすとどこかへ消えていった。気まぐれはネコの特権。
 
 「聞いてくれる?ねえ!わたしに他人が信じ難いことが降り懸かっても、誰もがわたしの言葉をフル無視するし!!とどのつまり、
  わたしなんかいなくていいよって遠回しに言ってるだよ!もう、誰も信じられない!いっそ、獣になりたいよ。生きているだけの」
 「そっかー。獣になったら、わたしとお話できないよね。幸ちゃん」

 静かな夜中の公園で幸の自傷にも似た言葉がわたしに届いた。楽しそうに夢を見ている遊具たちも幸ちゃんのことを
フル無視しているように見える。ウソでもテレパシーが使えないことに心の底からほっとした。

 「わたし。幸ちゃんのそういう所が好きだな。何だかんだ言って、結局わたしの所まで出歩いてるし」
 「圭はおかしな子だね」

 ブランコで揺れる色白の少女はきっと誰かと関わりたいと思っている。だけど必要以上に傷つくことが怖くて、ガラスの森に
潜んでしまったんだ。ガラスの森は外からも中からも見える不思議な場所だ。ただ、何かの拍子でひびが入ると呆気なく壊れて
しまう上に、幸ちゃんの体を傷だらけにしてしまう。だから、ガラスの森に関わることに臆病になってしまったのだ。わたしが
できることとは、そんな幸ちゃんのことを認めてあげること。わたしの言葉が幸ちゃんを安心させたかのように、夜中の公園は
再び静けさを取り戻した。

 「圭はやっぱり、圭だ。圭が友達で本当に良かった」

 ぎいいっと、ブランコが揺れる音と水銀灯の明かりは夜が深いことをわたしたちに教えてくれた。
 教えるだけなら誰でも出来るが、気付くことは誰にでもで出来やしない。繊細な幸ちゃんは気付いた。

 「圭。ちょっと待って」

 口元を人差し指で立てに塞いだ幸ちゃんがわたしを引き止める。
 夜会のネコたちは一斉に離れ離れになって、がさがさと何かに入れる音がしていた。しかし、『はな』は決して離れない。

 「まさか、ネコ泥棒?」
 「しっ!圭!」
184魔法少女イヌミミ系 ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/06(火) 19:55:35.36 ID:TZbzUHG1

 幸ちゃんは「とにかく、むやみに手を出さないことだよね」と冷静だった。少し幸ちゃんの落ち着き加減に煽られて飛び出したい
この足を押さえきれなくなったが、何も持たない自分たちでは力はないと分かった。せめて、何か魔法が使えたら……。

 「どうする?子ネコ、連れ去られちゃったら?」
 「ならば好都合。証拠さえあがれば。逆に何もしないのに騒ぎ立てたらこっちが不利になる」

 淡々と幸ちゃんはまるで加担するかのようなことを言うが、事件を解決させる為には仕方がないかもしれない。
わたしたちだけでことを起こすにはハードルが高すぎる。かと言って、公園でのびのびと過ごす子ネコを黙認し、やすやすと輩を
見逃すことがどうにもわたしには押さえられない。相手は野良ネコ。わたしたちが手を出す義理も義務ないと一蹴されても
仕方がないと幸ちゃんはあっさりと言う。ならば、何故ここまでして……。

 「なんか、ムカつくから」

 幸ちゃんの一言は短くも痛い。刃に毒を塗った短剣のようだ。

 子ネコが危険にさらされているのに、証拠がないから一歩出たいのを我慢して、法的措置はオトナに任せて、わたしたちが
輩の起こす一部始終を記憶しようとしたときのこと。

 わたしたちにははっきりと段ボール箱に公園に集まるネコを一匹詰め込んだ輩の姿を見た。どうする?幸ちゃん?誰か呼ぶ?
ごそごそと手馴れた手つきで子ネコを箱に入れていた。人に慣れていることをいいことに、か弱き幼獣に対する憎むべき犯行だ。
通報しなきゃ……。と、わたしが携帯を取り出そうとすると、輩は私たちに気付いたのか、ネコを置いて公園から消えた。

 どうする?わたしたちはしかと見た。犯行未遂の現場に遭遇した。ネコ泥棒だ。これから起こり得る悲劇を食い止めるべく
わたしたちは一抹の正義を胸に鉄槌を振り下ろすべきなのだろうか。幸ちゃんに相談すると、あっさりと答えが返ってきた。

 「取り合ってくれるはずないよ。噂だし」
 「本当だったら?」
 「誰かが動いてるって。わたしたちが訴えてもオトナは鼻であしらうだけだって」
 「それにしても……『はなちゃん』。大丈夫かな」

 ブランコを漕ぎながら幸ちゃんはオトナ以上に大人びた言葉でわたしの幼い正義感を脆くも破り去った。
 部屋で引きこもっているけど、視野はわたし以上に広いのかもしれない。いや、ネットという感情抜き文字だけの窓口ゆえ、
広いようで醒めているだけなのかもしれない。現に顔を合わせて話すことと、文字だけのやり取りとは感じ方がもろに違う。
 わたしたちは外の世界に飽きてきたので、それぞれの自宅に戻ることにした。布団が恋しいからだ。

 翌日の放課後、わたしは昨晩の公園に立ち寄った。周りの景色が違うだけで印象が違う。視野が違うだけで感じ方が違う。
遊具も子供たちとの付き合いで活気を戻し、白い雲と青い空、緑の木々といった色彩が公園に精気を与えていた。
 
 「あっ。ネコだ」

 芝生でネコがちょこちょこ歩いている所に遭遇したわたしは思わず声をあげた。大きなネコに子ネコ。この公園はいわゆる
『地域ネコ』の溜まり場になっているらしい。そのため彼らの中には人を怖がらない子もいる。逃げない子ネコは子供たちに
囲まれて幸せそうな顔をして、公園での平和な一幕を過ごしていた。そんな子ネコを連れ去ろうとする輩……。
 幸せそうな時間を人間と共に過ごす『はな』の顔は言葉が通じないわたしたちでも心地よさそうに見えた。
 人間はこの子らの大切な友達。だから、この子らの幸せをにじるようなことは許せない。『はな』の顔を見れば分かること。、
 『はな』の肉球からほんのりとかけがいのない暖かさが伝わっていた。
185魔法少女イヌミミ系 ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/06(火) 19:56:06.63 ID:TZbzUHG1
 そして。

 もしかして。今夜も現れるのかもしれない。いや、分からない。
 昼間の幸せそうなネコたちを思い出すと、子ネコを連れ去れるヤツのことが無性に歯がゆくなってきた!

 「なんか。人間の勝手だなあ!」と。

 そして、今夜。
 わたしと幸ちゃんは昼間と同じ場所にいた。言うまでもなく、昨晩と同じ場所。

 「幸ちゃん。外に出るようになったんだね」
 「今夜だけだって。人がたくさんいる場所はやっぱ苦手だし」

 夜中フィルターを差し引いても幸ちゃんは美人に見える。落ち着いた性格の相乗効果もあるかもしれない。
 幸はもしかして今夜は来ないかもしれないと不安になった。立て続けに同じ場所に犯人が現れるのは犯人にとって危険すぎるからだ。
そして、幸ちゃんは「わたしだったら、そうするかも」と付け加える。「今日がやばくて、じゃあ間を空けずに翌日にしましょって、
『どうぞ、捕まえてください』って言ってるようなものでしょ」と。ブランコに腰掛けて幸は遠巻きに昨晩の犯行現場を眺めていた。
 それに……昨日、あんなに幸ちゃんになついていた『はな』が姿を現さない。不安だ。

 結果、幸ちゃんの言うとおりになった。

 「圭。少しずつ、ヤツが本性を表すのを待とうよ」

 翌晩も、その翌晩もわたしたちは刑事よろしく公園に張り込んだ。理由は後付けで構わない。無邪気に遊ぶ子ネコを思い出す度に
いてもたってもたまらないからだ。歯がゆいことに『はな』はまたしても現れない。わたしたちのことを忘れてしまったのだろうか。
 
 そして、四日目の深夜。輩は段ボール箱を携えてやって来た。
 一見、ゴミを捨てに来ているようで(それも許せないけど)、尋問されても証拠を残さないように準備しているのが憎たらしい。
幸ちゃんは用意してきたデジカメを輩に向けて構えた瞬間。

 隣にいた幸ちゃんが膝を付き、ゆっくりと倒れ込んだ!どうしよう!どうしよう!

 静かに慌てるわたしは……ふと、昼間に聞いた声を再び耳にした。

 『ぼくの代わりを出来るのは圭ちゃんだけだ。今、幸の体から抜け出すから。いざ行かん!動物たちの幸せの為に!』

 体が軽くなった。
 ふわりと太ももに風走る。
 頭の中を突き抜ける音。
 閉じたまぶたに光射す。
 そして、ぱんつが……ずり落ちてない!

 その代わりにわたしの尻尾の付け根がゴム紐で締め付けられる感触が!

 え?

 尻尾?

 普段着だったわたしはいつの間にかにメイド服へと着せ替えられて、ついでに獣の耳と尻尾がついていた! 
186魔法少女イヌミミ系 ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/06(火) 20:22:15.52 ID:if6/b+On

 まるで……わたしは魔法少女。
 アニメの中から飛び出した、いわゆる二次元世界のカートゥーン・ヒロイン。
 だが、わたしは三次元。尻尾も耳も触ればわたしのものだという感覚があり、切れば血がほとばしる本物の耳だと本能的に理解した。
 もしかしてこの事態は理解しようとすること自体間違ってるかもしれない。それを裏付けるかのように、獣のような男が泣いている
子ネコを抱えていたからだ。耳が尖り、まるでオオカミのようながたいのよい男だ。牙がきらりと光る。触れれば、皮膚を裂いてしまう
かもしれない牙が鈍く光っていた。開いた口からは生臭い獣の匂いがして、わたしの鼻を嫌でも刺激していた。
 はっはと息遣いが荒いのがわたしの……イヌミミに届いていた。

 オオカミ男だ!!!

 オオカミ男の腕は子ネコを締め付けていた。子ネコはまるで人間の少女のような姿でネコミミがぴょこんとわたしと同じように
付いていた。一方、オオカミ男は獣そのものの姿で二本足で立ち上がり、はっはと口から荒い息を上げていた。何をしでかすか
分からないヤツに近付けば、ヤツの毒牙に掛かること必至。幸ちゃんの姿はない!どこ行ったの?幸ちゃん!!

 返事をしたのは『ふう』だった。

 『圭ちゃん!動物たちの幸せの為に……』
 「え?どういうこと?」 
 『圭ちゃんは「イヌ」だよ!動物たちの「イヌ」だよ!立ち向かうんだよ!』

 『ふう』の声がわたしを惑わせた。
 
 え?
 イヌ?
 わたし、人間ですけど? 

 「おねえちゃん!助けて!」

 人間の言葉で子ネコの声が聞こえた。それに対して、ヤツはの慟哭を続けていた。

187魔法少女イヌミミ系 ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/06(火) 20:23:25.82 ID:if6/b+On
 子ネコの悲痛な叫び声で、オオカミ男の耳を塞ぎたくなるような言葉で、わたしが持つ人間の理性は全て崩れた。

 『アイツは人間が持つ「よくぼう」だ!獣に近づいた人間だ!理性を忘れ、暴虐さだけが体を支配する、ぼくらが憎むべきヤツだ!』
 「わたし、どうしたらいいの!!もう!ばかばか!幸ちゃん起きてよ!!」
 『幸ちゃんは今、空っぽなんだ。ぼくが離れちゃったから。幸ちゃんは「獣」と「人間」双方を器用に持ち合わせることが出来なかった。
  だから、ぼくは考えた。「圭ちゃんに潜り込もう!」。圭ちゃんは「獣」と「人間」双方分かり合える人。それが出来る人なんだ』
 「何言ってるの!もう!」
 『で、目の前のヤツだ。獣でも、人間でも風上に置けないヤツだよ、アレは。よくぼう」だけで動く、獣……いや、人間以下のヤツだ。
  話で解決できればいいけど、ヤツはそうはいかなそうだよ。圭ちゃん!獣の牙を人間の知恵の積み重ねでなぎ払うしかないね!』

 え?
 ネコ泥棒=オオカミ男ってことですか?
 欲望やら、何たらで……。

 幸ちゃんよ。これがリアルだよ。現実世界なんだよ。
 ってか、幸ちゃん!?


つづく
188わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/06(火) 20:24:51.38 ID:if6/b+On
近日、後半イキます!
また、よろしゅう
189わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/07(水) 19:25:02.90 ID:i2mVeFOx
後半、いきます。
190魔法少女イヌミミ系 ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/07(水) 19:25:40.89 ID:i2mVeFOx

 手に魔法のステッキ?イヌの肉球付き?まるでお菓子みたいな色使い!先っちょから舌を絡めてじゅるじゅると舐めてみれば、
甘い味がしそうなキャンディ?いやいやいや!もう、わたし中学生ですけど。とっくに卒業したようなお子様じみたことなんて……。

 『「獣」と「人間」を繋ぐ「いぬみみ・すたんぷ」を振ってみて!ぼくの尻尾みたいに!』

 わたしは『ふう』に言われるがまま、魔法のステッキ、いや『いぬみみ・すたんぷ』を昔の体温計さながらに振りかぶってみた。
 すると、パステルカラー鮮やかなステッキは生身の皮切り裂く、剣へと身を変えてしまったのだ!銀色の鋼が妙に綺麗だった。

 『「ドッグ・イヤー・ソード」。コイツの錆になれ!言葉を聞けないヤツは尻尾を振って、切り刻んでやる!』
 「わたし、出来ないよ!」
 『アイツは「獣」……いや!「ケダモノ」だ!』
 「にゃああああ!」

 わたしは『ふう』にそそのかされるがままに、剣を構えオオカミ男に立ち向かった。まるで大きな見えない力に楯突くように
無我夢中に踏み込んで、ヤツの胸を狙って剣を振りかざした。剣の心得など持ち合わせぬわたしがヤツなんか……斬れる訳がない。

 「わたし、出来ない」
 
 弱気になるぐらいなら逃げ出せばいい。足を公園の外に向けようとしたとき、オオカミ男……輩はわたしの前に立ちふさがった。
 やだやだやだやだ!
 
 『アイツはいくら圭ちゃんが逃げても追ってくるよ』
 「どうすればいいの?」
 『戦うしかないね』

 そのとき、わたしの背中を押したのは子ネコの声だった。だけど、動かない脚がやけに怖がって理屈を捏ね回す。

 「おねえちゃん!どこかにつれさられるよー!」
 「……わたし」
 「きゃああ!こわいよ!」

 『相手は人間ならば誰でも持ち得る心の隙。動物たちを人間の都合に巻き込みたくないと思う願いがあれば、きっと勝てるはずだよ』
 「……」
 『付け加えれば……。圭ちゃんにも潜む心の闇はアイツと同じだ。だから逃げられない』
 「……」
 『圭ちゃんも生きとし生けるもの。心を持つ基本は同じだけど、どこかで間違ってしまったんだ。獣になりかけた人間を救えるのは
  言うまでもなく、圭ちゃんだけ。二つの種族と通じることが出来る圭ちゃんだからこそだよ』 
191魔法少女イヌミミ系 ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/07(水) 19:26:11.91 ID:i2mVeFOx
 迷った。迷った。でも、迷ってらんないことだってある。
 冷静に判断するよりも、無我夢中に体当たりすることがもしかしてわたしに足りてなかったのかもしれない。
 剣は狂ったような自意識をわたしに植え付けさせていた。いや、剣のお陰で何かが出来るかもと錯覚に陥っているのかもしれない。

 「……」
 「たーすーけー」
 「……」
 『どうする?圭ちゃん』
 「……」
 『……』
 「戦う」

 冷静さと我武者羅の二つの武器でわたしは見たことのないような敵に立ち向かう決心が付いた。

 輩が子ネコを離せば事態はわたしに好転する。ただ、その確率はゼロに近い。かといって、子ネコを抱く手を剣で狙うのはあまりにも
リスクが大き過ぎる。抜き差しならぬ状況のまま、輩はわたしをじっと狙っていた。そしてことは動き出した。
 輩の右腕がわたしを抱え込むように唸り、弧を描き、爪を剥き出して襲い掛かってきた。剣を構えたわたしは身を守るように体を縮める。
手首に重くのしかかる衝撃がまるで電撃が体の中を貫くよう。人間の力では到底耐え切れない衝撃に耐えたのはわたしの中に潜む獣の力かもしれない。

 『圭ちゃん。コイツには勝てるはずだよ。きっと』

 果して『ふう』の言うことは本当なのか、そして幸ちゃんはどこに消えたのか。不確かなことばかりに囲まれて、わたしが
今出来ることだけに力を注ぎ、きりりと剣を握り締める。
 不確かでも、完全に否定しない限り確かなものになると信じ、わたしは足を踏み込んで輩の右脚を狙った。子ネコに危険が
及ばないようにだ。確かに手応えがあった。剣先から滴り落ちる体液が鼻をつく。どす黒いという訳でなく、真っ白な牛乳のような
液体だったが鉄の匂いがした。一矢報いることが出来て、調子づいたわたしはさらにたじろぐ輩の左膝を斬った。

 (もしかして、わたし強いのかも)

 きっと勝てる気がした。だって、現に目の前に立ちはだかる欲獣に傷を負わせることできたし。攻撃は最大の防御って言うけど、
防御を固めれば怖いものもない!輩が襲い掛かるもの、わたしはまるで小犬のように体が軽く動くし、するすると木の葉のように
攻撃をかわすことだって、快感さえ覚えるようになってきた。

 再び獣の脚を狙い剣先かすめると、花びらの散り際かと思わせる白い体液が舞った。体勢を崩した輩は反射的に子ネコを手放し
砂煙上げて尻餅をついた。子ネコはわたしの元に駆け寄るが、傷を負った獣の凄惨な姿を見せたくなかったので離れるよう諭した。
 子ネコはわたしに一礼し草むらに姿を隠した。後はアイツだけ。体中にわたしのアドレナリンがみなぎり、頼りになる剣を握り締め、
立て直した体で迎え撃つ構えを取るが、砂煙立ち込める視界が晴れたときには既に輩の大きな爪がわたしの剣をかわしこめかみに
当たる程の近さにあった。

 正直、調子に乗っていた。

 輩はわたしのイヌミミ狙って鋭い爪生える右手でわたしの腕を薙ぎ払った。同時に振りかざした手を返す際に、わたしのイヌミミを
爪でえぐっていた。脳に届くぐらいの激痛が走り、滴り落ちる真っ白な液体がわたしの頬に、メガネに張り付いて玉のように落ちた。
 匂いからしてそれはわたしの血液だと分かった。真っ白な血液。公園の芝生に顔を埋めながらも、今現在、わたしが人間のではない
ことの証であることを身をもって確証したのであった。大地が、地面がこんなに冷たいなんて、生きていて初めて知った。
192魔法少女イヌミミ系 ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/07(水) 19:26:43.17 ID:i2mVeFOx
 痛い。
 痛い。
 ずきずきする。

 死んでしまうかも。

 命って、呆気なく消え去るものなんだ。だから、誰もみな大切にしてるんだ。

 お互い大切にしているものだこそ、相手を傷つけ、命を奪い、欲しいままにするときは……必死なんだ。わたしの血が全て流れ
地上に注がれてしまうとき、誰かにわたしの命を預けることってことか。でもそんなこと、今はさせて堪るもんか。子ネコの為に。
そうだ。金だ!輩が欲しがるお金だ!アレは従順だからね。アレさえあれば何でも出来るからヤツも欲しがるわけか。堪らないね。
後生です!後生だから、お金、いくらお金を積んでもいいから、手放しかけたわたしの命をわたしに返してくれ。
 
 「幸ちゃん……」

 麻痺してゆく体でも、わたしの頭に突き刺さる輩の足の爪と藪に隠れた子ネコの声が届いていた。
 ものすごく重い。命の重さだ。その一方、だくだくと血が流れ、体が軽くなってゆくような気がした。
 残った力で顔を上げると、何もかものが薄っすらと見えて、公園がまるで黄泉の国のどこかに見えてきた。
 真っ黄色の空に真っ黄色の芝生。白く続く一本道の脇でゆらゆらと揺れる真っ黄色の木々。そこに横たわるわたし。

 もしかして、二度と幸ちゃんと会えないかも。
 幸ちゃんとの別れが気付かないまま過ぎてゆくのはいやだ。

 とめどなく流れる血潮。全力で誰かにぶつかれば、自分も傷つく。生きていれば誰もがぶち当たる常識。
 でも、ここで死んでしまえば、ヤツの牙に、爪に斃れたら……犬死じゃん。

 『圭ちゃん』
 
 まるであの世から聞こえてくるような、天から響く迎えの声。いや……『ふう』だ。

 『本当はいけないんだけど……、ぼくの使い果たしていない「命」を分けてあげる。だから、絶対勝って』
 「いま、行くよ。花がきれいだよ。きれな……花が。あ……ふう、だ」
 『だめ!幸ちゃんも圭ちゃんもまだこっちに来ちゃだめだ!!』

 幼い声に揺さぶられ、黄色い世界と灰色の世界を行き来していると、不思議にだんだんと体が軽くなってきた。
 『ふう』の言う、「命」を分けてくれたのかもしれない。理屈などどうでもいい。命さえあればなんだって出来るんだし。

 「花……きれいだよ。ホント。はな……」

193魔法少女イヌミミ系 ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/07(水) 19:27:13.94 ID:i2mVeFOx
 わたしの何気ない言葉に黄色い大地が消えた。そして、隠れたはずの子ネコは黄色い草木の間からモグラのようにひょっこり顔を出し
じっと目を丸くして地面に伏したわたしを見つめていた。消えゆく命をどうすることも出来なく見届ける幼子。もしかして?え?
 
 「はな……。『はなちゃん』なの?」
 『え?ホント?幸ちゃんに擦り寄ってた?あんなに懐いていた?』
 「はなーーー!」

 子ネコは自分の名前を呼ばれたと思い込み、わたしの声に反応していたのだ!!
 遠のいていた意識も戻り、はっきりとした視界が甦り、そして憎むべきオオカミ男と愛すべき子ネコが再びわたしの眼球に写った。
わずかな力で膝付いて立ち上がり、飛ばされた「ドッグ・イヤー・ソード」を拾い握って、ヤツに向かって宣誓した。

 「わたし。動物たちの為ならイヌになる!!」

 すると。

 「ドッグ・イヤー・ソード」から火が上がる!!
 めらめらと、立ち上がる焔。オオカミ男と子ネコは恐れ戦いて怯んだ。

 『け、圭ちゃん!今だ……よ!』

 わたしはヤツの首根っこを狙い燃え盛る「ドッグ・イヤー・ソード」を振りかざした!

 火柱が上がり、あたり一面焼き尽くすかのごとくの火炎がわたしの周りに巡っていた。
 劈くような轟音が地面に叩きつけられるようで、オオカミ男から傷つけられたときよりも大きな衝撃が身に振りかかった。
 さらに焼けるような熱さは直視できず、わたしは身を丸くするしかなかった。誰かを傷つけるときには、自分も傷つく覚悟が
いるんだっけ。と考えられるぐらいに理性と冷静さを取り戻すにはさほど時間は要しなかった。

 膝付いて起き上がる。
 周りの景色、確かめる。
 太ももに付いた砂がこそばゆい。
 時計の針はわたしたちが公園に来たときとさほど変わらず。

 消えた。
 何もかもが消えた。
 わたしのイヌミミも、尻尾も。メイド服も、剣も。傷つけられ流れた血も。
 わたしに牙を剥いた忌まわしき獣も。
 『はなちゃん』も。

 そして、あの『ふう』の声も同じように消えた。
194魔法少女イヌミミ系 ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/07(水) 19:27:44.96 ID:i2mVeFOx
 帰ってきたのは幸ちゃんだった。地面に倒れ込んで動かない幸ちゃんに纏わり付く一匹の子ネコが幸せを運んできたかのような。
いまだ深い夜の中、わたしが幸ちゃんの名前を呼び続けると、やがて意識を取り戻し元の美人の顔に戻った。

 「……圭だ。圭がいる」
 「大丈夫?」
 「わたし、圭の体に入り込んだような気がするの」
 「え?」
 「圭と一緒に何か大きな獣と立ち向かったのかな。爪が耳に食い込んできて、血が顔に……」

 およそ綺麗な顔から出てくるようなセリフではないよね?だって、言ってることおかしすぎるし!確かにわたしには『ふう』という、
少年のような声がわたしだけに聞こえたし。でも、わたしに入り込んできた声の主が幸ちゃんってことだって……。そうなるのかなあ?
分かっていることはわたしと幸ちゃんの記憶が同じ時間に重なり合い、体験も痛みも重なり合っていることだ。凄くない?

 「じゃあ、わたしも聞いて。『ふう』って言う、男の子のような声が聞こえて……」
 「『ふう』?」
 「あっ」

 思い出した。
 わたしが小学校に入るか入らないかの頃までに飼っていた、一匹のイヌの名前。

 『ふう』くん。

 わたしが幼稚園に入る頃、両親が我が家に連れてきたんだ。「圭も手が掛からなくなったからな」と。

 この部屋が古本で一杯になる前のこと、よく『ふう』と一緒に絵本を読んでいたこともあったっけ。
 相手は言葉や文字を理解せぬイヌなのに、わたしは大切な家族の一人、出来の悪い弟のつもりでページを捲っていたっけ。
彼の名前を耳にして、口にしたときに、部屋と歩んだ遠い日の記憶が甦ってきた。 

 しかし、何故。ここに。
 どうして、『ふう』と別れたんだろう。
 ほんとに短い間だったのに、どうして忘れてしまったんだろう。

 わたしたちは本当になにごともなかったような公園を遠巻きに見ながら家路についた。明日が待っている。
 幸ちゃんが帰り際に「圭はおかしな子だね」と、にこっと笑ったことがわたしの胸に焼きついた。
195魔法少女イヌミミ系 ◆TC02kfS2Q2 :2012/11/07(水) 19:29:17.41 ID:i2mVeFOx


      #


 やがて、公園のネコ泥棒の噂は消えた。
 子ネコの『はな』も姿を現さなくなった。
 人間のやることなすこと全ていい加減なもんで、過ぎ去ってしまったものなど誰も振り替えず、雨後の川のように流れていく。

 流行り廃りは激しくて、例えば書店の店頭に並べられた本たちなんかも、時の流れに抵抗できずぐるぐると世代交代してゆく。
 だからこそ、わたしはずっしりと構えて古くからわたしをそっと抱いてくれる古書が好きだ。主を一生忘れない忠犬のようだ。

 「はなちゃん……元気にしているかな」

 ネコ泥棒をとっちめるために証拠写真と勇んで幸ちゃんが持ってきたデジカメには偶然撮っていた『はなちゃん』の画像が残っていた。
深夜、幸ちゃんが呟くネットを介して見せてくれたが、見るのも辛いので画像をスクロールする直前。

 「あ。今、ウチの屋根通った!」と幸ちゃんは呟いた。

 本当かどうかは幸ちゃんのみぞ知る。

 幸ちゃんとネットの上で別れた後、わたしの部屋、人呼んで『犬見堂古書店』で年季の入った本を捲る。真夜中の船に乗ったような
気持ち良さ。ゆーらゆらと月の下でまぶたが重くなるネコのように。わたし、『犬見』ですけどね!やがてわたしは夢心地に吸い込まれ、
安心しきってしると……、過ちを二度も三度も繰り返すのが人間のいいところだと今更気付いた。

 わたしは人間ってだけで驕っているのかもしれない。
 人間なんかケモノだし、死ぬときゃどんな動物たちと一緒。お手繋いで我ら生き物。いや、こんな考えこそが驕りだろう。
 でも、人間しか出来ないことなんかいろいろあるし。例えば、笑うこと。幸ちゃんの「圭はおかしな子だね」という笑顔。
それは幸ちゃんが人間だから出来るのだ。ならば、人間が動物たちの為に出来ることとは……。

 イヌだ。
 イヌだ。
 イヌになれ!
 吠えろ。
 喚け。
 噛み付け。

 そうだ。わたし……。

 「動物たちの為なら、わたしイヌになる!」


    おしまい。




完結です。二夜に渡ってこの場をお借りしました。
投下終了です。
196創る名無しに見る名無し:2012/11/08(木) 22:33:25.84 ID:SxWW8KoJ
>>178
投下乙
197創る名無しに見る名無し:2012/11/18(日) 17:29:11.99 ID:RAW+1yHp
あげ
198創る名無しに見る名無し:2012/12/12(水) 07:50:32.21 ID:fvfwAOGM
保守
199錯羅:2013/01/09(水) 23:02:56.36 ID:MBUVVbu7
魔女っ娘がヒロインのオリジナルファンタジー漫画を描いてます。
2chにさらすとよからぬことが起きたりしないかちょっと怖いですけど、
良かったら見に来てください。。

http://comic.velvet.jp/php/record.php?url=../index.html&data=2

つまらなくても、あんまり叩かないでね。凹むから。
200創る名無しに見る名無し:2013/02/11(月) 23:09:32.99 ID:ETfYqHur
200
201創る名無しに見る名無し:2013/02/24(日) 01:00:13.50 ID:LEXp4m4X
ダイソーに売ってる練り香水の入れ物が可愛い
http://www.cosme.net/product/product_id/10038336/pictures/photo/988123
202創る名無しに見る名無し:2013/02/24(日) 01:01:31.53 ID:LEXp4m4X
誤爆しました
203創る名無しに見る名無し:2013/03/28(木) 11:23:51.80 ID:hKHPoRJs
保守
204創る名無しに見る名無し:2013/05/02(木) 12:30:35.51 ID:CocB/qus
保守
205魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 05:00:01.06 ID:sygr7Drt
下手ですが書きためたのがあるので
206創る名無しに見る名無し:2013/05/07(火) 05:13:17.50 ID:sygr7Drt
>>205
ナイトメアの設定もいい加減で、別の星から来た謎の産廃業者もどき
音楽が一番大事な上條恭介と、恭介の彼女なのに全然構ってもらえない志筑仁美
二人の仲が破綻した設定で

 上條恭介は志筑仁美の心をズタズタにした
仁美のたった一人の親友だった、美樹さやかも行方不明になってしまった
仁美は、さやかと意気投合しかけていた佐倉杏子に近づくが、杏子は仁美に冷たかった
さやかを苦しめた仁美と話す事など無かったからだ
そんな仁美にQBが囁く「僕と契約してくれたら、どんな願いも叶えてあげる」と
仁美はさやかに会いたいとの願いで契約に応じた
207魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 05:17:51.62 ID:sygr7Drt
>>206
仁美は白夜のような空を見上げていた
「仁美…」
自分を呼ぶ懐かしい声に振り向く
白い服を着た美樹さやかが立っていた
「さやかさん!」
「…ったく、QBの奴ぅ…」
「無事で良かった…」
「いやぁ…無事かどうかは…へへへ…あ、ここで私と会った事は誰にも言わないんで欲しいんだ」

「仁美も大変だよね!あんな無神経な男と付き合っててさ!」
さやかと話し込んで仁美は泣いて笑って元気を取り戻した
「そろそろ時間だね…」
「また、さやかさんに会いに来ますわ!」
「あ、うん…でも決まりとか制約とか色々あるから…そんな顔しないで!いつも私は仁美を見てるから」
208魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 05:23:57.64 ID:sygr7Drt
「で?さやかには会ったのかい?」
杏子が呟くように聞いてきた
「え?」
杏子「私も魔法少女なんだよ!願い事したんだろ?」
「…」
杏子「は!全部顔に出てるよ!そっか、そっか、さやかに会えたか」
機嫌良さそうな杏子に「この事は黙ってて…」と仁美が言いかけたが、杏子がニヤリと笑った
「分かってるって!」
209魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 05:26:04.33 ID:sygr7Drt
>>208
冷たい雨が降っていた
空を見上げていた仁美の視界が白い物に遮られた
「もう、普段着じゃここまで来られない」
頭の上から、さやかの声がする
青い衣を着たさやかが少し高い場所に立ち、後ろからマントを広げて仁美を囲んでくれていた
「杏子にバレちゃったね」
仁美はしばらくの沈黙の後、重くゆっくりと「ごめんなさい」 と謝った

さやか、視点が定まらず無表情になる
やがて視線を下に落としたが、明るく「仕方がないよ」「杏子上手いもん」と返した
それからは黙ったまま雨の中を2人で立っていた
「ね、まどか…覚えてる?」
「まどかさん?さあ?存じませんわ」
「そっか…まどかも仁美の心配していたよ」
「また、お会いして下さいます?」
「うん…でも、この世界にもルールがあるから…そんな顔しないで!私はいつでも仁美を見てるから!」
210魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 05:32:24.36 ID:sygr7Drt
>>209
「円環の理の導き?」巴マミが少し困った顔で聞き直した
「いつかは訪れる魔法少女の運命ね」
「それが希望なのだと信じるしかないわ」
「希望なのでしょうか?」仁美が問い直した
「希望と呼ぶにはふさわしくないと思いますわ」
マミが仁美を見つめる
「なぜ?」
仁美「だって、何もありませんもの!ただただ生きている人間の監視をするだけ!そんな生活ばかり続けていたら気が滅入ってしまうに決まってますわ!」
マミが吹き出した「まるで見てきたみたいね!」
仁美「ええ!だから希望なんだとは思いません!私ならもっと良いルールを考えますわ!」
(ふぅん…)声に出さずマミが呟く
211魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 05:33:42.75 ID:sygr7Drt
>>210
立っていられないほどの暴風雨
遠くにさやかが立っているのが見える
仁美はさやかに近づこうとするが何かに阻まれて進めない
大声で叫んでも風にかき消されてしまう
さやかは動かずに仁美を見つめていた

「私とさやかさんを阻もむルールなんて!」
「こんなルールを作った奴を絶対に許さない!」
212魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 05:40:36.22 ID:sygr7Drt
>>211
仁美の姿は次第にぼやけて見えなくなっていく
完全に見えなくなると先ほどまで激しかった雨と風が止んだ
さやかは深い溜め息をついて変身を解き、道の脇の大きな木に向かって声をかけた
「そこに居るのは分かってるよ!シャルロッテ」
「えへへ、アンネも一緒だよ」
「うぅ…ったく…」
木の陰から2人の少女が現れる
「凄い雨と風でしたね」「対敵性侵入者の防衛システムが作動するなんてね」「…」三人で帰り道につく
さやか「まだ仁美には、そんな力は無いけど防衛ラインを突破された時には私は剣を抜かなくてはならない」
「…」「…」
アンネ「あの子が、最初に来た時に着ていた服は学校の制服?」
さやか「うん…で、どこから見てたんだよ?」
アンネ「次に来た時に着ていた服は白だったね」「また!」
シャルロッテ「私達が着てる服の白に合わせたんだよ!きっと」
さやか「でも、あの時すでに私は戦闘体制を取らないと合わせてもらう許可が出なかった」
アンネ「今日は青い服を着ていたね…さやかに合わせたのね…きっと長い時間かけて、おしゃれしてきたのよ」
シャルロッテ「それなのに、あんな泥だらけになって可愛そう」
さやか「…今、一人で泣いてるよ…」
213創る名無しに見る名無し:2013/05/07(火) 06:35:34.76 ID:87jR/v9d
>>205
投下乙
214魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 12:13:02.01 ID:sygr7Drt
>>213
ちょっと長いかもです
しかも未完かもです

>>212
ほむらとマミと杏子、そして仁美が集まっていた
仁美が口を開く「あなた達は私に嘘をついているのですか?そうでなければ騙されていますわ!」
マミが困った顔で「魔法少女に関する事なら何も嘘はついてませんけど…」と答える
仁美「マミさん、あなたは自分がいつか消え去るのを納得の上で契約したと、おっしゃいましたよね?」
マミ「ええ、そうよ」
仁美「あなたは事故に遭い助かりたいとの願いで契約したのですね?それっておかしいと思いません?いつか消え去るのに?」
マミ「あの時は、ただ助かりたいだけで…」
仁美「絶対絶命の状況の自分が、将来の事を考えたりしますかしら?」
マミ「でも、そう言ったもの…」
仁美「誰かに記憶を変えらた、と思いません?」
マミ「誰に…?」
仁美「まどかですわ」

ほむらが反射的に立ち上がる「いい加減な事を言わないで!」
仁美「どうなさったの?まどかさんを御存知?」
ほむら「知らないわ!」
杏子「嘘…まどかの名前を呼んだじゃん」
マミ「あ…美樹さんが円環された時」
215魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 12:16:40.94 ID:sygr7Drt
>>214
仁美「今まで確証は無かったけど、まどかが本当に居たのがハッキリしたわ」
ほむら無言
仁美「それも私達のかなり近しい所に居たのね」
マミ「それで、私達の記憶は変えられているって本当なの?」
ほむら「知らないわ」
マミ「私…ずっと自分を責めているのよ…何で家族を助ける事を願わずに、QBと契約の内容なんかについて話あってたんだろう?って」
杏子「あたしだって、自分が消滅するのを受け入れて契約したのが信じられない時がある…だって…自分の家族の事を祈ったんだもん…あたしも家族と一緒に居たいよ」
ほむら表情を変えない
マミ「何か知ってるの?私達は記憶を変えられてるの?」
杏子「何とか言えよ!」
ほむら「知らない物は知らないわ」
杏子「嘘を言うな!まどかって何だ!?あたしに何をした!?」
216魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 12:24:09.62 ID:sygr7Drt
>>215
ほむら無言
マミ立ち上がる「もう、いいわ」
ほむらを見下ろし「これから私は私の為に戦うだけ」
仁美に体を向けて「これからは仁美さんに協力します」
仁美「ありがとうございます」
杏子「あたしも仁美につくよ」
仁美「うれしいですわ!私の知っている事は全てお話しますから!そして真実をお見せします」
ほむら「死せる者の住む地に行ってはだめよ…生きる気力が蝕まれ、必ず後悔するわ」
マミ「あなたに私達を止める権利は無いの」
杏子「今さら何を言っても無駄だよ!さて、そろそろ帰るわ」
仁美「日時が決まれば私から連絡しますわ」
ほむら「行かせない!絶対に止めてみせる」
マミ「追いかけようなんて思わない事ね…さもないと、私と戦うハメになる」
217魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 12:27:47.92 ID:sygr7Drt
>>216
古びた壊れかけの教会の前に立つ仁美
「ここが本当に集合場所?」
教会の中から杏子が現れる「よう!入んなよ!マミはまだかい?」
教会の椅子に腰掛け「前から聞きたかったんだけど」と杏子が尋ねる
「さやかと連絡を取れるのか?」
「直接のやりとりは出来ないのですけれど」と、仁美は鍵つきの日記を出す
「これに連絡が書き込まれるの…」
杏子「…?」
仁美「この日あたりに会いに行きたいと書くと、しばらくして返事が書き込まれるの」
杏子吹き出す「プッ…つまり!さやかとの交換日記!?さやかが交換日記!?ギャハハハハ!」
仁美「あ…あら!これは交換日記じゃなくてよ!交換日記もしたけど…」
杏子「あははは!さやかが良く続いたな!」仁美(…そう言えば、交換日記にもう1人参加してたような…)
ガタン!
物音に2人が振り向く
息を切らしながらマミが入ってきた
杏子「お?遅かったな!」
マミ「ちょっとね、暁美ほむらと空中戦をね」
218魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 12:32:48.61 ID:sygr7Drt
>>217
仁美が日記を開く
「マミと杏子も一緒に会いたい」との仁美の書き込みの下に、時間の指定と意味不明な文字の羅列
マミ「何かしら?パスワード?」
仁美「私も良くわからないけど、今回は三人が手をつないでこの文字を呟けばいいみたいです」
杏子「じゃあ、日記はあたしとマミで持ってあげようよ」
自然と円形になり仁美が呟き始めた
気がつくと風景が変わっていた
教会の中では無い
三人はどこかの野原にいた
少し離れた場所に一人の少女が立っていた
魔法少女の姿をした、さやかだった
219魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 12:33:51.25 ID:sygr7Drt
>>218
さやかが大きな声で尋ねる「私は、この地の守護を任された者だ!この地へ何の用があって来たか!?」
押し黙る三人
困惑する仁美「え…えっと」
杏子が口を開く「おい!さやかだろ!?私だよ!杏子だよ!」
杏子、さやかに向かって歩き始める
さやか「止まれ!」
剣に手をかける「そこより進むな!」
杏子、一瞬たじろぐが「どうしたんだよ?さやか?さやかだよな?」と笑みを浮かべ
「あたしを忘れたのかよ?杏子だよ」手を広げて前に一歩進む
(ライン突破、抜刀)
さやか剣を抜く
杏子「馬鹿野郎!」変身する「寝ぼけてんのか!てめえ!」
槍を構えた
(侵入者の敵性を確認、これより排除する!)
さやか突っ込んで来る
220魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 12:38:41.42 ID:sygr7Drt
>>219
杏子応戦
だが、さやかは地の利を生かし有利に戦う
ぬかるみに足を取られる杏子
足を滑らせ体勢を崩す
「しまった!」
ダーン……銃声が響き、さやかが倒れた
マミに太ももを撃たれたのだ
さやか体を起こし剣で太ももを切開
傷口に指を突っ込み銃弾を取り出し捨てる
立ち上がるさやか
傷口は見る見るうちに消えていく
言葉を失うマミ
しかし、我にかえり銃をさやかに向けて引き金を引く
カッ
銃への衝撃で射撃が反れる
銃に突き刺さったナイフ
身を引き構えるマミ
跳躍した少女から次々にナイフが放たれてくる
「お前の相手をするのは、このシャルロッテだ!」
221創る名無しに見る名無し:2013/05/07(火) 17:16:43.07 ID:87jR/v9d
>>220
投下乙
222魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 17:46:30.32 ID:sygr7Drt
>>221不慣れですが、よろしく。
>>220
「中距離・接近戦か」慣れない攻撃に戸惑うマミ
「だけど」
飛び跳ねてナイフを投げるシャルロッテのボールのような軌道を読む
「そこ!」着地点に向かって引き金を引く
着地時の地面への銃撃でシャルロッテにスキが生まれた
マミがリボンを放つ
ピシッ!リボンに拘束されるシャルロッテ
銃口を向けるマミ
が、リボンは回り込んできた、さやかに切断された
マミ射撃
さやかは左に、シャルロッテは右に離れる
目標が左右に分かれ後退するマミ
「ヤレヤレ」杏子が後方に下がる
「そろそろ帰ろうぜ」
マミも後退
(ライン外への後退確認)
さやかもシャルロッテも下がった
杏子、チラッとシャルロッテを見る(何だよ…あんな奴と)
仁美「もう時間です…」
三人の姿は霞んで見えなくなっていった
223魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 17:50:58.24 ID:sygr7Drt
>>223
再び教会の中
杏子「あーあ、腹へった!何か食ってこ!」
仁美「ごめんなさい」
杏子「?何を謝るんだよ?こっちは、感謝してるよ」
杏子、出ていく
マミ「私達も帰りましょう」

「む!」「はっ!」マミは歩きながら、さやかの手の動きを真似するかのよう
仁美「楽しそうに見えますわ」
マミ「うふふ…美樹さんらしい、美樹さんだったわね」
仁美「さやかさんとお話させられなくて…」
マミ「言葉のやりとりはしなくても、たくさんの事を伝えてくれたわ」
仁美「はぁ…そうなんですか?」
マミ「でも、ちょっぴり寂しいかな?あのシャルロッテて子が少し羨ましいな」

杏子、1人で歩く
「いいパートナーじゃねぇか…」
目の前に人影
ほむらだった
224創る名無しに見る名無し:2013/05/07(火) 17:58:35.65 ID:sygr7Drt
>>223
ほむらとすれ違う杏子が「希望なんて無かったよ」と言い残す
ほむら無言
振り向いて声をかけようとするが、言葉が出ない(だから言ったのに…)
魔法少女が魔獣を狩らなくなった
それぞれのSGが濁っていく
ほむらは仁美に「さやかに会いたい」と申し出た
仁美はあれから何度か会いに行ったが常に暴風雨なのだと断った
「それでも構わない」と、ほむら
できれば直接、まどかと話がしたかった
いつか、また会えるとは言われていたが…

日記に返事が書き込まれていた
仁美とほむらがさやかに会いに行く
この日は穏やかだった
野原に魔法少女の姿をしたさやかが立っていた
ほむらは「ここに、まどかに会いに来た」と目的を伝える

さやか「まどかは居ない」「私が殺した」
ほむら絶句
事情を聞いて鬼の形相になる
225魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 18:05:14.13 ID:sygr7Drt
>>224
円環された全ての魔法少女が見つめる中、まどかはさやかに首を絞められ殺された
遺体はさやかにより海に葬られた

さやか「皆に向かって、まどかが言ったの」「私を殺して」と
そして魔法少女が集まり殺害方法が協議され実行された
ほむらが鬼の形相で弓を構えて、さやかに矢を放った
矢はさやかの喉に刺さり首の骨を砕き貫いた
さやかの頭が首からグニャリと折れて体が倒れる
後ろにいたシャルロッテが悲鳴をあげて飛びだした
ほむら、仁美を振り返り「帰りましょう」と一言
仁美、自失茫然

ほむら「これ以上、ここにいては危険よ」
やがて2人の体は消えていった
226魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 18:10:22.82 ID:sygr7Drt
>>225
地面に横たわる首の折れたさやか
半狂乱で泣き叫ぶシャルロッテ
アンネが駆けつける「落ち着いて!シャルロッテ!」
「見せて」アンネの横に、もう1人の魔女少女が現れる
「ジャンヌ!」
「首を固定し矢を抜くわ!アンネ、しっかり頭を支えてて」
アンネ、さやかの頭を両手で持つ
ジャンヌは剣で矢を切断し首から抜き出した
「心臓が止まっている…ゆっくりと心臓マッサージをするわ」
ジャンヌ、さやかの服をはだけて胸を露出させる
剣をさやかのみぞおちに突き立て切開
傷口から手を入れ心臓をつかみマッサージを始める
シャルロッテ気を失う
ジャンヌ「あなたも相当な地獄を見てきたのね」
アンネ無言でさやかの頭を持ち続ける
227魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 18:11:24.23 ID:sygr7Drt
>>226
ジャンヌ「心臓が自分で動き始めたわ」
アンネ「間に合って良かった…首の損傷が治ったのね」
ジャンヌ「呼吸を回復させるわ」
ジャンヌが人口呼吸を始める
「ふー…」息を吐き出したさやかが目を開いた
「ジャンヌ?アンネ?」
ジャンヌ「落ち着くまで動かないでね」
アンネ「本当に、さやかの回復力って凄いのね」
やがて、さやかが身を起こす
「何か、手間かけさせちゃったね」
ジャンヌ「軽率よ」
さやか「うん…ちょっと確かめたくて」
ジャンヌ「何を?」
さやか「以前、ほむらに言われたんだ」「殺してあげるわって…本当かなぁ?って」
228魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/07(火) 18:16:16.57 ID:sygr7Drt
>>227
「なるほど」ジャンヌが応える
「さやかに暁美ほむらが自分の本心を語った言葉は『殺してあげるわ』だけなのね」
さやか「あ〜…うーん…他には…」
ジャンヌ「だけど彼女はあなたの言葉を全て信じているわ」
矢を手に取り「信じたから矢を放ったのよ」
さやか「でも殺したの事実なんだし…」
ジャンヌ「…詳しい事は言えないけれど、まどか様の復活はあるの」
さやか「え?」
ジャンヌ「重要なのは、暁美ほむらにまどか様の死を信じさせられた事よ」
さやか「…?」
ジャンヌ「地球でまどか様の存在を知っていた人物が暁美ほむらだけだから」

日は沈みかけて夕日の中を、さやか、アンネ、ジャンヌが並んで歩く
少し離れてシャルロッテがついてくる
シャルロッテ「さやかのバーカ、バーカ、バーカ」
さやか「はいはい、バカでごめんね」
シャルロッテ「謝っても許さないもーん、さやかのバーカ」
さやか「はいはい、私って本当にバカ」
229創る名無しに見る名無し:2013/05/07(火) 18:26:29.08 ID:87jR/v9d
>>228
投下乙
230創る名無しに見る名無し:2013/05/08(水) 00:50:41.22 ID:C6lG/7JK
>>229どもです
>>228
深夜、さやかが物思いしながら原っぱを行ったり来たりしている
「眠れないの?」近づいてきたアンネが声をかけた
さやか振り返って「ちょっと考え事してて…」
「まどかの事を…首に手を当てただけで絞めてないんだ…だけど…」
アンネ、切り株に腰を下ろし「みんな知ってるわ」
さやか「?」
アンネ「あれは必要な儀式だったのよ」
さやかも座り、星を眺める
「儀式?何の?」
「そうね…サナギが蝶になるための…と言えばいいかしら」
「そんな事は誰も私に言わなかった」
「今日のためにね」
「ひどいな!それ」
「ごめんなさい…いずれ、皆からも謝罪があるわ」

「だから、さやかを誰も責めなかったでしょ?さやかも内心は殺してないって思ってたでしょ?」
「うん…」
「まどか様が一部の者へだけど、さやかにその役をして欲しいと言われたみたい」
「…」
「仮死状態だけど、怖かったのかしら?」
あの日、首に手を置かれたまどかは、さやかの腕の中で目を閉じた
231魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 01:11:44.50 ID:C6lG/7JK
>>230
さやかが風を切り空を飛ぶ
「いつまでも、まどかを冷たい水の中にいさせられるかってんだ!」

ジャンヌ「さやかが水葬した方角へ向かった?それが『自分の持ち場を少し離れたい』と言ってきた理由ね…でも」
アンネ「まどか様が『復活の前に、さやかが迎えに来てくれる』と言われました」「実は昨夜、まどか様の話をしたのですけど」
ジャンヌ「必然も偶然も、それは誰にも分からないわ」

空を飛ぶさやかの姿が目撃された
「さやかだ!」
「いよいよ…」
各地で魔法少女達の歓声が上がる

高度を下げていく
地上、海岸でワルキューレが手を振っていた
着地
ワルキューレ「一緒に行くよ!」
「うん!」
2人で水面ギリギリを飛ぶ
「この辺りだ」
海中に突入
海底の岩場の中に、まどかが横たわっていた
さやかとワルキューレがまどかを引き上げる
海岸まで泳ぎ、まどかを抱きかかえて岸に上がった
「私の家に!」ワルキューレが案内する

まどかをベッドに横たえ「ここは、お客さん用の部屋?」
「うふふ…まどか様専用のお部屋」
「何か、色々と私だけ知らない事があるみたいね」
「私が知ってるのは、さやかがまどか様を迎えに来る事だけ」
さやかはワルキューレの家で仮眠を取った
深夜、気配で目を覚ます
部屋には、まどかが居ない
ワルキューレも飛び起きた
外に出る
232魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 01:24:52.33 ID:C6lG/7JK
>>231
「さやか!」声に振り返れば、まどかが海の上に立っていた
次の瞬間
さやかの瞳にははじけたように変身する、まどかの姿が写った

まどか「ありがとう」「私が目覚めるまでの時間稼ぎをしてくれて…これで地球へ行けるようになりました」
さやか「地球へ?今から行くの?」
まどか「今すぐには無理だけど」
まどかが空を見上げる「邪悪なナイトメアが地球に現れたの」
「ナイトメア?」
「上條君の姿をして…」
「!?何で恭介の姿を!?」
「仁美ちゃんを取り込むために」「仁美ちゃんを取めば、この世界まで来て私の秘密を探れると考えているみたいなの」
さやか「仁美はナイトメアに抵抗できないの?」
まどか「…たぶん無理…だって1人ぼっちだもん…そこに優しい上條君が現れたら…」
さやか手で顔を覆う
「できる限り早く地球へ…」まどか上昇していく
(でも、蝶になってもすぐには飛べない…)
233魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 01:31:52.90 ID:C6lG/7JK
>>232
傷とアザだらけの仁美が歩く
ほむらがさやかを殺したかに見えた
逆上した仁美はほむらに戦いを挑んだが、逆に打ちのめされてしまった
公園のベンチに座り込む
「志筑さん?」目の前に上條恭介がいた
「どうしたの?ただ事じゃないね」
「…ほっといて下さい!」
「ほっとけないよ」
「あなたは私の事なんて!」
恭介、仁美の肩を抱く
「今まで悲しい思いさせてごめんね」
「う…」
恭介に肩を抱かれて泣いた仁美はいつの間にか眠ってしまった
恭介、仁美を抱き上げて去っていく

「何だ!?」異様な光景を杏子が目にしていた
仁美を抱き上げ宙に上がる上條
まるで見えない階段を上がっていくかのよう
やがて夜の空に明るい空洞が現れ、その中に上條は消えていった
234魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 01:35:28.50 ID:C6lG/7JK
>>233
杏子、走りながらマミに電話をかける
「志筑仁美がさらわれた!」
「誰に?」
「わかんねえ!上條恭介の姿をしてたが人間じゃない!」
公園の中を走り抜けた時
ベンチの上に見覚えのある鍵つきの日記を見つけた
「これってあの時の…」
鍵が開いていた
最後の書き込みが目に入る『恭介に気をつけて!恭介はナイトメアよ!恭介に近づくと仁美までナイトメアになる!』
「ナイトメア…?」
235魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 01:41:26.51 ID:C6lG/7JK
>>234
マミの部屋へ杏子が駆け込む
「見たままの事を話す」
マミ、日記を見ながら呟く「ナイトメア…ね…」
杏子「ところで、さっきから外が騒がしくないか?事故か火事でも…」
杏子、窓際に立ち「マミ!」
「どうしたの?」振り向いて、固まる
窓の外に巨大な手…猿の手のような
手先から肘までが宙に浮いていた
五本の指がマンションをつかんだ
別の場所からもう1つの手が現れマンションに手をかける
肘が曲がり一気に頭まで現れた
マミ「ワァーォ…」
杏子「ワォ…」
マミ「頭は犬…?」
杏子「たぶんダックスフンド…」
胴体は毛で覆われた人間
胸元に何か張り付いている
両手を左右に広げた人間の上半身
「仁美…?」
ハッと我にかえった
「キャアアアアアアアアア!」
236魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 01:48:52.18 ID:C6lG/7JK
>>235
「マミ!」パァン!杏子がマミを平手打ちする「目を覚ませ!」
「あなたこそ!」パァン!マミが杏子に平手打ちした「目を覚ましなさいよ!」
杏子「よ…よし!とりあえず魔法少女に変身するぞ」
2人が変身を終える
気がつくと巨大な犬がこちらを見ていた(目が会っちゃった)
手が伸びてくる
「えええええ!?」
窓ガラスを巨大な手が突き破り部屋の中をかき回す
「おうおうおうおうおう」

「いてててて…」ぐちゃぐちゃになった部屋で杏子が声をかけた
「マミ…大丈夫?」
マミ「大丈夫…じゃない」
杏子「とりあえず…」身を起こす
目の前に巨大な犬の顔
手が再び伸びてくる
「杏子!槍を出して!」
杏子、槍を出すが
手が手前で止まった
杏子の手前に落ちていた仁美の日記をつまみ、手は出て行った
マミと杏子が部屋から出て非常階段を下りる
「魔獣?違うな…獣人?でもないか…」
立ち止まって胸元に張り付いた仁美を見る
化け物の手は仁美の前で日記を開いている
「あれって、志筑仁美のナイトメア?」
「日記にあったナイトメアかもね…」
仁美は日記を虚ろな目で見ながら何かを呟いている
マミ「きっと、パスワードを呟いているのよ!」
杏子「あいつ!ここから円環の世界に侵入する気か!」
237魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 01:55:19.45 ID:C6lG/7JK
>>236
「行かせないわ!」マミ、銃を取り出し手を撃つ
手に当たり仁美が悲鳴を上げた
杏子、飛び降りる「痛みは仁美も感じるのか」
地面に落ちた日記を拾い上げ、逃げる
「マミ!逃げろ!」
横を走るマミ「もう逃げてるわよ!」

振り向けば耳をパタパタさせながら追いかけてくる犬の顔

「追いかけてくるわ」
「まずい…」
「そうだわ!地下に隠れましょう!」
「地下ってあそこしかないよな…」
川に下りて下水の排水管に入る
「くせ〜」「文句言わない」
238創る名無しに見る名無し:2013/05/08(水) 07:03:01.51 ID:A0Rn5FuG
>>237
投下乙
かなりの長編になりそうだ
239魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 12:20:52.87 ID:C6lG/7JK
>>238まだ3分の1も終わってない状況です
>>237
マミ「ナイトメアが見えるわ」
杏子「ちょっと変わって」
マミ「足もと気をつけてね」
パコン
地上、マンホールがゆっくり開く
「よいしょっと…どれどれ?まだまだ安心できない距離ね」
パコン
キー… マンホールの上に車が止まる
マミ「あれ?おかしいな?開かなくなった」(…でも、こんなの美樹さんの役よね…)
 再び下水道を歩く
杏子「まさかナイトメアが、ダックスフンドと猿なんてねー」
マミ「あんな物を相手に私達は戦ったりしないわ」「巨大なのがやっかいなだけで」
杏子「巨大と言えば仁美のオッパイって、想定外の大きさだったね」
マミ「みんなダックスフンドと猿に驚いて逃げてたけど、今後が心配だわ」
杏子「あの仁美がオッパイを放り出して現れるんだもんね」
マミ「…」
杏子(オッパイはスルー?)
240魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 12:24:22.35 ID:C6lG/7JK
>>239
『…見滝原一帯には退去指示が出され…』
「おまたせー!さ、食おうぜ」杏子が背負ったリュックサックを下ろす
「退去指示?みんな見滝原に向かってるよ」
食べ物をマミに渡し街の巨大モニターを眺める
「…仁美のオッパイ見ながら飯を食うのもな…」
「ライブカメラの中継ですって」

「お食事中、失礼します」
声の主を杏子が睨む「…上條恭介…何の用だ?ナイトメア?」
「ハハハ…その通りです」
「話が早い…では、その日記を僕に譲っていただけませんか?」
「イヤだね」
「ハハハ…そうですか、わかりました」
「では、面白い物をお見せしましょう」
モニターを見ていたマミが「動いた!」
巨大な猿の手が紙片をつまみ、仁美に見せている
仁美が何かを呟いた
突然、上空で爆音が走った
「キャ!」「な、何だ!?」
「ロシア軍機ですよ」
241創る名無しに見る名無し:2013/05/08(水) 12:32:51.08 ID:C6lG/7JK
>>240
翌日、見滝原
「ここから先は警戒区域で立ち入り禁止です」
大勢の警察官が動員されて交通が規制されている
「困ったなぁ…」
「おい!アホなナイトメア」
「あ、佐倉杏子…後ろにいるのは巴マミだね」
「ひょっとして、あのダックスフンド猿に近づけなくて、ずっと困ってたのか?」
「実はそうなんだ」
「はぁ…」杏子とマミがため息をつく
杏子「で、どうするんだよ?」
ナイトメア「これからどうなるんですか?」
杏子「警察・消防の合同捕獲作戦が始まるんだよ」
「それなら、勝手に逃げたりしないから簡単に捕まりますね」
杏子「お前、何を落ち着いてるんだよ?捕まってどこに運ばれるかわかんないのに」
「それは昨日に説明した通りどこに運ばれても、見滝原に帰ってきますから大丈夫です」
マミ・杏子「なるほど」
「でもね」とナイトメア
「今日の正午を過ぎれば、自動的に空間操作の作業が始まります」
杏子「…おい!それじゃ世界中で戦争が始まるじゃないか」
「だから近づけなくて困ってるんですよ」
242魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 12:38:45.76 ID:C6lG/7JK
>>241
「とにかく」と杏子
「私達の身の安全に関わる問題だ」
電話をかけ始める
杏子「ほむらと連絡を取ったから、これから会って一緒に対策を考えよう」
マミ「結局、我が身の事にならないと団結できない私達か…」

マミ「これが、その日記よ」
ほむらが目を通す
「要するに、正午までに志筑仁美の呟きを止めればいいのね」
マミ「そうなんだけど…」
ほむら「私達ならできるかも知れない」
マミ・杏子「!?」

杏子「おい!アホなナイトメア」
「あ…話し合いは終わりましたか」
「この日記を仁美に読ませられるか?」
「見せれば自動的に手に取り志筑仁美に読ませますから」
「その場合は仁美に仕込まれていた呟きはどうなる?」
「日記を読んでの呟きが最優先ですので中断されます」
「よし!頼むぞ!さやか」
243魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 12:39:47.55 ID:C6lG/7JK
>>242
杏子「この厳重な警備体制の中、どうやって仁美にたどり着くかだが」
マミ「時間的にも正面突破しかないわね」
ほむら「万が一、途中で妨害されて進めなくなったら」
杏子「接近戦が得意な、あたしが引きつける」
「よし、行くか」
「スタート!」
3人がダッシュする
「おい!止まれ!止まれ!止まれ!」
突破
駐車されていたパトカー、バスに駆け上がって飛ぶ
「3人、中に入った!」
白バイが追いかけてくる
「はい!そこの3人、止まりなさい!道の端に寄って止まりなさい!」
「うるせーな!」
「こっちが近道よ!」
ブロック塀に駆け上がり家の間を抜ける
通りに出て現地警備本部前を走る
「あれは?」
トラックとバスが並ぶ
「そろそろかな?」
機動隊員が盾を並べて道を封鎖していた
跳躍
二重の封鎖
「えーいっ!」杏子体当たりで突っ込む
その上をマミとほむらが飛ぶ
目標が見えた
244魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 12:46:31.28 ID:C6lG/7JK
>>243
装甲車が並んでナイトメアを包囲していた
「物騒な物が並んでいるわね」
「まだまだあんなの可愛い方よ」
「間違って撃ってこないでよ」
ネットとロープが並べられる上を走る
「おいおい」
「こら!近づくな!」
跳躍
足下にたどり着く
日記を取り出す
巨大な手が下りてくる
ページを開いて渡す
仁美の前で日記が開かれる
日記を見た仁美が呟やきかけたが、唇が動かない
やがて、虚ろで半開きの目から涙が流れた
日記の最後の書き込み
『仁美
親愛なる私の心の友
私はいつもいつまでも、あなたのそばにいます
美樹さやか』
新たな一文が加えられていた

目と唇を閉じて涙を流す仁美を、マミが見守っている
ほむらは遠くを見ていた
245魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 12:51:11.61 ID:C6lG/7JK
>>244
杏子は機動隊と戦っていた
「いてーな!このやろ!手加減してやりゃいい気になって…」
ダーン… ダーン…
銃声で機動隊員の動きが止まる
マミが空に銃を放ちながら近づいてきた
「防御!」
隊員が一斉に盾に隠れる
「成功よ!撤収するわ!」
杏子、隊員の間を走り抜ける「覚えてろよ」
マミ「正午を過ぎても動きは無かったわ」
杏子「さて、帰りはどうするか…うっ」
どうっと突風が吹く
「何だよ?今の風…わっ!」
今度は反対方向から吹いた
「…」
駆け足で戻る
見張りをしていたほむらも異変を感じていた
「この感じ…」

「みんな隠れてるじゃん」
現場関係者達が隠れてはいるが、銃口を向けられているのがわかる
「ヤレヤレ…」
2人が帰ってきた時、空に異変が起きた
「空が変な色になってる…」
246創る名無しに見る名無し:2013/05/08(水) 17:01:24.61 ID:A0Rn5FuG
>>239
投下乙
了解しました
247創る名無しに見る名無し:2013/05/08(水) 18:10:27.68 ID:C6lG/7JK
>>2461つ抜けてしまいました
>>240
「今の現象について説明しましょう」
ナイトメアが一方的に喋り始めた
「志筑仁美の能力は別次元への移動ではありません」
「2つの空間をつなげる能力です」
「志筑仁美は異なる別の次元の空間同士をも、つなげられる能力があるのです」
「予定されていたコースを飛行していたロシア軍機の、コースの一部と日本上空をつなげたので、日本上空にロシア軍機が出現したのです」
「志筑仁美が呟いていたのは、つなげる空間の座標なのです」
「我々は志筑仁美を支配下に置き、無抵抗でこの作業を行うよう、肉体的に精神的に改造と調教を行いました」
呆然とするマミと杏子
「もし、あらゆる国同士の戦闘機が相互に短期間に領空侵犯を重ねてしまえば…」
「戦争が起きちゃいますよね」
「ま、僕も無理に日記を奪ったりはしません」
「その日記さえ頂ければ、地球で騒ぎを起こしたりしませんから」
「明日の正午まで待ちます」
「僕は志筑仁美のそばに居ますから」
ナイトメアは闇に消えて行った
248魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 18:16:07.31 ID:C6lG/7JK
>>245
太陽とは違う、柔らかな光が空に広がった
その中心から光のかたまりが迫って…
3人は光の中にいた
お互いの顔を見つめていたが、4人目に気づいた
仁美が裸で倒れている
再び凄まじい突風
目を開ける
やはり仁美が倒れていた
杏子が駆けより「仁美!仁美!」頬を叩く
マミ「脈はある」
杏子「よし!とにかく裸じゃ可愛そうだ」何処かへ走っていく

この光を遠くから見ていた人々は、『空から巨大な光る手が降りてきた』と語った

ほむら「あの時もこんな感じがした…」
杏子、救急隊員の白衣を持って帰ってきた
白衣について誰も何も聞かない
仁美に着せてマミが背負い3人は去った
気絶した別の上條とダックスフンドと猿を残して
249魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 19:25:43.54 ID:C6lG/7JK
>>248
ナイトメア社 地球出張所 営業会議

「課長!この光る巨大な手の正体は、まどかですよ!明らかに!」
「おかしいな〜…暁美ほむらの脳内情報では確かに『死んだ』と…うーん…暁美ほむらも、騙されてたのか?」
「課長が、まどかは死んだと言うから、まどか捕獲計画は中止になったんですよ?」
「志筑仁美には逃げられるし」
「まあ、生きてたの分かったから『まどか捕獲計画』は続行だ」
「えー?メチャクチャ進化しちゃってるじゃないですか?今さら無理ですよ」
「逆に考えるんだ!まどかの方から、再び地球に来させるのさ」
「何か良い案でも?」
「地球に未だかつて起きた事が無い大異変を発生させれば、まどかは慌てて来るさ!その準備を今から始めておこう」
250魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 19:42:13.44 ID:C6lG/7JK
>>249
モニターが見える公園のベンチに、暁美ほむらとQBが座る
QB「1人の少女の力によって、世界中が戦争をする寸前にまでなったのかい?」
ほむら「ええ、世界中の空が戦場になろうとしていたわ」
QB「でも…それこそ、いつか君が語ってくれた魔女の能力そのものじゃないか」
ほむら「そうね」
(魔女とは災いを撒き散らす者…)
ほむら「もし…」
(誰かが、大勢の魔法少女を利用するために狙っていたら?)
「…考え過ごしよね」
QB「さっきから、どうしたんだい?」
ほむら「何でも無いわ」
星を眺める
(あの柔らかな光の主は、まどか?生きているの?)

夜空に星のような赤い光が見えている
「…」
その光が次々に増えていく
「!?」
QB「あの赤い光は僕の仲間達さ」
251魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 19:44:40.06 ID:C6lG/7JK
>>250
ほむら「あんなに大勢のインキュベーターが何をしに地球へ!?」
QB「契約のために決まっているじゃないか」
ほむら「契約なんて、そうできるもんじゃないでしょ!?」
QB「ある貧しい国の少女が契約してね…その少女の願いが『軍隊に入り、偉くなれますように』だったんだ」
「…」
QB「願いは叶って、彼女は若くして軍指導部の一員となり、魔法少女による部隊を編成する事にしたのさ」
ほむら空を見上げながら「いったい、どれだけの数の…」
QB「今、ちょうどニュースをやってるね」
街角の巨大モニターに某国の軍事パレードの様子が映っている
QB「これから契約するのは、この少女達…しかし、その一部だ」
数百人の少女達の行進が映っている
号令で一斉に敬礼をした

QB「願い事はあらかじめ決められていて『我が国が世界最強の軍事力を持ち、世界の覇権を握りますように』と願うのだそうだよ」
ほむら慄然となる(…悲しみと憎しみを繰り返すこのどうしようもない世界…)
252魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 19:57:42.60 ID:C6lG/7JK
>>251
ほむら「その契約はいつ行われるの?」
QB「現地時間の今夜0時に一斉に行われると聞いているよ」
ほむら「契約が行われれば、どうなるの?」
QB「世界の様子も人々の記憶も、すっかり変わっちゃうだろうね」
ほむら「そんな事…想像もつかない」
QB「でも、君には改編される前の記憶があるんだろ?」
(ハッ!?)
ほむら「…その記憶改編の影響を受けない手段があるかも…」

その日の深夜、緊急にマミの部屋に仁美・杏子・ほむらが集まった
「こんな事を急に言っても信じられないでしょうけど…」
一通り話が終わって「そこで提案です」
混乱する3人は話の内容が整理しきれない様子
「今から美樹さやかに会いにいけないかしら?」
「え?」と仁美
「次元を越えれば記憶改編の影響から逃れられるかも知れない」
杏子「ん〜…全然話について行けないが、とりあえず避難するんだな?」
ほむら「帰ってくれば世界がすっかり変わってるわけだから、相当な支障が起きる可能性はあるわ」
仁美「その前に、さやかさんから返事が来るかどうか…だって…」
ほむら「ごめんなさい」
杏子「何を謝ってるんだ?」
253魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 20:03:56.45 ID:C6lG/7JK
>>252
「てめぇ!」ほむらを殴りかかる杏子、それを制止するマミ
ほむら「美樹さやかを弓矢で射ったくせに、「助けて欲しい」なんて自分勝手でワガママだと分かっているわ!」
マミ「美樹さんは大丈夫よ!日記に書き込みがあったじゃないの!」

仁美が日記に書き込みをする
(もし、帰ってくれば何もかも変わっているかも…それなら、行かないで私自身も皆と一緒に変わった方が…)
沈黙
仁美が泣き始める
「行きたくない…家族と一緒にいたい…」
杏子「こればっかりは仁美が居ないと話にならないもんな」
マミ「仁美さんには選択の余地が無いものね」
ほむら「2人はいいの?」
杏子「家族いないし」
ほむら「…ごめんなさい」
仁美が日記を開く「返事がきたわ!」
3人が顔を上げる
仁美「行きましょう!泣いてごめんなさい」
仁美「悪い魔法少女に負けてたまるもんですか!」
マンション屋上に上がる
4人が手をつなぎ仁美が呟く
風景が野原に変わった
白い服を着た美樹さやかが近づいてくる
「みんな!よく来たね!」
杏子「この前に来た時と態度が全然違うじゃんかよ」
254魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/08(水) 20:14:34.84 ID:C6lG/7JK
>>253
さやか「今日は避難してきたんでしょ?避難してきた人は無条件で受け入れる決まりなの!」
マミ「私達の事情は分かってくれてるのね」
さやか「はい…帰ってからが大変だと思います…」
ほむら「…」さやか「…」
「グスン…グスン…」一番後ろで仁美が泣いていた

さやか「…今、世界が改編されたわ…」
緊張が走る

1人の黒髪の少女が近づいて来た
「間もなく日本に対して全世界からの一斉攻撃が始まります」
「作戦を伝えます」
「志筑仁美さん」
仁美「はい!?」慌てて涙を拭く
紙片を渡し「帰ったら直ちにこの人物に連絡を取って下さい」「私を信奉する一族の中の魔法少女です」
「紙に中に書かれた文字は暗号名で『自分には、ミサイル及び戦闘機からの防空能力がある』と伝えてくれれば十分です」
「折り返し彼女から連絡があるので、伝えられる座標を南極圏にでもつなげて下さい」
「それで日本に打ち込まれるミサイルや、向かってくる戦闘機の全てを南極圏に放り込めます」
杏子「…誰だよ?あの偉そうなの」
さやか「ヒミコちゃん」
マミ・ほむら「!?」
255創る名無しに見る名無し:2013/05/08(水) 23:24:54.69 ID:A0Rn5FuG
>>247
投下乙
256魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 02:23:36.37 ID:OF9zkgn2
>>255続きです
>>254
黒髪の少女が向きを変える
「巴マミさん、暁美ほむらさん、佐倉杏子さん」
3人「はい!?」
「あなた方は分散して空中で待機し、業を煮やして直接攻撃をかけてくる、敵・魔法少女群を撃退して下さい」
ほむら「3人で!?」
「十分です」「相手は同じ祈りで契約していますから、戦闘及び攻撃方法は同じです」「そして実戦の経験値は、あなた方の方が遥かに高い」
さやか「そろそろ時間だね…」
「御武運を」
257魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 02:39:40.86 ID:OF9zkgn2
>>256
「全機消失!レーダー画面上から消えました!」
「日本からの攻撃なのか?」
「確認できません」
「司令!空中管制機から連絡が入りました!」
「こちら司令部!状況を報告せよ!現在地は!?」
『こちら空中管制機、全機機体に異常なし、現在地東経138°南緯78°……南極上空です!遥か上空には多数のミサイル出現を確認!どうなっているんだ!?』

某所施設内
各地のレーダーに捉えられる、日本に接近する戦闘機やミサイルの情報が送られ表示される
データをオペレーターが読みあげ、志筑仁美がそれら全てを南極圏に弾き飛ばし続けていた

南極上空に飛ばされた戦闘機はやがて燃料切れになり、パイロットは次々に脱出していく
「制空権が取れない…作戦中止命令を…」
制空権が取れない限り、上陸作戦は行われる事が無い
258魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 02:49:37.02 ID:OF9zkgn2
>>257
「全軍下げろ!我々が出撃する!」
揚陸艦に待機していた特殊部隊、純黒のスーツ姿の少女達が甲板に上がってくる
「本来なら制空権を得ての上陸になるのだが、航空戦力の著しい低下を招く結果となり上陸作戦は延期となった」
「ならば敵の想像を超えた、我々自身が突破口を開く!」
「分隊!前へ」「出撃!」
黒服姿の少女達が空に上がっていく

「来たわね」
高空で待機していた巴マミが銃を展開する
「斉射!」 ドン!
上昇中の魔法少女の集団が上方からの射撃に襲われる
「あんな上から!?いつの間に!?」
「ちっ…高角度で上昇!突撃!」
二度三度と上空からの射撃に襲われる中
「あっ」上部に意識を集中させていた集団のわき腹に杏子が迫っていた
接近戦
護身用の拳銃を抜くが間に合わない
集団は側面から崩されていった
「あいつが親玉か!」杏子、指揮官に接近
「防御!」護衛が盾になる
「あちらへ」指揮官付きが安全な場所へ誘導するが
その先に暁美ほむらが弓を構えていた
冷静に矢を放つ
護衛が盾になるが次々と打たれていく
集団は総崩れになった
「く…一時撤退!体制を立て直す!」
ほむら「戦闘の経験不足ね…大集団が少数に包囲され殲滅する事はあるのよ」
259魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 02:51:49.40 ID:OF9zkgn2
>>258
次々と作戦の失敗が参謀本部に報告される
「あれだけの数がいて、なぜ勝てなかった?」
相手に指一本触れる事ができなかった
「この者に連絡を取りたい」
「…信用できますか?」
「この者と共同作戦を取るつもりは無い」「我々の戦い方を変えるのだ」


ほむら「恐らく次は酷い戦闘になるわ」
数枚の写真を出す
杏子「これは?」
ほむら「かつて、ワルプルギスの夜と呼ばれた物よ」
マミ「具体的な能力とかわかっているの?」
ほむら「異常気象を引き起こし甚大な被害を出すわ」
仁美「なぜ、これを…?」
ほむら「いわば、魔法少女のなれの果ての集合体だから」
集合体で思い当たるものがある
(ナイトメア…)
260魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 03:03:19.89 ID:OF9zkgn2
>>259
「参謀長、ナイトメアの代表団が到着しました…」
「わかった!応接室へ!」
「あの…参謀長…その代表団なんですが…」「?この写真の人物とは違うのか?」
「いえ、同じです…ですが」
「なら問題ない、相手を待たせるな」
早足で応接室に入る
「ようこそ!……」
上條恭介が3人並んでいる
3人が立ち上がり
「初めまして!」
「初めまして!」
「初めまして!」
挨拶をする

「…初めまして…私、今回の作戦を立案した者です…」
名刺を交換し、「どうぞ…」ソファーに座る
「あの、1つお聞きしたいのですが、皆さん大変お顔が似てらっしゃいますが…」
「あ、これは偽装のために実在の人物の姿を写したのです」
(それじゃ、かえって目立って偽装にならんだろうが!)

(おい、こいつ今『それじゃ偽装にならんだろ?』と思ったぞ)
(え?相手を見た目で判断するのは失礼だよね)
(こいつ、偽装の意味がわかってるのか?誰が誰だかわからないようにしてるんだよ)
261魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 03:07:57.60 ID:OF9zkgn2
>>260
「本題に入りましょう…これらの人物ですが」
4人の魔法少女の写真を出す
「はい、良く知っています」
「この他にも2人、行方になってる仲間がいます」

「あ、そうなのですか?」

「我々が追っているのは、その内の1人…殺害されたとの情報を得たのですが…」
「それが、思いもかけぬ姿で現れ、この4名と接触したのです」
「なるほど…我々が倒したいのは、この4名なのです」
「私達ナイトメアとしては、志筑仁美を捕獲すればそれで良いのですが」
「ならば残り3名は倒し、志筑仁美は捕獲するとの方向で」
「それなら協力できます」

「我々の技術を応用すれば…そちらが提案された魔法少女の集合体は理論上では完成させられます」
「何人を集合体としようと考えられていますか?」

「千人を、それを3体」
262魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 03:15:15.83 ID:OF9zkgn2
>>261
(ふっ…ただ一ヶ国、我々に降伏しなかった日本も終わりだな…これで世界は全て我々の物だ)

(こいつ、世界征服ごときが夢だったんだとさ)
(下等な生物は発想が低いねー)
(我々のように、まどかを捕獲し研究して、永遠に生きる方法を開発しようなんて発想は起きないよ)
263魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 03:17:57.61 ID:OF9zkgn2
>>262
真夜中、ウェーク島、グァム島、北部フィリピンに千人の黒服を着た魔法少女が整列した
目の前に明るい空洞が開く
「前進!」号令で列が前に進む
それから数時間後、異様な天気図がテレビの画面に映された
太平洋上、ほぼ同時に3つの台風が発生した
台風の進路は、それぞれ直線で日本を目指している
そして急速に発達していった

「来たわ」早朝、ほむらから連絡が来る
『902hPa、最大瞬間風速75m…』
マミが驚く
「これがワルプルギスの夜…?」
仁美が予想進路の空間を南極につなげたが、それから台風は動かなくなる
4日目、睡眠不足で仁美が倒れた
しばらくして空間は元通りになり、同時に台風の北上が始まる
『890hPa、最大瞬間風速80m…』

「仁美のおかげで時間稼ぎができたんだ…あたし達も避難しよう」杏子が言う
「そうね」マミも同意見だった
ほむら「逃げ場所なんか無いわ」「何もかも破壊される」
杏子「やめとけよ!逃げろ!」
ほむら「私は逃げない!戦うわ」
杏子「…あたしをからかってる…って様子でもないよな…あんた、マジなんだな」
264創る名無しに見る名無し:2013/05/09(木) 08:10:38.66 ID:e4MyB2Px
うむ
265創る名無しに見る名無し:2013/05/09(木) 08:13:59.22 ID:NAfnAtFF
投下乙
266魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 12:18:43.20 ID:OF9zkgn2
>>264>>265続きです
>>263
杏子、苦笑い「仕方がねぇな」
「あら、逃げるんじゃなかったの?」マミも来る
「本当に仕方ないわね」戦闘の準備を始める
ほむら「生き残れる見込みなんて無いのよ」
杏子「どっちにしてもな」
仁美も出てくる「私も戦います」
杏子「あんたは家族と外国にでも逃げな」
仁美「でも…」
杏子「いても足手まといなだけ、なんだよ」
仁美、去って行く

やがて台風接近による猛烈な風で建物が地震のように揺れ始めた
窓ガラスは全て割れ飛んできた石が壁に当たって落ちる
床に這いつくばる3人
マミ「台風の目に入ったら…攻撃開始よ」
風雨が止んだ
建物が倒壊し車が横転している
杏子「あれか」
上空に黒い巨大な人型
3人が飛び上がる
光のつぶてが飛んで来る
攻撃を避けながら接近
マミが射撃を始めた
ほむらが相手の顔面を狙い弓を構えた時
《《《 ア゙ー 》》》異様な声が発せられて体が震えた
光のつぶてが体に直撃する
石に当たるような衝撃を耐えながら、杏子が槍をほむらの弓にすえて弦を2人で引く
「行けぇ!」グン!槍はワルプルギスの夜の目に刺ささった
《《《ガ!》》》声を上げて横転する
巨大な手を避けながらマミがもう片方の目に射撃を集中した

「落ちろ!」杏子が2つ目の槍を胴体に突き立て、そのまま槍で切り裂く
裂け目の中から無数の手が伸びてきた
それをまた切り裂く
「やばい!」捕まった
267魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 12:22:13.27 ID:OF9zkgn2
>>266
杏子の体が飲み込まれていく
「くそっ」
駆けつけたほむらが手榴弾のピンを引き伸びてくる手の中にねじ込む
「耳をふさいで!」
ドン!爆発で体が吹き飛ばされる
回転しながら落下していくワルプルギスの夜
マミ「方向感覚を失ったのかしら?」
ほむら「一時的にはあり得るかもね」
杏子「地上に落ちればどうなるんだ?」
ほむら「落ちてバラバラになればいいのだけど」
落下
ワルプルギスの夜の姿が消えて行く
マミ「どうなってるの?」
空も晴れてきた
杏子「とりあえず、降りて次に備えるか」

マミ「気象情報はどうなっているのかしら?」ワンセグでチェックする「…そう言う事か…」
杏子「どうした?」
音声を大きくする『本日、上陸した台風は弱い温帯低気圧となりましたが、先ほど南の海上で新たな台風が発生しました』
マミ「無限ループよ!台風の!ワルプルギスの夜は何度倒しても再生して襲ってくるわ!」
268魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 12:30:22.05 ID:OF9zkgn2
>>267
杏子「無限ループ?」
あきらめた口調のほむら「なるほど、そういう事…それが私とワルプルギスの夜の関係ね」
「これは私の宿命…戦いよ!2人が力尽きるまでワルプルギスの夜と戦い続ける必要なんて無いわ」「…それは私の役なのよ…」
杏子「永久にワルプルギスの夜と戦い続ける宿命?そんなのあるかよ」
再び風が強くなってきた
コンクリートのガレキに座り虚ろな目をした杏子が言う
「今は近づいている2つの台風の事だけ考えようぜ」「続けて2つ来るワルプルギスの事を…」

「どっちから先に叩く?」後ろから聞き覚えのある声
杏子「?…!?さやか!?」マミとほむらも驚いて振り向く
さやか「仁美に連れてきてもらったんだ!」
さやかの横に仁美「日記に美樹さんから『すぐ会いたい』って連絡があって、会いに行って…そうしたら…一緒にたくさんの人が」
さやかが後ろに大集団が並ぶ「みんなを連れて来ました!」
ほむら「みんな魔法少女なの!?」
さやか「さて、今度はこっちが時間制限あるんだから!杏子、槍を借りるね」
「方向は?」「これでいいわ」
手当てしてもらう杏子「あの人たちは2列に並んで何してるの?」
少女が答える「忌まわしいナチスの兵器からヒントを得た攻撃なんですって」
杏子「ナチス?」
「じゃあ、行くよー!」
さやかが槍を持ち、二列縦隊の真ん中を走り抜ける
両サイドの魔法少女は通過するさやかに推進エネルギーを放出し、受けるさやかが加速する
「あの方法で砲弾を150qぐらい飛ばしたそうよ」
269魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 12:34:52.83 ID:OF9zkgn2
>>268
ヒュン!
高速でワルプルギスの夜に突っ込み、内部を破壊しながら貫通
同時に台風の勢力が急激に弱まった

仁美が手渡された座標を呟く
上空に、大穴が開いたワルプルギスの夜が、さやかに牽引されながら現れた「よーし!かかれーっ!」

「半殺しにして連れてきて、各個体が帰還する前に叩き落とす作戦なんですって」
瀕死のワルプルギスの夜に魔法少女の集団が襲いかかり、空から黒い服を着た少女が落ちていく
「次行こう!次!」
見ていた杏子が立ち上がる「面白そうだな!次は、あたしがやる!」
「あ、まだ傷の手当て済んでないよ!」

「やり過ぎないようにね」
「わかってるって!」
「うおおおお!」杏子加速
「行くぜ!黒い三連星!スカート付き!」
貫通
「やった!」
2体目が現れ、バラバラにされて行く
「3つ目行こう!3つ目!」
「ちょっと遠いな」「大丈夫、大丈夫」

ぼーっと様子を眺めるマミとほむら
手当てをしてくれた少女が包みを広げて「お菓子いかがですか?」と差し出す
マミ「あら、ありがとう」「じゃあ、お茶しましょうか」
ほむら「そうね…手伝うわ…」

「そっち行ったぞー!そっち」「捕まえろー」
日が射してくる
お茶を飲む3人
ほむら「もうすぐ夏ね…」
270魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 12:40:40.70 ID:OF9zkgn2
>>269
さやか「警察に三千人の不法入国者を捕まえたと連絡しておいたから」

そこにフラリと現れる3人の上條恭介
「またあっさりと倒してくれたな」
さやか「!?」
杏子「こいつらがナイトメアだよ」
さやか「紛らわしいわね!何なの?あんたたち?」
「んー…地球人に理解しやすく言えば産廃業者かな?」
「廃品回収業者と言えばしっくりくるかもね」

クマの帽子を被った魔法少女が口をはさむ「宇宙のあちこちにブラックホールを作って何が産廃業者よ」
「そこに危険な物を捨てているのが我々の3仕事だ」
「ま、今回は廃品回収業者として…いやいやリサイクル業者として複数の個体から1つの集合体を完成させたわけだが」
さやか「まどかが強大な力を持っているとか言うから、どんな凄い奴らかと思えば…」
ほむら「まどか?やっぱり生きてるのね!」
さやか「と…と…」慌てて口をふさぐ
「そんな事なら我々は既に知っているさ」
「どうやら、かなりの進化を遂げたようだな」
「大変に興味深い存在だよ」
さやか「仁美、こいつらが何かしてきたらすぐに逃げてきて」「避難者なら無条件で受け入れだから」
杏子「あら?あたしも、か弱い女の子よ?」
271魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 12:43:35.35 ID:OF9zkgn2
>>270
さやか「で、2人ともついてきたわけ?」
仁美「ふふ…」
杏子「いやーナイトメアが、おっかなくってさー」

さやか「ちょっとごめん…」「みんなーっ!今日はありがとーっ!」
さやか「さてさて、じゃあ今日は私達の世界を少し案内しますか」
仁美「わぁー!」
杏子「前はいきなり斬りかかってきたと思えば」

さやか「そろそろ時間だね」
仁美「じゃあ、また」
杏子「またな」
手を振る3人
「…」「…」「…」
「?」「?」「?」
仁美「おかしいですね」
杏子「時間オーバーしてるよな?」
さやか「ちょっと待って…」
杏子「どした?」
さやか「あっちの世界…時間が止まってる…」
272魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 12:47:58.68 ID:OF9zkgn2
>>271
3人が近くの集落に向かう
さやか「集落で宿泊するには、ちょっと手続きあるんだけど」
集落の入り口で簡単な手続きを済ませる
木造の家が並ぶ
さやか「あそこが私の家だ」
「どうぞ、どうぞ」
杏子・仁美「おじゃましまーす」

「おじゃましまーす!」シャルロッテが鍋を持って入ってくる
杏子「あ、あの時の」
シャルロッテ「もうすぐアンネも来るよ!」
仁美「私も手伝いますわ」
シャルロッテ「いいの!いいの!今日はお客さんだから!」
杏子「あれ?さやかは?」

集会所に魔法少女が集まっていた
「時間が止まってる?…地球がブラックホールに飲み込まれたって事?」
「もしくは地球の近くにブラックホールが発生したか…これだけの影響が地球に出ているのだから」
「まさか、太陽が?」「時間が止まるなんて考えられないよ!」
「何にしろ、そんな事をする奴らは」
「ナイトメアね」
273魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 12:51:32.47 ID:OF9zkgn2
>>272
杏子「あー、いいお湯だった」
仁美「近くに露天風呂温泉があったんですね」
さやか「着替え、それしか無くてごめんね」
仁美「ここでは、皆が同じ服装なのね」
「じゃあね」シャルロッテとアンネが出て行く
(何か変…?)

さやかと仁美と杏子が並んで寝る
天井を見るさやかが両手を伸ばし2人の手を握った
「?」

深夜、ベランダでさやかが誰かと話ている
「…私が行くしか無いの…」
「…絶対に罠だよ…まどか…」

杏子も仁美も起きていた(まどか?…)
274創る名無しに見る名無し:2013/05/09(木) 17:10:48.38 ID:NAfnAtFF
>>266
投下乙
275魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 17:37:53.04 ID:OF9zkgn2
>>274続きです

>>273
朝7時
さやか「それじゃあ、行ってきます…」
仁美・杏子「行ってらっしゃーい!」

3人の共同生活が始まって、数日が過ぎた
さやかは日々の警備の任務につき
仁美は家事をこなし
杏子は川で魚を取ったり、歌を歌って散歩したり…

「さやかさん!」仁美が追いかけてくる
「お弁当!朝早く起きて作ったの!」
さやか「お昼は詰め所で出るんだけど…あ、いやいや、今日は仁美が作ってくれたお弁当を食べるよ!うんうん」
杏子「あー!さやかだけズルい!」
仁美「ちゃんと杏子さんのお弁当も用意しましたよ!」
(新婚カップルみたいだな)
チュッ「…え?」
仁美、小走りで帰っていく
杏子「こらー!仁美ー!見てたぞー!」

詰め所でジャンヌがさやかに問う
「あの2人は地球の異変に危機感を持っているの?」
さやか「地球の時間が止まっているので、いつまでここに居ても誰にも迷惑がかからないと喜んでる…」
276魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 17:47:27.02 ID:OF9zkgn2
>>275
ジャンヌ「なるほど…では、今回の地球の時間停止の件は何も問題は無い」
さやか「はあ?」
ジャンヌ「何万年か何億年か後に再び地球の時間が動き始めても、人類の大半は時間が止まっていた事すら、わからない」
さやか「あ…頭がおかしくなりそうだよ…」
ジャンヌ「地球の時間停止の観測者になった志筑仁美も佐倉杏子も、この状況を喜んでるなら、第三者の我々が要らぬ御節介するのが間違いだ」
さやか「私はどうなるの?」
ジャンヌ「それは、さやか自身の責任問題」

夜8時
さやか帰宅「ただいま…」
仁美・杏子「おかえりなさーい!」
仁美「ご飯にします?それともお風呂?」
さやか「ご飯…」
食後は3人で風呂に行く
さやか「じゃあ、そろそろ寝ようか…」
…スヤスヤ〜…
仁美「クスクス…さやかさんたら…」ギュ〜
杏子「さやか〜…だっこ…」ギュ〜
(仁美…杏子…重い…)
277創る名無しに見る名無し:2013/05/09(木) 17:55:06.79 ID:zmPn/kxw
4円
278魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 17:59:12.00 ID:OF9zkgn2
>>276
シャルロッテがさやかの家に向かう「もう、ガマンできない!」
「あの2人に一言ガツンと言ってやらなくちゃ!」

「こんにちは!」
「は〜い」奥から声
仁美が出てくる「あら、シャルロッテさん」
「さやかの事でお話が」
「主人は仕事に行ってますが…」
(主人て…)

シャルロッテが問う
「あなた達はさやかの何なの!?」
仁美「妻です」
杏子「彼女です」
仁美は「シャルロッテさんは?」
シャルロッテ「友達です!」

杏子「まあ、3人仲良くやってるよ」
仁美「全てを分け合って…ね」
杏子「さやかの右のオッパイは仁美ので、左のオッパイは私のだと言う感じで」
シャルロッテ「じゃあ、私の分は!?」
仁美「残念ながらシャルロッテさんにお分けできる主人のオッパイはありませんが、私で宜しければ」ポロン
シャルロッテ「まあ!」キラキラ
279魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 18:04:35.10 ID:OF9zkgn2
>>278
さやか「ただいま…」
仁美・杏子・シャルロッテ「おかえりなさーい!」

4人並んで寝る

さやか、布団を踏み脱いで大の字になる

大の字に寝るさやかの右手を仁美、左手を杏子、股関をシャルロッテが枕に寝る
(誰か早く地球を元に戻して…)

ベランダから中を覗くまどか
ドキドキ「いったい、どうなるのかしら…」「もう少し様子を見よう…」「頑張って!さやかちゃん!」
280魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 18:24:40.48 ID:OF9zkgn2
>>279
「課長、ナイトメア本社、営業部長からの入電です」
(とうとう来たか…)
『おい、地球からの入金はどうなってるんだ?ワルプルギスの夜とやらを3体作成したんだよな?』
「はっ!入金はまだされていません」
『そりゃ、そうだよな?地球の時間を停止すりゃ入金なんかされないよな…ん?』
「はい、おっしゃる通りでございます」
『この、どアホめーっ!』
「ははっ!申し訳ございません…しかしこれは、まどか誘き出しの為の…」
『まどかは出て来ないじゃないか!一両日中に地球の時間停止を解除して入金させろ!
時間停止など要らん金を使わせおって、このボケーッ!』
「はっ!」
(…何で地球に大異変が起きたのに、まどかは出て来なかったんだろ?)
ヒソヒソ「うちの課長って、やる事が全部裏目に出るんだよな…」

さやか「最近みんな寝相が悪いんだけど」
杏子「そうかな?」
さやか「起きてる人に言っても仕方ないかも知れないけど…せめて、優しくしてね」
杏子・仁美・シャルロッテ「?」

「ハァハァ…」

窓の外には今日も人影
(ハァハァ…)
281魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 18:45:31.47 ID:OF9zkgn2
>>280
物見の丘で警備中のさやか
笑顔で近づいて来る仁美と杏子とシャルロッテ「あなた〜」
(あなたって…)
さやか「警備中である」
仁美「ごめんなさい」
杏子「今日は、お昼をさやかと一緒に食おうって皆で決めて」
さやか「後で詰め所で…」

シャルロッテ「さやか〜ここだよ〜」
さやか「あまり公私混同は良くないよ」
杏子「さやかの性格にピッタリの仕事だな」
仁美「うふふ…怒られちゃった!じゃあ、お昼にしましょう…」
杏子「何でいきなり!?」
仁美と杏子の体が消え始める
さやか「地球が元にもどったんだ」
仁美「やだ…やだ…やだ…」
さやか「また、日記を書くよ」
杏子「さやか…」

シャルロッテ「行っちゃったね」
さやか「このお弁当は皆で作ったの?」
シャルロッテ「そうだよ」
さやか「…おいしいね」

マミ・ほむら「わっ!?」
マミとほむらの前に、いきなり裸の仁美と杏子が現れて
仁美「わ…わ…わ…」
杏子「仁美!とにかく変身だ」
仁美「えっと、今は?」
ほむら「ワルプルギスを倒して皆を送ったところでしょ?」
マミ「美樹さんと、少しは話できた?」
仁美「さやかさん?さやかさんとは…さやかさんとは…」
杏子「あ〜ん…さやかぁ〜…」
仁美「グスン、グスン、グスン」
マミ「どうしたの?」
282魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 18:50:33.63 ID:OF9zkgn2
>>281
マミ「1ヶ月近くも時間が止まっていた!?」
ほむら「確かに、それぐらい髪の毛が伸びているわ」
まだ泣き続ける杏子と仁美
マミ「美樹さんと別れて寂しい気持ちはあるだろうけど、今は大変な時なのよ」
杏子「グス…グス…そんなすぐに頑張ろうなんて気持ちになれないよ」
ほむら「警察が来たわ」
ワルプルギスの夜を構成していた三千人の魔法少女が拘束され移動していく
マミ「きっと、魔法少女を取り返しに来る」

『あの…入金がまだ確認されていませんが』
「今回の作戦の失敗は貴社が作られたワルプルギスの夜に欠陥があったとの結論が出ました」
『いや、我々はそちらの示された企画書通りに作成しましたので』
「欠陥品に対して支払いの義務はありませんね」
『そんな…!』
「今回の失敗で我々は特殊部隊の隊員の大半をも失ったのですよ!この責任を取って頂かないと、我々としましては次の手も打てないわけです」
『責任?何です?それは』
「ワルプルギス作成に要した、我が軍の三千人の魔法少女の返却ですよ」
『返却?捕虜になったんですよね?』
「もし、魔法少女を全て返却できるのなら支払いに応じます」
『うーん…』
283魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/09(木) 18:54:31.67 ID:OF9zkgn2
>>282
『志筑仁美の協力でも得られれば、空間をつなげて簡単に捕虜を奪還できるんでしょうけど』
「そんなに簡単に相手が捕まるか」

「参謀、ナイトメアが志筑仁美を捕獲し連行してきたとの事です」
「な!?」
応接室に座る志筑仁美
その後ろに立つ3人の上條恭介
驚きの表情で参謀が現れる
「なぜ、こうも簡単に?」
「会って事情を説明してみれば、ついて来てくれました」

仁美が手のひらを口にあて、参謀に内緒話があるとのポーズ
参謀「?」
仁美「ボソボソボソ…」
参謀「よく聞こえないが?」
仁美「あなたはバカなのですか?」

気がつけば室内の様子が一変していた
そこはマミの部屋の中だった
284創る名無しに見る名無し:2013/05/09(木) 20:26:04.46 ID:NAfnAtFF
>>283
投下乙
285魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 01:19:58.12 ID:pmEPqbt9
>>284続きです
>>283
部屋の中にはマミとほむらと杏子がいた
マミ「まず靴を脱いでちょうだい」

テーブルにケーキとお茶が並ぶ
ほむら「もう、お終いにしましょう」
「こんな贅沢な暮らしをしている人間には、我々の気持ちはわかるまい」
マミ「何よ!2回も私の部屋をメチャメチャにして!」
「それは言いがかりだ!1回はしぶしぶ認めるが」
マミ、ムッとする
杏子「警察に連絡しておいたから、話はそこでユックリやればいいさ」
ほむら「作戦参謀が日本政府に拘束されてしまうのだから、これで日本への攻撃も起きないでしょう」
「日本への攻撃は私が立案してきたが正直なところ、手詰まりだ…続行される可能性は無いかもな…だが…」
「だが?」
「ナイトメアがどう出てくるかはわからない」
286魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 01:23:42.65 ID:pmEPqbt9
>>285
杏子、公園でモニターを見ながらパンを食べる
『次のニュースです。最近、世界各地にナイトメアと名乗る謎の団体から意味不明の文章が送られてるイタズラについて。』

「あ?」
『これは、ワルプルギスの夜と呼ばれる兵器を製造した支払いが、地球人類からなされていない事への対処をするとの内容で…』
「どこまでもバカな奴らだな…」
『支払いが一週間以内になされない時には、太陽を差し押さえすると通告していています。』
「やっぱりバカだ…」
『支払い無き場合には、勝手に太陽をブラックホールに変えて、産廃処理場にするとも言っており…』
「…」杏子、口を開けたまま
『今度は本気だ!バカヤロー。との一文で締めくくられているとの事です。』

「貴様ら人類が我々をバカにするからだ」
後ろに上條恭介がいた
「おかげで今期はボーナスも無くなった」

「知るか!」
287魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 01:31:42.45 ID:pmEPqbt9
>>286
「しかし、時間を止めた我々の恐ろしさをなぜ人類は理解できないんだ?」
杏子「時間が止まっていた事を人類が知らないからだ」
「ふん…つまり、人類はバカなんだな」
杏子「ずっと言ってろ!」
「その内に我々に泣きついて来るさ!金が無いなら地球を担保に銀河銀行で借りてくればいい」
杏子、立ち上がる「もう、会話する気にもならねー」

ナイトメアが後ろでわめいていたが、気にせずに杏子は去る

月明かりの下、立ち止まり後ろを見る(時間を止めるのにかかる経費って、ワルプルギスの夜を作るよりもかからないんだな…)
288魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 01:34:54.59 ID:pmEPqbt9
>>287
「時間を止める経費?」ほむらが興味無さそうに言う
「そんなの全然かからないわよ」
(円盤の盾を傾けるだけだもの)
ハッと気づいて杏子を見る
杏子「?何だよ?」
ほむら「…何でも無いわ」
(私が失った円盤盾をナイトメアが何処かで手に入れてた!?)
ほむら「ナイトメアって…」
杏子「?産廃業者だっけ?」

(あーっ!しまった!誰かに何処かで拾われて、ナイトメアの手に渡ったんだ!)
ほむら「ナイトメアには会えるの?」
杏子「いや…こっちから会いに行った事は無いな」
目の前を上條が通り過ぎる
「さようなら」
「さようなら」「おう、また明日」

目の前を上條が通り過ぎる
「おい、アホなナイトメア」
「何だよ?佐倉杏子」
「ほむらが話があるそうだ」
289魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 01:41:40.89 ID:pmEPqbt9
>>288
「話?」ナイトメアが面倒くさそうに言う
ほむら「聞きたい事がある」
杏子「あたしゃ腹へったから先に行くよ」
並んで歩く、ほむらとナイトメア

「上條君と暁美さん?あの2人って付き合ってるの?」
何人かのクラスメートが遠くから見ていた

「時間を止める方法?ブラックホールに吸い込まれる以外には僕は知らないな」
ほむら「役立たずね!」
「悪かったね」
ほむら「もし、知る事があれば教えて」

「あれ見てよ…連絡先を交換してる」
「まだ付き合って無かったのね」
「今日が初デートか」
290魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 01:45:11.91 ID:pmEPqbt9
>>289
ほむら「もう1つ聞いてもいい?廃品回収すれば仕分けするでしょ?」
「するね」
ほむら「利用価値があればリサイクルするのよね?最近、円盤型の盾を回収しなかった?」
「さあ?それを探しているのかい?」
ほむら「それは私のだから、見つかったら返して」
「ただじゃ無理かもね」
(ちっ…それこそ時間が止められたら奪い返してやるのに)

「何が奪い返すだ」後ろから声がする
別の上條恭介が立っていた
「あれは解析するために本社に送ったよ」
ほむら「私のよ!返して!」
「その発言、君に宇宙道徳があるとは思えないな」
(どこかで聞いたセリフを…)
「どうでもいい」

「上條君が2人?」
「上條君に双子の兄弟いたっけ?」
「ちょっとあれ…」
「えっ…」
3人目の上條恭介が現れた

「あの円盤は時間の操作をする物だったんだね」
「今回の時間停止は、あれを改良した物で行った」
「おい…時間停止?何だよ…それ」
「後で説明してやるよ」
(まずい…)
「まずくない」
291魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 01:54:12.14 ID:pmEPqbt9
>>290
(時を止める能力と思考を読む能力ね…)
「そうだよ」
「…」
「間違っても我々と戦おうなんて思わない事だな」
「わかったわ…」ほむら、背を向る

「ははは!君は、なかなか賢いな!」
3人の笑い声を背中に受けて足早に去っていく
(ダメだ…勝てない)
「そうだよーっ!」
「何?何?」「ダメだ、勝てないと思ったのさ」再び笑いが起きる

「変わったデートだねぇ…」
「いや、変わってる以上に上條君が変だよ」
「上條君の帰る方向が違う…」
思わず上條の後をつける

繁華街の路地に入り建物に入る
「おおーっ」「何と、ラブホテルに!」

後ろから声「おい!」「お前ら何を見てるんだ?」
「えっ!?」
2人の上條恭介がいた

「あーあ、捕まっちまった…」ビルの非常階段から杏子が見ていた「知ーらねっと」
「自業自得よ」頭の上からほむら
「いいのかい?クラスメートだろ?」
(勝手に押し付けられた…)と言いかけて言葉を飲み込む
杏子の脇を通り階段を降りていく
杏子「さて…どうすっかなー」
292魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 02:00:38.45 ID:pmEPqbt9
>>291
警察に通報したが『こちらから確認してみます』とのやる気の無い返事
(どうしよう…)

ラブホテルから出てくる1人の人物
やはり上條恭介
囁く声で「303号室でお待ちしてますよ」
(くっ…)
変身する
建物に入った
誰も居ない
階を上がり303号室を開ける
ベッドに座るクラスメート3人
「暁美さん!」涙目だった
室内には数人の上條恭介
「もうすぐ警察が来るわよ」
「だから?」

気がつくと室内にいるのは自分1人だけ
(時間を止められた)
ドアを開けて出ようとすると、横から手が伸びて邪魔をする
耳元で「他の3人には無事に帰ってもらったから安心して」
飛び下がる
「そんなに怖い顔しないで、カラオケでもやってったらどうだ?」
大勢に囲まれ、自分を笑う声
「何かして、俺らを楽しませろよ」
ほむら「宇宙道徳はどうしたのよ!?」
「道徳に反してラブホテルに入ってきたのは自分だろ?」

爆笑
293魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 04:31:59.73 ID:pmEPqbt9
>>292
「帰るわ」ドアの方へ向く
だが向いたはずが元の場所にいる
大爆笑
怒りと屈辱で体が震えて、涙が溢れそうになる

「おい、もう1人来たぜ」
ノックする音
ドアが開く
杏子だった「よう」手に袋を持っている
「楽しそうなパーティーだな」
袋の口を開き「プレゼント、持って来たぜ!」ぶちまけた

「ちょ!?」時間を止める
「わあああ!」
カーペットの上に大量のゴキブリと蜘蛛と画びょうが散乱していた
「動くな…」
時間停止でゴキブリも蜘蛛も動かない
「もし体が触ると、時間停止が解除される…」
だが
ちょん…カサカサカサカサ
「ひゃああああああ!足から!」
逃げようとして画びょうを踏んだ
「ぎゃああああああ!」
「動くなって!」…うわああああ!

画びょうを踏みながら風呂に逃げ込む
「水も湯も出ない」「時間停止してるから…」「解除だ!解除」

「杏子?」
「よ!帰ろうか?」
「そうね……きゃああああああ!」
「お?走れるのか?元気、元気!」
294魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 04:37:28.73 ID:pmEPqbt9
>>293
ほむらと杏子が並んで歩く
杏子「時間を操る能力か…面倒くさい奴らだなぁ…」
ほむら「でも、お互いに合意したわ」「戦わないって」
杏子「まあ、あたしは特にナイトメアに恨みも怒りも無いけど?バカな奴らだと思ってるぐらいで」
ほむら「だから挑発があっても乗ってはダメよ」「無視するのが一番」
杏子「あいつらも金を払わせたいから、色々と挑発してくるだろうな」
ほむら「ワルプルギスの夜の制作費なんて知らないわ」
杏子「こっちは被害者だっつうの!」

ほむらの家の前に、さっきのクラスメートが待っていた
ほむら「…」
杏子「あんた、あの子らのヒーローだな」
ほむら髪の毛をいじりながら「何か苦手…ヒーローは杏子じゃないの」
杏子「私はヒロインだよ」

3人が小走りで近寄ってくる
「暁美さん!」「良かった!」

杏子「じゃあな!」
ほむら「あっ…ちょっと…今日は、ありがとう…」
杏子、笑って手を上げる

3人に囲まれる
今日は疲れたから早く寝たいと言って別れた

ほむらが少し赤くなった顔でドアを開ける
(こんなの私じゃない…)
295魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 04:42:16.12 ID:pmEPqbt9
>>294
(しつこい奴)
追跡を振り切ろうとする、ほむら
(このままでは自宅に着いてしまう)
相手に自分の居場所を知られるのは避けたい
(よし、一気に!)
駆け出した
振り返る
姿は見えない
素早くドアを開けて家に入る
息を潜める…来た!
「ニャア」
「はぁ…エサなんか与えるんじゃなかった…」

野良猫の溜まり場に新参が1匹増えていた
白い子猫
捨てられて間も無いのか他の猫からイジメられていた
(あの様子では生存競争に負けて死ぬ)
つい、猫のエサを買って与えてしまった
「それが、この結果ね…」
「ニャア、ニャア」

「仕方が無いなぁ…」ドアを開ける「おいで」
飼い続ける自信も無いので、飼い主を探す事にした
仲間の魔法少女にはことごとく断られた
「薄情者…」
後は学校で探すしかない
すぐ見つかった
ラブホテルで助けたクラスメートの1人が快く承諾してくれた
296魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 04:43:20.60 ID:pmEPqbt9
>>295
「とっても可愛いの!一度見にきて!」
子猫を引き取ってくれたクラスメートに誘われた
「そう…じゃあ」
飼ったのは少しの間だったけど、とても懐いてきた
ゴロゴロ喉を鳴らし、外出時には『行かないで!』と足にしがみつき、帰宅時には出迎えてくれた
手放す時は、ちょっぴり胸が痛んだ

「ただいま!まあ!」
「ニャア!」
「お帰りなさい!を言ってるの!」
(こ…こいつ…)
でも、久しぶりに撫でたくなって手を伸ばす
サッと逃げて行った
「あ…ちょっとビックリしたみたいだね…」
(もう、私を忘れたのか!)
飼い主に撫でられゴロゴロ喉を鳴らしている
(薄情者が…)

ほむら「飼うには家の人は大丈夫だったのかしら?」
「ええ!前にも猫を飼ってたの」「ワクチンも手術も大丈夫よ」
(貧乏てのはガセだったのね)
少し落ち着いた
(でも新しい飼い主に懐いてくれたのは良かったわ)
「名前は何てつけたの?」
「Qちゃん!」
「…そう」

部屋の中を見渡してみる
机の上に自分と並んで撮った写真が飾られているのを見つけた
「あっ、やだ!忘れてた」「へへ…あの3人で、あれからファンクラブ作ったの」
「ファンクラブ?」
「うふふ…暁美ほむらファンクラブ」
「…」
297魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 04:49:28.68 ID:pmEPqbt9
>>296
まどかと通った帰り道を歩く
(私の、たった1人の友達…)
「暁美ほむらファンクラブかぁ」

「全く、お前ら人類には呆れたよ」目の前に上條恭介
ほむら「こんな所で油を売ってないで、お金の回収してきなさいよ!ナイトメア」
「明日で太陽がブラックホールになるってのに、この一週間は猫だのファンクラブだの」
ほむら「ブラックホールなんか知らないもの」
「なっ…今度は本気だって言っただろ?もう明日からは日の出なんて見られないぞ!?」
ほむら「あなた会社に勤めている社会人でしょ?何をバカな事を言ってるのよ」
「社会人の前に宇宙人だ」
ほむら「なら言ってあげる」「郷に入らば郷に従えと」
「じゃあ、言ってやるよ!井の中の蛙、大海を知らずだ」
ほむら「それ、あなた達よ」
「なんだと!?」
ほむら「まだ次元を越えて円環の世界に行った事ないでしょ?」
「う…」
ほむら「もし、この地球を滅ぼすなら、欲しがってる物は永久に手に入らないわよ」
「ふん!よく喋る女だな」

次の日も普通に太陽は昇った
298魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 04:51:07.62 ID:pmEPqbt9
>>297
「最近、あの3人と仲がいいんですね」
ベンチに座る仁美とほむら
「一方的によ」
「ふふふ…」
「美樹さやかとの連絡は?続いてる?」
「最近は日記に書き込む回数が減りましたわ…最後のページまで使ってしまうと終わってしまいますから」
(志筑仁美は良い意味で変わった)
「さやかさんは、さやかさんの生活があるし…私には私の生活がある」
「…」ほむらが黙ってしまった

(まどかさんの事を考えてるのかしら…?)
「あの3人に次の日曜日に誘われて…」
「まあ!それは良かったですわ!」
「…」
「おしゃれしなければ」
「本当のところは全てが面倒くさいわ」
「うふふ…変わらなくっちゃいけませんわ!」
(そうね)
「今日はありがとう」ほむら立ち上がる
仁美、微笑む

(まどか、私を見てる?)
299魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 04:56:37.75 ID:pmEPqbt9
>>298
招待されたのは、猫を引き取ってくれたクラスメートの家だった
あえて地味な格好でほむらは向かった

お茶とお菓子がならんで、まず複数の上條恭介が話題になる
ほむらは話せる事柄だけ話した
「変わった会社ね」
「全員が同じ顔で同じ格好?」
ほむら「顔を他人と同じにしちゃいけない決まりは無いもの」
「そりゃそうだけど…」

ほむらの知識の蓄積は膨大で3人は引き込まれていった
相手が何をすれば喜ぶかまで知っている
それぞれの好みの話題も提供し、それについて深く語って笑わせた

「じゃあ、遅くなるし」ほむらが立ち上がる
(しまった!やり過ぎた!)
3人の顔はファンでは無く信者になっていた
300魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 04:57:47.39 ID:pmEPqbt9
>>299
その帰り道(あの子は何で貧乏ちゃんと呼ばれていたのかしら?)
「それはね」
ほむら「いい加減にウザいわよ!ナイトメア!真面目に仕事しなさい!」
「その仕事の件で君に協力して欲しくて…」
ほむら「ブラックな会社に協力する事なんて何も無いわ」
「何だよ?泥棒のくせに」
ほむら「私が…いつ…いい加減な事を言わないでよ」
「私は相手の思考を読める能力がある」「思考をたどれば過去の記憶まで…ね」
ほむら「証拠も無しに…黙りなさい」
「拳銃、バズーガ、ミサイル、火薬、トラック」
ほむら「うるさいわね!黙りなさい!黙れ!黙れ!黙れ!」
ほむら駆け出す

(全ては、まどかの為だもん)

息を切らして帰宅する
「う…」涙が溢れてくる
(悪い事いっぱいしてきた…泥棒してても悪い事してるって思わなくなってた…)
部屋に駆け込み1人で泣く
手のひらを見つめ(まどかの為なら人を殺す事まで…何とも…)
「いやああああああ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!こんな私なんか嫌いだ!」
301創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 11:36:43.93 ID:ZpdNv5QV
投下乙
302魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 23:32:47.10 ID:pmEPqbt9
>>301書き込み規制されてた
>>300
杏子「私だって悪い事は、いっぱいしてきたさ」
ほむら「私は自分が悪い事してるとも思わなくなってた」
杏子「そんな時もあるって」
ほむら「自分がどんな人間だったかもわからない…」
杏子「ん〜…考え過ぎだよ」
ほむら「そうかもね…もう、あまり考えないようにするわ」
(自分の罪を告白したかったけど、全て無かった事になっているし…)

ほむら「行くわ」
杏子「考え過ぎんなよ」

しばらく歩いた所に上條恭介の姿をしたナイトメア
「しつこいのは女の子から嫌われるわよ」
「君は誰から好かれるてるんだい?」
「いちいちウルサいわね」
「私は君を必要としているけどね」
ほむら笑う
「あはは…そんな事を他人から言われるの初めてよ」
(それも、寄りによって正体不明の宇宙人からだなんて)
「君が必要だと言ったのが、そんなに変か?」
「あはははは!笑ってごめんなさい」「話ぐらいは聞こうかしら?仕事ってどんなの?」
303魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 23:35:59.89 ID:pmEPqbt9
>>302
仕事の内容は日本国内に潜伏している国際指名手配犯の捕獲だった
ほむら「警察に通報すれば?」
「偉い人が犯人を本国で身柄を拘束した…つまり手柄にしたいのさ」
ほむら「あなた達では出来ないの?」
「こういう仕事の経験の少なさから、外部の者への委託が決定した」
ほむら「他の魔法少女には頼まなかったの?」
「君が一番の適任者だよ」「作戦には時間停止を使うから」

ほむら「ふうん…」
(私の過去を調べての決定か)「わかったわ」
「やってくれるか!」
ほむら「指名手配されてる犯人が近くにいるのも嫌だから」

ほむらとナイトメアが行動を共にしている噂はすぐ流れた
仁美「マミさんも心配してたけど、暁美さんが良く無い人達と付き合ってるんじゃないかと…」
304魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 23:47:07.79 ID:pmEPqbt9
>>303
ほむら「指名手配されてる犯人を捕まえるのに協力するの」
仁美「危なそうだし、ナイトメアとは付き合わない方が…」
ほむら「指名手配犯が近くに潜んでいるのも気持ち悪いでしょ?」
仁美「…でも」

決行日、張り込みしていた犯人が潜伏先から出てくる
ほむら「行くわ」時間停止し、拘束具を持って向かう
相手に触れないよう拘束具を仕掛ける
捕獲「う?ぐ!」相手は既に身動きできず声も出せない状態になっていた
ほむら「大人しくして」
部屋に引きずり込み連絡を入れる「成功よ」
『了解』ナイトメアは待機していた救急車を発進させる

救急車が到着し、偽装した救急隊員が部屋に駆け込んで来る
「ご苦労、これを着て」ほむらにも隊員の偽装をさせてる
拘束された相手は眠っていた
(注射か何かしたみたいね)
305魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 23:52:43.38 ID:pmEPqbt9
>>304
担架を救急車に運び、ほむらも乗り込む
ほむら「まだ1人、あなた達の仲間が部屋に残ってるわよ」
「だから君が救急車に乗っている」
(頭数を合わせたわけね…部屋で何をしてるんだろ?)

サイレンを流しながら走る
(こうすれば、楽に何処へでも移動できるって事か)
「ここで交代だ」
マンションの前で、救急車から降りる
マンションの一室には全く知らない人間が救急隊員の姿をして待機していた
やがて運転手も部屋に入ってきて全員の交代が完了した

白衣を脱ぐ
報酬を受け取り、用意された車に乗る
(何も考えないわ…)
306魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/10(金) 23:59:42.43 ID:pmEPqbt9
>>305
しばらくして、指名手配犯が本国で逮捕されたとのニュースが報道された
それも別の国の軍隊の突入によって行われた、と
その陣頭指揮を取ったと、大統領の記者会見があった
大統領の支持率は急上昇した

「おかげで我々の評価も急上昇だよ」
ほむら「それは良かったじゃない」
「我々は君の評価をしたい」
ほむら「どういたしまして」
「もうすぐ、夏休みだけど海外に行ってみないか?もちろん仕事だ」
ほむら「海外か…いいわよ」

ほむらにマミが会いに来る
「これ以上のナイトメアとの関わり合いも、危険な仕事も止めなさい」
ほむら「今までも危険な仕事はしてきたわ」
マミ「いいように利用されるだけよ」
ほむら「仕事は仕事、お金はお金でしょ?」
マミ「あなた変わったわね」
ほむら「目標や目的が無くなったからね」
307魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/11(土) 00:01:30.57 ID:+BfzVS37
>>306
ほむらは海外での仕事も成功させた
仕事内容は国際テロ組織の幹部の拘束だった

杏子「危なっかしくて見てらんねー!つうの!」
ほむら「大丈夫だから、ほっといてよ」
杏子「あんたが捕まえた相手どうなったか知ってるか?」
ほむら「処刑されたとの報道を信じているの?本当は監禁されているわよ」
杏子「え?…そうなのか?」
ほむら「これは正義のための仕事よ」
杏子「けっ!良く言うぜ!その仕事の相手先は、あたし達の敵だったんだろ?」

仕事の成功でナイトメアは多大な収入を得、ワルプルギスの夜の作成費もほぼ回収していた

ほむらに『Qちゃんの具合が悪い』と連絡が入る
(猫の事なんて、すっかり忘れていたな)
久しぶりに訪問してみた

「今朝、病院に連れて行ったんだけど」
猫は座布団の上で寝ていた
「あ…いけない!病院に忘れ物してきた」
ほむら「見ててあげるわ」
「ごめんなさい!ちょっと取りに行ってくる」
部屋には、ほむらと猫だけになる
猫が起き上がった
ヨロヨロと近づいてくる
ほむらの膝の上に乗った
308魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/11(土) 00:05:20.94 ID:pmEPqbt9
>>307
(今まで私を無視してきたのに、こんな時だけ寄ってくるの?)
膝の上でションボリしてる猫にムカついたが
(もう…仕方がないなぁ…)背中を撫でてやった
背中を撫でられて猫は静かに目を閉じる

「ただいま…ごめんね」「あら?膝の上に乗っかっちゃったんだ」
ほむら「うん、心細かったのかな?」
再び背中を撫でる「?!」息をしていない
「大変!」

「どうしたの!?」「えっ?まさか!?」

猫は裏庭の木の下に埋めてやる事にした

「ほむらちゃん、ありがとう」
ほむら「助けられなくて、ごめんなさい」
「ううん…おかげで、この子は1人で寂しく死なずに済んだもの…ありがとう」
309魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/11(土) 00:10:18.25 ID:+BfzVS37
>>308
猫が死んでからは、ほむらの方から誘うようになった
自宅に呼んで一緒に勉強したり、4人でお菓子を作ったりした

相手を元気づけようとして、自分が変わっていくのがわかった
そして、そんな自分に迷い始める
このまま、まどかを忘れてしまうんじゃないかと

仁美「暁美さんに新しいお友達ができて良かったですわ」
ほむら「気がついたら、あの子の事を考えている」
仁美「うふふ…危なっかしい事されてたから、このままどうなるのかと一時はハラハラしてましたもの」
ほむら「でも、こんな私でいいのかなって」
仁美「もちろんですわ!」

その後もナイトメアから仕事の依頼が来たが、断った
ほむらの協力も無しに実行したのか、世界的な大物が誘拐されかけたが未遂に終わったニュースが時々流れた
(あのまま仕事を引き受けていたら、エスカレートして、やがて殺人までしてたかも)
それが自分だと思った
310創る名無しに見る名無し:2013/05/11(土) 00:28:28.68 ID:jtwGO9Lt
投下乙
311魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/11(土) 07:29:27.79 ID:+BfzVS37
>>310続きです
今回で、とりあえずの最終回
>>309
(この子、何で貧乏ちゃんなんて呼ばれていたのかしら?)
一緒に宿題をする横顔を見ながら思う
普通に遊びに行く仲になっていた

(この子がいなかったら、私はダメになってたのかな?)
でも、まどかを… (何なの?私って?)自己嫌悪になりそうになる
「あ〜!やっと終わった」
ほむら「私も…じゃあ帰るわ」
「え?今、お茶を入れてくるよ」
ほむら「構わないで!」
「どうしたの?いつものほむらちゃんらしくないよ」
ほむら「これが本当の私よ」「平気で悪い事をして、残酷で、ワガママで、嘘つきで、人と仲良くできない」「こんな人間と付き合ってはいけないの!だから、ここに来る事も、もう無いわ」
「ほむらちゃ…」立ち上がりかけて倒れた

「呼吸も脈も正常ね」
「貧血かしら?」
倒れていたと思っていた相手がユックリ体を起こす
「この子はね、ショックを受けると気を失う事があるの」
すぐに誰がしゃべっているのか、わかった
「まどか…!」
312魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/11(土) 07:31:23.92 ID:+BfzVS37
>>311
「でも、ほむらちゃんが支えてあげれば大丈夫だよ…ほむらちゃん、知ってるよ」
ほむら、相手の手を取る
「ほむらちゃんが1人で泣いてるのも知ってるよ」
手を握りしめて泣く「まどか…」
「ほむらちゃんは今の自分を生きて…そして」

「そして?」泣き声でほむらが聞く
「そして…いい友達をたくさん作って」
ボロボロと涙が落ちる
「ほむらちゃんとは、また会えるから…」相手から力が抜けた
倒れそうになる体を抱き止めた

「ほむらちゃん?」気がついて身を起こす
「私、気を失ってたの?」
ほむら「うん、もう大丈夫?」
そんなにビックリさせたのかと、ほむらの涙を不思議そうに見つめる

帰り道を途中まで送ってくれた
いきなり、ほむらの手を引っ張った「見て!きれいな夕日!」
2人、手をつないで大きな太陽を見る
ほむら「明日も頑張らなきゃ」

どこからか、まどかの嬉しそうな声
『頑張って…!』
313魔法少女まどか勝手に続編:2013/05/11(土) 07:39:10.75 ID:+BfzVS37
>>312
マミがお茶を入れて運んで来た
「何かまた良からぬ事を考えてるでしょ?」

「え?」杏子が少し驚いた顔をする
「ダメよ!」マミが厳しい顔「ナイトメアにそそのかされちゃ」
杏子「また、儲け話を持ってこられてさ」
マミ「この前なんか『日銀の支店に行って、処分する前のお札もらえないかな?』とか相談しにきたわよね」
杏子「切り刻んで処分するなら、私に譲って貰えないかな?…と」
マミ「いかにもナイトメアが考えそうな事だわ!」
杏子「どうせ要らないなら私にくれよ…って今でも思ってるんだけど」
マミが怖い顔
杏子「わかったよ!それは諦めるよ」

マミ「で?今度は何を?」
杏子「みんなで国を買わないか?と」
マミ、紅茶を吹きかける

杏子「財政危機の国があって、破綻すれば土地が安く買えそうだと…そしたら、国の一部分を独立国家にして、あたしが王様に…そんな怖い顔するなよ!」


― 未完 ―
314創る名無しに見る名無し:2013/05/11(土) 12:20:00.56 ID:jtwGO9Lt
投下乙
315創る名無しに見る名無し:2013/06/20(木) 14:29:41.21 ID:0mGy7ciq
保守
316創る名無しに見る名無し:2013/07/19(金) NY:AN:NY.AN ID:gmeMYo2q
317創る名無しに見る名無し:2013/08/01(木) NY:AN:NY.AN ID:11V+2HPp
保守
318創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
続きを少し書きました
>>313
数日後
杏子、路上に人が倒れているのを見つける
「なんだ?」
見滝原中学の制服を着た女子だった

呼吸も脈もある「貧血?それとも腹が減って倒れたか?」
「おーい」ペチペチと顔を叩いてみる

「あ…杏子ちゃん…」
杏子「なんだ、ほむらの友達じゃん」(良く、あたしの名前を知ってたな)

「この子はね、ショックを受けると気絶する事があるの…」
杏子「???」(何を言ってるんだ?頭を打ったのか?)

近くのベンチに腰を下ろす
「よっこいしょ…と」
「久しぶりだね!杏子ちゃん」
杏子、全く状況を理解できない

「私、時々この子を助けに来てるの」

杏子「…なら、あんた誰なんだよ?」

「私、まどか!鹿目まどか」
319創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>318
杏子、少し混乱したが気を取り直して
「まどかって、あの、円環される時に現れる?」
まどか「そうだよ」

杏子「い…嫌だぁ!まだ死にたくないよぉ!」
まどか「大丈夫だよ〜」「まだ連れて行かないから」

杏子「できれば長生きしたいんだ」
まどか「考えとくね」

少し落ち着いてきた
杏子「さやかの家に泊まっていた時に、ベランダに来てたの知ってるよ」
まどか「さやかちゃんと仁美ちゃんと杏子ちゃんが寝てるのを、窓の外から見てたの」
「杏子ちゃんの…」
杏子「?何?」

まどか「エッチ!」
杏子「なななな何を言いだすんだ!?」
声がひっくり返る
320創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>319
杏子(こいつ、本当に神なのか?)

まどか「それは置いといて」
杏子を見つめる

杏子(嫌な予感がする…)
まどか「しばらく、こっちの世界に来たいんだけど…この子の中に入りっぱなしなのは無理なの…それでね」
杏子「……ダメ!私はダメ!」
まどか「杏子ちゃーん」まどかが杏子に抱きつく
杏子「うるさい!離れろ!」

「何をやってるの?」ほむらが立っていた

杏子「いや、これは違うんだ!まどかが」
ほむら「まどか?」
杏子「あーっ!もう!」

杏子(ほら!私より、ほむらに頼みなよ)
まどか(だってー 私、ほむらちゃんに用があって来たんだもん)
杏子(知らねーよ!とにかく、あたしは無理!)

ほむら「さっきから意味不明な会話してるけど、私をからかってるの?」
まどか「えへへへ」
ほむら「?」
321創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>320
杏子「とにかく!あたしは、もう帰るから!」
まどか「ま、待って!」
杏子、勢い良く立ち上がって 滑った
ガン!!ベンチに頭をぶつける

ほむら「ちょっと…変な音したわよ?大丈夫?」杏子に走り寄った
杏子「おおおお…だ…大丈夫…大丈夫だよ…」

「あら?ほむらちゃん?」
まどかが入り込んでいた女子生徒が気づく

だが、ほむらは杏子に気を取られていた
「手当てしてあげるから、私の家に寄っていきなさい」
女子生徒に振り向いて「今日はこれで、また明日」

いきなり別れの挨拶されて、ほむらに支えられながらヨタヨタと歩く杏子を見送る
「?」
322創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:IGuIQGsu
>>318
323創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>322少し書き込みます

>>321
ほむらの自宅に着いた
「散らかってるけど、どうぞ」「まどか」
自宅までの会話の中で相手が杏子では無く、まどかだと理解していた

「怪我の具合は?」
「うん、ほむらちゃんの治療のおかげで、だいぶ良くなったよ」道中、ほむらが魔力を使って怪我した場所を癒やしてくれた

2人が椅子に腰掛けて向かい合う
「あのね、ほむらちゃん、今日来たのはね、単刀直入に言うとね」
まどか顔を上げる
「私の事を忘れて欲しいの」
ほむら、返答に困る
「いきなり、どうしたの?」

まどか「宇宙の統合と改変を進めて行く中で、それを阻む働きがあるの」
「ううん、正確には世界が2つに分かれようとしているの」
「私と、ほむらちゃんの間で、分かれようとしているの」
324創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>323
まどか「ほむらちゃんは、どうして魔法少女になったの?」
ほむら「魔女に襲われた私を、魔法少女になった、まどかと巴マミが助けに来てくれたのが事の始まりじゃないの…」
まどか「ううん、違うの」
「魔女なんて最初から居なかったの」
「魔女が生まれる前に私が消し去ったから」
「全て」

ほむら「それは違うわ!私は確かに!」
まどか「違わない!!」

まどかが発した大声を、ほむらは始めて聞いた

まどか「いくら書きかえようとしても、書きかえられないの」
「そうさせてくれないのが、ほむらちゃんなの」
325創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>324
まどか「ほむらちゃんが改変前の世界の事を誰にも何も言わなくても、ほむらちゃんの周りから世界がズレていくの」
「そして、ほむらちゃんが私を思う気持ちがドンドン強くなってしまって」
「改変前と改変後の世界に大きく分かれようとしているの」
「改変前の世界の中心になっているのが、ほむらちゃんで」
「改変後の世界の中心になっているのが、私なの…だから、ほむらちゃんの思い出の中から私を消して世界を1つに…」

「あなたは」
下を向いて黙っていたほむらが顔を上げる
「まどかじゃない」
326創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>325
まどか「そう言われると思ってた」
「当然だよね、自分が守ってきた思い出が否定されるんだから」
「でもズレていくのは、ほむらちゃんだけじゃない」
「ほむらちゃんを中心に世界が大きくズレていき、この世界にある全てのモノが私を敵だと認識し始めている」
「人も動物も植物も山も川も海も空も、みんな心の底で、私を自分たちの存在を危うくする敵だと思い始めているの」

一呼吸置いて
「私の意志に逆らう必要なんて、何も」
ほむらを見つめる
「無いのにね」

ほむら、いきなり立ち上がって魔法少女に変身する

まどか「何のつもり?」
「この体を借りてきて良かったよ」

杏子の姿が、魔法少女になる
327創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>326
ほむら「杏子のSGを勝手に使ったりして」
まどか「先に攻撃の意志を示したのは、ほむらちゃんの方じゃないの」
ほむら「攻撃の為に変身したんじゃないわ」
「あなたを逃がす為よ」

まどか「何から?」
ほむら「囲まれた」

ほむらの自宅を数人男が取り囲んでいた

まどか「ナイトメアか」
ほむら「奴らには時間停止能力があるわ」
まどか「狙いは、私?」

チャイムが鳴る
まどか「礼儀正しいのね」
ほむら「私とは敵対関係になりたくないみたいだから」

ほむら、ドアを少し開ける「どなた?」

「夜分すみません、ナイトメア社の者です」
まどかが奥から声をかける「用があるのは私?」
まどか、玄関にやって来る
328創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:IMTpoTv3
紫煙
329創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>327
玄関の外に立つ上条恭介の姿をしたナイトメア
「おっと…これは、はじめまして」
「お会いできて光栄です、鹿目まどかさん」

ほむら「今日は私のお客様なの」
「お引き取り下さい」

まどか「無理しなくていいよ、ほむらちゃん」
「用は私にあるんでしょ?」

まどか、出ていきかける

「ダメよ」ほむらがドアの前に立つ
「行ってはダメよ」
まどかの両肩をつかみ「行かないで」うつむく

まどか、不機嫌な声「ほむらちゃんのそんなところが」
ほむらの体を押しのけて「今の私を困らせているの」ドアの前に立つ
「私は小さくて弱い、まどかじゃないから」
振り向いて「ありがとう…でも、ごめんなさい」
「私の事は」背を向ける「忘れて」出ていった

ドアが閉まる

「うわあああああ!」まどかの叫び声 激しい戦闘の音
ほむら、座り込む
肩を震わせて泣いた
330創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:IMTpoTv3
紫煙
331創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>328どもです

>>329
まどかはナイトメアの包囲網を突破した

跳躍してビルの屋上に立つ
大気までもが自分に怒りを向けているのを感じた
(これら全てを書き直さなくてはならない)
カラスが怒りの声を上げながら集まってくる
自分たちを消し去ろうとする敵に、本能からの怒りを向けている

まどか、槍を構える
(私は全てを書きかえる)
大気に異変が起きた
竜巻が発生

竜巻は集まってきたカラスの大群を巻き込んだ
そして、まどかも消えた


マミも仁美も突然の竜巻の原因と、起こした者の正体に気がついていた
332創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>331
ほむらの家のチャイムが再び鳴った
「こんばんは、巴です」「志筑です」
ほむらが応対に出る「どうぞ」

マミから話を切り出す「今日、突然に起きた竜巻だけど」
ほむら、顔を上げずに聞いている
「魔法少女が起こしたのだと思うの」「何かご存知?」
ほむら「波長でわかるでしょ?」「あの巨大な光に包まれた時と同じだったはずよ?」

マミ「まどか…なのね」
ほむら「そうよ」

あの時の力を覚えている
とても対抗できるようなモノでは無い

マミ「なぜ、まどかが被害が出るような力の使い方をしたのかしら?」
ほむら「私のせいよ」
顔を上げる「信じられないかもだけど、全てを話すわ」
話した結果、まどかが更に怒るのは分かっていた

ほむらは自分が契約した時の事
ループを繰り返し時空をさまよった事
まどかが概念化した事を語っていった
333創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>332
マミと仁美は言葉を失った

自分たちが常識としてきた物の全てが否定されてしまった

マミ「まどかによって歴史のねつ造が行われたの?」
ほむら「ねつ造なんて生易しいモノじゃない」
「全てが作り変えられたの」
「歴史的な証拠や人々の記憶までも」

それは自分たちの体験から理解できる
魔法少女の部隊によって世界が改変された様子を見てきたから

マミ「あなたが話してくれた内容の全ては理解できない」
「でも」
ほむらの目を見る「信じるわ」

ほむら「これで…世界の分裂が進んでしまった」
マミ「新しい理へと導いた創造主が黙っていないって?」
「笑わせないで」
「何の権利があって、そんな事をしたのよ」

ドーン!光と音が一緒になって雷が落ちた
334創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>333
間近で雷が次々に落ちる
停電になり、暗闇の中で頭を抱え込んだ

ほむらが叫ぶ
「止めて!もう止めて!」

学校の屋上に人影があった
見滝原に落ち続ける無数の雷の光に人影が照らされた
杏子の体を借りた、まどかが街を見下ろす
「怒りを、恐れよ」

「まぁどぉかーっ!」屋外に飛び出したほむらが叫んだ
目の前の道路を水平にイナヅマが走る
横からの落雷を受けた街路樹が折れて車道に倒れた

落雷に襲われる街を見て呟いた
「私のせいだ…こうなったのは、私のせいだ…」
335創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>334
ほむら、自然とひざまずいて両手の指を組んで握りしめる
「…お許し下さい」
震える声でつぶやいた

激しかった雷がピタリと止んだ

祈るような姿になった、ほむら
それをマミと仁美は見守るしかなかった

2人は外に出た
「どこから見ているの?」
辺りを見渡し警戒する

マミ「神か…なるほど…これが古来から言われ続けた神なのね」その自分の記憶すらも怪しいなと…皮肉まじりに笑った

(神との戦いか)
336創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>335
マミが座り込んで震えるほむらに手を差し出す
「つかまって」
ほむら、手をほどいてマミの手を握る
マミ「立てるかしら?」
ほむら、よろめきながら立つ
しかし足に力が入らない
倒れそうになるほむらをマミが抱き止めた
ほむら「ごめんなさい…私が悪いの…ごめんなさい」
震えるほむらにマミがささやく
「大丈夫よ」「あなたは何も悪くない」

室内に戻る
停電の中でロウソクに火を灯した
マミ「お茶にしましょう」

ロウソクの灯りの中、3人で紅茶を飲んだ
マミ「次のお休み…明後日、美樹さんに会いに行かない?」
仁美「え…私は、いいですけど」
マミ「美樹さんの所なら、この場所からでもすぐ行けるし」
「暁美さんが、歩くの苦手みたいだから」
クスクス笑う
ほむら「そんな、笑わないで…」

マミ「じゃあ、当日は朝に集合して、皆でお弁当を作って行きましょう」
「仁美さん、美樹さんへの連絡お願いね」
仁美「あ…はい」
337創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>336
「私は、この地の守護を任された者だ!この地に何の用があって来たのか?」
丘の上に立つ美樹さやかが大きな声で訪ねる

マミ「美樹さんとお弁当を食べにきたの」
さやか「もう少しで交代だからちょっと待ってて…」

「いいわよ」さやかの後ろに別の魔法少女が現れる
「ジャンヌ」
「交代してあげるから食べていらっしゃい」
さやか「ありがと!じゃあ、詰め所に行こうか」
仁美「避難してきたわけではないのに、そんな所まで入れますの?」
さやか「書きかえは済んでるから」


(書きかえ?)ほむらが疑問を持った(敵地に来た私たちのために?やったのは、まどかよね…)

詰め所で昼食の弁当を広げる
さやか「わ!フルーツサンド!」
仁美「クリームたっぷりですわ」
さやか「美味しそう!」

紅茶を入れる、マミ
落ち着きなさそうな、ほむら

マミ「では、頂きましょう」
さやか「あ、まどかが後から来るってさ」
さやか以外の全員が吹きかけた
338創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>337
チリンチリン

自転車のベルの音
さやかが窓の外を見る
「あ、まどかだ」

硬直する、ほむらとマミと仁美

「どっこいしょ」「こんにちは!スイカを持ってきたの」

ほむら、小声で「まどか?…違うわ…」
マミが小声で聞いた「人違い?」
ほむら「まどかのお姉さんみたいな感じ」

さやか「大きいね!まどかが作ったの?」
まどか「そうよ」

ほむら「まどかなんだ…」
339創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>338
「スイカ、冷やしておくね!」まどかは調理場に入っていった

マミ「美樹さん、まどかさんの事なんだけど…」
さやか「まどか?」
マミ「一昨日、地球に来たのよ」
さやか「は?」3人を見渡す
「何かの間違いだと思いますけど」
「まどかは一昨日は…一日中会議で、ずっと仕事してましたよ」

マミ「夕方から夜にかけては?」
さやか「会議は深夜まで」「私も終わりがけに参加したけど」

仁美「まどかさんは、普段どんな仕事をされてるの?」
さやか「ん〜簡単に言えば、村長みたいな感じ?」

まどかが近づいてくる「ようこそ!皆さん」
立ち上がろうとする3人を手で制して自分も席に座る
「スイカが冷えたら皆で食べましょう」
さやか「その頃には時間切れで、みんな居なくなっちゃうよ」

まどか「そうならないように書きかえておくわ」「皆さんが良ければ、今日はユックリしていって下さい」
340創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>339
さやか「そっか!私は仕事に戻らないといけないけれど、みんなはユックリしていってよ」

マミ「まどかさんは、お時間は?」
まどか「今日は開けてありますから大丈夫です」
マミ「よければ、お話したい事があるのですが」
まどか「はい、いいですよ」

さやか「何て言うか…聞いてて肩がこる会話だよ」「…と言うわけで、食後にババヌキしよう!」トランプを取り出した

仁美「自転車とかトランプとか、一体どこから出てくるの?」
さやか「へへへ…改変前の世界で言うならオーパーツだよね!あっはっは!」
マミ「オーパーツ?」
ほむら「改変前の世界では、古代の地層から、靴で作った足跡が出たりしたのよ」
「改変されて、そんな説明のつかない物は無くなったけど」
341創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>340
まどか「改変する前は無数の並行世界が存在していたの」
「ちょっとしたアクシデントがあると、すぐ隣にあった並行世界と一部分が接触して同一化したり、離れたり」
「その時に隣の世界にあったはずの物が、こっちの世界に現れて、そのまま残ったり」

マミ「今は、それが発見されない理由は?」
まどか「改変があって無数にあった並行世界が、1つに統一されているから」
「全てが説明のつくようになり、世界は秩序を取り戻したの」

さやか「じゃ、カード切るね」シャカシャカシャカ…バラバラバラ
「おっとっと」

まどか・仁美「相変わらず下手ね〜」
342創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>341
マミ「あら!」
さやか「マミさんがババだーっ!」
爆笑

マミ「うっ」
仁美「ご…ごめんなさい」
さやか「泣かないでマミさん」
マミ「泣いてなんかない!」

さやか「私、戻らなくちゃ…じゃ、また後で」

片付けの後
まどか「本題に入りましょう」
「答えは出してきて頂いたのかしら?」

3人の顔色が変わった
(やっぱり…)

マミ「一昨日から、見滝原に来ていたのね?」
まどか「私の意識の一部分だけですけど…ね」
マミ「どうしたいの?世界を?」

まどか、マミを見つめる「自分が正しいと思う事をしているだけ」
「あの時に、私の背中を後押ししてくれた人が『永遠に戦い続ける覚悟があるのか?』と聞いたの」
「私は『ある』と答えたわ」
343創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:IGuIQGsu
支援
344創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>343どもです

>>342
まどか「そして、私は背負ったわ」
「宇宙が消滅するほどの絶望を」

その言葉は、ほむらだけが理解できた

マミ「その後押ししたのは、私ね」

まどか「…凄いな、マミさん…」
マミ「だったら、暁美さんだって自分が正しいと思う事をしていいわけよね?」
まどか「…」

ほむら「まどか…私は…」
まどか「ほむらちゃんは、私との約束を守ってくれた」
「ありがとう…」

マミ「お互いに、歩み寄りは無いの?」
まどか「あるわけ無いじゃないですか」
「ほむらちゃんに言ったのに…『私を忘れて』って」

ほむら「あるわ」
「こうするのよ」
拳銃を取り出し自分の頭に当てた
「さようなら、苦しめてごめんなさい」

マミがほむらに平手打ちした
「ふざけないで!」
345創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>344
「これは没収させてもらいます」
落ちた拳銃を拾う人物
さやかだった

マミ「気配を消して私達の様子をうかがっていたのね」
さやか「この会談の警備をするのが我々の本当の任務ですから」
気がつくと数名の魔法少女が盾となり、まどかの前に立っていた

どうっと風が吹く
その後、大粒の雨

さやか、窓を閉めながら「対敵性侵入者防御システムが作動したのよ」
「敵性侵入者の動きを鈍らせる仕掛けなの」
さやか、ドアに向かう「送っていくわ」
「これ以上、変な真似をすれば…」
3人を見つめる「いえ…行きましょう…外は大変だけど変身はしないで」
(部外者に、ここで変身されれば剣を抜き戦わなくてはいけない…)

暴風雨の中、さやかが進んでいく
遅れて寄り添いながら歩く3人
その後からも魔法少女がついてくる

丘の上からジャンヌとさやかが見つめている
やがて3人の姿が消えていった
346創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:IMTpoTv3
紫煙
347創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>346どもです

>>345
ほむらの家に帰ってきた

マミ「ずぶ濡れになっちゃったわね」
ほむら「タオルを持ってくるわ」

仁美「美樹さんなら大丈夫ですわ」「怒っていませんから」
マミ「美樹さんには今の立場があるのね」
仁美「ふふ…きっと今ごろは『次はどんな事して遊ぼうか』と考えてますわ」

ほむらが2人にタオルを手渡す
ほむら「割と何でも話し合えたのが意外だったわ」
仁美「改変前の出来事とか…」
マミ「きっと、改変前の記憶を持った人達ばかりが集まっている世界なのね」
ほむら「よく私達が帰ってこれたわ…」「だって、まどかの理屈では私達が帰ってきたら世界の分裂が更に進むじゃないの」
3人が顔を見合わせる(改変前の情報に触れて、自分たちが無事でいられるんだろうか?)
急いでドアを開けて外に出た
マミ「何か変わった事は…」
ほむら「まだ分からない」
仁美「私、これで帰りますわ」「また連絡します」
348創る名無しに見る名無し:2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:ktktw+bv
>>347
仁美「何で?」
自宅に向かう仁美の目の前にいたのは自分だった
もう一人の自分が自宅に入っていく「ただいま」

しばらくして家の中から家族の笑い声が聞こえてきた
後ずさりし、走ってそこから逃げ出す

ほむらとマミは、鍵を開けて入ってきた、もう一人のほむらと対面していた
相手から話かけられる
「ここは、あなたがいる世界じゃないわ」「出ていって」

ほむら「ここは私の家よ!」
マミ「落ち着いて」

マミ「良ければ詳しい事を聞かせて欲しいのですけど」

もう一人のほむらが言う「何だ…あなたも席を外してたのね…」
「神様が並行世界を少し束ね損ねてね、さまよっている同一の個体が、空いてる世界を探している状態なの」

ほむらに近づく
「電車でも席を立てば別の人に座られるでしょ?」
「改変されてからは、そういう状態になったの」
349創る名無しに見る名無し:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:sR93gdql
>>348
マミ「でも、以前も同じ事をしたけど何も無かったわ」

もう一人のほむらが言う
「あなた達が、神様を怒らせたんじゃないの」
言い終わるとクスッと笑った

ほむら、椅子に座る
「人の家の椅子に座ってないで、早く帰って」
「あ…」クスクスと笑った
「帰る場所なんて無いんだもんね」

ほむら立ち上がり玄関に向かう
後ろから声「あなたが!」
「あなたが幾つかの並行世界に移動した時に、それぞれの世界に元々いた暁美ほむらを亜空間に弾き飛ばしてるのよ!」「何人も!」

フラフラと歩くほむらの後をマミが追う

2人、出ていった
350創る名無しに見る名無し:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:sR93gdql
>>349
外に出たマミが叫ぶ
「出てきなさい!佐倉杏子!いえ、鹿目まどか!」

ほむらは打ちひしがれていた
マミ「相手の意図は分かっている」
「あなたの心を折り、一気に統合と改変を進める作戦よ」
「だから心が負けてはダメ」
「そして、現れたもう一人のあなたは幻覚よ」

ほむら「幻覚?」
マミ「かつて佐倉さんが封印した能力よ!だから…」

「いい加減にして」
佐倉杏子の姿をした、まどかが現れる

マミ「幻覚を使う相手とは、相手が何を言っても本気にしない事が大切よ」

まどか「幻覚を見せる魔法なんか使っていないわ」

マミ「あら、そう」クスッ
351創る名無しに見る名無し:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:hcm4xWcz
投下乙
352創る名無しに見る名無し:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:sR93gdql
>>350
「だけど」マミが続ける「暁美さんに『自分の大切な思い』を捨てさせる企てをしたのは間違いないわよね?」

まどかに近づいていく
「あなたの本拠地に乗り込んで良かった」
まどかと向かい合う
「どんな立派な神様かと思えば…」「自分のミスを暁美さんに取らせるなんて、見損なったわ」

「マミさん!」まどかが叫ぶ
「私だって!」

マミ「何?」
まどか「私だって言いたい事はいっぱいあるわ!」
マミ「だから何?」
まどか涙目でマミを睨む

「まどか」ほむらも近づいてくる
「言いたい事を言って」

「会わせたい人がいるの…ついてきて」

ほむら、先に歩き出した
「?」まどかとマミが顔を見合わせて、ついていく

まどか「あれは…」

公園で遊ぶ家族連れがいた
ほむら「私が仲良くしてもらってる鹿目さんの御家族よ」

まどか、立ち止まる「ダメ…」
ほむら、まどかの手を引き歩く

ほむら「こんにちは」
鹿目詢子「あら、こんにちは」「お友達?」
ほむら「はい」
353創る名無しに見る名無し:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:sR93gdql
>>351どもです
次に連続で書き込みする時はドタバタのラストになると思います

>>350
ほむら、座って詢子と話す
ほむらの隣にまどか

マミは少し離れていた

ほむら「私の友達が正しい事をしようとしているの」
詢子、ほむらとまどかを見つめて聞いている
ほむら「でも、どんどん状況が悪くなるばかりなの」
詢子「そうなの…でも、それは他人には何も言えないと思うわ」
まどか、うつむいて唇を噛み締めて聞いている
詢子「正しい事をして悪い状況になるなら、思い切って間違っちゃえばいいのよ」
まどかの頬に涙が流れた

ほむら「それは、難しいです…」(最終手段は考えているけど…それは、まだ…)
詢子「だからその前に、上手に転ぶことを覚えるのも大切よ」「さて、そろそろ帰らなくちゃ」
詢子、立ち上がる

立ち上がった詢子の後ろから人がぶつかった
まどかが後ろから抱きついていた

(お母さん…)
354創る名無しに見る名無し:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:sR93gdql
>>353
詢子、後ろから回しているまどかの手に触れる
「あなたとは、どこかで会った気がするわ」
まどか回した手をほどく
「いきなりごめんなさい」

詢子がまどかの両肩に手を置く
「元気出してね」

まどか泣き出し再び抱きつく


まどかとほむらとマミが並んで、沈む夕日を見ていた

遠くから走り寄る人影
仁美だった
息を切らしながら言う「…まどかさん…私を連れて行って…」
355創る名無しに見る名無し:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:nJtWHH9n
>>354
マミ「どうしたの?もう一人の自分に会ったの?」
仁美「…そう…そうですわ…」
まどか「仁美ちゃんなら、自分の居場所を取り返しに行くと思ってたんだけど」
マミ「誰のせいかしら?」
まどか「さぁ?誰のせいかしら?」

仁美「そんなんじゃないの…私が男の人とラブホテルから出てきたって噂が…街中に…」
マミ「ほほう…」
まどか「実に興味深い」

仁美「しかも、それだけじゃなくって…凄いポーズしてる私の画像が…」
ほむら「ネットに流れたのね…これね…」
取得した画像を見せた
マミ「ワァーオ」
まどか「ワオ」
仁美「キャーッ!」
356創る名無しに見る名無し:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:nJtWHH9n
>>355
ほむら「自分の画像じゃないんだから恥ずかしがらなくて、いいんじゃない?」
仁美「だって、ソックリですもの!恥ずかしいですわ!」
ほむら「どこが?」画像を拡大する

仁美「キャーッ!」
マミ「なるほど…」
まどか「実に興味深い」

ほむら「とにかく…」
仁美「まず、それを削除して下さい」
ほむら「ちっ…」

マミ「これは、ニセの志筑仁美だって証明しないと」
まどか「そうだよ!逃げちゃダメだよ!仁美ちゃん!」
仁美「マミさんだって、わからないですわよ」
マミ「え?」
357創る名無しに見る名無し:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:nJtWHH9n
>>356
ほむら「巴マミ…あなたニコ〇コ生放送で胸を出してるわよ?」
マミ「え?え?」

『あら?見えちゃった?うふふ…』

マミ「こいつ!他人の部屋で何をやってるのよ!?ざっけんじゃねーっ!」
ほむら「でも、この人は楽しそうね」
マミ「…着信?…担任からだ…」

マミ「はい、巴です。え?『今、何をやってるか?』ですか?散歩しながら先生と電話ですけど?」
「はい。はい。はい。失礼します。」
「全く…何を見てるのかしら?エロ教師」

まどか「これってパンツ…はいてないよね?」
仁美「まぁ…お家ではパンツはかないんですか?」
マミ「ちゃんと付けてるわよ!…また着信…」
358創る名無しに見る名無し:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:nJtWHH9n
>>357
まどか「でも、世の中には自分に似た人が3人いるって言うじゃな〜い?きっと仲良くできるよ〜」「ウェヒヒ」
(うふふ…これで『まどか〜!もう世界を統合して自分を1人にまとめて〜』って、みんな泣きついてくるわ)

ほむら「これは似た人じゃなくて、この世界に自分がもう一人いるって話だから」
まどか「そうだよ!この世界以外に、もっといたんだよ!」
ほむら「それは分かってる」
まどか「世界それ自体は1つに統合されたの」「でも、人は色々と反発があって統合しきれなかったの」

マミ「まどかの願いの結果に、世界が1つになったって事?」「世界を統合したいと願ったんじゃないのね?」
まどか「あ、はい…」

マミ「暁美さんは何人かの私を知ってるの?」
ほむら「魔女に殺された人なら3人、魔女になって私に殺された人が1人、まどかに殺された人が1人」
マミ「わかった!もういいわ」
359創る名無しに見る名無し:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:nJtWHH9n
>>358
仁美「私の中では、もう割り切ってますの」
マミ「この状況を?」
仁美「どの道、魔法少女は円環されるのですわ」「それなら、私が居なくなっても、もう一人の私が居れば…」
ほむら「行方不明になった美樹さやかの家族を見て思うのね」
仁美「はい…あまり家族に心配かけない行動をしてくれるなら」
マミ「これで私たちが居なくなっても、誰にも気づかれない…そう言う考え方もあるわね…」

ほむら「相手が契約していなければ…ね」

まどか「え?…統合に協力してくれないの?もう一人の自分がいるなんて気持ち悪くない?」
マミ「私たち魔法少女からすれば、むしろ好都合だとも言えるわ」「もう一人の自分が変な事さえしなければ」
(まったく、何よ?あの変態は?)

まどか「人間版オーパーツだよー?気持ち悪いって思ってー!」
360創る名無しに見る名無し:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:nJtWHH9n
>>359
まどか「ざ、残念でしたー!実は全て幻覚なのー!」
マミ「はいはい、じゃあ幻覚をずーっと見させていてね」「みんなに」
まどか「マーミーさーん!お願い!みんなで統合に協力してーっ!」
マミ「離れなさい!自分の失敗なんだから自分で解決しなさい!」
まどか「これで解決、これで決まりだと思ってたのにーっ!マミさんのバカーッ!」


ほむら(これで、あの計画を封印できたわ)(最後の手段は用意してたけど、して良い間違いじゃない)

まどかが暴走した場合、銀河の外に自分とまどかを仁美に飛ばして貰い
ナイトメアの手を借りて爆縮…ブラックホールに2人一緒に吸い込まれる計画を立てて、覚悟は決めていた
(もっと上手に転ばなくちゃ)


マミ「とりあえず、今晩は佐倉杏子が寝泊まりしてるホテルに行きましょう」
杏子「え?あれ?あたしは何でこんな場所にいるんだ?」
マミ「あら?元に戻ったのね」

仁美「お疲れ様」
杏子「?」
361創る名無しに見る名無し:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:nJtWHH9n
>>360
まどか「マミさんのバカ…」
さやか「オレンジジュースで酔っ払ってるの?」
まどか「ちょっとね…酔っ払うようにね…書きかえたの…」
さやか「あまり飲みすぎは良くないよ」
まどか「さやかちゃん…」
さやか「何?」
まどか「なでなでして…」
さやか「はいはい、なでなで、いい子いい子」

まどか(スヤスヤ〜)
362創る名無しに見る名無し:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:nJtWHH9n
363創る名無しに見る名無し:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:SfwCsnrG
>>362
お疲れさま
青空町耳嚢 第13/21話
【証拠写真】

 私は魔法使いになったことがある、らしい。
 ぜんぜん記憶にないのだが、隣の家の子が写真に撮っていた。
「これがお姉さんが空を飛んでいるところで、こっちが悪の魔道士と戦っているところ」
 ちゃぶ台に並べられていく写真には、たしかに私らしき人物がうつっている。
 だが。
 花びらを模したようなピンクのミニスカート。
 セーラー服を改造したかのような、肩まで張り出した濃い桃色の大きな襟に、白いスカーフ。
 こんな趣味の悪い服、もってるわけがない。
「お姉さん、忘れちゃったの? 魔力で変身したじゃない」
 そうなのか。近所の空き地でバドミントンをやってる最中のことだったから、たしか着ていた服は、だぼだぼのトレーナーと白ズボンだったはずだが。
 それがどうしてセーラー戦士のようなメルヘンな衣装になっているのだか。
「ほら、お姉さん、中学生だし。それに魔法少女って、そういうもんでしょ?」
 そういうものなのか。
「もしかしたら、この白タイツがズボンのなごりじゃないですか? さすがに花びらスカートだけだとパンツみえちゃうし」
 つまりなにか? 着ていたのがスカートだったら、私はパンツを見せびらかしながら空を飛ぶことになっていたのか?
 思わず身震いがした。
 それにしても、衣装のセンスもずいぶんなものだが、三つ編のおさげが逆立って、顔に奇妙な隈取ができているのも、魔法少女としてどうかと思う。
 とくに隈取は、見ようによっては、戦っている相手である悪の魔道士の隈取とおそろいのようで……。
「似てて当然ですよ。だって、そいつの魔法で変身しちゃったんですから」
 それは魔法少女とよんでいいのか?
 魔法少女といったら、正義のために悪を討つイメージなのだが。
「ちゃんと悪を討ってますよ、ほら」
 と見せてもらった一枚には、悪の魔道士をガラス容器に封印して悦に入っている私の姿がうつっていた。
 ってことは、この悪の魔道士、自分の魔法で変身させた小娘に負けたのか?
 なさけなさすぎる。
 まあ、この魔道士、半年ほど前から人間界侵略を宣言して、ちょこちょこ町内にわるさしにきてる有名人だが、今まであまりうまくいったためしがない。
 それにしても女子中学生一人に敗れるほどとは。
 人間界侵略、無理だろ。あきらめろ。
 それはそうと、と今一度写真をじっくり眺める。
 封印した悪の魔道士を見下して、せせら笑っている私。
 笑顔が……邪悪だ。
 なんか、悪を討つには討っているのだが、正義が微塵もかんじられない。
「だってお姉さん、このあと、いつもこの魔道士をやっつけている正義のヒーロー達にケンカうってましたよ」
 なんということだ。
 それは魔法少女というより、もはや悪魔とか魔女の部類ではなかろうか。
「お姉さん、本当になにも覚えてないんですね。あーあ、残念。魔法少女になったときのこと、いろいろ聞きたかったのになあ」
 なにも覚えてなくてよかったと、つくづく思った。


【終】

-------------------------
【8/27】創作発表板五周年【50レス祭り】
詳細は↓の317あたりをごらんください。
【雑談】 スレを立てるまでもない相談・雑談スレ34
ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1361029197/
365創る名無しに見る名無し:2013/08/28(水) NY:AN:NY.AN ID:B0fg/pJU
9月1日に2ちゃんねるが消滅するとの噂を聞くが
魔法少女は奇跡を起こしてくれると期待している
366創る名無しに見る名無し:2013/10/01(火) 04:45:19.97 ID:dvEbjtNG
保守
367創る名無しに見る名無し:2013/10/16(水) 20:42:39.85 ID:KZQxbZQn
嫌儲女の子になりたい男の子部 魔法少女になって敵に快楽調教受けて洗脳されたい
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/poverty/1373525095/
368創る名無しに見る名無し:2013/12/01(日) 10:41:06.88 ID:sTXHzF3l
保守
369創る名無しに見る名無し:2014/01/01(水) 02:11:36.32 ID:mx8NstmJ
あけおめ
370創る名無しに見る名無し:2014/02/05(水) 05:49:23.24 ID:Zwlp5bKM
いきなり寒い
371創る名無しに見る名無し:2014/03/03(月) 14:57:16.65 ID:GW0t5w8I
372創る名無しに見る名無し:2014/03/07(金) 01:27:52.65 ID:YP51Z6m9
tp://ncode.syosetu.com/n2669by/

プリキュアシリーズオマージュの変身ヒロインモノです。
別サイトに投稿しているものなので誘導リンクになってしまいますが、
もしスレ的に問題あったらスルーしてください。

変身ヒロインの物語に一般人の少年が関わってしまったら……? というコンセプトです。
感想等いただけたら嬉しいです。
373創る名無しに見る名無し:2014/05/04(日) 20:41:51.95 ID:jalcegJj
こんなの考えてみたが、あとは皆さんが考えてください

メンバー紹介(変身前の名前は全員、名字に武器の名前が入り、下の名前がその武器名の英名になっている)
変身後の名前は全員「○○××(××には下の名前が入る)」
(赤+ピンク)槍村すぴあ/○○スピア 武器:スピアグレイバー(ビームランサー)
(緑+薄緑)斧坂あくす/○○アックス 武器:アックスホーク(スピアグレイバーと合体でアックスハルバートに)
(青+水色)弓矢ちえり/○○アーチェリー 武器:アーチェリーボウ
(黄色+金色)槌沼めいす/○○メイス 武器:メイスパニッシャー(先端にモーニングスターがついている)
(紫+橙)鎌田さいす/○○サイズ 武器:サイズクロー(鎖大鎌から四刃の鉤爪に変形)
(白+銀色+黒)砲堂かのん/○○キャノン 武器:キャノンランチャー(バズーカ級の大型ビームガン)
設定は以上。○○には皆さんの考えたワードを入れてほしいです。(ただしプリキュアシリーズなど既存のヒロイン作品からは遠慮で)
374創る名無しに見る名無し:2014/05/04(日) 22:15:25.60 ID:nZqg3uv8
>>373
メンバーは6人か
一人が司令官であとの5人が変身という形がよかったかも
ISやシンフォギアみたいなイメージになりそう
375創る名無しに見る名無し:2014/05/05(月) 05:20:12.06 ID:szzmvVWD
>>373-374
最初は司令官+5人でスタートして1人追加戦士でもいいかも。
槍と同じ長柄の鎌なら、最初ライバルポジションにして激突させてもいい絵になりそう。
376創る名無しに見る名無し:2014/05/05(月) 20:22:43.23 ID:jZ7oyCjY
>>375
参考までにまどかは弓、剣、槍、銃、その他もろもろ
シンフォギアは槍、刀もしくは剣、矢だけれど銃や砲にも変形、鋸、鎌
槍、刀、弓は確実で残りは鎌と火力系
メイスと鎌と槍はかぶりそう
377創る名無しに見る名無し:2014/05/07(水) 23:48:41.97 ID:i/kDbZ0m
>>372
プリキュアにハーレムものを混ぜた作品だ
アニメ化したら中の人は決まりだ
プリキュア経験者も3人いる
378創る名無しに見る名無し:2014/05/09(金) 00:49:48.65 ID:TWhfQOuK
>>375
五人の合体した武器がカノンランチャーになる設定
379創る名無しに見る名無し:2014/05/12(月) 05:12:37.93 ID:vlRuu2yq
保守
380創る名無しに見る名無し:2014/05/14(水) 22:23:14.72 ID:UbMUqDsz
>>373
めいすとさいすは分かりにくい
刀剣系を使うキャラクターがいたほうがよい
381創る名無しに見る名無し:2014/05/22(木) 18:33:01.38 ID:4+Qz4KMa
>>380
めいすとさいすは敵の幹部でよい
382創る名無しに見る名無し:2014/05/30(金) 07:16:04.95 ID:KQIvebG3
>>373
このネタを利用したいが彼女たちが変身できるようになった動機付けが難しい
一応主人公と先輩、主人公の同級生か幼馴染までは考えいる
あとめいすとさいすは敵に使いたい
383創る名無しに見る名無し:2014/06/13(金) 17:05:52.40 ID:aL7kagYl
保守
384創る名無しに見る名無し:2014/06/28(土) 00:10:28.09 ID:UDY0qxDw
>>373
女子高生か女子大生くらいの少女でサバゲサークルに入っている
変身アイテムは指輪にはめた宝石
そこまで思い付いた
385創る名無しに見る名無し:2014/07/01(火) 01:03:12.40 ID:2z4kkZH2
>>373
鈍器系はライバルの方がいいなぁ。
主人公に片手剣が欲しいな。
レイちゃんがレイピアとか、(当然左利き)
386創る名無しに見る名無し:2014/07/02(水) 10:38:25.52 ID:tESVku+s
>>385
銃を持つメンバーがいてもよい
387創る名無しに見る名無し:2014/07/06(日) 01:47:04.49 ID:Hm0/oWyJ
30代後半で漫画家になろうとしている童貞ひきこもりなバカを発見
足立区に住んでいるそうだ。
http://inumenken.blog.jp/archives/7002197.html
388創る名無しに見る名無し:2014/07/18(金) 11:10:22.35 ID:qQECZhbA
保守
389創る名無しに見る名無し:2014/07/23(水) 18:56:26.44 ID:YGaSlXQI
>>385
剣崎レイでいいと思う
390創る名無しに見る名無し:2014/07/27(日) 16:14:50.59 ID:vcaVnB3H
リリなの元にオリ主とテンプレ的な物書いてみては居るが
本編に入る所か入学前で既に2万字越え。
今後推敲で削りもするだろうが
文章を纏めるってのは難しいもんだね
391創る名無しに見る名無し:2014/08/02(土) 01:42:38.75 ID:EWpGbvD5
キャラものだと特になー。
素っ気無いあらすじみたいな文章じゃ駄目だけどだらだら展開遅いのも厳しい。
>>372のやつとか雰囲気は好きだけどなかなか話が進まなくて無理だった。
392創る名無しに見る名無し:2014/08/13(水) 13:38:14.81 ID:kDXorcCS
>>390のリリなのがようやく五話相当まで書けた
何度か推敲してんのに14万字越え
Officewordで見ると大分文字数が減るが、それでも12万字
解せぬ
こりゃ最初の方は抜本的に見直した方がいいな

アニメ一作を別視点から丸々文字に興そうとすればこうなるものなのだろうか?
A'sまで書いて完結とか思ってたが無茶だわ
393創る名無しに見る名無し:2014/08/13(水) 22:43:35.18 ID:69oKb6xC
>>392
12万字って文庫1冊程度だし、そんなものだと思うけど
394創る名無しに見る名無し:2014/08/17(日) 17:46:29.82 ID:esGPh72e
>>393
そっか、こんなもんなのかな?
一冊相当で完結したかったが無理そうなんでちょっと不安だったんだ。
取り敢えず早く書き終えて推敲に入ってから文量は考えることにするわ。
395創る名無しに見る名無し:2014/08/24(日) 22:39:11.88 ID:9Yv6Zjhs
やっとエピローグまで漕ぎ着けた……
OOWで26万字……
OWだと22万字くらいか……?

推敲が大変だ……

時々、即興で投下する人がいるが良く出来るな。
脳内でかなり話がまとまっていて、かつ文章書くことに慣れてなきゃ無理だろ。
396創る名無しに見る名無し:2014/08/31(日) 15:10:49.33 ID:J/d1YpFW
>>380>>381
最初2人は敵と戦っていたがその敵の洗脳を受けて敵として登場、
中盤にて洗脳が解除されて仲間に加わるという設定で

>>384
各メンバーの指輪の宝石
すぴあ:ローズクオーツ
あくす:ペリドット
ちえり:ターコイズ
めいす:シトリン
さいす:アメジスト
かのん:パール(真珠)
変身後は指輪が各自の武器に変化する設定も追加で

>>389
剣崎レイは司令官ポジ設定で主人公はすぴあがいいと思う

あと別の作品になるがこんなのも考えてみた
全員名字にモチーフである動物の名前やそれにちなんだ言葉が入っている
赤(+ピンク+桜色):大河(たいが)みこ モチーフ:トラ 小5 
青(+水色+藍色):鳥町(とりまち)みつる モチーフ:コンドル 小5
緑(+深緑+若草色):鮫嶋(さめじま)ふみ モチーフ:サメ 小5
黄色(+橙色+金色):猿渡(さるわたり)すず モチーフ:サル 小6
紫(+藤色+銀色):竜波(たつなみ)かげり モチーフ:オオトカゲ 小6
黒+白(+暗灰):猫辺嬢(ねこべ じょう) モチーフ:ヤマネコ 小5
猫辺嬢だけ中盤まで敵の一員という設定で
397創る名無しに見る名無し:2014/09/01(月) 04:49:05.79 ID:rFKRVNhR
せっかく色々盛り込みたいアイディアあるなら自分で書いたほうがいいと思うよ。

「いいアイディアを思いついた」だけだと、いくら繰り返しても結局のところ
「こんなの読みたいから誰か書いて」と何も変わらない。
398創る名無しに見る名無し:2014/09/02(火) 20:12:35.62 ID:8IxMJoCy
>>396
いいかもしれない
めいすとさいす以外の敵の幹部と指令役もしくは幼馴染の少年も用意しないといけない
399創る名無しに見る名無し:2014/09/03(水) 20:22:16.95 ID:t2jHPXiT
>>396
メインヒロインの武器が槍か
ということはオーディンから渡されたグングニールで戦うのか
変身姿はワルキューレ風
変身アイテムは宝石になるのか
400創る名無しに見る名無し:2014/09/05(金) 13:08:59.53 ID:5T3glzHr
魔法少女のオリジナル漫画を読破さんに掲載してもらうことになった

インディーズコーナー見てね
http://dokuha.net
401創る名無しに見る名無し:2014/09/06(土) 23:22:53.48 ID:1YKxzkZQ
>>400
探し方が悪いのか、それっぽいのを見つけられない。
まだ掲載されてないのかな?
402創る名無しに見る名無し:2014/09/08(月) 20:38:18.26 ID:jirZBW5G
>>386
銃はかのんがいるから>>378の設定は不採用でいいだろ
「銃」も「砲」も同じようなものだし
403創る名無しに見る名無し:2014/09/10(水) 20:37:36.76 ID:gQ7rk0D4
>>402
了解しました
スピア、アックス、チェリー、レイピア、カノンを一人ずつ持つパターンになるのか
404創る名無しに見る名無し:2014/09/15(月) 09:25:36.65 ID:yVXbyNvg
>>403
正しくはこうです
最終的にはスピア、アックス、アーチェリー、メイス、サイズ、キャノンの6人チームになり
レイピアはメイスとサイズ加入後に抜けて司令官ポジになり作戦指揮担当の設定
405創る名無しに見る名無し:2014/09/20(土) 21:03:00.83 ID:OlxK1BNF
あと>>389だが
苗字は剣崎より「刀那(かたな)」がいいなと
406創る名無しに見る名無し:2014/09/20(土) 21:55:46.30 ID:LGrVKjT9
もう>>404や405が好きなように小説なり漫画なりにすればいいじゃん
407創る名無しに見る名無し:2014/09/21(日) 02:08:45.62 ID:ziYxqFwr
ここは創作発表板なんだから、他人の意見にかぶせてまで自分の考えた設定を主張したいなら、
その設定使って作品発表して納得させるべき。
408創る名無しに見る名無し:2014/09/24(水) 23:43:48.12 ID:KG+nJkFI
スレ止まっちゃったじゃないか
409創る名無しに見る名無し:2014/10/07(火) 20:26:43.01 ID:wT/jPZJT
>>405
そっちになるのか
410創る名無しに見る名無し:2014/10/20(月) 20:42:57.08 ID:t4v9/kyD
>>408
ネタが尽きたのかな
設定は>>403がベースでよいと思う
411創る名無しに見る名無し:2014/10/22(水) 01:41:49.70 ID:D7tFWXOi
実際のとこ、この設定使って誰か何か書いてるんだろうか……?
412創る名無しに見る名無し:2014/10/22(水) 21:59:39.65 ID:3SbRRFn2
>>373>>385-386>>396>>404-405の以上が設定ベースで考えている

サポートキャラもいるな モチーフには昆虫類を選んでみた
セキ(赤・スズメバチモチーフ・すぴあの相棒)
コウ(黄・タガメモチーフ・あくすの相棒)
シー(紫・チョウチョモチーフ・ちえりの相棒)
アイ(藍・コガネムシモチーフ・めいすの相棒)
コク(黒・カマキリモチーフ・さいすの相棒)
モモ(桃・オニヤンマモチーフ・かのんの相棒)
ハク(白・ヘラクレスオオカブトモチーフ・レイの相棒)

ついでに刀那レイ/○○レイピアの設定も
カラーは灰色と藤色中心、左利きで武器はカタナレイピア(日本刀とレイピアを組み合わせたようなデザイン)
過去に他の6人より前の世代で単独で活動し、現在は6人の司令官ポジションに就いているが、戦闘能力は健在
413創る名無しに見る名無し:2014/10/23(木) 02:27:19.19 ID:C5iZvAUW
水を差すようで悪いけど設定だけどんどん増えてくと多分弄り辛くて誰も作品化しないよ。
わかってるかもしれないけど設定を羅列することと作品の形に仕上げることの間の壁は大きい。

ちなみにもし設定を考えて楽しむのが趣旨ならそういうスレもある。
設定だけひたすら作りこんでいくのもも楽しいのは凄くわかる。
414創る名無しに見る名無し:2014/11/07(金) 19:56:57.73 ID:076CiHtd
保守
415創る名無しに見る名無し:2014/11/08(土) 01:36:52.11 ID:c0bGovJU
マジカル・ルチカってやつが>>400のなのかな
416創る名無しに見る名無し:2014/11/24(月) 00:56:25.26 ID:HVlpSJ9q
>>373はどうなったのかな
417創る名無しに見る名無し:2014/11/24(月) 01:43:09.36 ID:VMOGBMf1
>>416
「設定だけ考えるから誰か作品にして!」
「よっしゃ俺も設定考えるの手伝う!」
「ぼくも!」
「ワイも!」
「おいどんも!」

で、誰も作品にはしてない流れだと思われ。
418創る名無しに見る名無し:2014/11/24(月) 20:19:52.36 ID:v50RgOcY
複数対複数の乱戦を的確に描写するって相当難しいよね。
それなのに魔法少女戦隊みたいなもののキャラ設定だけ手渡されたって、ねぇ?
419創る名無しに見る名無し:2014/11/25(火) 10:15:37.26 ID:EklWgkfq
殺陣を考えながらやらないと収拾つかなくなるよねw
420創る名無しに見る名無し:2014/11/25(火) 18:59:21.66 ID:lRqXicQ+
個々の武器の性質に合った間合いで戦闘するシーン
個々の武器の性質に合わない間合いで戦闘するシーン
個別の武器がそれぞれ性質に合った間合いで連携を取りながら戦闘するシーン
個別の武器がそれぞれ性質に合わない間合いで連携を取りながら戦闘するシーン
個々の武器の相性
敵の数、シチュエーション、その他武器性能自体や環境設定上の制約条件
更に言えば、登場人物の空気化させず、それでいて不自然ではない見せ場の創造

これらを人物の数だけ、組み合の数だけ用意する必要がある訳で
それはそれはとっても頭が痛いことかーなって
421創る名無しに見る名無し:2014/11/25(火) 23:40:21.71 ID:GH5hSEXx
その手のジャンルが好きで書きたい(描きたい)って人は大抵好きな作品もあって、
そのエッセンス取り入れた自分なりの設定を考えるか、二次でやるかだろうしね。
今年入ってからのレスだと>>372が前者で>>390が後者かな。
>>390の書いてたやつは公開しないのだろうか。
422390:2014/12/01(月) 23:22:59.06 ID:gchhZPpx
>>421

ごめん、完成して二次創作サイトに投下していたけど、ここには敢えて報告してなかった。
理由は原作が「リリカルなのは」とは言うものの、内容は男オリ主の一人称だから。
つまりは390のレス自体がスレ違いだったんだが、気付いたのは完結後。
どうしようか色々迷ったんだが、スレ違いの小説を宣伝するのは流石にダメだろうと自重した。
後、文章量が削るつもりで推敲したのに、投稿完了後には約40万字にまで膨らんでいたってのも躊躇した理由の一つかな。

と言うことでスレ違い御免なさい。
あと、相談乗ってくれて有難う。
423創る名無しに見る名無し:2014/12/02(火) 17:15:03.00 ID:ehalrI9N
>>422
ちょっと読んでみたかったから残念。
>>372のも男性主人公視点だし、話の主軸が魔女っ子&変身ヒロインに置かれてるなら
主人公の性別や視点はあんまり気にしなくていいと思うけどな。

まあ無理に公開しろとは言わないので、それっぽいの勝手に探してニヤニヤしとく!
424創る名無しに見る名無し:2014/12/12(金) 15:38:51.56 ID:QtAg1MZp
AGE
425創る名無しに見る名無し:2014/12/17(水) 19:10:05.74 ID:KqimZESn
 
お世話になります。
私、責任者の加茂と申します。以後、宜しくお願い致します。
http://www.apamanshop.com/membersite/27009206/images/kamo.jpg
浪速建設様の見解と致しましては、メールによる対応に関しましては
受付しないということで、当初より返信を行っていないようで、今後につい
てもメールや書面での対応は致しかねるというお答えでした。
 
 ・艦これ   http://s-at-e.net/scurl/KanColle.html
 ・BRS     http://s-at-e.net/scurl/BRS.html
 
このように現在まで6通のメールを送られたとのことですが、結果一度も
返信がないとう状況になっています。
 
 ・ベヨネッタ http://s-at-e.net/scurl/BAYONETTA.html
 ・風ノ旅ビト http://s-at-e.net/scurl/JOURNEY.html
 
私どものほうでも現在までのメール履歴は随時削除を致しております
ので実際に11通のメールを頂戴しているか不明なところであります。
426創る名無しに見る名無し:2014/12/31(水) 09:47:12.69 ID:gIXsLsUY
>>373の話はどこに行ったのだろう
427創る名無しに見る名無し:2015/01/01(木) 01:27:03.90 ID:kbof+jA2
>>426
ほんの数レス前見ても理解できないならよっぽど
428創る名無しに見る名無し:2015/01/01(木) 01:30:40.20 ID:LQhJDeC1
力自体の設定よりも、その力の由来やら成立の論理的根拠や
それら舞台装置とストーリーとの無理や無駄のない整合性の在る世界観の構築の方が重要じゃない?

力の表層的な強さやら見た目って、正直かなりお話の上では優先順位が低く在るものだと想う。
レイアースにしろスレイヤーズにしろカードキャプターにしろリリカルにしろエコエコアザラクにしろまどマギにしろ、世界観有りき思うし。
429創る名無しに見る名無し:2015/01/01(木) 04:20:57.06 ID:kbof+jA2
>>428
その通りだと思う。
マンガで喩えるなら>>373は「こんなマンガどう思う? 続き描かない?」って言いながら、
仕上がってないラフイラストを見せてる状態なんだよな。

そのラフイラストがどんなに魅力的だったとしても、そこからマンガの完成形には繋がらない。
そして>>373へのレスの大半はラフイラストを完成イラストに近づけようとするものであって、
やっぱりマンガとしての完成形には全く向かっていなかった。
430創る名無しに見る名無し:2015/01/01(木) 18:45:51.60 ID:LQhJDeC1
>>373て名前が無理有り過ぎな気がするんだよな。

魔法の設定と合わせたいのは判るが、
キャラネーム的に現代日本(的世界)を舞台にしたいのが見える以上、
その舞台に合わない名を付けるのならば、その舞台の上で名の由来を説明する必要が出る。
(作者が設定する際に考えた、とかではなく、物語の上で何故親が子にその名を付けたかの説明)

その由来自体に魔法が関わるのならば、その時点で親はこの能力を見抜いている必要がある。
そうなると、親自体が魔法と何らかの関わりのある存在となる。
五組の親が魔法との関わりがあり、それらが一堂に介する舞台で話を回すのであるのならば、
魔法の存在を公知とするか、最初から組織化して親同士での上方の共有が在る方が自然かね?

まぁ偶然で解決してもいいのかも知れんが、そうなるとこの世界では大部分の人間が武器やら道具の名を持っていそうだな
431創る名無しに見る名無し:2015/01/07(水) 23:32:20.24 ID:ejOGlZTa
>>430
何かにちなんだ名前で統一されてる「実際にはありえないネーミング」の作品なんて沢山あるよ。

戦う変身ヒロインとしては中興の祖に位置するであろう美少女戦士セーラームーンだって、
主要キャラは月野・火野・水野・木野・愛野と仕組んだように守護星にちなむ姓に生まれてる。
別にそこには何の説明もなかったけど作品はちゃんとヒットしてるしね。

佐藤敦子だの田中由美だのって名前なら作品が面白くなるわけでもないんだし、
あんまりキャラ名の部分で説明やリアリティを求めても仕方ないと思うけどな。
432創る名無しに見る名無し:2015/01/23(金) 10:01:48.19 ID:Kp1zCn0/
保守
433創る名無しに見る名無し:2015/02/04(水) 15:35:36.56 ID:1WG/NRDj
>>396で考えていた別の作品の設定詳細を考えました。
ストーリー概要は、6組12人の親友同士がある日突然選ばれて、世界を救うため戦うことになってしまうというので。

キーアイテム:ギアクリスタル
12人6組の親友同士に手渡された不思議な力を持つ歯車の形の宝石。
スノー(白) ガーベラ(ピンク) ダークスノー(藤色) ダークガーベラ)(黒)
リコピン(赤) ルピナス(紫) セクシー(黄色) ミモザ(オレンジ) リーフ(緑)
ローズ(黒) トワイライト(青) ハイドランジア(藍色)の、全12個が存在する。
普段は所持者がお守り袋に入れて宝物として大切に持っている。
変身アイテム:エトワールーチェ
コンパクト型のアイテム。開くと中央に回転ダイヤルがあり、左右にギアクリスタルをはめるスロットがある。
左右のスロットにギアクリスタルをそれぞれセットし、中央のダイヤルを回し、回転を止めると2人の身体・心・人格が合わさって変身する。
普段は右半身側が持っており、変身後は腰のキャリーに収納される。
中央のダイヤルのギアと左右のギアクリスタルがかみ合い連動して回転する仕組みになっている。

設定・見どころ
2人の親友同士の女の子が変身アイテムを使用して1人の戦士へと合体変身を行う。
さらにキーアイテムを交換し合うことで合体する相手を交代する「乗り換え合体」が可能。
乗り換え合体は右半身側の思考で行われる。変身者2人が合体すると、
両者のいずれとも異なる全く新たな容姿を持った1人の戦士へと変身、
また人格も2者の者を合わせたものに変化する。(従って、全形態ともに2人同時にしゃべる)
434創る名無しに見る名無し:2015/02/04(水) 15:51:33.80 ID:1WG/NRDj
>>433続き
変身者は全員小学5〜中学1年生の女の子で、別々のクラスに所属

1人目:スノーガーベラ(ピンク+白) モチーフ:トラ
変身者:大河 みこ(たいが みこ)小5・天雨乃 渦雀(あめの うずめ)小5
2人目:ダークスノーガーベラ(藤色+黒) モチーフ:ヤマネコ
変身者:猫部 嬢(ねこべ じょう)小5・かぐや 月黄泉(かぐや つくよみ)小6
3人目:リコピンルピナス(紫+赤) モチーフ:オオトカゲ
変身者:竜波 かげり(たつなみ かげり)小6・虎碁 りら(とらご りら)小6
4人目:セクシーミモザ(オレンジ+黄色) モチーフ:サル
変身者:猿渡 すず(さるわたり すず)小6・乱 ちゆら(らん ちゆら)小6
5人目:リーフローズ(黒+緑) モチーフ:サメ
変身者:鮫嶋 ふみ(さめじま ふみ)小6・蟠罪 ろれる(わだつみ ろれる)小6
6人目:トワイライトハイドランジア(藍色+青) モチーフ:コンドル
変身者:鳥町 みつる(とりまち みつる)中1・近藤 まじな(こんどう まじな)中1

苗字は『テンカイナイト』の主人公達の名前を見て参考に、ピンクと紫(光系と闇系)が
最初のメンバーになるのは『プリズマイリヤ』を見て参考にしました。
435創る名無しに見る名無し:2015/02/05(木) 02:27:44.16 ID:swjR1w9u
>>433-434
こっちのスレの方が趣旨に合ってると思う
ttp://peace.2ch.net/test/read.cgi/bun/1327049678/
436創る名無しに見る名無し:2015/02/09(月) 01:22:29.83 ID:QQwVXq6d
設定だけ考える情熱は手遅れになる前に作品にした方がいい。
設定を作れば作るほど自分の脳内では名作確定の超大作になってく。
で、具体的な作品作りに入った瞬間に脳内と現実のギャップに苦しむことになる。
437創る名無しに見る名無し:2015/02/10(火) 21:16:17.10 ID:FbqJbZHV
設定発表
→「作品書け」系の指摘
→黙る
→クールタイム挟んで続きの設定発表

なんかずっとこの繰り返しだな
そこまでするほど大事な設定ならなおさら自分の手で作品化すればいいのに
438創る名無しに見る名無し:2015/02/20(金) 12:58:37.11 ID:lUieOcf9
ここで設定だけじゃなく、いざ作品を形にして投下しても感想は付かず、
お疲れ様しか言われないし、モチベーション上がらないんじゃない
439創る名無しに見る名無し:2015/02/20(金) 13:23:49.20 ID:u2UF+OLI
なかなか書けない
440創る名無しに見る名無し:2015/02/20(金) 21:14:44.17 ID:Rk2QEkeN
>>438
でも設定書いてたらスレ民の食いつきがいいかっていうと別にそうでもないよね
441創る名無しに見る名無し:2015/02/22(日) 21:48:09.99 ID:fj32Mx3H
そもそも創作発表してないからスレ違いっていう単純な話では
上手い下手かなんて気にせず、絵でもマンガでも小説でもなんでもいいから「作品」にしよう

上手く作品化できないから設定だけ公開ってつもりかもしれないけど
作品化していかない限りそれは「設定」ではなく「痛い妄想」なんだよ

痛い妄想を垂れ流す恥ずかしさを乗り越えられるなら、下手くそな作品を公開するくらい余裕余裕
人に見せてフルボッコにされるうちに上達するよ
442創る名無しに見る名無し
保守