526 :
創る名無しに見る名無し:2010/11/11(木) 01:05:44 ID:/pFd0+b0
>>525 アッテンボロー提督:それでは上品な第二案
第二案(皆様も突っ込み入れて)
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、貴協会がこのたび行なおうとしているデモ行進につきまして、日本鬼子をプラカード
に掲示する計画があることを知りました。我々は著作権法及ぶ範囲以外では、お願いするしか
ありませんが、是非とも再考をお願いしたい次第です。
我々の日本鬼子は「中国人を萌え萌えにする」為に生み出されたキャラクターで、其れ以外の
意味は持っておりません。念のためまとめwikiをご参照頂けたらと思います。
この活動の発端は、昨今の尖閣列島問題を単に発し、隣国どおしにも関わらず中国の若者が
多数デモに参加して、プラカードに日本鬼子の文字を掲げながらシュプレヒコールを叫び、
現地日本関係の物品を破壊するなど、過激な行動を見聞致したことです。
勿論、過去の戦争では経緯や事実は別にして、何らかの被害があったことは事実ですが、
戦後60年以上も経てば若者にとっては祖父母時代の話だと思います。その時のイメージを
持ったまま、現代の若者が顔を真赤にして「日本鬼子」を叫ぶのは、やはり異常であるとしか
思えません。
隣国関係はとかく殺伐としたものになりがちなのは、なにも日中関係だけではありません。
しかし謂れなき誤解や偏見が、今だに世界各地で悲惨な惨禍をもたらし、様々な努力にも関わ
らず根絶しないのは、人間社会の性であり受け入れなければならない事実でしょう。
我々が考えた日本鬼子は、中国人の若者が持っている陰惨なイメージを廃し、明るく可愛い
イメージへと変えてしまうことです。それにより、彼らの誤解や偏見を解くことが出来るかも
知れません。過激で不毛なデモが、平和で建設的なバレードとなるのです。
そのことを目的としている訳ではありませんが、隣国関係に画期的な変化をもたらすかも知れ
ません。
それに成功した暁には世界初の試みとして、(イグ)ノーベル平和賞も受賞も視野に入るで
しょう。因みに諸外国の同士からも、我々の取り組みに絶賛の声が上がっていることを、合わせて
お伝えします。
我々のすべき事ではありませんが、世界中の同志が同じような取り組みを行えば、全ての誤解や
偏見を解くことが出来るかもしれません。日本人は核兵器すらも萌化してしまい、核廃絶も可能
では?とすら言われています。
皆様にはこの画期的な、日本鬼子の企画と取り組みを正しく理解して頂きたく、切にお願いを
申し上げる次第です。
うぉう、大量投下、読み切れんw
>>519>>517 なんか面白そうだけど、ここはSSを書くスレだから本スレか避難所のどっちかで発言したほうがいいと思うよ!
528 :
創る名無しに見る名無し:2010/11/11(木) 01:07:01 ID:/pFd0+b0
>>526 ユリアン・ミンツ:コレはいくらなんでも過激過ぎませんか?
529 :
創る名無しに見る名無し:2010/11/11(木) 01:08:32 ID:/pFd0+b0
>>519 あれ?本スレで、SSに行けと言われて・・・
SS初めてなんです。
530 :
創る名無しに見る名無し:2010/11/11(木) 01:11:27 ID:/pFd0+b0
>>527 住民ですか?被りました?実はルール知らなくて、返信待ってまーす。
>>497の続き
「君たちは何者なんだ?」
門の前に佇む少女と幼女に問いかける。
しかし彼女らは、戸惑う表情を見せるばかりだ。
「俺は山都 武士(やまとたけし)28歳、フリーのハウスキーパーだ」
名乗っても状況に変化は無い。
「趣味は機械弄りと絵を少々」
趣味の話題にも興味が無いご様子。
どうやら、ここから先は若い人だけで、ってな展開にはならないようだ。
そこで質問の向きを変えることにした。
「此処に人間は居るのか?」
こんな人里離れた山の中に、頭にツノのある和服少女と外見が万華鏡の様に変わる幼女。
どう見ても人間ではない。
しかし妖(あやかし)だとしても、こんなのは見たことも聞いた事も無いが。
その謎な少女が、おずおずと握手をするような姿勢で、俺の方に右手の手のひらを差し出
してきた。小首を傾げて。
「いや、俺は当然人間だが」
と言う事は、他に人間は居ないのか。やれやれ、ビビって損しちまった。
まあ、妖と相対してるってのもホントは充分怖い状況の筈なんだが。
しかし何故かこの二人には怖さを感じなかった。
「あー、では写真を撮らせてもらっても良いのかな?」
その問いかけで、やっとリアクションを貰えた。どうぞどうぞという振りを見せて、門の
中に入っていく二人。……扉を開けずに。
軽い門扉を開けて、再度屋敷の中に入る。二人は納屋の前に立ってこちらを見ていた。
では、蔵の方から。
しかし、撮影を始めると、何故か幼女が眼前にやって来てフレーム内に入ろうとする。
「ちょ、屋敷の様子だけ撮りたいから」
言っても離れてくれない。諦めて被写体を母屋に変更する。
しかし今度は少女の方がやって来て邪魔を始めた。
「あの、ポーズも要らないから」
照れ臭そうにしなを作る。ちょっとカワイイかもしれないと思ったのは内緒だ。
「どういうつもりだ……?」
しなを作ってるんじゃなく、どうも納屋の方を指し示してる様だ。
そっちを先に撮れってのか。
どういう理由があるのかは分からないが(だいいち、妖の行動原理なんて誰も知らないだ
ろ?)、とりあえず歯向かう理由も無いのでそちらに向かった。
そして、扉の無い納屋の暗がり辺りにデジカメを向けたところで。
「これを知らせたかったのか」
暗がりの中、農機具らしいものの間、その地べたに白い毛皮の塊があった。
近づいて確認。犬だ。それもかなり大きい。
秋田犬か。それでも破格の大きさだ。鼻先を自分の腹に突っ込む様にして丸くなってる。
一瞬、寝てるのか? と思ったが、違う。この生気の無さ。
「ごめんよ」
後ろ足を触ってみる。比喩でなく氷の様に冷たかった。死後三日ってところか。
やれやれ、気付いて良かった。こういうのは必要が無い限り撮るもんじゃない。
「…………?」
背後から問い掛ける様な気配。
「多分、納得して逝ったと思う」
背中でそう答える。
普通、死の直前には呼吸を確保する為に、横倒しとかもっと楽な姿勢をとるはずだ。
それがこの如何にもただ寝てるだけってな姿勢。腹一杯食って満足ですみたいな表情。
きっと此処を死に場所と決めていたんだろう、この犬なりの理由によって。
「……! ……!!」
振り返ると、幼女が少女の胸の中で声も無く泣きじゃくっていた。
何か縁(えにし)でも有ったか。泣いてどうにかなるもんでもなかろうに。
しかし、これは困った事になった。
犬は弔わなきゃならん。このまま骸を晒し続けるのは余りに哀れだ。
しかし、ここは廃村とは言え確か未だ私有地の筈。そこの庭を勝手に掘り起こして、この
大きな犬の死骸(恐らく100Kg前後)を埋めて良いわけも無い。
車のサイドドアを開き、中から衛星電話とアンテナ一式を取り出す。
(仕事柄、ケータイの電波が届かない所に行く事が多い為、必須だったりする)
アンテナを車のルーフに置き、方向を調整。メリットを確認。
ダイヤルを開始。先ずは0081から。
…………
「はい、光彩不動産です」
「あ、毎度お世話になっております、キーパーの山都ですが」
「あん、タケちゃん? どうしたの元気ィー!?」
思わず受話器を離してしまう、社長の奥さんのキンキン声。
それを聞いて、少し浮世離れしていた気持ちが一気に戻った。
「ええ、元気っす。社長をお願いしたいんすが」
「あのおっさんは出張中よ、某国へ。先週言ったじゃない」
「え、そうでしたっけ? 困ったな」
「なに、どしたの? 何か困りごと?」
「ええ、今、緋ノ元様の件で田舎県に来てるんですが、そこでちょっと」
「火の元? そんな話あったっけ?」
「え?」
「確かタケちゃん、今週はオフだって言ってたじゃない」
何かずれて行く様な錯覚を覚えた。
「いや、確か社長から話を貰って、一昨日」
「だからね、おっさんは先週から海外出張中よ」
なんてこった、じゃあ俺は誰からこの話を受けたんだ?
「? もしもし? おーいタケちゃーん!?」
(恐縮ですが、続きとさせて頂きたく)
534 :
創る名無しに見る名無し:2010/11/11(木) 01:14:53 ID:/pFd0+b0
>>533 良かった。一応、SS形式なんで、例の突っ込みヨロです。
(俺、安価間違えているし・・・専ブラ使えない環境なんだ。許して下さい)
>>533 まあそんなこともあるさ
さて、しがない名無しのSS書きが、鬼子の企画を見て、
いつの間にか書き出してた設定資料(の一部)を晒してみる。
ほんとに意識せずにメモ帳に書いてたよ……
味方側追加キャラクター
日本狗
鬼子の式神。
生成時はデフォルメ白毛子犬モード。
中成時には銀狼モード。
本成時は大神モード。
雄か雌かは考え中。
倭猿
鬼子の式神。
生成時は黄色い毛の小猿モード。
中成時は金毛赤眼の中猿モード。
本成時は聖典大聖の大猿モード。
こいつは……雄かな。
敵側
基本設定の心の鬼から。
某一神教から 7つの大罪をモチーフに。(これでボスクラスが7体作れる)
仏教から 三悪の十悪業をモチーフにできるかな。(これで30つくれるな)
日本神道から 一霊四魂の曲霊をモチーフにできそう。(これで5体かな)
ここまで考えて我に返ってしまい、あまりの中二設定に死にたくなった。
好きに使ってくれて良いよ!!
536 :
創る名無しに見る名無し:2010/11/11(木) 01:20:55 ID:/pFd0+b0
>>528 オリビエ・ポプラン:要するに過激の程度の問題でしょうね。
537 :
創る名無しに見る名無し:2010/11/11(木) 01:22:23 ID:/pFd0+b0
>>536 ユリアンミンツ:程度問題でしょうかね?相手はアノXX協会ですよ。
頭から煙り出して怒りますって。
538 :
創る名無しに見る名無し:2010/11/11(木) 01:33:02 ID:e+I3Kfme
>>537 1レスに纏めて投下してくれ
SS初めてなら回りに倣ってやるのが無難だよ
>>535 大罪は考えたな
般若が嫉妬を表す面だから各罪に対する面、計7つの面のお話
世界中にある使えそうな面探しさてて頓挫しちまったがw
>>527 申し訳ございません。
SSということで、古文調の短編を書かせて頂いたつもりなのですが、どうやら板違いだったようですね……。
540 :
創る名無しに見る名無し:2010/11/11(木) 01:47:31 ID:e+I3Kfme
SSスレだけど文学視点からの想像披露会って感じで、あんま気にしなくていんでない
逆に鬼子で短歌とか俳句とか新スレ乱立されても困る訳ですしおすし
>>540 ええ、新スレ立てるのだけは絶対にしません。
普段でもまとめ人さん初めたくさんの人々に迷惑かけている身なのに、
これ以上負担は掛けさせたくない……。
もしかしたらまたの機会にこちらへ三文物語を投稿するかもしれませんので、
その時は宜しくお願いします。
言葉あり 二の次に文字 それゆゑに 心と馳せて 言葉編まなん
(言葉があって、その次に文字がある。だから、心と馳せて言葉を紡ぎだしてほしいなあ)
>>540さんがいいこと言った。
歌詞の人もごめんなさい、歌詞を作ってくださったのかと思ってました。
>>534 やっぱり本スレや避難所に書けってのは誤爆です。ここにもちょっと向かない。
やりたいことは理解できるけど銀英伝知らない人は理解できないだろうしなによりレスを食いまくるから、自分で専用スレを立ててテンプレートを作ってやった方がいいと思うよ。
>>534話が前後してごめん、色々考えたけど
>>538が一番正しい。
1レスにまとめてこのスレに投下した方が面白いと思うよ。
>>542 いえいえ、こちらも誤解を招く書きこみをしてしまいました。
そもそもこの名前がいけませんでしたね……。
しかしながら、「
>>540さんがいいこと言った。 」と言ったあとで
「自分で専用スレを立てて」……と言うのは何となく矛盾ですが、
そうですね、確かにマナーを考えたら新スレの方がいいでしょうね。
(個人的には、形式を変えてこっちで書いて下さる方が賑わっていいと思うのですが)
545 :
創る名無しに見る名無し:2010/11/11(木) 20:36:55 ID:ovMX7KiI
>>514 >>513 です。 いや、こちらが邪魔をしてしまったようで、申し訳ありません。
ついでに……以下、投下します
546 :
創る名無しに見る名無し:2010/11/11(木) 20:40:05 ID:ovMX7KiI
「さて、久方ぶりの休みの日、なにをするかのう?」
「乳の話をしようじゃないか」
「腰の話をせねばなるまい」
何をするでもなく、日本家屋の廊下を歩く鬼子の前に、颯爽とうざったく台所と空から現れたのはストーカー×2。
乳の話をしたがるヒワイドリに、腰の話をすることに使命感を持っているヤイカガシ。
ヒワイドリは翼を、ヤイカガシは柊の腕を広げ、鬼子の道を遮るかのように。 対する鬼子の視線は絶対零度である。
「……酒を手土産に、先代の鬼子にでも会いに行くか」
くるり、と無視され残される二匹。 滅しても幾らでも沸いてくるが、実害は0なのでこうされている。
「さて、乳の話ができないじゃないか」
「ふむ、腰の話が出来ぬというか」
向き合う二匹。 彼らは終生のライバルである。 乳と腰、永遠に同じく出来ぬ二つの優劣を競い、日夜争いを繰り広げているのである。
鬼子のそれに理想を見出したこいつらは、鬼子に付き纏っているのだ。
だがこの二匹、相性が悪い。
というよりも、鬼子との話を邪魔してくる(と思っている)片方を、大いに敵視しているのである。
「乳こそ真理! 母なる慈愛の象徴たる乳を差し置いて、男にもある腰など邪道じゃないか!」
翼を広げ威嚇するヒワイドリ。
「腰こそ至高。 次代を担う生命の素の源泉を省みずして、たかが栄養補給の道具に現を抜かすか」
柊の手を構え、誘い込む姿勢のヤイカガシ。
顔面は間が抜けているので分からないが、少なくとも二匹はマジである。 寧ろ二匹だけマジである。
「断じて否それこそ否! 大平原の小さな丘には風の吹く草原のような、天をつく巨塔には雄大なる深き森のような、乳には多種多様な魅力がある!」
「未熟。 浅薄甚だしき。 無節操な脂肪の塊を崇敬し、無きことを誤魔化すなぞ片腹痛い。 その点、腰は最上を求めるには肉付きの多すぎも少なすぎも許されぬ美術品。 比べることなどできようものか」
「墓穴を掘ったかヤイカガシ! 理想通りのモノしか見えぬ貴様の死んだ魚の目では真理など解さぬと知れ!」
「妄言を吐くなヒワイドリ。 至高を求める道を進むことも出来ぬ貧弱な鳥頭に崇高な我が使命、測れると思うな」
このように、日毎に喧々諤々の議論を交わしているのである。
そして、毎回険悪へとなっていき……
「「………………」」
距離をとり、向き合う二人。
両翼を刃状にして前面に固定し、そのままヤイカガシに吶喊するヒワイドリ。
くるりと攻撃に合わせて回転し、その鋭い柊の手でヒワイドリの首を狙うヤイカガシ!
カカカッ!
「二百、六十三戦……」 「二百六十、三……引き分け」
「また、決着がつかないじゃ……ないか」
「未だ、我も未熟。 ……仕留められぬか」
「「ぐはっ」」
ダブルノックアウト。
「本当、毎日なにしてるんでしょう、この二匹」
呆れ顔でそれを見ていたのは小日本である。 掃除道具に身を包んだその姿は、実に生活感溢れたものだ。
そして手元のチリトリには二匹の姿が。 羽が邪魔だわ生臭いわと邪魔なので、屋外に捨てるためである。
外に集めておいた落ち葉の上に、静かに二匹を寝かせる。 柔らかい自然の布団は心地良さそうだ。
「着火」
「「……熱っっっっぢい!!!!!」」
「二匹とも、家の中で羽を散らかしたり匂いをつけるのは駄目ですよ?」
ぬめった体と鳥の羽。 家を取り仕切る身としては面倒なことこの上ない。
家の中に入るなと何度言っても聞かぬので、次第に過剰になっていく仕置きをされる二匹であった。
共感してくれてありがとね
お互い他人同士、角もぶつかる時もあるけど妥協と協調と尊重でうまくやれるさ
それは人間関係と自己見識の進化だと思う
まぁ言いたいことは言う前提の話だけどね
548 :
創る名無しに見る名無し:2010/11/12(金) 14:55:16 ID:WRG9Q26U
中国鬼男というヤツと恋愛させてくれよw
>>546 最後焼かれたww
この二匹出てくるとノリがよくていいな
そしてちちしりふとももにかけてのラインこそ至高。異論は認める。
550 :
妄想モエチリ:2010/11/12(金) 22:41:14 ID:AribCSXs
書き手が増えるのは良いことです
やっと追いついたけど、本スレ怖いw
細々と2話目>491の続き投下
===========================================
学校、五時限目・・・数学
食後の昼過ぎ、ただでさえ眠くなる時間帯に数学という時間割を考えた人間は
きっとサディストに違いない
さっぱりと頭に入らない公式を眺めるのを諦め、気晴らしに校庭を見る
校庭の隅を足の生えた魚が疾走している
その後ろには追走する猫
ガタッ
鬼子「なっ!」
数学教師「どうした?」
鬼子「あっ・・す、すいません、何でもないです」
数学教師「校庭を眺めるのもよいが、ココは期末に出すぞ」
ばれてた
教室が小さな笑いに包まれる、鬼子は小さくなって授業に集中することにした
女子「めずらしいじゃん、鬼子が注意されるなんてさ」
女子「外にいい男でもいた?」
授業後、女子が声をかけてくる
鬼子「そんなんあるわけないでしょー」
女子「まぁいいや、それよか今日、横浜行かない?」
そういってある中華店の点心デザート&スイーツ特集記事を見せてくる
校庭の隅でヤイカガシは猫にかじられながら走馬灯を見ていた
ヤイカガシ「し・・しま・・・ぱ・・・つ」
口から白濁液をよだれの様に垂らしながら不思議と幸せそうな声で・・・
>>532の続き
「あ、失礼しました。それでお手数お掛けして恐縮なんですが」
「いやぁねえ、なに畏まってるのよ」
村役場の電話番号を調べてもらった。
丁寧にお礼を言って電話を切る。最後まで不審がられた。
奥方とはいえ専務。取引先にこういう不信感を持たれてはいけないんだが。
「土地の所有者は法務局へお問い合わせ下さい。電話番号は――」
「お越し頂ければ登記簿謄本の閲覧は可能ですが、電話では出来ません」
まあ、そうなるわな。
人の少ない村だから、ちょちょっと融通してくれるかとも思ったが。
「え、犬の死骸ですか。それなら保険所の方へ。電話番号は――」
「飼い犬の死亡届をご提出下さい。死骸の処理は役場の環境業務課へ。電話番号は――」
またたらい回しかよ、とウンザリしつつ、村役場へ三度目の電話をかける。
「ダンボールに詰めて持ち込んで下さい」
「いや、大きさ的に無理っぽいんですが」
「ああ、困りましたね。因みに、猟師さんが山中で大きな猪をしとめた時は、その場で血
抜きをして、更に解体してから下ろすそうです」
「!! バラして持ってこいと?」
「猟師さんは、売れる部分しか下ろさないそうです」
「では、残りは?」
「つまり、そういう事です。近くに山があるのでしょう?」
「そういう事ですか。了解しましたが、真っ白い動物ってのは、あまり邪険な扱いをした
くないんですがね。しかも秋田犬っぽいし」
忠犬ハチ公の。
「真っ白で大きな秋田犬、ですか……あっ」
なんだ? 受話器が落ちたような?
「お電話代わりました。秋田犬ですか、一応国の天然記念物なんですがねえ」
「因みに、あきたけん、ではなく、あきたいぬ、が正しい読み方です」
そうなのか? 知らなかった。
「いや、こちらも通りがかりみたいなものなんで」
上司っぽい感じだな。話が通りやすそうだと思い、簡単に経緯を説明する。
「ははぁ、そういう事ですか。ではとりあえず首輪をご確認下さい」
「首輪、ですか。確か無かった様ですが」
「え……」
? 電話の向こうが何やら色めき立ったような?
「それは確かですか? それに類する様なもの全て?」
「は、はい。首輪やその他人工物は何も無かったかと」
「そうですか……」
なんだ、この緊迫感? 首輪が無い事の方がまるで重要だという様な?
「分かりました。では、そちらを何時頃にご出立のご予定でしょうか?」
うわ、なんか急にバカ丁寧になったな。
「今ちょっと取り込み中なんで、それが片付けばすぐにでも。しかし何故?」
「え? ああ、それは当然、こちらがそちらへ向かう都合があるからです」
「途中の獣道で車が鉢合わせになったら、すれ違えないでしょう?」
ああ、なるほど。よく考えてくれてるな。……って?
「それでは、引取りに来てくれると?」
「ええ勿論ですとも。なんせ天然記念物ですから」
「……死んでますが」
「ああ、それと」
ここで如何にも大切な事を言うぞ、という感じで溜めを作ってきた。
「その村にはですね、出るんですよ、とても怖い鬼がね」
鬼? ……ああ、そう言えばあの少女も鬼か。まるで怖くなかったが。
「ですから、日が沈む前にそこから下りた方が良いですよ」
いや、あんたの物言いの方がよほど怖い。
「出来るだけ努力はしてみますが、どうも泊まりになりそうです」
今、そう決めた。
「そうですか……とりあえず、忠告はしましたよ?」
念押しか。ご丁寧に痛み入る。
「確かに、承りました」
その後、謝辞を述べて電話を切った。電話機のバッテリー残量がギリギリだった。
瓢箪から駒、か。
まさか犬に追っ手がかかっていたとは。何でも聞いてみるもんだな。
屋敷の裏門から納屋に戻る。妖二人はまだ犬の傍らに佇んでいた。
その二人の目が少し輝く。
「これで弔ってやってくれないか」
裏山から採ってきた山花を犬の周りに置く。ツワブキやコスモス、さざんか、その他名
も知れない草花。かなりの量だ。
どうだ? と二人を見ると、服が巫女のそれに変わっていた。
「便利だなおい」
そして、ブルゾンのポケットに挿していた榊(サカキ)を犬の前に置く様に促される。
そうだと思って多めに採ってきた。というか、生えてて良かった。
二人は犬の前に正座し、何やら祝詞のようなものを奏上し始めた。聞こえないが。
そして、その真剣な横顔の向こう、納屋の奥に鍬やツルハシが有るのが見えた。
錆びてるが、まだ充分使えそうだ。
屋敷の裏門と山の間が、ちょっとした空き地になっており、その山側の端に幾つかの大
きな岩が置いてある。恐らく、農作業用の家畜をここに埋葬していたのだろう。
その横に深く穴を掘り、近くの谷川から適当な大きさの石を持ってきた。
これを墓石にしよう。
納屋に戻る。
二人はまだ犬の傍に居たが、既に式は済んだようだ。
犬の前に座り、残しておいた最後の榊を、先が自分の方を向くようにして犬の前に置く。
「向きはこれで良かったか?」
少女がうなずく。
そして二礼二拍手一拝(一礼なのかもしれんが)を、忍び手(音を立てない)で行う。
それでこの場の空気が緩んだ様な気がした。一通り終わったようだ。
「さて、埋葬だな」
どうも役場の上司の言った事は胡散臭すぎた。その前の、担当者の言い分に従うのが良い
のだろう。……それは犬にとっても。
見回すと、納屋の奥に木の棒とムシロで出来た、担架の様なものがあった。
持ってきて犬の横に置く。
さて犬を乗せるか、と思ったところで、首の長い毛の奥に赤い紐があるのが見えた。
「なんだこれ?」
引っ張ると回り、首の下から銀色の何か大きなものが出て来た。
それは、銃弾を模した大きなペンダントだった。
先端がネジ式の蓋になっている。開けてみたところ、中からUSBメモリが出て来た。
(それは確かですか? それに類する様なもの全て?)
役場の上司の言葉を思い出す。
「なるほど、コレか……」
犬の満足そうな顔を見る。
「オマエのご主人様は、これをオマエに託したんだな?」
無論、返事は無かった。
犬を乗せた担架の様なものを引き摺り、裏の穴の前に着いた。マジ重かった。
「火葬にしてやれなくてスマンな」
犬を穴に入れようとしたところで、少女がそれを遮る。
「なんだ?」
何かまだやる事が残っていたのか? しかし彼女は、俺の予想とは違った行動をとった。
犬のペンダントを、紐を解いて取り去ったのだ。
そして、紐を抜き取り、それを宙に浮かせて火を点けた。
彼女らが現実の物に干渉するのを初めて見た。
燃えた灰は犬の体に降りかかった。なるほど、火葬の真似事なのか。
横を見ると、幼女が少女の着物の裾にしがみついていた。半透明になって。
それで彼女らの力の使い方が分かった様な気がした。
少女がペンダントを差し出してくる。口を一文字に結んで。
そういう風に集中していないと、物に干渉できないのだろう。
実は今も辛かったのかもしれない。ペンダントが手をすり抜ける。
「おっと」
すんでのところでキャッチ。
「俺に持っていろと?」
首肯。
こういうものは一緒に埋めるべきだと思っていたから、戸惑ってしまう。
が、まあこの程度のモノなら後で埋めても良いか、と思い直した。
「分かったよ」
緊張していた妖二人の表情が明るくなった。やはり女の子は笑顔でなければな。
その後、犬を埋めてその上に石と山花を置いた。
夕やけに赤く染まる、名も知らない白い犬の墓。
安らかに眠ってくれ。
…………
……
宵闇の中、蝋燭の明かりに浮かぶ縁側。
「やはりこういう事だったのか」
ノートPCの画面、差し込んだUSBメモリの中を表示している。
その総データ量は220GB余り。その中にフォルダが二つ。
一つは幾つかのテキストファイルが入っているもの、もう一つは220GB程のサイズで
名前とパスワードを入力しないと開けないもの。
「寝ちまったのは失敗だったな」
あの後、持ってきていたコンビニのおにぎりを食った。それで疲れが出たのか、母屋の
縁側で寝てしまったのだ。妖二人は何やら騒いでいたようだったが。
その後、幼女が俺の首に何かを掛けようとしてる、そのくすぐったさで目覚めた。
何かと思えば、新たに赤い紐を付けた例のペンダントだった。
(なるほど、金属でなければ軽いものは持てるのか)
寝るのを諦め、ペンダントを首に掛けてみせる。
喜ぶ幼女。
世の中の、娘を持つ父親の気持ちが少し分かった様な気分になった。
そして妙な気分を振り払いつつ、車からノートPCを持ち出してきて今に至ると。
少女は、門の外に出て何やら彼方を凝視している。
服装は、紅葉をあしらった赤い着物で安定しているようだ。
幼女の方は、相変わらず外観がくるくる変わっていたが、気に入ったのか巫女服のアレ
ンジ的な感じのものが多かった。
そして何が面白いのか、PCの画面を興味深そうに見つめて、偶に画面を切り替えると、
画面と俺の顔を交互に見比べては笑っている(声は聞こえないのだが)。
世の中の、娘を持つ父親(略) こうしては居られない。
車から持ってきていた衛星電話一式をセットする。バッテリーは、時間が経った事で僅か
ながら回復している。
(さて、これからどうする?)
@ 幼女と戯れた後、寝る
A 少女と戯れた後、寝る
B 二人と戯れた後、寝る
C メモリは見てないと言い張る事にして、寝る
D メモリは明日来るであろう役場の人間に渡してお終いで良いじゃん、で寝る
E 渡すが、今のうちに中身を見る
F 渡すが、中身をHDDにコピーしておく
G 渡すが、中身を他所にコピー転送しておく
……@〜Bは論外だな。多分に魅力的だが。
CDは、結局のところ、俺の車から持ち物から全て調べまくられて、更にPCは没収され
るだろう。おれが相手ならそうする。そうなると、骨折り損のくたびれ儲けになるので、
これもボツ。
Eは、名前やパスワードが不明なので無理。
いや、ヒントは探そうとしたんだ、テキストファイルの方を片っ端から開いて。
しかしそれらは、何か良く分からないプログラム用語の羅列が殆どだった。
(中に一つ、英文ながら明らかに詩と思われるものがあったが、全くの意味不明)
で、断念すべきだろう。
Fは、CDと同じ理由でボツ。だいいち俺のPCの空きスペースそんなに無い。
結局、最後の発案であるGがベストとの結論に至った。
それなら、身の安全の保証になるかも知れんしな。
だがしかし、220GBもの大容量をどうやって?
…………
幼女は、衛星電話の電話機を玩んでいる。
「ほらほら、お兄ちゃんは今お仕事中ですからね、それ触っちゃダメですよ〜」
渋るかと思ったが、意外と素直にそれを止め、再びPCの画面凝視に戻った。
素直な良い子だ。
……今ちょっと違和感を感じたが、ま、それはさておき。
誰かに相談するか。だが、誰に?
仕事絡みの人間はダメだ、迷惑がかかる。身内は以ての外。
そこで頼りになるのが学生時代の友人。その中から出来るだけソフト関係に有能で、且つ
お堅い仕事に就いていて、その上で日本から出来るだけ離れたところにいる奴、と。
脳内検索の結果、そんな無茶な条件に合致する奴が一人だけ居た。
ヒューウヒュルル ヒュルルルヒュウウウー……
ブツッ
「……well」
「ハ、ハロウ、ディスイズタケシ・ヤマトスピーキン、メイアイ……」
「タケ! マジか!? 久しぶりだな!」
「おおう、朝早くにスマンな、ケン!」
(汗顔の至りで、続く)
北京、中南海。
中華人民共和国政府や中国共産党の本部や要人の官邸などがある、いわば中国の心臓だ。
さらに、政府高官の居住地でもある。
民間人が入れなかった中南海は、身動きができないほどの市民で溢れかえっていた。
「打倒! 中国共産党!」
「打倒! 小胡!」
「日本鬼子来! 日本鬼子来!」
人々の声が大音響となって響く。
政府高官は軍、警察に弾圧命令を出したが、天安門事件よりも大人数の前にはなすすべもない。
その天安門も、市民でごった返している。
毛沢東の肖像画が引きずり下ろされた時、歓声が上がった。
負けを悟り、市民側に寝返った軍人、武装警官も多くいる。
指揮系統は破綻し、同士討ちが相次いだ。
その時だった。
車が3台、ものすごいスピードで官邸から飛び出してきた。
人々を次々とはね飛ばし、車は走り去った。
主席を始め、政府高官が逃げ出したのだ。
「ヘリを用意しろ、国外へ脱出だ!」
怒鳴るように、主席は部下に携帯電話で命じた。
「だめです、空港はすでに閉鎖されています」
冷徹な部下の返事が返ってくる。
「いいから飛ばさせろ! これは命令だ!」
「無理です。もはやあなたに残された道は、処刑されるか、自害される以外ございません」
「き、貴様……」
「もうおしまいだ、あきらめるんだね。じゃあね」
部下に見捨てられた。
「ひとまず郊外へ行け! 急げ!」
「は、はい!」
運転手はあわててアクセルを踏んだ。
本スレの空気を悪くしてるので、
>>534の続き含め今後の投下は止めます。
今までのスレ汚し、誠に申し訳ございません。
これからも鬼子関連の、益々のご発展を陰ながらお祈りしております。
>>554 なにやらきなくさくなってまいりました……
それにしてもこの話の鬼子は謎めいてるなぁ
え、そうなの?
すまん、本スレ見てないから感想書いてしまった
個人的には最初から好きな話なので続いてほしいんだが……
2chではサイレントマジョリティ気取りが暴れるのは良くあること。
気にしない方がいいよ。
>>556 あれが問題になったのは安価を利用する形で登場人物のセリフ付けてたからじゃない?
後はまあ、政治問題に使われたくないけど二次創作は許可したいっていう感情にこたえるために
規約だFAQだ何だで騒いでたり調べてたりしたから抗議文をSS形式にするには問題がありすぎたってのがあると思う
銀英伝?なにそれって人から見ればなんでこんな主張をSSスレで?って内容になるしね
仮に抗議文を真剣に考えたいなら避難所でね。
本スレ読んできた
どうも変な人がいちゃもんつけてるようにしか思えないんだよね
気にしないほうがいいとオモ
そしてなにより個人的に続きがとても読みたい
こんないいところでおあずけなんてひどいぜジョニー
国防省の人の面白くて好きなのに(´・ω・`)
せめてキリのいいところまでは読みたいです先生
運営気取りの本スレのいうこと真に受けなくていいだろ
妄想を駄文ながら書き散らすのがSS書きだ
>>558 馴れ合いとかじゃなくてあんたの最初の投下で物語視点の発想に感銘を受けたんだ
何か行動すれば少なからず批判もでる、逆に好感を持ってるやつもいる事を考えてくれ
俺なんか国防省氏の一風変わった日本鬼子の世界に惹かれて、このスレ読み始めたからなぁ
今は他の作品も好きだけどw
俺も続き読みたい
路傍に倒れていたヒワイドリは、等身大ガンダムの背後に突如現れた巨大鬼子さんを見上げてこうつぶやいた。
「なんだこれ、なんなんだ、このシリーズ……ことごとく、萌えピンポイント・アウトだっ!」
お風呂場から出てきた鬼子さんの姿は黒髪の夜叉そのものであった。
般若の面に寒々しい色合いの冬の着物、袖からはハラハラと雪が降り、向かい合わせの鶴がくしゅんとくしゃみをしている。
夜叉モードである。バスタオル姿の鬼子さんと遭遇するイベントは夢と消え、代わりに舞台は殺伐とした戦場へと変貌した。
「いや、まだだっ、諦めるのは早いっ!」
ヤイカガシが、風呂場のドアの前で声を荒げる。
「まだここに服があるっ、バスタオル姿のこにぽんが、いま、中にい……あぐあぁっ!?」
ヤイカガシは背後から犬とか猿とかキジとかの動物たちに噛みつかれて非常に危険な状態に陥った。
「お姉ちゃんっ」
お風呂場の窓から顔と鎖骨をのぞかせた小日本が、出ようにも出られずに、うう〜と唸っている。
「もうっ、はやくそのガンダム、やっつけちゃって!」
「貧……にゅ……イラ……ネ……」
最期の言葉とともに、ヒワイドリがばたりと倒れて天に召される一方。
等身大ガンダムは唸り声をあげてとつぜん駆け出し、鬼子さん目掛けてビームサーベルを振りかざした。
「うるぉおわあああぁぁぁっ!」
薙刀の先端に青白い炎が灯り、逆三日月の目にぎらりと悽愴な光が宿った。
鬼子さんの袖が白銀の起動を残して回転し、迫り来るガンダムの足下を貫くように薙刀を構えた。
「東屋や 凍える花に 椅子二つ……萌え散れっ!」
等身大ガンダムの胴体が真下から切り裂かれ、夜空を絵巻物の龍のような火柱が飛んだ。
等身大ガンダムは胴体に穴を開けたまま数歩進み、そこで立ち止まったまま微動だにしなかった。
ガノタ青年はすでに操縦桿から手を放しているのだろう。
鬼子さんは憤怒に満ちた般若の面の向こうから、憂いを帯びた声で話しかけた。
「……あなたの心には……鬼がいます。
いえ……あなたは最初から鬼でしたわね? 私の弟ですもの」
「姉……さん……?」
青年の声はうつろで、傷口からスパークがはじける音にも消えかかっていた。
567 :
妄想モエチリ:2010/11/13(土) 01:18:52 ID:/wSt0vAM
>>556 読み手の人がいる限りは駄目ってことはないと思うのです
このスレに投下されたものは私も全部読んでいるのです
つまんないと思う人は完全スルーしてくれれば良いのですが、どうしても批判する人は出るでしょうし
言われなくても投下物の向上なんて何時だって目指しているんです、それが素人の俺でも
思いつきで投下始めたけど、一人でも面白いって言ってくれたときはすげーうれしかった
だから今、2話目を投下している
==========================================
APEC開催中で2万人の増員警官で溢れかえる横浜、とあるビジネスホテル
警官「馬鹿な真似はやめるんだ!そんなことをしたって何も解決しない!!」
両手両足を拘束された警官は学生時代の後輩へ向かって叫ぶ
海保隊員「すみません、先輩」
海保隊員「俺はもう我慢が出来ないっ」
ムグッ
海保隊員は警官の口を猿ぐつわで塞ぎ、ユニットバス内に拘束する
―そう、もうお前がやるしかない
―死んだ親友のため、映像を公開し逮捕された仲間のため、なにより日本のために
―全てを隠し、日本を貶め続ける奴らに思い知らさなければならない
海保隊員は怒りで視界が真っ赤になっていくことを自覚した
警官の服を着て、拳銃の残弾も確認する
警備予定位置も確認・・・絶好の位置だ
彼は親友の顔を思い出す
あいつだって死ぬ覚悟はあった、日本を守るという目的のためなら
だが、どんな権利があって彼の死を汚す?
―許されない
そう、そんなことは許されない
彼は暗い決意を胸にビジネスホテルを後にする
鬼子さんは薙刀をぎゅっと握りしめた。仮面の奥では恐らく歯を食いしばっているだろう呻くような声を漏らした。
「申し訳ございません、私、あなたの身にまとわりついていた鬼を退治するために、今までこのアパートに居候させて貰っていました……」
「なにそれ……」
拡声器から聞こえてくる声には、怒気は感じられなかった。拍子抜けして、鼻で笑っているみたいだ。
「そんな……じゃあ、僕の姉って言うのは……」
「はい……私に生き別れの弟はいません。……本当は、妹です」
お風呂場に隠れている小日本が小さく息を飲んだ。
しかしそんな小さな変化には誰も目をくれない。等身大ガンダムは、消えかかった闘志を再燃させ、次第に息を荒くしていった。
「……ふざけるなっ、あんたたちが僕の部屋で好き勝手するから、あんたたちが僕の楽園に上がりこんで来たから、僕は、僕の部屋を……部屋……を……違うっ、僕のガンダムを守らなきゃならなかったんだ!」
鬼子さんは困った風に首を傾げた。
「あなたのその愛情を、十分の一でも他の人たちには与えられないのですか?」
「こんな価値のない、腐った、現実のいったい誰に対して?」
ガノタ青年が、はっと笑い声を漏らす。等身大ガンダムは心なしか肩を落としていた。
「やだね、一億分の一だって、もったいないよ……」
>>556 国防省さんのSSは読み応えがあるので、毎回楽しみにしています。
俺も欲しいくらいの文章スキルです。
>>567 ぁう……挟んじゃった、ごめんなさい。><
570 :
妄想モエチリ:2010/11/13(土) 01:47:04 ID:/wSt0vAM
>>569 ガンダマーな俺は全然、気にしないのです
楽しく読んでるよ
今晩はこれで仕舞い、続きは明日〜
571 :
妄想モエチリ:2010/11/13(土) 01:49:05 ID:/wSt0vAM
横浜、みなとみらい地区
女子「あっれー?絶対こっち近道だと思ったんだけどなぁ」
鬼子「明らかに中華街から遠のいている気がするよ」
女子「電車賃もったいないからって横浜から歩こうとするのが失敗だったかなぁ」
鬼子「はぁ・・・」
女子に道案内を全て任したことに後悔する
既に現在位置は不明、周りは空き地で寂れガードレールには落書きが一杯だった
女子「仕方ない、お金かかるから嫌だったけど携帯のGPSMAP使う」
鬼子「へぇそんなのあるの?」
女子「ふふーん」
カコカコっと女子は携帯を操作し始める
鬼子も興味をもって一緒に覗き込む
腰パン「道に迷ってんのか?」
鼻ピアス「なんなら俺たちが案内してやんよ?」
案内される先が不安で仕方のない二人組が声をかけてきた
鬼子「ありがとう、でももう道分かりましたから」
鬼子「行こう、女子」
女子「う・・うん」
明らかに怯えている女子の手を取り、その場を立ち去ろうとした
ガシッ
鼻ピアス「そんなこと言うなよ、どこだって案内してやるからよ」
女子「あっあの!困ります!」
あーやっぱきた
心の中で一人ならどーでもなるけど、今は女子いるしなーと思案する
思案しているのを何か勘違いして更に肩にまで手を回してきた
鼻ピアス「俺たち、こー見えて紳士だから大丈夫だって」
腰パン「そーそー」
そろそろ叩きのめしてやろうかと考えていた時、着物姿のイケメンが声をかけてきた
ヤイカガシ「あーいたいた、探しましたよ」
ヤイカガシ「さぁいきましょうか」
鬼子はのることにした
鬼子「あ、先生、どこいってたんですか?もー」
ヤイカガシ「いやーすいません」
鬼子「(女子、あいつは知り合いだから大丈夫)」
鬼子「行こう、女子」
女子「うん」
女子がなんだか目がハートになっている気がするが、気のせいだと信じたい
3人でその場を離れようとする
腰パン「ちょっと待てや!」
鼻ピアス「なにカッコつけてんだ、あぁ!?」
ゴンッ…ゴトリ
ヤイカガシ「ぐふっ」
女子「ああ!大丈夫ですか!?」
弱い!弱すぎるよ!せっかくカッコよく出てきたのに!ヤイカガシ〜!
鬼子は心の中で涙した
572 :
ガッシュ劣化:2010/11/13(土) 08:57:37 ID:tmOcJW2o
>>556 ごめんなさい、二度目のレスです。
何が一番言いたかったかと言うと、国防省さんが頑張っている傍らでおちゃらけたネタ的な投下をして外部からの顰蹙をかっているのはたぶん冷静に考えてみても俺なのです。
読み返してみて自分でも「うわぁ落書き自重しる」とめまいを覚える事数度。このままでは軽い常駐荒らしです。
不評が出たから書くのを止めるのは違うと思います、読む読まないは読者が決めること、書き手の唯一の義務はただ完結させる事だけだとばっちゃが言ってた。
この完結させるのが一番きつくて、外部からのバッシングをくらうとかも試練のうちなのだとばっちゃはいまも俺の左心室あたりに正座して言っております、ニコニコしています。
今後の方針として文章力は徐々にあげていくしかないけど、推敲ならできますので、なるべくクオリティの高いものを投下して国防省さんの足を引っ張らないようにし、このスレのレベルアップに少しでも力添えさせていただきたいと思っています。
ちと遅いけど、貼っときます
833 創る名無しに見る名無し sage 2010/11/13(土) 15:52:49 ID:e+8hG1w2
〃 A´`Aヽ
Kiミ!|ノノ))))〉 ・避難所からのお知らせです【話し合いが始まりました】
ノ ヘ.|l.゚ ヮ゚ノ|!_ ・避難所
>>7-:「本スレとSSスレについて」
意見のある方は参加をお願いします!
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1289585558/7- 今のところこのSS専用スレは簡易SSアップローダ的な立場という事にしよう、という線で話が進んでいます。
鬼子プロジェクトのために検索してやってきた人が見やすい状態を保ちたいからSSは総合スレの方にリンクを貼ってね、という感じになるかと思われます。
今までにない使い方だなぁ、削除依頼が出なきゃいいけど(´ω`;)
「あははははは、こっちこっちー」
ヒワイドリ(イケメン)が内股走りで花畑を駆けていく。彼の後から大きな風呂敷包みを背負ったヤイカガシ(ハンサム)が息を切らして駆け寄ってゆく。
「ははははは、待てよこいつぅー」
花畑のど真ん中で二人の影は重なった。ヤイカガシのごつい手がヒワイドリの肩に巻きつき、強引に押し倒した。
「うぐっ……ひんぐっ」
どさっ
花畑に埋もれたヒワイドリの周囲に、ヤイカガシの風呂敷包みから零れた色とりどりのパンティーが散らばっていた。
ヤイカガシはヒワイドリに覆い被さったまま、彼の馬のような首筋に真剣な眼差しを注いでいた。
「俺ひとりに罪を被せるつもりか?」
いつになく真剣なヤイカガシが、ヒワイドリのすっと尖った鼻梁をつついた。
「俺ひとりじゃ寂しいだろ」
「……そのまま一生牢屋から出てくるな」
目を背けようとするヒワイドリの顎を、くいっと自分に向けさせるヤイカガシ。
「――その唇に穿かせるパンツが欲しいな。白い小さな紐パンだ」
逃れようともがくものの、ヒワイドリの顔はますます紅潮し、唇は空気を求める鯉のように小さく開閉していた。
「……もうそんな話はよそう。乳の話をしようじゃないかっ」
「そうしたら君がその可憐な蕾を開くたびに、僕がパンツを脱がしてあげられるのに」
「もうそのネタ何度目だよっ! この変態悪臭魔除け! 息くさいっ!」
「ちょっと我慢してごらん。今日は尻の話がしたい気分なんだ」
「やっ、ヤイ、カガ……シ……やめて……ひっ! やだっ////」
「みさきぃー♪ めぐりのぉー♪→
http://www.youtube.com/watch?v=t21jLhpwAc8&sns=em」
ヤイカガシは二度と起きられないと思われたほどの深い眠りから目を覚ました。
「い……生きてた……! 死ぬかと思った!」
不死身の彼が死ぬ訳はないのだが。
黒歴史級の悪夢から現実に戻ってみると、そこはガンダムのプラモが散乱したアパートの一室だった。
ヤイカガシはいつの間にかクッションと一緒にカーペットに寝そべっていた。
「ぐぅぅ、あの動物たちめ……」
全身ずたぼろで、ヒイラギの右手がぷらんと折れている。見上げると夜空がのぞく壁の亀裂。気を失ったのは戦いの最中だったことを思い出す。
アパートの外には火災が広がっており、その手前に半身が大破してうずくまった等身大ガンダムがいた。そしてその手前に鬼子さんの巨大な後ろ姿が見える。
ああ、もう勝負あったのか、とヤイカガシは鼻白んだ。けっきょく彼の出る幕はなかったようだ。
風呂場もいつの間にか空っぽで、小日本は動物たちとどこかに消えているし、もう特にすることもなく鬼子さんと等身大ガンダムのやりとりを眺めていた。
――しかし
脇役に徹しながら不意に彼は思う。
――なんでアレは動いたんでゲスかね?
ヤイカガシはもう一度ガンダムを見た。ただの巨大プラモであるが、物が動き出したこと自体には何の不思議も感じていなかった。
むしろ彼自身もそんな妖怪の仲間に近い。乱暴な言い方をすれば、もともと鰯にヒイラギをくっつけただけの魔除けが妖怪化したのがヤイカガシなのだ。
――百年経って九十九神が降りたのとも違う。
――神通力? そこまで強い鬼を宿していたでゲスか?
鰯の目を膨らませ、視力をぐーんと拡大するヤイカガシ。
不信に思って見つめるヤイカガシの目は、ガンダムの首の後ろに貼られた小さなステッカーを見つけた。
もっとよく見ようと目を光らせたとき、ヤイカガシの呼吸が止まった。
「あれは、まさか……!」
魚の頭部からは、だらだらと油分がにじんでいる。
「まさか……怪器『大天狗の呪詛符』! こりゃいけねぇでゲス! 姉御ぉぉ!」
日本鬼子さんに呼びかけると、彼女は遠くの山にいる人みたいにやや遅れて振り返った。その目はどうしたの?と問いたげに瞬いた。
「逃げてくだせぇ! 『日本狗』さまがすぐそこにいるでゲスよ!」