ドリームチームが犯罪者を追い詰める...

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1創る名無しに見る名無し
捕まる側の犯罪ドリームチーム(●ーシャンズシリーズ)があって何で捕まえる側にはないのか?
様々なジャンルのエキスパートがときには対立し、ときには協力して犯罪者を追い詰めても良いのではないでしょうか?

【概要】
 暗い過去を持つ元剃刀現在飲んだくれ捜査官、トラウマを持つ元敏腕スパイパー、人の心を読む「メンタリスト」、訳あって第一線から退いてたプロファイラー、
 変人の数学・物理学者、曲者ハッカー、死者の声が聞ける能力を持つ一般人‥どっかで聞いたことある設定の登場人物が集められ協力して犯人を追いつめる

【設定】
・舞台はFBIロサンゼルス支部

【注意】
・企画の性質上、登場人物が死亡する描写や、残酷な表現が含まれています。
・スルー検定9級実施中です。荒らしは華麗スルーしてください。それが紳士淑女の条件です。
・シェアードで進行します
2創る名無しに見る名無し:2011/01/01(土) 21:50:19 ID:s52/D/Sn
テンプレ

・(人物名)
(人物説明)
(簡単な経歴)
3創る名無しに見る名無し:2011/01/01(土) 22:24:48 ID:2632l1Fp
なぜ無いのかというと、その系統の連中は
「天才ひとり居れば十分」だからだろうな
4創る名無しに見る名無し:2011/01/01(土) 22:29:31 ID:s52/D/Sn
>>3
そうでしょうね
その考えを打ち破ってチームになっていくと面白いんですが
5創る名無しに見る名無し:2011/01/01(土) 23:48:46 ID:NLqtTc9E
これは伸びない
6 ◆mLJUIwJB5M :2011/01/02(日) 00:54:33 ID:OosshIpx
伸びないのは分かるが面白そうだ
正月だけど風邪で暇だし書いてみようかな
まぁ埋めた方がええかもしれんけど…www
7>>1:2011/01/02(日) 01:36:39 ID:D+/QaAnM
>>1
ありがとうございます
8>>1:2011/01/02(日) 01:37:33 ID:D+/QaAnM
連投ですいません
>>1>>6の間違いです
9創る名無しに見る名無し:2011/01/02(日) 09:20:04 ID:YpOk3pw0
一番大切なのは名推理者の引き立て役になる助手ポジションの奴だからな
10>>1:2011/01/02(日) 14:59:54 ID:D+/QaAnM
>>9
これは推理する作品と言うよりCSIやクリマイみたいな作品を目指しているので…
あの手の作品に助手的ポジションの人っていましたっけ?
11創る名無しに見る名無し:2011/01/03(月) 18:02:37 ID:YNbLSla6
支援age
12創る名無しに見る名無し:2011/01/03(月) 18:03:36 ID:YNbLSla6
sageになってたorz
13創る名無しに見る名無し:2011/01/04(火) 01:32:20 ID:s3bHvBKf
>>9
ワトソン役が十数人うろうろしてるさまを想像してみた……



うぜええええええええ!!!!!!!
14創る名無しに見る名無し:2011/01/04(火) 14:34:54 ID:QiwzT93p
まあそう言うな、むしろホームズ物ならワトソンはまっとうな常識人だ。
最悪なのはホームズに相当する奇人な天才がゾロゾロ出て来る方だろうw
15>>1:2011/01/04(火) 17:02:10 ID:wqrjDWUV
>>13-14
確かに奇人変人が多めに出てくるのは普通の人には悪夢ですね…
個人的には色んなタイプが出てくるのが一番いいと思います
16恒河沙阿僧祇ナユタ:2011/01/04(火) 20:16:03 ID:L1MTo63R
はじめまして!WEB作ってみました!
遊びに来てね!
http://www.pixiv.net/member.php?id=2662202

「あなたのインスピレーションやイマジネーションを
抑えてはならない。 『模範』の奴隷にならぬように。」
by Vincent van Gogh
17創る名無しに見る名無し:2011/01/05(水) 16:19:25 ID:lCVAmEL+
>>16
自室の壁とかゴミ箱と相談していてくれ
18創る名無しに見る名無し:2011/01/05(水) 23:50:09 ID:EtrtpvEi
19創る名無しに見る名無し:2011/01/06(木) 12:33:59 ID:2XGHFCC+
>>1
元ネタの「どっかで見たような連中」をそのまんま使ってあらすじを書いてみれば
何がネックになりどう解決しなければならないかはすぐ見えて来るんじゃないか。

俺は「どっかで見たような奴ら2人」、
元剃刀の刑事と霊が見える人、敏腕スナイパーとプロファイラーとかなら話になるとは思う。

これで一番難しいのは、「犯人」をすさまじく多方面で有能な奴にしないと
チームの人数が増えれば増えるほど見せ場の確保が難しい(プロファイラー1人でクリアできるなら他は必要ない)のと、
一個の専門分野の天才だけでもたいがい大変になるはずのリアリティある事件解決プロセスを
全員について組み上げていかなければならない労力の点だと思うが

これをできるのであればそれはそれで見てみたい。
20創る名無しに見る名無し:2011/01/07(金) 18:42:40 ID:2uBoQtDC
職人マダー?
21創る名無しに見る名無し:2011/01/08(土) 18:28:09 ID:NQlQ3Pgp
支援
22>>1:2011/01/10(月) 02:26:10 ID:vuZll0M9
>>19
ごもっともです
是非とも職人に来てほしい!そして物語を作ってほしいです
23創る名無しに見る名無し:2011/01/10(月) 11:50:23 ID:ZEYettBG
人任せでスレ立てたらダメだろう。
>>1がやるべきだ。
24創る名無しに見る名無し:2011/01/10(月) 14:12:40 ID:1qxnfPiu
>19
いっそのこと犯人側もチームにするっていうのはどうかな?
25創る名無しに見る名無し:2011/01/10(月) 14:19:38 ID:ZEYettBG
>>24
それも考えたんだが「善悪の超能力者チームが戦う」とかと違って
全員がひとつの場面に集合してやりあうわけじゃないのと

犯罪者チームって

一蓮托生だったらそのうちの1人(たとえばメンタリストが自白させようとする犯人A)だけ倒せば芋づる式に全滅、
そうでなければ「まず実行犯Aを刑事が捕まえてメンタリストが吐かせ、次にその情報を元に一個上のBを……」みたいな
結局ひとりずつ相手の連戦になりそうな気がするんだよな。

多方面でいっせいに、みたいな構成ができればいいんだろうけど
正直ちょっと思い浮かばない。
26創る名無しに見る名無し:2011/01/10(月) 18:48:10 ID:8bdmo0Da
敵をモリアーティみたいな犯罪組織の運営者にするとかどうよ
・事件がある程度大規模になるから見せ場は多くなるし噛ませの敵やモブも出しやすい
・組織の強大さ、影響力の大きさなどから少数のスペシャリストで協力する必然性を作りやすい

もうひとつ、
各分野の専門家が特技を駆使して真相を探し当てるも別の専門家の真相と矛盾して〜ってのを延々続けて、
最終的にみんな頭を抱えたところでワトソン役がぽろっともらした一言がきっかけで全貌が明らかになる
というのも考えたけどこれはギャグにしかなりそうもないし趣旨から外れるな

どっちにしろ自分じゃ具体的な脚本までは考えられんが
27創る名無しに見る名無し:2011/01/11(火) 00:58:28 ID:Ga75842C
数学者やメンタリストはコンサルタント(協力している人)って感じで良いんじゃないかな
これなら隔週入れ替えできるし
28創る名無しに見る名無し:2011/01/12(水) 16:30:55 ID:ai4la7K+
>>26
いいね!
犯罪コンサルタントか!アメリカならありそうだし面白そうだ
29創る名無しに見る名無し:2011/01/12(水) 23:10:11 ID:ai4la7K+
>>28に追記

いっそ組織名がモリアーティで
30創る名無しに見る名無し:2011/01/14(金) 21:42:59 ID:VeazPdGl
支援age
31>>1:2011/01/16(日) 17:52:41 ID:oRINglaj
なかなか来れなくてすいません
>>23-30まで見て設定を追加します

・事件に暗躍する謎の犯罪組織とその運営者たち
32創る名無しに見る名無し:2011/01/18(火) 21:23:12 ID:kxYPTctK
24の最終シーズンに出てきた●が沢山のデスクトップで互いに顔の知らない幹部が会議するわけですね
33創る名無しに見る名無し:2011/01/21(金) 22:39:05 ID:td7sbunX
>>13
助手五人(五組)のやつならある。
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8D%E6%8E%A2%E5%81%B5%E7%99%BB%E5%A0%B4
34創る名無しに見る名無し:2011/01/22(土) 20:51:06 ID:QIqZ4m8f
>>33
こんな感じのFBIもので良いんじゃね?

犯罪組織 VS FBIドリームチーム
35創る名無しに見る名無し:2011/01/23(日) 00:00:22 ID:NM2zbVHf
考えたプロットだけど、

1、探偵学園Qに出てくる冥王星のような巨大な犯罪組織が闇サイトを通じて心に様々な闇(誰かを殺したいなど)を
  持つ人達を募って、その人たちにその方法及び必要な凶器などを送ってくる。もちろん送り主は不明。

2、上の人が事件を起こす。サイトを通じているため全国で事件が多発する。そうすると全国の警察は様々な探偵に協力を依頼する。
  名探偵コナンなど王道もいれば、喰いタンの高野聖也、ガリレオの湯川学など各々の得意とする分野がある探偵を登場させることで
  個性が被ることを防ぐ。

3、2の探偵たちが事件を解決していくうちに警察は一連の事件に隠された共通点を見出し、影に巨大な黒幕が隠れていることを察知する。
  その組織に対抗するため、全国から探偵が集められる。これがドリームチーム。

4、2の事件を一つずつジグソーパズルのように組み合わせて考えていくことで、組織の狙いやその正体に
  迫っていく。

5、組織との対決。一斉検挙からの大団円。

こんなところか。ちなみに他の探偵は「ミスター・ブレイン」の九十九さん、古畑任三郎、「万能鑑定士Qの事件簿」の
凜田莉子、デスノートのLなどを考えていた。
36創る名無しに見る名無し:2011/01/23(日) 17:08:08 ID:eLJutrPg
>>35
あれ?アメドラの刑事ドラマオマージュじゃなかったっけ?
【設定】
・舞台はFBIロサンゼルス支部
って書いてあるし、探偵は出てこなくていいんじゃね?主役はFBIだろ
それぞれのキャラを捜査官や学者にすればいいと思うけど
>>1見る限り民間人は、霊能力者だけじゃね?学者やメンタリストは
FBIコンサルタント(協力している人)だろうし...
霊が見える能力がある探偵にしてもいいと思うけど
37創る名無しに見る名無し:2011/01/23(日) 18:41:29 ID:KrEIgsWa
テスト
38創る名無しに見る名無し:2011/01/23(日) 23:08:09 ID:921IT4L+
>36
そうでした…まあ>35のプロットはクロスオーバー小説のネタに流用するとして、
霊能力者は非常にいいアイデアだと思います。ただ、霊が見えるメリットを考えたときに
何があるかということですね。自分は、殺人事件の現場とかあるいは迷宮入りのせいで地縛霊に
なってしまっている霊が見える能力者がいて、微妙な表情から人間の嘘を見抜くカル・ライトマン博士
(Lie to me 嘘は真実を語るという米国ドラマの主人公、FBIに捜査協力している)と組んで表情を伝え、
解析してもらった結果、どうやらFBIの捜査結果とは違う事情が見えてきた、っていう展開を思い浮かべた。
39創る名無しに見る名無し:2011/01/23(日) 23:15:38 ID:IU5OqNX1
アメリカならやっぱクライマックスは核施設乗っ取りとかか
銀行強盗とか殺人とかの局地的な事件の重なりが実は全部そのための布石だった感じで
40創る名無しに見る名無し:2011/01/23(日) 23:17:59 ID:eLJutrPg
>>38
そんな感じだろうね
俺もメンバーの中にいる能力者と科学第一主義者が当初はいがみ合ってたが、最終的に
協力し合う展開が頭に浮かんだ。
ただ、これって既存の作品のクロスオーバーなのか?
「どっかで見たことある設定の...」って>>1に書いてあるしオマージュって
だけでクロスオーバーじゃないんじゃないかな
基本オリジナルの展開だと思う
>>35>>38のプロットの登場人物の名前変えるだけでいいと思うけど
41>>1:2011/01/24(月) 20:56:45 ID:QILpTpOE
皆さまありがとうございます。
>>36
その通りです。この作品は探偵ものではありません。
FBIがメインの作品です。ですが、探偵が登場するのはOKです。
>>38
この作品は基本登場人物はオリジナルでお願いします。
説明不足でした。すいません。
>>39
終盤でそうなるのはありだと思います。

あと事件の全部が全部、犯罪組織が関わってなくてもいいです。
42>>1:2011/01/24(月) 20:59:23 ID:QILpTpOE
連投ですいません。
>>41
終盤でそうなるのはありだと思います。



長編でそうなるのはありだと思います。

に訂正します。


43創る名無しに見る名無し:2011/01/25(火) 00:33:49 ID:HlQ13qer
作品つったって
おまえ別になんにもしてないじゃん
44創る名無しに見る名無し:2011/01/26(水) 20:55:53 ID:syuo+oUX
>>43
まぁまぁ
45創る名無しに見る名無し:2011/01/26(水) 21:50:50 ID:IxgMBnf/
>43
作品の性質上、十分な構想を練る時間も必要でしょうしそう急かすこともないのでは?
まあ、>>1が現状どんなプロットを練っているのかだとかそれを示す必要はあるでしょうが。
僕たちの意見におんぶにだっこで、>>35>>38だとか名無しの考えたプロットをそっくりそのまま拝借しようとか
考えているのならスレを立てたこと自体に疑問符が付きますが。
とにかく、>>1に対して言いたいのは、今後継続的に連載を続けていける具体的な話の筋を考えて一度
僕たちに示してほしいということです。
46創る名無しに見る名無し:2011/01/29(土) 21:21:57 ID:YDcI30H9
ところで誰かFBIの資料持ってない〜?
47創る名無しに見る名無し:2011/01/29(土) 21:23:44 ID:H8+28PuU
>>46
手を挙げたらハッキングして逮捕するつもりだな?
48創る名無しに見る名無し:2011/01/30(日) 18:24:14 ID:Xd5MeU2v
>>47
考え過ぎだろwww
49創る名無しに見る名無し:2011/01/31(月) 01:55:41 ID:H9ONPUx3
敵キャラも考えないとな
民間軍事会社とか無政府主義者とか快楽主義者、麻薬カルテルetc...
50創る名無しに見る名無し:2011/01/31(月) 01:57:48 ID:H9ONPUx3
連投スマソ
>>45
別におんぶにだっこでもいいんじゃね?
議論して案に肉付けしていけばいいだけの話だし
51創る名無しに見る名無し:2011/01/31(月) 18:23:23 ID:aclkYR0P
大まかな敵の行動とかは決めたいな
例えば首都破壊テロとか
どんな目的なのかとか
ただ、>>1は一話完結にしたいようだがそれは中々厳しくないか?w
出来れば普通に繋げたほうがリレー的にやり安い気がする
52創る名無しに見る名無し:2011/01/31(月) 21:06:21 ID:H9ONPUx3
>>51
FBIロサンゼルス支局だから西海岸全域テロとかか?
別に首都テロも合同捜査でできるけど
こういう大掛かりな話は後半にして、前半はこじんまりした殺人じゃないかな?
チラチラ敵組織が見え隠れさせて、殺人→連続殺人→要人親族誘拐→テロ とグレードアップさせればいいんじゃないか?
53創る名無しに見る名無し:2011/02/01(火) 00:19:52 ID:QfstxhF8
俺が考えたのはこうだ。

そもそもの舞台設定が第三次世界大戦後とかの近未来の都市で
ロサンゼルスならロサンゼルス、なんならアメリカ合衆国単位で
明確な「敵(国)」が存在し、
それに対抗するために政府もそうとうな管理社会化を進めている。
(ただし主要登場人物の全員が、公務員の者でも末端に属しているので
 この機構の全貌は読者の前にあからさまな形では出てこない。)

やってくる超犯罪者なりテロリストなり犯罪結社なりは
この「敵」の息がかかった連中であることが比較的初期から明らかになっていて
各種のエキスパートである主人公らは共同してこれに対抗する(事件を解決していく)が、
やがて自分たちの属している社会/機関の上層部の
一部または全体がこの「敵」とグルになっている、またはヘタをすれば敵そのものである可能性が浮上する。

そうなると今度は今まで協力してことに当たってきた他の主人公らの中にも
実際その「敵」の意を受けて動いている者がいる可能性も否定できないことになり
逆に、仲間だと思って気を許しすぎれば自分自身が「敵」として告発される可能性も出てくる。

こうして「自分と同等のしかし別種の特殊(推理)技術を持つ、表面上は仲間だがどこまで信用できるか分からない」連中と
腹をさぐりあい、本当に味方であるなら一刻も早く完全協力を果たして「上」または「敵」と戦わなければならない状況になる。
54創る名無しに見る名無し:2011/02/02(水) 17:23:25 ID:nFJKBe92
第3次世界大戦なんてまどろっこしいことしないで、現在のアメリカで良いんじゃね?
現実でも十分仮想敵はごろごろいるし、その敵と上層部がつるんでいてもおかしくない
55創る名無しに見る名無し:2011/02/02(水) 17:24:24 ID:nFJKBe92
忘れとった

FBI公式ホームページ
http://www.fbi.gov/
56創る名無しに見る名無し:2011/02/04(金) 21:18:52 ID:Jzmn/VxB
age
57創る名無しに見る名無し:2011/02/04(金) 23:20:43 ID:WDeXDc9o
最初から一本道でいくの?
それともメインとは別に1〜2程度別ルートが進行して、最後に実は一つの事件だったとかやるのかな?
後者ならメインのチームとは別次元の副主人公も絡ませられるよ。
例えばメインは「LAPD+大学の心理学教授(プロファイラー)」。
サブはサバン症候群気味の数学マニアで、一瞬でも見た光景は顕微鏡サイズに至るまで絶対に忘れない男とその友人(バカ)。
メインは普通に進行して、サブはワケも関連性も判らん瑣末な事項を追いかけて、友人をひたすらふりまわす。
で、その瑣末なことが。メインに捜査チームに必要不可欠な情報で……なんて風に転がす。
こうすれば、メインキャラが10人以上いても話は転がるよ。
58創る名無しに見る名無し:2011/02/05(土) 23:38:54 ID:auk+uAnm
>>57
FBI+LAPDと協力者がメインキャラなのはわかるな
59創る名無しに見る名無し:2011/02/08(火) 20:35:34 ID:EJ/SjAXf
まぁ日和見でいいんじゃね?
60創る名無しに見る名無し:2011/02/10(木) 21:36:21 ID:M9cidhqP
支援
61創る名無しに見る名無し:2011/02/13(日) 17:11:00 ID:8dt/qAXc
age
62創る名無しに見る名無し:2011/02/17(木) 18:08:41 ID:ugJu+bk3
支援する
面白そうだし
63創る名無しに見る名無し:2011/02/19(土) 01:41:34 ID:dY35uJkC
FBI VS 凶悪犯罪者&犯罪コンサルタント って副題がつきそうだ
64創る名無しに見る名無し:2011/02/20(日) 18:53:05.45 ID:nEKJW28t
誰か第一話書いてくれ〜
65創る名無しに見る名無し:2011/02/20(日) 19:38:21.56 ID:V2DmCOpM
自分でやれ
66創る名無しに見る名無し:2011/02/20(日) 23:27:16.29 ID:wDcl1W9C
設定羅列するだけかよ
67創る名無しに見る名無し:2011/02/21(月) 18:19:28.63 ID:+il052rm
age
68>>1:2011/02/22(火) 15:29:06.34 ID:0R7SfVyz
>>1です。
忙しくなかなか来られなくすいませんでした。
設定が曖昧な個所があり、混乱させてしまい申し訳ありません。
新しい設定を載せます。

・舞台設定は2012年
・主な主役はFBIとロス市警、一部民間人(研究者・探偵・自称霊能力者含)
・基本、話の流れは一本道で進行する。ただし、話の都合上仕方なくサブの別ルートが進行していくのは認める。
・FBIに新設されたチームが発足したところから開始

・敵組織は、犯罪に必要な知識・武器を提供する。ただし、必ず登場・関与しなくてもいい。
・敵組織の正体は、民間軍事企業や利益団体の複合体(開始時主人公たちは知らない)
・敵も一枚岩ではない。様々な考え・思惑が存在する。
・幹部たちもお互いの顔などは知らない。匿名でコンタクトをとりあっている。
・テロも当然ありうる(できれば後半)。

現時点では以上です。
69創る名無しに見る名無し:2011/02/22(火) 17:07:54.93 ID:UNYcXFRE
それより一話自分で書こうよ
70 [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2011/02/22(火) 20:03:37.26 ID:XVTXFIHi
>>53のアイデアで登場人物がみんな疑心暗鬼になっていくのが面白いと思う。

とりあえずこの路線と>>68の設定で短編のあらすじを考えてみた。
ドリームチームが直接敵と対決したら強すぎて話が続けにくいと思うから、
事件に巻き込まれた子供たちの救出チームということにした。

1. 2012年3月のある日、米国・メキシコ国境のサンディエゴ郊外で遠足中の
  幼稚園バスが行方不明に。乗っていたのは裕福な家庭の子供達ばかり15名。
  翌日炎上したバスと、運転手の死体が国境の森で発見された。

2. マスコミはテロ説、誘拐説などを報道するが真相は一般には不明のままだ。
  実は娘が前述のバスジャックで誘拐された国境麻薬捜査官に対して、メキシコの
  新興麻薬組織から大規模な密輸を黙認するよう脅迫状が出ていた。
  カリフォルニアへのメキシコ麻薬カルテルの侵食は相当に進んでいて、名士と
  呼ばれる人が、裏では組織の一員だったりする。国境管理の上層部には、
  今回の事件と対立する組織の息がかかった幹部もいるとの情報がある。
  彼は上層部に真相を報告できないまま、娘を助けたい一心で現場での
  密輸黙認の決断をする。

3. 麻薬組織のつきつけた要求は、子供ひとりあたり100tの密輸。コンボイに
  人質をかくして薬とともに米国へ返すが、全輸送が終わるまでに、事が公になると
  残りの子供を皆殺しにするという。

4. 麻薬捜査官は、15名の子供の保護者を秘密裏に集め、最後の一人が生還する
  まで、自分の子どもが助かっても絶対に裏切らない連帯責任を条件に、
  一人ひとり踏み絵のような意思確認を行った上で、釈放の順番をくじ引きで
  決める(捜査官の娘は最後と決めている)
71 [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2011/02/22(火) 20:05:34.58 ID:XVTXFIHi
つづき

5. 一方でFBIは他の麻薬組織から得た情報で、新興麻薬組織絡みの事件だと
  踏んで操作を開始していた。そのメンバーがドリームチームだ。

6. 捜査が進むほどに、今回の事件は被害者の保護者のうち、誰かが手引き
  した可能性が浮かび上がる。もう誰が味方か敵なのかはっきりしない。
  こうした中、子供の釈放順のくじ引きの駆け引きや、生還した子供の親の
  裏切り/制裁とか、人間模様が色々ある中、ドリームチームは決定的な
  証拠をつかめないまま人質はあと2名を残すのみとなった。
  
  残った人質の一人は捜査官の娘エレン。そしてもう一人は日本人の駐在会社員
  の息子タロー。日本人は地域社会とのつながりは薄いし、捜査官の娘は
  この事件に自分の子供を巻き込んだとしてみんなの目は冷たい。

7. そして、生還した子供の保護者数名が結託してCNNに緊急記者会見を申し入れ、
  誘拐事件を暴露。麻薬組織の非難と、しかるべき制裁を政府へ要求。
  この記者会見も誰かが仕組んだ疑いがあるが、その捜査に手もつかぬうちに
  同日、麻薬組織からは報復措置を取るとの発表。議会が対策をめぐって膠着する中、
  ドリームチームはメンバー各位全能力をかけて残る2人の救出することを決意。
  
8. 時を同じくして、国境地帯の森に捕らえられていた人質のタローとエレンは
  見張りが目を放した隙に森へ逃げこむことに成功。幼い二人の決死行が始まる。
  ドリームチームも記者会見を元にしたプロファイラーの推理でこの森を突き止め急行。
  二人の居場所はまだ特定できないが、霊能力者が森の精に二人の子どもの
  逃走を支援させる。二人を追うゲリラ兵士をドリームチームの特殊部隊隊員が
  始末しながら捜査網を狭めてゆく。

9. 米軍、メキシコ軍もようやく重い腰を上げた。ドリームチームの情報に従って
  互いの国境側から森を捜索してゆく。一方、森の中では激しい戦闘が続いて
  いた。ドリームチームは非戦闘隊員まで白兵戦を挑んだが、多勢に無勢。
  ほとんどが全滅してしまった。だが、残った最後の隊員は子供たちが森を
  米国境側へ抜けたことを確認して敵へ突っ込み自爆し、彼らが少しでも
  逃げのびる時間を稼いだ。

10. 森を抜けたところに陣取る米軍前線へ向かって走る子供たち。
   あと300m。だが、森の中からはスナイパーが狙っているらしく、間断なく
   銃声が響く。米軍スナイパーも必死で索敵するが見つけられない。
   その時、一人の黒人海兵隊員が無謀にも上官の制止を振り切って、突進する。
   海兵隊員がエレンを抱きすくめた刹那、森の奥からひときわ高い銃声が轟いた。
   訪れた一瞬の静寂。その時、タローはエレンを抱いた黒人兵士をかばうように
   堂々と四肢を開き、仁王立ちで森を睨んでいた。次の瞬間、世界が咆哮した。

ってな感じで。疑心暗鬼部分で、誰が敵だか分からない不気味さ、
その恐怖に駆られた人間のドロドロした身勝手さをうまく肉付けできたら
いいんだが。とりあえず一話書いてみるか?
72創る名無しに見る名無し:2011/02/22(火) 21:46:35.68 ID:wLADVWG8
叩き台になってしまうかもしれないが、お願いしたい
というか個人的に読んでみたい

理由?面白そうだから
73創る名無しに見る名無し:2011/02/22(火) 23:43:12.20 ID:0q4KuAHG
ひとつ問題がある。
1の設定に出て来るプロファイラーの活躍の場が70、71の展開だと作り難い。
もともとプロファイラーとか名探偵というものは、組織犯罪とは相性が良くないというか、最悪だ。
犯行に残された、犯人の心理的手がかりを追うことで犯人像を描き出すのがプロファイラーの能力だが、組織犯罪には犯人像もへったくれもないからだ。
ヴァンダインも「(名探偵が追いかける犯人は)犯罪組織であってはいけない」と言ってるよね?
もしこの展開で進めるなら、麻薬や犯罪組織を超えた本当の目的でも設定しないと、プロファイラーが活躍するのは難しくないかな。
74 [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2011/02/23(水) 14:58:24.10 ID:4+38tL/8
まあ、プロファイラーの活躍の場はちょっと地味になってしまうな。

70/71で書いた内容をベースにすると、例えば子供たちが釈放されていく
過程の中で、保護者の一人が変死を遂げる。抜け駆けで組織と個別交渉をし、
安全を確保した誰かが釈放順くじを高値で売りに出したのだ。そのくじをめぐる
争いの結果、死人がでてしまった。これをプロファイラがくじを引く人々の分析を
行って、くじを売った男をつきとめていく。この男を通じて組織の隠れ家、武装
などの情報があきらかになっていくって感じか。

昨日書いたのはドリームチームといっても超人じゃなくて、少し能力の高い
人間という前提にしたから、超人的な活躍という爽快感はないな。
75創る名無しに見る名無し:2011/02/23(水) 19:19:17.69 ID:BU0Ds7bQ
>>73
別に>>70 71は短編だからいいんじゃないか?
アメドラでも回によって空気なる奴もいるし

>>74
CSI:マイアミみたいに最後に犯罪者に対して名言を言えば爽快感はあると思う
76創る名無しに見る名無し:2011/02/23(水) 19:21:49.90 ID:BU0Ds7bQ
連レス スマソ

どの道第一話は、いかにドリームチームが結成されたかという回になりそうだな
>>75でも書いたけど無理に登場人物全体を活躍させる必要は無いと思う
77創る名無しに見る名無し:2011/02/23(水) 21:11:29.62 ID:3IPu2G+2
78創る名無しに見る名無し:2011/02/23(水) 22:47:43.59 ID:mFxffG6Z
71、72が第一話だとすると、メインの顔ぶれを一通り紹介した上で、各人のキャラが触りだけでも判るようにする必要があるね。
それに「チーム」と言うからにはメインメンバーが数人程度はいるだろう。
この数人のメンバーが一斉にしゃべったときの整理方法も最初の書き手は考えておく必要がある。
例えばプロフアイラーは「必ず英国風英語を喋る」なんて風に。
日本語で書くなら、それぞれが使う一人称を「オレ」「私(わたし)」「わたくし」「おら」など特徴的なものにする。
あるいは「頻繁に倒置法を使って話す」とか「ピンチになるとシャックリする」「ラッパー風に喋る」とか(笑)。
絵があればノープロブレムでも、文字だと誰が誰だかわからなくなるからね。

この手の連作、特に素人ライターによる連作では、他の人間に「続きを書きたい」と思わせる文章が書けなくちゃならない。
その中でドリームチーム感をどうやって出していくのかな?
79創る名無しに見る名無し:2011/02/24(木) 22:03:09.41 ID:iewKJOO4
SS来い!
80名無しの侍:2011/02/25(金) 23:30:44.00 ID:lt4l2CQk
読むだけじゃつまらんので、>>70>>71みたいに設定だけカキコむ
俺なりのシナリオ。

1、ニューヨーク市街地の銀行で地元大学生5名と元軍将校による銀行篭城事件が発生。
 地元警察とFBIが出動し、激しい銃撃戦が展開される
 一人の学生が仲間を裏切り降伏。一人が死亡。

2、仲間同士で裏切りあいが起き、更にSWATが突入。
 人質12名が死亡。犯人グループ1名を射殺。一名を確保。
 しかし元軍将校と日系の学生の逃走を許してしまう。

3、そんな中、現場から16マイル先の裏路地で保安官が狙撃され死亡する。
 犯人は元軍将校かと思われたが、同時刻に交通事故で死亡していた。

4、ドリームチームの見解は、強盗グループの共犯者説だったが、地元警察は、
 日系人の学生の仕業として公表する。
 そんな中、日系人の学生が自主し、警察署内で予想もしなかったことを口にする

5、そして、事件は思わぬ方向へと向かっていく
81創る名無しに見る名無し:2011/02/26(土) 10:24:15.38 ID:cxLp87Ao
アメリカでは、「学生」と「元も含めた軍人」にはあまり接点が無いな。
学生は通常「リベラル」なのに対し軍人は「保守」だからね。
ただ、敢えて「異質な存在が組んでいる」点から、何かを引っ張る方法もあるだろう。
展開案としては……
「イスラム系学生集団」と思われたのが、些細なこと(たとえばスライドストップがかかる前にマガジンチェンジした)から、軍人?が混ざっているらしいことが判る(←ここが軍事系プロの見せ場)。
一方現場では、犯人グループがとうとう人質の一人を処刑。
そのため、「プロ関与の可能性」が連絡されるより早く、市警SWATが現場突入!
直後、現場で爆弾が爆発!犯人全員と人実全員、そしてSWAT一部まで死亡という大惨事になる。
82創る名無しに見る名無し:2011/02/26(土) 10:26:02.39 ID:cxLp87Ao
上は単なる前フリ。
主人公たるドリームチームに、市警から捜査協力の要請が入る。
検死官(彼も後にドリームチームの協力者となる)が、処刑された死体の頭部銃創に不審の点を指摘したからだ。
頭髪の焦げ跡と銃創の位置・角度が微妙にズレているのだ。
犯行映像をコンピュータ解析したプログラマー(彼もチームメンバー)は……
「この銃は本物じゃない!たぶんプロップガンだね」
「何故そう判る?」
「おい×(=軍事系プロ)、アンタの筋肉頭なら一目瞭然だろ?」
「……なんだと……ああなるほどな、このガバメント、ショートリコイルしてねえや」
(*45口径のガバメントは一部例外を除いて必ず銃身がショートリコイルする)
人質を射殺したのは、カメラに写った学生ではない。
そもそも手にしたのがプロップガンであれば、テロだったのかさえ疑わしくなってくる。
……だが、報道カメラに写った20メートルほどの範囲には、別の射手は写っていない(ここで一種の密室トリックをしかける。目的は、名探偵的なプロファイラーを介入させるため)
さらに、爆弾破裂後の現場には、問題のプロップガンは残されていなかった。
パニック状態となっている現地警察にメンバーの一人が出向くと、駐車違反の件でカウン揉めている妙な男と出会った。
まわりくどい話し方をするその男は、ドリームチームメンバーと警官の何気ない話に突然口を挟んで来る。
「……貴公は自身の鼻が何処についているのかと、余人に尋ねられるのかな?」
そして男は、奇妙なたとえ話をはじめた……。
83創る名無しに見る名無し:2011/02/26(土) 14:55:03.63 ID:82+B1IbI
おお、面白そうじゃん。
84名無しの侍:2011/02/26(土) 15:16:53.66 ID:82+B1IbI
>>81できたら全員死亡はやめてほしい。

メインは一応、銀行強盗と警官狙撃事件だから。
生存者によって起こされた・・・かもとか
例えば,何のつながりもない6人がなんで?
もしかしたら、こいつは・・・・
実は7人?5人?こいつは犯人じゃなくて人質じゃ?

とか言う感じにしたい。
って言うのは、書き手の参考程度に・・・
85 [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2011/02/26(土) 15:47:47.11 ID:xhj4sraS
最初意味がわからなかったけど、プロップガンってモデルガンの事なんだな。
ドリームチームというからには各分野で相当深い考察が必要になるし、
専門的にならざるを得ないか。分かりやすく読ませるには書き手に
相当な下調べと力量が要求されるな。もしくは、わかるひとだけ読んでください
的な同人路線を行くか。
86創る名無しに見る名無し:2011/02/26(土) 17:47:33.79 ID:cxLp87Ao
プロップガンとモデルガンは別ものだよ(笑)。
プロップガンってのは、実銃の銃身にチョークと呼ばれる仕掛けをして、ブランクカートリッジ(いわゆる空包)のガス圧で自動拳銃を作動させる仕掛けをしたもののこと。
弾が出ないといっても火薬自体は本物を使うから、至近距離だとモデルガンよりはるかに危険。
空包で作動させるから、ガバメントならショートしないストレートブローバックになる。

 結局、「その道のプロ」なんだからプロらしい動きとか知識を披露できないと「プロごっこをしている素人坊や」集団になってしまい、「それの何処がドリームチームなの?」ってなことになってしまう。
しかしだからといって、あまりマニアに走れば誰もついて行けないし、そもそも書ける人間が限られてしまうだろう。
そこをどう処理するかが、「ドリームチーム」にできるか否かの分かれ目だろうね。

 私がよく使う手は、ありふれてるけれどもワトソン役だね。
超専門家の中に混じった「普通の優秀な捜査官」に汎用ワトソン役を演らせれば、うまくいくんじゃないかな?
87創る名無しに見る名無し:2011/02/26(土) 17:48:22.33 ID:82+B1IbI
アメリカのサスペンス系の小説はこれより、むずいから
88>>1:2011/02/26(土) 21:06:59.10 ID:EZcS5H6A
>>1です。お久しぶりです。
設定等ありがとうございます。
レギュラーが増えすぎると収拾がつかなくなると思ったので、一部ですが制限等を設けたいと思います。

●レギュラー(毎回登場する)
・FBIロサンゼルス支局(ドリームチーム)捜査官
主任+副主任+6名(先着) 計8名

以下は特に人数制限を設けない
●準レギュラー(隔週で登場する)
・FBIコンサルタント(FBIに協力している人たち)
物理学者やメンタリスト等はここに含まれる
・LAPD
・探偵
・民間人
登場人物の家族などはここに含まれる
・敵組織幹部
・FBI上層部
●ゲスト(その回限りの登場、ただし再登場可)
・被害者
・加害者
・その他民間人

テンプレ
・(人物名)
・(人物説明)
・(簡単な経歴)
・(登場頻度)←「レギュラー」・「準レギュラー」・「ゲスト」のいずれかをここに
89>>1:2011/02/26(土) 21:13:36.42 ID:EZcS5H6A
あと、皆さんにお願いがあります。
「ドリームチーム」は>>68にも書いたとおり新設されたチームです。
ドリームチームは正式名称ではなく通称です。
そこでですが、チームの正式名称にこれが良い!というアイデアがあれば是非書き込んでください。
おそらく最終的に独断と偏見で選びます。

募集要項
1.チームの正式名称

よろしくおねがいします。

現時点では以上です。
90>>1:2011/02/26(土) 22:26:31.50 ID:EZcS5H6A
追記
・検視官・科学捜査系→準レギュラー  に分類されます。
・プログラマー → レギュラー
91創る名無しに見る名無し:2011/02/27(日) 09:25:07.89 ID:a5uOoFzZ
なんか…横から口『だけ』は出すんだね…その癖に自分は具体的には何もしないとか…
まずはアンタがSSの一つでも書き上げろよと言いたい…マジ不愉快だよ…
結局アンタは何がしたい訳?…どうせ他の人がSS書いてくれても、アレが気に入らないだのコレが意にそぐわないだの文句だけ垂れるんだろうね…
一気にモチベ下がった…もうやってらんないわ…抜けさせてもらう
あとはアンタ一人で好き勝手にやんなよ…
あまりにも自分本位な>>1に嫌気がさした…このスレは見限る…じゃあな
92創る名無しに見る名無し:2011/02/27(日) 10:42:04.52 ID:CsB0rm/Y
この>>1のことは完全に無視してかからないと
スレの足が引っ張られるだけだな

なにいきなり出てきて仕切ってんだこのバカはw
93 [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し:2011/02/27(日) 16:15:00.52 ID:zuXkd1Cp
プロデューサー気取りで、他人ににアイデアだけ出させて、
それをあれこれ批評していくうちに、すごい作品になると
思ってるんだろう。俺達は軍鶏じゃないし、抜けさせてもらうわ。

プロップガンの詳細説明してくれた人、ありがとう。
ひとつかしこくなったよ。
94創る名無しに見る名無し:2011/02/27(日) 16:47:34.79 ID:SwMweITW
このスレのおかげで『フロップガンの使い方』を知ったわ。
ありがとね。




>>1がこんなんだから、これ難しいよ。sageようぜ
95名無しの侍:2011/02/27(日) 18:40:01.59 ID:uLcYW0/3
設定しか書き込んでないのに、口出しばかりじゃだめでしょう。
最初にまとめなきゃいけないだろ。
そういうのは、sS書いてからじゃないと。
せっかく面白そうなスレだったのに・・・・来た早々こんなことになったじゃなぁ。
あー畜生みんな戻ってきてくれよ。
>>1なんてほっといてさ、またやり直そうぜ。
せっかく、メンバーに恵まれたんだ〔>>1以外〕
せめて、誰かこれに似たスレ立ててくれないかなぁ。
96 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/02/27(日) 19:30:40.52 ID:bpyYBUhC
てか>>1って書いてあるだけで、本当に>>1なのかどうかもわからんわけで
とりあえずあぼ〜ん推奨
>>95
別にわざわざ新スレ立てなくてもここでやればいいんじゃない?
97名無しの侍:2011/02/27(日) 20:37:19.81 ID:uLcYW0/3
残念だけど、みんなリタイアしていった。復興は、絶望的。
98創る名無しに見る名無し:2011/02/28(月) 14:25:57.12 ID:g+/EVO/v
希望を捨てるな!
99創る名無しに見る名無し:2011/02/28(月) 19:23:58.75 ID:5GAZoMK1
予想外に早く崩壊したな。
ネタ的に思いつきでは書けない類のものだから、構想を出したり実作したりしようとすればかなりの努力が必要になる。
もしそこに注文だけつける住人が出てくればね、結果は見えていた。
そうならない展開は、腐れにくく打たれ強い書き手が、ガンガン書き始めるというものだったが…。
やってはいけないことをスレ主がやってしまったらいくらなんでもマズイだろうね。
強力な書き手が彗星のように現れない限り、もうこのスレに実作が投下されることは考え難いだろう。
100創る名無しに見る名無し:2011/02/28(月) 23:27:01.03 ID:g+/EVO/v
やってはいけないこと→プロデューサー気取り?

まぁ続けていけば希望はあると思うぞ
もともと悪くない内容だし
101創る名無しに見る名無し:2011/03/01(火) 12:30:21.00 ID:xTc3A0k5
>>99
正直に言うけどおまえが二番目に要らなかった。
評論家気取りも要らないんだよ。
102名もなき柳葉魚。:2011/03/01(火) 14:08:12.40 ID:Lg2nyO4+
やり直したところで、うまい人はいなくなった。
というわけだから書いても変な感じになると思う。
続ける意味なんてないのだよ。

アンタらはなにがしたかった?自分たちで潰しあっただけでは?
読んだだけだが、言いたいことはそれだけ。
103 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/03/01(火) 16:47:26.32 ID:htIBta2o
とりあえず誰かが来るまでage
104名もなき柳葉魚。:2011/03/01(火) 19:09:25.50 ID:Lg2nyO4+
>>103。あんたは>>1なのか。だから、上げてんのか?

>>98-100残念だけど、希望は捨てな。確かに残り続ける。罵倒するやつらでな。
後から読んだ奴が俺みたいにマネして罵倒するだけ。SS書くやつはしばらく現れない。
続けたい奴は続ければいい。それじゃSSの一つでも書いたら、戻ってくるじゃないかもな。
ネチネチ続けても無駄。はっきりした方がいい。どうするかは、アンタらが決めな。
以上、言いたいことは言った。もう口出しはしないから。    
10599:2011/03/02(水) 15:52:43.49 ID:5pkqXgsU
>>100
この板以外でも、特撮板、SF・ホラー・ファンタジーとか色々な板でこの手の創作スレはあるよね?
それでよく目にするのが、具体的に投下された創作物や93氏のように前向きに提案してきた住人にあれこれ批判や注文がついてスレが悪い方向に転がるっていう展開だ。
具体的に構想を練り始めた住人や書こうとするような住人は、概して「書かない癖に口だけ批判する住人」を嫌う。
だから、もし1がこのスレの方向性を決めたいなら、自分の決めたい方向で何でも良いから一作するしかない。
一作出した上で文句を言うなら、「実際に書いた住人同士」の話なんで他の書き手にも受け入れられ易くなるし、スレが求める話の大枠を決めてしまえる。
だいたいテレビシリーズなんかでも、第一話の脚本書くのは、シリーズ全体のメインを務める脚本家なんだよね。





106名無しの侍:2011/03/02(水) 17:09:11.33 ID:KzGpbhG5
>>1 みんなこんだけ、書いたのに逃げるだけかい?
崩壊した理由はいろいろあったけど、大きな原因は>>1さん。
なにか、謝罪か返事書いたら?嫌なら、話の一つでも書いてくれ。   
107創る名無しに見る名無し:2011/03/02(水) 19:26:43.58 ID:5pkqXgsU
実は事態を打開すべく、駄文構成に着手しているのだが……。
たぶん1は知らないんだろうが、アメリカの捜査機関は日本とはかなり違っていて複雑なんだな。
法律体系自体が複雑なためもあるんだが、ロングアーム法なんてシロモノまで知ってないと、LAPD+FBIなんて話は組めない。
マジンガーZとデビルマンとか、ウルトラマンと仮面ライダーを共演させるよりずっと難しいんだよ。
キャラの名前と性格付けについてはインチキ使ってなんとか目処がついた。
他になんか作った人がいるなら、気にしないで投下してくりゃれ。
108創る名無しに見る名無し:2011/03/02(水) 19:58:45.03 ID:ms0HWDiI
(人物名)チャールズ・ハーパー
(人物説明)ドリームチーム副主任
(簡単な経歴) カナダ生まれ。小学生の時にシアトルへ移住。
      中学・高校で風紀委員を務めていた。
      正義感が強く、犯罪を憎んでいる。
      指揮能力に長けているため副主任に抜擢された。反面、政治的な駆け引きに弱い。
      完全な暗記型で、論理的な思考が苦手。原因は、大学時代の某教授によるもの。
      格闘に弱い。FBI研修生時代も落第ギリギリだった。ただし、射撃は得意(中の上クラス)。
      特技は銃の組み立て。慎重かつ用心深いためか、銃を必ず2丁以上持つ(お気に入りはショットガン)。
      皮肉が多い。一人で旅行すると、怪我や事件に巻き込まれる特異体質の持ち主らしい。
      LAPDの内部監査をやっている嫁と2人の子供がいる。43歳男性。
      
      
      

109創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 08:49:47.24 ID:VgItBkwX
副主任ってことは、「主任」は別にいるんだな?
政治的に任命された人物(たとえば議会の承認)?
それとも警察機構内部からの選抜?
具体的に名前を挙げてしまうと、古い漫画の「ワイルド7」に出てきた草波見たいなキャラ?
テレビ番組の「特攻野郎Aチーム」に出てくるみたいなリーダー?
まさかアルバート・ウェスカーみたいなヤツが主任じゃないだろうな。
110創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 15:04:38.79 ID:fMeFw2t9
>>109
FBIからの選抜じゃね?
FBI研修時代って書いてあるし
111創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 15:44:12.89 ID:XGArdQWo
天才ばっかり出てくる推理ものって

あ、そうか西尾維新か
112創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 15:55:23.25 ID:G6wOb7Cn
1.難題が発生する
2.解決チームが召集される
3.無能な上司のせいでチームが分裂
4.残留した数名が地道な努力を続ける
5.彼らを見ていた人物が助力を申し出る
6.離散していた元メンバーも合流、チーム再結成
7.難題を解決する

※「無能な上司」というのは実は「敵方に通じている」のかも知れない。



ドリームチームじゃなくてこのスレの話だよ。今は4〜5のフェーズだな。
113創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 17:13:45.42 ID:9SozzxPo
>>112なら、6〜7に早くはならないかな?上手い人に書いてもらいから。
114創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 19:35:44.86 ID:VgItBkwX
細かいが大事なことだから……
ドリームチームの設立趣意(LAPDの既存組織とダブらせないこと)。
まずはこれがあって、それから組織が決まるから。

LAPDにある既存の特殊組織。
ご存知「SWAT」
活動内容も御存じのとおり。
それから「SIS(スペシャル・インベスティゲイションズ・セクション」
潜入捜査を任務とする捜査班。

SISとの住み分けは比較的容易だが、SWATとの相違をどうキャラづけするか?
SWAT=大所帯、DT=小人数、は当然としても、「何故小人数の組織を別に作る必要があるのか?」という積極的な理由づけ。

LA市長の記者発表内容……
「テロ組織をはじめとする犯罪組織の重武装化は、我々の警察に対し、低強度紛争とも呼ぶべきレベルへの戦闘にまで対応することを要求するようになりました。
私は、LA市民の安全に対し責任を負う者として、こうした事態に対応するため、従来のSWATとは別に………」
115創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 19:50:07.06 ID:VgItBkwX
連続すまん……

第一話は、顔見せ主体として比較的単純なシリアルキラーものとしたい。
理由
ひと通りの顔見せ場面を作り易いから。
FBIは「連邦職員による犯罪」と「複数の州にまたがる犯罪」を縄張りとする。
「連邦職員による犯罪」の典型は贈収賄だが、第一話としてはあまりに地味。
「複数の州に渡る犯罪」の典型はシリアルマーダー。
映画「ヒツジたちの沈黙」でFBIが乗り出したのは、バッファロービルの仕事が複数州に渡っていたから。
シリアルキラーこそプロファイラーが本領発揮する場面。
つまり通常捜査で基本メンバーを、途中でFBI介入の動きとプロファイラーの活躍を描き、最後に殺人鬼対戦闘主体メンバーの対決という具合に、ひと通りの場面を描き切れる。

実は「複数の州に渡る犯罪」のもう一つの典型が、70氏の提案する「誘拐」。
ただ組織犯罪になるとプロファイラーを絡ませにくいので、第一話には相応しくない。
(70氏の案は魅力的なので、話数が重なってからシリーズ5〜6話ぐらいに組まれる前後篇のスペシャル版あたりが相応しいと思う)

さて?いかがか??
116創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 20:01:14.47 ID:9SozzxPo
元ネタがデビッド・バーコウィッツの奴の設定書く。
117名無しの侍:2011/03/03(木) 21:28:45.80 ID:9SozzxPo
(人物名)リチャード・D・ウィッツ
(人物説明)シリアルキラー 死刑囚
(簡単な経歴)ユタ州出身。15歳のころに虐待していた両親を殺害。死体を遺棄した。
       知能は高く、成績も優秀だった。(教師からの評価は低かった。)
       性格は、凶暴で精神鑑定の医師を何度もシャーペンで刺して、怪我を負わせている。
       数年前に、ニューヨークで「トムの弟」と名乗り予告無差別殺人を行った。
       4ヶ月の間に、21人を襲撃し16人を殺害した。その異様さから話題になった。
       事件発生半年後にドリームチームの一人に逮捕された。
       現在は、刑務所で死刑執行を待っている。本人もそれを望んでいる。
       時々、ドリームチームのメンバーが面会し、助言したりしている。
(登場頻度) 準レギュラー〜サブゲスト程度

レスター博士見たいな感じのホジションで。
118創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 22:01:04.62 ID:9SozzxPo
連投Sorry

一話をどうしますか?シリアルキラーモノなら・・・
・ >>117の模倣犯。(個人的な想い入れ)

・スプリットキラーによる殺人とその裏側(主に銃乱射)

・爆弾魔による連続殺人

>>70の短縮型

>>82の派生型

・そのほかのアイデア  
119創る名無しに見る名無し:2011/03/03(木) 22:33:54.59 ID:LRLwbvWB
26 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] :2011/03/03(木) 22:29:41.84 ID:B6TmbU3N
240 名前:ゲームセンター名無し [sage] :2011/03/03(木) 22:22:15.41 ID:KCJSJJjh0
237 名前:ゲームセンター名無し [sage] :2011/03/03(木) 22:18:13.40 ID:KCJSJJjh0
171 名前:132人目の素数さん [sage] :2011/03/03(木) 22:14:34.84
189 名前:132人目の素数さん [sage] :2011/03/03(木) 22:10:46.88
186 名前:132人目の素数さん [sage] :2011/03/03(木) 22:04:29.06
185 名前:132人目の素数さん [sage] :2011/03/03(木) 22:00:21.11
【超重要】
?良い子。悪い子。普通の子。

?ラブプラス。
【超重要】
オタ。

ラミ。

ラブプラス。(←new!)

2610円なり。

超4。

報復。

午後ティー。

食。

人種。

障害。
238 名前:ゲームセンター名無し [sage] :2011/03/03(木) 22:20:01.97 ID:KCJSJJjh0

120創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 14:15:39.14 ID:7KufOx0o
別スレ立てるよになったら立てるからそっち行かないか?
121創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 17:37:29.20 ID:0aqUgA4W
122創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 19:09:45.21 ID:XajAQfJJ
クソスレ乱立させんなボケ
どうせここの>>1と同じようにSSの一つも書く気がないくせに
123創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 19:13:57.33 ID:0aqUgA4W
>>122
リレーなので無問題
124創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 19:15:22.92 ID:0aqUgA4W
連レスSorry
糞スレはひどいなと思うよ
125創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 20:20:38.38 ID:LT0wS503
やる気があるならトリつけてよ
126創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 20:40:28.35 ID:0aqUgA4W
>>125
いやだ
127創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 21:22:16.09 ID:GR2zJnti
警察に協力する収監者というと、ヘンリー・ルーカスとかテッド・バンディ、それからグレアム・ヤングもそうだ。
ただルーカスの場合は自身の殺した数が多すぎる(一説には1000人超)ため、その解明のお手伝いというだけ。
テッド・バンディはレクター博士のモデルの一人だが、これも延命目的のスタンドプレイ色が濃い。
犯罪の解明というより、他人が犯した犯罪の被害者救命に功があったのが「毒薬日記」ことグレアム・ヤングだ。
症状を聞いただけで盛られた毒薬を当て、その解毒方法も指示できたという。

正直、レクターのパクリは気が進まない。
創造性が無いのにも程ってもんがあるだろう?
128創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 21:47:15.14 ID:GR2zJnti
連続すまん
自分で考えてみたシリアルキラー

その1「ツーリスト」
ニューヨークを起点として全米横断しながら殺しまくる殺人鬼。
移動距離が大きすぎて当初は誰も連続殺人とは気づかないが、プロファイラーが「単独の殺人とは思えない。絶対他にもやってる」と指摘。
更にお話の途中で「実はアレもコレもおなじヤツの仕業らしい」とFBIが介入してくる。

その2「ティーパーティー(あるいはマッドハッター)」
現在アメリカで勢いを持っている草の根保守運動「ティーパーティー」にひっかけて、リベラル派新聞が命名。保守派新聞は当然この呼び名を嫌い「マッドハッター」と呼ぶ。
どちらも語源は「不思議の国のアリス」。
移動タイプの毒殺犯という稀有な類型。

その3「グレイゴースト」
1945年製ワルサーP38(グレイゴースト)を使う。
ターゲットは売春や麻薬販売など犯罪組織の幹部。
45年製P38は程度が悪く、撃っているうちにスライドがぶっ飛ぶ(そうなると射手もタダではすまない)危険がある。
なぜそんな危険なガラクタで殺しをするのか?がミソ。
正体は元SAS兵あたりに設定し、更に脳腫瘍で余命いくばくも無い人物で、犯罪組織の抗争に巻き込まれて家族を失ったということにする。
自分の脳腫瘍が破裂するのが先か?それともグレイゴーストが吹っ飛ぶのが先か?という形で自身と拳銃を重ね、生きているあいだに出来る限りゴミ掃除をするのが目的。
敵の正体を知ったDTはなんとか生かして逮捕しようとするが……。
ラストはGG対DT対麻薬犯罪組織の対決。
犯罪組織全滅の後、GG対DTの一対一になる。
DTのメンバーを犯罪組織の者と勘違いしGGはP38を撃つが、そのとき銃はバラバラに吹き飛ぶ。
慌ててかけつけたDTのメンバーに対し、「よかった。間違えていオマワリさんを撃っちゃうとこだったよ」と笑ってGGは死ぬ。
死因は、銃の暴発ではなく脳腫瘍の破裂だったということになる。

個人的に気に言ってるのは「グレイゴースト」だが、第1話に使いやすいのは「ツーリスト」だろう。「ティーパーティー」はギフォーズ議員銃撃事件と絡めた場合に面白い。
129名無しの侍:2011/03/04(金) 23:27:03.25 ID:F+v3i57v
今思ったけど全部の回に共通する敵対する犯罪組織って必要かな・・・
一話事に違う組織でよくない。例えば、麻薬組織の回があれば、強盗集団の回もある。
長編の少し前くらいに、同じ組織を見え隠れさせる程度でよくない?
それに、単独犯の奴もいればシリアルキラーのやつもいるから回を通して同じじゃなくても・・・
そのことは、書き手に任せます。

>>127 >>117はレクター博士のパクリじゃないよ。
どちらかといえば、「交渉人」の真里谷恭介と「LADY」の巽聡史が元ねた。
って言うか、俺「羊たちの沈黙」本でしか読んだことないし、映画見たことない。
助言してくれる人も必要だと思うよ。それに、彼を使って、いろいろと話に関与されるし。
例えば
>>117の釈放を求める熱狂的なファンによる篭城事件。
>>118でも書いたように、>>117の模倣犯。
>>117の事件被害者による襲撃。

とかね。これも書き手が判断してください。
130創る名無しに見る名無し:2011/03/05(土) 15:09:00.07 ID:YDyjJ0po
馬鹿が建てたhttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1299225644/
では、正式名称「広域特別捜査班(英:Large Area Special Investigation Unit、LASIU)」
ってなってるけど、正式名称どうする?これで行くか
131創る名無しに見る名無し:2011/03/05(土) 22:30:41.08 ID:LOQVyLTy
>>130
140でも書いたが、DTの正式名称は組織の設立趣意によって決まる。
たとえば……
SAS=スペシャル・エア・サービス(設立当初は落下傘兵だったため「エア」の語がいまでも入っている)
LRDG=ロング・レンジ・デザート・グループ(長距離砂漠部隊、SAS設立以前に存在していた砂漠戦での諜報や破壊工作を任務とする部隊)

設立趣意によっては、大まかな所属が警察か?州兵か?なんて違いすら発生するぞ。
ドイツの著名特殊部隊GSG9は警察所属。SWATももちろん警察所属だ。
一方イギリスのSASやアメリカのグリーンベレーは軍属。
所属のちがいで、犯人射殺のハードルの高さに違いが出て来る(SASに至ってはテロリストの暗殺もやってると言われる)。
元SASの犯罪者対SWATなんて言い出したら、SWAT側に血の雨が降るだろう。
まずは「設立趣意」だよ。

しかし何が嬉しくて1はロスなんて言い出したんだ?
ロスだとSWATがいるから、これとかぶらないように組織を性格づけなきゃならん。
132創る名無しに見る名無し:2011/03/06(日) 02:30:42.74 ID:hbVvamzT
>>131
所属はたぶんFBIだな
133創る名無しに見る名無し:2011/03/06(日) 08:34:35.17 ID:hKFTb7iV
>>132
これも1が何も知らずに「LAPD」と言いだしたことの弊害なんだが……。
LAPDはロスアンゼルス・ポリス・デパートメントというくらいでカリフォルニア州の地方警察なんだ。
だからLAPD所属のDTが、同時に連邦の捜査機関であるFBIの所属ということはあり得ない。
この辺はアメリカ法と地方自治の構造が判ってないと扱いようが無くて……。
LAPDの上部機関は、カリフォルニア・ステート・ポリスがあるんだと思っていたがこれは間違いだった。
ネットでしらべてみると、カリフォルニア州ではステート・ポリスをカリフォネニア・ハイウェイ・パトロールが吸収併合していて、その関係で他の州の州警察よりも所管が広いんだそうな。

いっそ「LAPD」は外さないか?
そうすれば所属機関をうやむやにしてしまえるが。
134名無しの侍:2011/03/06(日) 14:17:34.13 ID:BdzXcqvH
案を出すとしたら。

1、このスレのルールを破り、LAの設定の初期化。
  (この場合におけるリスク)
 ・LAでしたい人が反発しまた分裂騒動。
 ・LA以外のどこでするのか?
   変にワシントンとかすると逆に紛らわしくなる。
 ・コメントが消され、アクセスブロックをかけられる。
   >>1ならやらないとはいえない。それに2chでかけなくなる恐れも。
 ・>>1がまた命令してきて分裂。

2、でかい戦争後にして、アメリカが荒廃していることにする。
  (この場合におけるリスク)
 ・これもルールを破ることになる。
 ・SF要素が強くなってしまう可能性も
 ・なんかむちゃくちゃになり分裂する可能性も
3、そもそも、憲兵が仕切っていることにする。
  (この場合におけるリスク)
 ・リアリティーに欠ける。
 ・軍事関係の話になってしまう。
4、>>121の別スレでLA設定の初期化してCSIみたいにする。
 ・思いつく問題点は無しだけど・・・
 ・しいて言うなら、ライターの分散。質のいい話と悪い話の差が大きくなる。
135創る名無しに見る名無し:2011/03/06(日) 16:39:49.99 ID:hbVvamzT
>>133
あれ?LAPDは関係なくね?
>>1の書いてるの見たけど、DTはFBIの組織に見えるんだが…
LAPDはたぶん協力者じゃないか?合同捜査とかのときとかの
たぶん>>1の説明不足だ
136創る名無しに見る名無し:2011/03/06(日) 18:25:38.87 ID:hKFTb7iV
>>135
……そうだね。
最初に戻って読みなおしたが、DTはFBIだね。
てっきりLAPDはサブの方だ。
うっかりメインと勘違いしてた。
……だとすると、複数州にまたがる広域犯罪を設定して、後は一気に走らせながら構成しても……。
超広域超高速犯罪を設定して、その第一話が事実上DT設立趣意になってしまうような犯罪にすれば……話を転がせるな。
137創る名無しに見る名無し:2011/03/06(日) 21:46:15.01 ID:hKFTb7iV
136に書き忘れたが、1に謝っとく必要があるな。「LAPDが中心である」と思いこんだのは、1のせいではなく、ひとえにオレの勘違いだ。
>>1
非常にもうしわけない。
138創る名無しに見る名無し:2011/03/06(日) 21:48:41.85 ID:hKFTb7iV
……と、いうわけで

ドリームチーム・ファイル0(試案)
ファイルNoが0なのは、DT設立の契機となった事件であるため。
第0話を置くことで、中心メンバーであるC・ハーパーのキャラと、DTの設立趣意を一気に説明する。
犯罪者は「ツーリスト(旅人)」を起用。
飛行機や車、列車を使い、北はアラスカから南はメキシコに至るまで、北米全土をまたにかけて殺人を続ける殺人鬼。
しかし、犯罪領域があまりに広すぎるため、地方警察はもちろんのこと、FBIですら同一犯の犯行とは考えていない。
一方、南のロスではC・ハーパーが友人の英国人学者バーナード・B・ウォレスと会食の機会をもっていた。
「…それじゃあウォリー、君は我々が進化する犯罪に対応できなくなるだろうというんだね?」
「そうでは言っとらんぞ、ハーパー。対応『できなくなる』のではなく、既に対応『できていない』と言っとるんじゃ」
「そこまで言い切るんならウォリー、なんでもいいから一つ、我々が対応できていないという実例を上げてはくれないか?」
「それならばだな……」
そして、学者は「このあいだアラスカで起こった殺人事件」を取り上げる……。
「これは怨恨とか、プロ犯罪者の犯行じゃない。特有の性向をもった犯罪者による犯行に間違いないんじゃ」
「しかしウォリー。君の言うような犯罪者は、犯行に特有のパターンが出て来るはずだろう?しかしアラスカ州内や隣接するカナダでは……」
「何故、アラスカとカナダに限る必要があるんじゃ?さっき君自身も言っとったじゃろうが。人や物の移動がグローバル化しとると。物流がグローバル化するのなら、犯罪だってグローバル化するんじゃよ」
「……」
そしてその翌日、ハーパーは単身アラスカへと飛んでいた。

あとはコンピュータを使った南米、西ヨーロッパ、英国、日本、韓国にたいるまでの犯罪照会などから、実は全米規模で類似傾向の犯罪がばら撒かれていたらしいことが浮かび上がる。
「……まるで旅人ですね」
「いわゆる『悪魔の巡回』ってヤツだ」
ハーパーは直ちに、コンピューターデータから、「ツーリスト」の行動パターン解析を指示。
コンピュータは、「ツーリスト」の次の仕事場がロスである可能性を70%以上と弾きだした。
139創る名無しに見る名無し:2011/03/07(月) 01:30:38.69 ID:DpOUFjlK
>>138
面白そうな感じが伝わってくる
140創る名無しに見る名無し:2011/03/07(月) 02:12:27.87 ID:DpOUFjlK
駄目な場合は没にしてもらってもかまいません。

(人物名) トーマス・ベックマン(通称「トム」)
(人物説明)ドリームチーム主任
(簡単な経歴) 北欧系。男性54歳。ワシントン出身。
      現場からは遠ざかっていたが、DT(仮)設立時に主任に抜擢された。
      部下にほとんど命令を下さず、ダメ上司と思われてしまうこともある。
      実際は、鋭い洞察力と勘(感覚)を持ち、情報収集能力・分析力に優れる。
      表立って行動せず、チーム内のパイプ役として動き、さり気なく接して問題を処理している。
      あくまで捜査官としての能力であり専門外のことは苦手。
      政治的駆け引きに強く、チームに最大限の利益と最小限の損害をと考え奔走する。
      管理職の仕事は「頭を下げること」「尻拭い」だと考えている。
      ただし、誤った道に進もうとする部下に対して叱りつけることもある。
      部下はもちろん犯人に対しても呼び捨てにせず、必ず「君」「さん」付けで呼ぶ。
      自身のことを出不精と称している。
      死別した妻と10年間音信不通の息子がいる。
      一人称は「私」
141創る名無しに見る名無し:2011/03/07(月) 20:40:13.48 ID:S/AVObYw
トーマス・ベックマンをFBIアラスカ支局局員として登場させよう。
アラスカはかつ米ソが最短で対峙する軍事・諜報の最前線のひとつだった。
そこでベックマンは軍、CIA、地方警察のあいだを精力的に動き回り、持って生まれた調整力・コミュニケイション能力に更なる磨きをかけた。
しかしソ連邦崩壊後、アメリカの敵が移り変わると、ベックマンは戦うべき敵を見失い……そして20年の年月が流れた。
……こんな感じだな。

アラスカでベックマンは、地方警察から果てはCIA?までを身内同然に使いこなし、かつて対ソ諜報戦で培った高い調整力・コミュニケイション能力、応用力の片鱗をチラ見せする。
超広域・高速の犯罪に対応するには、ベックマンのような人物は不可欠だ。
ハーパーは、ベックマンを新設組織のリーダーとしてFBI上層部に推薦する。
こんな調子でキャラを次々登場させていけば、ひと通り話が流れたところでDT基本メンバーが揃うことになるだろう。

ついでに紹介

(人物名)バーナード・ブルータス・ウォレス
(人物紹介)DTの外部協力者
(簡単な経歴)英国人。65歳。体重150キロに達する巨漢。
       水を飲むようにビールを飲むが、全く酔わない。
       数年前まではアメリカの大学でシェイクスピア文学を講義していた。
       現在は著述業をしているというが、何を著述しているのかは不明。
アメリカに来る以前はアイルランド、イスラエル、パキスタンに住む。
犯罪、特に「殺し」について造詣が深いのは、実は彼が……。
142創る名無しに見る名無し:2011/03/07(月) 20:41:42.74 ID:S/AVObYw
ベックマン登場部分試案

 ハーパーがアンカレッジ空港のロビーに出ると、ガラスの向こうでは猛然と雪が降りはじめていた。
(タッチの差で降りられたか……)
あの降り様だと、降着が数分でも遅れたら、飛行機はロスに引き返したかもしれなかった。
ここまでは幸先良いと言えるだろう。
だが、ハーパーの任地は、「少なく見積もっても365日晴れている」と言われるカリフォルニアだ。
ここから先、数十キロは続くであろう雪道ドライブを考えると、さしものハーパーも気が重くならざるをえない。
意を決して彼がレンタカーの窓口に向かい歩きだしたときだった。
「キミ、ハーパーくんだろ?」
名前を呼ばれ振返ると、防寒着姿の年配の男が、口角を上げ、目を細めて笑っていた。
「やっぱりキミがハーパーくんだな」
男は農夫か樵のように分厚い掌を差し出して言った・
「オレはベックマン。アラスカ支局のトーマス・ベックマンだ」


「キミの上司、実は私の古くからの友達でね、それが久しぶりに電話をよこして私に言うんだ」
「……わざわざ冬のアラスカまで出かけよって物好きがいるから、面倒みてやってくれないかと?」
「まあ、そんなとこだな」
わざわざ車を出して、ハーパーを迎えに来てくれたのだという。
慣れない雪道ドライブをせずに済むのはありがたいが……、先にたって空港を行くベックマンの話を聞きながら、ハーパーは少しばかり驚いていた。
彼の上司は典型的な官僚肌の男で、軽い気持ちで友達に電話をかけるような男ではないはずだった。
しかし、人狩り人としてのハーパーの経験からいって、ベックマンが嘘をついているとも思えない。
すこしばかり首をひねりながらついて行くと、駐車場で待っていたのはもっと奇妙な光景だった。
「やあハリー!待たせたな」
ベックマンが手を上げ合図すると、制服姿の男が二人、四駆の運転席と助手席から降りて来た。
迎えの車は、アラスカ州警察のパトカー。運転手は州警の警官だったのだ。
ハーパーらFBIは、地元警察が手掛けていた事件の捜査権を自分たち側に強制移行させる「捜査の横取り」をするため、概して地元警察には好かれない。
だがこのベックマンという男は、その限りではないらしい。
後部ハッチにハーパーの荷物を放り込むと、二人の警官と二人のFBI捜査官を乗せたパトカーはガダガタ車体を揺するとおもむろに走り出した。
143創る名無しに見る名無し:2011/03/07(月) 21:17:23.21 ID:WvpLw/V8
>>117少し書き直しほうが・・・・

簡単な経歴)ユタ州出身。元は優秀な軍人だった。(軍事プロと同期)だが、イラク戦争の従軍を拒否。
      このときに名誉除隊にさせられる。その後は郵便局に勤めていた。
      どんな人でも敬語を使う。性格は冷静だが残忍。知能は高い。
      数年前に、ブルックリンで「トムの弟」と名乗り予告アベック殺人を行った。
      44口径の拳銃とショットガンで16人を殺害した。その異様さから話題になった。
      DTメンバーの親族もこの際殺している。(後に殺されかける。)
      そのメンバーによって捕まえられ、激しい銃撃戦の末失明してしまう。
      懲役365年と言い渡され、模範囚として服役中。自分の逮捕したメンバーとたまに面会している。

多分みんな使わないと思うよ。残念だけど。
144創る名無しに見る名無し:2011/03/07(月) 21:33:00.56 ID:DpOUFjlK
>>141-142
自分のキャラを使っていただきありがとうございます
FBIアラスカ支局局員の設定諸々は面白いと思います
145創る名無しに見る名無し:2011/03/07(月) 23:44:54.04 ID:WvpLw/V8
>>140で通称トムってかいてあるけど、>>143の「トムの弟」と関係あるの?
たぶん偶然だと思うけど・・・。
146創る名無しに見る名無し:2011/03/08(火) 06:40:09.15 ID:xnek6FX0
「サムの息子」を想起させるネーミングだしそっち方面じゃ?
親指トムというおとぎ話もあるし、親指に関連付けされる
名前でもある(使用される銃のほうが関係ない?)
147創る名無しに見る名無し:2011/03/08(火) 12:55:34.65 ID:1GKeXAuM
>>145、146
たぶん「サムの息子」が元ネタというだけだと思うが、意味深な類似と言えなくもないね。
うまいこと関係性を説明できれば、1クール通しのネタにも使えそう。
……ところで「サムの息子」が使った拳銃って、44口径のブルドッグリボルバーだと思ったけど、覚えてる人いるかな?
148創る名無しに見る名無し:2011/03/08(火) 16:03:02.28 ID:tdJmDK9A

(人物名) キャリー・グリーン
(人物説明)ドリームチーム メンバー
(簡単な経歴) 27歳。白人女性。
      FBI捜査官になって日が浅いが、ドリームチームに自ら志願した。
      明るい性格の持ち主だが、つい本音を言い怒らせる時もある。 
      世の中の役に立ちたいという思いが強く、率先して行動したがるところがある。
      ある意味で破天荒な性格で、メンバーを驚かせる大胆な行動を取ることも。
      父親が外交官だったため、幼少時代は友達が作れず悩んでいたらしい。
      5ヶ国語を話すことができる(英語・ドイツ語・フランス語・中国語・日本語)。
それ以外の能力は平均的。身長が低い(158cm)ことを気にしている。
      実は、8分の1だが日本人の血が入っている(母方の曽祖母が日本人)。

ワトソン君にマスコット要素を加えたようなキャラです。
イメージは、ちょろちょろ動くハムスターです。
149創る名無しに見る名無し:2011/03/08(火) 20:31:37.48 ID:HO/ZfSge
(人物名)ディミトリ・ノラスコ
(人物説明)元海兵隊兵長。ドリームチームの一員。
(簡単な経歴)南米系のヒスパニック。30代前後の男性。
      海兵隊の兵長だったが、かつての友がイラク戦争後に強盗を起こし、共犯と間違えられ強制的に除隊される。
      自分と同じような境遇の人を減らすため、警察に入る。格闘と銃撃が得意でSWATに入隊。
能力をかわれFBIのHRTにいたが、ふとしたきっかけでDTに一員となる。
      知能派ではなく肉体派。(本人いわく軍の中でも頭がいいほうらしい。)
      軍にすぐ入隊したため大学へは行っていない。爆薬の知識などは豊富。銃のことも詳しい。
      「トムの弟」ことリチャードとは同期。しかし本人は知らない。
      一人称は「俺」。すぐに感情的になりやすく単純。

サムの息子の使っていた銃
http://mgdb.himitsukichi.com/pukiwiki/?%A5%C1%A5%E3%A1%BC%A5%BF%A1%BC%A5%A2%A1%BC%A5%E0%A5%BA%20%A5%D6%A5%EB%A5%C9%A5%C3%A5%B0
一応参考程度に。
150創る名無しに見る名無し:2011/03/09(水) 01:20:50.55 ID:NIS/iFEc
やはりキャラクターはある程度決めてしまった方がいいと思う
特にレギュラーメンバーは
そうした方がSSが作りやすいような気がする
151創る名無しに見る名無し:2011/03/09(水) 12:46:18.19 ID:GHL+1K6f
自分>>146だが、>>143の修正前の>>117がそもそもデヴィッド・バーコウィッツ
(サムの息子)を元ネタにしてるって書いてあった なんという俺カッコワルイorz
おわびに今まで出てきた人物まとめ



ドリームチーム枠
>>140トーマス・ベックマン DT主任
>>108チャールズ・ハーパー DT副主任
>>148キャリー・グリーン DTメンバー
>>149ディミトリ・ノラスコ DTメンバー
>>117リチャード・D・ウィッツ 元シリアルキラー 死刑囚 DTの外部協力者
>>141バーナード・ブルータス・ウォレス 著述業 DTの外部協力者



犯罪者枠
>>70幼稚園バスジャック犯
>>80銀行篭城犯
>>118「トムの弟の模倣犯」「スプリットキラー」「爆弾魔」
>>128「ツーリスト」「ティーパーティー」「グレイゴースト」



DTって書かれると「どどどDTちゃうわ」って言いたくなるので早く正式名キボン
152創る名無しに見る名無し:2011/03/09(水) 16:36:55.46 ID:NIS/iFEc
>>151
まとめサンクス
正式名はほしい
>>130の「広域特別捜査班(英:Large Area Special Investigation Unit、LASIU)」
も候補だと思うけど、他にも提案があった方がいい気がする
153創る名無しに見る名無し:2011/03/09(水) 18:41:47.48 ID:VWO0D6of
って言うか何話までするつもり?
仮に順番をつけるとしたら
0話 ツーリスト(結成前)
1話 スプリットキラー(内容はまだ不明)
2話 ティーパーティー(内容はまだ不明)
3話 銀行強盗犯
4話 模倣犯(内容はまだ不明)
5話、6話 幼稚園バスジャック
7話 爆弾魔(内容はまだ不明)
8話 グレイゴースト


仮にこの順番だとしても10話分のスペースがいる。
ひとつだけで足りるのか?ということ。
もう一つの板も活用したら?
154創る名無しに見る名無し:2011/03/09(水) 20:36:48.40 ID:GHL+1K6f
ちょっとした文庫本1冊の文字数が240KBくらいだとどこかで読んだことがある。
てことはここで設定語りしながら1話分作るくらいでスレ容量満杯になるだろうし、
そうなったらもう1コのスレをpart2で使えばいいんじゃないかな?
順調に推移するようならまとめサイトでも作れば一気読みできていい。

書き手の頭数も多くはなさそうだし当分のんびり進行でいい気がする。
まずは>>138>>142をベースにチーム結成までを綴ってみるというのはどう?

1.連続殺人犯の可能性がアラスカにあるというウォレスの推測
2.ハーパーがアラスカへ行きベックマンと会う
3.アラスカでの捜査と平行して全米に対する類似事件問い合わせ
4.連続殺人犯「ツーリスト」の存在が明るみに
5.次の「旅行先」はロスである可能性が高い
6.ハーパーは種々の情報源から専門分野の見解を聞いて歩き、
 「ツーリスト」およびそのターゲットを特定する、あるいは肉薄する
7.ターゲットを護る行動をとりつつ捜査
8.ついに姿を現した「ツーリスト」を逮捕、あるいは取り逃がす
9.こうしてFBIは、今回のような広域犯罪捜査のためのスタッフと
 スペシャリストによる特別捜査班『ドリームチーム(仮名)』の
 設立に動き始めたのだった……

てなプロットかなあと思ってるが、他のみなさんの意見はいかがですかね?
3.4.6.あたりで他のメンバーを登場させられそうだし、他のシリアルキラー
(認定前)にも言及できるかも。そもそもアドバイザーまだ足りんよね。
DTの名前には愛称がつけられるようなのがいーなーと思うスタハチ世代。
155創る名無しに見る名無し:2011/03/09(水) 20:42:30.31 ID:GHL+1K6f
ごめんCHiPsはジョン&パンチの方だ
156創る名無しに見る名無し:2011/03/09(水) 22:19:22.94 ID:rZA9ZhTE
何度も何度もとりあえず落ち着けおっさんw
「ツーリスト」かっこいいな、掘り下げてみるか。
まずは彼(か彼女)が「単独の殺人とは思えない。絶対他にもやってる」と、
普通の捜査官は気付かないけどウォリーには看破されなければならんよな。
殺しの手口がいかにも手慣れていると感じられればいいか。
例えば人気の観光地のただなかでの殺しにもかかわらず目撃者がいない?
銃撃の音を聞いている者はいるのにそれらしい人物を見た者がいない?
正確に背中から心臓を射抜いている?
刃物で頸動脈を掻き切っているのに飛沫を遮った(返り血を浴びた)形跡がない?
通り魔的犯行なのに使われた凶器がマニアック?

旅行者だから中身の詰まったサムソナイトで撲殺…ないかw
157創る名無しに見る名無し:2011/03/09(水) 23:18:21.45 ID:NIS/iFEc
>>153
最低20~30話じゃないか?あとは書けるだけ書く
158創る名無しに見る名無し:2011/03/10(木) 01:14:48.46 ID:LyqMnMs6
(人物名) ルイ・フィリップ・プラン(通称:ルイス)
(人物説明)ドリームチーム メンバー
(簡単な経歴)30代前半。フランス系アメリカ人の男性。
ドリームチームのメンバーだが、FBI上層部が送り込んだスパイでもある。
      チームの内情を報告することが任務。
      家族のほとんどが警官や弁護士という一族。
      自身も警察出身で警官時代は爆弾処理班にいた。
      自身家かつ野心家で、上司・被害者以外にはやや上から目線な態度をとる。
      謝るのが何より嫌いで、いかに自分のプライドが傷つかずに謝れる方法を見つけるのが日課になるほど。
      ただ、自分が明らかに悪い場合には認めるところは認める。
      かなり大げさなジェスチャーとまくしたてる口調で話す。
      記憶力が高いため、基本的に資料に目を通すだけで覚えてしまう。これを利用して、メンバーの資料をほぼ全て覚えた。
      本人いわく「やると決めたことはとことんやる主義」。
      戦闘能力も高い(合気道や柔道を習っていた)が、体を動かすのは趣味じゃないらしい。
      一族を誇りに思っており、野心家の理由も一族の繁栄のためを思ってのこと。
      幽霊などの類が苦手。ギャンブルや恋愛も苦手である。
      着任後、ディミトリとコンビを組むことに。

      
      スパイだったはずが、次第に丸めこまれてメンバーの一員になるパターンです。
      彼には、ディミトリのブレーキ役になってもらいます。
159創る名無しに見る名無し:2011/03/10(木) 22:51:47.09 ID:PdljP2gD
あと、枠が3にん・・・

(人物名)ソフィア・プリスキン
(人物説明)ドリームチームメンバー
(簡単な経歴)ロシア系アメリカ人。元プロファイラー。基本的無口。
優秀な警官で犯罪心理学の天才。
あまり人を信頼せず、群れることを嫌い単独行動をする。
プロファイラーだが、現場の仕事をよくする。
唯一の肉親である兄を「トムの弟」に惨殺される。
その際に怒りに任せ、突入し保安官2名が犠牲になり、田舎の警察署に左遷される。
DT参加後は、メンバーをだんだん信頼していく。
リチャードとよく面会する。 
160創る名無しに見る名無し:2011/03/11(金) 00:33:39.59 ID:54P6Im3V
(人物名)サンベルト・ロレンツォ
(人物説明)監察医(DT関係者)
(簡単な経歴)生まれはイタリア、育ちはアメリカの監察医。
長い黒髪をゴムで後ろを縛っていて、一本結びにしている。
ドリームチームの正式なメンバーではないが、彼らの協力者の一人で、彼らに惜しみもなく検死の結果を教える。
外見は20代前半に見える程若々しいが、キャリーやディミトリよりも、本人曰く年は上だとか(一説ではトムやハーパーよりも年上らしい)
言葉・口調はかなり優しいが、かなりの毒舌。

161創る名無しに見る名無し:2011/03/11(金) 03:03:04.57 ID:A7kcIn4W
(人物名)クリストファー・ウィンフィールド
(人物説明)ドリームチームメンバー
(簡単な経歴)愛称クリス。アフリカ系アメリカ人。30代前半
       FBIのIT技術分析官をしていたが、自分の能力を生かせる場所と直感(本人談)し、DTに参加した
       頭脳明晰で分析関係の腕も確か。ただ変わった性格の持ち主で、空気を読まず減らず口を叩い
       たり、ウンチク(主に陰謀論)を語る癖がある。だが、当の本人は陰謀論を信じてない。陰謀論を
       聞くときの他人の反応を見るのが楽しいらしい
       とにかくノリが軽く普段の会話も冗談を交えて話すが、捜査をするときは一転して真剣になり
       無口になる。このとき横やりを入れられるのを激しく嫌っている
       大学時代は心理学を専攻していたらしいが、結局中退した
       元は、ブラックリストに載るほどの敏腕ハッカーだった(本人曰く「過去の汚点」)
       形っ苦しいとベックマンとハーパーを主任・副主任と呼ばない。なので、ベックマンは大統領、
       ハーパーは社長と呼ばれている
       クリスチャンである。彼女がいたが、最近振られたらしい
       最終的に外で捜査するのが夢。甘いものが好き
       一人称は「僕」
162創る名無しに見る名無し:2011/03/11(金) 10:00:20.60 ID:fekLor+z
もともと「ツーリスト」を作ったとき正体案として考えていたのは……。

1.「退官した裁判官」
文学的に悪魔が巡回しているのはアメリカとロシアだとか(笑)。
しかし「悪魔の巡回」には文字通りの意味の他に古いフランスの表現で「巡回判事」というものもある。
主要メンバーにフランス系が提案されてるね。
彼が「まるで悪魔の巡回ですねー」なんて発言して、実は本当に「判事でした」とやったらちょっと映画的で面白い。

2.「旅客機のパイロット、スチュワーデス」
このパターンだとDTによるが見破りが仕掛け易い。
平日か休日か?曜日によって犯罪分布にパターンが出やすいからね。
仕事のついでだと超長距離。平日だと車で行ける範囲になる。
ベックマン登場部分試案で飛行場からスタートさせたのはこれ(犯人=パイロットかスチュワーデス)を意識したもの。
後半で犯人が載った飛行機が、ロスに降りたことが判って「今晩中にロスでもうひと仕事やるぞ!」という展開になれば吉。

3.「金があり過ぎ、なんでも出来過ぎて人生がつまらなくなった金持ち青年」
軽〜く屁タレ臭の漂うのが難点だが……シリーズ通しの敵組織へと繋げ易いのが魅力。
つまり「組織」の仲間になりたくて、事故アピールとして殺人を続けている。
殺人の連なりの中に、組織に向けた「あるメッセージ」が込められているワケで、それをハーパーが見破る(ないし「感じとる」)。
「組織」とか何か?
その黒い影もDT設立理由の一つとなる。

他に案があったら提案希望。

163創る名無しに見る名無し:2011/03/11(金) 20:39:54.48 ID:A7kcIn4W
まとめwiki作成サイト
http://atwiki.jp/

URLを載せておきます
164創る名無しに見る名無し:2011/03/12(土) 08:51:29.04 ID:iaw6/NXl
スレ違いも甚だしいが……被災地の方々のご無事をお祈り申し上げます。
165創る名無しに見る名無し:2011/03/12(土) 15:08:20.56 ID:k+L0+pax
人が減ったな
166創る名無しに見る名無し:2011/03/12(土) 15:48:54.88 ID:NdUQkRE9
それまで7人くらいいたのが>>88あたりで3人くらいに減って、
その後2人くらい増えた感じだからぶっちゃけ大した変化はない
167創る名無しに見る名無し:2011/03/12(土) 18:31:13.96 ID:iaw6/NXl
スレに人が多いかなんて、この際どうでもいいだろ?
少なくとも第0話だけはオレ一人でも書けないことはない。
オレが心配なのは、住人に被災者がいないかってことだ。
少なくとも165と166の二人は無事だということが判った。
もしスレ住人が3人だけなら、オレも含めて安否確認はめでたく終了ってことなんだが。
168創る名無しに見る名無し:2011/03/12(土) 21:30:17.37 ID:b+98LJ60
生きてるよー


九州住みなんで無事っす
169創る名無しに見る名無し:2011/03/12(土) 22:02:50.24 ID:iaw6/NXl
安否確認4人め!
170創る名無しに見る名無し:2011/03/12(土) 22:37:03.06 ID:/PaaTTwE
生きてますぜ!!三重県民のみんな!!
171創る名無しに見る名無し:2011/03/12(土) 22:52:31.90 ID:b+98LJ60
5人目ですな
172創る名無しに見る名無し:2011/03/13(日) 10:31:19.96 ID:WDY2aNLN
スレ住民はもともと数人というウワサもあったから、こんなもんで全員無事確認ってことかな(笑)。

もしスレが無事軌道に乗って10話ぐらいまで来れたら……。
「組織」が北米サンアンドレアス断層に核爆弾を仕掛けて、LA破壊を目論むって話を考えてた。
核爆弾は旧ソ連の流出品。
そしてその目的は……ってトコまで考えてたが、これを見てしまうとちょっと書けないな。
173創る名無しに見る名無し:2011/03/13(日) 13:54:19.55 ID:7qjdGnDc
過去の住人の人無事かな・・・・。

少しだけ話。
人は殺さずにはいられない。殺すことに意味がある。
無能な警察には、私の犯行が同一であるとは知らない。無能だからさ。
今日もテレビは私の事件で持ちきり。けど、誰も連続殺人とは言わない。痛快だ。
危機感がないこの国には。少し移動するだけで、殺人の関連性がなくなる。
政府もたいしたことはない。所詮お飾りでしかないだ。

誰も私を止められしない。この国がこのままである限り。
そして、私は組織に入いる。それでもっと殺してやる。
貴方方組織の計画も知っている。だから私を楽しませてくれないか?
今のままでは面白さが足りない。
楽しませてくれないか?
174はじめまして:2011/03/13(日) 19:12:36.28 ID:c331XqOz
(人物名)スザンナ・シェパード
(人物説明)犯人
(簡単な経歴)ある実業家一家の長男夫婦の仲介業者を介して代理母を依頼された
  しかし、重度の麻薬中毒が後で判明したが、胎児を人質に長男夫婦を脅迫
  妊娠中は麻薬に手をつけない代わりに大金を要求した
  長男夫婦は条件をのみ、子どもは無事に生まれた。スザンナは疾走、行方をくらませた
  以上が17年前に出来事である
  17年後、長女を誘拐。大金を要求した
  長女に対し、「ママ」と呼ぶことを強要するなど歪んだ愛情をもっている
  長男夫婦を不幸のどん底に突き落とそうと企んでいる
  実は、長男夫婦の失脚をもくろむ姉夫婦と裏でつながっている

(人物名)ジェイラス・S・フェザー
(人物説明)犯人
(簡単な経歴)ある保険会社重役
  重度のセックス依存症患者。スザンナとは改善セラピーに知り合った
  顧客の家族に対し、性的関係を持ちかけていた
  スザンナに頼まれ長女に性的暴行を加えようとする
  「警察やFBIなど怖くない!」と念仏のように呟く

(人物名)ダニー・アトリー
(人物説明)犯人
(簡単な経歴)LAPD勤務の警官
  人が死ぬところが見たいという異常な趣味がある
  スザンネに対し、警察の内部情報を教えていた
  最終的に衝動を抑えられず長女をガソリンで焼死させようとする
175はじめまして:2011/03/13(日) 19:15:56.93 ID:c331XqOz
(人物名)コンスタント・ダウズウエル
(人物説明)犯人
(簡単な経歴)交換殺人、殺人ゲームを行う組織のトップ
   ネットで殺人ゲームを中継していた
   殺人ゲームとは、一言でいえば人間狩りで
   「ある特定の場所に集められた移民やホームレスを参加者が武器を用いて狩る」というものである
   さらに、交換殺人を行うサイトも運営していた
   本人にとって交換殺人は「人の願いを叶える場」、殺人ゲームは「貴族の道楽」

(人物名)ポール・メイ、ロニー・リビングストン、ウィリアムズ・ セバリー
(人物説明)犯人
(簡単な経歴)8年前に休暇で別荘に来ていた一家を惨殺した犯人たち
  主犯格はポール
  とくに動機もなく楽しみで人を殺した
  未解決の事件だったが、8年後にロニー、ウィリアムズが相次いで殺される

(人物名)リナ・エリオット(偽名)/クリスティーナ・パーソン(本名)
(人物説明)犯人
(簡単な経歴)ロニー、ウィリアムズを殺した犯人
  実は、8年前に起こった一家惨殺事件の唯一の生存者であった次女である
  事件の後、名前を変え復讐のために3人に近付いた
  自分の中では“復讐が終わるまであのときの休暇は終わらない”という意味を込めて、
  犯行現場に「Endless holidays(終わらない休暇)」と書いていた
176はじめまして:2011/03/13(日) 19:18:19.54 ID:c331XqOz
全員(登場頻度)ゲスト扱いです
>>174>>175は別の事件となってます
177創る名無しに見る名無し:2011/03/13(日) 22:16:00.47 ID:WDY2aNLN
>>176
まあ待て、そんなに焦るな(笑)。
基本的には第0話の確定が先だし、犯人は「ツーリスト」で一応決まっている。
ネタが拡散しすぎると却って話が進まなくなるぞ。
>>173
その文、どっかで使おう(笑)。
オープニングで使うか?それとも、連続殺人だと判ってFBIが動き出した時点で、犯人が新聞にでも送りつける展開にするかは要検討。
いずれにしても最初の犯人は、シリーズの性格を負の側面から決める存在だからね。
できればオープニングで追う者と追われる者を一気に描いてしまいたいな。

それから……連続殺人ばかりじゃつまらんぞ。
強盗(特に貴金属や金庫破り)、誘拐、薬物犯罪、通常の殺人も考えよう。
178創る名無しに見る名無し:2011/03/13(日) 22:54:29.36 ID:7qjdGnDc
>>177 普通の殺人じゃFBIのでる幕がないらしい。
複数の州なら連続殺人か連続強盗。誘拐、テロ、ハイジャックぐらいじゃない?   
179創る名無しに見る名無し:2011/03/13(日) 23:12:00.99 ID:WDY2aNLN
複数州にまたがる犯罪であれば、通常の殺人でもFBIの管轄になるはずだよ。
展開として考えられるのは、変質者による連続殺人に見せかけた通常の殺人。
A・クリスティーの「ABC殺人事件」とか「三幕の悲劇」みたいな行き方だ。
それからもうひとつの手は、連邦職員による犯罪に絡んだ殺人。
まず贈収賄事件があって、被疑者が遺書を残し自殺する。
しかし本当は殺人で……贈収賄の黒幕は……という展開だ。
犯人も実はFBIとか言いだすとグッド。
身内が犯人かもしれないわけで……。
180創る名無しに見る名無し:2011/03/14(月) 07:30:31.09 ID:XCbCOdtC
とりあえず、ツーリスト書き終えてから、考えよう。
話がごっちゃになるし、決めた設定も忘れてしまうからさ。
181創る名無しに見る名無し:2011/03/14(月) 20:20:31.90 ID:Ph5fBu66
DTの正式名称と最後のメンバーまだ決まってないよね?
正式名称>>130で決定したのか
決まってるならゴメン
182創る名無しに見る名無し:2011/03/14(月) 22:40:03.21 ID:XCbCOdtC
ワトソン君は出揃っているな。
あと一人杉下右京みたいな変わり者で天才がいると思う。
>>181が言うように正式名称もまだ決まってないからなぁ・・・・。
できたら誰かまとめWIK作成でまとめてくれるとうれしいのですが・・・。
183創る名無しに見る名無し:2011/03/14(月) 23:39:43.72 ID:wTLyHRRI
ここでちょいと質問。
この「番組」は何分ものなんだ?
テレビの30分もの?それとも一時間?
映画的に二時間枠かな?
小説的に枠設定無しでもいいが、下手すると話に統一感が無くなるよ。
話のテンポにも関わる問題なんで気になるんだが。
184創る名無しに見る名無し:2011/03/15(火) 00:35:06.10 ID:vnMiYI8y
>>183
ドラマだと1時間ものだろう
だからそれくらいじゃない?
長編の場合はことわって書けばいいんじゃないかな
185創る名無しに見る名無し:2011/03/15(火) 00:37:12.57 ID:vnMiYI8y
ついでにキャラ設定を

(人物名)ケヴィン・レーマン
(人物説明)DT(仮)広報官(関係者)
(簡単な経歴)連絡調整及び渉外担当。片頭痛持ちでアスピリンを常に持っている
       詳細をマスコミに公表したり、または止めたりと情報操作を受け持ち捜査を助ける
       また他の組織への連絡も行っている
神経質かつ几帳面な性格
       あだ名は「T-1000」だが、私生活では結構笑ういい人
       40代前半

(人物名)ボブ・ラインハート
(人物説明)探偵・情報提供者(外部協力者)
(簡単な経歴)ベックマンやハーパーに情報を提供している私立探偵
      どこか胡散臭いが腕は確か
      自称霊能力者で、持っていたものに触れると本人や関係者の霊が見えるらしい
勿体ぶって話す癖がある
      30代後半〜40代前半

他にメンタリストや物理学者を考えたが挫折 Orz
186創る名無しに見る名無し:2011/03/15(火) 15:27:30.94 ID:PELP+hHm
(人物名)不明
(特徴)マリナーズの野球キャップ
(人物説明)必ず事件現場に現れる青年。中肉中背の白人。
     現地警察が必ず職務質問する前にどこかに行って消える。
     「トムの弟」事件から現れている。(そのころは少年だったらしい。)
     クリスのネタによくされるが関係は不明。上層部は組織の人間と疑っている。
     ディミトリやキャリーは幽霊と言っているが、幽霊ではない。
終盤に組織とFBIをつなぐ、キーポイントになる。

(人物名)ジョナサン・ハウスキー
(人物説明)FBI捜査官
(簡単な説明)DT(仮名)に非協力的なFBI捜査官。
      優秀で頭が切れる男だが、CIAからのスパイ。
      科学や法医学などは無関心でDTを酷評し冷遇している。
      しかし、クリスとソフィアを評価する。その一方、ディミトリを嫌う。
      いつも冷静だが、時に激怒すると凶暴になることがある。
      CIAからのスパイということが、後に大変な事態を招くことになる。
      一人称は「わたし」もしくは「本官」
187創る名無しに見る名無し:2011/03/16(水) 04:37:38.50 ID:OMYv8oqa
(人物名)ティム・リー
(人物説明)刑事(LAPD)
(簡単な説明)30代前半中国系の刑事。よく顔を出すモブキャラポジション
       現場の説明など雑用を行う
       DTのことは当初、あまり良い印象を持っていなかったが、
       次第に尊敬に似た気持ちを持つようになる
       保安官の弟がいる。既婚
       一人称は「私(DTや上司に対して)」or「俺(身内に対して)」

------------------------------------------------------------------------------------------------------------
(人物名)マシュー・イノー・グリント
(人物説明)犯人/医者
(簡単な説明)20代後半の医者。誠実そうな外見だが、2人の女性と関係を持
       っていた。そんな折、院長の娘との婚約が決まり、関係のあった
       女性両方に別れを提案するもだが、一方の女性に脅され、睡眠薬
       で自殺に見せかけて殺害した。さらにもう一方の女性も“念のため”
       にコンクリートブロックで足を繋ぎ海に沈めた(女性は意識不明の重体で発見)
       さらに、アリバイ作りに雇った背格好の似た男を口封じに絞殺する
       目的のためなら手段を選ばないことから、ソフィアからは「ブレーキの壊れた機関車」
       チャールズからは「抑えの利かない獣」と例えられた
「論理的に~」「物理的に~」が口癖らしく、何度も使う
188創る名無しに見る名無し:2011/03/16(水) 18:32:41.81 ID:+jZyKDQ4
今までの感じからしてツーリストの話に使えそうな人。
(ゲスト枠〜準レギュラー)
LAPD、FBIなどの警察
・ティム・リー
・ダニー・アトリー
・ジョナサン・ハウスキー
コンサルタント及び協力者
・サンベルト・ロレンツォ
・ケヴィン・レーマン
・ボブ・ラインハート
・バーナード・ブルータス・ウォレス
組織?の人間(全員設定を読んでから。間違っていたらすみません)
・マリナーズキャップの少年
・コンスタント・ダウズウエル
・(バーナード・ブルータス・ウォレス )
犯罪者、囚人(ツーリスト事件時点で)
・リチャード・D・ウィッツ (連続予告アベック殺人、囚人)
・ポール・メイ       (一家惨殺主犯格)
・ロニー・リビングストン  (一家惨殺。おそらく逃走中) 
・ウィリアムズ・ セバリー  (一家惨殺。おそらく逃走中)
・スザンナ・シェパード (脅迫、逃走中)
そのほか
・マシュー・イノ・グリント
・リナ・エリオット(偽名)/クリスティーナ・パーソン(本名)

ここに書いてない人は多分使いにくいと思う。
使いにくいだけだから、使えないことはない。
あと、被災者の皆さんあきらめずがんばってください!!
189創る名無しに見る名無し:2011/03/16(水) 19:04:27.12 ID:OMYv8oqa
まとめサイト作成しました!
http://www47.atwiki.jp/fbi_team/

パス:dreamteam
190創る名無しに見る名無し:2011/03/16(水) 20:19:16.49 ID:OMYv8oqa
>>189
パスまで書いちゃったヤバい
パスは変えておきます
191創る名無しに見る名無し:2011/03/16(水) 22:57:26.57 ID:+jZyKDQ4
>>189 ありがとうございます!!
192創る名無しに見る名無し:2011/03/17(木) 07:26:44.59 ID:7RMPdSNl
>>172ぐらいから書く人減りませんでしたか?
計画停電が原因ですか?
もしかして俺のせい?
俺のせいだったら謝ります。
193創る名無しに見る名無し:2011/03/17(木) 14:08:21.73 ID:DueF9XtZ
>>192
もともとこんなもんだよ
194創る名無しに見る名無し:2011/03/17(木) 18:50:09.49 ID:DueF9XtZ
それと正式名称をどうします?
広域捜査班、高速犯罪対策班とか考えたんですが…
195創る名無しに見る名無し:2011/03/17(木) 19:42:41.80 ID:7RMPdSNl
なんでも結構。
できれば英語表記で。
196創る名無しに見る名無し:2011/03/18(金) 03:22:45.82 ID:NeTGVgF4
High speed crime measures force  (高速犯罪対策班)

wide range search unit (広域捜査班)

wide range probe squad (広域捜査班)

wide range investigation unit (広域捜査班)

英語表記にしました
197創る名無しに見る名無し:2011/03/18(金) 20:38:20.14 ID:mtXhJkkd
俺は基本的なんでもいいです。他の人の多数決で。
一つだけ選ぶなら、最後の奴ですね。
ついでに人物設定。

(人物名)ゴードン・ヴェンター
(人物設定)FBI長官
(簡単な経歴)初老の黒人。体格ががっちりとしていて大柄。
    経歴はまったくの不明で非公開にされている。
    性格はリアリストだが紳士的な一面も持つ。また、頭がよくまわる策士。
    上層部がらみの事件は現場におもむき、重圧をかける。
    暗殺された前長官に代わり、上層部に推薦されて就任した。
    個人的に凶悪犯罪者の処刑に立ち会うことも多い。
    一族は政府高官の家系。既婚者で孫が七人いる。ジジバカ気味。
    多様化する犯罪に対するべくDTの設立を決定した。また、人目おいている。
    トーマスに期待している。一人称は「このゴードンは〜」
ハガレンのブラットレイ、レイブン、相棒の小野田官房長官が元ネタ。
198多数決:2011/03/19(土) 01:57:31.25 ID:hTKG1MQ5
この中でどれかお選びください

1. High speed crime measures force  (高速犯罪対策班)

2. wide range search unit (広域捜査班)

3. wide range probe squad (広域捜査班)

4. wide range investigation unit (広域捜査班)

現時点
1. 0
2. 0
3. 0
4. 1
199多数決:2011/03/19(土) 02:16:59.95 ID:hTKG1MQ5
勝手なことして申し訳ありません
ただわかりやすくしようと思い>>198の形にまとめました
200創る名無しに見る名無し:2011/03/19(土) 15:28:51.21 ID:2tU2PGvE
やっぱりライター減ったよね。ツーリスト続きまだ見たいし・・・・。

どの位前だろうか?確かに異様な殺人だった。だが、連続殺人とはまだ気づかずに・・
LA付近のハイウェイで男性の遺体が発見された。すぐさま駆けつけたLAPDは捜査本部を設立した。
「うわぁ、こりゃひどい!!吐くんだったら向こうで吐いてくれ。」
「ノープロブレム。そんなことよりリー刑事。なんか妙じゃないですか?」
「何かがおかしいな。それよりもレンチで足を潰す前に普通なら撲殺する。快楽目的だ。」
「それだけじゃないですよ。現場にレンチを落としていっています。」
もちろんそのレンチからも指紋は検出されず、遺体も損傷がひどく誰か分からないままだった。
乗っていた乗用車から身元は判明したと思われたが、盗難車で振り出しに戻ってしまった。
外傷は7ヶ所。頭に五箇所、両足に一箇所ずつ、首に一箇所。
致命傷になったのは、後頭部の一発目だった。死んでからもなお殴り続けた。
その残忍な犯行から、全力を挙げて捜査したが捜査本部は解散となった。
「へぇ、ソフィアそんな事件捜査しているのか。」
「これ・・・連続殺人。」
「はぁ、類似事件はこの後に起きていないぞ。単独だ。」
「先週、アラスカで起きた・・・。」
「あれは、撲殺の事件じゃない。」
「外傷の数が7箇所。凶器が現場に落ちてた。」
「人の癖か・・・。面白いアラスカに行って来い!!。」
「ありがとうございます。」
201創る名無しに見る名無し:2011/03/20(日) 17:37:26.85 ID:0U3rJQL8
地震とか仕事とかで忙しいんだと思う
でも、まとめサイトもできたことだしがんばって続けてほしい
ツーリストも最後まで見たい
202創る名無しに見る名無し:2011/03/20(日) 21:52:20.30 ID:PWzA6xue
俺は学生だから暇なんで大丈夫です。
みんな大変なんですね。あと上の話の矛盾点などがあればいって下さい。 
みんながんばって下さい。あきらめないことが大切です。
203創る名無しに見る名無し:2011/03/21(月) 18:41:28.38 ID:P40RY3EE
>>198

2希望
204創る名無しに見る名無し:2011/03/24(木) 22:39:00.37 ID:/9pRApK6
支援age
205創る名無しに見る名無し:2011/03/25(金) 17:09:38.48 ID:9uF1ORxN
FBl上層部メンバー
(人物名)マリオ・バックマン三世
(人物設定)FBI副長官
(簡単な経歴)ユタ出身。短気な性格で、人の命を二の次に優先する。
    指揮する能力も貧しく、小心者。だが口は達者でピンチをよく切り抜ける。
    DTを「使えないクズ集団」や「あっても無駄で邪魔」と評する。
    最悪の事態になったら部下に押しつけたりと正義感の欠片もない。
    ゴードンの失脚を狙い、ルイスを送り込んだ。前長官暗殺との関係は不明。

(人物名)エドガー・ファーガ
(人物設定)HRT指揮官
(簡単な経歴)アイルランド系。赤毛で二枚目の顔つきの大がらな男。 
    正義感が強く間違ったことはすぐに指摘する。
    また、元ディミトリの上司で部下からの信頼もあつい。名策士として名が知れ渡っている。
     若手ながらも、上層部の他のメンバーを言論で圧倒する。
(他のメンバー)ミッキー・ビーン、ボブ・ダラス、テラ・セイン
(特徴)ミッキー:無精ヒゲの白人。無口な唯一のDT保守派 
    ボブ:肥満体系のラテン系。地位も上の方。 
    テラ:整った容姿の日系人。DT反対派だが、次第に変わってゆく。
206創る名無しに見る名無し:2011/03/26(土) 16:56:24.42 ID:yrzA6535
>>198

4が無難じゃないか?
207創る名無しに見る名無し:2011/03/26(土) 19:23:09.72 ID:y8uWxuhw
書ける?
208創る名無しに見る名無し:2011/03/26(土) 19:25:15.02 ID:y8uWxuhw
おお、やっと解除されたか。
ハーパーがアラスカに向かうまでの流れ、通しで試作してみた。
文体、流れなどこの感じでいいのか?
意見求む。
209通し試作:2011/03/26(土) 19:31:29.61 ID:y8uWxuhw
 「無理だぜ、Gメン。オレを捕まえようなんてぇなぁな!」
ビル風吹きすさぶ屋上で「トマホーク」は犬のように吠えると、獲物の少女を盾にするのを止め、足元に下ろした。
「……こいつを助けたきゃあよ、Gメン。オレをよぉ、殺すっきゃねえなぁ」
殺人狂は右手に下げた手斧、自らの仇名の由来となった「トマホーク」を顔の前にかかげて見せた。
14人の犠牲者の血が斑になってこびりついた手斧の、ノコギリのように欠けた刃に、「トマホーク」はねっとり舌を這わせた。
「さあGメン、さっさと殺れよ、オレを!」
興奮状態の殺人狂に相対して、「Gメン」と呼ばれた男はあくまで冷静だった。
唇を微かに開いて静かに息を……吐く……吐く……吐く……。
「さあ!さあ!さあ!さあ!決心はついたかGメン?オレを殺す決心がよぉ!」
狂ったようにまくしたてる「トマホーク」。
殺人狂の狙い。
Gメンと呼ばれた男には判っていた。
最高の捜査官に射殺されることで、「トマホーク」主演の物語は完結する。
そして殺人狂は永遠に生き続けるのだ。
アメリカ都市伝説の中に。
「撃てよ!Gメン!さあ!さあ!さああああっ!」
目に狂気と恍惚の光とをたぎらせ、唾を飛ばして殺人鬼は喚き散らした。
「撃てよ!Gメン!……どうしても撃てねぇってんならよぉ!」
「トマホーク」の狂気が一瞬で頂点へと駆け上った!
「こいつを先に殺してやるぜぇ!」
殺人狂が獲物の少女を足元に引き据え、手斧を振りあげた!

210通し試作:2011/03/26(土) 19:32:41.53 ID:y8uWxuhw
しかしGメンは、この瞬間を待っていたのだ!
腰がすとんと落ち、水平に伸びた右手にはS&WM586!
ハンマーが落ちる寸前までダブルアクションのトリガーが一気に引き絞られる。
同時に肺の中から最後の空気が絞り出され……。
この間、時間にして0.5秒!
そしてGメンの人差し指が、トリガーを引き切った!
轟音とともに飛び出し空を裂いた357マグナム弾は、殺人狂の振りあげた手斧の刃に命中!
オレンジ色の派手な火花とともに、手斧の刃を真っ二つに叩き割った!
右手に走る衝撃に思わずのけぞった殺人鬼の視線が再び前へと戻ると、Gメンの煉瓦のような拳がうなりをあげて飛んでくるところだった。

「さあ、もう大丈夫だ。おじさんが、ママのところに連れて行ってあげるからな」
Gメンがビルの一階まで降りると、遅ればせながらLAPDのパトカーがわらわらと集まって来たところだった。
血相変えて走って来た警部補が、拳銃ふりかざし尋ねた。
「『トマホーク』のヤツは!?」
抱きかかえた少女を、これまた駈け寄って来た巡査に引き渡しながらGメンは応えた。
「屋上に繋いである。ヤツの魂を砕いてやったから、もう危険は無いだろう。あとはそっちでやってくれ」
警部補は噛みタバコを地面に吐き捨てると、拳銃を仕舞い込ながら言った。
「そ、そうか……それなら礼を言わなきゃならんな。チャールズ・ハーパーの旦那」

××××/FBI広域捜査班
ファイルNoゼロ 「旅する死神」
211通し試作:2011/03/26(土) 19:34:17.74 ID:y8uWxuhw
 前夜の騒動翌日……。
半クラッチ状態の頭にカツを入れようと、ハーパーは馴染みのコーヒースタンドへと足を運んでいた。
「オヤジ、オレにはメニューくれないのか?」
「メニューなんか見てどうすんのさ。どうせいつものモーニングセットだろ」
何も注文しないうちに、ハーパーのテーブルにはサニーサイドエッグとトーストにブラックコーヒーのモーニングセットが並んでいた。
自分自身はFBI、妻はLAPDという夫婦にあってはスレ違いも日常茶飯事だ。
そんなときハーパーはこの「ボブおやじの店」で食事を済ますことにしている。
店主のボブとももちろん顔なじみだ。
ちなみにモーニングセット以外の料理を注文したことは……全くない。
「おつかれさん……」と言いながら、ボブは通称「ハーパー・スペシャル=特濃ブラックコーヒー」を置いて行った。
これはオヤジからのサービスだ。
彼もなんとなく気付いているのだ。
昨夜殺人狂を逮捕したのは、本当はLAPDではないことを。
ささやかな感謝の現れに微かな微笑みで応えると、ハーパーは特濃コーヒーのカップを鼻先へと持っていった。
凄まじい香りが鼻にパンチを入れてくる。
毒々しいほどの黒さを湛える液体を、意を決してハーパーは胃袋へと流し込んだ。
たちまち頭が冴えわたり……同時に激しくむせかえった。
すると……
「はっはっはっは、とても昨夜のヒーローとは思えないお姿ですな」
信じられないほど容積のある大男が、ハーパーを見下ろし笑っていた。
212通し試作:2011/03/26(土) 19:36:48.16 ID:y8uWxuhw
目の前に立っていたのは、プロレスラーと並んでも巨漢でとおるような大男の白人だった。
身長は190を軽く超えているだろう。
体重は……120から130キロぐらいか。
両サイドの一部を残して奇麗に禿げ上がった頭部と、形よく刈り込まれた豊かな顎鬚。
秀でた額の下で、明るいブルーの目が笑っていた。
「昨夜のヒーローってのは、いったいどういう意味ですか?」
「とぼけることはないでしょう」
大男は手にした新聞を差し出した。
一面トップは真っ二つに割られたトマホークの刃の写真だった。
「これは貴兄の仕業ですね」
訛りが全く無い輪郭のはっきりした発音……「女王陛下のイングリッシュ」で、大男は自己紹介した。
「申し遅れましたが、私(わたくし)はウォレス。バーナード・ブルータス・ウォレスと申します」
大男がグローブのような手を差し出すと、ハーパーも手の平を上着で拭いて握り返した。
「これをなんで私の仕業だと?」
「殺人狂トマホークの狂気の源は、この血塗られた手斧です。犯罪者を撃たずに、犯罪者の邪悪な魂を撃つ……そんなことをする捜査官は私の知る限り貴兄だけです」
「……私の仕事について随分お詳しいようですが、Mrウォレス……」
「ウォリーで結構ですよ」
「それじゃ改めて……ウォリー、あなたはどういう素姓の方なんですか?イントネーションからしてイギリスからいらしたようですが……」
よろしいですかと言って、ウォレスは自分のカップを持ってハーパーに向かいに腰を下ろした。
「私はただの退役軍人です。今はこの国で本を書いておりまして……」
「本と言われるとどんな内容の本ですか?」
「犯罪学についてです」
213通し試作:2011/03/26(土) 19:39:05.68 ID:y8uWxuhw
「グラーツ学派の祖、ハンス・グロスの著した『予審判事要覧』は、発表後100年に渡って、その輝きを失いませんでした」
「ハンス・グロス?……ああ、確かドイツの学者でしたね」
ハーパーは子供のころ読んだ推理小説を思い出した。
「たしかヴァン・ダインが……」
「そうです。『グリーン家殺人事件』には『予審判事要覧』が重要な小道具として登場いたしますね。しかしこの21世紀の世界においてより重要なのは『カナリア殺人事件』の方でしょう。
ヴァン・ダインはこの作で『心理的手がかり』と称してポーカーゲームを使った犯罪者心理の分析を行っていますが、その元ネタは……」
「つまりウォリーはハンス・グロスのことを、最近脚光を浴びているプロファイラーの祖だと言いたいわけだね」
「そのとおりです」
わが意を得たりと大男はニッコリ笑みを浮かべた。
「輝きを失わないのも当然でしょう。20世紀の後半になって流行るようなことを、19世紀に記述していたわけですから」
「でもあなたはさっき言いましたね。『輝きを失わなかった』と過去形で……ということは、現在は輝きを失いつつあるということですね?」
「さすがですね。私の用いた言葉を、極めて正確に解釈しておられる」
軽く相手を持ち上げると、ウォレスは言葉を続けた。
「しかし、より以上に問題なのは……」
ハーパーに覆いかぶさるように巨体を近寄せると、囁くようにウォレスは言った。
「……警察をはじめとする既存の捜査機関も、犯罪の変化に対応できなくなっているということなのです」
「……既存組織の捜査官の一人としては聞き捨てならない話だけども……いったいどういう根拠に基づいてそう考えるんですか?」
214通し試作:2011/03/26(土) 19:40:31.72 ID:y8uWxuhw
 ウォレスの考えによると、最近の犯罪はテロ集団などによる国際犯罪、ネットを舞台とする電脳犯罪、交通手段の発達による高速移動犯罪、犯罪組織の多角経営によるコングロマリット的複合犯罪化が顕著なのだという。

「……しかし、従来からの州別警察や、酒・タバコ・脱税などといった管轄別の捜査機関はこうした新しい形の犯罪に全く対応できていないと、私はそう申し上げたいのです」
「うーーん……」
実はハーパーにも思い当たるところが無いワケでもなかった。
昨夜逮捕した「トマホーク」のことだ。
ハーパーが腕組みして考えていると、偶然なのかウォレスも「トマホーク」のことを持ち出してきた。
「『トマホーク』は二週間ばかりの間に、三つの州を股にかけて14人の人間を殺しました。
しかしLAPDを始めとする州警が、14件の殺人を同一犯によるものだと気付いたのは、僅かに3日前のことです。
もしアナタが独断先行しなかったら、犠牲者の数はもっと増えていたでしょう」
「もっともその独断先行のおかげで……」
ハーパーの、上司からのウケは最悪だった。
「しかしミスター・ハーパー」
椅子に深く腰掛けなおすと、自分の顔の前に人差し指を立ててウォレスは言った。
「現代型のグローバル犯罪、ハイパー犯罪に対抗するには……」
ウォレスは立てていた人差し指をゆっくりとハーパーの方に向けた。
「……必要なのですよ。貴兄のような捜査官が。………おお、こりゃいかん」
ふと壁の時計に目をやるなり、慌ててウォレスは立ちあがった。
「……ちょっと予定がありまして。お引き留めして申し訳ございませんでした」
コーヒーカップを乗せたトレイをもってあたふたと返却口に向かいかけたウォレスだったが……、
二三歩行きかけたところで不意にハーパーをふりかえって言った。
「そうそう、ミスター・ハーパー。ひとつご指摘するのを忘れていました。貴兄は存じですかな?三日ほど前、アラスカで発生した殺人事件のことを」
215通し試作:2011/03/26(土) 19:41:53.56 ID:y8uWxuhw
 ごく短い会見であったが……この不思議なイギリス人の言葉は、ハーパーに抜き難い印象を残していった。
ウォレスが最後に指摘した「アラスカの事件」とは?
FBIのネットワークで情報を集めることもできるが……。
ウォレスと会ったその翌日、ハーパーは単身アラスカへと飛んでいた。
216通し試作:2011/03/26(土) 19:43:11.71 ID:y8uWxuhw
ハーパーがアンカレッジ空港のロビーに出ると、ガラスの向こうでは猛然と雪が降りはじめたところだった。
(タッチの差で降りられたか……)
あの降りようだと、降着があと数分でも遅れたら、機はロスに引き返しただろう。
「ここまでは幸先良いのか?」
自分に言い聞かせるようにハーパーは呟いた。
ハーパーの任地は「少なく見積もっても365日晴れている」と言われるカリフォルニアだ。
もちろん雪道ドライブの経験なども殆ど無い。
ここから先、数十キロは続くであろう雪道ドライブを考えると、さしもの彼も気が重くならざるをえない。
意を決して、ハーパーがレンタカー窓口に向かって歩きだしたときだった。
「キミ、ハーパーくんだろ?」
名前を呼ばれ振返ると、防寒着姿の年配の男が、口角を上げ目を細めて笑っていた。
「やっぱりキミがハーパーくんだな」
男は農夫か樵のように分厚い掌を差し出して言った。
「オレはベックマン。アラスカ支局のトーマス・ベックマンだ」

217創る名無しに見る名無し:2011/03/26(土) 20:04:08.35 ID:y8uWxuhw
 本人的には、まだ状況説明が多くテンポ悪くしていると思う。
イメージ的にはゴドリー・アンド・クリームの監督したプロモーション・ビデオみたいな文章にしたいんだが、……ちょっと難しい。
一時間ものの設定だとレスの長短で違いもあるが、トータルで30レスぐらいか?
218創る名無しに見る名無し:2011/03/26(土) 22:38:09.17 ID:IWqNSCEE
おおっこれはまたいいね!!それと正式名称の〆切どうする?
219創る名無しに見る名無し:2011/03/27(日) 15:52:11.63 ID:uCgQlSdM
>>218
切りがいい4月1日でどうでしょうか?
220創る名無しに見る名無し:2011/03/28(月) 14:14:25.30 ID:bnExNlUt
DT最後のメンバーです
詰め込み過ぎて長くなってしまい申し訳ない

(人物名)エミー・ハワード
(人物設定)ドリームチームメンバー
(簡単な経歴)30代の白人女性。黒髪
      元々はFBIの潜入捜査を担当していたが、ある事件で左遷され書類仕事をしていた
      感情がこもってない抑揚のない喋り方と歯に衣着せぬ物言いをする
      ロレンツォ顔負けの毒舌家で、時々相手の心をえぐるようなことをさらっと言う
消極的な面倒臭がり屋で、人間に対し無関心な上に協調性に乏しいため、少々社会性に難がある
      抑揚のない喋り方をする理由は「一々感情を込めるのが面倒だから」
      必要とあらば感情のこもった普通の喋りもできる
      美人でモデル体型だが、上記の性格と服のセンスもかなり悪いため長続きしなかった
      休日は、家にこもってほとんど外出しない

      メモ魔で何でもメモしているためデスクが常にメモだらけになっている
感情の機微や証言の小さな差異を手がかりに矛盾点を突きつけ、容疑者を焦らせ誤誘導させるなどの能動的な捜査を得意とする
      被害者・加害者関係なしにしつこく食い下がり聞き出そうとする。本人曰く相手を怒らせるのが特技
      笑いのツボがおかしいのか、変な所で笑い出したり周りより少し遅れて笑ったりする
      また、威張る者は徹底的に馬鹿にして軽蔑している
      イライラしていると舌打ちを頻繁にする
      口癖は「めんどくさい」「厄介事に巻き込まれた」

      中学の時に両親を事故で亡くしている。父親がゴードン長官と知り合いだったため一時期お世話になっていた
      今でも長官とは面識があり「伯父さま」と呼んでいる
      マリオ副長官を毛嫌いしていて、「役立たずの配管工」と称している
      また当初は、スパイであるルイスも嫌っていて「配管工のシェパード」とよんでいた
      ハーパーとは、過去に何度か捜査で協力している
      潜入捜査官時代誤ってハーパーに発砲(命中はしてない)されたことを事あるごとに持ち出しているが、恨んでおらず
      ただ単にからかっているだけである
      幼少時代、習い事をしていたためバイオリンとピアノを弾くことができる
一人称は「私」
 
221創る名無しに見る名無し:2011/03/29(火) 21:41:25.59 ID:qeiyaH7g
正式名称 4希望
222創る名無しに見る名無し:2011/03/30(水) 18:55:44.66 ID:+9rwlheR
4!
223名無しの青二才:2011/03/30(水) 20:44:16.22 ID:iRGXIdp+
もう4でよくね?
224創る名無しに見る名無し:2011/03/31(木) 18:10:57.80 ID:lQrjouYJ
役者(メンバー)はそろった!

あとは正式名だけだ
というわけで4番 
225創る名無しに見る名無し:2011/03/31(木) 20:15:18.59 ID:9eQh4Fs8
こんな設定どうかな?
"perfid-hunter" 裏切りの狩人
・FBIかCIAに上層部が極秘の特殊部隊を作っていた。
活動は非合法なことばかりで極秘扱いだったりする感じにしちゃう。
んである事件が闇に葬られDTメンバーが捜査をしだすのだけど・・・・。
犯罪組織幹部暗殺とかして警察と裏社会からも狙われた挙句上層部に見捨てられる。
んでメンバーが追い詰められて命を落とす中ベテラン兵士が行動に出る。
「グレイゴースト」にしたいけど展開的には難しそうだから違う感じにする。
上層部の幹部を暗殺するという行動に出る。
ミッキー、ボブ、テラを殺害しエドガーを意識不明の重体にさせる。
だが長官の護衛を誤って殺してしまい動揺してしまいSWATに包囲されてしまう。
何とか突破するも銃弾を何発も受けており瀕死ながらも長官に仲間の国外逃亡を頼む。
しかし誤解した殺された護衛の兄に右胸を撃たれ死亡する。

だめっぽいですか?
226創る名無しに見る名無し:2011/04/01(金) 15:06:56.88 ID:5mk4z6KT
>>225
良いと思うけど、やるとしたら終盤だな
重要キャラが死ぬ展開だし
227名無しの青二才:2011/04/01(金) 18:36:09.62 ID:xtjqLpti
>>225 グレイゴーストと似てる。個人的には好きだけど・・・。
どちらかにするか、二つを組み合わせるかにしたほうがいい。
けど、上層部の極秘部隊の設定はドラマ[SPEC]みたいに結構、話を深くしてくれるからイイと思うよ。             
228創る名無しに見る名無し:2011/04/02(土) 15:03:02.51 ID:Ic4/sjHG
正式名称も決定しましたね
229創る名無しに見る名無し:2011/04/02(土) 22:25:59.37 ID:H9Gj84Ph
ディミトリがアラスカにいくまでの話を試案中。
ちょっと待ってて。
230創る名無しに見る名無し:2011/04/03(日) 18:09:17.59 ID:PeMdisn5
>>229
待ってまっせ旦那!
231名無しの青二才:2011/04/03(日) 20:29:40.28 ID:jEbad+qQ
ディミトリの話を少々。

心臓の鼓動が張り裂けそうなくらい激しく唸る。引き金を引いたらその人の命を奪う。
確かに怖いし嫌だが市民のためだと言い聞かせてイラクとアフガニスタンに従軍し国に忠誠を誓った。
しかしこれと今の状態は違う。
人質をとって白昼堂々篭城する馬鹿と生きるために米軍に奇襲をかけるゲリラは違う。
外には重武装の警官隊。ここまでしてしまうのはただの馬鹿としか言いようがない。
馬鹿だからといっても常識はある。交渉に応じてムショにぶち込まれたくはない。
だけど、手に持ったコルトガバメントではすぐに弾切れになって立ち向かってもM37で頭を打ち抜かれるのがオチだ。
「くっそぉ。畜生!何でこんなことになっちまったんだ!」
換気ダクトから犯人の悲痛な叫びは聞こえていた。
もしかしてこの男・・・!?
鼻につく刺激臭と犯人の馬鹿の行動の不審点に気づきある憶測を立てた。
 もしかしたら・・・。
「隊長!俺を犯人と交渉させてください。彼は被害者です。」
「何言っている!人質の命を最優先にしろ。迷わずに射殺だ!」
隊長の声は残酷なほど低かった。
「被害者とはどういうことだ?」
無線から流れた声の主は名策士であるエドガー・ファーガ作戦指揮官だった。
「ガソリンとアンモニアのにおいです。おそらく彼は体に爆弾を巻いているでしょう。」
「自作自演って可能性もあるぞ。」
エドガーはおそらくこのときに犯人は他だということを勘付いていたのだろう。
 とりあえず現時点ではまだ発砲許可は下りないだろう。
そう俺は見越した。
「犯人はあせっています。普通爆弾を巻くということは死を覚悟します。けど捕まるとこに恐怖を持っている。それに計画性のない犯行です。」
「分かった。君に交渉させるチャンスを与えよう。」
232名無しの青二才:2011/04/04(月) 14:12:53.61 ID:5IqQWn9y
せっかくもらったチャンスだ、ふいにはできない。
 男は馬鹿なんかじゃないかもしれない。
「おい!?お前誰だ!銃を置け!お願いだ。」男は困惑しながらもこちらへと姿を現した。
[ 爆弾チョッキ ]
戦場で特攻したり、自爆テロに使われたり、一般人に着せ殺させたりして仲間は大勢死んだ。
 普通なら誤爆の恐れがあるチョッキ式のものは使わない。生贄という意味か?
男は大量の汗を掻きながら45口径のガバメントを左手に持って引き金に指をかけようとしている。
「レベルVのボディーアーマーは45口径を貫通させない。貴重な9発が無駄になるぞ。」
男は震えながらもまだこちらにコルトガメントを向けていたが、SWATのスナイパーは引き金を引かない。
ある意味幸運だった。と後から思う。
普通ならこの状況において二人とも助かる確率なんて0%だろう。
それにスナイパーが引き金を引いたら爆弾は起動しHRTのチームの一部は巻き添えを食らった。
エドガー指揮官のおかげだったのかも知れない。
「あんたは何で俺の頭を撃ちぬかない?」
「あんたの行動はどう考えても自殺行為。なのに焦っている。」
男は銃を床に置くと、ゆっくりと両手を頭の後ろに上げた。
「俺は刑務所出たばっかりで、路頭に迷っていた。誰も信用してくれなかった。」
男はおそらく泣いていたのだろう。声は震えていたし、自分の行動を悔やんでいた。
「あんたは俺を信用してくれるのだろ?ありがとうな。本当に。」
「ああ。約束だ。誰も殺させない。」
チョッキ爆弾は簡単な作りで、大学を出てない俺でも解除は容易にできた。
爆弾を解除すると、HRTはすぐさま突入し、男を取り押さえた。

その後男に篭城させた犯人は捕まらなかったが、男は無事釈放され誰も死なず終わらすことができた。
けど男は数日後に地元のギャングに目をつけられてしまい、頭を撃たれ死んだらしい。
「ありがとうな。本当に。」
男が捕まる直前に言った言葉が切なく感じ俺は悔しくて壁を思いっきり殴った。
 なんで!助けれたのに・・・・。
爆弾篭城騒ぎの何ヵ月後も俺は苦悩し続けた。
233名無しの青二才:2011/04/04(月) 14:18:02.01 ID:5IqQWn9y
そんな中飲み屋の主人がTVを見ながらつぶやいた一言が俺を前に進ませた。
「アラスカで殺人だってよ。この前の爆弾篭城強盗もアラスカだろ・・・。」
‘アラスカ爆弾篭城強盗’
確かに起きていたが、例の男の事件の数ヶ月前の話で関係性はないと思っていた。
すぐに有給をとり、アラスカ行きの飛行機へと乗った。
234創る名無しに見る名無し:2011/04/05(火) 17:06:49.21 ID:ilxg8L5Y
ってか今読んだらリレーじゃなかったのか!すみませんツーリストの作者さん
235名無しの青二才:2011/04/06(水) 17:16:58.28 ID:ZCrG+2oc
一応篭城犯の設定も・・。

(人物名)モーリス・エルリック
(人物設定)被害者(爆弾篭城犯)
(簡単な経歴)小柄な白人男性。過失致死で前科が一犯あり執行猶予中だったが・・・。
       本人は被害者を殺すつもりは無かったが頭の打ち所が悪く殺害してしまった。
       執行猶予中はホームレスとして公園に寝泊りしていたが何者かに襲撃されてしまう。
       爆弾チョッキを着せられ篭城するように命令され、篭城。
       ディミトリの決死の行動で爆弾は解除でき、その後釈放された。
       だが、地元マフィアの下っ端に目を付けられ射殺される。
*ここから先は物語の核心部に関係します。読むときはご注意してください。
 (実際の顔)組織の一員だったが権力も弱く、使い捨てにされることが決定していた。
       同じ組織の刺客に殺されかけたが、返り討ちにして殺してしまい刑務所に入っていた。
       執行猶予中に爆弾騒ぎで優秀な警官を見つけ出す囮に使われる。
       地元マフィアの下っ端(犯罪組織の下っ端)にディミトリの存在を報告した。
       しかし、用済みと判断されて銃殺された。
       彼の死をきっかけにディミトリと他のDTメンバーをつないだ。
236創る名無しに見る名無し:2011/04/06(水) 19:44:53.74 ID:mYqg1LlU
>>234
気にするな
練り直して投稿してもらえばOK!
237「ツーリスト」構成者:2011/04/07(木) 19:25:56.75 ID:TKHqtTD0
>>234
別に気にするようなことじゃないです。
たぶんアナタは、私が書いている別スレでも保存書き込みをしてくれた人でしょう。
巻き添え?規制で書き込めないことも多いから、別の書き手や保存してくれる人がいると心強いですね。

他の人が書き易いように、ここまでで組み立てたネタを次レスで公開しておきます。
238「ツーリスト」構成者:2011/04/07(木) 19:36:03.04 ID:TKHqtTD0
アラスカの殺人現場
5人家族のうち4人は射殺だが1人だけ殺害方法が異なる。
凶器が前の殺人へと繋がるカギ
その凶器は、よく考えると「あるはずのないもの」だった。これはどこから来たのか?
凶器の出元を追ったハーパーは、「前の殺人」、更にもう一人の仲間へと導かれる。
一方ベックマンの更なる調査で、アラスカの現場に「なくてはならないもの」が消えていることも判明。
このアラスカの現場から消えた「なくてはならないもの」が次の殺人の凶器となった時点で、犯人の意図が判明する。
239「ツーリスト」構成者:2011/04/07(木) 19:39:24.26 ID:TKHqtTD0
連鎖する殺人の「凶器」と「被害者」
現場から持ち去られた「何か」が次の殺人の凶器になる。
凶器と被害者のある属性の頭文字を殺人の発生順に並べると、「ヨハネの黙示録」のいわゆる「黙示録の四騎士(白い馬の騎手、赤い馬の騎手、黒い馬の騎手、青ざめた馬の騎手)」となる。

R ライフル 没落(ルーイン)した社長
I 象牙(アイボリー)の彫刻 皮肉をもって知られる書評家
D ドアーストップ 医者
E 電気式ヒーターによる感電死 株の仲買人
R カミソリ リストラされた男
S *敢えて不明とする

W ウィスキー・ボトル 貪欲な(ウルフィッシュリーな)投資家
H ハーケン(登山具) 養蜂(ハニー)業者
I アイロン インド人
T *敢えて不明とする
E *敢えて不明とする

R ロープ ロック歌手(売れない)
E エレキギター ゴシップ紙の女性ライター(仇名が「不和の女神(エリス)」)
D 辞典 信仰がキリスト教ドミニコ会派

B バット(野球の) 醸造業者(ブリューワー)
L 羊の骨 法律(ロウヤー)
A *敢えて不明とする
C チェーンソウ 聖書学者(キャノニスト)
K ナイフ アル中の主婦(キッチンドリンカー) 

P 西部劇の拳銃(ピースメーカー) プロデューサー
A アーミーナイフ 若手の無名女優
L 天秤ばかり 独身者(ローン)
E エボラウィルス 最後の舞台は博物館の展示会(エキジビション)
240「ツーリスト」構成者:2011/04/07(木) 19:41:59.14 ID:TKHqtTD0
バラバラの殺人を追っていた未来のDTメンバーがそれぞれの現場で鉢合わせしたり、照会に応じて動きだしたり……。
そしてひと通りのDTメンバーの半数程度が集まった時点でラストのダッシュに突入。
ラスト・ダッシュのスタートはこんな感じで……

×××「でもMrハーパー」
ハーパー「Mrはいらないって言ってるだろ」
×××「そんじゃハーパー」
ハーパー「……」
×××「最初のライフル銃は?」
○○○「そうだわ!博物館じゃ誰も殺されてないわよ」
ハーパー「……ペイル(PALE)が正解なら最後はEだね」
ベックマン「もしかして、博物館(ミュージアム)じゃなく展示会(エキシビジョン)なんじゃないか?」
×××「………そうか!ベックマンの旦那!きっとループだ。ぐるっと回って最初に戻る!」
ハーパー「だとすると被害者の属性のEは?」
○○○「まさか……みんな(エブリバディ)』なんじゃ……」
そこに飛び込んでくる□□□。
□□□「おい皆!旅人が動いたぞ。バークレーで男が天秤はかり(ライブラ)で撲殺された」
ハーパー「現場で何か無くなったものは?」
□□□「それが男は科学者で……P4施設に出入りする資格をもってたんだそうだ」
ハーパー「P4だと!?……P4にあってEで始まるものといえば……」
□□□「エボラウィルスが見当たらないそうだ」

ここで次の犯罪現場はロスの博物館、標的は「誰でも(エブリバディ)」で、エボラウィルス(感染力は激強!)の散布による無差別大量殺人あると判明する。
一方ロスでは、件の博物館で「カリフォルニア・ゴールドラッシュ展」が、いままさに始まろうとしていた!

最後はウィルス収納容器を手にした「ツーリスト」対「未来のDTメンバーたち」の対決だ。
241創る名無しに見る名無し:2011/04/10(日) 02:56:17.51 ID:kXPORSah
支援age
242創る名無しに見る名無し:2011/04/10(日) 19:35:40.50 ID:CygKfVvf
このチェーンレター式連続殺人を構成する理由は「複数の書き手で書けるスタイル」だから。
スレ住民は自分の気に入ったキャラを気に入ったように動かして、話を動かしていけばいい。
しばらくしたら、私が動いていたキャラを一気に統合する(もし矛盾点があれば私が統合時に修正をかける)。

アラスカでの殺人は「K ナイフ アル中の主婦」という部分。
夫が長期出張で留守がちの家が舞台。
被害者はジュディス・ソーンダーズ43歳、長男ケイン18歳、長女ジェゼベル16歳、次女エシェット。
子供たちが学校に行ってしまうと、母親は孤独をアルコールで紛らわせていた。
その家族が生贄に。
ジュディスの指先には血で描かれた「K」の文字。
しかし凶器となったナイフの柄に、掠れてはいるが「主イエズス」と「聖母マリア」彫られているのにハーパーは気付く。
しかし惨殺された家族は、そんなものを持っているハズが無かった。
何故なら家族は……。
凶器のナイフの作りから、教会用具販売で売られた商品でないかと考えたハーパーは、ひとつ前の事件「チェーンソウでの独居老人滅多斬り」事件へと導かれる。
現場の床には、死体を囲むように大きな円弧上の傷(=C)が刻まれていた。

ここに至ってハーパーは、「奇妙な凶器」と「現場にアルファベット」という項目で全米のFBI支局に照会を出す。

↑ここでメンバー終結開始だね。
243創る名無しに見る名無し:2011/04/10(日) 23:19:32.32 ID:loL1bdwe
経済関係者が連続して殺害される話

テリー・ヴィルヘルム・ボイジャー
・やり手の女社長だったが重役と対立し記者を解任。
・その後は事業も次々失敗し資金も持ち逃げされる。
・母親が自殺し、さらに2回離婚。
数十ヶ月前にNYで狙撃され、左胸を貫通し即死。

ライベン・クロード捜査官はそのとき何もできず漠然と立ち尽くしていた。
血まみれで倒れる中年女性とパニックになるNYのメインストリート。
フラッシュバックするようにその日のことを覚えている。
人生に失敗した女社長はその日に的確に狙撃され死んだ。
現場になったビル街からではどのビルからでも狙撃できる。
「ライベン・・・まだ調べているのか・・・。」
相棒のジョナサン・ハウスキーこちらには非協力的だ。
「ジョナサン。これはどう見てもプロの犯行だな。」
「殺し屋とでも言うつもりか?ありえないよ。」
ジョナサンは紙コップに注がれたコーヒーを一気に飲みほした。
「的確に左の目玉を撃ち抜く奴なんて凡人にはできやしないよ。」
「あと・・・これ被害者に恨みがありそうな人リストにあげといた。」
「たまには使えるね。相棒!」
244創る名無しに見る名無し:2011/04/10(日) 23:28:36.51 ID:loL1bdwe
(人物名)ライベン・クロード
(人物設定)FBI捜査官
(簡単な経歴)ジョナサンの相棒。DTにはやや協力的。愛銃は「FN Five-seveN 」
     猟師の息子でそのことがコンプレックスにしている。
     遅刻が目立ち、勤務態度も悪い。が、頭は回る。
     拳銃を腕もそこそこで格闘術もそこそこ。
     「ツーリスト」の事件では偶然現場に居合わせた。
     
     
245創る名無しに見る名無し:2011/04/14(木) 21:45:28.27 ID:y81Houcc
age
246創る名無しに見る名無し:2011/04/15(金) 22:56:56.62 ID:vK13me80
折角、他の住人が書きやすいようにネタを公開したのにだれも書かないな。
他の住人がいない?
それとも書く気が無いのか、書く能力が無いのかな?
しかし「名無しの青二才」氏のようなスレ住人もいるのだから、もう少し書きすすめてみるか?
……と、いうわけで、他の書き手がいないのであれば、以後は「試作」ではなく、事実上の本作となりもうす。
では。
247ファイルNoゼロ 「旅する死神」:2011/04/15(金) 23:00:06.56 ID:vK13me80
WRIU/FBI広域捜査班事件記録
ファイルNoゼロ 「旅する死神」

「被害者は4人。内訳は、この家の主婦ジュディス44歳、長女ジェゼベル18歳、長男ケイン16歳、次女エシェット14歳です」
ベックマンにハリーと呼ばれた警官は、現場に着くなりバスガイドよろしくハーパー相手に案内を始めた。
「母親のジュディスは居間で、ジェゼベルは玄関、ケインはガレージ、エシェットは寝室前の廊下で殺されていました」
「死因は?」
「ジュディスのみはナイフで喉を切り裂かれ、他の3人は射殺です」
「??なんで全員射殺じゃないんだ?」
軽く小首をかしげ、ハーパーは部屋から部屋へと渡り歩き始めた。
玄関から居間へ、今から寝室へ。
裏口を出るとガレージに回り、それから総ての窓を覗き、建てつけをチェック。
次は裏口に戻り、次女の殺された寝室の経由で玄関に。
それから小走りにキッチンに行くと、食器戸棚を片端から開いていった。
「問題のナイフは、ペーパーナイフか何かかい?」
「いえ、普通のナイフですが……。でもハーパーさん、なぜペーパーナイフだと?」
「ハーパーさん、ペーパーナイフで喉が裂けると思いますか?」
「だろうな……」
ハーパーは居間に戻ると、床にチョークで描かれた人型の傍らに立った。
床に広がる黒々とした染みが、出血量の凄まじさを物語っている。
「血痕が壁の天井ぎわまで飛んでるな」
「ええ、検死官の話だと喉を裂かれた時点で被害者の心臓は動いてたはずだそうです」
「酷いな……」
「酷いのはそれだけじゃありませんよ」
ハリーが顎で合図すると、相棒の巡査が小脇に抱えていた一冊のファイルをハーパーに手渡した。
「……これは?」
開いて見ると、驚いたことにそれは捜査関係書類一式のファイルだった。
それまでも州警の態度は極めて協力的と感じられたが、ここまで来ると薄気味悪くすら感じる。
「署長にこの話をしたら、貸してくれるそうだ」
なんということも無さそうにベックマンが言った。
どうやら州警の好意は、FBIに対するものというより、ベックマン個人に対するもののようだ。
少なからず驚きながらファイルを開くと、いきなり出て来たのは「被害者の喉の傷」のアップ写真だった。
「なるほど、こりゃ確かに……酷いな」
……本当に酷いものだった。

248ファイルNoゼロ 「旅する死神」:2011/04/15(金) 23:03:53.45 ID:vK13me80
喉に加えられた損傷は、ハーパーもちょっと見たことのないほど、惨たらしいものだった。
これを生きている人間にやったとはちょっと考えられない。
喉を裂いたというから横一文字にやったのだろうとハーパーは想像していた。
だが写真では……長い直線状の傷が三本。滅多切りのように深々と斬り込まれていた。
「喉の右に縦の直線で一本。喉の左には左斜め上からと左斜め下に直線状の傷が二本。
あと次の写真も見てもらえば載っていますが……」
「次の写真」を目にしてハーパーは思わず唸った。
「犯人は、まさか……」
「ジュディスの首を切断しようとしたようです。もっとも脛骨が切断できなかったらしく断念したようですが」
そのとき、ハーパーの脳裏をなにかが一瞬よぎった。
「首を切る……ジュディス……そうか!」
「どうした?ハーパー?!」
「ああベックマン、それから君たちも。バイブルを参照したいんだけど、どこかに無いかな?」
「聖書?いますぐにか??」
「できれば」
「寝室にならあるでしょう……」
警官の一人が部屋を出て行き、ベックマンは書棚に、ハーパーは書き物机の引き出しを開けてみた。
「……無いな。そっちはどうだ?ハーパー」
「いや……無いな」
そこへ寝室に行った警官も戻ってきた。
「聖書は無かったですね。それどころか十字架もロザリオも見当たりません」
249創る名無しに見る名無し:2011/04/18(月) 19:29:12.21 ID:v9FYgdpA
(人物名)ブラスコ・オーティ
(人物設定)AV制作会社社長 犯人
(簡単な経歴)イタリア系アメリカ人。AV制作(大手ではない)会社社長
       裏ではAV撮影であることを隠し、スカウトしてきた女性を監禁して強引に撮影をしていた
       その内容はあまりにも強烈でキャリーが吐いたほど
       性格は冷徹で部下ですら物扱いしている
       「ついてくるような女なんてろくでもない奴さ」と開き直る
       外見は40代後半から50代前半の大柄

(人物名)ジョーセフ・ガンター
(人物設定)AV制作会社社員兼男優
(簡単な経歴)オーティの会社に勤める社員。
       裏では男優として女性に暴行を働いた
       サディストで女性を痛めつけるのが大好き
       最後はディミトリにより、自らが痛めつけられることになる


(人物名) デリク・リッケンバッカー
(人物設定)AV制作会社社員兼男優
(簡単な経歴)オーティの会社に勤める社員。
       裏では男優として女性に暴行を働いた
       人の嫌がる顔・泣き叫ぶ顔が好き
       最後は、抵抗したためルイスに股間を打ち抜かれる
250名無しの青二才:2011/04/18(月) 19:39:14.71 ID:OLi7H5wj
>>249
レイプモノにしちゃうとズレル。というか個人的につなげにくい。
レイプ→学生によるリンチ殺人 にするのはどう?
ブラスコの設定をオカルト映画配給会社社長で黒幕
デリク、ジョゼーフがサディストの学生及び実行犯(金で雇われただけ。)
んデ目的をリアルな映画を撮影するために狂気に駆られたサイコパスキラー。
そこから、学生による銃乱射と銀行襲撃につなげれたらいいね。

まずはツーリスト書かないとね…。
251名無しの青二才:2011/04/18(月) 19:59:05.88 ID:OLi7H5wj
ころころ変わって、すみませんがNYの話しの続き。

「リストのうちの、スタン・リー・アーメイが先週殺された。」
ジョナサンが去り際に言い放った言葉が何度も頭によぎる。
書評家のスタンは無残にも象牙でのど笛を引き裂かれ殺されたらしい。
象牙は密売品でテリーの指紋が検出されたが、不明な点が多かった。
これまたテリーと共に恨む者が多く、なぜ41まで生きれたか不思議なくらいだった。
NY郊外のテリーのマンションに向かう車で考えた結論だが、これは計画的な連続殺人だ。
まず狙撃による殺人。
人通りが多く間違えて一般人撃ち殺してもおかしくは無い。
・・・腕がいい狙撃兵か?
背の高いビルが多く狙撃手の位置までは特定できなかった。
そして第二の殺人、象牙によるのど笛の引き裂きだ。
外傷はのど笛以外は無い。ということは動いている人を切り裂いて殺した!?
相当腕がいい。殺し屋?軍人?テロリスト?
車のクラクションでようやく現実へと戻った気がした。
・・・結論はこれは経済関係者のテロかもしれない…。
NY市警の若い巡査長はこちらに手招きをしていた。

「あまり荒らさないでくださいよ…。まだくびになりたくないですから…。」
若い巡査長はこちらに聞こえるかのように皮肉を呟いた。
「分かってるよ。あんた結婚してるのか?」
「してませんよ…。まぁ彼女はいますけど。」
若い巡査長は勝ち誇ったかの様な表情でこちらに目を向けた。
「ブリジッドによろしく言っておいてくれ。」
若い巡査長は呆気にとられて唖然としてこちらを見ていた。
「なっなんで!?俺の彼女がブリジッドって?」
若い巡査部長はひや汗まみれの顔を女性用の制服の袖で拭いた。
「着替えたほうがいいぞ。楽しかったか彼女との行為は?みんなのいい笑いものだ。」
252ファイルNoゼロ「旅する死神」 :2011/04/18(月) 23:38:50.54 ID:bdHCMcGV
「やあブライアン、色々と気をつかってもらって助かったよ」
「なぁに、気にするなよトム(=トーマス)。あんたにゃ昔っから色々と……」
所轄警察に出向くなり、ベックマンが出迎えた署長を巧みに誘導してくれたので、
ハーパーはギャラリー抜きで署のパソコンを使うことができた。
まず彼は、キーボードで「ジュディス」と打ち込み検索をかけた。
結果は……ハーパーの記憶の通りであることが確認できた。
(「ケイン」は……調べる必要なんてないか。次は「ジェゼベル」だ)
10分後には、ハーパーは知りたかったことを総て把握できていた。
(あとは凶器だ。きっと何かいわくのあるナイフに違いないぞ)
ハーパーはパソコンを前から立ち上がると、廊下で相棒と立ち話をしていたハリー巡査に声をかけた。
「すまないが、凶器のナイフを調べさせてくれないかな」
「もう用意してますよ。これです」
巡査は証拠品保管のケースから、ビニール袋に入ったナイフを取り出した。
「慎重に扱うから……」「どうぞ、中からだしても構いません」
まさに至れり尽くせりとはこのことだと思いながら、ハーパーはポケットからかねて用意の白手袋を取り出した。
凶器のナイフは、ごくありふれた品だった。
だが、ハーパーには、ごくありふれている点こそが奇妙と感じられた。
(軍用や狩猟用のナイフじゃない。ツールナイフでもないな。もちろんキッチンナイフやテーブルナイフでもない。このナイフは……)
「刃の材質は?」
「安もののステンレスだそうです」
「たいして切れ味のよくない、安ものの量産品というわけか」
たしかに銀色の部分もよく見れば「銀」や「プラチナ」ではなく「メッキ」にすぎない。
元は乳白色だったらしいグリップも、本物のアイボリーなどではなく、樹脂製の紛いものだ。
「だが、ユディトの首を斬るのに使った以上、このナイフにも何か意味があるはずなんだが」
独りごとを言いながら指の腹でナイフのグリップ部分を撫でたとき、ハーパーはそこに些細な凹凸があるのに気づいた。
「悪いけどハリー、紙と鉛筆を持って来てくれないか」
「紙と……鉛筆をですか??」
「うん、鉛筆はできれば芯の柔らかいのがいいな」
253ファイルNoゼロ「旅する死神」 :2011/04/19(火) 12:43:13.51 ID:2St8Hk1n
ハーパーの右肩越しにパソコンのディスプレイを覗きこんでいたベックマンが尋ねた。
「なあハーパーくん。これはいったい……」
ディスプレイは黒に近いダークグレイ一色に塗り潰されている。
「証拠品の、凶器のナイフの柄に、酷く摩耗してますが何か模様のような凹凸が感じられたので……」
ハーパーが答えると、今度は右肩越しに署長のブライアンが言った。
「なるほど、柄の部分に紙を載せて、上から鉛筆で擦って浮き上がらせたワケか。こりゃ気がつかなかったな」
「鉛筆で擦ったのをパソコンに取りこんだのがこの画像というわけだね、ハーパーくん。でもこう真っ黒じゃあ……」
「もちろんこれでは判りません。でもこの画面を濃度調整すると……」
カチッ!カチカチッ!っと音がして、ダークグレイ一色だった画面に、ぼんやりしたラインが浮かび上がった。
「トム、これは……何かの模様かな?」
「いや、違うぞブライアン。これは……文字だ。筆記体だよ。刻んである文句は……」
カチッ!さらに画面に調整が入り、続いて表示倍率も変更された。
「く……しゃ……い……え……そうか!」
キーボードの端を軽く叩いていハーパーが歓声を上げた。
「判ったぞ!このナイフの柄に刻まれてる言葉は『我が牧者イエス』だ」
「待ってくれハーパーくん。このナイフには主を讃える言葉が刻まれているようだが、
そう言えば君は殺人現場で聖書がどうのと言っていなかったかい?」
「ええ、それについても、さっきこのパソコンで確認できました。いまからそれを説明します」
254ファイルNoゼロ「旅する死神」 :2011/04/19(火) 12:45:51.19 ID:2St8Hk1n
ハーパーはパソコンの前から立ち上がると、捜査会議用のホワイトボードの前に立った。
「まず一家四人の中で、母親のジュディスだけが特別な、念のいった殺され方をしていました」
ハーパーはホワイトボードに「JUDITH」と書き、それとは別に射殺された三人の子供の名前を書きだした。
「母ジュディスは殺害方法で仲間外れです。しかし、同時にジュディスはもう一つ別の理由でも仲間外れなんです。わかりませんか?」
署長は眉間に皺を寄せるばかり。ベックマンも口を「へ」の字にして顔を横に振った。
「続けてくれないか、ハーパーくん」
了解というように首を縦にふるとハーパーは再び口を開いた。
「私が子供のころ、近所にユダヤ人の友達がいまして……」
話の予想外の展開に署長の目が点になった。
「そいつの言うには、アメリカ人の名前はユダヤ起源のものがっかりだと。それで……」
「ああそうか!」と言ってベックマンは自分の額を叩き、ブライアン署長も目を見開いた。
「まあ昔話はこのくらいにして……一番のヒントは長男の名前『ケイン』です。
彼の名前は旧約聖書の『カイン』、つまり世界最初の殺人犯の名前です。
ここまでくればもうお判りでしょう。
長女ジェゼベルは『イゼベル』。つまり『ナボテの葡萄園』の説話に登場する悪しき王妃。
次女エシェットは「ロトの妻」の意味で、主がソドムを破壊するとき、主の命に背いて町に振りむいたため塩の柱に変ったという女性です」
やれやれというように署長は椅子にドサッと腰を落とした。
「つまり……三人の子供は神に背いた者から採られていたってわけか」
「そうですブライアン署長」
「しかし仲間外れというからには、ジュディスは?」
「ジュディスだけは神に背いた名前ではありません。ジュディス……ユダヤ式だとユディトは、ユダヤの民を救うために、異教徒の侵略者の王の首を短剣で刎ねて殺した女性です」
255ファイルNoゼロ「旅する死神」 :2011/04/19(火) 12:47:53.50 ID:2St8Hk1n
「家に聖書も十字架もロザリオも無かったこと。更に、三人の子供の名前の選び方から、ジュディスはキリスト教にネガティフな考え方を持っていたんだろうと思います」
署長のブライアンが唸った。
「そういえば……日曜のミサでも彼女の顔を見たことは一度も無かったな」
「つまりだハーパーくん。犯人は、『我が牧者イエス』と刻まれたナイフで、ユディトの名を持つ不信心者の首を切り刻んだのだと、そう言いたいわけなんだな」
ハーパーが頷くと、ベックマンは凶器のナイフが収められた袋を手に取った。
「君の言う通りだとすれば、こんなナイフが被害者宅にあったはずはない。犯人がわざわざ持ち込んだものということになるだろうな」
「当然そういうことになると思います。ナイフの出どころを調べる必要がありますね」
「それならハーパーくん、教会用具を扱う販売店を調べてみちゃどうかな?」
「教会用品の?」
「そういうものを専門に扱う店があるんだ。作りからして量産品らしいし、全体のデザインからも実用品だったとは思えないフシがあるからね」
256>>249:2011/04/19(火) 16:54:34.63 ID:yDtYwRlK
>>250
変更はもちろん構いません
「スナッフビデオ」設定は面白そうですし
257名無しの青二才:2011/04/21(木) 20:32:24.07 ID:VMXX5jxq
「密輸象牙は全部押収されましたよ。」
若い巡査長は何もなかったかのように自分の制服を着て現れた。
「二つ足りなかったようですね…。」
象牙のコレクションルームは何もなくて殺風景だった。
「ゴミ箱に何か入っているぞ…。」
隣のキッチンのゴミ箱に回収されなかった小さな紙切れの切れ端が落ちていた。
(今日は2つ。明日は三つ・・・・?)
切れ端に残された字は不可解な意味を指し示していた。
テリーの家を出ると、スタンの家へと向かった。
258名無しの青二才:2011/04/22(金) 18:55:38.43 ID:1D2Esgdu
スタンの家は醜く荒れていた。
身長220m、体重150kg長髪でガッチリとした体格の男がここで殺された。
窓際の黒い汚れが血の跡でそこが殺害現場らしい。
「左頚動脈からずばっとのどを切り裂かれていました。」
巡査長はのどの辺りを指差していた。
「ひどく荒らされていて強盗目的だと思われていたのですが…。」
「テリーの指紋が検出された。ってわけか・・・。」
巡査長は書類を見ながら凶器の象牙について説明した。
「右曲がりで20センチ程度で先端がとがっていました。テリーとスタンの指紋。それからスタンの皮膚繊維が検出されました。」
「髪の毛は?」
間髪いれずに質問をした。しかし意外な答えが返った来た為驚きを隠せなかった。
「検出されてません。」

「んでそこからどうなったんだ?」
ジョナサンはコーヒーを飲みながらライベンの話の続きを聞いた。
「そこからだな…。」

(相手は巨体。なおかつかなりの腕。そんな奴は限られてくるはずだけども…)
パソコンの前に座ってコーラを飲み干した。
「アイツ絶対ブリジッドと付き合っているの自慢してるんだぜ。」
「わざと自分でやったな…。」
通路を通る二人のNYの警官が話をしていた。
(わざと自分がした…?もしかして!)
すぐに携帯電話を鞄から取り出して、上司のザックに電話をした。
「スタン・リー・アーメイは自殺です。自分でわざと象牙で切り裂いた!」

「それで何で分かった。」
ハンドルを握るライベンは笑いながら答えた。
「まず凶器の象牙だ。何で象牙で自殺する?二つ目に象牙から被害者の髪の繊維が検出されなかった。」
「三つ目は、殺し方。右から手を回すように切った。そうだろ?」
「さすが相棒。」二人の乗る車はまだ終わらぬ事件へと向かっていった。
259創る名無しに見る名無し:2011/04/22(金) 19:12:38.98 ID:ZwlnOVvz
231〜233の部分はキャンセルという理解でいいんだよね?
デミトリィを走らせるがいいかな?
260創る名無しに見る名無し:2011/04/24(日) 06:53:19.06 ID:xXaCB63N
>>231-233はとり消しで
261創る名無しに見る名無し:2011/04/24(日) 08:56:04.45 ID:7JFQDMOC
了解
デミトリィを「走らせる」。
262創る名無しに見る名無し:2011/04/26(火) 19:45:31.74 ID:23QB8ni+
age
263名無しの青二才:2011/04/26(火) 21:30:06.98 ID:iLPrEy5u
スタンの事件は密売組織に追い詰められたものだと判明した。
FBIが幹部を逮捕したことをきっかけに組織のほとんどは壊滅した。
強盗の実行犯の男は書類を捜すために荒らしたと自供したがテリーの狙撃に関しては否定した。
また、テリーの家からなくなった二つのうちの一つは依然として不明である。
仲介人のスタンと売人のテリーが殺された二つの事件は謎を多く残して終わろうとしていた。
それがつい数日までの話。
昨日のことだった、いきなり携帯電話が鳴り響いたのだ。
「もうひとつの象牙が見つかった。凶器としてだ!」
携帯から発せられた言葉にただボーと立ち尽くしていた。
(まだ終わっていなかったんだ!二つの事件の実行犯はそれぞれ違う!!)
264名無しの青二才:2011/05/01(日) 14:43:41.93 ID:BdTT1LkZ
終わらない連続殺人。また人が殺されて、恐怖におびえる。
人気書評家のテイルズ・コッツィが象牙の彫刻で撲殺された。
場所はラスベガスのカジノの駐車場。自分のシボレーの車内で死んでいた。
こちらの書評家は象牙密売とは関係がなく、ただ前の被害者の遺留品の象牙の彫刻だった。
「終わらない連続殺人ってか…。まあいいこれで上層部も動いてくれる。」
ラスベガスとNY。かなり距離の離れた場所で二人の人間が殺された。
二人の共通点は、経済関係者と白人であること。そして、同じ指紋が検出されている。
そして、電話がかかってきたのはまもなくだった。
「カーソンシティーの殺しだ。メイリッシュ・カパーゾフという外科医が撲殺された。」
「だからどうした?こっちは忙しい。応援へはいけない。」
「テイルズの指紋がついたドアストップが凶器だ。」
265創る名無しに見る名無し:2011/05/01(日) 23:20:56.71 ID:SDZPgQMP
 ちょっと簡単に組立上の交通整理をやってみよう。

R ライフル 没落(ルーイン)した社長
I 象牙(アイボリー)の彫刻 皮肉をもって知られる書評家
D ドアーストップ 医者
E 電気式ヒーターによる感電死 株の仲買人
R カミソリ リストラされた男
S *敢えて不明とする
W ウィスキー・ボトル 貪欲な(ウルフィッシュリーな)投資家
H ハーケン(登山具) 養蜂(ハニー)業者
I アイロン インド人
T *敢えて不明とする
E *敢えて不明とする
R ロープ ロック歌手(売れない)
E エレキギター ゴシップ紙の女性ライター(仇名が「不和の女神(エリス)」)
D 辞典 信仰がキリスト教ドミニコ会派
B バット(野球の) 醸造業者(ブリューワー)
L 羊の骨 法律(ロウヤー)
A *敢えて不明とする
C チェーンソウ 聖書学者(キャノニスト)
K ナイフ アル中の主婦(キッチンドリンカー) 
P 西部劇の拳銃(ピースメーカー) プロデューサー
A アーミーナイフ 若手の無名女優
L 天秤ばかり 独身者(ローン)
E エボラウィルス 最後の舞台は博物館の展示会(エキジビション)

「先の殺人現場で盗まれたアイテムが、次の殺人で凶器に使われるチェーン殺人」として私が組んだ序列だが……。
実は、ポイントになる箇所がいくつか設定してある。
R→I、R→E、K→Pの三つだよ。
266創る名無しに見る名無し:2011/05/01(日) 23:39:58.72 ID:SDZPgQMP
R→IのRは最初の殺人で、ライフルによる射殺事件の現場から象牙の彫刻が盗まれていたというもの。
この場合、普通警察は「象牙の彫刻を狙った強盗殺人事件」として捜査する。
当然「彫刻」も贓物(窃盗や強盗の目的となった物体のこと)として手配されるね。
警察は、問題の彫刻は「わけあり美術品」の闇市場に流れたものと考える。
そしてIの部分では、被害者が強盗犯の関係者で、贓物処理のもつれによる仲間割れではいかと考えるだろう。
もちろん強盗と無関係の連続殺人のとは考えない。ここにDTメンバーの喰い込む余地が出てくる。
Iの被害者が「犯罪グループの構成員ではないか?」と考えた場合、当然その指紋はコンピュータによる照会を受けるが、ヒットが出るのは「D」の事件捜査がある程度進んでからということになる。
このとき事件の連続性に気付くのは、「R→I」を捜査している側ではなく、「D」の事件を捜査している側が当然先だ。

ここで、「R→I」を追っていたDTメンバーと「D」を追った捜査員とが鉢合わせする場面を演出できるんだね。
267創る名無しに見る名無し:2011/05/01(日) 23:45:18.45 ID:SDZPgQMP
次の「R→E」は→の向きとは逆に、必ずEからRへと捜査が進行する。
理由は「売れないロックバンドのギターに、殺して奪うほどの財物性は無い」から。
Eの殺人現場でエレキギターが発見されても、警察は単純な財産犯とは考えない。
突飛なミスディレクションが仕掛けられる場面でもあるが、ちょっとテクニカルなんでここは私がディミトリをメインに書いている。
それから前のRに遡らせることは、そのままではまず不可能。
次のDにもそのままでは繋がり難いので、ディミトリが他のメンバーと出会うのは、ハーパーからの照会を待つことになる。

「K→P」は比較的簡単につながる。
いかにアメリカでもハンドガンの所持には登録等が必要なためで、Pの現場に拳銃が放置されていれば、シリアルナンバーにより速攻でPに辿り着ける。
また連続が終盤にさしかかってもいるため、話は簡潔にしないといけない。
一番てっとり早いのはベックマンに身つけさせることだ。
「K」から「C」に繋ぐのはミステリか警察系小説の素養がないと難しいので、ハーパーをメインに私が書くつもり。
他の部分は凶器に特定性が低くいので、……やってできないことは無いけれど……、ハーパーの照会を待たないと連続性は現しにくいだろうね。

この辺を考えて書けば、多少は書きやすくなるんじゃないかな?
268創る名無しに見る名無し:2011/05/02(月) 07:31:58.81 ID:2fKNCtGc
なるほど!規則性があるってわけか!
簡単そうに見える順番だけども実は難しいね。
外部協力者の出番もそろそろ登場させよう。
269創る名無しに見る名無し:2011/05/02(月) 21:53:25.70 ID:2fKNCtGc
第三と第四の殺人の間の期間がかなり離れていたため調べる。
そうしたら、飛行機墜落事故に巻き込まれていた事が発覚
ってとこを考えていました。
あと動機が、金田一少年みたいに同情できたらいいね。
被害者が経済関係者とメディア関係者が多いからそこから動機を考えると・・・。
復讐、リベンジ、精神喪失、脅迫、多重人格とか
270名無しの青二才:2011/05/03(火) 15:47:42.01 ID:ipZhHfZj
ライベン捜査官の設定を書き直し

(人物名)ライベン・クロード
(人物設定)FBI捜査官
(簡単な経歴)ジョナサンの相棒。DTにはやや協力的。愛銃は「FN Five-seveN 」
   20代後半の中肉中背の白人男性。髪型は黒のシャギー。既婚者。
   祖父はノルマンディーに参加した陸軍の上等兵。しかし終戦直後に戦死した。 
   猟師の息子でそのことがコンプレックスにしている。
   遅刻が目立ち、勤務態度も悪い。が、頭は回る。
   孔子の言葉をよく使い、外国のことわざもよく使う。
   猟師の息子だけに、拳銃の腕がよくて、拳銃にもこだわりがある。
   しかし威嚇射撃で人を殺したと言ううわさが流れている。
   子供の頃に空手をやっており、格闘もそれなりにできる(ディミトリに組み手で負けた)
   
「ツーリスト」の事件では偶然現場に居合わせた。
271創る名無しに見る名無し:2011/05/03(火) 19:25:28.24 ID:2T93QdiG
>>あと動機が、金田一少年みたいに同情できたらいいね

第一話だと難しいんですよね。
ウルトラマンでも仮面ライダーとかシリーズものはだいたいそうなんだけれど、第一話の敵はあまり凝ったキャラ設定にはならない。
理由は、第一話では主人公のキャラを立たせるのが一番大事だから。
結果、第一話の敵は、「主人公を主人公にすること」に専念することになるわけ。
上にあげたウルトラマンでね最初の怪獣ベムラーには殆どキャラが無い。
個性豊かな敵が出て来るのは、第二話のバルタン星人以降からなんだね。

ツーリストの役目は、まず第一に「DTの核となるメンバーを集結させること」。
次に、「シリーズ通しの敵となり得る存在をほのめかす」こと。
ヨハネ黙示録を引っ張ったのは二番目の役目から。
映画のオーメンなどで「世界に破滅をもたらす獣の王」が有名だけど、実は「獣の王に権威を与える『七つの頭・10の角をもつドラゴン』」というのも出て来る。
この「七つの頭・10の角のドラゴン」が通しの敵になるわけ。
ちなみに「七つの頭」の一つはウォレスです。
272創る名無しに見る名無し:2011/05/08(日) 16:18:03.51 ID:L2me7U1E
支援
273名無しの青二才:2011/05/09(月) 15:47:46.50 ID:2NSVDJ4F
ライベンとキャリーが合う話をとりあえず書きますね。

その日、スラム街に耳が張り裂けるような悲鳴と、人を撃ち殺す銃声が響き渡った。
NY郊外のこのスラムには理由もちの人が多くいるが、殺人が起きたことは無かった。
正式にいうと二度はあった。一度は南北戦争末期に若者同士が言い争い、一人の青年が仲裁に入った男を刺した。
二度目は2001年9月11日。忘れもしないこの日に市街地の高層ビルにハイジャックされた旅客機が突っ込んで大勢殺した。
この時に、このスラムでも犠牲者が出た。心臓に病気を持った老人がショック死した。
それから、一度として殺人は無かった。

「被害者は、数年前から行方不明だったハーベイ・ゾマノック元社長。ハーベイ社倒産後から行方をくらましていました。」
偶然居合わせた、捜査官ライベン・クロード。勤務態度が悪いことが死体の発見につながった。
ニューヨーク市警の古参巡査ロブ・バルボッサは血まみれの死体を覗き込んだ。
「太ももを撃った後に、腹と頭部に数発ずつ撃ち込んだってワケか…。」
我慢できず、若い巡査がその場に嘔吐物を吐き出して物凄いにおいが立ち込めてこっちまで吐きそうになった。
「ロブ巡査長。新人をよく教育しといてくださいよ。現場が駄目になっちまう。」
皮肉を喚くFBT捜査官に9.11を経験した古参巡査長はタバコを差し出した。
「吸いますか?」
「俺昨日から禁煙したばかりなんですよ。残念ですね。ラッキーストライクですか…。」
274名無しの青二才:2011/05/09(月) 16:24:01.36 ID:2NSVDJ4F
ハーベイ・ゾノックの元邸宅へと着いた時にはもう日が暮れていた。
「おい…ライベン。先客がいるようだ…。」
相棒のジョナサン・ハウスキーは洞察力に優れており、頭もよく回るため異変に気がついたようだ。
車のダッシュボードから、愛銃の「FN Five-seveN 」 を取り出して構えて、ゆっくりとドアを開けた。
売り物件のはずだから、人はいないはずだ。だが、庭の芝生が横に倒れている。
不動産会社の人間は、誰も入れていないと言っていたので恐らく何者かが先に入っているのだろう。
「ジョナサン。お前は地下室を調べろ…。俺はリビングを調べる。何かあったら応援を要請しろ…。最悪撃ち殺せ!」
何度かこういうことがあったが、最近は無かった。心拍数は最高潮。心臓が張り裂けそうなほど鼓動している。
リビングのドアを握り、ゆっくりとドアを開けてすぐさま拳銃を構えた。
誰もおらず、無造作に置かれたソファーと机しかないこのへやを出ると、次は寝室へ向かおうとしたときだった。
首にヒヤリとした感覚を感じた。
「動かないで、動いたら撃つ。貴方は何者なの?」
声の主は女だった。更に向けられた拳銃は、震えていた。恐らく初心者で、銃の扱いに慣れていないのだろう。
恐る恐る、後ろを振り向いた。後ろには、小柄な小女が45口径のガバメントを向けていた。
「ガキが危ないおもちゃ持ってるんじゃねぇよ…。ジョナサン取り押さえろ…。」
向けられた銃口は避けるように倒れこみ、少女の左足を体を振り回すように蹴り上げて倒した。
すかさずジョナサンが拳銃を払い落として、「Auto Mag II 」を向けた。
「誰の差し金だ?あんたがハーベイを射殺したのか?」
「私はFBI捜査官よ!貴方達こそ何者!?」
少女のうそのような告白にジョナサンとライベンは顔を見合わせた。
「FBI犯罪捜査局捜査官ライベン・クロード。こっちが相棒のジョナサン・ハウスキーだ。」
少女はポケットから手帳のようなものを取り出すと、それを開けた。
「FBI捜査官のキャリー・グリーンよ!まったく!銃をどけて!」
275創る名無しに見る名無し:2011/05/17(火) 20:55:49.35 ID:qDftjq8Q
住人がいない・・・(T〜T)。
276創る名無しに見る名無し:2011/05/17(火) 22:19:59.41 ID:WJpB/tpF
すこしでも沢山の人が自由に書けるようにするため「凶器によるチェーン殺人」方式を考えたんだが、変にハードルを高くしてしまったかな?
私が一人でぶっ飛ばして書いちゃってもいいんだけどね。
それでも結局スレは死ぬから。
277ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/05/19(木) 20:54:17.19 ID:mSVVd/Fb

「なんども言わせんなよ!あれはアンタらの出て来るようなヤマじゃねえって!」
署内に轟く同間声に、制服警官たちが一斉に振返った。
警部のビヤ樽のような巨躯の前で、一歩もひかずに胸を逸らすのは対照的に小柄な男だった。
「オレこそなんども言ってるだろうが。オレは『FBIだぜっ!』って出張ってんじゃねえ。
ただの一般市民として、警部さんにご忠告申し上げてるだけさ。
あんたの捉まえた小僧は、殺人なんてやらかすような玉じゃねえってよ」
「ったくもアンタもしつこいなぁ」
しばしの睨みあいのあと……根負けしたのは警部のほうだった。
「いいか、ディミトリの旦那。面倒だがアンタのためにもういっぺん最初から説明するぞ。エリスの婆さんが殺されたなぁな、三日前の……」

事件発生は三日前の深夜、または二日前の未明ごろの時刻と推定。
定刻になっても被害者が出社しないのを不審に感じた編集部員によって発見された。
被害者は地元ゴシップ紙の女性記者、ミリアム・カポーティ。
しかし街では、ミリアムという本名よりも「エリス」というあだ名の方が通りがよかった。
エリスというのはギリシャ神話の「不和の女神」の名で、彼女の記事により婚姻関係破綻に追い込まれた夫婦が少なくないことにもとづく仇名だ。
したがって……彼女に「死んでほしい」、あるいはもっと積極的に「殺してやりたい」と思っていた人間は相当数に上ると考えられた。
死因は頭部の殴打による脳挫傷。
多くの敵を抱えていた人間が、ありふれた死に襲われたというだけの事件に過ぎなかったが、ただ一つ、非常に変った凶器が選択されていた。
不和の女神を殺した凶器とは……。

「エリスの婆さん殺す凶器に使われたなぁ、2週間前、メンフィスでのロッカー殺しで現場から盗まれたギター……」
「エレキギターだ」
「いちいち細けえなあ……殺人現場から盗まれたエレキギターだ。
それについちゃあ、バンド仲間『イージーライダーズ』の全員の証言もある」
「ここまでの説明はそのとおりだ」
「お偉いFBI捜査官様さにご承認いただけまして感謝感激雨あられ……けどよ、わざわざ殺しの凶器としてエレキギター持ってく犯罪者なんて聞いたことねぇだろ?」
「むかし、ニューヨークで13歳のガキがマンドリンで自分の婆さん殴り殺した事件がなかったか?」
「ありゃ小僧が、『鈍器』の意味が判んなかったからだろが。
普通のヤツなら、凶器以外の理由でギターを現場に持ち込んだはずだ。
エリスの婆さんが、バイトで故買屋やってたぁ思えねえし、イージーライダーズだってドサマワリの無名バンドだ。そのギターに値打ちなんてあるわきゃねえ。
となりゃあだ、あとはギターの中に何か大事なものが隠してあってだなぁ……」
「普通のギターなら中身は空っぽだからな。でも忘れんなよ警部さん。こいつぁあエレキギターだぞ」
「仮定の話をしてるだけだ。いちいち話の腰を折るな」
278ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/05/19(木) 21:01:12.32 ID:mSVVd/Fb
 所轄の担当警部との話し合いは、予想通りの平行線に終わった。
警部らは、エリス殺しの容疑者として22歳の男を一名、身柄拘束していた。
記者会見で警察は、この男を「ストリートギャング」と評し、新聞各紙もこれに追随していたが、ディミトリに言わせれば、「あんなのがギャングだってんなら、街をうろつく小僧どものあらかたはギャングだぞ!」ということになる。

「マスコミに叩かれたくないってのは同業として判るが、それにしてもこりゃあお粗末すぎるぜ」

非番になると直ちに、バイクで北のウィンチェスターへと向かったのだが。
そうまでする理由とは……このディミトリという男、冤罪が嫌いだったのだ。
いや、嫌いというより憎悪していると言った方がいいだろう。
そうでもなければ、折角の非番の日に、同じバージニア州内とはいえクワンティコからはるばるウィンチェスターまで足を運ぶわけもない。
これは単に彼が並外れた正義感の持ち主であるということだけでなく、軍属だったころ、冤罪により自身が事実上の不名誉除隊に追い込まれたという苦い経験によるところでもあった。

所轄警察が聞く耳もたないなら仕方がない。
(オレの手で真犯人を見つけだすしかなねえな)
 ディミトリの「FBI−HRT」という肩書にアレルギー反応を示す担当警部との会見を諦めたディミトリは、黒塗りのエレクトラグライドにうち跨って走り出した。

279ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/05/20(金) 19:54:04.77 ID:fjT5qnS6
「不和の女神」の住処は、神話世界とは程遠い、いたってモダンな高級アパートだった。
ディミトリがバイクを止めて建物を眺めていると、ドアの内側で守衛が胡散臭そうな顔をしているのに気がついた。
道路越しからでも、少なくとも一台は監視カメラが設置されているのが見える。
中に入れば、おそらくもっとあるだろう。
(仕事柄「エリス」には敵が多かったはずだ。セキュリティのしっかりした家に住むのは当然だぁーな。所轄の連中の調べだと確か……)
容疑者の若者は、エリスを騙して部屋に招き入れられたということになっていた。
(……んなバカな。この手のセキュリティのしっかりした家に住む奴らは、用心深いもんだぜ。よっぽど見知った相手か、身分のしっかりした人物じゃない限り、家にあげたりするもんか)
警官を呼ばれて所轄と揉めるのも考えものだったので、ディミトリはバイクを転がして一ブロックほど先に停めると、件のアパートの裏へと徒歩で戻って行った。
商業ビルではないので、裏口は見当たらず、管理人の出入りする通用口があるだけだった。
非常口は二階部分までは固定式だが、そこから下は、使用するとき下ろして使うようになっている。
高さは地上から見てざっと4メートルはある。
(壁には手掛かりになるもんは何も無えな)
常々「人差し指が一本掛りさえすりゃ、どんなトコにもよじ登れるぜ」と公言していたディミトリにも、ちょっとこの壁は歯が立ちそうもない。
次にディミトリは、アパートを挟んで立つ左右のビルに目をやった。
(左右の建物はこのアパートよりずっと低い。隣から屋上に飛び移るのも無理か)
一応あとでよく調べておこうと心に留め置くことにした。
正面からも、裏や左右のビルからも、犯人が侵入するルートは無いように思える。
が、しかし、エリスが自分で招き入れたのでない限り、犯人は何らかの方法で建物内に侵入したはずなのだ。
次にディミトリは裏口の施錠システムを調べることにした。
「この手のマンションなら、十中八九オートロックだな。鍵のかけ忘れは無えわな。ま、一応確認しとくか」
ディミトリはドアノブに手をかけ、施錠されているのを確認した。
(やっぱり鍵はかかって……ん?)
ドアノブは回らなかったが、それを確かめようとした掌が、思ってもいなかった情報を伝えて来たのだ。
280ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/05/20(金) 19:56:15.66 ID:fjT5qnS6
(……傷がある。ひっかき傷だ。数は二つ。向きは……右から左)
ディミトリはドアノブの左側に立って真上を見上げてみた。
視界は、4メートルの高みで例の非常階段によって塞がれている。
「そういうことか…」と短く呟くと、ディミトリはその場から二三歩うしろに下がった。
そして……視線をまずはドアノブに、続いて非常階段に移すと、ネコのような足取りで飛び出した。
短い歩幅から軽くジャンプして左足をドアノブに掛けると、それを足場にして更に軽くジャンプ!
一杯まで伸ばすまでも無く、ディミトリの右手指三本が非常階段のステップに届いた。
(あとは……簡単……)
雲梯、懸垂、逆上がり…学校でも教える体操となんら変わらない。
行動を開始してから数秒後には、ディミトリは非常階段のステップに立っていた。
(間違いない。真犯人もこうやってココに上がりやがったんだ)
エリスの部屋は5階の端、501号。
いまいるのは2階だから、2、3、4、5階のいずれかの非常ドアから、犯人は建物内部に侵入したことになる。
鍵はごく簡単なシリンダー錠だ。
開けるのはわけも無い。
ディミトリはポケットから先にいくらか微妙な角度の付けられたピンを取り出すと、カギ穴に差し込んだ。
そして、探るように動かすこと数秒。錠はあっけなく降参した。
だが、ディミトリはドアを開けたくて錠に手をつけたわけではなかった。
(動きが軽い……なるほどね)
火災か地震でもないかぎり、非常口は頻繁に開かれるものではない。
念のため、上層階の錠も開いてみたが、2階の錠の軽さは歴然だった。
(間違いねえ、入口は二階非常口だ)
二階に戻ったディミトリは、非常口のロックにそっと指をかけた。
セキュリティシステムによっては、非常口が開かれると同時に発報する場合もあるのだが……。
(発報は無え。もし発報システムになってれば、3日前にも発報してるはずだ)
ディミトリは非常口を開けた。
案の定、警報装置は作動しなかった。
281創る名無しに見る名無し:2011/05/21(土) 23:37:01.55 ID:4ceHcP5k
 二話「錯綜するLA 最悪劇の暴走と復讐の果てに...」
無差別大学銃乱射殺傷事件犯人ティシモー・ナイランドが銃撃戦の末に捕まる。
彼が事件を起こす前に発生した、一家惨殺事件の容疑をかけられて死刑が宣告される。
   「休暇は終わらない!蘇って殺すまでねぇ」と不気味な言葉を残して...

惨殺事件発生から一年後。市長の息子ウィリアムが何者かに殺害される。
壁には被害者の血で「終わらない休暇」と書かれていた。

ロス市警が市長への警告と判断し警戒、FBIもテロと判断して捜査を始める。

市内のレストランで謎の食中毒騒ぎが発生し、客の一人が死亡してしまう。
被害者は大手山地開拓会社社長のヤコレブ・ヌーナン。

毒殺として判断しWRIUは捜査を始める中、事件の起きたレストランのシェフが無断欠勤していることを知る。
メンバーがシェフのロニーの自宅で見たものは、なんと...

謎の毒殺事件がユタやミズーリで起きていた事が発覚する。

二つの事件はやがて・・・。
282創る名無しに見る名無し:2011/05/21(土) 23:45:50.45 ID:4ceHcP5k
>>281 ツーリストの事件の次の次のお話です。
投下ラッシュ中、紛らわしいですが三話の投下ドス。
>>128のティーパーティーと>>175を足して、アレンジして見ました。
できれば、アドバイスお願いします!!
283名無しの青二才:2011/05/22(日) 09:36:23.95 ID:9KUuToU0
>>281 最悪劇って何?
面白そうだけどまずはツーリスト。

>>280投下有り難う御座います。
んじゃ俺はキャリーの話の続きを試案しますね。
284ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/05/29(日) 00:04:25.89 ID:FpMDzUuV
エレベーターに依らず内階段で5階に上がると、目指す501号室はすぐそこだった。
非常口のときと同じように解錠すると、Keep outのテープをくぐってそっと室内に侵入した。
ドアを入るついでに、施錠もチェック。
非常口の錠よりレベルの高いものだったが、基本的に破ろうとして破れない錠は無い。
それより問題はチェーンロックの方だった。
遺体発見の時点でチェーンは掛っていなかった。
が、エリスのような女性が、ドア・チェーンを掛けないはずは無い。
ディミトリはドア・チェーンを掛けると一杯までドアを開いてみた。
チェーンの許す隙間から腕を突っ込んで、チェーンを外すのは子供でも不可能だが、もちろん突っ込むのは「腕」ではない。
「チョロイもんだな」
小さく呟くとディミトリはドアを静かに閉じた。
この世に破れない錠などない。
まして世間では、「錠」ではないものを「錠」であると勘違いしている者が多すぎる。
(このエリス婆さんもその一人だったってわけだ…)
ドアのチェックを終えるとディミトリは、部屋の奥へと歩を進めていった。
事件発覚直後は警官でごった返したはずの各部屋も、いまはひっそり静まり返っている。
「…静かすぎるな」
ディミトリはワザと声に出して言ってみた。
室内の反響を確かめたのだ。
(反響ぐあいが妙だ。外の車の音も殆ど聞えねえし、こりゃ…)
そっと窓辺に立って見る……思ったとおり防音窓だ。
「真空合わせガラスか。外の騒音は入ってこねえが……中の悲鳴だって外に聞えねえぜ」
 穴だらけのセキリティ、頼りにならない錠、そして外部と隔絶された部屋。
これだけ揃えば、ごく辺りまえの部屋が地獄に代わるのだ。
処刑台となったベッドには、飛び散った血と脳漿が、ボタンの花のような大きな染みを描き出していた。
285ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/05/29(日) 00:06:58.35 ID:FpMDzUuV
 ディミトリ登場のパートは一応、次のレスで一旦終了。
その次はハーパー再登場で、4レス程度を使い事件の全体像を小前進させる予定。
286創る名無しに見る名無し:2011/05/29(日) 21:28:52.64 ID:BkB1jkhB
支援
287創る名無しに見る名無し:2011/05/31(火) 21:44:30.84 ID:RTl6VfP8
>>284投下乙です。
久しぶりに来たけど、続きを楽しみに待っています。
288ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/05/31(火) 22:31:06.20 ID:c0ySoZBL
 ディミトリは、まずドアのところに立って寝室全体の大きさや構造、家具の配置を立体的に把握するのに努めた。
細かいこたぁどうでもいいというのが、ディミトリの口癖だ。
それより大事なのは、全体を立体的に把握すること。
事実、ディミトリの空間把握能力は、軍隊時代から飛びぬけていた。
そのおかげで死神の這いまわるイラクからも無事生還を果たせたし、人質救出のため初めての建物に侵入したときでも迷うということは決してない。
ディミトリの頭の中で、寝室がCADデータのようにグルグル回り始めた。
(血痕は……)
血痕の大きさ。濃淡。そして形状……重なりぐあい……。
頭の中の寝室が「殺人現場」へと姿を変えてゆく……。
彼の頭の中の仮想空間に、ついに「最初の攻撃」が浮かび上がった。
(最初の一撃は……そうだ、たいして高くない。この位置に頭がくるってこたぁ……)
発見時、死体はベッドサイドにうつぶせに倒れていた。
あの警部は「居間から寝室まで逃げたところで犯人に追いつかれた」と考えているようだったが……。
(もし逃げてたんなら、こんな高さ、この位置のわきゃねえ。被害者は……そうか!!)
ついに、ディミトリの頭の中の仮想空間に、エリスの姿が現れた。
(被害者はベッドに座ってた!そのとき犯人は……)
ディミトリが無意識に左手を伸ばすと、部屋の照明のスイッチに指が触れた。
(そうだ!ここだ!!オレがいま立っているこの場所に犯人も立っていた!そして左手で部屋のスイッチを…。当然被害者は目を覚ましベッドに起き上がる!そこに犯人が!)
枯れ木のような女の体は、犯人の何度目かの打撃でベッドサイドに転げ落ちたのだ。
その後の犯人の動きも、部屋に飛散った血痕が辿らせてくれた。
(最初の一撃はバットでも振り回すように右から左!だがその次は上から下だ!)
被害者がベッドサイドに堕ちたのはおそらく三度目の打撃の反動だ。
犯人はベッドサイドを回りこむと、倒れた相手の頭部に更に攻撃を加える。
繰り返し、何度も、何度も、何度も、何度も。
(間違いねえ。コイツは殺しを楽しんでやがる。……でも……待てよ?)
壁に飛散った血痕の中に、犯人の一連の攻撃とは結びつきかないものが、かなりあるのに
ディミトリは気がついたのだ。
(この血痕の散り方からすると……)
彼の脳内CADが再び回りだす。
ベッドサイドに立つと、エアギターならぬエア凶器をディミトリは振り回した。
まずは左下から右上に。
そしてそのまま小さな弧を描き、逆のカーブで左上から右下へ。
明らかに被害者を攻撃する動作ではない。
「……なんのまじないだ?」
思わずディミトリは呟いた。
彼が空中に描いた軌跡。
それはアルファベット。筆記体の「e」だった。
289創る名無しに見る名無し:2011/06/01(水) 23:31:30.68 ID:ypoyjcGq
ハーパーとのキャラかぶりを防ぐため、ディミトリを「単独行動型」に設定した。
単独行動型なので後にブレーキ約としてのルイをくっつけられることになる予定。
ハーパーとの合流は、ラストバトルの最中が面白いかも。

「動くな!オレはFBIの……」
気がつくと二人は、お互いにFBIの身分証をつきつけ合っていた。
「……なんだ同業か」
ハーパーが拳銃を降ろすと、男も拳銃をホルスターに放り込みながら言った。
「あんた、ハーパーの旦那だろ?オレは……」

……ってな具合に。
290創る名無しに見る名無し:2011/06/02(木) 07:11:45.17 ID:308yMA7w
>>289投下乙です。
俺も後ちょっとで、投下しますね。
291 忍法帖【Lv=4,xxxP】 :2011/06/02(木) 20:15:31.64 ID:Zy4VL7fA
まあ有る意味ナイトメアチームですよねー!?♪。
292創る名無しに見る名無し:2011/06/02(木) 20:37:15.03 ID:308yMA7w
ないとめあちいむとは?
293創る名無しに見る名無し:2011/06/08(水) 12:14:06.29 ID:Qt0ZYVB6
檜山さんが「どりぃ〜〜む」とかつぶやくの。
294創る名無しに見る名無し:2011/06/10(金) 20:43:44.02 ID:3w5iTamD
AGE
295創る名無しに見る名無し:2011/06/12(日) 02:40:03.47 ID:t+cyZJW6
支援
296創る名無しに見る名無し:2011/06/12(日) 22:15:03.42 ID:AkbXaRnT
公安推薦 犯罪予告抑止・防犯ビデオ
通報しますたっ!.wmv
http://www.youtube.com/watch?v=1BCdK8szCyE
297ファイルNoゼロ「旅する死神」 :2011/06/14(火) 19:31:30.66 ID:ejKjOkMZ
車を降りて空を仰ぎ見たハーパーが、思わずしかめっ面になった。
日差しが痛い……だが気持ちいい。
雪降りつもるアラスカ訪問の僅か三日後、チャールス・ハーパーは陽光降り注ぐ砂漠地帯に立っていた。
アラスカで一家惨殺に使われた凶器のナイフは、アリゾナの聖具販売業者の「主の羊社」取扱商品であると判明。
「主の羊」とは、キリストを牧者(羊飼い)に例え、信徒を羊に例える考えにちなんだ商号である。
直ちにハーパーはに、「主の羊社」所在地を管轄する地元警察と連絡をとった。

「『主の羊社』の経営者ってのは偏屈な爺さんで、対面してお互いに主への祈りを捧げあえる相手でないと、商品を売らないんですよ」
「……っていうと通販はやってない?」
「ええ、対面販売オンリーですね。だから顧客は州内でも北側の半分止まりってとこでしょうね」
「そうですか……その爺さん……じゃなかった、社長に話を聞きたいですね。それからもしあれば販売台帳も……」
「台帳の方は大丈夫かもしれませんが、話はダメですよ」
「話が聞けない?……と言うと??」
「爺さん、殺されちまったんですよ。ちょうど半月ばかりまえのことです」
「殺された!?」
「ええ、チェーンソウで滅多切りです」
「な、なんだって!?」

 アラスカの一家惨殺から辿った先でもう一つの殺人事件に出くわしたハーパーは、電話を切るなり車に飛び乗ると、砂漠と柱サボテンの州、アリゾナへとやって来たのだ。
(まさか……な)
砂漠の日差しの中に立っていると、電話の直後脳裏に浮かんだ想いが、単なる小児病的悪夢のような気がしてくる。
(まさか、アラスカとアリゾナでの殺人が同一犯によるものだなんてことは……)
298名無しの青二才:2011/06/16(木) 18:54:39.06 ID:W1Cs4OGX
車から降りると、夜なのにまだ大勢の警官と野次馬でごった返していて通れそうに無かった。
「歩いたほうが早いな…。ジョナサン、車は任せた。俺とキャリー…捜査官で現場に向かう。」
有無も言わさずに、キャリーを車から引きずり出すと、人ごみをかき分けて歩いて現場に向かう。
「だから、ハーベイさんは本当に象牙の彫刻を持っていたんだ!!信じてくれよ!」
吠え叫ぶ野良犬のような声が響き渡っている。いったい何事か分からず声の主を探した
どうやら、殺害現場のスラムでロブと浮浪者が言い合っているようだった。そして、この浮浪者は被害者の友人らしい。
「象牙の彫刻?何でそんなものを?」
「知るかよ!?マジで持っていたんでって。あんたら俺が黒人だからしんじねぇんだろ!」
「今時、黒人差別なんて古いよ。冷戦時代の話だ…。」

黒人浮浪者のビネットが言うには象牙の彫刻が奪われたらしいがそれは後にし現場にたどり着く。
キャリーは、決して天才ではない。頭もそれなり。そんな頭で、犯人の真理を考えた。
入り口から入ってまず躊躇い無く一発、太ももに撃ち込んだ。そして笑いながら近づいた。
二発目は右肩を撃ち抜いた。理由は被害者は落ちていた角材で抵抗しようとしたから。
そこに三発目の腹の銃弾を受けた被害者に止めを一発銃口を銜えさせのどを撃って殺した。
獲物を仕留めた狩人のように満足した顔で、スラム街から出た犯人は姿をすぐに消した。
ここまでで足りないものはなんだ・・・。…そうか!ライフルのリロードだ!
薬莢が落ちたはずだ…。銃声に気づかれて、拾う暇は無かった。っということはまだ転がっている。
けどもライベンと共に探したが、やはり見つからなかった。
(犯人が回収したか・・・・。鑑識も見つけてないようだからな・・・)
「もしかしたら、他のホームレスに持ってかれていたりして…。」
薬莢は発砲後は、かなりの熱を発する。そんなものを素手で触ったりしたらやけどなんていうものは避けられない。
人はなるべく疑いたくは無い。無関係な人を巻き込まないことを、誓ったからだ。巻き込みたくは無い。
四発目の発砲音から約3分で通報があって、ライベンが五分後に走って駆けつけた。そこから5分後に現場に警官が到着。
犯人は、ここから外に出るためには人通りの多いメインストリートを出なければならない。
カービン式のライフルを肩に携え、走るさがたなど見れば一目瞭然。NYPDには通報の嵐になるはずだ。
けどそんな事は無かった。じゃあ、どのようにやったのかと言う疑問だけが頭によぎった。
299創る名無しに見る名無し:2011/06/16(木) 22:29:11.51 ID:MPefB0sH
なかなか投下が始まらないので、ハーパー再登場の「C」部分投下を始めたが……。
298で投下が始まったようなので混戦を避けるため一時投下を停止しよう。
300創る名無しに見る名無し:2011/06/16(木) 22:48:43.17 ID:MPefB0sH
連続すまん。
>>298
「薬莢が落ちていない」点を強調しているようだけど、凶器をリボルビングライフルかボルカニックライフル辺りに設定するつもりかな?
最初の殺人の凶器であるライフルは、最後の殺人に繋がらなきゃいけないから、時代設定に要注意!
ボルカニックライフルはカリフォルニアでゴールドラッシュが始まったころ完成・販売開始しているね。
たしか、構造上薬莢が存在しないシステムになっていたかと……。
そのせいで、連射性と耐水性で同時代のライフルを凌いだが、長射程では役に立たなかったような記憶も(当然、短宙距離で撃つ)。
ミリタリー系創作スレで聞いてみるかな?
301創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 16:37:54.48 ID:jwF4HalK
age
302創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 17:44:58.03 ID:OdZI4zJ8
>>299恐らく一週間程度は投下できません。
>>300マニアックな凶器にしようと思ったのですが、かえって話が混乱してしました。
昔、映画でライフルをコッキングの際に薬夾が落下した奴があったと思うのですが記憶違いでしょうか?
記憶違いだったらすみません。
303創る名無しに見る名無し:2011/06/26(日) 23:23:48.80 ID:P3T5IR+V
>>コッキング時に薬莢が落下したヤツ
レバーアクションのウィンチェスターM73なんかの系統だと思う。

武器の選定に注文つけたのは、時代考証上の問題があるから。
最初の事件の凶器=ライフルはロス、できればロスの博物館へと結び付く必要があるわけ。
すると……。

まず思い当たるのが1849年のカリフォルニア・ゴールドラッシュ。
このときフォーティナイナーたちが手にていたライフルであれば、ロスの博物館に展示されていても不思議は無い。
では1849年当時存在し、博物館に置かれていても不思議は無いライフルとは、どんなライフルかというと……。
ボルカニック連発式ライフルが面白かろうと。
フォーティナイナーが持っていたというところまでの確信は無いが(最新型のライフルだから持ってない可能性の方が高い)、時代としては成立する。
一方レバーアクションのウィンチェスターは初期のモデルでも1866年だから、ゴールドラッシュとのマッチングはイマイチだと思うな。

304創る名無しに見る名無し:2011/07/09(土) 20:25:34.11 ID:ay0wFZqA
誰もいないな…
305創る名無しに見る名無し:2011/07/10(日) 19:08:42.06 ID:AMzC9R6i
>>298 なんで凶器が、「コッキングの際に薬きょうが落ちるライフル」って断定できたの?
矛盾が生じてるよ。
>>297まとめサイトにあなたの作品を保存してもよろしいですか?
306創る名無しに見る名無し:2011/07/10(日) 20:06:54.23 ID:17owos/K
>>305
保存しても構わないけど……はたしてこの企画を完成させるべきなのか思案しているところ。
多くの書き手がデタラメにでも参加できるように考えたつもりだったけれど、どうも企画倒れの感も。
警察とか捜査機関ってものは、どこの国でもやることはだいたい決まっている。
だから、お話を私の独力で完成させることは簡単。
それに此処で創ったキャラをどさくさ紛れに別スレで使ってみようかとも思っている。
ただ、それじゃあスレの趣旨と違ってしまうから……。
307創る名無しに見る名無し:2011/07/10(日) 22:29:53.06 ID:AMzC9R6i
>>306 俺は別に、別スレに使ってもらってもかまいません。 
単独でかききってもらってもO.Kな側の人です!
308 忍法帖【Lv=7,xxxP】 :2011/07/19(火) 04:22:38.50 ID:Xjnti4cj
なんでもいいんじゃね?このスレでみたい気するけど
309創る名無しに見る名無し:2011/07/26(火) 01:43:04.27 ID:d79koFmk
age
310 忍法帖【Lv=8,xxxP】 :2011/07/28(木) 02:12:17.21 ID:qAaDiyBN
別スレでやるなら誘導お願い
311創る名無しに見る名無し:2011/07/28(木) 22:04:32.49 ID:MM/alFfN
このスレで継続しよう。
いろいろあったから、他の住人も書き難いだろうから、私一人で完結させるしかないな。
現在、ボルカニックライフルについて質問・回答をもらった縁で、ミリタリー系創作スレ用の駄文を一本構成しているが、それがまもなく投下になるので、投下終了次第こっちをスタートさせるか。


312ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/01(月) 23:41:23.80 ID:UAngDX7L
 アリゾナのチェーンソウによる惨殺事件を聞きつけた翌日には、ハーパーは「神の羊社」前に立っていた。
建物には「主の羊社」の看板がそのままだが、もちろん営業はしていない。
店舗部分の出入り口にも、警察の貼った「keepout」のテープもそのままだ。
辺りを見回し、ハーパーはワザと声に出して言った。
「こりゃあ………実にさっぱりした環境だな」
見渡す限り、人の作った建造物は「主の羊社」だけ。
他は無数のタンブル・ウィードに柱サボテン。
店の前の道路は乾き切った砂で被われ、車の走った形跡も見当たらない。
殺人現場たる「主の羊社」は、砂漠の真っただ中といった場所に建っていた。
ハーパーは車を降りると、途中のコンビニで購入した地図をボンネットの上に広げた。
(町から半マイルもないのか……)
最寄りの街から500メートルほどしか離れていないのに、世界から隔絶した感が強いのは、街との間に幾つも重なる砂丘のためだろう。
(これなら、小一時間チェーンソウを振り回したところで誰にも気づかれないな……)

いまより18日前の午後3時半ごろ、全従業員数わずか三名の地方新聞社に「『主の羊社』にて殺人事件発生」との匿名電話があった。
現場に向かった記者兼編集長兼CEOは、途中たまたま出会った知り合いの警察官に声を掛け、二人で殺人現場を発見することとなったのだ。
なお、通報電話は「主の羊社」から掛けられたものであることが判っており、所轄警察では犯人自身の可能性もあるとみているという……。

(……おそらく犯人は、此処から電話をかけたあと街には行かず、車の通りの殆ど無い郡道を北上したんだろう……)
考えごとをしながら地図を畳もうとしてうっかりボンネットに指が触れた瞬間、ハーパーは飛び上がった。
「あちっ!」
ボンネットの鉄板はサニーサイドエッグが焼けそうなほど熱い。
考えてみれば熱いのも当然。デスバレーは目と鼻の先といっていい距離だ。
帰りのことを考えて車を建物の日陰に駐車しなおすと、ハーパーはkeepoutのテープを剥がし、封鎖されていたドアを開いた。
 建物表側の店舗部分は、常識人であるハーパーの目にはかなり浮世離れした世界と見えた。
薄暗い店内の壁一面にかかった大小の十字架。日曜学校で目にした覚えのある様々な聖画。
びっしり文字の印刷された紙切れが飾られているので顔を寄せてみると、ラテン語で書かれた聖書の一ページだった。
(どこかで見たような光景だな)
ハーパーが思い出したのはまず「オーメン」、それから「キャリー」。どちらもホラー映画だ。
ショーケースの中にはアラスカで見たものとよく似たナイフもあり、聖餐用ナイフとのメモが添えられていた。
ショーケースの裏に回ると裏へとカーテンで仕切られた出入り口があり、その前の床に白いチョークで数個の丸が描かれている。
部屋が暗いので判り難いが、白い丸の中には黒く変色した血痕があるはずだ。
(おそらく犯人は客を装い店内に入った。そしてここで背中を向けた店主のホバード爺さんを後ろから……)
所轄で目にした調書には『後頭部に頭蓋骨折および脳挫傷』とあった。
一方凶器についてはただ「鈍器」と書かれただけだった。
(一撃目は此処だ。だがチェーンソウが登場するのは此処じゃない。チェーンソウが使われたのは奥の住居部分だ。だが……なんで……)
313ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/01(月) 23:43:34.84 ID:UAngDX7L
チェーンソウは重くかさばる。
だから映画やゲームの世界は別にして、凶器として使うのは無理があり過ぎるのだ。
危険度ならチェーンソウなどよりも小さな飛び出しナイフのほうが100万倍高い。
(客を装った以上、店主を襲った時、犯人はチェーンソウを持っていなかったはず。
それに犯人は、第一撃目に使った隠匿性の高い鈍器を持っていたのだから、そのままその鈍器で被害者に止めを刺すほうが簡単だ。なのに……何故?)
所轄警察の調書によると、店主のホバート爺さんは、第一撃目を受けたあと住居部分まで這って逃げた形跡があるという。
では、被害者が這っていた間、犯人は何をしていたのか?
(答えは簡単。乗って来た車に戻って、トランクからチェーンソウを出していたんだ)
ハーパーは白いチョークの丸を辿って隣室に入った。
カウンターの奥は作業室になっていて、チョークの丸は次第に大きくなりながら、部屋を横切って更に奥へと続いていた。
(頭から血を流しながら、店主は必死に居室へと這った。
目的はおそらく……電話か武器だ。
必死の努力で作業室を抜けて、なんとか居室には辿りつけたがそこで……)
いま作業室奥のドアは閉まっているが、遺体の発見時はドアストッパで開放状態だったという。
ハーパーは住居部分へと続くドアを押し開けた。
店舗部分は「オーメン」か「キャリー」の世界だったが、居室部分は「テキサス・チェーンソウ。マサカー」の世界だった。
314ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/01(月) 23:46:37.68 ID:UAngDX7L
壁と言わず天井と言わず、黒い血痕が飛び散っているのは、回転する刃によって巻きあげられたせいだ。
壁の十字架、なにかの賞状、それから幾枚かの写真……壁にかかっていたものは皆等しく血の洗礼を受けていた。
その真ん中に、チョークで描かれた人型が半ば消えかけていた。
右手を伸ばした先には古い形の電話器。
しかし店主の指が受話器に届くより早く、チェーンソウが唸りを上げて獲物の背中に叩きつけられたのだ。
(犯人は被害者の背中に二度、首筋に一度の計三度、チェーンソウを振るっている。いずれの一撃でも十分以上に致命傷たりうるものだ。だが……)
「……いったい何故だ?」
ハーパーは自問の末尾を思わず声にしていた。
彼の経験ではあり得ない犯罪だった。
チェーンソウは凶器としては使い難い。しかし殺人後なら、ある特定の用途で愛用者がいる。
……死体をバラバラにすることだ。
バラバラにした上で、どこかに「埋める」、「運び出す」、あるいは「食べる」。
犯罪者にとってのチェーンソウとは、そういう用途で使われるのだ。
だが、この犯人は凶器としては使い難いチェーンソウを凶器として使い、死体をバラバラにはしなかった。
「もっと他に理由があったはずなんだ。チェーンソウで殺さなきゃならない理由が!」
怒ったような声で自問を続けながら、手がかりを求めてハーパーは居室内を見まわした。
「間違いない!きっと同じヤツだ!アラスカでは拳銃を持っているクセにナイフで殺した。
ここでは、鈍器を持っていたはずなのにチェーンソウで殺した。必ず意味があったはずなんだ!チェーンソウで殺す意味が!!)
檻に閉じ込められた猛獣のように、ハーパーは狭い殺人現場の中を何度も何度も歩きまわった。
(どんな意味なんだ?チェーンソウ、C−H−A−I−N−S−A−W、どんな意味なんだ!?)
店舗部分が聖具で埋め尽くされていたのに対し、居室部分では店主の人生が表れていた。
中でも最も目につくのは、20代から30代にかけてのものだった。
この時期、店主のホバード爺さんは、陸軍の砲兵大隊に所属していたらしい。
オリーブドラブの巨砲を背景にして、上半身裸に泥塗れの姿でシャベル片手に笑う写真。
痩せた黄色人種と覆い被さるように肩を組む写真はベトナムだろう。
これも遠景に巨大な砲身が写っている。
そして後半生、ホバード爺さんは人殺しの人生を反省したのか、聖書への傾倒を深めたらしい。
入りなおしたらしい大学の卒業証書は「神学部」から発行されていた。
(大砲(CANNON)から聖典(CANON)へ……か)
カノンからカノンへ。
人殺しから救済へ。
だが、老人の悔い改めた人生は、凶悪な殺人者によって無惨に断ち切られた。
そう考えると、ハーパーの両手が思わず拳の形になってくる。
(だめだ!怒りに心を曇らせるな!怒りは理性を濁らせる!だめだ!落ちつけ!!)
怒りを静まらせようと、ハーパーは視線を血まみれの写真から無理矢理引き剥がして足元へと落とした。
足元には小机がひっくり返っており、その脇の床には古い電話器が置いてあった。
ひっくり返る前、電話器は小机の上にあったのだろう。
当然、小机が倒れたとき電話器も床に放り出されたはずなのに、受話器までちゃんと本体の上に置いてあるのは、電話器が床に落ちたあと誰かが受話器を本体の上に置いたからだ。
その「誰か」とはもちろん「匿名の通報者」であり犯人自身だろう。
(……ん?待てよ??)
……そのときハーパーは、このアリゾナの事件とアラスカの事件に大きな違いがあることに気がついた!
(犯人は、こっちの事件では殺人発生を通報した。なのに何故、アラスカでは事件を通報しなかったんだ!?)
315ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/02(火) 23:37:50.36 ID:xcbrXlbQ
事務所にハーパーが入って行くと、若い警官が愛想よく立ちあがった。
「やあハーパーさん。お戻りですか」
ハーパーが最初に電話をかけたときにも同じように愛想よく応対してくれたウォードという警官だ。
「お貸しした鍵なら、そのデスクの上にでも……」
「ありがとう。ここでいいかい?……ところでねウォードくん、事件の関係ファイルなんだけど、もう一度見せてくれないかい?」
「別にかまいませんけど……」
微妙に口ごもりながら、警官は事務所奥の様子を窺うような素振りをみせた。
(上司があまり協力的じゃないってことか)
……よくある話だ。
同じ捜査機関といっても、所轄警察は地方所属。FBIは連邦所属だ。
捜査権横取りの反発も根強く、FBI登場を快く思わない地方警察は別に珍しいことでもない。
(この若い警官に迷惑かけるのは本意じゃないなぁ……)
さてどうしようかと、ハーパーが思案かけたとき……事務所奥からプレーリードッグの泣き声のような声がすっ飛んできた。
「あれー?誰かお客さんですかー?ひょっとしてハーパーさん帰って来たとかーーー??」
ウォードの返事も待たずに奥から小柄な……プレーリードッグ……ではなく、プレーリードッグのような女性が飛び出してきた。
「あーーーっ!その顔、見たことありますーー!やっぱりハーパーさんですねー!」
ハーパーの前に立つと、目線がずいぶん低い。
身長は5フィートそこそこだろう。
童顔のせいもあって若く見えるが、顎と頸のラインがティーンエイジャーではない。
手を見ればそれなりの年齢、おそらく20代後半だろう。
若く見えるのは、たぶん身長とどこか東洋系を感じさせる顔立ちのせいだ。
「あの私……」
プレーリードッグはニコニコ笑いながら右手を差し出した。
「……キャリー、キャリー・グリーンっていいます」

316ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/02(火) 23:44:49.74 ID:xcbrXlbQ
キャリーは昨年クワンティコでの研修を終えたばかりの、いわゆる「グリーン・ボーイ」というヤツだった。
「……だからって皆、私のこと言うんですよー。グリーン・ボーイ、グリーン・ボーイって。失礼しちゃいますよね、だって私、こう見えても女なんですからねー」
……キャリーの自己紹介はまだ続いていた。
「配属先の上司なんかー……」
キャリーの自己紹介はとうぶん終わりそうにないので、ハーパーがなんとか聞き出した情報をかいつまんで記すと……。
現場、それも凄惨な類の現場に場馴れさすべく、上司が「調査」の名目で彼女を此処に送り込んだのだ。
送り込む「現場」の条件はただひとつ。
なるべく凄惨な事件であること。
だからキャリーの送り込み先としてこのアリゾナの事件が選ばれたのは、全くの偶然といってよかったのだ。
「……それでー、写真見てちょっとだけクラクラってしたらー……ほんとちょっとだけ。ちょっとだけだったんですよー、そしたら『キミにはもう少し現場ってものに慣れてもらう必要があるな』なんて言われちゃってー……」
キャリーの説明を上の空で聞き流しながら、ハーパーは現場写真、特に遺体の写った現場写真に次々目を通していった。
(アラスカと此処の違い。此処では新聞社に通報したが、アラスカでは放置した理由、それは……気温だ!)
ハーパーはついさっき誤って車のボンネットに触れてしまったときの熱さのことを思い出した。
(「主の羊社」が千客万来だったとは思えない。店の前の郡道も車の行き交う気配は殆ど無かった。だから、事件を放置した場合、何時発見してもらえるか判らない。
犯人は、殺した直後の状態で現場を見てもらう必要があった)
検死官の記録によると、犯人は一撃目を後頸の右から左に、二撃目を背中の左側に上から下、最後は腰部に左から右という順序でチェーンソウを振るったということになっていた。
しかし遺体の写真を見る限り、三回の攻撃は別々の攻撃ではなく、繋がった一連の動きのようにも見える。
(あの現場にあって、最も熱の影響を受けるもの。それは遺体だ。犯人はこの状態の遺体を見て欲しかった。腐敗が進んでしまってから発見されるのは不本意だった。
でも……犯人は何を見て欲しかったんだ?!)
そのとき、遺体写真を見ないよう、別資料を開いていたキャリーが、素っ頓狂なことを言いだした。
「犯人はー、ビタミンCでも足りてなかったのかなー」
317ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/03(水) 22:54:11.98 ID:kfiapMAT
「ビ、ビタミンC?」
ハーパーは見つめていた写真から思わず顔を上げた。
(この女、いったい何を言い出すんだ?)
しかしプレーリードッグ女の顔にふざけている様子は見えない。
改めてハーパーは尋ねた。
「いまビタミンCがどうとか言ったみたいだが……」
「えっ!?ああ……」
見上げるハーパーの視線をプレーリードッグは真正面から受け止めた。
「なんか見ていて感じたんです。Cばかりだなって」
女の言葉から間延びした調子が消えた。
「さっきウォードさんから聞いたんですけど、被害者のホバートさんは常々自分で言ってたんだそうです。『オレはカノンと縁がある』って」
大砲(CANNON)と聖典(CANON)だ。
「それから凶器がチェーンソウ(CHAINSAW)で……」
「それはオレも気がついてたが……」
「それだけじゃないんです。この写真……」
凄惨な写真から目を逸らし気味にして、女は遺体の背中を指さした。
「なんだか『C』の字に見えませんか?」
「Cだって!?」
ハーパーの視線が写真に戻った。
「それで……私思ったんです。こんなにCがいっぱいだってことは……」
ハーパー自身もさきほど考えていたのいではないか?
三回の攻撃は別々の攻撃ではなく、繋がった一連の動きのようにも見えると。
「……犯人のメッセージかなんかじゃなかと思うんです。被害者自身の体をメモ代わりに使って『もっとビタミンCを採ろう』なんて……」
ビタミンCうんぬんには、さすがについていけないが…。
(そうだ……あり得ることだぞ。犯人は遺体に何かのメッセージを残した。
しかし遺体の発見が遅れれば腐敗が進んでメッセージが判らなくなってしまう。それで犯人は地元新聞社に通報した……)
「あの、ハーパーさん……」
気がつくとプレーリードッグ……いや、キャリー・グリーンの切れ長の目が、正面からハーパーの目線を覗きこんでいた。
「ハーパーさんが来たってことは、他にも何か事件があったってことですよね?他の事件では、どんな文字があったんですか?」
318ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/03(水) 22:58:38.88 ID:kfiapMAT
 その夜キャリーは、フェニックスの安モーテルに宿をとっていた。
泊っているのはもちろんキャリー1人だ。
ハーパーはどこかの誰かに電話をかけ、「ベックマン」という人物と「ジュディス」について早口で意見を交わすと、キャリーへのあいさつもそこそこにカリフォルニアへと大急ぎで帰ってしまった。
(ベックマンって確か……アラスカの捜査員よね。だったらジュディスは……)
ベッドサイドに腰を下ろしたキャリーは、携帯で「アラスカ」「ジュディス」、それからちょっと考えて「殺人」も加えて検索をかけてみた。
すると……
「アラスカ州パーマーで一家皆殺し?……きっとこれだわ!」
ゲットした街や日付のデーターも加え、キャリーは更に検索をかけていった。
15分ほど後には、キャリーは知りたいことの概要をほぼ掴めていた。
アンカレジから北東に約68キロの都市パーマー郊外で、海外出張中の夫をのぞく一家4人が皆殺しになったのだという。
被害者の名は、一家の主婦ジュディス、長男のケイン、長女ジェゼベルに次女エシェット。
このうち子供たち3人の死因は射殺だが、ジュディスだけは喉を裂かれたことによる外傷性ショックだった。
(喉を裂かれた?!生きたまま!?……う、うそでしょ??)
胃の中に大きな石が入っているような気がしてきたが、まだ肝心なことが判っていない。
(まだよキャリー。うげーとか、ぎょえーとかやるのはまだダメ)
自分で自分にムチをくれながらキャリーは携帯で情報収集を続けた。
だが、彼女の知りたい事実、「被害者の喉を裂いた凶器は何だったのか」は判らなかった。
新聞社のHPや個人ブログには「ナイフ」と書いたものもあったが、単に小型の刃物という意味で使っているのかもしれない。
さんざん思案したすえ、キャリーは一時間ほど前あとにしてきた警察署に電話をかけてみた。
運良く、顔見知りになったあのウォードという警官が電話に出てくれた。
「あのー……知ってたら教えていただきたいんですけどー、『主の羊社』ではナイフとかカミソリとか、何か刃物を扱ってましたかー?」
「ああ、それなら聖餐式用に主の御言葉なんかを刻み込んだナイフを扱ってたよ」
(間違いないわ!)
丁重に礼を言ってキャリーは電話を切った。
ハーパーが「主の羊社」にやって来たということは、「主の羊社」で扱われていた商品がジュディスの喉を裂くのに使われたに違いない……。
キャリーはそう考えたのだ。
ヤマ感は大当たりだった。
チェーンソウ(Chainsaw)なら「C」。
だからナイフ(Knife)なら……。

「間違いないよ絶対。ジュディスの喉は、「K」の字に切り刻まれてたんだ」

頬が強張るのを感じながら、キャリーは窓際へと歩いていった。
安モーテルの窓の外は、これまた安っぽい夜景が広がっていた。
このあたりまえの人が住む、あたりまえの世界を、人を殺してアルファベットを刻むバケモノが這いまわっているのだ。
(どんなことしても捉まえなきゃ!どんなことしても!)
319創る名無しに見る名無し:2011/08/03(水) 23:39:58.04 ID:kfiapMAT
ここまででキャリー・グリーン登場。
彼女は「死体にアルファベット」というキーで犯罪にアプローチしていくが……。
ツーリストは犯罪の初期には死体にこれ見よがしに刻印をしてはいません。
理由は、クイズのヒントの出し方と同じ。
第一ヒントは難しく、第二第三と続くにつれ優しいヒントになっていく。
だから初期ヒントは難解なので、これ見よがしの記号化はされていない。
最終段階では殆ど回答モロだし状態になって、FBI本隊も遅ればせながら動き出すが……という展開にする予定。

次のアプローチは「奇妙な凶器」でいく予定。
320 ◆9FxqcGTI0c :2011/08/04(木) 07:33:00.95 ID:UpZjjy4F
投下乙です。
サスペンス物のシェアって珍しいですね。
321創る名無しに見る名無し:2011/08/04(木) 22:29:19.27 ID:cvdYbiYT
>>320
ありがとうございます。
ただし企画倒れの感多し(笑)。
ミステリーは伏線が命だから、複数の書き手で伏線を共有するのは難しい。
だからバラバラでも書き易いチェーン殺人にしたつもりだが……上手くいかないもんです。

キャリー・グリーンなんかも他の人が描きかけのパートがあるんですが、展開が続かないようなので私が新規に描き直しました。
ちなみにキャリーの語尾が「……でしたー」というように伸ばしてあるのは彼女のキャラ設定を繁栄させてみたもので、同時に先の展開への伏線です。
背が低いので子供扱いされ易く、意見も聞いてもらえない……そんな過去があるので、逆に子供っぽく語尾を伸ばすことで世間に迎合しているという感じでキャリーを描いて見ました。
本当の自分を認められたとき、彼女は「このチームとこれからもやっていきたい」と考えるようになる。そのための前フリですね。
322ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/04(木) 23:34:26.88 ID:cvdYbiYT
 「ロレンツォ先生、受付に面会の方がみえられてますよ」
まずは事務的に言ってから、助手のジムはロレンツォにぐっと顔を近づけると抑えたトーンで続けた。
「……ニューヨーク市警です」
「ニューヨーク?」
警察官に突然訪問されば、大抵の人物は何がしかの動揺を示すものだ。
しかメガネの向こうの、落ち窪んだ黒い瞳はいささかの変化も示さない。
「女性です。美人だけど、まるでサイボーグみたい」
灰色の瞳がキラリと光ったのは、「美人」と聞いた瞬間だった。
「……はるばるニューヨークからこのフロリダまでお越しとは、さて、如何なる御要件なりや?」
芝居がかった言葉で歌うように言うと、監察医サンベルト・ロレンツォは悠然と立ちあがった。
イタリア人は背が低いというイメージがあるが、あれは南イタリア人についてのもので、ローマ出身のロレンツォには当て嵌まらない。
6フィート3インチに達する痩身を優雅に逸らすと、少々乱れていた黒髪の一本結びを
手早く結い直して……今度も歌うようにロレンツォは言った。
「忙しき身なれども、会わぬわけにもゆくまいて……」
口では面倒くさくて会いたくなさそうだが、足が一瞬タップを踏んだのをジムは見逃さなかった。
323ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/05(金) 23:39:37.59 ID:Z7c9oa8B
ジムは女刑事のことしか言わなかったが……。
ロレンツォが事務所に入って行くと、待っていたのは「サイボーグのような女」と普通の中年男の二人だった。
制服であると私服であるとに関わらず、警察官はふつう単独では動かない。
ジムが女刑事のことについてしか言わなかったのは、隣の女刑事のインパクトが強すぎたからだろう。
「ようこそフロリダへ」
ロレンツォが右手を差し出すと、中年の男性刑事は応じて手を差出したが、「サイボーグみたいな女」は手を出さなかった。
女は……身長で6フィートに2インチほど足りないぐらいか?たしかにモデル並みの長身だ。
髪は褐色でベリーショート。透明感すら感じさせる肌は北方系だろう。
秀でた額と高い頬骨の間で、半眼の青い瞳がじっと動かない。
やや反り上がった鼻先の下では、薄い唇が真一文字に引き結ばれている。
……全体の印象は活動的で少年的とすら言えるのだが、冷たい瞳がその総てを消し去っていた。
(ニューヨーク市警というより、KGBみたいだな……)というのが、ロレンツォの第一印象だった。
「……失礼ですがアナタは?」
ロレンツォが重ねて手を差し出すと、女の視線がロレンツォの顔の上に「ロックオン」した。
炎のラテン対氷のスラブ。
知性対知性。
互いを値踏みする視線が交錯する。
「お、おい……」
理解の外の対決に男性刑事が戸惑いを見せ始めた時……。
サイボーグ女は初めてロレンツォに手を差し出した。
「はじめまして。わたくし、ソフィア・プリスキンと申します」

彼女の差し出した手は、左手だった。


324創る名無しに見る名無し:2011/08/05(金) 23:45:58.73 ID:Z7c9oa8B
ロレンツォのキャラは、「ラテン、炎、古典」として組んでみました。
一方のソフィアは、「スラブ、氷、近代」に組んであります。
それから……ロレンツォは古典(保守)なのでやや男性原理より。
ソフィアは近代(革新)なので中性的に振舞おうとしています。
当然両者の世界観は対立含みになるので、別々に登場させるより最初から対決させる形にしてみました。
ロレンツォの事務所からは一歩もでずに、ロレンツォ対ソフィアの知性対決を、さて上手いこと描けるでしょうか(笑)。
325 ◆9FxqcGTI0c :2011/08/06(土) 09:15:24.88 ID:MDvI1EqW
投下乙です。
なかなか面白そうな展開になりそうですね。楽しみに待ってます。
326 忍法帖【Lv=10,xxxPT】 :2011/08/07(日) 18:17:02.34 ID:qUti1FzT
乙!面白ぇ
327創る名無しに見る名無し:2011/08/08(月) 16:26:17.67 ID:8haO1Yt7
楽しみです
328ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/09(火) 00:04:35.39 ID:cXjoffUy
 コーヒーの紙コップが三つならんだテーブルを挟んで、刑事二人とロレンツォが向かい合って座っている。
それからどうでもいいことだが……中年男性刑事はグルックという名だった。
「我々が本日お伺いしたのは……」
禿げかけた頭の汗を拭きふき、グルックは切りだした。
(…なるほど、立場上は彼の方が上ということか…)
ソフィアと名乗ったサイボーグ女は、人形のように動かない。
「ロレンツォ先生が検死をされたマニュエル・ルービン事件についてでして……」
「…ああなるほど」
ロレンツォは口をつけていたコーヒーの紙カップを優雅な手つきでデスクに置いた。
「あなたがたお二人は、デルハイル射殺事件の捜査をされているんですね」

ロデリック・ヴァン・デルハイル。投資アナリスト。
事件の発覚は一年前に遡る。
デルハイルの経営する投資運営会社に違法行為の疑いありと、フロリダの地方経済紙が一面トップですっぱ抜いたのだ。
フロリダは現役を退いた富裕な老人層の多い土地柄で、デルハイルの会社に投資運用を任せている者も多かったため、この記事はたちまち大きな反響を巻き起こす。
信用不安を引き起こしたデルハイルの会社はたちまち倒産。
しかしこの事件、本当に法律に違反の事実があったのかは争いがあり、いまだ決着はついておらず、決着がつく気配も無い。
司直の手がいままさに入ろうというある夜、総てを知るはずのデルハイルが逗留先のニューヨークで射殺されてまったのだ。

 「ニューヨークのお二人がここフロリダはタラハシーまでご足労くださったということは、ニューヨークで起こった事件の捜査と何か関係があるからでしょう?
私がこのあいだ検死をやったマニュエル・ルービンは、デルハイルの会社についてすっぱ抜いた張本人ですからね」
捜査上の秘密もあって困り顔で黙り込むグレックに代わって、ソフィア・プリスキンが口を開いた。
「そのとおりです。ドクター・ロレンゾ」
電子音を思わせる声でソフィアは、イタリア風にロレン「ツォ」ではなく、アメリカ風にロレン「ゾ」と発音した。
ロレンツォの眉が小さくピクリと動く……。
相手の不興を買ったことを敏感に察知したグルックが渋い顔をするが、ソフィアは表情を崩さない。
「おっしゃられるとおり、我々は、デルハイル殺しの捜査班の一員です。事件の発端になったルービンが事故と思われる状況で死亡し、それについてドクターが異議を唱えてられると、より正確には殺人と主張されていると聞き、此処にこうしてお伺いいたしました」
329ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/09(火) 00:07:17.68 ID:cXjoffUy
 地元の人間のことでもあり、ロレンツォはルービンを取り巻く状況についても詳しかった。
「マニュエル・ルービン老は、街の郊外の富裕層が多く住む高齢者向けマンションの一室に、家族とも離れて一人で暮らしていました。どうもルービン老は正義感が強すぎて付き合い難い人物だったようですね」
ロレンツォはしばらく意味ありげにグレックとソフィア、二人の刑事の顔を交互に眺めると「まあそんなことはどうでもいいことですかな」と言い足した。
ロレンツォが口を閉ざし、ソフィアも相変わらずだったので、グレックは上着のポケットからメモを取り出した。
「……えぇと……管理人室の集中管理システムが、ルービン老の部屋で漏電遮断器が作動した旨表示。
15分以上そのまま電源が復帰しないため不審に思った管理人が合いカギ使って部屋に入り、浴槽で死んでいるルービン老を発見……。
浴槽内には家庭用電気ヒーターが沈んでおり、電源コードは繋がったままだった。
通報を受けた郡警察は、不慮の事故による感電死と考えたが……」
「検死を依頼されたこの私が、妙な報告書を書いてよこしたものだから、対処に困って頭を抱えていると、そういうわけですね」
「まあ、そんなトコですな」
グルックはどうやら地元警察に同情的なようだった。
プロの判断に、素人は口を出すなと言いたいらしい。
ロレンツォのもとを訪れたのも、彼の意向によるものではないのだろう。
「ドクター・ロレンゾ」
ソフィアが口を開くと、ロレンツォの眉がまたピクッとなった。
「ドクターは、ルービン老の死は、事故ではなく他殺だと主張されているそうですが、その根拠についてお伺いしたいのですが」
「それなら総て警察に提出した報告書に……」
「ご自身の口から、直にお伺いしたいのです」
「××したい」という希望の形をとってはいるが、ソフィアの意思は命令そのものだった。
ロレンツォのもとを訪れたのは、明らかにソフィアの意見によるものだ。
「……判りました。何と言ってもあなた方は遠来のお客人ですからね。客人は大事にしろというのが、一族の家訓でもありますし……」
ロレンツォは長い両手の指を編み物でもするようにクネクネ動かしながら、視線をふっと天井に移した。
「発端はですねぇ……」
医師は明らかに言葉を選んでいた。
「奥歯、下顎右側の奥から二番目の臼歯に穴があいてたんです」
「穴があいてた?何の穴です?」
「虫歯のあとです」
330ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/09(火) 00:10:09.75 ID:cXjoffUy
「む、虫……歯?」
眉を寄せ中年刑事が呟くと、ロレンツォが直ちに訂正した。
「グルック刑事。私は『虫歯のあと』と言ったんです。ただの『虫歯』とは言っていません」
「……詰め物が取れて、治療の痕が露出していたんですね」
ソフィアが言うと、ロレンツォが頷いた。
ひとり蚊帳の外のグルックが困惑気味に言った。
「でも、詰め物が取れてしまうのはよくあることでしょ?私だって何度か経験がありますよ」
「グルックさん、問題は、何故、詰め物がとれたのかってことなんですよ」
ロレンツォの指が、ギターの早弾きのように一瞬目まぐるしく動いた。
「前歯は見栄えに関わるのでレジンとかセラミックスが使われます。しかし臼歯は噛みしめる力に耐えねばならないのでいまだに金属が使われることも多いんです。」
何を言い出すんだ?と言うように、グルックがため息をついて天井をあおいだ。
ようするにギブアップ宣言である。
対戦相手が独りになったとみたロレンツォは、攻撃をソフィアだけに絞った。
「それでは、プリスキン刑事。コンポジットレジンやセラミックスといわゆる金歯には、どんな違いがあると思いますか?」
「明白ですね。レジンやセラミックスは電気を通さないが、金歯なら通します」
「正解です。金はルービンはユダヤ系だったせいか古典的な蓄財方法を採用していたようですね。詰め物に金を使っていたんです。それでは……」
大学の指導教授のような口調で、ロレンツォは次なる問いを投げかけた。
「……では、最も重要な質問です。ルービン老の奥歯に嵌っていたはずの金はいったいどこへ消えたのか?」
331ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/10(水) 00:07:01.96 ID:JEp1t9oG
「ルービン老の金歯はどこに消えたのか?警察があまり乗り気じゃなさそうなので、仕方がないから自分で探しに行きましたよ」
「お探しの物はどこで見つかりましたか?」
「簡単に見つかりましたよ、寝室で」
ロレンツォとソフィアのやりとりに、よせばいいのにグレックが戦線復帰した。
「簡単に見つかった?でも小さなものなんでしょう?金属探知機でも持ち込んだんですか?」
……もうロレンツォはグレック刑事の方を見ようともしない。
黒い瞳の先で、青い瞳が答えた。
「……ドクター・ロレンゾ先生は、臭いで見つけられたんですね」
「正解!」と言うのと同時に、ロレンツォの左眉が上がった。
「人が死ぬと肛門括約筋などが弛緩して糞尿を漏らします。例えば首吊り死体なんかだと死体のパンツが…………あ、いや、こりゃ失礼。女性の前で話すべきことではありませんでしたな」
ソフィアは許すでもなく、かといって非難するでもなく、無表情のままだ。
「ま、オチから言ってしまえば、ルービン老が歯の詰め物に電流を流されて殺されたのなら、死の瞬間、殺人現場に放尿した可能性がある。
だから私は調査の前に、ビーグル犬にでもなったつもりで家の中じゅう鼻をクンクンさせて歩きまわってみたんです。そうしたら寝室で……」
ロレンツォは優雅な手つきで鼻をつまんでみせた。
「金属に溶融の痕跡は?」とソフィア。
ロレンツォが答えた。
「金そのものには溶融と断定できる痕跡は見つかりませんでしたが、一緒に使われた歯科用セメントには何らかの熱が加わった痕跡がみてとれましたね」
ソフィアとロレンツォ、ロシア女とイタリア男がともに黙り込むと、グレック刑事が口を半開きにして、ありもしない前髪を掻き上げる仕草をした。
「つ、つまり先生は……」
彼はいま得られたばかりの情報を取りまとめるのに手一杯のようすだ
「……ロレンゾ……じゃなかったロレンツォ先生は、ルービン老人は寝室で金歯に電流を流されて殺された。そのとき電流の熱で金歯がはずれたと、そう言ってられるんでしょうか?」
無表情を通していたソフィアの口角が僅かに上がる。
「……それ以外に聞えましたか?」とロレンツォが追い撃ちをかける。
「いや……でも、しかし……」
グレックは十字砲火に晒されたような状態だ。
「なんでそんな面倒なことする必要があるんですか?風呂に入れて電気製品放り込めばリバリって……」
「それだと確実性に欠けるんですよ。感電ぐらいはするでしょうが、感電死してくれるとは限らない。死んだとしても溺死の可能性の方が高いでしょう。しかし……」
ロレンツォは口をがばっと開け、自分の奥歯を指さした。
「ここに電線を繋いで、何かの外部電源から強力な電流を流せば確実にイカせることができます」
「でもそれなら風呂の水に電流を流せば……」
「その場合せっかく流した電流が拡散してしまいますね。確実にショック死させようと思ったら電気椅子なみの電流を流さねばなりません」
「……しかし……うーん……」
存在しない髪を掻き毟るのを止め、グレックは再びメモを取り出した。
「……そこまで手間をかけたってこたぁ、事故死に見せかけるためのはずだ。だったらデルハイル事件の報復って線は……」
マフィアなど裏社会の報復であれば、「これは報復である」とハッキリ判るようにする。
事故死では、裏社会にたてつく者に対する見せしめや威嚇にならないからだ。
「こりゃあ、フロリダくんだりまで無駄足踏んだってことかな?」
めんどくさい事件と関わりが切れて、グレックはほっとしたように見えるが……ロレンツォと上司のやりとりを黙って聞いていたソフィアが、それまでよりもややゆっくりした調子で口を開いた。
「……洗濯機の中を御覧になられましたか?ドクター・ロレンゾ??」
「もちろん調べてみましたよ、プリスキン刑事。中ではパジャマのズボンがしょんべん臭い臭いをプンプンさせていました」
ロレンツォの答えに納得がいったのか、それともいかなかったのか?
ソフィアはしばし、ロレンツォの黒い瞳を見つめていたが、やがて軍人を思わせるキッチリした動作で立ち上がった。
「グレック刑事、ドクター・ロレンゾはお忙しい方です。そろそろお暇するとしましょう」
332ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/10(水) 00:11:10.24 ID:JEp1t9oG
 ニューヨークから来た二人の刑事は停めてあった車に戻ると、キャリアが長く上司でもあるグレックが運転席につき、ソフィアが助手席に座った。
ソフィアは、実はあまり運転が上手くない。
生きてニューヨークに帰りたかったら、ソフィアにハンドルを任せてはいけないのだ。
「なにが『ドクター・ロレンゾはお忙しい方です』だ。いきなり一方的に面談を打ち切りやがって。先生、ムッとしてたぞ」
エンジンキーを探しながらグレックはぼやいた。
「オマケに、ルービンの死が事故だろうと他殺だろうと、デルハイル殺しとはこれっぽっちも関係ねえときちゃ、まるっきりの無駄足……」
「……無駄足ではありません」
助手席の窓を開け、ソフィアは後にしてきた建物の方を眺めていた。
「なんだって?」
「無駄足ではなかったと、私は思っています」
グレックから顔をそむけたまま、ソフィアは答えた。
「グレック刑事、我々はデルハイル殺しを金融マフィア絡みの殺人だとばかり思っていました。しかしそれは間違いだったんだと思います」
「デルハイルは債権者の追及を逃れた先のホテルで射殺されたんだぞ?ヤツに色々喋られちゃまずい奴らの犯行に決まってるじゃないか?」
「だったら何でボルカニック連発銃みたいな骨董品で撃ったんでしょうか?」
グレックの問いに対し、問いをもってソフィアは答えた。
「それからもうひとつ。ルービン殺しで犯人は、なんで失禁の痕跡をそのままにしたんでしょうか?」
「失禁の痕跡だと?」
グレックは辞去する直前、ソフィアの放った質問を思い出した。

『……洗濯機の中を御覧になられましたか?ドクター・ロレンゾ??』

「犯人が金歯に電流を流したのは、電流班を残したくなかったからだと思います」
電流班とは、電流が体のどこかに集中したとき局所的に発生する火傷のことだ。
「人ひとりを確実に感電死させるほどの電流を流せば、必ず電流班が残ります。
ピアスや指輪に流しても同じです。その下の皮膚に電流班が残りますから。しかし金歯に流すのであれば、電流班を残すのを避けられる可能性がある。
また、もし仮に電流班が残ったとしても、大抵の医師は口の中の電流班など身落とすと思います」
「ところが、あのイタリア先生は身落とさなかったってわけか」
探していたエンジンキーは、胸ポケットからようやく発見された。
「ま、ああいう手合いに検死されるたぁ犯人も不運……」
「にもかかわらず、犯人は被害者の失禁の痕跡をそのままにしました。入浴中に感電死したのであれば、失禁したとしても風呂の水の中です。寝室に失禁の痕が残るはずはありません。
被害者を殺した後、犯人は服を脱がせ風呂に入れ、電気ヒーターを放り込む手間をかけています。
だったら失禁の痕跡を消さなかったのはなぜでしょう?
汚れたパジャマも洗濯機に放り込んだだけだったのは何故でしょう?」
「……そりゃもちろん他人のションベンの後始末なんて気が進む作業じゃねえからだろ?」
グレックがエンジンキーを捻ると、軽く身震いしてレンタカーのエンジンが目を覚ました。
「オレだって経験あるぞ。息子が赤ん坊だったころなぁ……」
おしめ交換の経験談とともに、二人を乗せた車がゆっくりと動き出すと、ソフィアはもうそれ以上話すのを止めた。
よく考えてみる必要があった。
ロレンツォは明らかに「理論の人」だった。
その理論の人が口にした唯一の無駄口。

『マニュエル・ルービン老は、街の郊外の富裕層が多く住む高齢者向けマンションの一室に、家族とも離れて一人で暮らしていました。どうもルービン老は正義感が強すぎて付き合い難い人物だったようですね』

そしてその直後の意味ありげな沈黙。
(ドクター・ロレンゾはあのとき謎かけか何かを仕掛けていたに違いない。なのに……私にはその意味が判らない。いったいドクターは、私たちに何を言わんとしていたの!?)
ソフィアの視界の先で、ロレンゾと面談した事務室が遠ざかっていった。
窓際に立ち、じっとこちらを見ている医師の姿も、もう見えなかった。
333創る名無しに見る名無し:2011/08/10(水) 00:20:21.07 ID:JEp1t9oG
ここまでで「ロレンゾ対ソフィア」一回戦終了。
最初の事件である「デルハイル殺し」に一旦戻った上で、「ロレンゾ対ソフィア」第二戦開始。
ロレンゾのところには、終盤ちかくでディミトリも登場予定。
金融マフィアの犯行ではなく連続殺人だと考えたソフィアは、独自判断でクワンティコへ。
そして独自捜査に行き詰まっていたキャリー・グリーンと接触の予定。
334 忍法帖【Lv=23,xxxPT】 :2011/08/10(水) 23:16:42.44 ID:mw6beB8J
投下乙です
ロレンゾが初めて男って知ったの俺だけ?
335創る名無しに見る名無し:2011/08/11(木) 08:35:18.04 ID:wMOuWqbu
>>334
なに?女の設定だったのか(笑)。
…イタリア系の名前の法則として、男性はオ段、つまりオコソトノホモヨロヲで終わるというのがある。
女はア段でアカサタナハマヤラワで終わる。
「サンベルト」は男系の名前で、女なら「サンベルタ」になるのが普通。

日本人の女性で「ハナコ」とか「ヨシコ」なんて名前の人は、名前だけだと男と間違われる。
「ハナカ」や「ヨシカ」ならノープロブレムだ。
336創る名無しに見る名無し:2011/08/11(木) 12:01:39.34 ID:npgr7/Pf
ジョン・トラボルタは女になるのか
337創る名無しに見る名無し:2011/08/11(木) 19:31:32.78 ID:wMOuWqbu
>>336
こら(笑)。トラボルタはファミリーネームだろ。
男と女の区別があるのはパーソナルネームだぞ。
ちなみにパーソナルネームの「ジョン」はラテン名だと「ヨハン」で、女性名だと「ヨハンナ」になる。
……そういえば、ヨハンナあるいはジョハンナっていうと、ヨーロッパ黒歴史上の有名人物がいるな。
338ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/11(木) 23:10:07.37 ID:wMOuWqbu
 今度も空港で待っていたベックマンが、あいさつもそこそこにきりだした。
「さて、どっちから話す?」
「…そちらからどうぞ」
「じゃあ歩きながら……」
ベックマンが早速喋り出した。
「君がロスに戻ったその日遅くに、殺されたジュディスの亭主が出張先のヨーロッパから戻ってきてね」
「……心が痛みますね」
「ところがそうでもなさそうだった。家族の関係はもう何年も前からバラバラだったみたいだね」
自動ドアが開くと……亜寒帯湿潤気候の風が心地いい。
青空高く針のように聳えるCNタワーが遥かに見えた。
極寒のアラスカから熱砂のアリゾナ。そしてその次は、隣国カナダの街トロントだった。

 トロント・ピアソン国際空港を後にして、ベックマンの運転する車はロジャース・センターの丸屋根を右に見ながら東へと走っていった。
「なんでもジュディスの亭主の話だと、家にあったはずの拳銃が一丁、無くなっているらしいんだ」
「拳銃?」
「自分が留守がちだから護身用のつもりだったらしい」
「まさかそれが子供たちを射殺するのに使われたとか?」
「いやそれはない。子供たちを撃ったのは9ミリだ。だが紛失した拳銃は45ロング・コルト弾だ」
「45ロング・コルト?…ってことはまさか??」
「そのまさかだよハーパー。ジュディスの亭主は若いころ『ハイヌーン』見た勢いでシングル・アクション・アーミーを手に入れたんだそうだ」
コルト・シングル・アクション・アーミー。
別名ピースメーカー。偉大なる西部を拓いた偉大なる拳銃。
……しかしいまでは単なる骨董品だ。
セル・リードかジェフ・クーパーでもない限り、あんなガラクタを実戦に使う物好きなどいない。
「……どっかにしまって忘れてんじゃないのかい?もっと安くて実用的な銃がいくらでも……」
「いや、それがそうじゃないんだ」
ベックマンの運転する車は繁華街を離れて、いわゆる閑静な住宅街といった地域に入って行った。
「……君が電話で言ったように、ジュディスを殺したナイフが『主の羊社』の殺人現場から持ち出されたものだとするならばだ、ジュディスの殺人現場からも何か持ち出されたものがあるんじゃないだろうかって思ったのさ」
「……トム、まさか君は……」
「だからオレは警察関係の知り合いたちに照会してみたんだ。シングル・アクション・アーミーを凶器に用いた殺人事件は発生していないか……とね」
アラスカの時以上にハーパーは驚いていた。
ベックマンの顔が効くのは、地元アラスカだけではないのだ。
いや、アラスカどころの話ではない。
「……カナダの警察関係者にまで顔が効くとは驚きですね。そのぶんじゃメキシコにも……」
ハーパーは冗談のつもりだったが……ベックマンはあっけなく肯定した。
「もちろん照会したさ。メキシコにもね」
そして車は、とある豪邸の前で停車した。
屋敷の前には既にトロント市警のパトカーが二台止まっており、背広姿の大男が車体にもたれてタバコをふかしていた。
「おう、久しぶりだなベックマン!このくそたれ野郎」

339ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/13(土) 23:24:06.25 ID:P6KDPRZy

パトカー前で待っていたのはゴーントという男だった。
制服警官たちから警部とか部長といった役職付きでなく、ただミスター・ゴーントと呼ばれていたので警察官ではない。
OSICあたりの人間か?ともかく諜報機関くさいというのがハーパーのカンだった。
「さーてお立会い…」
香具師の口上のように言うと、ゴーントは邸宅の玄関を開いた。
がっしりした樫材のドアを開くと玄関ホールになっていて……ドアから3メートルと離れていない箇所にチョークで描いた人型があった。
「生で見たかっただろうが、オレの耳に入ったときにゃ搬送されたあとだった。生で見たきゃ検死官事務所に行ってくれ」
「ありがとうゴーント。恩にきるよ」
「ふん!これはこのあいだの借りを返しただけだ」
「いや、このあいだのヤツはモントリオールの借りを……」
ベックマンとゴーントの貸し借りは清算不能なほど込み入っているらしい。
「ねえキミ…」
ハーパーは脇にいた制服警官に尋ねた。
「事件は何時頃に?」
「それはほぼ特定できています」
制服警官の答えは明快だった。
トロント市警の調べによると、昨夜の午後7時半ごろ隣家の主婦がバンという破裂音を耳にしていた。
炸裂音は一発だけだったので、主婦は車のバックファイヤーだったのだと思い込んでいたという。
「破裂音がしてから二三分で車が走り去ったそうです」
「車はどっちへ?」
「それが……判らないそうです。慌てて逃げるというんじゃなく、普通に走り出す感じだったので気にも留めなかったと」
「被害者はジョン・カーモディ。映画のプロデューサーだ。犯人は、たぶん新作の出資希望者だとでも偽って訪問したんだろう」
耳元の声に気がつくと、ハーパーのすぐ横にゴーントが立っていた。
「この家はこの町で映画を撮るときだけ暮らす借家だが、訪問者は少なくなかったそうだ」
映画プロデュサーであれば、役者やスタッフから出資者にマスコミと出入りもさぞや多かっただろう。
その中に死神が混じっていたとしても、見分けられるはずもない。
「次回作は……なんたらオブ・ザ・デッドだそうだ。『プロデューサー・オブ・ザ・デッド』に改題せにゃならんだろうな」
悪趣味な軽口に思わず閉口してゴーントから視線を外したとき、床の隅に重なった何枚かの色鮮やかな紙切れにハーパーは気づいた。
「あれは?」
「あの紙か?観光案内のパンフレットだ」
ハーパーはその一枚を拾いあげた。白いギリシャ風の廃墟が青空を背景に聳え立つ写真が掲載されていた。
「……トラヤヌス神殿?」
「トルコの観光地だ。ポストにでも入ってたのをここに持ち込んであったんだろ。さあて次は市警本部で死体様との御対面だ」
340ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/17(水) 23:39:50.34 ID:N2GPXRfi
 15分後、ハーパーとベックマンは、トロント市警の検死官事務所の薬臭い死体安置所で、ジョン・カーモディとの会見を果たしていた。
「検死官の報告だと入射角は下からおよそ45度だそうだ」とゴーント。
「そりゃ驚きだな。まさかヒップシューティングってことか?」とベックマン。
ハーパーがまとめた。
「かなりの腕だ。……だけど、プロじゃない。多分趣味のシューターだね」
カーモディーの遺体は、定規で測ったように両目の真ん中を射抜かれていた。
FBIや犯罪組織の処刑人でも、眉間に一発だけという撃ち方は普通しない。
人間の骨は堅いと同時に柔らかくもあり意外と丈夫なのだ。
とくに頭蓋骨は、357マグナム級の弾でも角度によっては貫通できない。
拳銃などとは比べ物にならないエネルギーを持つ軍用ライフルで撃たれても、運良く死なずに済むケースすらある。
ヘッドシューティングをバンバン決めて、バッタバッタと敵を撃ち殺す……なんていうのは素人の幻想に過ぎない。
確実に射殺するなら骨に守られていない腹に連射。
それこそ、ハーパーがかつてクワンティコで習った射殺法だ。
「なあゴーント、遺体のどこかに他の傷は無かったかい?」
「検死報告にあるとおりだ。眉間の銃創一発だけさ」
「……そんなバカな」
ゴーントの答えに納得いかないハーパーは自ら遺体を調べてみた。
遺体は検視後のため全裸のままだったが、彼の捜すものは遺体の何処からも見出せなかった。
ハーパーが途方に暮れた様子で手を止めると、壁にもたれ眺めていたゴーントがきりだした。
「ところでハーパーくん。トムから聞いたんだが……あんたらは被害者に文字を残すシリアルキラーが存在するって考えてるんだろ?」
「ああそうだ」
発見直後の現場写真に目を通しながらハーパーは答えた。
「……アリゾナじゃチェーンソウが凶器で文字は『C』。アラスカだとアリゾナの現場から持ち出されたナイフが凶器で文字は『K』。
この事件じゃアラスカの現場から持ち出された拳銃が凶器だから文字はガンの『G』かハンドガンの『H』、あるいはシングルアクションアーミーで『S』の文字があるはずなんだ」
「なあゴーント……」
いらつき気味のハーパーの邪魔にならないよう、ベックマンがさりげなく口を挟んだ。
「………銃の方は間違いないんだよな?」
「間違いない。シリンダー内に残っていた未発射の実包からオマエの送ってよこしたジュディスとかいう女の指紋が出た」
「それならこの事件はアリゾナから連続した鎖の輪のひとつに間違いないはずだ」
「いや、そう短絡的に決めつけるのは危険だぞトム。問題の銃は殺人よりもっと前に紛失していたのかもしれないじゃないか?」
ベックマンが腕組みして眉を寄せると、カナダ人の大男はハーパーとベックマンの考えに対する本格的な攻撃を開始した。
「それにだ、トム。オレにゃこの殺人が同一犯による連続殺人だとはとても思えんのだ」
341ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/17(水) 23:45:29.34 ID:N2GPXRfi
ゴーントはベックマンに指を二本立ててみせた。

「オレがこのカーモディー殺しを連続殺人の輪の一つだと思わん理由。その第一は……」
ゴーントが二本指のうち人差し指を折った。
「……犯行パターンの問題だ。犯行にパターンのある連続殺人犯の場合、パターンは犯人の性向そのものだ。そう簡単にゃ変わったりせんはずだな?しかしこの殺人にはまず『文字』が無い。
それに射殺後直ちに犯人が殺人現場を立ち去ってる以上、現場から何かを持ち出す時間的余裕があったとも思えん。つまりパターンが二つも崩れている。それから次に……」
中指も折ると両手を広げてゴーントは言った。
「犯行エリアが広すぎる。北はアラスカから南はアリゾナってことは、北米全土を縦断してるってことだろ?だが、ここまで守備範囲の広いシリアルキラーがいたか?
まるで渡り鳥か旅人だ。
普通のシリアルキラーどもは、大抵車で移動可能な範囲で獲物を調達する。
それにこれだけ広範囲じゃ獲物の選択だって難しい。それともこの旅人は行き当たりばったりに人を殺すのか?」
「いや……行き当たりばったりじゃあないね」
ゴーントの厳しい指摘を受けながらも、ベックマンに動じる様子は無かった。
「ハーパーくんは『文字』を凶器の名前と結びつけているが、オレは被害者の属性とも関係しているんじゃないかと思ってる」
ハーパーとゴーントが同時に声を返した。
「被害者の属性?」
「アラスカのジュディス・ソーンダーズはアル中だったんだ。つまり、キッチンドリンカー(Kichindrinker)だったのさ」
ベックマンはハーパーとは違った角度から事件にアプローチを試みていた。
「犯人は明らかに宗教的な意図をもって獲物を選んでいるように感じる。
アラスカの事件は酒に溺れる不信心者。アリゾナの事件は、たぶん人を殺していながら聖具を売ったことが糾弾の対象になった。カーモディー殺しは……彼がプロデュースした映画の内容に問題があったんじゃないかな?」
今度はゴーントが左右の眉を寄せた。
「キャノニストのC、キッチンドリンカーのKというわけか?それならカーモディーは??」
「プロデューサーのP。シングル・アクション・アーミーの別名はなんて言うか知ってるよな、ゴーント?」
口をぐっと「へ」の字にしてゴーントは答えた。
「……ピースメーカー(Peace maker)だ」
しばし黙り込んだあと、ゴーントはベックマンとハーパーに言った。
「……判った。オレの方でもアンタらの考えに沿う形で旅人探しに協力するとしよう」
342ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/18(木) 00:02:57.05 ID:b9V+Gz+I
 現調と死体見分のあと、トロントはゴーントに任せてベックマンとハーパーはいったんそれぞれの縄張りに戻ることになった。
だが……ベックマンがいままさに機中の人になろうとしたとき、突然彼の携帯が着信音を奏でた。
曲は「チューブラーベルズ」。
ゴーントからの着信だった。

343ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/18(木) 00:05:15.31 ID:b9V+Gz+I
ハーパーがトロント空港でゴーントからの着信を耳にする、ほんの30分ほどまえ……。

「一応」映画女優のニッキィ・スローンは宿泊先の安宿でスタジオからの連絡を待っていた。
「……そうなの。そうなのよぉ。プロデューサーがね、どっかのアホにぃ撃ち殺されちゃったのよ」
………
「もちろんよ。せっかく主演をゲットできたってのにぃ………もっちろんよぉ、中止よ、中止!……ってゆうかぁ、もう終わりよねぇこの映画。ま、一応指示待ちってことなんだけどぉ………え?映画のタイトル?」
………
明らかに会話しているのだが聞えてくるのはニッキィの声だけ。
他に聞えるのは、外の道路を走る車の走行音。
どこかの部屋で見ているテレビ番組の笑い声。
それから……階段を上がってくるカツカツという足音。
……それだけだ。
話し相手の声は聞えない。
「……なんたらオブ・ザ・デッド?!誰よぉ!?そんな変なタイトル教えたのぉ!そりゃあのプロデューサー、そんな頭悪そうな映画っきゃ作んないけどぉ……」
……足音は階段を登り切って廊下にはいった。
「……タイトルはねぇ……このまえ教えたでしょ?アタシよぉ、アタシの名前!思い出したぁ??」
ブーッ……短く一回、すこし間をあけてブッブーと二回。
「……あれぇ?誰か来たぁ?ちょっと待っててぇー」
ニッキィは受話器を枕元に置いて、ドア口に向かった。
覗き窓から相手の様子を確認すると、相手の抱えた撮影スタジオのロゴの印刷されたクラフト封筒が真っ先に目に入った。
「あ!待ってください。すぐ開けます」
待っていた連絡だと思ったニッキィは、慌ててチェーンを外すとキーを外してドアを開けた。
「お待ちして……」
お待ちしていましたと、最後まで言い終えることはできなかった。
無粋なナイフが、白い細首を深く大きく掻き切ったのだ。
344ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/18(木) 23:49:28.67 ID:b9V+Gz+I
「被害者はニッキィ・スローン。カーモディーのプロデュースしてた次回作の主演予定だった女優だ」
連絡を受け空港から急遽駆け付けたハーパーの足元に転がっているのは、「女優」という言葉の不似合いな、極々ありふれた田舎娘だった。
死体を挟んで向こう側にはゴーントが、例によって壁にもたれて立っている。
「殺されたとき電話中だったんで、電話相手の男が異常に気付いてすぐさま警察に連絡したんだ。
その連絡先がトロント市警だったら、あるいは犯人を捕まえられたのかもしれんが……」
「……そうか、電話相手は湖の向こう側だったんだな」
「ウィスコンシン州警察は、トロント市警に連絡しろと言ったきりだったとさ」
ゴーントの口調は吐き捨てんばかりだった。
ニッキィの電話相手がトロント市警に連絡するまであいだに犯人は一連の作業を終え、悠々と現場を立ち去ってしまっていたのだ。
「この娘の喉を裂いた凶器は、カーモディーがお守り代わりにいつもベルトに下げてたナイフだそうだ。もちろん射殺されたときも身につけてただろう」
犯人は、カーモディーを射殺したその場で、被害者の身に着けていた「お守り」のナイフを奪っていったのだ。
「ただのナイフじゃないですね。アーミーナイフです」
死体の傍らに投げ捨てられた血まみれのナイフの上にハーパーは屈みこんだ。
「……そうでなきゃAになりません……」
「ついでに言うとアクトレス(Actress)のAってわけだな」
女優の喉は、不自然なカーブを描いて切り裂かれていた。
キャンバスが狭かったので、さすがの旅人も苦労したようだ。
ニッキィ・スローンの喉の傷は、無理すれば小文字の「a」に見えなくもなかった。
そのとき、ハーパーの携帯が再び着信音を奏でた!
『………ハーパーくんかい?オレだよ。ベックマンだ』
ゴーントから連絡受けたベックマンは現場には来ずに、ニッキィ・スローンの電話相手のところに向かったのだ。
『詳しいことはそっちに戻って話すが……ニッキィのボーイ・フレンドが言うにはな、殺される直前、ニッキィは自分が主役を演るはずだった映画のタイトルのことを話してたんだそうだ』
「主演を演るはずだった映画って……カーモディーがプロデュースしてた映画ですか?でもそれにいったいどんな意味が??」
『アラスカでのことを覚えているかいハーパーくん。君はあのとき、ジュディスの名前の謂れを話してくれたよね?』
「ああ……ええ、たしかそんなこともありましたね。でも……」
『聞いてくれハーパーくん。ニッキィのボーイフレンドが言ったんだよ。ニッキィの名前がそのまま映画のタイトルなんだって』
「ニッキィの名前が映画のタイトルと同じ?それはいったい……」
そして次の瞬間、大声でハーパーが叫んだ!
「そうか!そうだったのか!」
345ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/18(木) 23:50:55.21 ID:b9V+Gz+I
ハーパーはトロント市警本部の会議室でウィスコンシンからトンボ帰りしたベックマンと再合流を果たした。
「お疲れ様です」
「いや、この仕事長いからね。この手の移動はもう慣れっこだよ」
二人がろくに挨拶も交わさぬうちに、難しい顔をしてゴーントも戻って来た。
「やあトム。いいところに来たな。こっちは今しがた検査がおわったところだ」
「で、ゴーントさん。結果はどうでした?」
「……君の読みどおりだったよ、ハーパーくん。どうやらオレの負けだな」
「なあゴーント、調査とか言ってるのは例のパンフレットを調べたんだね?カーモディーの指紋は無かったんだろ?」
もうギブアップだ、というようにゴーントが両手を上げた。
「なんだトム。アンタも全部判ってるみたいじゃないか。判ってないのはオレだけか。もったいぶらねえでさっさと教えろ」
ハーパーとベックマンは、しばし譲り合うように視線を交わしていたが、やがて年かさのベックマンが「それじゃオレが……」と話しはじめた。
「きっかけはね、ニッキィ・スローンの名前の意味だったんだ」
「ハーパーくんも『そうだ』とか『判った』とか騒いでたが、ニッキィー・スローンはニッキィ・スローンだろ?他にどんな意味があるっていうんだ??」
ベックマンは会議室のホワイトボードにマーカーペンでNikki・Sloanと書き込んだ。
「ニッキー・スローン。殺された女優の名だ。これをこう書くと……」
ベックマンは、こんどは女優の名前の下に、発音こそ似通っているが全く別の言葉を書き添えた。
「Nicky・Throne……ニッキー・スローンだ。発音的には似ているが、しかしその意味は……」
「……悪魔の王座……そうか!」
ゴーントにもやっと納得がいったようだった。
「ニックとかディックは『悪魔』の別称だ。そしてスローンは王座か、なるほどな……だが待てよトム!それとあの旅行パンフレットとどういう関係があるんだ?」
「それはオレなんかに聞くよりも、携帯電話かパソコンで検索した方が速いな。試しに『トラヤヌス神殿』で検索してみろよ、ゴーント」
「…ちょっと待ってくれよ」とゴーントは携帯を取り出すと、パンフレットを見ながら一文字づつ入力していった。
「……さてと結果は……」
ゴーントは上着のポケットから老眼鏡を取り出すと、携帯の表示を読み上げた。
「やれやれ年はとりたくねえな……トラヤヌス神殿。ローマ帝国の属州ペルガモンに建てられた……」
「判っただろ?ゴーント。ペルガモン(Pergamon)。つまりPだよ」
「ま、まってくれよトム。たしかにPが出て来るにゃあ出て来るが……」
「いや、これで正解なんだよ。だってペルガモンは『サタンの王座のある場所』なんだから」
「サ、サタンの王座だと!?…トム、おまえいったい何を言い出す……」
だが、「……言いだすつもりだ?」と言い終える前にゴーントの口から言葉が途切れた。
そして二三秒の空白のあと、ゴーントの口から全く別の言葉が飛び出した。
「そうか!オレにも判ったぞ!答えは『ヨハネの黙示録』だな!!」
346 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/08/19(金) 21:15:16.33 ID:ad4YLCKb
投下乙です。
いよいよ後半戦と言った感じですね
347ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/08/19(金) 23:39:00.98 ID:HZw69dVc
…ベックマンの声は低く静かだったが、とてもよく通る声だった。
「『ヨハネの黙示録』は、初期キリスト教の七つの教会に宛てて書いた書簡という体裁をとっているんだよ。
その七つの教会の一つが『ペルガモン』で、メッセージの内容は『サタンの王座の場所で忠実に証している』云々というものなんだ」
「つまりカーモディー殺しとスローン殺しは、事実上二件で一組ってわけか」
「そうだよジョン。だからこそ、同じトロントで連続して犯行に及んだんだね。ここで問題になるのが二つの点だ。一つは、ニッキー・スローン殺しの現場から持ち去られた物は何か?ということ。犯人は必ず何かを持ち去っているはずなんだ」
「そっちはオレが市警の連中に指示する。ただ、殺された女優の部屋には撮影スタジオから持ち出されたものもあるようなんだ。
……ホラー映画だったんだから凶器に使えそうなものはゴロゴロしてたはずだしな」
「それから、もっと大事なのが残されたアルファベットの意味だ」
ベックマンはホワイトボードにアルファベットを、事件の発生順に書きあげた。
「……アリゾナの『c』、アラスカの『k』、トロントの『P』と『a』。次のアルファベットが判れば、旅人の次の獲物をある程度絞り込むことができるんだが……」
ホワイトボードを三人で睨みつけること数秒………。
「……まいった」
真っ先にギブアップしたのはやはりゴーントだった。
「……こういう謎々まがいの仕事は苦手だ。オレは失礼して、市警の連中と一緒に『失せ物探し』で協力させてもらうよ。じゃあな……」
あばよと手を振ってゴーントが会議室を出ていった。
「……ハーパーくん」
FBI捜査官二人きりになると、ベックマンは切りだした。
「……もうそろそろFBI全体で動きだすべき時だと、オレは思う」
それはハーパーも考えていたことだった。
だが……
ハーパーはついこのあいだ、ロスのコーヒースタンドで出会ったウォレスと名乗る大男の言葉を思い出していた。

『……警察をはじめとする既存の捜査機関も、犯罪の変化に対応できなくなっているということなのです』

(……まさにウォレスの指摘したような犯罪だ)
僅かの間にアメリカを南北に縦断したばかりか、隣国カナダにまで足を伸ばして手早く二人を血祭りにあげた。
ゴーントが言うところの『旅人』は、ウォレスが指摘するところの超広域・超高速型のハイパー犯罪者だ。
(こんな犯罪者に、FBIの既存組織で対応しきれるんだろうか?)
「……それにハーパーくん」
ハーパーの思考を断ち切るように、ベックマンが声のボリュームを上げた。
「オレがなにより怖いのは、『旅人』が単なる殺人だけで終えるつもりだとは思えないことなんだ」
「……単なる殺人では終わらない?それはトム、いったいどういう意味なんですか?」
「『旅人』の残すアルファベットには小文字が使われている。
つまり単発の文字でなく、何らかの文章か単語を構成しているんだとオレには思えるんだ。だとすれば……その文章ないし単語が完結するとき……」
ベックマンの声が、友達に何かの秘密を打ち明けるときのように、低く低くなった。
「……なんというか、なにか特別な、とびきり邪悪なイベント的殺人が用意されているような、そんな気がしてならないんだよ」
348創る名無しに見る名無し:2011/08/25(木) 17:07:05.96 ID:Sy6hO/Jx
おもしろそうなんで少し下手な話だけど投下
349創る名無しに見る名無し:2011/08/25(木) 17:48:30.01 ID:Sy6hO/Jx
人は死ぬ。早いか遅いか結局はどちらでしかない。
ある少年は、生まれて間もない頃に銃で撃たれて死んだ。
ある犯罪者は数十年前に人を殺したのに証拠不十分検挙されずで米寿を迎えた。
ある警官は一般人を守り、22歳の時に殉職した。
ある男は虐殺を繰り返し、91歳でこの世を去った。
ある妻子は、関係もないのに銃撃戦に巻き込まれて死んだ。
ある人殺しは、妻子を殺したのにまだ生きている。

人の運命というものはあまりにも不平等ではないか?
悪人は人を殺すのに長生きする。何故そうなる?
もう神など信じることはできない。
二つの命を奪った奴らには神の鉄槌が下っていない。
何故、長生きさせるのだ?
長生きしても、ただ繰り返して罪を繰り返すだけ。

だったら不毛な連鎖を断ち切るしかない。
誰が?
俺が。

悲しみは捨てた。慈悲も動揺も躊躇いも全て断ち切った。
俺は復讐だけに生きる。
忘れられない、あの惨劇の復讐のために。
350創る名無しに見る名無し:2011/08/25(木) 18:01:39.61 ID:Sy6hO/Jx
いっそのこと、グレイゴーストか"裏切りの狩人"をレギュラーにしたらどうですか?
と思いひとまず書いた短編。

犯人を最後に射殺したり、彼の視点から描いたり、メンバーの一人がずっと追うなど
351ファイルNoゼロ「旅する死神」 :2011/08/25(木) 23:40:36.45 ID:RRKFpdvc
FBI本体を動かすべくベックマンが上層部への働きかけを開始したころ……。

「やあ、アナタならもう一度来ると思ってましたよ。……どうぞ、座ってください」
サンベルト・ロレンツォは、医局内の食堂でニューヨーク市警のソフィア・プリスキンとの再会見をはたしていた。
「こんどはお1人で?」
…ロレンツォの問いには答えず、ソフィアは勧められた席に腰を下ろすと下げてきた紙手提げを二人の間のテーブルに置いた。
「……ドクター・ロレンゾに手持ちのカードを晒してもらうためには、私の手の内を晒さねばならないのでしょう……」
「手持ちのカード?」
「ドクター・ロレンゾ。アナタがルービン事件の現場で発見した『何か』のことです」
「…ん?私が見つけた『何か』ってのは、いったいなんのことです?」
「とぼけないでください。先日私がドクターをお訪ねしたとき、ドクターは私とグルック刑事をテストされましたね。結果は落第だったようですが……」
「……つまり……追試を受けたいということですか?」
それには答えず、ソフィアは手提げの中からA4サイズの一枚の紙きれをとりだした。
「これが私のカードです」
ソフィアは紙をロレンツォの方に滑らせた。
「実物を携帯で撮影して、パソコンからプリントアウトしました。実物は、新聞片面ぐらいの大きさです」
ロレンツォが紙を表に返すと……光のもとに晒されたのは異様な絵だった。
若い女と銀の盆か大皿にのった男の首……。
窓から差し入る光が絵の周りだけ避けて通っているようにも見える。
「御覧の絵は、ニューヨークのホテルでデルハイルが射殺された部屋に掛けられていたものです」
「これはまた……よくこんな絵をホテルは飾りましたね」
「グルック刑事もそう言いました。しかし、この絵はホテル側で飾ったものではありません。もともと掛っていた絵はありふれた果物の生物画だったんです」
「ホテルが掛けたものではない?……ではデルハイル自身が?」
「デルハイルでもありませんでした。殺された当日、朝昼晩の食事を部屋に運んだ客室係二人の証言では、絵は静物画のままたったそうです」
「……ということはつまり……」
「絵を掛けたのは犯人だと我々は考えました。そして「斬首」の絵を残した意味は、デルハイル殺しが「処刑」か「報復」であるという表明だと考えていたのです」
「なるほど……それでルービン老が死んだ時、アナタ方はそれが『処刑』または『報復』
の第二幕だと、そうお考えになられたんですね」
「しかし残念ですがそれは二つの意味でハズレでした」
「二つの意味と、おっしゃいますと?」
「ルービン老殺しは、表面的には事故死の体裁をとっています。しかし処刑や報復であれば、それが殺人であることを隠しません。むしろ逆に大声で喧伝するのが普通です。そしてもう一つは……」
無表情を通すソフィアの唇の端が、微かに引き締まる……。
「第二幕ではなかった。私は、ルービン殺しは第四幕だったと考えています」
352ファイルNoゼロ「旅する死神」 :2011/08/25(木) 23:44:06.22 ID:RRKFpdvc
「だ、第四幕!?」
さすがのロレンツォもソフィアの言葉に色を失った。
「では、二幕目と三幕目は?」
「二幕目はバーモント州サウスバーリントンで書評家のダン・アイアンズが撲殺された事件です」
「バーモントだって?ここタラハシーよりはまだニューヨークに近いが、しかし……何故バーモントの事件とニューヨークのデルハイル事件との繋がりが判明したんですか?」
「それは……私の同僚、グルック刑事のお手柄です。彼はデルハイル殺しの現場に残されていた指紋の照会を他の州警に依頼しました。
もちろんホテル従業員などの指紋は予め除いておき、正体の判別しない不明指紋のみ照会するのですが、グルックはそこで大きなミスを犯しました。
デルハイル自身の指紋を除き忘れたのです」
「はあ……なるほど。それでヒットしたんですね?デルハイルの指紋で」
ソフィアは極めて小さく頷いた。
「マッケンジーを撲殺するのに使われた象牙製の置物から、デルハイルの指紋が検出されました。アイアンズを殺した凶器は、デルハイルの持ち物だったんです」
「……そこでアナタは、今度はアイアンズの……」
「はい。アイアンズの指紋で各州警に照会してみました。すると、サウスダコタのスーフォールズで医師のマービン・レイノルズが殺された事件の凶器から、断片的にですがアイアンズの指紋が出ました」
「つまり……レイノルズを殺した凶器はアイアンズのものだった」
「出入りしていた者の話だと、殺人現場となった書斎で使われていたドアストッパーだそうです」
「……ドクター……ド・クター……ドアストッパー……ド・アストッパー……」
「ド」の部分を区切って歌うように発音すると、ロレンツォはかすかに首をかしげた。
そして、考えを仕切り直すようにいったん天井を見上げてから、改めてロレンツォは尋ねた。
「……それで、ルービンのバスタブに放り込まれた電気ヒーターから、サウスダコタの被害者の指紋が出たんですか?」
ソフィアは無表情な顔を一度だけ横にふった。
「診察室にあったはずのヒーターが確かに無くなっているそうで、型式もこちらの事件のものとよく似たものというところまでは判りました。しかし誰のものと判別できる指紋は検出されていないそうです」
「そうでしょうねえ、風呂の湯の中に落ちたから……」
ロレンツォが黙り込むのと同時に、彼の長い優美な指が、ギターでも弾くように複雑な動きを見せた。
そしてまた天井を見上げ、そして、ロレンツォの視線はソフィアの顔へと戻って来た。
「……なるほど。あなたの手の中のカード、確かに拝見させていただきました。それでは、私も自分のカードをテーブルに晒すとしましょう」
「ちょっと待っていてください」と言い置いて席を立ったロレンツォは、数分ほどしてから、様々な色で印刷された数枚の紙切れを手に戻ってきた。
「これは、私がルービン老の家を調べに行った時、殺人現場となった寝室で見つけたものです」
ロレンツォがソフィアの前に並べた紙切れ。
「……これは、いったい…」
無表情を通していたソフィアの弓のように弧を描いた眉が、ハッキリと動いた。
ロレンツォが見せた紙切れのど真ん中には、青空を背景に聳える白い廃墟が鮮やかに印刷されていた。
「観光案内のパンフレットですよ。トルコのエフェスにあるアルテミス神殿の廃墟です」
353ファイルNoゼロ「旅する死神」 :2011/08/25(木) 23:46:10.04 ID:RRKFpdvc
 「あ……」
パンフレットに手を伸ばしかけたソフィアにロレンツォは言った。
「一応手荒には扱わないでくれませんか?それ、本物ですから」
「ド、ドクター・ロレンゾ!あなたは証拠品を現場から勝手に持ち出したんですか!」
「かたいこと言わないでください。うっかり誰かに捨てられでもしたら適わないから、私が保管してただけですよ。さて……」
ロレンツォはソフィアの持ってきた絵の写しと、自分の持ち出した観光案内とを並べてみせた。
「プリスキン刑事、この二つには共通する要素があるんですが……何か判りますか?」
一方は、女と銀の盆と盆の上に載った男の首、もう一方は青空に聳える白い柱……。
一方は絵、一方は写真。
しかし、絵画も古代ギリシャも、およそ古典に関する知識はソフィアの得意範疇には含まれていない。
しばらくじっと眺めていると、ロレンツォが席を立ちテーブルを回って傍らに立った。
「プリスキン刑事の持ってきた絵は、『洗礼者ヨハネの斬首』。書いたのは、『光と影の巨匠』にして『オランダ最高の大画家』レンブラントです。ほら…見てください」
ロレンツォは絵の写しを光がもっとよく当たる場所に動かした。
「……光の中にあるのに、絵の周りだけ闇を感じませんか?そう、まるで光がこの絵を避けてるみたいに……これこそレンブラントが『光と影の巨匠』と呼ばれる所以なんです」
ロレンツォは美術の教師かあるいは画商なみに絵画の知識をもっているようだ。
一方、ソフィアがレンブラントについて知っているのは、子供のころ見た日本製アニメで、主人公の少年が見たがっていた絵の作者ということぐらいだ。
「レンブラントというと『夜警』が有名ですが、宗教画もたくさん描いてるんです。例えば………」
「ちょっと待ってください」
放っておくと果てしなく脱線しそうな危険を感じ、ソフィアはただちに軌道修正を図った。
「美術談義ならあとで伺います。それより本筋を先におっしゃってください!」
「いや、これは失敬失敬……」
黒髪の結い目の緩みを直すような仕草をすると、ロレンツォはようやく核心について切りだした。
「私が見つけた旅行案内はトルコのエフェス……いまでこそイスラム圏ですが、かつてはローマ帝国の一部でありキリスト教会もあった場所です」
「…ドクター・ロレンゾ!私は本筋を先にと…」
しかしロレンツォは、今度は話を止めなかった。
「……エフェス(Efes)は、ローマ帝国の時代にはエフェソス(Ephesos)sと呼ばれ黎明期キリスト教の教会もあった。洗礼者ヨハネは有名な『黙示録』の中でこのエフェスの教会について『偽りを退けたが、愛から離れた』と記しています……」
354ファイルNoゼロ「旅する死神」 :2011/08/26(金) 22:21:42.18 ID:bzFXmhyZ
ロレンツォは言葉の最後の部分を、ペースを下げて繰り返した。
「偽りを…退けたが…愛から…離れた」

『マニュエル・ルービン老は、街の郊外の富裕層が多く住む高齢者向けマンションの一室に、家族とも離れて一人で暮らしていました。どうもルービン老は正義感が強すぎて付き合い難い人物だったようですね』

無表情なソフィアの顔の中で、ライトブルーの瞳が険しくなった。
「ドクター・ロレンゾ。以前私とグレック刑事がお訪ねしたとき、ドクターはルービン老人を評して同じようなことを言われましたね」
目まぐるしく複雑に動いていたロレンツォの指が動きを止めた。
「……この観光案内を見つけたときから、私はずっと考えているんです。偶然なのかと。私の考え過ぎなのかとね」
「偶然?……なにがですか?」
「経済紙の編集者(editor)が電気ヒーター(electricheater)の感電死(electrocution)で死んだ。
ところが現場に行ってみると、寝室に失禁(evacuation)の痕があり、その枕元にはこれ見よがしにエフェス(Efes)の観光案内が置いてあった……」
「もちろんそんなことは偶然……」
そのときソフィアは、ついさっきのロレンツォの奇妙なセリフに思い当たった。

『……ドクター……ド・クター……ドアストッパー……ド・アストッパー……』

「ドクターは、犯人が言葉遊びをやっているとでも!?」
声には出さず、首も降らなかったが、見つめ返すロレンツォの黒い瞳が「答えはイエスだ」と語っていた。
「しかしドクター!」
ソフィアの声から、冷静さのメッキが剥げかけていた。
「……デルハイル殺しではどうなんですか?デルハイル殺しでは文字遊びなどは……」
「デルハイルはライフル(Rifle)銃で射殺された……」
聖書の預言者のごとき厳かな口調でロレンツォは応じた。
「……殺人現場には犯人の手でレンブラント(Renbrandt)の絵が掛けられていた。そして死の翌日、新聞各紙の見出しに踊った言葉は……」
(あっ!)
ライトブルーの瞳の前に、彼女も目にしたあの日の新聞がまざまざと蘇った。

『……没落した(Ruined)社長、ニューヨークの地で横死』

(ニューヨークではR、スーフォールズではD、タラハシーではE……まさか、まさか本当に文字遊びなんか……)
「……プリスキン刑事……」
ロレンツォに呼びかけられ、ソフィアははっと我に返った。
「……プリスキン刑事。ここ何日か、私は夢に見るんです。ルービン老殺しの場面をね。もちろん犯人の顔は判らないんですが……」
ロレンツォは芝居がかった仕草で立ち上がった。
「犯人は……Eに拘ってるんです。
だから、何が何でも持参した電気ヒーターで殺したことにしたかった。
エフェスの観光案内もそのために持参した。そうしたら……ルービン老は死に際に失禁するんです。
すると……犯人はゲラゲラ笑うんですよ。何故かって、労せずしてもう一つ『E』が揃ったから。
哀れにも感電死させられて失禁したルービン老の枕もとで、体を二つに折ってゲラゲラと、さも可笑しそうにね」
そして急にロレンツォは真顔に戻った。
「……こんな考え、信じてくれとは言いません。でもプリスキン刑事。私はアナタに賭けてみます。こいつがルービン老殺しで仕事を終えたとは思えないんです。一分一秒でも早くこいつを捕えてください」
355ファイルNoゼロ「旅する死神」 :2011/08/29(月) 23:41:04.73 ID:/Qcme+Gt
場所は変って……ここはバージニア州クワンティコ。FBIアカデミー併設された資料室。

(あぁあ……「問題児」のあとに「サイボーグ女」ときて今度は「ハムスター女」なんて、今日はなんて日なのかしら)
エミー・ハワードはカウンター越しにこれみよがしのうんざり顔をみせた。
…が、「ハムスター女」別名「プレーリードッグ女」ことキャリー・グリーンに動ずる気配は無かった。
「こんにちわっ!ミス・無愛想さん」
「今日は何の用?」
「……判ってるクセに」
「あの死体に文字を刻む連続殺人鬼ってヤツなら、別に情報なんてないよ。そんな事件は、あんたの頭の中だけに在るの」
さっさと帰れと言わんばかりの態度で、エミーは「みのむしパソコン」へと視線を戻した。
「みのむしパソコン」というのは、大小のメモがディスプレイの周りに無数に貼り重ねられた有様に基づくキャリーの命名だ。
いまは室内なので軽装だが、冬の外出時にはエミー自身も「みのむし」みたいになる。
寒ければ、寒くなくなるまで重ね着する。
そのときコーディネイトとか、流行とかは一切考えない。
だから冬のエミーは、しばしば「みのむし」かホームレスのような姿になる。
逆に暑ければほぼ水着といった具合だ。
これにはいろいろと理由も囁かれているが、キャリーの見るところでは単なる「面倒くさがり」というだけだ。
 バシッ!バシッ!……バチ!バチ!バチッ!
エミーは、必用以上に力強くキーを打ち、叩きつけるようにマウスを操作した。
すべて、さっさとどっか行け!という無言の威嚇なのだが……。
「…………用が無いなら、さっさとどっか行ったら」
キャリーは何処へも行かず、資料室のカウンター越しにエミーの操作するパソコン画面をじいっと見つめ続けている。
「聞えなかった?用が無いならさっさと……」
「待ってるの」
「……何を?」
「死体に文字を残すシリアルキラーの情報が入って来るのを待ってるの。だってまだ何も情報来てないんでしょ?資料部のパソコンならどんな情報だって一番に……」
……メガネの向こう、エミーの額に深い縦ジワが現れた。
「(このドチビ!)鬱陶しいからさっさと……」
そのとき、資料室の戸口近くで、歓声があがった。
「おお!こりゃ珍しい!」
356ファイルNoゼロ「旅する死神」 :2011/08/29(月) 23:45:23.77 ID:/Qcme+Gt
振返りざまにキャリーが叫んだ。
「ウィンフィールド先生!」
一方エミーは不機嫌に唸った。
「珍しいだって!?いったい何が珍しいって言うの?!」
「だって珍しいじゃないか!」
戸口で笑っているのはアフリカ系の男性だった。
パッと見だと、テニス選手かサーファー。それともロックミュージャン?
いずれにしてもFBIアカデミー内をうろうろしている類の人物には見えない。
射すようなエミーの視線をおどけた仕草でかわすと、アフリカ系の青年=クリストファー・ウィンフィールドは真白な歯を見せ笑った。
「珍獣対決なんて滅多にゃ見られないからね。それも、みのむし対ハムスターなんて黄金カードじゃない?」
「み…みのむしだって?……誰が言ったの、みのむしって?」
キャリーがさりげなくエミーの視界から脱出した。
「ま、気にしない気にしない」
「ウィンフィールド先生!おはようございます!!」
改めてキャリーが挨拶すると、クリスも笑顔で応えた。
「おはよう。キャリー・グリーン。あいかわらず無駄に元気そうだね」
「もっちろん元気です!だって、元気に無駄なんてありませんから!」
ウィンフィールド先生といってもここはクワンティコ、FBIアカデミーの所在地なので数学や体育の先生のわけはない。
近年増加するサイバー犯罪に対応し、FBI内部にもサイバー犯罪捜査部門が設けられている。
クリスはそうした部局の一員であり、クワンティコのアカデミーではサイバー犯罪について「実技」を中心とした教育プログラムの講師も務めていた。
「ところでキャリー、悪いけどキミとエミーの話を聞かせてもらったんだけどさ。死体に文字を残すシリアル・キラーってのは何の話なんだい?」
357ファイルNoゼロ「旅する死神」 :2011/08/29(月) 23:47:01.49 ID:/Qcme+Gt
「……アリゾナで電ノコかぁ……」
「チェーンソです。ウィンフィールド先生」
わかったわかったと手真似で応えるとクリスはエミーに向かって言った。
「なあエミー、キミ、どう思う?キャリーの言うシリアル・キラーなんだけど…」
「考えられない」
即座にエミーは顔を横に振った。
「普通シリアルキラーは好みにうるさいもんでしょ?
なのにアリゾナの被害者は60過ぎの男性で、アラスカは45歳の女性。
被害者にも手口にも共通性は無し。
それに、そもそもこれだけの遠隔地に住んでいる被害者をどうやって選別したっていうの?
そんなの不可能だわ。以上。終り」
「たしかにプロファイリングの常識じゃ、この仮定上のシリアルキラーは考え難いね。
でもね、エミー。遠隔地に住む相手であったとしても、被害者として選別することは不可能じゃないよ。今はコレがあるからね」
クリスは「みのむしパソコン」を指さした。
「あっそうか!」
すぐさまキャリーが歓声をあげた。
「……ネットの掲示板ですね!」
キャリーに大袈裟に頷くと、すぐさまクリスはエミーへと向き直った。
「検索したいことがあるんだけど、ちょっとパソコン貸してくんない?」
……クリスの検索はものの一分もかからずに終了した。
「……思ったとおりだね」
「………」
クリスの肩越しにディスプレイを眺めていたエミーも、眉間に皺を寄せて何かを考えている。
クリスにとって何が「思ったとおり」だったのか、判らないのはディスプレイの向こう側にいるキャリーだけだった。
「あのウィンフィールド先生……」
「ああ、ごめんキャリー。いま説明してやるよ。あっ、それからウィンフィールド先生じゃなく、クリスでいいぞ」
クリスは、キャリーをディスプレイの見える位置に呼びこんだ。
「アリゾナの事件には宗教的な臭いがする。現場は聖具販売店だし、キャリーが言うみたいにキャノニストって言葉が関係してるんなら、なおさらだ。それでね……」
クリスはパソコンをどんどん前画面へと戻していった。
いくどめかの「戻る」のあと、見覚えのある画面で止まった。
「……ウィキですか?」とキャリー。
口先を尖らせ、クリスは頷いた。
「内容が正しいかどうかは保証のかぎりじやないけど、でもとっかかりにはなるからね。
……でこのページは『聖書の登場人物の一覧』なんだけど……見て御覧」
クリスはその中の一つにカーソルを合わせてクリックした。
「……うわぁ……なに、この気持ち悪い絵!?」
「カラヴァッジオ作『ホロフェルネスの首を斬るユディト』……キミの言うシリアルキラーは、これのパロディーをやったんじゃないかな?」
「それじゃやっぱり!?」
「犯人は宗教的な理由で被害者……っていうより、たぶん生贄を選んでるんだよ。どこかの宗教関係の掲示板でね」
膝を叩いてクリスが席から立ちあがった。
「もし、アリゾナかアラスカの被害者が使ってた携帯電話かパソコンに触れれば……出入りしてた掲示板を突きとめられるんだけど……」
そのとき、クリスの鼻先に一枚のメモがつきつけられた。
「ロス支局の番号よ」
ぶっきらぼうにエミーは言った。
「……ハーパーに連絡して調べてもらうのよ。その方が速いわ。それからキャリー、このあんたはこっちの番号に電話して」
「これは?どこの番号??」
「アンタが来るより少しまえに来たニューヨークの刑事の携帯よ」
358創る名無しに見る名無し:2011/08/29(月) 23:53:42.77 ID:/Qcme+Gt
ここまでで、ファイルNoゼロに登場する未来のDTメンバーは登場完了。
キャリーの行動で、これまでバラバラに行動していたメンバーが一気に結合。
しかし、ツーリストのメッセージが解けたとき、犯行はあと二人を残すのみと判明。
もはやFBI本隊が動くには間に合わない!……という展開にもっていく予定。
あとはもうどうやって勢いを出すかだけだね。
359創る名無しに見る名無し:2011/08/31(水) 22:17:38.89 ID:9tBOJdHk
>>348-350
いいんじゃね?時々登場する犯人っていうのは
影みたいに見え隠れしているけど、実態がないかの如くあと一歩で逃げ切る感じで
ゾディアックとかみたいな感じになりそうだ


それと乙
360ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/03(土) 22:37:25.87 ID:MXWs/5KF
「カナダの捜査官にも指摘されたんだ。旅人はどうやって獲物を選んでるのかってね。ネットの掲示板からとは思わなかったよ」

クリスからの電話の三日後、早くもチャールズ・ハーパーの姿はバージニア州クワンティコにあった。
「アメリカは精神病大国ですからね。国民の大半が心を病んで精神科に通っていて、残りのは教会に頼ってる……で社長。例のものは?」
「社長??…オレのことか?」
「他に人、いないでしょ?」
ハーパーとクリスの他に部屋にいるのは、ミス・ミノムシとプレーリードッグ女だけだ。
ベックマンはウィスコンシンとトロントを廻って来るので、まだ到着していない。
「…やれやれ、勝手に昇進させるなよ」
頭を掻きながらハーパーはポケットからメモを取り出した。
「パソコンでなく携帯で助かったよ。パスワードなんて聞かれたってどうしようもないからな」
メモは、「主の羊社」のホバート老人の携帯に残っていた履歴情報だった。
「これと他の情報を突き合わせればー、犯人が狩場に使ってた掲示板をー特定できるんですねー!」
「先走らないでキャリー」
目を丸くするキャリーにエミーが釘を刺した。

「『掲示板を使ってた』ってのは、まだ仮説にすぎないんだから。
それにもし『旅人』が掲示板を使ってたとしても、それが一つだけとは限らないのよ」
「しかしもし掲示板による繋がりが証明できれば、『旅人』というシリアルキラーの存在を証明する一助にはなるんだ」
ハーパーの言葉には強い期待がこめられていた。

 ワシントンDCのFBI本部に対しベックマンが送った上申には、いまだ上層部からの反応が返されていなかった。
北米大陸ほぼ全土をめまぐるしく移動しながら狩りをするシリアルキラーなど、いまだ現れたためしが無かったからだ。

「獲物や殺人方法にも全く共通点が無いときちゃ、シリアルキラーの存在を信じろという方が無理ってわけさ」とハーパー。 
「いずれにしても……」
ウォードがFAXしてよこした走り書きのメモに目を通しながら、クリスは言った。
「……デルハイル、アイアンズ、レイノルズ、そしてルービン、ホバート、ソーンダーズ、カーモディー、スローン、全員分のデータが揃えば、何かが見えてくるはずですよ」
「そのために私たちだってー随分頑張ったんですからー」
キャリーはバーモント州サウスバーリントンのアイアンズ宅に、エミーはウスダコタ州スーフォールズのレイノルズ医院までそれぞれ足を伸ばし、現地警察の協力も得てパソコン履歴を調査してきたのだ。
「……おかげで仕事は溜まるわ、有休は減るわ……」
「気にスンナよエミー。君の仕事なんてどうせ窓際の退職勧奨ポストなんだから」
エミーがクリスの後頭部をゲンコでこづいた。
「…私が気にしてんのは有休の方よ」
「ともかくだ。FBI本部を納得させ動き出させるまでは、ここにいるオレたちだけで『旅人』を追うしかないんだ」
「おいおいハーパーくん、『ここにいるオレたちだけ』って、オレは抜きなのかい」
新たな声に部屋の四人が一斉に振返った。
361ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/03(土) 22:44:12.87 ID:MXWs/5KF
「……やっかいだったのはカーモディーさ。もうまいったよ。仕事が仕事だから使ってるパソコンがいくつもあってね……」
ベックマンの国境を三度も跨ぐ大移動をねぎらうように、ハーパーが言った。
「よくパスワードが判りましたね。私なんか……」
「オレがパソコン詳しいわけないだろ、ハーパーくん。……ゴーントに頼んだんだよ」
「ところで、おつかれさまってとこなんですけど大統領」
割って入ったクリスのセリフにベックマンの目が点になる。
「大統領?……ハーパーくんのことか?」
「いや、オレは社長らしいから」
「もちろんベックマンさん、アナタのことに決まってるでしょ。さっさと例のものを出してくれませんか?」
「オレは大統領選に出た覚えなんてないぞ」と言いながら、ベックマンはクリップで止まった紙束を取り出した。
「プライベートのはどれですか?」
「プライベートのパソコンかい?」
「バソコンと携帯」
「ちょっと待って……………ああ、これだこれだ!」
さまざまなメモをバタバタ出したり引っ込めたりしてからベックマンは目的の一枚を探し当てた。
「ちょっと拝見…」
会議机の上に、デルハイル、アイアンズ、レイノルズ、ホバート、ソーンダーズ、カーモディー、スローン、8人の被害者の携帯およびパソコン履歴が並んだ。
「通信内容は家族や宗教観についてのもののハズだから……仕事用の携帯やパソコンは使わないでしょ」
クリスは各被害者の記録を更に、公式のものを奥に、プライベートのものを手前に並べ分けた。
「どうですか?ウィンフィールド先生?どっか共通する掲示板とかHPあります?」
前のめりに飛びかからん勢いのキャリーの首ねっこを掴んで、エミーが強引に引き戻す。
クリスは基本的には真正のコンピュータ・オタクなので、コンピュータ絡みの作業をしているとき邪魔されることを酷く嫌う。
エミーはそのことをよく知っていた。
クリスは胸ポケットからペンを取り出すと、8人のパソコン履歴に小さな○を次々書き加えた。
「……全部に共通した接続先が一つだけ在りますよ。こりゃ、行ってみるっきゃないでしょね」
クリスはパソコン前に席を移した。
362ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/04(日) 23:29:31.71 ID:HGDwa/Qd
「……ブッブー!はっずれー。マイケル・ジョーダンのファンサイトでしたー」
的外れの判定を下したキャリーが、エミーにより直ちに退場を命じられた。
「『ヨルダン(jordan)の辺(ほとり)』……」
クリスはサイトが掲げる文字を無意識に読み上げた。
「毒蛇の子らよ、集え。寄り集いて悔い改めよ……」
茶色の唐草模様が無限のループを描いて渦巻き、折り重なり、もつれ合う様を背景に、蛍火のように文字が明滅する。
エミーが憤慨したように言った。
「……このサイト、性質が悪いわね。画面になにか仕掛けがしてあるわよ」
「さすがだエミーだ。伊達に性格悪くないな」
「……あんたにゃ負けるわよ」
「後で調べてみるけど、たぶんサブリミナル系の仕掛けがあるよ。全体のデザインは……ルイス・ウェインが末期に描いた絵みたいだね」
メインメニューからBBSへと次々画面を切り替えていく……。
「………こりゃなんていうか……電脳告解室って感じだな」
掲示板を流し読みしていたクリスが呆れたように呟いた。
「掲示板の管理者なんて、何処の馬の骨かも判らないってのに……個人的な話をよくもまあ……」
「でもクリス……」それまで我慢していたハーパーが口を挟んだ。
「……掲示板ってのは実名やなんかは判らないんじゃ?」
「判りますよ」
クリスの答えは呆気なかった。
「捜査機関だって法的手段に訴えりゃ誰が何書き込んだか特定できるでしょ?
合法的にできるんなら、非合法にだってできるんですよ。
それになんてったって非合法の手段の方が、合法的手段より早くて簡単」
「しかし……」
反論しかかったがハーパーは言葉を飲み込んだ。
クリストファー・ウィンフィールドの「前科」を思い出したからだ。

いまから20年ほど前、ペンタゴンを始めとする軍関係のコンピュータが次々と不法侵入を許し、「三目並べ」のプログラムを残されるという事件が立て続けに発生した。
「三目並べ」にちなみ「○×」と名付けられたこのハッカーは、「反戦意図の左翼人種」とプロファイリングされ「かなりの若年。あるいは未成年かも」と推論されたのだったが……。
捕まえてみればハイスクールの優等生。
クリストファー・ウィンフィールド少年だったのだ。
FBIや軍を始めとする国家機関は、そのころから単純なハッカー敵視を止め、ハッカー対策としてハッカーをスカウトするようになっていた。
ただし……ハッカーでありさえすれば、ハッカーとしての腕が良いのであれば誰でもOKというわけにはいかない。
スパイの採用基準と同じで、肝心なのは「人物」なのだ。
そういう基準でクリストファー・ウィンフィールドは、起訴取引の一環としてFBIの所属となったのだ。

「うっわあぁ……いるわいるわ、心を病んだ奴らがいっぱい」
「病んでる病んでる……こりゃ凄いね!」
画面の流れる速さは目にもとまらぬほどで、ハーパーやベックマンにはHNを読みとることすらできないのだが、しかしクリスとエミーにはしっかり読めているらしかった。
「…ちょっとストップ!」
エミーが短く叫ぶより一瞬早く、クリスがスクロールを止めた。
「HNはアクトレス、常連だったみたいね」
「……そうだねエミー。まちがいないよ。こりゃあニッキー・スローンの書き込みだ」

363ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/06(火) 23:44:16.16 ID:SM5Cco2m
『……子供のころはこの名前のせいで虐められたりしたけど、初めて自分の名前を好きになれました。
だって、この名前のおかげで大きな役を貰えたんだから……』

「……その掲示板を丸ごと保存しておいてくれ」
やりきれない想いにハーパーは堅く目を閉じた。
過剰な自意識と明日への不安、根拠のない自信……掲示板に残ったニッキー・スローンの横顔は、どこにでもいる普通の若い女性だった。
「トロントで撮影してることも書いてるわね」
「このライダーってHNのヤツ、上手いね。まるでカウンセラーだ。相手を安心させて話を引きだすのが最高に上手い……」
まだ続いているエミーとクリスのやりとりに背を向け、ハーパーは部屋を出た。
廊下では、「追放処分」を食らったキャリーがふくれっ面して立っていた。
「やあ、お疲れさん」「……お疲れさまでしたー」
元気がとりえのハムスターのはずだが、テンションが低い。
事件が急展開を見せたところで、エミーに部屋から摘み出されたのが不満なのだ。
「本当におつかれさま」
ハーパーはねぎらいの言葉をもう一度繰り返した。
「アリゾナで会ったあと、一人で捜査を続けてたんだってな」
「捜査だなんて……ただ一人でバタバタしてただけです」
「しかしそのおかげで、アリゾナとアラスカ、トロントで起こった4件の殺人と、ニューヨークを起点にした4件が一本の線で繋がったんだ。
全員があの掲示板にアクセスしてたことが照明できれば、DCの本部を納得させることだってできるだろう。
キミはその最大の功労者なんだ」
ハーパーの言葉にウソはなかった。
後半4件と最初の4件を繋ぎ、エミーとクリスを巻き込んだ結果、バラバラだった情報が科学反応を起こして一つになった。
キャリーはその触媒としての役目を果たしたのだ。
「……そうおっしゃっていただけると、素直にうれしいです」
キャリーの話し言葉から語尾を引っ張るクセが消えた。
「背がちっちゃいし、東洋系が入ってるせいか童顔なんで、いっつもいつも子供扱いされて……でも今回初めてなんか役に立てました。私、FBIに入って良かったです……」
キャリーの素直な告白と女優を目指しながら惨殺されたニッキー・スローンの書き込みが、ハーパーの心の中で二重奏を奏でる。
現実とぶつかりながらも、それでも希望を捨てない、若い女の善なる魂の二重奏……。
そのとき、ハーパーが後にしてきた部屋から、エミーが追いかけて飛び出してきた。
「ハーパーさん」
「どうしたエミー?」
「ひょっとすると、ひょっとすると8件じゃないかもしんない。『旅人』、たぶんもっと殺ってるよ」
364創る名無しに見る名無し:2011/09/08(木) 20:32:46.87 ID:UhQ6yDGt
しえn
365創る名無しに見る名無し:2011/09/08(木) 23:04:48.95 ID:bhbN6tt3
↑支援感謝。
時系列の配置とミスリードの難しい個所に来ているのでちょっとスピードダウン中。
ウォレスとの再会を契機にして、「L」の殺人と「ライダー」の主観部分をスパイス的に配置。
最後の危機は、アメリカ社会へり危機であると同時に、ハーパー個人に対する危機でもある構造に……。

うまくいったらおなぐさみ。
366創る名無しに見る名無し:2011/09/11(日) 22:00:28.38 ID:vaWk+CI9
>>365
OK待ってます
367ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/11(日) 23:26:49.66 ID:X2z+Zswu
ハーパーが部屋に戻ると、パソコン画面はスクロールを止めていた。

「もっと殺してるって話だが、いったいどうしたんだ?」
ハーパーの問いにクリスは「僕には……」と顔を横に振ってエミーを指さした。
「ハーパー、ベックマンさん、ご存知ですか?HRTの問題児の……」
「アイツか?!それならアラスカまで轟いてるよ」
ベックマンはニヤッと笑った。
「たしかデミトリィ………ええと……」
「…ノラスコです。ディミトリィ・ノラスコ」
「で。あいつがとうかしたのか?」
「実はここしばらく拘ってる事件があったんです。このヴァージニア州内で地方紙の名物記者だったババア……じゃなかった、老女が」
「ば、ばばあ!?」「聞いちゃった!聞いちゃった!」
すかさずクリスが突っ込み、キャリーが尻馬に乗る。
「…め、名物記者だった老女が…」
「あ!ごまかそうとしてる!」「………」
二度目の突っ込みはクリスの裏切りでキャリー単独の特攻になり、結局キャリー一人が再度の追放刑に処せられた。
「……地方紙の名物記者だった老女がエレキギターで撲殺された事件があったんですが……」
「ああ、僕もネットのニュースで見たような気がするな。たしかウィンチェスターじゃなかったっけ?」
「そうよクリス、その事件よ。で、ベックマンさん、その事件でストリートギャングが一人挙げられたんですけど、ノラスコのヤツが冤罪だってバタバタ騒いでて……」
「それと、この『旅人』の事件とどういう関係があるんだい?エミー?」
「殺されたババ……老女の名前はミリアム・カポーティっていうんですけど、あだ名が……」
「あっ!思い出したぞ!」
椅子からクリスが飛び上がった!
「そのババアの仇名は『エリス』!つまりギリシャ神話の『不和の女神』だ!!」
スクロールの止まった掲示板に書き込まれていたのは、「不和の女神」というHNによる書き込みだった。
368ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/11(日) 23:30:08.18 ID:X2z+Zswu
「前の4件と後の5件のあいだか!前後が開き過ぎてるのが気になってたんだが……まてよ!?」
画面を覗きこ込んだハーパーの声のテンションが一変した。
「……ニッキー・スローンはHN『アクトレス』、カポーティは『不和の女神』……」
眉を寄せたハーパーの呟きがブツブツ続く…。
自ら手を伸ばしマウスを掴むと画面をスクロールさせはじめた。
「……アリゾナのホバート老人は『カノン』…………」
カチッ!カチッ!
クリック音が続き、画面がぎこちなくギクシャクとスクロールする。
「……あった!これだ!「『キッチンドリンカー』!!」
ハーパーが小さく叫んだ。
「「いままで『旅人』は被害者の特定のアルファベットについて拘りを見せていたが、その特定のアルファベットを選ぶ理由がサッパリ判らなかった。しかし……」
手近の紙きれを引き寄せると、それに「Kitchindrinker」と走り書きした。
「『旅人』は基本的に獲物を掲示板『ヨルダン川の辺』の住人として知っている。『旅人』にとって獲物は『人』である前に、掲示板記載の『文字データ』なんだと思う…。だから…」
ハーパーは、今度は「Kitchindrinker」の上に「Canon」、「Kitchindrinker」の下に「Producer」「Actress」と書いた。
「どっちもHNとして書き込みがある。『アクトレス』は内容的にニッキーだから、『プロデューサー』はたぶんカーモディーだろう」
「じゃあ!?じゃあ!?じゃあー!?」
何時の間にか自主的に現場復帰していたキャリーが大声で叫んだ。
「他の被害者のHNはー!?」
「ちょっと退いてくれハーパーさん。オレが調べる。その方が速い」
クリスが再びパソコン前に戻り、猛烈な勢いで画面をスクロールさせ始めると、「なんだか面白くなってきた」とエミーももう一台のパソコンを立ち上げた。
「クリス!情報があったら読みあげて。全米犯罪情報センターに照会するわ」
「オッケー、判った!」
クリスが掲示板からHNと個人の特定に結びつく情報を読みとると、直ちにエミーが犯罪情報センターの記録と照会。
自然発生的に集合した5人は、既にチームとして機能し始めていた。
そして、更に……。
369ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/11(日) 23:31:59.09 ID:X2z+Zswu
「前の4件と後の5件のあいだか!前後が開き過ぎてるのが気になってたんだが……まてよ!?」
画面を覗きこ込んだハーパーの声のテンションが一変した。
「……ニッキー・スローンはHN『アクトレス』、カポーティは『不和の女神』……」
眉を寄せたハーパーの呟きがブツブツ続く…。
自ら手を伸ばしマウスを掴むと画面をスクロールさせはじめた。
「……アリゾナのホバート老人は『カノン』…………」
カチッ!カチッ!
クリック音が続き、画面がぎこちなくギクシャクとスクロールする。
「……あった!これだ!「『キッチンドリンカー』!!」
ハーパーが小さく叫んだ。
「「いままで『旅人』は被害者の特定のアルファベットについて拘りを見せていたが、その特定のアルファベットを選ぶ理由がサッパリ判らなかった。しかし……」
手近の紙きれを引き寄せると、それに「Kitchindrinker」と走り書きした。
「『旅人』は基本的に獲物を掲示板『ヨルダン川の辺』の住人として知っている。『旅人』にとって獲物は『人』である前に、掲示板記載の『文字データ』なんだと思う…。だから…」
ハーパーは、今度は「Kitchindrinker」の上に「Canon」、「Kitchindrinker」の下に「Producer」「Actress」と書いた。
「どっちもHNとして書き込みがある。『アクトレス』は内容的にニッキーだから、『プロデューサー』はたぶんカーモディーだろう」
「じゃあ!?じゃあ!?じゃあー!?」
何時の間にか自主的に現場復帰していたキャリーが大声で叫んだ。
「他の被害者のHNはー!?」
「ちょっと退いてくれハーパーさん。オレが調べる。その方が速い」
クリスが再びパソコン前に戻り、猛烈な勢いで画面をスクロールさせ始めると、「なんだか面白くなってきた」とエミーももう一台のパソコンを立ち上げた。
「クリス!情報があったら読みあげて。全米犯罪情報センターに照会するわ」
「オッケー、判った!」
クリスが掲示板からHNと個人の特定に結びつく情報を読みとると、直ちにエミーが犯罪情報センターの記録と照会。
自然発生的に集合した5人は、既にチームとして機能し始めていた。
そして、更に……。
370創る名無しに見る名無し:2011/09/11(日) 23:34:27.31 ID:X2z+Zswu

投下ダブリすまん。
パソコンの調子が悪いのかな?
371ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/11(日) 23:36:41.53 ID:X2z+Zswu
「……HNウルフェン!」
「ウルフェン??」
「ホイットリー・ストリーバーの小説だよ。正体は多分プロの投資家で、自分が貪欲に過ぎないかと書いてる」
「貪欲?……ああ、ウルフィッシュ(Wolfish)の駄洒落ね。ちょっと待って……それならWで始まる凶器か……」
クリスに負けず劣らずのスピードでキーが打ちまくられ、すぐさまエミーは答えに行き当たった。
「ビンゴよ。ビル・アッシャー。52歳。オレゴン州ポートランドの自宅でウィスキーボトルにより撲殺」
「お、おい、また当たりなのか!?いまので何件目だ?」
「いまのビンゴで6件目でーす」
キャリーは三代目のパソコンで被害者データの表を作成していた。
「キャリー!発生日付順に並べ替えてくれよ」
「了解です、ウィンフィールド先生!」
カチッ!
キャリーはなれた仕草でデータを発生日/昇順でソートをかけた。

Ruin/ライフル銃による射殺
Ironist/象牙の彫像による撲殺
Doctor/ドアーストップによる撲殺
Editor/電気ヒーターによる感電死
Wolfen/ウィスキーボトルによる撲殺
Honeydripper/ハーケンによる刺殺
Indian/アイロンのコードによる絞殺
Rocker/ロープによる絞殺
Elis/エレキギターによる撲殺
Dominic/辞書のページを大量に喉に詰め込まれたことによる窒息死
Brewer/バットによる撲殺
Lowyer/羊の骨付き肉(おそらく使用時は凍結)による撲殺。死体の上にはラオディキア教会の観光案内あり
Canon/チェーンソウによる滅多切り
Kitchindrinker/ナイフによる喉斬り
Producer/ピースメーカーによる射殺
Actress/アーミーナイフによる喉斬り

「ちょっと待って」
並びを変えた表を見たベックマンから注文がついた。
「アリゾナとニッキーの事件は小文字だったんだ。すまないがキャリー、小文字にしてくれるかな。それからエミー、死体に文字の情報は?」
「特には無いですね」
「それじゃ『旅人』の仕業とは限らないわけか」
「でもベックマン…」
エミーはだんだんベックマンとため口をきくようになっていた。
「……羊の骨付き肉で殺られたネバダの事件じゃ、ラオディキア教会の観光案内があるわ。
少なくともこれだけは『旅人』の仕業に間違いないでしょ」
「うむ……しかし……」
ベックマンはキャリーの表にもっと顔を近寄せた。
「…この文字列じゃなんの意味も読みとれないな。並べれば、何か意味が浮かんでくると思ってたんだが……」

「……いや、意味は通ってると思いますがね」

肩越しに聞えた未知の声に、ベックマンが驚いて振返った。
372ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/11(日) 23:42:08.07 ID:X2z+Zswu
 エミーが戸惑い顔で尋ねた。
「プリスキン刑事、その方は??」
尋かれたソフィアも明らかに戸惑っている。
「……来なくてもいいと言ったんですが……」
「ああ、僕のことなら気にしないで……夜の安眠を取り戻したくてついて来ただけですから」
「ドクター・ロレンゾです。ドクター・サンベルト・ロレンゾ」
「ロレンツォです」
ソフィアの紹介を即座にロレン「ツォ」は訂正した。
「ゾ、じゃなくてツォですから、プリスキン刑事はちっとも覚えてくれなくてね」
「あのー、一般の方はー……」退去させようとしたキャリーにあやすような仕草を見せると、ロレンツォは室内に一瞬視線を走らせ、誰が指導的立場にあるのかを直ちに見切った。
「あなたは……?」
「ハーパーです。チャールズ・ハーパー。失礼ですが部外者は……」
「その前に、私の話を聞いたほうがいいと思いますよ。なにせ、次の被害者に関わる話しですから」
「つ、次の被害者だって!?」
「……いいですか?」
ロレンツォはまんまとその場に留まる暗黙の許可をゲットすることに成功した。
「この犯人、……あなた方の呼び方に従って私も『旅人』と呼ぶことにしますが……『旅人』は、『ヨハネの黙示録』に拘りのようなものを見せていますよね?」
ハーパーもこれに応じた。
「それは我々も感じています。一連の殺人で観光案内の置かれていたのが三件で、エペソ、ペルガモン、ラオディキアと総て黙示録に関係したキリスト教会の所在地ですね。
それにトロントで二件続いた殺人では、ペルガモン教会についての黙示録の記載が再現されています」
「ニューヨークでの事件だと現場にレンブラント作『洗礼者ヨハネの斬首』が飾られていた。それからそのHPの名前ですが……」
ロレンツォは「ヨルダン川の辺」を指さした。
「……ヨルダン川というのは、ヨハネが洗礼を行っていた場所ですよね。イエスもそこでヨハネの洗礼を受けています。だから……」
ロレンツォは今度はキャリーの作った表を指さした。
「あの文字列も、『ヨハネの黙示録』に即した内容だとして読むべきなんです」
FBI捜査員とニューヨークの刑事の視線が文字列に集まった。
「いいですか?ここに少なくともREDと読める部分があります。それからその下の部分はBLCKと続いてますね?これはLとCのあいだにまだ繋がりの見えてこないAの事件があると考えれば……」
「……ブラックだね。だけどそりゃ論理の飛躍が……」
しかしクリスの反論するより早く、ロレンツォは自論を結論まで突っ走った。
「……レッドの上にはWHIがある!これは明らかにホワイトだ!つまり!黙示録の四騎士のうち『ホワイト』『レッド』『ブラック』と三騎までが揃っていることになる!」
反論しようとしていたクリスも含めた全員の目が被害者リストに集まった。
「……で、ブラックの次はPAまで来てるんですよね?次にくるアルファベットが何か、もう私が言わなくっても判ったでしょ?」
………数秒の沈黙のあと、ハーパーはクリスに命じた!
「クリストファー・ウインフィールド!その掲示板に、HNがLで始まる書き込みがあるか!?」
「一人います!HNはロンサムボーイ(Lonesomeboy)」
すると、それまで口を出さずに聞いていたベックマンが不意に口を開いた。
「ウィンフィールドくん!合法であると非業法であると手段は問わない。そのHNの主を特定できるかな!?」
「………大統領、僕の前科を忘れたんですか?」
クリストファー・ウインフィールドの瞳が鋭く光った。
373創る名無しに見る名無し:2011/09/12(月) 18:05:55.39 ID:vV/eXPPT
まとめサイトを>>377まで更新しました
374ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/12(月) 23:45:36.90 ID:jEi/JRPa
 「HN『ロンサムボーイ』は、メリーランド州フレデリック……」
ネット上での追跡を開始してからクリストフォー・ウィンフィールドが目指す相手を特定するまで、僅か十数分だった。
「……番地13号、ロバート・モーガン」
「近いわね!」とエミー。「やっほー!」はキャリー。
「ハーパーくん!行ってくれ!!」
「了解です!」
「社長!車は僕のを使って!」とクリスがキーを投げた。
「ご一緒させてください」と申し出たソフィアに、ハーパーが手真似で「来い」と承諾すると、二人はアカデミーを飛び出していった。

「……青ざめた馬が完成するまで……」

一同が声に振返ると、ロレンツォが独り、幽霊でも見たような顔でパソコン画面を見つめていた。
「青ざめた馬(Pale・horse)が完成するまで、あと2文字です」
のろのろとロレンツォがベックマンの方に向き直った。
「『ヨハネの黙示録』は世界の最終闘争について記述しています。そして『旅人』は、その黙示録に異様な拘り見せている……ベックマンさん……あと二文字です。『旅人』が『ペイル』を完成させたとき、いったいどんなことが起きるのだと思われますか?」
375ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/12(月) 23:47:46.26 ID:jEi/JRPa
州道4号を抜け5号に入ってから約一時間弱……ハーパーの運転するピックアップトラックが隣州メリーランドの住宅地へと滑り込んだ時、辺りは既に夜になっていた。
急に車の窓を開け闇に目を凝らすソフィアに、ハーパーは尋ねた。
「………どうかしたのか?」
「警官の臭いがします…」
「今のいままで知らなかったよ。警官に臭いがあるなんて」
「………随分来ています。遅かったようですね」
ナビの表示が目的地に近付くにつれ、樹間や屋並みのあいだに赤い回転灯が垣間見えるようになってきた。
目指す家の周りはまずパトカーと野次馬で一杯だった。
 やって来たピックアップトラックに気付いた年配の警官が野次馬を押しのけやって来た。
「FBIのチャールズ・ハーパーさんとプリスキンさんだな?」

「……ひょっとしてベックマンから?」
「決まってるだろ。オレはここの署長のビンセントだ。まあこっち来てくれ」
どうやらベックマンは、ソフィアのこともFBI捜査官と伝えてあるらしい。
ソフィアに目配せすると、二人のFBI捜査官は署長に先導されてローバート・モーガンの家へと入って行った。

 ロバート・モーガンの家は、見かけと中が全く違っていた。
見かけは古いレンガの壁に蔦の這うニューイングランド風の作りなのだが、地下室に降りるとそこはライトグレイのプラスチックと金属の銀色に支配された別世界が広がっていた。
壁に作りつけられた様々なスイッチのいくつかは警報装置で、いくつかは空調装置のようだ。
警報装置を一目見るなりハーパーが唸った。
「なんだ?この警報装置は??民間の住宅に設置される水準のものじゃないぞ!?」
「空調の方も妙ですね。最初は一時流行った個人宅用核シェルターかと思いましたが、与圧の設定が逆です」
核シェルターの場合、放射性物質を含む空気がシェルター内に入り込まないよう、室内の空気圧を高くする。
だがロバート・モーガン宅の地下空調は、室内を減圧する設定になっていた。
「ハーパーさん。この家でロバート・モーガンはいったい何をしていたんでしょうか?」
「……嫌な予感がするよ」
「いい感してるな。さすがはベックマンの仲間だ」
振返りもせずそう言うと、署長は地下室最奥の扉に手をかけた。
「さてと……こっから先は地獄の一丁目だぞ」
ビンセント署長が外から圧の掛ったドアを重そうに引き開けると、シューーーーッと外の空気が中へと吸い込まれる音が聞えた。
376ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/12(月) 23:52:32.15 ID:jEi/JRPa

塵ひとつ落ちていない銀とライトグレイの部屋の中で、深紅の広がりはとてもよく目立った。
試験管に培養皿。
顕微鏡に小型冷蔵庫。
最奥の部屋は明らかに研究施設。それも、絶対外に漏らしてはならない物のための研究施設だった。
無機的な部屋のど真ん中で、ロバート・モーガンは脳天をトマトのように潰され、大の字に手足を伸ばしていた。
血にまみれた長さ20インチほどの金属の棒が死体の傍らに転がっており、それが凶器らしい。
「鋳鉄製だ。妙な装飾がされいるんだが……何なのかはまだ判ってない」
「プリスキン、何か思い当たるか?Lで始まる道具でこういうものを……」
「……天秤秤」
「畜生!」
悪態ついて右拳を左手の平に叩き込んだとき、ハーパーは殺人現場でうろついている人間の動きがプロらしく……というより警官らしく見えないのに気がついた。
「署長」
同じことを感じたらしくソフィアが署長に尋ねた。
「彼らは鑑識のように見えません。……鑑識の作業前に素人らしい者が現場をうろついているワケをご説明いたたげませんか?」
「ヤツらは殺されたロバート・モーガンの勤めていた研究所の者だ。なんでもモーガンが職場からなんたらいう株式だかを勝手に持ち出してたらしくてな……」
「……株式だって?」
冷蔵庫の中を調べていた男が突然振返った。
真っ青な顔色と血走った目が、彼の心境を何より雄弁に語っている。
「何度行ったら判ってもらえるんです!持ち出させていたのは、レストン株です!」

 「レ、レストン株ですって!?」
ハーパーからの緊急連絡を耳にするなり、サンベルト・ロレンツォが飛び上がった。
「で、その大馬鹿者は、レストン株で何をやっていたんですか!?」
「『ヨルダンの川辺』での告解の書き込みからするとですねー……」
掲示板に目を通していたキャリーがロレンツォに言った。
「……改良って書いてるんですけどー……。ところでドクター、レストン株ってなんですかー?」
「エボラ出血熱って知ってるかい?死亡確率80%に達する悪魔のウィルスなんだけど……」
「昔本で読んだわね」ミノムシ女エミーも身を乗り出してきた。
「……たしか血液その他の体液の飛沫で感染するって……」
「普通のエボラアィルスなら、たしかにその通り。感染者の体液に触れない限り安全です。
しかし、レストン株だけは違う!あのタイプのエボラは……」
ロレンツォの顔は、モーガンの家を創作していた同僚たちと同じほどに青ざめていた。
「……エボラウィルスのレストン株だけは、空気感染するんです!」
377創る名無しに見る名無し:2011/09/14(水) 23:26:48.18 ID:Bg0Iu2tt
相棒のトリオみたいな面白ツンデレキャラがいてもいいかもな
シリアスの合間合間にはさめば清涼剤になるし
378創る名無しに見る名無し:2011/09/14(水) 23:27:17.32 ID:iQt6I7fA
ロバート・モーガン殺しの場面は、構成案が二つあった。
一つは採用した方の案。
もう一つは……「モーガン宅でハーパー+ソフィアが『旅人』とニアミスし、戦闘になるが逃げられる」案。
これはこれで面白いんだけど、最後の大仕掛けが機能しなくなる可能性があるんでボツ。
仕掛けが機能してくれないと、「DT編成が必要になる」理由が組み立てられなくなる。
さて、上手くいくかな?
379ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/15(木) 20:16:20.44 ID:1SupKwNB
本部への再上申からベックマンとハーパーが足早に戻ってきた。
「諸君!これより『旅人』に関する捜査は、FBI本部によって行われることになった。
これにより我々のこの非公式なチームは……」
ここでベックマンは「チームだよな?オレたちは……」と言って一時表情を和らげた。
「……『ヨルダン川の辺』に関するデータも含む、総ての捜査資料を本部の捜査チームに引き継いで解散ということになる」
「えーーーっ!?」
即座にキャリーが不満の声を上げた。
「これまで私たちが追っかけてきたっていうのにー?!」
「仕方ないんだキャリー」
ベックマンに代わり説得を買って出たのはハーパーだった。
「これまで『旅人』は殺人現場から次の殺人に使う凶器を持ち去ってきた。
そしてモーガン殺しの現場から持ち去られたのは、空気感染能力をもつレストン株に、遺伝子操作によって人への致死性を付与した、いわばスーパー・レストン株だ」
「あなたの気持ち判るけど……でもハーパーの言う通りよ」
そうは言いながらも、エミーの口ぶりもどこか残念そうだった。
「スーパー・レストンが凶器に使われたら、殺人のターゲットそのものは特定の誰かだとしても、結果は不特定多数を巻きこむバイオテロになっちゃうんだから」
「ありがとうエミー、ハーパーくん」
すまなそうに言うベックマンの表情にも、他の皆と同じ感情が見て取れる。
「もうこの事件は、ただのシリアルキラー捜査ではなくなってしまった。例のディミトリィ・ノラスコが所属するHRTにも既に臨戦態勢での待機命令がだされている。
CDCはもちろんのこと、国家非常事態省やホワイトハウスにも連絡がゆくだろう。
軍の対NBC戦部隊にも連絡がいくだろう。軍の対NBC戦部隊だって出て来るかもしれない」
すると……いつのまにか彼の定位置になっていたパソコン前の椅子で、クリスが遠慮勝ちに手を上げた。
「あの……ですね。おそらく僕は掲示板からの追跡を続けろって指示を貰うことになると思うんですよ。…でもって、エミーとキャリーはここクワンティコで待機ってとこかなと…。プリスキン刑事はもちろんニューヨークに戻ると……。
で、ベックマンさんとハーパーさんはどうなるんですか?」
困ったような顔でベックマンはハーパーの顔を見た。
肩をすくめてそれに応えると、ハーパーはクリスだけでなく、エミーやキャリーにも向かって口を開いた。
「我々二人は、それぞれの担当エリアに戻り、通常の活動に復帰するよう指示されている」
クリスは鼻柱に皺を寄せて天井を仰ぎ、エミーは逆に床へと視線を落とした。
ハムスター女だけは、黙っていることができなかった。
「そ、そんなのってないですー!」
ハムスターがトラのように叫んだ。
「これまで『旅人』を追いかけてたのはハーパーさんとベックマンさんなのに!前に上申したときは相手にもしてくんなかったのに!こんどは、オマエもういいから引っ込んでろって言うんですかーー!?」
「……オ、オマエら?オマエらって、オレたちのことか??」
ベックマンは苦笑し、ハーパーはゲラゲラ笑い出した。
「あの、あのあのあの……別に私、お二人のことをオマエなんてお呼びしてつもりは……」
「判ってる。判ってるさ。キミの言いたいことは」
青くなったり赤くなったりオロオロするキャリーを宥めると、ハーパーは彼女に手を差し出した。
戸惑いながらもキャリーがそれを握り返すと、ハーパーは順にクリス、エミー、ソフィアと握手を交わしていった。
「ありがとう皆、短い時間だったが、とてもいいチームだったと思うよ」
「お!?私とも握手してくれるのかな?」
差し出されたハーパーの手に驚いたようにそう言うと、慌ててロレンツォはズボンで手を拭いた。
「……ありがとうございます」
あくまでクールに、ソフィアは握手を交わした。
「とても勉強になりました。これからも……」
「此処に来ないか?」
「え?」
「君は管轄の狭い州警よりも、こっちの方が合ってるような気がするな。その気があるなら待ってるぞ」
「…………………考えさせてください」
そして、ハーパーに続いて全員が全員と握手を交わし、この臨時捜査チームは「発展的に」解散をしたのだった。
380ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/16(金) 23:46:23.36 ID:NuXjADgw
 ハーパーらから「旅人」捜査を引き継いだFBI本部の動きは、さすがに速かった。
クリストファー・ウィンフィールドも引き続き参加したIT犯罪捜査班は掲示板書き込み者を追跡し、「旅人」の次のターゲットを特定しようと努めていた。
一方、これと並行して掲示板書き込み者の生死確認も行われ、ハーパーらの捜査ではあぶり出されなかった殺人も見つけだされた。
その結果、「HNの頭文字を連ねると黙示録の四騎士になる」というロレンツォ説の正しさが立証。
FBI本部は「旅人」の次のターゲットを、HNがEで始まる掲示板書き込み者4人に絞り込んだ。
プロバイダーに圧力が加えられ、4人全員の住所と氏名を直ちに特定。
それは、さすがというより他にないFBIの組織力による成果であり、FBI上層部も「旅人」捕捉は時間の問題と、考えはじめていた。

ただ一人、クリストファー・ウィンフィールドを除いては……。
381ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/16(金) 23:47:59.61 ID:NuXjADgw
(ホントに大丈夫なのか?!)
心に湧きおこる不安にかられて、クリスは自分のブースで立ち上がった。
「旅人」は、クリスがやったのと同じようなやり方で、獲物の個人情報を得ていたにちがいない。
そう考えたFBI上層部は、「旅人」狩りにIT犯罪捜査班を投入した。
クリスの見渡す室内には、見渡す限りパーテーションで区切られた小ブースが並んでいた。
パチパチと音がするだけのその一つ一つに、パソコン一台と捜査員一名が配置されており、ネット上から「旅人」の足取りを追いかけているのだ。
(呆れるほどの組織力だな。人権もプライヴァシーもあったもんじゃないね。でも…)
クリスの心には、ある暗い確信が根を張っていた。
(FBI本部は「見えない」と思って「ヨルダン川の辺」を土足で踏み荒らしてる。だけど……)
……バキッ!
(……「旅人」が気づかないなんてこと、あるはずがない!)
気づかぬうちに、クリスは手にしたポールペンをへし折ってしまっていた。
(こんなとき、あの社長なら、どうするだろう……)
382ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/16(金) 23:51:48.40 ID:NuXjADgw
同じころ、クリス・ウィンフィールドの覚えた不安と呼応するかのように………

「……………………」
ただ黙したまま、男は携帯を閉じた。
口元に浮かぶ酷薄な笑み。
彼には総て予想の範囲だった。
連続殺人に気付いた者の最初にぶつかる壁が「獲物の選定方法」。
「ヨルダン川の辺」の掲示板が獲物の「選択場」であることに気づいた場合、追跡の手もネット上からかかるだろう。
だから……「ヨルダン川の辺」を監視していれば、「敵」の捜査の進捗状況を察知することができるだろう。
技術的なことや、難しいことはなにも必要ない。
ただ「ヨルダン川の辺」の来客数を見ればいいのだ。
「ヨルダン川の辺」は、極マイナーなHPだ。
歴史だってそんなに長いわけでもない。
だから来客数の伸びもごく微々たるペースであって、一日の来客数が0の場合だって特に珍しくは無かった。
ところが……ロバート・モーガンを殺した翌日、「ヨルダン川の辺」へのアクセス数が二ケタにも達したのだ。
来客数が急に伸びたそのワケは?
……考えるまでも無い。
だがそれだって、彼にとっては予想のうちだ。
………バカものがエサに喰いついてくれたのだ。
こっちはこっちの計画を、粛々と実行すればいい。
ただそれだけのことだ。

(我はペイルライダー、我は疫病をもたらすもの……主の僕となりて、ミレニアムを拓く捨石とならん……)

再び口元にかすかな笑みを浮かべると、「旅人」はバイクのキーに手を伸ばした。
383創る名無しに見る名無し:2011/09/22(木) 23:26:38.09 ID:N4xkw4PN
(人物名)レヴィ・キム
(人物説明)LAPD
(簡単な経歴)韓国系アメリカ人男性。外見年齢は30代
      LAPD勤務の刑事。性格は、良く言えば
      義理堅く、悪く言えば頭が固い頑固者
      基本的にFBI等余所者を嫌っているが、
      過去にFBIの露骨な介入で闇に葬られた
      とある出来事があったため
      身長が高く厳つい風貌に似合わず、天然な
      ところがある

(人物名)グラハム・イマオカ
(人物説明)LAPD
(簡単な経歴)日系4世。レヴィとは同期で腐れ縁
      日本名は「今岡 怜太(いまおか れいた)」
特撮・アニメオタクで隠れ厨二病(色々痛いブログをやってる)
      生真面目な日本人のイメージとはかなり
      かけ離れたいい加減な性格だが、仕事
      は言われた範囲ならしっかりこなす
      ちゃっかり上司に対してアピールする
      抜け目のなさも併せ持っている
      『危ない橋は渡らず、長い物には巻かれろ』
      が座右の銘らしいが、曲がったことが嫌いで
      犯罪を憎む強い正義感を内心に秘めている

      好きなヒーローはバットマンと仮面ライダー
      ティム・リーとは知り合いで、よく飲みに行く
      一人称は「俺」、ブログ上では「吾輩」「我」
      レヴィとは違い、FBIを嫌っていない。むしろ、
      コネをつくれる機会と捉えている     
      

レヴィがロボットのボディならグラハムは頭脳
ちょくちょく出てくる刑事兼三枚目ポジションです
たまに2人して頓珍漢な推理をします(レヴィはDTに対して徐々にツンデレ化)
ティムとは知り合いという設定で、トリオ・ザ・LAPDになるときもあります
384創る名無しに見る名無し:2011/09/23(金) 23:55:05.57 ID:BUM3POKd
支援
385ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/25(日) 13:25:52.79 ID:PmSE6aKA
 ついに「旅人」の足跡を捕まえ、チームを解散したあの日の3日後……。
久しぶりにハーパーは、馴染みのホットドッグスタンドに足を運んでいた。
いつもの席で新聞を広げていると、注文した覚えも無いハーパー・スペシャル=特濃ブラックコーヒーがテーブルでどきつい香りをテーブルで放っていた。
目を上げると、店主のボブが煩そうについっと視線を外した。
僅かな動作に「オレからのサービスだ」と「煩せえからいちいち聞くな」という二通りのニュアンスを読みとったハーパーは、そのまま黙ってコーヒーカップを口へと運ぶ。
ハーパーの手にした新聞には「旅人」がらみの報道は、特には見当たらない。
しかし彼の元には、エミー・ハワード、クリストファー・ウィンフィールドから、その後の展開についての続報が入れられていた。

まず、ロバート・モーガンの頭蓋骨を粉砕した「長さ20インチの鋳鉄製の棒」はソフィアの見立て通り、やはり天秤秤だった。
トロントで殺されたニッキー・スローンが「魔女の生まれ変わり」として人の罪の軽重を計るとき使うことになっている天秤秤が、ニッキー自身の手により撮影所から持ち出され、「旅人」の手に渡っていたのだ。
またクワンティコのプロファイリング班は、「旅人」を強度の秩序型と推定。
「高い知能と人を引き付ける外観や話術」を持ち「経済的に恵まれ」た「30代後半から40代前半ぐらい」で「独り住まい」をしている「男性」として「旅人」像を描き出していた。
 更にクリストファー・ウィンフィールドも参加するIT犯罪捜査班が割り出した「ヨルダン川の辺」のパソコン所在場所をカンザス州のレバノンと割り出した。
だが急行した捜査員が発見したのは、パソコンだけが設置された無人の部屋だけだった。
部屋は一年間の賃貸契約で、5年前からの自動継続。
家主が契約相手と顔を会わせたのは一度も無く、最初の一回は電話であとはメールでのやりとりだったという。
契約書記載の氏名はナサニエル・ジョーダン。
住所と保存されていたメールアドレスからフィラデルアィアの高級アパートを突き留めたのがその翌日。
ナサニエル・ジョーダンの風貌その他は、プロファイリング班の描いた犯人像と見事に一致していた。

犯人はジョーダンと断定して間違いない。

FBI本部はジョーダン追跡と並行して、最後の獲物である可能性のある「Eで始まるHNの主」四人を密かに保護下に置き、その周囲に十重二十重の警戒網を張り巡らせ「旅人」来訪を待ちかまえていた……。
386ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/25(日) 13:29:40.71 ID:PmSE6aKA
ロスでチャールズ・ハーパーが顰めっツラでどす黒いコーヒーを啜っていたころ……。

大陸の反対側、ヴァージニア州クワンティコでは、HRT隊員たちが、一つ部屋に集合していた。
 赤毛のアイリッシュ、HRT隊長エドガー・ファーガは集まった部下たちを前にいつものように切りだした。
「さて諸君……」
二枚目だが、いかつい顔立ちでもあるので実年齢より年上に見える。
そのため、落ち着き払った口調ともあいまって、「ハイスクールのフットボールかバスケットボール部のコーチみたいだ」と評するむきもあった。
事実、エドガーはその職務に関して間違いなく「名コーチ」といえた。
「……例によって予習の時間だ。予習と復習をサボるヤツは……」
「長生きできませんっ」
タイミングよく誰かが応じてエドガーはニヤリと笑う。
「……よく判っているな。その通り!自分の命だけではない!人質や仲間を誤射したりしない為にも、予習・復習は不可欠なのだ」
そしてエドガーは、目の前のホワイトボードにバンと音をたてて一枚の写真を貼り付けた。
同時にその拡大版がホワイトボードに投影された途端、HRT隊員たちの顔から笑いが消えた。
「こいつがナサニエル・ジョーダン。通称『旅人』だ。貴様らが、せっかくの楽しい週末に彼女とデートにも行けず、むさくるしい野郎ばかりで待機する破目になったのは、コイツのせいだ」
それは三人の男が並んだ写真の、その真ん中の男をアップにしたものだった。
落ち窪んだ青い目、両サイドだけ後退した生え際、そして山脈のように隆起した鼻柱と二つに割れた顎……やや藪睨みで顔の左側をカメラ正面に向けている。
左腕にトロフィーを抱え、右手のガバメントは明らかにカスタム仕様。
明らかに何かの射撃競技会での入賞記念写真である。
それが、ナサニエル・ジョーダンという男だった。
「判っている限りで既に22人を殺し、23人目を殺そうとしている男だ。
こいつの犯行には、前の殺人現場から次の殺人で使う凶器を持ち出すというパターンがある。
そして、最後の現場から持ち去られた物、言い換えれば次の殺人で使われる凶器が……
これだ!」
エドガーは一目で顕微鏡写真と判る写真を、ライダーの隣に貼り付けた。
「これは、最後の被害者、ロバート・モーガンが作り出した最凶最悪の殺人ウィルス、エボラ・スーパー・レストンだ。
「隊長!質問が……」
隊員の一人が声をあげた。
「もし仮に、それがニューヨークで凶器として使用されたと仮定すると、どういうことになりますか?」
「CDCの技官の意見では、マンハッタン島を即座に検疫隔離しないかぎり、最悪一週間で州全体が壊滅するそうだ」
あまりの回答に、隊員のあいだではどよめきすら起こらない。
「捜査の結果、『旅人』の次の標的はこの男と……」
ホワイトボードに顔が映し出されると、「あれっ?コイツは……」という声が漏れた。
「…諸君らもテレビなどで見たこともあるだろう。この男、HNは『エレクター』。民主党選出の下院議員で週末開かれる民主党党大会に出席するためフィラデルフィアにやって来る!」
会議室を埋める男たちのあいだに電気が走る!
「諸君!もう判っただろう!『旅人』の23番目の殺人の舞台は、市域住民12万の大都市だ。
今回の行動には陸軍の対NBC部隊も参加するが、それはあくまで最悪の事態を想定してのバックアップに過ぎない!前線に立って市民を守るのは、我々HRTだ!!」

387ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/25(日) 13:31:29.66 ID:PmSE6aKA
「…ファーガ隊長」
ブリーフィングが終って帰りかけたエドガーを、出来の悪い生徒のようにディミトリィ・ノラスコが廊下で呼びとめた。
「なにか質問か、ディミトリィ?」
「こいつが『旅人』だってことですが、間違いないんでしょうか?」
数秒ほどディミトリィの顔をじっと見返してから、エドガーはおもむろに口を開いた。
「オマエは単独で『旅人』を追っていたんだったな?」
「なんでそれを??」
「ウィンチェスター市警からやんわりと文句が来た」
「……すみません」
「気にするな。もう慣れた」
独断先行に過ぎるディミトリィがいまだにHRTに留まっていられるのは、ひとえにエドガーのおかげと言ってよかった。
「……で、オマエはこのジョーダンが『旅人』じゃないと言うのか?」
「そこまでは言いませんが……ただ……ちょっと」
ディミトリィは口ごもった。
「上手く説明できないか?」
「ただ、酷く嫌な感じがするんです。上手くは言えないんですが……」
エドガーの視線がディミトリィから離れ、しばし宙をさまよった。
何の根拠も無いと頭から否定されても仕方の無い話だろう。
しかし、エドガーはそんな男ではなかった。
「……ときどきいるだろ?天気の変り目を先読みするようなヤツ。あるいは…ゲームがやたらと強いヤツ」
「はあ?」
「ああいうのはな、本人も気がつかないうちに、脳味噌が瞬間的に判断してるんだそうだ」
「なんの話をされてるんですか?」
「オマエの話だ!まあ最後まで聞け!!」
エドガーは明らかに言葉を探し、選びながら話をしていた。
「相手の視線とか……筋肉の動きとか……あるいは湿度の変化とか……そんなものを察知して、意識するより早く判断する。けれども……意識より早い瞬間的な判断だから、根拠を聞かれても答えられない。説明できない……判るか?オレの話が??」
ディミトリィはとりあえず頷いておいた。
「オマエはそういう部類のヤツなんだと、オレは思う」
「………」
「オレたちは、上層部の判断に従って動いてるだけだ。だがオマエは違う。ただ一件とはいえ、現場に立ち何かを掴んで来た。
それがオマエの『嫌な感じ』の正体なのかもしれん……だがな」
殴ったら拳の方が壊れそうな、岩を刻んだようなエドガーの顔が、ジッとディミトリィを見据えていた。
「FBIに限らず、警察や軍の力というものは組織の力だ。組織の力で国民を守っているのだ……」
ディミトリィは、エドガーの「岩の顔」の意味を、そして彼の言わんとすることを察しとった。
「……だから、FBIの頭脳がある決定をした場合、手足であるHRTが、これと異なる行動をすることは許されない。わかるか?ディミトリィ」
「はい」
頷いたディミトリィの顔は、憑き物が落ちたようなスッキリした表情だった。
「……我々HRTに選択の余地はない。あくまでナサニエル・ジョーダンを『旅人』として逮捕するしかない。もしこれに従わないならば組織に留まることはできないと、そういうことですね」
エドガーが頷き返すと、一礼してからディミトリィは背を向けた。
部下の後ろ姿が廊下の彼方に見えなくなるまで、エドガーはそのままの姿勢で見送っていた。
彼の顔は、もう岩の顔ではなくなっていた。
388ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/25(日) 23:09:45.80 ID:PmSE6aKA

 腹は決まった。
そうとなればディミトリィの動きは速い。
ブリーフィングのあったその日のうちに、ディミトリィ・ノラスコはニューヨーク市警を訪れていた。
「……HRT所属、ディミトリィ・ノラスコ……FBIの方ですね」
「たぶんすぐに『元』ってことになるだろうな」
ディミトリィの答えに、ソフィアの瞳が微かに揺らいだ。
HRTには対「旅人」で待機命令が出ているはずだ。
こんなところをウロウロしていていいはずない。
「つまりアナタは、FBIは間違った相手を折っていると考えているのですね」
「察しがいいな。…まぁ確信とか証拠とかがあるわけじゃねえんだが……。もしオレのカンが当たってりゃあ、殺人ウィ……」
「秘密漏洩にはなりませんから、ご心配なく」
「そうだったな。アンタはハーパーと一緒にあの場に居合わせたんだったな」
どこまで話していいのか?そのレートが無くなってディミトリィの態度がざっくばらんになった。
「話し易くて助かるぜ。上層部は、『旅人』のつぎの仕事場はフィラデルフィアだと考えてる」
「フィラデルフィア……たしか黙示録に登場する7つの教会の一つですね」
「そうさ。それも上層部がフィラデルフィアを次の仕事場と睨んでる理由のひとつさ」
「……フィラデルフィア……門をひらく。御言葉に従い、名を否まず、力があった……」
おそらく何度も読み込んでいたのだろう、ソフィアは「黙示録」中のフィラデルフィア教会に関する個所を暗唱した。
「フィラデルフィアでは確か……」
「カンがいいな。エミーの言った通りだ。フィラデルフィアじゃ週末、民主党の党大会が開催される。つまり『門を開く』ってわけだ。確かにスジは通ってるよな」
(……この男も同じだ)とソフィアは感じ取った。
ハーパーやベックマン、キャリーにエミーにウィンフィールドと同じ種族。
管轄に縛られるセクショナリズムとか、他の人がやるだろうなどという無責任とはもっとも遠いところにいる人種。
自分のできることを、最大限までやり抜こうとする人種。
ニューヨーク市警という「枠」に自分は囚われている。
しかし目の前の男は、自分を閉じ込める「枠」を一気に乗り越え此処にやって来たのだ。
思わず前のめりになって、ソフィアは言った。
「アナタは本当の殺人を防ぐため、待機命令も無視して此処に来られたんでしょう?私にも是非強力させてください!」
「それじゃあ、お言葉に甘えて……最初の凶器になったボルカニック連発銃を見せてくれねえか?」
389ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/28(水) 23:59:23.59 ID:m+ZYNN0i
 ディミトリィが手にした弾薬は、極めて異質なものだった。
手にした1発、そしてテーブルに並んだ5発の弾も、すべて真鍮の薬莢がついていない。
ボルカニックライフルの弾薬は、弾の底部に発射薬が埋め込まれる構造なのだ。
「ボルカニック社ってなぁ確かS&Wの前進だったよな?ってこたぁ、マサチューセッツに在ったのか?それともウィンチェスター繋がりでコネチカット??」
「コネチカットで1855年創業。1866年に解散です」
「弾薬製造は?……当然同じか。聞くまでもないな。こんな妙な弾作ってるトコなんて、銃の製造元以外あるわけねえか………」
ディミトリィは古びた弾丸をテーブルに置くと、今度はライフルの方を手に取った。
銃把の前のレバーを動かす操作感は、普通のウィンチェスターライフルと特に変わるところは無い。
「……この銃の出どころは?こんなもん持ってるヤツならマニアか火器関係の博物館だ。
すぐ判んじゃねえのか?」」
「それが判らないんです。全米ライフル協会や著名ガンマニア・研究家にも協力を求めたんですが、持ち主は判っていません」
「それも妙な話しだな……こんな骨董品の出どころが判んねえなんて……」
苛立たしげにディミトリィが首を傾げた時だった。
証拠保管室の扉が開いて、ソフィアの相棒グレック刑事が入って来た。
「おう探したぞプリスキン!例のロケット・ボールの出何処が判ったかもしれん!………って、この兄ちゃん、だれ??」
「FBIのディミトリィ・ノラスコ捜査官です。それよりグレック、この弾の製造元が判ったっていうの!?」
グレックは鼻の穴をふくらませて胸を張った。
「鑑識のヤツに機械いじりの好きなヤツがいてよ、そいつが言ったのさ。この弾そのものは鋳造だけど、火薬を入れる窪みは電動ドリルかなにかで開けてるみたいだってよ」
「電動ドリルだと!?」
ディミトリィは驚いてテーブルから総ての弾を掴み取った。
古びて酸化による染みの浮いた金属表面は、確かに百数十年の時の流れを感じさせた。
しかし目を閉じて弾の底面をそっと指で撫でてみると、中の一発に鋭角の部分がある。
「○×▼□!」
ディミトリィの口から、ここには到底書けないような悪態が迸った!
「ワザと古びたようにしてるのだわ!歴史関係の博物館の収蔵品なのね?」
ディミトリィに代わってソフィアが聞き返すと、グレックは一枚のメモをヒラヒラさせることで応えた。
「ニアピンだな。所有者はカリフォルニアの郷土史家らしい。カリフォルニア、特にゴールドラッシュのころのカリフォルニアの物品を中心にコレクションも多いらしいな。
名前はパトリック・ライダー。住所は、ほら、このメモさ」
「よこせ!」
グレックの手からメモを奪い取って、ディミトリィは証拠保管室を飛び出した!
「グレック!私も行きます!代わりに有給申請出しといて!!」
「お、おい!」
止める暇もあればこそ、ディミトリィを追ってソフィアも保管室を飛び出していった。
390ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/29(木) 00:03:38.32 ID:1tO9ocPA
 ディミトリィとソフィアはロケットボールを手掛かりにカリフォルニアへ…。
同時にFBI本隊は「旅人」を絡め取らんと、フィラデルフィアに十重二十重の網を張る。
ひとたび凶器の殺人ウィルスを使われれば、巨大都市が地獄に変る。
なにがなんでも食い止めなくては。
同じその思いを胸に、「旅人」狩りは北米の両極へと別れて走り出していた。
そしてもう一人……。
391ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/29(木) 00:07:44.97 ID:1tO9ocPA
「やれやれ、今朝も奥さんに朝飯作ってもらえなかったのかい?」
「なんでわかった?」
「ホットドッグも注文したからね」
ハーパーの前のテーブルにはハーパー・スペシャル=特濃ブラックコーヒーとモーニングセットのホットドッグが並んでいる。
「やれやれ……個人情報バレバレだな」
ギブアップを宣言すると、ハーパーはコーヒーカップを口へと運んだ。
ハーパーの手にした新聞には、今日も「旅人」がらみの報道は見当たらない。
だが、フィラデルフィアでの民主党党大会を明日に控え、FBI本体は合法非合法あらゆる手段を尽くして、必死に「旅人」ナサニエル・ジョーダンの行方を追っているはずだった。
「だが本当に……」
「何か言ったかい?」
「ああ、ごめん。独りごとだよ。気にしないで……」
ボブに謝るとハーパーは視線を新聞紙面に落とした。
見開き両面を使ってアメリカ全土が掲載されている。
どこかのスーパーだかの広告で、自社の店舗がどれだけ全国に在るかを誇っている。
もちろんフィラデルフィアにも店舗所在の☆印がついていた。
ハーパーはテーブルにあったペンで無意識に丸く囲った。
(本当に、ナサニエル・ジョーダンという男が「旅人」なのか?そして次の殺人の舞台は本当にフィラデルフィアなのか?)
さらにハーパーは、彼が知る限りの「旅人」による殺人の舞台を広告に書き入れていった。
(最初がニューヨーク………サウスダコタ………ポートランド………アリゾナ、アラスカ、トロント、そしてメリーランド州フレデリックか……)
ほどなくしてシリアルキラー「旅人」の全仕事が地図上再現された。
やや東部に集中しているきらいもあるが、おおむね全米あまねく均等に散らばっている。
(そういえば、「ヨルダン川の辺」のパソコンが置かれていたカンサス州レバノンは、通称「アメリカのへそ」だ。
当然、全米にばら撒かれた殺人のど真ん中に「ヨルダン川の辺」はあることになる。ゆっぱり、ジョーダンが「旅人」で間違いないのか……)
そのときカウンターの向こうから店主のボブが唸るように言った。
「答えなら、ロスアンゼルスだよ」

392ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/29(木) 00:10:37.34 ID:1tO9ocPA
「えっ!」
思わず叫んでハーパーは新聞を置いた。
「ロ、ロスアンゼルスだって!?次の殺人が!?」
「次の殺人??いったいなんの話だい?ワシの言ってるのは懸賞の答えだよ。あんた、それをさっきから考えてたんじゃなかったのかい?」
「……懸賞??」
「あんたが今読んでる新聞にも出てるはずだ。店にもポスターが張ってあるよ。ほら。あそこだ」
ボブの指さす方を、反射的にハーパーは目線で追った。
携帯の普及で今は殆ど使われてるところを見ないが、店の隅には電話スタンドがまだ接地されている。
ボブの言うポスターはそのすぐ横に貼り出されていた。
「カリフォルニア………ゴールドラッシュ展?」
「あんた知らなかったのかい?こいつぁあ驚いた。テレビのニュースでも結構やってるぜ。ほら今も……」
ボブの頭上の空間にはポータブルのテレビが置かれ、ちょうど朝のニュースがやっていた。
マイク片手のレポーターと顎の鋭い金髪の男が話をしている。

『ゴールドラッシュ展開催が明日に迫りましたね。陳列予定品が盗難にあったりと色々大変でしたが、ライダーさん、何かご感想を』
『盗まれた品は、残念ながらまだ一つも戻っておりませんが、これも主の与えたもうた試練と信じ、なんとかこうして開催までこぎつけることができました。感無量です』
『ありがとうございました。展示品提供者のお一人、パトリック・ライダーさんのお話しでした』

(パトリック・ライダー?Pライダーってわけか)
そして、いくらなんでも考え過ぎだぞと、ハーパーは頭を振った。
ボブが答えを教えてくれた懸賞はポスターの下部に載っていた。

ゴールド・ラッシュ展が開催されるのはどこの都市ですか?ヒント、「天使の都」といえば……

バカにするにも程があるぞと、ハーパーは苦笑した。
(これで答えが「ロスアンゼルス」だと判らないヤツは、絶対頭がどうかしてるぞ)
そして再び紙面の広告に目を落としたとき、ハーパーは背筋に一瞬嫌なものが走るのを感じた。
(空白だ……)
ハーパーが作ったばかりの「旅人」全仕事。
そのなかで、カリフォルニアは全くの空白地帯となっている。
「旅人」の足あとは、北のポートランドと南のアリゾナ、東はユタまでだ。カリフォルニアには……ヤツは来ていない)
393ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/29(木) 23:32:57.34 ID:1tO9ocPA
 チャールス・ハーパーが「旅人」の殺人地図を作っていた午前8時前……、東海岸のヴァージニア州では同日の11時ごろ、ドア口をノックする音にエミーが顔を上げると、キャリー・グリーンが彼女らしからぬ浮かぬ顔で立っていた。
理由をエミーが尋ねるより早く、キャリーは自ら口を開いた。
「ディミトリィ・ノラスコさんが辞表を出して、どっか行っちゃったみたいです」
「…あの鉄砲玉が?」
「辞表は、HRTのファーガ隊長の預かりになってるみたいなんですけど」
「ファーガのおっさん、ノラスコの奴を買ってるみたいで、いままでも随分庇ってたみたいだけど……待機命令中の職場放棄ってなったらどうしようもないわね」
「でも辞表はファーガ隊長預かりになってるんでしょ?」
「『旅人』狩りの出動命令が出た時ノラスコの奴が此処に戻ってなきゃ、辞表が預かりになってたって関係無いわよ。クビになっちゃうんだから」
「そんなあぁ……」
キャリーが泣き顔になった。
彼女はディミトリィが単独で「旅人」を追ったことを知って、ある種の仲間意識を感じているようだった。
「『旅人』狩りの出動は、いつになりそうなんですか?!」
「上層部は『旅人』のつぎの舞台をフィラデルフィアの民主党大会だと考えてるわ」
「ってことは次の日曜?!」
「大会が始まってしまったらもうこっちの負けね。だから上層部は勝負を急いでるはず。
HRTに出動命令が下るのは、だぶん今日。でなけりゃ明日の早いうちよ」
394ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/09/29(木) 23:39:38.55 ID:1tO9ocPA
(もしも……あくまで「もしも」だが……)
一方ハーパーは、「旅人」全仕事図を前にして、すっかり「狩人」の顔になっていた。
(「旅人」のつぎの仕事場がフィラデルフィアでなく、ここロサンゼルスだとするなら、それは何時だ?!)
その答えは……自問する前から明らかだった。
(フィラデルフィアで民主党大会が行われるより前だ。フィラデルフィアは、本当の標的を隠すためのフェイントに過ぎないからだ!)
となると、ロスを次の舞台と仮定した場合、殺人は今日か明日。
フィラデルフィアとの時差を考えれば、遅くとも明日の午前中ということになる!
(くそっ!時間が、無いっ!)
たちまちハーパーの脳裏で、FBI上層部が「鉄板」と信じているカードが次々裏返り始めた!
(「旅人」に迫るには、インターネットのHP「ヨルダン川の辺」を経由するしかない。だから「旅人」は逆にそれを利用したんじゃないか!?)
掲示板書き込み者を、書き込み時に使ったHNの頭文字と同じ頭文字の凶器で殺し、それによって一連の文章を作りだす。
そうすれば捜査陣は、「PALE」の最後の一文字、「E」で始まるHNの書き込み者を次の標的と考えるはずだ。
しかし「旅人」はその裏をかいて……。
不吉な衝動に突き動かされ、ハーパーは携帯を取り出すとクリストファー・ウィンフィールドに電話をかけた。
彼からの情報によれば、「E」で始まるHNの書き込み者は他に三人いるはずだった。
その中の一人でもロスアンゼルス近郊の在住者がいれば、逆に言うとロスアンゼルスは最後の舞台にはならないはずだ……。

『……社長ですね。僕です。ウィンフィールドです』
電話に出たクリスの声には、はっきりと疲れが感じられた。
「忙しいところ悪いんだが……」
『全然かまいません。実は僕の方から連絡したいくらいだったんですから。……で、用件は?』
「例の掲示板に書き込んだ、Eで始まるHNの主の住所なんだが……州名だけでいい、教えてくれないか?」
『おやすいご用です。えーと………いいですか?一人目は「エレクター」、ニューハンプシャー在住でこれが例のフィラデルフィアです。
二人目は「エンパイア」でニュージャージー在住。
三人目は「イージーラバー」でウィスコンシン。
最後は「オイゲンシュタット」でミネソタ州在住です』
「……ロサンゼルスと関係ありそうなヤツはいないかな?」
『四人とも国のこっち側半分ですね。ロスと関係ありそうなヤツはいないと思いますよ』
「そうか……ありがとう。ところで君の方の用件は?」
『実は……気になっていることがあるんです。上層部は、掲示板の解釈を間違ってるんじゃないかって……』

短く礼を言って、ハーパーは電話を切った。
本当を言えば、考え過ぎだという証拠が欲しくてかけた電話だった。
だが、その結果はむしろハーパーの疑念を強めるものでしかなかった。
掲示板の本当の意味……本当の解釈とは?
そのとき、ハーパーの携帯が着信音を放った!

395ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/01(土) 09:49:26.67 ID:/xe17i2a
『…ハーパー?』
「オレだよ、エミー。何かあったのか?」
『HRTが動いたわ』
「そうか!ジョーダンの尻尾を掴んだんだな」
『イーストフィラデルフィア空港とトロリーバス乗り場に設置された防犯カメラにそれらしい人が写ってたのよ』
「そこから予想される移動経路上の防犯カメラを追ったか……」
『待機命令の出てたHRTを動かす以上、上層部は居場所まで特定してるわね』
「そうか……上層部の読みが当たってくれてりゃいいんだが……」
すると……いつもは反応の早いエミーが携帯の向こうで一瞬黙り込むのがわかった。
『ハーパー、それ、どういう意味?』
「どういう意味って?そりゃ聞いた通りの意味さ。それよりエミー、ひょっとして君も何か……」
ハーパーが最後まで言うより早く、エミーは答えを口にだした。
『実はさっき、あのフロリダの変な医者先生から電話があったのよ。気になることがあってニューヨーク市警に電話したんだけど、プリスキン刑事はFBIの捜査官と二人でどっか行ったらしいっていうのよ。それで先生、こっちに電話を……』
「…彼女と行動してるFBI捜査官ってのは誰なんだ?」
『たぶんHRTのディミトリィ・ノラスコよ。待機命令無視して飛び出してったから』
「おい!HRTはフィラデルフィアに出動したんじゃないのか!?」
『もちろんあのボケナス抜きでよ!』
これにはさすがのハーパーも絶句した。
待機命令無視だけでも懲罰必至だというのに、肝心な出動に参加していないとあっては懲罰的解雇は免れない。
(だが……それだけ必死の何かを追ってるってことか……)
ドクター・ロレンツォからの電話。
そして共に行動しているというディミトリーとプリスキン。
事態はハーパーも知らないところで大きく動いていた。
問題は、どこに向かって動いているかということだ。
「……エミー、君のことだからロレンツォの連絡先も控えてあるんだろ?教えてくれないか?彼の電話番号を?」

事態は何処に向って動いているのか?
その答えは「ヨルダン川の辺」の解釈にかかっている。
そしてそれを正しく解釈できる男がいるとすれば、それはあの衒学的なイタリア系医師をおいて他には考えられなかった。
ハーパーはエミーに教えられた連絡先をプッシュした。
396ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/01(土) 09:52:38.15 ID:/xe17i2a
ジョンFケネディ空港から空路でロスアンゼルス空港へ。
空港内でレンタカーを借りだすと、あとは陸路で郊外に。
ディミトリィ・ノラスコとソフィア・プリスキンの臨時コンビは、グレック刑事から渡された住所へと車を走らせていた。
「やれやれ……とうとう国の反対側まで来ちまったぜ。いまごろはHRTにも出動命令が出てるだろうよ。……となりゃあ、クビ確定だな」
ハンドルを握るディミトリィがぼやくが、冷静なソフィアはそれを全く相手にしない。
「……そろそろだと思います」
「例の郷土史家先生のお宅か」
当たりの風景は次第に家もまばらになり、あいだの荒れ地が目立つようになってきた。
大小の赤茶けた砂岩が転がり、枯れ果てた木が骨のように白く乾いた木肌を晒す。
僅かな草はそれらの陰に隠れてひねこびるばかり……。
「……荒れ地の誘惑……」
「…?何か言われましたか??」
「オマエ聖書読んだことねえのか?イエス様が40日間荒れ地に篭るだろ?そうすっとサタンが来てだなぁ……」
「…見えてきました!」
「聞けよおい……」
道は砂岩の赤い丘へと登り、その曲がった果てに一軒の巨大な灰色の家が姿を現した。
397ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/01(土) 11:28:23.76 ID:/xe17i2a
『ミスター・ハーパー、お久しぶりです。ロレンツォです』
電話の向こうの医師の声は、酷く疲れているようだった。
「お疲れのところすみませんが、ロレンツォ先生……FBIの方にお電話いただいたと聞きまして……」
『ええ、お電話さしあげましたよ。さしあげましたとも』
医師は電話口で喉の調子でも整えているようだった。
『このあいだクワンティコでお話しましたよね?夢見が悪くて眠れないと』
「……ルービン殺しの夢ですね。そのお話は、確かにうかがいましたが……」
『クワンティコまでお邪魔したから、さあこれでぐっすり眠れるぞと、そう思ったんですよ。ところが、やっぱり眠れない。それどころか悪夢がますます酷くなる……』
(まさかこの医者、愚痴をこぼしたくってFBIに電話してきたんじゃないだろうな?)
不眠の悩みだったら精神科医に相談してくれ?との思いがハーパーの頭をかすめる。
『昨日の夜もやっぱり眠れないもんで、それならいっそ悪夢の元と対決しようと思って、パソコン立ち上げて『ヨルダン川の辺』に行ったんですよ』
「あのHPに行かれたんですか」
『ええ、行きましたよ。で、ハーパーさん、質問なんですが……』
「質問ですか、守秘義務がありますから答えられる範囲なら……」
『窺いたいことは、HPの主に関する事項です。名前とか住所に、ナサニエルとかジョーンズ、ジョーダン、あるいはエディスンという名称が含まれていませんか?』
「……!?」
一瞬ハーパーが絶句したことを、医師は敏感に察知したらしかった。
『含まれているんですね』
捜査上の秘密ではあるが…ハーパーは直ちに腹をくくった。
「含まれています。あのHPの開設者がナサニエル・ジョーダンという男なんです。しかしロレンツォ先生、何故それに気付かれたんでしょうか?」
電話の向こうで医師がため息をついたのが聞えた。
『ジョーンズあるいはジョーダンは簡単です。HPのタイトルからすぐ出て来ますよね?』

* 日本でヨハネと表記される名前は英語ではジョーンズ、同じくヨルダン川はジョーダン川になる。

「そっちはオレにも判りますが…、ナサニエルの方は?」
『「ヨルダン川の辺」のトップページを覚えていますか?』
「あれはなんて言えばいいのか……」
ハーパーはクワンティコで見たHPを思い浮かべた。
「なんて表現したらいいのか……茶色の唐草模様がぐるぐる渦巻いたりしてるデザインだったかと……」
『唐草模様じゃないです。あれは唐草模様なんかじゃない』
そしてロレンツォの声のテンションが微妙に上がった。
『模様をずっと指で辿ってみてください!頭があることに気がつくはずです!』
「頭がある?あの唐草模様に??し、しかしそれにいったい何の意味が?!」
『あれはヘビ、あるいはドラゴンです。しかも自分の尻尾を口に加えている。
つまり、あのトップページで渦巻いているのはウロボロスなんですよ!!』
「ウ、ウロボ…ロス?」
『自分の尻尾を加えることで無限円環を意味するドラゴン。それがウロボロスです。
そして…『邪竜ウロボロス』というタイトルの幻想小説を書いた作家の名前が、ナサニエル・エディスン!』
ハーパーの頭の中で、様々な情報が一気に繋がった!!
『あのHPは単なる駄洒落です。ナサニエルからウロボロス、そしてジョーダンからヨルダン川を導いて洗礼者ヨハネ。
いいですか、ミスター・ハーパー!あのHPは、他人の信仰心を笑う性質の悪いブラックジョークに過ぎないんです。しかし、それをジョークで済まさなかったヤツがいた!そいつが「旅人」なんですよ!!』
ハーパーは確信した!!
(ナサニエル・ジョーダンは「旅人」なんかじゃない!)
そして次の標的がロスアンゼルスであるということも。
(円環だ!始まりが終わりへ、終りがはじまりへ!ニューヨークの凶器の出元で、殺人ウィルスが使われるんだ!!)
398おわび:2011/10/01(土) 19:04:44.54 ID:/xe17i2a
いや、どじった。
大昔の記憶に頼って、下調べを端折ったら間違ってる。
「邪竜ウロボロス」の作者はエディスンだけど、「ナサニエル」じゃなく「エリック」だった。
学校のテストなんかで出る可能性はまず無いと思うが、エリック・クラッカー・エディスンが正解。
「ヨルダン川のほとり」管理者の名前も、ナサニエル・ジョーダンじゃなくエリック・ジョーダンにしなきゃいけなかった。

お詫びの上訂正します。
399ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/02(日) 23:57:01.90 ID:cX98LQHJ
「さて諸君」
FedExの集配トラックに偽装した隊員輸送車内で、エドガー・ファーガはきりだした。
「あと5分ほどでこのトラックは、とあるビジネスホテルの前に到着する。
『旅人』はそのホテルの三階、廊下の一番奥から二つ目の302号室だ」
隊員たちの誰一人として質問などしない。
いまは、ファーガ隊長の式のもと、チェスの駒に徹して行動すべきときなのだ。
「ホテルのロビーにはすでにこちら側の人間が待機しており、我々の到着と同時に2基あるエレベーターを2基とも抑える手配になっている。
建物内の本階段は我々が、非常階段は別動のBチームが上がる。三階305号の人間は客を装った監視要員だが、それ以外はすべて一般人だ。廊下に出て来られては面倒なので、それ以前に迅速に決着をつける必要がある」
トラックがスピードを落としたのが社内からもはっきり判った。
他の車のエンジン音やクラクションが遠くなったので裏道に入ったらしい。
裏道に正面玄関があるのであれば、ビジネスホテルの中でもランク低い部類だ。…ということは……。
「このホテル、ロビー班の報告によると、壁は薄くて階段は上がるとギシギシ音がするそうだ。つまり大人数ではヤツに確実に感づかれる。よって、最終突入はオレを含む5名。メンツは……」
そして……偽装トラックは、ホテル前にゆっくりと停車した。
400ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/02(日) 23:59:09.14 ID:cX98LQHJ
 角のところの色が薄く掠れた古い革張りアタッシュケースの金具の掛り具合を、「旅人」は慎重に点検した。
中には8インチ銃身のルガーP08、通称「砲兵モデル」一丁。
9ミリパラベラム弾は、グリップ内の7発と薬室に装填済みの1発の他に、32発フル装填されたスネイルマガジンが一個。
手製のサプレッサーも一度は収めたが、結局持っていかないことにした。
これを使うときには、もう発射音を気にする必要など無くなっていると考えたからだ。
ウィルスのアンプル6個を収めた対衝撃保冷ケースは、すでにバイクの左サイドバッグに収容されている。
あとは右のバッグにこのアタッシュケースを積み込んで出発するだけだ……。
そのとき……道を上がって来たエンジン音がいつのまにか聞えなくなっているのに「旅人」は気づいた。
(客か?だが、こんなときにどんな用が??)
一瞬動きを止めた彼の両足が、階段を上がってくる柔らかな「震動」を感じ取った。
車でやって来た何者かは、ネコのような足をもっている!
(ただ者じゃあないな)
「旅人」はアタッシュケースの留め金に指を掛けた。
邪魔立てする者は、それが誰であろうと排除されなければならない……。
401ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/03(月) 00:02:05.47 ID:RiP3SyxM
かっきり続けて二回、それからあいだをおいてもう一回、302号室のブザーを押した。
ブザーに反応し、部屋の中で足音がゆっくり戸口に近づいてくる。
そして短くもう一回。
それが突入の合図だった!!
正面突破部隊が特殊爆薬でドアを破壊し室内に突入!
同時に、階上の402号待機の隊員が、ロープ伝いで通りに面した窓から飛び込んだ!
「FBIだ!」「な、なんなんだ!?」「抵抗するな!」「おとなしくしろ!!」
302号は一瞬で爆発の煙と男たちの怒号に満ちた!
白い埃のなかにチラチラ動く赤い点は、向かいの建物に待機した狙撃班だ!
エドガー・ファーガ率いるHRT突入班は、突入開始後数秒も要さずに「旅人」ジョーダンの逮捕に成功していた。
「例の物を探せ!」
エドガーの指示で、隊員らが直ちに室内を捜索。
隊員の一人が、寝室で古びた革張りのアタッシュケースを発見した。
「鍵は掛っていませんが……開けてみますか、隊長?」
エドガーが無言でうなずき、隊員は金具を操作した。
カチャッ!
微かな金属音。
そしてアタッシュケースは、内臓のバネにより自分からその内部を晒した。
……………。
拍子抜けしたように、ケースを開いた隊員が言葉を漏らした。
「なんだ?こりゃ??」
アタッシュケースの中身は……ありふれた替え下着と、ウィスキーのポケットボトルだけだったのだ。
402ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/03(月) 00:07:24.88 ID:RiP3SyxM
「失礼ですが、どちらさま……」
「旅人」がインターホンで最後まで誰何しきるより早く、「ネコ足の訪問者」は監視カメラに向けてライセンスを提示した。
「自分はFBI捜査官のディミトリィ・ノラスコ。となりはニューヨーク市警のソフィア・プリスキン刑事です。失礼ですが、パトリック・ライダーさんでしょうか?すこし窺いたいことがあるんですが」

403ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/05(水) 23:54:36.54 ID:dI2OM24g
 がちゃっ…ガチッ…チャキッ、
ロックの解除音は三回だった。
どれも意外なほど重くがっしりしている。
開き始めたドアの、初期速度も遅い…。
(…重いドアに頑丈な錠が三つ)
ほとんど職業病だが、ディミトリィは瞬時にドアの強度を値踏みした。
同時にドアに触れた手が、その厚みと材質がライヴオーク、樫であることを伝えてきた。
(このドア、斧やスレッジハンマーでも跳ね返すぞ)
ディミトリィはこのライダーという男の家を、「ちょっとした要塞」と判定した。
立て篭もりの舞台にされたなら、HRTといえども苦戦は免れないだろう。
装甲板のような扉がゆっくり開いて……静かな笑みをたたえて館の主人が立っていた。
「私がパトリック・ライダーです。今日はいったいなんの御用なのでしょうか?」
「郷土史家」などという肩書からある程度高齢の男性を想像していたディミトリィとソフィアだったが、現実のP・ライダーは30代後半ぐらいにしか見えなかった。
身長6フィートに僅かに欠けるくらい。
無造作に手串でまとめた金髪。
落ち窪んだ青い目に、薄い唇。
きれいに髭が剃られているせいで、こけた頬が目立つ。
その面立ちから連想する肩書は「郷土史家」でなく「苦行僧」だろう。
女性らしい観察を働かせてソフィアが尋ねた。
「失礼ですが、どこかへお出かけになるところだったのでしょうか?」
「実は、ロスのど真ん中で今日からゴールドラッシュ展が始まるんですが、その開会セレモニーに呼ばれていまして、それで出掛けるところだったんですよ」
「お忙しいところ申し訳ありませんが、少しお時間よろしいでしょうか?」
何時になくソフィアが多弁なのは、口下手なディミトリィをフォローするためだ。
「時間厳守というわけでもないですから別にかまいませんよ、さあどうぞ」
館の主人に導かれ、ディミトリィとソフィアは応接へと通された。
家の外観は「大地の底から四角く切りだされた岩」だったが、応接間はログハウスのような作りになっていた。
壁には古い人物写真が何枚もかかっていた。写真の男たちは皆豊かな髭をたくわえ、手には古い小銃を携えている。
「みな、私の一族です」
ディミトリィの視線を追うと、誇らしげに「旅人」は言った。
「私の先祖ウィリアム・ライダーは、ザカリー・テイラー将軍指揮下でメキシコ軍を破ったその年に、このカリフォルニアの地にやって来ました」
「旅人」はその中の一枚、ひときわ古い写真を指さした。
「ウィリアムです。彼は黎明期のカリフォルニアを縦横に駆け巡りました。
雪の残るトラッキー湖畔までドナー隊を探しに行ったメンバーの一人でもありました。
血なまぐさい殺人旅籠事件や、奇怪な影のつきまとうハルピン・フレイザー殺しでも、彼は必死に犯罪者の影を追ったのです。
無法者の凶弾に斃れるその日まで、カリフォルニアの治安を守るため、彼、ウィリアムは駆け続けたのです」
その男は、八の字髭をたくわえ古臭いデザインの帽子を目深に被っていた。
帽子のつばの下から覗く眼光が鋭い……。
だが、ディミトリィの目はウィリアムの手にしたものに釘付けになっていた。
「ボルカニック連発ライフル!」
ディミトリィが写真に駈け寄った。
404ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/05(水) 23:56:16.73 ID:dI2OM24g
「ライダーさん!アンタこの写真にも写っているボルカニック連発銃をもってませんでしたか?」
言葉足らずのディミトリィをソフィアがフォローした。
「私たちは、デルハイル事件を追っているのですが、その凶器として使われたのがボルカニック連発ライフルだったんです」
「デルハイル事件というのは……ニューヨークで投資会社の社長が射殺された事件でしたね?新聞だと凶器はライフルということでしたが……ボルカニックだったんですか」
やや眉を寄せて「旅人」は抑制の効いた驚きを見せた。
「弾の製造業者からここが浮かびました。製造依頼を受けた業者がジャイロ・ジェット弾の規制に触れないか、市警の意向を聞いた記録があったんです」
「ロケット・ボールがジェイロジェット規制にひっかかる?」
「旅人」にもこれは初めて聞いた話だった。
「わたしには覚えがありませんが……何年ごろの話ですか?」
「記録によると96年のことのようです」
「それでしたら、きっと父の依頼だと思います」
「旅人」は別の壁面に飾られたカラー写真を指さした。
「父、ランドルフ・ライダーは一族の歴史に強い誇りを抱いていました。それで、一族がこのカリフォルニアにやって来たころからの歴史的な文物や器物をコレクションしていたんです」
父の想いを口にするとき、「旅人」は微かに胸を反らした。
「ウィリアムは当時最新式の火器であったボルカニック連発銃を手に、このカリフォルニアにやって来ました。ですから父がボルカニック銃を手に入れるばかりでなく、それ用の弾まで作らせていたとしても、別に驚くには当たりませんね」
そして「旅人」は静かな声で「父にとってはそれだけ価値のあることだったんでしょう」とつけくわえた。
「そんじゃそのボルカニック連発銃はいま何処に?!」
「父がコレクションにあったんだと思いますが、もうここにはありませんよ」
「此処に無いってんなら、じゃあ、何処にあるんだ?!」
「一地年ほど前、父のコレクション一切寄贈してしまったんですよ、ロスアンゼルス市に」
「するってぇといまもロス市が?」
「ところが…ややこしい話なんですが、市がゴールドラッシュ展開催を準備しているあいだに賊に入られまして……」
「ってこたぁ、ボルカニック連発銃も?」
「もしその銃がニューヨークで使われたというのなら、他のガラクタと一緒にそのとき盗まれているんだと思いますよ」
自分の額を鷲掴みにしてディミトリィがソファーに背中を預けると、入れ替わりにソフィアが尋ねた。
「御手数ですがミスター・ライダー。違いなく寄贈品の中にボルカニック連発銃があったか確認することはできませんでしょうか?」
「……たしか随分以前に父の作った目録があったと思います。探してみましょうか?」
「是非、お願いします」
「わかりました。しばらくお待ちいただけますか?」
405ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/06(木) 00:00:21.61 ID:KN1+RPH0
 「お待ちくださいますか?」とライダーが部屋を出ると、ディミトリィがソファーから立ち上がった。
「やっぱりスタート地点はこのカリフォルニアだったんだ!」
「でもノラスコ捜査官、これまでの『旅人』のパターンだと、ロスで誰か殺されていなければならないはずです」
「おう、早速ロス市警に回って調べてもらうか」
「それよりハーパー捜査官と連絡をとって調べてもらった方が……」
ソフィアは携帯を開いたが、すぐポケットへと放り込んでしまった。
「どうしたんだ?電池ねえのか??」
「アンテナが立ちません」
「そうか、ほとんど砂漠みたいなトコだからな……ん!?なんだありゃ??」
妙な声をあげて、ディミトリィがランドルフ・ライダーの写真の隣に貼られた、もう一枚の写真に顔を塚寄せた。
「………ライダーの一族の写真じぇねえぞ、間違いねえ!こりゃチャールス・ハーパーだ!!」
「……まさか」
しかし、それは間違いなくFBIロス支局所属の捜査官、チャールス・ハーパーの横顔を写したものだった。
おそらく新聞記事から切り抜いたもので、さらによく見ると写真の上と下に何か言葉が走り書きされている。
「上の言葉は……外国語かよ」
「ドイツ語です。ええと……『心するがよい。怪物と争う者、みずから怪物となる惧れのあることを。深淵を覗くとき、深淵もまた汝を覗いていることを』。ニーチェですね。それから下の書き込みは……『狩人よ、追え!我を』………………………まさかこれは?!」
ソフィアとディミトリィの顔色が変わった次の瞬間、外で銃声がバンバンと二発、続けざまに轟いた!
「ちっくしょう!!」
拳銃を掴みだしてディミトリィが窓際に飛び付くと、青白色にペイントされた大型バイクにうち跨って、パトリック・ライダーが屋敷から走り出すところだった!
「ヤツだ、ソフィア!ライダーが『旅人』だったんだ!」
406創る名無しに見る名無し:2011/10/06(木) 00:04:52.42 ID:KN1+RPH0
ようやく終幕近くまでたどり着いた。
あとは殺人ウィルスを携えゴールドラッシュ展会場へと疾駆する「旅人」」とディミトリィ+ソフィアの追撃戦。
それから会場での「旅人」対ハーパーでエンディング。
早けりゃ週末か?
407ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/11(火) 23:38:38.33 ID:M1ceVyFk
「ソフィア!ハーパーに連絡しろ!『旅人』を阻止させるんだ!」
「了解です!」
ソフィアは携帯を取り出したが、使い物にならないことを思い出し、すぐに部屋の固定電話に手を伸ばした。
だが受話器からはなんの音も聞こえてこない。
「電話器死んでます!」
「こっちもだ、ドアが開けらんねえ!電子ロックでコード知らなきゃロック解除できねえようになってやがる!」
「それなら窓を…」
「無駄だ、ソフィ……」
「普通に開けるつもりはありません!」
ソフィアはM9を両手で構えると窓ガラスに向け立て続けに三連射した!
バン!バン!バン!……しかし,ガラスには僅かな傷がついただけ。
「ぼ、防弾ガラス!」
「だから無駄だって言ったろ。こんな要塞みたいな家の窓が防弾ガラスじゃねえわけねえ」
「それじゃどうすれば外に!?」
「この家の電源を探すんだ。電子ロックなら、電源を止めりゃドアは自動開放されるんだよ!」
「…それならきっと」
ソフィアは家の裏手へと駆けこんだ。
「…あった!」
「カンがいいな。この手の設備は大抵家の裏手、台所か倉庫の近くだ」
ディミトリィが配電盤を開いてメインスイッチを切ると、横の裏口が音もなく開いた。
家の表に走るとレンタカーへ。
「運転頼む!」
拳銃を抜いてディミトリィが助手席に滑り込んだ。
「……は、はい」
「町に入られたら厄介だ。途中の砂漠地帯でヤツに追いつけ!オレが仕留める!」
「了…解です」
頼りなげな返事…。
ガクンという大きな振動とともに、車のエンジンが咳き込んで止まった。
「おまえひょっとして……運転下手か?」
「はいっ!」
今度は元気に返事してエンジンを再始動すると、ソフィアは迷わずアクセルペダルを床まで一気に踏み込んだ!
「おわっっ!」
安レンタカーの薄い背もたれにディミトリィの背中がめり込む!
派手なスキール音とともに車が前に飛び出したすと、今度はディミトリィの側のウィンドミラーが門柱に接触しモゲて飛んだ!
そして家の敷地を飛び出して州道を西にとるとき、車は派手に一回転と1/4、つまり450度ターンを決めた。
ワザとやったんなら凄い腕だが、もちろんワザとではない!
「おい!交代しろ!やっぱりオレが運転する!」「そんな時間ありません!」
408ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/11(火) 23:42:03.92 ID:M1ceVyFk
 ハーパーには確信があった。
次の殺人ウィルスを使う殺人が最後の犯罪。
そしてベックマンが恐れていた「とびきり邪悪なイベント的殺人」に違いないと。
そしてその舞台は…
(間違いない!あのゴールドラッシュ展だ!掲示板をエサにFBIの目をフィラデルフィアに引きつけておいて、同時期に開催されるゴールドラッシュ展を狙う。そしてそのターゲットは……)
E=Everybody……つまりは皆殺し。
一年のうち「少なく見積もっても」365日は晴れると言われるカリフォルニアで、ハーパーの背中に寒気が走る。
(だが……FBIやロス市警を動かすには、「旅人」の殺人とゴールドラッシュ展を結び付ける証拠が必要だ!)
どうすればゴールドラッシュ展と「旅人」を結び付けることができるのか?

『自分の尻尾を加えることで無限円環を意味するドラゴン。それがウロボロスです』

「そうだ!」
ハーパーが思わず声に出して叫び、店主のボブが驚いたように目を剥いた。
「さっきのニュースで言っていたゴールドラッシュ展出展品の盗難事件だ!ニューヨークで使われたボルカニックライフルがゴールドラッシュ展の出展品から盗まれた品だったとしたら!?」
ロスからニューヨークへ。
そして全米を駆け巡って再びロスへ。
「…それですべての辻褄があう!!」
(ロス市警に照会だ!)
ハーパーは直ちに携帯を取り出した。
『…お待たせしました。ロスアンゼルス市警です』
聞き覚えのある声。
なんどか顔をあわせたこともあるソバカス顔の女性警官の声だ。
「オレはハーパー、チャールズ・ハーパーです。すみませんが監察部の……」
『ああ、奥さんね。ちょっと待って……』
婦警もハーパーの声に聞き覚えがあったらしく、二つ返事で電話を回してくれた。
だが、内線回送された先で受話器をとったのは彼の妻ではなかった。
『……ハーパーさん?僕です。マイクです。もうしわけないですが奥さんは……』
「あれ?いないのか??」
『今日はチーフや部長のお供でゴールドラッシュ展のオープニング・セレモニーに出席してますよ』
「な、なんだって!?」

 ハーパーは、盗まれたゴールドラッシュ展示予定品の中にボルカニックライフルがあったかどうか、調べてくれるようマイクに依頼して電話を切った。
これまで「旅人」は、FBI捜査官としてのハーパーが追う獲物だった。
しかしマイクの話によると、ハーパー自身の妻が「旅人」の最後の舞台にキャストとして上がっているという!
店の時計はあと20分ほどでゴールドラッシュ展が開幕するという時刻を示している!
(…時間が無い!!)
マイクからの調査結果は待てない。
血相変えてハーパーはホットドッグスタンドを飛び出した。
409ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/11(火) 23:44:05.84 ID:M1ceVyFk
「そんなバカな!?」
フロントガラスに噛みつこうとでもするような姿勢で、ソフィアがもらした!
「もう荒れ地を抜けてしまったとでも!?」
「そんなはずぁねえ!」
ソフィアに負けない大声でディミトリィも怒鳴り返した。
「こんな砂に覆われた道を高速でぶっ走ったら、必ず砂埃が巻き上がる!けども、見渡す限り砂埃なんて……」
…そのとき!
車の右手で低く鈍い爆音が沸き起こったかと思うと、数メートルほどの砂岩の崖から、巨大な黒い影が飛び出してきた!
「待ち伏せかっ!」
ディミトリィの叫びと同時に、車のルーフを重い車輪が一撃!
鉄製のルーフ中央が一気に4インチ以上もめり込んだ次の瞬間、青白い幽霊のようなカラーリングのバイクが車左手に着地!
その乗り手の右手に長銃身のルガーが!
「アタマさげろーっ!」
自分も身を伏せながら、とっさにソフィアのアタマにも左手をかけてハンドルに叩きつけるような勢いで頭を下げさせる!
バイクと車、唸る二つのエンジンで拳銃の発砲音は聞えなかったが、車の右と左、二枚のガラスが粉々になって吹き飛んだ!
「ぶつけろソフィア!」
「……了解っ!」
ソフィアが手荒くハンドルを右にきると、波打つように蛇行した車の後部がバイクを襲う!
重量1トンを超える鉄の塊のアタックを受け、バイクのバランスが一瞬崩れた。
「お返しだぜ!」
ディミトリィのベレッタM9も猛然と火を吹いた!
バイクのバランスを半ば腕づくで立て直すと、「旅人」は車の後部へとバイクを素早く横滑りさせた。
「……チャンス!」
ルームミラーでこれを見たソフィアが、今度は床までブレーキを踏みける!
車とバイクの車間が一瞬でゼロになり、バイクの前輪が車のリアバンパーに触れた!
しかし「旅人」は追突しかかった状態でクルマのトランク部分に蹴りを入れると、今度は車の左へと滑り出た!
「ソフィア!頭を下げろ!」
ディミトリィが叫びソフィアが頭を下げると、伏せたソフィアの頭越しに「旅人」とダィミトリィの銃撃戦が始まった。
残っていたガラスはあっというまに総て砕け散った。
ベレッタが吐き出す焼けた薬莢が車の中で飛び跳ね、いくつかはソフィアやディミトリィにもぶつかったが、熱いと感じる余裕など無い!
(5発……6発……)
猛スピードで走りながらの銃撃戦……しかしその中でディミトリィは冷静に敵の発射弾数をカウントしていた。
(P08のマガジンは装弾数7発。薬室に1発あったとしても、最大で8発……)
……マガジンを交換するには両手を使わねばならない。
しかし高速でバイクを運転しながら、ハンドルから両手を離してマグチェンジするのは、不可能ではないまでも極めて困難だ。
(あと2発撃ったら、ヤツは弾切れだ。そこで、決めてやる!)
車の右に左にと車線を変えながら銃撃をかけていた「旅人」のバイクが突然スピードを上げ、左から一気に車を追い抜いた。
「旅人」のP08が2回撥ね、ルームミラーと左ウィンドミラーが弾け飛ぶ!
「今ので弾切れだぁっ!!」
ディミトリィがM9を両手ホールドし狙いを合わせた。
……「旅人」とディミトリィの目があった。
(笑ってる!?)
そしてディミトリィは、車のボンネットからもうもうと白煙が吹きだしているのに気がついた!
「オーバーヒート?!」
「そうか、ヤツがあの要塞みたいな家から脱出したとき聞えた、あの2発の銃声は、これだったのか!」
家から脱出したとき、「旅人」は二人の乗って来た車のラジエターに2発、弾を撃ち込んでおいたのだ。
連絡手段の無い砂漠地帯の真ん中にディミトリィとソフィアを置き去りにして、自分は
悠々とロスに向かう……。
「……はめられました」
「狙った場所でエンコさせるため、敢えて勝負を仕掛けたのか!畜生っ!!」
ヤケクソでディミトリィの最後の一発は、もちろん「旅人」には当たらなかった。
「旅する死神」の後ろ姿は、みるみる小さくなっていった。
410ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/12(水) 23:43:12.37 ID:bnqSoJ5m
ゴールドラッシュ展会場に向かったハーパーの車は、事故発生によるノロノロ運転の群れに飲みこまれつつあった。
「くそっ!こんなときに!」
裏道を行くか?と思ったそのとき、マナーモードにしておいたハーパーの携帯が震動した。
『…マイクです。さっきの件ですけど』
「で、どうだった?!」
『盗難にあったゴールドラッシュ展示予定品のなかに、ボルカニックなんたら…の記録は有りませんでした』
(…とりこしぐろうだったか)
『…でもアンティークライフルの記録はありました。それからロケットボール弾のレプリカ品が2ケース12発……』
「ロケットボールだって!」
車のシートの上で、ハーパーは本当に飛び上がった。
「そのアンティークライフルがボルカニックだ!ロケットボールは専用弾なんだ!!」
ありがとうを言う余裕も無く携帯を切ると、ハーパーは行く手の道路状況を見遥かした。
ハーパーの車のいるあたりではまだノロノロ走行だが、100メートルほど行った先の
合流路あたりで完全に止まっていた。
(開会まで……あと15分か)
ついに意を決してハーパーは車を降りた。
「…キミキミ、ここは駐停車禁止…」
つかつかやって来た警官に、ハーパーは身分証明を見せ車のキーを押しつけた。
「FBIだ!邪魔だったら動かしてくれ!」
「動かしてって?オレがかぁ?!」
「まかせたぞっ!」
それ以上相手に言わせず、ハーパーは猛然と駆け出した。
411ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/12(水) 23:45:07.57 ID:bnqSoJ5m
 戦いの余韻を全身に感じながら、「旅人」はバイクを走らせていた。
(ハーパー以外にも、まだあんな奴らがいたのか)
風に晒された頬に思わず笑みが浮かぶ。
(この国も、まだまだ捨てたもんじゃないのかもしれない)
ディミトリィとソフィアが訪ねて来た時、あの家で二人を殺すことは十分可能だった。
自身が「砦」と呼ぶ家は、彼がデザインした彼だけの戦場だったからだ。
だが、殺さなかった。
FBIや警察官が単独で行動することは普通ない。
女性刑事はロス市警でなくニューヨーク市警だった。
男の方も戦闘力からして並みの捜査官のはずはない。
それが、フィラデルフィアでなくこのロスにまでやって来た。
間違いない。
彼らも狩人だ。
「旅人」の先祖、ウィリアム・ライダーのように、縦横に国を駆け、そして命賭けで悪を撃つ「狩人」。
(……ハーパーだけではなかったか)
そして「旅人」の頬が、無駄ではなかったとの想いに再び緩む。
絶滅危惧種たる「狩人」が集まって、彼を討伐するならそれでよし。
彼を討伐できないなら、利己主義と拝金主義の腐り果てたこの国を、彼の手で浄化するだけだ。

 「旅人」の駆るバイクは、砂漠地帯を抜け、住宅地に入って行った。
これまで長い旅を続けてきた「死神」は、その旅の終着点に辿りつこうとしていた。
412ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/12(水) 23:46:47.21 ID:bnqSoJ5m
 (くそぅ…なんて暑さだ)
ハーパーは走りながら上着を脱ぐと、近くの植え込みに放り込んだ。
下のシャツは水でも浴びたように濡れそぼっている。
顔といわず首といわず、滝のように流れる汗のせいだ。
日ごろの走り込みは怠っていないつもりだったが、それでもきつい。
そもそも日ごろ走り込みだと服装はトレーニングウェアだし、重い拳銃も下げていない。
でも、足を止めるわけにはいかなかった。
ゴールドラッシュ展に「旅人」が現れる。
殺人ウィルスによる大量殺人を実行するために!
しかもそこにはハーパー自身の妻もいるのだ。
ハーパーは必至で駆けながら、携帯でなんとか妻とコンタクトをとろうと何度も試みていた。
(頼むっ!出てくれ!!)

『……もういい加減にしてよ!何度も何度も!』

やっと電話に出てくれた彼の妻は怒っていた。
『…セレモニーの最中に電話に出られるワケ無いじゃないの!』
「ごめん、それより……」
『朝ちゃんと話しといたじゃないの?!』
妻はさっぱりハーパーの話しを聞いてくれない。
『…今日はチーフや部長のお供でゴールドセッシュ展のオープニングセレモニーに参加するって。ほんとにいつも上の空で……』
「悪かったよ、今度はちゃんと気合い入れて話し聞くから……」
『そのセリフだってもう何度も…』
……話が前に進まない。
そのとき…電話の向こうで何かの破裂音が聞えた!
「おい!いまのはなんの音だ!?」
『……バックファイアじゃないかしら?ちょっと見て来るわ』
「バ、バカ!行くな!行くんじゃない!!」
ハーパーの怒鳴り声も虚しく、妻との電話は切れてしまった。
(待ってろ!オレが行くまで!頼むから!お願いだから!!)
赤鬼のような形相に、道行く人が次々飛び退いた。
そして、ゴールドラッシユ展会場のロスアンゼルス歴史博物館が見えてきた。

413ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/12(水) 23:48:19.07 ID:bnqSoJ5m
 「愛馬」ペイルホースを停車させ、後輪左右のバッグを外して左肩に振り分け荷物にすると、「旅人」はロスアンゼルス歴史博物館の正面階段を大股に上がって行った。
服装を見た係員が駈け寄りかかったが、顔を見て関係者だと思いだして足を止めた。
「ライダーさん。どうされたんですか?そのかっこうは?埃だらけじゃないですか」
「いけないよ君。人を服装で判断しちゃ」
そして「旅人」は係員の眉間に口径9ミリの穴を開けた。
一方のバッグから「カタツムリ」の仇名のある32連弾倉を取り出して銃にセット。
反対側のバッグからは、同じく革製のショルダーバッグを取り出した。
バッグの中からは電気のコードが伸びていて端には作動スイッチらしきものがついている。
バッグを肩にかけ、コードの余分な部分をざっと手首に巻きつけてからスイッチ部分を握ると、それで準備は終りだった。
「さてと……5分ほど遅刻するかと思ったが、なんとか少しの遅刻で間に合ったな」
「旅人」は1メートルをゆうに超える歩幅で悠然と、オープニングセレモニー会場に向かって歩き出した。
414創る名無しに見る名無し:2011/10/15(土) 23:03:01.45 ID:4mLvGvhl

完結後にまとめサイトにまとめる予定です
415ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/15(土) 23:27:25.85 ID:iXYkvXbm
 ゴールドラッシュ展開会セレモニーの会場では、ロスアンゼルス市市長が開会の言葉を述べているまっ最長だった。

「……1848年、メキシコとの戦争に勝利し、ここカリファルニアは合衆国の一部と……」
そのとき演説する市長の傍らで、微かにブーム………ブーム………とバイブの震動音が聞えて来た。
「……それに続くゴールドラッシュによってカリフォルニアは更なる発展の……」
ブーム………ブーム………ブーム
「……発展の道に」
苛立った市長が口ごもると、演壇後隅に座っていたスーツ姿の女性が警官が慌てたように席を立つと背後のカーテンの陰に消えた。
「いらいこのロスアンゼルスはニューヨークに次ぐアメリカ第二の……」

「……もういい加減にしてよ!何度も何度も!」

カーテンの向こうから女の声がする。
市長は無視して演説を続けた。

「…セレモニーの最中に電話に出られるワケ無いじゃないの!」

女の声はヒートアップしてきた…。
「現在では!アメリカ第二位の大都市に……」
カーテンの向こうの声を打ち消そうと市長の声も大きくなった。

「今朝ちゃんと話しといたじゃないの?!」

…市長の負け。
カーテンの向こうの声の方がずっと大きい。
もう記者席まで聞えている。
記者の何人かはクスクス笑ったり、思わせぶりに顔を見合わせたり、俯いて笑い顔を隠したりしている。

「…今日はチーフや部長のお供でゴールドセッシュ展のオープニングセレモニーに参加するって。ほんとにいつも上の空で……」

記者席で「ハーパーだ、ハーパー」「どっちのハーパーだよ?」「決まってるだろ」
などとおおっぴらに私語が交わされはじめた。
市長はついに演説を止め、ロス市警チーフと監察部長がカーテンの方を振返った。

「そのセリフだって…」

ついに監察部長が席を立って背後のカーテンを引き開けた。
さっきの女が背中を向けて携帯を耳に宛てている。
監察部長が女の肩に手を賭けようとしたとき……博物館正面の方でバン!と破裂音が聞えた!
416ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/15(土) 23:28:58.30 ID:iXYkvXbm
「……バックファイアじゃないかしら?ちょっと見て来るわ……………げっ!?」
電話をかけていた女性は、振返ってみてカーテンが開いているのに気がついた……。
しかし、市長をはじめとする列席者、それから記者たちも博物館正面へと続く扉の方を見ている。
「市長、こちらへ」「…念のためです」
市長を反対の避難口へと誘導しようとボディーガードたちが立ちあがった。
一方、博物館の警備員がセレモニー会場正面出入り口へと小走りに向かう……。
しかし、閉ざされた戸口に手をかけた警備員はすぐさま振返った。
「開きません!」
「なんだと!?」
驚きの声をあげ立ち上がると、市警チーフは市長らに叫んだ。
「待て!行くな…」
警告の声と同時に、市警らの向かっていた先の非常口が、弾けるように左右に開いた。
服装はカジュアルだが、埃まみれなので100年以上まえの金鉱掘りのようにも見える。
「ライダーくん、その服装はいったい……」
「………いけませんよ市長。服装で人を判断しちゃ」
そのときになって、市長は始めて相手の手にしているものに気がついた。
ドラムマガジン付きの長銃身ルガー!
銃の存在に気づいたボディーガード三人が一斉に銃を抜く!
「旅人」は腰のあたりまで銃を持ち上げただけだった…。
その姿勢のまま、バーーーーンとほとんどひと続きの銃声が響いて、三人の額にそれぞれ一つづつの真っ赤な穴が開いた!
額から赤い噴水をあげながらボディーガード三人が後ろざまに倒れると、中年女性記者の一人が怪鳥のような悲鳴を上げた!
「ぎ、ぎぇぇぇぇぇぇっ!!」
それが引き金だった。
開会式参加者たちは、他人を押し倒し踏みつけながら、一斉に開かない正面出口に殺到した。
悲鳴に怒号を上げつつ我先に逃げようとする正装の人々を眺めながら、「旅人」は呆れたように呟いた。
「……醜いな。なんて醜いんだろう」
そして死神はチーフらの方に顔を向けた。
「命をかける値打ちなんて無いよ。あんな奴らを守るために」
右手の自動拳銃はチーフと監察部長のほうに向けられている。
「僕の腕は御覧になったでしょう?いちいち照門なんて覗かなくたって、僕はこいつをアナタの眉間に正確に送り込めるんです」
ロス市警幹部二人の額に玉の汗が浮かぶ。
相手に指摘されるまでもなく、撃ちあっても勝負にならないことは判り切っていた。
ただ一人……「旅人」が式場に入って来たとき、たまたまカーテンの後ろに居たため、気づかれずに済んだ女性警官を除いては……。

417創る名無しに見る名無し:2011/10/16(日) 10:26:04.04 ID:jma7ilXZ
面白くなってきますたな。

(人物名)チーフ・ライアン
(人物紹介)死刑囚
(簡単な説明)アリゾナ出身。34歳。金髪に顎髭を生やした男。死刑囚(実は冤罪)。
見た目からは信じられないが、元外科医。
ヘラヘラとしていてふざけているのか真面目なのか分からない性格だが、注意深い。
ハーパーの事を知っているらしい。映画やドラマに例えて物事を話す。
護送車をパンクさせた隙に五人の囚人と逃走を計る。
電話でハーパーやエミーにヒントを与えながら自分の事件を解決させようとする。
妻がいたが、裁判の途中で拳銃自殺した。そのせいで引き金は引けない。
真の目的は、真犯人を殺し自殺することで、しかもその真犯人は…
418ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/23(日) 19:47:17.45 ID:pcxXZ87L
出口に殺到する群衆を掻き分け、博物館側の警備員たちが駆け戻ってきた。
各々の手には既に抜き身の拳銃が握られている。
「じゅ、銃を捨てろ!」「手を上げるんだ!」
めいめいが勝手に銃を構え、前後左右から「旅人」に迫る。
「手を出すんじゃない!お前たちの手に負える相手じゃ……」
しかし、無謀な行為を制止しようとするチーフの叫びよりも、「旅人」が動く方が速かった。
「……わらわら出て来たね。殺られキャラの集団が」
埃にまみれた上着が、うねる竜巻のようにその場でターン!
同時に、人間竜巻めがけ警備員らが一斉に発砲!
会場内が硝煙で満ち、何発かの弾丸は確実に旋回する上着を引き裂いたように見えた!
……しかし!
「はい、残念でした」
無謀な挑戦を試みた警備員らは、一人残らず後ろざまに倒れていった。
顔面から、赤く長い尾を引きながら……。
「遅いよ。遅すぎる。銃を顔の前まで上げないと狙いが付けられないんじゃあ、僕には勝てないね……」
そして、腰の銃把に指までかけたチーフの方を見て言った。
「ギャレット署長。あなたは僕と撃つあおうなんて考えるほど、頭が悪いわけじゃないでしょ?」
「旅人」は、これまで総てヒップシューティングの姿勢で、正確に相手の眉間を射抜いている。
速さだけなら太刀打ちできる者もいようが、早撃ちでブルズアイをやれるガンマンなどいない。
チーフのこめかみを汗が伝い、指がそっと銃把から離れた。
「ライダーくん…君は何故こんなことを?」
「……ギャレット署長、井戸の底を覗いたこと、ありますか?」
「井戸?……井戸の底をか?」
「深い深い、とっても深い井戸の底です。……覗いたことありますか?」
とまどい気味のチーフの顔を見て「旅人」は言った。
「僕は覗きましたよ。とっても深い、煙突よりも深い穴を……そうしたらですねぇ……」
「旅人」はすっと目を細めた。
「……底には真っ黒な満月のように水が溜まっていました。その真ん中から誰かが僕を見上げていたんです。よく見ると、それは僕自身でした。白目の無い、真っ黒な目をした僕自身が、じっと僕のことを見上げていたんです」
419ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/23(日) 19:49:24.86 ID:pcxXZ87L
はあっ、はあっ、はあっ…
粗い息でハーパーが博物館正面の階段を駆け上がって行くと、入れ替わりに十数名の来館者が血相変えて駆け出していった。
正面ロビーに駆けこむと、さっきの入館者たちを恐慌状態に陥れた原因「ちょっと前まで生きていた係員」がそのまま転がっている。
(眉間をただの一発!ヤツだ!!)
奥の「第一会場」と表示のある扉の向こうからは、凄まじい怒号や悲鳴。押し合いへしあう気配が噴き出している。
それを押さえこんでいる扉は、取っ手にバイクを停めておくとき使うチェーン錠が巻きつけられていた。
「この向こうか!」
ハーパーは拳銃を抜くとドア脇に立ち、ドアとほぼ平行になる角度から357マグナムを構えたが……。
(……もしこの向こうで既に殺人ウィルスが使われてしまっていたら!?)
ドアが開いて感染者が市内に散った時点でゲームオーバーだ。
(ど、どうする!?)
そのとき、ハーパーの胸元で携帯が鳴った。
電話ではない!
メールの着信音だ!

『ゴールドラッシュ展開会式場に、自動拳銃を持った男性がいます。
名前はパトリック・ライダー。
年齢は40前後で、身長は……』

メールは彼の妻からだった。
(……メールオールか。さすがだな)
閉ざされた事件現場から、会場内の情報を伝えてきた妻の豪胆さに舌をまく。
しかし、メールの続くセンテンスを一読するなり彼の鼓動が急上昇した。

『……右肩から左に襷がけしたショルダーバッグの中から電気コードが伸びて、男の
左手の中に消えています。
バッグの中身は爆薬で左手に握っているのは起爆スイッチではないかと……。』

(ショルダーバッグの中身は例の殺人ウィルスで左手にその散布用スイッチか。まだスイッチを握っているってことは!)
ハーパーはドアを封鎖するチェーン錠に再び拳銃を向けた!
(……殺人ウィルスは散布されてない!)
今度は迷わず引き金を引き切った!
バンッ!
357マグナムがチェーン錠をぶち切ると会場ドアが爆発するように左右に開いて、正装した一群の男女が押し合い突き倒しあいながら、ロビーへと転げ出た。
紳士・淑女の群れをドア脇でかわすと、入れ替わりにハーパーは開会式場に飛び込んだ。
420ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/23(日) 19:52:48.30 ID:pcxXZ87L
「おお、ついに来たね。待ってたんだ。『天使の都』の守護天使殿」
「旅人」は笑顔でハーパーを迎えた。
演壇の向かって左、ハーパーに背中を向ける姿勢で市長。
その足元には護衛三人が転がり、彼らに代わってロス市警チーフが盾となって立ちはだかっている。
更にその周りには半円を描くように博物館の警備員たちが顔面を開けに染めて動かなくなっていた。
左手のコードはまだ握られたまま。
長銃身ルガーを手にした右手はだらりと下がっている。
しかしこの殺人者は、このままの体勢からでも必殺の9ミリ・パラベラムをハーパーの眉間に送り込むことができる……。
妻の伝えてきた姿を両手ホールドの大型リボルバーでポイントしながら、ハーパーはゆっくり距離を詰めていった。
「そのコードを握っているところを見ると、殺人ウィルスはまだ使っていないようだな。もうこの会場にいるのは我々だけだぞ。これで殺人ウィルスの散布は失敗だ。おとなしく……」
しかし、笑顔のままで「旅人」は首を横に振った。
「会場に閉じ込めた奴らがいなくたって、別に問題なんて無いよ」
「問題無い?」
「閉じ込めておいた紳士淑女のみなさんは、ただのギャラリーに過ぎないんだ。僕と君との決闘のね」
「決闘だと!?」
「あれ?嫌なのかな??」
「旅人」は両のまゆ毛をひょいと上げ、そして笑顔を見せてから真顔に戻って言った。
「…まあそうだろうね。だって君は犯罪者を殺さないから。どんなときだってそうだった。あのトマホークのような殺人鬼だって射殺しなかった。でも、今日はそうはいかないよ」
「旅人」は襷にかけたショルダーバッグを叩いて見せた。
「エボラウィルス・スーパー・レストン株は、僕が持参しているこれ以外、市内の5か所にも仕掛けてあるんだよ。僕がこの……」
…と言って「旅人」は、今度は左手をそっと掲げて見せた。
「……この手に中のスイッチを押せば、そのすべてが殺人ウィルスをまき散らすんだ」
「な、なんだと!?そんなことをしたら!」
「もちろん最低でもロスは滅亡するね。それからロスでの封じ込めに失敗すれば、この国そのものも……」
口の動きで「ボカン」と表現して「旅人」はまたも笑った。
「『黙示録』によるとね、Paleライダーは悪疫をもたらすんだそうだよ」
(ヤツに退く気は無いか……ならば)
静かに視線を動かすと、カーテンの影から覗く気丈な妻の顔が見えた。
目が合うと妻に向かってハーパーは、有るか無きかの微笑みを送り……そして「旅人」に言った。
「よかろう。決闘に応じよう」
「やっぱり応じてくれたね。信じてたよ。だって君は……」
満足そうだった「旅人」の言葉が途切れた。
ハーパーが、相手をポイントしていた拳銃を降ろすと腰のホルスターへと収めたからだ。
421ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/24(月) 00:00:13.73 ID:pCm9MZkT
ハーパーが拳銃をホルスターに収めたのを見て、不思議そうに「旅人」尋ねた。
「……決闘を受けてくれるんじゃなかったのかい?」
「正調の決闘ならこの状態からスタートだろ?……あ、そっちはそれでいいぞ。ホルスターなんて持って来てないだろうから」
「なるほどね…それじゃ僕はお言葉に甘えて……」
埃まみれの上着の男と、汗だく男が両手をだらりと垂らして向かい合った。
カーテンの影でハーパーの妻が素早く十字をきったのが見えた。
こころの中で(心配かけてすまない)と妻に詫びると、ハーパーはそれきりの妻のことも心の中から閉めだした。
……ゆっくり息を吐きだしてゆき、吐き切ったところでそのまま呼吸を止める。
視線はどこかを凝視するでなく、ただ向かい合う相手の全体を捉える……。

ハーパーがトマホークの手斧を砕いたときのタイムがおよそ0.5秒。
早撃ちの協議会でない、完全な実戦であること、それから動く標的だったことも考えればかなり早い方だ。
だが「旅人」はマーク・リード並みの早撃ちで、おまけに標的射撃なみの正確さでもある。
はっきり言って、ガンマンとしてはハーパー以上の腕だ。
勝つのは99.99%「旅人」だろう。
しかしハーパーには、残り0.01%の勝機があった!

(お願いあなた!死なないで!!)
ハーパーの妻が心の中で叫んだその瞬間!
二丁の拳銃がまるで一丁であるかのように、同時に吠えた!
「旅人」はヒップシューティングのまま、ハーパーはクラウチングの姿勢のままでピクリとも動かない……やがて………。
ハーパーの手からリボルバーが音を立てて床へと落ちた。
そして幾筋もの赤い線が指先を伝って床へと落ちる。
「あなた!」
カーテンの影からハーパーの妻が飛び出すと、崩れかかったハーパーに抱きついた。
「あなた大丈夫なの!?」「……ああ、大丈夫だよ」
そしてハーパーは気さくな口調で「旅人」に話しかけた。
「殺せたのに、なんで外したんだ?」
「…決まってるじゃないか、決闘に負けたからさ」
「旅人」はスイッチを握ったままの左手を高く掲げて見せた。
握った拳の中から出た電気コードは、肘のあたりで切断されている!
「ワザと後の先を狙ったね」
人を撃つとき、先手をとった側の動作は脳の支配を受けている。
しかし、後手に回った側の反応は、脊髄反射の支配を受ける。
そのため後の先をとった方が、先手よりも0.2秒ほど早くなるのだ。
もちろんそんなことのできるのは、恐ろしいほどのレベルに達したガンマンだけなのだが……。
「後の先をとったばかりじゃない。この期におよんでまだ僕を殺さずに、作動スイッチのコードを狙うとはね。おそれいったよ。僕の完敗だ」
そして「旅人」は左腕を降ろすと、そのままの姿勢で真後ろへと朽ち木のように倒れていった。
「ど、どうしたんだ!?弾は当ててないはずだぞ!?」
怪我も忘れてハーパーは「旅人」に駈け寄った。
大の字に斃れた「旅人」の、それまで上着に隠れていた右脇の下に、ごく小さく鮮やかな赤い滲みが広がっていた。
「なんだこの傷は??何時、誰にやられたんだ!?」
「実はここに来る途中、君の仲間とちょっと遊びすぎちゃってね。外の出血はそれほどでもないけど、でも肺の中はきっと真っ赤っかなのさ」
「オレの仲間?……そうか!ディミトリィだな!」
「たしかそんな名前だった。若いしちょっとマヌケだが、きっといい狩人になれるよ」
「……おかしいなとは思ったんだ。いくらなんでもオレが勝てちまうなんて」
「気にすることはないさ。運とか仲間とかだって、実力のうちだよ」
……「旅人」が突然咳き込んだ。
すると、蒼白の唇に赤い血の泡がひとつ、ぽつんとにわかに現れた。
「最後にひとつ……言っておきたい……ことが……ある」
「まて!無理するな!なにも言っちゃ…」
「……ドラゴンに……10の角と…七つの顔を持つ獣に……気をつけろ」

そして、北米全土を股にかけ、死をまき散らした「旅人」はこの世に存在することを止めた。
422創る名無しに見る名無し:2011/10/24(月) 16:33:06.87 ID:Mq4+WN66
投下乙です。
後日談って書きますか?
423ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/24(月) 20:19:56.36 ID:wyCQtWO7
「何年ぶりですかね?」
HRT隊長エドガー・ファーガが右手を差し出すと、トーマス・ベックマンがガッシリ握り返した。
「7年か、8年じゃないかな?ところでエドガー、君はディミトリィの解職に随分反対していると聞いたんだけど」
「アラスカまで聞えてますか」
エドガーは苦笑した。
「まあ、あなたのことですから、きっと特別なルートがあるんだとは思いますが……」
「徹底抗戦の構えだと聞いてるよ」
ベックマンの顔からいつもの笑みが消えていた。
「なぜそうしてまで彼を守る?」
「それは……」
エドガーも真顔になった。
「ああいうヤツが必要だと思うからです」
「ああいうヤツ?」
「勇気と決断力、それから揺るがぬ正義感を持ち、ただ一人でも悪と対決する覚悟のあるヤツです」
「何故そういう男が必用なのだと?」
「オレは、FBIの組織力は世界一と信じています」
エドガーはベックマンに向かって無意識に胸を張ってみせた。
「…しかし、どんなに有能な組織でも組織であることによる弱点があります。その弱点を補完する存在が必要なのです!!」
「……それがディミトリィってわけか」
「ディミトリィだけではありません、あなたやロスのハーパーもそうです。あなた達がいなかったら、最低でもロスアンゼルスは死の町と化したでしょう」
「おいおいなんだ、オレも含めての話しかよ」
「もちろんです!それから……他にも加わった者がいると聞いています。彼らこそが、組織としてのFBIを補完してくれる存在なんです」
「それで君は……」
ベックマンは聞いていた。
エドガー・ファーガが自身の首まで賭けて、ディミトリィの解職に抵抗していると。
「彼らは絶対に必要です。ディミトリィを首にするなどとんでもないこたというのが、オレの考えです」
う〜んと唸って、ベックマンは窓の外、クワンティコに広がる木々に目をやった。
アラスカでは、落葉樹はすでに葉を落としてしまってしまっていたが、ヴァージニアではまだ紅葉したところだった。
「だけどエドガー、君の考えには一つ、大きな問題があるよね?」
「はい」
その問いかけを期待していたかのように、すぐさまエドガーは返した。
「FBIという組織の一部である以上、彼らを管理する人物が必用になります」
「しかし、ディミトリィのような男は管理が難しい。ハーパーだって、彼の上司は……」
ベックマンは何度かその愚痴の聞き役を努めたことがあった。
「そこでですトム!」
HRT隊長が、ベックマンの前で直立不動の姿勢をとった。
「ヤツらを束ねることができる男にただ一人心当たりがあります。オレがまだ駆け出しだったころ、オレと組んで導いて下さった先輩捜査官の方であります」
(やれやれ……)
ベックマンはもう一度窓の外の景色を見た。
(冬枯れの前に、もうひと頑張りしろってことか)
424創る名無しに見る名無し:2011/10/24(月) 20:24:04.10 ID:wyCQtWO7
>>422
あと2レスでDT結成の契機……というか、FBI上層部がDT設立を発表せざるを得ないとこまで書ききれる。
それでフィニッシュね。
今日中に終わるよ。
425ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/24(月) 23:06:43.24 ID:wyCQtWO7
「おはようエミー」
『こんちわハーパー、そっちはどうなの?』
「公式発表はまだだけど、例のウィルスの最後のアンプルが見つかったよ。映画観のロビーに仕掛けてあった」
『エロ映画観?』
「…うん、きっついヤツ」
『やっぱりね。ライダーは堕落したアメリカ人に対するアルマゲドンを意図してたみたいだから。たとえば最初の被害者デルハイルは……』
エミー・ハワードは得々と自説を語った。
『……だからその映画館も只の映画じゃなくって、そういう映画観じゃなきゃいけないのよ。……ところでハーパー、あなた何でそのエロ映画がきっついヤツだって知ってるの?』
電話越しの流れ弾に思わず首をすくめつつ、ハーパーは聞き返した。
「ところでエミー、そっちはどうなんだい?何かあったから連絡くれたんだろ?」
『たぶん一時間ぐらい後になると思うけど、上層部が記者会見を開くわ』
「ロスでの騒動とフィラデルフィアでの不始末の釈明か。で、どんなシナリオで行くんだ?」
『ベックマンの提案を飲んだみたい』
「丸飲みシナリオか。フィラデルフィアとスロアンゼルス、どっちが最後の舞台になるかか絞れなかったから、最初から両面作戦でいったっんだっていうシナリオ」
『功績横取りもいいとこよね。ふざけた話しだわ』
「でもベックマン・シナリオならディミトリィの行動も上層部の承認済みってことになるから、当然馘首にはできないな」
『ほんとベックマンのおっさん、意外に策士よね。あ、それからこれはあくまでウワサなんだけど、他にも何か発表するみたいよ』
426ファイルNoゼロ「旅する死神」:2011/10/24(月) 23:15:12.10 ID:wyCQtWO7
記者会見場でマイクの前に現れたのは、広報班でなくFBI長官ゴードン・ヴェンターだった。
この時点で、その会見はすでに異例だったといえただろう。
「……今後このような事件が再び発生した場合に備える必要を私は痛切に感じました。
そこで我々FBIは新組織、Wide range investigation unit(広域捜査班)を立ち上げることとしました。
今回のロスの事件で活躍した二人の捜査官も、今後はその新組織に加わることとになります……」


ファイルNoゼロ「旅する死神」

お し ま い
427創る名無しに見る名無し:2011/10/24(月) 23:23:56.34 ID:wyCQtWO7
「旅する死神」これにて終了。
一応は、FBIが新組織を「立ち上げざるをえなかった」理由付けまでキッチリ書ききることができたかなと思う。
約束通り第一話は簡潔させたので、いったん別スレに引き上げます。
長いことスレを独占してもうしわけなかった。
それでは……ファイルNo××「狂気の監獄」にてお会いしましょう。
では、また。
428創る名無しに見る名無し:2011/10/26(水) 15:35:32.58 ID:Iqx4FIJR
投下乙です。
序盤のトリックと終盤の展開がなかなかおもしろい話でした。
ところで、書いて貰っている手前悪いですがトリつけて貰えますか?
429創る名無しに見る名無し:2011/10/26(水) 22:50:31.69 ID:3lvOq2pb
肝心なことを書いておくのを忘れた。
「旅する死神」構成過程で集めた資料。

FBI関連施設所在地
「上層部」と書かれているFBI本部はワシントンDC。
「HRT」「プロファイリングチーム」「FBIアカデミー」はヴァージニア州クワンティコ。
ただ、ワシントンDCそのものが地理的にはヴァージニア州の中に在るので、大雑把に全部ヴァージニア州内にあると考えてもいい。

時差
合衆国本土内には四つの時間帯がある。
ちなみに東部ニューヨークと西海岸のロスアンゼルスでは三時間の時差。
だから日本語で書くと、ロスの人間が「おはよう」と電話してニューヨークの人間が「こんにちは」と答える可能性がある(これが英語なら、どちらも「ハロー」ですむ)。

ロス市警署長
日本語表記で「署長」とすると警察署の長のようになってしまう。色々迷った挙句現地表記の「チーフ」に。
だからギャレット・チーフと書いてあっても「チーフ」の部分は肩書。

それぞれの都市の地勢なんかも調べてたから、書いてるより調べてる時間の方が長かった。
やっぱり外国が舞台ってのは難しい(笑)。
430創る名無しに見る名無し:2011/10/26(水) 22:53:14.38 ID:3lvOq2pb
>>428
「トリ」ってのは「トリップ」の略という理解でいいんだよね?
ネットスキルが低いからどうやって付けるのかさっぱり判らない。
やり方調べてみるか。
431 ◆Zxf52S9TbpmL :2011/10/27(木) 16:27:07.69 ID:K0/E8LRY
名前欄に半角で#と打ち、その後ろに適当に文字を打てばいい。
後は、普通に投下すればトリが完成。
(*注意…半角の後ろは、漢字がよろしいかと、他人が平仮名は調べられるため。)
不安なら、テストスレに投下すればいいと思う。
432創る名無しに見る名無し:2011/10/27(木) 18:43:46.49 ID:QpN4tVkB
>>431
教えてくれてありがとう。
こんどやってみる(笑)。
433創る名無しに見る名無し:2011/10/27(木) 23:47:00.72 ID:SAG8XL09
乙!次回作も楽しみに待ってます
それと>>189のまとめサイトに載せました
気に入らない人は修正ヨロ
434創る名無しに見る名無し:2011/11/11(金) 02:00:32.48 ID:oIh8tVwk
支援
435創る名無しに見る名無し:2011/11/15(火) 22:08:52.77 ID:RZJwQf+K
436 ◆JamT9c3Z2k :2011/11/21(月) 21:57:02.88 ID:rU865o80
test
437創る名無しに見る名無し:2011/12/01(木) 22:50:06.23 ID:DynK9lgf
〈人物名〉サージ(本名不詳)
〈人物説明〉「カーネル」ことウォレス大佐の右腕
〈簡単な経歴〉アングロ・サクソン系アメリカ人で40歳前後としか判らない。
軍の特殊部隊出身らしく、そのころの階級「軍曹(サージャント)」の略である「サージ」で呼ばれる。
「カーネル」直属の兵として、殺人・傷害・暴行・脅迫・恐喝・誘拐などを主に扱う。
通常は大口径リボルバーを使用するが、日本で活動した際はデザートイーグルを使用。
銃器以外にも体術を用いた格闘戦も「殺し合い」に限れば超一流。
眼球潰し(=相手は完全失明)、睾丸蹴り潰し等など限りなくえげつないスキルの宝庫であり、ファン・リーテンに言わせれば「不具者量産機」。
相手を殺していいなら、アルティメット、ボクシング、レスリング、柔道、空手使いなど如何なる相手にも負けないという絶対の自信を持つ。
438創る名無しに見る名無し:2011/12/01(木) 22:53:31.49 ID:DynK9lgf
〈人物名〉ファン・リーテン(本名不詳「ファン・リーテン」は本名でなくコード・ネームに過ぎない)
〈人物説明〉「カーネル」ことウォレス大佐の左腕
〈簡単な経歴〉オランダ系イギリス人でサージより少し年上らしい。
SASで非合法の諜報・破壊工作・暗殺に従事。
「カーネル」直属の兵として、謀殺・毒殺・爆殺など比較的凝った殺人を得意とする。
本人曰く「私にとって、殺人はパズルゲームみたいなもんだよ」。
普通に戦っても強いが、どちらかというと暗器を使って卑怯に殺す方を好む。
本人曰く「自分が何故殺されたのか全然判んないまま死んでいく……そんな顔が堪らないねぇ」
暗器は大量に常備しているため、カーネルから「歩く暗殺博物館」とからかわれている。
日本で活動したときは、短縮型M1カービンをベースにした仕込み銃を使用。
439創る名無しに見る名無し:2011/12/03(土) 21:15:40.76 ID:vqFTs5Rz
面白いなやっぱ.海外ドラマっぽくて
どんどん来てほしい
440創る名無しに見る名無し:2011/12/05(月) 20:09:54.87 ID:76lmTaFf
ちょっとデミトリィを他のところで使わせてもらいます。
441創る名無しに見る名無し:2011/12/05(月) 22:44:35.18 ID:uS94FUHo
他のスレ住人はどうかしらんが……どんどん使っちゃえ(笑)。
ちなみに437のキャラは他スレで活躍中。
442創る名無しに見る名無し:2011/12/10(土) 18:49:58.89 ID:Y44h4rgV
《人物名》スワ・ユウマ(諏訪悠磨)
《人物紹介》日本人
《簡単な説明》日本人。三重県出身。ひょうきんな性格。
   見た目は二十代後半から三十代半ば優男。
   無論、英語は喋れない。日本語を話す際は、伊勢弁を話す。
   口癖は「ウケルわ〜」と「キギョーヒミツヤ」。イヒヒヒと笑う。
   自称「化け物を二回殺した英雄」。胡散臭い態度をとる。
   未解決事件や、不可解な事故などを独自に調査する。
   経歴などは口にしようとしないが、銃器に精通している。
   愛銃はカスタムされた64式小銃。
443創る名無しに見る名無し:2011/12/10(土) 23:17:09.36 ID:7a+HEM3o
とんでもない世界観になってきたなと(笑)。
諏訪っていうのは「愚者」に出てきてた彼でしょう?
それだと諏訪対サージ対ハーパー対モンスターなんてのも組めちゃうことになる。
むかし「バイオニック・ジェミー」に宇宙人が出てきたり、「悪魔くん」に未来人が出て来る話もあったから、FBIもので超自然臭の強いのを一本組むのもアリかも。
444創る名無しに見る名無し:2011/12/12(月) 18:34:59.18 ID:z2ZK+jZm
実はというと、諏訪くんとディミトリをもっと凄いとこに出すつもり。
スレ汚しになるかも知れないので一応、言っておきます。
445創る名無しに見る名無し:2011/12/22(木) 01:58:49.96 ID:vqGyCgbV
宇宙人だか幽霊なんだかわからんのが出てきて謎が残るって話は結構多いよね
スレが賑うのはいいことだ
446創る名無しに見る名無し:2011/12/24(土) 23:22:54.48 ID:sQdYfy28
「旅する死神」はDT設立に至る経緯の話しなんで、意図的にDTメンバー全員を登場させなかった。
例えば、DTの監視を命じられているルイなんかが、ファイルNoゼロに出てきたらおかしい。
だから手順から言えばファイルNo1を書く人は、ルイなんかの正規組織となって以降に加わったメンバーを描かなきゃならないんだよね。
ゼロ段階からのメンバーと1で加入のメンバーとの邂逅とか不和とか和解の話しを。
オーソドックスな事件だけど、例えばディミトリとルイが対立できるような話。

誰か書かない?
447創る名無しに見る名無し:2011/12/30(金) 14:35:02.39 ID:QNaYDtj3
支援age
448創る名無しに見る名無し:2012/01/17(火) 01:31:05.67 ID:cbHIAAQ5
ルイスの設定的に早く見たい
プライド高い小物→仲間思いの皮肉屋 になると思うし、凸凹コンビもみたい
過疎ってるのはおしい...
449創る名無しに見る名無し:2012/01/17(火) 23:06:56.40 ID:9mMUNxQb
初登場で盛り上げ易いのは、確かにルイだね。
キャラ設定に「爆発物処理」があるから、ラストにこれをもってくると盛り上がるかな?
最初は格闘でも射撃でも道場チャンピオンで、実戦では??と描く。
そのクセ喋くりや理論武装は一流で、正直うざい。
でも最後に爆発物処理で意地を見せる。
例えばこんな感じに。

 起爆装置を解体しきったところで汗を拭きふき振り返ると、ディミトリも汗だくになってへたり込んでいる。
緊張のため唾液も乾ききった口で、掠れるようにルイは言った。
「逃げろっていったでしょう?聞こえなかったんですか?」
「……オレは耳が悪いんだ」
「耳が悪い?……なのに、今の僕の酷い声はちゃんと聞きとれるんですね」
「うるさい、うるさい」と逃げるディミトリを冷やかすようにルイが追う。
「アンタも素直じゃないね。正直に言えば?『仲間は見捨てられません』って」
「だからオマエを仲間だなんて、オレはこれっぽっちも……」

以後二人の関係は、「口げんか」と「あげ足の取りあい」で進行する……ってな感じかな?
450創る名無しに見る名無し:2012/01/22(日) 20:27:36.96 ID:MoIJGID+
ルイの脳内イメージがFate/Zeroのケイネスがスーツ着てる感じなんだが…
わかんねーよな...
451創る名無しに見る名無し:2012/01/24(火) 07:45:25.54 ID:0X587Rb9
イメージが、ケイネス先生じゃなくてマーボーなのは俺だけ?
452創る名無しに見る名無し:2012/01/25(水) 21:06:58.69 ID:zAifDYPp
>>451
口調が丁寧なんだけど相手の痛いところをえぐっていく感じはわかる
表面的にはともかく、性格は違うだろうけど
453創る名無しに見る名無し:2012/01/28(土) 23:37:32.63 ID:TrGFeTsK
Fateっていったいなんだ?と思って調べてみたが、大昔のメディアミックスのころの女神転生みたいなものらしいね。
幸い、北欧、ケルト、マヤ、インカ、ギリシャ等々ネタは持ってるから、そのうちそれっぽい話でも創ってみるかな。
願望器が中心になるんだったら……日本民話の「竜宮の臼」をもってくれば、ヤマトタケルとか崇徳上皇とか、大河ドラマ主役の清盛だって出せるけど。
……ちっともFBIじゃないのが難だな。
454創る名無しに見る名無し:2012/01/31(火) 16:42:51.42 ID:htsEDQWX
>>453
魔術士たちが英霊を召還して殺し合いをするアニメ・ゲーム・ラノベ
結構、シリアスでグロ描写もそれなりにある……こんな感じか?
455創る名無しに見る名無し:2012/02/02(木) 18:19:59.85 ID:46cw7SKY
誰得なんだ俺的声優キャスト
(アニメ版/吹き替え版)
トーマス・ベックマン:斧アツシ/菅生隆之
チャールズ・ハーパー:速水奨/森田順平
キャリー・グリーン:喜多村英梨/小林早苗
ディミトリ・ノラスコ:稲田徹/乃村健次
ルイ・フィリップ・プラン:中村悠一/咲野俊介
ソフィア・プリスキン:豊口めぐみ/本田貴子
クリストファー・ウィンフィールド:/檀臣幸
エミー・ハワード:田中理恵/田中敦子
サンベルト・ロレンツォ:緑川光/桐本琢也
バーナード・ブルータス・ウォレス:茶風鈴/石住昭彦
ケヴィン・レーマン:平田広明/横島亘
ボブ・ラインハート:田中一成/落合弘治

456sage:2012/02/02(木) 18:23:25.25 ID:46cw7SKY
>>455
修正
クリストファー・ウィンフィールド:中井和哉/檀臣幸

マジで誰が得すんだこれ...orz
457創る名無しに見る名無し:2012/02/12(日) 20:47:32.73 ID:MAaSMUeQ
過疎
458創る名無しに見る名無し:2012/02/18(土) 12:16:31.07 ID:LQJMl4Qk
>>455-456
中井=ギルガメ 中村=トレイ 豊口=クンミ
田中敦子=アレシア 田中理恵=エミナ

ほぼ、FFゼロ式な件
459創る名無しに見る名無し:2012/02/18(土) 23:22:46.82 ID:LQJMl4Qk
ちなみに俺得Ver
ハーパー:堀内賢雄
トム:井上和彦
キャリー:斉藤千和
ディミトリィ:伊藤健太郎
ルイ:石川英郎
ソフィア:川澄綾子
クリス:高木渉
エミー:伊藤静
ロレンゾ:千葉進歩
ケヴィン:田中正彦
ボブ:東地広樹
460!ninja:2012/02/23(木) 17:02:49.58 ID:iLIR1NkU
age
461創る名無しに見る名無し:2012/03/01(木) 16:29:54.02 ID:DshFfkZg
ところで第2話みたいな
第一話も面白かったし
462創る名無しに見る名無し:2012/03/05(月) 18:32:01.45 ID:dJe+oncw
生き場のない、アンドロイドのメイドも使ってもらえませんかね…?
名はチェリーと言います
超高性能の原子炉つき美人メイドです
ろれつの回らない喋り方が特徴です
外見はベティ・ブープとマリリモンローを足した感じです
雇ってもらえるまで夜の街中をフラフラと徘徊しています…
あぁ、もうエネルギィが切れてしまいます、助けてやって下さい
463創る名無しに見る名無し:2012/03/06(火) 14:29:21.13 ID:hxrbjwaA
age
464「明戸村縁起」:2012/03/06(火) 22:15:58.97 ID:54ScpkXm
誰かが書くのを待つのでなく、自分で書くのじゃ。
465創る名無しに見る名無し:2012/03/07(水) 18:59:02.67 ID:v54pEX6m
今は↑のフィニッシュに掛ってるんでこっちには書けないけど、終わり次第FileNo1を構成してみる。
再投下は他の住人投下作を2〜3作挟んでからがいいと思って、そっち用のは構成が進んでたんだけどね。
でも第二話ってことになると別に構成しなきゃならないなぁ…。
第一話は映画の「タワーリングインフェルノ」に倣った形にした。
だから第二話は……第一話とのコントラストをつけるためにもメインルートを決めた構成にする予定。
メインはディミトリィとルイのコンビ。
事件は仕掛け殺人というか殺人装置でいこう。
仕掛け殺人ってのは、犯人が直接的に殺人を犯すんじゃなく、予め設定しておいた「装置」で人を殺す方法ね。
典型的なのは時限爆弾。
それからアメリカで流行った装置だけど殺人金庫。泥棒が金庫を開けると中に仕掛けられた銃が発射されるってヤツだね。
殺人じゃないけど、教室のドアに黒板消しを挟んどくのも、手としては同種だ(笑)。

……当初は事故としか思われなかった殺人。
被害者は学校教師、元舞台俳優など多岐にわたり、犯人は一度使った装置を二度とは使わなかった。
被害者を繋ぐ糸は?
そして、なぜ犯人は毎回違った方法で殺人を犯すのか?
「FileNo1 殺人装置」

……こんな感じかな?
466創る名無しに見る名無し:2012/03/23(金) 00:59:55.69 ID:8JaAxIDp
>>465
楽しみに待ってます
467創る名無しに見る名無し:2012/03/24(土) 00:07:46.29 ID:Pufyd/vl
スレが落ちてもなんだから……少しづつボチボチ始めるか。
468「殺人装置」:2012/03/24(土) 00:09:49.68 ID:Pufyd/vl
 「……おいエマ、誰かお客かい?」
「小包よ。宛先は……アナタみたいね。また何か買ったの?」
一介の高校教師、ロイ・ヘンダースのもとに「それ」が届いたのは、午前9時半前後のことだった。
天気予報は、その日の最高気温を15°と予報していたが、室温計はこの時すでにその予報された温度に届きつつあり、ロイの部屋の窓も前の芝生に向け開け放たれていた。
「小包?……何処から?」
「名前が書いてあるけど……覚えがないわ」
「どれどれ」
デスクから大儀そうに立ち上がると、冬眠明けの灰色熊のような姿勢でロイは書斎からやって来た。
「…………誰だ?」
送り状を見てロイも呟いた。
「あなたの教え子の誰かじゃないの?」
「…かもな。でも、覚えはないな」
小包を手に、ロイは妻に背を向けた。
昨年仕事を辞めるまでに、いったいどれくらいの生徒を相手にしただろうか?
正直、全員の名前を覚えている自信は無かった。
「開けて中を見れば思い出すだろう」
そんなことを呟きながら灰色熊は書斎に引っ込んでいった。
それから数分後………。

ガタン!

硬い物の倒れるような音、それからドタッというもっと柔らかくて重量のあるものが崩れる音がして、エマは縫物の手を止めた。
どうも音は書斎の方から聞えたような気がする。
「……あなた?また何か落っことしたのね」
退職後運動不足気味で体力低下の目立つ夫が、またなにか家具を落とすなり倒すなりしたに違いない。
エマが最初に想像したのは、その程度のものだった。
しかし、書斎からは予想した弁解も詫びの言葉も返ってこない。
「あなた?……ロイ?……どうかなさったの??」
(しょうがないわね)
縫い針を置きエマは立ち上がった。
居間を出て玄関前を抜けると、書斎は短い廊下で一直線だ。
ドアが開いていれば、わざわざ書斎まで行かなくとも用事は事足りるだろう……。
玄関前まで出ると、エマの想像していたとおり、定書斎のドアは開きっぱなしになっていた。
ロイの体がドアストッパーの代わりになって。
「あ、あなた!?どうしたのあなた!?」

ドリームチームの事件簿
ファイルNo1「殺人装置」
469「殺人装置」:2012/03/28(水) 22:41:21.45 ID:AZ99EAaK
 寝起きの髪もそのままのジャージ姿でエミー・ハワードが地下射場に下りていくと、そこには既に先客が居るようだった。
バンッ!バンッ!バンッ!っとコンクリートに木霊す発射音に(……9ミリね)とあたりをつける。
(ソフィアかしら?)
こんな早い時間から射撃場に降りている相手として思い当たるのは、ニューヨーク市警からFBIにトラバーユしてきたばかりのソフィア・プリスキンだけだ。
バンッ!…バンッ!………バンッ!…………バンッ!
(……テンポが落ちてきたわね。リズムが無い上に指疲れってこと?ソフィなら……)
彼女なら正確さはそれなりだが、ともかく早いしタフだ。
ダブルアクションで指疲れするようなことは……。
(いったい何処のヘタレだよ?)
階段を下りきって遮音ドアを開くと、銃声のボリュームがいきなり撥ねあがった。
背後の気配に気づいて振返ったのは見知らぬ男だった。
背はエミーと同程度で、男性としてはそんなに高くない。
栗色の髪が描くウエーブは天然だろう。
グレイの眼の両サイドには、そう年にも見えないのに笑いジワが刻まれている。
そして、初対面の女性の胸の上に落ちた視線を隠そうともしない!
エミーは確信した!
(こいつ絶対フランス野郎だよ。…ってこたぁ)
「あんた……」
しかし、エミーが名を呼ぶより一瞬早く、フランス野郎は片手を差し出し自ら名を名乗った。
「僕はルイ。ルイ・フィリップ・ブラン。君なら、ルイスって呼んでくれていいよ」
470創る名無しに見る名無し:2012/04/03(火) 02:14:17.43 ID:1KEEY6mh
しにがみ様、梅原益男を今、地獄につれて行って
471創る名無しに見る名無し:2012/04/10(火) 17:55:52.17 ID:+adAarIg
キター!
472創る名無しに見る名無し:2012/05/05(土) 22:56:54.30 ID:s0k/0xfl
age
473創る名無しに見る名無し:2012/05/22(火) 09:06:00.84 ID:162fNhNm
ワロタww
474創る名無しに見る名無し:2012/05/22(火) 22:42:46.23 ID:jpK+0kM2
やっと規制が解けたか。
いや、長いまきぞえ規制だった。
おかげでネタを練れたけども。
465で書いた殺人方法に関する縛りは外そう。
それから私立探偵ボブ・ラインハートを使おう。
表のネタは「本当に殺人が起こっているのか判らない」。
裏のネタは……こっちは伏せとこう。
裏ネタの方で、犯人とラインハート、それからルイが繋がる形にする予定。
では、やっとこ再開。
475「殺人装置」:2012/05/22(火) 22:52:01.50 ID:jpK+0kM2
「いっやーー、喋る喋る。こっちゃ射撃練習しようってワザワザ朝早くっから出て来てんのに、撃つヒマなんてありゃしない」
今度はエミーの喋りが止まらない。
パソコンの向こうで笑って聞いているのは、クリストファー・ウィンフィールドとキャリー・グリーン。
ルイ同様やはり先日東部から赴任してきたケヴィン・レーマンは頭痛でもするのか、こめかみを押さえ顔を顰めている。
「そんでもってコイツが…」と言いながら、エミーはルイを顎でさした「……コイツが言うのよ。『この銃、サイトがぁ狂ってるよぉ。修理してもらわなきゃ』って」
ワザとフランス風を強調した発音に、エミーの悪意が感じられる……。
「でもさあぁ……」
打たれ強いタイプなのか、ルイは笑顔を絶やさない。
「どんだけちゃんと真ん中狙ってもさ、全部左下にいっちゃうんだからさぁ。これってやっぱり……」
「あんたアカデミーで何習ってたのよ」
エミーの攻撃は容赦ない。
「…いい?アンタの銃は、DAOなの!左下に着弾すんのはDAOだからなの!」
ダブル・アクション・オンリー(=DAO)と言わないところが意地悪だ。
どう?判る??判んないでしょー?と言いたいのだ。
しかしルイスは、軽く肩をそびやかせ、笑顔のグレードを一層アップさせた。
「お生憎様、僕だってFBIのエージェントだ。DAOの意味くらいちゃんと知ってるよ。
シングルアクションで撃てない、ダブルアクションでしか撃てない仕様の拳銃のことさ」
「だったらダブルアクションの銃のクセだってちゃんと知ってるわよね?」

ドイツ警察がH&K社のP2000V5を採用したとき、射撃教官は警官たちの射撃は、一様に標的の左下にずれる傾向を示していることに気がついた。
教官ら警察側は銃の欠陥を疑ったが…………原因は射手の側にあったのだ。
ダブルアクションの引き金は重いうえにストロークが長い。
その引き金を引く人差し指の動きは、右手の場合、銃を下げると同時に左にぶらす……。
普通のオートマチックピストルでは、初弾はダブルアクションで撃ったとしても、二発目からは引き金が軽くストロークも短いシングルアクションで撃つことになるから、着弾のズレは目立たない。
しかし、P2000V5はDAO、つまりダブルアクションのみでしか撃てない仕様だった……。

「も、もちろん知ってたさぁ!」
さらに微笑みをアップグレードさせエミーに対抗するルイ。
しかし意地悪くニヤッと笑ったエミーの顔には、「うそつけ!」と書いてある。
「ねえルイ、こんな話、ディミトリィに聞かれたらた、アンタ大変よ」
「ディミトリィだって?あの元HRTの問題児がいったいなんだって……」
ルイのつくり笑顔のグレードが頂点に達しかけたとき……。
ガ、ガタンとぎこちない音とともに、部屋のドアが開いた。
「おい、オレがどうしたって?」
ディミトリィが立っていた。
具合の悪そうな大柄の男性に脇から肩を貸し、必死にその体躯を支えながら。
476「殺人装置」:2012/05/22(火) 22:54:36.08 ID:jpK+0kM2
………
「いったいぜんたい、どうしたっていうんだ?」
クリスが皆に時計を掲げて見せた。
ディミトリィが運び込んだ男が、主任のベックマンと別室に篭り切りになってから、もうまもなく一時間になろうとしていた。
「ねえディミィ、ほんとにあの人、ハープに会いに来たの?」
多数のメモのせいでミノムシのような有様のパソコンの向こうでエミーが眉寄せると、こちらも眉を寄せディミトリィが応えた。
「ああ間違いない」

……
その朝オフイスに出てきたディミトリィは、フロックコートの後ろ姿が壁にもたれかかっているのに行き合った。
大きく上下するボロコートの肩。
その向こうに、がっくり折れた後頭部が見え隠れする。
『おいオッサン、どうかしたんか?具合でも悪りいんなら医者に……』
『い、いや…………大丈夫だ』
背中を向けたまま右手を挙げて男は答えた。
『いつものことだ。もう……慣れっこさ』
『だがよオッサン……あんまり大丈夫なようにゃ……』
『ありがとよ。だけど……医者じゃ直せねえんだ。この……病気は……』
男は、「病気」という語に奇妙なアクセントをつけた。
『医者じゃ直せない?……でもあんた……』
『この病気、直せるのは病院じゃねえんだ。直せるなぁ………さんだけなんだよ』
『ん!?オッサン、いま言ったんか?ハーパー?チャールズ・ハーパーって?FBIのか?』

「……病院呼ぼうとしたら副主任の名前をだしたもんだから、ここに運びこんだんだけどよ……」
ディミトリィは時計をチラ見して腕を組んだ。
「……でもディミィ」
貼り付けられた多数の何枚かが、剥がれて落ちる。
「ハープは今日、ヴァージニアよ」
「…忘れてたんだよ」
うるさそうにディミトリィが言い返す。
「でもー」
ここで素早くキャリーがクチバシを突っ込んだ。
「副主任がお医者さんだなんて、知りませんでしたねー」
「んなわけないでしょ」
言い返した拍子にまたパソコンから2〜3枚のメモが飛んだが、エミーは拾おうともしない。
「ハープが医者のわけないでしょ」
「でもあのオジサンはー…」
「だっから、『言葉のあや』ってヤツよ!ハープに病気なんて直せるわけ……」
そのとき、予期していたのとは違う廊下側の扉が開いて、ベックマン主任が入って来た。
「……案外そうでもないよ、エミー」
477「殺人装置」:2012/05/27(日) 00:07:41.15 ID:o3mWhtTP
 ベックマンの話によると、男はビルの裏手にある通用口から帰ったとのことだった。
「彼の名はボブ・ラインハート。私立探偵だ」
クリス・ウィンフィールドの目線が一瞬焦点を失い天井を彷徨うのに、エミーは気づいていた。
「私立探偵?…というと商売敵じゃないですか?」
笑顔でそう言ってからフランス野郎は「……僕はルイ・フィリップ・ブラン。ルイスって呼んでください」とそつなく言い足した。
「ああ、放ったらかしにして悪かったね。はるばるロスまでようこそ」
「いえ、気になさらないでください」
差し出されたベックマンの手を、ルイはいかにも儀礼的に握り返した。
「そうだな……それじゃ此処での仕事始めってことで、君にお願いしてみようかな?」
「……は?」
478「殺人装置」:2012/05/27(日) 00:09:28.67 ID:o3mWhtTP
「ってなわけでアンタが出るのは判るとして、なんでアタシまで付き合わなきゃいけないわけ?」
「仲が良さそうに見えたからじゃない?」
「……バカ言わないでよ」
ハンドルを握ったエミーがぼやく。
「マジメに答えるとさ、キミのキャリアが買われたってことだろ」
「……へえ、知ってるんだ」
「ああ、知ってるよ」
ルイはワザとらしく、窓の外に目をやった。
外は、ヴァージニアではめったにお目に描かれない、脳天気なほどのピーカンのバカっ晴れだ。
「……キミの得意は潜入捜査なんだろ」
エミーはこの出動のために、愛用のダボダボ・ズルズルの古ジャージから、すっきりしたグレイのスーツに着替えていた。
頭のてっぺんから足の先まで、どこからどう見てもまっとうな「働く女」だ。
「捜査関係者だって判んないように動かなきゃなんないから君が……」
助手席のルイも、下はそのままだがジャケットはありふれた吊るしのものに変えていた。
「判ってるわよ、今さらそんなことアンタに言われなくたって。でも……」
エミーがハンドルを切ると車は、規格品の家の立ち並ぶ、機能的だが無個性な町並みに入っていった。
第二次世界大戦後の都市部の急激な労働人口増加に対応するため建設された家々だ。
建てられた当時はそれなりに小奇麗だったのだろうが、今ではくたびれ、疲れ、衰退の色を隠せない。
「なにをどう動きゃいいのよ……事件があったのかどうかも判んないなんて」
そのときルイが驚き声をあげた。
「ありゃりゃ、なにこれ?この街にだけ大雨でも降ったってわけ?」
行く手の路地の真ん中に水たまり……というより、池が広がっていた。
水で遮断された路地の両側に、住民たちが何人も困り顔で並んでいる。
「排水溝が詰まってるみたいね」
道路の向こうを遠望する住民たちの様子から、すでに役所への連絡は済んでおり、担当の者が到着するのを待っているのだろうと、エミーは考えた。
「渡れる?」とルイ。
「ゴミ缶が浮いてないから深さはたいたことないわ。…行くわよ」
「…なるべくゆっくりな」
車は船のように「池」を押し渡り、その向こう側に上陸しすると、目指す家は、「池」のほとりに建っていた。
排気管からの浸水を気にしたルイが車体後部を覗きこんでいるうちに、エミーはさっさと目指す家の玄関ポーチに立ち呼び鈴に指をかけていた。
暫くすると、室内から引き摺るような足音がやってきて、やがてゆっくりとドアが開いた。
「…マッケインさんのお宅ですね」
ドアの隙間からひょっこり顔をのぞかせた老婦人に、ルイと喋っていたときとはうって変わった親しげな口調で、エミーは喋り出した。
「私、一時間ほど前にお電話さしあげました、アナハイム・アドヴァタイザー誌の記者で、アナ・ウォードです」
479「殺人装置」:2012/05/28(月) 23:39:25.82 ID:QlxfhwYl
「私たちの社では…この困難な時代にあたりまして、いわゆる偉人とか有名人ではない、普通のアメリカ人の生涯をとりあげていきたいと考えておりまして……」
インチキ記者「アナ・ウォード」こと、エミーの喋りは、立て板に水だった。
「……先日お亡くなりになられたご子息さまを、その一人に……」
台本があるわけでもない。入念に演技練習してきたわけでもないのに、エミーの喋りはあくまで自然だった。
(まるで女優だな……)
ルイにはエミーのわきでカメラを膝に置いて、ただ神妙にしていることしかできない。
「ご子息さまは、伝統的価値観の大きく揺らぐこの時代にあって、揺らぐことなく郷土防衛、具体的には州兵の募兵や新兵教育に力を尽くされ……」
(……いや、女優じゃないね。彼女は詐欺師だ)
心の中でルイは舌を巻いた。
『揺らぐことなく』という部分で老婦人の口元がかすかにほころんだのに気がついたからだ。
事務的な口調で信頼感をかもしつつ随所にくすぐりも散りばめながら、エミーは会って数分も経たないうちに相手の懐に入り込んでしまっていた。
老婦人はエミーの話にしきりに頷きを返し始めた。
(この女が結婚詐欺師にでもなったら手がつけられないね……)
ルイは視線をエミーの胸元へ……。
そのとき、窓の外にドロドロドロ…と低く震動するようなエンジン音がやって来た。
(ディーゼルエンジン……道路管理事務所の作業車がやっとご到着か)
ルイは再び注意を室内に振り向けた。
小奇麗に整えられた室内は、家を管理しているであろうこの婦人の性格を端的に著していた。
ただ、窓辺に置かれた鉢植えに花の咲きがらが目立つ。
最後にハサミが入ったのはざっと一週間前だろうと、ルイは推察した。
(一週間前……つまり彼女の一人息子が死んでから、一度もハサミが入れられていないということか)
鉢植えの横におかれた皿にもうっすら埃が積もっている。
その手前のテーブルにも埃。
位置のおかしな椅子。
一つだけ、ベルトに止まっていないカーテン。
室内を更に見渡せば、同じような気配は至るところに見受けられた。
そもそも目の前の「老」婦人は、本当のところはまだ老人と形容されるような年にはほど遠いはずなのだ。
(不意に訪れた「死」が、この女性にどれほどのダメージを追わせたのか……だが)
室内に「殺人」を連想させることがらは何一つない。
確かなことは、一週間前、あの鉢植えの置かれた窓辺で、この家の一人息子ジョゼフ・マッケインが死体で発見されたということだけだ。
エミーと婦人の話しを邪魔しないよう、そっと席を立つと、ルイは窓辺に歩み寄った。
(スナップドラゴンか、コイツの茎は折れやすい。近くで何か立ち回りがあって、コイツが無事なんてことは……)
そっと鉢を持ち上げると、その下には全く埃は積もっていない。
(……あとから動かされたってわけでもなさそうだな。…でこっちの皿にも埃か)
鉢植えと並んで置かれていたのは汚れ一つない真白な皿で、その上にも窓枠と同じく埃が積もっていた。

「うわあっ!なんだこりゃあ!?」

突然、ルイの立つ窓の外で、男の野太い悲鳴が上がった。
見ると、排水孔を調べていた男が、何か泥にまみれたバスタオルのようなものを、気持ち悪げに掴んでいる。
「くたばるんなら、どこか他でくたばりやがれ!」
道路管理事務所の男は、排水孔から引き摺りだしたものを、早くも水の退きはじめた歩道に投げ出した。
手荒な扱いに抗議するように、それから異臭が立ち上る。
排水孔を詰まらせ、住宅街に池を現出させたもの。
それは、一匹の猫の死骸だった。
480創る名無しに見る名無し:2012/05/28(月) 23:46:00.81 ID:QlxfhwYl
書き手注
「スナップドラゴン」というのは、和名「金魚草」のこと。
DAOピストルのときのように、本文中に説明を入れようかとも思ったが、和名の説明を本文でするのも妙だと思ったので止めた。
金魚草って普通に書いてもいいけど、それよりは「スナップドラゴン」と書いたほうが、それっぽいかな…というわけで。

481創る名無しに見る名無し:2012/05/30(水) 23:17:04.16 ID:bqXF1DFJ
ひと通り「取材」を終え車に戻るなり、「アナ・ウォード」はエイミー・ハワードに戻った。
「息子さんの死の状況に母親は打撃を受けてたけど、不審死だとは感じてないわ」
「ジョージ・マッケイン。1975年7月16日生まれ、37歳。白人。アイルランド系……」
ルイは車窓の外に目をやりながら、事務所で目を通してきた「被害者」のプロフィールをそらんじた。
「……ちょうど一週間前の午前11時30分ごろ、自宅で倒れているのを発見。場所は…さっきのあの部屋のあの窓辺だ」
「調べてなにかあった?」
「なにも」
「なにも?……ホントに?」
エミーは気がついていた。
さっきから、ルイは一度も彼女の胸元を見ていない!
「なんか気がついたんじゃないの?」
「………答え難いこと聞かないでくれないかな?」
ルイの言葉に、エミーは微かなザラつきを覚えた。
何か気になる。
何かを見た。
そんな気がする。
でもそれが何なのか、ルイ自身にも判らない……。
(ま、たいがいそんなとこね。ホントに男ってやつらは……)
エミーはフランス野郎を好きなだけ放置することにした。
(…でも、この野郎にオッパイを忘れさせるような「何か」って、なんなのかしら?)
482「殺人装置」:2012/05/30(水) 23:20:18.81 ID:bqXF1DFJ
「そっちはどうだったの?」
エミーとルイがオフィスに戻ると、先に戻っていたディミトリィがベックマンに調査結果を報告しているところだった。
「いま主任に報告してたところさ」
ベックマンとディミトリィの表情から、不審の点は何も浮かんでこなかったのだと察した。
「ジョージが倒れてると母親から電話がかかってきたとき、医師は、自殺を疑ったそうだ。
ジョージ・マッケインにはここ何年もノイローゼ気味で、最近は特に不眠が酷かったらしい」
エミーはディミトリィの言葉の中に、何か苛立ちのようなものを感じ取った。
「ノイローゼ?原因は??」
「彼は……ジョージは州兵の募兵業務に携わってきた。ところがどうもアフガンだかイラクだかで、彼の募兵した若い兵士が何人も立て続けに死んだらしい」
エミーは、ディミトリィにもイラクでの軍歴があったことを思い出した。
「親が離婚したり、勤め先を馘首になったりして、経済的に恵まれない……そんな家庭の子供の就職先の一つが、軍隊なんだ。
募兵官の中には、そういう貧しい家庭の子供を狙い撃ちするような奴だっているんだ」
エミーは以前知り合いに無理矢理進められて見たピーター・ジャクソン監督の映画を思い出した。
「募兵官たちは言うんだ。
軍隊にはいらないか?軍に入れば、他じゃ金を払わないと覚えられないようなスキルがただでゲットできる。
それどころか給料だって貰える。家族に仕送りだってできるぞ。
なんならそれを貯金して、除隊してから大学に入り直したっていいじゃないかってさ。
もちろん募兵の連中だって悪意があるわけじゃないぜ。大昔の人買いとは違うんだ。……けどよ、9.11で状況は全部変わっちまったんだ」

483「殺人装置」:2012/06/02(土) 23:54:09.78 ID:X0iVgDhu
 「…で、結論的にゃ、医師は死因に不審の点があるとは認めなかったのね?」
脱線しかかったディミトリィの説明を元に戻すため、エミーは強引に口を挟んだ。
「ああそうさ。医師は、倒れたとき負ったもの以外、遺体に外傷を認めてない」
「でも検死は?自宅で死んだんだから、検死が行なわれたはずよね?」
病院など医師の管理下において、医師が管理していた傷病で死んだ場合以外は<変死、または変死の疑いのある死体>として検死手続きが行われる。
自宅での死亡は、一般に医師の管理下にないので検死がなされるのが原則だ。
主治医は「自殺を疑った」くらいなので、予断をもってことに当たった可能性がある。
しかし検死官はニュートラルな頭で遺体に向き合ったはずだ。
「もちろん検死は行われた」
「…そっちでも何も出なかったっての?」
「……」
ディミトリィは黙ったままムッツリと首を縦に振った。
「じゃ…外傷が無かったっていうなら、毒殺は?」
「ジョージは死亡前12時間以上、家の外では何も食べてない。最後の食事が前の晩自宅でとった夕食だった。そんでもって作ったなぁジョージの母親さ」
エミーはつい一時間ほど前、インチキ取材を行った相手の顔を思い浮かべた。
まだ50半ばのはずなのに、疲れた老女としか見えなかった。
(まさかあの母親が……ダメ!ダメ!予断は禁物よ)
頭を切り替えると、エミーは更に突っ込んだ。
「胃の内容物は?胃に何か残ってなかった??」
「なんにもねえ。前日の夕食も、それから食後に飲んだはずの精神安定剤も、就寝前に飲んだと思われる導入剤も含めて、胃の中に未消化物は残ってなかった」
遺体に外傷が無く、胃にも何かを飲食した痕跡は残っていなかった。
そして生前のジョージは、不眠その他のノイローゼ症状でかなりの衰弱を示してもいた。
(それなら……医師や検死官が病死と判定するのも無理は無い)
ここにきてエミーも、ディミトリィがどこか不機嫌に見えるワケが判った。
(それじゃ……殺人なんかじゃないじゃないの?)
不機嫌そうな上目遣いでエミーを見返すディミトリィ。
一方、ルイは車に乗っていたときと同様皆に背を向けたまま、視線を窓の外にやっている。
エミーは視線をディミトリィからベックマンに移した。
「あの…主任、今回のこの捜査指示は、如何なる根拠に基づくものだったんでしょうか?」
「…………」
ベックマンはデスクの上で組み合わせた両掌に視線を落したまま、しばらく何も言わなかった。
「エミー、ルイ……」
視線を落したまま、ようやく口を開いたベックマン。
だが彼が口にしたのは、その場の誰一人として予想もしていない事柄についてだった。
「………捜査の過程で……箱とか檻とか……そんなものに思い当たらなかったかい?」
484「殺人装置」:2012/06/24(日) 23:27:47.73 ID:RumeWDp6
出来たばかりの新チーム、Wide range investigation unit(広域捜査班)。
だがその編成理由は「旅人事件」でのFBIの失敗を糊塗するためのマスコミ対策に過ぎなかった。
そしていま、急造チームの脆い結束に、早くもヒビが入りはじめていた。
たった一人の私立探偵の出現によって……。
チャールズ・ハーパーがヴァージニアから戻ってきたのは、ボブ・ラインハートが現れてから2日後のことだった。
485「殺人装置」:2012/06/25(月) 23:36:47.66 ID:gGJKvM/f
「あんたのせいよ!ハープ!!」
「だから、さっきから尋いてるじゃないか」
北米大陸を横断する長旅の翌日……。
コンピューターのディスプレイ越しに睨むエミーの前で、ハーパーはすっかり困り果てていた。
「……なんでオレのせいなんだ?」
「あんたを尋ねて客があったのよ。名前は……」
エミーはボブ・ラインハートの出現とそれに続く捜査の顛末を、一気呵成にまくしたてた。
「ボ、ボブ・ラインハート?彼がここに来たのか?」
「そうよ!」
エミーの視線がいっそう鋭さを増す。
「そのおかげで、たった三日でチームはバラバラよ!クリスがネットで調べたら、ボブ・ラインハートって心霊探偵じゃないの!」

心霊探偵とは、心霊現象も科学のうちに数えられていた19世紀の後半から20世紀の初めごろ出現した職業だ。
ジョゼフ・シェリダン・レファニュの生みだした「マルチン・ヘッセリウス」。
アルジャノン・ブラックウッドの「ジョン・サイレンス」。
それからホジスンの「カーナッキ」。
このあたりが創作ものの代表的な心霊探偵だろう。
現実の心霊探偵としてはオランダのジェラルド・クロワゼットなどがいる。
彼らは心霊能力、あるいは擬似科学を用いて犯罪捜査に当たるが、そのため世間の常識派からは常に胡散臭い目を向けられる存在だった。

「クリイが心霊探偵って言った途端よ。『付き合いきれねぇな』」とか、『ボクは迷信深くは無い方でね』とかみんな言い出して……」
「それでバラバラっていうのか…」
エミーに言われて気がついた。
室内を見渡すと……ディミトリにクリス、それから小鳥か小動物のようなキャリーの姿も見えない。
部屋に居るのはエミー。
それから空気清浄機の傍のデスクでしきりに鼻をかんでいるケビン・レーマンの二人だけだ。

「(たしか留守にしてるあいだにルイとかいうのも来てるはずだぞ……)デミトリィたち四人は何処行ったんだ?」
「あたしが知るわけないでしょ!それからね、ハープ。四人じゃないわ!五人よ!!主任のトムまでどっか行っちゃったんだから!」
「ト、トムもかぁ?!」
486「殺人装置」:2012/06/26(火) 23:31:56.28 ID:kM/nQXLT
「あら?あなたこのあいだもいらした……」
「はい…」と言いかけてルイは、エミーが新聞社名をなんと言ったかド忘れしていることに気がついた。
ルイ・フィリップ・ブランは、先日エミーと尋ねたマッケイン婦人宅を今度は単独で再訪していた。
理由は……無い。
「気になって仕方が無いから」などというのはもちろん理由とは呼べないだろう。
よくわからない衝動と丸二日間にわたり睨みあったあげく、ルイはついに屈服することにしたのだ。
「……えーと、ははは……」
しどろもどろの誤魔化し笑いを、マッケイン婦人は死んだジョージへの哀悼の意味だと勘違いしてくれたらしい。
「アナハイム・アドヴァタイザー誌の方でしたね。どうぞ…」
婦人はルイを家の中に招き入れてくれた。

「あの……えーとですね…」
思ったようには言葉が出てこない。
エミーのようには……。
「(えい!畜生!!)実はですね。今日またお訪ねしたワケはですね。あの、写真を…お亡くなりになられましたご子息の、ジョージさんの、人となりを表せるようなですね、そんな写真をですね、一枚か二枚……いや、あの……」
つたない言葉を少しでも補おうと、ルイは膝のカメラをちょいと持ち上げて見せた。
「……お写真をあの、撮らせていただけないかと、あの……」
「それでしたらどうぞ」
マッケイン婦人が背を向け歩きだした瞬間、ルイは素早く冷や汗を拭った。

 再び通されたジョージの部屋は、先日訪れたときと寸分違っていなかった。
(時が止まった部屋……か)
親しい者の死を受け止めきれない遺族にとって、死者に関する時は、死の瞬間をもって停止するのだ。
「では早速失礼いたしまして…」
過剰に丁寧な言い回しをしてしまい、また冷や汗をかきつつ、ルイは窓辺に立った。
スナップドラゴンの鉢植え、ブルーの柄のハサミ、汚れ一つない白い皿。
どれも先日エミーと訪問したときのままで、ただ皿にははっきり埃がつもり、花には咲きがらばかりになっていた。
(……そうだ、間違いない。きっとそうだ。窓辺の鉢植えを手入れしていたのは母親じゃない。きっとジョージだ)
ルイの脳裏にある光景が浮かんできた。
庭に面した窓。
ハサミを手にした男が、黙って花の咲きがらを摘み取っている。
ただし、男の顔はジョージではない……。
(母と二人きりのこの家で、鉢植えの花にハサミを入れながら、ジョージは何を考えていたんだ?)
窓の外には庭とは呼べない狭い土地。
窓から手を伸ばせば届く位置にフェンス。
フェンスの向こうの道路には、見ていろ限り殆ど車も通っておらず、背の曲がった老婆がカートを押して渡っていく。
そしてその後を追って、毛のまだらに抜けた貧相な犬が……。
(犬!)
ルイの瞳孔がクワッと広がった。
487「殺人装置」:2012/06/26(火) 23:34:57.89 ID:kM/nQXLT
(犬だ、犬……そうか!この皿は……)
ルイはカメラを埃の積もった皿に向けた。
(きっとそうだ!なんで気がつかなかったんだろう。この皿はミルク皿だ)
ルイは婦人の方を振返った。
「ジョージさんは、犬を飼ってられたんですね」
「…犬?」
老婦人はなぜそんなことを聞くのか?というように首をかしげた。
「うちは犬なんて飼ってませんけど」
「…飼ってない?」
改めてルイは室内を見回した。
フローリングの床に動物の爪のあとは無い。
家具の足やドアの隅にも、動物が体をこすり付けた形跡はなかった。
(……そうか、僕の思い違いか……)
ルイは窓辺の皿にもう一目線を戻した。
(考えてみれば場所もおかしい。犬のミルク皿なら床に置くはずだ。こんな所に置いちゃあ犬は………あっ!)
そして……次の瞬間ルイの頭の中に、エミーと訪問したとき見た、ある光景がフラッシュバックした!
「マッケイン婦人、ご子息は猫を飼われていませんでしたか?」
「猫も飼ってはいません。でも……」
「……でも?」
「近所の野良ネコに懐かれてましたわ」
「ミルクもやってられましたね?」
「……ええ、そんなこともあったと思います」
(やっぱりそうだ)
何気ない光景が、目にしたときとは全く違う色合いを帯びて蘇る……。

『くたばるんなら、どこか他でくたばりやがれ!』
道路管理事務所の男が排水孔から引き摺りだした猫の死骸!

(まさか、ジョージがミルクをやってたのが、あの死んだ猫なんじゃ!?)
礼の言葉もそこそこに、ルイは時の止まったマッケイン婦人宅を飛びだした。
488「殺人装置」:2012/07/01(日) 23:38:37.89 ID:lYFXx4Hh
 ダウンタウンのオンボロアパート。
ヒスパニック系の若者が数人、入口階段わきに所在投げにたむろしている。
その何人かが、アパートに近づいてくる白人男性の存在に気付いた。
ジロリと睨む目線が、白人男性のそれとぶつかったが、白人男性は躊躇うことなくやって来る。
ついに白人男性がアパート正面に辿り着いた瞬間、ヒスパニックの若者は視線を逸らし道を開けた。
「……ありがとう」
敵意を感じさせぬ白人の声に、ヒスパニックの男は肩をすくめて言った。
「ロスの守護天使に喧嘩売るほどオレはバカじゃないぜ。ハーパーの旦那」
「なんだ知ってるのか。……それじゃついでに教えてくれよ。ここにボブ・ラインハートっていう男が住んでると思うんだが……」
「探偵のオッサンかい?いるにゃいるけど、ここんとこ帰ってねえみたいだぜ」
「帰ってない?」
「一週間ばかり姿見てねえから……おいオマエら」ヒスパニックの男は仲間の方を振返って尋ねた「今週んなって探偵のおっさん見た奴いるか?」
ヒスパニックたちは肩をすくめるなり首をふるなり、めいめいのやり方で「見てねえよ」と答えた。
「そうか……ありがとう。まあダメもとで一応上がってみるよ」
「探偵のおっさんの部屋なら、四階の突き当りだぜ」

 ハーパーはアパートの階段を上がって行った。
外から見たときは「オンボロアパート」だと思ったが、中にはいってみると「廃屋」かと思った。
ペンキが残っている面積より、剥げている面積のほうが遥かに広い。
壁には何か所も亀裂が走り、なかにはナイフが突っ込めそうなほどのもある。
試しに壁のスイッチに指を延ばしてみたが、薄暗い天井の照明は消えたままだ。
明かりが点かないのも道理で、よくよく見れば電球が嵌っていなかった。
(こりゃ、人の住むところじゃないぞ)
階段を上がって行くほど「廃墟」指数は上昇し、ボブ・ラインハートの住むという最上階でMAXに達していた。
三階までは階段から短い廊下が伸び、そこから四つのドアが並ぶ構造になっていた。
しかしボブ・ラインハートの住む四階には廊下は無く、階段の突き当りにただ一つドアがあるだけだった。
建物の道路に面した側から壁が斜めになってドアに迫っているのは、実際には此処が屋根裏に当たることを示している。
廃屋同然のアパートの屋根裏。
カリフォルニアの陽光が天井を焼き、夏場は蒸し風呂のようになるだろう。
(こりゃ……酷いな)
私立探偵の生活を想像しつつドアをノックしようとしたとき……ハーパーの拳が止まった。
(ドアが……開いてる……)
489「殺人装置」:2012/07/02(月) 23:22:07.70 ID:hI5hVjWg
 私立探偵などという職業の人間が、玄関にカギをかけないなどということはあり得ない。
外の若者たちが教えてくれたように私立探偵が戻っていないのならば………。
(…侵入者?)
そっとノブに手をかけると、嫌な音を立ててドアが開く。
その一瞬、蝶番ごしに影が動くのが見えた!
ハーパーが室内に飛びこむと同時に、ガラスの割れる音がして部屋にワッと風が吹き込んできた。
風の来る方を見れば明かりとりの窓に割れたガラス。
そして窓枠の外に消える影のかけら!
(屋根に逃げたか!)
反射的に拳銃を抜き放ち窓に駈け寄ると外はアパートの裏手になっていて、タラップ状の粗末な避難梯子が壁に据え付けられていた。
そこを一段づつでなく、消防署にあるポールのように使って、男が一気に滑りおりていく。
「…待て!逃げるな!」
…が、ハーパーの誰何に止まるどころか、男は滑り下りるスピードを更に上げた。
避難梯子は地上まで5メートルほどを残した高さで途切れている。
地上まで降りるためには、伸縮式になっている部分を地上まで延ばさねばならない。
ところが男は、梯子を降りる速度を落とさないまま、最後の5メートルほどを一気に飛びおりた!
かなりの高さを飛びおりたにもかかわらず、すぐさま男は走り出す。
(くそっ!)
ハーパーは窓越しに拳銃を向けるが、男が裏路地を折れる方が一瞬だけ速かった。

490創る名無しに見る名無し:2012/07/10(火) 23:08:48.09 ID:BwylDNWX
此処まで書きすすめたところで思い出した。
確か「トリ」とかを付けてくれって言われたっけ?

ところでトリってどんな理由で付けるの?
491創る名無しに見る名無し:2012/07/11(水) 00:01:44.17 ID:7Gf0TB7V
>>490
本人確認、なりすまし防止のための表示みたいなもんかと
(トリップのキーとなる文字列は本人しか知らないため)

文字列見れば誰か分かるってことで、ペンネーム的意味もあるのかも
492創る名無しに見る名無し:2012/07/11(水) 19:51:04.35 ID:QGwRqDfl
なるほど、了解。
でも「キーとなる文字列は本人しかしらない」とは限らないぞ。
私なら必ず忘れるからすぐ「本人もしらない」状態になる。
ところで、なりすましが出て来るくらいなら、スレが賑わう可能性もあるからむしろ歓迎なんだけども。
なりすましが書いた以上の構成で奪還すりゃいいだけだし。
「旅する死神」のときみたいに、他人が書き易いよう構成を公開しといた方がいいかな?
493創る名無しに見る名無し:2012/07/11(水) 22:22:45.35 ID:7Gf0TB7V
ぶっちゃけこの板、過疎だからなりすましすら出てこないw
むしろペンネーム的意味のほうが強いのかも
なので、
>他人が書き易いよう構成を公開
お好きなようにどぞ
494創る名無しに見る名無し:2012/07/17(火) 03:01:15.49 ID:ddeIilvY
とにかく他の書き手の方々にも頑張ってほしいですし応援しています
自分も頑張るけど作品書かないと過疎になるってジレンマorz
495「殺人装置」:2012/07/20(金) 20:36:44.57 ID:V9Rvviz6
「MIB?…MIBって、あの…これですかー」
キャリー・グリーンは唇をブルブルいわせ、光線銃を撃つ真似をしてからとってつけたような笑顔を見せた。
キャリーとしては単なるウケ狙いのつもりだったのだが……。
「それよ。そのMIB。Men・In・Black」
「え?…………」
キャリーのお喋りが一瞬フリーズした。

Men・In・Blackというのは映画のタイトルではない。
UFO=未確認飛行物体の目撃者や研究者の前に現れ、行動を監視し、あるいは脅迫を含む様々な方法で圧力をかける謎の集団のことを、黒服を着ているとされることから「Men・In・Black」と呼ぶ。
その正体については「政府機関の人間」説や「宇宙人」説などあるが、いずれにせよ都市伝説上の存在を出でるものではない。

「………………………そ、それじゃあの探偵さん、宇宙人だったんですかー!?」
とんでもないことを口走るキャリー。
一方エミーは椅子の背に上体を投げ出すと、天井に向かって言い放った。
「んなわけないでしょ!」
背もたれに思い切り体を預けると、ガランとしたオフィスが逆さまに見えた。
何処に行ったのか、ケヴィン・レーマンの姿もいまは無い。
部室にいるのはエミーとキャリーの女二人だけだ。
(でも……どういうことなの??)
天井を見上げたエミーの眉間にも自然と皺がよる……。
クリストファー・ウィンフィールドの言った通り、「ボブ・ラインハート」で検索すると、彼の関与した殺人事件が幾つもヒットする。
その多くでラインハートは、「犯人でなければ知りえない事実」、もし真犯人が捕まらなければラインハート自身が真犯人として逮捕されかねないような事実を知っていたという。
では、そんな危険な知識を探偵はどうやって手に入れたのだろうか?
エミーの開いたいくつかのHPでは、ラインハートが死者との交信によってそれら事実を知ったのではないか?と仄めかしていた。
(それから、もひとつオマケに「MIB」……。いったいなんなのよ、あの探偵…)
「…………なになにー?えーと、『ラインハートの後を追うように、この男は現れた』」
声に気がつくと、キャリーが横からエミーのパソコンを勝手に覗きこんでいた。
「ある事件ではハミガキのセールスマン、またある事件では……」
「こら!人のパソコン、勝手に覗かないでよ!!」
エミーはキャリーを邪険に押し退けたが、短く舌先を見せる表情でキャリーは応じた。
「Hサイト見てたんでもないからいーでしょー?……ところでねえエミー。心霊探偵ってオカルトよねー。でもなんでオカルトにSFのMIBが出て来るのかなー?」
「そんなんアタシに判るわけないでしょ?それにネット情報ってのはね、ウソばっかしなんだから……」

「いや……それがまんざらウソってわけでもないみたいだ」

疲れた声に振返ると、ドアに手をかけクリストファー・ウィンフィールドが立っていた。
496「殺人装置」:2012/07/20(金) 20:39:13.56 ID:V9Rvviz6
振返ると、ドアに手をかけクリストファー・ウィンフィールドが立っていた。
「クリス!」
たちまちエミーが柳眉を逆立てる。
「昨日っからいままで、いったい何処ほっつき歩いてたのよ!」
「もちろん調査だよ。決まってんじゃない」
慣れぬ外仕事に疲れを隠せぬ様子で、クリスは自身のデスクに上着を投げた。
「エミー、キミが言ったようにネット情報はあてにならない。特にこの手のオカルトがらみのネタはね。それで……」
「それじゃあんた!まさかこの……」
「そのサイトで言ってる『Mem・In・Black』について調べに、事件のあった街まで行ってきたんだよ」
「えー!それでホントだったんですかー?MIBはー??」
好奇心剥き出しに身を乗り出すキャリー。
一方エミーは口元をキリリと結ぶと、催眠術でもかけようとするかのようにクリスの瞳をじっと見返した。
「ね、ねえねえ、ホントにいたんですかー??Men・In・Black!?」
……しかし、クリスが応えた相手は……。
「そうだよエミー。君の考えてるとおりだ」
「えっ!?えっ!?えーーーーっ!?」
キャリーにはなんのことだかサッパリ判らない。
だがクリスとエミーとの間ではそれでしっかり意思の疎通ができているらしい。
「君の考えてるとおりだなんて、エミーは何を考えてるってゆーんですかー?教えてくださーい!」
クリスは自分のデスクから立ちあがると、仲間外れ状態にムクれ顔のキャリーの頭を撫で、そしてゆっくりと最寄りの窓辺へと向かった。
「……エミーがいま考えていたのはこういうことさ」
明るい窓を背景に、クリスのシルエットが立った。
「ボクみたいなネット人間が進んでパソコンの前を離れて実地調査に出たのは何故かって」
語りはクリスに任せて当のエミーは何も言わないが、クリスの言葉が当たっているのはエミーの表情からも明らかだ。
「実はね、キャリー……」
思わせぶりにクリスは一度言葉を切った。
「……僕も見たんだよ。それらしい奴を」
「えーーーーーーっ!Men・In・Blackをー!?で、どんな奴だったんですかー!?」
「それがね、キャリー……」
返す言葉をクリスは濁した。
「……顔をうまく説明できないんだ。白人で配管工の服装だったのはたしかなんだけど………なにひとつ特徴の無い、記憶に残らない顔なんだ……」
「そ、そんな顔があるわけ……」
あるわけないでしょと言いかけて、キャリーも思い出した。
例のHPにも書いてあったのだ。
ラインハートの後をついて回るMIBについて「誰一人、どんな顔をしていたのか説明できない」と。
クリスは窓の方を向くと、アコーディオンカーテンの隙間から外を眺めた。
「ラインハートがここから帰ったすぐあとぐらいだよ。こんな風に窓から外を眺めたら……」
歩道の一画を指さして、クリスは言った。
「……あそこさ。車道を渡った向こうの歩道に男が立ってて、ここの窓をジッと見上げてたんだ。
服装は配管工さ。でも……顔は全然思い出せない……そんな男が蛇のような無表情さで、じっとこっちを見上げていたんだ」
497「殺人装置」:2012/07/26(木) 23:20:22.25 ID:W+KqFOdt
「……あ、あれ?ハーパーさん、いったい何時外に出たんですか?」
ヒスパニックの若者たちの目が丸くなった。
アパートに入って行ったはずのハーパーが、またも通りをやって来たからだ。
「ああ、ちょっと……」
「ひょっとして足とか引き摺ってます?」
「いろいろあってな……」
まさか「逃げた相手のマネをして非常階段から飛び降りたら、右くるぶし捻った」とは言えない。
「ところでキミたち、僕がここに上がってく前、誰かアパート住民以外の者が来なかったかい?」
「それなら……」
若者たちの中でひときわ年若い子供のような男が手を挙げた。
「ハーパーさんが来るより5分くらいまえ、配管直しのオッサン来たよ」
「顔は見たかい?」
答えには少し間があいた。
「見たと思うよ。思うんだけど……」
「……どうかしたのか?」
「白人だったってことしか思い出せないんだ。何故かな?」
ありがとうと短く礼を言い、ハーパーは再びラインハートの部屋へと上がって行った。
階段を一段上がるたび、痛めたくるぶしが泣きごとを漏らす。
(登りでこれなんだから、下りはどうなるんだ?)
暗澹たる思いに囚われながら、ハーパーは再び四階のドアを開いた。
実質屋根裏に過ぎない四階はドアも壁も実に薄っぺらな造りだった。
(僕が上がって来る音も丸聞えだったか……でもそれなら何故もっと早く逃げなかった?)
謎の配管工は、ハーパーがドア前ギリギリに来るまで、部屋に留まっていた。
窓から逃げるにしても、もっと早く逃げられたのにそうしなかった理由は……。
(……直前まで僕をラインハートと勘違いしていたから…つまり奴はここでラインハートを待ち伏せしていたんだ)
室内を見回すと、粗末な寝台の上に工具箱が放り投げてある。
蓋を開けてみると中は三段構造になっていて、上の二段には使い古しのスパナやプライヤーが奇麗に整理され並んでいる。
だが一番下の三段目の隅には、なにも置かれていない「L」型のスペースがあった。
(このサイズと形からすると銃か?)
しかしすぐにハーパーは、真昼間のしかも建物前に人の居る状況で拳銃を使うハズがないと考え直した。
(サプレッサーを収容するスペースは無いな。…ってことはテイザーか?)
テイザーとは、アメリカのTazer社製スタンガンのことだ。
通常のスタンガンとは違い、相手と距離をおいてワイヤー付きの針を飛ばし電流を流す。
さらに工具箱の中を調べると、ハーパーは一本のドライバーの柄が外れるようになっているのに気がついた。
(……これは)
外れたドライバーの柄の中は空洞で、中には短い針の付いたアンプルが収められていた。
(テイザーで抵抗を止め、薬で完全に動けなくするって寸法か……)
498「殺人装置」:2012/07/26(木) 23:21:56.45 ID:W+KqFOdt
 正体は判らないが、何物かがラインハートの身柄を拘束しようと狙っている。
証拠品として工具箱を手に階段を降りて行くと、覚えのあるヒスパニック系の若者が、ハーパーを待っていたらしく声をかけてきた。
「あのハーパーさん」
「ん?なんだい??」
「さっき言い忘れたんですけど、あの配管工が来るより三十分ぐらい前、もう一人男が来てるんです」
「もう一人?…いったいどんな奴だったんだい??」
「オレとおんなじヒスパニックで、背もオレとおんなじくらい。まるでボクサーか体操選手みたいな体格で……」
若者の描写によれば、「配管工より先に来たヒスパニック系の男」とは明らかにディミトリィだった。
(なんだ…奴もここに来てたのか)
予想できる展開だった。
ディミトリィ・ノラスコという男が、自身の関わった事件を途中で投げ出すハズがない。
彼もラインハートの行方を追っているのだ。
(……ってことは、少なくとも僕を入れて三人が、ラインハートを探してるってわけか)
ただハーパーと違ってディミトリィは「配管工」の存在を知らない。
ハーパーとの遭遇では、「配管工」は退いた。
(だが、ディミトリィと出くわしたときも、配管工が退く保証は無いか……)
ディミトリィについて知らせてくれた若者と別れると、ハーパーはすぐさま携帯をとりだした。
(気をつけろよ!ディミトリィ……)
登録済みの番号を呼び出す………しかし、携帯から流れ出たのは、ディミトリィの声ではなかった。

『おかけになった番号は、電波の届かないところにあるか……』
499創る名無しに見る名無し:2012/08/11(土) 16:09:11.14 ID:i8u2IRqx
支援
500「殺人装置」:2012/08/15(水) 23:45:02.13 ID:84c1kmpO
 「だから、連絡とりようが無いんだってば!」
大声でそう言うと、エミーは携帯をへし折るように切った。
「どうしたんだエミー?今のは社長からだろ?何をそんなに……」
クリストファー・ウィンフィールドはハーパーを「ハーパーさん」とか「副主任」ではなく「社長」と呼ぶ。
同じくベックマンのことは「大統領」だ。
「ディミトリィと連絡とりたいっていうのよ。自分の携帯からかけたら繋がんないってんだけど、そっちで繋がんないなら、こっちだって繋がるわけないじゃないの!」
「私……探しにいこうカナ?」
キャリーがそう言うと、両手でデスクを叩きエミーが立ちあがった。
「無茶言わないでよね!ロスは広いのよ!あんた一人バタバタしたって……」
「まあまあエミー」
エミーの剣幕に、素早くクリスが口を挟んだ。
「……ところで社長は、なんでディミトリィと連絡とりたがってたんだい?」
「それがね、あんたが言うMIBらしき奴が出たみたいなのよ!」
「な、なんだって!?」
今度はクリスが飛び上がった。
「MIBが現れたってのかい?ラインハルトの回りに!?」
「そうよ!それも配管工のカッコしてるんだって」
エミーはハーパーから聞いたあらましを、クリスとキャリーに手短に話してきかせた。
「…ということは、その配管工、MIBはラインハルトの身柄を拘束しようとしてるのか」
「ハープの報告だとそういうことになるわね」
うーんと唸ってクリスは再びパソコン前に腰を下ろした。
「つまりクリス、このロスの街で、ディミトリィとハープ、それからMIBがラインハルトを探し回ってるってわけよ」
「なんてこった。それじゃ一刻も早くラインハルトを……」
「わ、わたしやっぱり探しに行ってきます!」
「あ!こら待て!!」
飛び出しかけたキャリーの腕を、間一髪クリスは捕まえることができた。
「さっきエミーにも言われたろ?きみ一人で探せるような街じゃないんだ。LAPD(ロス市警)に協力を求めないと……」
「それがクリス…」
パソコンの向こうでエミーが顔を横に振った。
「…ダメなのよ」
「ダメ?……LAPDに応援もとめちゃダメだっていうのか?そんなこと一体誰が……」
ぶっきらぼうにエミーがメモを差し出した。
「……主任のデスクに貼り付けてあったの」
メモの内容は、全般には簡単な事務連絡の羅列だったが、機械打ちの文字列の最後に、一行だけ手書きで指示が追加になっていた。
「……『ラインハルトの件については、部外秘とすること。マスコミのみならず、ロス市警その他の官憲に対しても、ラインハルトの件は絶対に漏らしてはならない』……つまり主任の命令でLAPDの応援を求めるわけには………………クリス?……どうしたの??」
いぶかしむエミーとキャリーの前で、クリストファー・ウィンフィールドは口をポカンと開け、視線を空に彷徨わせていた。
「ねえクリス!いったいどうしたって……」
「まさか……」
クリスの口から呟きが漏れた。
「まさか……まさか僕の想像が当たっているなんてことは……」
501「殺人装置」:2012/08/18(土) 13:09:06.75 ID:eUv6gHLh
 (畜生……いったいどこのどいつなんだ?)
じりじり照りつける西日を避け、私立探偵ボブ・ラインハートはビルの影に身を潜めてじっと耳をすましていた。
ノッキング音にクラクション、それから怒鳴り声と足早に駈ける靴音。
表通りでは事故でもあったようだ。
ロスの街は変わらぬ喧騒に包まれている。
しかしラインハートが耳傾けるのは、そうしたものとは別の「音」だった。
巻貝に耳をあてると聞えて来るような……。
あるいは一日の放送を終えたテレビに映る砂の嵐のような……。
私立探偵が必死に耳を澄ましていたのは、そんなノイズだった。
……ラインハート……ボブ・ラインハート……
ノイズの中に探偵は、たしかに自分の名前を聞いたと感じた。
「畜生……」
ビルの壁に手を突き飛ばすようにして、ラインハートはヨロヨロ歩きだした。
「いいかげん、放っといてくれよ……」
足元がふらつくのは、ほぼ丸二日何も食べていないからだが、空腹は感じていない。
それより始末が悪いのは……。
「うっ……」
呻き声を漏らし、探偵は左手を頭にあてた。
こめかみが痛い。
頭にはジャミングがかかっているようで、思考がまとまり難くなっている。
(ダメだ!考えるんだ!なんとか考えるんだ!……)
探偵は全意思力を動員し、必死に考えようとした。
逃げる方法を。
二日前、探偵ははっきり知ったのだ。
「それ」がやって来たことを。
「それ」は、ノイズの海に現れた、あるはずのない小さな黒点だった。
502創る名無しに見る名無し:2012/08/22(水) 03:25:44.81 ID:YFpX+C4L
支援
503創る名無しに見る名無し:2012/09/12(水) 23:17:10.63 ID:68ZiILEk
504創る名無しに見る名無し:2012/10/10(水) 02:47:17.87 ID:DfboWcbE
誰もいないな…続き楽しみです
505創る名無しに見る名無し:2013/01/06(日) 16:25:23.91 ID:TKw+L2Mr
sage
506創る名無しに見る名無し:2013/01/28(月) 02:01:37.99 ID:KITOY0A4
誰も来ない
507創る名無しに見る名無し:2013/02/02(土) 18:38:50.57 ID:yBsnS7/R
……やっと規制が解除された。
まいったまいった。
なに書こうとしてたかなんて、すっかり忘れたぞ。
この手の長いのを書くのに適した場所じゃないね。
508創る名無しに見る名無し:2013/02/08(金) 23:39:10.29 ID:Lj8er8gD
単なる巻き添えなのか、それともこんな長文を連続投下してたからなのか?
半年におよぶ規制とは驚いた。
中途で投げ出すのは嫌だが、再起動させるのも結構大変。
……というわけで、「殺人装置」再起動の準備として、駄文の粗々構成を投下してみる。
その上で、完成させる意味があると思えば、再起動させるか……。
509創る名無しに見る名無し:2013/02/08(金) 23:42:06.57 ID:Lj8er8gD
「殺人装置」はルイとラインハートの顔見せ編。

ルイのキャラ設定には一つ矛盾がある。
エリート警察一家の出であれば、爆発物処理には普通いかない。
現場に出る時期を早々に通り抜けさっさと管理職になるのが普通で、通過する現場も大抵は汚職等の公務員犯罪だ。
じゃあ何故ルイは「爆発物処理」に配属されていたのか?←これを「ルイ本人が強く希望したから」ということにして駄文の構成に組みこんでしまう。

ラインハートは……米ソ冷戦のころ国家機関の造った「人間ラジオ」と設定。
少年時代、破壊活動やスパイ行為をESP的にキャッチできる人間を作り出す実験にモルモットとして参加。
驚異的な成果を上げるが、投与された薬剤の副作用?で生死の境を彷徨い、そこから生還できたときには力の大半を失っていた。
しかし完全に力を喪失しているわけでもなく、周囲の人の心をノイズとして感知。
また強烈な犯罪者人格に接触すると、ノイズを超えたフラッシュバックとして映像的にそれを感知することができる。

MIB
ラインハートには一部の力が残っているため国家機関の継続的監視下に置かれている。その監視役がMIBと呼ばれる男。
「人間ラジオ」計画の一環として、人間ラジオの対抗兵器として造られており、ラインハートにも存在をキャッチされない。
しかしラインハートは、彼の心にノイズを発生させない存在「群衆の中に開いた真っ黒な穴」としてMIBを消極的に感知することはできる。

ラインハートとMIBの関係を、ベックマンは知っている(何故知っているのかは不明とする)。
ベックマンがMIBを退かせラインハートの身柄を確保。
部下のベックマンに対する信頼が回復。
改めてラインハートから語られる「箱」のビジョン。
だが、それとジョージ・マッケインの死がどう結び付くのか??
……そのとき、悪臭ふんぷんたるありさまで事務所にルイが戻ってくる。

ジョージは窓辺で近所の野良猫にミルクをやっていた。
ルイとエミーがマッケイン家を訪れたとき、下水を詰まらせていた猫の死骸こそ、ジョージが餌付けした野良猫だ!
そう考えたルイは、清掃局まで行ってゴミの山の中からネコの死骸を探し当てたのだ。
ネコの死骸は直ちに「変人医者」ロレンゾのもとに持ち込まれる。
「知らないらしいので言っておくが、僕は獣医じゃないぞ」
文句たらたらの医師は、ネコの死骸から何を見出すのか?
510創る名無しに見る名無し:2013/02/11(月) 23:14:18.96 ID:weIwfZt4
サンベルト・ロレンツォはネコの死因を呼吸停止と判定する。
「呼吸停止ってことは窒息死ですねー?…なぁんだ、心筋梗塞じゃないのかー」
「ジョージ・マッケインとは死因が違うってわけね。それじゃ二つの死は全く無関係……」
「まってくれみんな」
ベックマンが皆を制して言った。
「……よく聞くんだ。先生は呼吸停止と言ったんだ。窒息じゃないぞ」
「ドクター・ロレンゾがおっしゃられるには……」ソフィア・プリスキンの口調はあくまで冷静だ。
「……ロレンツォ」医師が合の手のように訂正を入れる。
「……心臓に梗塞の痕跡は見られないそうです」ソフィアはとりあわない。

ロレンツォによると猫に首を絞められた等の痕跡は見られなかったという。
気管に何かを詰まられたものでもなかった。

「そうなると他に生物を窒息死させる方法は鼻と口を何かで塞ぐとか……」
「いや、その方法だと猫は激しく抵抗するだろ?もっと瞬間的に呼吸を停止させる方法じゃないとダメだよ」
「するってぇと他の方法は……」
「そこでだ………」
おもむろに切り出すと、ロレンツォはどこからか小さな空のガラスビンを取り出した。
「……これがその方法のヒントになるんじゃないかな?」
「その空ビンがなにか?……………ん?いまなにか!?」
ハーパーが、医師から受け取ったガラスビンを何気に天井の照明に透かしたとき、空と思えたビンの中でなにかが小さく光ったのだ。
「針だよ」
短く医師が言うと、皆の視線は医師とビンとのあいだを忙しなく行き来した。
「ネコの毛の中で見つけたんだ。材質は専門外なんで断定できないが、グラスファイバーみたいなものじゃないかと思う」
511創る名無しに見る名無し:2013/02/11(月) 23:17:08.27 ID:weIwfZt4
医師サンベルト・ロレンツォが猫の死骸から発見したのは、長さ1pにも満たない短い針だった。
「針、それから速攻の呼吸停止ときたら………皆はどう思う??」
「神経毒!」
即座にクリスが応じた。
神経毒とは神経の伝達ニューロンに作用し、筋肉を弛緩あるいは緊張が継続する状態にする毒素のことだ。
軽度であれば麻痺に留まるが、重度であれば心筋や呼吸筋に作用し、人を死に追いやる効果を発揮する。
「神経毒といえば毒蛇ですねー!例えばコブラとかー」
「いや、あの手のヤツラの毒は呼吸停止じゃなく心停止が普通だね。それに致死量もそこそこ多い」
「そっかー、こんなちっちゃな針じゃムリっぽいですねー。この針から何か検出されなかったんですかー?」
「……いや、何も」
キャリーに向かってロレンツォが顔を横にふる。
「何か付いてたとしても下水に洗い流されてしまったんだろうね」
「あのちょっと…」
そのとき、口ぐちに喋りだした皆の顔色を窺いながら、遠慮勝ちにルイが口を挟んだ。
「…盛り上がってるトコ悪いんだけど、こんな小さくて軽い針をどうやって被害者に刺すっての?」
「確かに軽すぎるわね。こんだけ軽いと……」
飛翔体が軽いと空気抵抗によりあっという間に失速するのだ。
「……吹き矢かなんかで飛ばしたって飛距離は2メートルもいかないわ」
「かといって手で持って刺せる大きさでもないよな」
デミトリィが腕組みし首をかしげる。
事件は再び暗礁に乗り上げた……かに見えたが。
それまで黙って皆の意見を聞いていたベックマンがおもむろに口を開いた。
「壊れたラジオであるラインハートにキャッチできるのは、強烈な指向性を持つ犯意だけだ。そしてそういう犯意は、単一の犯罪で終わるケースはまずない。クリス……」
ベックマンが具体的な指示を出すより先に、クリイトファー・ウィンフィールドの指はキーボードの上で踊っていた。
「同種の事案があるかどうかですね。ちょっと待ってください」
512創る名無しに見る名無し
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