クロスオーバー小説創作スレ4

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1創る名無しに見る名無し
ともかく何かと何かをクロスさせてみるスレ。

せっかくの創作版ですから、冒険的クロスでも堅実なクロスでもお好みで自由にどうぞ。


まとめwiki
http://www31.atwiki.jp/crossnovel/pages/1.html

避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/13627/

前スレ
クロスオーバー小説創作スレ3
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1265822480/
2創る名無しに見る名無し:2010/05/19(水) 18:39:50 ID:hjKQgm79
死ね
3 ◆kmbxgHC1NY :2010/05/19(水) 19:04:59 ID:l5FEQQAt
>>1乙!
前スレの◆jPpg5.obl6さんも乙でした。

なんだか唐突にネタがわいてきたので。

スレイヤーズ×ダイの大冒険
前提
・ダイ大は原作終了後
・スレイヤーズは原作設定。「聖王都動乱(バトル・オブ・セイルーン)」後、「白銀の魔獣」直前くらい
・これ以降は原作沿いな展開になると思います。
・あと、今のところダイ大からはダイ以外出せなさそうな予感なおで、他キャラファンの人には物足りないかも
・NGかも、と思ったらトリップ(◆kmbxgHC1NY)をNGワードに放り込んでください。
4創る名無しに見る名無し:2010/05/19(水) 19:05:29 ID:hjKQgm79
お前も死ね
5スレイヤーズ×ダイの大冒険 ◆kmbxgHC1NY :2010/05/19(水) 19:05:57 ID:l5FEQQAt
「……う」
自分の漏らした呻きに、目を覚ました。
2、3回ほどまばたきをして一体自分はどうしたのか。何だかぼーっとしている頭を起こすように記憶を探る。
たしか、バーンを倒してそれから、地上に戻って……。
……ああ、そうだ。キルバーンが現れたんだった。
おれ達がキルバーンだと思っていたのは人形で、それを操っていたのがいつも彼と一緒にいた使い魔のピロロ-本物のキルバーンだ

ったんだっけ。
それで、その人形の方には黒の結晶(コア)が仕込まれていて、おれはそれを地上で爆発させまいとキルバーンの身体を抱えて飛ん

で……それから……それから爆発に巻き込まれたんだ。
そこまで思い出して、自分の身体を確認する。服はぼろぼろだけど、特に怪我などは見当たらない。
……もしかしてこれは夢なのだろうか?自分の頬をつねってみる。
「痛い……」
どうやら夢ではないらしい。ならおれは一体どうやって……
「あれ?」
そこまで考えてから、気づいた。
何か、自分の身体に違和感があることを。
何だか、何かが「無い」ような……何て言うか、そんな違和感。
とっさに自分の拳に視線を移す。それからいつものように意識を集中させて……。
だけど、いつもならば、拳に輝くはずの竜(ドラゴン)の紋章は一瞬たりともその姿を現さない。
一応額にも触れてみるけれど、結果は同じだった。
バーンとの戦いで力を使いすぎたせい、何だろうか。それとも、黒の結晶(コア)の爆発のせいなのか。
そういえば、爆発の時に何か暖かいモノがおれを守ってくれた。そんな気がする。
……これが一時的なモノなのか、それとも完全に紋章は失われてしまったのか。
わからないけれど、とりあえず今は置いておこう。
それよりも、ここはどこなんだろう。身を起こして辺りを見回す。
……周りは高く伸びる木々。そこから伸びる枝には空を覆い隠す程の緑の葉が茂り、地面には高かったり短かったり色々だけど、

草が広がっている。
どうやらおれは、どこかの森の中にいるらしい。
とりあえずどうするべきだろうか。何とか無事に生きているみたいだし、ポップやレオナ達の所へ戻るべき、かな。
でも、ルーラを使おうにももう魔法力は残っていないし……どうしようかな?
首を捻って考える、と森の奥の方から声が聞こえてきた。
誰かいるのかな?おれは声のした方へと歩き出す。
しばらくすると視界が開けてきた。どうやら街道に出たらしい。
6スレイヤーズ×ダイの大冒険 ◆kmbxgHC1NY :2010/05/19(水) 19:06:43 ID:l5FEQQAt
そこには、背が高く、長い金色の髪の男の人と、栗色の髪と黒い髪の女の人が二人。
それから、人相があまりよろしくないおじさん達が数人。
人を見かけで判断するのは良くないと思うけれど、どう見てもおじさん達が三人に絡んでいるようにしか見えない。
改めて絡まれている三人の方を見る。
金髪の人は、青い胸甲冑を身につけて、腰には剣を挿している。
栗色の髪の人は、白を基調としたショルダー・ガードに黒いマントを羽織って、腰には短剣が刺されている。
黒い髪の人は、白を基調とした服に白いマント。武器は特に持っていない。
三人ともおじさん達がナイフを突き付けても怯んではいない。それどころか余裕の笑みさえ浮かべている。
手助けはいらないか。
そうは思ったけれどでもやはり。見て見ぬふりというのは、個人的に許せない。
今のおれは武器も無いし魔法力も残っていないけれど、普通の人間ならば格闘だけでも充分だ。
自分の中でそう結論付けて、
「盗賊ごときがこのあたしに逆らうなんて百年早いのよ!炸弾陣(ディル・ブランド)!」
走った。その時。
地面から土砂が吹き上がった!おれの身体も一緒に持ち上げられて…………
7スレイヤーズ×ダイの大冒険 ◆kmbxgHC1NY :2010/05/19(水) 19:07:28 ID:l5FEQQAt
「う……」
おれは自分の呻きで目を覚ます。
あれ?何だかさっきもこんなことがあったような気が……
「リナ、ガウリイさん!気がついたみたいですよ!」
頭上から声がする。2、3回ほどまばたきをして、瞳を開けるとこちらを覗き込んでくる顔が見えた。
少しはね気味の黒い髪を肩で切り揃えていて、服はゆったりとした白。
年は……多分、おれよりも少し上……ポップやマァムと同じくらい、だろうか。
それにしてもどこかで見た顔……ああ、そうだ。さっきおじさん達に絡まれてたうちの一人だ。
とすると、今この人が呼んでいた人達も?
「本当か?いやー、よかったよかった!」
「全く……なんだってあんなところにいたのよ」
身を起こしながら視線を移すと、それぞれ言葉を口にしながらこちらに向かってくる二人の人物が。
その姿はやっぱり、さっき絡まれてた人達だった。
「ま、とりあえず。大丈夫?」
栗色の髪の人が問いかけてくる。
年の頃は、白い服のお姉さんと同じくらい。額には黒いバンダナを巻いていて、それが何だかポップを彷彿とさせた。
「うん、大丈夫だけど、……おれは一体?」
確かおれは、この三人に加勢しようとした。
そこまでは覚えているんだけど、そこから先ははっきりとしない。
首を傾げるおれに栗色の髪のお姉さんは、やや気まづげに頬をかく。
隣に立つ金髪のお兄さん−20代初め……くらいかな。多分、ヒュンケルと同じくらいの年だろう−が、呆れたような視線をお姉さ

んに向ける。
「お前さん、こいつの魔法に巻き込まれたんだよ」
……そういえば、お姉さんが何か唱えていた気もする。
確かその直後に地面が吹き上がって、おれもそれに巻き込まれた。……うん、確かにそうだった。
「わ、わざとじゃないわよ!」
「確かにリナが人を巻き込むのはいつものことだけどね……」
黒い髪のお姉さんも、同じく呆れたような視線を向けて、それから改めておれの方を見た。
「えっと、お名前は?私はアメリア=ウィル=テスラ=セイルーンです」
お姉さん-アメリアさんはおれに尋ねそして名乗った。おれもそれに名乗り返す。
「おれは、ダイだよ」
それから改めて今の自分の状態を確認する。
8スレイヤーズ×ダイの大冒険 ◆kmbxgHC1NY :2010/05/19(水) 19:08:33 ID:l5FEQQAt
とりあえず怪我とかは無いみたいだ。……そういえば服はボロボロだったはずだけど、今は大分大きめの麻の服を着ている。
この服は一体?なんて思っていたら、いつの間にかおれのすぐ横に来ていたお兄さんがおれの頭に手を置きながら、
「ああ、それはオレの予備の服だ。あのままの格好じゃ風邪をひいちまうからな。ああ、オレか?オレはガウリイ=ガブリエフだ」
言って、ガウリイさんはおれの頭をくしゃりと撫でながら、人懐っこく笑む。
何だかとってもいい人そうだ。
そして最後に残ったお姉さんも口を開く。
「あたしはリナよ。リナ=インバース。それにしてもあんた、なんだってあんなところにいたのよ。それもあんな格好で」
そのリナさんの問いに、おれは言葉を詰まらせる。
だってどうやって説明すればいいのか、よくわからないから。
だからそれをはぐらかそうとして、おれは別の質問を投げ掛ける。
「え、ええっと……それより、ここはどこなの?」
確かさっきまではどこかの森の中の街道にいたはずだ。
けれど今はどこかの宿屋なのか。気がついた時には、ベッドの中にいた。
「カルマート公国から、ディルス王国に続く街道よ。ここはその途中の小さな村」
おれの質問に答えてくれたのはリナさん。
カルマート……ディルス?どうしよう。全く聞き覚えの無い地名だ。
首を傾げるおれにリナさんが地図を差し出してくれた。おれはそれを覗き込んで……思わず言葉を無くした。
「どうした?」
ガウリイさんがおれの顔を覗き込んでくるけれど、おれはまだ言葉を紡げずにいる。
だって差し出された地図は、おれが知っているものとは全く違う世界を描いていたのだから!
「で、あたしはあんたがどうしてあんな場所にあんな格好でいたのか。それを聞きたいわけだけど?」
何にも言えなくなってしまったおれに、リナさんが焦れたように言い募る。
当然と言うかなんと言うか、おれはそれに答えられない。どうしよう、思わず視線をさ迷わせた、その時だった。
「……まさかダイさん、あなたさっきの盗賊に誘拐されたのね!?」
突然アメリアさんが立ち上がり叫んだのはって……ええぇえええ!?
「い、いや別にそういうわけじゃ」
「きっとそうに違いないわ!だってあの人達は盗賊!即ち悪!!悪のする事と言ったら、盗みに誘拐に破壊と何時の世も決まっているわ!!」
拳を握り締めながら力説するアメリアさんの声はどんどんと大きくなっていく。
おれは何とか誤解をとこうとするのだけど、全く聞こえていないみたいだ。
助けを求めるようにガウリイさんとリナさんに視線を向ける。
9スレイヤーズ×ダイの大冒険 ◆kmbxgHC1NY :2010/05/19(水) 19:09:21 ID:l5FEQQAt
「……諦めなさい。あの子はああいう人間なのよ」
ガウリイさんは視線を明後日の方向に向け、おれにそう言ったリナさんもまた、視線を反らす。
……何だか、大変な人に関わっちゃったみたいだ。
「え、えっと、その……」
ようやく言葉を切り出したおれに、リナさんとガウリイさんがこちらに意識を移す。
アメリアさんは相変わらず一人で盛り上がっているけれど……とりあえず置いておこう。
「さっき見せてもらった地図なんだけど……全く見覚えがないんだ」
結局、地図に見覚えがないこと、地名も全く聞き覚えがないこと。
それらをそのまま正直に話すことにした。
隠していたってどうなるものでもないし、うまい言い訳も思いつかないし。
「見覚えがないって……リナ、お前さんの術のせいじゃないのか?」
「え゛っ……そ、そんなことはないわよ!!……多分」
「ち、違うよ!別に記憶喪失だとか、そういうわけじゃなくって……!!」
何か別の方向に解釈されそうになったのを慌てて否定する。
確かに一度記憶喪失になったことはあるけれど、あの時とは違ってちゃんと自分のことを覚えているし今までの出来事だったちゃんと覚えてる。
「なんと言うか……自分でも信じられないことなんだけど。」
そう前置いて、おれは自分の推察を語る。
「その……ここって、おれのいた世界とは別の世界なんじゃないかなって……思うんだけど」
異世界、そう呼ばれるものがあるって以前聞いたことがある。
世界というものはいっぱいあって、それぞれは、近かったり遠かったり。
色々あるけれど、見えない壁のようなものに隔てられていて決してたどり着く事も交わることもできない。
でも、何かしらの強い力があれば空間を繋げることができ、別の世界へと行くことができるかもしれない。
確かそんな風なことを、修行の息抜きの雑学、と言ってアバン先生が話してくれたことがある。
黒の結晶(コア)の爆発ならばその『何かしらの強い力』になり得ると思うし、ここが異世界ならば見覚えのない地図も聞き覚えがない地名も。全部説明がつくと思う。
「異世界、ねぇ……」
おれの話を聞き終えて、リナさんは疑わしげな視線を向ける。
無理もないと思う。おれだって、急にそんなことを言われたら信じられないと思うから。
でもどうやって証明したらいいだろうか。暫く考え込んで……そして思い出した。
さっきおれが巻き込まれたリナさんの魔法。それはやっぱりおれの全く知らないものだった。
ならばおれの元いた世界の魔法も、この世界では『知らないもの』になるんじゃないだろうか。
10スレイヤーズ×ダイの大冒険 ◆kmbxgHC1NY :2010/05/19(水) 19:10:12 ID:l5FEQQAt
そしてそれならば、おれが異世界から来た証明になるんじゃないだろうか。
そう考えておれは呪文を唱えた。
「火炎呪文(メラ)」
世界が違ったら呪文も発動しないんじゃないか、一瞬そんな考えが頭をよぎったけれど、おれの手のひらにしっかりと小さな火の玉が宿る。
よかった。魔法は使える。
けれどやっぱり世界が違うからなのか。それとも、おれの身体が万全ではないせいなのか。
火の勢いはいつもよりも随分と弱い。
「なるほど……ね。いいわ。ダイ、あなたの話、信じたげる」
けれどリナさんには信じてもらえたようだ。
……アメリアさんは相変わらず一人で盛り上っているし、ガウリイさんは途中から寝ているけれど。
だけど、これからどうすればいいのか。そして、どうすればおれは元の世界に戻れるのだろうか。
今はまだわからないことだらけだった。


スレイヤーズ×ダイの大冒険 第一話 終
11スレイヤーズ×ダイの大冒険 ◆kmbxgHC1NY :2010/05/19(水) 19:11:22 ID:l5FEQQAt
以上です。
ありがとうございました。
12 ◆jPpg5.obl6 :2010/05/19(水) 22:55:22 ID:bgrRajYc
>>11
ありがとうございます。
そして、◆kmbxgHC1NYさんの作品を楽しく拝見させていただきました。
>>5でのフラグがどのように今後につながるのか気にしつつ、続きをお待ちしています。
13創る名無しに見る名無し:2010/05/19(水) 23:16:17 ID:LIS2FBPn
ゴミだな
14創る名無しに見る名無し:2010/05/20(木) 16:40:33 ID:TOhzhYRS
死ねばいいのに
15創る名無しに見る名無し:2010/05/20(木) 22:48:38 ID:kTd2q/i1
チラシの裏でやれよ
16創る名無しに見る名無し:2010/05/21(金) 09:03:27 ID:SVwCWgIP
遅ればせながら投下乙
スレイヤーズとはまた懐かしい
聖王都動乱ってどんな話だったかな……
17創る名無しに見る名無し:2010/05/22(土) 02:09:48 ID:IqRTI/II
死ね
18創る名無しに見る名無し:2010/05/22(土) 17:00:29 ID:iw2WCOWs
だが断る!!
19創る名無しに見る名無し:2010/05/23(日) 02:20:50 ID:TSKO3HuH
きめえ
20創る名無しに見る名無し:2010/05/23(日) 18:28:31 ID:QwxMLacs
アンチしか居ないとは世も末だ
21創る名無しに見る名無し:2010/05/26(水) 00:18:53 ID:eS9UOGBa
Wと禁書のクロス書いてた奴はどこ行ったの?
叩かれたら逃げるとか死ねよ
22創る名無しに見る名無し:2010/05/29(土) 20:38:27 ID:o6pM8zyg
>>21
お前みたいな奴ばかりなら逃げたくもなるだろ。お前が死ね
23創る名無しに見る名無し:2010/05/30(日) 19:58:37 ID:Q4fAowjC
もうこのスレいらねーだろ
アンチばかりで投下する奴もいない
まあ肝心の作品もキモオタの妄想ばっかりで読むに堪えないものばかりだけど
24創る名無しに見る名無し:2010/06/04(金) 15:23:08 ID:UOoypfMj
だめだこりゃ
25創る名無しに見る名無し:2010/06/04(金) 23:24:05 ID:Tc7GwqCs
終わったな
26創る名無しに見る名無し:2010/06/06(日) 23:47:28 ID:+UFQPfKf
終わってないですよ。それと死にません。
創作歴16年で初心者でもないので、こっちに書きます。
今、小説執筆の真っ最中で、締め切りまであと11日。(もちろんアマチュアです)
プロット(構成、概要)の八割はできているのですけど、起承転結の承の部分を膨らませたいのだけど。
テーマに沿って、主人公の話を中心にするか、まわりの登場人物との、うまいコラボにするか、
まずそこの二者択一に悩んでいます。
朝から、煮詰まって良いアイデアが浮かばず、大好きな映画「ジョーズ」を見たり、「攻殻機動隊」の漫画を、
読んだりして、インスピレーションを得ようとするが、これと言ったアイデアでず、今に到ってます。
う〜ん。突き抜けてこないな、どのアイデアも。駄目だ。
27創る名無しに見る名無し:2010/06/07(月) 13:50:31 ID:4vFWsb4M
だめだコリア
28創る名無しに見る名無し:2010/06/07(月) 15:46:04 ID:ZBIYRLgL
だめですね。もう提出期限もあるし、今の形だけは整っているプロットで出します。
29創る名無しに見る名無し:2010/06/08(火) 07:06:09 ID:xo/0PNuh
良いアイデア、一つでました。
これでプロット再構築なり。
30創る名無しに見る名無し:2010/06/08(火) 13:27:43 ID:2cJU9UfK
自分も今書いてるんだけど、初心者の悲しさで文と文のつなぎや
登場人物の会話が今一しっくりこなくて鈍速で執筆中
31創る名無しに見る名無し:2010/06/08(火) 13:50:26 ID:xo/0PNuh
頑張ってください。今が、頑張りどころですよ。
宮崎駿が昔言ってましたよ。
いいアイデアは、考えあぐねた末で、頭の脳の前の方の裏側にペタッと貼りついているもんだ、と。
頑張れば、良いアイデアが、ペロッと出てきますよ。
32ディケイド×プリキュア ◆7pdfQQnGRQ :2010/06/08(火) 23:45:43 ID:aJk/RWFs

仮面ライダーディケイド×プリキュアです。
二ヶ月以上の時間が空いてしまいました、待ってくだされていた方は本当に申し訳ありません。
ディケイド×プリキュアの最終話を投下します。

注意
※『多大な』オリジナル要素に、原作の独自解釈が入っています。
※上の要素が駄目な方は、トリップでNGをお願いします
33ディケイド×プリキュア ◆7pdfQQnGRQ :2010/06/08(火) 23:46:28 ID:aJk/RWFs

『仮面ライダー、だぁぁぁとぉぉぉぉぉぉ!?』

怒りに満ちた空気を震わせるほどのフュージョンの叫びに呼応するように身体を膨らませていく。
その身体はボコボコと不気味な音を立てながら、熱したことで破裂寸前の水風船のように体表面が大きく波打つ。
プリキュアは今のフュージョンの状態が何を予兆しているかを知っている。
前の戦いで行ったように、フュージョンは巨大化しようとしているのだ。
その際に巨大な衝撃波が生じることもまた、彼女たちは知っている。
だが、彼女たちは狼狽えなかった。
前の戦いでは吹き飛ばされたが、今はそんなことにならないと確信に近い思いを抱いている。
ディケイドの放った光によって得た力は、プリキュアの能力を格段にあげているとわかっているのだ。

『私と、一つにぃぃぃ!』

元の身体の十数倍はあるだろう、小山ほどの巨体に変化したフュージョンは右腕を振りかぶり、地球を砕くかのような勢いで振り下ろす。
その威力は前の戦いよりも重く鋭い。
クウガにディエンド、ケータッチの力は完全にフュージョンの身体に消えたわけではない。
残りカスと言ってもいい、だが確かに存在するその力を使った攻撃だ。

腕の振り下ろしによる衝撃は大地を裂き、巨人となったフュージョンの視界を防ぐほどの土煙をあげる。
その威力は推して知るべし、如何に仮面ライダーやプリキュアといえども無事ではすまない。
ただ振り下ろすだけの、それでも必殺の一撃。
これが一つとなった力の強大さそのものなのだ。

『むっ……!?』

だが、腕から伝わる感触はフュージョンの考えとは大きく裏切るものだった。
敵を仕留めた、という感触は一切感じない。それどころか内側から広がるのは嫌な感触だった。
ちょうど、仮面ライダーディケイドの光によって力が分散していった時の感触。

『なぁ……にぃぃぃ!?』

その感触に抱いた考えは正しかった。
激しい光が発生したと共に、フュージョンの右腕は消えて行く。
光の中から出てくるのは伝説の戦士プリキュアと世界の破壊者ディケイドの姿だ。
全ての瞳がフュージョンを睨みつけてくる。
素早く攻勢に映ろうとするが、地上からフュージョンへと飛び込んでくるプリキュアたちの攻撃によって阻まれる。
一人ひとりがフュージョンに強弱の差こそあっても、確かに一撃を入れて散らばっていく。
一箇所に固まることをせずに、スピードを生かした攻撃を仕掛ける算段なのだろう。

フュージョンは確信する。相手はただのプリキュアや仮面ライダーではない。
フュージョンの天敵であるプリキュアの力を携えた仮面ライダーディケイド。
圧倒的な力を備えたスーパープリキュアの集団。
今までの戦っていたプリキュアと訳が違うのだ。

いや、そんな実力の裏付けなどなくとも仮面ライダーとプリキュアは仕留めきれなかっただろう。
不屈の心、それを持つ者は簡単に死にはしないのだから。
それを遅まきながらフュージョンはようやく感じた。
抜け目なく一撃を入れてから散らばり始めたプリキュアたちを尻目にディケイドと目があったからだ。
その目には決して怯えや恐怖、または諦観なんてものは存在しない。
ただ、こちらを打ち負かそうとする強い心が持っていた。
仮面ライダーディケイド、彼の瞳は一つの光景を映し、ある想いを抱いていた。
不屈の心を持った年若い少女でありながらも、すべての世界で見続けた仮面ライダーと並ぶ戦士を映し。
仲間を取り戻すという単純ながらも強い想いを抱いて。
34ディケイド×プリキュア ◆7pdfQQnGRQ :2010/06/08(火) 23:47:18 ID:aJk/RWFs



 仮面ライダーディケイド×プリキュアオールスターズDX みんなともだち☆奇跡の全員大集合!


       【希望を信じて! 笑顔を信じて! 永遠の星空の仲間たち!】




.
35ディケイド×プリキュア ◆7pdfQQnGRQ :2010/06/08(火) 23:48:20 ID:aJk/RWFs

「プリキュアフォーメーション!」

フュージョンは単純な破壊力こそプリキュアたちを上回る。
だが、スピードならば圧倒的にプリキュアの方が上だ。
それを証明するかのように真っ白な羽を持ったエンジェルピーチがベリー・パイン・パッションへ指示を出す。
瞬時に各々が準備を終えたことを確認し、もう一度声をあげる。

「レディー……ゴー!」

生まれた時から飛び方を知っているかのような勢いでキュアエンジェルがフュージョンの周囲を飛び回りかく乱して行く。
パワーに優れているが巨体となったが故に小回りが効かなくなったフュージョンはキュアエンジェルを捉えることが出来ない。
焦らすように飛び回るキュアエンジェルたちに、痺れを切らしたようにフュージョンは叫びをあげる。

『そこだぁ!』

フュージョンは空を裂くかのような叫びとともに、ちょうど頭上に位置した瞬間を見越して攻撃を仕掛ける。
砕かれたが再生を終えた右腕を固まったキュアエンジェルたちへと向かって振るう。
空間を削りとるような素早さと轟音を立てるその攻撃を、キュアエンジェルは弾けるように四方に散って回避する。
攻撃を終えた瞬間にフュージョンは先程一箇所に固まったのは罠だったのだと悟る。

「はぁ!」

北にエンジェルピーチ、東にエンジェルベリー、西にエンジェルパイン、南にエンジェルパッションという配置を取っている。
ピーチの雄々しい声とともに、地面から四つのハートが浮かび上がりフュージョンの体を中心に集まっていく。
四つのハートはピーチたちが住む四ツ葉町の名が示す四つ葉のクローバーを形作っていく。

「ラッキークローバー!グランドフィナーレ!」

フュージョンの身体は透き通った宝石のような物体に身体を包まれ身動きが取れなくなる。
だが、仮面ライダーを吸収して得た力はこんなもので止めることはできやしない。

『舐ぁめぇるぅなぁ!』

身体に溢れる力を爆発するようにして、体を覆う結界を打ち破る。
だが、それすらもプリキュアたちの手の内だった。
キュアエンジェルが成すべきことだったのはフュージョンの動きを止めることなのだ。
大技が決まるための、隙を作るためのグランドフィナーレなのだ。

フュージョンがプリキュアの作戦を察したのは視界の隅に四つの影を見つけたからだ。
大気圏すら突破するつもりなのではないかと勘違いしてしまうほどに高く飛び上がっている。
それが何をするつもりなのか、フュージョンには心あたりがある。
風の力と月の光の力による超高度からの大砲の打ち下しだ。

四つの影はキュアブルーム、キュアイーグレット、キュアブライト、キュアウィンディだ。
ある高さまで飛行した四人は位置取りを変える。
キュアブライト(満)とキュアウィンディ(薫)は下、つまりフュージョンへと突進するような体勢になる。
キュアブルームとキュアイーグレットはさらに天空まで飛び上がるように。
ブライトとブルーム、ウィンディとイーグレットとそれぞれが足の裏と足の裏をくっつける。
そして、お互いが相手を押し出すように足へと強く力を入れる。

その瞬間にお互いの衣装が変わっていく。
咲と舞はブルームとイーグレットからブライトとウィンディの姿に。
満はブルームを思わせる桃色の衣装に、薫はイーグレットを思わせる白色の衣装に。
それは姿が変わっただけでなく能力も変わったことを示している。
つまり、接近戦に優れたブルームとイーグレットの能力は満と薫に移り、遠距離に秀でたブライトとウィンディの能力は咲と舞に移ったのだ。
36ディケイド×プリキュア ◆7pdfQQnGRQ :2010/06/08(火) 23:49:39 ID:aJk/RWFs

お互いが押し出した勢いで、普通に上昇・下降するスピードよりも格段に速い。
接近戦に特化した能力を持つ、精霊の力を込められた拳が巨大化したフュージョンの肩にめり込む。
高度から超スピードで降ってきた二人の攻撃はフュージョンを怯ませるには十分すぎる威力だった。

「ブライト!」
「イーグレット!」

満と薫は上空に備えている二人に叫びかける。
超上空に備えた二人の作った大砲は、既に巨大化したフュージョンを包み込めるほどの大きな光弾を作り上げていた。

「風よ!」
「光よぉ!」
『ぬぅ………うおぉおおぉぉぉ!』

緑色の光弾が眼に見えるほどの勢いでうねりを上げる風に押し出されて発射される。
それをフュージョンは真正面から受け止める。
フュージョンの巨大化した姿は、まるで地に生えたように腰から下が存在しないのだ。
だから、避けることが出来ずに自慢のパワーで受け止めざるを得ない。

『はぁぁぁぁ!』

両腕で抱え込むようにして、大砲を打ち消す、そんな行動だけでかなりのパワーを使いきってしまう。
だが、『まだまだ敵は多いのにこのままでは不味い』などと悠長に思う暇もなく、追撃が襲いかかる。

「プリキュア……エメラルド・ソーサー!」

かろうじてブライトとウィンディの大砲を堪えた矢先の追撃はミントの攻撃だった。
しかし、フュージョンは落ち着いて攻撃を対処する。
巨大な二つのエメラルド・ソーサーだが、先程の大砲のような威力はない。

『な……馬鹿な!?』

だが、その攻撃はただの攻撃ではなく、別の何かを隠す囮だった。
それに気づいたのはエメラルド・ソーサーが近づいた瞬間と、フュージョンは気づくのが遅すぎた。
スーパープリキュアとなったブラックとホワイトの二人がエメラルド・ソーサーの上に乗っていたのだ。
エメラルド・ソーサーを、ハエを振り払うように打ち消すがブラックとホワイトはフュージョンの身体に飛び乗る。
恐らく急所である顔に思い切りの攻撃を入れるのだろう。
このコンビは間違いなく単純な肉弾戦ではトップクラスだ。
それをまともに食らえば消耗しているフュージョンはかなり危険な状態となってしまう。

『ならば、吹き飛ばしてくれるわ!』

フュージョンは自分の体を破裂させるように、溜め込んだ身体中のエネルギーを放とうする。
纏わりつくブラックとホワイトを衝撃波で吹き飛ばす算段なのだろう。

「「プリキュア――――」」
「ファイヤーストライク!」
「サファイアアロー!」

だが、その瞬間に身体に衝撃が走り溜め込んだエネルギーの操作を誤る。
視界に入ったのは、四方から迫る炎で作られたボールと、水流が作り出した矢だった。
キュアルージュは、周囲に飛び交う炎のボールを手当たり次第シュートし続け、キュアアクアは矢を放つと同時にリロードするように矢を作り直す。
塵も積もればと言わんばかりに、ルージュとアクアはパワーアップした状態で攻撃を続けた。
本来なら一発だけでしか使わない必殺技を、ためらいなく連射して行く二人の攻撃にフュージョンは大きくひるむ。

フュージョンがひるんでいる間、既にブラックとホワイトは素早く距離を詰めていく。
ブラックは拳を固く握りしめ、ホワイトが背中を見せる回し蹴りの構えを取っていた。
希望の証である、手首に装着されたパワーアップアイテム・スパークルブレスが回転する。
37ディケイド×プリキュア ◆CuresnXjlA :2010/06/08(火) 23:53:04 ID:aJk/RWFs

「はぁぁぁぁぁ!」
「たぁぁぁぁぁ!」

フルパワーのブラックとホワイトの一撃がフュージョンの両のこめかみに直撃する。
フュージョンが味わった中でも最も巨大な痛み、いや、正確に言うならば二番目に巨大な痛みだ。
プリキュア全員の力を合わせたあの時の一撃、あれは力を吸い込むという特性を持つフュージョンすら消滅させる一撃だった。
そして、今の状況はその一撃を放たれた時の状況とひどく酷似している。

「プリキュア! プリズムチェーン!」

フュージョンの背に嫌な汗が流れると同時に、背後から鋭い声が響く。
レモネードの甲高い声と共に、フュージョンの身体に黄色に輝く蝶が繋がった鎖で拘束される。
パワーアップされたレモネードの鎖は痛みによる力の低下したフュージョンの身動きを封じる。
そのチェーンを、レモネードと隣に控えていたミルキィローズの二人が引っ張り上げていく。

『なぁ……なにぃ!?』

レモネードとローズの持つ最大の力でさながら地引網のように引き上げられた鎖は、繋がれたフュージョンの身体を宙へと舞わせる。
プリキュア五人と同等の力を持つとするローズの馬力とパワーアップしたレモネードの腕力。
その腕力により、フュージョンの身体はナッツハウスの前方の池へと叩き込まれる。

『ぐぅ……』

鈍い痛みを身体中に感じながら体制を立て直すフュージョンの目に映ったのは、一枚のカードを持ったディケイドの姿だった。
虹と、泉と、蝶と、四葉が重なりあったカード。
ミラクルライトの光を受けて作られた、全く新しいプリキュアのカードだ。
そのカードを手に持ちながらディケイドはケータッチを手にとりタッチパネルに浮かんだボタンを押す。


―――― DREAM・KAMEN RIDE・SHINING ――――


機械音がケータッチから響くと同時に、ディケイドと共に池を挟みこむように位置取りをしていたドリームが光に包まれて変化していく。
輝く光に包まれ、背後に備わった赤桃色の蝶の翼が天使を思わせる真っ白な翼へと変わり、衣装も赤みがかった桃から白桃色の物へと変わった。
その手にはプリキュア5が持つ武装・キュアフルーレが全て集まり、一個の剣となったスターライト・フルーレが握られている。
その姿こそキュアドリームがミラクルライトの光を浴びてパワーアップされた、想いを咲かせる希望の光、シャイニングドリームだ。
ディケイドの胸にかかったカードも、ドリームのカードのみになっている。
フュージョンを挟み込む形で向かい合った仮面ライダーディケイドとフォームチェンジを果たしたシャイニングドリーム。
ディケイドはライドブッカー・ソードモードを、シャイニングドリームはスターライト・フルーレを腰だめに構える。

『ぬぅ………うおおおぉぉぉぉ!』

トドメが来る、流石にこれ以上のダメージを食らうのは不味い。
そう判断したフュージョンは決死の覚悟で右腕にパワーを集める。
右腕の形が無骨な銃に、ディエンドライバーを巨大化させた形へと変わっていく。

「ルミナス! ハーティエル・アンクション!」

だが、ディエンドライバーとなった右腕に集まったパワーが放たれるよりも早く、ルミナスのハーティエルバトンから飛び出した虹色の光がフュージョンの体を包む。
虹色の光に直撃したフュージョンは、まるで時が止まったかのように指の一本も動けなくなる。

動きを止めたフュージョンを挟み込むディケイドとシャイニングドリームが腰だめに構えた剣を袈裟懸けに斬りつけた。
38ディケイド×プリキュア ◆CuresnXjlA :2010/06/08(火) 23:53:58 ID:aJk/RWFs


「はあああああああ………!」


―――――― FINAL ATACK RIDE ―――――――


「はああ!」


―――――― D D D DREAM ―――――――

まるで湖を真っ二つに切り裂くように、ディケイドとシャイニングドリームの振るった剣から斬撃が走る。
斬撃はフュージョンの身体へと直撃する。

だが、それでもフュージョンは倒れなかった。
絶え間のない攻撃をまともに受けきったフュージョン。
ダメージを隠す余裕もなく、ひどく疲弊しているのが簡単に見て取れる。
恐らく、次の攻撃で倒れる。
ディケイドはそれを確信して、光を放つライドブッカーから一枚のカードを取り出した。
それはディケイドを模した金色のエムブレムが描かれたカードだ。

「ココ達も行くココ!」

そのディケイドの出したカードがこの戦いの決め手になることを感づいたココが、他の妖精たちに合図を出す。
それぞれが、いつの間にかナッツハウスより回収していたミラクルライトを点灯させていく。

『プリキュアに!』
『仮面ライダーに!』


『力をー!!』


ミラクルライトから飛び出る光がディケイドを包み、プリキュアたちを光の塊へと変化させて行く。
ベルトのバックルとなっていたケータッチはディケイドライバーに姿を変えている。
体の底から湧き出てくる力に若干の戸惑いを覚えながらも、ディケイドはカードをディケイドライバーへと差し込む。
39ディケイド×プリキュア ◆CuresnXjlA :2010/06/08(火) 23:54:47 ID:aJk/RWFs



―――― FINAL KAMEN ATACK FORM RIDE ――――


ディケイドライバーから機械音が響くと同時に、ディケイドは天へと向かって高く跳躍する。

「私たちも!」
『Yes!』

ディケイドの行動へ答えるように、ブラックの掛け声に光りに包まれたプリキュアたちが頷き返す。
そして、その身体が巨大な、人ひとりを覆えるほどの巨大なカードへと変わっていく。


――――――― DE DE DE DECADE ―――――――


「はああああああああああああ!!!」


キュアブラックのカード。
キュアホワイトのカード。
シャイニールミナスのカード。
キュアブルームのカード。
キュアイーグレットのカード。
キュアブライトのカード。
キュアウィンディのカード。
キュアドリームのカード。
キュアルージュのカード。
キュアレモネードのカード。
キュアミントのカード。
キュアアクアのカード。
ミルキィローズのカード。
キュアピーチのカード。
キュアベリーのカード。
キュアパインのカード。
キュアパッションのカード。

計十七枚、その全てのカードを貫いていく仮面ライダーディケイドの『ライダーキック』。
それをフュージョンはフラフラになりながらも、右腕をディエンドライバーへと形を変えて巨大な光線を放つ。
集めた力が離れていったフュージョンの放つ最後のあがきだ。
その攻撃の道をつくるように銀色のライダーのカードがいくつもの円を作っている。
仮面ライダーディエンドの『ディメンションシュート』を模したものであろう。
40ディケイド×プリキュア ◆CuresnXjlA :2010/06/08(火) 23:55:59 ID:aJk/RWFs


『ぐおおおおお……!』
「ちっ、しぶとい野郎だ」

フュージョンのディメンションシュートと競り合うディケイドのディメンションキック。
ミラクルライトの力を手にしたディケイドと、多くの力を吸収したフュージョンの力はほぼ互角。

『何故だ! 何故そのようなバラバラの力で全ての力を一つとしたこの私を……!』
「分からない野郎だな。俺たち人間はバラバラなんかじゃない、それだけの話だ!」

フュージョンの怒りと戸惑いを入り混ぜた言葉に対して、こともなさげにディケイドは答える。
その脳裏に浮かぶのはあの楽しそうに笑っていたラブたちの姿と、街の人が居なくなって悲しんでいたプリキュアたちの姿。
そして、これまでの世界を共に旅してきた夏海とユウスケの姿。

「人は一人じゃ生きていけない……だが、一つになる必要なんてない。
 仲違いもすれば、勘違いもする。気の合わない連中だっているだろう。
 だけどな、それでも人は人と一緒に生きていける……仲間を、守りたいと思えるんだよ!
 そうすれば、俺たちは力を一つに纏めることぐらい出来るんだ!」

その言葉にフュージョンはあからさまに顔を歪める。

『馬鹿な……バラバラの人間たちに、何故、何故この私があああああああ!!』

フュージョンの苛立ちを隠すこともなく上げた叫び声が響きわたるが、ディケイドは鼻で笑いながら答えた。

「ふん、そんなことだからお前はプリキュアに負けるんだよ」
『ナァッ……!』

その瞬間、フュージョンの放った攻撃がかき消されるが、ディケイドのキック威力は衰えたようすはない。
ライダーキックがフュージョンの最後のあがきに押し勝ったのだ。


「仲間を守りたい……その気持ちを理解すらできないお前が全てを一つになれるわけがないだろうが!」


プリキュアたちの力を纏った、ディケイドのライダーキックは。

『バカナ……ワタシハ、ヒトツニ……スベテノセカイヲ……ォォォォオォオオオ!!!』

フュージョンを完全に貫いた。


『オノレ……オノレ、カメンライダァァァァァ!!!』


フュージョンの絶叫が消えた瞬間に、曇り空から太陽の光が現れた。
41ディケイド×プリキュア ◆CuresnXjlA :2010/06/08(火) 23:56:50 ID:aJk/RWFs



    ◆   ◆   ◆



「もう、行ってしまうんですか?」
「もうって……三日も居たんだぞ?」

ひかりの残念そうな声に、士はたこ焼きを返しながら呆れたように言葉を返す。
フュージョンとの戦いから二日、士はタコカフェの仕事をするために未だプリキュアの世界に滞在していた。
士の記憶にはないがこの世界では三連休の間、タコカフェのアルバイトとして働くことになっているのだ。
小遣い稼ぎにもなり、さらにはバイト代は三日目の仕事の終りにまとめて渡されるとあっては、途中で放り投げてしまうとせっかくの労働がパーになる。
ということで士は、フュージョンがやってきて潰れてしまった一日目の午後を除けば、二日半タコカフェでたこ焼きを作り続けていたのだ。

「えっと、士さん」
「なんだ?」
「士さん達は、これから新しい世界に行くんですよね」

少し俯きながらひかりは尋ねる。
それは別れが哀しいというわけではなく、今から言おうとする言葉をどう纏めようか考えているふうに見える。

「なぎささん達が言っていました。
 知り合った人たちはみんな繋がっていて、どんな人でも誰かに影響を受けている。
 そして、青空の下のどこかにはその影響を受けた友達が居る。
 ひとりひとりは完璧じゃないけど、その皆と一緒にいると、皆で幸せになれるって。
 それで、離れていても……えっと、つまり、その……」
「……まあ、大体わかった」

上手く言いたいことが言葉にならない、と困惑するひかりに士は掃除をしながら答える。
そして、箒を屋台のテーブルに立てかけて、少し照れくさそうに言葉をつないだ。

「つまり、俺たちとお前たちプリキュアは仲間だってことを忘れるな、そう言いたいわけだな?」
「……はい!」

僅かに微笑んだ士に、ひかりは満面の笑みを浮かべて大きく頷く。
その表情にさらに照れくさくなったのか、士は鼻の頭を指で掻きながら視線を逸らす。

だが、視線を逸らした先で一人の男が目に入った
42ディケイド×プリキュア ◆CuresnXjlA :2010/06/08(火) 23:57:55 ID:aJk/RWFs

「やあ、士。この世界だと初めて会ったね」
「海東……ふん、どうやらこの世界じゃ何も出来なかったみたいだな。
 それどころか自分のお宝を盗まれるなんて間抜けなマネだ。
 お宝を盗めないどころか自分のお宝を盗まれるなんて、怪盗ライダーもついに閉業か?」

視線を逸らした先で、男・海東大樹が何をするでもなく立っていた。
その手には銃型の変身アイテム・ディエンドライバーしっかりと握られている。
士は意地の悪い笑みを浮かべながら、ディエンドライバーをこれ見よがしに指をさしながら海東の失態を弄る。
海東はむっと顔をしかめて、直ぐに笑みを浮かべる。
そして、ズボンの後ろポケットから何かを取り出して士へと見せ付けるよう突き出した。

「お宝なら、この通り。ちゃんとこの世界でも頂いたよ」

薄く笑いながら海東は、人の顔をちょうど覆うぐらいの真っ黒な紙を見せ付ける。
海東の取り出した黒い紙から感じる嫌な気配に士は眉を潜める。
だが、同時にどこか懐かしさを覚えている自分が居ることを士は感じていた。

「これは絶望の力の塊……かつて存在し、今は世界のどこかに封印されたナイトメアという組織の忘れ物さ。
 もう存在しない、負の遺産。石になったドリームコレットならもっと良かったんだけどね」
「絶望の……力……」
「フュージョン、って言ったかな? あれの体内にあったのを貰ってきてね。
 ……それじゃ、何時までもここに居ても仕方ないかな。ナッツ王子によろしくね、光のクイーン」
「え、は、はい?」

海東は自慢が出来て満足したのか、ひかりへと声をかけて足早に立ち去っていく。
背中を見せる海東へと、士は何も声をかけなかった。
そもそもの騒動には海東の責も大きいのだが、士は海東の持った黒い紙・絶望の力の塊へと目をやり続けている。

ひかりはどうして自分が光のクイーンであることを海東が知っていたのか首を捻っていたが、士の能面のような感情のない顔を見て思わず背中に震えが走る。
その表情をひかりは知っていた。
正確に言うならば、士が放つ気配と似たような気配を知っていた。
それは光のクイーンとは正反対の、だからこそ切っても切り離せないカードの表裏のような関係である闇のキング、ジャークキングの気配だった。
世界の破壊者という単語がひかりの頭に過ぎる。
ひょっとすると、仮面ライダーディケイドはジャークキングと近しい存在なのかもしれない。
だが、ひかりは光と闇は共存できると言うこともまた知っている。

「……士さん。これは、のぞみさんやココさん達が言ってたんですけど」
「……?」
「絶望を人に与えて、絶望していた人たちとのぞみさん達は戦っていたそうです。
 でも、その中の一番偉い人は最初は希望を持っていた。
 絶望と言う力に負けてしまったけど、その人には確かに希望を抱いていた時期が合ったそうです。
 だからこそ、昔のものとなった希望を忘れられずに妬んでしまった。
 でも、その人は最後に希望の意味を取り戻したそうなんです。
 その、希望と絶望っていうのは表裏のカードみたいなもので、それは生まれることと破壊すること、光と闇も一緒なんです。
 大事なのは光か闇かじゃなくて、自分がどう思ってどうしたら良いかを考えることなんです。
 ただ『希望を捨てなければ、明日はきっといい日になる』……そのことを、忘れないでください」
「中学生にしては、ずいぶんと悟ったような口調だな」
「それは、その……」

なんとも言えずに、ひかりは口ごもる。
士は顔をこちらに向けない。
それがひかりの言葉を受け入れているのか、否定しているのか判断がつかない。
僅かな間だが沈黙が場を支配する。

そこに助け舟のように早足でやってくる夏海とユウスケの姿を見つけた。
43ディケイド×プリキュア ◆CuresnXjlA :2010/06/09(水) 00:00:00 ID:dz+i6Ye6

「士、仕事は終わったのか?」
「お爺ちゃんがお菓子を焼いたそうですよ、一緒に帰りましょう」
「っと、そんな時間か……」

士は腕時計を眺めてぼやく。
そして、二人を連れて立ち去っていく。
だが、そこで立ち止まってひかりに背中を見せたままひかりに声を投げかける。

「わかってるさ」
「え?」
「俺が知っている俺っていうヤツは、通りすがりの仮面ライダーだ。光の戦士プリキュアと一緒に戦った男だ。
 暫定的にだが、いったん帰る写真館もあって、まあ、旅の連れもいる。それが俺の知ってる俺だ。
 ……ったく、世界の破壊者って肩書きを気にするのは普通は当事者の俺だろうが。
 夏みかんと言いお前と言い、女ってのは自分のことでもないのに心配がる癖があるな」

そう言って士はひかりへともう一度顔を向ける。
その顔には先ほど見た能面のような表情とジャークキングのような気配はなかった。
短いながらも、ともにタコカフェで働いたひかりの知っている門矢士のものだった。

「ああ、そうだ、ひかり」
「はい?」
「これ、お前らの写真だ。アイツらにも渡しといてくれ」

ひかりは士から手渡された、封筒に入った写真を嬉しそうに眺める。
士の撮った写真の中には、様々なシチュエーションで撮られたプリキュアたちが居る。。
どの写真でも少女たちは楽しそうに笑っている。
微笑んだまま写真を眺めていたひかりだったが、一枚の写真に手が止まる。

「士さん」

僅かに考え込んだ後、写真を手に士へと向き直り声を掛ける。

「ん、どうした? 関係ない写真が混じってたか?」
「これは士さんが持っていてください。私たちの世界に士さんが居たって言う証拠みたいなものですから」
44創る名無しに見る名無し:2010/06/09(水) 00:02:40 ID:TbDfg0A7
支援
45創る名無しに見る名無し:2010/06/09(水) 00:04:08 ID:TbDfg0A7
C
46ディケイド×プリキュア ◆CuresnXjlA :2010/06/09(水) 00:04:33 ID:dz+i6Ye6


    ◆   ◆   ◆


「へぇ、いい写真だねぇ」
「そうですね。士くんが撮ったとは思えないほどです」

栄次郎の持った写真を覗き込むように見た夏海も、珍しく士を褒める。
士は軽く鼻を鳴らして栄次郎の入れたコーヒーに口を含みながら、笑みを浮かべる。

「やっぱり写す人のそのままの表情を出させてあげるのが、カメラマンの一番の仕事だからね。
 そういう意味では、今回はすごくカメラマンの仕事をしているよ。せっかくだし飾っておこう」

栄次郎が嬉しそうに写真を持って部屋の中を歩き回る。
士はニヤニヤとした表情で、その栄次郎の様子を眺めている。
写真を褒められたこと自体がめったに無いことだから、よっぽど嬉しかったのだろう。

「よし、じゃあちょっと準備するから待っててね」

その言葉に士たちは立ち上がって背景ロールの前に並ぶ。
栄次郎はカメラを手にとりながら、背景ロールをどれにするか考えている。

少し時間がかかりそうだな、と思った士は今まで撮った写真を眺める。
それぞれの仮面ライダーの世界・シンケンジャーの世界の写真を眺めていると、ひかりの言葉が思い出される。


「どうしたんだ、急に写真を取り出したりして?」
「俺の撮った写真。これは何とも繋がっていなかった俺が、その世界に存在していたっていう証。
 ……希望を捨てなければ明日はきっといい日になる、か」
「士くん?」

突然の士の行動に戸惑いながら夏海とユウスケは疑問の声で尋ねる。
士は二人の顔を見ずに、ただ口元で笑みを作りながら一枚の写真を眺める。
それは十七人の少女たちが本当に嬉しそうに笑う、プリキュアの世界で撮った写真。


「別に大したことじゃない。何も考えず、ノーテンキに旅をするのも悪くない。そう思っただけだ」


その士の言葉に反応したかのように、背景ロールが誰の手にもよらず降り、新たなもの変わる。
それは新たな旅の幕開け、そして世界と世界の繋がりを阻む壁を破壊した瞬間。
世界の破壊者の、全てを繋ぐ旅は、どこまでも続いていく。


Fin――――――――――――――――――――――――――――
47ディケイド×プリキュア ◆CuresnXjlA :2010/06/09(水) 00:06:14 ID:dz+i6Ye6
投下終了です
トリップを間違えてた……orz
投下間が長かったですが、これでディケイド×プリキュアはお終いです
読んでくれた方には感謝
48創る名無しに見る名無し:2010/06/09(水) 00:16:15 ID:6MqvY2yX
読まね〜って。
49創る名無しに見る名無し:2010/06/09(水) 00:41:35 ID:QBGOI8Ad
◆CuresnXjlAさん、お疲れ様でした。
考えてみれば、劇中ではディメンションキック 対 ディメンションシュートって無かったんですよね。
今作での夢の必殺技対決、乙でした。
50創る名無しに見る名無し:2010/06/09(水) 03:06:43 ID:XyrwyrBx
投下乙。ついにプリキュア×ディケイドも完結か。お疲れ様です。
プリキュアとディケイドの総力戦、熱くなりました。
51創る名無しに見る名無し:2010/06/09(水) 09:11:32 ID:CWn+tj5n
完結おめでとうございます。
元ネタをよく知らない自分も楽しめました。
52創る名無しに見る名無し:2010/06/10(木) 18:19:00 ID:NwZxJadC
W禁書と違ってやはり良作だったな
53創る名無しに見る名無し:2010/06/11(金) 13:20:52 ID:ppfqgJrD
>>52
何度も蒸し返してくるお前のクズっぷりには及ばんだろ?w
54創る名無しに見る名無し:2010/06/13(日) 07:39:11 ID:NxL18354
作者さんは自演ばっかりしてないで早く続きを投下して欲しい
そうでもしないとまた荒れるし
55創る名無しに見る名無し:2010/06/14(月) 00:02:38 ID:Q8TThhgM
>>54
なんでそうやって作者の自演って決めつけてるの?何か根拠があって言っているのか?
56創る名無しに見る名無し:2010/06/14(月) 00:44:43 ID:QE62jNSr
数ヶ月前に途絶えたW禁書の話が出る度擁護しようとする奴が出てくるんだぜ
自演疑うだろ

逆に何で根拠もなく自演説を否定できるのか教えて欲しい
57創る名無しに見る名無し:2010/06/14(月) 08:19:37 ID:8Tk+quxQ
>>56
いつまでも原作レイプとか騒がれたり蒸し返されたりすれば誰でも嫌になると思うが?
長々と引っ張って作者批判をしている奴が案外作者かもよ?
58創る名無しに見る名無し:2010/06/14(月) 17:44:49 ID:QlzooBWN
質問に疑問符つけて答えんなや低脳
59創る名無しに見る名無し:2010/06/14(月) 18:03:02 ID:8Tk+quxQ
>>58
は?低脳はお前だろ
60創る名無しに見る名無し:2010/06/14(月) 20:33:39 ID:48hv8Nhh
言い返す必要はないから早く>>56に答えろ
61創る名無しに見る名無し:2010/06/14(月) 22:23:13 ID:8Tk+quxQ
>>60
自作品を他人に成りすまして批判するのはもうやめろよ。いい加減続きを書いたら?
62創る名無しに見る名無し:2010/06/15(火) 00:15:16 ID:ueUDdz3x
自分で自分の作品批判して何かメリットがあるとでも?
63創る名無しに見る名無し:2010/06/15(火) 10:21:59 ID:8unLmBNB
>>62
少なくとも擁護するよりは作者とバレる心配がないからじゃない?
64創る名無しに見る名無し:2010/06/15(火) 18:57:29 ID:5GuzYZyQ
作者がなんで自分の作品をボロクソ言わなきゃなんないんだ?
65創る名無しに見る名無し:2010/06/17(木) 19:25:50 ID:AHIcYqG/
>>54
どうせ作者が続きを書いても禁書レイプだと叩きまくる魂胆がミエミエなんだよクズ
66創る名無しに見る名無し:2010/06/23(水) 00:04:30 ID:8kcDHgit
レイプやアンチ作品は叩かれて然るべきだよ
そんなんが横行したら荒れる原因になるだけ
67創る名無しに見る名無し:2010/06/25(金) 10:49:13 ID:XbdoTQtS
>>66
禁書レイプだとか叩く割りに、「早く続きを書け」とか言ってくる奴がいるけど?
アンチ作品なら「続きを書くな」と言うのが正しいんじゃないのか?
68創る名無しに見る名無し:2010/07/06(火) 16:49:26 ID:9VBocTU5
ここ終わったな
69創る名無しに見る名無し
新作マダー?