非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ Part8

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1創る名無しに見る名無し
1999年刑行された小説「バトル・ロワイアル」

現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。

基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前の登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などの発表は書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
  〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!

前スレ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1267615724/

非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html
2創る名無しに見る名無し:2010/04/11(日) 19:07:20 ID:YLW3rKSB
スレ立て乙です。
3 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/12(月) 01:16:30 ID:8bUtygJC
投下します。俺得ロワ24話「The unexpectedness and it are fatal.」(予想外、そして致命的)
登場:エルザ・ウェイバー、フォナ・アンシュッツ
4The unexpectedness and it are fatal. ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/12(月) 01:17:34 ID:8bUtygJC
24話 The unexpectedness and it are fatal.

エリアG-2に存在するガソリンスタンドの事務室を漁る一人の参加者がいた。
一角が付いたカチューシャのような飾りを白髪の頭に付け、
最低限の部分しか隠れていない露出の高い装具を身に着けた若い女性。
深い青を湛えた瞳のその顔立ちにはまだあどけなさが残っていたが、
美しい肢体の下には強靭な筋肉が付いていた。

「これ何だろ、車のカタログか何か? …見た事ない車ばっかりだなぁ」

適当に手に取った中古車カタログを読む女性――エルザ・ウェイバー。
彼女は魔物討伐で生計を稼ぐ、いわゆるハンターのような職に就いていた。
昨日は一回り巨大な獲物を仕留め、いい気分で自宅で寝酒をあおり床についた、はずだった。

だが目覚めた時にはそこは自宅ではなく、
大勢の人々が集められた真っ暗闇の空間。
そして開幕した、リリア・ミスティーズと名乗る女によるこの殺し合い。
首輪の爆破実演を見せられた時には、その威力にエルザはたじろいだ。
青いタヌキのような機械の喉元を易々と破壊した危険物は、
自分の首にもしっかりとはめられていた。

「駄目だここ。何もないや……」

一通り探索を終え、何も収穫がなかった事に落胆するエルザ。

「何かもっと武器になる物があれば良かったんだけど。
まぁ…支給品そこそこ良い物だったから、良しとしよう」

テーブルの上に置いてある自分の支給品、九五式軍刀と、
首輪探知機なる小型の端末機を見る。
首輪探知機はその名の通り、探知機を中心に半径50メートル以内にある、
参加者にはめられる首輪を探知し、小さなディスプレイに黄色い光点として表示する機械。
但し名前などは表示されず、死者の首輪にも反応するので過信は禁物だ。
現在中心点の一番近くに表示されている光点は所有者であるエルザのものである。
九五式軍刀を腰のベルトに差し込み、鞘から抜き刀身を確かめる。
外から漏れる月明かりに照らされ刃がぎらりと光った。
鞘や柄、鍔は余り豪華な造りではないが刀身はそれなりに良質のようだ。
元々剣を中心に扱う剣士であるエルザにとっては適性のある武器である。

エルザ自身は進んで殺し合いを行うつもりはなかったが、自衛の手段は必要だった。
殺し合いに乗った者に襲われた時に丸腰で切り抜けられると思える程、
エルザは自信家でもなければ馬鹿でもない。

「ん?」

ふと、テーブルの上に置かれた首輪探知機にエルザが目をやると、
自分の位置から南方向、ガソリンスタンドの正面付近に、もう一つの光点が現れていた。
5The unexpectedness and it are fatal. ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/12(月) 01:18:59 ID:8bUtygJC
まだ痛みの残る腹部をさすりながら青い髪を潮風にたなびかせ歩く少女、フォナ・アンシュッツ。
彼女の目指す先、非常灯のみが点いているガソリンスタンドはもうすぐそこである。

今、フォナの右手には非常に小型の護身用拳銃・レミントン デリンジャーが握られている。
先刻、崖付近で狐獣人の女を襲った(返り討ちにされたが)時は使わなかったものだ。
デイパックにはデリンジャーの予備弾、そしてもう一つの支給品である、
大量の写真が入った小さな箱が入っていた。
何の写真かと言うと、フォナにとってはやや刺激的な写真。
雄の獣人の、■■を■■ている写真、■■から■く■った■■がほとばしった瞬間の写真、
■■■に極太の■■■■■■を■■してよがり狂っている写真――。
とにかく、そんな感じの写真がおよそ、100枚近く入った箱だった。
それを最初に見た時のフォナ少女の衝撃は想像するに難くない。

ともあれ、小型ながらも銃器を携えたフォナは、
警戒しつつ、ガソリンスタンド内部、待合所と思しき場所へ向かった。
ガラス扉を開け中に入る。内部は非常灯しか点いておらず薄暗い。
やむを得ずデイパックから懐中電灯を取り出し、スイッチを入れ室内を照らした。
カウンターや、自動車に使うオイルや車内用の芳香剤が陳列された棚がフォナの目に移ったが、
特に目を引くような物は見当たらなかった。

(奥に、誰かいたりとかする…?)

奥に事務所へ続く扉を見つけ、フォナが心の中で呟いた。

(今度出くわしたら、今度こそ…!)

今度こそ仕留めてみせる、と、手にしたデリンジャーのグリップを握り締めながら、
フォナは事務所の扉へと近付いていった。

ガチャ、ギイイイ…。

扉を開け、フォナが事務所内へ足を踏み入れる。
懐中電灯で室内を照らしながら前へと進むフォナ。
事務所には幾つかの机、棚、応接用と思われるテーブルやソファーが置かれていた。
一通り見た感じでは、人の気配はないが、まだ分からない。
フォナは右手のデリンジャーの引き金に指を掛けたまま、部屋の奥へと歩く。

「ねぇ、ちょっといい?」
「!!」

突然背後から聞こえた女の声に、フォナは驚き物凄い勢いで声の方向に振り向く。
直後、フォナの喉元に冷たい刀の切っ先が突き付けられた。
少しでもこちらが妙な動きをすればすぐにでも首を刺し貫くつもりだとフォナは確信する。
刀の持ち主、エルザ・ウェイバーはフォナに刀、九五式軍刀の切っ先を突き付けたまま口を開く。

「あんた、殺し合いに乗ってるね」
「!? な、何で…」
「分かるのよ。私も一応色々戦ってきた戦士だから」

自分に向けられたエルザの鋭い目付き、そして落ち着いた物腰を見て、
フォナは今自分と相対しているこの白髪頭の女性が、
かなりの死線を掻い潜ってきた歴戦の戦士だという事を察知した。
6The unexpectedness and it are fatal. ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/12(月) 01:22:32 ID:8bUtygJC
「の、乗っていたら何? わ、私を殺すの?」
「もし、殺し合いをやめて私と一緒に来てくれるって言うなら助けてあげるけど。
私はこんな殺し合いする気なんてないよ。あんなリリアとかいう女の言いなりになるなんて、
馬鹿げてると思わない?」
「……そうだね。馬鹿げてるね」

自分の説得が通じたと思ったのか、エルザの表情が少し明るくなった。
だがフォナの本当の狙いは別の所にあった。
次の瞬間、エルザの目の前からフォナの姿が消えた。
突然の事にエルザが一瞬戸惑っていた、それが隙を生んだ。
ぱん、ぱん、と乾いた音が室内に二回響き、エルザの剥き出しの腹部に激痛が走る。

「ぎっ…!?」

エルザが腹部を左手で押さえ、その手を見ると、赤い血液がべったりと付着していた。
見れば先程消えたフォナが床にしゃがみ込んで手にした小型拳銃の銃口を自身に向けていた。
撃たれたのだと、エルザは確信する。
これこそがフォナの狙いだった。だが、ここでフォナにとって想定外の事態が起こる。
腹に拳銃弾を二発も撃ち込めば倒れるだろうとフォナは踏んでいたが、
デリンジャーの.41リムファイアー弾程度の威力では、手傷は負わせれど、
さほどダメージを与えられていなかった。
更に、今まで数々、獲物である魔物と激戦を繰り広げてきたエルザの肉体は、
外見とは裏腹に強靭な耐久力と生命力を備えていたのである。

「あ、あれ、おかしいな…嘘、何で死なないの?」

予想外の事に今度はフォナが戸惑う。

グサッ。

戸惑うフォナの身体を、九五式軍刀の刃が刺し貫いた。
心臓と背骨を刺し貫かれ、フォナの身体は一瞬で全ての力が抜け、
だらんと、まるで糸の切れた操り人形の如く脱力した。
エルザが刃を引き抜くと、そのままフォナの死体は床に崩れ落ち、床に血溜まりを作った。

「はぁ、はぁ…あのねぇ、こんなちっぽけな豆鉄砲で、私は死なないわよ」

痛みに耐えながら、エルザがフォナの死体を見下ろし言った。



【フォナ・アンシュッツ@オリキャラ  死亡確認】
【残り  39人】
7The unexpectedness and it are fatal. ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/12(月) 01:23:57 ID:8bUtygJC
【一日目深夜/G-2ガソリンスタンド】

【エルザ・ウェイバー@オリキャラ】
[状態]:腹部に二発被弾(命に別条なし)
[装備]:九五式軍刀
[持物]:基本支給品一式、首輪探知機
[思考]:
0:殺し合いを潰す。脱出手段の模索。
1:仲間を集めたい。
2:傷の手当てをできる場所を探す。



※G-2ガソリンスタンド周辺に銃声が響きました。
※G-2ガソリンスタンド内部にフォナ・アンシュッツの死体と所持品があります。



≪支給品紹介≫
【九五式軍刀】
昭和10年(皇紀2595年)に開発された軍刀。
刀身は機械打ちだが、研究改良の末に頑丈かつ実戦向きの物となっている。
本ロワに登場するものは鞘が深刻な物資不足により木製になった最末期型。

【首輪探知機】
探知機を中心に半径50M以内の首輪を探知し、
画面に光点として表示する小型端末機。
死者の首輪にも反応する。

【レミントン デリンジャー】
1864年にレミントン社のウィリアム・エリオットが設計した、中折れ上下2連式の小型拳銃。
12pという小ささから、携帯性や隠匿性に優れ、女性の護身用やガンマンの
バックアップピストルとして使われたとされている。
使用弾薬:.41リムファイアー弾 装弾数:2発

【雄獣人エロ写真詰め合わせ】
狼、虎、獅子、犬、猫、竜、多種多様の雄の獣人の、アレな写真が100枚ほど入った箱。
当然全て無修正で丸見え。その手の人にはたまらない一品。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】エルザ・ウェイバー
【年齢】22
【性別】女
【職業】ハンター
【性格】明るく快活だが、冷酷な一面もある
【身体的特徴】少しボサボサの白髪、やや褐色の肌。スタイルは中の上
【服装】モンハンのキリン装備に非常に酷似した装具
【趣味】食べ歩き、獲物探し、金勘定、読書
【特技】剣の腕前は一流。ある程度銃も扱え、機械知識も多少ではあるがある
【経歴】両親も同じくハンターで、幼少期から影響を受けていた。
18歳の時に独立して今は一人暮らしをしている
【備考】結構強い。RPGファンタジー風異世界出身
8 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/12(月) 01:24:46 ID:8bUtygJC
投下終了です。
9 ◆lYiZg.uHFE :2010/04/12(月) 22:28:05 ID:XleKYJR9
・文書練習ロワ「稟の燈と歌うゴスロリ女」
渚はやっぱりジョーカーなのだろうか……、気をゆるすなー!

・俺得ロワ「The unexpectedness and it are fatal.」
変態参加者といいエロ支給品といい、この選出はもうリリアの趣味なんじゃねw


といった所で俺リピーターロワ2話一気に投下です。
10人手が欲しい ◆lYiZg.uHFE :2010/04/12(月) 22:29:05 ID:XleKYJR9
広い広い原っぱの中、ただ一つそびえ立っている大きな木の下に二人の男女が向かい合っていた。
伝説の大きな木の下で向かい合う男性と少女。
こう書くとこれから告白が始まるようなシチュエーションだ。
しかしこの二人の間でなされている会話は、そんなロマン溢れるものではなかった。
「はぁっ、ヒトデはとってもかわいいですっ! まさしく至高のヒトデですっ!」
少女―――伊吹風子はヒトデについている五つの突起を優しそうに撫でながらトリップしている。
その様子を眼前で見ていた男性は、突然の少女の行動にただ呆然としていた。
「はっ、あまりのかわいさに風子うっとりしてましたっ」
風子はそう言うと、デイパックからさらにヒトデをとりだし男性へと差し出す。
「みんな風子のヒトデを受け取ってくれませんでしたが、何かあなたは風子と同類のような気がしました。
 というわけであなたにもヒトデをプレゼントですっ」
その風子の言葉で我に返る男性。
そして顔を怒りに歪め、プルプルと震えだした。
当然だろう。勝手に人をゲテモノ好きの同類にされれば誰だって怒る。
だが男が怒った理由はそうではなかった。
男も風子の予想通り無類のヒトデ好きだったのだ。
ただし、ただのヒトデではなく美しいヒトデに限ってだが……。
つまり、風子の差し出したヒトデは男の眼鏡に適わなかったという事だ。
男―――吉良吉影は、風子に指をビシッと指し宣言する。
「こんなものが至高のヒトデとはね。君、明日またこの場所にきたまえ。もっといいヒトデをお見せしてあげよう」
吉良はそう言うとすぐさまその場を去っていき、究極のヒトデを探しに出かけた。
残った風子は吉良の言葉に目を輝かせて、ひとこと
「すごく楽しみですっ! 風子も負けませんっ!」
と言うと、至高のヒトデを探しに吉良とは別の方向へ走っていく。

ここに、同じ【ヒトデ】を愛する者達の人知れぬ戦いが始まろうとしていた。



【一日目/深夜/東京@テラカオスバトルロワイアル】
【伊吹風子@葉鍵ロワイアル II】
[時期]:199話『決定的な差』で榊しのぶに刺殺された後
[状態]:健康
[所持]:羽リュック(ヒトデ入り)@葉鍵ロワイアル II
[方針]1:至高のヒトデを集めて明日吉良と勝負。

【吉良吉影@マルチジャンルバトルロワイアル】
[時期]:122話『180秒』でリヴィオに射殺された後
[状態]:健康
[所持]:不明@不明
[方針]1:究極のヒトデを集めて明日風子と勝負。



【羽リュック(ヒトデ入り)@葉鍵ロワイアル II】
伊吹風子@葉鍵ロワイアル IIに支給される。
ヒトデが入った羽リュック、それ以上でもそれ以下でもない。
住井護と柊勝平と木田恵美梨のヒトデが入っている。
もしかしたら月宮あゆの似顔絵も入っているかもしれない。



★パロロワ一口メモ★
【ヒトデ】

葉鍵ロワイアル IIの話題になると必ずと言っていいほど挙がるヒトデの話。
それは伊吹風子が人の手を集めるために人殺しをしまくるというもの。
ヒトデと人の手を掛けたのだろうが、その発想はなかった。
そのうち似顔絵と称して人の頭まで集めようとした。
キャラ崩壊ってレベルじゃないが、葉鍵ロワではよくある事。
紆余曲折を経てドナルドと出会った◆lYiZg.uHFEこと屠殺刀。
屠殺刀は当然この殺し合いがリピーターロワだと直ぐに気付いていた。
だから物語批評家のドナルドに、自分が考えたリピーターロワの話を聞かせていた。
しかしドナルドはいつものように辛辣な感想を返していた。

【「……という話なんだがどうだろう?」
 「う〜ん、ハンバーガー3個分かな☆」】
「3個か、いくらなんでも少なすぎじゃないか?」
「ちょっとドナルドは吉良のキャラが違うと思うんだよね☆
 なんで山岡士郎が混じってるのかな?」
「何時だったか某所で山岡さんネタで盛り上がってたし、
 どうせだから使おうかなぁなんて」
「ならレゲーロワの山岡士郎を使えばいいんじゃないかな☆」
「でもここは吉良と葉鍵2風子って組み合わせがいいんだよなぁ。
 誰もが考えただろう夢の組み合わせじゃん?」
「誰もが考えたかはさておき、吉良を使いたいならマルチロワじゃなくて、
 キャラ崩壊させた所であたりさわりのないジャンプレーベルにするとかさ☆」
「いやいや、レーベルの吉良もあれはあれでおいしいキャラだから」
「そんな事言ったらマルチ吉良だってそうじゃない。
 ドナルドは若干良い人だった吉良があんなキャラになるのは台無しだと思うな☆」
「じゃあやっぱり……?」
「うん、却下だね☆」
「うぅ、そうか……じゃあ他の考えよう」
「まぁまぁ、衛宮君の作品よりは面白かったよ☆」
「そりゃあんなんより下だったら書き手として凹むわ」



【一日目/深夜/未定@未定】
【ドナルド・マクドナルド@テラカオスバトルロワイアル 五周目】
[時期]:1171話『Tルート最終話 『カオスの行き着く場所』』でテラカオス撃破後
[状態]:健康
[所持]:不明@不明
[方針]1:しばらく屠殺刀に付き合う。

【屠殺刀(◆lYiZg.uHFE)@書き手バトルロワイアル3rd】
[時期]:35話『フラッグ災苦』でKに斬殺された後
[状態]:健康
[所持]:不明@不明
[方針]1:しばらく話を考える。

※6話『明日までに人手を集めろ!』は屠殺刀の妄想でした。



★パロロワ一口メモ★
【「……という話なんだがどうだろう?」
 「う〜ん、ハンバーガー3個分かな☆」】

テラカオスバトルロワイアル 五周目で度々見られるドナルドと衛宮士郎のやり取り。
彼等のこの話は、おもに前話の否定に用いられている。
衛宮士郎はらき☆すたを越える作品を作る事を目的としていた為、
ウザいSSは都合良く彼の妄想とする事になった。
余談だが、カオスロワで前話否定の作品を初めて投稿したのも確かジャイアンの母書き手である。
12 ◆lYiZg.uHFE :2010/04/12(月) 22:31:06 ID:XleKYJR9
投下終了です。もう最近の規制には嫌になっちゃうねー。
13創る名無しに見る名無し:2010/04/12(月) 23:04:28 ID:4j5rCZoN

たしかにこんなもん、カオスか非リレーじゃないとできないw
14 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/16(金) 01:45:55 ID:e96RAIEI
投下します。俺オリロワ25話「異世界と異文化」
登場:ドーラ・システィール、ガーゴイル
15異世界と異文化 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/16(金) 01:46:59 ID:e96RAIEI
25話 異郷と異文化

ドーラ・システィールは厳かな装飾の施された門をくぐり、豪邸の庭へと足を踏み入れた。
豪邸は二階建てで、外観からもかなり大きな邸宅だという事が分かった。

「デカい家だねぇ。誰かいるかもしれないね…」

そう呟くとドーラはデイパックの中から自分の支給品であるポンプアクション式散弾銃、
イサカM37を取り出し、それをいつでも構えて発砲できるようにしながら、
豪邸の玄関口へ姿勢を低くしながら近付いていった。
しかし、視線をやや下向きにしていたためか、上方向には気が向いていなかった。

「…?」

翼を羽ばたかせる音が聞こえ、ドーラが立ち止まる。
直後、背後に何かの気配を感じ、イサカM37を構えながら振り向いた。

「待て。その物騒な物を下ろしてくれ。あんたと戦うつもりはない」

大きな翼を持った、竜のような怪物――ガーゴイルは散弾銃の銃口を自分に向けるドーラに対し、
戦意はない事を、しかし銃口を向けられながらも落ち着き払った様子でアピールした。

「戦うつもりはないってのは、殺し合いには乗ってないって事かい?」
「そんな所だ」
「……ふぅん」

疑りつつも戦意はないと判断したのかドーラが銃口を下ろした。
それを確認したガーゴイルが再び口を開く。

「こんな所で立ち話も何だ。折角豪華な邸宅があるんだし、
中に入って色々お喋りでもしようじゃないか」
「何勝手にリードしようとしてるんだい…まぁ、もっともだけどね」

ドーラとガーゴイルは共に豪邸の玄関へと向かった。



広い応接間で、ドーラはソファーにガーゴイルと向き合う形で座る。
カーテンを閉め切り、部屋の照明を入れたため、ドーラはガーゴイルの容姿を改めて確認する事ができた。
大きな翼、長い尻尾、腕や背中は青色だが顔から腹にかけては濃い肌色。
身体はよく引き締まっており、左肩には赤い何かの紋章が確認できる。

「アタイはドーラ・システィール。アンタは?」
「…ガーゴイルでいい」
「そうかい、んで、ガーゴイル、お喋りっつったって、何話そうってんだい?
世間話って訳じゃないだろ?」
「そりゃあな。今更聞く事ないだろうけど、ドーラ…だったか?
アンタ…この殺し合い、乗る気はあるのか?」

赤い瞳でドーラの顔を見据えながらガーゴイルが尋ねる。

「そんな気はないさね。別に殺しなんてその気になればいくらでもできるけど、
あんなどこの馬の骨とも知れない馬鹿女の言いなりになるのは御免だよ」

ガーゴイルの問いに対し、ドーラは素直に自分の意見で答える。
つまりこの殺し合いのルールに則り、殺し合いをする気は毛頭ないという意思。
それを聞いたガーゴイルはくくっと笑った。
16異世界と異文化 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/16(金) 01:50:30 ID:e96RAIEI
「成程な。まぁ、俺も同意見さ。つまりお互い殺し合いには乗ってないって事だな」
「ああ、そうだねぇ」
「それじゃあ、単刀直入に言うとだな…俺と手を組んで欲しいんだ」
「へぇ…」

ガーゴイルがドーラに持ちかけたのは共闘の話だった。
興味深そうな表情を浮かべドーラがガーゴイルの話に耳を傾ける。

「俺はこの殺し合いから何とかして抜け出したいと思っている。
だけどそのためには…この厄介な首輪を何とかしないといけない」

自分の首にはめられた金属製の首輪を爪で数回突きながら、ガーゴイルが言う。
それを見てドーラも自分の首にはめられた同じ物に触れる。
絶対に外せないと言うその首輪の感触はドーラにとって不快この上ない。
まるで飼い犬にでもされたかのような屈辱感を消し去る方法があるというのなら、
さっさとその方法を実行に移したいがその方法は、少なくともドーラ自身や、
目の前にいるガーゴイルは現在持ち合わせてはいない。
ドーラは脱出するという思考までには至っていなかったが首輪は外したかった。

「だけどこれ外すとなるとやっぱり、何か機械知識的なものが必要になってくるだろうな。
そんなもの俺は持っていない」
「アタイも」
「だからそういう知識を持ってそうな奴を探そうと思う。協力して欲しいんだ、ドーラ」
「成程ね……アタイもこんな鬱陶しい首輪外したいし、いいよ。その話乗ってやる」
「そうか。助かるぜ」

ドーラが共闘を承諾してくれた事にガーゴイルが喜びの声を上げる。

「それで? ガーゴイル、アンタこの殺し合いに知り合いはいるのかい」
「ん…ああ。四人いるな。ジン、アキラ、亜美、ガルムの四人だ」

ガーゴイルはこの殺し合いに呼ばれている自分の知り合い、
と言うよりも彼が知っている人物四人についてドーラに説明し始めるが、
「ヴァルハラ」「帝国軍」「時の塔」「デビルチルドレン」「デビル」といった聞き慣れない単語の山に、
ドーラは首を傾げ、ガーゴイルの話の内容が半分程理解できないでいた。
ただ、「ジン」「アキラ」「亜美」の三人は、ガーゴイルの所属している「帝国軍」、
少なくともドーラが所属していた解放軍が戦っていたバルフォモーリア帝国軍とは、
全くの別物らしいが、とにかく「帝国軍」とは敵対関係にあるものの、殺し合いに乗るような人物ではない、という事。
「ガルム」はガーゴイルと同じく帝国軍のデビルだが、面識がある訳ではなく、
更に元々凶暴な種族らしいため、信頼性は薄いという事。
その二つの事が分かればドーラにとっては十分だった。
そしてガーゴイルは自分のデイパックから、自分の支給品を取り出した。

「こりゃまた、凄いモン支給されたねぇ」
「ああ」

テーブルの上にゴトンという大きな音と共に置かれたそれは、
対戦車擲弾発射器、RPG7。そして予備弾の対戦車擲弾3発。
「対戦車」と銘打ってある通り本来は対人兵器ではない。
しかしこんな物が支給されるという事はこれで参加者を殺せという事なのだろう。
17異世界と異文化 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/16(金) 01:53:28 ID:e96RAIEI
「つくづく性格悪いみたいだね、あのリリアとかいう女ァ」
「まあ、可能な限り威嚇用に使うとしよう。ドーラは?」
「アタイはこのイサカとかいう銃と予備弾。それと……」

ドーラは自分のデイパックの中からもう一つの支給品を取り出した。
それは黒いベストのような衣服――防弾チョッキだった。

「ほお。良かったじゃないか。拳銃弾程度なら防げるんじゃないか?」
「悪いけどアタイはこんな重たいモンは着たくないよ」

そう言ってドーラは防弾チョッキをデイパックの中にしまった。

「そんで、アタイの知り合いは…一人いるね。シェリー・ラクソマーコスさ」

支給品の確認も終わった所でドーラが知人であり参加者の一人である、
シェリー・ラクソマーコスについて話し出したが、
ここではガーゴイルの方が「アルカディア解放軍」「バルフォモーリア帝国軍」
「コバルト・アクセレイセス」といった単語に戸惑う事になった。
しかし、シェリー・ラクソマーコスなる人物が少々注意を要すると分かれば、それで良かった。

「今はまだだいぶ暗いからなぁ…もう少し明るくなるまで待とう」
「そうだね。それじゃ、アタイはこの屋敷でも見回ってくるとしようかね」

ドーラとガーゴイルはもう少し明るくなり視界が効くようになるまで豪邸内で待機する事にした。
お互い、理解不能な部分を残しながら。



【一日目深夜/H-3豪邸】

【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康
[装備]:イサカM37(4/4)
[持物]:基本支給品一式、12ゲージショットシェル(30)、防弾チョッキ
[思考]:
0:今の所殺し合いをする気はない。
1:ガーゴイルと行動。しばらく豪邸に留まる。
2:シェリーについては保留。
3:首輪を外したい。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※フォナ・アンシュッツの名前と容姿を記憶しました。
※ガーゴイルの知人(ジン、アキラ、亜美、ガルム)のおおよその特徴を把握しました。
※ガーゴイルの言葉の一部が理解できず気になっています。

【ガーゴイル@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康
[装備]:RPG7(1/1)
[持物]:基本支給品一式、85o対戦車擲弾(3)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。首輪の解除方法の模索。
1:ドーラと行動。しばらく豪邸に留まる。
2:元世界の知人(ジン、アキラ、亜美、ガルム)については保留。
3:襲われたら説得を試みる。駄目ならば戦うか逃げる。
※ドーラの知人(シェリー・ラクソマーコス)のおおよその特徴を把握しました。
※ドーラの言葉の一部が理解できず気になっています。
18異世界と異文化 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/16(金) 01:55:33 ID:e96RAIEI
≪支給品紹介≫
【イサカM37】
1937年に発売されたポンプアクション式散弾銃。
散弾銃としては非常に軽量なため「feather light(羽根のように軽い)」の愛称がある。
機関部下面にある装弾口が排莢口も兼ねているため、砂埃等の汚れが入りこみにくく構造的に堅牢。
引き金を引いたまま先台を前後させる事で連射(スラムファイア)が可能。
使用弾薬:12ゲージショットシェル 装弾数:4発

【防弾チョッキ】
服の内側に着込んで使う、拳銃弾程度なら防ぐ事ができる特殊繊維製のチョッキ。
但し斬撃や刺突に弱く、重い。過信は禁物。

【RPG7】
旧ソ連が1960年代に開発した個人携帯可能な肩付け式の対戦車/軽装甲火器。
RPGとはロシア語の「Ручной Противотанковый Гранатомёт」の
英語綴り「Ruchnoy Protivotankovyi Granatomet」の頭文字で、携帯式対戦車榴弾発射器の意。
「Rocket Propelled Grenade(ロケット推進式榴弾)」の略称とされることもあるがこちらは誤り。
なまじ意味が通るゆえ広く後者の語で紹介されている。
軌道が直線に近いため命中率が高い。
使用弾薬:85o対戦車擲弾 装弾数:1発
19 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/16(金) 01:56:39 ID:e96RAIEI
投下終了です。なんか不満の残る文になってしまった…。早く話を進めないと。
20創る名無しに見る名無し:2010/04/16(金) 01:58:46 ID:7QpwOSh6
とうかおつです
でも早くしすぎてクオリティを下げないようにしてくださいね
21 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/17(土) 01:50:25 ID:7n5DJ7Q6
投下します。俺得ロワ26話「光は希望とは限らない」
登場:野比のび太、神山アキナ
22光は希望とは限らない ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/17(土) 01:52:47 ID:7n5DJ7Q6
26話 光は希望とは限らない

気持ち斜めに傾いている座礁客船内の客室区画通路を、
懐中電灯で前方を照らしながら、眼鏡を掛けた少年、野比のび太は歩いていた。
時折どこからともなく響いてくる船が軋む音、そして光が届かない暗闇の部分に怯えながらも、
必死に自分の萎えそうになる気持ちを自分で励ましながらのび太は通路を進む。
しかし、元々のび太少年は暗がり等の、いわゆる「怖い物」が苦手なのだ。

「ひっ!!」

故にどこかから聞こえた謎の物音にも敏感に反応し情けない声を上げてしまう。
誰かいないかとこの座礁客船内を探索していたのび太だったが、
一人で回るには船は広過ぎた。ましてや電力が完全に死んでいるようで、
電源のスイッチと思しき物を押しても何の反応も返ってこず、更に、
停電の際にも点くようになっているはずの非常口案内看板や消火栓のランプも消えていた。

窓があるレセプションエリアやプロムナードデッキなどならともかく、
船内通路は照明が落ちれば最早真っ暗闇、一切何も見えなくなる場所が多い。
懐中電灯で照らしてはいるが、もしこの暗闇の中で懐中電灯の電池が切れたりでもしたら、
そう思うだけでのび太の心は張り裂けそうだった。

「も、もう駄目。僕、こんな所、もういられない…誰もいないよね。
これだけ探していないんだから、だれもいないよね。もう駄目。
僕、もう、出よう」

今やのび太の思考は「自分の友人及び仲間になってくれそうな人を探す事」から、
「この船から逃げ出したい」に完全シフトされていた。

その時だった。のび太の背後からある物音が聞こえた。
その瞬間、のび太の動きが止まる。危うく呼吸まで止めそうになった。
ある物音――扉のノブが周り、開く音。

「あ、あの――」
「……へ?」

恐る恐る振り向いたのび太の懐中電灯の光に照らされたのは人間の若い女性。
少し眩しげに顔に手を翳しつつものび太の事を見る、バニーガールの格好をした女性――神山アキナだった。



折り畳まれた木製のデッキチェアーや、ボートダビット、救命ボートなどがある甲板。
島のある側、左舷側のベンチに、のび太とアキナは座って話をしていた。

「それじゃあ、アキナさんはこの殺し合いが始まってからずっとこの船に?」
「うん、下手に動き回るよりは安全かな、と思って……」

アキナは最初のスタート地点であった座礁クルーズ客船内の客室で、
のび太と遭遇するまで支給品である食糧の菓子パンやおにぎりを口にしたり、
客室内に残されていた週刊誌を読んだり、それでも気が紛れない時は、
自分で自分の乳首をしゃぶれないか挑戦したり(舌の先が辛うじて届いただけだった)、
とにかく考え得る様々な暇潰しを行っていた。
23光は希望とは限らない ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/17(土) 01:54:46 ID:7n5DJ7Q6
殺し合いの状況下で暇潰しというのもおかしいかもしれないが、
アキナにとっては時間を潰すというよりも、いつ襲われるか分からない、
いつ自分が死ぬか分からないという恐怖から逃れたいという意味合いの方が強かった。

ちなみにアキナは、セルフ乳首舐めの件は話さなかった。流石にまずいと思ったのだろう。

「でも、部屋の外から、誰かの足音が聞こえたから、
ちょっと、様子見のつもりで部屋から出たら…」
「僕と鉢合わせになったんだね?」
「うん……でも良かった。最初に出会えたのがのび太君みたいな人で。
もし殺し合いに乗っていた人だったら、私、今頃死んでいたかもしれない。
の、のび太君、一緒にいちゃ、駄目かな」

この殺し合いにおいて最初に出会った人間であり、
殺し合いに乗っていない事が分かった人間であるのび太に対し、アキナが請う。
のび太は少し考えたが、死の恐怖に独りで怯える目の前の女性を、
放っておく事などのび太にはできなかった。

「…分かったよアキナさん。僕と一緒に行こう。
一人くらいなら守れるよ」
「あ、ありがとう、のび太君」

同行する事を許してくれた少年に対し感謝の言葉を述べるアキナ。
年上の、しかもまだ小学校高学年の純朴な少年であるのび太から見れば、
目の毒とも言えるような格好をした美しい女性からの謝礼に、思わずのび太の顔が赤らむ。

(い、いやいや、僕にはしずかちゃんがいるんだからっ)

表面上には出さないが、心の中で必死に自制するのび太。

「そう言えば……のび太君は、この殺し合いに友達が呼ばれてるんだったっけ?」
「えっ? あ……うん……」

アキナからの問いに、のび太は殺し合いに呼ばれた友達三人の事、
そして開催式で見せしめに殺された唯一無二の大親友の事を思い出す。

「…ドラえもん…」
「え…? ドラえもん、って…あ!」

のび太が思わず口にした名前、そしてのび太の声色で、アキナは気付く。
開催式の時、首輪爆破の見せしめに殺された青い耳のない猫のようなロボット。
それを止めようとし、そしてロボットが破壊された時慟哭していた少年。
その少年も「ドラえもん」と叫んでいた。その少年の声と、目の前の眼鏡を掛けた少年の声は、同じ。

「あなた…あの開催式の時の……」
「……大事な、友達だったんだ」

のび太が少し俯き加減で、静かに言った。
24光は希望とは限らない ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/17(土) 01:56:39 ID:7n5DJ7Q6
「一緒に暮らして、冒険したりして、たまに、喧嘩もしたけど…でも、
本当に、大事な友達だったんだ。なのに……!」

静かだった口調は次第に震え、怒気が籠っていく。
アキナはそれをただ黙って聞いているしかなかった。

「僕は絶対、こんな殺し合いから脱出してやるんだ。
ドラえもんのためにも、絶対に! 勿論、友達も一緒にね。
それから、アキナさんも。絶対、みんなで一緒に脱出しよう!」
「……うん!」

大切な友達を理不尽に殺されて尚、その悲しみに飲まれる事なく、
殺し合いからの脱出を目指す、目の前の少年を見て、今まで恐怖と絶望の色に染まっていたアキナの心に、
希望という名の明るい色が差し込み始めた。

「ところで…アキナさんの支給品は何だったの? 僕はこの拳銃と、
予備のマガジンだったんだ」
「私は…拡声器と……毒薬、だね」

アキナが自分のデイパックから拡声器と小さな瓶に入った劇薬、
シアン化リウムを取り出しのび太に見せる。
拡声器を見たのび太がある事を閃いた。そしてその閃いた事をアキナに提案する。
最初アキナはそれに難色を示していたが、のび太の熱意に押され、承諾した。



「それじゃ、やるよ? アキナさん」
「うん…」

甲板からうっすら見える山の影、陸地に向けて、
のび太が拡声器越しに演説を始めた。



『僕は野比のび太と言います! 今、エリアE-1にある座礁した船の甲板にいます!
この放送を聞いている人、もし殺し合いをする気がなかったら、
お願いです! どうかE-1の座礁船まで来て下さい!
僕はこの殺し合いから脱出しようと思っています! みんなで協力すれば、
きっと何とかなるはずです!! 

しずかちゃん! ジャイアン! スネ夫! もし聞こえていたら、
お願いだ! 座礁船まで来て!!』



その後ものび太による演説が、会場である島の東部、座礁船周辺に響き渡った。
25光は希望とは限らない ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/17(土) 01:57:40 ID:7n5DJ7Q6
【一日目黎明/E-1座礁客船:左舷甲板】

【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:健康、リリア・ミスティーズに対する怒りと憎しみ、拡声器で演説中
[装備]:H&K MARK23(12/12)、拡声器
[持物]:基本支給品一式、H&K MARK23のリロードマガジン(12×5)
[思考]:
0:殺し合いを潰す。友人達と一緒に脱出する。
1:拡声器で放送を流し、仲間を集う。
2:アキナさんと行動する。
3:襲われたら戦う。

【神山アキナ@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、シアン化リウム
[思考]:
0:死にたくない。
1:のび太君と行動する。
2:武器が欲しい。



※座礁客船を中心にかなり広範囲に野比のび太の放送が響きました。
26 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/17(土) 02:03:50 ID:7n5DJ7Q6
投下終了です。
27 ◆./E67fc44A :2010/04/17(土) 12:35:00 ID:Eaa6fNkh
投下乙です。

・その日の気分ロワ「まったり暗黒チャットをしていってね!」
探偵さんがどう動くのか…いや、戦人さんを追っかけ回すんでしょうけどねw

・無謀ロワ「殺戮遊戯」
歳が歳だかr仕方ないとはいえ、ポケモン勢へタレ率高いなwまぁポケスペ版ならともかく、ゲーム版なら仕方ないですね。

・俺得ロワ「The unexpectedness and it are fatal.」
やったねエルちゃん、探知機ゲットだ!

・文書練習ロワ「稟の燈と歌うゴスロリ女」
ああ、稟君がいきなり死亡フラグを…君が死んだら、発狂マーダーが増えかねないんだから頑張ってくれー!

・リピーターロワ「人手が欲しい/こんな事できるのはカオスか非リレーだけ」
凄い組み合わせが出てきた…と思ったら、まさかの妄想オチですかw

・俺得ロワ「異世界と異文化」
ドーラとガーゴイルの出会い、そして気付かない世界観の違い。いつ二人はそれに気付くのか?

・同上「光は希望とは限らない」
強いなぁ、のび太は…でも、探し人の内二人は死亡、残る一人はステルス(?)マーダー…

ヒャッホウ、約一ヶ月ぶりの投下だぁー!

節操無しロワ
第九話「THE GATE OF MAGUS」
登場人物 ドリス、ゼンガー・ゾンボルト、相良宗介
28THE GATE OF MAGUS ◆./E67fc44A :2010/04/17(土) 12:38:00 ID:Eaa6fNkh
あれ、名前欄がおかしい事に…まぁいいや


「大変な事になったわねー…」

思わずそうぼやきながら髪を掻き毟ってみるも、事態が変わる訳も無い。
私――ドリスは、気がついたら殺し合いに参加させられていた。
何を馬鹿いってるんだと思うだろう、実際私自身がそう思う。

「そもそも、私はグランバニア城の自室で寝てたハズなんだけど…ここは一体何処なのよ、まったく…もう」
誰に言うでも無くぶつぶつと愚痴を垂れるも、返事は返ってこない…当然の事だが。


彼女が飛ばされた場所は、地面から巨大な四角い物体が大量に生えており、前も後ろも右も左も同じ様な光景が延々と続いていた。
…仮にもし、ドリスの元いた場所にビルと言う物があれば、その正体に思い当たったかもしれない。
とはしかし、ビルなどという物を見た事も聞いた事もないドリスがそれを知る事もないのだが、さて。

「って言うか、こんな所で油売ってる場合じゃないわね」

ひとしきり愚痴をこぼして頭が冷えたのか、ドリスは自分のデイバッグを背負うと取りあえず自分の向いていた方角に向かって歩き出した。

(参加者の中でのアタシの知り合いは四人…)
その内三人、テン、ソラ―――そして、カデシュ。
彼ら三人は間違いなくこんな馬鹿げたゲームに乗ったりはしないだろう、そうドリスは断言できた。
残る一人であるヤグナーに関しては…正直、さっさと見つけ出してふんじばっておきたい、というのが本音だ。

元々敵対しているからというのもあるが、一番の理由としては、単純にアイツは信用できない。ただそれだけだ。
何せ自らの利益のために、他人は勿論、知人や仲間だったはずの奴すらあっさり捨て駒にするような奴だ。
自然とドリスの脳裏に、いざと言う時は頼りになるが、普段はアホやってるだけの海賊船長の顔が浮かんだ。

(…オーゼルグの奴、元気かなぁ…)

…などと物思いに耽っている暇も無いので、さっさと海賊船長を頭の中から締め出す。

まぁ、とにかくヤグナーは警戒しておく必要がある、これは確定だ。

さて、次はどう動くかを決めなくてはならない。


首輪に関しては、正直自分では何の対処も出来ないだろうから、後回しにするしかない。
あのふざけた主催者の居場所を調べるとしても、自分一人で調べられる範囲には限界がある。


となると、自然とする事は決まってくる。
あれだけの人がいたのだ、もしかしたら首輪を外せる様な人間もこの場にいるかもしれない。
何も主催者を倒す必要は無いのだ、この首輪さえ外せれば、後はこの会場から逃げ出してしまえばいい。
…もちろん、可能ならば主催者達を思いっきりぶちのめしたい、という気持ちもある。
あの場で、あまりにも唐突の事だったとはいえ、少女の首が吹き飛ばされたのをただ黙って見ていただけだった事が、悔しくて仕方なかった。
29THE GATE OF MAGUS ◆./E67fc44A :2010/04/17(土) 12:40:48 ID:Eaa6fNkh
だが首輪が付いている時点で、主催への反逆は不可能だ。
例え外せたとしても、あの異常な力を持った存在に勝てるかどうか分からない。
…となると、少なくとも現状に置ける自分の目標は、主催者の打倒ではなく、この会場から逃げる事。
あくまで自分達の勝利条件はこのゲームから脱出する事なのだ。


とりあえずの方針としては――――テン、ソラ、カデシュ達を探しつつ、殺し合いを壊そうとしている人たちとの合流、といった所だろう。
何をするにもまずは知り合いの安全を確保してからだ。
よし、そうと決まったら―――

そこまで考えた所でドリスの思考は中断された。
なぜなら彼女の前方、100メートル程先に、一人の男が佇んでいたからだ。

「…!?」
考え事をしていたとはいえ、いきなり目の前に人が現れたのだ、それはもう驚いた。
対して目前の男は反応する事も無く、ただその場に立ち尽くしている。
前側に強い癖と跳ねのある銀髪と、いかついなんていうもんじゃない顔つきは、はっきり言って恐い。
でも、いきなり襲ってこない所からして、殺し合いには乗っていないんだろうけど…


どう対応するべきか、ドリスがやや困ったような表情を浮かべていると、その心情を察してくれたのか、前の男が口を開いた。

「…我が名はゼンガー。ゼンガー・ゾンボルト」

いきなり挨拶もなしに名乗りを挙げてきた、が、ドリスとしてもどう対応すれば良いかが分かったのでよしとする。
名前を名乗って来たという事は、自分とコンタクトを取りたいという事だろう。
自然と口からは安堵の息が漏れる。
そうだよね、人の事を見た目だけで疑うなんて失礼だよね、たはは。

「ああ御免なさい、黙っちゃって。私はドリス、勿論こんな殺し合いには――」
そこまで喋り、ドリスは前髪に隠れていたゼンガーの目を見た。
30THE GATE OF MAGUS ◆./E67fc44A :2010/04/17(土) 12:42:27 ID:Eaa6fNkh
その瞬間、ドリスから言葉が消失した。







今まで彼女は、親族であり、大切な人たちから託された双子の兄妹、テンとソラを守る為にそれ相応の戦いをしてきたつもりだ。
その際には、命を落としかねない局面とて何度かあったし、それなりの悪党も見てきたつもりだ。
それでも、いや、だからこそだろうか、その目を見たときに、もうドリスは一言も言葉を発せなくなってしまった。
それどころか、ゼンガーの行動の一つ一つを見ながらも、それらに対する思考がまったく追いつかない。


―――何故、目の前の男は腰に差してある刀を抜いたのか。


―――何故、男はそのまま自分の下へ歩いてきているのか。


―――何故、そこまで底冷えする殺気を初対面の自分に向けているのだろうか。


そして、ゼンガーと名乗った男は一歩、また一歩とドリスに歩み寄りながら、口を開く。
その言葉が終わる時が、ドリスを××す時だとでも言うかのように。

「娘…ドリスよ、今一度聞け。我はゼンガー。ゼンガー・ゾンボルト」

もう刀はドリスに届く距離まで来ている。
そして、その距離が縮めば縮むほど、己の命が毟り取られていく様なおぞましい感覚がドリスの中を駆け巡る。



「我こそは―――」



その感覚に応えるかの様に、ゼンガーは刀を構え、獲物を見つけた猛獣の様な眼でドリスを睨んだ。
そして、


「――――――メイガスの、剣なり!」


咆哮と共に、ドリスに刀を振るい―――



31THE GATE OF MAGUS ◆./E67fc44A :2010/04/17(土) 12:44:14 ID:Eaa6fNkh
金属がぶつかる音と共に、刀が根元から吹き飛んだ。

「何っ!?」「えっ?」
声は斬られる筈だった少女と斬るつもりだった男の双方の口から漏れ、互いに動きが止まる。

「な、なんだか良く分かんないけど、今の内!」
そして一瞬先に硬直を解いたドリスはバックステップを踏み、ゼンガーに背を向け、その場から疾走した。

「くっ…!」
後ろからゼンガーの声が聞こえたが、それとほぼ同時に、何処からかゼンガーの刀を折った一撃が再び飛来してくる。
どうやら誰かが自分を援護してくれている様だ。
その正体や目的も気になるが、今はその好意を受け取ってこの場から逃げさせ貰うしかないと判断、そのまま思考を中断し、ただただ全力でドリスはその場から逃走していった。

 ◇ ◇ ◇

(仕留め損ねたか…)

とある廃ビルの屋上にて、弓を持ちながらその場を後にする男がいた。
ざっくらばんに切られた髪と頬に付いているバツ印、そしてムッツリとした表情が特徴的なその男の名は、相良宗介といった。
青髪の少女を逃がす事に成功した事を声を上げ喜ぶでもなく、宗介はただ淡々とこの廃ビルから離脱する為の準備を進めるだけだった。
そもそも、この青年は一つの作戦が成功した所で一々馬鹿騒ぎをする様な性格ではないのだ。
むしろ、慣れない武器を使用した結果、殺し合いに乗っていたと思われる男を倒せなかった事に歯噛みしていた。

(……)

宗介は歩みの速度はそのままに、しかし頭の中ではこの異常事態への対処法を考えていた(とはいえ、それでも警戒は全く怠っていない所はさすがと言うべきか)

(敵の狙いは何だ?大佐殿を拉致する所までは理解できる、しかしわざわざ俺や民間人を大量に拉致し、あまつさえこの殺し合いの中にわざわざ拉致した大佐殿を参加させるべきメリット等何一つない)
宗介の言う大佐殿――――テレサ・テスタロッサ。愛称としてテッサとも呼ばれる少女は、壊滅させられたミスリル残党達の事実上の現指導者だ。
各地の紛争やテロ活動、ひいては国際問題になりかねない様な災いの芽を摘み取り、世界の安定化を図っていた、秘密組織ミスリル。
しかし、その存在を厄介視した国際極秘武装売買組織―――アマルガムによって、ミスリルは壊滅、宗介の所属していた西大西洋戦隊も取り返しの聞かない規模の状態となっていた。
だが、それでも彼らの隊長であったテッサは、なんとかアマルガムに対抗する為に奔走し、結果アマルガムの幹部達は未だ自分達の事を『厄介な敵』と認識している状態にあった。
そして宗介は、彼女と共に、ある場所に向かうヘリの中にいた筈なのだが―――

(敵の正体はアマルガムか?組織そのものはともかく、レナード・テスタロッサならば大佐殿をこの茶番に巻き込む可能性もあるが…)
頭の中で、テッサの実兄にして、宗介の最大の『敵』である男の嫌味な笑い顔が浮かぶも、それを振り払い、立ち止まる。
ビルの入口に辿り着いたからだ。

(何を考えるにしても、情報不足か)
そこまで考え、入口の内外周辺の安全を確認し、物音を立てないようにしつつ移動を開始した。

(出来る限りの情報を収集しつつ大佐殿と合流する…それしか無いか)
ウィスパードであるテッサに可能な限りこの会場や主催者、首輪に関する情報等が手に入れば、あるいは何らかの打開策を考え付いてくれるかも知れない。
だがテッサは正直いって、直接的な戦闘ではまるで無力と言わざるを得ない。
何とか早期に合流を果たし、危険から守らなければ―――

そして、最後に名簿に乗っていた一人の人間の名を思い出した。
(ガウルン…か、おそらくは同姓同名の別人か、奴の弟子か何かか…?)

かつて自らに相対した最悪の屑の顔が一瞬頭を過ぎるも、直ぐにそれを締め出し、とくに考えもしなかった。
32THE GATE OF MAGUS ◆./E67fc44A :2010/04/17(土) 12:49:56 ID:Eaa6fNkh
そんな事を考えつつ、幾つ目かの曲がり角を曲がって行った時、宗介は一瞬眉を吊り上げ、そして己の判断に呆れ返り、近くの自販機の影に身を潜めた。
向かいの町らしきポイントへ向かうには橋を渡る必要があり、人探し、そして殺し合いに乗った人間の排除、という目的に都合が良いと思ったからだ。

だが、そんな事は少し考えれば誰でも分かる事。
故に、橋で獲物を待ちわびる獣が現れるのは必定。

先程自らの矢によって折れた刀を腰に差し、しかしその迫力は遠くから見るのと近くで感じるのでは大違いだった。
その男は、その目を自らの隠れている物陰へと移し、そのままねめ回す様にこちらを睨んでいた。

―――ばれている。

確信に近い物を感じ、デイバッグから再び弓と矢を取り出す。

「……出てくるが良い。」
周りの遮蔽物、足場の状況を確認し、自らと相手のコンディションを推定する。

「我はゼンガー、ゼンガー・ゾンボルト、メイガスの剣なり」
こちらとしてはさっさとその身体に穴を開けさせてもらい、町に向かいたいのだ。
正々堂々とした勝負をするつもり等更々ない。
(悪いが、道を空けてもらうぞ)

「我がメイガスの生涯となりえる者は、俺がメイガスの元へ戻るのを邪魔するものは、我が剣の前にて、今日この地にて…費えるのだああぁぁぁ!!!!」

「悪いが、断る!」
互いに叫び、ゼンガーと宗介は互いの武器を構え、ぶつかり合う。
対峙する彼らの感情は、少なくとも表向きはまるで逆さま。
静と激、それぞれの感情を宿したまま、二人の戦士はぶつかり合う。
33THE GATE OF MAGUS ◆./E67fc44A :2010/04/17(土) 12:51:31 ID:Eaa6fNkh
【E-2/町外れ/一日目/深夜】
【ゼンガー・ゾンボルト@スーパーロボット大戦オリジナル@】
[状態]: 健康
[服装]: ゼンガーの服
[装備]: ゲンジマルの刀(折れている)@うたわれるもの
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×?
[思考]
基本:殺し合いに優勝し、メイガスの元へ帰る
0: 目の前の男を殺す
1: 取り逃がした娘も追い、殺す
2: 代わりの剣が欲しい
[備考]
※α外伝、敵状態の参戦です
※メイガスの洗脳に関しては特に制限などは掛かっていません。

【相良宗介@フルメタル・パニック!】
[状態]: 健康
[服装]: AS操縦服
[装備]: 京の弓@真剣で私に恋しなさい!(矢残り26本)
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×?
[思考]
基本:殺し合いには乗らないが、乗った他参加者は殺害も辞さない
0: 銀髪の男を迎撃する。
1: テッサを探す。
2: 可能な限り、情報を集める。
[備考]
※原作小説「せまるニック・オブ・タイム」ヤムスク11到達直前からの参戦です。
※ガウルンは別人だと思っています。

【ドリス@ドラゴンクエスト天空物語】
[状態]: 困惑、ダッシュ
[服装]: 私服
[装備]: 無し
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×?
[思考]
基本:知り合いと共に、この会場から脱出する。
0: ゼンガーから逃げる!全速で!!
1: テン、ソラ、カデシュを見つけ出す
2: ヤグナーは見つけ次第捕まえる。
3; 誰が助けてくれたんだろう?
[備考]
※少なくとも10巻以降からの参戦です。
※ドリスは橋を越え、町方面に逃走しました。
34 ◆./E67fc44A :2010/04/17(土) 12:52:55 ID:Eaa6fNkh
以上で投下終了です。
あー駄目だ、全然緊張感とか出てないし会話内容はgdgdだし…


そういえばいきなりですが、皆さんはパロロワで興味を持った作品ってどれ程ありますか?

私はとりあえず、うたわれるもの、つよきす(ギャルゲロワ)、ブラック・ラグーン、ヘルシング(アニロワ)、バッカーノ!、グレンラガン(アニロワ2)あたりでしょうか。


それと避難所に投下された、あるいはこれから投下される作品は、誰かが本スレに代理投下した方がいいんでしょうか?
代理投下願いとかある時だけでいいんでしょうかね?
35 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/17(土) 17:01:09 ID:7n5DJ7Q6
投下乙です。

>>34

パロロワで興味を持った作品ですか。自分は…。
うたわれるもの(アニロワ、ギャルゲロワ)、ブラックラグーン(アニロワ)、なのはシリーズ(アニロワ、kskアニロワ)、
らき☆すた(オールロワ、アニロワ2、ニコロワ)、カイジシリーズ(アニロワ3)、銀魂(漫画ロワ、新漫画ロワ)、
つよきす(ギャルゲロワ)、君が望む永遠(ギャルゲロワ)、聖剣伝説LOM(動物ロワ)
…でしょうか。

代理投下の件は…自分としては代理投下願いがある時だけでも
いいと思いますが、あくまで自分個人の意見です。

投下します。俺得ロワ27話「声が届いた、届いた人はどう動く?」
登場:ミーウ、永倉萌、死神五世

時間帯が深夜から、黎明になりました。
27話 声が届いた、届いた人はどう動く?

「潮風は嫌ね…毛皮がベタついて」

海岸沿いの幹線道路を、吹き抜ける潮風をその身に受けながら、
突撃銃――H&K G3を携えた狐獣人の少女、ミーウは歩いていた。
数時間前に自分に襲撃を仕掛けてきた緑色の竜を殺害し、
その竜が持っていたG3と水・食糧を奪い取ってから、ミーウは幹線道路を南下していた。
現在の所、まだ他参加者とは遭遇していなかった。

「ん…?」

アスファルトの上を歩くミーウが足を止める。
先端の色が濃い狐の耳がピクピクと動く。
海の方向から聞こえる波の音、反対側の森の方向から聞こえる葉が擦れ合う音、
そして吹き抜ける潮風の音の他に、ミーウの気を引く音が聞こえ始めていたからだ。

『…………のび太と言います! 今、エリアE-1………座礁した船…甲板にい……!
この放送を………いる人、もし殺し合いをする気…なかったら、
お……です! どうかE-1の………まで来て……い!』

自分から見て前方から、微かだが確かに聞こえる何者かの放送。
当然だがまだ定時放送の時刻ではない、だとするならあれは参加者の誰かが、
恐らく拡声器か何かを使って流しているものと思われる。

「のび太…? そういえば名簿にそんな名前があったわね」

放送主のものと思われる「のび太」という名前は名簿に書かれていた、
「野比のび太」と同一であると考えて良さそうだ。
声色からしてまだ少年だろうか、この殺し合いの中、放送で仲間を集うつもりなのだろう。

だが――と、ミーウはのび太なる人物の行動を愚かだと感じる。

「あれじゃ、わざわざ『僕はここにいます、殺しにきて下さい』って言っているようなもんじゃない」

そう、この殺し合いの中で大声を出して自分の存在をアピールするという事は、
正に自殺行為に等しい、軽率かつ浅慮な行動である。
もっともそんな事を分かっているのならあのような事はしないだろうが。
それとも、獲物を誘き出すためにその事を承知の上であえて放送を行っているのか。
だが、どちらにしても、ミーウの取る行動はただ一つ。

「いいわ、行ってあげる。今からね。のび太君とやら…フフフ」

不敵な笑みをこぼしながらミーウが放送の聞こえる方向へと歩き始める。
桃髪ツインテールのセーラー服姿の少女、
永倉萌はE-3の森の中に捨てられていた廃車の中に身を潜めていた。

『…………の…………いま…! 今、エリ………………………した…………にい……!
こ………を………いる人、もし殺し…………る気…なかったら、
………です! どうか………の………まで……………!』

「え? 何…?」

突然、どこか遠くから少年のものと思しき声が響いてきた事に萌が驚いた。
スピーカーか何かの放送機器越しに喋っているのかくぐもった音質の上に、
かなり遠い所から発せられているらしくほとんど何を言っているのか聞き取れない。
そのため辛うじて聞き取れた断片的な単語を全て繋ぎ合わせ、

考え得る限り補完し意味を考えていたが、やはりそれが明確になる事はない。
放送の主が何て言っていたのか少し気になったが、
それが今の萌にとっては行動を起こす理由とはならなかったようだ。

「何て言ってたんだろ。まぁいいや…」

これ以上気にする事もないと判断した萌は、限界まで背もたれを倒した座席に仰向けになり、
部分部分黒ずんでしまっている天井を眺めた。
かれこれ2時間程、こうしてたまたま見付けたこの廃車の中で、
萌は何もせずじっとしていた。
とてつもなく退屈で、だが寝込みを襲われるのを恐れ眠りにつく事もできない。
だが、下手に動き回るより絶対安全だと考えていた。

ふと、窓ガラスの割れた窓から夜空を覗けば満天の星空。

「あ、綺麗」

思えば星空を見上げた事なんて久し振りだと、萌は思った。
『僕は野比のび太と言います! 今、エリアE-1にある座礁した船の甲板にいます!
この放送を聞いている人、もし殺し合いをする気がなかったら、
お願いです! どうかE-1の座礁船まで来て下さい!
僕はこの殺し合いから脱出しようと思っています! みんなで協力すれば、
きっと何とかなるはずです!!』

「な、何だ!? あの船からか…?」

廃精神病院を後にした死神五世は、しばらく南下しエリアE-2の北端辺りで、
非常に鮮明に聞こえる放送を耳にした。

「あの船か…?」

五世の視線の先には暗闇に僅かに浮かび上がる座礁客船。
先程の放送はあの船のある方向から聞こえてきた。

『どうか、僕達を信じて下さい!』

今度は間違いない。座礁客船から何かしらの放送器具を使って、
仲間を集めるため、不戦を呼び掛けるための演説を行っている者がいる。
死神五世が苦い顔をする。一見、良策に思えるがとんでもない。
わざわざ自分の居場所を大っぴらに知らせる危険極まりない行為に他ならない。
放送主――野比のび太、声から察するにまだ少年――は、その事に気付いていないのか、
それとも分かってて、危険を承知の上で行っているのかは不明だが、このまま見過ごす訳にもいかない。

「あんな大きな声出していたら絶好の的になっちまうぞ。
…仕方ねぇな、くそっ」

やむを得ず死神五世は放送主がいると思われる座礁客船を足を進め始めた。



【一日目黎明/D-1平野:幹線道路】

【ミーウ@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、潮風の影響で毛皮にベタつき、E-1座礁客船へ移動中
[装備]:H&K G3(20/20)
[持物]:基本支給品一式、H&K G3のリロードマガジン(20×10)、
トマホーク(3、内2本に血痕付着)、ニコライの水と食糧
[思考]:
0:殺し合いに乗る。
1:E-1座礁客船に向かう。放送を行った者を殺す。
2:可愛い子(女の子優先)がいたら…フフフ。
※参戦時期は本編死亡後です。
※名簿に書かれた主催者と同姓の二人が気になっています。
【一日目黎明/E-3森:廃車内】

【永倉萌@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:木刀、ハーフキャップヘルメット
[持物]:基本支給品一式
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。死にたくない。
1:しばらく廃車の中に隠れる。
※野比のび太による放送は断片的にしか聞き取れていません。
内容も理解できないので放置しておく事にしたようです。


【一日目黎明/E-2平野】

【死神五世@VIPRPG】
[状態]:健康、E-1座礁客船へ移動中
[装備]:脇差、マカロフ(7/8)
[持物]:基本支給品一式、ノートパソコン、マカロフのリロードマガジン(8×5)、島崎隆博の水と食糧
[思考]:
0:仲間と共に殺し合いからの脱出。
1:E-1座礁客船に向かう。放送を行った者を保護する。
2:ドラゴナス、ムシャ、デスシープの三人を捜す。勇者(アレックス)達はとりあえず放置。
3:襲われたら戦う。できる事なら説得してみる。
※能力に制限がかかっている事に気づきました。
※女体化から元に戻れません。
40 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/17(土) 17:09:59 ID:7n5DJ7Q6
投下終了です。のび太の呼び掛けが聞こえたのは全員女(一名は本当は男だが)。
41 ◆FqMKkvAsCA :2010/04/17(土) 17:48:11 ID:XlZdBBmU
投下乙ですー

>>34
感想ありがとうございます。
自分はスクライド、トライガン、ヘルシング、ブラックラグーン(アニ、アニ2)ですかね……。

光は希望とは限らない>のび太、頑張って女性を守ってやれよ。
でも放送を聞いたらどうなってしまうのだろうか……。

THE GATE OF MAGUS>これはいいところで切れますね……!
殺し合いにのる人間とのらない人間、勝つのはどちらになるのか……期待です。

声が届いた、届いた人はどう動く?>危険人物と役に立ちそうな人両方呼び寄せちゃったか……
死神さんが先に到着できればいいけど、遅かったら……その時はのび太逃げてー!!
42 ◆5ddd1Yaifw :2010/04/17(土) 19:10:46 ID:8eLyEtQF
とりあえず自分のはもうWiki編集しましたので代理投下しなくても大丈夫ですー。
興味を持った作品ですか……
RPGロワのLIVE A LIVEとか東方ロワ見て東方やったりとかですね。
43 ◆6LQfwU/9.M :2010/04/17(土) 19:13:52 ID:2yY1Ig+Z
お久です。
後から久々に投下する予定です。
44 ◆WYGPiuknm2 :2010/04/18(日) 21:20:25 ID:QXC4qMOq
興味を持った作品ですか。
新漫画ロワの未来日記ですかね。

…無謀ロワについては、今週中に投下する予定です。
45 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/19(月) 02:01:31 ID:pOrHwgpL
投下します。俺得ロワ28話「脳筋+うっかり獣人+GOMES」
登場:クリス・ミスティーズ、レオン・ミスティーズ、ゴメス
46脳筋+うっかり獣人+GOMES ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/19(月) 02:03:04 ID:pOrHwgpL
28話 脳筋・うっかり獣人・GOMES

「……!」

クリス・ミスティーズは、市街地の表通りを歩いていた時、
前方から自分の方に向かって歩いてくる人影に気付いた。
まだ夜明けまでかなり時間があり、街灯が点灯しているとは言え、
市街地は薄暗く歩いてくる人影の容貌はまだ窺い知る事はできない。
歩いてくる人影の方はクリスにはまだ気付いていないらしく、
何らリアクションを起こす事もなく、クリスの方へ歩み続ける。

声を掛けるべきか否か、いざという時のために腰ベルトに差し込んでおいた、
先の狼女性剣士との戦闘で少し刀身にヒビが入ってしまった三徳包丁を、
いつでも抜き取れるようにしながら、その人影に近付いていく。

しばらくして人影もクリスの存在に気付いたらしく、立ち止まった。
だがここでクリスはある疑問を抱く。かなり距離は近くなっているはずだが、
相手の人影の容貌はそれでもよく見えない。
その原因がその人影の正体が、黒い毛皮を持っていたため夜の闇に溶け込んでしまっていたためだと分かった時。
クリスとその人影は歓喜の声を上げた。

「伯父上! ご無事だったのですね!」
「クリス! まさかこんなに早く再会できるとは…」

クリスと、黒い毛皮を持った人狼――レオン・ミスティーズは、
お互いに再会できた事を喜び合った。
しかしその再会劇に水を差す者が現れる。

「もし、取り込み中すまないが……」
「「!!」」

森の方向に続く道路から二人に近付いて声を掛けたのは、
髭面の大柄な男、ゴメスだった。
不意に現れた男を、クリスとレオンは警戒する。
クリスは三徳包丁を、レオンは自動拳銃――シグザウアーSP2340をゴメスに向け構えた。

「おっと待て。ワシは殺し合いをする気はないぞ」
「それならまず、その手に持っている銃を地面に置いて貰う」

レオンが冷徹な声でゴメスに命じる。
言われるがまま、ゴメスがアスファルトの上に持っていた黒塗りのリボルバー、
スタームルガー ブラックホークを置く。

「これでどうだ?」
「伯父上…」
「うむ…どうやら殺し合う気は本当にないようだ、な…」

ゴメスに戦意なしと判断した二人は構えていた武器を下ろす。

「信じてくれたか?」
「ああ…とりあえずこんな道のど真ん中で立ち話をしているのも危険だ。
適当な建物の中に入って、そこで話をしよう」
「分かった」

47脳筋+うっかり獣人+GOMES ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/19(月) 02:04:28 ID:pOrHwgpL
三人は「南部」という表札が掲げられた平屋建ての民家に入った。
ベッド、デスクトップパソコンの置かれた机、本棚などが置かれた部屋で、
クリスが窓の雨戸を外を警戒しながら閉めた。
流石に暗過ぎるので明かりを点けるため、光が可能な限り外に漏れないようにするためである。
ゴメスが部屋の明かりを点けると、ここではっきりと、初めて三人は、
三人互いの容姿を確認できるようになった。
レオンが机の椅子、クリスがベッド、ゴメスが座布団の上に座った。

「まず改めて自己紹介しよう。俺はレオン・ミスティーズ。
そしてこっちが私の甥にあたる…」
「クリス・ミスティーズだ。貴方の名は?」
「ワシはゴメスだ。レオンにクリスか。宜しく…ん? ミスティーズ?
どこかで聞いたような……」
「……」
「伯父上…」

恐れていた事態にレオンとクリスは顔を見合わせる。

「そうだ! 確かミスティーズと言えば……この殺し合いの主催者と名字が同じ!
……お前達、何か関係があるのか?」

ゴメスが二人を問い質す。隠しても仕方ないと判断したレオンが口を開く。

「ああ。この殺し合いの主催者……リリア・ミスティーズは私の姪」
「俺にとっては、妹だ。そして…ミスティーズ王国第18代王女」
「やはり…名簿を見た時から気になってはいたが、主催者の血縁者だったのか。
……色々事情がありそうだな。良ければワシに話してくれんか?」

クリス、レオンの二人は、この殺し合いが起きる前に起きた、
魔王ガレスによる一連の事件、そしてリリアの性格や人間性についてゴメスに話した。
ゴメスにとっては別世界の出来事なのでミスティーズ王国の存在も、
魔王ガレスについても彼は全く知らない。
だが、彼の生きる「もしもの世界」には数多くの並行世界が存在するため、
恐らく目の前の二人もその並行世界のどれかの住人なのだろうとゴメスは心の中で結論付けた。

「……つまり、リリア・ミスティーズは相当に危険な人物、という事だな?」
「ああ。実の兄の俺が言うのも何だが、あの残虐性、攻撃性、そして唯我独尊。
今じゃ魔王としての力も手に入れてしまっている。
正に、魔王リリア……そう呼ぶに相応しい存在になり果ててしまった」
「…なぜこのような馬鹿げた殺戮ゲームを催したのかは、私達にも分からない。
あいつの思考は――もはや一般人のそれ、私達のそれとは別次元だ」

畏怖の感情をたっぷり込めた口調でクリスとレオンは語った。

「お前達も、大変だな…主催者の血縁者というだけで、あらぬ疑いを掛けられるんじゃないか?
主催者の手先だと誤解される可能性もあるぞ」
「そうなんだ。私達が危惧しているのはそれなんだが…今更言うまでもないと思うが、
私は殺し合いなどする気はない」
「勿論、俺もだ。何とかしてこの殺し合いを転覆させたい。
そしてリリアの奴を止めなければならない」

クリスもレオンも決意を固めていた。主催者の血縁者として、
殺し合いなど受け入れられない者として、何としてもこの殺し合いを潰さなければならないと。
もう現時点で何人か犠牲者が出ているかもしれない、
自分達の身勝手な親類のせいで、無関係の人々を地獄に落としてしまった事に、
二人は罪悪感を感じていたのだ。
48脳筋+うっかり獣人+GOMES ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/19(月) 02:05:51 ID:pOrHwgpL
「そうか。お前達の気持ちは分かった。ワシも協力しよう」
「本当か。ありがとう」

ゴメスはクリス、レオンに協力する意思を固め、二人はゴメスに深く感謝した。

「ゴメス、お前はこの殺し合いに知り合いは…」
「ああ、7人いる」
「な、7…!?」
「おっと気にする事はないぞ。血縁者とは言え、お前達には罪はないからな。
むしろお前達も被害者だ」

――そうは思ってくれない参加者もいるかもしれない、と、
レオンは心の中で呟いた。

「アレックス、ブライアン、ヘレン、ドラゴナス、死神五世、ムシャ、デスシープ。
…皆、こんな馬鹿げたゲームに乗るような奴じゃない、はずだが…。
できれば早めに合流したいものだ」
「「……」」
「おいおい二人共、言ってるだろう、お前達が気に病む事はないと」
「あ、ああ」
「だが…兄として、謝る。本当に、こんな事に巻きこんでしまってすまない。
ゴメス、お前にも、お前の知り合いにも、何て詫びたらいいのか…」
「詫びなどいらん。そうだな、強いていうなら、この殺し合いを破綻させ、
リリアに鉄槌を下して脱出する事が、最高の謝罪だろう」
「…ゴメス…」
「…ありがとう」

ゴメスの温かい言葉にクリスとレオンは少し救われたような気分になった。
今まで殺し合いなどを開催したリリアに対する怒り、絶望と、
殺し合いに参加させられた参加者達に対する罪悪感が大半を占めていた二人の心は、
少しではあるが明るい光が差し込み軽くなっていった。
その後三人は互いの支給品を確認したあと、これからの行動について話し合い始めた。

「まず、脱出するには……この首輪をどうにかする必要があるな」

レオンが自分の首にはめられた首輪を右手の爪で突く。

「そうだな。爆弾が内蔵されていると言っておったしな…機械知識がある奴がいれば。
あるいは外す手段も見付かるかもしれん」
「しかし伯父上、首輪を外したとしても易々と脱出ができるとも考えにくいですが」
「ああ。こんな大掛かりな舞台を用意しているくらいだ。監視体制も万全を期しているだろうな。
それに、今のリリアは強大な魔力も有しているはず。我々が首輪を外せたとしても、
生き残っている全員を……皆殺しにする、とも考えられる。
つまり、最終的にはリリアも何とかするしかない…という事、になるな」

脱出。一言で言えば簡単だが、それを達成するために乗り越えなければならない壁は、
三人にとって余りにも高く感じられた。
49脳筋+うっかり獣人+GOMES ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/19(月) 02:06:56 ID:pOrHwgpL
「何にせよ、首輪を外さなければ何もできない。首輪を外せるだけの、
機械知識を持った者…果たして参加者の中にいるかどうかは分からないが、
探す必要がある。それと、全員が全員殺し合いに乗っているというのはあるまい。
我々と同じ考えの奴も多いはずだ。仲間も集めよう」
「同時進行でいいからワシの知り合いも探してくれ」
「ああ。分かった」

行動方針が決まった所で、次にこれからの行き先を決める事となった。
レオンの地図を取り出し、それを見ながら協議する。
コンパスや周囲の地理から、おおよその現在位置は割り当てていた。

「今俺達がいるのは、多分、B-3辺りだと思う」
「主要な施設は南に集中しているな…東西にある海岸線沿いの道を通るか、
中央の森を突っ切って進むか…それとも比較的手近な施設を回るか」
「それなら希望があるんだが、いいか?」

ゴメスが二人に向けて言った。
まだ後ろめたさがあったのか、クリスとレオンはそれを承諾した。

「ここなんてどうだ?」

ゴメスがエリアC-7にある施設を指差して言った。
その施設名を見た時に、クリスとレオンは固まってしまった。




「「……男娼館……だと……!?」」




もしかしたら自分達はとんでもない男を味方にしてしまったのかもしれないと、
クリスとレオンは心の中で少し後悔していた。
50脳筋+うっかり獣人+GOMES ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/19(月) 02:07:42 ID:pOrHwgpL
【一日目黎明/B-3市街地:南部家】

【クリス・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:健康、硬直
[装備]:三徳包丁(刀身に僅かな亀裂有)
[持物]:基本支給品一式、双眼鏡
[思考]:
0:リリアを止める。そのためにもこの殺し合いを潰す。
1:な……何だと……!?
2:レオン、ゴメスと行動する。
3:首輪を外す手段を探す。
4:仲間を集める。同時進行でゴメスの知り合いも捜す。
5:襲われたら対処。
6:シェリー・ラクソマーコスには注意。
※参戦時期は本編終了後です。
※シェリー・ラクソマーコスの名前と容姿を記憶しました。

【レオン・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:健康、硬直
[装備]:シグザウアーSP2340(12/12)
[持物]:基本支給品一式、シグザウアーSP2340のリロードマガジン(12×5)
[思考]:
0:殺し合いを止め、リリアと会う。
1:な……何だと……!?
2:クリス、ゴメスと行動する。
3:仲間を集める。同時進行でゴメスの知り合いも捜す。
4:首輪を外す手段を探す。
5:襲われたらそれなりに対処はする。
※参戦時期は本編終了後です。
※拳銃の使い方を一通り覚えました。

【ゴメス@VIPRPG】
[状態]:健康
[装備]:スタームルガー ブラックホーク(6/6)
[持物]:基本支給品一式、.357マグナム弾(30)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。
1:あれ、何だか妙な空気になってるw
2:クリス、レオンと行動する。仲間を集める。
3:元世界の仲間、知人と合流したい。ただしヘレンとムシャは警戒。
4:首輪を外したい。
5:襲われたら説得してみる、無理なら戦うか逃げる。
51 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/19(月) 02:11:00 ID:pOrHwgpL
投下終了です。
52 ◆./E67fc44A :2010/04/19(月) 12:12:36 ID:UUSDwzhz
投下乙です。

・俺得ロワ「声が届いた、届いた人はどう動く?」
拡声器を使い、ピンチに陥る…ロワの定番ですね。

・同上「脳筋+うっかり獣人+GOMES」
何故そこを選んだww

節操無しロワ投下します。
第十話「正義の名の下に」
登場人物 ジャスティス、ラトゥーニ・スゥボータ
53正義の名の下に ◆./E67fc44A :2010/04/19(月) 12:15:16 ID:UUSDwzhz
「……なんだろう、これ」
参加者の一人、ラトゥーニは首を傾げていた。
その原因は自らの首に付けられた首輪でもなく、自らのデイバッグの中身についてでもなく、ましてや自分がフリフリのドレス姿でいる事でもない。

ラトゥーニの前には、一体のロボットらしき存在が倒れていた。
ロボットとはいっても、せいぜい3〜4メートルくらいの大きさで、とても人が入れるようなサイズでは無いのだが。

全身は白を基調とし、所々には青と赤のトリコロールカラーが使われている。
そう、まるでガン…

「……えっと、ガン…?」
そこまで思い出して、急に頭の中にもやがかかったかの様になり、その先に続く言葉が思い出せない。
誰かに言われるか、実物を見れば思い出せるのだろうけど……

(たしか、リュウセイと一緒に見た…えっと……?)

そんな事を考えながら頭を捻らせていると、自分のすぐ傍で小さな物音がした。
ロボットの指が僅かに動いたのだ。

「わっ!?」
突然の事に驚き、少し距離を置くもロボットは未だ動き出す気配が無い。
いや、正しくは指は動かしているが、それ以外の部分が上手く動かせないでいるようなのだ。

(ど、どうしよう…)
思わず唸りながら、ラトゥーニは頭を抱えた。
首輪が付いてるからにはこのロボットも参加者の一人と言う扱いなのだろう。
そこまではいい。

問題はこのロボットが、このゲームに乗る気か、否か、という所の一点に尽きる。
乗る気だったとしたら、何とか今の内に破壊しなければいけないし、でももし乗っていないなら…
そんな考えが堂々巡りをしていたが、ここで一つの案が浮かぶ。

直接聞いてみたらどうだろうか、と。
54正義の名の下に ◆./E67fc44A :2010/04/19(月) 12:15:58 ID:UUSDwzhz
何とも思慮の足りない判断だと思うが、他に方法も無いし、自分だっていつまでもこんな所にいる訳には行かないのだ。
ゼンガーや、それと警戒も必要だがおそらくはアクセルも、このゲームには乗っていないだろう。
彼らと早期に合流して、このゲームに巻き込まれた他の人達と一緒にここから脱出しなくてはいけないのだから。
それにさっきからの様子だと、どうやら動くのも困難のようだ、そこまで危険という訳でも無いだろう。
そう思いながら再びロボット(?)に視線を移し、この会場にいない仲間達に脱出を誓い、

「……あ、あの、私の言葉…分かる?」

そう声を掛けながら、もがいている巨人へと手を伸ばして、








伸ばしていた右手が、腕ごと真後ろに吹き飛んだ。






「……え…あ…?」

あまりにも唐突に起こった事態に、痛みが追いついてこない。
自分の身に何が起きたのか、どうして自分の右腕が無くなっているのか、それすらも分からない。


ただただ、その視線は鮮血をだらしなく垂らし続けている自らの右腕が『あった』場所に注がれており、右腕を動かそうとしても何の感覚も無く、ようやく自らの腕が吹き飛ばされた、という事実を理解した。


「ア、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァアアアアアァァァァァァァァァァァアア!!」
次いで襲ってきた想像を絶する痛みが身体を駆け巡り、自然と口からは絶叫が漏れる。
だが、その直後にはもう絶叫は止まっていた。
55正義の名の下に ◆./E67fc44A :2010/04/19(月) 12:16:45 ID:UUSDwzhz
何故なら

『……何と耳障りな不協和音だ、私が貴様らと同種だとしたら吐き気を催す所だろうな』

彼女の目前には、先程まで地面に仰向けに倒れていた筈の巨人が

『まったく虫唾が走るな。貴様らの様な脆弱で、他者から搾取する事しか出来ない害虫共がこの星の主の様な顔をしている事も、そんな害虫どもに搾取され続け、それを疑問にすら思わない我が同胞にも、だ』

腕を組み、絶対者として、喚いているラトゥーニの事を虫けらを観るかの様に、佇んでいた。

『だが今、私は三度目の復活を果たした。人間共を一匹残らず駆逐し、この星を我等ギアの楽園とする為に、蘇ったのだ!』

ラトゥーニはもはや、目の前の存在が何を言っているのか理解できなかったし、するつもりも無かった。
もはや、頭の中は目の前の巨人への恐怖で埋め尽くされていた。

―――早く逃げなくては、殺される。

踵を返し、溢れ出る鮮血も省みず、ラトゥーニはひたすらに走った。
その様を、巨人はただ見ているだけだった。
嘲笑するのでもなく、追い、殺すのでもなく、ただその背を見ていた。


『……黄泉路への土産話を聞かせてやっていたというのに、自ら寿命を縮めるか…つくづく、愚かな生き物だ』


―――ひたすらに、殺気だけを込めたその声を背に受けながら、ラトゥーニは走り続けた。




だが、その逃走劇もすぐに終わりを迎える事となる。
逃走しながらも、全く自分を追いかけてきている様子が無い事に疑問を持ったのか、ラトゥーニは恐怖に押しつぶされそうになりながらも、何とか後方を窺うことができた。

だが、この場におけるその行為は、終焉へのカウントダウンをこの目で確認してしまう事と同議であった。
巨人は両足を地面に広げ、何かに耐えるような体勢を作り出していた。
だがそれ以上に彼女の視線を釘付けにしたのが、巨人の両肩である。
両肩のアーマーが展開されており、その内部は高密度のエネルギーを収束させているのか、まばゆい光が周囲に飛び散り、キラキラと光っていた。

その光がもし自分に向け、放たれたらどうなるか等、子供にだって分かる。

「…だ」

身体の中で膨らみ続けていた死への恐怖が、その光景を前にして一気に膨張する。

「いやだ、イヤだぁっ!死にたくない、私、まだ死にたくないよぉ!!」

そう叫びながら、再び巨人に背を向け走り出す。
いつもの冷静さは、もう欠片ほども見られない。
それほどまでに、彼女は死が恐かった、恐ろしかった。

仲間達と出会う前の彼女なら、ここまで取り乱す事も無く、圧倒的な暴力を前に、ただうな垂れ、死を受け入れたかもしれない。
だが、今はもうそんな事考えられなかった。
56正義の名の下に ◆./E67fc44A :2010/04/19(月) 12:19:08 ID:UUSDwzhz

―――おいおい、ラトゥーニ、なんだぁそのゴスロリファッションは―――
―――いつでも帰ってきていいんだよ、だって、ここは私達の家なんだからね―――

自分の親になってくれた二人の男女がいた。


―――ラトゥーニ、私達、友達でしょう?―――

初めての、友達になってくれた少女がいた。


―――私は、マイ・コバヤシ―――

私と一緒に、彼を好きになった子がいた。


―――よっしゃー、食って食って食いまくるぜー!―――
―――コラバカ、お金を払うのはジャーダさんなのよ!?―――

兄と姉は、いつも私の事を心配してくれていた。


―――私の、本当の敵は!―――

私を、本当に愛してくれて、私達より先に行ってしまった人がいた。


―――おお、スゲーなこれ、SRX型のおにぎりか!ありがとよ、ラト―――

彼の笑顔を見ると、私の心は幸せで一杯になった。


そんな人達と、もう会えなくなる。
もう、話す事も、笑いあう事も、喧嘩する事も、好きだって告白する事も―――もう、出来なくなる。
ラトゥーニは、それが何よりも恐ろしかった。
腕が無い事よりも、死ぬほど痛い目に会う事よりも、ずっとずっと、恐ろしかった。

その時、足同士が縺れ、遂にその場に倒れこんでしまう。
そのまま後ろの巨人を見ると、もう後は発射するだけだと言わんばかりに、光が両肩に凝縮されていた。
57正義の名の下に ◆./E67fc44A :2010/04/19(月) 12:20:31 ID:UUSDwzhz
「い、やだ…」
それでも、ラトゥーニは諦めない。
地面を這いながら、それでも後方の巨人から一歩でも遠ざかり、生き延びるために地面を這いずる。

だが、もう駄目だった。
右腕は既に無く、左腕のみで動こうとしても、思うように動けない、血を流しすぎたのだ。

それでもただひたすらに地面を這って逃げようとするその姿は、まるで三流映画の小悪党の様だった。
だが、それが何だと言うのか。
彼女はただ生きたくて、もう一度みんなと笑い合いたくて、ただ、ただ、みんなと一緒にいたかっただけなのだ。

でも、もうそれは叶わない。

遠方から巨人の奇声が響き、それと同時に光が彼女に迫ってくる。
でも、もうその光を避けるだけの力は少女には、無い。

それでも彼女は、まだ地面を這って。
死にたくなくて。
ただ、死にたくなくて。

「リュウ…セ…」
彼女の呟きをかき消すように、光が彼女を飲み込まんと迫る。

奇跡が起きて、少女がこれを避けれる事も無く。
誰かが横から現れて、少女を救ってくれるわけでもなく。

ただ、光が少女を飲み込んでゆく。
そこには一片の救いも無く、ただ絶望と理不尽と暴力しかない。

それが、バトル・ロワイアルなのだから。


彼女はそのルールを真に理解できていなかっただけ。



それ以外には何も無く




結局、最後まで少女に少女に救いは訪れなかった。
58正義の名の下に ◆./E67fc44A :2010/04/19(月) 12:23:35 ID:UUSDwzhz
 ◇ ◇ ◇


『……妙だ、力が落ちている…?』
大地を抉り、コンクリートの床を粉砕し、少女の身体を消し飛ばした後を見た巨人は、しかし愉悦に浸るのでもなく、ただ訝しげに自らの不調を確認していた。

『それにこの虚脱感…力を使用した後の疲労が激しい、復活した直後の影響か?』
実際には首輪による制限が原因なのだが、その事にこの巨人は気付いていなかった。

『…まぁいい、しばらくすれば快復するだろう』
そう呟き、巨人は周囲を見回した。

もはやそこには何も無い。
ただ、この殺戮を繰り広げた巨人と―――巨人の一撃の範囲外に落ちていた、少女の右腕があるだけだ。

巨人はそれには見向きもせずに、宙に浮かび、移動を開始した。
『ム…あまり高くは飛べん…か。早く元の力を取り戻さなければな、そして―――』

そこまで語り、空中で静止した巨人は、背を丸めくっくっと笑い声を漏らした。

『そして…今度こそは貴様を殺し、人間共を根絶やしにしてやろうじゃないか…なぁ、フレデリック?』

かつて、人類の作り出した最強にして最悪の存在があった。
彼は作られた後、人類に対して自らとその同胞達の存在意義を提唱し、人間へと戦いを挑み、最後は自らに同調しなかった同胞により討たれた。
その存在の振るった力と脅威はあまりに大きく、その存在亡き後も世界に大きな爪痕を残した。
彼らは、そんなギアの事をまるで―――少なくとも、彼ら人類にとっては真逆の意である名を付け、恐れた。




           その名は、『正義』
59正義の名の下に ◆./E67fc44A :2010/04/19(月) 12:24:44 ID:UUSDwzhz
 ◇ ◇ ◇


『……妙だ、力が落ちている…?』
大地を抉り、コンクリートの床を粉砕し、少女の身体を消し飛ばした後を見た巨人は、しかし愉悦に浸るのでもなく、ただ訝しげに自らの不調を確認していた。

『それにこの虚脱感…力を使用した後の疲労が激しい、復活した直後の影響か?』
実際には首輪による制限が原因なのだが、その事にこの巨人は気付いていなかった。

『…まぁいい、しばらくすれば快復するだろう』
そう呟き、巨人は周囲を見回した。

もはやそこには何も無い。
ただ、この殺戮を繰り広げた巨人と―――巨人の一撃の範囲外に落ちていた、少女の右腕があるだけだ。

巨人はそれには見向きもせずに、宙に浮かび、移動を開始した。
『ム…あまり高くは飛べん…か。早く元の力を取り戻さなければな、そして―――』

そこまで語り、空中で静止した巨人は、背を丸めくっくっと笑い声を漏らした。

『そして…今度こそは貴様を殺し、人間共を根絶やしにしてやろうじゃないか…なぁ、フレデリック?』

かつて、人類の作り出した最強にして最悪の存在があった。
彼は作られた後、人類に対して自らとその同胞達の存在意義を提唱し、人間へと戦いを挑み、最後は自らに同調しなかった同胞により討たれた。
その存在の振るった力と脅威はあまりに大きく、その存在亡き後も世界に大きな爪痕を残した。
彼らは、そんなギアの事をまるで―――少なくとも、彼ら人類にとっては真逆の意である名を付け、恐れた。




           その名は、『正義』
60 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/20(火) 22:57:41 ID:MiBEumAO
投下乙です。では自分も投下します。
俺得ロワ29話「二度目の生で成すべき事」
登場:ピタゴラス、久保遼平
61二度目の生で成すべき事 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/20(火) 23:00:11 ID:MiBEumAO
29話 二度目の生で成すべき事

ずっと気になっていた。なぜ俺はこうして今、生きているのだろうか。
あの時、俺は確かに死んだはず。チェーンソーで首を斬り落とされる直前までの記憶はある。
だが、再び意識を取り戻した時には、自分の首は何ともなかった。
その代わり、今度は別の殺し合いの参加者にされていた。

最もそれらしい考え方をするなら「生き返らされた」と考えるのが妥当。
だが死者の蘇生など、普通なら不可能のはず。
それを可能にする力を、この殺し合いの主催者は持っていると言うのか?
あのリリア・ミスティーズと名乗る女は何者なのだろう。

首にはめられた金属製の、爆弾内蔵の死の首輪は前の殺し合いの時と同じく、
窮屈な感覚を俺の首元に与えている。
脱出手段を講じようにも、この首輪付きの爆弾が大きな障害となる。
外すには内部構造の把握、ある程度の機械知識が必要になるだろう。
内部構造把握には――首輪のサンプルが欲しい所だが。


俺と同行者の人間の青年、久保遼平は、灯台の管理人詰所にいた。
森を抜けた後、近くにあった豪邸、灯台のどちらに向かうか悩んだが、
結局比較的距離の近い灯台に向かう事になった。

「はぁ…」

遼平は、パイプ椅子に座りテーブルに伏しながら溜息をついた。
その表情には疲労の色が浮かんでいるようだった。
無理もないだろう。最初に会った時はどうやら誰かに襲われているようだった。
その上夜の暗い山道を、周囲を警戒しながら歩いてきたのだ。
肉体的にも精神的にも堪えただろう。

「大丈夫か遼平」
「大丈夫、じゃないですね…疲れました…。
ピタゴラスさん、これからどうしますか?」
「そうだな…とりあえず、外はまだ暗い。明るくなるまでここに留まろう」
「そうですね……あ、そういえば」

何かを思い出した遼平は、自分のデイパックの中から、
支給品のトランジスタラジオを取り出しテーブルの上に置いた。

「それもお前の支給品か?」
「はい。でも…何の変哲もない、古いラジオにしか見えませんけどね…」

手に取ってあちこち触って見てみるが、
やはりただの古びたトランジスタラジオ。それ以上でもそれ以下でもない。
試しに電源を入れると、ノイズ音に混ざり、何かが聞こえてきた。
62二度目の生で成すべき事 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/20(火) 23:01:27 ID:MiBEumAO
『……三番前原、第一球投げ………いての相談は……県のペンネーム野菜王子さんから……
ご旅行の計画は竜宮旅行代理店まで………派で知られる女性議員、園崎……氏が……日未明…
……れましたが、既に死亡しており………では……かな乗り心地を保証します……』

「何だこれは」
「壊れてるみたいですね…色んな局の放送が混ざっちゃってるみたいです。
こりゃ本当に何の役にも立たないゴミっすね」
「これ以上調べても何もなさそうだ。切ろう」

俺はトランジスタラジオの電源を切り、
遼平はそれを自分のデイパックに戻した。

「にしても……本当、死ぬかと思いました。まさか自分の人生で、
銃で撃たれるなんて」
「お前を襲った奴の事か」

遼平の話によれば、山道を歩いている時にどこかから銃で狙撃されたらしい。
その時懐中電灯で前を照らしながら歩いていたとの事。
恐らくその光を目印に遠方から狙い撃ちしたのだろう。
確かに遼平に遭遇する直前、数発銃声らしき音が聞こえた。

遼平を襲った奴のように、殺し合いに乗った奴が何人いるのだろうか。
しかしまさか、全員が全員やる気になっているという事はないだろう。
きっと俺や遼平のように、抗う気でいる奴も多いはずだ。
そういった人々を仲間にして、脱出のための手段を探す。
それが俺の最終目標だ。

しかし厄介なのは首輪だ。爆薬付きなのもそうだが、恐らくこれは監視装置も兼ねている。
主催者や運営がどうやって参加者の行動を把握しているか考えたが、
辿り着いた結論が首にはめられた首輪。これに発信機や盗聴器でも仕掛けられているのなら、説明はつく。

脱出のためには首輪を何としても解除する必要がある。
内部構造の把握――首輪のサンプルの入手が必須となるが……。

「…ピタゴラスさん? 大丈夫ですか?」
「ん? あ、ああ」

いけない、つい考え事に夢中になってしまった。
考えてばかりでも仕方ないな。

――そういえば、まだ遼平には話していなかったなが、まぁ、進んで話す事もないだろう。

俺が以前にも殺し合いに参加させられた事があり、そこで死んだはず、だという事は。
63二度目の生で成すべき事 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/20(火) 23:03:31 ID:MiBEumAO
ピタゴラスさんは、何と言うか凄いよなぁ。
いつ襲われるか分からない、もしかしたら死ぬかもしれないという状況なのに、
あんなに冷静でいられるなんて。

俺はこれからどうなるんだろうか。無事に生きて帰れるのか? 死にたくはないなぁ。
ピタゴラスさんは首輪を外す方法を探す、とか言っていたけど、本当にそんな事できるのか?
この首輪、無理に外そうとすれば爆発する仕掛けらしいし、
そもそも参加者に外されるようなヤワな構造にはしていないと思うんだけど。

いや、ともかくピタゴラスさんは頼りになりそうだ。
一緒に行動しない手はない。俺一人じゃ間違いなく死ぬ。
余程の事がない限り、俺はピタゴラスさんと一緒に行動するようにしよう。




【一日目黎明/H-4灯台:管理人詰所】

【ピタゴラス@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:コルトM1911A1(7/7)
[持物]:基本支給品一式、コルト ガバメントのリロードマガジン(7×5)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪を外したい。
1:仲間を集める。
2:久保遼平と行動する。
3:明るくなるまで灯台に待機。
※参戦時期は本編死亡後です。
※毛皮の色は作者の想像です。
※自分が以前別のバトルロワイアルに参加していた事を久保遼平に話していません。

【久保遼平@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:ハンティングナイフ
[持物]:基本支給品一式、トランジスタラジオ
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。生き残りたい。
1:ピタゴラスと行動する。基本的にピタゴラスには従うつもり。
2:明るくなるまで灯台に待機。
64 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/20(火) 23:04:35 ID:MiBEumAO
投下終了です。
65 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/22(木) 00:28:20 ID:l/2JpXNF
投下します。俺得ロワ30話「Reply of bullet」
登場:須牙襲禅、日宮まどか
66Reply of bullet ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/22(木) 00:30:30 ID:l/2JpXNF
30話 Reply of bullet

須牙襲禅は島の北部市街地に存在する、元は島の政治を担っていた、
古びたコンクリート建築の二階建ての建物、島役場の正門前に立っていた。
幾つか車が停められた駐車場を間に挟んで島役場の建物がある。

(ここなら誰かいるかもしれねぇな)

右手に自動拳銃、ブローニングハイパワーを携え、襲禅は役場玄関に向け足を進めた。

周囲を気にしながら、玄関から役場内部に侵入する。
受付の奥は広いオフィスになっており、擦りガラスの壁で仕切られた応接間と思しきものも見えた。
壁に貼られた貼紙には特に気になる事は書かれてはいない。
明かりの消えた一階フロアには時計の音だけが響いていた。

人が隠れられそうな場所はいくらでもある。
この暗がりで狙撃でもされれば危険であった。
その事を承知の上で、辺りに気を配りながら襲禅はオフィス内を探索する。

中程まで進んだ時、背後から玄関の扉が開く音がした。
咄嗟に襲禅は机の影に隠れ受付カウンターがある方を確認する。
誰かが侵入してきた事は間違いない、それがどいった人物なのか。
見ておく必要があった。
カウンターに隠れて下半身は見えないが、それは銀髪の若い女性のようだった。
辺りを警戒するようにキョロキョロと見回しながらゆっくり歩みを進めていく。
襲禅には気付いていないようだった。

(こっからじゃ狙い撃ちも難しいな…)

襲禅はしばらく机の影で様子を窺う事にした。

コツ…コツ…コツ…。

足音はゆっくりと、だが確実に襲禅の方へと接近しているようだった。
女性はカウンターを抜けオフィスへ入ってきたらしい。
待ち伏せて不意討ちにしてやろうと襲禅は息を殺し時を待った。
しかし、ある程度進んだ所で足音が止まる。

(……ん? 何だ? もしかして気付かれ――)

どんっ、という重い破裂音と同時に襲禅が隠れている机の上に乗っていた、
デスクトップパソコンやファイル、筆記用具などが吹き飛び、襲禅の上に容赦なく降り注いだ。
パソコンの器材類が思い切り脳天及び背中に当たり激痛に思わず声を出しそうになったが、
何とかこらえ頭頂部を左手で擦る。

(いってぇ…! 畜生、散弾銃か!? まずいな…)

音とその威力から相手の持つ武器を推測する襲禅。
現在彼が持っている武装は拳銃。これで広範囲に小粒の弾丸をばら撒く散弾銃と
正面から戦う事は無謀である。銃に詳しい彼はその事をよく分かっていた。

(しゃあねぇ、ここは一旦退くか!)

形勢不利と判断した襲禅は丁度役場の裏手方向の窓に向かって一気に走り出した。
だがその際、襲撃者――役場に侵入してきた女性の方に向け、振り向きざまに銃弾を放った。
その内の一発が女性の右上腕、もう一発が腹部に命中し女性が苦しそうな表情を浮かべる。
しかし女性も負けじと散弾を二発襲禅に向け発射した。
机の上の物が弾け飛び、白い書類がまるで紙吹雪のように舞い、床に散乱した。
67Reply of bullet ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/22(木) 00:31:24 ID:l/2JpXNF
「ぐっ!」

右脇腹辺りに熱にも似た激痛を感じつつも襲禅は足を止める事なく、
窓ガラスを突き破り役場裏手の広場に躍り出た。
前方に一回転した後立ち上がり、裏門を抜け暗闇の市街地へと消えていった。



「いったぁ…い……」

役場に侵入し襲禅を攻撃した女性――日宮まどかは、
腹部に出来た銃創を押さえ苦鳴を上げていた。
右上腕にも銃創はあったが、それより腹に出来たものの方が重傷だと思っていた。
幸い急所は外れたようだがそれでも深手を負ってしまったので、
これからの行動に支障を来す事になるだろうとまどかは歯噛みする。

学校にて白い猫獣人の少年、ケトルを殺害した後、まどかは学校を後にし、
東方向に存在していた島役場を訪れた。
受付を抜けてオフィスに入った時、何となく気配がする辺りに散弾を撃ち込んでみれば、
案の定参加者が隠れていた。
しかし、その参加者――よくは確認できなかったが恐らく狼獣人の警官――は、
逃げる時に自分に向け数発発砲し、内二発が自分の身体に命中した。
反撃で散弾を二発、狼警官に向け撃ったが、仕留めるにはいたらず狼警官は裏手の窓を破って逃走した。

傷口からは決して少なくない量の血液が流れ出ており、
放っておけば、下手すれば命に関わる恐れもあった。
何か傷の手当てに役立つ物はないかとまどかは激痛に耐え、役場内を探し始める。

「あの狼警官、大事な商売道具でもある私の身体に…!
今度会ったら絶対殺してやる…!」

狼警官への怒りをその胸に抱きながら。



狼警官――須牙襲禅は、役場から少し離れた民家の中に隠れていた。
居間にあったソファーに座り、先程から痛む右脇腹を覗き込む。
青い色の制服に赤い色が滲んでいた。
上着を脱ぎ上半身裸になって改めて見れば、二ヶ所の小さな穴から、
赤い血が流れ、茶色い毛皮を赤く染めている。

「チッ…食らっちまった」

苦々しそうな表情を浮かべ襲禅が舌打ちする。
先程戦った女性の撃った散弾が脇腹に二発当たってしまっていたのだ。
出血の量からしてそれ程重傷ではないようだが応急処置は必要な傷だった。
68Reply of bullet ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/22(木) 00:33:15 ID:l/2JpXNF
「これならさっさと殺すべきだったぜ……あの銀髪女ァ、覚えてろよ」

自分に鉛散弾を食らわせた銀髪の女に向け毒づきながら、
脇腹の痛みに耐え、襲禅はソファーから立ち上がる。
そして傷の治療のための道具を探すため、家の中を調べ始めた。



【一日目深夜/F-6島役場】

【日宮まどか@オリキャラ】
[状態]:右上腕、腹部に銃創
[装備]:レミントンM870(0/4)
[持物]:基本支給品一式、12ゲージショットシェル(20)、青酸ガススプレー(内量満タン)、
ケトルの水と食糧
[思考]:
0:殺し合いに乗る。
1:傷の手当てをする。
2:男が相手なら、場合によっては籠絡させる。
3:狼警官(須牙襲禅)は次に会ったら絶対に殺す。
※ケトルのクラスメイトについての情報を得ました。
※須牙襲禅(名前は知らない)の容姿を記憶しました。


【一日目深夜/F-6島役場周辺の民家・秋沢家】

【須牙襲禅@俺オリロワリピーター組】
[状態]:右脇腹に散弾二発被弾、上半身裸
[装備]:FNブローニングハイパワー(0/13)
[持物]:基本支給品一式、FNブローニングハイパワーのリロードマガジン(13×5)
[思考]:
0:殺し合いに乗る。人を撃ちたい。
1:傷の手当てをする。
2:銃はあってあり過ぎる事はないのでもっと欲しい。
3:学生服の少年(鈴木正一郎)に注意。
4:銀髪の女(日宮まどか)は次に会ったら絶対に殺す。
※俺オリロワ開始前からの参戦です。
※鈴木正一郎、日宮まどか(どちらも名前は知らない)の容姿を記憶しました。



※F-6島役場周辺に銃声が響きました。
※F-6島役場一階オフィスが荒れています。また、オフィスの島役場裏手に面した窓ガラスの一つが割れています。
69 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/22(木) 00:34:21 ID:l/2JpXNF
投下終了です。
70 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/24(土) 20:55:18 ID:Gxd3LdEU
投下します。俺得ロワ31話「傷付いた水晶」
登場:銀鏖院水晶、メリエ、戸高綾瀬
71傷付いた水晶 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/24(土) 20:59:14 ID:Gxd3LdEU
31話 傷付いた水晶


なぜ私がこんな目に遭わなければいけないのか。
ただでさえ殺し合いを強要されるだけで最悪な気分だと言うのに、
なぜ、なぜ……。

私――銀鏖院水晶は街灯が灯る市街地の道路を宛てもなく歩いていた。
ポタ、ポタ、と、私が通った後には、私の局部から未だに垂れ落ちる液体が染みを作る。
入念に拭き取ったはずなのにまだ残っている?

……数時間前ぐらいだろうか、このゲームが始まってすぐぐらいの時に、
私は路地から現れた黒い巨大な狼に捕まり、路地裏に連れ込まれた。
そして強靭な脚の力で押し倒され、そして――――ああ、今思い出してもおぞましい……!
まさか、獣に……獣にっ。

息を荒げ、涎を垂らす黒い狼の下腹部に、別の涎を垂らしいきり立った真っ赤な獣の――――。

……もうやめよう。もう思い出すのはよそう。

……。

悔しい。恨めしい。悲しい。

私をこんなふざけたゲームに参加させたリリアとかいう女が!
私の純潔を奪った黒い狼が!!

いや、それよりも何よりも――。

黒い狼に蹂躙されている時に私は――。




か ん じ て し ま っ た。




「ふふっ、あははははっ。私、もう駄目かな?
人間失格かな? 獣に犯されて感じてるんだから、もう駄目かな?」

今の自分が恨めしく、悲しく、情けなくて、笑いが込み上げてきた。
超能力が使えない上に、獣に好きにされた今の私は、いつも自分が蔑んできた、
「愚民」以下。私はもはや、愚民以下の屑。

もう、認めざるを得ない。
72傷付いた水晶 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/24(土) 21:03:56 ID:Gxd3LdEU
「あれ? 変だな…目から汗が……」

今度は両目からも液体が流れ始めてきた。
こんな姿、クラスメイトに見られたらもう私はいよいよ死ぬしかないだろう。

「…………」

流れ落ちる涙を拭っている内に、私の心の中に再び負の感情が湧き起こり始めてきた。
このやり場のない怒り、どこにぶつけてくれようぞ。
それは――とっくの昔に決まっている。というより元々そう動くつもりだったんだから。
気が付けば目の前には病院の建物があった。
スカートに差し込んでいたリボルバー拳銃を引き抜き、病院玄関へ歩みを進めた。


◆◆◆


私ことメリエは、翼を羽ばたかせながら空中散歩を楽しんでいた。
いや、本当は散歩してる訳じゃないんだけれど。
ひんやりとした風が気持ちいい。ああでもちょっと寒いくらいかもしれない。
そりゃそうか…私の服装、必要最低限の部分しか隠れていない、
ビキニのような露出度の高い格好だもの。
だけどこういう格好が私達サキュバスの普段着だし。
「スタイルがいい娘はしっかりその身体を見せつけるのが礼儀」って、
誰かが言っていたような、いなかったような……まぁ、いいか。

下を見下ろしてみれば月明かりを照らす海と、ほとんどが闇に包まれた会場である島。
こうして見ると結構広いのねこの島、今もどこかで誰かが殺し合っているんだなきっと。
たまに銃声らしき音もするし。

それにしても大勢の人集めて殺し合いなんて。
あのリリアとかいう女も随分楽しそうなゲーム考えるじゃない。
普段男と遊んでばかりの毎日にもちょっと退屈してたところだから、
これはいい遊びになりそう。武器も当たりが支給されたしね。

イングラムM10――拳銃弾を凄まじい速さで連射する小型のサブマシンガン。
近距離から相手に向けて撃てば一瞬でカタが付くだろうけど、
何分弾の消費が早いから無駄撃ちは禁物ね。
できれば予備の武器も欲しい所。それは参加者を殺して、奪えばいい。
73傷付いた水晶 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/24(土) 21:11:21 ID:Gxd3LdEU
「あ、あれかしら」

そして前方に私が目指す建物――病院が見えてきた。
地図上で見る限り、唯一の医療施設(精神病院もあるみたいだけど、廃墟との事なので数には加えない)。
参加者達、勿論私も含めてだけど、怪我をすれば、それが重傷であれば応急処置なり何なり、
手当する必要が出てくるから、当然そうなれば包帯とか消毒液とか、
医療道具が必要になってくる。もしかしたらその辺の民家にもあるかもしれないけど、
確実性を求めつつ探すなら、やっぱり病院。
つまり医療道具を求めて参加者が集まる可能性が高いと私は読んだんだけれど。

果たして……どうなのかな?


◆◆◆


「ZZZZ……」

病院の院長室。好きなだけ趣味の露出に耽り疲れたのか、
戸高綾瀬はソファーで涎を垂らしながら爆睡していた。
しかし服は脱ぎ捨てたまま、ソファーに横たわる彼女は未だ生まれたての姿のままである。

「あっ……らめ、らめぇぇ…らめですぅ……」

一体どんな夢を見ているのだろうか、艶を帯びた寝言を言いながら、
綾瀬は寝返りをうった。

すぐそこに二名。殺し合いに乗った参加者が迫っている事など彼女は知る由もない。


【一日目黎明/G-8病院周辺】

【銀鏖院水晶@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:精神的ダメージ(深刻)、喪失感、G-8病院に移動中
[装備]:S&W M19(6/6)
[持物]:基本支給品一式、.357マグナム弾(30)
[思考]:
0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:病院へ向かう。
2:みんな殺す。とにかく殺す。クラスメイトでも容赦しない。
3:あの黒狼(レックス)は今度会ったら絶対に殺す。
※本編開始前からの参戦です。
74傷付いた水晶 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/24(土) 21:14:32 ID:Gxd3LdEU
【メリエ@オリキャラ】
[状態]:健康、飛行中、G-8病院に移動中
[装備]:イングラムM10(30/30)
[持物]:基本支給品一式、イングラムM10のリロードマガジン(30×9)
[思考]:
0:優勝を狙う。
1:病院へ向かう。
2:気に入った男がいたら犯した後殺す。
※元村憲章の名前と容姿は確認していません。


【一日目黎明/G-8病院:一階院長室】

【戸高綾瀬@オリキャラ】
[状態]:健康、睡眠中、全裸
[装備]:ボウイナイフ
[持物]:基本支給品一式
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪の解除を目指す。
1:(睡眠中)
2:首輪のサンプルが欲しい。参加者の死体から入手?
3:もし可能であれば仲間が欲しい。
4:襲われたらどうする…?
※衣服は院長室内に放置されています。
75 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/24(土) 21:27:04 ID:Gxd3LdEU
投下終了です。
76 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/24(土) 23:21:39 ID:Gxd3LdEU
他の人の投下来ないなー
77 ◆5ddd1Yaifw :2010/04/25(日) 00:13:44 ID:gLn587z+
投下乙です。綾瀬さんは俺の嫁。思わず自ロワに参加させたくなるくらい俺の嫁。
まあそれは置いといて。
あかん、綾瀬さん逃げるんだ、寝てる場合じゃないって。

投下頻度が異様に落ちている文練ロワ19話投下します。
78 ◆5ddd1Yaifw :2010/04/25(日) 00:15:50 ID:gLn587z+
「しかし大変なことに巻き込まれてしまいましたね、蟹沢さん」
「まったく……やんなっちゃうぜー」

黒で染められた草原に二人の女の子がいた。
二つの長いおさげをぶらさげた女の子は結崎ひよの。新聞部長の清く正しく美しい乙女と本人は言ってるが本当の所はよくわからない。
もう片方のショートカットの女の子は蟹沢きぬ。対馬ファミリーの紅一点である。
この二人はたまたまスタート地点が同じだったということで即座に情報交換に移り、
こうして仲良く話していた。

「はぁ……鳴海さんもやっぱり巻き込まれていますし。鳴海さんったらヘタレさんですから早く捜さないと。
 お互い大変ですね、ヘタレの知り合いがいる者同士」
「おう、もうやんなっちゃうよな。ボクもレオの世話でかなり苦労してんしよー」

お互い、この殺し合いに乗ってないとわかっているからリラックスして談笑している。
一人よりは二人の方が安心するのだ。

「なぁ、ひよりんー」
「何ですかー」

きぬが何かを見つけたのか声を出しひよのを呼び、指を指す。

「あの光ってさ、ボクらが持ってるランタンと同じ光じゃね」
「みたいですねぇ。どうしますか?私としては様子見とした方がいいと思いますけど?」

遠くにある目の前の光を前にひよのときぬは相談をする。
あれが二人にとって有益か、それとも不利益か。
もし有益ならまた一人仲間が増え、情報も増えることとなる。
その反対で不利益の場合は最悪、命がなくなるだろう。

「あーもう!ごちゃごちゃ考えんのはやめだー!ひよりん、ボクは行くぜ!
 大丈夫さ、こんなふざけたゲームに乗る奴なんかいねぇって」
「あ、ちょっと!!待って下さい、蟹沢さん!」

もし乗っている人なら、とひよのは呼びかけるがきぬは聞く耳持たず。
79 ◆5ddd1Yaifw :2010/04/25(日) 00:17:31 ID:gLn587z+
そのまま、光の方へ飛び出していった。
ひよのもそのまま放っておくわけにはいかず、きぬの後を追いかける。

(蟹沢さんはああ言ってますが、このゲームに抗う人はそんなに多くないと思います。
 こんな状況で平常心を保てるのは並ではありません。
 私や蟹沢さんはあの首が飛ぶとこをはっきりと見ていないから大丈夫でしたが……
 まともに見た人は……狂っているのかもしれません)

ひよのはきぬを追いかけながら頭の中で自分なりの考察を続ける。
きぬと違ってひよのはそこまで楽観的じゃない。
むしろ、このゲームに乗る人は多いんじゃないかとまで考えていた。
ここでは法律も何もないのだから。いくら人を殺しても罪にはならない。
最後まで生き残ることが最優先なのだ。

(私の知り合いもそうだ。鳴海さんは乗らないとして、ブレードチルドレンの四人、
 特にラザフォードさんと理緒さんの二人は鳴海さんを生かすためにこのゲームに乗る可能性が高い)

ブレードチルドレンの中でも特に歩に期待している二人のこと考えると、
むしろ乗らない方がおかしいとしかひよのは考えられない。

この二人はある意味かなり“キレる”。味方にするとかなり心強いが、敵になると最強の敵と言っても過言ではない。

内心の恐怖を打ち消すようにひよのは知り合いの動向の推測を続ける。

(浅月さんと火澄さんは五分五分。浅月さんは亮子さんがいるから乗らないかもしれない。
 でも裏を返せば、亮子さんを外敵から護るために、最後の一人を亮子さんにしようと殺し合いに乗る可能性も否定できない。
火澄さんも同様。胡散臭いです。
亮子さんは安全だと言う可能性は極めて高いけど、ここで何が起こるか……)

結局のところ、歩以外は全員怪しいと結論づけてしまったひよのはクスっ、と薄い笑みを浮かべる。

(これは誰にでも至れる推理。おそらくは鳴海さんも同じような推論に至ってる可能性は極めて高い。
 やっぱり直接会ってみないと信用できないものですね。
“コインが裏返るように”、この島ではね)
80スカーレット・オラトリオ ◆5ddd1Yaifw :2010/04/25(日) 00:19:58 ID:gLn587z+

そんなことを考えているうちに光に近づいていたことにひよのは気づく。
相手の姿はまだ見えない。

「おーい、オメーも当然乗ってね――」

突然、相手の光が掻き消えたのと同時にきぬの言葉はそこで途切れた。
ひよのは一瞬何が起こったのか理解できなかった。
だが、それも少しして直ぐ気づく。

「蟹沢さん!っ!」

ヒュッと風切り音が鳴ったのと同時にきぬの頭に何かが刺さった。
それが何かとまでひよのはわからなかったが。
ドタっ、と音を立ててうつ伏せに倒れ、動く気配はもうない。
だれがどう見ても即死である。
結論としてきぬはこの島で生きていくにはあまりにも甘すぎたのだ。
その結果、無残な骸と成り果てたのである。

(逃げないと!この暗闇では相当近づかないと、私がどこにいるかわからないはず。
 蟹沢さんはランタンを持っていたからその明かりで狙われやすかったけど。
 私はランタンを持っていない。逃げ切れる!)

ひよのは即座に踵を返し草原を駆け抜ける。
方向などどうでもいい。ただ襲撃者と反対方向であればいい、と思いながら。
その考えも直ぐに無駄になるのだが。

「っ!な……んで……」

襲撃者はひよのを逃しはしなかった。
再び風切り音とともに何かが飛んでくる。飛来物は見事にひよのの足に何かが刺さる。
クロスボウの矢だろうか、膝に深く刺さり簡単には抜けそうにない。
これでは走るのはもちろんのこと、歩く事すらままならない。
完璧に詰みである。

「お前は……」
81スカーレット・オラトリオ ◆5ddd1Yaifw :2010/04/25(日) 00:21:04 ID:gLn587z+

襲撃者の正体。暗闇の中から出てきたのは。

「……ラザフォードさんですか……これはやられま、したね。
 何でしょうか、こん、な、か弱い乙女にそんな物騒なもの、を向けるなん、て失礼ですね。
 女性の扱いが、なってないです、ダメダメです」

アイズ・ラザフォード――ひよのが危険視していたブレードチルドレンの一人である。
ひよのの悪い予想は見事的中したのである。

「ナルミアユムといつも一緒にいる……」
「結崎、ひよのです。で、なぜこのような?生憎とまだ、私は死にたく、ないんですよ。
 この乙女の足を、傷つけた責任、どうとって、くれるんです?
 こう見えても、忙しいんです、私は」

名前がなかなか頭の中から出てこないのか、頭を抑えて思い出そうとするが、ひよのがそれを遮り問に答えるよう言い放つ。
ひよのの呟きは続く。

「疑って、ますね。本当に忙しいんですよ?鳴海さんを捜さなきゃいけなくて、
 フォローもしないといけなくて」
「それで?」

あいも変わらずひよのが続ける呟きに嫌気がさしたのかアイズはため息を重く吐きながら返答する。
銀髪の前髪から覗く水色の目がそれを訴えているように。

「ラザフォ、ードさん、あえて、聞きますが、なぜ殺し合い、に乗っている、のですか?
 仲間を殺してでも生きたいと?」

こう質問しているうちにも矢が刺さったひよのの膝からは血が止めどなく出ている。
そのせいかひよのの口調は途切れ途切れだった。

「違う!……っ!ナルミアユムを最後の一人にするためだ」
「やっぱりですか……」

語気を荒げ、答えるアイズにひよのはやれやれと息を吐く。
82スカーレット・オラトリオ ◆5ddd1Yaifw :2010/04/25(日) 00:23:59 ID:gLn587z+

「あなたは、自分が生きたいか、ら殺し合いに乗、るよう、な人じゃない。
 ハァハァ……カノンさんのためにあなたは乗っている」
「俺は……!」
「人の話は最、後まで、聞くものです、よ」

癇に障ったのか少し目がつり上がりそれに反論しようとするがひよのにやんわり止められる。
アイズは手に持ったクロスボウをひよのに向けて撃とうとするが寸前で止める。
どうせ死ぬのだ、最期に全ては聞いてやろう、と考えて。

「それで私と、蟹沢さんを撃ったんで、すか。頭にかけて、いる暗視ゴーグル、があるから、暗闇でも狙いを定めて撃てる、
いやはや、大したものです、ねえ」
「……」

ひよのの軽口を軽く無視し、目でさっさと喋りたいことがあるなら全て話せと睨む。
ひよのもこの視線を受けてつらつらと語りだす。

「カノンさんのため、確かに鳴海さんは“希望”ですね。そんな鳴海さんが、ここで死んだら……
 カノンさんの救いはなくなってしまうから。そうじゃ、ないですか?
鳴海さんのお兄さんである“鳴海清隆”のことは全く信用してなさそうですしね」

まくしたてるように喋るひよのにだんまりを決め込むアイズ。
だが、図星を言い当てられたのか目線がさっきよりもつり上がっている。

「そうだ、全て正解だよ。これで満足だろ?なあ、ユイザキヒヨノ」
「待って下さい、最期に遺言でもお願、いします、」

喋るのがますます辛くなってきたのかひよのの声も小さくなっていく。
死が近づいている証拠だ。

「――――――」

ひよのの遺言への返答は風切り音、手向けは寸分狂いなく頭に刺さった矢、屍が二つに増えた。
83スカーレット・オラトリオ ◆5ddd1Yaifw :2010/04/25(日) 00:35:48 ID:gLn587z+



◆ ◆ ◆



まずは二人。順調な滑り出しと言った所か。だけどまだまだこれからだ、焦ってはいけない。
ユイザキヒヨノの話はほぼ正解だった。嫌になるくらいに。
いいさ、こうして殺せた。殺してしまえばただの肉の塊なんだ。

終わったんだ、ユイザキヒヨノは。
それにしても遺言とは……ナルミアユムに会えたら伝えるべきか伝えないか。
俺はこのゲームに乗っているいわば、“ハンター”だ。
のこのこ会っていいものだろうか。

まあ会った時考えればいいだろう。この身は全て、カノンの為に。

カノン。

お前を呪いから解き放ってやるから。

“希望”を紡いでみせるから。

その時俺は側にはいないけど。

生きてくれ――

―――――



【結崎ひよの@スパイラル 〜推理の絆〜死亡】
【蟹沢きぬ@つよきす死亡】



【A-3 /1日目 深夜】

【アイズ・ラザフォード@スパイラル 〜推理の絆〜】
【装備】:コンポジット・ボウ(28/30)、暗視ゴーグル
【所持品】:支給品一式×3。不明支給品2〜7
【状態】:健康
【思考・行動】ナルミアユムを最期の一人にするために殺し合いに乗る
1:迅速に敵を狩る
※A-3に蟹沢きぬと結崎ひよの死体が放置されています。

【コンポジット・ボウ】
専用の矢を板ばねの力で、これに張られた弦に引っ掛けて発射する武器。
引き金を持ち、狙いが定めやすい。

【暗視ゴーグル】
暗闇で可視状態になるための物。暗い場所で使いましょう。

84スカーレット・オラトリオ ◆5ddd1Yaifw :2010/04/25(日) 00:37:16 ID:gLn587z+
途中遅れたけど投下終了。
投下が遅いのは怒りの日をやってるせい。
ルサルカカワイイよ、ルサルカ。
85危険が危ない ◆6LQfwU/9.M :2010/04/25(日) 00:45:12 ID:6wviohgf
「まったく、こんなことになるとはな」
街灯に照らされた橋を歩く◆lYiZg.uHFE。
(ま、いいネタが手に入るかもな…)
その時。
近くで銃声が響く。
「む、誰か戦闘中か?」
音のする方へ、一応注意しながら歩いて行く。
…音がした場所には誰もいなかった。
地面には薬莢が3つ程散らばっている。
(何かの罠?だが…)
「動くな」
物陰から◆lYiZg.uHFEに銃が背中に突き付けられる。
「やっぱ罠だったか…?俺を殺すか?」
「そりゃそうだろwでなきゃこんなことするかよ」
じりじりと突き付けられた銃を後頭部に持っていく。
「…デイパを俺によこすなら考えるがな」
顎で◆lYiZg.uHFEの持っているデイパックを指す。
「渡すつもりは毛頭ねーよっ!」
その瞬間、急に振り返り銃を持っている相手を蹴りとばす!
いきなりのことに対応出来ず転ぶ◆PURIN//46E。
だがすぐに起き上がり銃を向ける!
「せっかく命を助けてあげようと思ったのに…もったいない事するなあ」
「おい、やめ――」
86危険が危ない ◆6LQfwU/9.M :2010/04/25(日) 00:45:55 ID:6wviohgf
銃声と共に、一斉に放たれた銃弾が◆lYiZg.uHFEを襲う。
その放たれた銃弾は体を削り取る!
「…っち…」
重症を負った状態のまま、◆lYiZg.uHFEは背を向け走り出す。
(まさかここまで傷を負うとはな、だが…)
デイパックからレーションを取り出し使用する。
「…これで…まあいいだろう」
何とか体勢を取り戻した、が遅かった。
回復している隙を突かれ、攻撃を食らった…
傍目から見ても致命傷と分かる程の傷。
「くそ…まさか登場話で殺されるとは…」
◆lYiZg.uHFEはばたりとその場に倒れ、ピクリともしなくなった。

「さて…めろりんを優勝させるには…まだまだ殺さないと」
落ちたデイパックを漁りながら呟く。
(大したもんないなー…)
残念そうにデイパックを橋げたから海に捨てる。
(ちっと疲れたな…休憩休憩)
近くのベンチにペタリと座り込み、しばし休憩を取ることにした…


【一日目/深夜/E-3:橋:遊歩道のベンチ】


【◆PURIN//46E@板対抗BR】
[状態]:健康、疲労(少)
[装備]:P90@現実
[所持品]:支給品一式、「はずれ」の紙@その他
[思考・行動]:
基本:めろりんを優勝させるために参加者を殺す。
1:ちっと休憩…

【◆lYiZg.uHFE@非リレー型BRを発表するスレ 死亡確認】
死因:射殺
87 ◆6LQfwU/9.M :2010/04/25(日) 00:47:02 ID:6wviohgf
久々の投下です。結構ヤバいキャラです(思想的な意味で)
88 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/25(日) 23:13:10 ID:vGqhD3sT
投下乙です。
スカーレット・オラトリオ>きぬ…いかんよそういう思考は命取り、になっちゃったな。
危険が危ない>お帰りなさい◆6LQ氏。前回も参戦したキャラは今回はどんな行動に出るのか注目です。

では自分も投下をば。俺得ロワ32話「男達の花園」
登場:高原正封、仲販遥、シリウス、トマック、シェリー・ラクソマーコス、元村憲章
89男達の花園 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/25(日) 23:14:11 ID:vGqhD3sT
32話 踏み入れてはいけない男達の花園

ゼェ、ゼェ、と息を切らしながら、森を抜けてエリアC-7の男娼館敷地内に進入する二人の参加者。

「はぁ……はぁ……は、遥ちゃん大丈夫?」

狐獣人の青年、高原正封が同行者である学生服姿の少女、仲販遥を心配する。
それに対し遥は息を切らせながらも何とか返事を返した。

「な、なんとかだいじょうぶ、みたい…」
「あいつは? 撒いたのかな?」

背後に広がる森の方を覗き込む正封。
二人は数十分前にエリアC-5にある湖の畔にて、
太刀を装備した狼獣人の女性剣士に襲撃され、東方向に逃走した。
木々の間を縫うように走り、息が切れ、胸が苦しくなり、足が棒のようになっても、
二人はとにかく必死に狼女剣士から逃れるため森の中を走り続けた。

「……誰も、追ってこないな。撒いた、のか?」

森の方から聞こえてくるのは風で木々の葉が擦れ合う音のみ。
少なくとも人の気配は感じられない。

「……撒けたっぽい、な。でも、まだ分からない。とにかくこの建物の中に隠れよう」
「うん…」

森に背を向け、正封と遥は男娼館の建物に向けて歩き始めた。
建物と建物の間の細い通路を通り中庭と思しき広場に出る。

「ここはなんなのかな?」
「ホテル…いや、モーテル? 何だろうな…ちょっと地図…」

地図で現在位置を確認しようと正封が自分のデイパックを漁る。

「よぉ、二人仲良くお泊りですか? 生憎ここはラブホじゃねぇんだよ」
「「!!」」

突然聞こえた軽快な口調の若い男の声に二人は驚き声のした方向に顔を向ける。
そこには銀色と白の毛皮を持った雄の人狼と――何故か全裸の白い毛皮を持った狼獣人の少年が立っていた。
衣服を着ていなくてもお咎めなしの人狼ならともかく獣人が全裸でいる事に驚きと疑問を抱きつつも、
正封は自分の武器であるニューナンブM60の銃口を雄の狼二人に向け、警戒する。
90男達の花園 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/25(日) 23:15:05 ID:vGqhD3sT
「だ、誰だアンタら?」
「おっと、そんな物騒なモン向けんなよ。俺らは殺し合いなんてする気はないさ。
なぁトマ」
「わう…」
「……トマ?」

人狼が「トマ」と読んで頭を撫でている白狼少年を、正封の脇にいた遥が凝視する。
そして自分の頭の中に残っているクラスメイトでよく似た、というより同一人物である、
野球部所属の白い毛皮を持った狼族の少年と、目の前のどこか虚ろな目をした全裸の白狼少年を、
何度も何度も照合し――そして答えを導き出した。

「…もしかしてトマックくん?」
「くぅ〜ん?」

遥の呼び掛けにトマックと呼ばれた白狼少年は犬のような鳴き声を出しながら遥の方に顔を向ける。

「……え? 遥ちゃん? え、嘘、あれ、トマック、君? 君のクラスメイトの??」
「……うん。まちがいないよ。でも、なんだか…べつじんみたい」
「あ? お嬢ちゃんこいつの知り合いか? そりゃすまねぇ事したなぁ。
いやな、いい感じに美味そうな身体で、俺好みの面してたから、食っちまったんだ」
「い、いや、食っちゃったって……え?」

この場合の「食っちまった」という言葉が何を意味するものか、
そういう知識には疎い正封にも、ある程度は理解できた。

「それでな、ちょっとばかし改造してやったら思った以上に覚醒しちまったようで。
今じゃこいつは俺の忠実な奴隷……俺がやれといったら何でもするぜ」
「あお〜ん」
「と、トマックくん…」
「オィィィィ!! アンタ一体そいつに何したんだよ!!?
何か俺が遥ちゃんから聞いたトマックとそこにいるトマックが一致しないんだけど!?
ビフォーアフターってレベルじゃねーぞ全くの別人じゃねーか!!!」

ほとんど関わりがなかったとは言え、クラスメイトの変貌ぶりに言葉を失う遥と、
遥から聞かされたトマックと目の前にいるトマックの余りの違いに人狼にツッコミを入れる正封。
この時二人は、自分達がついさっきまで追われていたという事を失念してしまっていた。

「……?」

人狼――シリウスが正封の背後に何かの影が動いた事を見付けた時。
――もはや時すでに遅し。

グサ。

「がっ……!?」

正封の右胸のやや下辺りから、太刀の刀身が生えた。
生え際から真っ赤な染みが広がりやがてそれはポタポタと地面にドス黒い染みを作り始める。
91男達の花園 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/25(日) 23:16:41 ID:vGqhD3sT
「!!」
「あ…!?」
「きゃああああああああああああああ!!!」

シリウスとトマックが突然の事態に驚き、遥が悲鳴を上げる。
太刀が正封の身体が引き抜かれ、それと同時に口からも鮮血を溢れさせ、狐の青年は地面に崩れ落ちた。
その光景を見て腰を抜かしてしまったのか遥がへたりとその場に座り込んでしまった。

「殺し合いの最中に外で楽しく談笑とは、油断にも程があるんじゃないのかい?」

正封を背後から襲い、そして、先刻まで正封、遥の二人を追走していた張本人、
狼女剣士、シェリー・ラクソマーコスが嘲笑うように言う。
そして視線を腰を抜かしている遥の方へ向ける。
遥はガタガタと震えながら後ずさりをする。立とうと思っても立ち上がれない。

「安心しな。ハルカ、だったっけ? すぐ狐の後追わせてやるから」
「――!!」

シェリーが遥に太刀の切っ先を向ける。
自分の死を直感した遥の心を絶望と恐怖が支配した。

「それじゃ、さよな――ぐっ!?」

しかし刃が遥を切り裂く前に、シェリーの身体が大きく後ろに吹き飛んだ。
シリウスがシェリーの身体にかなりの勢いで体当たりを食らわせたのだ。
すぐに立ち上がり落とした太刀を拾い、目の前の銀色の人狼に敵意の眼差しを送るシェリー。
しかし、シリウスの手にはいつの間にか正封が持っていたニューナンブが握られていた。

「!!」

ぱんっ、ぱんっ、と、乾いた銃声が計三発響いた。

「がっ…!」

一発目、二発目は何とか太刀で弾き返したが、三発目がシェリーの左肩に命中した。
激痛に顔を歪めるシェリー。

「くそっ…!」

形勢不利と見たのか、シェリーは男娼館の玄関がある方向に向かって走り出した。
シェリーの背中に向けシリウスは弾倉に残った二発の弾丸を発砲するが、
いずれも当たる事はなく空気を切り裂くに留まった。
シェリーの姿が完全に見えなくなると、シリウスは背後から刺されて倒れた狐青年の方へ駆け寄った。
92男達の花園 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/25(日) 23:18:12 ID:vGqhD3sT
「たかはらさん! たかはらさん!! しっかりして! しんじゃだめだよ!」
「……う……」
「まだ息があるみたいだ…でもこのままじゃ」

遥と素に戻ったトマックが地面に伏し血溜まりを作る正封を心配する。

「……とりあえず中に運ぼう。止血はしなくちゃならねぇ。
トマ、手伝え」
「はい、ご主人様…」
「たかはらさん…!」

シリウスとトマックは慎重に正封を自分達が使っている部屋へと運ぶ。
遥は正封の身を案じ、涙目になりながらその後を追った。



男娼館の受付ロビーに逃げ込んだシェリーは、
左肩口の銃創の痛みに顔を歪め、舌打ちを打つ。
剣士にとって肩は重要な部位。利き腕である右腕と右肩が無事だったのは幸いだったが、
これでは両手で剣を持って構える事が困難になってしまった。
片手でも十分に剣は振るえるが、それでも両手の時と比べると戦法は限られてくる。

自分に重傷を負わせた銀色の人狼を憎らしく思いながら、
シェリーは男娼館の入口から外へ出た。

だが扉をくぐった瞬間、銃声と共にシェリーの頭上のガラス窓が砕け散った。

「オラァァ!! やったるぞォォォォ!!」

数メートル先には灰色のツナギを着た短髪の青年が、
拳銃の銃口をシェリーに向けていた。
その目は血走っており、極度の興奮状態である事が窺えた。

(大丈夫やろ、向こうは刀や。どうやっても銃持ってる俺の方が有利のはずや)

再び照準を前方にいる狼獣人の女性に合わせようとした青年――元村憲章だったが。
ついさっきまでいたはずのその女性の姿がなかった。
93男達の花園 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/25(日) 23:20:11 ID:vGqhD3sT
(あ、あれ?)

突然狼女性が消えた事に戸惑う憲章だったが、
程なくして狼女性の姿は見付かる事となる。

自分のすぐ懐に。

ズバッ。

狼女性――シェリーが右手に持った太刀を思い切り横に払い、
憲章の胴体を腰の辺りから両断した。
だがその事に憲章が気付く事はなかった。永遠に。
太刀の刃が憲章の胴を断ち切った瞬間、彼の意識は消失してしまったのだから。

ドサ。ブシュウウウウウ……。

先に上半身が落ち、次に鮮血を噴き出しながら下半身が倒れた。

「あたしゃ今、機嫌が悪いんだよ…糞が」

たった今自分が殺害した男の死体に向け毒づきながら、
シェリーは男、憲章が持っていた拳銃とデイパックを回収した。



【元村憲章@オリキャラ  死亡確認】
【残り38人】



【一日目黎明/C-7娼館】

【高原正封@俺オリロワリピーター組】
[状態]:背中から右胸下辺りにかけ刺し傷、大量出血、意識不明、
シリウスとトマックにより搬送中
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、38sp弾(30)
[思考]:
0:………………。
※俺オリロワ開始前からの参戦です。
※仲販遥のクラスメイト(銀鏖院水晶、ケトル、鈴木正一郎、トマック)についての情報を多少得ました。

【仲販遥@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、激しく動揺
[装備]:手斧
[持物]:基本支給品一式、手榴弾(3)
[思考]:
0:死にたくない。高原さんと一緒にいる。
1:高原さん、死なないで…!
2:狼族の男の人(シリウス)とトマック君についていく。
3:他のクラスメイトの皆については保留。
※本編開始前からの参戦です。
94男達の花園 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/25(日) 23:21:41 ID:vGqhD3sT
【シリウス@オリキャラ】
[状態]:健康、トマックと共に高原正封を搬送中
[装備]:ニューナンブM60(0/5)
[持物]:基本支給品一式、不明支給品(1〜2)
[思考]:
0:殺し合いをする気はない。いい男がいたら食べる(性的な意味で)。
1:狐の青年(高原正封)の手当。
2:トマックと、少女(仲販遥)を連れて行く。

【トマック@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、全裸、シリウスに対する服従心、シリウスと共に高原正封を搬送中、
性感が増大している、精神不安定
[装備]:不明
[持物]:基本支給品一式、不明支給品(1〜2)
[思考]:
0:ご主人様(シリウス)と一緒にいる。
1:狐の青年(高原正封)の手当。
2:仲販遥を連れて行く。
3:もっとご主人様に可愛がられたい。
※本編開始前からの参戦です。
※衣服は破かれC-7娼館:中庭に放置されています。
※シリウスに性的調教を受けたため人格が崩壊気味です。
ただし理性はあります。


【一日目黎明/C-7娼館:玄関付近】

【シェリー・ラクソマーコス@FEDA】
[状態]:左肩に銃創
[装備]:太刀
[持物]:基本支給品一式、FNブローニングM1910(5/6)、元村憲章のデイパック
[思考]:
0:面白そうなので殺し合いに乗る。
1:どこかで傷の手当をする。
2:とりあえず見付けた参加者から殺していく。
3:ドーラ・システィールについては保留。
4:銀色の人狼(シリウス)は今度会ったら絶対に殺す。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※クリス・ミスティーズの名前と容姿を記憶しました。


※C-7娼館周辺に銃声が響きました。
※C-7娼館玄関付近に元村憲章の死体が放置されています。
95 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/25(日) 23:22:32 ID:vGqhD3sT
投下終了です。久々の死者だ。
96 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/26(月) 22:34:57 ID:AUDmZ9KK
投下します。俺得ロワ33話「愚民以下から這い上がれ」
登場:銀鏖院水晶、メリエ、戸高綾瀬
97愚民以下から這い上がれ ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/26(月) 22:36:09 ID:AUDmZ9KK
33話 愚民以下から這い上がれ


自動ドアをくぐり、銀鏖院水晶はS&W M19を右手に持ちながら病院のロビーへ進入した。
病院特有の薬品のような臭いが水晶の鼻を刺激する。
非常灯が点いているためまだ深夜だが視界には困らない。
他の参加者の姿を捜すため水晶がロビーの奥へ足を進める。

殺し合い開始早々、獣に強姦されるという悲劇に見舞われ、
更に自慢の超能力も使えず、今の自分は愚民以下だと自信も純潔も喪失していた水晶。
しかし、その喪失感を怒りに代え、他参加者達を殺害する事で、
その怒りを発散させようと奮起したのだった。

水晶が、ロビー奥の喫煙室付近まで来た時。

「――!」

背後から殺気を感じた。
次の瞬間。

ダダダダダダダダダダッ!!!

機関銃の発射音と共に無数の弾丸が水晶目掛けて襲い掛かってきた。
喫煙所を仕切るガラス壁が一瞬で穴だらけになった。

「くっ…!」

しかし間一髪だった。水晶はすぐ近くにあった柱の影に隠れ難を逃れた。

(マシンガン!? くそっ…!)

柱の影からほんの少しだけ顔を出し、襲撃者の顔を確認する。
病院玄関付近に、翼を持った長髪の女性が立っているのが見えた。
そして手に持った武器らしき物を水晶の隠れている柱の方に向け――。

ダダダダダダダダダダッ!!!

「!!」

弾丸を受け過ぎ喫煙室のガラスがついに砕け散った。
壁や柱、ソファー、観葉植物、ロビー内のありとあらゆる物が弾丸で抉られる。
柱の影で水晶は反撃の機会を窺った。

水晶を手にした短機関銃、イングラムM10の掃射で襲撃した、
オレンジ色の髪に赤い翼、尻尾を持ったサキュバス、メリエは、
空になった弾倉を取り換え、一気に水晶のいる柱付近まで近付こうとした。
だが、柱の影から水晶が身を乗り出し、M19の銃口をメリエに向け、発砲する。
98愚民以下から這い上がれ ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/26(月) 22:37:26 ID:AUDmZ9KK
ダン! ダン! ダン!

「くっ!」

どうにか胴体に当たるのは避けたが、左の翼の膜に一発命中してしまった。
傷みに顔を歪めるが、メリエは再び水晶に向けイングラムを掃射した。

「死ねぇーっ!!」

ダダダダダダダッ!!!

しかし既に水晶は奥にある廊下の方向へと走り出していた。

「逃がすかっ!」

殺せる獲物は、殺せる時に殺した方が良いと、メリエは水晶を追い掛ける。
この病院目指して空中を飛んでいた時、病院の中入っていく少女――水晶の姿を発見し、
気付かれないように静かに着陸、そして背後から銃撃を仕掛けた。
こちらは連射可能な短機関銃、相手は――他に武器を隠し持っていなければ――単発銃のみ。
火力は圧倒的にこちらが上、勝機は十分にあると踏んだメリエは、
水晶に止めを刺すべく追走した。

そして廊下の曲がり角を曲がった時だった。
前方数メートル先に銀色の髪をなびかせ走る学生服姿の少女の姿。
しめた、と思い、メリエはイングラムの銃口を水晶に向け――る前に、
水晶が踵を返し、M19の銃口をメリエの方に向ける方が、数瞬早かった。

「死ぬのは――」

しまった、と思い、メリエはイングラムの引き金を引こうとした、が。

「お前だぁぁぁぁぁ!!」

ダン! ダン! ダン!

それより先に水晶がM19の引き金を引き弾倉に残っていた3発の.357マグナム弾をメリエの身体に叩き込む。
一発目がメリエの豊満な乳房の内の右胸、二発目が左胸のやや下、
そして最後の一発がメリエの美しい顔の、鼻のやや横辺りに命中し、
後頭部へと貫通し、そして突き抜けた頃には、メリエの意識は消失していた。
そのまま仰向けにメリエは倒れ、血溜まりを作り、もう二度と立ち上がる事はなかった。
水晶はM19のシリンダーラッチを押し、弾倉を横に振り出し空薬莢を排出、
制服のポケットに入れていた予備弾を装填していく。

「ハァ…ハァ…死ぬかと思ったけど、何とかなったわね」

最初短機関銃の掃射を受けた時、水晶は正直な所、死を覚悟した。
現在ここに生きて立っていられるのは幸運と言っていいだろう。
水晶はメリエが落としたイングラムM10と、メリエのデイパックの中から、
イングラムの予備マガジン8個と食糧を抜き取った。
殺し合いを有利に進めるには武器が多い方が良い。
連射が効く短機関銃を手に入れられ水晶は思わず笑みを浮かべた。
99愚民以下から這い上がれ ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/26(月) 22:39:26 ID:AUDmZ9KK
(えーちょっと、何これ……私が惰眠こいてる間にえらい事なってるんだけど)

院長室の扉を少しだけ開け、様子を窺う全裸の少女――に見える若い女性、戸高綾瀬。
ソファーで眠りについていた綾瀬を目覚めさせたのはロビーの方から聞こえてきた銃声だった。
しばらく――脱ぎ捨ててあった服を着るのも忘れ――机の陰に隠れていたが、
やがて三発の単発銃のものと思しき銃声を最後に、音が止んだため、
恐る恐る院長室の扉を少しだけ開け何事か様子を確認した。

そこには血溜まりを作って床に倒れたまま動かなくなっている翼を持った悪魔っ娘と思しき女性と、
学生服を身に纏った銀髪の小柄な少女が、リボルバー拳銃に弾を込めている所が見えた。
状況から見て、学生服の少女が悪魔っ娘を殺害したと見るのが妥当だろう。

(あの子、殺し合いに乗っているの? それともあの悪魔っ娘に襲われて、
正当防衛で殺したの? どうしよう、思い切って接触してみようかな)

綾瀬よ、それよりも何よりもまず服を着ろ。

(……やめとこう。危険を冒してまで接触する事もないでしょ。
それより一旦どこかに隠れた方が……そうだ、窓の外に)

脱ぎ捨ててあった服を掻き集め、デイパックとボウイナイフ、衣服を持ったまま、
院長室の窓を静かに開け、外の植え込みに着地し静かに窓を閉めた。
そして脱いでいた服を着始める。

綾瀬がさっさと逃げなかったのには訳があった。
それは廊下に放置されていると思われる悪魔っ娘――メリエの死体。
綾瀬は参加者の首にはめられている首輪のサンプルを入手したがっていた。
それには参加者の死体から――つまり、死体の首を切断し、首輪を入手する必要があると、綾瀬は考えていた。
もうこのゲーム会場には幾つかの死体が転がっていると思われたが、
それを捜索して見付けるのは苦労する。
なので、すぐそこにある死体を、メリエの死体を利用しようと考えたのだ。

(しばらく待って……あの女の子がいなくなったら、いよいよ……)

自分の武器であるボウイナイフを手に取り、
綾瀬はゴクリと生唾を飲み込んだ。



【メリエ@オリキャラ  死亡確認】
【残り37人】
100愚民以下から這い上がれ ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/26(月) 22:40:49 ID:AUDmZ9KK
【一日目黎明/G-8病院:一階廊下】

【銀鏖院水晶@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:精神的ダメージ(やや回復)
[装備]:S&W M19(6/6)
[持物]:基本支給品一式、.357マグナム弾(24)、イングラムM10(22/30)、
イングラムM10のリロードマガジン(30×8)、メリエの水と食糧
[思考]:
0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:もう少し病院内を探索する。
2:みんな殺す。とにかく殺す。クラスメイトでも容赦しない。
3:あの黒狼(レックス)は今度会ったら絶対に殺す。
※本編開始前からの参戦です。


【一日目黎明/G-8病院:院長室すぐ外の植え込み】

【戸高綾瀬@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:ボウイナイフ
[持物]:基本支給品一式
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪の解除を目指す。
1:しばらく植え込みに身を潜めて、悪魔っ娘(メリエ)の死体から首輪を回収。
2:もし可能であれば仲間が欲しい。
3:襲われたらどうする…?
※銀鏖院水晶(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※服を着ました。



※G-8病院周辺に銃声が響きました。
※G-8病院玄関ロビーが荒れています。
※G-8病院:一階廊下にメリエの死体とデイパック(水と食糧抜きの基本支給品入り)が放置されています。
101 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/26(月) 22:42:21 ID:AUDmZ9KK
投下終了です。綾瀬はやっと服を着た。でもまた脱ぐかも。
102 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/29(木) 00:36:22 ID:c4NqRN/5
投下します。俺得ロワ34話「Triple axel」
登場:アレックス、ジン、石川昭武
103Triple axel ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/29(木) 00:38:44 ID:c4NqRN/5
34話 Triple axel

エリアE-4、森の中の開けた場所に立っている朽ちた鉄塔。
上へ登るための鉄製の階段は錆び、腐食し、とても登れる状態ではない。

親友であり仲間であったブライアンを失った悲しみを引きずりつつ、
アレックスは懐中電灯で前を照らしながら鉄塔に辿り着いた。
顔を上げて鉄塔を見上げると、かなりの高さがある事が分かる。
恐らく元々は送電用、或いは通信用に使っていたのだろうが、鉄塔の鉄骨の傷み具合から推測するに、
放棄されてかなりの年月が経っているようだ。

「おい、誰かいるのか?」
「!!」

不意に声を掛けられ、もう手遅れとは思いつつも、アレックスは懐中電灯のスイッチを切り物陰に隠れた。

「俺達は殺し合いをする気はない。そっちもそうなら出てきてくれないか」

今度は先程とは別の声色である。
一度目はやや高めの少年、二度目は低めの青年の声に聞こえた。
相手側は少なくとも二人いるようだ。

(二人いるのか…? もし殺し合いに乗っているとすれば、
わざわざ徒党を組んだりするのは考えにくいな。信じても良さそう…か?)

「分かった。今、そっちに行くよ」

どうするか少し迷ったが、結局アレックスは素直に出て行く事にした。
しかし万が一の時のために、自分の武装であるサバイバルナイフをいつでも抜き出せるようにした。

「……」

そこにいたのは赤と白を基調とした服に身を包んだツンツン頭の少年と、
灰色ブレザーの学生風の格好をした青い狼獣人の青年の二人。
少年は細い刀身を持ったナイフ、青狼青年はリボルバー拳銃を、それぞれ所持している。
二人の表情から、まだ自分は警戒されているとアレックスは感じた。
念のために、アレックスが再び二人に確認を取る。

「本当に殺し合う気はないのか?」
「ああ。勿論だ。殺し合いなんかしないさ」
「俺もだ。そう言うアンタはどうなんだ?」
「俺も、殺し合いをする気なんてないよ。何とかして、このゲームを潰したいと思っている」

アレックスは語気に力を込めて殺し合いを否定する。
その様子を見て、少年と青狼青年は目の前の白い鉢巻をした男が嘘は言っていないと判断した。

「俺達、一緒の考えみたいだ。俺、ジン」
「俺は石川昭武だ」
「ジンに、昭武、か。俺はアレックスだ」

互いに緊張が解れた所で、アレックスとジン、昭武は軽く自己紹介の挨拶を交わした。
104Triple axel ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/29(木) 00:43:59 ID:c4NqRN/5
鉄塔の根元部分で三人は情報交換を行う事にした。

アレックスはまず、先刻起こった友人の死の事を二人に話した。

「そんな事があったのか…」

自分も大切な仲間が二人、この殺し合いに呼ばれているジンは、
アレックスに対し同情の念を禁じえなかった。
早く仲間――アキラと亜美の二人と合流したい、という思いがジンの中で強くなった。
昭武はこの殺し合いには一人も知り合いは呼ばれてはいなかったが、
それでもアレックスの心情を察する事はできた。

「…目の前で大切な親友が殺されたのに、俺は何もできなかった。
それが悔しくてたまらない」

悔恨の表情を浮かべながらアレックスが言う。

「……襲ってきた奴、どんな奴だったか覚えているか?」

酷だとは思いつつも、昭武がアレックスに襲撃者の特徴について訊く。

「よく見えなかったけど…白いカッターシャツを着た…人間の男、だったと思う。
暗かったし、突然の事だったから、それくらいしか分からないんだ」
「うーん、そうか……でも一応覚えておこう」

これから先、危険人物に関する情報が重要になってくる。
できればもう少し詳しく特徴を聞いておきたかった昭武だったが、
アレックスの心情も考慮ししつこく追及するのはやめる事にした。


次にそれぞれの知人についての情報交換が始まった。
最初はアレックスが、名簿を取り出し先刻殺害されたブライアンを除く、
6人の知人一人一人のおおまかな特徴をジンと昭武の二人に説明していく。

「…こんな所だ。みんな、こんな理不尽な殺し合いゲームに乗るような奴じゃない。
そう、思いたいけど……分からないな」
「とりあえず、アレックスの仲間だって言う、ゴメスとヘレンを中心に捜せばいいんじゃないか?
この…ドラゴナス、死神五世、ムシャ、デスシープの四人は、一応敵対関係らしいし」

昭武がアレックスに進言する。

「そうだな……とりあえず、当面はそうしよう」
「それじゃあ次、俺、いいかな」
「ああ」

続いてジンが自分の仲間と、敵対している帝国軍のデビルの事をアレックスに説明する。
途中「帝国軍」「ヴァルハラ」といった聞き慣れない単語があったが、
アレックスは特に深く追求したりはしなかった。
105Triple axel ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/29(木) 00:47:11 ID:c4NqRN/5
「ジンと亜美は絶対殺し合いなんかしない。そんな事できる奴じゃねぇ」
「その二人は信用できるとして…後の二人、ガーゴイルとガルムは、
殺し合いに乗っている可能性が高い、と、そう言いたいんだな?」
「ああ……もしかしたら、俺達と同じ考えを持ってるかもしれないけど、
実際に会ってみない限り分からない」

アレックスとジンの話を聞いていた昭武が、二人の知り合いの情報を大まかに纏める。

「総合すると…アレックスとジンの知り合いで、信用できそうな奴は、
ゴメス、ヘレン、アキラ、亜美の四人。一応警戒すべしなのは、ドラゴナス、死神五世、
ムシャ、デスシープの四人。そして注意すべしなのはガーゴイル、ガルムの二人。こんな所か?」

アレックスとジン、どちらも異論は唱えない。

「分かった。とりあえず、信用できそうな四人を中心に捜して行こう。
そして同時進行で、仲間を集める。できる事なら、警戒、注意すべしな奴も、
協力を仰げるなら仰げる。こんな感じか?」
「そうだな……」

これからの行動方針について大まかな指標が立った所で、今度は支給品の確認に移る。
アレックスがサバイバルナイフ、USBメモリ。
ジンが刺突短剣・スティレットといわゆる閃光手榴弾・スタングレネード。
石川昭武がリボルバー拳銃・エンフィールドNo.2とその予備弾。
これらの支給品の中で、三人が最も興味を示した物は、アレックスの支給品の一つである、
外部取付型記憶端末、USBメモリであった。

「これがちょっと気になってるんだよな、USBメモリ。中に何のデータが入ってるのか……」
「空なんじゃないか?」
「そうかもしれない。だけど、見てみる価値はあるだろ?」

中身は気になったが、何にせよパソコンがない現状では何もできないので、
USBメモリに関しては保留とする事にした。


情報交換、支給品の確認も終え、いよいよ三人はこれからの行き先を決めに入る。
地図とコンパスを見ながら三人が協議した結果、一旦北に向かい森を抜ける事となった。
それからの行き先は、森を抜けた時に決める事にし、まずは閉塞感の漂う、
この森から抜ける事を最優先としたのである。

「それじゃ行こうか。よろしくな、ジンに、昭武」
「おう! こちらこそよろしくな、アレックス!」
「一緒に頑張ろうぜ」

三人は手を取り合い、この殺し合いを潰すために協力し合う事を誓い合った。
106Triple axel ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/29(木) 00:53:25 ID:c4NqRN/5
【一日目黎明/E-4鉄塔】

【アレックス@VIPRPG】
[状態]:全身にダメージ(軽度)
[装備]:サバイバルナイフ
[持物]:基本支給品一式、USBメモリ
[思考]:
0:仲間を集めて殺し合いを潰す。そして脱出する。
1:ジン、石川昭武と行動。まずは森を抜ける。
2:元の世界の仲間と合流?
3:首輪も何とかしたい。
4:USBメモリの中身が気になる。
5:ガルム、ガーゴイルには一応警戒しておく。
※襲撃者(高野雅行)の容姿を記憶しました。
※ジン、石川昭武と情報交換をしました。

【ジン@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康
[装備]:スティレット
[持物]:基本支給品一式、スタングレネード(3)
[思考]:
0:殺し合いはしない。アキラ達の捜索及び仲間集め。
1:石川昭武、アレックスと行動。まずは森を抜ける。
2:ドラゴナス、死神五世、ムシャ、デスシープ、ガーゴイル、ガルムには注意。
3:襲われたら戦う?
4:USBメモリの中身が気になる。
※参戦時期はレミエル打倒後、元の世界へ帰還した直後です。
※アレックスと情報交換をしました。

【石川昭武@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:エンフィールドNo.2(6/6)
[持物]:基本支給品一式、.380エンフィールド弾(30)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。
1:ジン、アレックスと行動。まずは森を抜ける。
2:首輪を何とかしたい。
3:ドラゴナス、死神五世、ムシャ、デスシープ、ガーゴイル、ガルムには注意。
4:USBメモリの中身が気になる。
※アレックスと情報交換をしました。
107 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/29(木) 00:54:40 ID:c4NqRN/5
投下終了です。
108 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/29(木) 21:24:55 ID:c4NqRN/5
投下します。俺得ロワ35話「主のため、自分のため、仲間のため」投下します。
登場:大宮正悳、高野雅行、ムシャ
35話 主のため、自分のため、仲間のため

随分空が明るくなり、森の中をグレネードランチャー・H&K HK69を携えた、
青色の飛竜、大宮正悳は、デイパックの中から懐中時計を取り出し、時刻を確認する。
時計の針は、午前3時20分を指していた。
時刻を確認すると、正悳は時計をデイパックの中に戻し、
再び他参加者の捜索を開始する。

しかし、ここで正悳はふと考える。

(…よく考えたら、こんな広い森の中を参加者捜して歩くのって、
無謀じゃないか? 目印らしい物も何にもないし)

地図で見た限り、島の中央部に広がる森林地帯はかなり広大な面積を占めている。
どこかに参加者は一人か二人いるかもしれないが、
常に参加者が移動している可能性を視野に入れると、
それを捜して回るのは効率が悪い。
今自分が翼を使えれば話は別かもしれないが、何しろ翼を動かそうものなら、
耐え難い激痛が走り飛行するどころではない。

(森を抜けて、街の方へ行ってみるか。多分、他の連中も、同じ考え方をしている奴が、
かなりの数いるはず。わざわざ何もない森の中をウロウロしてる奴はそういな……ん?)

前方にツルハシらしき物を持っている、白いシャツを着た人間の青年が歩いているのを見付け、
正悳の思考は一旦中断される。

「……」

青年の方も正悳に気付いたらしく、足を止めて正悳の方に視線を向けた。

次の瞬間には、正悳はHK66を構え、引き金を引いていた。
銃口から放たれた40o榴弾が放物線を描きながら青年に向かって飛んでいく。
そして着弾と同時に大きな爆発が起こり、近くにあった樹木が爆風を受け倒れた。
もし青年が榴弾の直撃を受けていれば間違いなく絶命していただろう――が。

粉塵の中から、ツルハシを斜めに構え、自分に向かって突進してくる青年の姿を認めた時、
正悳の心に焦りが生じた。

「や、やばい――」

急いで空の薬莢を排出しデイパックから予備弾を取り出そうとするが、
もう既にその時には青年は正悳と肉薄する位置に到達してしまっていた。

ドガッ!!

「ガァアア!!?」

ツルハシの穂先が正悳の左脇腹を捉えた。
だが、咄嗟にデイパックを盾にしたので致命傷には至らなかったが、
それでも思い一撃が正悳の柔らかな脇腹に入り、正悳が苦鳴をあげる。
「うぐっ、ぐううううう!! げほっ! ごほっ…」

血反吐を吐き、地面で苦しみにのたうつ正悳。
青年は地面に倒れ苦しんでいる飛竜に、止めを刺すべくツルハシを大きく振り上げた。
先刻自分が殺害した、鎧姿の男のように。
その光景を見て、正悳は自分が間もなく殺される事を悟った。

(え? 嘘? 俺、殺される――死ぬのか? い、嫌だ。嫌だ嫌だ!
まだ、俺は死にたくない。生きて主人の元へ帰らなきゃいけないのに!
まだ、自分の思いを主人に告げていないのに――なのに――――)

もう、敬慕する自分の主人の元へ帰れなくなる。
自然と正悳の目から涙が流れ落ちた。
動きたくても身体が言う事を聞かない。どうしようもなかった。

(ご主人、ご主人ご主人ご主人――――!!!!)


ブンッ


「―――え??」

正悳が意外そうな表情を浮かべ拍子抜けした声を出す。
ツルハシは正悳に振り下ろされなかった。
代わりに、青年が背後に向けて薙ぎ払いを掛けた。

「おっと!」

正悳の目に、青年のツルハシを素早く後ろに跳んでかわす和風の鎧に身を包んだ男が見えた。
手には鋭そうな剣を装備し、デイパックを二つ持っているように見える。
何が起きたか分からなかった正悳だったが、この機を逃す手はないと、
脇腹の激痛に耐えながら起き上がり、落としてたHK66を拾い上げ、
北方向へと全力で駆け出し、戦線を離脱した。



青年――高野雅行と鎧武者――ムシャは、数メートル距離を取り対峙する。

「お前も殺し合いに乗っているのか?」
「……そうだと言ったら、どうする?」

ムシャの問いに、雅行が酷く無感動な口調で返答する。
その口振りと様子から目の前の青年は殺し合いをする気でいる事に間違いないと判断したムシャは、
自嘲気味の笑いを浮かべながら言った。

「責める気はないさ。俺も同じだ――もう一人殺した」

ムシャは数時間前、見ず知らずの少女を手に掛けた。
彼が持っているもう一つのデイパックはその少女の持物である。
「……俺も、だ」
「そうか…………名前を聞かせてくれるか?」
「高野雅行」
「タカノ・マサユキ…か。俺はムシャだ……それじゃあ、出会ったばかりで悪いが、死んでくれっ!!」

ムシャが手にした直刀を構え、雅行に向かい突進する。
そして直刀を大きく振り被り、雅行の身体目掛けて思い切り振り下ろした。

ビュンッ!!

「……ッ!」

間一髪でかわす雅行だったが、自分がかなり不利な状況に陥っている事に気付く。
相手の鎧武者は、コスプレイヤーの類でも何でもない、本物の武士だという事に、
幾多もの死線を潜ってきた歴戦の強者だという事にも気付いた。
身体能力に多少自信はあるとはいえこちらはあくまで普通の人間。
今持っているツルハシでは目の前のムシャと名乗る男に勝てる見込みがない。
それならば、と、雅行はムシャの持つ二つのデイパックに目を向ける。

あのデイパックの中に、武器が隠されている可能性も否定できない。
武器などがなくても食糧はあるはず。どちらか一方を奪う事はできないだろうか。

ヒュッ!

雅行がそう思案している最中も容赦なくムシャの攻撃は続く。
段々自分が追い込まれていると感じた雅行は、考えている余地はないと判断した。
ムシャの斬撃の隙を縫い、ムシャが右肩から掛けている方のデイパックを、
思い切りツルハシの穂先で薙ぎ払いながら引っ掛け、飛ばした。

「なっ!?」

突然の雅行の行動にムシャが瞠目する。
飛ばされたデイパックはそのまま地面に落ちた。
すかさず雅行はデイパックの方へ走り、それを拾い上げる。
ムシャの方に振り向き、相変わらず感情の籠らない口調で言い放った。

「悪いが俺も無茶はしたくない。これで失礼する。これは貰っていくぞ」

そう捨て台詞を残し、雅行は東方向へ走り去っていった。

「くそっ、待て!!」

ムシャは雅行の後をしばらく追い掛けたが、すぐに見失ってしまった。

「はぁ、はぁ、はぁ…油断したな…」

呼吸を整えながら、ムシャが悔しげな表情を浮かべる。
とは言っても普段は面を被っているため、あまり表情の変化は分からないのだが。
ムシャが奪われたデイパックは先刻殺害した少女の物だった。
中身はまだ確認していなかったので、何が入っていたかは分からない。

(奪われたのは残念だが…まぁいい。俺には刀さえあれば十分だ)

戦利品を横取りされたような気分だったが、主要な武装は無事だったので、
ムシャは特に落ち込む様子もなかった。

(さて…そろそろ森を出て、街の方へ行くとするか)

デイパックから地図とコンパスを取り出し、ムシャは次の行き先を決め始めた。
ムシャから逃亡する事に成功した雅行は、
息を整えながら、適当な木の幹の根元に座り、ムシャから奪ったデイパックの中身を確認した。
その中に入っていた支給品を見て、雅行は思わず笑みをこぼす。
基本支給品の他に入っていたのは、自動拳銃が二丁――S&W M3566と、ベレッタM1951――と、
その予備マガジンがそれぞれ5個ずつ。雅行にとって願ってもない、恵まれた装備が入っていた。

M3566を装備し、ズボンのポケットに予備のマガジンを2個忍ばせ、
後の予備マガジン、M1951、M1951の予備マガジン、ツルハシ、水と食糧を、
自分のデイパックの中に押し込む。
M3566の装弾数は15発。M1951は8発。装弾数が多い方が有利だ。

折角の獲物だったと言うのに邪魔されたのは不快だったが、
結果的に武装を強化する事ができたので、雅行はある意味、ムシャには感謝していた。



「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」

いつの間にか、正悳は綺麗な水を湛えた湖の畔に来ていた。
周囲を見渡し、誰もいない事を確認すると、湖の畔に座り込み一息つく。

「畜生……まさか避けられるなんて……俺こんな調子で大丈夫なのか…?」

自分が撃ったグレネードがあっさり避けられ、手痛い反撃を受けてしまった事に、
正悳は頭を片手で抱え、少し自信喪失気味になっていた。
後一歩で殺される所だったが、突然現れた鎧武者のおかげで命拾いする事ができた。

(あの鎧武者、俺を助けてくれたのか? それとも…まぁどっちにしても、
本当に助かった、ありがとう鎧武者さん)

心の中で鎧の武者に礼を言う正悳。

(にしても、ここは……湖? って事は――)

地図を取り出し現在位置を確認する。
するとエリアC-5に「湖」という表記がある。

「……じゃあ、このまま真っ直ぐ北に行けば……街か」

地図によれば、北方向へ進めば島北部の市街地区画へ抜ける事ができるらしい。
一度死に直面し、森の中を走り続けてきた正悳は、どこかで一旦休息する事を考えた。
精神も肉体も疲労している時に無理はしない方がいいと考えたのだ。

「……行くか」

正悳は脇腹をさすりながら立ち上がり、北方向、市街地方面へ歩き出した。
【一日目黎明/C-5湖】

【大宮正悳@オリキャラ】
[状態]:左脇腹に打撲、口が血塗れ、B-5市街地方面に移動中
[装備]:H&K HK69(0/1)
[持物]:基本支給品一式、40mm榴弾(5)
[思考]:
0:元の世界に帰るために、優勝する。
1:市街地に向かい、どこかで一旦休息する。
2:他参加者を見付けたら容赦なく殺す。
※高野雅行、ムシャ(どちらも名前は知らない)のおおよその容姿を記憶しました。


【一日目黎明/D-5森:南部】

【高野雅行@俺オリロワリピーター組】
[状態]:健康
[装備]:S&W M3566(15/15)
[持物]:基本支給品一式、S&W M3566のリロードマガジン(15×5)、
ベレッタM1951(8/8)、ベレッタM1951のリロードマガジン(8×5)、ツルハシ(血痕付着)、
ピアノ線、ハンドワイヤーカッター、 ブライアンの水と食糧、源しずかの水と食糧
[思考]:
0:殺し合いを楽しむ。
1:他参加者の捜索。
2:ムシャは次会ったら絶対に殺す。
※俺オリロワ開始前からの参戦です。
※アレックスとムシャの名前と容姿を記憶しました。また、大宮正悳(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※源しずかのデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)はD-5森:南部に放棄しました。


【一日目黎明/D-5森】

【ムシャ@VIPRPG】
[状態]:健康
[装備]:直刀(血痕付着)
[持物]:基本支給品一式
[思考]:
0:魔王軍の仲間を生き残らせる。それ以外は容赦なく殺す。
1:魔王軍の仲間とはできれば遭遇したくない。
2:次はどこに行くか…。
3:高野雅行は次に会ったら必ず始末する。
※高野雅行の名前と容姿を記憶しました。また、大宮正悳(名前は知らない)の容姿を記憶しました。



※D-5周辺に爆発音が響きました。また、D-5森の一部が爆発により破壊されています。
≪支給品紹介≫
【S&W M3566】
1993年に発売された競技用及び実戦用自動拳銃。
「PC356」という名称でエアソフトガンが販売されている。
ポピュラーな9oパラベラム弾より強力な高速弾「.356S&W」を使用し、
試験投入されたコンバット・シューティング競技でも輝かしい実績を挙げた。
現在では絶版モデルでかなりレアなピストルとなっているとの事。
使用弾薬:.356S&W弾 装弾数:15発

【ベレッタM1951】
1953年にイタリアのベレッタ社が開発した自動拳銃で、
後に非常に知名度の高い拳銃となる「M92」の原型となった。
使用弾薬:9o×19弾 装弾数:8発
115 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/29(木) 21:39:55 ID:c4NqRN/5
投下終了です。
116創る名無しに見る名無し:2010/04/29(木) 21:42:16 ID:0NLIjub8
他の人は投下せんのかな?
117 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/29(木) 21:52:45 ID:c4NqRN/5
寂しいよー
118創る名無しに見る名無し:2010/04/29(木) 21:57:52 ID:yhiGMjJv
test
119 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/30(金) 23:58:55 ID:SL8RDOvD
投下します。俺得ロワ36話「覚められない悪夢」
登場:ドラゴナス、骨川スネ夫
120覚められない悪夢 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/01(土) 00:05:37 ID:Kiv0Goem
36話 覚められない悪夢

木造校舎の小中学校の校庭に、水色の髪を持った際どい格好の少女が、
背中の大きな翼を羽ばたかせながらゆっくりと着地した。
周囲を見渡せば校舎と体育館の他に、体育倉庫やプール、滑り台やブランコといった遊具などが見える。
丁度ドラゴナスの目の前には白いペンキが剥げ赤い錆が浮き出た朝礼台があった。

ドラゴナスはこの殺し合いに呼ばれている自分の仲間、
ムシャ、死神五世、デスシープの三人を捜すのが目的だった。
先刻、機関銃と思しき武器を持った襲撃者に襲われ、
即座に空に跳び上がって危機を逃れた後、上空を飛びながら、
ドラゴナスは地上を眺め着陸地点に良さそうな場所を捜していた。
色々候補はあったが、最終的に選んだのが小中学校だった。

地図にも載っておりそれなりに目立つ建物なので誰か参加者がいる可能性が高い。
或いは自分が捜している仲間も。
簡単にやられるとは思わないが万が一という事がある。
手遅れにならない内に合流したかった。

そしてドラゴナスが校舎内に入ろうと昇降口に向かって歩き始めた、その時。

「うおおおおおおおお!!!」
「!?」

背後から聞こえた少年の叫び声と駆ける足音に、
ドラゴナスはかなりの早さで振り向いた。
直後、自分の脳天目掛けて振り下ろされた金属バットを、ドラゴナスは横に跳んでかわしていた。
ガンッ、と、金属バットが校庭の固い地面に強か打ち付けられる鈍い音が校庭に響いた。
体勢を立て直してドラゴナスが襲撃者を改めて見る。
それは尖った口をした狐顔の、小学校高学年程度の少年――骨川スネ夫だった。

「こ、子供…!?」
「だああああっ!!」

再びスネ夫が金属バットを振り回しながらドラゴナスに襲い掛かる。
びゅん、びゅん、と、風を切る音が何度も聞こえた。
いかに魔王軍四天王と謳われるドラゴナスでも現在の少女の身体で、
金属バットの攻撃が直撃したら一溜りもない。
何の特殊能力も使えない上翼と尻尾がある以外は普通の人間の身体である現在のドラゴナスは、
身体の強度も、普通の人間よりは多少頑丈、程度にまで下がってしまっているのだ。

「おい、待て! 俺は殺し合いをする気なんてない! 話を聞いてくれ!」
「うるさい! そっちにはなくても、こっちにはあるんだ!」

ドラゴナスは目の前の狐顔の少年に対し説得を試みるが、少年、スネ夫は全く聞く耳を持たない。
一旦距離を取り、数メートルの距離で対峙した状態でドラゴナスが再び説得を開始する。
121覚められない悪夢 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/01(土) 00:07:59 ID:Kiv0Goem
「こんなふざけたゲームに乗る気が!? 馬鹿げているぞ!」
「馬鹿げてるだって!? 何言ってんだ! それがこのゲームのルールじゃないか!
最後の一人にならなきゃ家に帰れないんだ!」

スネ夫の目は、普段の彼を知っている者が見れば言葉を失うぐらい充血していた。
ドラゴナスはスネ夫が殺し合いに乗った理由がおおよそ理解できた。

「家に帰るために、生き残るために殺し合いに乗ったのか」
「そうだよっ!! 何だよ、悪いか!」

まるで吠えるようにスネ夫がドラゴナスに言う。

(こんな子供が殺し合いなんて……恐怖の余り、正常な判断ができなくなったのか)

よくよく見れば、自分の娘・ハーナスとほぼ変わらない年齢のようにも見える。
こんな少年が、生き残るためとはいえ殺人を企図し、それを実行に移すとは。
どこか葛藤しているような様子にも見えるが、ドラゴナスにはスネ夫が可哀想な存在に思えてならない。

「僕は生きて帰るためにみんな殺してやるんだ。
もう、一人殺したんだ! 今更後戻りなんてできないんだよっ!!」
「なっ…!?」

スネ夫の言葉にドラゴナスがスネ夫の持つ金属バットをよく見てみる。
すると、僅かに凹んだ部分と血痕らしきものが確かに付着していた。

「何て事を…!」
「うるさい! うるさい! うるさい! 死ねぇぇぇえええっ!!!」

スネ夫が金属バットを振り被りながら、ドラゴナスに突進する。
ドラゴナスは苦い顔をしながら武器であるコンバットナイフを取り出し、
自身もスネ夫に向かって駆け出した。

ガキィン!!!

「ぐっ…!」

金属場との重い一撃を、ドラゴナスはコンバットナイフの刀身で受け止めた。
強烈な痺れと衝撃がドラゴナスの右腕を襲い、顔が歪む。
だが、ドラゴナスの狙いは別の所にあった。
122覚められない悪夢 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/01(土) 00:11:45 ID:Kiv0Goem
ドゴッ!!

「…………ッ!!!」

強烈な膝蹴りが、スネ夫の腹部に食い込んだ。
呼吸困難に陥ったスネ夫は白目を剥き、持っていたバットを地面に落とし、脱力して崩れ落ち意識を失った。
スネ夫が完全に気を失った事を確認すると、ドラゴナスはほっと一息ついた。
いくら殺し合いに乗っているとは言え、少年を手に掛けるのは気が引ける。
そもそも、この少年とて、こんな殺し合いがなければ平穏な日常を送り、平穏な少年として生きていけたはず。
それが、ここまで歪んでしまったのは、他でもない、この殺し合いのせい。
言うなればこの少年も被害者の一人なのだ。
だから、ドラゴナスはスネ夫を自己防衛のためであっても手に掛ける事はやめ、気絶させる事にした。

「悪いな、少し眠っててくれ」

ドラゴナスは地面にうつ伏せに倒れ意識を失っているスネ夫に申し訳なさそうにそう言うと、
スネ夫の装備していた金属バットを拾い自分のデイパックの中に入れ、
そしてスネ夫の身体を担ぎ上げた。
こんな場所に放置しておく訳にはいかない。校舎の中で、
どこか寝かせておけそいな場所で横にさせておこうと考えたためである。



「!! …こ、これは」

校舎に入り、昇降口のすぐ近くにあった保健室に入った瞬間、
ドラゴナスは息を呑んだ。
幾つかあるパイプベッドの内一つに、血塗れの死体があった。
白い毛皮の猫獣人の少年。なぜか服を着ていなかった。
全身に小さな穴が空き、そこから噴き出した鮮血がベッドとその周囲に赤いペイントを施していた。
担いでいたスネ夫をひとまず別のベッドに寝かせ、ドラゴナスが改めて死体を調べる。

「こいつも少年か……酷ぇな……」

傷口の様子からして銃、恐らく散弾銃で至近距離から撃たれたのだろう。
近くの床には脱ぎ捨てたと思われる衣服――学生服だ――と、持物だろうか、
水と食糧が抜かれた基本支給品しか入っていないデイパックは放置されていた。

「だけどどうして裸なんだ?」

殺し合いという状況下でなぜ裸になる必要があったのか。
猫少年の死体を観察していく内にドラゴナスはある物を発見する。

「こ、これは」

それは元々は雄であるドラゴナスならよく知っている物。
猫少年の下腹部、まだ皮を被った少年自身辺りに付着したすっかり乾いてしまっている白っぽい液体。
そしてドラゴナスの鋭い嗅覚が血の臭いと死体の臭いに混ざった、
発情した女の匂いを嗅ぎ付けた。
それらの状況からドラゴナスはある想像に辿り着く。

この猫獣人の少年は、女性に誘惑され、隙を突かれ殺されたのだろう、と。

あくまで推測に過ぎないが、可能性は非常に高いと思われる。
誘惑にせよ何にせよ、そういう手を使い油断させ不意討ちをする狡猾な参加者が、
この殺し合いにはいるかもしれないのだ。
123覚められない悪夢 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/01(土) 00:15:23 ID:Kiv0Goem
「気を付けないとな…ムシャとかは…多分大丈夫か。
ダーエロとかニンニンだったら危なかったかも。呼ばれてなくて良かった。
さてと…この死体をどこか別の部屋に運ぶとするか……」

死臭を漂わせている死体と一緒にいる訳にもいかない。
とりあえず猫少年の死体を別の部屋に移して隠そうとドラゴナスは考える。
気絶させ別のベッドに寝かせたスネ夫の方を見、完全に眠っている事を確認した。

(目覚めたら、もう一度説得してみよう…)

そう思いながら、ドラゴナスは猫少年の死体の運搬作業に取り掛かった。





「――?」

スネ夫は、夜の学校の廊下に立っていた。
いつも通っている、慣れ親しんだ小学校だが、夜に来た事などない。
昼とは違い、不気味な雰囲気を醸し出していた。

「ここは…僕達の学校? でも、あれ…?」

自分は確か、殺し合いをさせられていたのではないかと、スネ夫は自問する。

「……っ、うっ……」

突然、廊下の奥から少女のすすり泣く声が聞こえた。
一瞬、スネ夫は驚いたが、よく聞いてみればそれはとても聞き慣れた声だった。
声の方向へ進んでみると、そこには、壁に背をもたれて床に座り泣いている、
ピンク色の服を着た少女が。

「し、しずかちゃん?」

少女の名前を呼び、スネ夫がゆっくり近付いていく。

「……スネ夫さん……」

顔を上げ、スネ夫の顔を見上げたしずかの目からは大粒の涙が溢れていた。
124覚められない悪夢 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/01(土) 00:19:31 ID:Kiv0Goem
「ど、どうしたのしずかちゃん? 何で泣いてるの?」

一体何事かと、スネ夫はしずかに涙の意味を尋ねた。

「ひっく……スネ夫さん。私、もう、ママに会えないの。お家に帰れないの」
「え? ……何で?」

しずかの言っている事の意味が理解できないスネ夫。
するとしずかはゆっくり立ち上がった。

「だって、私……」

そして、両手を自分の耳元に添え、


しずかの首に一瞬で切れ目が入り、血が滴り落ち、


次の瞬間には、しずかの首は、しずかの両手に持たれ、胴体から離れていた。


「――――ッ!!!!???」

余りの事に声も出す事ができないスネ夫。
だが、有り得ない事が、今目の前で起きている、現実に。
現実――今自分が見てるのは本当に現実なのだろうか?
首と胴が分離したら人間は生きていられないという事ぐらいスネ夫は分かっている。
だが、自分の両手に持たれたしずかの首の両目は開き、口も動いていた。

「私……首、取れちゃったの。だからもう、お家に帰れない」
「あ…あああ……!?」
「スネ夫さん、私、寂しいの…だから、スネ夫さんも、行こう?
『あっちの世界』へ、私と、一緒に――」
「う、うわあああああああああああああああああああ!!!!!」

スネ夫は直感した。
目の前の自分の友達は、もうこの世のものではないと。
張り裂けんばかりの絶叫を上げ、踵を返し全速力で走り出した。

ドンッ

「うわっ!!」
「いってぇ!」

誰かにぶつかり、スネ夫は尻餅をついてしまう。

「おい、痛てーじゃねーかスネ夫! どこ見てんだよ!」

威圧的かつ、豪快な大声がスネ夫の頭上から掛けられた。
その声の主を、スネ夫は知っていた。知っていたからこそ、安堵の表情を浮かべた。
125覚められない悪夢 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/01(土) 00:22:32 ID:Kiv0Goem
「ジャ、ジャイア――」

だが、その安堵の表情は、絶望と恐怖の表情に一瞬で塗り替えられた。

「いやあ、スネ夫、見てくれよ。俺の身体、穴だらけになっちまってよ」

そこにいたのは、確かに、いつも自分達に無理矢理自分のリサイタルを聴かせたり、
無茶苦茶な要求をしてきたり、すぐ暴力を振るったり、だがしかし、
性根は優しく心が強く、妹思いの兄である、ガキ大将の、ジャイアン。

――全身に穴が空き、そこから血が流れていた。

「なあスネ夫、俺達心の友だよな? だったら、俺と一緒に、
『あっちの世界』へ行こうぜ?」
「ああああぁぁあああああぁあああっ!!!」

スネ夫はもはや半狂乱になり逃げ出した。
いつの間にか学校の風景は消え去り、真っ暗な空間のみが広がっていた。
何もない空間をスネ夫はひたすらに走り続けた。
背後から無数の手が伸びてくる。血に塗れた死人の手。
その中にはしずかだった物とジャイアンだった物もいた。
スネ夫を、永遠の闇、冥府へと引き摺りこむために。


「豈帷坩繧偵◇繧上j縺ィ騾・ォ九※縲∫曝縺・瑞諱ッ繧呈」

「縲後ワ繧。窶ヲ窶ヲ繝・・縲蜈ィ陬ク縺ョ蟋ソ縺ァ繝吶ャ繝峨・荳翫↓讓ェ縺溘o繧翫」

「後i縲∬剋迯」莠コ縺」

「縺ァ繝吶ャ繝峨・荳翫↓讓ェ縺溘o繧翫↑縺後」

「坩繧偵◇繧上縲蜈ィ陬ク縺ョ蟋ソ縺ァ繝吶ャ繝峨・後i縲∬剋迯」莠コ縺ッ縺昴・邵槭・・豈帷坩繧偵◇繧上」


最早、声とも、言葉とも、何かの鳴き声とも取れない音がスネ夫の耳を支配する。

スネ夫は逃げた。汗を、涙を、鼻水を、小便を、あらゆる液体を流し、逃げ続けた。
126覚められない悪夢 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/01(土) 00:25:51 ID:Kiv0Goem
(これは夢だ! こんなの現実な訳がない! 僕が見ている夢だ!
夢なら覚めるはずだ! 早く覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ!
覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ!
覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ!
覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ!
覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ!
覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ!
覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ!
覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ!
覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ!
覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ!
覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ!
覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ! 覚めろ!
覚めろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!)





いくら心で叫べど、スネ夫は悪夢から覚める事はなかった。




【一日目深夜/F-5小中学校:一階保健室】

【ドラゴナス@VIPRPG】
[状態]:健康、女体化
[装備]:コンバットナイフ
[持物]:基本支給品一式、焼酎、金属バット
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。首輪の解除。
1:猫少年(ケトル)の死体をどこか別の部屋に移す。
2:狐顔の少年(骨川スネ夫)が目を覚ましたらもう一度説得する。
3:魔王軍の仲間を探す。
4:アレックスとその仲間に会ったらその場その場で対応。
5:襲われたら戦う。
※能力に制限がかかっている事に気づきました。
※女体化から元に戻れません。


【骨川スネ夫@ドラえもん】
[状態]:腹部に打撲、気絶中、悪夢に苛まれている
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、亜美の水と食糧、消毒用エタノール、ジッポーライター
[思考]:
0:生き残るために殺し合いに乗る。
1:(うあああああああああああああああああああああ!!!!!!!)
※F-5小中学校:一階保健室のベッドの一つに寝かされています。
127 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/01(土) 00:29:36 ID:Kiv0Goem
投下終了です。文字化けした文字を使いたかったw
文字化けは某所からのコピペです。

それにしても他の人の投下が全くないな
128 ◆WYGPiuknm2 :2010/05/01(土) 13:20:01 ID:4NUjH7rr
・覚められない悪夢
スネ夫……。
こんな悪夢を見ているという事は彼も相当精神的にまいってたのでしょうね。

無謀ロワ第3話を投下します。
久しぶりの投下です。
129Human Hunter ◆WYGPiuknm2 :2010/05/01(土) 13:23:36 ID:4NUjH7rr

――――夢。


そうだ。 これはきっと夢。 そうに決まっている。


悪い夢なんだ。 これまで見た物は、私の作り出した妄想。


覆面の男も、金属製の首輪も、首無し死体も、全部。


――――目覚めよう。


いつもの天井が、いつもの景色が、私が夢から覚めるのを待っている。


目を開ければ、そこにはきっと――――

130Human Hunter ◆WYGPiuknm2 :2010/05/01(土) 13:27:57 ID:4NUjH7rr


「……………………。」

絶望。
それが、少女――小島多恵の心の中に最初に生じた感情である。
目に飛び込んできたのは、見慣れた天井ではなく、夜空で淡い光を放つ小さな球体。
背中からひんやりとした感触を感じるのは、自分がコンクリートの上で横になっているからだ。

「……………夢じゃ……ない………」

現実。
今まで見た物は、夢でも、妄想でもない。
紛れも無い“現実”。
ともだちも、殺し合いも、首輪の事も、
みんな、みんな、みんな、みんな、みんな………!

「……………あぁ………あぁ………!」

多恵の目から、大粒の涙が零れだした。
コップから溢れ出る液体のように、涙は流れていく。

「なんで………………どうして………!」

どうして、自分が選ばれたのか。
今まで自分が罰を受けるような事をしたか? 
断言できる。 そんな事をした覚えは一切、無い。
それなのに。 何故、自分が殺し合いをしなくてはならないのか。

「嫌……こんなの………………!」

ただただ、泣き続ける。
解かっている。 泣けばどうにかなる訳ではない。
だが、この状況で冷静になれる程彼女の精神は強い物ではなかった。
涙は止まらない。
止めたくても、その意志に反して涙は溢れてくる。
131Human Hunter ◆WYGPiuknm2 :2010/05/01(土) 13:37:55 ID:4NUjH7rr
喉から振り絞るような声で、助けを求めた。
―――誰でもいい。 誰か私を助けて……!

――――――カッ  カッ  カッ  カッ

助けを求めたその、直後。
多恵の耳が小さな音を捉えた。
この音は、コンクリートを叩く音だ。

―――誰かがここに来ている?

多恵は立ち上がって、その音に耳を傾けた。

カッ  カッ  カッ  カッ 

ゆっくりと、だが、確実に、その音はこちらに迫ってきている。
しかも、その音は前方から聞こえてくる。
間違いない。 誰かがここに近づいているのだ。

……逃げるべきだろうか。 いや。

「そこに………誰かいるんですよね…………?」

多恵は、前方にいるであろう者に声をかけた。
足音を聞いて、少し冷静になって考えたのだ。
こんな狂ったゲームに乗っている人間なんている筈がない。
ここに来たのも、仲間を集めるためなんだ。 そうに決まっている――。

カッ カッ カッ カッ カッ カッ

その何者かは、多恵の声に応えるかのように歩く速度を速くした。
何者かの纏う闇は徐々に消えてゆき、やがて、その全貌を多恵の目の前に現す。

―――男だ。
小麦色の肌を持った、肩幅の広い大男。
その身には、鉄製の鎧を纏っており、どことなく中世の騎士をイメージさせた。
そして、なにより目を引くのが…右手に握られた大きな錨である。
かなり重そうな代物だ。 あれを片手に持ったまま移動できるなんて――――

………………錨?
132Human Hunter ◆WYGPiuknm2 :2010/05/01(土) 13:41:06 ID:4NUjH7rr
なぜ男は錨なんて持っているのだろうか。
多恵の心に疑問が生じる。
自身の身を守るため? たまたまデイパックの中に入っていたから?

………まさか。

多恵は、恐る恐る、錨から男の目へと視線を移した。
男の目に映っていた物。 それは―――

「……………………。」

一般人にも確認できるほど明確な、殺意。
それが自分に対する物である事は、多恵にも理解できた。

「…………………………………」

体が震え始める。
歯と歯が打ち合わさって、ガチガチと音を立てる。
足から急激に力が抜けて、その場にへなへなと座り込んでしまう。

「…………………いや…………嫌…………!」

早く逃げないと殺されてしまうのは解かっている。
だが、体に力が入らない。 後退りする事すらままならない。

男は目線を逸らさずじっと、彼女の姿を見つめていた。
それは、獲物を見つけたハンターの瞳。
必ず仕留めるという意志を持った、冷徹な瞳。

――――死ぬ……殺される!
133Human Hunter ◆WYGPiuknm2 :2010/05/01(土) 13:42:49 ID:4NUjH7rr

多恵の脳内に、頭をかち割られる自分の姿が映し出される。
ぐしゃぐしゃに潰れる自分の頭。
その頭から噴出する真っ赤な液体。

―――嫌だ………そんな死に方なんてしたくない!

「やめて………!おねがい………………!」

多恵は震えた声で懇願する。
だが、男はそれに耳を傾ける様子は無かった。

「…………………………………………」

彼は手に持った錨を、


ゆっくりと自らの頭上の辺りまで持ち上げると、


それを多恵に向かって振り落とした。


―――錨は、綺麗な弧を描きながら彼女の頭に衝突し、



その頭部を、いとも容易く粉砕した。



【小島多恵@GANTZ 死亡】





化け物の命はこれまで数え切れない程奪ってきた。
だが、人間の命を奪うのはこれが初めてである。
罪悪感ならあった。
少女の頬を伝う涙。 喉から搾り出したような声。
それら全てが、自らの心をキリキリと締め付ける。
無表情のままでいるのは、とてつもなく辛かった。
殺した後は、体のあちこちが痙攣するように震えた。 何度か吐きそうにもなった。
……だが、自分は決心したのだ。
「このゲームに優勝し、元の世界に帰還する」、と。
もう後戻りはできない。 いや、するつもりも無い。


たとえ外道と罵られようが、戦い続ける。

いつものベットで、いつもの天井を見ながら眠る為に。

134Human Hunter ◆WYGPiuknm2 :2010/05/01(土) 13:44:18 ID:4NUjH7rr
【深夜/E―3/道路】

【男主人公@MHP2nd G】
[状態]:健康 精神疲労(小)
[装備]:村紗水蜜の錨@東方Project
[持物]:基本支給品一式×2、ランダム支給品4〜5
[思考]
基本:優勝し、帰還する。 
1:参加者を見つけたら殺す。

<<支給品紹介>>
【村紗水蜜の錨@東方Project】
聖輦船の船長「村紗水蜜」の所持している錨。
でかい。 重そう。

投下終了です。
もっとペースを上げないとなぁ…。
135創る名無しに見る名無し:2010/05/01(土) 20:07:28 ID:wSkTeYep
規制祭りで書き手さんたちが来られないんだな。
全くどうになかならんもんかなw
136 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/01(土) 21:04:40 ID:Kiv0Goem
投下乙です。錨で頭やられたらグチャグチャだよね絶対、コワイ

>>135 規制祭りは確かに辛い、あれ? したらばも規制されるのか?

投下します俺得ロワ37話「知るには早い事もある」
登場:アキラ、デスシープ
137知るには早い事もある ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/01(土) 21:05:52 ID:Kiv0Goem
36話 知るには早い事もある

「誰もいないな……」
「です、ね……」

エリアC-8の市街地で、それぞれの知人及び他参加者の姿を捜し歩いていた、
青髪の少年、アキラと山羊のような顔を持った悪魔、デスシープだったが、
路上にも、路地裏にも、建物の中にも、人っ子一人いない。
だが、数分前にもどこかから銃声らしき音は聞こえたので、必ず参加者はいるはずなのだが。

「まぁ、それなりに広いですからね。そう簡単には見付からないでしょう。
一旦、地図でも見て、近くにある目立つような建物にでも行ってみませんか?」
「そうだな…」

通りに並ぶ建物を一軒一軒虱潰しに回って行くのは時間的にも体力的にも無駄が多いため、
デスシープの提案で一旦近くの洋品店の中に入り、地図を見て現在位置から近くにあって、
地図上に記載がある建物を探しそこに向かう事にした。
カウンターの陰で、デスシープとアキラが地図と懐中電灯を取り出し、
外に明かりが漏れないよう注意を払いながら懐中電灯の光で地図を照らす。

「デスシープ、今俺達がいるのは……」
「地理的条件や方角などから察するに、エリアC-8だと思います」
「そうか、それじゃあ、近くにある建物と言えば…これか?」

アキラがエリアC-8の西側、エリアC-7に存在する建物を指差した。
それを見た瞬間、デスシープの顔色が変わった。

(そ、その建物は)

アキラが指し示した建物は「男娼館」。
デスシープ自身は性的趣向は至って普通だと思っていたが、
それでも、周囲にいる人々、この殺し合いにも参加しているらしいゴメスが大概の原因だが、
そういった趣味を持った人の影響で、その手のプレイに関しての情報も、
ある程度ではあるが持っていた。デスシープ自身は本番まではした事もないしこれからもする気はない。

つまり、男同士での性的な交わり――ホモセクシュアル。

アキラ少年は恐らく何も知らないで指示したのであろうが、
「男娼館」とは男同士であんな事やこんな事をする大人の娯楽施設なのだ。

「どうしたデスシープ? 顔色が悪いぞ。気分でも悪いのか?」
「い、いえ、そういう訳じゃないんですけど」

変な汗をかき始めているデスシープをアキラが心配する。
138知るには早い事もある ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/01(土) 21:07:06 ID:Kiv0Goem
(おいおいおい、どうする!? 確かにすぐ近くにあって、
参加者も集ま……集まるのか? いやとにかく、すぐ近くにあるし、
地図にも載っているけど…アキラ君って小学生だよね? しかも、
絶対そういう、男同士でアッーみたいな感じの事なんて知らない感じだよね?
っていうかまだ知っちゃいけない年齢だよね!? おいどうするよ!?
い、いや待て落ち着けデスシープ。よく考えてみろ。別に知らないならいいじゃないか。
俺も知らないフリしとけばいい。っていうかアキラが聞いてこなければ別に言う必要も……)

「なぁ、デスシープ」
「は、はい?」
「この『男娼館』って、どんな所なんだ? 分かるか?」

デスシープは頭を思い切り煉瓦で叩かれたような衝撃を感じた。
何も知らない純粋さから来る質問。だがそれの答えは純粋さを果てしなく澱ませる質問。

(き、聞いてきた!! まずい、まずいぞォォォォォォ!!!
いや、いやいや、だから言う必要ないって。知らないフリしとこうぜ俺!!
うん、そうしよう。この子にはまだそんな事を知るのは早過ぎる。知らないフリ!)

「さ、さあ…? ちょっと分かりませんね」
「そうか。別にいいんだけど…」

結局デスシープはアキラに男娼館の意味は隠しておく事にした。
アキラの年齢や将来も考慮しての事だが、教えなくても行動に支障は起きないとも判断したためである。

「それじゃあ行こうか。デスシープ」
「そ、そうですね」

デスシープのやや上擦った声が気になったが、
アキラは地図と懐中電灯を自分のデイパックにしまい身支度を整え始める。
同じくデスシープも心の中に別の意味で不安を抱えながら身支度を始めた。
139知るには早い事もある ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/01(土) 21:10:09 ID:Kiv0Goem
【一日目黎明/C-8市街地:洋品店】

アキラ@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康
[装備]:鉄パイプ
[持物]:基本支給品一式、工具セット
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。仲間を集めて脱出手段を探す。
1:デスシープと行動。C-7男娼館に向かう。
2:仲間達(アキラ、亜美)を探す。
3:帝国軍のデビル(ガルム、ガーゴイル)には注意。
※参戦時期はレミエル打倒後、元の世界へ帰還した直後です。
※デスシープと情報交換しました。
※男娼館がどういう場所なのか知りません。


【デスシープ@VIPRPG】
[状態]:左腕に打撲、C-8市街地へ移動中
[装備]:コルト ディテクティヴスペシャル(6/6)
[持物]:基本支給品一式、.38sp弾(30)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。仲間を集めて脱出手段を探す。
1:アキラと行動。C-7男娼館に向かう…。
2:上司達(ムシャ、ドラゴナス、死神五世)を探す。
3:勇者達(アレックス、ブライアン、ゴメス、ヘレン)は……。
4:襲われたらそれなりに対処する。
※アキラと情報交換しました。
※アキラが異世界から来た人物だと確信しました。
140 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/01(土) 21:13:51 ID:Kiv0Goem
投下終了です。
141 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/02(日) 22:34:22 ID:DVkiL35h
投下します。俺得ロワ38話「殺し合いそっちのけで何やってんだ」
登場:稲垣葉月、レックス
38話 殺し合いそっちのけで何やってんだ


レックスとの行為の後始末を終えた私は、
自分の服を着てリビングで支給品の食糧を食べていた。
今食べているのは鮭おにぎり。食糧はコンビニおにぎりとか、サンドイッチとか、
そういう物がほとんどみたい。

食事を終え、私は黒い大きな狼が寝息を立てる和室に戻ってきた。
黒狼、レックスは私を思う存分味わった後、疲れて寝てしまった。
あれだけ激しく腰を振っていれば当然か。凄かったもの。
寝顔は中々、可愛い。

「……」

レックスの首にはめられた頑丈な金属製の首輪に手を触れる。
同じ物が私の首、私達以外の全参加者にはめられている。
爆弾が内蔵された死の首輪。

自分達が今、死と隣り合わせの殺し合いにいる事。その現実は変わらない。
レックスはどうなのか分からないけど、いずれ、私達は死ぬ。
例え誰一人殺し合いをする気がなくなったとしても、
丸一日死者が出なければ、首輪が爆発して死ぬ。

私には人を殺して生き残るなんてとてもできない。
もう私は生きて帰る事なんてできないんだろう。
それなら、このエロ狼に死ぬまで好きにされていよう。
この子に蹂躙されている間は、全て忘れられるから。

掛け布団を剥がして改めてレックスの身体を観察する私。

「ほ〜……」

艶やかな黒い毛皮の下には、無駄のない、強靭な筋肉が付いている。
四肢も太く逞しい。爪も、牙(キスをする時に見た)も非常に鋭い。
覆い被された時に少し肌が爪で傷付いてしまった事を思い出した。
身体の大きさも大の大人くらいある。

外見だけなら、本当に凶暴な獣そのもの。
だけど、それでいて性格は軽い。
しかも、感じている時、異様に、その、何て言うか――可愛い。

そう、この子、レックスは、可愛いのよ。

いや、可愛いだけじゃない、何だろう、私は、レックスに何か――特別な感情が――。
「……」

私はレックスのふさふさのタテガミを撫でた。

……死ぬのなら、この子の牙と爪で引き裂かれて死にたい。
喉を噛み砕かれて、はらわたを引きずりだされて。
きっと、痛いだろうな。苦しいだろうな。でも……レックスなら……いいよ。

……何変な想像してんの私は。

「にしても、可愛いなぁ。見ればみる程」

思い切って抱き付いてモフってみるけど、やっぱり起きない。
凄くフサフサモフモフ。顔がうずまっちゃう。ちょっと獣臭いけど、そこが…いい!

「どうしよ……可愛い。可愛いよレックス可愛いよ。駄目だ、我慢できない。
これはもう悪戯するしかない」

ついに我慢の限界を迎えた私は、レックスの下腹部に――その前に。

「……そう言えば、レックスの支給品って何なの?」

ずっと気になっていた事があった。それはレックスの支給品。
彼で出会ってから、一回も話題に触れなかったけど、何が支給されたんだろう?
勝手に中身見るのはよくない事だと思うけど…レックスは今深い眠りだし。
見付かったら必死に謝れば何とかなるでしょ、多分。
私は部屋の隅に置いてあったレックスのデイパックを手に取り、中身を調べた。
すると基本支給品の他に出てきたのはダマスカスソード。説明書には「切れ味が鋭い」といった事が書いてある。
レックスは自分の支給品を確認していたのだろうか?

「…さて」

気になる事も解決したし、いよいよ……て、え?

「人の荷物、勝手に見るのは感心しないな」
「きゃあっ!」

私の背後には、やや不機嫌そうな表情で座っている黒い狼がいた。

「お、起きてたの?」
「うん」
「ご、ごめんなさい…悪気はなかったんだけど、あなたがどんな物を支給されているのかと思って。
その、えーと、ホントにごめんなさい!」

私は必死に頭を下げて、何度も謝罪した。
もしここでレックスに見捨てられるような事になったら、私はまた一人ぼっちになってしまう。
いつ誰に襲われるかも分からないこの地獄とも言える殺し合いの下で。
それだけは絶対に嫌だった。自分の軽率な行動が原因なのは分かっている。
だけど、それでも……。
「い、いや、いいんだよ。別に怒ってる訳じゃないから。ただ、
何してんのかなと思っただけで! 気にしなくていいよ!」
「…本当に?」

意外な事に、レックスが少し慌てた様子で私を宥め始めた。
良かった、私が思っている程、レックスは怒ってはいなかったみたい。

「あーでも、怒ってはいないけど…やっぱりお仕置きは必要だよねぇ」
「…え??」
「四つん這いになって、お尻を出して突き出しな! そりゃもう高くな!」
「あ、あー……」

お仕置きって言うから何をされるかと思ったけど、どうやら普通に後ろから、みたい…。
勝手に荷物漁っちゃった手前だし、従うしかないよね。
私はレックスに言われた通り、四つん這いになり、お尻を出して高く突き出した。
直後、大きな獣が後ろから私に覆い被さった。かなり重い。
だけど、獣に抱かれるという背徳感が、私を興奮させた。

「それじゃあいきまーす」
「どうぞー」

私は目を閉じて、来るべき衝撃に備えた。



ズンッ



………………………………………………………………………………。




「ぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!!」




◆◆◆
勝手に俺の荷物を漁ったハヅキに対して俺が下した罰。
それは、俺の自慢の極太ソーセージを、ハヅキの菊の御門に突入させる事だった。

だが……。

「…ごめん、ごめんよハヅキ……」

俺は自分がした事を後悔する事となった。
ハヅキの菊の御門は俺の息子には小さ過ぎた。
アワビの門は易々と進入できたけどこっちの門はそうはいかなかった。

「痛い……痛いよレックス……血が止まらないよお……」

涙目で、掠れた声で俺を非難するハヅキ。無理もないだろう。
破れてしまった菊の御門からは決して少なくない量の鮮血が溢れ、酷い有様となっていた。

「まさかこんな事になるなんて、本当にごめんハヅキ…」
「いいよ、元々私が悪いんだから……ああでもどうしよう、
これから大きい方する時、滅茶苦茶痛いかも……っていうかパンツ穿けないよこれじゃあ」

下血は床の畳に大きなどす黒い染みを作ってしまっている。
確かにこのままではパンツは愚かスカートも穿く事ができない。
血が止まるまでハヅキは下半身丸出しでいなければならないのだ。

「俺、脱衣所からタオル一杯持ってくるから…」
「お願い……」

とにかく血を止めないと。このままでは失血死してしまうかもしれない。
これでハヅキに万が一の事があれば俺の責任だ。
この殺し合いの中、一緒にいてくれる人を求めて蹲っていたハヅキ。
俺は邪な感情を抱いて接触してきたと言うのに、ハヅキはそれでも喜んでくれた。

――俺もそうなのかもしれない。
いつ死ぬか分からない殺し合いの中、参加者の女を性的に襲って回ろうと考えたのも、
迫り来る死の恐怖から逃れるためだったのかもしれない。
だから、俺も、傍にいてくれる存在に、心のどこかで餓えていたのかもな。
現に、俺はハヅキを見捨てるという選択肢を選べなくなっていた。

ずっとハヅキと一緒にいたい。

不純な思いは一切ない。心の底からそう思えるようになった。


――女に対してこんな感情抱いたのは、初めて、だな。
【一日目黎明/G-6市街地:垣内家二階和室】

【稲垣葉月@俺オリロワリピーター組】
[状態]:下半身丸出し、肛門及び直腸裂傷による深刻な下血
レックスに対する特殊な感情
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式(食糧を少し消費)、AK-47(30/30)、AK-47のリロードマガジン(30×10)
[思考]:
0:死にたくない。
1:↑で死にたくないって書いといてアレだけど、私、死ぬかも…。
2:襲われたらどうする……?
※下血が酷いため下着を着る事ができません。下半身の衣類は和室内に放置されています。
※レックスに対し特殊な感情が芽生え始めているようです。


【レックス@オリキャラ】
[状態]:健康、稲垣葉月に対する罪悪感、及び特殊な感情
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、ダマスカスソード
[思考]:
0:とりあえず死にたくはない。
1:ハヅキを死なせない。
2:最悪の場合(ハヅキが死亡した場合も含む)、自害する。
※稲垣葉月に対し特殊な感情が芽生え始めているようです。



※G-6市街地:垣内家二階和室が血で汚れています。
147 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/02(日) 22:46:14 ID:DVkiL35h
投下終了です。俺が何やってんだw
あ、最後支給品紹介加えるの忘れてた。Wiki編集時に入れておこう
148 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/03(月) 02:45:04 ID:dZ/33HI2
投下します。俺得ロワ39話「It is a nightmare inside even if awaking.」(目覚めても悪夢の中)
登場:ドラゴナス、ヘレン、ガルム、骨川スネ夫
149It is a nightmare inside even if awaking. ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/03(月) 02:46:43 ID:dZ/33HI2
39話 It is a nightmare inside even if awaking.


「ふぅ…とりあえず、これで良いか」

保健室から隣の職員室まで、死臭を発し始めている猫獣人の少年の死体を引き摺り、
そして今、少年が着ていたと思われる衣類を、職員室奥の床に横たえた死体の上に被せ、
一通りの運搬作業を終えたドラゴナス。
せめてもう少しマシな弔い方はないのだろうかと自分自身に問い掛けるが、
自分の命もいつ危機に晒されるか分からない現状では、
これぐらいしかできないと自身に言い聞かせた。

保健室でベッドに寝かせている狐顔の少年の様子が気になり、
ドラゴナスは保健室に向かうため、職員室の引き戸を開け、廊下に出た。

「!! お前は…」

そこでドラゴナスは自分もよく知る人物と対面する事となる。
廊下の奥、数メートル先に、自分にライフルと思しき銃の銃口を向ける、
金髪のロングヘアのエルフの少女。

「貴方は…魔王軍のドラゴナスだったかしら。女体化してるみたいだけど」
「そういうお前は確かヘレンだったか? アレックスの仲間の」

エルフの少女――ヘレンは腰だめに構えた三八式歩兵銃の銃口をドラゴナスに向けたまま、
ゆっくりとその距離を詰め始めた。
ドラゴナスは動くに動けない。様子を見る限り、ヘレンはこちらに対し殺気を放っている。
下手に動けば間違いなくヘレンは銃の引き金を引くだろう。

「……一体いつからこの学校に?」

ヘレンの目を見据えながらドラゴナスが質問する。

「ついさっきかな。通用口から入ったんだけど、何だか音がするなと思って来てみれば、
貴方がいたって訳」

学校のあるエリアF-5の西側隣、エリアF-4にて一人の参加者を襲ったが、
結局仕留める事に失敗したヘレンは、東方向に存在する小中学校を次の目的地とし、
森の中を歩き続けた。そして小中学校に辿り着き、現在、ドラゴナスと対峙するに至る。

床に残る血の後、ドラゴナスの両手と身体に付着した血痕を見付け、
今度はヘレンがドラゴナスに質問する。

「ねぇ、貴方の身体と床に付いてるその血はどうしたの?」
「こ、これは……」

状況を説明しようとしてドラゴナスが躊躇する。
保健室で死体を発見しそれを隣の職員室まで引き摺った、それをヘレンに話せば、
なぜわざわざそのような事をしたのか理由を聞かれるだろう。
保健室に気絶させた少年を寝かせてあるため、と答えれば、
下手をすればその少年に危険が及ぶ可能性がある。
今のヘレンからは、明らかに平和的な匂いが感じられなかった。
だが、ここでしっかり説明しなければ、あらぬ疑いを掛けられる可能性がある。
正直に話すべきか、それとも。
150It is a nightmare inside even if awaking. ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/03(月) 02:48:42 ID:dZ/33HI2
「もしかして、貴方、誰かを殺したの?」
「! ち、違う! 俺は誰も殺してなんていない!」
「それじゃあその血は何? ちゃんと説明して欲しいな」
「くっ……」

ヘレンがこの殺し合いをする気でいるのかどうかはともかく、
やはり正直に話すべきだとドラゴナスは感じ始める。
そして、保健室で死体を発見した事を話そうとした時だった。

「…まぁ、貴方が誰か殺したかどうかなんて、ぶっちゃけどうでもいいんだけど」
「……何だって? それはどういう意味、だ?」

突然ヘレンが言い放った言葉に困惑するドラゴナス。
だが、すぐに先程自分が考えていた推測と今のヘレンの発言を結び付け、
その意味を察した。

「何にしたって、私は、みんなを殺すだけだからね」
「――ッ!!」

次の瞬間、ドラゴナスは職員室の中へ逃げ込んでいた。
数瞬前まで、ドラゴナスがいた空間を、三八式歩兵銃から放たれた銃弾が突き抜けた。

「逃げたって無駄よ! 観念し――」

いざドラゴナスを追撃しようとヘレンが一歩踏み出した。


ダダダダダダダダダダダッ!!


「―――ぎっ、あ――?」

機関銃の音と同時にヘレンの身体に、
背中から無数の9oパラベラム弾が食い込み、幾つかが貫通した。
背中や足に感じる灼熱、そして喉の奥から込み上げ口から流れ出る鉄錆の味をした液体。
脱力する身体を気力で支え、ヘレンが背後を振り向くと。

そこには自分に向け、銃口から煙を噴く短機関銃と思しき銃を構えた、
頭に迷彩色のバンダナを巻いた紫色の犬獣人の姿が。
その瞬間ヘレンは察する。自分は銃撃されたのだと。

犬獣人が口元を歪め、笑った。
151It is a nightmare inside even if awaking. ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/03(月) 02:50:59 ID:dZ/33HI2
「…嘘、でしょ……?」



ダダダダダダダダダダダッ!!



それがヘレンが見た最期の光景となった。



短機関銃、ウージーのマガジンを交換しながら、犬獣人――ガルムは、
青い髪をした竜人娘の逃げ込んだ職員室へと向かう。
エリアE-5の森にて、取り逃がした、あの時の竜人娘に違いないと、ガルムは確信していた。

(まさかこんな所で会えるとはな…今度こそ仕留めてやるぜ)

獲物を見付けた獣ようなぎらぎらとした目をしながら舌舐めずりをし、
職員室に足を踏み入れたガルムだったが、見る限り、
あるのは事務机や書類を収める戸棚だけで人の姿は見当たらない。

「どこに行った?」

ウージーを携えながら、職員室内を見て回るガルム。

「あ? 何だこりゃ……」

その過程で、床に横たえられた猫獣人の少年の死体を発見するが、
特に気にも留めず、再び竜人娘の捜索を続けた。
一つ一つの事務机の下や、戸棚の中、更には清掃用具入れの中に至るまで見て回る。
しかし、竜人娘の姿は見当たらない。

「窓から逃げたか? いや、開いた様子もないが…」

カーテンの閉められた窓へと近付くガルムだったが、
その時、背後で何か金属音が聞こえた。

「!!」

振り向いた瞬間、職員室入口で仁王立ちをした竜人娘を発見した。
だが、ガルムがウージーの引き金を引く前に。


ダァン!!


「グハッ…!!」

竜人娘が構えたライフルの引き金を引いた。
放たれた銃弾はガルムの左胸に直撃し、空いた穴からドクドクと赤い液体が流れ、
職員室の木造の床の上に滴り落ちる。
152It is a nightmare inside even if awaking. ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/03(月) 02:51:53 ID:dZ/33HI2
「く、くそっ」

急いでガルムはウージーの銃口を竜人娘に向けようとしたが、
それよりも竜人娘がライフルのボルトを操作し、再び発砲する方が早かった。


ダァン!!


「ガァ……ア………ッ」

今度の弾丸はガルムの心臓を正確に撃ち抜いていた。
いかに生命力において人間の比ではないデビルであるガルムと言えど、
心臓にライフル弾を貫かれ、生存する事はできない。
持っていたウージーを床に落とし、ガックリと両膝を突いたガルムは、
徐々に意識が遠退いていくのを自覚し、自分が間もなく死ぬ事を悟った。

(終わりかよ………くそっ…………)

心の中で悔しげに呟き、直後にガルムの身体は崩れ落ち、そして永遠に動かなくなった。



「ハァ、ハァ、ハァ……」

竜人娘――ドラゴナスが、息を荒げながら、ヘレンの死体から奪った三八式歩兵銃を携え、
たった今殺害した紫色の犬獣人の死体に近付き、生死を確認する。
脈はなく、瞳孔も何の反応も示さない。犬獣人の肉体が完全に活動を停止している事は明白だった。

職員室に逃げ込んだ際、ドラゴナスは事務机の陰に隠れた。
そして気付かれないように、職員室の入口の方を覗き、犬獣人が入ってきた事を確認すると、
犬獣人の死角となるように並べられた事務机の陰を這って移動し、
上手く背後に周り、ヘレンの持っていた三八式歩兵銃を使い攻撃を仕掛けた。

「こいつは、あの時の犬獣人…?」

身体的特徴や使っていた武器などから、ドラゴナスはこの犬獣人が、
先刻自分と、出会ったばかりの剛田武と名乗った少年を襲った者と同一人物であると確信する。
剛田武少年は自分が上空に飛び上がって難を逃れた後、
この犬獣人による機関銃掃射により命を落としてしまった。

期せずして、あの少年の仇討ちをしたという事になる。

(少年……そういえばあの狐顔の少年は大丈夫だろうか)

突然の戦闘によりすっかり保健室の少年の存在を忘れていたドラゴナスは、
立ち上がり、保健室に向か――――う事はできなかった。
153It is a nightmare inside even if awaking. ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/03(月) 02:53:27 ID:dZ/33HI2
ドスッ


「…………ぁ…あ?」

保健室でベッドに横になっていたはずの少年が、自分の懐に潜り込んで、
自分の腹部にコンバットナイフを押し当てていたからだ。
ぐいっ、と、少年がコンバットナイフを突き上げるようにして、傷口を抉る。
ドラゴナスの喉の奥から熱い液体が込み上げ、口から溢れた。
少年がドラゴナスの身体から離れた。だが、ドラゴナスの腹からは、
コンバットナイフの柄が生えたままになっている。
無論、それは生えているのではなく、刀身が身体の中、腸をズタズタにして潜り込んでいるのだという事は理解していた。
ふらふらと後ずさりした後、ドラゴナスはゆっくりと、仰向けに、既に床に倒れている、
犬獣人――ガルムの死体の上へと倒れていった。


(――――ハーたん、ハーナス、ハー妹――――)

頭の中に、自分の愛する家族の顔が浮かぶ。
良妻賢母のハーたんことハーピー。
自慢の才色兼備の娘、ハーナス。
居候の上にニートだがどこか憎めないハー妹。
自分の最愛の、そして大切な家族。

多分、いや、もう自分は、家族の元には帰れない。

(――――魔王様、嫁様、娘様、ムシャ、ニンニン、ダーエロ、死神五世、
魔王城のみんな――――)

そして、魔物達を統べる長として、そして自分と同じ夫として父親として、
敬慕いていた魔王とその家族、同じ四天王の仲間達の顔も。

ムシャと死神五世、そしてデスシープはこの殺し合いに参加させられている。
死にゆく者として彼らの身を案じずにはいられなかった。



(……俺………は……………)



ドラゴナスの身体が、ガルムの死体の上に倒れ込んだ時。

その時にはもうドラゴナスの意識はなくなっていた。




骨川スネ夫は、二人目の殺人を犯した後、しばらくその場に立ち尽くしていた。
だが、数分後、スネ夫はどこか、魂の抜けたような表情のまま、
散らばった武装の回収を始めた。
154It is a nightmare inside even if awaking. ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/03(月) 02:56:27 ID:dZ/33HI2
悪夢に苛まれていたスネ夫を目覚めさせたのは、銃声。
目を開けた時、自分がいたのは、内装からして保健室の中。
なぜ保健室で、しかもベッドの上で眠っていたのか思案したが、
保健室の外から機関銃と思しき銃声が響き、その思考は中断された。

僅かに保健室の扉を開いて様子を窺うと、
奥に二足歩行の犬のような人間が立っており、床には金髪の女性が血塗れで倒れていた。
多分、と言うより間違いなく女性は息絶えていた。
そして犬人間がすぐ近くの部屋――表示から職員室だと分かった――に、
短機関銃らしき武器を携え入っていった。

その後、しばらくスネ夫はそのまま扉の陰から様子を見守っていた。
今思えばなぜその隙に逃げ出したりしなかったのか、自分でも分からなかった。

しばらく静寂が続いたが、突如事態は急転する。
職員室の入口から、自分が意識を失う前に戦った青髪の翼と尻尾を持った女性が飛び出し、
金髪の女性の死体の辺りから何やらライフルらしき物を拾い上げると、
すぐに職員室の方に戻って行った。スネ夫には気付かずに。

その後、二発の銃声が響き、そして静かになった。

スネ夫は考える。自分がなぜ、学校の保健室で眠っていたのか。
眠る前の記憶は、小中学校の校庭で、翼と尻尾を持った青髪女性を襲った事。

(…そうだ、僕は、あの女の人に気絶させられたんだ……って事は、
僕を保健室のベッドに寝かせてくれたのもあの人?)

自分の推測が正しいとすれば、少なくともあの女性は殺し合いをする気はないと思われた。
意識を失う前にも、殺し合いをやめるよう説得していた事からも間違いない。
殺す気で襲い掛かった自分を、わざわざ保護してくれたというのか。

(あの人、いい人なんだな……)

自分の命すらも危ういこの殺し合いという状況下で他人の、しかも自分の命を奪おうとした人物を、
保護ししかも比較的安全な場所に安置してくれるとは。
あの翼と尻尾を持った女性は、間違いなく善人の部類に入る存在だと、
この殺し合いを拒絶する者にとっては頼りになるであろう存在だとスネ夫は思った。


もっとも。


生き残るために殺し合いをする気でいるスネ夫にとっては、そんな事はどうでも良かったのだが。
155It is a nightmare inside even if awaking. ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/03(月) 02:58:07 ID:dZ/33HI2
不思議と、二人目の殺人の時は、最初の時程抵抗感がなかった。
あの悪夢を見て、恐怖や罪悪感といった感情が麻痺してしまったのだろうか。

「……夢……」

スネ夫は、夢の中に出てきた、この殺し合いにも呼ばれている友達二人の事を考える。

「あの夢……もしかしたら、ジャイアンとしずかちゃんはもう……」

虫の知らせという言葉もある。二人が夢の中であのような姿で登場した事、
更に殺し合いという状況を考えれば、二人の身に何かあったと考えられた。
それも、恐らくは、最悪の結末。

まだそうなったのかと確定している訳でもないが、
できる事ならそうなって欲しいともスネ夫は思っていた。

何故なら―――自分の手では友達を殺したくなかったから。

だが、今の心情なら、友達を手に掛ける事も容易い、とまでスネ夫は思い始めていた。



数十分後、スネ夫は学校の昇降口から外へ出た。
その手には犬人間が持っていた短機関銃、ウージーが。
そして肩から提げたデイパックには、翼と尻尾の女性、金髪の女性、
犬人間の三人の死体から奪い取った装備や食糧が入っていた。

そしてスネ夫はまだ暗闇に包まれている市街地に向かい歩き出す。

その瞳には、どこか暗い、暗澹とした何かが宿っているようだった。


【ヘレン@VIPRPG  死亡確認】
【ガルム@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク  死亡確認】
【ドラゴナス@VIPRPG  死亡確認】
【残り35人】


【一日目黎明/F-5小中学校:校庭】

【骨川スネ夫@ドラえもん】
[状態]:健康
[装備]:IMIウージー(32/32)
[持物]:基本支給品一式、IMIウージーのリロードマガジン(32×8)、三八式歩兵銃(2/5)、
6.5o×50R弾(25)、コルト トルーパー(6/6)、.357マグナム弾(30)、コンバットナイフ、
水と食糧(4人分)、消毒用エタノール、ジッポーライター、焼酎
[思考]:
0:生き残るために殺し合いに乗る。
1:のび太達とは会いたくない。
※悪夢の内容から、剛田武と源しずかの二人はもう死んでいるのではないかと思い始めています。


※F-5一帯に銃声が響きました。
※F-5小中学校内にヘレン、ガルム、ドラゴナス、ケトルの死体と、
それぞれのデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)が放置されています。
156 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/03(月) 02:58:54 ID:dZ/33HI2
投下終了です。
157 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/03(月) 03:16:28 ID:dZ/33HI2
訂正。残り34人です。
158 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/04(火) 15:07:09 ID:8TLOggPi
投下します。俺得ロワ40話「死体損壊なんてよくある事」
登場:エルザ・ウェイバー、ガーゴイル、ドーラ・システィール
159死体損壊なんてよくある事 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/04(火) 15:08:36 ID:8TLOggPi
40話 死体損壊なんてよくある事


エルザ・ウェイバーはガソリンスタンドで自分を襲い、
返り討ちにした青髪少女から小型拳銃・デリンジャーと予備弾、
そして何やら獣人のいかがわしい写真が大量に入った箱と食糧を回収した後、
近くのエリアにある豪邸へと足を運んでいた。
デリンジャーによって撃たれた傷が痛んだが、小口径の弾丸であった事や、
急所を逸れていた事が幸いして応急処置で十分なレベルのものだった。
ガソリンスタンドには医療道具などは見付からなかったため、
それらの物を探すという目的も兼ねてエルザは豪邸を目指していた。

「誰かいるな…中に最低二人?」

エルザの持った首輪探知機が反応を示す。
所有者のエルザを示す光点の他に、豪邸のある方向に二つの光点。
距離から言って、豪邸の中に二名の参加者がいるのは確実だった。
但し、この首輪探知機は死体にはめられた首輪にも反応するため、
最悪の場合、豪邸の中に死体が二つ転がっている事になる。
ただ、二つの光点は微妙に動きを見せているので、死体という事はないだろう。

「……よし」

もしも豪邸内の参加者が殺し合いに乗っていた場合の事を考え、
腰に差した九五式軍刀をいつでも抜けるように準備した。



「ん…ドーラ。誰か来たみたいだぞ」
「何…?」

カーテンを少しだけ開けて外の様子を窺っていたガーゴイルがドーラに報告する。
ドーラがガーゴイルと同じように覗いてみると、確かに、
頭に角の付いたカチューシャのような飾りを付けた、白髪頭の戦士風の女性。
腰には刀と思しき物を提げているのが確認できる。

「入ってくるね。それじゃ、出迎えてやろうとするかい」

ドーラはイサカM37散弾銃を手に取り、ガーゴイルと共に玄関に向かった。
160死体損壊なんてよくある事 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/04(火) 15:10:23 ID:8TLOggPi
「うっ…!」

玄関の扉を開けた途端、エルザは散弾銃の銃口に出迎えられる事となった。

「下手な真似したらぶっ放すよ。アタイの言う事に大人しく従いな。いいね?」

イサカM37をエルザに向けながら、狐獣人の女、ドーラは威圧的な口調で言い放つ。
その背後には青い竜に似た魔獣、ガーゴイルが控えていた。

「アンタ、殺し合いに乗っているのかい?」
「い、いや、乗ってないよ」
「そうかい。それじゃ持ってる荷物を一度、地面に全部下ろしな」

エルザは下手に反抗しない方が良いと考え、
大人しく、肩から提げたデイパック、腰に差した九五式軍刀、手に持った首輪探知機を全て地面に下ろした。
続いてドーラがエルザに近付き、他に武器を隠し持ってないか身体検査を始める。

「あっ…ん」
「変な声出すな!」
「だ、だって、そんな所、やあっ、ひゃうっ!」
「じっとしてろ!」
「うう……」

そんな二人のやり取りを見て、雄であるガーゴイルは顔を赤らめ目を背けていた。
普段は体内に収納されている息子を必死に引っ込めながら。
しばらくして、不審な点なしと見たドーラは身体検査を切り上げた。
その頃には身体の至る所を触られたエルザはすっかり恍惚の表情になっていた。

「オーケー。どうやら武器も隠し持ってないようだし、信用するよ」
「はぁ…はぁ…」
「……///」
「何赤くなってんだいガーゴイル」
「うるさい」
「……とにかく、傷負ってるみたいだし、手当てした方が良いね。中に入りな」
「あ、ありがとう……」




ドーラにより傷口の手当を受け、腹部に包帯を巻いたエルザは、
自己紹介をした後、ドーラ、ガーゴイルの両名から共闘を持ち掛けられた。

「と、言う訳。アタイ達はこの首輪外せそうな奴探してんだけど…」
「エルザだったか? 率直に聞くが、お前はこの首輪を外す手段に何か心当たりはあるか?
そうだな、何か、機械知識とかそういう物を持っていたりとか…」

明らかに機械知識といったものに無縁そうなエルザの外見は分かってはいたが、
とりあえずガーゴイルは聞いてみるだけ聞いてみる事にした。
しかしエルザからは予想外の色良い返事が返ってくる。
161死体損壊なんてよくある事 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/04(火) 15:11:35 ID:8TLOggPi
「そうだね…多少なら機械はいじれるよ」
「本当かい? そうは見えないけどねぇ」
「どちらかと言えばラジオやビデオデッキの扱いにも苦労しそうな感じだが」
「そんな事ないって。人は見かけに寄らないものだよ。
怖そうな外見の人が実はとってもいい人だったっていう例が沢山あるじゃない」
「それとこれとは別な気もするが…それじゃ、俺の首輪を調べてみてくれ。こいつをどう思う?」
「どれどれ…」

エルザがガーゴイルに近付き、その首にはめられた首輪を調べ始めた。
サイズや形状は異なるが、デザインや材質、恐らく内部構造も、
自分やドーラ、他参加者にはめられたものと同一のようだ。
裏側を指で触ると、何やらとても小さい穴がいくつも空けられている。

(これは…? 冷却用の穴か何か?)

もっと詳しく調べたいが、ガーゴイルの首が邪魔になり観察する事はほぼ不可能な上、
下手に衝撃を与えれば、主催者が言っていたように爆発する恐れがあった。

「どうだ?」
「ん……やっぱり首が邪魔だね、首輪そのものが欲しいな」

これ以上の調査は、純粋に首輪のみを調べた方が良いとエルザは判断し、
ガーゴイルの首輪の調査を打ち切った。

「首輪そのものって言ってもねぇ…そんな物どこにも…」
「……死体の首から取る、という方法を思い付いたんだが、どうだ?」
「ちょ、アンタエグい事考えるね」
「それ以外に良いアイディアが思い付かなんだ。
だがそう都合良く死体など…ん? そういえば…エルザ」
「はいはい、聞かれると思ってたよ」

ガーゴイルは先程エルザから聞かされた話を思い出した。
この豪邸からそう離れていない場所のガソリンスタンドにて、
エルザが自分を殺そうとした参加者を返り討ちにし、殺害したという話。
それが事実なら、ガソリンスタンドには参加者の死体、つまり、
首輪が放置されているという事になる。
首輪は外す事はできないため、死体から首輪を取るという事は、
つまりその死体の首を切断する必要がある。
死者への冒涜という生易しいレベルの問題ではないが、少なくともここにいる三人は、
その行為に対して何ら忌避感を抱いてはいなかった。
自分達の命が掛かっている問題である。最早死んでしまった者にまで、
気を回せる程、お人好しでも慈しみ深い訳でもない。
162死体損壊なんてよくある事 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/04(火) 15:13:23 ID:8TLOggPi
「それじゃ、今からちょっと行ってくるよ」

エルザが早速首輪を取りに行こうと、九五式軍刀を携えて立ち上がった。
しかし、ドーラが声を掛けて止める。

「待ちな。怪我してんだから無理すんじゃないよ。
アタイが行ってくる。刀貸しな。すぐそこのガソリンスタンドだろ?」
「これくらい平気だけど…そう言うならお言葉に甘えようかな」
「ドーラ、気を付けろよ。もう誰か、他の参加者が来ているかもしれないからな」
「分かってるさ」

エルザから九五式軍刀を受け取り、ドーラはガソリンスタンドへ向かうため、
豪邸玄関へ歩き始めた。

【一日目黎明/H-3豪邸】

【エルザ・ウェイバー@オリキャラ】
[状態]:腹部に二発被弾(処置済)
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、レミントン デリンジャー(0/2)、.41リムファイアー弾(30)、
首輪探知機、雄獣人エロ写真詰め合わせ
[思考]:
0:殺し合いを潰す。脱出手段の模索。
1:ドーラが首輪を回収し戻ってくるのを待つ。
2:ドーラ、ガーゴイルと行動する。仲間を集めたい。
3:首輪を調べたい。
※ドーラ、ガーゴイルと情報交換をしました。

【ガーゴイル@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康
[装備]:RPG7(1/1)
[持物]:基本支給品一式、85o対戦車擲弾(3)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。首輪の解除方法の模索。
1:ドーラが首輪を回収し戻ってくるのを待つ。
2:ドーラ、エルザと行動。しばらく豪邸に留まる。
3:元世界の知人(ジン、アキラ、亜美、ガルム)については保留。
4:襲われたら説得を試みる。駄目ならば戦うか逃げる。
※ドーラの知人(シェリー・ラクソマーコス)のおおよその特徴を把握しました。
※ドーラの言葉の一部が理解できず気になっています。
※エルザと情報交換をしました。

【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康、G-2ガソリンスタンドに移動中
[装備]:九五式軍刀
[持物]:基本支給品一式、イサカM37(4/4)、12ゲージショットシェル(30)、防弾チョッキ
[思考]:
0:今の所殺し合いをする気はない。
1:ガーゴイル、エルザと行動。G-2ガソリンスタンドで死体から首輪を回収する。
2:シェリーについては保留。
3:首輪を外したい。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※フォナ・アンシュッツの名前と容姿を記憶しました。
※ガーゴイルの知人(ジン、アキラ、亜美、ガルム)のおおよその特徴を把握しました。
※ガーゴイルの言葉の一部が理解できず気になっています。
※エルザと情報交換をしました。
163 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/04(火) 15:14:10 ID:8TLOggPi
投下終了です。
164 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/04(火) 19:41:10 ID:8TLOggPi
投下します。俺得ロワ41話「さっさと調べろと言うのは無粋、無粋。」
登場:戸高綾瀬、鈴木正一郎
41話 さっさと調べろと言うのは無粋、無粋。


戸高綾瀬は、病院の院長室の窓を開け、中の様子を窺った。
動く影がない事を確かめると、綾瀬は窓枠を跨ぎ、院長室の中へ侵入した。
スカートの腰にボウイナイフを差し込み、抜き足差し足で廊下へ続く扉に近付く。

「……」

扉を少しだけ開き、今度は廊下の様子を窺う。
動く影はない。代わりに、オレンジ髪のサキュバスの死体が床に転がっていた。

「よし…」

扉を開け、廊下に出てサキュバスの死体に近付く綾瀬。
その視線の先にあるものはサキュバスの首にはめられた首輪。
綾瀬の目的は、この首輪だった。
数十分前、病院において参加者同士の戦闘があった。
一人は今、病院廊下で屍となっているサキュバス。
そしてもう一人は学生服姿の銀髪の少女。勝敗は――言うまでもない。

綾瀬は病院院長室から、戦闘後の両名の姿を見たのだが、
一度窓から院長室を出てすぐ外の植え込みに身を潜めていた。
銀髪の少女が襲われたため正当防衛でサキュバスを殺害したのか、
それとも最初から能動的に殺し合いに臨む気でサキュバスを殺害したのかは不明だが、
とにかく危険を冒してまで接触を試みるのは無謀と考え、
銀髪の少女がいなくなるまで植え込みに隠れている事にした。

――それならさっさと逃げれば良かったのではと思うかもしれないが、
綾瀬はある目的があったため、逃げる事はしなかった。

(それじゃ、やりますか)

綾瀬はサキュバスの死体、頭がある方向に座り、
サキュバスの首にボウイナイフの刃を当てた。
そして、数回深呼吸をした後、刃を思い切りサキュバスの首に刺し込む。

グチャッ、ザクッ。

「……ッ!」

とても嫌な感触がナイフから綾瀬の右手に伝わる。
頸動脈、気管支、肉、それを刃で切り裂いている感触。
既に死んでから時間が経過しているため血はそれ程出てはいない。
感触を我慢しながら、綾瀬はボウイナイフを鋸のように引いたり押したりしながら、
サキュバスの首を更に切っていく。
ザリッ、ザリッ、ザクッ、グチャ、グチャ。

「………」

肉は大方切り終えたが、最後にして最大の難関が待っていた。
首の骨――頸骨。首と胴を繋ぐ最後の糸。
こればかりはナイフではどうにもならない。自分の力で折るしかなかった。
正直とても嫌だったが、綾瀬は両手でサキュバスの首の両側を持ち、
一気に折れそうな方向へ力を込めて曲げた。

「ん〜〜〜ッ!!」

流石にそう簡単に折れる代物ではなく、かなりの力を要した。
だが、しばらくして遂に。

メキッ、メキメキメキッ、バキィッ!

「きゃっ!」

勢い余って尻餅を付いてしまう綾瀬。
我に返って、自分が今両手で抱えているものを見て硬直する。


サキュバスの生首。


「ひいっ!!」

思わず悲鳴を上げ、サキュバスの生首を床に放り投げた。
しばらく動悸が止まらなかった綾瀬だったが、どうにか心を落ち着かせると、
今や首なし死体と化したサキュバスの胴体に近付き、
首にはめられた首輪を抜き取った。

(手に入れた…これが、参加者にはめられている首輪…)

若干血の付着した金属製の首輪をじっくり観察する。
死体から首輪のサンプルを回収――これが綾瀬の目的だった。

(さて、とりあえず詳しく調べるのは後で。こんな現場見られたら、
どう考えても私怪しまれる事間違いないよね)

床には首なし死体、自分の手元には血に塗れたナイフ。
この状況で他参加者と出くわそうものなら、その他参加者の思想はどうあれ、
良い方向に印象を持たれるとは思えない。
最悪の場合、このサキュバスを殺害したのが自分だと誤解される恐れもある。
綾瀬は殺し合いに乗る気などこれっぽっちもない。
それなのに殺し合いに乗っていると誤解でもされれば、
これからの行動にも生存確率にも多いに支障及び影響が出てしまう。
それだけは何としても避けたかった。
……コツ…コツ……。

「!!」

綾瀬の耳に、病院玄関方向から足音が響いてくるのが聞こえた。
どうやら誰かが病院玄関から侵入してきたようだ。
サキュバスを殺害したあの銀髪少女か、それとも別の誰かか。
どちらにしても今この状態で他参加者と遭遇するのは絶対に自身にとって利にならない。
綾瀬は首輪をデイパックの中に押し込むと、すぐに院長室に戻り、
窓から外へと脱出し、そのまま植え込みを通って裏通りへ出ると、足早に去っていった。



随分外も明るくなったため、民家に隠れていた鈴木正一郎は、
自分のクラスメイトや、自分と同じく殺し合いに抗う気でいる参加者を探すため、
緑十字のマークが目印の病院を訪れた。
幸か不幸か、民家から病院に来る道中、参加者と遭遇する事はなかった。

「こ、これは…」

一階の廊下で正一郎が発見したものは、
首と胴体が泣き別れになった、赤い翼と尻尾の生えたビキニ姿の若い女性の死体。
よく見れば、胴体と離れた所にある頭部には、銃で撃たれた痕があった。

「これは酷い…一体誰がこんな事を……」

死体のすぐ近くには、死体だった女性の持物と思われるデイパックが放置されていたが、
既に目ぼしい物は抜き取られていた。
この女性を殺害した者の仕業と見て間違いないだろう。
死んでからまだそれなりに時間が経過しているようなので、
殺害犯がまだ近くにいるという可能性は低かったが、
それでもこの病院内は探索してみる価値はあると正一郎は踏んだ。

もし、院内で女性を殺害した本人に出くわしたら。
その本人が殺し合いをする気でいたら。
また、そうでなくとも、殺し合いをする気でいる参加者と遭遇した時は、
正一郎は手にしたマチェットで戦うつもりでいた。
相手が拳銃など、飛び道具を持っていた場合は、決して無理はせず逃げる事も考えてはいたが。

だが、もしそれがクラスメイトだったら、その時はどうするか。
正直言って自分でも今の所は分からない。

だが元々正一郎は、若干歪んではいるとは言え、正義感の強い少年である。
誰であろうと、銃撃した後で首を落とすというような残酷極まりない殺し方をした
殺人者は許せないというのが心の底にあった。
それが彼のこの殺し合いでの行動源の一つともなっている。

女性の死体に手を合わせた後、正一郎は病院内の探索を始めた。
「はぁ…はぁ…」

病院を離れた綾瀬は、海が見える堤防沿いの道に来ていた。
潮風が綾瀬の髪とスカートを揺らす。
キョロキョロと辺りを見回し、誰もいない事を確認すると、
綾瀬はすぐ近くの民家に入った。

「ふぅ……」

障子戸が閉められ、外からは中の様子が窺う事ができない和室の中で、
綾瀬は座り一息付いた。
やっとの事で目的だった首輪も入手する事ができ、
次は首輪を調べ、解除できそうか探る、のだが。

「……別に急ぐ事もないし、ちょっと休憩しよ」

和室の畳の上に仰向けに寝転がり、しばし休息する事にした。

(でも、このまま寝てるだけっていうのもな。
さっき病院で寝ちゃったし、二階でも行ってみようか…)

起き上がってデイパックを持ち、綾瀬は民家二階へ上がった。
二階には子供部屋と思しき部屋があり、勉強机やパソコン、
本棚、コンポといった調度品が部屋には置かれていた。
クローゼットの中の衣類や机のノートのデザインなどから、
この部屋を使っていたのは中学生くらいの思春期真っ盛りの少女だったと思われる。

「ほうほう、全く知らない女の子の部屋に他人がずかずかと…。
もし、私が男だったら間違いなく住居不法侵入の罪だけじゃ済まないわね。
だけど、私は22歳のうら若き乙女。まあそれはそれとして。
折角だし、色々遊んで行こうかなー」

全く知らない女の子の部屋にいるという背徳感にも似た何かが、
綾瀬の性的嗜好を刺激し始めていた。
変なニヤケ顔を浮かべながら例によって綾瀬は自分の衣服を脱ぎ始める。

そして数分もしない内に一糸纏わぬ生まれたての姿になってしまった。

(ごめんねこの部屋の主の知らない女の子。
今から私、戸高綾瀬が貴方の部屋を汚させていただきます)

興奮の余りニヤケが止まらなくなってきている綾瀬は、
部屋をぐるりと見回し、できそうな「遊び」を考え始めた。
【一日目黎明/G-8病院近く:海沿いの民家・平田家二階子供部屋】

【戸高綾瀬@オリキャラ】
[状態]:健康、全裸、興奮
[装備]:ボウイナイフ(血痕付着)
[持物]:基本支給品一式、メリエの首輪
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪の解除を目指す。
1:しばらく子供部屋で性的な一人遊びを楽しんだ後、首輪を調べる。
2:もし可能であれば仲間が欲しい。
3:襲われたらどうする…?
※銀鏖院水晶(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※衣服は子供部屋内に放置されています。


【一日目黎明/G-8病院】

【鈴木正一郎@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:マチェット
[持物]:基本支給品一式、モルヒネアンプル(3)
[思考]:
0:殺し合いの転覆。
1:病院内の探索。同時進行で仲間を集め、クラスメイト探し。
2:殺し合いに乗っている者には容赦しない。
3:首輪を何とかしたい。
4:狼族の警官(須牙襲禅)に注意。
※本編開始前からの参戦です。
※須牙襲禅(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※翼と尻尾を持った女性(メリエ)を銃撃した者と、首を切断した者は同一犯と思っています。



※G-8病院:一階廊下のメリエの死体は首が切断されました。
170 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/04(火) 19:50:18 ID:8TLOggPi
投下終了です。
171 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/04(火) 22:21:25 ID:8TLOggPi
ふと思ったけどこのスレ見てる人でVIPRPGのもしもシリーズ見てる人や、
自作ロワ見てる人ってどれだけいるのだろうか
172 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/05(水) 19:07:19 ID:JlT3UBYI
投下します。俺得ロワ42話「そして狐は忍び込む」
登場:野比のび太、神山アキナ、死神五世、ミーウ
173そして狐は忍び込む ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/05(水) 19:11:59 ID:JlT3UBYI
42話 そして狐は忍び込む


座礁客船乗船用タラップの所で眼鏡少年・野比のび太とバニーガール・神山アキナは、
先刻行った拡声器による不戦の呼び掛けに応じて集まった二人の参加者を迎えていた。
一人は黒髪ツインテールに、黒いビキニ、その上に紺色のマントを羽織った、
のび太にとってはバニーガールであるアキナと並ぶ刺激的コスチューム姿の死神五世。
もう一人は黄色い狐の頭と毛皮を持った、狐獣人の少女のミーウ。

「死神五世さんにミーウさん、ですよね。
僕の呼び掛けに応じてくれてありがとうございます」

まずのび太が二人に礼を述べる。
横でアキナがのび太に続いて頭を下げた。

「いいけどな…あんな大声出してたら自殺行為だぞ。
以後はあんな軽率な行為は控えるべきだ」
「まぁまぁいいじゃない。殺し合いに乗ってない人が集まったんだし。
あたしと、えーと、死神五世さんだっけ? いい乳してるね〜」
「おい! どこ触ってんだ!!」

いつの間にか乳房を揉まれている事に気付いた五世は顔を赤らめながらミーウの手を振り払った。

「……」

そんなやり取りを見ていたのび太少年も顔を赤くして明後日の方向を向き頭の中で全く関係のない事を考えて気を紛らわそうとする。
ジャイアンに苛められた時の事、スネ夫に意地悪された時の事、
しずかちゃんに宿題を教えて貰おうとしたがすぐに断られた事、
ママに隠していた0店のテスト用紙を発見され一時間弱に渡りお説教を食らった事、
パパに小遣いの値上げを嘆願したが「無駄遣いをやめろ」と一蹴された事など、
どういう訳かネガティブな思い出しか蘇る事はなかった。
そして秘密道具を使った結果惨事を招いた責任をドラえもんに擦り付け大喧嘩になった事――。

(……ドラえもん……)

ほんの数時間ではあったが、自分はドラえもんの事を忘れていた。
あんなに悲しんでいた、怒っていたというのに、薄情だろうか、自分は。
いつの間にかドラえもんを殺した主催者のリリアに対する憎悪も怒りも随分と薄れていた。

(…でも、ドラえもんだったら……)

ドラえもんだったら、優しい心を持っていたあのドラえもんだったら、
大切な友達が怒りや憎しみに溺れ、自分を見失っていくのは良しとはしないだろう。

(でも、それでも僕は――――)
174そして狐は忍び込む ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/05(水) 19:13:38 ID:JlT3UBYI
「あの、五世さん、ミーウさん、これからどうしましょう、
どうすればいいんでしょうか……」

アキナが少しおどおどした様子で五世とミーウの二人にこれからの行動について尋ねる。

「そうだな…市街地の方に行こう。
仲間を集めるなら、人が集まりやすい場所に行く方が良いだろう」
「じゃああたしもそーれー」
「街ですか…地図で見る限りじゃ南北に市街地がありますけど…」
「島役場とか、病院とかがある南の市街地にすれば?
重要な施設は南に集中してるっぽいし」
「ん……そうだな。それじゃあ南の市街地に行くとしよう」

アキナ、五世、ミーウの三人の協議の結果、学校、島役場、病院といった
重要施設が集中している島の南の市街地へ向かう事になった。
情報交換や支給品の確認は移動中に行う事にした。

「のび太君? …どうしたの? え、泣いてる」
「…え? い、いや、泣いてないですよ」

悲しい思い出ばかりが蘇って自然と涙を零していたのび太は右腕の服で涙を拭い、
少々無理に笑顔を浮かべて応対した。

(のび太君……もしかして、ドラえもん君の事……)

アキナは心の中でのび太の事を心配した。
死神五世とミーウの二人にはそのやりとりは見えていなかったため、追及される事はなかった。

「それじゃあ行こうか、のび太にアキナ」
「ほらぁ、グズグズしてると置いてくわよ〜」
「は、はい!」
「分かりました」

野比のび太、神山アキナ、死神五世、ミーウの四人は、
会場の島南部の市街地に向かって歩き始めた。



我ながら上手く行ったと、ミーウは心の中でほくそ笑む。
放送を聞いてのび太とアキナの元にやってきたのは事実。
だがそれは、協力して殺し合いを潰すためなどではなかった。
最初はさっさと全員、手にした突撃銃・H&K G3で射殺するつもりだった。
自分以外にも、やたらエロい格好をした女が一人放送を聞いて来ていたが、
それでも行おうとしていた事には特に支障はなかった。

それならなぜ、さっさと殺さないのか。
座礁客船から南部市街地まではまだそれなりに距離があり、
道中誰かに襲撃を仕掛けられる可能性も考えられる。
複数人いれば生存率も多少上がるとミーウは考えた。
いざとなれば盾にして自分だけ逃亡或いは反撃する事もできる。
折角なので利用できるものは全て利用しようというのだ。
勿論、市街地まで来れば、全員を殺害するつもりだった。
175そして狐は忍び込む ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/05(水) 19:15:01 ID:JlT3UBYI
(だけど…)

ここでミーウは今自分の傍を歩いている不安要素に横目を向ける。

(死神五世……多分、っていうか間違いなくこいつ、あたしの事警戒してる)

死神五世はミーウと出会った当初から、ほとんど表にこそ出さなかったものの、
明らかにミーウの事を怪しんだり警戒している節が見られた。

(まあ、気を付けた方がいいわね。もしヤバくなったら、その場で全員殺せばいいし…)

そして、ミーウの予想通り、死神五世は出会った時からミーウの事を怪しんでいた。
確証はない。確証こそなかったが、魔王軍四天王の一角としての勘だろうか、
ミーウのどこか演技くさい動作を見破っていたのである。

(ミーウ…こいつは気を付けた方がいいかもしれないな。
アキナはともかく、のび太はほとんど疑っていないようだから……。
俺の考え過ぎかもしれんが)

自分の考え過ぎかもしれないと自制はしつつも、
万一の事を考え、死神五世はミーウへの警戒心は持っておく事にした。




【一日目黎明/E-1座礁船周辺】

【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:健康、リリア・ミスティーズに対する怒りと憎しみ(だいぶ薄らいだ)
[装備]:H&K MARK23(12/12)
[持物]:基本支給品一式、H&K MARK23のリロードマガジン(12×5)
[思考]:
0:殺し合いを潰す。友人達と一緒に脱出する。
1:アキナさん、五世さん、ミーウさんと行動する。南部市街地へ向かう。
2:襲われたら戦う。


【神山アキナ@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、拡声器、シアン化リウム
[思考]:
0:死にたくない。
1:のび太君、五世さん、ミーウさんと行動する。南部市街地へ向かう。
2:武器が欲しい。
176そして狐は忍び込む ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/05(水) 19:16:24 ID:JlT3UBYI
【死神五世@VIPRPG】
[状態]:健康、ミーウに対する警戒心
[装備]:脇差、マカロフ(7/8)
[持物]:基本支給品一式、ノートパソコン、マカロフのリロードマガジン(8×5)、島崎隆博の水と食糧
[思考]:
0:仲間と共に殺し合いからの脱出。
1:野比のび太、神山アキナ、ミーウと行動。但しミーウは警戒。
2:ドラゴナス、ムシャ、デスシープの三人を捜す。勇者(アレックス)達はとりあえず放置。
3:襲われたら戦う。できる事なら説得してみる。
※能力に制限がかかっている事に気づきました。
※女体化から元に戻れません。
※ミーウを警戒しています。


【ミーウ@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、潮風の影響で毛皮にベタつき
[装備]:H&K G3(20/20)
[持物]:基本支給品一式、H&K G3のリロードマガジン(20×10)、
トマホーク(3、内2本に血痕付着)、ニコライの水と食糧
[思考]:
0:殺し合いに乗る。
1:南部市街地に着くまでは野比のび太、神山アキナ、死神五世と行動。
着いたら殺すつもりだが、道中に何らかの問題があった場合も同じように殺す。
2:可愛い子(女の子優先、死神五世は守備範囲外)がいたら…フフフ。
※参戦時期は本編死亡後です。
※名簿に書かれた主催者と同姓の二人が気になっています。
※死神五世に警戒されている事を察知しました。
177 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/05(水) 19:17:47 ID:JlT3UBYI
投下終了です。
178 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/08(土) 01:27:48 ID:BHgKB3Ml
投下します。俺得ロワ43話「冷え込む空の下」
登場:高原正封、仲販遥、トマック、シリウス
179冷え込む空の下 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/08(土) 01:32:29 ID:BHgKB3Ml
43話 冷え込む空の下


男娼館の客室の一つ、その中にある木製のベッドの上に、
現在意識を失い昏睡状態となっている狐獣人の青年が寝かされていた。
上半身の衣服は脱がされ、胸元に巻かれた包帯には血が滲んでいる。
青年――高原正封を床に膝を突いて傍で心配そうに見守る少女――仲販遥。
部屋の床には拭き取られてはいたがかなりの量の血痕が付着しており、
正封の治療のために必死の手立てが施された形跡が生々しく残っていた。

ガチャ…。

「!」
「俺だよ、仲販さん」
「トマックくん…」

扉を開けて入ってきたのは腰にタオルケットを巻いて局部を隠した白狼獣人の少年。
遥のクラスメイトであり、現在、雄の人狼・シリウスの奴隷となっているトマックである。
流石にクラスメイトの遥の前で局部を常に晒している訳にもいかないので
タオルケットを巻いているのだが、最早それは何の意味もなしていないのではと、
遥本人は思っていた。

「シリウスさんは?」
「見回り行ってくるって。しばらくこの男娼館を拠点にするつもりらしいから。
……どう? 高原さん、だったっけ? 様子は」
「うん…まだめをさまさない…」
「そうか……」

正封の怪我は胴体を背中から胸元にかけて刀で刺し貫かれるという、
即死、或いは致命傷を免れない程危険なものだった。
しかし、不幸中の幸いか、致命傷こそ避けていたものの出血が酷かったため、
懸命の止血作業が長時間行われた。

結果、どうにか出血は収まり、正封の死の危険はどうにか去ったものの、
意識は戻らず、依然として予断を許さない状況である事には変わりない。
とにかく意識が戻る事を信じて絶対に安静にさせておく事しかできないのだ。
短い間とはいえ、いつ襲われるか、いつ死ぬか分からないこの殺し合いの下において、
自分と行動を共にしてくれたこの少し臆病な狐の青年には、死なないで欲しいと、
遥は心から何度も願った。

「ところで、トマックくん…どうしてわたしたちとあったとき、
はだかでよつんばいになってたの?」
「え゛っ!? そ、それは……」

不意に遥から投げ掛けられた質問に、正直に答えるべきか誤魔化すべきか迷うトマック。

トマックは銀色の雄の人狼、シリウスに捕まった直後、
着ていた衣服を引き裂かれて裸にされ、そのまま犬のように四つん這いにされ、
シリウスの怒張した槍に後ろの門を貫かれた。
今まで感じたどの痛みとも違う激痛に悲鳴を上げたが、
それでもシリウスは容赦なくトマックを責め続け、あの手この手の愛撫を行った。
180冷え込む空の下 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/08(土) 01:33:44 ID:BHgKB3Ml
結果、トマックは見事にシリウスの虜となり、遂には奴隷にされてしまったのである。
奴隷と言っても、そこまで絶対服従のものではないのだが。

シリウスにされた筆舌し難い行為を、目の前の純真無垢な女の子に話して良いものか。
トマックの中でしばらく葛藤が続いたが、結局――。

「あのさ、絶対、驚かないでくれる?」

話してみる事にした。

〜数分後〜

「……っていう、訳なんだけど……」
「………なんだかよくわからないけど、トマックくんもたいへんだったんだね」
「まあね。ある意味大変ではあった」

幸いにもトマックの体験談は遥には余りに難解な用語のオンパレードで分かり難かったようだ。
一応事実は話したので、これでこの件はカタがついたとトマックは胸を撫で下ろした。




娼館の屋上から、夜明けが近付きだいぶ明るくなった市街地を見渡す人狼・シリウス。
傍らにはデイパック、その手には自分の支給武器の一つである片刃の曲刀・サーベルが握られている。
もう一つの支給品はシリウスにはうってつけのスプレー型増精剤で、
トマックとの濃厚な絡みの際に半分近く消費してしまった。

野生の人狼である彼は武器を使っての戦いよりも爪と牙、素手での肉弾戦を得意としていたが、
殺し合いというゲームの性格上、ほとんどの敵対者が銃や剣といった武器を
装備していると思われるため、飾り程度の意味ではあっても武装は必要だと判断した。
現に数時間前に襲ってきた狼獣人の女剣士は刀らしき物を持ち、
この男娼館に避難してきたと思われる二人の男女の内、狐獣人の青年を刺し貫き重傷を負わせた。
女剣士は追い払う事に成功したが、狐の青年は治療はしたが意識が戻らない。
止血など、男娼館に供えられていた医療道具(恐らく喧嘩沙汰の時のためのもの)で、
応急処置は済ませたものの、危険な状態である事には変わりない。
今この状態で再び襲撃者が来襲すればほぼ間違いなく殺される。その可能性が高いのだ。

見捨てるという選択肢はシリウスには選べなかった。
自分がこの殺し合いで初めて遭遇した他参加者であり、
趣味で自分の性奴隷にした白狼の少年、トマックによれば、
狐青年に同行していた少女は仲販遥と言い、自分のクラスメイトだと語っていた。
仲販遥は狐青年の事を「たかはらさん」と呼んでいたので、あの狐青年は、
名簿に書かれている「高原正封」が本名と見て間違いなさそうだった。
仲販遥はどうやら高原正封の事を心配しているようなので、
彼を見捨てようというものなら猛反対に遭う事は想像に難くない。
それに、シリウス自身もそこまで冷酷な性格ではなかった事が大きかった。
181冷え込む空の下 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/08(土) 01:35:11 ID:BHgKB3Ml
「そろそろ夜明けか。ふぅ、この時間帯が一番冷え込むんだよなぁ。寒い…」

毛皮があるとは言え肌寒さはシリウスの身に染みた。
しかしそれでも市街地の方向にはしっかり目を光らせる。
今の所この男娼館に近付いてくる人影は見当たらない。
時折風に乗って銃声らしき音も聞こえてくる。

「……今、何人生き残ってんのかな」

深夜0時頃に始まったこの殺し合いも、現在は午前4時も過ぎ、
4時間が経過した事になるが、何人の死者が出ているのだろうか。
一人も出ていないという事はまず有り得ないだろう。
先刻の狼女剣士のように殺し合いを進んで行う気でいる者もいるのだ。
シリウスはいつになく真剣な目付きになる。
今まで無駄に時間を過ごしてばかりだったが、
そろそろこの殺し合いからの脱出手段を探した方が良いかもしれない。
それにはまず首にはめられた首輪をどうにかしなければいけないが、
爆弾が内蔵されているこの機械仕掛けの首輪を外すとなると容易ではない。

(そもそもそんな簡単に外れる首輪なんか用意しないよな…)

当のシリウスも機械には全く縁がないため、首輪については保留にする事にした。

(となると、やっぱそういう知識持ってそうな奴を仲間に引き入れるのが上策だよな。
だけど、そんな奴いるかな、いたとしてもそいつが殺し合いする気だったら……。
いいや、ごちゃごちゃ考えていても仕方ねーや)

今は重傷者を抱え込んでいるためどっちにしても下手に動く事はできない。
しばらくはこの男娼館を拠点として留まろうとシリウスは考える。
ふと、自分の股間にぶら下がるナニに目を向ける。

「……一発抜いとくか」

近くの古びた大型室外機にもたれ掛かり、
銀色の毛皮を持った雄の人狼は息子を握った右手をゆっくり上下に動かし始めた。




【一日目早朝/C-7男娼館】

【高原正封@俺オリロワリピーター組】
[状態]:背中から右胸下辺りにかけ刺し傷(処置済)、意識不明
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、ニューナンブM60(0/5)、38sp弾(30)
[思考]:
0:………………。
※俺オリロワ開始前からの参戦です。
※仲販遥のクラスメイト(銀鏖院水晶、ケトル、鈴木正一郎、トマック)についての情報を多少得ました。
182冷え込む空の下 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/08(土) 01:36:16 ID:BHgKB3Ml
【仲販遥@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:精神的疲労(中)
[装備]:手斧
[持物]:基本支給品一式、手榴弾(3)
[思考]:
0:死にたくない。高原さん、シリウスさん、トマック君と一緒にいる。
1:高原さん、死なないで…。
2:他のクラスメイトの皆については保留。
3:狼獣人の女剣士(シェリー・ラクソマーコス)には警戒。
※本編開始前からの参戦です。
※シリウスの名前をトマックから聞きました。
※シェリー・ラクソマーコス(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※トマックから調教の過程を聞かされましたがほとんど理解できなかったようです。


【トマック@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、腰にタオルケットを巻いているだけの格好、
シリウスに対する服従心、性感が増大している、精神不安定
[装備]:不明
[持物]:基本支給品一式、不明支給品(1〜2)
[思考]:
0:ご主人様(シリウス)、高原正封、仲販遥と一緒にいる。
1:高原正封の看護。
2:もっとご主人様に可愛がられたい。
3:狼獣人の女剣士(シェリー・ラクソマーコス)には警戒。
※本編開始前からの参戦です。
※衣服は破かれC-7娼館:中庭に放置されています。
※シリウスに性的調教を受けたため人格が崩壊気味です。
ただし理性はあります。
※高原正封の名前を仲販遥から聞きました。
※シェリー・ラクソマーコス(名前は知らない)の容姿を記憶しました。


【シリウス@オリキャラ】
[状態]:健康、自分を慰めている
[装備]:サーベル
[持物]:基本支給品一式、増精剤入り小瓶(半分消費)
[思考]:
0:殺し合いをする気はない。いい男がいたら食べる(性的な意味で)。
1:そろそろ脱出手段を考える。但し高原正封の回復を待つ。そして時々抜く。
2:トマック、仲販遥と行動。
3:男娼館周辺を見回る。
4:狼獣人の女剣士(シェリー・ラクソマーコス)には警戒。
※高原正封の名前を仲販遥の台詞から知りました。
※シェリー・ラクソマーコス(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
183冷え込む空の下 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/08(土) 01:37:22 ID:BHgKB3Ml
≪支給品紹介≫
【サーベル】
ヨーロッパの片刃の曲刀。柄には護拳 (guard) と呼ばれる枠状、
もしくは半円の大きな鍔がついており、指や手を保護するように作られている。

【増精剤入り小瓶】
スプレー方式で鼻元に吹き付けて使用する増精剤。
使用すると一定時間(個人差はあるが30分〜1時間程)、
精力が飛躍的に上昇し、精液の量が増大する。
ガラス製の小瓶に入れられた透明色の液体の外見。




投下終了です。はぁ、誰も来ないなぁ、どうしたんだろうか。
前にもこんな過疎みたいになった事あったような。
184創る名無しに見る名無し:2010/05/08(土) 02:32:33 ID:DwWPLaAB
1:そんなに速筆じゃない
2:規制。避難所がある? 自分でこっちに投下したいじゃん
3:リアルが忙しい

とか色々理由があるんだよ。
でも批評祭でパワーアップした文章練習ロワの人が近々投下してくれるってあたい信じてる!
185 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/08(土) 19:55:26 ID:BHgKB3Ml
投下します。俺得ロワ44話「食える時に食うべし」
登場:シェリー・ラクソマーコス、須牙襲禅
186食える時に食うべし ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/08(土) 19:57:49 ID:BHgKB3Ml
44話 食える時に食うべし


狼獣人――ウルフリングの女剣士、シェリー・ラクソマーコスは、
エリアB-7市街地にあるドラッグストア二階の事務室にいた。
時計に目をやれば午前4時20分を回っており、この殺し合いが始まってから、
4時間20分が経過した事になる。
短い時間だが、既に何人かの犠牲者は出ているに違いないと、
シェリーは事務机にある筆入れや謎の機械(パソコン)を興味深そうにいじりながら思った。

「っ……」

包帯を巻いた左肩は時々痛み、その都度シェリーは顔を歪ませる。
先刻、ドラッグストアより程近い男娼館での戦闘で負わされた傷だ。
銃撃によって受けた傷で貫通していないので弾丸がまだ体内に残っていると思われる。
剣士として刀剣の扱いに長けたシェリーにとっては手痛いダメージだった。
右肩、右腕は無事だが左肩は負傷のため余り自由が利かず、
これからは片手で剣を振るう必要があった。当然、両手持ちよりも攻撃力は劣る。

シェリーはデイパックから小型自動拳銃・FNブローニングM1910を取り出し手に取って眺める。
男娼館の戦闘で狐の青年(まだ未確定だが)とツナギ姿の人間の男の二人を手に掛けたが、
このブローニングM1910は後者から鹵獲した代物である。
同じく後者の男から奪ったデイパックの中には予備の弾倉と思われる物と、
説明書らしい紙が入っており、シェリーは紙を取って書かれている内容に目を通した。

「成程ね……」

おおよそは理解したので、シェリーはとりあえず、
壁に飾られた風景画に向け、M1910を右手で構え、引き金を引いた。

ぱんっ、という乾いた音が部屋の中に響き、風景画の中央に穴が空いた。
生まれて初めて拳銃という物に触ったシェリーは、
少し驚いた様子で銃口から煙を噴くM1910をまじまじと見詰める。

「飛び道具に頼るのは気が進まないけど、いざって時は使わせて貰うとするか」

腰ベルトにM1910を差し込み、シェリーは日の光が差し込み始めた窓に近付き外の様子を窺う。
そしてこの殺し合いに呼ばれている、自分の元愛人の部下、ドーラ・システィールの事を思い出す。
簡単にやられるような女ではないはずだが今どこで何をしているのか。
別に仲が良い訳ではないが一応共に戦った仲としては気になる所である。
殺し合いに乗っているのか、それともこの殺し合いを潰そうと動いているのか。
または既に誰かの手に掛かって死んでいるのか。
もっとも生きて出会えたとしても殺す事には変わりはないのだが。
そう言えば自分が最初に出会った主催者と同じ名字のクリス・ミスティーズと名乗った青年の事も少し気になる。

「腹ごしらえでもするか」

少し空腹を感じ始めたシェリーは、デイパックの中から適当に食糧を取り出し、
食事を取る事にした。
187食える時に食うべし ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/08(土) 19:59:28 ID:BHgKB3Ml
◆◆◆


茶色と白の毛皮を持った狼獣人の警官、須牙襲禅は、
エリアF-6、島役場の近くにある民家・秋沢家の中に身を潜めていた。

「いてて…」

時折、散弾を受けた右脇腹が痛む。
家の中にあった包帯を巻いて一応の処置としたが、
小さな鉛玉はまだ体内に残ったままなのが少し怖い。

「もう朝か、結構経つんだな」

壁に掛けられたアンティークな鳩時計の時刻に目をやりながら襲禅が言った。
午前4時25分。後1時間半もしれば第一回放送がある。
死者の発表については知り合いが一人もいないので余り重要ではない。
だが侵入すると首輪が作動するという禁止エリアの発表は聞き逃す訳には行かない。
うっかり禁止エリアに侵入して首輪が爆発して死亡、という無様な失態は、
襲禅は当然避けたかった。

デイパックから食糧のサンドイッチを取り出し、口の中に押し込む襲禅。
そしてこれからどこに行くかを考える。
今現在隠れている民家には自家用車が放置されているので、
それを使って遠出するのも良かったが、まだ南部市街地には、
調べていない個所、気になる個所があった。
その一つ、エリアG-8にあるという病院。
会場である島唯一と思われる医療施設なので、参加者も集まりやすいのではと推測する。

須牙襲禅巡査は、銃で人を撃ちたいだけだった。
今は殺し合い。殺人が認められる超法規的なゲームの最中。
ここならばいくら人を撃とうが、始末書を書かされる事もいけ好かない上司から
叱責を受ける事も、流れ弾を食らった一般人やその親族から非難や提訴を受ける事もない。
しかし、そのような好条件下にも関わらず未だ一人も仕留める事に成功していない。
その現状は少なからず襲禅を苛立たせていた。
学生服姿の少年と、銀髪の女性。二人共襲禅が戦った相手だが、
少年の方は自分から襲撃、女性は襲撃を受けたのだがどちらも仕留め損ねていた。

デイパックから食糧の韓国風焼き肉おにぎり、焼きおにぎりを取り出し、
包装を破きおにぎりを食べ始める。
腹ごしらえは重要である。特にいつ戦闘になるか分からない状況では。
食べられる時に食べておくのが得策だ。

食べながら襲禅は、次の自分の行き先を決定した。
エリアG-8の病院に。
188食える時に食うべし ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/08(土) 20:04:52 ID:BHgKB3Ml
【一日目早朝/B-7市街地:ドラッグストア二階事務室】

【シェリー・ラクソマーコス@FEDA】
[状態]:左肩に銃創(処置済)、食事中
[装備]:太刀
[持物]:基本支給品一式(食糧消費中)、FNブローニングM1910(4/6)、
FNブローニングM1910のリロードマガジン(6×5)、元村憲章の水と食糧
[思考]:
0:面白そうなので殺し合いに乗る。
1:腹ごしらえをしておく。
2:とりあえず見付けた参加者から殺していく。
3:ドーラ・システィールについては保留。
4:銀色の人狼(シリウス)は今度会ったら絶対に殺す。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※クリス・ミスティーズの名前と容姿を記憶しました。


【一日目早朝/F-6島役場周辺の民家・秋沢家】

【須牙襲禅@俺オリロワリピーター組】
[状態]:右脇腹に散弾二発被弾(処置済)、食事中
[装備]:FNブローニングハイパワー(13/13)
[持物]:基本支給品一式(食糧消費中)、FNブローニングハイパワーのリロードマガジン(13×4)
[思考]:
0:殺し合いに乗る。人を撃ちたい。
1:しばらく腹ごしらえをした後、G-8病院へ行く。
2:銃はあってあり過ぎる事はないのでもっと欲しい。
3:学生服の少年(鈴木正一郎)に注意。
4:銀髪の女(日宮まどか)は次に会ったら絶対に殺す。
※俺オリロワ開始前からの参戦です。
※鈴木正一郎、日宮まどか(どちらも名前は知らない)の容姿を記憶しました。
189 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/08(土) 20:06:52 ID:BHgKB3Ml
投下終了です。今思うと「須牙襲禅」って厨二臭い名前だ。
小学6年から中学1年の時に思い付いたから当然か?
190 ◆6LQfwU/9.M :2010/05/08(土) 20:07:37 ID:noXFDBO+
投下します「壊れた機械」
191壊れた機械 ◆6LQfwU/9.M :2010/05/08(土) 20:08:54 ID:noXFDBO+
田園風景の広がるC-5。
その畦道を歩く07。
「面倒なことになったな。全く」
溜息を付き、ダルそうに歩く。
(おまけに初期もゴミと来たしな…)
07の背負っているデイパックには…
「…ブーメランとipodでどうやって戦えって言うんだよ」
がっくりと肩を落とす。
(ブーメラン…威嚇にしか使えないだろうし、ipodは…話にならないな)
その時。
誰かが近づいてくる。
ライトで照らすと…
「げっ…何だこいつ…!」
血まみれの青狸…いや、ドラえもんが歩いてきた。
「こんにちは。僕ドラえもんです」
懐かしい声で07に呼びかける。
右手には…誰かの生首を…握っていた。
(…!まさかのドラえもんかよ、しかも危なそうだし)
「一緒に、殺シ合おウヨ…一緒ニ」
時々言葉にノイズが走る。
(どっか壊れたのか…!?)

少し前…
「ここは…どこだろう?」
暗い岩場を足元に注意しながら歩くドラえもん。
(ポケットも無くなってる…)
本来四次元ポケットがあるべき場所は、つるつるの腹が露わになっていた。
「どこに…うわっ!」
ポケットに気を取られ、足を踏み外す。
勢いよく岩場から転げ落ち、全身を打つ。
「…。」
しばしの沈黙の後、行動を開始する…

「初期カマかよ…それに比べて俺の方は…」
武器的に勝てる見込みは無い。
(仕方無い、逃げるか)
背を向けて畦道を走る07。
それを追うドラえもん。
…がドラえもんが大きくつんのめる。
「ふん、そこで寝てろ」
転んだのを遠目に確認し、そのまま逃げていった…。
192壊れた機械 ◆6LQfwU/9.M :2010/05/08(土) 20:09:39 ID:noXFDBO+

【一日目/深夜/C-5:C5のはずれ】
【07@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:ブーメラン@現実
[所持品]:支給品一式、ipod(ニコニコ仕様)@現実
[思考・行動]:
基本:ゲームには乗らない。
1:逃げ切れたか…!?


【一日目/深夜/C-5::畦道】
【ドラえもん@ドラえもん】
[状態]:健康、血まみれ
[装備]:カマ@現実
[所持品]:支給品一式、不明支給品(確認済み)
[思考・行動]:
基本:???
1:???

【小林さくら@オリジナル・ノーマル 死亡】
死因:首切断

≪支給品紹介≫
【ipod(ニコニコ仕様)@現実】
ニコニコ動画で流行った音楽等が入っている。
193 ◆6LQfwU/9.M :2010/05/08(土) 20:10:28 ID:noXFDBO+
投下終了です。
ドラえもんヤバいwwww
194 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/09(日) 11:08:34 ID:is28T98F
投下乙です。ドラえもんが壊れてしまった!? これからどうなるんだ…。
しかし小林さくらはどんな子だったのか気になる。

自分も投下します。俺得ロワ45話「その思いは正義をも砕く」
登場:鈴木正一郎、銀鏖院水晶
195その思いは正義をも砕く ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/09(日) 11:10:01 ID:is28T98F
45話 その思いは正義をも砕く


病院二階への階段を登り切った所には、
幾つかの合成革張りのソファーと白いテーブルが設置された休憩スペースがあった。

「あら、貴方は確か……鈴木正一郎、だったかしら」
「お前、銀鏖院水晶か」

そこで、病院内を探索していた鈴木正一郎は、思いがけずクラスメイトと再会する事になる。
もっとも相手は普段から全くと言っていい程関わりのない人物だが。
銀鏖院水晶は正一郎と三、四メートル程距離を置いた所で対峙した。

水晶の右手に銃らしき物が握られているのを見ると、正一郎は水晶に尋ねた。

「銀鏖院。一階に死体が転がっていた。あれは、お前の仕業か?」
「……そうだけど。だったらどうなの? 向こうが襲い掛かってきたから反撃して殺した。
これは正当防衛じゃない?」

水晶は至って冷静に、しかしどこか正一郎に対して蔑みの念を込めた風な口調で答える。
少し癪に障ったのか正一郎は一瞬眉を顰めるが、落ち着いて水晶の返答内容を考察する。
一階で死体になっている女性が一方的に水晶を襲ったのであれば水晶の言い分はほぼ正しいが、
この場合は別の可能性も考えられる。

「…お前が殺し合いに乗っていなくて、一方的に攻撃されたのならな」
「あらあら、クラスメイトを疑うの?」
「臭うんだよ。お前」

今までポーカーフェイスを保っていた水晶が「臭う」という単語を聞いた途端、顔色が変わった。

「臭う? ――――そうね。臭うかもね」
「?」

いきなり自嘲気味な笑いを浮かべ始めた水晶を正一郎は訝しげに見詰める。

「鈴木君」
「何だ?」
「私ねえ、――――――――――――」

水晶の口から飛び出したのは、正一郎にとって余りに衝撃的な事。
数時間前に己が体験した、獣との強制的な交合の話を水晶は遠くを見詰めながら、
目の前の正一郎に淡々とした口調で聞かせた。

「そ、そんな……事が……」

その話を聞かされた正一郎はどう反応や言葉を返せばいいのか分からなくなっていた。
自分が言った「臭う」というのはそういった意味ではなかったのだが、
今の水晶にとってはトラウマを呼び覚ますに十分な凶器だったようだ。
元々は殺し合いに乗っているかどうか追及するはずだったがいつの間にかそれは、
水晶に対する奇妙な罪悪感へとすり代わってしまっていた。
196その思いは正義をも砕く ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/09(日) 11:11:33 ID:is28T98F
「す、すまん銀鏖院、俺はそんなつもりじゃなかったんだが」
「ふふふっ、凄いんだよ鈴木君、狼の腰遣いって凄く激しいの」
「いや、もういいからっ! もう本当にいいから! 俺が悪かった!」

尚も事細かに話そうとする水晶がいたたまれなくなり、正一郎は必死に制止する。

「いいのよ。笑いなさいよ。超能力も使えない、おまけに強制されたとは言え、
獣姦よ? おまけに沢山出されたし、中に。多分それの臭いじゃなくて?
あはははは、愚民以下よ。今の私は愚民以下。あれ、おかしいな、目の前が曇ってきて見えないや…」

自分の悲惨な体験と、置かれている境遇を吐露していく内に、
次第に水晶の目からは涙が溢れ出した。
少女の涙に、異性との付き合いに疎い正一郎はいよいよどうして良いのか分からなくなり狼狽する。

「あ、えーと、その、」
「だから……」

不意に水晶の声の調子が変化した。
正一郎はその変化を聞き逃さなかった。

「私は…この殺し合いで勝ち残るッ!!」

涙で濡れた両目を見開き、水晶は右手に持った小型の短機関銃・イングラムM10の銃口を
正一郎に向け、引き金を引いた。
ダダダダダダダ、と連射音が休憩ホール内に響いた。

「なっ?」

だが、水晶は驚愕の表情を浮かべる。つい数瞬前まで、
イングラムの弾道上にいたはずの正一郎の姿が消えていた。

ガキィッ!!

「あっ…!」

次の瞬間、水晶の手からイングラムが弾かれ、少し離れた床の上に落下した。
続いて、大型のナイフが回転しながら床に落ち、何回かバウンドした後静止した。
弾丸を回避した正一郎が、水晶の持っていたイングラム目掛けマチェットを投げ付けたのだ。
激しく回転しながら、マチェットは見事にイングラムに命中した。
正一郎はすぐさま床に落ちたイングラムの元へ走り、それを拾い、水晶に銃口を向ける。
だが、水晶は既にもう一つの銃、S&W M19に持ち替え、銃口を正一郎に向けていた。
お互いに銃を向けたまま、事態は膠着する。
197その思いは正義をも砕く ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/09(日) 11:13:07 ID:is28T98F
「やっぱり殺し合いに乗っていたのか、銀鏖院」

正一郎の表情からはもう狼狽の色は消え、酷く冷徹なそれへと変わっていた。

「そうよ……さっきも言ったように今や私は愚民以下になり下がってしまった。
だから、この殺し合いに勝ち残って、愚民以下から這い上がってやる。
誰にも、誰にも邪魔はさせない!」
「お前が受けた心の傷には同情するけどな……その『愚民』っていうのは、
お前個人の勝手な価値観だと思うが」
「うるさい! あんたなんかに私の気持ちが分かるもんか!!」
「……とにかく、お前が殺し合いに乗っているという事は分かった。
そして説得しても無駄なようだという事も………それで十分だ」

銀鏖院水晶は殺し合いに乗っている。説得にも応じそうにない。
その事実さえ分かれば自分がする事はただ一つ。
正一郎は右手に持ったイングラムの引き金を引いた。

だが、その銃口から弾丸が発射される事はなかった。弾切れである。
引き金を引けば弾が発射されると思っていた正一郎は一瞬困惑した。
それが隙を作った。

三回の銃声と共に、正一郎の胸元に三個の穴が空き、鮮血が噴き出した。
口から血を吐き、床に仰向けに崩れ落ち、鈴木正一郎はあっさり息絶えた。

「…バーカ」

正一郎の死体を見下ろしながら、水晶は侮蔑の念を込めて言い放った。



正一郎を殺害した後、その荷物を漁り、
マチェット、モルヒネアンプル、水と食糧を入手した水晶は、
一階の先刻、オレンジ髪の女の死体がある廊下へ下りてきた。

「何これ…」

そこで水晶は首と胴体が分かれたオレンジ髪の女の死体を目にする。
自分が殺した時は首と胴体は繋がっていた。
つまり、自分が上の階へ上がっている間に誰かが遺体を損壊したという事になる。
あの正義感馬鹿の鈴木正一郎がこんな事をするとは考えにくかった。
よく見ると、首にはめられていたはずの参加者の首輪がなくなっている。
首が切断されている点を踏まえて考えると、一つの結論が導き出された。

「首輪を取るために首を切断した…?」

自分にもはめられている金属製の首輪は外す事は当然できない。
しかし、何らかの理由で首輪が欲しい参加者がいた場合、どうするか。
首を切断して回収する以外には方法はない。
ではなぜ他人の首輪が必要になるのか。それはただ一つ。
首輪を調べるため、解除する手段を探るため、であろう。
198その思いは正義をも砕く ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/09(日) 11:15:39 ID:is28T98F
「そんな簡単に解除できるような首輪なんてはめてないと思うけど、
まぁ、せいぜい頑張ってね、って感じ」

首輪解除を目指しているだろう何者かへ心の籠っていないエールを送り、
水晶は女の死体を通り過ぎ、病院の玄関へ向かった。



自動ドアを潜った先の外は、既に夜明け前でだいぶ明るくなっていた。
デイパックから懐中時計を取り出し時刻を確認してみれば、第一回放送の時刻まで、
後一時間と少しだという事が分かった。

「一旦、どこかで休むとしようかしら…」

そろそろ疲労も溜まってきたため、休息と放送を聞くため、適当な民家か何かに
身を潜める事にした。



【鈴木正一郎@自作キャラでバトルロワイアル  死亡確認】
【残り33人】



【一日目早朝/G-8病院周辺】

【銀鏖院水晶@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:精神的ダメージ(だいぶ回復)
[装備]:S&W M19(3/6)
[持物]:基本支給品一式、.357マグナム弾(24)、イングラムM10(0/30)、
イングラムM10のリロードマガジン(30×8)、マチェット、モルヒネアンプル(3)、
水と食糧(二人分)
[思考]:
0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:どこかに身を潜めて休息する。そして放送を待つ。
2:みんな殺す。とにかく殺す。クラスメイトでも容赦しない。
3:あの黒狼(レックス)は今度会ったら絶対に殺す。
※本編開始前からの参戦です。



※G-8病院周辺に銃声が響きました。但し屋内での発砲のため余り外には漏れなかったようです。
199 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/09(日) 11:16:41 ID:is28T98F
投下終了です。
200 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/09(日) 16:30:20 ID:is28T98F
投下します。俺得ロワ46話「BIG HOUSE」
登場:ドーラ・システィール、エルザ・ウェイバー、ガーゴイル、ピタゴラス、久保遼平
201BIG HOUSE ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/09(日) 16:31:48 ID:is28T98F
46話 BIG HOUSE


首がなくなった少女の死体の衣服で、刀身に付着した血を拭き取るドーラ。
血と脂が十分拭えた後、刀――九五式軍刀を腰に差した鞘に戻した。
そしてテーブルの上に置かれた、少女の死体から回収した首輪を手に取り、
デイパックの中に押し込む。

「それにしてもこいつだったとはね……」

先刻仲間に加えたエルザ・ウェイバーからガソリンスタンドで
自分を殺そうとした参加者を返り討ちにして殺したと聞き、
首輪のサンプル回収のためにガソリンスタンドまでやってきたドーラだったが、
その死体には見覚えがあった。

青い髪に、白い丈の短いローブを着た少女。
確か「フォナ・アンシュッツ」と名乗っていた。
この殺し合いにおいて最初に出会った参加者で、エルザと同じように、
自分もこの少女に危うく殺されそうになったが、逆に気絶させて難を逃れた。
あの時は気絶していただけだったが……。

「何となく長生きしないなとは思っていたけどやっぱりね。気の毒に」

フォナが生前言っていた「死にたくないから殺し合いに乗る」という言葉を思い出し、
それでも屍と化してしまったフォナを少々気の毒に思いつつ、
首輪の回収という当初の目的を果たしたドーラは仲間の待つ豪邸への帰途についた。



「…ん?」

豪邸へと近付いたドーラは、玄関付近に見知らぬ二人の人物がいる事に気付く。
もっとよく見てみれば、玄関からは仲間であるエルザとガーゴイルが出て応対している。
いや、見知らぬ二人は両方とも両手を上げた格好になっているようだ。
ドーラはデイパックの中から散弾銃であるイサカM37を取り出し、豪邸へ急いだ。



「あの、すいません、もうホントに下ろして貰えないでしょうか。
僕達ホントに殺し合う気なんてないんですって。マジなんです」

狼獣人・ピタゴラスの脇にいる青年・久保遼平が上擦った声で訴える。
灯台でしばらく過ごした後、明るくなったのですぐ近くにあった豪邸を訪ねてみれば、
中から出てきた、嫌に露出の高い、言ってしまえばとてもエロい格好をした女性と、
青い竜のような巨大な怪物に武器を向けられ両手を上げざるを得なくなった。
しかも、女性が持っている小型の拳銃ならまだしも、竜のような怪物は、
ロケット砲らしきものを構えていた。
両名とも警戒の眼差しで自分達の方を見ている。下手な事をすれば間違いなく殺される。
まさか自分の人生の中でロケット砲を向けられる日が来るとは夢にも思っていなかった。
202BIG HOUSE ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/09(日) 16:34:13 ID:is28T98F
「ちょ、もう、勘弁してくれませんかね」
「……エルザ。どうする?」
「うーん、信じても良さそうかな……でもドーラの意見も聞きたいから、
ドーラ帰ってくるの待とうかガーゴイル」
「…もう一人仲間がいるのか?」

エルザとガーゴイルの会話を聞いていたピタゴラスが話に割り込む。

「ん? ああ、もう一人いるんだが今はちょっと用があって留守でな」
「いいのガーゴイル? 言っちゃって」
「信じても良さそうって言ったのはお前だぞ」
「まぁ、そうか…あ、ドーラ!」

遼平とピタゴラスが両手を上げたまま後ろに振り向くと、
散弾銃らしき物を自分達に向けた、これまた露出の高い格好の狐獣人の女性が立っていた。

「エルザ。ガーゴイル。こいつら何だい?」
「何って言われても、さっきここにやってきた人達、としか言えないけど」
「それよりドーラ、戻ってきたという事は……」
「ああ。バッチリ回収したよ。まぁ、ここで立ち話も何だから、
中に入ろうじゃないか。ああ、そこの二人も一緒に」
「え? いいんですか?」

思いがけないドーラの言葉に遼平が目を丸くする。

「殺し合いに乗っている奴が複数で行動してるってのも変だからねぇ。
それに……アンタら弱そうだし。何かあってもすぐ始末できそうだからね」
「「……」」

ドーラの言葉に絶句する遼平とピタゴラスだった。



豪邸内へと入ったドーラ、エルザ、ガーゴイルの三人は、
居間で新しくこの豪邸にやってきた久保遼平とピタゴラスの二人と
情報を交換する事になった。

定例の自己紹介の後、ピタゴラスと遼平は自分の支給品を三人に見せる。

「お、俺は、このナイフと、ラジオです」
「俺はこの銃と、予備の弾倉だ」
「ナイフと銃は分かるがラジオとは……主催者の考えが分からないな。
エルザが持っていたあの写真といい」
「あ、あれは違うから! 私のじゃないから!」

エルザが顔を赤らめて何かを必死に否定する。
何の話か分からなかったが、ドーラはとりあえず保留にし、
ピタゴラスと遼平にこの豪邸に来るまでの経緯を訊く。
二人は不審がられないようにできるだけ詳細に三人に説明した。
203BIG HOUSE ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/09(日) 16:35:38 ID:is28T98F
「成程ねぇ。ライフル持った奴に襲われたのかい、災難だったね。
んで、逃げてる途中でピタゴラスと出会ってそれ以来行動を共にしてると。
大体そんなトコかい?」
「は、はい……」

おおよその経緯は把握できたので、今度はドーラ、エルザ、ガーゴイルの三人が、
この豪邸に集まるまでにどんな事があったのか話した。

「……という感じだね」
「え? ドーラ、最初に襲われた女の子って、もしかして…」
「ああそうさね。アンタが返り討ちにした子だよ。それで…こいつが」

ドーラはデイパックから、若干血が付着した参加者用の首輪を取り出し、
テーブルの上に置いた。

「その子の死体から取ってきた、首輪さね」
「え…取ってきたって、えと、ドーラさん、一体どうやって?
確か絶対に外れないんじゃ……」

そう、この首輪は解除する事はできないと主催者が言っていた。
死体からとは言え、どうやって首輪を回収できたのか、遼平が気になってドーラに尋ねる。
するとその質問に答えたのはドーラ本人ではなくガーゴイルだった。

「それはお前、決まっているだろ。首を切り落としたんだ。なぁ、ドーラ?」
「それ以外に方法なんてないからねぇ」

聞かなければ良かったと、遼平は後悔した。
その光景を想像しただけで、吐き気が遼平を襲った。

「首輪か……」

しかし遼平の横のピタゴラスは何ら気分を悪くする事もなく、
テーブルの上に置かれたその首輪を興味深そうに見詰める。
それを見たエルザがピタゴラスに話し掛けた。

「ピタゴラス、だったっけ? 貴方も首輪を外す方法を?」
「ああ。その口振りからするとお前もか? エルザ、だったかな」
「首輪を色々調べてみれば、何か分かるんじゃないかと思って。
だからドーラに首輪を取りに行って貰ったんだけど……」
「なら話は早い、俺も協力させてくれないか。
一人より二人の方が発見も多くなるかもしれん」
「そう? それじゃ一緒に首輪調べるとしようか。いいよねドーラ、ガーゴイル?」

ピタゴラスの申し出を承諾するかどうかエルザがドーラとガーゴイルに意見を求めるが、
二人共異論はないようなので、エルザはピタゴラスと一緒に首輪を調べる事になった。
204BIG HOUSE ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/09(日) 16:38:07 ID:is28T98F
ピタゴラスとエルザの二人が二階へ首輪を調べに行った後、
ドーラはトイレに向かい、居間には遼平とガーゴイルの二人がいた。
ソファーに座って自分の食糧であるカレーパンを食べる遼平だったが、
前方にいる青い翼が生えた竜のような生き物がどうしても気になるのか、
どこか居心地が悪そうな表情だった。

当のガーゴイルはどこかから持ってきた雑誌らしき物を読み耽っている。
表紙には雌のドラゴンのセクシーポーズの写真が載っているので、
どういう内容かは想像がついた。

(声とか聞く限りじゃ軍人気質の真面目そうな感じだけど…。
ああいうのも読むんだな……意外)

「何だ?」

遼平の視線に気付いたのか、ガーゴイルが赤い瞳の鋭い視線を遼平に向けた。

「い、いえ! 何でも! 何でもないです!!」

殺されると思い、遼平は必死に弁解する。

「……」

ガーゴイルは再び雑誌に目を通し始めた。

(……大丈夫かな、俺)

自分のこれからに不安を感じつつ、遼平は残っていたパンの欠片を口に放り込み、
同じく支給品の水を飲み始めた。



【一日目早朝/H-3豪邸】

【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康
[装備]:イサカM37(4/4)
[持物]:基本支給品一式、12ゲージショットシェル(30)、防弾チョッキ
[思考]:
0:今の所殺し合いをする気はない。
1:ガーゴイル、エルザ、久保遼平、ピタゴラスと行動。
2:シェリーについては保留。
3:首輪を外したい。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※ガーゴイルの知人(ジン、アキラ、亜美、ガルム)のおおよその特徴を把握しました。
※ガーゴイルの言葉の一部が理解できず気になっています。
※久保遼平、ピタゴラスと情報交換をしました。
※フォナ・アンシュッツが死亡した事を知りました。
205BIG HOUSE ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/09(日) 16:46:06 ID:is28T98F
【エルザ・ウェイバー@オリキャラ】
[状態]:腹部に二発被弾(処置済)
[装備]:九五式軍刀
[持物]:基本支給品一式、レミントン デリンジャー(0/2)、.41リムファイアー弾(30)、
首輪探知機、フォナ・アンシュッツの首輪、雄獣人エロ写真詰め合わせ
[思考]:
0:殺し合いを潰す。脱出手段の模索。
1:ピタゴラスと共に首輪を調べる。
2:ドーラ、ガーゴイル、久保遼平、ピタゴラスと行動する。仲間を集めたい。
※久保遼平、ピタゴラスと情報交換をしました。



【ガーゴイル@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康
[装備]:RPG7(1/1)
[持物]:基本支給品一式、85o対戦車擲弾(3)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。首輪の解除方法の模索。
1:エルザとピタゴラスに首輪の調査を任せる。
2:ドーラ、エルザ、久保遼平、ピタゴラスと行動。しばらく豪邸に留まる。
3:元世界の知人(ジン、アキラ、亜美、ガルム)については保留。
4:襲われたら説得を試みる。駄目ならば戦うか逃げる。
※ドーラの知人(シェリー・ラクソマーコス)のおおよその特徴を把握しました。
※ドーラの言葉の一部が理解できず気になっています。
※久保遼平、ピタゴラスと情報交換をしました。


【ピタゴラス@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:コルトM1911A1(7/7)
[持物]:基本支給品一式、コルト ガバメントのリロードマガジン(7×5)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪を外したい。
1:エルザと共に首輪を調べる。
2:久保遼平、ドーラ、エルザ、ガーゴイルと行動する。
3:襲われたら戦う。
※参戦時期は本編死亡後です。
※毛皮の色は作者の想像です。
※自分が以前別のバトルロワイアルに参加していた事を久保遼平に話していません。
※ドーラ、エルザ、ガーゴイルと情報交換をしました。


【久保遼平@オリキャラ】
[状態]:健康、食事中
[装備]:ハンティングナイフ
[持物]:基本支給品一式(食糧消費中)、トランジスタラジオ
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。生き残りたい。
1:ピタゴラス、ドーラ、エルザ、ガーゴイルと行動する。基本的に四人には従うつもり。
※ドーラ、エルザ、ガーゴイルと情報交換をしました。



※G-2ガソリンスタンド内部のフォナ・アンシュッツの死体は首が切断されました。
206 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/09(日) 16:49:10 ID:is28T98F
投下終了です。
207 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/11(火) 00:14:57 ID:yjvydIDG
投下します。俺得ロワ47話「妄想だけならタダ」
登場:大宮正悳
208妄想だけならタダ ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/11(火) 00:17:02 ID:yjvydIDG
47話 妄想だけならタダ

もうすっかり外も明るくなり、今隠れている使われていない倉庫の窓から
差し込む日の光も段々と強くなってきている。
もうすぐ夜明けだ。第一回目の放送の時間も近い。

俺はツルハシを持った男から逃れた後、湖に辿り着き、
そこから北上した先の市街地にあった倉庫の中に身を潜めていた。
身体がなまじ大きいし、翼や尻尾もあるから普通の民家に入るのは何かと苦労するからなぁ。
端っこに捨てられていたカビ臭い絨毯をコンクリートの床の上に敷き、
その上で横になりながら、放送の時間を待つ。
他参加者を探すのは放送を聞いてからでも遅くはないはずだ。
未だ一人の参加者も殺せてはいないがきっと他にやる気になっている奴が
殺したりして人数は確実に減っていると思う。

俺の武器であるグレネードランチャー、H&K HK69は強力な炸裂弾を発射するけど、
弾速が遅いため着弾点を見切られ避けられるという危険があるのが、
数時間前のツルハシ男との戦いで分かった。
残りの弾数もそうだけど、これはもっとよく使い所を考えないといかんね。

それにしても暇だ。そろそろ腹も減ってきたし、飯にでもするか。
俺は自分のデイパックの中から食糧を取り出した。
コンビニおにぎりとかサンドイッチとかそういう物がほとんどだな。
一々包装空けるのが面倒臭いけど仕方ない。

いただきまーす。




数分後。とりあえず食事は終えたけどちょっと問題が起きた。
食糧は三日分はあるらしいけど、既に一回の食事で一日分食べてしまった。
俺は飛竜だから、人間とは物を食べる量が違うんだけど…しまった。
もっと考えて食べるべきだった。

まぁ食べてしまった物は仕方ないとして、とりあえず食事も済ませたしな。
何か暇潰し…………そうだ、ご主人の事を思い浮かべて…………。

いいよね? 誰も見てないし、いつ死ぬかも分からないから抜ける時に抜かないと。
この考え方はおかしいなんて言わせないからな。

俺は壁に背を預け右手で自身を握り締め、軽く手を上下に動かして固くしてあげた。
そして目を閉じて妄想に耽る。
過去、何度こうして自分の厩舎でご主人と色々あんな事やこんな事をする妄想をして、
自分を慰めてきた事か。
209妄想だけならタダ ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/11(火) 00:19:41 ID:yjvydIDG
俺のご主人は青い髪を持った、とてもグラマーな美女。
冷静沈着、真面目、おまけに剣術、銃の腕前も最高、頭もいいという、
もう言ってしまえばとてもいい女。
それでいて俺の事をまるで本当の家族のように接してくれる。
本当に俺はあの人のためなら死んでもいいとも思える。
その忠誠心は、今では恋愛感情へと変貌しつつあった。いや、もうしているかもしれない。

だから、俺は何としてもこの殺し合いに優勝してご主人の元へ帰りたい。

「はぁ…はぁ…」

脳内の妄想を糧に俺は快感を得、息も荒くなってくる。




(以下の会話文は正悳の妄想です)

「ご主人……俺のこれ、しゃぶって下さい……」
「むぅ…正悳、デカいな……だがやるだけやってみるか。むぐ……」
「あああ……いい……もっと舌を絡ませて下さいぃ……」
「んっ………ほ、ほうは?(こ、こうか?)」
「あ、ああぁあああ、んっ、あ……そうです…はぁ…気持ちいい……」

「俺もご主人のここ、舐めてあげます…」
「は、初めてだからな、手加減してくれ」
「はい、じゃあ……」
「くっ……ああっ、あん……し、舌が、ザラザラしててっ、ううっ……」
「気持ちいい、ですか?」
「あ、ああ…ううんっ、ひっ、ひゃんっ…」

「正悳…いいぞ、来い」
「いきますっ、ご主人!」
「ぐ……う、あ、あ」
「だ、大丈夫ですかご主人、痛いですか!?」
「大丈夫だ、そのまま一気に入れろ…さぁ…!」
「……はい。ぐ、ぐあ、ウウウウウウウウウウウウウウッ!!」
「あぁぁぁあああああぁああああああぁぁああーーーーーッ!!!」

「ご主人! ご主人! 俺、もう!」
「ハァ、ハァ、いいぞ、正悳! 遠慮するな! 出せ!」
「ご主人! ご主人ごしゅじん!! あ、ガアアアアアアアア!!!」

(ここから現実のターン)

「〜〜〜〜ッ!!」

妄想の中では思い切り絶叫して果てたが、現実のこっちでは、
大声を出すのは自殺行為なので必死に声を押し殺しながら果てた。
俺自身から放たれた大量のミルクは3メートル程先まで飛び散った。
凄い量だ、緊張感のある状況下だけにいつも以上に興奮したのかな。
210妄想だけならタダ ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/11(火) 00:22:32 ID:yjvydIDG
「ふぅ、気持ち良かった……」

絨毯の端で息子を掃除し、少し疲れたので仰向けに寝転がった。

…妄想の中の事を本当にご主人とやりたいなぁ。
もう無理かもしれないけど。



【一日目早朝/B-5市街地:南部空き倉庫】

【大宮正悳@オリキャラ】
[状態]:左脇腹に打撲、口が血塗れ、脱力感
[装備]:H&K HK69(0/1)
[持物]:基本支給品一式(食糧半分消費)、40mm榴弾(5)
[思考]:
0:元の世界に帰るために、優勝する。
1:放送を待ち、放送を聞いた後行動を再会する。
2:他参加者を見付けたら容赦なく殺す。
※高野雅行、ムシャ(どちらも名前は知らない)のおおよその容姿を記憶しました。



B-5市街地:南部空き倉庫の床の一部に白い液が飛び散っています。





投下終了です。何書いてるんだ俺は。
正悳が何の妄想をしていたか? ご主人とプロレスごっこしてたんですね。
はい。プロレスごっこですね。
211 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/12(水) 00:08:21 ID:BxWIdg2q
投下します。俺得ロワ48話「崩壊への序曲」
登場:野比のび太、神山アキナ、死神五世、ミーウ
212崩壊への序曲 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/12(水) 00:09:55 ID:BxWIdg2q
48話 崩壊への序曲

野比のび太、神山アキナ、死神五世、ミーウの四人。
眼鏡の泣き虫少年、バニーガール、水着の上にマントの女、狐娘。
はたから見れば異様という単語がよく似合う一団は、
市街地を目指して海の見える幹線道路の上を歩いていた。

「おい、のび太、大丈夫か? 随分疲れているように見えるぞ」

死神五世が最後尾を歩くのび太に声を掛ける。
眼鏡の少年はすっかり歩き疲れ、足が正に棒のようになっていた。

「も、もう駄目……どこかで、休みましょう、お願いします……」
「何よ体力ないわね〜それでも男〜?」

ミーウが小馬鹿にしたような口調でのび太に言う。

「やめて下さいミーウさん…のび太君はまだ小学生なんです。
このメンバーの中では一番体力ないんです。勘弁してあげて下さい」

最も多くの時間をのび太と過ごしているアキナがのび太を擁護するが、
何気に一番酷い事を言っているのでのび太が微妙な表情を浮かべる。
ミーウは「はいはい、悪かったわよ」と肩を竦め、五世はやや呆れた様子で後頭部をかく。
どこかに休めそうな場所はないかと五世が辺りを見回す。

「おい、あそこにガソリンスタンドがあるぞ。あそこで一旦休むとしよう」

そして、数百メートル前方にガソリンスタンドを発見し、後ろの三人に指を差して伝えた。
一番表情が明るくなったのはのび太だった事は言うまでもない。


座礁客船から行動を共にする四人は、市街地へ向かう道の途中で、
全員で情報の交換、主に互いの支給品の確認や知り合いの確認を行った。
そしてその過程である事実も明らかとなった。

開催式の時に見せしめで殺された、青い猫型ロボット。
首輪が爆破されようとした時、止めに行こうとし、その猫型ロボットの名前を叫んだのが、
五世とミーウの二人を命懸けの放送で呼び集めた野比のび太少年だったという事。
既にその話を聞かされていたアキナ、初めて聞かされた五世は、のび太に対して
同情を禁じえなかった。ミーウは、表面上は他の二人と似たような反応はしていた。

彼女にとってはそんな事はどうでも良い事だったから。

そもそも、ミーウはのび太、アキナ、五世と協力するつもりなど更々ない。
最終的には全員殺害するつもりでいる。
市街地に近付くまでは協力をするフリをする。
五世はともかく、のび太とアキナは完全に自分の事を信用し切っているようだ。
ミーウが装備している突撃銃、H&K G3は、元々は他の参加者の支給品。
のび太達と会う前に殺害した緑色の竜から奪った物だが、元々の自分の支給品の
トマホークと共に、自分の支給品だと説明した。
事前にトマホークに付着していた血痕は道端に捨てられていた服で拭き取ったため、
特に疑われる事も、怪しまれる事もなかった。
まさか、特にのび太とアキナは、自分が本当は殺し合いに乗っていて、
既に一人手に掛けているとは夢にも思うまい、と、ミーウは心の中でほくそ笑んでいた。
死神五世は不安要素ではあったが、今の所は特にアクションを起こさないので、
放っておいても問題はないと判断した。
213崩壊への序曲 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/12(水) 00:11:51 ID:BxWIdg2q
四人はガソリンスタンドに到着した。
給油機が二台設置された質素かつ小さなガソリンスタンド。
離島なのでこのくらいの規模で十分なのだろう。

「気を付けろ。殺し合いに乗った奴がいるかもしれない」

五世は右手にマカロフを構え、のび太、アキナ、ミーウの三人に警戒を促す。
のび太はH&K MARK23、アキナは五世から渡された脇差、
ミーウはG3をそれぞれ装備し、四人はガソリンスタンドの建物の中へ入る。
入口の扉を開けた瞬間、鼻を突く異臭が四人の鼻腔を刺激した。

「! 何、この臭い…!?」

アキナが鼻元を手で覆いながら困惑の色を浮かべる。
今まで嗅いだどの臭いとも違う、生理的に受け付けられないような臭い。
それはのび太も同じだったが、五世とミーウは嗅いだ事があるため耐性があった。
特に五世、ミーウは数時間前に嗅いだばかりである。

――死体が放つ、死臭を。

(奥の方からだな……)

五世は死臭が奥にある扉の向こうから漂ってきているのに気付いていた。
数時間前に自分に襲い掛かった男を殺した後、同じような臭いを嗅いだ。
のび太、アキナ、ミーウには自分が正当防衛とは言え一人殺害した事は話していない。
理由はどうあれ殺人を犯した者に対する目は懐疑的になる可能性が大きい。
これから行動を共にして行く上で自分に不利かつ危険な事は言わない事にしたのだ。
果たしてそれが本当に正しいのかどうかは五世自身にも分からなかった。

のび太、アキナは完全に自分の事を信用してくれているし、自分も二人の事は信用していた。
だが、後一人、狐獣人の少女――ミーウだけは、どうしても心から信じる気になれない。
他の二人に余計な心配はかけまいと、表面上にはその事は出さないようにはしていたが、
時折ミーウが見せる、少女らしからぬ鋭い目付きに、五世は穏やかならぬものを感じていた。

だが、もしかしたらそれは自分の取り越し苦労かもしれない。
殺し合いという状況の中で疑心暗鬼に陥っているだけなのかもしれない。
とにかく、今現在はミーウは目立った動きは何もしていないので、
警戒はしつつも観察しておくだけにする事にした。

そして、四人は臭いの発生源があると思われる奥の部屋――事務室に足を踏み入れた。

「「――――!!」」

その瞬間。のび太とアキナが大きく口を開けたまま、声にならない叫び声を上げた。
いや、実際は大声など出してはいなかったが。
五世とミーウも余りの惨状に言葉を失う。

床に首と胴体が別れた、青い髪の少女の死体が転がっていた。
死体周辺は血痕だらけで、殺人現場そのものの様相を呈していた。
214崩壊への序曲 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/12(水) 00:13:50 ID:BxWIdg2q
「あ、あああ、あ、ああ……!」

のび太がガクガクと震え出し、その後ろでアキナが死体から目を逸らしていた。

「こりゃ酷ぇな……死んでから4、5時間ぐらいは経ってる。多分、夜の内に殺されたんだろう」
「このデイパックはこの子のかしら? あー駄目ね。目ぼしい物は持ってかれてる」
「へ、平気なんですか、二人共」

死体に耐性のある五世とミーウは臆する事なく現場の調査に当たり始める。
生まれて初めて本物の死体を、しかも首が切断された惨殺死体を目にしてしまった
のび太とアキナは割と平然としている五世とミーウが不思議でならなかった。

結局、異臭はガレージも含むガソリンスタンドの建物全体に広がっており、
また、全員が死体のある建物にはいたくないという意見で一致したため、
やむを得ずガソリンスタンドのすぐ裏にあった崩れ掛けの廃屋で休憩する事にした。
廃屋は赤茶色に錆びたトタン屋根で、やや斜めに傾いていた。
内部は埃っぽい上にカビ臭く、敷かれた畳はふやけ、足場も悪かった。
それでも四人は我慢して、思い思いの場所に腰を落ち着かせた。

「それじゃあもう放送の時間も近い事だし、しばらくここで休むとしよう」
「はい、分かりました」
「はい…」
「そろそろお腹も空いてきたから朝ご飯にでもしようよ。
まぁ、こんなカビ臭い所だけど、我慢してさ…」

第一回放送の時刻である朝の6時が迫っていた。
のび太はこの殺し合いに呼ばれている友達の事を考える。
剛田武、源しずか、骨川スネ夫。どうか生きていて欲しい。
大親友であり家族であったドラえもんを失った今、もし、他の友達まで死ぬような事になったら。
そんな事はない、今まで色々な苦難を乗り越えてきたみんなだ、絶対に大丈夫。
とは言い切れないのが現実。現実は大抵人を裏切り、傷付けるものだ。

(ドラえもんが死んで……ジャイアン達まで死んだら、僕は……)

良い方向に考えるしかない。とにかく今は放送を待つしかない。
のび太はデイパックから適当におにぎりを取り出し包装を開け、
嫌な考えを振り払うがの如く口に入れ食べ始めた。

他の三人も、それぞれの思いを胸に秘めつつ、食事を取り始めた。




【一日目早朝/G-2ガソリンスタンド:裏の廃屋】

【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:健康、リリア・ミスティーズに対する怒りと憎しみ(だいぶ薄らいだ)、食事中
[装備]:H&K MARK23(12/12)
[持物]:基本支給品一式(食糧消費中)、H&K MARK23のリロードマガジン(12×5)
[思考]:
0:殺し合いを潰す。友人達と一緒に脱出する。
1:アキナさん、五世さん、ミーウさんと行動する。南部市街地へ向かう。
2:襲われたら戦う。
3:放送を待つ。
※死神五世、ミーウと情報交換をしました。
215崩壊への序曲 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/12(水) 00:14:43 ID:BxWIdg2q
【神山アキナ@オリキャラ】
[状態]:健康、食事中
[装備]:脇差
[持物]:基本支給品一式(食糧消費中)、拡声器、シアン化リウム
[思考]:
0:死にたくない。
1:のび太君、五世さん、ミーウさんと行動する。南部市街地へ向かう。
2:放送を待つ。
※死神五世、ミーウと情報交換をしました。


【死神五世@VIPRPG】
[状態]:健康、ミーウに対する警戒心、食事中
[装備]:マカロフ(7/8)
[持物]:基本支給品一式(食糧消費中)、ノートパソコン、マカロフのリロードマガジン(8×5)、
島崎隆博の水と食糧
[思考]:
0:仲間と共に殺し合いからの脱出。
1:野比のび太、神山アキナ、ミーウと行動。但しミーウは警戒。
2:ドラゴナス、ムシャ、デスシープの三人を捜す。勇者(アレックス)達はとりあえず放置。
3:襲われたら戦う。できる事なら説得してみる。
4:放送を待つ。
※能力に制限がかかっている事に気づきました。
※女体化から元に戻れません。
※ミーウを警戒しています。
※野比のび太、神山アキナと情報交換をしました。


【ミーウ@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、潮風の影響で毛皮にベタつき、食事中
[装備]:H&K G3(20/20)
[持物]:基本支給品一式(食糧消費中)、H&K G3のリロードマガジン(20×10)、
トマホーク(3)、ニコライの水と食糧
[思考]:
0:殺し合いに乗る。
1:南部市街地に着くまでは野比のび太、神山アキナ、死神五世と行動。
着いたら殺すつもりだが、道中に何らかの問題があった場合も同じように殺す。
2:可愛い子(女の子優先、死神五世は守備範囲外)がいたら…フフフ。
3:放送を待つ。
※参戦時期は本編死亡後です。
※名簿に書かれた主催者と同姓の二人が気になっています。
※死神五世に警戒されている事を察知しました。
※トマホークの血痕は拭き取られたようです。
※野比のび太、神山アキナと情報交換をしました。
216 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/12(水) 00:16:17 ID:BxWIdg2q
投下終了です。
217 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/12(水) 22:45:18 ID:BxWIdg2q
投下します。俺得ロワ49話「フラッシュバック――記憶の欠片」
登場:高野雅行
218フラッシュバック――記憶の欠片 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/12(水) 22:47:38 ID:BxWIdg2q
49話 フラッシュバック――記憶の欠片


高野雅行は森を抜け、木造の校舎らしき建物が建っている敷地内に足を踏み入れた。
地図に小中学校という記載があったが、ここが恐らくそうだろう。
空もすっかり明るくなり、第一回目の放送の時刻も迫ってきているので、
雅行は一旦校舎内に隠れて放送を待つ事にした。

昇降口から、木製の板が敷き詰められた長い廊下に侵入する。
何かの怪談映画に出てきそうな、旧校舎のような印象を受けた。
ただ、貼紙が新しい事や、近くにあった水道の蛇口を捻ると水が出てくる事から、
まだ現役で使われているようだ。

右手に自動拳銃、S&W M3566を携え、教室内に誰かいないか確認しながら進む。

「……?」

ここで、雅行は奇妙な既視感を覚えた。

以前にも、自分は木造の校舎に入った事があるような気がしたのだ。
だがそんなはずはないと、雅行は否定する。

自分が通ってきた学校は全て鉄筋コンクリート製の建物だったし旧校舎も存在しなかった。
だが、それでも、今までの記憶がそれを否定しているのにも関わらず、
自分は以前に木造校舎に足を踏み入れた事が――そうだ、確か獅子獣人を追って――いや、待て。
獅子獣人とは誰の事だろうか? 今まで殺してきた老若男女の中には確かに獅子獣人もいたが――いや違う。
あれは――――。

「う゛っ!?」

自分でも分からない、意味不明な記憶を辿っていた時、雅行の頭が急に痛み出した。

「ぐあああああ……!?」

両手で頭を押さえ、床に膝を突き苦しむ雅行。
だが、その脳内には、ある情景が、まるで古びた映写機の如く映し出された。
酷く断片的に。しかし所々は鮮明に――――。


----
219フラッシュバック――記憶の欠片 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/12(水) 22:48:37 ID:BxWIdg2q
そしてゲーム■始まり、彼は■■拳銃――グ■ック19を■■な■ら、
他■■加者を探■ていた。
その時、銃声と共に前方の民家■壁に小さな穴■空いた。
■ろを振り向くと、■■■■銃を構えた筋■質の獅子獣人の男の姿■。
――見■けた。
■行は初の■物を■認し、喜■だ。
そして、■■■■も無くグロック■構え、獅子■人に向け発砲■た。
だ■、■■■■■■■■。思■■■■も自分は至■距離か■■っていた。
遠■離で撃っ■事■どほとんど無かっ■事を思い出した。
獅子獣人も撃■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■、
■■■■弾は■く当たらなかった。
■■■■ば■く、■■■■撃■応■■■■広げ■れた。

■互い何とか無傷のまま、獅子獣人の■は荒廃した木造校舎に侵■した。
雅行も■■追って中■入る。
校舎の中は埃や■■、蜘蛛の巣■薄汚れ、何年も使われてい■■様子だった。
■■■■に■■■はそんな事ど■でも良く、獅■獣人の■■■■。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。
■■■■積■って■■■■、足跡■付■■■■な■■■■。
足跡■■■■近――■れも■■■■付いた物だ。■■は階段を上■り、
二階■と続■■■■。
■■■■■確認■■■■。雅行は■■■■り、■■■■■■■■。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■、
奥の■■扉が開■■■■。
足跡もそこ■続いている。
■■■に入ると、■■■■机の所■■■■を感じ■。
■■■■■■■■■■。
雅■は、デ■■■■の■から■■■■■■■■■■■■た。

ラ■ルに書か■ている薬■■は――■■■■■。

これ■雅行の■■■■■支給品だっ■。グロック■■■■■酸の瓶■本が、
彼の■給品だった。
雅■は気配■■■■業机に■■■■■、その気配に向かって、
■硫酸の瓶を投げた。
放物線を描い■■■■の瓶は、奥■■■■■り、
そ■まま床に落ち――■リン■■■■。
ジュウ■ウウウ、と、何かが溶■■音がした。
直後。

「■■■■■■■■■!!」

■■■くような男■■■■共に、■■■■陰か■■から煙■■■■
獅子獣人の男■■■■■■■。


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220フラッシュバック――記憶の欠片 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/12(水) 22:50:41 ID:BxWIdg2q
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……な、何だ、今のは……!?」

突然、雅行の脳裏に浮かんだ光景。
それは断片的で音声もほとんど聞き取れず、映像も不鮮明だった。
だが、その断片的な欠片を寄せ集めれば、何が何だったのかはおおよそ見当がつく。

その光景の中で、自分は、今と同じように殺し合いをしていた。
そして獅子獣人の男を追い掛けて、木造校舎に入った。

先程木造校舎を以前どこかで訪れたような気がすると感じたのはこのためだろう。

――だが、この光景、いや、記憶は一体何なのだろうか。

「……」

まだ痛みの残る頭を左手で押さえながら、雅行はふらふらと立ち上がった。

ついさっき、頭の中に浮かんだ記憶の断片が気になったが、
いくら自分で納得のいく答えを出そうと考えても、結論は何一つ出てこない。
それとも、この殺し合いの主催者、リリア・ミスティーズにでも聞けば、何か分かるのだろうか。
無視するには余りにも不可解な事象だが、今は放っておくしかなさそうだ。


「……」

一階の職員室前廊下と、職員室内で、雅行は四人の死体を発見した。
青い髪を持った竜人の女性、頭に迷彩色のバンダナを巻いた紫色の犬の獣人、
金色ロングヘアのエルフの少女、なぜか衣服が脱がされ上に掛けられている白い猫獣人の少年。
いずれも銃で撃たれて死亡したようだが、特にエルフと猫少年の損壊具合が激しい。
廊下の壁や、職員室の窓などに弾痕が確認できるため、戦闘があった事は明らか。

デイパックは人数分発見できたがいずれも目ぼしい物は持ち去られた後だった。

隣の保健室にも入ったが、そこでは血まみれのベッド。
床に何かを引き摺ったような、血の跡が残っており、それは先程の職員室に伸びているようだった。
自分が思っているよりも壮絶な事があったのだろうと雅行は思ったが、
死者の死に方など興味はなかったので、他の部屋の探索に移った。

校長室、倉庫、教室、体育館、体育倉庫、多目的室、一階の部屋を見て回ったが人の姿はない。
二階に上がり、図書室や理科室、家庭科室、パソコン室、図工室、教室と、粗方見て回ったが、
参加者の気配はなかった。どうやら今、校舎には自分以外に誰もいないようだ。

雅行は一階の用務員室で休息を取る事にした。
221フラッシュバック――記憶の欠片 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/12(水) 22:52:09 ID:BxWIdg2q
【一日目早朝/F-5学校:一階用務員室】

【高野雅行@俺オリロワリピーター組】
[状態]:健康
[装備]:S&W M3566(15/15)
[持物]:基本支給品一式、S&W M3566のリロードマガジン(15×5)、
ベレッタM1951(8/8)、ベレッタM1951のリロードマガジン(8×5)、ツルハシ(血痕付着)、
ピアノ線、ハンドワイヤーカッター、 ブライアンの水と食糧、源しずかの水と食糧
[思考]:
0:殺し合いを楽しむ。
1:放送を待つ。
2:ムシャは次会ったら絶対に殺す。
3:さっきのは一体…?
※俺オリロワ開始前からの参戦、ではないかもしれません。
※アレックスとムシャの名前と容姿を記憶しました。また、大宮正悳(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※源しずかのデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)はD-5森:南部に放棄しました。



投下終了です。
222 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/13(木) 00:30:20 ID:RwWXrGw8
投下します。俺得ロワ50話「夜明けは悪夢の終わりではない」
登場:稲垣葉月、レックス、骨川スネ夫
223夜明けは悪夢の終わりではない ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/13(木) 00:31:32 ID:RwWXrGw8
50話 夜明けは悪夢の終わりではない


「もうすぐ放送ね……」

時刻は午前5時45分。第一回放送まで残り15分を切った。
障子戸から差し込む日の光も益々強くなってきている。
殺し合いが始まってから初めての日の出だ。

エリアG-6の市街地の一角にある民家の中で、赤髪のグラマーな女性、稲垣葉月は、
所々に染みがついた布団の上に座り、懐中時計を見ながらコップに入った白く濁った液を口に運ぶ。
生臭く、粘り気もあるその液はお世辞にも美味いとは言えない代物だったが、
今の葉月にとってはカルピスよりもファンタよりも美味しく、心落ち着く飲み物だった。

「美味しい…?」

甘えたような口調で言いながら、黒い巨大な狼、レックスが葉月に近付き
膝の上に上半身を乗せ、葉月の顔を見上げるような体勢を取った。

「うん、美味しい……凄く生臭いけど、それがいいの」

葉月は少し微笑みながらレックスに言った。

「そう言ってくれると、嬉しいなぁ。もっと一杯出してあげるからね。下のお口に」
「やだぁ、もうレックスったらエッチなんだから。でも、もうすぐ放送があるから、
放送が終わった後にまた……ね」
「うん。ああ、そうか……放送か。もうそんな時間になるんだ」

その時刻までの新たな犠牲者及びに入ると首輪が作動する禁止エリアを発表するという定時放送。
葉月もレックスも知り合いは誰一人この殺し合いには呼ばれてはいなかったが、
禁止エリアの情報は少なくとも聞いておく必要があった。
もし、今自分達がいるエリアが指定されれば、移動する必要が出てくるためである。
うっかり聞き逃してしまい、行為に夢中で禁止エリアになり首輪が爆発して死亡、
という余りに無様な死に方は二人ともしたくはなかった。

「ハヅキ…お尻、もう大丈夫? ごめんよ、本当に……」
「うん。何とか血は止まったから……気にしなくていいよ」

レックスが心配するのは葉月の後門。
先刻、自分のせいで後門と直腸を負傷した葉月は大量に出血してしまった。
どうにか血は止まったので良かったが一歩間違えれば葉月の命に関わるかもしれなかった。
レックスはその事を気に病んでいたのだ。
224夜明けは悪夢の終わりではない ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/13(木) 00:32:52 ID:RwWXrGw8
「後ろの門は封鎖だけど、前の門はいつでも大歓迎だから、レックス」
「そう言ってくれると嬉しいよ、葉月。放送が終わったら……もっと色々、やってみようよ」

黒い狼が悪戯っ子のような目で葉月を見る。

「勿論…貴方にならいくら汚されてもいいよ。レックス……」
「葉月〜…」

お互いに、相手に対する深い愛情を感じた葉月とレックスは、
寄り添い、体温を感じ合った。




女と黒狼が乳繰り合っている民家から、北へ少し離れたエリアF-6の、
役場周辺の住宅街、その一角にある小さなアパート。
一階の右端の部屋で、骨川スネ夫は放送を待つため、
一旦他参加者の捜索を切り上げ休息を取っていた。

居間のテーブルの上に地図と参加者名簿、メモ帳、筆記用具を用意し、
放送を聞く準備は万全にしてある。

「後、10分か……」

懐中時計が指し示す時刻は午前5時50分。
殺し合いに生き残る事が第一の目的であるスネ夫にとっては、
参加者が何人死に、後残り何人残っているのかを知る事は重要だった。
だが、一抹の不安が彼の心の中にはあった。それは殺し合いに呼ばれている自分の友達。
彼らの名前が呼ばれれば、自分は彼らを手に掛けなくて済む。
だが、大切な友達である事に変わりはない。本当に死んだと分かった時、
自分は果たして冷静でいられるだろうか。

数時間前、小中学校で青い髪の翼と尻尾を持った女性に襲い掛かって返り討ちに遭い、
気絶させられた時に見た悪夢の事を思い出す。
夢の中には変わり果てた姿の友達二人――剛田武、源しずかが出てきた。
悪夢の中ではとても恐ろしい出来事だったが、覚めてしまえば単なる夢である。
だがスネ夫はあの夢がどうしてもただの悪夢のようには思えなかった。

「虫の知らせ」という言葉をスネ夫は思い出す。
何度か考えたが、もしかしたら、剛田武と源しずかは既に死亡しているのではないか。
あの夢の通りだとするならば、しずかは首を切断され、剛田武は身体中を蜂の巣にされ――。

「ハァ……もうやめよう。もうすぐ分かるし」

何にせよ、もうすぐ始まる第一回目の定時放送ではっきりする事だ。

スネ夫は支給品の水を飲みながら、放送の時刻を待ち続けた。
225夜明けは悪夢の終わりではない ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/13(木) 00:35:29 ID:RwWXrGw8
【一日目早朝/G-6市街地:垣内家二階和室】

【稲垣葉月@俺オリロワリピーター組】
[状態]:下半身丸出し、肛門及び直腸裂傷(血は止まり治癒が始まっている)、
レックスに対する特殊な感情
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式(食糧を少し消費)、AK-47(30/30)、AK-47のリロードマガジン(30×10)
[思考]:
0:死にたくない。レックスと一緒にいる。
1:放送を待つ。
2:襲われたらどうする……?
※下半身の衣類は和室内に放置されています。
※レックスに対し特殊な感情が芽生え始めているようです。


【レックス@オリキャラ】
[状態]:健康、稲垣葉月に対する罪悪感、及び特殊な感情
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、ダマスカスソード
[思考]:
0:とりあえず死にたくはない。
1:ハヅキを死なせない。
2:放送を待つ。
3:最悪の場合(ハヅキが死亡した場合も含む)、自害する。
※稲垣葉月に対し特殊な感情が芽生え始めているようです。


【一日目早朝/F-6市街地:アパート一階101号室居間】

【骨川スネ夫@ドラえもん】
[状態]:健康
[装備]:IMIウージー(32/32)
[持物]:基本支給品一式(水消費中)、IMIウージーのリロードマガジン(32×8)、三八式歩兵銃(2/5)、
6.5o×50R弾(25)、コルト トルーパー(6/6)、.357マグナム弾(30)、コンバットナイフ、
水と食糧(4人分)、消毒用エタノール、ジッポーライター、焼酎
[思考]:
0:生き残るために殺し合いに乗る。
1:放送を待つ。
2:のび太達とは会いたくない。
※悪夢の内容から、剛田武と源しずかの二人はもう死んでいるのではないかと思い始めています。




※G-6市街地:垣内家二階和室が血で汚れています。
226 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/13(木) 00:36:43 ID:RwWXrGw8
投下終了です。
227上には上が… ◆6LQfwU/9.M :2010/05/13(木) 01:21:29 ID:1ji9HLP9
「…ここはどこなんだ?さっきまで私はアーセナルギアの上に…」
遠くから足音が聞こえてくる。
慌てて身を隠す。
(誰だ…?まさか、ジャックか…?)

「えっと…ここがD-6なら…南西に行けばいいのか」
地図を眺めながら少し急ぎ足で街中を行く妖怪。
所々にある街灯のみが暗い街を照らしている。
(こんなに暗いんだ、何処かに誰か隠れててもおかしくないな…)
「追いついたぞ」
後ろから声がかかる。
「だ、誰?」
恐る恐る後ろを振り向くと…
…血の付いたナイフを握りしめた男が立っていた。
(うっ、ヤバそうな奴だ…ここは逃げる!)
途端に走り出す妖怪。
「逃がさんぞ!」
(抵抗せずに殺されれば、楽なのにな)
軽やかな足取りで妖怪を追うヨハン。
「くそっ、どこまで追いかけて来るんだよ!…うわっ!」
突然妖怪が足を止める。
228上には上が… ◆6LQfwU/9.M :2010/05/13(木) 01:22:32 ID:1ji9HLP9
そしてまた方向を変えて逃げる!
「む、貴様はだれだ?」
つきあたりの影から、かなり戦闘経験があると思われる男が、ゆっくりと出てきた。
「ふん、お前の知ったことでは無いな。」
その男は、挑発するように言った。
「なら…殺してやる」
デイパックから…すらりと刀を取り出す。
ヨハンは男に向かって挑発する仕草を見せる。
「こいよ、木偶の…ッ!」
その瞬間小さな機械音と共に触手がヨハンの首を掴む!
「ふん、威勢が良いのは口だけか?」
触手はぐいぐいとヨハンの首を絞める。
「くっ…これでも口だけと言えるか…?」
その瞬間、ヨハンは自身の「力」を繰り出した。
「…体が…動かん…!?」
いきなりのことに少し焦りの表情を見せる、がすぐに落ち着く。
「体が動かなくても…これは動くんでな」
首を絞め付けていた触手の力が一気に強まる!
「しまったか…だが…ただでは死なん」
ポケットから黒い物体を取り出す。
それは…俗に「パイナップル」と呼ばれる物…手榴弾だった。
「く、貴様…!」
「死ね」
ピンを抜き、男に向けて投げる…がその前にもう1本の触手が手榴弾を叩き落とす。
「く…」
そして、さっきと同様に厭な音とともに首の骨が…折れた。

「さっきの男は…もう逃げたか…」
辺りを見回し、それ以外には誰もいない事を確認する。
(そう言えば、ここに来た時にいた男は…)
――優勝者は願いを叶えてもらえる
(と言うような事を言っていたな…これで優勝すれば、『愛国者達』を葬れるかもしれんな…)
229上には上が… ◆6LQfwU/9.M :2010/05/13(木) 01:23:17 ID:1ji9HLP9

【一日目・深夜/D-6】
【ソリダス・スネーク@メタルギアソリッドシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:スネークアーム@メタルギアソリッドシリーズ
[所持品]:支給品一式、不明支給品(確認済み)、日本刀@現実、手榴弾(7/8)@現実
[思考・行動]
基本:優勝し、願いで『愛国者達』を葬る。
1:さっきの男を追うか…

「ここまで来りゃ、大丈夫だろう…それにしても、ここは…?」
妖怪は端末で現在地を確認する。
「D-5…無我夢中で走ってきたらこんなところに来るとは…」
時間をちらりと見て、愕然とする。
「まだ始まって20分も経ってないのか…怖ええよ…」

【一日目・深夜/D-5】
【妖怪@板対抗BR】
[状態]:健康、疲労(中)、精神疲労(中)
[装備]:トンファー@板対抗BR
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ゲームには乗りたくない。
1:何処かで休みたい…
2:E-4に向かい、「いいもの」を回収する。


【ヨハン・シュトラウス@オリジナル・カオス 死亡】
死因:頸椎骨折
230 ◆6LQfwU/9.M :2010/05/13(木) 01:26:13 ID:1ji9HLP9
投下終了です
231 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/15(土) 13:35:20 ID:p9KNXoCP
投下乙です。では自分も投下します。
俺得ロワ51話「第一回放送」
登場:リリア・ミスティーズ、バン、黒牙、大木弓那
232第一回放送 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/15(土) 13:40:29 ID:p9KNXoCP
51話 第一回放送


殺し合いの舞台である島に朝が訪れる。
島中に設置された特別製のスピーカーから、主催者のリリア・ミスティーズの声が流れ始めた。

第一回目の定時放送の時間である。

----

『現在生き残っている皆さん。最初の6時間を生き延びた事を、まずは祝福します。
運悪く死んでしまった方も多いですが。

これより第一回目の定時放送を行います。
まずは禁止エリアの発表から。

7時より、エリアF-3。
8時より、エリアD-2。
9時より、エリアE-8。

以上の三つです。指定された時間以降に侵入すれば、首輪が作動します。
決して忘れないようにして下さい。首輪での爆死は私も望んでいないので。
折角こんな大舞台や武器を用意してあげたのに、そんな死に方をされたらつまらないですから。

では続いて死者の発表です。五十音順に言っていきます。

亜美
ガルム
ケトル
剛田武
島崎隆博
鈴木正一郎
ドラゴナス
ニコライ
フォナ
ブライアン
ヘレン
源しずか
メリエ
元村憲章

以上14人です。いいですね。中々のペースです。

どうも、殺し合いそっちのけで色々と好きな事ばかりしてる人も多いみたいですけど、
まぁ、いつ死ぬか分からない状況下で欲望のままに行動するというのも、
一つの道だとは思いますので、私は特に何も言いませんが。

今現在、自分が殺し合いの場にいる、という事実だけはゆめゆめお忘れなきよう。

それではこれで放送を終わりにします。
次の放送は昼の12時ですので、また放送が聞けるよう頑張って下さい。

それでは現在生き残っている33人のプレイヤーの健闘を祈ります』

----

47人の参加者が優勝者というたった一つの椅子を求めて戦い合うバトルロワイアル。
そんな狂気のゲームを取り仕切る主要機関――バトルロワイアル管制室。
幾つものモニターが並んだ広い部屋には何十人ものオペレーターが働いている。
普通の人間の兵士、獣足の獣人達など顔ぶれも様々だ。
233第一回放送 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/15(土) 13:50:46 ID:p9KNXoCP
放送を終えた紺色のドレス姿の黒髪の女性、リリア・ミスティーズは、
傍に控えていた赤い雄の竜――バンを引き連れ、管制室内を見て回り始める。
オペレーター達の間に緊張が走る一瞬だった。もし何か下手をすれば首が飛ぶ恐れがある。
ここで言う「首が飛ぶ」とは、解雇という意味ではなく正に言葉通りの意味だった。
そのために全員が全員、懸命に自分に与えられた仕事、責務をこなそうとする。
そんなオペレーター達の気苦労を知ってか知らずか、リリアはとあるモニターに釘付けになった。

「ど、どうか致しましたか、リリア様?」
「この……エリアE-3の森の中で、ずーっと動かないでいるのって…誰?」

数時間前から、リリアはエリアE-3の森の中に留まったまま、
身動き一つしない一人の参加者の事が気になっていた。
オペレーターが急いで端末を操作しその参加者の詳細情報を表示させる。

「永倉萌です。どうやら身を潜めているだけのようですね。怪我をしている訳ではなさそうです」
「うぅん……周囲のエリアには誰もいないみたいね」

永倉萌の周囲、近辺のエリアには生存している他参加者の姿は見られない。
一番近くにいる参加者も、萌の隠れている場所には近付く気配がない。
当り前だろう、萌が身を潜めている場所は地図上ではただ森が広がっているだけの何もない場所。
殺し合いに乗っている者でも、相当な物好きでもない限り、
「他参加者の捜索には人の集まり易そうな、地図上に記載されている施設或いは市街地」と
考え、わざわざ何も目印が見当たらない森に向かう者はそうはいまい。

萌本人にとっては運良く6時間を誰とも接触せずに過ごせただろうが、
参加者同士が殺し合う、或いは接触する事を望むリリアにとっては興を削がれる以外の何物でもない。
しかし、この様子だと萌はこれからも、E-3が禁止エリアにならない限り動かないだろう。
禁止エリアは、コンピューター関連の製作及び管理を担当させている者が製作した
専用のソフトでランダムに選び出され決定される仕組みなので、主催者であるリリアでも、
一体どこが禁止エリアになるのか分からなかった。
なぜそんな仕様にしたのか小一時間製作者を問い詰めたかったが今はそんな事をしている場合でもない。

「つまらないわねぇ。そうだ、テレポートさせてみましょうか。一回ぐらいなら大丈夫でしょう」

リリアは何やら呪文らしき言葉を詠唱し始めた。
そしてそれが終わった途端、エリアE-3に表示されていた唯一の参加者を示す光点が消失する。

「なっ…!?」
「え、嘘ぉ!?」

ディスプレイを見ていたオペレーター達が驚きの声を上げた。
光点が消滅するなど本来有り得ないはずなのだ。首輪をした参加者が死ぬと、
最初は黄色で表示されている光点が赤色に変化するが、消滅はしない。
だが現に目の前で起きるはずのない事が起こった。驚くのも無理はない。

「り、リリア様、な、永倉萌は一体どこへ?」
「ここよ、ここ」

リリアがとあるエリアを指差すと、確かに、いきなり永倉萌を示す光点が出現した。
おおっ、と、再びオペレーター達が、今度は別の驚きの声を上げた。
それと同時に自分達の主が持つ強大かつ未知なる力の片鱗を思い知る。

「これで面白くなればいいけどね。うふふ……」

リリアは不敵な笑みを浮かべながら、バンと共に管制室を後にした。
234第一回放送 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/15(土) 13:53:08 ID:p9KNXoCP
大きな窓が幾つも連なる廊下を歩くリリアとバン。

「レオン様と、クリスさん、まだ、生きているようですね」

バンが神妙な面持ちでリリアに話し掛ける。
リリアの実兄であるクリス・ミスティーズと伯父に当たるレオン・ミスティーズ。
二人共、リリアが催す殺し合いの参加者である。

「そうね。まあ二人共しぶといし、そんな簡単にはやられはしないとは思っていたけど。
確か……今はゴメスとか言うガチホモ野郎と一緒だったっけ。掘られたら面白いのに」
「……」
「……バン。言っておくけど、私に今更盾突こうとか、そういう事は思わない事ね。
折角時の魔石と私の力を使って、貴方を少しは役に立つように成竜の姿にしてあげたんだから。
私の右腕としてしっかり、最後まで働いて貰うわよ」
「分かりました」

バンは少し暗い表情を浮かべつつもリリアに対し恭順する意思を見せた。



「グルルルル!! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ!」
「あぁぁああああぁああ!! いい! いいよこくがっ! もっと、もっとぉ!
はげしくついてっ! きもちいいよぉぉ!!」

「相変わらず仲良しだこと、黒牙と弓那」
「…………」

ある寝室で、リリアとバンは半ば呆れ顔でその様子を見ていた。
ベッドの上で、全裸の黒髪の少女、大木弓那に覆い被さり、息を荒げる黒と赤の人狼、黒牙。
部屋に闖入者が二人入ってきているというのに、気付いてないのか、
それとも気付いてはいるが全く意に介していないのか、激しい行為を止める事はない。

「まぁ、折角のお楽しみを邪魔するのは野暮よね。行きましょ、バン」

これ以上ここに居ても仕方ないと判断したリリアはバンと共に寝室から出た。
扉を閉めた直後、狼の雄叫びと少女の叫び声が部屋の中から聞こえ、
そしてその後は何も聞こえなくなった。



【現時点での生存者 33人】



【一日目朝方/?-?主催者本拠地】

【リリア・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:健康
[装備]:不明
[持物]:不明
[思考]:
0:バトルロワイアルの完遂。
※参戦時期は本編終了後です。
235第一回放送 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/15(土) 13:54:44 ID:p9KNXoCP
【バン@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:健康、成竜化
[装備]:不明
[持物]:不明
[思考]:
0:リリアに従う。
1:?????????
※参戦時期は本編終了後です。
※時の魔石とリリアの力により成竜になっています。


【黒牙@俺オリロワリピーター組】
[状態]:健康、絶頂
[装備]:不明
[持物]:不明
[思考]:
0:リリアに従う。
1:弓那とたっぷり交わる。
※死亡後からの参戦です。


【大木弓那@俺オリロワリピーター組】
[状態]:健康、全裸、絶頂
[装備]:不明
[持物]:不明
[思考]:
0:リリアに従う。
1:黒牙とたっぷり交わる。
※死亡後からの参戦です。


※エリアE-3にいた永倉萌はどこか別の参加者が近くにいる場所にテレポートさせられたようです。
236 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/15(土) 13:55:53 ID:p9KNXoCP
投下終了です。
237 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 02:04:59 ID:yzAM+xCc
投下します。俺得ロワ52話「灯台下、明るし」
登場:アレックス、ジン、石川昭武
238灯台下、明るし ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 02:06:19 ID:yzAM+xCc
52話 灯台下、明るし


アレックス、ジン、石川昭武の三人がようやく森を抜けた頃には、
既に夜は明け第一回目の定時放送の時間が迫っていた。

「おい、あれ見てみろよ。あれって灯台だよな?」

ジンが指差す先には白い巨塔――ならぬ、白い円筒状の建築物が。
三人共、長時間足場の悪い森の中を歩き続け、足に疲労が溜まっていた。
放送を聞くのも兼ねて、三人は灯台で一旦休息する事にした。

そして、灯台の管理人詰所と思しき部屋で、アレックス達は放送を聞く。
どこからともなく聞こえてくる、主催者の女の声。

『現在生き残っている皆さん。最初の6時間を生き延びた事を、まずは祝福します。
運悪く死んでしまった方も多いですが。

これより第一回目の定時放送を行います。
まずは禁止エリアの発表から。

7時より、エリアF-3。
8時より、エリアD-2。
9時より、エリアE-8……』

テーブルに座り三人がそれぞれの地図に発表された禁止エリアを書き込んでいく。

「確か、入ったら首輪が爆発するんだったっけ?」
「んーと、作動する、とは言っていたけど…っていうかジンお前字ィ汚ェなオイ」
「うっせーな! 昭武人の事言えんのかよ!」
「しっ! 二人共静かに!」

『では続いて死者の発表です。五十音順に言っていきます』

アレックス達が息を呑み、静かに放送に耳を傾ける。
一人も知り合いが呼ばれていない昭武も、同行しているアレックスとジンの
仲間の事が気になり死亡者の発表はしっかり聞くつもりだった。
そして最初の一人の名前が告げられた。

『亜美』

「なっ……!?」

ジンの顔から血の気が引いていく。しかしまだ死者の発表は続く。

『ガルム』

二人目の名前も、ジンは反応を示した。
239灯台下、明るし ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 02:12:46 ID:yzAM+xCc
『ケトル、剛田武、島崎隆博、鈴木正一郎』

呼ばれた名前を名簿に線を引いて消していく。
ジンはやや心ここに有らずといった感じだったが、それでもしっかり放送は聞いていた。
そんなジンの事を他の二人は心配したが、まだ放送は続く。

『ドラゴナス』

「なっ…!?」

今度はアレックスが反応を示す。

『ニコライ、フォナ・アンシュッツ』

次の二人の名前は三人共、全く関わりのない人物のものだった。

『ブライアン、ヘレン』

「!! そんな、ヘレンまで…!」

アレックスが悲しみと悔しさの入り混じった表情を浮かべる。

『源しずか、メリエ、元村憲章…………以上14人です。いいですね。中々のペースです。
どうも、殺し合いそっちのけで色々と好きな事ばかりしてる人も多いみたいですけど、
まぁ、いつ死ぬか分からない状況下で欲望のままに行動するというのも、
一つの道だとは思いますので、私は特に何も言いませんが。
今現在、自分が殺し合いの場にいる、という事実だけはゆめゆめお忘れなきよう。
それではこれで放送を終わりにします。
次の放送は昼の12時ですので、また放送が聞けるよう頑張って下さい。
それでは現在生き残っている33人のプレイヤーの健闘を祈ります』

放送が終わり、島に再び静寂が訪れた。

「畜生、亜美が死んだなんて…!」

ジンがテーブルに突っ伏し、涙を流す。
ヴァルハラを帝国軍から救うため、共に旅をし、共に戦った大切な仲間。
時の塔の巫女で、優しくも、決して折れない強い心も持った少女、亜美。
その亜美が死んでしまった。嘘だと思いたかったが、わざわざ嘘を吐く理由もないだろう。
更に帝国軍のデビルであるガルムも死んだらしい。
もう一人の仲間であるアキラ、もう一人の帝国軍デビルであるガーゴイルはまだ生きているらしいが。

「ブライアンの他に、ヘレン、ドラゴナスまでやられたってのか……畜生……!」

アレックスは涙こそ流さなかったが、悲しみとショックは大きかった。
最初に出会い直後に殺害されたブライアンの他にも、
金髪のエルフ娘であり仲間であるヘレン、魔王軍四天王の一角であり、
マイホームパパ的な存在だったドラゴナスも命を落としたという。
後知り合いで生き残っているのはゴメス、ムシャ、死神五世、デスシープの四人。
厳密に言えばデスシープとはほとんど面識はないのだが。
240灯台下、明るし ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 02:20:46 ID:yzAM+xCc
「……」

悲しみに暮れる二人に掛けてやれる言葉が見付からない青い狼獣人の青年、昭武。
自分はこの殺し合いには知り合いは一人もいない。
だからそれによっての悲しみを感じる事は恐らくないと思われる、が、
それでも大切な仲間を失ったアレックスとジンの気持ちは昭武も理解できた。

「くっ……」
「じ、ジン…大丈夫、じゃ、ないよな……」

右腕で涙を拭い、昭武の方に向き直るジン。

「悪ぃ、昭武……」
「い、いや、謝る事なんてねぇけど……アレックス」
「ああ…分かってる、よ。いつまでも泣いてもいられないよな……」

アレックスも、平静さを取り戻す、が、まだ無理をしているように見えた。
しばらく、沈黙が続く。互いに何の話から切り出せばいいのか、
何の言葉を掛ければいいのか分からなかったが、その沈黙を破ったのはアレックスだった。

「……放送で発表された情報、整理しておこうか」
「あ、ああ。そうだな」

第一回放送でもたらされた情報の整理を行う。
禁止エリアは午前7時からエリアF-3。午前8時からエリアD-2。午前9時からエリアE-8。
いずれのエリアも今自分達がいる灯台からは遠く離れているため、
すぐに移動する必要はなさそうだ。

そして、ゲーム開始から第一回放送までの6時間で14人もの参加者が落命した事実。
それだけ殺し合いに乗った参加者が多いという事だろうか、
いや、数人が大量に殺し回っている可能性もある。

「思っていたよりペースが早いな、最初の6時間で14人も死ぬなんて。
仲間を集めて脱出手段を探るにも、余りモタモタしてるとまずいかもな」

アレックスが深刻そうな顔で言う。
この殺し合いから脱出するのにまず必要と思われる事は、
首にはめられた首輪の解除だろうが、自分達を除くと残り29人となった生存者の中に、
果たして首輪を解除できそうな人物がいるのだろうか。
いると仮定しても、もしその人物が死亡してしまったらもはや脱出など夢のまた夢。
最悪、今組んでいるメンバーで殺し合いを演じるという事態に陥る可能性もある。
つまり仲間集めをするというならそれなりに急いだ方が良いのだが――。

「……やっぱり、人が集まるのは街だよな」

ジンが地図の、灯台近くの役場や小中学校がある市街地を指差す。
島の主要な施設が集中しているこの市街地なら多くの参加者が集まる可能性が高い。
アレックスとジンの残りの仲間も、自分達と同じくこの殺し合いからの脱出を目指す参加者達も。
241灯台下、明るし ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 02:22:53 ID:yzAM+xCc
「なぁ、ちょっといいか?」
「ん? どうしたんだ昭武?」
「この灯台の近くに豪邸があるみたいなんだけど、ここ、行ってみないか?」

昭武が地図で指差すのは、灯台から西の方角にある豪邸。
地図上で見る限り然程距離はないように見える。
ジンが西側に面する窓を少し開けて見てみると、確かに豪邸らしき建物が見えた。

「気になるのか、昭武?」
「市街地も確かに人集まり易いかもしれないけど、
意外とああいうトコにも人いるんじゃないか?」
「そうだな…そんなに遠くでもないし、行ってみるか」

アレックスは昭武の提案を呑む事にし、ジンもそれに賛同した。

「……ちょっと腹減ったな。飯にしない?」

ジンが空腹を訴える。こういう時でも食欲だけは失せる事はないようだ。

「それじゃあ、各自、食事を取って、しばらく休んでから豪邸に向かうとしよう」
「ああ」
「分かった」

三人は各々、自分のデイパックから食糧を取り出し食事を始めた。



カレーパンを頬張りながら、アレックスはブライアンを殺害したと思われる、
白いシャツを着た黒髪の男の事を考えていた。
男の名前は知らないので、もしかしたら先に呼ばれた名前の中に含まれていたかもしれない。
だが、勿論まだ生存している可能性も否めない。

次に遭遇した時、自分はどういう行動に出るだろうか。
怒りに任せ、殺してしまうかもしれない。
大切な親友であり、仲間であるブライアンを殺害したとは言え、
それをまた、自分が殺すのが最善だとは思わない。
だが、いざ相対した時、自分は冷静でいられるだろうか。

いや、もしかしたらとっくに死んでいるかもしれないのだが。

それと、自分の支給品であるUSBメモリの中身も気になる。
勿論、USBに対応したパソコンがなければ中身を見る事はできない。
もしかしたら脱出のヒントが、とも思ったがその可能性は限りなく低い。
なぜなら主催者がわざわざ殺し合いの破綻に繋がるような物を支給するとは考えにくいからだ。
確実にこの狂った殺し合いゲームを遂行したいのならそんな真似はしないだろう。
USBメモリも中身なんて何もない、ただの外れ支給品かもしれない。
だが、それでも一応中身は見ておく価値はあるはず。

とにかく今は、ジンと石川昭武の二人と行動して、自分やジンの知り合いと、
共に戦ってくれる仲間を集める事に専念しよう。
アレックスはそう心の中で思った。
242灯台下、明るし ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 02:30:10 ID:yzAM+xCc
【一日目朝方/H-4灯台:管理人詰所】

【アレックス@VIPRPG】
[状態]:全身にダメージ(軽度)、悲しみ、食事中
[装備]:サバイバルナイフ
[持物]:基本支給品一式(食糧消費中)、USBメモリ
[思考]:
0:仲間を集めて殺し合いを潰す。そして脱出する。
1:ジン、石川昭武と行動。食事した後、豪邸へ向かう。
2:元の世界の仲間と合流?
3:首輪も何とかしたい。
4:USBメモリの中身が気になる。
5:ガーゴイルには一応警戒しておく。
※襲撃者(高野雅行)の容姿を記憶しました。
※ジン、石川昭武と情報交換をしました。


【ジン@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康、深い悲しみ、食事中
[装備]:スティレット
[持物]:基本支給品一式(食糧消費中)、スタングレネード(3)
[思考]:
0:殺し合いはしない。アキラの捜索及び仲間集め。
1:亜美……。
2:石川昭武、アレックスと行動。食事した後、豪邸へ向かう。
3:死神五世、ムシャ、デスシープ、ガーゴイルには注意。
4:襲われたら戦う?
5:USBメモリの中身が気になる。
※参戦時期はレミエル打倒後、元の世界へ帰還した直後です。
※アレックスと情報交換をしました。


【石川昭武@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:エンフィールドNo.2(6/6)
[持物]:基本支給品一式(食糧消費中)、.380エンフィールド弾(30)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。
1:ジン、アレックスと行動。食事した後、豪邸へ向かう。
2:首輪を何とかしたい。
3:死神五世、ムシャ、デスシープ、ガーゴイルには注意。
4:USBメモリの中身が気になる。
※アレックスと情報交換をしました。
243 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 02:33:04 ID:yzAM+xCc
投下終了です。
244 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 14:05:11 ID:yzAM+xCc
投下します。俺得ロワ53話「侍は踊る」
登場:ムシャ
245侍は踊る ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 14:06:37 ID:yzAM+xCc
53話 侍は踊る


エリアD-4東部の森の中で、和風鎧姿の男、ムシャは無念の表情を浮かべていた。

「ドラゴナスがっ……何てこった……」

自分と同じ魔王軍四天王の一人であり、大切な仲間でもあったドラゴナスが死んだ。
今しがたの定時放送の中の死者発表で、その名前が呼ばれたのだ。
多少天然が入っている所があるとは言え、四天王の一人としての実力は確かだった。
それ故簡単に死ぬ事はないとムシャは思っていたが。

「そういや、魔法や特殊能力とかは一切使えないんだったな……」

主催者・リリアによる制限で、ドラゴナスや死神五世、恐らくアレックス達勇者勢も、
魔法や特殊能力の類が一切使えなくなっていると思われる。
その状態ではドラゴナスは普通の人間が相手でも負けてしまう可能性がある。
それを考慮に入れておくべきだった。

放送によれば、勇者アレックスの仲間であるブライアンとヘレンも死亡したらしい。
他にも、前述したドラゴナス、ブライアン、ヘレンの三人を除くと、11人の参加者が、
最初の6時間の間に脱落してしまったようだ。
先刻戦った高野雅行なる男の名前は呼ばれなかった。

ムシャは、この殺し合いに呼ばれた自分の仲間、ドラゴナス、死神五世、デスシープのために
殺し合いに乗る決意をした。できる限り他参加者を殺して回り、
三人が生き残る確率を上げるためである。
自分のこの行動を、三人は恐らく良しとはしないだろう。
特に普段から公私共に付き合いが多い死神五世は、自分を殴ってでも止めようとするかもしれない。
だが、それでもやらなければいけない。既に名も知らぬ少女を一人この手に掛けた。
後戻りはもうできない。

だが、そんなムシャの思いを嘲笑うかのように告げられた仲間の一人の死。
ムシャの士気は必然的に下がった。

「……」

ムシャは14人分の名前が横線で消された参加者名簿と禁止エリアの場所と出現時刻が書き込まれた
地図を自分のデイパックにしまい込み立ち上がり、東に向け歩き始めた。

確かに仲間の一人であるドラゴナスは死んでしまった。だが、まだ、
死神五世とデスシープの二人が残っている。
仲間が一人でも生き残っているなら、立ち止まる訳にはいかない。
246侍は踊る ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 14:08:41 ID:yzAM+xCc
「こいつは……」

しばらく歩いた、北方向に急な坂が広がっている地点で、
ムシャは赤と白を基調にしたカラーリングの鎧を着た男の死体を見付けた。
見覚えがある。確か、アレックスの仲間の、ブライアン、だったはず。
死んでから5、6時間は経過しているらしく既に腐敗し始めている。
鎧の胸元に二つの穴が空きそこから血が流れているのでこれが致命傷なのだろう。
先程の放送でも、ブライアンの名前が呼ばれていた。
近くにブライアンの物と思しきデイパックも転がっていたが中身は漁られた後だった。

「……」

敵対しているとはいえ、無惨な屍を晒すブライアンを弔いたい気持ちはあったが、
そんな時間も道具も持ち合わせてはいない。
ふと、坂の方角の遠方に目をやると、鉄塔らしき物が立っているのが見える。
地図を確認すると、北方向に「鉄塔」とある。

坂を観察すると、気を付ければ下れない事もなさそうだ。
ムシャは鉄塔を目指し、それなりの傾斜がある坂を慎重に下り始めた。


ズルッ


「ちょwwwwやべwwwwwwww」


ズザザザザザザザザザザザ。


「アッーーーー!!」


滑落した。



朽ちた鉄塔の元に、鎧のあちこちに木の枝や葉っぱを引っ掛けた鎧武者が現れる。

「ったく酷い目にあった……むぅ、誰もいないか」

周囲を見渡すが人の気配はない。
数時間前にほぼ同じルートでとある人物がこの鉄塔に辿り着いた事など、
ムシャは知る由もないが。
もう一度地図を取り出し、鉄塔のあるエリアの周囲の地形を調べると、
真っ直ぐ北方向に行けば灯台や豪邸のある麓に行けるらしい。

「豪邸に灯台…ガソリンスタンドもあるな」

地図上に記載されている施設なら人も集まり易いだろう。
247侍は踊る ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 14:10:36 ID:yzAM+xCc
「行ってみるか…だがその前に、少し休むとするか」

次の行き先を決めたムシャは、鉄塔の基礎部分のコンクリートに腰掛けしばしの休憩を取る事にした。
ゲーム開始から6時間、ほぼ休みなしの強行軍の上、食事も取っていない。
腹が減っては戦はできぬという言葉もある。
デイパックから食糧であるツナおにぎりを取り出しムシャはそれを口にした。


【一日目朝方/E-4鉄塔】

【ムシャ@VIPRPG】
[状態]:身体中にダメージ(小)、食事中、悲しみ
[装備]:直刀(血痕付着)
[持物]:基本支給品一式(食糧消費中)
[思考]:
0:魔王軍の仲間を生き残らせる。それ以外は容赦なく殺す。
1:ドラゴナス…。
2:魔王軍の仲間とはできれば遭遇したくない。
3:とりあえず麓へ行く。
4:高野雅行は次に会ったら必ず始末する。
※高野雅行の名前と容姿を記憶しました。また、大宮正悳(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
248 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 14:14:43 ID:yzAM+xCc
投下終了です。
249創る名無しに見る名無し:2010/05/16(日) 14:17:34 ID:etEnKJeN
最近◆UwuX8yY6RQ氏ぐらいしか投下がないのですが
他の人は?
250 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 19:29:58 ID:yzAM+xCc
>>249 規制されていると話を聞きました。携帯からも書き込めないとか…。

投下します。俺得ロワ54話「シリアルキラーツクール」
登場:日宮まどか、骨川スネ夫

251シリアルキラーツクール ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 19:31:37 ID:yzAM+xCc
54話 シリアルキラーツクール


役場二階の会議室にて放送を聞いた私は、荷物を纏めて出発の準備を始めた。
死者の数は全部で14人。残り人数は自分を含め33人になった。
思ったよりもペースが速いわね。

私が最初に殺害したケトル君の名前も当然呼ばれた。
今思うと、可愛かったな〜やっぱり猫獣人のケモショタっていいわね。
しかも童貞と来たら、もうちょっと遊んであげても良かったかな。

禁止エリアはいずれも今私がいるエリアF-6の島役場からは離れた場所。
だけど午前8時、今から約2時間後の午前8時に禁止エリアになるエリアD-2、
今から約3時間後の午前9時に禁止エリアになるエリアE-8は、島の北部の市街地への
アクセス手段である東西の海岸沿い幹線道路が通っている場所だ。
ここが侵入不可になったら、北部市街地へ行くには中央部に広がる森、
小高い山を突っ切る以外になくなる。

でも、まだ南部の市街地の病院とか、回っていない所もあるから、当分は南へ行く予定はないけど。

武器であるレミントンM870に予備の弾を込め、座っていた椅子から立ち上がる。
一応、怪我の手当ても、ついでに食事も済ませたし、そろそろ、他の参加者探しに行きますか。

階段を下りて一階へ。そういえば、一階で戦ったあの狼獣人の警官はどうしてるのかしら。
名前聞いてないからもしかしたらさっきの放送で名前呼ばれたかもしれない。
一応、私の散弾食らってたっぽいし、そうであってくれるならそれでいいんだけど。

あら……玄関の所に人影が……ッ!?


ダダダダダダダダダダダダダダッ!!


「うっ……!?」

私が壁の陰に隠れるのとほぼ同時に機関銃の音が響き、ついさっきまで私が立っていた場所を
無数の弾丸が突き抜け、その軌道上の先にあった壁と窓を蜂の巣にした。
よくは見えなかったけど、多分、相手は少年。どうやらやる気になってるみたいね。


ダダダダダダダダダダダダダダッ!!


マズイなぁ、私が持っている散弾銃と向こうが持っている機関銃(多分サブマシンガン)
では、連射性で完全に向こうが勝っている。正面から行っても弾幕にやられるだけね。

あれだけ連射が利くなら弾切れになり易いはず。その隙を突けば……。
252シリアルキラーツクール ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 19:33:28 ID:yzAM+xCc
ダダダダダダダッ!! カチッ、カチッ……。


(! 弾が切れた? ……なら反撃ね!)

向こうの機関銃が弾切れを起こした事を察知した私は、弾を装填される前に、
相手に散弾を食らわせるべく壁の陰からレミントンM870を構え、飛び出した。


ダァン! ダァン!


「……なっ……!?」

だけど、その前に私の腹と胸に二つの穴が空く方が早かった。
穴からは真っ赤な鮮血が噴き出し、同時に足から、いや身体から力が抜ける。
床にレミントンM870を落とし、私は床に跪いてしまった。
一体何が起きたの? 弾切れを起こしたんじゃ――!?

「……お姉さん、弾切れを起こしたと思った? そう、確かにサブマシンガンは弾切れしたよ。
でも、ね……」

私はとんだ思い違いをしていたみたい。相手――狐顔の小学校高学年ぐらいの少年――の、
持っている武器は、床に投げ捨てられているサブマシンガンだけじゃなかった。
少年の右手にはリボルバー拳銃が握られ、銃口から煙を噴いていた。

「そ、そう……咄嗟に銃を持ち替えたって、訳、ね……げほっ!!
……やられた、一杯食わされたって……この事ね、全く」

完全にはめられたって訳ね、ああ、こんな子供に負けるなんて。
どうやら当たり所が悪かったみたい、血が止まりそうにないし意識も薄れてきちゃった。
参ったな、こんな終わり方、なんて……そうだ、せめて死ぬ前に……。

「ねぇ、ボク……私は、日宮まどかって、言うんだけど、ごほっ!
……あな、たの、名前……聞かせてくれ、る?」
「骨川スネ夫って言うんだ」
「……何それ、本名?」
「ほ、本名だよ……」
「ふぅ、ん……スネ夫、君、ねぇ……貴方は、この殺し合いに乗っている、の?」

私の問いに、スネ夫君は無言で頷いた。
こんな子供でも殺し合いに乗るのね。本当、怖いもんね人間て。
その気になればあっさり一線を越えちゃうんだから……。

「そ……う…………ま、ぁ……精々……頑張っ、て…………ね」

ドサ。

それだけ言うと、銀髪の美女、日宮まどかは床に崩れ落ち、血だまりを作って動かなくなった。
253シリアルキラーツクール ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 19:34:49 ID:yzAM+xCc
◆◆◆


僕は、三人目の殺人を犯した。
だけどもう何も、罪悪感みたいなものは感じなくなってきていた。
感覚が麻痺している――今の僕を顕わす言葉があるなら正にそれ。
小学生で、三人を殺害……実際なら、多分、いや間違いなく補導で済むレベルじゃない。

「……」

最期に自分の名前を名乗ったその銀髪の若い女の人、日宮まどかさんの死体に近付き、
まどかさんが持っていた猟銃と思しき銃を拾い、デイパックの中を漁る。

数分前、役場近くのアパートで僕は第一回目の放送を聞いた。
小中学校で見た悪夢から感じた予感は、的中していた。
しずかちゃんとジャイアンの二人は死んでいた。
あの夢の通りに、しずかちゃんは首を切断されて、ジャイアンは身体を蜂の巣にされて死んだのかな。
想像したくもないけど。
のび太はまだ生きているらしい。あいつ、確かに弱虫で臆病に見えて結構精神的に強い部分があるからな。
あと、確か銃の名手だったっけ。それもあるんだろう。

だけど、ドラえもんが目の前で殺された上に今度は一気に二人の友達を失い、
最後に生き残った僕はもう三人を殺害した殺人鬼。
今頃あいつ、狂ってるんじゃないか?

しずかちゃんとジャイアン、大事な友達だったから死んでしまったのは悲しいけど、
これで僕は、二人を手に掛ける事はなくなった。後はのび太だけ。
できれば、のび太も僕の知らない所で死んで欲しい。そうすれば僕は、
のび太を殺さなくて済む。

――甘えだろうか? 今更友達を殺したくないなんて。
もう三人もこの手で殺したって言うのに、それでもなお、自分の友達とは会いたくない、
戦いたくない、殺したくない、というのは僕の我儘であり、甘えに他ならないかもしれない。

でも、それでも、僕は友達は手に掛けたくはない。

だけど、やむを得ない状況になった時は――。



こうして少年は階段を上って行く。

冷徹な殺人鬼としての階段を。
254シリアルキラーツクール ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 19:36:37 ID:yzAM+xCc
【日宮まどか@オリキャラ  死亡確認】
【残り32人】



【一日目朝方/F-6島役場】

【骨川スネ夫@ドラえもん】
[状態]:健康、至って冷静、日宮まどかの持物を回収中
[装備]:コルト トルーパー(4/6).、IMIウージー(0/32)
[持物]:基本支給品一式(水消費中)、IMIウージーのリロードマガジン(32×8)、三八式歩兵銃(2/5)、
6.5o×50R弾(25)、357マグナム弾(30)、コンバットナイフ、 水と食糧(4人分)、消毒用エタノール、
ジッポーライター、焼酎
[思考]:
0:生き残るために殺し合いに乗る。
1:日宮まどかの持物の中から目ぼしい物を回収する。
2:のび太とは会いたくない。



※F-6島役場周辺に銃声が響きました。
※F-6島役場に日宮まどかの死体が放置されています。また、日宮まどかの持物を
骨川スネ夫が漁っています。
255 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/16(日) 19:39:37 ID:yzAM+xCc
投下終了です。
256 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/18(火) 23:41:06 ID:+6O76sCi
投下します。俺得ロワ55話「運という不確定なものも時には必要」
登場:永倉萌、高野雅行
55話 運という不確定なものも時には必要


第一回目の放送を聞き終え、永倉萌は複雑な表情を浮かべる。
自分を含めて全47人いた参加者の内、最初の6時間で14人も死亡した。
その6時間の間、自分は一度も襲われる事は愚か他参加者に遭遇する事もなく過ごした。
これは幸運と言って良いのだろうか。
そう言えば数時間前にどこかから放送で呼び掛けを行っていた人物がいたが、
どうなったのだろう。もしかしたら先程呼ばれた14人の死者の中に入っているかもしれない。

現在位置と思われるエリアE-3は禁止エリアには指定されなかった。
一番近い所で廃精神病院があるエリアが指定されたが、
廃精神病院には行くつもりはないので気にする必要はないだろう。

「……」

この森の中に放置されていた廃車体に隠れて随分経つ。
このままずっとこうして隠れていれば安全だろうが……正直な所、一人では寂しかった。
と言うより不安だった。いつ、襲われるか分からない中、
何か不審な物音がする度、木刀を構えて音のした方向へ注意を向けた。
だが結局何も起こらず最初の6時間は過ぎた。

襲撃者に遭う事こそなくとも、萌は萌で神経及び精神をすり減らしていたのだ。

支給品の食糧の一つ、ツナおにぎりで食事を取りながら、
萌はこれからどうするか考える。

(ずっと隠れてるのも、辛いんだなぁ……ちょっと移動しようかな……)

確かに一ヶ所に留まっていれば襲われる確率は低くなるが、
誰も会話する者もいない、やる事も特にない状況でじっとしているのは想像以上に辛い事が分かった。
多少危険ではあるが、歩いて気を紛らわす事にした。

そして食事を終えた萌が廃車から外に出た瞬間。

「えっ……な――――」

まばゆい光が、萌を包み込んだ。



「……」

萌は呆然と、アスファルトの上に立ち尽くしていた。
ついさっきまで、森の中にいたはずの自分は今、寂れた商店街の通りに立っている。
一体何が起きたと言うのだろうか、先程のあの光は何だったのだろうか。
余りに超現実的な事で萌は理解に苦しんだが、結局分かった事は、
自分は森の中から、何らかの――魔法と言えば良いのだろうか――力でテレポートさせられた、という事か。
長時間同じ所に隠れ、戦闘もしなかったせいだろうか。
何はともあれ、現在、萌は島のどこかの市街地の道路に立っていた。
建物の壁際に寄り、木刀を持ち周囲を警戒しながら歩く。
思えばこの殺し合いが始まってからというもの、ずっと隠れたままだった。
こうして外を歩くのは実に数時間振りである。

しばらく道沿いに歩くと、古びた木造校舎が見えてきた。
地図にある「小中学校」のようだ。

「誰か、いるかな……」

もしかしたら、殺し合いに乗っていない人が集まっているかもしれないと、
淡い期待を抱きつつ、しかし警戒は怠らないようにし、萌は小中学校を目指し歩き始めた。



小中学校内、一階の用務員室。
放送を聞き終えた黒髪の青年、高野雅行は移動の準備を始めていた。

「……」

最初の放送までに計14人が脱落し、残りの生存者は自分を除くと32人。
自分が最初に殺害した――確か、ブライアンという名前だった――男の仲間、
アレックス――ブライアンがそう呼んでいた――と、鎧姿の男、ムシャの名前は呼ばれなかった。

まだそれなりに残っているが、この広い会場では遭遇率は自分が思っている以上に低くなるだろう。
殺しが目的の彼にとって、殺すための獲物である他参加者が見付からなくなるのは嬉しくない。
現に最初の6時間は結局一人殺しただけに留まってしまった。
犠牲者が14人と言う事は、一人で数人殺害している者もいるに違いない。

荷物を纏め、右手に自動拳銃・S&W M3566を携えて雅行は正面の昇降口に向かった。

「!!」

そこで雅行は、丁度扉を開けて入ってきたばかりの桃髪ツインテールの少女と鉢合わせになる。

「あっ……!?」

少女――永倉萌は、この殺し合いが始まって以来初めて出会う他参加者に驚く。
改まって声を掛けようとしたが、萌は前方の白いシャツを着た黒髪の青年が右手に持つ
拳銃らしき物を発見する。

加えて、青年からはどこか異様な雰囲気が感じられた。

萌は嫌な予感がした。そして。
「……」
「――ッ!!」

その予感はすぐに的中する事となった。

バァン! バァン! バァン! バァン!

四発の銃声が響き、萌の肉体を銃弾が貫いた。

「う、ああああああっ、い、いた、いいい……! 痛い!」

その場に崩れ落ち、被弾した箇所を手で押さえながらもがき苦しむ萌。
身体に空いた穴からは大量の血液が溢れ出し萌の白いセーラー服が瞬く間に赤く染まった。
今まで感じた事のない激痛に涙を流し、萌は喘ぎ苦しんだ。

「げほっ、い、痛い…痛いよぉ……た、たすけ、て、誰かぁ、たす」

もう一発銃声が響き、萌の心臓を銃弾が貫通した。
萌はしばらく口から血を溢れさせて痙攣していたが、やがて動かなくなった。
その目は見開かれたままで、光こそ失っていたが代わりに、絶望と恐怖、苦痛を未だ宿らせていた。

「……」

やっと二人目を殺害する事ができた事で、自然と雅行は笑みを零す。
人を殺す瞬間の感覚は、雅行にとっては甘美な麻薬に等しい存在だった。

雅行は名前も知らない少女の持物を漁る。
少女の持っていた武装は頭に被っているヘルメットと持っていた木刀のようだった。
自分が今装備している銃の方が何倍も役立つので、食糧のみ自分のデイパックに移した。
昇降口から外に出ると、爽やかな風がグラウンドを噴き抜けた。
森がすぐ近くに広がっているため木々が風に揺られ葉が擦れ合う音がよく聞こえる。
今が殺し合いという状況でなければ、とても清々しい光景なのだろうが。

雅行は頭の中で次の目的地を考えながら、ゆっくりと歩き始めた。


【永倉萌@オリキャラ  死亡確認】
【残り32人】
【一日目朝方/F-5学校:校庭】

【高野雅行@俺オリロワリピーター組】
[状態]:健康
[装備]:S&W M3566(10/15)
[持物]:基本支給品一式、S&W M3566のリロードマガジン(15×5)、
ベレッタM1951(8/8)、ベレッタM1951のリロードマガジン(8×5)、ツルハシ(血痕付着)、
ピアノ線、ハンドワイヤーカッター、 水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いを楽しむ。
1:次はどこへ行こうか。
2:ムシャは次会ったら絶対に殺す。
3:さっきのは一体…?
※俺オリロワ開始前からの参戦、ではないかもしれません。
※アレックスとムシャの名前と容姿を記憶しました。また、大宮正悳(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※源しずかのデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)はD-5森:南部に放棄しました。
※奇妙なフラッシュバック現象については保留する事としています。



※F-5学校:昇降口付近に永倉萌の死体、ハーフキャップヘルメット(永倉萌の頭に被さったまま)、
木刀、永倉萌のデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)が放置されています。
※F-5学校周辺に銃声が響きました。
261 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/18(火) 23:51:29 ID:+6O76sCi
投下終了です。本当は萌は葉月+レックスコンビの所に飛ばされ
そのまま3P、という展開だったが話が展開しずらくなったため涙を飲んで没に。
262 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/19(水) 00:03:33 ID:9k1V7Qc/
訂正。残り31人です。
263 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/19(水) 23:40:29 ID:9k1V7Qc/
投下します。俺得ロワ56話「死想回廊」
登場:野比のび太、神山アキナ、死神五世、ミーウ
264死想回廊 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/19(水) 23:41:49 ID:9k1V7Qc/
56話 死想回廊


「そ、そんな、ジャイアンに、しずかちゃんまで……!」

エリアG-2、ガソリンスタンド裏の廃屋内。
眼鏡を掛けた少年、野比のび太は第一回目の定時放送の内容に大きなショックを受けていた。
この殺し合いに呼ばれた自分の友達三人の内、二人の名前が死者として呼ばれたのだ。
開催式の時に見せしめで殺されたドラえもんに続き、のび太は更に二人の友達を失った。

「ドラゴナスが……くそっ……」

のび太程ではないが、ビキニのような衣装の上にマントを羽織った女性、死神五世も、
同じように仲間の死にショックを受ける。
自分と同じ魔王軍四天王の一人であり、妻子もいたドラゴナス。
それなりの実力者であるため簡単に死ぬ事はないと踏んでいたのだが。

「の、のび太君、五世さん……」

そんな二人に、知り合いが一人も呼ばれていないバニーガールの少女、
神山アキナがどう声を掛けてやればいいのか分からず戸惑う。
のび太と五世に、この殺し合いに呼ばれている知り合いがいる事は既に聞いていた。
その知り合いの誰もが、二人にとっては大切な存在だという事も。

「……」

ただ一人、涼しい顔をしているのは狐獣人の少女、ミーウ。
彼女も親しい知り合いはこの殺し合いのは呼ばれていない。
いや、ミーウにとっては誰が死のうがどうでも良かった。
最終的には全員殺して優勝を狙うつもりだったから。
今こうしてのび太、五世、アキナの三人と行動を共にしているのは、
人気が多そうな市街地へ到着するまで、非常時のスケープゴートとして利用するため。
協力姿勢を見せているのも全て彼女の演技である。

「う、ううっ……みんな……」
「のび太……」

ついに耐えきれず、のび太が床に突っ伏して嗚咽をもらし始めた。
それを気遣う五世とアキナ。ミーウも表面上だけはその素振りは見せた。



しばらくして、ようやく心境が落ち着いてきたのび太。

「大丈夫かのび太。無理はするなよ」
「も、もう、大丈夫です……すみません、五世さん」
「いや、別にいいんだけどな……」

五世も仲間を一人失った身として、のび太の気持ちは痛い程理解できた。
また、のび太は殺し合いの開催式の時に、首輪爆破の見せしめとして殺された、
あの青いタヌキのようなロボット――のび太曰く「ドラえもん」という名前で、
耳はないが猫型ロボットらしいが――が、共に暮らしていた一番の親友だったらしい。
この理不尽な殺し合い、主催者であるリリア・ミスティーズの気まぐれによって、
三人もの大切な友達を、のび太は半日も経たない内に失った事になる。

まだ小学校高学年程度の少年が経験するには余りにも苛烈かつ凄惨な現実だった。
265死想回廊 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/19(水) 23:43:05 ID:9k1V7Qc/
「五世さんも……知り合いが一人?」
「ああ……」

のび太に言われ、五世は先の放送で名を呼ばれたドラゴナスの事を思い出す。
彼が死んだ事が分かったら、妻のハーピー、義妹のハー妹(未だに本名が分からない)、
娘のハーナスは大いに悲しむだろう。

同じく四天王のムシャ、魔王軍中ボス級敵キャラデスシープは、
今現在も生きているようだが、ドラゴナスの死を聞いてどう思っているのだろう。
勇者アレックスの仲間であるブライアン、ヘレンも名前を呼ばれた。
今もどこかで生きているであろうアレックスも、仲間の死を悲しんでいるのだろうか。

何にせよ、こんなふざけた殺し合いに巻き込まれなければ、
のび太の友達も、自分の仲間も、その他の名前を呼ばれた人々も、
命を落とす事などなかったはず。

なぜ、あのリリアという女は、この殺し合い――バトルロワイアルなるものを開いたのか。

五世の心中に、主催者リリアへの怒りが沸き起こった。

――そう言えば、名簿にはリリアと同じ名字の参加者が二人記載されていた。
「クリス・ミスティーズ」「レオン・ミスティーズ」の二人。
滅多に見ない名字なので同姓なだけで全く無関係とは考えにくい。
血縁者である可能性が高いが、自分の親類縁者をこのような殺し合いに参加させるだろうか?
何にせよ、もし接触する機会があるなら、是非話をしてみたいと、五世は思う。

「ねぇ、お二人共、悲しんでいる所悪いんだけど……」

今まで黙っていたミーウが口を開く。

「お、おお、何だミーウ」
「放送も聞き終えたし……食事も取ったし。そろそろ出発しない?」
「……そうだな。確か禁止エリアは……」

四人は禁止エリアを再確認する。
午前7時よりF-3、午前8時よりD-2、午前9時よりE-8。
エリアF-3は現在いるエリアG-2の東北に位置する、森が広がるエリアで、一番早く禁止エリアになる場所。
エリアD-2は五世のゲーム開始地点である廃精神病院があるエリアだ。
エリアE-8は島の東側を走る幹線道路が含まれるエリア。
ここにいる四人は島南部の市街地を目指しているので、当面は禁止エリアは気にする必要はないだろう。

「あの、五世さん」
「何だ、アキナ」
「市街地へ行く途中に豪邸と灯台があるんですけど……寄りますか?」

地図上で、ガソリンスタンドから南部市街地へ続く道筋の途上には、
豪邸と灯台の二つの施設がある。
アキナはこの二つの施設に寄るかどうかを五世に尋ねたのだ。
いつの間にか、五世はのび太、アキナ、ミーウのグループを纏めるリーダー格のような存在になっていた。
266死想回廊 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/19(水) 23:45:38 ID:9k1V7Qc/
「そうだな……アキナ、お前はどう思う?」
「えと…一応、見てった方が良いかと」
「のび太とミーウは?」
「僕も、アキナさんと同意見です」
「……あたしも」
「そうか……それじゃあ、この豪邸に行ってみるか」

全員の意見を総合した結果、途上にある豪邸に立ち寄る事にした。
それぞれ荷物を纏め、出発の準備を始める。



いつも暴力的で、音痴な歌を無理矢理聴かせ、「俺の物は俺の物、お前の物も俺の物」
などという利己的としか言いようのない理論を振りかざし、
しかし、妹思いで、友達の事は大切にしていたガキ大将、ジャイアンこと剛田武。
優しくおしとやかで、それでいて気丈な一面も持っていた、
将来は自分の嫁よなるはずだった、憧れの女の子、源しずか。

二人はもういない。ドラえもんに続き、二人も友達が死んだ。
骨川スネ夫――この殺し合いにおいて、最後に残った自分の友達。
今、一体どこで何をしているのだろう。

会いたかった。普段、嫌みばかり言って、ジャイアンには卑屈で、
販売したばかりの最新の玩具を買って貰った事を自慢しては周囲の顰蹙を買っていた。
正直言って、いけ好かない奴、だが、それでも大事な友達である事には変わらない。
早く、会いたい。のび太は心の中でそう思った。



豪邸辺りまで近付けば、だいぶ市街地も近くなる。
余りズルズルと長く、仲間ごっこを引っ張っても仕方ない。
そろそろ潮時だと、ミーウは考え始めた。

幸い、やや警戒している感がある死神五世は別として、
野比のび太、神山アキナの二人は自分の事は疑っていないようだ。
これならばいざという時は行動に移り易い。

もし、自分が本当は殺し合いに乗っているという事実を知った時、
友人をこの殺し合いで三人も失ったのび太や、
明らかに殺し合いに怯えているアキナはどんな反応をするのか。

もっとも、気付いた時には、もう手遅れだが。
267死想回廊 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/19(水) 23:47:00 ID:9k1V7Qc/
【一日目早朝/G-2ガソリンスタンド:裏の廃屋】

【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:健康、深い悲しみ
[装備]:H&K MARK23(12/12)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、H&K MARK23のリロードマガジン(12×5)
[思考]:
0:殺し合いを潰す。
1:ジャイアン、しずかちゃん……。
2:アキナさん、五世さん、ミーウさんと行動する。南部市街地へ向かう。
3:襲われたら戦う。

【神山アキナ@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:脇差
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、拡声器、シアン化リウム
[思考]:
0:死にたくない。
1:のび太君、五世さん、ミーウさんと行動する。南部市街地へ向かう。

【死神五世@VIPRPG】
[状態]:健康、ミーウに対する警戒心、悲しみ
[装備]:マカロフ(7/8)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、ノートパソコン、マカロフのリロードマガジン(8×5)、
島崎隆博の水と食糧
[思考]:
0:仲間と共に殺し合いからの脱出。
1:ドラゴナス……。
2:野比のび太、神山アキナ、ミーウと行動。但しミーウは警戒。
3:ムシャ、デスシープの三人を捜す。勇者(アレックス)達はとりあえず放置。
4:襲われたら戦う。できる事なら説得してみる。
5:南部市街地へ。途中にある豪邸や灯台にも寄ってみる。
※能力に制限がかかっている事に気づきました。
※女体化から元に戻れません。
※ミーウを警戒しています。

【ミーウ@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、潮風の影響で毛皮にベタつき
[装備]:H&K G3(20/20)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、H&K G3のリロードマガジン(20×10)、
トマホーク(3)、ニコライの水と食糧
[思考]:
0:殺し合いに乗る。
1:南部市街地に着くまでは野比のび太、神山アキナ、死神五世と行動。
着いたら殺すつもりだが、道中に何らかの問題があった場合も同じように殺す。
2:可愛い子(女の子優先、死神五世は守備範囲外)がいたら…フフフ。
※参戦時期は本編死亡後です。
※名簿に書かれた主催者と同姓の二人が気になっています。
※死神五世に警戒されている事を察知しました。
※トマホークの血痕は拭き取られたようです。
268 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/19(水) 23:48:59 ID:9k1V7Qc/
投下終了です。
269 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/21(金) 00:20:22 ID:jRqHwBXG
投下します。俺得ロワ57話「壊される汚される、そして失う」
登場:クリス・ミスティーズ、レオン・ミスティーズ、ゴメス、大宮正悳
270壊される汚される、そして失う ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/21(金) 00:22:49 ID:jRqHwBXG
57話 壊される汚される、そして失う


エリアB-5の市街地の一角にある時計店。
青髪の青年剣士、クリスは、実の妹であり、この殺し合いの主催者である、
リリアによる第一回目の定時放送が終わった後、意気消沈していた。
それは同行者であり伯父であるレオンも同じだった。
そんな二人に対し、同じく同行者である髭面の巨漢、ゴメスは掛けてやれる言葉が見付からない。

「何て事だ、もう14人も死んでいるなんて……ゴメスの知り合いも……」

発表された死者は14人に上る。
ゴメスの知人であるブライアンとヘレン、ドラゴナスも含まれていた。
クリスが最初に遭遇したシェリー・ラクソマーコスの名前はなかったが。

自分の妹が、姪が、起こしたこの殺し合いにより、多くの無関係な人々が命を落とした。
自責の念が、罪悪感が、クリスとレオンに圧し掛かり、潰されそうな思いに襲われる。

「すまない、ゴメス。俺の妹のせいで、知り合いが……それに、
死んでしまった人々も……」
「む……そこまで自分を責めるな、クリス、レオン。お前らには罪はないさ」

落ち込む二人を励ますゴメス。
知り合いが三人も命を落としてしまったのは確かに悲しく、
主催者のリリアに対する怒りも有ったが、だからといってそれが、
主催者の血縁であるクリスとレオンに向けられはしない。
この二人も自分と同じこの殺し合いに巻き込まれた被害者なのだから。

「だから、いつまでも落ち込むな。もし、本当に死んで行った人に申し訳ないと思うなら、
この殺し合いを何としても潰すべきだ。そうだろ?」
「そ、そうだな……」
「うむ……」

ゴメスに叱咤激励され、気を取り直すクリスとレオン。
ゴメスの言う通り、いつまでも落ち込んでいる訳にもいかないだろう。

「それでは、再び男娼館へ向かうとしよう」

レオンがクリスとゴメスに言う。
三人はそれぞれの荷物を纏め、時計店の外に出た。

すっかり明るくなった市街地は、人がいない事を除けばいたって平凡な街並みに見えた。
クリス、レオン、ゴメスの三人は、当初の目的地である男娼館を目指し、再び歩み始める。
北部市街地で、目立ちそうな建物であり、人も集まる可能性がある。
男娼館に向かう事を提案したゴメスの口から出た理由だが、クリスとレオンには、
何かもっと他の、別の理由があるように思えてならなかった。
271壊される汚される、そして失う ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/21(金) 00:24:03 ID:jRqHwBXG
ゴメスは普段、ガチホモ――要するに同性愛者――として名を馳せている。
だが、TPOは弁える性分でもあり、ましてやいつ襲われるか分からない、
殺し合いという状況下でそのような行為に及ぶ気はない、と言うより、なれない。
しかし、それでも「男娼館」という単語の響きに、ゴメスの本能の食指が動いてしまった。
勿論、どこかの部屋にクリス、レオンの両名を連れ込んで掘ろうなどとは更々思っていない。
思ってはいない、が。

既に食事は済ませてある。いかなる状況でも空腹は満たさなければ行動できない。
三人は周囲を警戒しながら、なるべく通りの中央には近寄らず歩道の端に寄るようにして、
男娼館への道を進んで行く。

そんな三人の背後にある裏路地の一本から、殺気立った瞳をしたある人物が。



青い飛竜、大宮正悳は放送を聞いた後、すぐに行動を開始した。
隠れていた倉庫から外に出、H&K HK69グレネードランチャーを装備し、
獲物となる他参加者を探し始めた。

最初の6時間で自分を除く参加者46人の内、14人が脱落した。
自分を殺そうとした青年と、それを邪魔した鎧武者の名前もあったかもしれないが、
二人の名前が分からないので確認のしようがない。

正直、これ程多くの死人が出ているとは思っていなかった。
これならば、余り積極的に殺しに行かなくても良さそうなものだが、
参加者が残り少なくなる程、参加者同士の遭遇率も必然的に低くなる。
そうなると、主催者が言っていた、24時間の制限時間が来てしまう危険があった。

(だから、俺も屋内でオナってばっかじゃなくて、もっと積極的に行こう!)

正悳は爬虫類特有の縦長の瞳孔を有した赤色の瞳を四方八方に向けながら、
参加者の姿を探す。

そしてとある通りに裏路地から出た時、ついに三人発見した。
マント姿の青髪の青年、黒い毛皮の人狼、髭面の頭にバンダナらしき物を巻いた巨漢。
三人で一緒に行動しているようだが、だとするなら殺し合いには乗っていないのだろうか。
殺し合いに乗った者が徒党を組むとは考えにくい。
何にせよ獲物を見付け、しかも気付かれていない事に正悳は笑みを浮かべる。

正悳はHK69のストックを肩付けし、狙いを定め、引き金を引いた。

しかしその瞬間、黒人狼が気付き、叫んだ。



「危ないッ!! 避け――――」
272壊される汚される、そして失う ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/21(金) 00:26:19 ID:jRqHwBXG
静かな市街地に、爆発音が響いた。

つい数瞬前まで、三人がいた辺りの歩道の石畳は抉れ、大きな穴が空き、
すぐ近くの書店のウィンドウガラスは粉々に砕け散った。

「やったか……?」

もうもうと粉塵と煙が巻き起こり詳しい様子が確認できない。
正悳はHK69の弾を入れ替え、ゆっくりと爆破地点に近付く。

「えいやああああ!!!」
「おぼろっ!?」

突然、粉塵の中から、髭面の巨漢、ゴメスが物凄い勢いで正悳に体当たりを仕掛けてきた。
衝撃で正悳は思い切り後ろに突き飛ばされ、その拍子にHK69を手放してしまった。

「ゴメス!!」

足を負傷してしまったらしいクリスを抱えたレオンが粉塵の中から出てくる。
その視線の先には襲撃者と思われる青い飛竜と激しく揉み合っているゴメスの姿が。
ゴメスのリボルバー拳銃、スタームルガー ブラックホークを持つ右手を、
飛竜が必死に捕まえ、銃口を向けられないようにしているのが分かる。
ぱんっ、ぱんっ、と、空中に向かって幾度か空撃ちされていた。

「こいつはワシが何とかする! お前らは先に行け!」

ゴメスがレオンとクリスに叫ぶ。

「し、しかしゴメス!」
「ワシなら大丈夫だ! 早く行け! クリスを手当てしてやれ!!」
「くっ……クリス、大丈夫か?」
「う…何とか……ぐっ!」

クリスの右足は破片か何かが当たったらしく、かなりの出血を起こしていた。
ゴメスの言う通り応急処置が必要な程度である。
レオンも拳銃を持っているので、ゴメスの加勢に回りたかったが、重傷のクリスを放っておく訳にもいかない。
しばらく迷ったが、レオンは結局クリスを連れて先に男娼館に向かう事にした。
クリスを背負い、人狼の脚力を活かし通りを走り始めるレオン。

「ゴメス……すまん!」

自分の姪の愚行のせいで三人もの知人が落命したのにも関わらず、
身命を賭して自分達を逃がしたゴメスに心の底から感謝し、また、
彼が必ず自分達の後を追って来る事を信じつつ、レオンはクリスをおぶさったままひたすらに走った。



「せいっ!!」
「ごほっ!!」

ゴメスの渾身の殴打が飛竜、大宮正悳の柔らかい腹部に食い込んだ。
アスファルトの上に転がり、数時間前に食べた食糧のなれの果てである
吐瀉物を吐きながら悶絶する正悳をよそに、ゴメスは既に弾切れになった
ブラックホークに予備の弾丸を込め直し、銃口を正悳の頭部に向けた。
273壊される汚される、そして失う ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/21(金) 00:27:15 ID:jRqHwBXG
「あ……」

それを目の当たりにした正悳は、一気に戦意を喪失してしまった。

「ご、ごめんなさい、こ、殺さないで……!」
「ワシらを殺そうとしておいてそれは虫が良すぎるんじゃないのか?」

酷く冷たい口調でゴメスが言い放つ。
そしてブラックホークの撃鉄を親指で起こした。
その行動に正悳は自分が撃たれると予感し、ブルブルと震え出した。
この状況は、まさしく森の中で黒髪の青年に殺されかけた時と同じ。

「嫌だ、嫌だ嫌だ死にたくない……お願いします、命だけはっ……何でもしますからぁっ!!」

既に泣きべそをかき始めている正悳は必死にゴメスに命乞いをする。
しばらく正悳を睨み付けたまま黙っていたゴメスだったが、何かを思い付いたのか、
銃を下ろし、正悳に語り掛けた。

「おい、お前名前は?」
「お、大宮、正悳です……」
「オオミヤマサノリ? ドラゴンっぽくない名前だな。本名か?」
「本名です」
「そうか、まあいい。正悳、今、お前は『何でもする』と言ったな?」
「は、はい……」
「…………それじゃあな……」




「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!! お願いですそれだけはぁっ!!!
俺、確かに童貞ですけど後ろだけは一生童貞でいたいですだからお願いしますっ!!」
「何でもすると言ったのはお前だ。悪いがもう無理だ。
ワシとクリス、レオンを殺そうとした罪、この肉槍でお前を罰する!」
「あああああ嫌ああああああやめてっ! そんな大きいの無理です入らないです!
あ゛っ、あ゛あ゛あ゛い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛イタイイタイイタイイタイいいいいい!!!!
や゛っめ、裂ける!! ああああ裂けるううううぎゃああああああああっ!!!」
「……全部入ったぞ。おお…初物だけあって良い締まりだ……アレックスに引けを取らん。
もっと力を抜け。そうすれば少しは楽になるぞ」
「う、嘘だろ、あ、ああああ、俺、男にっ、ケツをっ、そんなぁああ………!!」
「泣くな泣くな。何、最初は痛いが慣れれば段々気持ち良くなってくる。
そしたらもうお前は病み付きになるぞ」
「えっ? あ、がああああああやめ、動かない、で、ひっ、い゛っ、あっ、がっ、あ゛っ、あ!
あっ! うっ! い、痛いいいいい!! やめてええええ!! ああああああああ!!!!」
274壊される汚される、そして失う ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/21(金) 00:28:48 ID:jRqHwBXG
「おいどうした正悳? お前の――――がこんなにいきり立っているじゃないか」
「はぁ……はぁ……はぁ……ぅ……ん」
「目がトロンとしているぞ。涎まで垂らして、そうか。気持ち良くなってきたんだな? うん?」
「…………」
「どうやら本当みたいだな。もっと気持ち良くしてやるぞ!」
「あっ! やぁ! ひゃんっ! あんっ! あんっ! らめ、らめえええええ!!
そんなっ、にぃ! 激しくっ、突かれちゃっ、あんん!! あん! あんっ!!
いい! いいよぉ!! きもちいい! こ、こんなきもちいいのっ、はじめてっ!!」
「それ!! 逝ってしまえ!」
「らめえええ!! 濃いの出ちゃうううう!! アッーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」



路地裏から、服装を直しながら、ゴメスが出てきた。
その手には青飛竜から奪ったHK69グレネードランチャーが握られている。

「ふぅ……中々良かった……」

襲撃者に罰を与えるという名目で、自分の欲求を存分に満たしたゴメスは、
クリスとレオンの後を追い始めた。



路地裏の開けた場所。
地面に倒れ、涎を垂らし、虚ろな目をした青い雄の飛竜がいた。

「おふっ、おふっ」

口から漏れるのは意味不明な喘ぎばかり。
周囲には白く濁った粘液が大量に飛び散り、それは飛竜――正悳の青い身体をも、
所々白くペイントし、鼻を突くような異臭が漂っていた。
尻尾の付け根付近の穴からも止め処なく同じ液が溢れ、正悳の口からも流れ出ていた。
下腹部の、正悳の体色とは対照的な赤い正悳自身は何度も達したせいか、
すっかり元気をなくし、だらんとしている。

「……ご……しゅじん……」

意識を失う直前、正悳が最後に呟いた言葉だった。
275壊される汚される、そして失う ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/21(金) 00:30:56 ID:jRqHwBXG
【一日目朝方/B-5市街地】

【クリス・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:全身にダメージ(中)、右足裂傷、レオンに背負われている、C-7男娼館に移動中
[装備]:三徳包丁(刀身に僅かな亀裂有)
[持物]:基本支給品一式、双眼鏡
[思考]:
0:リリアを止める。そのためにもこの殺し合いを潰す。
1:ゴメス……無事でいてくれ……。
2:レオン、ゴメスと行動する。
3:首輪を外す手段を探す。
4:仲間を集める。同時進行でゴメスの知り合いも捜す。
5:襲われたら対処。
6:シェリー・ラクソマーコスには注意。
※参戦時期は本編終了後です。
※シェリー・ラクソマーコスの名前と容姿を記憶しました。


【レオン・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:全身にダメージ(中)、クリスを背負っている、C-7男娼館に移動中
[装備]:シグザウアーSP2340(12/12)
[持物]:基本支給品一式、シグザウアーSP2340のリロードマガジン(12×5)
[思考]:
0:殺し合いを止め、リリアと会う。
1:ゴメス……すまん。
2:クリス、ゴメスと行動する。
3:仲間を集める。同時進行でゴメスの知り合いも捜す。
4:首輪を外す手段を探す。
5:襲われたらそれなりに対処はする。
※参戦時期は本編終了後です。
※拳銃の使い方を一通り覚えました。
276壊される汚される、そして失う ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/21(金) 00:33:22 ID:jRqHwBXG
【ゴメス@VIPRPG】
[状態]:全身にダメージ(中)、スッキリ
[装備]:スタームルガー ブラックホーク(6/6)、H&K HK69(1/1)
[持物]:基本支給品一式、.357マグナム弾(24)、40mm榴弾(3)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。
1:さて、クリスとレオンの後を追うか。
2:クリス、レオンと行動する。仲間を集める。
3:元世界の仲間、知人と合流したい。ただしムシャは警戒。
4:首輪を外したい。
5:襲われたら説得してみる、無理なら戦うか逃げる。
※大宮正悳の名前と容姿を記憶しました。


【大宮正悳@オリキャラ】
[状態]:精神的ダメージ(深刻)、左脇腹、腹部に打撲、気絶、全身白濁液塗れ
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式(食糧半分消費)
[思考]:
0:元の世界に帰るために、優勝する?
1:……。
2:他参加者を見付けたら容赦なく殺す?
※ゴメスの名前と容姿を記憶しました。また、
高野雅行、ムシャ(どちらも名前は知らない)のおおよその容姿を記憶しました。
※彼の周辺は白濁液だらけになっています。



※B-5市街地一帯に銃声と爆発音が響きました。また、B-5市街地の一角が破壊されています。
277 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/21(金) 00:34:52 ID:jRqHwBXG
投下終了です。
278 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/05/22(土) 00:06:37 ID:ND6xJI8y
久々に24ロワ第20話投下します

>>277
投下乙
久々にスレにやって来て思った。相変わらず◆UwuX8yY6RQさんすげえ…
貴方のロワに対する熱意は凄すぎる!
279信頼するにも一苦労 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/05/22(土) 00:08:13 ID:ND6xJI8y
「…………あ」

思わず声が漏れた。ある一点を凝視する。今、何者かが律子の視界の端で動いたような気がする。
誰かがいる。きっといる。そう思うと、全身が冷水を浴びたかのようにきゅっと縮まった。
律子が今いる場所は、民家が立ち並ぶ海沿いの港町。地図で確認してみたところ、恐らくここは氷川村なのだろう。
隠れるところはいくらでもあった。

律子は背負っているデイパックのベルトをぎゅっと握りしめた。
主催者、ケツホルデスは放送の時、全参加者にランダム支給品として武器やサバイバルグッズを配布する、と言った。
しかし、彼女のデイパックの中には武器と呼べるようなものは何も入っていなかった。
彼女のランダム支給品は、【全ランダム支給品リスト】という紙切れ一枚。
こんな紙切れよりも、もっと実用的なものが欲しかった。自分の運のなさに嫌気がさす。

(……どうしよう)

誰かがいた。きっといた。律子はゲームが始まって以来、ひたすら周囲に警戒を重ね、仲間達を探し歩いていた。
あれだけ警戒していたのだから、見間違いなどしないだろう。今、律子の傍に何者かが潜んでいるのはほぼ間違いないと思う。

(逃げるか……?でも、もしかしたら春香たちかもしれないし)

律子が逡巡している内に、民家の陰から砂利を踏みしめる音が聞こえた。
再びびくりと反応する律子。全身を強張らせ、一歩後ずさる。支給品が紙切れ一枚だという事実が重くのしかかる。
女の身であり、かつ武器を持たない律子にとって、誰かに襲われると言う事は死を意味する。

(────逃げよう。死んだらお終いだもん)

二歩、三歩と後ずさり、律子は物音がした民家に背を向けて走り出す。

「待って!」

少女の声に呼びとめられて、律子は立ち止り振り返る。民家の陰から少女が現れた。
ツインテールでどこかクールな感じのする美人だ。学生服を着ているところからして、どうやら学生らしい。
生憎律子の知り合いではない。律子は何も喋らなかった。いや、喋れなかった。

少女の手に握られた刀に律子は威圧され、金縛りにあったかのように硬直してしまった。
少女はいったい何をするつもりなのか、早く逃げた方がいいのではないか、殺されるくらいなら……
様々な思考が頭の中で一瞬で展開されたが、結局律子は何も出来ない。何よりも強い恐怖の感情によって、
体が自分のものではなくなったかのように硬直している。

「……あ、安心して。私は殺し合いには乗らないから。貴方は?」
「…………」
「ほ、本当だから……。嘘じゃない」
疑わしそうに睨んでくる律子に対して、少女は少し怯えたような表情を見せた。
律子は勿論そうだが、少女もまた、何をどうしていいのか分からないようだ。

「……こ、この刀が怖いの?」
「…………」
律子は何も反応を返さない。返す事ができない。
「……分かった。なら、これはひとまずここに置いとくわ」
少女は屈み込んで自分の足もとに刀を置く。屈んだまま、上目遣いで律子の目を見る。
280信頼するにも一苦労 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/05/22(土) 00:09:06 ID:ND6xJI8y

「ねえ、とりあえず……話してみない? あのさ、私思うんだけど……
 誰も信用しないのは、会う人全員を等しく信用するのと同じぐらい危険な事だと思う」
「…………」
確かにそうかもしれない。こんな理不尽なゲーム、たった一人でどうにかできるはずがない。
仲間は絶対に必要だ。しかし、律子は未だに口を開けなかった。緊張でどうにかなってしまいそうだ。

「お互いに持っている荷物を全部足もとにおいて、それからあそこの電柱まで二人で歩いて、話さない……?」
「…………い、いいわね。それ……」
漸く口が動いてくれた。
「こんな事言いたくないけど……何かを隠し持つなんて事、絶対になしだからね……」
「分かってる。貴方も何も持たないでね……絶対に」
「うん……」
強く頷く律子。

お互いにデイパックを地面に捨てる。元々律子に武器はない。デイパックを捨てたとしても、律子の状況は何も変わらない。
その事を思って、律子はつい自嘲気味に笑みを浮かべてしまった。その笑みに気付いて、少女も不安げな笑みを見せる。

「……口約束なんてしても、何も意味ないのにね」
少女ははにかんだ。一瞬何を言っているのか分からなかった律子だが、すぐに少女の言葉の意味に気付いた。
「……ふふ……その通りだね。まあでも、この一時だけ、馬鹿になるよ。じゃないと何も始まらないからね」
律子も誘われるかのようにはにかんだ。私達が今いる場所は、簡単に裏切り、簡単に裏切られる島。
簡単に殺し、簡単に殺される島。口約束に意味はない。それが事実だ。

ゲームに乗らない参加者は、馬鹿でなければやっていけない……そんな風に思えてきた。
そして律子と少女は歩き始める。何も持たないまま、電柱に向けて。

「貴方……名前はなんていうの?」
律子がまず尋ねる。
「美筆やらない子。貴方は?」
「秋月律子……」
「……秋月さん。ゲームに乗るつもり、ある?」

少し考えてから、律子は答えた。
「……ない」
自分には人は殺せないだろう。殺せるわけがない。主催者はふざけている。
「私もない」
「……信じるの?」
意外そうな顔を向ける律子に対して、やらない子は黙っている。
そして、困ったかのように律子の顔を覗いた。

「何を……?」
「私が殺し合いに乗らないって事」
「…………」
口では何とでも言える。乗らないと嘘を吐く殺人鬼などは、確実にいるに違いない。

「……秋月さん。嘘吐いてるの?」
「……吐いてないよ。乗らないよ私は」
やらない子は少しの間、律子の顔をそっと覗き続けた。
「駄目だ。分かんない」
はあー、と溜め息を吐くやらない子。
「何が?」
「秋月さんが本当の事言ってるのかどうか分かんない」
281信頼するにも一苦労 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/05/22(土) 00:12:20 ID:ND6xJI8y

そりゃそうだ。会って間もないのだから。いや、仮に律子とやらない子が親友であったとしても、
嘘を完璧に見抜く様な事が出来るかどうか……

「まあ、結局……信じるしかないでしょ。一人で上手くやる自信なんてないよ」
諦観溢れる様子でやらない子は呟いた。疲れた風に『信じる』と言うやらない子が妙におかしくて、律子は苦笑した。
「さすがに私もそんな自信ないね。信じるしかないわ」
「ゲームに乗るならともかく、私達は乗らないんだから」
「そうだね。誰かを信じないと始まらないわ。一人でいるのは……ちょっとね」

「怖い?」
上目遣いでやらない子は言った。
「勿論怖いに決まってる」
「秋月さんもそうなんだ。私も」

二人は電柱に着いた。二人は足を止める。さて、これからどうしよう。

「美筆さん……?」
「……何?」
「私、デイパックの中にもポケットの中にも、武器なんて何も入ってない。
 ていうかね、私のランダム支給品、紙切れ一枚だったのよね……」
「そうなんだ……」
なんと言っていいか分からない。同情した様子でやらない子は呟く。

「実は私……」
やらない子はポケットの中から何かを取り出し、律子に差し出した。
差し出されたものを見て、律子はぎょっとする。大型の釘だった。
呆気にとられている律子を見て、やらない子は実に申し訳なさそうに言った。

「民家の影に隠れている時、偶然落ちていた奴を拾ったの……」
「も、持ち物は全部置いて話し合おうって提案したのは美筆さんでしょ」
今更ながらドキドキしてきた。この女、なんてものを隠し持っているんだ。
「や、やっぱり手ぶらは怖いし。常識的に考えてさあ。
 律子さんがもし乗っていた場合の事を考えると、やっぱり手放す訳にはいかないよ」

やらない子の気持ちは分かる。理にかなっている。恐らくは律子のとった行動よりも遥かに賢明なのだろう。
最初から最後までバカ正直に手ぶらでい続けた自分はなんて馬鹿なのか。
その気になって探せば、釘の一本や二本、見つかっただろうに。律子は特大の溜め息を吐いた。

「……ごめん」
「……いや、まあ考えてみれば当然の行動だよ。美筆さんは正しいし賢い。私が馬鹿だった……」
「私を疑わないの?隠してたのに」
「……嘘吐いてないんでしょ?ゲームに乗ってないんでしょ?」

律子はやらない子を凝視する。やらない子もまた、律子の目を見つめ返した。

「嘘吐いてない。乗ってない。信じて貰える?」
本当に不安そうに、やらない子は律子を見つめる。そんな不安そうにしなくても……
「……分かった。信じる」
その言葉を聞いて、やらない子はほっとしたようだ。未だに、どこか申し訳なさそうにしているが。
「今更あれこれ言っても仕方ないからねえ……」
律子は誰に向けてでもなく、呟くように言った。
282信頼するにも一苦労 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/05/22(土) 00:15:23 ID:ND6xJI8y
話題がなくなり、二人の間に気まずい沈黙が流れた。
「……そうだ。デイパックを取りに帰らなくちゃ。早くしないと誰かに盗られるかも」
「そうだね」
律子は頷いた。

デイパックのところに向かって二人は歩いた。見知らぬところに突然連れてこられて、
見知らぬ女の子に突然出会って……そして碌に確証もないまま、出会った女の子を『信じる』に至って……
こんなのでいいのかな……これで良かったのかな……

「秋月さん。知りあった直後にこんな事言うのはなんだか変なんだけど……」
「……何?」
「とりあえずね……一先ず一緒に行動して貰えない?お互い一人でいるよりも、
 二人で固まっていた方がきっと安全だと思う。私には武器もあるしね」
「そうだね……そうしようか」
律子は悩みつつもそう返事をした。

「ありがとう」
「こちらこそ。これからよろしくね」

デイパックの元へと戻って来た。互いに自分のデイパックを手に取る。
律子のデイパックは相変わらず軽かった。恐ろしく頼りない。
それに比べて、やらない子はデイパックに加えて刀がある。正直言って羨ましい。
じっと刀を見つめていると、やらない子は囁くように笑った。

「秋月さん、どんだけガン見してんの。悪いけどこれはあげないからね」
微笑みながら、悪戯っぽく言うやらない子を見て、律子は苦笑する。
「釘10本と交換ってのはどう?私必死に集めるけど」
にやりと企むように言う律子。
「足りないわよ。100本集めたなら考えてあげてもいいけど」
「100本も釘持ってどうするのよ」
相変わらず苦笑しながら律子は言った。

「……シェルターでも建てる? そこでゲーム終了まで引き籠るとか」
真顔で言うやらない子
「……どうもいまいちなオチね。弱いよ。オチが弱過ぎるわよ」
「そう……? 私普段はツッコミなんだもん。ツッコミにしてはなかなかのボケじゃないかな……」
恥ずかしそうに、やらない子は頭を掻いた。

……この人を信用したのは、間違いではないような気がする。
悪い人間ではない……と思う。というより、極普通の女の子という感じだ。

と、律子とやらない子は互いに評価し合った。

【一日目/黎明/I-07】
【美筆やらない子@やる夫スレ常連】
[状態]:健康
[装備]:刀、
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)、不明支給品×1
[思考・行動]
基本:ゲームには乗らない
1:律子と共に行動

【キョン@やる夫スレ常連】
[状態]:健康
[装備]:全ランダム支給品リスト
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本:ゲームには乗らない
1:やらない子と共に行動
283 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/05/22(土) 00:17:04 ID:ND6xJI8y
投下終了。漸く全キャラ登場。完結まで先は長い…
284創る名無しに見る名無し:2010/05/22(土) 01:10:31 ID:avNRVm3P
律子の状態表の名前がキョンになってますぜ
285 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/22(土) 10:11:38 ID:FUU0yMLF
久方ぶりの投下乙です。この二人はどうなるんだ?
では自分も投下します。俺得ロワ58話「奇妙なすれ違い」
登場:須牙襲禅、銀鏖院水晶
286奇妙なすれ違い ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/22(土) 10:13:25 ID:FUU0yMLF
58話 奇妙なすれ違い


俺は放送を聞いた後、身を潜めていた民家の車庫に停めてあった、
ホワイトカラーの430型グロリアの中に乗り込み、キーの配線を細工していた。
どこを探しても、この車の物と思われるキーが見付からない。
昔パクッた自動車泥棒の奴からこっそり教えて貰った方法を頭の中で思い出しながら、
作業を進めていく。

そして遂にエンジンがかかった。

「よし」

荷物を助手席に置き、運転席に乗り込み、俺はハンドルを握ってギアを操作し、
アクセルを踏み込んだ。

放送によれば、14人が最初の6時間で死んだらしい。
あの学生風のガキと、銀髪の女はどうなったんだろうな、名前を聞くの忘れたから、
生きてるのか死んだのかも分かんねぇや。
禁止エリアはどれも遠く離れた場所だし、気にする事もないだろう。

そして今、グロリアを運転している俺はエリアG-8の病院へと向かっている。
人が集まり易そうな場所は他にもあるが、医療道具求めてやってくる奴もいるかもしれないしな。
まだ一人も仕留められてねぇ。最初の6時間で14人も死んだんだ。
獲物がいなくなるってのは勘弁願いたいね。

車を調達したのは移動面で便利になるから、だが、目立ち易いのが難点だろうな。
機関銃か何かで狙い撃ちにならないようにしねぇと。
よく勘違いしてる奴がいるが、自動車の装甲ってのは弾避けになんてなりゃしねぇ。
威力が弱い.22LRでも貫通する。だから映画やドラマでよく銃撃戦の時に自動車の陰に隠れる
シーンがあるがあれは間違いだ。実際、俺の同僚で同じ事して大怪我した奴がいる。
エンジンブロックなら防げるかもしれないがお勧めはできない。

まあ、その気になりゃ、車で轢き殺すのもアリか。

市街地の通りを、中央線も無視して走行する俺の運転するグロリア。
対向車も歩行者もいねぇ。オールフリーだな。
路肩に停められた車がちと邪魔だけどよ。


◆◆◆
287創る名無しに見る名無し:2010/05/22(土) 10:14:02 ID:Zm2071C6
支援
288奇妙なすれ違い ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/22(土) 10:15:37 ID:FUU0yMLF
私は病院からそう離れていない所の民家の中に隠れていた。

二階のベッドが二つ並んだ寝室と思しき部屋で、第一回目の定時放送を聞いた。
死者として呼ばれた14人の名前の中で知っている名前はケトル、鈴木正一郎の二人。
後は知らない名前ばかりだった。

ケトル……確か、アニオタの猫族の男子、だったかしら。
ほとんど接点もないし、どうでもいいっちゃどうでもいいんだけど。
鈴木正一郎……これは知っている。私が殺したから。
こいつもねえ、ほとんど何も、関わりがなかったけど……。

禁止エリアはF-3、D-2、E-8の三つで、順に午前7時、8時、9時から禁止エリアとなる。
入ったら、この首にはめられた首輪が作動する、らしいけど、
それって入ったらすぐに爆発するって事? それともタイムラグがあるのかしら。
どっちにしろ、禁止エリアが出現したら近寄らない方が賢明ね。

さて、私の事を強姦してくれた、あの黒い狼……名前、聞くの忘れたけど、
黒い毛皮を持った雄の狼。あいつは、生きてるのかしら。
もしかしたら、さっきの放送で名前を呼ばれたかもしれないけど、
もし、今度会った時は……絶対に、殺す。それも、ただ単に殺すだけじゃ駄目だ。

先刻殺した、名も知らないオレンジ髪の女を殺して奪い取った拳銃サイズのサブマシンガン。
これで、あいつの大切な部分をぐちゃぐちゃにしてやろう。

「……」

ふと、私はスカートを捲り、太腿の内側と局部の辺りを手で触ってみる。

黒狼に流し込まれ、何度も念入りに拭き取った白い液。
僅かに残って太腿を伝ったものが、乾いて嫌な線を描いていた。
今まで気にしないようにしていたけど、もう、限界……。

「……シャワー、浴びようかな」

余り大きな音を出すのはまずいけど、それよりも私は、身体を洗いたかった。
獣に汚された身体を、外面だけでも良いから清めたかった。

私は自分の荷物を持って、一階の風呂場へと向かった。



シャワーから流れる、程良い温度に調節したお湯を浴び、
私は身体、特に局部付近の汚れを洗い落とす。
温かいお湯が全身を流れ、とても心地良い。
これで今度こそ、あの黒狼が私に無理矢理流し込んだものも、完全に洗い落とせたはず。

でも……もう少し、浴びよう。念のために。
289奇妙なすれ違い ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/22(土) 10:16:43 ID:FUU0yMLF
◆◆◆


銀鏖院水晶がシャワーを浴びている時に、
彼女がいる民家の前の道路を、一台の白い車が通過した。
狼獣人の警官、須牙襲禅が病院に向け運転する430型グロリアである。
水晶はシャワーを浴びていたため、また通りとは反対方向に風呂場が位置していたため、
車の通過には気付く事はなかった。
また、襲禅の方も、窓を閉め切っていた上すぐに水晶のいる家の前を通り過ぎたため、
シャワーの音にも気付く事はなく、水晶にも気付く事はなかった。



【一日目朝方/G-8病院周辺】

【須牙襲禅@俺オリロワリピーター組】
[状態]:右脇腹に散弾二発被弾(処置済)、車を運転中、G-8病院へ移動中
[装備]:FNブローニングハイパワー(13/13)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、FNブローニングハイパワーのリロードマガジン(13×4)
[思考]:
0:殺し合いに乗る。人を撃ちたい。
1:G-8病院へ行く。
2:銃はあってあり過ぎる事はないのでもっと欲しい。
3:学生服の少年(鈴木正一郎)に注意。
4:銀髪の女(日宮まどか)は次に会ったら絶対に殺す。
※俺オリロワ開始前からの参戦です。
※鈴木正一郎、日宮まどか(どちらも名前は知らない)の容姿を記憶しました。
両名とも既に死亡していますがその事を知りません。
※銀鏖院水晶には気付いていません。


【銀鏖院水晶@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、全裸、入浴中
[装備]:S&W M19(6/6)
[持物]:基本支給品一式、.357マグナム弾(21)、イングラムM10(0/30)、
イングラムM10のリロードマガジン(30×8)、マチェット、モルヒネアンプル(3)、
水と食糧(二人分)
[思考]:
0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:身体を洗ってから行動を開始する。
2:みんな殺す。とにかく殺す。クラスメイトでも容赦しない。
3:あの黒狼(レックス)は今度会ったら絶対に殺す。
※本編開始前からの参戦です。
※須牙襲禅には気付いていません。
290 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/22(土) 10:18:53 ID:FUU0yMLF
投下終了です。支援された!?

430型セドリックとかグロリアが好きなので登場させました。
291 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/22(土) 23:44:34 ID:FUU0yMLF
投下します。俺得ロワ59話「あの日の思い出を薄めては」
登場:高原正封、仲販遥、トマック、シリウス、アキラ、デスシープ

タイトル元ネタ:DOESの歌「修羅」の歌詞より
292あの日の思い出を薄めては ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/22(土) 23:46:43 ID:FUU0yMLF
59話 あの日の思い出を薄めては


高原正封は、夢を見ていた。
その中で、自分はある人物と一緒に森の中を歩いていた。
その人物は、炎のように赤い髪を持ち、これまた赤い着物を身に纏った女性。
全く知らない人物のはず、なのだが何故かその夢の中で、自分はその女性の名前を呼んでいた。

「■■さん――」

しかし、なぜか名前の部分だけ、聞き取る事ができない。
明らかに自分でその名前を言っているのだが、何て言っているのかまるで分からないのだ。
よく見ると、女性の首には、見慣れた金属製の首輪がはめられていた。
自分の首にも、同じ物がはめられている。
これは、自分が今参加させられているのと同じ――殺し合いの夢を見ているのだろうか。
夢の中でまで殺し合いをするとは、と、正封は半ば呆れる。

だが、それよりも、正封は赤い髪の女性の事がとても気になっていた。
全く知らない人物のはずなのだが、どこかで見たような記憶がある。
いや、それ以前にこの森にもどこか見覚えがあるような気がした。

一体どこだったか――――。





「ん……」

不意に、正封は目が覚めた。
まず見えたのは薄暗い照明の灯った天井。
身体を動かそうとした時、胸元に激痛が走った。
見れば、上半身の衣服が脱がされ、包帯が巻いてある。

「これは……えーと、俺は……」
「たかはらさん!? きがついたの!?」

視界の端から、見慣れた学生服姿の少女が映り込んできた。
感極まったような、今にも泣き出しそうな表情だ。

「あー……遥ちゃん」
「よかった……よかったたかはらさん……!」
「ちょっ…遥ちゃん、痛いって」
「あっ、ご、ごめんなさい」

仲販遥が正封が負傷している事を忘れ、胸元に縋り付いたため正封が痛みを訴える。
慌てて遥は謝罪しながら正封から離れた。
293あの日の思い出を薄めては ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/22(土) 23:48:34 ID:FUU0yMLF
「おお、気が付いたか狐君」

そう言って遥の次に視界に入ってきたのは銀と白の毛皮を持った人狼と、
黒っぽい衣服を着た白い狼獣人の少年――トマック。
二人共、自分が意識を失う直前に出会ったので覚えているが、確かトマックは
全裸だったはずだが。どこかで衣服を調達してきたのだろうか。

「……?」

ここで正封は、人狼と白狼少年の後ろにいる、青髪の少年と山羊のような頭をした、翼の生えた
悪魔のような怪物の方に目が行った。

「えーと……」
「あ、お前には自己紹介まだだったっけ? 俺はシリウスだ」
「ああ、シリウスさん、えと、そこの二人って……?」
「こいつら? ああこいつら、さっきこの男娼館にやって来たんだ。
青い髪の方がアキラ、んでそっちの悪魔っぽいのがデスシープ」

シリウスによれば、数分前にこの男娼館に現れたのだと言う。
トマックと一緒にじっくり取り調べた結果、殺し合いには乗っていないようなので、
自分達の仲間にしたと、シリウスが話した。

正封がシリウスに現在の時刻を尋ねると、既に最初の放送時刻である朝の6時をとうに過ぎていた。
遥が定時放送の内容を正封に教える。
禁止エリアはいずれも現在いる男娼館のあるエリアからは遠く離れている。
死者は14人。その中には遥とトマックのクラスメイト二人と、アキラの知り合い二人、
デスシープの知り合い三人が含まれていたとの事。

「もう14人も死んでんのか……」

予想よりも多い死者数に溜息をつく正封。
自分も下手をすれば死者の中に入っていたかもしれないと思うとゾッとした。
身体を刀で刺し貫かれてよく今こうして生きていられるものだ。
そう言えば自分を刺した人物はまだ生きているのだろうか。
背後から刺され、その後すぐに意識を失ってしまったため、顔を見ていないし名前も分からない。
遥やシリウスに自分を刺した人物はどんな容貌だったかを尋ねると、
何と女性らしい。狼獣人の、露出の高い装具を身に纏った、剣士風の狼女性。

「お前の持っていた銃を使って手傷は負わせられたけど、逃げられた」
「……俺達が入ってきた玄関の辺りに、身体を腰から真っ二つにされた
男の死体があったんだ。何か、鋭い刃物で一気に斬られた感じだった」

シリウスに続き、アキラという少年が正封に話した。

「高原さんを襲ったその狼の女は刀を持っていたんだよな。もしかしたら、
その人に殺されたのかも……」
「断定はできないが、有り得るな。どうやら相当な剣の使い手だったようだし」

アキラとシリウスが考察する。
自分もそんな死に方をしていたかもしれない。
正封は表面には出さなかったが、本当に助かって良かったと心の中で神に感謝した。
294あの日の思い出を薄めては ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/22(土) 23:50:08 ID:FUU0yMLF
(それにしても……さっきの夢は何だったんだろうな……)

ぼんやりと天井を眺めながら、正封はさっき見た夢について考える。
ただの夢、と言ってしまえばもうそれまでだろうが、
余りにもリアル過ぎる上に、どこか、覚えがあった。
夢の中に出てきた森といい、赤い髪の女性といい、どこかで見たような気がする。
それに夢の中での自分と女性も、首輪をはめていた。
更にもっとよく思い出してみる。

(そうだ……俺も女の人も、デイパックっぽい物を肩から提げていて、
俺は千枚通し、女の人はバタフライナイフを持っていたな。それで……確か、
俺は女の人の、名前を呼んだんだ……でも、何て呼んだんだっけ……)

夢の中の女性。自分は知らないはずなのに、知っている。
今まで19年、自分は女性とはほとんど縁のない人生を歩んできたはずだが。
だが、確かに自分はあの赤い髪の女性の事を――。

「……朱雀……麗雅……」

突然、誰かの名前が口から出た。

「え? たかはらさん、なにかいった?」
「い、いや、何も?」

遥には隠したが、確かに自分は今、誰かの名前を呟いた。
朱雀麗雅――身に覚えのないはずだが、それならなぜ出てきたのか。
もしや、あの夢の中に出てきた女性の名前なのだろうか。

(……どうなってんだ……あの夢、ただの夢じゃねぇのか……?)

いくら考えても、納得のいく答えは出せそうにない。

(まあ、夢だしな……余り気にしないでおこう……)

結局、現時点では考えても何も進展は望めないので、正封はあの夢については
保留にしておく事にした。



アキラとデスシープは、正封が寝かされている客室のすぐ隣の、別の客室で一息つく。

「亜美……」

椅子に座ったアキラは、放送で名前が呼ばれた自分の仲間である、
時の塔の巫女・亜美の名前を、俯き加減で呟いた。
自分とジン、そしてもう一人、この殺し合いには呼ばれていないが、友人のレナを、
異世界ヴァルハラへ召喚した亜美。
共に旅をし、共に戦い、ついに帝国軍皇帝・レミエルを討ち倒す事に成功した。
そして、自分とジン、レナは元の世界へと帰り、亜美は戦乱で荒れ果てたヴァルハラの復興に
尽力している――はずだった。こんな殺し合いに巻き込まれなければきっとそうだっただろう。
295あの日の思い出を薄めては ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/22(土) 23:51:42 ID:FUU0yMLF
「アキラさん、大丈夫ですか?」
「ああ……」

アキラを心配するデスシープ。彼もまた、先の放送で、自分の上司・魔王軍四天王のドラゴナスと、
敵対している勇者アレックスの仲間二人、ブライアンとヘレンの名前が呼ばれていた。

「デスシープ、確かお前も……」
「はい、ドラゴナスさんが……」
「お互い、知人を亡くして悲しいのは一緒だな……。だけど、
こういう時だからこそ、気をしっかり持って頑張らないと」
「そうですね……」

知人を失い、悲しいのはアキラもデスシープも同じだった。
だが、まだ生き残っている知人、仲間もいるのだ。
彼らもまた、自分と同じ思いをしているだろう。自分達だけではない。
いつまでも悲嘆に暮れている訳にはいかないだろう。

「所で……ここが男娼館か……何だか、ホテルみたいな感じだな」
「えっ!? そ、そうですね……」

恐らく、この殺し合いがなければアキラは一生訪れる事がなかったであろう男娼館。
男娼館がどういう場所なのか知るはずもないアキラは、客室内を見回し観察していた。
デスシープは男娼館についてある程度は知っていたが、アキラに教える必要はないと
判断し、あえて何も言わず、自分もそういった事はまるで知らないかのように振舞っていた。

「多分、ホテルみたいなものなんですよ、きっと」
「ふぅん、そうか……」

さりげなく、無理矢理話を終わらせようとするデスシープの意図には気付かず、
アキラは若干の疑問を残しつつも思考を切り上げた。




【一日目朝方/C-7男娼館】

【高原正封@俺オリロワリピーター組】
[状態]:背中から右胸下辺りにかけ刺し傷(処置済)
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、ニューナンブM60(0/5)、38sp弾(30)
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。とにかく生き残る。
1:あの夢は……。
2:仲販遥、シリウス、トマック、アキラ、デスシープと行動する。
※俺オリロワ開始前からの参戦、ではないかもしれません。
※「朱雀麗雅」という名前が気になっています。
※胸元に重傷を負っているため、しばらく安静が必要です。
296あの日の思い出を薄めては ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/22(土) 23:54:39 ID:FUU0yMLF
【仲販遥@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:精神的疲労(中)
[装備]:手斧
[持物]:基本支給品一式、手榴弾(3)
[思考]:
0:死にたくない。高原さん、シリウスさん、トマック君、アキラ君、デスシープさんと一緒にいる。
1:高原さん、助かって良かった……。
2:他のクラスメイトの皆については保留。
3:狼獣人の女剣士(シェリー・ラクソマーコス)には警戒。
※本編開始前からの参戦です。
※シリウスの名前をトマックから聞きました。
※シェリー・ラクソマーコス(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※トマックから調教の過程を聞かされましたがほとんど理解できなかったようです。


【シリウス@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:サーベル
[持物]:基本支給品一式、増精剤入り小瓶(半分消費)
[思考]:
0:殺し合いをする気はない。
1:そろそろ脱出手段を考える。但し高原正封の回復を待つ。そして時々抜く。
2:トマック、仲販遥、アキラ、デスシープと行動。
3:狼獣人の女剣士(シェリー・ラクソマーコス)には警戒。
※高原正封の名前を仲販遥の台詞から知りました。
※シェリー・ラクソマーコス(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※アキラ、デスシープの二人と何らかの情報交換を行った可能性があります。


【トマック@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、黒いシャツとズボン(調達品)着用、 シリウスに対する服従心、
性感が増大している、精神不安定
[装備]:不明
[持物]:基本支給品一式、不明支給品(1〜2)
[思考]:
0:ご主人様(シリウス)、高原正封、仲販遥、アキラ、デスシープと一緒にいる。
1:もっとご主人様に可愛がられたい。
2:狼獣人の女剣士(シェリー・ラクソマーコス)には警戒。
※本編開始前からの参戦です。
※衣服は破かれC-7娼館:中庭に放置されています。
※シリウスに性的調教を受けたため人格が崩壊気味です。 ただし理性はあります。
※高原正封の名前を仲販遥から聞きました。
※シェリー・ラクソマーコス(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※アキラ、デスシープの二人と何らかの情報交換を行った可能性があります。
297あの日の思い出を薄めては ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/22(土) 23:56:05 ID:FUU0yMLF
【アキラ@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康、悲しみ
[装備]:鉄パイプ
[持物]:基本支給品一式、工具セット
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。仲間を集めて脱出手段を探す。
1:高原正封、仲販遥、シリウス、トマック、デスシープと行動。
2:アキラを探す。
3:帝国軍のデビル(ガーゴイル)には注意。
※参戦時期はレミエル打倒後、元の世界へ帰還した直後です。
※デスシープと情報交換しました。
※男娼館がどういう場所なのか知りません。
※シリウス、トマックの二人と何らかの情報交換を行った可能性があります。


【デスシープ@VIPRPG】
[状態]:左腕に打撲
[装備]:コルト ディテクティヴスペシャル(6/6)
[持物]:基本支給品一式、.38sp弾(30)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。仲間を集めて脱出手段を探す。
1:高原正封、仲販遥、シリウス、トマック、アキラと行動。
2:上司達(ムシャ、死神五世)を探す。
3:勇者達(アレックス、ゴメス)は……。
4:襲われたらそれなりに対処する。
※アキラと情報交換しました。
※アキラが異世界から来た人物だと確信しました。
※シリウス、トマックの二人と何らかの情報交換を行った可能性があります。



※C-7娼館玄関付近に放置されていた元村憲章の死体は、
シリウスとトマックによって片付けられました。
298 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/22(土) 23:59:24 ID:FUU0yMLF
投下終了です。あれ、トマック台詞ねぇwwww空気になりつつあるのかもしかして。
登場人物多いと大変だ。
299創る名無しに見る名無し:2010/05/23(日) 00:40:20 ID:2Tq0isIk
test
300 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/23(日) 02:20:25 ID:XLXqRl9R
投下します。俺得ロワ60話「修羅が騒ぐ」
登場:シェリー・ラクソマーコス タイトル元ネタ:DOESの歌「修羅」の歌詞より
301修羅が騒ぐ ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/23(日) 02:21:40 ID:XLXqRl9R
59話 修羅が騒ぐ


エリアB-7市街地、あるドラッグストアの二階事務室。

「ドーラはまだ生きているみたいだね……まぁ、簡単に死ぬような奴じゃないってのは分かってたけど」

放送を聞いた後、シェリーは14人の名前が横線で消された参加者名簿を見ながら言った。

「今どこで何をしているのやら……別にどうでもいいけど」

ドーラ・システィールはこの殺し合いにおける、シェリーの唯一の知人であり、
アルカディア解放軍の同僚、自分の元愛人の部下でもあるが、
普段さほど付き合いがなく、特に仲が良い訳でもないので、
死のうが生きていようが、シェリーにとってはどちらでも良かった。
ただ、やはり知人という事で少しは気になるのだが。

禁止エリアはいずれも遠いが、午前9時から禁止エリアになるエリアE-8は、
今自分がいる島の北部市街地から南部市街地へ通じる幹線道路がある。
ここが侵入不可となると、最短距離で南部に向かうには森の中を通らなければならなくなるだろう。
それが少し厄介だ。

「さて、と、これからどうするか……」

事務机の椅子に座り、これからの事についてシェリーは思案する。

「つッ……」

数時間前に、そう遠くない所にある男娼館にて、銀色の人狼に負わされた傷が痛む。
包帯を巻いて応急処置は済ませてあるが、剣士にとっては命の次に大事な肩を、
利き腕である右腕ではないとはいえ負傷させられた事に、シェリーは人狼に対し怒りを募らせる。
それと同時に、傷を負わされ限りなく逃亡に近い撤退をしてしまった自分にも苛立った。

「あの狼野郎、今度会ったら絶対ぶち殺してやる……。
……そういや、あいつ、まだあそこにいるのかねぇ」

男娼館には、シェリーに手傷を負わせた人狼だけではなく、
人間の少女、白い毛皮の狼獣人もいた。

「……そういや、あの狐……タカハラ、だったっけ?」

ここでシェリーは人間の少女――確かハルカと呼ばれていた――と一緒に行動していた、
狐獣人の青年の事を思い出す。
男娼館にて、持っていた太刀で身体を刺し貫いて殺したと思っていたが、
その狐青年のものと思われる名前「タカハラ」――ハルカがそう狐青年を呼んでおり、
なおかつ名簿に漢字で「高原正封」という名前があった事から推測――は、
先の放送の死者発表では呼ばれていなかった。
302修羅が騒ぐ ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/23(日) 02:22:32 ID:XLXqRl9R
とすれば、少なくとも「タカハラ」は放送時刻の時点では生存しているという事になる。
一目見た感じで言えば、完全な非戦闘員のあの狐青年が、身体を刀で刺し貫かれて生きているという事は、
余程生命力が強かったのか、あの場にいた誰かが適切な治療を施したのか、
非常に運が良かったのか。

シェリーがこの殺し合いで最初に遭遇し、主催者と同姓で何らかの関係があると思われる、
青髪マントの青年、クリス・ミスティーズの名前も呼ばれなかった。
殺し合いを止めるつもりでいたようだったが、今は何をしているのか。

男娼館の入口付近で殺害した人間の男――名前は分からないが、
身体を腰の部分から真っ二つに切断したのだ、流石に生きてはいまい。

「……もう一度、行ってみるか」

考えた末、シェリーはもう一度男娼館に行ってみる事にした。
まだあの人狼達がいるとは限らないが、そうでなくとも別の参加者が立ち寄っている可能性もある。
シェリーは自分の荷物を纏め、一階へ下りる階段へと向かった。



【一日目朝方/B-7市街地:ドラッグストア二階事務室】

【シェリー・ラクソマーコス@FEDA】
[状態]:左肩に銃創(処置済)
[装備]:太刀
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、FNブローニングM1910(4/6)、
FNブローニングM1910のリロードマガジン(6×5)、元村憲章の水と食糧
[思考]:
0:面白そうなので殺し合いに乗る。
1:再び男娼館へ行く。
2:とりあえず見付けた参加者から殺していく。
3:ドーラ・システィールについては保留。
4:銀色の人狼(シリウス)は今度会ったら絶対に殺す。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※クリス・ミスティーズの名前と容姿を記憶しました。
303 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/23(日) 02:24:14 ID:XLXqRl9R
投下終了です。冒頭の話数間違えた、60話です。
所で皆さんは何を使ってSSを書いているのでしょうか。
自分はワードパッドで書いてコピペで投下してます。
304 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/23(日) 12:09:44 ID:XLXqRl9R
投下します。俺得ロワ61話「いつも同じ心象風景」
登場:戸高綾瀬 タイトル元ネタ:DOESの歌「陽はまた昇る」の歌詞の一部
305いつも同じ心象風景 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/23(日) 12:11:53 ID:XLXqRl9R
61話 いつも同じ心象風景


放送を聞いた後、私はベッドの上にうつ伏せになって、
14人の名前を消した名簿と禁止エリアを書き込んだ地図を交互に見た。
たった6時間の間に14人も死ぬなんて……この中には、
私が首輪を入手するために首を切断したあのサキュバスも含まれてるんだろうな。
この14人の中に私が入っていないのはもしかしたら幸運なのかも。

禁止エリアは、今私がいる病院周辺のエリアG-8は入っていなかった。
現在私は海沿いの民家の二階、多分中学生ぐらいの女の子が使っていたと
思われる子供部屋に身を潜めている。
多分、ここならそう簡単に気付かれる事はないはず。
禁止エリアにも指定されなかったから当分は動かなくても良さそうね。

ここに隠れてからというもの、知らない女の子の部屋という事に興奮しちゃった私は、
素っ裸(今もそう)になっていろいろ、いけない事をしました。ええ。

机の上のペン入れに入っていた少し太めのボールペンを出し入れしたり。
……どこに? まあ、いいじゃないそれは。

タンスから女の子の下着やら何やらを引っ張り出して臭いを嗅いだり勝手に着たり。

机の角で……これは、うん、ちょっとアレだね。
小学校の時に誰もいない教室で初めてやって、とんでもなく気持ち良かった事を思い出した。

窒息プレイでもしてみようと思って、ベッドの柵みたいな部分にベルトで輪っか作って、
そこに自分の首を引っ掛けて軽く首を吊ってみたり。
……危うく意識が飛びかけた。

自分の涎を身体中に塗りたくって、ベッドの上で大きく股を開いて涎を垂らし、
虚ろな目をして「私……汚されちゃった……」とか言ってみたり。

とにかく、色々してたんですよ。




デイパックからおにぎりやらサンドイッチやらを取り出して、朝食を取る。
こういう状況でも腹は減る。いや、こういう状況だからこそちゃんと食べないと。

「ふぅ……食った食った」

食事を終え、後片付けをし、私はタンスの横にある縦長の鏡の前に立った。
首輪しか身に着けていない、私の裸体が映し出される。
私の身体と顔……まだ10代半ばぐらいには見える。
確かに女として嬉しいとは思うけど……たまに夜道を歩いていたりすると、お巡りさんに、
中学生か高校生に間違われて補導されかけたりするのが玉に傷なんだよね。
それにしても、私のおっぱい……やっぱ、小さいなぁ。
別に巨乳に憧れてる訳じゃないけど、この胸の小ささが更に私を幼く見せてるんだきっと。
306いつも同じ心象風景 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/23(日) 12:14:03 ID:XLXqRl9R
「むぎぎ……と、届かない、やっぱ、無理……」

セルフ乳舐めは私のちょっとした夢だけど、到底無理。

さて、デイパックの中から、死体の首を切断して剥ぎ取った首輪を取り出す。

金属製の頑丈そうな首輪。後頭部に当たる部分に、継ぎ目らしい物があるけど、
鍵穴みたいな物はどこにも見当たらない。
解除する時は、何らかの信号を送るのかしら。

「あら……」

裏側に、何か小さな穴が何個も密集した物がある。
通気口とも思ったけど、そんな物が必要な程大掛かりな機械とも思えないし。
それじゃあこれは何だろう。

しばらく穴を触って用途を考える。
そして、ある一つの可能性が導き出された。
――盗聴用のマイク。

もしそうだとするなら、私達参加者の会話は、主催者側に筒抜けになっているという事になる。
これだけの規模の殺し合いを成功させる気があるならこれぐらいはする……のかな?
とにかく盗聴されている可能性が高い以上、下手な事は言わない方がいいわね。
私が首輪を解除しようとしている事、もしかしたら感づかれたりしているかもしれないし、
最悪、主催者側が何らかの強硬手段――即ち、首輪の爆破に打って出る可能性もある。

さて、次はこの首輪の内部構造だけど……何か工具が必要ね。
一階の下駄箱辺りに工具箱らしき金属製のケースがあったっけ。取りに行こう。
服着るのも面倒だから裸のままで。

赤の他人の家の中を全裸で歩き回るというのも、中々興奮する。



予想通り一階の下駄箱周辺にあった青いケースは工具箱だった。
かなり重いそれを階段を上がって二階まで運ぶのは、女の私には一苦労だった。

「はぁ……重かった……」

何とか子供部屋まで工具箱を運び込み、机の上に置く。
蓋を開け、必要そうなドライバーやペンチなどが入っている事を確認する。
これで首輪を――できるかどうかは別にして――分解する準備は整った。

でも、急ぐ必要もないし、もうちょっと遊ぶかな。
307いつも同じ心象風景 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/23(日) 12:15:00 ID:XLXqRl9R
【一日目朝方/G-8病院近く:海沿いの民家・平田家二階子供部屋】

【戸高綾瀬@オリキャラ】
[状態]:健康、全裸、興奮
[装備]:ボウイナイフ(血痕付着)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、メリエの首輪、工具箱(調達品)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪の解除を目指す。
1:しばらく子供部屋で性的な一人遊びを楽しんだ後、首輪を調べる。
2:もし可能であれば仲間が欲しい。
3:襲われたらどうする…?
※銀鏖院水晶(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※衣服は子供部屋内に放置されています。


投下終了です。
308 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/23(日) 17:15:01 ID:XLXqRl9R
投下します。俺得ロワ62話「Is it hope or despair?」(希望か絶望か)
登場:ドーラ・システィール、エルザ・ウェイバー、ガーゴイル、ピタゴラス、久保遼平
309Is it hope or despair? ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/23(日) 17:16:08 ID:XLXqRl9R
62話 Is it hope or despair?


豪華な暖炉のある広い居間で、ドーラ、ガーゴイル、エルザ、ピタゴラス、遼平の五人は、
先の第一回定時放送の内容を纏めていた。
死者として呼ばれた14人の中には、ドーラがこの殺し合いで最初に遭遇した参加者であり、
放送前に死亡を確認した少女フォナ・アンシュッツ、
ガーゴイルと敵対関係にあるという亜美という少女、
同じ帝国軍のデビルであるガルムの名前も呼ばれた。
禁止エリアはいずれも、現在位置であるエリアH-3豪邸から離れた場所だった。

「まぁこんな所かねぇ。それで、ピタゴラスとエルザ、何か収穫は有ったかい?」

ドーラがフォナから剥ぎ取った参加者の首輪の調査を依頼していた、
狼獣人ピタゴラスと白髪頭の女エルザ・ウェイバーに成果の程を尋ねる。
すると、二人は顔を見合わせた後、ピタゴラスが自分のデイパックから
メモ帳と筆記用具のペンを取り出し、何かを書いてそれをドーラ他全員に見せた。

そこには「これからは筆談で」とだけ書かれていた。

ドーラ、ガーゴイル、遼平の三人には何故そんな事をする必要があるのか分からなかったが、
きっと重要な事なのだろうと思い、大人しくピタゴラスに従いそれぞれメモ帳と筆記用具を取り出した。

〔急に筆談などと言い出してすまない。俺とエルザで首輪を調べた結果、
興味深い事が色々と分かった〕
〔興味深い事って何ですか、ピタゴラスさん、エルザさん?〕
〔どうも、首輪に盗聴器が仕掛けられてるみたいなの〕

エルザが書き出したその一文に、ドーラ、ガーゴイル、遼平の三人が驚きの色を見せる。

〔本当なのか?〕
〔間違いなさそうだ。首輪の裏にマイクらしきものが仕込まれている。
どうやら、運営側には俺達の会話も筒抜けになっているらしい〕
〔成程、それで筆談って訳かい。確かに、盗聴されてるんじゃ滅多な事言わない方がいいねぇ〕

運営側に参加者間の会話が傍受されているとなると、
その会話の内容によっては運営側がその参加者をゲーム遂行の障害になると判断し、
最悪の場合首輪の爆破という強制排除手段に打って出るかもしれない。
そうでなくとも、何らかの妨害工作は仕掛けてくるだろう。
ピタゴラスとエルザが筆談を要請した理由が、ドーラ達三人には理解できた。

〔あの、お二人共、それで首輪の解除については……?〕

遼平がやや遠慮気味にそう書いた自分のメモ帳をピタゴラスとエルザの二人に見せる。
310Is it hope or despair? ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/23(日) 17:17:30 ID:XLXqRl9R
〔……結論から言うと、解除できない事はないかもしれない〕

そう書かれたメモ帳をピタゴラスがドーラ達に見せた時、
度合いは違えど、それぞれの目に希望の色が浮かんだ。

〔だけど、まだ内部構造を正確に観察できていないのよ。
もう少し調べてみる必要があるわ〕

まだ確実に解除できると決まった訳ではないので、過剰な期待は控えるようにと、
エルザが文面越しに三人に釘を刺す。
しかしそれでも、特に遼平は期待せずにはいられない。
首にはめられた、殺し合いを強要するための爆弾内蔵の死の首輪。
これが外せるかもしれないのだから。

但し、仮に外せたとしても、それで生きて帰れる保証はない、という事は、遼平も分かってはいた。



筆談終了後、ピタゴラスとエルザは再び二階へ首輪の調査に戻った。
ドーラは二階の海側の部屋で、窓から海の方を眺める。
ガーゴイルは居間の本棚に入っていた官能小説を興味深そうに読んでいた。
表紙は黄色で、タイトルは黒字で「14歳の女の子と愛犬、イケナイ交わり」とある。
遼平はカーテンの隙間から外の様子をたまに見ていたり、ソファーに座ってぼんやりしている事が多かった。

ドーラはこの殺し合いの唯一の知人、シェリー・ラクソマーコスの事を思い出す。
自分の上司の元愛人の、剣の腕が立つウルフリングの女性。
先の放送では名前は呼ばれなかったが、当然と言えば当然だろう。
そんな簡単にやられるような女性ではない。少なくともドーラが知っている限りでは。
別段、仲が良い訳でもないので捜索するつもりはない。
だが、一応、共に戦った仲間として現在の動向は気にはなった。

ガーゴイルは、今自分が呼んでいる本の内容にやや衝撃を受けていた。
軍人気質の彼は、官能小説といった類の単行本など読んだ事がなかった。
その本の内容は、性に興味を持ちながらも、見栄を張って友達には全く興味がないように
振舞っている14歳の中学生の少女が、愛犬の雄のハスキー犬を可愛がっている内、
エスカレートし両親のいない夜に自室に連れ込み一線を越え、以来それにのめり込むという、
獣姦モノの官能小説だった。

(ほう……人間とは違う種族でも愛を育めるのだな……。
そういえば俺もご無沙汰だな……たまにはバステト辺りと一発やりたいもんだ)

妙な所で感心しつつ、ガーゴイルはソファーに寝転がりながらその小説を読み進めていく。
311Is it hope or despair? ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/23(日) 17:18:55 ID:XLXqRl9R
久保遼平は、僅かに見え始めた脱出への希望を膨らませながらも、
最初の6時間で、14人もの人命が失われた事に恐怖を覚えた。
半日にも満たない時間で14人も死亡したとは、それだけ殺し合いをやる気になっている
者が大勢いるという事だろうか。
自分が最初に襲われた狙撃手はどうなったのだろう。
もしかしたら既に先の放送で名前が呼ばれたのかもしれない。

(そうであってくれると嬉しいんだけど……)

人の死が嬉しいとはいささか不謹慎な気もしたが、そんな事を言っていては
この先、自分は生きていけないだろう。
まだ死にたくはなかった。もっと生きたい。
遼平が願うのは、ただそれだけである。

ピタゴラスとエルザは二階の寝室の一つで首輪の調査を続けていた。
今の所分かっているのは、首輪には盗聴器が仕掛けられ、会話が運営側に
筒抜けになっているという事と、想像以上の高い技術が首輪には使われているという事。
更に詳しく解析してみなければ何とも言えないが、
自分達でこの首輪が解除できるかどうか、まだ不明瞭であった。
盗聴されている事を知っているので、二人は核心に迫るような事は筆談で済ませる事にしていた。

〔こいつは厄介な代物だな……〕
〔まあ、主催者も簡単に外れるような首輪なんてはめないわよね。
でも、ちょっと考えが甘かったかな……これ……はっきり言って難解よ〕

ピタゴラスもエルザも首輪の予想以上の内部構造の複雑さにやや辟易していた。

〔だが、やるしかあるまい。今ここにいるメンバーで首輪をどうにかできそうなのは、
俺と、エルザ、お前だけだ〕
〔そうね……やれるだけやってみましょ。前向きに考えなきゃね〕

後ろ向きにばかり考えていても仕方ない、とにかく調べるだけ調べようと、
再びピタゴラスとエルザは机の上に置いた首輪を調べ始めた。
312Is it hope or despair? ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/23(日) 17:20:34 ID:XLXqRl9R
【一日目朝方/H-3豪邸】

【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康
[装備]:イサカM37(4/4)
[持物]:基本支給品一式、12ゲージショットシェル(30)、防弾チョッキ
[思考]:
0:今の所殺し合いをする気はない。
1:ガーゴイル、エルザ、久保遼平、ピタゴラスと行動。
2:シェリーについては保留。
3:首輪を外したい。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※ガーゴイルの知人(ジン、アキラ)のおおよその特徴を把握しました。
※ガーゴイルの言葉の一部が理解できず気になっています。
※久保遼平、ピタゴラスと情報交換をしました。


【エルザ・ウェイバー@オリキャラ】
[状態]:腹部に二発被弾(処置済)
[装備]:九五式軍刀
[持物]:基本支給品一式、レミントン デリンジャー(0/2)、.41リムファイアー弾(30)、
首輪探知機、フォナ・アンシュッツの首輪(分解中)、雄獣人エロ写真詰め合わせ
[思考]:
0:殺し合いを潰す。脱出手段の模索。
1:ピタゴラスと共に首輪を調べる。
2:ドーラ、ガーゴイル、久保遼平、ピタゴラスと行動する。仲間を集めたい。
※久保遼平、ピタゴラスと情報交換をしました。


【ガーゴイル@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康、官能小説読書中
[装備]:RPG7(1/1)
[持物]:基本支給品一式、官能小説「14歳の女の子と愛犬、イケナイ交わり」(調達品)、
85o対戦車擲弾(3)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。首輪の解除方法の模索。
1:エルザとピタゴラスに首輪の調査を任せる。
2:ドーラ、エルザ、久保遼平、ピタゴラスと行動。しばらく豪邸に留まる。
3:元世界の知人(ジン、アキラ)については保留。
4:襲われたら説得を試みる。駄目ならば戦うか逃げる。
※ドーラの知人(シェリー・ラクソマーコス)のおおよその特徴を把握しました。
※ドーラの言葉の一部が理解できず気になっています。
※久保遼平、ピタゴラスと情報交換をしました。
313Is it hope or despair? ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/23(日) 17:22:06 ID:XLXqRl9R
【ピタゴラス@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:コルトM1911A1(7/7)
[持物]:基本支給品一式、コルト ガバメントのリロードマガジン(7×5)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪を外したい。
1:エルザと共に首輪を調べる。
2:久保遼平、ドーラ、エルザ、ガーゴイルと行動する。
3:襲われたら戦う。
※参戦時期は本編死亡後です。
※毛皮の色は作者の想像です。
※自分が以前別のバトルロワイアルに参加していた事を久保遼平に話していません。
※ドーラ、エルザ、ガーゴイルと情報交換をしました。


【久保遼平@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:ハンティングナイフ
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、トランジスタラジオ
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。生き残りたい。
1:ピタゴラス、ドーラ、エルザ、ガーゴイルと行動する。基本的に四人には従うつもり。
※ドーラ、エルザ、ガーゴイルと情報交換をしました。
314 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/23(日) 17:23:24 ID:XLXqRl9R
投下終了です。人数固まり過ぎだからそろそろ整理しないとなぁ……。
315 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/24(月) 23:28:22 ID:bYupXvrj
投下します。俺得ロワ62話「焼け付く想いは憂い募らせる」
登場:稲垣葉月、レックス、銀鏖院水晶
タイトル元ネタ:DOESの歌「修羅」の歌詞の一部
316創る名無しに見る名無し:2010/05/24(月) 23:29:48 ID:1Bp4KC4C
 
317焼け付く想いは憂い募らせる ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/24(月) 23:30:21 ID:bYupXvrj
62話 焼け付く想いは憂い募らせる


放送を聞いた後も、赤髪のグラマーな女性、稲垣葉月と、
黒狼レックスは相変わらず熱い交わりを続けていた。
最初の6時間で14人の死者が出たという事実には二人も多少は動揺したが、
それだけで、禁止エリアを互いに記録した後は、今までの激しい行為の余波で
すっかり空いた腹を満たすために朝食を取り、そして。

「うっ! ハヅキ……!」
「ああっ……! ん……はぁ、はぁ、はぁ、凄い……あれだけ出したのに、
まだこんなに出るんだ……」
「狼は一杯出すんだよ……知らなかった?」
「撮影で狼によく似た狼犬とかシェパードとかとならやった事あるけど、
こんなには出てなかったよ」
「撮影? ああ、ハヅキは女優さんだったんだっけ」
「女優って言っても、AVの、だけどね……あはは」

淫らな行為をしながら、他愛もない会話を交わす女と黒狼。
そして黒狼・レックスが葉月の身体に抱き付き、互いに体温を感じ合う。

「……好きだよハヅキ……愛してる……」
「私もよ、レックス……」

交わりを重ねていく内、二人の間にはいつの間にか恋愛感情が芽生えていた。
お互い――レックスは深層意識内での事だが――この殺し合いという状況下、
いつ襲われるかいつ殺されるか分からない状況下で、傍に居てくれる存在に餓えていた。
孤独に死んでいくのが嫌だったのだ。
だが今は、お互いの温もりを肌で感じ合える。
自分はもう孤独ではないのだという安心感が、いつしか別の特別な感情へと変わっていった。
もはや、葉月はレックスにとって、レックスは葉月にとって、なくてはならない存在になっていた。

行為の後始末を済ませ、衣服を着た葉月は、
レックスと共にリビングに移動し、これからの事について話し合う。

「そろそろ別の場所に移動しない?」

葉月がレックスに身を潜める場所の変更を提案する。

「ん〜……別にいいけど、何でまた?」
「だってほら……この家の中、すごい、アレの臭いが、けっこう汚れちゃったし」
「ああ……確かに」

幾度も幾度も交愛を重ね、体液を床と言わず壁と言わず天井と言わず撒き散らした結果、
家の中に濃密な臭いが充満するようになってしまっていた。
レックスは気にはしていなかったようだが、葉月はその臭いを嗅ぎ続けている内、
段々と気分が悪くなり、どこか別の場所に生きたいという思いが強くなっていた。
そんな葉月の気持ちを察したのか、提案を呑んだレックスはテーブルの上に地図を広げる。
318焼け付く想いは憂い募らせる ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/24(月) 23:32:18 ID:bYupXvrj
「俺達が今いるのって……」
「多分、エリアG-6だと思う」
「北に役場とかあるけど……地図に載っている施設だから人の出入り激しそうだし……。
学校とかもあるんだ。どうする?」
「うーん……ここは思い切って、役場に行ってみようか。
公共施設でプレイするのも悪くなさそうだし、それに……」

葉月は自分のデイパックから、木製銃床の突撃銃――AK-47を取り出す。

「いざという時はこれで戦うつもりだよ」
「でも、扱えるの葉月?」
「……説明書見て使い方は大体分かった、けど、拳銃も触った事ないんだよね、
実を言うと。ましてやこんなアサルトライフルなんて持った事ないし……でも、
これ、子供でも戦闘を可能にしたっていうぐらい扱い簡単らしいから、何とかなると、思うよぉ」
「語尾wwwwどこのじいさんwwwwwま、まあ、俺も一応戦えるよ。
このダマスカスソードと、爪と牙があるからね」
「でも、レックス剣扱えるの? 四足歩行なのに、基本」
「口に咥えればなんとかなるよ」
「そう……それじゃ、役場に行こう」
「分かった」

葉月とレックスはそれぞれ荷物を纏め、玄関へと向かった。
思えば外に出るのは何時間ぶりであろうか。
窓から差し込む日の光はすっかり強くなっていた。



同時刻、銀髪の学生服姿の少女、銀鏖院水晶は、エリアG-7東端付近の道路を、
とある場所に向かって歩いていた。
右手には小型の短機関銃・イングラムM10が握られている。
ある民家でシャワーを浴び、食事を取った後、行動を始めた。

向かう先は、エリアF-6にある島役場。
既に二人の参加者をその手に掛けた彼女は、次なる獲物を求め、
人が集まり易そうな場所へ向かい歩き続ける。

「あの黒狼に犯されたのは……この辺りだったっけ」

見覚えのある風景に、水晶は一旦足を止めた。
そしてとある裏路地に目を向ける。
そこは数時間前に、水晶が突然現れた黒い巨躯の雄の狼に、純潔を奪われた場所だった。
その時の思い出したくもない情景が、嫌でも水晶の脳裏に再生される。
口に獣のいきり立った――を、無理やり押し込まれしゃぶらされた。
――の先端から溢れ出た、あの濃厚かつ生臭い、白く濁った汁の味は忘れられない。
319焼け付く想いは憂い募らせる ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/24(月) 23:34:11 ID:bYupXvrj
トラウマ物の記憶が無意識の内に呼び起されるのと同時進行で、
水晶の中の黒狼に対する憎悪も強くなっていく。

「絶対、会ったら殺してやる。あの薄汚い―――をぐちゃぐちゃに踏み潰してやる!」

その瞳に底知れぬ憎しみの炎を宿らせながら、水晶は役場に向けて再び歩み始めた。

【一日目朝方/G-6市街地】

【稲垣葉月@俺オリロワリピーター組】
[状態]:肛門及び直腸裂傷(血は止まり治癒が始まっている)、
レックスに対する特殊な感情
[装備]:AK-47(30/30)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、AK-47のリロードマガジン(30×10)
[思考]:
0:死にたくない。レックスと一緒にいる。
1:役場に向かう。
2:襲われたらどうする……?
※下半身の衣類は和室内に放置されています。
※レックスに対し特殊な感情が芽生え始めているようです。

【レックス@オリキャラ】
[状態]:健康、及び特殊な感情
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、ダマスカスソード
[思考]:
0:とりあえず死にたくはない。
1:ハヅキを死なせない。役場に向かう。
2:放送を待つ。
3:最悪の場合(ハヅキが死亡した場合も含む)、自害する。
※稲垣葉月に対し特殊な感情が芽生え始めているようです。

【一日目朝方/G-7市街地】

【銀鏖院水晶@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、黒狼(レックス)に対する憎悪、F-6島役場へ移動中
[装備]:イングラムM10(30/30)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、S&W M19(6/6)、.357マグナム弾(21)、
イングラムM10のリロードマガジン(30×7)、マチェット、モルヒネアンプル(3)、
水と食糧(二人分)
[思考]:
0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:島役場へ向かう。
2:みんな殺す。とにかく殺す。クラスメイトでも容赦しない。
3:あの黒狼(レックス)は今度会ったら絶対に殺す。
※本編開始前からの参戦です。
※須牙襲禅には気付いていません。
320 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/24(月) 23:38:12 ID:bYupXvrj
投下終了です。歌の歌詞ってタイトルに使えそうな物が多い希ガス
321 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/24(月) 23:43:56 ID:bYupXvrj
訂正。63話です。
322 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/25(火) 01:24:01 ID:QDX1dB5m
更に訂正。葉月は下も服着てます!
323 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 00:17:04 ID:mD0yTPmN
投下します。俺得ロワ64話「曉血殺傷」タイトル元ネタ:某フリーMIDI曲の名前
登場:野比のび太、神山アキナ、死神五世、ミーウ、ムシャ
324曉血殺傷 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 00:19:39 ID:mD0yTPmN
64話 曉血殺傷


潮風が吹き抜ける、海岸線沿いの幹線道路を、
野比のび太、神山アキナ、死神五世、ミーウの四人は歩いていた。
進行方向から見て右に、草原地帯を挟んで大海原、左に森と森に覆われた小高い山、
そして鉄塔と思しき建造物が見える。

「あれ……?」

その鉄塔を何となく見詰めていたのび太とアキナが、その方向の森から
出てくる、歴史の教科書の挿絵か何かで見たような和風の鎧具足に身を包んだ
人物の姿を認めた。

「どうしたのび太……! あ、あいつは……!」

鎧武者の姿を確認した死神五世は驚きと喜びの混じった表情を浮かべる。
その鎧武者は、五世がよく知る人物だったからだ。

「ムシャ! おーい、ムシャ!!」

大きな声で、その鎧武者の名前を叫んだ。



鎧武者――ムシャは予想だにしていなかった。
まさか森を抜けた所で、自分と同じ魔王軍四天王の一人であり仲間、親友である、
死神五世と遭遇する事になるとは。
何故かいつもの骸骨姿ではなく、女体化の姿だったのは気になったが、
とにかく、元の世界の仲間との再会が難しいと思われるこの殺し合いの中、
自分は仲間と再会する事ができた。

だが、ムシャは素直に喜ぶ事はできなかった。
なぜなら、自分は仲間――死神五世、ドラゴナス、デスシープを生き残らせるために、
この殺し合いのルールに則り、既に一人の名も知らない少女を殺害してしまった。
そのため、できる事なら、五世達には会いたくなかった。ドラゴナスは既に死亡しているが。
勿論、遭遇してしまう事も覚悟はしていたが――。

「良かった。無事だったんだなムシャ」
「あ、ああ……」

何も知らない五世はムシャとの再会を素直に喜ぶ。

「ムシャ、お前、放送は聞いたか?」
「聞いた。ドラゴナスが死んだ……らしいな」
「ああ……」
「……あいつが死んだなんて信じられないが……あの放送が嘘とも思えない。
事実なんだろうな……」
「ハーたんやハーナス、悲しむだろうな……」

五世とムシャは、先の放送で死亡が告げられた仲間、ドラゴナスの死を悼んだ。
その様子を、のび太達三人は割って入る気にもなれず、ただ見ている事しかできなかった。
325曉血殺傷 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 00:20:55 ID:mD0yTPmN
「……いつまでも悲しんでても仕方ねぇな。
ああ、紹介するよ。今の俺の仲間だ」
「野比のび太です」
「か、神山アキナです」
「ミーウよ」

五世に促され、三人はそれぞれムシャに自己紹介をした。

「全員、殺し合いには乗っていない。俺達は何とかして、この殺し合いから脱出しようと思っている。
ムシャ、お前も協力してくれるよな?」
「……」

ムシャの予想通り、五世はムシャに協力を求めてきた。
五世は自分が、魔王軍の仲間のためとは言え殺し合いに乗っている、
ましてや、既に一人、か弱い少女を殺害しているとは夢にも思っていないのだろう。
自分の事を、仲間として、親友として、心から信頼している。
五世の言葉、表情、眼差しからそれが痛い程ムシャに伝わっていた。

自分は、五世と行動を共にする資格などない。
自分の手は血で汚れてしまった。
今更ながらに、後悔の念が湧き起こるが、もう後戻りはできない。

考えた末、ムシャは芝居を打つ事にした。

もっとも、芝居と言うには、余りに血に塗れた非情な計画だったのだが。

「悪い」
「ん?」
「五世。お前達とは、俺は行動できない」

ムシャの言った言葉が理解できず、目を丸くする五世。

次の瞬間、五世の目の前にいたはずのムシャの姿が消えていた。

「えっ?」

消えたムシャは、アキナの視界に映り込んでいた。
手にした直刀を、信じられないような早さで振り払い――――。

アキナは、首から下の感覚が消失したのを感じた。
なぜか、青空が見える。太陽が光り眩しい。
声を出そうと思ったが、出なかった。
326曉血殺傷 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 00:22:25 ID:mD0yTPmN
青空の深い青の色が、真っ赤に染まる。
赤く、赤く、赤く、赤く、赤く。


――何、これ? 凄く、赤い――――ちょっと綺麗かも。


アキナの視界が真っ赤に染まり、そして、黒く塗り潰された時には、アキナの意識はなくなっていた。




「む、ムシャ!!? な、何て事を……!!」
「あ……ああ……!?」
「……ッ」

周囲の雑草やアスファルトに大量の真っ赤なペイントを施し、
首と胴体が泣き別れになった「神山アキナ」という女性だった肉塊。
その肉塊を作りだした張本人、ムシャが、親友のまさかの行動に動揺する五世、
目の前で起きた惨事にショックで尻餅を突き、唖然としているのび太、
至極冷静に、ムシャの事を見据えるミーウの三人の方向に向き直す。

「すまないが、死んで貰う」
「な、何を言っているんだよムシャ!! お前、まさか……!?」
「まさかも何も、まだ分からないのか? 俺はこの殺し合いに乗っているんだよ」

酷く冷徹な口調で、ムシャが言う。

「ば、馬鹿野郎! 何を考えてるんだ!? 何故だ!? 何故、
こんなクソったれたゲームに!!?」

怒気が籠った口調で、五世がムシャに訊く。
するとムシャは、ふっ、と、五世を嘲笑うかのように小さく笑った。

「何故? 何故だと? 話さなきゃ分からないのか? お前だって知らない事ないだろ?
俺が普段、お前らにどれだけ空気として扱われ、ぞんざいな扱いを受けてきたか」
「そ、それは……だけど、最近はお前も、それを受け入れてたじゃないか……!」
「……ああ。だが、心の奥底ではいつも燻っていた。どうして俺はいつも台詞を略される?
どうしていつも歩行グラが半透明設定なんだ? どうしていつもロクな役が回らない!?
どうして、いつもいつもいつもいつも!!」

後半になるにつれ、ムシャは興奮していくように見えた。
五世はムシャの壮絶とも言える心境の吐露を、黙ってじっと聞いていた。

「……だから、この殺し合いは俺にとって転機なのさ。
俺はもう空気じゃないって事を証明してやる。この殺し合いに勝ち残ってな!!
誰にも俺の邪魔はさせねぇぞ。例え、五世。お前でも、俺の邪魔をするなら容赦しねぇ!」
「……ムシャ……」
327曉血殺傷 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 00:25:31 ID:mD0yTPmN
血走った目で宣言するムシャを、五世は半ば呆然としながら見詰めていた。
知らなかった。ムシャがこんなにも、心の奥底で自分が空気キャラだという事に
対するコンプレックスを抱えているなどと。
確かに、自分を含め、既に死んでしまったドラゴナスや、
この殺し合いには参加していないが同じく魔王軍四天王のニンニン、ダーエロも、
事ある毎にムシャを空気扱いしてはいた。
だが、最初は空気脱却に熱意を燃やしていたムシャも、最近ではむしろそれを受け入れ、
空気もキャラの一つだと認めるようになっていた、と思っていた。
だが――――。

「次は、そこの眼鏡だ」
「ひっ……!?」

ムシャが未だ腰を抜かしているのび太に、血に濡れた直刀を向ける。
のび太は今まで感じた事のない、肌を刺すような殺気を向けられ身動きが取れない。
正に「蛇に睨まれた蛙」の状態になっていた。

「死ねっ!!」

そして、直刀を構えたムシャがのび太に向かい猛スピードで突進する。

「やめろおおおおおおおおおおお!!!!!」

五世が負けじと、のび太を守ろうと全速力で走った。





自分ながら、役者になれるのではとムシャは思っていた。
ムシャの考えた芝居――それは、自分がこの殺し合いに乗り、優勝を目指していると思わせる事。
そして、五世の周囲にいる三人を殺害し、残った五世を峰打ちか何かで気絶させ、
その間に立ち去る。それがムシャが即座に立てた計画だった。

芝居と銘打ってはいるが、最終的な目的は違えど、自分が殺し合いに乗っている事は事実だった。
やはり、五世は怒り、自分を問い詰めた。
心の底から信じていたからこそ、激怒したのだろう。
ある意味、嬉しい事であったし、完全に芝居を信じ切っている証拠でもあった。
そして、あえて興奮しているような演技をしながら五世に向かって言い放つ。

「……だから、この殺し合いは俺にとって転機なのさ。
俺はもう空気じゃないって事を証明してやる。この殺し合いに勝ち残ってな!!
誰にも俺の邪魔はさせねぇぞ。例え、五世。お前でも、俺の邪魔をするなら容赦しねぇ!」
328曉血殺傷 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 00:28:48 ID:mD0yTPmN
五世は少し呆然としているようだった。その目は悲しげだった。
ムシャは心が痛んだが、ここまで来てやめる訳にもいかない。
既に一人目、神山アキナなるバニーガールは首を刎ね飛ばし殺害した。
後は野比のび太、ミーウの二人。

「次は、そこの眼鏡だ」
「ひっ……!?」

そして、次の標的を野比のび太に定める。
完全に腰を抜かし、恐怖に満ちた眼差しで自分を見詰めている。
これならば殺すのは容易い。
余りモタモタしていれば、五世やミーウからの邪魔が入る可能性がある。
手早く済ませようと、ムシャは直刀を構え、のび太に向かって突進した。

「死ねっ!!」

「やめろおおおおおおおおおおお!!!!!」




ムシャが斜めに振り下ろした刃は、その者の胴体を切り裂き、
鮮血が地面や、ムシャの身体に降り掛かり、真っ赤に染めた。

「――――ぁ―――???」

だがムシャの面の下の顔に浮かぶ表情は、呆然。

何故なら。

「がっ……ゲホッ!!」
「ご、五世さああああああああん!!!!」

身体を袈裟に着られ、夥しい量の血を流し、ズタズタになった腸の一部が腹の傷から
飛び出した、黒髪の、紺色マントを羽織った水着風の衣装の女性が目の前に立っていた。
大量に吐血しながら、五世はガクリと膝を突き、息を荒げながら、ムシャの顔を見上げた。
その目からは、涙が溢れていた。

痛みから来る涙でも、これから死ぬ事への恐怖からの涙でもない。

「……む……しゃ…………ごめん……な……ぁ…………」

やっと聞き取れるか聞き取れないかぐらいの、掠れくぐもった小さな声でそう言うと、
五世の目から光が消え、地面に崩れ落ち、もう、二度と動かなかった。
329曉血殺傷 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 00:30:13 ID:mD0yTPmN
(嘘、だろ……俺……そんな……)

こんなはずではなかった。五世を、仲間を殺すつもりなんてなかったのに。
取り巻きの三人を殺害し、五世は気絶させるだけのつもりだった。
だが、五世は死んだ。自分の手で、殺してしまった。
自分が殺そうとした、野比のび太という少年を、身を挺して守り――自分に殺された。
最期に見せた涙――あれは、自分に対する懺悔の涙だったと言うのか。
あの怒りは芝居だった。だが、五世はそれを信じ、心から悔やみ、最期に謝罪の言葉を述べたと言うのか。
ならば自分のした事は――――。

「……ぁ」

ムシャは、足元がまるで音を立て崩壊していくような、言い知れぬ不安を感じた。
もう、何も考えられない。悲しみ、後悔、自分に対する怒り、どれとも取れぬ激情が彼を支配する。

「あ、ああ、ああぁぁあっああ゛あ゛あ゛っアアアアアアアアアアアア――――――!!!!!!」

そして、彼は走り出した。
どこへ行くかも分からない、もう何も考える事ができない、そんな状態で。
彼の瞳には、今や何も映っていないのだろう。




「……なんで、こんな……」

神山アキナ、死神五世の二人の死体を見詰めながら、
顔から完全に生気の失せたのび太が呟いた。
二人を殺したムシャという鎧武者は、五世を殺害した直後、まるで狂ったように叫び出し、
南部市街地のある方向へ走り去って行ってしまった。
後に残されたのは眼鏡の少年、狐獣人の少女、そして二人分の惨殺死体と所持品。

「う……うえええええええっ」

凄惨極まりない状況に、耐え切れずのび太が胃の内容物を吐き出し始めた。
330曉血殺傷 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 00:31:15 ID:mD0yTPmN
ミーウは思わぬ展開に驚いていたが、二人分、殺す手間が省け、
更に自分をいぶかしんでいた死神五世が居なくなった事を心の中で喜んでいた。
ただ、先程の鎧武者が、自分を標的にしなくて良かったと、冷や汗もかいていたが。
五世の仲間だったらしいが、どうやらあの様子だと五世を殺すつもりはなかったらしい。
だが、思わぬハプニングで殺してしまい、錯乱状態に陥ってしまったのだろう。

(あのムシャとか言う奴には注意が必要ね……。
さて、さっさとこののび太を立ち直らせて先を急ごう)

まだ市街地まで先は長い。途中豪邸にも寄る予定もある。
先程のムシャのような危険がまだ待ち構えている可能性がある以上、
いざという時の盾になり得る「駒」は大切にしておくべきだろう。

未だ吐瀉を続けているのび太の後ろで、ミーウは冷酷な笑みを浮かべていた。




【神山アキナ@オリキャラ  死亡確認】
【死神五世@VIPRPG  死亡確認】
【残り29人】




【一日目朝方/G-3平原】

【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:疲労(肉体的、精神的共に大)、強烈な吐き気、悲しみ
[装備]:H&K MARK23(12/12)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、H&K MARK23のリロードマガジン(12×5)
[思考]:
0:殺し合いを潰す。
1:うええええ……。
2:ミーウさんと行動する。南部市街地へ向かう。
3:襲われたら戦う。
331曉血殺傷 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 00:33:29 ID:mD0yTPmN
【ミーウ@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、潮風の影響で毛皮にベタつき
[装備]:H&K G3(20/20)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、H&K G3のリロードマガジン(20×10)、
トマホーク(3)、ニコライの水と食糧
[思考]:
0:殺し合いに乗る。
1:南部市街地に着くまでは野比のび太と行動。
着いたら殺すつもりだが、道中に何らかの問題があった場合も同じように殺す。
2:可愛い子(女の子優先、死神五世は守備範囲外)がいたら…フフフ。
※参戦時期は本編死亡後です。
※名簿に書かれた主催者と同姓の二人が気になっています。
※トマホークの血痕は拭き取られたようです。


【ムシャ@VIPRPG】
[状態]:身体中にダメージ(小)、錯乱、疾走
[装備]:直刀(血痕付着)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)
[思考]:
0:あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!
※高野雅行の名前と容姿を記憶しました。また、大宮正悳(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※錯乱し前後不覚に陥っています。


※G-3平原の幹線道路付近に神山アキナ、死神五世の死体と所持品が放置されています。
332 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 00:36:03 ID:mD0yTPmN
投下終了です。
333 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 22:38:46 ID:mD0yTPmN
投下します。俺得ロワ65話「帰れない、帰らない」
登場:アレックス、ジン、石川昭武、ムシャ
334帰れない、帰らない ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 22:39:52 ID:mD0yTPmN
65話 帰れない、帰らない


なぜ、なぜこんな事になってしまったのか。
自分はただ、仲間を守りたかっただけなのに。

放送で、仲間の一人であるドラゴナスの死を知り、悲しみに暮れながらも、
残った二人の仲間、死神五世とデスシープは何としても生き残らせると心に決めた。
そして、偶然にも、三人の同行者を引き連れた死神五世と、ムシャは再会した。

再会できた事はとても嬉しかった。だが、仲間のためとは言え、
自分は殺し合いのルールに則り、既に一人殺害してしまっていた。
しかしその事を知るはずもない五世は自分を心から信じ、仲間になってくれと頼んできた。

だが、罪もない少女を手に掛けた自分にその資格などないと、ムシャは考えた。
そして芝居を打った。自分が私怨でこの殺し合いに乗り、優勝を目指していると思わせるために。
五世の連れている三人を殺し、五世を気絶させ、距離を置くつもりだった。

しかし――――そう上手く物事は行かなかった。

五世の連れの一人、バニーガールの女性の首を刎ね、
詰め寄ってきた五世に虚勢を張る所までは良かった。
そして次に、眼鏡の少年に斬り掛かった。

だが。

ムシャの刃が斬り裂いたのは、眼鏡の少年ではなく、見慣れた仲間の身体だった。

眼鏡の少年を庇い、五世が少年とムシャの間に割って出たのだ。
身体を袈裟に斬られ、ドクドクと大量の血を流しながら、崩れ落ちる五世は、
その目から涙を流しながら、最期にムシャに言った。

「ごめん」と。


(違う……)

行く宛てもないまま、ただひたすらに走り続けながら、ムシャは様々な感情が入り乱れ、
ぐちゃぐちゃになった頭の中で必死に、五世に対し弁明と謝罪を繰り返していた。

(違う、違う、違う、違う。違うんだ、五世……!
俺は本当はそんな事、思っちゃいなかった。空気キャラがどうとかなんて、
本当はどうだって良かったんだ。ただ、ただ、お前らを、お前らを……。
すまねぇ、すまねぇ、すまねぇ、本当にすまねぇ……!!)

当然、許されるとは思っていない。許される訳がない。
だが、それでも謝らなければ、自我がいよいよ保てなくなる気がした。
普段のムシャを知っている者ならば、今の彼は全くの別人に見えただろう。
魔王城の影の番人と言われた鎧武者の姿はどこにもなく、
今海沿いの道を息を乱し走り続けるのは、和風の鎧を着た錯乱する男だった。
335帰れない、帰らない ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 22:41:30 ID:mD0yTPmN
「あれ?」

灯台を出発し豪邸へ向かい始めたアレックス、ジン、石川昭武の三人。
ジンが、遠方から自分達の方に向かって走ってくる人影を確認した。

「どうした? ジン」
「アレックス、あれ……誰か来るぜ」

ジンが指差す方にアレックスが目を向けると、和風の鎧に身を包んだ男が走って近付いてくる。
見覚えのある姿に、アレックスは目を見張った。

「あ、あれは……」
「知っているのか、アレックス?」

アレックスに心当たりがあると見た昭武が訊く。

「ああ。あいつは確か、魔王軍四天王の一人――――え?」
「どけええええええええ!!!」

鎧武者――ムシャは行く手を阻む三人を、目にも見えない太刀筋で斬り裂いた。

「ぐあ!?」
「あああああ!!」
「ううっ」

ただ幸運だったのが、ムシャが冷静さを失っていたせいでその剣の精度が
普段よりかなり落ちており、三人とも傷は浅かった。
そして、ムシャは三人の生死を確認する事もせず、そのまま市街地方面へ走り去って行った。

「痛ててて……おい、大丈夫か二人共?」

右上腕に傷を負ってしまったアレックスが、左手の甲を斬られたジン、
浅いものの腹に斬り傷を負わされた昭武を心配する。

「な、何とか……いってぇ……」
「ちっくしょう……何なんだよアイツは? アレックス、知ってるんだろ?」
「あいつは魔王軍四天王の一人、ムシャだ。
でも、何だかいつものあいつじゃないみたいだったな……」
336帰れない、帰らない ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 22:43:50 ID:mD0yTPmN
アレックスは自分の知るムシャとついさっき遭遇したムシャを照合し、
その違いがとても気になっていた。
先程のムシャは明らかに冷静さを欠いていた。
精神力に関しては四天王でも随一の彼が、この殺し合いの恐怖でああなったとは考えにくい。
何か、余程の事があったのだろう。それが何なのかは想像が付かない上、
本人から聞こうにも当のムシャは既に走り去ってしまい、また、
あの様子ではまともに会話も成立しない可能性が高い。
いきなり斬り掛かられたのは釈然としないが、今は放っておくしかなさそうだ。

三人共、致命傷ではないにしろ、決して少なくない量の出血を伴う怪我を負ってしまったが、
応急手当をしようにも、傷口に巻けるような包帯、或いは包帯の代わりになりそうな物もない。
傷の処置のためにも早く目的地である豪邸を目指した方が良いとアレックスは判断した。

「ジン、昭武。歩けるか?」
「ああ」
「何とかな……」
「きっと、俺達が向かおうとしている豪邸なら、何かしら傷の手当てができる物があると思う。
だからそれまで……頑張れるか?」
「へへ、これぐらい、何て事……いってぇ!」
「無理するなジン……心配すんな。歩くぐらいなら問題ねぇ」

傷の痛みに顔を歪めながらも、ジンと昭武はアレックスに色良い返事を返した。

「分かった……それじゃ行こう」

血の滴る傷口を庇いながら、三人は再び豪邸を目指し歩き始めた。

【一日目朝方/G-4平原】

【アレックス@VIPRPG】
[状態]:全身にダメージ(軽度)、右腕上腕に裂傷
[装備]:サバイバルナイフ
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、USBメモリ
[思考]:
0:仲間を集めて殺し合いを潰す。そして脱出する。
1:ジン、石川昭武と行動。豪邸へ向かう。
2:元の世界の仲間と合流?
3:首輪も何とかしたい。
4:USBメモリの中身が気になる。
5:ガーゴイルには一応警戒しておく。
6:ムシャ……どうしたんだ?
※襲撃者(高野雅行)の容姿を記憶しました。
※ジン、石川昭武と情報交換をしました。
337帰れない、帰らない ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 22:46:06 ID:mD0yTPmN
【ジン@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:左手甲に裂傷
[装備]:スティレット
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、スタングレネード(3)
[思考]:
0:殺し合いはしない。アキラの捜索及び仲間集め。
1:石川昭武、アレックスと行動。豪邸へ向かう。
2:死神五世、ムシャ、デスシープ、ガーゴイルには注意。
3:襲われたら戦う?
4:USBメモリの中身が気になる。
※参戦時期はレミエル打倒後、元の世界へ帰還した直後です。
※アレックスと情報交換をしました。


【石川昭武@オリキャラ】
[状態]:腹部裂傷(傷は浅い)
[装備]:エンフィールドNo.2(6/6)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、.380エンフィールド弾(30)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。
1:ジン、アレックスと行動。豪邸へ向かう。
2:首輪を何とかしたい。
3:死神五世、ムシャ、デスシープ、ガーゴイルには注意。
4:USBメモリの中身が気になる。
※アレックスと情報交換をしました。


【ムシャ@VIPRPG】
[状態]:身体中にダメージ(小)、錯乱、疾走
[装備]:直刀(血痕付着)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)
[思考]:
0:あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!
1:五世、すまねぇ……。
※高野雅行の名前と容姿を記憶しました。また、大宮正悳(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※錯乱し前後不覚に陥っています。 どこへ走っているのか自分でも分かっていません。
338 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/26(水) 22:49:51 ID:mD0yTPmN
投下終了です。何か適当。
339創る名無しに見る名無し:2010/05/29(土) 01:22:43 ID:86x2N1yy
非リレークロスオーバーロワ名簿

【需要なしロワ(4/4)】
○野村和也 ○めろりん ○穴 ○阿部高和 
【個人趣味バトルロワイアル(7/7)】
○フラウ ○ノーチラス ○須田恭也
○仁ママ ○曽良 ○北沢樹里 ○宮田司郎
【俺のオリキャラでバトルロワイアル(3/3)】
○大崎年光 ○藤堂リフィア ○大田山一
【俺リピーターロワイアル(6/6)】
○◆6/WWxs9O1s ○K ○ラムタル ○八意永琳 ○マルク ○ドナルド・マクドナルド
【その日の気分ロワ(4/4)】
○初音ミク ○前原圭一 ○霧島翔子 ○折原臨也
【無謀ロワ(2/2)】
○桐山和雄 ○ダイゴ
【24バトルロワイアル(3/3)】
○城之内祐二 ○ビリー・ヘリントン ○いかりやビオランテ
【非リレーロワスレ書き手(6/6)】
○◆6LQfwU/9.M ○◆UwuX8yY6RQ ○◆lYiZg.uHFE ○気分ロワの人
○◆WYGPiuknm2 ○◆N2K943LWJ1Uz


―計35人。

【主催】
○非リレースレPart1の>>1
340創る名無しに見る名無し:2010/05/29(土) 01:32:24 ID:86x2N1yy
ルール

反則無しの何でもあり。
参加者間のやりとりもなんでもあり。
最後まで生き残った一人が優勝となり、元の自分の世界へ帰還出来る。
主催者である>>1に好きな褒美を一つだけ貰える。

支給品

■地図……バトルロワイアル会場の地図。エリア区分も記載されている
■参加者名簿……バトルロワイアル全参加者の名前が載った小冊子
■筆記用具……小さなメモ帳と黒ボールペン
■懐中電灯……高性能ランプ。電池式なので電池切れに注意。防水。
■デバイス……小型の端末機。方角と現在位置、時刻が分かる
■食糧……2Lペットボトル入りの水二本とコッペパン四個。無くなったら自弁してね
■ランダムアイテム……武器、防具、日用雑貨その他といった支給品が1〜2個入っている

デイパックには何でも入るようになっている。
だが、参加者は入らない。死体も同じ。
また、さすがに入らないと思われるもの(巨大貨物船等)は入らない。

参加者には首輪が装着されている。
クロスオーバーロワと言う事もあり、作品によっては復活可能な物もあるが、
それに該当する参加者は死亡すると首輪の効果で復活不可能になる。
いかなるカオス展開も無効化させる効果もあり。
また、禁止エリアに反応し首輪が警告音と共に爆発する効果もあり。
※マップ外は禁止エリアです。

ゲームスタート(0時)から4時間おきに放送が行われる。
放送で知らされるのは放送から放送の間に死んだ参加者、禁止エリア、その他主催者からの一言等。
制限時間は無い…が最後の死者から24時間経つと全員の首輪が爆発する。

≪時間表記≫
深夜:0〜2 黎明:2〜4 早朝:4〜6
朝方:6〜8 午前:8〜10 昼:10〜12
昼間:12〜14 午後:14〜16 夕方:16〜18
日没:18〜20 夜:20〜22 真夜中:22〜24
341創る名無しに見る名無し:2010/05/29(土) 01:52:34 ID:86x2N1yy
マップ

 .A B C D E F G H
1海灯道駅平森雪山
2海海道道道湖雪雪
3海海道林林森森森
4海街街ホ平平平駅
5海海浜街平搭平海
6海遊橋道道草建海
7海海海道森村森岬
8海海駅道街森廃森
9海海海道道森丘山

海…ただの海。泳げないと死んじゃう。
道…普通の道。公道
平…平地。
森…普通の森。
林…普通の林。森より視界がクリア。
街…街。民家や店が並ぶ。ライフラインは生きている。
村…小さな村。田畑がある。
湖…綺麗な水が溜まっている湖。
廃…廃屋。結構広い。
雪…雪が降り積もる地帯。
山…小高い山。登るのにそう苦労しない程度の山。
ホ、遊、駅…それぞれ大きなホテル、海上遊園地、無人駅。電車は無人でも動くようになっている。
342創る名無しに見る名無し:2010/05/29(土) 02:00:29 ID:86x2N1yy
その他施設詳細

D-1 C-8 H-4:それぞれ駅がある。
B-6:海上遊園地
B-4:巨大ホームセンターがある。
H-1 H-9:山頂付近に東屋がある。山は山頂まで10分程度の高さ。
F-5:6階建ての高い搭。
G-6:建設現場。周りにかこいがしてあるが入ることは可能。
E-8:大きな病院がある。
?-?:スタート地点兼バトロワ運営室。場所は詳細不明。

電車は3時間で島を一周する。
D-1駅→C-8駅→H-4駅の順番で電車が回る。
343創る名無しに見る名無し:2010/05/29(土) 02:01:25 ID:86x2N1yy
基本的な情報を出しました。たまにはここにいる書き手さん皆で書いてみるのもいいんじゃないですか?
344 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 02:27:39 ID:8pxcnTWr
>>339

非リレークロスオーバー!? 面白そう、ていうか大崎! リフィー! 大田ァ!!
見せしめ要員の大田、また見せしめにされそうな気がしてならないんだがww
っていうか俺もいるしwww創造主と共演って事になるwww

>>343
うーん考えはいいと思うんですけどここは基本「非リレー」ですから
それだと普通のリレーになっちゃうのでここでできるかどうか……。
過去にも「少人数のリレーはOKか?」といった質問がされましたが結局NGになってしましたし、
もしやるとすれば個人の書き手が一人でやる他ないと思われ。

正直自分はリレー小説に向いてないと思いますし……。他の方の意見も伺いたいです。
これはあくまで自分の個人の意見ですから……。


それはそうと投下します。俺得ロワ67話「血風の狂詩曲」
登場:野比のび太、ミーウ、アレックス、ジン、石川昭武、ドーラ・システィール、ピタゴラス
345 ◆WYGPiuknm2 :2010/05/29(土) 02:28:37 ID:Oi5aQQHz
自分で書く事をおすすめしますぜ
ここはあくまで「非リレー」ですから
346血風の狂詩曲 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 02:28:58 ID:8pxcnTWr
67話 血風の狂詩曲


二人の仲間を目の前で失い、更にその死に方が凄惨極まりなかったため、
悲しみよりも吐き気が勝り、元々なかった元気が更にローダウンしたのび太。
しばらく吐瀉を続け、胃液まで吐いてようやく吐き気が収まったが、
相変わらず、首なしのバニーガール、神山アキナの死体、
身体を袈裟に斬られた水着マント(?)の女性、死神五世の死体は地面に横たわっている。

「大丈夫? のび太君。随分吐いてたようだけど……」
「だ、大丈夫です……」

気分的には余り大丈夫ではなかったが、これ以上、最後に生き残った仲間である、
狐獣人の少女で自分より年上のミーウに心配を掛けさせる訳にもいかない。

「二人の荷物を貰おうか。折角だから、使わせて貰いましょ」
「は、はい……」

(ミーウさん……目の前で人が二人も死んじゃったのに、何でこんなに平気でいられるんだろう。
こういう事に、慣れてる……? まさか……ね)

のび太はミーウの余りにも冷静過ぎる態度に疑問を抱きつつも、
五世とアキナの二人の荷物をミーウと共に漁り始めた。

死神五世が持っていた小型自動拳銃マカロフとその予備マガジン、
ノートパソコン、食糧をのび太が、そして神山アキナが持っていた、
元々は五世の支給品で五世がアキナに贈与した脇差、食糧を、
ミーウが貰う事になり、後の基本支給品やアキナの支給品である
拡声器とシアン化リウムは放棄する事になった。

そしてのび太とミーウは再び、目的地の豪邸を目指し道路を歩き始めた。



そしてついに、車庫や庭園のある二階建ての豪邸に到着する。
豪邸正門前でのび太とミーウは、自分達と同じく豪邸を目指しやって来た三人と遭遇した。
赤と白の服を着た少年ジン、白い鉢巻を頭に巻いた青年アレックス、
学生と思しきブレザー姿の青い毛皮を持った狼獣人の青年石川昭武の三人である。

「もしかしてそっちもこの豪邸目指して来たのか?」

ジンがのび太とミーウに尋ねる。

「う、うん。そうだよ。えーと……」
「あ、俺はジン。んでこっちがアレックスで、こっちが石川昭武」
「ジンさん、だね。っていう事はジンさん達も?」

ここでのび太はジン達も豪邸を目指し歩いて来た事を知った。
更に話を聞く内、彼らもまた自分達と同じように殺し合いには乗らず、
脱出する方法を探っている事も。
347血風の狂詩曲 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 02:30:24 ID:8pxcnTWr
「そうなんだ! それじゃあ僕らと一緒だね、ねぇ、ミーウさ――――」

喜び、後ろにいるミーウの方を振り返った時、のび太は思いも寄らない光景を目にする。

「……」

ミーウが持っている突撃銃H&K G3を構え、銃口を自分を向けていたのだ。

(え? ミーウ、さ……)

「危ねぇっ!!」

身体が横に突き飛ばされ、のび太が雑草の生えた地面に叩き付けられるのと同時に、
ミーウの持つG3が火を噴き、ついさっきまでのび太がいた場所に現在立っており、
のび太を横に突き飛ばした少年、ジンの身体を無数の大口径ライフル弾の弾丸が貫通した。
更に、その貫通した弾丸は、ジンの後方にいたアレックスと昭武の二人にも襲い掛かる。

「くっ!!」

アレックスは持ち前の反射神経でギリギリの所で横に跳んで回避したが、

「う、ぁ――――!!!?」

昭武は反応が遅れ、その身を無数の灼熱に貫かれた。
ジンと昭武の二人は地面に崩れ落ち、動かなくなった。
直後、豪邸の玄関の扉が乱暴に開かれ、中から二人の獣人が飛び出してきた。
一人は狐の獣人の女性で手に散弾銃イサカM37を持ったドーラ・システィール。
そしてもう一人は狼の獣人の男性で手に自動拳銃コルトM1911A1を持ったピタゴラス。
豪邸の中にいた二人は突如外から聞こえてきた銃声に、自分の武器を持ち飛び出してきたのだ。

その二人目掛けてミーウはG3の引き金を引いた。
連射音が響き、銃口が火を噴くも、様々な障害物が邪魔になりドーラとピタゴラスは幸運にも無傷だった。
そしてG3が弾切れになり、ミーウは素早く次の弾倉に交換した。

「このくらいにしとこうかな、じゃあね」

腰を抜かしているのび太に笑顔で別れを告げると、ミーウはかなりの速さで市街地方面へと走り出す。

「ま、待て!!」

アレックスが追い掛けようとするが、即座にミーウにより足元に銃弾を撃ち込まれ足を止められた。

「くそっ……!」

遠距離攻撃可能な武器を何も持っていないアレックスは、
高威力のライフル弾を使用する突撃銃相手に太刀打ちできず、
すぐに踵を返して走り去る狐少女の後ろ姿を黙って見詰めるしかなかった。
348血風の狂詩曲 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 02:33:07 ID:8pxcnTWr
「おいアンタら! 大丈夫……じゃ、ないねこれは」
「酷いな……」

ドーラとピタゴラスが生き残ったのび太とアレックスの二人に駆け寄る。
のび太は地面に尻を突いたまま放心状態、アレックスは悔恨の表情を浮かべていた。
片や信じていた仲間に裏切られ、片や今まで行動を共にしていた二人が殺害されたのだ。

「おいお前、しっかりしろ」
「……何で……ミーウさん……」

ピタゴラスの問い掛けにも応じず、のび太はただただミーウの事を考える。
座礁客船にて、自分の放送に応じ仲間になってくれたのは嘘だったと言うのか。
今まで自分や、既に死んでしまったアキナ、五世を騙し続けていたと言うのか。
いや、今思ってみれば、不審な点は幾つか見受けられた。
それでも、自分は何の疑問も抱かずミーウを信じていた。
仲間ができたという安心感と喜びで、警戒心や注意力が薄まっていたのかもしれない。
友達が三人も死に、残る一人も生死不明。
更に追い打ちを掛けるかのように同行していた仲間二人が死に、
最後に残った、仲間にも裏切られ、その上また目の前で二人の人が死んだ。

「あ、あ、あああ――――」
「大丈夫か? おい! ……むぅ、これは駄目か」

のび太の心は、もう限界に達していた。

「アンタ大丈夫かい?」
「俺は……大丈夫だけど……ジン、昭武……」

一方のアレックスは、今まで行動を共にしていた仲間を一気に失い悲しみに暮れていた。
この殺し合いが始まった直後に親友であるブライアンを目の前で失い、
今、また更に二人の仲間を失った。目の前で起きた出来事だったのに何もできなかった。
アレックスは自分の無力さを痛感していた。

「とりあえず、こんな所で立ち話も何だから、家の中に入ろうか」

ドーラがアレックスに豪邸の中へ共に来るように促す。
アレックスは無言で頷き、ドーラと共にジンと昭武の死体から持物を回収し始める。

「ほら、しっかりしろ。お前もとりあえず中に入れ」
「う……う……」

ピタゴラスはのび太の両脇を抱えるようにして、引き摺るような形で豪邸の中へ運んで行った。
349血風の狂詩曲 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 02:34:04 ID:8pxcnTWr
ようやく市街地の入口に辿り着いたミーウは、走り続け乱れた呼吸を整えながら、
手近の民家の門をくぐり、中に入った。
居間と思しき和室に座り、卓袱台の上に上半身を伏せる。

「ふぅ……やっと市街地に着いた。長かったなぁ」

殺し合いが始まり約8時間半。ようやく人気が多そうな市街地へと到着した。
途中、座礁客船にて野比のび太、死神五世、神山アキナの三人のグループに潜り込み、
いざという時の盾とするために表面上は協力姿勢を見せ、共に南部市街地を目指した。
そして道中、五世の仲間であるらしい鎧武者の男、ムシャと遭遇し、
そのムシャにアキナと五世の二人が殺害された。
但し、五世に関しては誤殺だったらしく、ムシャはその後発狂したように叫び声を上げながら、
市街地方面へと走って行ってしまった。

その後、意気消沈したのび太と共に、豪邸に到着する。
そこで同じく豪邸を目指していたというアレックス、ジン、石川昭武の三人に遭遇した。
のび太とジンという少年が会話をしていた時、ミーウはそろそろ頃合だと判断し、
のび太に向け持っていたG3の銃口を向けた。
自分の方に振り向いた時ののび太の驚愕、絶望の混じった表情を思い出すと、
自然とミーウは笑いが込み上げてくる。

(あの子、完全にあたしを信じ切っていたみたいだからねぇ。
それに友達三人死んで、目の前で四人も人が死んで、今まで信じていた人に裏切られて。
のび太、散々ってレベルじゃないわね)

そして、結局のび太はジンなる少年に庇われ、代わりにジンと、後ろにいた狼獣人の学生、昭武が
ミーウの放った銃弾をその身に受け死亡した。
豪邸内からも銃を持った獣人二人――片方は確か見覚えがある――が出てきたので、
無理に戦う事もないと考え、追い縋るアレックスを威嚇しながら市街地まで走り抜けた。

「少し疲れたな……しばらく休もう」

ミーウはしばらく民家内で休息を取る事にした。



【ジン@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク  死亡確認】
【石川昭武@オリキャラ  死亡確認】
【残り27人】
350血風の狂詩曲 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 02:35:00 ID:8pxcnTWr
【一日目午前/H-3豪邸前】

【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:疲労(肉体的、精神的共に大)、呆然自失
[装備]:H&K MARK23(12/12)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、H&K MARK23のリロードマガジン(12×5)、
マカロフ(7/8)、マカロフのリロードマガジン(8×5)、水と食糧(二人分)
[思考]:
0:……。
※アレックス、ジン、石川昭武の名前を記憶しました。
※ムシャの名前と容姿を記憶しました。


【アレックス@VIPRPG】
[状態]:全身にダメージ(軽度)、右腕上腕に裂傷、深い悲しみ、
ジンと石川昭武の持物を回収中
[装備]:サバイバルナイフ
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、USBメモリ
[思考]:
0:仲間を集めて殺し合いを潰す。そして脱出する。
1:ジン……昭武……。
2:元の世界の仲間と合流?
3:首輪も何とかしたい。
4:USBメモリの中身が気になる。
5:ガーゴイルには一応警戒しておく。
6:ムシャ……どうしたんだ?
※襲撃者(高野雅行)の容姿を記憶しました。
※ミーウの名前と容姿を記憶しました。


【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康、ジンと石川昭武(どちらも名前は知らない)の持物を回収中
[装備]:イサカM37(4/4)
[持物]:基本支給品一式、12ゲージショットシェル(30)、防弾チョッキ
[思考]:
0:今の所殺し合いをする気はない。
1:アレックス、野比のび太(どちらも名前は知らない)の保護。
2:ガーゴイル、エルザ、久保遼平、ピタゴラスと行動。
3:シェリーについては保留。
4:首輪を外したい。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※ガーゴイルの知人(ジン、アキラ)のおおよその特徴を把握しました。
※ガーゴイルの言葉の一部が理解できず気になっています。
※久保遼平、ピタゴラスと情報交換をしました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
351血風の狂詩曲 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 02:35:54 ID:8pxcnTWr
【ピタゴラス@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:コルトM1911A1(7/7)
[持物]:基本支給品一式、コルト ガバメントのリロードマガジン(7×5)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪を外したい。
1:アレックス、野比のび太(どちらも名前は知らない)の保護。
2:久保遼平、ドーラ、エルザ、ガーゴイルと行動する。
3:襲われたら戦う。
※参戦時期は本編死亡後です。
※毛皮の色は作者の想像です。
※自分が以前別のバトルロワイアルに参加していた事を久保遼平に話していません。
※ドーラ、エルザ、ガーゴイルと情報交換をしました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。



【一日目朝方/G-5市街地:大城家一階和室】

【ミーウ@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的疲労(大)、潮風の影響で毛皮にベタつき
[装備]:H&K G3(10/20)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、H&K G3のリロードマガジン(20×9)、
脇差、トマホーク(3)、水と食糧(二人分)
[思考]:
0:殺し合いに乗る。
1:しばらく休む。
2:可愛い子(女の子優先、死神五世は守備範囲外)がいたら…フフフ。
※参戦時期は本編死亡後です。
※名簿に書かれた主催者と同姓の二人が気になっています。
※トマホークの血痕は拭き取られたようです。
※アレックス、ムシャの名前と容姿を記憶しました。



※H-3一帯に銃声が響きました。
352 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 02:37:17 ID:8pxcnTWr
投下終了です。あー色々後で修正しておこう。
前よりは死亡ペース遅いと思うんだが。
353 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 22:01:23 ID:8pxcnTWr
投下します。俺得ロワ68話「もう言葉もない、言葉が出ない」
登場:高原正封、仲販遥、トマック、シリウス、アキラ、デスシープ、シェリー・ラクソマーコス
354もう言葉もない、言葉が出ない ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 22:02:35 ID:8pxcnTWr
68話 もう言葉もない、言葉が出ない


高原正封の傷はだいぶ治癒し、余り無理をしなければ歩いて移動もできるようになった。

「よかったたかはらさん、ほんとうにしんじゃうとおもったから……」
「ごめんね遥ちゃん、心配掛けさせて。でも、だいぶ動けるようにはなったよ」

ずっと傍で正封の容体を気にしていた仲販遥が正封を心配する。
よくよく考えれば出会って一日も経っていない男を、可憐な少女がここまで気に掛けてくれるのは稀有な事だろう。
そういう意味では自分は果報者だと正封は思っていた。

「他のみんなは?」
「ええと、シリウスさんとトマックくんはおくじょうにいってそとをみはっているって。
アキラくんとデスシープさんはみまわりだって」
「ふぅ、ん……」



男娼館の屋上にて、サーベルを携えた銀色の人狼シリウスと、
アーマライトAR18アサルトライフルを携えた黒っぽい服に身を包んだ白い狼獣人の少年トマックが、
男娼館の外に広がる市街地を互いに見据えていた。

「銃声も聞こえなくなったな……」
「そうですね……って言うか、今、何人生き残っているんでしょうか」
「放送の時点で残り33人だったが、今はもっと減ってるかもな」

ゲーム開始から9時間近く経過しており、最初の6時間で14人が死亡した。
現在もリアルタイムで死者は出ているのだろう。
自分達が今も生きていられるのは幸運なのかもしれない。

「あの高原っていう狐獣人、良かったな、持ち直したようで」
「そうですね……」
「見た感じ一般人みたいだったけど、やっぱり獣人だな。治癒能力は高いみてぇだ」

二人は数時間前にこの男娼館に同行者でありトマックのクラスメイトである少女仲販遥と現れた
狐獣人の青年、高原正封について話す。
襲撃者の狼獣人の女剣士に瀕死の重傷を負わされたが、
遥、トマック、シリウスの三人による治療の甲斐あって山場は越え、
現在は意識も取り戻し無理がない程度なら歩けるようにもなった。

「あ、そうだ。あのアキラとデスシープは……確か見回り行ってるんだったな」
「はい……そうです」


「ぎゃあああぁぁあああああああああぁあああ!!!」
355もう言葉もない、言葉が出ない ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 22:03:51 ID:8pxcnTWr
突然、誰かの悲鳴がシリウスとトマックの耳に届いた。

「おい、今のは……」
「多分、デスシープの……」
「……行くぞ! トマック!!」

火急の知らせ。今の悲鳴は尋常ではない。
最悪の事態を想定しつつ、二人は悲鳴の方向へと向かった。



「で、デスシープっ……」
「無駄だよ。心臓、肺、腸に至るまで全部斬り裂いたからね。もう死んでる」
「こ、この……!!」

男娼館の玄関ホール。
苦悶の表情で既に事切れた山羊の頭を持った青い悪魔デスシープ。
そのすぐ傍に血で刀身が濡れた太刀を装備した狼の女剣士シェリーが立っていた。
彼女の視線の先には、致命傷ではないものの身動きが取れない程身体を切り刻まれた、
青髪の少年アキラがうつ伏せになりながらシェリーを睨み付けていた。

見回りを行っていたアキラとデスシープを、シェリーは強襲した。
デスシープはアキラを庇おうとしたが、左肩を負傷し両手持ちができないとは言え、
シェリーの剣裁きはデビルチルドレンの力を失ったただの少年に過ぎないアキラと、
魔力を封じられ近接戦闘は不得手なデスシープでは太刀打ちできるものではなかった。

結果、デスシープはシェリーの斬撃をもろに受けほぼ即死。
アキラももはや自力で身動きが取れなくなっていた。

「安心しなガキ。すぐにあんたも仲間の所へ送ってやるよ」

シェリーがアキラの元へ歩み寄る。

(くそっ、くそっ! 身体が、身体が動かない……!!)

アキラはどうにか逃れようともがいたが余りの激痛に立つ事もできなかった。
まだこの男娼館にはシリウス、トマック、高原正封、仲販遥の四人の仲間がいる。
この狼女剣士――そう言えばシリウスから聞いた狼女剣士と特徴が似ているが、
もしや同一人物なのだろうか。だとすれば四人が危ない。
だが、立ち上がる事もできず、息もしずらい。

(こ、ここで死ぬのか、俺は……!?)

狼女剣士が太刀を逆手に持ち替えた。
恐らくあれで自分に止めを刺すつもりだろう。
356もう言葉もない、言葉が出ない ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 22:04:34 ID:8pxcnTWr
(ジン……すまない、俺は、ここまでみたいだ……。
すまないデスシープ、俺を庇おうとしたばっかりに……)

もうどうする事もできない。アキラは心の中でまだ生き残っていると思われる、
親友であり大切な仲間のジン、そして身を挺して庇ってくれたデスシープに、
これから死に行く事を心の中で詫びた。
そしてこの男娼館で出会った四人の志を同じくする仲間の事を思う。

(みんな、早く、逃げ――――)

唐突にアキラの意識は止まった。
その背中には、シェリーの太刀が無慈悲に突き立てられていた。



「て、てめぇ……!!」

シリウスが怒りの表情で、狼女剣士シェリーを睨み付ける。
傍らでトマックもAR18の銃口をシェリーに向けていた。
二人が到着した時にはもう全てが終わった後だった。

「アキラ、デスシープ……」

床に転がる血塗れの二人の死体。
特にデスシープに至っては内臓が飛び出し無惨な状態になっている。

「遅かったねぇ。もう殺しちゃったよ」
「この野郎、タダで済むと思うなよ……!」
「あら、それじゃ私も、この左肩の借り、返させて貰おうか、な!」

太刀を構えシェリーが二人に突進する。

「このぉっ!!」

トマックがAR18の引き金を引き、シェリーに向けて掃射する。
無数の5.56oNATO弾がシェリーの身体を貫く――事はなかった。
弾丸の軌道上に既にシェリーはおらず、トマックに向けて高く跳躍していた。

「トマック! 避けろ!!」

シリウスがトマックに向かって叫ぶが時既に遅し。
シェリーが空中で思い切り太刀を薙ぎ払った瞬間、白い狼の首が宙を舞った。
天井や周囲の床が、断面から噴き出した鮮血で軒並み赤く染まる。
持っていたAR18を床に落とし、トマックの身体は床に崩れ落ちた。
357もう言葉もない、言葉が出ない ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 22:05:39 ID:8pxcnTWr
「……てめぇぇぇぇ!!!!」

シリウスが怒り狂い、サーベルを振り上げシェリーに突進した。
渾身の力で払われた刃をシェリーは太刀で防ぐ。

「剣で私に勝てるとでも思ってんのかい?」

至って余裕の表情で、シェリーはシリウスのサーベルを打ち払った。
衝撃でシリウスが体勢を崩す。

「ちぃっ……!」

急いで体勢を整えようとするシリウス。
だが、それよりも、太刀の刃が銀色の人狼の毛皮を真紅に染めるのが早かった。
胸元に深い斬り傷を負い、肋骨から肺まで損傷したシリウスはごぼっと血を吐き、
ドクドクと床に血を流しながら片膝を突いた。
シェリーは太刀を振り上げ、シリウスに執行の言葉を告げる。

「さよなら」

グサ、というとても嫌な音が響き、シリウスの左鎖骨から心臓にかけて、
太刀の刃が容赦なく入り込み、切り裂いた。

「畜生……畜生、畜生、畜生、畜生……ちく……しょ……う」

シリウスは金色の瞳で最期までシェリーを睨み付け、
そして床に倒れ血溜まりを作り息絶えた。

「ふぅ……」

ようやく自分に手傷を負わせた当人を仕留める事ができ、内心喜ぶシェリー。
それだけではなく、他にも三人のキルスコアを稼ぐ事にも成功した。
思えば、シェリーはその事でやや油断していたのかもしれない。
その背中に向けられた小型リボルバーの銃口に気付くのは、余りに遅すぎた。

四発の乾いた銃声が響き、シェリーの背中に四発の38口径の弾丸が撃ち込まれる。

「がはっ……!?」

血を吐きながら、ゆっくりとシェリーが振り向くと、

「お、お前……生きて……たのか……」

数時間前に、自分が太刀で身体を刺し貫き殺害したと思っていた、
狐獣人の青年が、同行者である少女に抱えられながら、銃口から煙を噴く
小型リボルバー・ニューナンブM60を構えて立っていた。
後ろを取られるという戦士にあるまじき失態を演じた自分を嘲笑いながら、
シェリーは床にうつ伏せに倒れ、動かなくなった。
358もう言葉もない、言葉が出ない ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 22:07:21 ID:8pxcnTWr
突然聞こえた悲鳴。そして銃声。
居ても立ってもいられなくなった正封と遥は、音のした方へ向かった。
正封は歩けるようになったとは言え、まだ全快という訳ではなく無理をすると傷口が開き、
取り返しの付かなくなる可能性があったため、遥に肩を支えられながらの移動だった。

そして現場に到着した時、既に事は済んでしまっていた。

「そんな……シリウスさん、トマックくん、アキラくん、デスシープさん……」
「くそぉ……みんな、死んじまったのかよ……!?」

玄関ホールは血の海となっていた。
シリウス、トマック、アキラ、デスシープ、そしてたった今撃ち倒した狼獣人の女剣士。
五人もの屍が転がっていた。
恐らく、狼女剣士が四人を殺害したのだろう。

「たかはらさん……」

遥が沈んだ口調で言う。

「どうして……どうしてこんなことになっちゃったのかな……。
みんなでこんなころしあいなんかしたってなんのいみもないよ……。
なのに、どうして、このおおかみのおんなのひとみたいに、
ころしあいをするひとがいるの……? こんなのおかしいよ……」
「……遥ちゃん……」

正封も遥と同じ気持ちだった。あのリリアという女性はなぜこのような馬鹿げたゲームを始めたのか。
なぜ、ゲームに則って殺し合いをする人々がいるのだろうか。
人とは案外簡単に一線を越えてしまうのだと、何かの本で読んだ事はあったが。

「たかはらさん、わたし、もういやだよ……たえきれないよ」

遥が目に涙を浮かべながら正封に言った。
正封には遥の心境が痛い程理解できたが、掛けてやれる言葉が見付からなかった。


パン!!


――見付かったとしても、掛けられる機会は永遠に失われた。

「え……?」

正封の目の前から遥が消えた。
否、視界の端に、こめかみの辺りに穴が空いた遥が床に倒れて行くのが見えた。
ふと、正封は床に倒れ息絶えているはずの狼女剣士の方に顔を向ける。
359もう言葉もない、言葉が出ない ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 22:08:27 ID:8pxcnTWr
「くく……ざまぁ、ない、ねぇ」

僅かに上体を起こした狼女剣士が、どこからともなく取り出した小型拳銃の銃口をこちらに向けていた。
狼女剣士はまだ辛うじて生きていたのだ。

更に乾いた銃声が一発響く。
だが今度は狼女剣士ではなく、正封のニューナンブが火を噴いた。
左目を撃ち抜かれ、狼女剣士――シェリー・ラクソマーコスは今度こそ永遠に活動を停止した。

「……遥、ちゃん……?」

正封は床に倒れた遥に正封が近寄る、が、結果は火を見るよりも明らかだった。
こめかみから銃弾が貫通して生きていられるはずはない。
先程まで屈託のない笑顔や、悲しみの表情を浮かべていた遥の可愛らしい顔は、
もう何の表情も宿していなかった。

仲販遥は死んだ。
他の仲間も、襲撃者も、全員死んだ。自分だけが生き残った。

床に膝を突き、突っ伏しながら、正封は嗚咽を漏らし始める。

「何で……何で俺みたいな奴が生き残っちまったんだ……。
もう嫌だ……どうしろってんだよ……畜生、誰か教えてくれよ、なぁ……!
うっ、ううっ……ぐすっ……」

正封の心を絶望が支配する。心の支えになってくれていた仲販遥はもういない。
自分はこれからどうすればいいのか。誰かに殺されるまで、死に怯えるしかないのか。
どうすればいいのか教えて欲しくても、答えを出してくれる者などいるはずもなく。

死屍累々の様相を呈する男娼館の玄関ホールで、
狐の青年はただ、涙を流すだけだった。



【シリウス@オリキャラ  死亡確認】
【トマック@自作キャラでバトルロワイアル  死亡確認】
【仲販遥@自作キャラでバトルロワイアル  死亡確認】
【アキラ@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク  死亡確認】
【デスシープ@VIPRPG  死亡確認】
【シェリー・ラクソマーコス@FEDA  死亡確認】
【残り21人】
360もう言葉もない、言葉が出ない ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 22:09:47 ID:8pxcnTWr
【一日午前/C-7男娼館:玄関ホール】

【高原正封@俺オリロワリピーター組】
[状態]:精神的疲労(極大)、背中から右胸下辺りにかけ刺し傷(処置済)、
深い悲しみ、絶望
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、ニューナンブM60(0/5)、38sp弾(25)
[思考]:
0:今は何も考えたくない。
※俺オリロワ開始前からの参戦、ではないかもしれません。
※「朱雀麗雅」という名前が気になっています。
※胸元に重傷を負っているため、無理な行動は危険です。




※C-7男娼館:玄関ホールに仲販遥、シリウス、トマック、アキラ、デスシープ、
シェリー・ラクソマーコスの死体と持物が放置されています。
※C-7男娼館周辺に銃声が響きました。




≪支給品紹介≫
【アーマライトAR18】
1963年に開発された突撃銃。工作技術が低い第三国でも製造可能な様、
プレス加工部品を多用しているのが特徴。
かつて輸出用ではあるが日本でも生産されていた。
使用弾薬:5.56o×45NATO弾 装弾数:30
361 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/29(土) 22:11:37 ID:8pxcnTWr
投下終了です。人数整理じゃないんだからね!
362 ◆FqMKkvAsCA :2010/05/29(土) 22:15:58 ID:Cp/y9lOq
もう言葉もない、言葉が出ない>うわああああ、あれだけ人数いたのに生き残り一人とは……
えげつないけどこれがロワなのよね……。
自分もUw氏みたいにうまく人死にSSを書けるようになりたいものです。

>>339
ちょwwww自分もいるwwwww
ミクに最高に恨まれてそうなんだがwwwww
書いてくださるなら楽しみに見ますよー

最近投下できてないですよね……書いてはいるのですがどうにも……いずれ投下するつもりです。
363ビッグマグナム ◆6LQfwU/9.M :2010/05/29(土) 22:44:04 ID:YWmlfpC8
街灯のみが照らす小さな公園。
トイレの前にあるベンチに腰かけている男―阿部高和。
「どうなってやがるんだ、一体」
しきりにツナギのホックを上げ下げしている。
(俺は殺し合いよりヤり合うほうが好きなんだがな…)
デイパックの中身をベンチの空いている所に出す。
袋に入ったパンに水。
小さな冊子のような物。
ちょっとがっしりとした本。
ライトに紙とペン、端末。
そして…
「銃…こりゃ本物か?」
銃に付いていた紙には、
「ベレッタM92…アメリカ軍制式拳銃。装弾数15+1」
と書いてあった。

街灯が少ない道を歩く一ノ瀬。
「チッ、面倒臭ぇな…」
肩にM37(MGS3Ver)を抱えながら。
その時ふと公園の中に人がいるのを確認する。
―今仲間を求めて人影まで全力疾走している俺は
傭兵会社に務めている一般的(?)な男
強いて違うところをあげるとすれば
殺し合いにに興味がないってとこかナー
名前は一ノ瀬進

そんなわけでスタート地点の近くにある公園にやってきたのだ
ふと見るとベンチに人影の主が座っていた
(ウホッ!いい男…)
そう思ってると突然その男は僕の見ている前で(ry
364ビッグマグナム ◆6LQfwU/9.M :2010/05/29(土) 22:44:51 ID:YWmlfpC8

「まったく、俺の後ろの童貞がヤバかったぞ」
「悪い悪い、結構いい男だったんでな」
公園内にある東屋で向かいあって座る2人。
「そういやあんたの名前を聞いてなかったな、何て言うんだ」
「俺は阿部高和。自動車修理工をやってる」
そう言いつつ、一ノ瀬の股のあたりをチラ見する。
「…俺は一ノ瀬進だ、傭兵やってる」
しばしの沈黙。
「ここに留まってるのもアレだから、どこか落ち着ける場所に行くか」
立ち上がり、公園の出口へ歩き出す2人…

(だが…どこに向かえばいいんだろうな?見当がつかねー…)
(いい男なんだがな…初体験をさせてやりたいね)

【一日目・深夜/B-7:公園内部】
【一ノ瀬進む@オリジナル・カオス】
[状態]:健康
[装備]:M37(MGS3Ver)(4/4)@メタルギアソリッドシリーズ
[所持品]:支給品一式、不明支給品(確認済み)、M37の弾丸(8個)
[思考・行動]
基本:ゲームには乗らない、殺人を犯す気もない。
1:とにかく行動する。
2:…阿部には注意しないと(後ろの童貞的な意味で)


【一日目・深夜/C-6】
【阿部高和@ニコニコ動画】
[状態]:健康
[装備]:ベレッタM92(15/15)@現実
[所持品]:支給品一式、ベレッタM92マガジン(2リロード分)
[思考・行動]
基本:いい男を同意の上で掘りたい。ゲームは乗る気無し。
1:一ノ瀬と行動する。
2:機会があったら一ノ瀬を掘りたい。だが無理にする気はない。
365 ◆6LQfwU/9.M :2010/05/29(土) 22:45:36 ID:YWmlfpC8
投下終了です。今回の阿部さんは普通だけど普通じゃない感じです。
366 ◆6LQfwU/9.M :2010/05/29(土) 22:47:28 ID:YWmlfpC8
阿部さんの状態表の現在位置が間違ってました
見なかったことに…
367 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/30(日) 09:37:30 ID:1pBv0SxR
投下乙です。オリキャラの一ノ瀬氏に期待。
では自分も投下をば。俺得ロワ69話「It never permits It kills without fail.」(絶対に許さない、殺してやる)といった感じの意味
登場:大宮正悳
368It never permits It kills without fail. ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/30(日) 09:38:58 ID:1pBv0SxR
69話 It never permits It kills without fail.

俺は湖で汚れた身体を洗っていた。
身体中、あのゴメスとか言う髭面野郎の出した白濁液まみれだ。
身体だけじゃない。俺の口の中、胃、直腸にまで同じ液が入り込んでいる。

まさか、男に犯される日が来るなんて思いも寄らなかった。
しかもドラゴンと人間、異種姦じゃん。竜姦じゃん。獣姦じゃん。
あの男そんな事考慮しちゃいないのか。男だったら種族関係なしかい。
まぁ俺も、人間であるご主人と結ばれたいと願っているけど。
いやそうじゃなくて。

未だに尻が痛い。激しく何度も突き上げられたからだ。
最初は痛くて泣き叫んでいたのに、次第に気持ちよくなって別の意味で泣き叫ぶようになった。
認めたくないけど、事実だった。俺は男に掘られてよがり狂い絶頂に達してしまった。何度も。

ご主人に童貞を捧げる前に見ず知らずの髭面男に後ろの童貞を奪われたのだ。

「うっ……うっ……」

自然と涙が込み上げてくる。
あんなもので逝ってしまった自分は何なのだろう。
変態だ。男にヤられてよがり狂って逝くなんて俺は変態竜なんだ。
畜生。畜生。あのゴメスのせいで俺の変な部分が目覚めてしまった。
こんなの一生眠っていて欲しかったのに。

「ゴメス……許さねぇ……!」

喪失感と悲しみは怒りと憎悪へと変貌する。
俺の後ろの童貞を奪ったゴメスは絶対に許すまじ。
武器は奪われてしまったが、俺には鋭い爪と牙もある。
これであいつをぐちゃぐちゃに引き裂いて、あいつの―――を食い千切ってやる!!

これは逆恨みだろうか。
元はと言えば俺がゴメスとその仲間二人に襲い掛かった事が原因だが。
しかしだからと言ってケツを掘られる言われはない。

身体を洗い終わった俺は前進を震わせ水しぶきを飛ばし、
日当たりの良い所で身体を乾かす。

乾かし終わったらゴメス達を追いに行こう。
あいつらが向かいそうな場所はどこだろうか。
そう言えば近場に男娼館があるっぽいけど、可能性は高そうだ。

「ゴメス……お前だけは……!」

ゴメスに復讐する事を誓い、俺は身体が乾くのを待った。
369It never permits It kills without fail. ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/30(日) 09:40:19 ID:1pBv0SxR
【一日目午前/C-5湖】

【大宮正悳@オリキャラ】
[状態]:精神的ダメージ(深刻)、ゴメスに対する憎悪、左脇腹、腹部に打撲、
身体が濡れている
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式(食糧半分消費)
[思考]:
0:元の世界に帰るために、優勝する。
1:ゴメス許すまじ。
2:他参加者を見付けたら容赦なく殺す。
※ゴメスの名前と容姿を記憶しました。また、
高野雅行、ムシャ(どちらも名前は知らない)のおおよその容姿を記憶しました。


投下終了です。
370 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/30(日) 10:56:56 ID:1pBv0SxR
投下します。俺得ロワ70話「とある二人の殺人者の動向」
登場:とある二人の殺人者の動向
371とある二人の殺人者の動向 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/30(日) 10:58:37 ID:1pBv0SxR
登場間違えたww登場:高野雅行、骨川スネ夫です。


70話 とある二人の殺人者の動向


高野雅行は港に立ち寄っていた。
停泊する船舶は大型貨物船から小さなボートに至るまで何もない。
貨物運搬用と思われる古びたフォークリフトやトラックが停車してあるが、
いずれも潮風の影響からか錆が浮き出ている。

「……」

雅行は船着場周辺に漂う異臭に気付く。
その異臭がする方向へ向かうと、船着場のすぐ下辺りの海面に「それ」は浮かんでいた。
紫色の髪を持った少女――の遺体が、波に揺られながら、船着場のブロックに打ち付けられていた。
死因は不明だが、何時間も水に浸かっているのだろう、ふやけて肥大化しているように見える。

周囲を調べるとかなり時間の経過した血痕が見付かった。
少女はこの辺りで殺害され、海に投げ捨てられたのかもしれない。
随分と残酷な事をする者がいる、と雅行は思う。
自分も人の事は言えないが。

水平線の彼方まで見通せるが、船も島影も何も見えない。
この島は一体どこの島なのだろうか。
日本語で看板や標識が書いてあるので自分が住む国らしい事は分かる。
だが島の名前など、地理的に重要な情報が書かれていると思われる部分は全て、
綺麗に消されてしまっている。
これは主催者側の工作だろう。もっとも少し気になっただけで無理をして知ろうとも思わない。

ふと西の方角に目を向ければ灯台が立っているのが見えた。

「……」

次の目的地を見定めた雅行は、灯台を目指し歩き始めた。



骨川スネ夫は獲物を探し市街地を歩いていたが、役場以来、新たな他参加者の姿は見付かっていない。

「はぁ……」

いつからか、死に対する恐怖心も、殺人に対する忌避感もすっかり薄れてしまった。
これは自分が完全に人間としての正常な神経を失い始めている証だろうか。
小学校高学年の少年である自分が積極的に人を殺そうと動いているなどと。
親や近所の人、学校の皆が知ればどうなるだろう。
372とある二人の殺人者の動向 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/30(日) 11:00:25 ID:1pBv0SxR
もしかしたら、無事に元の世界に帰れたとしても、自分は、
今まで通りの生活を送る事はもう不可能かもしれない。
何しろ人殺しに対して抵抗を感じなくなってしまっているのだから。
いや、優勝できたとしても、あの主催者が素直に帰してくれるかどうかは疑問符が残る。
「優勝したら帰れる」というのは主催者が口頭で言っただけでその真偽は知りようがない。
だが、かと言ってもう後に引く事はできない。
既に自分は三人もの命をこの手で握り潰しているのだ。

「のび太……もう今の僕なら、例えお前でも殺せそうな気がするよ……」

自分の手では殺したくないと思っていた友達の野比のび太だったが、
もう三人も手に掛けた後なら、出会ったとしても何も恐れる事はない、とスネ夫は思い始める。

どれだけ自分は人の道を踏み外してしまったのか。

「それにしても……誰もいないなぁ」

普通に人探しをするように、次に殺す相手をスネ夫を少年は探し続ける。

【一日目午前/H-5港】

【高野雅行@俺オリロワリピーター組】
[状態]:健康、H-4灯台へ移動中
[装備]:S&W M3566(10/15)
[持物]:基本支給品一式、S&W M3566のリロードマガジン(15×5)、
ベレッタM1951(8/8)、ベレッタM1951のリロードマガジン(8×5)、ツルハシ(血痕付着)、
ピアノ線、ハンドワイヤーカッター、 水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いを楽しむ。
1:灯台へ行く。
2:ムシャは次会ったら絶対に殺す。
3:フラッシュバック現象が気になる。
※俺オリロワ開始前からの参戦、ではないかもしれません。
※アレックスとムシャの名前と容姿を記憶しました。また、大宮正悳(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※源しずかのデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)はD-5森:南部に放棄しました。
※奇妙なフラッシュバック現象については保留する事としています。

【一日目午前/F-7市街地】

【骨川スネ夫@ドラえもん】
[状態]:健康、至って冷静
[装備]:IMIウージー(32/32)
[持物]:基本支給品一式(水消費中)、IMIウージーのリロードマガジン(32×7)、三八式歩兵銃(2/5)、
6.5o×50R弾(25)、コルト トルーパー(4/6).、357マグナム弾(30)、レミントンM870(4/4)、
12ゲージショットシェル(16)、青酸カリスプレー、コンバットナイフ、 水と食糧(5人分)、
消毒用エタノール、ジッポーライター、焼酎
[思考]:
0:生き残るために殺し合いに乗る。
1:日宮まどかの持物の中から目ぼしい物を回収する。
2:のび太とは会いたくない。
373 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/30(日) 11:01:38 ID:1pBv0SxR
投下終了です。
374 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/31(月) 01:06:00 ID:Iu/si7/w
投下します。俺得ロワ71話「WOLF'S RAIN」
375WOLF'S RAIN ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/31(月) 01:07:17 ID:Iu/si7/w
71話 WOLF'S RAIN


「うえっ……うぷ……」
「……」

稲垣葉月とレックスは、エリアF-6の島役場を訪れ、そこで一人の女性の死体を発見していた。
銀髪の若い女性の死体。胸元に二個の穴が空き血溜まりを作って死んでいる。
初めて生で死体を見た葉月は凄惨な状況に耐え切れず胃の中の物を戻していた。
一方の黒狼レックスは、死体を見た事は今までにも何度かあったため、
それ程動揺はしていなかった。

「大丈夫? ハヅキ……」
「ん……も、もう大丈夫。そ、そうだよね。殺し合いだもんね。
死体くらい、あるよね……うぷ」

本物の死体を見付けた事で、葉月は改めて、
自分が殺し合いの場にいるという事を再確認する事となった。
何とか気丈に振舞うものの、心の奥底の死への恐怖が再び顔を覗かせる。
笑顔を作ってはいるが葉月の身体がブルブルと震えているのがレックスには分かった。

「と、とりあえず、二階へ行こう」
「う、うん……」

何とか葉月を立たせ、二階へ連れて行こうとした時だった。
機関銃の掃射音と同時に、レックスは身体中に灼熱を感じた。

「ガッ……!?」

衝撃で倒れるレックスの視界に映ったものは、全身から血を噴き出して崩れ落ちる、
赤髪の最愛の女性の姿だった。

「やっと見付けたわよ、この変態狼」

銃口から煙を噴き上げる小型サブマシンガン・イングラムを構え、
床に倒れた黒狼と女を睨み付けるのは、銀髪の少女、銀鏖院水晶。

「よくも私の純潔を奪ってくれたわね……覚悟なさい」
「……」

レックスは激痛に耐え、立ち上がり、血反吐を吐きながら水晶の方を向く。
そのレックスの目を見た途端、水晶は凍り付いた。
ぎらぎらと燃え上がるような赤い瞳、皺が寄り切った眉間、
これでもかと言う程牙が剥き出しになった口。
平時なら滅多に見せる事のない、黒狼レックスの憤怒の表情がそこにあった。
376WOLF'S RAIN ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/31(月) 01:08:21 ID:Iu/si7/w
「な、何よ、自業自得でしょ?」
「……でだ」
「え?」

カツ、カツと足の爪が床に当たり小気味良い音を立てる。
レックスが水晶にゆっくりと近付いていった。
黒狼から発せられる威圧的なオーラに水晶はたじろぎ、思わず後ずさりした。
そしてレックスが異様な程静かな声で言う。

「何でハヅキまで撃ったんだ。殺るなら俺だけでいいじゃないか」
「ハヅキ……? その女の事? 何、あんた、その口振りだとずっとその女と
宜しくやってた訳? ハッ、アンタ獣のくせして人間の女にしか発情しないの?
本当に変態狼ね」

本気で激怒しているレックスに怒りを向けられながらも水晶がなお減らず口を叩くのは、
相手は丸腰の上に満身創痍、こちらには連射可能な銃があるという安心感からだったのかもしれない。

「何? 色んな事しちゃった? あんたの根元に瘤の付いたデカ○ンを、
その女の下の口にズボズボやってたの? いや、上の口にも?」
「……黙れ」
「へぇ〜、その女もスキモノよねぇ。人間なのに獣とするなんて。
それともその女も獣にしか欲情しないのかしら?」
「……黙れよ」
「あんたら二人共、変態同士だから番いになっちゃった――――」
「黙れっつってんのが聞こえねぇのかこのクソガキ!!!!」

荒々しい、凶暴な咆哮にも似た怒声をレックスが発する。
空気が震えるようなその怒鳴り声に、水晶は驚き、口を止めた。

「……確かに、俺はお前を無理矢理犯した。純潔を奪った。
だから、俺はお前に殺されても仕方ないと思うよ。でも、な……。
ハヅキは何の関係もない。ハヅキは俺と一緒にいただけで何も知らない。
なのに、お前はハヅキまで撃った! ハヅキまで侮辱した!!
…………お前、死ぬ覚悟はできてんだろうな」
「な、何を……あんたそんな穴だらけの身体で何ができるのよ。こっちには銃があるのよ?」

イングラムの銃口をレックスに向け、尚も優位である事を強調する水晶。
だが、レックスは怯む様子もない。

「……お前、妖狼、ナメてんだろ」

次の瞬間、水晶の横を一陣の風が吹き抜けた。
それと同時に、水晶の目の前から巨躯の黒狼の姿が消えていた。
377WOLF'S RAIN ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/31(月) 01:10:05 ID:Iu/si7/w
「……あ……?」

消えていたのは黒狼だけではなかった。

「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」

水晶の右腕の肘から先が丸々消えてなくなっていた。
突然の出来事、そして激痛に水晶は狂ったように叫ぶ。
ふと後ろを振り向くと、イングラムを持ったままの自分の右腕の肘から先を咥えた、
黒い巨大な狼の姿が。
凶暴かつ残虐な妖狼の本性を、レックスが現した瞬間だった。
水晶の右腕を吐き捨てると、切断面を押さえのたうち回っている水晶に近付いていく。

「く、来るなっ、来るな化け物……!!」

先程までの威勢は完全に消し飛び、涙目涙声になり水晶がレックスを追い払おうとする。

「化け物? そうだよ俺は化け物だよ? 化け物が人間殺すのは当然だろうが」
「い、嫌だっ、お願い助けて、死にたくない! 死にたくないっ!!」

必死に助命を嘆願する水晶を完全に無視し、黒狼が水晶を押し倒し、
鋭い牙をその喉元に当てた。

「あ、ぁ、うああぁぁあああああ嫌だぁああああああぁあああああっ!!!!!」




「うっ……ぐ」

喉元を食い千切られ、絶望と恐怖に満ちた表情のまま絶命した水晶の死体を尻目に、
レックスは痛む身体を引き摺りながら、床に倒れたまま動かない葉月の元へ近付いた。

「……ハヅキ……ごめんよ……俺のせいで……」

自分の行いのせいで、無関係の葉月まで巻き添えにしてしまった。
心から愛していた女性を、死なせてしまった。
レックスの目から、自然と涙が溢れ出る。

「……レックス……」
「!! は、ハヅキ!!」

死んでいたと思っていた葉月の口から自分の名前が呼ばれた事に、
レックスの心に希望の光が差し込んだ。
だが、その希望はすぐに絶望へと変わる。
378WOLF'S RAIN ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/31(月) 01:14:10 ID:Iu/si7/w
「……ごめん……レックス…………私、もう駄目みたい……げほっ!」
「そ、そんな……ハヅキ!! しっかりしてよ!!」
「いい、の……分かるの……って言うかレックス、貴方も撃たれてるんでしょ……?」
「お、俺は平気だよ! 妖狼だよ? そんじょそこらの獣より頑丈なんだよ!」
「そ……う…………」
「は、ハヅキ? ハヅキ!!」

レックスは感じていた。葉月の命の火が徐々に徐々に小さくなっていくのを。
もうすぐ葉月はいなくなる。レックスの心に言い知れぬ恐怖と、悲しみが襲ってきた。

「い、嫌だ、嫌だよそんなの……お願いだから死なないでよ!
ずっと一緒にいようって言ったじゃないか! ねぇハヅキ……!!」
「そう、ね、だから……お願いが、あるの……レックス」
「な、何?」

もう、自分は死ぬ。ならば、と、葉月はレックスに頼む。

「貴方のその牙で……私の喉を食い千切って」
「……? な、何、言ってるんだよ? そんな事できる訳……」
「お願い、よ……どうせ死ぬなら、貴方に、殺されたい、の……。
そ、それで、ね、食い千切って、こ、殺した後、わ、わたしを……食べて」
「…………!!」
「……そう、すれば……私は、貴方の……血肉になって……生き続けられる、から……」
「は、ハヅキ……!!」

大粒の涙が黒狼の頬を伝い、葉月の顔に垂れて落ちる。

「もう……泣かない、の……」
「……っう……ひぐっ……」

もう、言葉を返す事もままならない。
レックスは、葉月の願いを聞き入れる事にした。
鋭い牙の並ぶ口を、葉月の細い首元に運び、牙を突き立てる。
葉月は覚悟を決め、目を閉じ、レックスに抱き付いた。

「レックス……貴方と会えて、私、幸せだった。救われたよ」

それは俺も同じだと、レックスは心の中で叫んだ。
心のどこかで殺し合いに怯え、死の恐怖に怯えていた自分を、
稲垣葉月という女性は優しく包み込んでくれた。自分のような獣の欲望を受け入れてくれた。
葉月にはどれだけ多くの大切なものを貰ったか分からない。
できれば死なないで欲しかった。生きていて欲しかった。だが、もう――。
379WOLF'S RAIN ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/31(月) 01:15:43 ID:Iu/si7/w
「それじゃ、お願い、レックス……」

そして、遂に葉月が執行を乞う。
泣きながら、レックスは、葉月の首に突き立てられた牙に力を込める。
鋭い牙が、葉月の頸動脈、気管、食堂に深々と食い込み大量の血が溢れ出た。
激痛と苦しみに耐え、葉月がレックスを抱きしめる腕の力を一層強くした。

「れ、くっす……だい、すきだよ……あい、し、てる……ありがとう……」



嫌な音と共に、葉月の喉笛から鮮血が噴き出し、葉月の身体から全ての力が抜け、床に横たわった。
島役場ロビーが、瞬く間に赤い塗料で塗りたくられる。


「うっ……あ……は、ハヅキぃ……」

鮮血に塗れた黒狼が、穏やかな表情を浮かべたまま事切れる赤髪の女性に縋り、
大粒の涙を流し泣きじゃくっていた。


【銀鏖院水晶@自作キャラでバトルロワイアル  死亡確認】
【稲垣葉月@俺オリロワリピーター組  死亡確認】
【残り19人】


【レックス@オリキャラ】
[状態]:全身被弾(命に別条なし)、身体中血塗れ、深い悲しみ
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、ダマスカスソード
[思考]:
0:……ハヅキ……。


※F-6役場周辺に銃声が響きました。
※稲垣葉月、銀鏖院水晶の所持品はそれぞれの死体の周囲に放置されています。
380 ◆UwuX8yY6RQ :2010/05/31(月) 01:18:44 ID:Iu/si7/w
投下終了です。水晶キャラ違くね? と思われた方、
どうか大目に見て下さい。
381 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/02(水) 23:56:14 ID:V9FjGeA7
投下します。俺得ロワ72話「出会い、別れ、男娼館にて」
登場:高原正封、クリス・ミスティーズ、レオン・ミスティーズ、ゴメス、大宮正悳
382出会い、別れ、男娼館にて ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/02(水) 23:57:43 ID:V9FjGeA7
72話 出会い、別れ、男娼館にて


目的地である男娼館近くにあった雑貨屋で、レオンはクリスの足の怪我の応急手当をしていた。
処置とは言っても止血のために包帯を巻いただけなのだが。

「これで良し……歩けるか? クリス」
「はい、何とか……」
「よし……目的地の男娼館までもうすぐだ。頑張ろう」
「クリス、レオン!」

二人がよく聞き慣れた野太い男の声が響いた。
声の咆哮に向くとそこには自分達に向かって走ってくる髭面の巨漢海賊の姿が。

「ゴメス! 無事だったか!」
「ああ。何とかとっちめてきたわ」

その手には戦利品と思われる見覚えのない武器が握られていた。
ゴメスの話によればクリスが足を負傷する原因となった襲撃者は殺してはいないが、
しばらく行動不能な程に痛め付けてやったとの事。
どんな方法を使ったのかと二人が質問したが、なぜか言いにくそうな表情で
はぐらかすばかりで一向に教えなかったた。
レオンもクリスもそこまで深く追求する気もなかったため、すぐに話は切り替わった。

「クリス、怪我の方はどうだ?」
「伯父上に応急処置をしてもらったから、何とか歩く事はできるよ」
「そうか……だが無理はするなよ」
「分かってる」
「それじゃ、改めて行くとするか、二人共」

クリス、レオン、ゴメスの三人は目的地である男娼館へ向け再び歩き始める。

(ふぅ、危ない危ない。流石に掘って気絶させたとは言いずらいからな……)

心の中で安堵の息を漏らすゴメスに、クリスとレオンは気付くはずもない。

周囲を警戒しつつ三人は歩く続け、ようやく男娼館の玄関付近に辿り着く。
しかし、まず三人が見付けたのは玄関前に広がる夥しい量の血痕。
何かを引き摺ったような血の跡が植え込みの中まで続いている。
わざわざ見に行かずとも、漂ってくる異臭で何があるのかは分かる。
但し、異臭は植え込みの中からだけでなく男娼館の玄関扉の向こうからもするようだった。
人狼の姿であるレオンの鋭敏な嗅覚がそれを捉えていた。

そして、玄関扉を開けた先に広がっていたのは――三人の想像を絶する地獄絵図だった。

「こ……これは……」

クリスが信じられないといった表情でその光景を見詰めながら言う。

玄関ホールには全部で六人の死体が転がり、正に「死屍累々」という言葉が相応しい状態だった。
身体を袈裟に斬られた青い山羊のような頭を持った悪魔。
うつ伏せのまま、背中に何かの刺し傷がある青髪の少年。
首を刎ね飛ばされた白い狼獣人の青年。
左肩から胸元に掛けて斬り込まれた銀色の人狼。
こめかみに穴の空いた学生服姿の少女。
左目があるはずの場所がぽっかりと穴が空いている狼獣人の女性。
何れも、まだ死んでからそう時間は経っていないようだった。
383出会い、別れ、男娼館にて ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/02(水) 23:58:41 ID:V9FjGeA7
「ん? こいつは……!」

左目がなくなった狼女性の死体にクリスは見覚えがあった。
それは間違いなく、この殺し合いにおいて最初に遭遇し、交戦した、
シェリー・ラクソマーコスという狼女剣士だった。
すぐ傍に落ちていた抜き身の太刀にも見覚えがあった。

「こいつがお前が言っていたシェリー・ラクソマーコスか?」
「はい伯父上、間違いありません」
「おい二人共……あそこを見ろ」
「ん?」

ゴメスが指差す先には、奥の壁にもたれるようにして、
俯いたまま動かない狐獣人の青年の姿。
三人が近付いてみても何の反応も示さなかったが、どうやら生きているようだった。

「おい、お前。しっかりしろ」
「……あ……」

レオンの呼び掛けにようやく狐青年――高原正封が顔を上げる。
とても憔悴し切った様子で、目には涙を流した跡もあった。

「ここで何があったのか知ってるのか?」

正封はこくりと頷いた。

「そうか……お前、名前は?」
「……高原正封」
「タカハラ、マサトシ……分かった。クリス」
「はい、伯父上」
「こいつから事情を聞いてくれるか。そこの事務室らしい部屋でな」
「分かりました……」

クリスは未だに呆然自失といった様子の狐青年を伴い、
男娼館受付カウンター奥の事務室へと入って行った。

「さて……ゴメス、手伝ってくれるか」
「何をだ?」
「周りの装備品を回収するのをだ」
「……ああ、分かった」

死体の周囲にはそれぞれの持物だったと思われる銃器や刀、デイパックが転がっていた。
持ち主には申し訳ないが自分達の命も危ない現在、使える物は使わなければ。
また、死体も野ざらしにしておくのは忍びなかったが、埋葬する道具など持ち合わせていない。
体力も無駄に消費するのは避けるべきであった。
384出会い、別れ、男娼館にて ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/03(木) 00:00:42 ID:TG5RK5bv
事務室内で、クリスは正封からおおよその事の経緯を聞き取っていた。

「そうか、そんな事が……」

クリス達が男娼館を訪れる僅か数十分前に繰り広げられた死闘。
正封によれば、玄関ホールに倒れていた死体の内、狼女剣士シェリー以外は、
自分と行動を共にしていた仲間だったのだと言う。
だがしかし、シェリーが襲来し、あっと言う間に五人が殺されてしまった。
そのシェリーも正封が射殺し、最終的に自分だけが生き残ったのだと、正封は暗い表情で語った。

「その胸の怪我は……」
「これか……その狼の女に刺されたんだ。いや、さっきじゃないよ。
夜中の内に一回襲われたんだ。その時にやられて……随分気絶してた」
「そうか……」

正封の表情や口振り、そして現場の状況からして、正封が虚偽の応答をしているとは考えにくかった。
そう思うと、クリスは正封に対し、同情を禁じ得なかった。
目の前で仲間が全員殺されたのだ、精神的な疲労も計り知れないだろう。
出会った時の憔悴し切った様子がそれを裏付けていた。

「大変だったんだな……」
「あの……クリスさんだっけ? あんたもあの狼女と戦ったのか?」
「ああ……すまない、こんな事になるのだったら何としてでもあそこでシェリーを
止めておくべきだった」
「い、いや、あんたが謝る事なんかないよ。気にしないでよ」

もし最初に遭遇した時にシェリーを倒す事ができれば、
正封の仲間が全員殺される事もなかったのだろうか。
そう考えるとクリスは胸が締め付けられそうな思いだった。
ただでさえ、自分の妹のせいで多くの人々が苦しめられているのだ。

「正封、俺達はこの殺し合いを潰すために行動しているんだ」
「だろう、ね、殺し合いに乗ってるなら複数で行動したりはしないでしょ」
「……それとな、お前に、言っておく事があるんだ」
「何?」

クリスはしばらく間を置き、そして口を開く。

「俺のフルネームはクリス・ミスティーズ。そして俺達と行動を共にしている、
黒い人狼はレオン・ミスティーズ……俺の伯父上。そして――、
俺と伯父上は、この殺し合いの主催者、リリア・ミスティーズの縁者なんだ」
「……それ、マジで?」
「マジだ」

クリスの予想通り、正封はかなり驚いているようだった。
自分と伯父が主催者の血縁者だという事実を公表するのはクリスも抵抗があったが、
いつまでも隠し通せる事でもない。
主催者側の回し者と疑念を抱かれる恐れもあったが、どうやら正封にその様子はないようだった。
385出会い、別れ、男娼館にて ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/03(木) 00:05:39 ID:TG5RK5bv
「すると、あんたはあのリリアって奴のお兄さんで、あの黒い狼は、二人の伯父さんって事か?」
「そうだ」
「こりゃあ……あの主催者、自分の親戚まで殺し合いに参加させてるのか。
相当イカれて……あ、ごめん、実の妹なんだよな」
「いや、いいんだ。確かにあいつは正気の沙汰じゃない……」

そう、大勢の人々を強制的に集め、爆弾内蔵の首輪をはめ殺し合いを強要し、
自分は高見の見物などと、常軌を逸している。
例え自分の実妹でも到底許す事などできない。できるはずもない。

「だから、何としてもこの殺し合いを潰すんだ。
正封……俺が言えた義理じゃないけど、協力してくれ」

正封に共闘を願うクリス。正封はしばらく迷った末、口を開いた。

「……怪我してるから無理はできないけど、それでもいいなら……」
「本当か。いや、俺も足を怪我しているからその点ではおあいこみたいなものだ」
「おあいことかそういう問題か??」





クリスと正封が事務室内で意気投合していた時、隣の玄関ホールでは、
粗方の目ぼしい武装や道具を回収したレオンとゴメスが、横たわる五人の死体に、
男娼館の備品であるシーツを被せ隠し、簡単ながらも弔っていた。

「随分武器や食糧が増えたな」

ゴメスが回収武器の一つ、アーマライトAR18アサルトライフルを構えながらレオンに言った。

「ああ。後で整理しなければならんだろう。
そろそろクリス達を呼びに行くか」

レオンがこれもまた回収した武器の一つ、サーベルを片手に、
ゴメスと共にクリスと正封がいる男娼館事務室へ向かおうとした、その時だった。
男娼館玄関の扉が開き、ゴメスが良く知る青い飛竜が進入してきた。

「見付けた……! ゴメス……!」
「お前……!」
「あいつは……数時間前に俺達を襲撃した奴か!」

青い飛竜――大宮正悳は憤怒と憎悪に満ちた表情でゴメスを睨み、見据える。

「よくも、よくも俺のケツを掘ってくれたなぁ……!」
「……」

ゴメスは緊張の面持ちのまま、正悳の顔を見据え動かない。
正悳が「あの事」で自分を恨んでいるとは思っていたが、まさかこうも早く、
再び相まみえる事になろうとは。
レオンは事情が今一つ分からなかったが、ゴメスから数時間前に自分達を襲った
目の前の飛竜は――詳細こそ不明だが――意識不明になるまで痛め付けたと
聞かされていたので、恐らくそれが青飛竜の怒りの原因なのだろうとは推測していた。
386出会い、別れ、男娼館にて ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/03(木) 00:07:12 ID:TG5RK5bv
「お前を何とかしなければワシらの命が危なかったからな、
それにワシに銃を突き付けられて『何でもする』と言ったのはお前だろう?」
「何でもするって確かに言ったけどっ……! まさか、
まさかあんな事されるなんてっ、誰が思う!?」

いつしか正悳は涙声になり、その目からも光る物が見えていた。
自分がゴメスに受けた筆舌し難い責め苦の数々を、またそれを受け、
自らの意思とは逆に身体が順応し、悦楽に溺れて行った自分の痴態を思い出しての事だった。
それを見てゴメスも流石に申し訳なく思ったが、元はと言えば、
正悳が先に仕掛け、しかも殺そうとした事が原因である。
確かに尻を掘ったのは完全な個人的趣味でありやり過ぎたかもしれないが。

「お前だけは、お前だけは殺してやる! ガアアアアアアア!!!」

咆哮を上げながら正悳が鋭い爪の付いた右手を振り翳し、ゴメスに向け突進する。

「おい、やめ――」
「どけぇっ!!」
「ぐおっ!!」

行く手を遮ろうとしたレオンを思い切り払いのける。
レオンは二メートル程吹き飛ばされ床の上に激突してしまった。

「ちっ、やむを得ん――――!」

最早説得する余地はない。ゴメスは戦利品のアーマライトAR18の銃口を正悳に向け、
引き金を引いた。
連射音が室内に響き、空薬莢が床に落ちる金属音も同時に鳴る。

「ガッ、アアァアアアアァ……!!」

胴体に大量のライフル弾を受けた正悳の身体は青から赤に染まり、
その口からも夥しい量の血液が溢れ出た。
どう見ても致命傷である――だが、正悳はまだ諦めていなかった。

「ぐっ……ご、の、やろぉぉォォオオ!!!」
「!!」
「ゴメス!!」

レオンが叫んだ時には、渾身の力で振り下ろされた正悳の右手の爪が、
ゴメスの顔の左半分、そして胴体の胸から腹に掛けての左半分を深く切り裂いた。
死体から流れ出た血で汚れた床の上にまた更に新鮮な朱の色が加わる。
387出会い、別れ、男娼館にて ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/03(木) 00:08:59 ID:TG5RK5bv
「げふっ……こ……ここまで……なのか……」

身体中が力が抜け、ガクリと膝を付く。遠退く意識に、ゴメスは自分が死ぬ事を悟った。
悔しくない訳ではない、無念でもある。共にこの殺し合いを潰そうと誓った、
クリス、レオンの二人に、そして、自分が死ぬ遠因となった行為の相手にしてしまった、
目の前の青い飛竜に、ゴメスは心の中で謝る。
そして。

――最後に、脳裏にはっきりと、虹色に浮かんだ。



アレックス……



一方の正悳も、心臓、肺、肝臓、胃、腎臓、腸、生命活動に必要不可欠な
身体の内臓器官がことごとくゴメスの放った5.56oNATO弾の弾頭により、
ズタズタに損傷し、生命活動を維持する事が不可能になっていた。
身体中から力が抜けていく。もう痛みもほとんど感じなくなっている。
自分は真もなく死ぬ。あれ程死ぬのは嫌だったがいざとなるとこうも穏やかでいられるのか。
床に倒れていくのを感じながら、最期に正悳が思うのは、最愛の主人。

(ご主人、申し訳ありません、俺は、もう帰れそうにないです)

(ご主人、できれば、俺の事、忘れないで下さい)

(ご主人、この思い、伝えたかった)

(ご主人、貴方に会えて幸せだった)

(ご主人)

(ご主人)

(ご主人)

(ごしゅ―――――――――)




(―――――――――――)





床にうつ伏せに倒れた正悳は、とっくに意識は消えていた。
その開かれたままの目は、どこか遠くを見詰めたままだった。
388出会い、別れ、男娼館にて ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/03(木) 00:11:32 ID:TG5RK5bv
争う声、そして銃声に、事務室にいた二人が玄関ホールに飛び出した時にはもう時既に遅かった。
ついさっきまで生きていたはずの髭面の海賊、ゴメスが、身体の半分をズタズタにされ絶命している。
そのすぐ傍にはさっきまではなかった青い飛竜の死体が転がっていた。
クリスはその飛竜に見覚えがあった。数時間前に自分達一行を襲撃した、あの飛竜に違いない。
どうやらここまで追ってきたらしい。現場の状況から察するに、ゴメスと相討ちになってしまったようだ。

「な、何て事だ、ゴメス……!」
「また……死人が出たのかよ……」
「……」

新たに二人の死体が増えた男娼館玄関ホールで、
生き残った三人の男が悲しみに暮れていた。




【ゴメス@VIPRPG  死亡確認】
【大宮正悳@オリキャラ  死亡確認】
【残り17人】





【一日午前/C-7男娼館:玄関ホール】

【クリス・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:全身にダメージ(中)、右足裂傷(応急処置済)、悲しみ
[装備]:三徳包丁(刀身に僅かな亀裂有)
[持物]:基本支給品一式、双眼鏡
[思考]:
0:リリアを止める。そのためにもこの殺し合いを潰す。
1:何ていう事だ、ゴメス……。
2:レオン、高原正封と行動する。
3:首輪を外す手段を探す。
4:仲間を集める。同時進行でゴメスの知り合いも捜す。
5:襲われたら対処。
※参戦時期は本編終了後です。
※シェリー・ラクソマーコスの死亡を確認しました。
※足を怪我していますが何とか歩行は可能です。
389出会い、別れ、男娼館にて ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/03(木) 00:14:06 ID:TG5RK5bv
【レオン・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:全身にダメージ(中)、悲しみ
[装備]:シグザウアーSP2340(12/12)
[持物]:基本支給品一式、シグザウアーSP2340のリロードマガジン(12×5)、
サーベル、手斧、手榴弾(3)、コルト ディテクティヴスペシャル(6/6)、
.38sp弾(30)、工具箱、水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いを止め、リリアと会う。
1:ゴメス……。
2:クリス、高原正封と行動する。
3:仲間を集める。同時進行でゴメスの知り合いも捜す。
4:首輪を外す手段を探す。
5:襲われたらそれなりに対処はする。
※参戦時期は本編終了後です。
※拳銃の使い方を一通り覚えました。


【高原正封@俺オリロワリピーター組】
[状態]:精神的疲労(極大)、背中から右胸下辺りにかけ刺し傷(処置済)、悲しみ
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、ニューナンブM60(5/5)、38sp弾(20)
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。とにかく生き残る。
1:……。
※俺オリロワ開始前からの参戦、ではないかもしれません。
※「朱雀麗雅」という名前が気になっています。
※胸元に重傷を負っているため、無理な行動は危険です。
※クリス、レオンの二人が主催者の血縁である事を知りました。



※C-7男娼館:玄関ホールの仲販遥、シリウス、トマック、アキラ、デスシープ、
シェリー・ラクソマーコスの死体には白いシーツが被せられました。
また、六人の持物の内、アキラの鉄パイプ、シリウスの増精剤入り小瓶(半分消費)、
それぞれの水と食糧以外の基本支給品は放置されています。
※シェリー・ラクソマーコスの太刀、FNブローニングM1910(3/6)、
FNブローニングM1910のリロードマガジン(6×5)、トマックのアーマライトAR18(0/30)、
アーマライトAR18のリロードマガジン(30×10)、水と食糧(3人分)はゴメスが回収しました。
※ゴメスと大宮正悳の死体及び持物はC-7男娼館:玄関ホールに放置されています。
※C-7男娼館周辺に銃声が響きました。
390 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/03(木) 00:15:45 ID:TG5RK5bv
投下終了です。何だか急に死亡ペース上がってきたな。
391創る名無しに見る名無し:2010/06/03(木) 11:43:43 ID:8yhFQV8a
投下乙。
悪いが君に怒る資格はないよレックス君。レイプは割と重罪なんだぜ…。

例〉自作ロワの開催理由
392 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/03(木) 22:25:40 ID:TG5RK5bv
>>391
考えれば自分でフラグ立てちゃったんですよねレックスも。

自作ロワの開催理由……そうですね、まさにそうです。

投下します。俺得ロワ73話「仮初めの光求め呑んで候」
登場:ムシャ、須牙襲禅
393仮初めの光求め呑んで候 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/03(木) 22:32:50 ID:TG5RK5bv
73話 仮初めの光求め呑んで候

どれ程走り続けただろうか、いつの間にか周囲の風景は海が見える草原から、
やや古風な鉄筋コンクリートの建物や木造家屋が建ち並ぶ市街地へと変わっていた。
和風鎧姿の男――ムシャはアスファルトの中央で、乱れに乱れた呼吸を整える。
疲労により、錯乱状態にあった自身の精神も、平常に近付いたらしい。

「はぁ……はぁ……五世……」

死神五世。自分と同じく魔王軍四天王の一人で大切な仲間、親友でもあった。
だが、もういない。誤って、殺してしまった。
最終的に死亡を確認した訳ではないため「もしかしたら」という希望に縋りたくもあったが、
自分の振るった刃が五世の胴体を斬り裂いた時の感触や、
五世の負った傷の具合からして、絶望的であろう。

「俺は、何て事をしてしまったんだ……」

殺し合いに呼ばれた自分の仲間、ドラゴナス、死神五世、デスシープの三人の
生存率を少しでも上げるためにムシャは殺し合いに乗った。
そして、まず最初に出会った見ず知らずの少女を手に掛けた。
次に五世と偶然再会した時、五世が連れていた三人の内の一人、
白髪のバニーガールの首を刎ね二人目、眼鏡を掛けた少年に標的を絞り斬り掛かった。

まさか、少年を庇い、五世が飛び出してきて自分に斬られるなどとは思いもしなかった。

五世が最期の言葉を言った所までは記憶に残っているが、
その後自分はどうしたのだろう。
いくら記憶の糸を手繰ろうとしても、ムシャは思い出せなかった。
仲間を誤殺してしまった現実に耐えられず、錯乱し前後不覚になっていたのだろう。

「俺は……もうどうすればいいんだ……くそ……」

ドラゴナス、そして死神五世は死んでしまった。
仲間を生き残らせるために殺し合いに乗り二人の無関係な人間を
手に掛けたというのにもはやそれも無意味な事と化してしまった。
――ちなみにこの時、ムシャはデスシープの事を完全に失念していた。

目的を失ったムシャはこれからの身の振り方について、道のど真ん中を歩きながら考える。
394仮初めの光求め呑んで候 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/03(木) 22:36:22 ID:TG5RK5bv
「……ん」

と、前方から一台の白い車が自分に向かって走ってくるのが見えた。
恐らく他参加者が運転しているのだろうが、スピードを緩める様子がないのは、
どうやら自分を轢き殺す意図があるらしい。

「……」

ムシャが腰に差した直刀の柄を持ち、低く身構える。
この瞬間ムシャは、これからの身の振り方を決めた。



病院にて二つの死体とある程度の医療道具しか収穫のなかった
狼獣人の警察官須牙襲禅は、病院を出て東の方向へ市街地を車で移動していた。
誰とも、生きている者とは遭遇しない。
この南部市街地には、もう生きている参加者はいないのだろうか。
そう考えながら車を走らせていた、その時だった。

「あれは……侍?」

襲禅が運転する車の進行上、まだかなり距離はあるが、
道路のど真ん中に、和風の鎧に身を包んだ――体格からして恐らく男――人間がいた。

「……飛ばすか」

わざわざ車から降りるのも面倒なので車で突っ込み轢き殺す事にした。
アクセルを踏み込み、ハンドルを握り前方の鎧武者に狙いを定める。
車は加速を続け、進路上に鎧武者を確実に捕捉する。
そして、後数十メートル、もはや鎧武者側は絶対に避ける事ができない位置に差し掛かった、
その時だった。



「――――嘘?」


襲禅の運転する車が、中央から真っ二つになった。
二つに分かれた車体は、道路の中心部で抜き身の直刀を振り下ろしていた、
鎧武者――ムシャを素通りし、しばらく走った後、火花が散り、

ドゴオオオオオオオン!!!!

爆発し、炎上した。
395仮初めの光求め呑んで候 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/03(木) 22:40:00 ID:TG5RK5bv
「……」

ムシャはこの殺し合いに優勝する事を決意した。
生きて元の世界に帰りたいためではない。
この殺し合いの主催者――リリア・ミスティーズの元へ行き、
自らの手で殺す――或いは、刺し違えるつもりだった。
仲間を殺してしまい、二人の女性の首を刎ね、更に今、また一人の、
見ず知らずの参加者を殺害した。もう彼を引き止めるものは何もない。

きっと自分は間違っているだろう。結局また、殺戮の道を歩むのだから。
ドラゴナスや五世が生きていたらきっと自分の事を殴ってでも止めたはずだ。
だが、もう二人はいない。片方は自分が殺してしまった。

「行くか……」

舞い上がる紅蓮の炎。それを背にする鎧武者の姿は、まさしく「修羅」だった。



【須牙襲禅@俺オリロワリピーター組  死亡確認】
【残り16人】


【一日目午前/G-5、G-6の境界線の市街地】

【ムシャ@VIPRPG】
[状態]:身体中にダメージ(小)、決意
[装備]:直刀(血痕付着)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)
[思考]:
0:優勝し、リリア・ミスティーズを殺す。それのみ。
※高野雅行の名前と容姿を記憶しました。また、大宮正悳(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※デスシープの事は失念しています。



※G-5、G-6境界線一帯に爆発音が響きました。また、
G-5、G-6境界線の道路で火災が起きています。
※須牙襲禅の死体及び持物は炎上しました。
396 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/03(木) 22:41:08 ID:TG5RK5bv
投下終了です。襲禅何の活躍もなく死亡。
397 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/03(木) 23:03:57 ID:TG5RK5bv
そろそろ次スレの時だろうか……誰かお願いできますか?
398創る名無しに見る名無し:2010/06/03(木) 23:07:28 ID:/RzQd0y8
んじゃ立てます
399創る名無しに見る名無し:2010/06/03(木) 23:11:46 ID:/RzQd0y8
400 ◆UwuX8yY6RQ :2010/06/03(木) 23:47:26 ID:TG5RK5bv
>>399 乙です
401創る名無しに見る名無し