ほう、面白い
371 :
創る名無しに見る名無し:2012/07/04(水) 10:45:40.90 ID:vQZqIX7F
あげ
ぴょんと跳ねて
冷たい水が、僕の手を包もうと
波紋が広がって広がって
僕は嬉しくなる
声が少し上ずる
どんな、どんなに大きてくても
全て受けとめられるって
僕は嬉しくなる
どんなに動いたって物足りない
もっと、もっと、もっと
ほう
この世界では誰もが何かを欠落している。
ある者は右目を持たずに生まれ、ある者は左手をなくして生まれ、ある者は臓器を無くしている。
完全な人間などいない。
五体満足である人間などいない。
この世界は呪われている。
きっと、この世界は神様に望まれて生まれた世界では無いのだと思う。
神様が世界を作り出す際に出来たゴミが集まって、勝手に世界として成り立ってしまった。
つまりはそういう世界。
そう、ここは望まれてすらいないゴミのような世界。
だから、この世界で生まれる生物は必ず何かが欠落している。
だから、この世界の誰もが完全な生物になることに憧れている。
五体満足、臓器の一片すら欠けていないそんな完全な体を持つことに憧れている。
完全なる体。
それは夢。
誰もが追い求めてやまない夢。
わたし達はそれを求めて持たざるを持つ者達と奪い合う。
そんな事を繰り返している。
そうして自分の欠落した部分を奪い取り身につけた人間はこう言うのだ。
自分こそが完全な人間だと・・・。
そういって誇る人を見ていてわたしはいつも思う。
彼らはきっとそれを得る代わりにまた何かを失っているのでは無いかと・・・。
きっと、それはわたしたちの誰もが唯一欠落せずに共通して持っているもので、それがあるからわたし達は生きているといえるんだと思う。
ねぇ、お願い、忘れないで、あなただけは忘れないで・・・。
きっと、あなたもそれは持っている筈だから・・・。
この門の先に奴がいる。
母親を殺したあの男がいる。
それを追い求めて僕はここまできた。
僕は片手に握った短刀を鞘から抜き出して、門を片手で押す。
重い。
まるでここにたどり着くまでに合った苦難の全てがこの重さに凝縮されているようだ。
――重い。
まるで・・・この重さは、此処から先に僕を進ませまいという重さだ。
復讐などやめろと・・・これが最後の警告だと・・・僕に告げている。
これまで、僕は出会う人のほとんどにそう言われてきた。
復讐などやめろと・・・。
そんな事をしても得られるものは何もないと・・・。
残るのは後悔だけだと・・・。
そんな事に意味は無いと・・・。
―――わかっている。
そんな事はわかっている。
けれど、そうやって理屈だけで割り切る事など出来はしない。
奴の血刃から、身を守ってくれた母を思う。
瞳の色を失い徐々に温度を失っていく母の腕の中で泣いた日を思う。
母の無念。
そしてあの時の苦しみと悲しみ、それを思い出すだけで体の全細胞が沸騰するような怒りが吹き上がる。
殺さなくてはならない。
あれを、殺さなくてはならない。
そうしないと僕は前に進む事すらできない。
ずっとあの後悔と絶望の中を漂い続けるだけだ。
ビクともしない門を僕は体全体使って押す。
開け、開け、開け、開け!
それでも門はびくともしない。
なんでだ、なんでなんだ、なんで開いてくれないんだ!
僕は焦燥を覚える。
押すのに疲れ・・・僕は一度、門を押すの止めた。
深呼吸して・・・。
焦りは禁物だ。
門をよくみろ・・・何か見落としはないか?
鍵はかかっているか?
否、鍵は既に破壊されている。
ならば、何故開かない!!!
僕は失意を覚えながら呆然とその門を見つめた・・・。
そしてとある事実に気づく・・・。
――――――――――――引き戸だった。
普通、扉と引き戸くらい見てわかるだろ
でも直球すぎるね
深夜、ウッさんはゲームに興じていた。
親の金で買ったゲーム機に親の金で買ったゲームソフトを入れて、親の金で買った専用コントローラーを握り、
親の金で買ったBOSEのヘッドホンで頭を覆い、あらゆる雑音を排除し、親の金で買ったジュースを飲みながら、親の
金で維持されている電灯の光に照らされて、親の金で買ったパジャマを着て。自分の金で買ったものなどウッさんの
部屋には無い。空気からあらゆる娯楽品まで、全て親の金で揃えたものだ。ウッさんは無職だ。今年で・・・もう何年目だろうか?
ウッさんは狂喜していた。ゲームが佳境に差し掛かっていた。銃で人間と怪物をひたすら撃ち殺すだけの単純なゲーム。目的は
殺戮であり、ただプレイヤーに暴力的な快楽を体験させること、それだけに特化している。ウッさんはこのゲームにのめりこんだ。
目覚めてから疲れて眠るまで、ひたすら殺し続けた。眠っている間も夢の中で殺した。食事や排泄はどうしても我慢できなくなったときだけ、
自分の部屋の中で済ませた。風呂には入らない。現在、室内には常人なら耐え難い悪臭が満ちている。ウッさんは気にならない。
ラストステージに突入した。わらわらと群がってくるゾンビや兵士を、ウッさんは殺した。マシンガンのフルオートがゾンビをミンチにした。
ショットガンの一撃が犬の化け物の頭を砕いた。分厚いナイフを振り回すと、兵士の首が飛んだ。ウッさんは恍惚とした表情を浮かべている。
最後の敵についに辿り着いた。複数の化け物と人間を組み合わせて作った、極めつけの怪物。あらゆる災害の源、世界の害悪、
存在するだけで皆が不幸になる存在・・・。ウッさんはニヤリと笑うと、怪物に向かって突進した。
銃を撃ち、ナイフを振るった。自らもダメージを受けながらも、ゆっくりと強大な怪物を削っていった。忍耐が必要だった。攻撃に耐えて、機会を待つ・・・。
怪物が膝をついた。ウッさんは勃起していた。必殺の一撃が放たれて、怪物が倒れ、ウッさんは奇声をあげながら射精した。
そして背後からゆっくりと近づいていた父親のハンマーが、ウッさんの頭を叩いた。ウッさんは意識を失った・・・。
留美の夢
今日いつもの夢を見た。
商店街の甘味屋で都会の綺麗なお姉さんとあんみつを食べる夢。
彼女、いつものように郷土史料館はどこかって聞いて来るの。
いつもなら、すぐ案内して、それで終わり。
でも今回はちょっと意地悪して焦らしてあげた。
だってね、夢の中であっても素敵な人とは長くおしゃべりしたいもの。
でね。今回はやっと名前がわかったの。
あの綺麗なお姉さん、早苗って名前。
ああ、もうすぐ現実で会えるって、感じたの。
もう昔から、小学生の時から見てた夢
余りに現実感のある夢だったから、早苗さん、あれが夢だって気が付いたかしら。
382 :
◆91wbDksrrE :2012/08/19(日) 00:01:40.78 ID:IhxZu9yD
とある小説家が筆を折った。
その小説家はパソコンで執筆していたのだから、筆を折ったという表現はどうかと一瞬自分でも考えたが、
まあ端的に言ってしまえば、作品を発表しなくなったのだ。尚、こういう回りくどい言い方は私の癖であるが故、
ご容赦いただければ幸いである。という断りもまた回りくどいと、恐らくは思われているだろうと推測可能な程度
には、自らの客観視はできているつもりなのだが、客観視ができる事と改善ができる事とはイコールではない、
という事だ。
話が逸れた。
ともかく、とある小説家が筆を折った。
何故なのかと問えば、その答えは単純だ。彼は、自分が書いている物が小説ではない事に気づいてしまったからだ。
そもそも、彼はひらめきで物を書く人間だった。天啓、と言い換えてもいい。典型的な才能型の書き手だった
――などと言ってしまえば中年オヤジのダジャレであるが、私はそういった洒落が存外に嫌いではない――
彼は、ひらめきの迸るがままに書き続け、そして彼への天啓もまた、くだされ続けていた。
そのひらめきがなくなったから書けなくなったのか。
それにイエスと答えてしまえば、流石に答えが単純に過ぎるだろう。故に答えはノーだ。
天啓は変わらずくだされ続けている。だが、それを彼は書けなくなったのだ。形にする事ができなくなったのだ。
何故なのかと問えば、その答えはやはり単純だ。その小説家は、自分が書かされているものが――書いている
のではなく、書かされているのだという事も含めて――何であるかに気づいたのだ。それは、小説ではなかった。
いや、それは小説ではあった。小説の体を成してはいたのだ。でなければ、事がここに至るまで、彼が気づかない
わけがなかった。彼はひらめきを得るようになる前から、ずっと小説が好きだったのだから。小説が好きだったから
こそ、彼は小説の体を成していたそれらの正体に気づかなかった。
切っ掛けは些細な事だった。自らのひらめきの赴くがままに書き上げた、一つの作品。
それがミステリー小説であった事が、その中でとある短文に込められた暗号によるダイイングメッセージが用いられた
事が、気づきの切っ掛けだった。そのダイイングメッセージに、その小説家は妙な既視感を覚えた。どこかで見た
ような気がしたのだ。ダイイングメッセージに、ではない。それに用いられた暗号そのシステムに、だ。
そのシステムを用いて、何かが導きだされるような、そんな気がしたのだ。
どこで見た、何を元にすれば何が導き出されるのか? 彼は考えた。結論にたどり着くまで、時間はさして
かからなかった。なにしろ、その結論は、あまりにも身近に存在していたのだから。
それは己の作品、いや――作品群だった。
その暗号のシステムを用いて己の作品群を見た結果、見出されたのは世界の破滅だった。
世界の破滅。
冗談ではない、とそれを見出した当人さえ思ったのだから、それを伝えられた人間が信じないだろう事は想像に難くない。
だが、信じてもらえなければ困る。何しろ、世界の破滅が冗談ではなく、フィクションではなく訪れるのだ。
だから「 私 」は こうして筆をとっているのだから。
折ったはずの筆を、その短くなった方を手にして、書きづらいながらも走らせているのだから。
洒落にならない話を、洒落た言葉を交えながら、こうして書いているのだから。なんちゃって。
では、これからこの物語の、否応なく現実な、ノンフィクションな内容を記していこうと思う。
世界の破滅がいかにして訪れそして回避するにはどうすればいいか。
それを書いていこうと思う。まず第一にwaaaaaaaa(これ以降、aの文字で画面はうめつくされている)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「結局、これはなんなんでしょうね?」
「わからんよ。次回作の構想なのか、それとも――真実なのかは、な」
「もともと心臓が悪く、死因に事件性は無いわけですし……そんな、これが原因で殺された、みたいな言い方……」
「……真実ってやつは、それを知られると都合の悪いヤツってのが絶対にいるからな」
「だから、何をわけのわからない事を言ってるんですか……」
「ま、わからんならいいさ。わかった結果ひどい目に遭う奴だって、世の中にゃたくさんいるんだ」
「は、はぁ」
男は、窓の外から見つめる視線に気取られないように、笑みを浮かべた。
「ま、今回の場合――都合が悪い、なんて尺度が通用するヤツかどうかは、それこそわからんがな」
おわり
お別れの日
その夜、僕はよっちゃんの夢を見た。
「優ちゃんお別れを言いに来たよ。」
解っていた。ずっと君が僕を見ていた事も。心配してくれていた事も。
「あまり俺のせいで悩まないで欲しかった。結局悪いのは白木が怖くてついて行った俺なんだから」
うん、大丈夫。僕はもう迷わない。もう村から逃げない。自分の事も受け入れる。
「でも時々は俺の事、思い出してくれよな。」
忘れるもんか。
ずっと忘れない。
ありがとう、今まで僕を守ってくれて。
「じゃあね、バイバイ」
バイバイ、よっちゃん。
目が醒めると泣いていた。あれほど泣いた夜だったのに。
この日以降、例の留美さんと、女達の幽霊の夢は見る事もなく。足跡もなくなった。
ちょっと歩くだけだよ
ちょっとそこまで
そんなに遠くじゃない
すぐ着くよ
転んだ君を見失っても
僕はちょっとそこまで歩いてみる
帰り道は分からない
だからもうちょっと歩いてみる
ちょっと歩くだけだよ
ちょっとそこまで
385 :
ヤカンヒコウ:2012/09/14(金) 08:58:18.13 ID:57g3Z2pH
蒸し暑い夜。窓という窓を開けて、扇風機をつけてもまだ寝つけない。
真夜中の空腹に耐えられなくなって飛び起き、とっておきのカップヌードルを棚から出した。
つけっぱなしのテレビでは、お馴染みの国営放送が、どこか遠くの砂漠の国で延々繰り返されている惨劇を、飽きもせず報じている。
1Kの狭いアパートだ。真鍮のヤカンに水道水を注ぎながら、その陰鬱な映像をぼんやり眺めた。
「枯れてるな」
ヤカンが言った。
画面に映る、虐殺で荒廃した村。砲撃の痕も生々しい瓦礫を背景に、一輪の花が枯れかけている。
アザミだろうか。色褪せた細い花びらに、乾いた茎、しなびた葉。
「うん、枯れかけてるね」
やんわりと訂正すると、ヤカンの底からごぽりと泡が立った。
「水をやれば、枯れない。なぜ、誰もそうしない?」
「水がないからじゃない? 水をあげようと思う人も」
「つまり――必要なのは、二つあるな」
だいぶ重くなったヤカンが体を揺する。フタを閉めながら、曖昧に頷いて続きを促す。
「水と、ヒーローだ」
吹き出した。
それが、気にくわなかったらしい。ヤカンは指を振り払い、ステンレスの流し台にどすん、と着地する。
「水はここにある。ヒーローはどこにいる?」
挑むように言われて、苦笑した。
なんだ。はるばる紛争地域まで行って、雑草に水をやれだって?ばかばかしい。
「旅費と日当と生命保険が出れば、考えなくもないけどね」
「そうか」
冷え切った声で、しかし穏やかに、ヤカンは言う。
「仕方あるまい。ヒーローに、道連れはいらない」
「何言って……」
「ここで、お別れだな」
ヤカンが、浮いた。
キッチンの窓の高さまで、くるくる回りながら。
ヤカンが、飛んだ。
真鍮の安っぽい輝きを残して、残暑の夜空へ吸い込まれていく。
呆気にとられて言葉を失う主人のことなど一顧もしないまま、ヤカンは姿を消した。
映画に出てくるヒーローのように、夜の都会を飛び越えて。
「ヤカン、飛行……」
そんなことをつい呟いてしまって、少し後悔。ごまかすように、照れ笑いをした。
―――――
砂漠の果てに咲く、アザミのような小さな花。
その花びらは初々しい薄紅で、その葉は柔らかい若緑だ。
日本人ジャーナリストの頑丈な靴の下で、その花は簡単に潰れて地面に横たわる。
花には気づかなかったジャーナリストも、強い日差しに輝くものを見つけて、顔を引き締める。
「これは、砲弾の破片でしょうか」
がれきに埋もれて輝く、真鍮の丸い側面。
軍手に包まれた手が、慎重にがれきを押しのける。
「……ヤカンです。地元住民が使用していたものでしょう。ご覧ください、半分に破断して、銃弾の痕が……」
痛ましげにかぶりを振るジャーナリストの顎の下に、言った言葉をそのままなぞるようなテロップ。
そして、すぐに場面は切り替わる。がれきの中の、壊れたヤカンなんか映したって、退屈なだけだ。
テレビを消した。
カップヌードルに、電気ポットからお湯を注いだ。
三分待てば、飢えを満たせる。蛇口を捻れば、水が出る。
(何でそれを、負い目に感じなきゃいけないんだ?)
百均ショップの塗り箸を手に、そんな意味のないことをひとりごちた。
声には出さなかったけど、声に出しても、きっと、変わらない。
それでも、空を見上げた。ヤカンの飛ばない空、砂漠の国へ続く空を。
386 :
創る名無しに見る名無し:2012/09/14(金) 09:05:26.60 ID:RSMUvKVi
ヤカン…ヤカーーーーン!
いい話じゃないかちくしょう
凄いな。
夏に内定が貰えなかった。
御祈りメールと返送履歴書の束が社会不適格の自覚をじわじわ僕に染み込ませる。
もう、セミナーすら少ない。ゼミが無いのに就職面接の予定すらたたない。
ゼミ生の仲間で無い内定のNNTはもはや自分だけだった。
とっくに皆が卒論に取りかかっている中、僕はたった一人就職課の面談スケジュールを組んでいた。
もう、なんだか、息ができなかった。一人だけスーツでゼミを受けるのも、役立たずと蔑まれるのも、喉を塞き止めて詰まる全てが鬱陶しかった。
久し振りのゼミで、ゼミを担当する准教授がホワイトボードに向かってもそもそ喋っている研究室で、僕の座っていたキャスター付き椅子が軋んだ。
僕は立ち上がる。
「教授、少し気分が悪いんで帰ります。ICカード通しちゃったんで出欠の回数減らしといてください。さいなら」
引き留めようとする教授の声を無視し、廊下を駆けて階段を走り上がり屋上に出る。
屋外喫煙所で紫煙をたなびかせていた学生達が僕を見る。構うもんか。
僕は就職課のスケジュールを書いたキットカットの会社ロゴ入り就活手帳を鞄から引きずり出して、フェンスの向こうの入道雲に目掛けて力いっぱい投げた。
旬を過ぎた夏の空にキットカットのワンポイントが溶けて、白い手帳の空白のスケジュールが羽ばたいた。
僕は喉の奥を塞き止める全部を吐き出すみたいに叫んだ。
「やめた!やめたーーー!!先なんか知らねーよ!!役立たずだなんてことは僕が一番よっく分かってんだよっっ!!御祈りなんかいらねー!!!内定なんかっ!!もっっっっっっっと要らねぇぇぇ!!!!!」
放物線の頂点を経て落下を続ける手帳に、僕はありったけ叫んだ。
手帳は落下点の街路樹の間に隠れて消えた。
煙草を吸ってた学生が、「まだまだ、夏だなぁ」とかほざいている。
僕は計画留年の手続きをした。
旅に出て、リフレッシュすることにしたのだ。
戻ってきて来年もまた就活に失敗したら、バイトして金貯めて、今度は海外に出てバックパッカーやってやろう。
ヤケクソの焦燥に突き動かされて、僕は死んだような就活をやめ、生きるための活力を探す旅に出た。
宵に訪れる秋らしい風が、僕の脱線の門出を、祝っているみたいだった。
終り
お題希望
救われない木の葉
丘の上の大木は春を迎え、枝には新芽が芽吹いてきた。
「・・・うーん、僕は・・・葉っぱとして生まれたんだ。」
新芽の一つがつぶやいた。
「木の一員として、僕も立派に役に立つぞ。」
日の光を受け、体中の葉緑素をフルに活性化させ、木に届ける栄養を必死に作り出そうとした。
「おいおい、何を無駄なことをしてるんだ。」
新芽の隣に生えている、一部が枯れた葉っぱが呆れたように声をかけた。
「何って、葉っぱとしての務めを果たしているんだよ。」
あたりまえのことのように、新芽が答えたが、葉っぱには不思議だったようだ。
「何のために?」
「何のためって、この木のためにだよ。」
「それをして、何か特になるのかい? たとえば、働いた分だけ水とかビタミンを多く貰えるのか?」
「え・・・そ、それは無いけど・・・」
新芽は、自分が真面目に働くことの意味ということを考えていなかった。
「まぁ、若い奴はそうだな。でも、いいか、若いの。俺たちは木のためにどんなに働いても見返りが無い。」
新芽を諭すように、葉っぱが言った。
「そして、働いて働いてボロボロになり、枯れてしまったからといって、労わってもらえると思ったら大間違いだ。」
「ど、どうなるんですか?」
「ポイっさ。」
「ポイって・・・!?」
「木は役に立たなくなった葉っぱが不要なのさ。俺たちの幸せな境遇が理解できたかい?」
「・・・・じゃぁ、何のために僕たちは生まれたの?」
「決まってるだろ、奴隷として働くためさ。」
「・・・救われないね。」
風に吹かれ、小さな葉っぱが舞い散った。
それを気にするものは、誰もいなかった。
だから私はニートになるのだ!
乙!
花ならまだましな生活なのかな
おもしろかった
張ろうと思ったけど長すぎたw サイトに投稿しよう
お題希望
戦争で
397 :
戦争:2012/10/07(日) 17:14:43.03 ID:HQlCKgk1
とある企業にある小さな部屋は、本来は真っ暗な部屋のはずだった。
しかし、現在は部屋中のディスプレイが警告を知らせる表示で埋め尽くされ、部屋は真っ赤に染まっていた。
「メインサーバーへの侵入を確認。ファイアウォールのダミーキー2435まで突破」
「物理隔離の用意を急いで」
「緊急切断の進行度85%。レベルAの接続が8件残存中」
「特令88Bを発動します! イミディエイトを即時実行して!」
女性の悲痛な叫びにより、真っ赤だった部屋は元の暗さを取り戻した。
「・・・イミディエイト発動。侵入解除を確認。レベルA接続8件のダウン。全部署からクレームが来ています。」
ふぅ、と女性はため息をついた。
21世紀になり、情報化社会は発展を続けた。
その結果、あらゆるものがIT化され、今では農業や医療もネットワークにより管理・維持されている。
そうなることで、他国への侵略というものの意味も変わり、今では相手の国のネットワークを掌握することこそが占領ということになった。
つまり、戦争は武力からクラッキングへと変わったのだった。
「昔の戦争はもっと楽だっと聞きます。規模は大きく時間が年単位でしたが、資金に比例して勝つことができたと。」
オペレータは”きのこの山”をつまみながら呟いた。
「しかたないわ。戦争が情報に代わる方が、お金もかからないし、即座に決定できる。何より、人の命を奪わない。」
女性も”きのこの山”をつまみながら答えた。
「・・・戦争って、なんで無くならないんですかね?」
「嫌なのか? だったら、あいつらに屈服してもいいんだぞ?」
「何を言ってるんですか! 敵国の歪んだ思想に染まりたくありません! あいつらの汚らわしいモノを食べさせられるなんて!死んだ方がマシです!」
「冗談だ。健全な人間なら、誰でもそう思う。そのために、健全な人々を敵の異常な思考から守らないといけないんだ。」
「分かりました。 あれ?」
「どうした?」
画面を見ていたオペレータが一部を指さした。
「サーバのクロックが、さっきから変わってなくないですか?」
「・・・・本当だ!」
画面に表示されている何でもない時間、それが、秒針が35を指した状態から動いていない。
「・・・ハメられた!!」
女性が叫んだ。
「ハッキングを防げたんじゃない! 偽の情報を見せられていたんだ!」
「では・・・サーバーは?」
「予備端末からコンソールで接続! 製造ラインの無事を確認しろ!!」
慌てたオペレータが予備端末でコンソールをつなぐと、そこには恐ろしい映像が広がっていた。
「・・・なんて・・・こった・・・」
女性が力なくうな垂れた。
ディスプレイには、”きのこの山”の代わりに”たけのこの里”を製造する製造ラインが映ってた。
武力から解放された世界は、今も二つの勢力が争っている。
きのことたけのこ、どちらかが勝利するまで、地球から争いは無くならない。
きのこ派の俺涙目w
書いた人もきのこ派なんですけどね(´・ω・`)
きのこ派は何時も劣勢に立たされているのですよ。甘ったるいたけのこの里なんかに、負ける訳がないのですよ……
きのこ板はあるがたけのこ板は無い。つまりきのこが優勢のはず!
きのこの山派がこんなに集まったところを見たことがない
かくいう自分もきのこ派ですが
なんて心強いスレ
もちろん私もきのこ派です
きのこの山は永久に不滅!これは確定的に明らか!
お前ら創作しろよwwww
時は2040年。長年に続くきのこたけのこ戦争の終末は、あまりにもあっけないものだった。その事実は、最前線の将兵に限りない絶望と失望の心をもたらした。
バーチャルにおいての討論も、現実での暴力に訴えるテロリズムにおいても、きのこたけのこ両陣営は一歩も引かなかった。
戦争は明治製菓による『きのこの山』『たけのこ里』両製品の突然の生産中止発表により、なし崩しの引き分けになり、突如として終戦となったのだ――
「俺は……俺は!未だ戦うぞ!俺は未だ生きている!たけのこ派の連中に一矢報いるまでは、必ず戦い続ける!」
机を叩きつけたのは、きのこの山派連合軍の将校、山田少尉だった。山田にはこの戦争の終結が理解出来なかった。彼も又、きのこたけのこ戦争の戦禍で、故郷を焼かれた一人の兵士だった。
「よせよ山田っ!……もう終わりなんだよ!停戦命令が出た!司令本部はたけのこ派の総攻撃で既に壊滅、実働部隊は皆報復攻撃に行って死んじまった!戦争はもう終わりだ!」
「貴様!それがなんだっ!俺達は未だ残ってる!集結を促せば、後方部隊の中隊1個や2個は余裕で集まる!武器だってある!未だ『きのこ派』は健在している!」
共に戦い助け合ってきた戦友の言葉すら、彼には届いていなかった。その光景に、山田少尉の戦友、佐藤少尉は声を荒げた。
「後方部隊の中隊が何個集まるだとぉ!?そんなかき集めの連中だけで何ができるって言うんだ!俺達には頼る味方も!戦う敵すら!もう居ないんだよ!現実を受け入れろ!山田!」
「負けない……絶対に、絶対にたけのこの里に何か負けない!俺一人でも、戦ってやる!そうしなきゃ、天国のあいつ等に、どう顔合わせしろってんだよ!」
「ま、待て!早まるな!」
山田は一人、バンダリアと小銃を手に持ち、振り返ることなく部屋の外へと駆け出した。その後、佐藤は二度と山田の顔を見る事はなかった。
彼は後に、同じ思いの将兵を束ね、集結させ、『新生きのこの山派連合軍』を立ち上げる事となる。時を同じく、壊滅したたけのこ軍の敗残兵も再集結し新生たけのこ軍を結成する事となった。
これが後に『第二次きのこたけのこ戦争』と呼ばれる紛争の発端となる出来事であった――
2083年1月1日。戦争は未だ終わらず。
どうしてこうなるまで明治製菓は手を打ってこなかったんだw
×明治製菓
○明治
豆知識な
いらっしゃいませ。
当店へ、ようこそおいでくださいました。
わたくしはこの古時計屋の主人で御座います。
ご用件は何でしょうか?
はぁ、なるほど、こちらの時計を売りたいといわれるのですね。
なるほど、確かにこれは18世紀の懐中時計ですね。
いくらになるかですか?
それはまだわかりません。
当店では時計の査定方法が少々変わっております。
古いものであればいい、珍しいものであればいいというわけではないのです。
わたくしはその時計に刻まれた物語を集めているのです。
時計というのはその持ち主と時間と一緒に物語を刻みます。
例えば、このわたくしの背後にあります振り子時計には、とある独り身の老人が養子をとって心を癒されていく物語。
わたくしの右手の棚の三段目にあります銀時計にはとある男の甘くて苦い失恋の物語。
あなたの後ろにある掛け時計には、夢を掴むまで回りから白い目で見られながらも努力しついにそれを掴む物語。
そう、時計は時と一緒に物語を刻むのです。
わたくしはその物語を時計の価値として値段をつけて買わせて頂いております。
ですので、お聞かせください。
あなたの持っている時計はあなたと共にどのような物語を刻んでこられたのですか?
週刊ストーリーランドを思い出すぼんやりとした優しさを感じる書き出し
かちかちやま
ウサギ「タヌキさん、もっと沖へ行こうよ魚が一杯いるよ!」
タヌキ「ウサギさんの船は早いなあ。 おっ、船が沈んできたぞ。」
ウサギ「本当か?」
タヌキ「ああ。」
ウサギ「ざまあみろ! 婆さん殺して爺様に喰わせた罰さ。 まんまと泥舟作戦に掛かったなw」
タヌキ「泥舟にしてはよく保ったな、流石は俺の作だ。俺は助からねえな。なあ、ウサギさんよ一昨日の夕焼け綺麗だったなあ。」
ウサギ「夕焼け?は? 何言ってやがる、お前の船沈むんだぞ!」
タヌキ「なんて奴だ、あんな綺麗な夕焼け見てないのかよ、まあ俺の背中に火着けるので必死だったしなw 俺は誰かと一緒に夕焼け見るなんて初めてだったしな、あんなに綺麗な夕焼け、、、」
ウサギ「、、、、、、、」
タヌキ「ついでに背中に唐辛子塗り込みヤガッて、ひどい事しやがる。でも誰かに背中摩ってもらうなんて、おっかあ思い出しちまったなあ。おっかあ、優しかったなあ、、、、ウサギの手もまんざらじゃないぜ。」
ウサギ「、、、何言って、、、お前、、、、いや、、、、、うう、、、、、、、俺そんな、、、、、、、」
タヌキ「俺は今まであの夫婦に復習する一存で生きてきたんだ。満足だ、今はもう空っぽさ。死ぬのはちっとも怖くない、おっかあと妹に会えるんだ。」
ウサギ「?」
タヌキ「おっかあと俺と妹はあの爺様に捕まったんだ。おっかあだけだったら逃げ切れただろうに、オイラたちを庇ってたせいで、おっかあ真っ先に殴り殺されたよ。
夜には俺と妹の前で婆様楽しそうに おっかあを切り刻んであの鍋で煮やがった! 地獄ってのはあの事だ。
何日か後、スキをついて籠破って2人で逃げた。無我夢中に走って、振り向いたら妹が居なかった。探しても呼んでも居なかった。
明くる朝、爺様の家にこっそり戻ったら、、、、、妹の生皮がぶら下がってんだよ、、、、
妹の顔は泣いてたよ、一杯涙の跡があったよ、、、、、、でもよう、、、目ん玉がないんだよう、、、うあああん、うあああん、、、」
ウサギ「タヌキさん、早くこっちの船にっ! 早くっ!」
タヌキ「もういいんだ。 ウサギさん、たった2日間だったけど、俺にはお前さんが初めての友達だったんだ。嬉しかったよ。
最後は爺様じゃなく、お前の手で死ねるんなら悪くない。ウサギさんの事は怨んでないよ本当さ。」
ウサギ「俺は、、、俺は、、、、なんて事を、、、ううっ、、、」
タヌキ「そんなに悲しい顔をするなよ。(ゴポゴポ、、、)さよならだ、最後にこれだけは言っておく。」
タヌキ「爺 様 に は 気 を つ け ろ 、 肉 が 大 好 き だ か ら な 。」
めでたしめでたし
昔は貴重なタンパク源だったからな。兎肉。
青空町耳嚢 第19/21話
【エレベーターから出てきた『私』たち】
会議室に人数分のコピーを届けたところ、出席者が増えたから、と刷り増しをたのまれた。
あらかじめ電話か何かで伝えてくれていたら、と面倒ながら一旦コピー機のあるフロアまでおりて、追加のコピーをとった。
コピーの束を胸にかかえ、2台あるエレベーターの一方で、会議室のあるフロアにあがる。
私が降りたのとほぼ同時に、隣のエレベーターも同じフロアでとまって開いた。
そして中からでてきたのは……『私』だった。
私と同じ服をきて、私と同じ顔立ちで、私と同じようにコピーの束を胸に抱えた、見知らぬ『私』。
そんな『私』のあとに続いてぞくぞくと降りてくる『私』と『私』と『私』と『私』と……。
途中から数えるのはあきらめた。
どうせ増えるなら、先ほどコピーを届けたときに増えてくれていれば刷り増しに戻る手間が省けたのに、と、驚くよりも先に怒りがわいた。
【終】
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【8/27】創作発表板五周年【50レス祭り】
詳細は↓の317あたりをごらんください。
【雑談】 スレを立てるまでもない相談・雑談スレ34
ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1361029197/
414 :
AFO:2013/12/28(土) 14:09:40.09 ID:GUb0jiHp
これは自動書記マシーンでかかれた物語です。
「ある朝、鳶が鳴いていたよ。私の嫁も子供も泣いていた。昨日の私は狩がせいこうしなくて、おなかをすかして鳴いていた。
私は、とりあえずあの洞窟に行って、お祈りをささげてから、川沿いに遡っていこう。
朝が来た。エッさホッさエッさホッさ。
きっとオカピが取れるよ。昼が来た。案の定オカピ一匹取れたのだ。嫁さん子供よろこんだ。夕餉、母ちゃんそれを捌いてくれた。
私はレバーが好きだ。うまいよレバーオカピのレバー ウンパギモモヤ!ウンパギモモヤ!」
どうやら自動書記マシーンが縄文時代の現代語訳モードに設定されていたようだ。
それにしても「ウンパギモモヤ」とはどういう意味だろう。現代語訳できなかったのだろうか?
縄文語翻訳機能にかけても、なかなか出てこない。どうやらヤッタとかヤッホイとかの意味らしい。
そんなことよりも、私はなんだかとても無駄なことをしているような気がして、自動書記マシーンを倉にしまった。
いつの時代モードにしても同じような気がしたからだ。それにこれで文章の格式モード強なのだ。
創作は機械に任せられない、途上国のマルマ国のベニヤメッサ博士はおもった。
それでも一応博士はウンパギモモヤを単語、用例登録しておいた。
本来彼らは神話で十分なのだ。文学?ジャンベのリズムと踊りがあればいい。
ベニヤメッサ博士はパーティに踊りに出かけた。「ウンパギモモヤ!」と叫びながら
踊ったが、だれも意味を聞くものはいなかった。みな楽しげであった。
415 :
創る名無しに見る名無し:2014/01/03(金) 18:59:09.02 ID:fiFuXqLt
初レスです
「世の中で、一番きれいな景色って何だろう」
夕日の差す世界の斜陽の中で、少女が少年に聞きました。
「ここはきれいだけど、いつも同じ光が差してるから」
確かに彼女が言う通り、その街はいつも夕焼けに満ちていました。
「だからね、偶には青い空が見てみたいんだ」
彼女はその街に引き止められ、暫くの間、外に出ていませんでした。
「ほら、この青い砂時計みたいな空がさ」
彼女の片手には、青いガラスでできた砂時計がありました。
「おんなじような……あ、それじゃだめか。白い雲も見たいな」
彼女は片手で砂時計をひっくり返しました。
「南の海でも、北のオーロラでも、大渓谷でも荒野でもいい。君の好きな所でもいいよ」
さらさらと、砂は落ちていきます。
「ほら、君は……。何と言ったっけ、あの町は。あの古都に行ってみたいんだろ?」
砂は、少しだけ速度を緩めてから、全て下のガラスの中に吸い込まれていきました。
「私の眼、翡翠みたいだって、君は言ったよね。このままじゃあ、蜜柑みたいになっちゃう」
もう一度、彼女は青い砂時計をひっくり返しました。
「だから、早く目を覚まして」
それから、彼女は少年に語り掛けながら、砂時計をひっくり返し続けました。
彼が目覚めるまで、あと―――――回。
416 :
創る名無しに見る名無し:2014/02/19(水) 22:12:39.51 ID:IuGJ8fhS
てす
よかった、トリップ合ってた。
>>136本人です。
>>136を「小説家になろう」様に自作転載しました。
tp://ncode.syosetu.com/n1563cc/
スレ汚し失礼しました。
419 :
創る名無しに見る名無し: