クロスオーバー創作スレ5

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234魔法少女? らんま☆マギカ 2-1:2011/09/13(火) 22:49:48.78 ID:c2bTrT8F

響良牙と名乗る武闘家との出会い。

それは巴マミにとって驚きの連続だった。

変身体質もさることながら、その高い戦闘力はどうしたものか。

彼女は魔女の結界での良牙の戦いを遠巻きに見ていた。

魔女の使い魔に囲まれているから急いで助けようとした矢先、
彼は自力で次々と使い魔を倒していった。

しかもその倒し方がすさまじい。

指先ひとつで触れるだけで防御力に優れた石柱型の使い魔が
こっぱみじんに砕け散るのだ。

そして、ベルトを剣のようにして魔女の攻撃を防ぎ、
さらには巨大な光を出して魔女をぺしゃんんこにしてしまった。

マミははじめ、男性のような体格をした魔法少女なのかと思った。

しかし近づいてみてみれば紛れもなく男性、
それもつい先日会ったことのある青年だったのだ。

その日の晩はかなり長く情報交換が続いた。

魔法少女と武闘家、お互い未知との遭遇だった。

良牙によれば、魔女を倒した光やベルトを硬直させたものの
正体は魔法ではなく「闘気」なのだという。

(まるで少年漫画ね。)

マミはそう思った。

気の概念の源流は格闘技にあるのだが、そんな知識をマミはもたない。

マミにとっては闘気で攻撃するなど漫画の中の話でしかなかった。

そういえば、良牙の武闘家としてひたむきに強さを求める姿勢や
常識はずれな方向音痴もどことなく漫画っぽい。

(少年漫画からそのまま飛び出してきたような人…)

そう考えてマミはつい笑ってしまった。

良牙が少年漫画から飛び出てきた人間なら、わたしは少女漫画だ。

彼と対比することで自分の存在もまたありえないことをマミは
あらためて実感した。

マミは良牙に、魔法でリボンを自在に操り紅茶を注いでみせた。

さすがの良牙も目を丸くしていた。

マミはリボンにもポットにも指一本触れずにお茶を注いだのだ。
235魔法少女? らんま☆マギカ 2-2:2011/09/13(火) 22:52:00.13 ID:c2bTrT8F

格闘新体操の達人でも触れもせずにリボンを操ることはできないし
闘気でティーポットを動かそうとしても、逆にティーポットを
粉砕してしまうことは目に見えている。

だから、魔法と信じるしかない。それが良牙の見解だった。

もともと不思議なものには慣れっこなので別段おどろきも
しないらしい。

ただの闘気や手品でないとだけ分かれば良牙にとっては
それで十分だったのだろう。

一方キュゥべえの興味は良牙が魔女を倒すために使った技、
獅子咆哮弾にあった。

良牙の説明によれば、獅子咆哮弾は単純な闘気のかたまりではなく
負の感情を重たい気に変化させて威力を増す技だという。

それを聞いたキュゥべえは「やはりそうか!」と
なにやら納得していた。

キュゥべえの言うには負の感情を力に変える獅子咆哮弾は
負の感情のかたまりである魔女に近いところがある。

そのため、威力のわりに魔女にはとどめになりにくいらしい。

(でも、それだけじゃ無さそうね。)

キュゥべえが魔女や魔法少女以外のことに興味を持つのは珍しい。

付き合いの長いマミでもこんなことは初めてだった。

獅子咆哮弾には他に、キュゥべえの興味をそそる何かがある。

マミはそんな確信をいだいた。

それが何かまでは想像がつかないが、もしかしたらキュゥべえの
存在そのものに関わるヒントになるかもしれない…

そこまで考えたとき、マミはハッとした。

「わたしは、キュゥべえを疑っている…?」

***************************

『今日はキュゥべえの奴はついて来ないのか?』

良牙はマミにテレパシーを送った。

『ええ。新人発掘ですって。こう言ってはなんですけど、
彼は普段から営業活動には余念がないんです。』

マミはテレパシーを返しながら、自分の肩の上に乗る小豚の
頭をなでた。マミとしては特に意味のない、ペットを愛でる
だけの行為だ。だが、そんなことにも小豚の顔が赤くなる。

『し、しかしこの状態でも会話できるとは便利なもんだな。』
236魔法少女? らんま☆マギカ 2-3:2011/09/13(火) 22:54:39.26 ID:c2bTrT8F

テレを隠そうと冷静をよそおう良牙。

マミはクスッと小さく笑った。

ぶっきらぼうで言葉遣いが荒いときもあるが、
決して粗野ではない。

むしろ、なんだか可愛い人だ。

(いい人みたいで良かった。)

これから魔女と戦うかもしれないというのに、自然とマミの
心ははずんだ。

『良牙さんがテレパシーを使えるのはわたしかキュゥべえが
触れているときだけですから、気をつけてくださいね。』

マミは良牙に説明をしながら、自分の指輪に触れる。

すると、指輪は丸い宝石状に形を変え、黄色い輝きを放った。

わずかながら魔力反応がある。マミの瞳に緊張が宿った。

(魔女が…近くにいる!)

『それは?』

マミの肩に乗った小豚が不思議そうに黄色い石を眺めていた。

『ああ、これがソウルジェムです。魔法少女の証であり、
魔女を探す魔力探知機にもなっていて…』

「あ」

説明をはじめたと思ったら、マミは急にテレパシーを切り
口で声を出した。

「良牙さんはちょっと待っててくださいね。」

そう言ってマミは小豚を肩から下ろしそそくさと立ち去った。

(へ? 一体どうしたんだ?)

取り残された良牙は、途方にくれるしかなかった。

*************************

暁美ほむらは、キュゥべえの姿を追っていた。

(ついに、まどかを見つけられてしまった。)

気持ちはあせる。

どうにかして、キュゥべえと鹿目まどかの接触を阻まなければ、
『またもや』鹿目まどかが魔法少女になってしまう。

そうなれば、鹿目まどかはやがて魔女に―
237魔法少女? らんま☆マギカ 2-3:2011/09/13(火) 22:56:17.62 ID:c2bTrT8F

「…見つけた。」

暁美ほむらの目に、白い犬のような猫のような、奇妙な
小動物の姿が映る。

もはや、手段を選んでいられない。

ほむらはためらいもせず拳銃を取り出し小動物に向けて
発射する。

銃弾は白い獣をかすった。

(はずしたか。)

そう思った、その瞬間、ほむらの腕に黒い小動物が
飛びかかってきた。

「きゃあっ!? なに、コレは?」

手に持っていた拳銃が、その小動物の体当たりにより手から
こぼれ落ちる。

それとほぼ同時に、黒い小動物は見事に着地し、
ほむらに視線を向けて対峙した。

平べったい鼻、突き出た耳、その姿はどうみても豚だった。

キッとにらみつけてくるその目は、ほむらを敵視している。

(何なのこの豚は? インキュベーターの同類?)

ほむらの頭の中を無数の疑問符がかけめぐった。

どうあれ確かなことは、この小豚はキュゥべえ…
彼女の言うところのインキュベーターを守ろうとした。

「敵には、違いないわね。」

ほむらは左腕につけている盾に右手をかざす。

すると、彼女以外のすべてのものが動きを止めた。

ほむらはそのまま右手で盾の裏側から銃器を取り出す。

そして無造作に、小豚にそれを撃った。

銃弾は小豚に当たる手前で、ピタリと動きを止めた。

他のすべてのものと同様にこの空間の背景と成り果てている。
動けるのはほむらただ一人のみだ。

ほむらはもう一度盾に手をかざした。

するとこの世界は再び動き出した。
238魔法少女? らんま☆マギカ 2-5:2011/09/13(火) 22:57:45.22 ID:c2bTrT8F

が、勢いよく動き始めた弾丸は小豚にあたらず、
コンクリートの地面をけずった。

小豚が時間が動き始めると同時に大きくジャンプを
したからだ。

(かわされた!?)

ほむらはおどろきを隠せなかった。

彼女は時間停止の能力を持っている。

その能力を使えば銃弾があたる寸前まで、相手は一切の
回避行動がとれない。

それなのにかわされたということは、相手が高速で
動いているか先読みをしているということになる。

どちらにしても、そうとうな戦闘センスの持ち主だ。

(得体が知れないわね…)

ほむらは内心で舌打ちをした。

この得体の知れない存在の相手をしている隙に白い小動物…
インキュベーターはすでに逃げている。

してやられた格好だ。

そうとなれば、人に見つかる危険を冒してまでこれ以上
ここにいるメリットもない。

(わたしも逃げるか…)

ほむらはどこからともなくスタングレネードを取り出し
爆発させた。

すさまじい閃光と煙があたりを包み、それが過ぎた後には
ほむらの姿は消えていた。
239魔法少女? らんま☆マギカ 2-6:2011/09/13(火) 22:58:31.87 ID:c2bTrT8F

(逃げたか…キュゥべえを襲っていたようだが、
あれも魔法少女なのか?)

黒い小豚こと、良牙は考えた。

あの少女がキュゥべえに向けて撃った銃撃の、発射前に
間に合うように良牙は飛んだはずだった。

しかし、良牙が拳銃を体当たりで飛ばしたのは発砲した
後だった。

おかしい。

構える間も狙う間もなく銃を撃てるものなのか。

いや、それどころかそもそも発砲音すら聞こえなかった。

まるで、時間が飛ばされたようなそんな不思議な気分だ。

種明かしは分からないが、相手がいつ撃ってくるか分からない
のならとにかく動いてよけるしかない。

良牙はそう思い、回避行動をはじめた。

結果的にはそれが功を奏して銃弾をよけることができた。

だが不気味だ。

少女は銃を握ってすらいなかったのに、次の瞬間、
すでに発砲していたのだ。

銃を構えるヒマすらはおろか取り出す時間すら全く
なかったはずなのに。

(チッ、奇妙なガキだ。)

悩んでも仕方がない、早くマミちゃんのところに戻ろう、
そう思い良牙はあたりを見回した。

(…ここは、どこだ?)

マミはもちろん、キュゥべえも逃げてしまったので
見当たらない。そしてここは見知らぬ町。

この状態では、良牙に帰還できるあては何もなかった。

「ぴーッ! ぴ、ぴー!!」

哀れな小豚の鳴き声だけがあたりに響いた。
240魔法少女? らんま☆マギカ :2011/09/13(火) 23:03:22.24 ID:c2bTrT8F
連投制限があるので今日はここまで。
第2話後半はあしたにでも投稿します。

今回視点変更が多くなってしまい読みにくくてすいません。

【訂正】
>>237は「魔法少女? らんま☆マギカ 2-3」ではなく
「魔法少女? らんま☆マギカ 2-4」です。
241魔法少女? らんま☆マギカ 2-7:2011/09/15(木) 07:01:48.27 ID:2Bnd6K8N

(我ながら、とんだ失態ね。)

巴マミは黒い小豚…良牙がいなくなっていることに気付き、
頭を抱えた。

そもそもの失敗は、いつもより一杯多く紅茶を飲んだ事だ。

昨晩は話が長くなったので睡眠が足りていない。

だからカフェインを多めにとったのだが、それが裏目に出た。

男性である良牙の前で堂々と事情を説明するわけにも行かない。

しかし、魔女との戦いを控えているのに下手に我慢することも
またできない。

結果、マミはどこに行くかも言わずに良牙を置き去りにして
『お手洗い』に行ってしまった。

いくら良牙でもほんの数分の間に迷子になることはあるまいと
油断していたのだ。

(もし、魔女の結界にでも巻き込まれたら…)

本来の良牙なら並の魔女ぐらいあっさり倒してしまうだろう。

だが、今の小豚状態の良牙では使い魔一匹にもとうてい
勝ち目がない。

(急がなきゃ)

気持ちはあせる。

『マミ、聞こえるかい?』

その時、テレパシーがマミの思考に入り込んできた。

聞きなれたこの声は、キュゥべえだ。

『キュゥべえ、どうしたの?』

『マミとつながって良かった。実は、魔女の結界に飲まれて
しまったんだ。一般人も二人いる。助けに来てくれないかい?』

一般人が魔女の結界に巻き込まれた。…緊急事態だ。
魔法少女の使命を人々を魔女から守ることだと認識している
マミにとって「助けない」などという選択肢は存在しない。

『わかった。すぐ行くわ!』

マミはソウルジェムの示す方向へと走り出した。

『ところで、キュゥべえ。良牙さん見なかったかしら?』

走りながらもマミはテレパシーを飛ばす。
242魔法少女? らんま☆マギカ 2-8:2011/09/15(木) 07:02:42.72 ID:2Bnd6K8N

激しい運動をしながらでも息を切らすことなく会話できる。

これもまたテレパシーのメリットだろう。

携帯電話ではこうはいかない。

『良牙なら、さっき僕が襲われていた所を助けてくれたよ。』

『襲われた!? 魔女に?』

そうだとすれば、良牙も一緒に魔女の結界に巻き込まれた
のだろうか。

小豚の状態でどうやってキュゥべえを助けたのかは知らないが
事態はかなり緊急を要するようだ。

『いや、魔法少女に襲われた…どちらにしてもあの位置なら
良牙もこの結界に巻き込まれている可能性が高い。』

しかし、キュゥべえはマミの予想とは全く異なることを言った。

『どういうこと? 話が見えないわ。』

『すまない。なんで魔法少女に襲われたのか僕にもよく
分からないんだ。とりあえず、考えるのは後にしよう。
良牙や一般人の安全を考えれば魔女を倒すのが最優先だろう。』

『そうね。分かったわ!』

キュゥべえが「分からない」というのは珍しい。

それだけ想定外の事態が起きているということだろう。

だからといってマミは混乱などしなかった。

こういう場合の優先順位ははっきりと決まっている。

第三者の命が最優先。

そう考えることにマミには迷いがなかった。

*******************

鹿目まどかと美樹さやかは混乱していた。

いつものように学校に通い、いつものように放課後は
ショッピングモールへ寄って、いつものように家路につく
はずだった。

それなのに、この異空間は一体、何なのか。

きっかけは鹿目まどかが奇妙な『声』を聞いたことだった。

助けを求めるその声を追って鹿目まどかは閉鎖中のエリアに
入り込み、美樹さやかもそれを追っていった。

暗く閑散とした空きスペースの中で、傷を負った小動物が
倒れていた。
243魔法少女? らんま☆マギカ 2-9:2011/09/15(木) 07:04:11.27 ID:2Bnd6K8N

まどかがその小動物を助けようと抱きかかえたその時だった。

ショッピングモールの壁がチラシ紙を破くように裂けて、
その中から不規則で奇妙な図面が現れた。

いつのまにか、あたりはその奇天烈な景色に囲まれ、
元のショッピングモールの通路や部屋は消え去っていた。

「冗談だよね、あたし、悪い夢でも見てるんだよね!?」

さやかは叫んだ。

何もかもが常軌を逸している。

血のように赤い色の蝶が巨大なひげの生えた触覚をもたげて
歩き回り、真っ黒なハサミが鳥のように宙を舞う。

とげとげしいイバラはまるで触手のようにあたりをうね回る。

その異形のものたちは二人の少女を取り囲みながら、徐々に
距離を詰めてきた。

(もしかして、おそいかかってくるの?)

まどかもさやかも口には出さないが、その予感を感じていた。

これから自分たちはこの気持ち悪いクリーチャーに食べられて
死んでしまう。

漫画やアニメになれた現代っ子だからこそ、そんな予感が
頭に浮かんでしまう。

恐怖を募らせる二人に、異形のものたちはもう触れてしまう
位置にまで近づいてきていた。

(もうダメ!)

そう思った瞬間、とつぜん赤い蝶が吹き飛んだ。

それだけではない、異形のものたちが次々と後ろに吹き飛び、
まどかとさやかから引き離されていく。

(一体、なに?)

二人の少女は呆然としてそのようすをながめた。

「危なかったわね。でももう大丈夫。」

優しく、強い声がして、金髪の少女がまどかとさやかの
目の前に現れた。

「キュゥべえも一緒ね。」

「ああ、マミ。間一髪間に合ったね。」

それまでまどかの腕の中でじっとしていた白い小動物が
いきなり人間の言葉をしゃべりはじめた。
244魔法少女? らんま☆マギカ 2-10:2011/09/15(木) 07:05:32.49 ID:2Bnd6K8N

「うわっ、ホントにしゃべった!」

さやかが驚きの声を上げる。

「だから、わたしは嘘つかないよー。」

まどかがそれに答えた。

「いや、すまない。マミとのテレパシーと体の回復に集中
していて君たちと会話をする余裕がなかったんだ。」

白い小動物は愛らしい姿とはうらはらに、理路整然と
自分の事情をのべる。

「え? いや、謝るほどのことでも…って、ええ!?
テレパシー??」

しかしさやかはなおさら混乱するだけだった。

「いろいろ聞きたいとは思うけど、その前に、ちょっと
一仕事片付けちゃっていいかしら?」

余裕のある口調で、金髪の少女は怪物たちの前に出た。

彼女がスカートをたくし上げると、大量の銃が落ちてきた。

長大な、数世紀前の西洋の銃のようだ。

金髪の少女はそれを片手にひとつずつ持つと、
怪物たちをめがけて発砲した。

二丁の銃から発砲された二発の弾丸は、吸い込まれるように
二匹の怪物の眉間を貫いた。

金髪の少女は弾を撃った銃を投げ捨てると、そのまま別の
銃を取り、流れるような動作で再び発砲した。

銃弾はまたもや怪物に命中する。

金髪の少女を敵とみなしたのか、怪物たちは奇妙な
叫び声をあげ、次々に少女に襲い掛かっていった。

しかし、何者も金髪の少女に触れることすらできなかった。

少女は踊るように華麗に、全方向から襲ってくる怪物に
銃弾を浴びせる。

銃を撃っては捨て撃っては捨てを繰り返し、
一匹一匹確実に、しかしスピーディーに、マミは
怪物たちを撃ち抜いていった。

「すごい…」

ながめているまどかはつぶやいた。
245魔法少女? らんま☆マギカ 2-11:2011/09/15(木) 07:06:26.69 ID:2Bnd6K8N

気がつけば数え切れないほどいた怪物たちはほとんど
姿を消し、異様だった風景もその『メッキ』がはがれていた。

一仕事を終えた金髪の少女がまどかとさやかの方を振り返る。

「私は巴マミ。あなた達と同じ見滝原中学校の3年生よ。」

その時、どこからか小動物の鳴き声が聞こえてきた。

「ぴーっ! ぴーっ!」

「あら、よかった。良牙さんも無事ね。」

そう言って金髪の少女がしゃがんで手を地面に近づけると、
そこに黒い小豚が走りこんできた。

(『りょうがさん』って、ペットに『さん』付け!?)

さやかは内心つっこむが、この異常事態の中でまだ言葉に
出せるほどの余裕はない。

金髪の少女は変な顔をするさやかを気にもせず、
その小豚を手のひらに乗せ、自分の肩へ移動させた。

「そして、キュゥべえと契約した魔法少女よ。」

怪物たちを一人で退治したその少女は、壮絶な戦いぶりからは
想像できないほど、柔和な笑みをしていた。
246魔法少女? らんま☆マギカ:2011/09/15(木) 07:09:53.62 ID:2Bnd6K8N
ちょっと遅くなりましたが第2話は以上で終了です。

マミがアニメでの一斉射撃ではなく個別に使い魔を倒しているのは
良牙が紛れているかもしれないので誤射しないように配慮しているからです。
247創る名無しに見る名無し:2011/09/25(日) 14:53:54.12 ID:0x6kwTxE
248創る名無しに見る名無し:2011/11/17(木) 19:31:15.35 ID:9muQbZSE
.
249『マギカ☆フォルテッシモ』:2011/12/18(日) 19:01:53.92 ID:6vW1jlr/
『マギカ☆フォルテッシモ』第三話投下します。
なんか延々凍結してしまっていて、もうしわけありません。
ぼーっとしてたら続きが思いつかなくなり、ここまで放置してしまいました。
これからはなるべく週に一度、土日には続きを投下できればと思います。

第二話のタイトル「いたみ」でした。
250『マギカ☆フォルテッシモ』:2011/12/18(日) 19:02:37.26 ID:6vW1jlr/
第三話『きず』

「大地に咲く一輪の花! キュアブロッサム!」

赤き閃光の輝きを放ち、現われたのはもう一人の、奇跡を手にしてしまった少女。
ピンクと白を基調とした可憐な姿。肩に乗る、ピンクと白を基調とした小動物。
無数の使い魔たちは一斉にその触手を躍動させる。コンクリートは抉られ、少女はダンスを踊る様に華麗に、時にもたつきながらも避け続ける。
「ブロッサム・シュートォ!」
少女から大量に放出される桜色の光波弾は使い魔群に直撃する。怯んだその一瞬の隙に、少女はあえて敵との距離を零距離に飛び込む。
「てやぁぁぁぁぁぁ!」
拳。
足。
肘。
膝。
全てが華麗に繋がっていく連撃を叩き込む。
……ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉをおん……
消滅していく使い魔。しかしその数はいまだ無数。
「杏子さん、危ないから逃げてください!」
「早く逃げるですぅ!」
「--……」
そんなわけにいくか。
佐倉杏子はすぐに自分を取り戻し、自らのソウルジェムをかざす。赤き閃光に包まれる。
「--へ?」
赤き魔法服に烈槍。彼女もまた魔法少女へと変身を遂げる。
「きょ、杏子さん?」
「ぼやぼやしてんじゃねぇ!」
周りを取り囲んだ使い魔、Adolfoたちを杏子はその烈槍をもって薙ぎ払う。
槍はその節毎に三節棍の如く分離し、ぶん、と鈍い音と同時に振るわれ、生命を宿したかのように流麗な動きで使い魔たちを切り裂いていく。
「そうりゃぁ!」
ぶん。
……ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉをおん……
殲滅は一瞬だった。
異空間と化していた見滝原公園は元の空気、空間に戻る。
ぱちぱちぱち。
「す、凄いです杏子さん! こんな街にもプリキュアがいたなんて!」
「すごいですぅ!」
「はぁ?」
スチャ。
彼女は少女に惜しみない拍手を向け、拍手を向けられた彼女は、その少女に槍を向けた。
「てめえさ、いい度胸じゃねえか」
「--はい?」
251創る名無しに見る名無し:2011/12/18(日) 19:02:57.12 ID:6vW1jlr/
「な、何するんですか杏子さん! そんなもの人に向けるなんて! 危ないですよ!」
「あぶないですぅ!」
「危ないから向けてんだ。大体そんなもんもなにもさ。魔法少女の縄張りって知ってるか?」
「まほう、しょうじょ?」
大体最初の段階で何で気づかなかったんだろう。
あんなとこから落ちてくるなんて、それ以外考えられない。
こいつは魔法少女だ。あたしと同じく、マミの後釜を狙って来た。
肩に乗っかってるなんか変な奴は多分キュゥべえの親戚かなんかだろう。あいつに親戚がいるかはおいといて。にしても。
さやかに続いてこんな変な奴まで出てくるとは。今時の魔法少女はどうなってるんだ。
「質より量、に方針転換でもしたんかな、あの野郎」
「あの、話が見えないんですけど。大体魔法少女って」
「今のは独り言。……とりあえずさ、マミの奴がおっちんだから来たんだろうが、もうここはあたしがいるんだよ。……まあ一緒に食いモン食った中だ。今回は見逃してやるからさっさとこの街から去」
「お断りします」
「そうそう言って素直に……おい」
杏子は烈槍をブロッサムの顔に近づけ、刃先でその頬をつんつんと叩く。
「お前さ、何言ってるかわかってるか。ついでに状況も」
「杏子さんが何言ってるかも、ついでに状況もわけがわからないから、お断りしたんです。大体プリキュアなのにそんな危ないもの人に向けて良いと本気で思ってるんですか! お父さんお母さんが悲しみますよ! 私の堪忍袋の尾も切れますよ!」
「……」
杏子は溜息を吐く。
さやかより扱いにくいやつだ、こいつ。
何考えてんのかわかんねぇし、大体プリキュアってなんだ。
なんかお互い大事な部分で勘違いしてるような気がする。けど。だからこそ自分の流儀で。
自らの理を、貫き通す。
「しょうがない。言ってもわかんないか」
杏子は槍を自らの手元に戻す。
「よかった。わかって--」
「だったら痛い目見ないとわかんないよねぇ!」
杏子は、猛然と飛び掛かった。
252創る名無しに見る名無し:2011/12/18(日) 19:06:06.04 ID:6vW1jlr/
俗に剣道三倍段という言葉がある。
空手、柔術、合気道等素手でもって戦う武芸者が武器を持った相手と戦う場合、
最低三倍の段差、実力差がないと対等に戦えない、という意味である。
単なる格言ではない。
生物の主となるためにあえて、脆弱な肉体を手にした人類がその代償として手に入れた「道具」、「武器」の重み。
それを体言したことばである。
「だからなんでわからないんですかぁ! 私は魔法少女なんかじゃありませんって!」
「うっせぇ! そんな奇天烈なカッコしたやつが魔法少女じゃなくてなんだってんだ!」
「プ・リ・キュ・アですよ! キュアブロッサムです! あ、あたたいたいたいたいた!」
だがしかし、徒手空拳であるブロッサムは烈槍の猛烈な突き
‐最もモーションが少ない動きである?の連撃を受け止め、かわし、時によろけながらも受け流す。
その姿に杏子は舌うちする。
こいつ、素人じゃない。少なくともなったばかりの奴にこんな動きは出来ない。
杏子は機動力とそれに起因する攻撃力を最大の武器とする。
その極端な魔力の分配、ブーストは、自らの防御力をも犠牲としている。
そのための槍である。
いつ偶然相手の一発が入るかわからない「剣」での近距離戦、
一発撃つ事に確実に魔力を消耗していく「銃」「弓」での遠距離戦でなく。
とりあえず自らの安全圏を確保できうる中距離での槍、電光石火の連撃。
その一点のみにブーストを掛けた攻撃を防御しきれるというのは尋常ではない。
が。
「一芸だけに秀でてるわけじゃないんだよ!」
「--!」
一瞬で鎖と化した槍がブロッサムに絡みつく。
杏子はそのまま遥か空高く、ブロッサムを放つ。
「--な、な」
「おらぁ!」
そして、地面に叩きつけた。
253創る名無しに見る名無し:2011/12/18(日) 19:06:32.28 ID:6vW1jlr/
響き渡る轟音。砂煙が舞う。地面には立派な穴が穿つ。
「あっちゃぁ」
やりすぎちったかな。ちょっと痛い目みさせるにしても、これはまずい。
率直な話、死んでもおかしくない。というか死んでないとおかしい。そんなレベルだ。
が。
「……すごい痛い」
「……おいお前」
なんで生きてる、そう杏子は言おうとして、言えなかった。
ブロッサムは立ち上がる。土煙にまみれながら、傷にまみれながら。涙目になりながら。
烈槍に縛られながら。ふらつきながら。それでも杏子に近づいていく。
「杏子さんはなんでそんな簡単に暴力をふるうんですか!」
「そうですぅ!」
こいつの負った傷は深い。
「そもそも私、魔法少女とやらじゃないです! プ・リ・キュ・アなんですよ! 大体縄張りとかいうけども、何で話し合おうとしないんですか! 話せばきっとわかったはずです! 何でわからないんですか!」
「そうですぅ!」
連撃など必要ない。手をちょっとだけ動かしさえすれば、それで終わる。
しかし、杏子は動かない。動けない。自分でもなぜだかわからない。
そして、顔と顔が、グッと近づく。
「もう、堪忍袋の尾が切れました! 」
「きれましたぁ!」
「……」
けれども、今夜、初めてこの少女に出会ってから幾度も去来した思いが脳裏をよぎる。
--なんなんだこいつ。
そして二人の世界は。
「--杏子、一体どういう事? その子は?」
青き少女によって破られた。
「--さやか」
254創る名無しに見る名無し:2011/12/18(日) 19:06:54.21 ID:6vW1jlr/
自らの身勝手な思いでまたまどかを傷つけてしまった。なんにしろ、マミさんが死んで以来あんなに安堵しほっとしたまどかを見たのは初めてだった。
ほんとうは自分がその役目をするべきなのに、傷つけてばかりいる。
えりかの、そのあまりにシンプルで純粋な動機にある種の憤りと、理不尽な怒りがこみ上げたのは事実だけれど、あたしはまどかを、みんなを守りたいはずだったのに、傷つけてばかりで。
なのに魔法少女でもなんでもないやつが颯爽と現れたあげくに魔女を殺して。
あたしはなにも出来ない。
だからほら、浄化したはずのソウルジェムはもう灰色にくすみ始めている。

美樹さやかはただ行くべき所もわからず、ただただ街を歩いていた。
家には戻れない。何て言えば良いのかわからない。どこに行けばいいのかも。どこに行くかもわからない。いや、どこにも行く所などないぐらい、わかっている。
「--ばかみたい」
さやかは深く、深く溜息を吐き、顔を上げ。
そして、目を疑った。
見慣れた公園に、杏子と見知らぬ少女がいた。それも二人とも魔法少女の姿で。
どういうわけか、見知らぬ少女は傷だらけであり、あげくあの変幻自在の槍で縛られている。
その状況だけみれば杏子が圧倒している。いつでも止めをさせる。
だが少女は彼女に怯んでいない。縛られた状態でずんずんと杏子に近づいていく。
そして杏子は、その圧倒的有利の立場にありながら、動かない。
--それとも動けないのか。
255創る名無しに見る名無し:2011/12/18(日) 19:07:17.83 ID:6vW1jlr/
「そもそも私、魔法少女とやらじゃないです! プ・リ・キュ・アなんですよ! 大体縄張りとかいうけども、何で話し合おうとしないんですか! 話せばきっとわかったはずです! 何でわからないんですか!」
「もう、堪忍袋の尾が切れました! 」
「きれましたぁ!」

―プリキュア。
--来海えりかの、仲間?
少女のその言葉にさやかは驚愕した。魔法少女だけでない。「プリキュア」も三滝原に集結しつつあるというのか。もしそうだとしたら何のために?
「--杏子、一体どういう事? その子は?」
思わず声に出ていた。振り向く杏子と少女。
「--さやか、こいつどうしよう」
杏子は明らかに困惑していた。どうしようも何も無い。
普段通りの彼女であればとうに決着はついている。
「いや、どうしようって--」
なんて答えればいいのか。
「お知り合いですか! 杏子さんに話してやって下さい! 暴力はいけませんって!」
一方の少女は希望に溢れた瞳でさやかに懇願する。
その瞳は純粋で、だからこそ私には痛く感じる。そう、それはまるで。あいつと。えりかの瞳と--
さやかは自分と同じ青を纏いながら、対極の幻想を持っていられる少女を思い浮かべ。
「ちょっぉぉと、待ったぁあ!」
「まつです!」
「「「---!」」」
そしてその青き少女‐‐来海えりか。キュアマリンは、天空から降ってきた。佐倉杏子目掛けて。
「プリキュア、おでこパァンチ!」
それはまさに、天空からのヘッドバッド。
「――な、な」
てめぇなにしやがんだ、と叫ぶ間も無く。
ゴツゥン!!!
響きわたる轟音に、その風圧で巻き起こる砂嵐。
佐倉杏子はまたも、空から落ちてくる女の子に頭突きされた。それも思いっきり。クリーンヒットで。
一日二回目の新記録であった。
そして意識も飛んだ。
256創る名無しに見る名無し:2011/12/18(日) 19:07:46.97 ID:6vW1jlr/
「てめぇなにしやがんだこの野郎!」
「そっちこそブロッサムになにしてんのよ!」
「この赤いのと知り合いか!? だったらさっさとこの町から一緒に出てけ!」
「なによ!? ひとの親友をあんなボロ雑巾にして!」
「うっせぇ! だったらてめぇもボロ雑巾にしてやろうか!」
むうううううう。
ああ言えばこう言う、である。
変身を解いた杏子とえりかは、首根っこを掴み合い零距離で睨み合い、罵り合っていた。
何なんだ、何だこいつら。もはや魔法少女の掟も仁義も常識も、全部すっぽかした連中ばかり集まって。この町は、見滝原は、一体どうなってるんだ。
杏子はやられたら百倍にしてやる返すタイプであり、えりかも当然同じである。
当然罵り合いは倍倍ゲームとなり、エスカレートしていく。
その横で。
「ぼ、ぼろ雑巾……」
「ひどいですぅ」
「だ、大丈夫? さ、さやかちゃん! 魔法でなんとか出来ないの!?」
「え、えっと……」
「大丈夫。所々打ち身はあるけど、骨も筋肉も致命的な事にはなってないよ」
「ないでしゅ!」
「あ、ありがとうございます、えっと」
「ボクは明堂院いつき。いつきでいい」
鎖が解かれた瞬間、ダメージ過多による強制変身解除で薄いワンピース一枚となっていた花咲つぼみを、鹿目まどかは介抱していた。そしてその横で傷ついたつぼみの様子を見る、白い学ラン姿の少女、いつきと肩に乗る妖精。--ポプリと言っていた--。
キュアマリンが頭突きをかました直後、二人は公園に来たのだった。
そして見たのは、首根っこを掴んで怒鳴りあい、罵り合う杏子とえりかと、白いワンピース姿で傷つき、倒れている赤い髪の少女。そしてただただ呆然と見ているさやかだったのである。
257創る名無しに見る名無し:2011/12/18(日) 19:11:12.38 ID:6vW1jlr/
一方。
むうううううううううううう。
「「こうなったら--」」
二人は一旦つかみ合いをやめ、杏子は自らのソウルジェムを取り出し、えりかはココロパフュームを取り出す。それは幻想と化すための器具。魂。
「あっ--」
「「決着つけて--」」
二人が構えた瞬間。
「「やめなさい」」
混乱の極致にあった公園を、二つの怜悧な声が響いた。
「佐倉杏子。あなたはもう少し冷静な人だと思っていたけれど」
「えりか。私たちは愛で戦いましょう、と前に言ったわよね」
「「「----!!!」」」
「このままだと、あなたの敵になるしかないのだけれど」
「愛ではなく、それは憎しみよ。しかも最低のね」

「--ほむらちゃん」
「--ゆりさん」
暁美ほむらと、月影ゆり。
突如現れた、悠然と立つ黒髪の二人の少女。
かくして奇跡を手に入れてしまった少女たちは、運命の歯車に操られるかのごとく、集合する。
「困ったものだね。これだけいきなり集まったら」
そして電灯の上に立つ白いシルエット--キュゥべえ。
きゅっぷい、とキュゥべえは喉をならす。

物語はまだ、始まったばかり。

つづく。
258創る名無しに見る名無し:2011/12/21(水) 06:07:44.74 ID:lhxUDSys
.
259創る名無しに見る名無し:2011/12/27(火) 15:53:29.90 ID:ytlfB1Fi
260創る名無しに見る名無し:2012/03/09(金) 22:30:49.24 ID:4uDQS5C2
ひぐらし×破壊魔定光
261創る名無しに見る名無し:2012/03/10(土) 03:30:06.20 ID:uwLvKXxg
想像がつかんw
262創る名無しに見る名無し:2012/05/19(土) 10:55:15.27 ID:vUo/Pm8F
これはどうなるか分からんな
263創る名無しに見る名無し:2012/06/18(月) 14:38:15.68 ID:gPUUVDYC
 
264創る名無しに見る名無し:2012/07/04(水) 21:53:57.86 ID:WWN9BWxA
復活age
265創る名無しに見る名無し:2012/09/17(月) 13:50:45.54 ID:AJj38Kt5
.
266創る名無しに見る名無し:2012/09/27(木) 16:26:44.46 ID:rqTQRFpE
野比のび太
「『ドラえもん』の野比のび太です。これから色々なアニメキャラを交えてこの僕と『プリキュア5』の夢原のぞみさんの学力比較について討論しましょう。」
267創る名無しに見る名無し:2012/12/29(土) 00:50:30.06 ID:uKy4Gi+W
ナイフ。 数百はあろう小振りの刃物が宙を舞っていた。
原因、それは男女のキャッチボール。
片方のメイドは向かってくるナイフの集団を、マシンガンのように素早く、且つ手が傷つかないよう慎重に指に挟み取っては投げ、更に懐から新しいものを取り出して投げ放つ。
もう片方の男の場合、女と同じように向かってくるナイフを指で挟み取って投げる、しかし、奇妙な事に、勝手に方向転換し放たれていくもの、砕かれるものがある。
取りこぼしが男の身体に刺さりかけた瞬間、弾かれる。
奇妙な事は二人の周りの状況にあった。
支えが切れて数mの所で浮いているシャンデリアと、それと同時に宙に浮いたガラス達、故障のように止まった時計・・・。
全て止まっている。

(よもや、このDIOと同じ“能力”を持つ者と出会うとは・・・。
この世界に来たのは全くの無駄ではなかったな)
(早くコイツを妹様の餌にしないと・・・お嬢様の誕生日に間に合わなくなるじゃない!)

その頃、地下では・・・
「馬鹿な・・・こんな・・・餓鬼、がぁ・・・!?」
「おじさんがヴァニラ・アイスってことは、その血もバニラなんだよね?
だから、いっぱい吸わせて!」
「ふざけるなッ、この餓鬼g
「きゅっとしてドカーン」
268創る名無しに見る名無し:2012/12/29(土) 00:51:11.23 ID:uKy4Gi+W
以上、ジョジョの幻想入りでした・・・眼汚しすんませんした
269創る名無しに見る名無し:2012/12/29(土) 21:24:28.75 ID:QAnBddg3
乙。でもその二人を摂取すると顔が濃くなりそうw
青空町耳嚢 第9/21話
【ぺしゃんこ】

 数ヶ月前、ビルの倒壊に巻き込まれたときのことである。
 倒壊というと、語弊があるかもしれない。
 大通りを歩いていると、ビルが突然ぐにゃりと、まるで空気の抜けたビニール人形のように倒れてきたのだ。
 おどろいている間に逃げ遅れ、私をふくめあたりの通行人は軒並みビルの下敷きになった。
 下敷きといっても、羽毛布団を何重にも重ねて乗せられているようなもので、命の危機は感じない。
「なんだこれ?」「出れない」「助けて」巻き込まれた人間がめいめいに騒ぐ。
 私の場合は幸いなことに、上半身は挟まれずにすんだので、周囲のあちらこちらのビルが同じようにぺしゃんこになって、自分達と同じような境遇の集団がいくつもできているのを見て安心できたし、息苦しさもなかった。
 ただ、はさまれている下半身はまったく動かせず、すごく重苦しい。
 同病相哀れむというか、少しの心細さから、隣に挟まっているサングラスの男に話しかけた。
「やっかいなことになりましたね」
「びっくりしたダ〜」
 サングラスの中年男はぽりぽりと頭をかいた。
 髪を紫に染めたモヒカン頭。
 ガラの悪そうな口ひげ。
 鋲のびっしりついたグローブと、張り出した肩あて。
 年甲斐もないパンク野郎なのか?
 つい声をかけてしまったが、普段の生活ではまずお近づきになろうとは思えない奇妙な中年男の姿に私はすこしひるんだ。
 男はぼやいた。「町中これじゃあ、配達先もどうにかなっていそうで心配ダ〜」
「仕事中だったのですか?」
 こんな格好が許される配達業なんて、やばい物の運び屋ぐらいしか思いつかないが。
「ワシ、陽昇町の日向ストアで働かせてもらってますダ。お酒やジュースのご用命ならお任せダ」
 酒屋の店員とは。店長の度量の大きさに感心する。
「これ、店の名刺ですダ。青空町でも配達OKダ〜」
 こんな状況でもちゃっかり店のアピールをするところといい、外見はともかく中身はわりと真面目な男のようである。
 名刺をうけとると、男はにっこりと笑った。
「そいじゃ、ワシは配達の続きをしに行くダ。お兄さんもよい一日を」
 おいおい、何を言っている。私と同様、下半身をビルにはさまれて身動きとれないはずでは、と思ったその時。
 ぷしゅっと、サングラス男が急にしぼんだ。
 ひらめのようにぺちゃんこになったその体は、ビルの下からくにゃくにゃと抜け出して、そのまま宙を泳ぐように遠ざかっていった。
 ビルが元の形に戻り、私が助かったのは、それからさらに数時間後のことだった。


 陽昇町の日向ストアといえば、今では「どんなことがあっても必ず配達にくる」ことで有名な酒屋となっている。


【終】

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クロス作品:絶対無敵ライジンオー&元気爆発ガンバルガー
関連スレ:エルドランシリーズSS総合スレ3【雑談・チラ裏OK】
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1374687646/

【8/27】創作発表板五周年【50レス祭り】
詳細は↓の317あたりをごらんください。
【雑談】 スレを立てるまでもない相談・雑談スレ34
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1361029197/
271創る名無しに見る名無し:2014/02/16(日) 19:37:32.69 ID:ReqrnfE7
幕末の京の闇は深い。
その中を一つの影が歩いている。
その眼はまわりの闇を写したように冥い。
酔っている。だが乱れてはいない。
赫髪、頬には一筋の傷。
人斬り抜刀斎の名で恐れられている男、緋村 剣心である。
と、突然その足を止める。(後ろに、誰かが・・いる?)
遠くない。だが、今まで気づかなかった。
「くくく」
笑い声が聞こえてきた。
272創る名無しに見る名無し:2014/02/16(日) 20:42:48.46 ID:ReqrnfE7
剣心はゆっくり振り返りその気配と対峙した。そこには一人の男が立っていた。
男は笑っている。その笑い声に乗せて殺気が伝わって来る。
「幕府の・・・刺客か 」
それは問いではなく、確認の言葉。
男もそれには答えず、
「シノギとは言え、幕府の依頼を受けてみれば相手は飛天御剣流。これは宗家よりも運がいい、か」
「宗家・・・?」
「こちらの話よ」
そう言う男の気配が変わる。
「覚えずともいいが、お前を殺す男の名」
(・・・!来る!)
「不破と言う」
273創る名無しに見る名無し:2014/02/20(木) 01:41:58.49 ID:OFL9M1cZ
続きはー
274創る名無しに見る名無し:2014/02/22(土) 01:03:36.91 ID:lyWOvso/
「不破」
その名を口にした時、その身はすでに飛び出している。
たちまち縮まる、両人の距離。剣心も逃げるのは無理と身構える。
突っかける不破は腰に刀を挿しているが、無手。
対する剣心はその名のとおり、抜刀の構え。
と、ふいに不破の口がすぼまる。口笛のように、だが吹き出すは音色ではなく・・・
つぶて!
訃霞、その名は知らないが顔面に迫るソレをとっさに避ける剣心。
その間に己の間合いに入る不破。剣心刀を抜くことが出来ない。
そして不破はその勢いのままの、蹴り!
275創る名無しに見る名無し:2014/03/16(日) 11:51:01.89 ID:kcGJruFC
鋭く弧を描く不破の足。
当たるかに見えた蹴りを、剣心は身を捻り際どく避ける。
剣心そのまま身体を回転させ、不破の死角に回り込み、そして・・・
飛天御剣流、返し技
龍 巻 閃
蹴りを放ったままの体勢の不破に刃が吸い込まれ・・・
いない!
空を切った刀の上、蹴り足に乗せて不破の身体は中に舞っている。
そして、不破も身体を回転させている。その廻し蹴りが、今度こそ、剣心の頭部に・・・
炸裂!!

剣心の頭と同時に意識も弾き飛ばされる。
崩れ落ちる剣心に不破の追撃。朦朧とした瞳に、迫る不破の踵が写される。
(来たるべき「新時代」のため、こんな場所で死ぬわけには、いかぬ!)
剣心とっさに左手を峰に沿え刀をカチ上げた。



276創る名無しに見る名無し:2014/03/16(日) 12:14:54.59 ID:kcGJruFC
不破の身体から血がしぶく。だが、浅い。
一瞬早く、身を引いた不破は蹴りの軌道を変え、剣心の腕に当て刀を逸らせていた。
そのまま距離をとる不破。「くくく、旋を喰らってなお、反撃するか」
それを睨みつける剣心。
(飛天御剣流の技、二度までもかわすとは・・・)
「だが、俺もここで死んでは今まで斬った者に、顔向け出来ぬ」
「くくっ、それだ。その人斬りの目」
不破が笑う。獣の笑み、鬼の笑みだ。

不破の名前がいいのが浮かばない。
277創る名無しに見る名無し:2014/05/25(日) 12:39:39.49 ID:mVElDM7A
やる夫は異能力者なようです OP
https://www.youtube.com/watch?v=E96nJLZ_u-c
やる夫は異能力者なようです ED
https://www.youtube.com/watch?v=BJe5KiMCpNM
278創る名無しに見る名無し:2014/08/29(金) 00:46:11.49 ID:aEKdOuBT
久しぶりにきたけど・・・廃れちゃってるねー
279創る名無しに見る名無し:2015/02/13(金) 03:36:53.22 ID:udr6X91h
わぁお…
書き込みないなあ
280創る名無しに見る名無し:2015/02/15(日) 22:16:27.98 ID:np2nSWm2
間がすごく空いちゃったけど、誰も書き込んでないんで不破vs剣心終わらせちゃいますね。

剣心が疾走る。飛天御剣流の特徴、その剣の速さを生かした先の先。
不破に襲いかかる斬撃の嵐。しかし、
不破その全てを避ける。そして反撃の蹴り!
剣心もそれは読んでいた。身を沈めてかわし…龍昇閃!
不破は一度見た技、間一髪身をひねり受け流す。だが剣心そこに連撃の龍槌閃!
「チィィ!」
さすがに慌てて後方に跳ぶ不破。しかしさらに追撃の…龍巻閃!!
不破の胴に吸い込まれるように走る銀光。不破はとっさに後ろに倒れ込み避ける。
そしてそのまま逆立ちとなり剣心に蹴り足を突き上げる!
しかし剣心も、御剣流の読みでそれわかわすっ。そして飛天御剣流の技は二段構え、剣心の左手に握られた鞘が次なる斬撃を…
いや、不破も天頂にある足の軌道を変え剣心の死角から…
「双龍閃!」
「弧月の…裏」
二人の技が同時に決まった。
281創る名無しに見る名無し:2015/02/16(月) 07:42:59.18 ID:9Br9yYSB
相打ち…
しかし体勢の差で剣心が有利。
そのまま、強引に不破に覆い被さる。
上から見下ろす剣心。逆刃に握られた刀が不破の喉に向けられている。その手は不破に押さえられている。互いに密着し動くことが出来ない。
刀がじりじりと押し込まれる。一片の慈悲も許さぬ、剣心の冷酷な眼差し。
それに対し不破は、…やはり笑み。
不破に気が満ちていく。
「この技にまだ名はないが…いつの日か修羅を殺す、技!」
「…!!」
密着した不破の足から衝撃が放たれ、剣心の身体が弾き飛ばされる。
(肋骨が、やられたかっ?)
口から血をしぶきながら距離をとる剣心。しかし不破も起き上がり距離を詰める。
(この身体、撃ててもう一撃)
剣心、刀を鞘に収める。
そして、
抜刀の構え!
282創る名無しに見る名無し:2015/02/17(火) 00:45:15.70 ID:GjB92pH5
迫る不破。人の域を超えたその速さ。
迎え撃つには神速の剣しかない。
剣心はわずかに腰を落とす、その動きを加速に変え剣に伝える。そして、放たれる渾身の抜刀!
不破の身体から血がしぶく。
しかし、その剣は一歩神速に届いていなかった。当たったのは鍔もと、深くは切れていない。
そして、不破は懐に潜り込んでいる。
「不破圓明流奥義、無空波」

剣心は仰向けに倒れている。そこに近づく不破の足音。そして…
そのまま遠ざかっていく。
「殺さないのか?」
「死にたいのか?」
「今までこの手で数多の志士を斬ってきた。敗北は死。俺一人だけ逃れようとは思わん。」
283創る名無しに見る名無し
「だか、俺には関係ない。最後の抜刀術、迷いが感じられた。お前はまだ飛天御剣流の奥義を極めてはいまい」
不破は続ける。
「未完成の飛天御剣流を殺しても意味はない。お前が真に飛天御剣流を納めた時…改めてお前を殺す!」
そのまま去っていく不破。
しかしその約束がはたされることはなかった。不破のその後は歴史の闇に消え我々が知ることは出来ない。

不破の去った逆より足音が近づく。
「驚いた、死んでるかと思いましたよ」
「また…死にぞこなってしまったよ」
「…そのままじゃ、風邪を召してしまいますよ。」
「そうだな…」
剣心はその後、幕末を生き抜き明治の世でるろうにとして新たな生を得ることになる。
その剣心を、我々は知っている。