非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ Part9

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1創る名無しに見る名無し
1999年刑行された小説「バトル・ロワイアル」

現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。

基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前の登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などの発表は書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
  〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!

前スレ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1270923604/

非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html
2 ◆5ddd1Yaifw :2010/06/04(金) 00:12:08 ID:6+6onfdO
テストー
3 ◆5ddd1Yaifw :2010/06/04(金) 00:13:55 ID:6+6onfdO
投下乙です。しゅーぜんさん哀れwwwwなんというかませ犬……
久しぶりに投下します。
4 ◆5ddd1Yaifw :2010/06/04(金) 00:14:36 ID:6+6onfdO
「ふう、着いたか」

天まで届くかのような高さを誇る灯台の下で上を見上げながら立つ青年の姿があった。
対馬レオ。先程、主催への反抗の啖呵を切った男である。
レオは自分の彼女である佐藤良美を探すために灯台に来ていた。

「しかし、高いなあ……」

少なくとも高層マンションレベルの高さはあるだろうなと、レオは思った。
レオはとりあえず中に入ろうと灯台の扉を開ける。

「……え?」

レオが扉の取っ手に手をとった瞬間、扉が勝手に開いた。
いや、違う。扉の向こうから大きな“何か”が飛んできたのだ。
そしてレオはそれに巻き込まれ一緒に吹っ飛んだ。

(な、なんだ!?何が起こった?どうして俺は、というか重いって!何が飛んできたんだよ)

レオは飛んできた“何か”の下敷きとなっていた。
“何か”はもぞもぞと動き突然レオから離れる。

「ちくしょう……!やりやがるじゃねえか」

レオに覆いかぶさっていた“何か”が声を発する。
ボサボサの髪に頭につけている赤いバンダナ。
身体はラフな服装で包んでいて、肉体は筋骨隆々としている。
どこからどう見ても人である。

「おいあんた!どうして飛んできたんだよ」
「あん?ってうわあああああああ!いきなり人が出やがったあああああ!!」
「それはこっちのセリフだ!!いきなり下敷きにされて、結構痛かったんだぞ!!!!!」

その場で漫才のような掛け合いをする二人の青年。
レオは立ち上がり、赤いバンダナの青年に問い詰める。
5 ◆5ddd1Yaifw :2010/06/04(金) 00:16:22 ID:6+6onfdO
「ああ、すまねえ、ってそんなこと言ってる場合じゃねえ!おいお前、名前は!」
「いきなりなんだよ」
「俺は井ノ原真人。それがよ……」
「あら、まだ人がいたんですか」

真人の声を遮るかのように扉の向こうから若い女性の声が響いた。
そして出てきたのは。

「……メイド?」

現れたのはメイド。どこからどう見てもメイド。
頭にはカチューシャをつけて、身に纏うのは白のエプロンに黒のメイド服。
もう一度言おう。どこからどう見てもメイドである。。
普段のレオならうわーメイドだ!、と驚くところだが今はそのような場合ではないためただ黙って見ているだけである。
しかし、次の一言で空気はひんやりとしたものに変わる。

「こいつ殺し合いに乗ってやがる!」

レオの表情が驚愕に変わる。
この温和そうなメイドさんが?こいつは何を言ってるんだ、とレオは思う。

「ち、違います!わたしは乗ってなんかいません!」
「おいおいしらばっくれるな、後ろから襲いかかってきただろうが!」

どっちを信じればいい。レオは思考を重ねる。

(あの真人とかいう男、嘘はついてなさそうだけど、でも吹っ飛んできたってことはあのメイドさんにやられたってことだよな。
 ということは乗っているのはメイドさん?
いや、でもそんな簡単に決めていいのか)

レオは思考の海に身を投じ、黙ったまま。困惑の迷路から抜け出せない。
その思考も終わりを告げる。

「おい!」
6支援:2010/06/04(金) 00:17:04 ID:aG8k24G+
7 ◆5ddd1Yaifw :2010/06/04(金) 00:17:42 ID:6+6onfdO
「!?」

突然真人がレオの腕を引っ張ったのだ。真人に引っ張られ、レオは思わずよろけてしまう。
そして少し前までレオの顔があった場所をすごい勢いで拳が通過した。

「あら、失敗しましたわ。結構いいタイミングだと思ったのですけどね」
「な……」

メイドはさらに態勢が崩れているレオに迫り掌底をぶつけようとするが、
真人がレオの前に割り込み、掌底を両腕でガードする。

「痛ってなあ!そんな細い腕でどんなすげぇ筋肉してんだよ!」
「……女性にすごい筋肉だなんて、失礼ですよっ!!」

真人の言葉に反応するよりも先にメイドは右足を踏み出して、右の拳を下からすくい上げるように放つ。
その拳はガードしていた両腕をするりとすり抜けて、真人の顎に直撃。
再び真人は後方へ吹っ飛んでいった。

「形意拳が五行拳の一つ、鑚拳です。顎に当てたのでしばらくは立ち上がれませんよ」

そう言ってメイドは妖艶な表情を浮かべ微笑む。
そのままレオの懐に入り、掌底を叩き込もうとするが。

「そう、簡単にくらってたまるか!」

レオが後ろに勢いよく跳ぶことによって掌底は空を切る。
そして即座に体制を立て直す。

「四の五の言ってる場合じゃねえよな、少しの怪我は覚悟してもらうぜ」

レオは腰に付けていた匕首を抜き横向きに構える。
一方のメイドは構えることなくただゆらりと立っているだけ。
空気が静まる。

タンッ。

地面を踏む音が鳴った。
8創る名無しに見る名無し:2010/06/04(金) 00:18:44 ID:o+c185/T
9創る名無しに見る名無し:2010/06/04(金) 00:18:47 ID:AhN+KIqA
SIREN
10支援:2010/06/04(金) 00:18:55 ID:aG8k24G+
11What a beautiful hopes ◆5ddd1Yaifw :2010/06/04(金) 00:19:01 ID:6+6onfdO
レオがメイドの懐へ一気に走り出し、手に持った匕首を横に振り払う。
だが。

「効きませんよ」

ガキン、と金属同士のぶつかったような鈍い音が草原に響く。
匕首はメイドによってあっさりと受け止められる。
そしてメイドの手には黒い手袋がつけられていた。
手袋には傷ひとつない。おそらく手袋に何か仕込んでいるのか、とレオは考える。

「これで終わりですか?」
「まさか!!」

レオは刃を翻し、反対の方向へ斬りつける。
メイドはそれを安々と弾く。
斬る。弾く。突く。流す。

「おおおおおおおお!!!」
「…………」

縦横無尽に刃が駆け、メイドの両手がそれを寸分の狂いなく弾き返す。
踊るように、リズムよく二人は動き、匕首と手袋からはカンカンキンキンと鉄の音が打ち鳴らされる。
拳と剣によるダンスが続く。しかし、ダンスは突然終焉を告げる。

「遅いです」

その言葉と同時にレオは腹部に強烈な痛みを感じた。
いつの間に?そんなことを考える暇もなくレオは真人と同じように吹っ飛んだ。

「すいません、隙があったものですから」

おそらくは振り下ろした刃を受け流して、そのままの勢いでのカウンターの掌底であろう。
レオは為す術も無くこれをまともに受けてしまった。

(このメイド、どんだけ強いんだよ。乙女さんよりは少し見劣りするけど……
 それでも俺なんかじゃ敵わない)
12創る名無しに見る名無し:2010/06/04(金) 00:19:25 ID:o+c185/T
13What a beautiful hopes ◆5ddd1Yaifw :2010/06/04(金) 00:19:55 ID:6+6onfdO

到底自分では敵いそうもない。故に、レオは。

「それでもっ!諦めてたまるかよ!!!!!!」

テンションに身を任せ、捨て身で向かう。

「あぁああっっああああああああああ――」

レオは思う。
力の差?それがなんだ。そんなの気合で縮めればいい。
テンションは最高潮。いい気分だ。
それに相手が強かろうが。
そんなこと。

「知ったことかあぁああぁぁああああぁああ!」

咄嗟に起き上がり、一足飛びにメイドに再び迫る。

「一直線に猪のように突っ込むだけ。芸がないですよっ」

メイドは疾風の如き速さで近づいてくるレオを叩き潰そうと前を見据えて構える。
レオは手には何も持たず。匕首は先程吹っ飛ばされたときに手から離れてしまっている。

「これで、終わりです」

右腕による掌底が一閃。狙われたのは腹部。一撃で気絶させるくらいの掌底を。
ドンと鈍い音がレオの腹部から聞こえた。
衝撃と共にレオは吹っ飛ばされ――

「げほっ…………捕まえたぜ――」
「!!?」

いや、とどまった。
レオはメイドの掌底を受ける直前に両手でメイドの腕を掴み押し返したのだ。
14創る名無しに見る名無し:2010/06/04(金) 00:20:15 ID:o+c185/T
15創る名無しに見る名無し:2010/06/04(金) 00:20:40 ID:aG8k24G+
16What a beautiful hopes ◆5ddd1Yaifw :2010/06/04(金) 00:20:55 ID:6+6onfdO
それにより、腹部に伝う衝撃は勢いをそがれる。
ダメージもかなり軽減され何とか気絶せずにすんだ。
両手で腕を力一杯握っていることにより吹っ飛ばされもしない。

「さっきの一撃と今の分、まとめて返してやる!!!!!!」

レオはメイドの腹めがけて思い切り蹴りつける。
女性に対する手加減などない、全力全開の蹴りだ。
これで決まる。レオはそう思っていた。

「――――え」

だが。
それよりも早く。

「形意拳が五行拳の一つ――――」

メイドは左足で半歩踏み込み、左腕は突き通すように。
全てを穿つ瞬の一撃を放つ。
その名は――

「崩拳!」

レオの蹴りは届かない。
その蹴りが届くよりも早くレオは後方に弧を描いて転がってしまったのだから。

「があっ!!!!」

崩拳による一撃と地面との激突による衝撃によりレオは立つことができない。
頭を打ち付けたのだろう、だが幸か不幸かは知らないが意識はまだある。

(くそっ!動けよ、俺の身体……こんな所で俺は死ねないんだ。
 スバル、カニ、フカヒレ、姫……俺の大切な親友達、失いたくない日常のかけら。
それに、世界で一番大切な、何よりもどんなものよりも大切な―――良美とだってまだ会ってねえのに)

もう動けないレオに止めを刺そうとメイドが近づいてくる。
17創る名無しに見る名無し:2010/06/04(金) 00:21:20 ID:o+c185/T
18支援:2010/06/04(金) 00:21:30 ID:BzukbTQb
  
19What a beautiful hopes ◆5ddd1Yaifw :2010/06/04(金) 00:21:41 ID:6+6onfdO
手には落とした匕首が握られて。

(……良美を残して俺は逝くのか?それだけは駄目だ!
誰も助けてくれない闇の中で苦しんでいたあいつを残して……)

後もう少し。もう少しでメイドはレオの元へたどり着く。

(死ねないんだ、俺は……まだだ!せめて、良美を生きてこの島から脱出させてからじゃないと死ねない。
 そうだ、こんな所で――)

レオが見上げるともうそこにはメイドが立っていた。
死が迫る。確定事項でそれはもう覆すには厳しいもの。
それでもレオは。

「諦めてたまるかよっ!!!!!!」

抗って、命を守ろうと精一杯動く。
レオは腰に下げていた匕首の鞘を上に思い切り投げつける。

「きゃっ!」

投げつけた鞘はメイドの顎に綺麗に命中してメイドがひるんだ。
そのままレオは足を横に大きくなぎ払う。
足払いだ。足払いは見事に成功し、メイドが後ろにのけぞった。
その隙をレオは逃さない。

「今度こそ……返すぜ」

今残っている力を全部振り絞って。
レオは無理やり起き上がって大きく拳を振り上げ、思い切り叩き潰すように殴った。
「ガッ……ッ」

メイドがその拳を受け、地面を転がるが、すぐに立ち上がりレオを睨みつける。
その振る舞いにもう余裕などなく相手を油断なく殺そうとする空気だ。

「一発私に入れたのは褒めてあげますが、」
20支援:2010/06/04(金) 00:22:37 ID:BzukbTQb
  
21創る名無しに見る名無し:2010/06/04(金) 00:22:44 ID:o+c185/T
22創る名無しに見る名無し:2010/06/04(金) 00:22:52 ID:aG8k24G+
23What a beautiful hopes ◆5ddd1Yaifw :2010/06/04(金) 00:23:16 ID:6+6onfdO

メイドは改めて匕首を構えて。

「もうこれで終わりです」

レオに突き刺そうと迫り。

「おいおい誰か忘れてやいませんかってんだ」

パンと軽い音と同時にメイドの歩みは止まった。
レオの後ろからにょっと出てきたのは。

「できればこいつは使いたくなかったんだがな。そうも言ってられねえか」

井ノ原真人。手には鉄の塊――――いや拳銃だ。
拳銃は無骨な鉄の輝きを放ちながら、銃口をメイドに向けていた。

「ここから立ち去りな。命まではとらねえからよ」
「あらあら、そんな甘いこと言ってていいんですか?これでも私、このゲームに乗っているんですけど」
「それでも、だ。俺はもう誰かが死ぬとこなんて見たくねえ…………鈴みたいに死ぬ姿はな」

最後の声は小さく、か細いものだったため誰にも聞こえない囁きだった。
だが真人の人を殺したくないという意志はメイドには聞こえたはずだ。

「そうですか。私としてはこのまま抵抗してもいいんですか、」

真人の銃を握る手が強くなり、レオは起き上がり何時でも迎撃出来るよう構える。

「止めておきます。無駄にこんな初めから怪我はしたくありませんし」

そう言ってメイドは踵を返して灯台とは逆の方向へ歩き出す。

「おい、お前」
「はい?」
「俺が後ろから撃つとは思わねえのかよ?」
24創る名無しに見る名無し:2010/06/04(金) 00:23:53 ID:o+c185/T
25支援:2010/06/04(金) 00:23:55 ID:BzukbTQb
  
26What a beautiful hopes ◆5ddd1Yaifw :2010/06/04(金) 00:24:01 ID:6+6onfdO
真人は問いかける。自分が抱いている疑問を隠すことなく。

「だって貴方からは殺してやるって意志が感じられませんから」

その言葉を最後に再びメイドは歩き出し、闇夜に消えていった。
草原に静寂が戻る。ここに居るのは真人とレオの二人だけ。

「悪い、助かったよ」
「いいっていいって、気にすんな。それより大丈夫か?結構やられてただろ」
「何とかな。全身痛いけど動けないって訳じゃない。それよりえーと、」
「井ノ原真人だ。俺に対しては心配いらねえぜ。日々筋肉を鍛えているからな」
「そうか、よかった。俺は対馬レオだ。今はお互い生き残ったことを喜ぼうぜ」

二人は危機を乗り越えたことを笑う。まだ時間に換算しても何時間も過ぎていないけど。
それでも今生きているから。
だから二人は生き残れたことを――笑った。



【A-10灯台前/1日目/黎明】

【対馬レオ@つよきす】
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式
【状態】:全身に打ち身、腹部打撲(ダメージ中)
【思考・行動】
1:今は生きていることを喜ぶ。
2:仲間との合流。佐藤良美を最優先。
3:全員無事にこの島からの脱出。
※佐藤良美ルートEnd後からの参戦です。


【井ノ原真人@リトルバスターズ!】
【装備】:ベレッタM93R(20/20+1)
【所持品】:支給品一式 、予備マガジン×2、不明支給品0〜2
【状態】:全身に打ち身、顎打撲(ダメージ小)
【思考・行動】
1:今は生きていることを喜ぶ。
2:このゲームについては――――
3:???
27What a beautiful hopes ◆5ddd1Yaifw :2010/06/04(金) 00:24:46 ID:6+6onfdO


【ベレッタM93R】
ベレッタ社がイタリア政府からの要請で、M92に改良を加えて開発した機関拳銃。
自動拳銃でありながら、セミオートと3点バースト射撃の切り替えが可能となっている。
ちなみに本来は市販はされてないが、どこか裏の伝を頼れば一般の方々でも入手出来るらしい。
実際にそれなりの数が出回っているとのこと。



◆ ◆ ◆



「何とか乗り切れましたね……」

草原を一人歩くメイド――マリアはそっと呟いた。
腰には先程奪った匕首を下げて、手には変わらず黒い手袋を。

(ごめんなさい、ハヤテ君……私はナギのために、)

大切な人のためにゲームに乗る。例えどれほど罵られようとも。
この意志は変わらない。それなのに。

「ハヤテ君……私は――」

どうして迷っているのだろう、とマリアは思う。
人を殺すこと。現代社会ではしてはならぬこととして法律で禁じられている。
だが、ここでその法律は通用しない。

(他の人にも大切な人はいるはずだ。
さっき敵対した二人の少年にもきっと……)

そう。人を殺すということは、他の人から大切な人を奪うことと同じだ。

(例えば私がその立場だとしたら……)

マリアは悩む。一度決意したこのゲームに乗るということを。

「でも、それでも私はナギに生きていて欲しいから。罪は、背負います。迷いなんてありません」

執事と同じくメイドも道化。無知は罪だ。
愛する主人は、三千院ナギはもう死んでいるというのに。
哀れなメイドは踊る。死を運ぶピエロのように滑稽に。

【A-10/1日目/黎明】

【マリア@ハヤテのごとく!】
【装備】:匕首@操り世界のエトランジェ、黒の手袋@操り世界のエトランジェ
【所持品】:支給品一式
【状態】:腹部打撲(ダメージ小)
【思考・行動】
1:三千院ナギをこのゲームで優勝させる
2:ナギとの合流最優先。
3:綾崎ハヤテに対しては――

【黒の手袋@操り世界のエトランジェ】
一巻で闇宮冥がカタナとの戦闘で使っていた黒の手袋。
刀とも打ち合える代物。中に何か仕込まれているのであろう。
28創る名無しに見る名無し:2010/06/04(金) 00:25:22 ID:o+c185/T
29What a beautiful hopes ◆5ddd1Yaifw :2010/06/04(金) 00:26:11 ID:6+6onfdO
投下終了。支援ありがとうございました。
……マリアさんが護身術として形意拳使える設定を覚えている人はいるのだろうか。
30 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 00:01:56 ID:Qi4KPmJO
投下乙です。では自分も投下します。
俺得ロワ74話「DEAD OR ALIVE THE ALEX」
登場:アレックス、ドーラ・システィール、ガーゴイル、久保遼平
31DEAD OR ALIVE THE ALEX ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 00:03:21 ID:Qi4KPmJO
74話 DEAD OR ALIVE THE ALEX


「こいつは確か、デビルチルドレンの……」
「げぇぇ……ハァ、ハァ、ハァ、が、ガーゴイルさん、この死体の子、知ってるんすか」

エリアH-3にある豪邸の正門付近。
先に発生した戦闘により死亡した少年ジンと、青狼青年石川昭武の二人の
死体をどこかに隠すよう言われたガーゴイルと久保遼平。
ガーゴイルはジンの顔は知っていた。自分が所属していた帝国軍と敵対する、
デビルチルドレンの二人の内の一人で、顔写真など資料には目を通していた。
生まれて初めて死体を生で見た遼平がその凄惨さに嘔吐しながら、ガーゴイルに訊いた。

「ああ。ちょっとな……っていうか話してなかったっけ?」
「そうでしたっけ……」
「……まぁいい。それより大丈夫か遼平」
「な、何とか……ふぅ、も、もう平気です」

顔面蒼白で、余り大丈夫そうには見えない遼平。

「無理しなくていいぞ」
「い、いや、皆さん頑張ってるし……俺も何かやらないと……」
「そうか……だが、もう無理と思ったら言え」

遼平の事を気遣いつつ、ガーゴイルはジンの死体の両腕を持ち、
ガレージの中へと引き摺り始める。
同様に遼平も昭武の死体の両腕を、やや躊躇しつつも掴んで引き摺った。

そしてガレージの中まで二人の死体は引き摺られ、置かれた。

「とりあえずここに置いておけば良いだろう」
「そ、そうですね……うぷ……」

ただ単に人目につきにくい場所に移動させただけだが野晒しにしておくよりは良いだろう。

「それじゃ戻るか」
「はい……」

仕事を終えたガーゴイルと遼平は豪邸へと戻り始めた。



豪邸内では、ドーラが新たにこの豪邸を訪れた者達の内の一人、アレックスと対談していた。
居間のソファーで向かい同士に座り、ドーラはアレックスと、その仲間である、
外に転がっており現在ガーゴイルと久保遼平にどこかに隠させている死体となった二人が、
この豪邸に来るまでの経緯を、おおよそアレックスから聞かされた。
32DEAD OR ALIVE THE ALEX ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 00:05:22 ID:Qi4KPmJO
「成程ね、アンタも大変だった訳だ」
「ああ……」

アレックスは自分の親友であるブライアン、仲間として行動を共にしてきた、
ジンと石川昭武の二人の計三人もの死を目の当たりにしてきた。
自分は幸運なのか、それとも実力なのかは分からないが大した怪我もしていない。
但し仲間の死を目の当たりにしてきて、精神面での疲労は強まっていた。

「ドーラ、って言ったっけ? あんたらも殺し合いからの脱出を?」
「まぁ、そうさね。今外に行かせているのがガーゴイルと久保遼平。
んで、さっき眼鏡小僧を運んでいたのがピタゴラス。
今上に上がってエルザっていう白髪の女と、首輪を調べてるけどね」

端的にではあるが自分の仲間の事を一人一人紹介していくドーラ。

「ドーラ、俺も仲間に加わっていいか? 俺もこの殺し合いを潰したい」
「そのようだね。まぁ、戦力にはなりそうだし、他の奴らも反対はしないだろうね。
いいよ。よろしく、アレックス」
「こちらこそ、ドーラ」

二人は握手し共闘する事を誓った。

「ああそうだ、アンタに伝えときたい事があったんだ」
「何だ?」

ドーラは自分のデイパックからメモ帳を取り出しペンを走らせ書いた文をアレックスに見せた。

〔アンタもメモ帳出しな。ここからは筆談だよ〕

「??」

なぜ急に筆談を要求されるのか分からなかったがきっと何か理由があるのだろう。
アレックスは言われた通りに自分のデイパックからメモ帳とペンを取り出し、
返事の一文を書き出しドーラに見せた。

〔これでいいか?〕
〔よし。それじゃ本題に入ろうか。これは首輪を調べさせているピタゴラスとエルザから、
アタイ達に報告された事なんだけれども、どうも、首輪に盗聴器ってのが仕掛けられてるんだと。
つまりこの絶対に外せないって言う首輪から主催者の連中に、
アタイ達の会話が筒抜けになってるらしいんだ〕
〔何だって!?〕

更にドーラはペンを走らせる。

〔まあ要するに、下手な事は言わない方が良いって事さね。
特に首輪を分解して調べてるなんて事がバレたら何されるか〕

確かに、参加者間の会話が筒抜けになっているならば、
首輪の分解の事、内部構造の調査の事を主催者側に知られでもすれば、
何らかの妨害措置を取ってくる可能性が高い。
最悪の場合、当該参加者の首輪を爆破する、という事も有り得る。
ドーラが筆談を要求した理由をアレックスは理解した。
33DEAD OR ALIVE THE ALEX ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 00:06:30 ID:Qi4KPmJO
〔確かに、下手な事は口に出さない方が良いだろうな。
俺達の命がこの首輪で握られている以上は……〕
〔全く、良くできた首輪だよ〕
〔……所で、首輪を調べてるって言っていたよな。一体誰の首輪を?〕
〔率直に言えば、死体からだよ〕
〔……殺したのか? 誰かを〕
〔いや、アタイじゃないよ。エルザが襲い掛かってきたのを返り討ちにして、
そいつの首からアタイが首輪を取ったって事さね。誤解はよして欲しいね〕
〔あ、そういうつもりじゃなかったんだ、すまん〕

首輪に関する話を筆談で終えた後、ドーラは何事もなかったかのように、
別の話を切り出した。

「アンタの仲間が持っていた荷物だけど……」
「ああ。好きに使ってくれて構わないよ」
「そうかい。ありがとう」
「……そう言えば、あの眼鏡を掛けた少年は……」

アレックスが気に掛けていたのは、自分達とは別に、
この豪邸に辿り着いた眼鏡の少年の事だった。
その眼鏡の少年と同行していたミーウという狐獣人の少女が突然、その少年や、
自分達に襲い掛かり、結果、放たれた銃弾でジンと昭武の命が失われてしまった。
そのミーウは市街地方面へ走り去ってしまった。
眼鏡の少年――思えばまだ名前を聞いていない――は、同行者が裏切った事に、
相当なショックを受け、自分で歩けなくなっていたが。

「ああ、あいつね。ピタゴラスが玄関まで運んだ所で気絶しちゃったよ」
「気絶……」

見た所、まだ小学生高学年程度の年齢に見えた。
この殺し合いはそんな子供が生き残るには過酷過ぎるという事は言うまでもない。
恐らく精神的に限界が来てしまったのだろう。
ドーラによれば今は一階奥の部屋で横にさせているらしい。
意識を取り戻したら、事情を伺ってみようと、アレックスは思った。

「さてと、アタイは腹ごしらえでもしとこうかね」

自分のデイパックを持ち上げ、ドーラはリビングの方へと向かった。
居間にはアレックス一人が残された。

「……俺も、腹ごしらえしとくか」

アレックスも自分のデイパックから食糧を取り出し、食事を始めた。
この時、アレックスは自分の持物の中にある、USBメモリの事をすっかり忘れていた。
34DEAD OR ALIVE THE ALEX ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 00:08:28 ID:Qi4KPmJO
【一日目午前/H-3豪邸】

【アレックス@VIPRPG】
[状態]:全身にダメージ(軽度)、右腕上腕に裂傷(処置済)、食事中
[装備]:サバイバルナイフ
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費、消費中)、USBメモリ
[思考]:
0:仲間を集めて殺し合いを潰す。そして脱出する。
1:ドーラ達と行動する。眼鏡の少年(野比のび太)の意識の回復を待つ。
2:元の世界の仲間と合流?
3:首輪も何とかしたい。
4:ムシャ……どうしたんだ?
※襲撃者(高野雅行)の容姿を記憶しました。
※ミーウの名前と容姿を記憶しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
※USBメモリの事を失念しています。


【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康
[装備]:イサカM37(4/4)
[持物]:基本支給品一式、12ゲージショットシェル(30)、防弾チョッキ
[思考]:
0:今の所殺し合いをする気はない。
1:眼鏡小僧(野比のび太)の意識の回復を待つ。
2:ガーゴイル、エルザ、久保遼平、ピタゴラス、アレックスと行動。
3:シェリーについては保留。
4:首輪を外したい。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※ガーゴイルの知人(ジン、アキラ)のおおよその特徴を把握しました。
※ガーゴイルの言葉の一部が理解できず気になっています。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
35DEAD OR ALIVE THE ALEX ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 00:13:42 ID:Qi4KPmJO
【ガーゴイル@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康
[装備]:RPG7(1/1)
[持物]:基本支給品一式、官能小説「14歳の女の子と愛犬、イケナイ交わり」(調達品)、
85o対戦車擲弾(3)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。首輪の解除方法の模索。
1:エルザとピタゴラスに首輪の調査を任せる。
2:ドーラ、エルザ、久保遼平、ピタゴラスと行動。しばらく豪邸に留まる。
3:元世界の知人(アキラ)については保留。
4:襲われたら説得を試みる。駄目ならば戦うか逃げる。
5:鉢巻の青年(アレックス)と話してみる。
※ドーラの知人(シェリー・ラクソマーコス)のおおよその特徴を把握しました。
※ドーラの言葉の一部が理解できず気になっています。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
※ジンの死亡を確認しました。


【久保遼平@オリキャラ】
[状態]:吐き気
[装備]:ハンティングナイフ
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、トランジスタラジオ
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。生き残りたい。
1:ピタゴラス、ドーラ、エルザ、ガーゴイルと行動する。基本的に四人には従うつもり。
2:鉢巻の青年(アレックス)と話す?
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。



※ジンと石川昭武の死体は豪邸のガレージ内に移動させられ、安置されました。
また二人の装備と持物は豪邸居間に置かれています。
36 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 00:16:02 ID:Qi4KPmJO
投下終了です。人数多いと辛い……。
37 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 02:58:44 ID:Qi4KPmJO
投下します。俺得ロワ75話「屍演舞-ShikabaneEnbu-」
登場:野比のび太、高野雅行
38屍演舞-ShikabaneEnbu- ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 03:00:00 ID:Qi4KPmJO
75話 屍演舞-ShikabaneEnbu-


目を覚ますと、見慣れた木造の天井が目に入ってきた。
僕はどうやら固い畳の上で仰向けになって寝ているみたい。
上半身だけを起こし、目の前に映る光景を観察する。
見覚えのある机、本棚、窓。間違いない、ここは、僕の部屋だ。
どういう事だろう、僕は確か殺し合いをさせられて――。

「のび太君、やっと起きたの? 昼寝ばかりしてちゃ駄目だよ」
「!!」

背後から、よく聞き慣れた声が聞こえた。
そうだ、この声は間違いなく。

「ドラえもん!?」

期待に僕は後ろを振り向いた。

でも、そこにいたのは、僕の知っている青い猫型ロボットではなかった。

「ドウシタノ、ノビタクン?」

血塗れの畳の上に、首だけになった、ドラえもんがいた。



「!!!」

僕は見知らぬ部屋のベッドの上で再び目を覚ました。
頬を抓ると痛いから、これが現実みたいだ。
首にはやはり金属製の首輪もはめられ、ベッドの傍には僕のデイパックと銃も置いてある。
ここは、僕はどうしたんだっけ……。

「……そうだ」

僕は、豪邸の前でアレックスと名乗った人と、その仲間二人と出会ったんだ。
僕と、同行していた狐の女の子のミーウさんと同じくアレックスさん達も殺し合いには乗っていない、
そう言っていたから、僕は喜んでミーウさんの方を向いた。

でも、違った。僕は騙されていたんだ。ミーウさんに。
ミーウさんはきっと最初から、僕や、既に死んでしまったけど、
アキナさん、死神五世さんを殺すつもりでいたんだろう。
振りむいた僕の目に飛び込んできたのは僕やアレックスさん達に、
大きな銃の銃口を向けるミーウさんの姿だった。

僕は怪我一つしなかった。アレックスさんの仲間のジンさんが、
自分の命も顧みずに僕の事を助けてくれたから。
でも、そのせいでジンさんと、石川さんという、青い狼の頭をした学生らしい人は、
ミーウさんに撃たれて死んでしまった。

その後の事はよく覚えていないけど、どうやら豪邸の中にいた人が、
僕を介抱してくれたんだと思う。
39屍演舞-ShikabaneEnbu- ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 03:01:18 ID:Qi4KPmJO
「……」

介抱してくれた? 本当にそうだろうか。
ミーウさんみたいに、仲間の振りをして、親切な振りをして、
最終的には襲い掛かってくるんじゃないのか?

そうだ、よくよく考えてみれば分かる事じゃないか。
この殺し合いで生き残れるのは一人だけ。
数時間前までの僕達みたいに殺し合いから脱出する術を共に探すように見せかけて、
その実、隙を突いて殺す機会を窺っている人の方が多いんじゃないか??
さっきの、ミーウさんみたいに。

そうだよ、そうに決まってる。
僕は今まで気付かなかっただけなんだ。
みんな、本当は自分の事が一番大事に決まってるさ。

こうしちゃいられない。きっと僕を保護した振りをした人達が、
僕を殺しに来る。その前にここから逃げなきゃ。
僕は自分の銃とデイパックを拾い上げた。
そうだ、ノートパソコンがあったけど……どうせ僕には使い方なんて分からないし、
ここに捨てて行こう。
デイパックの中からノートパソコンを取り出し、ベッドの上に投げ捨てた。

窓を開けると、海が見えた。どうやら豪邸の裏側らしい。
背後を気にしながら、僕は窓枠を越えて外に出た。
後は逃げるだけだ。そうだな、あの灯台の方向に思い切り走ろう。

今度誰かに会ったら、殺される前に、殺さなくちゃ。
仲間面する奴なんて、信用するもんか。
さもないと、また裏切られるに決まってる!




高野雅行は灯台の螺旋階段を下りていた。
この灯台にも、獲物の姿は見付からなかった。
折角拳銃が二丁もあると言うのに、宝の持ち腐れになってしまう。
一階の管理人詰所の部屋には何者かが使った形跡こそあったが。

螺旋階段を降り切り、外に通じる扉を開けた時だった。

「……!」
「あ……」

前方に、眼鏡を掛けた、小学校高学年ぐらいの少年の姿があった。
手には大型の黒塗りの拳銃が握られている。
突然の遭遇だったために、雅行は銃を構える動作に移るのが一瞬遅れた。
40屍演舞-ShikabaneEnbu- ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 03:03:03 ID:Qi4KPmJO
重たい銃声が三発響き、同時に雅行の胸元から鮮血が噴き出した。
大きくよろめくが何とか持ち堪える。だが、明らかに致命傷だと言う事は理解できた。
喉の奥から鉄錆の味のする熱い液体が込み上げ口から溢れる。
更に二発、今度は腹部に衝撃と激痛を感じた。
たまらず片膝を突くが、もう、立ち上がれそうになかった。

「フ……フ……」

なぜか、雅行は笑いが込み上げていた。
何とも呆気ない終わり方だと、自嘲気味な笑いだった。
ゆっくり顔を上げ、霞む視界の先に、雅行は自分をこれから殺害せんとする、
眼鏡を掛けた少年の顔を見据えた。

「フハ……ハ……!!」

そして、もう一発の銃声と同時に、雅行の意識も消失した。



やった。やっちゃった。ついに僕は人を殺した。
でも、これは仕方ないよね。だって、この人、銃を持ってたんだもん。
これで僕を撃ち殺そうとしてたんだよきっと。
だから、これは正当防衛。僕は何も悪くない。危険から自分の身を守っただけなんだから。

さて、もう動かなくなっちゃったこの人には、もう武器なんていらないよね。
僕の身を守るには一杯武器がいるから、使わせてもらおうっと。
うわぁ、デイパックの中にもう一つ、銃と予備マガジンがあったよ。
それに水と食糧が一杯だ、あれ? このツルハシ、血が付いてる。

「……やっぱり、この人も人殺しだったんだ。あは、あははは。
あ〜良かった。危なかったよ」

僕も殺される所だった。本当に危なかったよ。
それじゃ、武器と食糧は貰って、このピアノ線とかはいらないや。
これからどうしようかな、そうだ、元々市街地に行こうとしてたんだから、
街の方へ行こう。それでどこかに隠れようかな。
もし、途中で誰かと会ってももう大丈夫。
武器は一杯あるし、みんな僕を騙すつもりだから、先に殺しちゃうもん。

「あは、あははは、あはははははははははははは」

何だろう、おかしいなぁ、心が軽くて、笑いが止まらないや。
今だったら空も飛べそうな気がするよ。
41屍演舞-ShikabaneEnbu- ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 03:04:05 ID:Qi4KPmJO
そうだ、スネ夫は今どうしてるのかな。まだ生きてるのかな。
スネ夫もどうせ僕なんかどうでもいいだろうなぁ。
ましてやこんな殺し合いの中じゃ。
いいもんね。僕勝手に殺っちゃうもんね!

あははははははははははははははは。



狂ってしまった者は、大抵、自分が「狂っている」と自覚していない。

野比のび太少年も、漏れなくその例に当てはまった。



【高野雅行@俺オリロワリピーター組  死亡確認】
【残り15人】



【一日目昼/H-4灯台付近】

【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:発狂、ハイ
[装備]:H&K MARK23(6/12)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、H&K MARK23のリロードマガジン(12×5)、
マカロフ(7/8)、マカロフのリロードマガジン(8×5)、S&W M3566(10/15)、
S&W M3566のリロードマガジン(15×5)、ベレッタM1951(8/8)、
ベレッタM1951のリロードマガジン(8×5)、水と食糧(6人分)
[思考]:
0:殺される前に殺しちゃうもんね♪
1:街の方へ行く。
※アレックス、ジン、石川昭武、ムシャの名前と容姿を記憶しました。
※発狂しました。正常な判断が困難になっています。




※H-4灯台敷地内に高野雅行の死体とデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式、
ツルハシ(血痕付着)、ピアノ線、ハンドワイヤーカッター入り)が放置されています。
※H-4一帯に銃声が響きました。
42 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 03:05:42 ID:Qi4KPmJO
投下終了です。
43 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 18:23:36 ID:Qi4KPmJO
投下します。俺得ロワ76話「線路は続くがどこに続くかは分からない」
登場:戸高綾瀬
76話 線路は続くがどこに続くかは分からない


(んー。成程成程)

工具を使いあの手この手で分解した首輪を観察しながら、
シャツとスカートの上にコートを羽織った茶髪の女性、戸高綾瀬は考える。
彼女とてふざけて性的ないけない遊びばかりやっている訳ではなかったのだ。
床に転がる、粘液まみれの柄を持った金槌については不問に処す。

首輪を分解し解析した結果、綾瀬が出した端的な結論は。

解除は不可能ではない、という事。
但し、自分で自分の首輪を解除する事は困難、だという事。

首輪の内部構造は綾瀬が予想していたよりも複雑なものだった。
下手にいじればすぐに起爆装置が作動する仕組みになっている。
ただ、一定の手順さえ踏めば、起爆装置を作動させずに解除に漕ぎつける事ができるようだ。
しかし、その手順が問題であった。

かなり精密な操作を要求されるため、
他人の首輪ならともかく、自分の首輪となると、作業をしている
手元が全く見えない。
鏡を使うという手も考えたが、余りに危険過ぎるのでやめた。

折角解除方法が分かってもこれでは自分の首輪は外す事ができない。
ならばどうするべきか。

(誰かに解除方法を教えて、やって貰うしかなさそうね……)

今まで単独行動してきたが事情が変わってしまった。
自分の首輪を外すには誰か協力者が必要だ。
今更だが誰か協力者を捜しに行く必要が出てきた。

「でも……二回目の放送まで後2時間ぐらいか……どうしようかな」

第二回目の放送時刻である昼の12時まで後2時間弱。
協力者を捜しに行くのは放送を聞いてからでも遅くはないだろうと、綾瀬は考えた。
今どれだけの生存者がいるか、また、その生存者の中でこの殺し合いに抗おうと
している者が、自分に協力してくれる可能性のある者が何人いるのかは分からないが。
少なくともまだ綾瀬は希望的観測を続けていた。

「……まぁ、何とかなるでしょ」

かなり安易とも言える予測を立てながら、綾瀬は机の上の分解した首輪を、
台所で手に入れたビニール袋に入れ、デイパックの中にしまい込んだ。
【一日目昼/G-8病院近く:海沿いの民家・平田家二階子供部屋】

【戸高綾瀬@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:ボウイナイフ(血痕付着)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、メリエの首輪(分解済)、工具箱(調達品)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪の解除を目指す。
1:放送を待つ。
2:自分の首輪を解除するためにも仲間が欲しい所。
3:襲われたらどうする…?
※銀鏖院水晶(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※衣服を着ました。
※首輪のおおよその内部構造、及び解除方法の手掛かりを見付けました。



投下終了です。短っ
46 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 22:22:54 ID:Qi4KPmJO
投下します。俺得ロワ78話「君との思い出」
登場:レックス、ミーウ
47君との思い出 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 22:24:10 ID:Qi4KPmJO
78話 君との思い出

ズルズル、ズルズルと、黒い巨躯の狼が銀髪の少女の死体を、
役場裏の森の中まで足を咥えながら引き摺る。
そして、同じ銀髪の女性の死体を引き摺った場所まで持っていき、
傍に置く形で放棄した。

「ふぅ……」

役場に戻る黒狼レックスの表情はとても暗い。
先に森の仲間で引き摺った二人の内、少女の方は自分が殺害した。
大切な仲間であり、もはや愛人にも等しい存在になっていた女性を傷付けられた腹いせに。
もっとも、元はと言えば、自分がその少女を強姦した事が原因なのだが。
だから本来なら自分に少女に激怒したり、憎悪する資格なんてない。
だがしかし、それでも、許す事ができなかった。

役場一階に戻ったレックスはすっかり冷たくなった稲垣葉月の死体に寄りそう。
致命傷を負った葉月は自分に「殺してくれ」「私の死体を食べてくれ」と言った。

「ハヅキ、やっぱり、君を食べるなんてできないよ……」

しかし止めを刺す事はできても、愛する葉月を食べる事は、
いかに本人の願いと言えど、レックスにはできそうもなかった。
レックスは葉月の死体を背負い、落とさないようにバランスを取りながら森の方へと運んだ。

銀髪の女二人の死体を運んだ場所とは別の位置の森の中。
レックスは葉月を埋葬するための穴を掘り始めた。
犬のように前足を使って勢い良く地面を削り、かなりの短時間で、
必要なだけの深さを持った穴を掘った。

その穴の中にそっと葉月の死体を入れ、土を掛けていく。

土を掛けていく途中、レックスの頭の中には葉月との思い出が蘇っていた。

最初に出会った時、葉月も自分もお互いに殺し合いという状況の中、
誰か傍に居てくれる者の存在を求めていた。
そして一緒になった二人は何度も何度も激しく交わり合った。
お互いのぬくもりを直に感じ合った。

自然と、レックスの目から光る物が溢れ出る。

「……っ……ハヅキ……」

レックスは泣きながら、土を掛け続けた。
48君との思い出 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 22:25:22 ID:Qi4KPmJO
そして、葉月の死体が完全に埋まり、土が盛り上がった場所ができあがると、
レックスは適当な石を見付け、簡単な墓石を立ててやった。
そして、しばらくその場に座り、目を閉じて祈りを捧げると、
再び島役場へと戻り始める。

「俺……どうしよう……これから……」

最愛の人物を失い、また、共に過ごしてくれる相手もいなくなり、
レックスは孤独感に襲われ途方に暮れる。
葉月と出会う前は、出会った女性を片っ端から性的な意味で食べていくつもりだったが、
今はもうそんな気分になれない。

元々、この殺し合いに乗る気もない。先程の銀髪少女の例は別として、
進んで誰かを殺しに行く気にもなれなかった。

それに、葉月と同じように全身を撃たれたというのに、なぜ自分はこうも、
平気で動く事ができるのか。
傷口は痛むが、それだけだ。死ぬ事はないだろう。
だが、これならば、葉月と一緒に死にたかった。
レックスはそう思っていた。

「……疲れた。役場に戻って、ちょっと休もうかな」

既に昼の放送時刻も迫ってきているので、レックスは一旦役場に戻り休息を取る事にした。



エリアG-5にある民家に身を潜める狐獣人の少女、ミーウは、
壁に掛けられた時計に目をやり、昼の第二回目の放送が近付いている事を確認する。

「行動するのは放送の後でも良いかな。
何が起きるか分からないし」

無理して出歩いても、何らかのアクシデント――例えば襲撃を受け、
逃げ回るハメになるなど――が起き、放送を聞く余裕がなくなる事も有り得る。
死者の発表や禁止エリアの指定など何かと重要な情報が流れる放送なので、
しっかりと聞いておきたい所。
49君との思い出 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 22:26:09 ID:Qi4KPmJO
「で……放送の後はどうしようか……」

卓袱台の上に地図を広げ、放送後の行き先についてミーウは考える。
現在自分がいると思われるエリアG-5の周囲には、
小中学校、島役場、病院、港といった重要そうな施設が多い。
どれも、地図上に目印のように目立って記されているため、他参加者が集まり易そうだ。
考えた末、ミーウが出した結論は。

「ちょっと遠いけど、役場にでも行ってみようかな」

エリアF-6に存在する島役場を次の行き先に決定した。


【一日目昼/F-6島役場周辺の森】

【レックス@オリキャラ】
[状態]:疲労(肉体的、精神的共に大)、全身被弾(命に別条なし)、
身体中血塗れ、深い悲しみ
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、ダマスカスソード
[思考]:
0:とりあえず放送を待つ。その後は……。


【一日目昼/G-5市街地:大城家一階和室】

【ミーウ@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的疲労(大)、潮風の影響で毛皮にベタつき
[装備]:H&K G3(10/20)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、H&K G3のリロードマガジン(20×9)、
脇差、トマホーク(3)、水と食糧(二人分)
[思考]:
0:殺し合いに乗る。
1:しばらく休む。放送を待つ。
2:可愛い子(女の子優先)がいたら…フフフ。
※参戦時期は本編死亡後です。
※名簿に書かれた主催者と同姓の二人が気になっています。
※トマホークの血痕は拭き取られたようです。
※アレックス、ムシャの名前と容姿を記憶しました。


※稲垣葉月の死体はF-6島役場周辺の森に埋葬されました。
また、日宮まどか、銀鏖院水晶の二人の死体は同じ森の中に放置されています。
※稲垣葉月、日宮まどか、銀鏖院水晶の三人の所持品は、
F-6島役場一階ロビーに放置されています。
50 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/06(日) 22:26:59 ID:Qi4KPmJO
投下終了です。話数を訂正。77話でした。
51 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 00:10:28 ID:C7VFyIUW
投下します。俺得ロワ78話(今度こそ本当に)「地雷を踏んだらサヨウナラ」
登場:高原正封、クリス・ミスティーズ、レオン・ミスティーズ
52地雷を踏んだらサヨウナラ ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 00:11:22 ID:C7VFyIUW
78話 地雷を踏んだらサヨウナラ

ゴメスの死体を片付け、白いシーツを被せて安置し、ゴメスや襲撃者、
既に男娼館玄関ホールに転がっていた犠牲者達の所持品を回収後、
高原正封、クリス・ミスティーズ、レオン・ミスティーズの三人は、
男娼館の中庭にて、荷物の整理を行っていた。

回収した荷物の内訳は以下の通り。

武器類が手斧、手榴弾三個、サーベル、アーマライトAR18と予備マガジン、
鉄パイプ、コルト ディテクティヴスペシャルと予備弾、太刀、
FNブローニングM1910と予備マガジン、スタームルガー ブラックホークと予備弾、
H&K HK69と予備弾。

その他が増精剤入り小瓶、工具セット。

食糧が全部でおよそ9人分。

傍目から見てもかなり物資は豊富だったが、その裏に、
全部で8人もの犠牲があった事を、三人は分かっていた。
そのため素直に喜ぶ事もできなかったが、この先生きていくために武器は必要である。
犠牲者達に感謝と謝罪の念を忘れず、なおかつ、三人は武器の振り分けを行った。

「随分あるな……要らない物は捨てて行こう。数が多過ぎても邪魔になるだけだ」

クリスの提案により、ヒビの入った三徳包丁、鉄パイプ、増精剤の二つは放棄する事となった。

「太刀とサーベルは俺が貰ってもいいか?」
「クリスは剣の腕は確かだからな。だが、一応この拳銃も持っておいた方がいい」

そう言ってレオンは太刀とサーベルと一緒に、
小型リボルバー拳銃コルト ディテクティヴスペシャルと予備弾を渡した。

「ありがとうございます、伯父上」
「ああ……正封。お前はどうする」
「それじゃ、俺はこれとこれ貰っていいですか」

そう言って正封は小型自動拳銃FNブローニングM1910と予備マガジン、
手榴弾三個、工具セットを手に取った。

「そうか。それでは俺は……」

レオンは手斧、アーマライトAR18と予備マガジン、H&K HK69と予備弾、
スタームルガー ブラックホークと予備弾を自分の物とした。
その後、食糧9人分を三人で分け、一人当たりおよそ3人分の食糧を持った。

「それで……これからどうするかだが……」

レオンが正封とクリスに真面目な面持ちで話し始める。
殺し合いが始まってから現在、11時間程が経過している。
後1時間程で第二回目の放送が始まるので、一先ずそれまではこの
男娼館に留まる事とするが、放送後の行動についてある程度は話し合う必要があった。
53地雷を踏んだらサヨウナラ ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 00:12:48 ID:C7VFyIUW
まず最初に意見を述べたのはクリスであった。

「伯父上……これは俺の勘のようなものなのですが……。
恐らく、俺達が今いるこの北部市街地には、もう我々以外生き残りはいないのでは?」
「なぜそう思う?」
「この男娼館で、確認できる限り、玄関ホールの8人、そして入口付近の1人、
全部で9人もの参加者が死んでいます。それに、先程から外がやたらと静かです。
遠くから銃声が聞こえるといった事もありません」
「むぅ……」

クリスの言う通り、玄関ロビーでゴメスと襲撃者の青飛竜が相討ちになってから、
新たな襲撃者は訪れなくなった上、外から銃声や悲鳴が響くというのもなくなった。
これは、北部市街地で生き残っているのは、ここにいる三人だけ、という事を
暗に示しているのではないだろうか。

「でも……どこかに隠れてるだけって事も、あるんじゃ?」

正封がクリスとレオンに言う。

「それもあるけど……少なくとも、もうこれ以上この男娼館、いや、
北部の市街地に留まっても、何の進展も望めないと思う」
「……うーん……確かに、もうここら辺で生き残っているのは、俺達だけなのかも」
「まぁ、クリスの言い分ももっともだな。恐らく、北部市街で、
生き残りはもう俺達だけなのだろう」
「それじゃあ、他の生き残りは……南の方にならいるんすかね? レオンさん」
「可能性は高い、な」

しばらく三人で協議した結果、南部の市街地を目指す事で一致した。
しかし、それには問題があった。
北部市街地から南部市街地へ向かう近場の幹線道路のあるエリアE-8は、
既に禁止エリアとなっており入る事ができない。
かと言って反対側から回ろうとすれば、時間が掛かり過ぎる。
レオンが取り出した地図を地面に広げ、三人でそれを覗き込む。

「……正規の道がどちらも駄目となると……森を抜けるしかないな」

地図によれば男娼館北の森を真っ直ぐに北方向へ突き進めば南部市街地へ行けるようだが、
うっかり禁止エリアに入り込む危険もあった。

「伯父上、ここに『処刑場』とあります」
「確かに……」
「一旦ここを目指し、この処刑場から北、島役場の方へ向かえば、
禁止エリアに近付く事なく南部へ行けそうです」

クリスが提案したルートは一旦男娼館の南東方向にある処刑場を経由し、
そこから北方向の島役場を目指す、というものだった。
確かにそのルートならば禁止エリアに接近する恐れもない。
但し、第二回放送でそのルート或いはルート近辺のエリアが禁止エリアに指定される可能性もあった。
54地雷を踏んだらサヨウナラ ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 00:13:50 ID:C7VFyIUW
「……とにかく、クリスのルートは最有力候補としておこう。
まずは放送を聞いてからだ」
「はい、伯父上」
「分かりました」
「それまで休息を取ろう。まぁ、死体だらけのこの男娼館で休息できるかと言うと、
余りできないだろうが……」

放送の内容を聞いてから最終的な南部へのルートを模索する事にし、
三人はそれまで休息を取る事にした。



男娼館の客室の一つで、正封はベッドの上に仰向けに寝転びながら天井を見詰めた。
つい数時間前まで自分の傍にいた仲販遥という少女はもういない。
あの愛らしい笑顔をもう二度とみる事はできないと思うと正封は寂しかった。

「いい子だったなぁ……」

女運のない自分にとって年下の少女が自分を頼って傍にいてくれるという事自体、
本来生きていれば有り得ない話だった。
恐らく自分はこの先一生、そんな体験をする事はないだろう。

「……そう言えば」

ふと正封は自分が意識を失っている間に見た夢の事を思い出す。
夢の中に出てきた赤髪和服の女剣士「朱雀麗雅」。
全く身に覚えのないはずのその人物を、なぜ自分は名前や職業まで知っているのか。
いや、あの夢の中でも、自分は殺し合いの中にいた。

「……俺、前にも……いやまさか、な」

ある予想をしたが、有り得ない話だとすぐに放棄した。
ふと時計に目をやれば、午前11時5分を差している。

「もうすぐ二回目の放送か。今何人生き残ってるんだろ」

現在自分達がいる北部市街地には、恐らく自分とミスティーズの二人しか生き残りはいないだろう。
南部の方に行けばまだ生き残りはいるだろうが、果たして、
その中の何人が殺し合いに反する考えを抱いているかは分からない。
最悪、殺し合いをする気がないのは自分達だけかもしれない。
だが、それでも希望はまだ捨てるべきではないだろうと、正封は思う。
この殺し合いが始まった当初の自分なら有り得ない思考だ、とも。

――遥ちゃんのお陰かも。

正封は少し笑みを浮かべながらそう考えた。
55地雷を踏んだらサヨウナラ ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 00:15:35 ID:C7VFyIUW
【一日目昼/C-7男娼館】

【高原正封@俺オリロワリピーター組】
[状態]:精神的疲労(大)、背中から右胸下辺りにかけ刺し傷(処置済)
[装備]:ニューナンブM60(5/5)
[持物]:基本支給品一式、38sp弾(20)、FNブローニングM1910(3/6)、
FNブローニングM1910のリロードマガジン(6×5)、手榴弾(3)、工具セット、
水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。とにかく生き残る。
1:クリス、レオンと行動。放送を待つ。
2:襲われたら……。
※俺オリロワ開始前からの参戦、ではないかもしれません。
※「朱雀麗雅」という名前が気になっています。
※胸元に重傷を負っているため、無理な行動は危険です。
※クリス、レオンの二人が主催者の血縁である事を知りました。


【クリス・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:全身にダメージ(中)、右足裂傷(応急処置済)
[装備]:サーベル
[持物]:基本支給品一式、太刀、コルト ディテクティヴスペシャル(6/6)、
.38sp弾(30)、双眼鏡、水と食糧(3人分)
[思考]:
0:リリアを止める。そのためにもこの殺し合いを潰す。
1:レオン、高原正封と行動する。放送を待つ。
2:首輪を外す手段を探す。
3:仲間を集める。同時進行でゴメスの知り合いも捜す。
4:襲われたら対処。
※参戦時期は本編終了後です。
※シェリー・ラクソマーコスの死亡を確認しました。
※足を怪我していますが何とか歩行は可能です。
56地雷を踏んだらサヨウナラ ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 00:16:27 ID:C7VFyIUW
【レオン・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:全身にダメージ(中)、悲しみ
[装備]:シグザウアーSP2340(12/12)
[持物]:基本支給品一式、シグザウアーSP2340のリロードマガジン(12×5)、
アーマライトAR18(0/30)、アーマライトAR18のリロードマガジン(30×10)、
スタームルガー ブラックホーク(6/6)、.357マグナム弾(24)、H&K HK69(1/1)、
40mm榴弾(3)、手斧、水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いを止め、リリアと会う。
1:クリス、高原正封と行動する。
2:仲間を集める。同時進行でゴメスの知り合いも捜す。
3:首輪を外す手段を探す。
4:襲われたらそれなりに対処はする。
※参戦時期は本編終了後です。
※拳銃の使い方を一通り覚えました。
※北部市街地で生き残っているのは自分とクリス、高原正封の三人だけと考えています。




※ゴメス、仲販遥、シリウス、トマック、アキラ、デスシープ、
シェリー・ラクソマーコスの死体は男娼館玄関ホールに白いシーツを掛けられた状態で
放置されています。また、7人のデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)は、
玄関ホールに放置されています。
※三徳包丁(刀身に僅かな亀裂有)、鉄パイプ、増精剤入り小瓶(半分消費)は男娼館中庭に放棄されました。
57 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 00:17:22 ID:C7VFyIUW
投下終了です。
58 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 01:38:11 ID:C7VFyIUW
投下します。俺得ロワ79話「少年の置き土産」
登場:アレックス、ドーラ・システィール、エルザ・ウェイバー、ガーゴイル、ピタゴラス、久保遼平
59少年の置き土産 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 01:38:53 ID:C7VFyIUW
79話 少年の置き土産


「どにもいないな」
「何でかは知らないけど、あのガキ裏から逃げたみたいだねぇ」

ピタゴラスとドーラ・システィールは、保護した眼鏡の少年を寝かせていた部屋に来ていた。
だがそこには眼鏡少年の姿はなく、代わりに開いた窓とベッドの上にノートパソコンが
残されているのみだった。
外に少年を捜しに行っていたエルザ・ウェイバー、久保遼平、ガーゴイル、アレックスの四人が
二人の元に戻り、成果を報告する。

「駄目、いなかった」
「いません」
「右に同じ」
「……いなかったけど、灯台に最近撃ち殺された死体があったよ」

アレックスによれば、ガーゴイルと共に自分がかつてジン達と立ち寄った灯台、
その敷地内に恐らく今から一、二時間以内に殺害されたと思われる男の死体があったとの事。

――アレックスは死体となっていた男に見覚えがあった。
あの時は夜の闇でよくは見えなかったが、間違いなく、
自分の親友ブライアンを目の前で殺害した男だった。
いい気味だ、とはアレックスは思えなかった。できる事なら自分の手で、
殺すまではいかなくても、一発でもいい、殴り飛ばして罪を償わせたかった。

ちなみに、灯台で発見した死体となった男が、自分の親友を殺した男という事は、
ドーラ達には話してはいなかった。

最初、眼鏡少年と同行し、アレックスの二人の仲間を殺害した狐の少女の犯行と思われたが、
男の死亡推定時刻と、少女が逃げ去った時刻が離れている事から可能性は低い。

「そう言えば、あの小僧も銃を持っていたねぇ」
「まさか……」
「どういう理由かは知らないけど、窓から逃げた後、灯台辺りを通り掛かって、
そこにいた男を撃ち殺した……そう考えるのが妥当じゃないかい?」

ドーラ以外の五人はそう考えたくはなかったが少年がいなくなった時刻と、
アレックスとガーゴイルが発見した男の死体の死亡推定時刻はかなり近い。
可能性は否定できなかった。

「いやでも、それなら何で……」

遼平がドーラに尋ねる。
60少年の置き土産 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 01:39:47 ID:C7VFyIUW
「んー……今まで仲間だと思ってた奴に裏切られて目の前で二人も殺されて、
それで誰も信じられなくなったんじゃないの? いや、もしかしたらここに来るまでに
相当大変な思いしてたのかもねぇ」

有り得ない理由ではない。この殺し合いの中、少年の心は
酷く消耗していたとしてもおかしくはない。そこに仲間だと思っていた者の
裏切り行為、しかもそれが原因で目の前で二人も参加者が死亡したとなれば、
人間不信に陥るのも無理はないだろう。

「それじゃ、その子は私達も自分を殺しに来ると思って……?」

エルザがややショックを受けた様子で言うと、ガーゴイルが返事を返す。

「……だろうな。もしかしたら俺達が見付けた男の代わりに、
俺達の誰かが殺されていたかもしれん。不幸中の幸い……という言い方も変か」
「とにかくだ、あの眼鏡の子供を追うのは危険だろう。
それに、放送の時間も近付いている。無闇に動くのは危険だ」
「そんな、放っておくって言うのか?」

ピタゴラスが眼鏡の少年の捜索打ち切りを提言すると、アレックスがそれに噛み付いた。
眼鏡の少年が殺し合いという状況で我を忘れ、誰も信じられなくなったというのなら、
尚更放っておけなかったのである。

「アレックス、気持ちは分かるが、どこに行ったかも分からない上に、
近付いたら発砲される恐れのある少年を捜索するのは危な過ぎる」
「だけど、灯台の男を殺したのがあの子だって決まった訳じゃ……」
「……もう何も言うな。放送の時間も近い。まだここを動く訳にはいかないんだ」
「く……」

ピタゴラスが諭し、アレックスはおとなしく従う事にした。
本当はピタゴラス自身もあの少年の事は心配であったが、
禁止エリアなどの重要な情報が含まれる放送も非常に大事だった。

「……所で、こんな物が残されていたんだけどね」
「それは……ノートパソコン?」

ドーラがベッドの上に置かれていた銀色のノートパソコンを手に取り、皆に見せる。
恐らく眼鏡の少年が置いていった物と思われた。

「パソコン……ドーラ、ちょっと貸してくれるか?」
「ん? ああ……」

パソコンと聞いて何かを思い出したアレックスがドーラからパソコンを借り、
側面を調べ、ある事を確認した。
61少年の置き土産 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 01:40:52 ID:C7VFyIUW
「よし、USBに対応してる。これなら……」
「どうした? アレックス」
「ドーラ、このパソコン、借りてていいか?」
「いいけど……どうする気だい? それ」

パソコンという物を知らないドーラとガーゴイルは
アレックスがこれから何をしようとしているのか皆目見当も付かなかった。
アレックスはノートパソコンを居間に持って行き、コードを繋ぎ、
側面の差し込み口に自分の支給品の一つであるUSBメモリをセットした。
そしてノートパソコンの電源スイッチを入れ起動させる。

ドーラ達五人はアレックスの周囲に集まり、ノートパソコンの画面を凝視した。
特にドーラとガーゴイルの二人は見た事もない機械が動く様子を興味津々といった
様子でじっくりと見詰めた。

やがて完全にノートパソコンが起動し、アレックスはUSBメモリのフォルダを開いた。
そして、画面に表示された「それ」に、アレックス達は驚愕し、言葉を失う。

「こ、これは……!?」

そこまで言い掛けた遼平の口を傍にいたエルザが塞ぎ、
口元に人差指を立て静かにするよう遼平に促した。
USBメモリの中に入っていた情報は口に出せばここにいる全員、
いや、この殺し合いの参加者全員の命が危うくなる危険がある程重要な代物だったのだ。
アレックスが自分のデイパックからメモ帳を取り、そこにペンを走らせ、
これからしばらく筆談え会話するよう、ドーラ達に命じた。

ノートパソコンの画面に映し出されていたUSBメモリの中身。

それは、この殺し合いの参加者全員の首にはめられた、首輪の設計図であった。

一体なぜ、この殺し合いを根底から破綻させかねない物が、
支給品として参加者の手に渡っているのか。
設計図は偽物で、主催者が用意した罠とも考えられた。
確かにそう考えるのが一番妥当かもしれないが、遼平は別の可能性を示唆した。

〔もしかしたら、主催者側の人間の中に、この殺し合いに反対している人がいるのかも〕

つまり、首輪の設計図を手に入れられ、なおかつ主催者に気付かれる事なく、
その設計図を支給品の中に忍び込ませられる、恐らく側近クラスの者が、
この殺し合いを不満に思い、潰そうとしてこのような事をしたのではないか。
もしそれが本当だとすれば、この設計図入手は首輪解除への大きな橋頭堡となり、
更に上手くすればその「主催者側の造反者」と協力する事も可能になる。
62少年の置き土産 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 01:42:18 ID:C7VFyIUW
だが、慎重を期し、最終的な判断は首輪を解析しているピタゴラスとエルザの二人に
任せられた。

〔このパソコンとUSB、借りてもいいか?〕

ピタゴラスがアレックスに尋ねる。

〔この設計図と、俺達が分解している首輪の内部構造が一致するかどうか調べたい〕
〔ああ。お願いするよ〕

アレックスは承諾し、ノートパソコンとUSBメモリをピタゴラスとエルザの二人に手渡した。



(あのガキ、もしかしたら良い意味でとんでもない置き土産を残してくれたのかもねぇ)

ピタゴラスとエルザが再び、アレックスから受け取った首輪の設計図入りの
USBメモリとノートパソコンと共に二階へ首輪解析に戻った後、
ドーラはリビングで水を飲みながら考える。
もしあの眼鏡の少年がノートパソコンとやらを置いて行かず、
持って行ってしまっていたら、あのUSBメモリという物の中身を見る機会は
永遠に失われていたかもしれないからだ。

(まぁ、細かい事はピタゴラスとエルザの二人に任せるとしようかね。
アタイは機械に関しちゃ何も分からないから……)

ふと自分の懐中時計に目をやり、第二回目の放送が迫っている事を確認する。
自分と同じくこの殺し合いに呼ばれたシェリー・ラクソマーコスは今、どこで何をしているのか。
簡単に死ぬとは思えないが、案外既に死亡しているかもしれない。

「……正直、どっちでも良いんだけどねぇ」

ドーラは椅子に座りながら、大きく背伸びをした。



【一日目昼/H-3豪邸】

【アレックス@VIPRPG】
[状態]:全身にダメージ(軽度)、右腕上腕に裂傷(処置済)
[装備]:サバイバルナイフ
[持物]:基本支給品一式(食糧二食分消費)
[思考]:
0:仲間を集めて殺し合いを潰す。そして脱出する。
1:ドーラ達と行動する。放送を待つ。
2:元の世界の仲間と合流?
3:首輪も何とかしたい。
4:ムシャ……どうしたんだ?
5:眼鏡の少年(野比のび太)の事が少し心配。
※襲撃者(高野雅行)の死亡を確認しました。
※ミーウの名前と容姿を記憶しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
63少年の置き土産 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 01:43:28 ID:C7VFyIUW
【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康
[装備]:イサカM37(4/4)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、12ゲージショットシェル(30)、防弾チョッキ
[思考]:
0:今の所殺し合いをする気はない。
2:ガーゴイル、エルザ、久保遼平、ピタゴラス、アレックスと行動。放送を待つ。
3:シェリーについては保留。
4:首輪を外したい。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※ガーゴイルの知人(ジン、アキラ)のおおよその特徴を把握しました。
※ガーゴイルの言葉の一部が理解できず気になっています。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。


【ガーゴイル@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康
[装備]:RPG7(1/1)
[持物]:基本支給品一式、官能小説「14歳の女の子と愛犬、イケナイ交わり」(調達品)、
85o対戦車擲弾(3)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。首輪の解除方法の模索。
1:エルザとピタゴラスに首輪の調査を任せる。
2:ドーラ、エルザ、久保遼平、ピタゴラス、アレックスと行動。しばらく豪邸に留まる。
3:元世界の知人(アキラ)については保留。
4:襲われたら説得を試みる。駄目ならば戦うか逃げる。
※ドーラの知人(シェリー・ラクソマーコス)のおおよその特徴を把握しました。
※ドーラの言葉の一部が理解できず気になっています。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
※ジンの死亡を確認しました。


【エルザ・ウェイバー@オリキャラ】
[状態]:腹部に二発被弾(処置済)
[装備]:九五式軍刀
[持物]:基本支給品一式、レミントン デリンジャー(0/2)、.41リムファイアー弾(30)、
首輪探知機、フォナ・アンシュッツの首輪(分解中)、雄獣人エロ写真詰め合わせ
[思考]:
0:殺し合いを潰す。脱出手段の模索。
1:ピタゴラスと共に首輪を調べる。
2:ドーラ、ガーゴイル、久保遼平、ピタゴラス、アレックスと行動する。仲間を集めたい。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
64少年の置き土産 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 01:45:08 ID:C7VFyIUW
【ピタゴラス@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:コルトM1911A1(7/7)
[持物]:基本支給品一式、コルト ガバメントのリロードマガジン(7×5)、
ノートパソコン(USBメモリ装着)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪を外したい。
1:エルザと共に首輪を調べる。首輪設計図の真偽を確認する。
2:久保遼平、ドーラ、エルザ、ガーゴイル、アレックスと行動する。
3:襲われたら戦う。
4:眼鏡の少年(野比のび太)の事が少し心配。
※参戦時期は本編死亡後です。
※毛皮の色は作者の想像です。
※自分が以前別のバトルロワイアルに参加していた事を久保遼平に話していません。
※ドーラ、エルザ、ガーゴイルと情報交換をしました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。


【久保遼平@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:ハンティングナイフ
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、トランジスタラジオ
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。生き残りたい。
1:ピタゴラス、ドーラ、エルザ、ガーゴイル、アレックスと行動する。基本的に五人には従うつもり。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。



※USBメモリの中身は首輪の設計図です。但し真偽は定かではありません。
65 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 01:45:54 ID:C7VFyIUW
投下終了です。
66 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 20:40:46 ID:C7VFyIUW
投下します。俺得ロワ80話「第二回放送」
登場:リリア・ミスティーズ、黒牙、大木弓那
67第二回放送 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 20:41:35 ID:C7VFyIUW
80話 第二回放送


陽が高く昇り切り、殺し合いの舞台である島に再び主催者の女の声が響き渡る。

----


『お昼になりました。第二回目の定時放送を行います。
この6時間の間に至る所で激戦が起きました。嬉しい限りですね。
ではまず禁止エリアからです。

13時より、エリアH-3。
14時より、エリアC-7。
15時より、エリアG-8。

以上の三つです。今の所、禁止エリアによる死者は出ていませんが、
くれぐれも禁止エリアで爆死、などという事にはならないで下さい。

では続いて死者の発表です。同じく五十音順で言います。
今回は午前8時から10時の間に死んだ人が多かったですね。では言います。

アキラ
石川昭武
稲垣葉月
大宮正悳
神山アキナ
銀鏖院水晶
ゴメス
シェリー・ラクソマーコス
死神五世
シリウス
ジン
須牙襲禅
高野雅行
デスシープ
トマック
永倉萌
仲販遥
日宮まどか

以上18人です。これは、私も予想外のハイペースですね。
これで残りは15人ですか。
一応、確認のため、現在生き残っている15人の方の名前も言います。
こちらも同じく五十音順です。では言いますよ。
68第二回放送 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 20:42:24 ID:C7VFyIUW
アレックス
エルザ・ウェイバー
ガーゴイル
久保遼平
クリス・ミスティーズ
高原正封
ドーラ・システィール
戸高綾瀬
野比のび太
ピタゴラス
骨川スネ夫
ミーウ
ムシャ
レオン・ミスティーズ
レックス

以上の15人がこの放送の時点での生存者です。

では次の放送は夕方の18時になります。頑張って下さい』


----

「兄様と伯父様はしぶとく生き残っているようね……」

放送終了後、リリアは自室で生存者のリストに目を通していた。
現在生き残っている15人の中で能動的に殺し合う気があると思われるのは、
野比のび太、骨川スネ夫、ミーウ、ムシャの四人。
恐らく脱出手段を模索している、二つのグループ、
エリアH-3の豪邸に集まっているアレックス、ドーラ・システィール、エルザ・ウェイバー、
ピタゴラス、久保遼平、ガーゴイルの六人のグループ。
エリアC-7の男娼館の高原正封、自分の兄クリスと伯父レオンの三人のグループ。
単独行動しており、目的が不明瞭なレックスと戸高綾瀬の二人。
アレックス達のグループ、兄と伯父がいるグループ、戸高綾瀬は、
丁度禁止エリアに指定されたエリアにいたため、移動すると思われる。

それにしても首輪の見せしめで殺した青タヌキの家族とも言うべき人物が、
殺し合いに乗るとは、面白い事になってきた。
どうやら仲間に裏切られたショックで発狂してしまったようだが、これからどうなるのか。
69第二回放送 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 20:43:22 ID:C7VFyIUW
「リリア様……」

青いヘルメットと鎧を着込んだ兵士がリリアの元に駆け寄り、何かを耳打ちする。
その瞬間、リリアの顔色が変わった。

「……そう。分かったわ。下がりなさい」
「はっ」

兵士が自分の持ち場に戻った後、リリアは何やら深刻そうな表情を浮かべていた。



モニタールームにて、黒牙と大木弓那は殺し合いの経過を確かめていた。
かつて自分達がやらされていた殺し合いを今度は高見の見物できるのは、
何とも不思議な気分でもある。もっとも、前の殺し合いの時は、
ほとんど二人で一ヶ所に留まっていただけだったが。

「残り15人か……どうなるんだろうね、これから」
「そうだなぁ、俺としては稲垣葉月とレックスコンビが良かったけど、
稲垣死んじゃったもんなぁ、レックスどうするのかな」
「そう言えば、私達が前に参加させられていた殺し合いの参加者、
もう一人しか生き残っていないんだよね」
「そうだね……」

この殺し合いには、黒牙と大木弓那が前に参加させられていた別の殺し合いに
参加していた、須牙襲禅、高原正封、高野雅行、稲垣葉月の四人がいる。
何れも二人は以前の殺し合いで名簿の名前のみ確認しただけだったが、
稲垣葉月の名前は放送で死者発表の時に聞いた。
リリアによれば、自分二人が自殺した後、前の殺し合いは新藤真紀という
女性参加者の優勝によって幕を閉じたらしい。
つまりそれ以外の参加者は全員死亡したと言う事だ。
要するに、須牙、高原、高野、稲垣の四人は自分達と同じく、死亡した後の参加、
という事になる。

しかし、リリアは彼らの記憶を操作し、殺し合いの記憶にロックを掛けたらしい。
恐らく気まぐれでそんな真似をしたのだろうが、別にそのままでも良かったのではと、
黒牙と弓那の二人は思うが、折角自分達を生き返らせてくれた恩人でもある、
リリアに対して特に意見する気にもなれない。

「それじゃ……部屋に戻ってまたしようか、黒牙」
「ええっ……もう出ないと思うんだけど……」
「大丈夫。搾り取ってあげるから♪」
「うう……///」

互いに寄り添いながら、黒と赤の毛皮を持った人狼と
黒髪の赤いブレザーを着た美少女は自分の部屋へと戻っていった。



【現時点での生存者 15人】
70第二回放送 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 20:44:07 ID:C7VFyIUW
【一日目昼/?-?主催者本拠地】

【リリア・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:健康
[装備]:不明
[持物]:不明
[思考]:
0:バトルロワイアルの完遂。
1:……何となくそうかな、とは思っていたけど。やっぱり……。
※参戦時期は本編終了後です。
※何らかの情報を配下の兵士から得ました。

【黒牙@俺オリロワリピーター組】
[状態]:健康
[装備]:不明
[持物]:不明
[思考]:
0:リリアに従う。
1:弓那とたっぷり交わる。
※死亡後からの参戦です。

【大木弓那@俺オリロワリピーター組】
[状態]:健康
[装備]:不明
[持物]:不明
[思考]:
0:リリアに従う。
1:黒牙とたっぷり交わる。
※死亡後からの参戦です。
71 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 20:46:01 ID:C7VFyIUW
投下終了です。
72 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 22:31:47 ID:C7VFyIUW
投下します。俺得ロワ81話「消えない想いよ天届け」
登場:ミーウ、レックス
73消えない想いよ天届け ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 22:32:34 ID:C7VFyIUW
81話 消えない想いよ天届け


第二回目の放送を聞き終えた後、ミーウは食事を取り荷物を纏め始めていた。
放送の死者発表では目の前で殺害された死神五世と神山アキナの二人、
自分が殺害したジン、石川昭武の二人の名前も当然呼ばれた。
死神五世、アキナの二人を殺害したムシャという鎧姿の男、
途中まで行動を共にしていた野比のび太の二人の名前は呼ばれなかった。
主催者と同姓の二人も、まだ生き残っているらしかった。

「後15人……もう一息って感じかな」

突撃銃H&K G3を携え、デイパックを肩から提げたミーウが民家から出る。
目指すはエリアF-6に存在する島役場である。

周囲を警戒しながら、静かな市街地の道路を歩いて行く。



黒狼レックスにとって、放送はもう余り重要なものではなくなっていたが、
それでも聞けるだけは聞いた。

今度は18人が命を落としたらしい。
自分が殺した銀髪の少女の名前も含まれているのだろうが、
名前を聞いていなかったので分からない。
当然、葉月の名前もあった。

禁止エリアはいずれも今自分がいるエリアからは遠い。

「……」

レックスは役場の倉庫にあった、丈夫で、それなりの長さのある縄を見詰める。
人一人吊るしても千切れないくらいの丈夫な縄だ。
裏には太い枝を持った樹木が無数に生えた森も広がっている。
レックスの心はもう決まっていた。

「葉月……もうすぐ俺も、そっちに行くからね」

縄を咥え、レックスが森へ向かおうとした、その時だった。
レックスは島役場入口の方向から殺気を感じ、咥えていた縄を離し、
即座に前方に跳んだ。

銃声と同時に、つい数瞬前までレックスがいた場所に無数の弾痕ができる。
74消えない想いよ天届け ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 22:35:58 ID:C7VFyIUW
「首輪を付けているって事は、貴方も参加者よね」
「……」

銃撃犯は、突撃銃を構えた狐獣人の少女――ミーウだった。
不敵な笑みを浮かべながら銃口をレックスに向け、ミーウはゆっくりと距離を詰める。
ふと、役場の床や天井が血塗れになっている事に気付く。

「この血……貴方、ここで何があったか知ってる?」
「……色々、あったよ」

ミーウの問いに、レックスは詳細に答える気は更々なかった。

「色々、ね。まぁ、そうかもね。それじゃ……死んでっ!」

ミーウがG3の引き金を引き、銃口から7.62oNATO弾の銃弾が掃射される。
しかし、黒い巨大な狼は肉眼に捉えるのが難しい程の俊敏さで、
その弾丸の雨を回避した。

「なっ……速い!」

予想外の黒狼の俊敏さに、ミーウがたじろぐ。
そうこうしている内に、G3が弾切れを起こした。
慌ててミーウが予備のマガジンと交換しようとするがその隙をレックスは逃さない。

「ガアアッ!!」
「あっ……」

黒狼が狐の少女に飛び掛かり、喉笛に牙を深く突き刺した。
鮮血が溢れ、ミーウの黄色い毛皮が赤く染まっていく。
そのままミーウは仰向けに床に倒れ、レックスはミーウの首から口を離した。
狐の少女はまだ息はあったが喉元から噴き出す赤い液体は止まる様子はない。
申し訳程度に手で押さえながら、ミーウは間もなく自分が死ぬ事を悟った。

「ごほっ……まい、ったなぁ。ここで、終わりなんて」

自嘲気味に笑いながらそう言い終えた直後に、
半分開かれたミーウの目から、光が消えた。

「……はぁ……」

自殺志願者のくせに殺される事を拒否するのもおかしい話だ、とレックスは思う。
ただ、この狐の少女のように殺し合いに乗った者に殺されるのは嫌だった。
自分の人生(狼生?)の幕は、自分で引きたかった。

「……さてと」

レックスは再び縄を咥え、島役場裏の森へと歩いて行く。
75消えない想いよ天届け ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 22:36:47 ID:C7VFyIUW
島役場裏の森の中に作った、稲垣葉月の墓。
そのすぐ傍の樹木の枝から、先端が輪になった縄が吊り下がっている。

「これでよし。我ながら良い出来だ」

尻尾を振りながら、自分で頑張って作った首吊り縄を見上げ、
得意気になるレックス。
役場から引き摺ってきた木製の椅子を、縄の下まで持っていき、
その椅子の上に上がり、レックスは縄の輪を自分の首に掛け、ぎゅっと締めた。

これで、椅子を蹴飛ばせば、自分の体重によって首が締まり、全てが終わる。

「ハヅキは怒るかな。後を追って自殺なんて」

葉月が自分の事を心の底から想っていてくれていたのなら、
きっと自分が後を追って自害する事など望まないであろう。

「でもね……ハヅキ、君のいない世界は、もう俺は耐えられそうにないよ」

思えば一人の女性に対して、それが異種族であったとしても、
ここまで一途な想いを抱いた事は生まれて初めてだった。
これが、恋愛、というものなのだろうか。
できる事なら、こんな殺し合いが起こる前にこんな経験をしたかった。

「……ハヅキ……」

レックスの目から涙が零れ落ちる。
少し時間を置きすぎた。そろそろ逝こう。

心を落ち着かせるために、深呼吸をする。
吸って、吐いて、吸って、吐いて、吸って、吐いて……。
そして。
76消えない想いよ天届け ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 22:38:38 ID:C7VFyIUW
後足で思い切り椅子を蹴飛ばし、レックスの身体が一瞬宙に浮いた。
しかし直後に、木の枝から吊るされたロープがピンと張り、レックスの首が絞まった。

「がっ……げう……」

呼吸が止まる。息を吐く事はできても吸う事はできない。
無意識に激しく前足と後足をバタつかせていた。

数分後、レックスは動かなくなり、前足後足も、尻尾も脱力した。
しかし、レックスはまだ意識があった。

(……何だか……心地良い……)

薄れゆく意識の中、レックスは妙な心地良ささえ感じ始めていた。

(……ハヅキ……俺……君と同じ所へ……行ける……か……な…………)



森の中に、縛り首になっている、黒い雄の狼の死体がぶら下がっていた。
だらりと口から舌を出し、半分開いた赤色の瞳の瞳孔は開ききっている。
その狼の首吊り死体の下には、倒れた木製の椅子と、小さな墓があった。





【ミーウ@オリキャラでバトルロワイアル  死亡確認】
【レックス@オリキャラ  死亡確認】
【残り13人】




※ミーウの死体と所持品、及びレックス、稲垣葉月、銀鏖院水晶の所持品は、
島役場受付ロビーに放置されています。
※F-6島役場周辺に銃声が響きました。
※島役場裏の森にレックスの死体が首を吊った状態で放置されています。
77 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/07(月) 22:40:01 ID:C7VFyIUW
投下終了です。
78 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/09(水) 20:52:38 ID:4436Tluz
投下します。俺得ロワ82話「血に染まった僕の右手」
登場:野比のび太、骨川スネ夫
79血に染まった僕の右手 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/09(水) 20:55:36 ID:4436Tluz
82話 血に染まった僕の右手

「のび太はまだ生きているのか……」

放送後、新たに18人分の名前が消された名簿を見ながら骨川スネ夫は呟く。
現在スネ夫がいるのはエリアG-6の一角にある民家の中。
新たに指定された禁止エリアはいずれも現在位置からは離れており、
また、行く予定もないのでまずは気にする事はないだろう。

自分の友達で唯一の生き残りである野比のび太は先の放送では呼ばれなかった。
やはり簡単には死なないようだ。

自分が殺害した日宮まどかの名前も当然だが呼ばれた。
死体はあのまま島役場に放置したままのはずだが誰か発見しただろうか。
心ある人なら供養しているかもしれないが。

「さてと……そろそろ行くか」

既に昼食は取ってあった。放送も聞いた以上、この民家に留まる理由もない。
スネ夫はテーブルの上の短機関銃IMIウージーを装備しデイパックを提げ、
民家の出口へ向かった。



「ん……何だあれ」

民家を出て、ふと東の方角に目をやると煙が上がっているのが見えた。
参加者以外に市街地には人はいない事を考えると、あの煙は参加者が起こしたものだと考えられる。
明らかに目立つ行為のため自ら進んでやったとは思えないが、
理由は何にせよ、あの煙の元へ行けば他参加者に遭遇できる可能性が高い。

「行ってみるか。他に特に宛てもないし」

スネ夫は煙の立ち昇る方角を目指し歩き始めた。



野比のび太はいつしか市街地の路上をふらふらと歩いていた。
その目は血走り、口元は常時薄ら笑いを浮かべ、歪んみ、涎も垂れている。
誰がどう見ても正気でない事は明らかだった。

「ふふっ、うふふ。み、みんな、僕を殺そうとしてる……殺される前に殺さなきゃ……」

うわ言のように、何度も何度も同じフレーズ、似たようなフレーズの言葉を繰り返していた。
80血に染まった僕の右手 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/09(水) 20:57:34 ID:4436Tluz
小学校高学年の少年である彼は、この殺し合いという、
過酷という言葉だけでは言い尽くせない状況に突然放り込まれ、
大切な友達を一気に三人も失い、更に、目の前で人が殺される所を目撃し、
追い打ちを掛けるかのように、仲間だと思っていた人間――獣人だったが――に、
裏切られ殺されかけ、自分はほぼ無傷だったもののまた目の前で人が二人死んだ。

これらの事はのび太少年の精神をすり減らし、崩壊させるのには十分過ぎた。

皆が自分を殺しに来るという被害妄想に囚われてしまったのび太は、
自分を保護してくれた人々も、果てはまだ生き残っている友達さえも信用できなくなっていた。
そして、灯台で一人の見知らぬ青年を射殺してしまう。

もはや、今の彼は自分に近付く人間は全て「殺さなければいけない敵」であった。

「あれ……何が起きたんだろう、ここ」

のび太は炎を上げて燃えている、道路両端の物体を発見した。
炎から立ち昇った黒煙は空高く舞い上がり、周囲には金属と油、タイヤのゴムなどが
焼け焦げた嫌な臭いが立ち込めていた。
燃えているのは、部品や形状などからしてどうやら車らしいが、
どちらも普通乗用車の半分ぐらいの大きさしかないように見える。
まるで、何らかの理由で真っ二つにされたかのように。

「ま、まさかね」

車を真っ二つにしてしまう参加者もいるのだろうか。
のび太はそんな想像を振り払い先へ進む。
だが、火災現場を抜け数メートル進んだ所でのび太の足は止まった。
前方に、とても懐かしい顔を見付けたのだ。

「スネ夫、スネ夫じゃない」
「やあのび太」

いつもの声の調子、いつもの言葉で、お互いに挨拶を交わすのび太とスネ夫。
しかし、二人の手には銃が握られ、首には金属製の死の首輪。
いつもの空き地でも学校でもない、殺し合いの場の見知らぬ街中。

もし、殺し合いが始まった時点でののび太であったのなら、スネ夫であったのなら、
お互いの再会を心から喜び合ったはずだった。
しかし、今や形は違えどどちらも人殺しの身、片や狂人、片や覚悟完了。
81血に染まった僕の右手 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/09(水) 20:58:57 ID:4436Tluz
「……ジャイアンとしずかちゃんが死んじゃったよ……ドラえもんも……」
「ああ……分かってるよ……」

そう話しながらスネ夫はのび太の表情を観察する。

(何だか変だぞ……もしかしておかしくなってるのか?)

どこか目の焦点が定まっておらず、血走っているように見える。
上半身をふらつかせ、涎まで垂らし、服装もぐちゃぐちゃだ。
どう見ても正気ではない事は明白。

(のび太には悪いけど、さっさと……)

「スネ夫……君もやっぱり、僕を殺すんだね」
「……え?」

まるで自分の心を読んでいたかのようなのび太の発言にスネ夫は戸惑った。
但し、のび太はスネ夫の心を読んでいた訳ではない。
それは、彼が手に銃を持っていた事と、自分の狂ってしまった頭が囚われた
被害妄想を結び付けた末で出た、言わば「世迷い言」だったのだから。

「……あはっ!!」
「!!」

のび太が大きく目を見開き、笑いながら右手に持ったH&K MARK23の銃口を
スネ夫に向け、引き金を引いた。

銃声が響き、空薬莢が路面上に落ちる。

しかし、ロクに照準も定めていなかったため、弾丸はスネ夫の右頬を掠めるに留まった。
そして今度はスネ夫のウージーが火を噴く。

「あ゛っ!!?」

連射音、そしてのび太の腹部が真っ赤に染まり、口から鮮血が溢れる。

「あ゛あ゛あああああ!! 熱い、熱っ、熱いいいい!!」

激痛は灼熱と化しのび太に襲い掛かる。
地面に倒れ腹を押さえのたうち回るのび太を見下ろしながら、
スネ夫はウージーの銃口をのび太の顔に向けた。
この時になっても、スネ夫の心は、寒気がする程冷静だった。
82血に染まった僕の右手 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/09(水) 21:01:08 ID:4436Tluz
「すっ、スネ夫ぉ、助けてぇ、スネ夫ぉぉ」

涙を流し半狂乱で、自分を撃った相手に助けを求めるのび太。

「安心しろのび太――――――今楽にしてやるよ」

二度目の連射音。

のび太の頭部が、スイカ割りの時に割られたスイカのように弾けた。


ウージーのマガジンを交換し、のび太が持っていた拳銃を拾い、
デイパックの中身を漁るスネ夫。
大量の食糧に、もう二つ自動拳銃と予備弾薬が入っていた。
これだけの量が元々のび太の支給品だったとは考えにくいので、
他参加者の物を自分の物としたのだろう。
どんな経緯なのかはおおよそ予想はついた。

「食糧はもう十分持ってるし、余り沢山あっても邪魔になるだけだなぁ……。
持って行くのは銃と弾薬だけにしよう」

既に大量の食糧――無論武器弾薬もだが――を持っているスネ夫は
のび太の食糧は無視し武装のみを回収した。
様々な銃器で一杯になった自分のデイパックを肩に提げ、立ち上がるスネ夫。
これだけ多くの物を入れても満杯にならず重さも一定のデイパックに驚きを覚える。
まるでドラえもんの四次元ポケットのようだ、と。

「……じゃあな、のび太」

静かな声で別れを告げ、スネ夫はその場を立ち去った。




【野比のび太@ドラえもん  死亡確認】
【残り12人】
83血に染まった僕の右手 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/09(水) 21:02:17 ID:4436Tluz
【一日目昼間/G-5、G-6境界線の市街地】

【骨川スネ夫@ドラえもん】
[状態]:健康、至って冷静
[装備]:IMIウージー(32/32)
[持物]:基本支給品一式(水一本、食糧一食分消費)、IMIウージーのリロードマガジン(32×6)、
三八式歩兵銃(2/5)、6.5o×50R弾(25)、コルト トルーパー(4/6)、.357マグナム弾(30)、
レミントンM870(4/4)、12ゲージショットシェル(16)、H&K MARK23(5/12)、
H&K MARK23のリロードマガジン(12×5)、マカロフ(7/8)、マカロフのリロードマガジン(8×5)、
S&W M3566(10/15)、S&W M3566のリロードマガジン(15×5)、ベレッタM1951(8/8)、
ベレッタM1951のリロードマガジン(8×5)、青酸カリスプレー、コンバットナイフ、 水と食糧(5人分)、
消毒用エタノール、ジッポーライター、焼酎
[思考]:
0:生き残るために殺し合いに乗る。
1:次はどこへ行こうか……。



※G-5、G-6境界線の市街地路上、火災現場近くに野比のび太の死体、
及びデイパック(基本支給品一式(食糧一食分消費)、水と食糧(6人分)入り)
が放置されています。
※G-5、G-6境界線周辺に銃声が響きました。
84 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/09(水) 21:03:10 ID:4436Tluz
投下終了です。
85 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/10(木) 00:38:49 ID:D2pnQG49
投下します。俺得ロワ83話「導きの先にあるもの」
登場:アレックス、ドーラ・システィール、エルザ・ウェイバー、ガーゴイル、ピタゴラス、久保遼平
86導きの先にあるもの1w7wZ2t8a.:2010/06/10(木) 00:39:41 ID:D2pnQG49
83話 導きの先にあるもの


放送終了後、ドーラは神妙な面持ちで名簿を眺めていた。
新たに18人の名前が消された参加者名簿。
その中には、自分の上司の元愛人のウルフリングの女、シェリーの名前もあった。
別に悲しいという訳ではなかったが、上司――アインはどう思うのだろうと、少し気になった。
また、ガーゴイルやアレックスの知り合いの名前も呼ばれていた。

「ゴメス、五世まで……」

仲間として行動していたジンと石川昭武の二人。
しばしば自分や大勢の人の尻を掘り大惨事を巻き起こしたが、
豪放かつ実直で人望は厚かった髭面の海賊ゴメス。
魔王軍四天王の一人で、死神である死神五世。
新たな死者の中にその名前を呼ばれ、アレックスは再び悲しみに暮れる。
これで現在まで生き残っている知り合いは五世と同じ魔王軍四天王の一人、ムシャのみ。
数時間前に会った時、錯乱状態に見えたが、今、どこで何をしているのだろうか。
できる事なら会って何があったか聞きたいが、難しいだろう。
保護したのに逃げてしまった眼鏡少年――名前を聞くのを忘れたが、
先程呼ばれた18人の中に、あの少年の名前はあったのだろうか。

「アキラも死んだか……」

もう一人のデビルチルドレンの死を放送で知ったガーゴイル。
これでこの殺し合いに呼ばれた自分の知っている人物は全員死んだ事になる。

遼平は新たに死亡したのが18人と、前回よりも多くなっている事に愕然としていた。
残りは自分達を入れて僅か15人。47人もいた参加者が、
たった半日で32人も死亡した、という事になる。
恐ろしい、狂おしいばかりの異常状況。
改めて自分が今こうして、しかもほぼ無傷で生きているのが奇跡に近いという事を、
遼平は自覚した。いや、せざるを得なかった。

二階で首輪の解析、及びアレックスの支給品であるUSBメモリの中の首輪設計図の
真偽の確認作業を行っていた狼獣人ピタゴラスと女戦士エルザは、
死亡者の人数が多くなっている事には多少のショックは受けていたが、
余り気にはしていなかった。

むしろ、気になっていたのは、死亡者発表の前の、禁止エリアの発表。

エリアH-3が午後13時から禁止エリア。
自分達が今いるこの豪邸のあるエリアが、後1時間後に禁止エリアとなると言うのだ。



ドーラは豪邸一階居間に全員を集めた。

この豪邸のあるエリアH-3が禁止エリアに指定された。
一時間後の午後13時までに避難しなければ首輪が爆発し、死ぬ。
個人差はあれど、長い間拠点として留まってきた豪邸を離れなければ
ならない事に、皆不安を抱いていた。
87導きの先にあるもの1w7wZ2t8a.:2010/06/10(木) 00:40:50 ID:D2pnQG49
「それで、どこへ行くかなんだけどね……」

ドーラがテーブルの上に地図を広げる。
そして次の拠点となりそうな場所を全員で話し合い絞り込んでいく。
その結果、エリアF-6の島役場に決定した。
隣のエリアF-5にある小中学校も候補になっていたのだが、
どちらも決定打に欠けたため、最初にアレックスが「島役場でいい」といった旨の発言を
したため、他のエルザ、ガーゴイル、ピタゴラス、久保遼平も
吊られるように、島役場を選んだ、それだけの事だったのだが。
もっともドーラ自身も正直な所どちらでも良いと思っていたので特に異議も唱えなかった。

「それじゃあ次の行き先は……島役場……で」

そう言いながらドーラはメモ帳を取り出し何かを書いていく。
そしてそれを首輪解析を任せているピタゴラスとエルザの二人に見せた。

〔で? あの設計図はどうなんだい? 本物なのかい?〕

アレックスの支給品USBメモリのデータに入っていた、
バトルロワイアルの参加者全員の首にはめられた特殊金属製の首輪の設計図。

この殺し合いを根底から覆しかねないものがなぜ支給品に?
ドーラ達は驚き、疑問を抱かずにはいられなかった。
そのため、設計図が本物かどうか、ピタゴラスとエルザに確かめさせていた。

〔……俺達が分解した首輪の中身と、設計図を照らし合わせてみた結果……。
どうやら、設計図は本物らしい〕

そして今、首輪解析者が、USBメモリの中の首輪設計図は本物だと断言した。

〔内部の配線、接続部、起爆装置、爆薬の量に種類、材質―――全て一致してる。
間違いない〕
〔そうかい……〕

首輪の設計図が本物であるという事に、
いよいよ首輪解除への道筋がはっきりと見えてきたドーラ達は嬉々とする。

「……今は余り時間もない。詳しい話は後にしよう」

ピタゴラスが筆談を一方的に切り上げた。
今、自分達がいるエリアが禁止エリアになるまで残り51分。
エリアの広さや、何が起こるか分からない事を考慮するとタイムリミットは
短いとも言える。早々に移動する必要があった。

「さて、それじゃ全員、荷物を纏めな。忘れ物しても戻れないからね」

ドーラの号令に、アレックス達が自分の荷物を纏め始めた。
放送直前に全員食事は取ったので、後は所持品の整理のみである。
88導きの先にあるもの ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/10(木) 00:42:04 ID:D2pnQG49
「アレックス、あんたにこれやっとくよ」
「これは、防弾チョッキか……ありがとう」

ドーラはアレックスに自分の支給品の一つである防弾チョッキを渡した。
アレックスは衣服を脱ぎそれを着込む。
やや重量感があるが、拳銃弾程度なら防ぐ事ができる代物だ。

「ガーゴイルさん、何ですかそれ」
「ん……いや、面白い本なのでな、折角だから持っていこうと」
「……いや、それ……」

遼平が、ガーゴイルが自分のデイパックに入れようとしている
小説本達を見て呆れた表情を浮かべる。
ガーゴイルが選んだ本のタイトルは以下の通り。

「14歳の女の子と愛犬、イケナイ交わり」
「どっぐらいふ〜公園で野良犬と〜」
「牡馬に魅せられた青年」
「双竜相打つ〜淫らな肉の宴〜」
「異種交愛・ワーウルフと富豪令嬢」
「ガーゴイルは少女に恋をする」

他3冊。

それらの小説本をガーゴイルは自分のデイパックに入れた。

(面白いって……そっちの意味? それとも純粋な気持ち? 分かんね……。
この人、いや人じゃないけど、普通の人間と感性が違い過ぎるな……)

心の中で遼平はある意味、感心していた。

ピタゴラスとエルザは、分解した首輪を台所で見付けた紙袋に入れ、
また、ノートパソコンとUSBメモリを適当に取ってきた衣服に包む。
もう少し入念に解析すれば、解除に手が届く所まで来ていた。
だが油断は禁物である。首輪分解、調査の事と、首輪の設計図の事が
盗聴されないよう、重要な会話は可能な限り筆談で済ませてきたが、
どこかから情報が主催者側に漏れている可能性もある。

この首輪設計図入りのUSBメモリを用意した、恐らく主催者側の何者か。
こんな物を用意するという事はこの殺し合いを潰そうと考えていると見て間違いない。
だが、その事がもし露見する所となればその「謎の外部協力者」はただでは済むまい。
最悪の場合、生存者全員が首輪を爆破され処刑、という事態も起こりうる。
そうならないように、祈るしかなかった。
89導きの先にあるもの ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/10(木) 00:43:13 ID:D2pnQG49
ピタゴラスがノートパソコンとUSBメモリを、エルザが分解した首輪を持った。

荷物を纏め終わったメンバーが再び居間に集結する。
禁止エリア発生の時間は刻々と迫っていた。
早くエリアH-3から出る必要があったが、ドーラがここである問題を提起した。

「この人数で行動すると目立ち易いよ。袋にされたら全滅の恐れもある」
「……と言うと?」

エルザがドーラに訊く。

「……二手に分かれて、役場を目指そう」
「ええええ!? ちょ、マジですかドーラさん!?」

ドーラの提案に遼平があからさまに非難の色を帯びた声を上げた。

「……いや、遼平。ドーラの言う事はもっともだ」
「で、でもピタゴラスさん……」
「俺達は全員で6人もいるんだ。固まって動いていたら、やる気になってる奴の
格好の的になる恐れがあるだろう。もし、そいつがマシンガンやショットガンなんかを
持っていたら――最悪、全滅だ」
「う……」

理路整然としたピタゴラスの説得に、遼平も引き下がらざるを得なかった。
確かに6人全員で行動していれば目立ちやすく、襲撃を受ければ、
全員殺害される危険もある。そのためドーラは二手に分かれ別々のルートで、
目的地の島役場を目指そうと提案したのだ。
それは遼平も分かってはいたが、今まで共に行動してきた仲間と、
一時的とは言え別行動を取るのはとても不安だった。
ましてや殺し合いの中、今生の別れになる事も十分に考えられる。
それ故最初は遼平は抵抗したが、結局、ピタゴラスにより鎮静化される形となった。

話し合った結果、空を飛べるガーゴイルの背に、ピタゴラスと久保遼平が乗り、
一旦鉄塔方向へ向かった後、島役場を目指すルートと、
ドーラ・システィール、アレックス、エルザ・ウェイバーが陸路で直接島役場を目指すルートが
発案される事となった。

「さて、そろそろ出ないとマズいねぇ」
「……出発しよう」

禁止エリア出現まで、残り40分を切った。そろそろ出なければ危険だった。
6人はそれぞれの荷物を持ち、一旦、豪邸の外に出た。
90導きの先にあるもの ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/10(木) 00:44:03 ID:D2pnQG49
豪邸の外、正面門前で、ガーゴイルが背中にピタゴラスと遼平を乗せる。

「う……重いな」
「大丈夫か? ガーゴイル」
「ああ、何とか……ギリギリだな」
「うわ……マジで空を飛ぶんですかガーゴイルさん」
「当然だ。この翼は飾りじゃない。しかしだ……どうせなら、美女を背に乗せたいものだ」
「……ガーゴイルさん、その気持ちは分かります」
「分かるのか遼平」

背中に乗せた二人と馬鹿な会話をするガーゴイル。

「それじゃ……アタイ達は陸から。アンタ達は空から」

そして、必ず島役場で合流しようと互いに約束する。
この殺し合いの中、生き残るために、脱出の手段を模索するために、
ドーラ、アレックス、ガーゴイル、エルザ、ピタゴラス、久保遼平の6人は共に行動してきた。
これが今生の別れにならない事を、全員が祈っていた。

「それでは……行くぞ!」

ガーゴイルが大きく翼を広げ、思い切り羽ばたかせる。
巨体が宙に浮かび、瞬く間に空高く青い魔獣は飛び上がった。

「う、うおおおお! スゲーーーーー!!」

初めて空を飛ぶ遼平は思わず子供のようにはしゃいでいたが、
すぐにピタゴラスとガーゴイルにダブルで叱責されおとなしくなった。
そして、狼獣人と青年を背に乗せたガーゴイルは、森の中にそびえる鉄塔を
目指し、飛んで行った。

ドーラ、アレックス、エルザの三人はそれを最後まで見送る事はせず、
足早に東の方向、南部市街地へ続く幹線道路の上を歩き始めた。


また、必ず会おう。

そう固く約束した。

そう強く信じた。
91導きの先にあるもの ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/10(木) 00:44:59 ID:D2pnQG49
【一日目昼間/G-3、G-4境界線付近の幹線道路】

【アレックス@VIPRPG】
[状態]:全身にダメージ(軽度)、右腕上腕に裂傷(処置済)、悲しみ
[装備]:サバイバルナイフ、防弾チョッキ
[持物]:基本支給品一式(食糧三食分消費)
[思考]:
0:仲間を集めて殺し合いを潰す。そして脱出する。
1:ドーラ、エルザと行動、島役場を目指しそこでガーゴイル達と合流。
2:元の世界の仲間と合流?
3:首輪も何とかしたい。
4:ムシャ……どうしたんだ?
5:眼鏡の少年(野比のび太)の事が少し心配。
※ミーウの名前と容姿を記憶しました。
※USBメモリ内の首輪設計図が本物だと認定しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。


【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康
[装備]:イサカM37(4/4)
[持物]:基本支給品一式(食糧二食分消費)、12ゲージショットシェル(30)
[思考]:
0:殺し合いをする気はない。
1:アレックス、エルザと行動。島役場を目指しそこでガーゴイル達と合流。
4:首輪を外したい。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※USBメモリ内の首輪設計図が本物だと認定しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。


【エルザ・ウェイバー@オリキャラ】
[状態]:腹部に二発被弾(処置済)
[装備]:九五式軍刀
[持物]:基本支給品一式(水一本、食糧二食分消費)、レミントン デリンジャー(0/2)、
.41リムファイアー弾(30)、首輪探知機、フォナ・アンシュッツの首輪(分解)、
雄獣人エロ写真詰め合わせ
[思考]:
0:殺し合いを潰す。脱出手段の模索。
1:アレックス、ドーラと行動。島役場を目指しそこでガーゴイル達と合流。
2:もう少しで首輪を外せる……!
※USBメモリ内の首輪設計図が本物だと認定しました。
※首輪のおおよその内部構造、及び解除方法の手掛かりを見付けました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
92導きの先にあるもの ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/10(木) 00:46:37 ID:D2pnQG49
【一日目昼間/G-3、F-3境界線付近の上空】

【ガーゴイル@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康、飛翔、背中にピタゴラス、久保遼平を乗せている、
E-4鉄塔方面へ飛行中
[装備]:RPG7(1/1)
[持物]:基本支給品一式(水二本、食糧三食分消費)、85o対戦車擲弾(3)、
官能小説(獣姦・異種間モノ9冊)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。
1:ピタゴラス、久保遼平と行動。島役場を目指しそこでドーラ達と合流。
2:襲われたら説得を試みる。駄目ならば戦うか逃げる。
※USBメモリ内の首輪設計図が本物だと認定しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。


【ピタゴラス@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、ガーゴイルの背に乗って飛行中
[装備]:コルトM1911A1(7/7)
[持物]:基本支給品一式(食糧二食分消費)、コルト ガバメントのリロードマガジン(7×5)、
ノートパソコン(USBメモリ装着)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪を外したい。
1:ガーゴイル、久保遼平と行動。島役場を目指しそこでドーラ達と合流。
2:襲われたら戦う。
3:眼鏡の少年(野比のび太)の事が少し心配。
※参戦時期は本編死亡後です。
※毛皮の色は作者の想像です。
※自分が以前別のバトルロワイアルに参加していた事を久保遼平に話していません。
※USBメモリ内の首輪設計図が本物だと認定しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。


【久保遼平@オリキャラ】
[状態]:健康、ガーゴイルの背に乗って飛行中
[装備]:ハンティングナイフ
[持物]:基本支給品一式(水一本消費、食糧二食分消費)、トランジスタラジオ
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。生き残りたい。
1:ガーゴイル、ピタゴラスと行動。島役場を目指しそこでドーラ達と合流。
※USBメモリ内の首輪設計図が本物だと認定しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
93 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/10(木) 00:47:30 ID:D2pnQG49
投下終了です。
94 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/10(木) 00:47:59 ID:Y2KejmBB
トリ割れちゃったみたいですよ。。。
95 ◆ymCx/I3enU :2010/06/10(木) 00:55:14 ID:D2pnQG49
トリ変えた方が良いですね。変えます。
96 ◆ymCx/I3enU :2010/06/10(木) 01:00:15 ID:D2pnQG49
◆UwuX8yY6RQとして活動してきましたが上記の自分のミスにより、
トリ割れしてしまいました。よってトリを変えたいと思います。
今日から◆UwuX8yY6RQは◆ymCx/I3enUとして非リレーの活動を
続けたいと思います。どうかこれからも宜しくお願い致します。
97創る名無しに見る名無し:2010/06/10(木) 22:37:26 ID:eMMxP/eT
ドンマイー
98 ◆ymCx/I3enU :2010/06/11(金) 01:31:37 ID:d4b+Ue2a
◆UwuX8yY6RQ改め◆ymCx/I3enUです。投下します。
俺得ロワ84話「余命××秒」登場:戸高綾瀬、ムシャ
99余命××秒 ◆ymCx/I3enU :2010/06/11(金) 01:32:58 ID:d4b+Ue2a
84話 余命××秒

放送を聞いた後、戸高綾瀬は困った表情を浮かべていた。
自分がいるエリアG-8が今から約3時間後の午後3時、つまり15時に、
禁止エリアになると放送で言われたのだ。
長い間拠点にしてきたこの民家を去らなくてはならない。
まだ時間はあるが、タイムリミットがある事を考えると落ち着かない。

「さっさと移動した方がいいわね……」

綾瀬は分解した首輪と工具箱を自分のデイパックの中に押し込み、
ボウイナイフをスカートに差し込んで今まで隠れていた部屋を後にした。


玄関から外に出た綾瀬は周囲を警戒しながら、取り敢えずは
一番近場の島役場に行ってみようと、誰もいない路上を歩く。
先の放送によれば現在の生存者は自分を含め15人。
かなり数が減っているのでこれから先は他参加者との遭遇率も低くなるだろう。
病院ですれ違ったあの銀髪の少女はどうなったのだろうかと、少し気にもなる。

しかしそれ以上に綾瀬が危惧していたのは自分を除き残り14人となった
参加者の中に一体どれだけ、殺し合いを拒んでいる者がいるのか。

首輪を解析し、解除方法の大方の予測がついたものの、
手順が複雑で精密操作が要求される故自分で自分の首輪を解除する事は、
事実上無理と判断した。そのため協力者を捜す必要が出てきたのだが。

次に会う人間が、果たして殺し合いに乗っているのか否か、
その見極めが肝心であった。さもなければ即、死に繋がる。

「あれ、ここどこだろ」

考え事をしながら歩いていた綾瀬はいつの間にか、どことも知れぬ
通りを歩いていた。周囲には目印になるような目立った建物が見当たらない。

「どうしよ、迷っちゃった?」

ただでさえ土地勘のない街、しかも殺し合いの中で道に迷うのは非常に
危険だという事は今までずっと民家に隠れ首輪解析の他、
性的な遊びしかやってこなかった綾瀬にも分かっていた。
少し焦った様子でデイパックから地図を取り出そうとした。
100余命××秒 ◆ymCx/I3enU :2010/06/11(金) 01:33:50 ID:d4b+Ue2a
「おい」
「……え?」

突然背後から声を掛けられ綾瀬は後ろを振り向く。

そして一薙ぎの風。

綾瀬の視界が真っ赤に染まった。

「……な……に……?」

自分の身に何が起きたのか、理解の瞬間が訪れるよりも、
綾瀬の意識が闇に呑まれる方が早かった。



たった今斬り殺した女性の衣服で直刀の血を拭い取り、ムシャは立ち上がった。

先の放送の死者発表の際、「死神五世」の名前が呼ばれた時は
再び悔恨と罪悪の念に駆られた。
更に勇者アレックスの仲間の「ゴメス」、魔王城の中ボスモンスター「デスシープ」の
名前も呼ばれた。

これで、魔王軍勢は自分のみ。知り合いでも生き残っているのはアレックスただ一人となった。

森の中で対峙した「高野雅行」も、死んでしまったらしい。
放送で先述の三人と一緒に名前が呼ばれた。
その前に高野に襲われていたあの青い飛竜はどうなったかは知らない。
まだ生きているかもしれないし、死んでいるかもしれなかったがどうでも良かった。



とんだお笑い草だ。
魔王軍の仲間を生き残らせるために殺し合いに乗ったと言うのに、
自分のミスでその仲間を死なせた挙句、他の仲間も全員死に、
しかし自分は今もこうして生きている上、また一人見知らぬ女性を手に掛けた。
最早自分はただの殺人鬼に成り下がってしまったのだ。
101余命××秒 ◆ymCx/I3enU :2010/06/11(金) 01:35:27 ID:d4b+Ue2a
この殺し合いに優勝し、主催者のリリアを殺す。その後は――分からない。
――いつからこんな自己満足もいい所の行動指針に変わったのだろう。

ムシャは自分で自分に嫌気が差していた。

しかし、もう今更引き返す事などできるはずもなく。

新たな獲物を捜し、鎧武者は歩き始めた。



【戸高綾瀬@オリキャラ  死亡確認】
【残り11人】



【一日目昼間/F-7市街地:路上】

【ムシャ@VIPRPG】
[状態]:身体中にダメージ(小)、決意
[装備]:直刀
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)
[思考]:
0:優勝し、リリア・ミスティーズを殺す。それのみ。
1:どこへ行くか……。



※F-7市街地路上に戸高綾瀬の死体、ボウイナイフ、
デイパック(基本支給品一式(食糧一食分消費)、メリエの首輪(分解済)、
工具箱(調達品)入り)が放置されています。
102 ◆ymCx/I3enU :2010/06/11(金) 01:39:24 ID:d4b+Ue2a
投下終了です。トリ変えたら作者変わったと思われそうで怖い。
ちゃんとその旨の事を言えば大丈夫、だろうか。
しかし余りしつこく言うとそれはそれで敬遠されそう。

俺オリロワを始めた当初から使っていた◆UwuX8yY6RQの名前と、
こんな形でお別れするなんて……少し愛着があるだけに悲しいです。
確かにそろそろトリ変えようとは思っていたがせめて俺得ロワが終わった後にしたかった(泣)
103創る名無しに見る名無し:2010/06/11(金) 21:58:21 ID:pD5VqBUv
まあそういう事故も書き手にはよくあることさ…
トリップメーカーで似たようなのを探す手もあるけどねw
104 ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 18:08:22 ID:FPv1wCnC
>>103
どうもです。トリは大切にしないといけませんね。

◆UwuX8yY6RQ改め◆ymCx/I3enU、投下します。俺得ロワ85話「ゴーストノート」
登場:高原正封、クリス・ミスティーズ、レオン・ミスティーズ
105ゴーストノート ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 18:09:42 ID:FPv1wCnC
85話 ゴーストノート

狐獣人の青年、高原正封。
青髪のマントを羽織った青年、クリス・ミスティーズ。
黒い毛皮を持った人狼、レオン・ミスティーズ。
三人はコンパスの示す方角を頼りに森の中の道なき道を進む。

しかし、胸部に浅からぬ傷を負っている正封と足を負傷しているクリスにとって、
かなり過酷な道のりだった。

ふと、クリスが時計を取り出し時刻を確認する。
時刻は14時2分、二時間程前まで自分達がいた男娼館のある
エリアC-7が禁止エリアになる時刻から2分過ぎている。
自分達の首輪が何の反応も示さない事から禁止エリアはとうに抜けたようだ。

「大丈夫か正封」

レオンが胸元をさする正封を気遣う。

「だ、大丈夫です……」

口ではそう言っていたが、一度身体を刀の刃が貫いており、穴が空いているのである。
それを包帯で巻いただけなのでまだ穴は空いたまま。
無理をすれば痛み、最悪、再び大量出血の危険もあった。

「……一旦、休むか。周囲に人の気配はない」

レオンの提案により一時休息を取る事にした。
木の根元に、それぞれが座り一息つく。


第二回目の放送で発表された禁止エリアは、13時より、エリアH-3。
14時より、エリアC-7。15時より、エリアG-8。
そして新たに死亡者として呼ばれた名前は18人。
第一回目の放送時より、4人も増えている。
「仲販遥」の名前が呼ばれた時は、正封は改めて遥が死んでしまった事を実感した。
他にも死亡を確認していた「トマック」、「銀鏖院水晶」の名前も呼ばれ、
これで遥と、そのクラスメイトは全滅してしまった事になる。
「ゴメス」の名前を聞いた時、レオンとクリスはとても辛い表情を浮かべた。
僅かな時間とは言え行動を共にした仲間だった。
その仲間である「アレックス」の名前は呼ばれなかった。と言う事は、
まだ放送の時点では生存しているという事になる。
もしこの先会う事があれば、ゴメスの事を伝える必要がありそうだ。

残りは自分達三人を除くと、僅か12人。いや、今現在は更に減っている可能性が高い。
自分の妹が、姪が起こしたこの馬鹿げたゲームでもう三十余人が命を落としたのだ。
ゴメスを始めとして、無関係な人々が次々と命を落としていく中、
主催者の血縁である自分達はまだ生き延びている。
この現実はクリスとレオンの罪悪感を更に増大させた。
106ゴーストノート ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 18:11:32 ID:FPv1wCnC
正封は二人が主催者の血縁だという事は本人達から既に聞かされていた。
なので二人の気持ちは何となく理解できたが、掛けてやれる言葉も見付からない。
ふと正封は上を見上げる。木の葉の隙間から僅かに青空や陽の光が差し込む。
小鳥の囀る声も聞こえ、殺し合いという状況でなければそれなりに
和やかな風景に見えただろう。

「……」

――前にもどこかで見た事がある。
だが、どこだっただろうか、小、中、高の学生時代に遠足或いは修学旅行で、
このような感じの森など来た事はないが。

(……そうだ、あの夢……)

男娼館で意識を失っている間に見たあの夢の中の風景と、
今自分が見ている風景が重なっているのだと、正封は思う。

「……っ」

急に頭が痛み出し、正封は狐獣人種特有の先端の毛皮の色が濃い手で
自分の額を押さえた。
そして、脳裏に謎の光景が次々と映し出される。

----

「どうやら、市街地に到着したみたいね……誰もいない。当然か……」
「そりゃあ……こんなゲームを行うぐらいですから、きっと全員避難したんでしょう……ゼエ……」

「あの家で、ひとまず休みましょうか」
「へ? ……あ、はい!」

「しばらくここで休みましょう……散々走って歩いて、疲れたよね」
「そりゃあもう……こんな動いたの高校ん時の体育祭以来ですよ……もう足が痛くて痛くて……」
「無理無いわ……私、ちょっとこの家の中を見て回るわ。何か武器になる物があるかもしれないし。
高原君は休んでていいよ」
「分かりました……お言葉に……甘えまくります……」
107ゴーストノート ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 18:12:34 ID:FPv1wCnC
「暗くなってきましたね。当たり前か、もう夕方の5時過ぎてるもんなぁ」
「そうね……今、何人生き残ってるのかしら」



「朱雀さん!? 一体どうし――!?」



「ざまあ……みやがれ……」


----

「正封? 大丈夫か? おい、正封!」
「はっ……」

急に頭を抱え俯き出した正封を心配しレオンとクリスが声を掛けていた。
呼び掛けに正封は我を取り戻す。

「あ、いや、何でもないです、大丈夫です」
「本当か? ……何かあったら言え。無理するなよ」
「お前にまで死なれては大変だからな」
「ありがとうございます。でも、本当、大丈夫なんで……」

取り敢えずは特に正封に異常は見られない事を確認すると、
やや心配しつつもクリスとレオンは元の自分が座っていた位置に戻った。
正封は急に脳裏に浮かんだ光景、「朱雀麗雅」なる人物との会話について考える。
風景は森の中、市街地、どこかの民家の中、そして、銃声が聞こえ、
入っていたトイレから出て向かった時――自分は侵入者の男にマシンガンと思しき銃で撃たれ、
その後、その男の喉に千枚通しを刺し――――。

(おいおい、これ、マジで? 俺――もしかして)

正封の中でぼんやりとした予想だったものが徐々に確信へと変わっていく。



(俺――前にも殺し合いを?? それで、一回、死んでる……?)
108ゴーストノート ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 18:15:27 ID:FPv1wCnC
「さて、そろそろ行くか」
「はい、伯父上……大丈夫か正封」
「行けますよ……ふぅ」

休憩を終え、三人は再び歩き出す。
当座の目的地はエリアD-6に存在するという処刑場。
一度そこに向かいそこから南下し、南部の市街地を目指す。
それが三人の目的であった。


そして、三人は周囲がかなり古ぼけたレンガ造りの壁に囲まれた広場を発見した。

「うわ……何だこれ」

正封が広場の至る所に設置された「器具」を見てたじろいだ。
ギロチン、磔台、絞首刑台、抽腸台、火刑台、鳥籠と呼ばれる刑具……。
どれもがよく使い込まれ、黒い染みが浮き出ていた。
この広場が地図にあった「処刑場」だという事は三人共すぐに察する事ができた。
既に新鮮な死体や血を何度も見てきた正封だったが、処刑器具の黒い染みや
使い込まれた様子はそれとは全く別の意味で、恐ろしく、生理的に嫌だった。
ともあれ、当座の目的地には到着する事ができた。後はここから南下する訳なのだが。

「こ、これは……!」
「どうしたクリス……!」
「わぁ……」

三人は、首と胴体が離れ離れになった死体を発見した。
ピンク色の服を着た、10代前半ぐらいの少女。
死んでからかなり経過しており、皮膚には死斑が浮き出、腐臭を発し、
それにつられやってきた複数の蝿が耳障りな音を発しながらたかっていた。

この名も知らぬ少女も自分の妹、姪が起こしたこのゲームが元で死んだのだと思うと、
クリスとレオンは何とも居た堪れなく、苦しかった。

埋葬する道具も持ち合わせていないため、少女の死体に向け、
正封は両手を合わせ、クリスとレオンは祈りを捧げた。

その後、三人はコンパスと地図で方角を確認し、市街地に向け南下し始めた。
再び殺し合いの無惨な犠牲者を目にしたクリスとレオンは、
一刻も早く、この馬鹿げた殺し合いを止めなければ、と、
より一層決意を新たにした。
109ゴーストノート ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 18:18:04 ID:FPv1wCnC
【一日目昼間/D-6処刑場】

【高原正封@俺オリロワリピーター組】
[状態]:精神的疲労(大)、背中から右胸下辺りにかけ刺し傷(処置済)
[装備]:ニューナンブM60(5/5)
[持物]:基本支給品一式、38sp弾(20)、FNブローニングM1910(3/6)、
FNブローニングM1910のリロードマガジン(6×5)、手榴弾(3)、工具セット、
水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。とにかく生き残る。
1:クリス、レオンと行動。南部市街地へ向かう。
2:襲われたら……。
3:俺は前にも殺し合いを……?
※俺オリロワ開始前からの参戦、ではないかもしれません。
※「朱雀麗雅」という名前が気になっています。
※胸元に重傷を負っているため、無理な行動は危険です。
※クリス、レオンの二人が主催者の血縁である事を知りました。
※自分が前にも殺し合いに参加させられていた、と確信し始めました。


【クリス・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:全身にダメージ(中)、右足裂傷(応急処置済)
[装備]:サーベル
[持物]:基本支給品一式、太刀、コルト ディテクティヴスペシャル(6/6)、
.38sp弾(30)、双眼鏡、水と食糧(3人分)
[思考]:
0:リリアを止める。そのためにもこの殺し合いを潰す。
1:レオン、高原正封と行動する。南部市街地へ向かう。
2:首輪を外す手段を探す。
3:仲間を集める。同時進行でゴメスの知り合いも捜す。
4:襲われたら対処。
※参戦時期は本編終了後です。
※足を怪我していますが何とか歩行は可能です。


【レオン・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:全身にダメージ(中)、悲しみ
[装備]:シグザウアーSP2340(12/12)
[持物]:基本支給品一式、シグザウアーSP2340のリロードマガジン(12×5)、
アーマライトAR18(0/30)、アーマライトAR18のリロードマガジン(30×10)、
スタームルガー ブラックホーク(6/6)、.357マグナム弾(24)、H&K HK69(1/1)、
40mm榴弾(3)、手斧、水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いを止め、リリアと会う。
1:クリス、高原正封と行動する。南部市街地へ向かう。
2:仲間を集める。同時進行でゴメスの知り合いも捜す。
3:首輪を外す手段を探す。
4:襲われたらそれなりに対処はする。
※参戦時期は本編終了後です。
※拳銃の使い方を一通り覚えました。
110 ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 18:20:28 ID:FPv1wCnC
投下終了です。
111 ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 21:07:54 ID:FPv1wCnC
◆UwuX8yY6RQ改め◆ymCx/I3enUです。投下します。
俺得ロワ86話「雲なしの午後には」
登場:ガーゴイル、ピタゴラス、久保遼平、ムシャ
112雲なしの午後には ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 21:08:53 ID:FPv1wCnC
86話 雲なしの午後には


大人数で固まって動くのは危険と判断し、豪邸を拠点としていた
ドーラ・システィール、アレックス、エルザ・ウェイバー、ピタゴラス、久保遼平の6人。
ドーラ、アレックス、エルザの三人が陸路から、
ガーゴイル、ピタゴラス、遼平の三人が、空を飛べるガーゴイルの力で
空路から、次の目的地であるエリアF-6島役場を目指す事となった。

数時間が経ち、裏手に森が広がる鉄筋コンクリートの白い建物、島役場。
正面の駐車場に、背中に狼獣人の男と人間の青年を乗せた青い竜のような魔獣が降り立った。
島役場に先に到着したのはガーゴイルを始めとした空路組である。

「ようやく着いたな、ここが島役場か」
「そのようだ……おい、大丈夫か遼平」
「うえ……やばいっす、下手すると胃の中の物をデビューしそうです」

空を飛びすっかり酔ってしまったのか顔色が真っ青だった。

「ドーラ達は……まだ来てないようだな」
「無事だと良いんだが……」

陸路、市街地経由でこの島役場に向かってきているはずのドーラ達の安否が気になる。
三人共そう簡単にやられるような柔な人物ではないと思いたいが確実ではない。

「とにかく、役場の中に入ってみるか」

三人が役場の玄関に向かおうとした、その時だった。

「そこの三人……いや、二人と一匹か?」
「!!」

低めの男の声が三人の足を止める。
振り向くと門の付近に、刀らしき得物を携えた和風鎧姿の男――ムシャが立っていた。
抜き身の刀と男が発するオーラから、三人はこの鎧男が決して
自分達に友好的でない事をすぐに悟った。

「お前は?」

ピタゴラスが自動拳銃コルトM1911A1の銃口を向けながら訊く。
113雲なしの午後には ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 21:09:42 ID:FPv1wCnC
「俺の名前はムシャだ」
「ムシャ……?」

どこかで聞いた名前だと、三人は思った。
そして、遼平が真っ先に思い出し、口を開く。

「もしかしてアレックスさんの知り合いの……」
「アレックスだと? 奴を知っているのか?」
「……俺達の仲間になっている。今は訳あって別行動だがな」

ガーゴイルがムシャに説明し、ムシャは「そうか」と頷いた。
相手の目的がはっきりしない以上、細かい事は話さない方が良いと、
三人は判断し、アレックスもこの島役場に向かっている事は話さなかった。

「……お前達の名前も聞かせてくれ」
「ピタゴラスだ」
「……ガーゴイルでいい」
「く、久保遼平です」
「そうか……」

ムシャはゆっくりと、三人との距離を詰めていく。
目の前の鎧武者が放つ殺気は、戦闘経験もない一般人である
遼平にも十分感じられた。
そして三人が共通の結論を出す。こいつはやる気になっていると。

「くっ!」

ガーゴイルが持っていた携帯式対戦車榴弾発射器RPG7を構え、
ムシャ目掛けて引き金を引き発射した。
放たれた85o対戦車擲弾が真っ直ぐムシャに向かい突進していく。
だが。

ムシャはそれを直刀の峰で打ち払い、85o対戦車擲弾は明後日の方向にある、
木造の民家の方へ飛んで行き、着弾した。
派手な爆発音と同時に、民家の一部が粉々に吹き飛んでしまった。

「な、何だと!?」

余りにも人間放れした技を見せたムシャにガーゴイルを始め、ピタゴラスと遼平も驚愕した。

「い、いやいやちょっと、いくら小説だからってフィクションだからって
非現実的過ぎるんじゃないの!?」

遼平は気が動転し訳の分からない事を口走った。
114雲なしの午後には ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 21:10:54 ID:FPv1wCnC
「くそっ!」

ピタゴラスもM1911A1をムシャに向けて乱射する。
だが、その全てがムシャの目にも止まらぬ剣捌きで弾かれた。
シングルカラムで装弾数が7発と少ないM1911A1はあっという間に弾切れとなった。
スライドオープン状態となったM1911A1の空弾倉を排出し、
急いでデイパックから次の弾倉を取り出すピタゴラス。

「遅い!」

その隙をムシャが逃すはずもなく、直刀を構え一気に斬り掛かってくる。

「させるか!」

ガーゴイルがムシャの前に立ちはだかり、鋭い爪の付いた腕を振り下ろした。
恐らくまともに食らえば鋼鉄をも切り裂くであろうその攻撃を、
ムシャは紙一重でかわす。
そして、ガーゴイルの胸元に鋭い斬撃を食らわせた。

「ガァァア!!!」
「ガーゴイル!」
「ガーゴイルさん!?」

横一文字の傷ができたガーゴイルは胸元やアスファルト、ムシャの身体を真っ赤に染め、
地面に伏し、悶え始める。

「お前は後回しだ」
「ま、待て……!!」

重傷のガーゴイルをそのままにし、ムシャはピタゴラスと遼平の二人に狙いを切り替えた。
ピタゴラスがM1911A1の弾倉を交換し、スライドを引いて初弾を薬室に送った時には、
既にムシャはピタゴラス目掛け突進していた。
すぐに銃を構えようとしたピタゴラスだったが、それよりもムシャの刃が自分を斬るのが早いだろう。

(駄目だ、間に合わない)

ピタゴラスは死を覚悟した。

「う、うおおおおおああああああっ!!!」
「!?」

突然、ピタゴラスの身体が何者かに突き飛ばされた。
直後、ザシュッ、という嫌な音が響き、ピタゴラスの顔の毛皮に、生温かい
飛沫が降り掛かった。
地面に倒れたピタゴラスが目を開け、つい数瞬前まで自分の立っていた
場所の方に顔を向ける。
115雲なしの午後には ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 21:12:01 ID:FPv1wCnC
そこで目にしたのは、ムシャの斬撃を身体の真正面に受け、
鮮血を飛び散らし口から血を吐きながら崩れ落ちる、遼平の姿だった。

「……こいつ……」

たった今自分が斬った青年を見て、ムシャはある事を思い出す。
今の青年が起こした状況、最初に斬ろうとしていた狼獣人を突き飛ばし、
身を挺して救った。
それは紛れもなく、自分が死神五世を誤殺した時の状況と同じだった。
二人共、仲間を助けるために自分を犠牲にしたのだ。

「……俺も、できればそうありたかっ――――」

一発の銃声。

ムシャの兜に穴が空いた。そして、鎧武者は刀を落とし、地面に崩れ落ち、動かなくなった。



「遼平!」
「ぐ……遼平」

ムシャを射殺したピタゴラスと、重傷のガーゴイルは、
仰向けに倒れた遼平の元へ駆け寄った。
傷を見た途端、二人は絶望した。
胸元から腹にかけて深く斬り裂かれている。恐らく肺、肋骨、腸、
あらゆる内臓がズタズタになっているはずだ。もはや手の施しようがない。

「遼平、なぜだ、なぜこんな無茶をっ」
「……す……すみません……でも……」

喉の奥に血が詰まっているのか酷くくぐもった声で遼平は口を開いた。

「……ピタゴラス、さんは……死んじゃ、駄目です……。
エルザ……さ……と同じで……俺、達の、希望、です……から」
「……!!」

遼平は、この殺し合いからの脱出の糸口――首にはめられた首輪の解除方法を、
ピタゴラスと別行動を取っているエルザが必死になって探している事を重々理解していた。
そしてそれが少しずつではあるが間違いなく実を結び初めている事も。
ピタゴラスなら、エルザなら、きっとやってくれる、そう信じていた。
だからこそ、二人には死なれたくなかった。別行動のエルザは無事を祈るしかなかったが、
目の前にいるピタゴラスに死が迫っているというのに何もしない訳にはいかなかった。

ただ、死にたかった訳ではない。結果論はそうなるが。
ただ、遼平はピタゴラスを守りたかったのだ。
この殺し合いにおいて一番始めに出会い、以来共に行動してくれたこの頼りになる狼獣人の男を。
116雲なしの午後には ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 21:14:35 ID:FPv1wCnC
もう自分の名前を呼ぶピタゴラスとガーゴイルの声も遠かった。
いよいよかと、自身の最期を悟る。
意識が闇に呑まれる中、遼平は最期の力を振り絞って、遺志を告げる。

「……きっと…………絶対……に……脱出…………して……く…………」
「遼平!!」
「遼平……!」

言葉は最後まで紡がれる事はなかったが、その思いはピタゴラスとガーゴイルの二人には
しっかりと伝わった。




冷たくなりつつある遼平の死体を抱き抱えながら、ピタゴラスは静かに、涙を流していた。

「……馬鹿者が……」

自分のために、命を投げ出した人間の若者に、震えた声で叱責しながら。
ガーゴイルは、何も言葉が出ず、無言でピタゴラスの傍に座っていた。



【ムシャ@VIPRPG  死亡確認】
【久保遼平@オリキャラ  死亡確認】
【残り9人】



【一日目午後/F-6島役場:駐車場】

【ガーゴイル@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:胸元に横一文字の斬り傷(命に別条なし)、深い悲しみ
[装備]:RPG7(0/1)
[持物]:基本支給品一式(水二本、食糧三食分消費)、85o対戦車擲弾(3)、
官能小説(獣姦・異種間モノ9冊)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。
1:……。
2:襲われたら説得を試みる。駄目ならば戦うか逃げる。
※USBメモリ内の首輪設計図が本物だと認定しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
117雲なしの午後には ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 21:16:44 ID:FPv1wCnC
【ピタゴラス@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、深い悲しみ
[装備]:コルトM1911A1(6/7)
[持物]:基本支給品一式(食糧二食分消費)、コルトM1911A1のリロードマガジン(7×4)、
ノートパソコン(USBメモリ装着)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪を外したい。
1:……遼平……。
2:襲われたら戦う。
3:眼鏡の少年(野比のび太)の事が少し心配。
※参戦時期は本編死亡後です。
※毛皮の色は作者の想像です。
※自分が以前別のバトルロワイアルに参加していた事を久保遼平に話していません。
※USBメモリ内の首輪設計図が本物だと認定しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。



※F-6周辺に銃声及び爆発音が響きました。また、島役場付近の民家の一部が破壊されています。
※F-6島役場:駐車場に久保遼平、ムシャの死体及び所持品が放置されています。
118 ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 21:18:08 ID:FPv1wCnC
投下終了です。もう生存者の中に
エロ要員いないから比較的普通のロワになってきた(主催側にはまだいるが)。
119 ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 22:53:14 ID:FPv1wCnC
◆UwuX8yY6RQ改め◆ymCx/I3enUです。投下します。
俺得ロワ87話「摘み取られる希望」
登場:アレックス、ドーラ・システィール、エルザ・ウェイバー、骨川スネ夫
120摘み取られる希望の芽 ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 22:55:50 ID:FPv1wCnC
タイトル変更。

87話 摘み取られる希望の芽


アレックス、ドーラ・システィール、エルザ・ウェイバーの三人は、
島役場を目指し市街地の道路を歩いていた途中、
黒焦げになった二つの鉄の残骸、そして、頭部が直視できない程損壊し原型を留めていない
少年の死体を発見した。

「こ、これは……!」

アレックスが少年の死体に近付き、悲しげな表情を浮かべる。
死体となった少年の服装に見覚えがあったからだ。

「こりゃ……あん時のガキじゃないかい」
「間違いない……この服は……」
「酷いわね……頭がグチャグチャ。いくら何でもこんな殺し方はないでしょ……」

それは間違いなく、豪邸で保護し、その後逃走した、眼鏡の少年だった。
頭部を形作っていた肉片や脳漿に混ざり、眼鏡のフレームと割れたレンズの破片も確認できた。

「一体、誰がこんな……」
「僕だよ」

背後から少ししゃがれた少年の声が聞こえ、三人は振り向く。

「――ッ!!」

危険を察知したドーラはすぐさま横に跳んだ。だがアレックスとエルザの二人は反応が遅れた。
狐顔の少年――骨川スネ夫が持っていた短機関銃IMIウージーの引き金を引き、
弾道上の二人に向け一気に掃射した。

「ぐあっ……!!」
「ぎっ……!!」

アレックスとエルザは共に銃弾の雨を身体に浴び、その場に倒れ動かなくなった。

「アレックス! エルザ!!」

難を逃れたドーラが二人の名を呼ぶも、返事は返ってこなかった。

「このクソガキ!!」

激昂したドーラは持っていた散弾銃イサカM37を構え、スネ夫に向け発砲した。
スネ夫はどうにかそれを回避しつつも、ウージーに残っている弾丸をドーラに向けて撃つ。
121摘み取られる希望の芽 ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 22:56:50 ID:FPv1wCnC
「うぐぁっ!!」

ドーラの左肩が裂け、血が噴き出した。
思わず散弾銃から手を離し傷口を押さえるドーラ。
スネ夫は空になったウージーのマガジンを排出し、予備のマガジンに取り換える。
このまま行けば楽に勝てる。向こうの狐の獣人の女性は負傷させた。
一気に畳み掛けるべきだろう。

スネ夫はドーラに止めを刺そうと、距離を詰めようとした。
だが、思いも寄らぬ事態にそれは阻まれる。
撃ち殺したはずの、頭に白い鉢巻を巻いた青年が起き上がり、スネ夫に飛び掛かってきたのだ。

「うわああっ!?」

突然の事態にスネ夫はなす術もなく青年――アレックスに地面に押し倒される。
強かにアスファルトに背中を打ち付け、一瞬呼吸困難に陥った。
そうこうしている隙にアレックスがスネ夫のウージーを奪い取り、距離を取った。

「アレックス!」
「ドーラ! エルザを頼む!!」
「……分かった!」

エルザの事をドーラに任せ、アレックスは目の前の少年に対し尋問を始める。

「お、お前、何で撃たれたのに平気なんだよ!?」

理解不能といった表情でアレックスに訊くスネ夫だったが、
銃痕をよく見ると血が流れている様子はない。
いや、何やら繊維らしき物が穴の空いた衣服の下に見て取れる。

「ぼ、防弾チョッキ……?」
「……そうだ。よく分かったな」

アレックスの命を救ったのは、数時間前にドーラから受け取った防弾チョッキであった。
スネ夫の持つ短機関銃IMIウージーは標準的な拳銃弾9o×19パラベラムを使用するモデル。
防弾チョッキであれば十分に防げるレベルの弾丸である。
但し衝撃までは和らげる事はできないため撃たれた瞬間アレックスは
衝撃によりほんの短い時間ではあったが気を失っていたのだ。

「くそっ……まさかそんな物を装備していたなんて……!」

歯噛みするスネ夫。
122摘み取られる希望の芽 ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 22:57:51 ID:FPv1wCnC
「……俺はアレックスだ。君の名前は?」
「……スネ夫。骨川スネ夫。そこで死体になってる野比のび太の友達さ」
「な、何だって!? じゃあ、この子を殺したのは……」
「さっきも言っただろ。僕だよ」

アレックスが信じられないという表情でスネ夫を見詰める。
無理もない。なぜのび太という少年の友達ならば、殺した理由は何なのか。

「何で……何で殺したんだ」

アレックスの心に次第に目の前のスネ夫という少年に対する怒りが湧き起こり始める。
ウージーを持つ手が震えていた。
たった今自分と仲間を襲撃し、そして自分の友達のはずののび太少年を殺害したという、
骨川スネ夫少年に対する怒りの念。
すぐにでも暴発しそうな激情を、必死に理性で押さえ込む。

「何でって……決まっているじゃないか」

スネ夫は特に悪びれた様子もなく、むしろ薄ら笑いを浮かべながら答えた。

「生き残るためだよ」
「――――!!」

この瞬間、アレックスの一欠片の理性が弾け飛んだ。
気が付いた時には、彼はスネ夫に向け、ウージーを掃射していた。



アレックスに銃を突き付けられた時点で、スネ夫は半ば死を覚悟していた。
そして、ついにその瞬間が訪れた。
身体中に食い込む弾丸、不自然にダンスを踊る自分の身体、
喉の奥から込み上げてくる鉄の味のする熱い液体。
何もかもがスローモーションに見え、シュールであった。

ふと、一度は立ち去った謎の火災現場に戻ってみれば、のび太の死体に、
三人の参加者が群がって調べていた。
頭に白い鉢巻を巻き青っぽい服を着た青年、やけに露出の多い格好の狐獣人の女性、
これまた露出の多い格好の白髪頭の若い女性。
スネ夫は獲物を見付けたと喜んだ。
しかし、こうなるならば戻ってこなければ良かったと後悔していた。

と同時に、これで良かったのかもしれないと、スネ夫は思い始めていた。
仮に優勝して元の世界に帰れたとしても、そこには自分の親しい友人は一人もいない。
また、人殺しの罪を一生背負っていかなくてはならないのだから。
あれ程死ぬのは怖かったというのにいざその時になると、不思議と、
穏やかでいられている自分に思わず笑いが込み上げてくる。
123摘み取られる希望の芽 ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 22:58:31 ID:FPv1wCnC
ゆっくりと、自分の身体が地面に崩れ落ちていく。
ガクリと地面に膝を突いたスネ夫はふと、上を見上げた。

青々とした空。雲一つ見当たらない空。

これが自分が、人生最期に見る光景。


「……綺麗だなぁ……」


アレックスに聞こえないくらいの小さな声でそう呟いた直後、スネ夫の意識は、消えた。



地面に倒れ血溜まりを作るスネ夫を見届けたアレックスは、
しばしその場で呆然としていたが、自分の肩に手を置いたドーラにより我に返った。
エルザの安否を聞こうとしたが、ドーラの沈んだ表情が全てを物語っていた。

「そんな……」

首輪の解除方法解析に、別行動中のピタゴラスと携わっていたエルザ。
アレックスの支給品USBメモリの中に隠されていた首輪の設計図と、
ピタゴラス、エルザの二人の技術力、解析力により、いよいよ、
首輪解除が夢物語ではなくなってきたというのに。

残された希望は、別行動中のピタゴラス唯一人となった。
他に首輪の解除を目指している参加者がいる可能性もあったが、
それらの人々と合流できる可能性が限りなく低い現状の中、ピタゴラスは
もはやアレックス達にとって最後の希望である。

また、アレックスは別の事でも心を痛めていた。
怒りに任せ、少年を撃ち殺してしまった事だった。
一体どういう経緯があったのかは知らないが、自分の友達を殺したというのに、
何の罪悪感も感じられないスネ夫の口振りが許せなかった。
あののび太という少年はきっと、自分の友達と合流するのを心の底から願っていただろう。
その友達に、あのような無惨な殺され方をするとは夢にも思っていなかったに違いない。

だが、もっと他の解決方法があったのではないだろうか。
殺す以外に、説得するという方法もあったはずだ。
今更、手遅れなのは分かっていた。しかしそれでもアレックスは自分を責めずにはいられない。
124摘み取られる希望の芽 ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 22:59:14 ID:FPv1wCnC
「くそっ……何で、何でこんな……」
「アレックス……」

両手の拳を握り締め、アレックスは悔恨の表情を浮かべた。

【エルザ・ウェイバー@オリキャラ  死亡確認】
【骨川スネ夫@ドラえもん  死亡確認】
【残り7人】

【一日目昼間/G-5、G-6境界線の市街地】

【アレックス@VIPRPG】
[状態]:全身にダメージ(軽度)、右腕上腕に裂傷(処置済)、深い悲しみ、
やりきれない思い
[装備]:IMIウージー(0/32)、サバイバルナイフ、防弾チョッキ(弾痕有)
[持物]:基本支給品一式(食糧三食分消費)
[思考]:
0:仲間を集めて殺し合いを潰す。そして脱出する。
1:……くそっ……。
2:元の世界の仲間と合流?
3:首輪も何とかしたい。
4:ムシャ……どうしたんだ?
※ミーウの名前と容姿を記憶しました。
※USBメモリ内の首輪設計図が本物だと認定しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
※眼鏡の少年(野比のび太)の死亡を確認しました。

【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:左肩裂傷、悲しみ
[装備]:イサカM37(1/4)
[持物]:基本支給品一式(食糧二食分消費)、12ゲージショットシェル(30)
[思考]:
0:殺し合いをする気はない。
1:何てこったい……。
2:首輪を外したい。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※USBメモリ内の首輪設計図が本物だと認定しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
※眼鏡の少年(野比のび太)の死亡を確認しました。

※G-5、G-6境界線の市街地路上、火災現場近くに野比のび太、エルザ・ウェイバー、
骨川スネ夫の死体及び所持品が放置されています。
※G-5、G-6境界線周辺に銃声が響きました。
※G-5、G-6境界線の市街地路上の火災はだいぶ収まったようです。
125 ◆ymCx/I3enU :2010/06/12(土) 23:00:19 ID:FPv1wCnC
投下終了です。ラストスパートって奴です。はい。
126ちぇんじ ◆6LQfwU/9.M :2010/06/12(土) 23:28:47 ID:BF3S77M1
「…ん、なんか変わった?」
今までベッドでゴロゴロしていた◆6LQfwU/9.Mが体を起こす。
「いえ、トリが変わっただけですよ」
「元」◆UwuX8yY6RQこと◆ymCx/I3enUが素っ気なく答える。
「ふーん…ま、俺にゃ関係ねえか。それはそうと、これやってくれ」
近くにあったメモ帳のページを乱雑に破り、さらさらと何かを書く。
「ほい、忙しいとこ悪いけど頼む」

「人使いの荒い人だ…だけど、憎めないって感じかな…?」
薄暗い廊下を小走りで走る◆ymCx/I3enU。
(ま、これちゃちゃっとやって続き書かないと)
『えーっと…声聞こえてるよね。ちょっと連絡です。』
参加者全員の首輪から声が響く。
『全員、殺しあうのは良いんだけど…ペースが予想より早いんで、次の放送の時に…』
『新しく参加者を追加、します。それと放送時に一番殺害人数が多い人にはプレゼントがあるかもです』
そして、首輪から声は途絶えた。


【一日目/深夜/不明:不明】
【◆6LQfwU/9.M@非リレー型BRを発表するスレ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:首輪操作機@現実
[思考・行動]:
基本:ゲームを遂行する。
1:これで面白くなるかな


【◆ymCx/I3enU@非リレー型BRを発表するスレ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:メモ帳の切れはし
[思考・行動]:
基本:ゲーム進行を手伝う。
1:忙しくなりそうだなあ
127 ◆6LQfwU/9.M :2010/06/12(土) 23:29:49 ID:BF3S77M1
投下終了です。
トリが変わったらしいので…
128 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 00:48:18 ID:X/X4/prW
>>127
◆6LQ氏! お手数おかけしましてすみません。
ああでも自分が他の書き手の方のSSに登場するのは
嬉しいと言いますか、むず痒いと言いますか……。
とにかくトリは変わってしまいましたが、これからも宜しくお願いします。
129 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 01:36:41 ID:X/X4/prW
◆UwuX8yY6RQ改め◆ymCx/I3enUです。投下します。
俺得ロワ88話「不安定な道標」
登場:高原正封、クリス・ミスティーズ、レオン・ミスティーズ、アレックス、ドーラ・システィール、ガーゴイル、ピタゴラス
130不安定な道標 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 01:37:42 ID:X/X4/prW
88話 不安定な道標


久保遼平とムシャの死体からそれぞれの荷物を回収したピタゴラスとガーゴイルは
島役場の中へと足を踏み入れる。

「……!」

役場の入口を抜けた先に広がっていたのは正に「血の海」と形容するに相応しい光景。
床や壁、受付カウンター、天井などに、時間が断ち黒く変色した夥しい量の
血痕が、べっとりと付着していた。
何かを引き摺ったような血の跡が役場裏口まで続いている。
奥には喉笛を食い破られた狐獣人の少女の死体があった。

「こいつは……あの時の……」

ピタゴラスには見覚えがあった。
狐の少女は、豪邸前での戦闘で見かけたあの狐の少女、ミーウに間違いなかった。
アレックスの話によればそれまで同行していた仲間二人がこの少女により
殺されたとの事だったが、こうも無残な遺体となっていると、流石にこの少女にも、
同情の念が湧いてくる。

「それにしても、ここで何があったんだ?」

ガーゴイルが島役場入口ロビーの惨状を見回しながら言う。
夥しい量の血痕の他に、幾つかの武器やデイパックが放置されたままになっていた。
壁に弾痕もある事などからここで激しい戦闘が行われた事は想像に難くない。
しかしこれだけの血の量だとかなりの数の参加者がここで命を落としたのだろう。
裏口に続く血の跡も気になる所だった。

「……とりあえず、この狐の少女と、外の二人の死体を隠そう。
このままにしておくのは気が引ける」
「そうだな……」




役場裏の森の中、高原正封、クリス・ミスティーズ、レオン・ミスティーズの三人は、
首を吊った黒い巨躯の狼の死体を発見していた。
狼の死体の下には倒れた椅子と、小さな墓らしき物があった。
また、すぐ近くには既に腐臭を漂わせている二人の人間の女の死体もあった。

「どういう経緯かは分からないが……どうやらこの狼は自分で……」

レオンが神妙な面持ちで言う。
この黒い狼も、このような殺し合いに巻き込まれなければ、
このような無惨な死に方をする事はなかっただろうに。
墓の主と、死体となっている二人の女性も然り。
犠牲者の死体を発見する度に、クリスとレオンの心の中の罪悪感が膨らんで行く。
同時に、主催者であり妹、姪であるリリアに対する怒りも増大する。
131不安定な道標 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 01:38:33 ID:X/X4/prW
「……行こう」
「はい」
「……」

四人の犠牲者達に祈りを捧げつつ、三人は再び南下を始める。




エルザを失い、悲しみの中、アレックスとドーラ・システィールは島役場に辿り着いた。
そして駐車場で、二人は見知った顔の死体を二つ発見する。

「む、ムシャ、それに、遼平……!」
「何てこった……遼平まで……」

頭を撃ち抜かれた鎧武者、ムシャと、身体の正面に大きな斬り傷がある青年、久保遼平の二人の死体。
状況からして、ムシャが遼平を殺害した後、ムシャを第三者が射殺した、と思われる。
その第三者とは、遼平と行動を共にしていたはずの、ピタゴラスとガーゴイルのどちらかであろう。

「アレックス! ドーラ!」

役場の中から、両手が血塗れになった狼獣人ピタゴラスと、青い魔獣ガーゴイルが出てきた。

「ピタゴラス! ガーゴイル! お前達は無事だったんだな……」
「ああ、何とかな……」
「ちょっとガーゴイル、あんたその胸の傷……大丈夫なのかい?」
「大した事はない。この程度、掠り傷も同然だ」
「……アレックス、その様子だともう分かっていると思うが……遼平が……」
「ああ……」
「……おい、エルザはどうした?」

ピタゴラスがエルザがいない事に気付き、アレックスとドーラに尋ねる。
とても嫌な予感がしたが、それはすぐに的中した。
アレックスは数十分前に起きた出来事をピタゴラスとガーゴイルの二人に説明した。

「そうか……エルザはもう……」

エルザの死は、共に長い間、首輪を解析していたピタゴラスにとって大きなショックであり、
そしてアレックス達仲間全員にとっても大きな痛手であった。
ピタゴラスとガーゴイルもまた、事の顛末をアレックスとドーラに説明する。

「やっぱり、遼平はムシャが殺したのか……」
「遼平は、俺を庇ったんだ。それで……」
「……そうか……」

二手に分かれる際、必ず生きて再会しようとお互いに約束し合った。
だがある程度覚悟も決めていた、これが今生の別れになるやもしれぬと。
しかし実際にその現実を目の当たりにすると、どうしようもなく悲しく、
やりきれない思いで生き残った四人の心は一杯だった。
お互いのグループの話を纏めると、自分達の仲間で死んだ遼平とエルザ、
ピタゴラス達が役場の中で喉を食い破られて死んでいるのを発見した狐の少女ミーウ、
遼平を殺害した犯人であり、ピタゴラスが殺害したムシャ、
アレックス達が発見した、豪邸にて保護しその後行方をくらませた眼鏡少年の死体、
エルザを殺し、眼鏡少年も殺したと言い、アレックスが手に掛けた骨川スネ夫という少年。
そのスネ夫によれば眼鏡少年の名前は野比のび太らしい。
132不安定な道標 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 01:39:17 ID:X/X4/prW
昼の放送の時点での生存者15人の内、5人の死亡が確認できた。
これで現在の生き残りは、ここにいる4人と、どこにいるか分からない5人、合わせて9人という事になる。
もっと減っている可能性も否定できない。もしかしたら生き残りはここにいる4人
のみになってしまったのかもしれない。

「……ここで考えていても仕方ない、取り敢えず――」

ピタゴラスが一旦役場の中に入ろうと皆に提案しようとした時だった。

「誰だ!?」

ドーラが役場入口に向け、持っていたイサカM37を構える。
アレックスも同様に、先述のスネ夫より奪ったIMIウージーを構えた。
ピタゴラスとガーゴイルが何事かと後ろを振り向くと、役場入口に三人の人影が見えた。

「待て! 俺達は殺し合いには乗っていない!」

黒い人狼――レオン・ミスティーズが戦意がない事を告げる。
同じく、青髪のマントの青年クリス・ミスティーズ、狐獣人の青年高原正封も戦う気はないと、
アレックス達に信じて貰えるように必死で訴えた。

「……どうする、ドーラ?」
「……殺し合いに乗っている奴がパーティー組んでるってのもおかしいからねぇ。
信じてもいいんじゃないかい?」
「そうだな……みんな、武器を下ろせ。信じても良さそうだ」
「……信じて貰えたようです、伯父上」
「ああ、そのようだ」
「ふぅ……良かった……」

クリス達三人は安堵の色を浮かべた。



アレックス、ドーラ・システィール、ピタゴラス、ガーゴイル、
高原正封、クリス・ミスティーズ、レオン・ミスティーズの7人は、
駐車場の二人の死体を、ピタゴラスとガーゴイルが先にミーウの死体を
隠した役場内の倉庫の仲間で運び、血塗れのロビーで放置されていた、
大量の武器や食糧の入ったデイパックを回収した。

その後、二階の会議室と思われる部屋に集まり、情報を交換し合う。

そこでアレックス達のグループは、ある事実を知る事となった。
133不安定な道標 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 01:42:08 ID:X/X4/prW
「それじゃ、クリスとレオン、あんたら二人はあのリリアって奴の血縁なのかい」
「そうだ。この殺し合いの主催者、リリア・ミスティーズは、俺の実の妹――」
「そして、俺、レオン・ミスティーズの姪にあたる」

クリスとレオンはかなり話ずらそうに見えた。
無理もない、聞けば皆、この殺し合いにより知り合いや仲間が命を落としているとの事。
主催者の兄として、伯父として、罪悪感で心も身体も押し潰されそうだった。

「あ、あの、皆さん、クリスさんとレオンさんは決して、
主催者の回し者とかそんなんじゃないですよ! クリスさんもレオンさんも、
自分の妹が、姪がこんなゲームを開いて、大勢の人がそれで死んで、
とても、苦しんでいるんです……だから、何としてもこのゲームを潰したいって……」

正封が懸命にクリスとレオンを弁護した。

「……いや、貴方がたを責めるつもりはない。クリス、レオン」

アレックスが穏やかな声で話す。

「貴方がたも、この殺し合いの被害者だ。本当に憎むべきは、この殺し合いの主催者。
クリス、レオン。この殺し合いを止めるために協力してくれ。他のみんなも、
異論はないよな?」
「……全く、どんな教育したんだい兄上様に伯父上様。あの馬鹿妹、馬鹿姪を
一緒にぶん殴りに行ってくれるかい」

ドーラを始め、ピタゴラスも、ガーゴイルも、クリスとレオンを仲間に迎える事に、
何ら異議はなかった。そう、彼らは理解していた。本当に倒すべき、憎むべき相手を。
主催者の血縁だからと言って彼らを責め立てるのはお門違いだ。
彼らもまた、自分の身内が起こしたこの事件に苦しむ被害者なのだから。
クリスとレオンはアレックス達の懐の大きさに感動し、何度も礼と謝罪の言葉を述べた。

「あの……俺の事忘れないで」

いつの間にか一人蚊帳の外になっていた正封は、さりげなく自己主張をしていた。
134不安定な道標 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 01:43:20 ID:X/X4/prW
【一日目午後/F-6島役場:二階会議室】


【高原正封@俺オリロワリピーター組】
[状態]:精神的疲労(大)、背中から右胸下辺りにかけ刺し傷(処置済)
[装備]:ニューナンブM60(5/5)
[持物]:基本支給品一式、38sp弾(20)、FNブローニングM1910(3/6)、
FNブローニングM1910のリロードマガジン(6×5)、手榴弾(3)、工具セット、
水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。とにかく生き残る。
1:アレックス、ドーラ、ピタゴラス、ガーゴイル、クリス、レオンと行動。
2:襲われたら……。
3:俺は前にも殺し合いを……?
※俺オリロワ死亡後からの参戦です。
※「朱雀麗雅」という名前が気になっています。
※胸元に重傷を負っているため、無理な行動は危険です。
※クリス、レオンの二人が主催者の血縁である事を知りました。
※自分が前にも殺し合いに参加させられていた、と確信し始めました。


【クリス・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:全身にダメージ(中)、右足裂傷(応急処置済)
[装備]:サーベル
[持物]:基本支給品一式、太刀、コルト ディテクティヴスペシャル(6/6)、
.38sp弾(30)、双眼鏡、水と食糧(3人分)
[思考]:
0:リリアを止める。そのためにもこの殺し合いを潰す。
1:アレックス、ドーラ、ピタゴラス、ガーゴイル、高原正封、レオンと行動。
2:首輪を外す手段を探す。
3:襲われたら対処。
※参戦時期は本編終了後です。
※足を怪我していますが何とか歩行は可能です。



【レオン・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:全身にダメージ(中)
[装備]:シグザウアーSP2340(12/12)
[持物]:基本支給品一式、シグザウアーSP2340のリロードマガジン(12×5)、
アーマライトAR18(0/30)、アーマライトAR18のリロードマガジン(30×10)、
スタームルガー ブラックホーク(6/6)、.357マグナム弾(24)、H&K HK69(1/1)、
40mm榴弾(3)、手斧、水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いを止め、リリアと会う。
1:アレックス、ドーラ、ピタゴラス、ガーゴイル、高原正封、クリスと行動。
2:首輪を外す手段を探す。
3:襲われたらそれなりに対処はする。
※参戦時期は本編終了後です。
※拳銃の使い方を一通り覚えました。
135不安定な道標 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 01:44:35 ID:X/X4/prW
【アレックス@VIPRPG】
[状態]:全身にダメージ(軽度)、右腕上腕に裂傷(処置済)
[装備]:IMIウージー(32/32)、サバイバルナイフ、防弾チョッキ(弾痕有)
[持物]:基本支給品一式(食糧三食分消費)、IMIウージーのリロードマガジン(32×5)、
H&K MARK23(5/12)、H&K MARK23のリロードマガジン(12×5)、マカロフ(7/8)、
マカロフのリロードマガジン(8×5)、S&W M3566(10/15)、
S&W M3566のリロードマガジン(15×5)、水と食糧(2人分)
[思考]:
0:仲間を集めて殺し合いを潰す。そして脱出する。
1:ドーラ、ピタゴラス、ガーゴイル、高原正封、クリス、レオンと行動。
2:首輪も何とかしたい。
※USBメモリ内の首輪設計図が本物だと認定しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
※クリス、レオンの二人が主催者の血縁である事を知りました。
※眼鏡の少年(野比のび太)、ムシャ、ミーウの死亡を確認しました。


【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:左肩裂傷
[装備]:イサカM37(4/4)
[持物]:基本支給品一式(食糧二食分消費)、レミントンM870(4/4)、
12ゲージショットシェル(43)、
三八式歩兵銃(2/5)、6.5o×50R弾(25)、コルト トルーパー(4/6)、.357マグナム弾(30)、
ベレッタM1951(8/8)、ベレッタM1951のリロードマガジン(8×5)、
コンバットナイフ、九五式軍刀、首輪探知機、フォナ・アンシュッツの首輪(分解)、
水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いをする気はない。
1:アレックス、ピタゴラス、ガーゴイル、高原正封、クリス、レオンと行動。
2:首輪を外したい。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※USBメモリ内の首輪設計図が本物だと認定しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
※クリス、レオンの二人が主催者の血縁である事を知りました。
※眼鏡の少年(野比のび太)、ムシャ、ミーウの死亡を確認しました。


【ガーゴイル@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:胸元に横一文字の斬り傷(命に別条なし)、
[装備]:RPG7(1/1)
[持物]:基本支給品一式(水二本、食糧三食分消費)、85o対戦車擲弾(2)、
ダマスカスソード、AK-47(30/30)、AK-47のリロードマガジン(30×10)、
H&K G3(20/20)、H&K G3のリロードマガジン(20×8)、脇差、トマホーク(3)、
水と食糧(2人分)、官能小説(獣姦・異種間モノ9冊)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。
1:アレックス、ドーラ、ピタゴラス、高原正封、クリス、レオンと行動。
2:襲われたら説得を試みる。駄目ならば戦うか逃げる。
※USBメモリ内の首輪設計図が本物だと認定しました。
※クリス、レオンの二人が主催者の血縁である事を知りました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
※眼鏡の少年(野比のび太)の死亡を確認しました。
136不安定な道標 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 01:45:35 ID:X/X4/prW
【ピタゴラス@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:コルトM1911A1(6/7)
[持物]:基本支給品一式(食糧二食分消費)、コルトM1911A1のリロードマガジン(7×4)、
イングラムM10(10/30)、イングラムM10のリロードマガジン(30×7)、S&W M19(6/6)、
.357マグナム弾(21)、マチェット、モルヒネアンプル(3)、 ノートパソコン(USBメモリ装着)、
直刀、ハンティングナイフ、トランジスタラジオ、水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪を外したい。
1:アレックス、ドーラ、ガーゴイル、高原正封、クリス、レオンと行動。
2:襲われたら戦う。
※参戦時期は本編死亡後です。
※毛皮の色は作者の想像です。
※USBメモリ内の首輪設計図が本物だと認定しました。
※クリス、レオンの二人が主催者の血縁である事を知りました。
※眼鏡の少年(野比のび太)、ムシャ、ミーウの死亡を確認しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。



※ミーウ、久保遼平、ムシャの死体は島役場一階にある倉庫の中に安置されています。
※島役場入口ロビーに放置されていた荷物はピタゴラスとガーゴイルが
選別し回収しました。
※エルザ・ウェイバー、骨川スネ夫の荷物はアレックスとドーラ・システィールが
選別し回収しました。
137 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 01:46:33 ID:X/X4/prW
投下終了です。正封がクリスとレオンに対し途中から敬語になってるけど
スルーの方向で。
138 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 02:49:13 ID:X/X4/prW
◆UwuX8yY6RQ改め◆ymCx/I3enUです。投下します。
俺得ロワ89話「さあ、枷は解かれた」
登場:レオン・ミスティーズ、ガーゴイル、ピタゴラス
139さあ、枷は解かれた ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 02:50:23 ID:X/X4/prW
89話 さあ、枷は解かれた


日が傾き、夕暮れ時が近付こうとしている。
島役場屋上では、青い魔獣ガーゴイルと、黒い人狼レオン・ミスティーズが見張りをしていた。
しかし市街地や裏手に広がる森の方から、悲鳴や銃声が聞こえる事はなくなった。
また、新たな訪問者がこの島役場に現れる事もない。

高原正封、クリス、レオンの話によれば裏の森に死体が四つあったとの事。
一つは首を吊り自殺していた黒い巨大な雄の狼。
もう二つは死後かなり経過した女性の死体。どちらも銀髪だったという。
最後の一つは、既に埋葬され墓石も立てられていたらしい。

「なぁレオン」
「何だ? ガーゴイル」
「数時間前から銃声も悲鳴も聞こえない、この島役場に来る奴も、外に人影も見当たらない。
……もしかしたら」
「……生存者はこの役場にいる全員以外いない、という事か」

昼の時点で残り15人、現在この島役場にいるのは全部で7人。
他の8人の内、野比のび太、骨川スネ夫、ミーウ、ムシャ、久保遼平、
エルザ・ウェイバーの6人は死亡。残る2人の内一人は、クリス達が言っていた、
森の裏手で首を吊っていた狼である可能性が高い。
そして最後の一人も、現在生死不明。望みは薄いだろう。
つまり、もはやこの殺し合いで生き残っているのは自分達だけと考えた方がいい。
それがガーゴイルの考えだった。

「襲われる心配がなくなった、と言えばいいのだが……主催者の言っていた
タイムリミット、覚えているか?」
「……24時間、誰も死ななかった場合、全員の首輪が爆破される、と言っていたな」

最後の死者が発生してから24時間、誰一人として死ななかった場合、
生存者全員の首輪を爆破し、ゲームオーバーとすると主催者のリリアは言っていた。
島役場にいるメンバー内で、裏切りか何かで殺し合いが発生しない限り、
タイムリミットは迫っている、という事になる。

「裏切りが発生するなどと思いたくはないが……」
「別に俺は仲間を疑いたい訳じゃない」

ガーゴイルが不意にメモ帳を取り出し、ペンを走らせレオンに見せる。

〔ピタゴラスが今、必死に首輪の解除方法を捜している。
それがタイムリミットまでに間に合えばいいが。いや、成功する保証もないがな〕
140さあ、枷は解かれた ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 02:51:21 ID:X/X4/prW
レオンも自分のデイパックからメモ帳を取り出し、
自分の意見を書き綴った。

〔信じよう。きっと、成功すると。俺が言えた義理じゃないかもしれないが〕
〔……そうだな。信じるしかない〕

エルザが死亡した今、ピタゴラスが一人で首輪の解除方法を探していた。
果たして無事に見付かるかどうかは分からないが、懸けるしかなかった。
見付からなかった場合の事など考えたくもない。
機械知識が皆無の自分達は、ピタゴラスを信じる事しかできない。




島役場二階、多目的室にて、ピタゴラスは記念品の大きな鏡の前に立っていた。

謎の外部協力者によりもたらされた首輪の設計図、
そして今は亡きエルザとの首輪解析作業。
それを元に編み出した首輪の解除方法を、自分の首輪を使って試す時が来た。

鏡に映る首輪は当然左右逆、それを十分考慮に入れ作業を行わなくてはならない。
首輪は非常に繊細かつ複雑な内部構造をしている、失敗は即ち、死を意味する。
万が一に備え、メモ帳に今までの首輪調査の結果を詳細に書き記しておいた。

数回深呼吸をし、いよいよ作業に取り掛かった。





そして、十数分後。
141さあ、枷は解かれた ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 02:52:10 ID:X/X4/prW
ガチャッ。





ピタゴラスの首元から圧迫感が消滅した。

「……!!」

今にも叫び出しそうな表情で、ピタゴラスは自分の両手に持たれたそれを凝視する。
紛れもなく、参加者の首にはめられている金属製の首輪。

(やった……ついに、ついに外れた!!)

とうとう、首輪の解除に成功したのである。
鏡越しで左右逆になっていたため慎重に作業をし、かなり時間が掛かったが、
平常通りならば数分で解除が可能だ。
歓喜の声を上げたい所だったが、まだ盗聴されている可能性もあり、必死に声を押し殺した。

(……そう言えば……)

ピタゴラスはふと疑問に思う。
首輪が外れると、その参加者は主催者側にどう伝わるのか。
時刻はいつの間にか午後5時50分を回っている。後10分もしない内に放送が入る。

「……確かめるか……」

ピタゴラスは一旦、既に機能停止した首輪を元のように付け直し、
放送を待つ事にした。




【一日目夕方/F-6島役場】

【レオン・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:全身にダメージ(中)
[装備]:シグザウアーSP2340(12/12)
[持物]:基本支給品一式、シグザウアーSP2340のリロードマガジン(12×5)、
アーマライトAR18(0/30)、アーマライトAR18のリロードマガジン(30×10)、
スタームルガー ブラックホーク(6/6)、.357マグナム弾(24)、H&K HK69(1/1)、
40mm榴弾(3)、手斧、水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いを止め、リリアと会う。
1:アレックス、ドーラ、ピタゴラス、ガーゴイル、高原正封、クリスと行動。
2:首輪を外す手段を探す。
3:襲われたらそれなりに対処はする。
※参戦時期は本編終了後です。
※拳銃の使い方を一通り覚えました。
142さあ、枷は解かれた ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 02:53:03 ID:X/X4/prW
【ガーゴイル@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:胸元に横一文字の斬り傷(命に別条なし)、
[装備]:RPG7(1/1)
[持物]:基本支給品一式(水二本、食糧三食分消費)、85o対戦車擲弾(2)、
H&K G3(20/20)、H&K G3のリロードマガジン(20×8)、脇差、トマホーク(3)、
水と食糧(2人分)、官能小説(獣姦・異種間モノ9冊)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。
1:アレックス、ドーラ、ピタゴラス、高原正封、クリス、レオンと行動。
2:襲われたら説得を試みる。駄目ならば戦うか逃げる。
※USBメモリ内の首輪設計図が本物だと認定しました。
※クリス、レオンの二人が主催者の血縁である事を知りました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
※眼鏡の少年(野比のび太)の死亡を確認しました。


【ピタゴラス@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、首輪解除
[装備]:コルトM1911A1(6/7)、ピタゴラスの首輪(機能停止、取り外し可能)
[持物]:基本支給品一式(食糧二食分消費)、コルトM1911A1のリロードマガジン(7×4)、
イングラムM10(10/30)、イングラムM10のリロードマガジン(30×7)、S&W M19(6/6)、
.357マグナム弾(21)、マチェット、モルヒネアンプル(3)、 ノートパソコン(USBメモリ装着)、
フォナ・アンシュッツの首輪(分解)、ハンティングナイフ、トランジスタラジオ、
工具セット、水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。全員の首輪を解除する。
1:アレックス、ドーラ、ガーゴイル、高原正封、クリス、レオンと行動。
2:襲われたら戦う。
3:放送を待つ。
※参戦時期は本編死亡後です。
※毛皮の色は作者の想像です。
※クリス、レオンの二人が主催者の血縁である事を知りました。
※眼鏡の少年(野比のび太)、ムシャ、ミーウの死亡を確認しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
※首輪の解除方法を知りました。
143 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 02:54:03 ID:X/X4/prW
投下終了です。さていよいよ首輪解除ですね。
144 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 13:30:14 ID:X/X4/prW
◆UwuX8yY6RQ改め◆ymCx/I3enUです。投下します。
俺得ロワ90話「第三回放送」
登場:リリア・ミスティーズ、バン、黒牙、大木弓那
145第三回放送 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 13:31:24 ID:X/X4/prW
90話 第三回放送

黄昏時、島全体が赤く染まる。
犠牲者達が流した血の色の如く、赤く、赤く。
そして18時、第三回目となる定時放送が始まった。
だが、スピーカーから流れて来た声は、あの主催者のものとは違う、
若い青年の声であった。

----

『第三回目の定時放送の時間となりました。
今回はリリア様が私用でおられないため、俺、黒牙が放送を務めさせて頂きます。
ではまず禁止エリアから発表します。

19時より、C-5。
20時より、F-5。
21時より、E-7。

以上の三つです。では次に死者の発表ですが。

エルザ・ウェイバー
久保遼平
戸高綾瀬
野比のび太
ピタゴラス
骨川スネ夫
ミーウ
ムシャ
レックス

以上9人です。これで残りは6人ですね。
確認のために生存者全員の名前も言います。

アレックス
ガーゴイル
クリス・ミスティーズ
高原正封
ドーラ・システィール
レオン・ミスティーズ

以上です。

次の放送は24時……ですが、その前に決着が着いてしまうかもしれませんね。
それでは生き残り6人の皆さん、もう一息です、頑張って下さい』

----
146第三回放送 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 13:32:23 ID:X/X4/prW
「ふぅ……緊張した」

放送を終えた黒牙が安堵の表情を浮かべる。
隣に居た大木弓那が労をねぎらった。

「急用って言っていたけど……リリアさんはどこに行ったんだろう」
「さあ……そう言えばバンさんの姿も見当たらないね」

第三回放送の30分程前に、急に主催者リリア・ミスティーズが黒牙と弓那のいる部屋を訪れた。
そして、次の放送をどちらかでも良いので代わりにやって欲しいと告げ、すぐにどこかへ立ち去ってしまったのだ。
いきなり大仕事を任せられ二人は慌てふためき、どちらがやるかで論争となった挙句、
ジャンケンにより黒牙に決定し、担当官から相応の説明を受け、放送に臨む事になった。

「リリアさん、何だか深刻そうな顔してたけど、何かあったのかな」
「うーん、どうなんだろう……ん?」

黒牙がモニタールーム内の、ある兵士二人の会話を傍受した。

「……おい、その話、本当か?」
「余り大きな声じゃ言えないけどさ、マジらしいよ。バン様が……」
「それ、まずいんじゃねぇの? 下手したらこのバトロワ……」
「そういやさっきリリア様が何人か部下連れて、バン様の所へ……」
「……やばくね? マジで」

会話の内容と、先程のリリアの様子を統合し、何かとんでもない事が起ころうしていると、
黒牙は直感した。

「どうしたの? 黒牙」
「……いや、何でもない。放送も終わったし、戻ろう」
「そうね……今度はお尻で♪」

一抹の不安を抱えながら、黒牙は弓那を引き連れ自室に戻って行った。
147第三回放送 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 13:33:05 ID:X/X4/prW
主催者本部、牢獄。
一匹の雄の赤竜が壁に取り付けられた鎖に両手両足、尻尾を拘束されていた。
身体中には酷く殴打された痕があり、血も噴き出しとても痛々しい。

「バン……残念だわ。貴方が私を裏切るなんて」

悪魔にも似た笑みを浮かべながら、赤竜――バンの前に立つ。

「支給品準備係と技術班の一部を仲間に引き入れて、
首輪の設計図を盗み出し、それを入れたUSBメモリを支給品の中に忍ばせるなんて。
随分と姑息な手を」
「……」
「貴方に与した者は全員殺させて貰ったわ」
「!! な、何て事を……!」
「不安分子は一掃しなきゃあね……勿論貴方もただでは済まないわ。
でもすぐには殺さないから安心して」

そう言い残すとリリアは傍に居た兵士に引き続きバンを見張るよう命じ、立ち去った。

「く……くそ……リリア……め……」

自分の考えに賛同してくれた大勢の兵士や技術協力者。
リリアがそれを全員殺害したと言うのなら、それは事実なのだろう。
悔恨の表情で、牙を噛み締めるバン。
リリアがこの殺し合いを始めようとした時、バンは何とかそれを止めようとした。
だがリリアの力は強大で、しかも既に彼女に与する将兵や魔物が大勢いた。
まだ子竜だった自分は半殺しにされ、命を助けて貰う条件として、
自分達に協力する事を迫られた。
敵の懐に潜り込めば殺し合いを覆す機会も窺える、それに賭けたバンは条件を呑んだ。
そしてリリアと時の魔石の魔力で、バンは現在成竜の姿になっている。

そして支給品担当班、技術班の一部の人員がバンに協力の意を示した。
その甲斐あり、バンは参加者達への一縷の望みとして、
首輪の設計図をインプットしたUSBメモリを、参加者に配布される支給品の中に
潜り込ませる事に成功した。

これがバンの考えた、この殺し合いを転覆させるための精一杯の手段だった。
当然、こうして捕まり、拷問を受ける事も覚悟の上であった。
あの設計図は役に立ってくれただろうか。
それを確かめる術がない以上、バン自身も祈るしかなかった。



【現時点での生存者  6人】
※一名誤報、正確には7人
148第三回放送 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 13:34:31 ID:X/X4/prW
【一日目夕方/?-?主催者本拠地】

【リリア・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:健康
[装備]:不明
[持物]:不明
[思考]:
0:バトルロワイアルの完遂。
1:……備えておいた方がいいわね。
2:バンは……。
※参戦時期は本編終了後です。


【バン@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:身体中に打撲痕、拘束、成竜化
[装備]:不明
[持物]:不明
[思考]:
0:殺し合いの転覆。
※参戦時期は本編終了後です。
※時の魔石とリリアの力により成竜になっています。


【黒牙@俺オリロワリピーター組】
[状態]:健康
[装備]:不明
[持物]:不明
[思考]:
0:リリアに従う。
1:何か起こりそうだ。
1:弓那とたっぷり交わる。
※死亡後からの参戦です。


【大木弓那@俺オリロワリピーター組】
[状態]:健康
[装備]:不明
[持物]:不明
[思考]:
0:リリアに従う。
1:黒牙とたっぷり交わる。
※死亡後からの参戦です。
149 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 13:35:12 ID:X/X4/prW
投下終了です。もう文が適当。
150 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 15:36:24 ID:X/X4/prW
◆UwuX8yY6RQ改め◆ymCx/I3enUです。投下します。
俺得ロワ91話「妖星乱舞-第一楽章-」第二楽章、第三楽章、最終楽章と予定しています。
事実上の最終話です。
151妖星乱舞-第一楽章- ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 15:37:55 ID:X/X4/prW
91話 妖星乱舞-第一楽章-


夕暮れ時、第三回目の放送が終わった。
放送主が変わっていた事や、生き残りはもはや島役場にいる全員のみ、
という事に驚いたアレックス達であったが、それ以上に驚いたのが、
目の前で生きているはずの人物の名前が死者として呼ばれた事だった。

その理由はすぐに明らかとなる。
ピタゴラスが、首にはめられた首輪を手で外し、それを右手で持って見せびらかした。
アレックス、ドーラ・システィール、高原正封、クリス・ミスティーズ、レオン・ミスティーズの五人が、
一斉に口を開け、驚愕の表情を浮かべる。
しかし、すぐにピタゴラスが声を出すなと五人を制し、自分のメモ帳を取り出し、筆談を開始した。

〔……見ての通りだ。首輪を解除する事に成功した。
お前達の首輪も外す事ができる〕

その文面に、全員がそれぞれ歓喜の表情を浮かべた。
但し、盗聴されている事は知っていたため、大声は出せない。

〔それで、だ。今、放送で俺の名前が呼ばれただろう。どうやら、
首輪が外れると、その首輪の主は死亡扱いになるらしい。そこでだ〕

ピタゴラスが、メモ帳にある作戦を書き出す。
全員が、食い入るようにそれを見詰めた。

それは、この殺し合いから脱出するため、主催者の本拠地へ乗り込むための、
最後の作戦だった。



午後18時45分頃。主催者本拠地のモニタールームが慌ただしくなった。

「どうしたの?」
「リリア様……」

騒ぎを聞き付けた主催者リリアが監視員の一人に尋ねる。

「……参加者が全員、死亡しました」
「何ですって……?」
152妖星乱舞-第一楽章- ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 15:38:47 ID:X/X4/prW
リリアが参加者の現在位置や、生存状況が表示されるモニターを覗き込む。
確かに、F-6島役場に集結していた生存者全員が死亡を示す表示に変わっている。

「これより現状確認のために現場へ人員をよこします」
「……分かったわ。ぬかりのないように、ね」
「はっ」

そう監視員に言うとリリアは何かを考えながら、モニタールームから出た。




会場となった島から数キロ離れた場所にある、海の上に造られた城。
夜の帳が周囲を覆い始めた今、無数の窓から見える明かりが煌めいていた。
正面玄関に当たる場所の前には巨大なヘリポートが存在する。

「遅いな……」

参加者が全員死亡という結末を迎えた殺し合いの舞台を現場確認しに向かった
部隊を乗せたヘリがそろそろ帰投するはずなのだが、一向に姿が見えない。
ヘリポートに配備されている十数人の兵士がヘリの帰還を待つ。

「おい、見えたぞ!」

監視塔の上から一人の黒い竜の兵士がある方向を指差す。
遠方、島のある方角からこちらに向かってくる大型ヘリが確認できた。

「よし、場所を開けろ」

兵士達がヘリの着陸場所を空ける。
そして、激しいローター音、突風が巻き起こり、ヘリポートにヘリが降り立った。
中に乗っているはずの確認部隊を出迎えるため、
待機していた兵士達がヘリのハッチ前へと集合する。
そして、ハッチが開いた。

だが、次の瞬間、兵士達は無数の弾丸の雨に見舞われ、
地面を血に染めただの肉塊と化した。
恐らく彼らは自分の身に何が起きたのか理解する間もなかったであろう。
ハッチから出てきた者は、彼らの仲間の兵士ではなかった。
血の海を踏み越え、7人は目の前に建つ巨大な城塞を前に気を引き締める。
153妖星乱舞-第一楽章- ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 15:39:36 ID:X/X4/prW
高原正封。
クリス・ミスティーズ。
レオン・ミスティーズ。
ドーラ・システィール。
アレックス。
ピタゴラス。
ガーゴイル。

18時間にも及ぶ殺し合いを生き抜き、そして今、ピタゴラスによって、
全員の首枷は解き放たれ、主催者本部へと乗り込んだ。
長かった。この時が来るまでに、7人はそれぞれが何人もの死を見届け、
別れを経験し、戦いに身を投じてきた。
クリスとレオンにとっても正念場であった。なぜ、このような殺し合いを催したのか。
自分の妹、姪であるリリアに真意を問い質す必要があった。

「さて……行くかい!」

ドーラが檄を飛ばし、本拠地の城へ走りだす。その手にはイサカM37散弾銃が。
高原正封が自動拳銃S&W M3566、クリスが切れ味鋭い長剣ダマスカスソード、
レオンが突撃銃アーマライトAR18、アレックスが短機関銃IMIウージー、
ピタゴラスが突撃銃AK-47、ガーゴイルがミサイルランチャーRPG7を、
それぞれ最強と思われる装備を引っ提げ、主催者本部へ特攻を仕掛けた。


本拠地最深部の、魔法陣が浮かび上がった広間。
その魔法陣の中心部には、赤いブレザーを着た黒髪の少女、大木弓那と、
黒と赤の毛皮を持った獣足型の人狼、黒牙が立っていた。
二人の目の前には、何やら呪文を唱えているリリアが立っている。
そして詠唱が終わった途端、魔法陣が青白く輝き出し、弓那と黒牙の二人を光が包み込んだ。

「……これで、貴方達二人は元の世界に帰れるわ。
今までどうもね、色々協力してくれて」
「り、リリアさん……」
「……本当に、ありがとうございます。一度死んだ俺達を、
生き返らせてくれるなんて」
「……別に。ほんの気まぐれよ」

リリアがそう言った直後、黒牙と弓那の姿が消失し、魔法陣は光を失った。

「……末永く、お幸せに」

そう言い残し、リリアは踵を返すと、部屋を立ち去った。

【黒牙@俺オリロワリピーター組  送還】
【大木弓那@俺オリロワリピーター組  送還】

>>第二楽章へ続く
154 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 15:40:35 ID:X/X4/prW
投下終了です。さあ、いよいよ終幕は近い。
155 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 16:44:47 ID:X/X4/prW
俺得ロワ91話「妖星乱舞-第二楽章-」投下します。
156妖星乱舞-第二楽章- ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 16:45:56 ID:X/X4/prW
91話 妖星乱舞-第二楽章-


本拠地の城の中に、激しい銃声と、刃と刃がぶつかり合う金属音が響き渡る。
鋼鉄の長剣や、突撃銃FN FNCで武装した兵士達が、
侵入者と前線部隊が交戦している現場へ急行する。

「畜生! 駄目だ、歯が立たない!!」
「諦めるな!! 相手はたったの7人だぞ!! 全員で畳み掛けろぉっ!!」
「何なんだよあの青髪は!? 銃相手に剣で全く引けを取ってねぇ!?」

兵士達の怒号と悲鳴、そして銃声、爆発音が混ざり、けたたましく不格好な交響曲を奏でる。


「おらああああどきな雑魚共!! アンタらに用はないんだよ!!」

イサカM37によるスラムファイア――引き金を引いたまま先台を操作する事により、
連射させる技術――を駆使しながら、大勢の兵士を薙ぎ倒し
血の海に沈めていくドーラ・システィール。

「リリアはどこだーーっ!! リリアを出せーーーっ!!!」
「死にたくなければ引っ込んでいろ!! こっちは本気だ!! 手加減はない!!」
「文句ならあの世でリリアに言うんだな!!」

アレックスが短機関銃IMIウージー、レオン・ミスティーズが突撃銃アーマライトAR18、
ピタゴラスが同じく突撃銃AK-47を乱射し、敵兵を蜂の巣にしていく。

「はぁっ!!」

クリス・ミスティーズが敵の銃弾の雨を掻い潜り、
華麗とも言える剣技で瞬く間に7、8人を斬り伏せてしまった。

「くっそぉぉ、撃っても撃ってもキリがない!」
「流石敵の本拠地、兵の数が半端ではないな」

両手に自動拳銃を持ち二丁銃の構えで攻撃する高原正封と、
RPG7に最後のミサイル弾を装填するガーゴイル。
そして、装填するな否や、前方の敵兵が固まっている方向にある巨大な扉に向け発射した。
放たれたミサイル弾は一直線に大扉に向かって行き、着弾し粉砕した。
その時の爆風に周囲にいた兵士十数人が巻き込まれ死傷する。
そして残った生き残りをアレックス、レオン、ピタゴラスの三人が一斉掃射し片付けた。
157妖星乱舞-第二楽章- ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 16:46:41 ID:X/X4/prW
「はぁ、はぁ、随分出てくるね……ったく」
「所で、リリアは一体どこにいるんだ?」

この広大な城のどこかにこの殺し合いの主催者、リリア・ミスティーズはいるはず。
しかしこうまで広いとどこを捜せばいいのかまるで見当が付かない。
弾薬は大量にあり、その気になれば敵が持っている武器を奪えばいいが、
それでも無限ではない。早々に手掛かりを見付ける必要があった。

「おい、リリアはどこにいるんだ?」

レオンがまだ息のある兵士の胸倉を掴み尋問した。

「こ……この城の……最上階……大抵、そこに……いるはず……です」
「最上階……」

正面入口で見た時、城は少なくとも10階分の高さはあった。
現在自分達がいるのは2階部分、まだ道のりは長い。
その間にも、多くの敵兵士部隊が待ち構えている事だろう。
だが、このまま突き進む以外に道はない。

「……行こう」

ドーラとアレックスを先頭に、殺し合いの生存者達は、
主催者の元を目指し進撃を続ける。



地下牢獄。バンの投獄されている牢内。

「あ……が……」

あれからバンはリリアの命を受けた兵により過酷かつ凄惨な拷問を受け続けていた。
全身を鞭で打たれ、塩を混ぜた水を塗りたくられ、焼けた火鉢を身体に押し当てられ、
尻尾の先を思い切り踏み潰され……。
筆舌し難い数々の責め苦をその身に受けてきたバンは、
もはや虫の息となっていた。

そこに、彼が良く見知った顔の女性が現れる。

「り……リリア……!!」
「ついにタメ口になったわね」

やや不快そうな面持ちでリリアは床に這い蹲った状態のバンにゆっくりと近付く。
よく見るとその手には、見慣れない小銃らしき物が握られていた。
158妖星乱舞-第二楽章- ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 16:47:32 ID:X/X4/prW
「……殺し合いの生存者達が、この城に乗り込んできたわ。
どうやら自分達で首輪を解除して、現場確認部隊のヘリを乗っ取って来たみたい。
今、上は大混乱よ」
「……!」

この瞬間、バンは自分がした事が決して無駄ではなかったと悟る。
果たしてそれが自分が仕込んだ首輪設計図入りのUSBメモリのお陰かは分からない。
だが、生存者達が自力で首輪を外し、生きるために、主催者に抗うために、
この城まで乗り込んできたという事実はバンを感動させた。

「この殺し合いももうおしまいね。ふぅ、結構色々頑張って用意したのに。
少しは予想していたけど、本当にエクソダス的な展開になるなんて」

リリアが残念そうな表情を浮かべながら吐き捨てるように言った。
そして、持っていた小銃――九九式短小銃リリア改造型の銃口を、
バンの頭に向けた。

「貴方ももう用済み。何か言い残す事はある?」
「……そうですね」

バンは最後の力を振り絞り、リリアの顔を見上げ、
憎しみと怒りを込めた口調で、言い放った。

「――地獄に堕ちろ、悪鬼め」

牢獄内に一発の銃声が響いた。


頭部が破裂し脳漿や血液が周囲に飛び散ったバンの死体に背を向け、
リリアは牢獄から出る。

「……さて、早い所、最上階の私の部屋に戻らなきゃ。
兄様や伯父様、他の方々を迎えなければならないから」

そう言うとリリアは呪文のような物を唱え出した。
詠唱が終わると、金色の光がリリアを包み、そして次の瞬間にはリリアの姿は消えていた。



【バン@ムーンライトラビリンス改造版  死亡確認】



第三楽章へ続く
159 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 16:48:17 ID:X/X4/prW
投下終了です。どんどん行くよ!
160 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 18:18:39 ID:X/X4/prW
俺得ロワ91話「妖星乱舞-第三楽章-」投下します。
161妖星乱舞-第三楽章- ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 18:19:38 ID:X/X4/prW
91話 妖星乱舞-第三楽章-

最上階、リリア・ミスティーズは高い天井に広い面積の大広間に立っていた。
数分前から、階下から聞こえてきていた銃声や怒号が一切聞こえてこない。
侵入者――殺し合いの生存者達を全員始末できたのであれば、
何らかの報告が入るはずであるが、そのようなものは入って来ていない。
だとすれば、考えられる可能性はもう一つある。

ドガアン!!

正面前方の豪華な木彫り装飾が施された木製の大扉が乱暴に蹴破られ、
そのもう一つの可能性が実証された。

扉の向こうから、広間に続々と入ってきたのは、7人の殺し合いの生存者達。

高原正封。
クリス・ミスティーズ。
レオン・ミスティーズ。
ドーラ・システィール。
アレックス。
ピタゴラス。
ガーゴイル。

何れも、今まで屠ってきた敵兵士の返り血や、自らの傷から流れ出た血で、
真っ赤に染まっており、息も荒く、鋭い視線は真っ直ぐリリアに向けられていた。

「ようこそ、私の城へ」
「リリア……!」

長時間に渡る酷使の末にボロボロになってしまった長剣、
ダマスカスソードを右手に携えた、リリアの兄クリス・ミスティーズが、
ようやく再会した妹に対し厳しい表情を浮かべる。

「兄様、伯父様、まさかお二人がここまで生き残れるとは思っていませんでした」
「リリア、どうしてこんな馬鹿な事を……」
「馬鹿な事? ああ、このバトルロワイアルの事ですか……」

クリスからの問いに対し、リリアは笑みを浮かべながら、この殺し合いの開催理由を話す。

「……地下に引き籠っていた時、インターネットで『バトルロワイアル』なる小説を見付けたんですよ。
その内容は、兄様、伯父様、そしてアレックスさん、ドーラさん、高原さん、
ピタゴラスさん、ガーゴイルさん、貴方がたが経験してきた事、そう……。
最後の一人になるまで殺し合うと言う、何とも刺激的かつ興味深い内容でした」
「おい……まさかと思うがアンタ……」
「分かりましたかドーラさん? そうですよ、これは是非私もやってみたいと思いまして。
それも小説の世界ではない、本当に、現実のゲームとして!!」
162妖星乱舞-第三楽章- ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 18:20:31 ID:X/X4/prW
主催者本人から明かされたこの殺し合いゲームの開催理由は、
身勝手の域を遥かに超えた、何とも馬鹿馬鹿しい、単純なものだった。
このような馬鹿な思考の女が気まぐれで起こした催し物により、
自分達の仲間や、他の大勢の人々は命を落としたと言うのか。
7人の、リリアに対する怒りは頂点に達しようとしていた。

「ふざけるなッ!!! このど腐れ外道女ァッ!!!」
「あ、アレックス……」

ついに我慢の限界に来たアレックスがリリアに向かって声を張り上げた。

「お前のその身勝手な理由で起こしたこのゲームのせいで、
ブライアンも、ヘレンも、ゴメスも、魔王城の連中も……!!
みんな、死んじまったんだぞ!! 俺の知り合いだけじゃない、ジンや昭武、
遼平、エルザ、他にも大勢ッ……!」

溜まりに溜まった怒りをぶちまけるアレックス。
しかしリリアは動じた様子もなく、ただ7人の方を見据えるのみだった。

「……貴方がた、どうやら自力で首輪を解除できたようですね。
もしかして、USBメモリの中の首輪設計図に気付きましたか?
……何故その事を、といった顔ですね。いや実は、私の側近が裏切って、
参加者に配られる支給品の中に首輪設計図を入れたUSBメモリを入れたんです。
協力者共々、始末しましたが」

やはり協力者がいたらしいが、悪い予想も的中していた。
裏切りが露見したその側近と協力者は全員粛清されてしまったようだ。

「……無駄話はこのぐらいにしましょうか。最後の決戦と行きましょう」

リリアが右手に持っていたボルトアクション式小銃を携え、
赤い瞳で7人を見据えながらゆっくりと距離を詰め始める。
いよいよか、と、7人は全員、覚悟を決めた。

ここまでの敵兵士との戦闘で、多くの弾薬と武器を使い果たしてしまっていた7人。
特に弾幕を張れる機関銃系の武器や、爆弾、集団戦に有効な散弾銃は完全に弾切れ、武器も放棄。
自動拳銃もその多くが弾切れになってしまい、刀剣類も過酷な使用によりボロボロになっていた。
現在7人が装備している武器は、
高原正封、回転式拳銃ニューナンブM60(4/5)、予備弾(4)。
クリス・ミスティーズ、刃こぼれしたダマスカスソード。
レオン・ミスティーズ、シグザウアーSP2340(10/12)、予備マガジン(1)。
ドーラ・システィール、三八式小銃(3/5)、予備弾(10)。
アレックス、既にガタが来始めている九五式軍刀。
ピタゴラス、S&W M19(6/6)、予備弾(12)。
ガーゴイル、鈍器代わりのRPG7発射筒。
また、体力の消耗、手傷も激しく、出血も相当数に上っていた。
163妖星乱舞-第三楽章- ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 18:21:18 ID:X/X4/prW
それでも、ここまで来たら、戦う他ない。
この殺し合いで散って行った40余人の想いが掛かっている。

そして、銃を持った4人が一斉にリリアに向け射撃を開始した。
四人四色、四種類の弾丸が、リリアに向かっていく。
だが、その一斉射撃は難なく回避されてしまった。

「まず一人目」

リリアが手にした九九式短小銃リリア改造型の銃口を、狐獣人の青年に向け、引き金を引いた。

「正封ッ!!」
「え――――!?」

アレックスが叫んだが、もう遅かった。
7.7oの弾丸が正封の首を貫通した。

「二人目」
「くそっ……!!」

次に、レオンの心臓を弾丸が貫通する。
狐と狼の獣人二人が床に倒れ、呆気なく、息絶えた。

「三人――――ッ!!」

そして三人目を狙おうとしたリリアだったが、頭上からの殺気に顔を上げる。
ダマスカスソードを両逆手に構え、自分に向かって落下攻撃を仕掛ける、兄の姿が見えた。

「リリアァァァァァァァ!!!!」
「ちぃっ――!!」

思わぬ頭上からの攻撃に、リリアは反応が一瞬遅れた。


銃声と、ザクッという刺し貫かれる音が同時に広間に響く。


アレックス、ドーラ、ガーゴイル、ピタゴラスは見た。
床に仰向けになったリリアに、クリスが剣を突き立て、
そして、その兄に向かって、小銃の先端を胸元に押し当てているリリアの二人の姿を。
ごほっ、と、クリスが口から鮮血を溢れさせ、それがリリアの顔に少し掛かった。

「リ……リリア…………」

最期に妹の名前を呼び、青髪の騎士クリス・ミスティーズは床に倒れ血溜まりを作り絶命した。
直後にリリアも小銃を床の上に落とし、仰向けになったまま身動き一つしなくなる。
アレックス、ドーラ・システィール、ガーゴイル、ピタゴラスの4人が、
リリアの元へ近寄る。
164妖星乱舞-第三楽章- ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 18:22:01 ID:X/X4/prW
「ふふ……負け……だわ……私の、負け……」

口から血を流しながらリリアが言う。
クリスの剣はリリアの腹部を刺し貫いていた。
剣が突き刺さっている部分からドス黒い血液が流れ出ている。
誰の目から見ても致命傷だという事は明らかであった。
リリアの死を望んでいなかった、と言えば嘘になる。しかし、できる事ならば、
生かしたまま自分の犯した罪を償わせたかった。
だが、どうやらそれも叶いそうにない。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……。

「!! 何だい、この揺れは!?」

突然城全体が、いや、世界そのものが大きく揺れ始めた。
壁や天井、床にヒビが入り、城が揺れに耐え切れず崩壊を始める。

「この城、いや……この世界は、私が用済みと判断した時、
或いは……私の命が尽きる時……崩壊するように、できてる……のよ」
「な、何だって!?」
「ふふ……安心しなさい……貴方達は助かるわ……」

そう言うとリリアは呪文を詠唱し出した。
すると、青白い大きな光が広間に出現する。

「あの、光の中に…………そうすれば、貴方達は……元の世界に……帰れる……」

転移魔法を使い、もはやリリアは完全に生命力を使い果たしてしまっていた。
間もなく自分も、兄や伯父と同じように物言わぬ屍と化すであろう。
興味本位で開催したこの殺し合いが、まさか自分の死という
幕切れで終わるとは思ってもみなかった。

「……行こう」

アレックス、ドーラ、ガーゴイル、ピタゴラスの四人は、光に向かって歩き出す。

「……」

アレックスは、一瞬だけ、リリアの方を振り向いたが、すぐに踵を返し、
他の三人と共に、光の中へと飛び込んだ。

そして、光が消え、広間は天井から降り注ぐ瓦礫や倒壊した柱で、
今にも崩れ落ちそうであった。

「……我が人生、一片の悔いなし……って言葉、陳腐過ぎるわね」

天井が、壁が、床が、城を形作る何もかもが崩壊し、灰燼に帰していく。
深い、暗闇の底に瓦礫と共に落ちて行きながら、リリアは静かに目を閉じた。




最終楽章へ続く
165 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 18:24:58 ID:X/X4/prW
投下終了です。いよいよだ。
166 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 18:55:36 ID:X/X4/prW
俺得ロワ91話「妖星乱舞-最終楽章-」投下します。
これにて俺得ロワ本編終了となります。ありがとうございました。
167 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 19:33:16 ID:X/X4/prW
tesuto
168 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 19:35:18 ID:X/X4/prW
さるさんを食らってしまったので、避難所の方に投下しました。
ただ間違えて感想スレに投下してしまいました…。

これからエピローグを書きます。
169 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 20:16:38 ID:X/X4/prW
◆UwuX8yY6RQ改め◆ymCx/I3enUです。投下します。
俺得ロワ92話「相変わらずの二人」
登場:黒牙、大木弓那
170相変わらずの二人 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 20:17:36 ID:X/X4/prW
92話 相変わらずの二人


青く澄み渡った空の下、私――大木弓那と、使い魔の人狼――黒牙は、
私達が住む街を見下ろせる小高い丘の上にやって来ていた。
この場所は私と黒牙のお気に入りの場所で、休みの日によくここに来る。
余り人気がないようだったら藪に隠れて青姦なんかも楽しめる。

またこうして黒牙と過ごせるなんて、夢みたいだった。
あの殺し合いで死んだはずの私と黒牙を、どうやったのかは分からないけど、
生き返らせてくれた、リリア・ミスティーズと名乗った女性。
生き返らせてくれた代わりにリリアさんが開催した別の殺し合いの手伝いをさせられる事になった。
最初の開催式の時の、青いタヌキのようなロボットの首輪が爆破された時なんか、
私達の殺し合いの最初の時、男の人の首輪が爆破された時の事を思い出して少し怖かった。

それからしばらくは、黒牙との甘い時間を過ごした。
色々な体位を試してみたり、お尻の方にも挑戦してみた。少し痛かったけれど。

私達を元の世界に帰した後、リリアさんはどうなったのかな。
何だか慌ただしい様子だったけど……何があったんだろう。
でも、それを知る術はもうない。

今、こうして黒牙との日常が戻ってきた。
それだけで、私は嬉しい。

「平和だね……黒牙」
「そうだね、弓那……」

平和な日常、当たり前の事だと思っていたけど、殺し合いを二つも経験した今では、
とても掛け替えのないものだと思えるようになっていた。
だから、黒牙と過ごす時間を、自分の人生を、大切に生きていこう。

「弓那……ごめん」
「え?」
「辛抱たまらん、ここで一発!」
「え!? いや、ちょ、待って待って、流石にここじゃ、いや、あ、
駄目だって! 服脱がせないで、ああ! ブラとパンツ、ちょ、もういい加減に、
ひいいっ!? え!? もう!? 入れるの!? うわ、あらら!?」
「ウォォォォオオオオ!!」
「ひゃ、あ、らめえええええええええええええ〜〜!!」



この後、私は欲情した黒牙に何度も襲われてしまいました。
まあ、こういうのもひっくるめて、平和な毎日って言うのか、なぁ。

俺得バトルロワイアル――黒牙、大木弓那  姦、じゃなくて完
171 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 20:19:19 ID:X/X4/prW
投下終了です。短いです。最終話で体力使い切りました。
172 ◆6LQfwU/9.M :2010/06/13(日) 20:32:07 ID:p5ixqaMo
最終話投下、そして完結乙です!
…次回作の予定はありますか?
173 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 20:42:58 ID:X/X4/prW
>>172
今まさに名簿を作成中です
174 ◆6LQfwU/9.M :2010/06/13(日) 20:46:34 ID:p5ixqaMo
おお、そうですか!
期待してます
175 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 21:13:26 ID:X/X4/prW
◆UwuX8yY6RQ改め◆ymCx/I3enUです。投下します。
俺得ロワ93話「それぞれの未来」
登場:ガーゴイル、ピタゴラス、ドーラ・システィール
176それぞれの未来 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 21:14:45 ID:X/X4/prW
93話 それぞれの未来

あの殺し合いを生き延び、このヴァルハラに帰還してからもう一カ月は経つ。
帝国軍も消滅した今、俺は辺境の森で気ままに暮らしている。

風の便りで、時の塔の巫女が行方不明になったと聞いた。
現在も捜索は続けられているが一生見付かる事はないだろう。
時の塔の巫女――亜美は、この世界とは別の異世界で命を落としたのだから。
今でも時々思う、あの殺し合いは夢だったのではないかと。
だが、俺の胸元にできた傷跡、そして、この世界に戻ってきた時、
俺の傍に落ちていた、参加者用のデイパックが、あれは現実に起きた事だと証明した。

ドーラ・システィール、ピタゴラス、久保遼平、エルザ・ウェイバー、
アレックス、ムシャ、高原正封、クリス・ミスティーズ、レオン・ミスティーズ。
そして、殺し合いの主催者、リリア・ミスティーズ。
実に色々な異世界の人間と出会った。これはかなり貴重な体験だな。

今の所、この事は誰にも話していない。
話した所で信じて貰えるかどうか分からんし、時の塔の巫女の事を迂闊に話して、
事が大きくなるのは望まない。

帝国軍で散々戦いに明け暮れ、次はバトルロワイアルで戦って。

俺はもう戦いは疲れた。これからは静かに暮らしたい。

今日もあの豪邸で調達した本でも読むとしよう。

◆◆◆

俺――ピタゴラスは元の自分の世界に戻ってきた。
アルベルト博士による殺し合いに呼ばれる前と、何も変わらない、
自宅や、近所の風景、俺の知り合い達。

大勢の人や車が通る、賑やかな通りを歩きながら、
俺はリリア・ミスティーズ主催の殺し合いの事を思い出す。
遼平、アレックス、ドーラ、エルザ、ガーゴイル、クリス、レオン、高原。
俺が出会った仲間達。
生き延びたアレックス、ドーラ、ガーゴイルは、今も自分の世界で
元気に生きているだろうか。

生き残るためとは言え、俺はアレックスの知人のムシャや、
リリア・ミスティーズ配下の兵士達を何人も殺してしまった。
俺が黙ってさえいれば、何の罪にも問われる事はない。
だが、あの出来事を誰にも話せず心の奥底にしまうしかできないのは正直辛い。

――背負っていかなければならない。

遼平やエルザ、クリス達を始め、あの殺し合いで死んでいった多くの参加者。
彼らの分まで、精一杯生きるのが自分や、アレックス、ドーラ、ガーゴイルの、
生き残った者の使命、だろう。

だから俺は生きていく。

どんなに辛い事があっても、どんなに苦しくても。
177それぞれの未来 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 21:15:34 ID:X/X4/prW
◆◆◆


あの殺し合いから戻ってきてからどれくらい経つかねぇ。
アレックス、ガーゴイル、ピタゴラス。
あいつら、元気でやってるといいんだけど。

あの殺し合いの事は話そうとも思ったけど、信じて貰えそうにないからやめた。
進んで話す気にもなれないしねぇ。

アイン隊長が、シェリーが行方不明になっていると言った。
まあ自分の元情婦なら、多少は心配するだろうね。
元々群れるのが嫌いな性分みたいだったし、アイン隊長も然程は心配していないみたい。
その内また現れるだろうって。

――悪いけど、隊長。アタイは知ってるんだ。
シェリー・ラクソマーコスはもうこの世にはいないんだよ。二つの意味で。
この世界とは別の、殺し合いの舞台で死んじまったからね。
死体もあの世界の崩壊に巻き込まれて――塵も残っていない。
一生見付かる事はないだろうさ。

殺し合いで死んじまった奴の分まで生きる、なんて青臭い真似、
アタイには似合わないけど。

まぁ、自分の命は大切にするってのは正解だね。

死んじまったらそこで終わり。アタイも精々長生きしたいものさね。


◆◆◆


三人の生還者の、それぞれの世界での、それぞれの未来。

彼らの行く末に幸運有らん事を。




俺得バトルロワイアル――ガーゴイル、ピタゴラス、ドーラ・システィール  完
178 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 21:16:25 ID:X/X4/prW
投下終了です。次でいよいよラストです。
179 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 21:43:41 ID:X/X4/prW
◆UwuX8yY6RQ改め◆ymCx/I3enUです。投下します。
俺得ロワ94話「生還、めでてぇwwww」
登場:アレックス
180生還、めでてぇwwww ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 21:45:46 ID:X/X4/prW
93話 生還、めでてぇwwww


俺は帰ってきた。あの地獄の殺し合いから、自分の世界に。
でも、俺は大切な仲間や知り合いを何人も失ってしまった。

ブライアン、ヘレン、ゴメス、ムシャ、ドラゴナス、死神五世、デスシープ。

彼らはもういない。
遺体も、あの世界の崩壊と共に消えてしまった。
ブライアンと仲が良いファルコンとエンリュウ。
ムシャの弟子の弟子五郎。ドラゴナスの家族。
死神五世とよく絡むアンデッドナイ軍の偽死神五世。
ムシャ、ドラゴナス、死神五世と同じく魔王軍四天王でありヘレンのストーカーである、
ダーエロ、そして同じく魔王軍四天王のニンニン。
魔王、魔王の嫁、魔王の娘、魔王城の人々。
みんな、悲しむだろうな。

俺はこの殺し合いの事は黙っておくつもりだ。
とても信じて貰えそうにないからな……。

俺の仲間や知り合いだけじゃない、多くの人があの殺し合いで命を落とした。

俺が知り合ったジン、石川昭武、野比のび太、エルザ、久保遼平、高原正封、
クリス、レオン……。

その他にも大勢の参加者が、一人の女の身勝手な理由で起きた殺し合いにより死んだ。
その女に罪を償わせたかったが、もうその女もこの世にいなかった。
生き残った俺にできる事は何なのだろう。

やっぱり、生きていく事、だろうか。

ブライアン達の分まで、いや、あの殺し合いで死んでいった人達の分まで、
精一杯、一生懸命に生きよう。


ブライアン、ヘレン、ゴメス。
お前達がいなくなって少し寂しいけど、
でも、まだリリアやキャロル、沢山の仲間がいるから。

俺、頑張るよ。だから、見守っててくれ。






俺得バトルロワイアル――アレックス  完





To Be Continued......
181 ◆ymCx/I3enU :2010/06/13(日) 21:48:24 ID:X/X4/prW
投下終了です。これにて俺得ロワは完結となります。
支援、感想を下さった皆様、ありがとうございました。
途中からトリが変わるという事故に見舞われましたがどうにか完結まで
漕ぎ着ける事ができました。

本当にありがとうございました。

ちなみに第4期ロワを構想中です。
182創る名無しに見る名無し:2010/06/14(月) 21:43:32 ID:mZ8hBgTL
おお、お疲れ様でした!
凄いなあ、またこれだけの速さできっちり完結させてる…。
それぞれのエピローグでちょっとしんみりしたり、逆にクスリと笑わせてもらったり。
あまり感想もつけられない身ですが、第四期も楽しみにしています!
183創る名無しに見る名無し:2010/06/15(火) 01:11:13 ID:lURMmgL0
投下乙です。
うぉう!また完結っすかwwww今回は対主催エンドwwwwお疲れ様です!
何人か死亡話見逃してた様なので今度まとめて一気に読んでみます。
184創る名無しに見る名無し:2010/06/17(木) 01:14:26 ID:GZSVQb+R
完結乙です!
185 ◆ymCx/I3enU :2010/06/19(土) 10:02:31 ID:AXKcw10z
tesu
186 ◆ymCx/I3enU :2010/06/19(土) 19:05:59 ID:AXKcw10z
規制解除来たぁ! 早いな今回!
と言う訳で元◆UwuX8yY6RQの◆ymCx/I3enUです。四期ロワのOP投下したいと思います。
0話 オープニング
登場:ブライアン、キャロル、デイジー、◆ymCx/I3enU
187オープニング ◆ymCx/I3enU :2010/06/19(土) 19:07:31 ID:AXKcw10z
0話 オープニング


壁や梁に豪華な意匠が施された大広間に集められた61人の人間や獣人、獣。
全員の首に、金属製の頑丈そうな、黒色の首輪がはめられていた。
困惑、恐怖、平然、群衆の一人一人が浮かべる表情は様々である。

大広間には木製の大扉が二つあったがどちらも固く閉ざされ、
しかもかなり頑丈に出来ており破る事も出来なかった。
そして突然、前方の大扉が開き、赤と白のカラーリングの鎧兜に身を包んだ男を先頭に、
数人の青い鎧兜姿の兵士が大広間に入ってくる。

そして、紅白の鎧を着た男が正面に立ち話し始めた。

「皆さん、初めまして――いや、何人かは俺の事を知っている筈だが――まあいいや。
俺の名前はブライアン。皆さんに集まって貰ったのは、これからあるゲームをして貰うためです」

ゲームという言葉に、何人かは嫌な予感を覚える。
そしてそれはすぐに現実となった。

「皆さんにして貰うゲームは『バトルロワイアル』……。
今から皆さんには、最後の一人が決まるまで殺し合いをして貰います」

ブライアンの宣言に、憤怒、唖然、歓喜、静観と、群衆は様々な反応を返す。
その中の一人、不満気な表情を浮かべていた、ピンク色の髪を持った魔法使い風の女が、
ブライアンに食って掛かった。

「ちょっと、ブライアンいい加減にしなさいよ。
一体どういうつもり? 殺し合いって何なのよ」
「キャロルか。何って言われてもな……言葉通りなんだけど。
だが安心しろよキャロル。お前は殺し合いに参加する必要は無い」
「え?」
「お前はある事をここにいる皆に見て貰うためだけに呼んだんだ」

目を丸くするキャロルをよそにブライアンは何やら小さなリモコンらしき物を取り出し、
それをキャロルに向け、スイッチを押した。

ピィーーーーー。バンッ!!

短い電子音の後に爆発音が響き、キャロルの首輪の喉元に当たる部分が炸裂した。
喉元に大きな穴が空いたキャロルは鮮血を撒き散らしながら仰向けに倒れ、動かなくなった。
しばらくその光景を呆然と見詰めていた群衆だったが一人の女性が悲鳴を上げたのを皮切りに、
連鎖的に悲鳴を上げる者、腰を抜かす者が現れ始める。
しかし、必死に平静を保とうとする者、何とも思っていない者も多い。

「キャロル……!」

眼鏡を掛け、青い帽子と服を着た僧侶風の女性がキャロルの死体にふらふらと近付く。
血溜まりを作りただの肉塊と化したそれの傍でガクリと膝をついた。

「れ、レイズV」

生き返らせようと復活の魔法を唱えるが、光が発せられるだけでキャロルが蘇生する様子は無い。
何度試しても結果は同じだった。
188オープニング ◆ymCx/I3enU :2010/06/19(土) 19:08:46 ID:AXKcw10z
「な、何で……!?」
「デイジー、無駄だよ」

ブライアンがデイジーと呼んだ女僧侶に言う。

「皆さんにも言います。皆さん方の中には特殊な能力を使える者も多いでしょうが、
余りに便利過ぎたり強力過ぎる物、蘇生や高度な治癒の効果がある物は一切使えなくしました。
それでも多少は使えると思いますがだいぶ制限させて貰っています。
これはハンデを少なくするためです」
「……そんな、じゃあ、キャロルは」

絶望するデイジーを一瞥し、ブライアンは元の位置に戻る。
既に反抗の意を表す者は一人もいなくなっていた。

「……皆さんにはめられている首輪がどういう物か解って頂けましたか?
その首輪は無理に外そうとしたり、立入禁止区域に進入したり、
反逆を企てゲームを阻もうとしたりしたら――爆発します」

首輪の威力は証明されている。これで尚刃向かう者がいればそれは単なる馬鹿だ。

「それではルールの説明に移ります。先程も言いましたが、
最後の一人になるまで皆さんには殺し合いをして貰います。
反則はありません。何をするのも自由ですが、ゲームの邪魔をするような事だけは
やめて下さい。

首輪についてはもう説明不要ですかね。でも一応もう一度言っておきます。
無理に外そうとしたり、立入禁止の場所に入ったりゲーム進行の妨げになる事をすれば、
先程のキャロルのようになります。くれぐれも気を付けて下さい。

ゲームが始まったら皆さん一人一人には支給品の入ったデイパックを渡します。
特殊な構造でかなりの容量があります。
中には地図や名簿といった基本支給品と、武器や防具等のランダム支給品が入っています。
ゲームが始まったら各自で確認して下さい。ランダム支給品は役に立つものばかり
とは限りません。これもハンデを少なくするためです。

深夜0時、朝6時、昼12時、夕方6時にこちらから放送を流します。
内容は禁止エリアの発表、そしてその時刻までに出た新たな死者の発表です。
禁止エリアは入ると首輪が作動しますのでよく聞いていて下さい。

また、最後の死者が出て24時間、新たな死者が出なかった場合、
その時点で生き残っている全員の首輪を爆破します。優勝者はありません。
皆さんが全員死亡しても同様です。

以上です……それでは、ゲームの始まりです」

ブライアンがルール説明を終えた瞬間、部屋が光に包まれ、
群衆が次々と消えていった。

そして数分も経たない内に、大広間から群衆が消え、残されたのは
ブライアンと数人の兵士、そして喉に穴が空いて息絶えているキャロルの死体のみ。
189オープニング ◆ymCx/I3enU :2010/06/19(土) 19:10:07 ID:AXKcw10z
「開催式は済んだ?」

部屋に新たな人物が入ってくる。ボンテージ風の露出の高い衣装を身に纏い、
黄色いリボンを頭に巻いた青髪の美少女。しかしその口調は男のそれに近い。

「ああ」
「そうか……御苦労様」
「それにしても、こんな大掛かりな舞台や首輪を用意するなんて、
あんたは一体何者なんだ? えーと……」
「Cxで良いよ。流石にフルネームの◆ymCx/I3enUじゃ呼び難いでしょ?」
「分かった。Cx」
「まあ何にせよ……いよいよ始まりだね。ああ、ワクワクするなぁ……ふふふ」




【キャロル@VIPRPG  死亡】
【ゲーム開始――残り60人】




【一日目/???/?-?】
【デイジー@VIPRPG】
[状態]健康、深い悲しみ、転移中
[装備]無し
[所持品]無し
[思考・行動]
 基本:……キャロル……ブライアン、どうして……。
[備考]
 ※魔法に制限が掛かっている事を知りました。

【ブライアン@VIPRPG】
[状態]健康
[装備]首輪操作リモコン
[所持品]無し
[思考・行動]
 基本:バトルロワイアルの運営。◆ymCx/I3enUには基本つもり。
[備考]
 ※特に無し。

【◆ymCx/I3enU@???】
[状態]健康、愉悦
[装備]無し
[所持品]無し
[思考・行動]
 基本:バトルロワイアルの運営、及び完遂。
[備考]
 ※外見はギルティギアのディズィーです。作者の趣味です。
190 ◆ymCx/I3enU :2010/06/19(土) 19:12:12 ID:AXKcw10z
投下終了です。ではこれから名簿とルールをば。
191俺得バトルロワイアル2nd・ルール ◆ymCx/I3enU :2010/06/19(土) 19:18:26 ID:AXKcw10z
【基本ルール】
参加者全員で最後の一人になるまで殺し合って貰い、
最後まで生き残った一人が優勝者となり、元の自分の世界へ帰る事が出来る。
参加者の間のやり取りに反則は無し。ゲーム会場の施設の利用も自由。

ゲームの確実な進行の為、参加者全員に特殊金属製の首輪を装着する。
首輪は無理に外そうとしたり、立入禁止エリアに進入したり、
主催者に刃向かったり(ゲーム進行に大幅な支障を来す恐れがあると判断された場合)
すると爆発する仕掛けになっている。首輪を爆破された参加者は死亡する。例外無し。

ゲーム開始の際、支給品の入った肩提げ式のデイパックを参加者に渡す。
デイパックは四次元構造で、参加者(死体含む)、明らかに規格外の物以外は、
何でも入れる事が出来、重量も変わらない。
最初から入っている物はゲームの舞台の地図、参加者名簿、コンパス、懐中電灯、
懐中時計、メモ帳と鉛筆、水(2リットルのペットボトル入り二本)と食糧(一日三食×三日分)、
武器等のランダム支給品が一個或いは複数個入っている。

0:00、6:00、12:00、18:00に主催者からの放送が行われる。
内容は死者と禁止エリアの発表。

放送から一時間後に指定のエリアが禁止エリアになる。
また、地図の外や上空100メートル以上も禁止エリア扱いとなっている。
侵入すると首輪が作動する。

24時間新たな死者が出なかった場合、その時点での生存者全員の首輪を爆破する。
つまり優勝者無し(ゲームオーバー)となる。 また、参加者が全員死亡しても同様。

【時間帯表記】
深夜:0〜2 黎明:2〜4 早朝:4〜6
朝方:6〜8 午前:8〜10 昼:10〜12
昼間:12〜14 午後:14〜16 夕方:16〜18
日没:18〜20 夜:20〜22 真夜中:22〜24

【会場地図】
沖木島を使おうと思っています。
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Cupertino/1458/map.jpg
192俺得バトルロワイアル2nd・名簿 ◆ymCx/I3enU :2010/06/19(土) 19:20:50 ID:AXKcw10z
≪主催≫
ブライアン@VIPRPG
◆ymCx/I3enU@???
≪見せしめ≫
キャロル@VIPRPG
≪参加者名簿≫
14/14【オリキャラ・新規組】
 ○浅井貴光/○石川信泰/○稲葉憲悦/○神泉賢通/○勤武尚晶/○倉持忠敏/○篠原昌信/
 ○柏木寛子/○倉敷静美/○皐月眞矢/○杉下愛実/○津野美鈴/○成沢由枝/○姫路礼華
12/12【オリキャラ・再戦組】
 ○中山淳太/○本庄忠朝/○伊藤文子/○柴田行隆/○最上佳奈/○アルソンズ・ベイル/
 ○レオーネ/○費覧/○伊賀榛名/○中村アヤ/○セイファート/○ヴェルガー
9/9【自作キャラでバトルロワイアル】
 ○ノーチラス○/卜部悠/○エルフィ/○北沢樹里/○サーシャ/
 ○シルヴィア/○テト/○二階堂永遠/○フラウ
7/7【VIPRPG】
 ○アレックス/○リリア/○デイジー/○ダーエロ/○ムシャ/○アイスV/○ウォーターT
5/5【デジモン】
 ○ガオガモン/○ガルルモン/○グリフォモン/○ケルベロモン/○レナモン
4/4【VOCALOID】
 ○初音ミク/○KAITO/○巡音ルカ/○弱音ハク
3/3【銀魂】
 ○坂田銀時/○土方十四郎/○沖田総悟
2/2【くそみそテクニック】
 ○道下正樹/○阿部高和
1/1【BLOODY ROAEシリーズ】
 ○大神勇吾
1/1【そらのおとしもの】
 ○アストレア
1/1【ドラゴンクエストV】
 ○女賢者
1/1【ドラゴンクエストX】
 ○フローラ

60/60


※出典キャラはことごとく作者の勝手な解釈や書き易くするための若干の改変があります。
※デジモンに関してはキャラ設定はほぼ独自の物となっております。許して。
※変更する可能性もあります。
193 ◆ymCx/I3enU :2010/06/19(土) 19:23:56 ID:AXKcw10z
投下終了です。

今まで通り、好き放題やると思いますがどうか宜しくお願いします。
194創る名無しに見る名無し:2010/06/19(土) 20:04:55 ID:giKIg1DO
四段きたー!
今度は氏が主宰ですかwwww楽しみにしてます!
195創る名無しに見る名無し:2010/06/19(土) 21:15:09 ID:NMoiTk0n
投下乙!
自作ロワの主催者全員参加してるwww
今回はどう展開するか楽しみに観てみます
196 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 00:52:26 ID:rwbLcU4I
投下します。俺得ロワ2nd 1話 銀色の侍と灰色の人狼
登場:坂田銀時、稲葉憲悦
197銀色の侍と灰色の人狼 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 00:53:27 ID:rwbLcU4I
1話 銀色の侍と灰色の人狼


銀髪の天然パーマが掛かった頭を掻きながら、
坂田銀時は自分が置かれている状況を整理していた。

「えーと、何これ? 俺確か昨日の夜は自分の部屋で……寝た筈なんだけど」

目覚めたら大勢の人間や天人らしき獣人、やたらデカい狼や犬がいる広間。
そしてブライアンと名乗る紅白鎧男が宣言したバトルロワイアル――殺し合いの開催。
自分を含む参加者全員の首にはめられた、冷たい金属製の首輪。
この首輪がどういう物かはキャロルとか言う、ブライアンの知り合いと思しき魔法使い風の女が、
首輪を爆破され殺された事により既に知っている。

「何でこんな事になっちまったんだ? ったく、面倒な事になっちまったぜ」

そう言いながら足元に落ちていた黒いデイパックを手に取り中身を確認する。
チャックを開け、まず取り出したのは会場の地図だった。

「地図か。どれどれ……沖木島? そういや遠くに海が見えるな」

地図には沖木島という小さな島の地図が描かれていた。
鎌石村、平瀬村、氷川村の三つの小さな集落があり、
中央に神塚山という低い山、他にもホテル跡、トンネル、灯台など多くの施設がある。
マス目でA-1〜J-10、100ものエリアに区分されている。

次に参加者名簿。開いてみると全部で60人の参加者の名前が書かれていた。
開催式の時に殺されたキャロルの名前は無い。
確かブライアンも見せしめのためだけに呼んだ、といった事を言っていた。
代わりに二人と知り合いと思われるデイジーという女の名前は見付かった。

「おいおい、土方と沖田もいんのかよ」

そして銀時は自分も良く知る、真選組の副長土方十四郎、
同じく真選組の一番隊隊長沖田総悟の二人の名前を発見する。

「ま、あいつらは簡単にゃくたばらねぇだろ。新八や神楽じゃなくて良かったぜ」

名簿をしまい、コンパス、メモ帳と鉛筆、懐中電灯、懐中時計、水と食糧、
その次に出てきた物は一振りの刀、三つの発煙手榴弾だった。

「刀ね。こりゃいい。有り難く使わせて貰うとすっか」

発煙手榴弾をデイパックの中にしまい、刀――九五式軍刀を腰に差す銀時。
侍であり剣術に関しては卓越した能力を持つ銀時にとって非常に適性のある武器と言えよう。
但し、銀時自身は殺し合いに乗る気は毛頭無い。
しかしこれから先、襲い掛かられる事もあるだろう。自衛のための武器は必要だった。

支給品の確認を終えた所で、銀時は改めて周囲を見渡す。
正面に海が見え、後方には山が見える。自分は山の斜面に立っているようだった。

「道があるな……行ってみるか」

銀時はデイパックを肩から提げ、銀時はかなり丈の長い雑草に覆われた斜面を下って行く。
198銀色の侍と灰色の人狼 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 00:54:34 ID:rwbLcU4I
一応道は舗装はされているようだったが
複雑な地形に沿って作られているためかかなりカーブを描いていた。
アスファルト上で、自分の支給品を確認する二足歩行の狼、いや、人狼がいた。
濃い灰色の毛皮を持った人狼、稲葉憲悦は参加者名簿を覗き込む。

「知ってんの一人だけいるわ」

知り合いの名前を見付け尻尾を振りながら憲悦は言う。
柏木寛子――元は有数の富豪の令嬢だったが、家が没落し、
借金のカタに自分が所属する裏組織に売られた少女。
性奴隷調教師である憲悦は柏木寛子の担当になり日夜調教に励んでいたのだが。

「殺し合いね……あいつどうなってるかな、半分くらい仕上がってるんだけど」

突如自分と柏木寛子が巻き込まれたこの殺し合い。
首には爆発すると死ぬ死の首輪。
一体なぜ、自分がこんなゲームに参加させられているのかは分からないが、
取り敢えず言える事は彼自身は進んで殺し合いをする気は無い、と言う事。
ここで憲悦は、既に性奴隷として仕上がり始めていた柏木寛子の事が少し気になった。
元々は穏やかで、気立ても良く、優しい性格の彼女だが、
数週間に渡る調教の末に淫乱になり始めている。
そんな柏木寛子がこの殺し合いという状況でどう動くのか気になるものはある。

「気が向いたら捜してみようか。どれ……」

名簿をしまい憲悦は武器などのランダム支給品を確認する。
出てきた物はサーベルと、非常に小型の自動拳銃とその予備弾倉三つだった。

「何だかちっこい銃だな、威力弱そうだ……サーベル使うか」

余りに小型で貧相に思えた拳銃――FNポケットモデルM1906は非常用にし、
片手持ちの曲刀、サーベルをメインに使う事にした。

「さて、どこに行こう……ん? おい、誰かいるのか?」

背後の茂みからガサガサと、風では無い明らかに人工的な物音を聞き、
憲悦はサーベルの切っ先を音のした方向に向ける。

「待て待て。俺は殺し合いには乗ってねえ」

そう言いながら茂みから出てきたのは腰に刀を差した銀髪の侍、坂田銀時。
憲悦の姿を確認した時、死んだ魚のようだった銀時の目が驚きに見開かれる。
当然である。彼の生きる世界に、二足歩行で歩く狼は普通存在しないのだから。
恐らく天人の一種、宇宙生物の類だろうと自分の中で結論付け、人狼と会話に臨む。

「殺し合いに乗ってないって本当か?」
「本当だ。あんな見ず知らずの鎧男の言いなりになる気はねえ。
俺はいつもてめーのルールで生きてんだ」
「ふーん」

しばらく警戒してサーベルを向けていた憲悦だったが、
信じても良さそうと判断し刃を下ろす。
199銀色の侍と灰色の人狼 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 00:55:50 ID:rwbLcU4I
「俺、稲葉憲悦ってんだ。あんたは?」
「坂田銀時だ。憲悦だったか? お前、この殺し合いには……」
「乗ってない。俺もね、あんたとどう意見だよ坂田さん。
それじゃ、俺行くわ。頑張ってね」
「え? おいおい、一人で行くのか? 折角出会ったんだ、一緒に行動しねえか」
「冗談。ムサイ男と一緒はごめんだよ」
「毛むくじゃらの奴に言われたかねーんだよ! って、おい! あらら……行っちゃったよ」

かなりの速さで走り去っていく灰色の人狼の背を見送り、
銀時は溜息をつきながら反対方向を向く。
道路の形状や周囲の風景、コンパスが示す方角から察するに、
現在位置は地図で言うI-4辺りだと銀時は推測した。
憲悦が走り去った方角とは逆に道なりに進んでいけば氷川村に辿り着くようだ。

「行く宛てなんてねえし、行ってみるか……」

地図やコンパスをしまい込み、銀時は憲悦とは逆方向に歩き始めた。

「……あの憲悦って奴……チ■コ丸出しだったな……。
普通にブラブラさせてたけど……ああ、獣だからセーフって訳?」

最初に憲悦と遭遇した時に驚いた、もう一つの理由を呟きながら。



【一日目/朝方/I-4道路】
【坂田銀時@銀魂】
[状態]健康、氷川村方面へ移動中
[装備]九五式軍刀
[所持品]基本支給品一式、M18発煙手榴弾(3)
[思考・行動]
 基本:殺し合いをする気は無い。但し襲われたら戦う。
 1:氷川村へ行ってみる。
 2:真選組の二人(土方十四郎、沖田総悟)は取り敢えず放置。遭遇したらその場その場で対応。
[備考]
 ※原作真選組動乱編以降の参戦です。
 ※参加者の獣人や規格外の獣を天人や宇宙生物の類と思っています。
 ※稲葉憲悦の名前・容姿を記憶しました。

【稲葉憲悦@オリキャラ・新規組】
[状態]健康、平瀬村方面へ移動中
[装備]サーベル
[所持品]基本支給品一式、FNポケットモデルM1906(6/6)、
FNポケットモデルM1906予備弾倉(6×3)
[思考・行動]
 基本:殺し合いをする気は無い。但し襲われたら戦う。
 1:柏木寛子は取り敢えず放置。遭遇したらその場その場で対応。
 2:可愛い女の子と会いたい。
[備考]
 ※坂田銀時の名前・容姿を把握しました。
200銀色の侍と灰色の人狼 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 00:57:16 ID:rwbLcU4I
≪支給品紹介≫
【九五式軍刀】
昭和10年(皇紀2595年)に開発、旧日本軍に制定された軍刀。
研究改良の末に頑丈かつ実戦向きの物となっている。
本ロワに登場する物は再初期型。

【M18発煙手榴弾】
3〜5秒間の遅延信管を持つ発煙手榴弾で主に信号用として用いるが、
都市部の戦闘に際して隠蔽目的での使用も可能。
セーフティーピンを抜いて投擲後発煙を開始、約50〜90秒間燃焼し発煙する。
本ロワに登場する物は赤色の煙を発するタイプ。

【サーベル】
片刃の曲刀。柄には護拳と呼ばれる枠状、
もしくは半円の大きな鍔がついており、指や手を保護するように作られている。

【FNポケットモデルM1906】
1906年に発売されたポケットに入るサイズの超小型自動拳銃で、
携帯性が高く護身用として人気を博した。
使用する.25ACP弾は威力が低く致命傷を与えるのが難しい。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】稲葉憲悦(いなば・のりよし)
【年齢】26
【性別】男
【職業】性奴隷販売地下組織所属・調教師
【性格】基本、お気楽主義。だが冷酷な一面も持つ。サド気味
【身体的特徴】濃い灰色の毛皮を持った獣足の狼獣人。手足の先端及び、
    下顎から腹部にかけてが白い毛皮。良く引き締まった身体付き。巨根
【服装】全裸(服を着るという概念が無い)
【趣味】映画観賞(主にアクション映画、官能映画)、音楽鑑賞(主にバラード系)
【特技】調教、銃や剣等の武器の扱い、自己流の格闘術
【経歴】孤児だったのを組織に拾われ、18歳の頃から調教師の仕事を始める。
    彼が手がけた性奴隷は実に質が良いと買い手達から好評。
【備考】職業柄危険な目に遭う事も多いので剣や銃の扱い、格闘技にある程度通じている
201 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 00:59:52 ID:rwbLcU4I
投下終了です。今回も支給品はオリジナルか現実で行きます。
ケモノのオリキャラに和風の名前付けるのが好きな自分。
202 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 02:41:49 ID:rwbLcU4I
投下します。俺得ロワ2nd 2話 「ワカラナイ」
登場:卜部悠、デイジー
203「ワカラナイ」 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 02:43:13 ID:rwbLcU4I
2話 「ワカラナイ」


少女、卜部悠は憤っていた。
何故、殺し合いを行っている側だった筈の自分が殺し合いをしなければならないのか。
ある事を確認すべく殺し合いの舞台になっている島に上陸し、
自分の探し人と間違えて遭遇したクラスメイトに撃たれた辺りで記憶が飛んでいる。
しかしそんな事は今の悠にとってどうでも良い事だった。

「冗談じゃ無いわよ、何で私が殺し合いなんかしなきゃいけないの……。
クラスメイトが何人かいるし、おまけに、一緒に主催やってた永遠とテトもいるし」

名簿には、クラスメイト数人の名前が記載されていた。
ノーチラス、エルフィ、北沢樹里、サーシャ、シルヴィア、テト、二階堂永遠、フラウ。
二階堂永遠とテト以外は、皆死んだ筈だった。自分と永遠、テトによる殺し合いで。
だが名簿に名前が記載され、おまけにあの開催式の場で、ちらっとではあるが、
悠は何人かのクラスメイトの姿を確認した。

「生き返らせたとでも言うの? 何なのよあのブライアンって奴は……。
まあいいわ。殺し合い、やってやろうじゃないの」

自分の支給品である大型リボルバー拳銃コルト アナコンダを握り締め、
悠は林の中を歩いて行く。

そしてしばらく歩くと小さな社のある開けた場所を発見した。どうやら神社のようだ。
地図のE-2エリアに「菅原神社」とあったが恐らくここがそうなのだろう。

「!!」

賽銭箱の前にある小さな階段に、青い帽子と服を着た眼鏡を掛けた女性が座っていた。

(あいつは確か、開催式の時の……)

悠はその女性の事を覚えていた。開催式の時に首輪を爆破されて死んだ
キャロルという女の知り合い――確か、デイジーだっただろうか。

(こっちには気付いてないみたい……よぉし……)

笑みを浮かべながら、悠はアナコンダのグリップを握り締めた。



殺し合いが始まってからと言うもの、デイジーはスタート地点の近くにあった、
古びた神社の小さな階段に座り込み、震えていた。

「キャロルさん……」

開催式の時に首輪を爆破されて殺された友人の名を呟く。
蘇生魔法で生き返らせようとしたが、出来なかった。
主催者のブライアン曰く、強力過ぎる魔法や特殊能力は使えなくしたらしい。
デイジーも確認してみた所、ほとんどの魔法が使えない事が分かった。
ちょっとした傷を治す程度の弱い回復魔法ぐらいしか使えない。
魔法が使えなくなった自分はただのひ弱な女性に過ぎないのだ。
204「ワカラナイ」 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 02:44:35 ID:rwbLcU4I
「どうしてこんな……ブライアンさん……」

名簿に書かれている勇者のアレックスや、自分達の仲間である筈の戦士ブライアン。
一体なぜこんな狂っているとしか言いようの無いゲームを強制するのか。
いくら考えても分からなかった。

分かっているのはキャロルの命を奪った首輪が自分の首にもはめられているという事。
自分のデイパックの中に入っていたネイルハンマー、これを使って殺し合いをしなければ、
自分もキャロルのように死んで行く、という事だった。

「い、嫌……そんなの、出来ないよ……」

だが、そう簡単に人殺しという人間にとって最大の禁忌を破る事は出来ない。
ましてや自分は僧侶、聖職者なのだ。

「アレックスさん、リリアさん、みんな……」

この殺し合いに呼ばれている自分の仲間の名前を呟くデイジー。
会いたかった。一人では恐怖と不安で押し潰されそうになるから。


不意に、何かが破裂するような音が響き、デイジーの座る階段下の石畳が抉れた。

「!?」

一瞬、何が起きたのかデイジーは分からなかったが、
再び破裂音が響き、デイジーのもたれていた賽銭箱に大きな穴が空いたのを見て、
ようやく自分が銃で狙撃されている事に気付いた。
見れば、自分に銃らしき物を向けている学生服姿の少女がいた。
少女――卜部悠は思い通りに弾丸が当たらない事に苛立つ。

「くそぉ!!」

再び引き金を引くが、大きく銃口が跳ね上がり悠の身体のバランスも一定しない。
強力な.44マグナム弾の威力は小柄な悠の身体では制御は難しかった。

「何で当たらないのよ!」

文句を言いながら、再び銃口をデイジーに向けようとした時だった。

「ぎゃっ!!」

何か重い物が悠の額に当たり、衝撃で悠は仰け反り思わずアナコンダを手放してしまった。
激痛に頭を押さえる悠。手を離して見てみれば血が付いていた。
あのデイジーのせいに違いない。殺し合いをさせる側からする側へ転落した不満も相まって、
悠の怒りは頂点に達した。

だが――次の瞬間、聞き慣れた銃声と共に腹部に衝撃、そして、
焼けるような痛みが悠を襲う。
205「ワカラナイ」 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 02:45:59 ID:rwbLcU4I
「がはっ……!? な、何」

状況を把握しようとしたが二発目の弾丸が悠の胸元を貫きそれは阻害される。
喉の奥から鉄の味がする液体が溢れ、身体中の力が抜けていく。

(そ、そんな、嘘、私、死ぬの? 嫌、嫌よ、こんな所で死にたくない)

いくら意識を保とうとしても無駄だった。悠の意識は急速に闇に呑まれていく。

(嫌よ、こんなの、嫌あああああ…………!)

絶望と生への渇望の中、卜部悠は二度目となる死を迎えた。



自分を襲った少女――卜部悠の死体を見下ろしながら、
彼女が持っていたリボルバー、コルト アナコンダを持ったデイジーは息を乱していた。
心臓の鼓動が異常に早いのが分かった。

「こ……殺した……私……人を……知らない女の子を……」

命の危機を感じたデイジーは、咄嗟にネイルハンマーを少女に向かって投げた。
ネイルハンマーは少女の頭部に命中し、大きくよろけた少女は持っていた拳銃を離し、
頭を押さえて悶絶した。

後は身体が勝手に動いていた。地面に落ちたリボルバーに向かってデイジーは走り、
それを拾い、少女に向けて引き金を引いた。
二発の弾丸を胴体に食らった少女は大量に血を吐き、地面に倒れ、死んだ。
少女は間違い無く自分を殺そうとしていたのだから恐らく正当防衛に当たるだろう。
だが、それでも「人を殺した」という現実は優しい性格の彼女にとって、
余りにも重く、辛過ぎた。

「……私は、どうすれば、いいの……うっ……あ……ああああ……っ」

最早自分がどうしていいのか分からない。
デイジーはその場に膝を付き、持っていたアナコンダを落とし、
両手で顔を覆い泣き始めた。


【卜部悠@自作キャラでバトルロワイアル  死亡】
【残り59人】
206「ワカラナイ」 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 02:47:07 ID:rwbLcU4I
【一日目/朝方/E-2菅原神社境内】
【デイジー@VIPRPG】
[状態]精神的疲労(大)、深い悲しみ、絶望、嗚咽
[装備]コルト アナコンダ(1/6)
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:もうどうしていいのか分からない。
[備考]
 ※魔法に制限が掛かっている事を知りました。


※菅原神社境内のどこかにネイルハンマーが落ちています。



≪支給品紹介≫
【ネイルハンマー】
柄の先に鉄製の槌のついた、木材に釘などを打ちつける用途の道具。

【コルト アナコンダ】
1990年に発表されたコルト社初の.44マグナムリボルバー拳銃。
外観は同社の有名なリボルバー、パイソンに似ているが内部機構が見直され、
パイソンよりも生産コストが低く強度も高い。
207 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 02:47:51 ID:rwbLcU4I
投下終了です。
208創る名無しに見る名無し:2010/06/20(日) 14:21:51 ID:pcb0xoSv
投下乙
空気主催ト部、速攻で散る…。
209 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 22:44:06 ID:rwbLcU4I
投下します。俺得ロワ2nd 3話 黒き獣達
登場:セイファート、ケルベロモン
210黒き獣達 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 22:45:52 ID:rwbLcU4I
3話 黒き獣達

森の中にある大きな池の畔で、黒いコートのような服を着た、
黒い毛皮のオッドアイの狼獣人の女性、セイファートは支給品を確認していた。

「これは……サブマシンガンね」

出てきた物は短機関銃、IMIミニウージー。
当たりを引いたとセイファートは喜ぶ。
ミニウージーを装備し、セイファートは立ち上がった。

「殺し合いねえ……随分とまあ酔狂な事を」

何の前触れも無く参加させられたこのバトルロワイアルという殺し合いゲーム。
首には爆薬内蔵の絶対に外せない首枷がはめられている。
無理に外そうとしたり、主催者に刃向かえば開催式の時に殺された女のようになる。
魔法の類も強力な物や便利な物は一切使えなくなっているようだった。
魔道士であるセイファートもまた然り。

「まあ、一応魔法無しでも戦えない訳じゃないけどさ。
さて、これからどうしようかな。ヴェルガーもいるみたいだし……」

殺し合いに呼ばれている唯一の知り合いで自分の忠実な下僕たる、
白妖狼のヴェルガーの名前を呟きながらセイファートはこれからどうするか考える。

「……?」

セイファートの顔色が変わる。背後から感じる、そして迫る殺気。

「なっ……!」

振り向いた時、彼女が見た物は、異常に長く鋭い爪を自分に向かって振り下ろす、
黒い獣の姿だった。



仕留めた。右前足の爪に確かな手応えを感じ、黒い獣――ケルベロモンは確信した。
だが、その確信は次の瞬間に驚愕に変化する。

「な、何!?」

目の前に舞う、ズタズタになった黒いコート。
だが、肝心の中身、黒い狼獣人の女デジモンはどこにもいない。
211黒き獣達 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 22:47:21 ID:rwbLcU4I
「ッ!!」

何かを感じ取ったケルベロモンは後ろへと跳んだ。
次の瞬間、ケルベロモンが立っていた場所の地面が無数の弾丸により抉れた。
見れば、短機関銃を片手に構えた白いシャツ姿の狼獣人の女デジモンがいる。
それは間違い無く自分が引き裂いた黒いコートの持ち主だった。

「あーあ、それ特注なのよ。お気に入りだったのに、どうしてくれるのよ」

自分の上着を駄目にされた事に怒り気味の狼女――セイファート。

(何て奴だ、一瞬で上着を脱いで俺の攻撃をかわしたのか……)

予想を遥かに超える相手の反射神経、いや、動作の速さに舌を巻くケルベロモン。
そう考えている内に再びセイファートはミニウージーの引き金を引いた。
掃射される9ミリパラベラムの弾丸を走りながら回避するケルベロモン。
ここは一度退くべしと考え、木々生い茂る森の奥へと逃げ込み、姿を消した。

「あ、弾切れた」

ミニウージーの残弾が底をつき、マガジンキャッチを押して空の弾倉を排出し、
デイパックの中から予備の弾倉を取り出し装着する。

「逃げちゃったみたいね。あーあ……これじゃもう着れないや」

ケルベロモンの鋭い爪によりズタズタになった自分の上着を見てがっかりするセイファート。
下に着込んでいた白いシャツは無事だったのが幸いだった。
ケルベロモンを追おうとも考えたが、無理に追い掛ける必要も無いと判断しやめる。

「さてと……」

これ以上、池しか無いこの場所に居ても何の収穫も無さそうだ。
地図にはD-4に高原池、H-6に源五郎池の二つの池があるが、
規模からして恐らくここは源五郎池だろう。
ならば南へ行けば氷川村という集落に出れるようだ。
セイファート自身に、殺し合いを拒絶する理由は無い。
自分の忠実な下僕、ヴェルガーならきっと喜んで自分に命を捧げるだろう。
あのブライアンとか言う戦士風の男の言いなりになるのは少々癪だが、
優勝を目指してみるのも悪く無いだろう。

「フフフ……」

不気味に笑いながらセイファートは氷川村を目指し歩き始めた。
212黒き獣達 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 22:48:30 ID:rwbLcU4I
黒い獣――ケルベロモンは、呼吸を整えながら背後を振り向く。
どうやらあの狼獣人女デジモンが追ってくる気配は無い。振り切る事に成功したようだ。

「ちっ、無様だな、俺……」

折角最初の獲物を見付けたと言うのに仕留め損ね、
返り討ちになる形で逃げる羽目になるとは。

「まあいい、次に会った奴は必ず……」

次こそは確実に殺すと、ケルベロモンは心に誓った。


【一日目/朝方/H-6源五郎池周辺】
【セイファート@オリキャラ・再戦組】
[状態]健康、上着無し(シャツ着用)、氷川村方面へ移動中
[装備]IMIミニウージー(32/32)
[所持品]基本支給品一式、IMIミニウージー予備弾倉(32×4)
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
 1:氷川村へ向かう。
 2:ヴェルガーは取り敢えず放置。遭遇したらその場その場で対応。
[備考]
 ※個人趣味バトルロワイアル構想前からの参戦です。
 ※黒い獣(ケルベロモン)の容姿を記憶しました。

【ケルベロモン@デジモン】
[状態]健康
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(1〜?)
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。
 1:獲物を捜す。
[備考]
 ※参加者の獣人や獣を全員デジモンだと思っています。
 ※黒い狼獣人の女デジモン(セイファート)の容姿を記憶しました。
 ※性格、口調等の設定は作者独自の物です。


※H-6一帯に銃声が響きました。


≪支給品紹介≫
【IMIミニウージー】
IMI社の堅牢な短機関銃ウージーの小型版。
ストックがスチールワイヤ型に変更され銃身が短縮されている。
また小型化に伴い増大したマズルジャンプを抑えるため銃口上部に
コンペンセイター口が設けられている。
213 ◆ymCx/I3enU :2010/06/20(日) 22:49:19 ID:rwbLcU4I
投下終了です。
214 ◆ymCx/I3enU :2010/06/21(月) 23:48:41 ID:bTBlyTxs
投下します。俺得ロワ2nd 4話 逃亡、追撃、既視感
登場:女賢者、篠原昌信、北沢樹里
215逃亡、追撃、既視感 ◆ymCx/I3enU :2010/06/21(月) 23:49:37 ID:bTBlyTxs
4話 逃亡、追撃、既視感


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

女賢者は走っていた。森の中に作られた山道を。
体力にも持久力にも自信は無かったが、走るしか無かった。
背後に危険が迫ってきているから。
青い髪の美少女の十数メートル後ろから、右手に鉈を持った豹獣人の青年が、
血走った目で女賢者を追走していた。

「ゼエ、ゼエ、逃がすか……!」

殺気が籠ったその口調から、青年が女賢者を殺そうとしているのは明らかだった。

(何で、何でこんな事になってるの!? 誰か、誰か助けて……!)

勇者達仲間と共に大魔王ゾーマを打倒し、平和な毎日を送っていたと言うのに。
いきなりバトルロワイアルという殺し合いゲームの参加者となってしまった。
首には無理に外そうとしたりすれば爆発する首輪。
そして、自分が肩から提げているデイパックに入っていた、鋭い刃を持つ大型ナイフと、
なぜか何の変哲も無いラッパ。
何より、自分が今、豹の頭をした獣人に追われているという事実が、
殺し合いの場に立たされているという現実を否応無しに自覚させられた。

とにかく足場の余り良く無い山道を走る女賢者。
だがこのままでは明らかに体力に勝る豹青年に追い付かれるだろう。
疲労と焦りで思考回路も上手く働かない。
分かってはいても走り続けるという選択肢しか彼女は選べなかった。



茶髪セミロングの少女、北沢樹里は、自分のスタート地点の山道で、
周囲の風景を見回していた。
木漏れ日の差し込む森が広がっている。

「まさか、生き返ってまた殺し合いをやる事になるなんて……」

彼女は、一度別の殺し合いで死んだ身のはずだった。
死んだ理由は――痴情のもつれ、である。これ以上は言うまい。
とにかく死んだ筈なのに、自分は今こうして生きており、立っている。呼吸もしている。
それに――。

「足、治ってる……」

失った筈の右足が、何事も無かったかのように元通りになっていた。
走る事が何よりの生きがいで、それを失い絶望し自暴自棄になっていた彼女にとって、
これ程嬉しい事は無い。
しかし――殺し合いという状況からは抜け出せていない。

「これ……愛餓夫が使ってた銃に良く似てるけど」

自分の支給品であるレバーアクション式小銃――ウィンチェスターM1873を持ち、
まじまじと見詰める樹里。
この他にもう一つの支給品として、栄養ドリンクセットが入っていた。
説明書がかなり親切だったため、M1873の使い方は一通り覚えた。
次の問題は、これを使い殺し合いに乗るか、それとも抗うか、だが。
216逃亡、追撃、既視感 ◆ymCx/I3enU :2010/06/21(月) 23:50:45 ID:bTBlyTxs
「ど、どいてえっ!!」
「え? ……べっ!?」

背後から聞こえた声に振り向いた直後、かなりの勢いで走ってきた何者かと激突する樹里。
そのまま、その人物と共に地面に倒れ込んでしまう。

「いたたた……ちょっと何……?」

強かにぶつけた尻を擦りながら樹里が自分にぶつかった人物を確認する。
それは青い髪の、同じく青いマントに白い丈の短いローブを身に纏った、
そしてかなりスタイルの良い美少女。自分と同年代と思われる。

「ご、ごめんなさい……」
「い、いや……どうしたの? 誰かに追われ――!」
「ゼエ、ゼエ、やっと追い着いたぜ」

樹里が青髪の少女が走ってきたと思われる道の向こうから、
殺気立った豹獣人の青年が現れたのを確認する。
どうやら少女はあの豹青年に追われてきたらしい。

「ん? もう一人増えてるな……まあいい、二人とも殺るだけだ!!」

豹青年が手に持った鉈で樹里と少女――女賢者に襲い掛かる。

(やばい!)

身の危険を感じた樹里は咄嗟に落ちていたM1873を手に取り、
豹青年に銃口を向け、引き金を引いた。

「がっ……!」

銃声が響き、豹青年の右肩から鮮血が噴き出した。

「があああああ!! いってえええ……!!」

余りの激痛に傷口を左手で押さえて苦しむ豹青年。
そして樹里を一度睨み付けると、元来た道を走って逃げて行った。
M1873のレバーを操作し空薬莢を排出、次弾が撃てる状態にし、
樹里はまだ地面にへたり込んでいる女賢者の元へ近付いた。

「貴方大丈夫? 随分走ってきたみたいだけど」
「は、はい……ありがとうございます。助かりました」

女賢者は死に直面し必死に走ってきたせいか、息が荒く震えていた。
217逃亡、追撃、既視感 ◆ymCx/I3enU :2010/06/21(月) 23:51:47 ID:bTBlyTxs
「私は北沢樹里。貴方は?」
「私は……フィーナって言います」
「フィーナ? 名簿にはそんな名前無かったけど……」

既に名簿は確認していた樹里は、女賢者の本名、フィーナには覚えが無かった。

「はい、私、『女賢者』という名前で名簿には書かれているんです」
「女賢者? ……何それ」
「私、賢者なんです」
「……はぁ??」

樹里には女賢者の言っている事がまるで理解出来なかった。
当然である、樹里の世界で言う賢者と、女賢者の世界で言う賢者は全くの別物なのだから。
話が上手く通じない事に困惑する女賢者。

「……まあいいわ。こんな所で立ち止まってても危ないから歩きながら話しよう」
「は、はい」

余りじっとしているのも危険だと考え、樹里はまだ震えている女賢者をそっと立たせ、
山道を歩きながら話し合ってみる事にした。

(あれ、そう言えばさっきの状況、どこかで見たような……どこだったっけ……?)

先程自分が女賢者と遭遇してから銃で豹獣人を撃退するまでの流れと、
よく似た体験を樹里はしていたのだが、よく思い出せないでいた。




豹青年――篠原昌信はある木の根元にもたれ掛かり、
上着を破いて銃弾を受けた右肩に巻き応急処置を施していた。

「くそっ、あのアマ……血が止まらねえぞ」

激痛に耐えながら鋭い牙の並んだ口で破いた上着の切れ端を引っ張る。
銃創からは少なくない量の血液が流れ落ち、黄色い毛皮に黒い斑点模様のある、
豹獣人の毛皮を赤く濡らす。

「次会ったら、絶対殺してやるっ……」

僅かに葉の間から空が覗く天を仰ぎながら、怒りの籠った口調で昌信は言った。
218逃亡、追撃、既視感 ◆ymCx/I3enU :2010/06/21(月) 23:54:29 ID:bTBlyTxs
【一日目/朝方/G-7山道西】

【女賢者@ドラゴンクエストV】
[状態]肉体的疲労(中)、恐怖(中)
[装備]サバイバルナイフ
[所持品]基本支給品一式、信号ラッパ
[思考・行動]
 基本:殺し合いはしない。生き残りたい。
 1:樹里さんについて行く。
[備考]
 ※ゾーマ打倒以降からの参戦です。
 ※呪文に制限が掛かっている事を知りました。
 ※北沢樹里を自分と同じ世界の人間だと思っています。
 ※本名は「フィーナ」という設定です。

【北沢樹里@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]ウィンチェスターM1873(13/14)
[所持品]基本支給品一式、.44-40ウィンチェスター弾(28)、栄養ドリンクセット(8)
[思考・行動]
 基本:今の所殺し合いをする気は無い。襲われたらそれなりに対処。
 1:フィーナ(女賢者)から話を聞く。
 2:クラスメイト達については保留。
[備考]
 ※自作ロワ死亡後からの参戦です。

【一日目/朝方/G-7山道東】
【篠原昌信@オリキャラ・新規組】
[状態]右肩に銃創(応急処置済だが出血が酷い)
[装備]鉈
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(本人確認済)
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
 1:茶髪セミロングの学生服姿の少女(北沢樹里)は今度会ったら絶対に殺す。
[備考]
 ※女賢者、北沢樹里(いずれも名前は知らない)の容姿を記憶しました。


※G-7一帯に銃声が響きました。
219逃亡、追撃、既視感 ◆ymCx/I3enU :2010/06/21(月) 23:55:10 ID:bTBlyTxs
≪支給品紹介≫
【サバイバルナイフ】
大型のシース(鞘付き)ナイフ。刃の背に金属を切断する鋸刃が付いている。

【信号ラッパ】
音楽を演奏する普通の楽器としてでは無く、
信号を周りに伝える道具(連絡手段)として主に用いられるラッパの一種。

【ウィンチェスターM1873】
1873年に発売されたレバーアクション小銃。
銃身下に長い筒型弾倉を持ち最大14発を装填可能。
美しい外観から登場から100年以上経過した現代でも人気の有る銃。
本ロワに登場する本銃が使用する弾薬、.44-40ウィンチェスター弾は拳銃弾。

【栄養ドリンクセット】
栄養ドリンクが8本でセットになっている物。

【鉈】
枝打ち、木を削る、雑草を払う、動物を解体するなどの目的で使われる刃物。
刀身が厚く丈夫で、刀身の重さを利用して叩き切る。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】篠原昌信(しのはら・まさのぶ)
【年齢】20
【性別】男
【職業】大学生、ガソリンスタンドのバイト
【性格】明るく陽気だが、非常時には器の小ささを露呈する事も
【身体的特徴】豹の獣人。それなりに引き締まっている身体
【服装】黒いタンクトップの上に半袖の白い薄手のジャケット、灰色のズボン
【趣味】ツーリング
【特技】手先が器用
【経歴】高校一年の時に両親から、自分は父親が母親を強姦した結果生まれたのだと
    聞かされた時、一時的に軽い鬱になった
【備考】狼や狐、竜ばかりじゃなくって猫科の獣人出そうとした結果がこれだよ!
220 ◆ymCx/I3enU :2010/06/21(月) 23:56:27 ID:bTBlyTxs
投下終了です。篠原はどう見ても前回の元村と被ってるような希ガス
221創る名無しに見る名無し:2010/06/22(火) 00:06:32 ID:Iv1GtcqI
投下乙。
逃げる女の子、ウィンチェスター、人生三度目のバトロワ出場オメな樹里ちゃん。何となく既視感が…。
222 ◆ymCx/I3enU :2010/06/22(火) 22:45:32 ID:nOvw0x/W
投下します。俺得ロワ2nd 5話 血みどろの輪舞曲(ロンド)
登場:アレックス、フローラ
223血みどろの輪舞曲(ロンド) ◆ymCx/I3enU :2010/06/22(火) 22:46:53 ID:nOvw0x/W
5話 血みどろの輪舞曲(ロンド)


アレックスは怒りと悲しみ、疑念がない交ぜになった複雑な感情を抱いていた。
バトルロワイアル――この殺し合いの主催者である紅白の鎧を着た男、ブライアン。
自分の親友であり仲間である筈の彼がなぜこんな馬鹿げた殺し合いを開いたのか。
いくら考えても納得の行く答えは出せそうに無かった。

「キャロル……」

そして、ブライアンの手によって、仲間の一人が無惨に殺された。
魔法使いのキャロル――ブライアンとも親しかった筈だと言うのに。
首輪を爆破され、見せしめにされたのだ。
ブライアンに対して怒りや憎しみがわかない訳が無い。だが出来る事ならそういう負の感情を、
大切な親友に対して抱きたくは無かった。だが――。

「くそっ、ブライアン、どうしてこんな事を……!」

名簿には仲間のリリア、デイジー。魔王軍四天王の内の二人、ダーエロとムシャ、
魔法具現化のウォーターTとアイスVの名前もあった。
特にデイジーは、ブライアンと同じくキャロルと親しい仲だった。
開催式の時、キャロルの死体に駆け寄り必死に蘇生魔法を掛けたが無駄だった。
どういう手を使ったかは知らないが強力過ぎる魔法や便利な魔法は使えなくなっている。
せいぜい軽傷を直す程度の回復魔法しか使えない。

「ブライアン……俺は殺し合いなんかしないよ。絶対に。
こんな殺し合い……絶対に潰してやる!!」

はっきりと、殺し合いを拒絶する意を口にするアレックス。
その瞳には確かな光が宿っていた。




「……ちょっとシリアスに決めてみましたー」
「これはひどい」

林の中に流れる小川の畔で、アレックスは先程までとは打って変わって、
のんびりとした表情、雰囲気になっていた。
傍には殺し合いが始まってそう時間が経たない時に出会った、
リボンを頭に付けた青髪の美しい女性――フローラがやや呆れた表情を浮かべていた。

「い、いや、でも嘘じゃないよ。俺はこの殺し合いを止めるつもりさ」
「そうですか……私も手伝います、アレックスさん」
「ああ。ありがとうフローラさん」

フローラが浮かべる屈託の無い笑顔に思わず和むアレックス。
まさかこんな女性が殺し合いに乗る訳は無いだろうと思っていた。
224血みどろの輪舞曲(ロンド) ◆ymCx/I3enU :2010/06/22(火) 22:47:45 ID:nOvw0x/W
「アレックスさん、これ、どうですか? 私の支給品だったんですけど」
「ん? これは……缶入りのアイスココアか」

フローラは自分のデイパックからアイスココアの缶を取り出し、アレックスに手渡した。
丁度喉も乾いていたので、アレックスは何も考えず缶を開け、中身のココアを飲み始める。
一瞬、何か違和感のような物を覚えたが、それでもアレックスは気にしなかった。
もっとも気付いていたとしても、ココアを飲んでしまった以上、手遅れであったが。

「……どうですか?」

フローラがなぜかおどおどしながらアレックスにココアの味を聞く。
無論、理由はあった。だが、それを当人に言う訳にはいかなかった。

「ん? 普通に美味しいよ…………?」

突如、アレックスの様子が変わった。

「あ……があ……っ!?」

急に喉元を両手で押さえ苦しみ出した。そして。

「ごほぉ!!」

口から大量の鮮血を溢れさせ、白目を剥き、
もはや直視出来ない程にあがき、苦しむアレックス。

「ぅ、あ゛、ぁぁああ、ふ、フローラ、さ」

傍にいるフローラに助けを求めようとして彼女の顔に視線を向けた時、アレックスは見た。
死にゆく自分を、まるで実験動物が死にゆく様を冷静に見詰める冷徹な研究者にような目で、
何もせずただひたすらに見るだけの青髪の女性の姿を。
その瞬間、アレックスはやっと気付いた。フローラの真意に。

だが、もう何もかも遅かった。
ぱたりとアレックスは動かなくなった。もう二度と動く事は無かった。

「……ごめんなさい、アレックスさん」

決して許されざる罪だとは分かっていても謝罪の言葉は口から出てしまう。
フローラはアレックスに手渡し、今は空になり地面に転がっているアイスココアの空き缶を、
そっと拾い上げて観察する。
フローラの支給品――猛毒入りアイスココア。
見た目も味も普通のアイスココアと何も変わらず、少し飲んだだけで致死量になると、
説明書には書かれていた。
だが、実際どうなるのか、それはやはり実践でなければ分からなかった。
故に、フローラは殺し合いに反する考えを持ち、自分を何の疑いも無く仲間にしてくれた青年、
アレックスを利用したのだ。
225血みどろの輪舞曲(ロンド) ◆ymCx/I3enU :2010/06/22(火) 22:48:46 ID:nOvw0x/W
そして結果は――フローラの想像を遥かに超えるものだった。
血反吐を吐き散らし白目を剥いたまま息絶えたアレックスの死体は凄惨の一言に尽きる。

証拠が残らないよう空き缶を小川に流し、アレックスのデイパックから、
彼の支給品であるショートソードと食糧品を抜き取った。

彼女が殺し合いに乗る決意をしたのは、単純に死への恐怖から来る「死にたくない」という意志。
それ以上でもそれ以下でも無かった。
この殺し合いには自分の知り合いは一人も呼ばれていない。
誰一人顔見知りがいないのは寂しく感じたが裏を返せば他人を気にする必要が無いという事だ。
だが自分は戦うには余りにも非力。剣が扱える腕力も反射神経も備わっていない。
そして考える。自分がこの殺し合いに優勝するにはどうしたら良いか。

――無害な人物の振りをして、殺し合いに乗っていない人々の中に潜り込み隙を突く。

彼女なりに考え抜いて出した結論だった。

だがやはり武器はあった方が良い。
フローラはアレックスの持っていたショートソードを鞘から抜き、
刀身を見詰めた。

木々の間から差し込む太陽の光を刀身が反射し光輝いている。

「私はまだ死にたくない……絶対に生きて、帰るんだ……」

ショートソードを鞘に収め、アレックスの食糧を詰め込んだ自分のデイパックを肩から提げ、
フローラは小川に沿って下流に向かう事にした。



【アレックス@VIPRPG  死亡】
【残り58人】
226血みどろの輪舞曲(ロンド) ◆ymCx/I3enU :2010/06/22(火) 22:49:32 ID:nOvw0x/W
【一日目/朝方/D-3林の中の小川の畔】
【フローラ@ドラゴンクエストX】
[状態]健康、小川に沿ってD-2方面へ移動中
[装備]ショートソード
[所持品]基本支給品一式、猛毒入りアイスココア(2)、水と食糧(1人分)
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
 1:無害な人間の振りをして他参加者に接近、隙を突いて殺す。
 2:殺し合いに乗っている、或いは実力差が有り過ぎる参加者は出来るだけ避ける。
 3:アレックスの知人に会ったらアレックスとの事は隠す。
[備考]
 ※主人公と出会う前からの参戦です。
 ※アレックスから知人(リリア、デイジー、ダーエロ、ムシャ、アイスV、ウォーターT)
 の情報を聞きました。


※D-3林の中の小川の畔にアレックスの死体と、
アレックスのデイパック(基本支給品(食糧抜き))が放置されています。


≪支給品紹介≫
【猛毒入りアイスココア】
オリジナル支給品。
見た目は何の変哲も無いアイスココアだが、猛毒が仕込まれており、
一口飲んだだけでほぼ確実に即死する。
臭いや味に問題は無いため気付かれにくい。

【ショートソード】
その名の通り短い剣で、切り先が鋭く、
先端にいくに従って幅が狭くなっていくのが特徴。
乱戦や刺突などを考慮し、丈夫に作られている。
全長は70〜80p程度。
227 ◆ymCx/I3enU :2010/06/22(火) 22:51:42 ID:nOvw0x/W
投下終了です。フローラのみならず出典有キャラのキャラ崩壊はかなり激しいと思いますがどうかご容赦を。
タイトル元ネタは銀魂の長谷川裁判の時の長谷川の台詞。
228創る名無しに見る名無し:2010/06/22(火) 23:19:00 ID:Iv1GtcqI
投下乙
ちょwwwwアレックスwwww前のロワで生還したばっかなのにwwww
229 ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 02:04:15 ID:RqWLYVyM
投下します。俺得ロワ2nd 6話 静かな林の茂みの奥から
登場:ノーチラス、費覧
230静かな林の茂みの奥から ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 02:05:08 ID:RqWLYVyM
6話 静かな林の茂みの奥から


E-4にある、廃墟と化したホテルの入口から、
学生服を着た茶色の毛皮を持った狼獣人の青年と、
薄い黄色と白の毛皮を持った狐をそのまま二足歩行にしたような形態の、
狐獣人の若い女性が出て来た。

狼青年――ノーチラスは、スタート地点であるホテル跡で、
同じ場所でゲームスタートした狐獣人の女性――費覧と遭遇した。
互いに殺し合いをする気は無い事が判明し、情報交換及び支給品を
確認し合った後、行動を共にするに至った。

「地図によれば……この先の分かれ道は西にある平瀬村、北にある鎌石村の、
二つの集落へ続いてるらしいが」
「そうだねぇ。どっちかと言えば、平瀬村の方が近いんじゃない?」

殺し合いからの脱出のため、まずはノーチラスのクラスメイト捜しと並行して、
自分達と同じく殺し合いに抗おうとしている参加者を仲間に引き入れるべく、
人が集まり易そうな施設や集落に向かう事にした二人。
勿論、人が集まり易そうと言う事は、殺し合いをやる気になっている参加者も、
当然集まり易いと言う事だが、状況が状況なだけに有る程度危険は覚悟しなければ
ならないだろう。

「それじゃあ、平瀬村の方に行ってみるか」
「うん」

考えた末、ノーチラスと費覧は比較的近距離の、島の西にある平瀬村に向かう事にした。

ノーチラスは自動拳銃、ヘッケラー・ウント・コッホUSPを、
費覧は抜き身の日本刀、同田貫を、それぞれ右手に持っていた。
周囲を林に囲まれた、半ば土や落ち葉、雑草に覆われているアスファルトの道を、
平瀬村目指し警戒しながら進んで行く二人。

「……」

ノーチラスが警戒の他に視線を配る物があった。
同行者の狐娘、費覧の、豊満な胸と、股間。
元々服を着ない妖狐の獣人である費覧は、常に一糸纏わぬ全裸で過ごしている。
ただ、それはノーチラスの生きる世界ではまず有り得ない事であり、
最初に彼が費覧と遭遇した時もその格好にかなり狼狽してしまった。

そして今、口元から腹にかけての白い毛皮に覆われた、
歩く度にぷるんと揺れ動く大きな乳房、そして見えそうで見えない股間に、
ノーチラスはひっそり興奮していた。

(おいおい、大き過ぎだろあの胸……もしかしたら仲販やテト、
苗村の奴よりも大きいんじゃねえか……柔らかそう、触りたいな……。
っていうかこんなスタイルの良い全裸の狐娘が横で歩いてるって……うう)
231静かな林の茂みの奥から ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 02:06:18 ID:RqWLYVyM
「ねえノーチラス君」
「! な、何だ?」

突然費覧が歩くのを止め、ノーチラスに声を掛ける。
チラチラ胸を盗み見ていたのがバレて怒ったのかと、ノーチラスはビクリとした。

「さっきからさあ、私のおっぱいとか、見てるよね?」
「う……」
「いやいや、別に怒って無いよ。むしろ大歓迎だよ」
「え?」

急に何を言い出すのかとノーチラスは目を丸くする。
費覧はどこか妖艶な目付きに代わり、舌舐めずりをした。

「いつ死ぬか分からないし……ちょっとぐらい、欲望のままに、
やっちゃっても良いよねえ」
「な、何を言って」
「ノーチラス君……ちょっとそこの茂みの中へ」
「お、おい? ちょ、ちょっと? え? ええ?」

費覧はふさふさの尻尾を振り、淫らな笑みを浮かべながら、
混乱するノーチラスを無理矢理道から外れた茂みの中へ連れ込んだ。


それから数分もしない内に、茂みの向こうから、
雄の狼と雌の狐が交わる嬌声が、微かに聞こえ始めた。


【一日目/朝方/F-4林道外れの茂み】
【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]全裸、快楽、興奮
[装備]H&K USP(13/13)
[所持品]基本支給品一式、H&K USPの予備弾倉(13×3)
[思考・行動]
 基本:殺し合いには乗らない。脱出を目指す。
 1:気持ち良い……。
 2:クラスメイトを捜す(エルフィ、サーシャ優先)。
[備考]
 ※本編死亡後からの参戦です。
232静かな林の茂みの奥から ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 02:11:04 ID:RqWLYVyM
【費覧@オリキャラ・再戦組】
[状態]快楽、興奮
[装備]同田貫
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:殺し合いをする気は無いが襲われたら戦う。
 1:ノーチラス君筆下ろし中〜♪
[備考]
 ※個人趣味ロワ開催前からの参戦です。
 ※ノーチラスからクラスメイト(卜部悠、エルフィ、北沢樹里、サーシャ、シルヴィア、
  テト、二階堂永遠、フラウ)の情報を聞きました。



≪支給品紹介≫
【H&K USP】
ドイツのH&K社が1993年に開発したポリマーフレームの自動拳銃。
分厚い手袋をしていても扱いが容易なよう、グリップに深く滑り止めが刻み込んである他、
フレーム前方にアタッチメントを装着出来るマウントレールが設けられている。
本ロワに登場する物は.40S&W弾使用モデル。

【同田貫】
厚く幅広の頑丈な戦場刀として作られた打刀。
同田貫(どうたぬき)とは肥後の国の刀工一門名で、
本来は特定の一振りを指す名では無い。
233 ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 02:13:19 ID:RqWLYVyM
投下終了です。
234創る名無しに見る名無し:2010/06/26(土) 10:21:22 ID:cAkiNjg6
投下乙
毎回いい目に合うノーチラスのロワ充振りに嫉妬!
235 ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 13:18:45 ID:RqWLYVyM
投下します。俺得ロワ2nd 7話 KUSOMISO
登場:阿部高和、道下正樹
236KUSOMISO ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 13:21:45 ID:RqWLYVyM
7話 KUSOMISO


青いツナギを着たいい男、阿部高和は、D-8エリアの古寺、無学寺のお堂の中にいた。

「何てこったい、殺し合いだなんて……そんな事、出来る訳ねえ」

公園で出会った予備校生の青年、道下正樹を(性的な意味で)食べた直後だろうか。
そこから記憶が飛び、あの謎の大広間での開催式に繋がっている。
大勢の人間、いや人間だけでは無く獣の頭を持った人外も大勢いた。
その中には道下正樹の姿もあった。

首にはめられた首輪を指でなぞる。
この首輪がどういう物かは既に知っていた。
一人の女性の首輪が爆発し、その女性は鮮血を撒き散らして死んだ。

「どうするか……とりあえず道下の奴でも捜すか……」

道下正樹の捜索に赴こうとした、その時、聞き慣れた声が阿部の足を止める。

「阿部さん!」
「! その声……道下!」

声の方向に振り向くと、目当ての捜し人の姿があった。
まさかこんなに早く再会出来るとは、阿部は驚き、喜んだ。

「道下! 無事だったのか、良かった」
「阿部さんも、無事で何よりです」

無学寺のお堂の中で再会を喜び合う二人。
しかし、阿部は気付いていないようだったが、道下の表情には、
どこか影があるように見えた。

「こんなに早く再会出来るとは思わ無かったよ。俺と一緒に行動してくれるか?」
「はい。勿論」
「ありがとうな。しかし、これからどうするか」

そう言って阿部は道下に背を向け、本堂の観音像を何となく見上げた。
それは完璧に道下の事を信用していたから、道下なら安全だと思っていたから。
237KUSOMISO ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 13:22:34 ID:RqWLYVyM
ドスッ

「……あ?」

背中に何かが刺さるまでは、そう阿部は思っていた。
喉の奥から液体が込み上げてくる。背中が焼けるように熱い。
刺された、誰に? ――阿部は振り向いた。そして、自分を刺した下手人の顔を見た。
よく見慣れた、青年の顔だった。

「……まさか、お前、が……」

それが阿部の最期の言葉となった。
信頼していた人物に裏切られ、驚愕と絶望の中、阿部高和は床に崩れ落ち、
その生涯を閉じた。



「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

血の付いた文化包丁を両手で握り締めながら、阿部を殺した道下は呼吸を荒げていた。
ついに自分は人を殺した。この殺し合いにおいて唯一の知り合いであり、
恐らく自分の事を最も信用していたであろう人物を、殺した。

「ごめんなさい、阿部さん、僕は、まだ死にたくないんです」

あの開催式の時に首輪爆破の見せしめを目撃してから、
道下はこの殺し合いに乗る事を決心していた。
だが、その前に一つ、しがらみとも言うべきものがあった。
公園で出会ったいい男、阿部高和。彼と出会った時はどうすればいいと考えていたが、
まさかゲームが始まって十分もしない内に出会うとは思わ無かった。

予想通り、阿部は自分の事を完全に信頼し切っているようだった。
そんな阿部を裏切るような真似をするのはとても申し訳無かったし躊躇もした。

だが、結局、殺してしまった。もう後戻りは出来ない。

道下は阿部のデイパックを漁る。自分の支給品は阿部を刺した文化包丁と、
デイパックの中に入っている錆びた釘の沢山入った小さな缶。
これから戦い続けるには心許ない。もっと良い武器が欲しかった。
238KUSOMISO ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 13:23:21 ID:RqWLYVyM
「これは……」

そして出てきた物は、小型のリボルバー拳銃、スミスアンドウエスンM10と予備弾18発。

「拳銃……これは良い」

文化包丁より遥かに強力な武器・拳銃を手に入れ喜ぶ道下。
他にも、水と食糧を自分のデイパックに移し替えた。
武器は確保した、後は他の参加者を殺し、その武器を奪う。その繰り返し。
寺を去る直前、畳の上にうつ伏せに倒れ、冷たくなった阿部を振り向き見る。

「……」

一瞬罪悪感も感じたが、頭を横に振り、寺の門に向かって歩き出した。

【阿部高和@くそみそテクニック  死亡】
【残り57人】

【一日目/朝方/F-8無学寺】
【道下正樹@くそみそテクニック】
[状態]健康
[装備]S&W M10(6/6)
[所持品]基本支給品一式、.38SP弾(18)、文化包丁、錆びた釘入りお茶缶
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
 1:次はどこへ行こう……。
[備考]
 ※本編終了後からの参戦です。

※F-8無学寺に阿部高和の死体と、
阿部高和のデイパック(基本支給品(食糧抜き))が放置されています。

≪支給品紹介≫
【文化包丁】
一般家庭に普及している包丁。万能包丁、三徳包丁とも。

【錆びた釘入りお茶缶】
オリジナル支給品。
お茶缶の中に錆びた釘を大量に入れた物。
下手をすると破傷風になる恐れ有り。

【S&W M10】
1920年代に登場して以来「ミリタリー&ポリス」の通称の通り、
世界各国の軍隊や警察において広く使われたリボルバー拳銃。
安定した性能と信頼性を誇る。
239 ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 13:24:35 ID:RqWLYVyM
投下終了です。
240創る名無しに見る名無し:2010/06/26(土) 21:13:40 ID:cAkiNjg6
投下乙
果たして阿部さんに何人掘られるのか恐怖していたが予想外の結果ですな
241 ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 21:19:43 ID:RqWLYVyM
投下します。俺得ロワ2nd 8話 斬殺許可証
登場:土方十四郎、勤武尚晶、グリフォモン
242斬殺許可証 ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 21:20:49 ID:RqWLYVyM
8話 斬殺許可証


「ふん、人間風情がこのグリフォモンに勝てると思うてか?」
「鳥風情がほざくな」
「鳥だと!? 失礼な、鳥ではないわ!」
「似たような物だろうが」
「き、貴様……そうかそんなに死にたいか。よかろう、
望み通りにしてくれるわッ!!」


ザシュッ!!!


「……」



黒いかっちりとした制服を身に纏った黒髪の男、土方十四郎は、
自分の支給品である日本刀、圧切長谷部を携えながら、
木々や雑草生い茂る林の中を歩いていた。

「ったく、ここはどこなんだ……」

殺し合いが始まった直後、彼はどことも知れぬ林の中にいた。
地図を見ても、周りに目印になりそうな物が何一つ無いため、現在位置の特定はほぼ不可能。
コンパスの方角と勘を頼りに林の中を進んでいた。

「万事屋と総悟もいるようだが……今頃何してんだか」

腐れ縁、犬猿の仲の銀髪天然パーマの侍と、自分の部下に当たる腹黒サド王子の
二人の事を考える。どちらも性格に難があるが、このようなふざけたゲームを
進んでやるような馬鹿では無いだろう。
また、二人共、確かな腕を持っている。そう簡単には倒されないだろうと、土方は思う。
もっとも不確定要素も数多い。二人より強い猛者がいる可能性も高い。
自分自身ですら、どうなるか分からないのだから。

土方自身も殺し合いをする気は無かったが、襲い掛かってくる者には、
それなりの対処はするつもりだった。幸い得意武器である刀が支給された。
剣の腕には自信のある土方にとっては当たりの支給品である。

「まずは総悟を捜すか……ついでに万事屋の奴も。 ……ん?」

林の奥から悲鳴のようなものが聞こえた。

「何だ……?」

土方は悲鳴の聞こえた方に向かい歩き出す。
243斬殺許可証 ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 21:21:38 ID:RqWLYVyM
「な……なぜ、だ、この私、が、人間、如き、に……ぃ」
「……」

頭に兜を被り、蝙蝠のような翼と蛇の尻尾を持った魔獣、グリフォモンは、
全身をなます斬りにされ、もはや息も絶え絶えであった。
彼の目の前にいるのは、白いカッターシャツに灰色のズボン、革靴を履いた人間の青年。
青髪の頭に赤い鉢巻を巻き、その瞳もまた血のように赤い。

「悪いね、生憎俺、ただの人間じゃないんだ。じゃ、そう言う事で」

次の瞬間、青年が持っていた刀――五郎入道正宗を一閃した。
そしてグリフォモンの首が宙を舞い、地面に落ちた。
断面から高く鮮血を噴き出し、グリフォモンの胴体が血に崩れ落ちる。

青年――勤武尚晶は、グリフォモンの毛皮で刀身に付いた血を拭き取り、
デイパックの中を漁る。しかし、目ぼしい物は見付からなかったのか、
すぐに漁るのをやめた。

「……行くか」

尚晶は次の獲物を捜すために、その場を立ち去った。



「おいおい、何だこりゃ……」

土方が現場に到着した時はもう全て終わっていた。
見た事も無い、ライオンと鳥をくっつけたような怪物が死んでいた。
全身に深い切り傷を負わされた挙句、首を刎ね飛ばされて殺されたらしい。
調べてみると、傷は刀傷のようだった。
このような怪物をこうもズタズタにして首を刎ねて殺す強者がいるという事か。
近くにこの怪物の物と思われる首輪とデイパックが転がっていた。

「首輪か。一応、貰っておくか」

参加者全員にはめられている爆弾内蔵の絶対に外せない首輪。
土方には首輪をどうにか出来そうな知識等何も持っていなかったが、
他参加者の中には首輪を外そうとする者もきっといるだろう。
その中には或いは首輪を外せる程の技術や知識を持っている者もいるかもしれない。
少なくとも、首輪を持っていく価値はあると判断した。
そして怪物の物と思われるデイパックを漁ってみる土方。
244斬殺許可証 ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 21:22:26 ID:RqWLYVyM
「!!」

そこには土方の食指が唸る二つの物が。
1カートン分の煙草と100円ライターのセット、そして業務用マヨネーズが何と2本も。
どちらも土方の大好物である。

土方は勿論、両方手に入れた。



【グリフォモン@デジモン  死亡】
【残り56人】


【一日目/朝方/E-7林の開けた場所】
【土方十四郎@銀魂】
[状態]健康、喜び
[装備]圧切長谷部
[所持品]基本支給品一式、喫煙セット、業務用マヨネーズ(2)
[思考・行動]
 基本:殺し合いには乗らない。襲われたらそれなりに対処。
 1:煙草とマヨネーズか、これはいい……。
 2:沖田総悟、万事屋(坂田銀時)の捜索。
[備考]
 ※原作真選組動乱編以降の参戦です。
 ※参加者の獣人や規格外の獣を天人や宇宙生物の類と思っています。

【一日目/朝方/E-7林】
【勤武尚晶@オリキャラ・新規組】
[状態]健康
[装備]五郎入道正宗
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。
 1:獲物を捜す。
[備考]
 ※どこに向かっているのかは不明です。
245斬殺許可証 ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 21:23:44 ID:RqWLYVyM
※E-7林の開けた場所にグリフォモンの死体と、
グリフォモンのデイパック(基本支給品一式入り)が放置されています。


≪支給品紹介≫
【圧切長谷部】
戦国時代の英傑織田信長が、無礼を働いて膳棚下に隠れた茶坊主を
机ごと圧し切り(振りかぶらずに押すだけで切る。かなり切れ味の鋭い刀でないと
これで人間を斬るのは無理)で成敗したといわれる刀。

【五郎入道正宗】
鎌倉時代末期から南北朝時代初期に相模国鎌倉で活動した刀工、
五郎入道正宗が打った刀。正宗」の名は名刀の代名詞ともなっており、
芸術性の高い作刀は後世の刀工に多大な影響を与えた。

【喫煙セット】
オリジナル支給品。
1カートン分の煙草と100円ライターのセット。
愛煙家にはたまらないと思われる一品。

【業務用マヨネーズ】
業務用に大きなボトルに入れられたマヨネーズ2本セット。
マヨネーズ好きには大喜びの一品。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】勤武尚晶(きんぶ・なおあき)
【年齢】28
【性別】男
【職業】人斬り
【性格】冷静、残忍
【身体的特徴】青い髪に赤い瞳、身長は178pと高め、整った顔立ち
【服装】頭に赤い鉢巻、白のカッターシャツに灰色のズボン、革靴
【趣味】読書、人斬り
【特技】剣術、動体視力、体力、身体能力どれを取っても常人離れしている
【経歴】赤子の時に孤児院の前に捨てられていたのを保護される。
    12歳の時にその孤児院から突如失踪し、現在に至る。
    実は人間の売春婦と野良の妖狼との間に生まれたハーフで、純粋な人間では無い。
    青い髪と人間の身体は母親、赤い瞳は父親である妖狼譲り。
    人間と妖狼の間に子供が出来るのは極めて稀なケースでもある
【備考】別名「人斬り勤武」。多くの辻斬りを働き、またその剣の腕から武装組織、
    犯罪組織、政府高官等から傭兵或いは用心棒として雇われる事も多い。
    人斬りになった原因については謎が多い。
    名前の「勤武尚晶」は、苗字が彼を保護した孤児院職員の一人から、
    名が孤児院職員一同で考えて付けられた
246 ◆ymCx/I3enU :2010/06/26(土) 21:24:54 ID:RqWLYVyM
投下終了です。土方の状態表に、
「首輪(グリフォモン)」を入れるのを忘れていた…。

あと阿部さんの活躍に期待していた方ごめんなさい
247創る名無しに見る名無し:2010/06/27(日) 00:07:29 ID:3oVQ4302
業務用マヨネーズでぶたれるとそれなりに痛い

これ、豆知識w
248 ◆ymCx/I3enU :2010/06/27(日) 20:15:51 ID:Ox0qphuT
投下します。俺得ロワ2nd 9話 柏木寛子の憂鬱
登場:柏木寛子
249柏木寛子の憂鬱 ◆ymCx/I3enU :2010/06/27(日) 20:16:56 ID:Ox0qphuT
9話 柏木寛子の憂鬱

「ああ、寒い……」

I-10エリアにある灯台の最上部、巨大な回転灯が設置された部屋で、
茶色の長い髪を持った少女、柏木寛子は震えていた。
外のベランダ部分へ繋がる入口から海から吹く潮風が入り込む。
寛子は現在、くたびれたカッターシャツと丈の短いスカート、首輪のみを
身に着けている。下着や靴は無い。

「何で……もう嫌だ、私の人生こんなのばっかり。もう死にたい」

柏木寛子は少し前までは、ある富豪家の令嬢だった。
優しい両親の元、不自由無く暮らし、彼女も優しく、誠実な少女に育った。
だが幸せな生活はある日突然一変する。父親の突然の事故死。
そしてそこから追い打ちを掛けるように、莫大な借金が彼女と母親に圧し掛かった。
しかし、父親の会社、家財道具、果ては家までも売りに出したと言うのに、
それでも借金は完済には至らなかった。

そして、ついに借金取りは最後の手段に出る。
寛子と母親の二人を、性奴隷販売を専門とする非合法地下組織に売却したのだ。

寛子は母親と離れ離れになり、稲葉憲悦と言う灰色の人狼から、
性奴隷になるための徹底的な調教を受ける事になった。
着る物もロクに与えられず、鎖に繋がれ、あっさり純潔も奪われた。
毎日、就寝時間と食事の時間以外は憲悦や助手と思われる獣達によって、
寛子は蹂躙され、奉仕を強要された。
最初は抵抗を見せていた彼女も、次第に身体が快感に順応して行き、
いつしか自分から行為を要求するようになってしまっていた。

「殺し合いかぁ……あの薄暗い部屋で毎日やられるよりは……。
いや、どっちもどっちだね……」

突然、何の前触れも無く始まったこの殺し合い。
首には爆発する仕組みの首輪がはめられている。

寛子は半ば自分の人生に諦念を抱いていた。これから先生きていても、
自分は性奴隷に調教され、売り物になり、どこかへ売り飛ばされ、
一生を慰み者として生きていくだけだろう。
なら、いっその事、ここで殺されてしまうか、自分で命を断ってしまう方が良いのでは?
寛子の思考はネガティブになるばかりである。
250柏木寛子の憂鬱 ◆ymCx/I3enU :2010/06/27(日) 20:20:45 ID:Ox0qphuT
「でも……死にたくないよ、やっぱり」

だが、やはり生への執着はあった。
簡単に自分の命が断てる程彼女は思い切りは良く無い。
一方で生きる事への未練も死への恐怖も当然あった。

「そう言えば、支給品って……」

支給品が入った黒いデイパックの事を思い出し、寛子は傍に置かれていたそれを手に取り漁る。
名簿が出てきたので、広げて羅列されてる名前に目を通す。
その中の一つを見付けた瞬間、寛子の目が一際大きく見開かれた。
稲葉憲悦――忘れもしない、自分を調教し、淫らな身体に改造した人狼の名前が載っていた。

「あいつもこの殺し合いにいるのか……」

憎んでいない訳では無い、殺したいと思わ無い訳でも無い。
だが、例え憎しみのままに憲悦を殺したとしても、その先に何が残るのか。
いや、何も残らないだろう。もう二度と自分は昔の生活には戻れない。
優しかった両親も、もう戻って来ない。
それが十分分かっているだけに、何ともやりきれない思いで寛子は一杯になった。

憲悦の事は一先ず置いておき、この殺し合いにおいて自分はどう行動するかを考える。
デイパックには名簿や地図、食糧品等の他、古めかしいデザインの大型自動拳銃と、
予備弾丸と思われる金具に纏められた弾薬が入っていた。
説明書によれば、自動拳銃は「マウザーC96」。7.63o×25弾を使用する、
かなり昔の自動拳銃。弾薬の補充、装填は予備弾を纏めている金具――クリップを
使って行う、と説明書には書かれている。
当たりの部類に入る支給品ではあるが、寛子は銃を扱った事など無い。
ましてやかなりの重量のあるC96は、元来女性が扱うのには向いていない。
しかし、構えるだけでも威嚇にはなるだろう。寛子はC96を装備した。

「……しばらく、ここにいよう……」

無理して出歩く必要は無い、ここが安全ならば、出来るだけ動かない方が良い。
そう判断した寛子は、当分の間灯台に身を潜める事にした。
251柏木寛子の憂鬱 ◆ymCx/I3enU :2010/06/27(日) 20:22:28 ID:Ox0qphuT
【一日目/朝方/I-10灯台最上部】
【柏木寛子@オリキャラ・新規組】
[状態]健康
[装備]マウザーC96(10/10)
[所持品]基本支給品一式、7.63o×25弾(クリップに10発単位で纏められている、3個)
[思考・行動]
 基本:死にたくない。出来るだけ灯台から動かない。
 1:稲葉憲悦は取り敢えず放置。遭遇したらその場その場で対応。
 2:襲われたら……。
[備考]
 ※特に無し。


≪支給品紹介≫
【マウザーC96】
マウザーM1896とも呼ばれる、
ドイツのマウザー社が1896年に発売を開始した大型自動拳銃。
別名「マウザー(モーゼル)ミリタリー」「ブルームハンドル」。
本来はストックを兼ねたホルスターが標準装備されているが、本ロワでは
銃本体及び予備弾のみの支給となっている。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】柏木寛子(かしわぎ・ひろこ)
【年齢】16
【性別】女
【職業】元高校生、性奴隷(調教中)
【性格】元は優しくおっとりとした性格だったが過酷な調教を経て、
    やや荒み気味になってしまった。また、以前より淫乱になった
【身体的特徴】茶色のロングヘアの美少女。年の割にグラマー体型
【服装】憲悦から与えられた古着(くたびれた白のカッターシャツに濃い灰色のミニスカート)
【趣味】今は無し(昔は作詩や恋愛映画観賞)
【特技】教え込まれた男を悦ばせるテクニック(昔は暗記、暗算、英会話)
【経歴】富豪の令嬢だったが父親の突然の事故死をきっかけに没落、
    母親と共に性奴隷販売地下組織に売却された(母親の行方は不明)。
    調教師、稲葉憲悦によりじっくりと調教され、すっかり人格が変わってしまった。
【備考】無意識の内に性的な行為に走る可能性有り
252 ◆ymCx/I3enU :2010/06/27(日) 20:23:30 ID:Ox0qphuT
投下終了です。難産だった。
253 ◆ymCx/I3enU :2010/06/27(日) 23:11:28 ID:Ox0qphuT
投下します。俺得ロワ2nd 10話 狂宴開幕〜アタラシイサンゲキ〜
登場:初音ミク、柴田行隆
254狂宴開幕〜アタラシイサンゲキ〜 ◆ymCx/I3enU :2010/06/27(日) 23:13:00 ID:Ox0qphuT
10話 狂宴開幕〜アタラシイサンゲキ〜


「こ、来ないで下さいっ……! それ以上近付いたら……」
「おいおい、よしてくれよ。俺、まだ何もしてねえだろ」

I-6エリア、氷川村の西端に当たる場所で、緑色の長いおさげを持った
少女、初音ミクは目の前にいる男に拳銃――グロック26を向けていた。
その目には涙が滲み、銃を持つ手は震えている。
男はやれやれといった様子でミクを説得する。

「あのさあ君、俺そんなに悪人面に見える? いや、まあ確かに、決して人相は
良く無いと思うけどさ、髪もボサボサだし、目付きも良く無いし、それは俺だって
自覚はしてるさ。でもねえ、そうやって人を見た目だけで判断するのは良く無いよ。
言うでしょ、人は見かけに寄らないってさ。まあ見た目通りの人も多いけど。
少なくとも俺は違うよ? 俺は前者の方だから」
「……殺し合いには乗っていないんですか」
「乗ってたらとっくに君を襲ってるよ、つっても、あ、撃たないでね。絶対撃たないでね!」
「?」

決して発砲しないようミクに釘を刺し、男――柴田行隆は自分のデイパックに手を突っ込み、
ゴソゴソと漁った後、二つの支給品を地面の上に投げ捨てた。

「俺の支給品これだもん、やんなっちゃうよ、こんなんでどう戦えっつーの?」
「あ……」

地面に投げ捨てられた、テニスラケットと一本の長ネギ。
これが行隆の支給品であった。
それを見たミクは思わず同情の念を浮かべた。

「……本当に、乗ってないんですね」
「信じてくれる?」
「分かりました……」

ミクはグロック26を下ろし、行隆に近付き非礼を詫びた。

「すみません、いつ襲われるか分からないから、警戒してて……」
「いや、いいよいいよ。こんな状況じゃ仕方無いさ。その気構えは良いと思うよ俺」
「あの……私は初音ミクと言います。貴方は……」
「俺? 俺は……柴田行隆」
「柴田さん、ですね……あの、もし良かったら、私と一緒に行動して頂けませんか。
兄と知り合い二人が、この殺し合いに呼ばれてるんです」
「ふうん……良いけど、それじゃ俺の頼みも聞いてくれる?」
「は、はい……?」
「何かさ、他に武器持ってない? テニスラケットとネギじゃいざって時戦え無いからさ」

ミクにテニスラケットと長ネギよりマシな武器を要求する行隆。
しかし、ミクの支給品は現在装備しているグロック26のみであった。
255狂宴開幕〜アタラシイサンゲキ〜 ◆ymCx/I3enU :2010/06/27(日) 23:13:53 ID:Ox0qphuT
「ご、ごめんなさい……他に何も持ってなくて」
「あーそうか……仕方無いな」
「あの、もし良かったらこの銃……」
「いいよ、ミクちゃんが持ってなよ。そのサイズなら、女の子にも十分扱えるだろうし、
女の子から武器奪ったとあっちゃ、男が廃る」
「は、はあ……」

そう言って行隆は地面に落ちたテニスラケットと長ネギを拾い、
長ネギをデイパックの中に押し込みテニスラケットを装備した。

「……こんな所で立ち話もアレだからその辺の家の中に入って話しようか。
君のお兄さんと知り合いの話も良く聞きたいしね」
「はい」

ミクと行隆は手近な民家を選び、そこに向かって早めに歩いて行った。



柴田行隆は自分の置かれた状況を改めて頭の中で整理していた。
今、自分は殺し合いの中にいる。首には無理矢理外そうとしたり、
主催者に逆らえば爆発する死の首輪がはめられている。

(まさか、俺が殺し合いに参加する事になるとはねえ)

行隆は、かつて別の殺し合いの監督官を務めていた男だった。
とある権力者の依頼により、国内から50人、見せしめ要員を入れて51人もの
人間を、別世界に作った会場に集めて殺し合いをさせた。
結果は――とある一人の女性参加者の優勝で幕を閉じた。
その後、残務処理を済ませ、別の仕事に就いていた――のだが。

(何だか死んだ筈の奴までいるし……まあ、例え会っても、
俺があの殺し合いの指揮取ってたなんて分からないだろ、顔出してねえんだから)

参加者名簿には自分が指揮を取っていた殺し合いの参加者が三人いる。
中山淳太、本庄忠朝、伊藤文子の三人だ。
出来れば遭遇は避けたいが、遭遇したとしても、行隆は優勝者以外の参加者に
顔を出してはいないので、恐らくバレる事は無いだろうと考える。

(まあそいつはさておき、これからどうするかねえ。
この初音ミクって娘と出会ったのは吉と出るか凶と出るか。
銃なんてその気になりゃいつでも奪い取れるけど、流石にこんな可愛い
女の子から奪うのは気が引けら……まあ、ここはしばらく一緒に居て、
様子でも見てみるか)

「どうかしましたか? 柴田さん」
「別に?」

柴田行隆の思考に、初音ミクが勘づく由は無い。
256狂宴開幕〜アタラシイサンゲキ〜 ◆ymCx/I3enU :2010/06/27(日) 23:15:48 ID:Ox0qphuT
【一日目/朝方/I-6氷川村西部】
【初音ミク@VOCALOID】
[状態]健康
[装備]グロック26(10/10)
[所持品]基本支給品一式、グロック26の予備弾倉(10×3)
[思考・行動]
 基本:殺し合いには乗らない。脱出を目指す。
 1:柴田行隆と行動する。民家の中で情報交換をする。
 2:兄(KAITO)と知人(巡音ルカ、弱音ハク)が心配。
[備考]
 ※:KAITOは実兄、巡音ルカ、弱音ハクは知人という設定です。

【柴田行隆@オリキャラ・再戦組】
[状態]健康
[装備]テニスラケット
[所持品]基本支給品一式、長ネギ
[思考・行動]
 基本:自分優先で。利用出来るものは利用する。
 1:初音ミクと行動。しばらくは様子見。
 2:まともな武器が欲しい。
[備考]
 ※:俺オリロワ終了後からの参戦です。


≪支給品紹介≫
【グロック26】
1995年に開発された、グロック社の拳銃グロックシリーズ最少モデル。
主に護身用、バックアップ向けだが、メインアームとしても十分通用する性能を誇る。
軍や警察機関の関係者から注目され私服任務や非番の際に携帯するケースも多い。

【テニスラケット】
テニスで球を打つのに使用するラケット。

【長ネギ】
何の変哲も無い長ネギ。これで思い切り殴られれば結構痛いかも。




≪オリキャラ紹介(今更かよ)≫
【名前】柴田行隆(しばた・ゆきたか)
【年齢】28
【性別】男
【職業】某超法規的組織所属、結構偉い人らしい
【性格】飄々としているが計算高く狡猾
【身体的特徴】ボサボサの黒髪、195pと高身長、痩せ型、死んだ魚のような目
【服装】黒っぽいスーツ、変な模様の暗い赤のネクタイ
【趣味】不明
【特技】銃器の扱いに長けている
【経歴】不明
【備考】◆ymCx/I3enU(旧:◆UwuX8yY6RQ)の記念すべき第一作目のロワ、
    俺のオリキャラでバトルロワイアル(略称:俺オリロワ)にて、
    主催者(と言うより進行役に近い存在)として登場した男。
    出生、経歴、趣味等、謎が多い。別に考えるのが面倒な訳じゃない。断じて。
257 ◆ymCx/I3enU :2010/06/27(日) 23:17:45 ID:Ox0qphuT
投下終了です。このペースだと全員出るのいつになるやら…。
258 ◆ymCx/I3enU :2010/06/29(火) 00:27:59 ID:j2X5V5fE
参加者を変更します。
【オリキャラ・再戦組】
○レオーネ→○リーヴァイ
259 ◆ymCx/I3enU :2010/06/29(火) 22:28:23 ID:j2X5V5fE
投下します。俺得ロワ2nd 11話 血と、水
登場:ウォーターT、成沢由枝、リーヴァイ
260血と、水 ◆ymCx/I3enU :2010/06/29(火) 22:31:09 ID:j2X5V5fE
11話 血と、水


青い髪の上に防災頭巾、白いブラウスという姿の幼い少女、ウォーターTは、
寂れた集落の入口付近を歩いていた。

ダァン……。

「ひっ!」

時折どこかから銃声が響く度、身を震わせる。

「うう……何でこんな事に、殺し合いなんて出来ないよ……」

彼女はウォーターTという水属性の魔法が人の姿として具現化した、
「魔法具現化」と呼ばれる存在で、厳密には人間では無い。
しかし、密度や身体の構造は限り無く人間に近い。血も出るし、内臓もある。
謎の力により魔力のほとんどが封じられた今、魔法具現化の彼女は、
単なるひ弱な少女に過ぎなかった。

デイパックの中には、基本支給品一式の他に、黒い刀身を持った短剣、
三十年式銃剣と、耐火性のある防災頭巾が入っていた。
現在彼女の被っている頭巾がそれである。右手には申し訳程度に銃剣も握られている。
しかしウォーターに、この銃剣で実際に人を刺すという真似はとても出来そうに無かった。
怖かった。見知らぬ土地で一人ぼっちなだけでは無い。
いつ襲われるか、いつ死ぬか分からない今まで感じたどれとも違う恐怖が、
彼女の心を締め付け、握り潰そうとする。
この殺し合いの開催を宣言したブライアンは、ウォーターも良く知っていた。
少なくともこんな狂ったゲームを開催するような人物では無かった筈、なのにどうして。
首輪爆破の見せしめとして殺したキャロルともしれなりに親しかったのではないか。
また、この殺し合いには知人も多く呼ばれていた。
その中の一人、自分と同じく魔法具現化であるアイスVは、親友と呼べる程では無いにしろ、
普段良く付き合っているので、出来る事なら合流したかった。

――彼らが殺し合いに乗っているという可能性を考えるには、ウォーターは純粋過ぎた。
悪く言えば「お人好し」過ぎたのだ。

「……!」

先程から聞こえていた銃声が近付いてきている。
咄嗟に近くの空のゴミ箱の中に隠れるウォーター。
少しだけ蓋を開け、外の様子を窺った。
261血と、水 ◆ymCx/I3enU :2010/06/29(火) 22:37:06 ID:j2X5V5fE
ゲーム開始早々、明るい緑色のジャケットの下に、白いシャツ、
オリーブ色の丈が短めのゴアードスカートを着た紺色毛皮の狼獣人の女性、
成沢由枝は、水色と白の毛皮を持った雌の人狼に襲われていた。

「無い無い無い無い無い、これは無い、有り得ないよ! 意味が分からない!!」

振り向き様に自分の支給品であるリボルバー拳銃、コルトM1917を発砲するも、
素人がロクに狙いも定めず拳銃を発砲しても命中率などたかが知れている。

「ああ、弾切れ! ううっ、くそっ」

リボルバー拳銃であるM1917の装弾数は6発。
ポケットに突っ込んであった、クリップに纏められた状態の予備弾を取り出し、
空の薬莢を排出して装填しようとした。

背後で由枝を追走する雌の人狼――リーヴァイは、
持っていたドスを、前方の由枝に向けて思い切り投げ付けた。

グサッ!

「ああっ!!」

ドスは由枝の無防備な背中に突き刺さった。
前のめりに倒れ、激痛に悶え苦しむ由枝。

「ぎゃああああ!! い、痛い! 痛いいいい! ぬ、抜いて、誰か……あ」

地面で泣き叫ぶ由枝の元に、リーヴァイが近寄る。
そして、背中に突き刺さったドスの柄を握り、

思い切り体重を掛け、ドスの刃を根元まで押し込んだ。

「ぁ――――あ――――」

大きく目と口を見開いた後、由枝は全身が脱力し、二度と動かなかった。
由枝の落としたM1917と、装填される筈だったフルムーンクリップに纏められた、
6発の.45ACP弾を拾い上げ、改めて装填するリーヴァイ。

「やっちゃったなあ……」

本当は殺したくなど無かったが、これも、最愛の兄の元に帰るためと、
自分に言い聞かせる。
もう一人殺してしまった。今更後には引き返せない。
この殺し合いには自分の知り合いは一人もいない。
生き残り元の世界に帰れるのは最後まで生き残った一人だけ。
ならば、殺し合いを拒否する理由も、リーヴァイには無かった。

リーヴァイは由枝のデイパックからM1917の予備弾、食糧を抜き取り、
それを自分のデイパックの中に入れる。
そして装備をM1917に切り替え、次の獲物を捜しに集落を離れ、
木々生い茂る山の方へ伸びる道を歩いて行った。
262血と、水 ◆ymCx/I3enU :2010/06/29(火) 22:50:11 ID:j2X5V5fE
隠れていたゴミ箱から出て、改めて惨劇の現場を目に焼き付けるウォーター。
ついさっきまで動いていた筈の紺色の狼獣人の女性は、
背中にドスが深く突き刺さり、地面にうつ伏せになったまま動かない。

「あ……ああ……」

今、自分が置かれている状況を再認識する。目の前で人が殺された。
あの水色と白の毛皮を持った雌のワーウルフは始めたのだ。
幸い自分には気付かず立ち去ったようだが。

「……っ」

恐怖心に駆られ、ウォーターはその場から走って逃げ出した。
これ以上死体を見たく無いと言うのもあった。
いや、もしかしたら、迫り来る死の恐怖から逃げ出そうとしたのかもしれない。



【成沢由枝@オリキャラ・新規組  死亡】
【残り55人】


【一日目/朝方/C-5鎌石村東部】
【ウォーターT@VIPRPG】
[状態]健康、恐怖、宛ても無く走っている
[装備]三十年式銃剣、防災頭巾
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:死にたくない。知人に会いたい(出来ればアイスV)
 1:怖い……。
[備考]
 ※魔法に制限が掛かっている事を知りました。
 ※リーヴァイ(名前未確認)の容姿を記憶しました。


【リーヴァイ@オリキャラ・再戦組】
[状態]健康
[装備]コルトM1917(6/6)
[所持品]基本支給品一式、.45ACP弾(クリップに6発単位で纏められている、2個)、
 水と食糧(1人分)
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
 1:次はどこに行こうかな。
[備考]
 ※個人趣味ロワ開催前からの参戦です。
263血と、水 ◆ymCx/I3enU :2010/06/29(火) 22:53:11 ID:j2X5V5fE
※C-5一帯に銃声が響きました。
※C-5鎌石村東部に成沢由枝の死体(背中にドスが刺さったまま)、
成沢由枝のデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)が放置されています。


≪支給品紹介≫
【三十年式銃剣】
明治30年から終戦にかけての旧日本軍の主力銃剣。
儀仗、威圧が使用目的のため、刀身に刃が無く研ぐ必要がある、
錆び易い、屈曲、折損し易いと言った欠点が多い。

【防災頭巾】
頭部を保護するための簡易防具で、丈夫な布製の長方形の袋に綿など
緩衝材を入れたものを2枚張り合わせて、頭にかぶることができるようにしたもの。

【コルトM1917】
1917年に米軍の依頼により開発された、
自動拳銃用の.45ACP弾を使用出来るリボルバー拳銃。
但し装填にはムーンクリップと呼ばれる器具が必要。
S&W M1917という同様のコンセプトで作られた別の銃も存在する。

【ドス】
小型の刀。柄と鞘は木製。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】成沢由枝(なるさわ・ゆえ)
【年齢】23
【性別】女
【職業】会社員
【性格】明るく快活
【身体的特徴】紺色の狼獣人。身体付きは普通
【服装】明るい緑色のジャケットの下に白いシャツ、オリーブ色のゴアードスカート
【趣味】写真撮影(主に風景)、絵描き
【特技】写真編集技術
【経歴】両親と妹がいる普通の家庭で育った
【備考】一般人
264 ◆ymCx/I3enU :2010/06/29(火) 22:56:10 ID:j2X5V5fE
投下終了です。
265 ◆Youkai0wN. :2010/06/29(火) 22:57:47 ID:WRRUdxZF
俺も投下します
タイトル「親しき仲にも…」
266創る名無しに見る名無し:2010/06/29(火) 22:58:47 ID:WRRUdxZF
すいませんスレ違いだったみたいです…
267バベルの階段をあがれ ◇5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:05:56 ID:LS1cAlku
「かったるい」

黄金の月が煌めく夜の空。
木が多数そびえ立つ林で金髪の青年――手塚義光は本当にくだらなそうに呟いた。
いきなりの殺し合い。最後に残るのは一人だけ。
いわゆるバトル・ロワイアルというもの。
義光はこれに対しての最初の感情は“おもしろそう” だった。

(別に殺し合いに乗んのはいいんだけどよぉ、人殺すのにも抵抗ないしな)

義光は最初はこのゲームに乗るつもりだったのだ。
人を殺して、良さそうな女がいたら犯す。要は気の赴くままに行動する。
それが義光の行動原理だった。

「そのつもりだったんだがこれはねえだろ……」

手にあるのは人形。それも開会式の場で主催者を名乗った郷田麻弓のだ。
義光は郷田のようなおばさんは好みの範囲外、むしろ嫌いである。

「このスイッチにしてもよぉ」

義光は人形の後ろにあるスイッチをポチっと押す。

『郷田真弓、十七歳です♪』

ポチっ。

『きゃるーん、怖いわぁ』

ポチポチっ。

『お酒持ってこーい!』
「……うぜえ」

義光はそう言って手に持っている人形を空高く投げた。
これはいらない。見てるだけで吐き気がする。
268バベルの階段をあがれ ◇5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:06:52 ID:LS1cAlku

「おいおい殺し合いさせる気ねえだろが、これは。
 こんな年増のおばさんの人形なんざいらねえわ!」

そして義光は他に何かないかデイバッグを漁る。
次に手に引き当てたのは。

「……あのババアマジで殺してやる」

義光の手に握られているのは一枚の写真。
しかし、ただの写真であったならここまで憤怒の念を表さなかった。

「誰があんなババアのスクール水着のプロマイドなんざ見るんだよ……」

写真に写っているのは郷田真弓の水着姿。しかもスクール水着だ。
義光は先程の人形と同じように写真をクシャクシャにして思い切り空へ放り投げた。

「くそっ!俺をこけにしやがって……むかつくぜ。
乗ろうと思ってたけど、こんな手持ちじゃゲームに乗ることなんざ出来るかよ」

とてもじゃないが、ほぼ素手でゲームに乗るなど無謀もいいところだ。
せめてナイフなどの刃物が欲しい、と義光は思った。

「ったくよぉ…ふざ「ふいーやっと出られたぜ!シャバの空気はうめえなあ!」……な?」

デイバッグの中から出てきたのは白くて細長い生き物――オコジョだ。
それだけでは義光は驚かなかった。
だが、問題はオコジョが人の言葉を喋ることである。

(現実的にありえねえだろうが!喋る動物なんざこの世の中にいるわけ……
 まあ、この殺し合いに巻き込まれた時点でんなこといってるばあいじゃねえよな)

とりあえず頭の中にあった常識を破棄して今目の前にあるありのままの現実を受け入れる。
それが一番だ、と。

「おい、お前」
269バベルの階段をあがれ ◇5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:08:04 ID:LS1cAlku
「ん?なんだアンタ?」
「手塚義光――ただの会社員だよ」



◆ ◆ ◆



「なるほどねえ、殺し合いか。俺っちとしてはなかなか信用できねえが。
 まあ、今の現状を見るとそれもうなずけるもんだぜ」
「信じるのも信じねえのもカモ、てめえの自由だ」
「いやいや、信じさせてもらいますぜ手塚の旦那。嘘を言ってるようには見えねえですしねえ」

義光とオコジョ――アルベール・カモミールは軽い情報交換をしていた。
二人?の頭の回転が速いことからスムーズに進行している。

「で?手塚の旦那はこのゲームにはどのようなスタンスなんすか」
「俺か?もちろんこんなゲームには断固反対だね。人を殺すなんてとてもじゃないができねえ」

無論、義光のこの言葉は大嘘だ。
今だって別に乗ってもいいんじゃね的な思考を持ち、人を殺すことにも抵抗は皆無である。

(ククッ、当然嘘だけどな、カモ。でもしょうがねえよなあ、騙される方が悪いんだからよぉ!!)

顔では微笑み心で嘲う。嘘を付くことなど何の躊躇もない。

「旦那ぁ、」
「なんだよカモ。おかしいことでも言ったか?」
「そいつは“嘘”だ」

空気が凍り、沈黙が場を支配する。

「おいおい、どうしたよカモ。それじゃあ俺が嘘を言ってることになるじゃないか」
「ああそうだぜ、手塚の旦那。あんた、乗るつもりだろ」
「何を根拠にそう思うんだ教えてくれよ」
270創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:08:17 ID:BEZSGuyy
 
271創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:08:58 ID:BEZSGuyy
  
272バベルの階段をあがれ ◇5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:09:01 ID:LS1cAlku
「匂いさ。俺っちカタギじゃねえんで。だからそういう同じ気質の奴は感覚でわかるんだ」
「ははっ、そいつが本当だとしたらどうすんだ?殺すのよくない!とか説教するのか、おい」

もしそんなことで言い出したらくびり殺してやるがよ、と心の中で考えながら問う。

「いいや、別にいいんじゃないっスか」

だから平然と人を殺すことを肯定したカモに義光は驚いた。

「おいおい、いいのかよカモ」
「第一俺っちもそんな褒められた生き方してないんで。だから否定する気もねえッス。
 “必要”なら殺るべきですぜ」

できればそんなことしたくないんスけどねー、とカモは呟きながら義光の肩に乗る。

「この状況からして絶対に殺しちゃ駄目だとか言ってられねえっすよ。
 もし殺し合いに乗ってる野郎がいたら?撃退しただけじゃ駄目だ。
 ここは島っすよ?いくら撃退したところで逃げ場なんてない」
「だろうな。じゃあ何だ?殺し合いに乗って優勝でも目指すか?」

軽い口調で義光は喋る。この質問にカモがどう返答してくるか。
単純に気になってしまったのだ。

「そいつはいただけねえ。駄目だぜ、全然駄目だ、旦那ぁ」
「ほう……」

殺しを許容しておいて優勝を否定する。
面白い。義光はそう感じた。

「そもそも主催の野郎が本当のことを言ってるかどうか怪しいもんだぜ。
 ちゃんと元の生活に帰してくれるのか?願い事?はん、どう考えても騙しだろ」
「まあ、な。安易に信じられるもんじゃねえ」
「そういうことっすよ。それならギリギリのラインで粘ってた方がいい。つまるところ反主催ってことだ」
「……一理あるか、オーケー。カモ、てめえの案に乗ってやろうじゃねえか」

そう言って義光はニヤリと笑う。自分みたいなアウトローがゲームに乗らないで反逆するというのだ。
273バベルの階段をあがれ ◇5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:09:47 ID:LS1cAlku
おかしくて笑いが出る。

「さてと、それじゃあまずは」
「ああ。とりあえず、」



「「そこに隠れてる奴出てこいよ」」



この呼びかけを受け、数瞬おいて。そびえ立つ木から一人の少女が降りてきた。

「あはは、バレてましたか」
「俺っちの鼻は誤魔化せないぜぃ?何となく視線を感じたしな」
「俺はただの勘みたいなもんだがな。まあ今回はたまたま当たったってことだ」

樹から降りてきた少女の名は藤堂晴香。
義光の動向を伺うために晴香はずっと木の上にいたのだ。

「それでよ、てめえはこのゲームに乗ってます〜って野郎か?」
「別に……乗るつもりはないですよ。強いて言うならば私は元の日常に帰りたいだけです。
 というか私が乗ってたら貴方はもう死んでます。危機感が足りませんよ?」
「そうなったら俺のツキが最悪だったってことさ。ただそれだけだ」

義光は踵を返して歩き出す。晴香も同様に義光と反対の方向へ向けて歩き出した。

「まあお互い死なないように努力しようぜ」
「ええ、可能な限り。そこの喋るオコジョさんも。ネギ君と会えるといいわね」
「ありがとよ嬢ちゃん。死ぬなよ」

この二人が生きて再開する時は果たして来るのか。
答えが出るのはまだ先のこと。
二人の参加者の行く末は――
274創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:09:49 ID:BEZSGuyy
   
275創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:10:30 ID:BEZSGuyy
    
276バベルの階段をあがれ ◇5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:10:39 ID:LS1cAlku

【B-3/一日目・深夜】

【手塚義光@キラークイーン】
【状態】健康
【装備】なし
【持ち物】支給品一式、アルベール・カモミール@魔法先生ネギま!
【思考】
1.今は乗らない。ただし殺しに躊躇はない
2.何か武器が欲しい
3.そう言えば何か聞こえたような……
※近くに郷田人形と郷田プロマイドが落ちています

【藤堂晴香@寄生ジョーカー】
【状態】健康
【装備】なし
【持ち物】支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
1.ゲームには乗らない。脱出狙い


【郷田人形】
郷田真弓のデフォルト人形。後ろのスイッチを入れると郷田真弓のいろいろな声が出るよ!

【郷田プロマイド】
郷田真弓のプロマイド。ちなみにスクール水着着用。歳考えろ。

【アルベール・カモミール@魔法先生ネギま!】
オコジョ妖精カモ君!ネギの使い魔みたいなものでもある。
277創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:11:11 ID:BEZSGuyy
     
278コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◇5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:11:56 ID:LS1cAlku
「はぁっ、はぁっ」

夜のオフィス街。普段なら静寂が支配するはずだがこの場は違う。
断続的に吐かれる息の音と地面を踏む足音。
その音を出す原因――それは二人の少女の“鬼ごっこ”。
竹内理緒は逃げていた。この夜の街を全速力で疾走して、時には後ろをふり返りながら。
ツインテールがゆらゆらと揺れる。髪が乱れに乱れてしまったがそんなのを気にしている余裕はない。

「抵抗はしないほうがいい」

後ろから追いかけてくる外敵はセーラー服の少女。鼻より少し上に横一文字に残っている傷が印象的だ。
津村斗貴子。“錬金の戦士”として活動していた少女、だが今は逃亡の身であり“錬金の戦士”とも敵対している。

「大人しく殺されろ!」

斗貴子はこのゲームを即座に理解し、自分の取るべき方針を決めた。
それは。

「……カズキのためなんだ。剛太でさえ殺さなくちゃいけないんだ。
私は――カズキをこのゲームで優勝させるって決めたんだ」

逃げている理緒には聞こえない小さな声でぼそっと斗貴子は言葉を吐いた。
もう斗貴子の意志に迷いはない。
ただ殺すために。目の前で逃げ回っている無力な少女を殺すために。
駆ける!

(やばいな、これは。逃げ切れない)

一方、理緒は逃げながらも頭の中では冷静に分析をしていた。
ブレードチルドレンで破壊の魔女と呼ばれるのは伊達ではない。
有事の時の判断力に加えて行動力の高さ、どれをとっても常人より遥か上に位置している。
だがその理緒であっても今の状況は厳しいと言える。
理緒は再び後ろを振り返って斗貴子を見る。

「……っ!」
279創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:12:06 ID:BEZSGuyy
        
280創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:12:47 ID:BEZSGuyy
 
281コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◇5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:13:06 ID:LS1cAlku

まだついてきている、逃げ切れない、と理緒は苦い表情を作り舌打ちをする。

(いきなり襲われたから武器の確認もしてないあたしに比べて……
あっちはあの腰に下げている刀、あれ一つでも十分脅威。八方塞がりだね)

武器の優劣の差。素手と得物が有るのとでは訳が違う。
それはどうあがいても揺るがないものであり、理緒が明らかに不利だと言うことを物語っている。
だから理緒は走る。下手に何かをするよりは逃亡した方が生きのこれる確率が上がると判斷したためだ。

(全然振り切れないなんて。ホント、嫌になっちゃう)

だが理緒の誤算は斗貴子を普通の女子高校生だと思ったことだ。
斗貴子は“錬金の戦士”として訓練していたこともありそこらの一般人とは違うのだ。
そして“鬼ごっこ”は唐突に終わりを告げる。

「はうっ!」

理緒が転んでしまうことで。即座に起き上がろうとするが、

(足を捻った?どうしてこんな時に!)

起き上がろうとしても起き上がれない。そのために必然と歩みはそこで止まる。

「好機……だな」

斗貴子は理緒が動けないのを見て刀を抜き、斬り殺そうと迫る。
理緒の頭にあるのは――

(あたしはここで斬り殺されて終わるの?でも不思議。そんな感じが全然しない)

危機が目の前に迫っているというのに、なぜか浮かびあがる安堵感。
まるで“運命”がそう語っているかのような。

(おかしい、あたしは“死ぬ”――“死なない”
これは何?この――)
282コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◇5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:14:06 ID:LS1cAlku



あたしが“操り人形”になっている感覚――――



その予告じみた“運命”の通り。
竹内理緒は死ななかった。

「おい」

理緒の耳に届くのは男――自分と同じくらいの年代の声だろうか、声に若さを感じる。

「何やってんだよ、ちびっ子苛めて」

声の発せられた方を見ると黒のブレザーを着て、顔は不機嫌そうで。

「あんたにとっちゃあ俺はお邪魔なんだろうが」

それでも不機嫌そうな表情とは裏腹に優しさを感じさせる声。

「人吉善吉だ。止めるぜ、あんたを」

そう名乗って斗貴子に向かっていった。
 
 
 
◆ ◆ ◆
 
 
 
金属音が鳴り響く。戦いの、殺し合いの音が小刻みに辺りを支配する。

「おらっ!」
「はあっ!」
283コワレモノ〜血飛沫に狂え〜 ◇5ddd1Yaifw:2010/06/30(水) 02:14:53 ID:LS1cAlku

津村斗貴子、人吉善吉――――二人の少年少女が武器を持ち争っている。
 斗貴子は刀を。善吉は左手には手甲を。
 
「これで!」

斗貴子は突き、薙ぎ払いと高速の勢いで斬撃を繰り出す。
全ては人の命を一撃で刈り取れる代物。
だがそれを。

「はっ!遅いよ、あんた。この程度なら……」

善吉は意にでも返さない。
突きを手甲をつけた左手で弾き、薙ぎ払いを何もつけていない右手でなめらかに受け流す。

「めだかちゃんの方が数倍速いんだよ!」

そして、右足で渾身の蹴りを斗貴子の腹目がけて繰り出す。
当たったら一撃で地に沈むように重い一撃。

「お前の方こそ……遅いんだよ!」

斗貴子は咄嗟に後ろに跳ぶことで蹴りを悠々と躱す。
善吉は再び駆ける。先手必勝と言わんばかりに、斗貴子の懐に潜り右手でアッパーを放つ。

「その程度で、私を打倒出来るとでも?」

斗貴子は安々とアッパーを躱し、刀で首を刈ろうと刃を走らせる。
だがその一撃は惜しくも空を切り、首を刈るまでにはいかない。

「おい、お前何ぼさっとしてんだよ、速く逃げろ!」
「すいません足をくじいてしまって」
「だったら匍ってでも行け!俺だっていつまでも守ってらんねぇぞ!」
「余裕じゃないか、私を相手によそ見などとはな」

善吉が理緒に意識を向けた僅かの間、斗貴子は善吉の顎めがけて掌底で叩き上げる。
284創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:14:54 ID:BEZSGuyy
  
285創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:15:36 ID:BEZSGuyy
   
286創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:15:58 ID:uMHVzJxE
 
287創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:16:21 ID:BEZSGuyy
  
288創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:16:43 ID:uMHVzJxE
  
289創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:17:49 ID:uMHVzJxE
 
290創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:18:38 ID:uMHVzJxE
 
291創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:19:29 ID:uMHVzJxE
 
292創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:20:19 ID:uMHVzJxE
 
293創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:20:25 ID:BEZSGuyy
 
294創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:21:17 ID:uMHVzJxE
 
295創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:21:29 ID:BEZSGuyy
  
296創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:22:09 ID:BEZSGuyy
   
「――!」

声をあげる暇もなかった。善吉はそのまま吹っ飛び理緒の横に堕ちる。

(なんて威力だよ。こいつただのちょっと武道とかやってる女子高校生じゃねえぞ)

追撃。刃による振り下ろし。死がもうすぐやってくる。
おいおいここで終わるのか――いいや、まだだ。終わらせない。

「てめえのほうこそ、余裕ぶっこいてんじゃねえ!!!!」

振り下ろしが善吉の身体を裂く前に。
動く。

「なっ!」

善吉は旋転しながら振下ろしを避けて刀の側面を全力で蹴りつける!
ガキン、と鉄が折れる音があたりに響いた。

「これで武器はなくなったぜ!」

善吉の蹴撃により刀身は折れてもはや使い物にならない。
斗貴子は一旦後退しようとするが。

「逃がさねえ」

善吉は再び右足での渾身の蹴りを叩きつける。
腕を交差してなんとか直撃を避けた斗貴子だがその威力に押されて吹っ飛んだ。
そのまま地面にゴミのように転がり動かない。
もう起き上がる気配はなく終りの空気があたりに漂う。

「おい大丈夫か」
「は、はい。どうもありがと……!?」

理緒の言葉が途中で止まる。
298創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:22:49 ID:BEZSGuyy
   
299創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:22:56 ID:uMHVzJxE
 
300創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:23:29 ID:BEZSGuyy
      
301創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:23:37 ID:uMHVzJxE
 
そしてなにか信じられない物を見るかのような顔を――

「――ぁ」

それに数瞬遅れて善吉も振りかえる。理緒と同じように先程までの余裕の表情が一瞬にして霧散した。

「なっ!?」
「効いたよ。なかなかの一撃だった」

そこにいたのは幽鬼のように立つ津村斗貴子だった。殺気は消え去り、静かな空気が辺りに蔓延する。
表情は何も感じさせない無。

「最初だからいろいろと温存しておこうだとか」

ヤバイ。これはヤバイ。
理緒と善吉は怖気のような感触を斗貴子から感じた。

「せめて安らかに死なせてやろうとか」

善吉は理緒を抱えて今すぐにでも逃げ出そうと駆け出す。

「もう止めだ。お前ら二人とも――」

斗貴子がそう言ってデイバッグから取り出したものは。

「臓物をブチ撒けろ!」

その言葉と同時に善吉は全力で横に跳ぶ。
その一秒後、善吉がさっきまでいた場所を銃弾が蹂躙した。
斗貴子の手にあるのは無骨な突撃銃。アーマライトAR18。

「ちくしょう!?あんなの相手に真正面からやれるかよ」

その言葉を捨て台詞として跳んだ勢いそのままに善吉はすぐそばにあったビルに入った。
斗貴子が銃を使い慣れてないのか運がいいのかわからないが銃弾は奇跡的にも善吉達に一発も当たらなかった。
303創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:24:10 ID:BEZSGuyy
              
「っ!一発も当たらないとは。まあいいさ。このビルの中に追いつめた。ゆっくりと狩ろうじゃないか」

マガジンを交換して斗貴子は善吉達の逃げたビルに入る。
急がず慌てず冷静に。慢心はもうない。
 
「カズキ……こんなことぐらいしかできない私を許してくれ」

再び“鬼ごっこ”が始まった。



◆ ◆ ◆



「……なかなか広いな」

斗貴子はビルの三階にいた。隅々まで探しているため上の階に登るのが遅くなっているためにそれなりの時間が過ぎてしまっている。
だが、この“鬼ごっこ”にも転機が訪れる。
この三階もあらかた調べ終わって次の階へ行こうかと考えていたその時。

「っ、何だこれは!」

ビルの中の火災報知器の大きなベルの音が鳴り響いた。
ジリリリリとやかましいくらいに鳴り続ける。

「今度は……水か」

ベルのうるさい音と同時に襲来したのは上から降りかかる水。
火災報知器によって天井にあるスプリンクラーが発動したのだ。

「冷たい……!まふざけた嫌がらせをしてくれるじゃないか奴等」

斗貴子を水の雨が襲う。まるで傘もささずに台風の吹き荒れる外にいるかのようだ。
305創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:24:48 ID:uMHVzJxE
 
306創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:24:51 ID:BEZSGuyy
                   
あっという間に全身びしょ濡れになってしまった。

「殺してやる。臓物を盛大にブチ撒けてグシャグシャにしてやる」

そして斗貴子は上へ上へ登っていく。
善吉達を一刻も早く見つけて殺すために。その“鬼ごっこ”は突然の終焉を迎えた。

「よお」
「!?」

突然の陽気な声。まるで親友に挨拶するかのような気軽な口調で。
人吉善吉が現れた。

「ほう、わざわざ殺されに来てくれたか。あの小さな女の子は?」
「さあ?」
「ふざけるな、ヤケになったのか。お前の命を握っているのは私だぞ?」

斗貴子はアーマライトAR18の銃口を善吉に向けて威嚇する。いつでも撃てるように安全装置も外した。
これでチェック。この場は津村斗貴子が支配している。
斗貴子の頭の中にはすでに善吉を殺すシュミレートが出来ていた。

「それよりさ」
「何だ、命乞いか?それならもう……」
「違う。一つ聞きたいことがあってさ。アンタ、こんな殺し合いの場でも落ち着いていられる胆力に加えて、戦闘もできる。
 それなのになぜあいつら……主催者に反抗しない?」
「……」

善吉の問いに斗貴子は沈黙で答え、そのまま数秒過ぎる。

「やっぱ、自分が生き残りたいから「違う!!そんなくだらない理由じゃない!!!」……っ。
 じゃあ何だよ」

そして再び数秒過ぎ、沈黙が二人を包む。二人の耳に入るのはスプリンクラーから吐き出される雨の音のみ。
善吉が何か言葉を発しようとしたその時。斗貴子がポツリと声を出した。
308創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:25:31 ID:BEZSGuyy
                                      
「大切な……私の命を投げ売ってでも守りたい人がいる。そのバカはお人好しでな。
 どんな奴も無条件で信じようとする。……そいつを死なせたくない!……ただそれだけだ」

斗貴子の小さな声は段々と大きくなり、善吉にはそれは哭くような悲しい声色に聞こえた。

「……主催者に抗う?私達は既に命を奴等に握られているんだぞ?それに私達をさらう手際の良さ。
 勝てると思うか?私は思わない。だったらいくら悔しくても乗るしかないだろう!!
 文句など言わせない。私だって必死に考えたんだ。それで、この道を選んだのだから」
「……そうかよ」

斗貴子の言葉を善吉は静かに返す。説得は今は不可能。そう悟った。

「じゃあ俺はあんたを倒す。生憎とあきらめが悪いんだよ、俺は。
 こんなところで死ねない。あのふざけたおばさんに一発かますまではな」
「勇ましいな、だがそれは無理だ。お前はここで死ぬんだからな」
「だから言っただろ……」

瞬間。

「一発かますまで死ねないって!」

善吉が斗貴子に向けて走り出した。斗貴子は冷静に銃口を善吉の胸に向けて、トリガーを引く。
それで終わり。善吉は弾丸に貫かれて死ぬ、そして理緒をいぶり出して殺す。
だがその考えは粉々に打ち砕かれた。

「な!?なぜ弾がでない!!」

斗貴子の持つ突撃銃、アーマライトAR18は何の動きも示さない。
銃弾がでない、なぜ?
さっきまでは使えたはずなのに、なぜ?

「何でだ、何で出ない!!!くそっ!!!!」

斗貴子は子供がわめき散らすように叫ぶ。その間にも善吉は斗貴子の元へ勢いよく迫って来る。
310創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:26:12 ID:BEZSGuyy
                     
311創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:26:59 ID:BEZSGuyy
 
312創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:27:01 ID:uMHVzJxE
 
「くそっ!」

斗貴子は使えない突撃銃を捨てて迎撃しようとするが。

「もう遅い」

善吉は懐に入り、黒い何かを斗貴子の腹部に押し当てる。

「しばらく寝てろ、そんで頭冷やせ」

バチッ、と小さな音が鳴った。
斗貴子は腹部に当てられた黒い何かによる痛みに苦悶の声を上げて気絶した。



◆ ◆ ◆



ここで時は少し前に戻そう。
まだスプリンクラーの雨が吹き荒れる前のビルの中。善吉と理緒は二人で相談をしていた。

「このビルは十三階建てか、不吉な数字だ。どっかの会社みてえだけど今はそんなことより――」
「はい、そのようですね。善吉さんすぐにあの人はやってきます、早々に戦略を立てないと」

二人は斗貴子を何とか撃退するためにどう動くべきか思考を重ねている。

(おいおいどうするよ、あれ。あんなのに立ち向かえるか!
 拳銃ならともかくあんな突撃銃だと蹴り飛ばす前に蜂の巣になっちまう)

善吉の内心は焦りでいっぱいだった。
かっこをつけてみたはいいが、やっぱり失敗したかなどと考えがネガティブの方向へ向かってしまう。
自分は普通の男子高校生なのだ。幼なじみの黒神めだかとは違うんだ。
ただの凡人には荷が重すぎるだよ、と善吉は自嘲する。

「善吉さん」
「ん?何だ理緒ちゃん?」
「何だじゃないですよ、戦略を立てなくちゃって言ったじゃないですか。
 それと理緒ちゃんとか子供扱いしないで下さい!これでも高校二年生です!」
「本当に?」
「冗談でこんなこと言いますか。こーすけ君といい亮子ちゃんといい。善吉さんも!
 そんなにあたしは子供に見えますか!ロリですか!」
「まぁ落ち着けって。そんなことどうでもいいじゃんか」
「どうでもよくありません!」

理緒はむすっとした顔で善吉を見る。
くりっとした目に子供のような愛らしい顔、身体も発育途中の小さな体。
これで高校二年生とは何の冗談だと善吉は苦笑する。

こんな時じゃなければかわいいものだとか笑って考えれるが今はそんな状況ではない。
命がかかっているんだ。
頭の中の余計な思考をやめて理緒とこれからについて相談する。

「わかってるって。竹内は高校二年生、そうだろ?」
「何度も言ってるじゃないですか、ってこんな口論してる暇はありません。
 戦略ですよ、戦略。速く考えないとあたし達二人とも血の海に沈みますよ」
「縁起でもないこというなよ。だけどよ戦略っていっても奴がどうするんだ。
 俺の支給品にはあんな突撃銃に太刀打ちできる物はないぞ。
 さすがにこの篭手じゃあ無理だ」

そう言って善吉は腕を振り上げて理緒に篭手を見せる。

「これ……何です?かなり大きくて、面白い形状をしてますね」
「リボルバーナックルって言うらしい。
何かストレージデバイスだの何だかんだ書いてあったが役に立ちそうもない。
 他には……これだ。奴を無効化出来るかもしれねえけど……」

デイバッグからとり出されたのはスタンガン。
近づいてこれを使えば相手を気絶させられることが出来るかもしれないが、そもそも近づくことができないのだ。意味はない。

「あたしもこんなのしか……」
315創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:29:47 ID:BEZSGuyy
  
316創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:30:14 ID:LS1cAlku
 
317創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:30:28 ID:uMHVzJxE
 
318創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:30:31 ID:BEZSGuyy
      
理緒が出したのもあまり戦闘に向くものではなかった。当然突撃銃相手には何の役にも立たない。

(だめだだめだめだめだ!これじゃあ勝てねえ。やっぱりあの女が来るのを見計らってどっかに隠れてる。
 階段近くとかがいい。そしてあいつが出てきた瞬間に強襲……いや、リスクが大きすぎる!)

強襲作戦はリスクがあまりにも大きすぎる。故に善吉は頭の中で却下とし、ゴミ箱行きを決める。

(うまく隠れて、あの人が隙を見せているうちに階段に全速力で向かって逃げる……
こんなの戦略ですらない。分が悪すぎるよ、本当)

理緒もいろいろと考えるがどれも現実味のないもので成功する可能性も低い。

(俺達二人があいつをなんとか撃退出来る方法)
(あの銃をかいくぐれる何か……)

二人は押し黙って自分の世界に入る。生きてこの場を抜けるための策を深く考えるために。

(つーか銃をどうにかしないと始まらないだろ。あの銃さえなければ)
(銃を封じるだけじゃ駄目だ。あの人は近接戦闘もできる。それに善吉さんの蹴りを受けて立っていられる人だ。
 仮定としてまず銃を封じたとする。何か一撃で意識を刈り取れるのは……)

さらに考える。考える、考える。

(ああいう銃の弱点は水だ。水に浸れば動作不良を起こして銃弾が発射されないはずだ。
 だがここに水はない。飲み水でも使うか?)
(スタンガンなら……!でもこれ程度で気絶するとは思えない。
水でもかければ電気が良く通って効くと思うけど)

考えろ、考えろ考えろ!頭をフル回転させてどう動くべきかをさらにさらに考える!!

((水を安全に相手にかけるには……))
320創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:31:32 ID:BEZSGuyy
 
――――思いついた。



◆ ◆ ◆



「はぁ、疲れた」

そして今に至る。善吉達の考えた戦略は簡単なものだ。
火災報知器を鳴らし、スプリンクラーを発動させる。上から降る水によって銃はびしょ濡れになり動作不良を起こす。
斗貴子自身も水に濡れることによってスタンガンの通りもよくなる。
これだけだ。

理緒は足の怪我の都合で別の安全な場所で待機している。善吉が出てきても足手纏いになるだけだと言ったためだ。

「さて、竹内のところにでも戻るかな。こいつが起きる前にさっさと逃げねえと」

善吉は身を翻し、理緒のいる場所に戻ろうと歩き出した。

「……ズ…………に」

小さな囁きのような声。

「………ズキ…………めに」

善吉は気づかない。

「……ズキのために」

斗貴子が勢いよく起き上がり善吉に弾丸のような速さで駆ける。

「カズキのために!貴様を殺す!!」
322創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:32:05 ID:uMHVzJxE
 
323創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:32:12 ID:BEZSGuyy
    
324創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:32:49 ID:LS1cAlku
 
325創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:33:03 ID:uMHVzJxE
 
326創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:33:18 ID:BEZSGuyy
      
327創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:33:53 ID:uMHVzJxE
 
やっと善吉が気づいた。

「!?」

そして半ば無意識に“左腕”で横一閃に振り抜いてしまった。
それは鬱陶しい虫を払うかのように。

「え?」

グシャッ、と肉が潰れる音が辺りに響いた。


斗貴子の身体がフラッと倒れる。

「え、あ、」

自分の左手を見て善吉は驚愕した。
血と肉が染み付いている。
次に斗貴子を見る。顔が潰れている。そこにあるはずの顔がただの肉の塊。
脳みそがピューピュー出ていて、辺りを赤で染める。
血の特有の鉄臭い匂いも広がる。

「俺が……殺した?」

善吉は決して殺してやろうなんて考えていなかった。ただ、斗貴子が迫ってきて。
敵意を感じて思わず腕を振り抜いた。
だが結果はこれだ。鉄の塊であるリボルバーナックルを全力で振り抜いたらこうなることぐらい善吉にもわかるはずだ。

それでも振り抜いてしまったものは振り抜いてしまったのだ。
時間は戻るわけもなく、そこには血で濡れた一つの肉塊と一人の哀れな青年が残った。

「あ、ああああ、ああ」
329創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:34:05 ID:BEZSGuyy
    
330創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:34:46 ID:BEZSGuyy
   
――――掠れた声が出る。あれおかしいな、声でねえよ。どうした声帯壊れてんのか。
嘘だよな、俺殺してないよな!ほらお前も起きろよなぁ。おい起きろよ起きて嘘だと言ってくれ。
揺すっても揺すっても揺すっても起きない……。赤い液体が顔に降りかかるな。なんだよこの塗料臭いな。
ベチャッとした肉もついてるし。気持ち悪い――――

でも残念。その幻想は現実。

「――――」

――――認めちまえよ、お前は。人吉善吉は――――

「ち、がっ!俺はっ!」



“人殺しなんだよ”



そんな声が善吉の耳に入った。

「あああああああ、ああああぁぁああ、ああァあ嗚呼ァああ、あああ、ぁああぁ!!!!」

人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し
人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し
人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し
人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し
人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し
人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し!

「やめてくれ!俺は、おれは……何も悪くねえ!!!!
俺はただ、後ろから襲いかかれたから振り払っただけだ!」

脳内を駆け巡る人殺しというリフレイン。紅の呪縛が善吉を攻め立てる。

「だけど……」

人吉善吉は狂わないでいられるだけの意志の強さがあった。
それ故に狂えない。何も考えなくてすめばどれだけ楽なことか、と善吉は思った。
332創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:35:26 ID:BEZSGuyy
  
333創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:35:37 ID:LS1cAlku
 
334創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:35:44 ID:uMHVzJxE
 
「俺が……俺が!!!!」

真実は一つだけ。

「殺しちまったんだ」

頭を抱えて、蹲り、何も聞きたくない、見たくない。
目の前のことから目を背けたくて。
人を殺したこと。それが泥のように自分の頭の中にへばりつく。



されど、この恐怖劇は終わらない。



何かが善吉の肩に触れて、そのまま飛んで行った。
数瞬後に善吉は遅れてやってきた痛みに顔をしかめる。
見れば肩に抉れたような傷があるではないか。

何だこれは?まだ敵がいたのか?善吉の頭の中はもはやグチャグチャで何を考えればいいのかさえわからない。
それでも自分を襲った相手の顔を確かめようとうしろを振り向いたその時。
善吉をさらなる衝撃が襲った。

「何でだよ……」

自分でもびっくりするくらい小さな声だった。善吉は呆然としながらそんなことを思った。

336創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:36:08 ID:BEZSGuyy
 
337創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:36:22 ID:LS1cAlku
 
338創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:36:29 ID:uMHVzJxE
 
339創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:36:52 ID:BEZSGuyy
  
「竹内……」

そして振り返った廊下の先にいたのは仲間だと思っていた少女――竹内理緒だった。
手には大きなクロスボウを持ち、こちらに向けて射ったところか。

「外しましたか。大型のクロスボウだから手に余りますね」
「お前……最初から俺のこと騙していたのかよ。答えろよ、竹内……」

善吉の言葉がフロア内に木霊する。
嘘だと言ってくれ。質の悪い冗談だってよ、と善吉は泣きそうな顔で呟く。

「ご苦労様でした、あの人を殺していただいて。おかげであたしが危険な綱渡りをしなくてすみました」
「何だと……」

だが返答として返ってきたのは無情な事実。竹内理緒が殺し合いに乗ってるということ。
ただそれだけ。

「騙しててごめんなさい。でも仕方ありませんよね?これは殺し合いなんですから」

善吉が黙っている間も理緒の言葉は続く。

「あたしにもいろいろとあるんですよ、いろいろと」
「…………な……」
「はい?」

掠れたつぶやきのような音が理緒の耳には聞こえた。
スプリンクラーの雨のせいで余り聞き取れなかったが確かに声のようなものが善吉から発せられた。

「……ふ……け……な……」

善吉はふらりと立ち上がり、前を見る。

「ふざけんなよ……」

この言葉に込められた感情は何であろうか。

怒り――――いいえ。

哀しみ――――いいえ。

絶望――――いいえ。

失望――――いいえ。

狂気――――いいえ。
341創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:37:33 ID:BEZSGuyy
   
342創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:37:41 ID:LS1cAlku
 
どれも違う。今の善吉に。
人吉善吉の頭の中に存在するのは。

「“どうして”、なんだよ?」

感情が感じれられない無機質な言葉が善吉の口から出る。
無。ひたすらな無。虚無のココロ。
何かが。善吉の大事な境界線が。無くなったような。
理緒はそんなことをふと思った。

「どいつもこいつもよ、殺すのがそんなに好きなのかよ」

淡々と善吉は喋る。理緒はそれを訝しみながらも聞く。
理緒は今すぐ善吉を撃つことは出来る。
クロスボウには矢を装填している。
だができなかった。なぜか、そうしてはいけない気がしたから。

「こいつは護りたいものがあるからみんな殺す。
 竹内はいろいろあるから殺す。……何でだよ。どうしてそんな簡単に人を殺すって言えるんだよ」

その言葉は理緒に響いた。そしてとあることを思い出す。

ブレードチルドレン。呪われたヤイバの子供達。
そのブレードチルドレンを排除するために動いていた“ハンター”と争っていた時のことを。
理緒はブレードチルドレンとして、敵対する者を容赦なく殺してきた。
それも仕方はない。殺らねばこちらが殺られるのだから。

だが人を殺したことには偽りはない。
自分の意志で――明確なる意志で殺したのだから。

(あたしは人を殺してきた。あっさりと、時には凄惨に。
 だけどそれは簡単だった?違う。それだけはありえない。だって――)
344創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:38:03 ID:uMHVzJxE
 
345創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:38:14 ID:BEZSGuyy
 
理緒は言う。苦々しく、顔を歪めながら。

「簡単な訳ないじゃないですか……」
「なら、」
「それでも殺さないといけないんです、“希望”を護るために!」
「“希望”を護るため?」

善吉は問う。ということはこいつもとある奴を護るために殺し合いに乗ったのか、と考える。

「そうです。その人は私達の“希望”。呪われたあたし達のたった一つの光」

理緒は語る。呪われた自分達の定めを。そして“希望”の存在の尊さを。
善吉は黙って残酷と言えるブレードチルドレンの“運命”を聞く。

「それで?結局はそいつの、“希望”のためにこのゲームに乗ったってことだろ」
「ええ、あたしは決めたんです、あの人の剣とも盾ともなろうって」

その理緒の一言に善吉は――――



「アホらしいな」



冷酷に否定した。

「俺にだっているよ。ここに。この島に大切な幼馴染が。俺にとっての“希望”が。
 でも、俺が護りたいからなんて言って殺し合いに乗ったらそれこそ本末転倒だ。
 めだかちゃんはそんなことされても喜ばない。だから俺は乗らなかった。
だから俺は人を殺すことを否定した」

それでも人を殺しちまったんだけどな、と善吉は呟く。
依然と言葉は淡々としていて、感情めいたものはない。
人を殺してしまい壊れてしまった心の残りカス、
その残骸で起動している“人吉善吉”の“ロボット”が喋っているかの様に。
347創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:38:54 ID:BEZSGuyy
   
348創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:38:59 ID:uMHVzJxE
 
349創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:39:01 ID:LS1cAlku
 
350創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:39:34 ID:BEZSGuyy
            
351創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:39:40 ID:uMHVzJxE
 
352創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:39:46 ID:LS1cAlku
 
「竹内は“希望”を護るために殺し合いに乗った。
それでその“希望”とやらが死ぬってことも当然考えてんだよな?
まさかこのどこよりも危険な島で五体満足で無事でいるとでも思ってんのか」

え?そんな言葉が理緒の口から漏れた。その考えは予想外で考えもしなかった。

それは理緒が無意識に頭の奥に仕舞っていたこと。
そして考えたくもなかったこと。
“希望”である鳴海歩が――――

「もう死んでるかもしれないぜ、な」
「そんなことありません!彼は!弟さんは死にません!!!」

善吉の言葉を遮って理緒は叫ぶ。それだけはあってはならないことだから。
もし鳴海歩が死んだとしたらブレードチルドレンは破滅あるのみだ。
それに自分の決意はどうなる。ここにアイズや浅月などの仲間がいて尚殺し合いに乗ることを決意したのだ。
ただ鳴海歩を護るが為だけに。

「それに救い?ばかじゃねえのか」

理緒が頭の中でぐるぐると思考を重ねている間も善吉は否定の言葉を紡ぐ。

「そんな血まみれで救われるわけねえよ。ただのエゴで人を殺して、よ」
「あ――――」

それは鳴海歩が死ぬことより奥深くに眠って、いや考えてすらいなかったこと。
理緒にとってそんなことは一度も考えたこともなかった。

「でも、それでもあたしは救われたいんです」

救われたい、その一心で理緒は生きてきた。
そして、誰よりも鳴海清隆と鳴海歩を信じてきた、それは狂信とも言えるだろう。
その狂信を捨てることなどできるのだろうか。
354創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:40:15 ID:BEZSGuyy
     
否。考えというものはそう簡単に変わるものではない。
ましてやこの極限状態。あらゆる面からみても最悪の環境で有る。

「そうか、もういい。悪いけどさ俺、まだ死にたくねえんだよ」
「奇遇ですね、あたしもです」

二人は向かい合う。互いの距離はそれなりに離れていて飛び道具のある理緒が圧倒的に有利だ。

「この場を切り抜ける。それには、俺は、俺、は。人を殺すしか――でも俺は。人を殺すことを否定した。
 でもこの場合は仕方ないよな、そうだよ、仕方がない」
「……」

自分に無理やり言い聞かせるように善吉は狂ったように独白を続ける。
もうこの人は普通には戻れない、と理緒は思った。
目は濁っていて、浮かべる薄笑いは気持ち悪い。

「だからさ――死んでくれ」

理緒がクロスボウの先を善吉の頭に向け矢を放つ。
それよりも早く善吉が懐から何かを取り出す。
そして理緒がクロスボウのトリガーを引く前に善吉が手に持った何か――スタンガンを理緒に向けて投げる。
理緒はそれにより標準が少しずれた。そのせいで少しずれて矢が飛んでいく。

「……っ!」

矢は狙っていた顔ではなく右肩に突き刺さった。理緒は急いで予備の矢をクロスボウ装填するが。

「残念だったな」

それは遅すぎて。

「い、や」

理緒のもう善吉は楽に殺せるという油断がこの結果を生んだ。

「まだ、私は死にた」

再び血の華がこの廊下に咲く。
356創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:40:34 ID:LS1cAlku
 
357創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:40:56 ID:BEZSGuyy
                  
358創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:41:04 ID:uMHVzJxE
 
359創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:41:20 ID:LS1cAlku
 


◆ ◆ ◆



「俺は……」

善吉はスプリンクラーの雨に濡れながら一人佇んでいた。
足元には先程まで生きていた竹内理緒の成れの果て。
顔は斗貴子と同じように潰れて原型をなさない。

「殺したんだ。あいつはともかく、竹内は純然な意志で」

そういってこの廊下に転がる二つの死体を見る。

――眼に刻め。これはお前がやったんだ、人殺し。今更善人ぶるな――

――よくも殺してくれたな。生きたかったのに、救われたかったのに――

善吉の頭の中では微かに残る人を殺したことを咎める常識的な心、殺した二人の恨み声が鳴り響く。
無論、声など実際には聞こえない。それは善吉の被害妄想的なものに過ぎない。

「殺しを許容――受け入れてしまったんだ、俺は」

だが、善吉は心身ともにボロボロだった。
右肩に刺さった矢は丁寧に抜き、制服を引きちぎって無理やり止血したが痛みは残る。
精神的にも普通の高校生では考えられない激動の一時だった。

(狂ってしまったんだろうな、俺は)

そう心中つぶやいて、気分を変えようと無理やり笑ってみる。
361創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:41:36 ID:BEZSGuyy
     
362創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:41:52 ID:uMHVzJxE
 
窓に映った自分の顔は酷く歪んでいた。
いつもの皮肉げな笑みはどこに行ってしまったのだろうか。

「行こう……もう終わったんだ」

善吉は落ちているデイバッグにクロスボウなどを全部拾いこの場所を後にする。
ここにいたら余計なことを考えてしまう。
そして階段をおりビルから外へ出た時ふと考える。

(めだかちゃん……できれば、今は会いたくないな)

心の整理がつかない今、幼馴染の黒神めだかに会ったら余計な心配を絶対にかけてしまう、と善吉は苦笑しながら思う。

(ははっ、こんなことがあった後でもめだかちゃんの事を考えるなんて、馬鹿だな俺は)

その時の善吉の顔が少しはましになっていた気がするが、それもすぐに消えて。
再び、歪んだ顔に戻る。

(疲れた。少し……休んでもいいよな)

そしてそのままふらっと地面に倒れて善吉の意識は闇へと落ちていく。
だがその前に何かの音が善吉の耳に聞こえた。

(誰だ……どうでもいいか。もう俺、何も考えたくねえ)

今度こそ善吉の意識は闇に落ちていった。
これから人吉善吉は立ち直れるのか。それとも負の螺旋に囚われるのか。
今はまだどちらともいえない。


【竹内理緒@スパイラル 〜推理の絆〜 死亡】
【津村斗貴子@武装錬金 死亡】
364創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:42:18 ID:BEZSGuyy
 
【H-7/一日目・深夜】

【人吉善吉@めだかボックス】
【状態】気絶、びしょ濡れ、肉体疲労(大)、右肩に刺突痕(応急処置済み)、右肩上に切り傷(応急処置済み)、
    精神崩壊?
【装備】左手用リボルバーナックル@魔法少女リリカルなのは
【持ち物】 支給品一式×3、スタンガン、アーマライト AR18(使用不能)、予備マガジン×3、
クロスボウ、竹内理緒の不明支給品1〜2(銃に立ち向かえる武器はない)
【思考】
0.―――――
※折れた宗像形の日本刀@めだかボックスはビルの前に転がっています。

【宗像形の日本刀@めだかボックス】
宗像形がいつも手に持っている日本刀。
特に何の変哲もない。

【スタンガン】
電圧により相手にショックを与え無力化する道具。暴漢に襲われた際にでも使うのが適切。
当て所が悪ければ当てられた相手は死ぬ可能性もある。
ちなみに携帯型のハンディータイプである。

【アーマライト AR18】
アメリカ、フェアチャイルド社のアーマライト事業部が、アーマライトIncとして独立後の1963年に開発した突撃銃。
製造権をコルト社に売却してしまったAR15に替わる、新たな5.56mm口径ライフルとして、アーサー・ミラーらによって設計された。
 作動機構には、オーソドックスなガスピストン方式のガスオペレーションを採用している。
ちなみにこの銃はなぜかどこの国の軍隊にも採用されないというかわいそうな銃でもある。

【左手用リボルバーナックル@魔法少女リリカルなのは】
ギンガ・ナカジマが左手に装着している非人格式・拳装着型アームドデバイス。
リボルバーナックルが持つオートパーソナライズ機能により、
使用者の身体に合わせたサイズに変化すると同時に、色彩も使用者が設定した色合いに変化することができる。

【クロスボウ】
矢などを発射する武器。拳銃型で大きい。
366創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:42:59 ID:BEZSGuyy
   
367創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:43:35 ID:uMHVzJxE
 
368創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:43:40 ID:BEZSGuyy
   
◆ ◆ ◆



「どうするのこれ?」
「そりゃあ、このままにはしない。どこかに運んで治療するさ」

倒れ伏した善吉の前で喋る二人の男女、十六夜咲夜と睦月透真。
二人は銃声が聞こえたので知り合いが襲われてないかと様子を見に来たのだ。
結果、見つけたのは傷付いた人吉善吉だ。

「でもこの子の腕を見なさい、血が付いているわ。
もしこの子がゲームに乗っていたとしたらどうするのよ」
「その時は俺らで止めればいいだろ。それにもし乗ってなかったとしたらどうする。
 このまま見捨てろってことかよ」
「はぁ……あなた馬鹿でしょ?」
「馬鹿でいいよ。目の前の人一人救えないで何がゲームからの脱出だ!そんなの認められるかっ!」

咲夜の冷静な指摘にも透真の考えは搖れない。
彼の心の中では善吉を助けることは既に決定事項だ。

「止めても無駄だぞ。俺は一人でもこいつを助ける」

そう言って透真は善吉を背負って歩き出す。

「わっ」
「その子の片方の肩を貸しなさい。二人の方が疲れないでしょ?」
「咲夜……!」
「勘違いしないで。その子が少しでも怪しかったら私は切り捨てるわよ?」
「それでも、ありがとう咲夜」

透真が笑うのに咲夜も仏頂面ながらしっかりと答える。
二人は少しよろけながらもどこか安心して治療ができる場所を探すため夜の闇に消えていった。


【H-7/一日目・深夜】

【睦月透真@操り世界のエトランジェ】
【状態】健康
【装備】
【持ち物】 支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
0.善吉をどこか安全に治療できる場所に運ぶ。
1.今は乗らない。

【十六夜咲夜@東方Project】
【状態】健康
【装備】ミセリコルデ
【持ち物】 支給品一式、不明支給品0〜2
【思考】
0.善吉をどこか安全に治療できる場所に運ぶ。ただし何かあったらそれなりの対応を取る。
1.今は乗らない。

----------
78 名前:コワレモノ〜血飛沫に嗤え〜 ◆5ddd1Yaifw[sage] 投稿日:2010/06/30(水) 02:25:02
投下終了。代理投下に支援の人達にはお礼を。
どうもありがとうございました。
370創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:44:20 ID:BEZSGuyy
    
371創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 02:48:28 ID:uMHVzJxE
投下乙!
理緒と斗貴子さん南無南無
よく考えるとカズキとめだか、善吉と斗貴子と相棒同士が出会ってるんだな
しかも片方は出会ったものを助け、片方は殺した
なんつー数奇な運命だ
しかも助けた人たちが殺す前の善吉のような人のいい人達……これなんて善吉いじめw
372 ◆ymCx/I3enU :2010/07/01(木) 23:39:59 ID:014ziDbX
投下乙です。何という支援の数、羨ましいw
睦月透真と人吉善吉がこれからどうなるのか気になります。
では自分も久しぶりに投下をば。俺得ロワ2nd 12話 狼少女は罪を感じ、氷女は獲物を捜す
登場:エルフィ、中山淳太、倉持忠敏、アイスV
12話 狼少女は罪を感じ、氷女は獲物を捜す


灰色の毛皮を持った狼獣人の少女、エルフィは、C-2エリアの海沿いの道路を、
鎌石村方面に向かって歩いていた。
その手には支給品である自動拳銃コルトM1911A1が握られている。
右手に背の高い雑草が生えている草原、左手に狭い陸地を挟んで海が広がっている。
草原から誰か飛び掛かってくるのではと思い、ビクビクとしていた。

エルフィは一度、別の殺し合いで死んだ身の筈だった。
だが、自分は何故か生き返り再び殺し合いに参加させられていた。

「二回も死んで生き返るなんて……凄い経験してる私。いやそうじゃなくて、
これからどうしよう……」

ダアン!!

草原の方から銃声が響き、エルフィの思考は中断される。

「え、何」

ダアン!! ダアン!!

「うおあああああ!!」

銃声と、何者かの声がどんどん近付いてくる。
エルフィはすぐさま近くに乗り捨てられていた軽自動車の陰に隠れた。
次の瞬間、必死の形相の青年が雑草を掻き分け道路に飛び出してきた。

「やばい、洒落にならない! マジで洒落にならない!」

黄色いTシャツに濃い緑色の半ズボン姿の青年は転びそうになりながらも走り出す。
と、青年が出てきた辺りの雑草が再び掻き分けられ、今度は、
白いカッターシャツに焦げ茶色のズボンを着た別の青年が飛び出してきた。

「うおおおお!!」

白いカッターシャツの青年――倉持忠敏は手に持った拳銃、
ベレッタM84を目の前を逃げる青年――中山淳太に向けて発砲する。

ダアン!! ダアン!! ダアン!! ダアン!!

四発が放たれ、内二発が淳太の背中に命中した。
淳太の動きが止まる。口の端から血が流れ出している。

「あ……折角、生き返れたの、に……畜生……」

意味深な遺言を残し、淳太はうつ伏せに倒れ、息絶えた。
「ふう……こんな感じか、人を殺すって、良い気持ちじゃないな、当たり前か」

忠敏は名も知らぬ青年の死体に近付きながら言った。
そして青年――淳太のデイパックに手を伸ばそうとした時。
何と無く、背後に乗り捨てられていた軽自動車が気に掛かった。
軽自動車の方を振り向き、銃を構えながらゆっくりと近付く。
一歩、二歩、三歩、四歩、五歩、六歩目まで歩み寄った、その時。

軽自動車の陰から学生らしい、灰色の狼獣人の少女が飛び出した。
何かに怯えた表情で、両手で構えたそれを自分に向けていた。

ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!!

それが銃だと気付いた時には、銃弾が忠敏の胸元に三発食い込み、血が噴き出した。

「あ、ぁぁ……やべ、ミスった」

軽自動車の陰に誰か隠れているのではと言う憶測自体は正しかったと証明されたが、
その隠れている人物が武器を持っていたら、そして殺し合いに乗っているのか、
それとも自衛のためか、はたまた正気を失っているのか、どんな理由にせよ、
こちらに襲い掛かってくる、と言う可能性までは余り考えていなかった。
そしてこの結末である。自分はもう死ぬ。

「馬鹿じゃん、俺、カッコ、悪っ……」

遠退く意識の中、忠敏は自分の醜態を自分で嘲笑った。


遂に人を殺してしまった。自分の命を守るためとは言え、
前の殺し合いの時でも奪わ無かった人命を自分の手で奪った。
銃口から煙を噴き出すコルトM1911A1を持つエルフィの両手は震えている。

エルフィには罪は無い。立派な正当防衛である。
だが「殺人」という現実は彼女の肩に重く圧し掛かる。

「……」

エルフィは二人の死体に目を背けながら、元々進んでいた方向に、
再び歩き始めた。
エルフィが断ち去って数十分後、青年二人の死体と荷物が放置されていた現場を、
一人の参加者が訪れた。
銀髪に、茶色のコートと、冬着の格好をした若い女性――アイスV。
銃声を聞き付け、支給品の額当てと木刀を携え、やって来たのだが。

「銃で撃たれて殺された死体が二つ……何があったのでしょうか。
まあ、それはさておき……どうも、武器がそのままのようですねえ」

白いカッターシャツの青年の死体、その手元に落ちている自動拳銃を見て、
アイスは荷物が漁られる事無く放置されていると推測する。
黄色いTシャツの青年の死体からデイパックを剥ぎ取り中身を調べると、
基本支給品の他、コンバットナイフと睡眠薬が入っていた。
そして先の白いカッターシャツの青年の傍に落ちていたベレッタM84を拾い、
デイパックの中を調べると、ベレッタM84の予備弾倉3個が入っていた。

「拳銃……良いですね、貰いましょう」

死人にもはや武器や食糧など必要無い。
アイスは食糧、コンバットナイフ、睡眠薬、ベレッタM84の予備弾倉を抜き取り、
自分のデイパックに入れた。そして装備を木刀からベレッタM84に切り替える。

「これで殺し合いもやり易くなる筈……」

不敵な笑みを浮かべて、アイスは自分のデイパックを肩から提げ、
ベレッタM84を携え海沿いの道を進み始める。

この殺し合いには、勇者アレックスと仲間数人、魔王軍四天王のダーエロとムシャ、
自分と同じ魔法具現化の存在であり、親しく付き合っているウォーターTがいる。
しかし、この殺し合いで生き残れるのはたった一人。
自分はまだ死にたくは無い。自分の命と他人の命を天瓶に掛けどちらが重いかは明白。
知人達には悪いが、会ったら容赦無く殺す、アイスはそう決めていた。



【中山淳太@オリキャラ・再戦組  死亡】
【倉持忠敏@オリキャラ・新規組  死亡】
【残り54人】
【一日目/朝方/C-2海沿いの道路】
【エルフィ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康、罪悪感
[装備]コルトM1911A1(4/7)
[所持品]基本支給品一式、コルトM1911A1の予備弾倉(7×3)
[思考・行動]
 基本:殺し合いはしたくない。死にたくない。
 1:クラスメイトと合流?
[備考]
 ※本編死亡後からの参戦です。
 ※アイスVからかなり離れた場所を歩いています。


【アイスV@VIPRPG】
[状態]健康
[装備]ベレッタM84(6/13)、額当て
[所持品]基本支給品一式、ベレッタM84の予備弾倉(13×3)、
 木刀、コンバットナイフ、睡眠薬(12錠)、水と食糧(2人分)
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
 1:知人に会っても容赦しない。
[備考]
 ※魔法に制限が掛かっている事を知りました。
 ※エルフィからかなり離れた場所を歩いています。
 ※キャラ設定はかなり作者のオリジナルが入っています。


※C-2一帯に銃声が響きました。
※C-2海沿いの道路に中山淳太、倉持忠敏の死体と、
二人のデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)が放置されています。


≪支給品紹介≫
【コルトM1911A1】
1911年に米軍制式となった大型軍用自動拳銃。通称ガバメント。
登場から一世紀近く経った現在でもその洗練された外観や、シンプルで信頼性が高く、
バランスの取れた完成度の高い銃として多くの愛好家が存在する。

【ベレッタM84】
ベレッタ社が1976年に開発した中型自動拳銃。
ダブルカラムのため携帯するには少々大きめだが、癖が無いため
初心者や公的機関の制服組などによく使用されている。

【木刀】
木材で日本刀を模した物。日本の剣術で形稽古に使用するために作られ、
剣道、合気道においても素振りや形の稽古で使用される(実戦に用いられることもある)。
【額当て】
鉢巻の額の部分に薄い銅や鉄の板を入れた物。

【コンバットナイフ】
大型の軍用ナイフ。頑丈な作りで切れ味も鋭い。

【睡眠薬】
正式には「睡眠導入剤」。不眠状態や睡眠が必要な状態に用いる薬物。
睡眠時の緊張や不安を取り除き、寝付きを良くするなどの作用がある。
本ロワに登場する物は錠剤タイプ。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】倉持忠敏(くらもち・ただとし)
【年齢】24
【性別】男
【職業】ゲーム製作会社プログラマ
【性格】軽い、恨みは根にもつタイプ
【身体的特徴】黒髪、中肉中背、やや垂れ目
【服装】白いカッターシャツに焦げ茶色のズボン
【趣味】テレビゲーム(主にRPGやホラーアクション)
【特技】プログラミング
【経歴】市販のRPG製作ソフトを使ってかなり凝った内容のRPGを製作し、
 それをゲームコンテストに応募し賞を取った事がある
【備考】ツクラー的な人
378 ◆ymCx/I3enU :2010/07/02(金) 00:02:50 ID:AbPG/4Ps
投下終了です。
379 ◆6LQfwU/9.M :2010/07/02(金) 00:04:51 ID:KxBn4XXE
投下します、「期待と結果は真逆だった」
380期待と結果は真逆だった ◆6LQfwU/9.M :2010/07/02(金) 00:05:52 ID:KxBn4XXE
真っ暗な病院をライトで先を照らしつつ歩くめろりんと下痢。
「やっぱり最初に探索するのは病院だな」
「うん、診察室はどこだろ…あ、あそこじゃない?」
…診察室らしき部屋からは、明かりが漏れている。
「…誰かいるんじゃないか」
「…うん、中に首輪の反応がある。確実に誰かいる」
2人とも、手に持つ武器を自然と握りしめる。
「いい?開けるぞ…」
バタンと大きな音を立て扉を一気に押し開ける!
「…プリン?」


「まさかプリンがここに来てたなんて…気づかなかったよー」
安心した表情で一息つくめろりん。
それにどことなく冷めた表情で答える◆PURIN//46E。
「まあね…下痢さんちっといいかな。」
そう言って下痢を部屋の外に誘導する。

「屋上に呼び出して、一体何の用だよ」
後ろ手で病院へのドアを閉め、改めて施錠する。
「言いにくいけど…お願いがあるんだ。…死んでくれ」
381期待と結果は真逆だった ◆6LQfwU/9.M :2010/07/02(金) 00:07:39 ID:KxBn4XXE
その言葉を聞いた途端、下痢の顔から血の気が引く。
「えっ、ちょっ…」
下痢がそれを言い終わるか終わらないかの内に、銃弾が体中を貫いていた。
「何でかって?そりゃあ…めろりんを優勝させるためだろ」
(乗って…た…のか…だま…さ…れた…の…)
もう意識がほとんど残ってない状態で、最期に見たものは…
―狂気に満ちた◆PURIN//46Eの顔だった。


「ただいま」
返り血を浴びたまま、診察室に戻ってくる◆PURIN//46E。
「銃声が聞こえたけど、何かあったの!?」
「ああ…ちょっと下痢さんに消えてもらったよ」
その言葉を聞いて体が硬直する。
「消えてもらったって、ことは…まさか…」
「まあ、そういうこと。それじゃ…めろりんもがんばってね」
「何で…?何で、そんな…」
それじゃ、と軽く手を振り、そのまま◆PURIN//46Eは診察室を後にした。


【一日目・深夜/D-5:病院:診察室】
【めろりん@板対抗BR】
[状態]:健康、混乱、精神的ショック(大)
[装備]:端末+首輪探知システム@その他
[所持品]:支給品一式、ハンマー@SIREN
[思考・行動]
基本:ゲームには絶対乗らない。
1:なんでプリンが…そんな…
2:下痢さん…

【一日目/深夜/D-5:病院】
【◆PURIN//46E@板対抗BR】
[状態]:健康、疲労(少)
[装備]:P90@現実
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]:
基本:めろりんを優勝させるために参加者を殺す。
1:次はどこに行くかな
※病院付近に銃声が響きました。
382期待と結果は真逆だった ◆6LQfwU/9.M :2010/07/02(金) 00:08:20 ID:KxBn4XXE
【下痢@板対抗BR 死亡】
死因:射殺
383 ◆6LQfwU/9.M :2010/07/02(金) 00:09:09 ID:KxBn4XXE
投下終了です。
384 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/03(土) 16:21:06 ID:rqo6Xv6H
新規ロワ投下します
385 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/03(土) 16:47:49 ID:rqo6Xv6H
6/6【未来日記】
○天野雪輝/○我妻由乃/○雨流みねね/○秋瀬或/○平坂黄泉/○来須圭吾
6/6【ドラえもん】
○ドラえもん/○野比のび太/○剛田武/○骨川スネ夫/○先生○源しずか
5/5【けいおん!!】
   ○平沢唯/○田井中律/○琴吹紬/○秋山澪/○中野梓
5/5【ひぐらしのなく頃に】
   ○前原圭一/○竜宮レナ/○園崎魅音/○北条沙都子/○古手梨花
5/5【Angel Beats!】
   ○音無結弦/○ゆり/○立花かなで/○日向/○ユイ
4/4【BATTLE ROYALE】
   ○七原秋也/○桐山和雄/○織田敏憲/○相馬光子
4/4【Rozen maiden】
   ○桜田ジュン/○真紅/○翠星石/○水銀燈
4/4【20世紀少年】
   ○遠藤ケンヂ/○遠藤カンナ/○落合長治/○カツマタ(ともだち)
3/3【デュラララ!!】
   ○竜ヶ峰帝人/○園原杏里/○折原臨也
3/3【めだかボックス】
   ○黒神めだか/○人吉善吉/○球磨川禊
2/2【呪怨】
   ○伽耶子/○俊雄
1/1【BLOODY MANDAY】
   ○高木藤丸                                   
48/48

【主催者】
○鷹野三四@ひぐらしのなく頃に
○デウス・エクス・マキナ@未来日記

です。大分カオスですがw呪怨とかw
386 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/03(土) 17:18:01 ID:rqo6Xv6H
第一話 「スタート」

目が覚めると、そこはとても固い床だった。
何だろう……。
とても嫌な予感がする。いや、あの日から嫌なことばっかりだ。日記とか、由乃のこととか……。
僕の名前は、天野雪輝。
ある日から、「未来日記」と呼ばれる未来予知の力を手にして、僕のクラスメイト………いや、
僕のストーカーの「我妻由乃」と一緒に、戦ってきた。
でも、僕は既に二人、殺してしまっている。いや、正確には”消滅”させてしまった。
通り魔、火山高夫と、御目方教の教祖、春日野椿さん。
――――――――――――――――でも、今ここで起きていることの方が、重大かもしれない。
何故なら、目の前の鷹野と名乗る女の人は、ここにいる全員で殺し合わせるというのだから。
「と、いう訳よ。私の、個人的興味のために、貴方たちには殺しあってもらう」
鷹野三四。
彼女はそう名乗っていて、まず軽い自己紹介をしたあと、言った。
『あなたたちには、これから殺し合いをして貰います』と。
そして更に鷹野は語った。
自分の神になるという野望を。
そして、殺し合いで生き残った人物には、願いを叶える特権を与えると。
「さて、それじゃあゲームの説明よ。…………といきたいけれど、基本事項は説明しないわ。
各自配布した名簿の裏を見て確認して頂戴」
次の瞬間、鷹野は客席の一人の女を指差した。
「桜田のりさん」
「え?は、はい?」
のりと呼ばれた女の人……いや、女の子の方が正しいかな?は、
体を少し震わせていた。…………怯えているんだろうな。
鷹野は返事を聞くと、ニコッ、と微笑んだ。
そして、
「爆破」


ドゴオォォォォォォォォォォォォォォオオオンンンンッッッッッッ!!!!!!!!!!

と、轟音が響き渡った。
「姉ちゃん!!」
少年の悲鳴。
のりという少女の首は、完全に粉砕されていた。
僕はゾッとした。この首についている首輪は、爆弾なんだ。

「お分かりいただけたかしら?私たちにとって、」


「生と死は、等価値なのよ」

そして、全てが暗転した。

【天野雪輝@未来日記】
【状態】健康、動揺
【支給品】不明
【基本方針】不明
【思考・状況】完全暗転。
1.――――――――――――――――。

【桜田のり@Rozen maiden】 死亡確認

【独断と偏見のバトルロワイヤル スタート】
387 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/03(土) 17:21:11 ID:rqo6Xv6H
ロワ名は「独断と偏見のバトルロワイヤル」です。
続いて予約
第二話「怨念」
388 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/03(土) 17:43:49 ID:rqo6Xv6H
第二話「怨念」

「殺し合い………………?」
私は、園崎魅音。田舎の村、雛見沢の分校に通っている。
一応、クラスでは委員長だけど、ゲームとかは大好き!!
だけど、私が望んでたのは……こんなゲームなんかじゃない。もっと楽しい、笑顔になれるゲーム。
こうなったら、私がこの殺し合いを…………潰 す し か な い 。
支給品と書いてあったバッグには、一本のゴルフクラブと、ライター、絆創膏が入っていた。
他にも、水や包帯なんかも入っていて、かなり親切なもの。
鷹野さん。
変わった人だとは思っていたけど、まさかあんなことをするなんて。
でも、私は誰も殺したりしない。
鷹野さんを倒したら、警察にでも通報しよう。それですべて終わ…………

ズル          ズル        ズル

何かが這うような音。凄く不気味で、気持ち悪い。
「何……これ?」
私は、ゴルフクラブを手に持った。
気配がする。背筋が凍り、産毛が逆立つような悪寒。
初めて経験する、心の底からの「嫌な予感」
私の心は、限界を超えそうだった。
「はっ……はっ……」
目をゆっくり閉じて、気配を感じ取る。

後          ろ            だ           ッ           !

私は、ゴルフクラブを振り下ろした。

スカッ
気のない音。
あれ?誰も……………いない?
「気のせい…かな?」

ガシッ。
「ひっ!!」
思わず声をあげた。
私の手を、土色の手が、力強く掴んでいたからだ。
そして、私はゆっくりと”それ”の顔を見る。

「い、やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああッッッ!!!」

****************************************
魅音だったモノが、転がった。
首にはくっきりと手のあとが残り、恐怖に顔を歪めたままの死だった。
そして、ゆっくりと這う”それ”は、また、這い出すのだった。

その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる……。

【伽耶子@呪怨】
【状態】健康、皆殺し
【支給品】使用せず
【基本方針】参加者を主催者もろとも皆殺しにする
【思考・状況】
廃工場にて、園崎魅音を殺害。
1.俊雄に会う。
2.皆殺し

【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に】 死亡確認
389 ◆ymCx/I3enU :2010/07/03(土) 21:43:07 ID:Y+JhLRxP
投下終了ですか?
390創る名無しに見る名無し:2010/07/03(土) 22:00:01 ID:5SzsFWng
いいんでないの、次行っちゃっても
391 ◆WYGPiuknm2 :2010/07/03(土) 22:00:06 ID:S4Slzu3h
投下終了からかなり時間が経ってるから、終了って事で
いいんじゃないでしょうか

ロワのリスタートを考えているのですが……
392 ◆ymCx/I3enU :2010/07/03(土) 22:40:10 ID:Y+JhLRxP
そうですか、それでは……。

新ロワktkr! これからに期待です。

WYG氏、リスタートですか、いいと思いますよ。
もうその辺りはやはり書き手個人の自由だと、自分は思いますから。
正直自分もリスタートしたくなってきたけど、頑張る。

と言う訳で投下します。俺得ロワ2nd 13話 A foolish man(愚かな男)
登場:最上佳奈、ダーエロ
393A foolish man ◆ymCx/I3enU :2010/07/03(土) 22:42:27 ID:Y+JhLRxP
13話 A foolish man


断崖絶壁――下はごつごつとした岩が突き出た浅瀬。
落ちれば確実に命は無い危険な場所を、覗き込む一人の鮫獣人の少女。
潮風が強く吹き、それに身体を揺られながらも彼女――最上佳奈は、
尚も崖下を覗き込んでいた。

「高いなぁ……落ちたら死ぬよね、絶対に」

自分は普通の高校に通う普通の女の子なのに、どうして殺し合いなど
しなければいけないのか、佳奈は何度も心の中で主催者のブライアンに
問い掛けていたが当然答えなど返ってくる筈も無い。

デイパックの中に入っていた、地図や名簿といった基本支給品、
そして、折畳傘と、軍手。殺し合えと言っていたが傘と軍手で、
一体どう戦えと言うのか。確かに「当たり外れはある」といった事は言っていたが。
佳奈自身には、この殺し合いに乗る気は無かったが、それでも、
自分の身を守れるぐらいの武器は欲しい所だった。

きっと自分は最後まで生き残るなんて事は出来ないだろうと、佳奈は思う。
参加者は自分を含めて60人もおり、しかもあの開催式の場には、見た目で人を
判断するのは良く無いが、危ない雰囲気の人間、獣人、獣も大勢いた。
自分のように殺し合いを拒否する人もいれば、喜んで殺し合いを始める者も多いに違い無い。
そんな状況で、自分が生きていけるとは到底思えない。ましてやこんな貧弱な支給品で。

それならばいっその事、自ら人生の幕を――引こうと思ったが、無理。

怖い。死にたくない。痛いのは嫌だ。

「やめよ……」

後ずさりして崖から離れる佳奈。その時背後は地面が広がっている。落ちる事は無い。
落ちる事は無いが、誰かがいる可能性までは考えていなかった。
冷たい銃口が、佳奈の後頭部に向けて突き付けられる。
銃の持ち主が引き金に掛けた人差指をぐっ、と引く。

「あれ?」

佳奈が気付いて振り向いたと同時に、銃口から火が噴き、佳奈の左目から脳髄を弾丸が貫通した。
衝撃で数歩下がり、ゆっくりと、佳奈は崖から天を仰ぎつつ、落下していった。
394A foolish man ◆ymCx/I3enU :2010/07/03(土) 22:43:27 ID:Y+JhLRxP
拳銃――スミスアンドウエスンM29を携えた、銀色の長髪を持った色黒のエルフの男、
ダーエロは、脈拍数が平時より何倍も上がっている心臓の辺りを撫で下ろす。

「やっちまったな……も、もう、後戻りは出来ねぇ……」

ダーエロは、開催式で自分の魔法や特殊能力が残らず封じられている事を知り、
また、首輪の爆破実演を、しかも自分も良く知る人物で行われた時、
自分が今、絶望的な状況に置かれている事を理解した。
この殺し合いには、自分と同じく魔王軍四天王の一人、ムシャや、
主催者のブライアンとも関りの深い勇者アレックスとその仲間数人、魔法具現化の二人も
呼ばれている。それ故彼は最初はこの殺し合いに乗るかどうか酷く迷った。
仲間であるムシャは勿論の事、仮に敵対関係にある勇者勢とは言え、
たまに共闘したり、時には共に悪事を働いたりする仲間と同等の存在。魔法具現化もまた然り。
もし、彼らと戦う事になったら、自分はその時冷静でいられるだろうか。
出来る事ならば戦いたくも無いし殺したくも無い。それが余りに甘い考えだと言う事も、
ダーエロはしっかり理解していた。だからこそ迷った。
しかし、この殺し合いで生き残れるのはたった一人だけ。
自分はまだ死にたくはない。だがそれは仲間や知人、他の参加者も同じであろう。
ダーエロは、悩みに悩み抜いたが――。

たった今、見知らぬ鮫獣人の少女を殺害した事により、
彼の中で何かが吹っ切れた。

少女の物と思われるデイパックを漁るが、目ぼしい物は無かった。
仕方無くデイパックはそのまま放置する事にした。
そして、ダーエロは海沿いを走る道路に目を付け、地図を取り出す。
自分から見て右手方向の遠方に、和風の寺社のような建物が木々に囲まれて見える。
となると今自分がいるのはC-7エリアだろう。近くに観音堂という表記がある。

「観音堂……行ってみるか」

ダーエロは地図をしまい、観音堂に向けて歩き出した。
心にはまだ迷いがあった、信頼する仲間、関わりのある知人達、
彼らと戦いたく無い、殺したく無いという思い。

しかし、それを必死に押し殺し、ダーエロは歩みを進めて行く。


【最上佳奈@オリキャラ・再戦組  死亡】
【残り52人】
395A foolish man ◆ymCx/I3enU :2010/07/03(土) 22:44:32 ID:Y+JhLRxP
【一日目/朝方/C-7崖付近】
【ダーエロ@VIPRPG】
[状態]健康、C-6観音堂へ移動中
[装備]S&W M29(5/6)
[所持品]基本支給品一式、.44マグナム弾(18)
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。だがまだ迷っている。
 1:観音堂へ向かう。
 2:ムシャやアレックス達には出来れば会いたく無い。
[備考]
 ※魔法に制限が掛かっている事を知りました。


※C-7一帯に銃声が響きました。
※最上佳奈の死体はC-7崖下へ落下しました。また、C-7崖付近に、
最上佳奈のデイパック(基本支給品一式、折畳傘、軍手)が放置されています。


≪支給品紹介≫
【折畳傘】
コンパクトに折り畳めるように作られた傘。

【軍手】
手袋の一種。主に作業時の保護用に使用される。
伸縮性に富み、左右の区別がない。

【S&W M29】
1956年にS&W社が開発した強力な.44マグナム弾を使用する大型リボルバー拳銃。
威力は大きいが、拳銃としては大きく重く、携帯にはやや不便。
某映画の主人公が使用し一躍有名になった。
396 ◆ymCx/I3enU :2010/07/03(土) 22:46:56 ID:Y+JhLRxP
投下終了です。今更ながらに思う。
一人でロワ書くのに60人は多過ぎたと。

一人でやるなら30〜40、50人ぐらいが丁度良いのではと
思い始めた今日この頃の俺です。
397創る名無しに見る名無し:2010/07/04(日) 02:53:13 ID:Zik14KzF
>◆ymCx/I3enUさん
投下乙です
仲間を殺したくはないけど死にたくもないタイプのマーダーって仲間と再会した時が楽しみになりますよね
最上佳奈さんは残念ですが登場話崖っぷちは脂肪フラグだったんで諦めてくださいとしか言いようがないw

>◆OKTm8teiY2さん
新ロワ&投下乙です
名簿を見ただけでわかる、とんでもなくドロドロになりそうな予感
そして第一話は不謹慎ながら呪怨に少し笑ってしまったw
でもよくよく考えるととんでもなく凶悪だよなこいつ


これから◆5ddd1Yaifw氏の代理投下します
398臆病者のロンド ◇5ddd1Yaifw(代理):2010/07/04(日) 02:55:06 ID:Zik14KzF
おいおいおい、何だよ、このあほな催しは!
殺し合い?日本語でおk。
いや日本語だけどさ、わけわかんねえし、笑える冗談じゃねえぞ、こら!
つーか、私は確かネギ先生と愉快な仲間達に巻き込まれてなんやかんや……

あ〜!考えるだけで頭がおかしくなりそうだ。
とにかくなんか超鈴音の野望、魔法が世界にバレるのを防ぐために過去に戻ったはずなんだが。
何で私殺し合いに参加することになってんだ?

おい責任者はどこだ?
悪いが私はちょっとパソコンができるだけの女子中学生だぜ?
断じて不思議パワーとか持ってねえし。
桜咲みたいな超人でもねえし。
大声で言ってやってもいい。

長谷川千雨は正真証明普通の一般人だってな。
はぁ……アホらしいにも程があるぜ。
私が殺し合いに参加する理由?

「あるわけねえだろうがあああああああああああああああああ」

はぁ、はぁ、はぁ。
叫んだらすっきりした。
よしクールになるんだ、長谷川千雨。

ここはどこだ?
周りを見渡してもビル、ビル、ビル。
オフィス街みたいなとこか?
ああ、そういや、現在位置とかわかるデバイス配るって言ってたな、あの女。
目の前にあるデイバッグに入ってんだろう。

んと、ここは……H-6か。いい位置なんだかわからんが。
とりあえず近くにあんのはデパートぐらいか。
まずはデパートに行ってどっか隠れそうなところを探す。
そしてそこにずっと隠れる。完璧だな。
禁止エリアになったら近くのホテルとかに逃げ込めばいい。


399臆病者のロンド ◇5ddd1Yaifw(代理):2010/07/04(日) 02:59:50 ID:Zik14KzF

殺し合いに乗る?
無理無理、乗っても優勝できるとは思えねえし。
私に人殺す勇気なんてない。
このことは別に今考えなくてもいいだろ。

次は、名簿か。
どいつがいるんだか。
……あれー?
いるのは私とネギ先生、それと那波にネギ先生の友達とか言ってた小太郎とかいう奴だけ?
他の愉快な仲間達はどこ行ったんだよ。
まぁ、私の知ったことじゃねえけど。

さて、行くかな。さっさと安全なところに逃げようかな。

「やあ、こんにちは」
「うわあああああ!?」

後ろを振り返ると軍服を着た女性が立っていた。
見た感じデキル女って感じだ。鋭いサファイアのような色の目。
いかにも実直そうな、例えをあげるなら桜咲のような顔つき。
これだけだと驚かなかった。
驚くべきは手に持っているバカでかい刀。
何で持てるんですか、と質問したくなる。めんどいから質問しねえけど。

「早速で悪いんだけどね」
「あ、何すか」

名前ぐらい名乗れよと言ったが次に出てきた言葉が私の言葉をかき消した。

「死んでくれない?」

私はその言葉に心底恐怖を覚えた。それになんつーか身体はすぐに対応してくれた。
即座に私は後ろに跳んだ。その数瞬後、私がさっきまでいた場所があの女性の持ってる刀で薙ぎ払われた。
うわーすげー、地面が抉れてるよ。
あれ当たったら即死だなーとか痛いだろうなーとか場違いにも思った。

「よく避けたねー、ぱちぱちぱち」
「あ、あ、あ」

思いきり叫びたいけど声が出ない。やばい、怖い。恐い。
400創る名無しに見る名無し:2010/07/04(日) 03:02:41 ID:C4+8looq
401臆病者のロンド ◇5ddd1Yaifw(代理):2010/07/04(日) 03:02:47 ID:Zik14KzF
「まあわざと避けさせるように遅く振ったからよけて当然だよね。
 でもすごいね、運もあったと思うけど」

知らずの内に涙が出てきた。そりゃ泣くさ、あんなの見せられちゃあよ。
こいつ、どんだけ強いんだよ!

「さて、戯言はこのくらいにして。死んで、醜く、ね」

ああ、私死ぬんだなって柄でもなく思った。
逃げることなんざ無理だ。あれから逃げれるとは微かにも思わない。
どうせ死ぬんだったら、痛みもなく死にてえなと思ったとき。

「は?」

奇跡が起こった。

「む?」

何か白い塊があの女の所に飛んできた。それをあっさりと刀で一刀両断にする。
だがそれだけで終わらなかった。

「うわっぷ、何これ」

女が白い粉まみれ、あの袋に入ってた奴だな、それに塗れてとても苦しそうにしている。
今逃げるチャンスじゃね?と思ったが腰が抜けて動けねえ。ヤバイ、ピンチ私。
そしてまた白い塊が女の所に飛んでくる。
それを今度は刀で斬らずに躱して、投げた奴がいるであろう所に迫る。
ああ、悪いけど投げた奴死んだと思った。でも、死ななかった。

「あれ?いない」


402臆病者のロンド ◇5ddd1Yaifw(代理):2010/07/04(日) 03:05:07 ID:Zik14KzF

だってそこには誰もいなかったから。

「おいいいいいいいいい、捕まれええええええええ!」

と、思ったらナニカに乗った男が高速で迫って私の手をとった。
私は男の手を握り返して、私はその手を差し伸べてくれた人の身体に転がり込んだ。
そのまま逃走。かなり早い。
下を見ると僅かに浮いてるし。また魔法かよ。

「おお、お、お、おい無事か」

吃った声を聞くのと同時に私の命の恩人の顔を見るために上を見上げる。
見たら私の命の恩人はなんか冴えねえ顔のメガネの野郎だった。



◆ ◆ ◆



ありえない。殺し合いなんてありえない。ただのドッキリだ。
そう思っていた時も俺にはありました。
可愛い女の子の首が爆発するまでは。

「もう勘弁してくれよぉ……」

無理にも程があるぜ、殺し合いとか。
俺以外にもレオ達に姫によっぴーまで。残念なことに俺の名前、鮫氷新一もきちんと載っていた。
つうか俺にレオ達を殺すことができるわけねえだろ。
大切な仲間達を……殺すことなんざ死んでもお断りだ。

「レオ〜スバル〜カニ〜」

どこにいるんだよ、あいつらは。一人は正直恐い。
誰かこの近くにいねえのかよ。
周りはビルしかねえしよ。
そんなことを考えている時声が聞こえた。女の子の。
よしいこう。カワイイ子だったら一緒に行動すればいいし。

そう考えていた時も俺にはありました。
何あれ?あのデカイ刀?あれおかしいだろ、人が持てるレベルじゃねえぞ!
いやそれよりも、あの女の子殺されちまう。

でも、あんなデカイ刀持ってる奴に立ち向かえるか?
……正直厳しいというか恐い。足が震える。小刻みな搖れが俺の全身を支配する。
幸いのことに二人とも俺には気付いていない。今のうちに遠くへ逃げても大丈夫だということだ。
よし、逃げよう。あの女の子は運が悪かっただけさ。それに、俺じゃない誰かが助けるかもしれない。
俺には……関係ないんだ。
403創る名無しに見る名無し:2010/07/04(日) 03:07:10 ID:C4+8looq
404臆病者のロンド ◇5ddd1Yaifw(代理):2010/07/04(日) 03:07:15 ID:Zik14KzF
じゃあよ、あそこにいるのがレオ達だったら俺はどうした?
怖くても助けにいったんじゃないだろうか。
レオもスバルもカニも、皆いい奴だ。俺みたいなヘタレとも仲良くしてくれるいい奴等だ。
そんないい奴等がこんな光景を見て助けに行かないとかないだろう。
でも、俺は違う。自分の命が惜しいんだ。死にたくないんだ!

それなのにばかだよな、俺。
何で助けようとして動いてんだよ。
ここで逃げたら確かに死なねえかもしれない。でも、俺はこの光景を一生忘れられねえと思う。
それによ……平然と逃げてちゃなんか気分が悪いし、レオ達に合わせる顔がねえよ。
人見捨てて生きのびましたなんて誇れるかよ!

俺は刀を振り上げようとしている奴に支給品の粉袋を投げつける。
これでほんの少し時間は稼げたはずだ。そして、俺はある“もの”を取り出す。

ライディングボード。これのサブフライトシステムで上に乗ってあの女の子のところまで行ったら、
後は女の子抱えて全力でぶっとんで逃げればいい。
やべ、こっち見た。
俺はもう一個あった粉袋を投げつけてる片手間にライディングボードを起動させて乗る。
サーフボードに乗るような感覚だ。低空飛行にしてるし、足場も安定してるから落ちはしないだろう。
つーか危なかった。起動させるのがもう少し遅かったらあの女の刀の錆になってる所だった。


405臆病者のロンド ◇5ddd1Yaifw(代理):2010/07/04(日) 03:10:54 ID:Zik14KzF
「おいいいいいいいいい、捕まれええええええええ!」

女の子の手を無理やり引っ張り体ごと俺の元へ寄せる。
そのままライディングボードを加速させて逃げるだけだ。
後ろは怖くて見れない。見たら止まっちまう。
未だに震えが収まらねえよ。情けないとかそういう問題じゃない。

あの女、一瞬だけ顔を見たけど笑っていやがった。この状況で。
人を殺すのに笑ってやる奴がいるかよ、あいつは狂ってる。
そろそろ逃げれたか?

「おお、お、お、おい無事か」

どもってしまった。声にまで震えが出るとは。
さて、これから俺らはどうしようか。


◆ ◆ ◆



「逃げられちゃったか、まあいいや。別に無理して殺すつもりもなかったし」

うまくやられちゃったね、あの少年に。僕も遊んでたってのもあるけど。
粉まみれになっちゃったし。

「しかし何だろうね、この殺し合いは……」

僕は確か透真君達と城で別れたはずだったんだけどな。いつのまにこんな変なゲームに参加させられているんだろう?
まあどうでもいいや。僕の目的が変わるわけではないし。手段が変わるだけだ、問題はない。

透真君に僕を殺してもらうために。殺し合いに乗るってことに決めたしね。
僕は『極限』を成長させすぎた結果が死ねない体――永遠に生きるハメになった。
もう生きるのに疲れた、死にたいなーと思っても死ねない。

でも彼の葬糸術だったら僕を殺せる。なら殺してもらうにはどうしたらいいか?
そしてこの殺し合いの状況。答えは簡単だった。殺し合いに乗ればいい。
殺し合いに乗ったこの“姿”を見れば彼ならば止めるだろうし。殺してでも、ね。

ひとまずは無理をしない程度に人を殺してまわろうかな。
支給品も当たりで、変装専用のマスクと葬剣が入っていたしね。
これで取り敢えずは礫に変装したけど、まあいいか。この島には礫もいないし。
これで思う存分にできる。もし顔で危険がばれてもマスクをとればいいだけだしね。

いるのは透真君、冥ちゃんに蒼蓮。僕の名前である“山田太郎”もちゃんと載っていた。
透真君以外は別にどーでもいい。死のうが生きようが僕には関係ない。

「さぁてと。これからどこに行くかな。さっきの子達は追いかけるには遠すぎるし。
 気の向くままに巡ってみようかな」

この命を絶ってもらうために、生きてもらわないと困るよ、透真君?うふ。
406創る名無しに見る名無し:2010/07/04(日) 03:11:52 ID:C4+8looq
407臆病者のロンド ◇5ddd1Yaifw(代理):2010/07/04(日) 03:12:55 ID:Zik14KzF
【H-6/一日目・深夜】
【長谷川千雨@魔法先生ネギま!】
【状態】精神疲労(大)、ライディングボードに乗っている
【装備】
【持ち物】支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
0.どうしようか……
1. ここから逃げる。
2. どこか安全なところに隠れる。


【鮫氷新一@つよきす】
【状態】精神疲労(中)、ライディングボードに乗っている
【装備】ライディングボード@魔法少女リリカルなのは、粉セット
【持ち物】 支給品一式
【思考】
0.とりあえず今は乗らない。仲間を殺してまで生きたいとは思わない。
1.逃げる。
2.対馬ファミリーとの合流。

【山田太郎@操り世界のエトランジェ】
【状態】健康、粉まみれ、礫の顔
【装備】葬剣@操り世界のエトランジェ、変装用マスク@操り世界のエトランジェ
【持ち物】 支給品一式、葬剣@操り世界のエトランジェ
【思考】
0.睦月透真に殺してもらうために殺し合いに乗る
1.次の目的地をどこにするか考える
※第六幕、城の前で透真達と別れてからの参戦
※闇宮礫の顔に変装しています。

【ライディングボード@魔法少女リリカルなのは】
盾でもあり、砲撃装置でもあり、移動手段でもある汎用性の高い大型プレート。
射撃装置は設置弾・直射弾・誘導弾・砲撃の射撃魔法の基礎には対応済み。
盾にした場合は人一人丸々防御できる大きさを持っている。
移動手段とした場合表側を上にして、サーフボードのようにウェンディが乗って移動する。

【粉セット】
古今東西の粉セット。どんな粉もこれで全部揃います。

【葬剣@操り世界のエトランジェ】
闇宮冥の特注武器『刻死夢葬』の『葬』の部分。
葬剣と呼ばれていて刃渡りが軽く一メートルは超えている。二つセット。

【変装用マスク@操り世界のエトランジェ】
山田太郎が変装に使うマスク。
408臆病者のロンド ◇5ddd1Yaifw(代理):2010/07/04(日) 03:14:09 ID:Zik14KzF
84 :臆病者のロンド ◆5ddd1Yaifw:2010/07/04(日) 02:39:18
とーか終了です。


85 : ◆5ddd1Yaifw:2010/07/04(日) 03:05:47
ここでみなさんに意見を求めたいことがありまして。
我がロワの話を書いてくれる人募集!ええ、無計画に78人とか出した弊害であり、
さばくのに時間がかかりすぎという俺の不甲斐なさが原因です。
ですのでこのようなことを書かせていただきました。
ただこれは非リレーのルール上違反ですからね。
それなら俺ロワに行くべきかなとも思ったんで。
ここの住民の意見も聞きたいと思いまして書かせていただきました。
一応書いときますが、基本はほぼ俺が書きますし、全部他人任せにはしません。
無論、書こうという人がいないのでしたら全部俺が書くよーということになるのは
承知の上です。
誰も来ないということもきちんと視野に入れています。

以上です意見をお待ちしています。
それとこの文を代理投下してくれると助かります。


409創る名無しに見る名無し:2010/07/04(日) 10:25:44 ID:ChrV9crY
取り敢えず参加者を30人位カットすればよいのでは?
410 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/04(日) 13:27:45 ID:DXiXZnVA
昨日は本当に申し訳ありませんでした。
投下終了に安心して、ルールの「投下後の意思表示」を
忘れてしまいました。
今後気をつけますので、どうか今後もよろしくお願いします。

P.S
自分もカットしたほうがいいと思います。
さすがに70超えはキツイと思いますので……。
411 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/04(日) 14:02:33 ID:DXiXZnVA
投下予約です。
独断と偏見のバトルロワイアル第四羽「葬羽」

登場キャラ
・水銀燈  ・平坂黄泉  ・遠藤カンナ
412 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/04(日) 14:23:43 ID:DXiXZnVA
第四話「葬羽」

ザスッ   ザスッ   ザスッ

黒い羽が、地面を突き刺していく。
銀髪の人形の背中から撃ちだされる、無数の羽がことごとくかわされ………。
「くっ…!!何なのよこいつ…!」
顔をしかめる人形の前には、黒いマスクとスーツに身を包んだ男がナイフを持って立っている。
人形の名は、ローゼンメイデン第一ドール水銀燈。
男の名は、”正義日記”所有者”12th”平坂黄泉。

平坂は「正義日記」で羽をかわしながらも、水銀燈の体の一部を狙っていた。
狙っているのは、腹。
脇腹を斬りつければ、あのサイズの人形ならあっけなく殺せるだろう。
平坂はそう考えていた。
「モウヤメロ、ドウセオ前ハ死ヌ」
「誰が……死ぬもんですかっ!!」
羽は曲線を描き、平坂に突撃するも結果は同じ。
限界が近い。
水銀燈の契約なしでのエネルギーはかなり少ないため、命にかかわるだろう。
「(仕方ないか――――――――。そろそろ退却かしら)」
水銀燈は逃げるという行為に恥を覚えるも、羽を広げる。
「逃ガシハシナイ」
しかし、平坂のナイフで羽の一部を切り裂かれてしまった。
「この……ッ!!」
羽はしばらくすれば自然再生できるのだが、水銀燈は自分の体の一部が、たとえ一時的にでも
「欠落」することが許せなかった。
「マア、王手、トイッタトコロカ」
片羽はもう使えない。
完全に死ぬ。そう覚悟したとき―――――――。
「グヌオッ!?」
平坂の右肩を銃弾が撃ち抜く。
平坂の視線の先には、一人の少女が立っていた。
「クッ・・・仕方ナイカ………。」
正義日記には、平坂の死が予知されていたため、平坂は案外潔く逃走する。
少女、遠藤カンナは追おうとはしなかった。
「何で、助けたのよ?」
「鷹野を倒すには、沢山の、大勢の力が必要なの。だから、あなたの力がほしい」
水銀燈は考えた。
今、ここでカンナと契約してしまえば、自分は、生き残れるかもしれない。
平坂だって、契約後の力なら殺せる!
「わかったわ。でも、その代わりに………私の指輪に口付けをしなさい。それが”契約”の証よ」
するとカンナは、あっさりと契約の口付けをした。
水銀燈は、心の中で嗤う。
鷹野になんて勝てないし、勝つ気なんてない。
なら、真のマスターであるめぐの病気を、治す。
そのための生贄が、カンナ。
私の羽は、葬りの羽。あなたをいずれ葬る、――――――――葬羽<ホウムリバネ>。
413 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/04(日) 14:34:23 ID:DXiXZnVA
[水銀燈@Rozen maiden]
[状態]全身疲労(中)、左羽欠損、奉仕(マスター)
[支給品]アイスピック@現実、ニンテンドーdsi@現実
[方針]優勝して、めぐの病気を治す。
[思考・状況]
平坂黄泉と戦闘後、遠藤カンナと行動。
1.カンナは利用して、あとで殺す。
2.平坂は絶対殺す。
※原作七巻終了時からの出典です。
※羽は二時間ほどで回復します。
※カンナと契約しました。

[遠藤カンナ@20世紀少年]
[状態]健康、冷静、対主催
[支給品]リボルバー銃@現実、催涙スプレー缶@ひぐらしのなく頃に
[方針]鷹野を倒す。
[思考・状況]
水銀燈と行動。
1.ケンヂおじちゃんと、オッチョおじさんに会う。
※原作終了後からの出典です。
※水銀燈と契約したため、水銀燈の力の使いすぎは彼女の死にも繋がります。

[平坂黄泉@未来日記]
[状態]全身疲労(小)、右肩負傷、優勝狙い
[支給品]正義日記@未来日記、果物ナイフ@現実、缶コーヒー@現実
[方針]正義のために勝つ
[思考・状況]
水銀燈と戦闘。
1.水銀燈とカンナは必ず殺す。
2.天野雪輝、我妻由乃、雨流みねね、来須圭吾は必ず殺す。
※正義日記が壊れれば彼も死亡します。
414 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/04(日) 14:50:08 ID:DXiXZnVA
投下終了です。
415 ◆ymCx/I3enU :2010/07/04(日) 15:52:49 ID:8zm2mkZA
投下乙です。あ、E-mail欄にsageと入れた方が良いですよ

>>408
◆5ddd1Yaifw氏、やはり自分で書かない事には非リレーロワで無くなって
しまうと思うので……もうどんどん殺すか、キャラを減らすか、
最悪リスタートした方が良いのでは、と思います。
自分も数減らしたり書き難そうなキャラを書き易そうなキャラに
変更したりしてますから、でも既に登場したキャラは出来るだけ消さないようにしてます。

投下します。俺得ロワ2nd 14話 ひとりでできるもん
登場:姫路礼華
416ひとりでできるもん ◆ymCx/I3enU :2010/07/04(日) 15:55:03 ID:8zm2mkZA
14話 ひとりでできるもん


赤色の毛皮の狐獣人に、角と蝙蝠のような翼、毛皮に覆われた長い尾を付けたような
外見の雌の獣竜、姫路礼華は、G-3エリアの平瀬村分校の保健室跡で、
ベッドの上で悶えていた。

「や、あああ……んっ、んっ、ううう」

恍惚の表情で涎を垂らしながら喘ぐ礼華。
うつ伏せになり尻を高く突き出すような格好で、右手を股の下から、
尻尾の付け根の部分に差し入れるようにして、その手をしきりに動かしている。

「うっ……も、もう……ああっ……!」

ビクビクと身体を震わせながら、思い切り身体を反らし、礼華は果てた。



「ふぅ……気持ち良かった」

絶頂の余韻から覚めた礼華は適当に拾った布で後始末を澄ませ、
そしてそこからかなりの長さと太さを誇る――張り型を引き抜き、
それもしっかり布で拭く。

「さて、一旦このくらいにして……と」

張り型を自分のデイパックの中にしまい、礼華は自分のもう一つの支給品、
九九式軽機関銃を取り出す礼華。
張り型――いわゆる女性専用の大人の玩具と、軍用軽機関銃と言う、
何ともギャップの大きい組み合わせのアイテムが礼華の支給品であった。
九九式軽機関銃はかなりの重量があったが、獣竜である礼華は女性的な身体のラインに
反して普通の人間よりも強靭な筋力を持っていたため、突撃銃のように扱う事が出来た。

「これからどうしよう……」

いつものように自慰をしてから家で眠りについた筈が、
目が覚めた時には大勢の人間や獣人がいる、バトルロワイアルと言う
殺し合いゲームに参加させられていた。
首には無理に外そうとしたり主催者に反逆したりすれば爆発する金属製の首輪。
生きて帰れるのは最後まで生き残ったたった一人だけ、と、
主催者のブライアンはそう言っていた。
417ひとりでできるもん ◆ymCx/I3enU :2010/07/04(日) 15:55:58 ID:8zm2mkZA
しかし、礼華は他人を殺めてまで自分が生き残ろうとは思わない。
元来優しい性格である彼女にとってそれは到底出来ない事だった。
だが、自分の命を守るためであれば戦う事も心に決めていた。

地図を再び広げ、現在位置と思われるG-3エリア平瀬村分校跡の周囲の様子を見る。
麓まで行けば平瀬村と言う集落に出れるらしい。
集落ならば人が集まり易いだろう。自分のように、殺し合いを拒否する人も、
必ずいる筈だ。勿論、殺し合いに乗っている人も多いだろうが。
この状況だ、多少の危険は覚悟しなければならない。

「行ってみよ……」

赤い雌の獣竜、姫路礼華は九九式軽機関銃を携え、分校の入口へと向かった。



【一日目/朝方/G-3平瀬村分校跡】
【姫路礼華@オリキャラ・新規組】
[状態]健康
[装備]九九式軽機関銃(30/30)
[所持品]基本支給品一式、九九式軽機関銃の予備弾倉(30×5)、張り型
[思考・行動]
 基本:殺し合いはしない。生き残る。但し襲われた時は戦う。
 1:平瀬村に向かい、仲間になってくれそうな人を捜す。
 2:暇や余裕があったら張り型で遊ぶ。
[備考]
 ※特に無し。


≪支給品紹介≫
【九九式軽機関銃】
1939年(昭和14年)に採用された大日本帝国陸軍の軽機関銃。
九六式軽機関銃を基本設計に開発され、口径が6.5mmから7.7mmに拡大された。
命中精度・信頼性ともに高く、第一線では好評であった。

【張り型】
いわゆる女性用の大人の玩具。ディ○ド。太くて長い。
コメントしづらい。
418ひとりでできるもん ◆ymCx/I3enU :2010/07/04(日) 15:56:52 ID:8zm2mkZA
≪オリキャラ紹介≫
【名前】姫路礼華(ひめじ・らいか)
【年齢】19
【性別】女
【職業】化粧品販売店勤務
【性格】優しいが、多少エロい
【身体的特徴】赤と白、手足耳の先が黒っぽい雌の獣竜。赤色の狐獣人に、
    角と竜の翼、毛皮に覆われた長い尻尾を付けたような外見。スタイル抜群
【服装】全裸(服を着るという概念が無い)
【趣味】エロアニメDVD観賞、自慰、官能小説執筆
【特技】身体が柔らかくセルフで秘部に口が届く、翼を使って飛行可能
【経歴】10歳の時に父親が病死し、母子家庭で育った
【備考】外見に反して筋力と体力がある、多少ではあるが男性経験もある



投下終了です。イエイイエイイエーイ
419創る名無しに見る名無し:2010/07/04(日) 17:07:33 ID:ChrV9crY
投下乙
相変わらず弾けてるなー
420創る名無しに見る名無し:2010/07/04(日) 20:34:15 ID:PMs0zMkb
>>408
多すぎるのが辛いからリレー形式にしたい、というのなら名簿そのものを削った方がいいんじゃないかと思う。
そうではなく、リレーができないことそのものが辛くなってきた、というのならスレを移した方が。
421 ◆ymCx/I3enU :2010/07/05(月) 00:35:34 ID:9ySzPChu
投下します。俺得ロワ2nd 15話 サド王子は空を仰ぐ
登場:沖田総悟
422サド王子は空を仰ぐ ◆ymCx/I3enU :2010/07/05(月) 00:36:21 ID:9ySzPChu
15話 サド王子は空を仰ぐ


G-6エリアの山中、寂れた神社――鷹野神社の縁側に寝そべる、
亜麻色の髪を持った、黒い制服姿の少年。
傍には鞘に収められたままの日本刀――和泉守兼定と黒いデイパックが置かれている。
少年――沖田総悟、江戸を守る武装警察真選組一番隊隊長を務める男は、
両手を頭の後ろに組んで青空を眺めていた。

「……いつまでも寝てても、何にもなりゃしねェや」

起き上がり、刀を腰に差し、デイパックを肩に提げる。

「何でこんな事になっちまったのかねェ」

総悟は昨晩までの事を振り返る。
過激派攘夷組織、鬼兵隊と手を組んだ真選組参謀・伊東鴨太郎の乱を平定し、
その後は特に大きな事件も起こっていなかった。
だが、まさかこのような馬鹿げたゲームに巻き込まれるとは。
ブライアンと名乗る鎧を着込んだ男が、殺し合いゲームの開催を宣言した。
反対した魔法使い風の格好の女が、首輪を爆破されて殺された。

首にはめられた首輪に触れながら、総悟は不快そうな表情を浮かべる。
本来自分は首輪をはめられるのでは無く、むしろはめる方だと言うのに。

「あの野郎……絶対ぶった斬ってやらァ」

どこにいるかも分からない主催者ブライアンに向けて、
殺気満々の恨み言を述べる総悟。

「まァその前に、土方さんと万事屋の旦那……どこにいるのかねェ」

この殺し合いに呼ばれている、自分の上司と、腐れ縁の銀髪の侍の名を呼ぶ。
どちらもかなりの実力者であり、そう簡単に命を落とすとも思えないが、
それでもなるだけ早く見付け出した方が良い事には変わり無い。

真選組副長である土方十四郎に関しては、元々副長の座を自分が狙っている事もあり、
この機に乗じて暗殺する事も考えたりしたが、やめた。
それだと、主催者ブライアンの思う壷になる。総悟にとってそれは承服しかねる事だった。
どこの馬の骨とも知れない男に「殺し合え」と一方的に命ぜられて、それに従うなど、
彼にとっては真っ平御免だったのである。
423支援:2010/07/05(月) 00:37:44 ID:ptcXvBLe
 
424サド王子は空を仰ぐ ◆ymCx/I3enU :2010/07/05(月) 00:39:15 ID:9ySzPChu
しかし捜すと言っても、地図を見る限り、会場となっている島はかなりの広さがあり、
しかも三つの集落や、神社、ホテル跡といった施設が点在し、中央部には森に覆われた山。
どこを捜せばいいのか皆目見当もつかない。

「はぁ……」

溜息を付きながら、総悟は再び両手を頭の後ろに組みながら縁側に寝そべった。



【一日目/朝方/G-6鷹野神社】
【沖田総悟@銀魂】
[状態]健康
[装備]和泉守兼定
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:殺し合いには乗らない。
 1:これからどうするか……。
 2:坂田銀時、土方十四郎の二人を捜す(二人共簡単には死なないと思っているので優先順位は低い)
[備考]
 ※原作真選組動乱編以降の参戦です。
 ※参加者の獣人や規格外の獣を天人や宇宙生物の類と思っています。


≪支給品紹介≫
【和泉守兼定】
史実で新撰組副長、土方歳三が愛用していたと言われる刀。
ちなみに土方歳三は銀魂の土方十四郎のモデル(主に副長という立場と
名前)になった、実在の人物。
425 ◆ymCx/I3enU :2010/07/05(月) 00:40:40 ID:9ySzPChu
投下終了です。
426 ◆ymCx/I3enU :2010/07/06(火) 00:24:49 ID:2AvruI3N
……思うように話が進まないのでリスタートを考えています。
427創る名無しに見る名無し:2010/07/06(火) 00:33:10 ID:EOlD+uSg
考えた時点でもう行動すべきなんだ
428俺得ロワ2ndリスタートの件 ◆ymCx/I3enU :2010/07/08(木) 00:31:32 ID:Tw347bEm
参加者、主催者、地図を見直し、俺得ロワ2ndをリスタートする事に決めました。
今まで投下したSSに感想を下さった皆様、ありがとうございました。
心機一転して再び第四期ロワ完遂に向けて頑張りたいと思いますので、
どうか宜しくお願いします。

新たな名簿(暫定)は以下の通りです。

≪主催者≫
【???】
 ○比叡憲武(◆ymCx/I3enU)

≪参加者≫
【オリキャラ・再登場組】15/15
 ○新藤真紀/○藤堂リフィア/○柴田行隆/○伊賀榛名/○中村アヤ/○石川清憲/○費覧/
 ○レイ・ブランチャード/○セイファート/○久保遼平/○石川昭武/○大宮正悳/○永倉萌/
 ○シリウス/○レックス
【VIPRPG】10/10
 ○リリア/○ブライアン/○ヘレン/○ザック/○アルベルト/○ムシャ/○弟子五郎/○ダーエロ/
 ○エロリア/○ディオナ
【自作キャラでバトルロワイアル】6/6
 ○ノーチラス/○エルフィ/○サーシャ/○シルヴィア/○テト/○フラウ
【オリキャラ・新規組】6/6
 ○浅井貴光/○勤武尚晶/○森井俊政/○倉敷静美/○皐月眞矢/○姫路礼華
【ドラゴンクエストV】3/3
 ○女勇者/○女賢者/○女遊び人
【ギャグマンガ日和】2/2
 ○聖徳太子/○小野妹子
【SIREN】2/2
 ○牧野慶/○宮田司郎
【東方Project】2/2
 ○鈴仙・優曇華院・イナバ/○東風谷早苗
【ドラゴンドライブ】1/1
 ○ライコーオー
【サムライスピリッツシリーズ】1/1
 ○シクルゥ

48/48
429俺得ロワ2ndリスタートの件 ◆ymCx/I3enU :2010/07/08(木) 00:38:52 ID:Tw347bEm
≪マップ≫
||01|02|03|04|05|06|07|
|A|街|教|街|街|街|平|街|
|B|街|街|森|分|湖|娼|街|
|C|平|牧|森|森|森|処|平|
|D|平|廃|森|鉄|森|森|平|
|E|塔|平|森|森|学|役|街|
|F|崖|平|平|街|街|街|病|
|G|崖|豪|海|灯|港|埋|海|

街……民家や店舗がある市街地
教……教会
平……平野部。草原や道路がある
森……森林地帯。山道や山小屋、岩室がある場所も
分……分校跡。廃墟の木造校舎。SIRENの羽生蛇村小学校折部分校に酷似
湖……綺麗な水を湛えた湖
娼……娼館。男娼、女娼どちらもあり
牧……馬がいる牧場
処……ギロチンや絞首刑台などがある処刑場
廃……廃屋。SIRENの田堀廃屋に酷似
鉄……朽ちた鉄塔
塔……元々軍事施設だったらしい塔
学……木造校舎の小中学校
役……島役場
崖……断崖絶壁。落ちればほぼ間違い無く死亡
病……小規模の病院。内部構造はSIRENの旧宮田医院に酷似している
豪……大きな家。ガレージや離れもある
灯……灯台
港……港。ボートなどがある
埋……埋立地。民家が建ち並ぶ
海……ただの海

≪他、注意事項的なもの≫
出典キャラは全員キャラ崩壊、矛盾しない程度の作者の趣味によるキャラ改変が
多分に含まれます。特に東方なんて初めて手を出したんですが、二人とも、
能力を封じられ普通の女の子として描写していこうと思います。
430 ◆ymCx/I3enU :2010/07/08(木) 00:52:32 ID:Tw347bEm
投下終了です。
431 ◆ymCx/I3enU :2010/07/08(木) 01:36:30 ID:Tw347bEm
俺得ロワリスタートOP、投下します。
0話 オープニング


前方にモニターがある小部屋。その中央にある、
歯医者にあるような椅子に、私、フラウはベルトで固定されていた。
自由に動かせるのは尻尾だけ。
後ろが気になるけど梟じゃないから首を180度回転させる事は出来ない。
首に違和感がある。何だか、硬い材質の首輪みたいな物がはめられてるみたい。
おかしいな、昨日はいつものように自分の部屋で眠った筈なんだけど……。

「やあ、こんにちわ。この映像を見てる皆さん」

突然モニターに、青と白の毛皮の、大きな狼が映し出された。
獣人じゃなくて、四足歩行の獣。何で喋れるのかしら。
ん? みんなって事は他にも誰かいるの?

「突然だけど、今から皆さんには殺し合いをして貰います」
「……な、何??」

モニターの向こうの青白狼はいきなり信じられない事を宣言した。
殺し合いってどういう事なの? ちょっと待って、悪ふざけにも程が……。

「これは冗談なんかじゃありません。今から証拠を見せます」

男がそう言うと、映像が切り替わった。
手を後ろに縛られ全裸にされた女の子、多分私と同じくらいの、が、
怯えた表情で立っていた。
さっきの男の声でナレーションが入る。

「皆さんの首に首輪をはめさせて頂きました。今移ってる彼女にもはめられてますね。
いいですか、その首輪は殺し合いを確実にするための物なんです。もし、首輪を、
無理に外そうとしたり、逃げようとしたり、ゲームの邪魔になる事をしたりすれば……」

嫌な予感がした。

「こうなります」

ピィーーーーーーーバァン!!

「!!」

短い電子音の後、女の子の首輪が爆発した。
女の子は穴の空いた喉笛から鮮血を撒き散らし、床に崩れ落ちて動かなくなった。

「何て事を……!」

私がショックを受けていると、再びモニターに青白狼が映し出される。

「これでお分かり頂けたでしょうか」

取り敢えず、下手に逆らわない方が良いと言う事は理解した。
じゃないと、あの女の子みたいに首輪を爆破されるかもしれない。
ここは騒がないで大人しく話を聞こう。どこからか監視している可能性が高いし。
「あ、申し遅れました、俺は比叡憲武(ひえい・のりたけ)と言います」
「今更自己紹介かよ! しかも普通の名前!?」

遅すぎる自己紹介、外見に似合わない普通っぽい名前に思わず突っ込みを入れる私。

「それではルールの説明に移ります。先程も言いましたが、
最後の一人になるまで皆さんには殺し合いをして貰います。
反則はありません。何をするのも自由ですが、ゲームの邪魔をするような事だけは
やめて下さい。

首輪についてはもう説明不要ですかね。でも一応もう一度言っておきます。
無理に外そうとしたり、立入禁止の場所に入ったりゲーム進行の妨げになる事をすれば、
先程の狼娘のようになります。くれぐれも気を付けて下さい。

ゲームが始まったら皆さん一人一人には支給品の入ったデイパックを渡します。
特殊な構造でかなりの容量があります。
中には地図や名簿といった基本支給品と、武器や防具等のランダム支給品が入っています。
ゲームが始まったら各自で確認して下さい。ランダム支給品は役に立つものばかり
とは限りません。これもハンデを少なくするためです。

深夜0時、朝6時、昼12時、夕方6時にこちらから放送を流します。
内容は禁止エリアの発表、そしてその時刻までに出た新たな死者の発表です。
禁止エリアは入ると首輪が作動しますのでよく聞いていて下さい。

魔法とか超能力とか、そういう便利な力は一切使えなくしました。
自分の身体か、支給或いは調達した武器で戦って下さい。

また、最後の死者が出て24時間、新たな死者が出なかった場合、
その時点で生き残っている全員の首輪を爆破します。優勝者はありません。
皆さんが全員死亡しても同様です。

以上です」

これが悪夢だったらどれだけ良いか。
あの比叡憲武と言う青白の狼は本気で殺し合いをさせるつもりなんだ。
大変な事になっちゃったなぁ……。

「皆さん、何でこんな殺し合いをしなくちゃいけないんだと思う人も多いでしょう。
でもそれは違いますよ。人生はゲームです。
皆さんは必死になって戦って、生き残れる、価値のあるキャラになりましょう」

何言ってんのコイツ。

「それじゃ、一旦眠って頂きます。目覚めたらゲームの始まりです。
健闘をお祈りします、頑張って下さい」

憲武がそう言った直後、急に眠たくなってきた。
必死に意識を繋ごうとしたけど、駄目みたい。

「うう……英人、由佳ちゃん、ケトル、私は……どうすれば……」

そこまで言い終えた所で、遂に私の意識は途絶えた。
「さてと、どうなるかな……今回のロワは」

比叡憲武こと――◆ymCx/I3enUは、放送機器の前で不敵な笑みを浮かべる。
数々の殺し合いを裏で操り、その行く末を見てきたが、
自分が表立った主催になるのは初めてであった。
名前も◆ymCx/I3enUでは覚えにくいだろうと思い、比叡憲武と名乗った。
外見も、とあるカードゲームに登場する「タテガミウルフ」という狼にしてある。
理由は好きだからだった。彼は獣人や獣が大好きなのだ。

「ふふふ、今回もムフフな展開、期待してるよっと」

タテガミウルフの外見をした男、比叡憲武こと◆ymCx/I3enU。
彼の催す殺し合いの結末はどうなるのか。

神も知らぬであろう。答えなど。




【バトルロワイアル、開始】




【一日目/???/?-?主催本部・選手控室(フラウ)】
【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康、深い睡眠状態
[装備]無し
[所持品]無し
[思考・行動]
 基本:何でこんな事に……。
 1:(睡眠中)
[備考]
 ※本編開始前からの参戦です。

【一日目/???/?-?主催本部・メインルーム】
【比叡憲武(◆ymCx/I3enU)@???】
[状態]健康
[装備]不明
[所持品]不明
[思考・行動]
 基本:バトルロワイアルの完遂。
 1:エッチな事一杯したいよ〜。
[備考]
 ※外見はライブオン CARDLIVER 翔のタテガミウルフです。
  本家とは違い獣人形態に変身可能です。
435 ◆ymCx/I3enU :2010/07/08(木) 01:43:34 ID:Tw347bEm
投下終了です。ここで訂正をば。
×先程の狼娘のようになります→○先程の女の子のようになります
今度こそ完結目指して頑張る
436創る名無しに見る名無し:2010/07/08(木) 03:06:46 ID:w+x7RAWX
ちょ、まさかの自分主催!?
これは…今までの完結展開からすると…どうなるか読めないわ…
437 ◆ymCx/I3enU :2010/07/09(金) 00:59:40 ID:MwUgsHXt
投下します、俺得ロワ2nd(リスタート)1話 狐少女の憂鬱
登場:フラウ
438狐少女の憂鬱 ◆ymCx/I3enU :2010/07/09(金) 01:01:16 ID:MwUgsHXt
1話 狐少女の憂鬱


意識を取り戻した時、狐獣人の少女フラウは赤錆が浮き出た鉄骨で出来た、
朽ち果てた鉄塔の狭い足場にいた。
起き上がって自分の状況を整理する。

「そうだ、殺し合いをしろって言われたんだっけ。はあ、何でこんな事に……」

いきなり殺し合いに参加させられた事が理解出来ずフラウは溜息をつく。

「支給品があるって言ってたけど……あ、これか」

すぐ傍に黒い肩提げ式のデイパックを発見し、手に取る。
チャックを開け、中に入っている物を漁り始めた。
地図、コンパス、名簿、メモ帳、鉛筆、懐中電灯、懐中時計、食糧。
そして、自動拳銃スタームルガーP85とそのマガジンが3個。

「当たりね……」

フラウはスタームルガーP85を取り出し、スカートの腰の辺りに差し込んだ。
しかしこれを使って殺し合いをする気は彼女には無かった。
どうにかしてこの殺し合いから逃げ出したいと思っていた。

名簿を開くと自分を入れ総勢48人の殺し合いの参加者の名前が五十音順で記されている。
その中にはノーチラス、エルフィ、サーシャ、シルヴィア、テトの五人のクラスメイトの名前もあった。
皆殺し合いに乗るような人物では無いと思いたいが。
いつ命を狙われるか分からない極限状態の下ではどうなるか分からない。
しかし出来る事ならば会いたい。

「さて、これからどうするべきか」

地図を広げ、周囲の風景から現在位置を割り出す。
古い鉄塔の中程にある足場にいる。つまり現在位置はエリアD-4と見て間違い無さそうだ。
周囲には森林地帯が広がっており、もっと鉄塔の上に昇れば遠くまで見渡せるだろう。
しかし、上に上がるための階段は途中で抜け落ちており、
無理をすれば通れなくも無いが地面までの高さを考慮すると非常に危険だった。
鉄塔を更に昇るのは諦め、フラウはデイパックを肩に提げ、下へ降りる階段を降り始めた。

ギシギシと不安な音を立てる錆びた階段を何とか降り切り、
地面へと辿り着くフラウ。

これからしなければいけない事はまず、首にはめられた首輪の解除。
爆薬内蔵の首輪によって殺し合いの参加者達は主催者の青白狼――比叡憲武に
命を握られ殺し合いを強制されている。
これを解除する事が出来れば、きっと脱出への糸口も見付かる筈だとフラウは考える。
しかしそれには仲間が必要だ。クラスメイトもそうだが、きっと自分以外にも、
殺し合いを拒む人がいる筈、そう言った参加者と結託出来れば。

上手く行く保証などどこにも無いが、何もしないよりマシだろう。
439狐少女の憂鬱 ◆ymCx/I3enU :2010/07/09(金) 01:02:08 ID:MwUgsHXt
「よし、行くか……」

どこに行くか考えた末、フラウは北の方角に向け歩き出した。



【一日目/朝方/D-4鉄塔付近】
【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]スタームルガーP85(15/15)
[所持品]基本支給品一式、スタームルガーP85予備マガジン(15×3)
[思考・行動]
 基本:殺し合いはしない。脱出方法及び首輪の解除方法を探す。
 1:クラスメイトに会いたい。だがもし殺し合いに乗っていたら……。
 2:自己防衛のためなら戦う。
[備考]
 ※自作ロワ本編開始前からの参戦です。



≪支給品紹介≫
【スタームルガーP85】
スタームルガー社が1987年に発売した自動拳銃。
価格が安いにも関わらず頑丈で、安全面でも必要十分な機能を備えている。
440 ◆ymCx/I3enU :2010/07/09(金) 01:03:42 ID:MwUgsHXt
投下終了です。
441 ◆ymCx/I3enU :2010/07/10(土) 22:13:18 ID:v0go4ev0
投下します。俺得ロワ2nd2話 二つの「青」
登場:リリア、石川昭武
442二つの「青」 ◆ymCx/I3enU :2010/07/10(土) 22:14:45 ID:v0go4ev0
2話 二つの「青」


古い民家が建ち並ぶ住宅街。
青い髪に白い鉢巻を巻いた少女、リリアは、適当な民家の中に入り、支給品を確認していた。

「名簿……どれどれ」

参加者名簿を開き、印刷されている名前を読んでいく。

「ブライアンにヘレン、ザックにアルベルト、魔王軍の連中、ナイ軍の二人……」

知っている名前は9人。仲間であり大切な友人である戦士ブライアンとエルフのヘレン。
2003RTP組のザックとアルベルト、魔王軍四天王の一人、剣豪ムシャとその弟子、弟子五郎、
同じく魔王軍四天王で変態エロゲオタ及びヘレンのストーカーとして悪い意味で名高い、
ダークエルフのダーエロ、アンデットナイ軍の自分の偽物、エロリアとヘレンの偽物、ディオナ。
アンデットナイ軍の二人以外(ダーエロに不安要素が満載だが)は信用出来そうだ。

名簿を閉じ、次に地図を開く。そこには小さな島の地図が描かれており、
マス目でA-1からG-7まで、計49のエリアに分けられていた。
このエリアが比叡の言っていた「禁止エリア」と関連がある事は恐らく間違い無い。
現在自分がいる場所は民家が建ち並ぶ住宅地だが、
地図には住宅地がある市街地は主に北部と東南部に集中している事が書かれている。
周囲に目印になる建物も無いため自分が今どのエリアにいるのか判断しようが無かった。

「まあ、歩いていれば何かあるかな」

名簿と地図を置き、メモ帳や鉛筆と言った他の基本支給品の次にリリアが
デイパックの中から取り出した二つのランダム支給品。
鋼鉄製の長剣ロングソードと、拳銃を模した催涙スプレーだった。
ロングソードを腰に差し、鞘から抜く。
切れ味の鋭そうな刀身が窓から差し込む光を反射し光る。

「これなら……大丈夫ね、多分」

ロングソードを鞘に戻す。
殺し合いには乗らない、だが、自衛のための武器は必要だ。
魔法が一切使えない今、自分の剣の腕が頼りだった。
それに、いざという時は催涙スプレーも役に立つだろう。

支給品の確認を終えたリリアは、民家から再び道路に出、西の方向へ歩き始めた。



青い体毛を持った狼獣人の青年、石川昭武は、
ある民家の庭で塀にもたれながら考えていた。

「殺し合いとか……意味分かんねぇ。どうすっかな……」

気付いた時には見知らぬ小部屋に一人。
そして青と白の妖狼らしい狼から「殺し合え」と言われた。
最初は冗談かと思ったが、映像越しに一人の女の子が首輪を爆破され無惨に殺された。
そしてその首輪は自分の首にもしっかりはめられている。
443二つの「青」 ◆ymCx/I3enU :2010/07/10(土) 22:16:02 ID:v0go4ev0
「取り敢えず支給品見てみるか……」

傍の黒いデイパックを開け、中身をゴソゴソと漁る昭武。

「お、名簿か」

参加者名簿を見付け、開いてみる。
全参加者の名前が五十音順で並び、横に番号が振られているので、
それが人数確認にも役立つ。
参加者は自分を含め全部で48人。名前も多種多様で、
「柴田行隆」「弟子五郎」「倉敷静美」「宮田司郎」「東風谷早苗」といった自国風の名前もあれば、
「レイ・ブランチャード」「リリア」「エルフィ」「ライコーオー」などカタカナの名前もある。
一部本名かどうか疑わしいものも。
しかし、どうやら自分の知り合いの名前は書かれていないようだった。

「俺一人か……んで、武器があるとか言っていたけど」

更にデイパックの中を探る昭武。

「あ……これか」

すると、アイアンのゴルフクラブが出てきた。
手に持って軽く素振りをする。重心が先端にあるため、折れ易そうではあるが、
武器としてはそこそこ使えそうだ。

「まだあるな……ファイルかこれ? 何だろ」

次に出てきたのは青いファイル。どうやら大量の写真が収められているようだった。
何の写真かと、昭武は軽い気持ちでファイルを開いた。

「………………」

そこに広がっていたのは、濃密かつ深遠なる雄の世界。
全裸の黒い狼獣人の男と濃いオレンジ色の狐獣人の男が激しく絡み合う写真、
獣足の上位種狼獣人の男が左手を自分の尻に、右手を自分の息子に添え、
涎を垂らし遠くを見詰めている写真。
興奮したサラブレッド種のオス馬に後ろから――――されよがっている虎獣人の中年男性の写真。
明らかに小学生と思われる猫獣人の少年を、中年の獣人達が――している写真。
淫らな表情でカメラの前に自分の――――――――

バタ。

「……俺は何も見てない」

踏み入れてはならぬ世界に足を踏み入れてしまったような気がする。
そう思った青狼青年はファイルをもう二度と出すまいとでも言うかの如く、
デイパックの奥の奥に押し込んだ。

「誰かいるの?」
「いっ!?」

そんな時に突然声を掛けられたのだから死ぬ程驚いた。
声の主――リリアはその驚き片を怯えていたためと取ったのか、
安心させるように気を遣いながら塀越しに話し掛ける。
444二つの「青」 ◆ymCx/I3enU :2010/07/10(土) 22:17:19 ID:v0go4ev0
「怖がらないで。私は殺し合いに乗ってないわ」
「いや、別に怖がってた訳じゃないんだけど」
「?」
「あ、いや、何でもないっ。こ、殺し合いに乗ってないって? 本当か?」
「本当よ。証拠出せとか言わないで欲しいんだけれど。そう言われても困るし……」
「んー……」

相手の女性(声から判断)を信じるかどうか迷ったが、
もし殺し合いに乗っているなら声を掛けずに襲うだろう。
わざわざ声を掛けてくるのなら、そう危ない人物ではないと判断し、
昭武はゴルフクラブを持ち、デイパックを肩から提げ門へと向かった。



「私はリリア。貴方は?」
「石川昭武だ」

出会ったリリアと昭武はお互いに自己紹介を交わす。

「イシカワ、アキタケね……昭武さん、私の仲間になってくれないかしら。
この殺し合いを潰すために」
「昭武で良いよ。ああ、分かった。協力するよ、リリアさん」
「リリアで良いわ」
「分かった」

そして青髪の女勇者と、青い体毛の狼青年は共に、
殺し合いを潰すべく行動する事となった。




【一日目/朝方/A-7市街地西北部】
【リリア@VIPRPG】
[状態]健康
[装備]ロングソード
[所持品]基本支給品一式、拳銃型催涙スプレー(容量満タン)
[思考・行動]
 基本:殺し合いはしない。脱出方法及び首輪の解除方法を探す。
 1:石川昭武と行動、情報交換を行う。
 2:ブライアン、ヘレンと合流したい。
 3:自衛のためなら戦うつもり。
[備考]
 ※魔法が一切使えなくなっています。

【石川昭武@オリキャラ・再登場組】
[状態]健康
[装備]ゴルフクラブ
[所持品]基本支給品一式、雄獣人エロ写真ファイル
[思考・行動]
 基本:殺し合いはしない。脱出したい。
 1:リリアと行動、情報交換を行う。
 2:襲われたらどうする……?
 3:さっきの写真は……どうするか……。
[備考]
 ※俺得ロワ本編開始前からの参戦です。
445二つの「青」 ◆ymCx/I3enU :2010/07/10(土) 22:18:58 ID:v0go4ev0
≪支給品紹介≫
【ロングソード】
文字通り「長い剣」。中世後期のヨーロッパで主に登場し、
騎士達が馬上で扱う為に直身で切っ先が鋭く、両刃。
切る事と専門としているが、切っ先を尖らせてあり刺突も可能。

【拳銃型催涙スプレー】
自動拳銃H&K USPの外見をした催涙スプレー。
不要になったエアガンを改造して作られたもの。

【ゴルフクラブ】
ゴルフの球を打つのに使う用具。重心が先端に偏っているため、
遠心力により素早く振る事が可能。
振った先端が頭部など急所に当たれば最悪、死に至る。

【雄獣人エロ写真ファイル】
読んで字の如く。雄の獣人(ショタからオッサンまで)の、
アレな写真が数百枚も入っているファイル。全て無修正。
446 ◆ymCx/I3enU :2010/07/10(土) 22:19:57 ID:v0go4ev0
投下終了です。
447名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 23:07:35 ID:piKSKCWd
乙ー
448 ◆ymCx/I3enU :2010/07/11(日) 00:45:48 ID:wDTsc04h
投下します。俺得ロワ2nd 3話 表と裏
登場:女勇者、ヘレン
449表と裏 ◆ymCx/I3enU :2010/07/11(日) 00:47:07 ID:wDTsc04h
3話 表と裏


古風な木造校舎の小中学校。
教室には机が綺麗に並べられ、小学生が使っていたと思われる掲示板には、
家族や動物などが絵の具で描かれた絵が何枚も貼られている。
図書室で、黒髪のマントを羽織った少女が、金髪のエルフの少女に決意を述べていた。

「私は、こんな殺し合いになんて絶対に乗らないわ!」

少女――女勇者こと、エリスは強い意志を宿した瞳で、
エルフの少女――ヘレンに言う。
やっとの思いで仲間達と共に魔王ゾーマを打ち倒し、平和を取り戻し、
故郷に帰って平穏な日々を過ごしていたと言うのに、気付いた時には、
比叡憲武と名乗る謎の狼型モンスターに殺し合いを強制されていた。
首には爆薬入りの死の首輪がはめられ、見せしめで一人の、自分よりも小さい少女が殺された。
勇者として、エリスはこのような殺し合いを受け入れられるはずも無く、
殺し合いを潰そうと思い立つのも当然の成り行きだった。
参加者名簿には自分の名前は無かったが、「女勇者」「女賢者」「女遊び人」の三人が、
それぞれ自分こと「エリス」、「フィーナ」、「ミルカ」の事を顕しているのだろうという事は、
容易に想像がついた。
なぜ本名ではなく性別と職業名で登録されているのかは分からなかったが、
そこまで深く追求しても仕方無いと保留にする事にした。
そして、スタート地点の校舎を探索していた時に金髪の髪を持ったエルフの少女、ヘレンと出会った。

「私もですエリスさん。一緒に頑張りましょう」
「ええ。ありがとうヘレン」

穏やかな笑みを浮かべるヘレン。
しばらくヘレンと会話した女勇者エリスがヘレンに持った印象は上々のもの。
いかにも清楚で、温厚な性格だと捉え、疑う余地など見られなかった。
だからこそ、背中を見せても大丈夫だと考えた。

「ふう……その前に、フィーナ達と合流しなくちゃ……」

ヘレンに背を向けたまま、仲間との合流を思案するエリス。
しかしその思考は強制的に中断される事となる。

「がっ!?」

エリスの首に、何やら文字の書かれた白い布の帯が背後から巻かれ、
そして思い切り絞め上げられる。
これでもかと言う程の力で、エリスの気道が、頸動脈が圧迫される。

「な゛っ、な゛、に゛?」

何が起きたか分からず、また急に呼吸が不可能になった事で、
エリスは激しく混乱した。とにかく、首を絞めている帯を振り解かなければ。
必死で両手を帯に引っ掛けようとするが焦りと薄れる意識からか上手く行かない。
そうしている間にも帯を絞める力は更に強くなっていく。

「……! …………ッ!? ……っ……!」

もう声を出す事も叶わない。目の前が霞んでいく。
自分はここで死ぬのか、呪文も使えなくなっている今、蘇生呪文で蘇る事は出来ない。
その手の道具も無い。つまり――本当の、死。
450表と裏 ◆ymCx/I3enU :2010/07/11(日) 00:48:04 ID:wDTsc04h
「ぃ……や……だ…………」

死にたくない。今まで命の危機に直面してきた時、何度も思った事。
だが今まではそれでも諦めずに乗り越えてきた。乗り越えられた。
しかし。

今回は、乗り越えられそうになかった。
エリスの瞳から光が失われていく。
口からは泡が溢れ、股間からは黄色い液体まで染み出している。

「……死……たく……な…………」

それが、アリアハンに生まれ、魔王ゾーマを倒した女勇者、エリスの最期の言葉となった。



ヘレンは、先程までと打って変わって冷酷な表情で、
凶器の根性鉢巻を手に持ちながら、絞殺した女勇者エリスの死体を見下ろしていた。
死体の上に根性鉢巻を捨てると、エリスのデイパックに近付き、中身を漁る。
基本支給品の他に入っていた物は、大型回転式拳銃タウルス レイジングブルと予備の弾丸十数発。
ヘレンはレイジングブルと予備弾、食糧を抜き取り、予備弾と食糧を自分のデイパックの中に入れた。

「ごめんなさい、エリスさん。でも、私はまだ死にたくないのよ」

ヘレンは、あの小部屋でモニター越しとは言え、首にはめられた首輪が
どういう物なのかを見せ付けられた時に、殺し合いに乗る事を決意していた。
ゲーム開始後、名簿を確認すると、何人か友人や知人の名前が確認出来た。
リリア、ブライアン、ダーエロとは特に関わりが深い。
但しダーエロについては「悪い意味」で、だが。
ランダム支給品は「根性」と書かれた、いわゆる「根性鉢巻」で、到底戦いに使える代物では無い。
つまり、これから殺し合いを有利に進めて行くにはそれなりの武器が必要だった。
そんな時に木造校舎内で出会った、リリアとは別の「女勇者」であると言う、エリス。
いつも通りの、温厚で物腰柔らかな自分を演じた所、あっさり信用してくれたようで、
すぐに隙だらけの背中を見せるようになった。
後は簡単であった。

正直な所、エリスが自分より強力な武器を持っているかどうかは分からなかったが、
強力そうなリボルバーを入手出来、ヘレンは満足だった。

「それじゃ、行こうか……な」

レイジングブルを携えた金髪のエルフの少女は、
自らが手に掛けた黒髪の少女の死体を一瞥すると、図書室を後にした。



【女勇者@ドラゴンクエストV  死亡】
【残り  47人】
451表と裏 ◆ymCx/I3enU :2010/07/11(日) 00:48:50 ID:wDTsc04h
【一日目/朝方/E-5小中学校内】
【ヘレン@VIPRPG】
[状態]健康
[装備]タウルス レイジングブル(5/5)
[所持品]基本支給品一式、.454カスール弾(15)、水と食糧(1人分)
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
 1:友人や知人でも容赦しない(特にダーエロは問答無用で殺す)
[備考]
 ※女勇者から女賢者、女遊び人についての情報を得ました。



※E-5小中学校内図書室に女勇者の死体、その上に根性鉢巻、傍に
女勇者のデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)が放置されています。
※女勇者の本名はエリス、女賢者の本名はフィーナ、女遊び人の本名はミルカという設定です。



≪支給品紹介≫
【根性鉢巻】
額に当たる部分に「根性」と書かれた白い鉢巻。
頭に巻いてギュッと締めれば身も心も引き締まる、と思うよ。

【タウルス レイジングブル】
ブラジルのタウルス社が開発した大口径回転式拳銃。
バレル側面に大きく描かれた「RAGING BULL(怒れる牡牛)」の文字が特徴的。
流線型による美しさとマグナムによる破壊力を兼ね備えていながら、
リボルバー界の大御所であるS&W社のものより安価なことから人気を獲得した。
本ロワに登場する物は.44マグナム弾より強力な.454カスール弾を使用する、
銃身8インチ、454SS8Mモデルである。
452 ◆ymCx/I3enU :2010/07/11(日) 00:50:21 ID:wDTsc04h
投下終了です。ここで告白。

ドラクエVなんてやった事ねえ(^−^)
453 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/11(日) 09:11:39 ID:Ih/Fb8AH
新規ロワ投下させていただきます
454 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/11(日) 09:12:45 ID:Ih/Fb8AH
キャラです
11/11【オリキャラ】
○相川友/○青木林/○志賀直/○加藤勇気/○滝本豊/○津本二三也/○相田理子/○青木百合/
○藤本京子/○若松里美/○リーナ
5/5【ドラえもん】
○ドラえもん/○野比のび太/○剛田武/○骨川スネ夫/○出来杉英才
5/5【とある魔術の禁書目録】
○上条当麻/○一方通行/○御坂美琴/○白井黒子/○土御門元春
3/3【戯言シリーズ】
○いーちゃん/○零崎人識/○哀川潤
2/2【バカとテストと召喚獣】
○吉井明久/○姫路瑞希
2/2【めだかボックス】
○人吉善吉/○鬼瀬針音
2/2【ロザリオとバンパイア】
○青野月音/○小宮砕蔵
2/2【ギャグマンガ日和】
○聖徳太子/○小野妹子
2/2【銀魂】
○坂田銀時/○志村親八

34/34
主催者
○高杉晋助@銀魂
副主催
○西東隆@戯言シリーズ
○佐々木竜也@オリキャラ
見せしめ
松尾芭蕉@ギャグマンガ日和
455始動 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/11(日) 09:21:24 ID:Ih/Fb8AH
第一話「始動」

「銀さーん、起きてくださーい」

いつものメガネの声が聞こえてくるうちの従業員志村新八の声だ

「今日は日曜だろ?もう少し寝かせろってんだ」

「今日は月曜日ですよ・・・というか銀さん周り見てくださいよ!」

「は?」

言われたとうりに周りを見る

「なんだここ?いったいどこなんだよ?また洞爺湖の仙人につれてこられたか?」

「いや、それだったら神楽ちゃんもいるはずですよ?」

バンッ!と急に周りが明るくなった

「うおっまぶしっ」

急に周りが明るくなった、そして声が聞こえた

「おめぇらにここに集めた理由は他でもねぇ」

「今からお前らに殺し合いをしてもらう」

は?何言ってんだ?

というよりこの声・・・まさか・・・

「高杉・・・!?高杉か!」

「銀さん・・・!?高杉って鬼兵隊の!?」

「そうだ、言い忘れてたがもし逆らおうなんて考えてたら」

あと30秒です 

機械的な声が聞こえる

「え・・!?」

誰かが反応する

声のしたところをみると緑の和服を着た30代くらいの男だ

「ちなみにそれは爆弾が入っている。」

「まあ、選ばれたことを不運に思うんだな」

あと20秒です

「え!?ちょっと待ってよ!どうして!?どうして!?まってよ!」

あと10秒です

「待ってよ!助けて!助けてよ!曽良君!」
456始動 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/11(日) 09:23:48 ID:Ih/Fb8AH
あと3秒です

あと2秒です

あと1秒です

ボンっ!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

沈黙続くなぜならその男の首が爆発したからだ

「死にたくなければ殺せばいい簡単なルールだろ?」

「それじゃあもうすぐスタート地点に行くはずだ頑張って殺しあってくれよ」

その男の声が止んだ

それと同時に視界が真っ暗となった

【一日目/朝】
【坂田銀時@銀魂】
[状態]健康 ショック?
[装備]なし
[所持品]なし
[思考・行動]
 基本:・・・・・
[備考]
 ※原作次郎長編以降の参戦です。
 ※ワープ中です
【一日目/朝】
【志村新八@銀魂】
[状態]健康 ショック?
[装備]なし
[所持品]なし
[思考・行動]
 基本:・・・・・
[備考]
 ※原作次郎長編以降の参戦です。
 ※ワープ中です

【松尾芭蕉@ギャグマンガ日和 死亡】
【DOLバトルロワイアル 開幕】
457 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/11(日) 09:27:59 ID:Ih/Fb8AH
投下終了です
頑張って書くのでよろしくお願いします
名前はDOLバトルロワイアルです
458 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/11(日) 12:43:09 ID:Ih/Fb8AH
◆VxAX.uhVsMです。
始動の登場キャラ書き忘れたので書いておきます
坂田銀時、志村新八、高杉晋助、松尾芭蕉
以上です
ps3から書いているのでIDが違うと思いますが気にしないでください
459 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/11(日) 12:43:57 ID:Ih/Fb8AH
◆VxAX.uhVsMです。
始動の登場キャラ書き忘れたので書いておきます
坂田銀時、志村新八、高杉晋助、松尾芭蕉
以上です
ps3から書いているのでIDが違うと思いますが気にしないでください
460 ◆ymCx/I3enU :2010/07/11(日) 19:26:20 ID:wDTsc04h
投下乙です。また新ロワktkr
オリキャラの活躍に期待です。では自分も投下をば。
俺得ロワ2nd 4話 ある日森の中 登場:テト、シクルゥ
461ある日森の中 ◆ymCx/I3enU :2010/07/11(日) 19:27:28 ID:wDTsc04h
4話 ある日森の中


木々が生い茂る、昼間でもやや薄暗い森の中、
私ことテトは支給品の回転式拳銃、S&W M27を握りながら歩いていた。
だけど歩けど歩けど森ばかりで何も見付からない。
建物も、他の参加者の姿も。
昨日は何も変わった事の無い一日だった。学校行って、家に帰って、お風呂入って……。
なのに目覚めた時には、最後の一人にならなければ生きて帰れないという殺し合いに
参加させられていた。

名簿を見たらクラスメイトの名前が幾つかあった。全部獣人。
普段よく接したりしている貝町ト子や、思い人のラトの名前は無い。
他にも大勢の名前が書かれていたけど、知っている名前はクラスメイトのみ。

「はあ、これからどうしよう」

殺し合いなんてするつもりは無いけど、首には無理に外そうとしたりすれば
爆発する金属製の首輪。逃げようとしても、主催者に逆らっても、
例えこの殺し合いの参加者全員が殺し合いを拒否しても結局は爆発する。
殺し合いをするしかないと言う、よく出来た仕組み。
でも、それでも私は……。

「グルルルル」
「え!?」

突然獣の唸り声が聞こえ、声の方を振り向く。
そこには主催者、比叡憲武と少し似た、青と白の大きな狼がいた。
首輪をはめているしデイパックも持っているから参加者の一人みたい。
だけど明らかに友好的な雰囲気じゃない。

「ガアッ!」

狼が吠え、私に向かって突進してきた。
まずい、このままじゃ殺される。
私はS&W M27を構え、引き金を引いた。

ダァン!!

銃声が響き、反動が腕と肩に来る。少しきついけど、抑え込めない程じゃない。
だけど、狼は身体を横にずらし銃弾をかわした。

「か、かわし……キャッ!!」

一陣の風が走り抜けると同時に、私の右手に持たれていた拳銃が弾き飛ばされた。
462ある日森の中 ◆ymCx/I3enU :2010/07/11(日) 19:28:32 ID:wDTsc04h
「嘘、全然、見え」

次の瞬間、狼が私を正面から押し倒した。
背中を強か地面に打ち付け一瞬呼吸が出来なくなった。
だけど、間髪入れず、狼が私の喉に食らいついてきた。

「う、うあああああ」

自分でもどこにこんな力があったのかと思えるような力で、
必死に狼の首を押さえ込んで喉を食い破られるのを防ぐ。
痛い、苦しい、口の奥から血が溢れてきた。もう、駄目かな……。

いや、まだ、まだ諦めない。私は左手で狼の首を押さえながら、
右手で腰、スカートに差し込んでいる、私のもう一つの支給品を取り出し、
それを思い切り、狼の脇腹に突き刺した。

「ギャヒィィン!!?」

悲鳴を上げ、狼は私の喉から牙を離し、コンバットナイフが刺さった血塗れになった
脇腹から血を迸らせ、のたうち回る。
そして、口でナイフを抜き捨て、私に背を向けて逃げて行った。
どうにか命の危機は去ったみたい、だけど……。

「い、痛い……げほっ、げほっ」

深く喉に牙が突き刺さったから、首元が血塗れ。
ちょっと気道も傷付いちゃったのかな、息苦しい。
よく生きていられるなあと自分でも思うよ。
地面に落ちたS&W M27とコンバットナイフを拾い、適当な木の根元に座る。
しばらく、休んでいこう……。




くそ、あの猫娘、まさか他にも武器を隠し持っていたなんて。
しかも割と力が強かった。すぐに喉を食い破るつもりだったが出来なかった。
それだけじゃない、脇腹に刃物を突き刺され、退却を余儀なくされた。
傷は……命に関わる程では無いが、深い。
格好悪い、無様だ……くそ。

どうなってるんだ。昨日の夜はレラと熱い交わりを楽しんでいたと言うのに。
殺し合い……最後の一人にならなければ、レラの元へは帰れない。
名簿を見たが、この殺し合いにレラや他の知り合いはいないようだった。
なら、俺はこの殺し合いに優勝する。優勝して、レラの元へ帰る。
463ある日森の中 ◆ymCx/I3enU :2010/07/11(日) 19:29:52 ID:wDTsc04h
そう意気込んで、猫の顔をした少女を襲ったはいいが……返り討ちにされた。

支給品は、狼である俺が扱える物じゃない。
人間ならば、恐らく強力な武器足り得る物なのだろうが、少なくとも俺には意味が無い物だ。

「ウウウ……」

次に見付けた奴は、今度こそ確実に仕留めてみせる……!



【一日目/朝方/D-3森中央部】
【テト@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]喉元に裂傷、血塗れ、息苦しい
[装備]S&W M27(5/6)、コンバットナイフ
[所持品]基本支給品一式、.357マグナム弾(18)
[思考・行動]
 基本:殺し合いはしない。生き残る。
 1:傷の手当てがしたい。
 2:クラスメイトと出来れば会いたい。
[備考]
 ※自作ロワ本編開始前、太田達に暴行を受ける前からの参戦です。
  言わば「綺麗なテト」です。

【一日目/朝方/D-3森西南部】
【シクルゥ@サムライスピリッツシリーズ】
[状態]左脇腹に刺し傷
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(本人確認済、1〜2個)
[思考・行動]
 基本:優勝し、レラの元へ帰る。
 1:出会った参加者を片っ端から殺していく。
[備考]
 ※性格などは作者の独自要素が多分に含まれています。


※D-3一帯に銃声が響きました。


≪支給品紹介≫
【S&W M27】
S&W社が開発し1935年に.357マグナム弾と共にデビューした回転式拳銃。
大型リボルバー向けのフレームを使用しているため、余程の事が無い限り、
S&W M19のように破損したりはしない。その代わり拳銃としては重量がある。

【コンバットナイフ】
大型の軍用ナイフで、頑丈に作られ刃こぼれしにくい。切れ味も抜群。
464 ◆ymCx/I3enU :2010/07/11(日) 19:30:59 ID:wDTsc04h
投下終了です。
465名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 21:57:12 ID:CIOua9Bd
投下乙
色々狂ってしまう前のテト様、フツーにいい娘だなぁ。
自作ロワで本当に悪い人は太田と二階堂だけだったりする。
466 ◆ymCx/I3enU :2010/07/11(日) 22:16:05 ID:wDTsc04h
投下します。俺得ロワ2nd 5話 馬鹿の確変入りました
登場:聖徳太子、ブライアン
467馬鹿の確変入りました ◆ymCx/I3enU :2010/07/11(日) 22:17:59 ID:wDTsc04h
4話 馬鹿の確変入りました


ジャージに烏帽子というミスマッチないでたちではあるが、
倭国の摂政と言う重要人物、なのだがとてもそうは見えない男、聖徳太子と、
紅白を基調とした鎧に身を包んだ戦士の青年、ブライアンは、
海が望める平野部の道路の上を二人で歩いていた。

「しかし、摂政であるこの私をこのような殺し合いなどに参加させるとは、
ムキ〜ッ、許さんぞ比叡とやら!」
「全くだぜ、どうかしてら、殺し合いなんて。
リリアやヘレン達もいるんだよな、大丈夫かな……」

二人に殺し合いをする気は無かった。
何とかしてこの殺し合いを潰そうと考えていた。

「そうか、ブライアンは知り合いが大勢いるんだったな……私も、
部下の小野妹子が呼ばれている。無事だと良いんだが」

二人共、この殺し合いに呼ばれているそれぞれの知人や友人を心配していた。
何せ、いつ襲われ、殺されるか分からない状況、一刻も早く見付け出したいが、
広い会場を闇雲に捜してもたかが知れているだろう。

「襲われた時、私はどうすれば良いんだ? 支給品に武器になりそうな物は無かった。
双眼鏡と、籠手の二つだ。籠手は今装備してるが、役に立つだろうか」
「俺はこのバトルアックスだ。まあ、当たりだな……太子の武器も調達しないとなぁ」
「ふう、折角だし双眼鏡を使ってみるか」

太子は双眼鏡を目に当て遠くの風景を観察し始めた。
すると、進行方向遠方に何かを見付ける。

「おお、塔らしい物が見えるぞ」
「双眼鏡使わなくても見えてね?」

それは、古ぼけた塔のようだった。
若干海側に傾き、崩れそうにも見える。
屋上には砲台のような物も見えるので元々は軍事基地か何かだったのだろうか。

「あそこに行ってみよう。誰かいるかもしれない」
「そうだな。他に行く宛ても無いし、行ってみよう」

聖徳太子とブライアンは塔を目指し歩き始めた。
468馬鹿の確変入りました ◆ymCx/I3enU :2010/07/11(日) 22:19:08 ID:wDTsc04h
【一日目/朝方/C-1平野中央部幹線道路上】
【聖徳太子@ギャグマンガ日和】
[状態]健康、E-1塔へ移動中
[装備]籠手
[所持品]基本支給品一式、双眼鏡
[思考・行動]
 基本:殺し合いを潰す。妹子を捜す。
 1:ブライアンと行動。塔に向かう。
 2:武器が欲しい。
[備考]
 ※ブライアンからリリア達友人知人の情報を得ました。

【ブライアン@VIPRPG】
[状態]健康、E-1塔へ移動中
[装備]バトルアックス
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:殺し合いを潰す。リリア達を捜す。
 1:聖徳太子と行動。塔に向かう。
[備考]
 ※聖徳太子から小野妹子の情報を得ました。




≪支給品紹介≫
【双眼鏡】
望遠鏡の一種で、遠方の物を両眼で拡大して見る光学器械。

【籠手】
手を防護するために着用する防具の一種。

【バトルアックス】
戦闘用の斧。重量があるため扱いこなせる者は限られる。
469 ◆ymCx/I3enU :2010/07/11(日) 22:22:14 ID:wDTsc04h
投下終了です。
470 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/11(日) 22:23:33 ID:Ih/Fb8AH
投下乙です
自分も続きを考えないと・・・
471 ◆ymCx/I3enU :2010/07/12(月) 00:02:06 ID:wDTsc04h
投下します。俺得ロワ2nd 6話 It leaves the stage.(舞台からの退場)
登場:藤堂リフィア、柴田行隆
472It leaves the stage. ◆ymCx/I3enU :2010/07/12(月) 00:03:47 ID:dLW2y5Aj
6話 It leaves the stage.


銀と白の毛皮、そして大きな乳房を持った狼獣人の少女、藤堂リフィア。
その手には中型自動拳銃S&W M39が握られている。

「誰もいないな……」

襲撃に備え、警戒しながら市街地の通りを歩いているが、
今の所、誰とも遭遇していなかった。
地図で見る限りでは殺し合いの会場となっている島はそれなりに広いようだったので、
参加者総数――自分を除く――47人では、遭遇率も低いのだろうか。
殺し合いをする気は無い。ただ、出来れば誰かと一緒の方が良かった。

「あら、公園がある……臨海公園?」

海が望める場所に作られた公園を見付ける。
潮風を微かに毛皮に覆われた顔や手に感じた。
リフィアはM39をいつでも発砲出来る状態にし、公園内に入って行った。



長身でボサボサの黒髪、死んだ魚のような目、そしてくたびれたスーツという姿の男、
柴田行隆は、臨海公園の海がよく見えるベンチに座り、海を眺めていた。

「海〜は〜広い〜な、大きい〜いな〜っと」

潮風と波の音を感じながら歌を口ずさむ行隆。

「いいねえ、この景色……」

そう言いながら、行隆は自分の支給品である自動拳銃ワルサーP99を眺める。

「自殺するにはもってこいのロケーションじゃないの」

行隆はこの殺し合いが始まった時から、既に自決を決めていた。
別に怖いからという訳では無い、ただ、面倒なだけだった。
最後の一人にならなければ帰れないらしいが、そこまでして生きて帰りたい
とも思わない。いや、思えなかった。

「さてと、俺は一足先に、この舞台から退場するとしますか」

行隆はそう言うと、P99の銃口を口に咥え、

引き金を引いた。


ダァン!!
473It leaves the stage. ◆ymCx/I3enU :2010/07/12(月) 00:05:56 ID:wDTsc04h
銃声を聞きリフィアが駆け付けた時には、もう終わった後だった。

「これは……!」

海がすぐそこに見える場所にあるベンチに、スーツ姿の男の死体があった。
足元に拳銃が落ちており、頭部には穴が空いている。
状況から察するに、男は自害したらしい。
殺し合いという状況に絶望したのだろうか。
今となっては男の心情を推し量る事は出来ないが、心を痛めずにはいられない。

「……」

リフィアは少し気が引けたが、男の足元に落ちていた拳銃とデイパックを拾う。
これからこの殺し合いにおいて生きていくのに、武器は多い方が良い。
死体から物を剥ぎ取るなど本来なら許される事では無いだろうが、割り切るしかない。

「ごめんなさい……」

警察に電話したりしなければならないだろうが、今は出来ない。
死体は放っておくしか無かった。
リフィアは後ろ髪を引かれるような思いでその場を後にした。


【柴田行隆@オリキャラ・再登場組  死亡】
【残り  46人】


【一日目/朝方/G-6埋立地南部臨海公園】
【藤堂リフィア@オリキャラ・再登場組】
[状態]健康
[装備]S&W M39(8/8)
[所持品]基本支給品一式、ワルサーP99(14/15)、柴田行隆のデイパック
[思考・行動]
 基本:殺し合いはしない。生き残る。
 1:これからどうする……?
[備考]
 ※俺オリロワ本編開始前からの参戦です。
474It leaves the stage. ◆ymCx/I3enU :2010/07/12(月) 00:07:12 ID:2xmkBmBm
※G-6一帯に銃声が響きました。
※G-6埋立地南部臨海公園に柴田行隆の死体が放置されています。


≪支給品紹介≫
【S&W M39】
1954年に発売されたS&W社初のダブルアクション自動拳銃。
50以上もの派生モデルが存在する。

【ワルサーP99】
1996年にグロック17やH&K USPを参考として開発されたプラスチックフレーム拳銃。
優れたメカニズムを持つものの、登場時期を逸した感が否めず、
商業的に成功したとは言い難い。

≪オリキャラ紹介≫
【名前】柴田行隆(しばた・ゆきたか)
【年齢】28
【性別】男
【職業】某超法規的組織所属、結構偉い人らしい
【性格】飄々としているが計算高く狡猾
【身体的特徴】ボサボサの黒髪、195pと高身長、痩せ型、死んだ魚のような目
【服装】黒っぽいスーツ、変な模様の暗い赤のネクタイ
【趣味】不明
【特技】銃器の扱いに長けている
【経歴】不明
【備考】◆ymCx/I3enU(旧:◆UwuX8yY6RQ)の記念すべき第一作目のロワ、
    俺のオリキャラでバトルロワイアル(略称:俺オリロワ)にて、
    主催者(と言うより進行役に近い存在)として登場した男。
    出生、経歴、趣味等、謎が多い。別に考えるのが面倒な訳じゃない。断じて。
475 ◆ymCx/I3enU :2010/07/12(月) 00:08:20 ID:2xmkBmBm
投下終了です。
476 ◆ymCx/I3enU :2010/07/12(月) 00:54:34 ID:2xmkBmBm
マップ変更 C-2牧場→森
477 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/12(月) 16:31:53 ID:HmufYY+e
第一話青髪の少年と銀髪の侍

C-2にあるという薬局で青髪の中学生相川友がつぶやいていた

「なんで俺みたいなただの学生が…」

いろいろ言いながらも名簿を確認する

「青木兄妹と滝本先生が来てるのか…」

3人とも乗るような人間じゃないのはわかる

しかしどうしよう…

考えながら名簿をしまい支給品を確認する

入っていたのは、食料2日分くらい、水、筆記用具、紙

銃とスポーツドリンクセットが入っていた

銃はコルトパイソンというらしい、予備弾も24個入っていた

「そこのアンタ」

突然声をかけられた、誰だ?と思い振り返ると

「あんたはこの殺し合いに乗ってるのか?」

「いいえ、乗っていませんどうしようか困ってたところです」

「じゃあ協力しないか?俺の名前は坂田銀時だ」

「僕は相川友と申します」

これが銀色の侍と僕の出会いだった

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「そういえば銀さんの支給品はなんでしたか?」

「ん?ああ、これだ俺が持ってる木刀だ」

その木刀には洞爺湖と書いてある

「どう見てもお土産じゃないですか!」

「ん?おお、なかなかなツッコミだ新八までとはいかないがなかなかだな」
478 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/12(月) 16:33:03 ID:HmufYY+e
「はあ…」

「とりあえずここのものを少しとってきます」

「おう、そうか頼むぞ」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「まあとりあえずここのものを少しもらっていこうか…」

「あの…すみません」

声に反応して振り返ると金髪の少女が立っていた

「え…と…どうかしたの?」

「すみませんがあなたはこのゲームに乗っていませんよね?」

「ああ、もちろんだよ」

「じゃあ、」

少女は言うその手には剣を持って

「死んでください」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あれから少し時間がたった

僕は絶句していた

なぜか?少女が乗っていたことでもない、刺されたわけでもない

僕が彼女を撃ってしまったからだ

「うそ…だよね…」

少女は反応しない

「う…………………」

「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
!!!!!!!!!!!!!!!!!」
479 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/12(月) 16:34:22 ID:HmufYY+e
やってしまった!僕が…僕が…

もう僕にはどうしようもなかった…
【一日目/朝】
【相川 友@オリキャラ】
[状態]ショック 精神不安定 叫んでいる
[装備]コルトパイソン(5/6)予備弾24発
[所持品]基本支給品 スポーツドリンク 救急ボックス お菓子ジュース多数
[思考・行動]
 基本:銀さんと一緒にこの殺し合いを潰す
 1:僕が…僕が…
 2:友人に会いたい

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「お、いちごオレがある、なかなか品ぞろえがいいな」

「うわああああああああああああ」

叫ぶ声が聞こえてきた

「おいおい…なにがあったんだ…?」

そこには叫び続ける相川の姿があった

【一日目/朝】
【坂田銀時@銀魂】
[状態]健康
[装備]銀時の木刀
[所持品]基本支給品 不明支給品0〜2 いちごオレ
[思考・行動]
 基本:この殺し合いを潰す
 1:何があったんだ?
 2:新八を探す
[備考]
 ※原作次郎長編以降の参戦です。
【リーナ@オリキャラ 死亡】
≪オリキャラ紹介≫
【名前】相川 友(あいかわ とも)
【年齢】14
【性別】男
【職業】中学生
【性格】明るく陽気、正義感がある
【身体的特徴】青色の髪、細身
【服装】中学校の制服
≪オリキャラ紹介2≫
【名前】リーナ
【年齢】16
【性別】女
【職業】高校生
【性格】自己中心的
【身体的特徴】金髪、留学生
【服装】ブレザー
≪支給品紹介≫
【銀時の木刀@銀魂】
普通の刀より切れ味のいい木刀、洞爺湖と書かれいる
妖刀星砕とか誰か言ってた気がする
【コルトパイソン@史実】
意外と強力な銃、バイオハザードでもあった気がする
480 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/12(月) 16:36:57 ID:HmufYY+e
投下終了です
また書くのを忘れてました
登場人物坂田銀時、相川友、リーナ
題は青髪の少年と銀髪の侍です
481創る名無しに見る名無し:2010/07/12(月) 21:30:58 ID:vVvFVmpE
ts
482 ◆ymCx/I3enU :2010/07/12(月) 21:54:02 ID:2xmkBmBm
投下乙です。自分も投下します。
俺得ロワ2nd 7話 黒き淫狼
登場:ディオナ、レックス
483黒き淫狼 ◆ymCx/I3enU :2010/07/12(月) 21:54:47 ID:2xmkBmBm
7話 黒き淫狼


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

色黒の肌を持った美しいエルフの少女、ディオナは、
必死の形相を浮かべ息を切らしながら螺旋階段を駆け上がる。
そして時折、階下に向けて手にした小型短機関銃IMIミマイクロウージーを乱射する。
しかし当てたい相手にはどうしても当たらない。
マイクロウージーは拳銃並に小型ながら凄まじい連射速度を誇るため、
近距離ならまだしも遠距離ともなると命中率はほとんど期待出来ない。
言わば「弾丸ばら撒き器」と言った方が良い代物だった。
おまけに弾薬の消費も早い。何の考えも無しに撃ち続けているとすぐにマガジン内の弾は底を尽く。

「あ、た、弾がっ……!」

そしてディオナは、最初から銃本体に装填されていた分と、
予備マガジンの分合わせて190発以上あった弾薬を全て使い果たしてしまった。

「あははは! そんなに連射できる銃じゃ、後先考えず撃ってたら
すぐ弾切れになるだろ。無駄撃ちさせて正解だったぜ」

階下から聞こえる若い青年の声。
声の主は、黒い体毛を持った巨躯の狼、レックス。

「は、はめたわね!!」
「他にも武器あるなら使った方が良いよ〜?」

余裕そうな口調でレックスはディオナを挑発する。
それに対するディオナの返答は空になったマイクロウージーの投げ付けだった。
それすらレックスには当たらなかったが。
カン、カンと音を立て一気に一番下の床に落ちて行くマイクロウージー。
ディオナに支給された武器はマイクロウージーのみだった。

「ううっ!」

進退窮まり涙目になるディオナは、とにかく追跡してくる黒い狼から逃れようと、
螺旋階段を駆け上がる。だが、ついに最上階の回転灯が設置された部屋に出てしまう。
それでもディオナはまだ諦めず、外に出た、が、そこは逃げ場の無いベランダ部分。

「ああ、そんな、もう、逃げ場が……」
「追い付いたよ、エルフちゃん」
「!!」

背後には、舌舐めずりをしながらいやらしい目付きでこちらを見ている黒い狼。

「く、来るな! 私をどうするつもり!?」

ディオナはゲーム開始早々、自分がこの殺し合いにおいてどう行動するかも
まだ決めていない時にレックスにいきなり襲われた。
しかし、目の前の黒い狼の目は獲物を殺そうとしているそれでは無い。
発情期の雌を見付けた時のような、情欲に満ちた目をしていた。
更に狼の下腹部には、黒い毛皮で尚更目立つ、赤い―――がいきり立っている。
かなりの長さと太さを誇るそれはそのグロテスクな外観も相まって、
悪魔の器官のように見える。先端からは透明な粘液が垂れていた。

目の前の黒い巨躯の狼が自分をどうしようとしているのか、ディオナはほぼ完璧に理解する。
484黒き淫狼 ◆ymCx/I3enU :2010/07/12(月) 21:55:45 ID:2xmkBmBm
「ふふふふ。良いなあ。褐色の肌のエルフっ娘っていうのも」
「ま、まさかアンタ……!?」
「中々理解が早い」

そう言うなり、レックスはディオナに飛び掛かり、衣服を爪牙で引き裂き始めた。

「きゃああ!? な、嫌! やめて! やめてぇ!」
「うるさいな。静かにしてよ。噛み殺すよ」
「……!」

ディオナの喉にレックスの鋭い牙が当てられた。
少しでも動けば喉笛が切り裂かれ、死ぬ。

「……」
「そうそう良い子良い子。大丈夫、気持ち良くしてあげるからね〜」
「うっ……ひぐ……」

これから自分がされる事を想像し、ディオナは涙を流した。



「フー……気持ち良かった……」

大きく股を開いたまま遠くを見詰め放心しているディオナの上で、
夢心地といった表情の黒狼レックスが呟く。
そしてゆっくりと、ディオナから己のいきり立った分身を引き抜いた。

(獣に……犯されるなんて……でも、やっと、終わった……)

ようやく自分は解放されるのだと、ディオナは心の中で安心していた。
だが、彼女は気付いていなかった。自分の勘違いに。
黒狼レックスは自分の欲望を満たせば解放する、などとは一言も言っていない。

「気持ち良かったよディオナちゃん」
「……そう……」

行為の途中で聞き出した名前を呼ぶレックスに、力の無い返事で応えるディオナ。

「それじゃ……さよなら」
「……え?」

レックスの言葉が理解出来ず、拍子抜けした声を出すディオナだったが、
次の瞬間、嫌でも理解し――そして、理解した時にはもう遅かった。
狼の鋭い牙が、色黒のエルフの少女の喉笛を食い破った。
灯台最上階ベランダの一部が真っ赤な鮮血で染まる。
485黒き淫狼 ◆ymCx/I3enU :2010/07/12(月) 21:57:05 ID:2xmkBmBm
「ふぅ……」

回転灯のある部屋の中に入り、身体を曲げてディオナと自分の体液に塗れた
自分の息子を舌で掃除する。
幸先良いスタートだと、レックスは思う。
殺し合いにただ単に優勝して帰るだけではつまらない。
折角だから、参加者の女達を性的な意味で食べていこうと、レックスは考えていた。
男は容赦無く殺すつもりでいた。自分にはそういう趣味は無い。

「可愛い女の子がいるかどうか分からなかったけど、
まさかいきなり上玉に出会えるなんて。これからもこんな調子で
行ければいいなぁ」

灯台の最上階の部屋で、黒い狼レックスは淫らな笑みを浮かべていた。



【ディオナ@VIPRPG  死亡】
【残り  45人】



【一日目/朝方/G-4南部灯台最上階】
【レックス@オリキャラ・再登場組】
[状態]健康、口元が血塗れ、返り血(中)、満足
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(本人確認済、1〜2個)
[思考・行動]
 基本:優勝を目指す。とにかく生き残る。女を犯す。
 1:男は即、殺で。
[備考]
 ※俺得ロワ本編開始前からの参戦です。


※G-4南部灯台最上階のベランダにディオナの死体、
ディオナのデイパック(基本支給品一式入り)、灯台一階床に
IMIマイクロウージー(0/32)が放置されています。
※G-4一帯に銃声が響きました。


≪支給品紹介≫
【IMIマイクロウージー】
IMI社の有名な短機関銃、ウージーの超小型版。
拳銃並のサイズで、連射力も高いため、フルオート射撃時の集弾率はかなり低く、
あまり実用的とは言えない。
486 ◆ymCx/I3enU :2010/07/12(月) 21:58:30 ID:2xmkBmBm
投下終了です。今回も変態まっしぐらのレックス。
487創る名無しに見る名無し:2010/07/13(火) 00:08:18 ID:FuER8/Q9
色んな意味でヤりたい放題だなレックスw
488 ◆ymCx/I3enU :2010/07/13(火) 01:37:04 ID:qX4shob3
投下します。俺得ロワ2nd 8話 あちらこちらあんよは上手
登場:皐月眞矢、大宮正悳
489あちらこちらあんよは上手 ◆ymCx/I3enU :2010/07/13(火) 01:42:44 ID:qX4shob3
8話 あちらこちらあんよは上手


黒い髪をポニーテール風にまとめた巫女姿の少女、
皐月眞矢は、支給品である日本刀を持ちながら無人の市街地を歩いていた。
ちなみに彼女は本物の巫女では無い、普通の女子高生だ。
今着ている巫女服は眞矢が趣味で持っているコスプレ用の物である。

「!」

路地から、自分が持っている物とは違う拵えの日本刀を持った、
青い飛竜が現れた。

飛竜――大宮正悳は、支給品の日本刀を目の前の少女に向ける。

「青い竜さん、あなたは殺し合いに乗っているんですか?」
「……そうだ」

眞矢の問いに正悳はやや言いづらそうに答える。
愛する主人の元に帰るため、殺し合いに乗ったは良いが、
いざ他参加者を目の前にすると決心が鈍ってしまう。
ましてやその相手が可憐そうな、可愛い巫女服の少女なら尚更だ。
その証拠に刀を構える正悳の手は震えていた。

「手が震えていますよ?」
「う、うるさい!」
「……」

明らかに青い飛竜が動揺しているのを眞矢は確認する。

「私は皐月眞矢です。あなたは?」
「お、俺か? 俺は大宮正悳だ」
「普通の名前ですね」
「放っておけ!!」
「まあ、それは良いとして……大宮さん」
「な、何だよ、命乞いか……!?」

突然眞矢が取った行動に正悳は目を見張る。
巫女服の上半身を肌蹴させ、半裸になったのだ。
何も覆われていない、年の割に大きく膨らんだ乳房が青い竜の前に露わになる。
普段主人の女性のそれを想像しては自慰に耽っていた正悳だったが、
本物の人間の女性――しかも主人より年下の少女の乳房を直に見た事など無い。
眞矢が一歩一歩正悳に近付いていく。歩く度に乳房がぷるんと揺れ動いた。

「な、何のつもりだよ、おい……!?」
「ねえ、私、まだ16歳なんですよ。でも、それにしては大きいと思いません?
私のこのおっぱい」
「う……た、確かに……」

16歳にしてはよく発育した乳房――いや、身体である。

「い、いやそうじゃなくて、一体何のつもr」
「柔らかそうでしょう? 実際柔らかいですよ。触ってみますか?」

乳房を揺らしながら眞矢は尚も距離を詰める。
正悳は葛藤していた。どうせ殺すなら、好きにしても良いのではないか?
いつ死ぬか分からない、まだ自分は童貞の身、主人との本番の前に、
この少女で練習しておくと言うのも……。
490あちらこちらあんよは上手 ◆ymCx/I3enU :2010/07/13(火) 01:43:27 ID:qX4shob3
「い、いやそうじゃなくて、一体何のつもr」
「柔らかそうでしょう? 実際柔らかいですよ。触ってみますか?」

乳房を揺らしながら眞矢は尚も距離を詰める。
正悳は葛藤していた。どうせ殺すなら、好きにしても良いのではないか?
いつ死ぬか分からない、まだ自分は童貞の身、主人との本番の前に、
この少女で練習しておくと言うのも……。

(い、いや、だが、しかし……)

「っていうのは全部嘘ですよ」

ズバッ。

「――――ぁ」

眞矢が刀を横に一閃し、正悳の腹部を横一文字に切り裂いた。
血が路上に飛び散り、切り口から千切れたソーセージのような物が溢れ出る。

「ガアアアァァァアアアアァア!!」

持っていた刀を落とし、両手で腹を押さえ、地面に崩れ落ち悶え苦しむ青い飛竜。
しばらく口から、傷口から血を路上に撒き散らしていたが、やがて動かなくなった。
肌蹴させていた上着を元に戻す眞矢。

「ふぅ。一歩間違えれば犯される所だったけど、上手く行った。
さて、荷物を……と。刀はいいや。もうあるし」

眞矢は正悳の持っていた刀は捨て置く事にし、
デイパックの方を漁り出した。
しかし自分と同じく、ランダム支給品は刀のみだったようだ。
仕方無く水と食糧を自分のデイパックに移し替える。

普段、コスプレ好きの普通の女子高生として変わり映えのしない毎日を送っていた眞矢は刺激を求めていた。
何か、平凡な日常では味わえないような刺激を。
そんな時、突然殺し合いとやらに巻き込まれた。
最後の一人になるまで殺し合い、生き残った一人だけが帰れるというルール。

待っていた、と眞矢は喜んだ。
死への恐怖が無かった訳では無いが、それ以上に眞矢は歓喜する。
殺人が許容されたサバイバルゲーム。刺激という一言では語り尽くせない。
優勝を目指すつもりは無いが、良い機会、いや、千歳一隅の機会。
思う存分殺人を楽しもうではないか。

眞矢は青飛竜の死体の傍を通り過ぎ、次の獲物を捜し始めた。


【大宮正悳@オリキャラ・再登場組  死亡】
【残り  44人】
491あちらこちらあんよは上手 ◆ymCx/I3enU :2010/07/13(火) 01:44:22 ID:qX4shob3
【一日目/朝方/F-4市街地東部】
【皐月眞矢@オリキャラ・新規組】
[状態]健康
[装備]五郎入道正宗
[所持品]基本支給品一式、水と食糧(1人分)
[思考・行動]
 基本:殺し合いを楽しむ。時に色仕掛けも使ってみる。
 1:次の獲物を捜す。
[備考]
 ※特に無し。


※F-4市街地東部に大宮正悳の死体と傍に菊一文字則宗、
大宮正悳のデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)が放置されています。


≪支給品紹介≫
【五郎入道正宗】
日本刀における名刀の一つ。

【菊一文字則宗】
日本刀における名刀の一つ。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】皐月眞矢(こうづき・まや)
【年齢】16
【性別】女
【職業】高校生、ピザ屋でバイト
【性格】間延びしている
【身体的特徴】黒髪ポニーテール。中々スタイルが良い
【服装】コスプレ衣装の巫女服
【趣味】コスプレ、料理、古書店漁り
【特技】中学まで剣道をかじっており、それなりに剣術が出来る
【経歴】両親と祖父母、姉、妹のいる家庭で育つ
【備考】平凡な毎日に退屈し刺激を求める女の子
492 ◆ymCx/I3enU :2010/07/13(火) 01:45:07 ID:qX4shob3
投下終了です。
493 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/13(火) 17:33:11 ID:jhU2fYqC
投下乙です、
状態表の少し設定を変えました
現在場所を表示するようにしました
あと投下します
第二話さよならドラえもん
登場人物ドラえもん、青木百合
494さよならドラえもん ◆VxAX.uhVsM :2010/07/13(火) 17:34:21 ID:jhU2fYqC
第二話さよならドラえもん

「いったい何なんだこれは!」

青色のロボットが怒っていた

「簡単に人の命を奪っていいはずがない!」
この現状に怒っているようだ
「…とはいえまずはのび太君たちを探さないと」

ここはE-4の住宅街だ

「とりあえず移動してみるか…」

行こうとしたところに

「あの…」

女の子の声がした

「えーと…君は?」

「私は青木百合と申します、聞きたいことがあるのですが」

「答えられるところなら答えるよ」

「私の兄を、ご存じないですか?私の背と同じくらいの黒い髪の人ですが…」

「残念ながら見てないよ、じゃあ僕と探しに行くかい?僕も探している人がいるんだ」

「ああ、すみませんが」

「?」

そして彼女は言う
「兄を知らないのなら用済みです」
死んでくださいと

「!?」

ドゴォ!

「!?うわあああああああああああああああああああああああ!!」
495さよならドラえもん ◆VxAX.uhVsM :2010/07/13(火) 17:36:31 ID:jhU2fYqC
あれから少し時間がたった

黒髪の少女は冷徹に言う

「すみません私は兄を助けたいんです」

そう言いながらドラえもんのデイパックをとり、こういった

「兄さんを…助けないと」
【一日目/朝/E-2住宅街】
【青木 百合@オリキャラ】
[状態]精神不安定? 健康
[装備]手榴弾(残り5)
[所持品]基本支給品×2 不明支給品1〜5
[思考・行動]
 基本:兄のために全員殺す
 1:兄に会いたい
 2:友人に会ったら…?
――――――――――――――――――――――――――――
ああ…なんか動かないな…

あれは手榴弾か?…

まあいいや…

ごめんねのび太君…せめて君だけは

助かってくれ…

本当にごめんね…

きみを…

助けられなくて

その青いロボットは涙を流したまま機能停止した

【ドラえもん@ドラえもん 機能停止】

≪オリキャラ紹介≫
【名前】青木 百合(あおき ゆり)
【年齢】14
【性別】女
【職業】中学生
【性格】兄思い 優しい
【身体的特徴】黒色の髪、頭に髪止めをしている
【服装】中学校の制服
≪支給品紹介≫
【手榴弾@史実】
形的にはアメリカとの沖縄戦争の自決用に使われたもの
496 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/13(火) 17:37:56 ID:jhU2fYqC
投下終了
初の対主催死亡
この後も頑張って考えないと…
497創る名無しに見る名無し:2010/07/13(火) 21:46:06 ID:N03Zqd6v
うわあああああ、ドラえもんが〜!
のび太君がこわれてしまいそうで怖い。
498 ◆ymCx/I3enU :2010/07/13(火) 23:01:30 ID:qX4shob3
投下乙です。ドラえもんが! ドラえもんが!
典型的な奉仕マーダーですな、青木百合殿。奉仕相手の兄の行く末によっては
どうなるか……。
自分も投下します。俺得ロワ2nd 9話 遣隋使と遊び人
登場:小野妹子、女遊び人
499遣隋使と遊び人 ◆ymCx/I3enU :2010/07/13(火) 23:03:11 ID:qX4shob3
エリアB-3の森林地帯。

「太子〜。どこにいるんですか〜……はぁ、闇雲に捜して見付かる訳も無いか」

赤いノースリーブのジャージを着た青年、小野妹子は、
この殺し合いの名簿に名前が書かれていた自分の上司の名前を言いながら、
その上司を捜していた。
しかし広い会場でどこにいるか見当もつかない。

「全く、何でこんな事に……」

突然参加させられたバトルロワイアル――殺し合い。
比叡憲武と名乗る青と白の体毛を持った喋る狼が、最後の一人になるまで
殺し合えと画面越しに宣言した。
首には爆弾付きの危険な首輪。無理矢理外そうとしたり逃げようとしたりすれば、
爆発し、あの女の子のように死ぬ。

妹子のデイパックの中には、基本支給品の他、
小型の刀であるドスと、なぜか競馬用の鞭が入っていた。
ドスは武器として使えるので良いとして鞭は何の意味があるのだろうか。

「早く太子を見付けないと……」

どこかにいる筈の聖徳太子の姿を捜す妹子。

「あ、あの〜」
「ん?」

左手側から女性の声で声を掛けられる。
見れば、バニーガールの格好をした金髪の少女が茂みの向こうに立っていた。

「えっと、その……」
「あー……大丈夫ですよ。僕は殺し合いをする気は無いです」

少しおどおどとしている少女を安心させるように、
穏やかな声で妹子は殺し合いに乗っていない事を告げる。

「ほ、本当ですか? 私も、です」

少女もそれに応えるかのように、殺し合いに乗っていない事を妹子にアピールした。

「そうですか……あの、僕は小野妹子です。あなたは……」
「私はミルカって言います。でも、名簿には性別と職業の『女遊び人』って
書かれてるみたいで……」
「そう言えばそんな名前が……分かりました。
あの、折角だし、一緒に行きませんか?」
「は、はい。喜んで」

女遊び人ことミルカは、小野妹子の誘いを承諾し、ついて行く事に決めた。
500遣隋使と遊び人 ◆ymCx/I3enU :2010/07/13(火) 23:03:55 ID:qX4shob3
殺し合いが始まってから、ミルカも妹子と同じように、名簿に名前――なぜか
自分と同じく性別と職業名で登録されていたが――の書かれていた仲間、
女勇者と女賢者を捜していた。
しかしいつ襲われるか分からない状況下で一人きり。
普段は明るく振舞う彼女も、この時ばかりは素の自身を曝け出す。
デイパックの中には武器になるような物は入っていなかった。
入っていたのは差し込み口が縛られ中に溜まった白濁の液体がこぼれないように
した使用済みコンドームが大量に入った金属製の菓子箱と、木製のハンガーが二つ。
ハンガーはまだいい。使用済みコンドームなどどうしろと言うのか。
衛生的にも不潔極まりない。

「ミルカさんの支給品は何だったんですか? 僕はこのドスと……競馬用の鞭です」
「わ、私ですか。私のは……このハンガー二つ……だけです」

支給品の事を聞かれたミルカは使用済みコンドームの事は黙っておく事にした。
いらぬ誤解を招く訳には行かない。自分はそれなりに男との経験はあるが、
そんな偏趣味は持ち合わせていない。

「そうですか……お互いあまり良い物は支給されなかったんですね」
「でも、妹子さんの小刀は比較的当たりじゃないですか?」
「まあ確かに……ところで、ミルカさんはこの殺し合いに知り合いはいますか?」
「います。二人。女勇者のエリスと、女賢者のフィーナです。
二人共無事だと良いんですが」
「僕もですよ。聖徳太子、倭国の摂政で僕の上司です」
「はあ……」

倭国や摂政という聞き慣れない言葉が気になったが、ミルカは放っておく事にした。

「とりあえず、森を抜けましょう」
「そうですね……」

小野妹子と女遊び人ミルカは、森を抜けるべく歩き始めた。



【一日目/朝方/B-3森中央部】
【小野妹子@ギャグマンガ日和】
[状態]健康
[装備]ドス
[所持品]基本支給品一式、競馬用鞭
[思考・行動]
 基本:聖徳太子を捜す。殺し合いから脱出する方法を捜す。
 1:ミルカ(女遊び人)と行動する。
[備考]
 ※ミルカ(女遊び人)から仲間二人の情報を得ました。
501遣隋使と遊び人 ◆ymCx/I3enU :2010/07/13(火) 23:05:14 ID:qX4shob3
【女遊び人@ドラゴンクエストV】
[状態]健康
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、木製ハンガー(2)、使用済みコンドーム詰め合わせ
[思考・行動]
 基本:生き残る。仲間と会いたい。
 1:小野妹子と行動する。
 2:まともな武器が欲しい。
[備考]
 ※ゾーマ討伐以降の参戦です。
 ※使用済みコンドーム詰め合わせの事を隠そうと思っています。
 ※小野妹子から聖徳太子の情報を得ました。



≪支給品紹介≫
【ドス】
小型の刀。短刀。鞘と柄は木製。

【競馬用鞭】
競馬で馬の尻を叩くのに使う革製の鞭。
マゾな方はこれでお尻を叩いて貰い気持ち良くなってるかも。

【木製ハンガー】
衣服を引っ掛ける際に使う、普通の木製ハンガー。
使い方によってはヌンチャクのように使用出来るが……。

【使用済みコンドーム詰め合わせ】
読んで字の如く。金属製の菓子箱に入っている。
使用した後はすぐに捨てようね。
502 ◆ymCx/I3enU :2010/07/13(火) 23:07:45 ID:qX4shob3
投下終了です。
503 ◆6LQfwU/9.M :2010/07/13(火) 23:08:42 ID:kQj2qW4q
規制も解けたので改めて「期待と結果は真逆だった」(修正版)投下します。
504期待と結果は真逆だった ◆6LQfwU/9.M :2010/07/13(火) 23:09:41 ID:kQj2qW4q
真っ暗な病院をライトで先を照らしつつ歩くめろりんと下痢。
「やっぱり最初に探索するのは病院だな」
「うん、診察室はどこだろ…あ、あそこじゃない?」
…診察室らしき部屋からは、明かりが漏れている。
「…誰かいるんじゃないか」
「…うん、中に首輪の反応がある。確実に誰かいる」
2人とも、手に持つ武器を自然と握りしめる。
「いい?開けるぞ…」
バタンと大きな音を立て扉を一気に押し開ける!
「…プリン?」


「まさかプリンがここに来てたなんて…気づかなかったよー」
安心した表情で一息つくめろりん。
それにどことなく冷めた表情で答える◆PURIN//46E。
「まあね…下痢さんちっといいかな。」
そう言って下痢を部屋の外に誘導する。

「屋上に呼び出して、一体何の用だよ」
後ろ手で病院へのドアを閉め、改めて施錠する。
「さっき屋上の柵になにか引っかかってたんだよ、だから一緒に確かめようと思ってさ」
そう言って、下痢を柵の方に誘導する。
「そこだよ、そこ。柵が壊れてるところがあるだろ」
「こうやって見てみる分には特に何もないような気もするけど」
指さす場所を良く見てみようと身を乗り出す。
「気を付けてね…落ちないように」
「分かってるさ、こんなとこで死ぬつもりも無いしな。支えてくれよ…絶対放さないでね」
「言われなくても分かってるさ」
壊れた柵から身を乗り出し、辺りを見回す。
「特に何も…」
その瞬間。
腰から手の感触が消えた。
505期待と結果は真逆だった ◆6LQfwU/9.M :2010/07/13(火) 23:10:29 ID:kQj2qW4q
「えっ…」
ゆっくりと、景色がスローモーションで目に入ってくる。
「な、何で…」
信じられない、と言った表情のままそのまま屋上から落下し、
…海の中に落ちた。


「おかえりー、何の話してたの?」
「それが…下痢さんが『行くところがある』とか言って、何処かに行っちゃったんだけど…」
「えっ、そうなの?一人で大丈夫かな…」
一呼吸置いて、◆PURIN//46Eが答える。
「ま、大丈夫でしょ。武器も持ってたし。そう簡単には死なないさ」
(あそこから落ちたんだ、流石に死んでるだろ…)


【一日目・深夜/D-5:病院:診察室】
【めろりん@板対抗BR】
[状態]:健康、混乱、精神的ショック(大)
[装備]:端末+首輪探知システム@その他
[所持品]:支給品一式、ハンマー@SIREN
[思考・行動]
基本:ゲームには絶対乗らない。
1:とりあえずプリンと行動する。
2:下痢さんが心配。

【◆PURIN//46E@板対抗BR】
[状態]:健康、疲労(少)
[装備]:P90@現実
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]:
基本:めろりんを優勝させるために参加者を殺す。
1:めろりんに俺がゲームに乗ってる事を悟られないようにする。
2:めろりんの近くにいた方がいいな…
506期待と結果は真逆だった ◆6LQfwU/9.M :2010/07/13(火) 23:11:16 ID:kQj2qW4q
海の上を仰向けで漂っている下痢。
(危ねー所だったな…くそっ、ゲームに乗ってたのか…)
「海じゃなかったら死んでたな…ま、海でも下手すりゃ…」
体を全く動かさずその場で浮かんだままの体勢で思案を巡らせる。
「あいつがゲームに乗ってることを伝えに戻らないと…」

【一日目・深夜/D-4:海上】
【下痢@板対抗BR】
[状態]:健康、全身打撲(中)、怒り
[装備]:M9@メタルギアソリッドシリーズ
[所持品]:支給品一式、不明支給品(確認済み)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。でも襲われたら戦う。
1:くそっ、許せねー…
2:あいつ(◆PURIN//46E)がゲームに乗っていることを伝える。
507 ◆6LQfwU/9.M :2010/07/13(火) 23:12:11 ID:kQj2qW4q
投下終了です。
508 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/14(水) 10:35:24 ID:MHLL/0+D
投下乙です。

投下予約します。独断と偏見ロワ第5話、「神」です。
登場キャラ:桐山和雄
509 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/14(水) 10:58:28 ID:MHLL/0+D
「(バトル・ロワイアル………か)」

一人、青年は心中で呟いた。だが、その言葉は何かを懐かしんでいるようにも聞こえた。

まあ、彼の近くにもし人間がいたとして、彼の考えることを読み取れた人間はいないだろうが。

青年、桐山和雄は”経験者”だ。元いた世界で、国家防衛の戦闘シュミレーションという演目の殺人ゲーム、”プログラム”に参加し、10人以上のクラスメイトを殺した。

――――――――――――――しかし、だ。
桐山は”プログラム”の最後の最後で、中川典子に射殺されたのだ。
なら、何故自分は生きている―――――――――?

最初に浮かんだ可能性は、”バトル・ロワイアル”は”プログラム”の敗者復活戦という可能性。
だが、桐山はそれを即座に脳裏で否定した。
桐山は鼻の横の辺り、つまり顔面を狙撃されている。
貫通しているなら勿論、脳にとどまっていても危険だ。
510創る名無しに見る名無し:2010/07/14(水) 11:08:36 ID:tctKwzFO
511 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/14(水) 11:19:03 ID:MHLL/0+D
――――――――――――――ふっ、と。
本当に不意に、桐山の脳内に、”全てを説明する仮説”が浮かんだ。
だが、桐山は最初、それを否定した。
無表情な顔を、ほんの少しだけ曇らせて。

しかし、認めた。それしか、説明できない。

「―――――――――主催は、神か?」

桐山は、霊や宇宙人を信じてもいないし、否定してもいない。
ただ、「どちらでもいい」だけのこと。
否定しろと言うなら、どこぞのプラズマ厨より何倍も納得いく説明をやってのける。
だが、この状況で、否定はできない。主催者はもう一人いて、もう一人は神だ。

桐山はデイバッグの『機関銃/大会限定』と書かれた機関銃を取り出す。
神に勝つ気は、無い。
なら、このゲームを今度こそ、勝ち抜いてやる……!!

【一日目】
【桐山和雄@BATTLE ROYALE】
[状態]健康、優勝狙い
[装備]機関銃(大会限定)
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:神に逆らう気はない。
1.とりあえず七原以外の元世界陣を危険と認識。
[備考]
 ※主催はもう一人いて、その正体は神だという仮説を持っています。
 ※死亡後からの参戦です。


512 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/14(水) 11:34:12 ID:MHLL/0+D
投下終了です。続いては、
第六話「『僕の願いなんだよ』」です。
登場キャラ:人吉善吉、球磨川禊、ゆり
513 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/14(水) 11:55:34 ID:MHLL/0+D
「『僕はね』『エリートが大大大ッ嫌いなんだよ』」

にこやかな笑顔で歪んだことを言う童顔の少年。いや、年齢は既に青年と呼ぶに相応しいのだが。

本来、彼のいる遊園地は楽しい楽しい場所の筈だった。
それが、過負荷(マイナス)の空気に呑まれてしまっている。
その理由は、二つ。

まず、言うまでもなく”バトル・ロワイアル”。
既に犠牲者は出ている上に、疑心暗鬼の中にいるためでもある。

二つ目は、―――――――――――球磨川禊。
彼は転校先の学校を、ことごとく潰してきた。
あまりにも大きすぎる、マイナスの塊。

そして、そんな過負荷の塊に挑む男が一人。

「よぉ、久しぶりっすね」

あまりにも気さくな挨拶。だが、少年、人吉善吉の眼には、憎悪と闘志と、そして恐怖がうかんでいた。

「『やあ』『人吉くん!!』『君みたいな子は嫌いじゃないよ』」

「そうっすか。生憎、」


「俺はあんたのこと、世界で一番大ッ嫌いですから」
514 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/14(水) 12:25:13 ID:MHLL/0+D

善吉が駆けた。そして、得意の蹴りを球磨川の顔面に当てようとする。

「『わぁ』『強くなったね善吉くん』」

球磨川は片手で受け止めて、逆にちかくの木製小型看板を、笑顔で。
屈託のない笑顔で。善吉の左手に突き刺した。
そして、そのまま――――――――――――

*********************
「何……あれ………」

私の名前はゆり。本名は仲村ゆり。
私は今日、この世で一番恐ろしいものを見てしまった。

「『なぁんだ、』『もっと遊びたかったのに』『人吉くん』」

目の前の球磨川と呼ばれた少年は、人吉と呼ばれた少年の攻撃を”受け流し”、
遊園地の木製看板で、人吉を一撃で刺し殺したのだ。

歯が、震える。何故なら、球磨川が、消えたから。
でも、球磨川の寒気は消えていない。
むしろ、どんどん近づいて―――――――――――

ドスッ。

「い、や」

ゆりの懇願は既に遅く。ゆりの心臓を、看板は一突きにしていた。



515 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/14(水) 12:30:39 ID:MHLL/0+D
【一日目】
【球磨川禊@めだかボックス】
[状態]健康、皆殺し★
[装備]木製看板
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:エリート抹殺
[備考]
516 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/14(水) 12:38:05 ID:MHLL/0+D
あ、ミスです。>>515のラストに、
【人吉善吉@めだかボックス】
【ゆり@Angel beats!】      死亡

と付けてください。
とうかしゅりょーです
517 ◆ymCx/I3enU :2010/07/15(木) 00:44:34 ID:4ChTp02K
お二方、投下乙です。では自分も投下します。
俺得ロワ2nd 10話 あの世までイきました
登場:シリウス、石川清憲、エロリア
518あの世までイきました ◆ymCx/I3enU :2010/07/15(木) 00:47:08 ID:4ChTp02K
10話 あの世までイきました


エリアB-6娼館、恐らく乱交などを行うためのホールにて、
銀と白の毛皮を持つ獣足の人狼が、黒い竜を後ろから掘っていた。

「ハッ! ハッ! ハッ! 良いぜぇ! 良い締まりだ!」
「あああ!! アッー!! アッー!! 痛い! 痛い!!」

人狼――シリウスは、自分を殺そうと襲い掛かってきた、
黒い竜――石川清憲を逆に返り討ちにし、とっ捕まえ、
自分の欲望のはけ口にしていた。
恍惚の表情を浮かべ快感を楽しむシリウスとは対照的に、
今まで感じたどれとも違う激痛に苦しみ、涙と涎を垂らしながら喚く清憲。

「ウ、ウォォ……! そろそろ、イくぞぉ……」
「ひっ、わ、ああ、やめて! やめてえええ!!」

絶頂が近付き、シリウスがラストスパートをかける。そして。

「イ、く! アォォオオオオォオオン!!」
「あぁぁぁああぁぁあああああぁああ!!!」

絶頂を迎え、清憲の尻に自らの腰を思い切り押し付け、遠吠えを響かせながら、
銀と白の人狼は果てた。
体内に熱い液体が注ぎ込まれるのをはっきりと感じ、
黒い竜は絶望と喪失感に襲われた。

その直後くらいだっただろうか。


ドゴオオオオオォォォォン!!


強烈な閃光、爆発音。


シリウスと清憲が、最後に感じた知覚であった。


ホールの入口から、盛り合っている二人のケモノに向けて、
手榴弾を投げ付け吹き飛ばしたのは、黒い髪に赤い鉢巻を巻いた、
妖艶な香りを漂わせる少女、エロリア。

「開始早々、エラいもん見ちゃったわ……」

殺し合いに乗る事を決め、獲物を捜しいつしか娼館に辿り着いていたのだが、
妙な声に引かれ来てみれば、銀色のワーウルフが、黒いドラゴンを後ろから
《アッー》している光景に出くわした。
どうやらドラゴンがワーウルフに無理矢理掘られているようだったが、そんな事は、
エロリアにとっては然程重要では無い。
支給品であるM24型柄付手榴弾を投げ入れ、二人を吹き飛ばしたが、本当に死んだのだろうか。
519あの世までイきました ◆ymCx/I3enU :2010/07/15(木) 00:48:12 ID:4ChTp02K
用心しながら、粉塵立ち込めるホールに入るエロリア。

「……余計な心配だったみたいね」

つい先程の自分の心配が杞憂だった事にすぐ気付いた。
下半身と上半身の左半分が粉々になったワーウルフの死体と、
ワーウルフに比べればまだマシな方だがそれでも、右足が無くなり、
腹が破け内臓器がぶちまけられた黒いドラゴンの死体を見付けたからだ。
血の海に混じって、黒いドラゴンの尻尾の付け根の穴からは、
恐らくワーウルフの体液と思われる白く濁った液が垂れ落ちている。

二人のデイパックはホール内を探し見付かった。

「私の武器は手榴弾だけだったからなぁ。何か無いかな、と」

エロリアがまず一つ目のデイパックを漁る。

「お、アサルトライフルか、こりゃいいね」

見付けた物は5.56ミリNATOライフル弾を使用する突撃銃、大宇K2と、
その予備マガジンが5個であった。
もう一つのデイパックには、青竜刀と――いわゆる大人の玩具である、
男のシンボルを模した、デ○ルドが入っていた。

「何でこんな物が……まあいいか。暇な時にこれで遊ぼう」

二人分の水と食糧、青竜刀、デ○ルド、大宇K2の予備マガジンを自分の
デイパックの中にしまい、エロリアは大宇K2を装備する。

この殺し合いには、何人か知り合いも呼ばれている。
自分の「本物」である女勇者リリアや、同僚のディオナなど。
しかし、元々それ程親しかった訳では無い。同僚もまた然り。
よって、この殺し合いにおいて再会したとしても、殺す事に躊躇は無かった。

「よし、行こうかな……」

爆発音によって誰かが来る可能性もある。長居は無用だろう。
エロリアは戦利品の山と共に娼館の出口に向かって歩き出した。


【石川清憲@オリキャラ・再登場組  死亡】
【シリウス@オリキャラ・再登場組  死亡】
【残り  42人】
520あの世までイきました ◆ymCx/I3enU :2010/07/15(木) 00:50:47 ID:4ChTp02K
【一日目/朝方/B-6南部娼館】
【エロリア@VIPRPG】
[状態]健康
[装備]大宇K2(30/30)
[所持品]基本支給品一式、大宇K2予備マガジン(30×5)、青竜刀、
 デ○ルド、M24型柄付手榴弾(2)、水と食糧(2人分)
[思考・行動]
 基本:殺し合いを楽しむ。知り合いや同僚(ディオナ)と遭遇しても容赦しない。
 1:他参加者を捜す。
[備考]
 ※特に無し。


※B-6娼館の一部が爆発により破壊されました。また、屋内で爆発したため、
爆発音は外にはほとんど漏れていないようです。
※B-6娼館内に石川清憲、シリウスの死体、
二人のデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)が放置されています。


≪支給品紹介≫
【M24型柄付手榴弾】
第一次世界大戦にドイツで開発された柄付き手榴弾。
小さい缶詰型の炸薬に木製の棒をつけた形状から、
ポテトマッシャー(じゃがいも潰し)という俗称がついた。

【大宇K2】
韓国軍の制式となっている5.56ミリ口径の突撃銃。
M16A1とよく似た作りでマガジンも共用出来る。

【青竜刀】
中国武術で使用される中国刀の一種。正式には「柳葉刀」と言うらしい。
片刃で湾曲した片手刀で、日本刀などに比べ、刃の幅が非常に広い。
重量と遠心力をつけ斬りつけることにより威力を発揮する。

【デ○ルド】
男のシンボルを模したアレ。コメントしずらい。
521 ◆ymCx/I3enU :2010/07/15(木) 00:52:27 ID:4ChTp02K
投下終了です。もう、どんどん殺そう。
522 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/15(木) 06:10:09 ID:CR0/EWmr
投下乙そして投下します
3話 そのころの聖徳太子
登場人物聖徳太子
5233話 そのころの聖徳太子 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/15(木) 06:11:15 ID:CR0/EWmr
3話 そのころの聖徳太子

「あー…まったく…いったい何なんだこれは…」
つぶやいているのは飛鳥時代の摂政、聖徳太子だ

今、聖徳太子はB-3にある温泉に入っている

「とりあえず出たら妹子でも探すか…」

しかし太子には温泉から出る気配がない

「太子!動いてください!」
どこからか妹子の声が聞こえた気がした
【一日目/朝】
【聖徳太子@ギャグマンガ日和】
[状態]健康 温泉に入っています
[装備]なし
[所持品]基本支給品 不明支給品1〜3 
[思考・行動]
 基本:どうしようか…
 1:妹子を探す
[備考]
 ※アニメ聖徳一週間後の参戦です。
524 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/15(木) 06:16:42 ID:CR0/EWmr
投下終了です
めっちゃ短い!
今回はギャグ的なものです
525 ◆ymCx/I3enU :2010/07/15(木) 21:39:07 ID:4ChTp02K
投下乙です。太子ー!!

参加者の変更です。
【オリキャラ・新規組】
○浅井貴光→○浅井きらら

俺の書くオリキャラは【普通】か【変態】のどちらかですね
526 ◆ymCx/I3enU :2010/07/16(金) 01:08:37 ID:3Pcg8eYv
投下します。俺得ロワ2nd 11話 己がために
登場:セイファート、牧野慶
527己がために ◆ymCx/I3enU :2010/07/16(金) 01:09:39 ID:3Pcg8eYv
11話 己がために


エリアG-2の海沿いに存在する豪邸。

「ひ、ひいいいっ、や、やめろ! やめてくれえええ!」

黒い衣服に身を包んだ気弱そうな男――牧野慶が部屋の隅に追い詰められ、
恐怖と絶望に怯え切った表情で必死に命乞いをしていた。
左肩と右太腿には銃創があり、ドクドクと血が流れ出ている。
もっとも、黒い衣服では、赤色の血は然程目立たない。

「ごめんね……でも、どうしても首輪が欲しいのよ」

牧野を襲い負傷させ追い詰めたのは、黒と白の毛皮に赤と青のオッドアイを持ち、
コートに似た詰襟の黒い服に身を包んだ、爆乳の狼獣人の女性――セイファート。
右手には小型の自動拳銃マカロフが握られ、腰のベルトには鞘に収められた
長剣バスタードソードが差し込まれている。

「牧野さん、だっけ? あなたも知ってると思うけど、
私とあなたを含めた殺し合いの参加者全員に首輪がはめられている。
そしてこの首輪は無理矢理外そうとしたり、逃げようとしたり、ゲームの邪魔をしたり
すれば、ボンッ……この首輪がある限り脱出なんて不可能……。
だからこの首輪をどうにかするしか無いんだけど、そのために首輪の内部がどういう構造に
なっているかが知りたいの。それには首輪のサンプルが必要……でも、
外せないよね? だ、か、ら……」
「私を殺して、首を切り取って外すとでも……!?」
「ご明答♪」

やはり、この狼の頭を持った女は自分を殺す気なのだと、
そして、もうすぐそこまで死が迫っている事を牧野は再確認した。

「お喋りが過ぎたなぁ。それじゃあ、さよなら、牧野さん」
「い、嫌だ、待って、待ってくれ、ああ、死にたくな――」

牧野の命乞いをこれ以上聞く耳はセイファートには無く。

数発の銃声が響き、牧野慶は、死んだ。

牧野が死んだ事を確認すると、セイファートはマカロフの弾倉を交換し、
腰のベルトに差し、バスタードソードを鞘から引き抜いた。



数分後。



血塗れの首輪、牧野のデイパックを持った、若干の返り血を浴びたセイファートが、
部屋から廊下に出て扉を閉めた。
528己がために ◆ymCx/I3enU :2010/07/16(金) 01:10:56 ID:3Pcg8eYv
セイファートは、厳密に言えば進んで殺し合いをする意志は無い。
この殺し合いからの脱出方法を探す事が彼女の目的であり、
首輪の調査はその橋頭堡とも言うべき行動だった――が。
それらはあくまで「自分のため」であり、この殺し合いを潰そうとか、
殺し合いに巻き込まれた人々を救おうなどという感情は一切存在しない。

「さて……首輪のサンプルは手に入った……」

すぐに首輪を調査したい所ではあったが、
一つ屋根の下、死体と一緒と言うのは嫌だった。

「街の方へ行こうかな」

セイファートは東の方角にある市街地へ向かう事にした。
多くの住宅や建物が建ち並ぶ街ならば隠れる場所の一つや二つはあるだろう。

セイファートは荷物を引っ提げ、豪邸を後にした。



【牧野慶@SIREN  死亡】
【残り  42人】



【一日目/朝方/G-2南部豪邸付近】
【セイファート@オリキャラ・再登場組】
[状態]健康
[装備]USSRマカロフ(8/8)、バスタードソード
[所持品]基本支給品一式、USSRマカロフ予備マガジン(8×2)、
 首輪(牧野慶)、デイパック(牧野慶)
[思考・行動]
 基本:殺し合いからの脱出(自分優先)。首輪を外す。
 1:他参加者と遭遇したら自己の生存率上昇のため思想関係無く殺すつもり。
[備考]
 ※個人趣味ロワ構想前からの参戦です。
 ※魔法が一切使えなくなっています。


※G-2南部豪邸二階に牧野慶の死体が放置されています。
※屋内で発砲したため銃声はほとんど外には漏れなかったようです。


≪支給品紹介≫
【USSRマカロフ】
1952年に旧ソ連で開発され、それまでのソ連軍制式拳銃トカレフに代わる
新たな制式拳銃となった自動拳銃。携帯性に優れ取り回しが良い。

【バスタードソード】
両手、片手持ちの両用の剣。
バスタード(Bastard)とは、「雑種(または私生児)」という意味。
529 ◆ymCx/I3enU :2010/07/16(金) 01:12:08 ID:3Pcg8eYv
投下終了です。
530 ◆ymCx/I3enU :2010/07/16(金) 01:14:52 ID:3Pcg8eYv
訂正。残り41人です。
531 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/16(金) 15:26:45 ID:R6xDSq9b
投下乙です。
続いて投下予約です。独断と偏見ロワ七話、「壊れた少年」です。
登場キャラ:天野雪輝、骨川スネ夫
532 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/16(金) 15:51:43 ID:R6xDSq9b
「〜〜〜♪〜〜〜〜〜〜♪」

黒髪のニット帽。少し小柄な体躯。そして、この状況での鼻歌。
このあまりにも余裕な態度に、少年がショックでおかしくなっているという結論に達する人間が多いだろう。
――――――――――――――――――まあ。
その思考は当たっている。
只ひとつ、「この状況」を原因としたところ以外は。

天野雪輝、1st。
時空王「デウス・エクス・マキナ」によって殺人ゲームの参加者となった彼は、
”通り魔 3rd”火山高夫、”教祖 6th”春日野椿を殺害している。
そしてこの状況も相乗して、――――完全に、吹っ切れた。
雪輝は、殺人鬼を目指した。

「ひ、ひぃっ」

鼻歌を歌いながら歩く雪輝の前に、特徴的髪型をした少年が現れた。
立ちふさがるような形で。
少年は小柄で、小学生と思われた。

「な、何でこんな時にそんなに暢気なんだよ!」

少年を見下ろす雪輝の眼は、とてもとても、冷たくて冷酷で、―――笑っていた。
ザスリ。と、雪輝の手から黒い刃が伸びて、少年の額に突き刺さった。
伸縮型のモリ。
猟師が使うもので、殺傷能力は抜群だ。
少年は額から血を吹き出させ、ガタリ、とあっけなく倒れた。

【一日目・深夜】
【天野雪輝@未来日記】
[状態]健康、狂化
[装備]伸縮型モリ@現実
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。
 1:ただし、由乃と会ったら生かす。
[備考]
 ※三巻、御目方教編終了時からの参戦。
 ※骨川スネ夫を殺害。

【骨川スネ夫@ドラえもん】 死亡


533 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/16(金) 15:54:15 ID:R6xDSq9b
続いて八話、「我、神トナリシ」です。
登場キャラ:折原臨也
534 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/16(金) 16:07:03 ID:R6xDSq9b
俺の名前は折原臨也。

―――――――――――――――え?
何をいきなりって?ははは、ごめんごめん。
俺は情報屋をやってるんだよ。今は新宿でね。池袋はシズちゃんがいるし。
そんな俺は、今殺人ゲームに参加している。
タカノって女は、ありゃかなりの電波だねぇ。神を目指すなんて。俺は人、ラブが心情だけど、さすがに神様は愛せないなぁ。

だから俺は、タカノをぶっ殺そうと思うんだ。
神にはあんなクレイジーはふさわしくないでしょ。
でも、その後は俺が神になるよ。
タカノの死は無駄にはしないさ。まあ、ぶっちゃけ言うと――――――
俺が殺人ゲームを主催したいってことなんだけどね。
そして最後には、俺は文字通り”神”になり、また人間を愛するんだ。
俺は神になったって、愛すのは人間だ。

神々は愛せない。 神様ごめんなさい。

【一日目/深夜】
【折原臨也@デュラララ!!】
[状態]健康
[装備]不明
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:タカノを殺して次の主催者になる。
 1:他参加者と遭遇したら自分につくもの以外は殺す。
[備考]
 ※原作六巻、澱切に刺される前からの出展です。
535 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/16(金) 16:16:19 ID:R6xDSq9b
投下終了です。
続いては第九話、「共同!」です
登場キャラ:平沢唯、来栖圭吾、高木藤丸
536 ◆OKTm8teiY2 :2010/07/16(金) 16:19:54 ID:R6xDSq9b
すいませんが、予約取り消します。
537 ◆FqMKkvAsCA :2010/07/16(金) 23:42:37 ID:5/J1y/3E
>>OK氏
遅くなりましたが投下乙です
ユッキーが完全にいっちゃってますな……あと外道王の活躍にかなり期待

>>ym氏
元Uw氏ですよね?そのペースの速さ本当にいつ見ても羨ましいwwww
オリキャラ等がすごくうまく動いているなあといつも思っております。
セイファートは怖いマーダーだな。そしてシリウスまた出たと思ったら即死したwww

連絡です。
今までやっていた「その日の気分ロワ」ですが、どうも行き詰ってしまったので登場人物を一新してリスタートする予定です。
今度はオリキャラメインになります。

そこで聞きたいのですが、ロワのページは前の「その日の気分ロワ」のページに上書きした方がいいんですかね?それとも置いておいて新しいページを作るべきなんでしょうか?
538創る名無しに見る名無し:2010/07/17(土) 02:29:53 ID:eEW3t3MW
>>532
うんぐぅ。ドラえもんもスネ夫も死んでしまい、
このまま他のメンバーもああなっちゃったらのび太はどうなっちゃうんだろう。
539 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/17(土) 07:20:04 ID:k16nn88v
投下させていただきます
DOLバトルロワイアル
4話ネカフェにて
登場人物津本二三也、人吉善吉、野比のび太
540ネカフェにて ◆VxAX.uhVsM :2010/07/17(土) 07:20:54 ID:k16nn88v
4話 ネカフェにて

どうも・・・僕は野比のび太です
僕はE-3のあるネットカフェで2人の人に会いました

一人目は津本二三也さん
大学生だそうだ

二人目は人吉善吉さん
箱庭学園という所の生徒会らしい

善吉さんが口をあける
「とりあえず…全員の支給品も確認したことだし
どこか行くか?」

「どうしましょうね?」

ちなみに支給品は

僕がベレッタM92とそれの予備弾が30発

津本さんはノートPCとUSBメモリ

人吉さんは日本刀とスタンガン

「とりあえずE-2にある住宅街ってところに行ってみるか」

「そうですね」
そしてみんなで住宅街へ向かう準備を始めた

「とりあえずここにあるので使えそうなものは取っておくか…」
近くにあった炭酸飲料をもらっておく

まずはドラえもんだ待っててよ、ドラえもん!
541ネカフェにて ◆VxAX.uhVsM :2010/07/17(土) 07:22:44 ID:k16nn88v
【一日目/朝/E-3ネットカフェ】
【野比のび太@ドラえもん】
[状態]健康
[装備]ベレッタM92(15/15)
[所持品]基本支給品 予備弾30発 炭酸飲料(現地調達)
[思考・行動]
 基本:この殺し合いを止める
 1:ドラえもんに会いたい
 2:危険人物とあったら逃げるか戦う
【一日目/朝/E-3ネットカフェ】
【人吉善吉@めだかボックス】
[状態]健康
[装備]日本刀 スタンガン(ポケットに入っています)
[所持品]基本支給品
[思考・行動]
 基本:殺し合いを止める
 1:鬼瀬を探すか…
 2:二人(のび太、二三也)を信用する
[備考]
 ※十三人編直後の参戦です。
【一日目/朝/E-3ネットカフェ】
【津本二三也@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、ノートPC、USBメモリ
[思考・行動]
 基本:殺し合いを止める
 1:武器がほしいな…
 2:二人(のび太、善吉)を信用する
≪オリキャラ紹介≫
【名前】津本二三也
【年齢】19
【性別】男
【職業】大学生
【性格】オタク気味
【身体的特徴】眼鏡をかけている
【服装】私服
≪支給品紹介≫
【日本刀@史実】
切れ味はいいが結構早く切れなくなります
【ベレッタM92@バイオor史実】
基本的といえる銃、エアガンでなら自分も持ってます
542 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/17(土) 07:25:35 ID:k16nn88v
投下終了です
のび太とドラえもん遭遇フラグ
しかしドラえもんは・・・
543 ◆ymCx/I3enU :2010/07/17(土) 10:25:49 ID:DUAZ2ay2
投下乙です。

・独断と偏見ロワ七話「壊れた少年」
スネ夫やられた! でも、元々スネ夫はロワで終盤まで生き残れるような
奴では無いよなあ多分

・八話「我、神トナリシ」
折原臨也って名前はよく聞くけどどんなキャラなんだ?
調べてみるか…。

>537 そうです、トリ変えました。
リスタートなら自分もしましたよ、今進めているロワが正にリスタート後です。
同じように行き詰まってしまって。ページは上書きで問題無いかと。自分もそうしましたし。
オリキャラメインになるそうで、楽しみにしています。

・DOLバトルロワイアル 4話ネカフェにて
のび太仲間が出来たか。二三也は「ふみや」で良いんですかね?

投下します。俺得ロワ2nd 12話 医者と白猫
登場:宮田司郎、シルヴィア
544医者と白猫 ◆ymCx/I3enU :2010/07/17(土) 10:28:08 ID:DUAZ2ay2
12話 医者と猫


住宅地の路上を、白衣の男、宮田司郎は宛ても無く歩いていた。
時折遠くから銃声らしき音が聞こえる以外は風の音のみが通りに響く。

殺し合い。比叡憲武と名乗った狼は確かにそう言っていた。
最初は冗談か何かと思っていたが、映像越しに少女が、今自分の首にも
はめられている首輪を爆破され殺された。
その時点で、流石にこれは冗談とかそう言う類のものでは無いと誰もが理解したはず。
理解出来ないのなら余程の楽天家か、馬鹿だ。

「どうしたものか……」

宮田自身には、殺し合いに乗る気は今の所無い。
正直実感がわいていなかった。つい昨日まで普通の生活をしていたと言うのに、
いきなり拉致され殺し合えと言われれば、それも無理は無い。

「そこのアンタ」
「ん?」

背後から少女の声で呼び止められ、宮田は後ろを振り向く。

「何だ……?」

そこにいたのは学生服姿の少女。但しただの少女では無い。
白髪に猫耳、猫の尻尾が生えている。そう、付けているのでは無く、生えているのだ。

「いきなりで悪いけど……」
「……」
「死んで!」

シルヴィアは右手に持っていた抜き身の日本刀で、宮田に襲い掛かった。

「はぁっ!!」

素早く両手持ちに替え、大きく日本刀――童子切安綱を振り被るシルヴィア。
そしてそれを目の前の白衣の男に向かって一気に振り下ろした。
だが、宮田は横に跳び何とか回避する。

「ちっ!」

舌打ちをしながら、宮田に向け日本刀を振り回すシルヴィア。
だが、刀に不慣れな事もあってか、避けられるばかりだった。
一方の宮田も、このままでは形勢不利と考え、何とか切り抜けなければと思い始めていた。
ズボンのベルト、腰の辺りに自分の支給品の一つである自動拳銃シグザウアーP226が
差し込んであったがとても抜ける余裕は無かった。

「すまないがお前の相手はここまでだ」

宮田は踵を返し、全力で走りだした。

「逃がすか!」

負けじとシルヴィアも、宮田の背中を追い掛ける。
545医者と白猫 ◆ymCx/I3enU :2010/07/17(土) 10:36:41 ID:DUAZ2ay2
数十分後。路地に逃げ込みどうにかシルヴィアを撒く事に成功した宮田は、
別の通りに出、近くの建物の入口近くにあったベンチに座る。

「はぁ……やはり殺し合いは始まっているのか……」

銃声が遠くから聞こえていた時点で分かっていた事だが、
初めて殺されかけた事によりその事実を再認識する。
ベルトに差し込んでいたP226を抜き、じっくりと観察する宮田。
生まれて初めて持つ本物の銃である。ずっしりとした金属の重みが手の平から伝わってきた。
この銃を使って、人を撃つ時が――恐らく、いや間違い無く来るだろう。

「牧野さんは大丈夫なんだろうか」

名簿に名前が書かれていた、ある事情で別々に育てられる事となった、
双子の兄の事を多少なりとも心配する。
気弱な性格故、この殺し合いで生き残れるとは到底思えないが。
次に襲われた時のために、すぐに抜き出せる位置にP226を差し込み直し、
宮田はベンチから立ち上がり、再び宛てもなく歩き始めた。


「見失った……」

追撃していた白衣の男を見失ってしまい、
シルヴィアは肩を落とす。

「声かけずにさっさと襲うべきだったな、くそ……。
まあいいや。次行こう」

気を取り直し、抜き身の日本刀、童子切安綱を携え、
シルヴィアは再び獲物を捜し始めた。




【一日目/朝方/E-7市街地北部】
【宮田司郎@SIREN】
[状態]健康、E-6方面へ移動中
[装備]シグザウアーP226(15/15)
[所持品]基本支給品一式、シグザウアーP226予備マガジン(15×3)、不明支給品(本人確認済)
[思考・行動]
 基本:殺し合いをする気は無いが……。
 1:牧野さんが少し心配(ただ、捜す気は無い)
[備考]
 ※須田恭也が羽生蛇村を訪れるよりも前からの参戦です。
 ※シルヴィア(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
546医者と白猫 ◆ymCx/I3enU :2010/07/17(土) 10:39:33 ID:DUAZ2ay2
【一日目/朝方/E-7市街地西部】
【シルヴィア@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康、F-7方面へ移動中
[装備]童子切安綱
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
 1:クラスメイトと会っても容赦しない。
[備考]
 ※自作ロワ本編開始前からの参戦です。
 ※宮田司郎(名前は知らない)の容姿を記憶しました。



≪支給品紹介≫
【シグザウアーP226】
1983年にシグザウアー社が開発した自動拳銃で、
装弾数が15発と多い上、長時間水や泥の中に浸けた後でも
確実に作動するほど堅牢であり耐久性は非常に高い。

【童子切安綱】
平安時代の人、大原安綱の大傑作で天下五剣の一つ。
伝説の鬼、酒呑童子(しゅてんどうじ)の首を切って退治したことからこの名前が付いた。
江戸時代、6人の罪人の死体を積み重ねて6つの死体を切断した後、刃が土台まで届くほど
すさまじい切れ味を誇ったと伝えられている。
547 ◆ymCx/I3enU :2010/07/17(土) 10:40:51 ID:DUAZ2ay2
投下終了です。
548 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/17(土) 12:04:55 ID:k16nn88v
投下乙です
二三也はふみやです書き忘れてました
549創る名無しに見る名無し:2010/07/17(土) 12:27:14 ID:n05I6wYb
てs
550 ◆ymCx/I3enU :2010/07/17(土) 20:47:00 ID:DUAZ2ay2
投下します。俺得ロワ2nd 13話 堕ちる雷光王
登場:ライコーオー
551堕ちる雷光王 ◆ymCx/I3enU :2010/07/17(土) 20:49:53 ID:DUAZ2ay2
13話 堕ちる雷光王


青と白の身体を持った竜、ライコーオーは、
エリアA-4にある民家の中に身を潜めていた。

「殺し合いとはどういう事だ……俺は確か……」

ライコーオーは茶の間でこの殺し合いに参加させられる直前の記憶を辿る。
自分は確か、パートナーの雪野タクミと共に、RI-INの放った刺客、アリサと戦い、
瀕死の重傷を負い――意識を失ったはずだった。
だが、目覚めた時には、身体の傷は全て、綺麗に消えており、
首には金属製の首輪がはめられ、更に、身体が人間の成人男性並のサイズまで
縮まっていた。そしてモニターに現れた比叡憲武と名乗る喋る狼が、
殺し合い――バトルロワイアルの開催を声高に宣言した。

そして、気付いた時には、見知らぬ市街地にライコーオーは黒いデイパックと共に
飛ばされていたのだ。
人間サイズになっているので、建物にも比較的容易に入れるようになった。

名簿を取り出し書いてある名前を読んでいく。
自分の名前を含め、48人分の殺し合いの参加者の名前があったが、
知っている名前は何も無かった。

「タクミやネコはいないのか……良かった」

大切なパートナーや仲間がこの殺し合いに呼ばれていない事で少し安心するライコーオー。

「そう言えば武器などが支給されると言っていたが……」

ライコーオーは雷を操る事が出来たが、現在は静電気程度の火花を散らす
事しか出来なくなっていた。
比叡が「魔法とか超能力とか、そういう便利な力は一切使えなくしました。
自分の身体か、支給或いは調達した武器で戦って下さい」と言っていたが、
正にこの事なのだろう、一応爪と牙を使って攻撃する事も出来るのだが、
身体が人間サイズになっているのと比例して力も弱くなっているため、
念のために武器になる物が必要だとライコーオーは判断した。

――弱いと言っても常人に比べれば遥かに強い力を持っているが。

ゴソゴソとデイパックを漁るライコーオー。

「これは……確か『マシンガン』という奴か」

出てきた物は旧日本軍が使用していた軽機関銃・九六式軽機関銃と、
予備のマガジン5個。普通の人間より筋力に優れるドラゴンであるライコーオーは、
まるで突撃銃のように軽々と持ち上げ構える。

「武器はとりあえずは大丈夫だろう……ん? まだあるな」

デイパックの奥にもう一つの支給品らしき物があるのを発見する。
引っ張り出してみると、それは缶入りのミルクティー三本だった。

「これは……タクミがたまに飲んでいた『缶ジュース』と同じ類か?
ふむ……既に水はあるが……」

基本支給品の中に水があるのにわざわざランダムの支給品にまで飲み物を
用意するとは、何かあるのだろうか。
ミルクティーの説明書を読んでみるが「水だけじゃ飽きるだろうから、
ミルクティー的な物でもどうぞ」と書かれているだけだった。
552堕ちる雷光王 ◆ymCx/I3enU :2010/07/17(土) 20:52:05 ID:DUAZ2ay2
「折角だし飲んでみるか」

ライコーオーは缶の蓋を、以前タクミがやっていたのを思い出しながら、
四苦八苦の末に開き、中身のミルクティーを飲み干した。

「おお、結構うまいな、全部飲むか。どうせ水なら支給品にあるしな」

初めて味わうミルクティーの味が気に入ったのか、
ライコーオーは残っていた二つの缶も飲んでしまった。

「ふぅ……さてと、これからどうするか」

テーブルの前にあぐらをかきながらライコーオーは考える。
この殺し合い、知り合いはいない。だが、かと言って殺し合いに乗る事は
考えられなかった。
パートナーであるタクミの元へ帰りたいという気持ちはあった。
優勝すれば帰れると主催者は言っていた。
だが、他人を犠牲にしてまで帰った所で、タクミはきっと喜ばないだろう。

少なくともこの時まではライコーオーはそう考えていた。
はっきりと、明確かつ冷静な思考が出来た。

「……?」

異変は突然やってきた。目まいがライコーオーを襲った。
そして、心臓の鼓動が早くなり、息苦しくなり、身体が火照ってきた。

「はぁ、はぁ、な、何だ……??」

突然の自分の異変に戸惑うライコーオーだったが、
次第にとても淫靡な気分になってくるのを感じた。
頭の中が、パートナーであるタクミの事で一杯になっていく。
タクミ。タクミ。タクミ。タクミ。タクミ。

「あ、あ゛ーーーー……?」

遠くを見詰め、涎をボタボタと畳の上に垂らし始める始末。
ついには、普段は身体の中に収納されているライコーオーの分身が、
顔を出し、先端から透明な汁を垂らしながら固くそそり立っていた。
さながらそれは真っ赤な槍。肉の槍。

「たくみ……たくみ、たくみぃ、あいたい……はぁん……ハッ、ハッ、ハッ」

普段の勇ましく、冷静な彼を知っている者、特にパートナーのタクミやその仲間なら、
今の彼を見たらとても普段の彼とは結び付かなかっただろう。
無意識の内にライコーオーはタクミの事を考えながら自分を慰め始めた。
その間も蕩け切った表情と声でパートナーの名前を呼び続け、数分程で果てた。
553堕ちる雷光王 ◆ymCx/I3enU :2010/07/17(土) 20:54:50 ID:DUAZ2ay2
「ガァァア!」

長く太いそれに見合った大量のミルクが茶の間を汚す。

「ぁはぁ〜〜きもちいいよおぉ〜〜たくみぃぃ」

ライコーオーの目は、完全にイってしまっている。
舌と涎を垂らし、衰える様子のない自身を青と白の竜は再びいじり始めた。
ライコーオーの頭の中にはタクミの事しか無い。
タクミの元に帰りたい。それならどうするべきか。手っ取り早い方法はやはり、

殺し合いに優勝する事。

「たくみ、ぜったいぃ、かえる……かえるぅ……そのために、い、ああ……、
この、ころひあいにっ……あ、あ、……ゆうしょう、んぁあああ!」

呂律が回らない声で、ライコーオーはタクミへの思いから
殺し合いに乗り優勝する事を宣言する。
と、同時に身体を震わせ、再び白く濁った、濃厚な、生臭い液を撒き散らした。



【一日目/朝方/A-4市街地中央部民家一階】
【ライコーオー@ドラゴンドライブ】
[状態]禁止薬物の効果でパートナーのタクミに発情、思考力低下、興奮、快感
[装備]九六式軽機関銃(30/30)
[所持品]基本支給品一式、禁止薬物入りミルクティー(空き缶3本)
[思考・行動]
 基本:たくみのもとにかえるためにゆうしょうする。
 1:きもちいいよお〜たくみ〜。
 2:たくみ〜。
[備考]
 ※原作漫画、アリサ戦後に消滅した後からの参戦です。
 ※禁止薬物の効果で、パートナーの雪野タクミ(本ロワ不参加)に対し
  これ以上ない程発情、人格が崩壊しています。薬物の効果は
  切れるかどうかは不明です。



≪支給品紹介≫
【九六式軽機関銃】
1936年(皇紀2596年)に旧日本軍の制式となった軽機関銃。
チェコ製のVz26軽機関銃等を参考に開発された。
マガジンの残弾確認カウンターや銃剣の着脱装置など一見必要あるのかと
思う装備が付いているが、銃身の交換が容易で部品の互換性も高く、
オイルレスでも問題なく作動する成功作である。
弾薬は当時の日本軍制式小銃三八式歩兵銃と同形だが、故障が多かったため、
減装弾を使用している。

【禁止薬物入りミルクティー】
オリジナル支給品。服用すると思い人に対し激しい劣情を抱き、
性的欲求が増しそれを解消する行動に走ってしまう催淫剤の改造型の一種を、
市販の缶入りミルクティーの中に仕込んだ物。
一口飲んだだけで相当な効果がある。主催者からのトラップアイテム。
554 ◆ymCx/I3enU :2010/07/17(土) 21:00:44 ID:DUAZ2ay2
投下終了です。
555 ◆ymCx/I3enU :2010/07/18(日) 10:30:11 ID:UzaGQhdQ
投下します。俺得ロワ2nd 14話 斬殺許可証
登場:ノーチラス、勤武尚晶
556斬殺許可証 ◆ymCx/I3enU :2010/07/18(日) 10:31:36 ID:UzaGQhdQ
14話 斬殺許可証


エリアE-1、海沿いに建てられた塔。
元々は軍事要塞として建造されたが、今や放棄され数十年の月日が流れ、
潮風の影響も有り朽ち果てている。

塔の中から、銃声が何度も響いてくる。

茶色い毛皮を持った狼獣人の青年、ノーチラスは、
息を切らしながらボロボロの木製机の影に隠れていた。
身体の至る所に切り傷が見受けられ、痛々しい。

「畜生、やべぇぞこりゃ……」

殺し合いが始まった後、クラスメイトを捜すためスタート地点の塔を探索し始めた
ノーチラスだったが、塔がスタート地点だった参加者は彼だけでは無かった。
その参加者はノーチラスが話し掛けるな否や、持っていた日本刀で襲い掛かってきた。
しかも、ただ振り回すのでは無く、目に捉えるのが困難な程素早く、
鋭い斬撃。刀の扱いに慣れている、いや、もしかすると剣豪と呼んだ方が良いかもしれない。

ノーチラスも身を守るために、自分の支給品の短機関銃、
ゲウィン ブッシュマスターをその参加者に向け発砲した。
だが、当たらなかった。ノーチラス自身が銃に不慣れだったせいもあるだろうが、
それ以前の問題があった。

「だあああああっ!」

ノーチラスが机の陰から身を乗り出し、前方十数メートル先の相手に向け、
ブッシュマスターの引き金を引く。

ダダダダダダ、と連射音を響かせながら、無数の5.56ミリNATOライフル弾が、
目標に向かって音速の速さで飛んでいく。

だが、そいつ――青い髪に赤い鉢巻、血のように赤い瞳、白い半袖のカッターシャツに、
濃い灰色のズボン、革靴という容姿の青年は、持っていた刀を構え、
次の瞬間、自分に当たると思われた全ての弾丸を、刀で打ち落としていた。

「じょ、冗談だろ!? バケモンかあいつ……!?」

何度見ても信じられない。銃の弾丸を刀で弾き返すなど、
漫画やゲームの世界での話だと思っていたのに。
明らかに人間離れした青年の動きに、ノーチラスは愕然とする。



青年――勤武尚晶は、元の世界、元の国家で、
「人斬り勤武」の異名を持つ、辻斬りの常習犯、そして、凄腕の剣士だった。
その剣の腕は、突撃銃で武装した特務警察隊30人を、
一瞬で全員斬り伏せ血の海に沈める程である。
その銃をも物ともしない剣の腕を見込まれ、多くの犯罪組織や、
果ては政治家、大富豪などの用心棒として雇われる事が多かった。

勤武尚晶はこの殺し合いをあっさり受け入れた。彼にとって殺しはもはや、
日常動作の一つと化していた。腕に何十人もの命を奪ってきた彼にとって、
今更47人の命を奪う事に抵抗など無い。

支給品は日本刀――備前長船兼光と、S&W M36と言う小型回転式拳銃と予備弾。
尚晶は銃より扱い慣れている刀を選んだ。
557斬殺許可証 ◆ymCx/I3enU :2010/07/18(日) 10:32:42 ID:UzaGQhdQ
「……鬼ごっこは得意じゃないんだ。そろそろやめにしないか」

感情のほとんど籠らない声で尚晶はノーチラスに言う。
抜き身の備前長船兼光を携えながら、ゆっくり距離を詰める。

「く、来るな! それ以上近付くと――」

ノーチラスがブッシュマスターを構え威嚇しようとした、直後。

「……え!?」

ブッシュマスターの銃身部分が綺麗に切断され、固い床の上にぽろりと落ちた。
尚晶が凄まじい速さで繰り出した斬撃によるものだった。
呆気に取られるノーチラスだったが、尚晶の声で我に返った。

「さよならだ」

もっとも我に返った時、振り下ろされた刃はノーチラスの胴体を深く袈裟斬りにしていたのだが。

「が……あ……!!」

大量の鮮血が床に飛び散り、口から吐血しながら狼の青年はガクリと膝をついた。
意識が遠退いていく。身体中の力が抜け、感覚が無くなっていくのをはっきりと感じた。
自分は死ぬ。嫌でもそう分かった。

「みん……な……」

この殺し合いに呼ばれているはずのクラスメイト達の事を思いながら、
ノーチラスはうつ伏せに床に倒れていった。

ノーチラスの衣服で刀身に付着した血糊を拭き取ると、尚晶は腰に差した鞘に刀を戻し、
ノーチラスのデイパックを漁り始めた。
基本支給品の他、入っていた物はノーチラスが使っていた銃のマガジンと、
太刀型の軍刀――九八式軍刀が入っていた。
銃の方はつい今しがた自分が刀で銃身を切断してしまったため使えない。
尚晶は九八式軍刀を抜き取り、デイパックの中に押し込んだ。

ふと、窓から外の様子を眺めてみる。
海沿いに通る道路が見下ろせた。

「ん……あいつら、この塔に向かってるか?」

塔を目指して歩いてくると思われる二人組を発見する。

「……待ち伏せるか」

尚晶は二人組を待ち伏せ襲撃するため、塔一階の正面入口へ向かった。



【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル  死亡】
【残り  40人】
558斬殺許可証 ◆ymCx/I3enU :2010/07/18(日) 10:34:10 ID:UzaGQhdQ
【一日目/朝方/E-1塔五階】
【勤武尚晶@オリキャラ・新規組】
[状態]健康、返り血(少)
[装備]備前長船兼光
[所持品]基本支給品一式、九八式軍刀、S&W M36(5/5)、38sp弾(15)
[思考・行動]
 基本:殺し合いを楽しむ。
 1:塔に向かってくる二人を待ち伏せし殺す。
[備考]
 ※特に無し。

※E-1塔内から僅かに銃声が漏れたようです。
※E-1塔五階フロアにノーチラスの死体とデイパック(基本支給品一式、
ゲウィン ブッシュマスター予備マガジン(20×5)入り)、
ゲウィン ブッシュマスター(銃身が切断され使用不可、残弾5/20)が放置されています。

≪支給品紹介≫
【ゲウィン ブッシュマスター】
5.56ミリNATOライフル弾を使用するブルパップ式の短機関銃。
1960年代中期にパイロット用の強力な自衛火器として開発されたが、
当時の水準では短機関銃としては威力過剰だった事や品質も決して良くなかった
事から広く受け入れられず、生産中止となった。

【九八式軍刀】
正式名称は「昭和十三年制式刀」。1938年(昭和13年、皇紀2598年)に
制定された旧日本軍の軍刀。

【備前長船兼光】
鎌倉末期から室町時代の人、備前長船兼光(びぜんおさふねかねみつ)の作品である刀。
刀と言えば備前刀、備前刀と言えば長船という言葉もあように
備前の国(現在の岡山県)には多くの優秀な刀工がいたようで、
今日、現存する日本刀は、備前刀が一番多い。

【S&W M36】
1950年にS&W社が高い携行性を目的に開発した小型回転式拳銃。
通常の6連装から1発減らして5連装にすることでポケットに収まるほど小型になり、
非番時の警官などに護身用として愛用された。

≪オリキャラ紹介≫
【名前】勤武尚晶(きんぶ・なおあき)
【年齢】28
【性別】男
【職業】人斬り
【性格】冷静、残忍
【身体的特徴】青い髪に赤い瞳、縦に細い瞳孔、身長は178pと高め、整った顔立ち
【服装】頭に赤い鉢巻、白い半袖のカッターシャツに濃い灰色のズボン、革靴
【趣味】読書、人斬り
【特技】剣術、動体視力、体力、身体能力どれを取っても常人離れしている
【経歴】赤子の時に孤児院の前に捨てられていたのを保護される。
    12歳の時にその孤児院から突如失踪し、現在に至る。
    実は人間の売春婦と野良の妖狼との間に生まれたハーフで、純粋な人間では無い。
    青い髪と人間の身体は母親、赤い瞳は父親である妖狼譲り。
    人間と妖狼の間に子供が出来るのは極めて稀なケースでもある
【備考】別名「人斬り勤武」。多くの辻斬りを働き、またその剣の腕から武装組織、
    犯罪組織、政府高官等から傭兵或いは用心棒として雇われる事も多い。
    人斬りになった原因については謎が多い。
    名前の「勤武尚晶」は、苗字が彼を保護した孤児院職員の一人から、
    名が孤児院職員一同で考えて付けられた。
    なお、剣術一辺倒では無く、場合によっては銃も使う(腕は良くない)
559 ◆ymCx/I3enU :2010/07/18(日) 10:35:04 ID:UzaGQhdQ
投下終了です。
560 ◆ymCx/I3enU :2010/07/18(日) 20:56:11 ID:UzaGQhdQ
投下します。俺得ロワ2nd 15話 狂宴開幕〜アタラシイサンゲキ〜
登場:サーシャ、久保遼平、鈴仙・憂曇華院・イナバ
561狂宴開幕〜アタラシイサンゲキ〜 ◆ymCx/I3enU :2010/07/18(日) 20:57:47 ID:UzaGQhdQ
15話 狂宴開幕〜アタラシイサンゲキ〜


猫獣人のクォーター(外見はほぼ完璧な獣人)であるサーシャは恐怖していた。
いきなり巻き込まれた殺し合い。
最後の一人になるまで殺し合わされる死のゲーム。
ただの女子高生に過ぎない自分が生き残れるとは到底思えない。
首には爆弾付きの金属製の首輪がはめられている。
この首輪の威力は既に主催者の喋る狼比叡憲武によってまざまざと見せ付けられた。
全裸にされ、拘束された少女の首が爆発し、少女が血の海に沈む映像。
そこに自分の死体の幻影を思わず重ねてしまった。

「怖い、怖いよ……死にたくない……」

エリアC-5の森の中で、ある茂みの陰に座りながら、
サーシャは震えていた。
朝方とは言え見知らぬ薄暗い森の中に一人ぼっちと言うだけでも不安だと言うのに、
いつ襲われるか分からない状況が重なれば、もう居ても立ってもいられない。

サーシャの足元には二つのランダム支給品が置かれていた。
一つは回転式拳銃――RSAFエンフィールドNo.2。
ポケットの中とデイパックには予備弾が入っている。
二つ目は顔写真付きの参加者詳細名簿。
既に基本支給品の方の名簿を確認した時点で知っていたが、
クラスメイトも数人確認出来た。

クラスメイトに会いたい。だが、もしクラスメイトが殺し合いに乗っていたら。
信じたいのは山々だったが、死への恐怖がその思いを弱くさせていた。

「おい、誰かそこにいるのか?」
「ひっ!!」

背後から声を掛けられ、サーシャは思わず飛び起きた。
その際、足元に置いていたエンフィールドNo.2を手に取る。
茂みの向こう側にいたのは人間の青年――久保遼平だった。

「あ、驚かせた、かな? ごめん。えーと、大丈夫。俺、殺し合う気は無いから……」

遼平には殺し合う気は無かった。それ故、戦意が無い事を、
何とか目の前の猫獣人の少女に信じて貰おうと必死になっていた。

「あ……あ……!」

しかし、今のサーシャにとってそれは逆効果だった。
いくら遼平が口で殺し合う気は無いと言ってもそれがサーシャにとって、
真実なのかどうか見分けられる筈も無い。
ましてやこの殺し合いと言う状況、何でもあり得る。
殺し合う気は無いと言いつつ、腹の底では何を考えているか分からない。

サーシャはすっかり疑心暗鬼に陥っていた。

「こ、来ないで」
「え?」
「嫌ああああ! 来ないでえええ!!」

叫びながら、サーシャはエンフィールドNo.2の銃口を遼平に向け、
引き金を引いた。
562狂宴開幕〜アタラシイサンゲキ〜 ◆ymCx/I3enU :2010/07/18(日) 20:58:50 ID:UzaGQhdQ
ダアン!!


胸元に衝撃を感じた後、口の端から鉄の味のする液体が溢れるのを遼平は感じた。
何やら鈍痛のする胸元を右手で触ると、生温かい液体が手にべっとりと付着した。
見れば、何て事は無い、真っ赤な血液だった。

――そうか。俺、撃たれたんだ――――。

自分が銃撃された事を悟った直後、遼平の意識は消失した。



撃ってしまった。人を、殺してしまった。
サーシャは未だ銃口から煙を噴き出すエンフィールドNo.2を持ちながら、
立ったままブルブルと震えていた。
はぁ、はぁ、と呼吸が荒い。心臓の鼓動がとても速く感じた。

青年が殺し合いに本当に乗っていなかったのかどうか、今となっては確認する術は無い。
あの時、頭の中は死への恐怖で一杯だった。
殺し合いを否定しているこの青年の事が、どうしても信じる事が出来なかった。
気が付いた時には、銃の引き金を引いていた。

初めて人の命を奪ったという現実に、もはやサーシャは路頭に迷っていた。

「どう、しよう。私、どうしたら」
「死ねば良いと思うよ」

自分の右手側から、女性の声が聞こえた。


ダアン!!


右のこめかみ辺りをかなりの勢いで殴打された、とサーシャは感じた。
感じた瞬間、サーシャの目の前が真っ暗になり、二度と景色が浮かぶ事は無かった。


右手に自動拳銃――ツァスタバCZ99を構えた、
ウサ耳、尻尾にブレザーといういでたちの美少女、鈴仙・憂曇華院・イナバは、
たった今撃ち殺した青い猫獣人の少女の死体を見下ろしていた。

事の顛末はおおよそ見届けていた。
この猫獣人の少女は恐らくこの殺し合いの中で疑心暗鬼に駆られていたのだろう。
青年の方が本当に殺し合う気が無かったのかどうかは分からないが、
ともかく、自分に危険をもたらすものと判断してしまい、猫獣人の少女は青年を射殺してしまった。
大方そんな所であろう。
563狂宴開幕〜アタラシイサンゲキ〜 ◆ymCx/I3enU :2010/07/18(日) 21:07:45 ID:UzaGQhdQ
もっとも鈴仙にとってそんな事はどうでも良い事だったのだが。

鈴仙は猫獣人の少女が持っていた回転式拳銃、
猫獣人のデイパックの中から予備弾、顔写真付きの参加者名簿、
水と食糧を抜き取り、続いて青年のデイパックの中を漁る。
しかし入っていたランダム支給品は、農作業用の鎌と、軍手だった。

「この状況で草刈りでもしろって言うの……まあ私の支給品じゃないし良いんだけど」

鈴仙は水と食糧だけ抜き取り、青年のデイパックを捨てた。

「顔写真付き参加者名簿か……どれどれ」

顔写真付き参加者名簿を興味本位で開くと、
この殺し合いの参加者総勢48人の顔写真が並んでいた。
顔写真は証明用に撮影されたものから盗み撮りされたようなものまで様々だが、
下に該当参加者の名前が記載されている事は同じである。

「ふぅん、女の子が多いわね。あと、獣人や獣も」

参加者は少女や獣人、獣が多数を占めていた。
普通の人間の男性はかなり少数派だ。主催者の趣味だろうか。

参加者の顔ぶれを一通り確認すると、鈴仙は顔写真付き参加者名簿を
自分のデイパックの中にしまった。

「さてと……どこに行こう」

次の行き先を考えながら、鈴仙は森の奥へと歩き去った。



【久保遼平@オリキャラ・再登場組  死亡】
【サーシャ@自作キャラでバトルロワイアル  死亡】
【残り  38人】


【一日目/朝方/C-5森中央部】
【鈴仙・憂曇華院・イナバ@東方Project】
[状態]健康
[装備]ツァスタバCZ99(14/15)
[所持品]基本支給品一式、ツァスタバCZ99予備マガジン(15×3)、
 RSAFエンフィールドNo.2(6/6)、.380エンフィールド弾(18)、顔写真付き参加者名簿、
 水と食糧(2人分)
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
 1:次はどこに行こうか……。
[備考]
 ※特殊能力は一切使えなくなっています。
564狂宴開幕〜アタラシイサンゲキ〜 ◆ymCx/I3enU :2010/07/18(日) 21:09:37 ID:UzaGQhdQ
※C-5一帯に銃声が響きました。
※C-5森中央部に久保遼平とデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式、
鎌、軍手入り)、サーシャの死体とデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)
が放置されています。



≪支給品紹介≫
【RSAFエンフィールドNo.2】
RSAF (Royal Small Arms Factory、イギリスの国営小火器工廠)が
製造した中折れ式回転式拳銃。
某大佐が使っているのもこの銃らしい。

【顔写真付き参加者名簿】
全員分の顔写真が載った名簿。
顔写真は証明写真や盗撮写真など様々。

【ツァスタバCZ99】
軍用向けの大型ダブルアクション式自動拳銃で、旧ユーゴスラビア(現セルビア)の
ツァスタバ アームズ社が開発し軍の制式拳銃に選定された。

【鎌】
草刈りなどに使われるごく普通の鎌。

【軍手】
何の変哲も無い作業用の軍手。
565 ◆ymCx/I3enU :2010/07/18(日) 21:11:13 ID:UzaGQhdQ
投下終了です。東方キャラは初めて。
566 ◆ymCx/I3enU :2010/07/18(日) 21:24:26 ID:UzaGQhdQ
訂正。憂曇華院ではなく優曇華院でした。
567 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/19(月) 08:32:57 ID:DOTOijtc
投下乙です
投下します5話 とある三人の友情結束
登場人物相川友、坂田銀時、上条当麻
568 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/19(月) 08:33:39 ID:DOTOijtc
5話 とある三人の友情結束

「くそ!いったい何なんだ!」
上条当麻は叫んだ

ふざけんな!いきなり殺し合えなんてふざけてる!
「神様…これがテメェの考えってなら…」

「まずはその幻想をぶち殺す!」

といったところで
うわああああああああああああああああああああああああああああ
と声が聞こえてきた

「うお!?いったいなんだ?」
気になったので声がしたところに行ってみる
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
リーナのデイパックを回収して相川に声をかける
「落ち着け相川…」
うわああああああああああああああああああああああああああ
お構いなしに叫び続ける

そこに
おい!誰かいるのか!?いるんだったら言ってくれ!
声が聞こえた

「誰だ?こんなときに…」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
数分後
「すみません…取り乱してしまって…」

「まあ、気にすんな」

「ああ、しかしこいつは…」
死体を指さす

「…その人がいきなり切りかかってきたんです」

「そうか…故意じゃないんなら安心だ」

「さあ、とりあえずずっとここにいても仕方ない
どこか移動するか…」

三人は移動する場所を考え始めた
569 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/19(月) 08:35:18 ID:DOTOijtc
【一日目/朝/C-2薬局】
【相川 友@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]コルトパイソン(5/6)予備弾24発
[所持品]基本支給品 スポーツドリンク 救急ボックス お菓子ジュース多数
[思考・行動]
 基本:銀さんと一緒にこの殺し合いを潰す
 1:移動場所を決めないと…
 2:友人に会いたい
【坂田銀時@銀魂】
[状態]健康
[装備]銀時の木刀
[所持品]基本支給品×2 不明支給品0〜4 いちごオレ
[思考・行動]
 基本:この殺し合いを潰す
 1:移動場所を決める
 2:新八を探す
[備考]
※原作次郎長編以降の参戦です。
【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品 不明支給品1〜3
[思考・行動]
 基本:この殺し合いを潰す
 1:移動場所を決める
 2:御坂、白井、土御門を探す一方通行は危険視
[備考]
※幻想殺しの能力規制はありません
570 ◆VxAX.uhVsM :2010/07/19(月) 08:36:34 ID:DOTOijtc
投下終了です
ネタがなくなってきたww
571 ◆ymCx/I3enU :2010/07/19(月) 19:20:28 ID:KUgXN7iB
投下します。俺得ロワ2nd 16話 今日心許ナシ
登場:森井俊政、永倉萌
572今日心許ナシ ◆ymCx/I3enU :2010/07/19(月) 19:24:34 ID:KUgXN7iB
16話 今日心許ナシ


パールグレイと墨色の毛皮を持つ獣足の狼獣人、森井俊政は、
エリアA-2にある教会の礼拝堂で、女神の姿が描かれたステンドグラスを
見上げていた。

「綺麗だなー……こんな綺麗な女の子とセックスしたい」

かなり罰当たりな事を口走る俊政。
無理も無い、彼は今年で25歳になるが未だに女性との性行為を体験していない。
つまるところ「童貞」なのである。
つい昨夜も人間の少女と黒い毛皮を持つ自分と同じ人狼種の男が激しく交わる
AVを見ながら何度も抜き、就寝した、筈だった。

「童貞のまま死にたくないなぁ……」

いきなり殺し合いに巻き込まれ、自分は女性と一度も経験する事無く、
死んでいくのかと嘆く人狼の青年。
まだ支給品を確認していなかった事を思い出し足元にある自分のデイパックを漁る。

「ナイフに……何これ、ローション?」

入っていたのは黒い刃を持つコンバットナイフとピンク色のボトルに入ったローションだった。

「まあ、ナイフは一応武器になるか……」

コンバットナイフを取り出し、ローションをデイパックの中にしまう。
次に名簿を確認するが自分の知り合いは一人もいないようだった。

「ふぅ、これからどうしようかな」

これからどうするか俊政は思案する。
自分は殺し合う気は無い。何とかしてこの殺し合いから逃げ出したい。
首にはめられた爆弾内蔵の首輪――この首輪さえ何とか出来れば、
脱出の糸口も見えるかもしれないのだが。
俊政は元々機械いじりが趣味で、精密機械等の構造にそれなりに詳しかったため、
首輪の内部構造さえ分かれば何とか出来るかもしれないと考えていた。

ガタ……。

「! 誰だ!?」

教会の入口の扉が開く音が耳に入り俊政はナイフを片手に入口の方を向く。

「あ……あの、待って、下さい。私は殺し合う気は無いです」

少し怯えた声で言うのは、桃色の髪をツインテールに纏めた、
セーラー服に白いニーソという姿の美少女――永倉萌だった。

(お、おにゃのこ!)

闖入者が少女、しかも、可愛い上に巨乳、年下、セーラー服に白ニーソという、
とても刺激的な組み合わせとくれば、童貞で性交願望のある俊政にはたまらない。
573今日心許ナシ ◆ymCx/I3enU :2010/07/19(月) 19:29:08 ID:KUgXN7iB
「あの、私、永倉萌って言います。あの、狼さんは……?」
「お、俺? 俺はね、も、森井俊政」
(おにゃのこ! おにゃのこだあ! かわいい! おっぱい大きい、触りたい、
チ○ビ吸いたい、○○○こに入れたい……!)

誰もいない礼拝堂内に可愛い女の子と二人切り。
俊政の中の劣情がどんどん大きくなる。

「森井、俊政さん、ですね。森井さんは、あの、殺し合いには……?」
「の、乗っていないよ」
(乗っかりたいよ君のお尻にぃぃ)
「そうですか、私もです。あの、もし宜しければ、その、一緒に居てくれませんか?
一人じゃ、不安なんです」
「い、いい、よ? よ、喜んで」
(うわあああああきたあああああもうむりもうだめええきめた! もうきめたおれ!)
「あ、ありがとうございます!」
「で、でも、も、萌ちゃん、俺からお願いしても、いいかな?」
「はい……?」

願いとは何なのかと、萌は俊政の顔を見た。
そして、その瞬間おおよそ理解した。
俊政の緑色の瞳には、明らかな情欲の色が滲んでいた。

「……エッチさせて」
「…………」




礼拝堂の奥にある寝室らしき部屋。

「あの、初めてなので、優しく、お願いします……」

ベッドの上で、裸ニーソの格好となった萌が恥ずかしそうに言う。

「お、俺も初めてなんだよね……でも、良いの? 俺、あんな事言ったけど、
初めてが俺みたいなケモノで」
「い、良いです、私も、ちょっと興味ありましたから……。
それに、私、動物好きですし。勿論、狼も、狼の獣人も」
「そ、そう……それじゃ、いくよ……」

「うっ……! い、痛い……!」
「うわ、血が……」
「……でも、ちょっと気持ちいいです……そ、そのまま一気に……」
「うん……グウッ」
「あぁっ……!」

この瞬間、パールグレイと墨色の人狼と桃髪ツインテールの少女は一つになった。

合ッ体ッ!!
574今日心許ナシ ◆ymCx/I3enU :2010/07/19(月) 19:31:47 ID:KUgXN7iB
【一日目/朝方/A-2北部教会内の部屋】
【森井俊政@オリキャラ・新規組】
[状態]興奮、快感、永倉萌と結合中
[装備]コンバットナイフ
[所持品]基本支給品一式、ローション
[思考・行動]
 基本:殺し合いからの脱出。首輪を調べたい。
 1:童貞卒業出来たよ……。
 2:永倉萌と行動する。
[備考]
 ※特に無し。

【永倉萌@オリキャラ・再登場組】
[状態]裸ニーソ、興奮、快感、羞恥、森井俊政と結合中
[装備]不明
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(本人確認済、1〜2個)
[思考・行動]
 基本:殺し合いはしない。死にたくない。
 1:純潔失っちゃった……でも、気持ち良いから良いか……。
 2:森井俊政と行動する。
[備考]
 ※俺得ロワ本編開始前からの参戦です。


≪支給品紹介≫
【コンバットナイフ】
軍用の大型ナイフ。作りが頑丈で切れ味が鋭い。

【ローション】
性交時、挿入困難な場合に使用する潤滑剤。
強い粘性と潤滑性をもった水溶液で摩擦を軽減させる効果がある。



≪オリキャラ紹介≫
【名前】森井俊政(もりい・としまさ)
【年齢】25
【性別】男
【職業】精密機械加工工場勤務
【性格】やや気弱でスケベだが、根は誠実
【身体的特徴】パールグレイと墨色の獣足型狼獣人。それなりに引き締まった身体付き。
 タテガミフサフサ。緑色の瞳を持っている
【服装】全裸(服を着る概念が無い)
【趣味】機械いじり、自慰、インターネット
【特技】精密機械に関しての詳しい知識、人狼なので耐久力や体力、運動能力は
 普通の人間より高い(が、他の人狼種の平均と比べると低め)
【経歴】童貞歴25年
【備考】童貞卒業を切に願っているが中々上手く行っていない
575 ◆ymCx/I3enU :2010/07/19(月) 19:34:29 ID:KUgXN7iB
投下終了です。
576 ◆ymCx/I3enU :2010/07/19(月) 21:38:47 ID:KUgXN7iB
投下します。俺得ロワ2nd 17話 A foolish man(愚かな男)
登場:伊賀榛名、ダーエロ
577A foolish man ◆ymCx/I3enU
17話 A foolish man


「ねえ……あなたは、どうして、この殺し合いに乗ろうと思ったの?」

エリアB-4の、今は使われていない分校。
その教室の一つで、床に正座をするような形で座り込み、
血が溢れる腹部を右手で押さえ苦しそうに息を荒げながら、
狐獣人の少女――伊賀榛名は目の前に立つダークエルフの男――ダーエロに問う。
ダーエロの右手には、血の付いたハンティングナイフが握られている。

「……」
「教えてくれても、良いでしょ? どうせ私、もう長くないみたいだし」
「大事な人が、この殺し合いに参加させられてるんだよ……。
その人が死んだら、俺は、もう生きていけないんだ……。
だから、その人を優勝させるために、俺は……」

ダーエロはこの殺し合いに乗った大まかな理由を榛名に話した。

「……それが理由? 馬鹿みたい」
「何?」

だが理由を聞いた榛名は脂汗をかきながらも、呆れたような表情を浮かべ、
ダーエロを嘲るような口調で言う。

「そんな事して、その大事な人が喜ぶと思う?
私だったら絶対無理。逆に殴ってでも目を覚まさせるよ」
「……確かにそうだな。でも、俺はこれしか思い付かないんだよ。
首には爆弾付きの首輪がはまっていて、脱出も到底無理だ。
だから……」
「……ホント、馬鹿、みたい。いつか後悔する時が、来るよ」
「……」

ダーエロはハンティングナイフを榛名の喉元に突き刺し、止めを刺した。
喉笛から大量の血を噴き出しながらも、榛名は意識が消えるその瞬間まで、
ダーエロの事を睨み続けていた。

「馬鹿、か。確かに馬鹿だろうな俺は」

ダーエロは自嘲気味に語った。

「だけど、それでも俺はやらなきゃならないんだ」

榛名が持っていた自動拳銃、ベレッタM92FSを拾い上げ、
更に彼女のデイパックからベレッタの予備マガジン3個と特殊警棒、
水と食糧を抜き取り自分のデイパックに移し替える。
装備をハンティングナイフからベレッタM92FSへと変えた。
榛名によって数発発砲されたがまだ弾は残っている筈だった。