【長編SS】日本鬼子SSスレ3【巨大AA】

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284鬼はまず相談所へ!2
 冬も終わりを迎えようとしている今日この頃、俺は銀行のATMの前で呆然としていた。
前回の一件で10万という収入が入り、生活用の貯金は60万となっているはずだった。
もちろん、仕事に使う道具や、夜烏賊や日輪などを人型に長時間保っておくための薬代も入っている。
だが、前回の一件からまだ二日。それなのに貯金の残高が2万しか無い。おかしい。
どう考えても引き出した覚えが無いのに月初めからほぼ毎日引き出されている。5万ずつぐらい。
昨日なんか12万も引き出されている。なんだこれは……一度帰って確認を取ってみなければ

 「という訳でだ。銀行の貯金が無くなっていっている。それはどういう事を意味するでしょうか!」
 「生活出来ないっスね」
 「夜烏賊、正解。そこで俺が聞きたいのは誰が引き出したかってことだ。心覚えがある人は言ってみよう」
 「私は……覚えがないです……」
 「鬼子はいいんだよ。暗証番号自体知らないでしょ」
 「はい。お役に立てず……すいません」
 「いや、いいんだよ。最初から怪しいと思ってたのはそこの二人だから」
 「えっ!?なんで俺達なんスか!」
 「いや、お前らが一番怪しいだろう。前科もあるしな」
 「ぐぅ……言い返せないっス……」
 「それはそうと……なんで今日はそんなに大人しいんだ日輪は?」
今日は銀行から帰ってきてから一言も喋っていない。というか目も合わせようとしない。
おかしい。いつもなら「新刊のエロ本買ってきてくれました?」とか「あの歩いてる人の乳なかなかですよね」
とか、オッサンの思考を表に出してくる変態なのにこれはなんだ?怪しい……
 「聞いてるのか?日輪」
 「き、聞いてますよ」
 「じゃあ、なんで目を合わさない?」
 「昨日は遅くに寝たので目のくまが……」
 「ほう……今朝はあんなに目を合して話してくれたのにか?」
 「うっ……」
この反応は……犯人だ!
なんて隠すのが下手なんだろうか。夜烏賊みたいに堂々としていれば疑わなかったのに。
あ、夜烏賊はなにもしてないんだけどね。今回は……
285鬼はまず相談所へ!2:2011/01/31(月) 22:22:25 ID:+FyJTfRa
 「お前、昨日何処に行ってた?」
 「ちょっと散歩に……」
 「財布、出してみようか?」
 「だだ、駄目ですよ!恥ずかしいです!」
 「うるさい馬鹿!お前が一番怪しいんだよ!」
無理矢理、財布を奪い中身を確認する。なんだこのレシートの数は?
……ゴールデンタイムのテレビならズキューンと効果音が入るような店名ばっかり……
えーと、支払額は総額で……80万……だと……?
 「なんだ、これは?」
財布から抜き取ったレシートを机の上に広げる。
それをソファーに座っていた鬼子と夜烏賊もゆっくりと覗き込む。
 「うわっ……一軒で10万も使ってる所もじゃないッスか。この前の報酬と同じじゃないッスか!」
 「……」
夜烏賊の方は普通にレシートを見て、驚いているのだが……鬼子の方はというと……
店名を見ただけで顔を真赤にし、近くにあった枕で顔を隠してしまった。
 「どういうつもりなんだ?日輪」
 「だって……だって……」
 「だって?」
 「一緒に乳の話をしてくれないからじゃないですかー!」
 「は?」
ちょっと意味が分からない。なんだ乳の話を一緒にしてくれないからというのは。
 「だって陽介さん。私が乳の話をしだすと怒るじゃないですか!」
 「いや、聞きたくないからな」
 「それに鬼子ちゃんに話しかけても顔を真赤にしてまともに聞いてくれないし、夜烏賊は臭いし――」
 「ちょっと待て。最後は関係ないだろう!俺をなんだと思ってるんだ!」
いや、ストレスが貯まる要因にはなってるだろう。臭うし……くさやを大量に購入してくるし
くさやのせいで冷蔵庫を二つにしなければ他の食品がダメージを負うぐらいになってしまったし
286鬼はまず相談所へ!2:2011/01/31(月) 22:23:32 ID:+FyJTfRa
 「と、とにかく!皆が悪いんですよ!」
 「それは責任転嫁だ。自分でやったことは自分で取り返してもらうぞ」
 「それはお断りします!」
 「やれ!」
 「嫌です!」
 「やらないと一週間、外出禁止に加え目隠しだ」
 「……やります」
 「よろしい。じゃあ……知り合いの仕事先がちょうど開いてるみたいだから行ってもらおう」
まぁ、知り合いと言っても昔に保護したアレなんだが……コレは黙っておこう。
どうやらコイツらは折り合いが合わないみたいだしな。
 「何処に行くんですか?」
 「着いてからのお楽しみだ。そうだ、ついでに鬼子もやってくるといい。世間勉強だ」
 「え、あ……わかりました。けど角はどうすればいいでしょう」
 「心配ない。コスプレと思われるからな」
 「?」
 「なんだろう。今の一言を聞いて凄い心配になってきた」

所変わって場所は、オタクの聖地と呼ばれる電気街。
さすがにここまで来れば分かるだろうが、仕事先はそう!メイド喫茶だ!というかコスプレ喫茶。
とりあえず店の中に入る。もちろん表からではなく裏からだが。
 「ん……やっと来たか」
 「久しぶりだな。秋田(あきた)」
 「いや、そのネーミングセンスはどうかと……」
 「そんな事はどうでもいい。どうだ?薬の調子は」
 「問題ないよ。もう一ヶ月持っている。それで?今日は何のよう?」
 「前にバイトが欲しいって行ってただろう?連れてきてやった」
 「あぁ、あの件ね。いいよ、面接だけでも……日輪じゃん。それと、後ろのはだれ?」
 「後ろは新しく入った鬼子って言うんだ。よろしく頼む」
これでやっと収入が入るな。それにしても今月の食費をどう切り詰めるかだな。
2万というと外食はできないし、基本は家で作るしか無いか。
苦手なんだよな……料理。あ、鬼子につくらせてみるのも良いかもしれないな。
 「うーん。鬼子って子は気に入ったから良いけど日輪はなー、ちょっと……」
 「えっ?なんで?」
 「いや、前に同じような事頼んだ時に暴れたじゃないか。乳の話で」
 「そこをなんとか……」
 「私は別にできなくてもいいけどね!」
 「ちょっと黙ってろ日輪。頼むよ秋田。やっとてくれないと薬、次から用意してやらないぞ」
 「脅しじゃないか……まぁ、いいよ。一週間だけ試用期間で雇ってあげる」
 「そうか、よろしく頼む」
 「気にするな。じゃあ、鬼子ちゃんは……こっちの部屋でこの服に着替えて。日輪は好きにしてくれ」
 「ちょっと!私は?」
 「好きな場所で着替えてくれ。なんならトイレを貸そうか?」
 「いらないわよ!」
 「可愛い……」
287鬼はまず相談所へ!2:2011/01/31(月) 22:24:18 ID:+FyJTfRa
服を見てなにかを小声で呟きながら鬼子が先に着替えをしに行く。
日輪の方はというと……うむ、ちゃんと追いかけていってくれたようだ。こんなところで着替えられたらコッチが
恥ずかしくなるからな。あれ……あの乳馬鹿と一緒に着替えってことは……まぁ、気にしないでおこう。
しばらくすると二人が着替えを終えて戻ってきた。鬼子の方は涙目になりながら顔を真赤にしているが、
日輪の方は何故かすごく元気になっていた。もう何も聞くまい。
 「おー、いいですねー。似あってますよ鬼子ちゃん。これは売れっ子確定だな」
 「あ、ありがとうございます……」
うむ、なかなか似合っている。黒髪ロングにメイド服というのもなかなかあっている。
普段の着物姿とはいい勝負の似合い具合だな。
しかもこの恥じらい方。全てにおいていい感じじゃないか。
 「ちょっと待て。私の姿は?」
 「え?日輪?なんというか馬子にも衣装だって感じだよな」
笑いながら日輪の印象を説明する。いや、かなり似合っている。実際、赤髪がここまで似合うとは思っても居なかった。
ただ、あれだ。普段のイメージがあるから何ともいえないんだなコレが。
 「鬼子パンチラキター!」
 「きゃあああ!」
ずしゃあああっとスライディングをしながら二人の足元を抜けていく夜烏賊。
いや、それはパンチラではなくて覗きだぞ夜烏賊。
 「ま、ふたりとも似合ってたから明日から出勤ということで。お疲れ様ー」
その言葉を残して秋田は店長室へと消えていってしまった。なんといういい加減な面接だろうか。
まぁ、そのおかげで生活が助かるんだから問題はないんだがな。
とか思いながらスライディングをした夜烏賊を見てみると顔に足跡がくっきりと残ったまま倒れていた。
きっと元の服に着替えに行った二人にというか日輪にやられたんだろう。バカめ。

着替えから戻って来た二人を連れて店から出ると一人の鬼の子がじーっとコチラを見ていた。
なんだあの子は?あの角と背中にある刀を見れば明らかに不審者だが……さすがにこの電気街でそれは通用しないか。
「ん?どうしたの陽介さん」
 「いや、あそこの子。コッチをずっと見てるんだ」
 「あら、本当だ。ん?こ、これは!」
 「どうした?」
 「私の乳眼が叫んでいる!あの子はきっと良い乳をした子になるに違いないと!陽介さんも感じませんか!?」
 「悪いな。俺はそんな変態的スキルは持っていない」
288鬼はまず相談所へ!2:2011/01/31(月) 22:25:00 ID:+FyJTfRa
なんだよ乳眼って。訳の分からない能力を持ちやがって……まぁ、人には害がないからよしとするか。
 「ちょっと、何者なのか聞いてくる!あと、乳のサイズも」
 「待て!相手は子どもだぞ!乳のサイズなんかあるもんか!」
静止を振り切り、鬼の子の元へと駆け寄っていく日輪。
しゃがみ込んで何かを聞いているのだろうか。しきりにコチラを見てくる。
あ、鬼の子を連れて戻ってきた。
 「えーと、とりあえず事務所で話したいそうです。依頼っぽいですよ」
 「なんだ、そうか。じゃあ、事務所に行くか」
帰りの電車で変な目付きで見られていたのは仕方が無いと思おう。
 「で、お嬢ちゃんの名前は?」
ソファーに座りながらもぐもぐと口いっぱいに団子を詰め込んでいる鬼の子に訪ねてみる。
 「ひょにほむ!」
 「いや、食べ終わってからでいいよ」
急いで口を動かして中の団子を飲み込もうとする。
ハムスターみたいだな。ちょっとこの子一家に一人欲しいわ。疲れた心が癒される。
 「こにぽん!」
やっと食べ終わったのか、自分の名前を叫ぶ。
いきなり叫ぶものだからちょっとびっくりしてしまった。
 「そうか。じゃあ、依頼の内容は?」
 「ネネさまを返して欲しい。私のおねいさま!」
 「ん?誰のこと?人攫いなんてした覚えはないよ」
 「した!」
といって鬼子を指差す。ん?鬼子の事をネネさま?
ということは家族ということになるな。なにか手がかりがあるかもしれない。
肝心の鬼子はネネさまと言われてかなり驚いているようだが……
 「んー、攫ったんじゃないんだけどな。まぁ、いいや。君のお姉さんは病気になったから俺達が
 保護してあげてるの。分かる?」
 「分からない!だって、ネネさまは病気になんてなったことないもん」
 「いや、今なったんだよ。記憶喪失、分かった?」
 「きおくそーしつ?」
 「そう、記憶喪失」
 「なにそれ?」
 「えー、なんていうのかな……」
289鬼はまず相談所へ!2:2011/01/31(月) 22:26:08 ID:+FyJTfRa
簡単な説明が思いつかない。単に記憶がなくなるっていっても色々あるからなぁ……
なるべくやんわりと答えて住んでいた場所を割り出さないと。
 「簡単に言うと鬼子の記憶にはこにぽんと過ごしたの記憶がないんだよ。生まれた場所も、一緒に過ごした人
 たちも全部忘れたの。 だから俺達はこの病気を治すために頑張ってるの分かった?」
夜烏賊、そんなに直球でいかなくても良いじゃないか?
こにぽんは何を言ってるのか理解出来ていないようだし……
 「で、でもネネさまだよ?」
 「そうだな。でも鬼子は君のことを知らない。忘れているんだ」
 「……」
事務所が一気に静寂に包まれる。
やりやがった。ハッキリと現状を伝えるのはいいことだが、ここまで伝えるとは。
 「もういい、夜烏賊は黙ってろよ。……鬼子と一緒に住んでいた場所を教えてくれ。そうすれば早く
 鬼子を家に返してあげられる」
 「分からない」
 「え?」
 「ネネさま探してたら、おうちの場所が分かんなくなっちゃった……」
oh...想定外です。
ここまで姉を求めて探しにきているもんだから家の場所ぐらい知っていると思ったが、まさか迷子とはな。
 「じゃあ、家には電話かなにか連絡を取るものある?」
 「ない。ニャーなら知ってるかもだけど……」
 「ニャー?」
 「うん、般――」
 「は、般ニャー?」
 「「!?」」
なんだ?なんでこにぽんより先に名前が出てきた?
まさかとは思うが、記憶が……戻ったのか?
 「鬼子、お前記憶が……」
 「え?」
 「え?」
 「戻ってないです……よ?」
 「だってこにぽんより先に名前を……」
 「いや、なんとなくですよ?なんとなく……あれ?なんて名前出てきたんだろう?こにぽんちゃんの事も
 なんとなくだけど名前が分かってたような気がしますし……」
無意識か。ということは大分つながりが長いということになるな。その般ニャーと会うことが出来れば、
記憶の解決も早くなるんだが……家の場所が分からないんじゃ仕方がないな。
290鬼はまず相談所へ!2:2011/01/31(月) 22:26:51 ID:+FyJTfRa
 「まぁいい。今日の所はな。こにぽんも家が分からないんだったら分かるまでここに居ていいから」
 「分かった!あ、ネネさまの事をわかりそうな人ならまだいるよ!」
 「誰?」
 「ヒワイドリとヤイカガシ!」
 「「え?」」
いやいや、そんな馬鹿な。
ここまで個体を保持できているのはこの二人だけのハズ。
しかし、世界は広いというしな……ありえない事ではない。
 「で、そのヒワイドリとヤイカガシは何処に?」
 「先に出て行った!」
ということはだ、既にこの街に来ているということも考えられるということだ。
でも、なんでこの事務所に来ないんだ?仲間を探しに来たというのであれば、この場所に来るはずなんだが。
待てよ。日輪と夜烏賊と性格が同じだとしたら……まさか。
 「なぁ、まさかだけどさ。その二人って、乳とパンツが好きなんじゃ……」
 「好きだよ!ネネさまのばっかり狙ってた!」
あぁ……頭が痛くなってきた。
こいつらの性格と同じだとすると、確実にここに辿りつく。狙った獲物は逃さないからな。
 「ん、ありがとう」
 「いいよ。ネネさまの記憶を取り戻すためだもん!」
 「そうだな。ん?何だその手に持ってるのは」
なにやらウネウネと蠢いているものが居る。
どっかで見たことあるな。なんだったっけ……えーと……
 「これ?記憶喰だよ!」
そうだ、そうだ。記憶喰だ。いやぁ、答えが分かってすっきりしたって
 「えっーー!」
 「どうしたの?」
 「それ、何処にいた!?」
 「この椅子の上に寝てた」
 「寝てた?」
 「うん」
寝てた。うん。そうしとこう。
さて、問題なのはこれが鬼子の記憶を持っているかだな。
 「ちょっとそれ貸して」
 「いいよ。はい」
素直に渡してくれた。
うぇ……何度触ってもヌルヌルしてて気持ちが悪いな。
そうだ、この触手は輪ゴムでしばってと……
 「なんなんですか、それ?」
 「ん?気になるのか鬼子」
 「だって、初めて見ますし……」
 「んーとな、これがキミの記憶を食べたのと同じ種類の鬼だ。記憶喰。前に説明しただろ?」
 「はい……そうですけど……初めて見たのでちょっと驚きました」
 「ははっ……ま、ちょっとまっててくれよ。コイツが鬼子の記憶を持ってるか確かめてみる」
えーと、記憶を閉じ込めてる結晶体は……と。多いな、何年生きてるんだコイツ。
 「鬼子、済まないけど手を突っ込んでくれないか?君の記憶があれば青く光るはずだ」
 「……これに手を突っ込むんですか?」
 「うん。突っ込むの」
 「わかり……ました」
291鬼はまず相談所へ!2:2011/01/31(月) 22:28:13 ID:+FyJTfRa
鬼子が記憶喰の中に手を突っ込む。すると透明な液体が床に流れだす。
はぁ、後で部屋を掃除しなくちゃならないな。外でやればよかった。
しばらくすると、鬼子が手を突っ込んで触っていた結晶体が青く光り始めた。
見つけたぞ。だが、欠片が少し小さいな。少しだけの記憶が蘇るだけか。
 「鬼子、それを取ってくれ」
 「はい」
ねちゃねちゃとした液体が付いた結晶体を鬼子から渡される。
とりあえず、その結晶体を空になっていた牛乳瓶の中に入れる。
あとは、そうだ。薬だ薬。それと水を混ぜあわせてっと……
 「なんスか?その気持ちの悪い液体は?」
 「あれ?お前、見るの初めてだっけ?」
 「え?前にも作ったんですか?」
 「……ちょっとな」
 「あー、それですか。あの時は面白かったですよね。夜烏賊にはあとで話してあげる」
 「こにも聞きたい!」
 「あ、私も聞きたいです」
 「駄目だ!絶対に話すなよ!」
あんな事があったなんて知られたら恥ずかしくてやってられない!
 「えー。いいじゃないですかー。あの時の陽介さんは良かったのになー」
 「頼むから黙っててくれ。本当に怒るぞ」
 「そんな事言って怒ったこと無いくせにー」
 「っ……分かったよ。今日は話に付き合ってやるから黙っててくれ。いいな?」
 「了解でーす」
なんでこんなところで自分で墓穴を掘るような発言をしたんだろうか。
夜烏賊はあのときは居なかったっていうのに……恨むぜ俺自身
 「とにかくだ。これを飲んでくれ鬼子」
鬼子に青く光る液体が入った牛乳瓶を差し出す。
臭いは……ブルーハワイだな。完全なブルーハワイ。
夏じゃないのに甘ったるいかき氷のような匂いがプンプンする。
 「これを?」
 「うん。グイっと」
292鬼はまず相談所へ!2:2011/01/31(月) 22:29:05 ID:+FyJTfRa
言われたとおり、グイっと液体を飲み干していく鬼子。ちょっと表情がキツそうだ。
さて、ここで簡単に説明しておこう。この液体。実はなんというか興奮作用がある。
誰かれ構わず特攻もとい積極的になるのだが、今のところ鬼相手には試したことがない。
なので何が起こるのか、ものすごく心配である。
 「どうだ?」
 「ちょっと、美味しくないですね」
 「何もない?体に異常とかは?」
 「ないですよ?」
 「ん、そう。じゃあ、記憶は明日の朝ぐらいには戻ってると思うよ。一部だけど」
 「そうですか。色々とありがとうございます」
異常はないようである。安心した反面、少し残念な気もしないでもない。
 「それよりここ、暑いないですか?」
そう言って鬼子が着物の帯を外そうとする。
やっぱり異常があったー!
 「待て待て待て!ここで脱ぐな!それに今はまだ寒い時期だろうが!」
 「えー、だって暑いんれすよぉ?」
 「暑いても脱ぐな!それは薬の副作用だ!」
 「良いじゃないか脱がしても、俺は構わん!パンツが見たい!」
 「私も構わん!乳が見たい!」
 「こ、こにもー!」
 「ちょっと全員、見てないで脱がないようにするのを手伝え!というはこにぽんは周り見て答えただろ!」
 「離してくださいよぉー。暑いんですよぉ」
鬼子の着物を脱がないように押さえつけていると勢い良く事務所の扉が開く。
入ってきた客人はというと、なんだか見たことがあるような二人で。
 「鬼子!無事……か……」
客人の動きが止まる。
俺が脱がないように押さえて居る着物はグシャグシャになっており、これでは
俺が襲っているように見えるだろう。というか完全に襲っている。
ふっ……そりゃそうだよな。ここまで上手く事が運びすぎたんだ。
 「ヒワイドリとヤイカガシだー」
こにぽんが二人の元に走っていく。けど、二人はまだ止まったままである。
そして俺も止まったままである。どうしよう……
 「なんてことしてんだお前は!俺の乳だぞ!」
 「何処の馬の骨だこらー!私のパンツだぞ!」
 「だー!待て待て待て!まず、鬼子が着物を脱ぐのを止めさしてくれ!というか何だその発言は!」
 「それに関しては別に止めなくていいと思う。あと鬼子の乳は俺のだ」
 「私も同意見だ。鬼子のパンツは私の物と決まっている」
 「性格もやっぱり一緒じゃねぇか!ちょっと変わってるのは自己主張だけかよ!」
 「暑い〜」
 「ネネさま……こにもぬぐー!」
 「脱ぐな!」
293代理レス:2011/01/31(月) 22:48:52 ID:mIVPOwIz
その後、誤解を解くのには鬼子の薬の副作用が切れるまで続き、鬼子に至っては
着物を脱ごうとしたり、鳴木に頭突きをしたりで大変であった。
日輪と夜烏賊、ヒワイドリとヤイカガシは当たり前といえば当たり前なのだが、何故か
意気投合し、次の日の朝までパンツと乳について語り合ったという。
 「だから嫌なんだ。同じ性格の変態が集まるのは!もう寝る!」

少し離れたビルの屋上から鳴木の事務所を覗いている人影が二つ。
――どうだ?なにか見えるか?
――記憶は無事にもどったみたいだよ。
――それは良かった。記憶喰を探すのは苦労したんだからな。
――けど、誰が一体何のために鬼子の記憶を?
――さぁな?俺達はただ、記憶を取り戻すのを手伝って、早く家に帰ってもらうだけさ。
――そうだね。早く帰ってもらわないと前みたいに小日本と遊べないしね。
――お前、小日本好きだったのか?
――ばっ……そんなんじゃねぇよ!

一つだけ、鬼子の記憶の欠片を手に入れた相談所のメンバー。残る欠片は5つ
しかし、新たに合流した小日本と、日輪と夜烏賊と同じ性格、種族であるヒワイドリ、
ヤイカガシが面倒事をまた持ってきたみたいで。まだまだ終わりそうに無さそうです。
               終わり!

gdgdだな。再確認。というかアレですよ。鬼とか殆ど関係ないね。次はしっかりと鬼を登場させよう。