【参加者名簿(作品別)】
【仮面ライダー龍騎】6/6
○城戸真司/○秋山蓮/○北岡秀一/○浅倉威/○霧島美穂/○香川英行
【金色のガッシュ!!】6/6
○ガッシュ・ベル/○キャンチョメ/○ティオ/○シュナイダー/○ゼオン・ベル/○レオパルドン・パピプリオ
【バジリスク〜甲賀忍法帖〜】6/6
○甲賀弦之介/○陽炎/○霞刑部/○朧/○薬師寺天膳/○筑摩小四郎
【ブレイブ・ストーリー〜新説〜】6/6
○ワタル/○ミツル/○ハード/○チャン/○カントリーマン/○ブック
【未来日記】6/6
○天野雪輝/○我妻由乃/○来須圭悟/○戦場マルコ/○美神愛/○雨流みねね
【ローゼンメイデン】6/6
○水銀燈/○金糸雀/○翠星石/○蒼星石/○真紅/○雛苺
【銀齢の果て】5/5
○宇谷九一郎/○猿谷甚一/○津幡共仁/○是方昭吾/○乾志摩夫
【バトルロワイアル】5/5
○七原秋也/○三村信史/○杉村弘樹/○桐山和雄/○相馬光子
【BTOOOM!】4/4
○坂本竜太/○平清/○ヒミコ/○吉良康介
【WaqWaq ワークワーク】4/4
○シオ/○レオナルド・エディアール/○ヨキ/○ノール
合計54/54名
【参加者名簿(五十音順)】※参加者にはこちらを支給
01:浅倉威/02:秋山蓮/03:天野雪輝/04:戦場マルコ/05:乾志摩夫/
06:宇谷九一郎/07:雨流みねね/08:朧/09:香川英行/10:陽炎/
11:我妻由乃/12:霞刑部/13:ガッシュ・ベル/14:金糸雀/15:カントリーマン/
16:北岡秀一/17:城戸真司/18:キャンチョメ/19:吉良康介/20:霧島美穂/
21:桐山和雄/22:来須圭悟/23:甲賀弦之介/24:是方昭吾/25:坂本竜太/
26:猿谷甚一/27:シオ/28:シュナイダー(ウマゴン)/29:真紅/30:水銀燈/
31:翠星石/32:杉村弘樹/33:ゼオン・ベル/34:蒼星石/35:相馬光子/
36:平清/37:筑摩小四郎/38:チャン/39:津幡共仁/40:ティオ/
41:七原秋也/42:ノール/43:ハード/44:雛苺/45:ヒミコ/
46:ブック/47:美神愛/48:ミツル(芦川美鶴)/49:三村信史/50:薬師寺天膳/
51:ヨキ/52:レオナルド・エディアール/53:レオパルドン・パピプリオ/54:ワタル(三谷亘)/
※()内の表記は参加者支給の名簿には記載されていない
【参加作品媒体】
?漫画
金色のガッシュ!!、バジリスク〜甲賀忍法帖〜、ブレイブ・ストーリー〜新説〜
未来日記、ローゼンメイデン、バトルロワイアル、BTOOOM!、WaqWaq ワークワーク
?特撮
仮面ライダー龍騎
?小説
銀齢の果て
【スタート時の支給品について】
?参加者には開始時に支給品として以下の物資が与えられる。
「会場地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「ランタン」「時計」「ランダム支給品(2〜3個)」
?尚、参加者が原作世界でのバ愛用の武器がある者についてはそれを支給する。その種類によりランダム支給品の数が減少する。
?荷物は通常のちょっと大きめのリュックサック。明らかに入らない不明支給品は初期配置付近に設置。
例:カードデッキ@仮面ライダー龍騎、護神像@waqwaq、旅人の証・玉・杖等@ブレイブ・ストーリー〜新説〜 →2個分扱い ランダム支給品1個
未来日記、BIM、魔本、ドールズ固有武器→1個分扱い ランダム支給品1〜2個
その他のキャラ→ランダム支給品2〜3個(最低2個)
【参加作品固有の制限について】
?未来日記について → 各自専用の未来日記のレプリカを支給。予知能力が劣るが破壊されても死ぬことは無い。
?金色のガッシュについて → 『魔本』は術ブースト装置である。魔物の子単体でも術は使用可能だが若干弱体化する。その際の使用量は魔物の子自身の心の力を消費。
パートナーの心の力を本に通すことにより本来の威力になる。この場合はパートナーの心の力を消費。
魔本は燃えても強制帰還にならず、術ブーストが失われる。
?BTOOOM!について → 右手に埋め込まれたレーダー装置の効果範囲は同エリア内のみ有効(半径500m)。同じくレーダーを持っている人間にしか効果は無い。
?バジリスクについて → 甲賀弦之介の瞳術 半径10メートル以内の敵にしか効果は無い 強い精神力で無効化可能
薬師寺天膳の蘇生 首と胴体分離、木っ端微塵は死亡。それ以外の怪我は基本的に時間が経てば治る。
?仮面ライダー龍騎について→ ミラーワールドには侵入禁止。 変身時間に制限は無いが長時間変身していると疲労。
?ローゼンメイデンについて→ nのフィールドには侵入禁止。
?その他 → 細かいキャラ毎の制限事項については先に書いた書き手の制限準拠!
【放送について】
?:00 06:00 12:00 18:00の一日四回主催者からの放送が入る。内容は以下の通り。
?放送間での死亡者発表、禁止エリアの発表
【禁止エリアについて】
?侵入すると首輪が爆破されて参加者は死亡する。
?放送から1時間後、3時間後、5時間後に放送で発表した箇所が禁止エリアとなる。以降ずっとそのままである。
【作中での時間表記】(0時スタート)
深夜:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
日中:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
真夜中:22〜24
【書き手参加の心得(初参加編)】
*したらば掲示板の予約スレにてトリ付きで予約するべし (名前欄に#○○○と記入するとでるやつ。例:#rowarowaと入力すると◆uL6jaaW6Jk となる)
*予約期間は3日間、延長は2日間、時間は遵守するべし
*内容、展開に不安がある場合は一時投下スレにて投下するべし
*書き手参加で不安があったら勇気を持って質問するべし 優しい人が答えてくれるから
*展開のための展開にならないよう注意するべし
【書き手参加の心得(共通編)】
*リレーSS企画なので、一人で先走りすぎないこと、書き手参加の皆でひとつの物語を作ることを意識するべし
*キャラへの愛情を持って書くべし
*特定の参加者の時間だけ進めすぎることがないようにするべし 取り残されると動きが制限されてしまうので
【禁止事項・作品NGについて】
*過去の作品で死亡が確定している参加者を蘇生してはいけない(優勝賞品除く)
*文章そのものが小説の体をなしていない(日本語として意味が通らない)
*過去の作品との大きな矛盾がある作品は修正。不可能な場合は破棄。
*修正要求は主観的な意見は一切受け付けない。明確な指摘がある場合は本スレかしたらば修正用スレにて該当箇所の指摘。本スレでの指摘後はしたらばに移動。
*修正要求を受けた書き手は48時間以内に返答、必要とあらば修正をする。
*2ch本スレッドでの修正議論は行わない。したらばに誘導し、従わない場合は対応しない。
【その他注意事項】
*ここに書かれていないこと=しても良いこと、ではありません。ルールの悪用は避けましょう!
*特定の書き手の誹謗中傷はしないこと 議論でなく罵り合いにならないように注意!
*作品が投下されたら誤字脱字の指摘や矛盾点の報告の前にできるだけ投下乙!の声を! 書き手の動力源です!
*みんなで仲良くリレーしていきましょう
【SS用キャラのテンプレ】
【キャラ名@作品名】
[状態]:体調、精神状態、怪我 など
[装備]:装備 手に持ったりとすぐに使える状態の物
[道具]:基本支給品、不明支給品、などリュックに詰まっている物など
[思考・状況]
基本行動方針:ロワ内での基本的指針
1:
2:
3:
現在の状況での行動・思考の優先順位
[備考]
その他、SS内でのアイテム放置、崩壊など
>>3の訂正
【放送について】
0:00、06:00、12:00、18:00の一日四回主催者からの放送が入る。内容は以下の通り。
放送間での死亡者発表、禁止エリアの発表
>>2-3のその他の?は箇条書き用の点のミスです。申し訳ありません。次スレを立てる際に修正します。
以上でテンプレを終わります。
続いて、オープニング作品を投下します。
宮脇町五丁目にある老舗の和菓子屋三代目、蔦屋のご隠居と呼ばれる宇谷九一郎は今年で七十七歳である。
自室にて就寝していたはずが、目が覚めると住み慣れた我が部屋の天井ではないことに気づく。
ここはどこだ? 馴染みの無いベッドから身体を起こして辺りを見渡してみる。
起き上がって老体が同じく起き上がっているのが見えた。
シルバーバトルの参加者か?と思い迎撃しようと懐の帯に突っ込んでいたワルサーを手にしようとしたが、無くなっている。
焦る気持ちで相手を見ると向こうも同じく懐を漁りながらこちらを見ているようだ。
そこで気付いたのだ。壁の一方が鏡張りになっていただけだと。
落ち着きを取り戻して部屋を調べてみると、そこは八畳間ほどの広さの直方体の空間だった。
インテリアの類はほとんど無く殺風景。小学校の教室の机とイスを全て撤去して縮めたらこんな感じだろうか?
部屋にあるものといえば今まで自信が眠っていた簡易ベッド。そして九一郎の腰程の高さの金庫だけだ。試に取ってを回してみるがその扉が開かれることは無い。
出入り口らしき今時珍しい両開きのドアも一応あったが、こちらも当然開かなかった。
一体何が起こったのだ? 猿谷はどこへ行った? これもCJCKの連中による「老人相互処刑制度」の一環なのか?
だが、CJCKの連中が対象地区の老人を拉致するだなんて聞いたこと無いぞ?
起き抜けで頭が良く回らないにも関わらず次から次へと疑問が湧き出てくる。
あの鏡……“まじっくみらあ”という反対からこちらが覗けるという代物かもしれんな。
と、鏡に再び注目したところで、鏡の中に自身とは違う人影が現れた。
◇ ◇ ◇
そこに映し出されたのは全ての存在を吸い込んでしまいそうなほどの漆黒の闇。
人間の持つ願望、悲願、宿願、誓願、とあらゆる願いを飲み込むかの様な黒い影。
鏡の中に浮かび上がる影の後背部からチューブの様なものが伸びている。九一郎自身はまだまだ健康体であるが、入院している友人を見舞いに行ったときについていたものと似ていると思った。
その影には実体が無いが、影自体に切り取った顔が貼り付けられているような不気味な風貌である。そしてその影が口を開いた。
『お目覚めかな、諸君。もう知っているものも大勢いるだろうが、改めて宣言しよう』
『君達には殺し合い――バトルロワイアル――をしてもらう!!』
一体こいつは何をいっているんだ? わざわざ言われなくても既に第5地区は殺し合いに選ばれているんじゃないか?
しかし、自信の長い人生経験の中でもこのような異質な人物は見たことも聞いたことも無い。思わず息を飲む。
ゴクリ――唾液が咽喉を通過する際に違和感がある。
老体の自身の体温よりさらに冷たい感触が首を覆っている。これは一体――
『ここには様々な世界で己の欲望の為に醜く争っている者達を集めた。まぁ中には強要されて仕方なしにという世界もあるがな。
だが、諸君にはそれぞれに叶えたい願いがあるはずだ。
必要とあらば、赤の他人はもちろん友人・知人を押しのけ、“殺してでも”叶えたい“願い”が。
家族を守りたい者、恋人を救いたい者、友人との約束を守る為に戦う者、平和な世界を望む者、究極の少女を目指す者
自身の運命を変えたい者、永遠の闘争が願いの者、ただ生き残りたい者、国家の体制を崩壊させたい者、一族の繁栄を望む者
……そして、死者を蘇らせたい者。
最後の一人になった者にはどんな願いでも叶えてやることを約束しよう。我々にはそれが可能だということを知っている者もいるだろう?』
ニヤリと男の口元が吊り上る。
『しかし、このバトルロワイアルにも君達が行っているもの同様にいくつかのルールはある。
願いを叶えたければ嫌でもしたがってもらおう。
まず始めに君達の首には首輪を任せてもらった。
畜生の様に扱われて気分を害したものがいるかもしれないが、これも会場を制限するためには必要だったのでな』
首輪だと。政府の連中が老人を害悪と見ているのは自覚しているが、家畜の様に首輪をつけられ見下されると流石に癪に障る。
『その首輪には爆弾が詰まっていてる。おっと、無理に外そうとするのは推奨しない。
身体の耐久力に自身のある者もいるだろうが、無意識の内にここに連れて来られた意味を考えれば不用意な行動はしない方が良いだろう』
『その首輪の爆弾の起動条件は全部で三つ。
一つ、首輪を無理に外そうとする行為
一つ、我々が定めた禁止エリアに侵入した場合
一つ、会場から逃げ出そうとした場合
もちろん我々の任意でいつでも爆破することは可能だ』
『この禁止エリアは6時、12時、18時、0時の一日四回の提示放送で伝える。
放送内容は禁止エリアの発表の他にその前の6時間での脱落者――つまり死亡者も発表するので、何かに役立ててくれ』
『そして、参加者にはそれぞれ武器となるものをランダム支給品としてこちらで用意しておいた。いずれも各世界で使用されていた素晴らしい技術の代物だ。
あぁ、各自の世界で使い慣れた武器があるような者にはそれも支給しているので、存分に力を振るってくれたまえ。
使い慣れた武器が特に無い参加者も気に病むことは無いぞ。出来るだけ公平に戦えるように、そういった者にはランダム支給品を他の者より多めにしておいたから』
『武器の他にも参加者の名簿、食料、水、会場の地図、メモ帳、時計など必要なものは一通り揃えておいたので後ほど各自で確認しておいてくれ』
その男の言葉のあとに先程ビクともしなかった金庫の扉が勝手に開いて、中にはディバックが入っていた。
『私からは以上だ。君達の“願い”が叶うことを祈っているよ。
最後になるが、その扉から出れば会場内にランダムで移動される。尚、この部屋はあと1分で消滅するので早めに移動した方がいいぞ』
『戦え、我が子らよ! 戦わなければ“願い”は叶わない!!!』
消滅する。突拍子も無い、現実感の無い言葉なのに、自分の脳が警報を鳴らしている。これは“嘘”じゃないと。
男の高笑いが響き渡る部屋から飛び出すべく、急いでディバックを手にしてドアを開けて出て行く。その先は――
【ロワイアル×ロワイアル 開幕】 【残り人数 54名】
◇ ◇ ◇
そこは参加者達がいた密室とはどこか違う薄暗い空間に、先程の黒い影の人物が立っていた。
「こんな感じでどうかな? 同胞よ」
そう話しかける先には更に数人の人影が立っていた。
――問題ない、とだけ聞こえると、その空間にはまた闇が蔓延しだし、男達の姿は見えなくなった。
【主催者:赤い血の賢者コト@waqwaqワークワーク】
以上でオープニングの投下を終了します。
本編予約開始時刻は12月15日(水)0:00から
>>1のロワロワ専用掲示板、予約専用スレッドにて行います。
予約は先着順となっておりますので、書き手参加希望の方はお気をつけ下さい。
その他企画について質問事項がある際はココか、規制中でしたらロワロワ専用掲示板にて随時承っておりますのでお気軽にお尋ねください。
スレ立て乙です
11 :
創る名無しに見る名無し:2010/12/14(火) 21:36:50 ID:mqyHQLmN
今日の0:00に予約開始あげ
予約がキタ――――!
書き手の方、頑張ってください!
思ったより多いなw
7件もあるなw
延長が無ければ週末は投下ラッシュだなw
おう、早速来てらっしゃるなw
では一本目を投下します。
「誰だっ!」
月夜の街に、鋭い声が響いた。
声の主はワタル。
彼は現世においては城東第一中学の二年生であり、同時に『幻界(ヴィジョン)』においては数多いる『旅人』の一人である。
幻界に行ったばかりの頃は落ち零れとすら評されたワタルは、しかし数々の戦いを経て、今では類稀な力を持った旅人に成長していた。
そのワタルの研ぎ澄まされた感覚は、今現在、道の先に息を潜める何者かの気配を教えている。
距離は二十メートル程。電柱の立っている交差点の辺りだ。
剣を構えて様子を窺う。
「そこにいるのは判ってます。出て来て下さい」
もう一度、今度は抑えた声で警告を発する。
しかし出て来ない。かといって逃げる気配もない。
充分に警戒しながら少しずつ距離を詰めていく。
「待った待った。今出て行くから」
十メートルくらいまで近付いたところで、観念したのか、歳を感じさせる声が返り、老齢の男が塀の陰から姿を現した。
角刈りの白髪頭にがっちりとした体格の、何処にでもいそうな普通の老人だった。
眼を凝らして見ると、ワタル自身と同じく鈍色の首輪を嵌めていることが判る。
彼は片手を軽く上げて、落ち着けという風なジェスチャーをした。
「わしはまだ戦う気はないよ。だからそのごつい剣を収めてくれ」
確かに老人は丸腰で、戦意はないように思われた。
しかし相手が『旅人』ならば、どんな手を使って攻撃してくるかも分からない。
いつでも対応出来るよう、注意しながら剣を下ろす。
老人もワタルを警戒するように上から下までじろじろと見て、そしてハイカラな格好だなあと感想を述べた。
言われて、ワタルは下を向き自分の格好を改めて眺めた。
要所を板金で補強した動き易い鎧。
丈夫な革で作られたグローブとブーツ。
金属製の肩当とシックな外套。
そして極め付けに、全体に装飾の施された幅広の大剣。
端的に言えば、中世的世界を舞台としたロール・プレイング・ゲームのキャラクターのような格好だ。
幻界では至極普通の服装だが、確かに現世の日本とあまり変わらない辺りの景観からは浮いている。
「う、そ、その、お爺さんは誰なんですか?」
何やら急に気恥ずかしくなって、それを誤魔化すように適当な質問をする。
「わしか。わしは猿谷甚一という者だ。元刑事だよ」
刑事という単語を聞いて、ワタルの緊張が若干緩む。
その様子を見て、猿谷はぴくりと眉を上げ、そしておもむろに辺りを見渡した。
二人の立っている場所は、区画整理の遅れた住宅街の真ん中といった感じの場所である。
「ここはちょっと目立つな」
そう呟くと、猿谷はワタルに着いて来るように指示して近くの裏路地に入り、そしてすぐに切り出した。
「お前さん、名前は」
「あ、えっと、僕はワタル。三谷亘っていいます」
「ワタル君か」
猿谷は反芻した。
そしてブロック塀に寄りかかると、彼に会う前にワタルが見たり聞いたりしたことについて簡単に訊ねた。
ワタルは素直に答えていく。
「…………それで、外に出たらいきなり向こうの道に立ってて」
「ふうん。とすると、やはり坊主も同じもんを見てからここに放り出されたってことだな」
「鏡の中で殺し合えって言ってた奴ですよね。……猿谷さんはあいつに心当たりはありますか?」
「いや。あんな知り合いはいないね」
猿谷は素っ気無く答えた。
お互いに少し考え込み、会話が途切れた。
街の中ではあり得ない静寂が耳を貫く。
ところで。
先に沈黙を破ったのは猿谷だった。
ワタルを睨むようにして、問い質す口調で続ける。
「坊主。お前さん、妙に落ち着いてるよな。それに周りへの気の配り方が堅気のもんじゃねえ。
剣の構え方だって、剣道三段のわしから見ても堂に入ったもんだった。お前さんは何者だ」
彼の眼光は鋭く、並の中学生なら簡単に萎縮してしまうであろう迫力があった。
元刑事というのは確かなのだろうとワタルは冷静に思う。
少し躊躇った後、ワタルは少し長くなるけどと前置きをして、彼の冒険譚を掻い摘んで語り始めた。
ワタルの話はいまいち要領を得ない部分が多く脱線もあったが、猿谷は刑事らしく巧いこと合いの手を入れて誘導する。
一通り聞き終えた後、猿谷は感心したように言った。
「なるほどなあ。幻界か。ふうむふむ」
「……信じて貰えるんですか?」
「そうだな。だって、信じた方がわくわくするじゃないか」
猿谷はにやりと笑い、眼を輝かせた。
自身の中の老人像が少し崩れた気がしたが、ワタルは黙って苦笑いをした。
それにしても、と猿谷が真顔に戻って言った。
「こんな首輪を嵌めてまで殺し合えとは、また随分とけったいなことだよなあ。しかしまあ、わしらがやるべきことは変わらんか」
「そうです。こんな戦いは馬鹿げてる。僕等のやるべきことは争いを止めることだ。
自分の願いを叶えるために、無関係な人たちを皆殺しにしろだなんて――」
猿谷が変な顔をした。
「どうしたんですか?」
「あ。うん。そうさな。お前さんの言う通りだ」
歯切れの悪い返事をして、猿谷は白髪頭を掻いた。
何かを探すように眼を泳がせた後、あのな、と急に言った。
「お前さんは魔法を使えるらしいけれども、人を探す魔法なんかはないのかな」
「そういう魔法も見たことあるけど、僕は使えないです」
それに今は、旅人の力を増幅する『玉』が全て奪われている。
そのため、魔法を使えるのはごく限られた回数だけ。たとえ使えたとしても、考えなしに使えるものでもない。
猿谷は、そうかと短く言った。
「まあともかくここにいても仕方ないから、人の集まりそうな所へ行こうじゃないか」
そう言うと、猿谷はワタルを裏路地から追い立てるように動いた。
表通りに出る直前で、猿谷が立ち止まる気配がした。
何かあったのかと思い、ワタルは振り向く。
「悪いな、坊主」
「え?」
銃口がワタルの眉間を狙っていた。
即座に引鉄が引かれた。額に赤い穴が開いた。
自分の身に起こったことが絶対に信じられない顔のまま、ワタルはゆっくりと仰向けに倒れた。
手にした剣の刀身が陽炎のように揺らぎ、霧散した。
「荒事に慣れていても、まだまだ人生経験が足りなかったなあ。
刑事を見て安心するようじゃ駄目だ。刑事なんてやつは、悪人に決まってるじゃないか」
猿谷は扱い慣れた手つきでニューナンブを懐中に仕舞った。
名簿を取り出し、名前の上に一本線を引く。
そして猿谷は唇を歪めた。
「全く何とも面白そうなことに巻き込まれたもんだ。結局、やることは殺し合いだがな。
しかし今度のバトルは若者も混じってるときた。やあれやれ。こいつは一人で戦うにはちと骨だよなあ」
ワタル君が一緒に戦ってくれそうな子だったなら楽だったのになあ。
そう思いながら、嘘のような月を見上げて溜息を吐く。
足元では、絶命したワタルが虚ろな眼で同じ月を見上げている。
「とにかく一人はいけないな。誰か役に立ちそうなやつを探さないと。
ご隠居ならきっと協力してくれるだろうが、しかしそうすると、最後はご隠居と殺し合わないといけないのか。
ふうむ。こいつはどうにも難儀なことだなあ」
あまり深刻ではない口調で、猿谷は言った。
【ワタル@ブレイブ・ストーリー〜新説〜 死亡】
【D-3/1日目/深夜】
【猿谷甚一@銀齢の果て】
[状態]:健康
[装備]:ニューナンブM60(4/5)@現実
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×2〜3、勇者の剣(ブレイブレード)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[思考・状況]
基本行動方針:優勝を狙う。
1:協力者を探す。
[備考]
※ワタルから幻界の知識をある程度得ました。
【勇者の剣(ブレイブレード)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
ワタルの専用武器。普段は柄だけしかなく、必要に応じて刀身を具現化して使う。
想波の闘法を会得していないと自由に使えない上に凄まじい消耗を伴う。
【ニューナンブM60@現実】
日本の警察などに制式採用されている回転式拳銃。五連装。
以上で投下終了です。
もう一本書けたので続けて投下します。
訳が解らぬ、と伊賀鍔隠れ衆の事実上の頭、薬師寺天膳は月明かりの森で憤慨していた。
歳の推し量れぬ色白の顔を歪めながら、天膳は僅かばかり前の出来事を思い返す。
何処とも知れぬ奇妙な空間。
鏡を用いた面妖な術の使い手が告げた、殺し合え、という命令。
伊賀でも甲賀でもない有象無象の人間の名前。
意味の不明な南蛮語が幾つかあったものの、術者が言わんとするところは天膳もおおよそ諒解した。
ならば彼の言に乗ってただただ屍の山を築くべきか。
断じて否である。
名簿には宿敵である甲賀者の名もあった。殺し合いそのものは望むところである。
無関係な者を殺すことにも何の躊躇いもない。
しかし、だからといって、畜生の如き扱いを受けて唯々諾々と従う薬師寺天膳ではなかった。
伊賀の魔人衆を首輪などで鎖に繋ごうとは笑止千万。
願いを叶えてやるなどという大上段からの戯言にも腸が煮え繰り返る。
伊賀の同胞と殺し合うつもりも勿論ない。
まずは甲賀者や伊賀に手向かう愚か者を皆殺しにした後、じっくりときゃつを嬲り殺してくれよう。
天膳は、そう心を定める。
しかし手が足りぬ。
名簿を信じるなら、この地にいる伊賀の者は、天膳を除くと朧と筑摩小四郎の二人のみである。
そして朧は、あらゆる忍の技を破る恐るべき『破幻の瞳』の使い手とはいえ、戦いにおいては素人同然。
甲賀者も、これ幸いと彼女を狙ってくることだろう。
彼女は特に甲賀弦之介の魔性の瞳術に対する切り札である。何としても、甲賀者よりも先に手中に収めなければならない。
しかし自分と、何処にいるかも判らぬ小四郎だけで果たしてそれが可能か。
「駒の一つ二つくらいは手に入れる必要があるかもしれんな」
そう呟いたとき、天膳の眼が木々の間に長身の男を捉えた。
男は南蛮風のゆったりとした青い服を纏っていた。
夜の森をまるで迷うことなく歩いている。
それなりの心得を持つ者だろう。
好都合である。
「そこの者、待てい」
天膳は切れ長の目をかっと見開いて呼ばわった。
男は特に動じる様子もなく、至極自然な所作で振り向いた。
左腕に奇妙な模様が描かれた盾のようなものを付けているのが見えた。
「私に用があるのか?」
男は落ち着き払っている。身のこなしに隙がない。
ほう、と天膳は顔には出さず感心する。
「うむ。うぬもこの下らぬ催事に招かれた者であろう。どうじゃ、わしの下に付かぬか?
独りでは色々と都合も悪かろう。悪いようにはせぬぞ」
男は冷笑した。
「嫌だ、と言ったら」
うつけ者を見る眼だった。
天膳の頬がひくりと震えた。
「命を粗末にするものではあるまい」
腰に差した刀をすらりと抜く。
そして流れるような動作で切っ先を上げていき、頭上三尺の位置でぴたりと止めた。
「おのれにもう一度だけ問うぞ。心して答えよ。わしの下に付くつもりはないか?」
下らん、と間髪入れずに男は切り捨てる。
「其の身正しかれば令せずして行われ、其の身正しからざれば令すと雖も従われず。
お前は人の上に立つ器ではないな。これ以上は、話すだけ無駄というものだ」
男が言い終えるや否や、天膳は六間余りの間合いを瞬時に潰して斬りかかった。
「ならば我が剣の錆となれい!」
裂帛の気合と共に、刀が振り下ろされる。
天膳の渾身の袈裟斬りを、しかし男は人差し指と中指で挟んで軽々と止めた。
「なぁッ!?」
驚愕する天膳。
慌てて刀を引こうとするが、びくともしない。
青服の男が、まさに魔物の笑みを浮かべる。
「ほぉ、悪くない太刀筋だ。では防御の方はどうかな」
ほとんど視認不能の正拳が、天膳の腹目掛けて叩き込まれた。
蛙の潰れたような声と刀だけをその場に残して、彼の身体が地面と水平に吹き飛んだ。
そのまま背後の大木に背中から叩き付けられ、口から大量の血を吐き出す。
呻く天膳へ向けて、男は指に挟んだ刀を腕だけで無造作に放った。
月に煌く刀が光の矢と化し、凄まじい速さで天膳の胸に吸い込まれる。
矢は天膳の心臓を精確に射抜き、彼の身体を木に縫い付けた。
木が大きく揺れ、大量の葉が舞い落ちた。
ぐるりと白目を剥く天膳。
彼の肉体は二、三度大きく痙攣し、そして動かなくなった。
「ふむ。まあ、準備運動にはなったか」
屍と化した天膳を一瞥すると、青服の男は次の獲物を探して悠々とした足取りで去って行った。
【F-5/1日目/深夜】
【チャン@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:健康
[装備]:八卦鏡(フォーチュンテリング・ミラー)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品、不明支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを求める。
1:次の戦場を探す。
[備考]
【薬師寺天膳@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:内臓破壊、死亡中
[装備]:由乃の日本刀@未来日記
[道具]:基本支給品、不明支給品×1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:邪魔者を皆殺しにした後、主催者を殺す。
1:……。
2:朧を探す。
3:使えそうな手駒を見付ける。
[備考]
【八卦鏡(フォーチュンテリングミラー)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
チャンの専用武器。風水師が使えばあらゆる魔法を無効化することが出来る。
【由乃の日本刀@未来日記】
11th襲撃の際に由乃が装備していた日本刀。人間を縦に両断しても平気。
以上で投下終了です。
代理投下します。
「あの〜、そこの人〜?」
彼がその場所に到るまでに通過したのは街道や草原。
地図を見ると近くに街があるようだが
彼が生まれ育った場所を考えるに顔見知りの多くは砂漠を目指すだろうと考え、
南を目指すことにしていた。
途中でソレを見つけたのは普段その色が砂漠育ちの彼には馴染みがなかったことと、
巻き込まれている殺し合いという状況が感覚を鋭敏化させていたことが大きいだろう。
林、木が密集している場所。緑が集まった場所に自然と出来る物。
砂の色に慣れていた少年に草木の持つ力強い緑色は些か刺激が強すぎ、
だからこそ、その中にある違和感を見つけることが出来たと言える。
視線を向けると慌てたように木の後ろへと隠れた物体。
しかし、完全に隠れることは出来ずどうしてもはみだしてしまうものがあった。
「……スカートが飛び出てるすよ?」
その言葉に木からではなく木の少し先の位置から驚きの声があがり、
遅れて木に収まりきらなかったスカートの裾が
小動物を思わせる動きで木の後ろへと隠れる。
その動きと同時に反対側から右脚が飛び出たのはご愛嬌というべきか。
しかし、それら一連の醜態か喜劇か判別しづらい行動すら隠すかのように
シオが呼びかけた相手は沈黙を保つ。
「もれ、戦う気はねえすよ」
そう言いながらシオは背負っていたリュックを地面に降ろし両手を挙げる。
「ひ、一つ訊いてやるですう。」
ここまでして引き出したのが怯えたような、それでいて居丈高な言葉。
それでも歩み寄りに成功したという事実は変りなく、
少年は満面の笑みを浮かべ大きく頷いた。
「そのお前の側で浮いている人形は何ですう?」
その問いかけにシオは一瞬顔を強ばらせる。
彼にとって傍らで付き従うかのように浮かぶ人形と称されたものは
護神像アールマティ。
彼と多くの戦場を潜りぬけた“機械”であり、
ある意味で彼の戦力の源というべき相手。
声が発せられた高さや、木からわずかに覗き始めている顔から
相手の正体のおおよそはほぼ掴んでいる。
だからこそ危険だと彼の戦士としての勘が告げるが
対峙している者の目に浮かぶ涙や震えたる肩を見て少年は心を決める。
「護神像アールマティ。もれの友達す」
その答えを聞き恐る恐る目の前のソレは姿を現す。
構えられた如雨露の形をした武器らしきモノ。
赤と緑にハッキリ別れるそれぞれの眼。
砂漠で行動するには甚だ不適切であろう丈の長いワンピースらしき服。
しかし、それ以上にシオの肝を冷やすのは人間にはありえない小ささ。
間違いようのないほどに目の前の少女のような物体は機械であった。
「戦う気は?」
「無いすよ」
シオの即答に目の前の機械は体の力を幾分か和らげる。
「わかってくれたすか!?」
「信用する気はねえですけど……
だからってお前をしばき倒してもしょうがねえですから」
「それでも嬉しいすよ!」
挙げた両手はそのままにその喜びを体いっぱい表現するシオ。
それを見て少し照れたように顔を背けながら
「とりあえず情報! それが先ですう。あの真っ黒オヤジのこととか」
「あ、それはもれ達と戦っていたコトって奴すね」
「っていきなりぃ!? ちょ、ちょっと詳しく教えやがれですう!」
シオの言葉に機械は仰天したような表情を作り、
少年に先を促す。
それを彼は降ろした手で制し、ゆっくりと言う。
「その前に、ここは危ねえすよ。移動しながらのほうがいいと思ったり」
その提案に一瞬だけムッとしたような顔をするが
しょうがないという風に頷く。
その子どもらしい様子に
シオは笑いながら制するために突き出した手を下げる。
「じゃ、改めて……どうぞヨロポコ」
仕切りなおすかのようにシオは握手を求める。
それにブツブツ言いながらも応じる信じられないほどの小さな手。
大切な人と一緒に一度はいなくなった初めての機械の友を少年に思い出させる手。
満面の笑みを浮かべながら少し場違いなほど彼ははしゃぐ。
「嬉しいす! コレでお友達すな、機械の人!」
「いや、何を勘違いしてやがんですか!?」
握手した手をブンブン振り回されながらも
機械は――ローゼンメイデンの第3ドールである翠星石は思わずツッコミを入れる。
後ろで彼女が先程まで隠れていた警戒の表れであり、
能力の発言の証でもある木が地面へと戻っていくのを二人は気づいたのだろうか。
【G-5/1日目/深夜】
【シオ@waqwaq】
[状態]:健康
[装備]:アールマティ@waqwaq
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本行動方針: 戦わずに済む道を探す
1:目の前の機械?人形と落ち着ける場所に移動しながら情報交換をする。
【翠星石@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:庭師の如雨露@waqwaq
[道具]:基本支給品、不明支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針: 蒼星石達とは戦わないで済む方法が欲しい
1:目の前の人間?と落ち着ける場所に移動しながら情報交換をする。
【アールマティ@waqwaq】
防人の専用武器。合体すればあらゆるものを変形する左手で食ったり吐き出したり出来る。
所有者の変更の際には今までの持ち主がアールマティに喰われるか死亡する必要がある
食べられた場合には所有者の記憶がある程度護神像に蓄積される。
【庭師の如雨露@ローゼンメイデン】
翠星石の固有武器。木の動きや成長を操ることが出来る。
代理投下終了です。
噛み合わんw
まぁお互い全然世界観違うから仕方ないんだが。
>>28最後の行は発言ではなく発現ですかね?
あと翠星石の状態表の
>[装備]:庭師の如雨露@waqwaq
これも庭師の如雨露@ローゼンメイデンですね。
3作品投下乙です!
幻想を殺す:ワタルーー!? 幻界を想波となって渡り、様々な願いをあることを知ったお前が…あっさりと…
まさかのワタル一話退場だ。猿谷さん…あんた、バトルマニアだったな
Marked For Death :おぉ天膳殿が早速死んでおられる。状態票に死亡状態と書かれながらリレーされるキャラは後にも先にも天膳様だけだろう。
首切断されなくて良かったねw
A Boy(?)Meets A Girl(?):護神像と薔薇乙女人形、似ているのは背格好だけで護神像には防人の死ぬ瞬間にこそ恐怖があるからな…
そだ。
◆L62I.UGyuw氏、連作投下乙なのですが、今後は予約スレの方に予約してから即投下の形をとったほうが良いかと。
少し手間かもしれませんが、最初からルールがなぁなぁになってしまうのは企画的にあまり良くないと思います。
鳥変わっていますが予約した本人です。
来須圭悟、ノール投下します。
最初は、その携帯電話を産廃同然だと毒づいた。
何しろ、通信機能は使えない。
圏外というわけではなく、元々備わっていないようだ。
そしてそのメモ機能にも何も記されていないだろうと思っていた。
「……【地図に記されたランドマークに到達する】……ねえ」
その名は『捜査日記』
刑事課長である来須圭悟が、部下から報告される捜査情報の全てが事前にわかる携帯電話。
一人でも多くの犯罪者をボコってやるために刑事になった彼に相応しい『未来日記』だ。
しかし『ゲーム』の中で彼は我欲に走り、未来、そして刑事としての己をねじ曲げた。
結果、捜査権限を失い日記は白紙となった、はずだった。
とは言え、今の結果も非常に頼りないものではあるが。
――まあ、もとよりその機能は期待していなかった。
もしその事件がなかったとしても、足となる捜査官たちがいないこの状況では能力を万全に発揮できないだろう。
添付された説明書によるとこれはレプリカであり、予知能力が弱まる代わりに『日記を破壊されると所持者も消える』という弱点も消えているという。
彼にとっては吉報である。予知自体が使えないならば少しでも不安要素はない方がいい。
「雪輝、我妻、9th……あいつらにとってはどうだか知らんが」
名簿に記された54人のうち知り合いはその3人。3人とも能力は違えど未来日記所持者である。
あと、『天野雪輝』のすぐ下に書かれた『戦場マルコ』という名は捜査の際に何度か聞いた覚えがある。有名なチンピラだ。
新たな『ゲーム』――バトルロワイアルの参加者が己の欲望のために争う者だという謎の男の言、
そして己も含めた規則性からすれば、彼も未来日記を所持しているはずだ。
「恐らく7thあたりか」
あたりを付ける。そして何番目であるにしろ、警戒するに越したことはない。
「雪輝はともかく我妻は危険だな……ただでさえ危ういのに、雪輝と切り離されたら話が通じん。9th……雨流はまだ話がわかるんだが」
そして知り合いをそのように分類し、しばし思案する。
支給された道具のうち、武器らしきものは大型のカッターナイフ。
あと武器と呼べるのは己の経験とこの頼りないレプリカの未来日記。
結論。
「動いてみなけりゃわからねえ、か」
刑事課長でこそなくなったが、駆け出し時代は足で稼いだものだ。
この日記も『捜査のため動いた結果』を現したものだろう。
「……北だ」
月に白く照らされた砂地を革靴が踏みしめた。
目印ひとつない砂漠をコンパスを頼りに進む。地図によると東および南は山になる。
地図の端になるこの箱庭の果てがどうなっているか興味がない訳ではないが、そこにある情報は少ないと考えるべきだろう。
この砂漠にあるランドマークといえば北西のオアシス、南東の石造りの建造物――遺跡か何かだろうか。
そして少し苦しいが北と西にある他地区との境界らしい川とそこにかかる橋、といったところ。
要するに、ランドマークにたどり着くなら北へ行けば最低でも川、うまくいけばオアシスに当たり、そこには人がいるかも知れない。
遺跡も心惹かれるが、他からのアクセスが悪すぎるし、遺跡の調査は刑事の管轄外だ。
彼の今の目的はこのバトルロワイアルの捜査をすることだ。
主催者はその言とそれを裏付ける実力から、まさしく『神』と呼ぶに相応しい力を持っているということになる。
『死ぬはずだった』はずの彼の身は五体満足だった。我妻由乃に撃たれて吹っ飛んだ左耳も綺麗に治っている。
あのデウス・エクス・マキナが協力、或いは『ゲーム』の趣旨替えをしたのかもしれない。
――しかし、捜査をしてどうする?
そんな考えが来栖の脳裏をよぎる。
12人の未来日記所持者による殺し合いのゲーム
その最初は宣言通り雪輝を保護しゲームをぶち壊しにするのが目的だった。
このバトルロワイアルは前の『ゲーム』より遙かに厳しい。
主催者どもをボコッてやりたい、という意志はある。
しかしこの冷たい首輪もある。
そして、知っている――――他人を押しのけ、殺し、神になってまで叶えたいという願いが、彼にも確かにあったことを。
「…‥お」
丘陵の上端から恐る恐る様子を伺うと、オアシスを発見した。
やはり『捜査日記』の記述通りになった。
レプリカに落としこむ際に仕様が変更され、警察の捜査状況から来栖自身の捜査情報が記録されるようになったのだ。
オアシスの草地に腰を落とし――無論油断することなく日記を再び検める。
【不審人物を発見。錯乱し襲いかかってくる】
「不審人物……? 誰もいないぞ?」
注意深く見渡す。人影はない。残るは――
――水面から何かが飛び出した。
そしてそれはそのまま来栖の顔を掠め、赤い痕跡を残す。
もう少しずれていれば再び左耳が吹っ飛ぶ羽目に、更に悪ければ眉間に穴が空いていた。
「これは水……ウォーターカッター!?」
この威力、工業用だろう。同じカッターでも随分な差別があったものだ。
「あなたの世界ではそう言うのですか?」
水泡に包まれた少年がオアシスの水面に立つ。
昔の漫画忍者のようだな、と考える。
未来日記に因果律、異世界に新しい『ゲーム』に、これで忍者がいたところで不思議ではない気がした。
「ですがこの子はハルワタートといいます。そして僕はノール」
「……来須圭悟だ」
幾重もの水をまとった中性的な外見の少年。
似ているわけではないがどことなく雪輝を思い出す。
「クルスさんも参加者……なんですよね?」
「ああ」
「ということはあなたも殺し合いを?」
「……まあな」
相手も同じ穴の狢だろうとそう答えた途端、ノールの双眸から大量の涙が溢れ出した。
「嗚呼、何て業が深いのだろう! 僕たち防人だけでなく、争っている人がこの名簿の人数分も!」
少々自分に酔っている発言と共にハルワタートが活動を開始した。
「本当は戦いなんてしたくないけど……まして護神像を持たない人相手だけど……クルスさん、ごめんなさーーーーーーい!!」
大量の浮かぶ水弾が一気に来栖に襲いかかる。
ひとつが腹部にクリーンヒット。咳き込み血を吐く。
「ガハッ!」
(!? そのまま貫いて痛みもなく殺してあげるつもりだったのに! ハルワタート、調子が悪いのかい?)
初期位置が味方したこともあり、ハルワタートが万全の状態で戦えるようオアシスを陣取ることに成功したのに。
膝を付きつつも強い眼光で来栖が睨む。
「ひとつ聞いていいか? ……お前がそうまでして叶えたい『願い』って何だ?」
「……弟のミールが機械病に……うっうっ。だから僕は兄として出来る限りのことをしてあげたいんだ!」
来栖の心に楔が打ち込まれる。
来栖曜――彼の息子であり、医者にも匙を投げられ余命3ヶ月と判断された。
そのことが『ゲーム』自体の結果にはそれほど興味がなかった彼を、神に続く道へと走らせた。
間違っているのはわかっていた。だから白紙の日記を見た時、溜め込んだ鬱屈から解放された真っ白な気持ちだったのだが。
(まずいな。こいつや雪輝を助けてやりたい所だが、気付くと欲が膨れあってくる)
ムルムルがいたならばその微妙な心境をからかうのだろう。
来栖同様回想が終わったノールは再び攻撃姿勢を取る。。
「ううっ……水弾がダメでも諦めないぞ! そうだ、溺れさせてしまえば……」
「!! 待て、ノール。俺と同盟を組まないか?」
これは天野雪輝や我妻由乃、雨流みねねにも仕掛けた勝利への希望である。
「同盟?」
「ああ。見るとそのハルワタート……だったか? 水のある場所が得意と見た。それなら川の方が真価を発揮できるだろう」
「川……この青い線……それが全部水、ってことですか? ああ、嬉しそうだね、ハルワタート」
「ここから北上する。砂漠がしばらく続くが、川につくまでの間のバックアップは俺に任せろ」
「クルスさんがそんなことをする必要は……ハッ、これがお持ち帰」
「んなわけあるか。お前には川を行き来しながら情報を集めてほしい。そして12時間後、再びこのオアシスに集合し、情報交換を行う」
「クルスさんはその間……?」
「中央地区のどこかの市街地にいくさ。人も集まってくるだろう……血を見ることになりそうだがな」
ノールもオアシスに閉じこもっていてはダメだと薄々感づいていた。
だから、了承した。
そしてお互い「残り人数が少なくなったら同盟を破棄する」ということも視野に入れていた。
が、それは決して表に出さなかった――ノールの大粒の涙以外は。
連れ立って歩き出したとき、また一度捜査日記に目を通す。
【川を発見。ノールによると水質は良いようだ】
――――やはり捜査員が増えると日記の記述もちょっとはマシになるようだな。
他にも同盟相手を探した方が良さそうだ。出来るなら雪輝や雨流がいい。
この日記が真価を発揮するのはいつになるだろうか。
【F-6(オアシス周辺)/1日目/深夜】
【来須圭悟@未来日記】
[状態]:健康。腹部に打撃、左頬に切り傷あり。
[装備]:大型カッターナイフ@現実
[道具]:基本支給品、捜査日記のレプリカ@未来日記、不明支給品0〜1(本人確認済み。武器はないようです)
[思考・状況]
基本行動方針:バトルロワイアルの全貌を掴みたい。優勝は……?
1:集団や同盟関係を作りたい
2:天野雪輝は保護対象、雨流みねねは交渉する、我妻由乃、戦場マルコを警戒
3:ノールにやや共感
【ノール@waqwaq】
[状態]:健康
[装備]:ハルワタート@waqwaq
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い、ただしなるべく大人しくする
1:バトルロワイアル……何て業が深いのだろう!
2:ハルワタート、元気が無いなぁ
3:とりあえず言われたとおり川近辺を見まわる
【捜査日記のレプリカ@未来日記】
来須圭悟が未来に置いて捜査する、または提供される情報が少し書かれる。
壊れても来栖は死なない。また、携帯電話としての機能は使えない。
【大型カッターナイフ@現実】
安心と実績のオルファ式。結構切れる。
その気になれば人を殺せるが、リーチは他の刃物に比べ短い。
【ハルワタート@waqwaq】
防人の専用武器。意思疎通すれば周囲の水や空気中の水分を操ることが出来る。
また、合体することで威力が増す。
以上で投下終了です。
タイトルは「4と6 〜バトルロワイアル同盟〜」で。
投下乙です!
クルスってカタカナ表記だと、ファンタジーっぽい名前だなw
捜査日記の制限具合が気になってたが程良い制限ですね。仲間が増えると脅威だな。
最後に、来須さん!騙されるな!そして共感するな!そいつの弟は機械病でむしろ喜んでるぞw
まぁロワ内で知ることはほぼ不可能だけどw
少なくともレオはノールの事情知ってるけどもねw
先制攻撃しといて本当は戦いたくないとか業が深いのはお前だw
来須さんは真面目だというのに。
そして早くもシオたちの周りが超危険地帯w
右下に大分固まってるなw
大地のシオと植物を成長(夢の世界限定?)の翠星石は相性良さそうだけど、これはきついなw
予約期限ギリギリですが
城戸真司、朧、レオナルド・エディアールの3名 投下します。
13人の仮面ライダーが己の願いを叶えるために最後の一人になるまで戦い続ける、ライダーバトル。
“願い”を叶えたい者同士の戦いに、城戸真司はそれに巻き込まれる形で参加することになった。
そんな中で生まれた真司の“願い”は参加者であるライダーを守る為に戦うこと。
戦いを止める為に戦う。この一見矛盾した思いを胸に秘めて、真司は歩みを進める。
自らの“願い”も他者の“願い”を踏みにじらなければ叶わないという事実に気付かず、ただ純粋に……
「あの鏡の黒い奴…神崎の仲間かな? 首輪をつけたり、会場を制限って言ってたな…神崎のやつ何か焦ってるのか?」
ライダーバトルは真司の様な例外を除いて、主催者である神崎士郎が定めたライダーにカードデッキを渡し、後は自由に戦え。そういうものだった。
なので出会っても必ずしも戦うわけではなく、一緒に食事をしたりすることだってある。日常生活をしながらのバトルロワイアルであった。
だが、この戦いは違う。参加者が増え、首輪による戦いを強要、会場を指定と挙げればきりがない。
あのままライダーバトルを進めていては何故いけなかったんだ? それとも神崎は関わっていないのか?
「とにかく誰かに会わないと。皆が誰かを殺してでも願いを叶えたいだなんてある訳がない! きっと、戦いをしたくないって人もいるはずだ!」
真司は決意を口に出し、自分に言い聞かせるようにした後で、誰かに出会うべく歩み始めた。
「きゃっ」
それは殺し合いの場に似つかわしくない甲高い声。
朧月夜に照らされた美しい黒髪と紫色の着物が女性の美しさを引き立てている。
幼さの残るタヌキの様な可愛らしいタレ目の少女が草陰から現れて、こちらに気付き睨みつけている。
突然現れた男に警戒しているのだろう。恐らく支給品であろう鉈を構えコチラを見つめる。
剣術に詳しくない真司でも、その構えが様になっていないことくらいわかる。彼女は怯えているのだ。馴れない武器を手にして。
「怖がらないで下さい。俺はあなたを傷つけるような真似はしませんから! ほら、なんだったら荷物も捨てますから」
そういって真司は自らのリュックサックを彼女の方へと投げる。
この殺し合いの場で無条件で相手を信じることは自殺行為である。それを理解したうえで、真司は彼女を安心させる為だけに荷物を捨てたのだ。
つまり――お人好しなのだ。
「俺はこの戦いを止めたいんだ! だから貴女がも俺を信じてくれるのならその武器をしまってくれないか?」
女は視線を少し泳がせている。しばらく見つめあい、雲に遮られていた月がその輪郭を完全に取り戻す頃、女は刀を鞘に納めた。
微かな霧が晴れ、月がその明るさを取り戻したようだ。
◇ ◇ ◇
出会った女性―朧という名前らしい―と互いに名簿に載っている知り合いについての簡単な情報交換を行った。
朧さんの知り合いは薬師寺天膳、筑摩小四郎、甲賀弦乃介、霞刑部、陽炎の五名。
最初の部屋で黒い影の男に言われた殺し合いをしている者たちを集めたと言っていたが、朧さんとこの五名との関係は敵対関係ではないそうだ。
詳しいことはよく理解できなかったが、なんでも過去には互いの一族同士が憎みあっていたが先代服部半蔵による不戦条約によって現在は争っていない。
その証拠にと、甲賀の頭領である、弦之介との祝宴も近いという。
忍者ねぇ……まぁとりあえずこの五名は味方って認識でいいのかもしれないな、と真司は記憶しておくことにした。
「そういえば朧さんは支給品の確認ってしました? 俺はデッキの他にあったのは裁縫セットだけでしたけど」
「私はですね、この鉈と“びむ”という火薬が詰まった球でした。よくわかりませんが投げて何かに当たると爆発するとか…」
「ええぇぇぇ! 大丈夫なんですか!? そんなもの持ち歩いてて!」
「はぁ、私が触らなければ動かないという但し書きがついていましたので、おそらくですが…」
話をしながら歩いていると別の人影が見えた。
声をかけようと近づきかけたが、真司はその歩みをとめる。
日本刀を肩に担いだ少年が歩いていた。だが、真司が立ち止まったのはそれが原因では無い。
少年の後ろにミラーモンスターがいたからである。真司のライダーとしての願いはモンスターから人間を、ライダーを守る為に戦うこと。
少年がミラーモンスターに襲われそうになっているなら、先ずは助ける。それが城戸真司という男だ。
「朧さんこれを持って隠れていて下さい!」
真司は自身のリュックサックを朧に預け、食料の一部として支給されたペットボトルにカードデッキをかざす。
するとどこからともなくベルトが装着される。
「変身!」
掛け声と共に鏡像の仮面ライダーとしての姿と人間としての姿が重なり、仮面ライダー龍騎として変身を遂げた。
しゃあ!との掛け声の後男に向かって駆けていく。続けて腰のデッキからカードを取り出しセットする。
――SWORD VENT――
龍の尻尾を模した赤い刀を装備し、少年の背後についているミラーモンスターに飛び掛る。
龍騎の飛びかかりながらの上段斬りはモンスターにギリギリのところでかわされる。
真司が少年に逃げて、と促そうとしたところで背筋に冷たいものを感じ、咄嗟に横に転がる。
自身が今までいた空間に刀が振り下ろされていた。
少年はこちらを見るとニヤリと笑う。
月に照らされた金髪を炎の揺らめきの様に逆立て、すべてを燃やしつくした後に残る墨の様に黒い隈を携えて、少年はこちらを値踏みするように見る。
「へぇ〜。あんた防人か? ならこのままじゃきついかもな。アシャ、合体だ!」
真司がミラーモンスターだと勘違いしたのは、護神像No.3 アシャで少年の相棒ともいえる存在であった。
少年の掛け声を合図に護神像は分子レベルまで分解され、少年の体を包んでいく。
全身を覆う装甲に身体のまわりに浮かぶ4つの紅玉。防人の戦闘体勢の準備完了である。
「ライダー!? いや、違う! モンスターと合体!?」
少年は変身、もとい合体を終えると即座にこちらに向かってきた。手にした日本刀を振りかざしてくる。真司はドラグセイバーで受け止める。
少年の方が剣術の腕前に長けているとはとはいえ、日本刀とミラーモンスターや他の仮面ライダーに対抗するように作られた刀では強度が違う。
幾重に鍔迫り合いを続けていくと少年の日本刀が真っ二つに折れて、飛ばされた刀身が地面に突き刺さる。
刀が折れたことにより、男が一旦距離を空ける。
「何なんだよ!お前! このバトルロワイアルに乗ったっていうのか?」
少年は答えない。答えの代りにとこちらに右腕を突き出す。
少年の周りに浮いている球体から右腕に炎が集められ、炎弾がいくつも飛ばされる。
――GUARD VENT――
咄嗟に盾を装備し、どうにか防御に成功する。
この少年を一旦無力化するしかない。
「もう一度行くぞ!アシャ!」
再度少年が炎弾を繰り出そうとする。
――ADVENT――
先ほど折れた刃の破片からドラグレッダーが現れ、少年に体当たりをする。突然現れたドラグレッダーに対抗できるはずもなく、手痛い一撃を喰らわせることに成功した。
少年がこちらを見ながらこちらを見ながら体が小刻みに震えている。ダメージがひどいのか? それとも戦いを考え直してくれたのか?
少年の口からその疑問の答えが返ってくる。
「機械だと!? お前防人じゃなくてライダーって言ってたな……ライダーってのは機械と仲良くするってのかよ……!」
少年の顔は装甲で覆われていて見えない。だが、口調から明らかな怒りが感じ取れる。
「俺は機械を全部ぶっ壊してやりたいんだよ! あいつらを壊さないと俺の頭痛が治まらないんだ! だから、お前の機械も頭痛薬にしてやるよ!」
少年は折れた刀を眼前に構えると、球体からの炎を刀に宿し、炎の剣を作り出し、ドラグレッダーに斬りかかる。突然の狙いの変更に真司は反応できずにいた。
ドラグレッダーが口から火球を放つも、少年に炎の攻撃は効果があまり無く、腹部を横薙ぎの一閃が入る。
真司は支給品のペッどボトルをドラグレッダーの方に投げつけると、ドラグレッダーは雄たけびをあげながら、再び鏡の中に戻っていった。
少年は舌打ちをしながら続けて言う。
「俺達防人はな、譲れない願いがあるんだよ! 最初の部屋で言ってた通り、お前らライダーってのもここに集められたのなら似たような者だろ?」
「誰かの願いを踏みにじってまで叶えたい願いだなんて絶対に間違ってる! そんなことで叶えた願いで幸せになんてなれっこない!」
「……お前に何がわかる? ……お前に何がわかるッ!!」
機械を壊しきれなかった怒りと、機械を壊すことを否定された怒りが、相乗効果となって少年は激昂する。
――ズキン
痛い 痛い
――ズキン、ズキン
痛い 痛い 痛い 殺す
――ガァン、ガァン、ガァン、ガァン
痛い 痛い 殺す 痛い 痛い 痛い 殺す 殺す
「もういい! 機械と仲良くやっているお前でも頭痛薬の代りになるだろう!」
――アシャ
少年は呟きながら右腕を上げる。宙に浮かぶ球体から鮮やかな朱色が右腕に集っていく。
赤系統のグラデーションとでもいうのだろうか集められていった赤色は段々と形作っていく。
全ての願いを飲み込まんとするような大きな口。見つめるだけで全てのものを焼き払ってしまいそうな凶暴な瞳。
「確かに俺はお前の願いはわからない。だけど、必ず止めて見せる!!」
腰のカードデッキからゆっくりと一枚のカードを取り出し、右手についている手甲に装填する。
――FINAL VENT――
先ほど腹部に傷を負ったドラグレッダーが再び現れる。幸い、傷はそこまで深くなかったのだろうか、今のところ普段通り飛んでいるようだ。
どんな魔物でも噛み砕いてしまいそうな大きな口。先ほど斬られた怒りもあるのだろう、その無機質な瞳は少年を強く睨んでいる。
腰を低く落とし腕を龍の口に見立てるがごとく必殺の一撃を構える。
それは同時だった。
少年が飛び上がりながら右腕を振り下ろす。その炎が全てを飲み込まんと――
『護神像アシャ格闘術奥義! 火龍咆哮!!』
青年が天かける龍のごとく空へと舞い上がり龍の砲弾の勢いを利用した、必殺の蹴りを――
『おりゃああああああああ!!』
激しい音と共に閃光が辺りを支配する。その音はまるで龍が天を喰らうために暴れるが如く。
衝突の余波で周りが燃え盛る。爆煙で互いの姿は外からではどうなっているのか判断がつかない。
一陣の風が吹き、段々と人影が見えてくる。
その影がその輪郭を取り戻していく。人影は一人分。
立っていたのは――――――――少年だった。
仮面ライダーの一撃と防人の一撃。
ミラーモンスターの力を宿した一撃と護神像の力を宿した一撃とを比較して、少年の力が単純に勝っていたからというわけではない。
激突の寸前に、龍騎のドラグレッダーの力を利用した渾身の蹴りから、“ドラグレッダーの力だけ”が消失したのだ。
防人・レオにそのような特殊能力があるのか? 否、彼の操る力は炎と剣術。そのような力は無い。
先程の腹部の一撃が原因か? これも否、確かにダメージこそ受けたが充分に力を発揮できるほどの余力がドラグレッダーには残っていた。
その解答を知るために、激突の瞬間に時間を巻き戻してみよう。
〜〜〜〜
突然、同行者である真司に隠れているよう言われた彼女。
伊賀忍者頭領の娘といっても、剣術、体術に疎く、人並みの体力しか無い彼女は最初に言われていた通り草むらに身を潜めていた。
だが、たび重なる轟音、燃え上がる火の手。それを目にして真司を見捨てるほど伊賀鍔隠衆、頭領の娘は落ちぶれていない。
戦いながら移動しているのだろうか、近場に二人の姿は見つからない。音を頼りに二人の姿を探していた。
そう、これは不幸な偶然。
同行者となった城戸真司のことを心配して、少しでも力になればと思い探していたその瞳は確かに城戸真司を捉えた。
その『破幻の瞳』で――
彼女の能力について説明が必要であろう。
彼女は忍者の家に生まれながらにして、忍術はおろか体術、剣術と習得することができなかった。
そんな彼女が生まれながらにその両眼に宿した不可思議な力
技でもなく術でも無いその瞳が捉えたモノは、魔物のごとき忍者の術を苦もなく打ち破る。
神崎士郎が作り出した不可思議の塊、ライダーシステムのカード効果を打ち消した。
ライダーバトルの参加者である仮面ライダーガイが用いているコンファインベントを使われたときの様に。
最悪のタイミングで。
〜〜〜〜
少年は勝利を確信したのか高笑いを続ける
「機械には及ばなかったが、あんたも良い薬になったぜ? そのお礼に止めを刺してやるよ」
少年の技をモロにくらった衝撃で変身が解けて生身の状態で真司が横たわっている。胸元を見れば彼がまだ息をしていることがわかる。
あの腰のバックルが機械の龍と関わりがあることは先の戦いで理解した。
そのバックルを壊そうと真司に近づこうとすると、小石のような何かが飛来して爆発した。
爆炎は炎の護神像であるアシャと合体しているため対したダメージでは無い。
炎を振り払うと、真司の前に女が庇う様に少年を睨みつけていた。射殺す様な瞳で。
今の爆発はこいつか? と思案していると少年に変化が起こる。
彼の意思に反して護神像が分離したのだ。
「どうした!? アシャ! 俺はまだ戦えるぞ!?」
少年は突然の自体に動揺を隠せない。
「くっ、さっきの爆発の件といい訳がわからん! アシャ!一旦引くぞ!」
近くに放置していた少年のリュックを拾うと素早くこの場を離脱していった。
「真司殿! どうしよう…・・・私のせいだ… とにかく、どこかへ連れて行って治療をしなければ…」
【B-5/林道/一日目・深夜】
【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
[状態]:全身打撲、軽度の火傷、気絶
[装備]:カードデッキ(龍騎)
[道具]:基本支給品一式、桜田ジュンの裁縫道具セット@ローゼンメイデン
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを止める
1:???
2:朧と共に動く
3:神崎は焦ってる…?
[備考]
バジリスク勢は六名全員が味方だと認識しています
※参戦時期は後の書き手の方にお任せします
【朧@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:良好
[装備]:鉈@バトルロワイアル
[道具]:基本支給品一式、、BIM(クラッカー型)×6@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:弦之介達と合流する(その後のことはまだ考えていない)
1:真司を安全な場所に運ぶ
2:弦之介様に会いたい……
3:
現在の状況での行動・思考の優先順位
[備考]
破幻の瞳の効果について:防人や仮面ライダーが技を発動時には技を消失させ、しばらく見つめることで変身も解除される。
他の世界の参加者についてどのように作用するかは不明 朧は制限を正確には認識できていません。
※参戦時期:漫画版1巻、不戦の条約が解かれたことを知る前から参戦
◇ ◇ ◇
先程の戦いの場から離れ市街地にやってきた少年は適当な家屋に侵入して、イスに腰掛けて体を休めている。
「あの女……何者だ? 護神像の合体を解除したってことは……あいつが神なのか?
まぁいい。ライダーってのが他にもいるなら、そいつらは殺してやる…」
少年の機械に対する憎悪の炎は未だ勢いが衰えることは無い。
支援
【C-4/民家/一日目・深夜】
【レオナルド・エディアール@WaqWaq ワークワーク】
[状態]:疲労(中) 軽度の打撲、軽い頭痛
[装備]:アシャ@WaqWaq ワークワーク、折れた日本刀(柄付き)@バジリスク〜甲賀忍法帖〜
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:機械、それに関わる人間を頭痛薬にする
1:体を休める
2:ライダーを見つけたら殺す
3:防人以外にも戦えるやつがいるみたいだ
[備考]
ミラーモンスターを機械と認識しています。
[全体備考]
B-5エリアで爆発音が響きました。周囲の参加者は気付いた可能性があります。
B-5エリアの一部に火災が発生しましたが、自然に消えるレベルです。
折れた日本刀の刀身@バジリスク〜甲賀忍法帖〜はB-5エリアに放置されています。
【支給品紹介】
【カードデッキ(龍騎)@仮面ライダー龍騎】
仮面ライダー龍騎に変身できるカードデッキ。鏡の様な反射物にかざすとベルトが出現、そのベルトのバックル部卯分に装着すると変身する。
尚、サバイブ(烈火)のカードは入っていません。誰かの支給品に含まれているかは不明です。
【桜田ジュンの裁縫道具セット@ローゼンメイデン】
マエストロ級の腕前を持つ引きこもり中学生で真紅、翠星石のミーディアムでもある桜田ジュンの裁縫セット。
簡単な裁縫道具がこの中に入っている。
【鉈@バトルロワイアル】
何の変哲も無い鉈。七原秋也が同級生の大木立道に襲われた際に誤って彼の持っていたこの鉈で殺してしまった。
【BIM(クラッカー型)×4@BTOOOM!】
手のひらサイズの爆弾。見た目はトゲトゲのスーパーボールの様なもの。スイッチが付いており押すと起動、その後何かに当たると爆発する。
小さいが一般人相手なら殺傷能力は充分である。BTOOOM!内の様に持ち主以外が使用できるのかは不明。
【アシャ@WaqWaq ワークワーク】
防人専用武器。炎を操る力を秘めている。周りに浮かぶ4つの球体から炎を産み出して操ることができる。
【日本刀@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
伊賀、甲賀に広く普及している一般的な刀。
代理投下終了(1レスだけですが)
城戸さんはやはり城戸さんですね。レオは参戦時期が……
投下乙です。
あ、トリが出たままでしたね。
このまま続けて投下します。
「二度目、ってジョークにしちゃ笑えないな……。ご丁寧にも学ランも着せてくれてさ」
真っ暗な学校でそう独り言を呟く。
真夜中に明かりをつけてしまってはゲームに乗った奴らの格好の標的になる、とアイツから教えてもらったのを思い出す。
窓から漏れてくる月明かりが自分を照らす。この学校の周辺で明かりの代わりになるのは月ぐらいだろう。
肌に冷たい空気が突き刺す。もっと厚着をさせてくればいいのにな、畜生。
二度目、というのは自分が参加させられたクソッタレなゲームに殆どルールが同じだったからそう表現したのだ。
戦闘実験第六十八番プログラム。そう呼ばれていたものに自分は参加させられた。
政治に関して全体主義の体制をとる『大東亜共和国』の戦闘シミュレーション、だったか。あの時はクラスメイトと仲良く殺し合いだったな。あまり思い出したくない。しかし忘れるわけにはいかないのだ。
沢山の犠牲を払って、そして今、自分は生きている。友達を何人も失って。川田も、三村も、杉村も、そして、……桐山も。
やっとのことで脱出して、それで唯一の生き残り、中川典子と一緒にクソ政府にカウンターを喰らわせようと下準備を始めていた所である。
が、なんだこの状況は?殺し合い?また?おいおい、どうなっている?
なんてタイミングの悪さだ。
「だけどなぁ、こんな事で挫けるオレじゃないんだぜ」
いいだろう。お前らのいうクソッタレプログラムにまた付き合ってやろうじゃないか。
だが、全員殺して暖かいお家に帰るより主催にカウンター食らわせて暖かいお家に帰る方を俺は選ぶ。
……しかしだ。今回は少し相手が違うらしい。あのよくわからない鏡だけの部屋からどうやってここの学校まで移動させたのだろうか?
前は神経ガスかなにかで眠らされてから拉致され、一人ずつ分校を出発したのを覚えている。
だが今回は違った。早くドアを出ろ、と急かされて、出たら学校の黒板にキスをした。(しかも忘れられない始まりの教室だ。畜生)
そして後ろを振り返ると自分が出たはずのドアがないのだ。
……ドラッグとかした覚えは無いし、幻覚とか見たことも無い。だが、急に移動をしたのは確かなのだ。まるで瞬間移動をしたみたいに。
……細かい事を考えても仕方が無い。それにいま自分の考察をまとめるのは早すぎる。
先ずは自分の支給品を確認だ。
デイパックを開けるとでてきたのは見覚えのあるショットガンだった。
レミントンM870。川田が使っていたものと同等の物かはわからないが、俗に言う『当たり』を引いたのではないだろうか?
他は……おいおい、ショットガンと弾だけか?……寂しい装備だが贅沢は言ってられないか。
で、前回と同じ通り水と味の無いパン、時計に筆記用具、そして名簿。
そういえば、まだ名簿を確認していなかった。自分の知り合いが参加している事は無さそうだが……
しかし、名簿に載っている名前は予想以上に異常だった。
「……なっ!?三村!?杉村に相馬、桐山!?」
どうなってる。死人の名前が名簿に乗っているだと。
自分は他のファンタジー色溢れる名前より、その4つの名前に目が言ってしまう。
ミスプリント、にしては偶然すぎるだろう。同姓同名?……いや、それもありえない。
ではなんだこれは?……オレを混乱させる為のブラフか?いや、そんな事をして政府に何のメリットがあるんだ?
では本当に?いや、それはありえない。死人が生き返るだなんて。
「……死人が生き返る?」
『……そして、死者を蘇らせたい者。 最後の一人になった者にはどんな願いでも叶えてやることを約束しよう。我々にはそれが可能だということを知っている者もいるだろう?』
先刻聞いたばかりの言葉を思い出す。
……もしかしたらあの鏡の部屋のスクリーン(かなにか)に移った男は大東亜共和国の政府の人間ではないかもしれない。
ではなんだ?神様とでも? ヘッ、笑えるぜ。神が居たらオレはあんな殺し合いに巻き込まれなかっただろう。
しかし、これは仮定の話だ。馬鹿らしい仮定だが、奴が神だとしてそれで生き返らせたとして……
「いや、この仮定はやめておくか……いつからオレは電波少年になっちまったんだ?」
考えるのをやめた。死人は生き返らない。神は居ない。それでいいじゃないか。名簿の名前は同姓同名ということにしておけばいい。
そう納得しなければ混乱で死にそうだ。
次にすべきことは情報収集と物資調達か?この首輪を外す方法、そして工具を探す。できれば仲間も。(同姓同名の奴がもし……いや、やめておこう)
先ずは、この学校をでることにしよう。
ポチャン
……なんの音だ?廊下から聞こえた。
デイパックを背負い、ショットガンを構えて廊下にでる。
ショットガンを強く握った手から汗が滲む。
殺し合いの序盤だ。音を出す行為は参加者にしては無用心すぎるだろう。(それともオレが二度目だから用心しすぎているのだろうか?)
音は女子トイレから聞こえる。
自己支援
スコーン
また音が鳴る。ゆっくりと脚を進め女子トイレのドアの前に立つ。人影は見えない。
真夜中だからそれはなおさら見えない。古い学校の女子トイレのドアは木目がよく浮かんでいる。中から光が漏れていた。この光はこのドアの向こうの窓から漏れる月明かりだろう。
そして、ドアをゆっくりと開ける。
目の前にはなにも無い。しかし、なんて汚いトイレなのだろうか。掃除がまったく行き渡っていないじゃないか。
こんなところで用は足したくない。酷い匂いが鼻を突く。こんなところに長居はしたくなった。
振り返りドアを開けようとした、そのときだった。
「……ん?」
掃除が行き渡っていない汚い床に、それはなんとも美しい、そして華やかに装飾された服、俗に言うゴシックロリータチックな服を着ていて、そして透き通る様な肌をしていて、いまにも動き出しそうな人形が落ちていた。
「……なんでこんなところに人形が?」
両手で持ち上げる。感触は柔らかく、肌は赤ん坊の様にきめ細かい。目は瞑っているものの睫毛は長く、音楽を奏でそうな細い指。
なんと美しいのだろうか。
「…まぁ、中川には劣るだろうか」
おいおい、唯の人形と最愛の人を比べるなんて馬鹿らしいじゃないか、と自分で突っ込む。
……なんでこの人形は錆びたドアノブを持っているのだろうと疑問を持つ。
そのドアノブを取ろうとするが、完璧に掴んでいて中々離さない。
何故取れないのだろうか。おもいっきり引っ張ってみた。そのときだった。
ギョロン、と人形の目が開いた。
「なっ!?動いた!?」
「痛いわ。気安く触らないで頂戴」
バチン
☆ ☆ ☆
猿は解除したはず 支援
支援
「……酷い匂いね」
薔薇乙女第五ドール、真紅。彼女はあの扉から出てきたところは彼女にとってあまりにも汚いところだった。
女子トイレの個室であった。そこは暗く酷い匂いが鼻を突く。
前が見えない。
ポチャン。
「……最悪なのだわ」
暗くて見えないため、和式便所に片足を突っ込んでしまった。
本当に最悪だ。アンモニアの匂いがさらに鼻を突いた。
冷静に脚を引き上げた。中にも染みて不快である。匂いは…………。
この面倒な事が終わったらジュンに洗ってもらわなければ。
個室から出ると更に匂いが強まった。月明かりのお陰で少し視界がよくなったが。
「本当、酷い匂い…」
掃除はどうした。この館の執事はなにをやっているのだ。
とても埃っぽいし、ところどころ『物』っぽいものが見える。
不快だ。不快すぎる。
私はまずこのアリスゲームに良く似たこの催しについて考えることよりも、そして私をどうやって此処につれてきたのかより、早くここから出たいという気持ちの方が勝っていた。
しかし、出口のドアは閉まっていたし、ドアノブに背が届かない。
なにかいいものはないか。
「ホーリエ、なにかつけるものはないか探して頂戴。……ホーリエ?」
ホーリエは呼びかけに応じない。つまり居ない。
まったくあの男は面倒な事をしてくれる。
仕様が無いので自分で探すことにする。しかし苦労しないうちに開けっ放しの用具室にバケツを発見した。
よいしょ、と運んでドアの前に置く。そしてそのバケツの上に乗る。
「さて、これでようやく……キャッ!?」
しかし、運が悪かった。ドアノブが外れる。
バケツの上に載ってもギリギリ届くぐらいのところにドアノブにあったので、自分の体勢は転ぶか転ばないかギリギリであった。
予想通り、真紅はドアノブを持ったまま倒れてしまった。
スコーン、と情けない音がでる。
「(あら?……意識が…)」
打ち所が悪かったようで意識が飛ぶ。
このままなら夢の中を彷徨うことになるだろう。
そして文字通り、夢の中にダイブした。
夢の中で体が浮く。なんとも心地よい気分だろうか。
まるでティータイムの後の御昼寝に似ている。
しかしだ。その心地よい空間に腕を強い力で引っ張られる。
なんだ?あぁそうか。私はドアノブを掴んだままね。
しかし、意識が起きても体は起きてくれなかった。一種の金縛りである。
早く起きないと腕がもぎ取れる。
そして……
「なっ!?動いた!?」
「痛いわ。気安く触らないで頂戴」
やっと体が起きた。条件反射でツインテールでその少年を鞭の様に攻撃した。
本当危ない所である。本当に腕がもぎ取れるところであった。
目の前には顔が結構整っている少年が居た。しかしその顔は驚嘆に満ちていて、まるでお化けを見た様な表情をしていた。
数十秒の沈黙が続く。
少年は殴られたのにも関わらずまだ私の体を持っている。
「……レディが目の前に居るのに名を名乗ることもしないの?」
「え…あ、オレは七原、七原秋也……」
支援
少年はまだ驚いている。この反応は私を始めて見たジュンのようである。
というよりか初対面の人はだいたいこの反応だ。
相手が名乗ったからにはこちらも名乗らない訳にはいかなかった。
「秋也というのね。では私も名乗りましょう。私は薔薇乙女第五ドール、真紅よ」
酷い匂いが充満するこの場所で、月明かりが二人を照らす。
このファーストコンタクトは最悪なものなのか、それとも……
【G-4:分校(鎌石小中学校)、女子トイレ/1日目/深夜】
【七原秋也@バトルロワイアル】
[状態]:頬に痛み。
[装備]:レミントンM870(8/8)
[道具]:基本支給品、レミントンM870(8/8)、レミントンM870の弾(30発)
[思考・状況]
基本行動方針:プログラムの打倒
0:人形が動いただと?
1:脱出の為の情報収集、工具集め。
2:名簿の名前は……
※本編終了後から参戦。
【真紅@ローゼンメイデン】
[状態]:健康。左足からアンモニア臭。
[装備]:錆びたドアノブ
[道具]:基本支給品、不明支給品(1〜3)
[思考・状況]
基本行動方針:まだ決めていない
0:早く此処から出たい。
1:此処から出たら何をするか決める。
※参戦時期不明。名簿に目を通してません。
投下終了。おかしいところがあったら指摘お願いします。
あ、言い忘れてました。皆様支援ありがとうございます。
S33氏投下乙&代理投下ありです!
真紅可哀想にww エンガチョですねw
七原はロワ完全クリア後か〜。これは経験値的な意味で期待できそう。川田の思いのこもったショットガンを手に頑張れ!
ひとつ指摘を
実はこのロワは固有武器等を持っているキャラにはそれを支給ってなってるので、人工精霊ホーリエは支給してても良いかも…
んで不明支給品の数が真紅の場合は1〜2個。
まぁトイレの近くにいたってことで、次話とかで登場させてもいけますが。
あぁ、すいません、そのことを失念していました。
後に修正スレに修正Verを投下させていただきます
と、思いましたがこちらに修正投下します
61の途中から
※
「ホーリエ、なにか踏み台になるものはないか探して頂戴。……バケツ?」
ホーリエがトイレをちょこまかと動く。そしてそう時間がかからないうちにホーリエはそれを発見した。
開けっ放しの用具室にバケツが置いてあった。ぐるぐるとバケツの回りをホーリエが回る。
ありがとう、と言いながらそれを運んでドアの前に置く。そしてそのバケツの上に乗る。
※
に差し替えお願いします。それと真紅の持ち物の不明支給品を(1〜2)に修正お願いします
真紅の気絶しやすさは原作ゆずりですね!
しかし、開幕早々運が悪い……いや、うんがついたと言えるのだろうか
クリア後の七原は結構心強いね、ショットガンも大当たりの分類かな
これからの二人に期待!乙でした
各氏投下乙です!
>◆CFbj氏
朧さん……他人を心配すればするほど『破幻の瞳』が発動するとか、
真司はとんでもない娘を拾ってしまったな
レオはやっぱそこからかー。シオと会うのが楽しみだw
>◆S33w氏
真紅いきなり汚れちゃったけど頑張って!
七原は完全にリピーターか。どう動くやら
レオの参戦時期書き忘れていた!
参戦時期:松田(神)に偏頭痛を治してもらう前のいずれかより参戦。シオと面識があるかは後の書き手の方にお任せします。
以上で!
投下乙です
七原はもう一度生還のか?
それでは天野雪輝、ガッシュ・ベル
投下させていただきます。
初心者の文ですが、楽しんでいただけたら光栄です。
まずはこのバトルロワイアル内の二人の人物の出会いと
その経緯を書かなくてはいけないだろう。
どのようにして二人が出会ったのか。
そして、どのような決意をしたのか。
それは、まだ分からない。
【天野雪輝side】
「ど・・・どうしてこんな事に・・・。」
彼、天野雪輝はなぜこんなことになったのかは全く見当がつかなかった。
「またデウス・・・じゃなさそうだけど。」
そう思いながら彼はリュックの中を探り出す。
まず見つけたのは
「携帯電話!?やった!これがあれば・・・」
小さな希望を見つけた。
しかし違和感に気づいて希望が絶望に変わるまで時間はかからなかった。
「電話ができない・・・最悪じゃないかよ。」
しかし、そこからまたほんの小さな希望が生まれた
「あれ・・・これ、僕の日記だ。」
そこに書かれていた文は、
【よくわからないところに飛ばされる。】
無差別日記、雪輝が日々書いていた日記だ
客観的に書かれていて自分に関する情報は少ないが
情報量が多いことが良点である。
そして添付していた説明書に目を通すと
能力が弱くなっているけれど壊れても死ぬことはないらしい。
「これは壊れても死なないのか・・・良かったのかな?」
「でも・・・ということはデウスじゃないのか?」
支給品を確認しているときに名簿に気付いた
「そうだ、名簿も確認しないと。」
そう言い確認し始める。
目を通し始めてすぐ
「え・・・戦場マルコ?」
信じられない出来事が起こった。
「あいつは・・・あの時死んだはずなのに。」
死人が生き返る、そんなことはあり得ない。
出来るとしたらやっぱり。
「デウスも・・・何か加担しているのか・・・?」
他にも雨流みねね、来栖圭悟、美神愛
どれも死んでいった人の名前ばかりだ。
「まずは由乃を探さなきゃ・・・いろいろと怖いし。」
そうして彼はその場の探索を始めた。
【ガッシュ・ベルside】
「ウヌゥ・・・なぜこんな事になったのだ。」
金色の頭髪にくりくりとした丸い瞳。
戦いが終わりやさしい王様となったガッシュ・ベルだ。
その彼の手には自分の魔本があった。
「ウヌゥ・・・ウヌゥ・・・」
考える、どうしたらいいか、どうしたらみんなを助けられるか
「ティオやキャンチョメ、他のみんなだってここにいる・・・。」
「だったらやることは決まっている!
やさしい王様としてこのゲームを終わらせてやるのだ!」
そう高らかに宣言する彼の瞳はまっすぐだ。
きれいなほどにまっすぐだった。
◇ ◇ ◇
【Both aspects-両視点-】
「遊園地だけど・・・特にこれといって何もなさそうだな。」
天野雪輝はランタンを揺らしながら歩いていた。
「近くに由乃がいるといいけど・・・」
「だれかいるのか!?」
「!!」
そこに現れたのは金髪の少年だった。
「え?・・・なんだよお前・・・。」
「ガッシュ・べルなのだ!ガッシュと呼んでくれ。」
「ぼ、僕は天野雪輝だ。」
「そうか、ならば雪輝でいいな。」
僕は戸惑う、こんな子供もまきこまれているなんて・・・
信じられなかった。
「なぁ雪輝、お主は」
「なんだよ?」
「こんな事をした奴が許せないか?」
「あたりまえじゃないか!こんな事・・・」
死んだ人間も生き返らせてまた殺し合いをしろって
趣味が悪いとかいうものじゃない。
「じゃあ、手伝ってくれぬか?」
「え?」
「絶対にこんなことは許せない、だから絶対に潰さなくてはいけないのだ」
「・・・」
唖然としていた。
こんな子供でもこんな意志を持っているのに。
それに比べると自分はこんなにも脆く、弱い
「僕なんかでもいいのか?」
逃げるなら今しかなかった、逃げたかった
怖かった、でも賭けてみたくなった。
この金髪の少年、ガッシュ・ベルに。
「ウヌ!助かるのだ!それじゃあ行こうではないか!」
「え?どこに行くの?」
「決まっているだろう!こんな事を考えた奴を倒しに行くのだ!」
これが二人の出会いだ
この後彼等がどうなるのかはまだ分からない
to be continued
【A-7遊園地/一日目/深夜】
【ガッシュ・ベル@金色のガッシュベル!!】
[状態]:健康
[装備]:魔法のマント@金色のガッシュベル!!
[道具]:基本支給品、ガッシュの魔本@金色のガッシュベル!!、不明支給品×0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:やさしい王様としてこのバトルロワイアルを止める。
1:雪輝と行動する。
2:ティオやキャンチョメ達仲間との合流
※参戦時期は本編終了後です。
【天野雪輝@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:無差別日記@未来日記
[道具]:基本支給品、不明支給品×1〜2(確認済み、武器はない)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いはしない、でも死にたくない
1:ガッシュを信頼して行動する
2:まずは由乃と合流する(いろんな意味で怖いから)
3:その他の知り合いは・・・?
※参戦時期は少なくとも由乃以外のロワ参加者が死んでからの参戦です。
【ガッシュの魔本@金色のガッシュベル!!】
ガッシュ・ベルの魔本、赤色である。
この本が燃えてもガッシュは消えることはない。
術を使うために必要なものだったが
今ロワでは、パートナーなしでも使える
高嶺清麿しか読めないが参加者に清麿はいない事から
普通の人でも読める可能性はある。
金色の魔本になるのかは不明だがほぼ不可能であると思われる。
【魔法のマント@金色のガッシュベル!!】
ガッシュとゼオンが普段着ているマント。
外見は色違いで、機能は同じ。
高価な魔法の布で作られており、魔物が持つ道具では後者に該当する。
魔力を使うことで着た者の意のままに動かしたり
伸び縮みさせることが可能で
訓練次第で攻撃・防御などにも使える。
胸元に付いているブローチが付いていれば
破れても時間と共に修復される。
ブローチは付いているが、回復速度はとても遅い
【無差別日記@未来日記】
1stと呼ばれる天野雪輝の所有する日記。
これが壊れても天野雪輝は死亡しない。
自分を中心とした周囲の未来を無差別に予知する能力がある。
元々は趣味として雪輝の見た物を日記に書いていた物がデウスの力により変化したもの。
全日記中最多の情報量を持つが
普段から雪輝が傍観者でいようとしたため
自分自身のことが一切書かれていないという欠陥がある。
また、あくまで雪輝主観の情報に依存するため
雪輝が間違った情報を把握した場合は
間違った情報のままの未来が表示されてしまう。
投下終了です。
間違いなどがあったら指摘お願いします。
題名の元ネタはガッシュのEDからです。
代理投下します。
途方に暮れたような顔で住宅街の中を歩いていると
二人の女が近くの路地から飛び出してきた。
「助けて!」
縋るような声と共に制服を着ている少女か女か区別がつかない方が是方昭吾 に抱きついてきた。
もう一人の女はどんな目にあったのだろうか。
さして高価ではなさそうであるがそれでも
彼女の年頃ではまず普段着に選ばないであろう着物が乱れ、
乱れた髪は彼女の顔にかかり、
俯いた顔とともに表情を判断するのを困難にさせていた。
「私達、襲われていたの。後ろの彼女は私と一緒に逃げてきたのだけれど
女だけじゃどうしても怖くて……ねえ、おじ様。一緒に行動してくださらない?」
「お、お前さん達も殺し合いの参加者か?」
保護を求め、拠り所にするかのように老人である是方の腰に手を回した彼女は首を振る。
むむ、それもそうかと是方は思った。
これは恐らくシルバーバトルの一環。
それなら老人とは程遠い目の前の二人が選ばれるわけもなしいうことだ。
二人の女が発する強烈な色気に知らず知らずのうちに欲情を滾らせていた是方は、
無関係な若い女性を暴力の矛先に選んだまだ見ぬ参加者への闘志を燃やす。
「よし、お前さん達はここで待っていろ。おれがそいつをとっちめてきてやる」
制服を着た少女が無意識のうちに押し付けているであろう腰や脚。
それらに反応する下半身を特に隠そうともせず
まだ顔を上げない着物を着た方の女性へ少し下品な視線を向けながら是方は言う。
襲われたのは飛び出してきた路地の先だろう。
女を襲うような不届き者に
銃を支給された元自衛官の自分が負けるはずがないと是方は思う。
「ダメ、行かないで。おじ様がいなくなったら私達、怖くて死んじゃう」
腰に回した手を胸元へ移動させ、目を潤ませ上目遣いに少女は懇願する。
「ね、私達おじ様に従うから。何でも好きなようにしていいから」
その言葉で老人は吸い寄せられるかのように女性へと顔を近づけ、貪るような接吻をする。
これは目の前の女を安心させるため。
そう自分に言いながら唇を離し、少女の細い首に巻きつけられたマフラーを外し
服を脱がそうとする。
マフラーの下にあった首輪を見ておや? と一瞬思ったが場に充満する女の匂いが
是方から判断能力を奪う。
急速に抜け行く理性を尻目に精力家はいざ、性欲を暴走させんとする。
しかし、唐突にもう一人の着物を着た女が是方に接吻をした。
粘体動物のような動きをする色気の権化のような女。
横取りされ、不満の声を揚げる隣の女。
二人同時は体力的にどうなんだと思う冷静な自分は何処かへと消え、
そして――
【是方昭吾@銀齢の果て 死亡】
「あらぁ、もっと愉しんでからの方が良かったんじゃない?」
「黙れ」
【C-4/1日目/深夜】
【相馬光子@バトルロワイアル】
[状態]:健康、マフラー着用
[装備]:
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×5、レミントンM700@現実
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する
1:陽炎と協力して殺す方に回る。
【陽炎@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品×3
[思考・状況]
基本行動方針:甲賀弦之介を優勝させる
1:相馬光子と協力して(弦之介、霞刑部以外を)殺す方に回る。
2:頃合いを見て相馬を殺す
以上で代理投下終了です。
続けて投下します。
雪山を背にして、短髪の中年男が月に白く煌く雪原を歩いている。
いや、歩いていると言えば聞こえはいいが、実際にはビール腹を盾に雪をブルドーザーのように押し退けている、と表現した方が事実に近い。
無論遊んでいる訳ではない。その証拠に男の形相は必死そのものだ。
「さ、さ、さむ、寒い、寒い。た、堪らん。や、や、やっとられんがな、ほんま」
男の名は平清。名刺を差し出すと偶に妙な顔をされるが、平が姓で清が名である。
読みはタイラキヨシ。決してヘイセイさんでもなければピョンチンさんでもない。
彼はつい先日までは、不動産業を営み家族を愛する普通の日本人男性だった。
しかし客の恨みを買ったのか、はたまた別の理由からか、平はネットゲーム『BTOOOM!』を模したデスゲームに突然放り込まれてしまったのだ。
その中で彼は猛獣に襲われたりナイフで指を落とされたりと、散々な目に遭ってきた。
そこにまたこの訳の分からない理不尽なルール変更である。
しかもいきなり雪山の中腹に放り出され、信頼出来る仲間である坂本とも逸れてしまった。
平はこれまでのゲームと今の状況との関連を深く考えるどころか名簿を確認する余裕すらなく、必死に雪を掻き分け掻き分け山を降りてきたところだった。
全ては一夜の悪夢である、と思いたいところだが、左手の甲に埋め込まれたガラス玉のようなものが、静かに現実を主張している。
「ま、まずあそこの塔まで、た、辿り着かな……」
夜とはいえ幸い天気は良く、山の中腹からも平原に建つ人工物らしき高い塔のシルエットが見えていた。
それを目指してひたすら雪原を進む。
「ふう、ふう、ふう……。何でワシがこないな目に……」
悪態を吐きながらも、どうにかこうにか塔の真下まで辿り着く。
いざ間近で見上げてみると、塔は平の想像よりも数段巨大だった。おまけに外装は水晶のように透き通っている。
一体どうやったらこんなものを造れるのか。
天を衝く威容を前に、思わず唾を飲み込む。
「これ、東京タワーより高いんとちゃうか? ともかく、入ってみるとするかい」
ただ高いだけではなく、塔の内部はとても広かった。
しかもそこまで美術品に詳しい訳でもない平が見ても、明らかに高級と判る調度品がごろごろ転がっている。
それも職業柄よく見る成金趣味の産物とは違う、調和の取れた高級感だ。
テレビで見るヨーロッパの城の内部がイメージとしては近い。
「落ち着かんなぁ――っとと」
漏らした声が想像以上に大きく反響し、平は思わず手で口を塞ぐ。
「……そういえば、何で怪我が治ってんのやろなあ」
小さく呟く。
あまりの仕打ちに失念していたが、他はともかく失った指を傷跡も違和感すらもなく再生するなど、並の技術では不可能だ。
願いを叶える、というのは強ちハッタリではないのかもしれない。
とすれば、たとえば最後の一人が『参加者全員を生き返らせてくれ』などと願えばめでたくハッピーエンド、となるのかもしれないが、
「……ま、ムリやろな、それは」
わざわざ殺し合いなどという非道を強制する者が、そんなことを許す程甘い訳もない。
それ以前に、そこまで赤の他人を想う人間など滅多にいるものではないと、平は知っていた。
足手纏いだった自分を命懸けで助けてくれた坂本のような者は例外なのだ。
やはりここは何とか脱出することに専念すべきだろう。
勿論一人では無理だ。信頼出来る仲間が欲しい。そう、坂本のような。
しばらく彷徨っていると、客室らしき部屋が並ぶ廊下を見付けた。
一番手前ドアに近寄り、金属のノブを捻る。鍵は掛かっていない。
慎重にドアを押し開ける。見たところ、中には誰もいない。
部屋に入り、後ろ手にドアを閉めて室内を眺める。
窓は奥に一つ。床には金の刺繍の赤絨毯。左手の白い壁には絵画が掛かっている。
部屋の中央には大きめのテーブルが置かれ、その向こうにはベッド。
ベッド脇のクローゼットには服が並んでいる。
「お? 服があるやないか」
これを利用しない手はない。どれも少々奇抜な服のようだが、贅沢は言えない。
真夜中の雪中行軍によって、平の服は下着までびしょびしょになってしまっている。
早速腰のベルトを外し、ワイシャツを脱ぎ捨てる。
下着ごとズボンを下ろしたところで、微かに妙な声が聞こえた気がして、平はぴたりと動きを止めた。
耳を澄ます。
「ふっふっふー。ラッキーなのかしら」
遠い声。
空耳ではない。今度は意味を持った言葉が確かに耳に届いた。
「きっとこんな端っこの方には誰も来ないのかしら。スニーキング乙女の本領発揮なのかしら。
カナは真紅たちが弱るのをのんびり待ってればいいかしら」
廊下から、緊張感に欠ける声が聞こえる。女の子のようだ。
かしらかしらと何度も五月蝿い。
「最後に笑うのは、この薔薇乙女(ローゼンメイデン)一の頭脳派、金糸雀なのかしらー」
出し抜けに、部屋の入口のドアががちゃりと開いた。
一人の少女が見えた。
いくら何でも無用心極まりない闖入者に、平はあんぐりと口を開けて硬直する。
しかし少女もまた、口を半開きにして固まっていた。
少女は、橙を基調とした下部がドロワーズ風のワンピースに、燕尾のような黄色い上着を着ている。
エメラルドの瞳に同色のロールヘアが特徴的だ。
殺し合いの場には場違いにも程がある容姿だが、この豪奢な塔にはむしろ似つかわしい。
そこまで考えて、平は自分の格好を思い出す。
「あ」
時間が凍り付いた。
裸である。
紛うことなき全裸である。
少女の視線が股間に突き刺さっている。
寒さで萎縮したモノは隠されていない。
腹の肉が揺れた。
「へ、変態かしら〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
凍り付いた時間を解凍したのは、少女の絶叫だった。
【A-1/クリスタル・パレス/1日目/深夜】
【金糸雀@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、金糸雀のバイオリン@ローゼンメイデン、不明支給品×1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:ズル賢く立ち回る。
1:変態かしら〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
[備考]
【平清@BTOOOM!】
[状態]:健康、全裸
[装備]:
[道具]:基本支給品、BIM(ホーミングタイプ)×8@BTOOOM!、不明支給品×1〜2(服は無い)
[思考・状況]
基本行動方針:脱出する。
1:!★な?$♂!%☆#
2:信頼出来る仲間を探す。
[備考]
※4巻で指を切り落された以降の参戦です。
※まだデイパック内を確認してません。
【金糸雀のバイオリン@ローゼンメイデン】
金糸雀の専用武器。金糸雀はこれを媒介に多彩な技を使用する。
弦が切れると役立たずになる。
【BIM(ホーミングタイプ)@BTOOOM!】
相手を捉えてロックオンすることが出来るBIM。
ロックオンするとプロペラが起動し、対象を追尾して爆破する。威力は低い。
以上で投下終了です。
平清の状態表道具欄の(服は無い)は消し忘れでした。収録後に消します。
よし全部読んだ。
>赤龍激突/
レオはトチ狂ってる時期からの参戦か。
朧は切り札でも爆弾でもあるな。
>月の光、うつつの夢
七原が主人公らしい……だと……。
いや主人公だけど。
真紅はウン悪いなw
>今日より明日は
まぁ王道主人公コンビか。
由乃に見付かったら死亡遊戯開始だけどな!
一つ指摘ですが、
>【よくわからないところに飛ばされる。】
これは雪輝自身の状態を表す記述ですので、無差別日記の特性と矛盾します。
>女の世界
爺さんwどう見ても罠だろwww
あ、すみませんが「今日より明日は」についてもう一つ細かい点を。
「金色のガッシュベル!!」は別作品ですので、「金色のガッシュ!!」に修正願います。
すみません。本当にすみません。
>>74の【よくわからないところに飛ばされる。】を
【観覧車やジェットコースターのレールがある。ここは遊園地のようだ。】に修正します。
ガッシュベルはアニメ版でしたね。失礼しました。
ガッシュの状態表、支給品説明のところを金色ガッシュ!!に変更します。
朝起きたら更に投下が!
投下乙です!
>今日より明日は
ユッキーの中では皆死んでる…… この時期は過激派ユッキーじゃないか。ガッシュ逃げてー!
修正点ってか指定をひとつ
◆9n1Os0Si9I氏
・・・は……の三点リーダとよばれる記号にするのが一般的で見やすいですよー
あと、三点リーダは基本は2個繋がりで使うと良いらしいです。
>女の世界
予想通り過ぎて逆に吹いたwww お前奥さんに操を立てたんじゃないのかw てか、怪しすぎるだろww
光子と陽炎の出会いは次回に持ち越しですね。 最後の掛け合いだけで仲良くないのがわかるw
>スイートポイズン
連続サービス回とは……このロワは女性にも男性にもサービスする健全なろわです。
さすがの金糸雀、どこか抜けてる。いきなりドアを開けるとは。
投下乙でしたー
9n1Os0Si9I氏
三点リーダの件もそうですが、句点が文末についてたり、ついてなかったりしているのも良ければ氏に修正していただきたいのですが。
「」内の文末に句点はいらないと思います
〜〜。」 → 〜〜」 のように。
修正したら避難所の一時投下スレにでいいので再投下をお願いします。
感想は以前に書いたので省かせていただきます。
マガジン系は二点リーダを使用する、国語の教科書などでは「」内の文末にも句点を付ける、など
出版機関によってその辺りの細かい文則は異なります。修正が必要な点ではないでしょう。
文末の句点抜けはwiki上で修正して報告すればいいと思います。
それでは投下します。
陽炎と相馬光子。
二人の毒婦が去って五分。
「やれやれ、ようやく行ったか」
彼女達を慎重に見送ったカントリーマンは、民家の屋根の上から飛び降り、是方昭吾の死体の傍にほとんど無音で着地する。
白髪に白髭を蓄えたしわくちゃの老人の姿からは想像も出来ない身軽さだ。
カントリーマンは、二人が是方を殺害する様子の一部始終を屋根の上から眺めていた。
見たところ彼女達は姦計と色仕掛けを武器にするタイプである。正面から戦って勝てない相手ではないだろう。
しかしだからといって油断は禁物。どんな隠し玉を持っているか知れたものではない。
それにまだまだ先は長いのだ。あの二人は放置して、好きに他の参加者を殺して回らせた方が都合が良い。
どの道――あの程度の連中に殺される奴等が、目下最大の敵を倒す役に立つはずがないのだから。
そう、目下最大の敵。
カントリーマンは頭を抱える。
「クソ! 他はまだしも、あのチャン右頭を殺せだと? 冗談キツいゼ。同名の別人ならいいんだが……」
世の中そんなに甘くはないだろう。
既に破経の呪法は解けているといっても、まともにやり合えば勝機は皆無だ。
とにかくチャンをどうにかする方法を考えなければ、願いもクソもあったものではない。
「まぁ、しかしまずは当面の戦力が要るわな」
口を引き結んで、精液臭い死体を観察する。
厳つい顔が、苦痛と快感の入り混じった恍惚の表情のまま固まっている。
盛り上がった股間に染みが付いている。
「ったく、この早漏ジジイ。挿れてもねぇのに果ててやがる」
外傷はない。
歯茎や眼底からの出血も見られない。
「フン、こりゃ神経毒か。何にせよ、肉体が無傷で残っててくれるのは有難いね」
性交中の毒殺――非力な女性による殺人法としては使い古された手である。
特に射精の瞬間の男は完全に無防備であり、慣れればまず失敗することはない。
路上でなされた例はあまりないだろうが。
さて、と呟いて、カントリーマンは羽根のような形の刃を持つ奇妙なナイフを取り出した。
「死人すらも治療するのが、『医者(ドクター・ライセンス)』を持つ俺の力だ」
ナイフが閃き、是方の死体が一瞬にして切り刻まれる。
更に、目にも留まらぬ手捌きで、血が零れるよりも早く傷口の縫合が完了する。
是方の首輪はいつの間にか外され、カントリーマンの手中に収まっていた。
「こんな人形でも、ないよりゃマシだろ」
数秒の後、是方の喉から唸り声が漏れ、濁った眼が見開かれた。
今やカントリーマンの操り人形と化した老人の死体が、驚異的な力を発揮してアスファルトを破り地面に潜っていく。
その姿が完全に地中へと消えたそのとき、南西から爆音が響いた。
カントリーマンが片眉を吊り上げて振り向く。
【C-4/1日目/深夜】
【カントリーマン@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:健康
[装備]:奇跡の執刀(ハイブリッド・メス)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品、不明支給品×1、首輪(是方昭吾)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する。
1:チャンに勝ち得る方策を模索する。
[備考]
※是方昭吾の死体をアンデッドとして従えました。
※陽炎、相馬光子の武器を毒と判断しました。
【奇跡の執刀(ハイブリッド・メス)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
カントリーマンの専用武器。非常に鋭利な刃物。
凄まじい速さの外科手術を可能とする。
以上で投下終了です。
>>92 文末の句点は修正してしたらばにでも報告すればいっか。句点だけとはいえ、作者の意見無しでいじるのは気が引けるんだけどね……
初めての方っぽいから、最後まで自分で修正した方が楽しめると思っての意見でしたが。
投下乙
カントリーマンは死体ゲットか。幸先良いな。レオと真司の闘いの音に気付いたっぽいな。
向かうのか、避けるのか…
後、まとめ辞典に載ってる現在地CGIっての使える人いないのかな?
あると結構便利だと思ったけど、自分はちょっと扱いきれそうになくて……
>>96 ああいえ、修正自体は作者本人でないとまずいかと思います。
句点追加程度の修正ならwiki上で行っても問題ないかというだけで。
それと確かに現在地CGIはあった方が楽なので私が用意してみます。
ただCGIとは何かすら知らないので今から勉強してきます。しばらくお待ち下さい。
>>98 とりあえずこのまま収録。以降作者の降臨待ちってことで了解。
まぁ話の筋が変わるわけじゃないからってことですね。
あと、地図CGIの件お願いします!
投下します
「お前、その本を読んでみろ」
と、そのガキは言った。
オーケー、落ち着け俺。取り乱すんじゃあない。ザ・サードマンはうろたえない。
そう……まずは俺の置かれた状況から考えてみよう。
まず、俺の名前は三村信史だ。
城岩中学校3年B組、出席番号19番。
身長172cm、体重59kg。自分で言うのもなんだが、中学生にしちゃ長身かつ均整の取れたスタイルだと自負している。
得意科目は英語に数学に技術家庭科、苦手科目は国語と社会科。
バスケットボール部に所属していて、運動神経には自信がある。
よし、俺は冷静だ。頭は回っている。夢を見ているわけでもない。
……いや、待て待て。これじゃ自己紹介しただけじゃねえか?
落ち着け、落ち着くんだ! Be coolだ三村信史……!
2,3,5,7……そう、素数を数えて落ち着くんだ……11,13,17,19……俺の得意科目は数学……!
23,29,31,37……「素数」とは1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字……41,43,47,49,53,……俺に勇気を与えてくれる……!
……ふう、落ち着いた。俺は冷静だ。どこから見ても超クール。よし、じゃあ続けよう。
俺が今置かれたこの状況……これは噂に聞くあの「プログラム」だろうか?
「戦闘実験第六十八番プログラム」……中学三年生のクラスを無作為に選び出し、最後の一人になるまでお互いに殺し合わせるクソッタレの殺人ゲーム。
だが、それにしては不可解な点もある。
俺は昨日、普通に自宅のベッドで寝ていたはずだ。それが起きてみたら制服を着ていて、見知らぬ部屋に一人放置されていた。
部屋にあるのはベッドと金庫だけ。机もテレビもない。入り口のドアには鍵が掛かっていて中からは開かなかった。
変わった点と言えば壁の一面が鏡張りになっていたことか。
そう、その鏡に変な奴が映ったんだった。
背中からチューブみたいなものを生やした奴が俺たちに殺し合いをしろと言っていた。
俺の首に巻かれている首輪とか、禁止エリアのこととか色々言っていたが……。
俺の知っている「プログラム」とは何かが違う、そんな気がする。
その何よりの証拠はいま俺の目の前にいるこいつ……紫色の瞳、銀色の髪に真っ白いマントを着た、小学生くらいのガキだ。
こいつはおっかなびっくり夜の街を歩いていた俺の前に、空から降ってきたのだ。
……空からだ。地面に激突する! と思って助けようとした俺の目前で、白いマントが蛇のように伸びてクッションになり、こいつは平然と着地しやがった。
で、俺が口を開く前にこいつは分厚い本を俺の前に放り出し、最初のセリフを言ったわけだ。
状況把握は完了……が、まずいことにそろそろこのガキは痺れを切らそうとしているようだ。眉がどんどん吊り上っている。
俺が全く反応しないから当然か? と、とにかくまずは言う通りにしてみよう。別に俺に危害を加える気はなさそうだし。
「えーと……なんだこの文字? いや、だが読める……『ザケル』?」
俺が、その文字を読んだ瞬間……視界は閃光に満たされた。
それだけじゃなく、すぐ傍にあった民家が爆発したかのように吹き飛んだ。
「読める、のか。デュフォーではないというのに……」
「お、おい! おまえ一体……?」
その閃光の発生源はガキの右手だった。
閃光……いや違う。あれは電撃か?
「デュフォーはまだ生きているのに、他人が本を用いることができる……魔本を完全に制御しているということか?」
ぶつぶつと何事か呟くこいつは、この事態に戸惑ってはいても全く恐れてはいないように見えた。
まるで以前に同じような経験をしたことがあるというような。
「幸い、リオウやロデュウのような馬鹿どもは参加していない。魔物の子はほぼガッシュの仲間、それはプラスと考えていい……」
「おいったら!」
「……ん?」
俺が再度、強く呼びかけるとこいつはやっと俺の方を向いた。
「何だ、まだいたのか。オレに何か用か?」
「まだいたのかっておまえ……あのな、おまえは一体何者だ? さっきの雷は……」
と、ここで俺は自分のミスに気付いた。
こいつは外見こそはガキだが、首輪をしているところから見て俺と同じこの「プログラム」の参加者だろう。
つまり俺の敵になるかもしれないわけだが、俺は武器も持たず悠長に話しかけちまった。
金庫に入っていたリュックサックには武器と言えるものがなく、適当な民家で調達すればいいかと考えていたんだが。
まさか、その前に他の参加者と遭遇しちまうとは……。
が、まだだ。まだ運は尽きていない。
まだいたのか、とこのガキは言った。
俺と接触したのは、さっきの電撃が出るかどうかを確かめたかっただけなんだろう。
それを果たした後は俺に興味を失っていた。とするとこのガキは殺し合いに乗る気がない、と考えていいかもしれない。
ゴクリ、と唾を飲み込む。クールだ、クールになれ……!
「お、俺は三村信史だ。おまえの名前は……なんて言うんだ?」
「……ゼオン・ベル」
こいつはゼオンと名乗った。
名簿を確認したとき、その名前は確かにあった。参加者であるのは確定だろう。
しかしどう見ても大東亜共和国人ではない。外人だろうか?
そして、ベルという姓。名簿にはもう一人、ベルと書かれた名があった。
「じゃあ、ガッシュって奴はおまえの知り合いか?」
「ガッシュか。弟だ、オレの」
「弟? 兄弟で参加させられたっていうのか」
「おまえはガッシュの居場所を……知らんだろうな。戦いは始まったばかりだ」
「ああ、悪い。俺が会ったのはおまえが初めてだ」
ゼオンはそうか、と呟き思考を巡らせている。
弟だと言った時のこいつの顔は、本当にガッシュって奴を心配してるんだろう、そう思わせるくらい張り詰めていた。
俺に兄弟はいないが、家族を心配する気持ちはわかる。俺だって叔父さんが参加させられていれば……。
「おまえ、ガッシュって奴を探すんだろ?」
「ああ。あいつは王になる子だ。決して死なせるわけにはいかん……いいや、それは建前だな。
オレは兄としてあいつを守る。この身がどうなろうと、あいつを清麿の元へ返してみせる……絶対に」
「だったらさ、俺が手伝ってやるよ。一人より二人の方が、できることは多いだろ?」
だから、俺はゼオンを手伝ってやろうと思った。
俺の知り合いは七原秋也、杉村弘樹、桐山和雄、相馬光子の四人。幸いと言っていいのか親友の豊はいなかった。
秋也と杉村は心配っちゃ心配だが、あいつらなら自分のことは自分でなんとかするだろう。
桐山と相馬は正直友達ってほど深い関係でもない。いや、正直あいつらならこの殺し合いに乗ったっておかしくはねえんだ。
つまり俺が率先して探す相手はいない。自分の命を守ることを第一に考えていればいいわけだ。
もちろん最終的な目的は、この殺し合いを仕組んだ奴に強烈なカウンターパンチを食らわせてやることだ。
そのために、手から電撃を放つ力を持つゼオンと同行するのは決してマイナスではない。
こいつと一緒にいれば俺が生き残る確率も上がる……って打算もあるけどよ。
こんな小さなガキが弟を心配してるんだ。手伝ってやりたくなるのが男ってもんだろ。
「信史、だったか。いいのか?」
「ノープロブレム。さっきの電撃だって、俺が……ってか、他人がいないと使えないんだろ? なら、俺を使えよ。損はさせないぜ」
「それはありがたいが……」
「ゼオン、おまえだって弟を殺してまで生き残りたくはねえだろ? じゃあ、俺と一緒にこんな殺し合いはぶち壊して、あのチューブ野郎に一泡吹かせてやろうぜ!」
「主催者に反抗する……そうだな、ガッシュの奴もそうするだろう。なら、オレも……」
「へっ、決まりだ! よろしくな、相棒!」
手を差し出す。
ゼオンは戸惑ったように俺の手を見つめていたが、やがてしっかりと握り返してきた。
「相棒……パートナー、か」
「あいにく俺には電撃を出したりはできねえが、運動神経には自信があるぜ」
へへっ、なんだよ。案外幸先いいじゃねえか。
自分で言うのもなんだが俺とゼオンはいいコンビだと思う。
俺は運動神経に自信があるし、多少は頭も回る。ゼオンは電撃が出せるし、マントを変形させて盾にできる。
俺がゼオンを抱えて走って、ゼオンが電撃で敵を倒す……おっ、これって最強コンビじゃね?
ゼオンと一緒にガッシュ、秋也、杉村を探して、他にも殺し合いなんてしたくねえってやつを集めるんだ。
54人もいれば、誰か一人くらいはこのうっおとしい首輪を外せる奴だっているだろ。
首輪さえ外れちまえばこっちのもんだ。あのスカしたチューブ野郎の横っ面に強烈なパンチをお見舞いしてやるぜ!
……って、いてて。おいゼオン。もういいから手を放してくれ。
こいつ、とんでもない馬鹿力だ。握手ってのはそんなに力を込めないでいいんだよ!
「信史……すまない」
「いや、いいから。わかったから手を放せって。お前の力はわかったから」
「いいや……わかってない。わかってないよ、信史」
「え?」
「ザケル」
がっ……!
な……何……!?
「別にオレは、本がなくても術は使えるんだ。さっきお前に読んでもらったのは、パートナーでもない他人が本当に読めるのかを確かめるためでな」
ゼオンが何か言っている。だが、声が耳に入ってきても意味が理解できない。
全身が焼けるように痛い。なんなんだよ、これは……!?
「だが、やはり本を使った方が威力は出るようだな。自力で術を使えば、心の力もオレ自身のものを消費する……注意が必要だ」
何を……どういうことなんだよ、ゼオン……!
くそ……身体が、動かねえ……! 言葉が出ねえ……!
「おまえに言ったことは嘘ではない。ガッシュを守る、オレの目的はそれだけなんだ。ザケル」
ぐああああっ……!
「あいつはやさしいからな。この殺し合いの中で、他人を殺すことなんてできるわけがない。ザケル」
や、やめ……!
「だからオレが代わりに殺す。あいつを傷つける者、傷つけるかもしれない者、すべてを……ザケル 」
ぎっががっ……! や、止めてくれ、ゼオン……!
「おまえには本当にすまないと思っている。おまえは多分、良い奴なんだろう。それははっきりとわかっている。ザケル」
ぎゃ、ぐがああああぎいいぇあああっ!
「だが、駄目なんだ。おまえがガッシュと会えば、あいつはおまえをも守ろうとするだろう。自分の身を犠牲にしてでも……ザケル」
やめ、助け……ぃぃいがあああっ!
「あいつは自分が死んでも他人を守ろうとする奴なんだ。それ自体は高潔な志だが……そんなことは、俺が絶対にさせない。ザケル」
ああぁぁぎゃあああぁぁっ!
「幸い、ここに清麿はいない。パートナーを奪う訳にはいかないからな。他の魔物の子には悪いが、ガッシュのために死んでもらう。ザケル」
あ、あ……頭が……いてえ、いてえよ……!
「そして、オレとガッシュが生き残って。最後にオレが死ねばガッシュが優勝ってことだ。あいつは元の世界に帰れる。ザケル」
ぐ、あ……ぎぃいやああああああああああ!
「恨んでくれていい。オレの個人的な理由でおまえやおまえの友を殺すと言っているのだからな。ザケル」
…………ぁ…………
何も、見えなく
秋也、
杉、村
叔父、さん
ゼオン……
ゆ か …………
支援
「……ザケルを10発も食らって、まだ息があるか。やはり大幅に威力が制限されているな」
このオレの、「雷帝」の雷をもってすれば、魔物の子のような耐久力のないただの人間など3発も当てれば消し炭になるはずだ。
なのに、三村信史は全身黒焦げになったもののまだ生きている。
オレが自分の力で放つザケルは、三村信史に本を読んでもらって放ったザケルに比べればまさに児戯のようなものだった。
魔本の役目は威力増加と負担軽減、というのはもはや疑いないな。
が、完全に自分のタイミングで術が使えるというのはアドバンテージと考えていいだろう。
デュフォーや清麿クラスのパートナーでなければ、オレにとっては逆に足手まといとなるからだ。
「心の力の消費……ふん、魔界にいた頃は当然だったが。久々に味わうと中々うっとおしいものだな」
なんにせよ、これでほぼオレにかけられた力の制限は理解できた。
これなら戦闘中に限界を見誤るということはないだろう。
「……すまんな、信史」
そして、オレはいまも足元で弱々しい呼吸をつづける三村信史へと謝罪した。
術の実験台にした、哀れな人間。
人間を殺すのは初めてだ。だが、思いのほか俺は冷静だ……クールだ。
ガッシュを守る、という強い決意があるからだろうか?
仮に、ガッシュのパートナーである清麿と、オレのパートナーのデュフォーが参加させられていれば、オレも違う方法をとっただろう。
だが、その二人はいない。嫌な言い方だが、俺が躊躇う相手はガッシュ以外にはいないのだ。
信史、おまえの言葉を信じなかったわけではない。
だが主催者とは、、いまだ人間界で戦っているはずのガッシュや、すでに敗北し魔界に帰り、あまつさえ身体を失っていたこのオレさえも連れてくることができる奴なのだ。
そんなことは、父上……魔界の王でも不可能だろう。それだけ得体のしれない相手なんだ。
正直なところ、おまえのプランは達成できない可能性の方が高いんだ、信史。
そんなあやふやな可能性にガッシュの……オレの弟の命を賭けるわけにはいかない。
もちろんあいつは、ガッシュはこんなオレを認めないだろう。だがそれでいい。
オレは参加者を殺し続け、あいつの敵を減らす。
そして残ったのがガッシュとその仲間だけになったら、オレがその仲間を殺す。
あるいは、そいつらが主催者を倒せるほどに強力な力を持っているのなら、オレがガッシュに討たれればいい。
オレのこの雷の力、すべてあいつに渡して……凶悪な殺戮者を倒したあいつは、仲間から信頼されることだろう。
結果としてガッシュが助かるのなら、オレは死んだっていいんだ。
「苦しいか、信史。そうだろうな……いま、楽にしてやるよ」
信史、おまえに罪がないことは分かっている。
それでも、俺はおまえを殺す。
オレはもう一度、修羅になる。
ガッシュを憎み、殺そうとしていたあの頃のオレに。
そのために……そのための覚悟を手に入れるために。
さよならだ、信史。
「ザケルガ」
【三村信史@バトル・ロワイアル 死亡】
【D-3/市街地/一日目・深夜】
【ゼオン・ベル@金色のガッシュ!!】
[状態]:疲労(小)
[装備]:魔本@金色のガッシュ!!、ゼオンのマント@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×2(ゼオン、三村(武器ではない))
[思考・状況]
基本行動方針:何としてもガッシュを生還させる
1:ガッシュを優勝させるため、他のすべての参加者を殺す
2:ガッシュとその仲間が主催者に勝てそうなら、自らガッシュに討たれる
[備考]
※自身にかけられた制限をほぼ完璧に把握しました。
※魔界に帰った後からの参加。
「あわわわ……!」
馬鹿と煙は高いところが好き、と言うが。
レオパルドン・パピプリオもまたその例に漏れず高いところが好きだった。
遊園地で身長制限に引っ掛かったときマジギレするくらいには。
まあ、パピプリオがここ桜見タワーにいるのは自身の意志ではなく、単にここに転送されてきたというだけだったが。
「あの電撃……! 知ってる、あれはガッシュだ、ガッシュの奴の電撃だ……!」
そして、彼は臆病である。パートナーであるルーパーもいない。
一人であることに怯える自分をごまかすように、パピプリオはタワーに備え付けてあった望遠鏡で近くに誰かいないか必死に探していた。
そして、北を向いた一瞬。
見覚えのある電撃が炸裂し、彼の目を引いた。
ガッシュは何よりも他人が傷つくことを嫌う、そういう性格をしている。パピプリオは一度ガッシュと戦ったことがあるからそれを知っていた。
だからガッシュと合流すれば、自分を守ってくれるだろう。
そう思って、うきうきと彼の姿を探してみた。
しかし場所が悪かった。
その望遠鏡からはガッシュと話している人間の姿しか確認できず、肝心のガッシュは建物の陰に隠れていて見えなかった。
もうちょっとこっち来いよ……と、念じていたら、出てきたのはガッシュではなくあの電撃だった。
そして、パピプリオは見た。
10度に渡る電撃が人間の体を執拗に焼き尽くす瞬間。疑いようもない圧倒的な殺意、その顕現を。
とどめとばかりに放たれた一際大きい電撃は、すでにほぼ炭化していた人間の身体を跡形なく焼き尽くし……根が臆病なパピプリオが見ていられたのは、そこまでだった。
「が、ガッシュの奴も殺し合いするっていうのかよぅ……!」
頼れると思った奴が殺し合いに乗っていた。
その事実は、パピプリオを恐慌に走らせるには十分に過ぎた。
「伝えなきゃ……あいつ、ティオに、ガッシュが危ないってことを伝えなきゃ!」
パピプリオは走り出す。
彼が知っている魔物の子はガッシュを除けば遊園地で戦ったティオだけだ。
パピプリオの不幸は、ゼオン・ベルの名を知らなかったことだろう。
彼がゼオンと出会うのは、彼の時間からはもう少し先……ファウードの事件のときであり、ここにいるパピプリオはゼオンと会ったことがない。
だからこそ、電撃使いがガッシュの他にもう一人いると、考えることができなかったのである。
【E-4/桜見タワー/一日目・深夜】
【レオパルドン・パピプリオ@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康、恐慌状態
[装備]:魔本@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品一式、不明支給品
[思考・状況]
基本行動方針:死にたくない、ルーパーの所に帰りたい
1:ガッシュが人を殺しちゃった!
2:ティオを探してガッシュのことを伝える。あと守ってもらいたい
[備考]
※19巻、レインと戦った直後から参加。
投下終了です。
タイトルは 修羅の雷 で
「ぬぅ……殺し合いとは」
名簿に視線を落としながら、筑摩小四郎は一人、呟いた。
緑が生い茂るこの空間に、今の所気配は感じられない。
「天膳様に姫様まで……」
名簿には『薬師寺天膳』と『朧』の名が、確かに刻まれている。
両名共に、伊賀鍔隠れの忍であり、彼が絶対の忠誠を誓う者達だ。
小四郎は顔をしかめる。
何故、お二人が『ばとる・ろわいある』などと言う馬鹿げた争いに巻き込まれなくてはならないのか。
天膳様も、姫様も伊賀鍔隠れを支える忍。
伊賀と甲賀、両一族の命運を分ける忍法勝負に勝ち残る為には、無くてはならない存在なのだ。
――こんな場所で、殺されていい訳がない。
(お守りせねば……)
主君の死。それ即ち、従者の死。
一刻も早く二人を見つけ出し、被害が及ばないように護衛しなくてはならない。
全ては伊賀の為。そして――自らの忠義の証明の為。
(そういえば、『支給品』なる物を見ていなかったな)
一旦地べたに座り、名簿を一旦傍らに置く。
そして、『でいぱっく』に手を伸ばすと、何か武器は無いかと中身を漁り始めた。
布製の袋に手を突っ込み、それらしき物を探す。
「むッ、これは」
最初に『でいぱっく』から取り出されたのは、彼には馴染み深い武器であった。
『鎌』。
湾曲した刃を持ったそれは、紛れもなく鎌であった。
本来小四郎が所持していた物とは大分違いがあれど、扱いなれている種類の武器が入っている事に、
小四郎は一瞬――本当に一瞬だけ――主催者の影のような男に感謝した。
(きゃつの話によれば、『支給品』はまだ入っているらしいな)
影男の話では、『支給品』は二つか三つ入っているらしい。
という事は、まだ最低でも一つは、この袋の中に『支給品』が入っているという事だ。
それも使い勝手の良いものだと助かる――そう思いながら、
小四郎は『支給品』を取り出そうと『でいぱっく』に手を伸ばし――。
「…………ッ!」
『でいぱっく』に伸びていた右手を引っ込め、代わりにその手で鎌を握る。
弾かれた様に立ち上がり、周囲を見回す。
――『何か』を、感じた。
できれば、今は感じたくないものを感じてしまった。
間違いない。これは――――人間の気配!
「――――何奴」
気配のする方向に身体を向け、それの持ち主に問いかけた。
鎌を握る力が、自然と強くなる。
「失礼。驚かせてしまったようですね」
丁重な口調で、目の前の存在は言った。
声質からして、男性であるのは間違いないだろう。
「あなたと殺し合うつもりはありません。どうかその鎌をこちらに向けないでもらいたい」
「ぬかせ。姿を見せぬ輩の戯言を聞く耳は持ってはおらぬぞ」
「……分かりました。少し待っていて下さい」
少ししてから、男は影の中から姿を現した。
「姿は見せましたよ。そろそろ警戒を解いてくれませんか?」
「ムッ……」
見た所、男は妙な格好こそしているものの、武器らしき物は持ってはいない。
どうやら、本当に戦うつもりは無さそうだ。
鎌を握る力が、若干だが緩んだ。
「その口ぶり、お主も『ばとる・ろわいある』とやらに乗ってはおらぬようだな」
「当然ですとも。主催者の言いなりになるつもりは、毛頭ありません」
つまりこの男も、自分と同じで『殺し合いには乗らない』という方針をとっているらしい。
無駄な戦闘を行なう必要は無くなったという事だ。
「『お主も』と言う事は、あなたも殺し合いには乗っていない様ですね」
「まあな。おれにはやらねばならぬ事があるのだ。殺し合いなどやっている暇など無い」
「それを聞いて安心しました。……どうでしょう?
しばらく私と行動を共にするつもりはありませんか?」
「何?」
いきなり何を言っているのだ。この男は。
彼の言っている事は、見ず知らずの者に背中を見せるという事と同義だ。
それがどれほど危険な事かを、小四郎は良く知っている。
「断る。時は一刻を争うのだ」
男と馴れ合っている暇など無かった。
こうしている間にも、天膳様は『死んでいる』かもしれないのである。
会話の時間すら、彼には惜しい。
「『やらねばならぬ事』の為、ですか」
「そうだ。安心しろ。他人に害を与えるつもりは無い。人を探すだけだ」
「……では、その人探し、私に手伝わせてはくれませんか?
見つけ次第、必ず保護すると約束しましょう」
予想外の反応に、小四郎はきょとんとした顔を見せた。
それを手伝ったとして、何の得があるのだろうか。
この男の行動、全く理解し難い。
だが、善意で言っているのを無理やり拒否するのも少々気が引ける。
かと言って、外見や性格まで話している程の時間も無い。
――仕方あるまい。相手には失礼かもしれないが、名前だけ教える事にしよう。
◆
「――『朧』と、『薬師寺天膳』だ」
「ふむ、変わったお名前ですね。外見はどのような――」
香川は、小四郎にそう聞こうとしたが――いつの間にか、男は『消えていた』。
驚いて辺りを見回すが、もう何処にもその男はいない。
瞬きをしている間に、去ってしまったのだろうか。
それにしては速過ぎる。人間の出す速度とは到底思えない。
まるで疾風。まるで――――鎌鼬。
【A-3/森林/深夜】
【筑摩小四郎@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:健康
[装備]:鎌@バトルロワイアル
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:天膳様と姫様(朧)を守る。その為にも一刻も早く合流したいが……。
1:無駄な戦闘は避ける。
2:他者と行動するつもりは無い。
※香川英行の名前を知りません
【香川英行@仮面ライダー龍騎】
[状態]:健康
[装備]:オルタナティブ・ゼロのカードデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには絶対に乗らない。
0:あの男は……。
1:『朧』と『薬師寺天膳』を探して保護する。
※筑摩小四郎の名を知りません
※『朧』と『薬師寺天膳』の外見を知りません
32 名前: ◆EASY8BNCiM[sage] 投稿日:2010/12/19(日) 20:54:13 ID:4WKuLtsM [5/5]
投下完了
タイトルは『鎌鼬の夜』で
どなたか代理投下をお願いします
代理投下終了
お二方とも投下乙です
>◆.SDSaRdZEA氏
三村はクールだったが相手が悪かったな。このゼオンはクールどころか絶対零度だ
パピプリオがガッシュの仕業って誤解したけど、ゼオン的にはガッシュを守ろうとしてるのに裏目に出てるのが…
>◆EASY8BNCiM氏
教授は実際善人なんだろうけど、手放しで信頼できないのはなんでなんだろうかwラムネだからか
小四郎は手を組んでもすぐには心を許さず一緒に行動しないってのは忍者っぽいな。そしてお探しの天膳様はまた死んでおられるぞw
続々と投下乙です!
その筆の速さが羨ましいですぞ!
>Reanimate/再活性
この話で一番注目したのはカントリーマンがマーダー連合組もうとしたとか、チャン包囲網が形成されそうとか、真司と朧のところが危険!?ではなく
>この早漏ジジイ。挿れてもねぇのに果ててやがる
この一文だと思った自分は多分汚れている… ジジィw
>修羅の雷
KOOLーーーー!! じゃなかった三村ーーーーー!!
読んでて、ん?ゼオンは術自分で使えるのを気付いていないのか?と三村と同じ様に油断してた!
対主催の最強リーダー誕生だ!と浮かれてた! そうきたかぁ。 ゼオンは修羅の道を行きつつも脱出の目がありそうならガッシュに討たれる覚悟か
かっこいいぜ、お兄ちゃん!
パピーに危うい誤解フラグが… だが、あいつチキンだから先ずタワーから降りることが出来るのか?w
>鎌鼬の夜
小四郎は弦ちゃんの瞳術喰らう前かぁ。地味に強いんだよな。
既に言われているがごめんw教授の言葉がまったく信用できないんだがww
皆様投下乙でした! 自分も急ごうっと!
あと、皆様
>>100こと ◆L62I.UGyuw氏に敬礼!
現在地ツール作成乙です! あとでwikiに載せさせてもらいますね!
多分だけど、某所で一気にキャラクターを追加すると不具合が起こるってなってたので、一度に大量のキャラ追加はしない方がいい気がします。
代理投下します
まずはこのバトルロワイアル内の二人の人物の出会いとその経緯を書かなくてはいけないだろう。
どのようにして二人が出会ったのか。
そして、どのような決意をしたのか。
それは、まだ分からない。
【天野雪輝side】
「ど……どうしてこんな事に……」
彼、天野雪輝はなぜこんなことになったのかは全く見当がつかなかった。
「またデウス……じゃなさそうだけど」
そう思いながら彼はリュックの中を探り出す。
まず見つけたのは「携帯電話!?やった!これがあれば……」
小さな希望を見つけた。
しかし違和感に気づいて希望が絶望に変わるまで時間はかからなかった。
「電話ができない……最悪じゃないかよ」
しかし、そこからまたほんの小さな希望が生まれた。
「あれ……これ、僕の日記だ」
そこに書かれていた文は
【観覧車やジェットコースターのレールがある。ここは遊園地のようだ。】
無差別日記、雪輝が日々書いていた日記だ。
客観的に書かれていて自分に関する情報は少ないが情報量が多いことが良点である。
そして添付していた説明書に目を通すと能力が弱くなっているけれど壊れても死ぬことはないらしい。
「これは壊れても死なないのか……良かったのかな?」
「でも……ということはデウスじゃないのか?」
支給品を確認しているときに名簿に気付いた。
「そうだ、名簿も確認しないと」
そう言い確認し始める。
目を通し始めてすぐ
「え……戦場マルコ?」
信じられない出来事が起こった。
「あいつは……あの時死んだはずなのに」
死人が生き返る、そんなことはあり得ない。
出来るとしたらやっぱり。
「デウスも……何か加担しているのか……?」
他にも来栖圭悟、美神愛
そして、雨流みねね。
自分を助けるために死んでいったはずだ。
それを自分は確認している。
「まずは由乃を探さなきゃ……いろいろと怖いし」
そうして彼はその場の探索を始めた。
【ガッシュ・ベルside】
「ウヌゥ……なぜこんな事になったのだ」
金色の頭髪にくりくりとした丸い瞳。
戦いが終わりやさしい王様となったガッシュ・ベルだ。
その彼の手には自分の魔本があった。
「ウヌゥ……ウヌゥ……」
考える、どうしたらいいか、どうしたらみんなを助けられるか。
「ティオやキャンチョメ、他のみんなだってここにいる……」
「だったらやることは決まっている!やさしい王様としてこのゲームを終わらせてやるのだ!」
そう高らかに宣言する彼の瞳はまっすぐだ。
きれいなほどにまっすぐだった。
◇ ◇ ◇
【Both aspects-両視点-】
「遊園地だけど……特にこれといって何もなさそうだな」
天野雪輝はランタンを揺らしながら歩いていた。
「近くに由乃がいるといいけど……」
「だれかいるのか!?」
「!!」
そこに現れたのは金髪の少年だった。
「え?……なんだよお前……」
「ガッシュ・べルなのだ!ガッシュと呼んでくれ」
「ぼ、僕は天野雪輝だ」
「そうか、ならば雪輝でいいな」
僕は戸惑う、こんな子供もまきこまれているなんて……。
「なぁ雪輝、お主は」
「なんだよ?」
「こんな事をした奴が許せないか?」
「あたりまえじゃないか!こんな事……」
死んだ人間も生き返らせてまた殺し合いをしろって。
趣味が悪いとかいうものじゃない。
「じゃあ、手伝ってくれぬか?」
「え?」
「絶対にこんなことは許せない、だから絶対に潰さなくてはいけないのだ」
「……」
唖然としていた。
こんな子供でもこんな強い意志を持っているのに。
それに比べると自分の意志はこんなにも脆く、弱い。
「僕なんかでもいいのか?」
逃げるなら今しかなかった、逃げたかった。
怖かった、でも賭けてみたくなった。
この金髪の少年、ガッシュ・ベルに。
「ウヌ!助かるのだ!それじゃあ行こうではないか!」
「え?どこに行くの?」
「決まっているだろう!こんな事を考えた奴を倒しに行くのだ!」
これが二人の出会いだ
この後彼等がどうなるのかはまだ分からない
to be continued
【A-7遊園地/一日目/深夜】
【ガッシュ・ベル@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康
[装備]:魔法のマント@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品、ガッシュの魔本@金色のガッシュ!!、不明支給品×0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:やさしい王様としてこのバトルロワイアルを止める。
1:雪輝と行動する。
2:ティオやキャンチョメ達仲間との合流。
※参戦時期は本編終了後です。
【天野雪輝@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:無差別日記@未来日記
[道具]:基本支給品、不明支給品×1〜2(確認済み、武器はない)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いはしない、でも死にたくない。
1:ガッシュを信頼して行動する。
2:まずは由乃と合流する(いろんな意味で怖いから)
3:その他の知り合いは……?
※参戦時期はDiary46.5終了以降からの参戦です。
【ガッシュの魔本@金色のガッシュ!!】
ガッシュ・ベルの魔本、赤色である。
この本が燃えてもガッシュは消えることはない。
術を使うために必要なものだったが今ロワでは、パートナーなしでも使える高嶺清麿しか読めないが参加者に清麿はいない事から普通の人でも読める可能性はある。
金色の魔本になるのかは不明だがほぼ不可能であると思われる。
【魔法のマント@金色のガッシュ!!】
ガッシュとゼオンが普段着ているマント。
外見は色違いで、機能は同じ。
高価な魔法の布で作られており、魔物が持つ道具では後者に該当する。
魔力を使うことで着た者の意のままに動かしたり伸び縮みさせることが可能で訓練次第で攻撃・防御などにも使える。
胸元に付いているブローチが付いていれば破れても時間と共に修復される。
ブローチは付いているが、回復速度はとても遅い。
【無差別日記@未来日記】
1stと呼ばれる天野雪輝の所有する日記。
これが壊れても天野雪輝は死亡しない。
自分を中心とした周囲の未来を無差別に予知する能力がある。
元々は趣味として雪輝の見た物を日記に書いていた物がデウスの力により変化したもの。
全日記中最多の情報量を持つが普段から雪輝が傍観者でいようとしたため自分自身のことが一切書かれていないという欠陥がある。
また、あくまで雪輝主観の情報に依存するため雪輝が間違った情報を把握した場合は間違った情報のままの未来が表示されてしまう。
以上で代理投下を終了します。
修正乙でした!
修正乙です。
>修羅の雷
全然coolじゃねーぞ三村wwwとか思ってたら死んだーー!!
覚悟決めてるゼオンじゃ相手が悪すぎたな。
>鎌鼬の夜
小四郎は目が見える状態か。そういや結構常識人なんだがどうなるやら。
>>100の地図ですが、どうもオブジェクト追加処理がうまく動作していないようです。
原因は現在調査中ですので、しばらくお待ち下さい。
もし原因に心当たりがある方がいらっしゃいましたら書き込んで頂けると有難いです。
情報有難うございます。
ジャスティスロワの方と同じく、環境をwindows&FFFTPに変えたところ動作はしました。
禁止エリア、施設の追加は正常に動作します。
しかしキャラの追加だけが正常に動作しません。
色々試した結果index.txtに正常な書き込みが行われていない(おそらく途中で処理が中断されている)らしく、
これも環境のせいだとすると私ではちょっとお手上げです。
明日もう一度試してみますが、もしかしたらどなたかにお願いすることになるかもしれません。
投下します。
死後の世界のことを最後に考えたのはいつだったか。
両親に物語を聞かされた時であったか。
最愛の人を失った時でだろうか。
『裏』が出た時か、同級生を撃ちぬいた時であろうか。
自分が死ぬ寸前の時か、それとも一度もそのようなことを考えたことはなかったのか。
桐山和雄は、ふと、そのような事が頭がよぎった。
何ら意味が無いことであろう、だが不思議にもそれを実感せねばならぬ事柄が、自身に起こっている。
天国や地獄、あるいは転生、そして永遠の無。
これらのことがよく著されている『死後の世界』と呼ばれるものだ。
生前の行いにより逝く場所が決まっていると言うが、果たして今のこの状況はどれに属すのであろう。
天国か──
『最期の一人になれば死者の蘇生など何もかもの願いが叶う』と言う、現在の大東亜帝国では到底ありえない
奇跡を叶えることができるから──
地獄か──
『殺し』と言う非人道的であろう事に手を染め、大半の人間は
自らの意志に反して他人を殺めなければならないという、壮絶な苦痛を経験しなければならない──
転生か──
『最後に一人になるまで殺し合いをする』、これは自分自身がつい先程まで体験していた、
戦闘実験第六十八番プログラムに酷似している。
もしかしたら先述の奇跡を使い限りなく『桐山和雄』に相似している、
『何か(現在自分自身が思考して地に人の足を付けているモノ)』に『桐山和雄』の意識だけを移し
この行事に参加されられているのではないか──
永遠の無か──
無意味で無価値で無情なことをしなけらばならない。
そもそも死んだ人間がこうも簡単に生き返るということがありえない。
今のこの状態事態が『無』なのではないかと──
以上のことを思案したものの、
ハッキリと言ってしまえばどうでもよかった。
ここが何であろうと、殺し合いをしろと言われても、自分が呼吸をし両足で立っていることも。
今、桐山和雄にとって一番重要なことは、この後どうするかということだ。
桐山は自分の上着のポケット(余談だが彼の服装はプログラム時に着ていた物と同じ学生服であった。ただし汚れはない)
に手を入れる。プログラムの時と同じようにコインで自分の方針を決めようと。
つまり、『表』がでた場合『バトル・ロワイアルの主催者と戦う』
前回と同じく『裏』が出た場合『バトル・ロワイアルに乗る』
しかしながら上着のどのポケットにも、コイントスができるようなものは一切合切入っていなかった。
同様にズボンのポケットも前後ろ両方共空であった。
仕方がない、ならば別の方法でと思索する。
だがそう言えばここに支給された鞄があったなと一考して暫定的に鞄を探ることにした。
これで鞄にもコインに近いものがなければ、今度こそは異なる手を打つだけだ。
早速桐山は己に支給された鞄の中身を弄る。
出てきた物は地図や名簿、飲食料など、どうやら他の参加者にも有されているであろう、
言わば共通のものを確認する。
だがこれらではない、これらでは表裏で判別する択一など不可能。
しかし無くしてはならないと落とさないように手早く鞄の中に戻しておく。
ちなみに桐山がいま漂う場所は橋の上(地図で申するならG-3の橋)
落とした場合は実質回収は不可能。
しかれども桐山が所持品を落とすということは万が一にでもないのだが。
桐山は再度鞄の手を入れる。
コインに固執する必要はないが、そうでなくとも桐山和雄限定支給品を確認しておきたい。
そんな桐山が鞄から取り出しものは5kgほどの重さだと思弁させる何かがたくさん入った袋であった。
早速桐山はその袋に手を挿入し幾つかあろうを何かを鷲掴みし、袋から離別させる。
そうしてその握りこんだものを解放させる。
チャリンチャリンと反響音をたてながら、幾つかのあるそれらは石橋へと叩きつけられた。
桐山は再び袋の中に手を挿し込み、今度は一枚だけそれを取り出す。
袋はそのまま打ち捨てる。
捨てられた衝撃に袋の中身が飛び散り、また音を立て幾つかのそれは橋から落ち夜の川へと消えていった。
袋に入っていたのは、硬貨であった。
それも、自分自身が生まれ育った国に限り無く似ていてるアルミの硬貨であり、100と彫られている物であった。
桐山は桜が彫られている面を表とし、反対の数字が彫られている面を裏として、
改めてとった一枚を指で弾く。
硬貨が宙に舞う。
数少ない外灯の明かりと、こんな状況だというのに見事と評しても良いほどの
満月の明かりがコインに反射する。
場を煌めかす流星の一つとなったコインは、一回二回と数えきれない程に表裏が入れ替わり、空で一時停止する。
桐山はあとは重力に流されるがままに地に向かい降下してくるコインを受け止める為に掌をコインの真下に添える。
コインが桜を呈していれば、自分は前回と逆のほうを目指し、数字を覗かせていれば前回と同じようなことをする。
そしてコインは桐山和雄を導き出した。
裏でもなく、表でもない道を。
添えられた手には漆黒の羽。
彼が弾いた運命は、この羽根によってありえない行動を引き起こさせ川の奥底へと潜りへいった。
桐山はこの羽根が出現した方向を見据える。
そこには闇に同化されるドレスをを着ている中も
外灯と月によって照らされ銀色に輝く髪を持つ、小さな小さな自分と同じ境遇にいるものであった。
「そうか……」
桐山和雄は導き出した、己の宿命を。
それは修羅の道か、或いは地獄にもたらされた天への道か。
桐山和雄自身は、何も悟ることはないであろう。
それが宿命なのだから。
◆◆◆
水銀燈は困惑していた。
巻かなかった世界での問題がひと通り解決し。
改めて自分の姉妹たちと宿命に備えようとした当にその時に、
限りなくアリスゲームに似たバトル・ロワイアルと呼ばれるものに無意識下に
参加させられていたと言うことに──では無かった。
水銀燈にとってはこれも限りなくアリスゲームに近いことと言うことを理解していれば簡単だ。
名簿というものを見る限り姉妹もいるのだから、姉妹を倒せばそこでアリスゲームは終了。
あとは残っている他のバトル・ロワイアルの方の参加者を倒せばよし。
しかしながら一筋縄では行かない、相手はドールだけではなく人間もいる。
自分を作ったのも人間であり、この不思議なことも人間の仕業だと言うことを判断すると、
猪突猛進に突き進んでいったら、すぐにジャンクにされてしまうだけだと。
そこで水銀燈は考量した。
碌で無しの無能で遭遇したらさっさとジャンクにし、
危機的状況になりながらものノー天気な考える輩を騙して利用し、
慎重に行動し勝利を得ようとする者とは組み、積極的な行動を取るものとは距離を取る。
シンプルであるが、バトル・ロワイアルひいてはアリスゲームを生き残るために至極最善の策であろう。
そう考えを纏めた水銀燈は、付近で自然では聞けない音が放たれた。
ノー天気なおばかさんがまだ状況を把握せずに間抜けなことをやっているであろうと判別し
すぐさま音が発せられた場所へ近づく。
するとまた音がたつ、音の場所にかなり近い場所に近づいた水銀燈はその音を出現した
おばかさんを見据える。
外見は、真紅のマスターである桜田ジュンとあまり変わらない年頃であろう男であった。
そんなこと考察しているうちにおばかさんはコインを投げていた。
その時ふと水銀燈はあのコインを自分の羽で弾いたらどんな反応をするであろうか。
そうして自分の姿を見せたとき、そいつの反応で使える使えない、ジャンクにするジャンクにしないを突き止めるために。
そして水銀燈は己の武器であるその羽根をコインに当てた。
さて、どうなったかというと……
結論から言ってしまおう。
そいつ──桐山和雄と言う──は使える奴であった。
以前も同じようなことを経験して、最後の最後で破れてしまったものの大勢の同級生を容赦なく殺せる運動能力と知力も持ち、
ケガの処置や道具の用法も長けており、ついでに裁縫も出来る。
コレで何を水銀燈は困惑しなければならなかったのか。
それは
「ねえ……いつまで私を背負っているつもり?」
「お前が止めろと言うまでだ……」
桐山和雄が彼女に対して献身しすぎていることだ。
何故このような事態になったのか。
コインを弾き、止まっていた桐山に対して己の姿を晒した水銀燈。
だがそんな彼女が口を開く前に、桐山は水銀燈に向けて
「名前は……?」
と問いかける。
第一声でまさかいきなり名を聞かれ思わずコケそうになるが、そこは
「自分の名を言う前に誰かの名を聞こうとするなんて……本当おばかさん」
とすかさず言い返す。
それもそうだなと桐山は返答し、桐山和雄だと伝え、そこでやっと水銀燈は自分の名を教える。
だが、ここから本当に水銀燈の予想を遥か超えた、いや本当に水族館に行こうとして
たけのこ狩りにいってしまう程の、思考を持つものなら誰もが想像できないと様なことを桐山和雄は水銀燈に向けて言い放った。
「俺は……『今回』もどっちでもいいと思った……
そこで『前回』と同じく俺はコインを投げた……
表が出たら……このバトル・ロワイアルを開いた主催者と戦い──
裏が出たら……このゲームに乗ると──
だがコインは水銀燈……お前によって裏も表もわからなくなってしまった……
無論橋の上でコイントスなんてやる方がどうかしていたが……
少なくとも……お前によって俺は裏でも表でもない別の運命を……歩むべきになった……
だから……俺はお前に責任をとってもらいたい……
それはつまり……俺の今後を……全て水銀燈に任せようと思う……
お前が誰かを殺せと言ったら、殺そう。
お前が誰かを拷問しろと言ったら、拷問をしよう。
お前が誰かと接吻をしろと言ったら、接吻をしよう。
お前が俺に自分の目を抉れと言ったら、目を抉ろう。
お前が俺に喜んで自殺しろといったら、喜んで自殺をしよう
今から俺はお前の所有物だ、何をしても構わない木偶人形だ。
不可能……この殺し合いの根幹に関わること以外のことには全て言う事を訊こう。
それが『今回の俺』の方針だ」
水銀燈は絶句した。
いや、コレは水銀燈に限らず誰であっても思わず息を止めてしまうであろう。
この男はいま何と言った?
自分の命令に一切逆らわずに自分に付き従う、言わば隷属すると宣告してきた。
確かに協力者は欲しいといったが、開始してから一時間もしないうちにこのような事が起きるなんて予想しろといったほうが無理なものだ。
なんか色々と馬鹿馬鹿しくなってきたと同時に、
先程までの決意を吹き飛ばすほどの冷静さを手に入れた。
とりあえず水銀燈は桐山和雄に自身の境遇を語れと命令した。
桐山は一言わかったと了承し、自身のことを話していく。
続いて水銀燈は何が出来るかと聞くとそれも簡単に承知し話してくれる。
水銀燈はじゃあ私を背負いなさいと伝える。
普通なら初対面でこんなことを口に出されたら鉄拳が飛んできても文句は言えない。
ところが桐山は何一つ不満を漏らさず水銀燈を背負った、それも水銀燈が可能なかぎり安らげるような
すごく安定した方法で。
ひとまず誰かが見つかるまで歩いて頂戴と言い放ち、水銀燈は冷静になってしまった頭で再考する。
果たして『優勝』と言うスタンスのままでいいのであろうかと。
確かにすごく頼もしい協力者も得たし、上手く行けば勝者になれるであろう。
だが本当にこれでいいのであろうか? と。
アリスゲームと同等と考えていたが、このバトル・ロワイアルと呼ばれたものは
神聖なアリスゲームより遥かに下劣なものではないのであろうか。
そもそもこちらで姉妹達が姉妹以外の誰かに倒され最終的に自分だけとなったとき
それはアリスゲームの決着になるのか?
第一雪華綺晶の問題も終わってないのにアリスゲームを終えることなどできるのであろうか?
(アリスゲームの方は……保留、まだ休戦するべき……?)
水銀燈はこの会場にいる限りアリスゲームのことはあまり深く考えないようにした。
正直言ってシンプルに最後に立っていればいいと思っていたが、
どうもそれではアリスゲームの勝者にはなれないのかもしれない。
いまこの場でやるべき事は出来る限り姉妹揃って脱出し、元の世界に戻り再びアリスゲームを始める。
これが正しい選択なのではないかと。
水銀燈は桐山和雄の背中の温もりを感じながら、自分の方針をバトル・ロワイアルの勝利から
バトル・ロワイアルから脱出し、アリスゲームの勝者となると改め決心した。
それが正しいか正しくないかは、『バトル・ロワイアル』を脱出したあとにわかるだろう。
◆◆◆
全て終えた男が全てを掴もうとした薔薇乙女に自分を与え、全てを離し反逆を決意する。
二人の共通していた点は好戦的であったこと。
二人がこれから共通することは反逆をすること。
血の運命は意志の宿命へと変わる。
それは未来を得ることになるのか、地獄への特急列車なのか。
誰も知る術はない。
「ねえ、いつまで私を背負っているつもりなのよ」
「だからお前が下ろせというまでだ……嫌なのか?」
「嫌じゃあないけど……」
【G-3/橋上/深夜】
【桐山和雄@バトル・ロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:水銀燈(背負っている)
[道具]:基本支給品、たくさん百円硬貨が入った袋、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:水銀燈の仰せのままに。
1:水銀燈に付き従う。
【備考】
※参戦時期は死亡後です。
【水銀燈@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:桐山和雄(隷属させている)
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3、
[思考・状況]
基本行動方針:アリスゲームを元の世界で続けるために主催に反逆する。
1:桐山和雄以外の参加者との接触
2:嫌じゃないんだけどなんなのかしらこの感じは……
【備考】
※参戦時期はローゼンメイデン4巻終了時です。
支給品紹介
【たくさんの百円硬貨が入った袋(5kg)@現実】
袋にたくさん百円硬貨が入っいる。
こんだけあればエラー硬貨が入っていてもおかしくはないかも。
以上投下終了です。
何か不可思議な点がありましたら、ご報告くださいませ。
投下乙!
これは予想外の展開だw
投下乙です。
何やってんだ桐山……虚無的にも程があるぞ。らしいといえばらしいが。
そして綺麗な水銀燈が。
現在位置ツールですが、どうも「私の環境でsave.cgiを開く」と動かなくなるようです。
というかよく読むと動くはずのないプログラムのように見える……。
ただ落としたものをそのまま上げれば最新話へのリンク以外は機能しました。
とりあえずこれでどうでしょうか?
http://www23.atpages.jp/rowaxrowa/
投下乙です。自分も投下します
ここはA-4 甲賀弾正屋敷である。甲賀卍谷衆頭領、甲賀弾正の屋敷の一室である。
囲炉裏の前に座り込んでいる少年がいた。
「プログラムの途中で別のプログラム……? さっきまで一緒にいた筈の琴弾は……桐山はどうなったんだ?」
少年の名前は杉村弘樹。香川県城岩町立城岩中学3年B組所属。不幸にも彼のクラスが戦闘実験第六十八番プログラムに任命され、修学旅行に
向かう途中のバスの中で拉致されて最後の一人になるまで殺し合いを強いられる羽目になった。
クラスメイトが脅え、戸惑い、狂乱していく中、彼は会いたい人のために会場を奔走した。
友人である七原達と一時的に出会い、プログラムからの脱出の話を持ちかけられたが、それよりも優先してまで探し出したい人物がいた。彼
の片思いの相手である琴弾加代子である。
そして彼はその思いが通じ出会うことができた。
殺し合いの最中だというのに、彼はとても暖かい時間を過ごしていた。
クラスの不良達のリーダー、桐山和雄が杉村と琴弾を襲撃にきた。
琴弾を守るため、彼の前に立ったところで――意識が途切れている。
次に気付いた時には、あの個室にいたのだ。そして説明される。また殺し合いの舞台に最初からスタートしろと。
「とりあえず、名簿を確認しよう」
先ほどまで自分がいたクラスメイト達との殺し合いより人数が明らかに多い。
一目見ただけでカタカナ表記の名前が多く、外国人との戦闘実験なのか? もともと俺達が強いられているプログラムは軍の演習シミュレー
ションだと聞いたことがある。
だとすると……参加者が一定数に達した時点で実験が次の段階に進み、外国人相手の演習でもするっていうのか?
俺のクラスメイトは
『桐山和雄』
琴弾と俺を襲撃してきたあいつ。もし、俺が意識を失ったあとに琴弾に手を出していたら、俺はこいつを――
『相馬光子』
千草を殺した女だ。こいつも信用ならない。きっとこいつは、この殺し合いでも積極的に殺して回るだろう
『七原秋也』
俺の友人の一人。ワイルドセブン。野球とロックが大好きであり、あの島で脱出のために動いていた男。一緒にいたはずの川田と中川さんの
名前が無い。琴弾と同じだ……まさか二人は――
……!? 馬鹿な!!
あり得るはずの無い名前を名簿に見つける。
『三村信史』
既に放送で名前を呼ばれたもう一人の俺の友人。バスケがうまく、俺と違い社交的なやつだった。今まで放送で呼ばれた名前は真実だと盲目
的に信じていたけれど、違うのか?
俺も拳法の腕にそれなりに自信がある。他人を殴ることは確かに躊躇してしまうが、それでもクラスの中では上位に入るだろうという自負は
ある。
三村の場合、運動神経が良いことはもちろんだが、あいつはパソコンの知識もすごかった。詳しくはわからないが以前教室で自作のプログラ
ムを作っただとかの話をしているのを聞いたことがある。
もしかして、この殺し合いに呼ばれた俺のクラスメイト達は、結果はどうあれプログラムでの何らかの条件を満たした成績優秀者を集めたってことか?
じゃあ残された琴弾や川田、中川さんは一体どうなったんだ? クソッ! とにかく七原や……もし本人なら三村と合流しないと。
名簿をリュックサックに再びしまう。
「とりあえず支給品を確認してみよう。また首輪探知機があったら良いけど……」
そういって支給されたリュックサックを漁り、支給品を床に広げてみる。
地図、コンパス、時計、筆記用具、ランタン、食料と水、そして残りが個別の支給品ってことか。
その内訳はカードケース、ネックレス、そして大量の苺大福だった。
武器としては大ハズレもいいところだ。
このネックレスは鏡がついているみたいだ。なんだか不思議な魅力を感じる。
なんとなくそれを首にぶら下げておくことにした。
障子の外に人影が映る。
「誰だ!?」
向こうもこちらに気付いている様子だ。両手を挙げて武器を持っていないアピールをしている大男の影が見える。
「おいおい待ってくれよ。一人じゃ怖いんだよ〜。一緒にいてくれないかい?」
そういって障子が開かれた。
そこに立っていたのはガタガタと揺らした長い足、筋肉質な胸板を大胆に覗かせているシャツ、自分と同じ様に肩口まで伸びた金色の長髪、映画スターにでもなれそうなほど整った顔立ちの男だった。
……異常に高い鼻を除けばだが
怪しい。杉村の母国の大東亜共和国が鎖国気味であり、外国人の顔などほとんど見たことが無くてもわかる。
この金髪の男は怪しいと。だけど、男の言葉から嘘は感じられない。怯えきっているのだ。大柄な見た目に反して、小さい子供のように。
だけど、まだ警戒を解くわけにはいかない。相馬光子のように、演技をしているだけなのかもしれない。
「……俺は、杉村弘樹って言います。あなたは……?」
「あっ僕…じゃなかった、私の名前はイギリスの英雄、無敵のパルコ・フォルゴレさ!!」
さっき名簿を見たときそんな名前は無かったはずだ。
だけど、この男を相手に脳がまったく警戒信号を鳴らさずにいる。俺の感覚が麻痺してしまったのだろうか?
「うわぁ、お菓子だぁ。ねぇ食べてもいいかい? 僕山の中に放り出されていたから何も食べてないんだ」
男は尋常じゃないほどの量のよだれを垂らしながらこちらの後ろに放置した苺大福を見る。
あまりの気持ち悪さ…もとい熱意に負けて了承の意を伝える。
金髪の男は見た目の年齢に反して、子供のように両手をあげやったー、と言いながら苺大福を食べ始める。
その異様な光景を見ている杉村の瞳から生気が抜けている。口を横一文字に結び、無表情というやつだ。
もしこの場にナゾナゾ博士がいたら、杉村の表情を見て光悦の表情を浮かべることだろう。
ボンッ!
口の周りを苺大福の粉で汚しながら食べていた金髪の男が一瞬煙に包まれて、煙の中からアヒル口のベビー服のようなものを着用している小さな少年?が現れた。
少年は自信の変化に気づいていないのか、おいしそうに苺大福を食べている。
そういえば、川田と中川さんがくれたお粥とココアはおいしかったなぁと、ついには現実逃避しかけたところで再度話しかけられる。
「ふぅ。おいしかったよ。ありがとう。ヒロキ。お礼に歌を聞かせてやるよ!」
鉄のーふぉるごーれ♪
無っ敵ーふぉるごーれ♪
鉄のーふぉるごーれ♪
無っ敵ーふぉるごーれ♪
右腕を上下に振りながら、場違いなほどすばらしい笑顔で歌いだす。
「どうだい? この歌を歌えば何度だってフォルゴレは立ち上がるんだ! フォルゴレは僕にとっての最高のヒーローなのさ!」
あぁ、名簿にフォルゴレの名が載っていないことは先ほど気付いたけれど、この少年は最早自分がフォルゴレという偽名を使ったことを忘れているようだ。
偽名を使ったってことは殺し合いに乗った人物ってことか? でも、なんか倒しちゃいけないようなオーラを醸し出しているな
「そういえばヒロキ。大きくなってないか?成長期かい?」
そこで俺は支給品だったネックレスの鏡を無言で少年の顔の前に持っていく。
「うわあああ。もう戻ってる!? 攻撃しないでくれよ〜助けてくれよ〜」
今度は頭を抱えて尻をこちらに向けて縮こまりガタガタ震えている。
ここで震えている少年キャンチョメ。
彼の能力がこの会場で一番の強者になる可能性を秘めていることに杉村も、そしてキャンチョメ本人さえも気付いていなかった。
この少年の隠された力が目覚める時は、来るのだろうか?
【A-4/甲賀弾正屋敷/一日目・深夜】
【杉村弘樹@バトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:英雄の証
[道具]:基本支給品、カードデッキ(どのライダーかは不明)
[思考・状況]
基本行動方針:七原、三村(本人なら)と合流
1:この少年は一体……?
2:俺達がいたプログラムの優秀者を集めたのか?
3:もし、桐山が琴弾を殺したのだとしたら、俺は……
[備考]
*この殺し合いを大東亜帝国版プログラムの次の段階であると推測しています。
参戦時期:琴弾と合流後、桐山襲撃直後
【キャンチョメ@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、キャンチョメの魔本@金色のガッシュベル!! 不明支給品×1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:不明
1:攻撃しないでくれよ〜
2:フォルゴレがいないのになんで呪文が使えたんだろう?
[備考]
*何故かパートナーがいなくても術が使えることは理解しました。本がフォルゴレ以外に読めるとは思っていません。
参戦時期:不明。少なくとも千年前の魔物編以降
以上で投下を終了します。
何かおかしな点がありましたら指摘をお願いします。
◆Royal54O0k氏投下乙です!
これは綺麗な水銀燈。だけど、姉妹と特に真紅と出会ったらどうなることかw
桐山はコイントスで表と裏のどちらでも無い……だと? この結果は予想できなかった!
今後二人がどうなることか。 七原は真紅とペアってのも因縁を感じますなw
>>135 最新話へのリンクを変更する方法ですが、多分
ttp://www7.atpages.jp/jlcbr/ の書いてあるjlcbrを当ロワのwikiのURLであるrowarowaに変更すれば直るかもしれません。
ワードパットとかでcgi-bin\addCharacter.cgiのファイルを開いて修正ってしました?
見当違いのことを言っていたら申し訳ありません。
投下します
殺し合いの地で初めて会ったのは薄い錆茶色を基調としたカニを思わせる魔物だった。
ティオ自身に願いを求めた戦いに乗る気はなかったが出会い頭に攻撃を仕掛けられてはそうも言っていられない。
歴戦の勇士を思わせる対応の速さで数少ない攻撃呪文の一つ、サイスを連射する。
魔本の力を借りない攻撃では敵が身に纏っている装甲を壊すことはできず
足止めが関の山だが彼女の狙いは別にある。
「つまんないなあ。もうちょっと楽しもうよ」
仮面の奥から聞こえたのは予想以上に幼さを残した声だがティオは気にせず刃を打ち出し続ける。
ここに呼ばれる前から彼女が戦ってきたのは多くが子供。手加減する必要はどこにもない。
そして、手加減をする必要はないが逃げる必要は明確に存在する。
彼女の呪文の多くが補助に特化したものであり、相手を倒しうる物は強力なぶん、消費も膨大。
多くの敵と戦うことになるであろうこの場所では消費は可能なかぎり抑えたほうがいい。
「……これしか攻撃魔法を持ってないんだ。ジョブで例えるなら中途半端に鍛えた白魔道士ってとこかな。
その手の奴は一人になると弱いっていうのがお約束だよ」
幾分か弾んだ声で魔物がそう言うと両腕を顔の前でクロスしながらダメージ覚悟で突っ込んでくる。
ティオが待ち望んだのはこの瞬間。リュックサックから予め取り出しておいた
鏃に煙幕弾が付けられている矢を取り出し、渾身の力で突進してくる魔物の足元へ投げつける。
煙幕が敵を覆うと同時に
「ギガ・ラ・セウシル」
煙と共に相手を球状のバリアに閉じ込める。作戦が上手くいったのをティオは確信し逃げよ
うとするが、バリアが割れる気配と何かをとても強い力で吸い込むような空気の流れを感じ目を見開く。
少女が目にしたのはバリアを切り裂いたハサミのような物と一箇所に吸い込まれていく逃亡を助けてくれるはずだった煙。
ティオの誤算は二つ。術の効果減少をほんの少しではあるが甘く見たこと、
そして極めつけは相手も支給品を持っているということを計算に入れなかったこと。
策の失敗から立ち直るより先に、一足飛びで間合いを詰めてきた仮面の
敵が繰りだす強烈な突きが幼き戦士の顔面を捉え空気が押し潰れる様な音を伴わせ吹き飛ばす。
二、三度地面と濃密なキスを交わした後、仰向けに横たわるティオの腰の上に馬乗りに
なった敵はひたすらに顔を、胸を、腹を殴りつける。笑いながら拳を振り上げ、叩きつける。
視界を埋める自分の血と相手の拳と激痛が送る暗闇。陵辱とも言える暴力の前にティオは抵抗する意思を失う。
「ははっ、ボクの勝ちだね。白魔道士は戦士に勝てないのは常識だよ」
ティオが動かなくなったのを確認すると、魔物の姿が光りに包まれ清麿の少し下くらいの男の姿に変わった。
自分に勝った者の正体に本当は驚くべきなのだろうが腫れ上がった瞼
や鼻血などで呼吸が困難になった彼女は物を考える力がほとんどと言っていいほどに失われていた。
自分よりずっと年下であろう傷だらけな少女を満足気に見下ろすとベルトを外し、ズボンを太股の辺りまで下ろす。
「ゲームの勝者は全部を戦利品として手に入れることができるんだ。だからこれもボクが手
に入れた当然の権利ってヤツだよね。大丈夫、ちょっと“かわいがる”だけだよ白魔道士さん」
そう言うと少年という名の男は荒々しく自らが屈服させた少女のスカートをまくりあげようとする。
その動きに悲鳴をあげながらの突然に抵抗を始めたのは女性が持つ本能故だろう。
しかし、勝者の権利を笠に女性の尊厳を嬲ろうとする彼には敗者の分際で逃れよ
うとする身の程知らずの行動にしか見えないのだろう。
獣は一層強い力で少女の手足を抑えつけ歯を剥きながら睨みつける。
そして、包まれも隠されもしない怒りと征服欲に曝されるティオの胸にあるのは巨大な生理的不快感。
(気持ち悪い)
自分の顔にかかる荒い息が気持ち悪い。汗まみれで湿った服が素肌に触れるのが気持ち悪い。
欲望を押し付けるかのように体を抑えこむ手から伝わる体温が気持ち悪い。
下半身に当たっているゴツゴツした突起がどうしようもなく汚らわしく厭わしく気持ち悪い。
殴打され、敗北を認めかけたティオを突き動かすのは目の前のケダモノへの憎悪と不快感。
その感情が魔物としての少女の力を解き放ち、一心不乱に暴れる。普通の少女
とは比べものにならないソレを反射的に止めようとしたのは少年のミスである。
反発をくらったことで肩は脱臼し、我武者羅に突き出された手が顔中の肉を抉りとり、
勢いを殺さず眼球へと侵入し水晶体どころか視神経を蹂躙する。悲鳴をあげ、魔物から離れようとした男を止めるティオ。
渾身の力で両足をへし折り立てなくさせ、ヘタリこんだ際に足の裏で汚い物を踏み潰す。
蛙がくぐもったような声をあげながら股に手をやり、前かがみになり、結果として立っている化物に首を差し出す形になる。
血塗れの顔で首を絞める。速やかに迅速に両の手で首を絞め、首の骨をへし折る。
ティオを回復が得意な魔法少女と定義した少年はある意味で正しかったであろう。た
だ一つのミスは現実をゲームのように見ながらレベルの概念をティオに当てはめようとしなかったことだ。
多くのゲームではLV99になった魔法使いは大抵のモンスターを素手で括り殺せる。
現実をゲームのように捉え戦おうとしていた連続殺人犯、吉良康介はこの戦いにおける参加者の誰にも名前を知られることなく命を終えた。
自らが殺した死体をティオは見下ろす。もう少し死体を傷めつけてやろうかと一瞬考えたがそこまでする必要もなかったし
何よりもこれ以上は触れたくなかったのでやめた。
死体が持っていた荷物を拾おうとするが僅かに残っていた体温が先程の体験を思い出させ反射的に手を引っ込める。
自分の荷物だけを纏め、彼女はその場を後にする。
「ここのいるのはガッシュ、キャンチョメ、シュナイダー、それにゼオンか……
男ばっかりじゃないの」
そう呟きながらティオは歩く。血を知らぬうちに眼から溢れていた涙で洗い流しながら歩く。
「…………助けて。恵」
震えるようなその呟きは誰にも届かない。
【吉良康介@BTOOM! 死亡】
【D-2/一日目/深夜】
【ティオ@金色のガッシュ!!】
[状態]:ダメージ大、疲労中、男への生理的嫌悪感?
[装備]:
[道具]:基本支給品、魔本@金色のガッシュ!!、ヨキの弓矢(9/10)@waqwaq、不明支給品×0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:???
1:仲間に会いたい?
仮面ライダーシザースのカードデッキ@仮面ライダー龍騎、BIM(爆縮式)(7/8)@BTOOOM!、
基本支給品、不明支給品は死体周辺に放置
【支給品紹介】
【ヨキの弓矢@waqwaq】
ヨキが使用していた弓矢で鏃には煙幕弾が付いている。
【BIM(爆縮式)】
起動させ目的の物体に付着。あらゆる物を削り取る真空の爆発を発生させる。
以上で投下終了です。
すいません。これやっぱり破棄にして、予約がないようなら
改めて手直ししたのを投下します
スレ汚し申しわけありませんでした
投下乙です。
>WE ARE ONE
苺大福を食うキャンチョメを見てる杉村が雷句絵で再生されたわwwwww
この杉村は三村死亡後か。
>魔法少女ティオ! Set up!!
何というタイトル詐欺。
このロワでも一、二を争う外道がまさかの一話死亡とは。
>>141 ふと思いついてサーバー上のファイルを直接弄ったら正常に動作しました。
ご迷惑をおかけしました。
あれ、これでも大丈夫でしょうか?
過激すぎるように思えたので手直ししようかと思ったのですが…
大丈夫なら他の方の負担にもなってしまうのでこのままでお願いします
>>149 もう一度読み直しましたが特に問題ないかと思います。
これで過激と言われると陽炎は存在出来ないw
良かった。じゃあ、このままでお願いしますw
内容には問題ないと思いますが、ところどころ改行がおかしな点がありますのでそこを修正していただけないでしょうか?
了解です。ただ、ウィキの弄り方が全くわからないので遅くなるとは思いますがご容赦を
あ、改行に関してはこだわりはありませんので有志の方がやってくださるというのなら
それでもOKです
投下乙!
ティオーーーッ!! タイトルからしてティオが魔女っ娘に変身するかと思ったら、悪い方向に変身したー!!
吉良! てめぇ! 吉良と名のつくやつは変態ばっかだな。
>>147 現在地ツールを作ってくれてた方ですよね? 動くようになって良かったです!
超乙!! wiki収録キャラ分を追加しますね!
ほのぼのシュールに大福食ってるキャンチョメとのギャップがw
まさか、ティオの首絞め技能が人殺しに使われる日がくるとは
魔物だもんね、そんじょそこらの大人より握力強いよね
男性不審疑惑もあって、今後が心配だ。くぎみーのジンクスもあるし
杉村が覚醒寸前で呼ばれたのかー。琴弾に想波の極意(違)を習ってはいるからロワ内で覚醒するか!?
仮面ライダー杉村が見れるといいなw
投下します
遊園地を歩きまわる一人の少女がいた。
彼女はアリスゲームという名の殺し合いにおいて雪華綺晶に体を奪われた敗北者。
肉を、実体を求められローザミスティカと人工精霊を遺し、喰われた身。
彼女が恐れるのは鞄の中で永遠に目覚めることのない孤独という名の暗闇に囚われること。
だから、戦士はローゼンメイデンの本能とすら言えるアリスゲームを捨て、
孤独を奪ってくれた大切な日常を守る道を選んだ。守るために闘った。
彼女の願いは皆が傷つかず、戦わないでいられる世界。
そして最期にその思いを姉である真紅にローザミスティカと共に託した。
だが託した願いが果たされるより先に、彼女はこの地で再び体を手に入れ、
再び殺し合いをすることとなった。
少女がソレに気づいたのは出口に向かおうとする際に
メリーゴーランドの側を通りがかったとき。
馬車の中で途方に暮れたような鳴き声をあげる小さな馬がいた。
鳴き声は羊のようなものであったが、それは些細なことにしておくべきだろう。
彼女より少し大きいくらいの馬を困らせているのはリュックサックの存在。
蹄である前足で開けることはできないし、チャックを歯で挟もうにも上手くいかない。
うっすら涙を浮かべながら悪戦苦闘する馬は近づいてきている雛苺の存在に気づかない。
「おうまさん、ヒナがそれ開けてあげる」
「メル!?」
横から入り込んできた雛苺に子馬は一瞬驚くが、
その申し出を有りがたく受け入れることにしたのか
リュックサックを恐恐といった感じに差し出してきた。
それを受け取り、中を開き真っ先に目についた本を取り出した。
よほど大事なモノだったのかそれを見た小馬は大喜びして少女の顔中を舐め回す。
「くすぐったいの〜」
笑いながらそう言う彼女の名は雛苺。
アリスゲームを否定する思いのもと逃げずに闘い、立ち向かう。
気高く咲き誇る薔薇乙女の第六ドール。
彼女の顔を舐め回す馬の名前はシュナイダー。
魔界の未来を賭け、肉体の喪失の恐怖を乗り越え闘った戦士。
そう、彼の名はシュナイダー。決してウマゴンという名ではない。
【A-7/遊園地/一日目・深夜】
【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品×2
[思考・状況] おうまさん、なんて名前なの〜?
基本行動方針:誰も傷つかない世界が欲しい
1: シュナイダーと行動を共にする
【シュナイダー@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:魔本@金色のガッシュ!!、基本支給品、不明支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を探す
1:雛苺と行動を共にする
以上、短いですが投下終了です
ヒミコ&美神愛、投下します。
まず、武器を確認した。
烈火ガス式BIM8個。だいたい使い方はわかっている。
BIMのなかでも自爆する可能性が高いので使う場所は特に配慮しなければならない。
他の支給品は基本支給品一式を除けば、手鏡、そして果物ナイフだった。
「これで戦いぬけって? エセ『BTOOOM!』の次は『バトルロワイアル』? 何それ……もう沢山よ」
無理矢理人を殺して、それで帰っても彼女の居場所はない。
しかし脳裏に彼女を強姦しようとした男の脂ぎった身体が浮かび、全身に悪寒が走る。
――男にいいようにされるのだけは嫌!
気を奮わせ名簿に目を通す。
そして、脱力。
「……何で私が“ヒミコ”なの?」
ヒミコ――HIMIKO。ネットワーク型ゲーム「BTOOOM!」での彼女のアバター名。
確かにそう呼ばれてはいるのだが、その坂本竜太は本名で名簿に載っている。
他にそれっぽい名前を探す――ミツル、ワタル。姓がなく外国人っぽい名前も含めればもっと多い。
彼らが「BTOOOM!」プレイヤーかどうかは別として、自分の名前が浮かなかったことに安堵した。
しかしこれだけの力を持つなら本名を調べるのも造作もないはずだが、何か意図があったのだろうか。
とりあえず荷物をしまい、かざした左中指に意識を集中させる。
ピコーン
レーダー波を送り近辺に人がいないのを確かめた。
反応はない。
それは同様に会場にいるはずの坂本や平も近くにいないということだが――――アイツらも所詮男だし――――でも、アイツは――――
「さっきの何かカッコイイわね」
背後からの声にビクリと振り返る。
反応は、なかったはずなのに。
【マルコがいない。私と永遠の愛を誓ったはずなのに!】
「全くだわ。だからマルコがどこか教えてよ!」
美神愛は明らかに苛立っていた。
夢の桜見タワーでの結婚式を挙げて、1stと2ndとの決着をつけようとしていた所だったのに。
どうやらこの未来日記がレプリカであり、能力が制限されているのは本当のようだ。
「でも私にはコレも……逆ナン日記、と」
次に声をかける男性のスペックや未来の愛が書いたコメントがわかる。
危険人物を回避可能、これだけで十分利用出来る能力である。
しかしそれに映しだされるのは【NO DATA】の文字列のみ。
「しばらく誰とも出会わない……?」
調子が狂う。早くマルコと合流したい。
そんな想いとともにしばらく荒野を進む。
もう1つの支給品、スタンガンを手にして。
それから程なく人影を見た時は彼女も驚いた、と同時に納得した。
金色の髪、白のブラウス、迷彩柄のスカート――女だ。せいぜい高校生といったところ。
これでは『逆ナン日記』に引っかからないのも当然である。
上げていた左手を下ろした所で、彼女に声をかけた。
そしてヒミコも理解した。
干渉波による反応の消失ではない。
背後に忍び寄っていた女性――美神愛の左手にはチップがない。
レーダーでありキルスコアの証であるこのチップ。
これがレーダーとして機能するのは相手もこれを付けている時である。
生きている間に剥がすのは非常に難しいため、これまでの“ゲーム”ではそれを前提に動いていたのだが。
「……最ッ悪」
「ご挨拶ね。まあ、私も女には興味ないけど」
月下の荒野で女同士の睨み合いが始まった。
【F-1/荒野/一日目/深夜】
【ヒミコ@BTOOOM!】
[状態]:健康
[装備]:BIM(烈火ガス式)@BTOOOM!(8/8)果物ナイフ@現実
[道具]:基本支給品一式、手鏡@現実
[思考・状況]
基本行動方針:とりあえず生き残る
1:目の前の女をどうにかする
2:ここではレーダーが使えない!?
3:坂本が気になる
【美神愛@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:交換日記のレプリカ・美神愛用@未来日記、逆ナン日記のレプリカ@未来日記、スタンガン@BTOOOM!
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:マルコと合流し二人で生き残る
1:目の前の女をどうにかする
2:日記はアテにならないわ!
3:マルコが気になる
【BIM(烈火ガス式)@BTOOOM!】
爆発すると身体が溶ける程の高熱の毒ガスを噴射する。
【果物ナイフ@現実】
ステンレス製。木の鞘がついている。
切れ味はそこそこだが人間を切るのには向いていない。
【手鏡@現実】
やや大きめの女性の嗜み。女性以外も……?
【交換日記のレプリカ・美神愛用@未来日記】
未来において彼女が見た戦場マルコの様子が書かれる。
これを破壊されても愛やマルコは死なない。
【逆ナン日記のレプリカ@未来日記】
美神愛が次に出会う男性のデータが書かれる。
出会うのが女性や無性であった場合、それは表示されない。
【スタンガン@BTOOOM!】
先端を当てるとしばらく気絶する程度の高圧電流が流れる。
チャージに時間がかかり、連続使用は不可。
以上で投下終了です。
タイトルは「403 Forbidden」で。
追記。ヒミコの初期BIMが単行本だと確認できなかったので、続きで判明していたのなら修正します。
あと交換日記の能力が微妙な気がしましたので(原作で別々に行動してない……)意見お願いします。
というか仮投下対象ですね、すみません。
あ、Webコミックの外伝に書いてあった……タイマー型ですね。
BIMだからそんなに問題はないと思いますが、後で修正版をしたらばに投下します。
168 :
創る名無しに見る名無し:2010/12/24(金) 22:10:13 ID:h+46v4pK
投下乙です
>マシュマロのような舐め心地であった
ウマゴンはリュック開けられないよねw おい!コト! 開けられるように細工しとけよw
>403 Forbidden
二人とも自身専用のレーダー装置で探りを入れるも、互いに対象外で遭遇か。
ヒミコは女性相手にどうでるか?
交換日記の制限について
ロワだと扱いが結構厳しいですよね。
思いついたのが、マルコと一定の距離まで近づいていれば効果が高まるとかはどうでしょう?
遠い内はかなり限られた情報しか入ってこない。 けれど、同グループで活動している際は詳しい未来が予知ができるとか。
これならリレーする際に、離れていてもマルコと愛の行動をそこまで制限しないでイケルと思うのですが
他の方の意見も聞いてみたいですね…
>>168氏
ご意見&感想ありがとうございました。
距離によるという案、いいですね。
ただ、リレー小説の都合上合流までの展開縛りにならないかという懸念があります。
「助けに来てくれた!」程度でも次にマルコを動かす人の制限になりますし
しかもお互いに。
本領発揮のためには隣接しているのが一番ですし
これは参戦決まった時に言うべきだったことかもしれませんが。
とりあえずその辺り誤魔化しつつ仮投下スレに行きます。
長きのスレ占領、申し訳ございませんでした。
ロゴがほしい
大幅に遅れて申し訳ありません
雨流みねね、北岡秀一を本投下します
竹林の如く多くのビルが聳え立つ市街地の路上。
夜空を淡い橙色に照らす街頭の下に一人の男が立っていた。
年齢はおそらく三十前後、白いシャツとネクタイの上からグレーのスーツで身を包み、足元には黒のアタッシュケースが置かれている。
耳の辺りまで伸びた黒い髪はよく整えられており、その精悍な顔つきにはどこか余裕のある表情が浮かんで、全体として知的な雰囲気を醸し出していた。
今、彼の視線は手元にあるこのゲームの名簿へと送られている。
「木戸、秋山、浅倉……他のライダーも大方呼ばれてるってわけね」
誰へ告げるでもなく、ただ現状を確認するため、声に出して呟く。
「それに霧島美穂、ね……このゲームの主催者もどうやら人が悪いらしいな」
誰へ告げるわけでもないが、若干の苛立ちを吐露するため、言葉を吐き出す。
「まあ何にしても、俺のやることは変わらないんだけどさ」
最後に、ただ決意を再確認するための言葉を口に出すと、名簿を鞄にしまい、また道を歩き始めた。
◇ ◇ ◇
男は名を北岡秀一という。
彼はどんな事件でも「黒を白に変える」と評判の敏腕弁護士であり、また同時に“仮面ライダー”の一人であった。
仮面ライダーとは、神崎士郎の開く戦い――すなわち、ライダーバトル――の参加者のことを指す。
戦いの景品は、何でも願いが叶うこと。
そのために求められることは、ライダー同士で殺し合い最後の一人として生き残ること。
そして北岡秀一は、“永遠の命を得るため”この殺し合いに加わった。
というのも彼は死病に冒され余命が幾何もなくなっていたのだ。
(好きなことやって生きるにしても、まずは命がないとね)
裕福な家庭に生まれ、しかし実力と才能を磨き、今では一流の弁護士となった
“自分の欲望を叶えながら生きる”がモットーの彼だが、そのための努力もしてきた彼にとってすれば、
ただの不運でかかった病であと幾何も生きられないとわかるなどまさに青天の霹靂だったろう。
だからこそ彼は、ライダーバトルで自分の力で未来を勝ち取れる可能性に挑んだ。
元から先のない命、掛け金としては安いものである。
そして今。
彼はいつのまにか“バトルロワイアル”などという得体のしれないものに参加させられていた。
だが―――このバトルロワイアルの構図はライダーバトルのそれとほとんど変わらなかった。
正体不明の主催者に、決められた数の参加者、そして優勝すれば願いを叶えるというあの言葉。
願いが叶うのかもやはり定かではないが、そこに可能性がある以上、北岡秀一の目指すことも変わり得ない。
この戦いを生き残り、“永遠の命を得る”こと、それだけである。
………それだけである、のだが。
(だからといって、連中の思い通りになるのも癪だよねぇ)
繰り返すが北岡秀一は欲望に忠実な人間だ。
永遠の命を得るという願いも、突き詰めれば欲望を達成しながら生きるための手段の一つにすぎない。
やりたいことをして気ままに生きるのが彼の生き方である。
つまり、何が言いたいかというと―――首輪をつけられながら戦いを強制されている状況、これ自体が彼にとってはこの上ない屈辱なのだった。
(ライダーバトルでさえ参加者は自分から志願した“ロクデナシ”を集めてたっていうのに)
彼は彼の以前弁護した被告人とは違い、根本からして外道な人間ではない。
進んで殺し合いに参加した人間ならともかく、殺し合いに巻き込まれた人間を殺すのは気が進まないものである。
殺し合いを強制されるのも、強制されている人間を殺すのも、胸糞悪いのだ。
もし今回のゲームにも神崎士郎が絡んでいるのなら、後で文句の一つでもいってやろうと北岡は心に決めた。
それにもう一つ、北岡には憂鬱なことがあった。
(名簿を見た感じ、結構それっぽい名前があるんだよなあ……)
このバトルロワイアルに女性が参加しているらしい、ということである。
目につくのは五、六人。『真紅』や『ハード』など、明らかに偽名らしき名前があるのも考慮すれば、さらにその倍はいるかもしれない。
女の味方を自認する身としてはこうした人間にもできれば手をかけたくはない。
戦いを仕掛けられれば容赦するつもりもないが、しかしそうでなければ―――特に相手が美人で、しかも戦いに巻き込まれた類の人間なら―――できれば戦いは避けたかった。
(こうなると、むしろ女性とは会う機会がない方がましかもね。
それもそれで寂しい話なんだけどさ……)
そう彼は期待したが―――現実はそんな願いとは裏腹に進んでいった。
歩道を歩く北岡の前方、ビルの影から一人の女が姿を現す。
袖無しの服にごつい長ズボンというラフな服装がよく似合い、腰まで伸びた黒い髪と整った顔立ちは、
左目の眼帯に若干損なわれてはいたものの十分北岡の眼鏡にかなうものであった。
ただし、彼にそうした諸々を確認する時間は与えられなかったのだが。
女性は右手に何かごつごつとしたボールのようなものを持っていた。
彼女はこちらを見るなり、それを思い切り放り投げ―――
―――そして爆発が生じた。
◇ ◇ ◇
「しかし、呆気なかったな」
爆風と破片をビルの陰に隠れてやり過ごしながら雨流みねねは一人ごちた。
彼女が今投げたのは『マークU手榴弾』、通称“パイナップル”と呼ばれる握りこぶし大の爆薬である。
主に使用されたのがベトナム戦争以前という骨董品だが、
当時はベストセラーとなって世界中で使われていたため中古も多く、
みねねの育った中東の兵器市場でもごくありふれた兵器だった。
(相手にも“日記”かその類のものがあるのかと思ったんだが……考えすぎだったか?)
雨流みねねは“未来日記”を用いたゲームの参加者だった。
その名の通り“未来”を“予知”する日記を用い、他の参加者を殺し、最後の一人となってデウスに代わる“神”となる。
やはりこのゲームの構図もバトルロワイアルのそれと変わらないものであり、雨流みねねの目的も以前と何ら変わらない。
ただ、自分の願いを叶えるためゲームに乗っている点は北岡秀一と同じではあるものの、
彼がバトルロワイアルとライダーバトルを分けて考えていたのに対し、
みねねはバトルロワイアルを以前のゲームの亜種と考えていた。
(名簿を信じるなら、主催者は来須を生き返らせるほどの力を持ってるってことになる)
未来を予知する力に、精神体でしか入れない因果律大聖堂―――まるでなんでもありなあの“神”だが、それに匹敵する力をこの主催者は持っている。
しかし、だからといってあの“神”の目を盗んでゲームの参加者を拉致できるほどの力の持ち主とは思えない。
というより、“神”以上の力の持ち主など、雨流みねねには想像できない。
だからむしろ、デウスが密かにこのゲームと関わっていると考えた方がしっくりくる。
例えば、あの黒い影が言っていた“様々な世界での殺し合い”はデウスが『未来日記を用いたゲーム』と並行して行っていた何らかのゲームであり、
このゲームはそれらを統合した、総まとめ的なゲームなのではないか、といった風に。
だが―――
(あの男は、死んだ)
彼女は爆弾を投げてすぐ物陰に隠れたから着弾の瞬間までは見ていない。
しかし獲物がよく使い慣れた“パイナップル”だからこそ、実感を伴って確信できる。
ピンを抜いてから起爆までの時間、標的までの距離、標的の反応―――
彼女は自分の経験から、あのタイミングでは助かりようがないと結論を下す。
(日記保持者なら、何か反応できただろう)
日記保持者対その他なら一方的な下らないゲームになりそうだ、とみねねは思う。
しかし自分に支給された武器を顧みるに支給品はそれなりに有用だろうと思い、
男の持っていた鞄を拾いに行くため足を動かし
角を出たところで、足を止めた。
爆発の煙が残る路上に、何かが立っていた。
緑を基調とした服の上から、銀色の簡素な鎧とヘルメットを被せたかのような、人間味の乏しい姿。
右手に無骨な銃を持ち、こちらの方をを見据えながら、それは屹然としてそこにいた。
◇ ◇ ◇
「なっ!?」
何だ、あれは!?
あれは別の参加者か―――否、そんな気配はなかった。
ならあれはさっきの男か―――応、あの男の死体は見当たらない。
ならあれは何だ?―――知るかっ!
「畜生がっ!!」
ともかくもあれは敵だ、それも銃を持った敵だ。
思考の遅れは動作の遅れ、動作の遅れは己の死だ。
みねねは慣れた手つきで手榴弾のピンを外し、再び相手に投げつけ、ビルの影に身を隠す。
相手――緑の怪人は、あろうことか両腕を前に交差しただけでその爆発を防いでみせる。
(まったく効き目なしか……)
ある程度予想していたこととはいえ、若干の苛立ちと焦りが頭をよぎるのを自覚する。
そんなみねねの様子と裏腹に、緑の怪人は落ち着いた手つきで銃を構えてこちらに向けた。
「っ!」
とっさに反射的に頭を後ろに反らす。
直後、頭があった場所を複数の銃弾が通り過ぎた。
「ちっ、あいつもヤル気満々な口か」
一方的な愚痴を言いながらも、みねねは考える。
とにかくここは不味い。
路上には遮蔽物がないし、敵の攻撃から身を守る術がない。
とにかくビルの角から走って距離を取りながら、彼女は『逃亡日記』を取り出す。
『逃亡日記』―――それは敵を倒すためには役に立たず、ただ逃げ道だけを教える彼女の未来日記である。
そして、普段なら数十日も先まで見通すその日記には―――ほんの数分、一、二手先までのことしか書かれていなかった。
(失っても命を失わない代わりの制限ってことなんだろうが……相手が日記所有者でないなら十分だ)
##########
00:42 [路上→左手のビル]
怪人Xに追いつかれる。
銃弾を躱すためビルの中に逃げ込む。
##########
後ろからの足音が急に大きくなった。
おそらくあれが角を曲がり切ったのだろうが、“DEAD END”が出てない以上そんなものは気にしない。
動かない自動ドアに回し蹴りを入れて蹴破ると、彼女は中に入っていった。
◇ ◇ ◇
ビルの中は暗く、街灯の明かりが窓からわずかに入ってくるだけだった。
この建物は典型的な雑居ビルのようで、一階には洒落た服などを扱うテナントが入っている。
その奥、服の棚と棚で雨流みねねは一息ついた。
(あれをどうやって攻略する……?)
雨流みねねに支給された支給された支給品は三種類。
みねね固有の未来日記である『逃亡日記』
幼いころから使い慣れた『マークU手榴弾』
そして、大方の武器に精通したテロリストのみねねにも全く未知の爆弾―――『BIM』
爆弾魔であるみねねにすればこの組み合わせは最良に近いが、
『BIM』に関しては性能を試す前にあの男と遭遇したため、今この場で使うのは避けたい。
例えば“破片手榴弾”というジャンルに分類される『マークU手榴弾』だが、その爆発範囲は10mに満たないものの、その破片の殺傷範囲はおよそ50mに及ぶ。
ろくに経験のない武器、それも爆弾を迂闊に使うリスクは大きすぎる。
つまり、みねねがここで使うとして信用に値する武器は『逃亡日記』と『マークU手榴弾』の二種類。
手榴弾は先ほどの戦いで二つ消費したため、残り六つ。
しかしその攻撃は敵に通じず、加えて相手は飛び道具を持っている。
こちらが相手に勝っているのは、『逃亡日記』の予知能力のみ。
さて、どうする―――と、ここまで考えたところで
―――パキ
と割れた自動ドアのガラスが踏みつぶされる音がした。
(チッ、もう来たか)
入口の方を見ると、街灯の光が逆光となり黒く見える人型が佇んでいる。
しかし逆に向こうからは店内は暗くしか見えないから、下手を打たなければこちらはしばらくは発見されないだろう。
そう思い、みねねは思考を再開させようするが、予想に反して人型はすぐに動きを見せた。
腰のベルトから何か(遠目にはトランプのカードのように見える)を取り出し、それを銃のマガジンに入れる。
すると、
その手に突如、戦車砲を外して取っ手をつけたかのような異様な装備が現れた。
(……は? まさか、あの野郎っ!)
真っ白になりかけた頭を無理やり動かして考える。
あれがどういう仕組みの手品なのかはわからないが、しかし。
密林のごとく障害物が入り乱れるこの場所で。
あんな大仰な武器を使う用途など一つしかない。
人型は腰を落とし、砲を構え―――店内のあらゆる場所へ向けて“砲撃”を開始した。
◇ ◇ ◇
轟音とともに放たれた砲弾が破壊を伴う弧を描く。
##########
00:44 [今の棚の後ろ→通路]
とっさに通路に飛び出す。
後ろの棚が吹っ飛ばされた。危ねぇ!
##########
飾られた服、木製の棚、マネキン人形―――店中の何もかもが、弧に触れた途端紙切れのように吹き飛ばされる。
##########
00:45 [マネキンの後ろ]
その場で伏せる。
頭上を砲弾が飛び、手前のマネキンは木端微塵だ。
00:45 [マネキンの後ろ→柱の影]
やつが次弾を用意する隙に移動する。
もう撃ってきやがったが、流石にコンクリ製の柱は一発じゃ打ち抜けないようだ。
##########
絨毯爆撃ならぬ絨毯砲撃。
一本の木を燃やすため森ごと燃やそうとするかのようながさつな攻撃。
だが被害を省みずどこかに潜む敵を撃つには、極めて効果的な戦術だった。
しかし敵の砲には一発撃ってから次弾を撃つまでにタイムラグがあり、
みねねは『逃亡日記』を用い辛うじてかわしきる。
そして柱の陰に身を隠しながら、考えを整理し修正する。
(あれは“飛び道具を持っている”なんて、かわいい代物じゃない)
さらに言えば“砲を持っている”なんて代物でさえすまないのかもしれない。
そもそも、さっきどこから砲が現れたのかもわからないのだ。
これから、さらに厄介な武器が増えていくと考えた方がいいだろう。
もはや喧嘩を売る相手を初っ端から間違えたとしか言いようがないが、しかし後悔している時間はない。
(あれを倒すのは無理でも“チェックメイト”をかける方法なら、思いつく限り一つだけある)
王手はかけられたかもしれないが、まだ詰んだわけではない。
みねねの脳裏に浮かぶのは、砲を取り出す前に見せた仕草。
もしあれがこの目で見た通りのものならば、みねねは勝つ方策を実行に移す。
―――そこまで考えが至ったとき、砲撃の音が止み、重量物が地面に落ちる音がした。
(砲撃を銃撃に切り替えるのか?…………………いや、違う!)
考えるやいなや、柱の影から踊りだし、手榴弾を投げつける。
弾は起爆し、敵が装填しようとしていた“カード”が爆風にのまれどこかに消える。
(やっぱり………っ!)
さっき砲が現れる前、みねねはカード(らしきもの)が装填されるのを見た。
つまりその動作が“新たな武器の出現”につながるのではと考えた。
しかし予測は予測、半信半疑なものに過ぎず、それを確かめる必要があるとも考えていた。
だから、このタイミングには注目していたのだ。
相手にしてみれば、敵が砲の攻撃をことごとくかわし、銃も決定打になるか疑わしい状況。
おそらく手詰まりだと感じ、打開策を求めるだろう。
なら、このタイミングで、敵はカードを装填し、新たな武器を求めるのではないか―――そうみねねは考え、それは目の前で現実のものとなった。
(だったらやれる!)
別の柱の影に身を移し、敵の銃撃をかわしながらみねねはそう判断した。
ヘルメットが暗視ゴーグルも兼ねているのか、正確にこちらを狙ってくる射撃を木片やマネキンの残骸を用いてかわしつつ、相手の動きを注視する。
敵がベルトからカードを抜きだすと、手榴弾を投げる。
それが爆発したのを見て―――みねねは柱の影から駈け出した。
(チャンスは今っ!)
埃が宙に舞い煙も収まらない中をみねねは走る。
敵が新しい武器を出す際見せた動作は『ベルトからカードを抜き』『それを銃に装填する』というもの。
なら、カードの入った“ベルト”かカードを入れる“銃”のいずれかを奪えば、新しい武器は出せなくなるだろう。
(爆発に乗じて近づき銃を奪えば、やつは攻撃手段を失う)
これが彼女の思いついた勝つ方策。
ベルトより銃の方が奪いやすく、またその後のリターンも大きい。
ただ彼女はあの鎧について知らないため何が起こるかわからないし、失敗する公算も高い。
その際は『逃亡日記』の使用に踏み切らざるを得ない。
だが、そんな心配はするまでもなかった。
手榴弾を投げるときに把握した敵の位置に着いても、周囲には誰もいない。
さらに視野を広げてようやく、標的が遥か後方、すなわち店の外にまで身を引いているのが見えた。
(クソッ、判断が早い)
店の中で武器を変えられないのなら、みねねの手の届かない店の外で武器を変えればいいと判断したのだろう。
妨害が二度続いたとはいえ、爆発の直後にそこまで動いた決断力にみねねは舌を巻いた。
これに対し追撃するのは、店から出たところを狙い撃ちされるため、論外。
よって二択。
残るか、引くか。
残って敵の新しい装備を見極めた上で戦いを続けるか、戻ってくる前に裏口を見つけ脱出を図るか。
(まあ『逃亡日記』に逃走経路があれば、ここに残ればいいってだけの話か)
そこでみねねは自分の日記を確認し―――
―――そして自分の敗北を悟った。
##########
00:49 [ビルの中→路上]
バカみたいな火力に追い立てられて路上に脱出するが、怪人Xに捕まる。他逃走ルートなし
畜生っ!
##########
◇ ◇ ◇
度重なる爆発と砲撃により燦燦たるものとなった店の前の路上に二つの影があった。
一つは、北岡秀一の変身した仮面ライダーゾルダ。
もう一つは、ゾルダと同様に緑を基調として銀の装甲が被さる、二足歩行する機械仕掛けのバッファローのような怪物、
『マグナギガ』“ミラーワールド”のモンスターである。
ゾルダは弾倉にカードを入れると、その銃をマグナギガの背中に押し当て、ゾルダの持つ中で最大火力の技を発動させた。
《FINAL VENT》 ――― エンド オブ ワールド
“世界の終わり”の名にふさわしい膨大な量の弾幕がマグナギガの全身から放たれ、
すでに瓦礫の山となっていた店を火と煙の織り成す灼熱地獄へと変える。
だがその店から間一髪、路上へ転がりだしてくる影があった。
ゾルダ―――北岡は、仰向けに転がるその影に近づき、銃をつきつけて言う。
「チェックメイトですよ、お転婆なお嬢さん」
それに女―――雨流みねねはどこか不敵な表情で言葉を返す。
「ヒヒ、残念だがそいつは早とちりだよ」
そして、右手を見るよう顎で示した。
そこにあったのは今まで使っていた手榴弾とはまるで違う、異質なデザインの爆弾。
女の指はそのスイッチトおぼしきところに既にかかっている。
「あなたもわからない人だなあ……そんなものが今更効くとでも?」
「さあな。ただこいつは支給された特別性の爆弾だ。
烈火ガスなんてものを使う、“お前の鎧と同様に”得体のしれない爆弾だよ。
だからこそ使いたくはなかったんだが……ここはヤケクソで使ってみるか?」
「はぁ………なるほど、で要求は?」
「ここは見逃せ」
「つれないなあ。私としてはあなたみたいな美人をみすみす見逃したくはないんだけど」
「気持ち悪いわね。起爆するぞ?」
「どうぞご自由に」
まるで余裕を崩さない返事に、女の表情はなんとも苦虫をかみつぶしたかのようなものに変わった。
「私が起爆しないとでも?」
「私が引き金をひかない限りは、ね。これでも弁護士やってるから人を見る目はあるつもりだけど、
あなたはどうも破れかぶれな行動をするタイプには見えないなあ」
「チッ。……起爆はさせないが逃がしもしない。お前は何を言いたいんだ?」
「簡単な話ですよ。―――私と手を組みませんか?」
◇ ◇ ◇
“刑事”に“弁護士”、どうして“テロリスト”のみねね様と手を結ぼうとするやつがこんな連中ばかりなのか、アホくさい、とみねねは思う。
だが―――
「いずれ殺しあうやつと手を組もうなんて、頭イカレてんのか、お前は」
「いえ、冷静に状況を判断しただけです。
あなたは“仮面ライダー”のこともまるで知らずに私に戦いを挑みこの様、
私にしても“こちらの攻撃を予測しているかのような携帯”のせいであなたを仕留めきれなかった。
まずは情報と、余裕をもって未知のものに対応できる戦力が必要、そうは思いませんか?」
―――これには少し面をくらった。
コイツは、あの戦いの中で“未来日記”に気付いたらしい。
まあしかし、砲弾の中を携帯見ながら正確によける人間を見れば、大抵はそういう結論に
なるのかもしれないが。
「なんで私が仮面ライダーとやらを知らないとわかった?」
「あなたは仮面ライダーに変身しなかった。あとは出会った直後の反応を見ればわかりますよ」
「なるほどね……一応聞いとくが、もし断ったらどうする?」
「残念ですが。その爆弾より、あなたをここで逃がすリスクの方が大きそうだ」
つまり初めから他に選択肢はないわけだ。
『逃亡日記』に書かれた未来の通りになったかクソッタレ。
しかしこの状況は非常に気に入らないが、あの男の言うことにも一理ある。
未来日記を“携帯”呼ばわりする男と仮面ライダー、か。
やはりこのゲーム、闇雲に戦うだけでは勝ち残るのは厳しいのだろう。
爆弾から手を放し、うんざりしたように言う。
「チッ、わかった、降参だ。これでいいんだろ」
「ええ。話が早くて助かります」
すると男が鎧姿から、一瞬にして初めて見たときのようなスーツ姿に戻った。
手の銃も一瞬で消えているが、その代わりにカードデッキが手の中にあった。
「それは……?」
「ああ、これなら変身アイテムといったところです」
変身って、本当だったのか……
まだ“緊急用の耐爆スーツ”とかそんなオチを少し期待してだけに、多少ショックではある。
目の前の出来事に唖然としているみねねを置いて、男は話を進めた。
「まずは情報交換から、といきたいところですが……ここはちょっと目立つし、場所を変えましょうか」
◇ ◇ ◇
そして今、二人はやたら高そうな車―――というか黒塗りのベンツの中にいた。
別に路上にあったやつを無理やり奪ったわけではない。
男―――名は北岡秀一というらしい―――が“マスターキー”なんて支給品を持っていたからだ。
「この会場にある車の鍵なら何でも開けられるそうでね。……理屈?知りませんよ」
他に北岡は黒のアタッシュケースを持っている。
今では最初の爆発に巻き込まれてそれなりにボロボロだが、もとのリュックサックのデザインが気に入らなかったので近くの店から失敬してきたらしい。
弁護士が盗みを働くなど本末転倒だが、「こんな会場で法律を気にしても仕方ないでしょ?」とは本人の談。
もっとも弁護士は法律の抜け穴を探すのが仕事でもあるそんなものかもしれないが。
………しかし、そんなことで時間を使うとは。阿呆か、こいつ?
「そこはほら、あなたみたいな女性と親密な男と女の仲になるには、服装もそれなりに気にしないと」
はあ?男と女の仲?……何言ってんだコイツ、気色悪ぃ!?
大体情報交換はどうした?
「そんなことより」
そんなことじゃねぇ
男との協力を後悔し始めたみねねだが、車は構わず夜の街を往く―――
【D-5/市街地(車の中)/深夜】
【雨流みねね@未来日記】
[状態]:疲労(中)、若干の後悔
[装備]:MKU手榴弾[4個]@現実
[道具]:基本支給品一式、逃亡日記@未来日記、BIM(烈火ガス式)[8個]@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して“神”を殺す
1:北岡秀一を利用しつつ優勝を目指す
2:仮面ライダーについて知る
3:他のゲームについて情報が欲しい
4:時間を見つけてBIMを使いこなしたい
[備考]
※参戦時期は原作六巻以降のどこかからです。詳しい時期は後の書き手にお任せします
◇ ◇ ◇
横の席の女を運転のついでに口説きながら、(女は案外うぶらしく、少しの口説き文句で顔を赤くしたり怒ったりしている)、
北岡は改めてこの状況を整理していた。
(“攻撃予測の携帯”ねぇ)
職業柄、女の反応から半ばあてずっぽうで言ったそれが事実らしいことは確信している。
しかしそれゆえに余計に困惑が強まったのは事実だ。
(さっきから町では誰も見かけないし、ライダーには変身できるし、ここ、まるでミラーワールドだよねぇ)
まるで理解不能な事態になっている―――それが北岡の率直な感想である。
しかもライダーバトルと違い、そうした不明瞭な部分が直接命を危険にさらしかねないのだからたちが悪い。
(最初に“わけのわからないもの”を知ってそうな人と手を組めたのはラッキーだったな)
女―――雨流みねねの方を一瞥して思う。
出会いからして明らかに人を殺し慣れている危険人物だが、頭の回転は速く、しかも美人である。
常に警戒は必要だが、殺し合いに乗った側の身としては申し分ない味方と言える。
「どうした?」
「いえ、その眼帯もよくお似合いだなあ、と」
軽く口説き文句を口にして、運転にも注意を払う。
そろそろ“携帯”の話を聞いた方がいいかなと思いつつ、新たな戦場か出会いを求め、北岡は車を走らせた。
【北岡秀一@仮面ライダー龍騎】
[状態]:疲労(中)
[装備]:カードデッキ(ゾルダ)
[道具]:基本支給品一式、マスターキー@オリジナル、黒のアタッシュケース
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して永遠の命を手に入れる
1:雨流みねねを利用しつつ優勝を目指す
2:みねねの“携帯”について知る
3:知らないことについて情報が欲しい
4:女性とはあまり戦いたくない
[備考]
※参戦時期は劇場版開始前のどこかからです。詳しくは後の書き手にお任せします。
【逃亡日記@未来日記】
雨流みねねの未来の逃走ルートを記す日記だが、制限によりせいぜい数分先のことしか予知できなくなっている。
日記としては大量の人間を動かし同時に複数の逃走ルートを奪う『捜査日記』や『千里眼日記』と相性が悪い。
【BIM(烈火ガス式)@BTOOOM!】
烈火ガスを発し皮膚を焼け爛れさせる爆弾。
特に密閉された空間で効力を発揮する。
【カードデッキ(ゾルダ)@仮面ライダー龍騎】
仮面ライダーゾルダに変身できるカードデッキ。デッキをかざし、ベルトに装着することで仮面ライダーゾルダに変身する。
ロングレンジの戦いに長け、契約モンスター『マグナギガ』は動かないものの高い火力と防御力を持つ。
【マスターキー@オリジナル】
会場に最初から置かれている車ならどれでも自由に運転できる。
電子キーではなく、鍵の穴にさして使う普通の鍵。
以上で代理投下を終了します。
続けて、別作品を代理投下します。
「なら私と一緒に星を見に行かない?」
始まりはその言葉からだった。
たったそれだけだったはずの言葉が、何気ない会話が私たちにとっての始まりの言葉だったんだ。
◇ ◇ ◇
「……あれ?ここ……は?」
背中にかかる柔らかい感触から椅子に座っているらしい。
周りには大量の椅子、そして前に大きいスクリーンらしきもの。
そこから推測するには
「映画館……ね」
彼女はその椅子から立つ。
彼女は近くに置いてあったリュックを持ち中身を確認し始める。
まず見つけたのは
「これは……当たりね」
彼女は中からIMIウージーを取り出す。
そしてそのまま中を探る。
他に、IMIウージーのマガジンが5つを発見した。
「これは……携帯電話ね」
そして携帯電話を開く。
【ユッキーが小さい男の子と行動してる!大丈夫なのかな?早く合流してあげなきゃ!】
どう見ても自分の日記、雪輝日記だった。
付属についていた説明書を見つけた、情報量が少なくなってる代わりに壊れても消滅ようだ。
支給品はもうないようなので次は名簿を開く。
まず目に入ったのは天野雪輝ことユッキー。
自分の恋人にして一番大切な人。
ずっと共闘してきた、時には私を助けてくれた。
次に戦場マルコ、こいつは死んだはずだ……。
「なんで生きているの?」
そこであの男の言葉を思い出す。
『……そして、死者を蘇らせたい者』
つまり、死者をよみがえらせることができるということだ。
他にも来栖圭悟、美神愛、雨流みねねの名前も見つかった。
「よし、じゃあ行かないと……」
彼女は立ちあがる。
「ユッキー……待っててね、今由乃が行くから」
彼女は行動し始める。
彼女を今動かしているものは、
天野雪輝への愛、ただそれだけだった。
【D-5映画館内部/一日目/深夜】
【我妻由乃@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:雪輝日記@未来日記 、IMIウージー(32/32)
[道具]:基本支給品、IMIウージーマガジン(5)
[思考・状況]
基本行動方針:ユッキーと合流する。ユッキーを殺そうとするやつは容赦しない。
1:ユッキーと合流する。
2:一緒に行動している少年はユッキーと合流後殺すか判断する。
3:ユッキーを守るためなら利用できるものは利用する。
※参戦時期は不明ですが天野雪輝と参加時期が近いです。(少なくとも雨流みねねの死亡後)
【IMIウージー@現実】
イスラエルのIMI社(現 IWI社)製の短機関銃である。
イスラエル初の国産兵器として1951年に陸軍中佐ウジール・ガルが完成させ
1953年に量産開始。1956年の第二次中東戦争で活躍した。
オールスチール製で重い(3,570g)ため撲殺にも使える可能性アリ。
【雪輝日記@未来日記】
2ndと呼ばれる我妻由乃が所有する日記。
これが壊れても我妻由乃は死亡しない。
天野雪輝の未来の行動・状況が記される携帯電話型「未来日記」。
天野雪輝の事が10分毎に表示される。
雪輝の「無差別日記」と合わせることで雪輝の未来の完全予知が可能となる。
以上で代理投下を終了します。
投下乙でした!
>爆炎と砲火の中で
うおお、最初から逃亡日記をうまく活用した白熱したバトルが……すごいな。
北岡とみねねの掛け合いが非常に面白かったです。
二人とも頭がいいからな、これから互いにどんな嘘をつき、どんな風に利用、協力していくかが楽しみだ!
>あなたは今どこで何をしていますか
本文の内容のみを純粋に見れば怖くないはずなのに……何故だろう、やっぱり由乃こえぇ……
由乃なら3,5kgあろうと軽々ウージーを振り回して撲殺しそうだ
あぁ……ガッシュ逃げて!
では、ぎりぎりになって申し訳ないです。
蒼星石、宇谷九一郎を投下します。
「そう……やっぱりダメか」
薄暗い部屋に、声が響く。
埃をかぶり、わずかにひび割れた大きな鏡に手を這わせながら、小さな人影……蒼星石はため息をついた。
その傍らで、青白い発光体が弱弱しく瞬いている。
「気にする必要は無いよレンピカ、nのフィールドに入れないのは予想外だったけど……」
それほど大きくない、木製の部屋の中、蒼星石はそう呟くと傍らにあった木の椅子へと腰掛けた。
辺りには朽ち果てた武具や防具が打ち捨てられており、埃っぽい淀んだ空気が鼻腔をつく。
ふと、部屋についている小さな窓を見上げると、そこには青白い満月が孤独に瞬いているのが見える。
そして同時に、微かに波のような音が耳に届くのを感じた。
「ここは一体どこなんだろう」
手に取った地図を睨みながら、蒼星石は呟く。
そしてバックに入っていたもう一枚の紙、名簿へと視線を落とすと、表情を険しくした。
最後に覚えているのは、マスター……いや、巻かなかった世界へと別れを告げ、元居た世界へと戻ったところまでだ。
気が付けばこんな殺し合いへと巻き込まれ、nのフィールドからも隔離されてしまった。
……あの影のような人間は言っていた、この場所には自らの欲望のために醜く争っている者達を集めたと。
確かに、僕達ローゼンメイデンは互いに争っている。
究極の少女『アリス』を目指すために、そして再びお父様に会うために。
だがしかし、そもそもこの殺し合いと『アリスゲーム』は両立するはずがない。
蒼星石は身をもって知っていたのだ、『ローザミスティカを単に奪うだけでは、アリスに近づくことは出来ない』と言う事を。
「まるで悪夢だ……ううん、性質の悪い悪夢であればどれだけ良かったか」
そう呟いた蒼星石が睨みつける名簿には、存在してはいけない名前が一つあった。
この殺し合いには、ローゼンメイデン第一ドールから第六ドール……殆どのドールが巻き込まれている。
……そう、残りの一体を残して。
「やはり君も関わっているのかい……雪華綺晶」
名簿にある妹の名前『雛苺』を見つめながら、蒼星石はそうつぶやいた。
雛苺、ローゼンメイデンの第六ドール。
彼女は確かに雪華綺晶に襲われ、その体を奪われた筈なのだ。
最後の力を振り絞り、自らのローザミスティカを真紅に託して……。
何故アリスゲームの敗者である雛苺の名前がここに載っているのだろうか。
まるで死者が蘇ったかのような……
『我々にはそれが可能だということを知っている者もいるだろう?』
影のような男の言葉が、脳裏に蘇る。
……もしもそれ本当のことなのだとしたら、それはアリスゲームの進んだ螺子を無理やり巻き戻したことになる。
神聖なアリスゲームに横槍を入れるだけではなく、その誇りを踏みにじり、捻じ曲げたというのならば。
「許せないよね……雛苺」
そう低くつぶやいた瞬間、傍らに居たレンピカが慌しく辺りを飛び回った。
◇ ◇ ◇
老人 宇谷九一郎は困惑していた。
二年ほど前から日本全国で行われている老人相互処刑制度。
通称シルバー・バトルに自らが住む五丁目地区が選ばれ、期限一ヶ月の殺し合いをさせられていた。
他地区の生き残りである猿谷へと助力をあおぎ、何とか生き残りをかけて戦っていた筈だが……。
なぜこのような場所に連れて来られてしまったのか。
そういえば、期日が迫っているにもかかわらずシルバー・バトルの進行が遅いと、担当官である山際が忙しなく連絡を寄越していた事を思い出す。
期日を過ぎた段階で複数人の生き残りが居た場合、役人が全員を処刑して回る決まりとなっていた筈だ。
正確な人数は分からないが、第五地区は他区に比べて進行が相当遅かったのだろう、
さてはCJCKの役人め、自分たちが処刑をするのを嫌だからといって、
進行が遅すぎる地区の人間を集め、さらに強制的な殺し合いをさせるつもりなのだろうか。
禿げ上がった頭へ手を載せながら、九一郎はため息をついた。
薄暗い廊下を歩いている九一郎の左手には、バックの中に入っていた名簿が握られている。
名簿を見る限り、なぜか猿谷までこのシルバー・バトルに巻き込まれているらしい。
何かの手違いだろうが……後々参加者から外されるにせよ、とりあえずは猿谷と合流をするべきだろう。
そう考えていた九一郎の耳に、微かに人の声が届いた。
参加者か、それともこの施設の人間か……どちらにせよ、警戒は必要だ。
そう考え、右手を懐へと入れ、使い慣れた銃であるワルサーのグリップを握る。
足音を殺し、声の方向へと歩みを進めていくと、その部屋……西側控え室と書かれた部屋へとたどり着いた。
耳を済ませるが、物音は一切聞こえない。
しかし、ドアの隙間からは青白い光が漏れ、左から右へと光源が移動しているのがわかった。
こちらには気が付いていないだろう、そう考えて懐からワルサーを取り出し、安全装置を解除した。
参加者の老人であれば引き金を引き、そうでないならば詳しいことを聞き出そう。
高ぶる鼓動を沈めるかのように、九一郎は深呼吸をした。
そして一息置くと、意を決してドアを蹴り開ける。
勢いがついたドアが壁へとぶつかる衝撃音が響き渡り、辺りに木霊した。
それに構うことなく、九一郎は部屋へと乗り込むと銃口を光源へと向けて相手を確認する。
だが、そこに居たのは……。
「な、なんだあ?」
見たことも無い、宙に浮く青白い発光体だった。
それに驚きの声を上げた瞬間、銃を握っている右手にすさまじい衝撃を感じる。
手に握っていたワルサーは吹き飛ばされ、その次の瞬間には足元を掬われるような衝撃が襲ってきた。
思わず地面へと倒れこんだ九一郎へ、小さな影が飛び掛ってくる。
「動かないで」
首筋に感じる冷たい感覚にギョっとしながら、自らに馬乗りになっている影へと視線を向けた。
そこには青を基調にした、いつか演劇で見た外国人のような服に、緑色と赤色のオッドアイが印象的な子供が、自分の首に馬鹿でかい鋏を突きつけている……子供!?
「な、何をしているんだ!早くどきなさい!」
九一郎は思わず声を張り上げた。
それを聞いた蒼星石は、一瞬驚いたように目を見開くが、鋏を引くことはない。
「分からないのか、シルバー・バトルの邪魔をするということは、国に逆らうということになるんだぞ。
お前の爺さん……もしくは婆さんが殺されるとしても、それは━━」
「ちょ、ちょっと待って。貴方は一体何を……」
「まだ分からないのか!殺し合いの邪魔をすれば、捕まるのはお前だと……」
目を怒らせ、叱り付けるように声を張り上げて居た九一郎は、思わず絶句した。
若干困惑したかのような視線を向けてきている子供の首元には、自分と同じ銀色の輪がされているのを目にしたのだ。
「なっ……これは一体……まさか、お前さんも」
狼狽している九一郎をよそに、蒼星石は先ほどの銃以外に、この老人が凶器を持っていないことを確認する。
そうして鋏を相手の首元から外すと、手をさし伸ばしながら口を開いた。
「どうやら話しに齟齬が生じているみたいですね……起きて下さい、お爺さん。
少し、お話をしませんか」
◇ ◇ ◇
妻と息子と嫁と孫が一人、それが九一郎の家族だった。
九一郎は彼らを愛していた、だからこそ彼らとの間に一定の距離を置いてきた。
だから彼は家族からも愛されていた。
だからこそ、今や爆発的に増大した老人人口を調整し、ひとりが平均七人の老人を養わねばならぬという若者の負担を軽減、
それによって破錠寸前の国民年金制度を維持し、なおかつ少子化を相対的に解消する。
それを名目に行われているシルバー・バトルに勝ち残ると心に決めた。
許されざる非人道的行為だ、糞ったれな政府が決めた糞みたいな法律だとは思っているが。
事実それによって救われる家庭が出てくることも理解はしている。
だからこそ、生き残るためにはほかの老い先短い老人を殺めることもやむなしと考えていた。
殺すことも、殺されることも心のそこから嫌だった自分に鞭を打ってきた。
だが……目の前に居る子供(名は蒼星石という、人形らしい……驚いたが、これは本当だった)ははっきりとした口調で言った。
これは、シルバー・バトルでは無い。と
その瞬間、目の前が暗くなるのを感じた。
あの影は……孫とさほど変わらぬ年に見える子供とも殺しえと言うのか。
意味も無く、理由もなく、老若男女関係なく、殺しあえと言うのだろうか。
あまりの絶望に、目頭が熱くなるのを感じる。
「わしに……どうしろと言うのだ」
九一郎は、思わずそう漏らした。
「……九一郎さん、貴方はこれからどうするつもりですか」
蒼星石に尋ねられるが、答えを返すことは出来ない。
「殺し合いますか?」
出来ることならば避けたい。
「期日まで逃げ回りますか?」
それも御免だ。
「……それとも、戦いますか」
……なんだと?
「こんな殺し合いを強制するあの影のような男と、戦いますか」
思わず顔を挙げ、その小さな顔を見つめる。
そこには絶望は見えず、しっかりと此方を見つめている鋭い瞳があった。
……そうだ、なぜこんな簡単な事にも気が付かなかったのだ。
相手には国でも、政府でもない。
逆らったとしても、成功さえすれば処刑も、刑罰も無い。
愛すべき家族が白い目で見られることも、後ろ指でさされることも無い。
簡単な事ではないだろうが、それは生き残りをかけて若い奴と戦うとしても同じことだ。
どうせ命を賭けるのならば、気持ちが良い方を選びたい。
「そういうお前は、どうなんだ」
眉間によっていた皺を一層に濃くしながら、九一郎は尋ねた。
「僕は……戦う。
やりたい事が、やらなければいけない事があるから」
はっきりとした口調でそう返してきた蒼星石に、九一郎は思わず口を噤んだ。
「九一郎さん?」
顔を下げ、肩を震わせ、わなないている九一郎に対し、蒼星石は不安に駆られながらも声をかける。
「いや……すまん、わしにもお前さん位の孫がいてな。少しばかり、家族の事を思い出しちまっただけだ……。
わしも、戻らねばいけない所がある。ここは協力し合おうじゃないか。それに子供には、引率が必要だろう?」
「ふふっ、僕は貴方が思っているよりもずっとずっと、年をとってるかも知れませんよ?」
九一郎へと初めて笑みを見せながら、蒼星石はそう返す。
その二人の頭上を、青白い発光体がふらふらと飛んでいた。
窓から差し込む月明かりよりも弱弱しいその光は、まるで怯えているかのようにチカチカ、チカチカと瞬いていた。
「しかし蒼星石、最近の子供の中ではそんなハイカラな服が流行っているのか?
男ならな、もっと━━」
「九一郎さん……僕は人形だけど、一応女の子だよ」
◇ ◇ ◇
九一郎さんを見ていると、心に何かが突っかかるのを感じる。
理由は僕自身が一番分かっているけれど……。
思い出してしまったんだね。元マスター……結菱一葉と一緒にいた時の事を。
九一郎さんが孫を僕に重ね合わせたように、僕自身も九一郎さんをマスターと重ね合わせていたんだ。
僕がやらなければいけない事、それは雪華綺晶に囚われ、たった今さえも命を吸われ続けているマスターを助けることだ。
アリスゲームに……僕なんかに関わったせいで、彼は囚われてしまったのだから。
だから、僕は諦める訳にはいかない。
━━だがしかし、僕にはそれの他にどうしても守らなければいけない約束がある。
アリスゲームに破れ、敗者となったのは雛苺だけではない。
そう、僕自身も一度アリスゲームに敗れ、ローザミスティカを奪われているのだ。
今の命は、仮初の命。
翠星石や現マスターであるジュン君を助けるため、水銀燈と約束をして借り受けた命なのだ。
約束は約束、僕はそれを破るつもりは無い。
だから……マスターを助けたいけれど……水銀燈に強く求められたとしたら、僕は……
【D−1/水上コロシアム@現実・西側控え室/1日目・深夜】
【蒼星石@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:庭師の鋏@ローゼンメイデン
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界に戻る。
1:九一郎と行動を共にする。
2:ドールズと合流する。
3:雛苺を警戒。
4:水銀燈にローゼミスティカを返すよう言われたら……?
[備考]
※参戦時期は原作4巻終了時
※雛苺が雪華綺晶である可能性を考えています
※シルバー・バトルの概略のみ知りました
【宇谷九一郎@銀齢の果て】
[状態]:健康
[装備]:ワルサーP38(8/8)@現実
[道具]:基本支給品、ワルサー予備弾×16、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:影の男へ反逆する。
1: 蒼星石と行動を共にする。
2: 猿谷と合流する。
[備考]
※アリスゲームの概略のみ知りました。
投下乙です!
【レンピカ@ローゼンメイデン】
ローゼンメイデンが使役する人口精霊のひとつ。見た目は青白い光を放つ発光体。
蒼星石のローザミスティカを持つ者の言う事を聞く。
ちなみに、心の木を剪定する蒼星石が使役することによって、相手の夢の中に入る事が出来る。
バトルロワイアルでそれが可能かは不明。
【庭師の鋏@ローゼンメイデン】
蒼星石の半身はあろうかという大きな鋏、心の木の剪定を行う事が可能。
【ワルサーP38@現実】
装填数8発の自動拳銃。
劇中で九一郎が使っていた拳銃はワルサーとしか表記されていなかったため。
今回は勝手ながら決めさせていただきました。
投下乙です!
蒼星石と九一郎。互いに孫とマスターの面影を抱いてこれは良コンビ!
ご隠居は最初に出会ったのが蒼星石で良かったなw 他の参加者をシルバーバトル対象外と認識してたら速攻で殺されるぞw
投下乙なのです!
投下します
歴史を感じさせる大学の屋上に鬼が立っていた。
純白のタキシードと白く染まった髪は月に照らされ、
青い亡霊のような印象をも抱かせる。
死の苦痛を味わうことを願い死んだ津幡共仁は命を与えられ、
満足しながら敗れた殺し合いに再び参戦することとなった。
そう、彼は己の闘いに欠片も未練を残していなかった。
神聖視したのは生き残りを賭けた戦い。
唾棄すべきは受身に過ぎない対応者としての道。
しかし、歩みきった上で断たれた決闘者の道を二度も選ぶ気は毛程もない。
なら自分は何の道を歩むべきなのか。
構内で物資を調達した際、
この戦いに参加している香川英行という人物の論文から
ミラーワールドという未知の世界と、
己の信念に基づく正義に従い行動しようとした彼の意思を知ることができた。
まるで英雄のようだとそれを読んだ狂人は思った。
…………英雄の道。津幡共仁はゆっくりとその言葉を吐息と共に口にする。
それは強力な『兵器』を与えられた彼にはとても相応しい道であるように思えた。
「面白いじゃあないか」
口の端を吊り上げながら白髪鬼はそう言う。
慈愛に満ちた英雄として弱者を守り、強者と戦い、影を打倒する道を切り開く。
それに飽きたら修羅を生きる冷酷な英雄として屍を築きあげ、勝利への道を目指す。
自分ならどちらの道も誇りと知性を以て歩むことができるであろう。
釣り上げた口をハッキリと笑みの形に変え、
意気揚々と屋上の縁から空へと足を踏み出す。
重力に大人しく従いながら考えるのはもし優勝できたのなら何を望むかということ。
死の苦痛を味わったのだから、次は不死の絶望を味わおうか。
それとも全知の虚しさを味わおうか。
はたまた全能の孤独を味わおうか。
月が作る影の濃さは老人が地面に近づけば近づくほどに増していく。
まあ、いい。願いを決めるのは優勝してからでかまわない。
今はただこの世界を楽しむことに専念すれば良い。
「合体だ。クシャスラ」
彼と共に落下していた『兵器』はその言葉を聞くと老人の体を包み、
主が潰れたトマトとなる寸前に翼人へと姿を変えさせる。
彼が新たに歩む道は空から始まった。
【D-7/清明院大学/1日目・深夜】
【津幡共仁@銀齢の果て】
[状態]:健康
[装備]:クシャスラ@waqwaq、コルト・シングル・アクション・アーミー(6/6)@現実
[道具]:基本支給品、工具@現実、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:英雄として行動する
1:強きを助け、弱きを挫く。
2:それに飽きたらそのまま優勝を目指す。
※死後参戦
※ミラーワールドと仮面ライダーについての知識を得ました。
【クシャスラ@waqwaq】
多数の実体を持つ分身を分裂という形で産み出すことができる。
風を操ることでワープや飛行もできる。
以上、投下終了です
>>204 とんでもない誤字があったので修正します
> 【津幡共仁@銀齢の果て】
> [状態]:健康
> [装備]:クシャスラ@waqwaq、コルト・シングル・アクション・アーミー(6/6)@現実
> [道具]:基本支給品、工具@現実、不明支給品1〜2
> [思考・状況]
> 基本行動方針:英雄として行動する
> 1:強きを助け、弱きを挫く。
> 2:それに飽きたらそのまま優勝を目指す。
を
【D-7/清明院大学/1日目・深夜】
【津幡共仁@銀齢の果て】
[状態]:健康
[装備]:クシャスラ@waqwaq、コルト・シングル・アクション・アーミー(6/6)@現実
[道具]:基本支給品、工具@現実、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:英雄として行動する
1:弱きを助け、強きを挫く。
2:それに飽きたらそのまま優勝を目指す。
に変更します
弱い者いじめしてどうすんだという話ですね
投下します
瓦礫の山の上で恋しく思っていた男が佇んでいるのを見た。
彼はハードをじっと見つめたまま静かに微笑んでいた。
堪らず彼女は目の前の男に向かって駆け出す。
彼の表情は変わらない。
走り寄ってきた彼女に勢いを殺さぬまま殴り飛ばされても
顔に貼られた笑顔という名のテクスチャーは剥がれなかった。
「この男は君の大事な人だったんじゃなかったのかい?」
「未練はもうないんでね。
生き返るのはいいがのうのうとニヤケ面で現れたことにムカツイただけさ」
吹き飛ばした刑事の服装を着た男の傍に立っていたのは
女性にも男性にも見えるような中性的な顔をした人物。
声の低さでかろうじて男と判別できたが女物の服を着ていたらわからなかっただろう。
「合体だ。スプンタ・マンユ」
その声に反応したかのように蹲っていたハードが愛した男の形をした何かは
唐突に起き上がり能面を上に乗せた粘土で出来たヒトデのような形へと変わる。
一見醜悪なソレに彼女は顔をしかめるも目の前の男がその人形と融合した瞬間、
すぐに戦闘態勢へと移り、簡潔に問う。
「一応訊いておこうか。お前の名前と願いは?」
「参賢者の一人にして防人ヨキ。宿願は神の抹殺」
返答を合図に殺し合いが始まる。
銃を構えるハードの周囲でゆらめく蛍より少し大きい程度の多数の光。
そして光源から湧き出る無数の手。
それらが彼女に襲いかかる前に
狙われてなかった下段へと地面に倒れ込む形で攻撃をよける。
破壊力、スピード、そして何より虚空から突きだされる手の群れが厄介だと
最初の連撃を皮切りに繰り出される手の嵐を躱しながら彼女は分析する。
だが彼女の最大の長所は絶対的な空間認識能力。
攻撃が始まる一瞬前に手の召喚地点がうっすらと光ることを巻き上がる粉塵の中で見抜いた彼女は
少しずつではあるがソレを避けながら、両手に構える銃で反撃していく。
だが彼女の超人的な命中精度を以てしても弾は相手とは全く別の場所に当たる。
それでも少しずつではあるが着弾点は敵へと近づいていっている。
今の彼女では間違いなく決め手となる一撃を与える前に
スタミナ切れで殺されるだろうが、体力を温存したいのは相手も同じはず。
ハードが待つのはある地点からの攻撃、その場所へと意識を誘い込むために
跳弾を駆使した銃撃による結界を構築しながら猛攻に耐える。
それがしばらく続いた後、待ち望んでいた瞬間が来た。
跳弾による直線が為す攻撃と防御の両立。
そこを潜り抜けるのに一番適した穴は他でもない彼女の背中。
現れた腕の束はハードを背後から貫かんとする。
その攻撃を一瞬ではあるが
止まった視界内からの攻撃と研ぎ澄まされた戦士の勘が警告として彼女に伝える。
旅人ハードの職業は狙撃手。そして真の武器は“背中”から生える五本の触手を思わせる銃。
手の槍がもたらす一撃に五本の銃を同じく束にして発射する強烈な一撃で応える。
エネルギーとエネルギーのぶつかりが爆発となり彼女を前へと吹き飛ばす。
作戦は大当たり。
周囲を満たす砂埃の中ではハードのような超感覚に近い動体視力が無ければ
爆風を推進力にし、高速で突き進んでくる彼女の姿を捉えるのは難しい。
事実、彼女はヨキの懐に辿り着き掌にある銃をトンファーとしての持ち方に変え、
流れるような動きで彼の頭に凶器に等しい手刀を繰りだす。
トンファーの本質は武器の面を持つ防具だ。
相手は攻撃と防御の両方を行うことが不可能であろうと踏んだハードは
想定される全ての角度からの攻撃を受け流し、
そのまま倒すことが可能であるという確信があった。
しかしその一撃は――待ち構えていたかのように現れた手に
腕を掴まれることで阻まれる。
「惜しかったね。スプンタ・マンユの手は精密動作も可能なんだよ」
淡々とした口調で事実を告げるヨキにハードは鋭い膝蹴りを食らわせるが
装甲に阻まれびくともしない。
「ああ、心配しなくていいよ。もうお前と戦う気はないからね」
そう言うとヨキは掴んでいた腕を放し、ハードから間合いを取る。
「どういうことだ?」
全方位への警戒を怠らぬまま、ハードは言う。
「簡単な話だよ。切り札をここまで隠して戦えるような戦士と
この段階で雌雄を決するつもりはないということさ」
何でもない様なことを話すかのような口調でヨキはそう告げる。
「ふん。まあいい……だが一つ訊きたい。お前はあの影の言うことを信じているのか?」
最強の切り札である封印魔法の存在を見破られた不快感は顔に出さず、
ハードはそう問いかける。
「いや、あの男は私達に願いを叶えさせる気は毛頭ないよ」
「………………それを知っているのなら何故戦う?」
ハードの言葉にヨキは苦笑気味に返す。
「ああ、安心して欲しい。
あの男への対応策はこの殺し合いを開催する際、私達が既に打っておいた。
優勝者の願いは必ず叶うことを保障しよう」
その言葉と共にヨキは空中へと浮かび上がる。
しかし、それに驚愕の表情を浮かべたハードが食い下がる。
「待て。ひょっとしてお前はこの闘いの黒幕側の人間なのか!?
ならばどうしてわざわざ参加者として戦う!」
「願いのために決まっている。君たちもそうだろう?」
その言葉を最後にヨキは夜空へと飛びたって言った。
彼を墜とすために何発か銃を撃つがどれも当たらず、
闇へと溶け込むのを防ぐことはできずに終わる。
残されたのは更に崩壊が進んだ建物群と、
闘いの余波で周囲一帯だけ更地となった場所に一人佇むハード。
「主催者からの刺客というよりは……
参加者となるために殺し合いを開いたといったところなのか?
気になることは山程あるがまずはワタルと合流してからだな。
ワタルならあの男が相手でもそうそう遅れをとることはないだろうが」
しかし仲間への信頼を口にする彼女の心にはハッキリと敗北感が刻み込まれており、
背中で蠢く千銃に口があったのならば屈辱の咆哮をあげていただろう。
【G-1/崩壊したザクルハイム/1日目・深夜 】
【ヨキ@銀齢の果て】
[状態]:疲労(小)
[装備]:スプンタ・マンユ@waqwaq、首輪探知機@オリジナル
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して赤き血の神を抹殺する
1:無理をしない程度に戦う
2:シオとは可能なかぎり戦いたくない
※いわゆるジョーカー
【ハード@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:疲労(大)
[装備]:千銃@ブレイブ・ストーリー〜新説〜、
[道具]:基本支給品、ブーメラン@バトルロワイアル
[思考・状況]
基本行動方針:???
1:ワタルと合流する
2:主催者の目的が知りたい
【スプンタ・マンユ@waqwaq】
虚空から無数の手を産み出すことができる。
相手の弱点である人間に変身することができる。
空も飛べる。最強の護神像
【千銃(ガン・サウザンド)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
背中から5本が銃を伸びる。かなりの距離まで伸びる。
穴を掘ることも可能。
以上、投下終了です
>>210 ごめんなさい!修正です!!
>
> 【ヨキ@銀齢の果て】
> [状態]:疲労(小)
> [装備]:スプンタ・マンユ@waqwaq、首輪探知機@オリジナル
> [道具]:基本支給品、
> [思考・状況]
> 基本行動方針:優勝して赤き血の神を抹殺する
> 1:無理をしない程度に戦う
> 2:シオとは可能なかぎり戦いたくない
>
> ※いわゆるジョーカー
を
【ヨキ@waqwaq】
[状態]:疲労(小)
[装備]:スプンタ・マンユ@waqwaq、首輪探知機@オリジナル
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して赤き血の神を抹殺する
1:無理をしない程度に戦う
2:シオとは可能なかぎり戦いたくない
※いわゆるジョーカー
に変更します!!
ファンの方申しわけありません! ヨキ先生をジジイにしてしまってました!
>>212 投下乙
延長した挙句、大幅に遅れて申し訳ありません。
ティオ、ブックを投下します。
月明かりが照らす草木が生い茂った道を、小さな少女が一人歩いている。
ピンクを基調としたワンピースの様な服に、赤いカーディガンを胸元の大きなブローチで留めている。
背丈の半分ほどまで伸びたピンク色の髪の毛は、少女の幼さと可愛らしさの演出に一役買っている。
だが、少女の足取りは重い。
女の命とも言える顔には酷い怪我をしている。先程“人間の男”に襲われて出来た傷だ。
樹齢数百年はあろう巨大な大木をみつけ、その幹の麓で休むことにした。
支給された水を飲みながら昂ぶった感情を落ち着けようとする。
魔界の王を決める100人の魔物の子による戦いに選ばれたティオ。
人間界に最初に出会った魔界時代の友人に裏切られ逃げ続ける毎日、パートナーの恵以外もう誰も信じられなくなっていた私に訪れた転機。
それがガッシュと清磨との出会いだ。魔界で元々友達でもなかった私に対して
――ここは私が…私が守るから!!!
――たしかに敵になるかもしれん…だが…かわいそうだったではないか!!!
ガッシュは
――一人でよく頑張った。後はオレ達にまかせるんだ
――オレにはなんでキミ達がそんなことを聞くのか不思議だよ
清磨は
私を助けてくれた。どん底の私を救ってくれた。
「信じたい…ガッシュ達のことは信じたいよぉ……」
喉を通り、その願いは空気を揺らし音となって響き渡る。
「なら、信じてあげよう。僕がついているよ」
◇ ◇ ◇
痛みと疲労を回復させようと休んでいた体に鞭を打って、立ち上がり戦闘態勢を整える。
そこに立っていたのは、頬のあたりにフェイスペイントをして、中性的な顔立ちをしているが
確かに―――男だった。
「…ちっ! サイス!!」
先程のおぞましい感触が蘇る。現れた男の存在を全否定するかの如く、問答無用の一撃が男を襲う。
現れた男が憎いわけではない。男を殺したいとまで考えているわけでもない。
彼女の胸の内を占領しているのはただ恐怖だ。男という存在そのものが今の彼女にとっては危険人物であり、だから攻撃をしたのだ。
直撃。
だが、男は倒れない。そのままゆっくりと近づいてくる。
「怖くないよ。大丈夫だ」
今のティオにとって男は恐怖の対象だ。続けて術を発動する。
「サイスッ! サイスッ!」
自分の攻撃手段では相手に決定的なダメージを与えられない。そんなことは魔界の王を決める戦いの時からよくわかっている。
だけど、限界まで逃げ回り何度も殴打されたこの体ではもう逃げ切れない。敵を倒すには術を相手に何度もぶつけるしかないのだ。
魔物の術は心の力。焦り、そして折れかけた心では術の効果は、術者の気持ちに反してより一層低くなる。
何発かは直撃しながらも男はついにティオの目の前まで辿りつく。ティオが恐怖に体を縮こまらせ目をつぶる。
彼女の体を暖かく包み込む感触がした。先程の思い出すだけでも汚らわしい感触とは対極、両親に抱きかかえられているかのような心地よさだ。
「ごめんね。怖がらないで……もう大丈夫だから」
男の抱擁から逃れようとするが体に力が入らない。魔界での戦いの時と一緒だ。バトルロワイアルに来て初めて出会った相手に襲われ、ボロボロになったところで訪れたガッシュの様な希望の光。
疲弊しきった彼女の心と体は男の腕の中で、バトルロワイアルの会場に相応しくない優しい感情に包まれる。
溢れ出す感情が瞳からこぼれ出すのを止められない。
男の腕の中で号泣するティオ。
彼女も怖かったのだ。初めてその身に感じる男の劣情が。男というだけで、ガッシュを…共に戦った仲間を否定してしまいそうになった自分自身が怖かったのだ。
腕の中で泣きじゃくるティオを男は優しく頭をなでながら時間が流れる。
◇ ◇ ◇
「ガッシュくんにキャンチョメくんが友達で…それにゼオン君とパピプリオ君が敵ってことであってるかな?」
「えぇ、一応そうよ。パピプリオってのは無視しても構わないけど…… でも、ガッシュは凄いんだから! 弱虫だったくせに凄く強くなって、どんなときでも駆けつけてくれるのよ!」
「フフ…。ティオはガッシュくんが好きなんだね」
「なっななな、何を言ってるのよ〜! そんなことあるわけ無いじゃない!! わわ私がガッシュを好きだなんて……そりゃあガッシュには感謝しているわよ?」
その後も可愛らしく慌てながらガッシュとのエピソードを話すティオ。その姿を見ながら優しく微笑むブック。外見には優しいお兄さんとおてんばな妹といったところだ。
「それにしても、『サイフォジオ』だっけ? あの魔法はすごいね。全快とはいかないけれど、大分体の調子が楽になったよ。ありがとう」
そういって男は微笑みながら優しくティオの頭をなでる。
「じゃあとりあえず、あそこに見える建物のところまで行って夜が明けるのを待とうか。それでいいかいティオ?」
男はそう言いながら自然に右手をこちらに差し出す。
「わ…わかったわ」
ほんのりと顔を赤くしながらも差し伸べられた右手を自分の左手で握り返し、二人は歩き出す。
【D-2/一日目/深夜】
【ティオ@金色のガッシュ!!】
[状態]:ダメージ大、疲労中、男への生理的嫌悪感?
[装備]:
[道具]:基本支給品、魔本@金色のガッシュ!!、ヨキの弓矢(9/10)@waqwaq、不明支給品×0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:???
1:ブックと行動する。
2:ガッシュ達は信用したい……けど
3:人間の…男は……
(フフフ…一時的には平静を取り戻したようだな。だが、彼女の精神はガッシュとその仲間に依存している。
もし“不幸”にも“また”人間に襲われるようなことになった時、彼女の精神の最後の壁は取り払われ狂戦士バーサーカーとして、人間を破滅へと導いてくれるだろう。
“これ”を使ったらきっと…)
シグドラが第5足、魔獣使い(ピースト・ライセンス)のブック。
彼の願いは人のもつ『心』を消し去ること。
人間の『心』を消し去りたい青年ブックと、人間の『心』の力を借りることにより何倍もの力を発揮する魔物の子ティオ。
ブックが彼女に仕込んだ蕾が花開く瞬間が、いつ訪れるのかは誰にもわからない。
【ブック@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:ダメージ小
[装備]:契約の玉@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品、青酸カリ@バトルロワイアル
[思考・状況]
基本行動方針:
1:ティオと行動する。
2:ティオに狂戦士の術をかけて、人間を殺す。
3:ガッシュ達魔物の子に興味
[備考]
※参戦時期はワタル戦前のどこか、ミツルやワタルを知っているかについては後の書き手にお任せします。
※魔物の子の王を決める戦いの概略のみ知りました。
以上で投下終了です。 期限を遅れてしまって申し訳ありませんでした。
疑問点、修正点がありましたら指摘をお願いします。
そして感想をば、投下乙です!
>覚めない悪夢
ご隠居と蒼星石はなんか合うw てか、銀齢の果ての爺様がロワに馴染みすぎだろw
蒼星石が男の子に間違えられるのは様式美。 ご隠居の相方は殺し合いを満喫中ですよー。
>ジジイは飛ぶよ、どこまでも
またも爺がハッスルする話かw この爺さんは頭も良いうえに支給品が護神像とか大当たりすぎる!
月明かりに照らされるタキシードを着用した爺。やだ…ちょっとかっこいいw
修正点がひとつ
【津幡共仁@銀齢の果て】の不明支給品の残りの数は0〜1では?
>GUNS SAW HANDS
ヨキ様はジョーカー!? てか、ハード様強いなぁw スプンタ・マンユと割と対等に張り合っているよw
彼女の空間認識能力は強力だ。ワタルの心配をしているってことは…… 猿谷さん逃げてー! 同じ刑事だけどこのお姉さん超怖いよー!
改めて投下乙でした!
投下乙です!
ティオ、この頃のブックは根はいい奴だけどそれなりに危険だぞ!
>>218 支給品に関しては確かにそうですね。
修正しておきます。
御指摘感謝
投下乙!
あぁ……ティオはやはりロワの闇に飲まれていくのか……
ブックも人間以外には優しいなぁ、利用する気は満々だけど!
ただちょっと気になる事が。
バーサーカーの術を使うって事は、あの契約していた竜が必要なのでは?
固有武具所持可能ならば、引き連れての参戦でもよさそうですね。
トカゲもとい銀嶺かー。狂戦士の術ってドラゴン依存の術だったとは…失礼しました。
契約ドラゴンについての描写を追加して、避難所の一時投下スレに投下しますね。今日中には投下します。
>>219 工具はてっきり大学からの回収品だと思ってたらそれも支給品だったんですね。
あと、香川教授のミラーワールド研究レポートはそのまま研究室に放置でよろしいでしょうか?
それとも持ち出したけど記入漏れでしょうか?
トリキー全然ちげぇ…
銀齢の果て組の支給品は最低2個とあったので
銃とクシャスラが支給品で工具が現地調達であっています
レポートは研究室に置きっぱなしですね
あ、現地調達の場合は出典元とかはいらないのか
修正しておきますね
素早い返答サンクス!
教授レポートは龍騎勢の基本能力の要で他の参加者にも有益な情報源だと思ったので、どこにあるかをハッキリとさせたかったので。
自分も修正品を早めに投下します!
修正部分だけ投下します。
>>216 ティオの状態表以降を以下に変更します。
〜〜〜〜
(フフフ…一時的には平静を取り戻したようだな。だが、彼女の精神はガッシュとその仲間に依存している。
もし“不幸”にも“また”人間に襲われるようなことになった時、彼女の精神の最後の壁は取り払われ狂戦士バーサーカーとして、人間を破滅へと導いてくれるだろう。
“これ”を使ったらきっと…)
シグドラが第5足、魔獣使い(ピースト・ライセンス)のブック。
ブックの服の内側で妖しく光る瞳を持つ小動物がいる。ティオにまだ見せていない自身の力の源である契約魔物、魔龍・銀嶺のジュリーだ。
この邪悪な龍の力を借りて、ティオを狂戦士へと変えようとしているのだ。
だが、本来狂戦士の術は精神の強い者には効果が出ない。ティオは吉良康介に襲われて精神的に大分消耗していたとはいえ、彼女のガッシュたちへの信頼はそう簡単には消え去りはしない。
その気持ちがの最後の防波堤となってティオを狂戦士の術から守っている。
だが、決壊は近い将来訪れるだろう……
人間の『心』を消し去りたい青年ブックと、人間の『心』の力を借りることにより何倍もの力を発揮する魔物の子ティオ。
ブックが彼女に仕込んだ蕾が花開く瞬間が、いつ訪れるのかは誰にもわからない。
【ブック@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:ダメージ小
[装備]:契約の玉@ブレイブ・ストーリー〜新説〜 ジュリー(銀嶺)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品、青酸カリ@バトルロワイアル
[思考・状況]
基本行動方針:
1:ティオと行動する。
2:ティオに狂戦士の術をかけて、人間を殺す。
3:ガッシュ達魔物の子に興味
[備考]
※参戦時期はワタル戦前のどこか、ミツルやワタルを知っているかについては後の書き手にお任せします。
※魔物の子の王を決める戦いの概略のみ知りました。
[共通備考]
※二人が北と南、どちらの建物に向かったかは次の書き手の方にお任せします。
投下乙です
狂戦士になったティオか……きっとモモンにパンツを見られたときの様な絵なんだろうなw いや、ロワないだと悲劇なんだ絵だけだと笑えるw
憎い、あー憎い、ジェララララ!!
ジュリーが解放されたらかなり強力だな! でも、あの時期のワタルとブックの協力攻撃で撃破できたし大丈夫か。
乾志摩夫投下します。
かなり短いです。
【とあるプロレス好きが語る、『小人症レスラー』】
え、なに? 小人症レスラー?
小人症レスラーって言うと、日本で言うなら『ミゼットレスラー』のことか。
まあ逆にアメリカじゃあ『ミゼット』が差別用だからそのまま『リトルピープル』
って呼んでるらしい。
まあどっちが正しいか正しくないかは俺にはわからんがな。
そうだな、ミゼットレスラーか。
まあ、昔は女子プロレスのダークマッチとか第一試合とかの興行開始直後に
会場の雰囲気を温めていたそうだよ。
あ、ちなみにダークマッチって言うのはテレビ放送されない試合って意味ね。
でもまあ人によっちゃあ女子プロよりもこっちを見に来た人もいるみたいだけど。
え? なんで伝聞形式かって?
そりゃあ、俺が生まれたときにはテレビやそういう機関でミゼットレスラーが
出演するってことはなかったからな。
なにせ、『小人症の人を見せ物にして、酷い!』とかなんかで
人権団体つーものが動いちまって、あっという間に
ミゼットレスラーと言う存在がなかったことにされちまったのよ。
まあ後継者不足って点もあったんだろうが、まあ、差別撤廃運動が
逆に差別を生んだ典型じゃないかな。
だがそれも日本限定の話。
世界最大のプロレス団体『WWE』では『ホーンスワグル』と呼ばれる小人症のレスラーが
毎週楽しいことをやってくれる。
なんたって背が小さからね、リング下に隠れていて、彼と組んでいる
フィンレーと言うレスラーに棍棒を渡して、レフェリーが見ていない時にそいつでゴン!
そんで棍棒を小人に返して小人はそいつを受け取ってリング下に戻る。
ん〜、完璧な『エンターテイメント』だと思うよ。
まさに妖精──あ、日本語字幕では『妖精』って書かれるんだ──WWEには欠かせないレスラーの一人だと感じさせるね。
それとルチャ・リブレで有名なメキシコでも
ミゼットレスラーがいるらしいんだけど、まあこっちは俺の専門外なんでね
他を当たってくれや。
そうだな、俺が語れるミゼットレスラーはこんな感じだ。
こんなので参考になったかわからんが、ま、これを機にアメプロやメキシコプロレスを見るのも悪く無いと思うぜ。
◆◆◆
「やっぱり橋の下まで通じていたか!」
元プロレスラーの乾志摩夫は、G-6の橋の下にいる。
何故このような不可解な場所にいるか。
それは彼の身長ほどの人物ではなければ気づかない、地面に隠されたある秘密を見つけたからであった。
時間は少し遡る。
乾志摩夫がふと地平を見渡したその時、全面的に天然芝が生えている地帯に一箇所だけ人工芝が張り巡らされた地帯があった。。
もしかしたらと思い、彼はその部分に近づく。
その人工芝の部分には、折りたたみ埋め込み取っ手があったのだ。
乾志摩夫はプロレスで鍛えたその力を精一杯だして、取っ手を持ち上げる。
土埃が舞い、地面が開かれ人工的に作られたであろう穴が登場する。
穴の中はうっすらとだが水の流れる音が聞こえ、下まで続いているであろう梯子が確認できた。
乾志摩夫は何一つ罠などの疑いも持たずその梯子を降りて行く。
梯子の下まで降りると、そこは変哲もない水路が存在していた。
ただ以前のとこよりもかなり綺麗にされていた、もっとも乾志摩夫にとってはどちらでもいいのだが。
とりあえず彼はひと通り歩くことにして、ここに留まっていても死にはしないが情報はつかめない。
情報を入手するためにはどうしてもここから移動する必要があった。
乾志摩夫はとにかく歩き続けた。
途中、地上へ戻るための梯子や建物の地下室へ通ずるであろう扉などを目撃したが
いまはとにかく、この地下がどこまで続いているか確かめるために、それらの場所に興味は持ったものの
歩みを止めることはなかった。
そうして乾志摩夫、二度目の地上へとたどり着いた。
もっともそこは他の参加者が立っている場所よりかなり下であった、
即ち上述したG-6橋の下である。
この先にあるのは階段であり、その奥地、F-6にいく地下道は
少なくとも今は確認できなかった。
乾志摩夫は鞄から地図や筆記道具を取り出し、自分の歩いた地下水路を大まかに確認し、
詳しい数が覚えていられないほど梯子や扉の位置を大体の感じで地図に記入する。
そうして記入を終え、道具を鞄に戻し彼は踵を返す。
彼はとりあえず以前と同じように地下を利用しようと考えた。
その為にも確実に地下を把握していなければならない。
乾志摩夫を再び地下へと消えていった。
この殺し合いに生き残るために。
「しかし、おれは鉄砲で打たれたような気がするが…… まあいいか」
【G-6 橋下/一日目/深夜】
【乾志摩夫@銀齢の果て】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:以前と同じようにして、生き残る。
1:地下を探索。
[備考]
※参戦時期は死亡直後です、が本人はいまいち覚えていません。
※地下水路への行くためには橋付近にある階段を利用するか、地下階がある建物内からの侵入、
或いは会場内に隠れている蓋を開け梯子を降りていく必要があります。
投下終了です。
投下乙です!!
最初の語りが原作バトロワ再現で感動しました!
ってかまたマーダーかw
投下乙!
乾さんはやっぱり隠れたかw そして会場地下には広い世界が…今後どうなることか。
そして、皆様あけましておめでとうございます!
今年も皆様一緒にロワロワを盛り上げていきましょう!!
報告が遅れましたがお絵かき掲示板を創設しましたので、お気軽にご利用ください。(尚、ロワロワにまったく関係の無い作品と判断した場合は削除する場合もありますことを予めご了承ください)
http://www3.atpaint.jp/rowarowa/index.htm 当面の目標は第一回放送だ!!!
折角だからこのスレで祈願
投下します
「大体の話はわかったかしら。変平」
「いや、その呼び方は勘弁してもらえへんかな」
奇抜な服装群から手品師のような服装を選んだ変態、もとい平は苦笑をしながら言う。
つい先程までの喜劇がようやく静まり、お互いの情報を公開できるレベルで交換した。
その結果わかったのは両者が形は違うが殺し合いという名のゲームを中断され
新たなゲームへと参加させられたということ。
nのフィールドや生きる人形の存在は平にとって衝撃らしかったが、
彼も今の科学では実現できないと思われていた物をいくつか目にしてきたようなので
金糸雀が言うことを全く信用しないということはなかった。
得た情報から平が拉致の仕方が超常的であったことからゲームのホストは
ローゼンメイデンでいうところの“お父様”が絡んでいるのではないかという疑いを口にしたが、
あんな下品な影を敬愛する父が手下にするはずがないと金糸雀が激怒したことに加え、
さすがに軽率であったと平も反省したのかそれ以上、考察を進めることはなかった。
今、最初に決めるべきはこれからの行動。
それも何処へ向かうか、それとも状況が動くまでここで籠城するかといった類のものではなく、
目の前にいる参加者と同盟を組むべきか否かという根本的な話だ。
話をした際に二人は相手がどういう立場でこのゲームに臨むかを察している。
平はこのゲームからの離脱のために動こうとしていると金糸雀は見抜き、
金糸雀はこのゲームがアリスゲームと関係があろうとなかろうと
姉妹を殺してでも優勝しようとしていると平清は見抜いている。
ならば同盟を結ぶのは不可能か、殺し合いを今からすべきか。
答えは否。このゲームはそう単純ではない。
一対一よりは二対一の方が有利であることは自明の理であるし、
例え平自身が足手纏いであろうと金糸雀の武器は音。
遠距離からの点だけではなく面による攻撃が可能なのだ。
見張り役としての相方が不意打ちに適した能力にもたらす効果は絶大。
今まではピチカートがその役割を担っていたが50人以上を相手ではさすがに心もとない。
相手が殺し合いへの反逆者であり、
近い内に殺すことが決まった相手であったとしても
手を組めない道理はどこにもない。利用価値は十分にあるのだから。
そして、何より今の彼女は迷っている。
戦わず家族として暮らす姉妹の日常に触れ、
蒼星石の復活劇を見てアリスゲームのルールそのものに疑いを持ち始めている。
しかし、闘うことへの誇りとローザミスティカへの本能的欲求も薔薇乙女として持っている。
目の前の平はそんな迷いを感じとり同盟を持ちかけてきている。
承諾する前に支給品を教える愚を犯すことなく、
所々で彼女の迷いを巧みにつきながら説得する話術は見事と評価していいだろう。
彼によって少しだけ揺さぶられている彼女の意思。
しかし、二人の会話は大きな音とともに開けられた扉、
正確には男の頭から生える触角を上へ伸ばしつつの来訪によって終わった。
「わりぃけど、アンタらを試させてもらうぜ」
部屋に入るなりそう言ってきた男。
その触角の先は天井近くまで伸びており、
その先にあるのは一見するとレンコンのような大筒のような何かがコチラに向いており、
平がそれを見て悲鳴を上げながら腰に提げていたポシェットに手をやる。
轟音をあげながら射出される弾の嵐が二人に迫る。
ソレを塞いだのは音の波を壁として空中に推し出した金糸雀。
本来の金糸雀の力なら造作なく止められたハズの攻撃は減速しつつも音を突き破り、
二人からかなり離れた床へと落ちる。
バイオリンを持ち、相手を睨みつける彼女の視線に対し男は両手を挙げ降参の意思表明をする。
「やっぱ、化物は俺だけじゃなかったか。なあ、俺と手を組まねえか?
ソッチが強いのはわかったが、戦力は多いほうがいいだろ」
唐突。そして少なからず意外ではあったその提案に平が言う。
「アンタ、殺し合いする気やろ?」
「そうだがまあ、今は気にすることねえじゃねえか。
攻撃しかけたことは許してくれよ。
お詫びと言っちゃあ何だが探し人がいるならかなりの助けになれるぜ」
「その変なウネウネで捜すのかしら?」
「いや、これは支給品さ。ま、その辺はお互いのプライバシーってことで。
強そうな奴がいたら協力する。
アンタらが脱出を目指してんのなら同士と会えたらそっちに行っていい。
こんなんでどうだ?」
フランクに話しかける目の前の男に対し、先に金糸雀が警戒を解く。
「わかったわ……けれど一つだけ。殺し合いに関係が移行する瞬間はいつかしら?」
「そんときはちゃんと前もって教えるよ。この俺。戦場マルコの“愛”に誓ってな」
その言葉を受けた金糸雀が了承し、少し遅れて平が続く。
それを見て満足気に頷いたマルコという男は城の中を探検しようと言った。
武器になるものがあったら持って行こうということらしい。
それについて行こうとする金糸雀を平が呼び止め、
マルコに見えないよう気を使いながら彼女の手に小さなガラスのような物を握らせる。
「これに意識を集中させたらワシの位置はわかる。
レプリカのようなもんみたいやから精度はかなり落ちるやろうけどそこは堪忍な」
「変平……どうしてこんな貴重なモノをくれるのかしら?」
微かに震えを帯びた声で小さな戦士は問いかける。
金糸雀やマルコより遥かに弱い男のニカッと笑い、告げる。
「ワシは信じたいねん。ならやっぱり歩み寄らんとな」
それに。と彼は付け加える。
――信じるのも信じられるのもどうしようもなく嬉しいもんや――
胸が痛い。マスターや姉妹たちの事を考えるのが無性に怖かった。
【金糸雀@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、金糸雀のバイオリン@ローゼンメイデン、レーダーのレプリカ@BTOOOM!、不明支給品×1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:ズル賢く立ち回る。
1:戦場マルコ、変平と時が来るまでは行動をともにする
2:………………
[備考]
【平清@BTOOOM!】
[状態]:健康、職業:詐欺師と同じデザインの服 @ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[装備]:
[道具]:基本支給品、BIM(ホーミングタイプ)×8@BTOOOM!、レーダー のレプリカ@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:脱出する。
1:戦場マルコ、金糸雀と身の安全が確信できるところまで行動を共にする。
3:金糸雀を信じたい。
2:信頼出来る仲間を探す。
[備考]
※4巻で指を切り落された以降の参戦です。
【戦場マルコ@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:交換日記のレプリカ・戦場マルコ用@未来日記、常勝無敗のケンカ日記のレプリカ@未来日記、
アムルタート@waqwaq、ガトリング機銃 (たくさん/たくさん)@銀齢の果て
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:愛と合流し二人で生き残る
1:平清、金糸雀と美神愛を見つけるまで行動をともにする
2:愛を探し、見つけたら二人と別れる
【金糸雀のバイオリン@ローゼンメイデン】
金糸雀の専用武器。金糸雀はこれを媒介に多彩な技を使用する。
弦が切れると役立たずになる。
【BIM(ホーミングタイプ)@BTOOOM!】
相手を捉えてロックオンすることが出来るBIM。
ロックオンするとプロペラが起動し、対象を追尾して爆破する。威力は低い。
【レーダーのレプリカ@BTOOOM!】
同じレーダーを持っている人間の位置を知ることができる。
本来は手に埋め込んで使うもののレプリカなので精度は当然かなり落ちる。
【交換日記のレプリカ・戦場マルコ用@未来日記】
愛のものと対になる性能。劣化ぶりも同じ
【常勝無敗ケンカ日記のレプリカ@未来日記】
ケンカの際に相手の手を予知し、如何にクロスカウンターを決めるかが記される。
レプリカであるため、ある程度の大技でなければ予知されない。
【アムルタート@waqwaq】
防人の専用武器。合体すれば頭から触手がウニョウニョ 。
相手の生気を吸う植物を出すことができる。
以上、投下終了です
あけましておめでとうございます!
今年も良い殺し合いがありますように!!
申しわけありません。現在地表記を忘れてしまいました。
>>238 【A-1/クリスタル・パレス/1日目/深夜】
> 【金糸雀@ローゼンメイデン】
> [状態]:健康
> [装備]:
> [道具]:基本支給品、金糸雀のバイオリン@ローゼンメイデン、レーダーのレプリカ@BTOOOM!、不明支給品×1〜2
> [思考・状況]
> 基本行動方針:ズル賢く立ち回る。
> 1:戦場マルコ、変平と時が来るまでは行動をともにする
> 2:………………
> [備考]
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
が正しい状態表のハズです
投下乙!
平清のオッサンが何気に鍵になりそうだな、この集団。危ういけどそこを調整してくれそうだ。
気になったのですが、マルコのアムルタート&ガトリングあたりは現地調達でしょうか?
護神像は支給2個分、未来日記は支給1個分×2なのでどう考えても多いです。
……ああ!! 護神像の支給品2個分ってそういう意味だったんですか!
てっきりwaqwaq勢だけに適用されるものだとばかりw まあ、そりゃそうですよねー
ガトリング機銃抜きの修正版を修正スレに投下します!
馬鹿な事を訊くようで大変申し訳ないのですが未来日記と孫日記がセットで一つという解釈はアリでしょうか?
時間ギリギリですが投下します。
7thの特性的なものだし制限キツイから私的にはそれでもいいかと思うんですが他の方はいかがでしょう?>セット
美神愛の支給品修正しなきゃですが。
会場の極寒地域に存在する犯罪者を収容する施設、刑務所。
本来の意味でこの施設が使用されることは、おそらくこのゲーム中には無いだろう。
そこに幽鬼の様に立つ男が一人。彼が元々行っていたライダーバトル、そのスタート地点も刑務所だった。
彼がやることは変わらない。神崎士郎や今回の影の男の言っていた“願い”を叶える権利には一切興味が無い。
男の望みは会場に連れて来られた時点で既に叶っている。
『永遠の闘争』
影の男が興味深いことを言っていたのを覚えている。
――ここには様々な世界で己の欲望の為に醜く争っている者達を集めた
口角が自然とつりあがる。おそらく仮面ライダーだけでない戦う力を持った人間を集めたのだろう。
12人が相手では物足りないと思っていた。戦う相手が53人に増えたのだ。
ハハハハハ…アッハッハッハッハハハハハ
部屋に立てかけてあったスコップを手に取ると、男は歩き出す。少しの間、久しぶりに仮面ライダーとしての力ではなく、生身で暴力に身を任せるのも悪くない。
自分の欲求を満たしてくれる者を求めて。
◇ ◇ ◇
「寒っ! なんで室内なのにこんなに寒いんだよ! 」
坂本竜太がこの会場につれてこられる前のバトルロワイアルの会場は南国のような気候の島であったため、動きやすさも兼ねて薄着で行動していた。
だが、彼が現在いる場所は雪原地帯にポツンとある刑務所の一室。暖房がついているはずも無く、凍てついた空気が彼を容赦なく責め立てる。
何かないかとリュックを漁ることにした。
「ヒョ〜、ラッキー。飯が入ってるじゃん」
今までいた島と違い、最初からある程度の食料が支給されているのは助かる。カップラーメンに携帯用コンロと小さな鍋がついていた。
ここは寒いから早速温まろうと準備をしようとして思い出す。
――止めましょう。たかが食料に命を懸けるなんて馬鹿げている
――たかが食料、されど食料や。坂本はん、ここではそんな考えを捨てないとアカンのとちゃいます?
平清。自分が突然連れ去られた島で行動を共にした人だ。
子供のときからどこか冷めていたオレに対して、本気で感謝をしてくれた人。
自分でも不思議なくらいその人といると心が安らいだ。オレ自身で驚いた。自分がここまで他人を信用し、純粋に助けようと思った相手が出来るだなんて。
ありがとう、大切なことを思い出しましたよ平さん。
今のオレにはあの影の男が何者かはわからない。何日間ここで生活する必要があるのか、食料や水が食料は調達可能なのかが非常に大事だ。
現状ではできるだけ節約しておこう。
準備しかけていた食料を再度リュックに仕舞い、続いて参加者名簿を取り出し書かれた名前を見てみる。
「オレ、平さん、吉良康介ってのはあのガキか…ブック、ハード、ワタル、ミツル…そして、ヒミコ。やたらBTOOOM!のHNのやつが多いな。
これだけの人がいるとレーダーは迂闊には使えないな。
だが、どこかで使う必要はあるだろうが、今のところは足を使ってう動くしかない…か…… 平さんと早めに合流できればいいけど」
名簿を戻し残りの荷物を調べてみる。
オレに支給されたものはタイマー型のBIMが八個、小型の拳銃が一丁と予備弾薬。そして巻物か。
とりあえず何故かまた補充されているBIMの入ったウエストポーチを腰に巻きいつでも使用できる様にし、ポケットに拳銃を突っ込んだ。
巻物を広げてみるとそこに書かれていたのは参加者名簿と書いてあった紙とは異なる人の名前の羅列であった。
「甲賀……伊賀…? 忍者の巻物ってやつか? そーいや昔遊んだっけ。俺は伊賀忍者! 主君の命に従い敵を殲滅する! なんてな」
先程見たリュックに同じ名前を見た気がしてリュックに手を伸ばすと、先程まで頭があった位置を何かが高速で横切ったような風の感触がした。慌てて赤子の様に四つん這いのまま前にすすんで振り返るとそこには裸の大男がこちらを睨んでいた。
「貴様、伊賀の者か? 人別帖、貰い受ける」
この男はヤバイ。見ただけでわかる。BIMだとかBTOOOM!だとか関係ない。純粋な腕力で迫ってくるタイプだ。
ちょうど手を伸ばしていたリュックをそのまま掴むと、一気に部屋から飛び出した。
こうして大男とオレとの鬼ごっこが始まった。
◇ ◇ ◇
刑務所の長い廊下を走りながら思案する。
(拳銃を使うか? 駄目だ、狙い通り撃てるわけがない。となるとやはりBIMを利用してこの窮地を脱するしか無いのか。)
あれ?
先程まで確かに後ろにいたはずの男の姿が無い。振り切った? いや、一本道の廊下で見失うはずが無い。
まさか、諦めたのか? 今のところ相手からレーダーを使用した反応は無い。無我夢中で走っていたから相手が今この建物のどの辺りにいるのかもわからない。
レーダーを使うか? 相手に居場所がバレる可能性をとるか、鉢合わせの可能性をとるか……
そうだ。オレがレーダーを使って相手を認識すれば、相手もレーダーを使用してくるはず。
レーダーやBIMの使い方は日本で唯一の世界ランカーであるオレに勝るやつはいない。相手の位置を掴みながら、安全に脱出することが出来るぞ。
『ピコーン』
ん? 反応が無い。相手は動いていないのか? それとも、レーダーを相殺したのか?
キラッ
なんだ? 廊下の床を光を反射するような影がすごい勢いでこっちに迫ってくるぞ。まさか!?
迫ってきた謎の光点が近くまでくると壁から腕が伸びてきてオレの顔を掴みあげ壁に叩きつけた。
あり得ない。壁から腕が生えてくるなんて。その腕に繋がって、まるで腕の良い手品師の演目のように壁から出てきた。
「ガハッ」
壁に押さえつけられながら、万力の様な力で掴まれた頭が痛い。
リアルBTOOOM!の世界も現実感が薄かったが、壁から人間が出てくるなんてありえないだろ……まるでゲームの世界じゃないか……
「俺も祭りに混ぜろよ」
状況を客観的に見るなら、現れた男の声は坂本にとっての救いの声だった。登場の仕方はゲームで言うヒーロー、救いの勇者。
だが、その風貌は一般的な英雄の風貌とは異なる。
蛇を思わせる男の視線、チンピラの様なシャツの胸元を大胆に開いて、髪はボサボサ。
穴掘り帰りでなければありえないスコップを手にしてこちらを見ながら狂気的な微笑みを浮かべている。
ゲームで表現するなら、『勇者』でなく『魔王』。
大男が舌打ちをしながらオレを無造作に投げ飛ばし、廊下に叩きつけられる。悔しいことに乱入してきた男とオレとの危険性を比較したんだろうな。チクショウッ。
対峙する二人の男を見守るオレ。本当にこの世界は現実なのか?
【B-2/刑務所/1日目・深夜 】
【坂本竜太@BTOOOM!】
[状態]:後頭部に痛み
[装備]:BIM(タイマー式)@BTOOOM!、デリンジャー(6/6)@現実
[道具]:基本支給品、予備弾薬24発、人別帖@バジリスク〜甲賀忍法帳〜
[思考・状況]
基本行動方針:不明
1:目の前の男たちを対処
2:出来るなら平さんと合流したい
3:ここは現実なのか…
【霞刑部@バジリスク〜甲賀忍法帳〜】
[状態]:全裸
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品2〜3
[思考・状況]
基本行動方針:不明
1:現れた男(浅倉)の対処
2:伊賀者(坂本)から人別帖を取り返し、必要とあらば殺す
【浅倉威@仮面ライダー龍騎】
[状態]:軽い興奮状態
[装備]:スコップ
[道具]:基本支給品、カードデッキ(王蛇)、不明支給品1
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを楽しむ
1:目の前の男たちと闘う
[備考]
※浅倉は名簿をよく確認していません。
【BIM(タイマー式)@BTOOOM!】
手のひらサイズのキューブ型の爆弾。スイッチを押してから10秒で爆発する。タイマーを途中で停止することも可能。その際に爆破までの時間を短縮することが出来る。
【人別帖@バジリスク〜甲賀忍法帳〜】
甲賀組十人衆、伊賀組十人衆の合計20名の名前が記載された巻物。殺された忍の名前は血で赤線をひいてある。
以上で投下終了します
投下乙!邪魔したようですまない。
ヒミコのことも心配してやれ、と思ったが描写的にまだ本人に会ってないのか?
スコップ装備でもこえー浅倉w
そして全裸wwww忍者らしいがwwww
>>242、
>>244 議論中に投下して失礼しました。
自分はセットでもいいかなーと思いますが、マルコの支給品は減らす必要はありますね。
そして、もしセットにするなら先に愛を書いた◆IRxFfnsX8c氏の意見も聞いてみた方がいいですよね。
投下乙です!!
坂本w いきなりツイてないなw
でも平のオッチャンはわりと近いよ、
やったね! 生き延びることが先だけ!ど
>>244 ランダム支給品1〜2個とあるのでIRxFfnsX8c氏の美神愛の方のssを修正しなくても可能だと思うのですが如何でしょう?
後出しジャンケン的でかなり申し訳なくはあるのですが
>>251 やはりそうするのが無難そうですね。
じゃあ一度破棄して氏の返答をもらい次第、再投下という形がよさげですかね
その間に他の方が予約したらそれはそれでOKということで
>>250 坂本のってか登場キャラの参戦時期記入し忘れた!
坂本
[参戦時期]ヒミコの名前を認識する前から参戦。
なので、ヒミコと合流しているかどうかは後の書き手にお任せします。という形です。
霞刑部
[参戦時期]
原作2巻第13殺終了後以降、死亡前のどこかから参戦
浅倉威
[参戦時期]
不明
wiki収録する際に各キャラの状態表の下に追加しておきます。
雑談スレでもお話ししましたが
>>236-238のssは他の書き手の方達の意見をもらうまで
ご迷惑をおかけするようですが一時保留という形にさせていただきますね
トリキーこれで合ってたかな?
実は
>>241、
>>244でした、ハイ。ちょっと目を離したらえらいことにw
自分の意見としては
>>244に書いたとおりセット扱いで問題ないと思います。
私のSSの該当箇所は美神の支給品に「不明支給品0〜1」を追加しとくくらいで大丈夫だと思います。
な、なんだってーー(AA略)
素早い返答本当にありがとうございます!!
一応、他の方々の意見も聞いたほうがいいかもしれませんが
早速。修正スレに投下してきますね!!!!
おっと、そうだったのかw
したらばで氏を呼び出した瞬間に来ていたとはw
では、◆IRxFfnsX8c氏◆1yqnHVqBO6氏
その様に修正するってことで問題解決かな。 したらばの方はスルーしといてくださいw
投下します。
その男は利き手に刀剣の柄を持つ。
その男は月夜に刀身を煌めかせておる。
その男は両目で美しい満月を見つめる。
すべてが終わったのではないのか。
自分は何のために戦った──幕府の跡継ぎ争いの為に──
自分は幾つの人を失った──師父、師匠、友、愛してくれる者、愛した者──
自分は誰を傷つけた──己を殺しに来た全ての者を──
何のためにまた戦わなければならないのか。
自分の為か、違う。
命じてきた彼奴らの為か、違う。
愛する者の為か、違う。
もう、良いのではないか。
己の肉体が再び動いていることにも意に介さず、
彼は手に持つその刀を、己の心の臓へと受け入れる。
朧、いまそちらへ向かう。
甲賀弦之介は最後にそう一言だけ呟き意識を失う。
同時のその身は橋の上から川の底へと消えていった。
だが彼は知らない。
彼の愛した朧がこの催しに参戦させられていることを。
彼を愛した陽炎がこの催しに参戦させられていることを。
彼が頭をを抉った筑摩小四郎がこの催しに参戦させられていることを。
彼と共に戦った霞刑部がこの催しに参戦させられていることを。
彼に恨みを持つ薬師寺天膳がこの催しに参戦させられていることを。
彼は知らない。
【甲賀弦之介@バジリスク〜甲賀忍法帖〜 死亡確認】
【備考】
※甲賀弦之介のデイバッグ(基本支給品、不明支給品1〜2)はD-1橋の上に放置されています。
※甲賀弦之介とその刀は川の底へと消えました。
※甲賀弦之介の参戦時期は死亡直前です。
以上で投下終了です。
投下乙です!
弦之介様ァァァァァア! 甲賀、伊賀との争いに絶望した時期からか…
朧いるいる! せめて名簿を見れば…… 彼の死でバジ勢の心情が大きく動くだろうな。 主に陽炎と朧w
改めまして投下乙です!
トリ消し忘れてるぅ まぁいっかw
投下乙です!!
おお、弦之介様がまた死におったw
これで朧は天膳様のものか。やったね、天ちゃん! 嫁ができるかもだよ!
おお、 弦之介様が死んでおられる…
この前、同人でティオ陵辱本読んだんです
で、ここで登場話読んだんですがね、縮み上がっちゃいました…
ティオ 陵辱 でググッたら
ロワロワが上から四番目だった
目が点になった
テスト
投下します
茶道の稽古にでも使われそうな屋敷を出た杉村とキャンチョメ。
彼等の行動方針は仲間を探すということで一致した。
キャンチョメが参加していたという魔物の子達の闘いは杉村の理解の埒外ではあったが、
深く追求することはしなかった。
杉村自身、自分がまだ子供に過ぎないという自覚はある。
だがそれを差し引いても隣を歩くアヒル口の子供は
どう見ても小学校に上がるか上がらないかといったところ。
そんな子達に殺し合いを強制させるクソッタレな魔界の王への怒りはあるが、
怒りをぶつける方法もない以上、思考の外にいったん置いておくしかない。
キャンチョメの仲間はガッシュとティオ、そしてゼオンというそうだ。
その三人もまだ子供のようだが
戦闘向きの術とやらが少ないキャンチョメよりはよほど頼りになるらしい。
そして危険人物と言えそうなのが……パピプリオという魔物。
あまり驚異となりえそうな魔物ではないということだが油断は禁物だろう。
子供を殺すことすら自然と考慮に入れ始めている自分を嫌に思いながら
杉村はキャンチョメと共に市街地へ向かう。
彼の世界では測れない力を持つ存在とそこで出会う危険性はあるが、
気になるのはキャンチョメがハズレ支給品だと思っていたカードデッキから
自分とどこか似た様な力を感じるとのこと。
どちらにしろ、今の自分達では異常な力を持つ者と会ったら殺される可能性が高い。
キャンチョメの術は敵を撹乱するのにかなり適したものであるようだが
それで逃げ続けてもいつか壁にぶつかるのはわかりきっている。
ならば、危険を犯してでも仲間やこのカードの使い方がわかる人間と
接触できる可能性がある道を選ぶべきだろうと杉村は判断した。
「弘樹、あ……あそこ!」
怯えたような声でキャンチョメが指さす先にいるのは高級そうな服装に身を包み
ただ立っているだけの女性。纏う雰囲気は相馬光子とどこか似たものを感じさせた。
杉村の手にあるのはカードデッキのみ。
キャンチョメの支給品は巨大な斧のようなモノであり、
棒術やトンファーなどの扱いに秀でた杉村でも扱いきれない物であることと、
持ち運ぶのにも不便だったため、先程までいた屋敷に目立たぬよう隠してきた。
つまり、この二人は相手が魔物であろうと銃火器を持つ者であろうと
拳法と術のみで応戦しなければならないということだ。
「俺達に闘う気はない! 仲間を探している最中だ!」
バレないレベルでいつでも応戦可能なように意識を集中しながら
杉村がそう呼びかけた女性は彼の声が聞こえないのか
杉村の手にあるカードをじっと見つめている。
「カードを持ってるってことはお前も仮面ライダーか。
ならさ……殺し合うしかないのはわかるだろ?」
「仮面ライダー? アンタ、ひょっとしてこのカードの使い方を知っているのか!?」
気怠そうな口調で対応する彼女に杉村は驚いたようにそう問う。
「ああ、あの馬鹿と同じで巻き込まれたクチか。
まあいいじゃん。そのアヒルみたいなミラーモンスターと契約してんのなら
覚悟を決めなよ」
素っ気ない口調で彼女はそう言うといつの間にか腰に着けていたベルトに
ポケットから取り出したカードデッキを挿し込む。
その瞬間、彼女は杉村が子供の頃に夢中になったヒーローのような出で立ちに姿を変えた。
「確かにこの手で殺したはずのアイツだって復活してる。
お姉ちゃんの仇をやっととれたと思ったのにこれだ。
きっとさあ、あの馬鹿が闘いを止めたからなんだよ。
もう諦めろよ。殺し合いは優勝者が決まるまで……終わらないんだ!!」
そう叫ぶと白い騎士のような姿になった彼女は杉村達へと襲いかかってくる。
彼女が振るう武器はレイピアらしき細身の剣。
功夫を積む際に武器を相手に想定した稽古もみっちりやってきた杉村でも
それを躱せたのは運と、敵の攻撃がどこか投げやりだったからだろう。
とにかく彼女の動きでカードの使い方はおおよそ察しがついた。
説得するにも迎撃するにも相手と同じ土俵に立たないことには始まらない。
意識を集中させると現れるベルト、そこにカードデッキを挿し込むことで
杉村弘樹もまた無自覚のうちにライダーバトルへの切符を手にする。
光りに包まれた杉村が変身したのは
青と銀を基調にしながらもどこか禍々しさを感じさせる仮面のヒーローの姿。
「カッコイイよ、弘樹!!」
その姿を見て歓声をあげるキャンチョメ。
仮面ライダーの隣に立つということは彼もまた闘うつもりということなのだろう。
足を震わせている彼にも今の状況で有用な術は幾つか持っている。
だが杉村は彼の勇気を手で諌めた。
「ここは俺が闘う。説得の余地はあると思うんだ」
自らに言い聞かせるかのように杉村はそう言うと左足を前に出し、
後ろに位置する右足の爪先は相手に対し直角に向け、
そこに重心の比重の大半を置く後屈立ちの体勢を取る。
勝負は一瞬で決めなければならない、つまり初手が命。
構えからして相手の戦闘経験は杉村より遥かに上。
長期戦になれば地力の差が現れるのは明白。
力の使い方もまだ十分に理解しきれていない杉村にとっては
飛躍的に上がったと確信できる五感と身体能力だけがライダーとしての武器だ。
ならば、それを彼が今日まで練りあげてきた人としての武術に活かすしかない。
仮面で隠された視線により、敵の一手を予測することは困難。
判断材料は武器の形状と肩の動きと相手の呼吸そして相手の軸足。
仮面の女との距離は30メートル。
普通ならばありえない距離だがこの姿となったら刹那に詰められる間合い。
狙うはカウンター。
そのためにも自分の意図する攻撃の形を少しでも悟られぬようは五指を開き、無形の手とする。
空間が互いの闘志で歪みだす。
琴弾が言っていた何も無い空間が手に包まれることで特別な空間となるかのように。
彼の拳士としての本能がその喩えから何かを掴もうと意識が行きかけるが、
そこは自らの理性で自制させる。
前方高くを揺らがせている左手、丹田を防ぐかのように置かれた右手。
彼と彼女を結ぶ直線…………
ソレを点にせんと白の騎士が軸足に貯めていた力を解放させ
地面を蹴ることにより一瞬で間合いを詰める。
彼女の狙いは明白。重心深く懐に潜り込んで剣を突き刺す、その一点のみ。
ならば新たに生まれた仮面ライダータイガはそれにどう応じるべきか。
先程も述べたが彼はまだライダーの道に足を踏み入れたばかり。
そう、そうなのだ。彼はまだ“人間”杉村弘樹の域を脱していない。
ならば、仮面ライダーとして生きてきた相手に速さで勝てるハズはない。
十全に性能を発揮できるであろう相手に力が及ぶハズもない。
では技は……ライダーとしての技ではなく人として磨いてきた技術ならばどうか。
その答えは勝負の結果が教えてくれる。
彼女が動き出す一瞬前に杉村は両膝の力を抜き、重心を地面に落下させる。
それにより、辛うじてではあるが次の瞬間には頭の高さが相手と同じになり、
懐に潜り込む一撃は正々堂々と愚直に相手を突くものへと意味が変わる。
重力の力を借りて相手の狙いの第一段階を防いだ杉村弘樹。
次に対処するは当てが外れようと構わず突き出される一撃。
前に位置する左手を、重心を落とす際に骨盤の右側へと居合い斬りをするかのように滑らせる。
そして鞘から抜き放つように添えられた利き腕である右手の力を借りて、
受け手である左手を敵の剣へと走らせる。
ただの力と力のぶつかり合いでは攻撃を逸らすのは適わないだろう。
だから、利き腕の力を借りて高速と化した左手で剣と接触するその瞬間に――
相手の方へ向けていた手の甲を外側へ回転させることで接触面を急激に増やし、
衝撃を完璧に逸らすことを成功させる。
これが第二段階。しかし、今のままでは彼のとった行動は防御のそれでしかない。
ならばこの動きをカウンターせしめるものは何か。
それは今までの動き全てを昇華させることで初めて可能となる。
第一段階で重力に従い姿勢を崩さずして膝の力を抜き、体の高さを文字通り落下させる。
脱力と姿勢の維持という相反する動きは
後ろに置いた右足を限界まで重力がもたらす負荷に耐えさせることで成功させる。
そして第二段階で、利き腕である右手は攻撃を内から外に弾くための左手に添えられ、
ちょうど丹田に近い位置にある。
今から始まるのが彼の渾身の一撃。
後屈立ちで重心を落としたことから転ずる右足にかかる落下が与える負荷。
相手とは直角に向いていた右の爪先を一瞬で相手の方へ向け、
その負荷をそのまま前へ倒れこむかの様に左足と中心線を司る腰へ移すことにより
爆発的な速度に変換。
攻撃を防いだ左手を流れるような動作で相手の丹田への道筋をつくるようただ突き出すだけ。
本命である攻め手の拳は生まれた速度を左腕というレールを沿うように走らせる。
それと同時に右足を完全に伸ばしきり威力を緩めず貫くようにして、
衝撃を相手の向こうまで伝えるようイメージしながら敵の腹部を突く。
その結果、敵は数十メートルほどの距離を吹き飛ばされた。
防御動作の際に生じた重力落下のエネルギーをそのまま利き腕へと伝わせる事による一撃。
これが仮面ライダータイガこと、杉村弘樹が初めて収めた勝利の真相である。
背後で騒ぎ立てるキャンチョメに照れたように親指をつきだしてから、
うつ伏せに倒れている女性へと歩み寄る。
「まさか素人に負けるなんてね」
「アンタは仮面ライダーとして俺と戦おうとした。
俺はソレから逃げて力を受け入れながらも人間としてアンタと闘った。
勝てたのは認識の違いと、ただの偶然だ」
その言葉に納得したのかしていないのか静かに息を吐くと言った。
「トドメ……刺しなよ」
「どうして…………どうしてそんなに凄い力を持っているのにゲームに乗るんだ?
今からでも遅くない、俺達と一緒に行こう。
脱出を目指し、闘いを止めようとしている俺の仲間だっているんだ!」
彼女の諦めにも似た誘いには応じず、
杉村弘樹は殺し合いに乗ろうとする彼女を必死に説得する。
ソレに彼女は苦笑したかのように言う。
「お前はさ……大切な人を奪われたことがあるか?」
口調は静かであったが杉村は動揺したかのように息をつまらせる。
「ハハ、その反応じゃあお仲間ってことか……ならわかるだろ?
復讐したいっていう気持ちが、大切な人にまた会いたいって気持ちがさ」
その言葉を最後に彼女は煙に包まれる。
それを見て杉村は何かを言おうとしたが
突如として彼の周りに飛び散る羽の嵐によって遮られる。
「城戸真司って馬鹿に会いな。どうしようもないお人好しだけど
逆にソレしか取り柄の無いような奴だから気が合うかもね。
霧島美穂って名前を出せば話は通じるからさ」
それと、と。付け加える彼女の声が今にも泣きそうなほどに震えていたのは
果たして気のせいだったのだろうか。
「ソイツに会ったら伝えてくんないかな…………
ゴメン。私……やっぱ、闘いを捨てるのは無理みたいだ」
視界が晴れた杉村とキャンチョメの前には誰もおらず、
残ったのは大きく抉られた大地だけであった。
【A-4/一日目・深夜】
【杉村弘樹@バトルロワイアル】
[状態]:疲労(中)、精神的疲労(大)
[装備]:英雄の証 、仮面ライダータイガのカードデッキ
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本行動方針:七原、三村(本人なら)と合流
1:市街地へ行く
2:時間を見つけて仮面ライダーとしての力の使い方の練習をしたい
3:城戸真司に会えたら霧島美穂からの伝言を伝える
4:もし、桐山が琴弾を殺したのだとしたら、俺は……
[備考]
この殺し合いを大東亜帝国版プログラムの次の段階であると推測しています。
仮面ライダーへの変身の仕方を理解しました。
参戦時期:琴弾と合流後、桐山襲撃直後
【キャンチョメ@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康
[装備]: キャンチョメの魔本@金色のガッシュベル!!
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を探す
1:市街地へ行く
2:あの女の人はなんだったんだろ?
3:フォルゴレがいないのになんで呪文が使えたんだろう?
[備考]
何故かパートナーがいなくても術が使えることは理解しました。本がフォルゴレ以外に読めるとは思っていません。
参戦時期:ファウード編以降
英雄達の像に安置されていた盾斧@ブレイブ・ストーリー?新説?は甲賀弾正屋敷に隠してきました。
【A-4→?/一日目・深夜】
【霧島美穂@仮面ライダー龍騎】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(中)
[装備]:仮面ライダーファムのカードデッキ
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して姉を生き返らせる。 浅倉威を殺す
1:???
2:もし、城戸真司に会ったら……
[備考]
死後参戦
支給品である煙幕弾@バジリスク〜甲賀忍法帖〜は既に使いました
以上で終了です
投下し終わってからトリキー間違ってたのに気づいたっていうね!
すいません、本当に。
投下乙です。
ライダーバトルがいきなり起こったか。スギムライダー強いw
以下疑問点です。
杉村が魔物の子や術、ライダーデッキについての順応が早すぎませんか?
大東亜の次の段階かも、と考察していたのにキャンチョメとロクな会話もしないで簡単に受け入れるのに違和感を感じました。
もう少しキャンチョメと杉村の会話があった方がいいのでは?
あと、龍騎ライダーのベルトは念じて出てくるものではありません。ミラーワールドの産物なので鏡などの反射物の媒体が必要ですので、杉村の変身の際には修正が必要かと思います。
最後に、霧島美穂が杉村に倒された際、生を諦めるような描写がありながら、一気に離脱できるほどの体力が残っているのも違和感があります。
これは霧島は死ぬわけにはいかない(優勝するために)から、やられたフリをしていただけでしょうか?
全体的に展開が駆け足すぎる印象を受けました。短く纏めようとしすぎな気がしました。
>>275 ライダーデッキは相手がそれっぽく使ってたので真似してみたって感じです
なので他の機能は知りませんからその辺は行動方針に書いておきました
魔物の子の戦いについてはそうですねー
キャンチョメの術を目の当たりにしたんでとりあえず納得
プログラムと似た戦いに参加した者達が集まってきているかもしれない程度の考察描写を入れます
念じたことについてはただやってみたら出たっていう杉村視点の描写ですのでまあいいかなと
霧島美穂については描写追加を修正スレに投下しておきますね
>>276 素早い返答乙です。
そういえばいきなりキャンチョメの術を見てたんだよな。子供にしか見えないと言っていたから失念していました。すいません。
杉村はライダーの変身もまだ完璧に把握できていないってことか。了解しました。
失礼な物言いに感じられるような指摘の仕方で申し訳ありませんでした。修正作品をお待ちしております。
修正スレに修正版投下しておきました
修正乙です。
投下乙
杉村つええ!ライダー倒すかよ…
桐山がヤバかっただけでやっぱり杉村はたいした奴だ
ライダーベルトで文字通り鉄の杉村になったな
関係ないけどブトゥーム全巻買ったんだ
指切られた後、平のおっさんはどうなったんだ?発狂したの?
*** ロワロワ参加者への連絡事項 ***
数日前から、2chのキャップ流出問題の件でブラウザで開くとウイルスに感染等の危険性があります。
専ブラ(Jane Styleなど)で閲覧、書き込みは”今のところ”は問題無いようですが、本スレに書き込むのが怖い方もいると思います。
これから2週目に入って勢いに乗りたい所でしたが、したらばにも本投下用のスレッドを用意しましたので、良かったらそちらをご利用ください。
尚、2chへの感想の書き込み、本投下はもちろん自由ですので、自己判断でご利用ください。
したらば本投下用スレッドのURLは貼ると踏みにくいかと思いますので、お手数ですが「ロワロワwiki」等で検索して、避難所の方に行って頂きたいと思います。
代理投下します。
「おうまさん、なんて名前なの〜?」
「メルメルメル!!メルメルメー!!」
何と言ってるか分からないが気にしないでほしい。
「メルメル!メルメルメルー!」
何とか伝えようとするが。
「ウマゴンって名前なの〜?」
「メルッ!?」
伝わらなかった。
「メルメルメー!」
手?を左右に振って否定するシュナイダー。
「違うの〜?」
「メル!」
分かってくれて笑顔のウマゴンは急に踊りだした。
実際は踊っているのではなくジェスチャーなのだが。
シ・ュ・ナ・イ・ダ・ーとジェスチャーで伝える。
しかし、そううまく行くはずがなく。
「えーっと……ウ・マ・ゴ・ン?やっぱりウマゴンなのよ!」
シュナイダーはショックを受ける。
「メル!メルメル!!メルメルメーーー!!!」
大声で叫ぶが周りに響くだけで言葉は伝わらない。
「メルー……」
ショックを受けても結局は伝わらなかった。
【A-7遊園地/一日目/深夜】
【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:誰も傷つかない世界が欲しい。
1:ウマゴンと行動を共にする。
※シュナイダーの名前をウマゴンと思っています。
【シュナイダー@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:魔本@金色のガッシュ!!、基本支給品、不明支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を探す。
0:ウマゴンじゃないよ!!
1:雛苺と行動を共にする。
※ウマゴンの叫び声が周りに響いた可能性があります。どれほど響いたかは後の書き手に任せます。
以上で終了します。
続いてまた代理投下します。
「魔物の王を決める闘い……それにガッシュは優勝したんだよね?」
その問いかけに当のガッシュは誇らしげに頷く。
「そして、魂だけになっていた魔物たちを全員生き返らせた……これで合ってる?」
「ウム、そうなのだ」
再度の問いかけにもガッシュは肯定した。
魔界が本当なのかは知らないがガッシュの術は実際に見せてもらった。
口から発射される電撃。それを発動するには一瞬気絶してしまうが
何者かに魔本を読んでもらうことで更に威力を増すそうだ。
人智を超えた力に不意打ちが容易な体質。
その情報を無意識に、本当にそうなのかは自分でもわからないが
とにかく特に他意もなく記憶する。
そして、ガッシュの言うことはある程度信用がおけると今のところは思うことにした。
今考えるべきは死者の蘇生という単語。
僕はその言葉に深く心を揺さぶられる。
死んだものを蘇らせるのは神の力を以てしても不可能。
そのことを僕は心の何処かで確信している。
間違いを正し、止めようとしてくれた友達を殺しておきながら僕は確信している。
嘘をついているのは由乃だということも薄々感づいている。
どうしてそんなことをしたのかは気になるけど今は置いておこう。
会ってから直接、尋ねればいい。
対面し、問い質すときに護衛としてガッシュを隣に置こうか迷っている自分に
心底嫌気がさしながらも僕はそう結論づけた
けれども僕は取り敢えず由乃に関しての問題は先送りにすることに決める。
知るべきなのはガッシュの世界で如何にしてそれを、
つまりは消滅した肉体からの蘇生を可能にさせたということだ。
肉体を無くした魂は魔界とやらを彷徨っていたそうだが果たしてそんなことが可能なのか?
ならばデウスは何故、未来日記の所有者に殺しあわせた際にそれをしなかった。
いや、してくれなかったのだろう?
因果律を調停する神の力が弱まっていたから?
それも違う気がする。因果律を統べる王ならば人々の、
せめて家族くらいの保険はかけておいたほうが万が一の場合、
かえってやる気を促進させる材料となりうるはずだ。
なら、神と魔界の王は単純に優劣が決まる力関係ではないのか?
問題にすべきなのは目の前の子供が勝ち抜いたという殺し合いの報酬だけではない。
子供同士の殺し合いというのは道徳的に十分問題なのかもしれないが
僕にそれを糾弾する資格だけはない。
僕の世界に関する事柄だけでも疑問はある。
死者の参戦……あの影が言っていたようにこの殺し合いを仕組んだものは
死者の復活が可能だと言っていた。
同姓同名の別人ではないとしたのならば9th達の存在は
僕に死が絶対ではないということを教えてくれる事実かもしれない。
もちろん、死者を蘇らせてまで殺し合いをさせようとする
主催者の悪趣味っぷりはどうかと僕も思う。
だが、それと同時に心の何処かで惹かれるものがあった。
デウスすら絶対の全能者ではないという事実すら
死者の復活という事実により浮かびあがる。
もしも、もしもだが優勝することができたら僕は……
――今まで奪ってきた命への償いがようやくできるのかもしれない
「雪輝よ! この粘土とポップコーンはワタシがもらってもよいものなのか!?」
「いいよ」
子どものように目を輝かせながらそう言うガッシュに僕は笑顔でそう言った。
そう、笑顔だったはずだ。決して5thのことを思い出したりはしなかったはずだ。
心がチクリと傷んだと同時に北のほうから妙な羊の鳴き声が聞こえる。
その音で初めて僕は長い間、日記を見ていなかったことに気づく。
完全に失態だ。日記のチェックを怠るなんて。
焦りながらも僕は日記に書かれた内容を確認する。
##########
01:45 【遊園地内、メリーゴーランド付近】
雛苺とシュナイダーという参加者に会う。
どうやら二人ともガッシュに協力してくれるらしい。
##########
記述を読み、ガッシュに声をかける前に少年は見知った仲間の声を聞き
走りだす。彼の名を呼び一応警戒するよう呼びかけながら僕も後から駈け出した。
彼一人なら僕でもまだ利用出来るかもしれないけれど、
三人は厳しいな。そんな最低なことを思いながら……同時に喪った人達の顔を思い出しながら僕は走る。
………………………………………………………………………………………………………。
結論を先に言ってしまうと、同盟結成は呆気ないほど簡単に終わった。
羊の鳴き声をあげていたのは二足歩行する馬の子ども…………
このムルムルを思わせる意味不明な外見で僕はガッシュの言うことがまず本当だと確信した。
名簿にはシュナイダーと書かれているのに頑なに
ウマゴンと呼びつづけるガッシュとこれまた初めてみる動く人形の雛苺。
シュナイダーという名前であることはガッシュも知っているようだが
もはや変える気はないらしい。
少し気の毒ではないだろうか?
そんなことを思いながらも僕は新たに加わった二人の子供相手にも情報交換を持ちかけた。
正直、ガッシュ以上に子供であろう二人から何を得るんだとも思ったが、
いやそれ以前にウマゴンから情報を引き出すことは果たして可能なのだろうか。
そんなことを思ったが得られた情報は予想以上の物だった。
アリスゲーム、お父様とやらが創りだした人形達による殺し合い。
そして、nのフィールド。
やっぱりこのゲームはデウスが管理している範疇を越えているのかもしれない。
何せ……目の前の彼女自信が敗北者、つまりは死者に該当するのだ。
ならやっぱりあの主催者の言うことは
「メルメルメルメルメル!」
「ウム! ウマゴンダヨ、ヨロシクネだそうだぞ雪輝!」
違うと思うよ、ガッシュ。
遮られた思考を再開させようとしたが
彼等が仲睦まじく戯れているのを見るとそんな気はどうにも起きず、
僕は支給品を確認しあうガッシュ達をぼんやりと見た。
彼等も殺し合いを経験しているというのに、どうしてこうも楽しそうでいられるんだろうか?
「ねえ、ガッシュ。君の経験した闘いがどういうものだったか教えてくれる?」
何とはなしに言った言葉。けれどもそれを受けたガッシュは胸をはって語り出す。
それはたしかに殺し合いと呼べるもの。
けれど、僕が経験したものとは圧倒的に違うもの。
友情に満ち、裏切りとは殆ど無縁で、敵と味方がはっきりしていて、
誰を陥れることなく誰を喪うこともなく彼は闘いを終わらせて王者になった。
何だソレ?
僕と彼、そしてウマゴンが闘っていた殺し合いのあまりの違いに思わず愕然とする。
だってそうだろう。
彼等は僕のように家族を喪うことなく、由乃に付き纏われることなく、
友達を本当の意味で殺すことなく、由乃に監禁され前後不覚に陥ることなく、
力のない子供達を手にかける必要にすら迫られず、由乃に友達を殺される危機に怯えることすらなく、
皆に最後まで助けられ、
由乃を疑うこともなく、由乃を由乃を由乃を由乃を由乃を由乃を由乃を由乃を由乃を由乃を……
ああ、そうか。これが王道というものか。
これこそ、デウスが僕達に望んだ殺し合いの形だったのか。
たしかにこれなら王や神の座へと就くに相応しい闘いだ。
日記所有者になる前の傍観者だった僕なら諸手を上げてガッシュの勝利を祝福しただろう。
ああ、そうだね。たしかにガッシュには王と思わせるだけの何かがあるよ。
なら僕は、僕達はどうすればあんな風にならずに済んだんだ?
デウスに静かに問いかけながらも胸に宿る嫉妬の炎は容易に消すことができず、
ただ愛想笑いを浮かべながらガッシュの英雄譚を聴くしかできない。
そう、シュナイダーが不思議そうに首を傾げたのも
雛苺が外見にそぐわない羨望の念で目を細めたのも今の僕にはどうでも良かった。
【A-7遊園地/一日目/深夜】
【ガッシュ・ベル@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康
[装備]:魔法のマント@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品、ガッシュの魔本@金色のガッシュ!!、ポップコーン@現実、粘土@現実
[思考・状況]
基本行動方針:やさしい王様としてこのバトルロワイアルを止める。
1:雪輝、雛苺、ウマゴンと行動する。
2:ティオやキャンチョメ達仲間との合流。
※参戦時期は本編終了後です。
【天野雪輝@未来日記】
[状態]:健康、ガッシュへの強い嫉妬
[装備]:無差別日記@未来日記、投げナイフ(15/15)@未来日記
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いは今のところしない、死にたくない。
1:ガッシュ、ウマゴン、雛苺を信頼?して行動する。
2:まずは由乃と合流する(いろんな意味で怖いから)
3:その他の知り合いは……?
※参戦時期はDiary46.5終了以降からの参戦です。
【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、クレヨン@現実、人参@現実
[思考・状況]
基本行動方針:誰も傷つかない世界が欲しい。
1:ウマゴン、ガッシュ、雪輝と行動を共にする。
※シュナイダーの愛称はウマゴンでいいよねと思っています。
【シュナイダー@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:魔本@金色のガッシュ!!、基本支給品、マキビシ@バジリスク〜甲賀忍法帖〜、煙草@現実
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を探す。
1:ガッシュ、雛苺、雪輝と行動をともにする
2:戦いはまだ終わってないんじゃないの?
以上で終了します。 支給品解説は前回と被っているので省略しました。
続けて代理投下します。
深夜の墓地。
夏場であれば、肝試しの代表地ともいえる。墓地独特の生暖かく、どこか冷たい空気を人間は恐怖しながらも追い求める。
日常生活においても『欲望』は恐怖を乗り越え、時として
この閉鎖された世界にある法はただ一つ。
『最後の一人になるまで殺しあえ』
◇ ◇ ◇
黒のロングコートを身に纏った長身の男が歩いている。墓標に刻まれた名前を一つ一つ確認しながら、
『ノヴェル』
『正宗忠蔵』
『国信慶時』
『沼井充』
『千草貴子』
『大木立道』
『結菱 二葉』
『須藤 雅史』
『手塚 海之』
『天野九郎 礼亜』
『火山高夫』
・
・
・
ざっと目を通した以外にも数十の…いや、もしかしたら百以上の墓に名前が刻まれている。
手塚や須藤の名前があること、今回の戦いの主催者である影の男の複数の世界の発言……
おそらく参加者の元いた世界の脱落者の名前だろう。探せば他のライダーバトルの脱落者の名前も出てくるかもしれないが興味は無い。
「誰か死んだのか?」
少々妙な格好をした少年が墓の前で手をついて黙祷している。何故話しかけたのか自分でもよくわからない。
迷っているのだ、ライダーバトルに。この戦いに。
ひょっとしたら誰かに答えを出して欲しいのかもしれない。自分で決断することに臆病になっているのかもしれない。
「……貴様には関係ない。今は見逃してやる。消えろ」
少年はこちらに顔を向けることなく黙祷を続ける。年上に向かって生意気な口調ではあるが淡々としており、声色からは感情を読み取りにくい。
少年の心を塗りつぶしているのは深い哀しみか、後悔か、それとも――
『芦川美鳥』
少年の前にある墓にふと目をやる。女の名前だ。
恋人か? 年齢から考えて親族の可能性の方が高いか。 いや、二人の間にある関係性に名前など必要ないのかもしれない。
少年がこの美鳥という名前の人物を慕っている。それだけで充分だ。自分が恵理を思っているように……
『戦わなければ願いは叶わない』
微かな音色を奏でながら、夜風が二人の間を通り抜ける。
恵理を助けるためにはこの目の前にいる少年を殺さなければならない。
そんなことはわかっている。ライダーバトルの時と違い、人数は圧倒的に増えていることも自覚している。
だが、どうしてもそんな気分にならない。
そして、何も言い返さぬまま、相手を攻撃することも無いままこの場を後にした。
『お前には迷いが見える。本当に誰かを殺せるつもりか?』
『あんたは自分が思っているほど、冷たい人間じゃない』
認めたくは無いが俺は迷っている。ライダーバトルを……この戦いをどうするべきか
教えてくれ恵理……俺は一体どうすれば――
◇ ◇ ◇
合わせ鏡が無限の世界を形作るように現実における運命も一つでは無い。
同じなのは欲望だけ。全ての人間が欲望をもちそのために戦っている。
そしてその欲望が背負いきれないほど大きくなった時
人は――
【F-2/墓場/一日目・深夜】
【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
[状態]:健康
[装備]:カードデッキ(ナイト)
[道具]:基本支給品、不明支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:戦いに乗るかどうか決めかねている
1:俺は、どうしたらいい……
[備考]
参戦時期:少なくとも恵理が目覚めるより前、手塚との出会い以降からの参戦
【ミツル@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:健康
[装備]:ミツルの杖@ブレイブ・ストーロー〜新説〜
[道具]:基本支給品、 不明支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:不明
1:美鳥……
2:不明
[備考]
参戦時期:不明。
[共通備考]
F-2の墓場には、参加者の元いた世界の脱落者、関係者の墓が多数存在。(※死者に限る)
以上で代理投下を全て終了します。
って、こっちで投下してももう大丈夫なんでしたね
改めて投下します
糞のような思い出が詰まりに詰まった分校を出た二人。
前と同じスタート地点のハズなのに見える風景は随分と違っていた。
そう思う七原秋也の肩に下げられているのはリュックサック。
そして、背中に背負っているのは大剣。
かつての彼ならば持ち運ぶことにすら苦労したであろうがかつての殺し合いから脱出した後、
アメリカで鍛えに鍛えた体のおかげで持ち歩くことができた。
この剣は真紅と出会い、周辺を探した際に見つけた物。
何故こんな学校にこのようなものがあるのか不思議に思ったが彼女の支給品を見ると
あったのはハリセン一つ。
どう考えてもふざけているとしか思えない代物であったことから
この剣が彼女への支給品だったということなのだと二人は思うことにした。
真紅が何か特殊な力を感じると言っており、特殊って何だ。
というか動く人形が特殊と称する剣ならばそれは一周回って
ただの剣なのではないのかと思いながらその言葉を受け、秋也はソレを持っていくこと決めた。
彼女の左足からツンと臭ったあの臭い。
何があったかは容易に想像がついたので訊かず、
せめて洗ってやるべきだったかと思ったがそんな暇はない。
前のプログラムでは出発場所から出て行く者を狙い撃ちにしようとしていた参加者が
かなりいたことから行動は迅速にすべきであると秋也は結論づけ、早々と分校を出ることにした。
分校を出る瞬間も警戒は怠らなかった。
秋也から見て前方と右方を彼が担当することにし、
頭に載せた真紅が後方と左方を担当することにした。
中々によく出来た警戒態勢だと秋也は自分を褒めたいと思った。
誰も周囲にいないことを確認したあとに行ったのは当然の情報交換。
誰が敵で誰が味方かを知るのはこのクソ益体もないゲームを生きる上で重要な要素となる。
「全員、乗る可能性が多かれ少なかれあるってことか……
みんな可愛い外見だろうに物騒だなあ」
「生きるって闘うということよ。シュウヤ。
けれども蒼星石や翠星石はある程度の信頼を置けると思うわ」
それらと一緒に知ったアリスゲームという人形同士の殺し合い。nのフィールド。
OK、OK。受け入れよう。世の中は俺が思った以上にファンタジーだ。
うん、杉村も手を触れずに瓦やレンガを割ることだってできたし。その延長なのだろう。
杉村弘樹、その名前で秋也は重要なことを思い出す。
重要だが、回答によっては自分の中の何かが壊れてしまいそうなこと。
「正直に答えてくれ真紅。
………………死んだ人間が生き返る可能性はあるか?」
移動しながら、そして相手を頭に乗せながらの問いかけ。
それに真紅はわからないと答えた。
「死んだ人が名簿に載っていたのね」
「ああ。まあそのnのフィールドっていうのから
よく似た別人を連れてきたのかもしれないんだけどさ」
「あの影がnのフィールドを介した別世界から貴方の知り合いを連れてきたのならシュウヤ。
それはその通り別人だけれども本質は同じよ」
「つまり、良く似た世界から同じ名前を持つ似た人生を送った人間を連れてくる。
それを死んだ奴の復活と影が指したのなら……」
「あの影の言う通り、優勝したら望む人を連れてきてくれるのでしょうね」
真紅との会話で秋也は納得した。それなら、彼が出す答えは絶対にNOだ。
彼の望みは子供達から親を奪い、大人達から子を奪うようなクソッタレな政府をぶち壊すこと。
それは文字通り地獄の道だ。
あのゲームから脱出したあと、あらゆる知識を貪るように求めた今なら川田が言っていた言葉がわかる。
――あの国は虫酸が走るほど良く出来ている――
それを壊すという行為はある意味で新しい犠牲者を増やすのを意味する。
別の形での自分達のような大人達の都合で傷ついた人間を増やすのだろう。
自分はその重みを、痛みを背負うのを中川典子と共に覚悟している。
だがそれを、無関係に等しい者にも背負わせるのは余りに残酷だ。
自分の親友達ならこちらから拒絶しようと無理に関わってくるのが分かっているぶん尚更だ。
そんなことを考えながら秋也は市街地へと向かう。
初めて見たときは馬鹿にしているのかと思った地図だが何でもアリだと知った。
そして、この人気の無さから参加者は別々の場所からスタートした可能性が高い。
なら、南東と北西からスタートしたものはまず市街地へ行こうとするだろう。
砂漠では水を確保することが困難。そして砂の上を歩くことから生じる体力の浪費。
雪原も環境の悪さは似たようなもの。
ならば少しでも多くの参加者が集まる前に市街地へ行き、物資を調達するのが得策。
そう考え歩を進める秋也の頭上から、少し躊躇うような真紅の声が聞こえる。
「けれども、それくらいのことなら私達でも可能よ。
…………ひょっとしたら何か別の方法をとるのかもしれないわ」
その言葉に秋也は何も返さなかった。
返す言葉が見つからなかったのも大きかったが、
真紅の言葉と二人が市街地へ着いたのがほぼ同時だったからだ。
地図上はただの家しか表記されていなかったが今までの常識を越える知識を得た今。
どんなものが待ち受けているかと身構えてみればあるのは普通の家の群れ。
「なんか……思ったより普通だな」
「当然でしょう。馬鹿ね」
「ええー、もう何が常識で何が非常識なのかわかんないなあ」
そんな差し障りの無い会話を交わしながら二人は歩く。
「それで? 何を探すの?」
「とりあえず電気屋かそれなりに裕福そうな家かなあ」
「卑しい」
「いや、変な意味じゃなくて!
その方が色々便利な物が……ってアレー? 結局は盗むんだもんなあ、俺達」
首輪の盗聴に関してはまだ真紅に話していない。
アリスゲームとやらには首輪がなかったそうだし、まだ言う必要はないだろう。
とにかく、速いうちにノートパソコンだけでも入手しておきたいところだ。
それがあるだけで出来ることはかなり拡がる。
(前の俺とは違うってことを見せてやるよ)
そう一人意気込む秋也に警告の声を発したのは真紅。
「後ろから何かが来たわ」
その言葉に彼はハッとしたように振り返る。
急激な頭の回転運動だったが既に少しでも遠くを見渡せるようにと
既に頭の上にで直立の体勢をとっていた真紅は危な気無くソレに対応する。
彼女の左足の臭いやただ踏みつけたいから立っているんじゃないのかという疑問や
念入りにセットしている髪型が乱れることへの言及は避けておくべきだろう。
二人の目に映るのは一心不乱にコチラへと走ってくる子どもの姿、
恐怖に満ちたその評定から察するに恐らくコチラは視界に入っていないのだろう。
口元にある髭や、典型的な王子様の服装に関しては
何かもういいやと秋也は半ば諦めるように思った。
とにかくあのまま放置しておくと双方にとって危険極まりない。
「そこの君、俺達は争う気がないから落ち着くんだ!」
そう呼びかけると近奇っ怪な身形をしたその子供はギョッとしたように立ち止まる。
短い悲鳴をあげながらもコチラを見つめるその子供に秋也は武器を捨て、手を差し伸べる。
「何か怖い目にあったんだろ? 大変だったな。でも大丈夫だ。俺達に争う気はない」
「シュウヤ!」
近寄ろうとする秋也。耳に飛び込む真紅の声にスムーズに反応し、
距離を取ることができたのは彼自身、目の前の子供をほんの少しだけ警戒していたからか。
それは定かではないが、よく判らない呪文のようなものを唱えながら
少年は口からガスを噴出し、それを見て彼はまたも驚愕する。
(口からガスってオカシイだろ!? ゲップとはわけが違うんだぞ!?
体の構造どうなってんだ!?)
脱出し、必死に知識を貯めこみ己を磨いた。
なのに、新たな殺し合いで直面するのはそんな知識では通用しないものばかり。
そんな現実を突きつけられながらも、致死性ではないようであるガスから秋也は逃れようとする。
真紅の言葉のおかげで近づき過ぎずに済んだのは不幸中の幸いだと内心、安堵した。
そんな彼に襲いかかったのは猛烈な痒み。
皮膚がブドウのような水泡が生まれ、痒みから来る猛烈な不快感が彼から思考力を奪う。
痒い、痒い、気持ち悪い、どうにかしてくれ、真紅は何処だ、大丈夫なのか。
のたうち回りたいという体が発する強い欲求を辛うじて抑えこみ、
涙で霞む目を無理矢理に見開こうとする。
映るのは小さな小さな姿。
自分に攻撃を仕掛けた姿。
脳裏に浮かぶのは最愛の人、親友の代わりに守ろうと誓った人。
痒い、典子、カユイ、ノブ、痒い、川田、チクショウ、どうすれば、カユイ、典子、ああ
かゆい
うつ
打つ、撃つ、討つ!
混乱する脳内から生じるのは純粋な生存本能、それに突き動かされるように
捨てたばかりの銃に飛びつき秋也は、
七原秋也は子供に向かってトリガーを引いた。
………………………………………………………………………………………………………。
「もう行ったみたいだわ」
知らないうちに頭から落ちていた真紅はそう秋也に告げる。
人形が痒みを感じるのかと疑問に思ったが辛そうに顔を歪めていることから
どうやら感じるらしい。それもまたファンタジーとやらの力か。
そう思いながらようやく痒みから解放された秋也は
先の子どもが去っていったであろう方に目を向ける。
そこにあったのは肉片。
散弾に穿たれ挽き肉のようになったそれは、形を留めてあるモノから
元は右腕であったと推測できた。
それを見て秋也は打ちのめされたように膝をつく。
自分が犯した行為を懺悔するかのように両手を地につける。
「撃っちまった。わかってたのに、あの子が怯えていたのはわかっていたのに」
「自分を責めすぎてはダメよ、シュウヤ。あの場ではああするのが最善だったわ。
そうしなければ二人とも殺されていた可能性だってあった」
「それでも、そうならなかったのかもしれない!
俺が理性を保っていられたら落ち着いて話ができたかもしれない!!」
浮かぶのは孤児院で共に育った子供達。
多くが大人達に捨てられ、奪われ、傷つけられた過去を持っていた。
彼自身もそうだった。だから、だから、あの子の気持ちを想像してやることができたのに。
肉片を前に涙を流す秋也に真紅は声をかける。
「貴方が撃たなかったのなら私が攻撃していたわ。
私達はたしかに失敗した。けれども……一度の失敗で全てを諦めるつもり?」
何処か慰めるような響きを持った問いかけに秋也は搾り出すように言う。
「俺は……居場所を作ってやりたかったんだ。
不安に怯えて、毎日を辛そうに生きる人達が安心して陽の下を歩けるようなさ」
秋也はゆっくりと立ち上がる。満月の明かりが闇を紫色に変え、
肉片の持つ赤みを、現実味をほんの少しだけ。慰めにもならない程度に薄める。
そうだ、そうなのだ。現実はいつだって何もしてくれない。
言葉で埋められる辛さは言葉で埋め、そうできない辛さは自分で乗り越えるしかない。
「探索を続けよう、真紅。あの子に追いつくのはどうやっても無理そうだ」
最低の言い訳だと思いながら秋也は肉片から逃げるように歩を進める。
彼の頭によじ登り警戒の態勢を再びとる真紅は何も言わない。
全てを救える力を身につけたと思えるほど彼は傲慢ではない。
だがそれでも彼は思ってしまう。
俺はこんな大人になりたかったのか?
ひょっとすると言葉に出てしまったかもしれないその思考。
どちらにせよ返ってくる言葉はなく、ひたすらに進むことしかできなかった。
【D-3/市街地/一日目・深夜】
【七原秋也@バトルロワイアル】
[状態]:強い無力感
[装備]:レミントンM870(7/8) 、ヴァルセーレの剣@金色のガッシュ
[道具]:基本支給品、レミントンM870(8/8)、レミントンM870の弾(30発)
[思考・状況]
基本行動方針:プログラムの打倒
1:脱出の為の情報収集、工具等の道具集め。
2:次にあの子に会ったら……
※本編終了後から参戦。
【真紅@ローゼンメイデン】
[状態]:健康。左足からアンモニア臭。
[装備]:
[道具]:基本支給品、ホーリエ、ハリセン
[思考・状況]
基本行動方針:脱出する
1:七原秋也と行動をともにする
【ヴァルセーレの剣@金色のガッシュ】
アースが手にしていた剣。触れた魔物の力を奪い、蓄える能力がある。
【???/一日目・深夜】
【レオパルドン・パピプリオ@金色のガッシュ!!】
[状態]:右腕喪失、恐慌状態
[装備]:魔本@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:死にたくない、ルーパーの所に帰りたい
1:?????????????????????????
[備考]
※19巻、レインと戦った直後から参加。
以上で投下終了です
タイトルはこっちが本決まりということで
>>298 >七原秋也は子供に向かってトリガーを引いた。
を
七原秋也は銃口を子供に向け、トリガーを引いた。
に修正します
投下乙です!
nのフィールドから似た人間を連れてくる この考察は果たして正解なのか?
それとも真紅が言うとおり別の何かなのか?
ってかパピーィィィィィ!!
パピーの腕がぁ 腕がぁあ!
お前はガッシュのような仲間になる人間をさがしていたんじゃないのか
思考が???で怖いなぁ
改めて投下乙でした!
あとどうでもいい点で気になったのが
>>296 >うん、杉村も手を触れずに瓦やレンガを割ることだってできたし
さすがに杉村も普段からこんなこと出来ないんじゃw? 覚醒状態は琴弾と桐山しか目撃者はいないし
すっげーどうでもいいことで失礼しました!
ああ、なんかたまにどうみてもお前、相手に触ってないよね!? って描写があったのでまあいいかなあとw
>うん、杉村も手を触れずに瓦やレンガを割ることだってできたし。その延長なのだろう。
を
うん、杉村も手を触れただけで瓦やレンガを割るとかできたし。人間の並みの太さの丸太を粉砕とかしてたし。
その延長だな。そう思うことにしよう。アイツ、こう考えるとけっこう凄い奴だったよなあ。
に一応修正しておきますw
ああ、しまった。何故続けて誤字をする自分。
うん、杉村も手を触れただけで瓦やレンガを割るとかできたし。人間並みの太さの丸太を粉砕とかしてたし。
その延長だな。そう思うことにしよう。アイツ、こう考えるとやっぱ凄い奴だったよなあ。
に修正です
了解w バトロワ漫画版の描写はどこまで真剣に捉えるかがキモですよねww
正直杉村や桐山の描写だけ見るとトンデモ無いけど、世界観考えるとそうでもないからww
修正乙でした!
毎回毎回ギリギリで申し訳ないです
チャン右頭、薬師寺天膳、シオ、翠星石、ノール、来須
以上六名を投下します
最初に出会ったのがノールで良かった。この人数が集められている会場だ。我妻のように話も出来ないタイプもいる可能性は高い。
今後は少し様子を見てから接近する必要があるな。
未来日記に護神像か……
ノールの言うとおり業の深い人間ばかり集めたもんだ。未来日記もずいぶんと常識離れした代物だったが護神像ほどでは無い。
俺たちは神を目指して戦い、ノールたちは神を生贄にする為に戦う。
一体何の皮肉だよ。俺たち日記所有者の戦いは生贄を選出するためのものだったのか?
今回のゲームが今まで行ってきたものとの最大の違いはこの首輪だ。
願いの為なら命をかける、この首輪は自分の覚悟を目に見える形で表す為のものかもしれない。まったく悪趣味なこった。
悪趣味といえばこいつも……
俺はポケットに入れた一枚のカードを思い浮かべる。
中央に羽根を模したイラスト、その周囲に描かれるのは荒れ狂う人生の象徴の様な旋風
『SIRVIVE―疾風―』
生き残れ と書かれた子供向け?おもちゃのカードねぇ 途中で死んだ俺に対する皮肉ってか
息子が元気に成長していたら友人達とトレーディングカードで遊んでいたのかもしれないと思うと心苦しい。
デウスの定めたゲームでは、神になろうとして失敗した。そんな俺に与えられたこのチャンス。
まったく、デウスもそうだったように主催者ってのは俺の中にある心を擽りたいようだな
やはり俺も――
はっくしょんっ!!
しかし、砂漠の夜ってのは初体験だが存外冷えたな……
水場が近いってのも気温が低い要因の一つかもな。中央の市街地についたら適当な民家に入って少し休むとするか。
次に防人って連中並に戦えるやつに出会っても話を聞いてもらえるかどうかわからない。
俺はこの会場でお世辞にも強者の部類には入らず、どちらかと言えば狩られる側だろう。だが、ノールのように俺の“捜査員”となってくれる者を見つけないとこの日記は役立たずだ。虎穴に入らずば虎子を得ず…だよな。
民家の中から参加者の人となりが判断できれば良いんだがな。
来須圭悟は市街地に向けて深夜の草原を進み続ける。
人間が朝になったら目覚めるように、来須の内にある一度は眠ったはずの欲望が目覚める時は――
【E-6/草原/一日目・深夜】
【来須圭悟@未来日記】
[状態]:健康。腹部に打撃、左頬に切り傷あり。
[装備]:大型カッターナイフ@現実
[道具]:基本支給品、捜査日記のレプリカ@未来日記、サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎
[思考・状況]
基本行動方針:バトルロワイアルの全貌を掴みたい。優勝は……?
1:集団や同盟関係を作りたい
2:とりあえず市街地に着いたら暖かい場所で休息をとる
2:天野雪輝は保護対象、雨流みねねは交渉する、我妻由乃、戦場マルコを警戒
3:ノールにやや共感
◇◇◇
「ふふ、嬉しそうだね。ハルワタート。良質な水がたくさん手に入って良かった」
一時的な協力者クルスと別れたあと、川にたどり着いた。
ノールは自身の戦闘の要ともいえる大量の水を手に入れて上機嫌で歩く。その歩みは軽い。
大量の水はハルワタートが全て吸収してくれたので荷物が嵩張ることは無い。
これで川から多少は離れていたとしても、充分戦うことが出来る。
「わかっているよ、ハルワタート。哀しいけれど、僕は自分の願いの為に殺さなければならない
神を祭壇に連れて行く手間と、参加者皆殺しか… どちらにしてもミールのためにやり遂げねば…
僕が心を鬼にしたと決めたその時からからハルワタートが力を貸してくれているのだから…」
「ああ、この人も防人のように願いに溺れたのか…。」
「心が痛い…! 何故人は争わねばいけないのか! でも、見知らぬ人ごめんなさい。
僕には貴方と屍を乗り越えてでも叶えたい願いがあるんです。弟ミールを機械病から救う為に!」
突然泣き出したノールは、周囲を気にせずに叫びながら目の前の死体を木に釘付けにしている日本刀を抜き去ると、落ちていた鞘に収めて腰にさし
て回収していった。
「僕はレオくんのように剣術に長けているわけではないけれど、この刀は僕が使わせてもらいますね。
クルスとの話や影の男の話を考えると、信じにくいけれど異世界の人間を集めたというのもありえる!
あぁ! 神は僕に試練を与えたのだ! 僕の大切な人を失わないために他者を犠牲とする修羅になれと!」
誰に聞かれた訳でもない、ノールはただ純粋に己の願いを垂れ流しているのだ。
口にすることで相手から許しを得たいのかもしれない。鬼となるために傷ついていく自らの心を癒したいのかもしれない。
その贖罪にも似た叫びを聞いているのは森の木々たちと、その場に残された死体がひとつ。
本来ならばノールの独白を聞くものはいない。
そう本来ならば――
◇◇◇
訂正
>>309 の8行目と9行目の間に次の文を入れ忘れました。
>しばらく歩いていると刀で木に打ち付けられている見るも無残な死体がそこにあった。
その死体はまるで、次はお前だ、俺の邪魔をするな、とメッセージを残しているような不気味な存在感を放っていた。
少年が一人森の中を歩く。
否よく見ると少年は一人ではない。背後にプカプカと浮かんでいる物体がある。
ポニーテールのように長く伸びた頭。どこか愛くるしい瞳。そして何かを拝んでいるかのように両腕を胸の前で合わせている、人形が一体。
さらに足元を見ると、緑を基調としてドレスを身に纏い、腰まである柔らかそうな長髪を携えてちょこちょこと歩く女の子が一人。
防人シオとその護神像アールマティ、そして薔薇乙女人形の翠星石である。
「究極の少女……すか。機械の神様みたいなものすかね。翠星石もなれるといいすね」
「だーかーらー翠星石は機械人形じゃねーって何回言ったらわかるですか!! この“もれ人間”!!」
「もっもれ人間ってもしかしてもれのことすか?」
「お前なんか「もれもれ」うるさいから“もれ人間”で充分です」
「ひどいっすよ…まぁいいすけど。 それより行き先はこっちでいいすかね?」
「砂漠に向かうなんて嫌に決まってるですぅ。間接に砂が入ったら大変ですぅー! ドレスが汚れるのも嫌ですぅー」
シオはこの世界で知っている者の名は、同じ防人仲間のレオ、ノール、そして父の友人であり、医者であり…最後の防人だったヨキ先生の三人である。
レオと早く合流はしたいけれど、レオなら一人でも大丈夫だろうと思う。
何より目の前の機械人形は口では強がって元気な姿を見せてくれているけれど話が途切れるたびにどこか寂しそうな、哀しそうな表情を見せる。
あの顔の感情は自分はよく知っている。
父をなくしたときの自分と同じだ。
胸が苦しくなって、どうしようもないくらい涙が溢れてきて、今までの自分の世界が壊れてしまうことが怖い。
この状態の翠星石の意向を無視して砂漠に向かうなど、防人として皆を護ると決めた己の信念に反する。
行き先を変えて中央市街地を目指すことは当然の結果だった。
(もれ人間はジュンみたいに良いやつなのかもしれんです。
だが、油断は出来ねーです。翠星石は知っているです。人間が自らの欲望のためなら他者の犠牲を厭わない連中であるということを。
人間の欲望のせいで蒼星石は……)
姉妹といえば、先程確認した名簿で知っている名前は自身を含めて6つ。もちろん全員が薔薇乙女人形だ。
影人間が言っていた言葉を頭の中で繰り返す。
――友人との約束を守る為に戦う者、平和な世界を望む者、究極の少女を目指す者、自身の運――…
『究極の少女』
たしかにあの男は口にした。私達姉妹の宿願であるその目的を。
そしてさらに続けて影人間はこうも言っていた。
――『戦え、我が子らよ! 戦わなければ“願い”は叶わない!!!』
『我が子』
あの思い出すだけで汚らわしいあの男が、親愛なるお父様なわけがない。絶対に違う……と思いたい。
だが、お父様の関係者なら?
私達薔薇乙女人形はそもそもお父様一人によって作られたのか? あの男がお父様の協力者である可能性は本当に無いのか?
いくつもの疑問と可能性が翠星石の頭の中で湧き出ては消えるを繰り返す。
影人間のことは後回しにするとしても、もう一つ別の大きな疑問が残る
この戦いとアリスゲームは別個のものなのか。それとも平行して行われているものなのか、だ。
薔薇乙女人形は全部で7体である。
『水銀燈』『金糸雀』『翠星石』『蒼星石』『真紅』『雛苺』
ここまでは自分はよく知っている。全員が同じ時代で会合した機会は少ないが、それでも互いに姉妹だと認識している。
究極の少女になるには姉妹全員分、つまり7つのローザミスティカを集めろと、互いに戦い奪い合えとお父様は言った。
もし、この会場でのバトルロワイアルというのが、早く究極の少女に会いたいと焦ったお父様が影人間を使って開幕したものだとしたら
この参加者の中に未だ見ぬ最後の姉妹がいるのでは無いか?
だが、名簿だけではやはりわからない。真紅たちと相談してみるしかない。
今のところ信用できるのは真紅とチビ苺、そして…………蒼星石だ。
例え自分たちを壊そうと水銀燈と手を組んだことがあっても、双子の姉妹だから、ずっと一緒にいたから信じたい。
もれ人間は、完全には信用できない。 何故なら、この会場に集められたのは人間の中でも特に欲望の強いやつらを集めているのだから。
きっと、どいつもこいつも本性は蒼星石を人質にとった悪い人間に決まっているです。翠星石は騙されないです。
◇ ◇ ◇
二人は簡単な自己紹介のあと、シオが一方的に話しかけるという形で会話?をしながら歩いていた。
シオの一方的な会話は闇よりの来訪者によって中断させられる。
夜の闇を切り裂いて現れた大柄な男。
翠星石はそっと物陰に隠れたその瞬間、男の眉がピクリと動いた気がした。
護神像の姿は見えない。防人ではないのは確かだ。
だが、防人としてのシオの本能が警戒信号を最大限に鳴らす。
「……もれは防人のシオと言います。あなたはどちらさまで?」
「シグドラ右頭、旅人のチャンだ」
「……チャンさんすか。どうぞヨロポコ。」
シオは不穏な空気を感じながらも挨拶をするが返答はない。代わりにと返ってきたのは挨拶ではなく、男からの独白に近い質問。
「今度は少年か。その後ろに佇むのは魔物か? 幻界にいた頃よりも楽しめそうだ。あの影の男には感謝しないとな」
「魔物? アールマティは護神像といってもれの友達すよ。チャンさん、貴方も戦う気ですか?」
男から感じる禍々しい雰囲気。無言の肯定。
無駄だとわかっていても尋ねたかった。戦わないですむのがシオの願いなのだから。
しかし、戦うことでしか、この男を止める手段は無いのだ。ならば、シオも譲れない自分の“願い”のために戦う。
「翠星石はそのまま隠れているす! アールマティ!!」
シオの掛け声と共に護神像アールマティが体を覆っていく。大きな口を模した左腕を携えて、防人シオの戦闘形態完成である。
「やはり…ブックと同じだな。シグドラ時代より楽しめそうだ」
チャンは不適に笑うと、拳を握り構えた
睨み会う両者。 互いに受け入れられない願いを内に秘め、戦うことでしか決着をつけることはできない。
戦いを求め、他者を傷つけることに快楽を見出す男と戦いを止めたくて、他者を護るために戦い続ける少年。
両者が同時に地を蹴る。
シオの繰り出した右腕とチャンの右腕が激突し、その衝撃の余波で木の葉が舞い落ちる。
幾度とぶつかり合う両者。素人目には互角の戦いを繰り広げている。
しかし、実際は違う。
シオの攻撃はチャンによって的確に受け流されている。
対するチャンの攻撃はというと脚部、腹部、下顎と合体していても脆い部分を寸分違わずに突いてくる。
アールマティは護神像の中でも非常に硬い。それを数回の激突で見切ったチャンの恐るべき格闘センス。
さらに、シオに当てられる一撃一撃がまるで親が子供を叱るときの様な威力の弱い打撃。
戦いを長く楽しむために、遊んでいるのだ。
(この人生身なのにやっぱり……強いす!)
このままじゃジリ貧だ、とばかりにシオは大きくバックステップをする。
そのまま背面にある木の幹に着地すると、ジャンプの要領で再度飛び掛る。
左腕を大きく振りかぶりながらチャンに向かっていく。
(ふっ、勢いをちょっと増しただけの拳などで対抗しようとは、芸が無いな、甘いぞ少年)
振りかざされた拳を横に受け流し、勢いそのままに懐に侵入、顎骨を砕いて終わりだな、あっけない幕切れだ……
しかし、チャンの思惑ははずれる。迫り来るシオの左腕が大きく口を開けて襲ってきたのだ。
「食っ!!」
左腕の口のラッシュがチャンを襲う。先程まで以上のスピードでのラッシュを前にさすがに捌ききれずチャンの体を痛めつける。
今までは片手で捌きながら、もう片方の手で攻撃をしていたがそれでは追いつかない。
先程とは打って変わってシオが攻勢になる。シオの左腕がチャンの衣服を、その下にある肉を少しずつだが捉えていく。
ニヤァァリ
異様。激しいラッシュに襲われながら微笑んだのだ。まるで、相手の力が予想以上に強大だったことを純粋に喜ぶかのように。
左腕のラッシュの隙間からのその異様な表情を見たシオは一瞬躊躇ってしまう。
その隙をチャンが見逃すはずもなく、腹部に強烈な蹴りを入れて引き剥がす。
「いいぞ、楽しいぞ少年! シグドラにいた頃では満たされなかった我が“願い”が満たされていくようだ!」
「もれは…もれの“願い”は出来るなら戦いたくないす。争えば誰かが傷つくすよ!? そんなの耐えられないす!」
「ほう、戦いたくないか。では、こうしたらどうなるかな?」
突如今まで対峙していたチャンが攻撃の矛先を自分とは異なる方向に繰り出した。
何を狙っているのだ。余波による間接攻撃だろうか。
いや、それなら直接攻撃をした方が効果が高いのは短い戦闘でシオ自身が体験しているためありえない。
いや、待てよ。
チャンの矛先は確か――
ここまでの思考は一瞬。そして防人としての本質か、それともシオ自身の意思によるものか。それがどちらだったのかはわからない。
ただ守りたい。護りたいと思ったら既に動いていたのだ。
轟ッ!!
爆音と砂煙が辺りに広がる。
チャンの渾身の右拳がシオの背中を捉えた。
砂煙と一緒にパラパラと護神像との合体で作られた装甲の一部が崩れ去っていく。まるでシオの今後の人生そのものが崩れ去るかのように…
護神像の硬い装甲をも打ち抜くその一撃はシオの肋骨や内臓にまで深いダメージを与える。
叫び、暴れたいくらいに痛い。
けれど、この少女にはその姿は見せられない。笑え。笑うんだ、シオ。とーちゃんのように。
「大…丈夫す…か? は、…やく逃げ…るす。姉妹を探すんで、すよね」
その姿は、彼の尊敬する父親のアルの最後の姿と重なるものであった。
シオがその身を挺して護った少女は、震えながら、泣きそうになりながらこちらの顔を見ると駆け出していった。
その姿を見て、シオは純粋に良かったと思った。
ううぅ……翠星石は無事に逃げられたですかね。お腹がとっても痛いす…
この人はここで自分が止めなきゃ… ここにいる翠星石の姉妹たちをも巻き込むだろう。
あんなに怯えて、怖がっていたあの機械の少女をこれ以上悲しませるわけにはいかない。
だってもれは防人なのだから!!
「アールマティ!! 特攻形だ!!」
シオの体を包んでいた護神像を突き出したその右腕に全て集まっていく。
全身を護る形で合体する護神像を一箇所に全て集めることにより、通常の何倍もの突進力を得る防人の最終奥義だ。
無論、集められた箇所以外は無防備になる諸刃の剣であるが。
シオのその姿を見たチャンは満足気味に微笑む。元来チャンは先程のような戦法を取るような男では無い。
まるでシオの戦いたくない心のリミッターを外しせば、こうなることがわかっていたかのように
「かかって来い、少年よ。ここで俺を止めねば、優勝したら少年の世界も全て戦場にしまうぞ?」
チャンが体を半身にして、左腕を頭上に、右腕を腰に構える。周囲の空気が両者を中心に二つの大きな渦を作る。
「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!」
「はあああああぁぁぁぁぁ!!」
防人と旅人
交わるはずの無い屈強の戦士の拳が、激突する。
◇◇◇
両者の繰り出した拳のエネルギーは拮抗している。激突箇所だけ抜き取ってみた場合は、だ。
シオは先程、翠星石を庇って受けたダメージが大きく、さらにぶつかり合う衝撃破で護神像に覆われていない部分がドンドン傷ついていく。
対してチャンは、シオとの攻防で少々のダメージを負ったものの動きにほとんど支障は無い。
「ッ…………!!」
「どうした。そんなんじゃ腹の足しにもならんぞッ!」
も…もう駄目です。もれは…
――おい、シオ。もう諦めるのか?
この声は…まさか……!?
――おいおい、俺の自慢の息子はこんなに柔なやつだったのか?
とーちゃんすか!! うは、最後の元気が出てきたすよ! とーちゃん見ててください!
これがとーちゃんから引き継いだ、防人シオの最後の意地すよ!!
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「くっ…!」
二人の思いが交差する。
◇ ◇ ◇
「ふん…。防人シオか。中々楽しめたぞ。」
勝負の女神はチャンに微笑んだ。
倒れている少年をにチラリと目をやると、もう興味は無いとばかりにその場を去っていった。
「旅人ではなく防人……か。こんな素晴らしいパーティーに招待してもらったんだ。精々楽しませてもらおうか」
男は高笑いを続けながら深夜の森の徘徊を続ける。
男が求める“願い”は優勝した『結果』では無く、その『過程』なのだ。
両者の願いは対極に存在するものであり、共存は神の力をもってしても不可能である。
戦いを無くしたいというシオの“願い”はチャンの永遠の闘争を求める“願い”の前に敗北した。
【F-5/森林/一日目・深夜】
【チャン@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:所々衣服が破れて裂傷有り 疲労中
[装備]:八卦鏡(フォーチュンテリング・ミラー)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品、不明支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを求める。
1:次の戦場を探す。
2:旅人、防人以外の自分を満足させられる奴は積極的に狙う。
[備考]
※チャンの裂傷は特に止血はしていません。
※チャンが翠星石の後を追ったのか、別の方向に向かったのかは不明です。後の書き手にお任せします
激闘のすえ、敗者として戦場跡に残されたシオ。
自分の体がどんどん冷えていくのがわかる。先程まで痛くてしょうがなかったはずなのに、今では何も感じない。
あぁ自分は死ぬのだ、とシオは理解していた。
(とーちゃん、もれ防人として頑張れたすかね? とーちゃんが最後にいってくれた戦わない世界のために戦う
もれには最後まで達成できなかったすけど、誰かを護るためには戦えました。翠星石が無事に姉妹と会えるように一緒にお祈りしてください
神様やレオ、フランはどうなってるすかね。ヨキ先生が最後の防人らしいすけど、レオならきっともれの代わりに何とかしてくれるすよね。
頼むすよ、レオ…)
このまま静かに息を引き取りたい。しかし、自分には最後にどうしてもやらなければならないことがある。
それはここが世界(ワークワーク)では無かったとしても受け継いでいかなければならないもの。
「……あ、アール、ま…ぃ……も…れを」
グワッ…!
先程までの愛らしい人形の様に彼の背後に佇み、シオを、いや、シオの願いを護るために存在していた護神像アールマティ
その口が大きく開き、シオの頭に齧り付く。比喩でも何でもない。文字通りシオを食べているのだ。
ばりぼりぼりぼりばり
【シオ@waqwaq 死亡確認】
【残り48名】
[備考]
※護神像アールマティ、シオの基本支給品、不明支給品×1はF-5のどこかに放置されています。
※最初に現れた人をアールマティが次の防人と判断するかは不明です
※シオの死体はアールマティが食べたため存在しません。首輪の所在は不明です。
※周囲にシオの血が散乱している可能性があります。
◇ ◇ ◇
翠星石は夜道を駆ける。普段は鞄を使って飛行しているためその足取りはおぼつかない。
それでも彼女は走り続ける。その顔が浮かべる表情は自責と恐怖。
「すっ翠星石は…わっ悪くねーですぅ……」
その言葉は誰に向けた言葉なのか、この場で聞くことの出来る唯一の本人はその言葉を頭に残すことなく、霧散した。
未来の彼女自身の言葉を借りよう。
――言葉にできる寂しさは誰かが慰めてくれます。言葉にしない悲しみは自分で乗り越えていくしかないのです
逃げながら声に出したということは、誰かに慰めてほしい、という自己弁護の現われなのかもしれない。
だが、この場に彼女を優しく慰めてくれる少年は――
「機械も…参加者なの?」
またも突然人間が現れた。
刀を回収して更に周囲を探索していたノールは、爆音を耳にして、音のした方へと足を進めているところへの遭遇だった。
争いは本当は死ぬほど嫌いなノールだが、譲れない願いのために心を鬼にして戦うと決めた。弟ミールのために。
そんな彼が遭遇したのは、彼と同じく自分の姉妹の身を案じている、怯えた小さな、人形だった
「ひぃっ……! ちっ近寄るなですぅ、つの人間!」
【F-5/森林/一日目・深夜】
【翠星石@ローゼンメイデン】
[状態]:疲労小、精神的に不安定、若干の人間不信?
[装備]:庭師の如雨露@waqwaq
[道具]:基本支給品、不明支給品×1〜2
[思考・状況]
基本行動方針: 蒼星石達とは戦わないで済む方法が欲しい
1:目の前の人間から逃げたい
2:真紅、雛苺…蒼星石に会いたい。この際金糸雀でも構わない。
3:最後の姉妹がいるかもしれない…
4:もれ人間……
[備考]
※参戦時期は蒼星石の死亡前です
【ノール@waqwaq】
[状態]:健康
[装備]:ハルワタート@waqwaq
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い、ただしなるべく大人しくする
1:目の前の機械?をどうするか決める
2:バトルロワイアル……何て業が深いのだろう!
3:とりあえず言われたとおり川近辺を見まわる
[備考]
※ハルワタートに充分な水が補給されました。
◇ ◇ ◇
シオとチャンとの死闘に決着が付く頃、ノールに日本刀が抜かれたことにより再生していた胸の傷が完治し、薬師寺天膳が目覚めた。
「ぬぅ、あの南蛮渡来の男。意外に出来るな。 先程は様子見の上段斬りだったが、それをあっさりと打ち破るとは」
薬師寺天膳は不死の忍者である。不死であるということは防御の必要が無く、故に慢心の塊のような男に成った。
誰かが言った。勝負とは最後に立っていたものが勝者である。過程や方法など関係無い、と。
この言葉は勝負の本質を捉えたものでは無いが、その性質の一面を表していることは確かだ。
この言葉通りなら、この会場で薬師寺天膳が勝者になる可能性は高い。主催者の手によって嵌められた首輪が無ければの話だが
本人がこの致命的な制限に気付くことは、恐らく無いだろう……
「下賤の者が有する力とは思えん。もしや、何らかの忍術か?
朧の破幻の瞳ならあの男の力を封じられるのかもしれん。やはり早く朧を回収せねばなるまい」
「刀は持っていかれたか。あの男、異世界だと抜かしておったな。馬鹿馬鹿しい。
まぁあの奇妙な格好の男も次に会ったなら、刀を奪われたお礼をしなくてはいけないな」
ニヤリと悪どい微笑を浮かべる天膳。
彼は何百年と不死の体と付き合ってきたのだ。一度や二度殺されたくらいで彼の慢心は直らない。
それが吉とでるか凶とでるか。
【F-5/森林/一日目・深夜】
【薬師寺天膳@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品×1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:邪魔者を皆殺しにした後、主催者を殺す。
1:さて、どこに向かおうか
2:朧や使えそうな手駒を見付ける
3:機械? 異世界? 馬鹿馬鹿しい
4:チャン、ノール(名前は知らない)を見つけたら殺す。
[備考]
※薬師寺天膳の向かった方向は不明です。後の書き手にお任せします。
※ノールの独白を天膳は聞いています。
以上で投下終了します。
誤字脱字、矛盾点、その他何かありましたら、指摘していただけるとありがたいです。
投下乙です!
結局2chの問題は解決したし(?)こっちに戻ってくるってことでおkですかね?
>銃の重さ、引き金の軽さ、理想の儚さ
成長した七原カクイイ、と思ったがここは異世界。
脆く悲しき挫折、しかしそこから立ち上がってくれ、主人公!
しかしやっぱ恐慌状態から争いになると自分ロワ読んでるー、って気分になるw
パピプリオはまあ運がないにも程があるなw
>誰かの願いが叶うころ
来栖さん何気に(文字通り)キーカード引き当ててる!
デッキを持たない彼にはやはり皮肉にしかならないわけですが。
この人も一度はガッツり乗った人だし危険人物がますます増えますなぁ。
ノール、お前相変わらず自分に酔ってるなw翠星石逃げてー!
そしてシオォォォォォ!!
アールマティに貯められた願いを受け入れなければならない次の防人は誰だ!?
おお、天膳殿が生き返っておられる。
あと誤字。
翠星石の支給品が庭師の如雨露@waqwaqになっています
確か前のSSからのミスの引き継ぎかな?
>>320 感想ありがとうございます!
如雨露はコピペミスですw 自作と共にwiki収録時に修正しておきます
他にも誤字脱字、この文章使い方おかしくね? 何でも言ってくださると助かります
んで、2chの問題は多分解決?なのかな 自分はとりあえず、今後は2ch本スレ(ここ)に投下をしていこうと思います
ですが、まだ怖いって方のために避難所の本投下スレッドは当分残しておく予定です
まとめwikiの告知もそろそろ変更しないとなぁー
忘れてた?修正に追加を
翠星石の状態表
>>317 [備考]
※waqwaqの世界観を知りました。シオの主観での話なので、詳しい内容は不明です
この一文を加えたいと思います
投下乙!!
シオ、お前は良く頑張ったよ
願いと護神像を引き継ぐのは誰か、今から楽しみ
自分で気付いた点
由乃の刀をノールが回収したのに、何故か消えてるorz
他にも、文末がおかしい部分などを一部修正してwikiに収録します
BTOOOM!が表紙だったけど、漫画は巻頭カラーじゃなくて残念だったw
つか吉良君、原作だとあそこまで積んだ状態でまだ生き残ってんのかw
マジでどうしようもないぞアレw
吉良くんにはニートからカロリーメイトも貰ってたからきっと大丈夫だよ!
カロリーメイトは万能なんだぜ! きっと縛られているのもカロリーメイトで何とかできる!
BIMがひとつも無いのもカロリーメイトで何とかできる!
個人的に気になるのがイレズミ男だな あいつが早く出てくれないと地雷型BIM(推定)が出しにくいw
あれ、面白そうなギミック持ってるのになw
それまで出せそうな不明支給品枠を残しておかないとなw せっかくだからBIMコンプリートしたいしw
あれ、たしかもう一個不明BIMなかったかw
なんか帯の後ろに地雷ともう一個あったような
2巻の帯に6種類のBIMが載っているな
不明の一つは間違いなく地雷タイプだろうけど、もう一つの球体+棒のタイプが読めないな
投下します
ユッキーを捜すために私は南西の方角へ進むためにしたの。
どうしてってそれはその先にユッキーがいる気がしたから。
そう思えたらそれ以上考える必要なんてない。
だって私達は約束したのだもの。
未来日記も祝福するかのように教えてくれたのだもの。
たとえ、約束したことと未来日記が予知したことは別のものだとしてもどうでもいい。
一切気にする必要はなく、些細な事柄。
##########
20XX/7/28
ユッキーが由乃と結ばれる。
HAPPY END。
##########
これだ。コレへ辿り着くために進めばいい。
殺せばいい、繰り返せば…………繰り返繰り返繰り繰。
あれ、何を考えていたんだろう?
忘れたってことはどうでもいいということなんだろうと思う。うん、そうだよね。
とにかく私はユッキーを愛している。だから立ち止まるわけにはいかない。
何処までも突き進んで、彼の障害になるものは尽く排除する。
空は暗く、私を照らす唯一の光源と言っていい満月も作りもの特有の虚構感を出していた。
ソレに言いようのない不快感を覚えたが
どうして“何故”そう思ったのか文字通り“何故”わからな“何故”いのだから
意識の外に押しのける。
南西を目指し進んでいるとようやく橋が見えてくる。
日記を確認してみたがまだ更新はされていないようだ。
少しデウスは仕事を怠け気味じゃないだろうか。
ひょっとしたらムルムルの仕事なのかもしれないがそれもまたどうでもいいことだ。
結局はアイツらも死ぬのだから。
橋の前につき渡ろうとした瞬間、視界の端に妙なものがいるのが見えた。
金髪の、白く丈の長い上着を着た男。
隈で大きく縁どられた眼はそこだけに注目するとまるで物語の悪魔のように宙に浮かんでいるよう見えた。
危険そうに見えたから殺そうと思う。
その男が手に持っていたのは刀。
危険だから殺そうと思う。
そう結論づけた私は“ソレ”に向けて銃を乱射した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。
体を休めた後、行動を再会したばかりのレオは殺気剥き出しの攻撃を横に移動することで難なく避ける。
彼と対峙している者は一見ただの少女のような姿形をしていた。
だが防人だからこそ感じ取れることがある。
共感を以て理解できることがある。
あの女は狂っている。狂ったからこそ戦っている。
願いのために狂っている。願いのために戦っている。
壊れた心のために戦っている。壊れた心のせいで狂っている。
彼は彼女がどういう人間か察することができた。
だがそんなことはどうでもいい情報だと彼は確信し護神像と融合を行う。
先程のような不覚をとりたくはないが出し惜しみして負けるわけにもいかない。
炎を司る戦士となったレオナルド・エディアールは改めて刀を炎で包み、少女と向き合う。
【C-6/一日目/深夜】
【レオナルド・エディアール@WaqWaq ワークワーク】
[状態]:疲労(少) 軽度の打撲、軽い頭痛
[装備]:アシャ@WaqWaq ワークワーク、折れた日本刀(柄付き)@バジリスク〜甲賀忍法帖〜
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:機械、それに関わる人間を頭痛薬にする
1:銃を撃ってきた女を殺す
2:ライダーを見つけたら殺す
3:防人以外にも戦えるやつがいるみたいだ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。
ソレが正真正銘の悪魔へとなったことで私は緊張感を高める。
間違いない。アレは危険だ。殺すべきだ。そうすべきだ。
ユッキーの障害となるものは欠片も残さず殺せ。
後悔させる時間を与える必要なんてない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。
##########
メリーゴーランドの近くで
ユッキーが女の子みたいな姿のクソ人形やウマみたいな何かとも一緒になったよ!
保父さんみたいでカッコイイ!
##########
我妻由乃は未来日記の更新に気づいていない
【C-6/一日目/深夜】
【我妻由乃@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:雪輝日記@未来日記 、IMIウージー(25/32)
[道具]:基本支給品、IMIウージーマガジン(5)
[思考・状況]
基本行動方針:ユッキーと合流する。ユッキーを殺そうとするやつは容赦しない。
1:ユッキーのために悪魔のような姿の男を殺す。
2:ユッキーと合流する。
3:一緒に行動している少年はユッキーと合流後殺すか判断する。
4:ユッキーを守るためなら利用できるものは利用する。
※参戦時期は不明ですが天野雪輝と参加時期が近いです。(少なくとも雨流みねねの死亡後)
短いようですが投下終了です
乙ー。
投下乙!
投下おつですー
由乃さんいきなりっすかwwww
自分で殺したワタルの死体を前にして、猿谷は落ち着いて、と言うよりむしろ飄々としたものだった。
まず、支給品の回収。
ワタルの握っていた剣は、刀身が消えてまるで杖のようである。
直前の話から“想波”という武術(?)の習得が必要であるらしい、と判断した。
言葉のイメージとして気功のようなものであろうか。
いずれにしても使いようがないが、これを使える者はワタルの他にも――そう、ワタルの仲間だか敵だかがいるはずだ。
それに対する交渉材料になるだろう。
そして回収はしたが、その中身を検めるのは後にしなければならない。
ワタルの死体。
いつまでもここにいては都合が悪い。
早々に立ち去らねばならないが、気になるものがある。
銀色に鈍く光る首輪。。
猿谷は首輪にも交渉材料としての価値を見出していた。
ワタルのように脱出や主催者の打倒を目指す者――どれだけいるかはわからないが――にとっては首輪の解析は急務だろう。
ちょうどお誂え向きに猿谷の残りの支給品にはノコギリが入っていた。
これで周りの肉をこそげ落とせば首輪が手に入る。
しばし思案。
結論から言えば、猿谷は首輪の入手を諦めた。
ここで首輪を強引にむしり取るリスクは、少なくとも今は負うべきではない。
爆発されればこちらが死ぬし、変に主催に目をつけられてもたまらない。
彼の目的はこのバトルロワイアルでの優勝、そして願いはその後も戦い続けることだ。
多少ごますりしておいた方がいいだろう。
「埋めてやれんでごめんなあ」
少しだけ手を合わせ、軽い調子で謝る。
死体はシルバー・バトルならCJCKが片付けてくれるが、このバトルロワイアルではどうだろうか。
しかしそれを気にする様子もなく、彼はその場を後にした。
そして猿谷は病院に身を寄せた。
消毒液の匂いがあまりしない、かといって埃が被っている訳でもない、不思議な空気だった。
棚に置かれた薬品に目を通す。
【プラシーボ】【本格麦焼酎】【ヤ○ルト】
――毒でもないかと思ったが、そこまで甘い訳ではないようだ。
とりあえず救急箱を確保しベッドに腰掛ける。
状況を整理する。
参加者は、今殺したワタルを入れて54人。
自分が勝ち残った鉄敷町のシルバー・バトルは38人。
だがご隠居に協力して挑んでいた宮脇町5丁目のシルバー・バトルは59人だった。
成程これが平均的な、管理しやすい人数なのだろう。
違うのは、対象に老人でない者がいること。そして首輪。
街やこの病院の静寂を見るに、バトルロワイアル参加者以外の人間はまずいないだろう。
それでいい。誤殺して殺人罪に問われてはどうしようもない。
そして地図が49ブロックに対し残り52人。
雪原や砂漠など老体に堪える地域もある。
下手に歩きまわって人を探すより、地図にも載っているこの病院で待ち伏せした方が良さそうだ。
「ああ、ワクワクするなぁ、若い子と戦えるなんて……おっと、少しでも長く楽しむためにも仲間を作らなきゃ、か。ふふ……」
荷物を検めながら猿谷甚一はこれまでの人生の中でも滅多になかった高揚感に包まれていた。
【D-3病院/一日目/深夜】
【猿谷甚一@銀齢の果て】
[状態]:健康
[装備]:ニューナンブM60(4/5)@現実
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×1〜2(本人確認済)勇者の剣(ブレイブレード)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜、ノコギリ@現実、救急箱@現実
[思考・状況]
基本行動方針:優勝を狙う。
1:協力者を探す。
2:ひとまず病院を拠点にする。
[備考]
※ワタルから幻界の知識をある程度得ました。
【ノコギリ@現実】
両刃の金鋸。生きた状態で切られれば拷問である。
【救急箱@現実】
包帯、消毒液、風邪薬などが入った白い箱。病院内にはまだいくつかあるはず。
代理投下終了しました
340 :
◆CFbjQX2oDg :2011/02/03(木) 00:14:22 ID:G38O9LFL
投下&代理投下乙です! 感想は後ほど
北岡秀一、雨流みねね 投下します
闇夜を走る一台の車。
運転するのは、
北岡は助手席に座る若い女性に目をやる。女は携帯を常に見ている。
二人でドライブ中に携帯に集中する女性。男性としてはこれほど不名誉なことは無いだろう。だが、この場においては仕方ない。
北岡もまだ詳細を知らないが、みねねの携帯電話には自分の逃走経路の未来が表示されるらしい。
つまり、車での移動先に何かしらの危険がある場合に即対応するための最低限の策である。
では、北岡たち二人は今どこに向かっているか?
車が大通りを外れて路地裏へと入っていく。そして、その中のひとつの煌びやかな建物の地下駐車場へと車を入れる。
心なしか助手席に座る女性の顔が赤い。運転する北岡はいたって普通の顔をしている。
二人が入った建物とは――
◇ ◆ ◇
シャー
シャワーの音が浴室内に反響する。少しの衣擦れの音と共に、その肌を包む衣服が床に落ちていく。
鏡に写った自分の体を見つめる。いくつもの戦火を潜り抜けてきたのだろう、小さな傷が体を彩っている。
普段は衣服に包まれているその白い肌が露になる。続けてすっと下着を脱ぐ。
外気に晒された尻部分は筋肉で引き締まっていて、見るものを魅了する。
浴室に入ってからシャワーを頭から浴び、暖かいお湯がその長髪を濡らしていく。しばらく浴びた後、浴槽にその体を沈める。
考えるのは、この新たなる殺し合いのこと、自身の願いのこと。
そして、この場に召集されていない自分が信頼している男のこと。バシャバシャと両手でお湯を救い上げて顔を洗う。
元々の自分は他者を踏みにじることに抵抗が無かったはずだ。これもあの甘い男に影響されたのか?
あんまり長湯に使っていては同行者に悪いと思い、浴槽から立ち上がる。
上気している肌は元々の白さと相まってほんのりと桃色になる。再び同じ下着を着けなければいけないことに若干の嫌悪感を抱きながらも、仕方なしにと再び着る。
再び衣服をその身に纏い、濡れた髪をハンドタオルで拭きながら脱衣所を後にする。
「みねねさん、貴女もシャワーを浴びますか?」
◇ ◆ ◇
再びスーツを身に纏い、客室に備え付けられている冷蔵庫で冷やしていた支給品のペットボトルを開けて飲む。
「なんで殺し合いの舞台で悠長に風呂なんて入っているんだよ… 大体ホテル行こうだなんて出会ったばかりの女に普通言うか?」
みねねが頬を赤く染めながらブツクサと文句を言う。
「俺はこれでも凄腕美形敏腕弁護士で通っているわけよ。汗を掻いた状態で動き回るだなんて御免被るよ」
と軽い口調で話す北岡。
みねねには話していない事実がひとつある。それは北岡の体を蝕む病についてだ。
現代医学では不治の病とされており、この病を治し健康な体を手に入れるのが北岡の願いである。
北岡の遠距離からの大技で相手を仕留める戦闘スタイルは彼の性格もあるが、この身体的特徴によるところが大きい。
みねねに同盟相手を申し出たのも、相手が女性だからというだけではない。
戦闘の負担を減らし、少しでも体に負担をかけないため、という裏の理由もあった。
しかし、この事実はみねねには話せない。自らの不調を同盟相手に教える馬鹿がどこにいるだろうか。
いつでも殺してくださいと宣言しているのと同じだ。決して同行者に己の体調のことを悟らせないようにしなければならない。
「それにその“逃亡日記”ってのがあるからといって、夜道にライトを点けて走っていたら狙ってくれって言ってるようなものだろ?」
確かに、とみねねは押し黙る。本来の逃亡日記なら何日も先の逃亡経路がわかる。
だが、今所持しているのはレプリカ。予知精度が格段に落ちているのだ。
北岡は逃亡日記の精度が落ちていることなど知らない。だが、長期の未来を完璧に予知することが出来たらみねねは隠れているだけでいいはずだ。
支給品の手榴弾の数に限りがある以上、開始早々に自分と戦うメリットがまるで無い。
みねねには殺せる時に殺したい理由があった、と推測したのだ。それが短期的な未来予知だと北岡は当たりをつけたからの提案であった。
さてと――
と北岡が話しに区切りをつける。そして牛をモチーフにしたカードデッキを口元に当てながら妖しく微笑む。
「それじゃあ、情報交換としましょうか、お嬢さん」
その言葉を境に、年頃の女の子のように赤面しながら慌てていたみねねはもういない。
「キヒッ。まぁそっちが本命だろうと思っていたぜ」
対するみねねも自分の携帯電話を顔の前で揺らしながら“テロリスト”としての不適な笑顔を浮かべる。
◇ ◆ ◇
「時空王デウスに未来日記か……」
「ミラーワールドとライダーバトルか……」
互いに元々参加していた殺し合いの概略を教えあった。
一般人が聞いたらどちらも突拍子も無い内容だが、先程の戦闘で互いに実体験しているとなれば理解も早い。
互いにしばらく思案したあとに、みねねが質問したいことがあると口を開き、それに北岡が了承する。
「お前ら仮面ライダーの目的ってのが其々の願いを叶えるため。元々“願い”を秘めているやつが神埼って奴に選ばれる
そのライダーってのは“願い”がある奴なら『誰でも』変身することが出来るのか? 例えばお前のそのカードデッキ
で私が変身したりすることは?」
「残念ながら答えはノーです。カードデッキはモンスターと契約する際に対象者を自動で登録されます。
以前、他人のデッキでライダーに変身した奴は、その契約モンスターに襲われて死にましたよ。
だから、みねねさんが僕のカードデッキを奪ったところで利用価値は無いですよ」
他には何かありますか? と北岡が目を見つめながら微笑んでくる。
チッ、こっちの考えは読まれているか。
あの耐久力のスーツがあれば、こいつと手を組む必要は無い。だが、あの機械牛の化物に襲われるとあっちゃ話は別だ。
「私の方からも同じ質問をします。その未来日記は所有していれば『誰の未来でも』予知できるのですか?
例えば、貴方の逃亡日記を私が持っていれば私の逃亡経路が予知される…とか」
「予知できると思うぞ。そもそも私の未来日記の性質は『所有者の逃走経路を予知する』だからな」
みねねの何気ない返答に北岡の眉が一瞬動いた。
そして議題は今後の行き先についてに変わる。
「私はD-7にある清明院大学に行きたい。わざわざ地図に明記している大学だ。そこそこの規模は期待できる。大学内にある施設で“こいつ”を試してみたい」
先程の戦闘の切り札となった烈火ガス型のBIMを荷物から取り出す。
わかっているのは烈火ガスという名前だけ。どれだけの効果があるのか。名前から察するに焼夷弾の類似品だと思う。
推測通りの代物なら、これを中央市街地で実験的に使用するのはリスクが大きすぎる。
「良いですよ。私としてはせっかく美しい女性からのデートの誘いを断る理由がありませんからね」
再び頬を朱に染めながら、フンと鼻をならすみねね。
スーツに長髪。真顔で自分を口説くその姿に元の世界の刑事、西島を重ねてしまう。
この男を相手にするとどうにも調子が狂う。
とっくの昔に捨て去ったはずの少女時代の自分がひょっこりと顔を出しそうになる。
「と……とにかく、準備が出来たなら出発するぞ。日が昇るころには多くの参加者が中央に集まるはずだ。
今は早めに脱出しておきたい」
北岡がニヤニヤと笑いながら頷く。この男、一体どこまで本気なんだ?
チクショウ……どうにかしてペースを握らないと
◇ ◆ ◇
ここで、読んでいて疑問に思った点がいくつかあったと思う。
具体的に挙げると次の二点である。
・カードデッキは各ライダー専用の変身武器であり、他者が使用するとモンスターに襲われる点
・逃亡日記は“所有者”の逃走経路を予知するものである点
これは彼らが自分の相棒とも呼べる武器に対する認識が誤っているからではない。
テロリストとスーパー弁護士。両者とも職業柄、息を吐くように嘘をつくことに慣れている。
互いに、自分のキーアイテムを狙いあっていることを悟り、真実の情報の中に敢えて嘘の情報を混ぜたのだ。
北岡の狙いはもちろんカードデッキを守るためが最大の理由だ。
ミラーモンスターはデッキの中のカードと契約しており、他者が変身したくらいで契約モンスターに襲われることは無い。
モンスターに襲われるのは契約の証であるデッキが破壊された時だ。
モンスターは人間を襲うもの。これは幼少時代から誰しもが脳裏に刷り込まれてきた事実である。
これによってみねねにカードデッキを奪われることに牽制したのだ。
対するみねねがついた嘘の意図は何だろうか?
誰でも使える……こう聞けばみねね自体に価値は無くなり殺されるのではないか? そういう考えもあるだろう。
だが、もう一度読んで欲しい。
“所有者”の逃走経路を予知すると嘘をついたのだ。
もちろん、真っ赤な嘘である。逃亡日記は“未来にみねねが打ち込むはずの日記”を先取りしているに過ぎない。
仮に北岡がみねねの日記を所有したところで、北岡が日記を打ち込むわけでは無いのだから当然である。
では、この嘘の真の狙いについて考えてみる。
北岡がみねねの日記を奪って逃走したとしよう。彼は日記に従って逃走を続けるだろう。“みねねにとっての最良ルート”でだ。
日記所有者になってからは、未来予知に頼った逃走を続けていたが、元はみねねが自分で考えぬいた最良の逃走経路を記した日記だから追跡は簡単だ。
自分ならどう逃げるかを考えれば良い。
つまり、北岡にこの日記を奪われたところで、安心して油断しきって逃げる北岡を先回りして殺せばいいだけだ。
二人がついた小さな嘘。その綻びが今後の二人の運命をどう変えるのか。
正常な判断をしているつもりでも、既に歯車は狂っているのかもしれない。
この物語の結末は、果たして――
【D-5/市街地:ホテル内の一室/深夜】
【北岡秀一@仮面ライダー龍騎】
[状態]:疲労(小) 、湯上り
[装備]:カードデッキ(ゾルダ)
[道具]:基本支給品一式、マスターキー@オリジナル、黒のアタッシュケース
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して永遠の命を手に入れる
1:D-7、清明院大学でBIMの使用実験をする
2:雨流みねねを利用しつつ優勝を目指す
3:知らないことについて情報が欲しい
4:女性とはあまり戦いたくない
[備考]
※参戦時期は劇場版開始前のどこかからです。詳しくは後の書き手にお任せします。
※未来日記の世界観、雪輝、由乃、来須、マルコ、愛のみねね視点で知っている大体の情報を把握しました。
※逃亡日記は所有者の逃走経路を予知するものだと勘違いしています。
【雨流みねね@未来日記】
[状態]:疲労(小)、若干の後悔
[装備]:MKU手榴弾[4個]@現実
[道具]:基本支給品一式、逃亡日記@未来日記、BIM(烈火ガス式)[8個]@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して“神”を殺す
1:D-7、清明院大学でBIMの使用実験をする
2:北岡秀一を利用しつつ優勝を目指す
3:他のゲームについて情報が欲しい
4:時間を見つけてBIMを使いこなしたい
[備考]
※参戦時期は原作六巻以降のどこかからです。詳しい時期は後の書き手にお任せします
※龍騎の世界観、城戸、秋山、浅倉についての大体の情報を得ました。(霧島については聞いていません)
※カードデッキは他人が使うと死ぬと誤認しています。
以上で投下を終了します。
[共通備考]
※車はホテルの駐車場にあります。
を追加で…
矛盾点、文章がおかしいなどありましたら、ドシドシいって下さい。
2作品投下乙です!!
>未来日記 見ない日記 意味ない日記
由乃さん…あんたレオに喧嘩売るのはまだ早いww いくら何でも勝てないだろw
いや、待てよ……恋する女の子は無敵なのよ!とどこかで聞いたことがあるな…
>老後の楽しみ
ロワを満喫してるなぁ〜この爺さんw 仮投下の時も言った気がしますが、首輪へのリアクションがなんか新鮮ですよね
首輪の爆発を恐れて首切断を躊躇する。 パロロワ馴れしていたけど、そりゃそうだとすごく納得。
医薬品も手にして病院に来る参加者を狙う猿谷さん…やっぱりパロロワの病院は危険がいっぱいだ
改めて投下乙でした!
ミツル
を予約します
誤爆でした。お気になさらず
投下します
ミツル……芦川美鶴の妹である芦川美鳥はとても優しい女の子だった。
花を愛し、両親を愛し、兄を愛した。そして何より人の笑顔を愛した。
そんな優しい少女も悲劇と呼べる運命により死んでしまった。
最愛の妹を喪った悲しみから、兄である美鶴は旅人ミツルとして多くの屍を築き。
その果てにある勝者の褒美を願った。
彼の願いを叶えるためのバトルロワイヤルは荒野に囲まれた墓地から始まる。
大きな月が彼の金髪を照らし、不思議な色合いにする。
彼が身に纏う魔術師のようなローブは場所も相まって
着用者をさながら時の流れから離れた賢者のように見せていた。
だが月明かりに照らされた荒野の墓地に立つ魔術師である少年は
叙事詩にでも出てきそうなその外見に相応しい悟りを持っていない。
胸にあるのは善悪を超えた欲求。
運命を変えたいという身のほど知らずとすら呼べる激情。
多くの者はその胸の内にある思いを知ればこう言うだろう。
子供の戯れ言。悲劇を嫌い幸福のために他の生命を犠牲にするのか。
運命を受け入れ強く生きよ。
それに対して彼はこう答える。言葉に出さずともこう思う。
反吐の出る綺麗事だ。そう言う貴様達は何だというのだ。
願いのために戦うことを放棄し甘美な自己犠牲というイデオロギーに陶酔しているだけではないか。
それはごく僅かな一握りの勝者が大勢の敗者に与えた慰めという優越感を帯びた詭弁に過ぎない。
良いだろう。ならば永遠に「諦観」や「妥協」を
「納得」というさぞかし耳触りの良い定義に変えて悦に入っているといい。
彼は悟りを開いた賢者の如き知性を持ちあわせることはできない。
幻界を生きる旅人のミツルは少年である己の精神性も肯定する。
いつの時代も世界を変えてきたのは若い力だ。
自分達のような少年がハングリーさを無くして誰が世界を変えるというのか。
少年は思う。仲良く並んでいる二つの墓を前に強く強く思う。
『芦川美鳥』
『ゾフィ』
わがままでいい。達観するにはまだ早すぎる。
北東から微かにだが爆発音が聞こえてくる。
もう戦いを始めた者がいるのだろう。
彼は何も信用しない。
神ですらその限りではない。
願いを叶えるという言葉が本当なのならば
彼は迷いを心の奥底で塵となるまでに押しつぶし、修羅の道を歩もう。
だが今はまだ判断するのは早計に過ぎるというもの。
かつてのルールでは玉と呼ばれるアイテムを五つ集めると願いを叶えてくれるというものだった。
多くの旅人が導師の言葉を信じ戦いに身を投じた。
ミツル自身もそうだ。だが現実は更に過酷だった。
ようやく手に入れたと思った五つ目の玉は目の前で砕け散り、
ゲームには裏のルールがあると知った。
そして、願いを叶えるためには幻界という一つの世界を丸ごと犠牲にしなければならないという。
ならばこの戦いはどうだ? 本当に最後の一人になれば願いは叶うというのか?
そもそも異世界同士の境界線を造り直すというあの儀式はどうなったのだ?
彼はもう二度と目前に餌があると確信し走り続ける駄馬になる気はない。
あれほどの屈辱を味わう気は毛頭ない。
今求めるべきは情報だ。自分以外にもルールの裏側を知っているものはいた。
この戦いでも何らかの有益な情報を持っている者は多くいると見て良いだろう。
事実、あの“虚”のような影自身、彼の関係者が殺し合いに参加していることを仄めかしていた。
情報は鍵。例え頭を垂れ、尻尾を振ってでもその関係者とやらに取り入る必要がある。
そして得たモノをゆっくりと吟味した後、研いでいた牙で喉元を噛みちぎってやろう。
旅人ミツルの行動方針は決まった。
魔法の使い勝手はいくらか変更が加えられており、使用回数に制限はないが体力を代償とするらしい。
つまりどちらにしても何らかの形で同盟を結ぶ必要があるということだ。
一名を除く彼の知る者達はその点、安心といえよう。
十全の信頼が置けるという連中では――これも約一名、掛け値なしのお人好しを除く――断じてないが、
この段階で無用な殺し合いをするほど愚かではない。
ミツルは墓地を後にして移動を始める。
崩壊したザクルハイムには興味があるが戦闘が行われている場所に軽々しく近づく気はない。
馬鹿は馬鹿同士勝手に潰し合っていれば良い。
もはや旅人に残された道は二つ。
贖罪の為の死か。
願いを叶えての死か。
芦川美鶴に現世への執着や未練はない。
彼の母は色に溺れ家庭を裏切り、彼の父は憎悪に身を任せ家庭を壊した。
元より醜く汚れた体。だが彼の妹だけは違った。
少なくとも彼はそう信じて前に進み、歩いた道を血で汚す。
少し歩くと橋はすぐに見えた。
先ほど会った不快な男もこの橋を渡ったのだろうかと少し考えたが
どうでもいいことだと思い彼は進む。
橋。死と生を繋ぐ象徴。それのすぐ側に墓地を置くとは随分と気の利いたものだ。
いいだろうと彼は思う。この橋を渡り、その先で妹を取り返す。
芦川美鳥はとても優しい娘だった。
今わの際にあっても兄を気遣い、
父親に体中を刺されていても兄の涙を止めるような子であった。
その時、芦川美鶴は決めた。
女々しい涙などは捨て、願いのために邁進すると。
芦川美鳥は本当に優しい娘だった。
愛していた実の父親に全てを壊され、母とその愛人の死体が置かれた場所に捨て去られていても
兄への心遣いを忘れることはなかった。
芦川美鳥はまだ5歳だった。それなのに誰よりも勇敢な子だった。誰よりも愛らしい子だった。
………………そう。少なくとも“ミツルだけはそう信じている”。
【E-2/一日目・深夜】
【ミツル@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:健康
[装備]:ミツルの杖@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品、 不明支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:妹を生き返らせる。手段は選ばない
1:情報を求める。あの影の関係者が望ましい
2:チャン以外の旅人と同盟を結ぶ(カントリーマンとも?)(できればワタルがいい)
3:チャンとは可能なかぎり戦いを避ける
[備考]
参戦時期:ゾフィが虚になった後。
魔法を使うと体力消耗。
以上で投下終了です。
誤爆失礼しました。
投下乙です!
カントリーマン逃げてーーー!! 殺意の波動に目覚めたミツルが動き出す!
ミツルが無双状態で参戦か…恐ろしい!
優勝の願いに対して冷静な考察をしているのがまた恐ろしいw
ガッシュを最近読み返しているんだけど、バリーが出ていたらチャンを見かけたら喜んで戦いそうだよねw
ガッシュの魔物の子は出したいキャラが多すぎるよw
陽炎、相馬光子、ゼオン・ベル の三名を投下します
「ふふふ。お爺さんの次は小学生みたいよ。熟年のねっとりとした身体も良いけど、何もしらない無垢な少年の身体を弄くりまわすなんて興奮しちゃうわ」
同行者の下品な発言に対して不快感を示す。陽炎はくの一だ。その忍法は彼女が性的に興奮した際に吐く息が必殺の毒と化すというものだ。
そういった行為を餌にちらつかせて男性を殺すこと自体は、甲賀弦之介のことを考えるだけで耐えられる。だが、この女は違う。その行為自体も楽しんでいる節がある。
「黙れ」
「あらぁ、釣れないわね。貴女だって好きなはずでしょ? さっきだって楽しんでいたじゃなぁい」
「いいから黙れ。さっさと行け!」
「まぁいいわ。じゃあ先に行くから、手筈通り頼むわよ」
そう言うと相馬光子は少年の方へと走り出す。
「はぁっ……はぁっ……ねぇそk――…」
「それ以上近づくな」
髪と着衣を振り乱し、汗と涙で顔を汚しながらも、異性がみたら色欲を湧かせる事が出来る。
そんな絶妙な仕草で駆け寄る相馬光子に対して一切の興味を示さずに静止の命令を出す少年。
少年の一睨みで相馬の全身に蛇が這いずり回るかの如く、汗が一気に噴き出しているのがこちらからも見てわかる。
相馬は元々一時的に組んだ相手で、不必要になれば即座に切り捨てる予定だった相手だ。杞憂かも知れぬが、少し隠れて様子を見るとしよう。
「ま、待って。私は殺し合いなんて私したくないの……僕だって怖いでしょ? お姉さんと一緒に隠れましょう。」
「ほぅ。殺し合いはしたくない……か」
「そうよ。もし信用できないっていうなら……私の身体を好きに調べていいわよ」
そう言うと、相馬は自分の荷物を二人の間に投げると両手を上げて恥ずかしそうに(勿論演技だが)俯く。
相馬が武器を捨てたように見せたが奴は首輪のところに刃物を仕込んでおった。
少年が相馬に近づく。考えすぎか……?
「ザケル」
「きゃあああああああああああああああああああああッッ!!!」
童子がそう呟くと閃光が相馬を包み、その場に倒れる。少年は倒れた相馬の頭を足蹴にしている。
この場の支配者は俺だ、と言わんばかりの表情を見せながら。
「醜い身体を振り回すんじゃねぇよ、クズが」
相馬が呻き声を上げる。
「貴様みたいなクズの臭いが簡単に隠せると思っていたのか?」
あの少年は相馬とは違う。私たち忍の者と同様に“こちら側”の存在だ。少し殺しの経験があるくらいの平民風情が本気で太刀打ちできる相手では無い。
相馬の髪を掴んで頭を持ち上げると、何か呟いた。相馬の口が微かに開くのが見えたが、風向きのせいか何を話しているのか聞き取れない。
…………マズいッ!!
陽炎は女性ながら甲賀卍谷十人衆に選ばれるほどの優れた忍だ。隠密行動に長けているといえる。
彼女の名誉の為に言っておきたい。彼女は自身の能力に多少の慢心はあれども、決して油断があったわけではない。
彼女が考える以上に少年の身体能力が高すぎたのだ。同じ人間とは思えないくらいに。
一瞬で陽炎の前に姿を現した少年。少年の顔が月明かりに照らされて露になる。
白金の髪と瞳。甲賀弦之介有する瞳術の金色とは対極。その瞳を見た刹那、瞳術を喰らい、絶対零度により身体が凍ってしまう錯覚に陥る。
「お前、あいつの仲間らしいな。ついて来い」
身体が動けぬ代わりにと陽炎の脳内がフル回転する。いくつもの思考が浮かぶが、無情にもそれを自分で却下することを繰り返すだけだ。
…………仕方ない
正面から逃げ出そうにも身体能力では彼奴が上か……話を持ちかけてきた以上いきなり戦闘をしたいというわけでは無さそうだ。
ここは彼奴が隙を見せるまで様子見するしか無いか……
◇ ◆ ◇
再び、倒れた相馬の前に戻る。ご丁寧にも相馬の意識は無いようだが、胸が上下していることからまだ死んではいないようだ。しぶとい女だ。
しかし今は相馬の生死などどうでもいい。ここでの発言を一歩間違えれば嬲り殺されるだけだ。
ここで引くわけにはいかない。一度格下と番付されては、一方的に支配されるだけだ。自分の底を相手に悟られるな!
「オレの名はゼオン・ベルだ。女、貴様の名は?」
「……陽炎」
まずは名前の交換。偽名を使うことも考えたが、人別帖が各人に配られている以上、安易に偽ったところですぐにバレる上に、然したる利点も無い。
「陽炎。貴様が持っている知っている情報をよこせ。気配の消し方、身のこなしからして只者ではあるまい。貴様がオレの力量を見誤るとも思えん。
逆らえばどうなるかくらいわかるな?」
ここだ。ここで引いてはいけない。ある程度予測を立てているとはいえ、互いに未知の相手。自分を強大にみせつけるのはここしかない!
「ほぅ……童子が大きくでたのぅ。確かにお主の力は強大じゃ。でも、よこせと言われて簡単に渡すわけがない。そこで、私と手を組まんか?
ちょうど、そこに転がっている娘には嫌気が差していたところじゃ」
ゼオンが上下関係の要求する発言に対して、陽炎の答えは対等関係の提案。今ゼオンが求めているのはガッシュの情報と、万に一つの脱出の可能性。
二つの基本方針に共通していることは“ガッシュを無事に生還させること”である。自分一人で暴れまわって解決するには些か難しい問題だ。
先程の自身に掛けられた制限は確認した。パートナー不在では三村信二のような一般人ですらザケルを十数発も耐えることが出来る程度の威力でしかない。
上級呪文を使えば一撃の威力が上がるが、心の力の消費も激しく有効的とは言えない。自分達魔物に匹敵する存在がこの会場にいる可能性は十分あるのだ。
つまりゼオンの願いを叶えるためには、人間の協力者それも殺しを厭わない、かつ無差別に暴れまわ“らない”存在が今後必要になってくる。
「オレと手を組みたい…か。いいだろう。だが、条件がある。オレの言う参加者を殺すことは絶対に許さん! 貴様如きに不覚を取る奴でもないが、それでも…だ!」
「ふふふふ。とりあえず、了承と言う事じゃな、ぜおん殿」
良し。これで最初の劣勢は押し返せた。しかもそれだけでは無い。童子は簡単に自身の弱みを見せてきた。
殺すことを許さない参加者だと……それほど大事な人を先にこちらが手中に収めれば逆に有利に立てる。
後はぜおんの言う参加者の情報さえ得られれば……
「あぁ一つだけ忠告しておく。もし貴様が条件を破った場合は――」
「…?」
突然ゼオンが倒れて気絶している相馬光子の方に手を伸ばすと何かを呟いた。
「バルギルド・ザケルガ!!!」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
闇夜を切り裂く女の声と眩い光。状況が違えば人気絶頂のアイドルのコンサートだと勘違いするかもしれない。
だが、目の前で繰り広げられる状況はそれとは正反対。究極の拷問。失っていた意識を無理やり覚醒させるほどの電撃。
電気というものを知らない陽炎でも、雷という自然現象くらいは勿論知っている。
古今東西、人間は自然の力に逆らえない。これは、例え人間離れした奇形集団と称される甲賀卍谷衆といえど例外ではない。
その『雷』を自在に操る少年を前に、自分の目論見の甘さを痛感する。
「本来の威力より弱いが人間相手では充分な苦痛を与えられるだろう。この雷が身体を蝕み続ける間は、お前の身体が痛みで気絶することも許されない。
身体が壊れる前に限りなく強くなる激痛で心の方が早くぶっ壊れる」
まるで少年が花火で遊んでいるかのように笑う。お前に先程条件を出したのは弱みを見せたわけじゃない。自分の絶対的な力を信じているからだ。
対等でありながら、いつでもオレはお前を殺せるぞ。そう警告しているのだ。
「今の悲鳴で他の参加者が集まってくるかもしれないな。陽炎、そこのカスはまだ生きているから一応運べ。とりあえず適当な民家に入るぞ」
そういうとゼオンは背を向けて歩き出す。その背中は、他を圧倒する紛れも無く『王の背中』であった。
【C-4/市街地/一日目・黎明】
【ゼオン・ベル@金色のガッシュ!!】
[状態]:疲労(小)
[装備]:魔本@金色のガッシュ!!、ゼオンのマント@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×2〜4(ゼオン、三村(武器ではない))
[思考・状況]
基本行動方針:何としてもガッシュを生還させる
1:陽炎と手を組む(裏切る行為を見せたら容赦はしない)
2:陽炎と情報交換をする
3:ガッシュを優勝させるため、他のすべての参加者を殺す
4:ガッシュとその仲間が主催者に勝てそうなら、自らガッシュに討たれる
[備考]
※自身にかけられた制限をほぼ完璧に把握しました。
※魔界に帰った後からの参加。
【陽炎@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品×2〜3
[思考・状況]
基本行動方針:甲賀弦之介を優勝させる
1:ゼオンと手を組む
2:ゼオンと情報交換
3:相馬光子と協力して(弦之介、霞刑部以外を)殺す方に回る。
4:頃合いを見て相馬を殺す
【相馬光子@バトルロワイアル】
[状態]:健康、マフラー着用、中度の火傷、失禁、気絶
[装備]:制服の所々が焦げています 剃刀@現実(首輪につけています)
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×2〜4(是方0〜1、相馬2〜3)、レミントンM700@現実
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する
1:(気絶中)
[共通備考]
C-4市街地に相馬の悲鳴が2度ほど響きました。近隣の参加者は聞こえた可能性があります。
以上で投下を終了します
誤字脱字、文章のおかしな点、その他何か疑問点があればご指摘ください。お願いします。
話は変わりますが、したらばの雑談スレに魔法少女のマスコットが出張に来ていた…!
なんか怖いキャラらしいですねw
代理投下します
「あのぅ、この扉はどやって開けたらよいのでしょう?」
「昔の日本にその手の物はなかったんだったか。見てな」
そう言うとカントリーマンは朧の前でドアノブを回し、ドアを引くという一連の動作を見せた。
彼女はそれに礼を言った後、改めておっかなびっくりドアノブに指を伸ばすが
「あ、あれ?」
目の前で開け方を教えられてもやはり文化の違いというものは如何ともしがたいのか、
朧は慣れぬ手つきでドアを開けようと奮闘する。
回しながら引くんだぞと教えると、カントリーマンは先程まで診断していたベッドに横たわる城戸真司という男に目を向けた。
彼がこの二人に会ったのは爆発音が聞こえた場所に身を潜めながら向かった時である。
懸命に負傷し気を失った男性を運ぼうとする少女を見つけ、声をかけようかどうか迷ったが
二人の前に結局は姿を見せることにした。
やけに前時代的な服装をした少女は現れた老人に対して警戒心を見せることもなく助けを求めた。
曰く、自分を守るためにこの男は戦い傷ついたから助けたいと。
その訴えを得られる情報と戦力目当てに承諾したカントリーマンは
朧という着物を纏った少女から男を受け取ると担いだまま来た道を戻り民家へ入った。
傷を調べたところ腹部に軽い火傷と打撲を負っていたが命に別状はなく戦闘するにも異常はないだろう。
断定はさすがにできないがこの男と手を組むだけで
チャン右頭に対抗出来る戦力を手に入れられると考えるのは無謀というよりただの馬鹿だが
いないよりはマシである。
カントリーマンの所有戦力とハッキリ言えるのは
自身と近くの地中に潜ませている元精力家のジジイゾンビのみだ。
これであの化物を超える化物に挑むのは阿呆どころか白痴者の謗りをうけるだろう。
それに朧から話を聞いたところによると彼女たちを襲った者もかなりの実力者であったらしい。
50を越える数がこの会場にいる以上、戦力の確保は急務だ。
それにどうしても気になることが一つある。
「なあ、朧とやら。聞きたいことがあるんだが」
「なんでしょう?」
ようやく開けることに成功したドアを押したり引いたりしながら
しげしげと見つめていた朧は振り返る。
「お前さんは何者だ?」
未だ目を覚まさない男の脈拍を測りながらカントリーマンはそう問いかける。
違和感を抱いたのは男の怪我の処置が終わり、
念のためと朧の服を脱がせどこかに異常がないか診察した際のことだ。
口に出さないようではあるがどうやらよほど白人である彼の容貌が珍しいのだろう。
診察を受けている間、朧はじっと彼を凝視していた。
身をおかす病から奇異の目で見られることに慣れるとまではいかないが
仕方ないことだと受け入れてはいたので
見つめられることに対して不快感を抱くことはなかった。
だがカントリーマンが妙に思ったのは診察をしていた彼自身の体調である。
妙に体が気怠いのだ。最初は気のせいだと思ったがもはや体の不調はその範囲を越えている。
そう、まるで旅人の戦力を左右する想波そのものを封じられているような感触を受けるのである。
そもそも朧に城戸真司の怪我の理由を尋ねた際も魔人のような少年に襲われて負傷したと言っていたが
彼女に詳しく聞こうとすると口を濁らせたのだ。
隠し事をしていることを強く咎める気はない。
彼も最終的には手を差し伸べた者達を殺すつもりでいることを隠しているのだからお互い様だ。
だが朧の能力が予想通りのものだとしたのなら
対チャン右頭において欠かせない戦力になる可能性が高い。
「答えるわけにはいけねえってことかい?」
「わたしは……忍者です」
「OH……NINJAか。こんな所で目にするたあ思わなんだ」
なるほどNINJAならばしょうがないとカントリーマンは思った。
日本で古来より活躍してきた闇に生きる者達。
アメリカでポピュラーな忍者といえば偉大なネズミであるスプリンター老師や
日本の戦国時代に活躍したとされる忍者マスターキリギ等がいるが
目の前の少女も彼等と同類ということなのだろう。
チャンのような根っからの戦闘のプロに接触ができたのは彼にとって何よりの朗報と言えた。
「それで、何ができるんだ?」
「破幻の瞳という瞳術を。あらゆる忍法を打ち消す生得の術でございます」
朧の返答を聞き、試しに旅人としての能力を発動しようとしたが上手くはいかない。
ならば彼女のいう破幻の瞳はNINPOUどころか旅人の力すら封じるのだろう。
いや、それとも旅人とはNINJAとしての力を得ることができるものなのか。
そんなことはどうでもいいがやはり朧は打倒チャンにおける超有力な駒、
それどころかこの戦いを根底から覆すジョーカーと見て良い。
彼女が言っていた他の仲間も同じような能力を持っているのなら
少しでもまだ見ぬ彼等の情報を得るべきだとカントリーマンは判断した。
「他のNINJAはどんなことができるんだ?」
「もうしわけございませぬ。さすがにみなを教えるというわけには……」
「ああ、秘伝というヤツか。
そりゃ仕方ねえが……みんなお前さんみたいな能力の持ち主なのかい?」
「いえ。お婆さまが言うにはわたしの瞳は特殊だそうで」
「なら他はまあ、何だ。普通の能力ってことか?」
「甲賀忍のことは存じあげませぬが恐らくは……
ええっと、か、かんとりぃまん殿はお医者様なのですよね?」
「呼びやすいように呼んでかまわんぜ。そのとおり医者だがどうかしたのかい?」
「ならばか……か……かとり殿。
隠しておきながら図々しい願いであることは百も承知なのですが
薬師寺天膳という者に会うことができたら
例えその者が殺められていたとしても見捨てず看病するようお願いできませぬか?」
朧の言葉にはさすがのカントリーマンも怪訝な表情を隠しきれない。
「すまん。言っている意味がよくわからんのだが」
「薬師寺天膳という男は不死の妙術を持つ男なのです」
カントリーマン、絶句。
正にそうとしか表現しようのない顔になったカントリーマン年齢二十代。
「ま、待て待て。それはあれか。何かの比喩か?」
「いえ、言葉のとおりです。天膳は決して死なぬ体を持っております。
お婆様が言うには百年以上は生きているそうで」
朧が告げる薬師寺天膳という男の存在。
それはカントリーマンを苦悩に追い込む。
不死。それは彼が追い求めていた物であり、医学が目指す到達点である。
ウェルナー症候群という奇病を持ち、
自分や同じ病に苦しむ人々を救うために旅人となり医学の壁を壊そうと
奮闘してきた彼にとって当然のように不死を体質として持つ男の存在は衝撃的に過ぎた。
今はまだ予断を許さないが、もしも薬師寺天膳という
男の体をサンプルとして入手することができれば医学の壁を
自らの力だけで壊すことができるのかもしれないとカントリーマンは考える。
それが本当だとすれば彼は…………
微かな呻き声がカントリーマンの隣りから聞こえてくる。
城戸真司が目覚めるのはもうすぐだろう。
あのまま放っておいたら恐らく自分と同じように
爆発音を聞いてやってきた参加者に殺されていた。
自分が助け、治療をした命。
医者としてソレを嫌いになれるはずがない。憎むことができるはずがない。
殺さないですむのなら、命を足蹴にせずにすむのならと思わないでもない。
だが殺さなくてはならない。
今この瞬間を生きる一人、ないしは数十名の命のためではなく
未来に生きる大勢の命を救うために殺さなくてはならない。
人の身でできることには限りがある。
そもそも薬師寺天膳は過去に生きる者とは言え不死の存在。
そしてウェルナー症候群を発症する者が最も多い日本に生きる人間。
そんな存在がいる国でも治療法を確立するには至らないのだ。
例えカントリーマンが薬師寺天膳を説得するか檻にでも入れるかしても
治療法を見つけることが絶対にできるとは言えない。
そもそも持ち帰ったところで自分に残された研究に費やす時間自体が多くない。
ウェルナー症候群の症状として代表的なものが両側性白内障である。
本来は老化に伴い発症、進行する目の病ではあるが
遺伝性早老症によりその進行は絶望的なほどに速まる。
いくら良いサンプルを見つけたところでマイナーに過ぎない病例。
研究を継ぐ者すらどれほどいるかもわからないのだ。
彼が欲しいのは絶対の確信が持てる物。
たった一つの光明に惑わされるわけにはいかないのだ。
「どうかなさいましたか。かとり殿?」
「なんでもないさ。天膳……だったか。
いいぜ。そいつにもしもの事があったら面倒みてやる。
それより寝坊助さんがようやく目を覚ますみたいだぜ。
ねぎらいの言葉でもかけてやんな」
【C-4・民家/1日目/黎明】
【カントリーマン@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:健康
[装備]:奇跡の執刀(ハイブリッド・メス)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品、不明支給品×1、首輪(是方昭吾)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する。
1:城戸真司、朧を利用する。
2:チャンに勝ち得る方策を模索する。
3:薬師寺天膳の体に強い興味。
[備考]
※是方昭吾の死体をアンデッドとして従えました。
※陽炎、相馬光子の武器を毒と判断しました。
【奇跡の執刀(ハイブリッド・メス)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
カントリーマンの専用武器。非常に鋭利な刃物。
凄まじい速さの外科手術を可能とする。
【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
[状態]:全身打撲(処置済み)、軽度の火傷(処置済み)、気絶
[装備]:カードデッキ(龍騎)
[道具]:基本支給品一式、桜田ジュンの裁縫道具セット@ローゼンメイデン
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを止める
1:???
2:朧と共に動く
3:神崎は焦ってる…?
[備考]
バジリスク勢は六名全員が味方だと認識しています
※参戦時期は後の書き手の方にお任せします
【朧@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:良好
[装備]:鉈@バトルロワイアル
[道具]:基本支給品一式、、BIM(クラッカー型)×6@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:弦之介達と合流する(その後のことはまだ考えていない)
1:真司、カントリーマンと行動を共にする
2:弦之介様に会いたい……
[備考]
破幻の瞳の効果について:防人や仮面ライダーが技を発動時には技を消失させ、しばらく見つめることで変身も解除される。
旅人の場合はしばらく見つめていることで戦力の低下と魔法の使用が不可となる。
他の世界の参加者についてどのように作用するかは不明 朧は制限を正確には認識できていません。
※参戦時期:漫画版1巻、不戦の条約が解かれたことを知る前から参戦
以上で代理投下を終了します
◆1yqnHVqBO6氏投下乙です!
NINJYAなら仕方ないwww 外人らしい反応だなw
という冗談抜きにしても、カントリーマンは抜け目無いなぁ。あの爆発音などから真司の戦力を見抜くとは
天膳に目をつけたか。 カントリーマンはブレストだと敵役だったけど、彼の願い自体は大衆からみたら”善”なんだよな
幻界からこの会場に連れて来られて、医者としての昔の自分を思い出しかけているのか?
全然本筋と関係ないが
朧さんが服を脱いだぞー!! おやめくだされぇかとり殿ぉ…w
あと、宣伝
ロワロワにも参加している雷句先生の作品『金色のガッシュ!!』の読みきりが来月発売の別冊マガジンに掲載決定! らしい
文庫板ガッシュの発売を記念してのことらしいです。 興味ある方は読んでみるといいですよー!
宣伝終わり
投下乙です
>雷帝の調教
陽炎がゼオンに乗り換えたか でも力量差が大きいな 今後どうなるか
光子が失禁しているのにまったく興奮しないww
>未知との遭遇
天膳の不死の体に目をつけたか ってか朧が皆の術は言えないといった直後に天膳の術をバラしてるw
真司はとりあえず医者の治療を受けて一安心かな 対主催キャラにはきついロワだと思うけれど頑張れ
薔薇乙女が長女、第一ドール水銀燈が知る名はこの殺し合いの場において五つあった。
第二ドール、金糸雀。
第三ドール、翠星石。
第四ドール、蒼星石。
第五ドール、真紅。
第六ドール、雛苺。
水銀燈の妹たち。彼女らもまたこの場に招かれ、同じ満月の光を浴びている。
この戦いはアリスゲームではない。水銀燈自身、この戦いにそこまで積極的に関わろうとは思っていない。
だが、姉妹たちはどうだろうか。
金糸雀、雛苺はまあ警戒する必要はないだろう。
力はそれなりに強くとも、この二人は他の姉妹に比べると戦意が旺盛というタイプではない。
あえて言うなら金糸雀はやる気だけはあるものの空回りする悪癖を持っているし、雛苺の意識は末の妹だけあって姉妹でも随一に幼い。
どんな出会い方をしようが、水銀燈の方から手を出さず対話を求めればまあ応じてくるだろうという確信はある。
問題は残る三人。
翠星石、蒼星石の双子は双子だけあってその結び付きは強く、片方の行動にもう片方が引きずられることは往々にして有り得る。
つまり片方と敵対してしまえば自動的に片割れも敵となるのだが、問題は両方ともが水銀燈と良好な関係ではないということだ。
特に翠星石がまずい。水銀燈が『アリスゲームは一時休戦して手を組みましょう』などと言ったところで、あの天邪鬼は絶対に信用などしないだろう。
むしろ裏があるのかと疑ってかかり、状況によってはそのまま敵対・あるいは戦闘に突入することは想像に難くない。
蒼星石にしても、水銀燈を警戒こそすれ易々と気を許すことはないと思っていい。
そして真紅。
水銀燈と真紅は自他ともに認める犬猿の仲。
通常なら真紅と手を組むことなど到底認められることではない。そんなことをするくらいならまだ金糸雀と組む方がマシだとすら思える。
しかし、真紅は姉妹の中では一番理知的と言えるパーソナリティの持ち主でもある。
この状況で薔薇乙女同士が戦うことの無益さを、水銀燈以上に深く理解していることだろう。
ならばこそ、水銀燈が協力を申し出たとしても無碍に切って捨てることはないはず。最悪でも、いきなり敵対するということは考えにくい。
水銀燈と最も険悪な関係である真紅が、皮肉なことに最も与しやすく頼りになりそうだというこの状況。
「笑っちゃうわねぇ……」
独り言を聞き咎め、何がだ、と聞いてくるしもべ――桐山和雄に、何でもないと言葉を返す。
そう、笑えるといえばこの人間もそうだ。
出会ったとたんに自分から隷属を申し出てきた人間。水銀燈の長い生の中でもトップクラスのイレギュラー。
この数時間話した限りでは、裏がなさそうだということは何となくわかった。
柿崎めぐのように生きる気力を無くしたのか、と最初は思ったが、話していくうちにそうでないことはすぐ理解した。
桐山和雄にはこれといって明確な指針、生きる目的というものは無い。
生きているのなら、ただ生きるのみ。そこには希望も絶望もなく、人を人たらしめる想いや感情、そういったものも希薄である。
ある意味ではドール以上に無機質で、熱の感じられない人形のような人間。
彼が本物のドールである水銀燈と出会い隷属を誓ったのは、気まぐれな神な悪戯のように思える。
閑話休題。
とにもかくにも、彼の知り合いは四人いるとのこと。
七原秋也、三村信史、杉村弘樹、相馬光子。
この内、七原なる少年以外すべてを桐山が殺害したということを聞いた時は心底驚いたものだ。
死んだ人間が生き返る(これは桐山自身もそうであるらしいのだが)こともだが、それを大したことではないように語る桐山の表情は平静そのもの。
彼の弁を信じるなら『自らを殺した』人物である七原秋也に対しても、恨み辛み一つぶつける素振りを見せないでいる。
「七原は信用してもいい。杉村もだ。俺の姿を見れば動揺はするだろうが、少なくとも一方的に敵対されるということはないはずだ」
自分や他人の生き死にをまるで他人事のように語る桐山は、人外の存在である水銀燈にすら理解しかねるものだった。
が、その氷のような精神はこの状況では有用なものではある。
動揺せず、必要以上に自己主張することもなく、ただ水銀燈の意志のままに動く桐山は駒としては文句のつけどころがない。
「他の二人は駄目だな。三村は俺を許さないだろうし、相馬はそもそも手を組むに値する女ではない」
「まあ、自分を殺したやつを許せるかって言ったらねぇ」
「俺は七原を恨んではいないが」
「それはあなたがおかしいのよぉ……」
当面の目標として、協力者の確保が第一だろう。
戦える者、参加者を縛る首輪を外せそうな者、そしてあの影のような人物を知る者。
戦力、技術、そして情報。この三つを揃えることが現況を打破する唯一の道。
戦力面においては水銀燈とてそこらの人間などに後れを取る気はしないが、万が一ということもある。自分が矢面に立つことはできる限り避けたい。
そのためしもべである桐山にそこを期待したいところだが、桐山自身は特にさしたる能力を持たないただの中学生である。
桐山の身体能力や機転は単なる中学生の域を軽く凌駕しているのであるが、桐山は自身を過大評価してはいない。
よって自己申告は多分に控えめなものになり、強力な武器でもない限り当面はさして役に立てないということだった。
「そして、nのフィールドへの出入りも制限されている……」
そう呟く水銀燈は水面に立っている。
翼をはためかせているわけではなく、両の足でしっかりと。
水面には揺らぎ一つなく、まるで鏡のように満月を映し出している。
桐山が試しに自分も水に足を踏み入れると、鏡は瞬間に崩れ波紋が広がっていった。
「あなた、鏡を持ってないかしら?」
「手鏡でいいのならある」
桐山に手渡された小さな手鏡を受取り、水銀燈は指先を鏡面に押し当てる。
すると、本来であれば鏡面に留まり指紋を残すはずの指先は、先ほど水面がそうあるべきだったように鏡の中へと沈みこんでいく。
淡く発光する鏡をじっと眺め、水銀燈はおもむろに指先を抜く。
「……駄目ね。一時的に侵入することはできてもすぐに弾かれる。無理に押し入ろうとすれば身体がバラバラになってしまいそうだわ」
集中すれば片手くらいは突っ込めそうだが、指を突き入れただけでも身体がどっと疲労を訴えてくる。
指先でさえこうなのだから、全身を侵入させようとすればその瞬間に砕け散ってしまってもおかしくはない。
「緊急避難としてnのフィールドに逃げ込むことはできないと考えた方がよさそうね」
「鏡や水のあるところに自由に出入りできるのならば、逃亡や暗殺を防ぐことはおよそ不可能だ。当然の処置だろう」
「まあそれもそうね。どうやって干渉しているのか、って点は気になるけれど……」
それを言うならローゼンメイデン全員をこの殺し合いに放り込んだことからして異常なのだが。
あの影のような人物の途方もない力について、やはり情報は必要となる。
「まあ、今考えても仕方ないことね。それよりあなたの持ち物を……」
「水銀燈」
手慰みに鏡に指先を出し入れさせながら支給された道具を確認しようとしたとき、静かながらも僅かに硬い声が水銀燈を遮る。
桐山は音もなく立ち上がり、水銀燈の背後を見て――睨んでいた。
夜の暗闇に溶け込むように一人の男が立っている。
黒いロングコートから伸びてきた手には、四角い箱らしきものが握られていた。
気を抜いていたつもりはないが、やはり桐山の存在に少なからず安堵している自分がいたのだろうか?
男の接近に気付けなかった自分を内心で叱咤し、水銀燈は慌てて桐山の背後に回る。
現状では自分より劣る桐山を盾にするのも情けない話だが、剣呑な雰囲気を漂わせる他者を前にすれば多少の恥など何ほどのことでもない。
「今、鏡から呼び出したな。それがおまえの契約したモンスターか」
「……?」
水銀燈を一瞥し、すぐに桐山に視線を戻した男がそう吐き捨てる。
しかし、『それ』が何を意味するかを当の二人は理解できはしない。
何も言うつもりがないらしい桐山――水銀燈に従うのだから、対応は任せるということだろう――の背中から水銀燈は慎重に男に話しかけた。
「何を言ってるのかよくわからないのだけど。私たちに何か御用なのかしら」
「……ミラーモンスターが喋る? 新種だというのか……?」
「だから、モンスターって一体何の話なのよ」
水銀燈が喋ったことに驚愕したらしい男は、左手に握った箱を水面へと突き出す。
男は一度俯く。次に顔を上げた時には、鋭い眼差しが戦意を湛えて水銀燈を貫いた。
「ライダーが相手ならちょうどいい。何より……おまえのモンスターは、気に障る。嫌なものを思い出す」
「水銀燈、下がれ!」
張り詰めた男の声に反応し、桐山が水銀燈を突き飛ばす。
直後、空いた空間を瞬時に何かが走り抜ける――それは異形の蝙蝠だった。
力強く構えられる男の右腕。
「変身」
見れば、いつの間にか男の腰に金属の環――ベルトが出現している。
男はそのベルトの中心、空いたバックルの部分に手にしていた箱を叩き込んだ。
閃光が闇を払い、水銀燈は思わず手を翳し目を保護する。
光が収まったとき、男は消えて代わりに西洋の甲冑を纏った騎士の影が佇んでいた。
「な……」
「はぁっ!」
騎士は柄頭に装飾の施された細剣を手の中で一回転させると、瞬く間に水銀燈たちの眼前へと踏み込んできた。
人間の脚力では望み得ない速度。事情は分からないが状況はわかった。
つまり今この瞬間、水銀燈と桐山和雄は『敵に襲われている』ということが。
一も二もなく水銀燈は翼を打って上空へと逃れる。
(しまった……!)
だが、安全を確保した喜びよりも先に、桐山の安否が思考の大半を奪う。
自分が離脱することしか考えられず、貴重なしもべのことまで頭が回っていなかった。
が、責められることでもない。アリスゲームという戦いの中にあって、このような敵と遭遇したことはさすがに初めてである。
些か以上に動揺している自分を自覚し、水銀燈は眼下へと目を凝らす。
が、心配は杞憂に終わった。
水銀燈が背後から安全地へと脱出したのを確認した桐山は、即座に自分のバッグから硬貨の入った袋を取り出していた。
容量限度いっぱいまで硬貨が詰められた袋は鈍器としてもそれなりに使えるだろうが、あくまでそれは尋常な人間相手のことだ。
見るからに堅そうな鎧を纏う男に対して有効打は望めないだろう。
それを瞬時に判断した桐山は、袋で殴るのではなく袋を放り投げる。騎士の仮面のすぐ前に。
細剣が一閃し、袋が切り裂かれる。途端、風船が割れたかのように放逐される硬貨の群れ。
騎士の踏み込みによって舞い上がった水飛沫が硬貨に付着し、月光を乱反射させる。
視界を埋め尽くす光に幻惑され騎士は立ち尽くす。
その隙を逃さず桐山は後退。その機転と度胸に水銀燈は密かに舌を巻いた。
「……ただの人間って、嘘っぱちじゃない」
淡々と状況に対処した桐山の横顔は鉄仮面のように動き一つない。
次々に落下していくコインを一枚掴み、騎士は何故か憤った声を吐き出した。
「……金を粗末に扱うな」
「斬ったのはおまえだ」
「チィッ……!」
しかし桐山に即座に反論され、騎士は苛立たしげに舌打ちした。
兜の奥で逡巡する瞳が桐山を捉える。
「どうした、なぜ変身しない!」
「変身……?」
「おまえもライダーだろう! ライダーならば俺と戦え!」
よくよく考えれば先の攻撃は桐山ではなく自分を狙った一撃だった、と水銀燈は頭上から二人を眺める。
騎士は桐山を前にしているものの、意識の大半は水銀燈へ向けている。
迂闊な動きをすればすぐにでもあの細剣が飛んできそうに思える。
「おまえは何か誤解をしているようだ。そもそも俺たちは殺し合いをする気はない」
「そっちになくても……!」
言い含めるような桐山の言葉にさらに激昂したか、男は剣を持たない手で桐山へと殴りかかっていく。
やはり人間の運動速度を遥かに超越したその拳は、当たれば桐山の頭蓋など木端に砕けそうなほどの迫力を有していたが、
「……? さっきより遅い……」
俯瞰していた水銀燈から見れば、先ほどの剣戟にあった殺気が今回の拳には見られなかった。
その感覚を裏付けるように桐山は左右に身体を振って易々と回避する。
小細工も何もない、純粋に人間の成し得るレベルでの動きを持ってして、騎士の攻撃は次々と避けられていく。
騎士の連撃を竜巻とすれば、桐山は風に舞い踊る木の葉か。
桐山は瞬きの間にするっと騎士の懐へと潜り込み、ぽん、と騎士の胸に右の掌を置いた。
直後、桐山の足下が破裂する。水面が爆発し、上空にいる水銀燈にまで飛沫が届く。
翼が濡れるのを嫌った水銀燈が滑空しながら地面へと降りていくと、示し合わせたように桐山が後退してきて水銀燈を受け止めた。
「ちょっとあなた、今何をしたのよ。あいつを倒したの?」
「大したことじゃない。効いてもいない」
やはり平然とそう答える桐山に反駁する間もなく、水柱の中から騎士が歩み出てきた。
拳を解いて胸に手を当てているが、それは痛みや傷を気にしている風ではなく、純粋に何をされたか理解できない戸惑いのようなものが感じられた。
「ライダーではない生身の攻撃で、ライダーに衝撃を通すか。おまえ、只者ではないな」
桐山の一撃は、本人の言葉通り痛撃にはならず。どうやら騎士を本気にさせただけに終わったようだ。
俄かに緊張感を増した騎士の声にただならぬものを感じたのは水銀燈だけではなかったようで、
「水銀燈、俺が残って時間を稼ぐ。おまえは逃げろ」
桐山は盛大に水を蹴って騎士の視界を塞ぎ、水銀燈を抱えて後方へと疾走する。
その一方で小声で切り出された言葉に、ローゼンメイデンの矜持は大いに刺激された。
「逃げるって……この私に尻尾を巻いて逃げ出せと言うの?」
「奴の狙いはおまえだ。適当に相手をしたらおれも逃げる」
「そうじゃないわ! あなた、誰に向かって!」
「今までのやつは力の半分も出していない。本気で来られたら、二人とも殺されるだけだ」
相変わらず焦った感じはしないものの、桐山は状況を甚だ不利だと見ているのは水銀燈にも伝わってきた。
未だ水銀燈自身は騎士と手を合わせてはいないものの、姉妹の誰とも違う力を見せる敵を相手に勝てると言い切れはしないのが実情だ。
しかし強力な力を行使するとはいえ、たかが人間相手に遁走するというのはそれだけでローゼンメイデンの誇りに泥を浴びせる行為でもある。
殺し合いに加担する気が薄いとはいえ、襲われて無抵抗を貫けるはずもない。
身にかかる火の粉は振り払わねばならない。相手の生死はそれこそ成り行き次第だ。
誇りが逃走を許さないのならば、戦って勝てばいい。
しかし勝つためには純然たる力が足りない。
ならば――どうすればいいか?
決まっている。
現状で勝てないのならば、新たなカードをヒットするだけだ。
「――あなた、私に従うのよねぇ?」
「そう言った。だから逃げろと言っている」
「それは私を死なせないため?」
「そうだ。おまえが死を望むなら別だが」
「お断りよ、そんなの。いい? 私のしもべになりたいというのなら」
水銀燈が自らのバッグから取り出したものを見て、桐山は目を細める。掌に収まるサイズの四角い箱。
先ほどまでは無用の長物と落胆していたが、本当の使い方は相対している敵が教えてくれた。
箱の表面には黒く染め上げられた竜を象ったしるし。
騎士の男が持っていたものと細部が異なる、しかし秘める力はほぼ同一の。
解放の時を待っている――力。
「私を害そうとする者がいるのなら、誰が相手だろうとそいつを倒して私を護って見せなさい。それがただ一つ、私があなたに望むこと」
水銀燈の手にある箱を、桐山はじっと見つめる。
これは言葉以上のもの。隷属の証を意味する、契約の儀式。
その手を取るかどうか――桐山和雄は、一瞬たりとも迷いはしなかった。
「いいだろう。敵を倒せ――それが二つ目の命令だな」
「ええ……認めましょう、桐山和雄。あなたは今この時を以て、この私、ローゼンメイデン第一ドール水銀燈の、唯一無二の『剣』となる――」
運命を変える切り札――箱、カードデッキを、桐山は掴み取った。
振り向く。水銀燈が桐山の腕を離れ、自らの翼で優雅に飛翔する。
視線の先、そこには敵がいる。
水銀燈が倒せと指し示した、桐山和雄の敵が。
「ようやく、その気になったか」
答える騎士の声には、ようやくという感慨。生身の中学生を甚振るのは本意ではなかったというような。
閃いた思考を切って捨て、桐山は男がそうやって見せたように箱を水面に――腰を締め付けるベルトの感覚。
戦う力は手に入れた。
戦う理由は水銀燈が指し示してくれる。
そして、戦って勝利すべき敵は目の前にいる。
何も、迷うことは、ない。
桐山和雄はただそうあるべきであり、そう生きるのみ。
息を強く、強く吸い――止める。
「変身」
鍵となる言葉が虚空に解けて、契約は履行された。
全身を覆う、力強き脈動を感じる。
見開いた瞳に移る新たな世界。
騎士が瞠目する――城戸のデッキか、という呟き。
漆黒の天使を主と掲げ、黒き龍の戦士が戦場へと降り立った。
【G-2/水辺/一日目・深夜】
【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
[状態]:健康、仮面ライダーナイトに変身中
[装備]:カードデッキ(ナイト)
[道具]:基本支給品、不明支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:戦いに乗るかどうか決めかねている
1:俺は、どうしたらいい……
2:ライダーが相手なら、戦える
3:水銀燈が気に入らない
[備考]
・参戦時期:少なくとも恵理が目覚めるより前、手塚との出会い以降からの参戦
・水銀燈を新種のミラーモンスターだと認識しています。
[共通備考]
F-2の墓場には、参加者の元いた世界の脱落者、関係者の墓が多数存在。(※死者に限る)
【水銀燈@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:桐山和雄(隷属させている)
[道具]:基本支給品、不明支給品1
[思考・状況]
基本行動方針:アリスゲームを元の世界で続けるために主催に反逆する。
1:騎士(秋山蓮)に対処する
2:桐山和雄以外の参加者との接触。とりあえず姉妹たちを優先してみる(真紅を優先)
【備考】
※参戦時期はローゼンメイデン4巻終了時です。
【桐山和雄@バトル・ロワイアル】
[状態]:健康、仮面ライダーリュウガに変身中
[装備]:カードデッキ(リュウガ)
[道具]:基本支給品、たくさん百円硬貨が入った袋(破れて中身が散乱している)、手鏡
[思考・状況]
基本行動方針:水銀燈の仰せのままに。
1:水銀燈に付き従う。
【備考】
※参戦時期は死亡後です。
以上代理投下終了
っっっっっ乙!!!
熱い! 戦う前だけども、熱いなあもう!
主である水銀燈を生かそうとする桐山
それに対して水銀燈は下僕だけに任せたたまるかって言う勢い!!
うおお! まじで乙です!!
投下乙です!
なんだろうw これから起こる戦闘を前に胸がワクワクするw
迷いながらもライダー同士の戦いを進む連がすごく彼らしいな
桐山と水銀燈のペアの関係もより強化されたし、一体どうなるんだ!? 桐山が杉村からラーニングした技をすっかり使いこなしてちょっとワロタw
開幕だしいまいち展開に盛り上がりが無かったと思ったら急に熱い展開がきたでござるの巻
投下乙
テスト兼投下乙
桐山凄いw
投下乙です
熱い!銀様も桐山も熱い!
コインを目くらましにするとか小技も効いてて、桐山がすげぇ頼もしい
そして相変わらず銀様が綺麗すぎる。もうこの2人がロワの主人公で良いよ。
投下乙!
この桐山は新しい、面白いです。
いま、ダンガンロンパに手を出してるんだがこのロワに出せたな
もうちょい発売時期が早ければなぁ
この書き手氏はロワロワ初投下か
他の作品も読んでみたいね
桐山いいなw
やっぱりライダーバトル突入はいいねえ
っていうか何気に右上の激戦区ぶりが凄いw
ミチルは原作通り上手いこと無駄な戦闘避けやがったw
右上:桐山&水銀燈VS蓮 近くにジョーカーヨキ&ハード
左上:浅倉大暴れの予感
右下:チャン右頭が徘徊中
左下:由乃VSレオ
中央:ゼオン
どこもかしこも凄いなw 綺麗な対主催がいない件
387 :
創る名無しに見る名無し:2011/02/19(土) 12:23:31 ID:xsCwSpZK
このパートの予約がもう入っているな
熱いバトル展開を期待してるぜw
しかし桐山にリュウガか。これって結構ベストマッチじゃね?
原作バトルロワイアルで桐山は主人公七原の最大の敵で、また人間らしい七原と人間らしくない桐山と、
龍騎原作のリュウガのポジション、城戸とリュウガの関係など色々似通ってる部分があるw
銀様が黒いから合わせたってこともあるだろうけどw
バトロワ勢の装備
七原:法の番人だかの一族のアースの剣
杉村:英雄を目指していた男のデッキ
桐山:主人公の対でヒロインを殺したライダーのデッキ
こんな感じか
みむ…いや何でもない
もしかしたらおでんが入ってたのかもしれんぜw
三村「オーディンが支給されてたら俺の時代だった」
ゼオン「はいはいワロスワロス」
もし三村に龍騎のカードデッキが支給されていたとしたら似合いそうなのはガイのデッキかな
芝浦となんとなく似ていると思う
作中のトップマーダーに中盤に殺されるところとかw
てか相馬光子は?ww
相馬さんは体が武器みたいなもんじゃn
なんとなく全キャラの不明支給品を調べてみた
書き手さんは気付いたら出したい支給品を出し忘れたってことがないように参考にどうぞw
wikiに載せるほど大した内容じゃないと思うんで、転載はいらないと思いますw
【仮面ライダー龍騎】
秋山蓮:不明支給品×1
浅倉威:不明支給品×1
香川英行:不明支給品×1
【金色のガッシュ!!】
ティオ:不明支給品×0〜1
ゼオン・ベル:不明支給品×2〜4(ゼオン、三村(武器ではない))
レオパルドン・パピプリオ:不明支給品1〜2
【バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
甲賀弦之介:不明支給品1〜2
薬師寺天膳:不明支給品×1〜2
陽炎:不明支給品×2〜3
霞刑部:不明支給品2〜3
筑摩小四郎:不明支給品1〜2
【ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
ミツル:不明支給品×1
チャン:不明支給品×1
カントリーマン:不明支給品×1
【未来日記】
【ローゼンメイデン】
水銀燈:不明支給品1
金糸雀:不明支給品×1〜2
翠星石:不明支給品×1〜2
蒼星石:不明支給品×1〜2
【銀齢の果て】
宇谷九一郎:不明支給品×1〜2
猿谷甚一:不明支給品×1〜2(本人確認済)
乾志摩夫:不明支給品1〜3
【バトルロワイアル】
相馬光子:不明支給品×2〜4(是方0〜1、相馬2〜3)
【BTOOOM!】
【WaqWaq ワークワーク】
シオ:不明支給品×1
ノール:不明支給品0〜1
バジリスクキャラは意外と不明支給品多いのな
バジリスク勢は元々手ぶらで己の忍術で戦うタイプだからかね
朧さん以外はほとんど荷物を確認していないね
龍騎とかガッシュはデッキと魔本ありきだからまっさきに荷物を確認しているっぽい
一般人系は言わずもがな
さすがNINJA
投下します
戦場と化した場で向かい合うのは黒き騎士と黒き戦士。
戦士の背後に浮かぶのは隙を見て攻撃を仕掛ける瞬間を伺う黒き翼を持つ怪物。
細い剣を手に半身の姿勢をとりながら秋山蓮は対峙する二人の実力を見定めようとする。
城戸のデッキを用いて変身したライダーはその挙措から
どことなくぎこちなさを感じさせる。
そう踏んだ秋山は地面を渾身の力で蹴り、飛ぶように桐山へと斬りかかる。
水銀燈と呼ばれたミラーモンスターへ行った攻撃とは違い
正真正銘に契約者であるライダーに対しての斬撃だ。
だがソレを漆黒のリュウキは大きく距離を取ることで避ける。
どう見ても無駄に大きい動作である。
あそこまで離れてしまったら回避行動は状況のリセットにしかならない。
やはり相手の実力不足は疑うべくもなく、ナイトは再び地面を蹴り追撃を行う。
瞬く間に縮まる両者の距離。
本気のライダー同士の戦いを見るのが初めてであろう宙に浮かんだままの
水銀燈は目を見開いたまま手を出そうとすらしない。
間違いなくやったと確信した秋山の判断は次の瞬間に裏切られる。
後ろに飛んだ少年はその勢いを殺さず地面へと後転するような形で倒れこむ。
横に切り裂く攻撃は空を舞い。
意識は本来あり得ないようなタイミングで
繰り出される鳩尾への蹴撃のガードに向けられる。
ガード越しに伝わる衝撃は途方もなく、秋山は為す術なく吹き飛ばされた。
詰めた距離をそのまま帳消しにされるような蹴りを受けた秋山の眼に映るのは
後転の動作を両手と地面の衝突で無理矢理中断させ
そのまま頭跳ね起きの要領で両脚を撃ちこんできた桐山の姿。
(くそっ、ハメられた!)
そう思った秋山は小さく舌打ちする。
油断を見透かされた上での罠だったということだろう。
あそこまで人体の動きを超越した攻撃はライダーの性能を熟知した上でなければ不可能。
つまりはある程度の期間にわたってライダーバトルを戦い抜いたということになる。
本来ならば待ちの態勢をとり相手の出方をもう一度窺いたいところだが
ナイトへと飛来する弾丸の如きスピードの羽がそれを許さない。
水銀燈の攻撃から地面を転がることで逃げた秋山はカードを挿し込み、
自らの契約モンスターであるダークウィングをマントに変化させ身を包ませる。
水銀燈の攻撃に追従するように間合いを詰めてきた桐山の突きは右手に持つ剣で受け止め、
左手でマントの裾を掴み翻すことで雨のように降りそそがれた先程の羽に備える。
桐山から繰り出される中段への右回し蹴りは高く上げられた左足の脛で受ける。
後方からの飛来音には手の動きを少し工夫することでマントを巧みに操り全て弾く。
背後からの一撃にかなりの自信があったのであろう水銀燈は
あっけ無く防がれたことに驚愕の声を漏らした。
それにより、水銀燈の戦意を一定以上削ぐことができたと確信したナイトは
戦いの速度を上げ短期決戦へ狙いを定める。
密着したままひたすらに斬る。仮面ライダーとしての膂力だけで剣を振るう騎士。
密着したままひたすらに殴る。仮面ライダーとしての腕力だけで拳を振るう戦士。
距離を離しもせず縮めもせず一定を保ったまま攻撃を放ちあう二人。
時間が経つにつれて飛躍的に濃くなるエネルギーの衝突に
割り込める者はそういないだろう。
それは水銀燈も同じであり歯噛みしながら状況を見つめるしかない。
――秋山の刺突を拳で払った桐山がその手を裏拳へと変えこめかみを打ちつけようとするが
額で受け止めた秋山が持ち手を順手から逆手に変え柄頭を桐山の胸部に叩き込もうとするが
桐山もまた空いた手で軌道を逸らし前に出していた左脚のスナップを効かせた鞭のよう
な足刀で秋山の内腿を打とうとするがそれもまた両脚をスイッチすることで前に出した右足で受け止め――
時が流れれば流れるほどに秋山の疲労と焦燥が増大する。
これほどに勝負を決める糸口が見えないとは予想だにしなかった。
牽制代わりに撃ちこまれる水銀燈からの射撃も徐々に精度が増していく。
それはミラーモンスターも戦いのスピードに順応してきたということを意味する。
そうなれば最終的には最初のような二体一の状況へと戻ってしまう。
そうなれば消費が大きい仮面ライダーナイトの敗北は明らか。
相手の実力は明らかに予想の埒外。
そして不可解なのが目の前のライダーのスペックは
秋山蓮の記憶より上のスペックであるように感じられることだ。
手の内を知り尽くした性能と思いきやその全てが城戸真司のリュウキの先を行っている。
相手が予測を裏切る力と速さを持っていることがナイトの攻撃に僅かな躊躇いを作る。
だが秋山蓮の心に迷いはあれど、敗北を受け入れる意志は欠片もない。
剣を振るうならば勝ちを狙うしかない。
それを止めるのならば最愛の彼女だけでなく全てを諦めることと同義だ。
戦わなければ生き残れないのは仮面ライダーへと身をやつした者が実感する一つの真理。
黒龍のライダーも黒い翼を持つ怪物の脅威も彼が死を許容するには至らない。
桐山の拳がついに明確な形で秋山の胸部を打つ。
たたらを踏むように後退した彼の鳩尾に続けてめり込む
まさかりのような剛力を持つ足刀。
秋山の視界が宵闇の暗さから苦痛で埋めつくされた黒へと塗り変えられる。
彼の膝が地面につき屈したような姿勢になる。
空気の唸りが秋山の耳に入る。
恵理の姿が秋山の脳裏に浮かぶ。
大丈夫だ。大丈夫だとも。
陽炎のように揺らめく彼女に青年はそう伝える。
秋山蓮に【―SWORD VENT―】敗北を受け入れる気はない。
突如として秋山の手中から伸び出る突撃槍が
秋山の頭部を砕かんとする桐山の攻撃を退ける。
一人を退けられたとしても、もう一人の攻勢が終わるわけではない。
前衛が退いたことで巧みに後衛の射線上に桐山を立たせることで成立した
一種の膠着状態が解け。
天使のような姿のモンスターが全ての力をもって攻撃してくる。
場を支配する黒羽の嵐。それが寸分の漏れも隙もなく秋山へと雪崩れこんでいく。
その真っ只中にいる仮面ライダーナイトは
体勢を立て直そうとする桐山には目もくれずに羽の射手へと駆ける。
それを迎え撃つのは波状の羽。羽。羽。
マントが怪物へと戻りその口から音の壁を発生させる。
「金糸雀と同じタイプの攻撃!?」
水銀燈は驚愕の表情を顔に貼りつけながら言う。
顔を判別できたのはダークウィングが秋山を囲む羽の壁に
彼女へと続く穴を穿ったからだ。
背後から迫り来るは桐山。
それに対応するのはこの瞬間まで温存しておいた多対一に適したカード。
穴へと走りながらカードを挿し込む。
現れるのは仮面ライダーナイトの分身。
一人を残し他の全てを後ろの桐山へぶつける。
幻体達とあの少年の勝負の行方を待つ暇はない。
飛び交う羽の群れを躱し、秋山とともに疾走している幻体が
今にも閉じられるであろう水銀燈への道の前で本体のほうを振り向く。
分身体の両手に脚をおき、そこを支点に幻体の助力を受けて大きくジャンプする。
秋山が超高速で水銀燈へと接近する。
纏わりつこうとしている羽の奔流は
騎士を押し潰そうと躍起になるが追いつくこと、叶わない。
「くっ……!」
焦燥の表情を浮かべる水銀燈を一刀両断に斬り捨てようと
秋山が速度を殺さずエネルギーを剣へと変換する。
「なぁんて、焦るとでも思った?」
切迫したかのように見えた天使は口元に酷薄な笑みを浮かべる。
水銀燈の背にある両翼そのものが水銀燈をすっぽり包み、ナイトの一撃を受ける。
二つの羽が重なり、盾となったことで秋山蓮の剣が半ばで止まる。
後ろから圧殺せんとやってくる水銀燈の攻撃。
後ろから殴殺せんとやってくるリュウキの追跡。
逃げ場はない。視界がさらなる闇で賑わう。
ここで終わるのか。
迷いを抱いたまま仮面ライダーナイトは願いの道半ばで死ぬのか。
愛しき女性を二度とその両の腕に抱けぬまま終わってしまうのか。
ダークウィングに奪われた幸福は
眼前の黒き翼を持つミラーモンスターによって取り返すことすら許されず殺されるのか。
「俺は」
左手が腰のベルトに伸び、カードを引く。
「二度とお前たちには奪われない!!」
―FINAL VENT―
ダークウィングが秋山の体を巨大な一つの槍へと変える。
巨大な槍と場に展開されていた羽が一つへと集まり槌へと変化したものが
真っ向からぶつかりあう。
純然たる暴力となった秋山蓮と水銀燈。
互いの力の衝突で空気が歪む。周囲に漂う不純物が蒸発する。
獣のような咆哮をあげながらひたすらに相手の命を奪わんとする二人。
飛び散る火花が闇夜を光で染める。
拮抗状態に見える両者に訪れる変化。
秋山に展開されていたランスは攻撃により徐々に剥がれ、
水銀燈の攻撃も綻びが生じ始めている。
「私は」
ありったけの力を振り絞る水銀燈。
敵意という名の意志に満ちた眼で敵を睨みつける。
平時の秋山ならそこにミラーモンスターとは隔絶した何かを感じることができたであろう。
だが
「負けられないのよ」
現実は
「あの子の」
すべての者と分かりあえるほどに優しく
「めぐのために!!」
できていない。
秋山は遂に水銀燈を超え。彼女の下半身を修復のしようがないほどに破壊する。
だがその瞳は困惑に満ちている。
それが隙を産み、秋山は着地した彼の背に桐山の両手がそっと触れるのを防ぐことができない。
生身でも仮面ライダーを吹き飛ばすほどの威力。
それが両の手によるものとなり
更に仮面ライダーの力が加わればどれほどの物になるか。
背中が爆発するような衝撃を受け、秋山は途方もない距離を吹き飛ばされた。
(これは……まずい!!)
このコンディションでは連戦は不可能。
ミラーモンスターを倒したのだからあの仮面ライダーは死んだも同然。
無理して戦う必要はないと自らに言い聞かせ、秋山はわき目もふらず逃亡を選ぶ。
水銀燈と呼ばれたミラーモンスターの眼にたしかに自分と通じるものを認めながら、
自分は何かを喪ってしまったという確かな実感を伴いながら、
秋山蓮は戦場を去った。
【G-3/水辺/一日目・黎明】
【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
[状態]:健康、ダメージ(中)、疲労(大)
[装備]:カードデッキ(ナイト)
[道具]:基本支給品、不明支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:戦いに乗るかどうか決めかねている
1:俺は、どうしたらいい……
[備考]
? 参戦時期:少なくとも恵理が目覚めるより前、手塚との出会い以降からの参戦
? 水銀燈を新種のミラーモンスターだと認識?
[共通備考]
F-2の墓場には、参加者の元いた世界の脱落者、関係者の墓が多数存在。(※死者に限る)
…………………………………………………………………………………………………………。
水銀燈は敗北し、地面に横たわっている。
下半身が丸ごと抉られた今の身ではもはやどうしようもないだろう。
敗北を覚悟しなかったことはないと思っていた。
だがそれが、こんなアリスゲームとは無関係な場所で
これほどに呆気ない形で訪れるとは予想していなかった。
「命令をくれ。水銀燈」
水銀燈の傍らで彼女の目を覗き込むようにしながら桐山は言う。
「あの男は?」
「逃げた」
そう、と水銀燈は興味なさ気につぶやく。
「お前を害そうとする者がいるのなら、
誰が相手だろうとそいつを倒してお前を護れと命じられた。
だが俺はその命令を果たすことができなかった」
沈黙を保ちながら見つめる水銀燈の瞳を受け、桐山は言葉を続ける。
まるで言い訳をする子供のように。
まるで主に懺悔をする騎士のように。
「だからお前は俺にどんなことでも命令する権利がある。
このゲームに優勝してお前を生き返らせろと命じるのなら
俺はどんな手段を用いてもそうしよう。
お前をアリスにしろと言うのなら
俺はどんなことをしてでもそうしよう……だから、早く」
俺に命令を。と、桐山の訴えを受けた水銀燈は少しだけ考える。
生き返る? それは何によってだ?
あの不快な、アリスゲームを侮辱し愚弄した下衆な影が持つ力によってではないのか?
それに自分は“お父様”に与えられたローザミスティカを弄ばれ、
ゴミのように、薔薇乙女の美しさとは限りなく遠い形で作りかえられるというのか。
蒼星石の復活劇をここに来る前に見た。
神業級の職人の手を愛おしそうに撫でる彼女の姿を見た。
ならば自分が生き返ったら自分を殺しあわせた
張本人に頭を垂れて頬ずりしろというのか。
怖気の走る光景だ。吐き気すらもよおす。
ローゼンメイデンの誇りがそれを許さない。
「いいわ。そんなことをしなくても」
だが自分が死んだままならあの娘はどうなる。
不治の病に侵され、自分に負けず劣らずイカレて病んだ心のあの娘はどうなる。
不快な末妹に囚われた姿が眼に浮かぶ。
あの光景を見たときの憎悪が蘇る。
そして、
殺風景な病院の一室。
薬品と死の匂いが漂う空間で二人、同じシーツを身にくるみ
二人の花嫁が交わした言葉を思いだす。
――病める時も健やかなる時も死が二人を別つまで……
いいえ、死んでも私達は――
「私の……羽を柿崎めぐという娘に届けなさい」
進み行く崩壊に抗うかのように水銀燈は命令を下す。
「……わかった。俺はお前の羽をその少女に届けるために戦う」
「それが済んだら、何としてでもその子を助けなさい。守りなさい。
その子の願いをすべて叶えなさい」
「ああ。俺はその少女の意思を守る」
「それが済んだら――」
塵になる時が近づき、水銀燈から声を奪おうと喉を絞めあげる。
お父様……もう少しだけ。時を……
「これが最期の命令よ。アリスゲームを守りなさい。
もう誰にも私の誇りを邪魔されないように、犯されないように。
永遠に守りぬきなさい」
闇が近づく。夜空が降ってくる。これが死か。
これが死なのだろうか。
こんなものを柿崎めぐは望んだのだろうか。
――からたちの花が咲いたよ。
白い白い花が咲いたよ。――
歌が聞こえる。病室であの子が歌った歌が。
水銀燈も好んだ歌が。
――からたちのとげはいたいよ。
いい針のとげだよ。――
マスターの姿が見える。
病室の隅で退屈そうに頬杖を突きながら天使が来るのを待つ少女が見える。
――からたちは畑の垣根よ。
いつもいつもとほる道だよ。――
「全て承知した」
桐山の声が遠くから聞こえる。
この世界で行動を共にした人形のような少年の声が聞こえる。
「俺は。お前の“願い”の為に生きる」
――からたちも秋はみのるよ。
まろいまろい金のたまだよ。――
めぐが窓の外からやってくる水銀燈を見て笑みを浮かべる。
それを見て水銀燈も僅かに微笑む。
夜が、星が水銀燈の意識に帳を下ろす。
水銀燈の体がヒビ割れ、崩壊し、塵へと変える。
人形と人の終わりが同じものだとは思えない。
けれども、これが“死”だとするのなら――
悪くは、ないのかもしれない
――からたちのそばで泣いたよ。
みんなみんなやさしかつたよ。――
無へと還った水銀燈の前で桐山は佇む。
彼の右手に握られるのは主の首輪。
最期には笑みを浮かべていた水銀燈。
彼女の最期が桐山にどんな影響を残したのかを窺い知ることはできない。
何も影響を受けていないのかもしれない。
だが、彼女の死がどれほど無意味であったとしても。
彼がまだ見ぬ少女のために生き、戦うことを決めたのは真実。
老いることも成長することもなく朽ちて塵となるドールズ。
だが少なくとも水銀燈の言葉は魂とともに桐山へと受け継がれる。
散った薔薇の意思を継ぎ、見返りを求めず少女のために戦う。
その様は正に、騎士のごとく。ヒーローの如く。
――からたちの花が咲いたよ。
白い白い花が咲いたよ。――
【水銀燈@ローゼンメイデン 死亡確認】
【残り47名】
【G-2/水辺/一日目・黎明】
【桐山和雄@バトル・ロワイアル】
[状態]:健康、疲労(中)、ダメージ(小)
[装備]:カードデッキ(リュウガ)
[道具]:基本支給品×2、たくさん百円硬貨が入った袋(破れて中身が散乱している)、手鏡
水銀燈の首輪、不明支給品1、水銀燈の羽
[思考・状況]
基本行動方針:水銀燈の仰せのままに。
1:協力者を求める(ローゼンメイデン優先)
【備考】
※参戦時期は死亡後です。
※水銀燈のローザミスティカがどうなったかは後続の書き手の方にお任せします
以上で投下終了です
支援ありがとうございました
うおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!
やべえ、最後まで誇り高く生き抜いた銀様が綺麗すぎて、綺麗すぎて……
最期の笑みも脳内で手に取るように浮かぶぜ…。
和雄の「俺は。お前の“願い”の為に生きる」もどこまでも愚直に銀様の騎士であろうとするのがかっこいいし!
序盤からこんな興奮できる作品を投下してくれるとは……投下乙でした。
投下乙です!!
銀様ァァァァァァァァァ!! 熱いけど、どこか哀しい良バトルでした!
桐山の無感情ながらの子供っぽい部分が若干感じ取れたのもすごくいいw
蓮……哀しいよぅ…
個人的に大好きなフレーズ
>だが
「負けられないのよ」
現実は
「あの子の」
すべての者と分かりあえるほどに優しく
「めぐのために!!」
できていない。
ついでにいくつか指摘を
一つは勘違いかもしれないので、違ったらスルーで……
>>399 >戦士の背後に浮かぶのは隙を見て攻撃を仕掛ける瞬間を伺う黒き翼を持つ怪物
これ、戦士じゃなくて騎士じゃないでしょうか? 戦士=リュウガ 騎士=ナイト だと思ったんですが
怪物ってのが銀様のことなら勘違いなんですが、ダークウイングのことなら騎士かなぁと。
もう一点
>>400 >突如として秋山の手中から伸び出る突撃槍が
秋山の頭部を砕かんとする桐山の攻撃を退ける。
細かい指摘で本当に申し訳ないんですが、ナイトのSWORD VENTで現れるランスは毎回空(異次元?)から降ってきます
手元で精製されているっぽい描写な気がして、若干修正がいるかも… もし、読み込み不足なら申し訳ないです
投下乙!
銀様の最期は哀しいけれどそれ以上に気高く美しかった!
蓮は銀様の瞳に何を見たのか……
そして桐山、コイン占いという酔狂の果てに戦士の魂を見出すか!?
とりあえずBGMは「Revolution」で!
>>411 完全なミスです。申し訳ない。
>戦士の背後に浮かぶのは隙を見て攻撃を仕掛ける瞬間を伺う黒き翼を持つ怪物
>細かい指摘で本当に申し訳ないんですが、ナイトのSWORD VENTで現れるランスは毎回空(異次元?)から降ってきます
手元で精製されているっぽい描写な気がして、若干修正がいるかも… もし、読み込み不足なら申し訳ないです
なん…だと…?
申しわけありません。こちらの把握ミスです。
>戦士の背後に浮かぶのは隙を見て攻撃を仕掛ける瞬間を伺う黒き翼を持つ怪物
を
騎士の背後に浮かぶのは隙を見て攻撃を仕掛ける瞬間を伺う黒き翼を持つ怪物
に修正して
>突如として秋山の手中から伸び出る突撃槍が
秋山の頭部を砕かんとする桐山の攻撃を退ける。
を
突如として中に現れる突撃槍。
それを見て攻撃を中断し、警戒のため咄嗟に後退した桐山だが
その新たな武器をすぐにキャッチした秋山の刺突に僅かに触れてしまい、距離を一層大きく開けることとなる。
に修正します
>>413 了解ですー
銀様の誇り高き魂を受け継いだ桐山の今後に期待します!
銀様マジ天使
あ、違う!! 自分の何重もの勘違いだ!
怪物は水銀燈のことですw ごめんなさい。
ただ確かにミラーモンスターと混同しやすいので
>戦場と化した場で向かい合うのは黒き騎士と黒き戦士。
>戦士の背後に浮かぶのは隙を見て攻撃を仕掛ける瞬間を伺う黒き翼を持つ怪物。
を
戦場と化した場で向かい合うのは黒き騎士と黒き戦士。
戦士の背後に浮かぶのは隙を見て攻撃を仕掛ける瞬間を伺う黒き翼を持つ天使。
にまた変更します。
他もウィキ収録の時に修正しておきます。
あ、あと度々申し訳ないのですが。
こちらの都合によりタイトルを
『say goodbye and good day』
から
『 I want to cry for you 』
に変更させていただきます。
勝手ですが、なにぶんご容赦を。
これは……すごいな
銀様の最後の情景が美しすぎる
彼女が願った二つの願い
その一個目は想像できたけど、二個目にはやられた
アリスゲームを守れ、か。ああ、あんたは誇り高いローゼンメイデンだよ
金糸雀、平清、戦場マルコを投下します
「えらい豪華な暖炉がある部屋やな〜。こないな間取りの物件はワシかて中々取り扱わんで」
「よし、火が点いたぞ。」
今カナたちは先程争った部屋から移動して、暖炉のある部屋の中にいるわ。
カナとしては『楽してズルしていただきかしら〜』のモットーの通りに、この場所に居座りたいところかしら。
でも、二人とも探したい人がいるということでこの建物から移動することになったかしら。
断じて一人でお留守番するのが嫌だとかそういう理由じゃないかしら。
それでも何故まだ室内にいるのかというと、夜の雪原地帯を動き回るのは極めて危険であること。
そして、平清の大きなくしゃみを何度もしたことによって出鼻を挫かれて、明け方までは休息せざるを得ないという結論になったのかしら〜。
「外に雪が積もっていること、どうみても刑務所じゃ無さそうだし、ここがA-1水晶大宮殿(クリスタル・パレス)で間違いなさそうだな」
マルコが机の上に地図を広げながら話を切り出す。
カナたちが今いる場所は地図の北西の端っこかしら。この広い会場で人を探すとしたら、みんな明記された施設を目指すはずかしら。
そして、地図によると名称が明らかな施設は16箇所もあるかしら。
行き先を予測して行動しないと出会うのは困難かしら。
まったく……ここは一つ、薔薇乙女一の頭脳派のカナが助言をしてあげようかしら〜。
「戦場はん、愛はんが行きそうな場所に心辺りはありまへんか?」
「E-4の桜見タワーだ。おそらく愛のやつもそこに向かうはずだ。」
「桜見タワーやな。坂本はんは桜見タワーに向かいながら定期的に調べるさかい、当面の目的地はそこでええで」
あ……
だ、大丈夫よピチカート。カナはこれくらいじゃめげないかしら。
定期的に調べる――おそらく先程カナに渡したレーダーとやらを使うんだわ。
マルコに詳細を教えずカナには説明したことから、カナの方はそれなりに信用はされているみたいかしら。
人間との信頼……か。
「金糸雀もそれでええか?」
「…え、ええ。それでいいかしら」
元々話を仕切るのに慣れているのか、変平は結構手際がいいかしら。
「ところで、戦場はん。その頭のウネウネしたやつはどうにかなりまへんか?
そっちがいつでも攻撃できる状態っちゅうんは最低限の信頼関係すら築けないんとちゃいますか?」
マルコの探し人がいそうな施設を優先して回ると決定したタイミングで相手の武装解除の提案。
一人で探すのが困難なのをマルコも自覚しているからこそ同盟を申し出たはずかしら。
変平も中々ズル賢い人間かしら。
「ちっ……。まぁいいぜ。警戒してばっかじゃ疲れちまうしな。ある程度の信頼の証ってことだ」
信頼の証? それもあるだろうけれど、カナは見逃さないかしら。マルコの額に浮かんだ汗のことを。
この寒い城内で汗をかく? それはありえないかしら。
支給品といっていたあのウネウネを長時間使用するのは体力の消耗が激しいことの証拠だ。
大方、頃合を見計らって自分から解除する旨を伝えてきたはずかしら。
「とりあえず動き出すのは日が昇ってからだな。それまでにおっさんは寝とけよ。
この寒さで汗だくになったんじゃ体力も大分落ちているだろうしな」
その意見には賛成かしら〜
ってさっきからカナを無視して話を進めてないかしら〜??
まぁ……いいわ。ピチカート、貴女だけが私の味方かしら……。
◇ ◆ ◇
どこかの部屋から調達してきた毛布に身を包みながら、ちょこんと椅子に座る金糸雀。
しばらくして平の寝息が聞こえてくる。この会場に召集される以前から数日間、島でのサバイバル生活を強要されていた身だ。
久しぶりに室内での睡眠を彼は貪るように味わっている。起こさない限り明日の夜まで起きないかもしれない。
情報交換を仕切っていた平が床に就いたことで、両者の間に沈黙が広がる。
沈黙に耐え切れなくなったマルコが頭を掻きながら、その重くなった口を開く。
「いつまで縮こまっているんだ? あーその、なんだ。最初に攻撃したのは悪かったよ。短い間かもしれないが仲良くしようぜ?」
「別にもう気にしていないかしら」
「そ、そうか」
マルコが予想していたよりも素っ気無い返事だったのだろうか、再び沈黙が場を支配する。
部屋の隅ではアムルタートとピチカートが戯れているようだ。互いの主と違って既に仲良くなっている。
、今度は金糸雀の方から語りだす。
「マルコは何のためにこの殺し合いに乗っているのかしら?」
その質問は開戦の合図……ではないようだ。質問をする金糸雀の瞳には先程対峙したときのような敵意は感じない。
そこにあるのは、わからないことを大人に聞く子供の表情だった。
その真剣な眼差しに対して嘘や半端な言葉で返す行為は男として失礼にあたる。
「俺にとって一番大事なのは“愛”だ。LOVEという意味でも、美神愛という一人の人間という意味でも、だ。
俺は神になって愛と二人で永遠に生きるって決めたんだ。そのために俺は戦っている」
マルコは金糸雀の眼を真っ直ぐに見つめ返しながら返答する。
「金糸雀。お前自身にとって大事なものって何だ?」
「カナたち薔薇乙女の目的は、ローザミスティカを集めてお父様に会うことかしら……
その為に姉妹たちとアリスゲームを戦っているわ……」
金糸雀はドロワーズの裾を握り締め、俯き小さく震えながら答える。
「…………そうか」
金糸雀からアリスゲームの概要については聞いた。それは父親に会うために姉妹同士で戦うという胸糞悪い話だ。
たとえ金糸雀が生きる人形だとしても、マルコの思いは変わらない。
金糸雀は親の顔がわからない、親の愛情を知らないで育った子供なのだ。
親に捨てられ、幼少期を孤児院で過ごしたマルコには他人事のようには考えられなかった。
その言葉の裏にあるのは愛情に飢えている少女の叫びのようにマルコは感じた。
三度、部屋を沈黙が侵食する。
平の寝息と薪を燃やす炎の音だけが、部屋の中に響いている。
【A-1/クリスタル・パレス/1日目/黎明】
【金糸雀@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:金糸雀のバイオリン@ローゼンメイデン、レーダーのレプリカ@BTOOOM!
[道具]:基本支給品、不明支給品×1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:ズル賢く立ち回る。
1:戦場マルコ、変平と時が来るまでは行動をともにする
2:お父様、みんな……
[備考]
【平清@BTOOOM!】
[状態]:健康、睡眠中
[装備]:ジョゾの服@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品、BIM(ホーミングタイプ)×8@BTOOOM!、レーダー のレプリカ@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:脱出する。
1:戦場マルコ、金糸雀と身の安全が確信できるところまで行動を共にする。
3:金糸雀を信じたい。
2:信頼出来る仲間を探す。
[備考]
※4巻で指を切り落された以降の参戦です。
【戦場マルコ@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:交換日記のレプリカ・戦場マルコ用@未来日記、常勝無敗のケンカ日記のレプリカ@未来日記、
アムルタート@waqwaq
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:愛と合流し二人で生き残る
1:平清、金糸雀と美神愛を見つけるまで行動をともにする
2:愛を探し、見つけたら二人と別れる
3:金糸雀……
短いですが、以上で投下を終了します。
タイトルは「乙女になれない私の強がりをひとつ聞いてくれないかしら」です。
ちなみに元ネタはアニメ「金色のガッシュ・ベル!!」の主題歌「カサブタ」のサビです。
誤字脱字、文章におかしな点がありましたらご指摘いただけると嬉しいです。
投下乙ですー
いいねえ。このPTの危うさ
マルコも金糸雀も決して悪人ではないけども殺し合いにのってるという
ってか経歴的に見たら一番悪人なのって唯一の対主催である変平なんじゃなかろうかとw
投下乙
そういえばマルコと金糸雀はどっちも親の愛情を受けていないんだよな
マルコ・・・金糸雀の悩みから救ってやってくれ・・・
いやまあマルコ自体はマーダーなんだけどねw
原作でも気の良いマーダーだったから良い方向に金糸雀を促してくれるとイイけど
銀様が綺麗に死んだぶん余計に
そういえば平さん以外はマーダーだったねw
銀様が死んだから、ローゼンの一番のお姉さんとしてどうなるか楽しみだ
レオ&由乃投下します。
女。壊れた女。
両手で支える武器は金属の弾と憎悪を撃ち続ける。
ただレオはその殺気を回避するだけでいい。
当たっても護神像の装甲が削れる程度だ。
「死ね死ね死ね死ね!」
女――由乃は弾が当たらずキレたのか、だんだん目を見開き鬼気迫る表情となる。
本来防人の役目は人々を機械から守ることである。
だが、金属の武器を以て出会い頭からレオを殺そうとした由乃は守るに値しないと評価された。
――それに以前も現れたあの“影”が言ったではないか。
最後の一人になるまで殺し合え、と。
条件が以前と違うのは気になる。
7人のうち1人になれば良かったはずではないのか。
――――だが。
「うざってぇ……お前も頭痛薬にしてやる!」
先程の“ライダー”とやらを殺し損ね、頭痛が脳を支配していくのを止められない。
この状況では条件の変更など些細なことだったのだ。
「うるさい! この悪魔め! ユッキーには指一本触れさせな……ユッキー!?」
我に返った由乃は睨みつつもポケットから携帯電話を取り出し中身を検める。
「……子供に馬に女の人形と一緒……!? この私がユッキーと会うためにこれだけのことをしているのに!」
歯軋りをしながら再びウージーに手を掛ける。
「遅い」
合体を解き炎の消えた鋒を首筋に突きつける。
「自分から仕掛けておいて余所見とは大した自信だ。それとも……その機械がそんなに大事か?」
「貴様には関係ない!」
「どいつもこいつも機械と仲良しこよし……気持ち悪ぃんだよ」
刀の先端を携帯電話の方に向ける。
「ならそいつから頭痛薬にさせて貰うぜ」
ニタァと笑って刀を――
――が、それが届くことはなかった。
「なっ、貴様!?」
肉の斬れ、骨が砕ける音。そして噴き出した“赤い血”
右腕に持った携帯電話を、左腕で庇ったのだ。
「これは私とユッキーの絆なんだ! 誰にも、誰にも奪わせない……!」
左手首を失った由乃は、尚強い狂気を瞳に宿らせる。
だが、レオはそれを気にする余裕はなかった。
「……貴様は……神、なのか!?」
赤い血の神は黒い血の人と機械を創りだし、そして滅びた。
それがwaqwaqの伝承である。
そして神の血を祭壇に捧げれば、願いが叶うのだ。
「神……神?」
片手ではウージーで狙うことも出来ず『死ね』と『ユッキー』を呟き続けるだけだった由乃がピクリと反応した。
「神ならば俺の偏頭痛も治せるはずだ! 叶えてみせろ、その赤き血で!」
「神、神、神……嘘だ……ユッキーは生き返らない……嘘……ユッキー、ユッキー!」
不意に由乃が走りだした。
戦力差がわからず襲いかかってくるかと身構えたレオだったが、それが彼女を見失う要因だった。
そしてレオナルド・エディアールは気付いていなかった。
偏頭痛が、少しずつ和らいでいることに。
【C-6/1日目/黎明】
【レオナルド・エディアール@WaqWaq ワークワーク】
[状態]:疲労(少) 軽度の打撲、軽度の頭痛
[装備]:アシャ@WaqWaq ワークワーク、折れた日本刀(柄付き)@バジリスク〜甲賀忍法帖〜
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:機械、それに関わる人間を頭痛薬にする
1:“神”らしき女を探す
2:ライダーを見つけたら殺す
3:防人以外にも戦えるやつがいるみたいだ
※由乃の返り血を浴びています。
「ユッキー……」
気付けば由乃はB6ブロックの女神像まで来ていた。
「……何が神だ、女神だ! ユッキーと私の結ばれる未来……HAPPY ENDはどこにある!」
殴り、蹴り、銃弾を浴びせかける。
そしてストン、とスイッチが切れた。
「ふ、ふふ……私とユッキーが結ばれないわけないじゃない。今でも十分幸せだし!」
――――彼女はまた、記憶の改竄を行った。
「この手首は処置しとかないと……血に慣れてないユッキーに嫌われるもんね!」
【B-6/女神像周辺/1日目/黎明】
【我妻由乃@未来日記】
[状態]:左手首切断(処置済み)やや錯乱状態
[装備]:雪輝日記@未来日記 、IMIウージー(10/32)
[道具]:基本支給品、IMIウージーマガジン(5)
[思考・状況]
基本行動方針:ユッキーと合流する。ユッキーを殺そうとするやつは容赦しない。
1:ユッキーと合流する。
2:一緒に行動している少年はユッキーと合流後殺すか判断する。女の人形は壊す。
3:ユッキーを守るためなら利用できるものは利用する。
以上です。何か矛盾・誤字・ツッコミがあったらよろしくです。
投下乙!
由乃www そりゃ勝てるわけねえよなあw
しかし、ユッキー周辺ももうすぐ修羅場に!
そしてレオに改心の兆しが!?
投下します
薬師寺天膳が死んだ!!
これは何という驚くべき事態!
彼奴は伊賀忍をとりまとめる優れた忍者だ。
里の者の多くが尊敬している人間である。
剣の腕は冴え、知略に優れ、弁も立つ。
頭領である御婆も朧との祝言を何度検討したかしれぬ。
まさに忍者の中の忍者! 男の中の男! 抱かれたい伊賀忍NO.1!
それほどの男が死んだのである。
これを驚愕すべき事態と呼ばずになんと呼べばよいものか。
天膳は流れる川にプカプカと浮かんでいる。
それを見つめるのは子供と見紛うほど小さな老人だ。
乾志摩夫はその死体が何処に行くかを見届けようと思った。
水は生きて行く上で必須なものだ。
つまりは水路があるところに参加者が集まるということだ。
川は恐らく地下水道を通り、水路は会場中に伸びているはず。
状況をつかむにも参加者を不意打ちするにも
地下からの偵察というのは極めて優れた手段だ。
そう結論づけた乾はドンブラコと流れていく天膳の死体について行く。
その先に何があるかは物言わぬ死体が教えてくれるはずだ。
【G-6 橋下/一日目/早朝】
【薬師寺天膳@バジリスク〜甲賀忍法帖〜】
[状態]:死亡中、顎粉砕骨折、首の骨粉砕骨折
[装備]:
[道具]:
[思考・状況]
基本行動方針:邪魔者を皆殺しにした後、主催者を殺す。
1:???
[備考]
※薬師寺天膳の向かった方向は不明です。後の書き手にお任せします。
※ノールの独白を天膳は聞いています。
※支給品、不明支給品はF-5に放置されています
【乾志摩夫@銀齢の果て】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、子供服@現実、ランドセル@現実、コルトジュニア(6/6)@現実
[思考・状況]
基本行動方針:以前と同じようにして、生き残る。
1:地下を探索。薬師寺天膳についていく。
[備考]
※参戦時期は死亡直後です、が本人はいまいち覚えていません。
※地下水路への行くためには橋付近にある階段を利用するか、地下階がある建物内からの侵入、
或いは会場内に隠れている蓋を開け梯子を降りていく必要があります。
【子供服@現実】
変装するときに便利
【ランドセル@現実】
そのまんま。中に何か入っているかも。
【コルトジュニア】
小型自動拳銃。別名「コルト.25オート」。露出ハンマー式のピストル。とても小さい。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
どうして、どのようにしてグレイト忍者薬師寺天膳が死ぬに至ったのか。
それを説明するために物語は時を遡る。
だが主役は短い間の同行者であった少年を見捨てた臆病な人形である翠星石だ。
何故か。当然のことだろう。
薬師寺天膳の魅力は彼が物語の主役だからではない。
彼は彼だからこそ見るものを惹きつけるのだ。
主役ではないのに死ぬ?
それがどうした。脇役のまま死のうと彼の貴さは少しも損なわれない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
その出会いは翠星石にとって突然のものだった。
人形と対峙する美しい少女もまたシオのように人形を引き連れていた。
翠星石を人形ではなく機械と誤解したのは少年と同じ。
だが彼とほんの少し違ったのは機械も
この殺し合いに喚ばれたのかと不思議そうに首を傾げ、
少しだけ考える素振りを見せたあと唐突に涙を流したことだ。
これには翠星石もギョッとした。
夜が消えていき、紫色が視界を浸食する中で
はらはらと涙を流すその姿は翠星石の眼から見てもとても美しいと思った。
これほど涙が似合う人間もいないのではないのかとも思った。
そして何故、涙をながすのかさっぱりわからないとも思った。
「ど、どうして泣いてるんです?」
翠星石が尋ねた。
「君のことを思ってさ。機械の少女。」
震える声で人間はそう答えた。
「……翠星石は悪くねえですぅ」
どうやって目の前の人間が翠星石の足跡を知ることができたのかはわからない。
だが自らの心に秘めた罪悪感を見抜き共感して泣いてくれる男を
ほんの少しだけ信用していいのかもしれないと翠星石は思った。
「あの人間は……とんでもない強さだったですぅ。
もれ人間もヘタすりゃ翠星石よりずっと強かったかもしれねえですぅ」
翠星石はそう言いながら手に持つ如雨露を固く握りしめる。
「翠星石が……加勢していたら」
勝てたのかもしれない。それができなくとも共に逃げることはできたのかもしれない。
翠星石は己に問う。自分は何をしているのかと。
蒼星石の力を利用しようとしたから人間を嫌った?
ならば自分は何だ。
圧倒的な暴力を恐れ、翠星石を庇おうとするシオの優しさを受け入れ、
死に逝く勇敢な少年を残して逃げた。
結局のところは自分も……
「誰かを利用することしか考えられなかっただけ……」
思考の海に留めておくことができず口から出てしまった言葉。
それを聞いてノールは優しく、
水のせせらぎのような軽やかさを伴いながら言う。
「え? 何を言ってるの君?」
「えっ?」
角のような髪型をした人間の言葉に翠星石は絶句する。
この人間は翠星石の悲しみに共感してくれたのではないのか。
翠星石が辛い目にあったのだと思ったのではないのか。
「僕が悲しいのはね」
翠星石の中で違和感が急速に膨らみ始める。
ローザミスティカがあらん限りの音で警報を鳴らす。
「君のような機械も壊さなくてはいけないということだよ」
とっさにしゃがみこんだ翠星石の頭上を水流が通り過ぎる。
「どうして!?」
距離をおくように後退しながら翠星石は攻撃の理由を訊く。
「最愛の弟のためさ! 僕の弟は不治の病に侵されている」
その答えを聞き、翠星石の体が一瞬だが固まる。
「だがら、僕は勝ち残らなければならない!」
ああ、そうか。この男もそうなのか。
力を使い、大切な者を守るためにがむしゃらに戦う。
そうして障害を壊し、昇りつめようとする。
まるでアリスゲームを勝ち抜き、愛を得ようとするローゼンメイデンのように。
なんてことはない。
シオの姿が眼に浮かぶ。
会って間もない自分を友と呼び、守り抜こうとした少年の姿が。
その姿が蒼星石を利用しようとした老人と
目の前で翠星石を壊そうとする人間の姿で塗りつぶされる。
ここに喚ばれているのはロクデナシばかりなんじゃあないか。
人間の手に巨大な水の塊が浮かぶ。
あれをくらえば翠星石のような小さな体はあっけなく壊されるだろう。
「プレゼントだよ。機械君!」
その言葉と涙と共に水球を人間は翠星石へと投げつける。
だがその水球は突如として地面から生えた木に遮られる。
「へえ、君は植物を操ることができるのかい。
まるで護神像みたいだね」
護神像という言葉に翠星石はわずかに反応する。
「やっぱり、お前も防人だったんですね」
「そうだよ」
「翠星石が知っている防人は
……誰かを殺してでも願いを叶えるようなヤツじゃなかったですよ」
静かな口調でそう言った翠星石の前で防人は眉を上げる。
「そんなのありえないよ。防人はね」
滝のように溢れる涙の奥で眼つきが鋭くなるのが見える。
「願いに囚われた哀れな戦士なのだから!」
歯の浮くような台詞を吐きながら高圧力のかけられた水を吐き出す。
あの攻撃は水ではなくもはや刃と化している。
如何な大木を生やそうと造作もなく斬られて終わるだろう。
だが翠星石は気づいている。
水による攻撃を仕掛けるたびに護神像が纏っている水が減っていくのを。
水の刃の軌道を側面からタイミングを見て木によって上へ逸らす。
だがこれはあくまで防御。
本命は護神像への直接攻撃。
木が護神像ハルワタートに絡みつき水を吸い取ろうとする。
「くっ、ハルワタート!」
慌てたように防人が己の護神像に命じ、
全方向にウォーターカッターを発射させる。
奪われる水の量は僅かですんだが攻撃への防御に意識が集中し
注意が壊そうとしていた人形から外れる。
その隙を見て翠星石がその場から走り去る。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
その場から逃げる機械を追おうとしたノールだったが後ろから頭を殴りつけられる。
「何やってんだ。この馬鹿野郎!!」
振り返ると殴った手をひらひらさせながら来須圭悟が立っている。
「痛いじゃないかクルス。僕には殴られて喜ぶような趣味はないよ」
「やかましい! 今は協力者と情報を集める時だと念押ししといただろうが!」
そう怒鳴る来栖にノールは口を尖らせ反論する。
「だってしょうがないじゃない。あれは機械なんだ。
僕達とは分かりあえない存在なんだよ?」
「アイツは恐らくゲームにのってなかったんだよ。お前は自分の常識にとらわれすぎだ」
来栖の言葉にノールは妙な顔をする。
「あれ? 君、今ここに来たんだよね。どうして会ってもいないのにわかるのさ?」
ノールの当然の問い掛けには答えず。
来栖はあの機械を追いかけることを提案する。
「いやあ、話を聞いてくれるかなあ?」
「駄目だったら俺も謝ってやるから土下座してでも和解するぞ」
土下座って何? とまたも質問するノールに走りながら説明してやると言い、
走るぞとノールを促した。
【F-5/森林/一日目・早朝】
【来須圭悟@未来日記】
[状態]:健康。腹部に打撃、左頬に切り傷あり。
[装備]:大型カッターナイフ@現実
[道具]:基本支給品、捜査日記のレプリカ@未来日記、サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎
[思考・状況]
基本行動方針:バトルロワイアルの全貌を掴みたい。優勝は……?
1:集団や同盟関係を作りたい。今は翠星石を追いかける。
2:とりあえず市街地に着いたら暖かい場所で休息をとる
2:天野雪輝は保護対象、雨流みねねは交渉する、我妻由乃、戦場マルコを警戒
3:ノールにやや共感
【ノール@waqwaq】
[状態]:健康
[装備]:ハルワタート@waqwaq、由乃の日本刀@未来日記
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い、ただしなるべく大人しくする
1:翠星石を追いかけて謝罪する。駄目なら今度こそ殺す。
2:バトルロワイアル……何て業が深いのだろう!
3:とりあえず言われたとおり川近辺を見まわる
…………………………………………………………………………………………………………。
勝ち目はあったのかもしれない。
いや、相性で見れば翠星石のほうが優勢であったとすら言える。
だが彼女には勇気がなかった。
他者を殺してでも生きる勇気がなかった。
“お父様”からの愛を受けるために
他の姉妹だけでなく人間達を殺すのはどうしても嫌だった。
そしてシオと同じ防人であるあの人間を殺したくはなかった。
そう思いながら方向も確かめずに走っている翠星石の前に
一人の怪しい男が立ちふさがった。
「そこの面妖な人形よ。止まれい」
こちらを見下すような口調でそう言う妙に前時代的な服を羽織った人間。
だが翠星石はその要請には応じずに目の前の男の足元から木を生やし、
顎を殴りあげる形で相手を吹き飛ばす。
天高く吹き飛ばされた男がどうなったか確かめず翠星石は走る。
男が肩にかけていたリュックは別の方へ飛んでいったような気もするが
どうでもいいことだった。
この場に喚び出された者の全員がかなりの実力者であることを
確信していた翠星石は普通の人間ならともかくまさかあの程度の攻撃で
死ぬことはないだろうと当たりをつけた。
ただの人間がこの世界であそこまで偉そうに振る舞えるはずもない。
かなりの実力者であることは確かであろうと思った。
翠星石は独りになれる場所が欲しかった。
慰めを与えられることは不可能だと思った。
翠星石はただひたすらに隠れられる場所を求めた。
そう思っていたはずなのに翠星石はいつの間にかシオと別れた場所へ戻っていた。
あの邪悪な男の気配はもうない。
残っているのは黒い血を思わせる液体と
シオが友達と呼んだアールマティという護神像だけだった。
ならばシオは何処へ行ったのか。
死体はあの男が持ち去ったのだろうか。
「……もれ人間に。シオに会いたいですか?」
翠星石はアールマティにそう問いかける。
肯定するかのようにアールマティは少女の側に寄り添う。
「ごめんなさい。翠星石は……怖いんですぅ。
あの男に立ち向かうのが! シオのようになってしまうのが!」
あの男を野放しにしていればまず間違いなく蒼星石の害になるだろう。
だがそう思っても彼女の足は止まってしまう。
手が動かない。心が奮いたたない。
けれども、せめてシオが残したこの人形のような機械だけは守ろうと思った。
勇気がでるまでアールマティとともにいようと思った。
独りになりたかったはずなのに誰かを守ろうと思ってしまう。
人を信用しないと決めたはずなのに人が遺した物を求めてしまう。
どうしようもなく矛盾して弱い自分が憎たらしいと翠星石は思った。
【F-5/一日目・早朝】
【翠星石@ローゼンメイデン】
[状態]:疲労小、精神的に不安定、若干の人間不信
[装備]:庭師の如雨露@ローゼンメイデン 、護神像アールマティ@waqwaq
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×1〜3
[思考・状況]
基本行動方針: 蒼星石達とは戦わないで済む方法が欲しい
1:アールマティと行動を共にする。人が怖い。とにかくチャンが怖い。
2:真紅、雛苺…蒼星石に会いたい。この際金糸雀でも構わない。
3:最後の姉妹がいるかもしれない…
4:もれ人間……
[備考]
※参戦時期は蒼星石の死亡前です
※waqwaqの世界観を知りました。シオの主観での話なので、詳しい内容は不明です
※護神像アールマティに選ばれました。願いインストールはまだしていません。
以上で投下終了です。
申しわけありません。
早速訂正なんですが
翠星石とノールはどっちも
疲労(中)表記です
投下乙です!
>獅子と乙女、繋ぐは暦 ◆IRxFfnsX8c氏
由乃生きてたかw 絶対に死んだと思ってたw そしてレオに改心フラグが…!?
そして気付いた。 松田もそうだけど、由乃もある意味で神だねw
>側に立ち、防るもの ◆1yqnHVqBO6
天膳様の出オチ自重www 乾さんはちゃっかり良いアイテム(乾さん限定)をひいているなww
ノールは相変わらず我が道をいくなw 人の話を聞かないで自分に酔っているw
翠星石がアールマティの元に辿りついたか〜 相性が良いし、後継者としてばっちりかもしれんw
翠星石がwaqwaq世界のどこまで知っているのかが気になるよね。 周辺の黒い液体をシオの血と認識しているのかどうか……!
誤字報告をば
>>436 >人形と対峙する美しい少女もまたシオのように人形を引き連れていた
×少女 ○少年 じゃないかな? 多分ノールを指していますよね
んで、もう一個疑問が
来須さんなんですけど、登場話でノールと一旦別れて12時間後にオアシスで合流。それまで互いに情報を集める
って描写があったので、まだ別れて少ししか経っていないのに進路を変更してノールの元に戻ってきたのが気になりました
街近辺を探る来須と 川近辺を探るノールという風に来須自身で提案していたので、戻ってくるのならフォローが必要かもしれません…
>>443 >人形と対峙する美しい少女もまたシオのように人形を引き連れていた
翠星石視点ってことで少女と表現しましたが
分かりづらいですね。少年に修正します
来栖はそのまんま未来日記を読んだらノールが阿呆なことしてると思って慌てて向かってきたという感じです
これも描写的には不十分なので
>>438-439 > 「あれ? 君、今ここに来たんだよね。どうして会ってもいないのにわかるのさ?」
>ノールの当然の問い掛けには答えず。
>来栖はあの機械を追いかけることを提案する。
を
「あれ? 君、今ここに来たんだよね。どうして会ってもいないのにわかるのさ?
っていうか何でここにいるの?」
ノールの当然の問い掛けには虫の知らせだのなんだのと投げやりな返答をし、
手元にあるケイタイデンワと来栖が言っていた機械を弄りながら
先程まで戦っていた少女の姿をした機械を追いかけることを提案する。
に修正します
>>444 返答サンクス!
>ノールが阿呆なことしてる
あぁやっぱり…w というか、未来を先読みする日記なのに、現実とリアルタイムで表記される日記と勘違いしていました!
申し訳ありません! その描写で問題無いかと思います
素早い修正乙でした!
お二方投下乙です!
>獅子と乙女〜
レオはパンダ目状態から復活か?
改心には松田の優しさも関係あるからなぁ
相手が由乃じゃ何か不安w
でもそっか、由乃も“神”だったな
少しずつ“前の周回”の記憶は蘇るし左手はなくなるし物騒なこと考えるし、ユッキー逃げて超逃げて
あと指摘。撃ちまくった割にウージーの残り弾数多くないですか?
>側に立ち、防るもの
おお、天膳様がまた死んでおられるw
つか足元がお留守な忍者って……w
ノールマジフリーダム。
来栖さんは組む相手を間違えたなw
そして翠星石とアールマティ。
彼女なりの戦う理由と勇気を見いだせればかなり強力なはず!
気になるコンビです
感想乙です!
あとタイトルを「獅子と乙女、繋ぐは血と星」に変更しますた。
>>446 >弾数
ゲフッ
どれくらいがちょうどいいのかなーと考えたはいいが中途半端な修正をw
残りマガジンを4に変更し、交換の描写をWiki収録時に入れようと思います。
投下します
赤い朝日が身を照らし、早朝特有の澄んだ空気が男の体内を潤す。
男が今いるのはG−4。この会場の中心に位置する場所だ。
ここに至るまでに戦いの残り香を感じなかったわけではない。
だが感じても好敵手に巡りあう運には恵まれなかった。
機が訪れぬのならば已むなしと男はこのエリアにいることにした。
会場中から発せられる心地よい殺気が彼の心を刺激しようとする。
ここならば戦場の中心であるが故に
人が通るであろうと思っていたのだが彼の目論見は今のところ外れている。
坐禅を組み、新鮮な空気を体内に行き渡らせ、体内に淀んでいた悪気を吐く。
何てことはないただの精神統一を行う上での手段だが、
想いが強さに繋がる旅人にとって揺るがぬ精神ほど強いものはない。
そう、男は考える。
あちこちから聞こえる爆発音、銃声、剣が剣を打つ音、拳を撃ちあう音、
多くの音が世界を廻る風に乗り、彼の周囲を循環する空気と混ざり、彼の鼓膜を刺激する。
ところどころ破れた衣服。
その下には同じように裂けた皮膚が見えるが
そのどれもが彼の動きを妨げるには至っていない。
彼が求めるのは永遠の闘争。
その先に本来あるべき目的などという麗しいものをもつ純心はとうに喪われている。
リュックの中にあるのは拡声器だ。
この世界に参加者を呼び集めたあの影は彼にこれで好敵手を呼び寄せよというのだろう。
だが彼は知っている。
先ほど経験した幼き勇者との血沸き肉踊る戦いが証明している。
戦士との出会う為に用いるにはこの機械。
些か無粋に過ぎる。
草もなく、水もなく、この場にあるのはただの地。
ゆったりとした動作で立ち上がった男は拡声器を手に持っている。
草もなく、水もなく、この場にあるのはただの平地。
心遣い痛み入る。
そう呟いたのはこの殺し合いを開催した者達への純粋なる感謝の現れだ。
彼は手に持つ拡声器を空高く放り、腰を深く落とし拳を突き出す際の体勢を取る。
だが我らには無用なり。
そう呟いた瞬間、彼は己の拳によって拡声器を塵も残さぬ無へと帰す。
そして、彼は『彼の内にある闘気』を惜しみなく栓を破壊するかのように解放する。
清々しいものになるはずだった朝は彼の覇気に怯え震えを顕にする。
太陽は彼の熱を畏れて身を縮ませ、空気は彼の威圧感に為す術もなく翻弄される。
彼は大きく息を吸い、天高くではなく地広く叫ぶ。
下品にも闘気を垂れ流す無作法は許し願いたい。
だが私は君たち勇者に恋焦がれているのだ。
少しでも早く君達と戦場を共有したい。
巧言令色、鮮なし仁。
奥ゆかしさも知らぬ愚か者と君達は私を嘲るだろう。
だがこれも君達への敬意あればこそということは理解して欲しい。
私がいるのはこの会場の中心であるG-4。
ここで私は君達の来訪を日が真上へ位置する時まで待つ。
勇者達よ。邂逅するその時まで私は君達との闘争を待ち侘びることとしよう。
言葉を発することは終えども、闘気を発することをやめてはいない。
この狭きようで広き世界。
たった一人の叫びと圧力がどれほどの者に聞こえようかと彼を知らぬ者は笑うであろう。
だが、彼を知る者は実に理に適ったやり方だと思い、
来る闘争に戦々恐々とするであろう。
彼の名はチャン。シグドラが右頭。
最強の拳士にして最虚の旅人。
放送の時は近い。
【G−4/平地/一日目・早朝】
【チャン@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:所々衣服が破れて裂傷有り 闘気放出中
[装備]:八卦鏡(フォーチュンテリング・ミラー)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを求める。
1:12時までここで戦士が来るのを待つ。 その時まで誰も来なかったら移動する。
2:旅人、防人以外の自分を満足させられる存在とも積極的に戦いたい。
※拡声器@バトルロワイアルは木っ端微塵になりました。
※チャンは闘気を長時間出し続けます。いつまでかは不明です。
チャンの声がどこまで届いたのかは不明です。
参加者がチャンの威圧感をどの距離まで察知できるかは不明です。
本来ならチャンはチャンなのでその気にあてられた一般人は体に不調をきたしますが、
そこはコトを初めとする主催者陣がチャンのチャンさを制限していると思われます。
※この話は放送の直前です。どれくらい直前かというと放送の0,0001秒〜1時間前くらい。
以上、短いですが投下終了です
投下乙です!
投下乙です
ついに出たぞ拡声器! すぐに壊れた拡声器www
強者が来るまで闘気を垂れ流すとか、本当にチャンは戦闘狂だなw
投下します
「僕にも魔本が読めたとはね。さすがに少し疲れたよ」
「わたしもビックリしたわよ。どうなってるのかしら」
「力を持った百人の魔物の子供達」
「それがどうかしたの?」
「魔界には百人しか子どもがいないのかい?」
「そんなわけないでしょ」
「へえ、じゃあ選ばれし百人ってわけだ」
「選ばれた方はそれどころじゃないわよ」
「どうしてだい? 光栄なことじゃないか」
「どこが光栄なのよ?」
「君は王であることを許可されたんだ。知恵ある大人達によってね」
「…………」
「ひょっとして難しかったかい? ならこう言おう。君は――――」
……………………………………………………………………………………………………。
「死体はもう流されてしまったみたいだ」
水上コロシアムの探索に時間をさいた二人。
月は朝日へとその場を明け渡そうとしているそんな時間。
別のエリアへ移動するのを決めた彼等は
早々に橋の上で何者かが血を流したことを知った。
脱出を目指すにも酷なようだが首輪を得ることは必須であると二人は判断し、
理論の見当すらつかない鞄を浮かばせた蒼星石は橋から落ちたであろう死体を探していた。
空が明るくなり始めた今なら見つけるのは大分楽だろうと思っていたのだが
期待に反し、蒼星石は九一郎の元へ戻るなりそう告げた。
落胆を悟らせぬよう努めた口調で労いの言葉をかけた老人は
川の底へ消えたであろう誰かが遺した支給品を確認している。
「何か見つけたかい?」
そう尋ねる蒼星石の表情に死の残り香に立ち会ったことによる動揺はなく、
なるほど、彼女は中々に頼もしい存在なのだと九一郎に改めて思わせるには十分だった。
「まあ、見つけたといえば見つけたのかな」
会ってすぐの時に比べて幾分くだけた口調になった蒼星石に
九一郎は肩をすくめながらそう応じる。
煮え切らない九一郎の反応に蒼星石は首を傾げて嫌なものでもあったのかいと聞く。
「聞いてみるか?」
その言葉とともに蒼星石に手渡されたのはCDとそれを再生するウォークマン。
「葬いのボサ・ノバ〜ソニア・ローザに捧ぐ〜」
ジャケットに書かれていた文字をそのまま読み上げるとボーイッシュな少女は
ウォークマン付属のイヤホンを耳につけ、そのCDを再生する。
…………すぐに停止した。
「これは何か意図があるのかな?」
「知り合いの住職が作った曲だからなあ。
ないんじゃないか?」
怒りたいがあまりにも馬鹿馬鹿しすぎてその気すら失せるといった表情で
二人は言葉を交わす。
「何かには使えるかもね」
「そんな時が来たら世も末だ」
「住職がこんな曲を作ってる時点で……」
蒼星石の言葉に九一郎は笑いながら同意する。
「だがもう一つはお前さんに良いと思うぞ」
そう言いながら九一郎は背後から一冊の分厚いペーパーブックを取り出す。
「神業級の職人っていう本らしいんだがな」
九一郎が題名を伝えると
蒼星石はあまり動くことのない表情にハッキリとした何かを浮かべてソレを受け取る。
それは紙芝居。ではなくそれをもっと現実に近づけた、いわゆるパラパラ漫画だ。
重要なのはそれに描かれている二人の人物。
一人はあどけなさを強く残した眼鏡の少年。
もう一人はその少年を大きくして髪を染めた外見をした青年。
共通するのは描かれたその二人がまるで神に愛されたかのような優雅さをもった動きで
人形を、そして人形のための衣装を作り上げていることである。
「マスター」
まるで想い人に会えたかのように
蒼星石は少し手に余るであろう大きさのその本を胸に抱きよせる。
蒼星石がそれに載っている人物に特別な感情を寄せているのは明らかであり、
その様は枯れた老人であるはずの九一郎すらこそばゆい気持ちにさせる程に
乙女然としたものであった。
「ハハ、蒼星石も女の子だなあ」
「…………それがどうかした?」
蒼星石が常として纏っている触れれば壊れそうな切なさを凌駕する激情を伴った焦がれは
九一郎の茶々でなりを潜め、いつものつかみどころのない透明な表情に戻る。
その変わりぶりを見ていらぬことを言ってしまったと九一郎は内心で舌打ちをした。
周囲との距離をいかに調節するかが老人の生き残るコツであると
心得ていた彼らしくもない失態である。
いや、それこそが人形たる蒼星石の持つ魔力めいた魅力なのかもしれない。
ともに育ち、いつの日か置き去りにして外へと旅立つのが人の常だ。
だが時として人は童心に帰るのを望む。
身勝手にも捨てた物を懐かしみ、手元に手繰り寄せて過ぎた日々に思いを馳せたくなる。
殺し合いで心が磨耗したからこそ九一郎もまたそんな症状にかかったのだろうか。
誰に憚ることもなく振る舞えたあの日々を懐かしみ戻りたいという病に。
「ご隠居」
ほんの少しの感傷にひたっていた所を蒼星石の声によって現実に引き戻される。
「誰かが隠れてこっちを見ている」
蒼星石は巨大な鋏を構えてそう続ける。
それに反応して九一郎は懐の拳銃に手をやる。
乾いた血痕から察して下手人はとうにその場を立ち去ったと思っていたが
見通しが甘かったか。
いや、それとも犯人は必ず現場に戻るというお決まりのアレか。
いずれにせよ相手の意思がわからない以上、
二人はまだ見ぬ者に気を許す気はない。
蒼星石に支給されたのは本人曰く嫌がらせ以外の何物でもない
雪華綺晶とかいう人形の衣装と
彼女のスタート地点の近くにあったという持ち運び不可能な柱時計。
九一郎に支給されたのは拳銃以外では動物園と書かれた鍵と
炎をバックにした翼のカードという当たりかハズレかわからない代物。
この殺し合い独特のルールと言える支給品システムの恩恵に
まるであずかることができなかった二人は
相手に強力な兵器が支給されている可能性を考慮し自然と警戒する。
姿を現したのはこれもまた幼い少女だ。
ボロボロの服装は彼女がこの殺し合いでどのような目にあったのかを伝え、
腫れ上がった顔は子供を手にかけんとする者がいることへの怒りを二人に――
いや待て。
少女の衣服の乱れにはある法則性がないか。彼女の傷は一点に集中していないか。
可愛らしいワンピースは裾を乱暴にまくり上げようとしたのか伸びきっており、
傷は抵抗する意思を手っ取り早く失わせる為か
視覚的に最も恐怖を与えやすい顔に集中している。
つまり目の前の少女はどうしようもなくわかりやすい
欲望の犠牲になった可能性が高いということだ。
「クソったれ」
九一郎は心底忌々しそうに呟く。
その声が聞こえたのは隣にいる蒼星石だけだが彼女とて心中は同じ。
いや、同じ女だからこそ、よりいっそうの
嫌悪と不快を元にした共感と同情を目の前の少女に抱いた。
「ねえ」
そんな老人と少女の形をした人形の前で傷ついた少女はニコヤカに語りかける。
「貴方達は何なの? 何がしたいの? 教えてくれる?」
……………………………………………………………………………………………………。
「――つまり王のように振舞う許可をもらったということさ」
「いや、わからないんだけど」
「君は王様というのは何をするのが仕事だと思う?」
「国を治めたり法律を定めたり」
「うん。正しいね。けれども、だ。それはつまり何のためにするのだと思う?」
「ええっと……あ、笑わないでよ! まだ考え中なんだから」
「ごめんごめん。君の親御さんは君が悪いことをしたときどうした?」
「叱ったけど?」
「そういうこと。つまり王様って言うのは悪い人を叱って躾ける権利と義務があるんだよ」
「…………わたしが間違ってる時だって」
「もちろんある。けれども君はその可能性が限りなく低いんだ。
どうしてって王様に相応しい存在として選ばれたんだからね。
君の世界の大人達はこう思っている。この子は自分達よりよっぽど凄いってね。
だから術を行使する権利も与えられている」
「あ――いや――――その――――」
「まあ、君がその事実に対してどう解釈するかは置いておいてだ。
双眼鏡の先に老人と少年のような何かが見えるだろう?」
「………………………………」
「彼等は間違ったことをしているのかもしれない。
もしそうだったら君はそれを正すことができるし、そうしなければならない」
「ガッシュたちが」
「ガッシュ君達はここにいない。なら君がやらなきゃ。
王様が義務を放棄しちゃ、この世界は荒れる一方なんだぜ?」
「あ、ああぁ」
「大丈夫。君が何をしようと僕は君の味方さ」
「 」
「うんうん。その意気だ。さあ、じゃあ早速彼等に接触してみてくれないかい?
なあに、僕は影で君を心底信じて見守っている。」
「わかったわ!」
「よし、じゃあ行くんだ。がんばれ!!」
……………………………………………………………………………………………………。
……………………………………………………………………………………………………。
【D-1/橋の上/一日目/早朝】
【蒼星石@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:庭師の鋏@ローゼンメイデン 、神業級の職人の本@ローゼンメイデン、
葬いのボサ・ノバ@銀齢の果て
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界に戻る。
1:目の前の少女に対応する。
2:九一郎と行動を共にする。
3:ドールズと合流する。
4:雛苺を警戒。
5:水銀燈にローゼミスティカを返すよう言われたら……?
【神業級の職人の本@ローゼンメイデン】
少年ジュンと青年ジュンの職人ぶりを描いたパラパラ漫画。
写真と見紛うほど精密に描かれているので作業の仕方を模倣しようと思えばできるかもしれない。
かなりの才能が必要であろうことは確かか。
【葬いのボサ・ノバ@銀齢の果て】
住職が作詞、作曲した物。ウォークマンも付いてきている。
実際は詩・筒井康隆氏、曲・山下洋輔氏による歌。
聞けばムカつくこと請け合い。
[備考]
※参戦時期は原作4巻終了時
※雛苺が雪華綺晶である可能性を考えています
※シルバー・バトルの概略のみ知りました
※雪華綺晶のコスチューム@ローゼンメイデンと柱時計@ローゼンメイデンは
水上コロシアムにおいてきました。
※水上コロシアムの凡その構造は把握しました。
【宇谷九一郎@銀齢の果て】
[状態]:健康
[装備]:ワルサーP38(8/8)@現実
[道具]:基本支給品、ワルサー予備弾×16、動物園の鍵@銀齢の果て、
サバイブ(烈火)@仮面ライダー龍騎
[思考・状況]
基本行動方針:影の男へ反逆する。
1:目の前の少女に対応する。
2: 蒼星石と行動を共にする。
3: 猿谷と合流する。
[備考]
※アリスゲームの概略のみ知りました。
※水上コロシアムの凡その構造は把握しました。
【ティオ@金色のガッシュ!!】
[状態]:ダメージ中、疲労小、男への生理的嫌悪感?
[装備]:
[道具]:基本支給品、ヨキの弓矢(9/10)@waqwaq、双眼鏡@現実
[思考・状況]
基本行動方針:???
1:目の前の二人に接触する。間違ったことをしているのなら……
2:ブックと行動する。
3:ガッシュ達は信用したい……けど
4:人間の…男は……
【ブック@ブレイブ・ストーリー〜新説〜】
[状態]:ダメージ小 、心の力消費小
[装備]:契約の玉@ブレイブ・ストーリー〜新説〜 ジュリー(銀嶺)@ブレイブ・ストーリー〜新説〜 、
魔本@金色のガッシュ!!
[道具]:基本支給品、青酸カリ@バトルロワイアル
[思考・状況]
基本行動方針:
1:ティオと行動する。 今はちょっと離れたところで見守っている
2:ティオに狂戦士の術をかけて、人間を殺す。
3:ガッシュ達魔物の子に興味
[備考]
※参戦時期はワタル戦前のどこか、ミツルやワタルを知っているかについては後の書き手にお任せします。
※魔物の子の王を決める戦いの概略のみ知りました。
※魔本を読めることを知りました。
以上で投下終了です。
色々とアレな点もありそうなので不自然な点があったら
ご指摘お願いします
投下乙!
蒼星石とご隠居のコンビはこのロワでは珍しく安定しているなぁw
若干蒼が不安定だけど…それでもご隠居なら、ご隠居ならきっと何とかしてくれる……!
対魔物詐欺師ブックの本領発揮か!?
ティオは持ち直しかけたがやっぱり精神的に弱っているな… あまり弱まるとバーサー(ry
というか今気づいたw ご隠居が拾った弦ちゃんの支給品を全部蒼星石に押し付けているw
持ってやれよwww
本スレにもコピペします
241 名前: ◆CFbjQX2oDg[sage] 投稿日:2011/03/14(月) 23:24:03 ID:6.ghlLT.
今期月報データを置いていきますね
ロワロワ 46話(+15) 47/54 (- 2) 87.0 (- 3.7)
今後もがんばっていきましょう!
投下します
香川が真っ先に注目したのは殺し合いに定められたエリアの外である。
あの影が言ったことから察するに定められた場所を超えると
逃亡と見なされ、死が待っているそうなのだが
実際には何処から先がデッドラインなのかが地図を見ても判断できないのだ。
地図にはA‐1とあるようにエリア名が記載されているのだが
どう見てもその上下に何とも呼称されていない空白地帯があるのである。
普通ならば何らかの警告があるまではソコに避難して
禁止エリアの恐怖から逃れようとするのが自然。
そう考えた香川はならばAライン。それも平地がスタートラインの者は我先にと
とりあえずはその隣にある何にも区分されていない空白エリアの山岳に避難すると思い、
山々を駆けたのだが影が言っていたことの意味は探索を始めてすぐに分かった。
草一つ生えていない更地とも呼べる山々の先。
地図に描かれていない場所の果て……そこには何もなかった。
いや、何もなかったというのは語弊がある。
真空にも電子が発生するように何も無い場所には“何も無い”があるのである。
そこに“ある”と形容することができたのは『黒』。
全てを埋め尽くそうとする印象を観測する者に抱かさずにはおかない漆黒の極。
「なるほど。これが殺し合いを加速させる舞台装置か」
そう呟く香川を包むのは仮面ライダーとしての鎧だが
それすらこの『黒』の前では何の意味も持たないだろう。
不規則に、だが確実に会場を包囲しじわじわとエリアの外を拠点にしようとする者を
内へと追い込もうとするかのように“闇”がエリアの内への侵攻を主張している。
これの脅威を見た者はまず自分に逃げ場がないだろうと思うだろう。
だがそれにも妙な点がある。
この“闇”の前に怯えて足が竦んでいる人間がいるだろうと
香川は同じ場所を何度か往復した。
その際に自分の瞬間記憶能力により貯めこまれたデータと照合すると
“闇”の侵食のスピードがどう見ても止まったとしか思えない時があるのだ。
少なくともそれは五回以上に及んでいる。
これは何を原因とするものか。
考察するにも内を知らないことにはどうしようもないと香川は結論づけた。
東からは時を告げる朝日が昇ろうとしている。
そして日が照らすはずの大地の終点にある“闇”がそれを貪欲に飲み尽くす。
朝日を見て東の果てにもこの“闇”があるのだろうかと不思議に思ったが
それもこの目で見ないことには始まらない。
いや、恐らくはあると思っていいだろう。
長居は危険と判断し、香川自身も山を跳ぶように越えて殺し合いのエリア内に舞い戻る。
「しかし不思議だ」
香川は顔を微かにしかめながらそう首をひねる。
「無力な人間はまず最初にエリア内からの逃亡を試みると思ったのだが……
仮面ライダーが見つけるより先に逃げたのか」
それとも。と白衣に戻った男は続ける。
「もしや誰もこの殺し合いからの逃亡を考えないのか?」
それはある意味で“闇”に呑まれた人間がいるという発想よりも恐ろしいと香川には思えた。
【A-3/草原/早朝】
【香川英行@仮面ライダー龍騎】
[状態]:健康 疲労(小)
[装備]:オルタナティブ・ゼロのカードデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには絶対に乗らない。
1:『朧』と『薬師寺天膳』を探して保護する。
2:協力者が欲しい
※筑摩小四郎の名を知りません
※『朧』と『薬師寺天膳』の外見を知りません
※エリアの外には『闇』があると知りました。他の方角にもあるのかは不明です。
とっても短いですが投下終了です。
投下乙!
香川教授の考察が一歩前進!
会場を包み込む不穏な闇……その正体は?
香川教授と同じく判断材料が少ないですが、今後が楽しみだ
てすと
・あああ
・あああ
一度破棄し、ご迷惑お掛けして申し訳ありませんでした。
ただ今より、ヒミコ、美神愛、ヨキの三名を投下します。
【ムスカリ】
ユリ化ムスカリ属の植物の総称
地中海沿岸が分布の中心で50〜60種ある。
近年一般家庭の園芸植物として栽培される人気品種となっている。
花言葉は『寛大なる愛』『明るい未来』『通じ合う心』
◆
大小様々な岩が地面から顔を覗かせているF-1の荒野地帯。
一切の人為的な建築物は存在しないこの場で二人の女性がにらみ合っている。
二人の様子を満天の星空に浮かぶ大きな満月だけが覗いていた。
「私の名前は美神愛よ。貴女は?」
「……ヒミコ。名簿にはその名で載っているわ」
美神愛と名乗る女が両手を上げながら距離をゆっくりと詰めながら話をきりだす。
女は袖の無いシャツに手袋、そしてズボンという軽装だ。
どこかのポケットにBIMを隠している様子もない。
「ヒミコさんね。どうかしら、私と手を組まない?」
「言っている意味がわからない。何が狙いなの?」
「あら、深い意味は無いわよ。名簿を見たでしょ?
ただ少ない女性同士で協力しましょうってことね。あなた一人で全員殺してまわるつもりなの?」
「……ッ。お前と一緒にするな。私は極力殺す気なんて無いわ。きっと脱出の手段があるはずよ」
「誤解しないで。私だって人を殺すつもりは無いわよ。あくまで自己防衛の範囲内で行動するつもりよ。
脱出ねぇ。そう簡単に出来るとは思えないけど……。脱出の目処が立つまででも構わないわ。
この会場に仲間がいるならその人に会えるまででもいいわ」
(この女、本当に同行者を探しているだけなのか?)
「もちろん無理にとは言わないわ。ただ、夜道に女の一人歩きは色々と危険じゃない? そう思ってあなたに声をかけたの」
危険。
その言葉がヒミコの頭の中で反響する。
女性にとってそれは殺されるかもしれない、というだけではない。
最悪の場合、死ぬよりも辛い地獄に落ちる。
このバトル・ロワイアルで叶えたいというそれとは別の欲望の捌け口。
ヒミコの脳裏に真っ先に浮かんだのは醜悪で執拗に自らの身体を穢そうとした、男の姿だった。
それは、あの明智という男のように
それは、吉岡先輩たちのように
男と馴れ合うのは嫌だ。
男に穢されるぐらいなら死んだほうがマシだとも思う。
――アリサ、ユキ、ミホ
アタシが皆をひどい目に合わせたんだ。
アタシが誘わなければ皆穢れることもなかったんだ。
アタシが殺し合いの舞台にいるのも当然の報いなんだ。
でも、卑怯でごめんね……
アタシはやっぱり、出来る限り死にたくないよぉ……
ごめんね……
「いいわ。あなたと手を組むわ」
「交渉成立ね。よろしくね、ヒミコさん」
◇
「名簿の見知った名前は坂本竜太に平清ね。思ったより少ないわね」
他の参加者に見つかりにくいように適当な岩陰に隠れて情報交換をすることにした。
ランタンの明かりを点けようとしたが、他の参加者に見つかると危険だということで、月明かりを頼りに名簿を確認する。
互いの知人の名前をそれぞれの取り出した名簿に印をつけていく。
粗方の知り合いの情報を交換した後、支給品の話へと移る。
「私に支給されたのはこの通話も出来ない携帯電話とスタンガンの2つよ。携帯の方は電波なんかあるはずもないし、ハズレってやつね
つまり、今私たちの身を守れるものはヒミコの持っている果物ナイフとBIMってやつだけね。頼りにしているわよ」
スタンガンも悪くは無いのだが、付随した説明書によると一度使用すると電力が減り威力が低下するそうだ。
一度試しに使ったあとに説明書に気づいたため、威力は大分落ちている。
時間が経つと充電されるみたいだが、いざという時に頼るには心許ない。
さりげなく美神愛のリュックの中身を確認したが、携帯とスタンガン以外の支給品が無く安堵する。
彼女は武器となるものを隠し持ったりせず、全て見せてくれている。
それだけで少しだけ心が軽くなったような気がした。
「そうみたいね。それで、これからどこに行くの?」
「中央に行けば人はたくさんいるだろうけれど、その分危ない人も多そうね。地図の外側の施設を順に回っていくってのはどうかしら?」
施設をまわるか。BTOOOMでも初めてのフィールドをプレイする際の基本的戦術と言えるだろう。
たしかに記載された施設には目印になるし、それだけ多くの人間が集まるだろう。
施設の全容を先に把握しておくことが、それだけで自らの生存確率を高める。
自らの力に自信のあるプレイヤーは密度が高くなる中央の施設に行き、ガンガン戦闘していく。
逆に非力なプレイヤーは外側の施設から巡っていく。
偵察は外側からというのは悪くないわね。
「それでいいわよ」
「とりあえず、多分あの遠くに見えるのが水上コロシアムってところだから、そっちに行きましょう。
何か私の武器の代わりになるものが拾えるかもしれないし、それに、シャワーとかもついているかも」
そう言いながら美神愛は初めて笑顔を見せた。暗がりだからよく見えないがきっと頬も赤く染まっているだろう。
「くすっ」
「何よ〜。あなただってシャワーくらい浴びたいでしょ? 汗を掻いたままじゃ嫌じゃない。女はいつだって美しくなくっちゃね」
そういっておどけて見せる彼女が年上のはずなのに、どこか可愛らしく見えた。
懐かしい。“あの事件”が起こる前は毎日教室で当たり前のように友人としていた会話だ。
男の汚い欲望も、殺人も、何も無い。平穏な日常に少しだけ戻れたような気がした。
「よーし、そうと決まったら早く準備していくわよ〜。ヒミコも早く荷物をまとめなさい」
美神愛は話を切り上げると、自分の荷物をまとめていく。
後を追うように私も広げた荷物をリュックに再度詰めていく。
「ヒミコ! こっちよ!」
しかし、それは美神愛の小さな叫びと共に中断させられ
荷物を残したまま私の身体は月明かりがほとんど入らない岩陰まで連れて行かれた。
「どうしたの一体? まさか誰か来たの?」
「えぇ。突然引っ張ってごめんなさい。あの岩の陰から男が覗いていたのよ」
男。
その一言で現実に一気に引き戻される。
この場は決して日常なんかじゃない。
法も秩序も存在しない。
己の欲望に忠実になった人間たちの巣窟なのだ。
男が覗いていた。私たちの身体を見ていた。
頭の中で何度も穢し、現実でも穢そうとしていた。
男なんて皆一緒だ。
女をそういう目でしか見ない下種。
そんな男に襲われるくらいなら
そんな男に穢されるくらいなら
――私が殺す
しまった。武器となるべくものがあの場に放置したままだ。
取りに行かなければ対抗できない。
「待ってて、愛さん。あの岩の陰ですよね。絶対に男の思い通りになんかさせませんから」
「わざわざ取りに行く必要なんて無いわよ。だって――」
このまま逃げろって言うんですか? と言おうとしたが、それは叶わなかった。
「かはっ……ぐぇ……」
――――男がいるなんて嘘なんだから。
ヒミコの首に紐のような何かが巻かれる。
そのまま背負い投げの要領で長身の美神愛の背に乗る。
いくら足をじたばたさせたところで無残に空を蹴るばかり。
首を締め付けるものをどうにかしようと爪で引っかいても、自分で自分の喉を掻き毟るだけだ。
細い紐に全体重を掛けているのに一向に千切れる気配は無い。
目から
鼻から
口から
あらゆる体液が溢れ出し、ヒミコの美しかった顔を飾っていく。
剥き出したその青い瞳にうつるものは
突然の起こったことへの戸惑いか
裏切った相手への憎しみか
己の責任で友を穢してしまったことへの贖罪か
自らの生への執着か
それとも
電脳世界という架空の繋がりのために
現実で自分を救ってくれた英雄(ヒーロー)への秘めた思いか
もがき続けたその腕が、重力への抵抗を無くしダラリと垂れ下がる。
動かなくなってからしばらくして、その身体ごと地に落とす。
死者は何も語らない。
――さようなら、ヒミコ
物言わぬ死体となったヒミコの荷物から使えそうな物を回収して一息つく。
投げナイフで刺した時とは違う。私自身の手に直接相手の死が伝わってくる。
思っていたよりもずっと不快だ。
だけど、この気持ちを飲み込むしかない。
デウスの定めたゲーム同様にこの戦いは他者を蹴落とすことで、自らの願いを叶えるのだから。
きっとマルは根が優しいから桜見タワーで親に捨てられた私や、1stのような参加者がいたら
この殺し合いの場でも関係なくおせっかいを焼いているに違いないわ。
まったく、『母の里』にいたときからずっとそうだったわ。親の愛情に飢えている子に弱いのよね。
まぁ、そういうところが好きになったのだけどね。
でも、マルと私の願いを叶えるためにはここにいる参加者を全員殺す必要がある。
だから私は、マルの分も殺していかないとね。
しかしここは一体どこなのだろう。
さくら市とは全然違う見たことも聞いたこともない場所だ。
最初に集められた小部屋の扉からワープしてきた。
あの感覚は因果律大聖堂に入ったときにによく似ている。
鏡に映ったデウスでもムルムルでも無い第3の存在。
あの影の男は一体……
マルと私の永遠の愛さえ約束してくれるのなら、デウスだろうと何だろうと構わないわね。
荷物をひとつに纏めたあと、日記を確認してみる。
交換日記にはやはり変化は無い。マルはまだ近くにいないみたいだ。
続けて逆ナン日記を見てみる。こちらは何か更新されている。
#############
ヨキ(?)
評価[★★★★★]
場所[F-1周辺]
空から登場。
中性的な顔立ちの美形。
色々と物知りな様子。
イケメンで知的なんて素敵。
#############
「…………空?」
まさか月よりの使者とでも言うつもりか。
思わず夜空を見上げる。
空一面に星が広がっている。十五夜のようにくっきりとした大きな満月が浮かんでいる。
そこに浮かび上がる人影。
「本当に空から来るとはね。物知りねぇ。良い情報を持ってそうだわ」
飛来する賢者との出会いはどんな未来を描くのか
◆
男によって奈落の底まで落とされた女は
奇しくも
男によって最高まで引き上げられた女によって殺された。
【ムスカリ】
ユリ化ムスカリ属の植物の総称
花言葉は『寛大なる愛』『明るい未来』『通じ合う心』
そして『失意』『失望』
【ヒミコ@BTOOOM! 死亡確認】
【残り46名】
[備考]
ヒミコの手にレーダーがついたままです。
ちょっといじれば簡単にとれます。レーダーとしての機能が生きているかは不明。
【F-1/荒野/黎明】
【美神愛@未来日記】
[状態]:健康
[装備]:夜叉丸の糸@バジリスク、スタンガン@BTOOOM!、BIM(タイマー型)@BTOOOM!(8/8)
[道具]:基本支給品×2、交換日記のレプリカ、逆ナン日記のレプリカ、手鏡、果物ナイフ
[思考・状況]
基本行動方針:マルコと合流し二人で生き残る
1:現れた男(ヨキ)の情報がほしい
2:マルコが気になる
※参戦時期はマルコと結婚式をあげた後
【ヨキ@waqwaq】
[状態]:疲労(小)
[装備]:スプンタ・マンユ@waqwaq、首輪探知機@オリジナル
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して赤き血の神を抹殺する
1:地上にいる女(美神愛)との接触
[支給品紹介]
夜叉丸の糸@バジリスク〜甲賀忍法帳〜
伊賀鍔隠れ十人衆の一人、夜叉丸の愛用する糸。
女の髪を編込んで、特殊な油で丹念にコーティングした強靭な糸
一般人は強靭な糸としてしか使えないが、扱いに長けた者が使えば刀さえも切り刻むほど。
両手の手袋にある程度の長さが巻きついた状態で支給。
以上で投下を終了します。
誤字脱字、その他矛盾点、質問等ございましたら、指摘をお願いします。
投下乙!
ヒミコが死んだかあ。女を信用して裏切られて死ぬって言うのはある意味相応しい最期かも
愛はマーダーとして順当にキルスコアを重ねに行くか
けど出会った人間がww
テスト
ヽー:>ー'ーへ::::::::::::V{
ヽ::≧ ー、::::::iレi く
/フ ノ !i/:i/_、ヽ::}/ トr
∠:ィ::フ > ! リレ'^ ^^⌒ヽ!Ζ
_,. -}::Z `ヘ j/ ‐=-、_ _ }r‐`
/ ,ノィ:::}ィ行ソ ,ィテト rぇ/
/ ノィ::::!い 、iJ! .iソ {
! ヽノハiヌl^ _ _,’ 「「`iニ!-、
! `ヽ、ノ‐ 、ヽ、 ,.ィ! ! ! ⊥⊥
', r'二ー、`ヽ}! `i=" 「 ! ! ! i } {
', jく二ヽ、ヽ `T「{{同}j/ ,' / / i }
ヽ ノ´ ̄  ̄ ̄〕 !l レニNi} { h
新スレがたちました。もれは……何があってもこのロワをお助けしたいと思います
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1300630669/
____
_, ' ´ `丶、
/ ヽ
/ / Y!
' / ,.ィ!:「 ̄「!Tヽ、 ! il
/ Y;;j升+::::::!l」l:::__l`} l l!
! ! Y示tヽ:::lオ汞xl/ l l
! ! ,ノ辷ソ ヽ! しソ{{ l l
j l /;|i ′ `¨’ハ、 l l
' l/;:;:;:;;|:l:..、 「`¨7 ,.イ7;:ヽl l
/ !:;:;:;:;:;トLl_,ソY^i′ィl::::|l;:;:;:/ ! 「埋めますね」
〈 ヽ :;:;;l≧://Y^ ! |己{;;/ ヘ
jヽ ヽ;仆/ ハ ヽ }ブ" /
rく _〉 ヾ/ / i V/ _,. -―く
ノヽ\ /} {ヽノ j −'_,.- 二〉
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