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見る名無しあっての創る名無し:
俺の名は天野 翔太。鑑定士には定期的に見てもらいに行っていたが、行く度に能力の発現はまだだと言われた。(言われたというのは正しくない。正確には筆談だ)
だが俺にもとうとう目覚めの時が来たようだ。最近昼の能力が分かった。
そう、漢の夢、透視だ。
最初の内はもうウハウハだった。昼の間はずっと外にいて、ベンチに座りながら道行く女性を視まくった。
もうずっとギンギン。ただ力の加減を誤るとさらに中まで視えて一気に萎えるので、そこのところは注意が必要だった。
ちなみにこの力が及ぶのは現実の物だけだ。写真とか、絵は透視出来ない。
そんなこんなで能力を満喫していたのだが、やっぱりこういうのはすぐに飽きてくる。もう普通に視るだけでは何の反応も示さなくなっていた。
大体視たからといって、それ以上のことはできないのだ。それに気づいてからは虚しさも覚えるようになっていた。
そうなると次に思い立つのは金だ。この能力を使って金儲けはできないだろうか。
先にいっておくと、博打関係は出来ない。能力ができてから、馬の声を聞いてから馬券を買ったり、パチンコ玉を念で操作するような輩が続出したため、今ではそういった産業はすっかり廃れてしまった。
「うーむ」
今日は一日中能力の使い道を考えていた気がする。気づけば辺りは暗くなっていた。そろそろ帰ろうかと思いベンチから腰を浮かせたところで、
俺の体が落ちた。衝撃。
「な、に……」
これはヤバい。なんか口から血吹いてる。
隣には自分の足が立っていた。?おかしいだろ。なんで足のほうが頭より高いんだよ。
「……あ」
気づいた。俺死ぬ。つうか既に死んでる。だって上半身と下半身分かれてるのに全然痛くないから。
「はいハイどーもゥ、フェイブ・オブ・グールでェーっす。聞いたことあるかなァー?」
なんか変なおっさんが俺のことを見下ろしていた。おっさん見てないで助けろよ。まあもう助からないけどさ。
「ンンー?知らない?アアアッーそれはざンネんだ。俺ショック!」
ふぇいぶ、なに?だめだ、あたままわらくなてきた。
「じャあ、何か言い残すことはアるかなァー?
……ってオウプス!こーゆうのは殺す前に聞くもンだな、ミスったミスった」
……しぬのはべつにいいけど、そうだなあ、おれのよるのちからとか、しりたかったかも。
ああ、くだら、な――