【ジェンスレ】キャラクター分担型リレー小説やろうぜ!2

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208ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/02(水) 04:40:20.72 ID:65kzUqHX
つまりこういうことらしかった。
・俺たちとローゼン達の両方の話を聞いて、どっちに力を貸せばいいのかわからなくなった。
・じゃあ早いもん勝ちってことで。ダンジョン作ったから攻略してね!

どおりで温泉が軒並み開店休業状態だったわけだぜ……温泉止まってやんの。
ていうかこれ、朝までに解決しないと温泉村大打撃じゃね?経済的損失相当デカいんじゃねえのこれ。
地精霊。温厚だって有名だけど、温厚なだけで別に思慮深いわけじゃあないらしい。精霊ってみんなこんなんか!
<<ドヤ顔してるんだろうな>>
産土の祠とか名前付けちゃってる時点で相当キテるよね。しかしダンジョンか。
昔は辺境村の近くにも一つ二つ有名所のダンジョンがあって、よく遊びに行ったもんだけど。(虫がよく取れる)
区画整理で潰されてそれっきりだ。かつての栄盛も見る影なく、ダンジョンなんて交通の邪魔なただの穴ぼこなのだ。
だからこうやって今実物を目の前にして若干テンション上がってるんだけど……責任重大だなあ。
「おいおいどうしますよお前ら、久しぶりにRPGみたいな展開だぜ。たいまつ持ったか?やくそうの準備はOK?
 ちょっとコンビニ寄ってダンジョン攻め装備でも整えるかよ?おやつは300ゴールドまでだぜ?」
俺はそう言って、メタルクウラと大先輩を振り返った。

[あ、ちょっとダンジョン内のモンスター管理が不十分なんで街に出さないよう十分気をつけてくださいね]
言われて振り向けば、洞窟の入り口からモンスターが一匹顔を出していた。
岩ほどもある体躯に禍々しい凶爪、獣臭を撒き散らす牙……見るからに中盤の強敵っぽい魔獣だった。
[豪腕狂獣マスターキマイラです]
「なんでそんなボスっぽい名前と顔の奴を地上近くに配備したーっ!?ちったあバランスかんがえろよ!」
小学生の作ったRPGツクールのダンジョンかよ!せめてデバッグとテストプレイ完了してから実装しろや!
<<懐かしいな。最初の1マスに最強の剣埋めといたりな。後半になるにつれて雑魚敵の名前が雑になったり>>
やめろ。ラストダンジョンの雑魚敵が「うんこ」とか「たかゆき」とか悲しすぎる。
最終的にテキスト打ち込むのもめんどくさくなって登場人物がほぼ無言でエンディングを迎えたぞ。
黙々とラスボスを討伐する様は作成者をして壮絶な失笑を誘った。俺は静かにメモリーカードの爪を折った。

と、マスターキマイラ(笑)の後ろからもう一匹モンスターが這い出てきた。不定形の、スライムみたいなやつ。
[としあきです]
飽きるのはええええええええ!マスターキマイラで力尽きたのかよ!?
キャラデザといい名前といいなやっつけ過ぎるって!もう見てらんない!俺が焼却してやる!
俺は久しぶりに炎魔法を練りあげながら火球をぶち込むためとしあきに接近する。
<<あっ馬鹿、やめろ汝っちゃん!>>
「ぐほぁ!」
時既に時間切れ。としあきのやる気のないデザインの触手が俺の頬にペチっと触れた瞬間、ものすごい勢いで吹っ飛ばされた。
メタルクウラの胸板に激突し、しばし絶息。馬鹿な、モーションに対して攻撃力が高すぎる……!
<<やはりパワーバランスを調整していなかったか>>

「め、メタルクウラ、大先輩!こいつらヤバいぞ……地精霊の野郎、ろくなバランス調整してやがらねえ」
すなわち、こんな状態のモンスター達が街に放たれたら今度こそ大惨事だってこと。
ここで食い止め、早急にダンジョンを攻略して大源泉を解放しなければならない。火急のミッションだ。
「だ、誰か奴らを……たおひて……」
信頼と実績の低防御力でHPを一気に削られた俺は、そのまま狭まっていく視界を広げることができなかった。
最後に二匹のモンスターを網膜に収めて、意識が途絶える――

<モンスターデータ>
豪腕狂獣マスターキマイラ:獣人型のモンスター。攻撃力すごく高い
としあき:不定形モンスター。攻撃力めっちゃ高い。通常の攻撃ではダメージ通らない
209メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/02(水) 06:07:46.76 ID:dm4XDF1N
ジェンタイルや先輩悪魔と一緒に遊び尽くして、もう夜になってしまった。
私達は約束通りに地精霊に再び会いに行った。
人のいない受付を通り過ぎ、地精霊から貰ったアイテムで門を開けば、その光景は昼間とは全然違っていた。

>[拙は迷っています。正しく使えば世界を丸ごと変えられる知識を、果たして悪辣の者に渡して良いのか。
>人間の価値観に照らし合わせれば、強引な革命は悪です。しかし、貴方の言う事にも一理がある。
>――世界を守るべきか、変えるべきか。その判断をは、誰に委ねられるものでもありませんが]
>[貴方達と、光の勇者一行。より早く拙のもとに辿りつける実力を有した側に、拙の知慧を授けます]
>[左様、"ダンジョン"です。夕方の操業全て休んで拙が力作したこの【産土の祠】、一筋縄では潜れませんよ?]

地精霊から貰ったアイテムを媒介に、地精霊は話す。
ローゼン達も地精霊に会っていたようで、地精霊は私達かローゼン達に知識を与えるということ。
私の立場は世界を守るのでもなく、世界を変えるのでもない。
世界を変えるジェンタイルを見届けることだ。
私の出した結論は、世界を変えるには人の世を終わらせ、機械生命体の世に変えること。
深く根付いた人の生の堕落と蘇生の法は、人類が根絶やしになるまで無くなることはないだろう。
しかし、私は今日のおばあちゃん達やいい男達との触れ合いで、そんな結末はまっぴらだと思った。
もしも、世界を変える方法がそれしか無いならば、ジェンタイルはどうするのだろうか?
地精霊が私達に与えてくれる知識が、この道を回避する方法を示してくれることを祈ろう。
210メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/02(水) 06:08:38.69 ID:dm4XDF1N
>「おいおいどうしますよお前ら、久しぶりにRPGみたいな展開だぜ。たいまつ持ったか?やくそうの準備はOK?
>ちょっとコンビニ寄ってダンジョン攻め装備でも整えるかよ?おやつは300ゴールドまでだぜ?」

「そんなことをしていたら、ローゼン達に遅れを取ってしまう。
さっさと行くぞ」
300円という上限付きでおやつ選びなぞしていたら、一時間は迷ってしまう。
その間にローゼン達が攻略してしまっては、おやつ選び自体が無駄になってしまう。

>[あ、ちょっとダンジョン内のモンスター管理が不十分なんで街に出さないよう十分気をつけてくださいね]
>[豪腕狂獣マスターキマイラです]
>[としあきです]
>「ぐほぁ!」

「ジェンタイル!」
私は吹っ飛んだジェンタイルを受け止めると、ダンジョンから出てきた二体のモンスターのパワーを計測。
計測不能。両目が爆発してしまった。
爆発の衝撃で、受け止めていたジェンタイルも落としてしまった。

>「め、メタルクウラ、大先輩!こいつらヤバいぞ……地精霊の野郎、ろくなバランス調整してやがらねえ」
>「だ、誰か奴らを……たおひて……」

「すまんが、ジェンタイルよ。
あのモンスター達に今の私では勝てそうにないな」
計測不能な程の圧倒的な実力差。
私では手も足も出ずにやられてしまうだろう。

「先輩悪魔よ、私に力を貸してくれないか?」
私は真剣な目で先輩悪魔の方を見た。
もちろん、もう両目は再生している。
211ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/02(水) 22:23:25.08 ID:lujZSR42
>205
>「よし、大源泉に行こう!」
>206
>「あぁ」

「行こう」
「行こう」
そういうことになった。

奇数…ローゼン組といざ尋常に大源泉へ
偶数…何故かはぐれて大惨事
212ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/02(水) 22:29:35.56 ID:WXEGWKnw
>>208
>「ぐほぁ!」
時既に時間切れ。としあきのやる気のないデザインの触手が俺の頬にペチっと触れた瞬間、ものすごい勢いで吹っ飛ばされた。
メタルクウラの胸板に激突し、しばし絶息。馬鹿な、モーションに対して攻撃力が高すぎる……!
<<やはりパワーバランスを調整していなかったか>>

>>210
>「ジェンタイル!」
私は吹っ飛んだジェンタイルを受け止めると、ダンジョンから出てきた二体のモンスターのパワーを計測。
計測不能。両目が爆発してしまった。

みぞうゆ←×(未曾有)の戦場と化した不思議ダンジョンにお客さんがやってきた。
全身白のスーツで決め込んだ浜田雅功(ダウンタウンのメンバー)である。
手にはポチ袋が握られている。中身は先ほどの屋台の売り上げだ。

「なんや、自分ら。こんなとこにおったんかいなぁ〜あ、これ君らの取り分や。
結構稼がせてもろうたで!あ、炎の精霊君おおきに!!また頼むわ。
この服、ええやろ?儲けた金でこうたんや。」

純白の帽子を脱ぎながらキマイラ、としあきに襲われているジェンタイル
一行に爽やかな笑顔を投げかける。
勿論、相手はそれどころではない。
「うわっ、ごっつでかい化けモンやなぁ。こいつはきっついでぇ。
お、おい何すんねんっ!!やめろ、やめろやぁあああ!!
た、助けてぇー!!」

キメラの触手攻撃をハリセンで防御しながら浜田は叫ぶ。
すると、洞窟の入り口から一筋の風のような歌が聞こえてきた。

《ミラクルゥ〜ファイトォでぇ〜地〜を〜かけ〜ろ〜》

声の主は、画用紙のお面、ババシャツ、風呂敷のマント、ベルト、ラクダのパッチという恰好だ。
「ミ、ミラクルエースやないか!?」
触手に顔をはたかれながら浜田は声の主に向けて叫ぶ。
紙の仮面で顔を隠したヒーロー風の男はビデオのパッケージを手にしているようだ。
表紙には「うま味紳士」と書かれている。ごっつ笑顔のおっさんが腕を組んで
全裸で映っている。

「……ごっつバイトしんどかったわ。今日、むっちゃ客来ると思ったら
広告出した日やったんや。あと、レジ混む時に1万は出さんで欲しいわ。
なんで会計943円で、出すの1万やねん……きっついわ。」

ぶつぶつと文句を言いながらミラクスエースは触手に近付き
手を前に突き出す。技名は特にない。
「ちょ、もぉお〜!!」

(浜田のピンチにミラクルエース登場、キメラへ攻撃)
213深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/03/02(水) 22:32:34.44 ID:WXEGWKnw
>「時空転身――『ジカンジーク=ススメール』!!」
「しかしMPがたりなかった……と。ちなみにドラクエにおいてHPはヒットポイントだが
 MPはマジックポイントじゃないんだぞ。考えてみれば当然の事だが、MPはマジックパワーの略称なんだ」

およそ役に立つ事の無いであろう知識を披露しつつ、影が指を弾いた。
拡散した快音が時間の歯車を狂わせて、時が夜まで一気に進む。
地精霊の元へ向かうと、昼間あった大源泉の器は影も形もなく、代わりに鳥居が立ち並んでいた。
鳥居の示す一本道の先には、隆起した地面が魔獣の口腔を思わせる大穴を開けている。

>[貴方達と、光の勇者一行。より早く拙のもとに辿りつける実力を有した側に、拙の知慧を授けます]
「おいおい……求めよ、されば与えられんって言葉を知らないのか?神の教えには従った方が身の為だぞ?」

皮肉を吐き捨てながらも、影の口元にはうっすらと愉悦の笑みが浮かんでいた。
吊り上がった口角が、好都合だと呟いているようだった。

>「おいおいどうしますよお前ら、久しぶりにRPGみたいな展開だぜ。たいまつ持ったか?やくそうの準備はOK?
  ちょっとコンビニ寄ってダンジョン攻め装備でも整えるかよ?おやつは300ゴールドまでだぜ?」
「ま、いいだろう。世界を正しく変える術など、考えるまでもなく見えているモノだと私は思うがね。
 面白そうだし、付き合ってやろうじゃないか」

涼しげに、思わせぶりに影は笑う。
キャラの再構築に余念がないが、一方で手はピッケルだのスコップだのの用意で忙しなく動いていた。
工事用の黄色いヘルメットにヘッドランプまで装備して、準備は万端だった。

>「そんなことをしていたら、ローゼン達に遅れを取ってしまう。
  さっさと行くぞ」
「まったくだぞジェンタイル。少しは真剣にやったらどうなんだ」

冷ややかに告げると、影はダンジョンへと踏み込む。
と、早速、生々しい獣臭とヘッドライトが反射した凶悪な閃きが、影を出迎えた。
影がそれの全身を照らすように、顔を動かす。
ありとあらゆる猛獣を雑多に混ぜ合わせたような魔獣が、立ちはだかっていた。

>[豪腕狂獣マスターキマイラです]
「ははは、ネーミングセンスがゼルダの伝説時のオカリナを彷彿とさせるな」

おぞましい凶相で睥睨する魔獣を前に、影は余裕そうに笑っていた。
漂う生臭さは、やや不愉快なのか、右手を鼻の前で振っているが。
214深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/03/02(水) 22:33:02.41 ID:WXEGWKnw
>[としあきです]
>「ぐほぁ!」
「世紀末リーダー伝たけしガッツ島編を思い出すなぁ。「お、アイツ弱そう!」
 ってのは基本的にフラグだから気をつけ……あぁ、遅かったか」

ものの見事に吹っ飛ばされたジェンタイルに呆れを乗せた視線を向けて、嘆息を零す。

>「すまんが、ジェンタイルよ。
 あのモンスター達に今の私では勝てそうにないな
 先輩悪魔よ、私に力を貸してくれないか?」

「あぁいいとも。とは言え、私が全てをやってしまっては最強厨も真っ青だ。
 そうだ、ここで一つ講釈を挟んでおこう。物語の上で『超強い』とか『最強』とされる存在と言うのは、
 悪役、敵役でない限りは、何のかんの言って戦わなかったり、戦えなかったり、勝てない場合が多い。
 まぁ当然だ。最強が本気で真面目に万全の体勢で戦ったら他の登場人物はいらなくなってしまうからな。
 だから『戦いを捨てた』とか『腕っ節ではなく頭脳が必要』とか、『勝つには伝説の血統や武器が必要』
 などなどの理由を付けて戦闘や勝利を回避させられる訳だな。主に大いなる意思によって」

と言う訳で、と言葉と結論が架け橋で繋がれる。

「私は今回も戦わないよ。理由は……そうだな。レベル的に初心者の狩場荒らしてると通報されちゃうし?」

言いながら、影は担いでいたピッケルを地面に突き立てて、右手を肩の高さに上げた。

「代わりに……幾つかエンチャントをしてやろう。ほら、『矛の導き』に『寄り添う城塞』と」

立て続けに二回指が鳴らされて、メタルクウラの胸部に黒い印が二つ刻まれる。
矛と城塞、攻撃力と防御力を底上げする魔法だ。

「ジェンタイルも……ほら、起きろ。メタルクウラがお前の尻にエネルギー波を注ぎかねないぞ。
 ……よし、おはようジェンタイル。お前にはこれを貸してやろう」

三度目の快音が洞窟内で反響する。
ジェンタイルの眼前に、真紅の炎が灯った。

「それは地獄の炎……と言っても、ごく浅い所の物だ。単に凄く強い炎とでも思っておけばいい。
 普通の炎と混ぜれば威力の調整も出来るぞ。それらしい副作用もなし。
 ただ、使う度に魔力だけじゃなく、体力まで削られるから気を付けろよ」

ちらりと、影が洞窟の外を振り返る。
ローゼン達の姿は、まだ見えない。

「勿論、これは一つ貸しだがな。ともあれ今は、
 それを試してみたらどうだ。何とか戦えるくらいにはなっているだろう」


215ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/02(水) 23:39:30.93 ID:lujZSR42
「迷子になったら各自大源泉の入口に向かうことにしよう。なんて、今更迷う訳がないけどな…ははは…」
試食のゆず饅頭と抹茶饅頭と季節限定さくら饅頭を比べながら私が振り返るとローゼン達の姿はもう消えていた。

(…それではここはシド小路だとでもいうのだろうか…)
不吉な予感を裏付けるように傍らには何故か黒い郵便ポストが立っている。
「珍しいかい?それはね、先々代の魔王が侵略して来た時に
“よくよく我汝等に告ぐ。郵便ポストが赤いのは我が所為に非ず”
とか言って変えちゃったんだとよ」
地元民らしい爺さんが親切にそう教えてくれた。

(まあ、最終的に大源泉に着けばいいだろう…まだ時間はある…)
夕空の下を推定村の中心方向に向かって適当に歩いていた筈が、あっという間に大源泉の入口に着いていた。
観光用の営業時間は終わっているようで人の気配は既にない。
そしてローゼン達と来た時とは異なり中からは重機のような音と振動が響いてくる。
中を覗き込もうと塀に近付いた私は突然何か大きな力に足をつかまれ地中に引きずり込まれた。

―――

[――目が覚めましたか、夷]
そこは蟻の巣の室のような土穴だった。地精霊の絶対零度の声がする。
「生憎だがオレは今でも絶賛夢の中だ…けどその前に“夷”って何だ?」
[――思い出しませんか――夷――精霊と契約するに充分な器を持ちながら、対価を嫌って精霊を拒否した一族の末裔よ]
突然知らない設定が現れた…私はこの身体の由来には詳しくないので仕方ない事かもしれない。
[――着ぐるみ姿で一人のこのこ現れたのが運の尽き。拙の指令となって働くが良い]
この身体を随分嫌っているらしい地精霊から形容し難い力が流れ込み…結論だけ言うと私は操られた。
地精霊の思うまま私の身体は穴を掘り石を積み材木を組みトラップを設置していく。
ダンジョン全体のマップデザインはさておき個々の土木工事自体は地精霊と名乗るだけあって素晴らしいものだった。
(…この知識と技術は一体…)
感心しながら操られている内に地精霊はダンジョン造営に満足したようだった。
[――次の使い道はそのうち考えてやる。少し待て]
私は適当な部屋に押し込められてしまった。
216ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/03(木) 06:56:50.95 ID:xZ5z41Tn
>「ジェンタイルも……ほら、起きろ。
「うーん……あと5分……」
>「メタルクウラがお前の尻にエネルギー波を注ぎかねないぞ」
「ぎゃーーーっ!!エネルギー波をエネルギー液と誤読して余計生々しーー!」
>「……よし、おはようジェンタイル。お前にはこれを貸してやろう」
はっ!?今一体何が……長い夢、それも悪夢を見ていた気がする。
まったく嫌な世の中だぜ。ユメもキボーもありゃしない。今期アニメは豊作なようで大変結構。
何の話だっけ?そうそう、モンスターが出てきたから倒そうぜっていう――
と、目の前に炎が浮いていた。俺が出したものじゃない、禍々しい魔力を感じる。
>「それは地獄の炎……と言っても、ごく浅い所の物だ。単に凄く強い炎とでも思っておけばいい」
「げェーっ!なんつうもん拾ってきてんだ大先輩!もとの場所に返してきなさい!」
しかしながら聞くところによれば大先輩によるアイテム供給イベントらしい。
こいつを便利に使ってあのモンスター達を倒せと。お誂え向きの展開だな!
なんかステータス画面見るとメタルクウラの"ちから"と"みのまもり"も大幅アップしてるし。
大先輩悪魔のくせしてパラメータ補助呪文の使い手かよ!いいねその生き方かっこいーぜ!

>「なんや、自分ら。こんなとこにおったんかいなぁ〜あ」
と、そこへ颯爽とハマちゃんが現れた。なんか藍染様第二形態みたいな格好で。
「テメーハマちゃん!ここであったが百年目!新しく得た俺の力を食らいやがれ!!」
地獄の炎を握って殴りかかろうとする俺に、ハマちゃんは懐から万券をピラっと出した。
>「あ、これ君らの取り分や。結構稼がせてもろうたで!あ、炎の精霊君おおきに!!また頼むわ」
「それだよハマちゃん――――!!カッケ―――!!」
俺は華麗に掌を返した。ははーっ!世の中金だ!ようやくこれでまともな宿と食事がとれる!
もうこれで暇な日とかにブックオフに常駐しなくてすむんやぁ〜!ビデオも三倍画質で録画せんでもええんや!
いや!いっそもうVHSやめてDVD導入しちゃうか……!?ブルーレイも値下がりしてるし狙い目だぞ!?
<<ほら見ろ!見ろ!見たか!?投資してよかったろ!?吾の言った通りだったろ!?>>
ホンマやで炎精霊さん愛してる!
<<えっ……それはその……困る……>>
マジレスやめて!そういうトラウマを抉るような反応しないでお願い!
ていうかテンション上がりすぎだろお前ちゃん。今更キャラ崩壊とか言うつもりねーけどさ……。

>《ミラクルゥ〜ファイトォでぇ〜地〜を〜かけ〜ろ〜》
ちょっと時系列前後するけどそのとき!またしてもハマちゃんズの新キャラが参戦した!
ミラクルエースと呼ばれた謎のヒーローは颯爽とマスターキマイラに駆け寄って対峙する!
>「ちょ、もぉお〜!!」
「え?なに、なにしてんのあのおっさん!」
パンチがキマイラにヒットする。攻撃力の代わりに防御力を低めに設定されたキマイラはダメージを受けて怯んだ。
ちゃんと倒せるようにゲームバランス調整されたモンスターだ。適当に設定されたとしあきとは違う。
先に倒すならこっちからだと判断した俺は駈け出した。

「いくぜ大先輩からもらった地獄の炎の威力、とくと見よ!!」
リンクしてない状態の俺の魔法運用は、基本的にパワーの為さをテクニックで補うタイプの戦い方だ。
それでもやっぱり攻撃に足る量の炎を出すには難儀するので、結構技術も疎かになったりする。
炎魔法を極めたとは言え戦闘人としては凡百もいいとこの俺としてはこれが限界。
だがしかァし!!今回は違う!大先輩からもらった炎は、俺の一番のウィークポイント・火力不足を補ってくれる!
つまり、出力に気を使わなくていいだけテクニック発揮し放題というわけなのである!

「メタルクウラ、合わせろッ!」
背後に構える鋼の偉丈夫に応を飛ばし、俺は両腕を広げた。
翼の如く、5対の指先には5対の小さな炎が宿る。羽ばたくように振り下ろす!流星のように炎が走る!
ミラクルエースに迫るキマイラの豪腕、その威力の根幹を為す名刀の如き剛爪。
俺の放った十を数える炎の光条は――キマイラの爪を根本から尽く焼き切った!
爪のない獣の手などただの肉球!ミラクルエースは殴られこそすれ引き裂かれることはなかった!
「今だっ!ぶちかませ!!」
217メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/03(木) 11:24:32.96 ID:KMfAUS0/
>「代わりに……幾つかエンチャントをしてやろう。ほら、『矛の導き』に『寄り添う城塞』と」
>「ジェンタイルも……ほら、起きろ。メタルクウラがお前の尻にエネルギー波を注ぎかねないぞ。
>……よし、おはようジェンタイル。お前にはこれを貸してやろう」

先輩悪魔が指を二回鳴らし、私の体に二つの補助魔法が付与される。
攻撃力と防御力の上昇。
私のエネルギー炉が強化されてエネルギーの生産量が上がり、鋼鉄の肉体も強度を増す。
私にも補助魔法の恩恵があるようだ。
そして、今の状態も私は記憶した。
しかし、私はジェンタイルの穴にエネルギー波なんて危険なものは突っ込まない。
やるとしたら尻尾までだ。

>「勿論、これは一つ貸しだがな。ともあれ今は、
>それを試してみたらどうだ。何とか戦えるくらいにはなっているだろう」

正確な戦闘力の調査は今の私ではできないが、防御力の低いジェンタイルが一撃で死ななかったのだ。
今の私の防御力ならば、あのモンスター達の攻撃でも耐えきれるだろう。

「うむ、感謝する」
ハマタ達も乱入してきたことだし、私も戦闘に参加だ!

ハマタの仲間がキマイラを殴り、キマイラを怯ませる。
あまり強そうな攻撃には見えないのだが、実は相当なエネルギーが込められていたのか?

>「メタルクウラ、合わせろッ!」
>「今だっ!ぶちかませ!!」

「任せておけっ!」
ジェンタイルの炎がキマイラの爪を引き裂き、ハマタの仲間を救う。
キマイラは攻撃後で隙ができている。
私は指先に破壊のエネルギーを蓄積し、キマイラに向かって指先を向け、エネルギーを射出した。
弾丸よりも速い破壊のエネルギーは、補助魔法の効果により通常よりも太い。
まるで、フルパワーで撃った時のようだ。
エネルギーは隙だらけのキマイラに命中し、爆発を起こす。
キマイラの防御力が低かったようだな。
キマイラは木っ端微塵になってしまったぞ。
218ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/04(金) 00:37:10.82 ID:yq5X1j1g
>206
>「あぁ」
やばい、この人マジもんの鬱だ! どう接していいか分かんないよ! とりあえず頑張れだけは禁句だ!
温厚癒し系の地精霊さんに会ったらなんとかして元気づけてもらおう。

>211
>「行こう」
「行こう」
そういうことになった。

「これくださーい」
道中でおやつにカラフルなあられを購入する。
『君の祭日は3月3日じゃなくて5月5日でもなくて4月4日でしょ!』
「細かい事は気にしなくていいんだよ。みんなも食べる?」
振り返るとガチさんがいない。

VIP入場券が無いと入れないから大源泉の入り口で待っとくとしよう。
「しっかしVIP入場券はないわー、次の町で高値で売っ払おう!」
ここでのないわは最高という意味である。
[お気に召さなかったですか? あっちのパーティーと差別化を図るためにこうしてみました]
「うを!?」
入場券から声が聞こえてきた。こんなもんを通信機にすな! ってかあっちのパーティーってなんだよ。
[光の勇者ローゼン! 
拙の助言が欲しくば炎の賢者の一行より先にダンジョンを踏破し其の力を示すのです!]
「へ!?」
ちなみに光の勇者とは、本来はその昔に闇を払い世界に光を取り戻した伝説上の英雄のこと。
美少年説と男装美女説があって未だに学会で激しい論争が繰り広げられている。
光の勇者の仲間に、水の巫女とか炎の賢者がいたりする。
僕が光の勇者に例えられるのは別に不思議はない。なにしろ超かっこいいからな!
問題は”炎の賢者”って誰やねん!? いや、一瞬で分かっちゃったけどありえない! だってあいつ確かに賢いけどアホだもん!
[どちらも昔一緒に旅した大切な仲間……どちらかに肩入れするなんて拙には出来ません。
と、いう訳で平等にレースで決めます。それでは頑張ってください!]
『なーんか怪しいなあ』
と、言いますと?
『あいつ昔自分だけ地味地味言われて人気が出ないのをひそかに気にしてたんだよね。
特に光と炎に対しては内心すごい嫉妬を燃やしてたよ……』
そう言われてみれば急にものすごく胡散臭い気がしてきた……!
精霊の言葉をそのまま受け取ると酷い目に会うのは水精霊に乗っ取られ騒動で立証済みである。
かつての仲間同士に蹴落としあいながらのダンジョン攻略させるなんて美青年精霊め、何を企んでる!?

>217
大源泉のあるはずの場所に行くと、画面中央に大きく【産土の迷宮】という凝った自体のロゴが出た。
「なんだって!? ガチムチサンドの迷宮!?」
そこでは混沌としたバトルが繰り広げられ、丁度豪腕狂獣マスターキマイラが木端微塵になるところだった。
もう一匹適当な外見の不定形モンスターがいる。カーソルを合わせると”としあき”と表示された。
見なかったことにしよう。大体触手なんて出してる時点で嫌な予感しかしない。

「ダンジョン……昔ジェン君のお守りという名目でよく一緒に行ったなあ。
秘密基地なんて作ったりして……あれが区画整理で潰された時無邪気な子供時代の終わりを実感したよ……。
今の小学生は分かんないんだろうなあ」
『戦わなきゃ、現実と!』
219リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q:2011/03/04(金) 23:15:15.86 ID:RcVvk/7n
>「感動した! リヨナちゃん……君は僕の四つ葉のクローバーやあ!」
「ふえぇ!?……あ、あはは!当たり前じゃないですか!
 なんたって私は衛士!この国の皆さんに幸せをもたらすのが仕事ですからね!」

勢い任せなローゼンの言葉はド直球にリヨナの心を貫いて、彼女の視線を彷徨わせ、頬を紅潮させる。

「……も、もちろんローゼンさんは特別ですけどね!」

それから元気よく、けれどもどこか恥じらいを隠し切れていない様子で、そう言い足した。

>「よし、大源泉に行こう!」
「おぉ、いつの間にか空が真っ暗です!楽しい時間はすぐに過ぎてしまうってホントですね!ともあれ行きましょー!」

ローゼンの右腕に自分の左腕を絡め、右手を握って夜空へと伸ばして、リヨナは意気揚々と大源泉へと向かった。
けれどもローゼンの受け取ったVIP入場券を使って門を潜ってみると、そこは昼間の様相をまるっきり失っていた。
大源泉の巨大な器はどこにも見当たらず、代わりに鳥居の立ち並ぶ道と、その導く先に魔獣の口腔もかくやの洞窟の入り口が待ち受けている。

「おりょ?これは一体……?」
>[光の勇者ローゼン! 
>拙の助言が欲しくば炎の賢者の一行より先にダンジョンを踏破し其の力を示すのです!]
「えぇー、そんな力任せな方法でいいんですか!?」
[大丈夫ですよ。単純な力だけで踏破出来るような作りにはしていません]

そして、と地精霊が付け加える。

[このダンジョンが踏破出来たのなら、その時既に、正しい智慧は貴方達の傍らにある。
 何故ならそのように作りましたから。この私、地精霊がね]
「カッコイイ事言いますね!姿は見えないけど間違いなくドヤ顔してそうです!」

ともあれ、ローゼンに付いてリヨナは洞窟に踏み入った。
ジェンタイル達はまだ、入り口付近でまごついているようだった。更にその向こうには、二頭の魔物がいる。

「キマイラ種の……亜種ですか?それに不定形種……」

衛士としての知識でもって、リヨナは魔物の種類を、そして最善の対処法と、それが自分に可能であるかを思索する。
と、そうしている内にキマイラ種は木っ端微塵にされ、不定形種――としあきだけが残った。
ふむふむ、とリヨナが頷いた。
220リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q:2011/03/04(金) 23:17:03.85 ID:RcVvk/7n
「……丁度いいです。一つ、試してみましょうか。……ねぇ、水精霊さん」
《む、ようやく妾の出番かえ》
「ようやくって言うか、何で今までずっとだんまりだったんですか?地精霊さんとか旧知の仲なんでしょう?」
《……その、どう声かけたらいいか考えてたら話進んじゃって……何か言い出しにくくて……》
「何で思春期の引っ込み思案な子みたいになってるんですか!精霊って星の誕生と殆ど同時に生まれたんじゃないんですか!?」

ともあれ、リヨナは足を広げ、腰を落とす。
そして『としあき』に向かって駆け出した。
迎撃の触手を避け、まず右拳の一撃。
通じない。鈍くて緩慢な手応えは、威力が完全に殺された事をリヨナに告げる。

「ふふん、まぁ予想通りです。でも……これならどうですか!?」

続け様に、左の掌打を放った。
手のひらに、水精霊の加護を乗せて。
打撃に対して絶対の防御を誇るとしあきは、避けようとしない。
直撃――直後に、としあきの全身が震え、表面に無数の亀裂が走った。

「そのまま攻撃に使えるほど、水の操作は出来ませんが……
 打撃の際に強く干渉して、衝撃を浸透させるくらいなら私にも出来ます」

反撃が来る前に大きく後ろに飛び退いて、リヨナが薄い胸を張った。

「そう、これぞ名づけて【振動圧】《テイククエイク》です!
 さあ、あとはお任せします!光でも、炎でも、エネルギー波でも!叩き込んで蒸発させちゃって下さいよ!」
221深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/03/04(金) 23:18:34.38 ID:RcVvk/7n
「おいおい、力加減はちゃんとしてくれよ?大暴れして洞窟が崩れました、なんて展開は御免だぞ」

相当な威力のエネルギー波を放ったメタルクウラに、影はやや呆れ気味に忠告する。

「さて、ともあれ戦闘の間、私はする事がないからな。どうしたものか。……おや?」

ふと、影が振り返った。洞窟の入り口にまで来ていたローゼンと、視線が交錯する。

「あぁ、もう来てしまったのか。どうだ?この二人には私が力を貸してやったが、お前にも必要かな?」

冗談めかして影は笑った。
光の勇者が有する絶対的な退魔の力に、悪魔の手助けがいる筈がない。
分かっていて、言っているのだ。

「さて、ともあれ私はまた講釈でも垂れるとするかな。興味がないなら読み飛ばして問題ないぞ。
 

 今日のお題は……『説得力』について、とするか。
 さっき大暴れして洞窟が崩れる、なんて話をしただろう?で、作り話の場合はその直後に
 ヒロインなどに大岩が降ってきて、それを敵だった筈のキャラが改心して助ける。なんて展開にもなり得る訳だ。
 いわゆる『お約束』って奴だな。だが物語と言うのは『お約束』に頼り切っていては、つまらなくなってしまう物だ。
 例えばぽっと出のモブキャラ同然だった筈の奴が実は国を捨て悪の道に堕ちた英雄だったとか、国のナンバーツーだったとか。
 何の取り柄も魅力もない主人公が何故か色んな女にモテたりとか。
 そんな事を言われても読者としては「はぁ、そういう設定なんですか」としか言いようがない訳だ。
 それがつまり、『説得力がない』と言われる状態だな。読者に「やべぇ」とか「かっけぇ」とか思わせたかったら、
 『説得力』が必要不可欠なんだ。勿論、読者の『納得』に必要な『説得力』と言うのは、個人差がある。
 例えば少年ジャンプの読者層なんかは、大した説得力なしでも『お約束』を受け入れてくれるようにな。
 一応断っておくが、より大きな『説得力』を必要とする読者の方が高尚と言う訳ではないぞ。ただあった方がいいのは確かだってだけでな。

 それで、『説得力』の出し方だが……これは幾つも方法があるし、またそれが常に正解だとは言えない。
 その時々でベストな方法を自分で見つけ、考え出さなければならないんだが……まぁ一つ例を挙げておくか。
 
 なんと言っても一番分かりやすいのは『行動で示す事』だ。
 例えば『リヨナはローゼンが好きだ』とただ書いてあるよりも、
 混浴風呂に放り込んだり、事あるごとに頬を赤く染めたりする方が、より『説得力』があるだろう?
 
 だがそれで全てが解決とは言えない。何故なら『好きになる』と言う前提にもまた、当然ながら『説得力』は必要になるからだ。
 何の取り柄も魅力もない、それどころかクールぶった主人公が何故かモテると言うのは、
 それが『読んでいて気分のいい物』である事は認めるが……同時に納得出来ない人間が多く出てくる物であるようにな。
 ところで、ローゼンがリヨナに惚れられた理由は最初「イケメンだったから」だったりするんだよな。
 今ではどうか知らないが……例えばここで「そんな事ありません!ローゼンさんがイケメンじゃないなっても私は好きですよ!」
 とか言われても説得力に欠けるだろう?それは何故か。『他に好きになる要素』が語られていないからだ。
 
 ……と、まぁそんな感じで、『説得力』を支える『説得力』が必要になる場合もある訳だ。
 また例えば『行動』と『設定』は連立して互いに『説得力』を付加しあう関係にもある。 
 その点、『イケメン』と言う設定はそれ以上の説明が不要と言う点で便利だなと思うよ。悪い意味じゃなくてな。
 これが『平凡な顔立ち』だったら過剰にモテたりすると不自然になってしまうし、
 『頭がいい』なんて設定は『行動』や『言動』で示さない限り『説得力』を発揮出来ないから、本当に難しいんだ。
 と、この辺にしておこうか。
 とにかく読ませる相手を『納得』させると言うのは、個人の創作でもTRPGでも変わらず大切な事だと思うよ」
222メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/05(土) 06:17:19.91 ID:IP0ooTx1
>「おいおい、力加減はちゃんとしてくれよ?大暴れして洞窟が崩れました、なんて展開は御免だぞ」

「あぁ、すまなかった。
補助魔法の効果が思ってたより高かったんでな」

>「そう、これぞ名づけて【振動圧】《テイククエイク》です!
>さあ、あとはお任せします!光でも、炎でも、エネルギー波でも!叩き込んで蒸発させちゃって下さいよ!」

ローゼン達もこの場にやって来て、ローゼンの仲間が不定形のモンスターを攻撃。
私は彼女の呼び掛けに答え、動いた。

「任せろ!」
私は猛ダッシュをして不定形のモンスターに向かって行く。
と見せかけて、進路上にいたジェンタイルを走る勢いを殺さずに抱き上げて、不定形モンスターの上を大ジャンプで飛び越えた。
着地点はモンスターの後ろのダンジョン入口だ。
私はにこりとローゼン達に浮かべると、ジェンタイルを抱えたままダンジョンの中に急いで入っていった。
223ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/05(土) 08:44:01.32 ID:RpIuV0Lu
>221
>「あぁ、もう来てしまったのか。どうだ?この二人には私が力を貸してやったが、お前にも必要かな?」
「そういえば昔から光と闇の力が合わせると最強になるという都市伝説がある。
ちょっとやってみたい気もする。だが断る」

大先輩が講釈を垂れ始めた。
誰がお前の言う事なんかに耳を貸すか! 聞くなよ? 絶対聞くなよ?

>220 >222
>「そう、これぞ名づけて【振動圧】《テイククエイク》です!
さあ、あとはお任せします!光でも、炎でも、エネルギー波でも!叩き込んで蒸発させちゃって下さいよ!」

>「任せろ!」
クウ君がジェン君を避難させ、僕ととしあきの射線上には誰もいなくなった。
あの笑みは僕にとどめをお願いしますという意思表示だ! 可愛い未就学児に頼られたからには応えないわけにはいかない!
「よーし任せとけ、これから説得力全開な倒し方をするぞ! むしろ説得力しかない!」

としあきがこっちに向かってくるが、やる気のないモーションのため移動速度自体は速くない。
あいつ僕を取り込んで溶解液攻めにしようって思ってるな! そうはいかない!
右手を頭上に掲げて魔力を練り上げる。
ソードワールドRPGにおいては男性のみが使える精神属性の純エネルギー魔法。
でもどう見ても演出が光の投槍だからこの世界では光魔法に属する事とする!
そしてそんじょそこらの男よりも超イケメンの僕が使えないはずはない! 我ながらすごい説得力だ!
「ヴァルキリージャベリン!」
丁度いい距離まで接近したとしあきに、光の槍を叩き込む!

精霊術師の目にはこの技を使うときには戦乙女の幻影が見えるらしいよ!
試しにちらっと見てみた。立体視をする時みたいに対象より遠くを見る気分で焦点を外すのがコツだ!
見えた戦乙女はパンチパーマのおばさんだった。というかどう見てもオカン。
「としあきっ! よくも二次裏にアタシのエロ画像うpしたね!」
うわあ、すごい精神的ブラクラだ!
「違う! 俺じゃない!」
必至に弁明するとしあき。(画像はイメージです)
「としあきは一にして全、全にして一……連帯責任っ! うりゃあ!」
ドゴーン。

意味と趣旨が分から――ん! 説得力以前の問題だ! 光精霊、今の何!?
『単なる技の演出で深い意味はないです。定番のままだと面白くないからちょっとアレンジを加えてみた』
そこでオリジナリティ加えんでいい!
でも端から見ればイケメンが光の投槍を放ったようにしか見えないから大丈夫だ問題ない!
つまり前の段落の最初からここまでを飛ばして読めば綺麗に繋がるから是非見なかったことにしてほしい。

とにもかくにも光輝の槍がとしあきを貫いた!
――どうやらここまでのようだな……だが我を倒そうとも第二第三のとしあきが……ぐふっ
ボスキャラを倒した時のような演出で光の粒となって消えていくとしあき。
「やる気のないデザインのくせになんでやられた時の演出だけ凝ってるの!?
まあいいや、早くクウ君たちを追いかけよう!」
224ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/05(土) 12:51:30.86 ID:/TKL6ehs
[――お客様が到着しました。おもてなしを]
地精霊がそう告げ私は部屋を出され操られるままに土の迷宮を歩いたり跳んだり這ったりした。
トラップを避けるためかかなり回り道をしたようだが着いたのは

奇数…中層階のメインストリート近く
偶数…最下層ラスボス部屋
225ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/05(土) 14:47:36.90 ID:/TKL6ehs
私が着いたのはダンジョン最下層と思われる1階分のマップサイズ全部を使った広い広い部屋だった。
その中央に私は入口の方を向いて立たされる。

[――お客様がこの部屋に入ったら戦闘開始です]
「ちょ、ラスト戦闘を外注するつもりか?」
意外にも普通に喋れた。首から上は地精霊の拘束から外れたようだ。
[――拙が直接操るので外注でも業請でもなく派遣もしくはアルバイトの筈だが]
「…戦闘業務は労働法の範囲外だぞ、多分。ていうか派遣だとしたら派遣業者には何が相当するんだ?」
[――強いて言うなら精霊との契約を拒んだ夷の一族なる集合体?]
“お客様”が着くまでここで地精霊と殺伐漫才していろという事だろうか。

「因みに“お客様”が着いて戦闘開始した後でもオレは喋れんのか?」
[――その方が面白いだろう?だからフード外してやった]
そう言われてみれば着ぐるみのパンダの顔のフードはだらりと首の後ろに下がっている。
「なっ…温泉で支給された着ぐるみにそんな罠が…」
[――夷の一族は無駄に体格がいいからな。
あぶり出すために拙が温泉で用意する浴衣のサイズを規定しそれが着られぬ者に渡す呪を仕込んだ着ぐるみも用意した]
「じゃあ街で見かけた黄色いネズミの着ぐるみ着た子供とかは何なんだよ」
[――カモフラージュという言葉を知らんか?]
どうももう少し地精霊を問い詰める必要があるようだ。
226深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/03/05(土) 19:26:15.79 ID:YyUygrYq
>「あぁ、すまなかった。
  補助魔法の効果が思ってたより高かったんでな」
「ははは、褒めたって何も出ないぞ。ま、当然の事だ。何せ私は……悪魔だからな」

これ以上ないほどに得意げな笑みを浮かべて、影は宣言した。
説得力の話をしたばかりだと言うのに、ひどいものである。

>「任せろ!」
「おいおい、私を置いていくつもりか?」

影が指を弾いた。瞬間、影の姿が地面に溶けて、先を走るメタルクウラの足元から再び現れた。
疾駆するメタルクウラに対して影は涼しげな表情と直立の姿勢のまま、しかし距離を離さないでいる。

「ところで一つ、この状況における問題を提示してみようか。それは『何が正しい行動なのか』だ。
 例えばこの洞窟における全員の共通した目的は『相手よりも先に最深部に到達する事』だ。
 じゃあその為に最適な行動とは?こうして先駆けをする事か?」

腕を組んだ状態から右手の人差し指を立てて、影が語り出した。

「実は違うんだよなぁ。何せ相手は光の勇者だ。アイツがその気になれば私達の背中を射抜く事は何処までも容易い。
 だがそれは立場が逆転しても同じだ。この洞窟の暗闇全てが私にとっては刃となるし、
 お前やジェンタイルは狭い洞窟では逃げ場のないエネルギー波や炎を放てる」

くつくつと、喉を鳴らして影は続ける。

「となると、実はこのレースで相手の前に出るのは不利な事だ。だが相手の前に出なければレースの勝利、
 つまり目的達成が叶わなくなる。だとしたら最適な行動とは?矛盾した命題『相手に後ろを取られる事なく、前に出る』の解答は?
 バック走なんて答えは無しだぞ。……正解は、相手を叩き潰した上での前進だ」

答えを紡いでから、影が口角を吊り上げた。
227深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/03/05(土) 19:26:54.95 ID:YyUygrYq
「だがおかしいな。それならば、わざわざこの洞窟でレースをする必要自体がなくなってしまう。
 競争相手を、意見の異なる相手を排除する事で問題解決を図るのならば、世界を変える知識なんて必要ないからだ。
 自分の意見にそぐわない相手を一人残らず、生き返れないくらいの消し炭のにしてやればいい」

指先に地獄の炎を灯してジェンタイルの顔を照らし出し、影は視線をそちらへ流す。

「さて、ここで問題は二つの分岐を提示する事になる。つまり『相手を殺す事が問題解決である』
 と言う結論Aを最終的な結論として思考を終了するか。
 あるいは……結論Aを間違ったものとして、異なる結論Bの模索を始めるか、だ。そして……おっと」

更に継続しようとした語りを断ち切って、影が立ち止まった。

「そう言えば、さっき『前に出たら背中を刺されるから不利』なんて話をしただろう?
 だが他にも、不利になるパターンはあった。例えば――」

影の言葉に覆い被さって圧殺するように、大音声が響いて洞窟を揺るがせた。
両耳を手で塞いでいた影は、『声』が鳴り止むのを待ってから、続ける。

「そう、このように……新たな障害に直面した時だな。
 後ろにいる連中は障害の正体をある程度見極めてから、更に競争相手を板挟みにしてやる事も出来る」

悠々と語る影を、頭上から巨大な一対の光が睨んだ。
眼光だ。ヘッドランプの光では全貌が照らせないほど巨大な存在が、一寸先の闇にそびえ立っていた。

「地の属性は五行に従って金の属性を生む。金属生命体のゴーレムだな。
 機械生命体のお前とは親戚に当たるかもしれないぞ。挨拶でもしておいたらどうだ?」

影が冗談を飛ばして、直後に降り注いだ金属の拳に姿を掻き消される。
しかし影は何事もなかったかのように、いつの間にかメタルクウラの隣に立っていた。

「この手の魔物は体内の核を潰してやれば沈黙する物だが、それを補うべく驚異的な回復能力を持っている。
 捕獲すれば資源として活用出来るらしいが……この状況では厄介なだけだな。はっはっは」

獲物を逃がしたゴーレムは再び、今度は傍に立つ二人も巻き込むように、影へと拳を落とした。

【敵:ゴーレム、金属性、体内のどっかに核があるけど回復力パネーよ。でかいし固いし重いけど遅いよ】
228ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/05(土) 21:56:40.93 ID:DFBRd35k
>>217>>218
メタルクウラとジェンタイル、そして後詰のローゼン&リヨナのご活躍によりキメラ&としあきは
夜空へと旅立っていった。
としあきの遺体を蹴り飛ばしながら浜田が呟く。
「このボケッ!!なんや、大したことあらへんやないか。俺を虐めた罰や。」
さっきまでビビっていただけの癖に器の小さい男である。

浜田は次に、リヨナとローゼンの元に紙袋を手にして走り寄る。
「すまんな、君らの分もお礼や。光精霊のストラップ、増産決まったで。」
ゴソゴソと紙袋を探る浜田。
「どうも、ミラクルエースや。チョコが出てます。3粒です。」
いつの間にか浜田の付き人と化していたミラクルエース(正体不明)
がローゼンの手のひらにチョコを握らせる。
にんまりと笑う浜田は、完全にローゼンを子供だと舐めているようだ。
飴やチョコでギャラになると踏んでいるらしい。
リヨナにはブロマイド(ローゼンの寝顔)を渡す。
「君にはこれや。しっかし、凄い技やなぁ。
精霊って案外使えるもんやな。……しっかし寒気がするわ。
なんか頭も痛いし。」

229リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q :2011/03/05(土) 21:58:24.97 ID:DFBRd35k
>「任せろ!」
「って、えぇええ!?なに抜け駆けしてるんですか!汚い!流石悪役チーム汚いです!」

としあきのトドメを残して先に行ってしまったメタルクウラに、リヨナは驚きを隠せなかった。

>「よーし任せとけ、これから説得力全開な倒し方をするぞ! むしろ説得力しかない!」
「きゃー頑張ってください!ぶっちゃけカッコ良くて面白ければ説得力なんてどうでもいいんですけどね!」

と言うと「じゃあ説得力なんていらないじゃん」などと言い出す人間がいそうだが、リヨナが言ったのはあくまでも『面白ければ』だ。
基本的には面白くする為にこそ、説得力が必要なのだ。説得力なしに面白さを表現出来るのは、才能のある人間だけである。
と、嫌みたらしい補足はともかく、リヨナは両手を口の左右に添えて歓声を飛ばした。

>「ヴァルキリージャベリン!」

光の槍が投擲される。何やら色々と不条理で正気度が加速度的に摩耗させられそうな演出があったようだが、
知性も魔法適性も大した事のないリヨナは全くの無事だった。弾けた閃光で目が眩まないように右腕で覆っている。

>「やる気のないデザインのくせになんでやられた時の演出だけ凝ってるの!?
 まあいいや、早くクウ君たちを追いかけよう!」
「綺麗さっぱり消し飛びましたね!お見事です!さあ行きましょうか!」

ローゼンを褒め讃えつつ、意気揚々とした様子で右腕を上げ、リヨナは洞窟の更に奥深くへと踏み込んでいく。
だが一方で、足元の闇に沈んだ何かおかしな物で転ばないように足は高く上げ、なるべく垂直に下ろしたり、道標として特殊な石を落とすのも忘れてはいなかった。
かくして前進すると、前方で再び理知なき野性の咆哮が響いた。一応自分でも持ち込んでおいた松明を掲げる。
咆哮の主の姿が、あらわになった。

「……ゴーレムですね。まるで鏡のようです。金の属性は五行に照合するなら
 水に弱いものですが……私じゃちょっと力不足ですね」

獰猛な鈍色の反照を見せるゴーレムに対して、リヨナは再びこの場の戦力と実行可能な戦術を思考する。

「うーむ……いや、倒せない事はないんですよ?そりゃ勿論倒せますよ?衛士ですし?
 でも世の中適材適所って言葉がありますし?私よりずっと上手に出来る人がいるならそうした方が当然いいですし?」

殴打に際して返って来る、水に波紋が広がるように骨に染み入る痛みに、変な声でも零してしまったら事だから、とは言える訳がない。
つい今しがた思い出したような性癖設定に首を傾げて、リヨナは気乗りしない様子で唸っていた。


230矢車 ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/05(土) 22:09:25.23 ID:DFBRd35k
>>248
「とんでもなく深い闇だな……いや、闇自身か?」

大先輩の背後に立つのはうらぶれた様子の青年、矢車想。
今はしがない派遣社員である彼は、パーティの後方から
やる気なさげに現われた。

>「……ゴーレムですね。まるで鏡のようです。金の属性は五行に照合するなら
>水に弱いものですが……私じゃちょっと力不足ですね」

リヨナの言葉と共に矢車の元へバッタの形を模した精霊のような何かが飛んでくる。
矢車の足元をピョンピョン跳ねながら何かを急かすようにしている。
「……またお前か。」

腰に巻いた銀色のバックルのスイッチを押すと同時に、バッタが矢車の手へと収まる。
深く溜息を吐き、目の前のゴーレムを見据え呟く。
「ハァ……変身。」

《CHANGE KICK HOPPER!!》

バッタ型のコアが音を響かせながら矢車の全身を某仮○ライダーのような
容姿へと変貌させていく。
全身緑のスーツの中、紅い目だけが不気味に光る。
俗に言うカッコイイヒーローの変身シーンのはずなのだが、何かが違う。

「――誰か、俺を笑ったかぁ?」

自嘲するような矢車の声が響くと共に、ゴーレムへ向かい
連続した蹴りを放った。


231ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/06(日) 01:10:24.35 ID:9pifqkpz
>「任せておけっ!」
マスターキマイラが木っ端微塵に砕け散る。
なんつーデタラメな威力!これが補助魔法でブーストかけられたメタルクウラの真骨頂。
辺境村でよく勝てたな俺……あれはどっちかっていうと河原で殴り合うのに近かったけど。
メタルクウラは昔っから論理を重んじる奴だった。こいつが本気で暴力に訴えれば、俺なんか骨も残んねーよ。
安直にそれをしないのがこいつのいいところなんだけど☆
さあ、勢いもあることだしこのまま一気呵成にとしあきも片付け……
「あ、あれ?あれれれ?」
ガクゥーっと膝から崩れ落ちる。足が笑って上手く立てない。そんでもって脳裏をよぎるはあの言葉。
>――『ただ、使う度に魔力だけじゃなく、体力まで削られるから気を付けろよ』
急いでステータス画面を開く。げェー!HPめっちゃ削れとるやん!
HP残り1しかないのに普通に戦えてる奴いるけどありゃ嘘だね!ソースは現在の俺!
<<1HP=骨一本折れるダメージらしいな公式設定だと>>
マジで!人間の骨は200本近くあるとは言うけれど、HP999の連中とかどんな化物だよ。
残りHP1って折れてない骨が一本しかない状況なの!もうほとんどクラゲやんそれ。
とにかく俺は動けなくなってしまった。あの悪魔め……もー使わねーぞあんなもん。

>「そう、これぞ名づけて【振動圧】《テイククエイク》です!」
としあきの居る方から聞き覚えのある声が聞こえた。
運動神経と言語野が直結してそうなこの声は……リヨナさんじゃねーか!
>「ヴァルキリージャベリン!」
追随するように跳んだ声と、目を焼かんばかりの眩い極光。ローゼンとこのオカンの幻影。なんで!?
としあきの軟体が貫かれ、霧散四散していく光景。その向こうに、やはり知った顔がある。
「ローゼn――」
>「任せろ!」 
「ぐええっ!?」
俺の網膜がその姿を確定する前に、ぶっとい鋼の腕が俺の腹を抱えて牽引した。
肺の中身を残らず吐き出しながら、ドップラー効果的なものを残して俺はダンジョン内へと運搬された。

>「ところで一つ、この状況における問題を提示してみようか。それは『何が正しい行動なのか』だ」
メタルクウラの脚力で洞窟内を駆け抜けながら、抜け目なくついてきていた大先輩が問う。
セリフ丸々引用するのは流石の俺でも気が引けるので要約すると、この場で先んじるのは可か否かっつー話。
早い者勝ちだという地精霊のルール決めこそが罠。弾除けじゃないけれど、後手に回った方が有利なこともある。
>「そう、このように……新たな障害に直面した時だな」
進む俺たちの前方、そう広くない洞窟の直径を埋めるような体躯の、巨大な巨人がそこにいた。
話変わるけどレディファーストの語源って知ってる?あれの元ネタって紳士的行為なんかじゃないんだぜ。
むしろ大昔、女性の社会的地位がまだ低かった頃、ブービートラップを先に踏ませるために前を歩かせたんだってさ。
話し戻すけど哀れ俺たちは、毒見係のごとく、このダンジョンのトラップの試射台となっちゃってるわけです。
「ぎょええええーーー!」
降ってきた巨大質量の拳を横っ飛びで回避。瓦礫の波濤に押し流される。
>「地の属性は五行に従って金の属性を生む。金属生命体のゴーレムだな」
「おわー、精霊ってそんなことまで出来んの?」
<<汝も似たようなことをやっていたろう。地精霊め、依代か代行契約者でも見つけたか?>>
[左様。なんと親切にも『ご自身の意志で拙に協力して頂ける方』が見つかりまして]
またしても雫から音声が響いた。つまりどういうことだってばよ?
<<――地精霊側に人間の協力者がいるということだってばよ>>
232ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/06(日) 01:14:54.85 ID:9pifqkpz
協力者。人間の協力者。
それって結構ヤバいことである。精霊ってのは根本的に主体性って奴がない。
どこにでもありふれていて、同時に『一にして全、全にして一』的な存在でもある。
例えば炎精霊だけでも数えきれない種類の個体がいるが、個体独自の意識はかなり乏しい。
炎精霊は全て同一の炎精霊であり、今こうやって俺と契約してる炎精霊は小分けされた一欠片に過ぎないのだ。
いわゆる"統合思念体"。それ故に、交渉による論破・説得は難しくない。
確固たる意志がないから。ヒトと契約してはじめて、その膨大な力の方向性に指針を持てるのだ。
ちょっとめんどくさい話になったけど、要するに『契約した精霊は手強い』。そういうことである。

さて、五行相剋的に言えば金属性のゴーレムに対して炎属性の俺の相性は抜群だ。
普通に戦ってもいいんだけど、HP・MP残量がとても気になる。ダンジョン探索でMP温存は鉄則ですし。
>「――誰か、俺を笑ったかぁ?」
仮面ライダー的な生物が俺たちの前に踊り出て、ゴーレムの向こう脛にローキックを連発。
「よーし俺たちも加勢だ!あいつに効くのは炎……だったら!」
俺は懐からスマートフォンを取り出し、快適速度でブラウザを開く。
MPを使わず硬い敵に効果的な炎属性ダメージを与えるには。
「地精霊のブログを炎上させる――!」

大源泉で貰ったパンフに記載されていたURLを入力し、地精霊公式ブログ『地だまりスケッチ』にアクセス。
案の定コメント欄は夕方から温泉が機能していない件で荒れていた。専用BBSにもトピックスが立っている。
「メタルクウラ、片手間でいいから演算脳借りるぞ」
無線LANを用いメタルクウラのCPUを間借りする。
機械生命体であるメタルクウラは、そのスペックを保つために高性能の演算機能を積んでいるのである。
その廃スペックを存分に使い、俺はブログにアクセスを繰り返すスプリクトを組んで実行した。
DOS攻撃――F5爆撃とも呼ばれるこの攻性プログラムは、ひたすらブログを読み込みまくることで、
サーバーに過負荷をかけ処理落ちさせるという10年前ぐらいに流行ったサイバー攻撃だ。
今じゃどこも対策され尽くして使えっこない手法だが、精霊の世界(?)は今だモー娘。の流行ってる時代!

<<じゃあ吾BBSの方で地精霊を騙って名無しを煽りまくってくるわ>>
[ちょっ、やめてください炎精霊!悪質な書き込みはアク禁にしますよ!]
「もう遅いッ!既にサイバー攻撃の手筈は『完了』しているっ!くらえ電子決殺――田代砲!!」
地精霊の制止を無視して、俺はスプリクトの実行ボタンを押した。
233メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/06(日) 03:16:02.99 ID:UUwPmFBN
>「地の属性は五行に従って金の属性を生む。金属生命体のゴーレムだな。
>機械生命体のお前とは親戚に当たるかもしれないぞ。挨拶でもしておいたらどうだ?」

「おいおい、いくら同じ金属でできているとは言え、相手は地精霊の作り出したモンスターだぞ。
適当に作られた奴の親戚にされては、私や他の機械生命体の親である者達に失礼だぜ」
ゴーレムは先輩悪魔を狙い攻撃をする。
一度目は先輩悪魔に当たったかに見えたが、先輩悪魔の残像を掻き消しただけで、先輩悪魔は私の隣に現れた。
二度目はその現れた場所に拳を振り下ろす。
そう、私を巻き添えにしてだ。
私は振り下ろされたゴーレムの拳を両手で受け止め、拳を蹴り返す。
こんな芸当ができるのも、先輩悪魔のおかげだ。

私がゴーレムの拳を蹴り返し、ゴーレムの腕は跳ね上げられて、体勢を崩す。
その隙を突いて仮面ライダーのような奴が現れて、ゴーレムにローキックの連打を放つ。
後ろを振り返ってみれば、ローゼン達が追いついていたので、声を掛けた。

「おい!はさみジャガーはどこだ!」

>「メタルクウラ、片手間でいいから演算脳借りるぞ」
ちょ!?くぁwせdrftgyふじこlp

>「もう遅いッ!既にサイバー攻撃の手筈は『完了』しているっ!くらえ電子決殺――田代砲!!」

「ビィーーー!!!ビィーーー!!!緊急事態発生!!!緊急事態発生!!!」
『『『『『大丈夫か!!!メタルクウラ!!!』』』』』
《メタルクウラは仲間を呼んだ。
メタルクウラAが現れた。
メタルクウラBが現れた。
メタルクウラCが現れた。
メタルクウラDが現れた。
メタルクウラEが現れた》

『くっ、CPUを乗っ取られるとは……』
『メタルクウラNo.774よ、俺達が来たからには大丈夫だ』
『貴様がやったのか?死ぬ覚悟はできるのだろうな?』
『待て、メタルクウラNo.893。No.774を正常に戻すのが先だ』
『そうだ!No.774がよくメールで伝えるジェン君と先輩悪魔を掘るのが先だ』

《メタルクウラ達はジェンタイルを取り囲んでいる》
234ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/06(日) 12:05:08.47 ID:GaY3EzvQ
>228
>「すまんな、君らの分もお礼や。光精霊のストラップ、増産決まったで。」
『当たり前だ、こんなに美少年な我が売れないわけがない!』
>「どうも、ミラクルエースや。チョコが出てます。3粒です。」
「おっ、よく分かってるじゃん!」
3粒でギャラになる程の値段ってことはMP回復用のチョコに違いない。即座に一粒口に放り込む。
【MPが5回復した!】
ほらやっぱり回復した。でも回復量が少ないような……。プラシーボ効果? 知らんがな。

>229 >233
ゴーレムが現れた!
>「おい!はさみジャガーはどこだ!」
「はさみジャガー? じゃがりこならここに!」
>「うーむ……いや、倒せない事はないんですよ?そりゃ勿論倒せますよ?衛士ですし?
 でも世の中適材適所って言葉がありますし?私よりずっと上手に出来る人がいるならそうした方が当然いいですし?」
「ふふっ、あんなデカいだけの玩具は僕がチャチャっと片づけてやる」
といったもののあんな鏡みたいな装甲にレーザーなんか撃ったら自分に跳ね返ってくる予感しかしない。
でも光属性は四大からも五行からも独立している存在。つまり使い方によってどうにでもなるという事だ。
光とは可視光線だけではないわけでマイクロ派を照射して電子レンジ攻めにするか?
否、自己修復機能を持つ相手にそんな事をしていたら埒があかない。
ここは1ターンを使ってでも弱点を見抜くべき! 核に総攻撃を仕掛ければこっちのものだ!
「シースルー」
ゴーレムを透視する。そんな事が出来たら変態が光精霊と契約したら最悪だって?
大丈夫、これを悪用するような変態は光精霊とは契約できない!

「こっ、これは……」
透視してみて、僕は途方に暮れた。地精霊め、考えたな……! 
核はすぐに見つかった。でもとてもスタイリッシュイケメンな僕の口からは言えない!
いつの間にかクウ君が増殖していて誰か(多分ジェン君)を取り囲んでいた。
早く何とかしないと大変なことになる!

> 『そうだ!No.774がよくメールで伝えるジェン君と先輩悪魔を掘るのが先だ』
それを聞いて、ジェン君を助けゴーレムを倒す一石二鳥の名案を思い付いた!
「クウ君達! それはジェン君じゃない! あのデカいのがジェン君だ! 行けええええええええええええ!!」
235深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/03/06(日) 18:01:29.82 ID:Hm7NpsO5
>「あ、あれ?あれれれ?」
「おいおい大丈夫か?ジェンタイル。ダイの大冒険を思い出せ、HPが1になった時にこそ見える物があるだろう。
 例えばお花畑とか、綺麗な川とか、数え切れないほどのローゼンとか」

縁起でもない事を言いつつ、影はジェンタイルに戦闘を促す。

「さて、相変わらず私はバトル中手持ち無沙汰なんでね、さっきの話の続きでもしようか。
 つまり『自分の意見にそぐわない者は皆殺しにする』結論Aを捨てて、結論Bの模索に移行する、という話だ。
 どうでもいいが、この話は何となく『正義の話をしよう』ってフレーズを彷彿とさせるな。
 悪魔が正義の話と言うのもおかしな話だが……まぁいい」

バトルパートなのかギャグパートなのか判断し難い喧騒は右から左へ聞き流して、影は語り始めた。

「ともあれ、結論Bを模索するに当たってまずしなければならない事がある。
 それは前提条件の変更だ。結論とは幾つもの前提を元に構築されている。
 【意見の異なる相手を皆殺しにすれば理想の世界が出来上がる】と言う結論の下には
 『目的は勝利である』『競争相手に勝たなくては目的達成が出来ない』『だが前に出ては背中を刺され不利になる』
 『なら背中を刺される前に相手を倒してしまえばいい』『しかし競争相手を勝利の前に排除するなら、最早競争に意味はない。だったら〜』
 と、こうして幾つかの前提がある訳だ。じゃあこれらの内、どれを覆す?
 どこをどう変更すれば結論Bは最適な物になり得ると思う?」

懊悩を手招きしている事に愉悦するように、影が笑う。

「競争の勝利条件を相手の排除そのものにするか?背中を刺される前に逃げ切ってみるか?
 もしくは相手が背中を刺す筈がないと信じるか?それとも……」

一瞬、言葉が途切れた。
一拍の沈黙の内に、影は周囲の面々に視線を巡らせる。

「競争相手に勝たなくてもよくて、かつ目的を達成出来る術を探すか、だな。勿論、単に諦めるって手もあるが」

一通り喋り終えてから、影が「そんな物があるかどうかは別としてな」と付け加えて挑発的に笑った。

>『そうだ!No.774がよくメールで伝えるジェン君と先輩悪魔を掘るのが先だ』
「……って、させるかぁあああああああッ!!これ以上のキャラ崩壊は一切許可しないぞ私は!!
 何の為にギャグパートガン無視して延々と厨二病一歩手前の講釈を繰り広げたと思ってる!!」

物凄い勢いと剣幕で影が指を弾いた。
影の足元から闇が立ち上がり、四方を防護する柵の形を得て、五体のメタルクウラを拒む。

「やるならジェンタイルをやれ!ジェンタイルを!」
>「クウ君達! それはジェン君じゃない! あのデカいのがジェン君だ! 行けええええええええええええ!!」
「あぁそうとも!さぁ行け!今年の夏は薄い本が出るなぁ!ははははは!」

半ばヤケクソ気味に、影がゴーレムを指し示して哄笑していた。
236リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q:2011/03/07(月) 02:55:40.42 ID:+Z6TNobd
>「君にはこれや。しっかし、凄い技やなぁ。
 精霊って案外使えるもんやな。……しっかし寒気がするわ。
「おぉお!ありがとうございます!でも盗撮は犯罪なので後で事情聴取しますね!
 隠してる品があったらそれも押収です!……あと、使えるなんて道具みたいな言い方は、感心しません」
《前半部分さえなければ感涙物のセリフじゃったのに!》

少しだけ声のトーンを落として、リヨナが諫言を零した。
とても真摯な振る舞いに見えた筈である――その前に欲望丸出しの発言を駄々漏れにしていなければ。

>「地精霊のブログを炎上させる――!」
「えぇー!無事ゴール出来るかすら地精霊さんの匙加減一つなのに恐れを知りませんね!?
 て言うかここって地精霊さんの手のひらの上、あるいは腹の中ですよね。
 あれ、何か不吉な事を言っちゃった気がしますよ私!」
《巨大生物の腹の中がダンジョンって、冷静に考えるともの凄い恐怖なんじゃが。
 生殺与奪権委ねすぎじゃろう常識的に考えて。ジャブジャブ様の腹の中とか》

巨大なラスボスが律儀に主人公達を狙ってくれるのも、よくよく考えてみればお約束の一種だ。
勿論、媒体がゲームである以上そこは目を瞑る所なので気にしたら負けである。

>「ふふっ、あんなデカいだけの玩具は僕がチャチャっと片づけてやる」
「カッコイイですね!素敵です!もうますます好きになっちゃいます!
 でも死亡フラグの臭いがプンプンするので気をつけて下さいよ!自動車事故だって慣れた頃が一番危ないんですから!」

リヨナは延々と叫び通すだけで、ゴーレムに攻撃を仕掛ける気配はまるでない。
完全に外野の気分になっているようだ。

>『そうだ!No.774がよくメールで伝えるジェン君と先輩悪魔を掘るのが先だ』
「最近めっきりガッチーさんを見なくなったと思ったら何で立派なホモキャラになってるんですか!?
 そこは空席でも全く問題ありませんよ!?」

そもそもガッチーがホモキャラだと言うのは完全にリヨナの思い込みなのだが、それは今更払拭出来るものでもなかった。
237ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/07(月) 21:23:17.89 ID:dKyzQPeO
ジェンタイルやローゼン達が必死にゴーレムとの戦いを繰り広げている中、
浜田は悪寒に震えながらバファリンを口にしていた。
ミラクルエースがベルトのバックルから取り出してくれたのだ。

《俺やがな。浜ちゃ〜ん、はよ気付いてやぁーかぜの精霊ry》
浜田の頭の中で、誰かの声が聞こえる。きっと幻聴なのだろう。
しかし、うっすらと黄色の伊達めがねをかけた男の姿が見える。

「すまんな、ミラクルエース。なんか頭がごっついたなってん。」

ミラクルエースはゴーレムの足元にパチンコで爆竹を投げ込みながら
浜田の様子を見つめていた。
「気にせんでええんやで。俺の半分は優しさで出来てるからな。
しかし、この爆竹全然効いてへんなぁ。不良品ちゃうか。」

そんな浜田達の背後で不気味な呻き声が聞こえる。
振り向いた先には、頭をハゲ散らかした気持ちの悪い妖怪みたいなのが
いる。
よく見ると、そいつは山崎。いや、地の精霊に操られた
「ヤマラム」であった。

「コムゥ〜すべるの怖いよぉ。コムゥ〜」

何事かを叫びながらヤマラムは凍えるような妖気を放ちながら
ゴーレムと戦うパーティ一行に襲い掛かった!!
ジェンタイルの横では正体不明の外人美女が片言で何かを言っている。
「ヤマラムハ、オコッテイルノヨ。カンキョウヲハカイスル、ニンゲンタチニ」
しかしそれは、凄まじい棒読みである。

―その頃、ダイナマイト四国は。


「地の精霊さん。中々強いなぁ、こりゃ参ったよ。
次はミートカーソルをオートでやらせてくれてもいいかい?
え?ダメ?そこを何とか頼むよ・・・」

ダイナマイト四国は地の精霊と一緒にパワプロをしていたのであった。

238ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/07(月) 23:58:27.73 ID:+Z6TNobd
>「ビィーーー!!!ビィーーー!!!緊急事態発生!!!緊急事態発生!!!」
「え、なに、何が起こった!」
メタルクウラが突然けたたましい電子音的な声を上げた。
同時に何か大量の物体がこちらへ向かって全力疾走してくる気配。
>『『『『『大丈夫か!!!メタルクウラ!!!』』』』』
「ぬわーーーーーーーーーっ!?」
五人くらいの量産型メタルクウラが出現し、俺たちを取り囲む!
なんという地獄絵図。俺は臀部が無意識にキュっと引き締まるのを覚えた。
>『そうだ!No.774がよくメールで伝えるジェン君と先輩悪魔を掘るのが先だ』
「俺言ったぞ!!何回も言った!!くそみそは自重しようって!!!何回言わせんだ!!!」
>「やるならジェンタイルをやれ!ジェンタイルを!」
「あっこの野郎!メタルクウラ!大先輩がブリーフ一丁の扇情的な格好でお前を誘惑してるぞ!」
醜い被害の擦り付け合いだった。パーティーの信頼関係とかあったもんじゃない。
やっぱ人間こうじゃなくっちゃ!助け合いなんてウソウソ、みーんな水面下じゃ足踏みあってんだよ!
>「クウ君達! それはジェン君じゃない! あのデカいのがジェン君だ! 行けええええええええええええ!!」
そのとき!掃き溜めに鶴の一声。
なんかもうあらゆる意味で光の勇者ローゼン様の出した号令によってメタルクウラ達はゴーレムに跳びかかる。
俺たちの貞操は守られた。守られたけどガチムチメタルマッチョに圧迫されたストレスで俺は死にそうだった。

「っへ……世話かけちまったなローゼン……ゴフッ(吐血)」
もみくちゃにされへなへなになって地面に崩折れる。HPの緑ゲージが小指の先ほどもなかった。
これがモンハンならHPギリギリで各種パラメータUPするところだけど残念ながらこの世界はドラクエ準拠である。
ステータス画面が真っ赤になるだけだった。走馬灯のようにこれまでの冒険の数々が頭をよぎる。
……やべー、ロクなことした記憶がねえ。
今まで何やってたんだっけ俺たち。かに将軍で宴会やって湖畔村で縁日行って……温泉村で温泉入って。
「ただの観光旅行じゃねえかっ!」
なんで死にかけてんの!?
<<ふー煽った煽った。ID真っ赤になるまで張り付いてやったわ>>
[四大精霊使ってやることがこれですか!こっちは忙しいというのに余計な仕事を……]
>『次はミートカーソルをオートでやらせてくれてもいいかい?え?ダメ?そこを何とか頼むよ・・・』
後ろでパワプロのBGM聞こえてんだけど!何遊んでんだこっちがバトル展開やってる裏で!
<<よくわからんがミニモニじゃんけんぴょん的な話してる?>>
ハロプロじゃねーよ!ああ、野球拳ともかかってるのね!よくわかってんじゃねーか!

劣勢だったゴーレム戦は次第に押し返し始めてきている。なんだかんだで総力戦だもんな。
こっちには四大精霊2柱に光精霊、大悪魔に機械生命体、芸人とフルメンバー、いやガッチーがいねーや。
「あれ?そういえばガッチーどうしたの?お前らと一緒のパーティーじゃなかったっけ」
ってな感じに話の核を捉えんとしたそのとき!
>「コムゥ〜すべるの怖いよぉ。コムゥ〜」
「ぎゃあああああ!水死体みたいなんがおるううううう!」
新手のモンスターか!?「くさった死体」の親戚的なもんか!?
>「ヤマラムハ、オコッテイルノヨ。カンキョウヲハカイスル、ニンゲンタチニ」
突如として隣から発せられたカタコトに俺はビクっとなって振り向く。知らないお姉さんがいた。
「環境破壊云々は水精霊のイベントでやり尽くしたじゃないスかァー!二度もやらねーよあんなテーマ!
 ちょっ、リヨナさん、っていうか水精霊。ちょっと相手してきてよあいつ。同じプロ市民同士話とか合うだろ!」
239ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/08(火) 01:45:02.92 ID:z3uuMppx
>236
>「カッコイイですね!素敵です!もうますます好きになっちゃいます!
 でも死亡フラグの臭いがプンプンするので気をつけて下さいよ!自動車事故だって慣れた頃が一番危ないんですから!」
「大丈夫、初日で事故死して以来ペーパードライバーだからな!」
裏の意味は初日に死んで以来まだ死んでいないという事だ。

>237-238
「っへ……世話かけちまったなローゼン……ゴフッ(吐血)」
ボロボロになって崩れ落ちるジェン君の上半身を抱きおこす。
「死ぬな! くっ……、こんな世の中に誰がした!?」

>「あれ?そういえばガッチーどうしたの?お前らと一緒のパーティーじゃなかったっけ」
「はぐれたんだけど。そっちにもいないか。今頃シドってたらまずいなあ」

操られてるっぽい山ちゃんが現れた。
>「コムゥ〜すべるの怖いよぉ。コムゥ〜」
なるほど、すべる事への恐怖に付け込まれて操られているんだな!
「滑る事を恐れるな! すべったっていいじゃないか!」
歩み寄ろうとして、なぜか地面に落ちていたバナナの皮を踏んで滑って転んだ。孔明の罠だ!

>「ヤマラムハ、オコッテイルノヨ。カンキョウヲハカイスル、ニンゲンタチニ」
地精霊も環境破壊する人間に怒っているのか! だとしたら迷わずこっち側に力を貸すべきじゃないか?
そりゃあ人類滅亡させれば環境破壊は無くなるけどそういうわけにも……わけにも……。
『ガクガクブルブル』
水精霊の時に全てお見通しでご主人様乗っ取らせて余裕綽々だった光精霊がガクブルしとるー!?
>「環境破壊云々は水精霊のイベントでやり尽くしたじゃないスかァー!二度もやらねーよあんなテーマ!
 ちょっ、リヨナさん、っていうか水精霊。ちょっと相手してきてよあいつ。同じプロ市民同士話とか合うだろ!」
『ごめん、環境破壊云々は誰かさんの十八番なんだ……。
気を付けないと蘇生システムの是非と並ぶストーリーの根幹になりかねないぞ!』
「んみゅ? 何を言っているんだ光精霊。とにかく水精霊さんお願い!」
240メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/08(火) 06:25:22.44 ID:S8Mpk5jd
うむ、私のCPUは復旧したようだ。
援軍にやって来た5人の私が場の空気を読んでか、ゴーレムに襲いかかっている。
ゴーレムの金属掴み取り大会って奴だな。
一人を除いて嬉々としてゴーレムの金属をもぎ取っている。
5人の私達は私が目覚めるのを見ると、一人を除いて帰って行った。
彼らにも別の世界での生活があるのだ。
この場に留まってばかりではいられない。

>「環境破壊云々は水精霊のイベントでやり尽くしたじゃないスかァー!二度もやらねーよあんなテーマ!
>ちょっ、リヨナさん、っていうか水精霊。ちょっと相手してきてよあいつ。同じプロ市民同士話とか合うだろ!」

『帰る前に本物のジェン君にプレゼント!』
No.1000のあいつには催促されたので、画像付きで色々とメールを送ったからなぁ。
No.1000は場の空気を読んで自重してたのだろうな、ジェンタイルの尻に尻尾をしっかりと突っ込んでから瞬間移動で逃げて行きやがった。
この一撃でジェンタイルの世界が変われば、私達の旅の目的は果たされるのだろう。

私は私達の手によって露出されたゴーレムの核を、目から放った破壊光線で爆破した。
これで、邪魔者抜きで話し合えるだろう。
私もおそらくは邪魔者にしかならないであろうから、私はみんなよりも先に進んでいく。
私の何かが訴えてくるのだ。
この洞窟の最奥で私達を待っている者がいると。
私に対するイベントが何も無ければ、先輩悪魔の補助魔法で地を蹴る力も大幅に上がった。
すぐに私達を待つ者に出会えるであろう。
241リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q ::2011/03/08(火) 21:28:53.90 ID:kdWiXD4c
>「あれ?そういえばガッチーどうしたの?お前らと一緒のパーティーじゃなかったっけ」
>「はぐれたんだけど。そっちにもいないか。今頃シドってたらまずいなあ」

「うーん、私も分からないんですよね。どこ行っちゃったんでしょう。
 ……でも、何でジェンタイルさんがガッチーさんの事を気にするんですか?」

首を傾げて疑問を零したリヨナは、しかしすぐに口元に手を当てて「あっ」と気不味そうな声を上げた。

「いえ、何でもありません!勿論私は衛士ですから、万が一ジェンタイルさんが
 人より変わった愛の形をお持ちだったとしても変な目でみたりしませんから!安心して下さい!」

しかしすぐに瞳に正直な光を灯すと、ジェンタイルの右手を両手で包んで強く握り締め、言い聞かせた。

>「コムゥ〜すべるの怖いよぉ。コムゥ〜」

「滑るのが怖くて地精霊に取り憑かれるなんて……これがホントの地滑りですね!
 なーんて、私なんかこんな下らないギャグしか飛ばせないんですから、安心して下さい!
 私はいつも面白楽しく見せてもらってます!見るの年末くらいですけど!」

ここぞとばかりに良い事を言ったと、リヨナが得意げにふんぞり返る。

>「ヤマラムハ、オコッテイルノヨ。カンキョウヲハカイスル、ニンゲンタチニ」
>「環境破壊云々は水精霊のイベントでやり尽くしたじゃないスかァー!二度もやらねーよあんなテーマ!
 ちょっ、リヨナさん、っていうか水精霊。ちょっと相手してきてよあいつ。同じプロ市民同士話とか合うだろ!」
>「んみゅ? 何を言っているんだ光精霊。とにかく水精霊さんお願い!」

《え、ちょ……そ、そんな急に言われても……、わ、妾どうしたらいいか……》

「だから何でクラスで大して目立たないけど運動会で大役を任せられちゃった子みたいになってるんですか!?
 しゃんとしましょうよ!」

《だって!妾そんなに環境問題とか詳しくないし!中の人以上に頭のいいキャラは書けないって皆言ってるし!》

「安易にメタネタに逃げれば許してもらえると思っちゃダメですよ!ほら!何でもいいですから!空気白けちゃいますって!」

《何か宴会芸を強要するみたいになっとるぞよ!?》

「あーもう、煮え切りませんね!仕方ありません!こうなったら僭越ながら私が衛士隊の交渉術を披露するしかありません!
 その名も【憎対言語】《ネゴシエイション》!成功率はなんと100%!まさに口先の魔術師ですよ!そりゃあ!」

吐き出した言葉の背を追って地を蹴り、リヨナはヤマラムへ肉薄。
首筋めがけて、加速と体重を乗せた神速の手刀を放った。
242ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/08(火) 21:48:51.54 ID:kdWiXD4c
>>239
>「環境破壊云々は水精霊のイベントでやり尽くしたじゃないスかァー!二度もやらねーよあんなテーマ!
>ちょっ、リヨナさん、っていうか水精霊。ちょっと相手してきてよあいつ。同じプロ市民同士話とか合うだろ!」

「同じテーマを2度やるのは、俺のネタキネシスのせいやな。」
ミラクルエースは何種類かのキネシスを使えるのだ。
他にも、ワゴキネシス(人が押したワゴンを少しだけ動かす能力)などが
使えるぞ。
ミラクルエースが外人女(キャサリン)の胸元を注視しながら
語りかける。おそらくEカップ以上はあるだろう。

>>239>>241
>「滑る事を恐れるな! すべったっていいじゃないか!」

ローゼンの必死の叫びも虚しく、それはバナナの皮に吸い込まれていく。
その様を見たヤマラムは苦悶の表情を浮かべて再び叫び始めた。
あれはいつだっただろうか。ハイテンションベスト10の「ベイブレードの王者山ちゃん」
での松本の言葉。

《うわ・・・こりゃぁひでぇや》
《うわ・・・こりゃぁああひでぇええやぁ》

「や、ヤマちゃん・・・滑るの?滑っちゃうのぉ?」
自問自答するように首をカクカクしながらリヨナの近くへ迫る魔獣、ヤマラム。

>「滑るのが怖くて地精霊に取り憑かれるなんて……これがホントの地滑りですね!

リヨナの超絶なギャグセンスに浜田、ミラクルエースの顔が
素に戻る。
「イケナイワ、ヤマラムガサムイクッキー・・・ク、クウキヲサッチシテワ」

浜田「うわ、こいつ今クッキー言うたで。ええ乳しとるから許したるけど。」

浜田のやらしい目線は置いておいて。
再び寒さへの恐怖に震え始めたヤマラムが痙攣を始める。
「ヤマちゃん、滑るの?・・・滑らねぇよぉお!!
ヤマちゃん、滑るのぉ?・・・滑らねぇえええよぉっ!!」

突如、鬼の形相と化したヤマラムが右手にナイフを持ちリヨナへ突撃する。
「むむむむむ、アイムヤマラムゥ!!アイキルユゥー!!」

浜田「それチャッキーやん。自分無茶苦茶やな。」
浜田の横を擦り抜けるように、顎のしゃくれたプロレスマスクを
被った男が駆け抜けていく。
243ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/08(火) 21:54:44.84 ID:kdWiXD4c
「ザキさんっ!!今、助けてあげますからね!!トゥー!!
”鮫成分―シャークワクチン!!”」
彼の名前はエキサイト中国。ダイナマイト四国とは、借りたAVの
履歴が被るくらいの凄まじい犬猿の仲である。
好きなものは鮫。技名のだいたい鮫を付ければいいと思ってる典型的な
アホである。
エキサイト中国(以下省略してシャクレ)は、ヤマラムの膝小僧に極太の注射を打ち付けた!

>「あーもう、煮え切りませんね!仕方ありません!こうなったら僭越ながら私が衛士隊の交渉術を披露するしかありません!
>その名も【憎対言語】《ネゴシエイション》!成功率はなんと100%!まさに口先の魔術師ですよ!そりゃあ!」

とろい動きで迫るヤマラムをリヨナは瞬時に回避する。
当然の結果ながら、リヨナの一撃はヤマラムの後頭部にクリティカルヒットした。
「・・・あばばばばば」

泡を吹きながら昏倒するヤマラム。それをシャクレが介抱する。
「あんな使えない小太り(ダイナマイト四国)は置いといて、私を是非使ってください。
さぁ、浜田さん!!」

浜田「自分、田中やろ。そのシャクレ具合で分かるわ。」
一体、誰が彼をこんな哀れな姿にしたのだろうか?
いや、最初から哀れな姿だったのかもしれない。

名前:エキサイト中国(ココリコ田中)
職業:傭兵
性別:男
年齢:30代後半
身長:180cm以上
体重:やせてる
性格:根暗
外見:汚いマスク、不潔そうなパンツ
備考:正体はココリコのキャラが薄い方。鮫がアホみたいに大好き。
ダイナマイト四国とは犬猿の仲。
244深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/03/08(火) 23:35:38.13 ID:fkipkh09
>「っへ……世話かけちまったなローゼン……ゴフッ(吐血)」

「おぉっと大丈夫かジェンタイル!いやダメだな!これはもう助からないだろう!だが安心しろ!
 私なら、いや私だけがお前の命を助けてやれる!こんなのはお前だけにしかしてやらないんだぞ!
 これを逃したらもう助からないからな!それに今なら新たなる力も付いてくる!さあ!今こそ私と契約しようじゃないか!」

崩れ落ちたジェンタイルに、ここぞとばかりに影が駆け寄った。
ご丁寧に、細身で上品な、濃紺に灰色のストライプが走ったビジネススーツに着替えていた。
浮かべた笑顔は完璧過ぎて、かえって美術品めいた雰囲気を感じさせる。
忘れず装備した細い眼鏡の位置が、右手の指先で整えられた。
左手は契約書らしき紙束を抱えている。準備は万端らしい。

「と、こんな文句でセールスやら何やらに迫られても釣られちゃいけないからな。
 こんなって言うのは具体的には、無闇に危機感を煽ったり、
 『自分だけが』『お前だけが』と特別感を強調したり、『これを逃がしたらもう』だなんて切迫感を押し付けてきたり、だな」

眼鏡に触れていた右手の人差し指だけを立てて、影が講釈を始めた。

「ちなみに『今なら』『今だけ』なんてのも、判断を急かして誤らせる言葉だな。有体に言えば『脅迫』だ。
 直接的か、間接的に切迫感を抱かせるかの違いはあるがな。
 加えて人間は目先にちらつかされた『お得感』にも弱い。
 三つ買ったら一つタダで提供します、って言われたら何となく買いたくなるだろう?
 だがよくよく考えてみればそんなのは、ただの25%オフでしかない訳だ。
 ま、要するに大切なのは自分の必要な物、欲しい物をちゃんと見極めろって事だな。
 何?結論が当たり前過ぎるって?ははは、その通りだ。だが出来ない奴がいるのもまた事実だろう?
 
 どこぞの青い奴だって、黄色い先輩の言った「自分の願いをちゃんと見定めて」
 って忠告を無視したからあんな目にあった訳で。私に言わせればあんなのは見苦しい自業自得だよ。
 ん?何の事か分からない?ははは、だったら気にする必要はないさ」

一通り語り終えて、影は満足気に頷いた。

>『次はミートカーソルをオートでやらせてくれてもいいかい?え?ダメ?そこを何とか頼むよ・・・』

「サクセスモードでカーソルをオートにしてると、実はタイミングが合いすぎてかえって凡打になるらしいな。
 本当かどうか、もう長らくプレイしていないから分からないがな。
 ちなみに私はパワプロよりもパワポケの方が好きなんだ。ふざけ倒しながらも締める所は締める作風が気に入っていてね。
 アレは感動的ですらあるよ。おっと、こう言うとまるで、この世界みたいじゃないか?はっはっは」

とは言ったものの、油断していると馬鹿にならない後味の悪さを刻み込まれるとは、影は言わなかった。
興味本位でプレイした誰かが地雷を踏めば、それは悪魔である彼にとって、とても愉快な事なのだから。

>「環境破壊云々は水精霊のイベントでやり尽くしたじゃないスかァー!二度もやらねーよあんなテーマ!

ジェンタイルの叫びに、影がぴくりと反応を示した。
また新たな講釈のネタを見つけたと言わんばかりに微笑んで、口を開く。

「ちなみに、環境問題と言うのはこれまた人を騙すには、とても便利な物なんだ。
 人間は『使命感』を得た時、驚くほど盲目的に、目標に向かって突き進む。
 しばしば、それが他人から提示された目的である事さえも忘れてな。
 どこぞの世界の童貞君なんか、丁度そんな感じだろう?
 そして環境問題は同時に『罪悪感』も人に植え付ける事が出来る。
 『使命感』と『罪悪感』、それらの板挟みにしてやれば、鞄や家電を買わせるくらい容易な事なのさ。
 勿論、他にも色んな要素が関わってくるんだけどな。この二つだけで人を踊らせられる訳ではないさ。
 また、これは全ての環境問題への取り組みを否定しているのではないよ。
 そりゃ中には立派な信念を持って取り組んでいる人間だっているだろう。
 
 だが、私がこうして語った悪魔の知恵を持つ者は、思った以上に世の中に溢れている。
 大切なのは、確固たる意志をもって行動する事だ。自分が何をしたら、どうなるのか。何がしたいのか。
 必要な物は何か、必要な事は何か。それらをちゃんと自覚した上で行動出来ないと、私のような奴に食い物にされてしまうぞ」
245ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/09(水) 00:11:39.07 ID:JYeuoHvz
>240
>『帰る前に本物のジェン君にプレゼント!』

このままではジェン君が串刺しになって死ぬという未来が見えた。
幸い皆空気を読んで見事にスルーしているので、まだその未来は確定していない。
僕は後手キャンを強行する事にした。
具体的にはジェン君に襲い掛かろうとしているメタルクウラにマヌーサみたいなのをかけておいた。

>242-243
要するにヤマラムとの交渉は成功したようだった。
「すごいぞリヨナちゃん!」
そしてまた新芸人が登場した。どうやって入ってきたのかとかいちいち気にしたら負けである。

>244
大先輩がまたジェン君に付きまとって講釈を垂れている。
「早く行くよ!」
どうしてさっさと行かずに競争相手を誘うのかって?
「このままだとクウ君が一番に着いちゃう!」
クウ君が一番に着くとどうなるか。普通に考えればクウ君は今章はジェン君のパーティーだ。
が、どう見てもジェン君たちを攻撃してばかりなので僕の側の刺客と捕えられる可能性もある。
それなら万々歳だが、調子に乗って第三勢力を打ち立てるという暴挙に出てしまったら非常に困る。
3パーティー同時進行はさすがに細分化しすぎである。
246ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/09(水) 04:17:20.88 ID:78QEqoh8
>「その名も【憎対言語】《ネゴシエイション》!成功率はなんと100%!まさに口先の魔術師ですよ!そりゃあ!」
満を持してリヨナさんWith水精霊の繰り出した交渉術は、チョップだった。
いやいやいや!魔術でもなけりゃ口先でもねーよ!看板に偽りありすぎだろ。神聖ローマ帝国みたいな。
何一つ有限実行しねーなこの女!雰囲気だけで喋ってんじゃねーだろーな。
さてさて、崩折れるヤマラムを抱くのは新キャラ。……新キャラ!?このタイミングで!?
>「あんな使えない小太り(ダイナマイト四国)は置いといて、私を是非使ってください。さぁ、浜田さん!!」
>「自分、田中やろ。そのシャクレ具合で分かるわ。」
なーんだ、ココリコの細い方か。その昔ジョージアのCMに出てなかったっけ。うろ覚えだけど。
<<吾はおはスタで見たぞ>>
懐かしいな。レイモンドってまだ現役なの?

>『帰る前に本物のジェン君にプレゼント!』
「ひいいいいいい!?」
ゲストメタルクウラの一体が尻尾おっ立てて飛び掛ってきた!
名古屋駅前ミッドランドスクエアの如くそそり立った鋼の剛直が俺の尻に突き立たんと迫る!
>>245
貞操の死を覚悟したそのとき!メタルクウラのステータス画面に異常が発生!
"まぶしいひかり"のバッドステータスを受けたメタルクウラ′(?)の攻撃はミスに終わる。
「た、助かった……!」
誰だか知らないけどマジありがとう!誰だか知らないけど!(強調)
ゴーレムはなんやかんやで倒された。俺攻略法とか全然わかってなかったけどなんとかなるもんだな!
「あ、あれ?メタルクウラ?」
爆煙晴れる頃、他のメタルクウラ達とともに、側にいたはずのメタルクウラ本体が消失していた。
見れば一人でスイスイ奥に進んでやんの。ダンジョン内での単独行動は死亡フラグだってのに!

>「早く行くよ!」
同じ感想を抱いたのかローゼンが発破をかける。
>「このままだとクウ君が一番に着いちゃう!」
それには概ね同意なんだけど、この段階で俺たち足並み揃えて行くのって結構微妙な結果を生みそう。
今回俺たち憂国愚連隊と光の勇者パーティは競争関係にある。
あらかたのダンジョンバトルも終了したことで、こっからはマジで参加者同士の苛烈なデッドヒートが予想されるわけだ。
地精霊の提示した条件に、"相手を打ち負かすこと"は記載されてなかった。
つまり、完全な早い者勝ち。より速く地精霊のもとに辿り着いた方の完全勝利ということになる。
ので。
「はっはーっ!敵に塩送りまくってる場合じゃないぜローゼン!だって俺たち――」
懐から取り出したるはブックオフで時間潰してる時にローソンでからあげクンと一緒に買ってきたスタングレネード。
爆音と閃光で視界及び平衡感覚を奪うための非殺傷兵器。閃光音響手榴弾である。
「――悪い子なんだぜーーーっ!!」
使い方がよくわかんなかったので目を瞑ったまま中のマグネシウム粉末に直接魔法で火を点けた。
炸裂する。
瞼を閉じても眩しいと分かる閃光と、耳栓越しでも脳を揺さぶる大音響。
洞窟みたいな狭い場所で使えば威力はことさらに強力だ。俺はふらつく足で踵を返し、メタルクウラを追って走りだした!

目下の問題はメタルクウラだ。万が一だけど、あいつが第三勢力として地精霊に捉えられた場合。
世界を覆す知慧と力が、あのHENTAIメタロイドの手に渡ってしまうということ!それだけは回避しなければならぬ。
だってロクなことに使わねーのは目に見えてるもん!
「まちゃーがれメタルクウラっ!俺の側から離れるな、お前一人でイカせるかよ――って大先輩が言ってたよ!」
大先輩はまた一人でブツブツ喋ってたけど、ぼっちをこじらせたに違いない。手遅れだ。現代医学が敗北した瞬間であった。
「あばよ勇者一行!伝説の知恵(?)は俺達のもんだ!」
もとより連中にそこまでスタングレネードが効果あるとは思っちゃいない。
水は音の伝達を和らげるし、光は言わずもがな。芸人軍団はそもそも生物なのか怪しい。
のちのちの事を考えるに、ここで少しでもアドバンテージを獲得しておくことが肝要なのだった。
247メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/09(水) 09:14:11.98 ID:5AGFrOsk
「何なんだ、この音は?」
私は後ろから聞こえた爆音に足を止め、後方を振り返る。
ローゼンやジェンタイル達に何か起こったのか?

>「まちゃーがれメタルクウラっ!俺の側から離れるな、お前一人でイカせるかよ――って大先輩が言ってたよ!」

ジェンタイルが私に追いついてきたのを見ると、ただ単にこいつがローゼンの妨害をしてきただけなのだろう。
私はジェンタイルと共に再び走り出し、走ってる最中に何かを踏んでしまった。
カチッと足下から音がする。
そして、一瞬にして足下の地面が泥沼に変化してしまった。
幸いなことに泥沼は腰まで浸かる程度の深さしかなく、足が底に着いた。

「む、すまないな。
トラップに引っかかってしまったようだ」
私達は泥沼の中心部に位置しており、目測から計算して見たところ、直径10mの円形をしている。
私は急いで泥沼から出るために足を動かした。
248ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/09(水) 21:18:38.07 ID:HtsQYOv9
「…ぶぇっくしょっ!チクショウ、誰か噂してやがるな」
横隔膜は着ぐるみの中の筈なんだがこういうのは拘束と関係ないのか。
[――拙より地味なくせに噂されるとは怪しからん奴だ]
「うーん、実態はともかく字面としては地精霊の方が“地”味の称号にはふさわしいんじゃないか?」
[――やかましい。つべこべ抜かすとフード被せて地蔵にするぞ]
「…地蔵か…やはりどこまでも地が付いて回るn」
素直な感想を述べただけなのだが地精霊のお気に召さなかったようだ。地精霊は私のセリフを遮り

奇数…私の腕を操って私の喉を締め上げた
偶数…私の足下の土に穴を掘り首から下を埋めた
249深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE:2011/03/09(水) 21:21:17.87 ID:HtsQYOv9
「何だか私の講釈が非常に不当な扱いを受けた気がするぞ」

大宇宙からの意思めいた何かを受信したのか、影が不満げに唇を尖らせて呟いた。

>「はっはーっ!敵に塩送りまくってる場合じゃないぜローゼン!だって俺たち――」
>「――悪い子なんだぜーーーっ!!」

閃光が洞窟を満たした。暗闇の全てが薙ぎ払われて、一瞬、影の動きが止まる。
彼は悪魔であり、影だ。故に光の下でも動く事が出来るし、暗闇の中を自在に動く事も出来る。
だが一切の影が存在出来ない状況では、孤立せざるを得ないのだ。

「……分からないなぁ、ジェンタイル」

しかし、それも一瞬。次の瞬間には、影は這い戻ってきた闇を伝ってジェンタイルの隣に現れていた。

「確かにこの競争では、相手を倒す必要はない。だが倒した方が確実で、有利なのは間違いないんだぞ?
 例えばさっきの爆弾、アレが閃光弾ではなく破片手榴弾だったら。競争はもっと有利になっていた。
 怪我をさせれば連中のペースは落ちるし、炎精霊の加護を重ねれば、完全に動けなくする事だって可能だった」

影の冷ややかな視線が、ジェンタイルを貫く。

「あぁ、すまないな。分かり難かったか?要するに……何故アイツをここで殺してしまわなかったんだ?」

さも当然の事を尋ねるように、影の声は平然としていた。

「友達だからか?じゃあアイツが友達じゃなかったら、殺していたのか?だったら何故あの衛士だけでも殺さなかった?
 それとも自分の手を汚すのが嫌なのか?だったら私に頼む事だ。勿論代価は頂くが、安い買い物だぞ。
 何せアイツとはこれから何度も、ぶつかる事になるんだからな」

そうとも、と影は言葉を繋ぐ。

「意見が平行線である以上、これから先も必ずお前とアイツは衝突する。平行線なのに衝突と言うのも変だがな。
 いつか絶対に、アイツを排除しなければならない時が、アイツがお前を排除しようとする時が来る。
 だとしたら、ここでアイツを殺さないのは、問題の先送りでしかないじゃないか。そう、ただの逃げだ」

影の声色と眼光は冷冽を極めて、酷薄なほどに真剣だった。

「聞き流していたのなら、もう一度言ってやろう。よく聞いておく事だ」

重苦しい静寂を一拍挟んで、影がつい先ほどの言葉を繰り返す。
250深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE:2011/03/09(水) 21:24:10.23 ID:HtsQYOv9
「お前は何をして、どうしたいんだ?お前に必要な物は何だ?必要な事は何だ?
 それを見極めるのは、『世界を変える知識』なんかよりもずっと大切な事なんだぞ」

静かな、しかし薄氷の刃を思わせる音律で、影はそう告げた。

>「む、すまないな。
 トラップに引っかかってしまったようだ」
「おいおい、慌てるな。泥沼に踏み込んでしまったら足を動かした所で無駄だぞ。
 反作用が正常に得られなくなるんだ。強く踏み込めば踏み込むほど、泥に沈んでしまう」

笑いながら忠告する影は、しかしそれ以上何かをしようとはしない。
手を貸そうとも、助け出そうともせず、沈んでいくメタルクウラをただ見ていた。

「……やったじゃないかジェンタイル。今はこちらにいるとは言え、奴も本質的には光の勇者の一味だ。
 加えてこれは事故であり、奴の不注意だ。お前の手は汚れないし、お前は何も悪くない。
 奴を見捨てれば、間違いなくお前は目的の実現に一歩近付く。逆に助けてしまえば、遠のく事になる」

囁きながら、これ見よがしに、影はジェンタイルに打楽器の構えを取った右手を見せつけた。。
一度鳴らせば、メタルクウラに刻んだ強化の刻印は姿を変えて、束縛の呪印となる。

「さぁ、これは一つの決断の時だぞジェンタイル。お前は何をして、どうしたいんだ?」
251メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/09(水) 22:16:47.55 ID:5AGFrOsk
>「……やったじゃないかジェンタイル。今はこちらにいるとは言え、奴も本質的には光の勇者の一味だ。
>加えてこれは事故であり、奴の不注意だ。お前の手は汚れないし、お前は何も悪くない。
>奴を見捨てれば、間違いなくお前は目的の実現に一歩近付く。逆に助けてしまえば、遠のく事になる」

先輩悪魔は何を勘違いしているのだろうか?
私は光の勇者の一味ではない。
と言うより、ローゼンのように光の勇者ごっこをして楽しむ趣味は、残念ながら私には無い。
私はローゼンとジェンタイルの友達なだけだ。

>「さぁ、これは一つの決断の時だぞジェンタイル。お前は何をして、どうしたいんだ?」

先輩悪魔が指パッチンをして、私の足は止まる。
ジェンタイルに覚悟を決めさせたいようだが、私を巻き添えにするのはやめてもらいたかった。
幸いにも口ぐらいは動かせそうだ。

「ジェンタイルよ、私はお前がどんな道に進もうが、絶対に友達だ。
それだけは信じろ。
そして、私がどんな道に進もうが、友達でいてくれ」
私の思いはジェンタイルに伝えた。
あいつがどんな道に行ったとしても、友達らしく絡んでやるさ。
252ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/09(水) 23:19:53.75 ID:HtsQYOv9
私の手が私の喉を締め上げるという何とも馬鹿馬鹿しい光景のおかげで私はそれ以上喋れなくなった。
(着ぐるみって手首から先は外に出てるだろう普通。さっきまで土木工事とかやってたし。何故操られ…)
[――腕の筋肉と神経だけでもある程度なら手を動かせる。ピアノ弾かせる訳でなしそれで充分だ]
(ふうん…けどそうしたところで実は鍵括弧が丸括弧に変わる…だけ……だった…り……し……)
意識がだんだん遠くなり体が崩れるように倒れるのを他人事のように感じる。そういえばこの体が死んだら私はどうなるのだろう。
[――残念ながらこの方法では死なない。酸素供給が絶たれて体が動かなくなれば操る効果もなくなるからな]

(……コラ人殺し)
とりあえず丸括弧で考えられるようになるまででも随分かかった。
[――誰も殺していないし殺そうともしていないが]
(あーまだ何かごちゃごちゃと…もう何でもいいや…お前どうしてそんなにオレを敵視するわけ?)
思えば最初に聞いておくべき条項だった気がする。
[――相応しい器を持ちながら精霊との契約を拒む者だからだ]
(その訳わかんない過去はオレ個体と関係ねえだろ…しかも何だその押し売りみたいな屁理屈は)
[――人は精霊を敬い精霊に導かれ歩むべきもの]
(お前……どこの唯一神だ?思想が千年単位で古いな)

どうも私とこいつら精霊とはこの体の祖先云々の因縁を別にしても相性が悪いというか思想を異にするようだ。
私は体が動くようになった瞬間に操られて半殺しの無限ループから逃れる方法を考え始めた。
253ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/09(水) 23:23:29.87 ID:pQNg0oPY
「よかったやないか。山ちゃんも元通り、友達とも再会や。」

ジェンタイル達とローゼンの再会を心から喜んでいる様子の浜田。
しかしミラクルエースだけは浮かない顔をしていた。
ミラクルエース「(あかん・・・う○こ漏れそうや。)すまん、トイレないか?」

別の理由だった。
こんなアホは置いておいて、早く地精霊の心をこちらに振り向かせなければならない。
悪の手に精霊の力を手渡すなど、あってはならないからだ。
しかし、浜田は深く考えるのが苦手である。
ジェンタイルと大悪魔のやり取りを見つめながら、頭を掻きつつ言葉を投げかける。

「まぁ、俺にも上手いこと言えへんしカッコつけるのもアレやけどな。
……男の仕事の八割は決断や。あとはおまけみたいなもんやで。
自分が信じたことを、自分で突き進んだらええがな。
その結果、ローゼンちゃんと向き合うことになったとしても……や。」

いつになく生真面目な表情で語りかける浜田。
しかしその鼻からは異常な長さの鼻毛が覗いていた。
254ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/10(木) 00:37:55.49 ID:oJgWEJy1
>246
>「はっはーっ!敵に塩送りまくってる場合じゃないぜローゼン!だって俺たち――」
ジェン君が物騒なものを取り出した! 悪い先輩の影響であんな物で遊ぶようになってしまったのか!
とっさにリヨナちゃんに覆いかぶさる。
>「――悪い子なんだぜーーーっ!!」
幸い、痛みは無い。冷静になって考えればいくらなんでもジェン君がゼロ距離で殺傷兵器投げつけるわけない。
そして閃光の目くらましは僕には大して効かない。
「悪い子を更生させる先生はハンディ付けてでも同じ土俵に立ってやんないとな!」
走りだしかけて石に躓いて転んだ。爆音のほうの効果はしっかり受けていた。
>「あばよ勇者一行!伝説の知恵(?)は俺達のもんだ!」
「待ちなさーいアホジェン! 僕だってその気になれば後ろから一突きに出来るんだぞ!」
物騒な脅しをかけておいた。もちろん光の精霊剣で後ろから背中を刺すことが出来るという意味である。
背中よりもうちょい下を刺すんじゃないかとか思った君はすでにクウ君に悪影響を受けている。
とにかくあんな賢いアホが知恵を身に着ける事ほど最悪なものはない!

>253
>「よかったやないか。山ちゃんも元通り、友達とも再会や。」
「喜んでる場合じゃないよ! 早く追いかけなきゃ!」
>ミラクルエース「(あかん・・・う○こ漏れそうや。)すまん、トイレないか?」
「あるわけないでしょ! RPGの登場人物が何言ってんの!?」
このままスルーしたいところだったが、音響さんが調子に乗ったようで、BGMが切り替わってしまった。
ttp://www.youtube.com/watch?v=eF5w-lRoC18
何がトト便器だ何が! こんなBGMじゃあつい笑ってしまってシリアスシーンが出来たもんじゃない。
『こっこれは……”う○こが漏れないように我慢しながらトイレに向かうゲーム”!』
ということはこの文字通りの糞ゲーをクリアするまでBGMはこのままってことか!?
何考えてんだ音響さん!

変なBGMのまましばらく進んでいくと、奇跡的に直径10メートルのトイレを発見した。
なぜかその中をジェン君と大先輩が只事では無い雰囲気を醸し出しながら覗き込んでいる。
追いつくのが早い気もするが、大先輩がいつもの調子で講釈しまくればすぐ追いつかれるのは当たり前である。
クウ君の姿は見えないがすでに先にいっているのだろう。
何はともあれこれでBGMをまともなダンジョンの音楽に戻すことができる!
「あったよ!」
255ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/10(木) 03:03:24.09 ID:n4Wf/u6y
ローゼンたちを出し抜き、駆けていく過程で影から大先輩が追随した。
スタングレネードの巻き添えになったはずだけど、悪魔って奴は物理法則で動いてねーからな。驚きはしねー。
>「……分からないなぁ、ジェンタイル」
大先輩は、渋い顔をしていた。心底理解出来ないといった口調で言う。
>「確かにこの競争では、相手を倒す必要はない。だが倒した方が確実で、有利なのは間違いないんだぞ?」
>「あぁ、すまないな。分かり難かったか?要するに……何故アイツをここで殺してしまわなかったんだ?」
「………………」
不意に出された不穏な単語と、それを叩きつける鉄槌のような口調に、俺の思考も少し停まった。
言ってることが解せないわけじゃない。むしろ正論ではあるから。俺は二の句を継げなかった。
>「お前は何をして、どうしたいんだ?お前に必要な物は何だ?必要な事は何だ?
 それを見極めるのは、『世界を変える知識』なんかよりもずっと大切な事なんだぞ」
絶対零度の視線と語調が、俺の心に氷柱をつくり、右脳と左脳の隙間に差し込まれた気分だった。
思考と言葉の直結が解除され、過程と結果がイコールで結ばれなくなる。
上手く答えを出せないまま、俺たちはメタルクウラに追いついた。

>「む、すまないな。トラップに引っかかってしまったようだ」
メタルクウラは地面から生えていた。
真夏の水田のように、腰から下を泥沼の中に沈めて、脱出しようと藻掻いてる最中だった。
なにかにつけてオチつける奴である。落ち着きのない奴ではあるけど。
「オーケ、ちょっと待ってろ。今手を……」
>「……やったじゃないかジェンタイル」
差し出した手を、追撃の言葉が阻む。
>「奴を見捨てれば、間違いなくお前は目的の実現に一歩近付く。逆に助けてしまえば、遠のく事になる」
メタルクウラを見捨てて、このまま地精霊に会いに行けば、俺が一番乗りだ。
そしてこの先ずっと、こいつからの妨害を受けず、今よりずっとスムーズに旅は進む。目的にも近づく。
>「さぁ、これは一つの決断の時だぞジェンタイル。お前は何をして、どうしたいんだ?」
それはやっぱり、悪役の理論で。
――完膚なきまでに、正論だった。

>「ジェンタイルよ、私はお前がどんな道に進もうが、絶対に友達だ。
 それだけは信じろ。そして、私がどんな道に進もうが、友達でいてくれ」
メタルクウラの言葉と。
>「自分が信じたことを、自分で突き進んだらええがな。
 その結果、ローゼンちゃんと向き合うことになったとしても……や。」
追いついたハマちゃんの言葉が、揺れる。ないまぜのごちゃまぜで、俺という主体が揺らいでいく。
「…………そうだな」
俺はその揺らぎの底に沈殿した"結論"を掬って、秤に載せた。
<<目的のために殺すとか俺そんなキャラじゃねーしって言えばよかろう>>
うん……なんていうか本当に申し訳ないんだけど前科があるんだよね。初期のキャラ設定で。
あとこの辺ギャグで流していい問題じゃない気がする。少なくとも、真剣に検討するべき命題。
目的に邪魔なら殺した方がいいのか。障害は、永遠に排除してしまった方がいいのか。
「俺の目的は――」
結論は、とっくに出てる。だって、
「――簡単に死なない世の中を作ることだから」
その為に死んでもいい命があるなんてことは、この俺が許容しない。
絶対にだ。

俺はメタルクウラに刻まれた印を炎で焼き飛ばし、その手を掴んだ。
「つーか大先輩よお、なにか勘違いしてるかもしれねーけど」
あっ無理、引っ張り上げようと思ったけど俺の貧弱な筋力じゃ無理ですわこれ。ハマちゃん手伝って!
「死んでも生き返る世界でさ、そりゃナンセンスってもんだぜ」
そのとき、BGM商業ルートに乗ったのが不思議なぐらい冒涜的な歌に切り替わった。
>「あったよ!」
ローゼン!なにそのBGM!お前がこっち来てから鳴り始めたんだけど、そういうキャラでしたっけ!
いや違う。ヤツの後を猛追する影。ミラクル仮面(だっけ?)がケツを抑えながら突進してくるではないか!
「め、メタルクウラ!早く出ろっ!シリアスパート終了のお知らせだっ!
 泥沼、トイレ、うんこ漏れそうなおっさん、この組み合わせ……おそらく未曽有(みぞゆう)の大惨事になる!」
256メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/10(木) 07:46:20.91 ID:NDvW8o+B
>「め、メタルクウラ!早く出ろっ!シリアスパート終了のお知らせだっ!
>泥沼、トイレ、うんこ漏れそうなおっさん、この組み合わせ……おそらく未曽有(みぞゆう)の大惨事になる!」

ジェンタイルは私の胸の印を焼き消し、私は束縛から解放される。
私の手を掴み引っ張り出そうと、ジェンタイルは頑張っているのだが、相変わらず力は無いようだ。
私はエネルギーを放出して、泥沼からジェンタイルの手を握ったまま飛び抜けた。

「あぁ、私もあれは趣味には合わない。
さっさと離れてしまうのが吉だな」
後ろから賑やかなローゼン一行がやって来る。
その一行の中にお尻を抑えた人がいるのだ。
あのまま泥沼に浸かっていたのならば、とんでもない事態に巻き込まれていただろう。

私は後ろを振り向かずに、ジェンタイルの手を握り締めて、前へと走った。
257リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q
初めに届いた「ピン」という短く軽快な音が前兆となって、凄まじい閃光が轟音の産声を伴って暗闇で弾ける。
直前に、リヨナは咄嗟に渾身の力で跳躍、両手を広げてローゼンの前に文字通りの盾となって躍り出ていた。
恋心よりも何よりも、衛士として身に染み込んだ後天的な本能が、リヨナを衝き動かしたのだ。
目を閉じていても瞼をすり抜けて網膜を焼く閃光に、リヨナの体が硬直する。
――が、痛みはない。

「……ただの閃光弾でしたか。あーあー、まだ耳鳴りがしますけど……何とか行けそうです」

閃光弾を投げられた時、既の所で水精霊が耳孔に水の膜を展開していたのが救いとなった。
足裏が捉える地面の感触は確固たるもので、十全の疾駆が可能であるとリヨナに伝えている。

「助かりました、水精霊さん」
《妾とて、伊達に世界を救う旅をしとった訳じゃないぞよ。これくらいはな》

手短かに感謝を告げて、リヨナは駆け出した。

>ミラクルエース「(あかん・・・う○こ漏れそうや。)すまん、トイレないか?」
>「あるわけないでしょ! RPGの登場人物が何言ってんの!?」
「って、えぇー。今まさにデッドヒートの終盤戦が始まるって時にそれはないでしょう!?
 もう……じゃあ私、ちょっと先行しますね。トラップ踏んだりしたら大惨事ですし」

盛大に転びかけた体勢を何とか持ち直して、今度こそ前進する。
先行者がいる時点でトラップの危険性は大分薄らいではいるが、万が一にも失敗は許されない。
何より、先行者自体が新たなトラップを仕掛けている可能性も、考えにくいとは言え、あり得るのだ。
しかしリヨナの警戒に反して、彼女は何の問題もなく先行者――ジェンタイルの後ろ姿を認められる距離に達した。
一旦足を止めて、松明の火を消し、リヨナは道の端に沈殿する闇に身を隠した。

「何だ、あまり進んでないんじゃないですか……。さて先ほどのお礼を、かるーく……」

にやりと、リヨナが笑みを浮かべた。
右手で刀を模って、足音、呼吸、ありとあらゆる気配を断ち、忍び寄る。

>「あぁ、すまないな。分かり難かったか?要するに……何故アイツをここで殺してしまわなかったんだ?」

だが、にわかに聞こえた不穏な響きに、足を止めた。
けれどもそれは、ほんの一瞬だけだ。すぐにリヨナは密やかな歩みを再開する。
腰に吊るしたポーチから、汎用のロープを取り出して。
膝を軽く曲げ、腰を落とし、獲物を狙う猛虎の魂を宿す。
無論、気配は完全に断ち切ったままで。
ジェンタイルの返答次第では、一足飛びに距離を詰め、彼を捕縛するつもりだった。

>「ジェンタイルよ、私はお前がどんな道に進もうが、絶対に友達だ。
 それだけは信じろ。そして、私がどんな道に進もうが、友達でいてくれ」
>「自分が信じたことを、自分で突き進んだらええがな。
 その結果、ローゼンちゃんと向き合うことになったとしても……や。」

気配を殺したリヨナは誰にも悟られる事なく、事の顛末を観察する。

>「俺の目的は――」
>「――簡単に死なない世の中を作ることだから」

そしてジェンタイルの返答に、止めていた息をゆっくりと、安堵を交えて吐き出した。
嬉々を宿した微笑みを浮かべながら、手にしていたロープをポーチに戻す。

「……あー、ジェンタイルさん!やっと追いつきましたよ!さっきはよくもやってくれましたね!」

大声を上げて、リヨナが岩陰から飛び出した。

「逃がしませんよ!さぁローゼンさん、行きましょう!……え?先行した筈なのに何で後ろからって?
 まぁ細かい事はいいじゃないですか!それより急ぎましょう!きっとあと少しですよ!」