非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ Part7

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1創る名無しに見る名無し
1999年刑行された小説「バトル・ロワイアル」

現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。

基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前の登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などの発表は書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
  〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!

前スレ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1263914398/

非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html
2 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/03(水) 21:25:36 ID:t0LlQw/G
スレ立て乙です。もうPart7になるんだねぇ〜早いねぇ〜
3 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/04(木) 01:40:11 ID:WqM7t627
新ロワの構想がまとまったのでOP投下します。ロワ名:俺得バトルロワイアル
0話 殺戮遊戯、開始
登場:アレックス、リリア・ミスティーズ、黒牙、大木弓那、ドラえもん
4殺戮遊戯、開始 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/04(木) 01:41:30 ID:WqM7t627
0話 殺戮遊戯、開始

俺の名前はアレックス。世界の平和を守る勇者だ。
とは言っても、敵対しているはずの魔王軍の連中は遊んでばかりで悪さも滅多にしないし、
それで俺も近頃はただのニート状態だ。笑うな!
今日も特に何も無い一日だったなぁ、家に帰って、パソコンでもして寝よ。
最近リリアの奴ともご無沙汰だな。今度頼んでみるか。



目覚めた時、世界は暗闇だった。
明らかに俺の部屋じゃないって事は分かる。
なぜならベッドの上では無く固い石造りの床の上に俺は寝ていた。
しかも、周囲からはかなり大人数の人の気配がする。
勿論話し声もだ。老若男女問わず、大勢の人がいるようだ。

「おいおい、ここどこだ? 真っ暗で何も見えないぞ」
「キャッ! ちょっと気を付けてよ!」
「いや、気を付けろって言われてもこう真っ暗じゃ……」

みんな俺と同じように困惑しているみたいだ。
一体何が起きてるんだ? まさか魔王軍の連中がまた何かしでかしたか?
と、俺は自分の首に違和感を感じた。
手で首の辺りを触れてみると、俺の首に金属製の冷たい首輪がはめられているらしかった。
おいおい、一体何なんだこの首輪は?

「うお、眩しっ」

首輪に手を触れていると、突然前方から光が差し込んできた。
すっかり暗闇に慣れてしまった両目を右手で保護しながら光に慣れるのを待つ。
そしてようやくまともに目が開けるようになって、前方に向き直ると明かりが灯されたステージが見えた。
そのステージの上には、青いドレスを着た、どこかの国の王女のような感じの黒髪の女性が立っている。

「リリア!?」

どこかから男の声で誰かの名前が呼ばれた。
ステージ上のあの女に向かって言われたみたいだけど…リリアってあの女の名前?
何という偶然。俺のワイフ的存在と同名だなんて。
いや、そんな事今はどうでも良い。

リリアと呼ばれた青いドレスの女はマイクらしき物を口に当て、喋り始めた。

「ようこそ皆さん。私の名前はリリア・ミスティーズ。お見知りおきを」

丁寧に自己紹介をするリリア。
5殺戮遊戯、開始 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/04(木) 01:43:44 ID:WqM7t627
「リリア! これはどういう事だ! 何をしようとしているんだ!」
「お兄様、すみませんが、少々お静かに。これから説明しますので」
「くっ…!」

先程リリアの名前を呼んだ男が叫ぶが、それを難なく制すると、
リリアは再び演説を始め…ん? お兄様? 兄妹なのか?

「これからあなた方には、殺し合いをして頂きます」

――――な、何だってー!?

リリアの登場で静かになっていた群衆が再びざわめき立つ。
それはそうだ。いきなり殺し合えなんて言われても納得できるはずも無い。

「逃げる事はできません。リタイアもできません。
最後の一人になるまで、皆さん全員で互いに殺し合って頂きます。
どんな手を使っても構いません。とにかく最後の一人になればいいんです」
「ふざけんな! 誰が殺し合いなんかするかよ!!」
「そ、そうよそうよ! 私達を帰して!」

恐らく少年のものと思われる怒声をきっかけに、
群衆はリリアに対し罵詈雑言を浴びせ始める。
それに対し、リリアは特に怒る様子も無い、それどころか不敵な笑みを浮かべたように見えた。

「皆さん、首にはめられている首輪、お気付きでしょうか」

リリアの言葉に、群衆の怒号は止んだ。
前からの明かりで辛うじて見える俺の周りの人々は一斉に首に手をやり、
首輪の感触を確かめ始めた。
この首輪、どうやらここにいる全員にはめられているらしい。

「その首輪、無理に外そうとしたり、逃げようとしたりはしないで下さいね。
もしそんな事をすれば、その首輪が爆発します」

――――な、何だってー!!?

首輪を触っていた奴が一斉に手を下に下ろしたように見えた。

「信じられないという方もおられるでしょうから、実演をしましょう。
はい、持ってきてー!」

リリアがステージの袖の方に声を掛けると、黒と赤の毛皮を持ったワーウルフと、
赤いブレザーを着た女子高生っぽい女の子が、何やらローラー付きの柱に拘束された、
青いタヌキみたいな生き物(?)を運んできた。
よく見ると、首に銀色の首輪がはめられている。
6殺戮遊戯、開始 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/04(木) 01:45:29 ID:WqM7t627
「ど、ドラえもん!!」

甲高い少年の声が響き、群衆を掻き分けて一人の眼鏡を掛けた少年がステージに向かって飛び出した。

バリィッ!!

「うわあっ!」

しかし少年の行く手は見えないバリアーによって阻まれた。
眼鏡少年は後ろに吹き飛ばされ、なおもあのドラえもんと呼んだ青タヌキの名前を叫びながら、
向かって行こうとしたが、周囲の人々に制止された。
ドラえもんは何かを喋ろうとしていたが、口がガムテープらしき物で塞がれ、声を出せないようだった。
リリアは少年の方をチラリと見て、嫌な笑みを浮かべた。
そして、女子高生から何やらリモコンらしき物を受け取り、
リリア、女子高生、ワーウルフの三人がドラえもんから距離を取った。

「いいですか皆さん。首輪が爆発すると……」
「やめろ――――――――――ッ!!!」

少年の悲痛な叫びが聞こえた。ドラえもんが大粒の涙を流しながら、少年の方を見た。

「こうなります」

リリアがリモコンのスイッチを押した。

ピィ――――バァン!!

短い電子音の後に爆発音、そして閃光。
ドラえもんと呼ばれた青タヌキは、首元に大きな穴を開け、もうピクリとも動かなかった。
よく見れば機械部品が見える。あれはロボットだったのか…。

「う、うわああああああああああああああああああ!!!!」

少年の慟哭が聞こえる。
正直に言えば他人事だが、胸が締め付けられるような思いだった。
群衆は、少年が泣きじゃくってる事を除けば完全に静まり返った。
もう誰も、リリアに逆らおうとは考えられなくなったのだろう。
そんな事をすれば自分達もあのドラえもんと同じ運命を辿る事になるから。

群衆の反応を見てリリアが満足そうな表情を浮かべる。
後ろにいるワーウルフと女子高生は表情一つ変えない。

「これで分かって頂けましたか? こうならないように心掛けて下さい。
では、これよりルールの説明に移ります」

リリアから、恐るべき殺戮ゲームの詳細が告げられる。
7殺戮遊戯、開始 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/04(木) 01:46:52 ID:WqM7t627
「先程も言ったように、最後の一人になるまで殺し合って頂きます。
最後まで生き残った方が優勝となり、元の自分の世界に帰る事ができます。
あなた方にはめられた首輪は無理に外そうとする、ゲームの進行を邪魔する、
それと、禁止エリアに入って一定時間経つと爆発します。
禁止エリアについては後で説明しますね。

皆さん一人一人には必要最低限の物資と、武器などの不定支給品が入ったデイパックを渡します。
中身はゲームが始まったらそれぞれ確認して下さい。
特に武器は、当たり外れはありますが何かしら役に立つ物は入っていると思うので。
本当に何の役にも立たないゴミみたいな物だった場合は…運が悪いと思って諦めて下さい。

0時、6時、12時、18時の一日四回、私から放送を行います。
その時間までに新しく死んだ方と、禁止エリアの発表です。
禁止エリアですが…地図の外や、上空100メートル以上も禁止エリア扱いですので注意して下さい。

それと……24時間誰も死なかった場合、全員の首輪を爆破しますので悪しからず。
その時は優勝者は無しです。全員死亡した場合も同じです。

……主なルールは以上です」

くそっ、何てこった…いやまてよ?
復活の魔法、レイズを使えば…。

「ああ、そうでした。あなた方の一部の方が使える魔法やその他特殊能力の類は、
一切使う事は出来ません。これは一般人も多いので、ハンデを少しでも無くすためです」

――――な、何だってー!!!?

じゃ、じゃあ、今死んだらもう二度と復活出来ないって事か…!
いやそれだけじゃ無い、一切って事は、他の攻撃魔法や回復魔法も全部駄目って事か…!?

「皆さん、理不尽だと思われるでしょうが、それは違います。
人生はゲームです。皆さんは必死になって戦って、
生き残れる、価値のあるキャラクターになりましょう。
それでは、ゲーム開始です。皆さん、頑張って下さい」

リリアがゲームの始まりを宣言したのと同時に、俺の意識が遠退いていく。


……くそっ、大変な事になっちまった……俺はこれからどうなるんだ……!
8殺戮遊戯、開始 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/04(木) 01:48:26 ID:WqM7t627
「ふう、いよいよね。楽しみだわ。 あなた達はどう? 黒牙に、弓那」
「今度は見る側ですからね、ちょっと楽しみです」
「でもそれ以上に、私達を生き返らせてくれた事が本当に嬉しいです〜」
「お安いご用よ。部屋は後で案内してあげるわ」

誰もいなくなった暗闇のホールで、リリア、黒牙、大木弓那の三人が他愛も無い会話をしていた。




さあ、楽しい楽しい殺し合いの始まりです。




【ドラえもん@ドラえもん  死亡確認】

【ゲーム開始/残り56人】
9俺得ロワ参加者 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/04(木) 01:51:29 ID:WqM7t627
≪参加者≫
18/18【オリキャラ】
  ○久保遼平/○島崎隆博/○江藤義晶/○神山アキナ/○日宮まどか/○大宮正悳/
  ○永倉萌/○元村憲章/○戸高綾瀬/○石川昭武/○エルザ・ウェイバー/○フォナ・アンシュッツ/
  ○シリウス/○ニコライ/○メリエ/○レックス/○リリィ/○シーザー/
8/8【VIPRPG】
  ○アレックス/○ブライアン/○ゴメス/○ヘレン/○ムシャ/○ドラゴナス/○デスシープ/○ミノタウロス
7/7【自作キャラでバトルロワイアル】
  ○エルフィ/○銀鏖院水晶/○鈴木正一郎/○トマック/○仲販遥/○ノーチラス/○森屋英太
5/5【真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
  ○ジン/○アキラ/○亜美/○ガーゴイル/○ガルム
5/5【俺オリロワリピーター組】
  ○須牙襲禅/○高原正封/○高野雅行/伊藤文子/稲垣葉月
4/4【ドラえもん】
  ○野比のび太/○源しずか/○剛田武/○骨川スネ夫
2/2【ムーンライトラビリンス改造版】
  ○クリス・ミスティーズ/○レオン・ミスティーズ
2/2【FEDA】
  ○ドーラ・システィール/○シェリー・ラクソマーコス
2/2【オリキャラでバトルロワイアル】
  ○ミーウ/○ピタゴラス
2/2【スターフォックスシリーズ】
  ○フォックス・マクラウド/○ウルフ・オドネル

56/56

≪主催者≫
1/1【ムーンライトラビリンス改造版】
  ○リリア・ミスティーズ
≪主催側の人物≫
2/2【俺オリロワリピーター組】
  ○黒牙/○大木弓那
※まだ他にもいるかも?
10俺得ロワルール ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/04(木) 01:54:19 ID:WqM7t627
【基本ルール】
参加者全員で最後の一人になるまで殺し合ってもらう。
最後まで生き残った一人が優勝となり、元の自分の世界へ帰還できる。
参加者の間のやり取りに反則は無し。ゲーム会場の施設の利用も自由。

【首輪】
ゲームの確実な進行のために、参加者全員に特殊金属製の首輪をはめる。
首輪には爆薬と起爆装置が組み込まれており、以下の事をすると爆発する。
@無理矢理外そうとする
A禁止エリアに侵入し30秒経過する
B主催者への反逆。ただしゲーム進行に大きな支障が無ければ問題無し
首輪を爆破された参加者は死亡する。例外無し。

【支給品】
ゲーム開始の際、支給品の入った肩提げ式のデイパックを参加者に渡す。
デイパックは四次元構造で、参加者(死体含む)、明らかに規格外の物以外は、
何でも入れる事ができる。
最初から入っている物は以下の通り。
@名簿……参加者名簿。顔写真付き
A地図……ゲーム会場の地図。主な施設及びエリア区分が載っている
Bコンパス……方位磁針。方角が分かる
C時計……懐中時計。時刻が分かる
D懐中電灯……普通の懐中電灯。暗闇を照らす。ただし居場所がばれやすくなる
E筆記用具……紙と鉛筆。メモ用などに使う。筆談にも?
F水と食糧……三日分。コンビニおにぎりやサンドイッチなど。水はペットボトルに入っている
G不定支給品……武器や防具、日用品といった物がランダムで1〜2個入っている

【放送】
0:00、6:00、12:00、18:00に主催者からの放送が行われる。
内容は死者と禁止エリアの発表。

【禁止エリア】
放送から一時間後に指定のエリアが禁止エリアになる。
また、地図の外や上空100メートル以上も禁止エリア扱いとなっている。
侵入すると首輪が作動する。

【制限時間】
24時間新たな死者が出なかった場合、その時点での生存者全員の首輪を爆破する。
つまり優勝者無し(ゲームオーバー)となる。
また、参加者が全員死亡しても同じく優勝者無し(ゲームオーバー)となる。

【時間帯表記】
深夜:0〜2 黎明:2〜4 早朝:4〜6
朝方:6〜8 午前:8〜10 昼:10〜12
昼間:12〜14 午後:14〜16 夕方:16〜18
日没:18〜20 夜:20〜22 真夜中:22〜24
11俺得ロワマップ ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/04(木) 01:55:30 ID:WqM7t627
【ゲーム会場地図】
ゲーム会場は周囲を大海原に囲まれた孤島。

||01|02|03|04|05|06|07|08|
|A|海|浜|浜|浜|浜|平|ホ|海|
|B|平|街|街|街|街|平|街|街|
|C|平|森|森|森|湖|森|娼|街|
|D|平|精|森|森|森|処|森|平|
|E|船|平|森|鉄|森|森|森|平|
|F|海|平|森|森|学|役|街|街|
|G|崖|ガ|平|平|街|街|街|病|
|H|崖|崖|豪|灯|港|港|海|海|

海……普通の海
浜……砂浜
平……草原や道路
ホ……廃墟と化したホテル
街……住宅地、市街地
精……廃墟と化した精神病院
森……木々が生い茂る森
船……座礁したクルーズ客船
処……処刑場
娼……娼館
鉄……鉄塔
湖……綺麗な水を湛えた湖
学……小中学校
役……島役場
病……普通の病院
崖……断崖絶壁
ガ……ガソリンスタンド
豪……豪邸
灯……灯台
港……港
12 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/04(木) 02:00:10 ID:WqM7t627
投下終了です。えー例によって今回も獣人&人外キャラ多め。
出典キャラは多分キャラ崩壊が著しいと思います。
でも頑張る!
13創る名無しに見る名無し:2010/03/04(木) 19:21:03 ID:46qZnB9H
もう新ロワか、はえーなw
14創る名無しに見る名無し:2010/03/04(木) 22:24:20 ID:bPKmxL7G
また◆UwuX8yY6RQさんかwwwwwwwwww
私の中のアナタの筆の速さが人間とは思えません
期待しています!
15創る名無しに見る名無し:2010/03/05(金) 13:52:53 ID:2C9DYhmw
ま た あ な た か
貴方は化け物かwwww(褒め言葉)
楽しみにしておりますー。
16 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/05(金) 22:56:52 ID:4oSXZgeD
参加者一部変更します。
【VIPRPG】○ミノタウロス→○死神五世
【自作キャラでバトルロワイアル】○森屋英太→○ケトル
それと参加者名簿は顔写真付きとありますが無しにします。
それでは俺得ロワ第一話「泣き虫少年は立ち上がる」投下します。
登場:野比のび太、永倉萌
17泣き虫少年は立ち上がる ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/05(金) 23:03:04 ID:4oSXZgeD
1話 泣き虫少年は立ち上がる


眼鏡を掛けた少年、野比のび太はエリアE-2の草原に突っ伏して泣いていた。

「ドラえもん……!」

未来から来た猫型ロボットであり、自分の大切な友達、いや家族とでも言うべき存在だったドラえもん。
そのドラえもんが――死んだ。

正確には「破壊された」が正しい表現なのだろうが、
ドラえもんはただのロボットなどでは無く、笑ったり、泣いたり、怒ったりした。
現に首輪を爆破される寸前まで、ドラえもんは自分の目を見据えて涙を流していた。
怖かっただろう。苦しかっただろう。悲しかっただろう。
最後の瞬間のドラえもんの眼差しを、のび太は忘れる事はできない。
だから、壊れたなどと無機質な言葉で表したくはなかった。

「何で、何でこんな事にっ…!」

昨日の夜、のび太とドラえもんはいつものように家で就寝したはずだった。
だが目覚めた時には、そこは自分の部屋では無かった。
暗闇ではあったが周囲には大勢の人の気配、ざわめき。
そして首にはめられた金属製の首輪――ドラえもんの命を奪った物と同じ首輪。
あまりに不可解な出来事にのび太はとても混乱した。

唐突に現れた、リリア・ミスティーズと名乗る、艶やかな黒髪を持ち、
両目の瞳が血のように赤く、青色のドレスを着た女性が宣言した。

殺し合え、と。

「ふざけるなぁ…っ!」

どんっ、と雑草が生える地面を思い切り、握り拳で叩き、怒りを露わにするのび太。

どうして殺し合いなどしなくてはいけないのか。
ただ、平穏な日常を送っていただけだと言うのに。
なぜドラえもんが殺されなければならなかったのか。

のび太の心にはリリアに対する怒り、憎しみが湧き起こり、渦巻いていた。

いつの間にか傍に黒いデイパックが置かれているのにのび太は気付く。
チャックを開け、中から取り出したのはまず参加者名簿。
月明かりがあるので何とか文字の判読は可能だった。
18泣き虫少年は立ち上がる ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/05(金) 23:07:30 ID:4oSXZgeD
「!!」

そしてのび太は自分の友人である「源しずか」「剛田武」「骨川スネ夫」の名前を発見した。
やはり自分の友人達もこの殺し合いに呼ばれていたのだ。
リリアに対する怒りがさらに増していく。
次にのび太が取り出したのは一丁の大型自動拳銃と、リロードマガジン5個。
射撃が得意なのび太にとっては当たりの支給品である。
ずっしりと両手から伝わってくる重みと質感がのび太にそれが玩具などではない事を伝えた。

これからどうするべきか、のび太は考える。
無論、殺し合いに乗る気などあるはずがない。
ドラえもんのためにも何としてもこの殺し合いを潰し、そして友人達と一緒に家に帰る。
のび太はそう固く心に誓った。

「これからどこへ行こう…」

周囲を見渡すと、ぽつぽつ街灯が灯った道路の向こう、海の方向に船らしき物が見えた。
どうやら浅瀬か何かに乗り上げてしまった客船のようだ。

「あそこへ行ってみようかな…」

のび太は右手に大型自動拳銃、H&K MARK23を装備し、
肩から自分のデイパックを提げながら座礁客船を目指して歩き始めた。

(ドラえもん…見ててね。僕、君がいなくても絶対に頑張るよ!)

まだ涙の跡が残るその目には、明らかな闘志の光が宿っていた。





のび太からそう離れていない場所でもう一人の殺し合いの参加者がゲームを開始していた。
桃色の髪をツインテールにまとめたセーラー服姿の少女、永倉萌である。

「全く殺し合いなんて……」

溜息をつきながら今自分が置かれている状況を振り返る。
いつものように家で眠りについたはずなのに、目覚めたらリリア・ミスティーズと名乗る女性に「殺し合え」と言われた。
暗闇でよく見えなかったが他にも大勢の人がこの殺し合いに参加させられているらしい。
19泣き虫少年は立ち上がる ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/05(金) 23:12:45 ID:4oSXZgeD
首にはめられた首輪を手でなぞり感触を確かめる。
この首輪は無理に外そうとしたり、逃げようとしたりすれば爆発する死の首輪。
下手な事をすれば、自分にはよく見えなかったが、ステージで首輪を爆破された誰かのように死ぬ。
当然、まだ16歳の高校一年生の少女である萌は死にたくは無かった。
身体が震えているのは決して潮風による寒さだけではないだろう。

近くの茂みに隠れて支給品を確認する。
名簿には全参加者の写真と顔写真が載っているが、自分の知り合いは一人もいないようだった。
他には時計や懐中電灯、筆記用具、コンパス、水と食糧。そして木刀とバイク用の黒いハーフキャップヘルメット。
とりあえずヘルメットを被り、木刀を装備する。

「結構堅そうだなぁ、これで殴られたらきっと痛いよね…」

木刀を手で擦りながら呟く。
いつかこれで人を殴る時が来るのかと思うと、萌はぞっとした。
とにかく下手に動かない方が良いと判断し、萌は海とは反対方向に広がる森に身を隠す事にした。

「…行こっ」

デイパックを肩から提げ、桃髪ツインテールの少女は森へ歩き始めた。



【一日目深夜/E-2平野:幹線道路付近】

【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:健康、リリア・ミスティーズに対する怒りと憎しみ、E-1座礁客船へ移動中
[装備]:H&K MARK23(12/12)
[持物]:基本支給品一式、H&K MARK23のリロードマガジン(12×5)
[思考]:
0:殺し合いを潰す。友人達と一緒に脱出する。
1:座礁客船へ行ってみる。
2:襲われたら戦う。
※永倉萌には気付いていません。

【永倉萌@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:木刀、ハーフキャップヘルメット
[持物]:基本支給品一式
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。死にたくない。
1:森の中で身を潜める…?
※野比のび太には気付いていません。
20泣き虫少年は立ち上がる ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/05(金) 23:17:08 ID:4oSXZgeD
≪支給品紹介≫
【H&K MARK23】
1991年に開発された特殊部隊向けの大型自動拳銃。
堅牢な構造で命中精度も高いがかなり重い。
日本では「SOCOM」または「SOCOM PISTOL」という名前で広く知られている。
使用弾薬:.45ACP弾 装弾数:12発

【木刀】
木材で日本刀を模した物。日本の剣術で形稽古に使用するために作られ、
剣道、合気道においても素振りや形の稽古で使用される(実戦に用いられることもある)。
修学旅行生が何の考えも無く土産屋で買ってしまう物としても有名。

【ハーフキャップヘルメット】
バイクに乗る時に被るヘルメット。フルフェイスと異なり頭の部分だけ覆う。
それなりに頑丈に出来ている。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】永倉萌(ながくら・もえ)
【年齢】16
【性別】女
【職業】高校生
【性格】至って温厚で真面目
【身体的特徴】桃髪ツインテール、巨乳
【服装】襟とスカートが青色のセーラー服、白いニーソ
【趣味】読書、絵描き
【特技】模写(静態、動態どちらも)
【経歴】平凡な家庭で育つ
【備考】日本風異世界国家出身。
21 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/05(金) 23:19:39 ID:4oSXZgeD
投下終了です。今回のロワから支給品はすべて「現実」か「オリジナル」で行きます。
だってそっちの方が簡単だし(爆)
オリキャラの容姿はイメージが合う版権キャラとかを参考に想像してる
22 ◆B/laBRMcz6 :2010/03/06(土) 01:02:09 ID:qetSrYKW
完結&新ロワ&投下乙です。っていうか早っ!
UwuX8yY6RQ氏の速筆には驚くしかないです…

今の悩みは説明っぽくなってしまう文章。
節操無しロワ投下します。

第7話『少女の痕』
登場人物 一ノ瀬ことみ、アルルゥ
23 ◆B/laBRMcz6 :2010/03/06(土) 01:05:00 ID:qetSrYKW
ただ、あの小さな、でも幸せな時間がずっと続いているだけで良かった。

上品な甘いにおいのする煙草を吸いながら私の頭を撫でてくれたお父さん

いつでも私を抱きしめてくれたお母さん

そして、お庭に迷い込んできて友達になってくれた一人の男の子

私はこの小さな幸せが、世界の全てだと信じていた。
だってこれ以上望む物なんて無いと、心から思える満ち足りた毎日だったから。






『君のお父さんとお母さんの乗っていた飛行機が、海に、落ちてしまったんだ……』





だから





『おとーさん…!おかーさん!!どこにいるの!?』





その幸せが壊れた時に




「わたし、いい子にするからっ…いい子にするから……だからっ…おとうさん、おかあさっ…」



私の世界は無くなってしまったんだ…










少女…一ノ瀬ことみは、森林の一際大きな巨木の根元に座り込んでいた。
丸いビー玉のような髪止めを両脇に付けた子供っぽい髪型とは裏腹に、黒を基調としたドレス風の艶やかな服装は観る者にアンバランスな印象を持たせるも、彼女の持つ独特の雰囲気によって奇妙な均衡を保っていた。
この場所に飛ばされてから実に15分は経過したが、この少女はスタート地点から全く動いていなかった。
それはこの場所が殺し合いに乗った者達を迎撃するのに適した場所であるから、と言うわけではなく、此処を拠点としようとしている訳でもない。
というよりも、そもそもこの少女はまだ自分の支給品はおろか、名簿にすら目を通していなかった。
ただ何も考えずこの場に座り込み、時が過ぎるのを感じるのみ。
24 ◆B/laBRMcz6 :2010/03/06(土) 01:05:44 ID:qetSrYKW
ことみはこの会場に連れてこられる直前まで、家の中に閉じ篭り、登校拒否の状態であった。

彼女が幼いときに突然訪れた両親との死別、その日を境に家から無くなってしまった暖かさ。
それら全てを自分のせいとし、自らを責めながら生きてきた幼少時代。

それから10年程の年月を経て、再び巡り合った初恋の男の子、彼が引き合わせてくれた新しい友達。
動き出そうとしていた彼女の時間。


だが、そんなことみの心は、再び壊れてしまった。


事故に遭いかけた親友。
重なる過去の悲劇。
親しい人が自分の前からいなくなる事への恐怖。

過去のトラウマが一気に噴出し、結果恐慌状態へとなってしまった彼女は、他人との関わる事への恐怖から、自らの家に閉じ篭ってしまったのである。



そんな彼女をあの男の子…岡崎朋也は心から心配してくれて、友達と共に待っていると言ってくれた。
だが…



「やっぱり…罰、なのかな…」
誰にも聞こえないくらいのか細い声でことみは呟いた。当然その声を聴くものは誰もいない。
25少女の痕 ◆B/laBRMcz6 :2010/03/06(土) 01:06:42 ID:qetSrYKW
そうだ、やっぱりこれは罰なんだ。
神様はまだ私を許してくれていないのに、私は償いを終えていないのに。
おとうさんとおかあさんの論文を、世界中の人達が求めていた論文を…あの日私の家に来た人が、おとうさんとおかあさんの命よりも大事だと言った論文を、
燃やしてしまったから…だから私は、その研究を一生かけてでも完成させなくちゃいけないのに、
それなのに一瞬でもみんなと一緒に仲良く、幸せに生きていきたいなんて思ったから…



あの日、私のお見舞いに来た次の日から、朋也君はずっと家の裏庭に来ている様だった。
昔、彼と一緒に遊んで、おやつを食べて、お昼寝をして、そして、私たちが初めて出会ったあの庭に。
でも、今は草も伸び放題、真っ白だったイスとテーブルは錆びで埋め尽くされ、もう昔の面影は全く残っていない、あの庭に。
彼は庭を元に戻そうとしている、それはすぐに分かった。

だが、今更そんな事をしても何になると言うのだろうか。
もうあの頃とは何もかもが違う。
服も違う。バイオリンも持っていない。私も朋也君も、もう子供じゃない。

おとうさんとおかあさんも、もういない。

きっと朋也君だってそんな事はすぐに分かる。
そして、こんな事は無駄だと分かり帰っていくだろう。


でもそう思っていた私の思いとは裏腹に、彼は次の日も、次の日も、朝から晩までずぅっと庭を手入れしている様だった。
草を切る音や、土を掘る音は一日中やまず、その音からは、彼の諦めない意志と決意が感じられた様な気がした。
26少女の痕 ◆B/laBRMcz6 :2010/03/06(土) 01:08:27 ID:qetSrYKW
もしかしたら…

もしかしたら、またあの日に帰れるのかな…
彼の行動を感じて行く内に、心の中からそんな感情が少しずつ湧き出してくるのを感じる。



そう考えていると、何時の間にか庭での音がやんでいた。
彼は諦めて帰ったのだろうか…

それとも、もしかしたら…

気がついたら、私は何時の間にか服を着替え、カーテンで閉じられた窓の前に立っていた。
あの頃、朋也君と初めて出会った時の服と良く似た、黒いドレス風の服。

うん。
一歩だけ…一歩だけ踏み出してみたい。
きっと、あの頃に戻れるわけじゃない。
神様はまだ私を許してくれてはいない。
もしかしたら、また大きなショックを受ける様な事があるのかも知れない。

朋也君が私を待っていてくれる保証も、無い。
それでも、今は少しだけ踏み出す勇気をもらったから、だから…!



私はそう決意し、カーテンを一気にひらいた。









27少女の痕 ◆B/laBRMcz6 :2010/03/06(土) 01:10:36 ID:qetSrYKW
でも、そこにあったのは朋也君の姿でも、思い出の庭でも、あの荒れ果てた庭ですら無く。




見覚えの無いホール。

たくさんの人達。

翼の付いた女の子と、尻尾の生えた女の子。

殺し合い。

頭を吹き飛ばされた女の子。

首輪。

ルールの説明。

光の雨の様な物を浴び、死に絶えた謎の怪物。



正直何が起こったのか、どうしてこんな事になったのか、全く考えが追いつかなかった。

でも、一つだけ気付いたことがある。


どうやら私は、神様に許してもらっていない所か、嫌われているのかもしれない、という事だ。









そこまで考え、ふと顔を上げると、何時の間にか一人の少女が心配そうにことみの事を覗き込んでいた。
だが、目が合うと途端に少女はくるりと背を向け、逆方向に向かって走り出した。
ことみが止める間もなく手短な巨木の近くまで走ると、その位置からことみの事を見つめだした。

「……」

「……」

ことみも少女も互いに沈黙。
ことみは状況がいまいち飲み込めなかったがそれ以上に、今自分から他人に話しかける気など無かったので、あえて話しかけなかった。
28少女の痕 ◆B/laBRMcz6 :2010/03/06(土) 01:11:36 ID:qetSrYKW
「…あ」

互いに見つめ合ってから暫くの時間が経過し、やっと折れたのか、向こう側に居た少女が声を上げた。
そして、ことみの事を先程以上に凝視している。


「…?」
だが、よく見るとこの少女、ことみでは無く何か別の物に目を奪われている様だ。
ことみはその少女から視線を外し、少女の視線を追っていくと、その先にはまだ中身の確認すらせずに地面に放り出した自分のデイバッグがあった。
そしてそのバッグからは落としたときにか、幾つかのお菓子が散らばっていた。

(もしかして…お腹、空いてるのかな…?)
ぼんやりと考えながら、ことみはのろのろと近くに落ちていたキャンディーを拾うと包み紙を取り、中身を取り出した。

「……」

少女は相変わらず無言のままではあるが、キャンディーを持っていることみの手のひらに視線を向けていた。

「食べる?」
何時の間にか、自分でも気付かない内にことみは少女に声をかけていた。

「!…」
反応はしたが、近寄ってこない。
まだことみを警戒しているらしい。

そしてことみも、自分が何時の間にかあの少女に話しかけていた事に気付き、驚く。
どうして自分はあの子に話しかけているのだろう。
そう思いながらも、頭の中ではどう接すれば彼女がこっちに来てくれるかを考えている。

(ああ…そうか)

つまり…自分は寂しいのだ。
こんな場所に放り込まれて、恐くて寂しくてたまらない。
死にたい等と思っていたくせに、自分で死ぬ勇気すらないから、殺人者に殺されるか、誰かが自分に接してくれるのを待っていただけ。
その事実を自覚すると共に、ことみは自分がどうしようもなく惨めな存在に思えて仕方が無かった。

「とっても甘くて、おいしいよ?」

そして、そんなことみの心を肯定するように、身体は勝手に少女に話しかけ、自分の口の中にキャンディーを入れる。
口の中でころころと転がしながら食べていく。
イチゴ味で、とても甘かった。

「……」

そうしていると、少女は先程の警戒心が嘘の様に、テテテテテッと軽快な音を立てながらことみに向かって走って来た。
ことみはそれを見ると、もう一つ持っていたイチゴキャンディーの包みを取り出した。

(あれ、この子…)

ことみは自分からもらったキャンディを美味しそうに口に含む少女を見て、違和感を感じた。
それは彼女の耳から、獣の様な耳が生えている事や、後方で見え隠れする尻尾なども勿論なのだが、それ以上に、ことみはこの少女をどこかで見た気がしてならなかった。
29少女の痕 ◆B/laBRMcz6 :2010/03/06(土) 01:15:05 ID:qetSrYKW
「え…と……」

思い出そうとするも、中々思い出す事が出来ない。

一体どこでこの子を見かけたのだったか―――そこまで考え、あの主催者の翼の少女に向かって何かを叫んでいた少女が、この少女と良く似た服を着ていた事を思い出した。

「♪〜〜」

だがそんなことみの心中を知る由も無い獣耳の少女は、変わらず幸せそうに口の中でキャンディーを舐め転がしている。
その光景はひたすらに微笑ましく、これを邪魔するのは邪推かな、とことみは思った。
話は食べ終わった後でも聞けるのだし、もしこの子が機嫌を損ねれば、また自分は此処に一人――
そこまで思考して、ことみは自分で自分を思い切り殴りつけたい衝動で一杯になった。

私は最低だ。
この子に付け込み、自分の寂しさを埋めようとしている。
そしてそれを自覚しながらも、その行動をやめられずにいる。
こんな私が、神様に許してもらえる筈も無いのだ。

「ねぇ。」

急に呼ばれ、舐めていたキャンディーを思わず飲み込む獣耳の少女。
そんな様を見て苦笑しながら、ことみは自分の顔を指差しながら、朋也や親しい友達に最初に使った挨拶を始めた。

「えっとね、ことみ、一ノ瀬ことみ」

そう挨拶をしながらも、そんな自分が可笑しくて仕方なかった。
あれだけ他人と触れ合うのを恐怖していた筈なのに。
今は、違う。
この子の事をもっと知ってみたい。
この子に自分を知ってもらいたい。
自分の寂しさを紛らわせるために。
こんな理由で一人でいる覚悟をあっさりと変えた自分自身を、ことみは深く軽蔑した。

「ひらがなみっつでことみ…呼ぶときは、ことみちゃん」
「ン…アルルゥ」

ことみの自己紹介を聞き終え、少女はすぐに意を理解したようで、笑みを浮かべながら即答してくれた。
その笑顔が、今は、痛い。

「アルルゥ…ちゃん」
「ことみちゃん」
互いに名前を呼び合い、アルルゥは満面の笑みを浮かべつつ新しいキャンディーを口の中に入れる。

とても幸せそうな顔をしながら、キャンディを頬張る少女の顔を見て、ことみはアルルゥに見えないように、そっと…一滴の、涙をこぼしたのだった。
30少女の痕 ◆B/laBRMcz6 :2010/03/06(土) 01:18:06 ID:qetSrYKW
【C-4/林/一日目/深夜】

【一ノ瀬ことみ@CLANNAD】
[状態]: 絶望、食事中
[服装]: 黒のドレス風の服
[装備]: 無し
[道具]: 基本支給品一式、甘味お菓子セット@現実、不明支給品×2
[思考]
基本:???
0: アルルゥとお菓子を食べる
1: 基本的に他人と関わりたくない
2: 自身に嫌悪感
[備考]
※ことみルート終盤、家から出てくる直前からの参戦です。
※名簿の確認をしていません

【アルルゥ@うたわれるもの】
[状態]: 健康、食事中
[服装]: トゥスクルの民族服
[装備]: 無し
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×3
[思考]
基本:???
0: おいしい♪
1: カミュちーどうしたの…?
[備考]

C-4に、甘味お菓子セット@現実の一部が散らばっています。



投下終了です。
なんかことみの立ち位置や心情が、最初に考えてたのと全然違う感じになってしまった…。
31見えない明日 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/06(土) 01:19:47 ID:UImfD6M7
俺も投下します


「銃音が響いてる…まただ…」
うんざりした表情で呟くvもんが。
だが、その表情はどこかこの状況を楽しんでいるようでもあった。
そのとき、誰かが近づいてくる。
「ん?誰?」
急に辺りの空気が冷えたような…そんな感覚に包まれる。
「わたしだよ。そうび よさそうだね」
片手にアイスソードを持ち、影から出てきたのは、うさぎだった。
その剣からは全てを凍り付かせるかもしれない程の冷気が漂っていた。
(…危ない!)
身の危険を感じ、後ずさるvもんが。
そして、かつてvもんがが立っていた場所にアイスソードが振り下ろされる!
「危な…何をするんだ」
アイスソードが当たった地面は、一瞬の内に凍り付いていた。
「かわした…けっこう すばやいね。 でも こんどは はずさない」
アイスソードを構えなおし、そのままvもんがに突進してくる!
素早く走り寄ってくるうさぎに向けてレミントンM31RSを撃ち…込めない。
(何で!?何で弾が出な…)
弾の出ない銃に四苦八苦している間に、アイスソードがvもんがの体を―
「これで…おわりだっ!」
―易々と貫いた。
剣を引き抜くと傷口から血が流れ出るはずが…出てこない。
「体が…凍っていく…!」
傷口から体がどんどん凍り付いてくる。
「あー…これが、死ぬ、ってことか…」
そして氷はvもんがの体を、覆い尽くした。

「なんとか ひとり…でも このじゅう こわれちゃった…」
vもんがの持っているデイパックを調べているうさぎ。
その中でレミントンM31RSは弾詰まりを起こし、なおかつ半分凍りついている。
どう見ても使えるはずがない。
「これ…きかんじゅう? これは つかえるかな」
MINIMI軽機関銃に弾を装填する。
vもんがの持ち物から使える物を取り出し、その場を立ち去るうさぎ。
(どこに いこうかな… びょういん なら ひとが あつまりそう)


【一日目/早朝/D-7とE-7の境目】


【うさぎ@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:アイスソード@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、赤い注射器@SIRENシリーズ、新日暮里のごちそう@本格的 ガチムチパンツレスリング
      MINIMI軽機関銃(200/200)@SIRENシリーズ、MINIMIの弾丸(あと1リロード分)
[思考・行動]:
基本:いきのびる。
1:びょういん へ。

【vもんが@板対抗BR 死亡】
死因:凍死
32 ◆B/laBRMcz6 :2010/03/06(土) 01:20:54 ID:qetSrYKW
って、7じゃなくて6話目でしたwwすいません。
33 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/06(土) 01:21:30 ID:UImfD6M7
投下終了です
病院にみんな集まるんだなあ
34 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/06(土) 01:25:32 ID:UImfD6M7
◆B/laBRMcz6氏、投下乙です
35創る名無しに見る名無し:2010/03/06(土) 02:28:26 ID:ibFNfU0X
・俺得ロワ「泣き虫少年は立ち上がる」
のび太頑張れ、超頑張れ!
あと
>それと参加者名簿は顔写真付きとありますが無しにします
って言ってるけど
>名簿には全参加者の写真と顔写真が載っているが、自分の知り合いは一人もいないようだった。
写真があるだと!?

・節操無しロワ「少女の痕」
ことみー、名簿見てー!
しかしアルルゥは相変わらずだなw

・自己満足ロワ「見えない明日」
板対抗ロワ勢も徐々に減ってきたな。
残り人数も少なくなってきたし完結が近いか!?
36 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/06(土) 09:39:25 ID:Eu+/eHw4
>>35 やべwww恥ずかしいミスwwww
どうもです、修正しました。
37 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/06(土) 21:33:36 ID:Eu+/eHw4
俺得ロワ2話「兄の苦悩」投下します。
登場:クリス・ミスティーズ、シェリー・ラクソマーコス
38兄の苦悩 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/06(土) 21:35:09 ID:Eu+/eHw4
2話 兄の苦悩

街灯が僅かに照らす無人の市街地の路上で、
青い髪に西洋風の鎧とマントを着用した青年、クリス・ミスティーズは頭を抱えていた。

「リリア…どうしてこんな馬鹿げた事を…!」

彼が頭を抱え苦悩している理由は、今自分が参加させられている殺し合いの主催者、リリア・ミスティーズ。
リリアは彼の妹であり、ミスティーズ王国第18代王女なのだ。
だがその性格は唯我独尊かつサディスト、しかも残酷無比。

「あああ…最近やっと政務に復帰してくれたと思ったら、まさかこんな事を計画していたなんて」

長年に渡りミスティーズ王家を苦しめてきた元凶・ガレスを討ち倒し――否、嬲り殺しにし、
連れ去られた監獄城から自分や道中で出会った伯父のレオン、ミニドラゴンのバン、祖先のティアと共に生還したリリア。
監獄城地下深くでの出来事により元々常人ならざる力を持っていたリリアは更に強大な力を手にしてしまった。
生還後、王位に就いたものの、連日の雑務に嫌気が差し職務放棄し地下の個室に籠り完全にニート化。
以来、クリスを含めた周囲の人々や重臣の懸命な説得が続いていた。
そしてその努力が実を結び、ようやくリリアは政務に復帰してくれた――と思った矢先の出来事がこれ。
兄であるクリスとして、頭を抱えずにはいられない。

ついさっき確認したデイパックの中身に入っていた名簿には自分と伯父のレオンの名前の他、
全部合わせて56人もの参加者の名前が記載されていた。
恐らく大半がミスティーズ王国とは何の関わりも無い人物だろう。
これ程大勢の無関係な人々を巻き込んでまで、妹はこの殺し合いを開催したかったのだろうか。

おまけに首には爆薬内蔵の物騒な首輪まではめられている。
この首輪もリリアが作ったのだろうか、いつの間に機械関係の知識まで蓄えていたのか。
見せしめで首輪を爆破され殺されたあの青い耳の無い猫のような生き物と、
その知り合いと思われる少年に非常に申し訳無く思う。
そう言えばリリアを手伝っていたあの人狼と少女は何者なのだろう。

「ここでいくら考えてても仕方無いよな…」

考えているより行動を起こすべきと感じたクリスは、まだ自分の不定支給品を確認していない事を思い出し、
デイパックの中を探り始める。

「包丁に…双眼鏡か」

出てきた物は家庭用の三徳包丁と、双眼鏡の二つ。

「できれば剣が欲しかったけど…仕方ない」

包丁を装備し双眼鏡はデイパックの中に戻す。
これからまずどうするべきか。やはり兄として妹の行いは許せるものではないし何としても止めなくては。
それには仲間を集めて、首にはめられている首輪を外す方法を探す必要があるだろう。
だが、自分が主催者の実兄である事実はどうするべきか。
主催者と名字が同じという時点で何らかの疑いを掛けられる可能性は高い。
それは同じく殺し合いの参加者であるレオン伯父にも言える事だが。
39兄の苦悩 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/06(土) 21:39:41 ID:Eu+/eHw4
「!」

思考していた所でクリスは前方から歩いてくる人影を発見した。
街灯の明かりに照らし出されたのは、茶色っぽい毛皮を持った狼獣人の女性。
露出の高い軽装で、鋭い眼光でクリスの事を見据えている。
その手にはぎらりと光を跳ね返す太刀が握られていた。

「あんた、参加者か?」

狼女性がクリスに尋ねる。

「…そうだ」
「へぇ…名前、聞かせて欲しいな」

クリスは一瞬迷ったが名前だけ教えてもどの道名簿にはフルネームが記載されているので無駄だろうと思い、
正直にフルネームで告げた。

「クリス・ミスティーズだ」
「ミスティーズ? ふぅん…あたしはシェリー・ラクソマーコス」

シェリーはクリスの名字に一瞬反応したものの、
特に触れる事も無く自己紹介をした。

「クリスだったっけ? 悪いけど……死んでくれ!」
「なっ!?」

シェリーは太刀を構えると、一気にクリスに襲い掛かった。
そして間合いを詰めると、太刀を振り上げ、クリス目掛けて振り下ろした。
だが、クリスは太刀の刃を包丁で受け止める事に成功する。

「へぇ、やるじゃない」

一旦間合いを取り、両者は互いに武器を構えたまま対峙した。

「殺し合いに乗っているのかシェリーとやら…!? 馬鹿な真似はよせ!」
「はぁ? 馬鹿はあんただろ。あのリリアって奴が言ってたじゃないか。
最後の一人になるまで殺し合えって。あたしはそのルールに忠実なだけさ」
「くっ…」

まさかこんな殺し合いに乗る者が出るとは。クリスは歯噛みする。
いや、考えて見れば自分を含め56人もいる参加者で、一人二人は乗る者が出なければ返っておかしいのだ。

「さぁて、あんたどうする? そんな包丁で戦えるとは思えないけどねぇ」

太刀を携えながらシェリーがじりじりとクリスに近寄ってくる。
彼女の言う通り、クリスの持つ三徳包丁とシェリーの持つ太刀とでは、
威力面でもリーチ面でも、圧倒的に包丁が不利である。
しかも包丁には先程シェリーの斬撃を受け止めた衝撃で刃に僅かながら亀裂が生じていたのだ。
いやそもそも太刀での一撃を家庭用の包丁で受け止められた事自体が凄いのだが。
40兄の苦悩 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/06(土) 21:41:17 ID:Eu+/eHw4
「…くそっ!」

形勢不利と判断したクリスは無様と思いつつもシェリーに背を向け逃げ始めた。
逃がすまいとシェリーも追撃を開始する。
だがクリスはとある細い路地裏へと逃げ込んだ。
シェリーも後を追い入って行くが路地裏は月明かりも届かない程の暗さ。

「見失った…」

懐中電灯で照らしてみてもクリスの人影はどこにも見当たらない。
シェリーはクリスを追撃するのを諦め、元いた通りへ引き返した。

「そう言えばあいつ、ミスティーズって…この殺し合いの主催者も同じ名字だったけど…。
親戚か何かか? まぁ別にいいけど」




クリスは月の光が海面に映し出されている海岸、砂浜まで来ていた。
波が打ち寄せる音、潮風が心地良い。
だがクリスの心境は穏やかでは無い。

「あまりモタモタしてる訳にもいかないか…」

先程のシェリーと名乗った狼女性のように、既に殺し合いを始めている参加者が、恐らく他にも大勢いるだろう。
兄として妹の愚行には憤っているし責任も感じていた。
無関係な人々が妹の勝手で死に至らしめられようとしている、とても我慢ならない。
何としてもこの殺し合いを潰さなければ、それは兄である自分の義務だとクリスは感じていた。

「絶対止めてみせる! リリア、お前を!」

クリスは妹を止める事を改めて心に誓った。
41兄の苦悩 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/06(土) 21:42:27 ID:Eu+/eHw4
【一日目深夜/A-5砂浜】

【クリス・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:健康
[装備]:三徳包丁(刀身に僅かな亀裂有)
[持物]:基本支給品一式、双眼鏡
[思考]:
0:リリアを止める。そのためにもこの殺し合いを潰す。
1:仲間を集める。
2:襲われたら対処。
3:レオンと合流したい。
4:シェリー・ラクソマーコスには注意。
※参戦時期は本編終了後です。
※シェリー・ラクソマーコスの名前と容姿を記憶しました。


【一日目深夜/B-5市街地:表通り】

【シェリー・ラクソマーコス@FEDA】
[状態]:健康
[装備]:太刀
[持物]:基本支給品一式
[思考]:
0:面白そうなので殺し合いに乗る。
1:とりあえず見付けた参加者から殺していく。
2:ドーラ・システィールについては保留。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※クリス・ミスティーズの名前と容姿を記憶しました。


≪支給品紹介≫
【三徳包丁】
文化包丁、万能包丁とも言われる最も一般的な包丁。
肉、魚、野菜など幅広い材料に対して様々な切り方ができるので、
非常に使いやすい。

【双眼鏡】
望遠鏡の一種で、遠方の物を両眼で拡大して見る光学器械。

【太刀】
反った刀身を持った片刃の両手剣。
打刀(日本刀)との違いは拵のみ。
42 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/06(土) 21:43:32 ID:Eu+/eHw4
投下終了です。
43 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/07(日) 15:41:58 ID:bCMxM4YR
俺得ロワ3話「DEATHGAME OF HELEN」投下します。
登場:久保遼平、ピタゴラス、ヘレン
44DEATHGAME OF HELEN ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/07(日) 15:49:35 ID:bCMxM4YR
3話 DEATHGAME OF HELEN


夜の森の中、懐中電灯で足元を照らしながら久保遼平は歩いていた。

「有り得ないだろ、殺し合いなんて…何なんだあのリリアとか言う奴」

大学生である彼は昨晩、同級生と飲み会に行き、
ほろ酔い気分で帰宅し就寝したはずだった。
しかし気が付けばそこは大勢の見知らぬ人々がいる暗闇のホール。
リリア・ミスティーズと名乗るドレス姿の女性が殺し合いを宣言した。
首にはめられた首輪は無理に外そうとしたり逃げようとしたりすれば爆発する。
その威力はあの暗闇のホールでまざまざと見せつけられた。

「この首輪がそんな危険な物なのかよ」

首にはめられた首輪に手を触れる。
指先から冷たく硬い感触が伝わってきた。

「はぁ……馬鹿げてるぜ全く…」

デイパックの中身は既に確認した。
名簿には知らない名前ばかりで知人友人の名前は一人も見当たらない。
不定支給品は、今ベルトに差し込んでいる鞘付きの大型ナイフと、
デイパックの中に入っているトランジスタラジオ。
ナイフは武器として十分期待できそうだがラジオはどのように使えばいいのだろう。
試しに電源を入れたが入ってくるのは意味不明な放送ばかりだった。

「それにしてもこれからどうするかな…っていうかここどこd」

ダァン!!

「へっ?」

銃声と共に遼平の左頬近くを何かが掠めた。
それが銃弾であり、明らかに自分を狙ったものである事に気付くのに僅か数秒。

ガチャリ。

どこかから微かに聞こえたボルトを引く音。つまりはボルトアクションライフル。
銃に疎い遼平でもそのくらいの事は知っていた。
そして次の瞬間、遼平は脇目も振らず駈け出していた。
銃で威嚇しようにも敵がどこにいるのか分からない。

ダァン!! ダァン!!

「うわっ!!」

逃げるのと同時に銃声及び着弾地点が遼平を追い掛けてきた。
やはり狙われているのは自分だと確信した遼平はひたすらに逃げた。
45DEATHGAME OF HELEN ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/07(日) 15:50:36 ID:bCMxM4YR
銀色の毛皮の狼獣人の男、ピタゴラスは真っ暗な森の道を歩いていた。
そして今自分が置かれている状況を不可思議に思う。

「俺は死んだはずなんだが…」

彼、ピタゴラスは別の殺し合いにおいて、チェーンソーで首を切断され死亡したはずだった。
だが現に今こうして生きて歩き、呼吸もしている。頬を抓って痛いのだから夢ではない。
しかし、首には冷たい爆薬内蔵の首輪。また殺し合いをさせられている。状況は好転していない。
名簿には前回の殺し合いでもあったミーウという名前以外は、全く知らない名前ばかりであった。
そして不定支給品はコルトM1911A1。旧式ではあるが大口径で威力がある大型自動拳銃。
前回支給されたデリンジャーに比べるとかなりマシな武器である。

「まあいい。再び与えられた命。俺がこの殺し合いでするべきこt」

そこまで言い掛けた瞬間、何者かが物凄い勢いでピタゴラスの背中に激突した。

「ぐほっ!!」
「ぐあ!」

両者とも悲鳴を上げ、地面に倒れ込む。

「ぐ……だ、誰だ?」
「いっ…てぇぇ……す、すいません……」

痛みを我慢してピタゴラスが自分に激突してきた人物の方を向く。
それは、ヘレンの狙撃から逃れてきた青年、久保遼平だった。
遼平は必死に逃げる余り、また、夜道の暗さも相まって、
前方に立っていたピタゴラスに直前まで気付かず、思い切り激突してしまったのだ。

「すいません、あの、大丈夫っすか?」
「あ、ああ…何とかな。何かあったのか?」
「え、えーと、森ん中歩いてたら、どこかから狙撃されて、逃げてきたんです」

そう言えば、先程そう遠くない所から銃声が数発聞こえた。恐らくそれだろう。

「そうか、それは災難だったな…とりあえずその懐中電灯を一旦消したらどうだ?
わざわざ自分の居場所を教えているようなものだぞ」
「え? ああ、確かに…」

ピタゴラスに指摘され、遼平はすぐに懐中電灯のスイッチを切りデイパックの中に戻した。
46DEATHGAME OF HELEN ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/07(日) 15:51:53 ID:bCMxM4YR
「その様子だとお前は殺し合いには乗っていないのか?」
「まあ、そうですね…えーと…」
「俺はピタゴラスだ。名前を聞かせてくれるか?」
「久保遼平です」
「クボ、リョウヘイ…分かった。遼平、俺も殺し合いをする気は無い。
どうだ、俺と一緒に行動しないか」

同行を申し出たピタゴラスに遼平は一瞬どうするか迷ったが、
この先一人では不安なので承諾する事にした。

「マジすか…そりゃ嬉しいですね、一人だと不安なんで」
「決まりだ。よろしくな、遼平」
「え、ええこちらこそ、ピタゴラスさん」

こうしてピタゴラスと久保遼平は共に行動する事となった。



「逃がしたみたいね…」

舌打ちをしながら、構えていた三八式歩兵銃を下ろす金髪のエルフ娘、ヘレン。
空になった弾倉に一発ずつ弾薬を装填して行く。
そして5発全弾装填し終えると、ボルトを引きすぐに一発目が発射できる状態にした。
暗闇に紛れ、遠くから近付いてくる懐中電灯の明かりを目印に狙撃したのだが、
やはり暗闇の上、銃に関してはズブの素人である自分の狙撃の命中率などたかが知れていたようだ。

「……」

三八式歩兵銃を携え、ヘレンはため息をつく。

ヘレンは元々、VIPRPGもしもの世界において、
清楚可憐な姿を持つRTPきっての萌えキャラだったが徐々に汚され、
エロゲ、AV出演、スカトロ等、散々なヨゴレ展開の果てにぶっ壊れた。
チェーンソーを振り回したりksgを連発するなど、最近の崩壊ぶりは深刻になっていた。
(VIPRPGwikiヘレンの欄から一部抜粋)

もはやかつての純粋な性格などなりを潜めてしまったヘレン。
そして突如参加させられた殺人ゲーム――殺し合い。
昔似たような内容の黒くて分厚い小説を読んだような気もするが、
そんな事はどうでもいい。

「殺し合い…いいわよ、乗ってやるわよ。アレックスもブライアンもゴメスも、
魔王軍の連中もその他の人達もみんなぶち殺してやろうじゃないの…!」

同じく殺し合いに呼ばれている知人の名前を呟きながら、
ヘレンはその瞳にドス黒い決意の炎を燃やしていた。
47DEATHGAME OF HELEN ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/07(日) 15:53:35 ID:bCMxM4YR
【一日目深夜:F-4森】

【久保遼平@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:ハンティングナイフ
[持物]:基本支給品一式、トランジスタラジオ
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。生き残りたい。
1:ピタゴラスと行動する。

【ピタゴラス@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:コルトM1911A1(7/7)
[持物]:基本支給品一式、コルト ガバメントのリロードマガジン(7×5)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪を外したい。
1:仲間を集める。
2:久保遼平と行動する。
※参戦時期は本編死亡後です。
※毛皮の色は作者の想像です。

【ヘレン@VIPRPG】
[状態]:健康
[装備]:三八式歩兵銃(5/5)
[持物]:基本支給品一式、6.5o×50R弾(25)
[思考]:
0:殺し合いに乗り、優勝を目指す。
1:他参加者を捜す。
2:元の世界の仲間が相手でも容赦しない。




※F-4一帯に銃声が響きました。
48DEATHGAME OF HELEN ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/07(日) 15:54:37 ID:bCMxM4YR
≪支給品紹介≫
【ハンティングナイフ】
狩猟において仕留めた獲物を解体するのに使われる鋭利で頑丈なナイフ。

【トランジスタラジオ】
当初真空管などを使用していたラジオ放送の受信機を、
半導体素子であるトランジスタを使用して小型・軽量・低消費電力化した物。
要するに電池式の小型ラジオ。
ただ壊れているのか様々な放送局の電波が入り乱れ意味不明な放送ばかり流している。

【コルトM1911A1】
1911年に米軍制式となった大型軍用自動拳銃。通称ガバメント。
登場から一世紀近く経った現在でもその洗練された外観や、シンプルで信頼性が高く、
バランスの取れた完成度の高い銃として多くの愛好家が存在する。
使用弾薬:.45ACP弾 装弾数:7発

【三八式歩兵銃】
1905年(明治38年)に旧日本陸軍制式となったボルトアクション小銃。
口径が小さく長い銃身を持つため反動が小さく扱いやすい。
使用弾薬:6.5o×50R弾 装弾数:5発


≪オリキャラ紹介≫
【名前】久保遼平(くぼ・りょうへい)
【年齢】20
【性別】男
【職業】大学生
【性格】人当たりは良いが怠惰な面がある
【身体的特徴】黒髪、中肉中背
【服装】白いジャケットにジーンズ
【趣味】ゲーセン通い
【特技】これと言ってなし
【経歴】高校時代にバスケ部に所属していた
【備考】日本風異世界国家出身
49 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/07(日) 15:56:00 ID:bCMxM4YR
投下終了です。
50終わりへと近付く ◆6LQfwU/9.M :2010/03/07(日) 23:26:45 ID:70pdME6P
「…どうするんだ?ここから移動するか?」
地面に座り込んでいるめろりんに呼びかける。
「…そうだね…行動しないと…あ、これ」
そう言うと、めろりんはノートパソコンを穴に手渡す。
「穴なら、有効活用出来るんじゃないかと思って…」
「そうかもな…ちょっと調べてみる」
そう答えると、パソコンをいじり始める。
…ヴァンの様子がおかしい。
「…おい、どうした?」
声をかけた瞬間。
ボンッ、と音を立てて首輪が爆発した。
2人ともその光景をただ眺めていることしか出来なかった。
「…え?一体、何が…」
異様な光景を、ただただ眺めるしか無かった…。


「何だ、一体何が起きてるんだ?」
病院の裏側に出た雷電と07。
どことなく殺気が漂い、嫌な雰囲気になっている。
その時。
「ぐ…!?」
雷電がその場にうずくまり、苦悶の声をあげる。
「雷電、どうした!?くっ、誰だ!」
銃声のした方向に呼びかける。
「…そう騒ぎ立てなくてもいいじゃないですか」
さらに銃弾を撃ち込む。
その弾丸は雷電の体を貫く。
「う…ロー…ズ…俺…は…」
全身に弾丸を浴び、雷電は息絶えた。
51終わりへと近付く ◆6LQfwU/9.M :2010/03/07(日) 23:27:26 ID:70pdME6P
「雷電…!お前…」
凶弾の主が姿を表す。
…もはや、正気は残っておらず、狂気に飲み込まれた下痢だった。
「おしゃべりをしに来たんじゃないんで。死んでもらいます」
そうして銃を構え、引き金を引く。…が、弾が出ない。
(どうやら弾切れのようだな、だが銃はもう一丁あるようだな)
弾の切れたワルサーPPKを放り出し、狩猟用狙撃銃に持ち替える。
…その時、07が素早くデザートイーグルを撃つ!
「ぐおぉっ…く…やっぱり効くな…」
腹に弾丸が命中したものの、それなりの距離があるおかげで威力は落ちた。
だがさすが大口径拳銃と言うべきか、かなり手痛いダメージを与えた!
腹を抱えその場に蹲っている下痢に近寄り、頭にデザートイーグルを突き付ける。
「これで終わりだ」
だが、その時。
デイパックに隠していた火掻き棒で07の胴を力一杯殴りつける!
「痛ぁっ…!く、お前…!」
息も絶え絶えの中、下痢は力を振り絞り、狩猟用狙撃銃を撃った。
「しまっ…!」
放たれた弾は、07の頭を易々と貫通した。
手に持っている狙撃銃を落とし、その場に倒れこむ下痢。
(俺は…間違っていたのか?それとも、正しかったのか?)
だんだん意識が遠のく中で、考えを巡らせる。
(間違っていても…そうで…なくても…もう、関…係…無い)
(俺は…正し…かった…そう…信じ…たい…な…)
そして微かにあった意識も、完全に無くなった。


【一日目/朝/F-7:街:入り口】


【穴@板対抗BR】
[状態]:健康、血まみれ
[装備]:斬鉄剣@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、業務用ポッキー@テラカオスバトルロワイアル
[思考・行動]:
基本:ゲームに乗る…?
1:一体…何故…?
2:さっきの男(下痢)を見つけ次第殺害する。
※F-7とE-7の間付近に壊れた高周波ブレード@メタルギアソリッドシリーズが落ちています


【めろりん@板対抗BR】
[状態]:健康、悲しみ(大)
[装備]:風切り鎌@かまいたちの夜、ワルサーP38(7/8)@板対抗BR、ノートパソコン@現実
[所持品]:支給品一式、蟹@本格的 ガチムチパンツレスリング、治療道具(6人分)、宇理炎@SIRENシリーズ
[思考・行動]:
基本:人は殺したくない。
1:え…?


【ヴァン・ダークホーム@本格的 ガチムチパンツレスリング 死亡】
死因:首輪爆発
【雷電@メタルギアソリッドシリーズ 死亡】
【07@板対抗BR 死亡】
【下痢@板対抗BR 死亡】
死因:射殺
52 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/07(日) 23:28:37 ID:70pdME6P
投下終了です
4人も減った…こりゃ終わりが近い
53創る名無しに見る名無し:2010/03/08(月) 04:03:46 ID:z98puxiZ
優勝記念にフラウ描きました
ttp://dl5.getuploader.com/g/nolifeman00/22/furau.jpg
54 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/08(月) 23:22:38 ID:UtENqfTe
おおお可愛い! 即保存余裕でしたw 乙です!
あなたはもしや本家自作ロワでも支援絵を残されている方ですか!?
55創る名無しに見る名無し:2010/03/09(火) 01:24:55 ID:P58sgJLX
>>54
ええ、割と定期的にここのSSを読んでたりします
本編が終わっても元気に活躍してる自作ロワのキャラを見ると嬉しくなりますね
56 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/09(火) 23:04:21 ID:DeusLIE5
>>55
自作ロワは正直自分の好きな要素が沢山あって大好きでしたw
てな訳で俺得ロワ4話「天秤は動く」投下します。
登場:骨川スネ夫、亜美
57天秤は動く ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/09(火) 23:05:55 ID:DeusLIE5
4話 天秤は動く

漆黒の海が見える深夜の港。
船着場の上で狐にも似た顔の少年、骨川スネ夫は膝を抱え怯えていた。
彼の脳裏に繰り返し再生されているのは、
同級生であるのび太の家に居候していた22世紀からやってきた猫型ロボットが、首輪を爆破され殺される光景。
その首輪は自分の首にもしっかりはめられていた。

「ドラえもん、ドラえもんがっ…」

ガチガチと震えながら、スネ夫が呟く。
信じられなかった。ドラえもんが死んだなどと。
四次元ポケットから色々な秘密道具を出し、時には楽しく遊び、
時には危機を切り抜け、時には大冒険を繰り広げた。
スネ夫自身、ドラえもんには幾度となく世話になっていた。

だが、ドラえもんはもういない。

そして今、殺し合いという状況に自分は置かれている。
最後の一人にならなければ生きて帰る事はできないという。
デイパックの中には基本支給品と、金属バットが入っていた。
いつも野球で使っているので見慣れているが、今度は使用目的が異なってくる。
これで打つのはボールなどではない。人だ。
人を殴り殺すのに使うのだ。

「い、嫌だ、人を殺すなんてっ…でも、でも死にたくない」

殺人は犯したくない、だが死にたくない。
相反する二つの思考がスネ夫の頭の中で渦巻いていた。

(死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、それなら、
殺さなきゃ、でも、でも――)

名簿にはあの開催式の時に姿を確認したのび太の他にも、
ガキ大将の剛田武、通称ジャイアンと、源しずかの名前もあった。
彼らも殺さなくてはならないのか? 大切な友達を?

(ああ、あああ……!)

スネ夫は悩んだ。その時だった。

「あの…大丈夫?」

左側方から、穏やかな女性の声でスネ夫に声が掛けられた。
目を見開き、スネ夫はゆっくりと声の方向に頭を向ける。
そこには見た事ない衣装に身を包んだ紫髪の、自分より少し年上ぐらいの少女が立っていた。
武器らしい物は持っていないように見える。つまり丸腰だ。

「……!」

そして、スネ夫は遂に決心してしまう。
58天秤は動く ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/09(火) 23:11:14 ID:DeusLIE5
異世界ヴァルハラの時の塔の巫女である亜美は、船着場を歩いていた。
皇帝レミエルを二人のデビルチルドレンが倒し平和が戻ったヴァルハラで、
亜美は人々の復興作業を手伝っていた。
その矢先の出来事だった、リリアと名乗る女性が催すこの殺し合いに連れてこられたのは。

「殺し合いなんて…許されない事だわ」

僅かに怒気の籠った口調で亜美が言う。
平和を願う彼女にとって、最後の一人が決まるまで殺し合わせるゲームなど許せるはずがない。
名簿には元の世界に帰ったはずのデビルチルドレンの二人、
光の御子、ジンと闇の貴公子、アキラの名前、そして帝国軍のデビルである、
ガーゴイルとガルムの種族名が確認できた。
帝国軍のデビルはゲームに乗る可能性が高いが、少なくとも、
ジンとアキラは乗る事はないはずだ。きっとこの殺し合いに抗う方向で動くはず。

「まず、ジンさんとアキラさんと合流しなきゃ…あら?」

前方に人影を発見し、立ち止まる亜美。
どうやら船着場の縁で体育座りをしてうずくまっている少年のようだった。
傍にデイパックがあり、首に首輪をはめている事から参加者である事は間違いない。
何やら頭を抱えぶつぶつと何かを呟いている。

(きっと、恐ろしくて怯えているんだわ)

いつ命を狙われるか分からない殺し合いという状況に、少年は恐怖しているのだろうと亜美は推測する。
勿論亜美自身も全く怖くないという訳ではない。
だがそれでも他人を思いやる気持ちは忘れてはいなかった。

「あの…大丈夫?」

亜美は少年に近付き、優しく声を掛けた。
すると少年はゆっくりと顔を自分の方に向けた。

「えーと、怖がってるみたいだったから、声を…」

亜美が話を続けようとしたが、少年は耳を貸さず、自分のデイパックの中から金属バットを取り出した。
そして金属バットを亜美の方へ向け、血走った目で睨み付ける。
少年の突然の行動に、亜美は驚き、動揺し、逃げるのを忘れてしまった。

「う、うおおおおおおおおおおおおっ!!」

次の瞬間、少年は雄叫びを上げ、金属バットを大きく振り上げ、そして亜美の脳天へ思い切り振り下ろした。

ガァン!!

「がっ……!」

思い一撃が亜美の頭部を直撃し、血が噴き出しアスファルトの上に滴り落ちる。
手足が痺れ、鼻血まで噴き出した亜美はもはや自分がどういう状態なのかも理解できない。
その場にガクリと膝を突いてしまい、朦朧とする意識の中、少年の方に目を向けた。
満月が浮かぶ空に、再び金属バットを振り上げる少年の影がくっきりと映し出されていた。

「……どうして……?」

グシャッ!!

亜美の視界と意識はブラックアウトし、二度と戻らなかった。
59天秤は動く ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/09(火) 23:12:30 ID:DeusLIE5
頭部が変形し血塗れになった無惨な少女の死体を見下ろし、
身体中の震えと動悸が激しくなっているのをスネ夫は感じていた。
とうとう自分は一線を越えてしまったのだ。殺人という禁忌を犯したのだ。
もう後戻りは出来ない。

スネ夫は少女が持っていたデイパックをし少女の死体から引き剥がし、
死体を船着場から海へと落とした。
そして、少女のデイパックを開け、水と食糧、ボトル入りの消毒用エタノールとジッポーライターを入手した。

「ごめん、ドラえもん、のび太、ジャイアン、しずかちゃん」

決して許される事ではないと分かりつつも、
スネ夫は既に殺された友達、そして殺し合いに参加させられている友達の名を呼び、
謝罪の言葉を口にした。



【亜美@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク  死亡確認】
【残り55人】


【一日目深夜/H-5港:船着場】

【骨川スネ夫@ドラえもん】
[状態]:健康、決意
[装備]:金属バット
[持物]:基本支給品一式、亜美の水と食糧、消毒用エタノール、ジッポーライター
[思考]:
0:生き残るために殺し合いに乗る。
1:のび太達とは会いたくない。
2:どこへ行こう…。


※亜美の死体とデイパック(水と食糧抜きの基本支給品入り)は海に捨てられました。
60 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/09(火) 23:14:57 ID:DeusLIE5
投下終了です。
61 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/09(火) 23:35:53 ID:DeusLIE5
支給品紹介が抜けていました。
≪支給品紹介≫
【金属バット】
野球やソフトボールなどで打者が投手の投球を打つために用いられる棒状の用具。
本ロワに登場する金属製以外にも木製や竹製などが存在する。
スポーツ用具だが、不良によって武器となる事がしばしば。

【消毒用エタノール】
小さなボトルに入った医療用の消毒液。
揮発性が高く肌に付けるとひんやりとする。
また、可燃性も強いので着火剤代わりになるかも。

【ジッポーライター】
金属製オイルライター。高い耐久性・耐風性と永久修理保証を誇る。
1932年の発売以来、基本構造にはほとんど変化がないが、
外側のケースに様々な意匠を凝らすことで豊富なバリエーションが生じており、
世界各国に収集家が存在する。

これで本当に投下終了です。
62創る名無しに見る名無し:2010/03/10(水) 22:17:27 ID:33MLj3sc
63 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/11(木) 20:10:48 ID:dv81TsPg
俺得ロワ5話「みきらはうばわれました」投下します。
登場:銀鏖院水晶、レックス
64みきらはうばわれました ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/11(木) 20:13:05 ID:dv81TsPg
5話 みきらはうばわれました

美しい銀髪をなびかせながら、同年代の少女達よりも身長が低めの少女、銀鏖院水晶は夜の市街地を歩いていた。
スカートには自身の不定支給品であるリボルバー拳銃、S&W M19が差し込まれいつでも抜いて構えられる状態となっている。
彼女の目的はただ一つ、優勝し帰還する事である。
突然連れて来られた殺人ゲーム、バトルロワイアル。
最後の一人にならなければ生きて帰る事はできないと主催者は言っていた。
首には爆薬が仕込まれた死の首輪がはめられ主催者の気まぐれで爆破される可能性もある。
爆破されれば間違いなく死ぬだろう。
開催式の時に実演があったらしいが水晶の立ち位置からではその様子を見る事はできなかった。

「それにしても、能力が一切使えなくなってるなんて」

不満気に水晶が呟く。
彼女は一族に受け継がれてきた超能力を持っているのだが、
主催者が設けた制限により発動する事ができなくなっていた。
発動しようとすると何か外部から妨害する力が働いてしまうのだ。

「これじゃ私は愚民達と同類…いや、そんな事認めない!
認めるもんか…なら、能力なしでも戦い抜いてみせるわ!」

元々他人を「愚民」と見下しプライドも高い上に電波で残虐という性悪の水晶。
両親が超能力によって信者を集め宗教団体を組織し、
彼女自身もその超能力を以て他人を「愚民」と言える理由としていただけにこの殺し合いにおける能力の制限は非常に手痛い仕打ちだった。
それでも水晶は自分が「愚民」と蔑んでいる言わば普通の人々と、自分は違うのだと、
証明する事も兼ねてこの殺し合いに乗る決意をした。
参加者名簿にはクラスメイトの名前も数人確認できたが水晶はそんな事気にも留めていなかった。

そしてこれからどこに行こうかと道路上で思案していた時。

水晶の背後の路地裏から、黒い毛皮を持った巨躯の狼が現れた。
デイパックを背負い、首には参加者にはめられる金属製の首輪が光る。
そう、この黒狼もこの殺し合いの参加者の一人。名前をレックスと言った。
ふさふさのタテガミと尻尾、鋭い爪牙、血のように赤い瞳、その外見は見た者を畏怖させるのには十分であった。

涎を垂らし、息を荒げながらレックスが水晶に背後から近付いていく。
水晶は気付かない。

そしてレックスが水晶の背中に体当たりを仕掛けた。

「きゃっ!?」

思いも寄らぬ背後からの体当たりに水晶は前倒しになりうつ伏せの状態になった。
すかさずレックスは水晶の上着の首根っこ辺りを咥え、すぐ近くの裏路地へと引き摺っていく。

「な、何するのよ!? や、やめなさい! やめろっ! 離せ!!」

水晶は涙目になってもがくが叩こうが蹴ろうが喚こうが黒狼は全く動じない。
そうこうしている内に遂に水晶は漆黒の闇に包まれた裏路地奥へと連れ込まれてしまった。

そして――。
65みきらはうばわれました ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/11(木) 20:16:01 ID:dv81TsPg
数十分後、裏路地から出てきたのは黒狼レックス。
その表情はすっきりしたような、とても満足したような感じに見える。

「中々上玉だったなぁ。初モノなのもグッド。
ただ幼児体型だったのが残念だねぇ」

裏路地の方に目をやりながら感想を述べるレックス。
妖狼である彼は人語を解する事もできる。

「やっぱり人間の女の子はいいね〜同族の雌よか興奮するよ。
さてと、次行こうか次」

軽やかな足取りでレックスは夜闇へと消えていった。



そして裏路地。

「うっ……ううっ……ひっく……」

少し着衣が乱れた水晶が涙を流していた。
レックスは彼女の女として大切なものを奪っていったのである。


【一日目深夜/G-7市街地】

【銀鏖院水晶@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:嗚咽、精神的ダメージ(深刻)、喪失感
[装備]:S&W M19(6/6)
[持物]:基本支給品一式、.357マグナム弾(30)
[思考]:
0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:死にたい……。
2:あの黒狼(レックス)は今度会ったら絶対に殺す。
※本編開始前からの参戦です。

【レックス@オリキャラ】
[状態]:健康、満足
[装備]:不明
[持物]:基本支給品一式、不明支給品(1〜2)
[思考]:
0:とりあえず死にたくはない。
1:女性(人間の女の子優先)を手当たり次第に(性的な意味で)襲う。
2:最悪の場合、自害する。
66みきらはうばわれました ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/11(木) 20:18:35 ID:dv81TsPg
≪支給品紹介≫
【S&W M19】
1955年に登場した、マグナム弾使用の小型リボルバー拳銃。
「コンバットマグナム」の別名を持つ。
強力でありながら携行性に優れるため、常時銃を携帯する警察関係者に好まれた。
ルパン三世の次元大介の銃としても有名。
使用弾薬:.357マグナム弾、.38sp弾 装弾数:6発


≪オリキャラ紹介≫
【名前】レックス
【年齢】21(妖狼なので年の取り方は人間と同じ)
【性別】雄
【職業】野生の妖狼
【性格】スケベな事を除けば善人
【身体的特徴】黒い毛皮の大柄な狼。タテガミがフサフサ。赤い瞳
【服装】服を着る概念がない
【趣味】女遊び、人間の女性を(性的な意味で)襲う事
【特技】手先(前足先)が器用で扉の開閉や工具の扱いなど、普通の人間並の事ができる
【経歴】14歳の時に住んでいた森に迷い込んだ女戦士を(性的なry)暴行した所、
見事に人間の女性にはまってしまった
【備考】RPGファンタジー風異世界出身
67 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/11(木) 20:19:19 ID:dv81TsPg
投下終了です。
68 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/11(木) 20:29:53 ID:OICbZ8Kv
投下乙です。大切なもの……つまり心を奪っていったんですね、わかりますw
久しぶりの文練ロワ16話、森近霖之助、椎名深夏、蒼蓮投下します
69Noir ou blanc ◆5ddd1Yaifw :2010/03/11(木) 20:32:49 ID:OICbZ8Kv
「ざけんなよ!何が殺しあいだ!そんなの……あたしは乗らねぇ!
 生徒会の仲間と一緒に全員無事に帰るんだ!」

ビルが建ち並ぶオフィス街。街灯が辺りをかすかに照らす。
そんなオフィス街に一人の少女の声が響く。
薄い茶色の長い髪を大きなリボンでツインテールにした少女。

黙っていれば極上の美少女に見えるのだが、一人で声を荒げてる様を見ると気が狂ったかのように見える。
こんな深夜のオフィス街で大声で叫んでいる女の子がいたとしたらまともと言えるのだろうか。
いや言えないだろう。誰が見てもそう思う。
もっとも、このような場所で、つい先程あった出来事を考えたら仕方ないのかもしれないが。

少女の名は椎名深夏。碧陽学園の生徒会副会長を務める少女である。
当然彼女はゲームには乗らない。
曲がったことが嫌いな性分でもあり、自分の妹や生徒会の仲間までもが巻き込まれているのである。
彼女がこのゲームに乗って優勝を目指すことはまずありえない。

「真冬……無事でいてくれ……!とりあえず早く皆と合流しねぇと!
そのた「少しいいかな?」めには……ってうわあ!!」

後ろからのいきなりの声に驚く深夏。
それも仕方ない。こんな状況なのだ。後ろからいきなり声をかけられたら驚きもする。

「すまない、驚かせてしまったようで。僕の名前は森近霖之助。
 改めて、少し聞きたいことがあるんだがいいかな?」

そこにいたのは和風の服を着た銀髪のメガネをかけた青年、森近霖之助であった。
これが椎名深夏と森近霖之助のファーストコンタクトである。



◆ ◆ ◆



とりあえず、立ち話も何なのでということから近くの手頃な段差に座ってお互いの情報交換をすることになった深夏と霖之助。
70Noir ou blanc ◆5ddd1Yaifw :2010/03/11(木) 20:34:57 ID:OICbZ8Kv

「幻想郷ねぇ……」
「まぁ、信じられないのも無理はないね。僕も実際に外界の人間と驚いているしね」

何かを考える素振りをしている深夏にしみじみと呟く霖之助。
互いに得た情報を整理するだけで手一杯のようだ。

「それにしても、なんであたし達がこんな目にあってんだよ。森近さんは心当たりとかないですか?」
「霖之助でいいよ。それに敬語も使わなくてもいい。うん、そうだね。僕にも心当たりがないかな。
はぁ……こういうのは霊夢や魔理沙の役目だと思うんだけどな……」

重い溜息を吐き、どんよりと落ち込む霖之助。
それも仕方がないのかもしれない。
霖之助は幻想郷で起こった異変はほぼといっていいぐらい関わってない。
精々外野がいいとこだ。それが突然こんな異変に巻き込まれて落ち込まないはずがない。

普段、先頭にたって異変を解決する博麗霊夢と霧雨魔理沙がなぜかいないということが拍車をかけている。
ここにいるのは、自分とよく自分の店である香霖堂の客としてくる十六夜咲夜、紅魔館の門番である紅美鈴だけ。
もう一度深くため息を吐き、どうしてこうなった、と自問自答しても答えは出てこない。

「なあ、霖之助」
「ん?何だい」
「霊夢と魔理沙って誰だ?」
「ただの知り合いさ。妹分でもあるね」
「そうか……でも不謹慎だけど羨ましいよ。大切な人がいないってのは。
ここにはあたし以外にも生徒会メンバー全員がいるし。妹も……ホント、最悪だ」

唇をかみしめ悔しそうに拳を握る深夏に霖之助は既視感を抱いた。

(似ている……ん〜、何だろうね、これは)

喉に魚の骨が引っかかるようなもどかしさを霖之助は感じた。その理由がわからず、霖之助は思考の海に落ちる。
71Noir ou blanc ◆5ddd1Yaifw :2010/03/11(木) 20:36:40 ID:OICbZ8Kv
「なぁ、突然だが霖之助お願いがあるんだ」
「うわ、っとどうしたんだい深夏?」

突然の深夏からの呼び掛けに少し声がどもってしまうが、気を取り直して深夏の話を聞こうと顔を見夏の方へ向ける。

「身を守る物を、なんでもいい!なにか、あたしに譲ってくれ!頼む!」

土下座でもしかねない勢いで頭を下げる深夏。
今まで表情が薄かった霖之助も深夏の気迫に押されたのか少し表情を崩す。

「確か、ランダムに何か適当に入れるとあの主催者は言っていたが……
武器が入ってなかったのか。深夏のデイバックには元々何が入っていたんだい?」

霖之助がそう尋ねると深夏は苦虫を噛み潰したような顔でデイバックの中を乱暴に地面にぶちまける。

「これは……その……すまない……」

霖之助は絶句し、余計なことを聞いたと深夏に謝った。
ここまで運が悪いとは、と霖之助は深夏に同情の視線を向ける。

「いいよ……もう……ここまでふざけてると逆に清清しいよ」

椎名深夏に支給された物は。



一枚の紙。



大きく『は☆ず☆れ』と書いてある。
どう見てもはずれの支給品です。バカにされています。
本当にありがとうございました。

「なんだはずれって!ばかにしてんのか、そうなのか!楽しいか、あたしをバカにして!!
72Noir ou blanc ◆5ddd1Yaifw :2010/03/11(木) 20:39:12 ID:OICbZ8Kv
 あたしはちっともたのしくねぇんだよ!こんちくしょう!ああ、もう!
 不幸だーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

自虐を始めた深夏を生暖かい視線で見つめる霖之助。
そして深夏をさらに追い詰めるかのように。

「残念だけど僕のにも武器は入ってなかったんだ、だから深夏に分け与えることは出来ない。
 ごめんね、役に立てなくて」
「そんな……」

霖之助の追い討ちともいえる止めの言葉にがっくりとうなだれて今にも死にそうな顔をする深夏。

「……僕は武器を探しにこの基地まで行こうと思う。
基地と言うくらいだから武器があるかもしれないしね。深夏はどうする?」

霖之助はデバイスの基地と書かれているところを指差す。

「正直、こんな状態でうろついても無残に殺されるだけだし、なんにせよ武器は必要だ。
霖之助、ついていってもいいか?」
「構わないよ。邪魔にならないなら文句はないしね」

そう言って二人は歩き始めた。目標は基地――



◆ ◆ ◆



霖之助と深夏がいなくなったことで再び沈黙に包まれるオフィス街。
いや、もぞもぞと動いている影が1つ。
そして何もない無の空間から突然と現れる一人の青年。

「行きましたか。このシルバーケープ、どうやらほんとに姿を隠せるようですね」

薄い青色の髪にルビーのように紅い瞳。身につけてる服も青色なのでその瞳がより印象的に映る。
73Noir ou blanc ◆5ddd1Yaifw :2010/03/11(木) 20:45:52 ID:OICbZ8Kv
蒼蓮。『誓約』に縛られ望まぬ戦いを続ける青き鬼の青年である。

(これからどうしましょうか。ここには僕の他に透真さんに冥さん、山田太郎もいる)

自分の知り合いがそれなりに呼ばれていることにため息を吐きながらも蒼蓮の顔には悲しみがない。

(いくら知り合いだからと言ってもこんな状況では信用できるかどうか分からない。
常人なら狂ってもおかしくはない状況ですから。
優しくしても、結局は利用するためだけかもしれない。この殺し合いの場では)

蒼蓮はそれなりに長い間生きてきた。その生きている間には当然いろいろな人を見た。
平気で裏切る人、甘い顔を見せて騙そうとする人、数えだしたらキリがない。
自分の知り合いである睦月透真達もその例からは外れない。
先程、霖之助達に接触しなかったのも同じ理由である。

(それに僕には『誓約』がある。そのせいで今回の殺し合いでは能力は使えない……!
『誓約』がここまで仇になるとは……嫌になりますね、本当に)

『誓約』。それは鬼にとっては絶対のもの。それを破ると死に至るために鬼もやすやすとは破ろうは思わない。
蒼蓮の『誓約』はこの殺し合いの場では致命的とも言えるくらい強いものである。
それは――

(この炎で人は殺せない。僕の『誓約』で鬼以外に攻撃できないから。
炎なしでこの殺し合いは辛いかもしれない)

能力で人を殺せないこと。蒼蓮にとっては痛恨すぎることだ。

(むやみやたらに人を殺してまわるのはあまりよろしくない、なら……
 情報ですね)

この閉鎖的な場では情報は何よりも武器となる。
だれが怪しいか、善良か、それを区別するという意味でも情報を多く持っていたらかなりのアドバンテージとなる。

(しばらくは情報集めと行きましょうか。先程の人達の話を聞いた限り、かなり突拍子もない話もありましたし。
74Noir ou blanc ◆5ddd1Yaifw :2010/03/11(木) 20:48:26 ID:OICbZ8Kv
 幻想郷ですか……与太話ではなさそうですし。はぁ、これから大変ですね)

蒼蓮は大きなため息をつき、柔和な笑みを浮かべる。
しかし、見る者が見ればその笑みの裏にあるモノに気づくだろう。

「最後まで生き残るのは僕です。例えどんなことをしても、ね」

その笑顔が仮面であり、仮面の裏に潜む黒い情念に。

【G-7/一日目・深夜】
【椎名深夏@生徒会シリーズ】
【状態】健康
【装備】
【持ち物】支給品一式、はずれと書かれた紙
【思考】
0.こんなゲームに乗ってたまるか!
1.基地に向かう。
2.生徒会の仲間との合流。
※森近霖之助と情報交換を行いました。

【森近霖之助@東方Project】
【状態】健康
【装備】
【持ち物】 支給品一式、不明支給品1〜3(武器は入ってない)
【思考】
0.とりあえず今は乗らない。
1.基地に向かう。
※椎名深夏と情報交換を行いました。

【蒼蓮@操り世界のエトランジェ】
【状態】健康
【装備】
【持ち物】 支給品一式、シルバーケープ@魔法少女リリカルなのは、不明支給品0〜2
【思考】
0.生存優先、情報収集、単独行動に徹する。
1.乗る乗らないについては保留。場を見て判斷。
※椎名深夏と森近霖之助の情報交換を盗み聞きしました。
※第四幕透真達に協力前からの参戦

【はずれと書かれた紙】
大きくは☆ず☆れと書いてある紙。ちなみに書いたのは郷田真弓。

【シルバーケープ@魔法少女リリカルなのは】
ナンバーズの四番、メガ姉ことクアットロが羽織っているケープがこれ。
高いステルス性能と魔法攻撃に対する耐性を持っている。
75 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/11(木) 20:56:31 ID:OICbZ8Kv
投下終了。ちなみにタイトルの意味はフランス語で黒か白か。
フランス語は遊び心ですw
あ、それと一部参加者の変更。
ステラルーシェ、穂村有里→out
【寄生ジョーカー】
藤堂晴香、葉山浩司→in
76創る名無しに見る名無し:2010/03/12(金) 00:45:33 ID:SnopJr3o
・俺得ロワ「兄の苦悩」
クリスは主催の血縁という事で今後どうなっていくのか楽しみだ。

・同上「DEATHGAME OF HELEN」
ピタゴラスはこっちでは知識を生かす事ができるのだろうか。

・同上「天秤は動く」
スネ夫は殺し合いに乗ったか。仲間に会った時彼はどうするのかな。

・同上「みきらはうばわれました」
性的展開はやっぱりあるんだねw

・自己満足ロワ「終わりへと近づく」
一気に4人死亡か。まさしくタイトル通りだな。

・文書練習ロワ「Noir ou blanc」
ジャイアンが「は☆ず☆れ」って書いてんの想像して吹いたw
77 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/12(金) 21:27:10 ID:/glNQpyC
俺得ロワ6話「再会と死別」投下します。
登場:アレックス、ブライアン、高野雅行
78再会と死別 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/12(金) 21:28:19 ID:/glNQpyC
6話 再会と死別

気がつくとアレックスは暗い森の中で倒れていた。
身体を起こし、まだ覚醒し切っていない頭を叩き目を覚まさせる。
先程までの事は夢だったのだろうか、否、首にはめられた首輪と傍に置かれたデイパックがそれを否定した。
とりあえずデイパックを開け、中から名簿を取り出し開いてみる。

「! ブライアンにヘレンにゴメス…魔王軍の連中も何人かいるな」

名簿にはアレックスの友人である戦士のブライアン、通称「ウザイアン」、
エルフ娘のヘレン、ガチホ…もとい、海賊髭面のゴメス、
そして敵対している魔王軍の四天王、ムシャ、ドラゴナス、死神五世と魔王軍の中級モンスター、デスシープの名前が載っていた。

「みんな進んで殺し合いに乗るとも思えないけど、
どうだろうなぁ、ヘレンなんて最近扱い酷いもんな、ムシャだって…」

ヘレンはかつてはVIPRPGもしもシリーズにおいてのヒロイン級の萌えキャラだったが、
魔王軍四天王の一角、ダーエロによるスト―キング、それが元でのキャラ崩壊、
更にAV出演、自殺未遂など近頃の凋落ぶりは悲哀さえ感じる。
ムシャはその地味さから台詞を省略される、もしくは台詞すらない、
身体が透き通った状態のみでの登場、徹底的な無視など、
「空気」としての扱いが際立っている。最近は特にそれが顕著だ。
本人は平気そうに装っているが心のどこかではもっと目立ちたいと思っているに違いない。
余り友人知人を疑いたくはないがこの二人は注意するべきだとアレックスは考える。

他に何があるのかとデイパックを再び漁る。
地図や筆記用具、水と食糧の次に出てきたものは鞘に収められたサバイバルナイフと、
パソコンに使うUSBフラッシュメモリ。

「USB? 何かデータでも入ってるのか?」

USBの中身が気になったがパソコンが無い現状ではどうにもできないので放っておく事にした。
コンバットナイフを装備し荷物を纏めて立ち上がる。

「しかしこれからどうすれば……」

アレックス自身は殺し合いに乗る気などなかった。
自分は仮にも勇者である。恐らくこの殺し合いには一般人クラスの参加者も大勢いるだろう。
そのような人々を殺してまで生き延びる事などできない。
ならば当然この殺し合いを潰す方向で行動するのが常道。

但し、厄介な事も多い。例えば首輪である。
無理に外そうとすれば爆発するこの首輪。その威力は目の前でまざまざと見せられた。
魔法も「もしもの力」も封じられ一切使用不能である今、
死ぬという事は読んで字の如く、本当に死ぬ事を意味する。
仲間を集めて脱出手段を探ろうにもまずこの首輪をどうにかしなければならない。

かと言ってアレックスには機械知識などこれっぽっちもない、
そもそも内部構造も分からないため手の出しようがないのだ。
79再会と死別 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/12(金) 21:29:57 ID:/glNQpyC
「考えていても仕方ないな、まずはブライアン達を捜すとするか」

アレックスが友人知人を捜しに行こうとした時。

「アレックス! おい、アレックスだよな!」
「その声は…!」

声をした方向に振り向くと、懐中電灯を片手に息を切らして満面の笑みを浮かべ走ってくる鎧姿の男がいた。

「ブライアン! ブライアンじゃないか!」
「アレックス〜まさかこんなに早く再会できるなんて思わなかったぜ…」

赤と白のカラーリングの鎧を身に纏った戦士、ブライアンは、
心底嬉しそうな表情を浮かべて言う。
アレックスも友人との再会を素直に喜んだ。

この時、アレックスの背後の茂みから、二人の様子を窺う人物がいた。
息を潜め、機を窺うその様子はアレックスとブライアンに決して友好的ではない事を示していた。

「……!」

そしてブライアンはアレックスの背後から漂う殺気に気付く。

「アレックス」
「ん? 何だ?」

次の瞬間、ブライアンはアレックスの身体を横に突き飛ばした。
直後、茂みから人影が飛び出し、持っていたツルハシを振り下ろした。

ガスッ!!

「ぐ、あ」

ツルハシの穂先が、ブライアンの鎧の胸元を貫通し、内側の肉体に深々と突き刺さった。
ブライアンはがはっ、と口から血を溢れさせ、仰向けに倒れた。
突然の出来事にしばし呆然としていたアレックスだったが、
状況を把握するのにそう時間はかからなかった。

「ブ、ブライアンーーーー!!」

必死の形相で地面に倒れたブライアンの名前を叫ぶアレックス。
だが、ブライアンの元に駆け寄ろうとしたアレックスを襲撃者のツルハシによる薙ぎ払いが阻む。

「う、うわっ」

その薙ぎ払いを後ろに跳んで何とか避けたアレックスだったが、
そこは急勾配の坂になっていた。
足を踏み外したアレックスはそのまま坂を転げ落ちて行ってしまった。

「うわあああああーーーーーーーーーー………」
80再会と死別 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/12(金) 21:31:37 ID:/glNQpyC
「……」

坂を転げ落ちて行くアレックスを見届け、襲撃者――高野雅行は溜息をつく。
折角二人も獲物を見付けたのに一人取り逃がしてしまったからだ。
ツルハシを携え、最初に仕留めた鎧姿の男の元へ近付く。

「うぐ……て…てめぇ……」

驚いた事に胸元をツルハシで突き刺されたのにも関わらず、
鎧男、ブライアンはまだ生きていた。
だが口や傷口から溢れる血は止まる事を知らない。
致命傷である事は誰の目から見ても明らかだった。
雅行は仰向けに倒れるブライアンの近くまで来ると、止めを刺すべくツルハシを大きく振り上げる。
ブライアンはもはや身動きを取る事もできず、その光景を眺める事しかできない。

「ちく、しょう……ここまでかよ………アレッ、ク――――」

その言葉が最後まで紡がれる事は無かった。
雅行がツルハシをブライアンの心臓目掛けて力一杯振り下ろしたからだ。
鋭い穂先に心臓を貫かれ、ブライアンは絶命した。

雅行はブライアンが完全に生命活動を停止した事を確認すると、
彼が持っていたデイパックの中身を漁り始める。
入っていた不定支給品は、長さ10メートル程の細いピアノ線と、それを手頃な大きさに切るのに使えるハンドワイヤーカッターだった。
水と食糧と共にその二つも自分のデイパックに移し替える。
そして先程アレックスが落ちた坂とは逆の方向に歩いて行った。



一方、坂から一気に転げ落ちたアレックスは何とか軽傷で済んだ。
湿った雑草がクッションとなったのだ。
立ち上がり、自分が滑ってきた坂を見上げる。
思っていたよりも急勾配でとてもではないが歩いて登れそうにない。

「くそっ、ブライアン……!」

悔恨の表情を浮かべるアレックス。
今すぐにでもブライアンを助けに行きたかったが、もう間に合わないだろう。
ツルハシの先端がブライアンの胸元深くに突き刺さるのを目撃した。
生きていたとしても、自分が消えた後、
あの襲撃者――白いカッターシャツを着たモミアゲの長い男によって追撃された可能性が高い。

「すまない…!」

アレックスの目には、いつしか涙が浮かんでいた。



【ブライアン@VIPRPG  死亡確認】
【残り54人】
81再会と死別 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/12(金) 21:33:21 ID:/glNQpyC
【一日目深夜/D-4森】

【アレックス@VIPRPG】
[状態]:全身にダメージ(軽度)、深い悲しみ
[装備]:サバイバルナイフ
[持物]:基本支給品一式、USBメモリ
[思考]:
0:仲間を集めて殺し合いを潰す。そして脱出する。
1:ブライアン…。
2:元の世界の仲間と合流?
3:首輪も何とかしたい。
※襲撃者(高野雅行)の容姿を記憶しました。

【高野雅行@俺オリロワリピーター組】
[状態]:健康
[装備]:ツルハシ(血痕付着)
[持物]:基本支給品一式、不明支給品(本人確認済)、ピアノ線、ハンドワイヤーカッター、
ブライアンの水と食糧
[思考]:
0:殺し合いを楽しむ。
1:他参加者の捜索。
2:銃が欲しい。
※俺オリロワ開始前からの参戦です。
※アレックスの名前と容姿を記憶しました。


※D-4森にブライアンの死体とデイパック(水と食糧抜きの基本支給品入り)が放置されています。


≪支給品紹介≫
【サバイバルナイフ】
軍事行動中に遭難などで他装備を失った場合に、
それのみで生存を計る目的で設計された大型のシース(鞘付き)ナイフ。
刃の背に金属を切断する鋸刃が設けられている。
武器としての威力と堅牢性は高い。

【USBメモリ】
8GBの容量がある外部取付型記憶端末。
USB対応のパソコンが無ければ中身は見られない。

【ツルハシ】
土や岩、アスファルトを砕き掘り起こすのに使用する道具。
鶴のクチバシのように両端が尖っており中央に柄が付いている。

【ピアノ線】
炭素鋼で作られた鋼線。許容応力が高く、金属疲労にも強いことから、
ワイヤーやコイルばねの材料として工作機械や建設機械など幅広く利用されている。

【ハンドワイヤーカッター】
単線や多芯線の銅・アルミケーブル等を外径20mmまでカットできる工具。
テコの原理を最大限に利用しているので、片手で軽く切断可能。
82 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/12(金) 21:35:45 ID:/glNQpyC
投下終了です。
83 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/13(土) 20:02:40 ID:tCP5SKGg
俺得ロワ7話「大切な息子を切り裂いた女」投下します。
登場:ミーウ、ニコライ
84大切な息子を切り裂いた女 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/13(土) 20:49:44 ID:tCP5SKGg
7話 大切な息子を切り裂いた女

椿に喉を刺されて殺されたと思ったら、今度は何?
アルベルト博士じゃなくてリリアとか言う女が開催する殺戮ゲーム?
うーん、状況がよく飲み込めないなぁ。

申し遅れました、あたしはミーウ。17歳のピチピチの狐っ娘よ。
まあホントは名前も違うし年齢はあくまで肉体年齢なんだけど、それは置いといて。
実は別の殺し合いであたし死んだはずなのよね。
だけど、どうやら蘇生させられて、今度は全く別の殺し合いに参加させられている。
当然首には爆発する絶対に外せない首輪。

まさか二回も殺し合いをする事になるなんて…。

今あたしが立っているのはすぐ近くに海が見える、海岸線沿いの道路。
海の反対側には森が広がる小高い山。遠くに街の明かりも見える。

「グルルル…」
「!?」

背後から獣の唸り声のようなものが聞こえ、振り向く。
そこには緑色の二足歩行のドラゴンがいた――嘘なんて言ってないわよ!
首輪がはめられてるから参加者の一人だと分かる。
唸り声を上げてるし、あたしを見る目付きはどう見ても友好的なそれではない。

「狐の獣人か。しかも若い雌…美味そうだ」
「はぁ?」

美味そうだって何? あたしを食べるつもり?
ああどうやらそうみたい、涎垂らして舌なめずりしてるし。

「殺し合いに乗るついでに腹ごしらえと行くか!」

そう言うなりドラゴンは鋭い爪の付いた右手を振り被って襲い掛かってきた。

「くっ!」

ドゴォン!

間一髪で避ける事に成功したけど、ドラゴンの右手が直撃したアスファルトが派手に砕けた。
見た目通りかなりの力を持っているみたい、ちょっとやばいかも…。
休む間もなく第二撃、今度は横への薙ぎ払い。
思い切り身を伏せてかわしたけど、代わりに背後に立っていた街灯が切断され倒壊した。

「ちょこまかと。まあいい、嬲ってくれる」

ドラゴンはいかにも余裕綽々といった上位目線で言い放つ。
かなり癪に障るけど、実際そうなのだから嫌。
そう言えば自分の支給品まだ確認してなかったな、何なんだろ?
攻撃を避けつつ私はデイパックの中を漁る。
そして出てきたのは投擲可能な斧、トマホーク。
あたしはそれをドラゴンの顔面向けて力の限り投げ付けた。
85大切な息子を切り裂いた女 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/13(土) 20:53:09 ID:tCP5SKGg
ドスッ

「ガアアアアアアアアアア!!!?」

トマホークの刃はドラゴンの左目に刺さり、悲鳴を上げてドラゴンが苦しむ。
畳み掛けるなら今しかないと思ったあたしはもう一本のトマホークを構えて、
一気にドラゴンの懐に飛び込み――。

ザシュッ

「――――――――!!!!???」

ドラゴンの股間に斬撃を食らわせてやった。
今まで目元を押さえていたドラゴンだったけど今度は股間を押さえて地面でのたうち回っている。
確か爬虫類の雄のアレって普段は体内に収納されているって聞いた事あるから、
ドラゴンも多分同じなんだろうね。

「ぎいいいいっ…お、俺の、息子がああああ」

残った右目から大粒の涙を流し苦鳴を上げている、さっきまでの威勢はどこへやら。
まあ大切なモノを切り裂かれたんなら無理もないか。
さて、あたしを食おうとした罪を償ってもらうとしよう。
トマホークを携えドラゴンに歩いて近付き、その喉元目掛けてトマホークを振り下ろした。
刃がドラゴンの喉元に深く刺さりごぼ、ごぼと口から傷口から鮮血を溢れさせ、
しばらくピクピクと痙攣した後、ドラゴンは動かなくなった。

「ふぅ…手強い相手だった…」

とりあえず危機を脱した事で一息つくあたし。
思えば殺し合いにおいて他参加者を殺すのはこれが初めてじゃないかしら?
ドラゴン(そう言えば名前聞いてない、まあいっか)の持っていたデイパックの中身を漁る。
するとH&K G3という、高威力の小銃弾を使うアサルトライフルと、
その予備マガジンが10個出てきた。
これはかなりの当たり武器ね。このドラゴン、これ使えば良かったのに…脳筋だったのかしら。
まあもう殺しちゃったし、関係ないと思うけど。
水と食糧も貰っていこう。あとドラゴンの顔に刺さったままのトマホークもまだ使えそうね。

さて、あたしはこれからどうしよう。
名簿を開いて見てみるけど、知っている名前はピタゴラスぐらいで、
後はみんな知らない名前ばかりだ。
「クリス・ミスティーズ」「レオン・ミスティーズ」という、主催者と同じ名字の参加者がいる事は少し気になるけど。
よく目にする名字でもないし、もしかしたら親戚なのかもしれない。

でも、椿やヴェーヌ、ジュリア、アルベルト博士もいないようだし、
ピタゴラスは名前と顔だけ知ってる程度で別に親しい仲でもない。
つまり、この殺し合いにおいて、私以外はほぼ全員赤の他人。
それなら…。

殺し合いに乗るのも、いいかもね。

あーそれと、どうせだから、可愛い子いたら悪戯しちゃおうっかな〜。



【ニコライ@オリキャラ  死亡確認】
【残り53人】
86大切な息子を切り裂いた女 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/13(土) 20:59:06 ID:tCP5SKGg
【一日目深夜/C-1平野:幹線道路】

【ミーウ@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:H&K G3(20/20)
[持物]:基本支給品一式、H&K G3のリロードマガジン(20×10)、
トマホーク(3、内2本に血痕付着)、ニコライの水と食糧
[思考]:
0:殺し合いに乗る。
1:これからどこへ行こうかな。
2:可愛い子(女の子優先)がいたら…フフフ。
※参戦時期は本編死亡後です。
※名簿に書かれた主催者と同姓の二人が気になっています。


※C-1平野:幹線道路上にニコライの死体とデイパック(水と食糧抜きの基本支給品入り)が放置されています。


≪支給品紹介≫
【トマホーク】
ネイティブアメリカンの片手斧。
狩猟の他、樹木の伐採など日用品としても使われる。
武器として使われる事もあり投擲も有効。

【H&K G3】
1959年に西ドイツ軍制式となった突撃銃。
高威力の小銃弾を使用するが独自の機構により比較的反動は抑えられている。
非常に総合性能が高く現在でも多くの国で制式銃となっている。
使用弾薬:7.62mmx51NATO弾 装弾数:20発


≪オリキャラ紹介≫
【名前】ニコライ
【年齢】29
【性別】男
【職業】野生のドラゴン
【性格】粗野
【身体的特徴】緑色の身体と大きな翼、尻尾、角を持った二足歩行の竜。腹の部分は黄色
【服装】服を着る概念がない
【趣味】空中遊泳、狩り
【特技】翼を使って空を飛ぶ事
【経歴】何度か辺境の村を襲い人間を食べた事がある
【備考】RPGファンタジー風異世界出身
87 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/13(土) 21:00:45 ID:tCP5SKGg
投下終了です。
88 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/13(土) 23:00:45 ID:hRA8iLLf
投下します「終末」
89終末 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/13(土) 23:01:35 ID:hRA8iLLf
何かに誘われるように、診療所付近に集まる人々…
そして交錯する思い。
それらは混ざりあい、1つの未来へ向かって行く。

「一応戻ってきたが…どうするか…」
手にガラスのつるぎを持ち、診療前に来たスネーク。
(気配が…ある。だが…)
ガラスの割れる音が響く。
咄嗟にスネークは音のした方に剣を構える。
背後から重い一撃がスネークを襲う。
「ぐぅっ…何だ…?」
咄嗟に病院内に逃げ込もうとする。
…が体が動かない。
(当たり所が悪かったか…)
その場から動けずに、寝転がったままの体勢で呟く。
無防備な状態のスネークに、追撃が迫る。
「こんな所で死ぬとはな」
そして、銃弾が頭を貫いた。

「作戦がこう上手く行くと気持ちいいですね。。」
倒れたスネークの横で呟くgumi。
(さっき倒れた衝撃で、ガラスのつるぎは壊れたみたい。。。)
残念そうにその場に残骸を投げ捨てる。
「どこにいこうかな。。。南の方に行くのもいいなあ」
そう思い、病院の裏に回る。

「なんでだろう こっちのほうに さそわれてるみたい…」
街への道をのんびり歩いているうさぎ。
(まあ かんけいないか…)
病院の裏に差し掛かったとき、角からgumiが飛び出してくる。
「先制攻撃です。。。」
それと同時に、Cz/M75を撃ち込む。
「おっと そのては くらわないよ」
何とか交わし、一気に間合いを詰める。
そして、アイスソードを振り抜いた!
「…ここまでですか。。。養分ですね。。。」
アイスソードは易々とgumiの体を切り裂いた。
傷口が一瞬にして凍り付き、血も出ない。
「よわい… でも もんだいないや」
「おい」
突然後ろから声をかけられる、と同時に銃声が響く。
「なに…?」
放たれた銃弾はうさぎの胸を貫通し、飛んで行った。
「ふいうち… してやられた… のかな?」
そう言い残し、うさぎはその場に膝をつき倒れた。

「なんか…なんだろう…もうなんでもいいや」
倒れたうさぎの前で立ち尽くす不死鳥。
(透を助けられなかった…その時から、もうどうでも良くなってきたんだ…)
その場に座り込み、FN ハイパワーをこめかみに押し当てる。。
弾丸を放った後の銃身はまだ熱い。
だがもう、そんなことは関係無い。
「…なんで、こんなことになったんだろうな――」
少しの間の後、銃声が響いた…

【gumi@板対抗BR 死亡】
死因:斬殺
【うさぎ@板対抗BR 死亡】
【不死鳥@板対抗BR 死亡】
死因:射殺
90終末 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/13(土) 23:02:22 ID:hRA8iLLf

「…なんだよ、これ…」
セグウェイの燃料も切れ、電車に乗ってA-7から歩き通してきた和也。
(死体が…6人分も…!いったい、ここで何が起こったんだよ!)
途端に吐き気を催し、地面に手を付きしたたか吐く。
「うう…だが…ここで諦めちゃ駄目なんだ…!」
ふらつく体を何とか整え、また歩き出した。


【野村和也@オリジナル】
[状態]:決意、体調不良
[装備]:熱き魂の封じ込められた腕輪@板対抗BR、皮ジャン@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、大阪名物はりせんチョップ@板対抗BR、ニューナンブ@板対抗BR
[思考・行動]
基本:2人の分も生き抜く。
1:諦めちゃ…駄目なんだ
91 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/13(土) 23:03:09 ID:hRA8iLLf
投下終了です。 あと何話ぐらいになるだろう…?
92 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/13(土) 23:12:59 ID:hRA8iLLf
ああミスがあった

【ソリッド・スネーク@メタルギアソリッドシリーズ】
死因:射殺

が抜けてました、すみません
93 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/13(土) 23:19:42 ID:hRA8iLLf
ああまたミス

【ソリッド・スネーク@メタルギアソリッドシリーズ 死亡】
死因:射殺

これでいいんだ
94 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/14(日) 21:03:02 ID:pZam+yKF
投下乙です。では自分も俺得ロワ8話「逃げない、投げない、諦めない」投下します。
登場:ジン、石川昭武
95逃げない、投げない、諦めない ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/14(日) 21:05:08 ID:pZam+yKF
8話 逃げない、投げない、諦めない

ジンは激怒した。必ず、このふざけた殺し合いを潰し、脱出してやると心に誓った。
彼は異世界ヴァルハラにて、親友であるアキラと共にデビルチルドレンとして、
ヴァルハラ支配を目論む帝国軍とその皇帝と戦い、勝利し、ヴァルハラに平和をもたらした後、
アキラともう一人の仲間、レナと三人で元の自分の世界に帰還したはずだった。
だが、気が付けば首に冷たい首輪をはめられ、リリア・ミスティーズと名乗る女性から、
「殺し合いをしてもらう」と宣告されたのだ。

首輪の威力を見せてやると、黒と赤の毛皮を持ったガルムに似た獣人と、
赤いブレザーを着た女子高生と思しき少女に運ばれてきたのは柱に拘束された青いタヌキのような生き物。
口にガムテープを張られ、首には自分達のと同じ首輪がはめられていた。
知り合いらしい自分と同年代の眼鏡を掛けた少年が駆け寄ろうとしたがバリアのようなものに阻まれてしまった。
そしてドラえもん(少年がそう呼んでいた)の首輪は爆破された。
暗闇のホールに響く少年の慟哭。
それを聞いてジンの怒りの炎は更に燃えあがった。


「…俺は殺し合いなんかしない! こんなのおかしいだろ!」

E-3の森の中で、赤を基調とした服を着た少年、ジンは怒気が籠った口調で言う。
元々正義感が強く、曲がった事が嫌いな彼にとってこの殺し合いは受け入れられるはずもない。

「俺も協力するよ、ジン」
「おう! 頑張ろう昭武!」

そしてジンの傍にいるのは灰色のブレザーを着た青い狼獣人の青年、石川昭武。
ゲーム開始後程なくして遭遇した二人は互いに殺し合いに乗っていない事が分かるとすぐに仲間になった。

「そういえば、まだ互いに支給品見せてなかったよな。
これから一緒に行動するんだし隠し事はナシにしようぜ」

昭武の提案によりお互いの支給品を見せ合う事になった。
ジンがデイパックから取り出したのは刺突用短剣であるスティレットと、
強烈な閃光を放ち対象を無力化させるスタングレネード3発。
そして昭武の方はリボルバー拳銃、エンフィールドNo.2とその予備弾30発であった。

「一応、どっちも当たりって感じだな」
「つっても俺銃なんて扱った事ないしなぁ…説明書読めば何とかなるか」
「支給品の確認は終わったけど、昭武はこの殺し合いに知り合いはいるか?」
「え? どれどれ…」

ジンに言われ名簿を開き確認する昭武。
しばらく名簿に書かれた名前を黙読していたが、少し安心したような表情を浮かべ名簿を閉じた。

「知らない名前ばかりだ。どうやら俺一人だけらしい」
「そうか…俺は……な、何!?」
「どうしたジン」

名簿を見ていたジンが声を上げる。
自分と同じくデビルチルドレンとして共に戦った、そして大親友でもあるアキラ、
時の塔の巫女である亜美、帝国軍のデビルであるガーゴイルとガルム。
その四人の名前が名簿には記載されていた。
96逃げない、投げない、諦めない ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/14(日) 21:06:50 ID:pZam+yKF
「知り合いがいるのか」
「ああ…アキラに亜美、それと帝国軍の奴らも…」
「帝国軍?」
「ああそうか、昭武は知らないんだよな。えーと…」

ジンは自分がこの殺し合いに参加させられる前の出来事を昭武に話した。
異世界ヴァルハラの事、パートナーであるランドの事、
帝国軍との戦いの事、様々な出会いや別れ……。

「ふぅん…そんな事がねぇ」
「それで…ヴァルハラを平和にして、アキラ達と元の世界に戻ったと思ったら、
殺し合いに参加させられていたんだ」
「その…アキラと亜美と、ガーゴイル、ガルムだったっけ?
どういう奴なんだ? 疑うようで悪いけど信用できるのか?」

昭武がジンに尋ねる。

「アキラは俺の親友で、いつも冷静な奴なんだ。
亜美はさっきも言った通りヴァルハラの時の塔の巫女で、優しいけど芯のある強い女の子さ。
どっちも殺し合いには乗らない、と思うけど、
ガーゴイルとガルムは……」

ガーゴイルは青い竜のような身体付きの、大きな翼を持ち空を自由に飛び回る事のできる、
帝国軍空挺兵団の主力デビル。氷系の魔法を得意としている。
ガルムは頭に布を巻いた獣足の狼(犬?)獣人の姿をしたデビルで、炎系の魔法を使っていた。
どちらも過去に戦った事のあるデビルである。

「うーん…こいつらは注意した方が良いかもなぁ」
「そうか……」

帝国軍は既に壊滅したはずだが、ガーゴイルとガルムは元々温厚とは言えない種族である。
主催者は魔法や特殊能力は一切使えないと言っていたが、
それでもガーゴイル、ガルムはそれを補って余りあるだけの身体能力は持っている。
生き残るためなら平気で他人を殺す可能性が非常に高い。
この二人と接触する場合は十分な注意が必要であるとジンは考えた。

「それでもって、これからどうするジン」
「まずはアキラ達を捜しながら、同じ考えの仲間を集めよう。
みんなで考えればこの首輪外す方法も見付かるかもしれないだろ?」

そう言いながらジンは首にはめられた首輪を指差す。
昭武も自分の首輪に触れ、溜息を漏らした。

「さてと、これからどこへ行くか…アキラや亜美がどこにいるかも分からないもんなぁ」
「おい、ジン。あれ見てみろよ」
「え?」

昭武が何かを発見し、ジンに見るよう促す。
それは満月の浮かぶ夜空に僅かに影が浮かび上がる鉄塔だった。

「鉄塔だな…あそこに行ってみよう」
「分かった」

ジンと昭武の二人は鉄塔が見える方向に向かって歩き始めた。
97逃げない、投げない、諦めない ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/14(日) 21:13:53 ID:pZam+yKF
【一日目深夜/E-3森】

【ジン@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康、E-4鉄塔に移動中
[装備]:スティレット
[持物]:基本支給品一式、スタングレネード(3)
[思考]:
0:殺し合いはしない。アキラ達の捜索及び仲間集め。
1:石川昭武と行動する。鉄塔へ行ってみる。
2:ガーゴイル、ガルムには注意。
3:襲われたら戦う?
※参戦時期はレミエル打倒後、元の世界へ帰還した直後です。

【石川昭武@オリキャラ】
[状態]:健康、E-4鉄塔に移動中
[装備]:エンフィールドNo.2(6/6)
[持物]:基本支給品一式、.380エンフィールド弾(30)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。
1:ジンと行動する。鉄塔へ行ってみる。
2:首輪を何とかしたい。



≪支給品紹介≫
【スティレット】
刺突に特化した錐状の短剣。

【スタングレネード】
破片を飛散させずに大音響と閃光を発する手榴弾で、
主に室内にいる人間の視覚と聴覚を一時的に麻痺させる効果がある。

【エンフィールドNo.2】
1932年にイギリス軍制式となった中折れ式のリボルバー拳銃。
使用弾薬:.380エンフィールド弾 装弾数:6発


≪オリキャラ紹介≫
【名前】石川昭武(いしかわ・あきたけ)
【年齢】17
【性別】男
【職業】高校生、サッカー部所属
【性格】明るく何事も一生懸命取り組むタイプ、正義感が強い
【身体的特徴】濃い青色の狼獣人、引き締まった身体付き
【服装】灰色のブレザー、中に白いYシャツ、赤いネクタイ
【趣味】友人と遊びに行く事、TVゲーム
【特技】動体視力が良好
【経歴】平凡な家庭で育つ
【備考】日本風異世界国家出身
98 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/14(日) 21:15:20 ID:pZam+yKF
投下終了です。
99 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/14(日) 22:14:10 ID:pZam+yKF
参加者を減らします。消えるキャラは以下の通り。
【オリキャラ】○江藤義晶/○リリィ/○シーザー
【自作ロワ】○エルフィ/○ノーチラス
【俺オリロワ】○伊藤文子
【スターフォックス】○フォックス/○ウルフ
それに伴いSSの修正も行います。
100創る名無しに見る名無し:2010/03/15(月) 21:54:42 ID:mpLjx5SV

ちょっと皆の意見を聞きたいのだけれども。

過去にDAT落ちしてその後の動きの無いロワの続きを、
ここで書いてしまうというのはアリだろうか?
101創る名無しに見る名無し:2010/03/15(月) 22:03:31 ID:kgmzOwyh
投下乙です

>>100
私個人としては問題ないと思われますが、
正直、こちらよりも落ちたスレの住民の方に聞いた方がいいかと思われます
いや、連絡が取れないからコチラで聞いているとは思われるのですが
102創る名無しに見る名無し:2010/03/15(月) 22:06:05 ID:fwXhXylS
流石にちょっとまずいんじゃね?
ルールを参考にさせてもらうとかぐらいなら全然アリだと思うから名簿とか似せて自分で最初から書く、ってんなら問題ないとは思うけど
103 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/15(月) 22:53:30 ID:dvcEF76N
投下します「救いなんてない」
104救いなんてない ◆6LQfwU/9.M :2010/03/15(月) 22:54:22 ID:dvcEF76N
「…ここは…どこだ…」
真っ暗な場所で目覚めた下痢。
(天国…にしては暗い…一体ここは)
「ここは地獄だ」
突然どこからともなく声が響く。
「地獄…?」
信じられないと言った様子で呟く。
「そうだ、お前は天国に至ることは無い。永遠にな」
「そんな…何とか、ならないのか」
絶望に支配された声で何とかそれだけ絞り出す下痢。
「自分を知れ。そんなおいしい話がお前にあると思うのか?」
「そんな…」
不意に、辺りが明るくなる。
そこには、まさに地獄と呼ぶにふさわしい場所だった。
地平線まで、荒れ地が広がる不毛の地だ。
「さあ、お喋りもここまでだ。お前に待っているのは…永遠の苦しみだ」
突然何かの力で体を強く引っ張られる。
「くっ…嫌だ、俺は…!」
強大な力に逆らう術も無く、強力な力で引きずられる。
(俺は…俺…は、もう…)
全てを諦め、力に身を任せる。
(救いの無い…永遠の苦しみか…)
苦しみの連鎖は、まだ始まったばかり―

【下痢@板対抗BR】
[状態]:霊体、諦め、絶望
[装備]:なし
[所持品]:なし
[思考・行動]:
1:(思考停止)
105 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/15(月) 22:55:52 ID:dvcEF76N
投下終了です。
殺害数ランキング1位のキャラは、死後こうなるのです…
106 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/15(月) 23:04:41 ID:+EFA9V5Q
乙です。死後を描くっていうのも斬新ですね。

>>100 うーんどうだろう、分からない(おい
例えば何ロワですかね?

俺得ロワ9話「考える伯父」投下します。
登場:レオン・ミスティーズ
107考える伯父 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/15(月) 23:06:05 ID:+EFA9V5Q
9話 考える伯父

黒い毛皮を持った人狼――の姿をした青年、レオン・ミスティーズは、
エリアB-1の海が見える平野に立ち尽くしていた。
そしてついさっきまでの一連の出来事を思い出す。

「……リリア……」

この殺し合いの主催者であり自分の姪にあたるリリアの名を呟き、
手を顔に当て渋い顔をして溜息をつく。

「…まさかこんな事になるとは…」

あの監獄城を脱出した後、正式に王位に就いたリリアだったが、ある日突然失踪してしまった。
国民や家臣、一緒に脱出したティアやバンは心配していたが、
リリアの実兄であるクリスから、レオンは大体の真相は告げられていた。
リリアは日々の政務に嫌気が差し城の地下にある自分専用の特別室に引き籠ってしまったと言うのである。
元々、自由奔放かつ唯我独尊なリリアの性格を考えればある意味無理もない事なのだろうが、
とにかくこのままでは国民に合わせる顔がない上に政治が成り立たなくなるので、
日々、クリスやレオン、一部の重臣達による説得が続けられた。
だが監獄城の一件で、生来の常人離れした身体能力に加え魔王としての力まで身に付けたリリアの説得は困難を極めた。
一体何度生死の境を彷徨ったか、何度三途の川や花畑を見たか、何度リハビリに苦しんだか分からない。
それでも決死の説得を続けた結果、遂にリリアは政務に復帰してくれた。

――と思っていたのだが。

首にはめられた金属製の首輪を触ると、冷たく無機質な感触が毛皮に覆われた指先から伝わってきた。
あのオープニングの時に誰かは分からなかったが、この首輪を爆破されて殺された。

――実を言うとリリアの姿もよく見えなかったのだが、あの落ち着いた物腰を感じさせながらも、
底冷えするような冷酷さを感じさせる女性の声は聞き間違えるはずがない。

首輪を爆破された者の親しい知り合いと思しき少年の悲痛な叫びと慟哭は今でもはっきりと覚えている。
この首輪はつまりこの殺し合いを確実に成立させるための枷であるらしい。
今自分は二足歩行の狼の姿だから、ある意味首輪はお似合いかもしれないと自嘲しつつ、
尻尾を大きく横に振りながら、これからの事をレオンは考える。

無論、彼に殺し合いに乗り、積極的に殺人を犯そうという思考はない。
いくら自分の姿は獣そのものだとは言え、心まで獣に染まってはない。
いやそれより、主催者の伯父として、明らかに理不尽なこの殺し合いを止めるべきだと考えた。
そしてリリアになぜこのような馬鹿げた事をしたのか問い質す必要がある。
更に、全員が全員殺し合いに乗るとは考えにくい、恐らく殺し合いを拒否する者や怯えて隠れる者もいるだろう。
そういった者を保護、あるいは仲間にしたい。

おおよその行動方針が決まった所でレオンは自身の支給品の確認に移る。
デイパックを開け、中からまず名簿を取り出して開いて見てみる。
108考える伯父 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/15(月) 23:07:31 ID:+EFA9V5Q
「! クリスもいるのか…」

名簿には自分の甥でありリリアの実兄、クリスの名前も記されていた。

「だが…あいつもできた男、そして兄だ。恐らく殺し合いには乗らないだろう」

名簿をしまい、次に地図とコンパスを取り出し、現在位置を割り出す。
周囲の地形や方角から察するに、自分が今いる場所は恐らくエリアB-1。
すぐ近くには明かりがぽつぽつ灯る道路、そして道路の先には街並みが見える。
おおよその現在位置は割り当てたので今度は不定支給品の確認に移る。

「? これは何だ…?」

出てきた物はレオンには全く馴染みのない物だった。
シグザウアーSP2340――.40S&W弾を使用する扱いやすい部類に入る自動拳銃である。
当たり武器だがレオンは銃など見た事がないので、手に取りあちこちを観察する。
説明書が添付されていたので、開いて目を通す。

「むぅ……これは武器なのか……成程……」

一通りの使い方は分かったので、SP2340を改めて手に取り、セーフティーロックを外し、
スライドを引いて初弾を装弾、そして海に向けて両手で構え、トリガーを引いた。

パァン!

乾いた音と同時にP2340の銃口から火が噴き、
レオンの両手から肩に軽い反動が伝わった。

「成程な、上手く使えればかなり威力を発揮しそうだ」

初めての射撃を体験したレオンは、SP2340を右手に持ったまま市街地目指して歩き始めた。
現在、レオンは何も着ていないため、ズボンにP2340を差し込んで携行するという事ができない。
かと言ってデイパックの中に一々入れるといざという時取り出すのが面倒なためだ。

「……」

道路を歩いている途中、レオンの中に一つの心配事が生まれた。
自分とクリスは主催者と同姓で、名簿にもしっかり記載されている。
主催者と同姓の者が参加者の中にいれば、普通は主催者と何らかの関わりがあるのではと思われるだろう。
悪ければ主催側からの回し者と誤解され、厄介な事になるかもしれない。
これから仲間を集めていこうとするレオン、そしてどこかにいるクリスにとって余り良い展開になるとは思えない。
だがしかし、だからと言って諦めてしまいう訳にもいかない。

「何とか説得して信じて貰うしかないな」

誰かと遭遇した時、主催者と同姓である事を質問された時の事を考え、
少し頭を痛くしながらレオンは歩き続けた。
109考える伯父 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/15(月) 23:08:19 ID:+EFA9V5Q
【一日目深夜/B-1平野:幹線道路】

【レオン・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:健康
[装備]:シグザウアーSP2340(12/12)
[持物]:基本支給品一式、シグザウアーSP2340のリロードマガジン(12×5)
[思考]:
0:殺し合いを止め、リリアと会う。
1:クリスを捜しつつ、仲間を集める。
2:首輪を外す手段も探したい。
3:襲われたらそれなりに対処はする。
※参戦時期は本編終了後です。
※拳銃の使い方を一通り覚えました。


※B-1一帯に銃声が響きました。


≪支給品紹介≫
【シグザウアーSP2340】
シグザウアーが開発したポリマーフレーム(プラスチック)製の自動拳銃。
使用弾薬:.40S&W弾 装弾数:12発
110 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/15(月) 23:09:11 ID:+EFA9V5Q
投下終了です。
111創る名無しに見る名無し:2010/03/16(火) 00:05:09 ID:V/VToysL
>>101-102>>106

ご意見感謝。
自重することにします。
112創る名無しに見る名無し:2010/03/17(水) 02:42:02 ID:hF2cRFkz
なんとなくどこのロワをやろうとしていたのかが気になる
113 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 00:02:40 ID:x9f53xYL
新しくロワを始めたいのですが、よろしいでしょうか?
114創る名無しに見る名無し:2010/03/18(木) 00:53:14 ID:0qKu58y8
いいんでね
115創る名無しに見る名無し:2010/03/18(木) 01:02:38 ID:QgEgqXVM
GO!
116 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/18(木) 02:05:52 ID:EZ4/1zH/
>>113 新ロワ! 大歓迎です
投下します。俺得ロワ10話「不意討ちは時々高難易度」
登場:ドーラ・システィール、フォナ・アンシュッツ
117不意討ちは時々高難易度 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/18(木) 02:06:50 ID:EZ4/1zH/
10話 不意討ちは時々高難易度

切り立った、高さ十数メートルはあろうかという断崖絶壁。
崖の下は尖った岩が幾つもあり、落下でもすればほぼ確実に死ぬ。
自殺志願者でも自殺を躊躇ってしまいそうな恐ろしい光景。
そんな危険な崖下を覗き込む一人の狐獣人の女性――ドーラ・システィールがいた。

「落ちたら即死だねぇこりゃ」

幾多の死線をくぐってきたスナイパーである彼女でも、
崖の高さと崖下の状況を見ると少し怖気付いてしまう。

そんなドーラの背後から、足音を殺して忍び寄る影があった。
その影はドーラの背中まであと数メートルの所まで迫ると、
両手を前に就き出すような体勢を取る。

そして、一気にドーラの背中を押し――。

「…れっ?」

押せなかった。
ドーラが直前でひらりとかわしたためだ。
そしてその勢いのまま、崖の方向へ。
影――青い髪に白っぽい丈の短いローブを着た少女、フォナ・アンシュッツは、
勢い余って崖から転落寸前になった。

「ああああ! う、うわ、ああああ、うわああ」

大きく手を振り必死に落ちまいとするフォナ。
だが最早彼女の身体は大きく崖の方向――何もない、落ちれば真っ逆さま、死が待っている方向に傾いていた。
そしてついに、フォナの身体がその方向へ更に傾く――つまり、落下。

だが、フォナの身体は落下する事はなかった。
ドーラがフォナの衣服を掴み、思い切り地面のある方へと引っ張ったからだ。

「ゼェ、ゼェ、ゼェ、ゼェ…」

地面に座り込み、生えている雑草の感触で今自分が生きている事を実感するフォナ。
その目には涙が滲んでいた。

「ちょっとアンタ」

そんなフォナに殺されかけたドーラが威圧的な口調で尋問を開始する。
はっと我に帰ったフォナは頭上のドーラの顔の方に向き直った。
腰に右手を当て、こちらを睨み付ける美しい身体付き、顔立ちの狐獣人の女性の姿がそこにあった。
118不意討ちは時々高難易度 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/18(木) 02:11:48 ID:EZ4/1zH/
「あ、えーと、その」
「さっきあたしを殺そうとしたねぇ?」
「い、いや違うよ!! ちょっと声を掛けっ」
「嘘つくんじゃないよこのガキ!」

ドーラがフォナの髪を掴み思い切り上に引っ張り、無理矢理立たせた。

「あたしを殺そうなんて良い度胸してるじゃないかい、名前は?」
「ひっ……フォナ・アンシュッツですっ…」
「そうかい。あたしはドーラ・システィール。フォナ、さっきあたしを突き落とそうとしたって事は、
アンタはこの殺し合いに乗る気かい?」

涙目になっているフォナに顔を近付け、ドーラが凄みの効かせた声で訊く。
その問いに対し、フォナは震えながらこくりと頷いた。

「だって…最後の一人にならなきゃ帰れないって…私、まだ死にたくないもん……」
「気持ちは分かるよ。まァ、でも、最初に出会った相手が悪かったねぇ。
アタシも不意討ちには慣れてるからね、分かるんだよ背後狙う奴なんてのは。
しかもアンタ、どうやら戦いに関しちゃ素人みたいだしねぇ、尚更さ」
「う……ううう………」
「さてと……こいつはあたしからの、お仕置きだよ!」
「うぐっ!?」

フォナの鳩尾に、ドーラは渾身の膝蹴りをお見舞いする。
短い悲鳴を上げ、口から大量の吐瀉物を吐き出したフォナはそのまま伸びてしまった。
意識を失ったフォナを地面に放り投げ、ドーラはふぅと溜息をつく。

「全く面倒な事になったもんだね、殺し合いなんて」

やっとの事でコバルトを討ち倒し、勝利の美酒を仲間達と共にあおった後、
すっかり泥酔したドーラは宿泊先の宿屋にある自分の部屋に戻り、
そのまま爆睡してしまった、はずだったのだが。

「名簿にはアイン隊長の女の名前もあったし…隊長がいない事は幸いだね。
……とりあえず、あそこに見えるでかい家に行ってみようか」

ドーラは気絶させたフォナをそのまま放置し、
遠くに微かに見える豪邸に向け、崖沿いを歩いていった。
119不意討ちは時々高難易度 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/18(木) 02:14:05 ID:EZ4/1zH/
【一日目深夜/H-2崖周辺】

【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康、H-3豪邸に移動中
[装備]:不明
[持物]:基本支給品一式、不明支給品(1〜2、本人確認済)
[思考]:
0:今の所殺し合いをする気はない。
1:とりあえず豪邸を目指す。
2:シェリーについては保留。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※フォナ・アンシュッツの名前と容姿を記憶しました。

【フォナ・アンシュッツ@オリキャラ】
[状態]:気絶、腹部にダメージ
[装備]:不明
[持物]:基本支給品一式、不明支給品(1〜2、本人確認済)
[思考]:
0:殺し合いに乗り優勝を目指す。
1:(気絶中)
※ドーラ・システィールの名前と容姿を記憶しました。
※いつ頃起きるかは書き手次第です。
※魔法が使えましたが主催側の制限により使用不能です。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】フォナ・アンシュッツ
【年齢】16
【性別】女
【職業】魔法使い、薬師
【性格】ドジっ娘(笑)
【身体的特徴】青い艶やかな長髪、童顔だが身体は魅力的
【服装】白い丈の短いローブに革製のニーソ状の履物、編上靴
【趣味】料理
【特技】炎系、氷系、雷系の攻撃魔法、及び低級ではあるが回復魔法を行使
薬品の調合により治療薬、毒薬、爆薬などが作成可能
【経歴】12歳の時に薬師だった両親を戦災で亡くし、以来一人で主に薬師として生計を立ててきた。
しかしやはりそれだけでは生活は苦しいようで、魔法能力を利用して傭兵紛いの事もやったり、
身体を売った事も一度や二度ではない(避妊用の魔法を掛けて凌いでいたらしい)
【備考】非リレーロワ・個人趣味ロワに登場した支給品、
「フォナ特製催淫剤注射セット」を開発した本人。ただし、
別の薬品を作成中に偶然できてしまった代物らしい。
120 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/18(木) 02:15:30 ID:EZ4/1zH/
投下終了です。
121創る名無しに見る名無し:2010/03/18(木) 19:06:12 ID:Qgjv6oVR
・俺得ロワ「再会と死別」
ウザイアン……死亡フラグ立てやがって。
しかし高野は俺オリ開始前から参戦かw

・同上「大切な息子を切り裂いた女」
ミーウはミーウだな。

・同上「逃げない、投げない、諦めない」
一瞬メロスかと思った。

・同上「考える伯父」
伯父さんとクリスはこれから苦労しそうだ。

・同上「不意討ちは時々高難易度」
個人趣味ロワに出た支給品のひとつの開発者とか凄い伏線だなw

・自己満足ロワ「終末」
スネーク、スネェェェェェェェェェク!
そしてまた4人殺し、どんどん減っていく参加者。まさしく終末は近い。

・同上「救いなんてない」
死後の描写はそこまで珍しくないけど、地獄で苦しむってのは斬新だ。
122 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 22:30:50 ID:x9f53xYL
ロワ開始の許可をもらったので投下を開始します。
まずはOPから。
123 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 22:33:56 ID:x9f53xYL
――――――――――――――――――――――――――
×月×日
せかいだいとうりょうは、
せかいじゅうからひとびとをあつめ
おおきな、おおきなたたかいをおこすだろう。
――――――――――――――――――――――――――



ここは何処なのだろう。
どうして自分はこんな所にいるのだろう。
自分は部屋のベッドで寝ていたはずなのに。
…辺りを見回してみる。
見た所、ここはどうやらホールのような場所らしい。
自分以外にもここに連れて来られた人間がいる事も分かった
呼びかけてみようとも思ったが、口にはテープの様な物が貼り付けてあって、声を出す事が出来ない。
そういえば、首の辺りになぜかひんやりと冷たい感触がする。
首を触ってみると、自分には金属製の首輪が付いていることが解かった。
…解からないことだらけだ。
なんでこんな所に連れてこられているのか。
なんでこんな物が首に巻きついているのか。
一体誰が、何のためにこんなことを…?
突然、ホールの一角が光に照らされ、壇上に立つ一人の男の姿を照らし出した。
黒いスーツを着ており、「目と人指し指だけを出した左手を組み合わせたようなマーク」が
描かれた白い覆面を被った男。
「怪しい」を絵にかいたみたいな格好だ。 気味が悪い。

「……やぁ、みんな。目は覚めたかい?」

暢気な声で男がこちらに向かって話しかけてきた。
変声機でも使っているのだろうか、その声は妙に低く、そして、くぐもっている。

「ぼくの名前は“ともだち”。・・・知らない人がほとんどじゃないかな。」

「ともだち」だって? 妙な名前だ。 僕はあんな奴と友達になった覚えは無い。
…もしかすると、何処かの宗教団体の教祖なのかもしれない。

「…君たちをここに連れてきたのはちょっとした理由があるんだ。」
124 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 22:36:47 ID:x9f53xYL
理由?  …何なのだろうか?


「君たちには―――
最後の一人になるまで殺し合いをしてもらうよ。」


……へ?
「殺し合い」だって?
そんな馬鹿な。 冗談だろ? 

「言っておくけど、冗談じゃないからね。」

……「僕」に答えるかのように、「ともだち」は言った。



「それじゃあ、ルールの説明を始めるよ。」

そう言うと、ともだちは殺し合いのルールを淡々と話し始めた。
そう、淡々と。 連れてこられた人間に詫びる気など全くないようだった。
連れてこられた人々のほとんどは、唖然とした表情で「ともだち」を見ている。
ルールを聞いているようには思えなかった。



「…これでルールの説明を終わるよ。 質問のある人はいるかい?」

説明を一通り終えた「ともだち」は、俺達に向かってそう言ってきた。
「俺」は、迷わずに右手を挙げる。

「えぇと、じゃあ、そこの君。」

ともだちは俺の方を指差す。 すると、口に張り付いていたテープは空気中に溶けていくように消えていった。
(一体、何を材料にすればこんな物が作れるのか。)
…発言の邪魔をする物が消えたのを確認すると、俺は立ち上がり、こう言った。

「…なんで俺達が殺し合いなんてしなきゃいけないんだ?」
125 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 22:39:55 ID:x9f53xYL
これが一番聞きたかった事だ。俺達をこの「殺人ゲーム」に参加させた目的を
聞かなくてはならない…。

「どうしてって……そんなのに理由があるのかい?
あ、でも……、強いて言うなら自己満足かな。
神様の暇つぶしってやつだよ。」

………はぁ?
どうゆう事だよ。 それ。
「自己満足」?「神様の暇つぶし」?
そんな滅茶苦茶な理由で俺達に殺し合いをさせるのか?
―――頭の中で、何かが切れる音がした。

「なんだよ‥‥それ‥‥っ!」
「?」
「…ふざけんじゃねぇよ!! なんでお前の身勝手で殺し合いなんかしなくちゃならないんだ!?
こんな滅茶苦茶な話があるかよ!!」

許せねぇ…!。
何かしら事情があるならまだしも、理由も無いのに殺し合いをしろ、だと…!?
ふざけるのも大概にしろ!

「第一、人殺しは犯罪だろうが!! そんな事もわかんねーのか!?
このゲス野郎!!」

我を忘れ、ひたすら罵声を浴びせ続ける。
「ともだち」に対する怒りだけが俺をつき動かす…!

「俺はこんなふざけたゲームになんか乗らない! 断固拒否だ!
いや、むしろこんなクソゲーム、俺が―――」
「もう、いいよ。解かった。」
「…!!」

罵声が「ともだち」の言葉によって遮られる。
彼は白けきった…いやむしろ、怒った様子でこっちを見ていた。
(顔が覆面に隠れているから本当は様子なんて分からないんだが、
なんとなく、そんな気がしたのだ。)
126 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 22:42:17 ID:x9f53xYL
「……残念だよ。 そんな反抗的な態度をとるなんて。」

そう言いながら、「ともだち」はポケットに手を突っ込み、小さなリモコンを取り出す。
そして、リモコンの先を俺の首輪に向ける。
…何をするつもりなんだ?

「君には失望させられたよ。  君とは―――」


「“絶交”だ。」


「ともだち」が、リモコンのスイッチを押した。



ピ………ピ………ピ………

…? 何の音だろう?
「僕」は、辺りを見回して音の発信源を探る。

「なんだよ…これ! どうなってやがる!」

さっきまで「ともだち」に罵声をあびせていた男が、怯えた声を発していた。
…耳を澄ましてみると、電子音はその男から流れている事が解かった。

「ああ、そういえば首輪について言い忘れていたね」

「ともだち」は、思い出したように話し始める。

「首輪には、君達が変な事をしないようにいろいろ仕掛けが施してあるんだ。」

ピ……ピ……ピ……ピ……

段々と電子音の間隔が短くなっている。
音の間隔が無くなった時、「何か」が起こるのは説明しなくても理解できる。
だが、その「何か」とは何なのだろうか。

「例えば、君みたいに反抗的な態度をとる人に対しては・・・・」

ピ…ピ…ピ…ピ…ピ…ピ…

「なんなんだよこれぇ!! どうなっちまうんだ!! 早く言ってくれよぉ!!」
127 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 22:43:41 ID:x9f53xYL
「爆発する仕組みになってるんだ。」

“爆発する”
“首に付けられた首輪が爆発する”
ちょっと待ってくれ。 それってつまり――。

「じゃあそれって…お、俺は……。」
「うん。 死んじゃうだろうね。 確実に。」

死ぬ。
その言葉が頭の中で反響し続ける。
・・・なんて危険な物を装備されてしまったんだ!

「嫌だ…そんなの………助けてくれよ……なぁ!!」

男は「ともだち」に必死に懇願するが、

「それは無理な話だねぇ。ぼくと君はもう“友達”じゃないんだから。」
「そ、そんなぁ……!!」

…あっさり拒否されてしまった。
当然と言えば、当然なのかもしれないが。

ピ‥ピ‥ピ‥ピ‥ピ‥ピ‥ピ‥ピ‥ピ

電子音の間隔は段々と短くなってきている。
このままでは僕まで危ない。
咄嗟に僕は男から離れる。

「あぁ…嫌だ………嫌だぁぁぁぁぁl!!!
嫌だ!! 死にたく無い!!」
128 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 22:47:36 ID:x9f53xYL
男があちらこちらを走り回り始めた。 まるで、助けを求めるように。
だが、ホールにいる全員が、彼から離れようと必死になっている。 
彼を救おうとする人間などいなかった。 いる筈が無い。

ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

電子音の間隔がいよいよゼロになる。
――爆発する!!

「あぁああぁあぁあああああぁああぁあああぁあぁぁああ!!!!
嫌だぁぁぁぁああぁぁぁぁあぁあああぁあっぁぁああぁぁぁ!!!!!
死にたく無いよおぉぉぉおぉおぉぉおぉぉぉぉおぉぉぉ!!!!」

ピィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ


ドンッ!





「…解かったかい? 逆らうと、こうなっちゃうからね。」

「ともだち」は倒れている男の死体を見下ろしながらそう言った。
死体には首から上が無くなっており、その代わり、その場所には真っ赤な水溜りが出来ている。
………。
人が、死んだ。
死体は見た事は何度かあったが、人が死体になる瞬間を見るのは初めてだ。
人の命は、あんな簡単に消えてしまう物なのか。

「無理に外したり、禁止エリアに入っても爆発しちゃうから。気を付けてね。
…禁止エリアについては次の放送の時に説明するからね。」

…なんてこった。
「ともだち」は本気だ。 本気で僕達に殺し合いをさせようとしている。
畜生! 夢なら覚めてくれ!
…そう思っても、男の死体は消えてはくれなかった。
129 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 22:50:10 ID:x9f53xYL
「それと、もう1つ。
優勝した人には、願いを1つだけ叶える権利をあげるよ。
どんな願いでもかなえてあげるよ。
金が欲しければを一生遊んでも足りない位のお金をあげるし
死んだ人を生き返らせて欲しいなら、その人を蘇らせてあげる。」

!!
願いを叶える…。
にわかにも信じがたい話だ。
でも、もしそれが本当だとするのなら―――

「……そろそろ時間だね。
それじゃあ、始めようか。」

「ともだち」がそう言った、次の瞬間。
突然、四方八方から真っ白なガスが噴出された。
目の前が真っ白な煙に包まれる。
あまりにも突然だったので、僕はそのガスを鼻から大量に吸い込んでしまう。
――吸った瞬間、強烈な眠気が僕に襲い掛かってきた。

(催眠ガス……!)

気づいた時にはもう遅かった。
僕の意識は、急激に遠のいていく。

(くそっ……夢で…あって…く……れ………。)

―――そう願いながら、僕の意識は、深い、深い闇の中へと落ちていった…。

【崖鉄平@安価カオスロワラジオ   死亡】

130 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 22:53:07 ID:x9f53xYL

…いやぁ、最高のスタートだったよ。
「見せしめ」の恐怖にゆがむ表情なんて最高だったね…。
これから始まる、恐怖の殺戮ゲーム「バトルロワイアル」。
そこで参加者達はどんな「表情」をしてくれるんだろうか…。
楽しみだなぁ…! 心が躍るよぉ…!
…さてと! もうすぐ午前0時! 始まりの時間だ!
精一杯戦って「俺」を満足させてくれ!!


賽は、投げられた―――!!


【午前0時 ゲーム開始】


【残り66名】


131 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 22:56:00 ID:x9f53xYL
OPのタイトルを書き忘れてしまいました。
タイトルは「あーそびーましょー」です。

≪参加者名簿≫
【GANTZ】4/4
○玄野計/○加藤勝/○小島多恵/○和泉紫音
【銀魂】4/4
○近藤勲/○土方十四朗/○沖田総悟/○河上万斉
【20世紀少年】4/4
○遠藤健児/○遠藤カンナ/○落合長冶/○蝶野将平
【バトルロワイアル】4/4
○七原秋也/○川田章吾/○桐山和雄/○相馬光子
【未来日記】4/4
○天野雪輝/○我妻由乃/○雨竜みねね/○来須圭悟
【テイルズオブジアビス】4/4
○アッシュ(ルーク・フォン・ファブレ)/○イオン
/○ヴァン・グランツ(ヴァンデスデルカ・ムスト・フェンデ)/○ディスト(サフィール・ワイヨン・ネイス)
【東方project】4/4
○霧雨魔理沙/○アリス・マーガトロイド/○パチェリー・ノーレッジ/○聖白蓮
【ポケットモンスターシリーズ】4/4
○グリーン/○ワタル/○ダイゴ/○シロナ
【やる夫シリーズ】4/4
○やる夫/○やらない夫/○やる実/○ダディクール
【VOCALOID】4/4
○初音ミク/○鏡音リン/○鏡音レン/○巡音ルカ
【自作キャラでバトルロワイアル】4/4
○玉堤英人/○太田太郎丸忠信/○苗村都月/○テト
【仮面ライダーディケイド】4/4
○門矢士/○海東大樹/○鎌田(パラドキサアンデット)/○ガイ(アポロガイスト)
【さよなら絶望先生】2/2
○糸色望/○木津千里
【ドラえもん】2/2
○ドラえもん/○野比のび太
【NARUTO】2/2
○うちはサスケ/○大蛇丸
【彼岸島】2/2
○宮本明/○雅
【ARMORED CORE for Answer】2/2
○オッツダルヴァ(マクシミリアン・テルミドール)/○リリウム・ウォルコット
132 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 23:02:10 ID:x9f53xYL
>>131の続き
【かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄】2/2
○矢島透/○小林真理
【ファイナルファンタジーXI】2/2
○汚い忍者/○内藤
【ガチムチパンツレスリングシリーズ】2/2
○ビリー・ヘリントン/○TDNコスギ(ヴァン・ダークホーム)
【テラカオスバトルロワイアル】2/2
○◆6/WWxs9O1s/○らき☆すたのデコ

66/66

≪主催者一覧≫
【20世紀少年】
○ともだち

・・・他にもいるかも。
133 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 23:03:27 ID:x9f53xYL
≪ルール≫
参加者全員で殺し合いを行う。 それだけ。
基本的に何でもあり。
最後に残った者だけが、元の世界に帰ること+願いを叶える事が出来る。
参加者全員が死亡した場合は、ゲームオーバー(優勝者)なしとする。

≪持ち物≫
元の世界で武器、道具等の所持品を持っていた場合、それらの所持品は全て没収されられる。
参加者には、
地図、参加者名簿、筆記用具(メモ帳とボールペン)、コンパス、食料(2日分)、不明支給品(2〜3個)ア
入ったデイパックが与えられる。
基本的にはデイパックには何でも入れることが出来るが、
生物、死亡者、大きすぎる物(車等)は入れる事は出来ない。

≪首輪≫
参加者全員には首輪がはめられている。
禁止エリアに侵入して一定時間経った場合、無理やり首輪を外そうとした場合、
ゲームに大きな支障を起こした場合に首輪は爆発。
首輪を爆発された参加者は例外なく死亡する。

≪禁止エリア≫
放送の度、禁止エリアが三ヶ所発表される。
放送後、一時間後に指定のエリアが禁止エリアになる。
又、地図に書かれていない場所も禁止エリアとする。

≪時間表記≫
0時スタート
深夜:0〜2   黎明:2〜4
早朝:4〜6   朝:6〜8
午前:8〜10  昼:10〜12
日中:12〜14  午後:14〜16
夕方:16〜18  夜:18〜20
夜中:20〜22  真夜中:22〜24
134 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 23:05:09 ID:x9f53xYL
≪地図≫
東・北・西の三方向を山に囲まれ、南には海が広がる。 鎌倉みたいな所。
   一 ニ 三  四 五 六 七
A  森 廃 廃  森 森 街 塔
B  森 森 森  森 デ 街 街
C  洋 森 森  街 街 平 平
D  平 森 街  友 街 森 平
E  平 平 街  街 森 森 宿
F  街 街 工  森 森 森 森
G  灯 人 海  海 村 村 海

森・・・森林。 小屋等の建物があるエリアもある。
平・・・平地や道路、草原。 
海・・・その名の通り海。
人・・・海を埋め立てて造られた人工地。 建物も建っている。
街・・・住宅地。「20世紀少年」の昭和58年の町並みが再現されている。
工・・・廃工場。「テイルズオブジアビス」の「バチカル廃工場」に酷似。
館・・・大きな洋館。「東方project」の「紅魔館」に酷似。
廃・・・廃村。「SIREN」の「羽生蛇村」に酷似。
塔・・・大型タワー。「未来日記」の「タワーSAKURAMI」に酷似。
灯・・・灯台。「バトルロワイアル」の「灯台」に酷似。
村・・・海の上にある小さな村。「彼岸島」の「水上の村」に酷似。
デ・・・大型デパート。「ポッケトモンスターシリーズ」の「タマムシデパート」に酷似。
宿・・・監獄のような宿泊施設。「かまいたちの夜2」の「三日月館」に酷似。


≪特別ルール≫
放送時、禁止エリアとは別にエリアが2、3ヶ所指定される。
放送の一時間後に、指定されたエリアにパラシュートを付けたデイパックが2つずつ投下。
デイパックの中には、不明支給品が1〜2個入っている。
135 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 23:11:02 ID:x9f53xYL
以上で投下を終わります。
改めて見ると雑な文章だなぁ。
136 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/18(木) 23:13:18 ID:x9f53xYL
ロワ名を忘れるなんて…
ロワ名は「無謀ロワ」です。
137 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/18(木) 23:15:28 ID:+DBYQjla
投下乙です。
これは面白くなりそうですね
138創る名無しに見る名無し:2010/03/18(木) 23:43:57 ID:Ai9whmHP
OP投下乙です
またカオスな参加者のロワが始まったなあ
とりあえず見せしめに吹いたw
139創る名無しに見る名無し:2010/03/19(金) 00:01:46 ID:DKaD6Y2C
投下乙ー
自分の好きな作品が多くて超期待w
見せしめ崖鉄平かよwwww
140最後の最後 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/19(金) 00:29:29 ID:gQ9M1yX/
投下します「最後の最後」
141最後の最後 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/19(金) 00:30:22 ID:gQ9M1yX/
「あー、もう5人以下かー。ちゃちゃっと優勝者決めてくれー」
何処かから謎のプログラマの声がする。
「ああ、もう時間無いんで放送するぞ!早いけど」
…聞いたことの無い声も聞こえて来た。
「死亡者いくぞー!前の放送から今まで死亡した参加者は…
◆Right//mko
阿部高和
矢島透
パフェニー
◆PURIN//46E
ビリー・ヘリントン
守谷彩子
木吉カズヤ
イチロー
チルノ
vもんが
ヴァン・ダークホーム
雷電
07
下痢
ソリッド・スネーク
gumi
うさぎ
不死鳥
…以上19名だ、こんなに死ぬとは予想外だー。」
「次に禁止エリアだが…もうめんどくせぇ、全部10分後に禁止エリアだ!」
信じられないようなことを声の主は言う。
「全部禁止エリアだって…?主催が俺たちを殺しにかかってるのかよ」
穴が信じられないと言う様子で呟く。
「…殺しにかかってなければ、こんなことしないだろ?」
「…!」
聞こえている。
その事実が、2人を凍り付かせた。
「糞っ!何でこんなむちゃくちゃな…ん?」
病院方面から誰かが走ってくる。
「おい、早くこっちに来るんだ!」
叫びながら、紙に何か書いている穴。
「…どうしたの?」
黙って紙を指指す。
『盗聴されてるのは、さっきの事で分かったよな?』
頷くめろりん。
『だから、筆談だ。今から首輪を解除する。30秒あれば余裕だ』
めろりんの顔に希望が蘇る。
『だから、あっちからくる奴…警戒して、こっちに呼ぶんだ。』
無言で頷き、走ってくる男の下へ行こうとするめろりんに、
「これ」
穴は一枚の紙を渡した。


「ああ、人がいた…どうしよう、このままじゃ皆死ぬ!」
さっき貰った紙を2枚広げ、その男に見せる。
『今から首輪を解除する。慌てないで、落ち着いてこっちに来い。』
『首輪解除のことは、口にするな。絶対にするな』
「名前は、何ですか?」
めろりんがその男に訪ねる。
「俺の名前は、野村和也だ…。」
紙を見て少し落ち着いたのか、息も少し整っている。
そして2人は穴の下へ向かった。
142最後の最後 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/19(金) 00:31:11 ID:gQ9M1yX/
(これで…よし、と。ここに情報を入力したらOKか)
一息つく穴。
『本当に、大丈夫なんですか』
まだ心配そうな顔で訪ねる和也。
それに自信たっぷりの顔で頷く穴。
何やらキーボードの入力をし、画面に文字が表示される。

≪参加者是全員の首輪を解除しますか? Y/N≫

『やった…。これで首輪が外せるの?』
だが、穴は首を横に振りさらさらと文字を書く、
『これは…罠だ。ここはNOを選ばないと爆発する。』
『だが、プログラムはすでに書き換えている。問題ない』
穴は“YES”を選択する。

≪首輪を解除しています、お待ち下さい≫

30秒程しただろうか、その場にいる3人の首輪は少し電子音を立てた後外れた。
「やった…!これで、1つ帰還に近づいた。」
だが、解除した首輪からは声が響いてきた。
「良く首輪を解除した。本当は妨害もできた…いや、出来なかった。」
穴がニヤリと笑う。
「そりゃそうだ、そっち側に有利なものは全て消した。当たり前だ」
穴がポケットから取り出した機械の部品が地面に落ちる。
「…だが1手及ばなかったな。遠隔爆破は出来るんだ。」
穴がしまった、と言うような表情に変わる。
だがすぐに落ち着きを取り戻す。
「みんな、俺に首輪をくれ」
2人は穴に首輪を手渡す。
そしてそれを纏めて放り投げる。
「…これで、何の問題もないな。禁止エリアも関係無い。」
首輪の飛んで行った方向、そしてまた違う方向から爆音が響く。
(死んでいる奴の首輪が爆発した…?調べたいがそんな時間は無いな)
「最後まで残ったのは…3人だと?まあいい。こっちに呼んでやる」
その瞬間、3人の目の前に扉が現れた。
「入って来い。歓迎するぞ」
143最後の最後 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/19(金) 00:32:19 ID:gQ9M1yX/
3人は言われるがままに入っていく。
そこには、真っ白な部屋に2人の男と小さなパソコンが置いてあるだけの部屋だった。
「ようこそ、運営室へ」
椅子に座ったまま言う謎のプログラマ。
そしていつの間にか扉は消え、3つの椅子が代わりに置かれていた。
「俺が、何でこのロワを開いたか教えてやる」

そうだ。あれは、俺がゲームの管理をしていた時だ。
ゲームを管理人の方から見ている時思った。
―本当に、バトロワをやったらどうなるか―
だがすぐには出来なかった。
ある男との遭遇を待たなければいけなかった。
「その、ある男とは誰なんだ」
野村、和也って名前だったな、まあどうでもいい。
俺はそれに答えるように言った。
「そいつの名前か、名前は…」
少し間を置いて言った。
「―◆6LQfwU/9.M、だ。こいつは俺の趣旨に賛同してくれた。」
「一体、そいつは誰なんだ!?」
怒りを込めた声で穴が言う。
「そいつは―売れない書き手と言っていた。ちょうど何か書きたいから手伝うと言った。」
「そいつはこのバトロワで起こったことを1つも逃がさずに記録していた。」
俺は振り向き、手招きをする。
「出て来ても良いと思うぞ」
何も無い空間に扉が現れそこから男が出て来る。
「…初めまして。俺が◆6LQfwU/9.Mだ。」

このロワのもう一人の主催者、◆6LQfwU/9.Mが姿をあらわした。
「じゃあ、お前らが死ねば、このロワは終了、解散ってとこだな」
3人が武器を構える。
それを見ても動じない主催者2人。
「…謎のプログラマ、後は頼むぞ」
そう言ってまた出現した扉から出て行く。
「逃がすか!」
和也がニューナンブを発射する。
だが、不自然な動きをして弾丸はそれる。
そうしていく内に、◆6LQfwU/9.Mは扉と共に消えた。
「…一人は逃げた。後はお前だけだ。」
穴が斬鉄剣を構え謎のプログラマに近づく。
「やるか?俺と」
挑発するように言う。
「やってやるさ…!」
そう言うと穴は斬鉄剣を振りかざし襲い掛かる!
だが、その直後、またしまったと言うような表情に変わる。
「…これでもか?」
謎のプログラマは手榴弾を投げつけた!
「しまっ…!」
あまりにも突然過ぎてかわせなかった。
爆風と衝撃をそのまま食らい、穴は吹き飛んだ。
「…生きて…帰…れよ…2…人…と…も」
誰に言うでもなく呟き、穴は倒れた。
144最後の最後 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/19(金) 00:33:01 ID:gQ9M1yX/
「ああっ、穴!」
めろりんが悲痛な叫びをあげる。
「めろりんさん…これ借ります。」
和也が突然言う。
「何を…借りるの?」
和也が握っているものは…ずっとデイパックの中に眠っていた宇理炎だった。
(…何となく、使い方が分かる気がする)
和也は早い足取りで謎のプログラマの前まで行く。
「そんなぼろぼろの人形でどうする気だ?俺を殴るとでも?」
宇理炎を握りしめている和也を嘲笑う。
「笑っていられるのも…」
そう言うと和也は宇理炎を―
「これまでだ!」
―頭上に掲げた
その時、謎のプログラマの足元から…
「ん?何だ…」
…青白い火柱が立ち上る!
「うわああああああっ!く、何だあああっ!」
青白い炎の中で苦しみに悶える!
「その人形にそんな力が…」
もうほぼ姿も無くなり、半ば消滅し掛けている。
「くそ、そんなことなら支給品にする…じゃ…なか…」
そして炎に飲まれ、謎のプログラマは消滅した。


「やった…か…」
やり遂げた顔でその場に倒れこむ和也。
「大丈夫!?」
走り寄るめろりん。
手に握られた宇理炎は、音も無く崩れ去った。
もう、和也には喋る力も無くなっていた。
(ビリー…さん…カズ…さん…俺…歪み…無…)
そして、和也は眠るように息を引き取った。

ここに、需要なし、むしろ-の自己満足バトルロワイアルは終了した―

【一樹守@SIRENシリーズ主人公 死亡】
【おおつか@板対抗BR 死亡】
死因:首輪爆発
【穴@板対抗BR 死亡】
死因:爆死
【野村和也@オリジナル 死亡】
死因:衰弱死

【謎のプログラマ@板対抗BR ―死亡】
死因:消滅
145 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/19(金) 00:34:59 ID:gQ9M1yX/
投下終了です。
これにて「需要なし、むしろ-の自己満足バトルロワイアル」は終了いたしました。
ですが、また今度エピローグを書きます。
146 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/19(金) 00:40:43 ID:QueYST/B
投下乙です。お疲れ様でした。
もう一人の主催者がまさか書き手本人だったとは…
予想外でした。
147 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/19(金) 00:49:44 ID:gQ9M1yX/
死亡者の前にこの文が入ります、すいません

36人の犠牲者を出したこのバトロワにおいて、生き残った者は―1人。

【めろりん@板対抗BR 生還】

―そして主催者2人の内、1人は死亡、もう一人は行方不明のこと―
148その後の話 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/19(金) 13:23:27 ID:pFh1TxTP
投下します「その後の話」
149その後の話 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/19(金) 13:26:59 ID:pFh1TxTP
私、めろりんはその後なんとか元の世界へと戻れた。
でも、これでよかったのだろうか?
私の大切な仲間は、あのバトロワでみんな、いなくなってしまった。
田鼠、vもんが、◆PURIN//46E、07、不死鳥、穴…
そして、失ってしまった仲間…
あの時の光景は絶対に忘れない。
プリンとの再会。
初めて、人が死ぬ瞬間を目の前で見たこと。
チルノとの出会い。
そして、プリンとチルノとの死別…。
穴、そして和也が謎のプログラマと戦闘…。
絶対に忘れない。
人は死んでしまっても、人の記憶の中に生き続ける。
私が、忘れない限り。
ずっと。
そして、生きて行くんだ。
失った仲間の分も――



―――


「元」運営室。
だが死体は既に無く、パソコンだけが放置されていた。
そこに、扉が現れる。
「…誰もいないな」
当たり前の事だが、一応辺りを確認する。
ノートを取り出し、パラパラとめくる。
当然と言えば当然か、参加者のいた世界からは参加者は消えている。
―生還した人間を除けば。
それらは全て「行方不明」とされているらしいが…俺には関係無い。
パソコンの前の椅子に腰かける。
…このパソコンには、今回のバトロワの事を全て記してある。
誰が、どこで、どのように、何で、何を使って殺されたか。
どんな行動を取ったか。
何を使ったか。
だが、それらはもう必要無い物だ。
…次のバトロワ開催には。
「用意を始めないとな」
そう思い、俺は次の参加者を誰にするか考え始めた。


需要なし、むしろ-の自己満足ロワ…END
150 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/19(金) 13:28:51 ID:pFh1TxTP
投下終了です。
これで実質「需要なし、むしろ-の自己満足ロワ」は終了しました。
…また新しいロワを書くかもです。
151 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/19(金) 23:28:33 ID:QueYST/B
投下乙です。遂にEDですか。
…自分もEDまで続けれたらいいなぁ。

さて、いきなりですが無謀ロワのマップと参加者を変更します。

<<マップ>>の変更
エリア【G−3】を海(海)から人工地(人)に変更します。

<<参加者>>の変更
【ドラえもん@漫画】2/2
○ドラえもん/○野比のび太
【NARUTO@漫画】2/2
○うちはサスケ/○大蛇丸
【ファイナルファンタジーXI@ゲーム】2/2
○汚い忍者/内藤
【さよなら絶望先生@漫画】2/2
○糸色望/○木津千里

【SIREN@ゲーム】2/2
○須賀恭也/○宮田司郎
【真 女神転生デビルチルドレン 光の書@ゲーム】2/2
○ジン/○皇帝(弟)
【キノの旅@小説】1/1
○キノ
【逆行無頼カイジ@アニメ】1/1
○伊藤開司
【遊戯王5D's@アニメ】1/1
○不動遊星
【モンスターハンター ポータブル2nd G@ゲーム】
○男主人公
に変更します。
急に変更してしまって、申し訳ありません。
152運命に身を任せ同化する ◆WYGPiuknm2 :2010/03/19(金) 23:38:21 ID:QueYST/B
…ミス……!
圧倒的ミス……!
【逆行無頼カイジ@アニメ】ではなく……!
【「カイジ」シリーズ@漫画】……!
駄目……同じに見えるけど……駄目…!

だが…このノリで本編投下も開始……!
無謀ロワ第一話:運命に身を任せ同化する
登場キャラ:桐山和雄 ダイゴ
153運命に身を任せ同化する ◆WYGPiuknm2 :2010/03/19(金) 23:39:32 ID:QueYST/B
午前0時。 エリアA−三。 廃村。
エリア(A−四)の境目なので、右側には、森林が生い茂っている。
そこに彼――桐山和雄はいた。
廃屋にもたれ掛かって、唯じっと、夜空で輝く月を眺めている。
…月を見ているのは、別に「月が綺麗だから」とか、そんなロマンチックな理由ではない。
単純に、他に見るものが無いからである。 デイパックの中身も既に確認してしまった。
…サイコロが三つにサブマシンガン、そして、小さな絵日記。
三つのサイコロには四と五と六の面がそれぞれ二つずつ彫られている。 イカサマ用に作られた物らしい。
小さな絵日記は未来を予知する事が出来るらしい。 
だが、説明書には「朝 昼 晩の三回だけ予知が発生する。」書かれていた。
今使っても意味は無いと言う事か。

…さて、普通の人間なら、支給品を確認した所で殺し合いに乗るか、乗らないかを考えるだろう。
だが、彼は、桐山は違った。 
「最初に会った参加者と同じ方針にする。」
ホールに集められ、殺し合いのルールを聞いた時から、そう決めていた。 
桐山は感情と呼べる物がほとんど欠落している。
未知の物体を見ても驚かず、褒められても喜ばない。 
人が死んでも悲しまない、故に、人を殺しても罪悪感を抱かない。
殺し合いに乗ろうが乗らまいが、彼にとってはどっちでも良かったのである。

ガサリ――

「…?」

不意に、左側の森林から、草木を分ける音がした。
誰かが来たのだと、直感で判断した。

「出て来い。」
「…!!」

桐山は、そこにいるであろう者に声をかけた。
決してトーンは低くないが、妙な威圧感のある声だ。
…少ししてから、そこから一人の青年が姿を現した。
髪の色は銀色で、自分と同じ位の背をしている。
恐らく、自分よりも年上だろう。
しかし、恐怖心からか、身体が小刻みに震えているように見える。

「す…すまない……覗き見だなんて…」
154運命に身を任せ同化する ◆WYGPiuknm2 :2010/03/19(金) 23:45:40 ID:QueYST/B
怯えた口調で話しかけてきた。
どうやら、桐山に見つかった事に恐怖を抱いているようだ。
無理も無い。 死人のような瞳で「ここに来い」などと言われたら、誰だって怖がるだろう。

「本当にすまない……いや…別に隙を突いて殺――」
「お前は殺し合いに乗っているのか。」
「――へ?」

突然、桐山が青年に質問してきた。
――青年の答えが、桐山の運命を決める。

「なっ!……乗るわけ無いだろ! こんな滅茶苦茶なゲーム!」

…青年は、殺し合いを「否定」した。
―――桐山の方針が、運命が、今、決まった。

「そうか……。 安心しろ。 俺も殺し合いには乗っていない。」
「!! 本当かい!! …良かったぁ。」

青年の顔から恐怖が消え、代わりに安堵の表情がうかんできた。
…よほど安心したのだろう。 彼は尻餅をつくようにその場へ座り込んでしまう。

「僕は…ここから脱出したいと思っているんだ。君もそうだろ?」
「…あぁ、俺も、このゲームからの脱出を考えている。」
「それじゃあ、これから一緒に行動しないかい?脱出には、人数が多い方がいいだろう?」
「……それもそうだな。…ついて来い。」

そう言うと、桐山は青年が来た方向へと向かって歩き始めた。
青年も立ち上がり、森林へと向かう彼を追いかける。

「え…ちょっと、何処へ行くつもりだい?」
「このエリアから離れる。 この先に行けば、街のあるエリアに着くはずだ。」

…成程、と青年は思った。
恐らくここにもう人は居ないだろう。
それよりも、人の集まりそうな場所に行って仲間を集めた方がいい。
当然の発想。 だが、このような場所では中々出来ない、冷静な発想。 流石だ。
…と、青年がそんな事を考えている内に、桐山はどんどん先に進んでいく。
155運命に身を任せ同化する ◆WYGPiuknm2 :2010/03/19(金) 23:46:43 ID:QueYST/B
「あ…ちょっと、待ってくれよぉ!」
…彼といれば脱出も夢じゃない。
そんな事を考えながら、青年は、桐山の元へ駆けていった。
「大の大人が中学生に頼るのはどうなのだろうか。」という考えは、青年…ダイゴには存在しなかった。


桐山は前述の通り、感情の欠落した機械のような存在だ。
方針についても、彼の意志で決めた事では無い。
しかし、ダイゴはそれを知らない。 知っている訳がない。
それどころか、ダイゴは彼の事を「正義の為に戦うクールなヒーロー」と勘違いしている。
その事が、彼らにどのような影響を及ぼすのかは、まだ、誰も知らない。



【深夜/A−三・廃屋前(A−4との境目)】

【桐山和雄@バトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:制服 イングラムM10サブマシンガン@バトルロワイアル
[持物]:基本支給品一式 四五六賽×3@「カイジ」シリーズ はいぱーびじょんだいありー@未来日記
[思考]
基本:ゲームからの脱出
0:廃村から出る。 
1:人の集まりそうな場所に移動し、殺し合いには乗っていない参加者を集める。
2:襲ってくる者は殺す。
※本編開始前からの参戦です。

【ダイゴ@ポケットモンスターシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:私服
[持物]:基本支給品一式 不明支給品2〜3
[思考]
基本:殺し合いなんてしたくない。 脱出する。 
0:廃村から出て、街に行く。
1:キリヤマ君について行く。
※ダイゴは桐山より遥かに年上ですが、本人は気にしていません。 多分。
156運命に身を任せ同化する ◆WYGPiuknm2 :2010/03/19(金) 23:47:49 ID:QueYST/B
<<支給品紹介>>
【イングラムM10サブマシンガン@バトルロワイアル】
小型サブマシンガン。 その小ささはサブマシンガンンの中でもトップクラス。
だが、発射速度が非常に速く、使いこなすにはそれなりの時間が必要。
又、その小ささ故に、しっかり押さえないとまともに撃つ事すら出来ない。
原作では桐山和雄に支給された。
ちなみに、桐山はこれを片手で乱射している。 さすが天才(?)

【四五六賽×3@「カイジ」シリーズ】
地下帝国での地下チンチロリンの勝負の際、大槻(カイジの敵)が使用したイカサマ道具。
四と五と六の面がそれぞれ二つずつ彫られており、一とニと三の目が無い。

【はいぱーびじょんだいありー@未来日記】
12個存在する未来日記の内の一つ。
元々の持ち主は「5th」こと豊穣礼佑。
一日に朝 昼 晩の三回だけ未来が予知される。
他の未来日記とは違う点は、文章だけではなくその未来の様子が描かれた絵も映し出される所。
(それがどうしたんだ、とは言ってはいけない。)
情報量が他の日記に比べ圧倒的に少ないので、12個の未来日記の中では最弱。
又、未来日記を破壊されるとその日記の所有者は死亡する。
今ロワでの所有者は「桐山和雄」。

<<参加者紹介>>
【桐山和雄@バトルロワイアル】
容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能…と、チート設定だらけのスーパー中学生。
しかし、幼少期の事故によって、感情をほとんど失っている。
故に、物事を常に行き当りばったりで決めており、原作では殺し合いに乗るかを
コイントスで決める程。
原作では15人の生徒を殺害した最凶マーダーだったが、今回は…。

【ダイゴ@ポケットモンスターシリーズ】
ホウエン地方のチャンピョン。
本名「ツワブキ ダイゴ」
主に、岩、鋼タイプのポケモンを育てている。
ポケナビの自己紹介に書かれている、
「けっきょく ぼくが いちばんつよくて すごいんだよね」という
ナルシストぶり全開のセリフはかなり有名。
(ちなみに、ポケトレの自己紹介文が表示されるトレーナーは、主人公が倒したトレーナーだけ。 
つまり、ダイゴは主人公に負けたにも関わらずこの様なセリフを言っているのである。
現実を見るんだ。 ダイゴ。)
157 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/19(金) 23:49:11 ID:QueYST/B
以上で投下を終了します。
書いた本人が言うのもアレだけど、ダイゴだらしねぇな。
158 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/20(土) 00:02:34 ID:Qs+PNEtD
完結おめでとうございます。対主催エンドですね、自分も今度はそうしたい。
次のロワ楽しみにしてます! お疲れ様でした。
では自分も投下します。俺得ロワ10話「もしもムシャが修羅になったら」
登場:ムシャ、源しずか
159もしもムシャが修羅になったら ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/20(土) 00:06:19 ID:Qs+PNEtD








エターなった










めでてぇwwww














160もしもムシャが修羅になったら ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/20(土) 00:07:04 ID:Qs+PNEtD
「めでたくねーよ! 今から始まるんだよ!!」

おっと失礼。えーと…ム……何とかさん。

「ムシャだ!」

あーそんな名前だったね。ごめんごめん、じゃ改めて…。






深夜の森の中に、周囲を古いレンガの壁で囲まれた広場があった。
ただの広場ではない、様々な「器具」が置かれていた。
首を固定し大きな刃を落として首を切断する器具。
縄を首にかけぶら下げる器具。
仰向けに固定し生きたまま臓物を取り除くための台――。

ここは処刑場。
その名の通り重罪人を死に至らしめるための刑具が数多く設置された場所。
刑具はいずれもかなり使い込まれた形跡があり、赤黒い染みが付着している物も多い。
心なしか、血の臭いや腐臭が広場には漂っていた。

純和風の鎧に身を包んだ男、ムシャは断頭台の傍で自分のデイパックの中身を確認していた。
そして取り出したのは鍔のない真っ直ぐな刀身を持った刀――直刀。
鞘から抜き出し月明かりに刀身を照らせば、ぎらりと光を跳ね返す。
剣術を得意とするムシャにとっては適性のある支給品であった。

次にムシャは名簿を取り出し中身に目を通す。

「アレックスにその仲間…ドラゴナスと死神五世もいるのか。あと…デスシープか」

名簿の中に7人、敵対する勇者とその仲間、自分と同じ魔王軍四天王の二人と魔王軍の中ボス級キャラの名前を発見する。
特にドラゴナスと死神五世は、空気扱いを受ける事も多かったが平時は実に仲良く付き合っていた。
名簿を閉じてデイパックに戻し、しばしムシャは考え込む。

殺し合い――リリア・ミスティーズと名乗る異様な雰囲気の女が開催する狂気の殺戮ゲーム。
いつものように鍛錬の後、就寝したはずが気がつけばこの状況だ。
首には爆弾内蔵の首枷がはめられ、誰も死なない状態が丸一日続けば全員死刑。
生きて帰れるのは最後まで生き残ったたった一人だけ。
否応なしに他者との殺し合いを強要される、まさに生き地獄。
161もしもムシャが修羅になったら ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/20(土) 00:09:11 ID:Qs+PNEtD
ムシャは考える。
この殺し合いで自分はどうするべきか。
同じ四天王であり大切な仲間であるドラゴナス、死神五世、
そして魔王軍の一員で面識もあるデスシープ。
この三人を手に掛ける事など、まず無理。
勇者であるアレックスと、その仲間であるブライアン、ヘレン、ゴメスは、
いざとなれば始末する事など容易いし何の躊躇もない。
それは他の見ず知らずの参加者も同じ事。

それならば――。




源しずかは不気味な器具が幾つも設置されている広場に一人ぼっちにされ、涙目になっていた。
ただ、涙目になっている理由はそれだけではない。
彼女の大切な友達――ドラえもんが、首輪を爆破され殺された光景を目の当たりにしたためだ。

「ドラちゃん……どうして、あんな酷い事を……!
何でこんな事するの…!?」

殺し合いという恐ろしいゲームを人々に強制するリリアと名乗った女性に怒りがわく。
と同時に、この殺し合いに呼ばれている自分の友人達、
野比のび太、剛田武、骨川スネ夫の事が心配になった。
特にのび太はドラえもんとは強い絆で結ばれていた。今どうしているだろうか。
開催式での彼の悲痛の叫びはしずかの耳にも届いていた。

「のび太さん…武さんにスネ夫さん。早くみんなと会いたい。
…それにしても、ここ、何なの…?」

ギロチンや首吊り台など数々の処刑器具の展示場のような処刑場。
日本の東京で平穏に小学生として暮らしていたしずかにとって、
この場所は異界にも等しい場所であった。
さらに時刻は深夜、月明かりのみが刑場を照らしているという雰囲気が、
彼女の心細さをさらに増幅させる。
兎にも角にも一刻も早くこの場所から離れたかった。
しずかは出口を探して刑場を歩いて回った。

「……え?」

ふと、妙な音を耳にし、しずかの足が止まる。
ガチャ、ガチャ、という、今までの人生の中でも聞いた事のない音。
そしてその音はどんどん近付いてくる。前方からだ。

「な、何…?」

そしてその音の正体が明らかになる。
しずかの前方数メートルに、しずかにとっては
歴史の教科書や図書室の本の挿絵などでしか見た事ないような、
鎧武者の男が立っていたのだ。
手には月明かりを反射しぎらりと光る刀。
男は顔に面らしきものを被り表情は窺い知れないが、
明らかに尋常ならざる殺気を放っていた。
直感的にしずかは危険を察知し、踵を返して走って逃げようとした――が。
162もしもムシャが修羅になったら ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/20(土) 00:11:12 ID:Qs+PNEtD
ザシュゥッ!!

ゴトリ。

ドサ。

それはまさに刹那の出来事。
しずかの首が地面に落ち、次に切断面から血の噴水を噴き上げながら胴体が倒れた。

「……やっちまった」

鎧武者――ムシャはたった今殺した見知らぬ少女の亡骸を横目に見る。
よく見てみれば、恐らくまだ小学生くらいの子供のようだ。
こんな小さな子供を何の躊躇もなく殺したと同じ四天王のドラゴナスや死神五世に知られれば、
きっと自分は激怒されるだろう。失望されるだろう。

「だけど…俺はもう決めたんだ。
ドラゴナス、五世、デスシープ。お前らを生かすために、
俺はこのゲームに乗る…ッ!」

ムシャの決意は既に固まっていた。
修羅になるという決意。
仲間のために、血ぬられた道を行く決意を。



【源しずか@ドラえもん  死亡確認】
【残り43人】



【一日目深夜/D-6処刑場】

【ムシャ@VIPRPG】
[状態]:健康、決意
[装備]:直刀(血痕付着)
[持物]:基本支給品一式
[思考]:
0:魔王軍の仲間を生き残らせる。それ以外は容赦なく殺す。
1:魔王軍の仲間とはできれば遭遇したくない。



≪支給品紹介≫
【直刀】
鍔のない、真っ直ぐな刀身を持った刀。
163 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/20(土) 00:16:01 ID:Qs+PNEtD
投下終了です。修羅ってほどでもないと思うが。
>>157 投下乙です。原作バトロワは漫画も小説も読んだから、
桐山がどうなるのか注目ですね。
164 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/20(土) 00:17:30 ID:Qs+PNEtD
訂正。10話ではなく11話です!
165創る名無しに見る名無し:2010/03/20(土) 00:34:23 ID:i8AFyVyj
投下乙です
WY氏→桐山がマーダーにならなくて一安心w
しかしダイゴは大人のくせに頼りにならなすぎだろw

Uw氏→しずかちゃんはどこでも不憫だなあ……
のび太が知ったらどうなるか……

自分も前から書きためてたロワのOPができたので、投下してもいいですか?
他の方のロワと参加者が結構かぶってしまってるかもしれませんが……
166オープニング  ◆FqMKkvAsCA :2010/03/20(土) 00:54:04 ID:i8AFyVyj
こんにちは、私、初音ミク。
歌うのが大好きな女の子です。
……あ、女の子、って言っても、普通の人間じゃあ、ないんですけど。
ボーカロイドっていう、歌うために生まれたロボットなんです。
―――そ、そんな失礼なこと言わないでくださいっ!ロボットでも、ちゃんと感情くらいあります!
マスターに優しくされたら嬉しいし、ずっと歌が歌えないと悲しいし―――とにかく、私たちも人間と同じ感情を持っているんです。
だから、―――私にだってわかりますよ。
ファンの中にはミクちゃんは天然だね、って言う人もいますけど、それでも、これくらいは分かります。

今の私が―――何やらとんでもない状況に巻き込まれているということくらいは。



私はそもそも、今日レコーディングに向かうはずでした。
マスターが、私とルカさんのデュエット曲を作ってくれたので、喜んでルカさんと一緒におしゃべりをしながらレコーディング室に向かっていたのです。
すると、突然、視界がぼやけました。
理由は分かりません。目の前が真っ白になり、意識が遠のきました。そして気が付いたら―――
私は、今いる見知らぬ部屋にいたのです。

意識を取り戻した私が見たものは、―――広い、ティールームでした。
綺麗で豪華な丸いテーブルの上には、同じように清潔で華やかなテーブルクロスがかけてあります。椅子もあります。
紅茶とクッキーの匂いがします。私はロボットなので何も食べなくても生きていけるのですが、それでもああ、おいしそうだなあ、と思いました。
左右を見渡すと壁一面を覆う巨大な窓ガラスがあり、ここが建物の中だとすぐに分かります。
天井は余りにも高く―――頂上がどこにあるのかすら分かりません。そもそも、サイハテなどあるのでしょうか。
そもそも、ここはどこなのでしょうか。
全く分かりませんが、少なくともここで歌うわけではないということは分かります。
なぜなら、……私のすぐ隣に、死んだように眠りについている人がいて、その人の首にはいかにも冷たそうな銀の首輪が付けられていたからです。
その人は男でした。男の子、と言っていいかもしれません。カイト兄さんより少し年下、といったくらいに見えますが、背が高いのでもう少し上かもしれません。赤毛で、金の刺繍が入った、高そうな白いスーツを着ていて、もしかしてお金持ちなのかなあ、と思えました。
息はしているので生きているのは間違いありませんが―――少なくとも、さっきルカさんと一緒にいた時には、こんな男の子は近くにいませんでした。
ううん、この男の子だけじゃありません。他にも―――周りには、何十人もの人たちが、います。たくさんの人たちが―――男の子と同じように、眠っています。
顔は何故か全く見えないのですが―――こんな人数、絶対にいたはずはないのです。
ぞくり、と寒気が走ります。
だって―――突然意識を失って、気が付いたら知らない部屋にいて、見知らぬ男の子がすぐ傍にいるなんて―――信じられません。
マスターが大好きなアニメに出ていたチョウノウリョクシャ、という人間のことを思い出しました。チョウノウリョクシャは、一瞬で人を別の場所に飛ばしたり、手から炎を出したりできるのです。
もしかして、これって―――
でもマスターは、瞳を輝かせる私に言いましたよね?こういう人間はアニメの世界にしか存在しないんだ、現実にはいないんだよ絶対に。俺もハルヒみたいに願望を現実にする力があれば可愛い女の子を空から降らせるのに、って。
ハルヒとやらは何か分かりませんが、でもマスターの言うことは分かります。
そんな不思議な能力は、現実に存在しないのです。
もっとも、マスターに言わせると私たちボーカロイドが歩いて話して実体を持っている時点ですでに不思議らしいのですが、少なくとも私は不思議な力は持っていませんし。
だから、私には分かっています。でも、分からないのです。
今、どうして私がここにいるのかということが。
分からなくて―――ただ、嫌な予感だけが私の心を満たします。
167オープニング  ◆FqMKkvAsCA :2010/03/20(土) 00:56:32 ID:i8AFyVyj

そっと自分の首元を触ると、ひやりとした感触がありました。
これには先ほどから気付いていました。首輪です。……直接見ていないので何とも言えませんが。
多分、隣の男の子と同じもの―――だと思います。
さっきまではもちろん、こんなものをはめてはいませんでした。
マスターは確かに少し変態ですが、首輪を女の子につけるような趣味の人間ではありません。
じゃあ―――これは?
一体、いつのまにこんなものをつけられたのでしょうか?
早く外したい、そんな想いが私の心をかけぬけます。
冷たいし、重いし―――何より気持ち悪い。
なんだか、感情もあるボーカロイドの私が、まるで犬のように扱われている気分になるのです。
私は無意識に、そっとその首輪を引っ張り―――

「よう、お前ら、全員起きろ!」

聞き覚えのある声に、はっとしました。

その声を合図に、皆が少しずつ起き上がり始めました。
ある人は目をこすりながら、ある人は頭をかきながら、ある人は不機嫌を隠そうともせずに。
「起きたか?俺はまどろっこしいのが嫌いだから、さっさと言わせてもらうぜ」

そして。
いつの間にか、眠っていた私たちの前には―――1人の男の人が立っていて。
どこにでも売っていそうなジーンズにTシャツ。髪はボサボサというわけでも清潔なわけでもない。
顔だってかっこよくもないしだからと言って見るに堪えないというわけでもない、そんな感じの。
簡単に言うなら、どこにでもいそうな、普通の男の人―――ううん、はっきり言った方がいいですよね。

「いいか、ちゃんよと聞けよ―――」
「お前らには、今から殺し合いをしてもらう!」

―――私のマスターが、そこにいた。



そう、間違いなどありえませんでした。
それは、どう見ても、私のマスターその人なのです。
そのマスターが、笑顔で、私や他の知らない人たちに対して発した『殺し合い』という、不気味な言葉。
どういうことなのか、よく分かりませんでした。
私は茫然としたまま、マスターの話を聞いていました。
マスターは私たちに曲を作ってくれるよりいきいきとした様子で、『殺し合い』のルールとやらを説明して。

☆今から24時間の間、ここの人たちに殺し合いをしてもらうこと
☆つけられた首輪は逃げ出そうとした時、こちらに逆らったと判断した場合に爆発する。
☆また、死亡者と禁止エリアの告知のため放送を流すが、放送の時間は死亡者がちょうどいい頃合いになるたび不定期に行う。
☆放送ごとに、誰も殺していない参加者はランダムで一人、マスターが首輪の爆弾を爆発させる
☆私たち『参加者』には、食料品と地図とランタンと武器がランダムで配られる。
☆最後の一人になった人間が優勝。優勝者には、何でも1つ願いをかなえる。死者の蘇生も可能。

だいたい、覚えている限りだとそんなことを言っていたと思います。
そんな、まるでゲームみたいな内容を、マスターは、楽しそうに楽しそうに話すのです。
やっぱり、よく実感がわきません。
マスターが、何をしたいのか分かりません。
だって、あのマスターが、こんな怖いことを言うなんて思えなくて、いまだに、これは夢なのではないかと考えてしまうのです。
殺し合いなんて、ただのマスターの冗談じゃないか、って。
「ああ、言っておくが、逆らおうなんて考えるなよ?」
マスターは、誰に言うでもなく、誇らしげに叫びました。
その瞳は血走っていて―――私の見たことのないような、怖い顔でした。
「俺には、『魔法』がある。『魔法』があれば―――お前らの思考を読み取り、首の爆弾でドカン!なんて、簡単なんだからな」
168オープニング  ◆FqMKkvAsCA :2010/03/20(土) 00:57:20 ID:i8AFyVyj

魔法?……魔法って、マスター。
魔法、って、何ですか?マスターの言っていた、チョウノウリョクシャと同じものですか?
私には、分かりません……。教えてください……。
かろうじて分かったのは、その魔法というものによって、私が機能停止してしまう可能性がある、ということでした。
ぞくり、と嫌な汗が流れます。
マスター、冗談ですよね?冗談って言ってくださいよ。
それともこれは、夢なのでしょうか?

「だが、そう言っても信じられないだろ?ああ、俺だってついこの間まで魔法なんて信じてなかった。だから理解されないだろうこたあ分かってる」
そうですね、マスターは言ってましたもんね。
現実にチョウノウリョクシャなんていない、って。
なのに、マスターは魔法なんて、よく分からないことを言っているんですか?
私、こんなマスターの顔、見たくありませんでした。
「だから俺は、お前らに特別に魔法を見せてやることにした!嬉しいだろう嬉しいよなあ?さあて、じゃあ俺の魔法で死ねる栄誉ある奴は―――」
マスターはそう言って、辺りを見回します。
しばらくはうんうんとうなったり鼻歌を歌ったりして何か考えていたようでしたが、やがてある一点に目を止め、にやりと笑います。

「そうだ、お前」
「………………っ」
その目は、まるで獲物を見るかのような。

そう、マスターが指を刺した人を、私は―――よく知っていました。
「……兄……さん……?」
それは。
私の良く知る、青い髪、青いマフラーの……カイト兄さんでした。
私の大切な、大切な『家族』。
まさかここにいるなんて考えもしなかった、人。
「……え、あ、あの……マスター……?」
兄さんは、何があったのかよく分からないらしく、マスターの顔を見つめて困った様子でした。私も同じ状況だったらそうなるでしょう。
一番近くにいたはずの、マスターの気持ちがさっぱり分からない、んですから。

マスターは兄さんに対して、少し申し訳なさそうに言います。
「お前さあ、買ったのはいいけど結局未だに一度も歌、作ってやったことなかったよな?まあ、俺も男だし、歌わせるのは可愛い女の子の方がよかったわけよ」
私も、それは知っていました。
兄さんはいつも、どうして俺に曲を作ってくれないんだ、って嘆いていましたから。
マスターはそのたびに分かったお前にもいつか曲を作るよ、って笑ってごまかしていて、カイト兄さんは少しへそを曲げていましたけど、でも兄さんだってきっとマスターのことを嫌いではなかったはずです。
その兄さんが、―――マスターに、怯えていた。

「まあそれでもさ、いつかお前のための曲作ってやろうと思ってたんだが―――ふと思ったんだ」
「ま、マスター…………」
兄さんの、震える声。
確かに兄さんは少し気弱だけど―――でも、少なくとも、普段からこんな絶望的な声を上げる人じゃないです。
マスターは、そんな兄さんを見て、笑って。
「……実は、もしかしたらお前なんていらないのかもしれない、ってさ」
にっこりと。
なんの迷いもない、晴れやかな笑顔で―――右手を上げた。
169オープニング  ◆FqMKkvAsCA :2010/03/20(土) 00:58:54 ID:i8AFyVyj

―――ごとり。

そして。
「……え?」
私の目の前で、突然『それ』は、起こって。

それは、わずかな一瞬。
兄さんの首が、ころりと転がって。
兄さんの蒼が、胴体から離れて、
石みたいに―――床に、落ちた。
兄さんがまき散らした―――赤い赤い液体の、上に。

音もなく。
匂いもなく。
ただ、色と動だけが、あった。

―――兄さんの首が、

「……カイト……兄……さ……ん……?」
あれ、どういうこと?
なんで、いつのまにか兄さんは首だけになっているの?
そんなことよりも、まず。

ああ、ボーカロイドも人間と同じように死ぬんだ。
私がまず思ったのは、そんなあまりにも現実離れした―――こと。

叫び声が聞こえた。
つんと鼻に着く匂いがした。
騒ぐ声が頭の中をかき回して、かき回して、かき回して。
声と言う声に私の脳内環境は犯されてしまって、そして。
視界が、白に染まって。
そして、意味が分からなくなった。

「……というわけで、こいつは死んだ。誰がどう見ても明らかだ」
マスターは、まだ何かを話しています。
でも、私には、わからない。わからない。意味が、分からない。
マスターの表情が、見えない。
「しかし、だ。言っただろう、俺は魔法が使えるんだ。―――今から、こいつを蘇らせてやるよ」
そしてマスターは、

「さあ、思いだして御覧なさい。貴方が、どんな姿をしていたのか」

そう、呟いた。
170オープニング  ◆FqMKkvAsCA :2010/03/20(土) 01:00:28 ID:i8AFyVyj
その途端に、マスターの回りに金色の蝶が集まった。
ふわり、と蝶は回転し、くるくると飛び回る―――兄さんの落ちた首を包むように。
金色の蝶は、明るい光を放ち―――やがて視界を金に埋めて―――私の視界を奪って―――

「……え?」
「……っ」

どれくらい経ってからでしょうか。

私は見ました。
見て、しまいました。
目を疑いました。真っ白だった視界が、一瞬にして開けました。
そこには―――兄さんがいたのです。
首ではありません。兄さんが、いました。
もちろん、首のない死体などではありません。
ちゃんとした、五体満足の、カイト兄さんが―――そこに。
何事もなかったかのように、立っていました。

信じられませんでした。
まさか、そんな、こと。
だって、あれ?さっき、私は、カイト兄さんが死―――あれ、本当に?
本当に、死んだんだっけ?

そう言えば、私、途中で何が現実かよく分からなくなっていたんでしたっけ?
カイト兄さんが死んだ、そう考えると、その部分が真っ白になり、全く思い出せません。何も、考えられません。
何も、―――あれ?
「……ひっ……!」
しかも兄さんは、今ちゃんと私の前にいるじゃないですか。
死んだ、なんて、本当に?

……あれ?
本当に、死んだんだっけ?
あれは、私の思い違いなのかもしれない?

「……ひ、あ……あが……い……ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
兄さんは、狂ったような叫び声をあげ―――泡を吹いてそのまま気絶してしまいました。
おそらく、死んではいないと思います。

ああ、………………そうか。
……そうです、兄さんは、生きている。
だって、叫ぶなんて生きていないとできないですよね。ああ、そうに決まってます。

ああ、そうか。
やっぱり死んだなんて、私の見間違いですよね。
だって、ねえ。
あのヘタレでネタ曲ばかり歌わされて、でも優しくて面白い兄さんが、死んだりするはず。


ないじゃ、ないですか。
171オープニング  ◆FqMKkvAsCA :2010/03/20(土) 01:02:20 ID:i8AFyVyj

兄さんの首が吹っ飛ぶなんて、嫌な夢だったんです、
そう、夢。
あの赤い液体も、兄さんの首も、―――
ううん、それだけじゃありません、ここで今マスターが話していることも―――

「……………………あは、ははは……」

全部、夢なんですよね?
だって、魔法なんてそんな、現実的にありえない。ですし。
マスターもそう、言ってましたもんね?
ねえ、マスター。
もう一度、そう言って、笑ってください。
私はそう考えながら、……泣いていました。
どうして、これは夢なのに私は泣いているのか−−−よく、分かりませんでした。

「この通りだ。どうだ、魔法が本当だって分かっただろう?これで、優勝賞品の蘇生は叶えてやれるから安心して殺し合え!じゃあ、せいぜい頑張れよ!?」

そこで追い打ちをかけるようにマスターの、声が聞こえて。
ぶん、と何かに放り出されるような感覚と共に。

私の意識は、そこでふっと途切れた。

ああ、夢からこれで冷めるんでしょうか?
……そうですよね、ね?
大好きなマスター。
今度目覚めたときには―――幸せなマスターの笑顔が見られるといいなあ。

ねえ、マスター。

これからも。
わたしに、もっとうたわせて。


【バトルロワイアル 開幕】
172オープニング  ◆FqMKkvAsCA :2010/03/20(土) 01:03:41 ID:i8AFyVyj


「どうだいベルンカステル。俺の仕事ぶりは?」
「貴方にしては上出来じゃないかしら。自分の大切な『仲間』を見せしめに選んだのは良かったわ。お陰で思った以上に楽しめたわよ。
……そう言えば、あの男はどうしたの?参加者として送ったのかしら?」
「―――まさか。皆を送った後今度こそ殺したよ。俺の手伝いをしてくれるんだったら生かしておこうと思ったけど、怯えきって話にもならないからな」
「そう?せっかく『魔法』で生き返ったのに、可哀想ね。……嘘だけど」
「くすくす、ベルンったら相変わらずゲロカスなんだから!まあ、あたしはそんなベルンも大好きだけど!」
「ラムダは放っておくとして、『魔法』を使った感想はどうかしら?楽しかった?」
「ああ、最高だったよ!『魔法』がこんなに素晴らしいものだったなんて―――
ただのさえない童貞の俺でもあんなにすごいことができるんだ……最高だよ、はは、ははははは……!」
「『魔法』を過信しすぎちゃ駄目よ。まあ、私は私が楽しめれば何でもいいのだけれどね、貴方がどうなろうとも別に」
「そうよね、魔女は退屈を憎む。この新しいゲームのマスターは『今のところ』あんただわ。せいぜいあたしたちを退屈させないように頑張って頂戴」
「分かっているさ。『魔法』を貰ったんだ、そちらの期待は裏切らないように頑張りますよ、魔女様?」
「ええ、楽しみにしているわ。くす、くすくすくすくす……」

【とあるボカロP@現実? 主催?】
【ベルンカステル&ラムダデルタ@うみねこのなく頃に ???】
【KAITO@VOCALOID 死亡】
173オープニング  ◆FqMKkvAsCA :2010/03/20(土) 01:07:03 ID:i8AFyVyj
投下は以上です。以下、バトルロワイアルルール

☆禁止エリアはなし。
☆今のところマップも固定する気はなし。その場のノリで場所を決めて出会わせます。
☆放送は不定期。時間ごとという縛りなし。
☆名簿もなし。
☆武器は1人1つ支給。多く殺せば主催者が武器をくれることも。
☆生還は一人、が基本だが主催のノリと勢いによっては2人でもいいらしい。

という感じでフリーダムにやっていきます。
こちらはこのロワを読む際の注意事項↓
☆自分のテンションや勢い、文のノリで長さや展開にムラが出ます。
☆上のようにかなりフリーダムです。突然場所が飛んでたり時間飛んでても気にしない。
☆バトルより頭脳戦よりロワにおける精神描写をメインにしたいので、多少キャラ崩壊がある&ズガンが多めかもしれません。
☆趣味が移り変わりやすいため、固定の名簿は作りません。
今のところ出す予定の作品は【うみねこのなく頃に】【バカとテストと召喚獣】【咲-saki-】【ハヤテのごとく!】【ひぐらしのなく頃に】【銀魂】【VOCALOID】あたりですが、参加者は出したい人をその場で出す感じなのでまだ未定です。
作品も変わる可能性大。基本は一般人ばかりだと思います。

こんなロワでよければ読んでくださると嬉しいです。
ロワ名は「その日の気分ロワ」でw

OPのタイトルは「初音ミクの絶望-Dead End-」です。

今のところ確定参加者
【VOCALOID】
○初音ミク
【うみねこのなく頃に】
○右代宮戦人
174 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/20(土) 01:11:14 ID:i8AFyVyj
さっそくミスが……
>>167
☆また、死亡者と禁止エリアの告知のため放送を流すが、放送の時間は死亡者がちょうどいい頃合いになるたび不定期に行う。

☆また、死亡者の告知のため放送を流すが、放送の時間は死亡者がちょうどいい頃合いになるたび不定期に行う。
ですねw
175オープニング ◆mO323oVvaQ :2010/03/20(土) 15:03:27 ID:GQ3s34Jk
俺も思いついたので投下ー

「え……!?」
少女、柊かがみは目を疑った。
目の前には、50人くらいの人だかりがあったからだ。
いや、問題はそれじゃない。
さっきまでかがみは友人・泉こなたの家に遊びに行っていた。
確か、急に眠気に襲われて………思い出せない。
「集団の夢遊病…?」
我ながらアホらしいことを言ってしまったとかがみは思う。
夢遊病はウイルスではないし、だいたい同じ場所には集まらない…。
「あ!かがみん!」
「こなた!?」
ステージのような場所の上には、かがみの親友、泉こなたが立っていた。
隣には、赤髪白顔の道化師が立っていた。
よく見渡せば、妹のつかさやみゆきもいる。
でも、首には銀色の輪がついているし、
何よりカプセルの中に入れられていて動けない。
「はーいみんなちゅうもく〜」
こなたが大声で叫ぶ。
どうにもこの騒動の首謀者はこなたと道化師らしい。
「騒いだらドナルドが殺しちゃうよぉ〜」
「(ひっ!)」
ドナルドと名乗る道化師の手にはライフルが握られていた。
こなたの手にも、拳銃が握られている。
「えっとね、今からみんなには、ゲームをしてもらうよ」
「「殺し合いのね☆」」
こなたとドナルドが同時に言う。
狂ってる。
かがみは想像した。おそらくこなたはドナルドに誑かされたのだろう。
でも、淡い期待は粉々に打ち砕かれた。

壇上には、十字架に磔にされた、白石みのるがいたのだから。

「やめろぉ!やめてくれよぉ!」
こなたが赤いボタンをポチッ、と押すと、白石の体が粉のようになり、
風に吹き散らされ、やがて消える。
間違いない。こなたが白石を殺した。
ドナルドたちはルールを説明しはじめた。
かがみはそれを聞き終えると、ひとつの決心をした。
「こなたを…私が殺そう」
かがみの中の邪悪な種が花を開いた瞬間であった……

【白石みのる@らき☆すた 死亡確認】
176 ◆mO323oVvaQ :2010/03/20(土) 15:08:58 ID:GQ3s34Jk
基本ルール

・支給品は基本ランダムだが、基本支給品として水、包帯を支給。
・死亡者は最初は12人で放送。次からは減らしていく。
・エリアは固定しないと思う。その場で好きなように
・禁止エリアは放送までに決めておく。
・あまりにもチートなキャラは制限をかける。
・序盤はズガン出るかも。
・主催が放送時に参加者にサービスとかするかも。

ロワ題名は「道化師と少女のバトルロワイヤル」で、
オープニングの題名は「道化師と少女と燃え上がる闇」です。
続いて参加者を
177創る名無しに見る名無し:2010/03/20(土) 19:44:22 ID:oQjEwL1h
・無謀ロワ「あーそびーましょー」
崖鉄平wwwwww
しかしなんて自分勝手なともだち、友情マンを思い出したぜ。

・同上「運命に身を任せ同化する」
桐山は相変わらずスタンスを何かに委ねるか。
ダイゴは知らずにこのロワの運命を変えたのかもしれないな。

・自己満足ロワ「最後の最後」
一樹とか知らん間に死んでるしw
それにしても黒幕が書き手本人だったとはなんというメタ。
知らずに宇理炎支給してたのかよw

・同上「その後の話」
次のロワ開催フラグが立ったのか。
そして完結おめでとうございます!

・俺得ロワ「もしもムシャが修羅になったら」
しずかちゃんは薄幸、もはやこれは常識……でもないか。
もうのび太は不運すぎるな、ムシャは空気脱却なるか。
というかアレックスの予想はぴったり当たってるな。

・その日の気分ロワ「初音ミクの絶望-Dead End-」
新ロワ乙です。カイトはもうかわいそう過ぎるw
しかしこのボカロP、そのうち切り捨てられそうな匂いがプンプンするぜ。

・道化師と少女ロワ「道化師と少女と燃え上がる闇」
さらに新ロワ乙です。主催はドナルドは兎も角こなたかよw
かがみが参戦するっていうだけでワクワクしてきた俺はロワに毒されすぎている。


んで、昨今の新ロワブームに乗って俺も新ロワ始めますね。
ロワ名は「俺リピーターロワイアル」で。
178そんな事よりパロロワしようぜ! ◆lYiZg.uHFE :2010/03/20(土) 19:45:08 ID:oQjEwL1h
先ずは自己紹介をしておくのサ。
ボクの名はマルク。
知っている人もいると思うけど、ニコロワを運営していたのサ。
だけどボクはニコロワのクライマックスっていう所でハルヒに殺された。

そう、確かに絶望の中殺されたはずだったんだ。

ボクは、あれから気付いたら全てが真っ白の何も無い空間にいた。
突然の事にただ混乱していたら、突如仮面をつけた人物が目の前に現れた。
その人物の仮面には『感電』と大きく記されていた。
彼はボクに向かってこう言ったのサ。
『エンターテイナーな君に是非とも殺し合いの主催をしてもらいたい』って。
驚いているボクをよそに、彼はボクに色々な事を説明してくれたのサ。

曰く、ニコロワみたいな殺し合いが、あらゆる並行世界で行われている事。
曰く、その殺し合いがニコ動みたいに一つのコミュニティとなって、パロロワと呼ばれている事。
曰く、色々な殺し合いから参加者を全員呼び集めたお祭のような殺し合いをやりたいという事。

彼はボクにパソコンを渡して、実際にパロロワを読んでみろと言ったのサ。
ボクは『パロロワ勝手にまとめ』というサイトを頼りに、色々なロワを読ませてもらった。
そしてどんどんパロロワの世界に引き込まれていったのサ。
余談だけど、ここで彼が文房具ロワの主催者である感電の神だという事を知った。
勿論ニコロワの結末も、ニコロワβが開催されているという事も知ったのサ。
ボクはとても嬉しかったのサ。
ピエモンを侮辱したハルヒがニコレンジャーに倒されたという事実が。
ボクらが命を賭けた物語が読み手を楽しませているんだという事実が。
そう思ったら、ボクの心の中に沸々と湧き上がる感情があったのサ。

また素晴らしい物語を作り出して、読み手を大いに楽しませたい。
これだけのパロロワオールスターの中、名悪役を務めきってクロススレで一位をとりたい。
褒め殺しのピンクにネタにしてもらいたいし、ろわらじおつあーでも話題になりたい。

だからボクは感電の神の言葉にのる事にしたのサ。


   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆


なんかもうあり得ないほどだだっ広いホールの中、人がゴミのように見えるほどの人数がいる。
それをボクは別部屋から見ていた。
「う〜ん、流石に全ロワからとなると把握できないほど人が多いのサ」
もし一斉に襲い掛かられでもしたらここでロワが終わっちゃうかも。
それはそれでネタにはなるかもしれないけど、ボク達の目的としてはおいしく無い。
と言っても彼等はみな以前に似たような状況を経験している以上、迂闊に動きはしないだろう。
現に皆一様に警戒をしているだけに留まっている。
流石に彼等も馬鹿じゃないのサ。
「まああまり待たせるのもなんだし、そろそろ行くのサ」
179そんな事よりパロロワしようぜ! ◆lYiZg.uHFE :2010/03/20(土) 19:46:23 ID:oQjEwL1h
ボクは高笑いをしながらテレポートで彼等の前に姿を現す。
「キャハハハハハハ!」
スポットライトの光がボクを照らし、彼等の視線がこちらへ集まる。
動揺、敵意、期待、恐怖、無関心。
それぞれが様々な感情を抱いている事だろう。
ボクはその視線を心地よく感じながら最初の勤めを果たす。

「ボクの名前はマルク。早速だけど、これからみんなには殺し合いをしてもらうのサ!」

ボクの宣言と共にざわめきが広がる。
しかし人数が多いためか酷く五月蠅い。
公害と言ってもおかしくないのサ。
まったく、これじゃあ説明どころじゃないのサ。
「ちょっと静かにしてほしいのサ、じゃないと首輪を起爆させるぜ?」
ボクが睨みながら言うと一斉に静かになる。
「みんな気付いていたと思うけど、キミ達の生殺与奪の権はボクが握っているのサ」
以前ならここでみんな首輪を外そうとしていたけど、今回は顔を青ざめさせるだけだ。
余計な説明をしなくていい分仕事が楽なのサ。
「みんな一回殺し合いを経験しているし、細かいルール説明はしなくてもいいよね?
 それぞれ幾らか違うところがあるかもしれないけど、大体前回と同じなのサ。
 あ、でも名簿は無しだから気をつけてね。流石にこんだけいると用意するのも大変なのサ。
 あとは必要になったらおいおい報せるのサ」
『えらく大雑把だな』と誰かのツッコミの声が聞こえる。
よけいなお世話なのサ。
どうせリピーターロワなんだから、これだけで参加者も読者も理解してくれるのサ、たぶん。
「じゃ早速始める……おっと、その前に大事なイベントがあったのサ」

そのとき、マルク【「キミ、ネタないし見せしめにでもしとくか」】
ズキューン!!

流石に恒例の見せしめを出さないって言うのもファンサービスが悪いのサ。

「それじゃ今度こそゲームスタートなのサ!」
ボクの声をかわきりにして、次々と参加者が舞台へとワープしていった。

【ザジ・レニーディ@ネギまバトルロワイヤル第零部 死亡確認】

【マルク@ニコニコ動画バトルロワイアル 主催確認】
【感電の神@文房具バトルロワイアル 黒幕確認】



★パロロワ一口メモ★
【「キミ、ネタないし見せしめにでもしとくか」】

元ネタは記念すべきネギまバトルロワイヤル第零部の下記の文章。
>そのころ、ザジ「私、ネタないし自殺でもしとくか」
>ズキューン!!
インパクトもあり、流用しやすい事からか度々ネタにされた。
今でも自殺の話になると彼女の名がよく挙がる。
180 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/20(土) 19:47:23 ID:oQjEwL1h
投下終了です。

【注意書き】

・パロロワの登場キャラたちでのバトルロワイアルです。
・生還者でも死亡者でも現在稼動中のロワからでも出ます。
・キャラ崩壊があるかもしれません。
・矛盾があるかもしれません。
・色々あるかもしれません。

※上記が嫌な方は軽くスルーしてくださると幸いです。
181 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/20(土) 21:09:00 ID:xBIZplHe
新ロワできたー 参加者表

【メタルギアソリッドシリーズ(2/2)】
○ネイキッド・スネーク ○ソリッド・スネーク
【本格的 ガチムチパンツレスリング(2/2)】
○ビリー・ヘリントン ○木吉カズヤ
【板対抗BR(17/17)】
○めろりん ○田鼠 ○vもんが ○妖夢の中の人 ○◆PURIN//46E ○側近
○穴 ○07 ○不死鳥 ○パフェニー ○下痢 ○◆Right//mko ○あいや
○妖怪 ○うさぎ ○◆KZSATHX3ZE ○謎のプログラマ
【ニコニコ動画(1/1)】
○阿部高和
【SIREN(2/2)】
○須田恭也 ○宮田司郎
【ドラえもん(1/1)】
○ドラえもん
【非リレー型BRを発表するスレ(3/3)】
○◆WYGPiuknm2 ○◆5ddd1Yaifw ○◆lYiZg.uHFE
【オリジナル・ノーマル(2/2)】
○杉谷守 ○小林さくら
【オリジナル・カオス(2/2)】
○ヨハン・シュトラウス ○一ノ瀬進

以上32人    …途中参加、離脱あり。

【主催】
○◆6LQfwU/9.M
【副主催】
○◆UwuX8yY6RQ
182 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/20(土) 21:09:43 ID:xBIZplHe
【ルール】
どきどき★殺し合いゲーム。
最後の一人になるまで殺し合い、残った一人が優勝者となる。
優勝者には自分の元いた世界に帰る権利+願いを何でも叶えてくれる権利が贈呈される。
反則は基本的になし。
不意打ちだろうが仲間内の裏切りだろうがなんでもあり。
参加者のやり取りにも反則は無い。
徒党を組んでも一人で戦ってもよし。
会場にある施設の利用は自由。

参加者には下の物が入ったデイパックが支給される。

・地図:会場の全体図が記された冊子。エリア区分してある。施設の詳細も載っている。
・名簿:参加者の名前がジャンル別に載っている。顔は分からない。
・紙と筆記用具:何の変哲も無い紙と筆記用具のセット。
・ライト:レジャー用の強力なランタン型ライト。電池式。
・端末:小型端末。今いる場所、時間、次の禁止エリア発動時間が分かる。
・食料:ミネラルウォーターとパンのセット。パンはいろんな種類の菓子パンから選ばれる。
・ランダムアイテム:武器、防具、道具等が入っている。何が入っているかは完全ランダム。

何でも入る魔法のデイパック。
だがあまりにも大きすぎる物(コンテナなど)や、参加者(死体含む)は入らない。
入れようとすると弾き飛ばされる。が、サイズを小さくすることが出来れば…

参加者は全員強制的に首輪を装着させられる。
首輪は“普通の”方法では外れない。絶対。
無理に外そうとすれば、即座に爆発、死亡となる。
また禁止エリアに入る、地図のエリア外に出るとまたもや首輪が爆発する。
首輪には発信機と盗聴機内蔵!高性能です。
また、耐水、耐ショック性100%。攻撃では絶対壊れません。
ロック解除技術は都市伝説です。偽物を使った日には…

定期的に放送あり。(4時間ごと、0,4,8,12,16,20,24時。)
放送では、死者、禁止エリア、禁止エリア指定時間が伝えられる。
また、何かあれば突然放送があることも。

制限時間は無い。だが、最後の死者が出て24時間経つと全員の首輪が爆破される。
つまりゲームオーバーです。参加者全員死亡でも同じです。
一応記しておきますが、主催者への反逆行為はルール違反です。
ですが気づかれなければOK。バレなければイカサマじゃあない。
183 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/20(土) 21:10:27 ID:xBIZplHe
【地図】
 1 2 3 4 5 6 7
A海海海平平森海
B海海平森森廃平
C海道駅海田森平
D海橋海海病街ホ
E海街橋橋街森駅
F海灯海海平森草
G海海海海駅埋海


道=舗装された道。
平=平地。舗装された道もある。
田=田園地帯。
駅=駅。
橋=大きな橋。イメージ的にはレインボーブリッジが少し小さくなった感じ。
森=森。それなりに木が生い茂る場所。視界は良くない。
街=普通の街。住宅街、スーパー等がある。
埋=埋め立てられた土地。住宅などがある。
草=草原。膝程の草が生い茂る。
廃=廃墟。かの有名な「マヤカン」こと摩耶観光ホテルを模した形になっている。
病=病院。規模は大きい。
灯=灯台。
海=言わずとしれた海。
184 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/20(土) 21:11:08 ID:xBIZplHe
勝手に書き手の方々を参加させてすみません。
185はじまり ◆6LQfwU/9.M :2010/03/20(土) 21:23:36 ID:xBIZplHe
「はい、起きて下さい」
――誰かがが呼んでいる。
「説明するんだから、早く起きてくれ」
――起きるか。
辺りは真っ暗。
だが、声ははっきりと聞こえる。
「もういいか。説明するぞ」
そう言うと、何やら男は全員に向けて大きい声で言う。
「今から、ここにいる全員に殺し合いをして貰う。」
…殺し合い?何かの冗談だろうか?
ここにいる全員が同じ事を思っただろう。
「おい、ふざけるな!」
誰かが怒号を発する。
「何故俺たちがそんなことしなければいけないんだ!?」
男、だ。
かなり怒っている。
「説明中だろ?少し静かに―」
「早く俺たちを家に帰せ!」
静かになる。
「…仕方無い。ルール説明にも丁度いい」
途端に辺りが明るくなる。
体育館のような所か。
前に男が…2人立っている。
「…俺たちに逆らうと、こうなるぞ」
そう言うと同時に、爆音が響く。
音のした方を見る。
「うわあああああっ!」
…首の無い死体が転がっている。
「…まあルールはこんな所だ。よし、始めるぞ」
「出口にデイパックが置いてあるので、持って行ってください」
もう一人の男が全員に呼びかける。
1人、また1人とデイパックを持って出て行く。
…仕方無い。
俺は、デイパックを拾って出口へ向かった。


【一日目・深夜/?-?】
【一ノ瀬進@オリジナル・カオス】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:デイパック
[思考・行動]
基本:どうするかな
1:行くか…
186 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/20(土) 21:24:36 ID:xBIZplHe
タイトル忘れてた…
「需要なし、むしろ-の自己満足ロワ2nd」です
187 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/20(土) 21:27:45 ID:xBIZplHe
忘れ過ぎだ俺…

【杉谷守@オリジナル・ノーマル 死亡】
死因:首輪爆発
188 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/20(土) 22:09:02 ID:XEUEpB6F
新ロワOP投下乙です。

・その日の気分ロワ
KAITOが二回も殺されている…。 不憫すぎるw
主催のボカロPから物凄い小物臭がしますね。

・道化師と少女のバトルロワイヤル
ドナルドには主催者ポジが似合いますね。
それにしてもこなたが主催者とは…。

・俺リピーターロワイアル
リピーターロワとは新しいですね。
誰が、どのロワから出るのか楽しみです。
…らき☆ロワの川田が出ない事を祈りましょう…。

・需要なし、むしろ-の自己満足ロワ2nd
参加者にされている…!
喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか…。

それにしても、なんという新作ラッシュ…。

無謀ロワの地図に「友」のエリアの説明文を書き忘れていたので、ここで説明します。

友…「20世紀少年」に登場する「ともだちの塔」

書き忘れて、すいませんでした。
189 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/20(土) 23:04:43 ID:i8AFyVyj
◆mO323oVvaQ氏
OP乙です。ドナルドは主催似合うがこなたもか……期待です。

◆lYiZg.uHFE氏
リピーターロワキター!あるなら読んでみたいと思ってたのでとても楽しみです。
自分が通ってるロワからは出るだろうか……wktk

◆6LQfwU/9.M氏
前作から読んでましたw氏とUw氏のダブル主催というのが面白そうです!

あと質問なんですが、自分の話をwiki収録したいのですがページってどう作ればいいんでしょうか?知識なくてすみません……。
190 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/20(土) 23:23:13 ID:XEUEpB6F
@wikiご利用ガイドで調べるといいですよ。
編集についていろいろ書かれています。
191 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/20(土) 23:31:41 ID:qldJdEWF
◆6LQfwU/9.M氏
参加者については全然かまわないっすよ。むしろ願ったり叶ったりw

◆FqMKkvAsCA氏
ぶっちゃけ@wikiご利用ガイドで調べるのがめんどくさかったら他の人のロワのページをコピペしちゃえば、あら簡単。
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192 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/20(土) 23:47:16 ID:i8AFyVyj
お二方ともありがとうございました!
少しずつ作業していきます。
193 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/20(土) 23:58:55 ID:i8AFyVyj
一話投下します。
前から書きためていたので分量ありますw

タイトル「無意識-無一色-」
194 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/21(日) 00:00:18 ID:i8AFyVyj
殺したい、と思った。
こんな感情は、初めてだった。
彼女を殺した奴を殺してやりたい、そう思った。
ずたずたに引き裂いて、ぼこぼこに殴り倒して、殴って嬲って蹴って焼いて折って叩いて壊してしまいたいと思った。
二度と日の光を拝めぬように、切り刻んでやりたいと思った。
何よりも。
そんなことを考える自分を誰よりも―――殺したいと思った。



綾崎ハヤテの職業は、執事である。
それは決してあだ名の類などではない。
彼は、真に高校二年生にして有名な大財閥の一人娘の執事を務めているのだ。

ことのきっかけは、些細なようで重大なこと。
親から借金をなすりつけられ、犯罪すら犯そうとしていた自分を救い出してくれた、『彼女』への恩返し。
もっともそれには、少女側の彼に対する行為と誤解も絡んでいるのだが、それはハヤテ自身にはさほど関係ないことであるので保留にする。
ハヤテは、自分の命を助けてくれた少女を守り、補助し、褒め、時には叱り、喜ばせることを至上の幸福としている。
もちろん―――彼女が命を落とすなど、あってはならない。
大財閥の令嬢故頻繁に悪人に誘拐されるなどの危険に巻き込まれがちな主を、全力を賭して守りきる。
―――そう、それは例え、自分が命を落とそうとも。

だから、ここで彼は崩壊にぶち当たることになる。
それは、彼の人生でおそらく、二番目の。
幼い頃を共に過ごした、最愛の少女に拒絶された時同様の、衝撃を。



「……はあっ、は、はあ……」
川沿いの道を、全力で駆ける人影がひとつ。
青い髪に、黒の燕尾服を纏うその人物は、まだ20歳にも満たないであろう少年だった。
その格好は明らかに運動を阻害していそうなものなのだが、それを気にする素振りもみせない。
少年の身体能力の高さがうかがわれる。
では、なぜ彼はここまで急いでいるのだろうか?
「……お嬢様を……お嬢様を探さないと……!」

彼の名前は綾崎ハヤテ。
三千院家の執事を務める、現役高校生である。
ここまで書けばお分かりになるかもしれないが、彼があわてているわけ、それは。
「……無事でいてください、お嬢様!」
この殺し合いの舞台に、自らの仕える主人である三千院ナギも参加させられていたからである。
他の知り合いがいたかまでは確認していない。しかし、ナギの姿だけはこの目でしっかりと確認した。
自らの可愛いご主人さまを、見間違えるなどありえない。
早く、ナギを探さないと。
手遅れにならないうちに。
考えるのは、ナギを見つけたそのあとでいい。
大切なのは、この場が殺し合いの舞台であるということ、それだけだ。

だから、彼は探し回る。
その、命に変えてでも――――
195 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/21(日) 00:02:36 ID:i8AFyVyj


「こ、ここは……どこなのだ?」
三千院ナギが目を覚ましたのは、廃屋だった。
住み慣れた豪邸とは180度違う場所に、ナギの頭は一気に覚醒する。

―――そうだ、私は―――
―――目の前で、知らない人が首輪を爆発させられて、それで―――
がたがたと、ナギの体は震えだす。
見た目は幼い少女でも、ナギの頭脳は非常に優秀だ。そんな彼女の理性は、現状をいやになるほど把握してしまっていた。
自分の目の前で、見知らぬ男は『殺されたのだ』と。
自分は本当の本当に、殺し合いに巻き込まれてしまったのだと。
「……う、ハヤテ……ハヤテえ……」
恐怖とショックが頭の中を駆け巡る中、ナギが唯一できたことは、自らの恋する、そし誰よりも頼りにしている執事の名を呼ぶことだけだった。
いつだって誘拐されかける自分を助けてくれる、愛しの彼。
今回も助けてくれる―――その乙女の甘い期待は、数秒で打ち砕かれた。

「ハヤテ、ハヤテ、ハヤ―――」
何秒待っても。
何度呼んでも。
彼は、自分の元に疾風のごとくかけつけてはくれなかった。

「わ、私は、どうすれば―――」
不安が、さらに膨らむ。吐き気もしてきた。
どうする?どうすればいい?
ナギの心を満たすのは、恐怖と絶望。
この場でただの運動音痴の14歳にできることなど、何もない。
仮にあるとすれば。
強く優しき者に救われ、足を引っ張るか。
悪意あるものに、一方的に殺されるか、どちらかでしかない。
ナギの読む漫画のように、一般人が突然強い力に覚醒するなどという都合のいい展開は、そう簡単におこるはずがない。

そして、彼女の場合は―――

「……は、ハヤテ……た、助けて……」
ナギは肩を震わせる。
ただ、怯える以上のことなどできない。そこには、普段の強気な少女の顔はなかった。
「誰か……誰でもいい……だから……」

だから、彼女は気付かない。
何かが、自分の後ろに『いる』ということに。

「……だ、……、?」
え、と声を上げることもできなかった。
一瞬だった。
それより早く、ナギの心臓から刃物が生えていた。
「……は、……て」

もう一度言おう。
この場でただの運動音痴の14歳にできることなど、何もない。
仮にあるとすれば。
強く優しき者に救われ、足を引っ張るか。
悪意あるものに、一方的に殺されるか、どちらかでしかない。
ナギの読む漫画のように、一般人が突然強い力に覚醒するなどという都合のいい展開は、そう簡単におこるはずがない。

そして、彼女の場合は―――

それが、『後者』であった、というだけなのだから。
196 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/21(日) 00:03:29 ID:i8AFyVyj


そして、彼はその願いをかなえた。
『お嬢様に再会する』、その祈りは、届いた。
しかし、神はあまりにも残酷だった。

―――彼女を、生かしていてはくれなかったのだ。

はじめは、見間違いだと思った。
しかし、それをはっきりと認識した時、ハヤテはそれに駆けより―――そして、そのままへたりと地面に座り込んだ。
信じ、たくない。
「―――どう、して」
理解できない。
分からない。頭が―――考えることを拒絶する。
違う。違う、これは―――夢だ。
それは誤っている。これは現実なのだ。
そう認めることは、彼の精神が跡かたもなく崩れおちることを意味していた。
「……あ、ああ……ああ、あ……」

いっそのこと、何も残っていなければ幸せだったのかもしれない。
原型すらとどめず、骨の一本も残らず体ごと吹き飛んでいれば、彼は気付くこともなかったのだろう。
ただ、自分のあずかり知らぬところで死んでしまった『知らない人』、それだけで済まされたに違いない。
それなのに―――皮肉なことに。
「…………あ、あああああああああああああああああああああああっ!」

どうして、
見覚えのある、ありすぎる、視界から離れた日などない、見間違えるなんてありえない、金髪のツインテールが。
小柄な体躯が。愛らしい瞳が。何よりも。
紛れもなく―――彼女の『存在』を真のものにしていた。
心臓を一突き、それ以上の外傷はない。
それ故に、分かってしまう。
彼女は三千院ナギで―――既にこの世のものではないという事実が。
「……です……」
ハヤテの口から零れ出た言葉は、ただの呼吸と変わらない程度のものでしかなく。
「嘘……です……だって、こんなの……こんなの……」

守らなければいけなかった。
自分の命を救いだしてくれた、天使のような主のことを。

ナギは確かに我儘で、ぐうたらで、運動音痴で、オタクでひきこもりで、長所より短所の方が多かったと言っても嘘ではない、小さな女の子だ。
手放しで尊敬できる相手、とはお世辞にも言えなかったのは事実。
しかし、それでもハヤテの主人は、三千院ナギだった。
自身を誘拐しようとしたにも関わらず、ハヤテを許してくれ、さらに執事という職まで与えてくれた、心優しい主人。
だから。
誰よりも、守らなければならなかった。
一刻も早く、救いださなければならなかった。
自分の命よりも他の人間の命よりも何よりも―――大切に。
「……うそ、ですよね」

ハヤテの心は、ほとんど壊れていた。
死にたい。死んでしまいたい。
自分は、大切な主すら守れない、情けない男だ。
こんなに近くにいたのに。
自分は、間に合うことも出来ないなんて―――
そうだ、僕は―――死んでしまえばいいんだ。
このまま舌でも噛みちぎってしまいそうな精神状態の中、しかしハヤテは、たった一点の希望を捨てないことで理性をぎりぎり保っていた。
197 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/21(日) 00:04:28 ID:i8AFyVyj

―――優勝した人間の願いを何でもかなえてやろう―――

それは、悪魔の囁き。
否、正確に言うなら、それは魔女の言葉だった。
現実的にありえない、根拠のない妄言。
無理だ、そんなことは、ハヤテの理性はそう叫ぶ。
神様が存在して人を救えるというのなら、自分がこんなにも不幸になっているはずがないから。
生まれたころから両親に金づるもしくは体のいい稼ぎ口程度にしか思われず、貧しく空しい過去を送ることなどなかったはずだから。
だから、ハヤテは信じない。
信じたくない。信じられない。
「……なん、でも……」

信じられないのに、どうして。
ハヤテは自分が笑っているのか、自分でも分からなかった。

ああ、そうか。
そういうことか。
神様は、僕を試しているんだね。
ここにきて、17年間生きてきて初めて、僕は神様にチャンスを与えられたのか。
幸せを掴む、チャンスという奴を。
あれは、手品なんかじゃないんだ。
本当の本当に―――人を蘇らせることができるんだ。
そうでなければ、わざわざあんなことをする必要はない。
ああ、そうだ、そうに決まっている。
信じられなくても、それが―――事実だ。
それなら、受け取ってやる。
僕は、僕を幸せにするために行動してやる。
僕の一番の幸福は―――お嬢様が幸せになることだ。
そのためには。
そのためには、どうすればいい?

簡単だ。
問いかけるまでもなく、答えは出ている。
ヒナギクさんに教えてもらった数学の方程式なんかよりもずっとずっと、単純なことなのに。
ここに来る前から、本当はずっと分かっていたじゃないか。
ここでお嬢様の死体を見る前から、心に浮かんでいたことだっただろう?
ただ、その答えに辿り着くのを、理性が邪魔していただけで。
人を想う気持ちが、それを妨げていただけで。
僕は本当は―――
「……は、はは……っは、……そうか……」

本当は、悪魔だったんだ。

当然と言えば当然かな。だって、僕の両親は人とは思えないような悪魔だったんだから。
僕にだって同じ血が流れているんだから、僕だって悪魔だったに違いない。
今までは気付かなかっただけで、本当の本当は、きっと―――

―――殺す。

それは、最低な両親に対してさえ一度も抱いたことのない、負の感情だった。
「……殺す……殺す……殺す、殺す……殺してやる……!」

許さない。
『僕』の幸せを、お嬢様の幸せを、邪魔する奴は。

ナギを殺した顔も知らぬ殺人鬼が。
こんな場所にナギを連れて来た主催者が。
ナギの幸せを目指す自分を邪魔する全ての人間が。
―――邪魔、なんだ。
198 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/21(日) 00:06:09 ID:7WDjdSAs

みんな、殺せばいい。
そうしたら、お嬢様を生き返らせることができる。
他に知り合いがいたら、彼女たちも殺さず救い出す、できうる限りは。
そして、共に生き残りお嬢様を幸せにしてほしい。皆ならできると信じている。
最後に―――僕が自ら死ねば済む話だ。何の、問題もない。

お嬢様は、こんなことを喜びはしないでしょう。本当は、すごく優しい方ですからね。
だから、僕のことを嫌ってくれて構いません。軽蔑し、罵り、ゴミとして処分されることすら僕の望みです。
お嬢様にとって、僕が『要らない人間』であればあるほど、お嬢様の世界から嫌なものが一つ廃棄されて、お嬢様の幸せに一歩近づくのですから。

ええ、分かっています。お嬢様はそんなことはしない。
どんなに僕が主不幸な執事でも、お嬢様は僕をそんな風に扱ったりしない。
それが愛情だなんてうぬぼれるつもりはありません、それはお嬢様の心がお優しいからですよね。
しかし、お嬢様。僕は貴方に何もしてあげられなかった。
僕は貴方に命を救われた。それなのに僕は、貴方の命を救うことができなかった。
執事失格です。本当ならこの場で自害すべき、どうしようもない役立たずかもしれません。
だから―――ごめんなさい。もう少しだけ、生きさせてください。
お嬢様を幸せにするために、僕は今、神様にチャンスを与えられたようです。
今度こそ、今度こそ幸せになれるなら。
僕は『お嬢様を幸せにする』ために、全てを消しつくしましょう。

―――だから、思いださないことに。
―――自分が今まで、人生の中で唯一『愛した』、『彼女』のことは―――

―――考えては、いけない。


「……」
ハヤテは、無言で座り込み、虚ろな目で主の死体を見つめる。
即死だ。きっと、痛みはほとんどなかったに違いない。
……本当に、そうか?まさか、そんなはずはない。
心は―――ナギの心はどれだけ痛んだ?即死だったかもしれない、でもそれが何の関係がある?
お嬢様は、苦しんだんだ。
恐怖と絶望に引きつった表情を見るだけで、十分すぎるほどよくわかった。
身を引き裂かれるような―――きっと、痛みだけで死んでしまえるくらいに。
「……同じ目に、会わせてやらないと……」
炎が、彼の心を支配する。
どこまでもどす黒く、悪意と憎悪に満ち満ちた、狂気的な感情が。

お嬢様が傷ついた分の五倍の傷を負わせてやろう。
その両目すら抉り取り、四肢をばらばらにして海に捨ててやらなければ。
その顔を潰し、内臓も脳も頭蓋骨も何もかも全て粉砕しなければ。
ただ、殺すだけでは飽き足らない。
199 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/21(日) 00:07:45 ID:7WDjdSAs
ふと、ナギのディパックが目に入った
何を思ったか、ナギを殺した人物はナギの武器を確認していないらしかった。
それだけ、自分の力に自信があるのか。それとも、よほど焦っていたのか。
「……」
ハヤテには、武器がない。
ナギなら、何か持っているかもしれない。
そう考え、恐ろしいほど冷徹な瞳で、ディパックの中身を引っ張り出す。
そして―――

「……剣……」
その中に、剣の存在を認めた。
美しくもまがまがしい色合いをした、剣などちっとも詳しくないハヤテでも名刀だと分かるほどの代物だった。
赤い刃筋は、まるで血のようで。
「……殺せる」
これで、人を殺せる。
お嬢様を殺した不届き者に、お嬢様を不幸にする無礼者を、裁くことができる。
ハヤテは、それを手に取った。
「お嬢様、ごめんなさい、力を、貸してください―――」
これは、神の啓示なのかもしれない。
ナギも、自分の背中を押してくれているのかもしれない。
そんなことはありえないと知りながら、そう考えてしまった自分を殺したくなる。
執事、失格だ。
だから、待っていてくれなくても構わない。
自分は執事として、ただ主人の幸せだけを祈ろう。

その刃の名前は、妖刀・紅桜。
対象を『斬る』という想いだけを込められ続け作られた、意思を持つ剣。
その意思は人さえも食らい、やすやすと命を葬り去る。
かつて、紅桜の狂気に見入られ、自我すら失った一人の男がいた。
果たして、綾崎ハヤテは、憎しみを身に抱いた少年は、彼のように紅桜に取り込まれてしまうのだろうか?

【三千院ナギ 死亡】

【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく!】
【状態】
【所持品】妖刀・紅桜@銀魂、ディパック×2(ハヤテ、ナギ)
【スタンス】 マーダー
【基本方針】ナギを生き返らせるため殺し合いに乗る。他の知り合いはいるなら可能な限りここから脱出させたい。
※参加時期はアテネ編途中ごろ。
200 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/21(日) 00:08:29 ID:7WDjdSAs


ここで1つ、疑問が残る。
三千院ナギを殺したのは、誰なのだろうか?

今から、その正体について書き残しておく。

「……っ、」
声が、する。
木々の生い茂る森の中―――少女の息遣いが聞こえた。
それは、生きた人間がこの場に存在することを示しているはずだ。
なのに―――『誰もいない』。
誰の姿も見えない。存在を感知することも出来ない。
いや、否―――いる。
徐々に、本当に少しずつ―――人間の姿が『浮かび上がって』くる。
年齢は高校生くらいだろうか。紺色のブレザーを身にまとっており、その胸部のなだらかな曲線が、その人物が女性であることを如実に証明していた。
黒髪に隠れてはっきりと見えない顔は―――はっきりと青ざめていた。

ゆらり、影が、動く。

「……や……やって……しまった……」
少女は、つぶやく。
その声からは余裕は微塵も感じられず、恐怖に満ちていた。
しかし、恐怖と同時に―――決意にも満ち溢れていた。
「……先輩、ごめんなさいっす、私―――」

少女の名は、東横桃子。
鶴賀学園麻雀部に所属するごく普通の高校生だ。
……とある二点を除いては。
1つは、彼女が天才的な麻雀の腕を持ち合わせているということ。
そして、もう1つは。

―――彼女は究極に、影が薄いということ。

「加治木先輩……」
自らの恩人であり大切な人―――加治木ゆみ。
桃子は、彼女の姿をここで見た気がしていた。
正確に言うなら、姿を見たわけではないので、確信があるわけではない。しかし、本能が感じ取っていた。
彼女が、この場にいるのだと。
桃子のゆみへの強い思いが、そう訴えかけていた。
頭が真っ白になった。
殺し合い、そんなことできるはずがない。
自分はただの女子高校生だ。麻雀の経験はあるが、人を殺したことなんかない。
でも―――

想像する。
先輩が、あの男のように首から血を噴き出して死ぬ光景を。
先輩が、ありとあらゆる臓器をぶちまけて地面に倒れる光景を。
先輩が、殺し合いに乗った男たちにボロ雑巾のように甚振られ、犯され、殴られ、捨てられ、なぶり殺しにされる光景を。

考えたくない。
考えるだけで吐き気を催した。

そんなことはあってはならない。
先輩は―――先輩にだけは、死んで欲しくない。
魔法なんて、桃子に信じられるはずもない。自分はステルスという能力はあるが、しかしそれも大したものではない。魔法なんて、ただの手品の延長にすぎない、桃子はそう信じていた。
だからこそ、死んだ人間が生き返るなんて、思えない。
もし、先輩が死んでしまえば―――もう、取り返しなんてつくはずもないのだ、と。
201 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 00:08:49 ID:jHqgM+Iq
新ロワラッシュktkr
>>166「オープニング」◆FqMKkvAsCA氏
ミクが、何だか精神崩壊暴走フラグ満載だ…。
>>175「オープニング」◆mO323oVvaQ氏
ドナルド+こなたが主催か
>>178「そんな事よりパロロワしようぜ!」◆lYiZg.uHFE氏
マルク再登場! 今回も活躍なるか?
パロロワのパロロワって事かな。自分が好きな自作ロワからも出るかな?
期待。
>>181
おいいいいい俺! 俺が副主催になってる事に盛大に吹いたwwwww
なんかめちゃくちゃ嬉しいんですけど、どうもです!

では自分も俺得ロワ12話「海賊と竜、反対の思考」投下します。
登場:ゴメス、大宮正悳
202 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/21(日) 00:09:43 ID:7WDjdSAs
だから、桃子は決意したのだ。
自分が、皆を殺そうと。
武器を扱ったことなどない。それでも、彼女には『ステルス』という特殊な体質がある。
誰からも気づいてもらえなかった、誰からも人として認識してもらえなかった。
この能力が、大嫌いだったはずだった。
けれどもゆみは、そんな桃子にこの能力を生かせるすべを教えてくれた。
……自分を、必要としてくれた。欲しいと言ってくれた。救い出してくれた!

それならば―――この能力は、加治木先輩を救うためにあるべきっす。

今度は麻雀ではない―――人を殺すために、使う。
彼女は喜ばないだろう。むしろ、怒るに違いない。泣くかもしれない。
彼女はどこまでも美しく、勇ましく、そして優しい愛らしい女性だ。桃子が人を殺すことを好ましく思うはずはない。
それでも、桃子は先輩を守りたかった。
嫌われたとしても、怖がられたとしても、ゆみだけには生きていて欲しい……。
それにもし、もしもここに彼女がいなかったとしても、それでも、ここで自分が死ねば、もうゆみに会うことはできなくなる。それもまた、桃子にとって辛いことだった・
だから、結果として、彼女は迷わなかった。

だから、殺した。
何の力もなさそうな―――明らかに自分より非力だと一目でわかった少女を。
何の苦労もいらなかった。ただ、平然と彼女に近づき、その左胸にナイフを突き立てただけだ。
肉の感触。血の匂い。思い出すだけで気分が悪い。
実際にそれが理由で相手のディパックすら奪わずここまで逃げてきてしまったのだ。当然だが、殺しに慣れたとは到底言えない。
それでも、それすらも乗り越えて尚―――桃子は進もうとしているのだ。
修羅の道を。

もし、ナギが桃子の存在に気付けていたならば、この悲劇は起こらなかったかもしれない。
ナギは死なずに済んだかもしれないし、桃子も殺人をためらったかもしれない。
しかし、結果として、ナギは気付かなかった。桃子は気付かれなかった。そして―――ハヤテは、気づいた。

運命は回り始める。
……予想した以上に、最悪の方向へ。

【東横桃子@咲-saki-】
【状態】健康、精神的ショックと決意
【所持品】包丁@現実、ディパック
【スタンス】 マーダー(文字通りの意味でステルス)
【基本方針】先輩を生き残らせるため人を殺す
※本当に加治木がいるかどうかはまだ未定です。
203 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 00:09:52 ID:jHqgM+Iq
被ったのでちょっと待ちます、割り込みすみません
204 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/21(日) 00:11:19 ID:7WDjdSAs
投下終了です。
もしかしてはじめに登場キャラあげるべきでしたかねw
あとミスがありましたのでwikiで修正しておきます。

おっとそしてUw氏が来ていた!
これで終わりですので投下どうぞ〜
205 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 00:14:08 ID:jHqgM+Iq
>>204 どうも。では改めて投下します。
206海賊と竜、反対の思考 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 00:15:32 ID:jHqgM+Iq
12話 海賊と竜、反対の思考

ううむ、とんでもない事になってしまったな、殺し合いとは。
ワシことゴメスはいつものように家でホモAVを見た後眠りについたはずなんだが。
一体どこでどうやって連れ去られてきたのだろうな。
まあ「もしもの世界」では特に珍しい事ではないが…どうも今回ばかりはいつもと事情が異なりそうだ。

そして今ワシがいるのは、夜の闇に包まれた森の中。
足元がにわか均されているから林道か山道のような所らしい。
夜空には満月が浮かんでいて割と明るい。
デイパックの中身を確認すると、基本支給品の他、黒塗りのリボルバー拳銃と予備弾薬数十発が入っていた。
ワシは銃器は専門外なのだが…説明書を読めば何とかなるか。
名簿を見れば、アレックス、ブライアン、ヘレン、ドラゴナス、死神五世、ムシャ、デスシープと、
知っている名前が7人もあるではないか。
あいつらは今どうしておるのだろうか…ヘレンやムシャ辺りは殺し合いに乗っていそうな気がするが。
少なくともアレックスは殺し合いに乗るような奴ではない。
近頃は正直魔王軍より悪どい事をやってのけているような気もするが、
さすがに自分の命惜しさに全く見ず知らずの人々を平気で虐殺できる程外道にはなっていない、と信じたい。

「ん……」

名簿を見ている内に、仲間や知人以外に見覚えのある名字が二つあった。
「クリス・ミスティーズ」「レオン・ミスティーズ」の二人。
主催者の名前は確か――リリア・ミスティーズだったな。
主催者と同姓――何か関係があると思わざるを得ない。
最後の一人しか生きて帰れないこの殺し合いに、あ奴は肉親を参加させているとでも言うのか?
それとも、この二人、あるいはどちらかは、主催者による回し者? そう捉える事もできる。

何にせよ、ぜひとも会って話をしたいものだ。

さてこれからどうしたものか、無論、殺し合いに乗る気はない。
一応ワシは海賊ではあるが無駄に他人の命を奪うような悪党ではないさ。
いつもだったらいい男、いい女問わず食っちまう(性的な意味で)が、
さすがに今回ばかりはあまりふざける訳にもいかないだろう。

――まあ、少しはやるかもしれんが、息抜き的な意味で。

主催者によれば魔法や特殊能力の類は一切使う事ができないらしい。
つまり、「もしもの力」も「ゴメス博士」も今回は無し、という事だ。
例え死んでも次の話になれば何事も無かったように復活、という事もできないのだろう。
いつもより気を引き締めてかからねばなるまい。

ともかくこの森から抜け出すか、こんな薄暗い場所にいたのではいつ奇襲されるか分からないからな。
デイパックの中には懐中電灯も入っていたが、迂闊に点けるのはまずい。
殺し合いに乗っている奴が近くにいたらわざわざ自分の居場所を教える事になる。
無駄に戦いたくはない。

幸い、足元が見えるぐらいには明るい。
前方に向かって道が緩やかな下り坂になっているようだ、恐らく小高い山なのだろう。
つまりこの下り坂に向かって進んで行けばいずれは山も下りられ森も抜けられる、か?

「行ってみるか…」

ワシは右手にリボルバー拳銃を携えながら、暗闇の山道を歩き始めた。
207海賊と竜、反対の思考 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 00:17:11 ID:jHqgM+Iq
――同時刻、同エリア、ゴメスよりやや離れた別の山道――


俺、大宮正悳は――え? 下の名前なんて読むかって? 「まさのり」だよ。
もう一度、俺、大宮正悳は、ある竜騎兵に使役されている竜だ。
まぁなんで人間の名前持っているのかと言えば、「大宮」は主人の名字で、
「正悳」は主人が付けてくれた名前なんだ。だから人間名表記になるって訳。

それで、俺は最近、ちょっとしたミスがきっかけで事故を起こしてしまい、翼を痛めてしまった。
幸い乗っていた主人に怪我はなかったが、しばらくの休養を余儀無くされた。
俺のミスなのに主人はとても心配してくれた。優しくしてくれた。

嬉しくて泣いちゃったよ。

だけど――。

「ふぅ……」

なーんで俺は、爆薬付きの首輪をはめられて、自分の厩舎じゃない、
薄暗い夜の森の中にぽつんと一匹でいるのかなぁ。
えーと、今まで起きた事を思い出してみよう。
ああそうだ、俺は、殺し合いの舞台にいるんだ。
リリア・ミスティーズとか名乗る、ドレス姿の厨二臭い女に殺し合えって。
暗くて良く分からなかったけど、俺の他にも大勢の参加者がいるらしい。
首にはめられた首輪は無理に外そうとしたり、逃げようとしたりすれば爆発する。
実演があったけど俺のいた場所からは人混みのせいでよくは見えなかった。
ただ、実演された奴の知り合いと思われる少年の叫びは俺の耳にもはっきり届いた。
赤の他人とは言え少し胸が痛くなった。

だけど、俺が今考えるべきなのは他人の事より自分の身の振り方。
名簿を見たけど俺の主人の名前は無かった、他の知り合いの名前も見当たらない。
主催者と同姓の奴が二人いたのは少し気になったが。

地図、名簿、懐中電灯、筆記用具、時計、水と食糧…そして、これは――グレネードランチャーって奴か。
炸裂弾5発とセットで入っている。強力そうだけど予備弾が少ないから使い所は見極めないとな。
まあ俺には鋭い爪と牙、空を飛べる翼に尻尾もあるから、いざという時は肉弾戦もいける、と思う。

知り合いはいないのなら、殺し合いを拒否する理由もない。

「――なら俺は、主人の待つ元の世界に帰るために、殺し合いに、乗ろう」

俺の心は決まった。

そうと決まれば――獲物を探しに行くとしようか。
208海賊と竜、反対の思考 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 00:18:06 ID:jHqgM+Iq
【一日目深夜/C-3森:北側山道】

【ゴメス@VIPRPG】
[状態]:健康、北方向に移動中
[装備]:スタームルガー ブラックホーク(6/6)
[持物]:基本支給品一式、.357マグナム弾(30)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。
1:この森を抜ける。
2:元世界の仲間、知人と合流したい。ただしヘレンとムシャは警戒。
3:首輪を外したい。
4:襲われたら説得してみる、無理なら戦うか逃げる。
※名簿に書かれた主催者と同姓の二人が気になっています。


【一日目深夜/C-3森:東側山道】

【大宮正悳@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:H&K HK69(1/1)
[持物]:基本支給品一式、40mm榴弾(5)
[思考]:
0:元の世界に帰るために、優勝する。
1:これからどこへ行こうか。
2:他参加者を見付けたら容赦なく殺す。



≪支給品紹介≫
【スタームルガー ブラックホーク】
アメリカのスタームルガー社の代表的なシングルアクションリボルバー。
既にパテント(特許)の切れたコルトS.A.Aをベースに開発された。
西部劇さながらの早撃ち競技などで需要が高い。
使用弾薬:.357マグナム弾 装弾数:6発

【H&K HK69】
1969年頃に開発された中折れ式の摘弾発射器。
拳銃型だが伸縮可能な銃床を持つため保持しやすい。
銃身にはライフリングが施されており、短銃身ながら他の擲弾発射器と比べて射程が長く命中精度も高い。
使用弾薬:40mm榴弾 装弾数:1発


≪オリキャラ紹介≫
【名前】大宮正悳(おおみや・まさのり)
【年齢】19
【性別】雄
【職業】ドラグーン(竜騎兵)の竜
【性格】基本的に温厚、主人に非常に忠実で一図
【身体的特徴】青い体色を持った獣足型の竜。腹の部分は肌色。それ程大きくはない
【服装】服を着る概念がない
【趣味】主人を思いながら自慰
【特技】翼を使って空を飛ぶ事、自己流の爪牙格闘術
【経歴】自慰のやり過ぎで性器を痛めた事がある
【備考】主人とは家族同然の絆で結ばれている。日本風異世界国家出身
209 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 00:20:08 ID:jHqgM+Iq
投下終了です。ホントはゴメスに大宮がアッーされる話だったが、没になりました(笑)
210 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/21(日) 01:54:08 ID:PWNn0U4M
・自己満足ロワ2nd「はじまり」
書き込んで一時間ちょっとの俺がなぜ参加者にいるしw
いいぞもっとやれw

・その日の気分ロワ「無意識-無一色-」
ハヤテの想いも虚しくナギ死亡。そして思いが強すぎてマーダー化か。
これもロワの無常だなぁ。ステルスモモはここでも本領発揮なるか。

・俺得ロワ「海賊と竜、反対の思考」
ゴメスw 没話も見てみたかったようなそうでないようなw
ってか大宮の趣味w


というわけで俺リピーターロワ投下します。
211月に願いを ◆lYiZg.uHFE :2010/03/21(日) 01:55:09 ID:PWNn0U4M
 とある民家の中、妙齢の女性が悩ましげにため息をついていた。
「はぁ……参ったわね」
 月の頭脳と言われてはいても、何事も計画通りにいくとは限らない。
 そんな当然の事は彼女も分かってはいた。
 それでも今回の出来事にはため息をつかざるをえなかったのだろう。
 眉間に手をあて、ため息をついた彼女の様子は心底落胆しているように見えた。
 とはいえそれも無理の無い事だ。
 せっかく主、蓬莱山輝夜への手がかりが見つかったという所で別の殺し合いへの招待。
 何よりも求めていたものが目前で消えてしまえば、八意永琳でなくとも落胆するだろう。
 だが、これは永琳にとって何も悪いばかりの話ではなかった。
 主催が変わっている。その点において、余計な敵を作らなくて済むようになったのは有難い事と言えた。

 また、この時点の永琳が知る由も無い事だが、
輝夜の死を知らなくて済んだという事も幸運であったと言えるかもしれない。

「……まあ、過ぎた事は仕方ないわ。とりあえず、これからの事を考えなくてはね」
 眉間に当てた手をそのまま胸の前に持っていき、腕を組みながらそう言った永琳の口調は
決して未練がなかったとは言えないが、それでも先へ進む為に頭を切り替えてマルクと名乗った妖怪の発言を思い出す。
 言葉とは存外、色々な情報が詰まっているものだ。
 一言の中にも、台詞、口調、声調などから推測できる事もある。

『みんな気付いていたと思うけど、キミ達の生殺与奪の権はボクが握っているのサ』
『みんな一回殺し合いを経験しているし、細かいルール説明はしなくてもいいよね?』

 永琳達の殺し合いだけでは説明できないほどの大人数、見覚えの無い者達。
 そしてこれらの言葉から推測するに、この場に呼び出された参加者は皆永琳が巻き込まれていたもののように、
それぞれ別々の殺し合いに巻き込まれていたのだろうというのは容易に想像できた。
 勿論、永琳自信が居る事から、輝夜をはじめとした幻想郷の面々も集められている事は想像に難くない。

『それぞれ幾らか違うところがあるかもしれないけど、大体前回と同じなのサ』

 さらにこの言葉から考えて、全く同じルールではなく殺し合いごとに差異があったというのも予想できる。
 これは些細な事に見えて意外に厄介となるかもしれない。
 同じルールの殺し合いに巻き込まれていたと勘違いしていたら、情報の齟齬が発生していたに違いない。
 例えば禁止エリアに入っても暫く爆発しない殺し合いにいた参加者が、
それを知らない参加者達にその事を教えて、ここでは禁止エリアに入ったらすぐに爆発するルールだったら。
 例えば放送までに一人殺害しなきゃ即首輪爆破というルールの殺し合いから来た参加者がいたら。
 例えばもし永琳のいた殺し合いのように、【主催者が参加者の誰かの姿形を騙っていた】として、
 それを知らない参加者と騙られた参加者が遭遇してしまったら……。

 それによりしなくてもいい争いが起きないとも限らない。
 勿論永琳のようにこの事に気付く参加者もいるだろう。だが全ての参加者がそれに気付くだなんて事はありえない。

 となれば、やはりいち早く輝夜を探し出したいと考える。
 しかし、あのホールで見た尋常ではない参加者の数。
 会場もそれに見合うほどの広大さであるというのは言うまでも無いのだ。
 所詮一参加者に過ぎない輝夜を探し出すというのは至難の業だろう。
(魔理沙や守矢の神も探してくれるだろうとはいえ、それでも厳しいのは否めないのよね)
 焦燥と苛立ちからか組んだ腕に力が入り、白く柔らかい二の腕が僅かに形を変える。

 そうなると、やはり協力者が必要だと永琳は考えた。
(輝夜がここで殺し合いに乗っていなければいいのだけれど)
 輝夜は永琳の為に殺し合いに乗っていた。
 永琳が、輝夜を人質にされて誰かに殺し合いの運営を強要されていた、と勘違いしていたのだ。
 ならば別の殺し合いに巻き込まれた今、輝夜の方針が変わってさえいれば、仲間を作っているかもしれない。
 勿論これはただの願望に過ぎない。
 永琳が未だに黒幕の呪縛を受けていると考える可能性もあるし、
そうでなかったとしても永琳を優勝させようと考える可能性も零ではない。
212月に願いを ◆lYiZg.uHFE :2010/03/21(日) 01:56:09 ID:PWNn0U4M
(せめて望む相手の居場所がわかるような道具でもあれば)
 そう考える永琳自信も、そんな都合のいい道具がすぐに見つかるはずが無いとは思っていた。
 現に、既に調べ終えた支給品にはそんな物はなかった。
 それでもそんな考えをしてしまうのは、それだけ輝夜が大事だからだろう。
(兎に角、早く輝夜を見つけないと……)
 永琳はただそれだけを考えて、出発の準備を早々に終えて、玄関の扉をあけて外へ出る。

 その時、永琳に向かって見覚えのある丸い生物が衝突してきた。


 *  *  *


「ま、不味い事になったのサ……」
 殺し合いが始まると、マルクは苦々しく青ざめた顔つきでそう呟いた。
 元々青みがかったその愛嬌のある顔は、苦渋に満ちた表情のせいもあって酷く弱弱しい。
 それでもそれぞれに配られたデイパックを手際よく検分しているのは、じっとしていられない程に不安があるからか。

 この殺し合いという状況、死地を愉しむ者で無い限り不安を抱くのは当然だ。
 自分の死、他人の死、或いはそれ以外の何か。
 ここはそんな不安を生み出す要素で溢れている。
 如何に道化のような格好をしているとはいえ、命が惜しくないわけでは無いのだ。
 こんな時に、気楽に笑ってなどいられるはずがない。
 とはいえ、マルクは殺し合いという状況に不安を感じているわけではない。
 いや、当然それも不安ではあるのだろう。
 然し、それ以上にマルクへ不安を与える原因があった。

『ボクの名前はマルク。早速だけど、これからみんなには殺し合いをしてもらうのサ!』

 名前、外見、仕草、口調、声――
個を認識させる、ありとあらゆる要因が彼と瓜二つである存在。
 そんな者が、大人数からの注目を浴びる中、心底楽しそうに宣言した言葉。
 つまり、この悪趣味なる殺人遊戯の開催。
 この時点で、マルクは大きなハンディをつけられた。
 只でさえ誰が信用できるかもわからない状況。
 そんな中、主催と瓜二つというだけで、全ての参加者に敵意をもたれうるだろう。
 出会い頭に問答無用で襲われてしまってもおかしくは無い。

 それでも昔のマルクであれば、嬉々としてここはパラダイスだと自信満々に殺し合いへと興じていた事だろう。
 だが二度の致命的ともいえる敗北を経て、彼は気付かされた。
 策士を気取ってみてはいたが、その実彼はそんな器ではないという事を。
 自分の力を上回る相手など幾らでもいるという事を。
 確かに一度目の敗北の時は敵を甘く見ていた。
 確かに二度目の敗北の時は制限を正確に計りきれていなかった。
 だけど、そんな事が言い訳になどなるはずがない。
 真に策士であれば、そんな初歩的なミスを犯す事はないのだから。
 まさに道化だ。自身に自信があったからこそ、マルクは余計にそう感じさせられた。
 だが、失敗をしたのならそこから学べばいい。
 幸か不幸か、失ったはずの命がこうして戻ってきたのだから。

 マルクが命を落とす原因となった一員であるブラックシャドー。
 あの黒き影は『勉強ってのはこれからまだ可能性がある者がすることだろ』と敵であるマルクへと言った。
 そしてその言葉の通り、それから直ぐにマルクの可能性が断たれる事となった。
 だが、再び殺し合いに巻き込まれた事により学ぶ機会が訪れたとは、なんという皮肉であろうか。
 命が蘇った事は確かに喜ばしい事なのだが、状況が状況なだけに素直に喜べない。
213月に願いを ◆lYiZg.uHFE :2010/03/21(日) 01:57:10 ID:PWNn0U4M
 とはいえこんなチャンスは恐らく二度とやってこないだろう。
 だからこそ、これまで以上に慎重、冷静にいく必要があると彼は感じていた。
 前の殺し合いを省みても、慎重に事を為しているつもりでも、慎重さの欠片もなかった。
 ゆえにシリカにも嘘がばれて襲われたし、ブラックシャドーにも穴を指摘された。
 それらも冷静に考えれば直ぐに気付く範囲の事でしかなかった。
 慎重に、と言いながらどこかに焦りがあったのだろう。
 今度も同じような無様を晒してしまえば、同じ結末を辿ってしまう。
 それだけは避けたい、とマルクは心の底から思う。

「とはいえ、どうするべきなのサ」
 支給品を調べ終わり、幾分落ち着いてきたのか元の顔色に戻ったマルクは、
悪魔のような羽を腕を組むようにさせて考える。
 子供のように可愛らしく大きな瞳も、難しげに歪めだ顔の為に怖く感じる。
 辛酸を舐めさせられた経験からか、一切の遊びの無い声でうんうんと唸る。
 その様相は、道化というよりも寧ろ地獄の鬼といえただろう。

 考えるは、極力危険を冒さずに生き残る方法。
 積極的に殺しあう――論外だ。
 最後の一人まで隠れる――現実的ではない。
 打倒主催を目指すグループに紛れ込み、扇動をする――誰も信用しないだろう。
 むしろ打倒主催をする――一人でなど無理だ。
 その他、思いつく数あるスタンスを次々に考察していく。
 しかし自分の生存というビジョンが一向に見えない。

「これじゃどうしようもないのサ、ボクは二度と死にたくなんてないのサ……」
 初めて味わわされた命が消えていく未知の感覚を思い出し、身体が震える。
 それはブラックシャドーに感じたのと同じ、確かな恐怖の感情。
 馴れないその感情は、だからこそ深くマルクの心を縛り付ける。
「……誰でもいいから仲間が欲しいのサ。一人じゃ心細いのサ」
 でも、信用されない事には話にならないのサ」
 孤独を感じているマルクは、いつのまにか利用できる者ではなく仲間を求めている事に気付いていない。
 優勝して願いを叶える事よりも生存を優先している事にも気付かない。

「そうだ、確かさっき調べた支給品に……」
 組んだ羽を元に戻したマルクは、器用に羽をデイパックへと突っ込むと入っていた杖を徐に取り出す。
 魔法の杖だろうかと思って読んだ説明書には、こう書いてあった。

『「たずね人ステッキ」
 人や物を探しているとき、このステッキを地面に突き立てて手を放すと、目当ての人や物の方向に倒れる。
 しかし、その的中率は70パーセント。
 三時間につき一回のみ使用することができ、一度使用した相手には使えない。
 ちなみに死体にも有効。』

 最初に読んだ時は探したい人物などいないとがっかりし、不用品と結論づけたが、
冷静に考えればそれでも使い道はある。
「これでボクを信じてくれそうな人を探すって言うのはどうだろう?」
 確実性がないとはいえ、70%という数字は決して無視できない程には大きい数字だ。
 見える道が全て真っ暗闇だというのならば、命を賭けるに足りうる十分な確率。
「さあステッキよ、一番近くにいるボクを信じてくれそうな参加者を教えて欲しいのサ!」

 それから数分後――ステッキの倒れた方向へコソコソと飛んでいたマルクは、
進行方向の家屋から参加者と思わしき女性――八意永琳が出てこようとするのを発見した。
「でもいきなり目の前に現れたら不審がられるのサ。
 できるだけ向こうから発見できるように、それとブラックシャドーの言葉も思い出して……」
214月に願いを ◆lYiZg.uHFE :2010/03/21(日) 01:58:11 ID:PWNn0U4M
『本当に不幸を経験した人はもっと必死に話すんだよ』 

 それが、ブラックシャドーがマルクの嘘を見抜いた最大の原因。
 こんな状況で冷静に、この支給品で信じてくれそうな人を探しました――
などといっても、余計に不信感を煽るだけだろう。
 誰に狙われるかも分からなくて必死で逃げ回っていた。
 そこで永琳に遭遇してしまう。それからはマルク自信の話術と演技力次第だ。
 マルクは計画を立てると、誰にも見つからないように道路へと降り立ち、一心不乱に永琳へと走り、衝突する。

「あなたは、マルク……!?」
「ひぃっ……! ボクはあいつとは違うのサ! 本当なのサ!
 お願いだから信じて欲しいのサ!」


 *  *  *


 かつて月と太陽を喧嘩させた張本人であるマルク。
 そんな彼が、『月』の頭脳を味方につける事ができるのだろうか――。


【一日目/深夜/東京都@テラカオスバトルロワイアル】
【マルク@任天堂キャラバトルロワイアル】
[時期]:65話『誓い』でマルスに殺された後
[状態]:普通
[所持]:たずね人ステッキ@アニメキャラ・バトルロワイアル(深夜に使用)
[方針]基本方針:死にたくない。
1:永琳と交渉。

【八意永琳@東方projectバトルロワイアル】
[時期]:104話『Never give up』で諏訪子と別れた後
[状態]:普通
[所持]:不明@不明
[方針]基本方針:輝夜を助ける。
1:マルクと交渉。


【たずね人ステッキ@アニメキャラ・バトルロワイアル】
マルク@任天堂キャラバトルロワイアルに支給される。
人や物を探しているとき、このステッキを地面に突き立てて手を放すと、目当ての人や物の方向に倒れる。
しかし、その的中率は70パーセント。
三時間につき一回のみ使用することができ、一度使用した相手には使えない。ちなみに死体にも有効。



★パロロワ一口メモ★
【主催者が参加者の誰かの姿形を騙っていた】

東方projectバトルロワイアルの特徴の一つで、主催者のZUNは永琳の姿形で殺し合いを開催した。
なお、その際永琳本人は眠らされたまま隔離されていたので、ルールを知らせてもらえなかった。
その為参加者の多くが永琳を敵視した。
215 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/21(日) 01:59:16 ID:PWNn0U4M
投下終了です。
216 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 02:49:05 ID:jHqgM+Iq
投下乙です。主催のマルクと参加者のマルクか。こりゃ面白い事になりそうだ。
任天堂ロワはまだ続いてるのだろうか?

投下します。俺得ロワ13話「幽霊船で泣く兎」
登場:神山アキナ、野比のび太
217幽霊船で泣く兎 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 02:51:05 ID:jHqgM+Iq
13話 幽霊船で泣く兎

淡いピンク色の髪を持った、バニーガールの格好の少女が、
少し床が傾いた寝室の中で膝を抱えて震えていた。
ここはエリアE-1にある座礁したクルーズ客船内部。
上部デッキにある客室の一つで、バニーの少女――神山アキナは殺し合いをスタートさせた。

「どうしよう…殺し合いなんてできっこないよぉ」

何も分からぬまま仕事先のバニーガールの衣装のままで、
「最後の一人になるまで殺し合いをしろ」と言われたのである。
首には爆発する仕掛けの金属製の首輪がはめられ、
もしかしたら主催者の気まぐれで爆破されるかもしれないと思うととても怖かった。

ギギイイイ…。

「ひっ!」

時折聞こえる船が軋む音に怯えるアキナ。
座礁船であるこのクルーズ客船は、波が船体に打ち付けられたりする度、
不気味な軋みを上げるのだ。
もしかしたら船底部、機関室は既に浸水しているのかもしれない。
それを確かめに行く勇気など彼女にはないのだが。

自分が今いる客室の入口にはしっかり鍵を掛けている。
アキナは当分、この部屋から外には出ないつもりであった。
下手に動かず一ヶ所に隠れている方が安全だと考えたためである。

自分のデイパックの中に入っていたのは、
何の変哲もない拡声器と、小さな瓶に入った白い粉。
瓶のラベルには「シアン化カリウム」と書かれている。
薬品に疎いアキナでも、毒物であるという事は察しが付いた。

これらを使って人を殺さなければいけないのだろうか。
拡声器はともかくシアン化リウムは使うタイミングが難しいが、
容易に人を死に至らしめる事ができるだろう。

だが――。

「駄目…できない! とても…人殺しなんてっ」

普通の人間であれば殺人に対し少なからず抵抗感を持つはず。
彼女もその例に漏れず自分が生き残るために他人の命を奪う事など考えられなかった。
しかし、リリア・ミスティーズと名乗った主催者の話によれば、
生きて帰れるのは、最後まで生き残ったただ一人なのだ。
名簿も既に確認したが自分の知っている名前は一つも見当たらなかった。
自分の先輩でよく面倒を見てくれる伊藤文子の名前もない。
218幽霊船で泣く兎 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 02:52:28 ID:jHqgM+Iq
自分はこの見知らぬ土地、そしていつ命を狙われるか分からない危険な状況で、独りぼっち。
そう思うとアキナは次第に涙が出てきた。

「うっ…ひぐっ……」

自分が置かれている状況を呪い、絶望し、涙を流す。
今のアキナにできる事はこれだけだった。



「どうしてこんな所に船が…」

座礁客船の横の陸地で、眼鏡少年野比のび太は、
それなりに大きな客船が有り得ない場所に接岸している事に驚く。
しかしよく見れば船は接岸しているのではなく浅瀬に乗り上げている事が分かる。

「座礁したんだ…船に乗ってた人達はどうしたんだろう。
あ…あそこから出たのかな」

のび太の視線の先にはタラップが下ろされた船の入口があった。
船自体が傾いているためかなり不安定な状態だが、侵入口は他に見当たらない。
少々怖かったが、のび太はタラップの階段に近付き、それを登り始めた。
階段の先は扉が開けられたままの乗船口。奥は真っ暗でよく見えない。
しかしそれでものび太は進んでいく。
もしかしたら友達がいるかもしれないと、希望を持って。

「真っ暗だ…何も見えないや」

ぐらついた階段を上った先は暗闇の空間。
これでは動くに動けないのでのび太はやむを得ずデイパックから懐中電灯を取り出し明かりを灯した。

「うわぁ、広いなぁ」

照らし出された空間は広いレセプションエリア。
椅子とテーブルが幾つか置かれ、食堂に続く入口やエレベーターなどが見える。
放棄されてから時間が経っているのだろうか少し埃っぽい。
混乱があったらしくやや調度品などが荒らされている。

「もしかしたらジャイアン達もいるかも…他の参加者も」

これだけ広ければ誰か一人くらいは他参加者がいる可能性が高い。
懐中電灯で行く先を照らしながらのび太は船の奥へ進んで行った。
219幽霊船で泣く兎 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 02:53:22 ID:jHqgM+Iq
【一日目深夜/E-1座礁客船:客室】

【神山アキナ@オリキャラ】
[状態]:健康、恐怖
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、拡声器、シアン化リウム
[思考]:
0:死にたくない。
1:客室内に留まる。


【一日目深夜/E-1座礁客船:レセプション周辺】

【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:健康、リリア・ミスティーズに対する怒りと憎しみ
[装備]:H&K MARK23(12/12)
[持物]:基本支給品一式、H&K MARK23のリロードマガジン(12×5)
[思考]:
0:殺し合いを潰す。友人達と一緒に脱出する。
1:座礁客船内の調査。
2:襲われたら戦う。



≪支給品紹介≫
【拡声器】
声を増幅するための器具。バトロワ死亡フラグの代名詞的存在。

【シアン化リウム】
いわゆる青酸カリで、猛毒。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】神山アキナ(かみやま-)
【年齢】18
【性別】女
【職業】バニーガール
【性格】明るいが怖がり
【身体的特徴】淡い桃色の髪、透き通るような肌、スタイルは良い
【服装】紺色のバニーの服、うさ耳
【趣味】一人カラオケ、作詩
【特技】これと言ってなし
【経歴】母親が物心つく前に他界しており、父子家庭で育つ
【備考】非リレーロワ・俺オリロワの参加者の一人、伊藤文子の後輩。
ちなみに「こちら」の伊藤文子は俺オリロワに参加させられていない、
並行世界の伊藤文子である。日本風異世界国家出身
220幽霊船で泣く兎 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 02:56:57 ID:jHqgM+Iq
投下終了です。
221決断 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/21(日) 14:19:39 ID:dmIsdNz4
「一体何なんだ、この状況は」
ランタンに照らされた名簿を見て呟く◆PURIN//46E。
(田鼠さんとかももんがとか…めろりんもか!?)
名簿の中に自分が良く知る名前を見て驚く。
「どうしようか…別にゲームに乗ってもかまわないけど…」
邪悪な笑みをライトが照らし出す。
「…めろりんだけは、殺さないようにしないと…」
頭の中で計画を組み立てて行く。
そして、1つの答えを出す。
「決めた…」
めろりんを優勝させるために全員殺す。
――そのためにも死ぬわけにはいかない
「そういや、武器は何だろうか」
そう思い、デイパックを再度開く。
「この銃…何て名前なんだろ…P90、か…」
銃を構え呟く。
(強そうだ…これなら大丈夫だ。もう一つは…)
紙が一枚折りたたまれて入っている。
中には、ただ「何もないよ、期待しないで」と書いてある。
「何だよ、これ…」

【一日目/深夜/E-2:民家】


【◆PURIN//46E@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:P90@現実
[所持品]:支給品一式、「はずれ」の紙@その他
[思考・行動]:
基本:めろりんを優勝させるために参加者を殺す。
1:どこに行こうかな?
222 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/21(日) 14:20:27 ID:dmIsdNz4
投下終了です
223 ◆Zf9cWLh63. :2010/03/21(日) 17:21:07 ID:5H1uhyIg
私も新ロワを開始させていただきます。
遅筆ゆえに完結できるか未定ですができるところまで全力で!
224 ◆Zf9cWLh63. :2010/03/21(日) 17:22:50 ID:5H1uhyIg
舞台――その場所を一言で言い表すのならば、その単語がもっともふさわしいのあろう。

辺りには闇が満ちていた。
一体そこはどのくらいの広さがあるのか、そこはどのような場所なのか、そんな周囲の様子はもちろんのこと、自らの身体――手の形さえ
顔にどれだけ近づけてみてもわからない、見ることができないくらい、そんなねっとりと深い闇。
濃密な黒で満たされた空間。
そんな中にぽっかりと、切り取られたかのように不自然に、その空間にだけは光が満ちている。
それほど広いわけでもないが、逆にそれほど狭いわけでもない円状の空間。
そこには二人の男がいた。

二人の容姿を簡潔に述べてしまえば、両方ともに長髪痩身、整った顔立ちという記号で一くくりにすることができる。
……けれど、そうした同じ単語でまとめられる二人でありながら、実際に見比べてみるとその印象はまるで違ったものであった。

二人のうちの片方――年が若く見えるほうの印象は……地味。
見た感じは大体十代後半くらいであろうか。男というよりは青年、或いは少年と呼んだほうが良いくらいのおそらくはまだ学生であると思われる年頃。
髪が長いのもその頃にはありがちなおしゃれの為で、というわけではなく単に手入れが行き届いていないだけというのがうかがえるぼさぼさ頭。
丸眼鏡の下にある素顔は彼のもつ印象からすると予想外に整ってはいるが、彼の浮かべている人好きのする笑みのせいもあってか、どこか抜けた雰囲気とともに彼を目立たなくさせている。

一方、もう片方の外見はというと。
年齢はおそらく三十代にはやや届かないくらいであろうか。
彼の長髪はもう一人のぼさぼさ頭とは違い、それなりに手入れは行き届いている風であり、彼の身につけているコートのような趣のある「黒い白衣」や、
ベルトで両足をつなげたやはり黒色のズボンとあわせて、どこかミュージシャンのような印象を与えているが、首から下げている小さなメモ帳がその格好には似合っておらず、どこかちぐはぐな違和感がある。

そんな似ているようで似ていない二人は、共に一言も発することなく、周囲にわだかまる闇を見渡す。

「――もう少しだ」
若いほうの青年が不意に小さく呟いた。
「ん? 何か言ったかい?」
その呟きが耳に届いたのか、もう一人が視線を向けて尋ねる。
「別に何も。……ただ、強いて言うなら本当にあなたの言ったことが、その言葉通り上手くいくのか考えていたのが少し口に出たのかもしれませんね」
敵意、とまでは言い切れなくとも、明らかに好意とは無縁の感情を視線に込めて、青年はもう一人を見る。
「絶対に上手くいく……そう断言できるなら何も実際に行動におこす必要はないさ。わかりきったことをわざわざ試みなければならないほどぼくはアレを必要とはしていない。
――だからそう、断言はできずとも上手くいくという自信はあると言っておこうか」
それに対して年の功というものだろうか、相手を難なくいなすと男は小さく苦笑する。
「これで満足してもらえないかな……R、塔貴也君」
R塔貴也と呼ばれた青年はその言葉にすぐには応えず、静かに視線を落とし自分の腕、そこについている時計を見た。

「……」

一秒、二秒。
静かな時間が流れていく。
ややあって、闇の中からざわめく声が聞こえ始めた。
「――そろそろか」
そう言うと彼はきびすを返して、声が聞こえてくる方とは反対の闇の中へと歩き出した。
そうして彼の姿が闇の中へと消える前に、振り返ると未だに「舞台」へと残る男に向かって声をかけた。
「それじゃあ、一応後のことは任せます。……貴方の事を信じさせてくださいね? 闇曲拍明研究室長殿」
「ああ」
彼の答えを待つことなく、少年は闇の中へと姿を消した。
225 ◆Zf9cWLh63. :2010/03/21(日) 17:24:17 ID:5H1uhyIg
それを笑みを浮かべつつ見守り、闇曲拍明、そう呼ばれた男は一人静かにその場に立ちつづける。
そうしている間にも少しずつ、だけど確実に闇の中から聞こえてくる声の数は増えていっている。
最初のうちは耳を澄ませば何とか判別できた声の内容も、いまではザワザワといった物音としか聞こえない。
ちなみに最初のうちの判別できた声の内容、そのほとんどは「……ここは?」だの「だれかいないのか?」といった類の、今の自己のおかれた状況を問うものがほとんどだ。
だが、そうした言葉を理解していてもなお拍明は動きを見せず。
この闇の中、一体どれほどの人数がかくされているのか、十を超えてもなお、ざわめきの数は増えていき。

「こいつはテメェの仕業かぁぁぁぁっ!! いぃぃぃざぁぁぁぁやぁぁぁぁぁっ!!!」

不意に大声が響き渡った。

怒りと暴力。
単純にそれら二つの要素を煮詰めて人の形にしたものが叫んだのならば、今のような声が出るのだろうか。
気圧されるように、さっきまでのざわついた喧騒は消え去り、その原因となった叫び声もやんで――場には一時的な静寂が訪れた。

ぱん!

その一瞬の静寂を破るように闇曲拍明は手を打ち、
「さて、ちょっとこちらの話を聞いてもらえないかな?」
笑顔を浮かべて口を開いた。

(――さて、と)
闇の中から姿は見えずとも、いくつもの視線が自分を注視していることを感じつつ、顔色一つ変えずに拍明は『スケジュール』の内容を思いおこす。
計画ならば――
「どういうつもりだ! ……闇曲拍明!」
真っ先に闇の中から聞こえてきた声は、彼にとって聞き覚えのある――彼の妹の声だった。
そして、その声を皮切りに再びざわめきが満ちる。
ただし今度のざわめきの内容は姿をあらわした「彼」の意図を問う質問、いや難詰である。
そんな場の雰囲気、かけられた言葉、それらの全てを無視して拍明は、
「少し静かにしてくれないか?」
そうなんでもないかのように告げた。
もちろん、そういったところで場は静かになるはずもない。
すると彼ははあ、と小さく息をつくと指を鳴らした。
「お、お? なんや?」
その途端、暗闇の中から一人の少年の姿が浮かび上がった。
「轟?」
「お、何やあっきーも……」

ぼんっ

音自体はきわめて小さいものだった。
しかしそれによって引き起こされた事態は小さいものではなかった。
きょろきょろと周囲を見渡す少年を知っているのか、闇の中から別の少年の声がかけられて、轟と呼ばれた少年がそれに返事をしかけた瞬間、小さな爆音と共に彼の頭は爆発した。

「……え?」 「……あ。う、嘘……」
「きゃああぁぁぁっ!!」
それと同時に飛び散ったあまりにも生々しい血の色。
同時にいくつもの悲鳴、絶叫があがる。
「少し静かにしてくれないか?」
それらが聞こえていないかのように、そう先ほどとまったく同じセリフを拍明は告げる。
そのあまりにも平坦な声に、少しだけ静かにはなるが、それでも悲鳴はやまず。
少しだけ待った後、拍明は再び指を鳴らした。
「え? あ、嫌あああぁぁ!」
「杏!?」
「大原!」
今度姿が浮かび上がったのは、活発な印象のショートカットの少女だ。
ただし、そんな印象を感じられたのも一瞬だけ。少女は先ほどの少年と同様の状態にある自分を知り、恐怖の表情を浮かべ、悲鳴をあげた。
――そして、それ以外は先ほどとまったく同じ事が繰り返される。

爆音と流血。
226 ◆Zf9cWLh63. :2010/03/21(日) 17:25:48 ID:5H1uhyIg
「少し静かにしてくれないか?」
『…………』
……三度目の宣告にようやくあたりは静まり返った。
「ふむ、さてまずは自己紹介といこう。ぼくの名は闇曲拍明という。キミ達をここへと招待した人物、その人から『監視役』を命ぜられた人間だ」
そんな風に彼は語りだした。
「今『監視役』といったが、監視対象は君達だ。正確には君達の生き様だな。
話は前後するが君らにはこれから殺しあってもらう」
驚き、呆然、疑問。
そんな声が闇の中から幾つもあがるが、彼のたった一言「静かに」との注意で皆一様に押し黙る。
「まあただ殺しあえ、などといわれたところでおとなしく従う義理は君たちにはないだろう。そこでちょっとした仕掛けを用意させてもらっている。先ほどの二人をみていればよくわかっただろうが、君達の首にちょっと特殊な爆弾を仕掛けさせてもらった」
おそらくはほとんどのものが自分の首元を確認したのであろう、ごそごそとした物音が聞こえるのを待って、拍明は言葉を続ける。
「威力の方は……まあ『普通の人間』ならば首が綺麗に吹っ飛ぶ程度かな? どこがどう特殊なのかは……まあ、見てもらったほうが早いか」
そういうと拍明は三度指をならす。
次に現れたのは見た目十二歳前後の少女だった。
ただし今度の少女は先ほどの彼女とは違い、自分の姿が浮かび上がった、すなわち自分が見せしめとなることに気がついても特に怯える様子は見せなかった。
「絹旗!」
「一応言っておいてあげますけど、超無意味ですよ」
彼女の知り合いも闇の中にいるのか、不安そうな男の声に小さく笑みを浮かべた後でそんなことを彼女は拍明に対して言い、そして同時に響く爆音。

「人の話は聞くべきです。残念ですけどこの程度の爆発超平気なんで……」
しかし一体何があったのか、首元で爆発があったにも関わらず、少女は平然としている。

いや、ほんの少しの間だけ「平然としていた」。

「……え?」
爆発を平然とたえぬいた少女の周りを取り囲むように、不意に無数の文字が浮かび上がった。
歯車のように組み合わさったその文字は、その見かけどおり回りだし――それと同時に少女の身に劇的な変化が起こった。
十代前半のはずの少女、それが見る間に歳をとっていき、皮膚が崩れ落ち、白骨と化して、ついにはその骨さえ塵と……消えた。

「…………」
「と、まあ見てもらったとおりだ」
ほとんどの者が何が起きたのか把握できずに静まり返った場に、拍明の声がたった一つの物音として響き渡る。

「君達の首に仕掛けられた爆弾は生者の時間を吹き飛ばす。
――この中の何人かは今の彼女のように例え首元で爆発が起きても生き残ることは可能だろう。けれど何万年と生き続ける事ができるかな? ああ、もしもそんな者がいるならここで遠慮なく言ってくれ」
拍明の言葉に応える者はいなかった。

「さてと、ではもう少し詳しい説明をするとしようか。一応これから言うことをまとめたものを君たちに渡しはするけど、貴重な時間をそんなことに割くのはもったいないしね、この説明で理解しておいた方がいいだろう。
まずは基本的なルールから。
この説明が終わってすぐ、君たちを『会場』に送る。そこで最後まで生き残ればそれで良い。
もちろん君たちがどう動こうとも基本的には自由だ。真正面から一対一、決闘じみたやり方で闘おうと、一人を大勢で嬲り殺しにしようと、そして弱った相手を襲おうとも。
ただ、あまり睨み合いが続いて停滞するというのは観察する側として歓迎できない。だから禁止エリアというものを設けさせてもらう。
会場内を全部で36の升目に区切る。……と、ここまでいったら勘のいい人は気がついたかな? そう、その升のどれかが禁止エリア指定され、その中に入ってしまえば警告の後でドカン、だ。
ああ、今どれかと言ったけど、正しくは最初はゼロ。そこから六時間が経過した後は一時間毎に一エリアずつ禁止エリアは増えていく。どこが禁止エリアになるかはランダムだ。
227 ◆Zf9cWLh63. :2010/03/21(日) 17:30:16 ID:5H1uhyIg
――とはいえ安心して欲しい。一時間毎に運任せで動けなんてことは言わない、どこが禁止エリアになるのかは君達に放送という形で伝えよう。
うん、これはサービス。ついでにその放送の間に誰が殺されたのか、教えてあげよう」

そんな風に殺し合いという陰惨な内容を語る割には気楽な言葉が並べられていく。

「後は……決着がつくまで一日以上時間が経過するおそれもある。そうなると食事の有無なんかで差がつくのもできれば避けたいからね、君たちには色々支給するものがある。
会場で確認してくれれば手っ取り早いけど、うん。一応説明しておこうか。
まずは成年男性三日分の携帯食。それと水が少々。
念のため期限までの間に動くには十分な量は支給するけどそれでも足りないって人の為、会場内にも水道なんかの設備は通してある。どう活用するかは君達の勝手だ。
それから簡単な医療品。消毒薬や解熱剤、包帯の類だね。
さっきも言ったけど、これらのルールをまとめた紙、後は地図とコンパス。
ここまでが各人共通だ。
……この中には素手で人を殺すことができる人もいるけど、そうじゃない者もいる。その差を少しでも埋める為にランダムで武器が配られる。
各自それぞれに一つ、或いは二つ。
わかりやすいものなら刃物や銃。どう使えばいいのかわからないもの、あるいは何の役にもたたないハズレまで千差万別。
まあ自分の運を計るいい道標になるんじゃないかな?
――そうそう一番大事なことを言い忘れるところだった。
確かに会場内で君たちがどう動こうとも自由とは言ったけれども、こちらに熱心に協力してくれる人間、言い換えれば積極的に殺す人間。
そういう人を悪い意味で平等に扱うのもなんだしね、それに見合うメリットも与えておこう。
六……いや、五人。他の参加者を五人殺すごとに褒章として権利をプレゼントしよう。そう、本人を含めて誰か一人を会場から脱出させる権利を、だ。
例えば守るべき恋人、仕えるべき主人。そう言った自分より大事な誰かを逃がすことに使っても良いし、自分の命を一番大事に扱っても良い。どうしようとそれは勝手だ。
ただ、やはり優勝、ただ一つの生き残りを目指しても欲しいから、優勝者にも特別な権利を与えよう。
優勝したものはたったひとつだけ好きな願い事をかなえることができる。ああ、もちろんよくある権利を増やせなんていうもの以外はね。それ以外ならば何でもだ」

「もちろんこれを信じるも信じないも君達の自由だ。ただこちらとしては嘘は一切言ってはいない。。……話が長くなったけれど、もう時間だ。 では健闘を祈る」

――そうして、闇の中から一切の気配が消える。
場に残ったのは拍明ただ一人。
その彼もきびすを返すと、少し前に姿を消した塔貴也同様別側の闇の中へと姿を消した。

残されたものはただの暗闇。
何一つ残らない虚無。
いったいそれが何を暗示するのか、それを知るものはまだ、いない。

【轟慎吾@れでぃ×ばと! 死亡】
【大原杏@アスラクライン 死亡】
【絹旗最愛@とある魔術の禁書目録! 死亡】

タイトルは「暗闇劇場――開演」です
228 ◆Zf9cWLh63. :2010/03/21(日) 17:40:00 ID:5H1uhyIg
1.とある場所に参加者60名を放り込み、生き残る一人を決める。


 2.状況は午前0時より始まる。
   開始より六時間後から、6x6に区切られたエリアのどれかが禁止エリアとなっていく。
   禁止エリアは一時間毎に一つずつ増加。
   全エリアが消失するまでに最後の一人が決まっていなければゲームオーバーとして参加者は全滅する。


 3.生き残りの最中、6時間毎に放送が流され、そこで直前で脱落した人物の名前、及び禁止エリアが読み上げられる。


 4.参加者にはそれぞれ支給品が与えられる。内容は以下の通り。

   【基本支給品一式】
   地図、方位磁石、時計、懐中電灯、タオル数枚
   応急手当キット、成人男子3日分の食料、水少量、ルールをまとめた紙。
   【武器】(内容が明らかになるまでは「不明支給品」)
   一つの鞄につき、1つか2つまでの何か武器になるもの(?)が入っている。

 5.特殊ルールとして五人殺害したものには誰か一人(含む本人)を脱出させる権利が与えられる。 
229 ◆Zf9cWLh63. :2010/03/21(日) 17:59:41 ID:5H1uhyIg
参加者名簿は後で
なお企画名は電撃ロワです
(電撃文庫のキャラでバトロワ)
230創る名無しに見る名無し:2010/03/21(日) 22:12:38 ID:7WDjdSAs
海賊と竜、反対の思考>とりあえず掘られなくて良かったw
でもちょっと見たかった気もry

月に願いを>東方えーりんとマルクキタ!
秀才と勘違いされてる&されてた同士分かりあえるのだろうか?

幽霊船で泣く兎>前のオリロワと結構関連性があって面白いですね!
のび太は彼女に気づくかな?

決断>あちゃー殺し合い載っちゃいましたか。
しかしはずれ紙がシュールw

電撃ロワ>OP投下乙、電撃キタ―!
自分の好きな作品が出そうでwktkですw
231 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 23:29:39 ID:jHqgM+Iq
投下します。俺得ロワ14話「SER SIDE HOTEL」
登場:元村憲章、メリエ
232SER SIDE HOTEL ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 23:30:27 ID:jHqgM+Iq
14話 SER SIDE HOTEL

エリアA-7の、朽ち果てた5階建てのリゾートホテル。
窓ガラスは全て割れ、潮風に晒された外壁はひび割れ異様に黒ずんでいる。
屋号が書かれていた看板はとうの昔に撤去され元々何と言う名前のホテルだったかも分からない。


「何やねんもう、どうなってんねんこれ!
何で殺し合いなんかせなあかんねんな…」

三階にある、カウンターのみが残された喫茶店跡で、
灰色のツナギを着た茶色短髪の男――元村憲章が嘆いていた。
割れたガラスの破片や天井の残骸などが散乱する場所を避け、
壁にもたれて頭を抱えている彼の傍にはデイパックと、
彼の支給武器である小型自動拳銃、FNブローニングM1910が置かれていた。

「名簿見たけど知り合い一人もおれへんみたいやし…武器も拳銃やから、
当たりの部類やろ。もう、やるか? 殺し合いに乗ったろか」

ブローニングM1910を手に取り、震えながら血走った目付きで憲章はそれを見る。
予備のリロードマガジンをポケットの中に二つ突っ込み、
憲章はデイパックを肩から提げて立ち上がり、懐中電灯で照らしながら、
外れかけた木製の扉をくぐって喫茶店を後にした。

「それにしても、何なんここ? えらくボロボロやし、
廃墟やんなぁ。ホテルか何か?」

天井板はほとんど剥がれ落ち、腐食した配線が垂れ落ち、
壁はひび割れ黒ずみ、壊れた椅子やテーブル、棚、ベッドが至る所に放置された、
典型的な廃墟の内装を見回し、今自分が会場のどこいるのか考察する。
地図を取り出し見てみれば、エリアA-7に廃ホテルとある。
恐らく自分は今ここにいるのだろうと、憲章は推測する。
いつまでもこんな不気味な廃墟にいたくはないと、
一階へ向かうために憲章は階段を探し始めた。

ダダダダダダダッ!!

しかし突然の銃撃が憲章の行く手を阻む。
驚いた憲章はすぐさま近くの柱の影に隠れた。

憲章を銃撃した主は、オレンジ色の艶やかな髪に露出の高い黒色のビキニ、
そして背中に蝙蝠のような赤い翼と悪魔の尻尾を持った、
スタイル抜群の美少女――サキュバスのメリエ。
その手にはサブマシンガンであるイングラムM10が装備されていた。

「隠れたって無駄なんだから。すぐに楽にしてあげるわ」

余裕の笑みを浮かべ、メリエがイングラムM10を構えながら憲章の隠れる柱の方へと近付く。

「くそっ、簡単に殺されたたまるかい!」

負けじと憲章も手にしたブローニングM1910を柱の影から襲撃者に向け発砲する。
反撃をを受けたメリエはすぐ傍の部屋に隠れ、銃撃をかわす。
そして再びイングラムM10を憲章がいる辺りに向け掃射した。
233SER SIDE HOTEL ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 23:32:47 ID:jHqgM+Iq
「ちっ、これじゃ俺圧倒的不利や。逃げる事考えんと…」

どこかに出口はないかと、焦る気持ちを押さえ辺りを見回す憲章。
すると、右手側方に、窓枠が外された大きな窓があった。

(一か八か!)

憲章は柱の影から飛び出し、窓に向かって一気に走り出した。

「逃がすか!」

走り出す憲章の姿を確認したメリエは今度こそ仕留めようとイングラムM10の銃口を憲章に向け、
引き金を引いた――が、弾は出なかった。弾切れである。
それが憲章に逃げる猶予を与えた。

「うおおおりゃああああ!!!」

大きな叫び声と共に、憲章は窓から大空に飛び立った。
――訳もなく、そのまま重力により落下を始めた。

「なっ…!?」

予想外の標的の行動にメリエは驚き、窓際に駆け寄って階下を覗き込む。
暗くてよくは見えなかったが、遠くに走り去る音が聞こえた。
それなりの高さがあるがいかにして無事で済んだのか。
気にはなったが、もはやどうでも良かった。

「逃がしたか…」

弾切れになったイングラムM10のマガジンを交換し、メリエは溜息をつく。

「でもまぁいいわ。次の獲物を探せばいいもの」

その瞳に魔性の光を宿し、メリエはニヤリと口を歪めた。



一方、ぼうぼうに生えていた雑草と山積みになっていた布団がクッションとなり、
ほとんど怪我もせずに無事に地上に着陸した憲章は一刻も早くホテルから離れようと、
街灯がぽつぽつ灯る市街地へ走り続けていた。

(畜生、よく見えへんかったけどあいつ、俺を殺そうとしやがった。
やっぱり殺し合いに乗ってる奴は…おるんやな! 俺も、容赦する訳には、いかんな…!)

殺され掛けた事により、憲章は殺し合いに乗る決意をより一層強くした。

(もう決めた! 今度会った奴は容赦なくぶち殺したるわ!!)
234SER SIDE HOTEL ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 23:33:47 ID:jHqgM+Iq
【一日目深夜/A-7ホテル:三階ホール】

【元村憲章@オリキャラ】
[状態]:身体中にダメージ(軽度)、狂気、B-7市街地方面に移動中
[装備]:FNブローニングM1910(6/6)
[持物]:基本支給品一式、FNブローニングM1910のリロードマガジン(6×5)
[思考]:
0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:他参加者を探す。
※メリエの名前と容姿は確認していません。


【一日目深夜/A-7ホテル:周辺】

【メリエ@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:イングラムM10(30/30)
[持物]:基本支給品一式、イングラムM10のリロードマガジン(30×9)
[思考]:
0:優勝を狙う。
1:気に入った男がいたら犯した後殺す。
※元村憲章の名前と容姿は確認していません。


※A-7周辺に銃声が響きました。


≪支給品紹介≫
【FNブローニングM1910】
1908年に開発された小型自動拳銃。
取り出す際に衣服に引っ掛からぬよう、極力出っ張りを落としたデザインで、
小型で携行性に優れるため護身用や刑事の携帯用として好まれた。
第2次大戦前、日本にも大量に輸入され、警察用や旧軍将校の護身用として使用された。
戦後の警察においても私服警官や女性警官向きとして採用され、一部地方では現役である。
使用弾薬:.380ACP弾 装弾数:6発

【イングラムM10】
軍用小型短機関銃で、ほとんどの部品がスチール板をプレス加工して成型されている。
このため非常に生産性に優れ、構造も単純なために堅牢である。
フルオートでの連射サイクルが非常に速く熟練者でなければ制御するのは難しいといわれる。
使用弾薬:.45ACP弾 装弾数:30発
235SER SIDE HOTEL ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 23:35:46 ID:jHqgM+Iq
≪オリキャラ紹介≫
【名前】元村憲章(もとむら・のりあき)
【年齢】23
【性別】男
【職業】自動車修理工
【性格】普段は気さくだが非常時になると自己中心的になる
【身体的特徴】短く刈り込んだ茶髪、細目、痩せ型で身長高め
【服装】仕事先の作業着である灰色のツナギ
【趣味】ドライブ、TVゲーム
【特技】自動車の構造について熟知
【経歴】平凡な家庭で育つ
【備考】日本風異世界国家出身

【名前】メリエ
【年齢】不明(外見年齢10代後半)
【性別】女
【職業】サキュバス
【性格】残忍でドS、無邪気な一面も見せる
【身体的特徴】オレンジ色の髪、赤い翼に尻尾、巨乳でスタイルは抜群
【服装】黒いビキニ
【趣味】おしどり夫婦を破局させる事、淫らな事
【特技】性のテクニックと淫らな夢を見せる事
【経歴】何度も討伐されそうになるがその都度敵の隊長を籠絡させるなどして撃退している
【備考】RPGファンタジー風異世界出身
236 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/21(日) 23:39:39 ID:jHqgM+Iq
投下終了です。元村憲章の備考欄に追記。
【備考】日本風異世界国家出身。西部(現実日本で言う所の関西地方)
の出身なので関西弁で喋る
237 ◆Zf9cWLh63. :2010/03/21(日) 23:59:01 ID:5H1uhyIg
遅れましたが……

参加者名簿
【アスラクライン】
 ○黒崎朱里 ○佐伯令士郎 ○嵩月奏 ○夏目智春 ○樋口琢磨 ○水無神操緒 
【ウィザーズブレイン】
 ○天城錬 ○イリュージョンNo17 ○ヴァーミリオン・CD・ヘイズ ○セレスティ・E・クライン ○デュアルNo.33 ○フィア
【嘘つきみー君と壊れたまーちゃん】
 ○天野×音 ○枝瀬愛 ○大江湯女 ○長瀬透 ○伏見柚々 ○御園マユ
【Kaguya―月のウサギの銀の箱舟】
 ○柿崎瑞希 ○片桐京 ○黒田源五郎 ○真田宗太 ○立花ひなた ○中条明人
【C3-シーキューブ】 
○上野錐香 ○桜参白穂 ○人形原黒絵 ○フィア・キューブリック ○村正このは ○夜知春亮
【断章のグリム】
 ○海部野千恵 ○鹿狩雅孝 ○白野蒼衣 ○田上 颯姫 ○時槻雪乃 ○馳尾勇路
【デュラララ!】
 ○折原 臨也 ○紀田 正臣 ○セルティ・ストゥルルソン  ○園原 杏里 ○平和島 静雄 ○竜ヶ峰 帝人
【とある魔術の禁書目録】
 ○一方通行 ○垣根帝督 ○砂皿緻密 ○滝壷理后 ○浜面仕上 ○麦野沈利
【乃木坂春香の秘密】
 ○朝倉 信長 ○天宮 椎菜 ○綾瀬 裕人 ○桜坂 葉月 ○乃木坂 春香 ○乃木坂 美夏
【れでぃ×ばと!】
 ○彩京 朋美 ○四季鏡 早苗 ○セルニア=伊織=フレイムハート ○大地 薫 ○日野 秋晴 ○ヘディエ

主催者 
R塔貴也@アスラクライン
進行役&協力
闇曲拍明@C3-シーキューブ

以上です。
期待に応えられたら幸い……
238 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/22(月) 00:39:35 ID:zXB+UzA+
SER SIDE HOTEL>一般人はこういうピンチに陥ると傲慢になっちゃうよなあ……
氏の作品はいつもですがマーダーが怖いですね(褒め言葉)

◆Zf9cWLh63氏>ウィザブレとデュラララキター!みーくんやグリムあたりも知識あるのでかなり期待ですw
自分もデュラ(というか成田)から出すつもりなので氏のすばらしい作品に負けないように頑張ります。

透華しますー。
その日の気分ロワ 二話「ですろり。」
239 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/22(月) 00:41:29 ID:zXB+UzA+

強いこと、それは素晴らしいことだと思う。
でもね、それだけじゃ生き残れないんだ。
強くても、弱くてもどちらだっていい。
大切なことは―――何かを『曲げる』覚悟ができるかどうか、だよ。



「……落ち着いた?」
「う、うん……ありがとう……一ちゃん……」
噴水のある、やや大きめの公園。
そこに、2人の幼い少女の人影があった。
揃って顔色が悪い様子だったが、特に一人の顔色はひどく青い。
「……本当に大丈夫?」
「……あ、うん……ごめんね……あたし……迷惑かけて……」

一人は、黒髪。
頬の星型マークが目を引く、露出度の高い夏服を纏った小柄な少女。
一人は、金髪。
短めの金髪に白いリボンが可愛らしい、活動的な印象の短パンの少女。
黒髪の少女の名前は、国広一。
金髪の少女の名前は、鏡音リン。
この殺し合いで目覚め、すぐに出会った2人は、今ベンチに腰掛け、2人で会話を交わしている。
リンは初め、茫然とした様子で、喋る元気すらなかったのだが、相手を年下のか弱い少女だと判断した一が優しくなだめ、なんとか落ち着かせるに至ったのだ。
……もっとも、リンは一を年上だと思っていないが。

「仕方ないよ、だってあの人―――リンちゃんのお兄さんだったんでしょ?」
「…………カイト兄……」
一がその名前を出すと、再び表情を暗くして俯くリン。
一が彼女から聞いたことはまだそれほどない。そのうちの1つが―――あの時殺されたのが、自分の兄であること、そして主催者の男が彼女の『主人』だということだった。
初めは彼女も主催の仲間ではないかと疑った、が、ショックを受けていた彼女の表情を見ると、とてもそうは思えなかった。
「……マスター、普段はあんな人じゃないもん!もっと優しくて、カイト兄にあんなひどいこと言ったりしない!きっと誰かに命令されて仕方なくやってるのよ!あたしは、あたしはマスターを信じてる!あたしだけはマスターの味方だもん!」

親しい人が死んでしまった、可哀想な年下の無力な女の子。
一は、リンをそう認識していた。
何を言えばいいのか、分からなかった。
もしあの場で死んだのがリンの兄ではなく、たとえば透華だったら、―――と思うと、彼女の狼狽ぶりも納得できる。自分なら、ショックでその場で自殺してしまうかもしれない。
ああ、この子は、強い。そう思った。

「だから、一ちゃんも、マスターのこと悪く思わないでね……き、きっと皆マスターのこと悪く言うと思うけど、でも、でも本当に普段のマスターはカイト兄にあんなことしたりする人じゃない!」
そして、自分の信じていた主人に半ば裏切られたと言うのに、リンは彼をかばおうとする。
彼女と男の間には、よっぽどの信頼があったのだろう。
240 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/22(月) 00:42:15 ID:zXB+UzA+
でも、―――あの顔は、あの男の顔は、操られている人間の顔じゃ、なかった。
一もその手のことに詳しいわけではない。ただ、……麻雀を極めている人間として、リンよりは駆け引き慣れしていた、というだけである。
あの男の顔には、自らの意思しか感じられなかった。従わされているとすれば、それこそ【魔法】だ。信じられないが、それくらいしかあるまい。
リンには悪いが、一はリンの意見に賛同できない。
それでも面と向かって否定などできるはずもない。彼女は自分より年下であるからだ。
「……お、落ち着いて、水でも飲もう、ね?」
できたのは、せいぜい話をそらすことくらい。
一は、リンに支給品である水の入ったペットボトルを差し出した。
「……うん……」
リンが一のペットボトルに口をつけた。
精神的に参っていて喉が渇いていたのか、それを全部飲み干す。
「………………あ、あのさ……一ちゃん、」
そして、ぎゅっと空になったペットボトルを握りしめたまま、ぽつりと一に向かってゆっくりと口を開いた。
その唇は、はっきりと震えていたけれど、しかし確かな強さを感じた。

「なに?」
「……よければ、あたしの家族を探すの、手伝ってくれないかな……」
まだ幼く、保護を求めてもおかしくない彼女が口にしたのは、知り合いの捜索。
「レンとか他の人は分からないけれど……ここにはミク姉がいるのは間違いないの」
曰く、あの見せしめに殺された青年を見たときに、その視線の先に自分の知り合いの姿が見えたのだと言う。
特徴的な髪の色、髪型。多分間違いなくミク姉だと思う、とリンはうつむいた。
嬉しいはずもないだろう。カイトという青年のみならず、別の姉妹までこの場にいたとなれば―――また一人、家族を失うかもしれないと思えば。
「ミク姉、ボケボケだから……あたしがしっかりしないとやばいと思うんだ……」
年下の少女が、決意を語る。
それはまだ迷っている一にとっては、眩しく思えた。
同時に、年上なのに未だに臆病な感情を抱いている自分が恥ずかしくなる。

ああ、そうだね。

―――ボクも、もうさすがに覚悟決めなきゃ、ね。
一は、リンの言葉を聞いてそう心に決めた。

「……だからお願い!一ちゃん、あたしと一緒に、」
―――それは、リンの強い願いだった。
心からの、叫びだった。
仲間を思い、マスターを思う、心優しく気丈な言葉。
だから彼女は、声を荒げた。勢いある口調で、一に頼み込む。
だから、信じられなかった。
少なくとも―――鏡音リン本人は。
241 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/22(月) 00:43:26 ID:zXB+UzA+

「……ミクっ、……ね…………あれ、」

……まさか、その口から、赤い何かが吐きだされたという事実に。
「……げほっ、げほげほごほっ!な、なにげえっ……ぐ……」
ごぽり、と、リンの口からせりあがるそれは、赤い血で。
呼吸もままならず、リンは普段は歌を紡ぐその口から吐血を繰り返す。
何でこんなことに、という言葉は、紡げない。

やがてぐたり、とリンの幼い体は地に倒れ伏す。
白いリボンが、自らの鮮血によって赤く染まって行く。

それを一は―――黙って見ていた。
指先が震える。喉に熱いものがこみ上げてくる、それでも―――彼女は、リンが息絶えるその瞬間まで、じっとリンを見つめ続けた。
それが、一の覚悟。

彼女を、殺してしまう自分に対する―――誓い。

「……は、じ…………ちゃ……」
やがて、彼女は一に対して泣き出しそうな表情を向け、もう一度喉から赤黒い物体を吐きだし、そのまま―――動かなくなった。
「……ごめんね」
……しばらくその場に座り込んでいた一は、やがてゆっくりと立ち上がり、リンの荷物を抱えて、

「ボクも、しっかりしなきゃだめなんだよ」
そして。

うっすらと頬を涙に濡らしたまま―――国広一はその場から、立ち去った。

【鏡音リン@VOCALOID 死亡】
242 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/22(月) 00:44:17 ID:zXB+UzA+



初めは、迷っていた。
こんなことやっていいなんて思わなかったし、ボクはこれ以上悪事を働きたくなかった。
だからできれば、人殺しなんてしたくないし、そんな簡単にできるはずない、って思ってた。
でも―――
『あたしだけは、マスターの味方だもん!』
ああ、そうか、と思った。
その瞬間、何かが分かった気がしたんだ。
彼女は、彼女の『主人』の一番の理解者であろうとした。
彼女のマスターが悪人としか思えなくても、それでも彼女は今まで信じた『主人』を信じ続けていたかったんだ。
それなら、ボクも同じだ。
ボクの『主人』は、透華だ。
ボクは、透華を一番理解しないといけない。ボクだけは何があっても、透華を信じなければいけない。
たとえ、透華がボクより衣を気にかけているとしても、それが『メイド』であるボクの使命だ。
もし、ボクがここで死んでしまったら……?
もうボクは透華を理解できなくなってしまう。ううんそれ以前に―――

もう透華に会えなくなるだなんて、絶対に嫌だ!
そうだ、細かいことなんてどうでもいいんだ、ボクのバカ。
ただボクが、純粋に―――透華にまた会いたいだけなんだ。

だから、水に毒を仕込んだ。ボクの支給品だ。
抵抗されるかと思ったけど、全く疑わずに飲んでくれてよかった。……だからこそ、余計に心が痛むんだけど。
どれくらいの量入れればいいのか分からなくて、全部入れちゃったからもう何もないけど……リンちゃんの袋になら何か入っているかな?
そういえば、彼女からは何が配られたか聞いていなかったっけ。
武器はあるにこしたことはないからね。いくらなんでも、イカサマだけれ殺し合いに勝ち残れるとは思えないし……。

そう、だから、決めたんだ。
もうボクは迷わないって。
透華に会うためなら、ボクは手でも染めて生き延びてやる。
それを透華は望まないだろうけど、それでも。
ボクはやる。やってやるんだ!
これで、僕が次の放送まで死ぬことはないはず……でも、休んではいられない。
一刻も早く、透華のところに帰るんだ。

もう、真っすぐなボクではいれないけれど。
でも、少なくとも透華に対するこの気持ちだけは、―――真っすぐでありたいんだ。
だから、透華、待ってて。
ボクは絶対、君のもとに帰ってみせるから―――

だから、君を―――

【国広一@咲-Saki-】
【状態】健康、強い後悔と決意
【所持品】青酸カリ@現実(残り0)、ディパック×2(リン、一)
【スタンス】マーダー(奉仕?)
【基本方針】生きて帰って透華に会いたい(透華がここにいるかもしれないとは考えていない)
243 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/22(月) 00:45:35 ID:zXB+UzA+
トウカ終了。
はじめちゃんがアニ3に出れなかったのでこっちで出した。
二連続咲勢マーダーとか……バリエーションないなあ。
244 ◆mO323oVvaQ :2010/03/22(月) 10:18:53 ID:bANyiQLi
道化師と少女ロワの参加者名簿を投下します。

【ひぐらしのなく頃に】

・前原圭一 ・竜宮レナ ・園崎詩音 ・北条沙都子 ・古手梨花 

【学校であった怖い話 アパシー版】
・坂上修一 ・日野貞夫 ・新堂誠 ・風間望 ・岩下明美 

【ドラえもん】
・ドラえもん ・野比のび太 ・剛田武 ・出来杉英才 

【らき☆すた】
・柊かがみ ・柊つかさ ・高良みゆき ・小早川唯 ・泉そうじろう

【涼宮ハルヒの憂鬱】
・涼宮ハルヒ ・キョン ・朝比奈みくる ・古泉一樹 ・朝倉涼子 

【ブラッディ・マンデイ ドラマ版】
・高木藤丸 ・九条乙也 ・高木遥 ・折原マヤ ・神崎仁(J) 

【ローゼンメイデン】
・桜田ジュン ・真紅 ・翠星石 ・水銀燈 ・柏葉巴 

【銀魂】
・坂田銀時 ・神楽 ・近藤勇 ・土方十四郎 

【おおかみかくし】
・九澄博士 ・摘花五十鈴 ・櫛名田眠 ・賢木隼一郎 

【天空の城ラピュタ】
・リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ ・パズー ・ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ

【めだかボックス】
・黒神めだか ・人吉善吉 ・宗像形

【金色のガッシュ!】
・高嶺清麿 ・パルコ・フォルゴレ

【主催者】
・ドナルド・マクドナルド ・泉こなた

以上で参加者名簿とさせていただきます。
245 ◆mO323oVvaQ :2010/03/22(月) 10:20:53 ID:bANyiQLi
道化師と少女ロワ第二話を投下します。
というか上の参加者名簿マイナーが一部入っている件w
246 ◆mO323oVvaQ :2010/03/22(月) 10:30:26 ID:bANyiQLi
第二話「テロリストは静かに引き金を引く」

「―――――――――――――ッ!!」
僕は気が付いた。
出来ることなら、この現実から目を背けていたかったのに。
でも、全て覚えている。ドナルドと名乗る道化師と、こなたと名乗る少女が言った言葉…
『今から、殺し合いのゲームをしてもらうよ』
そう言って、一人の青年をまるで粉のように散らせたこと……。
僕の名前はパズー。
町の工場で働いている、何の変哲もない一般人さ。
だけど、ある少女と出会って全てが変わったんだ。シータと出会って……。
海賊から逃げて、軍隊に捕らわれて。
ドーラの率いる海賊団に入って、捕らわれたシータを助けて……。
そこからは、思い出せない。
記憶が真っ白になって、気がつけばあのステージにいた。
ステージには見慣れた、―――――――――シータの姿もあった。
シータを殺させる訳にはいかない。僕が唯一、絶対に守りたいと思った女の子だから…
そう思っているとき、前方から一人の男の人が歩いてきた。
「あのー、ちょっと!」
ドン。

――――――――――――――――――――僕の意識は其処で途切れ、二度と戻ることはなかった。
247 ◆mO323oVvaQ :2010/03/22(月) 10:40:11 ID:bANyiQLi
********************************

「あーあ、あっけないね。」
目の前には、一人の少年が倒れている。胸には丸い穴。
もう確実に死んでいるだろう。
何故罪のないパズーが死ななくてはならなかったのか?
答えは単純明快。
彼が声を掛けた男は、テロリストだったからだ。
男の名前は、J。本名は神崎仁。
以前日本で幾百以上の尊い命を奪った、日本史上最悪のテロリストだ。
前から、声を掛けてきた。だから撃った。そして勝手に死んだ。
テロリストにとって何ら問題はない。
「でも僕はついてるな。いきなり使い慣れた支給品だ。」
一人微笑むJだが、散ったパズーのことは、ただのゴミ程度にしか見ていない。
「とりあえず、ファルコンに会おうかな?彼なら、このゲームすら
終わらせられそうだよ。フフッ。」

【神崎仁@ブラッディ・マンデイ】
【状態】健康、強い殺意
【所持品】マグナム銃、煙玉×2
【スタンス】マーダー(無差別)
【基本方針】ファルコン(高木藤丸)に会う。殺すかはその時次第。

【パズー@天空の城ラピュタ 死亡確認】
死因:神崎仁にマグナム銃で胸を撃たれ即死


248 ◆mO323oVvaQ :2010/03/22(月) 11:04:27 ID:bANyiQLi
道化師と少女ロワ第三話「ふざけた男」

はぁ。何だろう。とんでもなく面倒臭い。
え?何が面倒くさいって?
当然、こんなくだらないゲームに巻き込まれたことがまず一番面倒よ。
キョンやみくるちゃんを殺すなんてできるわけないじゃない。
でも、今目の前にいる男もかなーーり面倒なものよ。
私は涼宮ハルヒっていうんだけれど、時間は数分前に遡るわ。
***************************

「殺し合いって…ふざけんじゃないわよ!」
私は殺し合いなんてふざけたことに怒りを隠せなかった。
だって友達と殺しあえって言うのよ?そりゃあ怒るわよ!
だけどそんな時、「アイツ」は現れたわ……。
「や〜あお嬢ちゃ〜ん。何怒ってるんだい?」
髪を二方向に分けた男が立っていたわ。
私より年上でしょうね。
「そりゃあ怒るわよ!殺しあえっていうのよ!?」
「んっふー、折角の可愛い顔が台無しじゃないかー。へぶぅっ!」
私はいきなり変態発言をした男の顔をビンタしたわ。
当然よ!
だけど男…いや、確か風間と名乗ってたわね。
風間は私にこう言ったの。
「僕は実はね、霊が見えるんだ。」
私は少しドキリとしたわ。
何故ならいつも探している「ただの人間」じゃないってことなんだから。
そして風間は、自分のズボンを捲って膝を出したわ。
「あんたね、「膝小僧」なんて言ったら殴るわよ!?」
「ええっ!何故分かったんだい、君天才かい!?」
といったところね。
ああいうふざけた奴は必ずこういうことを言うんだから、分かるわよ。
けれど、味方がいるというのはいいことよ。
こんなゲームに巻き込まれてるんだから……。

【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
【状態】健康、イライラ
【所持品】メリケンサック@現実、回復薬@モンスターハンター×3
【スタンス】対主催
【基本方針】ドナルドとこなたを倒す

【風間望@学校であった怖い話】
【状態】健康、おふざけモード
【所持品】手榴弾@現実(残り2つ)、ガムテープ@現実
【スタンス】???
【基本方針】???
249 ◆mO323oVvaQ :2010/03/22(月) 11:43:25 ID:bANyiQLi
道化師と少女ロワ第四話「異常の戦士と白夜叉と薔薇乙女」

「…………殺したい。絶対に殺す」
一人の青年が立っていた。
手には一本の日本刀。「白虎」と書いてある。
当然真剣だ。まともに喰らえば即死してもおかしくないだろう。
青年の名は、宗像形。
箱庭学園の「アブノーマル」とされる生徒の一人だ。
彼の検体名は「枯れた樹海」といわれているのだが、
彼は身体的に「異常」ではない。
彼の異常な点は「殺人衝動」。
人を見れば殺したくなる、確実に急所を狙う。
そんな宗像と、あの男、坂田銀時が出会ったのは、不運と言わざるをえないだろう。
「よーぅ、今殺すって言ったか?それは誰にだ?」
よりにもよって挑発的口調で話す銀時。
次の瞬間、銀時の頬を日本刀がかすめた。
「君たち全員」
日本刀を何の容赦もなく振るう宗像。
銀時はすぐに気付く。「説得は通じない」と。
武器のハンマーを取り出し、日本刀の持ち手に当てる。
「ん」
「オメーみてえな餓鬼よりなぁ、俺のほうがよっぽど刀振るったことあるわぁぁああああ!!!!!」
銀時が叫ぶ。
だが宗像は屈み、
「じゃあこれだ」
大き目の石を持ち上げる。ガァン!!
「ッ!!」
肩に直撃した。骨が折れたと思われる。だが銀時は左手にハンマーを持ちかえる。
「甘ぇんだよぉぉぉおお!!」
「そうかな」
宗像のペースが読めない銀時は困惑する。
今まで戦ってきた敵は誰もが直情的だった。銀時は改めて、
「宗像形」は「異常」であると実感し、気を引き締める……!!
250 ◆mO323oVvaQ :2010/03/22(月) 11:51:55 ID:bANyiQLi
「死んじゃえ」
宗像の刀が空を切る。銀時は合わせてハンマーを振る。空を切る。
その繰り返しが数分間続いた。
「チッ!しつけえなぁお前!」
銀時がハンマーを振り回して宗像の攻撃を避けている丁度そのとき。
「ちょっと待ったぁぁあああああ!」
女の子の声が響いた。
宗像はチラッ、と声のするほうを見る。
「……人形?」
「もう大概のことじゃあ俺は驚かねぇぞ……」
「………ですぅ」
左右で色の違うオッドアイ。
小柄な体躯から、人形とすぐに分かる。
「ローゼンメイデン第三ドール翆星石、見参です!」

【宗像形@めだかボックス】
【状態】疲労(小)、殺意
【所持品】日本刀”白虎”@オリジナル、ライター@現実
【スタンス】皆殺し
【基本方針】銀時を殺す。

【坂田銀時@銀魂】
【状態】疲労(中)、右肩にヒビ、動揺
【所持品】ハンマー@現実(残り2つ)、釘@現実
【スタンス 対主催
【基本方針】宗像を倒す。

【翆星石@ローゼンメイデン】
【状態】健康、KY
【所持品】ナイフ@現実、チタングレネード@現実
【スタンス】対主催
【基本方針】???

次回にまたぎます

251 ◆NIKUcB1AGw :2010/03/22(月) 23:27:06 ID:dnZjyQ1m
久々になってしまいましたが……
NIKUロワ第15話、投下します
252 ◆NIKUcB1AGw :2010/03/22(月) 23:28:51 ID:dnZjyQ1m
彼の者は、賢者である。
彼の者は魔法使いより賢く、僧侶よりも賢い。
彼の者は、様々な武器を使いこなす。
彼の者は、おのれの全てに自信と誇りを持っていた。

勇者より与えられた、「うおのめ」という名前以外には。


賢者うおのめは、物憂げな表情を浮かべていた。

「殺し合いねえ……。なんでこんなことになったんだか。
 まあ、すでに始まってしまったことを嘆いても仕方ない。
 今は、いかにこの状況から脱出できるかを考えるか」

多少落ち込んではいるものの、うおのめは冷静であった。
賢者とはすなわち、悟りを開いた者。そう簡単に心を動かすことはないのだ。

「あの少女に逆らうには……。まずはこのやっかいな首輪を外すことからしなくちゃならないか……。
 魔力は感じないが、逆にそれがやっかいだな。僕の専門分野じゃないってことになる。
 僕一人で無理ならば、他人の力を借りるしかないか。
 他の人たちも望んでこの場にいるわけじゃなく、僕と同じように無理矢理連れてこられたはずだ。
 だったら殺し合いに消極的な人も少なくないはず。協力してくれる可能性は、そんなに悪いものじゃない」

あくまで冷静におのれのやるべきことを見いだすと、うおのめは迷いのない足取りで歩き始めた。


◇ ◇ ◇


数分後、順調に移動を続けていたうおのめの耳に、他者の声が届く。
それは、女性の甲高い悲鳴だった。

「むっ、誰か襲われているのか!」

表情を引き締め、うおのめは悲鳴が聞こえてきた方向へ一直線に走り出す。
程なくして、彼の目に倒れた少女の姿が飛び込んできた。
最初は何者かに襲撃されたものと考えたうおのめだったが、状況を見るにどうやらこの暗闇で足下が見えず転んでしまったらしい。
背中のカバンがちゃんとしまっていなかったようで、中身が周囲に散乱している。

「大丈夫ですか、お嬢さん」
「は、はい。ありがとうございます」

少女に近寄り、紳士的に手を差し出すうおのめ。少女は素直にその手を取り、立ち上がる。

「あ、あの、私は朝比奈みくるといいます。よろしければ、そちらのお名前も聞かせてもらえないでしょうか」
「いえ、名乗るほどの者ではありませんよ」

みくると名乗った少女の要望を、うおのめはやんわりと拒否する。
もちろん、自分の恥ずかしい名前を知られたくないからである。

「それより、荷物が散乱してしまっていますね。
 あまりゆっくりしていられる状況でもありませんし、早く片づけてしまいましょう。
 もちろん、僕も手伝います」
「すいません、何から何まで。本当にありがとうございます」
「いえ、いいんですよ」

申し訳なさそうなみくるに笑顔で答えると、うおのめはさっそく散乱したみくるの荷物を拾い集め始めた。
253 ◆NIKUcB1AGw :2010/03/22(月) 23:30:01 ID:dnZjyQ1m
「ん? これは……」

そんな中、うおのめはある物体に目を留める。

「ただの紙切れ? なんでこんなものが……」
「ああ、それですか? 私もさっき見たんですけど、意味のわからない言葉が書いてあるだけで……。
 ひょっとしたら、何かの暗号なのかも知れません」
「暗号か……どれどれ」

うおのめは紙を開き、そこに書かれていた言葉を声に出して読み上げる。

「メガンテ」


                               ヽ`
                              ´
                               ´.
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙ i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,   ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙ -;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙ /`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´


【一日目・深夜/F-4・森】
【朝比奈みくる@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱 死亡】
【うおのめ@ドラゴンクエスト4コマ漫画劇場 死亡】
※二人の支給品は、メガンテの爆発で消滅しました


※支給品紹介
【「メガンテ」と書かれた紙@ドラゴンクエスト4コマ漫画劇場】
柴田亜美のネタで、ローレシアの王子がサマルトリアの王子に読ませた代物。
自爆呪文「メガンテ」が記されている。


※参加者紹介
【朝比奈みくる@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱】
SOS団専属マスコット。その正体はハルヒの監視のために送り込まれた未来人。
しかし、彼女自身に特殊な力はない。
「ハルヒちゃん」では原作より、小動物チックな描写が多い。

【うおのめ@ドラゴンクエスト4コマ漫画劇場】
柴田亜美のネタに登場する賢者。
武闘家のもりそばと共に、勇者に従う。
温厚かつ冷静だが、以外と間の抜けたところもある。
254 ◆NIKUcB1AGw :2010/03/22(月) 23:31:07 ID:dnZjyQ1m
投下終了です
タイトルは長すぎて名前欄に入りませんでしたが、「ドジッ子ってリアルでやられるとうざいんだよね」で
久々の投下がこんなのですいません
255 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/22(月) 23:42:37 ID:o3B4aelv
皆様投下乙です。自分も投下します。
俺得ロワ15話「天国直行保健室プレイ」
登場:ケトル、日宮まどか
256天国直行保健室プレイ ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/22(月) 23:43:52 ID:o3B4aelv
15話 天国直行保健室プレイ

エリアF-5の、古風な木造校舎の小中学校。
普段ならば生徒や教諭で賑わっていた校舎には、現在二人の男女がいるだけ。
一階保健室から、何かが軋むような音と、少年と女性の喘ぎ声が聞こえてくる。

白いカーテンの奥にあるパイプベッドの上。
仰向けの白い毛皮の猫獣人の少年が、涎を垂らしながら激しく喘ぐ。

「ひ、日宮さん! き、気持ちいい…!!」

そしてその白猫少年の下腹部に跨り激しく上下運動をしているのは、
銀色の長髪を持った美女。

「ケトル君、可愛い♪」

白猫少年、ケトルとは対照的に汗をかきながらも余裕の表情を浮かべ、
女性、日宮まどかは上下運動を続ける。
二人は首にはめられた首輪以外は何も着ていなかった。着ていた衣服は床に脱ぎ捨ててあった。

そして数分後。

保健室から二人の一際大きな嬌声が響き、静かになった。



「ゼェ……ゼェ……」

ベッドの上のケトルは夢心地だった。
殺し合いの開始直後、ケトルはスタート地点であるこの木造校舎を途方もなく彷徨っていた。
その時、一階でクラスメイトでありこの殺し合いにも参加させられているらしい、
銀鏖院水晶を思わせるような銀髪のロングヘアの女性と出会った。
女性は日宮まどかと名乗り、身体を売る商売をしていると平然と語った。
その後、保健室に半ば連れ込まれるように入って行ったケトルは、
ベッドに座りまどかとしばらく情報交換や他愛もない世話話をしていたのだが――。

成り行きという奴だろうか、図らずも初体験をする事となった。

(日宮さんのおっぱい……柔らかかったなぁ)

天井を見詰めながらまどかの乳房の感触を思い出すケトル。
クラスメイトで爆乳の猫族テトには及ばないかもしれないが、
それでもかなりの大きさ、そして柔らかさ、形の良さだった。
257天国直行保健室プレイ ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/22(月) 23:45:25 ID:o3B4aelv
「ケトル君」

そんな事を考えていると、まどかから声が掛かった。
行為が終わった後、ベッドから下りて水を飲みに行くと言っていたが。
何事かとケトルが上半身を起こしてまどかの方を向く。
そして凍り付く。

まどかの手には銃口が自分に向けられた、確かあれは――散弾銃というもの。
散弾銃の銃口をケトルに向けるまどかの目は酷く冷酷なそれに変わっていた。

「え? ちょっ、日宮さん?」

余りに突然のまどかの行動に、戸惑いを隠せないケトルはまどかに真意を聞こうとする。
だが当のまどかはそれに答える気など毛頭ない。
そして宣告する。死刑の執行を。

「ケトル君、ごめんね………さよなら」

ドォン!!

電気が消された保健室内が大きな銃声と同時に一瞬強烈な閃光に包まれた。
9粒の鉛散弾を至近距離で胴体に食らったケトルは、
鮮血や肉片、毛皮が周囲に飛び散り、再びベッドの上に仰向けになったケトルは、
ほとんど即死の状態だった。

「〜〜っ……やっぱり反動がきついなぁ……」

散弾銃――レミントンM870を発砲した際の反動で痛めた腕をさすりながらまどかが言う。
そして先台をスライドさせ空薬莢を排出し次弾が発射可能な状態にし、
ベッドの上のケトルの死体を一瞥すると、保健室内の棚からタオルを取り出し、行為の後始末をする。
それを追えると床に脱ぎ捨ててあった自分の衣服を拾い身に付け始めた。

衣服を全て着終えたまどかはケトルのデイパックを漁り始める。
水と食糧、そして何やら大きめのスプレー缶を手に取る。
説明書によれば「青酸ガススプレー」らしい。つまり猛毒のガスを噴射するスプレーだ。
それらを自分のデイパックに移し替えて立ち上がった。
258天国直行保健室プレイ ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/22(月) 23:47:41 ID:o3B4aelv
(ケトル君には悪いけど、これも生き残るためよ)

元々、日宮まどかはこの殺し合いに乗っていた。
名簿には自分の知り合いの名前は確認できなかった上、支給武器にも恵まれていたので、
優勝して元の世界に帰ろうと考えていたのである。
そしてスタート地点であったこの木造校舎の小中学校で、
彼女は童顔の猫獣人の少年、ケトルと遭遇した。
すぐにでも殺す事はできたが、ケトルの外見の可愛らしさ、おどおどした様子に、
彼女の中の悪戯心が刺激され、体よく保健室に連れ込み行為に及んだ。
予想通り彼はまだ童貞で、予想以上に喘ぎ、嬌声を漏らし、自身の身体に溺れていった。
長年の娼婦生活で培われてきたベッドテクニックをせいぜい自分を慰める程度の事しか、
性体験に触れていない純朴な少年が受ければそれも無理はないだろう。
もっともケトルは、少なくともまどかの事を殺し合いに乗っているとは思ってはいなかったようなので、
それで殺してしまった事に関してはさしものまどかも多少は罪悪感を感じていたがすぐに忘れた。

それで一々心を動かしていたらこの先生き残る事などできないだろう。

荷物をまとめ保健室を後にしたまどかは、レミントンM870を装備し、昇降口に向かって歩き始めた。



【ケトル@自作キャラでバトルロワイアル  死亡確認】
【残り42人】



【一日目深夜/F-5小中学校】

【日宮まどか@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:レミントンM870(3/4)
[持物]:基本支給品一式、12ゲージショットシェル(20)、青酸ガススプレー(内量満タン)、
ケトルの水と食糧
[思考]:
0:殺し合いに乗る。
1:次はどこへ行こう。
2:男が相手なら、場合によっては籠絡させる。


※F-5小中学校周辺に銃声が響きました。
※F-5小中学校:一階保健室にケトルの死体とデイパック(水と食糧抜きの基本支給品入り)が放置されています。
259天国直行保健室プレイ ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/22(月) 23:49:44 ID:o3B4aelv
≪支給品紹介≫
【レミントンM870】
レミントン社の代表的なポンプアクション式散弾銃。
操作性の高さ、頑丈さが評価され、狩猟はもとより警察機構の制式散弾銃としてよく使用されている。
使用弾薬:12ゲージショットシェル 装弾数:4発

【青酸ガススプレー】
オリジナル支給品。
猛毒の青酸ガスを充填したスプレー缶。
風向きも考慮して使わないと自分が被害に遭う恐れがある。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】日宮まどか(ひみや-)
【年齢】28
【性別】女
【職業】娼婦
【性格】さばさばしているが、時折冷酷
【身体的特徴】銀髪で、豊乳。まだ20代前半に見える
【服装】緑色の着物、黄色い腰帯、編上靴、黒いマフラー状の布を首に巻いている
【趣味】音楽鑑賞(バラード系が好き)
【特技】ベッドテクニック、おねだり、甘える事、割と鋭い洞察力、推理力
【経歴】父親が14歳の時に事故で他界し、再婚相手の義父から性的暴行を受けていた。
現在、その義父はアルコール中毒で死亡。17の時から娼館で働き始める。
母親は現在一人暮らしをしている
【備考】長年様々な事情を持った男性と床を共にしてきたためか、
洞察力や推理力が鋭い。日本風異世界国家出身。
260 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/22(月) 23:51:33 ID:o3B4aelv
投下終了。日宮まどか状態表最後に、
※ケトルのクラスメイトについての情報を得ました。
を追加します。
261創る名無しに見る名無し:2010/03/23(火) 00:35:51 ID:vantKv0l
みなさん投下乙です

道化師と少女ロワ>パズーは相手が悪すぎたな……BMは最近読み始めたばかりなので神埼はまだいまいち分かってないんだけど。
そりゃハルヒも切れるわなwww
銀さんはジャンプ主人公としてジャンプ敵キャラを倒せるのだろうか!?

ドジッ子ってリアルでやられるとうざいんだよね>ちょwwww普通に対主催合流話かと思ったらそんなことはなかったwww
最後のオチがひど過ぎて(褒め言葉)吹いたwwwドジっ子ってレベルじゃねえぞwwwww

天国直行保健室プレイ>氏は本当にぎりぎりセウトなネタがお好きですねw(褒め言葉)
しかし死ぬ前に卒業できてよかった……のか?

262 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/23(火) 07:07:56 ID:PdaKyiNL
・俺得ロワ「幽霊船で泣く兎」
のび太は銃を持っているとは言え拡声器相手は辛いかもな。

・同上「SER SIDE HOTEL」
殺し合いに乗ったものが更に二人。
サキュバスという事でやはり後々活躍しそうですね。(性的な意味で)

・同上「天国直行保健室プレイ」
相変わらず変態が自重しないロワだw

・自己満足ロワ2nd「決断」
めろりん、2回連続で優勝は厳しいだろうな。

・電撃ロワ「暗闇劇場――開演」
更なる新ロワ乙です。これはまた見せしめまくりだな。
老化というのも面白い。

・その日の気分ロワ「ですろり。」
カイトに続けてリンを失った事を知ったミクの様子を想像すると、今からwkwkが止まりません。

・道化師と少女ロワ「テロリストは静かに引き金を引く」
パwwwwズwwwwwwwーwwwwwwwwwwww

・同上「ふざけた男」
風間のスタンスが怖いぜ。

・同上「異常の戦士と白夜叉と薔薇乙女」
流石の宗像も殺し合いでは殺意を抑えられなかったか。

・NIKUロワ「ドジッ子ってリアルでやられるとうざいんだよね」
ちょwwww ふんどしといいトムじいさんといい4コマ一つですげぇカオスwwwww


では俺リピーターロワ投下です。
263とある書き手の旗即折 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/23(火) 07:08:56 ID:PdaKyiNL
「貴様、我の姿を見ても驚かぬのだな」
「まぁ……な、もう色々馴れちまったよ」

二本の足で威風堂々と歩き喋るラムタルを前にしても、それ以上に混沌な世界を生きてきた男
―――6/は、驚きの感情を欠片も見せることなく気だるげに言葉を返す。
それも当然だろう。これまでの殺し合いでは喋る生首の存在やら、死んでも復活する主婦やら、
阿部さんにレイプされたり、殺し合いの主催になったり、主催倒したり、異世界の自分がいたり、
性転換したり、今更殺し合いがリセットされた所で驚きにも値しない事がたくさんあったのだ。
全参加者から狙われたりなんて事もあった以上、その程度―――ふーん、だから?である。

「ほう……では我が首輪を外せる、となったらどうだ?」
「そういう奴も中にはいるだろ」

驚くべき発言を前にしてもそれは変わらない。
彼のいた世界は首輪が爆発しても死なない奴や、普通に首輪をはずせる奴は普通にいた。
だからそれも驚かすとなると、やはりまだ弱い。

「む……その反応。貴様、信じてないな?」

しかしそんなカオスな世界の事など、ラムタルが知るはずも無い。
ただの冗談に思われたと捉えたのか、ムキになった様子でそう言った。

「では証拠を見せてやろう」

そう言ってムキムキと人型へと変形するラムタル。
そして人へとなる途中ですぽっと首輪が抜け落ちる。

「この通りだ。どうだ、流石に驚いたのではないか?」

ラムタルは得意そうな馬面で6/へと笑みを向けた。

途端、ラムタルの身体中に刻印が浮かび上がり、たちまち苦しみだし、やがて力尽き倒れた。

いっこうに表情を変えない6/だったが、その時はじめて顔色を変えた。
ラムタルに浮かんだものが6/も聞いた事がある、ラノベロワで使われた刻印だからではない。
首輪と刻印という二重―――いや、それ以上かもしれない縛りがあるという驚きでもない。
外れた首輪が、証拠隠滅のためか爆砕した事でもなければ、
勿論ラムタルが身体のいたるところから血を噴出して死んだからなんて事でも断じてない。

「ここでもやっぱり誤解フラグかよ、くそっ!」
急いで周囲を見回した先で目が合った男達が、
恐怖の表情で逃げていったの見て6/は諦めたようにそう怒鳴った。
つまりは、いつでもどこでも誤解される誤解王クオリティが発揮されるのではないか、
という恐れから顔色を変えたのだった。

だが、いつもの事だ仕方ないと諦めたその時―――!

「そこのあんた、大変だ。向こうでサガロワの◆69O5T4KG1cさんが人を殺していたんだ!」
「あいつはカオスロワの◆6/WWxs9O1s、だ。阿呆が―――旗・即・折!!!」
といったやりとりと共に、逃げた男の片割れが切り捨てられ、
【「まさか、お……お前は……ライダーロワのエルさん!?」
 「ジャンプロワのK、だ。阿呆が……!」】
続けて残った男も首の骨を折られた。

そして、そのままその男は6/の元へと向かう。

「おい、6/。如何に過去の人間である俺とて、聞いているぞ、お前の噂は。
 しち面倒くさい誤解フラグばかり押し付けられる哀れな書き手だとな」
「Kさんよ。俺の事を知ってるんならなんで殺さないんだ?
 俺は生きてるだけでもあんたの嫌うフラグを量産するぜ」
264とある書き手の旗即折 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/23(火) 07:09:56 ID:PdaKyiNL
「貴様のフラグは折りがいがある、ついていかせて貰おう」
「いいのか? 一緒にいるだけであんたも誤解されるかもしれない」

フラグクラッシャーであるKの事を知っていた6/は不思議そうに問う。
だが、そんな6/の質問を聞いたKは、さもおかしそうに笑いながら強く宣言した。

「構わん。
 貴様が誰にでも誤解をされるのなら、先ずはその巫山戯た誤解フラグをへし折ってやる」


【一日目/深夜/埼玉県・陵桜高校@テラカオスバトルロワイアル】
【◆6/WWxs9O1s@需要なし、むしろ-の自己満足ロワ@非リレー型バトルロワイアル】
[時期]:2話『いい男、降臨』で阿部高和に掘り殺された後
[状態]:普通
[所持]:不明@不明、不明@不明
[方針]基本方針:かがみ。
1:Kと情報交換。

【K(◆kOZX7S8gY.)@書き手ロワイアルinジャンロワ】
[時期]:36話『偽りを超えて』で勉強男を殺して眠った後
[状態]:普通
[所持]:エクスカリパー@書き手2、不明@不明、不明@不明
[方針]基本方針:旗・即・折。
1:                       ヘ(^o^)ヘ 構わん
2:                         |∧  
3:                     /  /
4:                 (^o^)/ 貴様が誰にでも
5:                /(  )    誤解をされるのなら
6:       (^o^) 三  / / >
7: \     (\\ 三
8: (/o^)  < \ 三 
9: ( /  先ずはその巫山戯た
10:/ く    誤解フラグをへし折ってやる

【ラムタル@安価カオスバトルロワイアル 死亡確認】
【神羅兵@ファイナルファンタジー・バトルロワイアル2nd 死亡確認】
【パルマコスタの首コキャ男性@テイルズ オブ バトルロワイアル 死亡確認】


【エクスカリパー@書き手ロワイアル2nd】
K@書き手ロワイアルinジャンロワに支給される。
エクスカリバーのパチもん。見た目は名剣だが斬りつけても1しかダメージを与えられない。
Kがダメージを与えられているのは『ヒットすればどんなキャラでもアッサリ殺せる』能力の為。
なお、折れていない状態からの支給である。



★パロロワ一口メモ★
【「まさか、お……お前は……ライダーロワのエル!?」
 「ジャンプロワのK、だ。阿呆が……!」】

元ネタはテラカオスバトルロワイアル第七期のマグニスさま祭。
元の元ネタはテイルズだが、そっちは割愛。
一時期マグニスがパルマコスタ市民に、間違われ首コキャするSSが大量に投下された。
そのブームの影響か、なぜかマグニス以外の人も同様の事をしだした。
神羅兵もその時の被害者の一人。
265 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/23(火) 07:10:57 ID:PdaKyiNL
とうかしゅーりょーです
266 ◆mO323oVvaQ :2010/03/23(火) 10:45:45 ID:enyDtTyH
道化師と少女ロワ、第五話を投下します。
前回の「異常の戦士と白夜叉と薔薇乙女」の後編を書きます。
登場キャラは
・宗像形 ・坂田銀時 ・翠星石
です。
267 ◆mO323oVvaQ :2010/03/23(火) 10:59:51 ID:enyDtTyH
「あのなぁお嬢ちゃあん、おちびさんがこういうイカレた人に
近づくもんじゃないよ、危ないk」
「誰がおちびさんですか!!」
翠星石が激怒する。
宗像はそれを見て、
「(空気読めないって、こういうことを言うんだな)」
と一人納得していた。だが銀時が背中を向けた瞬間、
宗像は日本刀で銀時の背中に斬りかかっていく。
「油断禁物」
その呟きを確かに耳にした銀時が、ハンマーで防ぐ。
「(畜生が…動きがノロくてもな、あそこまで急所狙いだとやりづれぇぜ…しゃあないか、餓鬼相手に本気は出したくなかったが…)」
銀時の目の色が変わる。それはあまりに明確な感情。
翠星石にすらも、この目の意味が分かってしまった。
「敵意」だった。宗像は全身を刺されるような気迫を感じる。
「(ちょっとヤバいかもな…)」
宗像は日本刀を構えて、駆ける。
狙うのは心臓でもなければ、足でも腕でもない。
人体の最大の急所、ここを切断されたら即死する部位。
―――――――――――――――――そう、首だ。
心臓を狙うのは実は本当の殺し合いにおいて得策ではない。
外した際に受ける攻撃のダメージも相当なものになるからだ。
「うぉおおおおらぁぁあああ!!」
「今度は確実に……殺す!!」
銀時の慟哭と宗像の静かな呟きは、音の大きさでいえば銀時が圧倒的に
迫力があった。しかし、宗像の溢れるような殺意は、それに応じる迫力を
持ち合わせていた。



カァァァァアアアアン!!
268 ◆mO323oVvaQ :2010/03/23(火) 11:22:17 ID:enyDtTyH
++++++++++++++++++++++++++++++++

宗像はいつの間にか気絶してしまったようであった。
起床後数分静かに空を見上げていたが、すぐにハッとする。
「!!」
銀時を殺さなくてはならない。それが宗像の心に最初に沸いた感情であった。
だが冷静に考えて、少し疑問が残る。宗像の刀に血の付着はない。腹部に痛みはある。
ならば、何故銀時は拘束もせずに自分を放っておいたのか…?
「まさか……?」
そう、突然現れて、空気を乱して、ずっと闘いを眺めていた人物が一人、
いたじゃないか……。
―――――――――――翠星石と名乗る、人形が。


「あ………。」
慌てて立ち上がると、そこには自分の予想した光景が広がっていた。
銀時が、血を流して倒れていたのだ。うつ伏せになって……
冷静に眺めると、複数の銃創がある。
「この傷は…………まさか、マシンガン…?」
圧倒的な火力で獲物に命乞いの隙を与えず、命を絶つ悪魔の武器、
マシンガン。元世界では宗像も所有していたが、
実際に使ったことはあまりなかった。その時、
「動かないでくださいですぅ★」
後ろに、翠星石が立っていた。
満面の笑顔、手にはあまりに不釣合いなマシンガンを抱えて。
「お前、名前は何ていうですか?」
「――――――――――――宗像形」
「宗像ですか。じゃあ宗像、選ぶですぅ。
「ここで翠星石に撃たれて死ぬ」か、「翠星石と行動する」かを。」
宗像は日本刀を持っている。
それで翠星石を斬り殺せば瞬時に決着だが、
翠星石の瞳は、訴えていた。
「自分は非力で無力だから、助けてほしい」と。宗像は元々良心のある人間だ。
「殺人衝動」というアブノーマルな点こそあれど、このときは事情が違った。
「じゃあ、君に協力しようかな」
「よしきたですぅ。じゃあ、行くですよ」
翠星石は静かに呟いた。
「待ってるですよ……蒼星石。翠星石が必ず、必ず助けてあげますですから…」


【宗像形@めだかボックス】
【状態】疲労(中)、腹部にダメージ(小)
【所持品】日本刀「白虎」@オリジナル、ガムテープ@現実 、ハンマー@現実
【スタンス】マーダー
【基本方針】翠星石を優勝させる

【翆星石@ローゼンメイデン】
【状態】健康、狂気、強い決意
【所持品】マシンガン@現実、チタングレネード@現実
【スタンス】優勝狙い
【基本方針】優勝して蒼星石を生き返らせる

【坂田銀時@銀魂 死亡確認】
死因:翠星石にマシンガンで背中を撃たれる

修正点:前編の翠星石の持ち物
ナイフ@現実→マシンガン@現実
スタンス:対主催→優勝狙い に変更お願いします。

269 ◆mO323oVvaQ :2010/03/23(火) 11:25:17 ID:enyDtTyH
投下終了です。
270 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/23(火) 14:36:56 ID:vantKv0l
とある書き手の旗即折>6/氏は今度こそKの力でフラグを折ることができるのか!?
…………なんか無理な気がしてならないのが誤解王クオリティでしょうかw
そして状態票のそげぶならぬそごへ吹いたwwwww

異常の戦士と白夜叉と薔薇乙女>まさか翠星石が殺し合いに載ってたなんて……銀さん南無
蒼の子いないのが余計まずいことになりそう……。

その日の気分ロワ三話投下します。
271 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/23(火) 14:39:58 ID:vantKv0l

「ふざけんなっ!」
森の中、一人の少女の怒声が響く。
緑色の髪をポニーテールにした少女……園崎魅音は、この殺し合いに憤りを隠せずにいた。
「……こんな殺し合いなんて誰も乗ってたまるかっ!圭ちゃんも、私も、レナや沙都子や梨花ちゃんや詩音だって……」
こんな殺し合いには乗らない。それが―――考えるまでもない魅音の答えだった。
目の前で、人の首が飛んだ時にはさすがに生理的な嫌悪感を覚えた。しかし、それはこの会場で目覚め、現実を認識した瞬間―――怒りへと変わる。
怖くないわけではない、ただ恐怖より怒りと正義感が勝っていただけだ。

部活のリーダーとして、こんなくだらないことをするはずもない、殺す勇気もない。昔は色々とやんちゃをしたこともあったが、殺人はさすがに魅音にとっても禁忌である。
たとえ放送の時点で無差別に殺害されると言う可能性はあっても、……だとしても、誰かの命を犠牲に自分が生き残るなんて、そんなことになるくらいなら最後まで抵抗して死んだ方がマシだ、と魅音は思っていた。
第一、ここに仲間が誰もいないという保証はない。魅音がここに連れてこられる直前、彼女は部活で盛り上がっていたところだったのだ。となれば、その仲間たちもここにいる可能性がないなんて言いきれない。
もしここに圭一やレナ達がいるのならば、殺すなんてもってのほか。選択肢として一番に消すのは当たり前だ。
皆がこの場にいるのなら、合流して早く脱出する。その前に、あの主催者に部活メンバーでぎゃふんと言わせてやる。
笑いながら人を殺すような男を許すわけにはいかない、何が何でもあそこから引きずりおろしてやる。
魅音の考えはそんなものだった。
彼女の右手には、支給品として配られたボーガンが握られている。さすがにボーガンを使ったことはないが、しかし何もないよりはましだ。
考えたくはないが、もし殺し合いに乗った人間がいたとすれば、自分の身を守ることはしなければならない。
園崎魅音は、ただ誰かが助けに来るのを待っているような非力な少女ではないのだ。……本音は、好きな人に助けてもらいたいという気持ちがないわけではないが。
「……とにかく、誰か、私と同じ意見を持っている人と会おう」
しかし、一人ではなかなかうまくいかない。そこらの男に負ける気はないとはいえ、できれば男性の協力があったら尚嬉しい。そして情報を交換しあい、ここから抜け出す道を模索しよう。

「……しっかし……」
だが、勢いのある言葉を吐いたのち、魅音は困ったように頭をかいた。
表情は勝気なものから、ここに飛ばされてすぐのやや困ったようなものに戻っている。
「ってもどこに行けばいいんだろう……あてとかないよなあ……もし、圭ちゃんたちもいるとすれば……」
地図をじっと見つめて、考える。
こういうことは本来は魅音の担当ではないのだが、仕方ない。
「…………行くとすれば学校、とかかな」
もし仲間が行くとすれば、それはいなれた場所である『学校』である可能性は高いように思う。そうでなくても、このような殺し合いの場だ。学校なら、部屋も多いし物資も充実している。
目指す人は多いだろうし、情報も集まりやすい。
「……でもそれは逆に、危ない奴も来やすいってことだよね……」
そう、それはつまり、同時に危険人物もまた招きやすいことを意味する。決して成績がいいとは言えない、しかも中学生の魅音が考え付くようなことを、大の大人が考え付かないとは思えない。
できれば、危険に巻き込まれるのは避けたい。
しかし、他に手がかりもないのなら、学校に行くのが賢明なのだろうか……。
「……どうしよう……」
魅音が頭を抱えた、その時。
272 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/23(火) 14:41:11 ID:vantKv0l

「……お妙さああああああああああああん!」
……突然聞こえてきた声に、背筋が凍った。
男の、野太い声が、魅音の背後から響いてきたのだ。
自分の名前を呼ばれたわけではない―――なのに声は自分に向けられている!
それだけは、本能ではっきりと感じ取っていた。
嫌な予感を覚えて、後ろを振り向くことができない。
その声がどこかおっさんくさく、変態的な匂いを感じさせるものだったから尚更だ。
鳥肌が立つ。背中に嫌な汗が流れた。いくら普段は男らしく振る舞っているとはいえ、魅音も乙女。女として生理的な嫌悪感を感じてしまっても文句は言えない。
(…………だ、誰……!?な、なんなの……!)
もし危険人物だったら、逃げた方がいいのかも、そう考える魅音の前に、いつの間にか、―――その声の主が立っていた。
「……!?」
早い。いつの間に!?魅音の頭は混乱する。
「お妙さん大丈夫ですか!?俺が来たからにはもう安心です、無事でよかっ……」
反射的に逃げようとした魅音は、……その男の発言を聞いて、あれ、と思いなおす。
もう安心?そんな言葉を、殺し合いに乗った人物がかけるだろうか?
ということは、この人は……?
もしかして?
「…………あ、アレ?お妙さん……じゃない……?」
そう、その男は。
魅音と今度こそ、ばっちりと目を合わせたそいつは……
……『まるでダメなオッサン』を絵にかいたような、ゴリラそっくりの男だったのだ。



「いやあすまなかった!君の声が俺の知り合いに似ていたから勘違いしてしまったよ。武装警察である俺たちが一般人を怖がらせるなんて悪いことしたな。大丈夫かい?」
「……は、はい……」
「それならよかった。君が無事でよかったよ。君の名前は?」
「園崎―――魅音です」
「魅音ちゃんか、うん、美しい名前だ」

結論からいえば、男―――近藤勲は十分にまともな人間だった。
十分、どころではない。多分とも言えるかもしれない。
殺し合いに乗っておらず、会ったばかりの魅音を『全力で守る』と言ってくれ、更に知り合いの名前を言うと、彼らがいるかどうか探すのも手伝ってくれるという。紛れもない善人、少々お人好しすぎるくらいだろう。
……これでもう少し二枚目だったなら、ロマンスの一つも夢見たところだが、見た目ゴリラじゃ話にならない。
ひとまず、魅音は彼を信頼に値する人物だと判断して、こうして情報交換をすることにしたのだ。圭一やレナ、双子の妹の詩音、沙都子と梨花。自分がここに来る直前まで一番身近にいた仲間たちの名前を挙げる。
近藤は魅音達がまだ学生であることに憤りを隠せなかったらしく、君たちみたいな子供まで巻き込むなんて許せないな、と本気で怒っていた。
近藤の知り合いの名前も聞いたのだが、彼があまりにもたくさんの『タイシ』の話題を出すので、全員覚えるなんて不可能だった。
彼の言う『タイシ』が何なのか魅音にはよく分からなかったが、おそらく彼の仲間ではあるのだろう。
警察であると言っていたから、彼の部下か何かだろうか。
その中でも特に印象に残った名前は、しょっちゅう彼が口にした『トシ』という名前だった。
どうやら彼のもっとも親しい友人のような存在であるらしく、近藤は彼を深く信頼し、また同時に心配もしているように思えた。
魅音は、近藤に問うた。
「その……探してらっしゃったお妙さんって方は近藤さんの恋人……ですか?」
その名前を聞く限りは女性だろう。近藤の親しい女性なのだろうか。
いい人ではあるが、とても女性にもてそうには見えない。
「はっはっは、嬉しいな。そう……だったらよかったんだがなあ。残念ながら俺の片思いさ」
残念と言いながらも、近藤の顔には残念さよりむしろその女性を思う気持ちがにじみ出ていた。
きっと彼女のことを本気で愛しているのだろう。
273 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/23(火) 14:41:58 ID:vantKv0l
「お妙さんは君より年齢は少し上だな。……髪型といい、声以外の雰囲気も君と少し似ている。よかったな、君もあと数年すればお妙さんのような美人になるぞ!……あ、いや、今でも十分美人だぞ?安心しろ!」
……いい人なんだな。
それが瞬時に理解できる。
初めて会った自分に気を遣い優しい言葉を掛けてくれ、そして自分たちがこのようなことに巻き込まれたことを本気で憤ってくれている。
既に初めに感じた恐怖は微塵もない。彼は自分をだますような人間ではない、これが演技だとすれば彼は間違いなく天才だ。
「そういうお世辞はいいですってば」
と言いつつ、美人と言われて悪い気はしない。魅音は照れたように頭をかいた。
「……あ、ところで近藤さん、えっと、あの……」
「ん、どうした魅音ちゃん」
「あの……変な話なんですけど…………『魔法』って……本当だと思いますか?」
しかし、いつまでもそうほのぼのしたやり取りを続けていくわけにもいくまい。魅音は、近藤に自分が先ほどから気になっていたことを尋ねた。
魅音にとって、理解できないそれを。

それは、あの男が言った『魔法』という言葉。
『魔法』で人の命を蘇らせられる、と。そしてその言葉通り―――あの男は、首と胴体が離れ離れになった青髪の青年を『蘇らせた』。
……あれは本当に死んでいたのだろうか?だとしたら、本当に生き返ったとでも言うのか?
彼女の常識からすれば、そんなことは到底信じられない。

魅音の言葉に、近藤は当然のように即答した。
「まさか、あんなのただの手品だよ!死んだ人間が生き返るはずなんてない!あの男はきっと精神を病んでいるんだろう。何とかしなければ……」
近藤のその答えに迷いはなく。
魔法などという非現実的なことは信じていない、人がよみがえるなんてない、近藤は、そう言いきった。
魅音は、それを聞いて、ほっと胸をなでおろした。

死んだ人間が生き返るはずもない。
―――それは、魅音も近藤と同意見だった。
死んだ人間は戻らない。後悔をしても、どうにもならない。
大切なことは、死んだ人間のために諦めないこと。そう、彼女は知っていた。
「ええ、魔法があるとしたら、それは―――」

「皆の力で起こすものだと思います」

思わず、そう口にする。

そう、それは、奇跡。
仲間と協力して、巻き起こすものだ。
沙都子を伯父の手から救い出したあの瞬間のように―――人を幸せにするために、起こるものこそが、奇跡の魔法。
あんな、人を殺して楽しむための力など、断じて魔法ではない。奇跡ではない。
あんな男のやったことを、『魔法』だなんてすませたくない。
魅音はそう、信じていた。
「ああ、奇遇だな」

「俺も―――そう思うね」

『魔法』なんかより、もっと頼りになる者がある。
それが、仲間との泥臭い絆であり、強力であり、努力であると。
2人は、強く強く理解していたのだから。

「…………って、はは、なんかおじさん臭いこと言ってますねー、すみません近藤さん」
「いや、素晴らしい意見じゃないか。感動したよ。俺みたいなオッサンならともかく、魅音ちゃんみたいな子供でもそう言えるなんて−−−きっと、魅音ちゃんはいい友達を持ったんだな」
近藤は、笑う。
その顔は、全然かっこよくなんかないけれど―――でも、この人は誰かの上に立つにふさわしい人物だと、はっきり魅音に確信させた。
だから、応える。
魅音の出来る限りの明るい声で―――『いい友達』を、肯定する。
「…………はい!それはもう!」
本当に、いい人に出会って良かった、と。
魅音は、この幸運に感謝した。
274 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/23(火) 14:43:03 ID:vantKv0l


話し合った結果、近藤は魅音の『知り合いが学校に行っているかもしれない』という意見を聞き入れてくれた。近藤の知り合いには学生らしき人はいないにもかかわらず、だ。
完全に魅音が付き合わせている。申し訳なかったが、謝ろうとしても近藤が笑って聞き流すだけだったのでそれもやめた。
今回は、この善意に甘えよう。そう思う。
普段は年上としてリーダーを務め、家では次期党首として扱われるなど、年下の少女として扱われることがほとんどない魅音には新鮮で、どこかむず痒い感覚である。
決して不快などではなく、どちらかと言えば嬉しかったが。
「本当にありがとうございます、近藤さん」
「だから気にするなって言ってるだろう?魅音ちゃん、そんなに気にやまなくても、この真選組局長・漢近藤勲が、君を無事に仲間の元まで送り届けるからな」
ぷっと、魅音は噴き出した。
どこかかっこつけようとしたらしい近藤の口調がつぼにはまったのだ。
「え、え?今のって笑うとこ?違うよね?むしろ今のはキャー近藤さんかっこいい素敵!って言うべきところじゃ?」
本気で困惑する近藤。
きっと本人は言葉通りかっこいいことを言ったつもりだったのだろうが、全く様になっていない。
普段の生活など知らないが、臭い台詞を吐くよりもふんどし一丁で泥まみれで不器用にはいずりまわっている方がずっと似合うと思った。無論、褒め言葉だ。
「あははは、近藤さん面白くないよー、真選組なんて江戸時代の話じゃん」
きっと、冗談のつもりだったのだろうと魅音は思っていた。
歴史上の人物になぞらえて気どったつもりなのだろう、そう考えていた。
新撰組など魅音にとって、教科書に出てくる存在でしかなく―――現代に生きているはずもないのだから。
冗談なら、もっと面白いこと言ってくださいと、魅音はそう言おうとして。

「…………え?いやいや、魅音ちゃん。何言ってるんだい?江戸時代の話って、今が江戸時代なのに、そんな昔の話みたいな言い方しないでくれよ」
―――言葉を、失った。
はいて
何を言っているんだ、この人は。
今は昭和58年6月―――うん、間違いない。紛れもない、忘れているはずもない。
それなのに江戸?江戸なんて、もう100年以上前に終わっはいてているじゃないか。
まだぼけるつもりなんだろうか、近藤さんはギャグのセンスがないなあ、と魅音は思った。……思うことにした。

「…………や、やだなあ近藤さん、そうやっていつまでも引っ張らないでくださいよ。警察なんですよね?そうやって市民をからかうのは酷いですよ?」
「分かっているさ。だから嘘なんてはいていないじゃないか。俺は武装警察・真選組の局長として君を守るって―――」

どくん、と。
心臓が跳ねた。
まだ冗談ですか?と魅音は言おうとして、言葉に詰まる。
その時の近藤の表情は、―――本当に、『何を言っているのか分からない』と言いたげだったのだから。

………………シンセングミ、の、近藤。
魅音だって知識にはある。そう、確かに教科書に載っている新撰組のリーダーの名前は近藤―――彼と同じ名前だった。
近藤なんて珍しい名字ではないし偶然だろう、―――そう、思い込んでいいのだろうか?

―――まさか。
ありえない。ありえない、と思う。
シンセングミ―――なんて、もうとっくの昔に死んでいるはず。
他の人間なら嘘かとも思うが―――あの近藤がこのような場で冗談など言うような人にはどうしても思えず、だからこそ混乱する。
やっぱり、私をからかっているだけ?
でもそれにしては、あの近藤さんのきょとんとした表情は何なの?
あれじゃあ、まるで。

本当に、近藤さんが江戸時代の人間みたいだ。

え、本当、本当に?
この人は、本当に、『シンセングミ』?
信じられない。そんなバカな。
でも、もし、もしそれが本当だとしたら―――
―――この人たちは、生き返った、ってこと?
じゃあ、じゃあ、さ。てことは―――

本当に、人が生き返るってこと――――?
275 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/23(火) 14:43:55 ID:vantKv0l

もし、圭ちゃんが死んだら。
レナが、皆が死んだら。
この場で、誰かが死んでしまったとしたら―――
その時は―――本当に?

……馬鹿、何を考えているんだ私は!
そんなこと誰も喜ばないっ!誰も望んでいるはずないっ!
そんなことできるはずないじゃないか!
私は!誰も殺さずここから脱出するんだから!

「魅音ちゃん、大丈夫かい?」
……はっとした。
自分と葛藤していて、気がつかなかった。
目の前には近藤が立っていて、魅音を心配そうに見つめていた。
やはりその表情には―――裏などない。この人を疑うなんて、自分の良心が痛むだけだ。
この人が私をだますなんて、ありえない―――
「は、はい。大丈夫です。……行きましょう」
だから魅音は、笑顔を作る。
気にしていないふりをして。何でもなかったような顔をして。
……頭の中に、解決できていないもやもやを抱えながら。

「……そうだな、ここでもたもたもしてられない。行こうか魅音ちゃん」
「………………はい……」
こうして、少女と男は歩き出す。
男は、結局最後まで気付かなかった。
お人好しすぎる近藤は、疑うことすらしなかった。
少女が―――その胸に、ほんのわずかの戸惑いを感じているということに。

【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に】
【状態】健康、困惑
【所持品】ボーガン@現実、ディパック一式
【スタンス】対主催
【基本方針】皆がいるなら皆と合流。生き返ることについては……?
※参戦時期は皆殺し編、沙都子救出後です。

【近藤勲@銀魂】
【状態】健康
【所持品】ディパック一式、ランダム支給品(本人は確認しているが何かは不明)
【スタンス】対主催
【基本方針】魅音を守り、自分の知り合いや魅音の知り合いがいないか探す。
276 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/23(火) 14:47:08 ID:vantKv0l
投下終了。ですが>>274にミスが。
もう100年以上前に終わっはいてているじゃないか。

もう100年以上前に終わっているじゃないか。 です、どうしてこうなった……。

タイトルは「ケツ毛ボーボーな奴に悪い奴はいない、なんてどうせボーボーの奴が考えた嘘」

非リレーだと近藤さん人気だなあ、と思ってみたり。
277強武器は甘え、でも甘えていい ◆6LQfwU/9.M :2010/03/23(火) 19:45:36 ID:NvCLUmJ+
「一体どうなっている?少佐との通信が繋がらない…」
通じない無線機を切り、その場に座り込む。
ネイキッド・スネーク―のちにビッグ・ボスと呼ばれる男―は悩んでいた。
(さっきの男は一体…それにここはどこなんだ?)
辺りは草だらけ、民家は無い。
「あの男の目的を探る必要があるな…」
立ち上がり、支給されたS&W M500を構える。
(そのためには行動が必要だ)
構えたまま、スネークは歩き出した。

「…行ったか。危なかった…」
草の中に身を隠していた◆Right//mkoが頭を出す。
(相手は今無防備だ。今狙撃すれば…)
支給品のモシン・ナガンの標準を、スネークの頭部に合わせる。
「じゃあな」
銃声が、響いた。
だが、撃たれたのはスネークでは無かった。
「え…」
◆Right//mkoの頭部が銃弾によって一部が吹き飛ぶ。
そしてそのまま◆Right//mkoの体は力無く崩れ落ちた。

「最初から隠れていたのは知っていた。殺気、を感じた」
銃をしまい、足早にその場を去る。
(だが、これほどの威力とは…想像以上だ、使用には注意が必要だな)


【一日目・深夜/F-7】
【ネイキッド・スネーク@メタルギアソリッドシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:M500@現実
[所持品]:支給品一式、不明支給品(確認済み)
[思考・行動]
基本:ゲームには乗る気は無い。だが攻撃を仕掛けられたら応戦する。
1:殺す気は無かったんだが…すまないな
2:ゲームから脱出するために協力してくれる人間を探す。

【◆Right//mko@板対抗BR 死亡】
死因:射殺
278 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/23(火) 19:48:15 ID:NvCLUmJ+
投下終了です。
スネークが威力を良く知らないのはスネークがいた時代よりもっと後に製造された銃だからです。

とある書き手の旗即折>6/氏、俺のロワからの出展なんすかww
俺のじゃズガンだったんで活躍に期待。
279 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/23(火) 22:30:16 ID:iULgBcqP
投下乙です。自分も投下します。
俺得ロワ16話「肉の宴」登場:トマック、シリウス
280肉の宴 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/23(火) 22:32:31 ID:iULgBcqP
16話 肉の宴

エリアC-7に存在するモーテルにも似た建物。
ここは「娼館」。一言で言えば性的な欲求を満たす大人の娯楽施設である。
しかもこの娼館は男が男の相手をする「男娼館」であった。


「あ、あの〜……」

娼館中庭で、学生服を着た白い狼獣人の青年、トマックは、
突然現れた銀色の毛並みを持つ、獣足の人狼と対峙していた。
スリムに見えるその身体は引き締まった無駄のない強靭な筋肉に覆われ、
金色の両目は睨まれただけで竦み上がってしまいそうな鋭さを持っている。

「……ん。いやいやいや、参ったよね殺し合いなんて。
あんたもそう思うだろ?」

尻尾を揺らし、飄々とした口調で人狼が口を開く。
凛とした外見からは想像つかない軽めの口調に、トマックは少々驚きながらも、
気を取り直して応対する。

「そ、そうですね」
「敬語じゃなくていーぜー。俺シリウスってんだ。あんたは?」
「と、トマックだ」
「トマック? ふぅーんじゃあトマ君で」

にこやかに笑みを浮かべながらシリウスは気さくにトマックに話し掛ける。
いきなり現れこんなにもフレンドリーな話し方をする目の前の人狼に、
トマックは表面上では見せないようにしていたが、得体の知れない恐怖を感じ始めていた。
そして、ふと、シリウスの下腹部に視線を移すと、全身の毛皮が総毛立った。
そこには、既に臨戦態勢になっている雄の×××が。

(え? 何でこの人×起してるの!?)

心の中で疑問を投げかけるトマックだったが、
何の気なしにシリウスと視線を合わせてみれば、
その金色の狼の瞳には明らかな情欲の色が浮かんでいた。
まさか。と、トマックの思考回路がある結論を導き出そうとした時。

「それでさトマ君、話は変わるけど」

シリウスが急に声の調子を変えた。
トマックは、先程出そうとしていた結論が、十中八九的中していたと確信した。
そして、数秒後にそれは確信から事実へと変わった。
281肉の宴 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/23(火) 22:34:07 ID:iULgBcqP
「や ら な い か」
「謹んでお断りしまs」

トマックに同性の雄に欲情するようなそんな趣味はない。
クラスメイトの尻田堀夫に一方的につきまとわれた事はあるが、
自分自身はあくまで普通に異性愛者だと思っている。
だがしかし、知識としては、同性、男同士での行為は知ってはいたし、
興味本位で古本屋などに置いてあったその手の本を手に取って読んでみた事もあったが、
それはあくまで「少し気になった」程度の事であり、本気で同性、つまり男に興味がある、
という事ではないとトマックは思っていた。
だからこそシリウスの突拍子もない要求を丁重にお断り――する前に、

ビリリィッ!!

「――え?」

シリウスが振り下ろした爪により、トマックの着ていた衣服が引き裂かれて地面に落ちた。
白い毛皮に包まれ、部活動で鍛えられた引き締まった裸体が晒されてしまう。

「ウホッ、いい身体…」
「う、うわあああああああ!」

犯される。このままでは確実に、同じ男、と言うより雄に。掘られる! 掘られる!
貞操の危機を肌にまで感じたトマックは涙目になりながら走って逃げようとした。
だが、シリウスが後ろからガッチリと肩を掴みそれを許さない。
凄まじい力で掴まれ、トマックは身動きが取れなくなり、恐る恐る後ろを振り向いてみる。
そこには舌なめずりをして大好物のご馳走を見つけた時のような目でトマックを見る、
銀色の雄の人狼の顔があった。

「逃げられない、よ」
「アッーーーーーーーーーーーーーー!!!」



ざんねん、トマックのうしろのどうていは、ここでおわってしまった!!
282肉の宴 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/23(火) 22:35:45 ID:iULgBcqP
【一日目深夜/C-7娼館:中庭】

【トマック@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:アッー!!
[装備]:不明
[持物]:基本支給品一式、不明支給品(1〜2)
[思考]:
0:アッーーーーーーーーーー!!!
1:………感じちゃう………。
※本編開始前からの参戦です。
※衣服は破かれC-7娼館:中庭に放置されています。

【シリウス@オリキャラ】
[状態]:興奮、トマック掘削中
[装備]:不明
[持物]:基本支給品一式、不明支給品(1〜2)
[思考]:
0:殺し合いをする気はない。いい男がいたら食べる(性的な意味で)。
1:トマックうめぇwwww


≪オリキャラ紹介≫
【名前】シリウス
【年齢】22
【性別】雄
【職業】野生の人狼
【性格】飄々としているが、思慮深い一面も持っている
【身体的特徴】銀と白の毛皮を持った人狼。引き締まった身体つき。獣足
【服装】服を着る概念がない
【趣味】男狩り
【特技】爪と牙を使った格闘術、衣服を肉体を傷つけず剥ぎ取る事
【経歴】幼少期からなぜか同性にしか欲情しない体質だった
【備考】女性や雌は嫌いではなく恋愛及び性的対象に見る事ができないだけ。
RPGファンタジー風異世界出身
283 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/23(火) 22:36:59 ID:iULgBcqP
投下終了。何て変態だらけのロワなんだもう駄目だ
284創る名無しに見る名無し:2010/03/23(火) 22:53:07 ID:8zVEw49d
アッー
285思いよ届け ◆6LQfwU/9.M :2010/03/23(火) 23:16:00 ID:NvCLUmJ+
「ここ一体どこなんだろう…?」
行く当ても無く、ホテル内をうろうろする下痢。
真っ暗なホテルを照らすのは強力な光のみ。
先にある暗闇から誰かが飛び出して来るんじゃないか?
後ろから急に誰かが来るんじゃないか?
疑いは不安を生み、不安は恐怖を生む。
自然と手に持つM9を握りしめる。
「せめて、知り合いと会えれば…!」
向こうから光が近づいてくる。
「誰、だ」
震える声で光に問いかける。
「私…?私は…」
「え…めろ、りん…?」

ホテルの一室で安堵の表情を見せる二人。
「良かったー、下痢さんに会えて。」
「俺もだ…暗いなかで誰かが来た時は口から心臓が出るかと思った」
壁をライトで照らして行く。
ライトに照明のスイッチであろう物が照らされる。
スイッチを入れた途端に目の前が明るくなる。
「眩し…」
目を瞑り、手で目をおおう下痢。
だが、すぐに明るさに目が慣れる。
「めろりんは武器、何支給されてる?」
その問いかけに武器を出して答える。
ベッドの上に投げ出されたのは…
…何らかの端子と工事に使うような大型のハンマーだった。
「この端子みたいなのって、一体なんだろう?確か説明の紙が…」
端子の説明の紙を取り出し読み上げる。
『追加デバイス…端末に新しい機能を追加するための物。』
「追加デバイス…か。これに使えるんじゃ…」
下痢はデイパックから小型の端末を取り出しめろりんに手渡す。
よく端末を観察すると…丁度このデバイスを入れることが出来るスペースがある。
とりあえず、デバイスをその隙間に入れる…と。
小さな電子音の後、画面に新たなボタンが増えている。
「…首輪探知システム…?」
恐る恐るボタンを押す。
端末の画面が切りかわり、地図のような物が表示されている。
そして画面の真ん中には2つの光る点が…
「これは…大当たりかもね…」
286思いよ届け ◆6LQfwU/9.M :2010/03/23(火) 23:16:59 ID:NvCLUmJ+

【一日目・深夜/D-7:ホテルの一室】
【めろりん@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:端末+首輪探知システム@その他
[所持品]:支給品一式、ハンマー@SIREN
[思考・行動]
基本:ゲームには絶対乗らない。
1:便利そうで良かった…!
2:仲間を探して、脱出のヒントを得る。


【下痢@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:M9@メタルギアソリッドシリーズ
[所持品]:支給品一式、不明支給品(確認済み)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。でも襲われたら戦う。
1:探知機ゲット!やったね
2:仲間を探す。

≪支給品紹介≫
【ハンマー@SIREN】
SIREN2に登場する武器。
リーチが広く、威力も強いがモーションは遅い。
【M9@メタルギアソリッドシリーズ】
シリーズによく登場する麻酔銃。
レーザーサイト、サプレッサー付き。
287 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/23(火) 23:17:40 ID:NvCLUmJ+
投下終了です。
さて、どうなることやら
288 ◆B/laBRMcz6 :2010/03/24(水) 12:53:40 ID:NHmpZQLa
おおう…しばらく来れなかった間に親ロワがこんなに!
しかも一作毎にわざわざ感想を書いてくれる人まで…サイコーです!
自分も空気化しない為に、定期的に書かなくては。

節操無しロワ投下します

第八話「求めの技を、見せちゃう♪」
登場人物:直江大和、ソル=バッドガイ、レッドアイ
289求めの技を、見せちゃう♪ ◆B/laBRMcz6 :2010/03/24(水) 12:54:23 ID:NHmpZQLa
気がついたときには、俺は薄暗い部屋の中で立ち尽くしていた。
周りには何やら太いパイプや見たこともない機械の山等が無機質な音を規則的に出している。。
壁を覆うようにビッシリと敷き詰められているモニターの群れは、ただただ異様な存在感を発しており、この空間の異常さを俺にまじまじと見せ付けているかの様だ。

だが、何よりも俺の目を引き付けたのは、部屋の中央にある物体だ。

巨大なビーカーが設置されており、この部屋内にあるパイプの大部分がそれと直結しているようだった。
大人一人程度ならば、余裕で入れるだろう。

…いや、まさか本当に人間を此処に入れるために作ったんじゃないのか?

そんな馬鹿馬鹿しい事を思い浮かべても全く違和感を感じない程に、この光景は恐ろしいものがあった。
さっきまで見ていた、化け物が殺される時と同じ、まるでファンタジー世界の中にでも迷い込んでしまったかの様な感覚。

…というより、これは全部夢なんじゃないか?
そうで無ければ、こんな不条理で、不可思議で、滅茶苦茶な事が連続で起きるわけが無い。

だいたい殺し合いをしろ、なんて言っていたが、そんな事をしたいなら俺みたいな一般人を参加させる意味がどこにあるってんだ?
おとなしく、会場にいたあの化け物みたいな奴をもっと連れてきて、そいつらに殺し合いをさせていればいいじゃないか。








結論…これは夢、もしくは俺の妄想で出来た、現実じゃない世界なんだよ!











290求めの技を、見せちゃう♪ ◆B/laBRMcz6 :2010/03/24(水) 12:56:42 ID:NHmpZQLa
『な、なんry』と、結論を出したい所だが、さすがにそこまで単純な現実逃避をする気は無い。

というのも、俺の周囲にはある意味これレベルのビックリ人間が何人かいる訳で…

手から気弾を撃ったりとかそれを叩き切ったりとか一瞬で全身の傷を回復させたりとかビルの屋上から飛び降りても平然と着地したりとかetcetc…。
まぁそれらとはまったく毛色の違う事ではあるが、それでも多少は現実離れした事には慣れているつもりだ。

とは言っても、さすがにここまでの例は無かったけどな…。

「殺しあえ、か」

少年はぽつりと、あのホールで主催者と思しき少女の発した言葉を復唱していた。

首には首輪、そしてこの理不尽さ。
確かこれと良く似た内容の本があったよなぁ、などと思いふと苦笑めいて、


ガァン!という音が部屋に響いた。

思わず目の前のビーカーに拳を打ち付けていた。
鈍い痛みが打ち付けた右腕に響いていく。

だが少年はそんな痛みも意に介さず、再び右の拳を振りあげ、

「ふざけるなああ!!」

絶叫すると同時に、再びビーカーを殴りつけていた。
先程よりも鋭い痛みが生まれ、右腕全体にゆっくりと広がっていく。

「ふざけるなよ、馬鹿野郎!殺しあえ?最後の一人になるまで?そんな事出来る訳が無いだろうが!」

叫びながら、今度は左側の拳を打ち付ける。

「どうして、俺達がこんな事しなくちゃなんないんだよ!しかもファミリーの皆まで巻き込みやがって!」

そう、彼が此処まで激昂している最大の理由はそれだった。

親友、いや、もはや第二の家族ともいえる九人の仲良しグループ、通称風間ファミリー。
そのファミリーの内自分、直江大和を含め六人の男女がこの殺し合いの場に参加させられてしまっているというのだ。
その事実を目の当たりにし、大和は今までの人生の中でも感じたことの無い怒りを覚えていた。

…まぁ、このような目にあって憤りや怒り等の感情を抱かない等と言う人間は、まずいないであろうが。

「皆、今を一生懸命に生きてるってのに、何が殺しあえだ!お前達で勝手に殺しあってろ!!」

そう叫びをあげながら、大和はビーカーに打ち付けていた手を上に高らかに上げ、宣言する。

「見てろよ、お前なんかの思い通りには絶対にさせねぇ…!このゲームを完膚なきまでにぶち壊してや…!?」
291求めの技を、見せちゃう♪ ◆B/laBRMcz6 :2010/03/24(水) 12:58:37 ID:NHmpZQLa

そこまで叫んで、大和はふと叫びを止めた。
何故なら、自分の背後から何か、気配の様なものを感じたからだ。

「……」

恐る恐る、まだ後ろには振り返らずに、さりげなくドアの位置を確認。
そして、ゆっくりと後ろを向いた。

そこには…

 ◇ ◇ ◇

同時刻、病院入口付近

直江大和が飛ばされた病院には、もう一人の参加者がいた。
髪は逆立ち、ヘッドギアを付けている男は、あからさまに不機嫌そうな顔をしていた。
というより実際、彼は今不機嫌極まりない状態であった。


あぁ、なんだぁこりゃあ?
俺がどうしてこんな所で殺し合いを強要されてんだ?

……ったく、面倒くせぇ。
やっと『あの男』の手がかりを手に入れたと思った矢先にこれかよ、やれやれだぜ。

…どうやらあの坊や達もここのどっかにいるみてぇだが…相手にするのも面倒だしな、ほっとくか。

それよりも、だ。
このジャスティス、って名前、まさか本物ってこたぁ無えとは思うが…まぁあの馬鹿みてぇに次元を越えて来た、って可能性も0じゃねえ、一応警戒はしとくか。

いつの間にか封炎剣も取られちまったみてぇだし、身体もなんか重えし、ああくそ、イライラすんぜ。

何よりも、こいつだ。

そう思考しながら、男は自分の首―――正しくは、首に取り付けられている首輪に指を這わせる。

この爆弾がどれだけの威力かはしらねえが、あの化け物――おそらくギアだろうが、ああもあっさり首を吹き飛ばしやがった。
弱っていたとはいえ、あのギアの力は相当のモンだった事は分かる。
だからこそ、その首を吹き飛ばす事で威力を見せ付ける事にも成功してるんだがな。


「…さって、と」

気だるげに身体を起こし、周りを見渡した所、どうやらここはただの病院の様だ。

……少なくとも、表向きは。

(ふん、なんかいやがるなぁ…それも結構な数だ。)

今まで嫌と言うほど感じてきた、血生臭い存在の気配が建物のあちこちから漂ってきていた。

「やれやれ、始まってすぐに面倒くせぇ事に巻き込まれそうだぜ。」

そう言いながら、デイバッグに片手を突っ込み、支給品を漁る。
292求めの技を、見せちゃう♪ ◆B/laBRMcz6 :2010/03/24(水) 12:59:45 ID:NHmpZQLa

が、出てきたのは…

「…なんだぁこりゃ?」

出て来た支給品を目にして、思わず顔をしかめる。

まず一つ目に出てきたのは、おかしな模様の入ったボールだった。
試しに振ったり軽く投げたりしてみたが、何も起きない。

「…ちっ、まぁいい、次は…」

気を取り直して、取り出した二つ目の支給品は…手綱だった。

「…ああ?」

顔に青筋を浮かべながら、思わず掴んでいた手綱を投げ捨てた。

最後に無言で取り出したアイテムは…

銃……の弾だけだった。

「……あのガキは俺を馬鹿にしてんのか?」

そんな疑問が沸いて出てくるような、理不尽な支給品だった。

しかもこの弾丸、なんと六発しか無い。
例えこの弾丸を装填出来る銃が見つかったとして、これでどうしろと言うのか。

「しゃあねぇなぁ…」

そう一言だけ吐き捨てると、男はボールと弾丸をバッグ内に戻し、奥に向かって歩き出した。


…男は自らの支給品を外れと決め付けたようだが、実際にはこの支給品らは本来持つべき者が持てば、そのどれもが強力な武具となる物なのであるが…今の男には知る由も無い。
293求めの技を、見せちゃう♪ ◆B/laBRMcz6 :2010/03/24(水) 13:00:42 ID:NHmpZQLa


 ◇ ◇ ◇


「う、うわああぁー!」
大和はあの後すぐにあの部屋から飛び出し、ひたすら廊下を走り続けていた。

その姿からは、彼が普段は『軍師』のあだ名で呼ばれる、頭脳労働専門の人間だとは誰も思わないだろう。



やぁ、皆、元気にしてたかい!

俺大和!さっきは熱血して、今は大声上げながら建物の中を逃げ回っているんだ!

え、何で逃げ回ってるかだって?

それは…






タコによく似た怪物の群れが、俺を食おうと向かって来てるからさ!


「なんなんだ、なんなんだ、なんなんだあれはあぁー!」

まったく次から次へと意味の分かんない事が起きまくって、嫌になっちまうよ!
ていうか、俺はこんな風にあちこちを走り回ったり、無駄に熱血する様なキャラじゃない気がするんだけどぉ!?


そんな事を考えながらも、大和は速度を落とさずに全速力で病院の中を駆けずり回っていた。
後ろから迫りくる怪魔達はその外見に反して動きが速く、立ち止まればすぐに追いつかれてしまう事は明白だったからだ。

「はっ、はっ、はあぁっ…!」

まずい、そろそろ体力が限界だ。
このままじゃあの化け物どもに喰われちまう。

ここで喰われて、死んでしまう。

そこまで考え、悲鳴を上げる足に再び力を込め速度を上げる。


冗談じゃない、こんな所で死んでたまるかよ!
俺は、早く皆を見つけて、誰一人欠けずに帰って、皆とまた馬鹿やったり、由紀江といちゃいちゃしたりしながら毎日を過ごすんだからよ!

だから…!



「だから、こんな所で…死んでたまるかよおおぉぉぉ!!」
294求めの技を、見せちゃう♪ ◆B/laBRMcz6 :2010/03/24(水) 13:02:11 ID:NHmpZQLa
そう絶叫しながら、速度を落とさぬまま曲がり角を思いっきり曲がる。
大和の真後ろまで来ていた怪魔達は、ある者は急なカーブに対処できずに壁にぶつかり、ある者は他の怪魔とぶつかり合い、黒い血液らしき体液を撒き散らしていた。

大和はそのまま、しかしスピードはやや落として、その惨状から離れていった。

「はぁ…何とか、凌いだ、みたいだ、な」

化け物が追って来ないのを確認して、更に速度を落とし、遂に走りを歩きに変えた。

「さっきの部屋といい、あの化け物といい、ここは結構やばそうだ…早いとこ退散した方がよさそうだな。」


安堵の息を吐きながら、そのまま前に進み、




前側の通路から、怪魔が二体こっちに向かってきた。


「っな…!?」

おいおい嘘だろ、まだいたのかよ!?


絶句しながら後ろへ逃げようとするも、後ろの通路からも先程の衝突を免れた怪魔達が大和に向かって来ていた。


まずい、まずいまずいまずいぞ!!
ここは四階、通路は一本道、部屋のドアには手を掛けられる位置には無い!

言うなれば、逃げ場無しって奴だ。


嘘だろ…あんな大見得切っておいて、こんなにあっさり俺、死んじゃうのかよ?

まだこんな、始まった直後に。
キャップに、姉さんに、クリスに、京、由紀江も見つけていないってのに、こんな所で死ぬってのか!?


「…たまるか」

拳を握り、怪物たちを思い切り睨みつけながら、大和は一つだけ作戦を立てていた。
…とはいっても、普段の彼からすれば愚の中の愚ともいえる、策とは言いがたいものではあるが。

一度だけ顔を俯かせ、しかしすぐに顔を上げ、

「あきらめてたまるかよ!俺は直江大和!勇往邁進が合言葉の風間ファミリーの…最高の軍師だああぁぁ!!!」

そう叫ぶと、大和は迷わず廊下の窓へ駆け寄り…そのまま、窓ガラスへと体当たりした。

当然ながら、強化硝子の類でも無い硝子に思い切り男がタックルをかませば、どうなるか等言うまでも無い。
295求めの技を、見せちゃう♪ ◆B/laBRMcz6 :2010/03/24(水) 13:03:13 ID:NHmpZQLa
派手な音を立てて、窓硝子が四散する。
そしてそのまま、重力に従って大和の身体は落下して行く。
四階もの高さから落下等してしまえば、人間がどうなるか等子供にだって分かる。

だが、それでも大和は迷わず飛んだ、そして。

「勇往邁進、ただひたすらに前進だああぁぁ!!」
彼はまだ、あきらめてはいなかった。

大和の支給品は、たった一つだけだった。
添えられていた説明が本当ならば、それを補って余りある物ではあったが、正直これを鵜呑みにするのは、気が触れている人間だけだとめで大和は思った。

しかし、そのすぐ後に現れ、自分を喰おうとして来た化け物を見て、もしかしたら、と思った。
もしかしたらこの支給品の能力も、本当なのかも知れない、と。

それでもまず空を舞う事を選んだのは、失敗した時にはこれを外の樹に突き刺し、落下のスピードを弱める事ができるかも知れないと思ったからだ。
…残念ながら、外に見えていた樹まではとても届きそうには無いが。

だが、今はそれどころではない。
大和はデイバッグから一振りの剣を取り出した。
そして、誰も聞いていない空の上で何かを叫び出す。

「もし、お前に本当に奇跡を起こす事が出来るって言うなら…俺は、求める!皆を守る力を、由紀江を支える力を!」

どんどん地上が近づいてくるも、剣は何も反応しない。

「俺は、皆に死んで欲しくないんだ!だから、皆を守る力を、敵を倒す力を寄越せ!」

必死に呼びかけるも、やはり剣は黙して語らず。
やっぱりデタラメだったのか…?

策とも言えない策、つまりは敵の情報を鵜呑みにして、その奇跡の力を計算の内に入れる事だったのであるが…やはりこんな事、信じるべきじゃなかったか。
要するにそれって、「魔法使ってピンチを脱出」って言ってる様なもんだしなぁ。


そう思い、自然と自虐的な笑みが浮かんだ。

もはや地上まであと僅か。

もう何かを叫ぶ時間も、思考する時間も、一番大切な人の顔を思い起こす時間すらない。
大和は、目の前に広がるコンクリートの地面を前に死を覚悟し……

病院の中庭で、コンクリートが砕ける音が響いた。
296求めの技を、見せちゃう♪ ◆B/laBRMcz6 :2010/03/24(水) 13:06:40 ID:NHmpZQLa
 ◇ ◇ ◇

その頃、病院内では――

「おらぁっ!」
向かって来た怪魔は、蹴りだけで吹ッ飛び黒い血を全身から噴出し、消滅した。
後ろから飛び掛ってきた二体に対しては、デイバッグを左手で振り回し、迎撃する。

「ちっ、キリがねぇ」
男は階段を上がってすぐに怪魔の群れと遭遇し、交戦していた。
無論、この程度の雑魚に遅れを取る筈も無いが、いかんせん数が多すぎて、進むも戻るも出来ない状態となっていた。

「うざってぇ奴等だ…ん?」
ふと、視界の隅、窓の外で何かが落下していった。
一瞬のことであり、何が落ちていったのかも分からなかったが、確認しているだけの余裕があるわけでもない。
男はそのまま怪魔に意識を向けるも、怪魔達は男の方を向いておらず、溢れんばかりだった殺気もなりを潜めていた。

「何だ…?」
怪魔達の動きが、突然止まったのだ。
男がその事を不審に思い、どう行動を起こすべきか一瞬思案した直後、『それ』は起こった。

 ◇ ◇ ◇


………あれ、俺は…死んだのか?
周りは、真っ暗で、何も見えない…もしかしてこれが天国って所なのか?

――弱き者よ――

うわ、何だ!?
頭の中に声が響いて…!?

――汝、我を求めるか?―――

お、お前は、一体…誰だ!?

―――ふむ、自分から我に力を求めておいて、我をわからんとは―――

自分からって、まさかお前が…あの剣、なのか…?

――そうだ、我は求め。
永遠神剣が第四位、求めだ。
もう一度、聞こう…汝、我を求めるか…?―――

……ああ、俺はお前の力を求める!
皆を守り、元の生活に帰りたい、だから…俺に力を貸してくれ、求め!

――ふむ、汝の意志は理解した、しかし、契約は一方のみの願いを叶えるにあらず。
我の力を振るうからには、汝にも、我が欲と願いを叶えてもらう事となるが…それでも構わんというのか?―――

それだけを語ると、頭の中の声は沈黙した。
大和の答えを待っているのだろう。
だが、大和の答えなど既に決まっている。
そもそも此処で契約とかいうのを結ばなければ、待っているのは死、あるのみ。
加えて、皆を…風間ファミリーを守るための力が今此処ここにあるというのに、何故ためらう必要があるのだろうか。
その意を伝え僅かな沈黙の後

『契約は完了した、我は契約者の求めに応じ、汝の力となろう』

はっきりと、言葉が頭の中で響いた。
297求めの技を、見せちゃう♪ ◆B/laBRMcz6 :2010/03/24(水) 13:07:21 ID:NHmpZQLa

 ◇ ◇ ◇


気が付いた時には、大和は地面へと着地していた。
四階から飛び降りたにも関わらず、怪我も無く、足がほんの少し痛む程度しか異常は無い。

そして、大和の両手には一振りの大剣。
永遠神剣『求め』が握られていた。

『さて、契約者よ、我との契約は完了したが…周りには敵意を持った存在がかなりいるようだぞ、どう動くつもりだ?』
頭の中に声を響かせ、『求め』が問う。
新たなる契約者の手並みを拝見するために。

そして、その問いに対し、直江大和は。

「当然…逃げるっ!!」

即答すると、大和は『求め』の返事を待たずに全速力で走り出した。

『ふむ…我が力を手に入れて尚、背を向ける事を選ぶか』

「あったり前だ! どんなに凄い力だろうが、あんだけの数の化け物相手に素人の俺が勝てる訳無いだろうが!」

『求め』の問いかけに対し、大声で返しながらひたすらに走り、あっという間に中庭を抜けホールに入る。
しかし、ホールにも数体の怪魔が徘徊しており、その内四体ほどが出口の自動ドアを塞いでいた。

「ちっ、避けて通れそうに無いな」
『どう動く、契約者よ』

「しょうがない…強行突破するぞ、力を出せ、『求め』!」

そう大和が叫び、両手に力を込めると、今まで感じた事の無い力が湧き上がってきた。

「すげ……これなら、いけるぞ! うおおりゃあああぁぁあ!」

咆哮を上げ、前方の怪魔に向けて突進しながら、がむしゃらに『求め』を振り回した。
素人の動きでしかないそれは、しかし『求め』の力により高速の斬撃となり、目の前の怪魔達を一瞬で切り刻んでいく。


そしてそのまま、大和は自動ドアを文字通りぶち破りながら凄まじいスピードで病院から脱出していった。
298求めの技を、見せちゃう♪ ◆B/laBRMcz6 :2010/03/24(水) 13:10:22 ID:NHmpZQLa

 ◇ ◇ ◇

「一体何だったんだありゃあ」

二階の窓越しに大和の起こした破壊の嵐を見て、男は誰に語るでもなく、自然と言葉を漏らしていた。
彼がこんな悠長にしている理由は簡単だ。
あの後、自分を襲っていた怪魔達が、突然前触れも無く消え去ったのだ。
その理由も、あの怪魔の正体もいまだ不明であり、いまだ院内を徘徊している可能性のある怪魔達には注意するべきではあるが、今この男――ソルの興味は、もっぱらあの黒髪の少年にあった。

(あの剣に向かってごちゃごちゃ叫んだと思ったら、急にあのガキの力が増幅しやがった…一体何もんだあいつ)

 ◇ ◇ ◇

病院の屋上に、一つの影があった。
その存在は奇妙な姿をしていた。
機械で出来ている身体は常に浮遊している状態であり、胸部に植えつけられている赤い目玉が不気味さを増している。
その異形は片手に本を持ちながら、ゲラゲラと楽しそうに笑っていた。
299求めの技を、見せちゃう♪ ◆B/laBRMcz6 :2010/03/24(水) 13:17:36 ID:NHmpZQLa
「ケヒヒヒヒ、ナーンダアレはー、ナーンダありゃー、面白いナァ、ケケケケケケ!」
異形は心底愉快に笑いながら、手に持ち広げていた本を閉じ、デイバッグに戻した。

「ンー、このアイテムも中々面白いけど、さっきの剣もスッゴク面白そうダネー! ああいう強者のためのアイテムは、強者であるこのミーが持つべきだと思うんだけど、どう思う、ミー? 
勿論さ、ミー! 世界中の全てはミーが使って殺して壊してミーが楽しむ為にあるんだから! だよねー、ミーの事良く分かってるー、さすがミー!ケケケケケケケケケケケ!」
自分で自分に語りかけるこの様を人がみたら、気が触れていると思うだろう。

実際この異形――魔人レッドアイは気が触れているのだが(本人にその自覚は無いが。)

「さーってとぉ、どうしようかミー? そろそろミーここ飽きたよ、別の場所行こうぜ! 
おうおう、賛成ー! みんな仲良くALL KILL YOU!の精神を忘れず二行こうぜー、ケケー!」

意味の分からない事を叫びながら、レッドアイは屋上から飛び降りた。

次の楽しみ、新たな獲物を求め。

「やっぱり出来ればオンナに会いたいヨネー、少しずつ心と身体を壊していってぇ、それでも死なせてハやらないでぇ、
最後に希望を持たせテから殺しテェ……ケケケケケケケカ!!」
狂った魔人は、夜を行く。

【E-6/病院/一日目/深夜】

【直江大和@真剣で私に恋しなさい!】
[状態]: 疲労(大)、求めと契約
[服装]: 川神学園制服
[装備]: 永遠神剣第四位『求め』@永遠のアセリア
[道具]: 基本支給品一式
[思考]
基本:風間ファミリーとの合流、及び脱出
0: 病院から離れる
[備考]
※由紀江ルート終了後からの参戦です。
※ソル、レッドアイには気付いていません。
※求めと契約しました。

【ソル=バッドガイ@GUILTY GEAR】
[状態]: イライラ
[服装]: ソルの服
[装備]: 無し
[道具]: 基本支給品一式、ムシムシボール@ランスシリーズ、起源弾×6@Fate/Zero
[思考]
基本:あの男を殺すため、さっさと会場から出て行く
0: 病院を調べる
1: クレイジーなガキだ
2: 大和(外見のみ確認)に警戒心
[備考]
※直江大和の外見特徴を把握しました。
※レッドアイには気付いていません
300求めの技を、見せちゃう♪ ◆B/laBRMcz6 :2010/03/24(水) 13:18:28 ID:NHmpZQLa
【レッドアイ@ランスシリーズ】
[状態]: 健康、ハイ、無敵結界展開中
[服装]:
[装備]: 螺湮城教本@Fate/Zero(残魔力85%)
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×2
[思考]
基本:殺し合いを楽しむ
0: さーてドッコ行こうかナー?
1: あの剣欲しいネー、ケケケケケ!
2: つまらない奴は殺す
3: 面白そうなの、壊しがいのありそうなのは…ケケケケケケケ!
[備考]
※鬼畜王ランスからの参戦です。
※直江大和の外見特徴を把握しました
※ソルには気付いていません

支給品紹介

ムシムシボール
ランスシリーズからの出典
ムシ使いの使う武器。

起源弾
Fate/Zeroからの出典。
衛宮切嗣が自らの左右の第12助骨を使い作り出した魔弾。
命中した相手に自らの起源である「切断」と「結合」を具現化させる。

螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)
Fate/Zeroからの出典。
それ自体が魔力炉となった魔道書。
使用者が魔術師であってもなくても、消耗なく使役できるというトンデモアイテムである。
ちなみに表紙は人間の皮

永遠神剣第四位『求め』
永遠のアセリアからの出典。永遠神剣の一本、階級は第四位
元々の所持者は高峰悠人であり、彼は『求め』をバカ剣と呼んでいた。
永遠のアセリアの舞台である、異世界ファンタズマゴリアに伝わる四神剣のうちの一つであり、他の三体の神剣絡みの事になるとすぐ暴走する。
が、それを考慮に入れなければ割といい所もある。
301求めの技を、見せちゃう♪ ◆B/laBRMcz6 :2010/03/24(水) 13:19:12 ID:NHmpZQLa
投下終了です。
無駄に長いだけですね…。
302 ◆B/laBRMcz6 :2010/03/24(水) 13:20:15 ID:NHmpZQLa
テスト
303 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/24(水) 19:08:42 ID:q1D5nvES
・道化師と少女ロワ「異常の戦士と白夜叉と薔薇乙女(後編)」
ああ銀さんはここでも早死にか。しかし宗像と翠が組むとは意外だった。
それに前回の翠の状態表のKYが空気読めないじゃなくて狂気の略だったとはこの海のリハクry

・その日の気分ロワ「ケツ毛ボーボーな奴に悪い奴はいない、なんてどうせボーボーの奴が考えた嘘」
最初はほのぼのとした対主催合流話かと思ってたら……。
この二人の時代の違いが今後どんな影響を与えていくのか。

・自己満足ロワ2nd「強武器は甘え、でも甘えていい」
前回あまり活躍できなかったメタルギア勢は今回は活躍できるのだろうか。

・同上「思いよ届け」
これはいきなり良いもの貰ったなめろりん。

・俺得ロワ「肉の宴」
男娼館とかw そして  ま  た  変  態  か  w  w  w

・節操無しロワ「求めの技を、見せちゃう♪」
レッドアイに渡っちゃいけないものがレッドアイに、それに闘神ボディは支給品扱いじゃないのか、ずりぃぜ!
しかし捨てられた騎英の手綱(たぶん)カワイソス。


じゃあ俺リピーターロワ投下します。2話ぐらい。
304のび太戦記〜殺しあう者達〜 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/24(水) 19:09:43 ID:q1D5nvES
「もう嫌だ……なんでこんな事になっちゃったんだ!」
野比のび太は次々と起こった悲劇に泣き叫ぶ。

【ブルガルと名乗った男による殺し合い】の開催。
見せしめにされた富岳と呼ばれた男の死。
殺し合いの中、友達の出来杉に会えて喜んだのも束の間。
その出来杉により殺されて、気がついたら再び殺し合いに放り込まれ少女が見せしめにされる。

これらを僅か一、二時間の間で体験したのだ。
時に子供とは思えない勇気を発し、過酷な大冒険を何度もしてきたとはいえ元は気弱な少年。
この一連の出来事は彼から気力を奪うには充分すぎた。
ましてや今は周りに頼れる人物もいないのだ。
少年は一人、その場から動かずにただ震え続けていた。

だがしかし、そんなのび太の視界に突如見覚えのある青いロボットの姿が映る。

「ド、ドラえもん! 良かった、キミなら秘密道具でこんな殺し合いを止められるよね!」

のび太は頼れる人物の登場に一転笑顔になって走り寄った。

「何を言っている、のび太? 敵対していたこの俺にそんな事を頼むとはな」

しかしドラえもんは不愉快そうにのび太を振りほどく。

「何の事だか分からないよドラえもん! こんな時なんだからキミを頼るのは当然じゃないか!」

そんなドラえもんの様子に不安になりながらそう叫ぶのび太。
だが、ドラえもんは何の事だか分からないという言葉に尚更顔を怒りに歪め―――

「ふざけるな、ふざけるなよ、野比のび太」
「う、うわああぁぁぁああぁあぁああああぁあ!!!」

先の殺し合いで出来杉と会った時をなぞる様に、
のび太は知らずに地雷を踏みドラえもんに襲われる事となる。
しかし結果までは同じとは行かなかった。

「危ない野比!」

出来杉と同じように飛び道具を持っていたなら分からなかったが、
素手のドラえもんは体重を生かした体当たりをしてきた。
だからのび太へとドラえもんが衝突する前に第三者が割り込めたのだ。
129.3馬力もあるドラえもんのタックルを見事に受け止めてのび太を守ったのは、
担任である先生だった。
なんとか助かったのび太は安堵の息を吐き、ドラえもんへと理由を問う。
305のび太戦記〜殺しあう者達〜 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/24(水) 19:10:42 ID:q1D5nvES
「一体どうしちゃったんだよドラえもん!」
「どうしちゃった……だと? どこまでも俺を虚仮にするつもりか!
 ロボットだからといって都合のいい時だけ俺を利用しようとしやがって!」
「!? 僕はそんなつもりは!」
ドラえもんの目からは自分はそう映っていたのか、とのび太は動揺をする。
「自分で何かをなそうとしない癖に直ぐに人を頼って、俺が何もしなけりゃ罵る。
 俺はそんなお前が気に喰わねぇ!」
「野比、早く逃げなさい!
 そこの先生のデイパックにキメラの翼という移動アイテムが入っている、それで逃げるんだ!」
怒りからか益々増してくるドラえもんの力を一所懸命に抑えながら、先生はのび太へと叫ぶ。
「でもドラえもんが……それに先生も!」
「彼は先生がなんとかする! 野比、君にも守りたい人がいるだろう、だから行くんだ!」
「……分かりました、後はお願いします」
のび太は一瞬の迷いの後しずかの顔を思い浮かべ、頷く。
そして先生のデイパックからキメラの翼を取り出して空高く投げ、その場から飛び去っていった。


【一日目/深夜/不明】
【野比のび太@第二回アニメバトルロワイアル ブルガル主催ルート】
[時期]:10話『Doraemon/a victim of fate』で出来杉英才に殺された後
[状態]:精神疲弊
[所持]:不明@不明
[方針]基本方針:まだ決まってない



「くそっ、邪魔をするな!」
ドラえもんは飛び去っていくのび太を見て、八つ当たりのように先生を殴り飛ばす。
「ぐっ、邪魔をさせてもらおう野比の家のタヌキ。
 大事な生徒に害を為すものを放っては置けない」
ぶっ飛ばされた先生は直ぐに起き上がると、
仕切りなおすようにドラえもんから間合いを取り構えた。
「ふん、貴様程度が俺を倒すというのか?」
「確かに野比を守りながらだったらきつかっただろう。
 だが野比が逃げてくれた今、私は全力を出せる。
 それに野比の前でお前を壊したくはなかったからな」
「馬鹿にしやがって!」
(守る為の殺しはフグ田さんとの戦いでやめると決意した。
 だが明確な危機から野比達を守る為に、私は再び間違いを犯そう)
先生は全力で、向かってくるドラえもんを迎え撃った。

306のび太戦記〜殺しあう者達〜 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/24(水) 19:11:43 ID:q1D5nvES
【一日目/深夜/栃木@テラカオスバトルロワイアル】
【先生@ドラえもん@テラカオスバトルロワイアル 一周目】
[時期]:256話『二つの決意』の直後
[状態]:健康
[所持]:無し
[方針]基本方針:生徒達、特にのび太を守る
1:ドラえもんを破壊する

【ドラえもん@ニコニコ動画バトルロワイアル】
[時期]:17話『削除下克上』で日吉若に殺された後
[状態]:激怒
[所持]:不明@不明
[方針]基本方針:のび太を殺す
1:先生を殺す


【キメラの翼@ジャンプキャラ・バトルロワイアル】
先生@ドラえもん@テラカオスバトルロワイアル 一周目に支給される。
一度行ったことのある場所なら、行きたい場所を思い浮かべながら放るとその場所へ行ける。



★パロロワ一口メモ★
【ブルガルと名乗った男による殺し合い】

そんなロワは聞いた事がない人も多いと思うが、それもそのはず。
ぶっちゃけてしまうとキャプテンが立てたロワの一つ。
このキャプロワを潰す為に色々な書き手が才能の無駄遣いをしてくれた。
次々と死んでいく主人公達、そして惜しみないアイデアに当時は吹いたものである。
307今日のディアボロ ◆lYiZg.uHFE :2010/03/24(水) 19:12:44 ID:q1D5nvES
「どうやらまた気付かないうちに再起不能にされてしまったようだな」
帝王ディアボロは、いつのまに知らない場所にいるのをそう解釈したようだ。
もっとも、実際に気付かぬうちに艦首波動砲の巻き添えを食らって死んだので、間違ってはいないのだが。
【野比玉子症候群】で死にまくっている帝王は、もはや死も馴れたものである。
そんなこんなで仕切りなおしという事でデイパックの中身を調べ始めた。
どんなゴミアイテムでも命を救う鍵になるという事を、何度も挑戦した試練で充分に知っていたからだ。
「しかしここはアイテムが最初に確実に手に入るという点だけはあそこよりマシだな」
そう呟きながらデイパックを漁る帝王だが、取り出したものをみて硬直する。
「こ、これは……」
ディアボロが手にしているのは、それが入っていたものと同じデイパックだった。
無言でそのデイパックの中身を漁る。
その中から出てくるデイパック。
その中を漁る。
出るデイパック。
漁る。出る。漁る。出る。漁る。出る―――

そして何度繰り返してもデイパックしか出てこないので、
―――そのうちディアボロは漁るのをやめた。


【一日目/黎明/群馬@テラカオスバトルロワイアル】
【ディアボロ@テラカオスバトルロワイアル 三周目 死亡確認】
死因:歩き回ってたらアイテムも手に入らず誰とも会えずに餓死する。


【四次元デイパック@パロロワ全般】
ディアボロ@テラカオスバトルロワイアル 三周目に支給される。
マトリョーシカのように色んなロワの収納袋が詰まっている。
正直こんな物を支給されても困る。



★パロロワ一口メモ★
【野比玉子症候群】

テラカオスバトルロワイアルの象徴みたいなもの。
死んでも、またいつの間にかに復活して死ぬキャラはこれに罹っていると言える。
忘れられがちだが、最初のうちは復活するのにもきちんと理由付けがされていた。
308 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/24(水) 19:14:14 ID:q1D5nvES
なあなあ知ってるか、投下終了らしいぜ。
309神社Q ◆6LQfwU/9.M :2010/03/24(水) 19:56:18 ID:AXpUsjRY
森の中にある神社で溜息をつく妖怪。
「俺のスタート地点が神社なんて…皮肉か」
デイパックを逆さにし、支給品をその場に出す。
(食料、地図、それに…コインか)
コインをポケットに入れ、もう一つの支給品に手を伸ばす。
「…トンファーか」
おもむろに立ち上がり、賽銭箱にコインを入れる。
(神様、何かご利益くださいなっと)
…何処かから声が聞こえてくる…
『E-4行ってみろよ、いいもん落ちてるぜ』
「E-4…近くも遠くもない場所だが…行ってみるか」

「E-4…?何かあるのか?奴の後をついて行けば、それを奪えるかもな…」
妖怪が立ち去った少し後、物陰から姿をあらわす側近。
「そうはさせん」
その後から更に声が掛かる。
「だ、誰だ!?」
振り向こうと思ったが、指一本動かせない…!
(何で体が動かないんだ…!)
動けないでいる側近にゆっくりと近づく男。
そして、首筋にサバイバルナイフを押し当て…引いた。

「ふん、楽しみがいの無い男だ」
首からドクドクと血を流している側近の傍で呟くヨハン。
ヨハン・シュトラウス――この男は、元の世界で自分の『能力』を悪用し、大量殺人を犯したとんでもない男だ。
そのため、この男には殺人に対する恐怖も罪悪感も無い。
むしろ殺人に快感すら覚えている。
「最、高だ。人を殺した時のこの感覚、堪らない!最高だ!」
この男以外誰もいない神社に、ヨハンの高笑いが響いた…。
310神社Q ◆6LQfwU/9.M :2010/03/24(水) 19:57:01 ID:AXpUsjRY
【一日目・深夜/C-6:神社】
【ヨハン・シュトラウス@オリジナル・カオス】
[状態]:健康
[装備]:サバイバルナイフ@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、不明支給品(確認済み)、側近のデイパック
[思考・行動]
基本:能力を利用して、殺人を楽しむ。
1:あの男(妖怪)を追跡し、殺す。
2:もっと使える武器を探す。

【一日目・深夜/C-6】
【妖怪@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:トンファー@板対抗BR
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ゲームには乗りたくない。
1:E-4に向かい、「いいもの」を回収する。

【側近@板対抗BR 死亡】
死因:失血死

≪オリキャラ紹介≫
【名前】ヨハン・シュトラウス
【年齢】20代前半
【性別】男
【職業】殺人鬼
【性格】冷酷で残忍。殺人に対しての抵抗感は無い。
【身体的特徴】イギリス系の顔立ちに青い瞳。がっしりした体格。
【服装】Tシャツにジーンズ。
【趣味】お気に入りのナイフを眺めること、人を殺す事
【特殊能力】自分から半径3M以内にいる人間の動きを封じる。
【経歴】詳細不明。特殊部隊に所属していた記録はあるが…
【備考】これまでに殺した人数は軽く50人は超える。
311 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/24(水) 19:57:47 ID:AXpUsjRY
投下終了です。
超がつく程の危険人物に、参加者ははたして…
312創る名無しに見る名無し:2010/03/24(水) 23:03:01 ID:/piuyNYB
強武器は甘え、でも甘えていい>さすがスネークはすごいw
◆Right//mkoは油断しなければな……南無

肉の宴>シリウスが某阿部さんと被って仕方ないwアッー
本当に変態だらけだなwwwいいぞもっとやれwwwww

思いよ届け>よさげな支給品当たったなあ。
便利そうだからこそ逆に死亡フラグになりそうで怖いけど……

求めの技を、見せちゃう♪>感想ありがとうございます。励みになります。
マジ恋未把握ですが、普段は策士キャラなのに冒頭で超熱血する大和に吹いたwこういうキャラ好きだから生き延びてほしいぜw
そしてレッドアイのビジュアルが想像するだけでおぞましいwいいマーダーだ

のび太戦記〜殺しあう者達〜>全部ドラえもんのキャラなのに性格も精神状態も違う、これぞクロスロワの醍醐味ですね!
カオス読んでないけどなにこのドラえもん怖いwwwwそして先生かっけええええ!

今日のディアボロ>これはひどいwwwwwwディパック無限ループって怖い。
それに玉子症候群で済まされるところがもうねwwww笑いましたwwww

神社Q>超弩級危険人物来たな……妖怪逃げてー!
それにしても喋る神社すげえwww
313創る名無しに見る名無し:2010/03/24(水) 23:04:08 ID:/piuyNYB
うわあすみません、感想くれたのは ◆lYiZg.uHFE 氏でしたね、ミスりました……
314 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 13:13:39 ID:YRQBGodg
強武器は甘え、でも甘えていい>
スネークが格の差を見せつけたな。当たり武器だったし。◆Right//mkoは残念。

肉の宴>変態しかいねえwww

思いよ届け>探知機ゲット!やったね!いや本当に有利になるだろw

求めの技を、見せちゃう♪>大和あかん!そいつは便利なだけの奴じゃねーぞ!
レッドアイはあいかわらずマイペースだなぁ。

のび太戦記〜殺しあう者達〜>先生がカッコいいだと?

今日のディアボロ>よくあることですね、わかります。

神社Q>妖怪オワタwww

それでは文練ロワ17話、シン・アスカ、三千院ナギ、棗恭介、直枝理樹を投下します。
それなりに長いんでお暇な方は支援をしてくださると嬉しいです。
さるった場合はまた夜にでも続きを投下します。
315紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 13:15:05 ID:YRQBGodg
森。
木々が生い茂り、草木が地面にコーティングされているかのように一面に広がっている。
小鳥のさえずりはなく、聞こえるのは風で木の葉がゆれる音のみ。
普通の森にならいるはずの虫の鳴き声もなく、巷ではよく聞くひぐらしの鳴き声もない。

「ハヤテ〜、マリア〜。どこにいるのだ〜」

ツインテールにまとめた鮮やかな金髪、発育の悪い小さな体、
いや、貧相とでもいうのだろうか。胸を見ればわかるというもの。
そんな一人の小さな少女が森の中をとぼとぼと歩いていた。
三千院ナギ。とある大金持ちの一人娘である。

この暗闇の中で一人でいるこは怖い以外の何者でもないとナギは思う。
普段ならここまで怖がることもなく、虚勢を張ることも出来るのだが。
だが、場所が場所だ。今までのとは格が違う。

自分の執事でありナギの想い人である綾崎ハヤテ、メイドのマリアがいない。
いつもはそばにいる頼りになる二人がいないことはナギにとっては大きな不安となり纏わり付く。

「殺し合い?何だそれは?なぜ私が巻き込まれなきゃいかん!」

ふざけたゲームに強制的に参加させられることに憤りを隠しきれないナギ。
ナギの気持ちは正しい。誰だっていきなり殺し合いをしろと言われて不満に思わないはずがない。

「こんな暗いところで、一人は嫌だ……ハヤテ〜、マリア〜」

いくら学校を飛び級して高校に入っているとはいえまだ13歳。
この状況で平常心を保てる方が難しい。
なまじ、頭がいいだけにこの状況も理解でき、現実逃避をすることもできない。
かといって、怖くないかといえば嘘になる。

「誰かいないのか〜、誰か〜」

目には涙を溜め、いつもの勝気な顔は鳴りを潜めている。グスッと鼻をすすり、絶望に満ちた表情。
普段のナギを見ている人からすれば想像もつかない顔だ。
316紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 13:17:33 ID:YRQBGodg

「誰か〜……お願いだから、誰か〜」

何度も誰かいないか、と呼ぶナギの姿は見ていて痛ましい。
それにこの行為は逆に殺し合いに乗っている人を呼び出してしまう可能性もある。
ナギはそれにまだ気付いていないがとても危険だ。

「無理だ……こんな暗い場所で一人は無理だ。それになぜスタート地点がこんな森なんだ!
 せめて、遊艶地とかデパートにすればいいものを……!
 おい、主催者不公平だぞ!せめて……街中がよかったぞ……」

デバイスの地図を見る限りに、この島には市街地がある。
他にも西洋風の街に廃村。森の中に飛ばされるよりはましだ、と言わんばかりにナギはここには居もしない主催者に抗議の言葉を放つ。
届くはずもない言葉――ナギもそれぐらいはわかっているのだが言わずにかいられなかったのだろう。

「ここまで私が願っているのに誰も現れないとは………」

目尻に溜まった涙が一滴ナギの頬を落ちる。これ以上は限界だと言っているかのように。
実際のところもう許容範囲を超えて、ナギの心は悲鳴を上げていた。

「すまない、すこしいいか?」
「うおっ!!だ、誰だ!」

ナギの後ろから出てきたのはブレザーの制服を着た茶髪の青年。
腰に差している太刀がナギの恐怖を煽る。
こんな人に後ろから声をかけられれば驚いて逃げてしまうかもしれない。

「驚かしてしまったようだな、すまない」

だが、すぐにフォローするこの礼儀の良さを見るとこの人は悪くないと印象に受ける。
ナギもそれを受けて、目の前の人が自分に危害を加えるのに現れたのではないと悟った。

「全く!いきなり後ろからは驚くじゃないか!まぁ……謝ってくれたからいいが」
「ははっ、悪かった。俺も配慮が足りていなかったらしい。精進しないとな」

頬を膨らましてプンスカと怒るナギに冷静な対応をする青年。
317紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 13:22:14 ID:YRQBGodg
爽やかな受け答えから青年が大人びていることがよくわかる。

「俺の名前は棗恭介。恭介で構わない。君は?」
「私は三千院ナギだ。私もナギでいいぞ!」

自己紹介から始まり、お互いの知り合い、お互いが初めて会った人だということなどを交換していく。
終始リラックスした空気で情報交換は行われていた。

「なんにせよ、恭介がいれば安心だな。さぁ行くぞ、こんなゲームに乗る奴を倒しに!」

人と出会えて少し前まで消沈していたナギはもうどこにもない。
いつも通りの勝気な顔を取り戻している。

(最初に会った奴が恭介でよかった。待っていてくれハヤテ、マリア。
 私は大丈夫だから。信頼できる人に会える平気だから。
だから……無事で生きていてくれ。今、探しに行く……)

最初に会った参加者が恭介みたいな頼りになる青年であったことからナギは浮かれていた。
傍目から見てもはっきりわかるぐらいに。頬は緩み、目に貯めていた涙はもうない。
318紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 13:24:53 ID:YRQBGodg

「その必要はない。だってさ――」

それ故にナギは気付かなかった。恭介の眼が変わったことに。
優しさが秘められた眼がどす黒い光に染められた瞬間を。

「ナギ、お前は今すぐ死ぬんだからよ」
「え――」

瞬間。
恭介が腰にさしていた太刀を抜き放ち、横薙ぎに一閃振るう。
その様は疾風の如く。見事と呼べる一撃だった。
恭介によって振るわれた太刀はナギの腹に吸い込まれていき、肉を断ち、骨を砕く。
そのまま太刀は薙ぎ払われ、血が辺りに飛び散る。

「……っ……」

二人の間にあった和やかな空気が霧散し、今や血生臭い地獄のように成り果ててしまった。
恭介は無言でデイバッグからメモ用紙を取り出し、血で濡れた太刀を拭く。
その無表情に淡々と作業を行う恭介の姿は殺人人形のようだ。

「う――あ、ああ……」

数瞬遅れて呻き声が辺りに響いた。
太刀による一撃が浅かったのだろうか、ナギはまだ生きていた。
最も、声に出せないくらい痛いのか、ビクビク震えるだけでナギの口からは呻き声しかでない。
玉のような汗がナギの顔を伝う。鮮やかな金髪は腹からの出血で染まり赤と金が混ざり、
とある快楽殺人者である奇術師が見れば美しい、と称したであろう。

「い、――い。い、ぁ……た、い」

唸り声をあげながら悶え苦しむナギに依然と涼しい顔をする恭介。
両者の状態は歴然であり、ナギの死はもはや避けられない。
恭介は太刀を抜き今度こそナギの息の根を止めようと動く。

「止めだ……」

そして恭介がナギの前に立ち、太刀がナギの首にめがけて振り下ろされる……!
319紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 13:27:31 ID:YRQBGodg

「っ!」

いや、振り下ろされなかった。何かを予測したのか恭介は後ろに跳び、後退する。
その恭介が跳んだ瞬間、小さい“ナニカ”が風を切りながら恭介がいた場所を切り裂いた。
そして、その小さい“ナニカ”が再び恭介の首筋に向かう。

「させねえ!」

恭介は首筋に迫る“ナニカ”を手に持った太刀で弾き落とすが“ナニカ”は止まらない。
“ナニカ”は軌道を立て直し、太刀を持った右腕に迫るものの、見切ったのか安々と躱す。
いや、躱したかに見えた。

「ッ!……これはやられたな……」

いつの間にか恭介の右腕には大きな裂傷が刻まれていた。
恭介は初めに疑問に思った。確かに躱したはず、と。
なのになぜ自分の腕に裂傷がと考えたが即座に気づく。



“ナニカは二つ重なっていたのだ”



それが答えである。
恭介の右腕に近づく直前に“ナニカ”が分離し二重に恭介に襲ったのである。

二つの“ナニカ”は戻る。
森の奥から現れた青年の手に。

青年の身なりは珍しいものだった。
赤の軍服に身を包み、青年の両眼からは太陽が燃えるような怒りを感じる。

「その子から離れろ……!」

シン・アスカ――戦争に巻き込まれて家族を失い、軍人になった青年である。
320紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 13:30:32 ID:YRQBGodg



  ◇  ◇



時はシンがスタート地点に飛ばされた時間に遡る。

「畜生……畜生畜生畜生畜生畜生畜生ぉおぉおぉおおおお」!」

シンはこのゲームに大きな怒りを感じていた。
何の罪もない人をこんなゲームで弄ぶ主催者に。
そして、

「ちっくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

人を救うために軍人になったのに何もできなかった自分に。

「人一人救えなくて何が軍人だ!無様にも……程があるッ!!」

力があったはずなのに何もできない自分。助けようと動こうとしなかった自分。
涙を流しシンは嘆いた。

「まだだ……まだこの島には助けを求めている人がいるんだ。こんな戦いとは無縁の人の命が。
俺がここで悔やんでてどうする、他の奴等より戦いに慣れている俺が!
 一人でも多く救って、元の平和な日常に返してやるんだ!」

自分に救える限り、人を救おう、と。

「俺みたいに“血”で汚れている奴はいい、でもそんなのとは無縁の命はなくさせない!」

例え自分の命をかけてでも人を護ろう、と。

「そうだろ……ステラ」

かつてシンが救えなかった、愛していた存在、“ステラ・ルーシェ”を思い浮かべながら シンは誓った。
そしてシンは感傷にふけるのを止め、デイバックの中から名簿を取り出す。

「俺以外には……誰もいないか。レイがいれば心強かったんだけどな。
 仕方ないか、名簿には書かれてないんだ。俺一人しか……ここにはいない」

シンは乱暴に名簿の冊子を閉じデイバッグの中に投げ捨てる。
次に自分に何が支給品として配られたかをチェックする。
いくら軍人とはいえ丸腰では心許ない。せめてナイフぐらいは入っていて欲しいとシンは願った。

「これは……」

最初にデイバックの中から出てきてシンの手に握られているのは六角形の金属、核鉄。
使用者の本能に反応して武器へと変える超常の産物。
321紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 13:34:00 ID:YRQBGodg
武器としては当たりの部類に入る。

「モーターギア……自由自在に操れるチャクラムか。それなりに使えそうだな」

シンはモーターギアの核鉄をとりあえずしまい他には何かないかチェックする。

「銃は、ないか」

他にめぼしい物はなかったのか、デイバッグの中身を漁るのを止め、核鉄だけを出して腰のベルトに捻じ込む。
さてこれからどこへ向かうかと考えていたところにシンの耳に女の子の声が聞こえた。

「誰かの声が聞こえる。行ってみるか」

シンは耳を澄まし、声の震源地の方向へ向かう。
向かった先で見たものは。
恭介がナギを斬りつけた光景だった。

「……!武装錬金!」

シンの言葉を受けて核鉄が二つのチャクラム――モーターギアに変わる。
そしてモーターギアを“二枚重ね”にして射出する。

――明らかにあの男は乗っている。シンは即座に恭介の黒い情念に気づいた。

シンの“二枚重ね”の小細工の結果、恭介は一度目は躱すが二度目は躱せなかった。
直前で二つに分けてモーターギアを動かしたためである。

「その子から離れろ……!」

シンは警告として一度だけ言葉を恭介にかけるが、恭介に降参の気配はない。むしろ徹底抗戦する構えにも見える。

「二度は言わないッ!」

シンは手に持ったモーターギアを飛ばす。
322紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 13:37:24 ID:YRQBGodg
二つのモーターギアが空中を縦横無尽に翔け、恭介を斬り殺そうと迫る。

「同じ手は……通用しねえ!」

恭介は右から勢いよく迫るチャクラムを太刀で弾き、正面から来るのはしゃがんで躱す。
そして勢いよく立ち上がりシンに迫る。

「死になぁ!」
「そんな程度で!俺を殺せると思うなぁああああ!」

シンは片方のモーターギアを高速で手に戻し恭介の太刀による一撃を受ける。
そして、一方のモーターギアを恭介の背後から飛ばす。

「これで!」

シンは背後からの攻撃は躱せない、そのまま恭介の背中に突き刺さると考えていた。
だが恭介は予測していたのか身体を90度回転させながらシンの背後に回り込む。

「このままだとお前が受けることになるぜ!」
「ッ!」

シンは直前まで迫ったチャクラムを横に跳ぶことで躱し、恭介もシンと反対側に跳ぶことでチャクラムを避ける。
再び、シンは両手にチャクラムを身につけて恭介に迫る。
恭介も手に持った太刀で応戦する。
キンキンキンと連続した金属音が森に鳴り響く。

「大人しく、倒れろッ!」

シンの下段からすくい上げるようなパンチを恭介は太刀を斜めに構えることで受け流す。
シンの拳を流した勢いで恭介は太刀でシンの額に一直線で突きを放つ。

「モーターギア!」
「またかよっ!厄介な武器だな、おい!」

シンは両手のモーターギアを外し、迫る太刀にぶつからせる。
323紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 13:40:00 ID:YRQBGodg
それによって太刀の軌道がずれ、シンは間一髪で太刀による一撃を躱す。

再び金属音が鳴り響く。何分続いただろうか、それとも何秒?それはもはや当人たちも分からない。
命をかけた戦いにそんなのを気にする余裕などない。

「どうした、勢いがなくなってきてるぞ!」
「はっ、お前の方こそ!そんな程度で俺を殺れると思うなッ!」

恭介の息が上がってきた。
一方のシンはまだまだ余裕だと言わんばかりに容赦なく恭介の隙を攻め立てる。
恭介はただの学生だ。
軍人であるシンとは地力と格が違う。
段々と、恭介の身体には裂傷が生まれ、動きも鈍くなっていく。
時に弾き、時に受け、時に流す。それもおろそかになりつつある。

「これで、終いにしようか」

シンは後ろに下がり、少し距離をとる。
そこからロケットのように加速しながら恭介に迫る。
だが、恭介に慌てた様子はない。むしろ、余裕にも見える。
その自信は何か。その自信の出所はすぐにわかった。

「かかったな」

ニヤリ、と恭介は笑った。シンは不可解な表情をするがもう遅い。
シンは大きな木の幹につっかかりドテンと音を立てながら転んでしまった。
恭介の狙いはシンをここにおびき寄せることだった。
疲れた振りをして、シンを油断させる。そして、木の幹が多いこの場所にうまく誘導させ、転ばせる。
結局はシンの油断が隙となり、木の幹に引っ掛かり転んでしまうハメになったのである。

「終わるのはお前だよ」

恭介は今までその力をどこに隠していたんだと言いたいぐらいに俊敏にシンに迫り太刀を振り上げる!

(モーターギア!駄目だ!転んだときに落としてしまった。操るよりあいつの刀が俺を裂く方が早い!
 俺は終わるのか?こんな所で?)
324創る名無しに見る名無し:2010/03/25(木) 13:49:02 ID:TiRX/zYE
リアルタイムに出会ったので支援
325紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 14:19:01 ID:YRQBGodg

考えても考えてもこの窮地を抜ける方法は思い付かない。
シンはそれでも最期の一瞬まで考える。生き抜くための手段を。
でも思い付かない。完全に手詰まりだった。

(畜生!まだだ!まだ!)

刃がシンの頭上に迫る。シンは思わず目を閉じ、これから自分の身に起こるスプラッタな惨劇から目を背ける。
奇跡でも起こらない限りシンは死ぬ。



そう。



“奇跡でも起こらない限り”



トスッ。
何かが刺さる音がシンの耳に入った。
そして、何時までも太刀による斬撃がこないことを訝しみ、目を開けると。

「がっ!っゥう!」
「外れた、か」

恭介が肩を抑えて呻き、ナギが後ろで不敵に笑っていた。
シンにとっては驚きである。ナギはもう死んでいると思っていたからだ。

「んだよ……!それはっ!」
「ス、ペツナ、ズナ、イフ。刃を飛ばす事ができる代物ら、しいな」

ナギが途切れ途切れに言葉を発する。
326紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 14:19:46 ID:YRQBGodg
恭介は舌打ちをして肩に刺さったナイフの刃を無理やり取り出す。

「分が悪い。ここは退散させてもらうぜ!」

恭介は捨て台詞を言い残し、この場からの退却をしようとシン達と反対の方向へ走り出す。

「待て!」
「待てと言われて待つ奴がいるか!それよりいいのか?
 あいつ、相当弱ってるぜ!」
「くそ……!」

シンは恭介を追いたいが追えない。ナギがいるためだ。
このまま、ナギを放っておけば確実に死んでしまう。
故に、シンは恭介を追うのを止め、ナギの方へ走る。

「おい、傷口を見せろ!応急手当をするから、早く!」

シンがそう言いながらナギの元へ駆けるがすでに遅し。
ナギは立っていることが辛いのかその場にバタンと倒れてしまった。

「まだだ!血を止めればまだ!」
「もう……いい。わ、たしは、手遅れだ」
「そんなこと言うな!俺は……今まで人を救えなかった!!
マユの時も!!!ステラの時も!!!!だから今度こそ助けるんだ!
諦めるな!」

涙をぼろぼろと流し急いでナギの出血を止めようとするシン。
そんなシンにナギは優しく微笑み、シンの震えた手をしっかりとした強さで握る。

「だから、気に、する、な。私はゴホッゴホッ……
お、まえが助、けに来て、くれた、だ、け、でもう満、足だ。
後な、お、願い、が、ある。聞い、て、くれ、ない、か」
「何でも聞くから!何でも!!だから死ぬなよ……」

泣きじゃくるシンをあやし、包み込むように、ナギは喋る。
327創る名無しに見る名無し:2010/03/25(木) 14:19:49 ID:TiRX/zYE
しえんー
328紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 14:22:03 ID:YRQBGodg
「伝言を、つた、え、て欲、しい。わ、たし、の名、前は、三千院ナギっ……
マリ、アに、は、いままで……ありがとう、そして御免って」
「そんなの、自分で伝えてくれよっ!なぁ!」
「ハヤテには――――」
「わかったから、必ず、必ず伝えるから!だから!」
「ぁぁ――シンみたいないい奴だったら……安心して、任せら、れる」

ナギの目が閉じていく。死がナギを包み込んでいく。

「ありがとう――――シン」

ゴトリとナギの手が地に落ち、命が消えた。
ナギの目はもう二度と開かない。ナギの口からは何も言葉を発さない。

「ああ、ぁ、ああ、ああああああああああああああああああ!!!!!
 ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

そして一人の男の慟哭が森に響いた。




【三千院ナギ@ハヤテのごとく!死亡】




【F-1南部/一日目・黎明】
【シン・アスカ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY】
【状態】疲労(中)、精神疲労(大)
【装備】モーターギア@武装錬金
【持ち物】支給品一式、不明支給品1〜2(重火器はない)
【思考】
0.――――――
1.自分の命をかけてでも人を救う。
2.ハヤテとマリアに伝言を伝える。
※参戦時期は少なくともアスラン撃墜後です。
※近くにナギのデイバッグ、遺体、不明支給品0〜2、スペツナズナイフの柄が落ちています。
329紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 14:25:19 ID:YRQBGodg

【モーターギア@武装錬金】
中村剛太の武装錬金。2つで1セットのチャクラム。
特性は生体電流を充電し、速度・角度・回転数を事前にインプットしての射出。
攻撃力は全武装錬金中でも最低クラスだが、創造主の使用法一つで戦術の幅は大きく広がる。
またチャクラムを装着することも出来、両拳に装着することでのナックルダスターモード、
足首に装着することでのスカイウォーカーモード、
足裏に装着することでのマリンダイバーモードなどに応用することが出来る。
制限により切れ味が幾らか鈍くなっている。

【スペツナズナイフ】
見た目は円筒形をしており、グリップ部とシース部に分けられる。
シースは金属製で、装着したままでも警棒のように使用できる。
グリップ内部に30cmほどの強力なスプリングを備えており、鍔の位置に配置されたレバーを押すことで刀身を前方に射出することができる。有効射程は10m前後。
周囲に気付かれぬよう離れた標的を倒したり、近接戦闘時の奇襲として有効な武器と考えられている。



  ◇  ◇



俺は走る。あいつらから逃げるために。
あの状況であの軍服の奴と戦うのは無謀にも等しい。
それに、手痛い反撃をくらって戦闘の続行が厳しいのもあるがな。

「はぁ……まさかこんな序盤からしくっちまうとはな。情けねえ」

止血はしたもののナイフが刺さっていた肩は焼けるように痛い。
あのチャクラムみたいな物に傷つけられた傷も決して浅くはない。
右腕の裂傷は特にひどい。あの軍服野郎、今度会ったらただじゃおかねえ。

「無様だな、たがが一回戦闘があっただけでここまでボロボロになるとはな」
330紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 14:27:58 ID:YRQBGodg

軍服野郎が強かったのもあるが、それにしてもあの時の自分は油断があったはずだ。
甘さがあったはずだ!
だから最初のナギを斬りつけた時も一撃で殺れなかった。
軍服野郎を追い詰めた時も早くナギに止めを刺さなかったからやられたようなものだ。
こんなんじゃ……理樹を護れない。

「鈴……お前はもう逝っちまったもんな」

あの開幕式での出来事は思い出したくもない。
自分の妹が殺される光景なんて!

「でも、まだ理樹は生きている……」

護らねえと。あいつはまだ弱い。鈴の死に耐えれるほど強くはない。
今頃はどこかの施設の隅で怯えているに違いない。

「皆、殺して、理樹だけは生かすんだ!」

真人も、謙吾も、三枝も。二木も。
誰が立ち塞がろうと全員叩き潰すだけだ。
それに。

本当に生きて帰れるのは今となっては理樹だけなんだ。
鈴は死んだんだ!もう……死んだんだ。
それに俺らが優勝したって意味がない。
俺らはもう死んでいるようなもんだから。

「とりあえず、どっか安心して休めるところに行かねえとな。こんな状態で戦えるわけねえよ」

どこで身体を休めようかと考えていた時、俺の視界に何かが映った。

「人影……」

誰だ?
あれは……
331紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 14:29:58 ID:YRQBGodg

「理樹!」

あの黒髪。そして俺と同じ制服。
理樹だ!

よかった、よかった、よかった!
こんな早くに会えて!今の俺はボロボロだけどそんなのどうでもいい。
理樹が無事だった、それだけで俺は十分だ。
痛い身体を無視して俺は走り出す。

「おい、理樹。無事でよかっ――」

あれ何で喋れないんだ?腹が痛いんだ?
どうして――――



俺は理樹に銃で撃たれたんだ?



パンっと軽い音が耳に入る。
ああ、俺撃たれてるんだなぁと人事のように思った。
俺は遅かったのか。理樹はもう狂ってしまったんだ、鈴が死んだことで。

畜生、理樹を護れないで。
兄貴分として失格だな。

謙吾。真人。三枝。
理樹を止めてやってくれ、後は頼むぞ。
本来は優しい奴なんだ。きっと、わかってくれるはずだ。

理樹。
人を殺すのはこれっきりにしてくれ。これ以上自分を傷つけるのはやめるんだ。
人殺しを許容した俺が言える立場じゃねえけどな。ははっ、言葉にしねえとわかんねえか。
332紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 14:32:24 ID:YRQBGodg
最後の力を振り絞って。
「り……き……や…………め」

パン。



  ◇  ◇



あはは、まずは一人殺した。
恭介の“ニセモノ”の始末。
そういえば、郷田の言ってたことを思い出して名簿を見たけどそこには僕以外の名前が五つあった。
恭介に真人、謙吾、葉留佳さん。風紀委員長である二木さんもなぜかいた。

まぁ僕のやることは変わらない。僕の邪魔をする人は全員殺すだけ。
それに“ニセモノ”の始末もしなくちゃ。
あの時、虚構世界を脱出しその後、僕はナルコレプシーを発症した。
病院で目覚めた後、僕は恭介達がバスの爆発により炎に包まれて死んだことを朧気ながらに覚えている。

“あの爆発で恭介達はもう死んだ”

ここにいるのは“ニセモノ”だ。きっとそうだ、そうに決まっている。
だって“ホンモノ”は死んだんだ、生き返るなんてありえないじゃないか。
だから別に殺してもいい。どうとも思わない。
むしろその“ニセモノ”が存在していることが腹立たしい。
“ホンモノ”が死んだのに何で生きてるの?ってね。

優勝を目指すのと同時に“ニセモノ”の始末もしなくちゃいけない。

待ってなよ、郷田真弓。この銃でぐちゃぐちゃのぎたぎたにしてあげる。
楽しみだなぁ、どんな顔で苦しんでくれんだろうなぁ。
きっと銃で撃たれたら悶え苦しんだ声で泣いて哀願するんだろう。

殺さないでくださいって。
333紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 14:35:54 ID:YRQBGodg

でもだめだめ!許されないことだよね、それは。
鈴のうけた痛みを何十倍にして返してやるんだから!

ふふっ、ははは。

「ははははっははっはあっははっはっははっっはあはははははは!」




【棗恭介@リトルバスターズ!死亡】




【G-1/1日目・深夜】
【直枝理樹@リトルバスターズ!】
[状態]:健康 、激しい怒りによる自制心と判断力の欠如、狂気の片鱗
[装備]:冥加@永遠のアセリア、S&W M60 チーフスペシャル(2/5)
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜4、予備弾50
[思考・状況]
基本:郷田真弓を殺す
1 郷田真弓を殺す。そのために優勝する
2 仇をとったら鈴が一人で悲しまないように死ぬ。
3“ニセモノ”の始末もする
※Refrain、虚構世界から一回目の脱出後からの参戦。
※名簿のリトルバスターズメンバーは全て“ニセモノ”と認識しています。
※近くに棗恭介の遺体が放置されています。

【冥加@永遠のアセリア】
永遠神剣の位は第六位。刀型の永遠神剣。

【S&W M60 チーフスペシャル】
ステンレス製のリボルバー。高威力の.357マグナム弾を使用できる。

紅く染まれ――愛/哀の傷跡
334紅く染まれ――愛/哀の傷跡 ◆5ddd1Yaifw :2010/03/25(木) 14:40:13 ID:YRQBGodg
投下終了。支援ありがとうございましたー。まさかここまで長くなるとは……。

抜け忘れ。328の最初にこれが追加されます。
「名前は……」
「えっ?」
「お前、の名前だ」
「シン……シン・アスカだ」
「そうかシン……伝言を、つた、え、て欲、しい。わ、たし、の名、前は、三千院ナギっ……
マリ、アに、は、いままで……ありがとう、そして御免って」

それと変更。懸けるのは論理、賭けるのは信用の緑葉樹の支給品に不明支給品0〜2を加えます。
335 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/25(木) 22:13:33 ID:UTvuiT9g
投下乙です。直枝理樹これからどうなるのか、
全く作品知らないけど期待です。
感想の人とても嬉しいですね、感想貰えると励みになります。
では自分も俺得ロワ17話「BAD POLICE RETURNS」
登場:鈴木正一郎、須牙襲禅
336BAD POLICE RETURNS ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/25(木) 22:17:24 ID:UTvuiT9g
17話 BAD POLICE RETURNS

俺、鈴木正一郎は夜の市街地を周囲を警戒しながら歩いていた。
手には支給武器であるかなり大きな刃を持ったナイフ、マチェットを装備し、
デイパックの中には基本支給品の他に、もう一つの支給品であるモルヒネアンプルが入っている。
添付されていた説明書によれば、モルヒネは鎮痛剤の役割を果たすらしいが、
使い過ぎると薬物中毒になる危険があるとの事なので可能であれば使いたくはない。

「ふぅ…殺し合いか」

気がついたら参加者全員で殺し合うという殺人ゲームのプレイヤーになっていた。
参加者名簿にはクラスメイトである銀鏖院水晶、ケトル、トマック、仲販遥の四人の名前。
俺の友人である松村友枝がいなかった事は幸いだった。

…いや、幸いという言い方もおかしいか。
だけどこの四人はクラスメイトではあるけど余り交流がない。
人づてに聞いたりして大体どんな奴なのかは把握してはいるけど。

さて、これからどうするか。この殺し合いから脱出する方法を探す事、これが肝要だ。
そのために俺と同じ考えを持つ仲間を集めて、まず首輪をどうにかしなければいけない。
クラスメイトも探そう。銀鏖院は微妙だけど。
殺し合いに乗っている奴には容赦するつもりはない。

だけど、無闇やたらに動き回るのもまずいよな。
しかも今は深夜だから暗闇から不意討ちされたりでもしたら敵わない。
相手が拳銃でも持っていたら尚更危険だ。
少し明るくなるまでどこかで身を潜めるとするか……。

ん? 前方から誰かが歩いてくるな。
どうやら狼族の獣人のようだ。警官っぽい服着てるけど、
日本警察の制服とは明らかにデザインが違うぞ。
でも多分、警官だろうな。制服の感じからしてそう思う。
声をかけようとした、その矢先――狼警官が右手に持った何かを俺に向けた。

パァン!

数瞬前俺の胴体があった場所を音速で弾丸が通り抜ける。
俺は咄嗟に横に跳び弾丸をかわしたが、この狼警官問答無用で発砲してくるとは。

「この距離で弾避けるかよ。中々良い神経してんな」

くつくつと笑いながら狼警官が言う。
警官が殺し合いに乗るとは世も末だ。いや、多分それ以前の問題だな。
337BAD POLICE RETURNS ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/25(木) 22:18:26 ID:UTvuiT9g
「いつまで避けられっかなオラァ!」

狼警官が手にした拳銃を乱射し始めた。
紙一重で何とか避けるが弾切れまで持つ自信がない。

くそ、こいつ、警官がどうのこうの言う以前に性格に問題があるみたいだ。
何とかしたいがこう乱射されては近付けない。
こっちが持っている武器は近接武器のマチェットだけだ。
拳銃が相手では分が悪い。

「ハハハハ! こりゃいいダンスだ」
「くそっ!」

俺は狼警官に背を向け、全速力で走り出した。
追撃されると思ったが、少し振り向いてみるとその様子はない。
しかし距離は取れるだけ取っておいた方がいいだろう。
適当な路地を右折し、俺は狼警官から逃走した。



「ゼェ…ゼェ…」

どれくらい走っただろうか、俺はいつの間にか住宅地に来ていた。
狼警官を撒く事には成功したが、あんな危険人物をどうにかできなかったのは残念だ。
銃相手に近接武器となると隙を突くか不意討ちしかないな。
こうなってくるとクラスメイトの動向が気になってくる。
できる事なら早めに合流したい所だが。

そうだ…確か元々はどこか身を潜められそうな場所を探していたんだった。
周りは一般的な民家が建ち並んでいるから、これのどこかに隠れよう。


◆◆◆


学生服姿の野郎が現れたから、ちっと遊んでやろうと思ったんだが、遊び過ぎたな逃がしちまった。
だけどそんなに細かく狙わないで撃ったとは言え近距離で拳銃弾避けるたぁ、
あのガキは何か戦闘訓練でも受けてたのか? 少し注意すべきだな。
ああ、名前聞くの忘れてたなそういや。

それにしても殺し合いとは酔狂だねぇ。
あのリリアって女は一体何者だ? まぁマトモな神経の持ち主じゃねぇって事は確かだ。
首に爆発する首輪つけて殺し合い強要するくらいだからな。
名簿を見たが知り合いはいなかった。真紀の奴がいたら色々使えたかもしれなかったが、
いないならいないでやりやすくていい。
支給武器も結構良い物貰ったしな。ブローニングハイパワー。悪くねぇ。
出会った奴から仕留めていこうかい。

「ククク、面白ぇ事になった」

普段中々人を撃てる機会がねぇからな。
ある意味、リリアさんには感謝するぜェ。
338BAD POLICE RETURNS ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/25(木) 22:30:06 ID:UTvuiT9g
【一日目深夜/F-7市街地:住宅街】

【鈴木正一郎@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的疲労(小)
[装備]:マチェット
[持物]:基本支給品一式、モルヒネアンプル(3)
[思考]:
0:殺し合いの転覆。
1:仲間を集める。同時進行でクラスメイトも探す。
2:殺し合いに乗っている者には容赦しない。
3:首輪を何とかしたい。
4:狼族の警官(須牙襲禅)に注意。
※本編開始前からの参戦です。
※須牙襲禅(名前は知らない)の容姿を記憶しました。


【一日目深夜/F-7市街地:ビル街】

【須牙襲禅@俺オリロワリピーター組】
[状態]:健康
[装備]:FNブローニングハイパワー(5/13)
[持物]:基本支給品一式、FNブローニングハイパワーのリロードマガジン(13×5)
[思考]:
0:殺し合いに乗る。人を撃ちたい。
1:銃はあってあり過ぎる事はないのでもっと欲しい。
2:学生服の少年(鈴木正一郎)に注意。
※俺オリロワ開始前からの参戦です。
※鈴木正一郎(名前は知らない)の容姿を記憶しました。



※F-7一帯に銃声が響きました。



≪支給品紹介≫
【マチェット】
主に農業や林業で用いられる大型の刃物。
鉈のように重量を利用して叩き切るといった用途に使う。

【モルヒネアンプル】
鎮痛剤。小さな注射器に液状のモルヒネが入れられており、
使用すれば痛みを和らげる事ができるが、依存性が強い麻薬の一種でもあるため、
過度の使用は危険。

【FNブローニングハイパワー】
天才銃工ジョン・ブローニングが晩年に設計し、
その死後FN社の技術陣によって1934年に完成した自動拳銃。
開発当時としては装弾数が13発と多かった事から「ハイパワー」と名付けられた。
339 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/25(木) 22:31:15 ID:UTvuiT9g
投下終了です。鈴木正一郎のキャラが違うかもしれない。
340 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/25(木) 22:47:50 ID:TiRX/zYE
紅く染まれ――愛/哀の傷跡>理樹と恭介が一緒な時点で嫌な予感はしてたがやっぱりか……
恭介は理樹を守るためにマーダーになったのに……皮肉だな。理樹も親友殺したらもう戻れないな……。
ナギは即死かと思ったら頑張った、いい仕事した。南無。シンはかなり応援したい、頑張れ主人公!

BAD POLICE RETURNS>一作目のロワの殺人狂また来ちゃったー!?この人?も大概ロワ充すなあwww
自作ロワ知らないんですが氏の作品見てると読んでみたいなあと思います。

その日の気分ロワ4話投下します。
341彼と彼女と彼女の事情 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/25(木) 22:55:09 ID:TiRX/zYE

「……レナ!魅音!沙都子!梨花ちゃん!詩音!……誰かいないか!?俺は前原圭一だ!誰か返事してくれ!」
草原を駆けまわる少年が、いた。
殺し合いの場で、大声で叫んで走り回るなんて自殺行為だ。彼もそのことは理解している。理解していても―――それでも、行動せずにはいられなかった。
自分のプライドが許さない。
自分の中の−−−正義感が許せない。

「俺は、殺し合いになんて、乗らない!首輪なんかに屈してたまるかよ!」
熱い少年の名前は、前原圭一。
雛見沢村で、奇跡を起こした少年だ。

何故、彼がここまで慌てているのか?
それは、少し前、―――圭一が気絶から目覚める前にさかのぼる。

あの、青い髪の男の頭が吹っ飛んだ豪勢な部屋。
圭一が目覚めてすぐ、あの男が言った『殺し合い』の言葉。
初めは夢でも見ているのだと思っていた。寝ぼけていたのだ。
しかし、あの男が知らない青年の首を飛ばしたことで、完全に目が覚めた。
首輪を爆発させたのだ。
しかも―――あの青髪の青年と男は知り合いだったように見えた。自分の知り合いを殺すなんて―――しばらくはショックで茫然としていた圭一だったが、
その後の主催者の『魔法』を見ながら、ふつふつと怒りを煮え滾らせていた。

―――ふざけるな。
―――自分の知り合いを殺した挙句。『魔法』なんてものの実験台にするなんて、どういう神経してやがる!

今すぐにでも殴りに行こうと思ったが、しかし自分も殺されるのではないか、そう思うと恐怖で動けなかった。そんな自分に苛立っていた。
歯噛みしながら、視線をわずかにそらしたその時。
(……あれは、魅音……?)
そこで、圭一は、魅音によく似た人物を見ていた気がしたのだ。
はっきりとそうか、と言われれば確信はない。しかし、別人だと完全に割り切れない程度には似ていた。
少なくとも圭一はあれを、魅音だと思った。
もしあれが魅音だったら―――魅音もこの殺し合いに巻き込まれている。
いや、自分がいて魅音もいるのなら、他のメンバーだってこの殺し合いにいる可能性は十分にある。
そう思うと、圭一は更に憤りを隠せず―――ここに連れてこられてすぐ、動かずにはいられなかった。
理性では危険だと分かっていても、止まってなどいられるはずもない。
それに、先ほどの部屋で何もできなかった無力感も同時にあったのだろう。

もし、自分が動かず、彼女たちも同じように首を爆発されたら―――
そう考えると、恐ろしかった。

だから、圭一は叫ぶ。
圭一は走る。
仲間を探すために―――

会えるかどうかのあてはない。
危険だと言う自覚はある。
それでも、前原圭一は、止まれなかった。


そして、彼は、一人の少女と出会った。
これは、彼が仲間を探そうとしなければ起こらなかった出来事であろう。

しかし、残念ながら彼女は圭一の言葉に応えたわけではなかった。

彼女は―――花畑の上にあおむけに倒れていたのだ。


342彼と彼女と彼女の事情 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/25(木) 22:56:36 ID:TiRX/zYE



それに圭一はすぐに気付いた。
「……君、大丈夫か!?」
このまま、彼女を放っておいてはいけない。
その使命感からか、圭一は、すぐさまその少女に駈けよった。

緑色の大きめなツインテール。
どこかのアイドルだと言われても差し支えのない特徴的な衣装と、愛らしい顔立ち。
圭一は知る由もないが、彼女の名前は初音ミクという、ボーカロイド―――電子の歌姫である。

まさか、もう殺されているのでは―――という最悪な想像が頭をよぎる。
慌てて脈をとる。……大丈夫、生きている。それだけでまずよかった。
怪我もないので、おそらくまだここに来てから目覚めていないだけだろう。
ほっと安堵の息を漏らす―――が、しかしこんなところで気絶したままでは殺し合いにのった人間に殺されてしまうかもしれない。こんなに開けた広野なら尚更だ。
すぐに彼女を覚醒させ、一緒にどこかに逃げるべきだ。
いくら仲間を探したいとは言え、眠っている女の子を無視していけるほど冷酷には到底なれない。
圭一はそう判断し、彼女を起こしにかかった。
頭を打っているかもしれないので、強く揺さぶることはせず、肩を優しく叩く。
「……ん……」
やがて、少女が声を漏らした。
「気がついたか……よかった。大丈夫か?」
ほっとし、優しい声で少女に声をかける圭一。
「……んー……えっと、えっと、ここは―――」
瞳をこすりながら体を起こす少女。
未だ覚醒しきれていない様子でぼんやりと空を見上げながら呟き、
「……ここは……っ!」
途端、少女の顔色が変わった。
現実を、思いだしたのだ。
みるみる顔面蒼白になり、がたがたと震えだす少女。
「……っ、いや、いや、……嫌あああああ!」
「お、落ち着いてくれ!ここは危険だ、今すぐ逃げよう!」
おそらく、彼女は自分が見えていない。
ただ、自分が殺し合いの場にいることを思いだして―――あの青年の首が飛ぶ瞬間を思いだして―――パニックを起こしているだけなのだ。
「……いや、いや、兄さん、兄さん、兄さんっ!」
しかし、少女に圭一の声は届かない。
「ここで叫ぶと危険だ、だから落ち着いて!」
兄さん、とは、もしかしてあの時死んだ青年のことだろうか?
となると、彼女とあの男は身内―――それならば、これほどにショックを受けても当然だろう。
わざわざ知り合いを見せしめにするなんて、と圭一は更に激しい怒りを抱くが、今は自分の感情より彼女が先決だ。
「落ち着けって!」
彼女の肩を引き寄せ、視線を合わせる。
びくんと肩を震わせる少女。初めて―――彼女は圭一の存在を認識した。愛らしい青色の瞳が大きく見開かれる。
「……い、いや、たすけっ」
「だから落ち着け!俺は殺し合いになんか乗っていない!本当だ!信じてくれ!」
「……や……あ……」
駄目か、圭一は舌打ちする。
兄が殺されたのだ、しばらくはショックで何も信じられない可能性もある。
でもそれでも、諦めない。
彼女が絶対に分かってくれると信じる。
諦めないことで―――今まで圭一は、『奇跡』を勝ち取ってきたのだから!

「……だから、君の名前を教えて」
圭一が、そこまで口にした時。

どこからともなく、甲高い銃声が響き―――
343彼と彼女と彼女の事情 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/25(木) 23:00:58 ID:TiRX/zYE
すみません>>342差し替えです。



それに圭一はすぐに気付いた。
「……君、大丈夫か!?」
このまま、彼女を放っておいてはいけない。
その使命感からか、圭一は、すぐさまその少女に駈けよった。

緑色の大きめなツインテール。
どこかのアイドルだと言われても差し支えのない特徴的な衣装と、愛らしい顔立ち。
圭一は知る由もないが、彼女の名前は初音ミクという、ボーカロイド―――電子の歌姫である。

まさか、もう殺されているのでは―――という最悪な想像が頭をよぎる。
慌てて脈をとる。……大丈夫、生きている。それだけでまずよかった。
怪我もないので、おそらくまだここに来てから目覚めていないだけだろう。
ほっと安堵の息を漏らす―――が、しかしこんなところで気絶したままでは殺し合いにのった人間に殺されてしまうかもしれない。こんなに開けた広野なら尚更だ。
すぐに彼女を覚醒させ、一緒にどこかに逃げるべきだ。
いくら仲間を探したいとは言え、眠っている女の子を無視していけるほど冷酷には到底なれない。
圭一はそう判断し、彼女を起こしにかかった。
頭を打っているかもしれないので、強く揺さぶることはせず、肩を優しく叩く。
「……ん……」
やがて、少女が声を漏らした。
「気がついたか……よかった。大丈夫か?」
ほっとし、優しい声で少女に声をかける圭一。
「……んー……えっと、えっと、ここは―――」
瞳をこすりながら体を起こす少女。
未だ覚醒しきれていない様子でぼんやりと空を見上げながら呟き、
「……ここは……っ!」
途端、少女の顔色が変わった。
現実を、思いだしたのだ。
みるみる顔面蒼白になり、がたがたと震えだす少女。
「……っ、いや、いや、……嫌あああああ!」
「お、落ち着いてくれ!ここは危険だ、今すぐ逃げよう!」
おそらく、彼女は自分が見えていない。
ただ、自分が殺し合いの場にいることを思いだして―――あの青年の首が飛ぶ瞬間を思いだして―――パニックを起こしているだけなのだ。
「……いや、いや、兄さん、兄さん、兄さんっ!」
しかし、少女に圭一の声は届かない。
「ここで叫ぶと危険だ、だから落ち着いて!」
兄さん、とは、もしかしてあの時死んだ青年のことだろうか?
となると、彼女とあの男は身内―――それならば、これほどにショックを受けても当然だろう。
わざわざ知り合いを見せしめにするなんて、と圭一は更に激しい怒りを抱くが、今は自分の感情より彼女が先決だ。
「落ち着けって!」
彼女の肩を引き寄せ、視線を合わせる。
びくんと肩を震わせる少女。初めて―――彼女は圭一の存在を認識した。愛らしい青色の瞳が大きく見開かれる。
「……い、いや、たすけっ」
「だから落ち着け!俺は殺し合いになんか乗っていない!本当だ!信じてくれ!」
「……や……あ……」
駄目か、圭一は舌打ちする。
兄が殺されたのだ、しばらくはショックで何も信じられない可能性もある。
でもそれでも、諦めない。
彼女が絶対に分かってくれると信じる。
諦めないことで―――今まで圭一は、『奇跡』を勝ち取ってきたのだから!
344彼と彼女と彼女の事情 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/25(木) 23:02:14 ID:TiRX/zYE

「聞いてくれ、俺が君を守るから!」
そう、力強く宣言する。
目の前の少女が、決して聞き逃すことのないように。
「だから、俺を、信じてくれ」
少女の瞳が、動く。
そして―――ゆっくりと、少女は頷いた。
よかった、分かってくれた。
それが、何より嬉しかった。
安堵のあまり胸をなでおろす。本当に、良かった。

「……だから、君の名前を教えて」
圭一が、そこまで口にした時。

どこからともなく、甲高い銃声が響き―――

それは、圭一の左胸を綺麗に貫いていた。

何が起こったのかも分からないまま、彼はそのままあっさりと―――絶命した。

彼は、数々の奇跡を起こしてきた。
それは、『魔女』にすら力を与え、歓喜させるほどに。
しかし残念ながら―――それが、殺し合いの場においては起こせなかった。

ただ、それだけの話だ。

【前原圭一@ひぐらしのなく頃に 死亡】



「……まず、一人」
霧島翔子は、ぽつりとそう呟き銃を下ろした。
かたかたと、右手が震えていた。

彼女は、あの場に集められた時、すぐに気付いた。
彼女は、自分の安否より、あの女の話より、知らない男の首が飛んだことより、ずっと一点を見つめていたのだ。
―――坂本雄二が、いる。

翔子は、ここに自分だけでなく、彼女の最愛の恋人―――否、『未来の夫』である雄二がいることを知っていた。見間違えるなど、学年一位の天才としても、恋する一人の乙女としてもありえなかった。
大切な雄二が。
雄二までもが、こんな殺し合いなんかに巻き込まれている。

―――生き残れるのは、たった一人。
―――まあ、最終的に2人生き残ったのなら、2人くらいなら生還させてやってもまあ、いいけどな。

そんな主催の言葉を聞いた翔子の答えは、1つだった。
早くこんなところから帰る―――もちろん、雄二と一緒に。
向こうに帰らなければ、彼と結婚することができないのだから。
「……他の人には悪いけど」
翔子とて、優等生であることとやや愛情が深すぎることを除いては、ただの高校生だ。人殺しなどしたことはないし、できればしたくはない。
今だって落ち着いているように見えるが、内心はかなり動揺しているしショックを受けている。
しかし、雄二と自分の将来のためには、多少の犠牲はやむをえない。……こんな状況ならば、尚更だ。
345彼と彼女と彼女の事情 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/25(木) 23:03:58 ID:TiRX/zYE

「……雄二を探す」
当面の目的は、何があっても彼を探すことだ。
雄二は喧嘩も強いし、そこらへんの男に負けるとは思えない。しかし、やはり万が一がありえないとも言い切れないし―――第一、他の女と一緒にいられても、嫌だ。
というより八割がた、『雄二が浮気していたら許さない』という感情だった。

「……ごめんなさい」
最後に、軽く少年へと頭を下げて。
翔子は、愛のために修羅になる道を歩み始めたのだった。

だから、翔子は気付いていない。
圭一がちょうど、覆い隠していたそのすぐ前に。

一人の、夢と現実をさまよう少女が生きていたことにも。

【霧島翔子@バカとテストと召喚獣】
【状態】健康、精神的ショック(小)
【所持品】金蔵の銃@うみねこのなく頃に、ディパック一式
【スタンス】マーダー(奉仕)
【基本方針】雄二を生き残らせるため人を殺す。本当は……
※参加時期は少なくとも3、5巻『俺と翔子と如月ハイランド』以降。

【金蔵の銃@うみねこのなく頃に】
六軒島の主、右代宮金蔵のコレクションの1つ。殺人事件が起こるたび、大人達が金蔵の書斎から持ち出してくる。デザインは高級そうで重量もありそうに見えるが、本編的におそらく女性でも難なく扱える。銃弾を食らいたい奴は前に出ろよおおおお!のあれ。



兄さんのことを思い出した。
あれは本当に夢だったの?
そう少しでも考えると怖くなって、私は思わず叫んでいた。
夢なのかと思ったのに怖いなんて変な話だけど―――自分でもなんで突然兄さんなんて言い出したのか分からなかったんだ。
本当に、これは夢なの?
そうだとしたらどうして、今私は怯えているの?
そうしたら、知らない黒髪の男の子が私に落ち着け、って言ってくれて。
救われた気分だった。ああ、この人は私を助けてくれる、って。
本当は、そう、私だって分かっていたんだ。
これが夢なんかじゃなくて―――現実だって。
兄さんの首が飛ばされたのを見たときは、夢だって思っていたけれど。
でも本当はあんな夢があるはずないって知っていた。
これは現実……認めたくないけど、現実だとしたら。
じゃあ、私はどうすればいいの?どうしたらいいの?
兄さんが死んだのに、私はどうすればいいのよ!
この男の子は、私にそれを教えてくれるのかな、と思って。
だから私は、彼の話を聞くことにして―――

そうしたら、おかしいの。
男の子が突然、頭から血を流して倒れちゃって。
……ゆすっても、何も言わなくなってしまった。
この男の子は、どうして寝ちゃったの?
………………死んじゃったの?
どうして?どうしてなの?どうしてどうしてどうして?
だって、兄さんも死んで、今度はこの子も?
私と会ったから?私と知り合ってしまったから?何それ、私のせいなの!?
346彼と彼女と彼女の事情 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/25(木) 23:05:05 ID:TiRX/zYE

そんなはずない。
そう思うのに、思うのに。
もう、―――何をすればいいのか、分からない。
私はこれから、どうすればいいの……?

今は、もう叫ぶ力もないや。
誰か、教えてくれるかなあ?
これから、私がどうすればいいのか。
ここがどこで―――何をすればいいのか、どうしたら救われるのか―――誰かに教えてほしい。
誰でもいい。リンちゃん、レン君、ルカさん、メイコ姉さん、……マスター。

「…………だれか、」
誰か、助けて。
私に教えて。
私がどうすればいいのか。

私を、助けて。

【初音ミク@VOCALOID】
【状態】健康、精神的ショック(大)、虚ろ
【所持品】???
【スタンス】???
【基本方針】私はどうすればいいの?誰か助けて……
347彼と彼女と彼女の事情 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/25(木) 23:06:58 ID:TiRX/zYE
投下終了。
パソコンの調子悪くて時間長く取っちゃいましたが。

感想書いてくださる方には本当に感謝しています、励みになります。
今回もまたあっさり死がひどいですが今後も投下していきますー。
348 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/25(木) 23:12:44 ID:rTwmqYI7
・自己満足ロワ2nd「神社Q」
半径3m以内の人間の動きを止める……強そうだが果たして遠距離の攻撃に太刀打ちできるか?
何にせよこいつには会いたくないぜ。

・文書練習ロワ「紅く染まれ――愛/哀の傷跡」
ナギよここでも早死にしたか、無念。恭介も軍人相手によくやるなぁ。
シンにはくじけずに頑張って欲しいぜ。っていうか理樹が狂ってしまった!
でも真人なら、真人ならなんとかしてくれるって信じてる!

・俺得ロワ「BAD POLICE RETURNS」
やっぱり須牙は今回も殺し合いに乗ったか。
鈴木、お前のクラスメイトは殺し合いに乗ってたり掘られたり死んだりと碌な現状じゃないが頑張れ。

・その日の気分ロワ
ああ、圭一が守ると言って立ち直らせた事が逆にミクに更なるショックを呼び寄せてしまった。
ミクが発狂しなければよいのだが。


では俺リピーターロワを投下します。
349『友達』 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/25(木) 23:13:45 ID:rTwmqYI7
【全自動卵割り機】は殺し合いが始まってからずっと、何をするでもなくただじっと動かずにいた。
支給された荷物を調べるでもなく、誰かを探すでもなく、恐怖に怯えるでもなく、何も考えずに。

喜んで全自動卵割り機を使ってくれていた波平は、殺し合いを始めるという暴挙を犯し。
優しい磯野家の面々も前の殺し合いで豹変してしまった。
そして、全自動卵割り機の唯一の友達であったタラちゃんは、殺し合いの中で命を落とした。

もう全自動卵割り機には頼れる人も大事な人も残ってはいない。
この広大な世界の中、一人きりで生きていくしかない。
だけどそんな事を簡単に受け入れられるほど全自動卵割り機の心は強くなかった。
初めての友達の喪失。
それは全自動卵割り機の心に大きな穴を開けた。
『タラチャン、僕はどうすればいいのかな』
タラちゃんが全自動卵割り機に生きて欲しいと願っていたなんてことは理解していた。
それでも、一人で生きていくというのは辛い事だった。
なまじ皆でいるという幸せを知っていたからこそ、孤独に耐えられそうに無かった。
『どうして僕もタラチャンと一緒に死ねなかったんだ』
段々と心がネガティブになっていき、全自動卵割り機は自身の頑丈な機械の体を呪うように呟く。
『どうしてタラチャンが死んだのに僕はまだ生きているんだろう』
やがてそんな事さえ思うようになり、自殺をする事を考え始めた時。

「そんな哀しい事言わないでよ!」

哀しそうな声が傍で聞こえた。
全自動卵割り機が声の方を見ると、栗色のポニーテール少女が顔を辛そうに歪めて立っていた。

「そんなの誰も望まないよ!そんな、自分のせいで友達が自殺するなんて望むわけが無いよ!」
少女プリシスは全自動卵割り機の自殺願望を聞き、
大切な友達の無人君が自分達を守る為に自爆したのを思い出す。
そして仲間のアシュトン・アンカースが、自分の為に殺し合いに乗った事も。
彼女のケースと全自動卵割り機のケースは違うかもしれない。
でも大切な人の為に間違いを犯そうとしている、という事には変わりが無い。
もし自分が死んだ時それに絶望した友達が自殺なんてしたら、
自分はきっと苦しみ、悲しみ、後悔する事だろう。
だからプリシスは止める。
全自動卵割り機にどんな悲劇があったのかは知らないけれど必死で止める。
『でも、僕はタラチャンを守れなかった。
 タラチャンは僕を友達と呼んでくれたのに、僕を守ろうとしてくれたのに』
「だったら尚更死ぬなんて駄目だって! 大切な人が死ぬ苦しみは分かってるんでしょ?
 あたしも友達が死んでとても辛かった……こんな気持ちを他の人に味合わせたら駄目だよ!」
どうしても無人君の最期を思い浮かべてしまうプリシスの目から涙が浮かんでくる。
『僕にはもう、僕の為に泣いてくれる人はいないから……。
 タラチャンは死んじゃったし、波平さんは僕たちを殺そうとしている』
全自動卵割り機を大事にしてくれる人達は確かにいた。
でも変わってしまった今となっては、
ただの道具の全自動卵割り機の為に泣いてくれるかは分からない。
「あたしが泣くよ! だからもう死ぬなんて言わないでよ……」
『……なんで君は今あったばかりの僕なんかの為にそこまでしてくれるの?』
それは当然の疑問だった。
殺し合いという状況の中、見ず知らずの人にそんな事を行ってもらえるなんて思わなかった。
350『友達』 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/25(木) 23:14:45 ID:rTwmqYI7
「……死んじゃったあたしの友達とさ、似てたんだ」
しんみりとした表情で、それでいて自慢げにプリシスは無人君の話をしていった。
「ずっと昔からの友達でさ、あたし達を守る為に自爆しちゃったんだけど。
 もし、あたしが先に死んでたら、無人君も自殺しちゃったのかなって……。
 そんなのあたしはぜーったいに嫌だからさ、そう思ったら、さ」
全自動卵割り機も、もし自分がタラちゃんより先に死んでいたらと考える。
タラちゃんが自分を追って自殺をするなんて耐えられないだろう。
自分はタラちゃんにそんな責め苦を味あわせようとしていたんだ。

それから二人は自分達の知り合いや境遇などを話し合った。
殺し合いに巻き込まれる前の事や、以前の殺し合いの事も。

『そう、プリシスも仲間が殺し合いに乗ってるんだ』
「全自動卵割り機も家族が殺し合いに乗ってるだけじゃなくて開いた人まで家族だったなんて」

二人はお互いの知り合いの暴挙を止めようと誓った。

『ありがとう、プリシスのお陰で生きる気力が出てきたよ』
「気にしないでよ、だってあたしたちもう友達じゃん!」
『とも……だち…………』
「そう、友達。一緒にいた時間なんて関係ないよ」
プリシスの言葉に全自動卵割り機は声を震わせる。
「あちゃ……やっぱ出会ってすぐだし、ちょっと図々しかったかな」
『ううん、そんな事無いよ。凄く嬉しかったよ!』

友達になるのに時間も性別も年齢も種族も関係ない。
ただお互いが友達だと認めたらそれは友達なのだ。
例え殺し合いの最中にだって友情は育める。
だが、そんな友情を壊すような殺人鬼は確実に存在する。
そんな事を知らないかのように二人は新たな友情を喜び合った。


【一日目/深夜/神奈川@テラカオスバトルロワイアル】
【プリシス・F・ノイマン@AAAキャラ・バトルロワイアル】
[時期]:121話『夢は終わらない(ただし悪夢)』でクレス達と揉めた後
[状態]:健康
[所持]:不明@不明
[方針]基本方針:首輪解除して主催撃破
1:クロード、ボーマン、アシュトンを止める

【全自動卵割り機@波平さんがバトルロワイヤルを主催するスレ】
[時期]:9話『孤独の円盤』でフグ田タラオが殺された後
[状態]:健康
[所持]:不明@不明
[方針]基本方針:プリシスについていく



★パロロワ一口メモ★
【全自動卵割り機】

波平ロワのカオスに拍車をかけている一員。
さりげなく名簿に混じってて吹いたと思ったら、普通に本編に登場する。
しかも普通に喋ってるし、普通に面白い。
さあ、みんなも波平ロワに興味が出てきたら、短いので読んでみよう!
351 ◆lYiZg.uHFE :2010/03/25(木) 23:15:58 ID:rTwmqYI7
投下終了です。
書いててふと思ったこと、全自動卵割り機は自力で動けるのだろうか……
352状況読めば勝利可能 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/25(木) 23:49:35 ID:XxgfSW6Y
「この状況…どうしたものかなあ」
駅のベンチに腰かけ呟く妖夢の中の人。
(さっきのことは…夢じゃないですよね)
頭の中に、首輪が爆破され死ぬ男の光景がフラッシュバックする。
その光景が今、より現実味を帯びてくる。
常に存在する死の危険。
その時。
駅の中に足音が響く。
(!…誰、だろう)
必然的に身構える。
「そこに誰かいるんだな?」
だが意外にも相手の方から言い寄ってくる。
「俺は…◆WYGPiuknm2と言う者だ。そっちは、ゲームに乗っているのか」
「そんな訳ないでしょう」
少し動揺しているのを悟られないように答える。
「そうか、じゃあ出てきてくれないか?」
「その前に、武器を持っているなら足元に置いて下さい。それを確認次第出ましょう」
少しの間。
「…いや、まだ武器出して無いんだが…」

「とりあえず、ゲームには乗ってないと言う事は分かりました」
駅事務所内に入り、武器をお互い出す。
「銃と…はずれ!?」
紙に大きく「はずれ」と書かれた紙を持って叫ぶ妖夢の人。
(はずれとは…まあ、もう一つがまともな物でよかったけれど)
「俺は…新聞紙と…火炎瓶…」
大きく溜息を付く◆WYGPiuknm2。
(火炎瓶、はともかく新聞紙て…適当すぎる)
「まあ、配られたモンで勝負するしか無いな…」
新聞紙を丸めてゴミ箱に投げ込む。
「よし、どこに向かおうか」
「そうですね…まず、病院に向かってみますか。人が集まりそうですし」
地図を出し、病院のあるエリアを指指す妖夢の人。
「3つのルートがあるな、橋を渡るか田園地帯を通るか電車を利用するか」
地図の冊子をめくり、「駅」の項目を開く。
―電車は30分に1本のペースでやって来ます、禁止エリアを通れる唯一の手段で…
「最後の記述が気になりますが、電車が来るのを待つより歩いた方が良さそうですね」
「ああ、電車に乗るとやっぱり音がな…徒歩の方が危険は少ないかもしれない」
353状況読めば勝利可能 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/25(木) 23:50:18 ID:XxgfSW6Y

駅を出て橋の方へ歩き出す2人。
(目指すは病院か…さて、どうなるかな)


【一日目・深夜/C-2:駅付近】
【妖夢の中の人@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:COP.357マグナム@現実
[所持品]:支給品一式、「はずれ」と書かれた紙@その他
[思考・行動]
基本:ゲームには乗らないけど、襲われたなら応戦する。
1:病院へ向かう。

【◆WYGPiuknm2@非リレー型BRを発表するスレ】
[状態]:健康
[装備]:火炎瓶@板対抗BR
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ゲームには乗らない。
1:病院へ向かう。
2:もうちょっといい武器が欲しいな
354 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/25(木) 23:50:58 ID:XxgfSW6Y
投下終了です
355 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/27(土) 02:53:05 ID:NY0VFK+0
>>351 細かい事気にしたらいかんよ

>>354 投下乙です。非リレー書き手初登場。楽しみ

投下します。俺得ロワ18話「ジャイアニズムの終焉」
登場:ドラゴナス、剛田武、ガルム
356ジャイアニズムの終焉 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/27(土) 02:54:37 ID:NY0VFK+0
18話 ジャイアニズムの終焉


エリアE-5の森の中。青い髪をツインテールに纏めた、
半竜人の美しい少女が一人歩いていた。
いや、厳密に言うと彼女は今でこそ女性の姿、肉体であるが、
実際は「彼」、雄の飛竜なのだ。

名前をドラゴナス。魔王軍四天王の一角にして相応の実力を誇るが、
天然かつ子煩悩な性格である。
現在の「彼女」は半竜人の、ほとんど全裸の少女の姿、「女体化」の姿だった。

「殺し合いか…とんでもない事になったなぁ。
アレックスやムシャとかもいるみたいだし、これからどうしようか」

最後の一人しか生きて帰る事はできないというバトルロワイアル。
自分以外にも敵対している勇者アレックスとその仲間数人、
そして大切な友人かつ仲間である、自分と同じ四天王のムシャ、死神五世。
魔王軍のモンスターのデスシープがこの殺し合いに参加させられている事実に、ドラゴナスは溜息をつく。
溜息の理由はそれだけではない。


「技とか全部使えなくなってるなんて…ねーよ。
っていうか何で女体化してんの俺。戻れないし」

主催者であるリリア・ミスティーズが言っていた通り、魔法や特殊能力の類が全く使えない。
発動しようとしても何か見えない力に阻まれてしまう。
爪や牙を使った格闘系の技なら使えるようだが。
こうなると「もしもの力」や、アレックスが使っているような復活系魔法も駄目であろう。
今までは死んだりしても魔法やギャグ補正などで復活できたが、今回はそれもできないようだ。
それに、女体化したままで元の飛竜の姿に戻る事もできない。
翼は健在なので空を飛ぶ事はできるし筋力もそのままなので特に困る事はないが、
恐らくこれも主催側の工作によるものだろうとドラゴナスは考える。

ドラゴナスの右手には黒塗りの刃を持ったコンバットナイフが握られている。
これと、デイパックの中に入っている一升瓶に入った焼酎が彼女の支給品だった。
ドラゴナス自身は殺し合いに乗る気はなかったが、
襲われた時のために身を守る武器は欲しかったのでナイフは嬉しく感じていた。

ガサガサッ。

「! 誰かいるのか?」

茂みから物音が聞こえ、ドラゴナスが物音のした方向を向く。
明らかに人の気配を感じ、奥にいるであろう人物に声をかけてみる。
357ジャイアニズムの終焉 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/27(土) 02:56:05 ID:NY0VFK+0
「誰かいるなら出てきてくれ。俺は殺し合いには乗っていない」
「……」

茂みをかき分けて出てきたのは、がっしりとした体型の少年だった。
少年は警戒している様子でドラゴナスの方を見ながら口を開く。

「ほ、本当に殺し合いに乗ってないのか?」
「ああ。乗ってないよ。安心しろ」

とりあえず少年を安心させようとするドラゴナス。
その甲斐あってか少年は警戒を解き表情を柔らかくした。
そして互いに自己紹介を始める。

「俺はドラゴナスってんだ」
「俺は剛田武、ジャイアンって呼ばれてるぜ」
「ジャイアンね。まあよろしく――」

握手でもしようとドラゴナスが手を差し出そうとしたその時、背後から殺気を感じた。
次の瞬間、ドラゴナスは上空に飛び立っていた。そして。

ダダダダダダダダダッ!

「がっ、う、ぐがっ、あが、がっ、がっ」

機関銃の銃声と共に剛田武少年が奇妙なダンスを踊り始めた。
身体中に小さな穴が空き鮮血を噴き出し剛田武は強制的に踊り続ける。
そして銃声が止み、計32発の9oパラベラム弾を全身まんべんなく受けた剛田武は、
ただの大きな血肉の塊と化し、地面に崩れ落ち血溜まりを作って二度と動かなかった。

「チッ…一人逃がしたか」

銃口から煙を噴く短機関銃、IMIウージーを携えながら、
頭に迷彩模様のバンダナを巻いた紫色の毛皮を持った獣足の犬獣人が現れる。

「まぁいい、一人仕留められたからな」

空になったウージーのマガジンを交換しながら犬獣人――ガルムはニヤリと笑う。
彼は異世界ヴァルハラの帝国軍に所属するデビルであった。
とあるダムの守備に当たっていたのだが、デビルチルドレンの手によって倒され、
魂を封印された――はずだったが、気がつけばこの殺し合いに参加させられていた。
射殺した少年の荷物を漁り、中からリボルバー拳銃、コルト トルーパーとその予備弾、
更に水と食糧を取り出し、自分のデイパックの中に押し込む。

「見た事ない武器だが、中々使えるじゃないか」

そう言いながらガルムは手にしたウージーを眺める。
彼の世界、ヴァルハラに銃器の類は存在しないのだが添付されていた説明書を読み、
おおよその扱い方は理解した。
358ジャイアニズムの終焉 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/27(土) 02:57:30 ID:NY0VFK+0
「デビルチルドレンの二人と時の塔の巫女もいるようだ…。
丁度いい、今度こそ仕留めてやろう、ククク、フハハハ」

笑い声を上げながらガルムは移動を始めた。



上空では難を逃れたドラゴナスがどこへ行くともなく翼を羽ばたかせていた。

「危ない所だった…だけど…」

ドラゴナスの心に罪悪感と後悔の念が浮かぶ。
会ったばかりとは言え、剛田武と名乗った少年を見殺しにしてしまった。
先程の音は機関銃、剛田少年は蜂の巣にされてしまったと見て間違いないだろう。
なぜ少年を連れて逃げる事ができなかったのか、
咄嗟の事だったので仕方ない、と言えばそうかもしれないが、
それでも助けられたかもしれないのに、助けなかったのは事実だ。

「……」

胸を締め付けられるような思いを感じながら、
ドラゴナスは空を飛び続けた。



【剛田武@ドラえもん   死亡確認】
【残り41人】




【一日目深夜/会場上空(E-5周辺)】

【ドラゴナス@VIPRPG】
[状態]:健康、女体化、飛行中、罪悪感
[装備]:コンバットナイフ
[持物]:基本支給品一式、焼酎
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。首輪の解除。
1:魔王軍の仲間を探す。
2:アレックスとその仲間に会ったらその場その場で対応。
3:襲われたら戦う。
4:どこへ行こうか。
※どこへ向かっているかは不明です。
※能力に制限がかかっている事に気づきました。
※女体化から元に戻れません。
359ジャイアニズムの終焉 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/27(土) 02:58:32 ID:NY0VFK+0
【一日目深夜/E-5森】

【ガルム@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康
[装備]:IMIウージー(32/32)
[持物]:基本支給品一式、IMIウージーのリロードマガジン(32×9)、
コルト トルーパー(6/6)、.357マグナム弾(30)、剛田武の水と食糧
[思考]:
0:殺し合いに乗る。
1:デビルチルドレン(ジン、アキラ)と時の塔の巫女(亜美)は見つけたら必ず殺す。
2:目についた他参加者を殺していく。
※参戦時期はアニメ7話で封印された後です。



※E-5一帯に銃声が響きました。
※E-5森に剛田武の死体とデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)が放置されています。



≪支給品紹介≫
【コンバットナイフ】
戦闘用ナイフ。頑丈な作りで切れ味も鋭い。

【焼酎】
一升瓶に入った焼酎。ラベルが貼られていないので銘柄は不明だが、
安物らしく飲むと悪酔いする可能性有。

【IMIウージー】
1951年に開発された堅牢な短機関銃。
部品の多くがプレス加工を多用して生産性を高めると共に、
分解・整備が容易なよう設計されている。
金属製の折り畳みストック付き。
使用弾薬:9o×19弾 装弾数:32発

【コルト トルーパー】
1953年に開発されたコルト社発の.357マグナムリボルバー。
同じ357マグナムの傑作リボルバー・パイソンが登場したことで、
やや影の薄い存在となってしまった。
使用弾薬:.357マグナム弾 装弾数:6発
360 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/27(土) 03:00:10 ID:NY0VFK+0
投下終了です。アニメのデビチルライト&ダーク知ってる人いるかな?
自分は大好きだったけどネット上では酷評されててちょっと悲しい
361 ◆mO323oVvaQ :2010/03/27(土) 14:16:30 ID:Quz2s7CR
道化師と少女ロワ第六話を投下します。
題名は「少年よ、大志を抱け」
で、登場キャラは野比のび太、古手梨花、賢木隼一郎です。
362 ◆mO323oVvaQ :2010/03/27(土) 14:30:51 ID:Quz2s7CR
「この世界は、もう終わったようなものね……。」
一人少女は呟く。
その表情には、外見とはとても相容れない諦めの色が浮かんでいた。
少女の名前は、古手梨花。
一見普通の少女、………いや、むしろその小柄な体躯から「少女」と呼べるのかも疑わしいが、
彼女に背負わされた十字架は、とてつもなく重いものだった。
――――――――――――――昭和58年六月。
そこで梨花は「必ず死ぬ」。何者かの強い意志によって、殺される。その度、彼女が親よりも一緒にいた存在、羽入に生き返らせてもらっていたのだ。
だがここでは、羽入の気配が感じられない。
こんな殺し合いの最中、優勝しようという「強い意志」は無数に在る。
つまり、梨花が殺される危険性は非常に高くなる。
それが梨花の諦めの理由であった。
そして、梨花の最も危惧していた事態が訪れてしまう。
潜伏していた映画館のドアが開き、男が入ってきたのだから。
憎しみと殺意を瞳にありありと浮かばせ、片手にチェーンソーを持って。
363 ◆mO323oVvaQ :2010/03/27(土) 14:47:42 ID:Quz2s7CR
「そこか」
男は相当場慣れしているようであった。
梨花は最低限に気配を消していたが、すぐに気づかれてしまう。
「………ガキに本気になるのは好きじゃねえがな。……なぁに、心配するな。一瞬だ」
バッグに手を入れ、中のナイフを取り出す。
しかし、梨花の持つナイフは小型で柄も小さく、とても武器にはできなかった。
ましてや、チェーンソーの相手などできる代物ではとてもなかった。
「貴方の、目的は……?」
冷静に問う。男、賢木隼一郎は静かに、冷淡に言い放つ。
「…………ある人間の、蘇生だ。」
それだけ聞けばいいという表情で賢木はチェーンソーを振り上げる。
梨花は永遠の死を覚悟して、目をゆっくりと、瞑った……
その時。
「危なぁぁあああああああい!!!!」
一人の少年が飛び込んできた。
丸眼鏡に黄色い服、手には「電光丸」と書かれた棒が握られていた。
「何だ、オマエは…。黙っていれば、逃げられていたものを…。」
賢木はまったく動じず、只チェーンソーで突撃する。
「僕の名前は!!」
少年も電光丸で突撃する。両者の目には、殺意と覚悟、相反する感情が浮かんでいる。
電光丸が賢木の左腕を捉えた。
「野比、のび太だよ」
「チッ」
賢木は大してダメージを受けていないようだ。
「だがな、お前等は確実に俺が殺す。それまで生き延びているといいぜ」
賢木はゆっくりと映画館から出て行く。
「待っていろよ…三重子」
そう、呟いて。
「あ、ありがとうなのですよ。ボクは古手梨花なのです。」
「大丈夫だったみたいだね。僕はのび太。電光丸は特殊だから助かったよ」
二人はひとまず映画館を出ることにした。
ここに、古手梨花と野比のび太の物語が始まったのであった。

【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康、対主催
[装備]:果物ナイフ
[所持品]:支給品一式、懐中電灯
[思考]:
0:主催者を倒す。
1:対主催の同志を探す。
※死んでも羽入の力は使えません。
※のび太を信頼しています。

364 ◆mO323oVvaQ :2010/03/27(土) 14:53:57 ID:Quz2s7CR
【賢木隼一郎@おおかみかくし】
[状態]:左肩にダメージ(極小)、激しい殺意
[装備]:チェーンソー
[持物]:支給品一式、クナイ@忍者モノ漫画
[思考]:
0:ゲームに優勝して、三重子を生き返らせる。
1:のび太と梨花は必ず殺す。
※相当場慣れしています。
※梨花の名前は知りません。

【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:健康、対主催
[装備]:電光丸@ドラえもん
[持物]:支給品一式、催涙スプレー
[思考]:
0:殺し合いを止める。
1:対主催の人間を探す。
※電光丸の使い方、効果は知ってます。
365 ◆mO323oVvaQ :2010/03/27(土) 14:56:00 ID:Quz2s7CR
投下しゅーりょーです
366 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/27(土) 23:09:15 ID:LLcyoU9l
『友達』>はじめは出落ちかと思って吹いたけど意外にシリアスないい話だった……
いい意味で期待を裏切られた。このコンビの今後に期待

状況読めば勝利可能>ついに書き手きましたか。
主催の二人といい書き手勢がどんな動きをするのか楽しみです。

ジャイアニズムの終焉>ジャイアンまで……のび太、本人のやる気とは裏腹に仲間死にまくっててカワイソス
デビチルはゲームしか知りませんがこれは良いマーダー

「少年よ、大志を抱け」>のび太かっけえなw梨花ちゃんも助けられてよかった。
やさぐれてないで運命をぶち壊してくれたらいいけど……

その日の気分ロワ五話投下します。
367 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/27(土) 23:10:25 ID:LLcyoU9l

【ロワ会場チャット☆】

皆自由に使って気軽に情報交換しよう!
ただし、情報の真偽は自分で判断しようね!(管理人)

……

【名探偵さんが入室しました】
【名探偵】あ
【名探偵】こnnnni
【名探偵】……失礼します
【名探偵さんが退室しました】

……
【名探偵さんが入室しました】

【名探偵】こんにちは。先ほどは失礼しました。
【名探偵】……誰もいないようですね。
【名探偵】では
【名探偵】ここは情報交換用チャットということですので、さっそくですが手に入れた情報を書きこませていただきますね。
【名探偵】右代宮戦人という男は主催の男の何らかの秘密を握っていると思われます。彼と主催の男にどのような関係があるのかはわかりませんが……
【名探偵】彼が主催側の協力者かどうかは定かではありませんが
【名探偵】接触する方は万全の注意を払った方がいいでしょうね。では。
【名探偵】みなさん、共にこのような理不尽なゲームに屈服せず頑張りましょう。
【名探偵さんが退出しました】

……
368 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/27(土) 23:12:25 ID:LLcyoU9l


私としたことが……こんなことでミスを犯すなんて。
これがコンピュータであるというのは理解していますが―――海外でもこのような形のものはまだ発表されていなかったはずです。……奇妙ですね。もしかしたらこれは、あの男が独自に開発したものなのかもしれません。
『チャット』という交流手段も―――説明書きがなければおそらく使うことはなかったでしょうね。音声のない電話のようにリアルタイムでのやり取りが可能なもの、ですか。この主催はよほど高い技術力を持っているようです。

…………それにしても、面倒なことになりましたね。
まさかこの古戸ヱリカが、このようなくだらない殺戮劇に巻き込まれるとは。
あの手の悪趣味な輩の思考などさっぱり理解できません。人が死ぬと言うことに一種の快感を覚える人種でしょうか?『探偵』としては理解できませんし―――それそのものには関心もありませんね。殺人事件を解決してトリックを解明するわけでもないですし。
享楽趣味の殺人ゲームなんて、推理の要素が全くないではありませんか。逃げ出したいのは山々ですが、ご丁寧に首輪まで付けられたのでそれはできません。
……そう、この古戸ヱリカに首輪だなんて……なんたる侮辱……!ここから出られた暁には、あの男を許してはおけませんね。

それにしても―――
あの男、『魔法』などと言っていましたが……実にくだらない。
あんなもの、やはりただのトリックに違いありません。そうでなければいけません。人間に説明できないものなどこの世にないのですから。
大方、初めの男は死んだふり―――何らかの方法で首を落とされたように見せかけただけで、『蘇らせる』などとうそぶき、目くらましをしている間に何食わぬ顔で起き上がった。それだけの話です。
本当に魔法を使ったのならば、視界を遮る必要などなく、堂々と私たちに首が勝手に胴体へとくっつく様を見せつければいい。それをしないということは、実際には魔法でもなんでもないということ―――
ふう、簡単すぎて、わざわざこの私が推理するまでもありません。
本当は詳しいトリックを知るために死体を近くで見て検分―――いえ、できることならこの手で『殺して』死体としての赤字の証明を―――したかったのですが、それをする間もなくここに連れてこられてしまいました。口惜しいですね。

それにしても。
この件に関しては、我が主から何も指示が出されていませんね。そもそも私は、あの右代宮戦人と戦っている最中にここに連れてこられたのですが……。この私が一瞬で意識を失うなんて、よほど強力な薬剤か何かでしょうね。
それもあまりに唐突なことで調べられませんでした。相当手が込んでいますね。正直悔しさは尽きませんが―――今はそれはおいておきましょう。
まあ、親愛なる我が主のことです、これも予想の範囲内……きっとどこからか、私の『探偵』としての素晴らしき活躍を見ていてくださっていることでしょう。我が主が、あのような男にいいように扱われているとは思えませんからね。
ですからここでも、我が主の希望に添えるように動けばいいだけの話―――私は一度失敗している身です、あれが本当に気を抜いたが故の偶然だったとしても、ええ、私が右代宮戦人に実力で負けたのではないにせよ。
―――ここでも我が主に私の有能さを証明しても何も悪いことはありません。
そういうことです。

分かりました―――いいでしょう、私は探偵ですからね。
この島にある『魔法』の欠片の全て―――かたっぱしから否定してあげましょう。
ねえ、いるんでしょう、戦人さん?
私がいて貴方がいないなんてこと、ありえませんよねえ?
そして貴方はどうせ、ここでもあの男の言うくだらない『魔法』とやらを信じるのでしょう。もしかしたら、あの男とグルになっている可能性すらある。
戦人さんは望んで人を殺したがる正確ではないでしょうが、ベアトリ―チェという『幻想』のためなら非道になってもおかしくはありません。
―――『魔法』を、証明するために。
ならば、私は―――ここでもそれを打ち砕くのみです。
369 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/27(土) 23:13:37 ID:LLcyoU9l

だからこれは、そのための布石。
私は決して、『右代宮戦人があの男の味方』だとは書いていません。『あの男の知り合い』だとも書いていません。
ただ私は、あの男の秘密を握っている、そう書いただけ。
考えても見てください、嘘を書きこめば確かに戦人さんを危険人物と認定させ、他の人の疑心暗鬼を生むことができるでしょう。
しかし、それはいずればれてしまう可能性が高い。事実ではないことというのは、えてしてばれやすいものです。
特に戦人さん本人は、もしかしてこの古戸ヱリカの書き込みであると見抜く可能性はある―――私は彼に負けるとは思っていませんが、それでもこれくらいはやってくるでしょう。
しかし、そこに書かれていることが『嘘でない』としたら?
右代宮戦人があの男に対しての秘密―――つまり、『魔法』とやらについて知っているのは事実です。
あの男が『魔法』を使う際に使った言い回しだって、あのベアトリ―チェと同じものですからね。無視できるはずがない。
そう、だからこそ、だからこそ―――戦人さんはそれを『否定できない』。
右代宮戦人があの男の『魔法』を否定すると言うことは、それはつまりベアトリ―チェの『魔法』をも否定することになる!だから、できるはずがない!
そうなると、戦人さんは自らと男のかかわりがない、自分は男のことなんて何も知らない、関係がない、とは言えなくなる。
仮に言ったとしても、それを真っ向から否定するようなことはできないでしょうね。
皮肉なことでしょう。自分が信じたことがきっかけとなって、自らは信用を失うのですから。
ほとんどの一般人は、『魔法』なんてものをそんな簡単に信じるとは思えない。右代宮家の人間ならともかく、あの場には全く見覚えのない人ばかりでした。
信じるとすれば、それは『大切な人』でも亡くして自暴自棄に失った人くらいでしょう。私には全く理解できませんが。
そんな彼らがこの書き込みを見たらどうなるか……ということですよ。
……分かっていますよ、そう何事もうまくいくとは限らない。あくまでこれは一つ目の布石。……私がここで終わる女だとは思わないでください。もしこうならなかった時のことも考えています。
しかしこの民家備え付けのコンピュータでひとまずできることは、このくらいでしょう。
ここは六件島の殺人現場ではない、見知らぬ島でのデス・ゲームなのですから。
それに、私がしたいのは右代宮戦人を何者かに殺させることではありません―――あの、私に恥をかかせた男に最大の屈辱を与えることなのですから!
だから、死なれては困ります。死ぬなんて許しません。この古戸ヱリカの手にかかり、無残に家畜と化して命乞いして泣き喚かせるまではね。

もちろん、他にもすべきことはたくさんあります。
この鬱陶しい首輪を解除する方法も考えなければいけません、ああ、本当に『探偵』というものは忙しい。
何にせよ、全て進めるためにはあらゆる情報を集める必要がありますね。こんなところに引きこもっていないで自分の足で出向くしかありません、か。
弾幕―――いえ、違います、情報こそパワーなのですよ。

ああ、我が主、期待して待っていてください。
とっても楽しみですね、ねえ戦人さあああん!?

【古戸ヱリカ@うみねこのなく頃に】
【状態】健康、テンション↑
【所持品】???(本人確認済み)、基本支給品
【スタンス】『探偵』
【基本方針】我が主の期待に応え、『魔法』を完膚なきまでに否定する。
※参戦時期はEpisode5終了後〜戦人敗北前までのどこかです。
370 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/27(土) 23:14:36 ID:LLcyoU9l



【名探偵さんが退出しました】

チャットルームには誰もいません。

……

【田中太郎さんが入室しました】

【田中太郎】こんにちはー
【田中太郎】……名探偵さんという方、もう出て行っちゃった後みたいですね
【田中太郎】正直、いまだに状況がつかみきれてないんですが……こういうものが用意されているので、使ってみますね。
【田中太郎】えっと、では。
【田中太郎】もし、この殺し合いに否定的な考え方を持つ人がいたら、昼の12時に学校の体育館まで来てくれませんか?
【田中太郎】私は殺し合いに反対していますし、皆もそうだと信じています。そのために、その解決策を練りたいのです。
【田中太郎】具体的な例を出すなら、首輪です。この首輪を解除することさえできれば、この殺し合いから解放されるのではないかと思うのです。
【田中太郎】今こんなことを書きこんで、首輪を爆発させられるのではないかと思うと怖いですが……。
【田中太郎】とは言っても、そう簡単に信用できないと思います。もし私を信じられたら、で構いません。強制はしません。
【田中太郎】では、協力してくださる方がいたら、待っています。

【田中太郎さんが退出しました】

……
371 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/27(土) 23:16:32 ID:LLcyoU9l


さあて、全く、俺を余計なことに巻き込まないで欲しいよね。
俺は『ただの』情報屋なんだけどなあ、人間を愛してるってだけの。
こういうのにはシズちゃんみたいな殴るだけで人を殺せるような奴だけ呼んでくれないかなあ。
むしろシズちゃんをここに呼んでいてくれるんだったら殺す手間が省けていいんだけど―――残念ながら今のところ確認するすべはナシ。

このゲームに関しての情報でも流れてないかと学校のコンピュータ室のパソコンをつけたらこの画面が出てきたときにはさすがに焦ったけどね。
せっかくだから、これ、利用させてもらうことにするよ。

あいにく、他人に憎まれていることはよく知っていてね、こんな非合法な場所だ、
今のうちに俺を亡きものにしようって奴がシズちゃん以外にごろごろいてもおかしくないし、書き込みの名前は帝人君のを借りさせてもらった。
酷いよねえ、俺はこんなに人間を愛してるのに。
ま、帝人君には悪いことしたよ。彼がこの場にいたらさすがに気づくだろうけど……別に気付かれたって構わない。むしろ気づいてもらいたいくらいだ。
どうせ気づくなら『もう少し後』の方が都合がいいけどね。そうでないと面白くないだろ?
紀田正臣や園原杏里辺りも、さすがに帝人君の名前を遣われたら、騙りの可能性が高くても無視はできないだろうし……。
ああ、ちなみにここのログや場所、個人情報が特定されないかどうかは既に確認済み。足跡も残らないし、個別のIDのようなものもないし、完全に匿名、って奴だね。願ったりかなったりだ。

ちなみに、首輪を爆発させるってのは、多分ありえないな。
だって、相手はこの殺し合いのルールを笑顔で説明するような狂人だ。嫌だよねえ、ああいうの。俺もまともじゃない外道だって言う自覚はあるけど、別に他人が苦しむのを見て楽しんでいるわけじゃないさ。
あの男がそういう、『他人を殺し合いに巻き込み楽しむ』人間ならば尚更、首輪を簡単に爆発させるなんて思えない。
「放送ごとに殺してない者の首輪を」っていうのも、脅しというよりは、その言葉に困惑し迷い怯える人間の顔が見たいだけ、という風にも思える。とんでもないサディストだ。
だって、そうだろ。
人が殺し合う姿を『見たい』んだから―――自分の手で殺してしまうはずないだろう?
自分で大好物のデザートを他人にあげてどうするのさ。
もちろん、それはあの男が理性を保てている場合。本格的に企画運営できるほどの正気が保てなくなったらやりかねないから、保険に殺しておいた方が安全だとは思うけど。

それにしても、魔法……ねえ?
まあ別に俺は信じてないってわけじゃないよ?だって魔法なんかよりもっと奇妙で不気味な存在が池袋にはたくさんあるじゃないか。―――たとえばデュラハンとか妖刀とかね。
個人的にはあんなに刺されたり車に轢かれたりしても死なないシズちゃんが一番不気味な化け物だと思うけどね。本当早く死んでくれないかな。
だからと言って、興味はないけど。あれが本当の魔法だろうと、手品だろうと。あの男が何を思ってあんなことをしたのかには興味があるけれど―――それで人を蘇らせるとか、ナンセンスじゃないか。
だいたい、そこまでしてよみがえらせたい個人なんていないよ。俺が愛しているのは個人じゃなくて人間全てだからね。

ここに呼び寄せて何をするつもり?はは、そんなの決まっているじゃないか?
人殺し?冗談言うなよ。まあそりゃ、俺だって死にたくはないからね。一人は放送前に殺しておきたいところだけど―――でも、目的はそこじゃない。
372 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/27(土) 23:18:09 ID:LLcyoU9l

言っただろ?
俺は、人間を愛しているんだって。

殺し合いに乗った人間でもいい。そうでなければもっといい。
彼らがこんな異常な状況下で何を思い、何を考えるのか―――そして、どんなふうに動いてくれるのか。
想像するだけで心が躍る。嬉しくて人間ラブだと叫びたいくらいだが、俺だって自分の命は大切だ。支給品として入っていた武器でも情報でも話術でも何でも使って、死なない程度に切り抜けるつもりだよ。
ああ、そうだ、俺はまだ死ぬつもりなんてさらさらなくてね。
死なない程度に、俺はこの状況を楽しむとしよう。
だって、―――こんな異常な状況、池袋でもめったに起こり得ないじゃないか。

ああ、いいなあ、楽しみだ、わくわくする!
俺は人間が好きだ!人間ラブ!愛してる!
だから、
人間の方も、やっぱり俺を愛するべきだよね?

……さてと、仕込みはいったん終わったし、外にでも出てくるか。
ここにこもっていてもいいけれど―――もし殺し合いに乗った人物が入ってきたら逃げ場がなくて終わりだからね。
それにここにいても、今のところ面白いこともなさそうだし。もちろん、時刻になったら戻ってくるつもりだけど。

何だかんだ言って、結構悪くない気分だよ。
まあ、俺が首輪をつけられているという事実は正直苛立たしいけど、それさえおいておけば人間観察のいい機会だ。今度俺をこういうことに招くなら、上から眺める立場としてスカウトしてほしいね。

―――そしてこの場で、シズちゃんが死んでくれれば、俺はもっともっと幸せなんだけどね。

【折原臨也@デュラララ!!】
【状態】健康、テンション↑↑
【所持品】???(本人確認済み)、基本支給品
【スタンス】扇動(人間観察メイン)
【基本方針】学校に集まるかもしれない人間や出会う人間を『観察』して楽しむ。死ぬつもりはないので自己防衛は行う。
※参戦時期は不明、少なくとも六巻ラストよりは前です。
373 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/27(土) 23:19:56 ID:LLcyoU9l
投下終了です。
自分の書く頭脳派はこの程度なので、もしキャラ崩壊しそうで嫌だなあと思ったら避けてくださいw
頭脳派キャラは好きなんです、書けないけど。
あ、忘れてた、タイトルは「まったり暗黒チャットをしていってね!」です。
374 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/27(土) 23:56:30 ID:VbwGtNrg
皆さん筆が早い。うらやましいです。

・まったり暗黒チャットをしていってね!
チャットですか…。
情報が鍵になってきそうな気がしますね。

無謀ロワ第2話を投下します。
登場キャラ:雅 グリーン
375殺戮遊戯 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/27(土) 23:57:27 ID:VbwGtNrg
「クソッ…誰もいねぇじゃん…。」

時の止まった街で、グリーンは悪態をつく。
…彼は殺し合いに乗っていない参加者を捜していた。
それは何故か。理由は簡単だ。
彼は、一秒でも長く生きていたかったのである。
仲間がいれば守ってもらえる。生存率も上がる。 そう考えた。

「早く誰か見つけないと…オレ…。」

……脱出しようという考えは、彼には浮かんでいなかった。
当然だ。 旅に出ているとは言え彼はまだ少年。
こんな異常な環境に放り込まれたら、冷静な判断が出来る訳が無い。
単純に“生きたい”という思いで、彼は仲間を求めていたのである。
だが、この場所には誰も居ない。
そんな状態で殺し合いに乗っている参加者に見つかったら―――

「……君。」
「!!」

不意に、声がした。 威圧感を感じさせる声だ。
足の動きが止まる。 心臓の鼓動がさらに速くなる。
身体が動かない。 恐怖心が身体を石の様に硬くさせている。

「どこを向いている。…こっちだ。」

だが、その言葉で冷静さを少しだけ取り戻した。
――このまま止まったままでは、変に疑われてしまうかもしれない。
そう、思ったのだ。
声のした方向に振り向く。
そこには、タキシードを着た白髪の男が一人、立っていた。
右手に握られているのは、一本の日本刀。
刀身が月光を反射し、妖しく輝いている。

「…この辺に髭を生やした若者を見なかったか?」
「へ…?」

男は、突然尋ねてきた。 思わず気の抜けた声が出てしまう。
376殺戮遊戯 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/27(土) 23:59:20 ID:VbwGtNrg

(何かと思えば人探しか。 怯えて損したぜ…。)

グリーンは心の中で安堵する。
…だが、ここに送られてから、他の参加者には出会っていない。
だから、男の探し人がどこに居るかなど、グリーンに分かる筈も無かった。

「すいません…オレ、目が覚めてから誰とも会ってないから…。」

グリーンは、力無くそう言った。
この男の力にはなれそうにもなかった。

「そうか、それは残念だ…。」
「あの…もう、いいですか?」
「…いや、まだ用はある。貴様には―――」

その時、
男の身に纏っている空気が、変わった。

「――――死んでもらう。」

男がそう言った次の瞬間。

グリーン視界が急に「下がった」。 

意志とは関係なく、「落ちていく」。

(え………?)

ドシャリ。
そんな音と同時に、頬が地面に接触する。 
…身体が動かない。 むしろ、身体が存在しないようだ。
いや、実際、身体が存在していないのである。
――何故?
眼球を動かして、グリーンは男の姿を見る。
男は、不気味な笑みを浮かべながら、こちらを見下ろしている。
――どうして?
右手に握られている日本刀に視線を移した。
刀身には、真っ赤な液体が垂れていた。
377 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/28(日) 00:00:21 ID:W+DT1Y97
投下乙です。田中太郎と聞くと某宇宙人しか思い出せないw
感想ありがとうございます。
では私も投下します。俺得ロワ19話「悪魔と共に」
登場:アキラ、デスシープ
378殺戮遊戯 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/28(日) 00:00:42 ID:VbwGtNrg
さっきまで汚れ一つ付いていなかったのに。
――まさか。

(俺…首を………。)

首を切り落とされた。
目の前の男に、日本刀で。

(…そんな……嫌だ……こん…な…の…。)

視界がぼやける。 意識が朦朧とする。 

(…嫌……だ……………死…に……た………。)

それを最後に、グリーンの意識は、魂は消滅した。
彼の身体は、物言わぬ肉塊と化した。



「まずは一人といった所か。」

男…雅が再び微笑んだ。
どこまでも冷徹な、悪魔の様な微笑み。
雅は少年の亡骸に歩み寄る。
ものの数分前まで、これは呼吸をしていた。 心臓も動いていた。

「それにしても、あの程度の攻撃もかわせんとはな…。」
 
そう言うと、雅は思い切り、少年の生首を蹴り飛ばした。
生首はすぐにコンクリートの壁に激突し、風船の様に弾け飛ぶ。
肉片が地面に、コンクリートに、雅のタキシードに飛び散る。
下を見ると、眼球らしきゼリー状の物体が靴の上に乗っていた。

「―――所詮は餓鬼だな。」

刀を振り払い、刀身に付着した血液を落とす。
そして、デイパックから鞘を取り出し、刀をしまった。
亡骸のすぐ横にあるデイパックを拾う。
支給品は一つでも多い方がいい、と考えたのだ。
379 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/28(日) 00:01:08 ID:W+DT1Y97
割り込みすいません。後にします
380殺戮遊戯 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/28(日) 00:03:34 ID:F2tTZ0Pf

…最後の一人になるまで殺し合う最凶の椅子取りゲーム。
中々面白いゲームを始めたものだな、と雅は思った。
しばし、余興に付き合うのも悪くは無いだろう。
しかもこのゲーム、明も参加しているらしい。
出来るのなら、また戦ってみたいものだ。

「さて…ではそろそろ行くとするか。」

雅は、グリーンの身体から右腕を引きちぎると、
それを天高く放り投げた。
着地した腕の方向のエリアに移動しようと考えたのだ。
ボトリ。
鈍い音と共に、右腕が着地した。

右腕が指し示した方向。
それは……。


【グリーン@ポケットモンスターシリーズ 死亡】


【深夜/C−5/市街地】
※グリーンの首無し死体が転がっています。


【雅@彼岸島】
[状態]:健康 
[装備]:恐ろしくよく切れる刀@キノの旅 
[持物]:基本支給品一式 不明支給品1〜2個(確認済み) グリーンのデイパック
[思考]
基本:闘争を楽しむ。
1:参加者を捜して殺す。
2:明ともう一度戦いたい。 見つけたら優先的に戦う。
3:出来る事なら、鉄扇を取り戻したい。
※明に五重の塔から落とされた直後からの参戦です。
※再生能力に制限が掛かっていますが、それに気づいていません。
381殺戮遊戯 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/28(日) 00:04:24 ID:F2tTZ0Pf
<<参加者紹介>>
【雅@彼岸島】
彼岸島を支配する吸血鬼のリーダー格。
普通の吸血鬼をはるかに超えた生命力を持っており、
腸が体外に飛び出ていていようが、首を跳ね飛ばされていようが、
最終的には五体満足で完全復活する。

【グリーン@ポケットモンスターシリーズ】
カントー地方出身のトレーナー。主人公のライバル。
オーキド博士の実の孫でもある。
終盤、夢だったチャンピョンの座を掴むが、その数十分後に
主人公に敗北しチャンピョンの座から引きずり落とされた。


<<支給品紹介>>
【恐ろしくよく切れる刀@キノの旅】
シズの所持している日本刀。
銃弾を切断出来るので、名前の通り“恐ろしくよく切れる“と思われる。
382 ◆WYGPiuknm2 :2010/03/28(日) 00:07:00 ID:F2tTZ0Pf
投下終了です。
化け物マーダー第一弾。
383 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/28(日) 00:13:00 ID:W+DT1Y97
投下乙です。雅きた! 彼岸島好きだから楽しみ。
では改めて投下します。
384悪魔と共に ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/28(日) 00:14:45 ID:W+DT1Y97
19話 悪魔と共に

青い髪を持ち、青、白、黒の三色を基本とした服を着た少年、アキラは、
ゲーム開始早々に一人の他参加者と遭遇した。
青い毛皮に山羊のような頭、大きな翼を持った悪魔、デスシープ。
その外見に似合わず真面目かつ温厚な性格だった。

「すまない、大丈夫かデスシープ」
「い、いえ…大した怪我じゃありませんよ」

D-8平原にある道路の上で、アキラは左腕に傷を負ったデスシープを気遣っていた。
と言うのも、傷を負わせた当人はアキラだったのだ。
最初遭遇した時、デスシープのそのいかにも悪魔的かつ凶悪そうな外見から、
つい襲われると思い込んだアキラは自分の支給武器である鉄パイプで襲い掛かってしまった。
その後デスシープが必死にアキラに説得をしたため、アキラは誤解を解き謝罪した。

「だけど外見だけで判断するのは余り良くありませんよ。
気を付けた方が良いです」
「ああ……」

デスシープに諭され意気消沈してしまったアキラ。

「あ、あーそれより、あのアキラさん。互いに情報交換でも。
お互いの支給品と、知り合いの確認的な」
「そうか、分かった。俺の支給品はこの鉄パイプと……」

アキラは自分のデイパックから小さめのプラスチック製のケースを取り出した。
開けるとそこには幾つかの工具が収められていた。

「この工具セットだ。それと知り合いは…」

次に名簿を取り出し、開いてデスシープに見せる。
「ジン」「亜美」「ガルム」「ガーゴイル」の四人の名前が丸で囲まれていた。

「この四人。ジンと亜美は俺の仲間だ。ただ、ガルムとガーゴイルは、
俺がかつて戦っていた、帝国軍のデビル。つまり敵なんだ」
「…帝国軍? 何ですそれ?」

聞き慣れない単語にデスシープがアキラに尋ねるが、
するとアキラは何を言っているのか分からないといった顔をした。

「お前、デビルじゃないのか?」
「デ、デビル? ああ確かに考えようによってはそうかもしれないけど…。
あれ? 何か話噛み合いませんね」
「……」

アキラは今まで自分と仲間達が、ヴァルハラという異世界で、
ヴァルハラの支配を目論む帝国軍と戦い続けてきた事をデスシープに話した。
最初は半信半疑で聞いていたデスシープも真剣に話すアキラを見て、
次第に話が真実であると思い始めていた。
385悪魔と共に ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/28(日) 00:16:28 ID:W+DT1Y97
「成程、異世界…どうやら私とアキラさんの生きる世界は全くの異世界のようですね。
こう見えて私もそれなりに長い事生きていますがそのような話聞いた事ありません。
もしかしたらこの殺し合いの参加者も、全員が全員同じ世界から連れて来られた、
という訳ではないのでは……」
「うーん……あのリリアという人は、
別々の世界から人々を連れてこれる程の力を持っている、って事か?」
「これはここで深く考えてても分からないと思います……あの、
私の支給品確認と知り合いの確認に移ってもよろしいですかね?」
「あ、ああ。いいぞ」

思考を切り上げ再び支給品及び知り合いの確認に戻るアキラとデスシープ。
デスシープがデイパックの中から取り出したのは、
コルト ディテクティヴスペシャルという小型リボルバー拳銃とその予備弾だった。

「拳銃か。当たりだな」
「私、銃なんて扱った事ないんですがね…小さくてちょっと扱いにくいかな」

ディテクティヴスペシャルを手に持って眺めるデスシープ。
次にデスシープは名簿を取り出し開く。

「私の知り合いは…ああ結構いる。えーと、勇者アレックス、その仲間である、
ブライアン、ヘレン、ゴメス。それと…私と同じ魔王軍であり、四天王である、
ドラゴナスさん、ムシャさん、死神五世さん」

名簿に書かれた名前を鋭い爪の付いた指先で差しながらアキラに教える。

「皆さん、殺し合いに乗るような人ではないと、思いたいですが…。
最後の一人しか生きて帰れないとなると、どうなる事やら…あ、決して、
皆さんの事信じてないって訳じゃないですよ! でも…」
「デスシープ…何となく、気持ちは分かるよ」
「……いけませんね、こんなネガティブ思考ばかりしていては。
こんな時だからこそ、前向きに考えないと」
「無理する事ないさ」
「……はい……それで、これからどうしますか?」

次に二人はこれからの行動について協議し始める。
二人共、この殺し合いに乗るつもりはなかった。
仲間を集めて何とかこの殺し合いからの脱出手段を探る事で二人は一致する。
首にはめられた爆弾付きの首輪を外す方法もきっとあると希望を持つ。
地図を広げ、コンパスを使い周囲の地形などから判断し、
自分達が現在いるのがエリアD-8だと断定する。
北方向に行けば廃ホテルなどがある会場である島の北東部市街地に辿り着くようだ。
街に行けば恐らく他参加者とも遭遇する確率が高くなるだろう。

「殺し合いに乗っている奴もいるかもしれないけどな…」
「確かに…しかし多少のリスクは覚悟しませんと」
「ああ、分かってるよ」

名簿と地図を片付け二人は立ち上がる。

「北にある街に行ってみるとしよう」
「そうですね…」

アキラとデスシープはそれぞれの武器を携えながら北方向に見える市街地へ歩き始めた。
386悪魔と共に ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/28(日) 00:20:39 ID:W+DT1Y97
【一日目深夜/D-8平野:幹線道路】

【アキラ@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康、C-8市街地へ移動中
[装備]:鉄パイプ
[持物]:基本支給品一式、工具セット
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。仲間を集めて脱出手段を探す。
1:デスシープと行動。街に向かう。
2:仲間達(アキラ、亜美)を探す。
3:帝国軍のデビル(ガルム、ガーゴイル)には注意。
※参戦時期はレミエル打倒後、元の世界へ帰還した直後です。
※デスシープと情報交換しました。

【デスシープ@VIPRPG】
[状態]:左腕に打撲、C-8市街地へ移動中
[装備]:コルト ディテクティヴスペシャル(6/6)
[持物]:基本支給品一式、.38sp弾(30)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。仲間を集めて脱出手段を探す。
1:アキラと行動。街に向かう。
2:上司達(ムシャ、ドラゴナス、死神五世)を探す。
3:勇者達(アレックス、ブライアン、ゴメス、ヘレン)は……。
4:襲われたらそれなりに対処する。
※アキラと情報交換しました。
※アキラが異世界から来た人物だと確信しました。



≪支給品紹介≫
【鉄パイプ】
長さ80p、直径4p程の、配管設備に使われる鉄製の管。

【工具セット】
プラスチックケースの中にウォーターポンププライヤー、カッター、
コンビネーションレンチ4本、六角棒レンチ8本、ラジオペンチ、プラスドライバー、
スタビードライバー、フックセット、ミニハックソー、ネールハンマー、圧着ペンチ、
ターミナル端子セット、T型ハンドル、ドライバービット8本、ビットアダプター、
ソケット6.35mm角8個、コンベックス2m、取扱説明書が入った工具一式セット。

【コルト ディテクティヴスペシャル】
1927年に発売された小型リボルバー拳銃。
「ディテクティヴ」とは「探偵、刑事」を意味する。
使用弾薬:.38sp弾 装弾数:6発
387 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/28(日) 00:21:33 ID:W+DT1Y97
投下終了です。割り込みすいません。
388 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/28(日) 00:22:11 ID:tmXXQosV
俺も投下します「またマーダーか」
389またマーダーか ◆6LQfwU/9.M :2010/03/28(日) 00:23:17 ID:tmXXQosV
「まさか現実でバトロワするとはな」
支給品、イングラムM10を手に廃屋内を歩く穴。
(だが、ここはゲームに乗って優勝するのもいいかもな)
その時、背後から足音が響く。
「おい、そこの――」
振り向きざまに、声の主に弾丸を撃ち込む。
「うるせーよ」
一瞬にして体中から血を吹き出し倒れる。
「相手の観察もせず、人に話しかけるなんて…不用心だと思わないのか」
死体の傍にあるデイパックを拾い開ける。
中から自分の持っている備品が転がり出る。
「武器は…大した物持ってねーな」
つまらなそうにその場にデイパックを放り投げる。
(さて…どこ行こうかな?手負いが集まりそうなところって言ったら…)
地図と端末を出し、現在地を確認する。
「ここB-6か…病院があるのか、そこ行こうかな…」
地図と端末をしまい、出口に向かって歩きはじめた…


【一日目・深夜/B-6:マヤカン通路】
【穴@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:イングラムM10(21/30)@現実
[所持品]:支給品一式、不明支給品(確認済み)、イングラムM10予備マガジン×3
[思考・行動]
基本:ゲームに乗り、優勝する。
1:病院へ向かう。
※宮田司郎の遺品がマヤカン通路に放置されています。


【宮田司郎@SIREN 死亡】
死因:射殺
390 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/28(日) 00:24:33 ID:tmXXQosV
投下終了です
マーダー増えて来たー
391 ◆mO323oVvaQ :2010/03/29(月) 09:19:14 ID:HCSJXnj5
道化師と少女ロワ第七話を投下します。
題名は「殺人鬼は殺人鬼の刀の錆に」
で、登場キャラは日野貞夫、泉そうじろう、水銀燈です。
392 ◆mO323oVvaQ :2010/03/29(月) 09:47:00 ID:HCSJXnj5
”其処”は、血の海だった。一人の、短刀を持った男は、その真ん中に立っている。
よく見ると、笑いを堪えているようにも見えるが、血溜まりに倒れている
男性は、目を開けたまま死んでいるようだった。
何故こうなったか、知るためには数分前に遡る―――――――――。

****************************

「面白い催し……としか言いようがないな」
眼鏡に白ベースの制服、茶髪という一人の青年はこの事態に置かれながらも、
まるで買ったばかりのゲームをプレイする子供のように喜んでいた。
彼を普通の人間と侮ってはいけない。
―――――――――――いや、そう言うと語弊がある。「彼」は確かに人間だ。
だが、彼を精神面で判断して、「普通の人間」と言うことばできないだろう。
いや、ここからは獲物の末路を見てもらう方が早い。丁度、哀れな犠牲者が訪れた………。
「(こなた……お父さん、必ず優勝して、……ゲームクリアしてやるからな」
木陰に隠れていた男が、ゆっくりと”彼”の背後に忍び寄る。
手にはアイスピックが握られており、目には狂気の色がしっかりと浮かんでいる。
「死n」
ズシャッ、バシュウッ。
一瞬だった。”彼”の短刀が男の首を半分ほど切り裂き、血が噴出したのだ。
男が倒れる前に、アイスピックを奪い取り、頭頂部に突き刺す。男はそのまま倒れ、やがて、動かなくなった。
「ククク、俺を殺すにはもうちょっと経験を積みな、オッサン」
”彼”の名は、日野貞夫。
鳴神学園の新聞部員………というのは表の顔で、
裏の顔は、表向きに知る者はほとんどいない幻のクラブの部長である。
そのクラブの名は、―――――――――――殺人クラブ。
”獲物”を選び出し、部員すべてで殺しにかかる。
この世を楽園とする、殺人のエリート集団。
***************************
「うふふ……見ぃちゃったぁ、見ぃちゃったぁ……。」
黒い翼と黒い服に身を包んだ一体の人形。
銀色の綺麗な髪と、人形とは思えない威圧感のある眼。
薔薇乙女第一ドール、水銀燈。
彼女の暗躍が、この後衝撃の事件を起こすことを知る者は、誰もいない。

【日野貞夫@学校であった怖い話】
[状態]:健康
[装備]:短刀@おおかみかくし 黄泉比良坂編
[所持品]:支給品一式、バーナー
[思考・行動]
基本:参加者を殺す。
※グラフィックはアパシーですが、参戦時期は殺人クラブエンド、
坂上と対決中です。

【水銀燈@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:証拠隠滅シャベル@ひぐらしデイブレイクシリーズ
[所持品]:支給品一式、墨汁
[思考・行動]
基本:ゲームを裏から操作して参加者を操る。
1:真紅、翠星石は会ったら殺す。
※参戦時期は原作三巻、真紅の腕を引きちぎった直後です。

【泉そうじろう@らき☆すた】 死亡確認
死因:日野貞夫にアイスピックで頭頂部を刺される
393 ◆mO323oVvaQ :2010/03/29(月) 09:48:43 ID:HCSJXnj5
投下終了です
394 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/29(月) 23:17:32 ID:aUZ45cAx
投下乙です。
【またマーダーか】み、宮田! あっさり死んでしまったな…。
【殺人鬼は殺人鬼の刀の錆に】そういえば主催の片割れはこなただったな。
父親が死んでこなたは何を思う?

自分も投下します。俺得ロワ20話「どんな状況でも自分を高潔に保て」
登場:戸高綾瀬
395どんな状況でも自分を高潔に保て ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/29(月) 23:20:45 ID:aUZ45cAx
20話 どんな状況でも自分を高潔に保て

まだ少女とも取れる背丈と顔立ちの女性、戸高綾瀬。
医師も、看護師も、入院患者も、外来患者も、誰一人としていない夜の病院。
その院長室にて、綾瀬はゲームをスタートした。
デイパックを開け、自分の支給品を確認する。

「ナイフか…」

出てきた物は大きな鋭い刃を持ったボウイナイフだった。
鞘ごとスカートに差し込み、次に綾瀬は名簿を確認する。
自身を含め47人の参加者の氏名が記載された名簿である。
書かれた名前を一つずつ目で追っていき、知っている名前がない事を確認すると、
安堵と淋しさが混じったような表情を浮かべ、名簿を閉じてデイパックにしまった。

「はぁ、殺し合いかぁ。やんなっちゃうなぁ」

応接用ソファーに腰掛け、綾瀬が愚痴をこぼす。
昨日の夜、彼女は寝酒をあおった後いつものように自分の部屋で就寝したはずだった。
しかし目覚めた時、そこは散らかった自分の部屋ではなく、
暗闇に包まれた広い空間。大勢の人々が周りにはいた。
そしてリリア・ミスティーズと名乗るドレス姿の女性が殺し合いの開催を宣言した。

「私はただの事務員なのに、そりゃちょっと変態かもしんないけど。
廃屋とか、公園のトイレとか、樹海とかで裸になって、
いやらしいポーズとったりするのが大好きな痴女かもしれないけどさ。
だからってこんな殺し合いさせられる言われはないと思うんだけど。
……はぁ……独り事になってるし」

自分以外誰もいない空間で何かを言っても仕方ない事に気付いた綾瀬。

(首輪…外したいな)

首にはめられた金属製の首輪に手を触れながら綾瀬が思う。
脱出しようにもまずこの爆弾内蔵の死の首輪を何とかしなければならない。
開催式での首輪爆破の実演は綾瀬も目撃していた。

(精密機器とかには一応詳しい方だしね。お父さんに色々教えられたから。
教えて欲しかった訳でもなかったけど。でも首輪の構造分からないとちょっと無理か)

下手にいじれば首輪は爆発する。まず内部構造が知りたかった。
そのためには別参加者の首輪を手に入れる必要があるが当然その参加者には死んで貰う事になる。
しかし綾瀬自身はいかに非常時とは言え、人を殺すのは抵抗があった。
396どんな状況でも自分を高潔に保て ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/29(月) 23:22:09 ID:aUZ45cAx
(死体とか見つけたら……後味悪いけどやるしかないね)

よって、綾瀬が出した結論は、死体の首を切断して首輪を失敬する事。
人間の首がどれ程の強度を持っているかは分からないし分かりたくもないが、
今自分が持っているボウイナイフなら切断も可能だろう。
死体損壊はかなりの罪であると綾瀬は思い出すが自分の命がかかっているのにどうこう言っていられない。

「それにしても、誰もいない病院ですか……ああ、興奮しちゃう」

静寂に包まれた夜の病院、院長室という閉鎖空間に置かれた綾瀬は、
次第に自分の偏趣味を実行に移したい衝動に駆られた。

「勿論、そんな場合じゃないって事は分かります。
だけど……死ぬかもしれないんだから好きな事しとかないと。
後悔しないように、ね!」

そして綾瀬は遂に自分の着ている衣服を次々、驚く程の手際の良さで脱ぎ始めた。
数分も経たない内に綾瀬は生まれたての姿になった。
瑞々しい肌の肢体がひんやりとした空気に晒される。
冷たい空気とは裏腹に綾瀬の身体は興奮により火照り始めていた。

「ああ、病院の院長室で、私は生まれたての姿…」

どこかうっとりとした口調で呟きながら綾瀬は応接テーブルの上に乗り、
院長の机がある方に尻を向けた状態で四つん這いになり、そのまま高く尻を突き出すような体勢を取った。
院長机側から見れば、綾瀬の局部が丸見えになってしまう体勢である。
これが戸高綾瀬の趣味、もとい性癖であった。
誰もいない、しかし誰かが来るかもしれない、見ているかもしれない場所、
主に廃屋や公共の場での人目に付かない場所、森といった場所で裸になり、
あられもないポーズを取り興奮を得るのが、彼女の趣味であった。
それは自分の命が危ない殺し合いという状況においても変わらない。

「いいなぁ…やっぱり興奮しちゃう……次はっ、と……」

テーブルから下り、今度は綾瀬は院長机へと向かった……。
397どんな状況でも自分を高潔に保て ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/29(月) 23:23:37 ID:aUZ45cAx
【一日目深夜/G-8病院:一階院長室】

【戸高綾瀬@オリキャラ】
[状態]:健康、興奮、全裸
[装備]:ボウイナイフ
[持物]:基本支給品一式
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪の解除を目指す。
1:しばらく自分の趣味を楽しむ。
2:首輪のサンプルが欲しい。参加者の死体から入手?
3:もし可能であれば仲間が欲しい。
4:襲われたらどうする…?


≪支給品紹介≫
【ボウイナイフ】
ナイフの一種で、刃長20-30cmのクリップポイント、
しっかりしたダブルヒルトを持った大型のシースナイフ(鞘付きナイフ)。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】戸高綾瀬(とだか・あやせ)
【年齢】22
【性別】女
【職業】証券会社事務員
【性格】怠惰、羞恥心が絶望的に不足
【身体的特徴】茶髪ロングヘアをツインテール風に纏めている。
10代半ばに見える可愛らしい外見。胸はそこそこ大きい
【服装】白いカッターシャツと灰色のスカートの上に茶色いコートを羽織っている
【趣味】音楽鑑賞、廃屋など人気のない所で全裸になりいやらしいポーズを取る事
【特技】身体が柔らかい、精密機器の扱い、分解方法に詳しい
【経歴】18歳の時に近所の廃墟で趣味に耽っていた所、発情した野良犬に追い回され、
危うく犯されそうになった(本人はいつも以上に興奮できたらしいが)
【備考】父親が精密機器工場で働いていたのでやたら精密機器に詳しい。
日本風異世界国家出身
398 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/29(月) 23:24:56 ID:aUZ45cAx
投下終了です。変態ではあるが首輪解除のキーマン、って感じで
399 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/30(火) 12:32:19 ID:/zHalbMB
誠に申し訳無いのですが、こちらの都合により「需要なし、むしろ-の自己満足ロワ2nd」は打ち切らせていただきます…
読んで下さっていた方には本当申し訳無いです
400 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/30(火) 15:32:30 ID:/zHalbMB
ですが、もしかしたら復活する可能性もあるかもです
とりあえず今は休止と言う形にさせていただきます
401 ◆FqMKkvAsCA :2010/03/30(火) 23:53:51 ID:HhsAvKeM
>>399
マジですか、楽しく読んでいたので残念です……
休止ということなので、復活することを信じて待っております。
もちろん無理はなさらないでくださいね。
402 ◆mO323oVvaQ :2010/03/31(水) 09:00:36 ID:Nc910Gre
>>399
打ち切りですか…でもご都合なら仕方ないですね。

道化師と少女ロワ第八話投下します。
参加キャラは剛田武、真紅で投下します。
403 ◆mO323oVvaQ :2010/03/31(水) 09:14:17 ID:Nc910Gre
ガン!ガン!と大きな音がする。
ここはどうにも病院のようなので、器物を壊していると思われる。
その少年は、病室のものに当たっているようだった。
「畜生が!!殺し合いだと、この俺様に命令しやがって。
あのドナルドとこなたとかいう奴らは絶対に許さねぇ、ギッタギタのメッタメタにしてやる!!」
鬼の形相で叫ぶジャイアン。彼はまだ小学生なのだが、それでも”ガキ大将”なのだから、自分以外の者に支配されるのが嫌いなのもうなずける。
あまりの怒りに、支給品を見ることも忘れて、物に怒りをぶつけていた。
しかし、少し経つと物を投げる手を止め、一人つぶやいた。
「のび太と、ドラえもんと、出来杉と殺しあう…だって…?できるわけねぇじゃねぇかよ」
出来杉はともかくとしても、のび太とドラえもんは「親友」と呼ぶにふさわしい存在であった。
冒険もして、数え切れないくらい遊んだ。よくのび太に乱暴をしていたが、
それでも肝心な時にはのび太を助けていた…。
そんな彼は、気を晴らそうと思い立つ。考え出したのは………。
「よぉし。ここで一曲。剛田武の新曲、行くぜ!!!!」
404 ◆mO323oVvaQ :2010/03/31(水) 09:33:44 ID:Nc910Gre
********************************

時は、剛田武が歌を歌い始める数分前。
一体のドールが、病院内を歩き回っていた。赤いフリルに綺麗な金髪。
ドレスは薔薇を連想されるとても華やかなもので、眼はとても綺麗な色に
輝いていた。普通の人間よりも一回り小さい背丈が最も特徴的だろう。
人形なのに、どこか誇り高い。穢してはいけない雰囲気が感じられる。
「殺し合い……ねぇ。」
ドール、真紅はゆっくりと考えを巡らせた。
自分が、翠星石やジュンと殺しあう姿を想像してみたが、ゆっくりと首を横に振り、少し微笑んで言った。
「できるわけないわね。雛苺のローザミスティカすら奪わなかったのに、
翠星石やジュンを殺すなんてできるはずもない」
彼女は誇り高きローゼンメイデンの第五ドール。「アリスゲーム」に勝利し、「アリス」となるのが使命。
だが、彼女はすでに一度アリスゲームに勝利している。
そのときは情けをかけて、ローザミスティカを奪うことはしなかった。
ドールに死はない。只、魂が遠くに言ってしまうだけ………。
それなのに、奪わなかった。そんな真紅に人を殺せるわけもない。
そんな考えを巡らせていると、ガシャン、ドドンという乱暴な音が響いてきた。
「…………敵かしら」
敵ならば逃げるべきだし、味方で錯乱状態なら説得しておくべきだ。
どちらに転んでも、危険はある。だが、真紅は物音に向かい歩き出した。
「みすみす逃げるなんて、薔薇乙女の恥よ。水銀燈に馬鹿にされちゃうわ」
クスリ、と笑う真紅。しかし次の瞬間、微笑みは失われた。
「ボエ〜、ウゴガァ〜、ボエエエエエァァアアア〜〜〜♪」
「ッ!?」
真紅は耳を塞ぐ。しかし、音を塞ぎきれない。この轟音……いや、轟歌は破壊音波に近い。
それでも真紅は進んだ。
そして病室。凄い音に顔をしかめながらも、ゆっくりとドアを開け、
少年に近づく。凄まじい歌を歌う少年の頬を、パチン、と打った。
「痛ってぇ!!ヌー、何をしやがる!!」
ジャイアンは殴りかかろうとするが、真紅は冷静に問う。
「貴方、このゲームに乗っているの?」
恐らく他人と合流したなら、ほぼ全ての人が聞くであろう質問だったが。
「乗る……訳、ねぇじゃねぇかよ」
ジャイアンは眉をひそめる。真紅はそこでひとつ「命令」した。
「貴方、私と行動しなさい」
「な、何て偉そうなっ!?」
ジャイアンは思わず叫んでしまう。真紅は一歩も退かずに、
「でも、悪い話ではないはずよ。私も、ゲームには乗っていないもの」
「うぅ〜…まあ、それもそうか。」
「じゃあここを出るわよ。貴方の歌で、気づかれたかもしれない」
真紅の言うままに、ジャイアンは歩いていった……。
405 ◆mO323oVvaQ :2010/03/31(水) 09:37:12 ID:Nc910Gre
【剛田武@ドラえもん】
[状態]:健康、動揺
[装備]:未確認
[所持品]:支給品一式、未確認
[思考・行動]
基本:真紅と共に行動する。
1.ドナルドとこなたをギッタギタにする。

【真紅@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:未確認
[所持品]:支給品一式、未確認
[思考・行動]
基本:剛田武と共に行動。
1,元世界の知り合いと合流する。
※参戦時期は原作五巻終了時です。
406 ◆mO323oVvaQ :2010/03/31(水) 09:38:59 ID:Nc910Gre
投下終了です。
題名は「迷惑千万な歌と人形」です
407 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/01(木) 00:05:55 ID:6o/T0Req
投下乙です。ジャイアン頑張って。俺のロワではもう死んじゃったから。

>>399
残念ですが都合なら仕方ありませんね…再開を信じてます。
無理をなさらぬよう。

投下します。俺得ロワ21話「頑張るヘタレ狐」
登場:高原正封、仲販遥、シェリー・ラクソマーコス
408頑張るヘタレ狐 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/01(木) 00:09:43 ID:6o/T0Req
「何でェェェェ! 有り得ないよ殺し合いなんて!
俺が何したって言うんだよ! そんな悪い事したか俺!
ああもう嫌だよ大学落っこってからロクな事ねぇよ。
バイト長続きしねぇし、親父や御袋とも上手くいかなくなってきたし!
殺せよォォォォ! 俺を殺せェェェェェェ!!
どうせ俺なんか生きてたって一生血みどろのロンドを踊り続けるんだよ!!
もうずっと苦しみの螺旋階段を延々登り続けるんだよ!!
もう全て終わりにしてくれーーーーッ!!!」
「た、たかはらさんおちついて。そんなにおおきなこえだしたらあぶないよ」

水面に月の光をきらきらと反射させ、美しい光景が広がる湖の畔で騒ぐ狐獣人の青年と、
それを慌てて制止しようとする学生服姿の少女がいた。

「ハァ……何でこんな事なっちまったんだよ……」

一通り大声を出し終え疲れたのか、狐の青年――高原正封は、
湖の畔の雑草の上に座り込みガクリと肩を落とす。
それを気遣うように少女――仲販遥が正封の傍に座る。
正封は少し申し訳無さそうな表情を浮かべ遥の方に顔を向ける。

「ごめんな遥ちゃん、殺し合いで初めて会った奴がこんなヘタレでさ……」
「ううん、あやまることないよ。だれだってこわいよ、こんなことになったら…」
「ん…ありがと……」

遥に元気付けられ、少し照れ臭そうに正封が顔を背けた。

二人は湖の畔で遭遇した。正封が畔の草むらに座り込み頭を抱えながら嘆いていると、
背後から遥に声をかけられた。驚いた正封は支給品である小型リボルバー拳銃、
ニューナンブM60を咄嗟に手に持ち銃口を声の主である遥に向けた。
だが、その銃口はすぐに下ろされる事になる。正封が遥の目に涙が浮かんでいるのを確認したためだ。
その他にも身体が小刻みに震え、自分と同じように恐怖に怯えている事が見て取れた。
自分がした事を後悔し、謝罪の言葉と共に遥に声を掛けた。

そして現在に至る。遥の支給品は手斧と手榴弾3個だった。
また、殺し合いの参加者の中に遥のクラスメイトが4人いる事が判明した。

「遥ちゃん……クラスメイトもいるのか……大変だね」
「うん、でも、みんなあまりはなしたことないひとたちばかりなんだ。
だけどクラスメイトとしていままですごしてきたんだもの、こんなころしあいに、
のるわけないって、おもいたい……」
「うん…気持ちは分かるよ」

正封自身はこの殺し合いに知り合いは一人も呼ばれていない。
それは寂しい事ではあるが、前向きに考えれば知り合いの安否を気にする必要がないという事だ。
だが遥は話を聞く限りでは余り親しくはないようだが、
それでも学校生活を共にしたクラスメイトがこの殺し合いに連れて来られている。
遥の心情は察して余りあるものがあった。
409頑張るヘタレ狐 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/01(木) 00:11:29 ID:6o/T0Req
「だけど、これからどうしよう、たかはらさん」
「んー……いつまでも湖見ててもしょうがないからなぁ。
地図によりゃ東が北に行けば街に行けるっぽいから…行ってみようか。
下手に動き回るよりどこかに隠れていた方がいいでしょ」
「うん…」

正封と遥はそれぞれの武器を装備した後、デイパックを肩から提げ、
東か北かどちらに行くか話し合っていた時。

「おやおや、湖の畔で恋語らい? ロマンチックだね。
私もあったな〜アインとそういう時期が」

突如聞こえたやや低めの女性の声。それに驚き二人は声のした方向を向く。
そこにはぎらりと光る刃を持った太刀を携えた、露出の多い格好の狼獣人の女性が立っていた。
鋭い眼光を宿した瞳が、一般人などではなく幾多の死線を掻い潜って来た猛者だと言う事を、
純粋な一般人である正封と遥の二人に告げた。

「まあ、突然会ったのに悪いんだけど――」

狼女性のその言葉に、正封はとても嫌な予感を感じた。
そしてその予感はすぐに現実となる。

「――死んで」
「遥ちゃん、走れ!!」

正封が遥の手を掴み東の方向の雑木林へ全速力で駆け出した。
次の瞬間、二人が数瞬前まで立っていた場所を狼女性の太刀による薙ぎ払いが通り抜けた。

「うあ゛ーーーーー遥ちゃん頑張って走れェェェェ!!」
「わ、わかったよたかはらさん!!」
「チッ、逃がさないよ。おい狐! 大人しく狼である私に食われちまいな!」
「性的な意味なら喜んで食われるけど絶対そういう事じゃないよね!?
お断りします! 時代は変わりました! 今や狐が狼を食う事もある時代です!」

必死に走りながら背後を追走する狼女性に減らず口を叩く正封。
しかし焦りの余りか手に持っている拳銃の事をすっかり失念してしまっていた。
遥もまた然り、デイパックの中に入っている手榴弾の存在をすっかり忘れていた。
二人共近接武器を扱う狼女性を撃退できる術は持っていたが完全に忘れてしまっていたのである。



狼女性――シェリー・ラクソマーコスは市街地で青髪の剣士と一戦交えた後、
地図上に記載されていた自分の現在位置から近い所にある湖に向かった。
そのまま市街地で獲物探しを続けても良かったのだが、
発想を逆転させあえて文明圏以外で探してみる事にしたのだ。

そして湖の畔で、白いカッターシャツを着た狐獣人の青年と、
学生服姿の人間の少女を発見した。

明らかに一般人、楽勝だとたかをくくったシェリーは少し声を掛けてから襲い掛かった。
だが直前に察知され東方向の雑木林に逃げ込まれてしまう。
すぐに追撃を開始したが前方を走る二人――いや先頭を走る狐の青年に、
少女が半ば引き摺られているような形だが――は案外足が早く、
おまけに周囲の木々や深夜の暗い視界も相まって容易には追いつけそうにない。
410頑張るヘタレ狐 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/01(木) 00:13:28 ID:6o/T0Req
「ふふ…悪いけど、こっちも伊達に長い事剣士やってる訳じゃないんだよ」

完全に獲物を補足したシェリーは、笑みを浮かべながら前方の二人を追走した。



三人が行く先にあるものは、現在、二匹の雄の狼が激しく絡み合っている、男娼館。
肉欲の男の園に向かう男一人に女二人。待ち受けるものとは?



【一日目深夜/C-6森】

【高原正封@俺オリロワリピーター組】
[状態]:健康、恐怖、焦燥、仲販遥の手を引っ張っている、シェリーから逃亡中
[装備]:ニューナンブM60(5/5)
[持物]:基本支給品一式、38sp弾(30)
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。とにかく生き残る。
1:狼女性(シェリー)から逃げる。
2:仲販遥と行動する。
3:どこかに隠れたい。
※俺オリロワ開始前からの参戦です。
※仲販遥のクラスメイト(銀鏖院水晶、ケトル、鈴木正一郎、トマック)についての情報を多少得ました。

【仲販遥@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、恐怖、焦燥、高原正封に手を引っ張られている、シェリーから逃亡中
[装備]:手斧
[持物]:基本支給品一式、手榴弾(3)
[思考]:
0:死にたくない。高原さんと一緒にいる。
1:狼女性(シェリー)から逃げる。
2:クラスメイトの皆については保留。
※本編開始前からの参戦です。
411頑張るヘタレ狐 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/01(木) 00:16:00 ID:6o/T0Req
【シェリー・ラクソマーコス@FEDA】
[状態]:健康、高原正封、仲販遥の二人を追走中
[装備]:太刀
[持物]:基本支給品一式
[思考]:
0:面白そうなので殺し合いに乗る。
1:目の前の狐(高原正封)と少女(仲販遥)を追跡し、殺す。
2:とりあえず見付けた参加者から殺していく。
3:ドーラ・システィールについては保留。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※クリス・ミスティーズの名前と容姿を記憶しました。



≪支給品紹介≫
【ニューナンブM60】
日本警察の拳銃として余りに有名な小型リボルバー拳銃。
1960年に開発、警察庁の制式採用されて以来、警察以外の公安系公的機関、
入国警備官や税関、海上保安庁などにも採用されており、刑務官の非常用装備にも指定されている。
使用弾薬:38sp弾 装弾数:5発

【手斧】
片手で扱える小型の斧。

【手榴弾】
手で投げて使う小型爆弾。安全ピンを外し目標に投げ付けて爆発させる。
412 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/01(木) 00:18:08 ID:6o/T0Req
投下終了です。ちなみに正封は「まさとし」と読みます。
413創る名無しに見る名無し:2010/04/02(金) 00:57:08 ID:M2zitRU+
投下乙。
仲販遥キター!開始前からということは現在フリーなのか!?
トマックが絶賛ハッスル中の男娼館がカオスになりそうだ…
414創る名無しに見る名無し:2010/04/05(月) 12:29:39 ID:iUBZ8WPu
更新ねーなー
もっと投下しようぜ!
415創る名無しに見る名無し:2010/04/07(水) 22:52:13 ID:Nw7TVoJL
保守
416 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/09(金) 18:14:51 ID:lrrsBEvQ
tesu
417創る名無しに見る名無し:2010/04/09(金) 20:03:59 ID:5ezhcXqb
ああ大量規制かー
418創る名無しに見る名無し:2010/04/09(金) 21:02:11 ID:BpxiMIXD
最近の規制は本当にキツイなぁ
したらばが必要なのかもしれない
419 ◆5ddd1Yaifw :2010/04/09(金) 21:04:46 ID:VSoQJtHr
テスト
420 ◆5ddd1Yaifw :2010/04/09(金) 21:21:53 ID:VSoQJtHr
避難所を作ったよー。扱いが適当になるかもしれないけど勘弁ねー。
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/13720/
421 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/09(金) 23:10:21 ID:lrrsBEvQ
規制解除キター! 避難所乙です。これで一先ず安心…かな?
早速投下します。俺得ロワ22話「死神も大変なんだ」
登場:死神五世、島崎隆博
422死神も大変なんだ ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/09(金) 23:11:52 ID:lrrsBEvQ
22話 死神も大変なんだ

エリアD-2に存在する、三階建ての廃精神病院。
ほぼ全ての窓には頑丈な金網が設置され、普通の病院とは全く違う雰囲気を醸し出している。
精神に異常を来した患者を収容し、治療するのが目的の医療施設だったが、
脱走防止用の金網や、強固な錠前が取り付けられた分厚い鉄製の病室の扉、
至る所に設置された監視カメラは、医療施設と言うよりは監獄と形容した方がしっくりくるかもしれない。

事実、ここに入院していた患者の一部にとっては「監獄」以外の何物でもなかったかもしれないが。

懐中電灯で先を照らしながら、黒を基調とした水着のような格好の上に、
青いローブを羽織った黒髪の少女――死神五世は廃精神病院内を探索していた。
彼女は今でこそ扇情的な格好をしたグラマーな少女の姿をしているが、
実際の姿は魔王軍四天王の一角、骸骨の風貌を持った死神の男なのだ。
だがこの殺し合いに呼ばれた時から、彼女は元の姿に戻れなくなっており、
その上特殊能力も一切使えなくなり、得物である大鎌も今、手元にはない。

故に死神五世の今の得物は、支給品である脇差と、
今はデイパックの中に入っているノートパソコンの二つ。

「何もねぇな…」

埃を被ったベッドが整然と置かれている病室をぐるりと見回し、死神五世が溜息を漏らす。
廃業してそれなりの年月が経っているようだが、然程荒れてはいない。
何か医療道具など、使える物は残っていないかと廃精神病院内を歩き回っていたが、
やはり使えそうな物はあらかた撤去されたか、盗み出されてしまっているようだ。

「他の病室探しても同じかな。まぁ、もう一個探して何もなかったら、
もうこの病院出よう…」

たった今探索を終えた病室を後にし、隣の病室の扉を開け、中に入る。

「……ッ!」

入った瞬間、死神五世はこめかみに銃口を向けられた。
銃を持った主は、すぐさま引き金を引いた。

ダァン!!

部屋が一瞬、閃光に包まれ、銃声が響いた。
だが銃弾は死神五世の頭を貫く事はなかった。寸での所でしゃがみ込み、
銃弾を避ける事に成功したのだ。

「えっ、な……」

拳銃を発砲した当人にとっては、一瞬で相手が消えたように見えたのか、
何が起こったのか分からず動揺しているようだった。
その隙に死神五世は脇差を鞘から引き抜き、襲撃者の腹部を下から抉るように突き刺した。

「ぐ、あ、ああああ」

襲撃者は苦鳴を上げ、手に持っていた拳銃を床に落とす。
死神五世が脇差を引き抜くと、襲撃者は刺され腹を押さえながら崩れ落ち、
しばらく悶え苦しんだ後、血溜まりを作って息絶えた。
突然の襲撃に少し上がった心拍数を落ち着かせながら死神五世が襲撃者の死体を懐中電灯で照らす。
それはサラリーマン風の格好をした若い男だった。

身を守るためとは言え、見ず知らずの男の命を奪ってしまった事に多少罪悪感は感じつつ、
死神五世は男の持っていた拳銃――マカロフを拾い上げ、
男のデイパックからマカロフのリロードマガジン、水と食糧を抜き取った死神五世は、病室を後にした。
423死神も大変なんだ ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/09(金) 23:13:40 ID:lrrsBEvQ
「全く殺し合いとは、面倒な事になっちまったなぁ…」

やれやれといった感じで死神五世が呟いた。
いつものように仲間の四天王とプレイルームでカード遊びやテレビゲームに耽る、
そんな日常が続くと思っていたのだが、気付けば爆弾付きの首輪をはめられ、
見ず知らずのリリアと名乗る女に殺し合いを強要されるという事態。
しかも、先刻確認した参加者名簿には自分と同じく魔王軍四天王である、
ドラゴナス、ムシャの二人と、魔王軍のモンスター、デスシープの名前。
他にも魔王軍と敵対し、何度か戦った事もあり、最近では魔王軍より凶悪な存在とも思える、
勇者アレックスと、その仲間数人の名前があった。
計7人の仲間及び知人。いずれもこんな殺し合いを受け入れるような人物ではない。
そう死神五世は思ったが、よく考えてみれば、それはあくまで自身の希望的観測に過ぎない事に気付く。
最後の一人しか生き残れない。生き残るためには他者を蹴落とし、殺すしかないという状況で、
いつまでも正常な判断力を保っていられる者はそうはいない。
例えばドラゴナス。家に妻子と義理の妹がおり、再び会うために殺し合いに乗る可能性もある。
ムシャ。空気キャラ扱いされ続け、最近は本人もそれを受け入れているかのような節も見受けられたが、
もしかしたら心の奥底ではそれを良しとせず、存在感のあるキャラになりたいがために――。

「おいおい、何考えてるんだ俺は」

そこまで考えて、死神五世は思考を止める。
疑おうと思えばどこまでも疑う事はできる。そして疑い始めたらキリがない。
大切な仲間を信じられなくなればそれこそリリアの思う壷ではないのか。

「こんな陰気臭い廃病院にいるからこんな考え起こしちまうんだな。
いや、死神の俺が言う事じゃねぇか…さっさと出て、あいつら探しに行くとしよう」

魔王軍四天王の仲間であるムシャ、ドラゴナス。そして魔王軍モンスターのデスシープ。
三人と合流するため、死神五世は精神病院出口へと向かった。




【島崎隆博@オリキャラ  死亡確認】
【残り40人】
424死神も大変なんだ ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/09(金) 23:15:12 ID:lrrsBEvQ
【一日目深夜/D-4廃精神病院】

【死神五世@VIPRPG】
[状態]:健康、女体化
[装備]:脇差、マカロフ(7/8)
[持物]:基本支給品一式、ノートパソコン、マカロフのリロードマガジン(8×5)、島崎隆博の水と食糧
[思考]:
0:仲間と共に殺し合いからの脱出。
1:ドラゴナス、ムシャ、デスシープの三人を捜す。勇者(アレックス)達はとりあえず放置。
2:襲われたら戦う。できる事なら説得してみる。
※能力に制限がかかっている事に気づきました。
※女体化から元に戻れません。


※銃声は廃精神病院の外にはほとんど漏れていないようです。
※D-4廃精神病院の病室の一つに島崎隆博の死体とデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)が放置されています。



≪支給品紹介≫
【脇差】
刀身が短い小型の刀。本ロワに登場する物は、
1尺3寸以上1尺8寸未満(40cm〜54.5cm)の「中脇差」。

【ノートパソコン】
ユーザーが任意の場所へ持ち運び使用する事を前提として設計された軽量のパソコン。
本ロワに登場する物はシルバーカラーでキーボードの色は黒。
内部に何らかの特殊プログラムが入っている可能性有り。

【マカロフ】
旧ソ連軍が1952年に開発した軍用小型拳銃。
携帯性に優れ、取り回しが良い銃として評価が高い。
使用弾薬:9o×18弾 装弾数:8発



≪オリキャラ紹介≫
【名前】島崎隆博(しまざき・たかひろ)
【年齢】25
【性別】男
【職業】物流会社社員
【性格】卑屈
【身体的特徴】黒髪。特徴のない顔付き。痩せ型
【服装】濃い灰色のスーツ
【趣味】パチンコ、インターネット、映画観賞
【特技】暗算
【経歴】小中高といじめの対象になり続けてきた
【備考】日本風異世界国家出身
425 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/09(金) 23:18:07 ID:lrrsBEvQ
投下終了です。やっと話が進められるよ…。
426 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/11(日) 00:04:41 ID:fph45Gpl
投下します。俺得ロワ23話「黒い獣の温もり」
登場:レックス、稲垣葉月
427黒い獣の温もり ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/11(日) 00:07:09 ID:fph45Gpl
23話 黒い獣の温もり

黒い毛皮を持ち、血のように赤い瞳をした巨躯の狼、レックスは、
可愛い人間の女性を捜して市街地を歩いて回っていた。
殺し合いにいきなり呼ばれ、意気消沈していた時に、
銀髪の小柄の少女を発見し、生来彼が持っていた性癖が呼び覚まされた。
そして銀髪の少女を捕らえ、路地裏に連れ込み、食べた。
勿論性的な意味で、である。そしてレックスの行動方針は決まった。

即ち、どうせ死ぬのなら、思う存分、欲望のままに若くて綺麗な女――特に人間の女性優先――を、
性的な意味で襲って襲って、襲いまくり、食べて、味わってやろう、と。

次の獲物に対する仕打ちの方法を妄想し、ニヤケ顔になるレックス。
しかし、妄想に耽るレックスの心に一つの暗い思考がよぎる。

――散々好きな事をして、その先はどうするのか?

「……」

ついさっきまでのニヤケ顔も消え、神妙な表情へと変わる黒い狼。
レックス自身は進んで殺し合いをする気もなければ死にたくもない。
だがこの殺し合いは一人しか生きて帰る事はできないという。
どんなに好き勝手できて、どんなに気持ちよくなれても最終的には、死が待つのみ。
誰かに殺されるのか、自分で自分の命を絶つ事になるのか、
はたまた、主催者が言っていた時間切れで死ぬのかは分からないが。
そんな現実が、レックスは甘い空想から一時的とは言え引き戻した。

ぶるぶる、と首を大きく横に振るレックス。

「やめよ……その時はその時だよ」

こんな状況だからこそ、明るく物事を考えようと、レックスは自分に言い聞かせる。
それがいわゆる「現実逃避」だとしても。

「ん」

と、ここでレックスはある物の匂いを嗅ぎ付ける。
意識を鼻に集中しその匂いの正体を思考し、易々と探り当てた。
鋭い白い牙がよく見える程口元を歪め笑みを浮かべた黒い狼は、
匂いの元があると思われる場所へと向かった。



赤みがかった艶やかな髪を持ったグラマーな女性、稲垣葉月は、
月明かりが照らす空き地の、重ねられた土管の上に座り支給品を確認していた。
そして出てきた物はAK-47という、葉月にとってはかなり大型の銃器。
それとAK-47の予備のマガジンが10個だった。
銃器に疎いAV女優である葉月もAK-47の事は多少知っていた。
構造が単純で子供にも戦闘を可能にしたと言われる程、使い勝手が良い上に、
故障が少なく、威力、火力も抜群という、突撃銃のベストセラー。
確かどこかの大名の保有軍で制式採用されていたはず、と葉月は思い出す。
428黒い獣の温もり ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/11(日) 00:09:14 ID:fph45Gpl
非常にアタリの武器だが、葉月は嬉しい反面、怖くもあった。
確かに強力な武器が手元にあるのは心強いし安心もするがこれでいざ人を撃つのは、
とてもではないが、できそうになかった。
使うならあくまで威嚇用に使いたいが実際その局面になったらどうなるか分からない。

「どうしよう…何でこんな事に」

なぜ自分のような戦闘員でも何でもないただのAV女優がこんな血みどろの殺し合いに参加させられるのか。
いくら考えても答えなど出るはずもなく、また出してくれる者がいるはずもなく、
葉月はただひたすら途方に暮れるのみ。

「!!」

どこから微かに銃声らしき音が響いたのを聞き、葉月は身体を強張らせる。

「怖い…怖いよ…もう誰でもいいから一緒にいてくれる人が欲しい。
何でもするから…お願い、誰か一緒にいてよ…」

膝を抱えて蹲り震える葉月。
一人では不安で、恐怖に押し潰されそうだった。
誰か一緒にいてくれる人が、今の彼女にとって一番欲しい物だった。

「それなら、俺がいてやるよ」
「え?」

突然聞こえた青年の声に驚き葉月が顔を上げる。
目と鼻の先に、黒い大きな狼――レックスがちょこんと座っていた。

「え、あの……」
「……誰でもいいから一緒にいてほしいって。言ってたよね。
俺じゃ、駄目かな? 俺、レックスって言うんだけど」
「レックス、さん? わ、私は稲垣葉月」
「ハヅキ、か。いい名前だね。そんで、駄目かな……俺じゃ。俺みたいな獣で良ければ」
「あなたは…殺し合いには乗っていないの?」
「おいおい、そんなんなら話し掛けずにさっさと君の喉噛み千切ってるよ」
「……」

いきなり現れ、一緒にいてくれるという、レックスと名乗る黒い狼を、
葉月は信じてもいいものかどうか悩んだ。
漆黒とも言える毛皮、フサフサのタテガミ、血のような赤い瞳、
前足後足の鋭い爪、そして鋭い牙。見た目はまさに魔物。言葉を発するという事は妖狼或いは魔狼の種族なのだろう。
しかしその外見とは裏腹に、話口調から察するに割と軽めの性格のようだ。
もしかしたら演技をしているという可能性も否めなかったが、何より、
今この状況で孤独なのを避けたい葉月にとっては、偽物でも良い、
レックスの優しい言葉が、とても嬉しかった。
429黒い獣の温もり ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/11(日) 00:11:38 ID:fph45Gpl
「え?」

気が付けば、葉月はレックスの身体に抱き付いていた。

「嬉しい…ありがとう、レックスさん」
「い、いや…いいんだよ。あのさ、ハヅキ……」
「ん? 何?」

次の瞬間、葉月はレックスの下に組敷かれていた。
一瞬の早業。葉月は何が起こったか理解が遅れ戸惑っていたが、
すぐ目の前で舌と涎を垂らしながら、自分の顔を覗き込むレックスの顔を見て全てを悟る。

「ま、まさか」
「さっき『何でもする』みたいな事も言っていたよね?
じゃあさ、俺と異種か……じゃない、異種族プロレスごっこしよ♪」
「つ、つまり獣姦、って事よね?」
「そうとも言う」
「そうとしか言わんわ!」

口では抵抗する葉月だったが、内心では喜んでいた。
職業柄、性の営みに対する抵抗感は少なく、また、多少ではあるが、
その手のAVの撮影にも臨んだ事はあったので、獣との体験自体は葉月にとっては何ら拒否反応はない。
何であれ、共に行動してくれる者がいるという事が、彼女は嬉しかった。
黒狼が垂らす涎が葉月の顔や髪にかかり、生臭い息が吹き付けられるが、
葉月は特に気にする事もなく、レックスの顔を両手で挟み込んだ。

「こ、ここじゃ危ないからどこか建物の中で…ね?」
「ハッ、ハッ、そ、そうだねぇ…」



とある民家の和室。畳8畳分の広さのその部屋の中央に敷かれた布団。
その上で、掛け布団の中、息を荒げている一匹の黒い雄の狼と、
赤みがかった髪の女性がいた。

狼、レックスは布団に仰向けになっている女性、葉月の上に覆い被さり、
息を荒げてぐったりと葉月に体重を預け、その瞳はどこか虚ろだった。
一方の葉月も同じく肩で呼吸をし、身体中汗まみれになり、
半分開かれた目はぼーっと天井を見詰めていた。

「悪い……ハヅキ………しばらく離れられないや………完全に膨らんでるから……」
「いいよ………下手に動くより…ここで……じっと…………熱い………」
「ハヅキ…………」

葉月の顔を愛おしそうに舐めるレックス。
ザラついた狼の舌にくすぐったさを覚えながらも、葉月もレックスの頭を撫でた。
430黒い獣の温もり ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/11(日) 00:12:52 ID:fph45Gpl
【一日目深夜/G-6市街地:垣内家二階和室】

【レックス@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(大)、脱力感、稲垣葉月と離れられない状態、
稲垣葉月に対する特殊な感情
[装備]:不明
[持物]:基本支給品一式、不明支給品(1〜2)
[思考]:
0:とりあえず死にたくはない。
1:……ハヅキ……。
2:女性(人間の女の子優先)を手当たり次第に(性的な意味で)襲う?
3:最悪の場合、自害する。
※稲垣葉月と訳あって1時間弱程離れる事ができません。また、稲垣葉月に対し特殊な感情が芽生え始めているようです。

【稲垣葉月@俺オリロワリピーター組】
[状態]:肉体的疲労(大)、全裸、脱力感、レックスと離れられない状態、
レックスに対する特殊な感情
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、AK-47(30/30)、AK-47のリロードマガジン(30×10)
[思考]:
0:死にたくない。
1:……レックス……。
2:襲われたらどうする……?
※レックスと訳あって1時間弱程離れる事ができません。また、レックスに対し特殊な感情が芽生え始めているようです。
※衣服は和室内に脱ぎ捨ててあります。




≪支給品紹介≫
【AK-47】
1946年に旧ソ連のミハイル・カラシニコフ技師が設計した突撃銃。
構造が単純でどんな悪条件下でも稼働する堅牢さを誇り、更に操作も簡単。
登場から60年以上経った現在でも現役で、多くの国でコピーが生産され、
「小さな大量破壊兵器」とも呼ばれている。
使用弾薬:7.62o×39弾 装弾数:30発
431 ◆UwuX8yY6RQ :2010/04/11(日) 00:16:30 ID:fph45Gpl
投下終了です。そろそろ、次スレか?
432創る名無しに見る名無し:2010/04/11(日) 03:20:51 ID:n8DhGlvj
次スレ立てたよ。
こっちはあと2KBくらいだから、頃合を見て埋めてね。

非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ Part8
ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1270923604/
433創る名無しに見る名無し
埋め感想

・自己満足ロワ2nd「状況読めば勝利可能」
支給品複数だとはずれのショックも小さいな。

・同上「またマーダーか」
まさか宮田がこうもあっさりと死ぬとは。

>>399
休止ですか、残念ですが仕方ありませんね。お疲れ様でした。

・俺得ロワ「ジャイアニズムの終焉」
もう凄い勢いでのび太追い込みにいってるなw

・同上「悪魔と共に」
なかなか冷静そうな対主催チームだが果たして……

・同上「どんな状況でも自分を高潔に保て」
変態のバリエーションが増えてるw

・同上「頑張るヘタレ狐」
相変わらずヘタレだw 今回は武器もマシだし頑張れw

・同上「死神も大変なんだ」
なんという噛ませ犬。キャラ紹介からしてもう駄目な匂いがプンプンするキャラだったな。

・同上「黒い獣の温もり」
あああ、変態なのになんていい感じなんだ!

・道化師と少女ロワ「少年よ、大志を抱け」
おお、こののび太は格好いい。これは間違いなく劇場版モード。

・同上「殺人鬼は殺人鬼の刀の錆に」
さすが日野。そうじろうは娘に殺しあわされて狂っちゃったのか。

・同上「迷惑千万な歌と人形」
ジャイアンw アニロワで翠と組んでたの思い出した。こいつらもいいコンビになりそうだ。

・その日の気分ロワ「まったり暗黒チャットをしていってね!」
テンションたけぇw それにしてもイザヤもたいがいロワ充な気がする。

・無謀ロワ「殺戮遊戯」
所詮ポケモンが使えなきゃただの人間か。