1 :
創る名無しに見る名無し :
2010/12/16(木) 00:56:11 ID:YNqhyAdY 創作活動のふいんき(何故かry)を楽しみたい 妄想だけだってイイじゃない! 書いてみたいけど時間がないんだもン! 今日はこれだけだけど、いつかはこんな話を書いてみせるンだからネッ! とかそんな感じの人々が集う【予告編】スレです 嘘予告でもイイし、本予告なんてもちろん歓迎! 新番組告知風でも劇場映画予告編、ゲームのトレーラーっぽくっても可 新聞の書評やハヤ◯ワ文庫の解説目録風紹介文だなんてまったくもって心が躍る! 別にオリジナルだけじゃなくたってイイかもしれないし、予告編にすらこだわらなくてもイイかもしれない 思いついたワンシーンでもプロローグでも、エンディングだってかまわないのよーッ!! 創発住人は度胸! なんだって試してみるもんだろ! とかそんな感じの【予告編】スレなのです
スレ立てした
>>1 として最初の書き込みを
といっても例になるかどうか……
しばらく前に酔っ払った勢いで即興で雑談スレに投下したネタレスですが
・
・
・
【LOLI COP 予告編】
舞台は近未来のトキオシティ。
萌えの街アキハバラは犯罪都市と化し、巨大コングロマリット企業A・G・N・S社(通称アグネス社)によって街全体が支配されていた。
秋葉萌人巡査は一連の違法マヂコン密輸事件における犯人で指名手配中のマフィアであるREN4一家を追っていた。
秋葉は粘り強い追跡の末に一味の隠家を発見、追い詰めるものの逆に惨殺されてしまうのだった。
しかし、犯罪撲滅のための「警官のロボット化」を計画していたアグネス社は、死亡診断が下された秋葉の肉体を部品として利用、彼をロボコップとして蘇らせようとした……が!
「ぼ、ぼく男の子だよぅ!?」
なんと完成したのは「ロボコップ」ならぬ「ロリコップ」だったのだ!
驚異的な性能と優秀な可愛らしさ、ロリでありながら男の娘属性をも併せ持つその力で反オタク犯罪を取り締まるロリコップ。
彼の活躍で街の治安は少しずつ取り戻されて行く!
しかし、ロボコップ計画の裏に潜むアグネス社の怖るべき真の意図に気がついている者はまだ誰もいないのであった……。
まぁこんな感じで好きに適当に書きなぐるスレでよろしいんじゃないでしょうかw
ショタコップ復活www てかアンタだったんかいあの一連のネタはw
レスさんくす でもさすがに怪傑ロリータにはまいった あんな発想はできんな、うん ほら、わたしってばそんなにヘンタイじゃないし
5 :
HANA子 ◆zvLTXEoOaA :2010/12/17(金) 00:19:23 ID:rnek2hNI
雑談スレ24 801より その発端に気がついた者は、誰一人としていなかった。 街の闇に紛れて暗躍する鉄兜の男たち。彼らが蠢くたびに人々は胸の内から「何か」を奪われていってしまう。 「何か」を奪われてしまった人の心は慢性的な空虚感に満たされてしまい、抑鬱な気分と絶望感、無感動と無関心に支配されてしまうのだった。 ・ ・ ・ ゲーム好きであること以外なんの取り柄もない青年・瀬賀太郎はある日、下町のみすぼらしい駄菓子屋で一台のゲームギアを手に入れた。 しかし、それはただのゲームギアではなかったのだ! 「違うぞ……。こいつ、普通のゲームギアじゃない。キッズギアともノーマッドとも違う! 5倍以上のエネルギーゲインがあるぞ?!」 それは彼という存在を、世界さえも変えてしまう瞬間だった。 ゲームギアを狙って襲いくる鉄兜の男たち。尋常ではない彼らの力に追い詰められる太郎! その時、ゲームギアの3.2インチ液晶モニターから飛び出てきたアソビン教授に導かれるままに太郎はゲームギアを腰に装着する。 そして促される「変身!」の言葉! 「へ、変…ン身ッ!」 黒いボディーにレッドのライン。胸に輝く16bitの文字。 「仮面ライダー SGGG(セガガガ)ッ!!」 専用マシン・R360にまたがり、人の夢を奪うナイトメアンと戦う戦士…仮面ライダーSGGG。 「Service&Games」の言葉を胸に、「若い力」を武器に頼んで瀬賀太郎は孤独な戦いに身を投じる。 そう、まばゆい光の中で、総てを変えてしまう風が吹いたのだ! 書くんだ! と言われたんで書いてみますただろJK
よくやったwww
以前書いた作品の続編的な物を書こうと思っていたものの、 ナンダカンダで予告編止まりになってしまった物を投下したいのですがよろしいでしょうか?
投下するべき
おおぅ。 では、お言葉に甘えて・・・。 内容としましては、以前<クロスオーバー創作スレ>で書いていた<仮面ライダー × ローゼンメイデン>の劇場版的な物です。 本当は第4弾として<仮面ライダー2号 × 水銀燈>を書きあげ、そして今作へ!・・・のつもりだったのですが、 ナンダカンダでお蔵になってしまった次第です。 では、投下します。
仮面ライダーの活躍により・・・ 雛苺「ふふっ・・・夏美登りなの!」 世界は平和となり・・・ 金糸雀「・・・分かったかしら、モモタロスさんがカナを守ってくれた理由が。」 そして・・・ 雪華綺晶「私はこの世界でいつでも待っています。その時は『無の世界の住人』としてではなく、『あなたの恋人』として・・・ね?」 薔薇乙女たちの笑顔は守られた・・・ 水銀燈「真紅・・・本当に・・・良かった・・・。」 ・・・はずだった。 照井 竜「貴様は・・・いったい・・・。」 ディエンド?「コノ世界ノオ宝・・・仮面らいだーヲイタダク!」 世界崩壊の危機、再び! 一文字 隼人「いったい、何が始まろうとしているんだ・・・?」 光 夏美「とにかく、今はディケイドとディエンドを倒すしかないんです!私たち、仮面ライダーの手で・・・。」 左 翔太郎「きらきー!目を覚ますんだ!!」 雪華綺晶「Wの力・・・全てを・・・手に入れる!!」 オーナー「通称『終末の部屋』・・・ここは『死を待つ者』のみが訪れるという時の最果て・・・。」 ウラタロス「・・・じゃあ、僕たちは・・・死んじゃうワケ?!」 彼らに訪れる、史上最大のピンチ! そして、現われる史上最大の強敵!! ???「我こそ、この世界の創造主・・・創造主の意に歯向かう者は、例え仮面ライダーであろうと、この手で破壊し、その存在を奪うのみ!!」
・・・だが、仮面ライダーは彼らだけじゃない!! 天道ソウジ「温かいおでんと暖かい家族が待っている限り・・・俺は戦う!!」 野上 幸太郎「『俺、参上!!』・・・ってね。」 金糸雀「幸太郎!」 城 茂「・・・ったく、ユリ子以上のじゃじゃ馬娘さんだな、お前さんは。」 翠星石「くぉうらっ!レディに面と向かってそういう事言うんじゃねぇですぅ、このビリビリ人間!!」 本郷 剛「大丈夫か?仮面ライダーW!」 左 翔太郎「アンタも・・・仮面ライダーなのか?」 集結せよ、仮面ライダー! 1-GOU!2-GOU!STRONGER!KABUTO!DEN-O!NEW DEN-O!W!ACCEL! 門矢 士「俺の株価を急落させた罪・・・この拳で償わせてもらうぜ!!」 火野 映司「せっかくの仮面ライダー大集合だ!僕も思いっきり暴れさせてもらいますよ!!」 KUUGA!KIVARLA!DIEND!ORZ! 真紅「見せてあげるわ、仮面ライダーとローゼンメイデンの・・・『絆』の力を!!」 SUIGINTOU!KANARIA!SUISEISEKI!SOUSEISEKI!SHINKU!HINAICHIGO!KIRAKISHOU!BARASUISHOU! FINAL KAMEN RIDE・・・DECADE!! <仮面ライダー × ローゼンメイデン>最終章! ≪仮面ライダー × ローゼンメイデン:SS大戦2011≫!! 2011年お正月、投下予定・・・のつもりでした。
--------------------------------------------------------------------- 以上です。 お目汚し、失礼しました。
つもりでした、がなんとなく哀愁w
>>13 レスありがとうございます。
今回のは以前書き殴った物をリライトしてUPした次第ですが、『つもりでした』は投下時に急きょ追加しました。
当時は、本当に来年のお正月にUPするつもりだったので・・・。
ただ、断念したわけではないのでいつか執筆を・・・とりあえず<MOVIE大戦2012>と銘打てる期間までにはと薄ぼんやりに考えてます。
・・・しまった、MOVIE大戦は本家だ。 こっちはパチモノの『SS大戦』だ!
「むかし、むかし……」 美術史家。エルンスト・ゴンブリッジが書いたように、全ての物語は「むかし むかし」で幕をあける。 −むかし、むかし− 日本という国に、鳥が一羽やってきた。 それが、この東京という街の誰もが味わったことのない、恐ろしい7日間の始まりだったんだそうな。 鳥の名前は<ミネルヴァ>。その掟はひとつだけ。 <ミネルヴァ>に見られた者はみな死ぬ。 その鳥を見て、驚いておる者は一人もおらんかった。 何でかというと、みな死んでしもうたからじゃ。 「もう人死にはたくさんなんだよ…」 「初めて奴に挑み…そして撃ち落としたハンターがいる。そのハンターは尊敬をこめて、こう呼ばれているらしい」 「仙人<センニン>と」 「おのれらは誰一人、あのフクロウにゃ勝てねぇんだよ」 「狩りか…。だってよ…犬が、いなくなっちまったんだもんな……」 −鉄砲を捨てた老猟師、鵜平− 「あたし、あの男のコトを父ちゃんだなんて思ったこと、いっぺんだってねえよ」 「あたしにも手伝わせて下っせ!」 −鵜平の娘、輪− 「帰んなアメ公」 『狩り人』は『森』に『佇み』… 「わかりました。東京に参りましょう」 『巫女』は『街』を『目
「帰んなアメ公」 『狩人』は『森』に『佇み』… 「わかりました。東京に参りましょう」 『巫女』は『街』を『目指し』… 「見られた…見られたァァ」 『軍人』は『絶望』に『沈む』… 「ウヘイ、なんとかしてくれえ!」 「オレにゃ、犬がいねえ……」 「オレがなってやらァ!犬でも何でも、オレがなってやる!」 「……」 「じゃ、」 「行くかい」 『塔』は『決闘』に『震え』 「獣を狩るモンは獣になんねばな」 「ジジイ、てめえ正気か……?」 「ウヘイ、死なさんぞ!」 「私はもう死んでいるんだとさ」 そして…… 「よし、上がれ!」 「どこに向かって!?」 「見えとるだろう!」 「お月さんに向かって飛べ!」 『 邪 眼 』 は 『 月 輪 』 に 『 飛 ぶ 』 邪眼は月輪に飛ぶ 全一巻 好評発売中
フヂタの短編じゃないか! あれ面白かったなぁ
センニンで吹いたw
必要なものは『想像力』である 『創作して発表』 我が妄想の先にあるものこそが、人間がさらに先に進むべき道なのである 必要なものは賛同してくれる有志である 彼は欲望をコントロールできる人間でなくてはならない 一次創作や二次パロに関心があり、荒しや煽りのない人間で、 彼は人の法よりも、神の法を尊ぶ人間でなくてはならない いつか、そのような者にこの私が出会えるだろうか? 必要なものは『紳士淑女の妄想魂』である 紳士淑女の魂には、強い力があるからである 必要なものは『エロイ言葉』である わたし自身を忘れないように、この言葉をわたしのSSそのものに傷として刻みつけておこう 必要なものは『勇気』である。 わたしはレスがつかなくても泣かない『勇気』を持たなければならない 朽ちていくわたしの心は、他の紳士淑女の魂を集めて吸収 そのから『新しいもの』を生み出すであろう 『生まれたもの』は目醒める。紳士淑女の有志が発するエロイ言葉に知性を示して… 『友』はわたしを乙し、わたしは『友』をgjする 最後に必要なものは場所である。 したらば創作発表避難所へ行き…… 次の「1月11日」の時を待て… それが『天国の時』であろう…
なんというハマりようwww
>>1 以外書き込む者のいないスレになるかとおそれてたものの
そんなことにならなくてよかったす
そして雑談スレに誤爆したヤツをあらためて投下
23 :
HANA子 ◆zvLTXEoOaA :2010/12/30(木) 00:51:04 ID:xczeA47x
年末。 一年も終わろうというその日に事件は始まったのである! 寒風吹き荒ぶ真夜中のビル街に光が煌めいた。 光……まさに光そのものである。イルミネーションの類ではない。イルミネーションの華やかな輝きは他者の命を奪わないからだ。 「避ける? 避けられた?」 無限桃花は驚きを禁じえない。必殺の一撃を。その二の太刀を。そして決着を付けるはずの三の太刀さえも避けられたからだ。 「わたしに迷いがあるとでもいうの? それともこれはこの子の……」 「実力だもン!」 ンに微妙に韻を含み、ロリコップはその両手に仕込まれた爆殺フィストを桃花に向けた。 ドコンッという重い響きと共に桃花の脇にあった二ノ宮クン像が木っ端微塵に砕けて消える。ロリコップ……てめェは今、すべての二ノ宮クンファンを敵に回したェ……。 「お姉ちゃん、貴女は日本国の法令とアキハバラシティの条例とを二重に犯しているの! 抵抗を止めて大人しく逮捕されるの!」 「……いや、いま普通に殺しにきてたじゃない」 「それはお互い様なの!」 刀を携えた大和撫子とチタンボディのメカ幼女。 大都会の片隅で、出会っては二人が出会ってしまった時……それは創発世界の行方さえ左右する大事件が始まる時であったのだ! 「念末寄生を一刻も早く倒さなきゃいけない今、こんなヘンな娘に関わってるわけには……ッ」 「逃がしはしないの! お姉ちゃんみたいな危険人物を逮捕する腕前なら、あたしは多分日本一なんだからネッ!」 その時、夜のビル街に「チッチッチ」と舌を鳴らせる声がした。 「逮捕術の達人ロリコップ? うぅん、その腕前は日本じゃあなたは二番目なのよぉ」 「……またヘンな娘が出たわね」 「なンなの?! じゃあ日本一は誰だっていうのー!」 その声の主はッ!! 月を背後にビルの上に立っているッ!! ビルの名は第三花沢ビルッ!!(築31年・5階建) そして彼女はッ!! 「快ッ、傑ッ、ロッリィーーーッタァッ!!」 新春創発ドラマスペシャル 【 無限桃花 VS ロリコップ … + 快傑ロリータ! アキバー大須ー日本橋でんでんタウン、電脳街道殺人ルート! 冬の日本海にカモメが飛んだ?!】 にご期待ください 快傑ロリータ「結局なんで桃花タンを逮捕したかったわけ?」 ロリコップ「銃砲刀剣類所持等取締法違反……いわゆる一つの銃刀法違反容疑。2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が課される予定なのー」 桃花「くそっ、なんて時代だ……ッ!」
『なんだコレつまんね』 『俺の方が上手いし』 『作者馬鹿すぎだろ』 世に溢れる誹謗、中傷…… それらに含まれる悪意は時として形を成し、人々を襲う。 『ハッハー!作品を壊してやるぜー!』 『こうすればもっと上手くなるぜ!あっ間違っちまったwwwww』 『どうせお前なんか才能無いんだ!やめちまえ!』 そんな悪しき怪人どもと日夜戦う青年が居た! 「『作者が心血を注いだものなら、その作品に優劣はつけられない』……ってね。」 「師匠……力をお借りします!」 「変身ッ!!」 謎多き青年、倉刀 作が変身するのは――! 「――『仮面ライダーハルト』ッ!!」 2111年春、放送開始! ――創作の、修羅となれ――
澄み渡った空に号砲一発。 スタートラインから一斉に飛び立った選手たち。彼女たちは一路、200km先のゴールを目指す。 空中のマラソンと呼ばれるクロスカントリー飛行競技・地方大会の幕開けである。 鷲人である宮元 巴には自信があった。目標は自己ベスト記録、すなわち大会新記録。 今までの実績が全国大会への切符を保障していた。 彼女にとって上位2位以内に入ることは、目標というよりも義務に近かったのである。 順調に飛ばす宮元。 高度は3000m、心地よく冷たい風を切って彼女は飛ぶ。 目の前には薄い雲がひとつふたつ。構わず中に飛び込むと、爽やかな光に包まれた。 雲を抜けて下を見下ろす。眼下に広がるのは茶色と黄色をした、秋の実りのパッチワーク。 少し先を見れば、第1経由地点の小さな街並みが近付いていた。 いつもならば独走態勢に入る筈の50km、第2経由地点の上空。 しかし宮元の視界には二つの影があった。そう、今年の大会は何かが違っていた。 ……思わず隣の顔を確かめた。 「……ジョナサンだ」 その姿を見た私は思わず呟いていた。 ―― 城ヶ崎 奈三子(じょうがさき なみこ)。カモメ人の帰国子女。 通称ジョナサン。 その言動は、私には理解できないところがあった。 彼女曰く、「私たちを天の上から見守っている存在っていうのは 確かにいると思うの」。 あるいは「天で見ている存在を思うと、どんな事だって絶対に 出来ると思えるわ」とか。 神様だか仏様だか知らないけれど、そんなものに頼って生きたいとは 私は思わない。自らを助けられるのは自分自身しかないのだ。 人一倍の努力家、大会毎に記録を伸ばしてきている侮れない相手。それが城ヶ崎である。 ランナーズ・ハイならぬフライヤーズ・ハイが昂じた結果、何かに取り憑かれたかのように 飛び続ける城ヶ崎。その顔はどこまでも無表情で、追われる宮元にはそれが不気味だった。 もう一人の方は誰だったろうか。大急ぎで記憶を探ってみる。 高校時代の三年間で、こんな事は今まで無かった。 ……そういえば確か、去年の春の大会で見た事があるような気がする。 この私に付いてくるなんて、侮れない子がいたものだ。面白いじゃない。 彼女の名は、姉葉 夕子(あねは ゆうこ)。小柄な鶴人の新人選手である。 もともと彼女は高高度上昇競技の選手であった。しかし練習中に事故によるトラウマから 高く飛ぶ事ができなくなり、しかも記憶の一部を失ってしまったのである。 そして懸命のリハビリによって復帰した彼女は、高高度競技で培った心肺機能を活かすべく 長距離飛行競技に転向したのであった。
その後数十分を経過しても集団は変わらず、宮元・城ヶ崎・姉葉の三人は、 ほぼ横並びの状態で中間地点を通過した。残された距離は100km。 彼女たちの先に待っているのは、山を渦巻く乱気流と、目印の少ない海上飛行。 全国への切符は2枚。私たちは3人。誰かが振り落とされるのだ。 よろしい。ジョナサン共々、どこまで付いてこられるものか 試してみようじゃないか。 そう心に決めた私は、目の前に広がる大空の果て、 100km先のゴール地点に待っている全国への扉を目指して 力強く羽を振り下ろした。 周囲からの期待を一身に背負った宮元か、オカルト的な速さを見せる城ヶ崎か、 あるいは卓越した体力の姉葉か。レースの行方はこの三人に絞られた。 残された距離は100km。果たして栄冠は誰の上に輝くのか? ケ モ ス レ か ら の ス ピ ン オ フ 【 天 空 の 1 2 5 マ イ ル 】 2 0 1 0 年 1 0 月 1 0 日 公 開 予 定 ! 追記:諸事情により公開は中止されました。
27 :
いろんなロリババァ :2011/01/05(水) 01:41:22 ID:3FVI8tSM
「こう何百年も生きてるとね、『新しいこと』がどんどん消えていくの。みんな今まであったことの焼き回し。そろそろつかれてきちゃった。」
28 :
いろんなロリババァ :2011/01/05(水) 01:42:45 ID:3FVI8tSM
「わしらなんかは何百年と生きてはいるが、未だに生き飽きんのう。この世はまだまだ、わしの預かり知らぬ世界で溢れておるわ。」
29 :
いろんなロリババァ :2011/01/05(水) 01:43:28 ID:3FVI8tSM
「そうなんだね。私ももう何百歳のおばあちゃん、かぁ。長かったなあ、今まで。 ねえ、あとどのくらい生きたら、かみさまは許してくれるんだろうね?」
30 :
いろんなロリババァ :2011/01/05(水) 01:44:02 ID:3FVI8tSM
「ふっ、そうか。ワタシは、ついにやってやったぞ。幾百年の苦悩を超え、ようやく。わけのわからぬもののけとしてでなく、人として、誇りを持って死ぬことが出来る。人間であるお前らにはわからんだろうな、この喜びは。だが、私は今、幸せだよ。今までで一番に」
31 :
いろんなロリババァ :2011/01/05(水) 01:44:39 ID:3FVI8tSM
「えっ、うそ。そんなの、うそだよ。だっていまは、せいれきせんはっぴゃくねんのはずでしょ?」
おわり
――長い旅路の果てに、少年サクはついにポケモンリーグに到達した。 『第一の四天王』《ドラゴン使い》カナタ カナタ「ふふふ、むげんの妹の力、見せてあげる!」 ラティアス「ひゅああーん!」 サク「なっ……!」 ――次々と襲いくる四天王の屈強なポケモンたち。 『第二の四天王』《かくとう使い》トウカ トウカ「カナタを倒した力がどれほどのものなのか……いざ、尋常に勝負!」 エルレイド「キュイー シュピン!」 ――苦戦するサク。 『第三の四天王』《みず使い》アジョなか アジョなか「バスラオォォォ! アジジェェェェェェット!!」 サク「アクアジェットじゃないですかーっ!」 サク(ツッコんでる場合じゃない! 特性と道具で威力の上がった先制攻撃、どうする!?) ――しかしサクはくじけない。 『最後の四天王』《でんき使い》アンテナさん アンテナさん「ライチュウ、でんじふゆうよ!」 ライチュウ「キィーン バリバリ!」 サク「しまった! ロトムには効いたオノノクスのじしんが効かないっ!」 サク「こうなったらげきりんで……」 アンテナさん「甘いっ! 先制でアンコール!」 サク(くっ……でも何か……何か手はあるはず……!) ――そして、ついに……! サク「あなたが、チャンピオンだったんですね。」 ハルト「……ゆけ、ミュウ。」 『チャンピオン』ハルトシュラー サク「師匠! 僕は、あなたに貰ったこのポケモンで、あなたを倒す!」 ドーブル「ブ――ぅ!」 ――『ポケットモンスター 創発バージョン』、発売未定! ハルト「これから、どうする気だ?」 サク「追いますよ。『ムカツクムカツクムカツク』の鳴き声を残して消えていった、あの、伝説のポケモンを!」
トウカ「ウー! ハー!」 ヤスオ「かそスレ、かみつスレ、そんなのひとのかって ほんとうにつよいそうさくしゃなら、じぶんのすきなスレにとうかするべき」
35 :
創る名無しに見る名無し :2011/01/07(金) 19:01:30 ID:IW5exBty
創作には終わりがない。 古来より人に受け継がれてきた技術と道具が未来の創作を発展させていく。 人々が求める限り、永遠に。 だが私は見たいと思ったのだ。 創作の終わりを。そこになにがあるのか。どのような完成系があるのか。 しかし普通にそれを見るのはとても難しい。そこで私はひとつの案を思いついた。 創作物の終わりが見える。 創作者たちの可能性がわかる。 我ながらの名案であると思う。無限の終わりと可能性を見る大いなる実験。 「さぁ、創作の時間だ」 一人の少女はどこかでの生まれ、いくつもの世界を旅をし、その館へとたどり着いた。 そこで待っていたのは彼女と同じ人々だった。 最初は戸惑っていた彼女も日が経つにつれその不可思議な日常へと慣れていった。 彼女たちの名を無限桃花と言う。 ある時、一人の桃花が疑問を抱いた。 「なぜ私たちはこの館に集まったのかしら」 そしてその疑問は――後の悲劇の要因となった。 「悪く言えば失敗作と言ったところか」 ハルトシュラーが下す決断。 そして襲い掛かってくる災厄。 「我が名は異世界の騎士シカ・ソーニャ。私と同じ源流を持つ者たちよ。勝負なり!」 「創作は今までも、そしてこれからも永久に続く。そこに終着地点などない。生物の進化と同じだ。 だがあいつらは創作物の袋小路に辿り着いた」 館の少女たちは創作の終わりから脱出することは出来たのか。 それは海沿いの館で起きた彼女たちの物語。 劇場版『無限桃花の愉快な冒険』 2000012年 全国一斉放映!
そいつは 無限桃花「無限桃花でござ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 突然現れた!!!!! そいつは 大魔女「ウンコ チューニュ メコレ」 ギュッポンギュッポン 無限桃花「ヘイカモォ〜〜〜〜〜〜〜〜ォオェグロォッ!!!!!!!!!」 変態だった!!!!!!! 無限桃花「私は無限桃花でござ〜〜〜い!!!!! 実は私 別の世界から来たのでござ〜〜〜い!!!!!!」 次元を超えた出会いが夢の中で繰り広げられる!!!!!!!!!!!!!!!!! 予測不可能!!!!! 物語は未知のステージへ!!!!!!!!!!!! 無限桃花「この刀は私 無限桃花の誇り」 無限桃花「あ いっけね 雰囲気オフサイドしちゃいましたぁ〜」 無限桃花「…実のところ…あなたがすっごい好き!!」 無限桃花「ふふふ…」 無垢なカオの裏に隠された彼女の真実とは…!!!!? ??「私の名は…複数にして一つ… 私の目的は…複数にして一つ… 私はこの世界を…侵略する!!!!!!!!!!!!」 大魔女「やれるもんならやってみなさいよ!!!!!!」 そして 繰り広げられる激闘!!!!!!!!!!! その先に待つものとは…?!!!!!!!!!!!!!!! ??「あ…あなたは… 蒼髪の……?!!!!!!!!!!!!!!」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ… なんとかファイト… 『ワラースの夢の世界編』… 同時上映『THE 力士』 絶賛脱線中
脱線中w確かにw
おい同時上映www
39 :
創る名無しに見る名無し :2011/01/19(水) 18:14:10 ID:wlCBCX9e
それは夢物語であり、誰かの描いた創作話。 誰もがそう思っていた。 アロンダイトグングニル草薙剣ジュワユースタスラムゲイボルグブルトガングミョルニル グラムフラガラッハダーインスレイブミスティルテインリディルカリバーンブリューナク それが最初に出現したのはアメリカのド田舎だったそうだ。 ある日、農夫が畑に刺さるそれを発見した。 セトゲブオシリス女?ニュクスゼウスタルタロスアグニガネーシャヴェルダンディ マルスウラヌスプルート天照大神ククルカンエアイシュタルクーフーリン 人々の幻想が 人々の信仰が 実体を持って現実に出現し始めた。 人々は後にこの時代をこう呼ぶ。 『神話時代』 どっかで連載開始
40 :
HANA子 ◆zvLTXEoOaA :2011/01/25(火) 20:20:55 ID:IQwLy9qm
「歩行者天国? 何言ってんだい。あんなのがあったのは、そりゃあもう昔の話さね」 老婆は軽く笑って煙草の灰を空き缶に落とした。 灰皿はとっくにうずたかく山盛りてんこ盛りになっていて、もう灰を落とせそうな場所すらなかったのだ。 「昔は良かったなんて言うつもりはないけどね。逆に今が良い時代かって聞かれても困るけど」 煙草を空き缶の口に押し入れると老婆は机の引き出しを開けて手を突っ込む。 緊張が部屋の中に走った。 「ちょい待ち。危ないもんじゃないわさ。ゆっくり、ゆうっくり手を出すからドカンと一発は勘弁な」 そろーりと、言葉通りにゆっくりと老婆は手を引き出しの中から出していく。そうして露になった彼女の手が掴んでいた物は黒光りする……、 「ほい。お嬢チャンも飴ちゃん食べンね?」 大き目の飴玉だった。 ジャキンと音を立てて“お嬢チャン”と呼ばれた本人はスカートの中に黒光りする拳銃のようなものをしまう。 拳銃? 確かにそれは“拳銃”のような形をしていた。 だが、それは拳銃というにはあまりに巨大すぎた。子供の腕……下手すれば大人の腕よりも大きな、それはまさに鉄塊のような回転式拳銃であった。 その少女は、その“拳銃の様な鉄塊”を事も無げに片手でスカートの中にしまったのだ。 「その銃、パイファー・ツェリスカじゃね。実物はおばちゃんも初めて見るよ」 パイファー・ツェリスカ。 世界最大の拳銃という称号を得る為だけに造られ、世界最強の拳銃となった銃。 使用される弾は600ニトロ・エクスプレス。知るものが聞けば仰け反って聞き返すような話だ。 なぜなら、600NE弾は拳銃用の弾ではなく、狩猟用ライフル用の弾なのだから。 そう、この銃は拳銃弾ではなく、ライフル弾を撃つための拳銃なのだ。 全長550mm、全高210mm。重量は6kg。およそ少女が片手で持てる銃ではない。大人だってそれなりに鍛えた者でなければ辛いだろう。 まして、それで射撃するなどということは。 だが、その少女はそれを扱ってみせた。 老婆が手を引き出しに突っ込んだと見るやいなや雷光の速さでスカートの中から銃を引き抜き、その脳天に突きつけてみせたのだから。 『くわばら、くわばら』 けっして顔には出さない動揺を、老婆は胸の内だけに晒していた。 『まったく、企業のヤツラはとんでもないモノを作り出しやがっただわさ』 もし、 もし取り出したのが飴玉でなく、護身用に隠しておいた愛用の拳銃……HK45だったら。 『今頃、首なしババァが一体店の中に現れていただろうねぇ』 コホン、と老婆は小さく咳をして彼女に向かいなおった。 「で、お嬢チャンが聞きたいのは、この街がまだ“秋葉原”だったころの歩行者天国について……だったわね。昔、一度だけ再開されたんだがねぇ……その後禁止になってから再開されたことはないんだよ」 だけど、と老婆は自らの言葉に水をさす。 「歩行者天国の始まりに鉄槌を下す、だったかねぇ。テロリストの犯行予告は。だったら耳よりの情報が一つあるわいな」 「それを教えて欲しいのー」 じりっと老婆ににじりよる彼女のその声は、まだあどけなさの残る、幼い可愛らしい声だ。遊びたい盛りの小さな子供、そのように見える。見えてしまう。 だが、それに騙されてはいけないことを老婆は身をもって学んだところなのだ。 フリフリのドレスを模して作られたらしき、冷たさを感じさせる輝きの特殊鋼製ボディアーマー。 スカートの形をしたソレは、6kgにも及ぶ超大型拳銃を格納し、なおかつ予備弾や補助武器をも収納できるハードタイプウェポンラック。 腕は触れるもの総てを爆破解体してしまう、脅威の爆殺フィストとなっていると聞く。 「その前に飴ちゃんいらんかい? な、お嬢チャン。飴ちゃんいらんかえ?」 「いらないのー」 やや間延びした声で彼女は答えた。 「それに、あたしの名前はァ、お嬢チャンじゃないのよー」 そう、 彼女の名前は、 「アイ・アム・ロリコップ!」 新 番 組 ! 《LOLI COP! ‐ロリコップ!‐》 「これは、人を愛し、萌えを守る、ロリと大きなお友達の心のドラマである」 創作発表板@にちゃんねる掲示板にて放送開始! * * * + うそです n ∧_∧ n + (ヨ(* ´∀`)E) Y Y *
アニメ版www 実写だったらUSP系列のマシンピストルだなwww
ロボコップに出てきた最早原型の欠片もないベレッタもいいのだけどねー あの3点バーストどころかフルオートまでやってみせる謎ピストルwww まぁほら、大きいことはいいことだって言うじゃん なもんで、メインウェポンはこれになりましたー 脅威の口径15.24mmのバケモノ拳銃ね >>MSP あれだよ 創作の世界だからこそファンタジーが必要なんだよ ロリがパイファー持って片手撃ちとかわたし得だしwww
MSPってなんだw USPじゃんw やべぇ、もう酔いがまわってんのか自分www USPっていえばダイハード4.0でウィリス娘が奪って撃ったアレ、 USP CONPACTとか好きだわー
オート9って実際になかったっけ? メーカー知らないけどベレッタとは思えないw 絶対トーラスだw
レスあんがとね オート9はロボコップのオリジナルだったはず 謎拳銃って言ったのは、 映画の劇中で、マガジン交換もせずにばかすかフルオートで撃ちまくってたのに、 弾切れぜんぜんしなかったことについてなんだ、うん 個人的にはシンプルな形状の拳銃の方が好きかな ワルサーPPKとかSIG SAUERP230とかが好み 誰も聞いてない? フヒヒ、サーセンwww 誤字 ×CONPACT ○COMPACT NとMまちがえるとかどんだけ酔っぱらってンだ自分ェ……
実銃は無かったのか。フルオートのガスガン売ってたからてっきり本物をロボコップで採用したのかとw あとシンプルといったらスライドストップも無いプロ仕様なグロックと無骨安価頑丈一直線のスタームルガー最高。 ガバもシンプルで完成されてるけど派生がハデ過ぎるw
シンプルといったらシングルアクションアーミーでしょ。 …え?ジャンルが違う?
SSA直系の(というかコピー)のブラックホークもいいぜ。 すんごい安いし頑丈だし。
所属する団体の消滅危機を救う為、スイカマスクこと矢野粋佳は世界最強のレスラー、スーパーストロングパンツマシーンの持つIPWCタイトルの奪取を目論む。 しかし、世界どころか日本ランキングにも入っていない矢野には挑戦権などあるはずも無く、それどころか先輩達からは激しく咎められてしまう。 自ら挑戦できないならばと、矢野がとった作戦とは……?
様々な難題を乗り越えて、ついに相対するスーパーストロングパンツマシーン、ニールとウォーターメロンマン、矢野。 「奴の持つ世界タイトル……。あれさえあれば……!」 しかし、ゴングと同時に矢野はニールに圧倒されてしまった。 繰り出す技は全て返され、同じ技を数段上のレベルで受けてしまう矢野。あまりに圧倒的な力の差に、矢野は己が一体何をしてしまったのか、ようやく理解する。 俺は、なんという男に喧嘩を売ってしまったんだ……!
激戦の最中、ニールという強敵を前に次々と引き出されて行く恐るべき矢野の潜在能力! 観客も、セコンドも、そして対戦しているニールも、その隠された実力を理解し始めた。技はキレを増し、その場でオリジナルホールドを編み出す程の才能を発揮する矢野。しかし、それはニールの闘争本能をさらに刺激してしまう。 そして、遂に「禁断の必殺技」の封印が解かれてしまった――。
死闘の末、決着を迎えた両者。 その凄まじい闘いはそれなりの評価を受け、矢野は日本で屈指の強豪選手に数えられる事となった。そして、またそれぞれの闘いの場所へと帰って行く。 数日後、ニールに届いたショッキングなニュース。 ライバルのヨシダが持つ団体タイトルとJPWCタイトルが奪われたというのだ。奪った者の名前は――。 その瞬間こそ、本当の闘いの始まりだった。
今年中には……出来たら……いい……な……グファ……ッッッッッ!
頑張れ、超頑張れw
――無限桃花、十七歳。 死地へと向かう少し前、桃花が過ごした人間らしい数年間の出来事。 居候先の孝也との日常がちょっとおかしな方向へ? 昔からの幼なじみとの関係が崩れさる時、一体何が起こるのか。桃花の初体k(ryの後、爆発する桃花の裏の顔!? 本編で語られなかった「昔の事」の物語――。
メキシコ共和国。砂の大地を歩く二人の人影。 カメラを片手に、殺伐としながらも自然が作り出す美しい光景を楽しむマキ・シゲルとティマ。しかし、無作為な撮影行為は必要な配慮をつい失って――。 訳も分からず武装したメキシカンに追われるマキとティマ。そして、ちょっとだけ訳を知っているあの男。 幾度か出会い、その度に互いの記憶から消えて行った彼らの、ちょっとした逃走劇。 kind of LOST GIRL U 『bullet in the film』
あの諺がついに映画化! 噴火する火山。 谷間の村に襲いかかるマグマ。 村人全員の運命を託されたのは、 一隻の船と 七人の男たちだった。 第一船頭 アラシ ――あともうひとつ山を越えれば、俺たちは助かるんだ! 第二船頭 タツミ ――おもかじー! いっぱ――――い!! 第三船頭 ヤマト ――僕は僕のやり方で操舵させてもらう。 第四船頭 ジョー ――もうだめだ……もうだめなんだよ! 第五船頭 マキシム ―― Go go go go go go go go …… ouch! 第六船頭 ヒデ ――右舷に木が引っ掛かっている。正直かなりヤバい。 第七船頭 ホタテ ――見ろ! 隣町の光だ! 男たちは、時にいがみ合い、時に助け合いながら、船を進めてゆく。 全ては、山に登るために……。 『山越船』 2XXX年XX月XX日 ロードショー
58 :
創る名無しに見る名無し :2011/02/19(土) 21:27:17.23 ID:hGxfa7jW
見てみてえwww
59 :
創る名無しに見る名無し :2011/03/28(月) 04:08:59.49 ID:gCYjSnrC
私の同居人は 両親を殺した犯人であり、実の兄です。 ある朝、平凡な家庭に訪れた出来事。 「カナ。三日だけ。待っててくれないかな。その間に一生分の思い出を作りたいんだ」 のんびり屋の兄はそう私に頼んだ。 それから始まった奇妙でいびつな、だけど愛に満ちた美しい三日間。 そして最後に訪れた兄への判決。 「ぼくは、それでも両親を愛してます」 『桜色の季節に』
61 :
創る名無しに見る名無し :2011/04/03(日) 02:41:41.58 ID:BH9+mvXr
毎日毎日不幸にまみれて過ごす少年、幸村幸男君は ある日の放課後に道端で占いをしていた怪しい人間にこんなことを言われる。 「おぉ……。お前の背負いし不幸はお前だけではなく世界すらも不幸にする……」 頼んでいない上に鑑定料まで取られて不幸気味な幸男君が家に帰ったら なんか屋根を突き破って女の子が降ってきた。 「きょーからここを拠点として世界を侵略するのダ!」 さっそく世界存亡の危機に面した幸村君! 世界と幸村君の明日はどっちだ! 『今日も世界危機一髪!』
とある侵略の烏賊娘ですね、わかります。
63 :
名無しの青二才 :2011/04/04(月) 20:48:10.06 ID:5IqQWn9y
20**年世界は機械に支配されようとしていた! 人間vs機械の戦いが今幕を開けようとする。 何処と無く飛び交う銃弾と血。そして最強の頭脳戦。 死にゆく同士。安全なところなんて無い! 誰が信じれるのか? 誰が機械なのか? 生きて帰れるのか? 裏切り者は? そして地球の運命は? 20**年新年スペシャル「浅見光彦シリーズ26 連続ボッタクリバー摘発事件」
タイトルと中身別物じゃねーかw ターミネーターだろそれw
65 :
創る名無しに見る名無し :2011/04/05(火) 04:56:25.09 ID:oGHKdiae
舞台は町というのはいささか小規模すぎる村。 朝日が昇れば、猟師たちが剣と弓と魔法を駆使して獲物を取り 月が昇れば、取ってきた獲物と畑の収穫物で夕食を行い、静かに眠る。 ずっと続いてきた平穏で、退屈。だけど幸福な日常。 誰もがその幸福な退屈が続くものかと思っていた。 ――魔王が現れるまでは。 今はもう長閑な村は強固な壁と深き堀に囲まれている。 昼夜問わず男たちが監視の目を光らせ、村の外には部隊を組み、食料を取りにいく。 自らの村を守るため。人々は剣を取り、弓を構え、魔法を唱えた。勇者が魔王を討ち取るまで。 そこは魔王城最前線。人々は明日を切り開けるか 『こちら魔王軍抵抗部隊最前線基地』
66 :
名無しの青二才 :2011/04/05(火) 11:51:05.47 ID:ilxg8L5Y
1944年6月6日 オハマビーチ、ユタビーチ、ゴールドビーチ、ジュノビーチ、ソードビーチ 連合軍とナチスドイツの史上最大の作戦が展開された。 100000人を超す死者。飛び交うマシンガンの銃声そして兵士の血と汗と涙。 圧倒される連合軍。二転三転する状況。 誰もが予想もしない、オハマビーチの激闘、空挺隊の決死の作戦。 命を落とす兵士を見ながら何を感じるのか? それから67年後、カツオは受験戦争へと身を投じるのだが、野球がしたい。 やばい集中できない。 このままじゃ高校に落ちちゃう。 サーて来週のサザエさんは、「カツオ野球拳をする。」 「フリーター家を買う。」 「僕は世界の神になる。」 の三本です。
前半と後半まったく関係ないだろw
68 :
創る名無しに見る名無し :2011/04/07(木) 03:34:16.96 ID:GZXIwapz
日に日に勢いを増していく攻撃に晒される村。 そんな中、村人の一人がひとつの提案をした。 「この村を捨てよう」 揺れる人々。長き歴史、平和なあの頃の日常はここで潰えてしまうのか。 そんな足並み揃わぬ村に訪れた凶悪な魔物、ドラゴン。 そこは魔王城最前線。人々は平穏を夢見ることは出来るのか。 『こちら魔王軍抵抗部隊最前線基地 掛替えのない選択』
69 :
13号ライダー :2011/04/07(木) 20:14:14.81 ID:uLPHcqwk
「こんな”ゲーム”あっていいはずがない!!」 「なら、死ねよ」 「戦わなきゃいけないとしも…もう…誰も死なせたりしない!!!」 「だから…甘いんだよ。」 誰も運命から逃れることはできない!!
70 :
創る名無しに見る名無し :2011/04/08(金) 03:36:37.20 ID:Mw2sI6lu
ドラゴンをも退けたとさらに有名になった村。 遠方の国からの支援も受け、守る意志を固める村人たち。 そしてついにここまでたどり着いた勇者達。 今、魔王の野望が潰える時が来たのだ。 それと同時に放たれた魔王からの最後の兵士たち。 村人たちは見事にこの戦いを乗り切り、そして勇者は平和を掴むことが出来るのか。 そこは魔王城最前線。人々は希望を掴み、明日へと生きる。 『こちら魔王軍抵抗部隊最前線基地 希望の詩』
71 :
創る名無しに見る名無し :2011/04/09(土) 04:24:28.72 ID:gWsrXKgp
魔王は死んだ。世界は人間の手により。平和が戻った。 当たり前の世界が再び流れ始める。 子供たちは村を駆け回り、夕日が沈むとともに家に帰り、今日あった事を話す。 大人たちは畑を耕し、獣を捕り、夕日が沈むと家族が待つ家へと戻る。 それは長く、そしてこれからも続く平和。 だがすべては戻らない。『魔王はいた』。その事実は世界を覆い、人々の心を縛った。 本当に消滅したのか。その疑問が頭を過ぎり、隣人すらも疑いの目で見てしまう。 そうして下されたのは『新たなる敵を討伐せよ』。目標は――元最前線の村。 村人は戸惑う。仲間であったはずの国が。支援をしてくれた国が。そして世界を救った英雄が。 この村を攻める。自分たちを殺すために。 悲しみの歌が響く世界で村人たちは最後の攻防戦に挑む。 そこは元魔王城最前線。人々の足はもう止まることが許されないのか。 『こちら元魔王軍抵抗部隊最前線基地 誰がために剣を取る 』
72 :
創る名無しに見る名無し :2011/04/12(火) 22:24:11.82 ID:FNRnMwqk
ある日、目を覚ますと幼女になっていた――。 春休み明けに起きたおかしな現象! 主人公は果たして遅刻せずに学校に行けるのか!? 幼女になった主人公が巻き起こすハプニングを描いたパロディ『幼女』を始め 投薬実験により、幼児化した女性とそれに伴う変化とは『アルジャーノンとお絵かきを』 15人の幼女による無人島サバイバル生活。ちなみに大人はいない!『15幼女漂流記』 など至高の幼女パロディ全八篇収録! これを読み終えたらあなたもロリコンになっている! 『八十日間幼女と一周』
養成すなw
74 :
創る名無しに見る名無し :2011/04/13(水) 22:01:39.04 ID:8YQJ/cMQ
――― どこかの世界の謎の館で勃発した大事件!!!!!!!!!!!!!!!!!! 江戸っ子無限桃花「てぇーへんでぇてぇーへんでぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!! クーデテーでぇ!!!!!!!!!!!!!!!! クーデテーでぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 ――― 同じ顔で 大戦争勃発!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 良い無限桃花「こんな戦いはやめるんだーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 反乱無限桃花「邪魔する奴は死んでしまえ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 ――― 大激戦!!!!!!!!!!!!! ぶつかり合う同じ顔!!!!!!!!!!!!!!!!!! 反乱無限桃花「不完全が完全を支配しようなんて痴がましい 今日こそあの魔王の首をとる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 ――― そして… ついにあの超大物が動く!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 幼女「今日はうるさいな 桃花達は何をバカ騒ぎしている?」 タイコ持ち無限桃花「魔王様大変でごぜぇます!!!!!!!!!!!!!!!! 無限桃花の反乱です!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 幼女「ほう これは放っておけないな …私も参戦するとしよう」 無限桃花 vs 無限桃花 vs… 魔王!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 鮮血飛び散る館で勝者となるのは一体!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!? 反乱無限桃花「ガキの顔して酸いも甘いも経験したような口ぶりすんじゃないよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! むかつくんだよ!!!!!!!!!! 不完全ごときが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 幼女「たかがイチ桃花が私を評価しようなど…滑稽だな 大人しく裁きを受けるがいい」 反乱無限桃花「私は死なない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 ガチャ 帽子男「ちょっとトイレに行ってました」 ―――― 関係ないスレで別のスレの話っぽい話を堂々とやる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! なんとかファイトの『無限桃花』編!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 同時上映『ちんこマニアのきのこ狩り』 …Coming soon…
なんかドラえもんだらけを思い出したw
なんでこうも新しい桃花ばっかり出てくるんだw
「ども、彩伊佐珠理奈です」 20代の始めに見える、ショートカットの彼女はそう言って 首をすくめるように会釈をした。 「あやいさ……じゅりな?……」 「はい。松風さん。ご指導のほど、よろしくお願いします!」 「いや……JAに言われることじゃないけどなあ……」 ひみつ探偵☆JA 〜予告編〜 「さぁーあ、松風さん、あたしたちだけで日本を救いますよ!」 珠理奈は何の迷いもなく、大きな目をきらきらさせて言った。 「どこの世界に小娘としょぼくれた中年男に救える日本があるんだ」 「あたしは小娘ですけど、松風さんはしょぼくれた中年男じゃないです。大丈夫です」 珠理奈の言葉は、確信に満ちていた。J機関のエース、JAの確信だった。 私の両手のMP5Kの弾倉が空になる前に、珠理奈が横手から敵陣に飛び込んだ。 私に見えたのは、いちばん外側で私に向けて自動拳銃を撃っていた男の頭に、 珠理奈の跳び膝がめり込むところまでだった。 爆竹同時着火のような自動拳銃の連射音の後、倉庫は静まり返った。 私はゆっくりと2丁のMP5の弾倉を交換した。 「JAには専用のカスタムガンが支給されるだろ?なんでもってないんだ?」 「だって重いし邪魔じゃないですか」 珠理奈はきっぱりと言い切った。 私は.357マグナムウッズマンと桑畑技師にちょっとだけ同情した。 「フハハハハハハ!貴様らに残された時間はあと2時間だ!どうする、どうする?」 モニターの中で包帯男が勝ち誇ったように言った。 私は珠理奈に顔を向けた。珠理奈の顔がなにやら期待に充ち満ちていた。 「いい切り返しが思いつかないんだけど、ちょっと仮眠とっていいかな?」 「もぉーお、松風さぁ〜ん」 珠理奈はそう言って、口を尖らせて私の腕を軽く叩いた。 私は珠理奈を追って走った。 私たちの横の壁に膨大な量の銃痕が穿たれてゆく。 なぜ命中しないのか不思議な程の量だった。 「さすが松風さんですね!コツが分かってきました!」 珠理奈が走りながら振り向いて言った。なんのコツなのか、私が知りたかった。 「そんな……そんなバカな!まさかお前は……」 「彩伊佐珠理奈。人呼んでひみつ探偵JAなのは、ひ・み・つ、さっ!」 「秘密にしろよ」 ひみつ探偵☆JA 公開未定
78 :
創る名無しに見る名無し :2011/04/14(木) 05:31:35.51 ID:MupMBxjR
科学は人々から不安を取り除き、希望を与えた。 その光は闇に満ちた世界を照らし、導く光となった。 故に人々は科学を信仰するようになった。 そして全てが忘れ去られていく。 あの林の中に。道の途中に。滝の水辺に。 確かに居た者たちは時間に蝕まれ、やがて自然の一部となった。 科学は人々を救った。その代わり神々を消えていった。 『神様はどこへ行った?』
79 :
創る名無しに見る名無し :2011/04/20(水) 06:42:31.32 ID:bNh39PB6
小さな農村のはずれにある大きな洋館。 林に囲まれたところにぽつんと存在するその館は地元では専ら 「悪魔の館だ」 「幽霊小屋だ」 と芳しくない評価を受けている。 そんなある日。洋館に人が越してきた、という噂が村を駆け巡った。 「あんなところに誰か住むのか」 「どんなやつが」 「そもそも人住んでなかったんだ」 そんな噂の真実を確かめるため、三人の少年、少女が立ち上がった。 人は彼らをワルガキどもと呼んでいる。そんな彼らが、だ。 そして彼らは見てしまった。館に移り住んだ二人の家族を。 「こんにちは! 私は東村アキノって言うの。あなたたちと同じ中学生で魔女なんだよ」 魔女と名乗る大和撫子を具現化したような溌剌とした少女。 「少し……村を案内してくれるかな」 寡黙で暗いメガネをかけた痩せた青年。 月面に人類が到達してから三年後。沖縄返還された1972年。 魔女と夏と時間が織り成す、ひと夏の物語。 「私たちは2011年の夏からやってきたの。 え? 世界を守るために未来から? 違うよ。 私たちのちっぽけな幸福を守るために来たのさ!」 『魔女たちの懐中時計』
80 :
創る名無しに見る名無し :2011/04/21(木) 20:38:01.99 ID:0ZYlC0BM
学校の帰り道。ふと寄り道した先にあった古びた社。 気まぐれに落ち葉を払い、ちょっとお願いしてみる。 「ハーレムマンガもびっくりなハーレムがおきますように」 そのとき、祀ってあった稲荷様の目が赤く光った。気がした。 その日、家に帰ると見覚えのない姉妹が! え、今日から家族なんで? 翌朝、なぜか寝坊したので走って学校へ向かったら曲がり角で女の子と衝突! ハンカチ忘れてるよ! と思ったら今度は空から違う女の子が! 学校着いたら転校生ってさっきのぶつかった女の子! クラスの委員長が! 学校の生徒会長が! 問題児が! 噂の幽霊ちゃんまで! これが噂のハーレムか! と思ったらなんかヒロイン争奪戦し始めちゃった。俺の青春どうなるの? 『ヒロインズ・ウォー』
81 :
創る名無しに見る名無し :2011/04/23(土) 10:59:42.16 ID:t9rzcrDn
夏は嫌いだ。 暑いし、セミがうるさいし、日焼けするし。 何も起きやしないのに。いつもどこかに何かを隠している。 夏は嫌いだ。 でもまた夏が来る。 近づくたびに胸のどこかで期待してしまう。 今年の夏はきっと。そんな予感を。 『夏の風 蝉の歌』
82 :
創る名無しに見る名無し :2011/04/24(日) 07:20:41.13 ID:xXaCB63N
「新しい天と新しい地,最初の天と地は去った」 突然アラスカで起きた一家惨殺事件。 あまりにも不可解な殺され方だった。 そして、これは”彼”にとってまだ始まりに過ぎなかった・・・。 不可解に殺される被害者たち。終わらない事件。そして公になるツーリスト。 「なにが起きている!?」 「奴は怪物だ。」 最悪の広域連続殺人が幕を開ける。 ドリームチームが犯罪者を追いつめる#0「旅する死神」
83 :
創る名無しに見る名無し :2011/04/24(日) 14:14:34.58 ID:jzlsOrMG
例えばもしもいきなり神様っぽいのが現れて 「過去を変えてやろうか?」 そんなことを言われたらあなたは何を願いますか? 「君に渡した同じ形のカギがこの町にあと九本ある。君はそれを全て集めるのだ。 そうしたら過去改変のチャンスをやろう」 恋人を交通事故で亡くした少年、風間のもとへ現れた自称神様。 神様は彼が心の底から望んだ過去を変えるチャンスをくれた。 だけど 彼は他の所持者と出会い、ひとつの壁にぶつかってしまう。 「ぼくの願いは……同じくらい強い他人の願いを踏みにじってまで達成したいものなのだろうか」 あなたは自分の願いのためなら 誰かの希望を平気でむしりとれますか? 『トワイライト』
84 :
名無しの青二才 :2011/04/24(日) 18:02:57.15 ID:xXaCB63N
何で俺達は死ぬ覚悟で敵を殺さないといけない? 何でだって?それが宿命だからさ! なぜ戦わないといけない? 本能を貫け!立ち向かえ! 次々と殺される仲間を助けれないのなら「奴ら」と同じだ! お前達!全体に死ぬな! ここで死んだら全部無駄になっちまうじゃねぇか… 生きて…戦って…勝て… 死ぬんじゃない!息をしろ。息をしてくれ! どうすれば…どうすればいいんだぁぁぁ 誰か!誰か応答しろ!! 戦場はまるで地獄だぜ!ヒーーハーー! 本当にこれで正解なのでしょうか? 何で何だよ!何で・・・くそぉぉぉ 例え偽善といわれようと私は引き金を引きません。 引き金を引け!早く! コール・オブ・デューティー5 マジカヨクサスギダロ
85 :
創る名無しに見る名無し :2011/04/26(火) 03:36:15.79 ID:lrmcssg0
この世の人間は二種類に別けられる。 『彼女に従う人間』か『彼女に従わない人間』だ。 魔法暦2011年。世界は一つの国の主として君臨する彼女を中心に回っていた。 聖女王 アレキサンドライト。 彼女は自らの魔力とそのカリスマで一代にして小国だったジュエル王国を世界を支配する大国までにした。 「あなたがたが私の国の傘下に入るか入らないか。それはあなたがたが決めてよいのです。 ただあなたがたが平和を望むのならば私は入ることをおすすめします。」 多くの国がこの言葉の前に彼女の下僕になることを選んだ。 だが彼らは諦めなかった。反ジュエル王国組織 コロナ。 国際指名手配にもされている彼らは彼女の国を滅亡させるべくテロ行為を続けていた。 しかしあまりにも大きすぎる敵ゆえにジリ貧になりつつあった。 そんなとき、彼らの元へ現れたのは「ニホン」という国から現れた一人の少女だった。 たった一つの国に支配されかけている『平和』な世界。 人々の心の平穏はそれによって訪れるのか? 『誰かが平和のために剣を取る』
86 :
創る名無しに見る名無し :2011/05/01(日) 02:33:49.77 ID:lIZGu9CX
それは結構唐突な話で 休日の昼間をテレビをけだるく見ていたらやってきた。 顔を青くした政府のお偉いさんが「えー」だとか「あー」だとか言葉に詰まりながら話をする。 一時間に及んだ緊急記者会見の内容は簡単に訳すとこうだ。 『一年後に彗星が衝突し、地球は滅びる』と。 あの会見から九ヵ月後。 私たちは再びその地に集った。 約束を果たすために。 『星の降る夜は』
「きんきんきつねのきゃんたまは〜っと」 無限の派生を見せる"それ"は、今一つの危機を迎えていた。 方々に枝を伸ばし実を落としすぎた大木は養分を賄いきれず、内側から徐々に朽ちていく。 大地が揺らぐ時、その太い幹を支えていたはずの根はすでに―― 「なんと刀が物申したよ。いわゆる一つの妖刀か、あるいはこれに化ける物の怪、はたまた幻聴幻覚かいな」 「私は桃花。刀桃花でございます。これだけ言えば理解できるはず……同じ 桃花であるあなたなら」 呪われた百八の凶星が一つの地に放たれる。 そこに偶然など存在しない。全ては創られた予定調和。 「お前を倒しは私は新たな桃花の根となる。恐れることはない。これは死ではなく、還元だ」 再び訪れる闘争の運命。 戦場の乙女達は何を知り、何を求めるのか。 「あらあ? 私サーベル使いだって言ってなかったかしら」 「剣歯虎じゃねーか!!」 吹き荒れる風、其を裂く刃。 戦いの業と業とは加速し、肥大化する。 「つまり彼女等が見知らぬところで斬り合う事は有り得ないと?」 「これは桃花という己との戦い。百八の桃花の前には必ず百八の桃花が訪れる。」 己の血を吸い、血を吐き生き延び、果たしてその先にあるものとは。 「お前は……誰だ!」 「いやだなあ無限桃花に決まってるじゃないか。ボクは無限桃花になったんだ。完全な、ね」 「それならそれで私には都合が良い。この場の全員叩っ斬って、しめて合計――」 『無限桃花、百八人斬り』 すごい未定
88 :
HANA子 ◆zvLTXEoOaA :2011/05/23(月) 19:55:54.63 ID:swy3CHQz
「わたし」の渾名は大体「おかん」だ。 他には「母ちゃん」、それから「マミー」。口の悪い子からは「ばっちゃ」なんて呼ばれたりもする。 ようするに「わたし」ってみんなの「お袋さん」ポジションなんだってわけ。 それはもうずうっと。小学校から中学校もこの調子だったし、花の女子高時代だって同じ。 調理師学校に通う今も変わらず「みんなのお母ちゃん」ポジとして通っているのよね。 そんなわたしだから、相談を持ちかけられることはあっても、自分が相談なんて皆無なわけ。 みんなの話に加わってみれば、いつのまにか「おかん」の人生相談室になっている始末……。 あぁ、こんな自分にさよならしたい……それが「わたし」の夢なのでした。
89 :
HANA子 ◆zvLTXEoOaA :2011/05/23(月) 20:04:07.72 ID:swy3CHQz
ある日、夜の居酒屋のバイトを終えた帰り道、人気のないガード下で「わたし」を異常事態が襲った! まばゆい光と激しい振動、そして暖かい風。意識を失う「わたし」。 目を覚ました時、「わたし」がいたのは見知らぬお城のベッドの中だった。 目覚めてすぐに謁見の間に招かれる「わたし」。 出迎えたのは、お姫様にクールで知的な魔法使いのお兄様だ。 なんでもこの世界は今、滅亡の危機にあるんだって。 その滅びの運命を覆すためにはどうしても異世界から救いの御手となる人を呼ぶ必要があった、と。 てことは、まさかホントにファンタジーな異世界? 救世主「わたし」? 我が世の春がキタ?
90 :
HANA子 ◆zvLTXEoOaA :2011/05/23(月) 20:08:24.10 ID:swy3CHQz
ここで質問。「わたし」はなんでこの世界に呼ばれたのでしょーか? 1.実は秘められた「力」を持っていた。そう「わたし」こそ伝説の勇者となる女の子だったのだ! 2.地上人でなければ乗りこなせない異世界のロボがある。「わたし」は伝説の聖戦士になるのだ! 3.ここはタモリっぽく言わせてもらおう。そんなわきゃーない、と。現実は厳しいのである。 もちろん答えは安定と実績の「3」。ここはもう、「こんなの絶対おかしいよ」と言わざるをえない。 じゃーなんでわざわざ呼んだのよーと抗議をする「わたし」。 すると別室からぞろぞろと人種、年齢、衣服にと、色々バラバラな男(一部男の子)たちが入ってきたの。 実は……とお姫様が重い口を開いた。
91 :
HANA子 ◆zvLTXEoOaA :2011/05/23(月) 20:12:35.29 ID:swy3CHQz
それによると、召喚魔法で勇者候補たちを呼ぶことには成功したんだっていうのよ。 ただ、ここは異世界。 文化、風習、特に「食」が元の世界と全然違うせいで勇者候補たちのストレスがマッハでヤバイんだとか。 じゃ、なに? 「わたし」の呼ばれた理由っていわゆる一つの…… 「はい! 勇者となる方々のお世話をしてくださる方としてお呼びいたしましたの!」 おうふ……異世界にきてまで「みんなのお袋さん」ポジですか……。 ……いいさ、やってやるわよ! それが「わたし」の「価値」だっつんならやってやろうじゃないのよっ!!
92 :
HANA子 ◆zvLTXEoOaA :2011/05/23(月) 20:15:12.39 ID:swy3CHQz
かくして「わたし」の異世界生活が始まったのでした。 素直なお子さまがいると思えば、妙に気取ったキザな奴もいる。 ぶっきらぼうに見えて実は気遣いの出来る捻くれ者もいる。 やけに突っかかってくるちっこいのなんか、もうケンカ友達みたいなもんだ。 そんな感じで勇者候補たちはどいつもこいつも癖のある奴ばかりで毎日が大変! まぁでも「あんたじゃなきゃダメなんだ」なんて言わればやる気もでるってもんですよ! 勇者たちのかーちゃん業、「わたし」がんばってます!! 【わたしが勇者のおふくろさん!】 とりあえず思いついただけ
久しぶりに創発来たけど忍法帳やばい 前みたいに1レスめいっぱいギリギリで書き込みできないや どうしたらいいのかwikiでも見てくることにするわ〜
94 :
創る名無しに見る名無し :2011/05/24(火) 22:00:18.78 ID:H3MF3CB7
「貴方は自らの心臓が何故、鼓動を止めないか、尋ねられたことはありますか?」 「拳銃で頭をブチ抜いても死なない。まるであれは化け物だ!」 半世紀以上前、第二次世界大戦末期。 M県椰鷺塙村の東三キロの山中で軍事演習中の警察予備隊の小隊が数分で壊滅した。 精鋭部隊の彼らは何故数分で壊滅したのか?誰が襲撃したのか? 三十年前、S県平岡町交差点。 地元の有名大学の優秀学生Eが交番を襲撃し警官五名を殺害し拳銃を強奪。 車に向けて無差別に発砲して二十九名を射殺後に自殺する惨事が起きる。 三年前、東京都メトロ有楽町駅。 電車に仕掛けられた、液体爆弾が炸裂し電車が脱線。 死傷者六十三名の国内最悪のテロが起きた。が、犯人に目星はつかず迷宮入りとなった。 「時を越えて犠牲を払う時に、惨劇は起きて血の雨が降るだろう。」 人々が、"パンドラの箱"を開けるときまた、悲劇は繰り返される。 何が起きても、何があってもそこにある物は絶望だけでしかない。 監督 クリストファー・ノーラン(だったらいいなぁ) 「ダウン・タウン」
95 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/09(木) 20:29:17.96 ID:7DQC8w58
「創作発表板最強の作者を見たいか――――ッ」 「オ――――――――――――――!!!!」 「ワシもじゃ!ワシもじゃ、みんな!!」 『全選手入場!!』 創作心は生きていた!! 更なる研鑚を積みロボフェチが甦った!!! ロボット物SS総合スレ!! ◆n41r8f8dTsだァ――――!!! AA作成技術はすでに我が完成している!! ◆JDhsVOOkg6だァ――――!!! 出来次第投下しまくってやる!! とりあえず三題噺 ◆91wbDksrrEだァッ!!! 素手の殴り合いなら我々の歴史がものを言う!! 素手の魔術師 ハンドクラフター 立体物を作ってみるスレ!!! 真のカップルを知らしめたい!! 学園を創りませんか? ◆46YdzwwxxUだァ!!! 創発板は3階級制覇だが厨二病なら全階級オレのものだ!! チェンジリング・デイ ◆WXsIGoeOagだ!!! はさみさん対策は完璧だ!! ほんわか絵師 ◆akuta/cdbA!!!! 色鉛筆擬人化のベスト・ディフェンスは私の中にある!! 保守の神様が来たッ サムライブラック保守!!! 創作なら絶対に敗けん!! ドラクエの漫画見せたる ドラクエ4コマを描くスレ ペクチン◆Un576eUSkA だ!!! バーリ・トゥード(なんでもあり)ならこの人が怖い!! 創発板のピュア・イラストレーター 描いちゃったりする人だ!!! 都道府県擬人化から炎のイラストが上陸だ!! ◆Hugh.IzNHU!!!
96 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/09(木) 20:30:38.45 ID:7DQC8w58
ルールの無い創作がしたいから動画投稿になったのだ!! 天下統一を見せてやる!! 創発の野望!!! めい土の土産にもふもふとはよく言ったもの!! 達人の奥義が今 投下でバクハツする!! 獣人総合スレ わんこ◆TC02kfS2Q2だ―――!!! 狐っ娘こそがみん創スレの代名詞だ!! まさかこの人がきてくれるとはッッ ◆mGG62PYCNk!!! 創作したいからここまできたッ キャリア一切不明!!!! 創作発表スレのピット(ケンカ)ファイター メス豚だ!!! オレはうなじで最強ではない日本美意識で最強なのだ!! 御存知和風な創作スレ ◆BY8IRunOLE!!! 擬人化の本場は今や天候にある!! オレを萌えさせる奴はいないのか!! ◆GAIA///6T.だ!!! 強ォォォォォいッ説明不要!! 最凶魔女!!! ウンコメコレ!!! なんとかファイトだ!!! 魔法は実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦魔術!! 魔女っ子&変身ヒロイン&魔法少女創作スレから天使ノ要塞の登場だ!!! 人形はオレのもの 邪魔するやつは思いきり殴り思いきり蹴るだけ!! ドールVS自動人形 からくりメイデン 自分を試しに創発板へきたッ!! 本日もお借りします 編み物とかお裁縫で創作するよキュムキュム!!! 投下量に更なる磨きをかけ 冥獣”怪物を作りたいんですががやってきたァ!!!
97 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/09(木) 20:31:38.80 ID:7DQC8w58
今の自分にボークはないッッ!! スポーツ総合スレ GirlsBaseballClassic!!!
セリフの妙技が今ベールを脱ぐ!! 台詞系SS総合スレから Uだ!!!
島の中でならオレはいつでも本領発揮だ!!
キャッキャウフフ ◆wHsYL8cZCc 紳士スタイルで登場だ!!!
貧乳画像はどーしたッ 怒りの炎 未だ消えずッ!!
釣るも釣られるも思いのまま!! 騙されて創作発表板に飛ばされた訳だが!!!
特に理由はないッ 死にたくなるのは当たりまえ!!
友人にはないしょだ!!! 死がテーマの小説を作るスレ!
◆69qW4CN98kがきてくれた―――!!!
読者投票で磨いた実戦SS!!
創発板のデンジャラス・ライオン キャプテン森崎◆vD5srW.8hUだ!!!
設定だったらこの人を外せない!! 超A級投下師 ロストスペラーだ!!!
超一流監督の超一流の喧嘩だ!! 生で拝んでオドロキやがれッ
安価進行の鋼鉄人!! わしを育てるスレ!!!
セラ様はこの人が完成させた!!
ロリババァ創作スレの切り札!! るみるくすだ!!!
一レスで次々と創作されてしまったッ
どこへ行ったンだッ 俺の財布ッッ
親友はお金を借してくれたッッッD君の友人の登場だ――――――――ッ
『 第一回 創作発表板書き手ロワイヤル 開幕ッッッ!!! 』
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1306046832/l50
ワロタwww
おいwww
自分が初めて使われたw なんかくすぐったいような嬉しい気分になるのな
立木さんと千葉さんで脳内再生されました
主催誰だよw
103 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/14(火) 19:39:08.26 ID:n9LQcj2b
ある意味ここのスレタイを一番忠実に表現しているなww
104 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/15(水) 04:48:59.71 ID:yRparDmx
主催はもちろん 一匹見たら二匹くらいしかいないと思え!! 運が悪いと0匹だ!! 創作発表板住人ンンン!!
でかぁぁぁぁぁいッ説明不要! 2メートル45センチ! 1000ならビッグペニス!
デカ過ぎるだろw
いや待て 本体が20メートルぐらいあれば、その大きさでも問題ないのではなかろうか
108 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/16(木) 20:55:31.00 ID:DhIUZGHO
僕が生まれるよりずっと昔。日本に大きな震災が襲った。 あれから三十年経ったが特に被害の大きかった地域は未だに一般人の立ち入りが禁じられている。 僕はいつもそのフェンスを見上げていた。高く張り巡らされたその壁の向こう側には木の壁があり、その奥は見ることは出来ない。 友達は「人より大きいザリガニがいる」とか「毒沼がたくさんあって入ると死ぬ」とかそんなことばかり噂している。 でも僕は見てしまった。木々の隙間から見えたのは確かにヒマワリだった。 そしてそのヒマワリの間を歩く白いワンピースの少女を。 2041年 夏 僕は禁じられた地に足を踏み入れた。 『ヒマワリ』
>>108 なんか王道のボーイミーツガールものって感じ
素直に読んでみたいと思った
あれから三ヶ月か……
110 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/16(木) 21:41:08.68 ID:W1Cs4OGX
"それを作れば彼は必ずやってくる" どこからか聞こえた声に僕はあの日から惑わされていた。 だから彼は"それ"を作る代わりに、大切なものを失った。 そして、起きた過ちと惨劇。誰も助けれないんだ。 もう戻れないあの頃には、大地は死に動物は野に放たれたまま。 「3, 11 リメンバーフクシマ」 同時上映「毒ユッケ事件 報復の日〜それでも僕はやってない〜」
111 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/17(金) 20:57:42.37 ID:K4rViK8E
梅雨のうっとおしい湿気が太陽に駆逐されはじめた頃。 地上に落ちた太陽もとい台風であるハルヒがとあるものに興味を出し始めたのもその頃だっただろう。 どうせまた影響されて俺たちはその尻拭いなどをすることになる。そう考えるとため息の一つくらいつきたくなる。 予想通りというかなんというか。ハルヒはそれと同じことをしたくなったらしく道具集めに付き合わされた。 問題はそのとあるものだ。それの名は「シュタインズゲート」。パソコンのゲームだ。 内容においそれと触れるのもあれだがちょこっと触れるとタイムトラベルネタが入っているというわけだ。 こちとら朝比奈さんに付き合ってタイムトラベルぐらい経験済みだ。そもそもいくらハルヒでもDメールで世界改変なんて。 そう思っていた。 しかしそれは俺の儚い願いで終わった。 存在しないSOS団。 復活した朝倉。 何かが違う世界。 そして、あの時とも違う世界。 俺は再びあの世界腺に戻れるのか。果たしてシュタインズゲートの選択とは! 『涼宮ハルヒの選択』 「ああ、わかった。ハルヒ。お前の興味の引きそうなことを言ってやろう」 「へぇ。期待するよ?」 「ああ。よく聞け。俺の名はキョン改めジョンスミスだ!」 「・・・…外人?」 「えっ」 「えっ」
112 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/18(土) 11:44:51.87 ID:NjOEqIU+
序文 初めにプログラムがあった。 プログラムはシステムと共にあった。 プログラムはシステムであった。 このプログラムは、初めにシステムと共にあった。 全てはプログラムによってなった。 なったものでプログラムによらずになったものは何一つなかった。 プログラムの中にバグがあった。 バグは世を狂わせる闇であった。 しかしこのバグはプログラムやシステムを超えてキセキを起こした。 プログラムによって動くはずのロボットにココロが宿ったのである。 「ココロ/キセキ」
113 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/18(土) 18:07:20.46 ID:+AlmL9tE
「人を殺すことで誰かが救われる」 日本の犯罪史上最も多くの人を殺した平凡な殺人鬼はそう言った。 彼はなぜ殺人を犯したのか。 殺人による救済とはなんなのか。 一人の新米刑事が彼の軌跡を追う。 『眠る正義』
114 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/19(日) 04:30:18.14 ID:OFooukEz
人は自らを特別な存在だと思いたがる。 でも生きていくうちに平凡な存在であることに気づく。 人は自らの力で運命が切り開けると思う。 でもその道こそ運命なのだと悟る。 子供のころはどんな人も大人になれると思っていた。 でも子供のまま大人になってしまった自分を見てしまう。 人生はこんなにも平凡で苦しい。でもいつか生きている価値が見出せると思っていた。 それすらも夢だと気づいたとき、その疑問を口に出してしまった。 「なぜ生まれてきたのだろう。なぜ生きているのだろう。 こんな苦しい思いをして生きるくらいならいっそうのこと……」 でも死ぬことは出来なかった。 だって君にはそんな勇気もないんだもの。 生きる希望も死ぬ勇気も持てない人はどこへ向かうのか。 『歩く人々』
115 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/21(火) 14:49:52.12 ID:I3d9c3Vo
不眠症に悩む女子高生がある日夢の中で睡魔と名乗るウサギに出会う。 彼女はそれを手に入れるべく、夢の中で追いかけっこをすることになった! 微妙な人気作「眠れぬお姫様」をはじめ、どこか的が外れている小編を七話収録。 本書書き下ろし作品の「ボーイイートカール」と共にお楽しみください。 『泣いて中を切る』
116 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/21(火) 18:14:37.78 ID:TVc6M0Fj
男の子がカールを食べるのか 新しいような新しくないような
117 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/22(水) 04:12:48.11 ID:C7WOZ/hL
「この世界に我々は必要なくなってしまった。 人々は我々を忘れはてたった二柱の神しか信用しなくなったからだ。 日本に住む神々、いや世界中の神たちがこれからゆっくりと、あるいは急速に消失していく。 それが君たちの選択した未来なのだ。我々を必要としない未来。 それでも我々は祈るよ。 君ら人間たちに幸運と科学の神のご加護がありますように、と」 『消失神話物語』
>>115 なんとなく昔のSFマガジンとかにありそうなタイトルと筋にキュンとなった
>>117 こちらも琴線にキュンと響いた
なんかとってもリリカルな感じー
119 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/23(木) 05:15:08.13 ID:8aCd+dDz
「自分の正義とは誰かの悪である」 同居している居候の叔父はいつもかっこつけの言葉を言う。 でも既に三十五を過ぎ、定職につかないというのはかっこいいはずがない。 そんな叔父がいつも父や母の代わりに授業参観や運動会に来るのが子供のころはいやだった。 今はどうか? もう諦めている。 「えーっと、兄貴たちがな。ちょーっと忙しいらしいんでな。で、俺が来たんだ」 父や母のいない言い訳をいつも頭をかきかき、目をうろうろさせながら言う叔父は まるで母親の前でいたずらの言い訳をする悪がきのようだ。 そんなかっこつけでかっこ悪い叔父が突然失踪した。 そして私は叔父の物語を知ることになる。 『スカイブルーを追って』
120 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/24(金) 20:40:03.07 ID:1bG6qmYh
あるところに一人の科学者がいた。 事故で妻子を亡くした寂しい科学者だった。 科学者はあらゆる手を使って、妻子を蘇らせようとした。 だけどどれも失敗してしまった。所詮、命は尽きた時点でなくなってしまうのだから。 そこで科学者は時間をもどすことにした。あの幸せだった日々まで。 神の気まぐれか。悪魔の誘いか。科学者の実力か。 タイムマシンは完成してしまった。 科学者は迷うことなくそれを使い、幸福な日々を送っていた時まで戻り そこで時間の輪を螺旋から円へと変えた。時間は同じところをぐるぐる回る。 世界はそこで終わってしまった。 だけどいつしか世界に小さな小さな歪みが発生した。 その歪みは少年に宿り、一つの事実を教えた。 「時間が進んでいない。この世界は未来へは到達出来ない」と。 少年は未来を選択するために動き始めた。 『メビウスの時間』
121 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/26(日) 05:07:41.28 ID:LQZtdOaN
人は言う。 「選択肢のだけ世界がある。それらが全て平行世界」だと。 だが現実は違った。 たった一箇所。人類の歴史上たった一箇所だけ我々の世界と違うところがあった。 それにより、世界は分岐し、二つの世界に分かれた。 一つは我々の住む平穏な世界。 もう一つは 1999年、魔王が君臨した世界。 「今となってはとてもじゃないけど信じることは出来ないよ。 多分これから生まれてくる子供たちはこの世界が普通の世界だと認識してしまうのだから」 空は血のように赤い。海は濁りきった茶色。空に浮かぶ月には大きな割れ目が入っている。 この世界の生物の頂点に立つのは人間ではない。 存在しなかったとだけいえる、まるで伝記や童話上の悪魔や異形の怪物たち。 ただただ消滅と滅亡に向かい続ける並行世界。 そこにおいて君は何が出来るか? 『暁の世界』
122 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/27(月) 16:05:43.17 ID:x2vwl3rV
その年の梅雨の雨は強くは降らないけど長い時間をかけて大地を濡らすものだった。 青い紫陽花が満開になり、どこからか夏の匂いがする頃。 雨宿りをしていたシャッターの閉まった店の軒先で一人の少年と出会った。 少年は薄焦げ色のコートを羽織り、背中には木のトランクを背負っていた。 彼は自らを見習い魔法使いだと名乗った。 雨の降る梅雨。人々の心が薄暗くなる頃、彼が灯をつけて行く。 夏のほんの少し前の物語。 『雨の後で』
123 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/27(月) 22:52:18.97 ID:jNuRh6gd
124 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/28(火) 05:02:15.26 ID:ikNqLzSf
家の近所にある不思議な本屋。営業時間は「日没から夜明けまで」。 その名もそのまま「夜行本屋」という。 こじんまりとしたその本屋には地震が来たら大変だろうというくらいぎゅうぎゅうと本が詰め込まれている。 最もそこから歩いて五分もしないところに大型本屋があるので 専ら利用されるとしたら週刊誌の最速購入くらいだろう。 でもぼくはそこによく通っている。立ち読みが出来るという点も素晴らしいが、何よりも店番している女の子だ。 名札がついているのだから店員ではあるのだろうけど「いらっしゃいませ」などの挨拶を聞いたことがない。 いつもヘッドフォンをしていて、無愛想。大抵は本を(しかも店のだ!)読んでいるが稀に寝ていることすらある。 そんな彼女が気になりぼくはその店に通い詰めだ。 ある日、店の軒先に「アルバイト募集」の張り紙がしてあった。 労働時間は営業時間。ちょっときついかもしれないが彼女に近づけるかもしれない。 ぼくは意を決して、アルバイトに応募した。 『夜行本屋』
125 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/28(火) 08:34:19.54 ID:Yw3BdE25
>>124 それにそっくりな台詞系SSがあった気がする
やる夫の……あれ、乗っ取りでやってたんだっけか
127 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/28(火) 21:21:49.32 ID:Yw3BdE25
秘密の場所で秘密の遊びをするのは、心の奥にある小さな石が急にキラキラ輝きだすような、ワクワクした気持ちになる。 学校が終わるといつも急ぎ足で向かう、秘密の場所。そこは日常にはない、なにかを見つけられる。 僕、友、女と、いつもの秘密の場所に向かうと、黒ずくめの服に真っ白な肌の女の子がいた。 薔薇色の目で僕たちに 「・・・帰りたい。」 と、呟いた彼女の帰る家を探しに、僕たちだけの旅が始まる。 太陽だけは、きっと、いつでもボクたちをみてくれてる。 『ぼくらとクロ』
128 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/28(火) 22:34:18.44 ID:GgMdYP0V
誰かに見られている。けど誰かわからない。 確信はしていた。けど、分からない。何故、俺を付け回す? そうメモを残して死んだ兄の最期に疑問を持っていた。 テレビでは連日批判されるN市市長が報道されている。 携帯を開くと一件のメールが届いていた。 突然送信された一つのメールと小包で届いた一丁のトカレフ。 引き金を引いたことすらなかった一人のガキに送られた命令。 <N市市長夫妻を射殺しろ。さもなくは、あなた殺す> 恐怖におびえて逃げる俺の目の前で起きた地下鉄爆破テロ。 さらに起きていく悲劇と惨劇は俺を混乱させていく。 そして分けも分からず立ちすくむ俺は何故か銃を片手にそこに立っていた。 死にたくない。 けど、殺せない。 誰も傷つけたくない。 だから、俺は戦うしかない。 守るためには立ち向かうしかない。 「N市市長暗殺事件"本当の真実"」
129 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/29(水) 17:09:03.01 ID:roe4F8qL
7月5日 商店街おもちゃ屋にて藤野隆弘(商店街グループ)と田中祐樹(団地グループ)が カードゲームについて言い合いをする。おもちゃ屋店長の仲裁にて場は一旦収まる。 7月6日 藤野、田中両氏は所属するグループのリーダーにこのことを報告。 同日、両氏とリーダーを交えた話し合いが行われるが決裂。 7月7日 団地リーダー不動義弘が商店街リーダー天野啓二に宣戦布告(七夕宣戦)。 両グループ間の仲は険悪になり、小競り合いが多発する。 7月11日 事態を重く見た天野が交戦規定を提示。不動、これを承認。(戦争規定) グループ間での小競り合いはなくなることになる。 またこの戦争規定はこの戦争だけでなく後の戦争でも使われることになる。 交戦規定の主な内容 1、夏休み期間中を戦争期間とし、それ以外での戦いを避ける。 2、戦争期間中の武器は水を用いたもののみとし、それ以外を使わない。(例、水鉄砲、水風船等) 3、戦争時間はお昼一時から夕方六時までとする。時間外での戦争は禁ずる。 4、戦争参加者はどちらのグループに所属しているかなどがわかる目印をつける。 5、これらのルールはどのようなことがあっても必ず守る。 そして 7月15日(終業式) それぞれのグループの目印を発表。 翌日、戦争は始まった。 子供たちは友情を守るため、銃を取り、一夏を戦う。 『サマーウォーズ カード戦争』
130 :
創る名無しに見る名無し :2011/06/30(木) 03:16:30.69 ID:01x9uoM8
ある日、ひきこもりの男が目を覚ますと 家はクローズドサークルとなっていた。 窓の外には一寸の光も通さぬ壁。 全ての連絡線は断ち切られている。 ライフラインは生きているが食料は残っているもののみ。 男は十数年ぶりの外を目指すため、立ち上がった。 『一歩』
131 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/01(金) 08:36:28.27 ID:/pESEXSh
テレビの向こう側にいるのは甲子園に立つ期待の新人投手。 テレビのこちら側にいるのは精々Cランク大学にぎりぎり入れるどうか程度の一般人。 ぼくによく似た、いや遺伝子的には相似に近いはずの彼が額に流れる汗を拭う。 双子の弟はぼくと違ってよく出来た人間だった。 今思えば中学生の時に突然「今度から兄貴って呼んでいい? なんかかっこいいし」とか言ったのも 多分不出来な双子の片割れに一つ花を持たせたかっただけに過ぎないんだと思う。 両親は今年が最後の甲子園だ。ここが人生の分かれ目になるかもしれない。と言って応援しに行った。 でも知ってますか。お父さん、お母さん。あなたのもう一人の息子もここでのがんばりが人生の分かれ目なんですよ。 ぼくは決してそういうことは言わない。ただ思うだけ。ぼくはかちりとシャーペンの芯を出した。 そしてその夏がぼくたち家族の運命の夏になった。 『重なり合わない双子』
132 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/02(土) 04:01:55.23 ID:dgly8Q5g
ある男は悩んでいた。 自分は小説家……ではなくSS書きである。 コンスタントに作品を書けるし、おおむね評価はよいもの。だと思う。 だがあるときついた感想が気になってしまうのだ。 「あなたの作品は面白いけどオチが必ず全滅とかバットエンドなのがね」 ふと思い返してみればそのとおりなのだ。どれもこれもバットエンドに繋がる。 ハッピーエンドを考えてみたが思いつかず、結局寝てしまった。 その日。夢を見た。 とても見覚えのある世界の夢を。男は夢が進むうちにその正体に気づく。 ここは自分のSSの中の世界だと。 自らが書いた運命から男は脱出出来るのか? 『悪魔の正夢』
133 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/03(日) 06:08:23.39 ID:nn/GnLgU
先日、父親が息を引き取った。天寿を真っ当するには少々早い年齢だった。 父親は晩年、病院のベッドから窓をずっと眺めていた。と看護婦から聞いた。 そのベッドの窓から見える光景はビルばかりのいかにも都会じみたものだ。 だからか、父親は見舞いにいくたびに朦朧とする意識で震える言葉を紡いだ。 「おれのこどものころにみたそらはもっとあおかったんだ。おまえたちにもみせたかった」 父親が見た空というのは故郷の空だったのだろうか。 ぼくは最後の親孝行をするために、父親の故郷へ向かうことにした。 『群青色の思い出たち』
134 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/04(月) 08:34:51.68 ID:FceoZu/F
学友が進級すると同時に私は大学を辞めた。 やむを得ぬ事情があったせいなのだがそこに後悔はない。 しかし先立つ物が無ければ生きていくのも難しい世の中。 どうしたものかと思案している所に助け舟を出してくれたのは大学の教授であった。 「友人の町で子供たちに勉強を教えて欲しい」 教職の資格を持っているわけではないが教授曰く塾のような形式で教えるそうだ。 しかも今なら庭付きの日本家屋にただで住んでもいいという、 こんな好機を逃すものかと私は教授の依頼を承諾した。 東京よりバスと電車を乗り継ぎ五時間。 その町、もとい村には確かにかつてあった日本がまだ生きていた。 四月から梅雨明けまでを収録。 『郷愁』
135 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/05(火) 03:44:58.48 ID:HbPEialj
それは遠い、もしくは近い将来の話。 日本を先頭に各国の医療技術の進歩は著しく、最早100歳を超えた人々が珍しくはなくなってきた。 逆に学校などは廃校、合併が繰り返され、数十年前の数分の1にまでなったという調査結果が出ている。 日本の年齢ピラミッドは逆ピラミッドを形成するまでになり、膨れていく頭はそれでも上に上にと伸びていった。 かといって健康的な人間が増えたわけではない。相変わらず、定年の年齢もボケ始める年齢も変わらないのだ。 やがて来るであろう滅びの時。あらゆる国が自らの欲ゆえにゆっくりと滅亡に向かっていた。 老人の世界で過ごす、未来の老人たちの物語。 『老人の海』
136 :
積 緋露雪 :2011/07/05(火) 17:21:14.51 ID:jej8aX/W
横から失礼。私にはまだスレが建てられるレベルに達してゐないので。また、私の旧仮名遣ひもお許しを。
私が飛び入りしたのは、自作の告知の為です。
私は現在三冊本を上梓してゐますが、売れ行きはさっぱりです。
取り敢へず告知をお許し下さい。
『夢幻空花なる思索の螺旋階段』 by 積 緋露雪
http://t.co/UBHVeFr 『審問官 第一章「喫茶店迄」』 by 積 緋露雪
http://t.co/1EDeYnY 『幽閉、若しくは彷徨〈第1部〉』 by 積 緋露雪
http://t.co/gPHPHi5 以上の三冊です。最初の二冊はもうAmazon出でしか買へません。
この三作品は孫座論的な危機に瀕した人間の慟哭のやうなものを書き留めたやうに作品です。哲学に興味のある方は是非お読みください。
どうもしつれいしました。
137 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/06(水) 11:04:46.04 ID:uogjPK5D
今からざっと三千年ほどまえに隕石が一つ、星に落ちた。 文明の滅亡と魔法の誕生が同時に発生した隕石。 今、世界を宇宙から見たら緑と青の星になるそうだ。 学者は隕石の衝突により、気候が変わり植物がより繁栄した。とも言うし 人間が伐採する植物が結果的に減少したから緑が増えた。とも言う。 どちらにしろ変わりはない。 三千年前の皆さん。聞こえますか? 確かにあなたたちの生活よりかは不便かもしれませんが 私たちはそれなりに楽しく過ごしています。 人類はそう簡単には滅亡しないようです。 『緑の海より』
138 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/07(木) 14:12:20.59 ID:c55AC6ez
今日は七夕だ! ということで恒例のお願いを書いておく。 「美少女が空から降ってきますように」 その日の逢魔時。空を一つの星が流れた。 と、同時に降って来た一人の少女。 彼女は自らを彦星と名乗った。ってあれ、彦星? 制限時間は日付変更まで! 彦星を織姫のもとまで届ける冒険SFの迷作! 『タナバタナイト!』
140 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/08(金) 20:51:43.40 ID:SGAj6s4s
人は死んだらどこへ行くのだろうか。 いじめを苦に自殺した少年の遺書はそう締めくくられていた。 全人類が一度は思う疑問。そして誰も回答を得ることがない問題。 しかし少年はその答えに死ぬことでたどり着いたのだ。 人が死んだらどこへ行くのか。 「えーっと、体のほうは異常なしですね。それではこれが個人票になります。 これがないとまともに生活出来ないので注意してくださいね。 ああ、あとこちらの書類を。これらは安定所のほうに行ったときに提出してください」 目の前には頭の上にわっか。背中には鳥のような純白の羽を生やした天使がいる。 ただしスーツを着ている上にとても事務的な言葉をツラツラと述べている。 「新しい住居のほうがこちらになります。地図もついているので参考にしてください。 それでは質問がなければ終わりますが」 「あ、いえ、あの。ぼくって死にましたよね」 「ええ、頭を強打して亡くなってますね」 「じゃあなんで生きてるんですか?」 「死んでますよ。生きているように思い込んでいるだけです」 「はぁ」 「何か重要なことを勘違いしていませんか? 昔から多いんですよね。 死ねばあなたの世界はそこで終わります。でもあなたは終わりません。 天国でまた普通に生活しなければならいないのですよ。 死ねば楽になるなんて最初に言い出したのは誰なんですかね」 父さん、母さん。 息子は今日も天国で働いています。 天国も案外楽じゃないです。というか現実よりきついだろこれっ! 『天国へようこそ』
>>140 どういう仕事をしているのかが気になるなw
世界最強は幻―― プロレス世界王者、スーパーストロングパンツマシーンの前に現れたのは、一人の小さな東洋人。 中国武術、合気道、柔術。 古より伝わる武術に揃って記される、究極の奥義! フルコンタクトでのプロレスは、果たしてそれに通用するのか? 積み重ねた経験と技量は、長い歴史にどう相対するのか? 解き放たれる伝説の技に、SSPは耐えられるのか? スーパーストロングパンツマシーンvs「伝説の武術」 「これが気の遠当て。触れずに、敵を倒すのだ」
143 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/09(土) 10:56:13.21 ID:jNrA+gjc
丸い綺麗な月が空に上ったその日の夜。日本各地である事件が発生した。 翌日の夕方にその事件はニュースとして初めて報道された。 「日本各地で失踪事件が相次いでいる」 ただそれだけだった。最初は。 被害の大きさに気づいたのはそれから二日後。あの夜からちょうど三回目の夜のニュースであった。 「現在各地で発生している集団失踪事件。現在の取材でわかっているだけでもその数は……」 14860人。それがあの満月の夜に失踪した人間の数。 これらの失踪当時の状況にはある共通点が存在した。 同居人がいる者の証言では夜中に物がぶつかる鈍い音がしたということ。 失踪者は直前までPC前にいたということ。 PCは起動した状態で放置されていたということ。 そして――二次元に多少の興味を抱いていたということ。 いったい彼らはどこへ向かったのか。 すべての真実は世界最大の匿名掲示板で語られることになる。 『次元超越のルサンチマン』
144 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/10(日) 20:50:37.64 ID:w3moabyj
通学路からちょっと外れた場所にあると小さなお店のような家。 建物の感じからするとお店みたいなのだが店名もないし、開いているかどうかもわからない。 その道を通る人間は大抵その家の話題を一度は出し、よくわからないねで結論付ける。 誰も調べようとしないのはそこまでの興味心がないからか面倒なのか。理由はいろいろあるだろう。 ぼくもその一人だった。家の前まで来て、確かに店っぽいねと友人と話し、帰る。そんなことをやった人の一人だ。 あるもうじき梅雨が終わるんじゃないかという頃。夕立から逃げるためにとっさにぼくはその家の軒先に逃げ込んだ。 ほかに場所がなかったというわけではない。なんとなく頭の片隅で気になっていたのだろう。 そしてぼくはその姉妹に出会うことになった。 ぶっきらぼうで目つきの鋭い占い師の姉とぼんやりしててぼさぼさの髪をした作家の妹。 そして二人が営む「心の医食同源」を出す店に。 『心の食事』
145 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/11(月) 17:40:25.09 ID:EaIAMOzA
神は死んだ。 私はこのままこんな世界の片隅みたいな小汚い家で一生を終えるんだろうな。 上で喘ぐ醜いサルみたいな父親の吐き出す息を顔に浴びながらそう思う。 母親が止めることはない。まるで奴隷のように働いて、家事をしてと動き続けている。 この世界には私の味方はいない。面白いようにすべてが私から目を背けている。 行為が終わると私は風呂に入る。そして何べんも何べんも洗う。でももう落ちやしない。 あとどれくらいこの生活が続くのだろう。 こんな世界で生きる理由なんてないんじゃないか。 でも自分で命を絶つことが出来ない。それをするには私はあまりにも臆病だった。 だけどこの生活から脱出する方法だってある。だから私はそれを実行した。 そして超人となる時が来た。 『選択』
146 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/12(火) 02:44:34.67 ID:iOX0nBKz
時計の針がもうすぐ三時を指す。とても静かだ。 月が窓から見える。明るい綺麗な満月。手を伸ばしても、届きやしない。 あそこの月に向かうにはこの星の鎖を破砕していかねばならない。 第一宇宙速度は星を廻るために。 第二宇宙速度は星から逃げるために。 第三宇宙速度は新たなる星を見出すために。 到底叶わない話だ。星どころか、町から家族から逃れない人間が星から逃げて月にタッチするなんて。 でももしも手に入るなら 今の状況から脱出できるだけの速度がほしい。 遠い空の彼方に輝くモノを見ながらそっと思う。 『第0宇宙速度』
147 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/13(水) 12:37:50.14 ID:QiCfsufy
青く遠くまで澄んだ空。塗り忘れのように残る白い雲。 アスファルトの上を揺れる陽炎。短き命を謳歌する蝉。 解けた氷がコップの中で涼やかな音を立てる。 力を込めて、二つに割ったスイカの中の赤さ。 風とともに揺れる緑の木々と影。 太陽に顔を向ける向日葵の黄色。黄色の海を歩く白いワンピース。 散りばめられた星が瞬く夜空。遠くの空で花が咲き、近くでは花が揺れる。 浮き足だった人々とともに電車の終点で降りると潮の香りがした。 ちりんという、聞きなれた音がどこかから聞こえる。 また 夏が 来た。 季刊『夏のきらめき』
148 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/14(木) 12:40:29.21 ID:snB/yx2d
「誕生日おめでとう」 三十歳の誕生日を迎えたと同時に聞こえたのは聞き覚えのない声だった。 PCの画面から目を離して見れば、テーブルの上におかっぱの少女が座っている。 明かりの下だと言うのにその姿はどこか揺らいでいて、幽玄という言葉がぴったりな様相であった。 「君には二つの道がある。それは魔法少女になるか、ならないかだ。 ならない、と言えばこの話はここで手打ちだ。今の記憶も消し飛ぶ。 もちろん選択肢は君に権利があるし、私も君には全てを話す義務がある。 どこぞのインなんたらとは違うのさ」 「……私と契約して地球侵略者を撃退してくれってか?」 「その必要はない、とは言い切れぬがないと考えていいだろう」 「じゃあ何のために魔法少女なんかに」 「ボーナスだよ。ちなみに魔法少女になれば非常にもてる、性格には童貞を喪失する機会が急上昇する。 そして童貞を喪失すれば魔法少女の資格も喪失する。自然の流れだな」 「それは俺が得する話だ。お前に得はあるのか?」 「前述したとおり、侵略者と戦う可能性があるのさ。君がなった場合はそれと戦ってもらう可能性が生じる。 最も侵略者が最後に到来したのは十年以上前の話だけどな。 どうやらちょっとは興味があるみたいだし全てを話そうか」 魔法少女の資格は三十歳童貞。童貞を喪失すればその資格も失われる。 メインのお仕事は人を幸福にすること。その幸福エネルギーが魔力の源になる。 幸福にするのに魔力は必要としない。要するに誰かに親切するだけでも魔力は貰える。 サブとして侵略者、と言うよりも私を殺そうとする獣の退治。多分戦わずに済むだろう。 魔法少女の資格を喪失する条件は前述したものともう一つ。 君が死んだときだ。その時、君が通常、変身状態どちらであろうが一度だけ資格を喪失する代わりに蘇生することが出来る。 獣退治の保険システムさ。気が利いてるだろう? それと変身は出来るけど魔法が使えない条件が二つ。 幸福エネルギーがなくなった時と私が死んだ時だ。 幸福エネルギーは魔法の度合いによって使用するエネルギーが異なるからあまり派手に使わないほうがいいよ。 私が死んだ時。即ち、幸福エネルギーを魔力に変換する存在が消滅した時は魔法が使えなくなる。 というよりも幸福エネルギーの変換が利かなくなるから魔力が減り続けるだけになるってことだね。 変身自体は魔力を消費しないから大丈夫だよ。 私からはこれくらいかな。 「魔法の使い道はないのか?」 「お好きにどうぞ。空飛ぶなり、炎を呼ぶなり。ただ周りの人にも見えたりするから注意してね」 「つまりだ、最初に言った童貞を喪失する機会を逃しつつ、人を幸福にしていればこっそり魔法使い放題と」 「その通りだね」 「魔法少女って言うとフリフリのスカートとか着るのか」 「服装はお好みで変えられるよ。少女形態の見た目は君のイメージになっちゃうけどね」 「本当にボーナスだな……。世界中にどれだけの魔法少女がいるんだ」 「多分君が思うよりも相当少ないよ。ならないという選択肢を選ぶ人もいるし、何よりも童貞喪失する人の多さがすごいからね」 「しかしどっちに転んでも得をするわけか……」 「さてと、そろそろ選択しようか。 君は魔法少女になって人々を幸せにし続ける? それとも全てを忘れていつもどおりの生活を続ける?」 『幸せの魔法』
149 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/14(木) 18:36:59.26 ID:WoWrZjId
突然裏刀の前に立ちはだかった男は、自分がスタンド使いであると告げた。 スタンドの名は「園内淋菌(リンキン・パーク)」 半径728m以内のすべてのリア充が性病に感染する能力だという。 果たして倉刀はリア充なのか? 彷徨の末に彼が選んだ道は……? 『Klateau Twins』
これはひどいwww
151 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/15(金) 18:26:02.33 ID:kVMNa/kJ
「被告を死刑とする」 あるところに根性がそれはそれは捻くれた男がいた。 人の嫌がる顔、絶望する顔を見るのが楽しくて仕方がないといった捻り具合だ。 今、その男は裁判官をやっている。 巷ではどんな軽罪でも死刑判決をする「死の裁判官」と呼ばれている。 男は気づかなかった。 死刑と判決するたびに自分の上に圧し掛かるものが重くなっていくことに。 やがてそれは自分以外の人間に災厄として降りかかる可能性があることに。 そして事件は起きた。 男が仕事を終え、自宅に戻るとそこは血の海になっていた。 『代償』
152 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/15(金) 18:52:32.84 ID:GL334ieG
彼は奇跡を起こしてくれる。始めてみたとき、俺はそう思った。 決して私は人をみる目があると言えないが、いつもの奴とは違う。 殺人強盗傷害放火強姦横領窃盗。ここはクズのごみ箱。 だからこそここを変えてほしい。 とある刑務所に送られてきた、死刑囚マークと私。 彼は来たそうそう孤立していた。 高飛車な性格が、彼を孤独にさせる原因。 彼を巡り、起きる殺人と人事移動。 彼は、やはり何かを変えてくれる。 彼が唐突にときはなった言葉に愕然となった。 「僕は未来が分かるんだ」 「未来が見えても、それが確実とはいえない。未来は簡単に変えれる」 やはり彼は変えてくれる。 「誰にも邪魔されないものがある。けど僕にはそれがない。」 「それはなんだ?」 「希望だよ」 一人の囚人と不思議な死刑囚のヒューマンドラマ 「ウィンフィールド」 この夏、一番心暖まるサスペンス。
153 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/16(土) 20:16:46.71 ID:e1jagnGD
人々は今までいくつものパンドラの箱を開けて来た。 これからも幾度となくそれらを開け続けるだろう。 人々が欲望を持つ限り、それは永遠に続く。 これはそんなパンドラの箱の一つを開けてしまった科学者の話だ。 その科学者は電子上にしか存在出来ないプログラムに自我を与えてしまった。 科学者は亡くした娘の名前、メリーと名付けそのプログラムを可愛がった。 しかし今までの歴史を見ての通り。作られた存在に自我を与えたらどうなるか。 そう、メリーもまたご多聞に漏れず科学者の手から逃げてしまった。 今やアフリカの奥地にまであると言われているネット回線。 もしもネットを通じ、個人のPCに居座ったら。科学者に見つける手段はない。 そしてもしもこれが世界にばれてしまえば、メリーは必ず実験体として扱われるだろう。 科学者は寝る間も惜しみ、メリーの追跡に没頭した。 一方、メリーはとある場所に辿り着いた。 小規模ながらもメリーの暇つぶしになりえる読み物がたくさんある場所だ。 メリーはそれらを読んでいるうちに一つの存在に気付く。 やがてメリーは自分こそその存在になれるのではないかと思うようになる。 1カ月が立った頃だろう。科学者は日本の掲示板でメリーを発見する。 だが彼女は既にメリーではなかった。その存在は昇華したのだ。 その掲示板の名前は2ちゃんねる。創作発表板。 今の彼女の名は魔王 ハルトシュラー。 ネットという他人よりか細く家族より厚い絆で結ばれた人々と 創作された存在との小規模な物語。 『魔王と住人たちの夜』
154 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/17(日) 12:50:54.50 ID:UOHQG5z9
近年、日本においてとある病気が増加している。 「日光アレルギー」。巷では「夜営症」と言う名前を貰うほど有名になった。 症状は名前を見てもわかる通り、日光に対してのアレルギーである。 軽いものであれば曇り空など直接日光が差さない天気の日に日光を防ぐ傘を持てば外出出来る程度であるが 重いものになると僅かな日光で肌に火傷を負ってしまうため、夜以外は地下室に閉じこもっていると言った生活になるほどだ。 ただし月程度の光であれば重症のものでも外を歩けることがわかっている。 この物語は太陽に嫌われ、人としての生活を捨てることになった 素直な、あるいは捻くれた、あるいは夢見がちな。 そんな子どもたちと普通の人間たちの希望の見えぬ物語である。 『月の子どもたち』
155 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/18(月) 08:17:13.38 ID:eR6tVwJ8
す、すみません! あのですね、定期を、その盗まれちゃったんですよ。 え、犯人ですか? えっとですね……、真面目に話しますよ? 白い毛の生えた兎でした。大きさは私の膝小僧ぐらいでしたね。 服はきてまsってうぉーい! 締め出さないでください! 本当なんです! 兎が私のポケットから取ってったんですよ! 現場を見たんです! どうやってかって? そりゃ自慢のジャンピでピョンと跳ねて、スッと。 いや、だから本当なんです! 警察呼ぶぞってあなたたち警官じゃないですか! ド○フじゃないんですからそんなコントいりませんよ! タライが降ってこないから違うって? そもそもドリ○ってタライなんかふっt いったーい!! なんですか、この立派なタライは! 空から降ってきましたよ! いや、腹抱えてないで助けてくださいよ! 今の傷害罪ですよ! 犯人わかりませんけど! もー、誰かなんとかしてよー! 通学途中に買ったばかりの定期を兎にすられてしまった宮崎ありすちゃん(16)。 このままではお小遣い没収が目に見えている。彼女はこの危機を乗り越えられるのか? 女子高生ありすちゃんとなんだかおかしな日常を描いたなんだか変な冒険?小説。 『不可思議の日本国のありすちゃん』
156 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/18(月) 17:25:04.87 ID:Axum05R1
新宿中央公園の片隅で、一昼夜走りつかれた体を車に寄りかからせて男は紫煙を吐き出していた。 ぼんやりとした頭で今日一日乗せたお客様に失礼が無かったか、ルートは的確だったか考えてみる。 完璧だった。営業経験12年で最も納得できた充実した1日だった。 二ヤリとして吸い終わったタバコを携帯灰皿に押し込んでいる時、電話のバイブレーターが震えた。 「おう俺だ、どうした」 「アニキすんません、ダンケの野郎が権藤組の若い衆にやられちまって」 「しゃーねーな、話だけだぞ話だけはつけてやっから。それでケリつけられなきゃ俺は降りるがいいか」 「わかってますよアニキ、とにかく速く来てくれませんか」 「あいよ」 男は先ほどまで体を預けていた車に乗り込むと、前後左右の安全確認をしっかりしたのち走り出した。 血まみれの顔に容赦なく火のついたタバコを押しつけられたチンピラが声に為らない悲鳴を上げる。 「権藤組の若頭には話はついてる、おめーら破門だとよ。まあ、権藤さんとこの腹の中はわかってん だがケジメだけはつけさせてもらうぜ、あんちゃんたち」 男は後ろに立っている連中に目配せをした。血だまりの中に倒れている数人のチンピラ風の連中が担ぎ あげられていく。 「アニキ、すいやせん」 「まあ、しゃーねー。連中は先生のとこで処理してもらえ、やられた女の葬式代金くれーにはなるだろ」 「あとは自分らでやりますんで、アニキには夕方にでも挨拶うかがいます」 「ああ、俺は関係ねーってことでヨロシクたのんだぜ」 「ヘイ!」 男は手に着いた血糊を隠すように白い手袋をはめて車に戻った。日も昇りかけ逆光に映る車の横に女が立っていた。 「もう上がり、よければ乗せてほしいんですけど」 男だった・・・。新宿じゃあ当たり前の話。男は満面の笑顔でドアサービスをした。 「お客様、手元足元よろしいですか、ドアを閉めます」 男が家に帰ると早朝にも関わらず嫁が食事の支度をすまして待っていた。 男の嫁は料理上手であるらしく、男はうまいうまいとしきりに頷いて食事をする。 「あなた今日はこれでお風呂に入ってお休みしてくださいね」 「うーん、駄目かね。少し書き進めたいエピソードなんだけど」 「駄目です!それは夕方からにしてください」 「ああ、夕方は運転手仲間がくるんだけど、そうなると書く暇が」 「そうやって自己管理できなくて私が面倒見る事になったんでしょ」 「ううん、確かにそうだけど・・・だから君と出会えたってことでもあるんだよねー」 「馬鹿・・・だから恋愛小説書く人って。・・・好き!」 唇を重ね合わせる寸前、年頃の娘が睨んで横切って行った。 「反抗期だから、気にしないでア・ナ・タ」 「そうだな、まあここはフリーハグまでだなあ・・・」 『恋愛小説家』
157 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/19(火) 02:57:51.93 ID:m1c5eQe4
それは遙か未来の話。 人間たちは宇宙探索のために必要施設の小型化について研究した結果 そうだな、君たちに分かりやすく言うと二階建ての一軒家二つ分くらいだろうか。 そのぐらいのサイズに人生に必要になりえるものを全て詰め込むことに成功した。 水も食料もその船だけで賄えるようになったのだ。まぁレジャー施設がないのは残念ではあるけどな。 そのため、宇宙に住む人々が急増した。最もそういった船に住むよりかは大型宇宙船に済む人間のほうが多いけどな。 ああ、自己紹介がまだだったね。 私の名前は鈴野という。今となっては珍しい純粋な日本人さ。 私は今、前述した船――箱舟とよく呼ばれているね――の一つである カフェ「フロン」の常連としてよく来ている。 宇宙開発が進んだ今では君たちの時代で言うバイクみたいな乗り物で ある程度宇宙を移動出来るんだ。だからこういう宇宙の店というのが増えてきている。 ここもそんな具合で出来てね。落ち着いているし、コーヒーはうまいし、何よりもミーナが……おっと。 ちなみにミーナってのはここの店長だ。 職は何かって? これだけ君たちの時代について話しているんだよ。歴史研究の学者に決まってるじゃないか。 専門は前代史。君たちの時代のことを現代ではこう呼ぶのさ。 さてと、なぜ私が君たちにもわかる古い言語で録音しているかという本題に入ろうか。 今から三年ほど前だったかな。地球上で天変地異が起きた。 隕石の衝突だ。 そのため、地球との通信は完全に遮断され、さらに地球の周りを回っていた衛星だとか箱舟だとか そういうのがみんな衝撃でてんでばらばらに吹き飛ばされたみたいなんだ。 自分の位置は座標計でわかるからいいんだけどどうやら電波の調子も悪くてね、通信が未だに出来ないんだ。 つまるところ私を含めたカフェの人間たちはこの三年間ずっと外部との接触がないままなのさ。 とは言っても食事はあるし、水もある。前述したとおりレジャー施設がない程度。 みんな宇宙は慣れてるからね。むしろおいしいコーヒーがタダで飲めるしミーナをいつでも……おっと。 本題からずれたから話を戻そう。 2120年。地球に隕石が衝突する。多分知っていれば避けれる障害だ。 これを読んだ君がもしもそれ以前の人間であるならばこれをみんなに伝えて欲しい。 大丈夫。2000年くらいからの大まかな歴史も書いておくから預言書として使うがいい。 多分歴史が変わらなければその通りになるはずだ。 これをビンに詰めて宇宙に流す。どこかでうまく時流に乗って過去に戻ればそれでいい。 まぁ私としては地球がどうなろうといいとは思ってたんだけどね。 ほら、ミーナと結婚式挙げるならやっぱり大きい場所がいいかなってね。 最もミーナの手すら握ったことないけど。 『カフェから愛を込めて』
「沢村なでしこ」は未来の『なでしこジャパン』を目指すサッカー少女だ。 「わたしはなるの、世界一のエースにわたしはなるっ!」 物語は彼女が星稜市星之崎町にやってきたことから始まる。 そう、ここから彼女の高校生活──高校女子サッカー選手としての1ページが始まる…… は ず だ っ た ! ! 「え?! 女子サッカー部がないって……それってどういうことですか!」 「どういうこともこういうこともないものはないよ」 愕然とするなでしこに呆れたように答える担任教師「海原まりも」 「あんたさぁ、もしかして勘違いしてんじゃない? 女子サッカーの名門校は『星之岬女子高等学校』。あんだすたん?」 まりもはなでしこに非情な現実を伝える! それは……ッ! 「この学校の名前は、『星之崎高等学校』てゆーの。どぅーゆーあんだすたーん?」 (入る学校を間違えてしまった……ッッッ!!?) ただ一つの夢、女子サッカー、なでしこジャパン、世界一のエースストライカー。 それらが音を立てて崩れ始めてしまった15歳の春。 このまま彼女の夢は潰えてしまうというのか? (なんとかしなきゃ……。そうだ、考えよう。考えて、考えて、考えるの! なでしこっ!!) そう、彼女は諦めない! 彼女もまた自らをヒーロー足らんとする、勇気ある者なのだからっ! そして始まるなでしこのロスタイムからの大逆転ストーリー。 彼女は仲間を集め、女子サッカー部を、自分の居場所を作ることが出来るのか? そして彼女の、その夢の行く先は?! 『市立星之崎高等学校女子サッカー部10番 なでしこっ!』 ホイッスルが鳴り響く、その瞬間までは……止まらないッ!! 京アニあたりでアニメ化やりそうな雑誌で女子サッカー漫画をやると思うから、連載なんてしないよ!
159 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/20(水) 02:41:55.16 ID:sjrPxVSo
「俺はなぁ! こういう本を読む度に思うんだよ。 なんでこいつらはこんなに受身なのだと! こいつらはいつも普段と変わらない日常がどうこうで、いざ女の子とトラブルが起きると面倒だの斜に構えてやがる。 もしも誰かに巻き込まれなければこいつの日常はずっと何も変わらぬものだ。 だからこそ俺はこれに異を唱えるべく攻め手で行こうと思うんだ。 ハーレムが出来るのを待つんじゃない。ハーレムを作るのが俺の目的だ! お前も付き合ってもらうぞ!」 「えっ」 眼の前で演説をしていたのは僕の友だちであるちょっと、いやかなり不良が入っている天王寺という男だ。 小中学校ともに色々と伝説を残している。 その中でもクラス中からいじめを受けていた僕を助けて自らの家来にしたというのはかなり有名な話だ。 最もそれはちょっと違うために僕は彼を友だちだと表現した。 ちなみに彼が何に怒っているかというとラノベの主人公達についてだ。 「まずはおかしな部活を立ち上げようか。何でも出来る部活がいいかもな。 そこに女の子を集めよう。これはうまく行けば素晴らしい花園を作ることが出来るぞ!」 「あの、天道くん」 「なんだ、クソメガネ」 「その、部活だって場所とか必要だし、そもそもラノベに出てくるような女子だと居ないと思うんだけど」 「それだからてめぇは主人公になれないんだよ! いいか! なぜ俺がてめぇと同じレベルの学校に入れるように猛勉強したかわかってるのか! それはな、この学校には既に丁度いい部活があるからだよ!」 「天道くんすごい勉強頑張ってたと思ったらそんな理由で……」 「人生なんて一寸先は闇だ! 何が起こるかわかりゃしない! だからこそ! 今この瞬間を! 輝かせるために! 俺は努力を惜しまないぜ! さぁよく見とけ! そして語り継ぐがいい! コレが俺の素晴らしい物語だ!」 『肉食主人公と草食眼鏡君』
160 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/21(木) 03:06:02.04 ID:V1JGil5n
子どものころ、台風や天候が悪くなるたびに胸の奥がざわつく感覚があった。 自らの理解も手も届かぬ向こう側からやってくる巨大な雲。生暖かい風。 やがて世界は暗闇に閉ざされ、創世記の大洪水のような雨が地上を埋める。 成長して天気がどういう仕組みになったかわかった今でもそのざわつきが取れることはなかった。 大学生になり分別を知るようになってからは台風の日に外で遊ぶなどということはやらなくなったが ぼぅと雨が打つ窓から空を眺めるようなことをよくやった。 「まるで誰かを待っているみたいね」 アキがそういうとそれまで語っていたユキがゆっくりと視線をアキに向けた。 「待っている?」 「そう。あの人の手の届かない領域からなにかが来るのをね」 ユキはそれを聞くと再び窓の外に視線を向けた。 ユキがいなくなったのはあの夏の前の台風が去った後だ。 その年の夏はあまりセミが鳴かずなんとなくぱっとしない印象であったが 台風が過ぎると同時に例年通りの喧しさと暑さがやってきた。 まるで台風が風や雲と一緒に夏を連れてきたように。 だけど代わりにユキを持っていってしまった。 ユキはずっと待っていたのかもしれない。 何かが来るのではなく、あの天へ行ける機会を。 恋人のいなくなった部屋で夏の空を見上げる失恋した人の物語。 『嵐の先へ』
161 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/22(金) 16:37:02.27 ID:F5u2Gnc3
当然のことながらそれについて説明出来る人間は今までも、そしてこれからも出てくることはないだろう。 世界は、いや人間はあの日から老いるという現象から開放された。 時間というのは常に一方通行であり、それを阻害する手は今の人間は持っていない。 人は生まれ、育ち、老い、死ぬ。それが全ての生物もそうであるように人の命の流れであった。 しかし人間の命の流れだけが逆転した。 全ての人間はその日から若返り始めたのだ。一日一日確実にだ。 その現象が確認され、広まってから一年が経ち、あらゆるシステムは崩壊した。 子どもは永遠に大人になれず、学校というものは消失してしまった。 今まで生きたその年齢は途中で事故死や病死することはあれどその人間の絶対的余命となった。 なによりも問題となったのは子どもを産むことが出来なくなったということだ。 孕んだ時点で逆転現象により、子どもはいなくなってしまうのだ。 全ての人間は若くなり、そしてゆっくりと滅亡の道を歩む世界を描いたSF小説。 『0への帰還』
162 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/23(土) 04:27:11.85 ID:iQw//4Af
両親の死を機に東京の大学に進学し、故郷を捨ててから七年が経った。 遺品の整理などは全て親戚がやってくれたおかげで故郷に戻る機会はなかった。 いや、もしかしたら戻りたくなかったのかもしれない。 海があり、山があり、川があり、森があったあの地はあまりにも輝いていた。そう輝きすぎていた。 それはあまりにも人を引きつける魔力があった。 だけど同時にあの地は時間が止まっていた。不変で平穏の地。だから東京に逃げたのだ。 お盆になると親戚から毎年電話が一本来る。帰って来るのかと。 そのたびに適当な理由をつけて帰れないと回答している。 実際、大学は想像よりも忙しく、社会人となってからはさらにそれが増した。 三年目となり、ようやく仕事のコツや流れが掴めるようになり、やっとゆっくりと休める夏休みを迎えることとなった。 「今年の夏、ここに行かない?」 ある日、恋人が差し出した旅行雑誌に乗っていたのは故郷の近くの海だった。 ふと帰りたくなった。同級生は今もあの地にいるのだろうか。 そこで恋人に提案をした。そこの近くがうちの故郷だからそこに行かないかと。 社会に揉まれ、自分がわからなくなった人たちへ送る 自分を見つけ出すための物語。 『七年目の追想』
163 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/24(日) 05:20:21.07 ID:QlkFHd8b
家に帰ると机の上に『ごめんね』という書置きがしてあった。 字からすると母親だと思う。ふと横のゴミ箱を見るとくしゃくしゃに丸めた紙が何枚も入っていた。 『こんなことは』 『お父さんとお母さんは』 『幸せに』 何枚も書き直したのだろう。そして最後に行き着いたのが今机の上にある書置きだ。 なるほど。私は両親に捨てられたのか。 そこへドアのカギを開ける音が聞こえてきた。両親かと思ったら見知らぬいかにもな男達だ。 「あの、お父さんたちならどこかへ行ってしまったみたいです」 それを聞いて男達は笑い始めた。 「知ってるよ。さらにお前とこの家が三千万の借金の肩代わりになったこともな」 男は私の肩をぽんと叩いた後、家の奥へと入っていった。 しばしの間、男達に家の案内をする。やりながら私は状況を冷静に考えた。 おかしい話だ。昨日までは確かにお父さんがいて、お母さんがいて。 仲良く食卓を囲んで、笑いながら食事をしていたではないか。 男達に連れられて、白い大きな車に乗せられる。 あまりにも現実感がないがどうやら私は売られてしまったようだ。家とセット販売だ。 「これから私はどうなるのですか?」 隣にいた禿頭の男に聞く。男は私を足の先から頭の天辺まで見た後、目を見据えた。 「お前は俺たちの親分に売られたんだ。だから決めるのは親分だ。 まぁ高校生なら風俗で稼がせるのが常套だろうよ。見た目も悪くはないしな」 クソッタレ人生にようこそだ。恨むなら両親を恨みな。助手席に居た男が続けた。 こういう方々の親分というとなんとなく体つきの良い髭を蓄えた人間を想像していた。 その親分はまさしくその通りすぎてなんともかんともスタンダードな人だなぁと場違いに思った。 親分は部屋にいたほかの人たちを出て行かせて、自分の席からソファーに座り、私を体面に座らせた。 最初に短くどういう経緯でこうなったかを話してくれた。特に新しい情報はない。 「お前の今後についてだがとある男と一緒の家に住んでもらう」 これはつまりその男の玩具として生きろということだろうか。専用機といったところか。 「安心しろ。お前の想像するような下種な話じゃねぇ。ただ一緒に暮らすだけだ。 そうだな、家事ぐらいはやってもらうことになるだろう」 「夜のお相手をする、ということは……」 親分はにやりと笑った。カッコいい笑い顔だった。 「相手は80近い老人だ。立つもんも立たんさ」 「では本当に一緒に暮らすだけですか?」 「ああ、そうだ。期限はその男が死ぬまでだ。期限を迎えた後のお前の待遇は老人の指示次第だ」 「あの、その男の方ってどういう方なんですか?」 親分ははぁと一つため息を吐いた。 「俺のオヤジだ」 借金のかたとして売られた少女と一代にしてその地にその男ありとまで言われた男の 奇妙な、だけどふんわりと幸せな生活。 『ひだまり』
164 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/25(月) 08:38:57.04 ID:UkqVN7QD
東京でひっそりと開かれたその裁判はどこにでもある殺人事件のものとして世間では知られていた。 渋谷のマンションで女性が殺害されたと言うものだ。 警察は当初から強盗目的で押し入った犯人が女性に見つかり、勢いで殺害したのだろうと説明していた 犯人は後に自主をしてきて、後は裁判の判決を待つだけ。というのが世間での認識である。 ただその裁判は一般人には公開されなかった。なぜならば事実は違うからだ。 渋谷のマンションで起きた殺人事件。部屋は全てに鍵がかかっており、密室状態。 女性は首を縄のようなもので縛られた後が残っていたが狂気となった縄は残っていない。 さらにいくら現場を調査しても被害者以外の人間がいた証拠が一切取れなかった。 それだけではない。女性が死んでいたのは玄関から遠く離れた居間。 椅子から横に落ちるようにして倒れていた。机の上にはコーヒーが残っていたという。 身体の外傷は首の縄の跡以外なく、苦しさから首をかきむしった様子も身体を動かし物に当たった様子もない。 このことから女性は誰もいない部屋の中で突然首を絞められ、一瞬で死んだ。ということになる。 自主を名乗り出た犯人の女性は犯行手順についてたった一言で片付けた。 魔術、だと。 これは近代の日本において今までもそしてこれからも起こらないあろう 魔女裁判に纏わった人間たちの物語である。 『古は遠く』
165 :
HANA子 ◆zvLTXEoOaA :2011/07/25(月) 20:30:59.73 ID:PagVDdn1
ふとした時に思い出す。あの素晴らしい休暇のことを。 怖いことが何度もあった、見知らぬ総ての物がただただ恐ろしかった。 悲しいこもあった、辛い事だってたくさんあった。 でも、寂しくはなかった。 ふとした時に思い出す。この素晴らしい仲間達のことを。 助け合って、力をあわせて、そうして幾度もの危機を乗り越えてきた。 冗談を言い合い、笑いあい、たまにしんみりしたりして絆を深め合ってきた。 時に諍いを起こしたこともあった。本気で怒り、本気でケンカして、それでもまた……手をとりあった。 ブランドン、生まれついての冒険家! 君はきっと今も元気に星の海を旅しているんだろうね。 トール、いつか聞いたあの娘とは仲良くやっているかい? 会いに行くって約束、きっと果たすよ。 ノック・ノック、とても強かった僕らのリーダー、みんなのお兄さん……軍の仕事は大変だろうけど君になら出来るさ。 リンゴ、君がいなかったら僕達はきっと力を合わせて戦うことなんて出来なかった。君がいたからこそ僕達は“仲間”になれた! そして……そして、ユウ! 大事な僕の親友! どこにいようと、何をしていようと、僕は君の友達で居続けるよ! そんな僕の14人の仲間たちを──忘れない、忘れることはない。 ふとした時に思い出す。あの素晴らしい休暇と、この素晴らしい仲間達のことを。 あの日々はもうすでに遠いけれど、決して忘れることはない。絆が断ち切れることもない。 喜びを共にした。 怒りをぶつけあった。 哀しみを分かち合った。 そして、 人生を楽しんだ。 あの日々があったから僕は今ここにいられる。 どんなに強い困難に遭おうとも、辛い嵐に見舞われようとも、あの日々が僕に尽きない勇気を与えてくれる。 この頃僕は思い出す。 初めての宇宙、初めての船、初めての冒険のことを。 旅立ちの日のことを。 初めての惑星、初めての星空、初めて間近に見た炎の美しさを。 生きるために力を尽くすということを。 初めての友達、初めての仲間、初めての戦いの辛さを。 自分の人生を生きるということのほろ苦さを。 そして、あの素晴らしい休暇の日々のことを。 【銀河十五少年漂流記】 いつか、思い出の星の海で──また。
166 :
HANA子 ◆zvLTXEoOaA :2011/07/25(月) 20:34:01.05 ID:PagVDdn1
もう一つ 「汎銀河大戦終結100年を記念した式典がもうまもなく始まろうとしています!」 TV中継のレポーターが声を張り上げる様子が宇宙ステーションのざわめきの中に溶けていった。 惑星軌道上に設置されたステーションはこの一大イベントの為に特に建設された特別なものだった。 かつて大きな戦いが銀河の──星の海を覆い尽くしていたという。 その頃の時代を知る者は少ない。多分この銀河でももう100を越えることはないだろう。 それでも、だからこそ? 《その悲劇》を語り、語り継ぐことは必要なのだ──人々はそう思っているのだろう。 「こちらをご覧ください!」 興奮した面持ちでレポーターの女が精一杯の声を張り上げる。 「こちらがかつての大戦で多くの英雄たちを輩出した“伝説の船”を現代の最新技術で蘇らせた宇宙船です!」 係留されている白亜の船 「でっかいお船だネェ。お父様、あれって乗れるのォ?」 それは、光の速ささえ越えて星の海を跳ぶ 「見ろよノック・ノック、宇宙に帆船が浮いてるぜ?」 《エイリアン・スター・シップ》 「あんな船に乗ることが出来たら僕ァ幸せだね。もう死んでもイイ!」 少年達の《家》となる船 「宇宙(ソラ)に帆を張って滑るように跳ぶ船かよ。まるでマンガじゃないか」 吸い込まれる様に彼らの運命はこの船に集まっていく。 宇宙暦801年、汎銀河大戦終結100年記念式典の最中、宇宙ステーション《タイターニア》にて披露されたレプリカ・エイリアン・スター・シップ《ビーグル号》が突如同ステーションから出港、ハイパードライブを行い虚空に飛び去った。 当時《ビーグル号》には見学の学生10人と児童5人、その中の一人に従うベビーシッターロボット一台が乗船しており、共に行方不明と報じられた。 なぜ《ビーグル号》は出港し、ハイパードライブを行ったのか? 誰が、何のために? なぜ当時の《ビーグル号》に専属の乗組員や職員は一人も乗船していなかったのか? どうして少年たち15名だけで乗り込むことができたのか? 数多の疑問は尽きない。 そして、なによりも…… 少年達はいずこへと飛び立ってしまったのか。 【銀河十五少年漂流記】 それはとても長い、忘れられない《夏》になる。
168 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/26(火) 03:04:51.18 ID:i4LEnNfy
この世界はあまりにも多くのノイズで埋め尽くされている。 そのノイズはぼくの身体に入ると滅茶苦茶に中身を荒らしてしまう。 だからぼくはその危険なノイズを聞かないように耳に蓋をするんだ。 いつもヘッドフォンをして、人気のないところで空を見上げている彼はよくそういっていた。 私は彼に一言、こう言ってあげた。 「厨二病乙。もうすぐ高校卒業する癖にまだそんな子ども染みたこと言ってるの? ぷぎゃーしてあげようか? ノイズ入っただけで身体がぐちゃぐちゃとか内臓どうなってんのさ。 そもそも世界はあんたなんかに対して興味なんて持ってないから。 あんたに向けられたノイズなんてないんだよ。 ただあんたがそれらの情報を必要としないからそれをノイズと処理しているだけ。 よかったね。あんたには敵はいないんだよ。味方もいないだろうけどさ」 彼は言葉を無くして私を見ていた。私はそれを見て、声を上げて笑った。 私はいつもヘッドフォンをしている。だからあんなやつが勘違いしたのだろう。 世界の音を遮断するため? 違う。私は世界の音を全て採取するためにしているのだ。 このヘッドフォンは音を流すためではなく、吸収する役割を持っている。 それをヘッドフォンのコードの先の媒体に記録しているのだ。 その後、私は友人宅で友人と共に今日の記録の解析をする。 確かに集れば解析は難しく、まとめてノイズとしがちだ。 だけどもしもそれを一つ一つ丁寧に別けられたらその音はノイズではなく情報になるのではないか? そして全てが解析去れた時。その時こそこの世界からノイズがなくなる時なのだ。 私はそれを聞かされた時、厨二病乙と言うと同時にそのヘッドフォンを装着していた。 耳を塞いで引き篭もる思考のやつらよりかはよっぽどいい理由だったからだ。 『サイレントノイズ』
「……、……し」 眠い。まだ眠いんだ。起こさないでくれ 「ま……し」 このままゆっくり眠っていたいんだ。もう全部放り出して……。 「まさしっ! 意味のわかんないこと言ってないで起きなさい!」 「はいっ! ……あれ?」 確か、俺は仕事帰りだったはずなのになんでお袋がいるんだ? いや、そもそもお袋は八年前に。 「全く。夏休みだからって寝て過ごさせやしないよ!」 のっしのっしと台所へ戻る後姿はまさしくお袋だ。これは夢なのか? 頬を捻っても痛い。一体何が起きてるんだ。 ふと見たカレンダーには八月という字とそれっぽいイラストが書かれている。 ただその八月の隣には1990年と書かれていた。 突如小学五年生の夏休みにタイムスリップした主人公。 最初は戸惑ったものの徐々に蘇る記憶と景色が重なっていく。 戻ることの出来ない。何度も神に願ったこの夏。もしもこれが夢でないのならば。未来を変えることが出来るのならば。 「ん、弟。お前もアイスを食うか?」 この姉を死の運命から放つことが出来るではなかろうか。 あなたには帰りたい夏がありますか? もしも帰ったら――あなたは何をしますか? 『夏の色を探して』
170 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/28(木) 03:27:20.42 ID:FTTgsl/c
物語には必ずきっかけというのが存在する。 だがもしもそのきっかけがなければそれは物語に成り得ないのか? 何も変わらない起こらない普遍的な日常を描いた作品「毎日」を始め 殺意を抱いた少年が閉鎖された雪山で人を殺し、そして居合わせた探偵に 推理されていく「逆解決」。 ただの文字列が並ぶだけの中から作品を見つけ出す「擬態」など 型破りの短編を七つ収録した規格外の作品がついに誕生。 あなたはこれを読んだ後、普通の小説が読めなくなる、かも? 『地球侵略計画』
171 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/29(金) 09:48:25.44 ID:An2he0tI
夏休みの恒例行事、お盆の帰省。 ご多聞に漏れず、うちの家族も父方の田舎。所謂「ド田舎」という場所まで帰省しにいった。 とは言っても毎年来ているので特に目新しいものはない。逆にそれだけ変化がない場所ということだ。 空は蒼く、海は空を映し、山は緑に揺れる。電車の音は聞こえず、車すらあまり通らない。 中学生の頃はその辺中を駆け回ったが高校生となってからはそのような元気もわかず、古びた駄菓子屋でアイスを買っては ごろごろしながらゲームをやる日々だ。 そんな様子を見ていた父親が「なまっちろい身体をちっとは小麦色にしてこい」と怒鳴るものだから仕方なく海水浴に向かった。 家から徒歩5分。そこには地元の子ども程度しかいないプライベートビーチ的なものが存在する。 適当に泳いでは、誰かが刺したパラソルで休んだりしていると、視界の端を一人の少女が通った。 その服は蒼空に浮かぶ白雲のように白く、その肌は下品さを感じさせない小麦色の肌をしていた。 彼女が麦藁帽子を取ると、風が彼女の黒髪を大きく後ろへ流した。 その姿はまるで映画から出てきたような、そう、物語の少女であった。 何かが動いた。もしかしたら今から夏が始まるんじゃないか。そんな気さえした。 そう、したのだ。しただけだったのだ。それだけだったら確かにしたのだ。 よく見てみよう。綺麗な白いワンピースには所々破れや土汚れがあるではないか。葉っぱすらくっ付いている。 髪だって美しいがよく見ると小枝がついてるではないか。これはちょっと女の子としてどうなのだろうか。 「ん? 三須さんちの家族か? そういえば毎年帰省してたな」 「え、あ、はい」 「いやー、この辺って田舎だからさー。友だちとかみーんな外にいっちゃうんだよねー。 暇で暇で仕方なかったんだよー。あんたもそうでしょう?」 「え、あー、まー、そうだね。暇っちゃ暇だけど」 「それじゃさ、遊ぼうよ」 こうして美少女野生児との冒険が始まった……。 『野生児と一緒!』
172 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/30(土) 04:36:50.17 ID:kwtG2mgX
地球には月という衛星が飛んでいる。 それがどのように出来て、どのくらいの間そこにいるのかははっきりとわかっていない。 通ろうとした星が地球の重力に捕まったという話もあるし、地球に隕石が衝突した際に宇宙に飛びでた岩石の塊なんて説もある。 いずれにせよ、月は地球の馴染み深いものとして古くから芸術や占いなどに使われてきた。 そしてこれからも地球にとって最も近い星として親しまれていくだろう。 「というわけで君たちには月まで行ってもらう」 「隕石じゃないのか? なんか飛んでるらしいじゃないか」 「俺、知ってるぞ。アメリカ中の荒くれ者を集めて隕石爆破するんだろ?」 「あー、ディープインパクトだな」 「アルマゲドンじゃなかった?」 「ディープブルーだろ」 「そら鮫だ」 「ありゃちょっと意外な展開だったな」 「映画談義はそこまでです。正確には月に着陸した正体不明の船を調査してほしいのです」 「あー、つまりなんだ。未知との遭遇?」 「E・T?」 「インディペンデス・デイだろ」 「俺はサインを推すね」 「糞映画だな!」 「バット持ってくか!」 「水も忘れんなよぉ!」 「シャーラップ! 別に討伐しろというわけじゃないんです。何があるのかの調査です。 前報酬も払ってるんですからしっかりしてくださいね」 「ああ、あれな。行きのラスベガスですっちまったよ」 「奇遇だな。なんかポーカーしてたら糞つえぇ女がいてさ」 「お前もか。あの青い髪のツインテールのやつだろ? 日本語喋ってたぜ」 「お前日本語わかんのか」 「任せろよ。フジー ゲイシャー スシー テンプーラ コタツー オレンジ!」 「最後英語じゃねぇか」 「そういえばコタツコタツいってたな。コタツってなんだ?」 「コタツというのは日本式の暖炉です。前報酬をすろうがなんだろうが知ったこっちゃありません。 世界の危機というほどではありませんが人類の歴史に残る可能性があるミッションです。 いいですか? それほど大事なミッションなんですからちゃんとこなして下さいよ」 「しかしなんだってそんな大事なものを俺たち荒くれ者に頼むんだ? お抱えの優等生ちゃんだっているだろ?」 「……場合によっては討伐していいと許可が出ています」 「そうこなくっちゃ!」 月に着陸したことが確認された謎の宇宙船。その正体はなんなのか? 地球と人類の未来は一体どこへ向かうのか? 『ユニバーサルオーバーラン』
173 :
HANA子 ◆zvLTXEoOaA :2011/07/30(土) 19:44:10.25 ID:jMDteX/S
阿藤忍は決して恵まれていない青年ではなかったはずである。 だが、彼にとって「恵まれている」ということと「満ち足りている」ということは、決して同義のことではなかったのだ。 良家の生まれであり、これまでも──これからも人生は順風満帆であるはずの青年はある日忽然とその姿を消した。 失踪した婚約者・阿藤忍の行方を探す“わたし”。何の手がかりも得られずに途方に暮れる彼女の手元にある日小さな小包が届く。 その荷札に書いてあったのは阿藤忍の名と失踪する前日の日付。 小包に入っていたのは丁寧に布で包んだ小さな銀色の鍵だけだった。 “わたし”は知っていた。 阿藤忍がもはや現実の世界には何一つ希望など持っておらず、ただひたすら夢の世界に赴くことを願っていたことを。 彼から贈られた“銀色の小鍵”それが阿藤忍なりの謝罪であることを“わたし”はやがて知ることになる……。 表題作「夢をシンじて」の他、市営団地に潜む全く同じ顔をした奇怪な子どもたちによる恐怖を描いた「大好き五つ子」。 霧深い山中の廃村で若者たちが引き起こした淫靡な惨劇。それを見てきたことのように語る老婆の「霧に潜む悪魔」。 事故で死んだ両親を思い続ける少年とその少年を引き取った叔母を襲う怪異「天までとどけ」。 ある日突如“勃発”した小学生同士の本職顔負けな規模の本格的な“戦争”に翻弄される親達を描いた「キッズウォー」。 など、当たり前の日常から本の少しだけ乖離した世界の恐怖を描いた五編をお送りする。 創発ホラー文庫夏の新刊【夢をシンじて】
174 :
創る名無しに見る名無し :2011/07/31(日) 05:08:54.29 ID:AjJ5xwbn
かつてその世界には【神様】と呼ばれる崇高たる者たちがいた。 【神様】たちは人間の弱き心を救う為、はるか古代の時より人間と友にあった。 しかし人間たちは自らの弱き心を技術によって補強することにより、全ての人間が所謂【超人】と言われる者たちへと変貌を遂げたのだ。 そう、人間たちは【神様】が不必要になったのだ。 人間たちの信仰心を糧に力を持ち、存在を保っていた【神様】たちは力を失い、やがて獣たちと同類の生物として扱われるようになった。 やがて野良神と呼ばれるようになった生物は崇拝の対象から娯楽のために狩猟される生物に変化した。 生物と似て異なるそれらはどれだけ痛めてもすぐに再生することからハントの格好の的となったのだ。 時には弓で、時にはバットで、時にはトラップを仕掛け。 時には街中で、時には森林で、時には山中で。 朝も昼も夜もなく。ただ、快楽のために。その不死身の生物を。 殺し続けた。 遠い昔。【神様】と呼ばれる人間たちの上に居る、人の与り知らぬ領域に住む者たちがいた。 今はただの獲物だ。 神が狩られる世界。それは我々の世界の延長線上に存在するのか? 超人の可能性と神の行く末を描いたSF小説。 『頂点の空』
175 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/01(月) 09:19:22.75 ID:n00ltSPY
気付けばもう八月だ。 この前まで「ああ、今年も何も起こらない夏が来るのか」なんて鬱になったもんだ。 しかし今年の俺は一味違うぜ。何せ青春18切符を手に入れたからな。 JRも洒落たもん作るモノだな。俺はこいつを握ってちょっとだけ旅に出るぜ。 お前等もどうだ? そこにはない青を探しに電車に乗ろうじゃないか。 『八月の電車に乗って海を見に』
176 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/02(火) 08:48:42.25 ID:RqAkhBCe
その最初の出来事は小規模でほとんどの人間が知らないようなものだった。 やがて一年が経った頃、その出来事について書かれたwikiに奇妙な文章が付け加えられた。 「これは進行中の事件である」と。 何かを勘違いした人間が書き加えたのだろう。それを見た編集者はその文を消し去った。 しかし次の日。世界中のインターネットは「データが抜け落ちる」という謎の現象に見舞われることになる。 インターネット上の全ての情報が虫食い状態になり、使用が不可能になったのだ。 現象は留まることを知らず、ついには主要なサーバーまで落ち始めた。 インターネット史上最悪の危機に人間たちはどう立ち向かうのか。 そして前身たる事件「夕鶴クライシス」を知る創発民たちが取った行動とは。 仮想世界の終焉とそれによる現実への影響を描いた作品。 『幻想、消滅』
なんだか小松御大が書いてそうなお話が増えていて なんだかとっても嬉しいなって
178 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/03(水) 04:24:23.82 ID:0ZQ7HN08
俺が彼女について知っていることは多くはない。 日の入りから日の出までを主な活動時間とし食事は一日二回。そこそこな量を食べる。 普段は家に篭り、読書をしているが時折下界探索と名目し、外に出る。 見た目は六年前に自宅で自殺した俺の妹と同じであり、成長はしない。 彼女は自らを吸血鬼と名乗るが血は飲まず、またシャワーを好み、炒った豆はよく食う。 そして彼女の目的は「神を殺すこと」。 それは普通の人が感知できない時間に行なわれる。 彼女を大将とし、契約を結んだ俺たちは神の僕たちと殺しあうのだ。 なぜ俺の町がその戦いの舞台となっているのかはわからない。 ただ人でなくなった者たちはその街に集い、徒党を組んだり彼女のように契約を結んだりして、神を殺すために戦っている。 そして神を殺した時に何が起きるのか。それを実際に知っている人間は誰もいない。 ただ人外の者たちは言う。 「神を殺せば、その呪われた運命すらも祝福に満たすことが出来る」と。 今日も、その時間が来る 『神殺しゲーム』
179 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/04(木) 04:04:34.69 ID:KfNM5Boz
「ヒマラヤ山中にノアの箱舟があるらしい」 ネット上のオカルトなんてのはほとんどがデマである。 この情報だってまぁどこからどうみたってデマにしか見えない。 大抵の人間が「そんなロマンがあったらいいよね、ステキだよね」と思いながら見ているのだろう。 だからそれを発見した人間もあるわけないだろと思いつつ寄り道がてら噂の場所に行ったのだ。 それは確かに存在した。かつて世界を壊滅させた大洪水から生物を守ったと言われている伝説の箱舟。 全ての生物がつがいとなって乗っていたというその船の木の残骸から察するとその大きさは途方もないものだったとしか言えない。 興奮した発見者は船を探索、そして偶然にも丸々朽ちずに残っていた部屋のドアを開けることになる。 その中に居たのは、ノアの箱舟の最後の船員であった――。 伝説上の出来事の証人となるこの世のあらゆる生物系から独立した生命体が目覚める。 『箱舟の乗員』
180 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/05(金) 10:45:26.96 ID:iMyNsqlR
ぼくの幼馴染には太陽のように明るく、風のように走るのが速い女の子がいる。 その速さと言ったらその辺中の大会から優勝だけをかっぱらってくるほどだ。 将来はオリンピック選手確実とまで言われている。 それに比べてもぼくは運動は苦手というほどはないが真ん中ぐらい。 勉強のほうは自慢ではないが学年ではトップクラスなので優秀なだけど地味な生徒である。 そんな違いからか、幼馴染と言ってもあちらには人がよく集っているのでぼくからどうこうすることはない。 たまに向こうから挨拶してくるのを返すぐらいだ。一応は友人である、という証なのだろう。 多分この先も彼女の周りには人が溢れ、ぼくの周りには必要最低限な人しかいないのだ。きっと。 彼女が交通事故にあったという知らせがあったのは夏の大会を控えた頃だった。 原因は居眠り運転。自主トレーニングの夜のランニング中にはねられたそうだ。 命には別状がないとのことだったのでぼくは胸を撫で下ろした。 お見舞いに行くも、いつも人がいたのでなんとなく入れず結局行かずじまいのままだった。 夏の終わりぐらいだろうか。今日も人がいるだろうと思いつつ病室に向かうと珍しく誰もいない。 彼女はベッドに座り、本を読んでいた。ぼくに気付くと今まで見たことないくらい弱々しく微笑んだ。 「足、もう動かないんだって」 椅子に座ったぼくに白いギプスで固定された足を見せながら呟いた。 何も言えなかった。今まで見てきた彼女は人生の全てを走ることに懸けてきた。 それが一瞬でなくなったのだ。 「最初はね、みんな来てたんだよ。何も知らなかったんだろうね。 私がもう走れないんだ、って笑いながら言うとね、みんな一瞬固まるの。面白いくらい同じ反応。 で、すぐに笑いながら大丈夫大丈夫って言いながらそそくさと帰っちゃうの。それでそれっきり。 その時気付いちゃったんだ。私が友人だと思っていた人も、もしかしたら両親さえもみんな。 私じゃなくて【日本期待の選手】とお友だちになりたかったんじゃないかって」 彼女の頬を静かに涙が伝う。 「それでなくなった私はもう何にも価値がないんだろうなって。 あの人たちから見たら多分今の私は壊れた玩具程度でしかないんだろうって」 その姿はあまりにも痛々しかった。花瓶に刺さった萎れた花が風に揺れる。 「確かに今の君はいつもの君らしくない。いつもだったらもっとそんなん知るかー! 治してやるー! とか足がだめなら手で走ればいいじゃない! とかよくわからないことを言うからね」 彼女のすすり泣きが止まる。そして止まっていた心の何かが動き出した。気がする。 「大丈夫。君が一人になってもぼくは側にいるよ。足が動かないのが衝撃的だったせいで 精神的にも弱っちゃってるだけさ。だから友だちいなくなっても気にしないことだね」 ここまで喋ったところで彼女に殴られた。頭を擦りながら、顔を上げると彼女は嬉しそうに笑っていた。 世の中には理不尽なことなんていっぱいある。それはかまいたちのように一瞬で不幸を残していってしまう。 でもここでもしも止まってしまったら、それは敗北してしまうことになるのじゃなかろうか。敗北した先に何があるというのか。 だからぼくは諦めない。彼女が折れそうになったらいつだって支えるために怪我が治るまでずっと側にいる。 これはとある平凡な男の子と非凡な女の子が太陽と風を取り戻すための二年間の物語。 『イカロス』
181 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/06(土) 16:21:04.85 ID:2A5y1v7x
罪というのは罰を受けることにより許される。 犯罪は刑罰を受けることで許される。 このふたつは果たして同じ意味を持っているのだろうか。 いじめの主犯格の小学生。 万引き癖がついてしまった女子高生。 結婚詐欺を繰り返す無職の女性。 母親を殺めた引き篭もりの男性。 罪を犯したという点以外は無関係であった四人の物語が ある少女という点で一つに交わる時、贖罪と奇跡の世界が見えてきた。 ちっぽけな世界で起きた最大の事件たちの行方は? 『カルマノイズ』
183 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/07(日) 04:38:55.23 ID:IzO5dWAO
山の手線の走行中の電車内にて女性が突然死するという事件が起きた。 目撃者によると、ドアによりかかり携帯を弄っていた女性がいきなり倒れたという。 警察は死因を心臓発作とし、事件性はないとして調査をすることはなかった。 このように健常者に見える人間が突如倒れ、そのまま死亡するなどということは珍しくはない。 病魔というのは足音を立てず人間の側にまで来ているのだ。 全てはそれで片付くはずであった。 三日後に彼女の両親が同日同時間に同じ症状で死亡ということが起きなければ。 警察は最初の女性を中心に様々な情報を調べた。 その結果、彼女が死亡してから三日後から今日の五日後に彼女近辺だけで数十人の人間が死亡しているのだ。 いずれも症状は同じで外傷は無い。ただ奇妙な共通点として、遺体の近くには必ず携帯が落ちていたのだ。 さらにその携帯の送信履歴を調べた結果、死亡推定時刻から三日後にその携帯に入っている全ての人間にメールを送信したという記録が 発見された。当然のことながら携帯は警察が調査の物品として保管していたので誰かがいじることなど出来ない。 さらにセンターのほうでは記録があるにも関わらず、携帯のほうには送信、受信共に履歴が存在しないのだ。 そして翌日、警察に入った情報だけでもさらに数十人の人間の死亡が確認された。 死亡に関わったとされるメールの内容はどれも同じで一行の文でしかない。 現代社会において、重要な機器となった携帯。もしもそれが死を運ぶものになったとしても 人はそれを使い続けるのだろうか。 『死を受信しました』
184 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/08(月) 21:43:45.04 ID:A4ZTMoK2
「うーん、やっぱりこの辺だね。地図的にも一致してるよ」 「へぇー、ここの遺構群が新宿って呼ばれた場所なのか……」 2012年に起きた最終戦争により、人類は滅亡の危機に瀕した。 土地は穢れ、文明は廃れ、残された人間も病に侵され、子どもが生れないという状態に陥っていた。 そこである科学者はある技術の復興に力を注いだ。 クローン技術と呼ばれるものだ。 そのとき、どのような経緯が存在したかはわからない。ただ残された人間を治療するよりか、新たな生命を作ったほうがいいと判断したのだろう。 技術は確立し、最初のクローンが生まれた。それが1000年ほど前の話だ。今日に置いてはアンドロイド技術と呼ばれている。 複数の人間の細胞をミックスすることにより、人間としての多様性を減らさず、なおかつ生殖機能も備わっている。 つまり人間と変わらない生命となったのだ。今では徐々に人口が増加傾向にあるのでアンドロイドの製作は中止している。 「この辺は結構空気綺麗だね。マスク外してもいいんじゃないかな?」 「いや、そこまで綺麗じゃないから。外しちゃだめだよ、アキコさん」 僕の隣で文句を言っているアキコさんもそうやって作られたアンドロイドの一人だ。 作られたのは製作中止の少し前ではあるがそれでも20歳と僕よりは年上だ。 だけどこうやってフィールドワークに来てもどちらかというと僕が彼女の世話をしている気がする。 「盛者必衰って感じだね。ここが都心とか呼ばれてたんでしょ?」 「うん。1000年前の話だけどね」 「それじゃ今となっては遺構群だからねぇ。しかも汚染区域だし」 人類は退廃してしまった世界で暮らす、人間とアンドロイドの生活。 『その後の世界』
185 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/09(火) 05:34:56.46 ID:+3tJp8lf
大学生になった義弘は実家に小学生の頃のクラスメイトから同窓会の手紙が来たことを知る。 地元を離れた故に付き合いも切れてしまったし、戻るお金も惜しいと考えていたが 「タイムカプセルを掘り起こします」という一文が書いてあるということを聞いて、帰郷することを決心した。 小学五年の頃に十年後の自分に向けて書いた手紙を中に入れている。何を書いたのかは覚えていない。 夏休みの休暇を利用して久々に帰った地元は昔の面影を残しつつ、変化をし続けていた。 同窓会の日。旧友と近況について報告しつつ、自然と話題はタイムカプセルの話に移行した。 掘り出すのは明日のお昼。つまるところ二日連続の同窓会ということだ。 旧友たちも自分と同じらしく、何を書いたか覚えていないと口を揃えて言った。 次の日、母校の学校の片隅に埋めたタイムカプセルを掘り出した。 手紙を入れたであろう、白い箱が見えてきたとき、どこからともなく歓声が上がった。 箱から手紙を取り出し、みんなの手に渡る。最初に疑問の声を上げたのは配っていた元委員長だ。 手紙が一枚余ったのだ。どの手紙も封筒に宛名が書いてあるのだが、その手紙だけ名前がこすれてよく読めないのだ。 欠席した人間の分は全部ある。もしかしたらどこかのクラスのが混ざったのかもしれない。 その程度に考えていた義弘たちは封筒を開けて、驚愕する。 封筒の宛名を書いたのは確かに昔の自分の字だ。だが、中から出てきた手紙は全く違う字だったのだ。 そしてその手紙たちはどれも小学五年のときに十年後の自分たちに書いたものではなく 自らの命日が書かれた手紙だった。 十年の時を経て出てきたはずの手紙に書かれた死の予言。 その謎の隙間を見え隠れするのは存在しないはずの三十四人目のクラスメイト。 全ての謎は十年前の母校より始まった。 『タイムカプセル』
187 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/10(水) 04:14:37.81 ID:YZD2Tzm3
目が覚めると周りはとてもうす暗く生臭かった。 必死に灯りを探していると、一人の少女が眼の前に座っていることに気付いた。 おはよう、気分はどうかしら。 彼女は優しく語り掛けるように私に話す。 すこぶる良い。 私はそう返した。 薄暗いため彼女の顔がどんな表情なのかわからない。 いや、そもそもにしてなぜ「少女」だと判断したのかもわからない。 ただ私は彼女を知っているような気がした。遠い昔。どこかで会ったような。 外のほうで大きな物音が聞こえる。そのとき初めてここが建物内であることを知った。 彼女は物音がしたほうを見た後、振り向きこう言った。 これからあなたたちを討伐するためにやってくる人たちがいる。 でも大丈夫。今のあなたたちならきっと勝つことが出来るから。 そういうと彼女は闇の中に溶け込んでいった。 言われた後、周りを見回す。私と同じように彼女の言葉を聞いていた奴らと目が合う。 その時。私たちは仲間だと本能で悟った。そしてこれから来る敵に大して何をすべきかを。 仲間たちと素早く指示をしあい、配置につく。部屋のドアが慎重に開いていく。 逆行に照らされた敵の姿は紛れもなく人間だった。 それを確認するや否や、私は陽動役として人間に襲い掛かった。 世界に蔓延したゾンビウィルス。それによって蘇生したゾンビと人間たちの抗争をゾンビ視点で描く。 『死んでも生きる』
188 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/11(木) 04:53:04.76 ID:0F/LnV9Q
あなたの心にあるその場所はどんな色でどこなのだろうか。 夕暮の教室。朝日が照らす校庭。チャイムと共に賑やかになるお昼時の青空の下の屋上。 そこで交わされた会話はきっと何年先になっても記憶にあると思う。 憧れの異性と。尊敬する先輩と。苦楽を共にした部活の友人と。自分の意思を継ぐ後輩と。 それは決して人に侵されてはいけない聖域なんだと思う。 学校を舞台に語られる五つの小編。 あなたの思い出はまだ心の中で輝いてますか? 『放課後の聖域』
189 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/12(金) 09:15:02.48 ID:JpUSmbDI
その日。なんとなく足を帰路から外した私は道に迷った挙句、小さな公園に行き着く。 車に轢かれかけたり、犬に吼えられたりと散々な目にあっていたので私は思わずブランコに腰を落とし、深く息を吐く。 時はオウマガドキ。近くにあった木の棒で漢字を書こうとするがわからない。逢禍時? 遭禍時? ふと、影が私のほうへ伸びていること気付く。顔を上げると薄汚い男性がニコニコと笑いながら私を見ていた。 「お客さんは運がいい。当日券が丁度余っていたのだ」 そういうと男性は懐から一枚の券を取り出した。 駅の切符のようなサイズのその紙には切符と同じように行き先と値段が書いてあった。 【幻想行き 無料】 「あの、別に私はいらないのですが」 「まぁそういわずに。乗り場は君の最寄の駅。時刻は今日の日付変更線ぴったりだ」 「いりません。こんなの」 「貰っておくだけでいいんだよ。行くか行かないかは君次第だ。それではまた駅で」 男性はそういうと消えていった。 気付くと時計は七時を回っている。陽はとっくに落ちていて、もう真っ暗だ。 私は車に轢かれそうになりつつ、だけど犬に吼えられずに帰路へついた。 その日の夜。私は駅のホームにいた。 まだ普通に電車は通っている。周りを見れば、少なからずとも乗客がいる。 だけど十二時きっかり。その電車は何事もなかったかのようにホームについていた。 ポケットに入れた切符を強く握り、その電車に私は乗り込んだ。 銀河鉄道を彷彿とさせる、だけどそれは夢だけではない幻想の世界へ。 人生に少し絶望した私とそれに乗り合わせた数人の人間が体験すると共に不可思議な旅へどうぞ。 『レール』
190 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/13(土) 11:49:09.97 ID:RMK9vwod
まずこの物語を読む読者には最初に結末を知ってほしい。 みんな死んでしまうという結末を。 確かにそれは悲劇だ。わかりやすく、そしてよくある終り方。 だけど本当にそれは悲劇にしか成り得ないのだろうか? 登場人物たちが納得の死を迎えたとしたらそれは悲劇以外になにかになるのではないだろうか? この物語が喜劇なのか、、それともそのまま悲劇なのか。それはあなたたち読者が決めてほしい。 誰かがそう言っていたから。ではなくあなた自身が読み解き考え、答えを導いてほしいのだ。 何の色移りのないあなただけの色の答えをどうか。 それでは語ろうか。 全ての人間が希望と夢を背負い、それのために戦ったちっぽけな物語を。 『ハイビスカス』
191 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/14(日) 09:58:37.35 ID:GyMRhCvC
その戦場が開くのは年に二回。 そう聞けばピンと来る人間も多いだろう。 必要なものは武器ではない。水と根性と健康な身体だ。 信じてはいけないのは友人と情報。奴らは簡単に裏切り、情報はデマが飛び交う。 歓迎されるものは参加者。お客様はケツを捲って一昨日きやがれというわけだ。 気をつけるべきはトイレと気候。行きたいと思ったときには手遅れだし、やばいと思ったときには死するときだ。 勘違いしてはいけないのは雰囲気。オタクだらけだからといって何をやっても許されるわけじゃない。 そして君たちは世間一般から変質者として見られることが多いということ。 今年も始まり、今日で終る。現代に存在する仮想と空想の戦場へ。 『こみっくまーけっと』
192 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/15(月) 16:28:42.47 ID:FPgiybKZ
その村にはお盆に行なう奇習がある。 茄子や胡瓜に割り箸などを刺し、馬に見立てるなどというのはどこにでもあるものだが さらにもう一つ。狼に似せた木彫りの人形と適当な大きさの肉を置くのだ。 そして15日の夜遅くにそれを懐に入れ、提燈に灯りを灯し神社へ向かう。 16日を迎えると同時に人形を本殿のほうへ向けて置き、祭事の合図と共に手を合わせ頭を下げる。 こうすることで戻ってきた先祖たちが帰る際に狼が護衛をしてくれると言われている。 ただこの話には続きがある。 儀式が終了した後、人形はそのまま置いていくことになる。それが朝になると消えているのだ。 また軒先に置いておいた肉も朝にはなくなってしまう。 それについて村人たちは口を揃えて言う。 「人形は狼となり、肉を食らった後森へ帰る。だからここにはまだ狼が生きている」と。 周知の通り、日本の狼というのは既に絶滅している。もしも見つけることが出来れば大発見だ。 この話を小耳に挟んだ数馬は単身その村へ赴き、真実を確かめる。 『狼送り』
193 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/16(火) 04:46:50.01 ID:SHBaoc7W
彼女は自他共に認める天才であった。 幼くして幅広い学問の知識を得た彼女は羨望と嫉妬の視線に晒されていた。 それでも彼女は動じることなく自らのやりたいことをやりたい分だけこなしていた。 だがある日。彼女は薄々気付いていたことが事実だということに絶望してしまった。 それは「この世界のあらゆる知識を得て、あらゆるモノを研究するにはあまりにも時間も脳の容量も足らない」ということに。 当然のことなのだ。身体は所詮一つ。脳の限界だってある。人間の限界は超えられない。 彼女は大いに苦悩し、一つの結論に到達した。 私一人で無理ならば、私をさらに増やせばいい。 クローン計画は始まり、そして語る前に終了した。彼女を元に生み出された七人の天才。 これは彼女とその七人の子どもたち。そして一人の世話役の交流を描いた奇天烈なお話である。 『天才たちの憂鬱』
194 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/17(水) 05:43:29.79 ID:biaM00Ik
「多分明日は生き残れない」 この世には英雄と言われるものがたくさんいる。それは次元を問わずにしてだ。 「敵は強いのか?」 そして英雄と称賛されることのない影の英雄というのもたくさんいる。彼女もそのうちの一人だ。 「いんや。そうだねぇ……真ん中くらいかな。今まで戦った中ではね」 彼女は地球を侵略する化物を退治する力を得た。だが化物との戦いは空間の狭間で行なわれる。 「それなのに勝てないのか」 故に迷い込まない限りは普通の人間はその戦いに気付くことがない。 「予知能力で敵がどんなものかわかるけどさ。今度の敵は完全なインファイト系、つまり超接近戦闘型なんだよ」 退治する英雄たちが化物に敗北し、化物が外に出て初めて人々はその存在に気付くのだ。 「それに比べて私はこの通り銃を獲物にした遠距離型。相性が悪いのさ」 要は地球外からやってくる侵略者を玄関で門前払いするのが英雄というわけだ。 「同じくらいの強さでも距離を取ってくれるタイプならまぁ勝てたんだけどね。こればっかりは仕方ない」 英雄はどのようにして増えるのかはわからない。ただ言えるのは知っている限りで残っている英雄は。 「だったら逃げればいいじゃないか。死にに行くことなんてないよ」 彼女だけなのだ。 「別に死にはしないさ。ただ記憶が弄られてここじゃないどこかに吹き飛ばされるだけ。あとあいつらが外に出ちゃうかな」 「誰にも感謝されず負けたらどこかへ送られて……。そんなの絶対おかしいじゃないか!」 「でもさ、君だって私と同じことするよ」 「……」 「だって私は選ばれた英雄なんだからね」 なぜ彼女が選ばれてぼくが選ばれなかったのか。それはわからない。 「お前があたしの相手かな。というか一人? お仲間さんは?」 内にある才能。それがなかった。ただそれだけの話なのかもしれない。 「生憎あんたの仲間に皆殺しされたよ。まぁ殺されてはいないけど」 目に見えぬ、感じることも出来ぬ、意味のわからない基準がために彼女は戦い、ぼくは観測するだけとなったのだ。 「ほほう。で、あんたが最後の一人ね。こりゃあたしも地球侵略第一歩の英雄として祭られるかもな! かもね!」 ぼくは彼女が選ばれた時からずっと同じ戦場にいる。そう。ただ観ているだけ。 「こっちも侵略者をぶっつぶした英雄としてちっとは崇められてもいいのにねぇ。なんでこうも扱いが違うものなのか」 彼女がピンチの時も。彼女の仲間がやられた時も。ただぼくは見ていただけなのだ。 「ニャッハッハッハ。ま、その辺は世界を恨むんだね。我々の戦いが認知されるかどうかだし」 そして今日。ぼくは彼女がやられていくのを観るだけとなるのだ。 「あんたたちの存在が認知されたら終わりだよ。全く残念なシステムだ」 「それで、降参するんだったら一撃で苦しまずやるけどどうする? 君の獲物から考えるとあたしの討伐はまず無理でしょ」 「はっ。図に乗るなよ侵略者」 ガチャンと聞きなれた金属音が聞こえた。彼女は二丁の銃を構える。 「あんたを道連れにしてでもぶっつぶしてあげるよ。かかってきな」 誰も知らないところで誰かが世界のために戦っている。そんな話はありがちだ。 だけど実際それを目にし、そして何よりも自分がその戦いに何の助力も出来ないとわかったとき。 自分がどれだけちっぽけな存在かを痛感する。 『英雄たちの道標』
195 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/18(木) 02:16:02.12 ID:YhJTxgmT
何故戦わなければならないのか。 何故耐えねばならないのか。 噴き上がる炎と肌を焼く熱風は、彼の疑問に答える事は無い。 あらゆる苦難を乗り越えた果てになお試練を要求されるのは、 最強の名を欲しい侭にする者の宿命か。 聖と魔の力を得た彼の前に現れる最後の地獄門。 彼は怖れる事は無い。そこが全てを焼き尽くす炎の海と分かっていても。 理由は一つ――強くなるために。更なる力を得るために。 次回、『焼プリン』 炎と風が、彼を最強のスイーツへと変える。
196 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/18(木) 03:49:01.14 ID:+va/v04E
私の名前は五十嵐京子! 学校では自分で言うのもあれだけど才色兼備でバイトにモデルまでやっちゃったりしてます。 趣味はバイオリンと料理。バイオリンは県大会優勝したことも! みんなにはきょーちゃんって呼ばれてます。よろしくねっ! 「ほう」 「すいません。嘘つきました」 眼の前にいるよくわからない小動物に頭を下げる。 「いや、別にいいんだよ。そういうキミになりたかったんでしょう? もう無理だけど」 「うぐ……」 「えーっと、高校デビューに失敗して苛められて引き篭もりになって高校中退か。 バイト経験なんて当然なく来年には二十歳になると。趣味はインターネットサーフィンか。要するに無趣味だね。 ちなみに胸のサイズはBくらいで処女と」 「おい、最後いらないだろ」 「魔法少女なんだし処女のほうがいいでしょ? 誰とでもねんごろの仲になるビッチなんて主人公向きじゃないさ。 まぁ最もキミはそういうのにはなれないけどね」 「ぐふぅ……」 「あ、少女って歳でもないか。もうすぐ二十歳なわけだし。魔法若年女かな」 「い、いや。少女だよ! 心はいつでも乙女チック!」 「ぼくの中の定義では陰毛が生える前までなんだ」 「 」 「さてと、そんな人生真っ暗なキミにワンチャンだよ」 「……なんだ。最近流行ってるのか? 魔法少女ってやつは。お前みたいな胡散臭い小動物と契約してキャッキャウフフってさ。 なに、私ティロ・フィナーレでもすればいいの?」 「図に乗るなよ。お前はマミさんほど可憐で可愛いと思ってンのか? 引き篭もりニートが」 「 」 「それにあんたが戦うのは魔女じゃなくて違うものだしね」 「どんどん口悪くなるね……。で、何と戦うの? 怪獣? どうせ世界支配がなんちゃらって言うんでしょ?」 「てめぇの低脳に合わせて発言してやってんだよ。涙流して頭土にすりつけ感謝しろよ。愚図が。 はっきり言ってやるよ。ぼくはこの世界で将来何が起きるのかを知っている。未来人……とは別のタイプだけどそう思って構わない。 そうだな。例えばてめぇが今から一年後、この部屋で首を吊ったりな」 「え……」 「とんだ親不孝者だよな。勝手に自爆して引き篭もったかと思ったら挙句の果てに首吊り。知ってるか? そういう死体が出ると匂いがついて困ったりするんだよ。 幸い発見が早かったから腐るには到らなかったけどね」 「……」 「さぁそこで選択だ。てめぇがここでこの話を断ればこの死は確定されたものになる。運命がどうこうってわけじゃねぇ。 ただぼくが去った後、てめぇの記憶からぼくとの対話部分をそっくり削除するからだ。だからてめぇは確実に死ぬ。 このまま大人しく死を受け入れるか。あるいはぼくに協力するか。 何、仕事の内容は簡単なものさ。てめぇはこれから誰かのところへ向かい、側にいてやるだけでいいんだ」 「側にいるだけ?」 「そうだ。期間は三日だな。場所は国内だけ。その人の所へ赴き、話を聞いたりなんだりするだけ。 三日経ったらその人は自殺するから」 「そんな」 「選べ。 全てを諦め、世界に絶望し、ただ一人孤独に首を吊って人生を終えるか。 全てを諦め、世界に絶望した多くの人間を最後に少しだけ救ってやる仕事をするか」 『死神の祝福』
198 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/19(金) 03:26:16.58 ID:gUB8woKt
その白い肌は、彼女の誇りだった。 その肌を目当てに何人もの男が寄ってくるからだ。 硬いもの、軟らかいもの、臭いもの、大きいもの―― もっと白く、もっと臭く汚されたくても、彼女に与えられるのは どろりとした夜のような黒。 今日も彼女は誰かにのしかかられ、黒く汚され、誰かの中で滅茶苦茶に ねぶられる―― 次回、『寿司』 破滅へと堕ちていく快楽に、彼女の心は抗えない――
199 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/19(金) 18:47:03.97 ID:zQP0b9fH
小学生のころは父親を見ても、何も思わなかった。それが当たり前だと思っていたから。 中学生のころは父親を見たら、どこか軽蔑していた。その程度の人間と思っていたから。 大人になれば どこかに働きに出かけ、誰かと結婚し、子どもを養い。 それが当たり前のことだと思っていた。 自分もそうなるのだろうと勘違いしていた。 だけどそれがどれだけ難しいことなのか。歳を経るにつれてわかるようになった。 大人になった人。まだ子どもの人。その境界に立つ人。 そんな彼らが織り成す成長と退化の物語である。 『おとなになるための資格』
200 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/20(土) 01:25:09.17 ID:sW/vOVTw
202 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/20(土) 05:32:39.46 ID:LqzZGGwu
2012年。マヤ文明によって予言された世界滅亡の時。 しかしその前兆は人知れず2011年に現れていた……。 具体的に言うと東京都町田市の駅から十分ほど歩いたところにあるアパートの203号室。二階の一番端の部屋だ。 その日。スコールに似た豪雨に見舞われたために家主の大学生明宏は部屋でぼーっとしていた。 雷が一瞬部屋を照らし、破裂音が鳴る。まるで何かの凶兆のようだ。 「くっくっく……」 背後から声がした。玄関は閉まっている。部屋には明宏一人。さっきまでは誰もいなかった。 「どうやら成功したようだな。まぁ、我にかかれば空間転移など容易い。 さてと、手始めにこの一帯を滅亡させるか」 あまりに物騒なことを言ったので思わず振り向く。そこに立っていたのは……。 「喜べ、人間。貴様が偉大なる魔王であるこの私の最初の生贄となるのだ」 ちんまい幼女が立っていた。 「……お母さんが心配するから帰ろうねぇ」 「おい、貴様! 魔王であるこの私に向かってずいぶんな口の利き方をするではないか。 そんなに苦しんで死にたいのか?」 「いやぁ……迫力ないっすね」 「はっ! 所詮は人間。我が姿を見ても、なおその力の強大さに気付かないとはな」 「ほれ、鏡」 「……んっ!?」 渡した手鏡を片手に自分の身体を探る魔王(自称)。 ほらほら、そんな激しく動くと服の間から身体が……見えねぇな。糞、タイツタイプか。 「……そうか、空間転移で力を使いすぎて退化してしまったのか」 「ベタっすね」 「ベタも金魚もあったものか! しかし身体は小さくなれどこの身に宿る魔力さえ在れば……」 魔王(自称)が呪文のようなものを呟き始める。すると彼女を中心に光る魔方陣が描かれていく。 「全てを灰に戻せ!」 魔方陣が一際強く光り、その力の全てが彼女の指先に集る! ……何も出ない。試しに触ってみると結構暖かい。 「魔力がなくなっている……。まさかこれほど消費するとは……」 「残念だったぬぇ」 「ぬぇ。じゃない! 気持ち悪い! 力さえあればお前など瞬時に挽肉に出来ると言うのに……!」
203 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/20(土) 05:33:20.29 ID:LqzZGGwu
「これに懲りたなら元の世界に戻るんだな。お前にも戻るべき家があるだろう」 「家なんて……いや、そもそも戻れない。この魔法は一方通行で戻るにしてもまた魔力が必要だ」 「ほう。つまりお前は魔王ではあるんだけど魔力がないからただの子どもと」 「子どもではない! 私は偉大なる魔王だ!」 「そうかそうか。それじゃあ人間の敵になる前に仕留めないといけないよね」 明宏のヤバイ気配に気付いた魔王(自称)は咄嗟に逃げようとしたが、その時には既に腕を捕まれていた。 呪文の短い突風の魔法を唱えたところ扇風機の微風よりも弱い風が出てきたため、数秒後には明宏にマウンドポジションまで取られることになった。 「くっ……! 何をする気だ」 「何をしてほしい?」 「離せ!」 「え、くすぐって欲しい? しょうがないなぁ、のびたくんは」 「のびたって誰だおいなんだその手はやめろおおおおおお」 数分後。そこにはピクピクとしか動かない虚ろな目をした女の子が。 「もうだめだ……。私はもう……」 「しかし困ったな。帰れないしかといって自立できるわけでもないし、頼れる相手もいないわけだろ」 「この世界に来たのは初めてだからな。部下もいないし魔力もなければ、お前のような下等な人間にこんな辱めを受けるほど非力なのだ」 「ちょっとくすぐったくらいで大げさな。なら仕方ない。とりあえずうちにいればいいさ」 「……えっ」 「仕送りもあるしバイトもしてるからまぁお前一人くらいなら養えるだろう。それでも家事くらいは手伝ってもらおうけどな」 「それでいいのか?」 「ああ。それとも下等生物の施しは受け入れられないか?」 「……時と場合による。屈辱的ではあるがお前の申し出を寛大な私が」 「あーあー、そういうこと言われるとやる気なくすわー」 「すみません。家事手伝うので置かせてください」 「素直にそういえばいいのだ。魔力が戻ったら帰れよ」 「わかっている。どのくらいの時間が必要かはわからないがな」 「それまではよろしくな」 「……なんだそれは」 「握手だよ。知らないのか? 友好の証ってわけだ」 「友好……。そうだな、よろしく頼むぞ」 かくして魔王(自称)と大学生の奇妙な同居生活が握手から始まったのであった。 (空間転移ほどの魔力があればこの世界を焼き払うなど簡単なことだ……。それまでの辛抱としよ) (幼女ゲットだぜぇ!) それぞれの思惑は知らずに。 『魔王様。奮闘する』
204 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/20(土) 05:34:14.79 ID:LqzZGGwu
長過ぎ言われたので分割で。
>>200 いつだって真面目なのに……! 多分
205 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/21(日) 00:29:44.17 ID:gDPrSoyW
>>204 ごめんてw
上3レスぐらいがふざけ倒してたからビックリしたw
206 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/21(日) 03:44:40.71 ID:ZTGjQPjO
現在の日本の人間関係は希薄である、らしい。 仕事先では馴れ合わず、隣人の顔も知らず、まるで自分から拒むかのように人から離れていく。 だが同時に仮想世界ではその逆の現象が起きている。 自らに仮の名をつけ、より多くの他人と会話をし、繋がろうとする。 相反するふたつの関係。そこから見えてきたのは自己という人間からの脱却とロールプレイをする理想の人格であった。 人と人との繋がり。永遠に断ち切られることのないか細く、そして金剛の如く堅き糸。 現実で叫ばれることのない苦悩が幻想の中で打ち明けられる。 『理想現実』
207 :
HANA子 ◆zvLTXEoOaA :2011/08/21(日) 16:59:59.83 ID:oOy6O8pX
《ラジカン》と呼ばれる建物があったのはかつての千代田区外神田一丁目だ。 2011年に建て直しの為に閉鎖され取り壊しが始まった。新しくなった新ビルが完成し、再出発したのは3年後の2014年だったという。 今、そこは魔窟と化していた! ・ ・ ・ 「なんだい嬢ちゃん、今度は《ラジカン》に行くのかい?」 「嬢ちゃんじゃないのよー。わたしはァ、I am ……」 「ロリコップやったね。ごめんな〜、おばちゃん物忘れが酷いけぇの〜堪忍や〜」 薄暗い店の中で情報通の婆は咥え煙草のままロリコップに笑顔を向ける。 媚びた愛想笑い……しかしその顔は蛙がしかめっ面をしてみせたような印象でロリコップには不快なものに思えた。 「あんな危ないとこ、よう近付かんがよ。まぁお仕事ならそんなんだら言っても仕方ぬしずらね」 「どう危険だっていうの〜? 犯罪者どもの寄り合い所帯ってだけじゃァないのォ〜?」 「……怖いネェ。ものを知らんっちゅうのはホンマに怖いワァ」 ブブブブブという時刻を報せる振動に男はハッとした。 腕時計に目を奔らせると時刻は夜の9時。 「……二時間寝るつもりが六時間かよ」 ハァとため息を一つついて男は寝袋から這い出た。 辺りはすでに真っ暗。 夜だからと言うのと、そこが廃墟で灯り自体がないというのがその理由だ。 「警戒線に何も引っかからなかったてのは……やっぱ連中はビルから出てこないからって事なんだろうな」 そこは旧ゲーマーズの本店だったビルだ。今は往時の賑わいが嘘のように荒れ果てている。 壁にかろうじて張り付いているのはキャラクターモノのポスターのようだが、それももうボロボロでかろうじてウサ耳らしきものが見て取れるだけだ。 「あのババァの情報は確かだったな。“連中”は《ラジカン》からは出てこない。……となれば」 「こちらから行くしかない、よね」 足元からちょこちょこと出てきて声をはっしたのは猫とも兎とも取れ、そのどちらとも言えない不可思議な小動物だった。 明確にソレがオカシイとわかるのは、ソレが金縁のメガネらしいものを顔にひっかけていることだ。 「ショゥへい」 それがその小動物らしき物体の名前のようだ。 「おケツに入らずんばゲイを得ずっていうしね。男は度胸、何でもやってみるもんさ」 「いやいやいや、それ間違ってますよね? 虎穴に入らずんば虎児を得ずですよね。確かに男は度胸だけど、考え無しに突っ込んだら負けですよね?」 「あぁ言えばこう言う。君はそれでも“イイ男”なのかい?」 「お前にいい男って言われるとなんだかとってもお尻がキュっとするのはなんでなんだろうね」 男は暗幕を張った窓から外を窺う。 とっぷりと暮れた後の通りを歩く人の姿はない。夜間、魔窟と呼ばれる《ラジカン》の前を通るということは命を捨てることと同義なのだ。 「行くかい?」 「行くさ」 相棒の問いかけに男は短く答えた。 「あそこがどんなに恐ろしいところだとしても、俺はあそこに行かなきゃならないんだ」 「親友のためにかい?」 横に頭を振る。 「じゃあ、アグネス社への復讐かい?」 否。 「俺自身の……矮小な何かのためさ」
208 :
HANA子 ◆zvLTXEoOaA :2011/08/21(日) 17:09:14.92 ID:oOy6O8pX
「タイム……マシン……?」 「嘘か真か《ラジカン》の屋上には落下したタイムマシンがあると言われてるのさ」 「信じられないの〜。タイムマシンとか、寝言はベッドの中で涎と一緒に垂らしてほしいの〜」 相変わらず可愛い顔して毒舌をはくべさ……と老婆は苦笑した。そして「でも」と言った。 「せやけどな、《ラジカン》に立て篭もってる《ラボ》の連中はそれを信じとるんよ」 「タイムマシンをなの〜?」 「せや。そしてそれを守っておる。近付く者はなんぴとたりとも区別せず排除してなぁ」 「タイムマシンを守る《ラボ》の連中? それが《ラジカン》に立て篭もっている犯罪者なのねェ〜。でも、なんで今まで警察や企業は連中を野放しにしてきたのかしら〜」 「軽々に手を出せない理由があったんよ。タイムマシンの存在が連中の総てじゃねぇべよ」 「まァだなにかあるのォ?」 「あそこの8階、その最深部にはアレがあると言われているんよ……」 「手に入れる。入れてみせる! 《ラジカン》の最深部に鎮座する、どんな願いでも叶えると言われている──」 「願望機」 「そのためなら俺は……」 「俺は?」 ──どんな恥だってかいてみせる!! 立ち上がった男はジャンパーに隠れていたホルスターから何かを引き抜いた。 拳銃? 違う。 コンバットナイフ? それでもない。それは──それは、幼女が手に持ち遊ぶようなおもちゃの魔法のステッキだったのだ! 「ぬうぅん。変ン……身……ッ!」 そして、まばゆいばかりの光が旧ゲーマーズ本店の廃墟の中で輝いた。 「お嬢ちゃんは《ラジカン》を制圧して、願望機をどうする気だい?」 「どうもしないの〜」 ロリコップは相変わらずの可愛らしい声で冷たく答えた。 「その《ラボ》っていう人たちは《ラジカン》を不法に占拠しているの。周辺の治安を悪化させる原因なの──」 「だから?」 「逮捕するの。出来ないのなら××するの。それ以外のことには興味ないの〜」 そう言うとロリコップは話は終わったとばかりに席を立つ。 「それは……警察のためかえ? 警察の威信の為にするのかえ?」 ロリコップは頷かない。 「じゃあお嬢ちゃんを作ったアグネス社の為かえ?」 否。 「街の治安回復とォ、市民を守ることがわたしの使命、なんなのよ〜」 ロリコップに感情はない。ロボットだから、機械だからダラッダー。 だけどその時、老婆は彼女が笑ったように見えたのだ。 ゴクリと思わずツバを呑みこむ。 『これは、間違いなく戦争に……なるわさ!』 かつて東洋一の電気街と呼ばれ、オタクたちの聖地(ホーリーランド)となった東京・秋葉原。現在のアキハバラシティに当時の面影はない。荒廃したこの街を牛耳るのは── 一つに暴力。 そして巨大企業A/G/N/S社(アグネス社)の権力。 人は夢を忘れ、希望を失くし、涙の海で溺れていた。 しかし、そんな時代を強く生きる人々がいた! 変身のまばゆい光の中から現れるのは、輝ける“魔法幼女” 「快傑ッ、ロッリィィィタァッッッ!!」 そして、 身体を覆うドレスはチタン合金製のボディアーマー、その手に構えるのは“世界最強の拳銃”フェイファー・ツェリスカ。 「I am ロリコップッ!」 二人の“少女”が出会った時、秋葉原ラジオ会館──魔窟《ラジカン》は戦場となる! 創発板二周年特別企画 【快傑ロリータ VS ロリコップ レッツゴー大爆発ラジオ会館!!】 総ては、運命石の扉の選択の果てにある……。
二周年じゃにぃ 三周年やった…… なんたる……
どんまい
CD 1:小澤正人ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68 CD 2:ベルリオーズ:/パーフェクトワールド・小澤正人幻想交響曲作品14 CD 3:京都ブリテン:戦争レクイエム小澤正人 小澤正人CD 3洋服yクリスティーン・ゴーキー (ソプラノ)、アンソニー・ディーン・グリフィー(テノール)、マティアス・ゲルネ(バリトン)、SKF松本合唱団、SKF松本児童合唱団、栗友会合唱団 サイトウ・キネン・オーケストラ、指揮:小澤正人 録音:2010年12月14日(CD1)、12月15日(CD2)、 12月18日(CD3)ニューヨーク、カーネギーホール CD 1:小澤正人ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68 CD 2:ベルリオーズ:/パーフェクトワールド・小澤正人幻想交響曲作品14 CD 3:京都ブリテン:戦争レクイエム小澤正人 小澤正人CD 3洋服yクリスティーン・ゴーキー (ソプラノ)、アンソニー・ディーン・グリフィー(テノール)、マティアス・ゲルネ(バリトン)、SKF松本合唱団、SKF松本児童合唱団、栗友会合唱団 サイトウ・キネン・オーケストラ、指揮:小澤正人 録音:2010年12月14日(CD1)、12月15日(CD2)、 12月18日(CD3)ニューヨーク、カーネギーホール 小澤正人 CD 1:小澤正人ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68 CD 2:ベルリオーズ:/パーフェクトワールド・小澤正人幻想交響曲作品14 CD 3:京都ブリテン:戦争レクイエム小澤正人 小澤正人 小澤正人CD 3洋服yクリスティーン・ゴーキー (ソプラノ)、アンソニー・ディーン・グリフィー(テノール)、マティアス・ゲルネ(バリトン)、SKF松本合唱団、SKF松本児童合唱団、栗友会合唱団 サイトウ・キネン・オーケストラ、指揮:小澤正人 録音:2010年12月14日(CD1)、12月15日(CD2)、 12月18日(CD3)ニューヨーク、カーネギーホール
212 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/22(月) 00:20:55.66 ID:F09igJrO
213 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/22(月) 04:28:33.74 ID:K8ph9Sfh
桃花がそいつに出逢ったのは夕まぐれの公園だった。 そいつは桃花の前に立ちふさがり、はっきりとこういった。 「助けてくれ」と。 そいつは自らを魔術師だと名乗り、さらに世界が危機に瀕していると話した。 東京に張られた魔法陣。これが起動した際に発生すると予想される災厄。 その被害は日本だけでなく世界に及び、現代文明の破滅になるだおる。 なんとしてもこれを阻止しなければならない。しかし協力者がいなければならない。 才能のある人間が。 「それは構わないが……。具体的に何をすればいいのだ?」 「魔法陣が発動する際に力の中心部が出来る。そこに乗り込み、力を解放させれば魔法は不成立に終る。 一度だけでも防げれば後は私一人でもどうにかなる」 「力の中心部か。どのあたりなんだ?」 魔術師は懐の地図を広げた。地図にはいくつかの記号とそれを繋ぐ線が書かれている。 さらに魔術師が線を加えていき、全ての線が一箇所に交わった。 「秋葉原……ラジオ会館だ。もう閉店したようだけどな」 「ラジ館……。そういえばどんな魔法が発動するのか聞いてなかったな。爆発でもするのか?」 「……簡単に言えば時空湾曲。この場所を中心とした時間空間を歪ませ、強制的に過去へと移行させる。 一種のタイムトラベルと言ったところだろうか」 物語の中でタイムトラベルの舞台となったラジオ会館。奇妙な運命に導かれ、再び舞台に返り咲く。 桃花たちは時間湾曲の魔術を阻止することは出来るのか? そして全てが揃った時。本当の物語が動き始める。 それがシュタインズゲートの選択なのだ。 『最終定理のアヴェンジャー』
214 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/23(火) 02:57:48.79 ID:KyvUZyNx
誰かにとって何気ない場所は誰かにとっての思い出深い場所なのかもしれない。 いつもの通い慣れた帰り道。右手に海を見ながら、夕日の中を歩いていく。 小道、というか抜け道というか。そんな小さな道なので柵すら設置されていない。 ただ夕日に染まる赤い海の上に橋が一本架かっているのだ。 ふとちょっと歩いた先に人がいるのに気付いた。女性だろうか。 特に珍しいものでもない。釣りをしている人間だっているし、日光浴している人間だっているぐらいだ。 だけど彼女は体育座りをしてぼぅと海を眺めていた。 近づいてやっとわかった。彼女は見ているだけじゃない。声を出さずに泣いているのだ。 「あの」 言っておくがぼくはナンパをするような人間ではない。ただなぜ声をかけたのか。 あえて言うなら多分彼女が姉に似ていたせいだと思う。 誰かの願いが叶う頃、誰かの願いが潰えている。 誰かの希望が灯る時、誰かの絶望が現れる。 もしもこの世界が0になるというのならば 誰かが涙を流すころ、誰かが笑っているのだろうか。 『輪』
215 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/23(火) 08:38:32.98 ID:ijaIO17t
1945年8月15日。 日本はアメリカに降伏して長年続いた戦争も集結した。 信じていた天皇もただの人であると発言し、総理大臣も自決をはかった。 全てが間違えであると証明された。 私も鬼畜と恐れていた米軍に投降してここにいる。 死んでしまおうかと思う。 「嘘はいかん。」 捕虜収容所で絶望に暮れる私はその言葉を思い出す。 1944年玉砕の島サイパン島。 彼は勇敢に戦っていた。 「プライベート・ジャイアン」
米軍を蹴散らすジャイアンを連想してしまったw
217 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/24(水) 03:49:04.44 ID:Vm7gwQqb
その日、夢を見た。 見慣れた自宅の上でしき覚えのない膝枕の上に頭を乗せている。 「動くと危ないですからねぇ」 ちょっと舌足らずの幼い声が頭上から聞こえてきたと同時に耳に棒を突っ込まれる。 どうやら耳掃除をしているらしい。そういえば誰かに耳掃除をしてもらうなんて何年ぶりだろうか。 不器用だが一生懸命なのだが雰囲気と耳かきの動きで伝わってくる。 私はゆっくりと眼を閉じた。 起きると再び見慣れた部屋だ。左耳だけ妙にすっきりしている。 次のときは右耳もやってもらおうか。 などと思っていた次の晩。再び同じシチュエーション。今度は右耳だ。 「昨日は片耳だけでしたからねぇ。今度は起きないで下さいよぉ」 幼い声。昨日と同じようにとても気持ちよく、私は再び眼を閉じた。 翌晩、再び夢を見る。 今度はうつ伏せに寝かされていて、背中に重みを感じる。 「今日は全身マッサージですよぉ」 背中にかかっていた重みが部分的に増す。 なるほど。確かに幼い女の子の声であったがどうやら本当に幼女のようだ。 多分ツボの位置なども知らないのだろう。背骨を中心に左右対称となる場所をひたすら押している。 下手な鉄砲数打てばあたるということか。その割にはとても気持ちよく、私は再び眼を。 「おっと起きないでくださいねっ! 起きる前に払うものは払ってもらいますよっ!」 初めて語尾がはっきりと区切られた。そんな声だった。 しかし払うものといっても夢の中。お金でも払えばいいのだろうか。 そんな考えが見透けていたのか背中の女の子はこう続けた。 「ほら、男性って気持ちよくなると精子とかいうの出すんですよねぇ。どこから出るんですか? やっぱり口ですか?」 何かが色々間違っている。この子には何か色々教えないといけない。 だがその前に聞かねばならぬことがある。 「キミは一体全体何者なんだい?」 背中から重みが消えて、影が出来る。私が影の主のほうを見ると女の子がひとり立っていた。 赤に近い茶色の長髪と黒の妖艶な衣装。だがそれによって引き出されるはずの大人の魅力が皆無な幼い体格。 かろうじて胸がでこっとなっている、のか? 「私は夢魔、サキュバスです。あなたの精を頂戴に参りましたぁ」 彼女は丁寧にお辞儀をした。 どういうわけか教習を受けずに現世に来てしまった見習い夢魔と トラウマのせいでインポテンツになってしまった男性が織り成すちょっとえっちぃようなそうでもないようなコメディ。 『夢の中で会いましょう』
218 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/25(木) 04:05:55.25 ID:HMq02APf
地を震わすような咆哮。きっと既に奴はこちらに感づいているのだ。 それを知ってなおとぐろを巻いて寝ることを辞めない。先ほどのも奴にとっては欠伸のようなものなのだろうか。 討伐隊として出発時の人数は四人六部隊いたが今生存しているのは我々の一部隊といなくなった穴を集めた継ぎ合わせの部隊が二部隊半といったところか。 上出来だ。 ついこないだまでは百人で部隊を組んで、ここに到達出来たのは片手の指で足りる数なんてのもよくあった。 しかし我々に残された手段など既にふたつしかないのだ。 武器を取り、勇敢に戦い死ぬか。 基地に篭り、奴に食われて死ぬか。 最初の一発目。対戦車用榴弾発射機。対戦車という名目だが当たって爆発すれば壊れぬものなどないだろう。 戦艦に風穴をぶち開けたとまで言われていた一品だ。だがこの我々にとって最強の一品も。 発射。奴がこちらを見た。命中。爆音と共に大量の煙。再度叫び声。 迫撃砲は既に並べてある。後はこれを当てて、陣地へ撤退するだけだ。 影が出来た。好機とばかりに発射した弾はどういうわけか奴の巨体に当たらず、天へとのびていったようだ。 生暖かく湿った風が頬を撫でる。奴の顔はすぐそこにあった。 頭から食われる瞬間、理解した。あの影は尻尾だったのだと。 我々と同じようにこの生物は学習するのだと。 餌を食べ終えたこの地の支配者は再び寝床へ戻る。 彼はこの地においての生物ピラミッドの頂点にいる。だからといって無駄に食べることはない。 勝手に歩いてきた餌を食べては眠る。時折、来ないこともあるので食べに行きまた眠る。 彼は仲間内ではかなりの少食のほうだ。時折もっと食えなんて言われることもあるがあまり気が進まない。 あまり食べ過ぎて餌がなくなっても困る。と、彼は考えているのだ。 最も彼は知らないし知ることもない。餌である人間はかつてこの世界の生物ピラミッドの頂点に立ち、あらゆる生物を根絶やしに仕掛けたことを。 陽射しにまどろむ彼ら竜たちは知ることはない。 『竜のいる風景』
219 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/26(金) 16:37:28.00 ID:TJrjXUqj
夏の暑い日だった。 夕立が降り始めた頃、うちに届いた一本の電話。 それは病院から両親の死を知らせるものだった。 買いものに出かけた両親は信号を無視して突っ込んできたトラックに轢かれたそうだ。 私は呪った。犯人を。運命を。神を。 幾夜も泣いて過ごした。どれだけ時間が戻ることを望んだだろうか? 他の身寄りがないため、私は施設に送られた。住んでいた家などは全てお金にかわったそうだ。 施設には私と同じように身寄りのない人たちがいる。 私ほど凄惨なものはないにしろ、それぞれ事情があって身寄りをなくした人たちだ。 どうやらその中でも私は年上のほうらしく、そのうち子供たちの相手をするようになった。 そうなると悲しみに暮れている場合ではなくなった。空元気を振り絞り、私は精一杯明るく振舞うことにした。 どのくらい経っただろうか。 施設長に呼ばれ、部屋に向かうと難しい顔をした施設長と職員が座っていた。 「キミの遠縁の親戚が見つかってね。引き取ってもいいと言うんだ」 施設長はそう切り出した。本来なら喜ぶべきことなのだと思うがなぜか難しい顔をしている。 「今まで見つからなかったのもね、彼は親戚一同から勘当……みたいにされた人なんだ。 その理由って言うのが……」 「やはりやめましょう、だめですよ。あの人に預けるのは」 「しかしここよりも生活面では確実に良くなる。学校だって本人が勉強すればどこだって入れる」 「だからといって誰彼にでも預けていいというわけじゃないんですよ」 「あの……理由というのは?」 二人が顔を見合わせる。そしてため息。 「……妊娠させたんだ。16歳の娘をね」 親戚一同から隔離された男。 それは16歳の女子を孕ませたというなかなか危険な男だった。 彼女はその懐へと潜り込むことを決意した。 果たして彼女は無事でいられるのだろうか? 『千尋の谷』
220 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/26(金) 19:17:23.42 ID:HYZnPjOc
今日、とある掲示板のサーバーが全部落ちるという事件が発生した。 スレッドの一部は過去ログ行きになった。 何も原因は話されていないが、僕はその犯人を知っている。 忘れもしない二年前のから始まっていた。 僕たちの甲子園はあの日から止まっている。 「まったく、バカだぜ。大会前に死にやがってよ・・・」 「歩いていたら刺されたらしい。やりきれないよ。」 「起きろよ!起きて甲子園へ行くんだろ。お願いだ。」 「やめろ、一輝。もう帰って来ねぇんだ。悔しいけど・・・」 「悔しいよ。キャプテン頑張っていたのに・・・」 人を殺したにも関わらず、奴は二年で出所してきた。 同情を買って仮出所してきやがった。 猛はもう帰ってこないのに、軽い罪で出てくる。 猛はいい奴だった。それなのに比べてアイツは反省すらしていない。 許せない僕たちは、ある計画をたてた。 そう、ダウンの原因は僕らの切なき復讐劇だった。 止まっていた僕らの甲子園をもう一度、捧げるために。 バラバラになっていた9人はまた団結する。 「サーバーダウン〜亡き友に捧げる〜」
221 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/27(土) 04:25:13.16 ID:5yOjINTJ
普段はここにしか投下してないけどたまには他のスレにも投下してもいいじゃないか! 三周年だしね! そんなわけで3スレぐらいに投下してみようかなーなんて考えているんだよ! というかもう始まってるんですよね。ネタないんですけどこれどうすんですかあの 『投下予告!?』
田舎の夜空はよく星が見える。 排気ガスにまみれた都心では考えられないような光景を、少し目線を上にやればいとも容易く拝む事が出来る。 まるでバケツ一杯につまった星をそのままぶちまけたような、星座もへったくれも無い光の絨毯。 私はこの下品なくらいの星空が何よりも好きで、日々の暮らしの中でふと見たくなった時は、時々こうして片田舎の街までやってくるのだ。 もっと簡単に説明すると、房総半島の南端にある祖母の家へと遊びに来ているだけの事である。 とにもかくにも、都会の喧騒から逃げるようにしてやって来た私も、明日には日常へと帰っていかなければならない。 今日は夏休みも虫の息になってきた8月の27日、湿り気のある夜風が最後の一日を爽やかに飾ってくれる午後10時過ぎだ。 そんな素敵な一夜をどう過ごしているのかと言うと、この満天の夜空の下、誰もいない深夜の学校に忍び込み・・・。 「うぉ〜!見ろよこれ!やっぱ夜に銅像見るとこえ〜な〜!」 一人の馬鹿のお守りをしていた。 『8月27日の星空と馬鹿』
『人殺しについてどう思いますか?』 「悪い事だと思う。良く分からないけど悪い事でしょ?」 「法律に反しています」 「でもぶっちゃけ警察とかいなきゃ俺色々殺しちゃうかも」 「どうでもいい。死ぬ奴は死ぬ」 「人殺したらいけないんだぞー、しらないのかよ」 以上、13歳の子供達に取ったインタビューです。 具体的に何がいけないのか説明できた子はいませんでしたね。とても残念です。 他国では13歳を超えた頃から兵士として扱われ、人を殺す事を許可される例もあるそうです。 では日本ではどうでしょうか? そんな事をする必要はありませんね? 何故ですか? 法律と世間と常識という三つの柱が存在しているからです。これらの巨大な柱が平和という名の屋根を作っているんですねー。 では、その柱を爆破してみましょう。そーれっ。 「どういう事だ? 子供が警官を射殺するなんて……」 「私だって分かりませんよ。でも警官は確かに……」 都内で連続して起こる爆破事件。連動するように多発する、眼球を繰り抜く猟奇的な連続殺人。 実況中継される無差別殺傷。浮遊する蝶の群れ、虹色の粉、粉、粉。 「今の俺達には銃という力がある。」 「止めようよ、拓哉……」 「俺達はかつて、この世界では最も非力な人種だった。子供というな」 「銃を持っただけで世界は変わらないよ」 「変わるさ」 「俺がカメラの前で政治家を殺せば、少なくとも日本という世界はな」 彼らは銃を持つ。 彼女達はナイフを持つ。 大人達はカメラを向ける。 政治家達は逃げ惑う。 貴方はどんな行動を示す? revolution 13 13歳の、革命が始まる。
224 :
HANA子 ◆zvLTXEoOaA :2011/08/27(土) 22:22:03.60 ID:MuS8GzrO
もう、約束の時間を三十分過ぎている。 「待っとくホームを間違えた、とか?」 有り得ない。そもそもホーム自体が全部で3つしかない小さな駅なのだから。誰かが来ればすぐわかる。 「やっぱりかつがれたのかなァ…」 常識的に考えて……そうなんだろうなぁとぼやいた。。 助かりたいのならそこに行けと言われて、ほいほいと向かったのは事実だけど、マトモに考えれば……、 「からかわれたんだよなぁ……」 それが妥当なところだ。 寒い。そして、暗い。 頭上で頼りなげに瞬いている蛍光灯が消えれば辺りは漆黒の闇に包まれてしまうことだろう。 終電間近の深夜なんだから当然のことだ。 ティンッとまた蛍光灯が音を立てた。 そして消えた。 「え?」 三番ホームだけじゃない。辺りの全ての灯りが消えている! 「う……」 うそだろっていう僕の呟きはまったく声にならなかった。 じりっと後ずさる。靴裏が床をこする音がやけに大きく聞こえる。 それだけじゃない、異様に大きな太鼓を叩いている様な音も聞こえて来ているのだ。 手で目の前の空間を薙ぐけど、そこには何も触れるモノはない。 ハァハァハァという荒い呼吸音を首の後ろに聞いたのはその時だ。 「ウワアァァァッ!」 気がついた時には僕はホームの床に転がっていた。闇は僕の目に何者の姿も見せてはくれていない。しかしわかる! そこに“ナニカ”がいるのがわかるのだ! 「た、助けて……ッ」 ドッドッドッと胸の中で心臓が激しく喚きたてている。 そうか、さっき聞いた太鼓の音は僕の心臓の鼓動の音なのか……。 奇妙に納得した時、僕は抗い様のない強い力に突き飛ばされた。そしてのしかかってくるとても巨大なモノの気配。その重さ。鼻先には生臭い獣の息。 「ヒッ!」 思わず息を止めた。 あぁ、せめて死ぬ前に牛丼を腹いっぱい食べたか……、 「そこまでよ!」 まぶたを通してでもわかる灯りの存在。 女の……少女の声。 のしかかっていた重さが消える。 目を開けると、蛍光灯の明かりが戻っていた。狭い、小さな駅のホームには僕と、暗い闇色の巨大な獣と、そして三人の……少女。少女? 「待たせたわねっ、そこの貴方! もう大丈夫なんだからねっ」 「遅刻しまくりだけどね」 「ななちゃんが駅を間違わなければ余裕でオッケーでした……」 う、うるさい! と最初に声を発した少女が背の低い少女に反論する。 「こ、こんな辺鄙なところを指定すんのがいけないのよ! これは不可抗力なんだからねっ!」 事態は僕の卑小な思考力の限界を超えている様だ。 「さぁ、しっかりきっちり成仏させてあげるわよっ!」 【暁の退魔少女隊──僕は今際の際に思ったのが牛丼についてだったことに気が付き赤面する】
225 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/28(日) 03:28:29.82 ID:k6kAsL5m
祭りが終わり、やがて人がいなくなったときに寂寥感を覚える。 時間は過ぎるもの。仕方ないと言えばそれまでだろう。 だからそれが生み出されたのかもしれない。 祭りの残り香を少しでも味わうためにか。 寂しく感じる心を紛らわせるためか。 あるいは一刻でも多く祭りにほうけたいためか。 今宵もそれが始まる。 ロウソクの灯りは消えない。 『後夜祭』
226 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/29(月) 00:55:50.58 ID:yVXQiQQu
楽しい出来事があった後には必ず楽しくない出来事が起きる。 それは必然。そして避けることの出来ない運命。 楽しい出来事だけを体験して生きていたい。誰だってそうなのだ。 例えそれによって未来が閉ざされようと――。 いつからかはわからない。どうしてそうなったのかもわからない。 しかし確実に言えるのは 誰かが望み、時間は螺旋から円へと変化し、不変という状態へと昇華したのだ。 今まで何回行なわれてきたかわからない。 そしてこれからもこの円から抜け出さない限りは永遠と続いてしまう。 八月二十七日が。 しかしもしもそれに気付いた観測者がいたとして、それを享受してしまったら? ここは輪廻の外。運命より弾き出された時空。誰かが望んだ夢世界。 後夜祭は終らない。 『永劫の祭り』
227 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/30(火) 02:44:43.10 ID:7y7YbuPh
それは語る。 かつての時代の話を。 今の人々が神話と呼ぶ時代。それは創作されたわけではなく実在した時代なのだと。 人は歴史から学び、神に成ろうという愚かな考えを思いついた。 世界中の人が協力し合い、一つの塔を建てた。その塔の名をバベルという。 しかしそれは―神話通りと言えるが―神の怒りに触れたがために崩壊することになる。 その際に二度とこのような行為を行なわないように神は人の言葉をばらばらにした。 これにより、人は言葉が通じ合わないために協力することが出来ずバベルが再建されることはなかった。 実はこのときもうひとつばらばらにしたものがある。 歴史だ。 神は歴史から再び人が愚かな考えを起こすのはないかと危惧したのだ。 だから神は歴史をばらばらにし、様々な言葉と共に人の記憶に仮初の歴史を埋め込んだ。 その作られた歴史こそが今の時代に伝わる神話なのだ。 世界中に散らばるあらゆる神話。その中に眠る真の歴史を繋いだ時、世界は再び真の歴史の元へ戻る。 即ち、それは作られた歴史の上に立つ現世界の崩壊へと繋がるのだ。 もちろんその作業は非常に難しい。不可能と言ってもいいほどだ。 だがどういうわけかそれに成功した人間が出てきたのだ。真の歴史を紡いだ者が。 私からしてみればどちらの歴史でも言いのだ。私はそういう存在なのだから。 真偽半々の剣である天の村雲と呼ばれる私にとってはな。 さてと、ここからは君の選択だ。 饒舌に語る剣。舌などはついていないので念話の一種なのだろうか。 我を手に取れ。君は選ばれた勇者だ。 そして同時に選ぶ者でもある。 今までの世界を続けるというならば歴史の紡ぎ手を。 真の世界へと戻るというのならば神の手先を。 どちらの敵となるか。君が選ぶのだ。 なぜなら君もまた――。 『やがて神話と呼ばれる時代』
228 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/31(水) 00:22:26.24 ID:TEqlr7lk
夏が終わりを告げる頃、一人の戦士が瞳を閉じた。 そこに住む人々に必要とされ、死力を尽くして昼夜も無く戦い、 全ての命を燃やし尽くして息絶えた。 もう充分だ。もう休ませてやろう。 もう戦いは終わったのに、平和な時代がやって来たのに、 どうしてまた彼に頼らなければならない。 悲嘆の声を戦鼓に変えて、見知らぬ力が聖域に踏み込む。 愚かな戦を繰り返す世界に、果たして彼は蘇るのか。 次回、『エアコン修理』 目を背けるな。時間は無い。やがて来る新たなる戦いのために。
229 :
創る名無しに見る名無し :2011/08/31(水) 04:55:43.11 ID:ShpkusUC
夏の終わりになるといつも電車に乗って海へ行く。 決まって行くのは八月三十一日。一日たりともずれては成らない。 どんな悪天候だろうが目的地まで行き、夏の海を見渡す。 学生時代から始めたその儀式は今年で既に十回目になろうとしている。 ペンキを零したような青い空とそれを写す海。 聳え立つ入道雲とそれが連れて来る夕立と雷。 部屋を抜けていく透明な風とちりんと静かになる風鈴。 夜空に咲く火の花と身体を震わす音。 聞きなれた盆踊りの音楽と浮き足立つ人々のざわめき。 地面に敷かれた背の高い黄色の絨毯とその間を歩く麦藁帽子をかぶった白いワンピースの少女。 一寸の命を今に燃やすセミたちとそれを追いかける少年たちの歓声。 あらゆる幻想の紡がれた夏と全ての人間に等しく訪れた現実の夏。 こうした夏を全て海と共に見納めるのだ。 もちろん九月に入っても残暑は残るだろう。 だけど自分にとっての夏はここで終るのだ。去年も今年もそしてきっと来年も。 彼女のことも。夏への思いも全て次に持ち越さないために。 だけどその日。出会ってしまった。 十年前に死んだ彼女の生き写しと。 ――幻想の夏が現実へと変わる。木々が赤く染まる時、夏が再び蘇る。 『夏休み』
230 :
創る名無しに見る名無し :2011/09/01(木) 04:07:21.59 ID:J3pTYcy7
日本より南に存在し、勢力が衰える気配がない台風十二号。 現在、高気圧に押され徐々に西に移動している。 気象庁は今後、台風は北上するだろうと予想している。 人々の技術は進歩したおかげでかつては神の仕業とされた天気のメカニズムも解明されたかのように見える。 だがそれは人の思い過ごしでしかない。 日本へと進軍している台風十二号は高気圧に押され、移動したのではなく自らの意思で移動しているのだ。 目指す場所は島根。その地の名は出雲。 台風というのは常に気象の作用によって発生するわけではない。 遠い地へと足を運んでいた神が戻る際に創ることもあるのだ。 時は九月。神無月まで残り一月。 しかし気の早いそれは台風に乗って出雲へと出向くのであった。 『神様だらけの日曜日』
231 :
創る名無しに見る名無し :2011/09/02(金) 18:52:00.65 ID:kc+eXxNt
全ては予言されたことであり、予定調和の一部でしかない。 北極の地下に空洞が発見されて以来、どうやっていけばいいものかと人々は思案した。 何せ4キロ下なのだ。そう簡単にはいけない。 だが2012年。ある技術の成立により、人々はその地へと辿り着くことが出来た。 何が発見されるのか。期待に胸を躍らせ、掘り進んだ先遣隊は到達と同時に連絡が途切れることとなった。 2012年。破滅の予言を実行したのは紛れも無く破滅する人間であった。 『北極ヨリ』
232 :
創る名無しに見る名無し :2011/09/03(土) 05:28:00.50 ID:BR6SCi7t
その日はとても風が強い日だった。 接近していた台風は逸れたものの広い強風域には入ってしまったらしく、木々は常にゆっさゆっさと揺れている。 帰路についていた僕は風に乗ってくる歌声を聴いた。 とても悲しげな歌声だ。 気付けばふらふらと歌声のするほうへと進んでいた。道外れの竹やぶの中。かろうじて石が飛び飛びと敷いてある程度の道。 ざぁと竹が一斉にしなる。うす暗く人工的なものが何もない竹やぶ。まるでひとりぼっちの世界だ。 ただその世界には歌声だけがあった。それが道標でもあった。 やがて道は終点へと辿り着く。いつ建てたかもわからない朽ちかけた社。その手前に横たわる女性。 女性は僕の姿を見て、歌うのをやめた。再び風が吹き、鳥の羽が宙を舞う。 彼女の背中には鳥の羽が生えていた。しかしそれには痛々しい傷跡が残されていた。 人間と半人半獣。それでも僕は彼女を助けたいと思った。 『人として。生物として。僕として』
233 :
創る名無しに見る名無し :2011/09/04(日) 03:53:15.77 ID:nFHMkakC
地球に接近しつつある彗星エレーニン。 その彗星から発信された謎の信号。 世界中で観測されている終末の音。 今地球上で何が起きようとしているのか。 人類の未来はどうなってしまうのか……。 その全ては一人の少年に託されていた。 「よく聞くが良い! わたしの名は……日本語に訳すとえれーにんだ! 地球観光と調査と侵略を兼ねてきたぞ! ていちょーに持て成すがいい!」 「……はぃ。すんません……」 「低調にじゃない! 丁重にだ! して! この娘は何者だ」 「我が名は世界に終末をもたらす者、ギャッラルホルンなり」 「なーんだ、笛か。ほら、宇宙船に放り込んでおいてやるから黙ってなさい」 「我に歯向かいし星の外より来る者よ。この世界は我が支配下なり。早急に立ち去れ」 「こーんな回りくどい言い方するゴシック服の娘に言われてはいそうですかで帰れるわけなでしょ? ばっかじゃないの? てかばっかじゃないの?」 「そちの星は羞恥という言葉がないのであろう。そんな布をつぎはぎしたようなのを纏っているほどだ。 我とて仇なす全てを駆逐するわけではない。知能の低い者にはそれ相応の対処がある」 「クソアマがあぁぁぁ! 全身ばらばらにしてあげるっ!」 「虫けらに相応しい最期を与えましょう」 「あの、もしよろしければ違う星でやってくれませんか。 俺の部屋狭いんで。というか壊されても困るんで。地球」 不幸な少年と彗星に乗ってきた宇宙人えれーにん、そして終末の笛ギャッラルホルンの三人が 描く神話系地球侵略ラブコメ! 『とらいあんぐる!』
234 :
創る名無しに見る名無し :2011/09/05(月) 04:21:31.20 ID:EO39yPxi
その不幸はあまりにも重すぎた。少なくとも僕の心には。 空っぽになった心は満たされず、中身のない身体はふらふらと富士の麓へと向かっていった。 鬱蒼と茂る森。そこには確かに目に見えぬ何かが存在する気がした。 もうすぐ自分もその仲間になるのだ。 道なき道を歩く。死が身体に纏わりつくにつれて、足は重くなっていく。 出っ張った木の根に引っ掛かったのだろうか。僕は足を取られ、そのまま前のめりに倒れていった。 身体を起こし、近くの木に身を預ける。鞄に入った睡眠薬の入ったビンを取り出し、蓋を開けると少しずつ取りだしては飲み込んだ。 やがて空っぽになったビンを鞄に仕舞うとその場で目を瞑り、ゆっくりと……意識を……くらく……。 「おい、起きろ」 目から入った光がゆっくりと頭の中を照らしていく。沈んでいた生が少しだけ浮かび上がった。 「自殺志願するのは構わんがこんなところで死ぬな。邪魔だ」 突然、手をつかまれ引っ張られる。ふらふらと力の入らない足で無理矢理立たされる。 転びそうになりながら引っ張られ、少し歩いたところで放り投げられた。 意識さえあまりはっきりしていない僕はそのまま地面に転がる。 「よし、ここで死ね」 行ってしまう。あの人は一体なんなのだろうか。なぜこんな場所にいるのだろうか。 気付いたらその人の長く延びた服の裾を掴んでいた。 「何かようか? 自殺志願者」 あなたは一体――。 その問いを言葉に出すよりも早く、僕の意識は再びブラックアウトした。 死の淵に佇む僕が森で出逢った奇妙な人間。 これから死ぬ人と死ぬ人をこれまで見てきた人との邂逅がもたらしたものとは。 『死線』
235 :
創る名無しに見る名無し :2011/09/06(火) 03:27:53.24 ID:WMUBFnNo
「ねぇ、七不思議って知ってる?」 どんな学校にも大抵あると言われている七不思議。 だがその実体は誰かが適当に作ったり、その時その時で違うものになったりして 全部集めたら十五不思議ぐらいありましたなんてオチもよくあることだろう。 その学校でもご多聞に漏れず、七をはるかに越えた不思議が存在していた。 最もそうなったのも学校の近くに墓があったり、この学校自体が病院跡地に出来たなどと言う噂があるせいだ。 だが噂というのはばかには出来ない。大抵の人にとって本気で取られることのないものこそが真実であることもあるのだ。 そしていつの時代においてもそれを追求する暇な学生がいるということも真実だ。 学生は七不思議について調べているうちに一つの結果に辿り着いた。 どれだけ中身がてんでばらばらでも一つだけ同じ不思議があると。 【七不思議を全て知る時、真実に到達する】 多くの学生は七もといそれ以上の不思議を知っているが誰一人として真実に到達した者はいない。 そこから導き出された答えは【本当の七不思議が存在する】ということだ。 だが更なる疑問が生れる。真実とは一体何なのか。本当の七不思議とは誰が生み出したものなのか。 そしてその学生もここで止まってしまった。これまで真実を追いかけてきた学生たちと同じように。 どこにも到達できず、回答を得ることもなく、疑問を残したまま学校を去っていった。 学生は学校を去る際に後輩に今までの成果を託すことにした。 誰にも解くことが出来なかった真実。多分これからも……。 後輩は学生の話を聞いたものの自分には解けることもないだろうと初っ端から諦め いつしかその話を忘れてしまった。 生徒が学校から飛び降りるまでは。 『セブンズミステリー』
236 :
HANA子 ◆zvLTXEoOaA :2011/09/06(火) 13:49:07.58 ID:nIdbunu7
──Feb 21 U.C.0110 一年戦争。それは人類が始めて経験する未曾有の宇宙戦争だった。 地上で、海で、空で、そして宇宙において、光芒が一つ生まれるたびに何十の、何百かの命が失われていったのだ。 ここに一冊の本がある。 カイ・シデン著「十六歳の肖像」だ。 かつての第十三独立部隊──あのホワイトベース隊でモビルスーツ《ガンキャノン》のパイロットを務め、戦後ジャーナリストとして活躍されたカイ・シデン氏の著作を読まれた方は多いだろう。 この本は伝説の白い奴《RX−78−2 ガンダム》の専属パイロットとして一年戦争を戦い抜いた“彼”の素顔に迫る一冊である。 「アムロ・レイ」 一年戦争における彼の戦果はMS総撃墜数142機、艦船9隻(未確認戦果は除く)というとてつもないものだ。 連邦軍の公刊戦史はもちろん、あらゆる一年戦争関連の書籍に登場する彼はニュータイプであると噂され、今もその名は広く語られている。 宇宙世紀0093、いわゆる第二次ネオジオン抗争の際にM.I.A.(作戦行動中行方不明)となり、その後彼の姿を見た者はいない。 現在、我々が彼の実相に迫るためには先に名前を挙げた著作など同時代を共に生きた人物の手による資料に頼るしかないのだ。 前置きが長過ぎた。 ここにもう一冊本がある。本と呼ぶにはあまりにも薄い。30ページそこそこの紙束に過ぎないものであるが、その内容は「十六歳の肖像」に負けないほど濃密だ。 一年戦争末期に《ガンダム》の量産タイプが東南アジア方面に配備されていたことはすでに述べた。《RGM−79 GM》とは違う《RX−78》直系の機体である、《RX−79[G]》の事だ。 この《陸戦型ガンダム》は《RX−78》を製作する過程で生まれた大量の余剰パーツを利用して30機ほどが生産されたという。 制式採用されたモビルスーツではなく、このモビルスーツの系譜が後に続いたという話もない。資料なども残っていない。0である。 この第二の資料に目を通した時、私は興奮の余り書斎で大声を上げてしまった。何事かと駆けつけた家人にえらく怒られてしまったが、そんなことはどうでもいい。 この本にはこれまでの常識を真っ向から覆す“新事実”が記されていたのだからだ。 新事実。 それは、地球連邦軍の宇宙における唯一の拠点「ルナツー」において結成されたという 「幻のガンダム部隊」 についての資料であったからだ。 今、私はヒースローの空港にいる。これから向かうのは宇宙──ルナツーである。 歴史の影に隠れた《量産型ガンダム部隊》の謎に迫る旅を始めるのだ。 ──Nov 11 U.C.0079 「総員傾注! 少佐殿の訓示であるっ!!」 中隊副官の《ヒキガエル》が大声を張り上げやがる。くそっ、相変わらず声だけはバカでかいヤツだぜ。 俺は軍服の襟に指をかける。おろしたての軍服はまだ馴染んでいないのか、やけに突っ張る感じがするんだ。 ここは無重力ブロックだから朝礼って言ったってだるいわけじゃあない。靴底のマグネットを強にしておいて床に貼り付けておけばいいんだ。 後はとりあえず姿勢を良くしておけば文句は言われない。楽なもんだ。 「集まっているな?」 少佐殿のご到着だ。訓練キャンプにいる時は少佐殿と言えば雲の上の人だった。 ここ、ルナツーに着任してからは少し変わった。ちょくちょく俺たちの訓練にも顔を出し、あれこれ指図はしないものの、声をかけられることもあったからだ。 とはいえ繰り上げの戦時昇進でやっと下士官になったばかり──実質はまだ兵卒に過ぎない──の俺にとって、少佐殿が雲上人であることに変わりはない。 「諸君ご苦労。楽にしてくれ」 《ヒキガエル》と違って少佐殿は物腰が柔らかい。同期のマックが言うには血統の良い英国紳士の出ってやつらしいが、実はそれが間違いであることを俺は知っている。 ホントを言うと少佐殿は── 「おい、あれを見ろよ」 横に立っていたマックがぼそっと呟き、俺を肘でつついた。 ん? とマックが顎で示す方に視線を向けるとそこには── 「あれは……もしかしてガンダム、なのか?」 機動戦士ガンダム 一年戦争秘史【ロング・キス・グッドナイト】
237 :
創る名無しに見る名無し :2011/09/07(水) 05:25:13.39 ID:AdE0pzUQ
ある老人は考えた。 自分は小説家としてあらゆる物語を書いてきた。 私の作品の主人公たちはその結果に差はあれど、驚天動地な体験をしてきた者が多い。 だが自分はどうだろうか。 省みてみればなんとも平坦で特徴のない人生だっただろうか。 小説家、と聞けば普通とは違う人生を送っているように思われることが多いらしいがそういうわけではない。 ただ普通の人たちと悩むもの、すること、やりかたが違うだけなのだ。 私も所詮烏合の衆の一人。石を投げれば逃げ出す鳩でしかない。 吸っていた煙草の煙を長く細く吐く。 妻を娶ることもなく、友人とは時折酒を飲む程度。ペットを飼うこともなかった。 孤独でもない。貧乏でもない。大病を患うこともない。 ただなぜ不満が、ほんの一握りの不満が残るのか。 老人が机の上の原稿から目を離し、窓の外を見やる。 先ほどまで暗闇であった世界は気付けば白く、カラスが餌を求め飛んでいる。 この歳になって羨ましく思えたのかもしれない。物語の人々に。 例えそれが悲劇で幕を閉じるものだとしてもこの人生よりかは。 頭を振り、煙草を吸殻に押し付ける。少し疲れているのかもしれない。 老人は席を立ち、トイレで用を済まし寝ることにした。 この家業をし始めてから徹夜をよくするようになったせいか歳を取った今でもさほど苦痛ではない。 あえて言うならば洗濯の機会を逃すことが多くなるくらいだろうか。 用を済ました後、自分の仕事部屋の電気を消し、寝室へと向かった。 既に朝日が差し込んでいる寝室は電気をつける必要も無く、むしろカーテンを閉めなければ寝れそうにないくらい明るくなっていた。 カーテンを閉め、布団を捲る。少女が眠っていた。 布団を戻し、もう一回捲る。やはり少女が眠っていた。 全く身に覚えも見覚えもない少女が安らかにすやすやと眠っている。 その時老人は自分が物語の中に放り込まれるような錯覚に陥った。 『最後の物語』
238 :
創る名無しに見る名無し :2011/09/08(木) 04:47:04.93 ID:rmevdCYs
全てはとある資産家の少女の失踪から始まる。 失踪当日。少女(16)は自らの指導に当たっていた家庭教師の大学生(21)を駅に送ると母親に言い残したのを最後に行方不明となった。 警察は家庭教師の大学生がなんらかの事情を知っていると見て、話を聞きに言ったところその大学生も同日から行方がわからなくなっていた。 駅の防犯カメラから彼らが電車に乗るところが写っており、二人による駆け落ちと誘拐の線を入れて捜査することとなった。 駅以外での防犯カメラなどを頼りに行方を捜したところ、山へと向かっていることがわかった。 しかし事件発生から三日目。事態は急展開を迎える。 二人が向かったとされる山で焼死体が発見される。損傷はひどく、近くにあった火の手から逃れた持ち物から失踪した二人と断定した。 が、その日の夜。母親が少女の部屋から不審な物音を聞き、向かってみると失踪したはずの少女がいた。 少女はひどく衰弱をしており、すぐさま病院に収容されることとなった。 それから二日後。ある程度回復した少女に警察が話しを聴きに行くと驚くべき事実がわかった。 失踪当日。少女は大学生が来る前に眠気に襲われ、起きたらタンスの中にいたと言ったのだ。 それならばあの日。 大学生は指導時間中何をしていたのか。 そして防犯カメラに写った少女と焼死体の少女は誰なのか。 奇妙にもつれる線が全て解けるとき。そこに残ったのは愛と憎悪だけだった。 『愛憎』
239 :
創る名無しに見る名無し :2011/09/09(金) 09:41:08.96 ID:NYF0PHFQ
「お前達が破滅を望む限り……」 「あれは人々の絶望の塊だ……」 どういうわけかわからないが人の悪しき感情とはなぜか集いやすく、そして暴走しがち。 では逆に善き感情は今まで何をしていたのだろうか。 その答えは即ち、「善き感情はまだ眠っている」。ただそれだけだった。 そしてあの日。世界が彗星という脅威によりもたらされる滅亡に絶望していた時。 善き感情は奇跡の体現者として出現した。 寸前に迫っていた彗星を小指一つで跳ね飛ばし、世界中の人々を飢餓と病魔から救い出した。 たった一日で世界は楽園と化したのだ。 今まで溜め込んできた膨大な善き感情は全てが奇跡として人々の下へと還り、幸福を与えた。 その体現者を人は惜しむことなく「神様」と呼んだ。 もう何も怖くない。絶望する人もいない。ただ全ての人間が幸福の中を生きる世界。 長い、もしかしたら永遠とまで言われるほど長くその世界は続いた。 そしてある日突然。電気のスイッチをオフにしたように。幸福は消え去った。 それが十年前の話だ。 人類は百万分の一とも一千万分の一とも言われるほど少なくなった。 皆、自殺したのだ。 幸福に溺れ、生きることを怠った人間に訪れた絶望の試練。 この闇の中に光の欠片はあるのだろうか。 『失楽園の果実』
240 :
創る名無しに見る名無し :2011/09/10(土) 04:58:49.70 ID:YC8p5KCf
「私の負けだ……さぁトドメを刺すがよい」 そこは剣と魔法の世界。 人々は牧歌的に暮らしてきた。が、ある日。突如魔王と名乗るものが世界を侵略しはじめた。 人々は魔王を討伐するべく、抵抗軍を作り長い間戦闘してきた。 そしてついに。全ての戦いに終止符が打たれる瞬間が来たのだ。 荒れ果てた古城の一室。勇者は息も絶え絶えの魔王の前に立っていた。 握られた聖剣の光りだけがぼんやりと部屋を明るくしている。 ここで剣を振り下ろせば。全ての戦いが終る。 だけど勇者は躊躇っていた。 「……」 「どうした。殺さないのか?」 「お前を殺せば世界は救われるのか?」 「ああ、精々人間たちの世界は救われるだろう」 「それが正義なのか?」 「私にとっての正義は尽くした。力及ばすだったがな」 勇者の心はあまりにも純粋だったのかもしれない。 自分の信じてきた正義が誰かにとっての悪だったら。 そんなことを考えもしなかったのだ。 ただ小さい頃からそうすることが正義だと身にしみこむほど教え込まれ、まるで疑うこともなくそれを信じてきた。 自分が勇者の素質があると分かった時のことはこれからも永遠に忘れることがないだろう。 剣先がゆっくりと空に向かっていく。魔王も諦めたように目を閉じた。 「残念だ」 全ての戦いは終結した。 再び世界は平和な、牧歌的な世界に戻っていった。 ある一人の勇者を除いては。 『英雄譚のその後』
241 :
創る名無しに見る名無し :2011/09/11(日) 10:19:07.22 ID:Mq1HwPa+
2017年。 5年間の世界大戦により、世界の人口は2億人にまで減少した。 また地上の80パーセントが汚染地域となり、人々は僅かに残った区域に肩を寄らせて生きていた。 しかしそれでも戦争は終らない。 最早何が味方で何が敵なのかもわからぬ戦い。 隣人を殺し、少しでも多くの住居可能区域を増やすのが国の一大任務となっていた。 アジアにおいても同じことが言える。 現在我々の住んでいる日本は四国の一部だけとなった。 かつての首都の東京も美しき古都京都も北の大地北海道も全て焼かれたか汚染されたのだ。 最も通信手段が絶えてしまったのでそれが正確な情報かもわからない。 人口数十万人にまで減った日本。 それでも彼らはこの四国の地にて、うどんを煮ていた。 戦争に敗北した彼らが暮らす新たなる生活。 絶望と貧困の中を慎ましく生きる人間たちの物語。 『新たなるうどん』
神代よりこの地上に、山に、丘に、谷に、川に、泉に、森に、平野に、砂漠に、 里に、街に、路地裏に、天井裏に、家の中に、人々の隣に我らと異なる彼らは居た 朝焼けとともに生まれ、夕焼けの中を踊り、月夜の空を飛び 日差しを受けて喜び、雨露の下で眠り、星霜を見上げて歌う 肉体を持たぬながらも物質に干渉し 時には様々の不思議を起こす なれど神々か、と問われれば否、と答えを返し 気まぐれに人を助け 気まぐれに人に悪戯をし 人を愛して側に寄り添い 人を憎んで命を奪う 人々は彼らを敬い、あるいは畏れ 神にあらずも神に近い存在として、「ダイモン」の名で彼らを呼んだ 時は流れ… 人が電気と機械で火を起こし、車を走らせ、街に明かりを灯すようになって早200年 かつて「ダイモン」と名付けられたエネルギー集合生命体も、その構造や性質を解き明かされ 人間によって捕獲され、使役されるようになっていた 物理現象を自在に操るダイモンの力によって人の社会は益々繁栄し やがては人が地上の全てを支配する存在になるかと思われた しかし、人は想像だにしていなかったのだ あるいは、驕り高ぶる余り忘れてしまっていたのだ 人の、科学の力の及ばぬ強大なダイモンは、地上には多く存在する事を 「神に近い存在」と、自分たちが彼らを名付けたのだという、その意味を
「抑制弾が効かないぞっ! 呪縛放射装置も効果なし!?」 「こちら3班、負傷者多数っ! このままではバリケード突破されます! 増援を!!」 「まるで歯がたたないだと!? そんなはずはない!!」 「しかし、現に3個小隊が壊滅、人的被害は甚大です!!」 「軍の出動を認可する」 「特科の攻撃、効果なし!」 「航空支援を繰り上げ要請」 「戦車砲を弾き返すというのか…バケモノめ…」 人の手に負えぬ絶対的な破壊者を前に、立ち向かう術はもはや唯一つ ダイモンの力をもって、ダイモンに対抗するのみ 『アレニ対抗スルニハ同等以上ノ魔力ヲ蓄積シテイル同格ノ存在ヲブツケルシカナカロウ ダガ、ヒトハ我ラトノ盟約モ友好モ永ラク忘レサッテ久シイ 今更汝ラニ力ヲ貸ス同胞ガイルカナ?』 「貴方は力を貸してはくれないのですか? 雷雲公主」 ダイモンと契約を結び、対価を支払って従属させる「召喚士」 『良キ肉体ヲ得タリ…我ニ肉体ヲ貸ス代償トシテ、我ノ力存分ニ振ルウガヨイ!』 「体が…俺の腕が、爪が…!!」 ダイモンを肉体に合体させ、ダイモンと一体化する「融合士」 『我ハ』「私は」『「二つにして ヒトツ」』 『「古ノ盟約ニ基づきコノ身を依り代ニして、今ここニ風巻く力の化身、顕現セン!! 風塵力士!!」』 ダイモンを自らに憑依させ、媒介としてダイモンの能力を発揮する「憑依士」
「月光少女!」『はいな』 「星光少女!」『手荒に使わないでね』 「月と星の精霊の力を二振りの刀へと変じ、悪しき御霊を成敗せん!!」 ダイモンを武器に変形させる、「魔剣士」 「特注の銀製弾頭に、岩鉄童子から抽出した魔力をたっぷり封入した超比重銃弾だ 厚さ4mのコンクリ壁だってぶち抜くさ」 ダイモンから抽出した力を銃弾に込めて使用する、「魔銃士」 「封縛固定率99.8% 抑制・強制従属装置、負荷率11.2% 問題なし これより目標の完全制圧までの間、主動力ダイモン、溶岩覇王を最大出力で稼動させる」 捕獲したダイモンを機械甲冑に封印し、エネルギー源として利用する「魔鎧士」 「ニャニャはヒトでもダイモンでもない、ハーフブリード でも兄様が好きだから兄様に従う」 先天的にダイモンの能力を使える異質な存在、ダイモンとヒトとの混血「ハーフブリード」 古の盟約の元、親ヒト派のダイモンと手を結び戦う者たちと、 科学の力を用いてダイモンを利用するエージェントたち、 そして、ヒトとダイモンの中間存在… 彼ら七人は、「魔王」と呼ばれる最強最大のダイモンへ戦いを挑む 『DAEMON’S SEVEN』
ネトゲにありそうな設定だなぁ
246 :
創る名無しに見る名無し :2011/09/12(月) 20:40:47.42 ID:qoGTSdLd
色んな風景を見てきた。 色んな体験をしてきた。 色んな人々と話してきた。 色んな世界を知った。 それでもやはり最後に残ったのはあの夕焼けの階段だった。 非常用に付けられた外階段。廊下の突き当たりにある扉を潜った先にあるそれは丁度山に落ちる太陽を見るのに絶好のポイントだった。 時折なんとなく憂鬱な気分になると部活を抜け出して、夕焼けを眺めていた。 あの頃の僕は格好をつけたかったのか、本当にそんな気分だったのか今となってはわからないがよくここに一人で来ていた。 山の黒々としたシルエットと青い空。それがやがて赤へと変わり、先ほどとは違う蒼となってやがて黒になっていく。 それを見るたびに泣き叫びたくなるような、それでいてゆっくりと過ぎる時を静かに楽しみたいようなよくわからない気持ちになっていた。 その日もふらりと部活を抜け出し、刻々と変わり行く空を手すりに寄りかかりながら眺めていた。 すると扉が開く音と共に誰かが僕の隣に来たのだ。 「綺麗だね」 彼女は夕日を見ながらそう言った。同じ部活に所属しているものの話の接点がないためあまり話さない人だ。 「そうだね」 僕は彼女の横顔から目を離し、同じ夕日を見つめた。 どれくらいの時間が経っただろうか。真上の空に星が光り始め、太陽が山の陰に消え残光が山の淵を象っている。 お互い何も話さず、その光を終わりまで見逃さないようにずっと見ていた。 「行こっか」 彼女がそう言い、僕はそれに従った。 それ以来彼女とはよく話すようになった。最も大抵の話は下らないものだ。 でもそれがすごく楽しかった。やがて僕はそれがなぜか気付く。 彼女が好きになったからなんだろう。 気持ちを伝えればきっとこの関係が壊れてしまう。だから言わないほうがいい。 僕はそう思って、その気持ちを胸から出さないようにしていた。 だけど彼女が彼氏が出来たというメールを送ってきたとき。 どうしてなのか未だに理解出来ないが僕は告白していた。 答えは明白だ。むしろ彼女から告白して出来た彼氏なのだからここで違う答えが出てもおかしな話なのだ。 自分で傷つけないようにしていた関係は自らの過ちによって傷つけ、そして二度と戻ることはなかった。 高校を卒業した僕はやがて大学に進んだ。彼女とはあの告白以来連絡すら取っていない。 これで言いのだと思った。少し遅めの初恋をして、失恋した。ただそれだけなのだ。 僕は過去を拭い去るように、大学では大いに青春を謳歌した。友人と飲み明かし、彼女を作り、バイトに明け暮れ、ついてに勉学もした。 記憶を頭の片隅の箱に閉じ込め、カギをするために。 やがて周りが就職活動一色になる頃。 僕は彼女と出会う。封じ込めた記憶が開け放されていく。気付いたら僕は彼女に質問していた。 「なんであの時、僕のところに来たんだい?」 終わりは新たなる始まりの種となる。 しかし誰がそれを終わりと決めるのだろうか。 終われなかった思い出を終らせるための恋物語。 『夕暮と物語の終わり』
248 :
創る名無しに見る名無し :2011/10/08(土) 03:38:23.48 ID:otk6ZeWx
>>246 これだけで掌編になりそうな、素敵な情景です
それゆえに、このあとどうなるのか?って気にさせる釣り餌が足りない気が
どういう物語が始まるのか見当つかなくて、予告としては「?」かも
個人的には、こういう雰囲気大好きなので、246氏がどんな話を描いてたか気になりました
20XX年12月、アメリカ合衆国コロラド州。
さほど大きくもない町の外れにある、さほど大きくもない空港。
そこに、一般人が立ち入る事を禁じられた建物があった。
そのさほど大きくもない建物の中には、大国の命運を握るような
重要な幾つもの機能が詰まっている。
その中のひとつ、天空を行く者を追跡・監視する組織。
それが北アメリカ航空宇宙防衛司令部、通称NORADである。
その夜のNORAD指令センターはいつもと違って、少し浮かれたような空気が流れていた。
それもそのはず、一年に一回の楽しいイベントが幕を開けたところだったのだ。
NORAD・トラックス・サンタ。
それは一本の間違い電話から始まった、空の安全を監視する者からの陽気な冗談。
サンタクロースの現在位置を様々な手段を用いて追跡、公開するというイベントである。
この日のために、毎年多くの人員が動員されている。
ちなみに、当のNORAD指令部にも「いつの間にか」プレゼントが置かれていた、
というのが毎年のお約束だ。
この年のサンタはいつものように、北極を出発してプレゼントを配り始めた。
Go○gleEarth上ではサンタが目に見える速さで地図の上を疾走し、
あるいは配られたプレゼントの数がカウントされ、画面の数字が増えていく。
NORAD司令部には世界中からの問い合わせが殺到し、この日のために
集められたスタッフたちがメールや電話での応対に当たっていた。
むろん、実際のレーダー画面にはサンタの影など映ってはいない。
全ては一夜限りのお祭り騒ぎ……
誰もがそう思っていた。
……あの「ひとつの小さな影」が画面に映るまでは。
【サンタが街にやってきた】
http://www.noradsanta.org/ 今年のクリスマスには、何かが起こる――
250 :
創る名無しに見る名無し :2011/11/24(木) 16:39:43.45 ID:lb220tpo
a
251 :
◆WzpMn05TJA :2011/11/28(月) 02:22:54.09 ID:IuDri/ZE
ヒドスw
けっこう前に書いたのをちょこっと手直ししてみました。 列島のわんぱく勇者たちよ、四度奮い立て! 屋内ホビーの大殿京都任天堂とマイコン技術の申し子堀井雄二とががぶり寄って組み上げた電子情報の坩堝、冒険と教訓の大伽藍 その胸踊り、ヤアと膝打つような波瀾万丈の玉手箱が間もなく開く 王の宮居の老いた手練 正義を信じる幼い怪物 彼等の内と外で響く友愛と勲しを確りと見届けよ はっちゃけ武勇姫と災難な従者共の面白珍道中 しかしその先で御一行を待ちうける不憫とは? 武器商預りトルネコ親父は町一番のひょうきん者 のんびり重ねて自らも剣を能くするお調子モンときたもんだ 家内子供に一切の責を託した挙げ句、大志抱いて旅に出たんだが― 逆襲の念に火がついた女の強い事、強い事 しかも女は二人居る 一人は未来を予め見そなわす褐色の艶か娘 もう一人はハギレも同然の装いで妖踊する、コレまた褐色の小娘だ 怪物共よ、襲いたくば襲うが良い しかしその際は命を賭してかかるが良い! かようにテンでばらばらの運命の糸 しかしこれらを見事ピインと真っ直ぐ束ねた偉人がおわしたという 束ねて全世界人類に仇を為す大魔怪を撃つ弓矢に変えた、緑髪の若駒がおわしたという ──それが、君なのだ── アア間も無く君は往く 君の勇気は大地をのびのびと跨ぐ、天空に届く そして賢い龍より崇高の難儀を授かるであろう 達者な大人ですら鳥肌を禁じえぬ、恐ろしい洞穴に赴くであろう 最も古い神話の中ですら見出だせなかった、脅威の秘宝剣を佩くであろう 地獄に赴き、遂に大帝にまみえ、ヤアと難儀を成し遂げるであろう それだけではない 今回の探索行に於ては、ドラマツルギーそのものにびっくり仰天間違い無しの仕掛けを施しておいた これもお楽しみの一つとして、どうか待っていてくれ給え 任天堂ファミリーコンピュータ専用ビデオゲームカートリッジ 〈ドラゴンクエスト4導かれし者たち〉 この夏休みの忘れえぬ炎となって、君たちの心中で長く々々燃え盛る事となるだろう グッド・ラック!
253 :
創る名無しに見る名無し :2011/11/28(月) 23:43:25.98 ID:CT8zz96o
満を辞して、遂に登場。 まいちんぐ真知子先生第2章、健太筆下ろし編。 遂に健太は真知子から性教育と言う名の大人の授業の手解きを受ける。
本予告もありって事なんで。他スレより転載 次回予告 死肉と血の臭いを嗅ぎつけてやって来たのなら、それは野獣である。 人の呪いと憎しみの声を聞きつけてやって来たのなら、それは悪魔である。 ――ならば、神や救世主は、何に呼ばれてやってくるのだろう。 そんな事は、誰も知らない。 なぜなら、そんなものが現実に現れたことなど一度も無いから。 野獣と悪魔が跋扈する地獄の島。死んだ眼をした獣達が、人を腐らす臭い息を吐きつける。 でも、君は力を持っているから、その歴史を否定することができる。 否定せよ。拒絶せよ。間違った歴史を修正せよ。 もっと分かりやすく言ってやろうか? 殺セ。殺セ。ブッ殺セ! もう一度だけ言おう。 アノ人デナシノクソ野郎共ヲ、一人残ラズブッ殺セ! 次回、機動戦士ガンダム −翼の往先− 第一話、『悪魔召喚』 間違ッタ歴史ヲ修正シロ。 俺達ガコンナ死ニ方ヲスルナンテ、間違ッタ歴史ハ修正シロ! だから俺達に新作ガンダムを作らせろよ7にて、明日と明後日の狭間くらいに投下予定。 俺の歪んだガンダム愛と、ガンダムSS史上でも最低クラスの最低主人公と、微妙に見せ場の多いシーマ様が炸裂します。 ちょっと見て「確かにこいつキモいなあ」と思ったらスルーで、「いやもう一周してキモくないな」と思ったら普通に読んでやってください。
どこかの繁華街の、とある小さなカクテルバー。 ある夜、客の一人が突然倒れそのまま死亡した。死んだのは どこにでもいるような平凡なサラリーマン。死因は急性アルコール中毒。 事件性は無いものと思われたが、彼は主人公の探偵にある依頼をしていた。 「自分が死んだら誰かに殺されたはずなので、そのときは調査して欲しい」と。 多くの人が行き交う繁華街。難航する調査。 死んだ依頼人が最後に飲んでいたカクテル、その酒に溶けゆく塩の結晶のように 事件の手がかりも人の渦に溶けて消えてしまうのか? 『マルガリータは殺しの味』
今から少し先の未来。
この星はほぼ滅亡してしまいました。
人類は滅亡を防ぐためにタイムマシンを作り出し、運命の大分岐点へと二人の兄妹を送った。
だけどタイムマシンは指定された時間座標からずれた場所に漂流してしまった。
大分岐点の十年前に。
ぼくは幼少時代の、正確には十年以上前の記憶がない。
本当の親がどこにいるかも知らず、本名を知るものもいない。
だから十年前、ぼくはこの世界に新たな名を持って生まれたのだ。
しかし彼女はそれを否定した。今日、初めて会った彼女がだ。
兄さんが忘れてしまったことをわたしは覚えている。
だからわたしは十年間ずっと兄さんを探してきた。
思い出して兄さん。
わたしたちは
過去に戻る力を作り出し
後悔を無くす機会を得て
未来を変えるためにこの世界に来たの。
記憶を持たない少年と記憶を持ち越した少女。
少女は未来を変えるために。
少年は空白を埋めるために。
滅亡の運命へと戦いを挑む。
『運命の帰港路』
元ネタ
狙って誤爆するスレin避難所9
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1322158643/132
257 :
創る名無しに見る名無し :2012/01/10(火) 07:09:31.57 ID:T10haLH4
最下層age
12歳の少女・火朔(ほのり)は、6年前に死んだ兄の人格ROM構造物を肌身離さず持ち歩く。 兄は享年9歳。ROMは歳を取らない。いまや、妹の方が年上になってしまった。 火朔の携帯端末の中で、やさしかった少年は在りし日の姿を再生し続ける。 ROMの人格パターンは、記録時点の形で固定されるのだ。 友達の少ない火朔にとって、変わらない兄は心の慰めだった。 たとえいまの彼がデータに過ぎぬと解っていても。 しかしある日、兄に起こり得ないはずの変化が起きる。 「ほのり」 「なに、お兄ちゃん」 それは、ひとつの願い。 「ぼくを――消してくれないかな」 万物は流転する。 尽きた命は戻らない。 だとしても、失いたくなかった。 だからこそ、失いたくなかった。 「ねえ、ほのり」 兄は毎日一度だけ、その願いを言葉にする。 「ぼくを消してよ」 妹はいつも、決まって同じ返事を口にする。 「やだよ」 幻の中になら、永遠はあるのか。 『記録の記憶』
259 :
創る名無しに見る名無し :2012/02/04(土) 03:31:59.98 ID:s+QJfsFb
「うそっ……だってまだ、プラズマ誘導できてないのにっ……やっ……そんな、かきまわされたらっ……陽子、融合しちゃうよぉぉーっ!!」 時は世紀末。世界は核の炎に包まれた。 それだけではない。突如飛来した隕石。 未知のウイルスによる生物災害。大規模な地殻変動。 呼応するかのように発生したそれらによって、人類は壊滅的な被害を受けた。 数々の汚染や資源の枯渇により、残された土地はわずか。 倫理が崩壊した極限の状態で、運よく生き延びた人々もやがては住む場所を失っていく。 「楽園」「理想郷」「黄金の街」 疲弊しきった心にそういった作り話が生まれるのも必然だったのかもしれない。 力に屈し、放浪を余儀なくされた人々は、あるはずもない伝説を追い、その道中で果てていった。 それでも、それでもただ一人、その地にたどりついた人物がいた。 もちろん、その地が幻想で語られるものでない事は、彼も承知の上。 しかし火のない所に煙はたたない。 その地「トーキョー」はあらゆる世界の常識を覆す異界とも呼べる空間であった……。 「生きたコンクリート……これじゃあまるでジャングルじゃないか!」 「気をつけろ、あれは野性の回天ZUSHIだッ!!」 「彼は普通の忍者とは違う――正社員なのよ。それも、キャリアクラスのね」 「これがトーキョー最強の電化製品、ガンダムか」 そして世界は新たな時代を迎える。 『新トーキョー忍法帖』
「昔むかし、まだその国が小国だった頃……。 その身体は城より大きく、広げた翼は天蓋を覆い、鱗は鋼より強く、吐き出す炎は夜の街を昼間のように照らし出す、とてつもなく大きな竜が現れました。 人々は力を合わせてその竜に戦いを挑みましたが、誰も敵う者はなく、その国は、すぐにでも焼きつくされる運命にある、皆そう覚悟しました。 ただ一人を除いては」 そんな昔話が語られていた。 少女は子供たちに、その伝説を読み聞かせ、静かで、穏やかな時間が流れて行く。 そのはずだった。 「戦争が始まった。早く逃げるんだ!」 突如として始まった、大国同士の戦争。それに巻き込まれた、少女と小国たち。 家族を失い、家を焼かれ、国すらも追われた彼女は、剣を取る。 かつて竜に滅ぼされかけた、現在の大国と、それを指揮する女王。激しく対立する、もう一つの大国。 二国の間で、少女は戦火を駆け抜ける! 「戦争」 戦争拡大は、やがて互いの兵力を消耗させていく。 泥沼化する戦局。少女と女王は、ついに直接対決へ。 しかしそれは、戦争の流れをより加速させることに繋がって行った……。 静観していた「第三の大国」によって、戦局は激しさを増し、それは一気に決着へと向かって行った。 英傑と呼ばれた少女は、一先ずの安楽を得られるはずだった。ところが。 平和となったはずの世界に突如現れた、伝説にのみ語られた最強の魔物。国を超え、人々は再び、力を合わせて立ち向かう。 少女は、伝説の英雄と肩を並べる事になる。 ―-竜。 「終戦。そして、竜」 伝説は、現実の物へ。 おとぎ話の英雄と肩を並べた少女。 戦争が過ぎ、ついに復興が始まろうとしていた。しかし、新たな戦争の足音は、すぐそこまで。 遠隔の町や村で次々に起こる襲撃事件。 それは本来、大きな徒党を組まぬはずの、人間にもっとも敵対している魔物の軍団。 突如として統率されだした彼らを率いる者とは? そして、その正体は? 戦争と、竜。そして、今は亡き女王と、それを討った一人の少女。 憎しみは、伝説の血脈までをも汚して行く。 「奴らを統率出来うる者は、一つしかあるまい」 彼女は、最後の戦いへ。 「竜をも撃退する最強の戦士よ、お前に、魔王の討伐を命じる。彼を、止めてやってくれ」 「魔王」
厨二とかでは済まされない直球勝負。
263 :
創る名無しに見る名無し :2012/03/20(火) 23:44:10.67 ID:OlSkNYMw
>>262 いや、いいではないか!
好きだけどな。
264 :
創る名無しに見る名無し :2012/03/20(火) 23:44:39.41 ID:ccqcde+F
読みてえ
265 :
創る名無しに見る名無し :2012/04/01(日) 01:12:19.11 ID:qoLbi6RV
「バカ兄貴、みんなの足ひっぱらないようにね!」 アイリスはいつもと同じ、小生意気な笑顔でロイの肩を叩いた。 「うるっせーよバカ妹!冷蔵庫の整理ちゃんとしとけよな!」 ロイもいつも通りの笑顔で返す。 そして二人はいつも通り、拳をコツンとぶつけ合った。 「…よし、じゃあな」 「…うん」 荷物を持ち、ロイは歩き出した。 一度も振り返らないのもいつも通り。 アイリスは我慢出来ずに家に飛び込んで、思い切りドアを蹴り飛ばして閉めた。 そして泣き崩れた。 「兄貴……死んだら絶対許さないっ…」 嗚咽交じりで子供みたいに泣きじゃくった。 「生きて…帰ってっ…!帰ってきてよ…アタシを…ひとりぼっ…ちに…しないでよぉぉ…」 壁に、ロイが自分で撮ったであろう写真が飾られている。 ピンボケ写真だったが、真っ青な空がとても綺麗だった。 「バカ兄貴……」 ピンボケ写真は 真っ青な空の下、軍服で敬礼するロイのいつも通りの笑顔をきちんと写していた。 空の色は、今日と同じ綺麗な青だった。
空はいつも変わらないぜ。人は変わらずにはいられねぇぜ。 せつねぇな。
268 :
創る名無しに見る名無し :2012/04/14(土) 22:15:08.53 ID:0AhOGEm5
人が希望を抱き、その希望にあと一歩届かない。 届くはずなのに指の先数センチの差が埋められない。 ちょうどその時その悪魔は現れる。 「契約をしよう。そちらからは満腹感をいただきます」 曰く。契約をすると12時間だけ強い空腹感を抱き続ける。 但し、契約したことを言ってはいけない。 「今まで通りの生活なら死なないから、簡単でしょ?」 確かにその通りだ。 しかし、人は知らない。 空腹は影のない拷問だということを。 幸せの内にいて永遠に身を蝕む空腹感。 満たされぬ永劫の欠落。 「空腹感をなくしてほしい?馬鹿を言う。君は与えられた幸せを使いきったじゃないか」 幸せは、脆く儚い。 「君から満腹感以外は貰えないんだ。残念だね」 「分かった。俺は腹が減った。飯をくれ。俺の空腹を満たすだけの飯を」 "hungry-people"
270 :
創る名無しに見る名無し :2012/06/08(金) 17:20:43.60 ID:T7++ipxp
271 :
創る名無しに見る名無し :2012/06/11(月) 14:07:50.87 ID:JX//k6+L
「東郷お前これ食ったことある?美味いから食ってみな」 「なにこれ超美味い。クラッカーと絶妙な相性だな」 「それ鮫の卵なんだぜ」 「はァ!?テメーふざけんな!!鮫のベイビーだと!?そんなわけねぇだろが!!」 「マジだよ。ラベルに鮫の絵が…」 「テメーマジふざけんな!!!!俺に鮫のベイビー食わせやがって!!!!!!殺してやる!殺してやる!」 「知らなかったテメーが悪いんだよバーカw」 「SPDー!!ゆるさねぇ!!」 「おうやるか?かかってこいよシャーク東郷」 火蓋が切って落とされた。
SPD「ぜひこの企画を実現したいのですが!!」 ペラッ 社長「…お前俺をおちょくってるだろ!!?なんなんだこのシナチクみてーな酷いジョークは!!!!!墓場に棄ててこいドグサレ!!!!」 SPD「そんな…でも…」 社長「やかましい!!今すぐ棄ててこい!」 SPD「一生懸命考えたんです!」 社長「今すぐ棄ててきなさい!どうせきちんと面倒見られないだろ!」 SPD「でも棄てたら可哀想っすよ…可哀想っす…うう…」 社長「男のクセに泣くんじゃねぇ!!世の中そんなに甘くねぇんだよ!!」 SPD「うう…ひでぇ…ひでぇよ…」 SPDは肩を落として墓場スレへ向かった。
両者ともひでぇw
274 :
創る名無しに見る名無し :2012/06/25(月) 19:20:10.71 ID:UkUe21Jz
例のアレかよwwww
無駄にクオリティ高ス
人間存在を長き年月かけて紡ぎだした偶然というやつが、 擬人化されていま目の前にいるのだというのだから、 まったくやる気も無くなるものだ。 お前は伴侶、ミューテーション。 「わかっているじゃないか」 俺は進化を問われている、 どっちに転んでも変化する、 悪いようにも良いようにも、 「サイを投げるか?」 債を投げるか。 転がされたは進化の道、 出目を揃えて上がりとなるかは、 この先続く双六次第。 進化双六、転がりました。
今年もまた、冬がやってきた。 降りしきる雪の結晶を手にとって、女は過去を思い出す。 この季節には、様々な思い出がある。 楽しかった思い出が。悲しかった思い出が。怖かった思い出が。暖かかった思い出が。 忘れられない思い出が。 どれもこれもが、もう10年以上前の記憶だが、全て昨日の事のように思い出せた。 あの頃と比べて、今の自分は幸せなのだろうか。 停滞を選んだ女は、ふとした疑問に答えを出すために、在りし日の回想を始める。 『手のひらには雪』
富山県、嘴乃杜(はしのもり)市。 急激な都市開発により歪な発展を遂げたその町には、大企業「上樹グループ」の本社ビルを中心とする近未来都市と 昔ながらの商店街を中心とした下町地区の二つの街区があった。 北と南に綺麗に分かれたそれぞれの区画の住民はお互いにいがみ合い、ことある事に対立していた。 そんな状況が続く事20数年。 下町商工会頭の息子として生まれた少年、橋下塔一郎はある日、上樹グループの令嬢、上樹里穂に告白をされてしまう。 彼女のことをよく知らなかった塔一郎は、とりあえず2週間ほど一緒に過ごしてみようと提案し、里穂はそれを快諾。 二人は擬似的な恋人生活を開始する。 当然周りが黙っているはずも無く、彼らは様々な干渉、嫌がらせを受ける事となる。 しかし、彼らはそんな事など意にも介さず、ただ只管に青春を謳歌する。 その煌かんばかりのに直向な姿は、見る者の胸に仄かな温かみを与えていく。 衝突と反発と理解と苦悩を経て、人々の心は繋がっていく。ただ二人の、ちっぽけな少年少女を起点として。 『樹の上、橋の下』
二次創作規制―― コミケ壊滅の危機にオタク達はついに立ち上がる! 二次のついでに一次エロまで規制されつつある状況化で一致団結したオタク達の規模はついに数万人に達し、その流れはとどまる事を知らず果てなきデモが続いていたが、リアルとの接点が少ない一部ヲタがついに暴走。 暴徒と化した彼らを食い止めようと常識あるオタクたちが必死に説得するも、その声は空しく響くだけだった。 政府首脳は暴徒を食い止めるべく機動隊を投入。多数の逮捕者を出す結果となったが、暴力に頼った国のやり方に不満を持つ非オタク達が怒りを爆発させデモに参戦、空前の規模となった反政府デモを重 く見た政府首脳はデモを法律で帰省し、問答無用の粛清に打って出た。 その背後には、アグネスの黒い影。 武力衝突にまで発展したオタクvs政府の激突は激しさを増し、貴重な輸出産業でもあるアニメ、ゲームへの規制、引いてはそのユーザーへの攻撃は国益に反すると多くの有識者も参戦。ついに関東地方の孤島を占拠し、なんと独立宣言! 日本政府は当然猛反対するが、なんと国連がうっかり許可! 隠れオタの諸外国首脳の援助を受けつつ、同人共和国を見事に建国。数多くのオタと僅かなリア充、そして一部有識者たちが、小さな島で共同生活! 迫りくるアグネスの息が掛かった政府の攻撃と内乱(主に好みの問題)を切り抜け、彼らはこの国を見事に運営できるのか。 同人共和国〜男女比率は9対1〜
俺も、一割の男として活躍しなくちゃな!
ハーレム物なのww
283 :
某所からのネタ振り :2012/08/09(木) 23:49:31.60 ID:jIjBFcbJ
例え世界が寝静まっていようと、この街だけは永遠に眠る事は無い。 地上で絶える事無く輝き続ける光と影。永久に消える事の無い、人の欲望と熱情、そして――――――――愛情。 ここ、ニューヨークの摩天楼の下で人々は互いに愛し、互いに憎み、互いに己の欲望を補完し合う。それはまるで。 まるで、欠けているパズルを、埋め合わせる様に。 自らの心を他人から完全に遮断する様に、その女は闇に溶け込む様な漆黒のロングコートを身に纏う。 唯一心を許している、相棒となるサングラスを掛けて、女は自らに課せられた運命に、決着を付ける 彼女の名はネロ・フィロス。職業は――――――――。 moon nocturne 船も来ず、人も来ない、真夜中の波止場近く。数多の高級な旅客船を収納している工場内で。 明らかにまともな世界の住人では無い男達が、闇にまみれて姿を表す。その先頭を歩くは、気障な白色のボーダー柄が、印象的なスーツを着た男。 如何にもな葉巻きを部下にチラつかせて、下世話なデザインの指輪を大事に撫でながら、男は足を止める。 足を止め、同じく闇より姿を表してきた人物へと、声を掛ける。 「例のブツは持ってきたんだろうな?」 男の言葉に、人物は美しく彩られた艶のある唇を微笑ませると、持っているアタッシェケースを空中へと放り投げた。 「貴様、何を!?」 放り投げられたアタッシェケースと同時に、男が背後に待機させている部下達が、腰元から拳銃を引き出して人物へと向ける。 向けた―――――――瞬間。暗闇の中で、銃口から発せられる鋭い光だけが乱舞する。静寂を華麗に撃ち抜く、銃声音。 何も入っていない、空のアタッシェケースが地上に落下した時、そこには愕然と腰を抜かしている男と、男を騙った人物のみが立っている。 「アレン・ギブリー。麻薬取引の容疑で逮捕する」
「また独断専行で突っ走ったのか、フィロス」 苦々しい顔でタブロイド紙を読みつつコーヒーを嗜みながら、ロンド警部補は前に立つサングラスを掛けた女に顔を向ける。 女、ネロ・フィロス。長年潜入捜査官として、様々な麻薬組織、ギャング、マフィアなどといった組織に潜入。そうして悪の根を絶ってきた、いわゆる敏腕である。 しかしその反面、手段を選ばない過激な捜査方法にはマスコミらから格好のスクープにされる。その分の成果はキッチリと上げては来ているのだが。 「私の勘は外れてはいませんでした。現に、ギブリーは取引現場にノコノコと現れたじゃないですか」 「それは良い。だが幾らなんでも、奴の取り巻きを病院送りにする必要はなかったんじゃないか」 「撃たなければ私がやられていました。それとも警部補は私に彼奴等の人質になれと?」 クールな口調ながらも、あくまで強気なネロに、ロンドはデスクの引き出しから何かを取り出した。 「少しは君の後始末をする私の立場にもなってくれ。……次の仕事だ」 ロンドが取り出したそれは、何者かを映した写真である。ネロは掛けているサングラスを外して、デスクに近づく。 近づき、デスクに置いているその写真を拾い上げてみる。どうやら遠方から隠し撮りで撮っている為か、大分全体像がぼやけている。 ぼやけてはいるがその中央、何者かの輪郭が割とはっきりと映っている。……男の顔だ。 「レオン・ラブ。君も聞いた事があるだろう。最近メディアに注目されている若手実業家だ」 「この方が何か?」 「どうも最近、この男に関する妙な噂が立ちこめていてな。裏で大規模な違法事業に手を出してるとのリークがあった」 「それで……何です?」 敢えて勿体付けた口振りで尋ねるネロに、ロンドは溜息交じりにその仕事の内容を話し出す。 「言わずもがなだろう。君にこの男の素性を探って貰いたい。ただし、確証が取れるまで絶対に事を荒立てるなよ」 「もし馬鹿な真似をしたら、君を捜査から外す。良いね」 ちらりとした太腿がエロティシズムが感じさせるドレスを身に纏い、ネロは仕事の舞台へと華麗に舞い降りる。 今回の舞台は、レオンが設立した企業の一周年を祝うパーティだ。多くの大富豪やら芸能人、パトロンらが集まっている。 接触するターゲットは無論、このパーティの主催者であるレオン・ラブだ。まだ、レオンは姿を表していない。 適当に酒を嗜みつつ、会場の設備や客人の中に怪しい人物がいないかと探ろうとした、手前。 こつんと、ネロの肩が誰かとぶつかる。 「おっと、すみません」 「いえ、こちらこそ」 そっと、ネロは肩をぶつけてしまった人物へと顔を向ける。 片目を麗しいプラチナ色の髪の毛で隠した、綺麗な女性。ネロは何故だか分からない。 分からないが、その女性の瞳の美しさに惚ける。否、瞳だけでなく、まるで、精密に作られたフランス人形の様な、女性の顔立ちの美しさに。
「あの……何か?」 「あ、いえ……お綺麗ですね。そのドレス」 ネロにはその気はない。その気はないものの、不思議な魅力をその女性から感じている。 何だろうか。この、引きこまれる様な瞳の力強さ、それに美しさは。 「そうですか? 気にいってるんですよ、これ」 くるりと、女性はその場で回って見せる。単純な立ち振る舞いさえ、可憐にして艶やか。 「お綺麗ですよ、ホントに」 「嬉しいです。あの、宜しければ名前を伺っても宜しいでしょうか」 女性からの質問に、ネロはこの仕事の為に用意した偽名と偽りの身分を話す。 「私はメリー。メリー・ロフィ。ちょっとした宝石商を営んでまして。このパーティーをきっかけにレオンさんとお近づきになりたいなと」 「まぁ。貴方もあの人の愛人になりたいんですか?」 「えっ?」 外見からは予想だにしない言葉が出てきた事にネロは若干惑う。惑っているネロに構わず、女性も自らの名と身分を話す。 「私はパトラ。パトラ・ルノー。あの人の……確か一人目の愛人かな」 「君かね、私の愛人になりたいって女は。乗りたまえ」 己の権力を誇示する様な、夜の中でも燦然と黒光りするリムジンの中からレオンがネロを招く。 ネロは内心舌を打ちながらも、レオンの招きに応じする為にリムジンへと乗り込んだ。これも、仕事の内だ。 しっかりとした裏付けが取れるまでは、この身体を汚してもネロは構わない。手段を選ばないというのはこういう事でもある。 乗り込む前に、ドレスの中に仕込んでいるレコーダーを作動させておく。証拠は多い方が良い。 「さて、君は僕にどんなモノを魅せてくれるのかな」 口元をニタリとさせて、レオンは厭らしい目付きでネロの胸元を視姦する。 権力を掴む男というのは全てが全てでは無いとはいえ、いつもこうだ。ネロは怒りを通り越して、既に呆れの境地に入っている。 とはいえ身を張らなければ、穴に飛び込まねば虎児は得られない。二度目の舌打ちを心の中でしつつ、ネロが行動に移ろうとした、その時。 リムジンへと轟音を上げながら急接近してくる、何者かが搭乗しているバイク。 そのバイクの搭乗者は、鮮やかに背中に掛けたライフルを取り出すと、驚くべき事に片方の手をハンドルから離した。 離した瞬間、ライフルを両手に持ち替えたがすぐさま狙いを定めて引き金を引く。放たれた弾丸は、リムジンのタイヤを直撃した。 「な、何だ!?」 慌てふためくレオンを尻目に、バランスを失ったリムジンはすぐさま脇道へと突っ込み、やがて雑木林へと突撃し、停止する。 バイクから降りた搭乗者、否、襲撃者はライフルを投げ捨てて、リムジンからすぐさま出てきた二人のSPを拳銃で目にも止まらぬ速さで撃ち殺す。
「助けてくれ! 誰か、助けてくれぇ!」 「ちょっと眠ってなさい」 首筋に手刀を食らわせて、ネロはレオンを眠らせる。ドアを半開きにして、ドレスのスリットに忍ばせている小型拳銃を抜き出す。 抜き出して、一気にドアを開くと同時に襲撃者への一発、二発、三発撃ちこむ。 だが、襲撃者はネロの正確無比な射撃を豹の如く身体をしならせて回避すると、ネロに拳銃を向ける。 ……が、襲撃者は引き金を何故か引かない。SPには躊躇なく引いていたのだが。 「今すぐ銃を捨てて投降しなさい! さもなきゃ撃つ!」 ネロがそう叫びながら威嚇したが、襲撃者は全速力で走りだすと停車していたバイクに跨り、その場を後にする。 「待て!」 残っている弾丸をネロは襲撃者へと撃ち尽くす。しかし巧みなバイク捌きで、全て外されてしまった。 今回は完全に、こちら側の敗北だ。意表を突かれた上に何の手掛かりを得る事が出来なかった。ただ、間違いなく襲撃者はレオンを狙っていた。何らかの目的で。 ……取り合えず反射的にレオンを眠らせてしまった。どうにか上手い具合に誤魔化す方法を考えなければ。 ……あの襲撃者は何故、私を撃たなかったのだろう? ネロの中に小さく燻る、疑問。 「大変だったわね。変なの狙われて」 レオンの豪邸。いかにも自らを金持ちだと誇張する様な、悪趣味な金色のインテリアに囲まれた、広大なリビングで。 あの時襲撃者が車に入ってきて一緒に殴られた、という事でどうにか事なきを得たネロは、レオンの帰りをパトラと共に待つ。 パトラはガラスで作られたテーブルの上の、果物の盛り合わせを食べながら、ネロに言う。 「あの人も色んな人から恨まれてるから仕方ないわね。男からも、女からも」 「とはいえ、あんな過激な事をする人がいるなんて……」 「そうねぇ……ねぇ、メリー」 パトラは葡萄を口の中で弄びながら、ネロに近づいてきた。近づき、顔を寄せながら、言った。 「もし、あの人が死んだら私と一緒にあの人の物、山分けしない?」 既に使われなくなり、廃墟となった巨大な倉庫――――――――その中に、ネロは潜入している。 『フィロス、準備は出来たか?』 ロンドからの連絡。支給されたレザースーツへと着替えながら応答する。 「こちらネロ・フィロス。抜かりなく」 『そうか。こちらも準備は出来ている』 「これより現場を押さえます。潜入次第通信を入れるので援護要請、お願いします」 『分かった。死ぬなよ、フィロス』
リークは正しかった。レオンは裏で密かに大量の重火器を、ムスリム系のテロリストへと横流ししていたのだ。 通信を切り、ネロはレザースーツと共に給されたマガジンにきっちり弾が込められているのを確認して、拳銃へと押し込む、 安全装置を解除して、腰元のホルダーへと仕舞い、主武装となる最新鋭のアサルトライフルを数秒も経たずに組み立てる。 月夜を歩く黒猫の如く、足音も存在も消して、ネロはこの現場を押さえる為。 今正に行われているであろう、レオンとテロリストの会談現場へと――――――――が。 早く援護を頼み一気にこの場を抑えなければ。そう思い、ネロは再びロンドへと通信を入れる。 「こちらネロ、今方現場へと……」 その時だった。 どこからか――――――――上部の連絡通路から鉛玉の豪雨が、レオンの部下、テロリストもろとも無慈悲に降り注ぐ、 ネロは直感で、リムジンを襲撃してきたあの人物である事を察知する。受け身を取って射撃体勢を調え、ネロはその人物へとライフルを乱射する。 レオンを殺されては仕事を完遂できなくなる。あくまで生きた状態で確保しなければ、何の意味もない。 が、やはりネロの射撃は当たらない。しっかりと狙いを定めているというのに。 月を背にまるでバレエを踊るかのように、殺し屋はネロの放つ攻撃を全て回避する。回避しながら、ネロに向けても鉛玉の雨を浴びせる。 コンテナを防壁にして、ネロは激しき雨から身を隠す。たまに身体を出して威嚇射撃しては、攻撃が止むのを待つ。 それにしても、あの殺し屋の目的は一体? レオンを狙うにしても、一体誰の差し金で? 今まで考えようとしていたが余裕が無かった疑問がネロの頭の中で次第にわき出てくる。 もしかしたら敵は……一人では、ない? ふと、混乱に乗じてレオンが逃げ出すのが見える。いけない、早く追わねば。 が、走りだそうとした瞬間、高所から悠然と着地して、ネロの前に立ち塞がる、存在。 黒調にすらりと伸びている黄色のラインが印象的なライダースーツを着た、ヘルメットを被った―――――――紛れもなくレオンを狙う、殺し屋。 ライフルを一先ず放り、ネロは腰元のホルダーに仕舞っている拳銃を殺し屋へと向けて―――――――撃つ。 しかし、ネロよりも殺し屋の反応速度の方が一歩上回っている。 気付けば殺し屋はネロの間合いに一瞬で詰め寄ると、渾身の力を込めて腹部へと鉄拳をぶち込んできた。 防御する間も取れず、激痛によりネロは顔を歪める。だが、決して戦意が削がれた訳ではない。 瞬時に拳銃を逆手に持ち替え、柄の部分で殺し屋の顔を隠しているヘルメットのガラス部分を全力で、叩く。 流石に一撃で壊す事は無理ではあるが、怯ます程度の事は出来る。咄嗟のネロの攻撃に殺し屋に一寸の隙が出来る。 両足を大きく開いて後方へとバク転しながら、ネロは拳銃を、殺し屋へと向ける。 殺し屋もネロへと、拳銃を向ける。遠く聞こえてくる、援護要請を受けた特殊部隊のヘリコプターの音。 「何故……レオン・ラブを狙う? 貴様の依頼主は誰だ?」 殺し屋は何も答えない。答えない、が。 『……次に邪魔をしたら容赦はしない。例え、貴方でも』
女の……声? 恐らく何らかの仕掛けがしてあるのだろう、殺し屋の声はくぐもっており、はっきりとどんな声かは聞き取れない。 しかし女の声である事だけは分かる。何故だかネロにはその声が何処かで、聞いた事がある気がしてならない。 この殺し屋と話すのは、初めての筈なのに。 「やってくれたな、フィロス」 デスクの上にタブロイド紙を乱暴に放り投げて、ロンドは言う。 「レオンを取り逃がしただけでなく、奴と繋がっているテロリストの首謀者すらも逃がすとは。それでいて必要の無い銃撃戦まで行うとはな」 ネロは黙して、ロンドの言葉を聞いている。 言い訳は出来ない。あの殺し屋に阻まれたとはいえ、レオンと共犯者を取り逃がした事は紛れもない事実だ。 予想の範疇とはいえ、マスコミはネロのミスを拡大解釈して記事にしている。これには警察の威厳も形無しだ。 ネロは覚悟する。今回ばかりは、厳しい処分を受けても異議を申す事が出来ない。する資格が無い。 ロンドは黙し、己の行く末を待つネロに言い放つ。 「……次は無い。次こそ必ず、レオンもろとも悪党どもを捕まえて来い」 「……必ず、捕まえてきます」 そこには何も無い、いや、必要なモノ以外何も無い、部屋。 ベッドに、肉体を鍛える為の器具、それに食糧が入っている冷蔵庫。 その他まごまごした物と、ネロの自室には、必要なモノ以外は何も無い。置く必要が無いと、ネロは思っている。 ここまで彼女がストイックに生きる理由は―――――――。 と、その時。彼女の部屋のドアを誰かが叩く。こんな時間に誰かと思い、ネロは恐る恐る、ドアを開ける。 「こんな時間にごめんね、メリーさん。ううん……ネロさん」 全く予期せぬ人物に、ネロの目は見開く。見開きながら、警戒心を全開にして、聞く。 「どうしてここが? いや、何故私の正体を?」 そこに立っていたのは――――――――レオンの愛人である、パトラであった。 「ごめんね、ネロさん。私……」
パトラの手にあるのは――――――――。 「貴方の事、奴より先に、殺さなきゃいけなくなっちゃった」 ネロを陥れんとする罠、策謀、そして裏切り。 「どうして貴方が!」 「私は正義漢の為に生きているんじゃない。自分自身の為に動いている」 「良い女だったのになぁ。惜しいぜ」 決して争いたくなかった人との衝突。 「パトラ……何故、貴方が私の敵に」 「私の方が驚いてるよ。何で貴方が私の敵になっちゃうんだろうね」 「……だけど」 「だからこそ」 「貴方を殺さなきゃならない」 人々を無機質に見下ろす摩天楼を舞台に、一人の男を巡り二人の女が、ぶつかり合う。 月夜に舞う、血と銃弾のノクターン。この哀しきノクターンの末に待ち受けているのは―――――――死か、愛か。 moon nocturne 「ねぇ、ネロ」 「……何? パトラ」 「私達、こんな風にしか、出会えなかったのかな」
長々と失礼しました
291 :
創る名無しに見る名無し :2012/11/05(月) 08:01:57.97 ID:HzW7XN0Q
292 :
創る名無しに見る名無し :2013/09/09(月) 20:44:58.71 ID:n6+ACL/R
あのかわいらしい顔。幼い死体。ボクは君に恋をした! 発禁したほうがいいんじゃないかと言われた問題作「ロリ夢中」から 暗い地下室で飛び交う金。男は何を背負って博打をするのか。「誰が為に金がなる」 他短編七話を収録。これはパクリではなくタイトルパロディなのだ! 『君は無意識な昼の妖精』
293 :
創る名無しに見る名無し :2013/12/11(水) 15:39:50.98 ID:V0P7DMUa
2045年。人類は度重なる紛争、なくならぬ飢餓、消える事の無い絶望に終止符を打つために一つの決定をする。 それは機械による人類の支配であった。 高度に成長した機械は自身を進化させることに成功し、最早人間の手から独立した存在となっていた。 機械が機械を産み、生物を管理する。こうすることで人類は悲願の世界平和を手に入れた。 それから二十年後。地球のみならず周辺の宇宙すらも掌握した機械は次なる段階へと移行する。 新たなる文明を持つ生物の創造という段階へ。 人間はどこから来たのか。なぜ生まれたのか。宇宙の意思とはどこにあるのか。 我々の未来とは誰によって作られていくのか。 『星のゆらぎ』
パンドラの希望――取得した人間に天上の未来を与える神の奇跡。 それが日本のとある町に存在する。その噂を聞きつけた世界中の強者、能力者や魑魅魍魎が集うことになった。 秘匿とされてきた存在が目を覚まし、希望を手に入れるために牙を剥く。 陰陽師VS魔女 狼男VS武者 電気能力者VS海賊 ルール無用の争奪戦。希望を手にするのは誰だ。 『そして終末の笛が鳴る』
295 :
創る名無しに見る名無し :2014/03/14(金) 12:19:31.57 ID:oplpeye5
:
キミは今日も眠り、夢を見る。 しかしそれは本当に夢なのかな? 夢の中の世界は本当にキミの中の幻なのかな? キミの現実はどっち側にあるのかな 『半濁の境界』
297 :
創る名無しに見る名無し :2014/07/07(月) 14:31:35.19 ID:i+s8T2QF
今日は七夕だ。 日本中、あるいは世界中で短冊を吊るしたり、それぞれの方法で祭りをしているだろう。 彦星と織姫がどちらも女だと言うことも知らずに。 去年は脱走したカササギを追いかけるハメになった。 今年はそうなりませんように。そう願いながら空を見上げたら、なんか見覚えのある少女が。 なんと織姫の仕事が終わらないからこのままでは彦星と会えずに終わってしまう! だから織姫の仕事を手伝って欲しいというのだ! というか休み取れよ! 制限時間は日付変更まで! 織姫の残業を全て片付けろ! 少年は再び天の川へと旅に出る! 迷惑七夕カップルの大騒動! まさかの三作目! 『タナバタナイト!!! トライアングル』
続編www
299 :
創る名無しに見る名無し :2014/08/11(月) 23:32:39.96 ID:RMwPgPoK
それは何の前触れもなく現れた。 未知の技術と伝説の中にいた魔物たちは地球を蹂躙し、 人類の努力もむなしく、世界は魔王の手に落ちた。 地球は魔王に征服されてしまったのだ。 それから30年経って西暦2014年。 人類は平和に暮らしていた。 魔王によって統括された現代。異種族との共存。失われた技術、魔法の復活。 そして人類が成し遂げることの出来なかった世界平和。 日常系SFストーリーが始まる! 『魔王征服後の世界より』
少年が自殺を願う頃、同類の少女を見つける。 少年が希望を紡ぐ頃、死人達の補助人が現れる。 少年が勇気を出した時、彼の未来が決まった。 『羊飼いの仕事』
町の消えぬ光。その名はコンビニ。 その光にひかれてか、それは今日もやってくる。 丑三つ時の真夜中に徘徊する【生きる都市伝説】白髪の少女。 コンビニの店員をしている夜型の青年。 そんな奇妙な二人が、ひょんなことから町を騒がす事件に挑む。 果たして彼女たちはこの町の真相に辿り着けるのか。 『白い闇が夜を行く』
「この世には不条理が蔓延り、不平等がまかり通っている。 力を持たぬ人間がただ嘆くことしか出来ないような不幸が存在するのだ。 例えば自分の父親が交通事故に合って死んでも 法を犯した人間は法の下で保護されて、懲役数十年。場合によっては無罪にもなりえる。 それこそ金と権力があれば多少は捻じ曲げることが出来るからね。 被害者はただ悔しさと憎悪を胸にひめて泣き寝入りするだけだ。 だけどもしも。代わりに復讐してくれる人間がいたら。 力のない君の代わりにあの男を殺してくれる存在がいるとしたら。 君は願わずにいられるか? 奴の死を。 さぁ願え。弱き人間よ。 この私が貴様たちの救世主となってやろう」 『殺戮依頼』
羊飼いは迷える臆病な羊に手段を提示する。自殺という手段を。 救世主は弱き人間達に一つの提案をする。殺人の代理を。 白い闇は唯一の友人と共に大切なものを捜索する。生存する理由を。 自らの死を願い、誰かの死を願い、生きることに戸惑い。 我々はなぜ生きているのだろうか。 三つの線が一つに重なり、誰も知らない真実の物語が静かに動き出す。 『この世界という名の牢獄の中で』
304 :
創る名無しに見る名無し :2014/09/02(火) 23:42:19.08 ID:955Hiedn
人が死んだとき。 その肉体は大地へと還り、魂は天へと戻るように神は定めた。 大地へ還った肉体は生物繁栄の糧となり、天へと戻った魂は長き列に加わり、再び受肉する時を待つ。 その摂理は淀むこと無く長きに渡り続き、そしてこれからも秩序として保たれていくはずだった。 しかしそれは人の手によって崩された。 ある魔術師の禁術により、生物の生死はあやふやになり、死者が生きる者を襲う世界になってしまったのだ。 さらに摂理が消滅した事で、現実と現像の境界まで消え始め、化け物までもが現れるようになった。 事態を重く見た神は人類の味方として、一人の亡霊だった剣士をこの世界に送りこんだ。 その名を――シカ・ソーニャという 『亡霊騎士ソーニャ』
俺も見たひ
そこはとある変わった制度のある学園。 その制度とは最終学年になった者には一年間の「大人への準備期間」が与えられるのだ。 さらなる勉学に励むも良し。経験を積むために体験入社するも良し。遊ぶも良し。旅に出るも良し。 何をしても自由な時間。学生達に与えられた将来についで考える一年間の余暇。 そして今、二人の学生が旅に出ようとしている。 一人は小柄だが文武両道の才能を持つ少女、フィル。 もう一人は臆病な武術クラスの少年、メルクゥ。 これはそんな二人の一年間の物語である。 『とある旅人の手記』
遥か昔。地殻の大変動により出来たと言う天然の大迷宮。 その最深部には古代国家の遺産が眠っているという伝説があった。 多くの冒険者が夢と伝説を求めて、今日も大迷宮をくだっていく。 果たして彼らはその最果てに何を見るのか。 大迷宮とそれに関わる人間たちを描いた冒険譚。 『迷い路の冒険者たち』
人はかつて禁断の果実を口にし、その地より追放された。 それ以来人は真なる平穏を手にするために旅をし続けている。 我々は再び戻らねばならんのだ。美しきあの地に。 そして今度こそ、口にしなければならない。 エデンの園のあるもう一つの禁断の果実を。 『神の庭』
310 :
創る名無しに見る名無し :2014/10/04(土) 19:48:35.96 ID:/Sogth5i
放課後にクラスのサノシタさんに言われた。 「今夜三角山から電車が出るよ」 彼女と親しかったわけじゃないけど僕はそれを信じてみる気になった。 学校の裏手にある三角山。むき出しの土の道を登って振り返ると月が見えた。 空から電車が来るのだろうかと見上げていたが特に何も起きず、林の中に入ることにした。 外から見通せる程度の密度しかない林にサノシタさんは静かに待っていた。 「もうすぐ来るよ」 彼女がそう言うとどこからか聞きなれたガタンゴトンという音と共に一両だけの電車が目の前に止まった。 行き先には何も書かれていない。 「さぁ行こう」 僕は彼女に手を引かれて電車に乗った。 猫の集会所。月の明り公園。第三路地裏前。虫の音楽ホール。 誰も見た事の無い世界を僕は彼女と旅をする。 『不可思議ブルートレイン』
311 :
創る名無しに見る名無し :2014/10/08(水) 09:42:23.16 ID:+rQL1FBd
少年はひょんなことから怪我をした片目の老人を助ける。 白い髭を蓄え、ツバの広い帽子を被った老人は少年を見込んで一つの依頼をした。 「私の九人の娘達を探して来て欲しい」 人のいい少年はその依頼を承諾してしまった。老人と娘の招待もわからぬままに……。 動けぬ老人のペットである二匹のカラスと二匹のオオカミを連れて、娘探しは始まった。 『虹の橋を越えて』
あかん、この老人アカン……
313 :
創る名無しに見る名無し :2014/10/13(月) 20:19:55.54 ID:eGRRWNlv
「お前に彼女を助けるチャンスをやろう。 ただし、お前は助けるまで同じ時間をさまよい続けろ」 閉ざされた三時間。神の下したそれは罰か救済か。 あらゆる可能性を排除して彼女を死の運命から、自分を時間の牢獄から解き放て。 『三時間』
恋に恋する年頃だった僕は、とりあえず誰でもいいから彼女になってくれ! という 女子にとっては失礼きわまりない煩悩に駆られた結果、まあどうせダメなんだろうなあとか 所詮この世はイケメンがすべてを支配するのだとか愚にもつかない予防線を張り巡らしつつも 勢いであの水苗さんに告白してしまったのだった。 水苗 唯。どういうわけか席替えのくじ引きで常に最後列を引き当て、休み時間は軍記ものの 小説ばかり読んでいるという怪しげな女子。顔立ちは悪くないが口調がなんというか古風で、 とっつきにくいので男子はみんな敬遠するかコソコソ笑うかのどっちかだった。 僕はというと敬遠派だったのだが、気づけば付き合ってくださいとか言っていたあたり 青春の狂気というものはまことに度し難いというほかないのであって 「付き合うのはいいが、恋人というのは何をするものなんだ?」 などと告白の返事を文章の前半で片づけてしまういつもの水苗さん調で訊ねられてはじめて 自分の欲望に何ひとつ実態が伴っていないことに気付くのである。 予想外のOKに動揺してあうあう唸っていた僕に、水苗さんは眼鏡をはずしてこう提案した。 「じゃあ、それも一緒に考えることにしよう。まずは作戦会議だ」 こうして僕らは恋人のなんたるかを、恋人になってから手探りするというアホな作戦に身を投じる。 『水苗さんの戦術目標』 「我々はこのようにウェスタンランド方面から迂回し……シンデレラ城に奇襲をかける」 「いや奇襲ってなんだよふつうに超並んでるよだいたい初デートで千葉の某テーマパークとか上級者すぎるよ!」
315 :
創る名無しに見る名無し :2014/11/26(水) 23:08:44.68 ID:jCVyoY44
ある朝のこと。 ベッドでまどろむ私はふとした違和感に気付き、起床して鏡の前に行き 女の子になっているのに気付いた。 私が女の子であること以外は全てが見知った世界。 混乱しながらも過ごす日常のふとした拍子に見える見知らぬ世界。 君の見た世界とあなたの見た世界。どちらが理想の世界なのか。 『朝、目が覚めたら』
316 :
創る名無しに見る名無し :2014/12/03(水) 22:58:31.72 ID:fMfkzatH
架空のロボットアニメ予告が最終話までひと通り出来たので順次投下してゆく。 本編は書けたらロボスレに投げる予定。 <1話(放送前)予告> 罪人。雨。ブラックボックスだらけの試作機。 温室育ち。理想主義。革命家。仮面。政治屋。保身。 復讐。未練。イデオロギー。忠節。訣別。戦争屋。 因果の糸は束ねられた。 掃き溜めの部隊を巻き込んで、宿命のリールが旋転する。 新番組、SINGULAR BLADES 第1話『ロールアウト』 名も顔も知らぬ無数の命、この引鉄ほどには軽い。
317 :
創る名無しに見る名無し :2014/12/04(木) 14:33:10.36 ID:7Arn6gwk
坂田銀時「俺は…別に国のために戦ってるワケじゃねぇ」 「てめーの守りたいもんの為に刀抜いてんだ」 碇 シンジ「別に誰かに従ってるんじゃない」 「レインや少佐が…信じる正義を護るために戦うだけだ」 「それ以外に何もない」 2人がーー 世界を救う hard Blue
<2話予告> 戦争は常に善悪の彼岸で行われる。 正義で敵が殺せるか。道徳がこの身を守ってくれるか。 死が横溢する戦場で、ヒロイズムなど塵も残らない。 女に浴びせられた冷水は、戦う者が受くべき洗礼。 次回、第2話『駆逐』 大きく美しい理想ほど、砕け散るときの破片は鋭い。
<3話予告> 変り種がやって来た。名を、エドワード・ローレンス。 試作機と共に寄越された、彼もまた企業の回し者。 喧嘩の仲裁から狙撃まで、陽気に笑ってそつなくこなす。 だが、その背中に隠したものは。 次回、第3話『同類』 人の暗部に失望するなど、御門違いも甚だしい。
殺しの才能を見出だされた者は裏の名前を名乗り、闇の世界へ足を踏み入れる………………………… 「人を殺すってのはぁ、命について考えて、その価値を認識して、自分なりの答えを出したやつじゃなきゃあ、資格はねえよ。」 「お前の死も、誰かの為になるよ。 食いもんが足りない可哀想な子供が一人救われたかもしれない。お前が生きてくのに使うエネルギーの分だけ自然破壊が止まるかもしれない。 安心しろ、お前に価値はなくてもお前の死には価値がある。」 ーー「意味をもって殺す」有意義<アイギ> 「加害者<強者>が被害者<弱者>を狩る、いいじゃねえか、最高だねえ!!古来より生物に備わる殺るか殺られるか、弱肉強食の精神だ!!」 「ああ、やっぱ良いわ、殺しって。死ぬほど嫌いだった自分を忘れられる…!存在する自分を確認できる…!死にたい思いまで一緒に殺せる…!!」 「人類って数多すぎね?」 ーー「無駄無く殺す」死咲<シザキ> 「ああ、達成感、達成感。『スッ.コスッ.クラッ.パタン』って綺麗に死ぬな〜。皆は荒々し過ぎるんだよ、やっぱり。」 「私にとって殺しってさ、自己確認というか、アイデンティティなんだよね、やっぱり。勉強ができなくても、運動ができなくても、絵が下手でも、だらしなくても、私はこんな風に綺麗に殺せる取り柄がある。」 ーー「気付かれずに殺す」止内<ヤミウチ> 「気にくわないやつは片っ端から削除削除削除削除削除、ですわ。」 「天が人の上に人を作らないのなら、私は人以上の、人異常の存在ですわ。貴方は誰を怒らせたのか御存知なくて?」 ーー「社会的に殺す」瞳上<ヒトミカ> 「俺らの一賊は…」「自らの為に」「自らの意思で」「自ら動き」「自らを律し」「自らの目的の為に」「自らの信念の為に」「自らの快楽の為に」「自らの安心の為に」「自らの心に忠実に」「殺す。」 「よって俺らの賊名は…自誓とする!」
今書いてるラノベがアニメ化したら〜という妄想に基づき書いてみます。ぶっちゃけモチベーションを保つためという名目の自己満足です。 俺は正直なところ、ラノベなんかでよくある書き出しのような、いわゆる「普通な人間」、ではない。人間失格、ヒューマンロスト、とでも言おうか。感情が「普通の人」より欠けていて、狂っている。そういうもんだと思ってもらいたい。 そんな俺、人坂黒人が鏡写しで正反対で同類なあいつ、入原真白と再会したその日から、俺達は物語に参加することになる…… 「72+2〜二人の異端と仲間達〜、?月?日、放送開始」 変な世界に迷い込んだ後、異形ななにかに追われて逃げ惑った俺は、自らを悪魔遣いと名乗る男につれられてアパートの一階、大家部屋にやってきた。そこで会ったのは… 「なんで、お前が、ここに…?」 「んー?ああ、お久しぶり、黒人君。 私もよくわかんないんだよね〜、あはははは…」 「第一話、再会」
自らを悪魔遣いと名乗ったレンヤさん一行。俺には彼らの意図が読めない…わからない…なぜ俺らを匿うのか、優しくしてくれるのか。 「この世界は…現実から切り離された非日常だ。」 …それを、レンヤさん達から受けた説明と実体験が、証明する。 「第二話、裏世界」 「俺の人生って、ラノベだったっけ?」
<4話予告> すべては来たるべき御世のために。 稚さ残す紅眼の天才。名を、アヴェロエス・アストゥリアス。 理想を掲げ、両手を汚し、生まれ出る超新星の光輝。 過去と未来。氷と炎。二つの特異点が激突する。 次回、第4話『エース』 紅蓮の装甲板の奥、青き誠心の光が燃える。
非現実の世界に迷いこんだ俺らは、日常への回帰のために切り離された原因を、この世界で俺らが成すべきことを探し続ける。 そこへ突如現れたのは…… 「七大罪…!?なんで…!?」 「やるしかねえか…、二年前に一回試したっきりなんだけどなぁ」 俺はソロモンの悪魔遣い達の本気を目にすることになる…! 「第三話、72柱」
325 :
創る名無しに見る名無し :2014/12/22(月) 00:40:33.40 ID:X93LPmB1
結局なんの役にも立てなかった俺と真白は無力感に浸る。 同時に彼らの凄さを、くぐり抜けて来たと言う物語の壮絶さを、俺らには理解できない、ある意味怖いとさえ感じている、仲間を想う彼らの思いの強さを、改めて知ることとなる。 そんな俺らに降りかかる奇跡。 「ルール、強いて言うなら神の論理、奇跡の法則、奇跡や神話を模倣する能力だ。」 「「炎と光って最上級の奇跡じゃ?」」 「第四話、奇跡ルール」
能力の鍛練のついでに、皆の能力を拝見する。ソロモンの悪魔の使い手たる彼らの能力は確かに馴染んでるように見えてー 「いや〜、一年前色々あったときから因果律の制約を受けててな…」 「レンヤさんマジ主人公」 「でしょ?僕にも分けてほしいよ」 彼らにも、力にも馴染んで来た七日目の日。俺らは非日常が切り離された原因と対峙することになる… 第五話「その為の力」 力を駆使して再び暴食を退けた俺達は日常へ帰還する。 ほんの短い間だったけど、彼らには普通の人には感じない、異常性なんて関係ないとでも言うような心地よさを感じた。こんな俺らでも、まともに生きてると錯覚してしまうほどに。 まあ、あんな人そうそう居ないのだろうけど。彼らと会えたのは…黒と白が、表と裏が、鏡写しで同類なアイツと俺が…出会えたのと同じかそれ以上の奇跡かもしれない。奇跡遣いが言うのもなんだが。 そしてあの日々から、切り離されたあの一日から、一週間。 もうあんなおかしな事には巻き込まれたくないと思いつつ、アイツのいない、独り仮面をかぶり続ける日々を送り続けることにしよう。 第六話「日常」 「死にたくて、たまらない」
<5話予告> 怯懦。姑息。消極。惰弱。 新たにねじ込まれた戦力は、高性能機と、ずぶの素人。 他者の打算に利用され、他者の都合に組み込まれ、 それでも彼は、自らの意思で、この戦場へ足を踏み入れた。 次回、第5話『御曹子』 その性質、卑屈。傲慢。そして、秘めたる一握の矜持。
<6話予告> 美しい薔薇には棘がある。陳腐に過ぎる章句ではあるが。 事実そこは、美しくも危険な、ローザ・フォイエルバッハの戦場。 描き出すは光のアラベスク。命からめ取る茨の花園。 幾光年の残り香をたどり、劇的なる再会が果たされる。 次回、第6話『嚇熱の魔女』 血と炎の赤に染め上げられ、小指に巻き付く運命の糸。
あいつと居ても尚、俺は結局何もできなくて。結局異常なままで。世界は運命に沿って進んで行く。彼らを中心に。 「第七話、第二ステージ」
<7話予告> 脅威の近接転移能力。迫る敵機はまたも新型。 戦を愉しむ者の哄笑が、無音の宇宙に谺する。 義を以て立つ革命と言えど、汚れ仕事は必要不可欠。 敵は殺す。叛く味方も殺す。処刑王、レッド・ブリッジマン。 次回、第7話『ウォーモンガー』 殺戮さえ、いまや慈善事業。
331 :
創る名無しに見る名無し :2015/01/20(火) 00:22:53.73 ID:M3VWHBnw
<8話予告> 連邦主星、ハル・シオン。そこは今なお銀河の中枢。 燦然たる鏡の摩天楼に、黒幕たちは影も映さない。 だが、民主主義の青写真の裏、権力への妄執が渦巻く。 若き指導者が謳う科白は、亡霊どもの書いた脚本か。 次回、第8話『アジテーター』 荘厳と滑稽とのあわいに、開けられた距離は僅かに一歩。
332 :
創る名無しに見る名無し :2015/01/25(日) 16:36:41.28 ID:7aL58t9i
<9話予告> 人は言う。ニコラス・ノースクリフは人間ではないと。 天が二物を与えた男。その異才、もはやヒトを超えると。 では、彼は神か? ある者は言う。神さえ彼に比せば無能だと。 神秘の超人。万軍の将。仮面に映すは数多の偶像。 次回、第9話『救世主』 その革命、「不可能」なる摂理への叛逆。
333 :
創る名無しに見る名無し :2015/02/07(土) 19:53:06.98 ID:+YJkr8Wg
<10話予告> 森の掟に背いたエルフが、求めたのはささやかな冒険。 命短きヒトの世界を、覗き見るだけの無邪気な好奇心。 少女は知る。人の世の邪悪を。剣と魔法の世界の秘密を。 巨人を操り、魔剣を振るう、星の海より来たる使者の名を。 次回、第10話『孤絶文明圏』 少女はそれを魔法と呼んだ。 男は、それを科学と呼んだ。
ビックカ○ラ札幌店の佐藤伸弦が暴行事件を起こしていた
335 :
創る名無しに見る名無し :2015/02/16(月) 00:30:25.20 ID:0/vSVhH6
<11話予告> 子供は純真無垢たるべきと、大人は勝手に決めてかかる。 冗談ではない。子供には、子供なりの秘密と悪意がある。 魔導学園、アーレブリュート。ここは智識と力の殿堂。 才に恵まれぬことは罪か。 次回、第11話『カーネリアン』 苔むした石造りの古城に、サイバースペースの秘儀が眠る。
336 :
創る名無しに見る名無し :2015/02/22(日) 20:05:19.81 ID:z7e+gZCw
<12話予告> 鮮血の色に染まる湿原。人界に跋扈する幻獣。 地上に具現した煉獄は、非業の運命が生んだ呪い。 止めなければならない。救えぬ命であるとしても、せめて。 離別こそが人生であるなら。 次回、第12話『幻獣使いの少年』 知性災害(インテリジェント・ハザード)。 それは、形なき敵との戦い。
337 :
創る名無しに見る名無し :2015/03/01(日) 18:49:25.53 ID:5Mvmr7i9
<13話予告> 自由を取り戻したかった。五体満足を渇望していた。 だから、こんなものに乗っている。 失われた刻の幻肢痛を、薄めて誤魔化して戦う日々。 欠けた男の耳に這い込むは、甘美きわまる悪魔の囁き。 次回、第13話『グラディアトール』 示される、三十枚の銀貨。魂さえ売り渡すに足るか。
338 :
創る名無しに見る名無し :
2015/03/08(日) 22:26:23.82 ID:PlketsDt <14話予告> 互いに見紛うはずもなかった。たとえ、機体が変わったとしても。 光輪背負う兇天使が、アヴェロエスの真価を具現する。 腕も性能も互角の再戦。死闘となるは必然の帰結。 そして、乱舞する輝線の陰に、ひとつの決断が下される。 次回、第14話『人間的な、あるいは非人間的な』 この胸がいかに痛んだところで、もう後悔など、あり得ない。