非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ Part6

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1創る名無しに見る名無し
1999年刑行された小説「バトル・ロワイアル」

現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。

基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前の登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などの発表は書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
  〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!

前スレ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1260792936/

非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html
2創る名無しに見る名無し:2010/01/20(水) 01:29:28 ID:P5Zn8+Ub
>>1
おつ
3創る名無しに見る名無し:2010/01/21(木) 15:05:19 ID:jX8UFQkK
>>1乙です
4創る名無しに見る名無し:2010/01/21(木) 17:53:24 ID:LtQUpMbh
>>1
5 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/21(木) 23:18:48 ID:f7prRhEe
こっちに投下してOK?
6 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/21(木) 23:21:15 ID:u84ohlnY
たぶん良いと思いますよ
7 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/21(木) 23:27:57 ID:f7prRhEe
では投下します、個人趣味ロワ44話「嬉しさ噛み締める」
登場:費覧、北沢樹里
8嬉しさ噛み締める ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/21(木) 23:29:37 ID:f7prRhEe
44話「嬉しさ噛み締める」

「うっひゃー過激〜。気持ち良さそう…エヘへ」

ニヤケ顔をしながら私が見ているのは狐獣人の女性のみを扱ったエロ本。
内容はあんまり詳しくは言えないけど、どれもこれも興奮モノ。いいねぇ。
ああこれこれ、うひゃあ〜〜これはもう実況不可能でしょ〜うへぇ〜〜やりたいな〜。
もちろん章高の奴をこんなプレイで干からびさせたいねぇ。

今私――費覧がいるのはエリアE-4にあるエロ本屋。
実を言うと最初、スタート地点から始まって最初の一人を殺してからほとんど移動してない。
まあ何故かって言うとこのエロ本屋を見付けてしまったからなんだけども。
店員なんている訳無いしビニールの包装破いて見放題なのは良い。
暗いからちょっと読みにくいけどそこは我慢。

私はこの殺し合い、乗る気でいる。
殺し自体は全然平気だしね。見た目はピチピチの狐娘だけど、伊達ににひゃ、ゲフンゲフン!
……伊達に長生きはしてない。殺してきた動物、人の数は少なくとも100を超える。
知り合いかつ私の玩具、章高も参加している。
もし見つけたらとっ捕まえて誰にも邪魔されない場所でたっぷり性的な意味で弄んでから、食い殺してあげよう。
章高の恐怖に引き攣る顔が目に浮かぶなあ。ウフフ。
そして、最後には私をいきなり殺し合いなんかに連れて来たあのセイファートも殺すつもり。
見た感じ結構イイ身体してたから、やっぱりたっぷり弄んでから残酷に、惨たらしく、殺す。

さてと、気に入ったエロ本をデイパックの中に入れまして…そろそろ獲物探しに本格的に動く事にしますか。
今私が持っている武器は自分の支給武器、ルガーP08と鹵獲したコルトM1917。
ルガーの方が装弾数が多いから、ルガーの方を主力にしよう。
少し装弾方法が面倒だけど、添付の説明書を熟読して何とか理解した。
M1917はリボルバーだから説明書見るまでも無いね。

「ふう、それにしても…治りが悪いなあ」

私の自慢の乳房、身体。だけど…左側の乳房とお腹に、銃で撃たれた穴が空いている。
もう血は止まったけど、おかしいなあ、いつもなら早く治癒するはずなんだけど、何だか治りが遅い。
……主催者が何か仕掛けてるんだろうなきっと。
となれば余り無茶な行為は避けるべきね。普段みたいにわざと猟師に撃たれて不意討ち、みたいな戦法も、
この状況では難しいかな。はあ、面倒ね……。
9嬉しさ噛み締める ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/21(木) 23:31:41 ID:f7prRhEe
さて…荷物をまとめてそろそろ出るとしようかな。


「はい止まって」
「いっ…?」

出た瞬間、学生服姿の茶髪セミロングの女の子と鉢合わせになった。
女の子も銃を持っていて、私の姿を確認した瞬間、構えようとしたけど、
私が女の子の頭に向けてルガーを構える方が早かった。
女の子は私を睨み付けているけども、見動きは取れないよね。

「何か言い残す事ある?」
「……出会い頭に銃を向けて、開口一番それですかそうですか」
「今から死ぬんだよ? 怖く無い?」
「……とりあえず、私は北沢樹里。アンタは? 狐さん」

あら、何故に自己紹介? まあ、いいか。名前ぐらいは名乗ってあげよう。

「私は費覧。見ての通り可愛い狐娘ちゃんです」
「自分で可愛いとか言うな」
「うっさいわね。いいでしょ別に、じゃあ、そう言う事で、何か言い残す事あるー?」
「……」

次の瞬間、樹里と名乗った女の子は私の胴体に強烈なタックルを食らわせてきた。

「ぐえ!?」

衝撃で思わずルガーを空に向けて発砲し、私は後ろへ大きく吹き飛ばされた。
そしてエロ本屋のガラス扉に盛大に突っ込む。
派手な音を立ててガラスが割れ、そして。

ザクッ

「ぎゃっ、いっ、たあああ……」

ガラス片で首筋を、頸動脈を思い切り、掻き切ってしまった。
生温かい血液が私の首筋からどんどん流れ落ち、たちまち私の黄色と白の毛皮に覆われた身体は血塗れ、
床にも大きな血溜まりが広がる。
妖狐である私は死ぬ事は無い、けど、一気に大量の血が無くなって頭がクラクラする。
10嬉しさ噛み締める ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/21(木) 23:33:50 ID:f7prRhEe
「アンタ、よくもっ……あれ?」

首を押さえながら樹里の方を向いた――けど、そこにはもう誰もいなかった。
だけどよく見れば、西の方角に猛スピードで走り去っていく人影が。

「は、早………」

凄い俊足……あの子、陸上部かマラソン選手か何か?
いや、そんな事はこの際どうでも、いいか……それより、ああ、やばい、意識が飛びそう。
しばらく、動けそうに無いな、これ……ああもう、あの小娘めええ!
今度……会ったら………絶対…………こ………ろ………………。


………………。


◆◆◆


「ハァ……ハァ……ハァ……」

久々に走ったから…ちょっと、体力が落ちてるし、足も鈍ってるかな。
でも……でも……。

「嬉しい…本当に…また、走れるようになったんだ」

前回の殺し合いで愛餓夫の奴に奪われた私の足。
もう県大に出れない、いや、両親のようなプロの選手にもなれないって、
絶望して、心の底から絶望して――。
でも、今、こうして走れるようになった。なったんだ……!

「……ぐすっ……」

改めて走れるという事を実感した私の目から涙が溢れる。
正に嬉し涙って奴ね…でも、まだ泣くのは早い。
制服の裾で涙を拭い、走って来た道を振り向く。追ってくる影は見当たらない。
さっき、突然狐族の女(何故全裸だったのかは気にはなったけど聞かなかった)と遭遇して、
おまけに拳銃を頭に向けられた時は表面上は出来るだけ冷静を装っていたけど、
内心ではかなり焦ったわ。
11嬉しさ噛み締める ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/21(木) 23:36:08 ID:f7prRhEe
でも何とか隙を突いて費覧と名乗った狐女に思い切りタックル食らわせて何だかいかがわしい店のガラス戸にぶち込んでやった。
そして費覧がガラス片で首を切って大量出血して呻いているその隙に、全力疾走で逃げてきた訳。

どうなったかな費覧、死んでるならいいけど、何だか、死んで無いような気がするのは何故…?


【一日目/黎明/E-4市街地】

【費覧@オリキャラ】
[状態]:頸動脈断裂、失血、仮死状態、胸と腹に貫通銃創(治癒中)、返り血(中)
[装備]:ルガーP08(2/8)
[所持品]:基本支給品一式、ルガーP08の予備マガジン(5)、コルトM1917(1/6)、
45ACPリムド弾(30)、 エロ本(5冊、調達品)
[思考・行動]:
0:(仮死状態)
[備考]:
※仮死状態です。見た目には死んでいるようにしか見えませんが、
死亡扱いにはなりません。また、いつ頃目覚めるのかは不明です。


【一日目/黎明/E-4とE-3の境界線付近】

【北沢樹里@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的疲労(中)
[装備]:カーマインエッジ@オリジナル(8/14)
[所持品]:基本支給品一式、カーマインエッジの予備マガジン(5)、二十六年式拳銃@SIREN(4/6)、
ルミーア・ホワイトのデイパック
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り、優勝を目指す。
1:回収したデイパックの中身の確認をしたい。
2:クラスメイトとは出来れば会いたくは無い。
3:足、元に戻って嬉しいな。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。


※E-4一帯に銃声が響きました。
12 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/21(木) 23:37:32 ID:f7prRhEe
投下終了です。狐大好き。
13 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/24(日) 00:29:26 ID:tLPd+c3r
投下します。個人趣味ロワ第46話「エルフィ…」
登場:エルフィ、竹内多聞、松尾芭蕉
14エルフィ… ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/24(日) 00:30:26 ID:tLPd+c3r
46話「エルフィ…」

教会で身を潜めていた狼獣人の女子高生、エルフィと大学講師の男、竹内多聞は、
そろそろこの教会を出て行動を開始しようと話し合っていた。
夜明けが近付き、外もゲーム開始直後に比べだいぶ明るくなってきたためだ。
荷物を一通りまとめ、エルフィは小型自動拳銃、グロック19を、
竹内は腰に長剣、そして手に大型自動拳銃、デザートイーグルを装備する。
装備は万端、体力も申し分無い。

「さてと、エルフィ。これからやる事の確認だが…」
「はい。えーと、まず…」

まず、人の多く集まりそうな市街地へ向かい、自分達と同じように殺し合いに乗っていない人を仲間に勧誘。
そして最終的には首にはめられた首輪の解除、この殺し合いの転覆を目指す。
これがこれからの二人の、基本的な行動指針である。二人で協議した結果だ。

「しかしだ。何度も言っていると思うが、きっと殺し合いに乗っている者も多いだろう。
突然襲われて死ぬかもしれない。それは…」
「分かってます…覚悟しろ、って事ですよね」
「まあな……それでは行くとしようか」
「はい」

二人が意を決し、教会正面玄関へ歩き始める。



その頃、教会正面玄関に外側からふらふらと近付く、一人の男がいた。
和服姿の冴えない風貌の中年男性だが、意味不明かつ支離滅裂な独り言をぶつぶつと呟き、
口からは涎を垂らし目は焦点が定まっていない、明らかに異常だった。

「うひっ、ひひひひ、キノコになります〜フヒヒヒ」

男――松尾芭蕉は、重厚な造りの両開きの扉に、ゆっくりと近付いていく。
何か目的があってそうしている訳では無い。狂ってしまった彼に目的など無い。
いや、あるとすれば――手に持っている赤い液体の入った注射器を、誰でもいいから、
手当たり次第突き刺す、と言う事だろうか。



ガチャン!!


エルフィと竹内が教会正面玄関まで後三メートルといった所まで来た時、
玄関扉が乱暴に開かれた。
驚き瞠目する二人の目に飛び込んできたのは、薄汚れた着物姿の男。
15エルフィ… ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/24(日) 00:32:18 ID:tLPd+c3r
「はい、俳句の神様、これからも俳句一筋精進致します、フヒヒヒヒヒ」
「な、何なのこの人……」
「気をつけろエルフィ。どうやら正気を失っているみたいだ」

涎を垂らし笑いながら意味不明な言葉を呟く男を二人は当然警戒する。

「パ〜〜〜ティ〜〜〜シ〜〜〜エ〜〜〜!!」

突如、男が右手に持った注射器らしき物を振り被って襲い掛かってきた。
二人は銃を構えて威嚇する暇も無く、注射針は振り下ろされた。

「あ゛っ」

エルフィの首筋に。
深々と針が突き刺さり、注射器の中の赤い液体がエルフィの体内へ送り込まれる。

「やめろ!!」

竹内が力ずくで男を引き離し、突き倒すが、既に赤い液体はエルフィの体内に全て注ぎ込まれた後だった。

「うぐっ、ぐ、ああああ」
「エルフィ、大丈夫か!? しっかりしろ!」

首筋を押さえ、床に座り込み悶絶するエルフィを心配する竹内。
あの注射器の中身が気になったが、当の実行犯はとても話を聞き出せるような状態には見えない。
突き飛ばされた痛みも何のその。男は次は竹内に襲い掛かる。
奇怪な笑い声を上げながら竹内に掴み掛かり、腰に差していた剣を奪った。
デザートイーグルを構えながら竹内は慌てて男と距離を取る。
男の後方で蹲っているエルフィの事が心配だったがこの男をどうにかして止めなければならない。
デザートイーグルの銃口を男に向け威嚇するがやはり男は怯む様子を見せない。

「止まれ、止まるんだ! さもなければ撃つぞ!」
「黙れえええおとなしく俳句の神に捧げられたまえええええ」

男が剣を振り被って竹内に斬り掛かる素振りを見せた。

「くそっ…!」

止むを得ない。竹内はデザートイーグルの引き金に掛けた指に力を込めた。


ダアン!!


男の頭が、まるでスイカのように弾け、血と、何かゼリー状のピンク色の物体を聖堂の床に撒き散らし、男はそのまま崩れ落ちた。
しばらくピクピクと痙攣していたけども、すぐに全く動かなくなった。
竹内は何が起こったのか分からなかった。彼はまだデザートイーグルを発砲していない。
しかも、今の銃撃は男の背後からだった。男の頭部を突き抜けた弾丸は竹内のこめかみのすぐ脇を掠めた。
つまり今の発砲者は――。
16エルフィ… ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/24(日) 00:34:19 ID:tLPd+c3r
「エルフィ!?」

右手にグロック19を構え、立ち上がっている灰色の狼少女の姿があった。
だが、駆け寄ろうとした竹内は、すぐに何かに気付き立ち止まった。
エルフィの両目から――赤い、血の涙が溢れ、着ている学生服の上着を赤く汚していた。
それだけでは無い。笑っていた。それもどこか歪んだ笑み。

「……ふ……ふふ………」
「おい、エルフィ…?」

竹内がエルフィに話し掛けても、エルフィは返答しない。
ただただ、虚ろな目で、笑うだけ。

「んふっ、あはっ、あははははっはははははは」
「エルフィ…? どうしたんだ……?」

やはり、エルフィからの返答は無い。

「ははははははははははははははははははははははははは」
「エル――」


ダアン!!


「がっ……!?」

銃声が響いたと同時に竹内は自分の胸元に強烈な熱を感じる。
見れば、上着の胸の辺りから真っ赤な鮮血が流れ出しているではないか。
思わずデザートイーグルを床の上に落とし、胸元を両手で押さえる。
生温かい、ぬめっとした感触が竹内の両手から脳へと送られる。
何があったのか? いや、考えるまでも無い、撃たれたのだ。誰に? これも考えるまでも無い。一人しかいない。

エルフィに。

「ふぅー……ふぅううう……」

やけに呼吸音を大きくしながら、エルフィがぎこちない足取りで竹内に近付く。
途中、頭部が弾け脳漿を漏らした男の死体があったがまるで石ころの如く無視。
一方の竹内は床に跪き、胸元を押さえながら苦しんでいた。
息が苦しい。銃弾が肺を貫通したのだろうか。そして大量出血。早急に適切な治療を受けなければ確実に死に至る事は明白だった。
そしてエルフィが竹内の前まで来る。竹内はゆっくりと顔を上げる。

そして自分が間も無く殺される事を知る。

エルフィが持っているグロック19の銃口を、竹内の左目に向けていたからだ。
17エルフィ… ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/24(日) 00:35:40 ID:tLPd+c3r
思った。

――ここまでか。

思った。

――こんな所で死ぬ事になるとは。

思った。

――安野、すまな


ダアン!!


竹内多聞の意識はそこで途絶えた。


◆◆◆


「――あれっ」

エルフィは不意に意識を取り戻した。いや、意識を取り戻したという言い方は語弊があるかもしれない。
厳密に言うと彼女は意識を失っていた訳では無いからだ。

「私、えーと…何やってたんだっ――」

目の前に広がる光景を見て、エルフィは絶句する。
そこには、ついさっきまで行動を共にしていたはずの竹内多聞が、死んでいた。
胸と頭を銃で撃たれ――特に撃たれた頭部からは、頭蓋骨の中身が血と共に溢れ出していた。
右目に大きな穴が空いていた。

「え…? な、なん、で……」

ふと振り返ってみると、もう一つの死体。ついさっき襲い掛かってきた和服姿の中年男性が、やはり頭を撃ち抜かれて死んでいた。
一体誰がこんな事を、と思い掛けたエルフィは、すぐにその「事実」に気付く。
誰でも無い。二人を殺害したのは、他ならぬ自分自身だった。

「わ、私……」

エルフィの脳裏に、闖入者である男に謎の赤い液体の入った注射器を首筋に刺されてからの記憶が蘇る。
あの後、エルフィは首筋を押さえて床に蹲っていた。
身体中に痛みとも、快感とも付かない、妙な感覚が走っていた。
そして、数秒としない内に、エルフィの心を異様なまでの幸福感が支配する。
両目から何かが流れ出ているような気がしたが、どうでも良かった。
そしてエルフィの心の奥底からある感情が湧き起こってきていた。
18エルフィ… ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/24(日) 00:37:32 ID:tLPd+c3r
――殺せ。

誰かが自分に人を殺せ、人を殺せと命じているような、そんな感情、いや、感覚だろうか。
自分でも分からない内に、笑いが込み上げてくる。
楽しい、楽しくてたまらない。訳が分からないけど、それでもいい。
そして銃を携え、フラフラと立ち上がり、その後は――。


「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……!」


エルフィは竹内の死体に縋って泣いた。
そして何の意味も無いと分かりつつも、何度も何度も謝罪の言葉を口にした。
両目から溢れる涙は、真っ赤な血だった。


【竹内多聞@SIREN  死亡】
【松尾芭蕉@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和  死亡】
【残り  33人】


【エルフィ@自作キャラでバトルロワイアル  屍人化】


【一日目/黎明/G-4教会】

【エルフィ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:屍人化(不安定)、首筋に注射痕、深い悲しみ、罪悪感、平常の意識
[装備]:グロック19(12/15)
[所持品]:基本支給品一式、グロック19の予備マガジン(5)
[思考・行動]:
0:……どうして……私……。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※屍人化しました。但し不安定で、平常のエルフィの意識と屍人としてのエルフィの意識が混濁しています。
19 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/24(日) 00:40:13 ID:tLPd+c3r
投下終了です。
20創る名無しに見る名無し:2010/01/24(日) 23:48:56 ID:b+qz1PKv
投下乙。
自作ロワのカワイソスキャラ、エルフィちゃんの受難。
サイレン恐ろしいな…。
21 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/25(月) 00:27:56 ID:elVVK3nM
投下します。個人趣味ロワ47話「三者三様」
登場:平池千穂、ヴォルフ、森屋英太
22三者三様 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/25(月) 00:29:02 ID:elVVK3nM
47話「三者三様」

私、平池千穂。普通の高校三年生の女の子。
のはずなのに、今私はバトルロワイアルという、殺し合いのゲームの真っ只中にいる。
参加者全員で殺し合って最後の一人にならなきゃ生きて帰れないという異常状況。
一体どうしてそんなものに私が参加させられているのか全く分からない。
私だけじゃない。クラスメイトの伊賀さんと中村さんも参加させられている。
二人共――伊賀さんはちょっと変態な部分を除けば――普通の女子高生。私と同じなのに。
こんな殺し合いをしなければならない理由が分からない。

でも……今そんな事をごちゃごちゃ言ってもどうにもならない事は分かってる。
今しなくちゃいけない事はこの殺し合いから脱出する手段を考える事。
勿論、伊賀さんと中村さん、今同行させてもらってる銀色の人狼、ヴォルフ、出来れば大勢の、同じ考えを持つ人達と一緒に。

それで今、私は廃墟の展望台の根元辺りにいる。
展望台最上階で出会った私とは別の学校の制服を着た森屋英太っていう人が仲間になった。
今ヴォルフが死体を埋めるための穴を掘っている。
その掘り方はまんま犬が穴を掘る時のそれ。

「凄い勢いで穴が掘れていくなー」
「そりゃあ人狼だし……それにしても、あの、残念、だったね……」
「ああ…くそっ、志村さん……」

そう言って森屋君が地面に仰向けに寝かされている二人の死体の内、
猟師っぽい格好のおじいさんの方の死体に目をやる。
聞けばあのおじいさんは「志村晃」という名前で、
森屋君がこの殺し合いの中で最初に出会って行動を共にしていた人らしい。
すぐ脇に同じような体勢で寝かされている紺色のドレスを着た翼の生えた女性にサブマシンガンで撃たれ殺されたとの事。
その女性はこの展望台に辿り着く直前、私とヴォルフの上空を飛んでいた「リリア・ミスティーズ」なる女性だった。
リリア・ミスティーズは森屋君が返り討ちにしたらしい。サブマシンガンを持った相手に鎌で勝つなんて凄いなあ。

「よし……掘れたぞ。英太、千穂。死体を運ぶのを手伝ってくれ」
「うん、分かった…」
「あ、ああ」

二人分の穴が掘れたので三人で死体を運ぶ。
ヴォルフが一人でリリア・ミスティーズの死体を、私と森屋君で志村さんの死体を穴まで運ぶ。
思えば私、本物の死体を見てるのに、さっきほど動揺していない。
何でだろう、感覚が麻痺してるのかな、これ……。

埋葬はそう時間も掛からずに終わった。墓石も何も無いけど、これは仕方無い。
代わりに二人のデイパックを墓の上に供えた。
そして墓の前で私と森屋君は目を瞑って手を合わせる。典型的な死者への弔いだと思うけど…。

あ、そう言えばヴォルフの尻尾、まだ触らせてもらってないなあ。
23三者三様 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/25(月) 00:31:04 ID:elVVK3nM
◆◆◆


二人の死体の埋葬が終わった後、俺と千穂、そして英太はこれからの行動方針について話し合った。
やはり、人が多く集まる所と言えば街だろう。仲間を集めるためにも、俺と千穂の探し人を探すためにも、
この首にはめられた首輪を解除する手段を探るためにも、街へ行った方が良いと思うのだが。
俺のこの提案に千穂は難なく承諾してくれたが、英太はと言うとちょっと難色を示した。
多分、と言うか十中八九行きたくないのだろう。

「ち、違う! えと、行きたくないとかそんなんじゃないんだ! ただ、その下手に動き回るより、
一ヶ所に留まった方が安全だと言いたいだけで、別に、その……」

英太はかなり苦しい弁解を必死の表情を浮かべながら言い続ける。
全く…本当にこいつ、サブマシンガン相手に鎌で勝ったのか?
その後もかなり渋った英太だったが、千穂が説得に掛かると何故かあっさり承諾した。
どこかしら顔がニヤけているような気がする。こいつ、多分女に弱いんだろうな。

翼女が装備していたというドラムマガジン式のサブマシンガンとその予備弾薬を英太に装備させ、
俺は二十二年式村田銃、千穂は金属バットと簡易レーダーを装備する。
おっとそうだ……確か千穂の奴が……。

「そうだ千穂。お前、俺の尻尾触りたいとか言ってたよな?」
「えっ? あ、うん!」

千穂の顔が明るくなるのが分かる。
そんなに俺の尻尾が触りたいのか……?

「ほれ、触れ」
「うわああい」

尻尾を揺らしながら差し出すと千穂が歓声を上げながら飛び付いてきた。

「ふさふさ〜」

俺の尻尾に顔を埋めて楽しんでいる千穂。
その、まあ、何だ。妹のリーヴァイ程じゃないが、こういうのも悪く無いな。


◆◆◆
24三者三様 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/25(月) 00:32:31 ID:elVVK3nM
どうも、森屋英太です。
目の前で狼族のヴォルフと戯れる千穂ちゃん。二人の間に入り込む余地が無い。
折角、遥やクラスの女子に負けないぐらいの可愛い子なのに、くそー。

しかし、死んでしまった志村さんには悪いけど、期せずして俺は強力な武器を手に入れる事が出来た。
俺が殺した翼女が持っていたサブマシンガンだ。
少し重いけど、俺に支給されたバタフライナイフに比べれば遥に強力な武器。
予備のマガジンも翼女のデイパックの中に入っていた。
これでこれから敵に襲われた時、戦いが楽になるだろう。

にしても、ヴォルフは見た所、狼族の獣人で間違い無さそうだけど、
俺が知る狼族とは見た目がだいぶ異なるな。
まず毛皮がすごくふさふさで後髪が長いし、足がまるで獣のようだし、
それよりも何よりも何も着ていない。つまり完全に、裸。
獣人と言うより、二足歩行の獣。野獣に近い風貌だ。
だけど、普通に日本語話してるし、性格は冷静沈着で優しいから、十分信用は出来ると思う。
それにかなり古そうな奴だけどライフル的な物も持っているし。
そして何より千穂ちゃんがいる! 可愛い子がいる! 離れられない!

さて、ヴォルフ、千穂ちゃん、俺の三人で話し合った結果、ここから西の方角に広がる市街地へ向かう事になった。
人が集まりやすいって事はそれだけ殺し合いに乗った奴との遭遇率が高くなるから、
正直俺は嫌なんだけど、千穂ちゃんにあれだけ頼まれちゃな〜流石に断れないな。
傍に俺と同年代で可愛くてしかも低姿勢の女の子がいるってだけでテンションがあがるぜ!

……いや、そんな浮かれてる場合じゃ無いってのは分かってるんだけど。




【一日目/黎明/F-7灯台付近】

【平池千穂@オリキャラ】
[状態]:健康、ヴォルフの尻尾を触っている
[装備]:金属バット
[所持品]:基本支給品一式、PSP型簡易レーダー@オリジナル
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。生き残る。
1:尻尾ふさふさ〜♪
2:クラスメイトの二人(伊賀榛名、中村アヤ)を探す。
3:ヴォルフ、森屋英太と行動を共にする。
[備考]:
※リーヴァイのおおよその特徴を把握しました。
※森屋英太と何らかの情報を交換しました。
25三者三様 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/25(月) 00:34:57 ID:elVVK3nM
【ヴォルフ@オリキャラ】
[状態]:健康、尻尾を平池千穂に触らせている
[装備]:二十二年式村田銃@SIREN(8/8)
[所持品]:基本支給品一式、8o×53R弾(30)、ナッチの写真集@永井先生
[思考・行動]:
0:リーヴァイを探す。殺し合いをする気は無い。首輪を何とかしたい。
1:ん……(ちょっと恥ずかしい)。
2:平池千穂、森屋英太と行動を共にする。
3:襲われたら戦う。
[備考]:
※伊賀榛名、中村アヤのおおよその特徴を把握しました。
※森屋英太と何らかの情報を交換しました。

【森屋英太@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、返り血(中)
[装備]:USSR PPSh41(71/71)
[所持品]:基本支給品一式、PPSh41の予備ドラムマガジン(4)、
バタフライナイフ、 マーフィー君@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和
[思考・行動]:
0:生き残る。
1:千穂ちゃんともっとお近づきになりたいな。
2:ヴォルフと千穂ちゃんと一緒にいる。
3:太田に今度会ったら……どうする?
4:太田以外のクラスメイトと合流したい(但し太田の仲間らしい吉良は微妙)。
5:シルヴィアの事が少し心配。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※「宮田司郎」のおおよその外見的特徴を把握しました。
※ヴォルフ、平池千穂の二人と何らかの情報を交換しました。



※F-7廃展望台付近に志村晃とリリア・ミスティーズが埋葬されました。
また、それぞれの墓にそれぞれのデイパックが供えられています。
志村晃のデイパックの中身=基本支給品一式、鎌、チキンラーメン
リリア・ミスティーズのデイパックの中身=基本支給品一式
26 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/25(月) 00:36:20 ID:elVVK3nM
投下終了です。
27 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/25(月) 22:33:27 ID:elVVK3nM
投下します。個人趣味ロワ48話「敗者復活、心機一転」
登場:エイミス・フロリッヒャー
28敗者復活、心機一転 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/25(月) 22:35:23 ID:elVVK3nM
48話「敗者復活、心機一転」

路地裏で、右足を引きずりながら歩く一人の少女がいた。
艶やかな桃色の髪を持ったその少女――エイミス・フロリッヒャーは、
首にはめられた首輪、そして背負ったデイパック、そして手に持った鞘入りの長剣以外は何も持っていないし身に着けていない。
一言で言うなら「生まれたての姿」だった。
勿論、彼女とて好きでこの姿でいる訳では無い。その証拠にエイミスは、泣いていた。

「うっ……うっ……」

この殺し合いにおいて殺し合いに乗る事を決意したにも関わらず、
今まで二回程他参加者と遭遇していながら一人も殺せていない上、二人目の参加者に気絶させられた上、
身ぐるみ剥がされ路地裏のゴミ捨て場に飽きた人形のように捨てられた。
しかもその剥がされた身ぐるみ――自身のお気に入りであったビキニ鎧とマント、靴は、ズタズタに切り裂かれてしまっていた。
更に、武器である長剣は無事だったが水と食糧も持ち去られてしまった。
完全なる敗者の要素が満載である。エイミスは悔しさ、情けなさ、自分への怒りで落涙していたのだ。

「あの狐女……次に会ったら絶対殺す……!
でもその前に、着る物探さないと……これじゃロクに外歩けないよ………」

何よりまずは自分の着る服を調達しなければならない。
エイミスはとりあえず適当な建物の裏口の扉を開け、中に入った。


運が良い事に、エイミスが入った建物の一階は洋服店だった。
下着、普段着は勿論、安売りではあるが靴も置いてある。

「良かった……鎧とかは流石に無いみたいだけど、この際普通の服でもいいや」

足の痛みを我慢しながらエイミスは自分が着れそうな衣類を探し始めた。


そして数分後、服を着終えたエイミスが試着室から出てきた。
長袖の白いカッターシャツの上に茶色のジャケット、黒っぽいスカートに白い靴下と濃い茶色の紐靴。
かなりカジュアルな服装になっていた。
右足の太腿にある掠り傷には店内に陳列されていた手拭いを巻いて応急処置とした。
衣類を入手し、傷の応急手当も済ませたエイミスはホッと胸を撫で下ろす。
29敗者復活、心機一転 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/25(月) 22:36:24 ID:elVVK3nM
人心地着いたエイミスは店舗奥の事務室で休息を取る。
とは言っても気絶していたおかげで皮肉な事に体力も魔力もそれなりに回復しているのだが。
そして考えるのはなぜ自分が未だ一人も殺せていない上に先程のような無様な醜態を晒す事になったかという事。

(要するに……私は無策、だったって事ね。ただ目の前の敵に対して突撃するだけ。
この殺し合い、それじゃ駄目なんだわ。もう少し冷静に立ち回らないと……。
物理攻撃を無効化するバリアーも魔法剣も、もっと上手く使えられれば……)

椅子に座りながら頭の中で色々とこれからの戦い方を考えるエイミス。
今回は助かったが、次も命を助けて貰えるとは限らない。
出会った参加者は確実に仕留めていきたい所であった。

「そう言えば、お腹空いたな……食糧奪われちゃったし、何か無いかなー」

空腹を感じたエイミスだったが、食糧(と言っても味気無いコッペパン4個だったが)と水を奪われてしまっていたので、
仕方無く事務所内を探してみる事にした。


【一日目/黎明/D-4市街地洋服店事務室】

【エイミス・フロリッヒャー@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(小)、腹部にダメージ(中)、右太腿に掠り傷(応急処置済)
[装備]:ヤマトの剣@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和
[所持品]:基本支給品一式(水と食糧無し)
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗る。
1:食べ物が欲しい所。
2:銃器も欲しい。
3:狐女(ドーラ・システィール)は今度会ったら絶対に殺す。
[備考]:
※朝倉清幸の名前と容姿を把握しました。
※能力には制限が掛かっています。
※服を着ました。
30 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/25(月) 22:37:34 ID:elVVK3nM
投下終了です。
31 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/26(火) 23:59:40 ID:NWoqrEyW
投下します。個人趣味ロワ49話「BLACK DRAGON FLIGHT」
登場:石川清憲、大沢木小鉄
32BLACK DRAGON FLIGHT ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/27(水) 00:02:40 ID:NWoqrEyW
49話「BLACK DRAGON FLIGHT」

夜明けが近付き、明るくなってきた海岸を、黒い身体の二足歩行の竜と小学生ぐらいの少年が歩いていた。

「あーったく、足の裏が砂だらけだよ……」

黒い竜、石川清憲は鋭い爪の付いた足の裏に砂浜の砂が付着するのがとても鬱陶しいようだ。
一方、少年、大沢木小鉄は靴を履いているが、こちらはこちらで砂が靴の中に入り問題らしい。

「なあなあキヨノリ」
「何だ」
「お前、羽あるんだから飛べるんじゃないのか?」
「…………あ!」

それは閃き。正に絶大なる閃きだった。
何故今の今まで思い出さなかったのだろうか。自分には立派な翼がある。
これで空を飛べばわざわざこんな足場の悪い砂浜を歩く必要など無いというのに。
清憲はその事実を自分より10歳以上年下の子供に気付かされたのだ。

「よっしゃ、それじゃあ早速……」
「あれ? キヨノリ、あそこに誰か倒れてるぜ」
「え? あ…本当だ」

清憲がいざ翼を広げようとした時、小鉄が前方に倒れている人影を発見する。
二人がその倒れている人物にやや警戒しながら近付く。

「うっ……!?」
「うわっ! の、脳ミソ出てるううう」

それは、銃か何かで頭部を撃ち抜かれて殺された人間の男の死体だった。
砂浜の砂の上に血と一緒に頭蓋骨の中身が流出している。
生まれて初めて見る惨殺死体に清憲は気分が悪くなってしまった。
それは小鉄も同じだったが、顔を背けようとする清憲とは逆に小鉄はその死体の顔を覗き込もうとした。
死体の格好や体格、全体の印象に、どこか見覚えがあったからだ。
そして、遂に死体の正体を知る。それは小鉄にとってかなり身近な人物だった。

「は、春巻……!」
「え? 春巻、って…お前の担任の? こ、この人が……」
「ああ……畜生、春巻……まさかお前が死んじまうなんて……何度も遭難したけど最後には必ず生還してたお前が……」
「……」

小鉄は涙こそ流さないが、やはり平時疎ましく思っていた事があったとは言え、
自分のクラスの担任でもあり接する時間も多かった人物。もう永遠に声を聞けないのは少し寂しかった。
33BLACK DRAGON FLIGHT ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/27(水) 00:04:07 ID:NWoqrEyW
「小鉄……」

落ち込む小鉄を気遣う清憲。
しばらく小鉄と清憲は春巻龍の死体に手を合わせた。
そしてその後、清憲が背中の翼を広げ、小鉄がその背中にしっかり掴まる。
清憲の翼で空を飛び、一気に移動しようというのだ。
春巻龍の死体をそのまま放置しておくのは忍び無かったが、穴を掘る道具も無いので仕方無い。

「よっし、小鉄、しっかり掴まってろ。行くぞ!」
「おっしゃー!」

黒い竜が翼を羽ばたかせ、いよいよ上空へと舞い上がる。
あっと言う間に地上が遠退き、気が付いた時には二人は会場の上空数十メートル上にいた。

「おおおおスゲエーーーー!!」
「馬鹿っ、デカい声出すな! どこからか狙われるかもしれないだろっ」

はしゃぐ小鉄を清憲が小声で叱責する。

「あーゴメンゴメン」
「まあはしゃぐ気持ちも分からなくは無いけどさ。んで、これからどうする?」
「んーそうだな。とりあえずもっと高く飛ぶ事は出来るか?」
「出来るけど……よし、どこまで高く飛べるかやってみるか。俺も最近飛んでなかったしな。
肩慣らしならぬ翼慣らしだっそれ!」

久々の空中飛行で少し気分が高揚していたのか、清憲は更に高度を上げる。
しかし、ある高さまで到達した時、二人は予期せぬ事態に見舞われた。
突如、首にはめられた首輪から警告音が発せられ、無機質な女性の機械音声で警告が発せられたのだ。

『警告。禁止エリアに侵入しています。退避が確認されない場合、30秒後に首輪を爆破します』
「な、何だって!? ちょっ、待て!」
「え!? な、何だよ!?」

慌てて清憲が高度を下げると、警告音はすぐに鳴り止んだ。

『禁止エリアからの退避を確認。カウントをリセットします』
「ふぅ…危なかった……どうやら余り高く飛んでも駄目らしいな。気を付けよう」
「い、今のかなり危なかったよな…」
34BLACK DRAGON FLIGHT ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/27(水) 00:07:46 ID:vsZt8lUA
思わぬ場面で死に直面した二人の脈拍数は一気に上昇し、清憲に至っては自分でも知らない内に涙目になっていた。
動揺する心を落ち着かせ、これからの目的地について二人で協議する。

「これからどこへ行くか、小鉄」
「そうだなー、向こうに街っぽいのが見えるから、街でいいんじゃね?」
「街か…でも殺し合いに乗った奴大勢いそうだな…正直嫌なんだが」

清憲の行動方針の基本は「死にたくない」の一言に尽きる。
進んで殺し合いに乗る気は無かったが、かと言って誰かと結託して殺し合いを潰そうなんて気にもなれない。
彼としてはどこか安全な場所に隠れて死ぬまで趣味の自慰に耽り、最悪自殺でもしたい気分だったが、
「大沢木小鉄」という同行者がいる以上あまり自分本位な行動を取る訳にもいかない。

(まあ、街なら身を潜められる場所もあるかもしれないしな……)

結局清憲は小鉄の言う通り市街地方面へ向かう事にした。
夜明け前の空を、小さな少年を背に乗せた黒い竜が舞う。


【一日目/黎明/C-4上空】

【石川清憲@オリキャラ】
[状態]:精神的疲労(大)、飛行中
[装備]:エグゼキューショナーズソード
[所持品]:基本支給品一式
[思考・行動]:
0:死にたくない。生き残る。
1:とりあえず小鉄を連れて街へ向かう。
[備考]:
※「西川のり子」「仁ママ」のおおよその特徴を把握しました。
※大沢木小鉄が自分とは別世界の人間だと判断しました。

【大沢木小鉄@浦安鉄筋家族】
[状態]:健康、石川清憲の背中に乗っている
[装備]:文化包丁
[所持品]:基本支給品一式、発炎筒(3)
[思考・行動]:
0:とりあえずキヨノリ(石川清憲)と一緒にいる。
1:すげー! いい眺め!
2:春巻が死ぬなんて…。
[備考]:
※本編最終話より後からの参戦です。
※バトルロワイアルのルールと性質について若干理解しました。
35 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/27(水) 00:09:07 ID:vsZt8lUA
投下終了です。
36 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/28(木) 01:31:26 ID:ZC77Qwh1
投下します。個人趣味ロワ第49話「あっち側とこっち側の狭間」
登場:エルフィ、中村アヤ、石川清隆
37あっち側とこっち側の狭間 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/28(木) 01:32:41 ID:ZC77Qwh1
49話「あっち側とこっち側の狭間」

私はただ歩いていた。どこへ行くとも無く、宛ても無く、ただただふらふらと歩くだけ。

「……竹内さん……」

私は、殺してしまった。人を。
この殺し合いで初めて出会い仲間になり、少しの間とは言え行動を共にした、竹内多聞という男性。
私が殺してしまったのだ。

ふと空を見上げてみると、夜明けが近いせいかもうかなり明るくなっていた。
――それだけじゃ無い。
虹色に輝く、美しいオーロラが輝き、何か、無数の小さな発行体が宙を舞っている。
現実とは思えない程美しい光景が広がっているけど、これはいつからだったろう。
そうだ、確か、あの後教会を出てからだ。
いや、あの狂った男性に謎の液体を注射されてから、だろうか?
そしてその後、私は――。

今更、あの狂った男性を責めようとも思わない。
責めたってもう何の意味も無いし、竹内さんと狂った男性を殺したのは私自身なんだから。
ああ、それにしても、楽しかったなあ、あの撃った時の感覚。
いやそれだけじゃない、何だかとっても気分が良い。
もっと、もっと殺したいな。

……え?

ちょっと待って、今、私何を思ってたの?

「……やだ、分からない」

自分で自分の考えている事が時々分からなくなる。
まるで、自分が自分で無くなっているような……。

「だ、誰か助けて!!」

……あれ? 向こうから誰かが……。

「…………」

◆◆◆
38あっち側とこっち側の狭間 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/28(木) 01:34:47 ID:ZC77Qwh1
夜明け前の誰もいない市街地を私は魔手から逃れるために走っていた。
普段運動神経鈍いと言われ続け、自分でもそれは自覚はしているけど、
何だろうこの自分でも驚くようなこの足の速さは。
体育の時でもこんなスピードが出せたらいいのに。
……そんな事言ってる場合じゃ無い。このスピードで走れている理由、それは。

バアン!!

「ひっ!」
「アーハハハハハハハ……」

銃を発砲しながら私をしつこく追い回す、両目から血を流した不気味な男の人。
出会うなりいきなり襲い掛かってきて、私はとにかく走って逃げてるんだけど、男の人はしつこく私を追撃してくる。
しかも拳銃を持っているから追い着かれたら紛う事無き死……ッ!

バアン!!

「あああああああああ!!」
「死ねぇ…さっさと死ねぇぇぇぇ」

今の所、まだ弾は一発も当たって無いのが幸いだけど、
もういい加減疲れてきたし息も上がってきた。
ちょっと、まずいかも。このままじゃ間違い無く……。

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」

し、心臓が、もう破裂しそう……。
ああ、もう、駄目かな。私、ここであの男の人に撃ち殺されて死ぬのかな。
脳裏に物心付いた時から今までの様々な思い出が蘇る。これが走馬灯ってやつ?
そう、あれは高校一年の時の宿泊学習の時の出来事だった。
夜寝ていたら同じ部屋だった伊賀さんに…………こんな時に何思い出してんのよ私!

ああ、伊賀さん、平池さん、死ぬ前にもう一度、会いたかったなあ……。

◆◆◆

もう少しだ。もう少しであの牛女を殺せる。
ああ、楽しいなあ。こんな気分、初めてだよ。
いくら走っても全然疲れねぇし、一体どうなってんだろ俺の身体。まあ、どうでも良いけど。

バアン!!

ああくそ、当たらないなあ。
畜生、牛女め、トロそうな見かけして案外早く走りやがる。
だけどそろそろ疲れてきたみたいだな。もう逃げられないぜ?
39あっち側とこっち側の狭間 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/28(木) 01:36:49 ID:ZC77Qwh1
「きゃっ!」

ひゃはっ、牛女め、ついにコケやがった。いいねえ、スカートの中のパンツが丸見えだぜ。
――死ね。

バアン!!

「があっ!」

当たった。牛女の腹に命中した。
血が噴き出し、牛女が痛そうな表情を浮かべて悶え苦しむ。
俺はそんな牛女の様子を眺めながらゆっくり、もっと確実に弾が当たる距離まで近づく。

「い、嫌だあああ……殺さないでっ…死にたくない……」

涙目で俺に命乞いをする牛女の姿は何とも言えない優越感を俺に与える。
死にたくない、か。だけど、そりゃ無理な相談だなあ〜。
俺はリボルバーの弾倉に残った最後の一発を、牛女の急所にぶち込むべく、銃を構える。
この引き金を引けば、牛女は、終わりだ。

「い、嫌あああああああああ!!!」


ドゴォン!!


「ぐっ、げ?」

な、何だ? 何だよ今の銃声は? 俺はまだ撃っていない、俺の銃の銃声じゃない。
……え? お、俺の腹に、大きな穴が空いて、血が大量に流れ出てんだけど?
痛くは無い。痛くは無いけど、いやいや、何が起きたんだ?
目の前の牛女では無い。地面にへたり込んで俺に撃たれた傷を押さえながら、
怯えた表情で俺を見ているだけでどこからか銃を取り出した様子は無い。
俺は視線を牛女よりもっと向こう、通りの奥へと向け――そして見た。
学生服姿の狼獣人の少女、多分この牛女と同年代、が、かなりデカい自動拳銃を俺の方に向けているのを。
そして、その狼女の両目からは、俺と同じように赤い血の涙が流れ出ていた。
暗く沈んだ、虚ろにも見える瞳はどうやら俺の方を向いている。

狼女がニヤリ、と笑った。

狼獣人の白い牙がよく、見えた。


ドゴォン!!


轟音、そして衝撃。俺の身体が大きく仰け反る、って言うか、後ろに吹き飛ぶ。
自分の喉元から、赤い血の噴水が噴き出している。

意識が無くなる――暗くなる――

――あ――マジか――これ――
40あっち側とこっち側の狭間 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/28(木) 01:38:50 ID:ZC77Qwh1
◆◆◆

何が起きたか分からない。突然、男の人の腹部が轟音と共に弾けて穴が空いた。
男の方も何が起きたのか分からないといった驚愕の表情を浮かべていたけど、
次の瞬間また轟音が響いて、男の人の首輪が爆発し、男の人は穴の空いた喉元から大きく後ろに吹き飛んで仰向けに倒れ、やがて動かなくなった。
二回響いた轟音は多分、銃声。首輪が爆発したのは多分、弾丸が首輪に着弾したからだと思う。

後ろを振り向くと、そこには私とは違う学校の制服に身を包んだ、狼獣人の少女が立っていた。
右手には見た事無いような大きな自動拳銃が握られている。
さっきの轟音はあの銃からかな。

「あ、あの、助けてくれて、ありが――」

命を救ってくれたのだと思い、礼を言おうと思い言葉を走らせた時、私は気付く。
狼少女の目から、さっきの男の人と同じように、赤い血の涙が溢れていた。
よく見れば学生服の上着は血で赤く汚れている。

そして次の瞬間、狼少女は右手に持った大型拳銃の銃口を私に――え?


ドゴォン!!


轟音と、共に、私の胸、心臓の真上に当たる部分から鮮血が噴き出す。

喉の奥から…熱い……大量の……鉄錆の味のする液体が。

痛い……痛いよ……伊賀さん………平池…さ……ん…………。

◆◆◆

「フッ、ハ、ハハ、フ、ハハ、アーハハハハハ!!」

はあ、気持ちいい。なんて気持ちいいんだろ。こんな気分、生まれて初めて。
人を殺すのってこんなに気持ちいい事だったんだなあ。
何で前の殺し合いの時に、誰も殺さなかったんだろ。

「いい…い、いいい……もっと、もっとおおお……」

もっと、もっと、殺したい、なあ。
41あっち側とこっち側の狭間 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/28(木) 01:43:20 ID:ZC77Qwh1
そう言えば、ノーチラスは、今頃どうしてるかな、かな?

会ったら――。

会ったら――。


――殺して、あげ、る。


「待ってて、ね…ノーチラス……フフ、アハ、ハ」



【石川清憲@オリキャラ  死亡】
【中村アヤ@オリキャラ  死亡】
【残り  31人】


【一日目/早朝/F-4市街地】


【エルフィ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:屍人化(不安定)、首筋に注射痕、歓喜、屍人の意識
[装備]:IMIデザートイーグル(4/7)、
[所持品]:基本支給品一式、デザートイーグルの予備マガジン(5)、
グロック19(12/15)、グロック19の予備マガジン(5)、クリスの剣@ムーンライトラビリンス改造版
[思考・行動]:
0:もっともっと殺す。
1:ノーチラス…アハハ。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※屍人化しました。但し不安定で、平常のエルフィの意識と屍人としてのエルフィの意識が混濁しています。



※F-4一帯に銃声が響きました。
※F-4市街地路上に石川清隆と中村アヤの死体及びそれぞれの所持品が放置されています。
42 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/28(木) 02:01:51 ID:ZC77Qwh1
投下終了です。49話では無く50話でしたw
43創る名無しに見る名無し:2010/01/28(木) 16:58:28 ID:zUv6QNZa
投下乙!
コイツはやばいぜ!

それと50話おめでとうございます!
44創る名無しに見る名無し:2010/01/28(木) 22:56:19 ID:D2C+Ti0o
投下乙ー
45武器優遇は死亡フラグ ◆6LQfwU/9.M :2010/01/28(木) 23:50:58 ID:petpgCWm
「阿部さんも逃がして、あの男も逃がした…だが、諦めないぞ」
ぶつぶつ呟きながらまた街に戻ってきた穴。
(さっきさけの支給品を回収してなかったな…回収しないと)
そして、民家の前まで行くと…
「…誰かいるんだな?」
中から足音が聞こえ、ドアが開く。
「あな だったんだ。だれか いえにちかづいてきたから みにきたんだけど…」
手に持っているアイスソードを、穴に向けたまま話す。
だが、それを意に介さずに家の中に駆け足で入っていく。
階段を一段飛ばしで登り、さけの死体のある部屋に入る。
だが、時すでに遅かった。
デイパックの中の武器は、全て無くなっていた。
(うさぎが回収したのか。さっきのアイスソードがそれだったのか…)
後悔の念を隠し切れず、表情に出る。
そのとき、後ろから声がかかる。
「わたしが かいしゅう したの さいしょから わかってたよね?」
アイスソードを構え、入り口に立っているのは、うさぎだった。
「それに ゲームに のってるんでしょ? すがたを みたら すぐに わかるよ」
確かに、血まみれの姿でいれば、そう思われても仕方が無い。
「別に乗ってる気は無いが。だが、そう見えても仕方ないかもな」
表情をまったく崩さず、冷静に答える穴。
「わたし のってるんだよ。 だから あいてがいるなら ころすのは あたりまえでしょ?」
さも当然の様に言ううさぎ。
アイスソードを穴の頭上に振り上げ、振り下ろそうとするが…できない。
「甘い。そんな程度で俺を倒せると思ってるなんて、ナメられたもんだな」
軽々とアイスソードの刃を受け流し、廊下に逃げる。
「だが、今んとこは逃げさせて貰うぞ。じゃあな」
廊下を走り、階段を駆け降り、外に飛び出す。
振り返り、うさぎが追ってこないことを確認する。
(追ってこない…普通なら、追って来るんだが…)
それに少し疑いを持ちつつも、穴は急いで街の出口に向かって行った。

「にげられちゃった。 でもいいや。 まだ じかんはあるし。」
ゆっくり階段を降りつつ、新日暮里のごちそう、りんごコーヒーを飲む。
(りんごのあじ… それとコーヒー… まあまあかな?)

【一日目/早朝/F-2:民家】


【うさぎ@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:アイスソード@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、赤い注射器@SIRENシリーズ、新日暮里のごちそう@本格的 ガチムチパンツレスリング
[思考・行動]:
基本:いきのびる。
1:あなを おう。 でも いそがない。


【一日目/深夜/F-2:街はずれ】


【穴@板対抗BR】
[状態]:健康、血まみれ
[装備]:高周波ブレード@メタルギアソリッドシリーズ
[所持品]:支給品一式、業務用ポッキー@テラカオスバトルロワイアル
[思考・行動]:
基本:ゲームに乗る…?
1:逃げきれたのか?
46 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/28(木) 23:51:59 ID:petpgCWm
投下終了です
47 ◆5ddd1Yaifw :2010/01/30(土) 02:37:05 ID:VK/2rsFs
現在の悩みは遅筆、5dです。
文章練習ロワ第九話投下します。
48歪みの島のアリス ◆5ddd1Yaifw :2010/01/30(土) 02:38:01 ID:VK/2rsFs
「どうして……」

広い広い劇場のコンサートホール。その真ん中に私は立っていた。
天井のシャンデリアが輝きを誇るように悠々と存在している。
そこから放たれる光がシャンデリアによって散乱し、辺りを美しく照らす。
そして、普段なら観客がいるであろう客席には人が誰一人とて存在しない。

「リムちゃん……」

プリムラ――リムちゃんは神界と魔界の共同プロジェクトにより作り出された人工生命体。
その実験により感情があまり表に出せず、口数が少なく無表情になってしまった。
それも、稟様の力添えに加え同じ家で過ごしていくうちに少しだけではあるが明るくなった。
……それなのにあの人は……ッ!

「リムちゃんに罪は何一つないでしょう、殺す理由も!」

ひどいことに名簿には稟様……それにシアちゃん達も載っていた。
なら私のすべきことは何か?決まってる。
魔界の姫として、一個人のネリネとして、こんな殺し合いに乗らないで他の参加者と協力すること。
そして一刻も早く稟様達と合流すること。
だから。

「まずはここから動きましょう」

行こう……絶対に皆と一緒に生きて帰るんだ。
さてまずは「誰か人はおるか?ってあんたちょうどいいとこにおったわ。少しええか?」

いきなりドアを蹴破ってきたこの男の子。
……まずはこの子への対処ですね。さて、どのように対処するべきか。



 ◇ ◇ ◇


49歪みの島のアリス ◆5ddd1Yaifw :2010/01/30(土) 02:39:54 ID:VK/2rsFs
「そうか、あの最初のホールで死んだ姉ちゃんはネリネ姉ちゃんの知り合いだったんか……
 何つーか、その……」
「大丈夫です、一応の区切りはつけましたから。でも、郷田真弓を……赦すことはできません。
 然るべき罰を受けてもらいます」

私と話しているやんちゃそうな男の子――犬上小太郎君。
ぼさぼさの髪に頭につけている犬耳?が特徴のかわいらしい男の子だ。
なんでも相談したいことがあるそうで、
周りに危険がないか確かめるのと同時に人がいないかとこの劇場を周っていて、
そして私を見つけたということだ。
今は小太郎君と軽い情報交換をしている所だ。

「いったい何なんですか、相談したいことって?」
「うーん、まぁ……見ればわかるで。まぁ後についてきてくれへんかな?」

いったい相談したいことって何なんでしょう。
とりあえず私は小太郎君についていきこのホールから出ることにした。
見た感じ嘘はついていなさそうですし。

「すまんな……説明してもたぶん信じてもらえないと思うんや。
 だからわざわざネリネ姉ちゃんに来てもらうことになってもうて……ほんまに申し訳ないわ」
「気にすることありませんよ。困ったときはお互い様です。だから小太郎君もそんな顔しないで下さい」

しゅんとして落ち込む小太郎君を励ましながら私達は少し薄暗い廊下を進む。
しかし豪勢ですね、この廊下。内装が無駄に凝っていますし。
今、私達が歩いている床にひかれているさまざまな模様の絨毯。
先程少し触ってみたのですが私の家にひかれている絨毯と同等の価値がありそうです。
装飾品として置かれている壺に壁に立て掛けられている絵画も同様に。
主催者は何を考えているのでしょう。こんな無駄なことにお金をかけても意味はないでしょうに。

「小太郎君」
「何や、ネリネ姉ちゃん」
「小太郎君はこの劇場を一通り見て周りましたか?」
「あ〜、俺もこの辺は大体周ってみたけどな……どうやら俺が周った所はほんの一部らしいんや。
 近くにあった案内板も見たけど他にも映画館や演劇のホールとかもあるらしいで。
後で案内板までつれていったるから見たらええ」
50歪みの島のアリス ◆5ddd1Yaifw :2010/01/30(土) 02:41:27 ID:VK/2rsFs

映画館に演劇ホール!?ますます何を考えているかわからなくなりましたね。
そんなのを作る程の余裕のある主催者…………果たしているのでしょうか?
可能性としては魔界や神界の貴族によるクーデター?
いや、それだったら私とシアちゃんだけをさらえばいいこと。
小太郎君みたいな小さな子を巻き込む必要などないはずだ。
それにわざわざ殺し合いをさせることもない。
身代金、王の退位を求めるならばただ脅せばいいだけのこと。
……解せませんね。

「ここや……さあはいるで。さっきも言ったけどな、見ればわかる」
「は、はい」

どうやら考え事をしているうちに目的の場所に到着したようだ。
小太郎君の相談したいこと。それは何か。
ドアの向こうに見えたのは――――



お菓子を食べてご機嫌な女の子だった。



………………え?こ、これは一体?

「お帰りー小太郎君。誰かいたーって、うわ!この子耳とんがってるよ。すごい子見つけてきたね!
 さすが小太郎君。ねーあなた名前は?」
「ネ、ネリネです」

な、何なんでしょう。この天真爛漫な女の子は?

「へー、名前からして外国人なんだね。すごーい。おおっ!耳とんがってるよ、耳!!
 ネリネー、触ってもいい?」

耳?魔界と神界が人間界と交流を持ってからはそんなに珍しいことではないのでは……
変ですね、まるでこの子は初めて見るような目で……きゃっ!
51歪みの島のアリス ◆5ddd1Yaifw :2010/01/30(土) 02:42:29 ID:VK/2rsFs

「うーん、見た目は全然違うのに触り心地は同じなんだねー」
「ひゃっ!ちょ、そんな所を!」
「あー、その辺にしときや、くりむ姉ちゃん。ネリネ姉ちゃんも恥ずかしがってるやないか」
「むー、仕方ないなー」

ふぅ、ここに来るまでの私の心配は何だったのでしょう。
しかし、このくりむという女の子、いったい何歳なのでしょうか。
もしかしてこれが相談したいことなんでしょうか……ありえますね。

「あー!くりむ姉ちゃん、それは俺のデイバックに入っていたお菓子セットのかっぱえびせんやないか!
 何勝手にあけて食べてんねん。さっきうまい棒セットをあげたばかりやないか!」
「だってお腹が減ったんだもん!」

言葉がでないとはこのようなことを指すんですね。
ここが『殺し合いを行う島』だというのに呑気にお菓子を食べている女の子を誰が想像できましょうか。
普通は考えつかないでしょう。

「だからこれは万が一のために食べちゃだめだって言ったやん!何で食べるん?あほちゃうんか!」
「そこまで怒らなくてもいいじゃん!お菓子食べるくらいいいじゃん!」

このやり取りといいあの子はこの催しが殺し合いだと……

「小太郎君、少し聞きたいことがあるのですが」
「あのなー!ってなんや、ネリネ姉ちゃん。今取り込み中やから後にしてくれへんか?」
「いえ、重要なことなので。まさかくりむちゃんは殺し合いのことを理解してないんじゃ」
「そのまさかや。つーかこれが相談したいことなんや。それにくりむ姉ちゃん、
 あの最初のホールでの『アレ』みてないらしいんや」

さて、どうするべきか。

一つ目の選択肢――このまま何も知らせずにいるか。
だが、いつかはこれが殺し合いの舞台だと気付いてしまう。

二つ目の選択肢――今手っ取り早く真実を教えてしまうか。
しかし、本当のことを話したとしても信じてもらえるのだろうか。
52歪みの島のアリス ◆5ddd1Yaifw :2010/01/30(土) 02:43:48 ID:VK/2rsFs

とりあえず今は。

「おーなーかーすーいーたー」

くりむちゃんをおとなしくさせよう。


【B-1/劇場/一日目/深夜】

【ネリネ@SHUFFLE!】
 [状態]:健康
 [装備]:
 [道具]:支給品一式、確認済み不明支給品1〜3
 [思考]
  基本:殺し合いには乗らない。
  1: 桜野くりむをおとなしくさせる。
  2: 知り合いとの早期の合流。

【犬上小太郎@魔法先生ネギま!】
 [状態]:健康
 [装備]:
 [道具]:支給品一式、、お菓子セット@現実、確認済み支給品0〜2
 [思考]
  基本:殺し合いには乗らない。
  1:桜野くりむをおとなしくさせる。
  2:那波千鶴との合流。他は後回し。

【桜野くりむ@生徒会シリーズ】
 [状態]:健康
 [装備]:
 [道具]:支給品一式、確認済み不明支給品1〜3
 [思考]
  基本: ????
  1:お腹が減った。
  2:ここどこ?
  ※殺し合いのことを理解していません。

【お菓子セット@現実】
バラエティ豊かなお菓子の詰め合わせ。
53 ◆5ddd1Yaifw :2010/01/30(土) 02:45:26 ID:VK/2rsFs
投下終了。次は文章ロワ初のバトル。乞うご期待。
54創る名無しに見る名無し:2010/01/30(土) 23:33:25 ID:39aUQmSv
「やっと辿り着いたか…ふひひ」
辺りもかなり明るくなり、視認性もかなりあがっている。
笑みを浮かべながら、病院に近づいて行く1つの影。
55 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/30(土) 23:34:38 ID:39aUQmSv
途中送信しちゃった…すみません
56奪われた世界 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/31(日) 00:04:38 ID:YL9mSvqu
「やっと辿り着いたか…ふひひ」
辺りもかなり明るくなり、視認性もかなりあがっている。
笑みを浮かべながら、病院に近づいて行く1つの影。
(途中で死体が転がってたのには驚いたが、それ以外は何も無かったな。)
思いながら、病院のドアに手をかける…が。
後ろに気配を感じる。
「誰だ?」
平常を装って言うが、声は震えている。
「そっちこそ…」
そこには、血の付いた刀と銃を持った男―vもんがが立っていた。
「何やってるの?入るなら、入りなよ」
ドアに手をかけたまま動かないパフェニーに不信感を抱く。
(ゲームに乗ってるように気づかれないようにしないと…)
だが、その思いに反して、衝撃的な一言を放つvもんが。
「…どうやらゲームに乗ってるっぽいね。ヤる気満々…ってとこか」
「!」
その言葉に、目に見えるように狼狽するパフェニー。
だが、一瞬で元の落ち着きを取り戻す。
「…なんで俺がゲームに乗ってるって言い切れるんだ?証拠でもあるのか」
その一言を叩き潰すような口調で、
「さっきの一言で、目に見えるように顔色が変わった。それが動かぬ証拠だ」
と言った。
「…なら仕方が無い。ここでお前を始末する。」
そう言い、ポケットから小振りの拳銃、ワルサーPPKを取り出す。
そして…間髪入れずにvもんがに撃ち込む!
パン、と乾いた音が辺りに響く。
「くっ…しまった…」
あまりにも突然過ぎることだったので、反応が一瞬遅れ弾丸は左肩を掠める。
(まずい…どうにかしないと…)
そう思い、手に持っていたレミントンを撃ち込み返す!
ドン、とさっきより重い音が響く。
そしてその音より重い衝撃は、パフェニーの腹部にクリーンヒットした。
(が…っ…腹が…)
どくどくと血が出てくる腹部を抑えその場に崩れ落ちる。
「く…ちくしょー…なんて…こ…」
言い終わるか終わらないかの内に、パフェニーの意識は闇に飲まれていった…


「…終わった…か…」
病院内の椅子に寝っ転がり、一息つく。
(だが…俺は、「正しい」のだろうか…間違っているんだろうか…)
心の中で葛藤を積み重ねながら、ため息を付いた。


【一日目/黎明/D-5:道】


【vもんが@板対抗BR】
[状態]:健康、困惑(小)、肩に擦り傷
[装備]:レミントンM31RS(11/13)@板対抗BR、MINIMI軽機関銃(0/200)@SIRENシリーズ
[所持品]:支給品一式、カンフーマンの装備+jubeatの筺体入りデイパック、斬鉄剣@板対抗BR、MINIMIの弾丸(あと2リロード分)
[思考・行動]:
基本:死にたくないな
1:ふう…
※銃声が響きました。

【パフェニー@板対抗BR 死亡】
死因:射殺
57 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/31(日) 00:05:32 ID:YL9mSvqu
投下終了です
58 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/31(日) 10:53:02 ID:ezB/Q4B+
投下乙です。では自分も行きます。
個人趣味ロワ第51話「病院血戦」登場:レオーネ、曽良、宮田司郎
59病院血戦 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/31(日) 10:54:51 ID:ezB/Q4B+
51話「病院血戦」

紫がかった黒い毛皮を持つ雌の獣竜、レオーネは明朝の市街地の上空を飛行していた。
久々に自分の翼で空を飛び、また、先刻戦った聖徳太子と名乗ったトレンチコート姿の男に撃たれた腹部の傷もほぼ治り掛けていたので、レオーネは上機嫌だった。

「空を飛ぶって気持ち良いねー」

空から人気も無く明かりもほとんど無い市街地を見下ろし、獲物となる他参加者の姿を探す。
かなり明るくなり、視界も利くようになっていたが、道路や建物の屋上などに動く影は見当たらない。

「すぐ見つかると思ったけど、いないなあ…おや、あそこにある建物は病院では無いですか」

前方に緑色の十字マークが掲げられた白い建物を発見する。
あそこなら人がいる可能性が高いと考えたレオーネは、病院を着陸地点に定め、ゆっくり降下を開始した。



病院の正面玄関に辿り着いた和服姿の青年、曽良。
彼の生きる世界ではまだ存在し得ない白いコンクリート製の建物を見上げる。
そして、正面のガラス扉に近付き、取っ手に手を掛け押し開けた。

「暗いな…」

曽良を出迎えたのは非常灯しか明かりが灯っていない受付ロビー。
長椅子や雑誌、新聞が収められたキャビネット、観葉植物、テレビ、そして受付。
何もかもが曽良には初めて見る物だった。
だが今の彼はそんな事に気を取られている余裕など無い。
病院内を調べるために奥へ進もうと、数歩進んだ、その時だった。

「…誰だ」
「!!」

奥の暗闇に包まれた廊下から、男の声が聞こえ、曽良は咄嗟に身構える。
歩いて曽良から顔を視認出来る位置まで出て来たのは、白衣姿の男。
右手には曽良が持っている物より若干大型の刀が握られている。

「この殺し合いの参加者か。その刀で、誰かを殺そうとしているのか?」
「…刀を持っている奴に言われたく無いが、ああ、そうだ。俺は殺し合いに乗っている。
アンタはどうなんだ? 見た感じ穏やかじゃないな」
「俺か…俺も、殺し合いに乗っている。今から外に出て他の参加者を探そうと思っていたんだ。
だが、そこにお前が現れた。丁度良い」

白衣の男は両手で刀を構え、戦闘態勢を取る。

「最初の獲物はお前にしよう」
「それはこっちの台詞だ。もっとも、俺はもう一人殺しているけどな」

応じるように、曽良も腰に差した刀を抜く。
そしてしばらく二人は互いに睨み合ったまま動かない。
お互いに隙を窺い、不意を突こうとしている。二人共、刀に関しては素人だったので打ち合いは避けたかったのだ。
60病院血戦 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/31(日) 10:56:45 ID:ezB/Q4B+
「……せえいっ!」
「くっ!」

先に動いたのは曽良。刀を振り被り、男に斬り掛かる。
すかさず男は刀で防ぎ、鍔迫り合いが始まった。
ガチガチと刃と刃がぶつかり合い、擦れる嫌な音が静かなロビーに響いた。

「そう言えば名前を聞いていなかったな…俺は、曽良だ。アンタは」
「…宮田司郎」
「宮田、か。覚えた…!」

互いに自己紹介を終えた所で一旦双方が距離を取る。
そして曽良と宮田と名乗った白衣の男は再び、刀の切っ先を向け合いながら睨み合う。
正に生きるか死ぬかの真剣勝負。空気がとても張り詰めていた。

「お邪魔しまーす」
「!」
「何だ!?」

その張り詰めた空気を壊したのは、突如入口の方から響いた少女の声。
二人が声のした方向を向いた途端、その表情が固まった。

「な、何だあいつは? 人間、ではないな…」
「お前、何者だ!?」
「レオーネと言います。貴方達を殺しに来ました」

明るい口調で堂々と殺戮宣言を行うレオーネと名乗る雌の獣竜。
予期せぬ闖入者に曽良と宮田の二人はついさっきまで戦っていた事も忘れ、顔を見合わせる。
だがすぐにレオーネの方へ敵意剥き出しの眼差しを向けた。
レオーネは「殺しに来た」と言っていた。つまり、ほぼ間違い無く殺し合いに乗っている。
そして曽良はレオーネが右手に持っている火縄銃に似た武器らしき物を確認した。

(まずいな。このままだとあのレオーネとかいう化け物にやられるかもしれない。
…待てよ? アレが使えるんじゃ無いか…!?)

曽良の頭にある閃きが起きる。
懐に手を突っ込むと、曽良は小さなナイフを取り出し、切っ先をレオーネに向けた。

「ん? 何なの、それ――ガアアアッ!?」

次の瞬間、ナイフから刀身が音速の速さで射出され、レオーネの右肩に刃が突き刺さった。
衝撃と激痛で、レオーネは装備していた九九式小銃を床に落とし、傷口を左手で押さえて苦しむ。
その様子を見た宮田は今が好機と見たか、病院の裏口に向かって駆け出す。
しかし曽良は逃げなかった。今目の前に格好の獲物が転がっているのに何故逃げる事があるのか。
自分の師匠のために、少しでも参加者の数を減らさなければならないのだ。
61病院血戦 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/31(日) 10:58:24 ID:ezB/Q4B+
「おりゃああああっ!!」

咆哮を上げ、刀を構えながら、悶えているレオーネに向かって突進する曽良。
そして大きく刀を振り上げ、一気に振り下ろし、レオーネの首を――。

「…調子に、乗るな」

曽良の繰り出した渾身の一撃は、レオーネの右手によってあっさり受け止められてしまった。
そして。

「……ぐあ…あ……!?」

ぐじゅ、というとても嫌な音と共に、曽良の背中から血塗れの毛皮に覆われた腕が生えた。
病院受付ロビーの白い床にドス黒い血液が飛び散り、曽良の口から大量の血が溢れ出る。

「ぎ……ぅ……」

ゆっくりと、顔を下に向けてみれば、レオーネの左腕が自分の腹に、肘まで埋まっていた。
その光景を見て、曽良は悟る。自分はもう助からないと。
一気に身体中の力が失せ、曽良の意識は急速に闇に飲まれていく。

「……ば……しょ…う…さ……」

最後に、自分の守ろうとしていた、師匠の名を口にし、曽良はその生涯を終えた。


「ふざけやがって…!」

痛みを堪え、傷口からナイフの刀身を引っこ抜き床に乱暴に放り捨てるレオーネ。
その表情は正に怒り狂った獣そのもの。眉間に皺を寄せ、牙を剥き出しにしている。
怒りの矛先はたった今殺した和服姿の青年。
思わぬ不意討ちを仕掛け、手傷を負わせた事にレオーネは憤りを隠せない。

「ぐちゃぐちゃにしてやるっ、お前なんか、ただの肉の塊にしてやる!」

怒気の籠った、乱暴な口調で言い放つと、レオーネは青年――曽良の死体を激しく損壊し始めた。
何度も鋭い爪で突き刺し、引き裂き、骨をへし折り、引き千切り、臓物を掻き出しては更にそれを踏み潰したり掻き回したり――。
病院のロビーのあらゆる物、天井、床、壁、その他諸々の調度品、全てに肉片や臓物のなれの果て、血液が飛び散り、
消毒液の匂いが漂っていたが、たちまち血の激臭に取って代えられた。
その間、レオーネはとても楽しそうな、まるで大好きな玩具を与えられたよ子供のような笑みを浮かべ、
涎と舌を垂らしながら死体の破壊を行っていた。
62病院血戦 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/31(日) 11:00:33 ID:ezB/Q4B+
宮田司郎は病院の裏にある緊急搬入口から外に出た。
外は既に夜明け目前とあってかなり明るくなり、十分視界が利くようになっていた。

「あの開催式の時にちらほら見掛けたが、あんな化け物までいるとは…」

まるで空想の世界の「竜」のような外見をした生物。
見た目、雰囲気共にかなりの威圧感を放っていた。
まともに戦っても勝ち目は無いと判断し、無様だが逃走を図ったのだが。
曽良と名乗った青年はついては来ていないようだ。別のルートから逃げたのだろうか、それとも…。

「…俺が気にする事じゃ無いな。とにかく病院から離れよう」

病院内は一通り探索した上、強さや実力が未知数でしかも殺し合いに乗っている化け物がいる病院に戻るつもりは無かった。
宮田はやや小走りで病院から遠ざかって行った。



【曽良@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和  死亡】
【残り  30人】



【一日目/早朝/F-3病院付近】

【宮田司郎@SIREN】
[状態]:健康
[装備]:アインの刀@FEDA
[所持品]:基本支給品一式、応急処置セット(調達品)
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗る。但し優勝したい訳でも無い。
1:とにかく病院から離れる。
2:他の参加者を見つけ次第、殺す。
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、意識を失った直後からの参戦です。
従って幻視能力は目覚めていません。
※レオーネの名前と容姿を把握しました。
※どこへ向かっているかは今の所不明です。


【一日目/早朝/F-3病院ロビー】

【レオーネ@オリキャラ】
[状態]:激昂、腹部に貫通銃創(ほぼ治癒)、右肩に刺し傷、右手の平に傷、
口と身体が血塗れ、曽良の死体を弄んでいる
[装備]:九九式小銃(4/5)
[所持品]:基本支給品一式(水と食糧完全消費)、7.7o×58o弾(30)、
ワルサー カンプピストル(1/1)、26.6o炸裂弾(3)、64式小銃(20/20)、
64式小銃の予備マガジン(5)
[思考・行動]:
0:とりあえず出会った人から順番に殺していく。
1:あははは! 楽しい〜♪
[備考]:
※聖徳太子の名前と容姿を把握しました。
※西川のり子のデイパックは放棄したようです。
※宮田司郎を追うかどうかは不明です。


※F-3病院ロビーは滅茶苦茶に破壊された曽良の死体によって血塗れとなっています。
また、曽良の所持品がロビーに放置されたままになっています。
曽良の所持品=焔薙@SIREN、ネイルハンマー@SIREN、デイパック(基本支給品一式、スペツナズナイフ(1))
63 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/31(日) 11:02:25 ID:ezB/Q4B+
投下終了です。曽良君に恨みがある訳では無いです…。
64創る名無しに見る名無し:2010/02/01(月) 01:35:28 ID:JvQCivrQ
投下乙です。
みんな活き活きとしてていいなぁ…自分もやってみたいけどうまく書ける自信が無いです…
65 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/01(月) 20:55:03 ID:DIof/Qg3
大丈夫ですよ
自信がなくても、まずはやってみましょう
66創る名無しに見る名無し:2010/02/02(火) 00:02:10 ID:DweN+lhF
読み専だが新ロワ大歓迎だぜ!ぜひ書いてくれ!
ここの自由な感じがすごく好きだ。
67 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/02(火) 18:08:15 ID:O/eBaPXM
>>65
大歓迎です
68 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/02(火) 23:52:51 ID:O/eBaPXM
投下します。個人趣味ロワ第52話「Individuality is rich」(個性豊か)
登場:聖徳太子、フラウ、伊賀榛名、須田恭也
69Individuality is rich ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/02(火) 23:55:46 ID:O/eBaPXM
51話「Individuality is rich」

「もう、夜明けか…」

すっかり明るくなった空を見上げ、トレンチコートを羽織り狩猟用狙撃銃を持った男、聖徳太子は呟く。
殺し合いが始まってから随分経ったと言う事だが、今現在何人の犠牲者が出ているのだろうか。
未だに捜索している妹子を見付けられておらず、太子の心配はますます大きくなっていく。

「だが、思って見ればこの広い会場を宛ても無く探してもなあ…。
市街地をうろついていれば見付かるかもしれないという考えは流石に甘かったか……。
まあ、あの毒妹子ならそう簡単に死ぬ事は無いだろうが…。」

はあ、と溜息を漏らす太子。
実際の所、簡単には死なないというのも、彼の希望的観測に過ぎない。
太子も妹子も普通の人間に過ぎない。死ぬ時は死んでしまうのだが。
それは太子本人も重々理解はしていたが、生きている、という希望を持たなければ何もかも嫌になってしまう気がしていた。
ともかく散々市街地を歩きいい加減疲労も溜まってきた太子はどこかで身を潜めて休息する事にした。
周囲は見た事も聞いた事も無い語句が書かれた色とりどりの看板が掲げられた店舗が密集している。
その看板の一つに書かれた文の一部を太子は読んでみる。

≪ロリっ子から熟女まで! 多種多様の獣娘が並びます! 一時間8000円〜≫

「……どういう意味だろうか?」

太子には書かれている文の意味が今一つ理解出来なかったようだ。
その方が良いかもしれない。

「さてと、どの建物にしようか…」

太子は風俗店や性感マッサージと言った危険な店ばかりが建ち並ぶ裏繁華街で身を潜められそうな場所を探し始めた。



所変わって、聖徳太子がいる場所からそう遠く離れていない中規模のラブホテル。
その一室で、ベッドに座ってヘコんでいる狐獣人の少女、フラウの姿があった。
自前の学生服に身を包んではいるが、大雑把に着たのかしわくちゃである。

「……死にたい」

俯きながらフラウが発した余りにもネガティブな言葉。

「……死にたい……死にたい……誰か私を殺して……うっ、うううう……」

遂には嗚咽を漏らし始める始末。だが、無理も無い。
つい数十分程前まで、フラウはこの殺し合いの参加者の一人、同じ狐獣人の同年代の少女、伊賀榛名に弄ばれていたのだ。
ほぼゲーム開始直後からずっと。勿論、性的な意味で、である。
今フラウを苦しめているのは、同性に、しかも初めてを奪われ、散々弄ばれたという事実。
そしてとある思い人への罪悪感。そして、弄ばれていた事に対し、自分が、あられも無い声を出して快感に酔い、我を失っていた事への羞恥心。
普段、どちらかと言えば気丈な部類に入る彼女にすれば、確かに死にたくなるような出来事である。
70Individuality is rich ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/02(火) 23:58:44 ID:O/eBaPXM
「死にたいなんて言わないでよ〜折角気持ち良い事してあげたのに」

そんなフラウに軽い口調で話し掛けるのはフラウを追い詰めた本人、伊賀榛名。
彼女もまた自分の服――通学している学校の制服を着ていた。
ニヤニヤと笑みを浮かべながらフラウの横に座る。

「それにさーフラウちゃんもよがってたじゃん。泣き叫んで涎ダラダラ垂らしてさ」
「嫌あああお願いだから言わないでえええええええ」

泣きながら榛名に縋り付くフラウ。

「うっ、ううっ、確かに、良かったよ、良かったけどさあ…やっぱり始めては大好きな人としたいじゃない。
それにさ、今でも信じられないよ。私が、まさかあんないやらしい声を上げるなんて…」
「結構そういうもんだよ〜。フラウちゃんだけじゃ無いから大丈夫大丈夫」
「……」

自分の頭を「良い子良い子」とでも言うように撫でる榛名をフラウは涙目で睨むが、
どうも心の底から恨む気にはなれなかった。



「はあ、はあ、やっと街に着いたな……」

息を切らし、雑草に埋もれかかった林道から固いアスファルトへと足を踏み入れたのは須田恭也少年。
廃村にて襲撃者を撃退した後、明るくなるのを待って市街地へ歩き始めたのだ。
自動車や自転車が道の端に停められた、近代的な風景に恭也は思わず安堵する。
と同時に、遠路を歩き続けた疲労が一気に須田を襲った。

「疲れたな…どこかで休もう」

流石にこれ以上続けて行動するのは辛いと判断し、恭也はどこか身を潜められ、休めそうな建物を探す。

「…あそこにしよう」

そして適当な二階建ての民家を選び、近付いていった。
周囲を警戒しつつ、玄関の門をくぐり、そして玄関扉のノブに手を掛ける。
幸い、鍵は掛かっていなかった。
ゆっくり、扉を開けて民家の中を覗き込むが、どうやら人の気配は無いようだ。
家主には失礼だが、万が一襲撃された時すぐに逃げられるように土足で上がり込む。
家の中には様々なテレビやテーブル、タンスと言ったあらゆる家財道具や調度品が残されていた。
台所にある冷蔵庫を開けてみると、中には食糧がそのまま残っていた。
71Individuality is rich ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/03(水) 00:00:13 ID:O/eBaPXM
(この家の人、いや、この街の人、どこに行ったんだろ……まあいいか)

家の中を探し回り、救急箱を発見した恭也は右腕上腕の切り傷を不慣れな手つきで応急処置を施す。
消毒液を振り掛けた時、傷口に染みる痛みに恭也が顔を歪める。

「いっ、てぇ…」

痛みに耐えながら、ガーゼを傷口に押し当て包帯を巻き付け、処置を終える。
廃村で襲い掛かって来た狼少年による身体中の痛みもあったがこれはどうしようも無いので放っておくしか無かった。
人心地着いた恭也は和室に移動し、デイパックと装備しているチップカットソーを卓袱台の上に置き、
座布団を枕にして横になった。

「何かもう……本当に疲れた……」



【一日目/早朝/E-2市街地裏繁華街】

【聖徳太子@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:肉体的疲労(小)、烏帽子無し
[装備]:狩猟用狙撃銃@SIREN(4/5)、トレンチコート
[所持品]:基本支給品一式、7.62o×51o弾(30)
[思考・行動]:
0:このゲームを滅茶苦茶にしてやる!
1:どこかで休むとするか…。
2:妹子はどこにいるんだ?
3:レオーネに注意。
[備考]:
※単行本第九巻第168幕「聖徳太子の持っている木の棒」より後からの参戦です。
※レオーネを危険人物と判断しました。
72Individuality is rich ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/03(水) 00:01:41 ID:X7buC70Y
【一日目/早朝/E-2市街地裏繁華街ラブホテル】

【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的、精神的疲労(大)
[装備]:無し
[所持品]:無し
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。
1:これからどうしよう…とりあえず伊賀さんと行動…かな?
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※服を着ました。
※フラウの所持品は伊賀榛名が預かっています。

【伊賀榛名@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[所持品]:無し
[思考・行動]:
0:殺し合いはするつもりは無い。但し襲われたら対処。
1:これからどうしようかな。まあともかくフラウちゃんは手離さないけど。
2:千穂ちゃんやアヤちーは何してるな。
[備考]:
※所持品は部屋の中に放置されています。
※服を着ました。


【一日目/早朝/F-1市街地民家一階和室】

【須田恭也@SIREN】
[状態]:肉体的疲労(中)、身体中にダメージ(大)、右上腕に切り傷(応急処置済)
[装備]:チップカットソー@自作キャラでバトルロワイアル(バッテリー残量:89%)
[所持品]:基本支給品一式(ランタン破損、放棄)、流血@浦安鉄筋家族(200粒入り)
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。そのためにも仲間が欲しい。
1:疲れた…とにかく今は休もう…。
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、駐在警官に撃たれ川に転落し、
意識を失った直後からの参戦です。 従って幻視能力は目覚めていません。
※ランタンを破損、放棄しました。
73 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/03(水) 00:03:52 ID:X7buC70Y
投下終了です。
74◇JvQCivrQ:2010/02/03(水) 00:50:16 ID:qlB0/DER
投下乙であります!

やっぱりやってみないと始まりませんよね…という訳で、未熟ながら私もロワをやってみようと思います。
とはいえ今までずっと読み専で一度もロワを書いたことが無いので、未熟な所が多々あると思いますが…
まずはルールと参加者から考えてきますので、どうか期待しないでまっててくださいー。
75創る名無しに見る名無し:2010/02/03(水) 01:24:51 ID:WntZ/m6x
酉の付け方は
名前欄に#の後に適当な文字列ですぜ
76創る名無しに見る名無し:2010/02/03(水) 01:25:33 ID:WntZ/m6x
それと投下乙です
77 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/05(金) 02:53:48 ID:KDsMio6M
名前部分のご指摘、ありがとうございます。これで大丈夫かな?
とりあえず参加者、ルール、オープニング投下します。
78 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/05(金) 02:56:03 ID:KDsMio6M
参加者

4/4【フルメタル・パニック!】
○相良宗介/○テレサ・テスタロッサ/○クルツ・ウェーバー/○ガウルン

5/5【とある魔術の禁書目録】
○上条当麻/○御坂美琴/○インデックス/○一方通行/○ステイル・マグヌス

6/6【GUILTY GEAR】
○ソル=バッドガイ/○カイ=キスク/○ジョニー/○ディズィー/○エディ/○ジャスティス

5/5【ドラゴンクエスト天空物語】
○テン・グランバニア/○ソラ・グランバニア/○ドリス/○カデシュ・レアルド・ストロス/○ヤグナー

6/6【クロノクルセイド】
○ロゼット・クリストファ/○クロノ/○サテラ・ハーベンハイト/○ユアン・レミントン/○ジェナイ/○アイオーン

3/3【起動武闘伝Gガンダム】
○ドモン・カッシュ/○東方不敗/○アレンビー・ビアズリー

4/4【スーパーロボット大戦オリジナル】
○アクセル・アルマー/○ゼンガー・ゾンボルト/○ラトゥーニ・スゥボータ/○ジ・エーデル・ベルナル

5/5【Fate/stay night】
○衛宮士郎/○セイバー/○遠坂凛/○ランサー/○言峰紀礼

4/4【Fate/Zero】
○衛宮切嗣/○遠坂時臣/○ライダー/○キャスター

6/6【魔法少女リリカルなのはStrikers】
○スバル・ナカジマ/○高町なのは/○フェイト・ハラウオン/○エリオ・モンディアル/○ギンガ・ナカジマ/○ドゥーエ

6/6【うたわれるもの】
○ハクオロ/○エルルゥ/○アルルゥ/○トウカ/○ユズハ/○ゲンジマル

2/2【永遠のアセリア】
○高嶺悠人/○アセリア

2/2【ななついろ★ドロップス】
○結城ノナ/○八重野撫子

5/5【CLANNAD】
○岡崎朋也/○一ノ瀬ことみ/○坂上智代/○藤林杏/○芳野祐介/○古河秋夫

6/6【ランスシリーズ】
○ランス/○魔想志津香/○上杉謙信/○カロリア・クリケット/○ザビエル/○レッドアイ

合計70人 男性39 女性31 計15作品

主催者 不明
進行役 ○ムツミ@うたわれるもの
79 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/05(金) 03:04:56 ID:KDsMio6M
すいません、CLANNADの人数は6/6です…

ルール
基本ルールは他ロワと同じです。
当ロワ独自ルールは以下の物となります。

○放送毎に殺害数上位3者になんらかの支給品支給、もしくは一部制限解除

今の所はこれだけです。もしかしたら後で追加するかも…。
80 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/05(金) 03:11:00 ID:KDsMio6M
男が気がついた時には、何時の間にかこんな薄暗いホールの中にいた。
あたりを何気なく見回してみると自分以外にもかなりの数の人間がいるようだったが、それはたいして気にも止めず鬱屈とした表情で地面へと視線を移した。
男にとってはそんな事はどうでも良かった。
今男の心は、どうしようも無い程の無力さと後悔、そして自己嫌悪で埋め尽くされていたからだ。

「全員、起きた?」

だがそんな男の心情など無視して、突如前側から無機質めいた少女の声が聞こえた。
億劫そうに顔を上げると、そこには一人の少女が壇上に立っていた。

その少女は奇妙な格好をしていた。
ボディスーツの様な薄そうな服一枚の上半身と、かなり短いミニスカートはやたら目立つ筈だが今はたいして気にならなかった。
その頭上に天使を表現する時に使われるような輪が浮かんでいることと、背中に見事なまでに真っ黒な翼がある事に比べれば。
最近流行のコスプレって奴か?それにしてもきわどい格好だな、等と適当なことを考えていると、その少女は再び口を開け
「貴方達をここに集めさせたのは、私達」
いきなりそんな事を抜かし始めた。
達っていってもお前以外はどこにいるんだよ、と心中で呟く男の思考を無視するかの様に少女は話を「カミュちー!」続け

いきなり誰かの声が聞こえた。
人の話は最期まで聞いてからにしろよと思いながら声の元に視線を移すと、壇上の目前に一人の少女が立っていた。
見た目は多めに見積もっても、十代の半ばといった所だろう少女もまた奇妙な格好をしていた。
和風の着物を着ている様だが、なぜかお尻の辺りからは尻尾のような物が出ており、耳もまた然り、獣の様な耳がピコピコ動いていた。

どうやら自分は仮装パーティーの会場に連れてこられてしまったらしい。
こんな所に自分を連れてきた黒幕は十中八九アイツだな、と呆れながらため息を吐く。
自分を元気付けようとしてくれているのだろうが、今の自分には何の意味も無かった。

その間もさっきの獣耳の少女は壇上の少女に話しかけているが、もう関心は殆ど無くなっていた。
さっさとこんな所からはおさらばして家でボーっとしてよう、そう思い男は少女に向かって声をかけた。

「で、なんで俺達をこんなところに集めたんだ?」
そう聞くと壇上の少女は男のほうを振り向いた。
その瞳を見た瞬間、どこか違和感を感じた。
その表情は、なぜか悲しそうに見えたからだ。

「貴方達に、ある事をさせる為に」
そう少女は応えると、再び無機質な表情に戻った。
あるいは自分の勘違いだったのかも知れないが、まぁどうせこの後あいつらが出てきて、「ドッキリでしたー」とか言いながらパーティーでも始めるんだろうからどうでもいいか。
そう適当に結論付けて少女の声に再び耳を傾ける。
そしてそんな男の心中に今度は応えるように、少女は

「ここにいる生命体全員で殺し合いをして欲しいの、最後の一人になるまで」

おぞましい殺人ゲームの開催を、宣言した。
81祭りが始まる時 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/05(金) 03:14:12 ID:KDsMio6M
「…は?」
それに対する男の返答は、この一言のみだった。

(殺し合い?なんでそんな単語が出てくるんだ?)
だがそれは危機感から来るものではなく、単純に予想と異なる回答に戸惑っているだけなのだが、追撃を放つように、少女は何かを小声で呟いた。
その直後、ボン、というコミカルとも取れる音がホール内に響いた。
音のした方を見ると、そこには―――
「え…すも…も…?」
顔と身体を真っ赤に染めた、呆然とした表情の女子高生ほどの少女と、

首から上を損失した、少女の身体があるだけだった。

一瞬の間をおいて上がる悲鳴。
絶叫しながら死体を抱きとめる先ほどの少女
あたりに漂い始める濃厚な血の匂いは、間違いなくそれが死体であると言う事を物語っていた。

「今のは貴方達の首に付いている首輪を爆破しただけだから、静かにして」
そう言われて首に触れると、堅く冷たい感触がある。
確かに首輪が付けられているようだ。
周りも自分の首を確認しているようで、騒ぎも少しだけ収まっている。

「無理に取ろうとしても、爆発するから」
そう少女が呟くと同時に、それまで首輪に手を触れていた者達が一斉に首輪から手を放すのを確認した少女は、この殺し合いについてのルール説明を始めた。
その間も死体を抱きとめていた少女は泣き続け、壇上の少女をカミュちーと呼んだ少女は話しかけ続けていたが、翼の少女はそちらに目も合わせなかった…。
82祭りが始まる時 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/05(金) 03:16:24 ID:KDsMio6M
「…以上でルールの説明は終わり、参加者間での反則行為等は無いわ、忘れた際にはデイバッグに入ってる――」
―――ルールの説明が終わったが、聞けば聞くほど気にいらねぇ。
なんでこのケイブリス様があんな小娘の指図を受けなきゃなんねーんだ、あぁ?
………というか、魔人最強であるこの俺様が、あんな爆弾なんかで死ぬと思ってんのか?
こんなふざけた説明聞いてやんねーで、あの小娘の首をへし折ってそれを教えてやればいいか。

だがこのゲーム自体は面白そうだしな…よし、俺様が主催者になってこのゲームを運営してやろう、グガガガガガガ!
つーわけで…
「死ねえ!!」



「死ねえ!!」
急に叫び声が聞こえ、男がそちらに視線を向けると、なんとそこには化け物がいた。
化け物とはひどい言い草かもしれないが、
4,5メートル程はあるだろう巨体に何本もの腕や触手のような物を生やしていて、明らかに人外の身体をしている存在に対してそれ以外に表す言葉が見つからなかった。
その化け物は腕を振り回しながら、壇上の少女に今まさに飛びかからんとしていた。

グシャァァ!!、という音が響いた。
化け物の体当たりで、少女のいた壇上がぐしゃぐしゃに破壊されたのだ。
飛び散る破片に怒号、悲鳴。
だが少女は壇上にはいなかった。
男が何とか周辺を見回してみるが、少女の姿は見当たらない。
もしかしたら今の体当たりで、どこかに吹き飛ばされたんだろうか。
(一体どこに行ったんだ?)
「んー?、なんだなんだぁ、俺様に恐れをなして逃げたのか?グガガガガガァ!!」
そう男が思い、同時に化け物が勝利の咆哮を揚げ始めて、

「魔人ケイブリス…予想通りの動き」
化け物の頭上から声が聞こえた。
その声を聞き、化け物が、男が、参加者達が上を見上げた時には、もう全てが終わっていた。

何か、キラキラと輝く物が無数に化け物に向かって降り注いだ。
それは剣に見え、槍に見え、杖に見え、盾にも見えた。
その光の流星群に飲み込まれた化け物は、見る間に小さくなっていった。
83祭りが始まる時 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/05(金) 03:18:03 ID:KDsMio6M

先の化け物のそれとは比較にならない破壊の嵐が止んだとき、そこにあったのはクレーターと化したホールの壇と、下半身と全ての腕を損失しながらも、まだ息をしていた化け物だけだった。
「グ…ゲガ……な、なんで…」
息も絶え絶えに声を出す化け物。
そして翼を羽ばたかせ空に君臨する少女
「あなた、説明聞いてなかったの?」
無機質めいた声で少女は答える
「能力の制限、それは貴方達魔人最強の由縁、無敵結界に関しても例外じゃないわ。」
そう応えた後、少女は先程首輪を爆破したのと同じように、小声で何かを呟いた。
「ま…まってく」
命乞いの言葉を言い終える前に、ボンと言う音と共に化け物の首は吹き飛んだ。
それを冷たい目で見下ろしながら、少女は再び口を開く。

「それと、優勝者にはどんな願いも叶えてもらえる、という褒美があるから」

その言葉の意味が、一瞬男には分からなかった。

「異能の力や理想の恋人、人生のやり直し、死者の蘇生」

本来こんな事を言われたところで、誰もが嘘り、でまかせ、嘘八百だと断じるだろう。
だが、今目の前で起こった出来事、息絶えた化け物、空を飛ぶ翼の少女。
目の前で起きた信じがたい、だが紛れも無い現実に加え、大切なものを無くした直後の男にとってこの発言は…余りにも甘い誘惑だった。

「…なんでも、叶えてもらえるわ」

そう、男は思う

「それじゃあ」

深く思う

「ゲーム」

(もし本当に…汐と渚を生き返らせられるなら…俺は……)

「スタート」

岡崎朋也は、強く思いを巡らせながら、光に飲まれていった。


【秋姫すもも@ななついろ★ドロップス 死亡】
【ケイブリス@ランスシリーズ 死亡】
84 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/05(金) 03:23:53 ID:KDsMio6M
投下終了です。
参加作品は完全趣味に走っていますので、全然しらねー作品ばっかじゃねーか!という方、ごめんなさい。
ロワ名は「節操無しロワイヤル」で行こうと思います。
それでは、矛盾点やキャラの性格に違和感等感じたら、遠慮なく突っ込んでやって下さい。
85創る名無しに見る名無し:2010/02/06(土) 00:14:28 ID:CX3CKe/5
新ロワ投下乙です
天空物語とかなんて俺得ww
ジャスティスとかいい感じのマーダーになりそうだし楽しみです
86 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/06(土) 00:55:53 ID:XjO137OK
OP投下乙です。楽しみだ…。期待だ…。

では自分も投下します。個人趣味ロワ第53話「二人の悪女狐、その行動」
登場:ドーラ・システィール、費覧
87二人の悪女狐、その行動 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/06(土) 04:50:54 ID:XjO137OK
53話「二人の悪女狐、その行動」

「ふうん。誰とも合わなくなったね…」

D-3の市街地路上で溜息を漏らすフォックスリング――狐獣人の女、ドーラ・システィール。
自分を襲った少女剣士に制裁を加えゴミ捨て場に捨てた後、
ドーラは他参加者を探し歩いていたが誰とも接触しなくなっていた。
空はすっかり明るくなり、ふとデバイスで時刻を確認してみればゲーム開始から5時間弱経過していた。
長い間歩き回りそろそろ足も疲れてきたのでどこかで休む事にした。
周囲には幾つかテナントが並び、適当に選んだ金物屋にドーラは侵入する。
店舗と住宅が一体化した建物で、店舗の奥に居住スペースがあった。
USPを持って警戒しながら家屋内を見て回ったが、どうやら先客の姿は無いようだった。

「はあ、疲れた…」

台所のテーブルの上に武器である自動拳銃、H&K USPとデイパックを置き、
椅子に腰掛けてリラックスするドーラ。
少し空腹を感じ始めていたので、デイパックの中から水とコッペパンを一個ずつ取り出し、コッペパンをかじる。
だが、正直言って味気無い。何か無いかと台所内を漁ると冷蔵庫に牛乳とマーガリンが入っていた。
念のため臭いを嗅ぐが変わった臭いは無いので食べても大丈夫そうだ。

「これで少しはマシになるかな」

スプーンでマーガリンをコッペパンに塗り、牛乳と共に口の中に押し込む。
随分と味が良くなった。

(しっかり食べておかないと…下手したらメシ食べる余裕も無くなるかもしれないし)

これから起こり得るであろう激戦に備え、ドーラは腹ごしらえに掛かる。



ほぼ同時刻、E-4市街地のある建物入口付近で血塗れで倒れる、雌の人狐の死体がゆっくりと起き上がった。
雌狐――費覧は仮死状態から蘇生し、立ち上がろうとしていたのだが。

「う、うわっ」

よろめきバランスを崩して路上に転んでしまう。
一度、ほぼ完全に身体が死亡した状態になったので、まだ身体には麻痺が残っていた。
仮死状態の原因となった首筋の傷は一応は塞がっていた。
喉の奥に溜まった血を吐き出し、再び立ち上がろうとするが、やはり上手く行かない。

「…まだ、身体中、痺れ、てるなぁ。もうちょっと、時間、経たな、きゃ、駄目、かあ」

路面に座り込んだまま、掠れた声で費覧が言う。
ふと空を見上げれば青空が広がっている。だがまだ暗めだ。日中という程では無い。

「もう、夜明け、か…章高、まだ、生きてる、かな」
88二人の悪女狐、その行動 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/06(土) 04:52:40 ID:XjO137OK
ゲーム開始からかなりの時間が経った事を実感した費覧は、
この殺し合いで唯一の知人である章高の事を思い浮かべる。
生きているかどうか心配ではあったが、それは「自分が殺すまで死なないで欲しい」という、
彼女の歪んだ欲望から来るものだった。

「はぁ……早く、会いたい、けど、なあ。章高…ウフ、フフフフフ」

空を見上げながら、自分が章高を苦しめる様子を思い浮かべ、血塗れの妖狐は嗤い続けた。


【一日目/早朝/D-3市街地金物屋民家部分】

【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康、返り血(少)、食事中
[装備]:H&K USP(15/15)
[所持品]:基本支給品一式(コッペパン消費中)、USPの予備マガジン(4)、
鉄パイプ@SIREN
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り、優勝し、元の世界へ帰還する。
1:しばらく休息。
[備考]:
※バド村殲滅作戦以前からの参戦です。


【一日目/早朝/E-4市街地】

【費覧@オリキャラ】
[状態]:頸動脈断裂(ほぼ完治)、失血、身体中に麻痺、胸と腹に貫通銃創(治癒中)、返り血(中)
[装備]:ルガーP08(2/8)
[所持品]:基本支給品一式、ルガーP08の予備マガジン(5)、コルトM1917(1/6)、
45ACPリムド弾(30)、 エロ本(5冊、調達品)
[思考・行動]:
0:皆殺し〜♪ 最後には主催者も殺す。
1:しばらく動けそうに無いな…。
2:知人である章高は、限界まで犯してから食い殺す。
[備考]:
※仮死状態から蘇生したばかりなので身体中に麻痺が残っており、しばらく動けません。
89 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/06(土) 04:53:51 ID:XjO137OK
投下終了です。投下宣言から時間がかなり空いてるのは、寝てしまったんですw
90 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/06(土) 23:12:05 ID:XjO137OK
個人趣味ロワ54話「Corpse of chapel」(礼拝堂の死体)投下します。
登場:アルソンズ・ベイル、章高
91Corpse of chapel ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/06(土) 23:14:55 ID:XjO137OK
54話「Corpse of chapel」


夜が明けて、周囲の様子も明かりが無くとも見えるようになってきた。
ワシ――アルソンズ・ベイルと同行者である章高は、墓場を出て、すぐ近くにあった教会を訪れていた。
今まで見てきた教会の中では小規模な建物だったが、それなりに歴史を感じさせる佇まいだ。

「う……」

墓場で発狂した男に謎の液体を注射されてから、どうも気分が悪い。
両目から流れ出した血は墓場の管理小屋で拝借したタオルで拭き取ったが、
時々意識が遠退く、めまいとはまた別の妙な感覚に襲われる。

「大丈夫ですか? アルソンズさん…」
「ああ…大丈夫だ。今の所は、な」

一体、あの液体は何なのだろうか。
今の所、めまい(と言っておこう)以外に特に変わった事は無く行動にも支障は無いが…。
発狂男が残していったデイパックには液体に関する手掛かりは無かった。
代わりに「参加者詳細名簿」なる、役に立ちそうな物を見付けたが。

「教会の中に誰かいるかもしれん。開けるぞ」
「はい…」

右手のリボルバー、マニューリンMR73を握り締め、ワシは重厚そうな両開きの扉を開けた。
まず目に飛び込んできたのは、奥に見える祭壇、パイプオルガン、ステンドグラス。
そして。

「ぐっ…何だこの臭いは……うおっ」
「え? どうしたんです――ああっ!」

ワシと章高が小さく悲鳴を上げた理由。
祭壇へと続く、絨毯が敷かれた道の上に二人の死体があった。
そして鼻を突く尋常では無い刺激臭。
恐る恐る死体に近付いてみると、どちらも頭を銃で撃ち抜かれ、頭骨が弾け脳漿が零れ落ちていた。
刺激臭の原因はこれみたいだな。

「うっ、ぐ……うえええええええ」

余りの刺激臭、そして無惨な死体を目にした章高は、とうとう胃の中の物を戻してしまう。
無理も無いな…こんな死体、普通の平和な日常ならまず見る事はあるまい。

「おいおい、しっかりしろ章高」
「す、すいません……あれ、アルソンズさん、この白っぽい和服着た死体って…」
「ん?」

章高に言われて手前側の死体をよく見ると、その死体には見覚えがあった。
忘れるはずも無い。この死体はあの墓場でワシに妙な注射をした発狂男――松尾芭蕉だ。
名前は参加者詳細名簿で確認した。間違い無い。
92Corpse of chapel ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/06(土) 23:15:58 ID:XjO137OK
「殺されたのか……全く、捕まえたら一発殴ってやろうと思っていたと言うのに」
「ちょ、アルソンズさん……」

死んでしまっていい気味とは思わ無い……と言うのは嘘だが。
出来れば生きたままひっ捕らえて自ら制裁を下したかった。
発狂男の死体を通り過ぎ、奥に倒れているジャケットを着た男の死体に近付く。
こちらは右目から銃弾を撃ち込まれたようだ。右目のあった部分に黒々とした穴が空き、
そこから血と、何か正体不明の有機物の液体が混ざった物が絨毯と床の上に流れ出している。
参加者詳細名簿で調べると、どうやら「竹内多聞」という男の死体らしい。
刺激臭が近付くごとに確実に強くなってくる。いよいよワシも吐き気を催しそうになってきた。
そして章高は。

「……うっぷ」

礼拝堂の長椅子に伏してダウンしてしまった。

◆◆◆

22年生きてきて、遂に間近で本物のグロ死体を見てしまった。
この殺し合いに巻き込まれてから、いつかは目にするだろうなと覚悟はしていたけど、
やっぱり実際に見るのは訳が違った。思い切り神聖な教会(俺は宗教が違うけど)に吐いてしまった。
あんな、頭がグチャグチャになってしまった死体が、つい数時間前まで、
生きて動いていたなんて、俺らと同じように泣いたり笑ったり怒ったりしていたなんて、正直信じられない。

俺も、あんな風に頭がグチャグチャになって死ぬのかな。
見た感じ(余り良くは見なかった、見れなかったけど)では銃で撃ち抜かれたっぽかった。
銃弾が頭の中、脳を貫通する時ってどんな感じなのだろう。
それとも痛みも何も、感じる前にもう死んでいるのだろうか。
怖い。怖くてたまらない。死にたくない。

「章高…」
「ああ、すいません、アルソンズさん。もう大丈夫です」

気分が悪くなってしばらく長椅子に伏していたが、気力を奮い立たせ立ち上がる。
その後、ジャケットを着た死体の脇にあったデイパックを回収し、アルソンズさんと一緒に礼拝堂奥の部屋に入った。
恐らく神父の控室と思われる部屋のテーブルに腰掛ける。
回収したデイパックの中には基本支給品以外何も入っていなかった。
恐らく二人を殺害した何者かが持ち去ったのだろう。

「そうだ、章高。お前の支給品にあった書類。あれを見てみよう」
「あれですか。そうですね…」

アルソンズさんに言われ、俺は自分のランダム支給品の一つ「自主製作映画企画書」をデイパックから取り出しテーブルの上に広げる。

「どれどれ……」
「何々……んー」
93Corpse of chapel ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/06(土) 23:21:21 ID:XjO137OK
自主制作映画企画書

タイトル:自作バトルロワイアル(仮)

※しっくりくる名前募集中!

監督、脚本:卜部悠
演出、音楽:二階堂永遠
原作:若狭吉雄
製作協力:テト
出演者:
愛餓夫 、麻倉美意子、 壱里塚徳人、 W・N・スペンサー、 エヴィアン
海野裕也 、エルフィ、 追原弾、 貝町ト子、 太田太郎丸忠信、 神崎志緒里
加賀智通 、鬼崎喜佳、 片桐和夫、 北沢樹里、 神崎健二、 吉良邑子、 如月兵馬
銀鏖院水晶 、楠森昭哉、 久世明日美、 グレッグ大澤 、 朽樹良子、 ケトル
倉沢ほのか 、鹿和太平、 暮員未幸 、 宍戸亮太郎、 古賀葉子、 白崎篠一郎
サーシャ 、尻田堀夫、 シルヴィア 、鈴木正一郎、 添島龍子 、 玉堤英人
朱広竜♪ 、 苗村都月 、トマック 、仲販遥 、 内木聡右、ノーチラス 、間由佳
平田三四郎 、長谷川沙羅 、日向有人 、フラウ 、森屋英太 、松村友枝 、和音さん

※血沸き肉踊る衝撃のドキュメント!
※個人製作を超えたCGにない本物がここにある!
※出来れば朱広竜に頑張ってほしいな(はぁと)



「バトルロワイアルだって…? 正に今ワシらが行っているゲームもそれだが」
「でも見た感じ、多分学校の文化祭か何かの出し物じゃないですか?
『自主製作映画』ってありますし……どうも企画書を書いた人、多分この卜部悠って人は、
朱広竜なる人に思いを寄せてるようで……あれ? ちょっと待って下さい」

出演者の欄に書かれた名前の中に見覚えのある名前を発見し、俺はデイパックの中から参加者名簿を取り出した。
そして企画書に書かれた名前と参加者名簿の名前を照合してみる。

「…どうした?」
「やっぱり。何人か、この企画書に書かれた名前と同姓同名の人物がいますね。この殺し合いに」
「何…?」

照合出来た名前は全部で9人。
「エルフィ」「太田太郎丸忠信」「北沢樹里」「吉良邑子」
「サーシャ」「シルヴィア」「ノーチラス」「フラウ」「森屋英太」。
どれもこれも決して有り触れた名前とは思えないので同一人物の可能性が高い。
94Corpse of chapel ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/06(土) 23:22:42 ID:XjO137OK
「ふうん…もしそいつらと遭遇したら話が聞きたいものだが」
「そういえば、アルソンズさんは小説家なんですよね。やっぱり、このゲームの事も本にするんですか?」
「フン……生きて帰れたら、そうするかもな。そうなったらお前も登場させてやる」
「ハハ…嬉しいですね」

生きて帰れたら、か……本当に、生きて帰れるのだろうか。




少し話し合った結果、アルソンズと章高はしばらくこの教会で休む事にした。
死体のある礼拝堂には出来る限り行かない事にして。

だが、アルソンズはまだ気付かない。同行している章高も、また然り。
アルソンズが、確実に「人ならざるもの」へと変わりつつある事に。



【一日目/黎明/G-4教会】


【アルソンズ・ベイル@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(中)、屍人化進行中(進行度30%、血の涙流出(拭き取った)、軽度の感覚異常)、首筋に注射痕
[装備]:マニューリンMR73(5/6)
[所持品]:基本支給品一式、357マグナム弾(30)、参加者詳細名簿@オリジナル
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。何とかして脱出したい。
1:しばらくはこの教会で休む。
2:殺し合いはしたく無いが、正当防衛ならば…………。
3:章高と行動を共にする。
4:…………。
[備考]:
※費覧という人物の特徴をおおよそ把握しました。
※屍人化が進行しています。いつ完全な屍人と化すのかは不明です。
※自主製作映画企画書に載っている9人の名前、
「エルフィ」「太田太郎丸忠信」「北沢樹里」「吉良邑子」
「サーシャ」「シルヴィア」「ノーチラス」「フラウ」「森屋英太」と参加者名簿に載っている同名の人物は、
同一人物であると確信しました。

【章高@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(中)、少し気分が悪い
[装備]:小型催涙スプレー
[所持品]:基本支給品一式、小型催涙スプレー(2)、
自主製作映画企画書@自作キャラでバトルロワイアル
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。とにかく生き残る。
1:アルソンズさんと行動。しばらく教会で休む。
2:もっとマシな武器が欲しい。
3:費覧には出来れば会いたくない。会いたくない。
[備考]:
※自主製作映画企画書に載っている9人の名前、
「エルフィ」「太田太郎丸忠信」「北沢樹里」「吉良邑子」
「サーシャ」「シルヴィア」「ノーチラス」「フラウ」「森屋英太」と参加者名簿に載っている同名の人物は、
同一人物であると確信しました。



※G-4教会礼拝堂に竹内多聞と松尾芭蕉の死体が放置されています。
※竹内多聞のデイパックはアルソンズと章高の二人が回収し、二人がいる部屋に放置されています。
95 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/06(土) 23:30:07 ID:XjO137OK
投下終了です。
96 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/06(土) 23:32:20 ID:ifKJFF9w
投下乙です
97 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/07(日) 00:25:38 ID:LdBu1+FR
投下乙です。
アルソンズさんがいつ屍人になるのか…
98銃音が響き、そして…(前編) ◆6LQfwU/9.M :2010/02/07(日) 01:06:50 ID:gUAugtCF
投下します。


銃声が、静かな病院内に響く。
「えっ!?何、何なの?」
その音に戸惑い、辺りをうかがうめろりん。
戸惑っているめろりんをよそに、また銃声が響く。
「銃声だ!まさか、ゲームに乗ってる奴が来たのか!?」
◆PURIN//46Eもその音に驚き飛び起きる。
眠っていたチルノも、目を擦りながら起きる。
「まずいなあ…どうする?気づかれないように、裏から出る?」
「そうだな、裏から出よう。俺は、ちょっと様子を見てくる」
その一言に、すごく驚くめろりん。
「え!?そんな、危険だよ!」
めろりんの驚いた声を流しながら、歩いて行く◆PURIN//46E。
そして振り返り、
「じゃあ、めろりんはチルノを連れて南に行って。30分経って帰ってこなかったら、俺を見捨てて逃げていいよ」
と何かの決意を込めたような声で言う。
「そんなこと…できる訳…」
「それと、俺が帰ってこなくても引き返さないこと、後これ預かって」
有無を言わさない口調で言った後、◆PURIN//46Eは病室を出ていった。


「さて、ああは言ったものの、どうしようか?本当に危ない奴だったら…」
急に心細さを感じ、引き返そうとする…が。
(引き返すわけには…いかないよね。)
戻ろうとする体を止めながら、何とか引き留めつつ入り口付近まで歩いて来た。
…あることに気づく。
外に誰か倒れてるじゃねーか。
急ぎ足で入り口に向かう。
「ん?誰かいるの?」
突然後ろから声をかけられる!
「わあああっ!」
心臓が口から飛び出る程びっくり!足の力が抜けて行く…
声の主は、体を起こしこちらの姿を確認する。
だが、姿を見たとたん、武器をあわててしまい出す。
「…こんなに隙があるっていうのに、攻撃しないのか?」
その男に訪ねる◆PURIN//46E。
「…お前…間違いないな、プリンだろ」


「本当にごめん!誰か分からなかった物だから…」
謝るvもんが。
「状況が状況なんだから、しゃれになんないよ、まったく」
非難めいた声で言う◆PURIN//46E。
そしてある物を差し出すvもんが。
「お詫びと言ったら何だが、これあげるよ」
その手には、血がうっすらと付いている斬鉄剣だった。
それを受け取り、腰に付ける。
「ああ、そうだ。南に行けば、めろりんたちがいるはずだよ」
「教えてくれてありがとう。気を付けてな」
99銃音が響き、そして… ◆6LQfwU/9.M :2010/02/07(日) 01:09:22 ID:gUAugtCF
外に出る。
辺りもかなり明るくなり、それなりに遠くまで見えるようになっている。
さわやかな朝の風が◆PURIN//46Eをなでる。
…その風の中に、血の臭いが混ざる。
風の吹いてくる方向を向く…がすぐに目を背ける。
散弾を至近距離で食らったのか、腹がずたずたになっている死体が…
そして、足音が聞こえてくる。
「…誰だ?」
狙撃銃を構え、音のした方を向く。
「あ、プリンか…久しぶり、と言っても1,2時間しか経ってないけど。」
それは…さっき逃げてきたはずの下痢だった。
その顔を見た途端、◆PURIN//46Eの顔に怒りが浮かぶ。
「何でさっき、攻撃してきたんだ?ゲームに乗ってたのを隠してたのか?」
「急に、したくなったんだ。それに、怪我しなかったんだから、いいでしょ?」
その一言で、◆PURIN//46Eの怒りがより増える。
「…それに、乗ってるのはお互い一緒じゃないか」
信じられないような一言だった。
俺がゲームに乗ってる?そんな訳ないだろう!
キレて怒鳴ろうかと思ったが、抑えて冷静に言う。
「何で俺がゲームに乗ってるなんて言える?証拠でも…」
あるのか、と言おうとしたが、やめた。
何を言っても無駄だ、と分かったからだ。
なぜなら…俺の足元には、死体が転がっているからだ。
こんな状態で何を言っても無駄になるだけだ。
「まあ、何でもいいか。―プリン、ここで死ぬんだから」
急に走りだし、◆PURIN//46Eに襲い掛かる。
「…くうっ…」
本当に何とかかわした、と言う感じにかわしよろめく。
そんなことお構い無しと言う風に追撃を加える下痢。
「ぐ…!くそっ、あんまり調子乗るなよっ!」
脇腹を殴られ、痛みのあまり涙を流しながら叫ぶ◆PURIN//46E。
そのまま背を向け、病院に走り出す。
(痛ぇ…このやろー…)
病院内に駆け込み、ドアを施錠する。
椅子に腰かけ、痛む脇腹を抑える。
「長く休んでられないな…」
まさにその通りで、外では下痢が必死に硝子を割ろうとしている。
一応針金入りの硝子はある程度なら耐えられそうだが、それでもいつかは割れる。
「少しでも手間取ってくれれば…」
淡い期待はすぐに崩れ去った。
ガシャーン、とガラスの割れる音が静かな病院内に響く。
(早っ!まだ十分回復した訳じゃ無いが戦えるレベルだ)
割れた箇所から手を入れ、鍵を開ける。
「こんな小細工、すぐに破れるの分かってる癖に。まったく」
ドアを開け、中に入る下痢。
中に入ると同時に、◆PURIN//46Eが引き金を引こうと思うが手が動かない。
頭にさっきの記憶が蘇る。
自分が撃った弾が当たり、血が出る映像。
それが頭の中でぐるぐる回って離れない。
(俺は何をしてるんだ!?自分が殺されそうになったら、自分の身を守るのは当たり前だろ!)
頭の中で引こう、引こうと思っても指が動かない。
そうしている内に、下痢は一歩、また一歩と近づいてくる。
そして正面に立つ。
正面に立たれても、まだ引き金は引けない。
「…だめか…やっぱり、俺の心に甘さがあるのか…」
動けずにいる◆PURIN//46Eの頭に、ワルサーPPKが押し当てられる。
(めろりん…生きて帰って――)
乾いた銃声が辺りに響いた。
100銃声が響き、そして… ◆6LQfwU/9.M :2010/02/07(日) 01:10:31 ID:gUAugtCF
頭から血を流しながらその場に倒れている◆PURIN//46Eはもう動かない。
「何で撃たなかったんだろうか?まあいいか。そのおかげで死ななかったんだから。」
◆PURIN//46Eのデイパックと体を確認する下痢。
「斬鉄剣か…それとこの銃。あの人形が無くなってるな…まあどうでもいいや」
全ての武器を奪って、病院の外に出ていった…

【一日目/早朝/E-7:病院ロビー】


【下痢@板対抗BR】
[状態]:健康、「ふうのしん」発症(75%)
[装備]:火掻き棒@SIRENシリーズ
[所持品]:支給品一式、「ふうのしん」の枝@かまいたちの夜、◆PURIN//46Eの武器
[思考・行動]:
基本:欲望のまま行動する
1:あっけない物だなあ


「銃声…お願いだから、死なないでね…プリン」
街の入り口に座り込み、時間を待つめろりん。
もう帰って来ることは無いともしらずに…

【一日目/早朝/E-7:病院:病室】



【めろりん@板対抗BR】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:風切り鎌@かまいたちの夜、ワルサーP38(8/8)@板対抗BR、ノートパソコン@現実
[所持品]:支給品一式、蟹@本格的 ガチムチパンツレスリング、治療道具(6人分)
[思考・行動]:
基本:人は殺したくない。
1:プリンが心配。早くこないかな…


【チルノ@ニコニコ動画】
[状態]:健康、睡眠
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:あたいさいきょー。
1:Zzz…


【◆PURIN//46E@板対抗BR 死亡】
死因:射殺

――
結構長いと思ったから前後編に分けたけれど、そうでも無かったんで統合。
こうして見てみると読みづらいなあ…
101 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/07(日) 01:11:42 ID:gUAugtCF
投下終了です
102 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/07(日) 10:15:01 ID:bFhISvR0
投下乙です。プ、プリン!! 死んでしまった…。

では自分も投下します。個人趣味ロワ55話「美女と野獣の予期せぬ結託」
登場:神田修次、吉良邑子
103美女と野獣の予期せぬ結託 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/07(日) 10:28:29 ID:bFhISvR0
55話「美女と野獣の予期せぬ結託」

俺――神田修次は胸の傷の痛みに耐えながら、雑木林を抜け、
ようやっと文明圏である市街地に辿り着いた。
畜生、どうやら薬草のおかげで治りが良くなってるみたいだけど、あの野郎…。
デバイスで位置を確認すると、この辺りはエリアF-2になるらしい。
周りは民家や小さな店が建ち並び、どこか閑散としている。

「もっとマシな武器が欲しい所なんだが」

今俺が持っている武器は頼り無い火掻き棒。
蜘蛛糸という相手の動きを絡め取る便利アイテムも持ってはいるけど、やっぱり高い威力の武器は欲しい。
市街地なら何か代わりになる物があるかな?

「その辺の民家漁って探してみるか」

俺はすぐ近くの民家に入ろうとした、が、玄関は固く施錠されていた。窓も裏口も同じだ。
ガラスを割って鍵を開けようとも思ったが、別にそこまでして入りたくも無いし第一大きな音を出すのはまずい。
他に数軒回ってみたがやはり同じ。

「くそっ、参ったな…」

何軒目かの民家を回り、門柱から道路に出たその時だった。

「動かないで下さい」
「なっ!?」

大きなボウガンをこちらに向けた、恐らく俺と同年代の少女と鉢合わせになった。
俺とは別の学校の制服を着ている。それに…結構美人。俺好み。
いや、それどころじゃない!

「何か言い残す事はありませんか?」

この女は間違い無く俺を殺そうとしている。俺は火掻き棒に対し向こうはボウガン。勝ち目が無い。
まずい、ここは何とかして切り抜けないと…そうだ。

「ま、待ってくれ! アンタ、殺し合いに乗ってるのか!?」
「言わなくても分かるでしょう?」
「そ、そうか。実は、俺もなんだ。一人、殺した」
「そうですか…私もですが、それが何か」
「つまりだ、お互い、優勝を狙ってるって訳だ。そうだろ?」
「……?」
「ああ、そうだな、何が言いたいかって言うと、俺と組まないか? もっと砕いて言えば、協力しようって事!」
「はい??」

俺が出した提案に女は不思議そうな表情を浮かべる。そりゃそうだろうな。
苦し紛れの策だが、よくよく考えたら、この殺し合い一人だと不都合な時も多いからな。
だが後はこの女が承諾してくれるかどうか、してくれなかったら、終わりだ
104美女と野獣の予期せぬ結託 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/07(日) 10:30:05 ID:bFhISvR0
「……」

女はしばし俺にボウガンを向けたまま考えていたが、やがてボウガンを下ろし、答えを出した。

「分かりました。しばらくの間、共に戦いましょう」
「お、おお!」

良かった、承諾してくれたみたいだ。

「俺、神田修次だ。よろしくな、えーと…」
「吉良邑子です。吉良で良いですよ」
「そ、そうか。よろしく、吉良」
「こちらこそ、神田君」

握手を交わし、これでコンビ成立…になったのだろうか。
全く予期しない形で誰かと組む事になったけど、これはこれで良いかも。
都合が悪くなったら武器奪って見捨てたりも出来るだろうし、いや、それは多分吉良も同じ事を考えているだろうな。
それに…胸そんなに無さそうだけど、可愛いしね。
そうだ…隙あらば…………いいなあ!

◆◆◆

まさか誰かと組む事になるとは思わなかったなあ。
上手くこの神田っていう狼族に乗せられた気もするけど、一人より二人の方が何かと便利かもだし。
私達二人のみが生き残るまでは協力しておこう。

「なあ、吉良。何か武器持ってねぇ? 俺、この火掻き棒しか武器無いんだよ」
「あるにはありますよ」

一緒に戦うんだからまともな武器が無いのは困る。
私は自分んのデイパックの中から太田君が持っていた刀を取り出し、神田君に手渡した。
神田君は喜んで、私に礼を言った。

「とりあえず、放送の時刻が近くなってますから、どこかで休みましょう」
「でも、どこも鍵掛かって入れないぜ」
「多分探していれば鍵が掛かっていない所もありますよ」

そろそろ歩き疲れてきたし、お腹も空いてきたから、どこかで休もう。
と言うより、太田君を殺してから結構長い間休めそうな所探していたんだけど、
どこも厳重に鍵が掛けられていて入れなかった。この辺りってそんなに物騒だったのかな。

私と神田君は身を潜められそうな場所を探すため歩き始めた。
105美女と野獣の予期せぬ結託 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/07(日) 10:34:25 ID:bFhISvR0
【一日目/早朝/F-2市街地】

【神田修次@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(中)、胸元に真一文字の切り傷(治癒中)、薬草の効果により治癒能力増大中
[装備]:九五式軍刀
[所持品]:基本支給品一式、火掻き棒@SIREN、薬草@オリジナル(40)、
蜘蛛糸玉@オリジナル(3)
[思考・行動]:
0:優勝を目指す。他参加者を殺す。
1:吉良邑子と協力して優勝を目指す。最後の二人になったら吉良邑子は殺す。
2:マシな武器が手に入った…。
3:もし本当に隙あらば吉良を……フフフ。

【吉良邑子@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的疲労(中)
[装備]:ドーラのボウガン@FEDA(1/1)
[所持品]:基本支給品一式、ボウガン予備矢(22)、
フォナ特製際淫剤注射セット@オリジナル(残り5本)、太田太郎丸忠信の水と食糧
[思考・行動]:
0:ご主人様(玉堤英人)のため、優勝し帰還する。
1:神田修次と協力して優勝を目指す。最後の二人になったら神田修次は殺す。
2:参加者を見つけ次第殺す。例えクラスメイトであっても容赦しない。
3:どこか鍵の掛かっていない民家で休憩する。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。


※F-2市街地には厳重に施錠された建物がかなり多いようです。
106 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/07(日) 10:35:25 ID:bFhISvR0
投下終了です。マーダー同士でコンビ組むのもアリだよね?w
107 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/07(日) 14:36:49 ID:96Kw8CtW
test
108 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/07(日) 14:43:26 ID:96Kw8CtW
規制解除でごきげんです、5dです。
投下乙と新ロワ設立乙であります。

マーダーコンビ?ありに決まってるじゃないですか。

新ロワのメンツは面白いことになっていますね。

では投下します。
109不屈の意志この胸に ◆5ddd1Yaifw :2010/02/07(日) 14:45:04 ID:96Kw8CtW

「あいつら……人の命を何だと思っているんだ!!」

潮の香りがふんわりと辺りに漂う深夜の砂浜。
砂浜の向こうの海には月が映り幻想的な空間を醸し出している。
その幻想的な空間をぶち壊すように響く大きな憤りの声。
砂浜の向こうの海の果てまで届きそうなくらいだ。ここが殺し合いの場だと理解しているのだろうか。

「俺は乗らない、こんなふざけたゲームに乗ってたまるか!!!」

先程の憤りの声の主である黒髪の少年、武藤カズキ。
今は故あって仲間であった『錬金の戦士』から追われる身である。

「斗貴子さん……剛太……どこにいるんだよ……」

名簿を確認し、自分の知り合いが二人も巻き込まれていることを知り焦るカズキ。
この島では安全な場所なんてないのだ。
自分の仲間が今こうしている間にも危険に晒されていることを考えると身震いがする。

油断ともいえるのだろうか。
端的に言うとカズキは動揺していた。仲間のことを考えて。
そのせいで気付くのが遅れた。後ろから放たれる強烈な殺気に。

ヒュッと風切り音が鳴った。そして数秒後に遅れてやってくる痛み。
カズキの右肩にナイフが突き刺さり、傷口からドクドクと赤い血が流れ、着ているTシャツを赤で汚す。
まだ小さなナイフであったためにこの程度で済んだ。
もしこれが大型のマチェットなどであったらどうなっていたであろうか。
きっと、肩を貫き、肩から抜くことさえも困難になっていたであろう。

「……痛っ……!」

痛みに顔をしかめているカズキだがいつまでも呆けていてはいられない。
カズキは素早くナイフを肩から引き抜く。
たったったっと砂を踏む音が聞こえる。襲撃者がカズキに迫っている証拠だ。

「武装錬金!」
110不屈の意志はこの胸に ◆5ddd1Yaifw :2010/02/07(日) 14:48:17 ID:96Kw8CtW

カズキはサンライトハートを即座に出して振り向き様に横一閃に切りつける。

「っ……」
「受けた!?」

砂浜に甲高い金属音が鳴る。襲撃者が持つ刀とサンライトハートが火花を散らす。
カズキを襲った襲撃者の正体。
それは、鮮やかな銀髪に実直そうな顔立ちの制服を着た女子高校生であった。
自分と同じくらいの年齢だろうかとカズキは考える。
少女はカズキが虚空からサンライトハートを取り出したのよ後ろからの不意打ちを見事に受けたことに驚いたのか刀を握る手が一瞬緩まる。
その僅かな間に即座に後ろに後退し体勢を立て直す。

「どうして君はこんなふざけたゲームに乗る!乗る必要なんてない、皆で協力すれば!」
「……黙れ、答える必要など無い」

ボソッと呟く少女。カズキの問いかけに答える気はまったくない。
それでもカズキは諦めない。
誠心誠意説得すればわかってくれる、こんなふざけたゲームに進んで乗る人なんていない、そう信じて。
だが、相変わらず少女からの返答は無い。

「お願いだから話を聞いてくれ!」

呼びかけの返答代わりに少女は間髪入れずに、払い、籠手、振り下ろし、流れるような連撃をカズキに繰り出す。
カズキは最初の払いをサンライトハートで受け、次の籠手を手を素早く引っ込めることで躱す。
三つ目の振り下ろしの一撃を後ろに跳ぶことで躱す。
そして、カズキは刀の振り下ろした隙を狙って一気に迫り胴に切りつけようとするが、
カズキは少女を傷つけることが出来ずにサンライトハートを胴の寸前で止める。
カズキの信念が手に持つサンライトハートを鈍らせる。

(だめだ、この人だって何か理由があってやむなく乗ってるかもしれないんだ。
 まだ……まだ諦めるには早い。殺すのは最終手段、どうにもならなくなった時。
 助けるんだ、この人を!)
「なぜ止める?このまま振りぬけばいいものを」
111不屈の意志はこの胸に ◆5ddd1Yaifw :2010/02/07(日) 14:50:32 ID:96Kw8CtW

少女は刃が止まったことを不審に思ったのかいぶかしげに問う。

「そんなことできるわけないだろ!いきなり人を殺せと言われて殺すなんておかしいじゃないか。
 君だって好きで殺しあってるわけじゃないだろ。俺は武藤カズキ、君の名前は?」

サンライトハートの構えを解いて自分は何もしないとアピールするカズキ。
殺し合いに乗ってる人物を前では自殺行為に等しい。
これを見た少女も呆れ返っている。

「答える必要はないと言ったはずだ」
「そんなこと言わずにさ、名前ぐらい教えてくれてもいいと思うけど」

お人よしが過ぎる――
少女はため息を深くつきながらそう考える。

「調子が狂う奴だ……坂上智代、これで満足か?」
「じゃあ、智代さん。改めて聞くけどどうして君はこんなゲームに乗る?」
「はぁ……そこまで答える必要はない。所詮お前と私は他人、敵同士だぞ?」
「そんなこと言わずにさ」

カズキのしつこい追求にうんざりする智代。
どうしてここまで私にかまう――

(このどうしようもないお人好しを見てると浮かぶな)

智代の脳裏に浮かぶのは大切な人。

そして大切なあの日々。

智代は唇を血が出るほどかみ締める。
                    
(そうだ、自分は決めたはずだ。どんな外道なことでもやってみせると)

鈍ってはだめだ――
智代の顔から表情が消える。
112不屈の意志はこの胸に ◆5ddd1Yaifw :2010/02/07(日) 14:53:05 ID:96Kw8CtW

「皆で協力すればきっと「黙れ、私は殺す。この島にいる全員を。それにそれが出来てれば苦労はしないさ……っ!」……智代さん!」

戦いが再開する。
キンキンと小刻みな金属音が静寂な砂浜に鳴り響く。
カズキは智代の攻撃を受け流すばかり。一向に攻撃する気配はない。

(智代さん、強い!甘く見たらやられる。切っ先を目から逸らさないで……集中し……ガッ!)

ほんの少し。ほんの少しの油断がカズキを甘くした。

「油断大敵だな」

カズキは刃の切っ先だけに視線が囚われすぎて全体を見ていなかった。致命的な隙である。
そんな大きな隙を智代は逃さない。
智代の体のバネを活かした渾身の蹴りがカズキの腹部に突き刺さる。
蹴りをまともに受けたカズキは宙を舞いドスンと音を立てながら砂浜に落ちた。
頭から落ちて脳震盪にでもなって気絶したのだろうか、カズキはそのまま動かない。
だがそんなこと智代はかまいはしない。
無慈悲にも、智代はカズキに迫り刃で貫こうと――



「そこまでだ」



凛とした声と同時に響く銃声。
放たれた銃弾は少女の持つ刀の中央部分に正確に当たり刀身は真っ二つに折ってしまった。

「何だ、新手か。もしかしてこいつの仲間か?」

智代は銃弾の飛んできた方向に視線を向けて問いかける。
自分の刀を正確に撃ちぬいた力量、只者ではない、と智代は考える。
視線の先にいるのは――
113不屈の意志はこの胸に ◆5ddd1Yaifw :2010/02/07(日) 14:55:16 ID:96Kw8CtW

美少女。腰まで伸びた艶のある黒髪、露出癖があるのかと思われるくらい外にさらされた胸。
顔立ちも整っており街を歩けばたちまち注目の的となるだろう。

「ふっ……私の名前は黒神めだか。通りすがりの生徒会長さ」

威風堂々とした佇まいで言葉を放つめだか。
だが智代は怯まない。むしろ、カズキと対峙した時よりも殺気立っている。

「ふん、まあいい。どいつもこいつも皆殺しにするだけだからな」

そう吐き捨て先が折れた刀を捨ててめだかに襲いかかる。

「ステゴロか?おもしろい、その勝負受けようじゃないか!」

めだかは手に持った銃をデイバックに投げ捨て智代を迎え撃つようにファイティングポーズを構える。
先手はめだか。めだかの右手から振りぬかれたアッパーが智代の顎を正確に狙う。
常人ならここで終了。ダウン確定だが、

「ふん!!」

智代はアッパーを両手をクロスして受け止め、後ろに下がり勢いを殺す。
その下がった一瞬すらもめだかは逃さない。
追撃として間髪いれずに右ストレートを腹に叩き込もうとする。
だが智代とて中学のころは喧嘩で近隣の不良生徒に恐れられていた身。
こんな簡単にやられるわけにはいかない。

「舐めるなよ、黒神めだかぁ!!!」

智代はめだかのストレートを拳で撃ち落とし、そのまま流れるように回し蹴りを繰り出す。

「少女よ、それはこちらのセリフだぞ」

めだかは智代の回し蹴りをバックステップをぎりぎりのところで躱す。

「今の蹴りを躱すか、おもしろい」
114不屈の意志はこの胸に ◆5ddd1Yaifw :2010/02/07(日) 14:57:39 ID:96Kw8CtW

智代は後退しためだかを追い込むように懐に瞬時に潜りこみ右フックを放つ。
めだかは掌で右フックを受けとめる。
二人の乱打が続く。拳が撃ち落とされ、蹴りが流される。

「甘い!甘いぞ……少女よ、お前はその程度か?」

不適にめだかは笑う。いや、嗤うというほうが正しいか。
明らかな挑発であろう。

「ほざけぇ!!!!らああああああああああ!!」

智代はただひたすらに蹴る、蹴る、蹴る。体に当たったら肉が飛び散るかのような。
当たったら臓器に多大な損傷が与えられることは間違いないだろう。
めだかもそれに答えるかのように智代の蹴りを紙一重で躱しながら拳を放つ。

「やるじゃないか、少女よ……!」
「少女じゃない、坂上智代だあああああああ!!!!!」

夜の砂浜で拳と蹴りの舞が続く。互いの一撃は必殺。一発当たったら即ダウン。
当たり所が悪かったら死ぬ可能性もある。それでも。

「はぁ!」
「そこっ!」

止まらない。拳も。蹴りも。勢いは増す一方だ。
だけど、ここはバトルロワイアル。何でもありの狂気の島。この勝負を邪魔する輩だって当然いる。

「え?」
「ん?」

力の限り戦っている二人の間をころころと転がる黒いナニカ。

「これは、まさか……!」

その言葉より一秒後、黒いナニカによる爆炎が轟いた。
115不屈の意志はこの胸に ◆5ddd1Yaifw :2010/02/07(日) 14:59:59 ID:96Kw8CtW



◇ ◇ ◇



手榴弾の燃え残りで砂浜に微かな明かりが灯される。
そこに派手なアロハシャツを着た青年、中村剛太は立っていた。
先の手榴弾をめだかと智代に放った張本人である。

「まさか、ここまであっけねえとは思わなかったぜ、武藤」

目の前で気絶しているカズキを見て忌々しげに呟く。

(敵に情けを掛けて、それでやられちゃ世話ねえな。そんな様で先輩を守れるのかよ)

失望の表情を顔いっぱいに浮かべ、剛太は考える。
剛太の基本思考は津村斗貴子の無事を確保すること。
確保後は、この島からの脱出。もしそれができなかったら津村斗貴子を優勝へと導く。
それ以外にこのゲームに乗っている参加者、生きていく上での足手まといの排除。
そのためなら他の参加者を犠牲にすることも厭わない。
ゲーム開始直後に考えたこれからの方針である。

(先輩以外はどうなってもいい。そして、その先輩を他の参加者から守るには俺独りでは荷が重い。
他の参加者なんざ信用できない。いつ寝首をかくかわかったものではないしな。
その点こいつはわかりやすい。この島に来る前、少しの間一緒に行動してわかったがこの御人好しは絶対に先輩を裏切らない。それに先輩もこいつを……好いているし。こいつだけは信用してもいいんじゃねえかとも思ったが……
 こんなんで大丈夫なのかよ)

剛太は自分のデイバックから支給品であった応急処置セットを取り出し、カズキのナイフが刺さった痕の治療をする。一応の処置をしておいても損はないだろうと考えた上でのことである。

「それよりも、さっき殺した二人……」
116不屈の意志はこの胸に ◆5ddd1Yaifw :2010/02/07(日) 15:01:45 ID:96Kw8CtW
剛太は手榴弾の爆心地の跡を見て顔をしかめる。

そこには――

・・・・・・・・・・・
「どうして死体がないんだ?」


【J-5砂浜/1日目・深夜】
【武藤カズキ@武装錬金】
[状態]:気絶、腹部にダメージ、右肩に刺突痕(応急処置済み)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本:ゲームには乗らない
1 他の参加者と協力して情報交換。
2 知り合いとの合流
※7巻62話からの参戦。
※近くに投げナイフ1本、折れた打刀が落ちています。


【中村剛太@武装錬金】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、応急処置セット、M24型柄付手榴弾×4、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本:津村斗貴子との合流
1津村斗貴子と共にこの島からの脱出。武藤カズキもついでに。
2乗っている参加者、生きていく上での足手まといの参加者の排除。そのためなら手段は問わない。
3脱出ができなかったら津村斗貴子を優勝へと導く
4死体がない!?
※7巻62話からの参戦。
※黒神めだか、坂上智代を殺したと思っています。
117不屈の意志はこの胸に ◆5ddd1Yaifw :2010/02/07(日) 15:03:40 ID:96Kw8CtW


【????/????】
【坂上智代@CLANNAD】
[状態]:????
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、投げナイフ×9、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗る。
1 ????


【黒神めだか@めだかボックス】
[状態]:????
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、トンプソンコンデンダー(0/1)、予備弾49、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:????
1????
2????
118不屈の意志はこの胸に ◆5ddd1Yaifw :2010/02/07(日) 15:07:37 ID:96Kw8CtW


【応急処置セット】
包帯、消毒液など応急処置に役立つ物の詰め合わせ。

【M24型柄付手榴弾】
第一次世界大戦にドイツで開発された柄付き手榴弾の後継型である。
小さい缶詰型の炸薬に木製の棒をつけた形状から、ポテトマッシャー(じゃがいも潰し)という俗称がついた。
第一次世界大戦から使用されていたヘアブラシ型手榴弾M1915の改良型で、大量の炸薬を発火させる事により起こる爆圧で相手を殺傷する。
有効範囲は約10m。攻撃型手榴弾に分類される。発火方式は摩擦発火式。木製の柄の中に弾殻に繋がる紐が付いており、
柄のねじ込み式安全キャップ(ボトルキャップの様な形状)を外し、中の紐に繋げた握り玉を引っ張ることによって摩擦で導火線部に着火させ、3〜4秒で爆発する。
一般的な仕様は、指や手首に紐を巻きつけたまま投げる事で、発火と同時に投擲を行う。

【投げナイフ】
10本セット。何の変哲もない。

【トンプソンコンデンダー】
1967年にアメリカのトンプソン/センター・アームズが開発した、狩猟用のシングルショット・ピストル。
小口径弾でのプリンキングから、大口径弾によるビッグ・ゲーム・ハンティングまでをフォローするという変わり種。
119 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/07(日) 15:10:44 ID:96Kw8CtW
投下終了。序盤だってのにそれなりな長さのやつ書いちまったw
あ、それと参加者追加。

【東方project】3/3
〇紅美鈴/〇十六夜咲夜/〇森近霖之助

【恋する乙女と守護の楯】5/5
〇山田妙子/〇真田設子/〇笹塚隆平/〇穂村有里/〇桜庭優

あまりにも俺得。収取?まぁ、何とかなるさね。
120 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/07(日) 21:34:15 ID:HTQ2lJpP
投下乙です。
智代マーダーか…奉仕みたいだけど、もうその相手は…

それでは節操無しロワ一話目、投下します。
登場人物 カイ=キスク、八重野撫子
121KYには良くある事 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/07(日) 21:35:19 ID:HTQ2lJpP
死んだ
すももが、死んだ。
どうして?どうしてこんな事になったの?
すももを家まで送って、ハルと一緒に帰って、お風呂に入って寝て…
起きたらこんな所にいて、すももがいて、天使みたいな女の子が出てきて、すももの―――

「う…ああ…」
すももを…殺した。コロシタ。
なんで?すももが一体何をしたというの?
あの子はこんな理不尽に殺されるような子じゃ無かった。
入学してからずっと好きだった男の子と私が付き合うことになった時も、本当は凄く悲しかったのに私達に泣いてる所を見られないように必死に笑顔を作って。
結城さんと一緒に私とハルがもっと仲良くなれる様に、って色々助けて、応援してくれた。

「ああああああーー!!」
あの子と一緒にいるだけで心が休まった。
あの子が笑っているだけで私も笑顔になった。
あの子は私にとって、幼なじみで、親友で…妹だった。

「…殺してやる」
そんなすももを、これからもずっと一緒だと思っていたすももを、あんな無残な手段で殺したあの翼の女。
絶対に、絶対に、絶対に……殺してやる!!
122KYには良くある事 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/07(日) 21:36:33 ID:HTQ2lJpP





さて、これからどうしたものか、なんてわざわざ考えるまでも無い。
こんな殺し合いを容認するわけには行かない、なんとしても止めなくては。
国際警察機構…いや、元聖騎士団長カイ=キスクの命に代えてでも!

カイの知り合いは五人いた。
そのうち三人は信頼できる面子だった。

空賊ではあるが、儀に厚く、信頼を裏切らない男、ジョニー。
ずっとその背中を追いかけ続け、ぶつかり合い、和解した男、ソル。
そして自分と共に道を歩んでいる、人以上の優しさを持つ人ならざる者…ディズィー

彼らは腕も立つし、信頼も出来る。
まずは彼らとの早期合流を目的とし、その過程で信頼できる存在や戦えない人々を保護する。
行動指針は決まった、とばかりにカイは歩き出した。

「しかし…「何でも願いを叶えて貰える」…か」
歩きながらそう呟いて、ついさっき確認した名簿の内容を反復する。
そして名簿に記載されていた、残り二人…いや、二体の参加者について思案した。
国際手配犯、ザトーONEの身体を乗っ取り自分にふさわしい肉体を求め行動するギア、エディ。
そして、世界を震撼させた史上最強最悪のギア、ジャスティスの名が記されていた。
だがエディはともかく、ジャスティスは数年前に自分の目前でソルに倒され、完全に死亡した筈の存在だ。
死者が殺し合いになど参加できるはずも無い。
が、カイはこの「ジャスティス」について一つの仮説を立てていた。

(終戦管理局の作り出した…ジャスティスのコピーと見るべきだな)

終戦管理局。
確認できるだけで、人類に対するギアの反乱、通称「ジャスティスの反乱」の頃からすでに行動が確認できている組織だ。
そして彼らはジャスティスの娘であるディズィーを狙い、ジャスティスのコピー共々襲いかかってきた。
奴らが裏にいるのなら、ジャスティスと言う名の参加者がいても不思議ではない。
…少なくとも事情を知っている自分らは、の話だが。

だがそう過程を立てると共に、カイの中には沸々と主催者への怒りが沸いていた。
ジャスティスの脅威と、ジャスティスが既に死亡している事を知らない人間など、今この世界には存在しない。
そのジャスティスをこうして参加者として参加させることによって、奴らは他の参加者へと「何でも願いが叶う」とアピールしているのだ。
この殺し合いを加速させる為に。

「絶対に…お前達の思い通りにはさせんぞ…!!」
誓いの言葉を呟き、カイは確かな足取りで岩場を進む。

と、そこで人の気配を感じ、足を止める。
123KYには良くある事 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/07(日) 21:37:20 ID:HTQ2lJpP
注意深く辺りを見回すと、16歳前後と思しき少女が岩場の影で座り込んでいた。
カイはその姿に見覚えがあった。
あの会場で、見せしめとして首輪を爆破された少女と一緒にいた少女だった。
カイは説明を聞いていた時から、あの少女の事が気になって仕方が無かった。
突然こんな所につれて来られた上に、目の前で友人をあんな方法で殺されたのだ。
ここからではその表情は窺い知れないが、放っておくことなどできる筈も無い。
カイは少女のいる方へと歩きながら、声をかけた。


「すみません、少しよろしいでしょうか」


さて、彼女、八重野撫子が主催者を何があっても殺すと誓った直後に話しかけたカイ=キスク。
彼はこの後どうなるのでしょうか?
見事撫子を説得し、共闘関係を築くのでしょうか?
それか、撫子にいつもどうりの空気読めない発言をして殺されてしまうのでしょうか?
それとも他の道を選ぶのでしょうか?
正義を貫こうとする男の選択は、果たして友の敵へと憎悪を募らす少女にどんな道を歩ませるのでしょうか…?


【カイ=キスク@GUILTY GEAR】
[状態]: 健康
[服装]: 聖騎士団の服
[装備]: 無し
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×3(確認済み)
[思考]
基本:対主催同盟を作り、主催者を打倒する
0: 撫子と接触する
1: ソル、ジョニー、ディズィーと合流する
2: エディ、ジャスティスを警戒
[備考]
※参戦時期はGUILTY GEARからGUILTY GEAR2までの間からの参戦です。
※終戦管理局が黒幕ではないか、という推測を立てています。
※ジャスティスを終戦管理局の作り出したコピー体だと推測しています。


【八重野撫子@ななついろ★ドロップス】
[状態]: 激しい憎悪
[服装]: 撫子の私服
[装備]: 無し
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×3(未確認)
[思考]
基本:主催者を殺す
0: 誰…?
[備考]
※参戦時期は撫子ルート終了後からの参戦です。
※名簿を確認していません。
124 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/07(日) 21:39:01 ID:HTQ2lJpP
投下終了です。
実はこれ、昨日投下しようとしたんですが間違えて削除してしまいました。
書き直しましたが、撫子の心情描写とかだいぶ削っちまってます…orz
125 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/09(火) 00:56:55 ID:FyzgQTjf
投下乙です。削除してしまったとは大変でしたね…
では自分も行きます。個人趣味ロワ56話「さあそろそろ本気を出そうか」
登場:シルヴィア、永井浩二、北沢樹里
126さあそろそろ本気を出そうか ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/09(火) 00:58:26 ID:FyzgQTjf
56話「さあそろそろ本気を出そうか」

E-3市街地、住宅街の民家の一つ。
玄関扉を開け、右手に自動拳銃、ベレッタM92FSを携え周囲を警戒しながら出て来たのは、
白髪の猫耳猫尻尾を持った学生服姿の少女、シルヴィア。
そしてその後に続くのは右手に自動拳銃、シグザウエルP228を携え、
やや怯えた表情で辺りを見回すTシャツズボンに鉢巻姿の男、永井浩二。

「ちょっと永井」
「何や」
「何で女の私が前なのさ。普通男のアンタが先行するべきでしょうが」
「怖いもん」
「……まあいいわ」

この男に男気や騎士道精神といったものを期待するだけ無駄と言うものである。

「アンタも銃持ってんだから、いざと言う時は戦ってよ。そんで自分の身は自分で守る事」
「わかっとるわ…俺もそれくらいは出来るって」
「オーケー」

シルヴィアが門柱の陰からゆっくり頭だけ出し、左右を確認する。
太陽も出てきたのですっかり明るくなり、街灯は消えている。
道路には乗用車が路肩に多数駐車されているが人の姿は見えない。
非常に閑散とした住宅街、まるで何か原因不明の災害が起こって住民が強制退去させられたようだ。
シルヴィアと永井浩二はとりあえずF-3にある病院を目指す事にした。
地図に表示されているので人が集まるかもしれず、仲間になってくれそうな者もいる可能性がある。
但し殺し合いに乗った者もいるかもしれない事を覚悟しなければならないが。
また、病院にはほぼ間違い無く医薬品や治療器具も置いてあるはずなので、
それらを入手しておきたいというのもあった。
シルヴィアが合図を出し、永井と一緒に玄関門を右折し、病院の存在する方向へ向かう。
だが、二人が数歩進んだその時だった。

「……永井」

シルヴィアが静かな声で隣を歩く永井に囁く。
永井が怪訝そうな顔をする。シルヴィアは背後に感じる殺気を感じ取っていた。

「……走れ!!」
「ちょっ!?」

永井の腕を思い切り引っ張り、全速力で駆け出す。
直後に二人の背後数メートルに停まっていた白いワンボックスカーの陰から銃を構えた一人の人物が飛び出す。
それはシルヴィアと同じ制服に身を包んだ茶髪セミロングの少女、北沢樹里。
真っ赤に彩色された大型自動拳銃、カーマインエッジを前方を走る二人に向け引き金を引く。
静かな住宅街に銃声が響き渡る。
127さあそろそろ本気を出そうか ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/09(火) 01:00:08 ID:FyzgQTjf
「うおわあああ!!」

突如背後から聞こえてくる銃声に永井は驚き悲鳴を上げる。

「止まるな! 走れ!!」

そんな永井に檄を飛ばしとにかく走るシルヴィア。そして永井。
だが、一発の銃声と同時に、永井が短く悲鳴を上げ、アスファルトの上に転倒した。
樹里の放った弾丸が永井の背中に命中したのだ。

「永井!!」

倒れた永井に駆け寄ろうとしたシルヴィアだったが、次の瞬間、二発の銃声が響き、シルヴィアの胴体から血が噴き出し二つの穴が空いた。

「がっ…ああっ」

思わずその場に昏倒し、苦痛に悶えるシルヴィア。
傷口を押さえながら襲撃者の顔を見るため、シルヴィアは顔を上げる。
そしてその顔には見覚えがあった。

「アンタ、北沢か……!?」
「シルヴィア、だったっけ? 久し振り」

自分と同じクラスに在籍する女子である事を確認したシルヴィアの顔が怒りで歪む。

「北沢…こんな殺し合いに乗るってのか……アンタだって知ってるだろ、前の殺し合いでどんな悲惨な事が起きたか」
「知ってるよ…私も、人生に絶望する程の、苦痛を味わったからね。だからだよ。だから乗るの。
もう、失いたくないから……」

そう語る樹里の顔はどこか悲しげな、しかし確固たる決意を感じさせるものだった。
そして樹里はシルヴィアにカーマインエッジの銃口を向けた。

「畜生、畜生……地獄に堕ちろッ」
「何とでも言えば?」

そして樹里が引き金を引くと同時に銃口から放たれた銃弾がシルヴィアの心臓を撃ち抜き、
シルヴィアは絶命した。

「あ、ああ……何て事、するんやお前……!」

口から血を吐きながらも何とか言葉を発するのは永井浩二。
急所は免れたようだが適切な手当てを受けなければ危険な状態だった。
樹里はシルヴィアが完全に息絶えた事を確認すると、次に地面に倒れている永井に銃口を向ける。
128さあそろそろ本気を出そうか ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/09(火) 01:02:16 ID:FyzgQTjf
「悪いけど、死んで、おじさん」
「だ、誰がおじさんや――」

永井が言い終える前に、銃弾が永井の胸を撃ち抜く。
そしてもう一発、二発、三発と銃弾が撃ち込まれ、永井の身体は生体活動を維持出来なくなった。
遠退いていく意識の中、永井は自分のネット配信を見てくれている人々、家族、友人の事を思い出した。

(……死にたく無かったけど………もうあかん……か…………)

永井の意識は闇に飲まれ、そして永遠に戻る事は無かった。


今しがた殺害した二人の死体――クラスメイトとその同行者を見下ろし、樹里はふうっと溜息をつく。
費覧と名乗った雌の二足歩行の狐を撃退した後、市街地を他参加者を探して歩いていたのだが、
そこで発見したのがこの二人だった。
車の陰に隠れて背後から奇襲を仕掛けるつもりだったが、
感づかれたのか突然走り出された時には少し彼女も驚いた。
しかし、持ち前の俊足でいとも容易く接近し、銃撃で畳み掛けたのだ。

特に何も述べる事も無く、樹里は黙々とシルヴィアと永井の所持品を漁り始めた。


【シルヴィア@自作キャラでバトルロワイアル  死亡】
【永井浩二@永井先生  死亡】
【残り  28人】


【一日目/早朝/E-3市街地】

【北沢樹里@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的疲労(中)
[装備]:カーマインエッジ@オリジナル(0/14)
[所持品]:基本支給品一式、カーマインエッジの予備マガジン(5)、
二十六年式拳銃@SIREN(4/6)、ルミーア・ホワイトのデイパック
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り、優勝を目指す。
1:シルヴィアと同行者の男(永井浩二)の所持品を漁る。
2:回収したデイパックの中身の確認をしたい。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。


※E-3に銃声が響きました。
※シルヴィアと永井浩二の所持品は北沢樹里が漁っています。
129 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/09(火) 01:06:16 ID:FyzgQTjf
投下終了です。
130 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/10(水) 01:32:47 ID:eawHC3WC
個人趣味ロワ57話「立体交差」投下します。
登場:小野妹子、リュード、大村寿美、ノーチラス、早野正昭、リーヴァイ
131立体交差 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/10(水) 01:33:52 ID:eawHC3WC
57話「立体交差」

青みがかった黒い毛皮の雌獣竜、リュードと赤いノースリーブジャージを着た青年、小野妹子。
湖から森の中の道路を通り、ついにエリアD-3の市街地へと到着した。

「すっかり明るくなりましたね、リュードさん」
「そうだね…このゲームが始まってかなり経ったって事だね。何人生き残っているかな」
「……やっぱり、誰も死んでいない、って事は無いでしょうね……」

妹子の表情が固くなる。
この殺し合いに呼ばれている自分の上司であり倭国の摂政、聖徳太子。
果たしてまだ生きているのだろうか。
あと一時間もすれば主催者からの放送があり、禁止エリアと死者の発表が行われる。
もし、聖徳太子の名前が呼ばれたら、自分はその後どうすればいのだろうか。
いや、自分だけでは無い、倭国は指導者を欠いて混乱してしまうだろう。
だからこそ、聖徳太子には生きていて欲しかった。

「聖徳太子って人の事、心配?」

リュードが妹子に話し掛ける。

「そりゃあ、心配ですよ…生きているといいのですが」
「そうだね…」

はたから見ればリュードは妹子を気遣っているように見えるがリュード自身はそのような気持ちは微塵も無い。
ただ単に聞いてみただけ、それだけなのである。
リュードはリュードで別の事を思っていた。それは自分と瓜二つの色違いの雌獣竜の事。
全く見知らぬはずなのだが何故か他人には思えない。ぜひとも会ってみたい。

「とりあえず……一旦どこかで休まない? 流石に疲れてきたし」
「あ……はい……」

休もうと言われても、妹子は一刻も早く聖徳太子と合流したいという気持ちがあったため逡巡してしまう。

「聖徳太子を探したい気持ちも分かるけど、無理したって良い事無いよ」
「…分かりました」

リュードに諭され、妹子は渋々承諾した。



リュードと妹子の数十メートル後方で、市街地の街並みを見回す犬獣人の女性の姿があった。
二人の後をつけてきた大村寿美である。

(はあ、あの二人の後をつけたおかげで市街地に来れた…さて、これからどうしようかな)

とりあえず森を抜けられた以上、無理してあの二人を追う必要も無い。
それどころかあの青い雌獣竜は機関銃らしき武器を持っている。
対して自分の所持している武器はリボルバー拳銃、まともに戦う事になればほぼ100%勝機は無いと考えた方が良い。

(疲れたし、建物の中で休もう…放送の時間も近いしね)

寿美はすぐ近くにあった民家の中に入って休む事にした。
132立体交差 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/10(水) 01:34:36 ID:eawHC3WC
同エリアに存在するホテル。
三階にある披露宴会場にはどういう訳か様々な豪華料理が並べられたバイキングがあった。
席に座って自分の受け皿に取った好きな料理を食べる二人の人影があった。
学生服を着た茶色い狼、ノーチラスと青い髪の少年のような容姿の青年、早野正昭。
二人は互いにこのホテル内を探索している時に出会った。

「もうすぐ放送があるな…結局俺はこのゲームが始まってからほぼ6時間近く、
何もせずにダラダラと過ごしてきただけになってしまった」
「俺も一緒だよ……でも、下手に動き回るよりは…ああ、ノーチラスは確か、クラスメイトがこの殺し合いに呼ばれてるんだっけ?」
「ああ、もしかしたらもう殺されてる奴がいるかもしれないんだけど…」
「心配だよな………これ、美味いな」
「……同意」

そこそこ真面目な会話をするもやはり食欲には敵わない。
支給された食糧は非常に無味乾燥なコッペパンと水だけなので無理も無い。

「だけど、ノーチラス。お前、本当に一回死んだのか? どう見ても生きてるよなお前」
「本当だ。俺は確かに一度死んだはずなんだ…」

ノーチラスは自分とこの殺し合いに参加させられたクラスメイトが、
以前にも別の殺し合いをさせられていた事、そしてその殺し合いで自分は死んだ事を正昭に話していた。
正昭も最初は半信半疑だったが、自分も何の前触れも無くこの殺し合いに連れて来られた事を考えると、
有り得ない話では無い、と納得し始めていた。

「どうなんだ? 死んだりすると、やっぱり三途の川とか見えるのか?」
「……何も見えなかった。気が付いたらこの、別の殺し合いだ。
まるで一旦眠って、また起きる、みたいな感じ」
「そんなもんかねえ…」

皿に載せた料理を食べながら、ノーチラスと早野正昭はとりとめも無い雑談を交わしていた。



「うわあ……高いなあ」

10階建てのホテルを正面入口付近から見上げるのは、
水色と白の毛皮を持った雌の人狼、リーヴァイ。
森を抜けた後、市街地をうろついている内、ホテルの建物が目に止まったのだ。

「こんなホテルに、お兄ちゃんと一緒に泊まりたいな…」

大好きな兄と一緒にホテルの部屋で様々な事をする妄想に耽り、興奮するリーヴァイ。

「入ってみよ……そろそろ休みたいし、お兄ちゃんがいるかもしれないし」

尻尾を揺らしながら、リーヴァイはホテルの入口へ歩いていった。
133立体交差 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/10(水) 01:36:19 ID:eawHC3WC
【一日目/早朝/D-3市街地】

【小野妹子@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:肉体的疲労(中)、両腕に擦り傷、全身にダメージ(小)
[装備]:鉄パイプ(手すりの一部)
[所持品]:基本支給品一式、小鉄のリコーダー@浦安鉄筋家族
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。とにかく聖徳太子を捜す。
1:リュードさんと行動を共にする
2:襲われたら……どうする?
3:休むか……。
[備考]:
※単行本第九巻第168幕「聖徳太子の持っている木の棒」より後からの参戦です。

【リュード@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(中)
[装備]:FNミニミ(200/200)
[所持品]:基本支給品一式、5.56o×45o200発金属リンク(10)、
FIM-92スティンガー@自作キャラでバトルロワイアル(0/1)、70oミサイル(5)
[思考・行動]:
0:「レオーネ」と思われる自分と瓜二つの雌獣竜を捜す。
1:殺し合いに乗っている者は殺す。
2:イモコと行動を共にする(不本意だが)。
3:休める場所を探さなきゃ。
[備考]:
※自分と瓜二つの雌獣竜(レオーネ)の名前を直感的に探り当てました。

【大村寿美@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(大)
[装備]:エンフィールドNo.2(6/6)
[所持品]:基本支給品一式(デバイス破損)、380エンフィールド弾(30)
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り優勝を目指す(が、まだ少し迷いがある)。
1:どこかで休息を取る。
[備考]:
※デバイスを破損しました。自分で現在位置、時刻、方角が確認出来ません。
※小野妹子、リュードとは別方向に向かっています。
134立体交差 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/10(水) 01:40:14 ID:eawHC3WC
【一日目/早朝/D-3ホテル三階披露宴会場】

ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的疲労(小)、食事中
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品一式、コバルトアロー@オリジナル(14/14)、
コバルトアローの予備マガジン(5)、エネマグラ(粘液付着)、ミニローション(残り48ml)
[思考・行動]:
0:殺し合いを潰す。首輪を外す方法を探す。
1:仲間を集める。
2:早野正昭と行動を共にする?
3:クラスメイトの動向が気になる(特にエルフィ)。
4:痴漢、は……どうしようかな……。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※精神崩壊は治りました。正常な思考、判断が可能です。
※もうエネマグラは使わないと決めたようですが、未練があるようです。
※早野正昭と多少の情報交換をしたようです。

【早野正昭@オリキャラ】
[状態]:健康、食事中
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品一式、アイスピック、鍋の蓋
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。人も殺さない。首輪を外す。
1:首輪のサンプルが欲しい。
2:ノーチラスと行動を共にする?
[備考]:
※ノーチラスと多少の情報交換をしたようです。


【一日目/早朝/D-3ホテル正面入口付近】

【リーヴァイ@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(中)
[装備]:コルトM1911(7/7)
[所持品]:基本支給品一式、コルトM1911の予備マガジン(5)、M67破片手榴弾(3)
[思考・行動]:
0:殺し合いはする気は無い。お兄ちゃんを探す。
1:ホテルに入ってみる。
2:ウシヤマサキ(牛山サキ)には要注意。
[備考]:
※牛山サキの名前と容姿を把握しました。
135 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/10(水) 01:42:04 ID:eawHC3WC
投下終了です。タイトルは特に意味無い(笑)
本当はもっと長めだったが挫折→やっぱ適度な長さにしよう、無理はしなくていいって事でこの形。
大村寿美、リーヴァイに至っては特に書く事思い付かず。
136 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/10(水) 19:10:29 ID:VkXgT3zZ
投下乙です。
文章練習ロワ十一話投下します
137懸けるのは論理、賭けるのは信用 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/10(水) 19:11:53 ID:VkXgT3zZ
夜の西洋の町並みの中のとある一つの家。その家の中のリビングにいる三人の男女。
この三人はどこか落ち着ける場所できちんとした情報交換をしようという提案のもとにとある家にお邪魔していた。
そして現在。三人の話をまとめた表を樹が書き出し、これからそれについて話しあおうとしているところである。

「さて、始めるか」

歩が情報交換の開始の狼煙を上げる。

「そうだなまずはお互いの知り合いの整理からだ。支給された紙とペンで一応の区分けはした。
各自見てくれ」

樹が整理した表を他の二人に回す。



人物表
・安全、絶対に乗っていない
鳴海歩、藤林杏、緑葉樹
・高確率で乗っていない
岡崎朋也、坂上智代、春原陽平、春原芽衣、土見稟、真弓=タイム、
・怪しい、もしかしたら……
結崎ひよの、アイズ・ラザフォード、浅月香介、竹内理緒、高町亮子、ミズシロ火澄、ネリネ、リシアンサス、芙蓉楓
・ 高確率で乗る
今の所はなし



「ちょ!何よこれ!」

この表に不満があるのだろうか、杏は樹と歩にくいかかる。

「歩の知り合いほとんど怪しいじゃない!
歩!あんたさっき『この島では信じるってのは一番重要なんだ』とか言ってたじゃない!
 仲間を信じてないの!?」
138懸けるのは論理、賭けるのは信用 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/10(水) 19:13:27 ID:VkXgT3zZ
「どうなんだ鳴海、俺様の耳が正しかったら杏ちゃんの言ってることは正しいぜ」
「ああ、あれな。『この島では信じるってのは一番重要なんだ』、言葉通り一番重要だと思うぞ」

二人の問いかけに変わりない表情であっけらかんに答える歩に杏と樹はへ、と間の抜けたため息を吐いた。

「じゃあおかしいでしょ、知り合いが全員怪しいなんて。聞いた話によるとただの上級生じゃない」

杏は歩の答えに矛盾を感じたのか、ふるふると震え、怒りを顕にする。

「落ち着け、藤林。まだ話の途中だ。話は最後まで聞け。
信じるっていっても俺が信じるのは主催者でも他人でもない」
「へー、じゃあ自分とか?」

樹が何食わぬ顔で話に割り込み、答えを言い当てたとばっかりに歩に迫った。

「だから人の話を最後まで聞けって。それに残念だがハズレだ、緑葉」
「んじゃあなんだよ。もう思いつくのなんて何もねえぞ」
「俺が信じるのはな、論理だ」
「論理?それで?」
「俺はな、自分の存在すらも信じていない。それぐらいの覚悟じゃないと殺し合いみたいな大きな『運命』には勝てないからな。
 周りの全てを何も信じちゃあいない、むしろ全てを疑ってかかってる。
 そんな中で俺を支えている論理を信じてお前らを『信用』しているんだ。
 それに今ここで実際に話してもいるし、おまえらに嘘をついている様子は見受けられないしな。
 その分どこで何をしているか分からない知り合いを俺は『信頼』こそしているが『信用』はしていない。
 こんなところだ」
「何よそれ……わけわかんない」
「はいはい怒らない怒らない。とりあえずこの件についてはおいおい話すとしようぜ」

場を流し、次の議題に進めようと樹が杏を宥める。

「ちょっと樹!今のはあんたにも言えることよ。半分以上の知り合いが危ないって記してあるじゃない」

杏は歩から樹に矛先を変えて詰めよるが樹は曖昧に笑うだけ。
なかなか答えようとはしない。
139懸けるのは論理、賭けるのは信用 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/10(水) 19:15:15 ID:VkXgT3zZ

「うーん、何と言うか……そのことについては次の議題で一緒に説明するからさ、今はスルーしてくれないか」

ごめんと頭を下げて謝る樹に毒が抜かれたのか、ちゃんと説明しなさいよ、と念を押して杏はしぶしぶと引き下がった。

「じゃあ次の議題だ。世界観の相違についてだ、よく聞いとけよ。
俺様の世界ではな、10年前ぐらいに遺跡から発見された2つの扉の解放により、神族が住う『神界』と魔族が住う『魔界』と呼ばれる二つの世界が現代の『人間界』と繋がったんだ。
それは後に『開門』と呼ばれた。
鳴海、杏ちゃん、聞き覚えはあるか?」
「ないな」
「聞いたことすらないわ」
「そうか、話を続けるぞ。
その『神界』と『魔界』はさ、人間界にとって空想上の存在だったはずの『魔法』によって支配された世界であり、
その事実は物理法則で支配された人間界に住まう人々を驚愕させたんだ。
その後は三世界との交流を経て最終的に"三種族共存"の道を歩むことになり、やがて『神界』と『魔界』の住人たちが人間界へと移り住むようになるということだ。
 現に俺様が通うバーベナ学園では『神界』と『魔界』の奴が通っている」

説明を終えた樹はふうとため息を吐きちゃんと理解できたかと二人を見渡す。

「鳴海どうだ?」
「ああ、理解できたことは理解できたんだがな。今までの常識がさらに覆されたんでな。
 流石にびっくりしている」
「杏ちゃんは?」
「信じられる訳ないでしょ!……といいたいところだけど、信じるしかないわね。
 そもそも殺し合いに巻き込まれている時点で常識なんて歩の言うとおり、もうとっくに覆されてるわよ」

頭の中がバレルロールのように廻っているのだろうか、二人はうーんと唸り声をあげながら何かを考えているような様子だった。

「そういえば鳴海と杏ちゃんはどうなんだ、世界観?」
140懸けるのは論理、賭けるのは信用 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/10(水) 19:17:15 ID:VkXgT3zZ

樹がふと思った疑問を口にだす。
この二人まで違っているとこんがらってしまうのではと危惧した質問だった。

「ないわね。聞いた限りによると普通の世界だわ」
「藤林と同意見だ。違いはないと思う」

そっかと安心した顔で呟く樹。
どうやらこれ以上の混乱は避けられたようである。
静寂な空気が辺りを冷やす。
何かを考えているのだろうか、沈黙が続く。

「あー!」

何を思ったのだろうか、杏が突然大きな声を出して立ち上がった。
樹と歩はびっくりした様子で杏の方へ視線を向ける。

「どったの?杏ちゃん」
「いきなり大声を出すな。耳が痛い」

半目で生暖かい視線を送る二人を意に介さずに杏はギンと樹に顔を向ける。

「そういえば樹の知り合いの半数が怪しいって理由をまだ聞いてないわよ」
「あれ覚えてたの?」
「当たり前よ!さあ、きっちり話してもらうわよ」

杏の剣呑な視線に負けたのか樹はやれやれといった感じでポツポツと話し始めた。

「そうだな、まずは俺様の親友である土見稟のことから話そうか。
 こいつは昔にある二人の女の子を助けたんだ。何でもちょっと困っていたところを優しくな」
「それで?」
「その二人の女の子はそれがきっかけで稟に惚れて、俺様の通うバーベナ学園に転入してきた。
 その二人の女の子、リシアンサスとネリネ。『神界』と『魔界』のお姫様さ。
 それに加えて幼なじみの芙蓉楓。ああ、楓ちゃんも稟に惚れてんだよね」

流石に驚いたのか杏も口を開けてふぇ、と言葉もでない。
141懸けるのは論理、賭けるのは信用 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/10(水) 19:19:05 ID:VkXgT3zZ
歩も同様に目を見開いてびっくりした表情だ。

「よくできた話だな。御伽話でも聞いてるみたいだ」
「だろ、俺様もそう思う。まるで運命にでも絡み取られているようだ。
 たまたま助けた二人の女の子がお姫様でどっちも超可愛い。
 さらに出来すぎた幼なじみ。
 鳴海の言うとおり出来すぎた話――御伽話だ。
それによ、稟ときたらすごい朴念仁でな。
三人とも積極的にアタックしてんのに全くなびかないねえし。
こんなのを間近で見てちゃ妬みの一つや二つでてもおかしくはないだろ」

クックッと笑う二人をよそに杏は自分が蚊帳の外におかれているのに気づき、二人にカッと目を向ける。

「それとこれがどうしたら怪しいと関係するのよ」
「この三人は間違いなく稟を愛している。
 だから、どんなことをしてでも稟を生かそうとするかもしれない。
早い話、土見稟以外を皆殺しにする可能性があるってことさ」
「大事な人を守るために皆殺し……ありそうだな。
他にもそんな考えの奴がいるかも知れないな」

再びの沈黙。誰も何もしゃべらない。

もし自分の知ってる人がそうなったら――

できれば考えたくないことだ。

「そういや、これからどうすんだ鳴海?何かプランはあるか」
「あることはあるんだが……なぁ緑葉。お前こそ何かあるのか」

静寂な空気に耐えられなくなったのか、唐突に樹はこれからの予定についてのことを切り出す。
同様に、歩もそう思っていたようで、議題はこれからの行動についてどうするかということに移る。

「これからって全員一緒に行動するんじゃないの?」
「いいや、できれば俺様は単独行動を願いたいね」
142懸けるのは論理、賭けるのは信用 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/10(水) 19:21:04 ID:VkXgT3zZ
「緑葉、案があるんだな」
「まぁね。とりあえずみんな自分のデバイスの地図を見てくれ」

全員に地図を見るよう即し、樹はこれからのことについて一案を出す。

「この島には人が集まる集落的なものが三つある。
 一つは俺様たちが今いる西洋街。二つ目は廃村。三つ目は普通の市街地。
 それに島の下部には遊園地もある」

デバイスをカチカチといじりながら樹は順に説明をする。

「それで鳴海と杏ちゃんは島の下部、俺様は上部を回るということだ。
ようは二つのグループに別れて、片方は島の下部を、もう一つは上部をということだ」
「効率良く別れて島の全体を回るということだな」
「そゆこと。俺様はこの西洋街の上部と世界樹、廃村を回ろうと思ってる」
「じゃあ俺らは西洋街の下部、遊園地、洞窟辺りを回ろう。
 集合場所はどうする?」
「山小屋はどうだ?場所的にも中央だ。集まるにはわかりやすい位置だ。
時間は……そうだな、三回目の放送ぐらいか」
「いいぜ。直ぐに出発か?」
「いや、黎明ぐらいでいいだろう。慌てることもない」
「あたしの意見は無視?」
「「ああ」」
「アンタ達……後で覚悟しときなさいよ……」

ギリギリと口をかみしめ睨む杏に何処吹く風といった顔をしている歩と樹。
殺し合いの島でも自分を見失わない空間がここにあった。
三人とも普段の調子が戻ってきているようだ。

「さてと」
「ん、どこ行くんだ」
「トイレだ」
「おいちょっと待て!逃げる気だな!」
「何のことかさっぱり」

足早にリビングから出て行く歩にだんだんと顔が青ざめて良く樹。
143懸けるのは論理、賭けるのは信用 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/10(水) 19:22:49 ID:VkXgT3zZ
後ろでは杏がポキポキと指を鳴らしている。
それはまるで般若の様。怖い怖い。女は怖い。

「おい、鳴海〜置いてかないでくれ〜」
「覚悟はできてるわね」
「絶対にノゥ!」

この後、リビングにひとりの男の悲鳴が轟いたのである。



◆ ◆ ◆



……疲れた。

「でも、俺は運がいいんだろうな。最初にあったのが緑葉や藤林だったから」

これで殺し合いに乗ってた奴だったら早々にこの島から退場してかもしれない。
命をかけたゲームが初めてではないとはいえ、あまり慣れたくないものだな。
それでもやっぱ俺も緊張してんたんだろうな。
手の平のかすかな震えが俺に伝わってくる。

「……情けない」

でも、頭はまだ働く。論理も紡げる。
その論理が俺に囁いている。
この殺し合いとやらにはきっと穴がある、と。いや、なくてはならない。

「そうだろ、兄貴……!」

鳴海清隆。あらゆる卓越した才能を持つ『神』のような存在。
そして、俺の全てを奪い去った男。

「いるんだろ、裏で嗤いながら」
144懸けるのは論理、賭けるのは信用 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/10(水) 19:24:03 ID:VkXgT3zZ

全てが自分の手の平で踊ってるとも思っているんだろう。

「生憎と俺はそんな簡単に兄貴の策に踊ってなんかやんないぜ。
 俺は俺のやり方で論理を紡ぎ、主催者と――兄貴を止める」

「例え、」

兄貴、あんたも踊り場へ引き込んでやる。

「俺の存在の全てを失うとしても」

どんなに辛くてもな。



◆ ◆ ◆



はぁ、疲れた。杏ちゃんはもっとお淑やかになるべきだね。
今はトイレへ逃げた歩に文句を言うためにトイレの前で待機している。
このリビングには今は俺ひとりということだ。

プリムラちゃん。最初のあのホールで頭が吹っ飛んだ。
付き合いは稟達よりは薄いけどそれでも知った顔だった。
無駄な心配をかけられたくないから二人には言ってないけど。
ショックも大きいだろう。楓ちゃんなんかは特に。一緒に暮らしていたらしいし。
俺様以外はもしかしたら……全員もう。

狂ってるのかもしれない。

その反面、信用もある。稟なんかは我慢強さだけは誰にも負けないとまで言ってるし。
真弓もそうだ。十年来の腐れ縁なんだ。信用してもいいだろう。
ただ他の三人は……。

145懸けるのは論理、賭けるのは信用 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/10(水) 19:26:03 ID:VkXgT3zZ
できれば考えたくないことだが、もしこの殺し合いに乗っていたら。
殺すって選択肢もあるだろう。
辛気くさいことだがな。だけど稟はちがうんだろうな。
稟にはそんなことできねぇだろうし。あいつはたぶん全部を救おうなんて考えるんだろう。
でも俺は稟じゃない。そこまで優しくもない。
覚悟は出来ている。

「殺すんだろうな」

デイバッグに入っていたこの銃で。

「例え、」

生きて帰るために。

「俺の周りの存在の全てを失うとしても」

どんなに辛くてもな。

【D-01民家/一日目・深夜】
【鳴海歩@スパイラル 〜推理の絆〜】
[状態]:健康
[装備]:S&WM686 Plus(7/7)
[道具]:支給品一式、ソードサムライX @武装錬金、ハヤブサ号@スパイラル・アライヴ
357Magnum予備弾63 、樹お手製の人物表

[思考・状況]
基本:この島からの脱出
1 脱出の方法を探る。
2鳴海と一緒に島の上部の調査。第三放送時に山小屋で集合。
※ブレードチルドレンについて詳しく語っていません

146 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/10(水) 19:43:53 ID:oABY/aQ8
携帯から失礼。さるさんです。
後は状態表だけですんでWiki編集のときにぜんぶ乗せときます。投下終了です
147創る名無しに見る名無し:2010/02/10(水) 23:45:55 ID:5BK/aS8s
乙でした。
投下中にさるに遭遇すると何とも言えない気分になるよな
俺の全力のSSがアラシ扱いorzみたいなw

このスレ最近来たんだけど、皆凄い楽しそう。
148 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/11(木) 10:31:11 ID:YPWmqK9A
投下乙です。自分も何回かさるさん食らった事あります。
短い時間の間に何度も書き込むとなるみたいですね。

>>147
やはり「自分の好きな登場人物で、好きな展開でロワを書ける」というのが
一番の魅力だからだと思います。議論とかそういうの無いですし。
149 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/11(木) 17:38:57 ID:YPWmqK9A
投下します。個人趣味ロワ第58話「気になっちゃうの」
登場:ヴォルフ、平池千穂、森屋英太
150気になっちゃうの ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/11(木) 17:45:47 ID:YPWmqK9A
58話「気になっちゃうの」

市街地を目指し、森を抜け、F-5の草原を歩く三人の殺し合いの参加者。
先頭を歩く銀色の人狼・ヴォルフは狙撃銃である二十二年式村田銃を、
そして一番後ろを歩く学生服姿の少年・森屋英太は短機関銃であるPPsh41を持ちながら辺りを警戒する。
その二人の間に挟まれる形で、金属バットとPSP型レーダーを持って歩くのは、
黒っぽいブレザーを着た少女、平池千穂である。

明るくなってきた事により三人は互いの容姿がよりはっきり見えるようになった。
英太は千穂がやはり美少女である事を確認出来て少し嬉しそうだった。
たまにニヤケ顔を見せる英太をヴォルフと千穂がやや敬遠するような目で見る事もしばしば。
勿論英太とてふざけてる場合では無い事は自覚はしているのだが。

そして千穂はある問題に直面していた。
それは目の前を歩くヴォルフの事である。

(ヴォルフ……よく考えてみたら、裸なんだよね……)

自分のすぐ前を歩く、銀色と白の毛皮を持った、獣足の狼獣人。
今までは暗くて見えなかった引き締まった肉体と美しい毛並みがよく見える。
千穂の世界、住む国にもヴォルフのような獣足で、ほとんど裸の状態で生活する獣人種は非常に多く存在する。
ただ、彼女の周囲にはそういった獣人種はほとんどいなかった。ほとんどが人間とほぼ同じ体格で、衣服を着る獣人だった。
なので、やや過敏にヴォルフの裸を意識してしまっていた。
それだけでは無い。

「千穂、大丈夫か? 少し疲れたなら休んでもいいんだが」

ヴォルフが千穂の方を向く。必然的に雄の人狼の裸体全面が人間の少女の目の前に晒される。

「……っ!!」

そして千穂にとって、それは何度見ても刺激的。
ヴォルフの下腹部にぶら下がる――恐らく(幼い頃父親と一緒に風呂に入った時、父親のを見た事はある)人間のそれよりもかなり長く、太い――ヴォルフの分身。

(いつ見ても凄い……何あれ……いつもの状態であれなら、戦闘態勢になったらどうなるの……!?)

顔を赤らめながら、心の中であらぬ想像をしてしまう千穂。
年頃の女の子である。どうしても気になってしまうのだ。

「……大丈夫、そうだな」
「はい……」

物凄く恥ずかしそうに千穂が答えると、ヴォルフは再び前を向いて歩き出す。
実はヴォルフ自身、千穂が何を気にして恥ずかしがっているのかはとうの昔に気付いてはいた。
しかし隠そうにも巻ける物など何も無いので、そのままにしておくしか無い。

そして千穂の他にもう一人、英太は衝撃を受けていた。
今までまともに見ていなかったヴォルフの下腹部をしっかり見た。
男として英太が感じる感想は、ただ一つだった。

(デカい……何てデカいんだ……!)

思わず自分の分身と比べてしまった。
151気になっちゃうの ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/11(木) 17:56:10 ID:YPWmqK9A
「今、朝の5時半だから、後30分ぐらいで放送が始まるよ」

千穂がデバイスを見ながらヴォルフと英太に現在の時刻を知らせる。
それを聞いた二人は互いに真剣な表情のまま空を仰いだ。

「もうそんな時間か……」
「死んだ奴もかなりいるんだろうな…」
「伊賀さんに中村さん、大丈夫かな…」

ヴォルフは妹、千穂と英太はそれぞれクラスメイトを捜している。
当然三人の間で、それぞれの捜し人についての情報は交わし合った。
また、英太は以前にも自分が殺し合いに参加させられていた事も二人に話していた。
三人はそれぞれ捜し人の無事を祈っていた。

第一回放送まで後僅か。


【一日目/早朝/F-5草原】

【ヴォルフ@オリキャラ】
[状態]:健康、市街地方面へ移動中
[装備]:二十二年式村田銃@SIREN(8/8)
[所持品]:基本支給品一式、8o×53R弾(30)、ナッチの写真集@永井先生
[思考・行動]:
0:リーヴァイを探す。殺し合いをする気は無い。首輪を何とかしたい。
1:市街地へ向かう。
2:平池千穂、森屋英太と行動を共にする。
3:襲われたら戦う。
[備考]:
※伊賀榛名、中村アヤのおおよその特徴を把握しました。
※森屋英太のクラスメイトの特徴をおおよそ把握しました。
152気になっちゃうの ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/11(木) 18:02:42 ID:YPWmqK9A
【平池千穂@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(小)、市街地方面へ移動中
[装備]:金属バット
[所持品]:基本支給品一式、PSP型簡易レーダー@オリジナル
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。生き残る。
1:市街地へ向かう。
2:クラスメイトの二人(伊賀榛名、中村アヤ)を探す。
3:ヴォルフ、森屋英太と行動を共にする。
[備考]:
※リーヴァイのおおよその特徴を把握しました。
※森屋英太のクラスメイトの特徴をおおよそ把握しました。

【森屋英太@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的疲労(小)、返り血(中)、市街地方面へ移動中
[装備]:USSR PPSh41(71/71)
[所持品]:基本支給品一式、PPSh41の予備ドラムマガジン(4)、
バタフライナイフ、 マーフィー君@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和
[思考・行動]:
0:生き残る。
1:市街地へ向かう。
2:ヴォルフと千穂ちゃんと一緒にいる。
3:太田に今度会ったら……どうする?
4:太田以外のクラスメイトと合流したい(但し太田の仲間らしい吉良は微妙)。
5:シルヴィアの事が少し心配。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※「宮田司郎」のおおよその外見的特徴を把握しました。
※リーヴァイのおおよその特徴を把握しました。
※伊賀榛名、中村アヤのおおよその特徴を把握しました。
153 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/11(木) 18:04:34 ID:YPWmqK9A
投下終了です。
154 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/11(木) 21:19:36 ID:YPWmqK9A
個人趣味ロワ第59話「自分でも分からない感情」投下します。
登場:石川清憲、大沢木小鉄
155自分でも分からない感情 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/11(木) 21:20:51 ID:YPWmqK9A
59話「自分でも分からない感情」

E-4市街地の上空を飛ぶ黒竜・石川清憲。
その背中には坊主頭の少年・大沢木小鉄が乗っていた。

「小鉄、今何時だ?」
「ん? ちょっと待って…」

清憲が背中の小鉄に時刻の確認を求める。
小鉄は自分のデイパックの中からデバイスを取り出し、表示されている時刻を報告する。

「えーと、5時40分だってさ」
「そうか…じゃあ、もうすぐ放送があるな。そろそろどこかで降りよう」

死者と禁止エリアの発表が行われる定時放送はしっかり聞いておかなければならない。
どこかで落ち着く必要があると感じた清憲は飛行速度を落とし、着陸準備を始める。
その際に、遠心力と思しき力が小鉄に大きく働き、その小さな身体が大きく後ろに動いた。

「あっ」
「ん?」

清憲が背中に感じていた重力を感じなくなるのと、
小鉄が急激に浮遊感を感じるようになったのはほぼ同時。
そして小鉄は当然のように落下を始めた。

「わああああああああああああ!!」
「小鉄!!?」

悲鳴を上げながら民家の屋根の上に落下を始める小鉄。
そしてその真下には先端の尖ったテレビアンテナ。
清憲の顔から一気に血の気が引き、気付いた時には高速で小鉄に向かっていた。
一方の小鉄は、どういう訳か周りの風景がスローモーションに見えていた。

(やべえ、俺は死ぬのか)

以前、彼は人が死ぬ時、人生の思い出が頭の中に次々と蘇る「走馬灯」というのを体験したいと思い、
様々な試みを重ね、必死の思いで走馬灯を見る事に成功した。
その際、数々の思い出が頭の中に蘇ると同時に周囲の風景がスローモーションに見えたのだ。
そう、今の状況とほとんど同じ。つまり、死の直前。
裏付けるかのように小鉄の頭の中に今まで生きて来た人生の思い出が次々と浮かんでは消える。

(走馬灯…畜生、やっぱ俺死ぬのか。ああ、まだ沢山遊びたかったのに…)

アンテナの先端が迫る。
上空を向いている小鉄はその事は分からなかったが、
少なくとも落ちたら怪我では済まないだろうと言う事は彼にも分かった。

しかし――小鉄はアンテナに串刺しになる事は無かった。
156自分でも分からない感情 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/11(木) 21:22:58 ID:YPWmqK9A
「あっ…?」

まさにアンテナの先端が小鉄の背中を貫くまで僅か数メートルという所。
黒い影が小鉄を受け止め、再び数メートル上空へ飛び上がった。
最初、何が起きたのか分からない小鉄だったが、徐々に状況を認識していく。
自分は黒い竜の腕に抱かれていた。
そして自分を救ってくれたのはこの黒い竜――石川清憲だという事。
民家の庭先に降り立ち、清憲が小鉄をゆっくりと地面に下ろす。

「し、死ぬかと思った……マジで……」

緊張が解けたのかへなへなと芝生の上に座り込んでしまう小鉄。

「こ、小鉄、大丈夫か? どこも、怪我無いか?」

清憲が小鉄に寄り、心配そうな、今にも泣き出しそうな顔で小鉄に尋ねる。

「大丈夫大丈夫。あ、ありがとうな、助けてくれて…」
「……良かった。本当に良かった。ごめんな小鉄、ごめんな……うっ、うっ」

目から大粒の涙が溢れ、黒い竜は嗚咽を漏らし、泣き崩れてしまった。
泣き出してしまった清憲を目にして小鉄はかなり困惑する。

「え? いやいや、な、泣くなよ!?」
「うっ…ぐすっ……あそこでっ…もしっお前が死んだらっ……どうしようと思ってっ……!」
「大丈夫だって! ほら、俺何とも無いだろ? お前のおかげだよ!
だから泣く事無いって! 泣くなよ男だろ!」
「……うん……」

小鉄に励まされ、しゃくり上げながら右腕で涙を拭う清憲。
一応言っておくと、清憲は小鉄より10歳程年上である。


着陸した庭のある民家の中に入り、放送を待つ事にした清憲と小鉄。
家の中を漁って回っている小鉄を、清憲は和室に座りながら見ていた。
そして、先程自分の取った行動を振り返っていた。

(俺は何で、あんなに必死になって小鉄を助けようとしたんだろう)

たかが出会って数時間過ごしただけの、赤の他人であるはずの少年を、
どうして自分はあそこまで必死で救おうとしたのか。
しかも、助けられ、少年が無事だという事が分かった途端、号泣してしまった。
落としてしまってすまないという罪悪感と助けられて、無事で良かったという安堵からだったが、
なぜ自分はそこまであの大沢木小鉄という少年を心配するようになったのだろう。
157自分でも分からない感情 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/11(木) 21:25:25 ID:YPWmqK9A
――ああ、もしかしたら。

(俺は、知らない内に――)

その時。

会場を覆い尽くすような、大音量のサイレンが鳴り響いた。

「な、何だ!?」
「うわわわっ、何だよ!?」

突然鳴り響いたサイレンに二人は驚く。
ふと、壁の時計を見れば、針は6時を指していた。
時計が指し示す時刻、そしてこの大音量のサイレン。何を意味するのかはすぐに見当が付いた。

「小鉄……放送だ……」
「放送!?」

午前6時、第一回放送の時がやって来たのだ……。


【一日目/早朝/E-4市街地民家】

【石川清憲@オリキャラ】
[状態]:精神的疲労(大)、涙の跡
[装備]:エグゼキューショナーズソード
[所持品]:基本支給品一式
[思考・行動]:
0:死にたくない。生き残る。
1:放送だ……!
2:小鉄には死んで欲しく無い。
[備考]:
※「西川のり子」「仁ママ」のおおよその特徴を把握しました。
※大沢木小鉄が自分とは別世界の人間だと判断しました。

【大沢木小鉄@浦安鉄筋家族】
[状態]:健康
[装備]:文化包丁
[所持品]:基本支給品一式、発炎筒(3)
[思考・行動]:
0:とりあえずキヨノリ(石川清憲)と一緒にいる。
1:放送!?
2:春巻が死ぬなんて…。
[備考]:
※本編最終話より後からの参戦です。
※バトルロワイアルのルールと性質について若干理解しました。
158 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/11(木) 21:26:32 ID:YPWmqK9A
投下終了です。さあいよいよ第一回放送だ…。
159 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/11(木) 23:56:06 ID:YPWmqK9A
個人趣味ロワ第60話「第一回放送」投下します。
登場:セイファート、ヴェルガー
160第一回放送(個人趣味ロワ) ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/12(金) 00:01:22 ID:YPWmqK9A
60話「第一回放送(個人趣味ロワ)」

殺戮の舞台である会場全域に大音量のサイレンが鳴り響く。
会場中に設置されたスピーカーから発せられているこのサイレンは、
聞き方によっては、まるで、何かの叫び声のようにも聞こえる。

サイレンが鳴り止み、次にスピーカーから発せられたのは明るい女性の声。


「はいはーい皆さんお久し振りでーす。私だよ。セイファートだよ。
頑張って殺し合ってるゥ? 張り切ってくれてる人も多いけど、
何だかなあ、まだ戦うの拒否ってるお馬鹿さんがいるんだよねー本当にしょうがないなあ。

まあそれはそれとして、ちゃんとみんな聞いてるかな?
さっきのサイレンびっくりした? 言い忘れてたけど放送の前後にあのサイレン鳴らすからね。
どこにいても聞こえるように大音量にしておいたから。優しいでしょ?
じゃあまず、禁止エリアから行こうかな。ちゃんと聞いて記憶してね。
覚えられなかったらメモ取った方が良いよ。じゃあ言うねー。

今から1時間後の午前7時に、D-1、C-2、G-2、F-5、G-4の五つが禁止エリアになるよ!
もう一度言うね。今から1時間後の午前7時に、D-1、C-2、G-2、F-5、G-4の五つ!
覚えた? 二回も言ったよ。しっかり頭に入れておいてね。
じゃないと首輪がボンッってなっちゃうから。そんな死に方されるとこっちもつまんないから頼むよ〜。

それではそれでは皆さんお待ちかねと思います死者の発表に移ります!
いやあ、多かったねえ〜中々のペースだよ。
じゃあ言うよ! あいうえお順、つまり名簿に書かれてる順に言うからね! 行くよ!

朝倉清幸
石川清隆
牛山サキ
太田太郎丸忠信
サーシャ
志村晃
シルヴィア
曽良
永井浩二
中村アヤ
楢原喜三郎
竹内多聞
西川のり子
春巻龍
松尾芭蕉
宮中秀也
最上佳奈
リック・ゼラルス
リリア・ミスティーズ
ルミーア・ホワイト

以上20人! いいねえ〜ハイペースいいですよ〜!
この調子で頑張ってね〜!
161第一回放送(個人趣味ロワ) ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/12(金) 00:02:32 ID:ttBaxsbQ
それと、まだ殺し合いをしたくないって人。
そろそろ現実と向き合わないとまずいんじゃない?
次に遭う人がもう何人も殺してる殺人鬼だって事も有り得るんだからさー。
まあ好きにしてもらって良いけどね。

それじゃあまたお昼の放送で会いましょう。バイバーイ☆」

セイファートの声が途切れた数秒後、再び会場にサイレンが鳴り響く。

◆◆◆

バトルロワイアル会場某所に存在する、運営本部。
ここではセイファートに付き従う大勢の魔物や兵士が、この殺し合いの運営、管理、維持に当たっている。
モニタールームで放送を終えたセイファートは自室に戻り、豪華なソファーの上に寝転がった。

「ふぃ〜。結構ペース早いな〜」

予想以上の殺し合いの進行速度の速さにセイファートは喜ぶ。
この調子ならば決着が着くのも、そう時間は掛からないかもしれない。

「失礼します」
「その声はヴェルガーね。入っていいよ〜」

セイファートが許可を出すと、扉を開けて、一匹の白い狼が入ってきた。
人間よりも一回り以上もありそうな巨躯に、純白の毛皮、金色の瞳。
毛皮に覆われた肉体は強靭な筋肉が付き、引き締まっている。
狼の名前はヴェルガー。セイファートの側近で、軍事面を任されている人物だった。

「ごめんね呼び出して。どう? 調子は」
「はい。特に問題は有りません。外部からの干渉の気配も今の所何も無しです」
「そう。それなら良いんだ……ねえヴェルガー」

セイファートの口調が急に甘ったるいものへ変わった瞬間、
ヴェルガーは直感的に「それ」を感じ取り、少し呆れたような表情を浮かべた。
162第一回放送(個人趣味ロワ) ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/12(金) 00:03:49 ID:ttBaxsbQ
「……また、ですか?」
「そう、ま・た」
「……セイファート様、私も仕事があるのですが……」
「嫌……?」
「い、いえ、その」
「部下達には私から言っておくからあ……お願い……」
「…………」




数分後。

部屋のベッドの上で、服を脱ぎ捨てた黒と白の毛皮を持つ狼獣人の女と、
白い毛皮を持つ巨躯の雄狼が激しく交わっていた。



【現時点での生存者  28人】



≪オリキャラ紹介≫
【名前】セイファート
【年齢】不明(外見年齢は20代前半)
【性別】女
【職業】魔法使い?
【性格】明るくいつも笑顔だが、本性は冷酷無比かつ残虐、ドS
【身体的特徴】狼獣人。黒と白の毛皮で赤と青のオッドアイ。爆乳
【服装】黒を基調にした詰襟のコートっぽい服、白いズボンに黒いブーツ
【趣味】魔法の実験、ヴェルガーを弄る事
【特技】全属性の攻撃魔法、状態異常魔法、回復魔法を自由自在に操る(いずれも高位)。
    また、機械工学にもやたらと詳しい
【経歴】RPG風世界出身。はっきり言って謎が多いがかつてはとある国の魔導師だったらしい。
    現在は大勢の配下の兵士や魔物を持つ軍団を率いて色々している
【備考】一番の側近であるヴェルガーを弄るのが大好き

【名前】ヴェルガー
【年齢】不明(精神年齢20代後半?)
【性別】雄
【職業】妖狼
【性格】冷静、忠実
【身体的特徴】白い毛皮の巨躯の狼。強靭な肉体
【服装】全裸(服を着るという概念が無い)
【趣味】特に無し
【特技】牙と爪を使った攻撃、高速移動
【経歴】RPG風世界出身。はっきり言って謎だがかなり長い時間をセイファートと共に過ごしてきたようだ
【備考】セイファートの側近。戦闘能力も高く人望も厚い。
    悩みはセイファートからしばしば性交渉を要求される事
163 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/12(金) 00:05:20 ID:ttBaxsbQ
投下終了です。オリキャラ設定ははっきり言って目安ですw
全く本編に反映されないのもあります(俺オリロワが良い例)
164 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/12(金) 21:51:37 ID:NUVAApFP
読んでる人、いますか?5dです。
投下乙です。いいなぁもう放送かー。その速筆スキルが羨ましい。
それはともかく文練ロワ、十二話投下します。
微妙にさるさんはいるかもしれないんで支援とかしてくれると嬉しいです。
165逆境無頼キョウタロウ Easy Survivor ◆5ddd1Yaifw :2010/02/12(金) 21:52:40 ID:NUVAApFP
「はぁ……」

殺し合い?何だよそれ?それは冗談で言っているのか?

「冗談なわけないだろうがー、このバカ犬―」

うるせえ、頭の中にまで出てくんな優希。お前はお呼びでないんだよ。
どうせ罵倒されるんなら……

「冗談なわけないじゃないですか、本当に須賀さんはバカな犬みたいですね」

………………やっぱ和だな。あ、もちろん衣装はボンテージな。
あの胸を強調するのにはうってつけの服だしな。実にすばらしい、うん。
優希?あれはだめだ。胸ぺったんだし。

ってそんなこと考えてる場合じゃねえ!
殺し合いが本当だとしたら俺……

「終わった……」

無理無理生き残れるわけないって。そもそも何で俺が?
あくまで俺は普通の男子高校生だぞ。でも、あの場所には学生がほとんどだったな。
だったら俺にも少しは可能性が……

「何考えてんだよ、俺!あの最初のホールには咲達もいたじゃねぇか……」

そうだ。このよくわからん殺し合いには咲や和も巻き込まれている。
名簿を見ると部長に優希も巻き込まれているようだ。
なぜか染谷先輩だけがいないことに不思議を覚えたが。

「殺せるわけないだろうが!一緒の部活の仲間を殺して帰ったって全然うれしくもねえよ!
 ふざけんじゃねえよ……」

他の赤の他人ならともかく、仲間を殺す覚悟なんて俺には無い。
持とうと思っても俺には持てない。
よし……とりあえずいろいろと整理しよう。
166逆境無頼キョウタロウ Easy Survivor ◆5ddd1Yaifw :2010/02/12(金) 21:54:30 ID:NUVAApFP
俺の名前は須賀京太郎。清澄高校の麻雀部一年。
自分のことはちゃんと覚えていていつでも説明できる。
さっきまで俺は地区大会の会場にいたはず……。

だけど、どうやってさっきのホールに運ばれたか全く記憶がない。
それにこんな何処ともわからない島にあれだけの大人数をどうやって移動させた?
しかも、この変な殺し合いについてもだ。
警察にばれずにこんな大掛かりに出来るものなのか?
さっぱりわかんねぇ……

「とりあえず、ここから動こう……動かないと何も始まらねぇよ」

俺が今いるのは島の端っこに位置する港。視界の先には真っ暗な果ての見えない海。
ひとまずは「動かないで」……っ!
背中にあたるのはなんか細長い丸いようなって、おいいいい!これまさか……

「妙なことをしたら撃つ。あなたは私の質問に答えるだけでいい。
 それ以上の動作は何も許さないわ。命が惜しいのなら黙って従って」

拳銃うううう!撃つって事はやっぱ拳銃だよな!おいおい、いきなりバンッとか嫌だよ!
まだ和の胸も堪能してないってのに。あくまで予定だが。
つーか、こいついやに冷静じゃね?普通怯えるもんじゃね?

「質問一、貴方は他の参加者と会ったか」

どう答えるべきか。嘘でもつくか?誰かと会いましたなんて。
いや駄目だ、ついても何のメリットもない。万が一ばれた時のことを考えたら恐ろしい。

「い、いや誰ともあってない。あんたが初めてだ」
「そう……、質問二。この会場から脱出する方法を何か知ってる?」

ここが正面場だな。これは別に嘘をついても直ぐにはバレない。
バレたとしてもいくらでもごまかしようが聞く。
狙うはリスクの一番低い返答。ローリスクローリターン。
なら。
167逆境無頼キョウタロウ Easy Survivor ◆5ddd1Yaifw :2010/02/12(金) 21:56:13 ID:NUVAApFP
普通に知りませんと答えればいい。

ああ、そうだそうしよう。それが一番安全だ。

いやいやいやだめだ、考えろ!簡単に即決は駄目だ。
慎重に、慎重に!場を見るんだ。麻雀でもそうだろうが!
だけどっ!これはいつも仲間内でやってる麻雀のような楽しいもんじゃない。
バトル・ロワイアル。
ちょっとのミスが死につながるゲーム。合理性も何もない不合理なギャンブルのようなもの!
俺の常識、社会の法じゃあ縛れない恐怖のゲームッ。

考えろっっ!!!!
場は相手側の圧倒的有利な状況。殺し合いに乗ってるかすらわからない。
麻雀でいうリーチが掛かってる状況。
対する俺は何の安牌もない。
当たり牌は俺の命。ハズレは俺の安全。いやどれを選んでももしかしたら……。

後ろから突きつけられている感覚が俺の恐怖を捲くし立てる。
いや、安易に信用するな、人を……!こいつは乗っている前提と考えるんだ!
その上での返答。相手の側になって考えるっ!
俺が相手なら…………どっちにしても殺す。

だめだあああああああああああああああああ!どう考えても死ぬううううううううう!

「どうかしたの?震えて声が出せないの?そうだとしたらとんだ臆病者ね」

むっ……。
震えて悪いか!こわくて悪いか!俺はただの学生なんだよ!
臆病者で何が悪い。がたがた震えて……。
腹立ってくんな。
畜生、畜生、畜生!



……もういい!
俺さっき考えたじゃん。ここでは常識が通用しないって。
168逆境無頼キョウタロウ Easy Survivor ◆5ddd1Yaifw :2010/02/12(金) 21:58:18 ID:NUVAApFP

ここは……バトル・ロワイアルだろう!!!!!
俺は確かに臆病者だ。情けなく震えもする。
だけど、臆病者にも意地があるんだよ!!
そうだよ。今、自分の身を賭けないでいつ賭ける!
ここで安牌を切ってもいつかまた同じような状況が必ず来る。
この島にいる限りは。だったらいまローリスクでも意味がない。
もう、いい。怖いとか。死にたくないとか。どっちにしても死ぬ時は死ぬ。生きる時は生きる。
覚悟はした!
模索するんだ、この場を俺の勝利とするために。
狙うのは……逆転リーチの一発ツモ!
ハイリスクハイリターン!

俺は……生きてみせる!

策は…あることはある。俺に配られた支給品を使えば何とか。
だけど、それを使うには少し時間がかかる。
なら!

「知ってる……この殺し合いを脱出する鍵を俺は知っている」
「なら、その鍵とやらについて教えなさい」

トコトンハッタリかまして、時間を稼ぐしかない。
頭の堤防ならもうとっくに外れた。嘘を付くことに戸惑ももうない。

「その前にそれをおろしてもらえないか」
「それはできない相談ね。なにせこれを下ろしたら貴方が襲いかかってくるかもしれないし」

まだだ……もっと稼げ、須賀京太郎!

「まぁ、待てよ。俺としては背中にあたってるそれが怖くてね。これがある限りは話せないな」
「……!?」

そう、この受け答えで相手が短気であったなら俺は即座にズドンっと撃たれる。
そこで俺は終わりだ。その場合はそこまでだったということだ。
だけど、理性的な奴なら話は別だ。
169逆境無頼キョウタロウ Easy Survivor ◆5ddd1Yaifw :2010/02/12(金) 22:00:01 ID:NUVAApFP
それなら与し易い。
さあ!どう来る!

「貴方はこの状況を理解しているの?この場の主導権を握ってるのは “私”、あなたじゃない。
 だったら、素直に言う事を聞いておくのが身のためだと思うけど?」
「ああ。理解した上で言っている。つーか、あんたに怯える必要もない。だってさ……」

……準備は整った。この場を切り抜ける策も。後はそれを実行するだけだ。



「この場の主導権を握っているのは“俺”なんだからな」



そう言って俺は、準備していた“あるもの”を発動させる。

「っ!」

眩い光が辺りを照らす。
そして。

「もういいわ、死になさい」

銃弾が“俺”を貫いた。



◆ ◆ ◆



三枝葉留佳。名字こそ違うが実の妹だ。
あの子は私を恨んでいる。いや、恨んでいたとでもいうのだろう。
家庭の事情で無理矢理にでもいがみ合わなきゃいけない関係になって。
私はあの子にひどいことをし続けた。
170逆境無頼キョウタロウ Easy Survivor ◆5ddd1Yaifw :2010/02/12(金) 22:02:02 ID:NUVAApFP
でもそれを止めることはできなかった。
私が弱かったというのもある。周りがそれをさせてくれなかったのもある。

それでも!

結局、二木佳奈多は三枝葉留佳を傷つけたことにかわりない。

でもそのことについて悩むのももう終わり。
全ては解決して。葉留佳とも仲直りをして。

嬉しかった。また葉留佳と一緒に話せて。手を繋げて。優しくできて!
それに葉留佳に恋人もできた。
直枝理樹。私がやらなくちゃいけなかった葉留佳の心を開くのに頑張ってくれた。
今まで辛かった文私達に幸せがやっと……!



そんな時にこれだ。
名簿にはきっちり『三枝葉留佳』、『直枝理樹』、『二木佳奈多』見事に三人揃い踏みだ。

ふざけるな……

ふざけるなああああああああああああああああああああああああああ!

どうして葉留佳をこんなことに巻き込む!
巻き込まれるなら私だ、二木佳奈多だ!
償えない大罪を犯した私だけだっ……!

……。
…………。
決めた。
私はこのゲームに乗ろう。直枝理樹、三枝葉留佳以外の全てを皆殺しだ。
戸惑いはない。大事な妹の幸せを守るためなら安いものだ。
殺す前には一応、誰かと会ったかとか、脱出方法があるかとか聞いてもいいだろう。
信憑性がある脱出方法ならそれに乗っても構わない。
それがないなら殺すだけだ。
171逆境無頼キョウタロウ Easy Survivor ◆5ddd1Yaifw :2010/02/12(金) 22:04:11 ID:NUVAApFP
幸いにもデイバッグには武器である銃が入っていた。
IMI ミニウージー。当たりだ。これで私は葉留佳を守ることができる。

そして早速私は人を発見した。一見どこにでもいる男子高校生のようだ。
こっちは銃を持っている。楽勝だ、と。そうさっきまで思っていた。

「何なのよ、これはっ!」

私は確かに銃の引き金を引いたはずだ。それなのに。

「おいおいどうした、どこを狙ってるんだよ」

なんで生きてるのよ!見た感じ、全身血だらけで立っているのがやっとなはずなのに。
いや、違う。死んでいるはずだ。私は確かにあの男子高校生の背中を撃った。狙いに間違いもない。

「もっと、来いよ。楽しませろよ。なあああああああああああああああああああああああ!」

凄惨に、口が三日月のように見えるくらい嗤いながら。来る。やってくる。迫ってくる!

「来るなぁ、来るなあああああああああ!」

即座に私は空になったマガジンを取替え、迫って来る男に対して撃ち放つ。
トトトトトンと小刻みな音とともに銃弾は男に当たる。
男は血を口から吐きながら倒れ、もう起き上がってこない。
そうだ、もう死んだ。死んだんだ!起き上がってくるわけがない。
それなのに……っ!

「何で起き上がってくるのよぉ……」
「何でってそれはさぁ……」

「お前を殺すためにきまってんだろおおおおおおおおおおうがああああああああああああああああああ!」
「う、ああ、あああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないっ!
172逆境無頼キョウタロウ Easy Survivor ◆5ddd1Yaifw :2010/02/12(金) 22:06:05 ID:NUVAApFP

「ぁ――――」

だめだ。



私――――



死んじゃった。



◆ ◆ ◆



ふう、終わったか。目の間で白目を剥いて倒れてる女の子を尻目に俺は女の子が持っていた銃を俺のデイバックに移し替える。

「武装、解除。どうやらうまくいったみたいだな」

俺の作戦は簡単だった。
学生服の内側に仕舞っていた、六角形の金属を使っただけ。
説明書には核鉄と書かれていたが。
名前はアリス・イン・ワンダーランド。
どうやらこれは相手にあらゆる幻覚を見せることができるらしい。
最もチャフが辺りに広がらないと大した効果が得られないのだが。
あのハッタリはその時間稼ぎだったというわけだ。

「悪いけど、殺し合いに乗ってる人を助けるほど甘ちゃんじゃないんだ、俺は。
 誰か優しい人に拾ってもらえることを祈るんだな」

せめてもの情けにデイバックから盗ったのは銃だけにしておいた。
173創る名無しに見る名無し:2010/02/12(金) 22:06:13 ID:N21QkR4O
174逆境無頼キョウタロウ Easy Survivor ◆5ddd1Yaifw :2010/02/12(金) 22:10:31 ID:NUVAApFP
一応、ナイフらしき物がまだ入ってたから最低限の自己防衛はできるだろう。

「さてどこに行くかな……」

俺はこんな所で終わってなんかやらない。
必ずみんなで。麻雀部全員無事に帰るんだ!

【H-10港 /1日目 深夜】
【須賀京太郎@咲-Saki-】
【装備】:アリス・イン・ワンダーランド@武装錬金
【所持品】:支給品一式、IMI ミニウージー(32/32)
【状態】:疲労(小)、興奮(大)
【思考・行動】
1:みんな無事に帰る
2:目的地は?


【二木佳奈多@リトルバスターズ!】
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、ナイフのような物?
【状態】:疲労(大)、精神疲労(極大)
【思考・行動】三枝葉留佳の幸せのために殺し合いに乗る
1:……
※三枝葉留佳ルートEnd後からの参戦です

【アリス・イン・ワンダーランド@武装錬金】
Dr.バタフライのチャフの武装錬金。特性は知覚の麻痺と撹乱。
チャフを密集させる際、背中に蝶の羽根の様に集合させる事もできる。
蝶サイコー!また、足元に集合させたチャフの上に乗り、宙に立つことが出来る。
ついでに水気を付着させることで霧を発生させることも出来る。
本ロワでは制限によりあまり広範囲には飛ばせなく効果も抑えられています。

【IMI ミニウージー】
ウージーの小型版。
175 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/12(金) 22:12:06 ID:NUVAApFP
投下終了です。
追い詰められた一般人は狂うか平常を維持するか異様に頭が回るかのどれかだと思うんだ。
176 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/12(金) 22:13:06 ID:NUVAApFP
それと支援ありがとうございました。
177 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/12(金) 22:13:12 ID:8kN1Q8ex
投下乙です
178創る名無しに見る名無し:2010/02/12(金) 23:35:38 ID:DyjH5m5l
投下乙です〜
うーん、追い詰められた時の発狂っぷりがいいですw
まさにバトロワって雰囲気で。今後も期待します。


ところで、まるで関係はないけど◆48CI6tENdQ氏はどうしたのかな
創作発表板バトルロワイアル期待しているのですが…
数少ない創発板クロスの一つだし
179 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/13(土) 20:50:05 ID:y2ncfApw
投下乙。
みなさんペース早いなー…それに比べて自分は遅い+駄文で…。

2話目「神と悪魔」投下します。
登場人物
ハクオロ、アイオーン
180神と悪魔 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/13(土) 20:51:16 ID:y2ncfApw
(いったい、何がどうなっている…?)
そこには一人の男が佇んでいた。
和風の着物に肩までギリギリ届かない程度まで伸ばしてある黒髪までならまだ許容範囲内だろうが、男の付けている鬼の頭部を模したかの様な仮面が完全に場違い感を放っていた。
彼の名はハクオロ。
ある世界において、一つの国の皇を勤めており、またその世界の神とも呼べる存在だった男がそこにいた。
だが今彼の表情にあるのは狼狽と焦りのみで、本来持ちえている威厳はなりを潜めていただった。

(私は確かにあの時封印された筈。
それに、その時に外れたはずの仮面までまた付いている…いったいこれは…)
そう思案し、自分の顔、正確には、自分の顔に付き剥がせない仮面へと手を当てる。

ハクオロは戦いの元凶である自らを封印させることにより、世界の争いの種の一つを消し去った筈、だった。
最期の瞬間エルルゥの子守唄を聞きながら、まぶたを閉じ、自分の意識はそこで途絶えた。
だが、気付いた時には彼はこの地に居た。
いったいどういうことなのかさっぱり理解できていなかった。

(理解できない事は、もう一つあるが…な)
あの会場で、自分達に殺し合いの説明をし、一人の少女の首を吹き飛ばした存在をハクオロは知っていた。
当然といえば当然である。あの翼の少女――ムツミは、事実上ハクオロの娘なのだから。
(ムツミ…どうしてお前はこんな事をする。)
ハクオロの最後の記憶に映っていたムツミは、半身であるカミュと共に生き続ける事を決め、新たな道を歩みだそうとする姿だった。
だから信じたくなかった。
こんな、人の命を駒の様に扱うゲームに、娘が加担することなんて。
自分が眠りについている間に何かあったのだろうか。

(それに…アレは、なんだ?)
あの化け物をムツミが葬った際に放ったあの攻撃。
様々な武器防具が一斉に放たれ、化け物の身体を削り取っていったが、ムツミはあんなものもっていなかった筈…

(っと、すっかり考え込んでしまった。)
ひとまずムツミの事は保留として、ディパックへと手を伸ばし蓋を開ける。
ムツミは自分達に殺し合いをさせる、といっていた。
となれば、おそらく殺し合いに乗る様な人間も多く呼び寄せられているだろう。
そのような奴と出会った時の為にも、今の内に自分の支給品と、名簿を確認しておかなければ。
アルルゥの事も気がかりだし、まずは行動しないと始まらない。
と、ハクオロがディパックの中に手を突っ込んで何かを掴んだ、その時

「よう、今夜はいい月だな」
いきなり後ろから声をかけられた。
181神と悪魔 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/13(土) 20:52:41 ID:y2ncfApw
(ッ!?)
直後、ハクオロはデイバッグを抱え、全力で横っ飛びに跳ねた。
それを追う様にパパパン、と派手な音がハクオロがいた位置で鳴り響いた。

(いきなり殺し合いに乗った奴と出会うとはな…!)
地面に打ち付けた身体をすぐに起こし、襲撃者の位置を突き止めようとしながらデイバッグに右手を突っ込んだところで、
ゴリッという堅い感触と共に、何かが背中に突きつけられた。

「…っ!」
「おっと、動かないでくれよ。一応あんたみたいな普通の…いや、普通の人間はそんなけったいな仮面は付けちゃいないか。
まぁいい。とにかく動かないでくれよ、どてっ腹に風穴を開けられたくなければ、の話だが」
そういって、ハクオロの背中で襲撃者が語る。
突きつけられているものはおそらく拳銃だろう。

(くっ!)
こんな近くまで接近を許してしまうとはなんという失態だ、とハクオロは思うも、それで事態が好転するはずも無い。

「…私をどうするつもりだ。」
「ん?おいおい、そんなに恐い声出すなよ。俺は少し聞きたいことがあるだけなんだからよ」
「お前は突然自分の後ろから凶器を押し付けられて、その相手に笑顔で接することができるのか?」
そういうと、後ろの男は凶器、ねぇ…と呟いた後

「ハハハハハハハハ!」
突然笑い出した。

「何がおかしいんだ?」
そういって反撃の隙を伺うが、男は笑ってはいたが、その実全く油断しておらず隙など全く見当たらなかった。
「ああ、いやーこれは失礼失礼。それじゃ改めて聞くが…まず一つ目、お前は『乗る気か?』」

それはつまり、殺し合いに乗るか否か、という意味の質問だろう
そんな事、考えるまでも無い
「ノーだ」
即答してやると、男は少し間を置いて二つ目の質問をした

「お前はあの主催者について、何か情報を持っているか。」
「…ノーだ」
再び即答するも、ハクオロの言葉の中の迷いを見抜いたのか、男から感じる重圧が増した気がした。


「最後に」
最後、という事はおそらくハクオロに価値は無い、と判断したのだろう。
ハクオロの全身が、本能が、危険を知らせるが、やはり全く隙が無く指一本動かせそうも無い。
……デイパック内の右手以外は。

「お前の名前は?」
なぜ最期に名前を聞くのかと一瞬思ったが、彼はあえてその事は考えないことにした。
今は、この直後に起こる事に対して全神経を集中させるだけなのだから。

「ハクオロだ」
「ハクオロ、か…覚えておくぜ」
そういって、後ろの男は引き金を引く。

が、ハクオロはその直前にあえて後ろへ跳ねた!

「うぉあっ!?」
後ろの男がバランスを崩し、倒れかける。
その隙を逃さず、ハクオロは畳み掛けるようにデイパックの中身を取り出し、後ろに居た男に突きつけた!!
182神と悪魔 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/13(土) 20:55:23 ID:y2ncfApw




「「…は?」」
だが、その直後に二人は揃って間抜けな声を上げる事になった。

男が見ていたものは、ハクオロが自分に対して突きつけていた物だった。
ハクオロが取り出し、男に突きつけていた物は、鋭利な刃物でも、黒光りする銃口でもなく…ハリセン。

対してハクオロは、男の持っていた物を見ていた。
男が持っていて、ハクオロの背中に突きつけていた物は確かに銃だった。
銃だったのだが、その銃口から垂れている物があった。
それは…水。水が銃口から垂れている。詰まる所水鉄砲だった。
よくみると、先程彼のいた所にはクラッカーが幾つか落ちている。
…つまり、ハクオロは騙されたのだった。


           3分後


「ははは、いやーすまなかったな脅かしちまって」
「…笑ってすむ問題か」
「仕方がねーだろ、あんたが殺し合いに乗ってないなんて保障はどこにもなかったんだからよ。」
「……」
「おいおいそんなにふて腐れんなよ、仲良くやろうぜマイブラザー!」
「誰がブラザーだ!」

やや投げやりな様子で返事を返すハクオロに対し、水鉄砲を押し付けてきた男はやたら親しげにハクオロに絡んでいた。
こんな仮面を付けていれば警戒されるのも道理かもしれないが、あんな事をした直後にも関わらず、よくもまぁこうも馴れ馴れしく接することが出来るものだ、と半ばハクオロは呆れながら思った。
だが、同時にこの男が只者ではない事も分かった。
仮にも皇と呼ばれ、何度もの戦いに生き残ってきたハクオロにまったく気付かれず接近した事や、ただの玩具をも利用して相手の動きを封じる手腕は決して侮ることは出来ない。
警戒するに越したことは無い。
183神と悪魔 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/13(土) 20:56:16 ID:y2ncfApw
「…まぁ、過ぎたことをうだうだ言っても始まらない。とりあえず互いの情報を交換しないか?」

「ああ、そうだな…っと」

なにより…この男からは感じるのだ。
自由と理想を愛し、故にその為の犠牲を強いることも厭わない強靭な意志を。
自分と似て非なる、しかし確かな…解放者の、貫禄を。

「そういやまだ俺は名乗ってなかったな、ハクオロ」
そう言うと、男は口元に笑みを浮かべた。
その笑みの裏にあるのは、果たして信頼か、打算か。
それを知るは当人のみ。

「俺の名はアイオーン…世間じゃ悪魔って言われてる。」









【ハクオロ@うたわれるもの】
[状態]: 健康
[服装]: ハクオロの服
[装備]: 京子のハリセン@永遠のアセリア
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×2
[思考]
基本:殺し合いに乗ってやる気は無い、主催者を打倒する
0: 悪魔…?
1: アイオーンを警戒しつつ情報交換する
2: 名簿、支給品の確認をする
3: アルルゥを探す
4: カミュ(ムツミ)は……
[備考]
※参戦時期は封印直後からの参戦です

【アイオーン@クロノクルセイド】
[状態]: 健康
[服装]: 白いコート
[装備]: 水鉄砲@現実
[道具]: 基本支給品一式、クラッカー×5@現実、不明支給品×1(確認済み)
[思考]
基本:スタンスは決めかねている
0: ハクオロに同行する
1: ハクオロと情報交換する
2: クロノやお嬢さんと出会ったらどうするかねぇ…
184 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/13(土) 21:00:46 ID:y2ncfApw
あああ場所書き忘れてたーー!

場所は【H-4/荒地/一日目/深夜】です。

前回のカイと撫子は【E-8/岩場/一日目/深夜】となります。
失礼しました。
それでは投下完了です。
185 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/13(土) 21:58:40 ID:cXF1kPKK
投下乙です。では自分も投下します。
個人趣味ロワ第61話「新しい朝が来た、絶望の朝だ」
登場:レイ・ブランチャード、ノーチラス、早野正昭、リーヴァイ
186新しい朝が来た、絶望の朝だ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/13(土) 22:01:20 ID:cXF1kPKK
61話「新しい朝が来た、絶望の朝だ」

青い髪の、露出度の高い装具を身に着けた女性、レイ・ブランチャードは、
エリアE-2の一角に存在するとある会社の事務所にいた。
そして、この殺し合いの犠牲者であるとある少女の首輪を、事務机の一つに座ってあちこち触っていた。
調べれば調べる程、首輪に使われている高度な技術に驚かされる。

「ふうむ……」

首輪には繋ぎ目らしきものは確認出来るが鍵穴など、何かを挿し込むような箇所は見当たらない。
どうやら信号を受信する事で解除される仕組みになっているようだ。
更に首輪の裏には頭文字がアルファベッド、後の表記がローマ字で、
「Noriko Nishikawa」と刻まれている。それだけでは無い。小さな細長い穴が何個か確認出来た。
この穴の用途について考えるが、冷却用の穴とも思ったがレイはある一つの可能性に辿り着いた。

(もしや…盗聴器か何かか?)

それはゲーム運営側による参加者の会話の傍受、つまり盗聴の可能性。
あのセイファートという狼女が本気でゲームの遂行を目指しているならば有り得ない話では無い。

(参加者の会話は全て運営側に筒抜けになっているとしたら…滅多な事は喋れんな。
気を付けなければならない…まあ詳しい事はこの首輪の内部を見でもしない限り分からないが)

まだ確証は持てない。全て自身の杞憂であるかもしれない。
何はともあれ、まず首輪の内部構造を知る必要があった。
そうすれば首輪の解除の手段も見付かる可能性がある。

「ん…そろそろ放送だな」

デバイスに表示された時刻を見て第一回目の定時放送の時間が近い事を知る。
時間が近付き小さな声で秒読みを開始する。

「5……4……3……2……1……」

そしてカウントが0になった瞬間、どこからとも無く大音量のサイレンが会場全域に鳴り響いた。
突然のサイレンにレイは一瞬驚くが、すぐに気を取り直して放送に耳を傾ける。

『はいはーい皆さんお久し振りでーす。私だよ。セイファートだよ。
頑張って殺し合ってるゥ? 張り切ってくれてる人も多いけど、
何だかなあ、まだ戦うの拒否ってるお馬鹿さんがいるんだよねー本当にしょうがないなあ』

この殺戮ゲームの主催者とは思えない程明るい声。
そして参加者の神経を逆撫でするような言い回しで放送が始まった。
まず禁止エリアが発表される。
187新しい朝が来た、絶望の朝だ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/13(土) 22:02:18 ID:cXF1kPKK
「一時間後、午前7時にD-1、C-2、G-2、F-5、G-4……よし」

指定された時刻と場所をメモ帳に書き込んでいく。
そして禁止エリアの発表が終わり、いよいよ死者の発表が始まる。
知人であるリック・ゼラルスの名前が呼ばれない事を祈った。

『朝倉清幸、石川清隆、牛山サキ、太田太郎丸忠信、サーシャ、志村晃、
シルヴィア、曽良……』

「……」

『……竹内多聞、西川のり子、春巻龍、松尾芭蕉、宮中秀也、最上佳奈、
リック・ゼラルス――』

「!!」

レイの祈りも空しく、あっさりとその名前は呼ばれてしまった。

「くそっ、リックめ……何で死んだんだ……」

涙こそ流さないが、辛そうな表情を浮かべ知人の死を悼む。
そうこうしている内に再びサイレンが鳴り響き、放送は終わった。

「……悲しんでばかりもいられんな。行動しないと」

気力を奮い立たせ、荷物をまとめて移動の準備を始める。
ふと、窓の外を見ると、遠方に見えるホテルと思しき建物が目に入った。
位置的に、地図に書かれている「ホテル」はあれと見て間違い無さそうだ。

「あそこに行ってみる、か」

レイは次の目的地をホテルに定め、デイパックを背負い、右手に自動拳銃・Cz75を持って歩き出した。
188新しい朝が来た、絶望の朝だ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/13(土) 22:03:04 ID:cXF1kPKK
D-2のホテル。三階の外が見渡せるホールでノーチラスと早野正昭は放送を聞いた。

「太田にサーシャ、シルヴィア…か」
「ノーチラス…」

放送で聞かされたクラスメイトの死にショックを受けるノーチラス。
特にサーシャは自分と同じく学校の生徒会に所属していたため、接する機会もそれなりにあった。
――前回の殺し合いにおいて、ある一人を除くクラスメイト全員が死亡した事を、
ノーチラスは知る由も無い。

「えーと……ごめん、気の利いた台詞も言えないんだけど」
「いや、いいんだ……」

ノーチラスは気丈に振舞うがやはりショックは大きいようだ。
知り合いが呼ばれていない正昭は掛けてやれる言葉も見付からず、
ただ横で黙って座っている事しか出来なかった。

(エルフィはまだ生きているか……それだけでも良かった)

開催式以来合っていない狼族のクラスメイト・エルフィは名前が呼ばれなかった。
と言う事は少なくとも現在までは生存しているという事である。それが分かっただけでも幸いであった。
しばらくしてノーチラスがテーブルの上に地図、メモ帳、デバイスを取り出し置いた。

「…禁止エリアは一時間後、午前7時からD-1、C-2、G-2、F-5、G-4の五つだったよな」
「ああ。間違い無い」

放送で言われ、メモ帳に取った禁止エリアの情報を地図にも書き込んでいく。
幸い、ホテルのあるエリアD-2は入っていない。
しかし二人が考えていたのは自分達はこのゲームが始まって以来、ずっとこのホテルから動いていない事。
そろそろ移動して仲間を捜した方が良いのではと感じ始めていた。

「しかし行くっていってもなあ…ノーチラス。行く宛てなんてあるか?」
「はっきり言って無いな。無いけどさ…やっぱそろそろ動かない事には……ん?」
「エレベーターが…?」

突然、エレベーターから目的の階へ到着した事を知らせるチャイムが鳴った。
エレベーターに乗ってこの三階に何者かがやってきたのである。
ノーチラスは青く塗られた自動拳銃、コバルトアローを、正昭はアイスピックと鍋の蓋を、
それぞれ装備し構えながら、その来訪者が出てくるのを待った。
緊張の一瞬である。

そしてエレベーターの扉が開いた。
189新しい朝が来た、絶望の朝だ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/13(土) 22:04:11 ID:cXF1kPKK
「うわっ!」

出てきたのは水色と白の毛皮を持ったノーチラスと同じ狼獣人の少女。
ただ、ノーチラスと違うのは、衣服を何も見に着けておらず、足は獣のそれに近い。
どちらかと言えば野生の狼をそのまま二足歩行にしたような感じである。
水色の人狼の少女――リーヴァイは身構えている二人を見て慌てて戦意の無い事を訴える。

「ちょ、ちょっと待って、私、殺し合いには乗って無いよ」
「……」
「……」

しかしそう言われても簡単に信じる事は出来ないというのが実情。
やむを得ずリーヴァイは持っていた銃を床に捨て、デイパックも置き、両手を頭の後ろにやって伏せの体勢を取った。

「ね? これでいい? これだけやってるんだから信じてよ!」
「……どうする? ノーチラス」
「うん…まあ、信じても良さそうだな」

目の前の水色の雌人狼は、本当に戦意は無いと判断し、二人は警戒を解く。
リーヴァイは安心し、ゆっくりと立ち上がり、銃とデイパックを拾って二人に近付いた。

「私、リーヴァイ。あなた達は?」
「俺はノーチラスだ」
「俺は早野正昭。あー正昭で良いよ。よろしく、リーヴァイさん」
「ノーチラスに、正昭……ね。あ、呼び捨てで良いよ」

握手を交わしながら、三人は自己紹介をしていった。


数分前。リーヴァイはホテル二階のホール窓際で放送を聞いた。
自分と最愛の兄をこんな理不尽ゲームに参加させた張本人の声を再び聞いた時は、
腸煮えくり返る思いだったが冷静になって放送に耳を傾けた。
そして放送終了後、リーヴァイは自分の兄の名前が呼ばれなかった事にホッと胸を撫で下ろした。

「良かった……お兄ちゃんはまだ生きてるのね」

少なくとも現時点では兄は生きているという事が分かった。それだけで十分。
勿論、禁止エリアや他の死者の事もメモはしたが。
森で目撃した「牛山サキ」なる女性も死者として名前を呼ばれていたが、
兄が無事だと分かった今は、はっきり言ってどうでも良かった。
その後、ホテルの上の階を調べて見るためにエレベーターに乗り込み、三階にやって来たのだが。
そこで学生服を着た茶色い狼獣人の少年と、水色の髪の少年(?)と遭遇したのだ。
いきなり武器を構えられたので、攻撃されたら不味いと思い、
持っている物を床の上に捨てて飼い犬のように床に伏せて戦意の無い事を二人に訴えた。
その甲斐あって何とか信じて貰う事に成功した。
190新しい朝が来た、絶望の朝だ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/13(土) 22:05:57 ID:cXF1kPKK
「えっ、正昭私より年上だったの!? てっきり子供かと」
「リーヴァイよお前もか……そうだよどうせ俺は身長低いし童顔ですよ!」
「まあまあ正昭。リーヴァイも余りそこは言わないでやってくれ」

しばらくして三人はそれなりに打ち解けているようだった。
ここでノーチラスは正昭にじゃれつくリーヴァイの胸元に視線が行く。
白い毛皮に覆われた、中々の質量がありそうな乳房がリーヴァイが動く度揺れ動く。
ごくり、とノーチラスが生唾を飲んだ。

(さ、触りてぇ…揉みしだきてぇ……!)

彼の中の痴漢の血が騒ぎ始めていた。

「ん? ちょ、ノーチラス! 何私の胸見てニヤニヤしてるのよ!」

リーヴァイがノーチラスの視線に気付き、怒った顔で胸元を隠す仕草をする。

「い!? あ、いやいや見て無いぞ! そんな凝視なんかしてないし俺!」
「あれ? ノーチラスお前××してるじゃん」
「あ゛!!」

正昭に指摘され、ノーチラスが下半身に目をやると、思い切りズボンがテントを張っていた。




【一日目/朝方/E-2市街地】

【レイ・ブランチャード@オリキャラ】
[状態]:健康、D-2ホテルへ移動中
[装備]:Cz75(10/15)
[所持品]:基本支給品一式、Cz75の予備マガジン(5)、フェイファー ツェリザカ(4/5)、
600NE弾(10)、コンバットナイフ、牛山サキの水と食糧、西川のり子の首輪
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。ゲームの転覆を目指す。
1:ホテルへ向かう。
2:仲間を集める。
3:首輪の内部構造が知りたい。
4:殺し合いに乗っている者には容赦し な い 。
5:リック……馬鹿が……。
[備考]:
※主催側による盗聴の可能性に気付きました。
191新しい朝が来た、絶望の朝だ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/13(土) 22:08:01 ID:cXF1kPKK
【一日目/朝方/D-2ホテル三階ホール】

【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、狼狽、×起ビンビン
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品一式、コバルトアロー@オリジナル(14/14)、
コバルトアローの予備マガジン(5)、エネマグラ(粘液付着)、ミニローション(残り48ml)
[思考・行動]:
0:殺し合いを潰す。首輪を外す方法を探す。
1:早野正昭、リーヴァイと行動を共にする。
2:やべえどうしよう!?
3:残りのクラスメイトの動向が知りたい(特にエルフィ)。
4:痴漢してえええ!
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※もうエネマグラは使わないと決めたようですが、未練があるようです。
※リーヴァイと多少の情報交換をしたようです。

【早野正昭@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:アイスピック、鍋の蓋
[所持品]:基本支給品一式
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。人も殺さない。首輪を外す。
1:それは駄目だぜノーチラス!
2:首輪のサンプルが欲しい。
3:ノーチラス、リーヴァイと行動を共にする
[備考]:
※リーヴァイと多少の情報交換をしたようです。

【リーヴァイ@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(中)
[装備]:コルトM1911(7/7)
[所持品]:基本支給品一式、コルトM1911の予備マガジン(5)、M67破片手榴弾(3)
[思考・行動]:
0:殺し合いはする気は無い。お兄ちゃんを探す。
1:ノーチラスのエッチ!
2:正昭とノーチラスと行動を共にする。
[備考]:
※ノーチラス、早野正昭と多少の情報交換をしたようです。
192 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/13(土) 22:13:01 ID:cXF1kPKK
投下終了です。ノーチラスは本当に好きなキャラ。
どうも童貞らしいのでこのロワで…いや何でもねぇ
193罠、そしてダブル♂カズヤ ◆6LQfwU/9.M :2010/02/13(土) 22:32:20 ID:BpVeV3GI
「さて、港に着いたはいいが…誰もいないな…」
ボートから降り、辺りを見回すカズヤ。
港には朝日が溢れ、辺りを明るく照らし、視界をよりクリアにしている。
「…誰か来るぞ?」


「そこに誰かいるんですか!?助けて下さい!」
セグウェイを走らせながら、遠くに見える人影に呼びかける和也。
その声に反応し、2人が駆け足で近付いてくる。
「ど、どうした!?」
「追われているのか?」
訳を説明する。
「なるほど…今のところは振り切れているようだな…」
和也が来た方向を眺め、呟くビリー。
そしてデイパックから何かを取り出し設置し始める。
「それ、何ですか?」
「ああ、鳴子と言うらしい。設置して使うトラップのようだ…」
近くのガードレールと標識の間、その近くに1つ設置する。
「さて…ここじゃ何だから…あそこの事務所のようなところで休憩しよう」
そう言い、カズヤは事務所の方に歩いて行く。
その後を付いて行く和也。
あたりを警戒しながら最後に付いて行くビリー。


「…流石に乗り物相手を追跡するのは疲れるわね…でも今度は逃がさないわ」
少し息を乱しながら港付近まで辿り着く。
疲れのせいか、足元に注意が及ばず…
「…きゃあっ!」
…何かに足を取られ、その場に転ぶ。
それと同時に辺りに鋭い金属音が響く!
(罠!?どうしよう…)
硬直したまま辺りの様子をうかがうが…何もない。
腹立ち紛れに鳴子を切断する。
「誰?こんな所にこんな物を仕掛けたのは…」
カラカラカラと金属音が寂れた港に響く…


「…誰か来たっ!」
その音に素早く反応し、窓から罠のある方向を見る。
…誰かが罠のある場所にいる。
(誰かいるな…体に付いているのは、血か!?)
「あいつだっ!あいつが俺を追いかけて来たんです!」
その姿を見た途端叫ぶ和也。
「なんだって!?」
「…こっちに気づいているな…穏やかにはいきそうにない」
ビリーが少し困惑した様子で呟く。
「応戦する必要があるな…」
それぞれが武器を構える。
「君は…はりせん、とか言うものだっけ?それ」
「ええ…こんな状況じゃ役に立たないですけど無いよりマシですから」
和也がはりせんを2人に見せる。
「ビリーさんの、すごい強そうですね…鎌ですか?」
自分の背丈ほどある鎌をビリーは両手で構えている。
カズヤは…リボルバー式の銃を片手に持っている。
「ああ、和也君だっけ?これを着ておくといい」
そう言うと、カズヤは和也に皮ジャンを渡す。
「どうも…」
「さあ、行くぞ」
194罠、そしてダブル♂カズヤ ◆6LQfwU/9.M :2010/02/13(土) 22:33:58 ID:BpVeV3GI
「あら、今いこうと思ってたのに、貴方たちから来てくれるなんて…」
事務所の前に、彩子は立っていた。
「お前が誰かは知らないが、殺し合いに乗ってるような救いが無い奴は俺が成敗する」
カズヤが手に持っている銃を握りしめる。
お互い、相手の動きを探る。
(俺が正面から攻撃を仕掛ける。その隙にあいつの横から攻撃するんだ)
カズヤが小声で2人に指示する。
(ああ、分かった)
(分かりました)
そしてカズヤは彩子の方に向き直り、一直線に相手に向かって走り出す!
それと同時に、2人は横に走り出す。
「うおおおっ!」
走りながら弾丸を撃ち込む。
「無駄よ。」
それをいとも簡単に弾く!
(この程度…?がっかりね)
その時、
「隙あり、だらしねぇな!」
横から和也とビリーが攻撃を仕掛ける!
「くっ…!」
ビリーの鎌は大振りで外れたがはりせんが当たった!
「外したか…」
そして彩子の刀はビリーを…
「カズヤ…後は頼んだ」
…一閃した。
「ビリーさん!」
その光景を目の当たりにして体が固まってしまった和也。
(そんな…)
「次は貴方よ」
彩子の目は確実に和也を捉えている。
「く、来るなぁぁぁっ!」
思わず手に持っているはりせんを振り回す。
はりせんが手からすっぽ抜けて彩子に当たる。
「まったく…手間をかけさせないで…」
「隙ありだ」
その時後ろから銃声が響く。
「…!貴方…!」
彩子の胴に穴が開く。
その穴から血がどくどく流れ出る。
最後の力を振り絞り、カズヤに向かって走り出す。
「救いは――ある。逃げろ、『和也』」
そして、カズヤを横一文字に薙ぎ払う。
その瞬間、カズヤの体は2つに分かれた。
「…く…ここまでなの…?」
その言葉を最後に、彩子も息絶えた。
195罠、そしてダブル♂カズヤ ◆6LQfwU/9.M :2010/02/13(土) 22:35:16 ID:BpVeV3GI
「カズヤさん…ビリーさん…2人の分も生きますから…絶対…!」
セグウェイの全速力で港を飛び出す和也。
その目には、2人の意識を受けついだ炎があった。

【一日目/朝/A-3:港】


【野村和也@オリジナル】
[状態]:健康、決意
[装備]:熱き魂の封じ込められた腕輪@板対抗BR、セグウェイ@板対抗BR、皮ジャン@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、大阪名物はりせんチョップ@板対抗BR、ニューナンブ@板対抗BR
[思考・行動]
基本:2人の分も生き抜く。
1:ビリーさん…カズヤさん…
※大鎌@板対抗BR、妖刀村正@現実、ビリー・ヘリントン、木吉カズヤのデイパックが港に放置されています

【守谷彩子@オリジナル 死亡】
死因:射殺
【ビリー・ヘリントン@本格的 ガチムチパンツレスリング 死亡】
【木吉カズヤ@本格的 ガチムチパンツレスリング 死亡】
死因:斬殺

≪支給品紹介≫
【皮ジャン@板対抗BR】
防御力2の防具。
意外と頼りになる。
196 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/13(土) 22:38:02 ID:BpVeV3GI
投下終了です
197主催者サイドでは ◆6LQfwU/9.M :2010/02/13(土) 22:45:31 ID:BpVeV3GI
「…おっ、結構殺しあってるみたいだな」
モニターを覗きながら呟く謎のプログラマ。
「どうだ?調子は…」
その背後から現れる謎の男。
「ああ、調子はいい。死ぬ数も多い。…1回放送の前に死に過ぎたんで一人復活さしたけど」
「ああ、そうか。」
その男はそう答えた後、静かになった。
「そういえば、特に定番でもないよね?真の…」
「おっと、そこまでにしておいて。ネタバレ防止だ」
そして、主催者ルームはまた静かになった。


【一日目/朝/?-?:主催者ルーム】


【謎のプログラマ@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:バトロワ制御装置
[所持品]:なし
[思考・行動]:
基本:このバトロワを管理する。
1:これからどうなるかな?

【?@?】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:なし
[思考・行動]:
基本:このバトロワを管理する。
1:…。
198 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/13(土) 22:46:29 ID:BpVeV3GI
今度こそ投下終了です
199 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/13(土) 23:00:04 ID:GNp563qW
投下乙です

漸くテストがオワタので久しぶりに24ロワ第15話投下します
200 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/13(土) 23:01:11 ID:GNp563qW
夜の闇の下、ぽっかりと広がる原っぱの真ん中に美希はポツンと座りこみ、支給品の説明書を読んで首を傾げた。
彼女の支給品は一見単なる携帯電話にしか見えない。だが、説明書によるとこの支給品は携帯電話ではなく、
【禁止エリア指定機】らしい。読んで字の如く、次の放送で宣言される禁止エリアの場所をこちらから指定できるようだ。
一回の放送で指定できる禁止エリアの数はたった一つだけ。計三回使えるようだから、
全て使い切るつもりであれば三個まで自分の好きな位置を禁止エリアにする事が出来る。

でも、見た目は完全に携帯電話だ。というより、【禁止エリア指定機】という名前以外は携帯そのものである。
携帯本来の機能は使えないのだろうか。美希は電源を入れてみる。
一通り美希が思いつく限り番号をプッシュし続けてみたが、どこにもかからなかった。

「むうう……携帯の機能は使えないみたいなの」
がっかりする美希。もしかしたら、とほんの少しだけ期待を抱いてしまった事を後悔する。

それにしてもどうしようかなあ……

美希は再び首を傾げた。禁止エリア指定機と言われても、正直これが何の役に立つのかいまいち分からない。
役に立つどころか、侵入すると首輪が爆発して死んでしまう禁止エリアを増やすなど、
美希にはむしろ悪い事のように思える。

「こんなのより……もっと使えるものの方が良かったの……」

乗るつもりはないが、何か武器のようなものの方が良かった。
ケツホルデスからゲームの説明を聞いた時は、テレビか何かの企画だと早とちりし、
それならばやる気を出して頑張ろうと思っていたのだが、そんな気持ちはやる美という少女が
吹き飛ぶ光景を目の当たりにした瞬間、跡形もなく消え去った。これは企画などではない。
本物の死のゲームだと、理解出来たからだ。

今は、ただただ不安なだけだ。こんな暗い原っぱに突然放り出されて、爆弾入りの首輪を巻かれて、
24時間以内に最低一人を殺さなければいけない殺し合いを強いられる。
これから先自分がどうなってしまうのか、考えるとどうしようもなく気が滅入ってくる。
201 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/13(土) 23:02:28 ID:GNp563qW


今は、ただただ不安なだけだ。こんな暗い原っぱに突然放り出されて、爆弾入りの首輪を巻かれて、
24時間以内に最低一人を殺さなければいけない殺し合いを強いられる。
これから先自分がどうなってしまうのか、考えるとどうしようもなく気が滅入ってくる。

「うう……私は人殺しになるなんて嫌なの……一人しか生きられないなんて嫌なの……
 でも、だからといって、やっぱり死にたくもない……」

美希は手の内にある携帯に目を落とした。こんなもので、どうやって生き残れというんだ。
無理だ。無理に決まっている。とにかく、まずは仲間になってくれる人を探さなければならない。
全てはそれからだ。幸いな事に、ここには事務所の友達が何人もいるらしい。

ううん、良く考えたら別に幸いな事にじゃないの。
皆まで参加させられているなんて、とってもとっても不幸な事なの……

【一日目/深夜/G-8 原っぱ】
【星井美希@アイドルマスター】
[状態]:健康
[装備]:携帯電話(禁止エリア指定機)
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本方針:人殺しになるのは嫌だけど、死ぬのも嫌
1:頼りになる人を探す
202 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/13(土) 23:03:45 ID:GNp563qW
投下終了です
203 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/14(日) 11:29:30 ID:F4TKeKVF
投下乙です。では自分も投下します。
個人趣味ロワ第62話「銃の大量所持はチートフラグ?」投下します。
登場:北沢樹里
204銃の大量所持はチートフラグ? ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/14(日) 11:31:43 ID:F4TKeKVF
62話「銃の大量所持はチートフラグ?」

『それじゃあまたお昼の放送で会いましょう。バイバーイ☆』

会場中に鳴り響く大音量のサイレンが、定時放送の終了を告げる。
ここはエリアE-3に存在するとある雑居ビル、その中にある卓球バー。
カウンター席に座って外から流れる放送を聞いたのは茶色セミロングの髪を持った少女、北沢樹里。
奥の調理場から掻っ攫ったコーラを飲みながら、メモに取った事を見返す。

「うーん、随分死んだわね」

死者として発表された名前は20人。
その中にはクラスメイトである太田太郎丸忠信、サーシャ、シルヴィアの名前も含まれていた。
シルヴィアに関しては下手人は自分なのだが。
ただ、途中で遭遇した「費覧」という雌狐の名前は呼ばれなかった。
どうやら費覧はまだ生きているようだ。
そして禁止エリアだが、いずれも自分がいるエリアからは離れている。
強いて注意するべきなのは市街地の一角であるエリアD-1だろう。

「ふう。それにしても」

樹里はカウンター席から立ち上がり、デイパックの中に入っていた自分のランダム支給品を卓球台の上に置いた。

「これぞまさに『より取り見取り』って奴?」

自動拳銃のカーマインエッジ、ベレッタM92FS、シグザウエルP228。
リボルバー拳銃の二十六年式拳銃。
麻酔銃であるドミネーター、そして最初に殺した白髪ツインテールの女性から奪ったデイパックの中に入っていた、64式小銃用銃剣。
カーマインエッジ意外は鹵獲品だが、今、樹里の装備類はかなり豊富である。
殺し合いの参加者として有利な方だと言えよう。
まるでホラーゲームのイージーモードみたいだと、樹里は思わず笑いが込み上げた。

「さてと……お腹も空いたし、何か食べよ。でも支給品のコッペパンじゃ味気無いしな…。
調理場に何かあるかな」

ここは卓球バーというバーの一種である。
軽食ぐらいは出していただろう。何か材料があるはずだ。
樹里は奥の調理場に再び赴き何か空腹を満たせそうな物を探し始めた。

「お、あるある」

冷蔵庫の中からハムと卵を発見し、手に取る。
更に調理台下の収納スペースからサラダ油を入手し、フライパンも調達した。
205銃の大量所持はチートフラグ? ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/14(日) 11:38:08 ID:F4TKeKVF
「ハムエッグでも作ろうかな」

少しテンションが上がった樹里は普段料理などほとんどしないと言うのに調理の準備に取り掛かる。


〜数分後〜


「……微妙なのが出来あがっちゃった……」

樹里が作り上げた物は「ハムエッグ」と呼称するには余りにも原型とかけ離れた物体だった。
フライパンから適当な白い皿に乗せ、それなりに飾って見るが見栄えなどするはずが無い。
恐る恐る、樹里はその物体を箸でつまみ、ゆっくりと口の中に入れる。

「…………」

そして咀嚼し味わう。そのお味は……?

「あ、結構イケる!?」

どうやら意外と美味いようだ。


【一日目/朝方/E-3市街地卓球バー】

【北沢樹里@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的疲労(中)、食事中
[装備]:カーマインエッジ@オリジナル(14/14)
[所持品]:基本支給品一式、カーマインエッジの予備マガジン(4)、
二十六年式拳銃@SIREN(4/6)、ベレッタM92FS(15/15)、
ベレッタM92FSの予備マガジン(5)、ドミネーター(0/1)、麻酔弾(4)、
シグ ザウエルP228(13/13)、シグ ザウエルP228の予備マガジン(5)、64式小銃用銃剣、
ルミーア・ホワイトの水と食糧、シルヴィアの水と食糧、永井浩二の水と食糧
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り、優勝を目指す。
1:意外と美味しい…?
2:これからどうしようか…。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。


※ルミーア・ホワイト、シルヴィア、永井浩二のデイパックは卓球バーの中に放置されています。
206 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/14(日) 11:39:57 ID:F4TKeKVF
投下終了です。
207 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/14(日) 11:59:11 ID:F4TKeKVF
支給品紹介が抜けていました。

【64式小銃用銃剣】
自衛隊で使われている突撃銃、64式小銃に装着される銃剣。

本当に投下終了です。
208 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/14(日) 12:14:10 ID:wyYVzFcp
投下乙です。
文練ロワ13話投下します。
(透真様っ!どこにいられるのですか)

夜の街中を私は高速の勢いで駆け抜ける。
今の私の最優先は“兄”である透真様を探すこと。これ以上の重要度を占めるものは存在しない。
些細なことを気にしている余裕もないくらいだ。

それにしても迂闊だった。女神がこんな搦手を使ってくるなんて。
女神を倒すために城に入った途端、なぜか意識がなくなった。
そして、目が覚めたらいきなり殺し合いをしろだ。
やってくれるじゃないか、女神!

あの郷田真弓とやらはきっと女神の配下の鬼だろう。
それと名簿には透真様に蒼蓮さん、“山田太郎”の三人がいる。
私の名前である“闇宮冥”もしっかり載っていた。
最もこの“山田太郎”が自分の知ってる“山田太郎”なのかどうかはわからないが。
それになぜか一緒に城に入ったはずの斬華さんと月読さんがいないことも気がかりだ。
なぜ私達だけが巻き込まれて二人が巻き込まれないのか。
考えても考えても答えがでない。疑問が残る所だ。

それに、開幕式のホールにはどう見ても戦いとは縁のない一般人がいた。
それも小さな子供までもだ。こんな殺し合いに巻き込まれるようなものではない。
女神は一体何を考えている。いろいろと謎であるが。
そんなことよりも今は透馬様との合流を優先しましょう












そうさっきまでは思っていた。
それではだめだ。
開会式を思い出せ?あの場にはただの一般人以外にもいたはずだ。
濃密な死の“匂い”が薫る奴等が。どれかはわからなかったがかなりのものだった。
ひょっとしたら私でも敵わないかもしれないくらいに。
あの一般人たちだってそうだ。こんな状況なんだ、いつ寝首をかかれるかわからない。

「手っ取り早く、皆殺し……ですかね」

自分の愛する透真様以外の全てを滅殺する。
これが今の私の方針。
蒼蓮さんは信用できるかもしれないけど“山田太郎”はだめだ。
あの飄々とした“山田太郎”ならまず信用できない。
裏で何かを企んでいる可能性が大いにある。

ほらね、結局は皆殺しが一番楽なんだと考えつく。

「立ち塞がる者は……全て壊します」

【I-7/一日目・深夜】
【闇宮冥@操り世界のエトランジェ】
【状態】健康
【装備】
【持ち物】 支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
0.睦月透真を護るために殺し合いに乗る。
1.見敵必殺。
※第六幕女神の城突入直後より参戦
212 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/14(日) 12:19:41 ID:wyYVzFcp
短いけど投下終了。
つーかいいなぁ、みんな速筆で。
213 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/14(日) 20:07:21 ID:rZvALaAa
投下乙です。自分も24ロワ第16話投下します
214唯一滴の勇気 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/14(日) 20:09:24 ID:rZvALaAa
E-04には地図上にホテル跡と表記されている通り、大規模な廃墟があった。
沖木島を観光地として売り出すために、巨額の資金を投資して建設されたものだが、
廃墟になっている事から分かる通り、結局は絵に書いた餅だったようだ。
何もない辺鄙な島に喜んでやってくる物好きな客は少なかった。

そんなホテル跡の入口辺りを、井上は支給品である薙刀を握りぶらぶらと歩いていた。
警察官という職業柄、彼は日々自身の肉体を練磨する事を怠らない。
そのお陰で彼の肉体は遠目から見てもがっちりとして逞しい。

ケツホルデス……

彼は心の中で呟いた。警察官として、いや、人間としてこんな殺し合いを許すわけにはいかないのは、
もはや言うまでもない事だ。しかし、そんな人間としての当り前の倫理以前にも、
井上にはケツホルデスを許すわけにはいかない理由がある。

井上はホテルの入り口の傍にある植え込みの縁の上に腰を下ろし、支給品の煙草に火を付けた。
たっぷりと煙を吸い込み、そして満足そうに吐きだした後、井上は煙草の灰を落としながら、
何でもない事かのように口を開いた。

「いるんだろ?いい加減にして出てこい」
物陰で服の裾のような何かがひらりと動いたのを、井上は見逃さなかった。
「信じて貰えないかもしれんが、俺は殺し合いには乗らんよ。俺は一応、警察に勤めているからな」
そう言うと、井上は再び煙を吸い込む。確かな緊張感が、井上と隠れている何者かを包み込んでいる。

しばらく待ってみたが、隠れている何者かは一向に井上の前に現れようとしない。
かといって、どこかへ逃げていくわけでもなく、ただ物陰の潜み続けている。
井上は溜め息と共に、煙を吐き出した。

膠着状態は続く。井上としてはさっさと物陰から出てきて欲しいのだが、そうは上手く事は運ばない。

(らちが開かんな。こりゃまた、初っ端から難儀な奴と出会っちまったのかもしれん。
 俺が殺し合いに乗っていないと言っても出てこないという事は、どういうことだ?
 ただ単純に躊躇しているのなら可愛いが、俺を殺そうと物陰で作戦を練っていたとしたら、
 ちょっと笑えない状況だ。なんにしても面倒な相手だ……)

ちりちりと、煙を吸い込んで煙草が短くなっていく。
(俺がこの膠着状態を破る切欠を作らないと駄目なのだろうか……)
短くなった煙草を指で弾いて捨て、井上は口を開いた。

「どういうつもりだ?さっさと出てきて欲しいんだがな。
 俺は誓って殺し合いには乗らない。お前も殺さない。怯える必要なんざないんだよ。
 ここまで言ってもまだ怖いってんなら、俺はこいつを地面に捨てておく」
井上は持っていた薙刀を目の前に捨てた。これで井上は無防備だ。
もし隠れている誰かが強力な武器で武装し、かつゲームに乗っているのであれば、非常に危険な状況だ。

「…………」

何者かの息遣いは確かに感じる。間違いなく誰かがそこの物陰に潜んでいる。
ついさっき、服の裾がはためいているのを井上は見逃さなかった。だから、間違いなくそこに誰かいる。
だが、物陰に潜む誰かは井上が武器を捨ててもなお、沈黙を保ったまま潜み続けていた。

井上は上手く事が運ばない事に苛立ちを感じながら、二本目の煙草に火を付けた。
煙草が支給品というのはなかなか有難い。苛立ちを抑える事が出来る。
となれば、煙草とはいえ、これからは大切に使っていかなければならない。
ゲーム開始早々二本も使ってしまったのは、案外勿体ない事なのかもしれない。
215唯一滴の勇気 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/14(日) 20:11:37 ID:rZvALaAa

「ケツホルデスっていたよなぁ……主催者の事だが……
 俺がこのゲームに乗らない理由は二つある。一つは、こいつは言うまでもない事だが、
 どんな状況であろうと人を殺すのは人間として絶対の禁忌だからだ。
 二つ目は……ケツホルデスの言いなりになるのは、死んでも嫌だからだ」
遠い目をして、煙を吐きだした。

「俺はケツホルデスの事をずっとずっと前からよく知っているんだよ。
 奴は俺の事なんざ知りもしないだろうが……」
物陰に潜む何者かは、今驚いているだろうか。そういう反応をとってくれていると有難い。
俺としても、語る価値があるってもんだ。

「ケツホルデスってのは、まあ端的に言うととある犯罪グループのボスでな。
 俺は刑事という立場上、ずっとこいつを追いかけていてな……
 ところがなかなか上手くいかない。姿も名前も知っている女をどうして捕まえられないのかって、
 不思議に思うかもしれないが、世の中には自分の利益のためなら他人の悪さを見て見ぬふりするって奴が案外多くてよ」
井上は吐き捨てるように言った。

「それは警察組織でも変わらない。つまるところ、ケツホルデスってのは逃げるのが上手い。なかなか尻尾を掴ませないんだ。
 仮に掴んだとしても、さっき言った見て見ぬふりをする腐った連中を巧みに買収、恐喝し、悪事を揉みくちゃにする手腕を持っている。
 組織ぐるみで犯罪を犯していても、奴を逮捕する口実が見つからなければ逮捕できない……
 今までに何度かケツホルデスを追い詰められそうな機会があったが、いつも逃げられてしまった。だがな……」

井上の両目がきっと鋭くなる。ついに獲物を捉える瞬間までこぎつけた猛獣のように、その両目は覇気に満ちている。

「奴がここまで大がかりなゲーム、いや犯罪行為をしでかしたのは今回が初めてだ。
 そして奴は、知ってか知らずか、毎日毎日奴を捕えるために牙を研ぎ続けてきたこの俺をゲームに参加させた。
 奴を現行犯で逮捕するまたとないチャンスだ。このゲームは、俺とケツホルデスの最後の戦争なんだ」

殺気を込めてそう宣言すると、短くなった二本目の煙草を再び指で弾いて捨てた。

「だから、奴の手の平の上で踊ってたまるかと思ってな。俺は反逆するから、だから殺し合いのゲームでも殺さない」
「…………」

物陰の方に意識を集中させる。先ほどと違って、何者かが潜んでいるという気配を感じない。
井上は突然立ち上がり、全速力で物陰の方へと走った。案の定、そこには誰もいない。

「なんだよ。語り損かい……いったいなんだったんだ……」

【一日目/深夜/E-04 ホテル跡】
【井上カブレラ@本格的!ガチムチパンツレスリング】
[状態]:健康
[装備]:薙刀、煙草
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本方針:ケツホルデスと決着を付けるため、ロワに反逆する
1:いったいなんだったんだ……


弱音ハクは息を切らしながら荒れた山道を全力疾走する。頭の中は混乱の極みだ。
正直言ってどうして自分がこんなにまで必死で逃げているのか、自分でも理解出来ない。

「きゃあ!」
地面に露出した拳大の石に躓いて、ハクは盛大にずっこけた。
手足を派手にすり剥いてしまった。鼻血まで出ている。
ハクはあまりの痛さに呻いた後、自分の情けなさに嫌気が差して泣いてしまった。

「うううう……どうして、どうして私は逃げたの……?どうして私はこんなに臆病なの……?」
地面に座り込み、ついさっきの事を思い出していると自然に涙が流れてくる。
216唯一滴の勇気 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/14(日) 20:13:20 ID:rZvALaAa
あの男の人はきっと普通にいい人なのだろう。ケツホルデスに反逆する、あの言葉に嘘はなかったと思う。
きっと警察官というのも全部全部本当で、きっと頼りになる人だったはずだ。
そう、私は頭の中ではそう分かっていたんだ。でもいざとなると、悪いイメージがどこからともなく湧いて出てきて……

自分の臆病さは本当に嫌になる。私はあの男の人がケツホルデスの事を話している時のあの怖い顔に、
きっと怯えてしまったんだわ。でも改めて考え直してみると、あの怖い顔は私を驚かそうとかしているわけじゃなくて、
ただ単純に、彼の話している内容そのもの……ケツホルデスへの怒りが顔に出ちゃっただけだったのよ……

彼の表情に、私は何も考えないで怯えちゃって、逃げる必要もないのにここまで逃げてきちゃった……
頭では分かってたのに!あの人は殺し合いには乗っていないって事くらい分かってたのに!
どうしていつもいつも土壇場になって逃げちゃうのよ!

「ううう……」

ティッシュなど持っていないので、鼻血の処理に困る。
仕方がないので、手で鼻血をふき取ったが、やはり一度ふき取ったくらいでは鼻血は止まらなかった。
何かで圧迫する必要があったので、仕方がなく服の裾で鼻を押さえる事にした。

鼻血と涙でべちゃべちゃになった顔を手で拭う。

「どうしようかな……もう一度あの人に会いに行こうかな……」

ホテル跡がある方向を見つめて、私はあの人の顔を思い浮かべる。
あの人、私がいきなり逃げちゃったりして、怒ってるんだろうな……
あの人、怖い顔の人だったし、出来れば会いたくない……警察官だし、頼りになるのは分かるけど。

ハクははっとなって気づく。言っている傍からまたネガティブな思考をしてしまっている。

(どうして私は“こう”なのかしら……勇気がないと、勇気を振り絞らないと……)

と思いつつ、ハクはとりあえず現実から逃避して、勇気を振り絞るためという口実の元に、
名簿に載った巡音ルカの名前に目を落とすのだ。彼女の親友、巡音ルカ……
早くルカに会いたい。会いたい……あの怖い男の人に会いに行くよりも、本音を言えばルカを探したい。

勇気を出すのは難しい。特にハクのようなタイプの人間にとっては。
現実から、困難から逃げて、逃げた後には合理化と自己正当化のオンパレード。
本人のみが自分は精一杯やったという慰めと偽の達成感に酔いしれる。挙句の果てが悲劇のヒロイン気どり。
ハクはそんな自分が嫌で嫌でたまらなかった。

強い自分に変わりたい、そんな思いはあるが、どうしても勇気を振り絞る事が出きない。
バトルロワイアルという状況なのだから、それは尚更なのかもしれない。

頑張れ、ハク。これからは、自分に負ける事がないように。

【一日目/深夜/E-05】
【弱音ハク@ボーカロイド】
[状態]:健康、鼻血、擦り傷多数
[装備]:
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)、AK-47(残弾数不明)
[思考・行動]
基本方針:死にたくない。ルカに会いたい
1:どうしよう……
※服の一部と手が血塗れ
217 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/14(日) 20:14:45 ID:rZvALaAa
投下終了です
218 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/15(月) 21:31:19 ID:6cx5SH35
24ロワ第17話投下します
219選ぶ時! ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/15(月) 21:33:41 ID:6cx5SH35
F-03神社にて、びくびくと怯えながら物陰に隠れている少女が一人。
緑を基調とした華やかな衣装と、長髪が美しい少女。彼女の支給品はショットガン。
おそらく全支給品の中でも最強クラスの支給品なのだろうが、それを支給された参加者が
使いこなせないのであれば唯の宝の持ち腐れにすぎない。

少女、翠星石はショットガンを抱え込んで涙目になっている。
友達のやる美が吹き飛んだ光景が何度も何度も頭の中でフラッシュバックしている。
やる美をああも軽々しく殺した事を思い出すと、悲しい気持ちと共に悔しさと怒りが沸々と湧いてくる。

「くぅぅ……!あのド腐れ女、今に見ているですよ……」
ケツホルデス……あの女の事を考えると胸がムカムカしてくる。
まったく、本当にとんでもねー、どうしようもない女です。
なんとかして、やる美の仇を取ってやりたいところです……けど

翠星石は心細げに、ショットガンをさらに堅く抱きしめた。
とはいえ、根は臆病な彼女の事。殺し合いという状況は恐ろしい。
やる美の仇以前に、自分が生きていられるのかどうか、やはり、どうしてもそちらの事に気が向いてしまう。
やる美の仇を討ちたいが、自分一人で出来るのだろうか。

ああ、こんな時にあの白饅頭がいれば……多少は役に立ってくれるのに……

と、翠星石が思ったその時である。彼女は心から待ち望んでいた光景を目の当たりにした。

          ____
        /      \ て
       /  ─    ─\ そ
     /    (●) (●) \    おっ?
     |       (__人__)    |
     \      ` ⌒´   ,/    そこにおわすは翠星石かお?
      /         ::::i \
     /  /       ::::|_/
     \/          ::|
        |        ::::|  キュム
        i     \ ::::/ キュム
        \     |::/
          |\_//
          \_/

          ↑心から待ち望んでいた光景
220選ぶ時! ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/15(月) 21:35:29 ID:6cx5SH35


            ', ,. イ.::; .:.:.,     .:.:.::::::::::.`ゝ、
            V/.::/.:.:/      .:.:l:! .:.:::::::::.`ヽ _」 _
          /. .,.ィ.:.::/    .:.:::::::.:.  .l:! 、 .:.:.:::::::::.`、下 .!
            /.:/ .::l:!.:./   .:.:.:.:::::::〃.:/::!::::.:.、 .:.:.:::::::.`、 /
          ./.:/ .::::l:|.:.:.  .:.:.:.:::::::::〃.:/.:::ト、::::.:.ヽ .:.:.::::::::Vヽ     やっ、やる夫!
         /.:/ .:.:::::l:|.:.:. .:.:.::::::::://.:/.::::ハト、.:.:::::', .:.:.:::::::!.::.',
        ./.:/ .:.:.::::::i:|.:.:'"´ ̄`>' /.:/.:::/´ ̄`ヽ .:.:l .:.:.:::::!::::::',
       l:::ハ .:.:.:::::::リ.:.:.:.:::::/ ノ.::/.:::/´ ¨`   V:l .:.::::::j:::::::::
       |::| ',.:.:.:::::.ヽ` `Y⌒_ /:/ ,. ィ'⌒Y77 リ .:.:.:::/l.:::::::::
       |::|  ト、.:.:::::::.ヽ_ 辷_ソ       辷_ソノ ./ .:.:::/ リ::::::::::
       ヽ! {i \.:.::::V///// i     ///// /.:.::/ リ:::::::::::
          {i _」 _ハー--    `        /;:イ   リ.::::::::::::
         {i 下 j} 1.:::ト、   r‐---っ   ノノ_」 _  リ.:::::::::i::::
         {i   j}. \.:.:::>.、  ̄ ̄   ノノ 下 ,.イ|::::::::::|::::
         {i   j}  ,.'´   ``ニニニ"´ノノ   ,.イ:::i:l::::::::::|::::
            {i  jレ' -米‐ 「:に>介フノ_」_  ,..イ.:.:l::::l:l::::::::::|::::
           \〈    ノノl::,.ィイ.:/  下イ .i.::::|::::l:l::::::::::|::::
            ``~~´ ``フ.:::/ ,.'"´    .i.::::|::::l:l::::::::::|::::
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                 /フ ^Y´ ,.r'".:.:.:.:::::::.:.:.`ヽ\:::l:l::::::::::!::::
              //シ'  j! ,〃.:.:.:::::::::::::::::::::::.:.\\!:::::::::!::::
                //シ'  j! 〃.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:\\.:::!::::


「なんだ、やっぱり翠星石かお」
「可愛い可愛い翠星石に再会した第一声が「なんだ」とはずいぶんと人を舐めやがった白饅頭ですぅ」
翠星石が睨みを利かすとやる夫はたじろぐ。
「す、すまんお。そんなに深い意味はないから気にしないで欲しいお」
「まあ、翠星石は寛大ですから、特別に許してやるですぅ」
言葉とは裏腹に、翠星石は先程までとは違い安心しきった表情で物陰から飛び出して、
やる夫の元へと駆け寄った。翠星石が持っているショットガンに、やる夫はギョッとする。

「やる夫……それにしても大変な事になったですぅ……」
やる夫は伏し目がちになり、言われんでも分かってるお、と囁くように言った。
「やる美の事はそんなに気に病む必要はねーですよ。やる夫は何にも悪くないですぅ。
 悪いのは全部ぜーんぶあのふざけた名前のケツホルデスです!」
「…………」

やる夫が俯きがちなのを見て、翠星石はさらに言葉を紡いだ。
こんな風に傷ついているやる夫なんて見たくない。翠星石が好きなやる夫は、
いつもの呆れるほどウザくて、そして呆れるほど行動力に満ちたやる夫だ。
早く元気を取り戻して、いつものようにやる夫と喧嘩がしたかった。

「翠星石だってやる美が死んで悲しいですぅ。でも、悲しいからこそ、
 あの腐れケツホルデスをぶん殴ってやりたいって気持ちも強いですぅ。
 翠星石はやる美の仇を絶対に討ってやるつもりですぅ。翠星石がこう思ってるからって、
 無理にやる夫にまでこの気持ちを押しつけようとは思わないですけど、それでもやっぱり、
 やる美の事をいつまでも引きずって腐るよりかは、別の事を考えて鬱憤を晴らした方が、
 きっと気持ちがいいですよ?」
心配そうにやる夫の顔を覗きこんでくる翠星石の目を、やる夫は視線を上げて見つめ返した。
221選ぶ時! ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/15(月) 21:37:20 ID:6cx5SH35

「あんまりやる夫を嘗めるんじゃねーお。翠星石に言われるまでもなく、
 やる夫はすでにやる美について、自分の中で決着をつけているつもりだお」
「…………本当にそうならそれでいいですぅ」
だが、まだどうも安心できない。翠星石には、どうしてもやる夫がまだやる美の死を引きずっているように見える。
それはやはり、やる夫から普段のウザさとパワフルさが全く感じられないからだ。
いつものやる夫が相手なら、翠星石はついちょっかいを出したくなってくるのだが、
今のやる夫が相手だとどうしてもそんな気になれない。

やっぱり、双子の妹の死というのは想像以上に堪えるものなのだろう。
翠星石だって、双子の蒼星石がもし死んだら、もしこのゲームに参加していたら
と考えると、我が身が引き裂かれるような思いだ。

「やる夫、無理だけはしないで欲しいですぅ。翠星石は、どんな時でもやる夫の味方ですよ?
 辛い時はいつでも、弱音や愚痴を吐いても構わないですぅ……」
「…………翠星石にそんなに優しい言葉をかけられるとは、思いもしなかったお」
翠星石は照れ臭そうに笑いながら
「まあ、今だけですよ!翠星石の優しさは今夜限りのタイムサービスですぅ!
 精々有難がって堪能しておくといいですよ!」
「……感謝するお」

ふと、やる夫は翠星石が持つショットガンに目をとめた。

「どうしたですか?」
「翠星石は、ゲームに乗ろうとは思わなかったのかお? そんなに強そうな支給品があるのに」
「いくらなんでも翠星石を侮辱しすぎですよ。翠星石のような清い心を持つ乙女が、
 人殺しなんてするわけがねーです。そんな事したら、ケツホルデスと同類ですぅ」
「でも、結局は一人しか生きられないお。それどころか、人を殺さないままだと24時間後確実に死んでしまうお……
 翠星石は、乗るかどうか迷う事すらしなかったのかお?」
翠星石はやる夫の真剣な面持ちに気付き、やる夫に対して、真剣に返答する。

「迷う事すらしないですぅ。翠星石はケツホルデスが大っ嫌いですぅ。
 あいつの言いなりになるくらいなら、死んだ方がマシですぅ。
 やる美の仇を討ってやるですよ。24時間以内に、ゲームをぶっ壊して、やる美の仇をとってみせるですぅ。
 やる夫は、乗るかどうか、迷っていたんですか?」
やる夫は目を伏せて、少しの間思案してから、口を開いた。

「いいや、やる夫も迷ってないお。すでに決心は固めてあるお」
「乗らずに、ケツホルデスと戦うつもりなんですか?」
「その通りだお。翠星石と同じ気持ちだお。やる美を殺したあいつだけは、絶対に……」
「それでこそ、やる夫ですぅ」
翠星石は満足気な笑みでやる夫を見た。これでこそ、やる夫だ。
ウザくて馬鹿でどうしようもないけど、彼は本当に素晴らしい正義感を持っている。
いざという時には、最高に頼りになる。

「さあ、やる夫!まずは仲間集めに出かけるですぅ!
 翠星石は主催連中はまず確実にこの島に潜んでいると推測しているですぅ!
 主催の本拠地に皆で一斉に奇襲をかければ、きっと首輪を爆破される前に倒す事も可能だと思うですぅ!」
翠星石は元気よく移動を開始する。やる夫もまた翠星石の後ろを付いていく形で歩き始める。

「ところで、翠星石はやる夫が乗っているか乗っていないか分からないってのに、
 よくあんな風に軽々しく物陰から飛び出てこれたお。もしやる夫が殺し合いに乗っていたら、
 お前、多分死んでるお……」
翠星石は後ろを振り返り、やる夫に向けて飛びきりの笑顔を見せた。
「やる夫が乗っているわけねーです!翠星石は、やる夫を信じているですよ!」

やる夫は翠星石が前を向き直った後、彼女に気づかれないように、溢れた涙をそっと拭った。
いつもいつも翠星石とは喧嘩ばかりしてきたが、実はやる夫自身も、彼女の事を誰よりも信頼していた。
やらない夫と同じく、翠星石はやる夫のかけがえのない親友だと胸を張って言える。
だからこそ、やる夫は辛かった。
222選ぶ時! ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/15(月) 21:40:19 ID:6cx5SH35


          ____
     .ィ:i  /      \
    |::|l| /  ノ  \    \    (翠星石、やっぱりこいつは本当にいい奴だお……
   ィ;|:;||| /( ○)  ( ○)   \
  ,イ⌒iイ:! |  (__人__)   u   |   だから、やっぱり辛い。でも、辛いけど、
  ト,三l^l:;| \ ` ⌒´       /
   ゙l⌒ ´| /´/´`、ー‐  Y   l|    やる夫の決心を完璧に固めるためという点では、
   |  .|/ |_ハ_  \ /   /|
   |  イ  |  ヽ  ´   / |     これ以上なく打ってつけな奴かもしれないお)
    ト、   /|   \ _ /   |

           ____
         /      \              (やる夫は、謝らねえお!これはやる夫自身が決めた事!
        /    ノ   \
      /    ( ○)  (○)'、 ,,_____,,,、  悪人だの鬼畜だの言われても、元々仕方がない事!
      |   u     (__人__)  y"_//___イニニニfi
      \ _    ` ⌒´_,イ~ ̄マニフ,="´ ̄´  やる夫は、やる夫は悪でも構わんから、“あいつ”を……!)
       /´  `゙ ̄ ̄´; "     />´
       〈    _...;::::──,"i ̄´イ
       i  ´ ̄       /、. ̄,/
       |           |   ̄


(────あいつだけは元の日常に返してみせる!!!)

「翠星石、ちょっとこっちを向いてみるお」

「むう、出発早々何なんですぅ……」


    _.. ‐'''''''''''' ‐ 、
   ,r'  ::::::::::::::::::::::\
  /_,ノ  ,,   :::::::::::::::ヽ,   「死ね」
  ( о) ミ ヽ、,,,_ :::::::::::..i
  i.   ミミ( ○)::::::::::: .|
  \(_入_ ∧、  :::::::::::/
     ノ__,,/⌒ヽ\_/
    ./ゝ/|( ● )| i\
    |ノ//\_ノ ^i:::::|
    |^:::::::::::|_|,-''iつl/
    |^:::::::::::::::[__|_|/〉 .
         [ニニ〉
         └―'

乾いた銃撃音が響き、翠星石は胸に穴をあけて地面に崩れ落ちた。
理由はさておき、やる夫がゲームに乗った事、大好きなやる夫が自分を撃った事、
全てに気付かないまま即死できたのは、翠星石にとって、ある意味で幸運だったのかもしれない。

やる夫は翠星石の手からショットガンを拾い上げ、彼女のデイパックの中身を調べる。
その後、なんとなく翠星石の頭を踏みつけてみた。もう心は痛まない。
という事は、やる夫の中の決意が、翠星石を殺した事でとうとう完全に固まったという事なのだろうか。

【翠星石@やる夫スレ常連 死亡】
【残り37人】
223選ぶ時! ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/15(月) 21:42:22 ID:6cx5SH35


▼ ▼ ▼

やる夫は翠星石の死体から急いで離れた後、ポケットから支給品の携帯電話を取り出して、
どこかに電話をかけ始めた。まもなくして、電話の向こう側に女が出る。

『思ったよりあっさり殺せたわね。GJよ』
「御託はいいからさっさと次の獲物の情報をよこせお。ケツホルデス」
「焦るんじゃないわ。こっちだって殺して欲しい奴を選り好みするのに結構手間がかかるのよ?」
「お前の都合なんて知ったこっちゃねーお」

やる夫は携帯を片手に、鼻を穿りながら苛立たしそうに眉間に皺を寄せている。

『そうね。じゃあ次はF-02の役場に潜んでいる夜神月と如月千早にちょっかいを出してきてくれる?
 あいつらをこのまま引き籠らせるわけにはいかないわ。なんとかしていぶりださないとね。ここから近いでしょ?』
「F-02に月と如月千早、分かったお」
『ふふ、それにしても、本当に本当にあっさり殺してしまったわねえ。もしかして、こういう事得意なの?』
ケツホルデスが楽しそうに言う。
「これから、上達していくつもりだお」

やる夫は電話を切り、携帯の電源を落とした。向こうから電話を掛けてこられて、
妙な物音を立ててしまっては溜まったものではないからだ。

【やる夫@やる夫スレ常連】
[状態]:健康
[装備]:デザートイーグル、ショットガン、携帯電話
[所持品]:基本支給品一式(パン残り4個)
[思考・行動]
基本:ゲームに乗る?
224 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/15(月) 21:43:06 ID:6cx5SH35
投下終了です
225 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/15(月) 22:40:15 ID:9uqQ+p0L
投下乙です。や、やる夫……まさかお前が……?
これからの展開に期待せざるを得ないッ!
では自分も個人趣味ロワ63話「お早い立ち直りで」投下します。
登場:伊賀榛名、フラウ
226お早い立ち直りで ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/15(月) 22:42:32 ID:9uqQ+p0L
63話「お早い立ち直りで」


E-3にある年季の入ったラブホテルの屋上に、私――伊賀榛名と、
フラウちゃんは放送を聞くために上がった。
ホテルの個室は完全防音機構だから放送を聞き逃す恐れがあるからね。
所々錆が浮き出た思い鉄製の扉を開けると眩しい光が差し込んできた。

「うおっ眩し」
「ずっと薄暗い部屋の中いたからね…」

眩しさに目がくらみ手を翳す私の隣で心無しかやつれて見える黄金色の毛皮を持った狐娘、フラウちゃんが言う。

屋上は周囲を錆びた金網で囲まれ、これで本当に稼働しているのか疑問に思える程古びた室外機や配電盤が設置されている。
何か端の方には壊れたテレビや冷蔵庫なんかのゴミが積まれてるし、このホテル本当に古いのね。
そんな感じで屋上の様子を見回していると、突然どこからか大音量のサイレンが聞こえてきた。

「うわ、何!?」
「あ、もしかして放送…?」

サイレンが鳴り終わった後、主催者であるセイファートの声が聞こえてきた。
フラウちゃんの言う通りさっきのサイレンは放送の合図みたい。
そしていよいよ第一回定時放送が始まった。



そして放送が終わり、再び大音量のサイレンが鳴り響く。
セイファート曰く放送の前後にあのサイレンを鳴らすらしい。
いや、それよりも……。

「アヤちー…死んじゃったんだ……」
「あ、伊賀さん……」

放送で呼ばれた死者の名前の中に私のクラスメイトである「中村アヤ」の名前があった。
ドジっ娘で運動神経ゼロで、でも私よりおっぱい大きくて可愛かった牛娘のアヤちー。
死んじゃったんだ……もうあの声も聞けないし、おっぱいも揉めないのね。
いや、それ以上に、純粋に悲しいなあ……。

「あ、ごめんフラウちゃん……」
「いや! いいのいいの! その…友達、だったの? やっぱり」
「うん……フラウちゃんは……確か何人か呼ばれてたけど……」
「そうね…太田君に、サーシャさんにシルヴィアさん……」

死者の発表ではフラウちゃんのクラスメイトの名前が三人呼ばれていた。
お互い、知り合いに関してはもう情報は交換し合った。
余り親しくは無いって話だけど、やっぱりちょっと悲しそう。
227お早い立ち直りで ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/15(月) 22:44:50 ID:9uqQ+p0L
「ありがとう。フラウちゃんは優しいね、結構酷い事したのに、気遣ってくれるの?」
「…もう気にしてないよ。こんな時だもの…お互い様だよ」
「……」

あれ……何だか涙が……。

次の瞬間、私はフラウちゃんの胸に飛び付いて、泣いていた。

「……〜〜〜〜〜っ……っ……」
「伊賀、さん……」

……ああ駄目だ、涙が止まらない。
しばらくフラウちゃんの胸を借りて泣かせて貰おう……。



私の胸の中で声を押し殺して泣いている黄色い狐族の少女。
つい一時間程前まで私にとても言葉に出来ないような性的悪戯をしてきた相手だけど、
今は、本当に普通の女の子に見える。
きっとこれが伊賀さんの素顔なんだろうな。

それにしてももう20人も脱落しているなんて、やっぱり殺し合いに乗った人は多いのね。
前回の殺し合いの時もそうだったけど。
私のクラスメイト――特に親しい訳では無かったけど――も、三人死んだ。

思えばゲームが始まった直後ぐらいからずっと伊賀さんに捕まってたからなあ。
いよいよ本格的に脱出の手立てを考えないとマズイ。
何かコンピューターがあればもしかしたら首輪の管制システムをどうにか出来るかもしれないんだけど。

「ん…ありがとフラウちゃん、もう、大丈夫だよ。もう、平気」

涙を拭い、目を真っ赤にしながら伊賀さんが私から離れる。
気丈に振舞ってはいるけど精神的ショックは大きいように見える。

「…伊賀さん。私はこのゲームから脱出する手段を探そうと思うの。
でもそれには伊賀さんの協力も必要…お願い、一緒に頑張ろう、伊賀さん」
「うん、分かった…改めて、宜しくね、フラウちゃん」
「こちらこそ。伊賀さん」

朝日が照らす屋上の上で私、フラウと伊賀さんは改めて共闘を誓った。
228お早い立ち直りで ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/15(月) 22:46:10 ID:9uqQ+p0L
「所で伊賀さんの支給品って……」
「私? これ」
「うわっ……」

伊賀さんがデイパックから取り出したのは映画なんかで見るような散弾銃。

「それとフラウちゃんを気絶させるのに使ったスタンガンね。
フラウちゃんは特殊警棒と、ロープだっけ?」
「うん…正直『無いよりはマシ』って感じだけど」
「大丈夫だよ。私が付いてるから……あ!」

突然、伊賀さんが何かを思い出したような声を上げた。

「? どうしたの、伊賀さん」
「うっかりしてた……」
「え?」
「ロープがあるなら、もっとプレイの幅が広がったのに!」
「…………」

伊賀さん、結構、大丈夫そう?


【一日目/早朝/E-2市街地裏繁華街ラブホテル】

【伊賀榛名@オリキャラ】
[状態]:健康、悲しみ
[装備]:モスバーグM500(6/6)
[所持品]:基本支給品一式、12Gバックショット弾(30)、
スタンガン(バッテリー残り95%)
[思考・行動]:
0:殺し合いはするつもりは無い。但し襲われたら対処。
1:フラウちゃんと行動を共にする。
2:千穂ちゃんは生きてるかな……。
3:アヤちー……。
[備考]:
※フラウとお互いの知人についての情報を交換しました。
229お早い立ち直りで ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/15(月) 22:47:09 ID:9uqQ+p0L
【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的、精神的疲労(大)
[装備]:特殊警棒
[所持品]:基本支給品一式、ロープ
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段の模索。
1:伊賀さんと行動を共にする。
2:パソコンが欲しい(出来れば高スペック)。
3:仲間を集める。
4:クラスメイトと合流する?
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※伊賀榛名とお互いの知人についての情報を交換しました。



≪支給品紹介≫
【モスバーグM500】
アメリカ、モスバーグ社が開発したポンプアクション式散弾銃。
非常にオーソドックスな作りで、元々は狩猟用だが各国の警察や軍隊からの需要も高い。

【スタンガン】
電気ショックを与える護身用具の一種。
フィクションの世界ではスタンガンで気絶させる描写が多いが、
実際には歩行困難にはさせるが気絶する事はまず無い。
但し本ロワに登場するスタンガンは改造を施され、気絶させる事も出来るらしい。
230 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/15(月) 22:48:04 ID:9uqQ+p0L
投下終了です。
231天国への階段 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/15(月) 23:08:29 ID:WDBxWOCf
「…はっ!?ここは…?」
目を開くと、さっきとはまったく違う光景が広がっている。
体を起こす。
「ああ、俺死んじゃったんだっけ…」
辺りを見回すと、人が集まっている。
そこには…1回放送で名前が呼ばれた人たちが集まっていた。
「え!?ああ、別におかしくないか…」
その方向に向かって歩き出す◆PURIN//46E。

「死んじゃったんですか。残念でしたね」
落胆している◆PURIN//46Eを宥める田鼠。
「あーあ、まさか下痢さんにやられるとはなあ…」
少し元気を取り戻したがまだ元気が無い。
そこにある人物が尋ねてくる。
「下痢さんにやられたのか、お疲れ様」
…◆Right//mkoだった。
だが、その言葉を聞いて◆PURIN//46Eの顔色ががらりと変わる。
「…お疲れ様、だと!?」
「い、いや別に深い意味で言ったんじゃ…」
あわてて弁解する◆Right//mkoの言葉も耳に入らず、さらに怒鳴る。
「こんな所で殺されて、なおかつ何もできずに殺された俺の悔しさがお前に分かるか!」
さっきとはまったく別人のようになり怒鳴りつける。
「わ、悪かったよ…だから落ち着いてくれ」
ばつの悪そうに言う◆Right//mko。
「…もういいよ…今さら何を言っても無駄だってのは自分が一番良く分かってる」
まだ怒りが収まらない調子で言う◆PURIN//46E。
(下痢さん…いや、下痢。こっち来たら絶対に許さねえからな)

【一日目・朝/天国】

【◆PURIN//46E@板対抗BR】
[状態]:霊体、怒り
[装備]:無し
[所持品]:無し
[思考]
1:絶対許さないからな…覚悟しろ
2:今更言っても無駄ってのは分かってる…だが…!

(怖っ…会場で会ってたら殺されてたかも…)

【◆Right//mko@板対抗BR】
[状態]:霊体
[装備]:なし
[所持品]:なし
[思考]
1:…悪い事言っちゃったか…


【田鼠@板対抗BR】
[状態]:霊体
[装備]:なし
[所持品]:なし
[思考]
1:バトロワを見守る。
2:今まで見たことない程の怒りだった…
232天国への階段 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/15(月) 23:09:50 ID:WDBxWOCf
投下終了です
233 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/15(月) 23:11:19 ID:6cx5SH35
投下乙です。なかなか面白いコンビw

24ロワ第18話投下します
234────ねえ ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/15(月) 23:13:30 ID:6cx5SH35
めのまえがまっくらになった────

鏡音リンの全身から力という力が穴の空いた風船のように抜けていく。
萎み切ったリンは、その場で両膝をつき、目の前の光景を光のない目で見つめた。
彼女の目の前には、顔面が陥没し、ピクリとも動かない鏡音レンの死体があった。

こんな事が……こんなバカな事が起こる筈が……
ねえ、どうして寝てるの?どうして声をかけても起きてくれないの?
ねえ?ねえ?ねえ?ねえ?ねえ?ねえ?ねえ?ねえ?ねえ?

レンの体をゆさゆさと揺すってみたが、レンは反応を返してくれなかった。

「ねえ、レン、どうしちゃったの?どうして返事してくれないの?ねえ?」
からかうのもいい加減にしてよ。こんな状況で死んだ真似をするなんて、
なんて趣味の悪い冗談をするのよ。ねえ?私は鏡音リンよ?

「ねえ、私は鏡音リンよ?私は貴方の双子の姉よ?私が貴方を襲うわけないじゃない。
 ねえ、だから死んだふりなんてする必要はないのよ……ないのよ……
 ねえ、いつまで私をからかうつもりなの?もういいから!レンが悪戯好きなのは知ってるけど……」
リンは変わらない調子でレンに話しかけ続ける。

この悪戯好きは本当にどうしようもない奴だわ……こんな状況でも私をからかいたいみたい。
どうしてくれようかしら。どうしたらこいつの悪戯を止めさせられるのかしら。
ねえ、レン、貴方は何をどうしたら死んだふりを止めてくれるの?
私は貴方の死んだふりに騙されたふりをすればいいの?ねえ、そうなの?
そんなの、嫌よ!レンが死ぬなんて、家族が死ぬなんて冗談でも嫌よ!
ねえ、やめてよ。やめてよ本当に。冗談なんてしている場合じゃないでしょう?

あっ────そうだ。
いい事を思いついた。レンは脇をこそばされたらいつもいっつも大笑いしてしまう。
小さい頃から、ずっとずっと、レンの弱点は腋だった。

早速リンはレンの腋をこそばしてみる。

あれ……?おかしいわ。どうして?どうしてピクリとも反応しないのかしら……
いつの間にレンはこんなに我慢できるようになったの?
おかしいわ、こんなの……レンじゃない。……もっとこそばしてやる!

リンは必死になってレンの腋を弄くり回した。こそばしてこそばしてかつてない激しさでこそばし攻撃を続けた。
そんなリンとレンの姿を、民家の脇に隠れて盗み見ている男が一人いた。
男の名は木吉カズヤ。レンを殺した男だ。彼はカイトを追いかけていたのだが、
先程レンを殺した場所に何者かが近づいてきているのをレーダーで探知し、逃げるカイトよりは
相手にしやすいだろうと判断し、この村に戻って来た。

カズヤがこっそりと覗いていると、レンの脇を執拗に攻めていたリンが嬌声をあげた。

「ふ、ふふふふ、ふふ。今ぴくって動いたでしょ、レン。私、見逃してないわ……!
 ねえ、だからもう冗談はそろそろ終わりにしましょうよ。早く一緒に、姉さんや兄さん達を探しに行きましょう?
 ねえ、ねえったら……!え、何? 何なの?」
235────ねえ ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/15(月) 23:14:47 ID:6cx5SH35


カズヤは神妙な面持ちをリンに向けている。リンはというと、何か、小声でレンに話しかけているようだ。
さっきまでの声より、ずっとずっと小さい。さすがに聞き取れないので、カズヤは歯がゆく思った。

(なんなの?レン、怪我?怪我して動けないの?えっ、顔を怪我したの?
 いつ?ねえ、いつ、どうして怪我しちゃったの?まさか、誰かに襲われたの?
 嘘でしょう?こんなバカみたいな殺し合いに、誰か乗る人がいるなんて……
 え、ほ、本当なの……?)

「う、嘘よ!そんなの嘘よ!誰も殺し合いなんて望んでないのよ!」
リンは突然大声を上げた。
「いくらなんでも、殺せって言われて殺せる人間がいる筈ないじゃない!
 元々このゲームは成り立たないのよ!だって、だって誰も乗らないからよ!
 え……そ、そんな事ないって、何を根拠にそんな事を……!!」

間違いない。彼女は死体と会話している。今の彼女の叫びでカズヤは確信した。
つまり、彼女は極度の精神錯乱状態にあるのだろう。ある種の幻覚を見ているのかもしれない。
カズヤは顎に手を当てて考える。ここで彼女を殺すべきか否か……
殺すのは簡単だが、彼女の精神錯乱はカズヤにとって都合の良い方向に転がってくれるかもしれない、
という淡い期待もある。レンは死んでいる。どうせ、レンを殺したのが自分だとはばれるわけがない。
それに加えて、彼女は非力な少女。今自分が彼女を殺さなくとも、きっとどこかで他の誰かに殺され、
力尽きるのは目に見えている。

さて、こうなったら、彼女を生かしておいた方が良さそうに思えてくるが……


「レン、ねえ、レン……その顔の傷は……いったい誰にやられたの?
 教えてよ……動けないレンの代わりに、私がきっとそいつをやっつけてあげるから……
 ねえ────レン……!!」

【一日目/黎明/C-3 鎌石村】
【木吉カズヤ@本格的!ガチムチパンツレスリング】
[状態]:健康
[装備]:メリケンサック、首輪探知機
[所持品]:基本支給品一式(パン残り3個)、ロープ
[思考・行動]
基本:全てはチャンス!優勝して強くなりたい。出来れば兄貴と決着をつけたい。
1:あの子(リン)をあえて生かしておくのも面白いかもしれないな……
※24時間ルールのノルマを達成しました。
※鏡音レンの支給品を拾いました。

【鏡音リン@ボーカロイド】
[状態]:健康、精神錯乱
[装備]:
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)、不明支給品1〜2個
[思考・行動]
1:ねえ、レン……!
236 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/15(月) 23:16:19 ID:6cx5SH35
投下終了です
237全盛期のイチローでも ◆6LQfwU/9.M :2010/02/16(火) 23:52:22 ID:pP+7s1cM
「一体どうなっているんだろうか…」
竹林の中を彷徨うイチロー。
(確か僕は練習をしていたんだ、だが気が付くとこんな所にいた…)
なおも竹林の中を歩く。
「…誰かいるんですか?」
不意に呼び止められ一瞬体が硬直する。
「…ええ…」
無難に返答する。
「なら話は早いです。。。」
パン、と乾いた音が響く。
「う…」
イチローの腹部に鋭い痛み、そして…なぜか熱い。
(何が…起こったんだ…)
そう思い残しつつ、イチローはその場に倒れた。

「結構、人を殺すのって簡単ですね。。。」
イチローが背負っていたデイパックを開け、中身を出すgumi。
(十手とマイク…ゴミしかない。。。)
仕方無く、その2つを地面に放り投げて立ち去る。
「やっぱり、自分のだけで十分です。。。」


【一日目/黎明/D-2:竹林】


【gumi@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:チェコ製Cz/M75(8/9)@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、不明支給品
[思考・行動]:
基本:生きて帰る
1:頑張らないと。。。
※銃声が響きました。

【イチロー@ニコニコ動画 死亡】
死因:射殺
238理解できない状態 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/17(水) 00:08:06 ID://kpR72g
明るくなった病院の前に立つ2人の男。
「おいおい…銃声がしたと思ってこっちの方に来たら…」
倒れている男に駆け寄る07。
(パフェ…何でこんなとこで死んでるんだ)
「知ってる奴なのか?」
その後ろから雷電が問いかける。
「ああ…こいつは俺と同じ軍の仲間でな…」
“軍”と言う言葉に少し疑問を感じる雷電。
が、それはあえて聞かずに話を進める。
「そうか…」
07はもう冷たくなっているパフェニーの体をその場に寝かし、病院へ向かって行った。
(…ん?これは…)
雷電は地面に転がっているデイパックから何かがのぞいている。
それを拾い上げ、まじまじと見つめる。
(爆弾?まあいい、貰っておこう)
少しデイパックの中を調べてみたが、起爆装置のような物は見当たらなかった。
「…おい!雷電、ちょっと来てくれ」
07が病院の中から呼びかける。
「ああ、今行く」

「ここでも人が死んでいるのか…」
ロビーに転がっている死体を見下ろし呟く雷電。
「プリンじゃないか…何でこうも知ってる奴が多いんだ…」
07が小声で呟く。
(頭を撃ち抜かれてるな…この分だと即死か。まあ苦しむよりまだいいか)
よく◆PURIN//46Eの死体を見る。
体に触れてみると、まだ暖かく死んでからそれ程経っていないことが分かる。
「…やめよう。調べても、何の解決にもならない」
雷電が07に呼びかける。
「ああ…そうだな」
辺りをうかがうが、人の気配は無い。
(殺した奴はもう何処かに行ったか…)


【一日目/黎明/E-7:病院ロビー】


【07@板対抗BR】
[状態]健康
[装備]:デザートイーグル@現実
[所持品]:支給品一式、ロア全集@その他
[思考・行動]:
1:パフェニー、そしてプリンを殺害した人間を捜索?
2:なぜこうも知っている人間が…?



【雷電@メタルギアソリッドシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ねぎ(武器)@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、不明支給武器
[思考・行動]:
1:…。
2:ま と も な ぶ き が ほ し い
239 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/17(水) 00:09:41 ID://kpR72g
投下終了です
240創る名無しに見る名無し:2010/02/17(水) 00:49:17 ID:SM9yiaQw
投下乙
でもプリンの事気にかける07に違和感
本人こないだラウンジ軍ですら気に留めてなかったのに
241 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/17(水) 00:51:52 ID://kpR72g
それもそうですね

【一日目/黎明/E-7:病院ロビー】


【07@板対抗BR】
[状態]健康
[装備]:デザートイーグル@現実
[所持品]:支給品一式、ロア全集@その他
[思考・行動]:
1:パフェニーを殺害した人間を捜索?
2:なぜこうも知っている人間が…

修性します
242 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/17(水) 01:07:40 ID:oV+1diHf
投下乙です。では自分も個人趣味ロワ64話「距離近いが全く接触無し」投下します。
登場:聖徳太子、宮田司郎
243距離近いが全く接触無し ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/17(水) 01:10:48 ID:oV+1diHf
64話「距離近いが全く接触無し」

E-2裏繁華街、大人の店が建ち並ぶこの裏世界とも言うべき場所にも朝日が光をもたらす。
恐らく日の光に当てられるべきでは無いいかがわしい看板が浮かび上がる。
何も性的サービス店だけでは無い、違法賭博や闇金融といったものも多い。
その中の一つ「壱里塚金融」と窓に書かれた事務所の中に、聖徳太子はいた。

「良かった、妹子はまだ生きているようだな…」

適当な事務机に座り、椅子にもたれながら胸を撫で下ろす。
この殺し合いにおける唯一の知人であり自分の部下、小野妹子。
先刻の定時放送で行われた死者発表の中に、その名前は無かった。

「とりあえず妹子がまだ生きているという事は分かったが、
もう20人も死んでいるのか…」

部下の生存確認に安心したのも束の間、意外に多い死者数に思い詰めた顔になる。
自身を含め全48人の参加者の内既に20人脱落、残りは28人。
思いの外ゲームの進行速度が速いのだ。
妹子は今この時点では生きているようだがもしかしたら満身創痍で死に掛けているかもしれない。
ゲームが始まってから二人の殺し合いに乗った参加者と交戦し、
何とかその二人を振り切って逃げ回った末にとある雑居ビル三階の金融会社事務所、
つまり現在の場所に身を潜めているのだが肝心の妹子はまだ見つからない。

「くそっ、どこにいると言うんだ妹子…!」

一体妹子はどこにいるのだろうか。
デイパックから地図を取り出し、食い入るように見詰める。
今自分がいる場所はデバイスによればエリアE-2。
どこにいるか分からない以上、近くにある、目立ちそうな建物から探索するしか無い。
地図によれば北の方角に病院があるらしい。

「ここに行ってみるか…妹子がいる保証などどこにも無いが」

次の目的地を北にある病院に定めた太子は、荷物を纏め、
狩猟用狙撃銃を装備し、金融会社事務所玄関へ足を進めた。
244距離近いが全く接触無し ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/17(水) 01:11:49 ID:oV+1diHf
白衣姿の男、宮田司郎は建物の陰で放送を聞く事となった。
放送の前後に鳴り響いたサイレンに、宮田は覚えがあった。
それは、この殺し合いに呼ばれる直前、あの森の中で意識を失う直前に聞いたサイレンの音とよく似ていた。
だが特に気にする必要も無いと判断し、余り気には留めなかったが。

放送が終わり、宮田は20人の名前が横線で消された名簿、
そして禁止エリアの詳細が書き込まれた地図を交互に見返す。
死者の中には、知り合いでは無いが自分と同じ村に住む「志村晃」の名前もあった。
そして禁止エリアだがD-1、C-2、G-2、F-5、G-4の五つが午前7時から侵入不可になる。
いずれも自分がいる場所からは離れており行く予定も無い場所だ。

「さて、どこに行くか」

他参加者を捜すため、移動しようとする宮田だが、
あのレオーネと名乗った怪物がいる可能性が高い病院とその周辺にはもう二度と行く気は無かった。
そう言えば病院で交戦した曽良という和服姿の青年の名前も、放送で呼ばれていた。
どうやらあの場は逃げて正解だったようだ。曽良はあの後レオーネに殺害されたと見て間違い無い。
一体、どのような殺され方をしたのか、余り想像したくも無い。

「とりあえず、東の方を回ってみるか」

現在位置から東の方向、エリアE-3の方向に向かう事を決める。
重量のある刀を携え、宮田は再び歩き出した。



【一日目/早朝/E-2裏繁華街】

【聖徳太子@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:肉体的疲労(小)、烏帽子無し、F-3病院へ移動中
[装備]:狩猟用狙撃銃@SIREN(4/5)、トレンチコート
[所持品]:基本支給品一式、7.62o×51o弾(30)
[思考・行動]:
0:このゲームを滅茶苦茶にしてやる!
1:病院へ行ってみよう。
2:妹子はどこにいるんだ?
3:レオーネに注意。
[備考]:
※単行本第九巻第168幕「聖徳太子の持っている木の棒」より後からの参戦です。
※レオーネを危険人物と判断しました。

【宮田司郎@SIREN】
[状態]:健康
[装備]:アインの刀@FEDA
[所持品]:基本支給品一式、応急処置セット(調達品)
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗る。但し優勝したい訳でも無い。
1:東の方へ行ってみるか。
2:他の参加者を見つけ次第、殺す。
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、意識を失った直後からの参戦です。
従って幻視能力は目覚めていません。
※レオーネの名前と容姿を把握しました。
※聖徳太子からは離れた場所にいます。
245 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/17(水) 01:13:40 ID:oV+1diHf
投下終了です。良いタイトルが思い付かねぇ。
246 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/17(水) 01:19:16 ID://kpR72g
投下乙です
247 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/18(木) 00:25:55 ID:RKmZH2l5
個人趣味ロワ65話「自分自身を保つため」投下します。
登場:アルソンズ・ベイル、章高
248彼は彼でありたかった ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/18(木) 00:27:59 ID:RKmZH2l5
※タイトル変更します。
65話「彼は彼でありたかった」

エリアG-4の教会、神父控室。

そのサイレンが鳴り響いた瞬間、彼――アルソンズ・ベイルに異変が起こった。

「う、うあ、あああぁああ゛っ」

突然頭を抱えて、悲鳴を上げながら苦しみ出したのだ。
明らかに尋常では無いその様子に同行者である章高はしばし口を半開きにしながら唖然としていたが、
すぐに我に戻りアルソンズに駆け寄る。

「アルソンズさん!? 大丈夫で――」
「く、来るな、危ない、今はっ、いま、あ、あ゛――」
「え…!?」

しかし心配する章高にアルソンズは苦しみながらも近付くなと警告を発する。
「危ない」という言葉がどういう意味なのか、章高には分からないが、
当人の様子から察するに、非常にまずい事態になってきている事は察知出来た。
そして不意にサイレンが鳴り止む、と同時にアルソンズも苦しみから解放されたようだ。
ガクリと床に膝を突き、ゼエゼエと肩で息をする。顔には脂汗が滲み出ていた。
再び章高が近寄ろうとしたが、またもそれは阻まれる。
第一回定時放送が始まったのだ。

「しょ、章高、放送だ……メモを…頼む……」
「は、はい」

顔面蒼白になっているアルソンズが心配だったが、
他ならぬ当人の指示により、章高はテーブルに向かって座り、
ペンを片手に放送内容に耳を傾けた。

『じゃあまず、禁止エリアから行こうかな。ちゃんと聞いて記憶してね。
覚えられなかったらメモ取った方が良いよ。じゃあ言うねー。
今から1時間後の午前7時に、D-1、C-2、G-2、F-5、G-4の五つが禁止エリアになるよ!
もう一度言うね。今から1時間後の午前7時に、D-1、C-2、G-2、F-5、G-4の五つ!
覚えた? 二回も言ったよ。しっかり頭に入れておいてね』
「禁止エリア…午前7時から、D-1、C-2、G-2、F-5、G-4…えっ!? マジ…」

主催者でるセイファートから発表された五つの禁止エリアの中には、
現在章高とアルソンズがいる教会が存在するG-4が含まれていた。
しかしそれに気を取られる間も無く今度は死者の発表が行われる。

(もし、費覧の名前が呼ばれたら…それはそれで気が楽になるんだけど)

妙な期待を寄せつつ参加者名簿を取り出し呼ばれた名前に横線を引いて消していく。
そして呼ばれた名前は全部で20人だったが、彼の知人である妖狐の女性、費覧の名前は呼ばれなかった。
249彼は彼でありたかった ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/18(木) 00:29:39 ID:RKmZH2l5
(やっぱりな…あいつがそう簡単に死ぬ訳無い、か)

肩を落としている章高の後ろで、アルソンズは未だ立ち上がれずにいた。
床の上にポタポタと、血の雫が滴り落ちる。
それはアルソンズの両目から再び溢れ出した血の涙だった。

(何なんだ、この感覚は、自分が自分で無くなっていくとは、この事か)

先程の大音量のサイレン、あれを聞いた瞬間、今まで感じた事の無い割れるような頭痛が襲ってきた。
このまま、頭が破裂するのでは無いかという激痛。
しかし同時に、幸福感にも似た奇妙な感覚に包まれた。
これは紛れも無く墓場で発狂した松尾芭蕉という男に謎の液体を注射された直後に感じたもの。
だが、以前よりも遥かに酷くなっている。
あのサイレンだ――アルソンズはある予測に辿り着く。

(さっきの、あの、サイレンか? また、鳴ったら――ちょっと待て)

ここでセイファートが放送の冒頭部分で言っていた事を思い出す。

『さっきのサイレンびっくりした? 言い忘れてたけど放送の前後にあのサイレン鳴らすからね。
どこにいても聞こえるように大音量にしておいたから。優しいでしょ?』

そして、定時放送が終了した。

(ま、まずい――)

再び、会場にサイレンが鳴り響く。

「うわああぁああああぁァァァアああぁアアアアアあああああアアァァアアア!!!!!」
「アルソンズさん!?」

今度は床の上で激しくのた打ち回るアルソンズ。
まるで残酷極まりない拷問を受ける受刑者を思わせる、苦痛と絶望に満ちた悲鳴。
今度は章高は近付く事さえ出来なかった。
余りに壮絶なその光景に、怯み、震えながら見詰める事しか出来ない。
何とかしてやりたい、助けたいという気持ちはあれど手立ては何も見付からず。
ただただ目の前で同行者が苦しむ姿を見ている事しか出来ない。

「ギッ、ウ、ゲエエエエエエエッ、エ、ア――………………」

突如、あれ程苦しんでいたアルソンズが床に伏したまま、大人しくなった。
それは、耳障りなサイレンが鳴り止んだのとほぼ同時であった。
250彼は彼でありたかった ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/18(木) 00:30:48 ID:RKmZH2l5
「あ、アルソンズ、さん…?」
「……」

恐る恐る章高が声を掛けるが、アルソンズは返答しない。
章高はとても嫌な予感がした。

「……クッ、ククク」

小さな笑い声を上げながら、アルソンズがゆっくりと立ち上がる。
しかし完全に立ち上がっても、章高の位置からでは身体の側面になり顔はよく見えない。
そして、アルソンズが顔を章高の方に向けた――瞬間、章高は硬直した。

「しょ……う……こ…う……フフッ、ハハハ」
「あ………あ…………!」

ほとんど死人のように青白くなった肌、両目から流れる真っ赤な血の涙、歪んだ笑みを浮かべる口元。
そこにいたのは、もはやアルソンズ・ベイルという壮年の紳士では無かった。
アルソンズだったそれは、歪んだ笑みを浮かべながら、コートの下に右手を入れる。
そしてベルトに差し込んでおいたリボルバー銃――マニューリンMR73を引き抜き、銃口を章高に向けた。

「う……く……」

早く逃げなければ、頭で分かっていても銃を突き付けられ、足が竦み動けない。

(これまでかよ……ああ費覧、この際お前でも良いから会いたい――)

死を覚悟し、目を固く瞑る章高。
そして。

一発の銃声が部屋の中に響いた。

(……え?)

銃声はしたが、自分の身体には何も起こっていない。
目を開け、何が起こったのかを章高は知る。

「ハァ、ハァ、ハァ、い、イかん、いカン」
「あ、アルソンズ、さん?」

寸での所で、アルソンズは自我を取り戻す事に成功した。
そして咄嗟に銃口を反らし、放たれた銃弾は章高の後ろ、テーブルを挟んだ先にある壁に着弾した。
だが、アルソンズは気付いていた。自分の「自分」としての意識は、間も無く消えるという事に。
頭の中で何者かが繰り返し囁く。「殺せ」と。
そしてそれは「自分自身の欲求」へとなり代わっていっている。
最早時間は無い。それまでに、やるべき事はしなくては。
アルソンズは残った自我で、章高に話し掛ける。
251彼は彼でありたかった ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/18(木) 00:32:43 ID:RKmZH2l5
「章高、ヨく聞け。ワシハモウ、ワシでハ無くなるよウだ」
「そ、そんな」
「フ、フフフ、ダガな、章高。ワシは、アくマデ、ワシとして死にタいんだ。
作家、アルソンズ・ベイル、トして、ナ」
「え――?」

言う事を聞かない自分の身体に喝を入れ、アルソンズはゆっくりと、
マニューリンの銃口を自分のこめかみに当てた。

「!! な、何を!? やめて下さいアルソンズさん!!」

何をしようとしているのか察した章高は必死の形相でアルソンズを説得しようとするが、
アルソンズは悲しそうな笑みを浮かべ首を横に振る。

「いや、イいんだ章高。コうしなケれバ、駄目なんだ。
このままじゃ、ワシはお前ヲ間違い無ク、殺シテしまう。
たっタ、す、数時、間、ダッたトは言エ、行動を、と、共にした、かラな。
ソ、ソンナ、事、アッチャ、ナ、ナラナ、イ」
「だけど、だけど…!」

アルソンズの声音は、もはやほとんど原形を留めていなかった。
しかし、最後の最後、彼は自分自身の声音で言葉を伝えた。

「――すまんな、章高」

ダンッ、という銃声が再び部屋の中に響き、
こめかみから脳髄を357マグナム弾の弾頭が貫通したアルソンズは、
その場に崩れ落ち――そして、永遠に動かなくなった。
252彼は彼でありたかった ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/18(木) 00:33:59 ID:RKmZH2l5
「…………」

アルソンズの自決を目の当たりにした章高は、床に座り込んだまま呆然としていた。
その目からは、恐らく本人も気付かぬ内に、透き通った涙が流れていた。
しばらくぼーっと虚空を眺めていただけだったが、ふと、何かを思い出したかのように、
ふらつきながらも立ち上がり、テーブルの上の自分の荷物をまとめ始める。
そして、アルソンズの死体に近付き、傍に堕ちていたマニューリンを拾い上げると、
アルソンズのデイパックの中から予備弾である357マグナム弾を取り出した。

「……行かなきゃ、この辺、禁止エリアになるから……」

ほとんど上の空のような口調だった。
マニューリンに弾を装填してズボンのベルトに差し込み、
デイパックを背負い、章高は教会の裏口へと歩き始めた。


【アルソンズ・ベイル@オリキャラ  死亡】
【残り  27人】


【一日目/早朝/G-4教会】

【章高@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(中)、精神的ショック状態
[装備]:マニューリンMR73(6/6)
[所持品]:基本支給品一式、357マグナム弾(27)、参加者詳細名簿@オリジナル
小型催涙スプレー(3)、自主製作映画企画書@自作キャラでバトルロワイアル
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。とにかく生き残る。
1:……。
2:費覧には出来れば会いたくない。会いたくない。
[備考]:
※自主製作映画企画書に載っている9人の名前、
「エルフィ」「太田太郎丸忠信」「北沢樹里」「吉良邑子」
「サーシャ」「シルヴィア」「ノーチラス」「フラウ」「森屋英太」と参加者名簿に載っている
同名の人物は、同一人物であると確信しました。



※G-4教会神父控室にアルソンズ・ベイルの死体が放置されています。
253 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/18(木) 00:34:49 ID:RKmZH2l5
投下終了です。
254 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/19(金) 02:19:35 ID:xLUAyR/G
個人趣味ロワ第66話「予測不能とはこの事」投下します。
登場:小野妹子、リュード
255予測不能とはこの事 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/19(金) 02:21:44 ID:xLUAyR/G
66話「予測不能とはこの事」

僕、小野妹子とリュードさんは、エリアD-2の一角にある倉庫の中に身を潜めていた。
周りには得体の知れない荷物が大量に積み上げられていて、
とても圧迫感があり息苦しさを感じる。
特に、僕の隣に座っている青い毛皮を持った長身の竜、リュードさんは、
僕よりもっと窮屈だろう。

デイパックの中に入っていたコッペパンを食べながら、
僕とリュードさんは第一回放送の時を待っていた。

「はあ、美味しく無い。っていうか、もう無いんだけど」

四つ入っていたコッペパンを全て食べてしまったリュードさんは、
とても不満そうな表情を浮かべている。
確かにあの身体でコッペパン四つだけっていうのは足り無さそうだ。

「……」
「え? リュードさん?」

何故かリュードさんが涎を垂らしながら僕の方をじっと見詰めている。
ちょ、これはまずい状況なのでは!?

「…冗談だよ、冗談」

良かった、本気では無かったみたいだ、って言うかリュードさん冗談言えたのか…。
僕がホッと胸を撫で下ろした、その時だった。
どこからともなく凄い大音量のサイレンが鳴り響き、僕はその音の大きさに、
思わず耳を手で塞いでしまう。

「うわあっ、な、何だ、このサイレン!?」
「今朝の6時だから、放送前の予鈴みたいなものじゃないかな」

耳から手を離してサイレンを聞いていると、程無くして止み、
次に聞こえてきたのはこの殺し合いを開催した張本人である、セイファートの無駄に明るい声。

『はいはーい皆さんお久し振りでーす。私だよ。セイファートだよ。
頑張って殺し合ってるゥ? 張り切ってくれてる人も多いけど、
何だかなあ、まだ戦うの拒否ってるお馬鹿さんがいるんだよねー本当にしょうがないなあ』
256予測不能とはこの事 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/19(金) 02:23:25 ID:xLUAyR/G
戦うのを拒否? 当然じゃないか!
全員が全員、殺し合いをしたいなんて思わ無いだろう。
きっと僕と同じように殺し合いに乗らない意思を固めている人も大勢いるはず。
リュードさんは…決して、進んで戦う様子は無いけど、どうなんだろう?





再びサイレンが鳴り響き、放送が終わった。
禁止エリアと、死亡者の発表、そしてセイファートの他愛も無い与太話。
それが放送の内容。

禁止エリアはいずれも現在位置からは離れた場所で、特に注意する必要も無さそう。
ああ、D-1は今いるエリアのすぐ隣だから一応気を付けた方がいいかな。
それで死者の発表だけれど、私が捜している「レオーネ」、そしてイモコの捜している「聖徳太子」、
どちらの名前も呼ばれなかった。
私としては「聖徳太子」が呼ばれても関係無いんだけどね。
ああ、そうだ…そろそろこのイモコ、捨ててこうかなあ。
いい加減邪魔になってきたし。

――あ、そうだ。

「イモコ、良かったね。聖徳太子の名前が呼ばれなくて」
「は、はい、でも、もう20人も死んでいるなんて……」
「ねえイモコ」
「何でしょうか?」

私は手に持った軽機関銃、ミニミの銃口を妹子に向けた。
そうそう、私、これの試し撃ち、してなかったんだよね。
だから、イモコには悪いけど――。

「じゃあね」
「え――――」

引き金を引いた瞬間、無数の弾丸の雨が妹子に降り注いだ。
257予測不能とはこの事 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/19(金) 02:24:42 ID:xLUAyR/G
「……子! 妹子!」
「え……ん、あ……た、太子?」
「全く、私が話しているというのに居眠りをするとは何事だ!」

目の前で、太子がいつものように頭から湯気を出しながら怒りを露わにしている。
辺りを見回すと、そこは僕が住む街の外れの原っぱ。
遠くでは旅人らしき人々も見える。
ああそうだ、今日はまた太子に呼び付けられて来たんだっけ。
全くこのアホ太子は人の迷惑なんて全く考慮しないんだから…。

「聞いているのか妹子! いい加減目を覚ませ!」
「はいはい聞いていますよ。それで、えーと何でしたっけ?」
「全くう〜本当に妹子は……いいか、耳の穴をよくほじって、よく聞くんだぞ!
私はな……」

はあ。こんな人がこの倭国の最高権力者だなんて、信じられないな。
だけど、一応、この人がいる事でこの国は何とか成り立っている訳だし。

今日も、慌ただしくて、下らなくて、だけど賑やかな一日が始ま




そこで小野妹子の意識は途絶えた。




「やっぱり、凄い威力だねぇ」

肉片と化した妹子の死体を見下ろしながら、
リュードは残忍な笑みを浮かべていた。
積み荷や床に飛び散った肉片や鮮血の臭い、そして弾薬の硝煙の臭いが混ざった、
異質な激臭が倉庫内に漂い始めていた。


【小野妹子@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和  死亡】
【残り  26人】
258予測不能とはこの事 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/19(金) 02:25:37 ID:xLUAyR/G
【一日目/早朝/D-2市街地倉庫】

【リュード@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:FNミニミ(100/200)
[所持品]:基本支給品一式、5.56o×45o200発金属リンク(10)、
FIM-92スティンガー@自作キャラでバトルロワイアル(0/1)、70oミサイル(5)
[思考・行動]:
0:「レオーネ」と思われる自分と瓜二つの雌獣竜を捜す。
1:殺し合いに乗っている者は殺す。
2:これからどこに行こうかな。
[備考]:
※自分と瓜二つの雌獣竜(レオーネ)の名前を直感的に探り当てました。



※D-2に銃声が響きました。
※D-2市街地倉庫内に小野妹子の死体と所持品が放置されています。
259 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/19(金) 02:26:34 ID:xLUAyR/G
投下終了です。オリキャラもっと減らしていかないと…。
260 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/19(金) 19:59:21 ID:N3yqicnS
投下乙です。文練ロワ14話投下します。
261糸仕掛けのプレリュード ◆5ddd1Yaifw :2010/02/19(金) 20:00:26 ID:N3yqicnS

刃物を突きつけられることに俺は縁があるのだろうか。
経験者である俺が語るが生きた心地がしない。首筋に刃物、誰だってビビる。
だからといって、銃を突きつけられたり、巨大な怪物に追われるのがいいかって言われたら声を大にして言いたい。

違う、と。

そもそもそんなのでいいよー、なんて言う奴はいないだろう。
いるのだとしたらよっぽどの自殺志願者だ。
俺は断じてそんなんじゃない。
命は大事にする方だ。
もう一度言う。

「首筋に刃物、誰だってビビる。だからさ、その刃物を下ろしてくれないか。頼むから」
「その要求は飲めません。あなたが殺し合いに乗っている可能性がまだ否定できませんので。
 何か、あなたからは嫌な匂いがする」

後ろから女性に刃物を首に押し付けられている。
女性の声は落ち着いていて少なくとも俺よりは年上だろう。
突きつけられている刃物は鉄のような、冷たい気配が首筋にというかもろ鉄なんだが。
言葉に出した通りビビる。いつこの刃物が引かれて俺の首が飛ぶかわかったものじゃないし。
というか嫌な匂いって何だ、おい。
風呂にはきちんと入っているぞ。髪も洗った。身体も洗った。
服だってキチンとしている。

「だからさ……」
「すいません。信用できないものですから」

もう嫌だな。もう少し冷静になろうと思わないのか。
なら“あれ”を使うしかない。

「いいよ」
「何がですか」
「殺ればいい」
262糸仕掛けのプレリュード ◆5ddd1Yaifw :2010/02/19(金) 20:03:24 ID:N3yqicnS

ぶっちゃけもうこのままの状態をいつまでも続けても事態はよくならない。
むしろ悪くなる一方だ。“あれ”を使えばその状況は回避されるだろう。

「あなたは自分が何を言ってるのかお分かり?
 この首筋の刃物の感覚がないとでも?」
「いや、自分でも何を言ってるかはわかっているつもりだけど。
 それにさっきからその首筋の刃物が冷たくてしょうがない」

事実だ。
刃物の冷たさが俺の首筋をひんやりと冷やす。
でも、もう大丈夫。準備は整って、いつでも“あれ”は実行できる。

「なら、大人しく」
「だって君はもう動くことができない。それに――」



「悪い、もう操ってる――」



女性の動きが止まる。いくら動こうと努力しても動くことはない。
俺が操っているから。
とりあえず俺は悠々と刃物の高速から抜け出て後ろを振り向く。
刃物を突きつけていたのはメイド服の女性だった。
綺麗な銀髪に、スレンダーな体格。出る所は出ていないがそんなことはどうだっていい。
今はなぜいきなり刃物を俺に突きつけたかを聞く時だ。

「……!何を、したんですか、身体が、動かない」
「言ったろ、操ってるって」

彼女が動けないのも無理はない。彼女の“糸”は俺が掴んでいるのだから。
俺の“異能”による“操糸術”によって。
この異能のおかげで俺には生きている全ての“糸”が見える。
そしてそれを操ることによって人の動きを操れる。頑張れば、心でさえも。
263糸仕掛けのプレリュード ◆5ddd1Yaifw :2010/02/19(金) 20:05:04 ID:N3yqicnS
便利な、いや危険な能力だ。

ただいつもより“糸”が見えない、いや見にくいとでもいうのだろうか。
さっき操った時も“糸”を見るのに結構時間がかかった。頭に痛みも感じた。
何か、制限みたいな物が加えられているのだろうか。

「さて、なんでいきなりこんな物騒な物を向けたんだ?」

俺は彼女の持っていたナイフを手から取り上げ彼女に迫る。

「こんな状況でいきなり人を信用する方がおかしいと思うけど。
 私はそこまでお人好しじゃないし」
「そ、じゃあ安心していいよ。俺、乗ってないから」

そう言って俺は女性の“糸”を離した。
やっぱりいつもより疲れた。何か細工でもしているのだろうか。
前を見ると目の前の女性がため息を吐きながら近づいてくる。

「あのねえ、私が乗ってるとは思わなかったの?
貴方無用心すぎるわよ」
「はぁ、そんなの決まってるじゃないか」

そう、決まってる。簡単な答えだ。

「君が乗っているなら、後ろから何も言わずにナイフでも投げればいいことだろ。
 それをしないってことは乗ってないってこと」

相手は目をパチクリして唖然といった表情だ。
そして程なくしてなぜか笑い始めた。
俺は笑われるようなことをしたのだろうか。さっぱりわからん。

「ふふっ、いいわ。お人好しもここまで来ると天才だわ。貴方、名前は?」
「俺は睦月透真。“糸遣い”だ。君は?」
「私は十六夜咲夜。完全で瀟洒なメイドと言ったところかしら」

情報交換といこう。この島からの脱出。
264糸仕掛けのプレリュード ◆5ddd1Yaifw :2010/02/19(金) 20:07:02 ID:N3yqicnS
俺は“糸遣い”として脱出の“糸”を掴もうじゃないか。

【H-7/一日目・深夜】
【睦月透真@操り世界のエトランジェ】
【状態】健康
【装備】
【持ち物】 支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
0.殺し合いには乗らない。
1.咲夜と情報を交換する

【十六夜咲夜@東方Project】
【状態】健康
【装備】ミセリコルデ
【持ち物】 支給品一式、不明支給品0〜2
【思考】
0.今は乗らない。
1.透真と情報を交換する

【ミセリコルデ】
長い棒状の刀身の短剣。「慈悲の剣」とも呼ばれた。
265糸仕掛けのプレリュード ◆5ddd1Yaifw :2010/02/19(金) 20:08:39 ID:N3yqicnS
投下終了。
「悪い、もう操ってる――」がやりたかったんだ、うん。
266 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/19(金) 21:24:31 ID:QY/2YsXJ
投下乙です。

24ロワ第19話投下します
267 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/19(金) 21:27:29 ID:QY/2YsXJ
「さて、これからどうする?」
双海亜美の死体から支給品諸々を奪い取り、一段落ついた後、
チャベス・オバマは自分と同じくゲームに乗る四人の仲間達に向かって、口を開いた。
「言うまでもないでしょ?刈るのよ。他の連中をね」
「このまま五人揃って行動するのか?」
「あんた馬鹿? 当り前でしょ」
呉作の質問に対するハルヒの返答は早い。

「五人で固まっていた方が有利に決まっているじゃない。ま、誰かさんが裏切らなければ、だけどね」
「お、俺は裏切らねえよ!亜美ちゃんを殺した時に、か、覚悟は決めたんだ!」
「あんたは見てただけじゃない。殺したのはオバマよ」
ハルヒは口元を歪ませて、嘲笑うかのように言った。

「そ、そりゃそうだけどさ」
「もう何も言うな呉作。あれこれ言い訳した所で、ハルヒはお前を疑うだろうよ。
 上手い言い回しを考えるよりも、行動で示した方がハルヒは納得してくれると思うぜ?」
「勝手に決めてんじゃないわよ。バカキョン」

行動……それはつまり、俺がゲームに乗った者らしく、誰かを殺せということか?
呉作は誰も殺したくない。だから、キョンの言葉に戦慄する。
身勝手な話だが、死んだ亜美の前で誓った。『俺は誰も殺さない』
見殺しにするのも、亜美が最後だ。呉作は、こんな状況でも真っ当に生きたかった。

しかし、俺の支給品はハリセン……殺し合いするなってツッコミを入れても、誰も救われん……

だが、やると決めたらやらなければならない。呉作は覚悟を決める。
もう二度と、後悔するような真似はしない。誰にも殺させない。


「呉作を疑う気持ちは分からんでもないが、そろそろ話を元に戻さないか?
 これから参加者達を刈って回るのはいいとして、問題はどこに向かうか、だ」
オバマはデイパックから地図を取り出し、広げた。
「近くに氷川村という村があるわ。そこなら、他の参加者達も集まりやすいんじゃないかしら」
巡音ルカが口を開く。

「そうかしらね。その発想は短絡的にも程があるんじゃない?
 殺し合いに乗っていない連中が、いかにも人が沢山集まりそうな村に来ると思う?
 常識的に考えて危ないじゃない。私なら、まず行かないわよ」
「だったら、貴方はどこに行けばいいと思っているの?」
熱の籠ってない目でルカはハルヒをじとりと睨んだ。

「私は一先ず山の頂上を目指せばいいと思うの。ここから近いみたいだし、地図によれば
 展望台もあるみたいだしね。多分だけど、頂上からならこの島の全景が見渡せるんじゃないかしら。
 最終的にどこに向かうかは、展望台から島の様子を大まかに見極めてからでも遅くはないはずよ」
「なるほどな……」
オバマはハルヒの意見に素直に感心した。
「確かに色々と面白そうだな……私は賛成だが、さて……」
ハルヒ以外の面々の顔を見回すオバマ。

「俺も賛成だ。ハルヒにしては珍しい慎重論だからな」
「私も賛成よ」
「俺も、特に異論はないよ」

「決まりね……」
満足そうにすハルヒ。
「それじゃあ早速、神塚山頂上に向けて、出ぱぁつ!!」

▼ ▼ ▼

268 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/19(金) 21:29:50 ID:QY/2YsXJ
そんなこんなで山道を登り、彼らは頂上へと辿り着いた。
簡単な展望台が建設されており、眺めは思いの他良かった。
一つだけ困った事は、早く着きすぎたために、まだ夜が明けておらず、
展望台から見渡しても暗闇の所為でほとんど視界が利かないという事だった。

展望台の陰に隠れて、何者かが息を潜めている。ハルヒ達の足音を聞いて、
よく分からないまま反射的に隠れたのは、彼にとって幸運だったのかもしれない。
潜む者の名前はオーウェン定岡。ハルヒ達の中で、唯一ゲームに乗っていない鎌田呉作の同僚だ。

「さっさと明けてくれないかしら……どうして早く着きすぎて困る様な事になっちゃうのよ」
「まあ、そう愚痴るな。どの道、まもなくしたら空も白みだす」

ハルヒ達の会話を注意深く聞く。当然、定岡は彼らが殺し合いに乗っている事は知らない。
今は、連中のスタンスが分からないので一応隠れていだけだ。
はたして、彼らは乗っているのか、いないのか。

定岡は、五人の内の一人が自分のよく知る鎌田呉作だという事に気付いた。
(“四人”いる……その内の一人は呉作か……あいつが殺し合いに乗るとは思えない。
 という事は、あいつら“四人”は殺し合いに乗っていない、と見ていいのだろうか)
いくら考えても答えは出ない事は初めから分かっている。けれども、慎重になるのに越したことはない。
常に最悪の事態を想定していなければならない。

呉作はいい奴だ。きっと信じられる。
とてもじゃないが、殺し合いに乗るような男ではない。だが、万が一という言葉もある。
もし俺が奴らに接触して、呉作を含めた“四人”が殺し合いに乗っていたら、俺は間違いなく死ぬ。
勝てるわけがない。逃げる事すら出来ないまま、袋叩きにされてしまう。

「よっ、何そこで隠れてるんだ?」

定岡の全身がびくりと震えた。全身に悪寒が走る。突然背後から声をかけられ、首に刀を突き付けられた。
“四人”じゃない。もう一人いたんだ。五人目は、あえて後からやってきて────

「そうビビるな。俺も向こうの四人も、殺し合いには乗っていない。
 この刀は“念のため”突き付けているだけだよ。さて早速聞かせて貰うが、お前は殺し合いに乗っているか?」
言われた瞬間、定岡はぶんぶんと首を振った。あまりの慌てようだったので、キョンは苦笑した。
「念のため聞かせて貰うが、お前の支給品はなんだった?」
「ス、スナイパーライフル」
思わぬ言葉に、キョンはぴくりと反応する。なかなか強力なものを支給されているようだ。

(物騒なものを持っているみたいだが、手に持っていない所を見るとどうやらデイパックの中に入れたままらしい。
 いくら殺す気がなかったとしても、自衛のために直接手に持っとくくらいしとけばいいのにな)

「お、おい。質問に答えたんだから、その刀離せよ。俺は殺し合いには乗ってないって」
「悪いが俺だけで判断するわけにはいかないんだよな。すまんが俺の仲間達の所まで歩いてくれるか?」
キョンの指示通り、呉作は震えながらも、ハルヒ達四人の元へと歩いた。

定岡とキョンが四人の前に姿を現した時、呉作の目の色が変わった。
「うわああああん!!定岡さぁん!」
「ちょ!お前、そんな状況じゃないだろ!」
呉作は定岡へと駆け寄り、力いっぱい抱きしめた。普通、男二人が再会していきなり抱き合うか?
突然の行動にキョンは唖然としていたが、すぐに気を取り直し、呉作に向けてファルシオンをかざす。
呉作の行動に、キョンは勿論、ハルヒもオバマもルカも疑問符を浮かべる。

「呉作、こいつはお前の知り合いなのか? まあ、気持ちは分かるが、
 こいつはもしかしたら殺し合いに乗っているかもしれない。再会を喜び合うのは、
 定岡さんとやらの身の潔白を確かめた後にして貰えないか?」
269 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/19(金) 21:32:28 ID:QY/2YsXJ

勿論、キョンの言葉は単なる建前に過ぎない。いつ定岡の方へ裏切ってもおかしくない呉作を縛り付けるため、
キョンはファルシオンを彼に向けてかざしたのだ。

こいつ……今、何かしたか?オバマは呉作を流し目でちらりと見た後、気を取り直して定岡の方へと顔を向ける。

「定岡さんと言ったかな。キョン君が言ったと思うが、我々は殺し合いには乗っていない。
 だから安心して、正直に言って欲しい。君の素性、知り合い、支給品、今までどう行動してきたか……
 包み隠さず説明してくれないか。君が言った情報を元にして、我々は君が本当に、
 心の底から殺し合いに乗っていないのかどうか、確かめたいんだ。
 定岡さんを我々の信用できる仲間として受け入れるために、ね」

「な、仲間にしてくれるなら、そりゃあ何でも言うけど……」
そう言う定岡の目を見て、オバマは人懐っこい優しい笑みを見せる。
「では、始めるとしよう。ちょいと尋問みたいになるが、勘弁してくれ。
 あと、呉作君には席を外して貰おうと思う。知り合いがいたら、話し合いに狂いが生じるかもしれないからね」

オバマは地面に腰を下ろした。定岡もそれに倣い腰を下ろす。
デイパックを隣に置く。そういえば、スナイパーライフルを中に入れたままだ。
念のために出しておけばよかった……


オバマ……キョン……こいつら、やっぱり俺の事は何にも信用していないのか……
呉作は血の気が引く思いだった。あれよあれよと言う間に、定岡は四人の悪魔の手の平へと誘われてしまった。
早く何とかしないと、定岡さんが殺されてしまう。

オバマはルカをちらりと見た。ルカは全て心得ているように頷く。

「呉作……ちょっとこっちに来て」
呉作の耳元で、ルカは呟くように言った。断る理由が思いつかない。
ここで理由もなく断れば、呉作は本当に裏切り者と判断されて、殺されてしまうかもしれない。

定岡達と少し離れた所で、呉作とルカは向かい合った。
「なんだよ……」
「あの定岡って人は……貴方とどういう関係なの?」
「職場の同僚だ……」
何を言われるのだろうか。呉作の顔は暗い。その顔を見て、ルカはくすりと微笑んだ。

「貴方って、本当に演技が下手……。本当は、乗る気なんて全然ないでしょう?」
「いや、そんな事は……」
「オバマもハルヒもキョンも私も、皆気づいている。だけど貴方だけは、私達四人を騙せていると思い込んでいる。
 さっきの、突然の抱き着き行為は、何か私達には言えない狙いがあるのかしら……」
滝のような冷や汗が流れる。この流れは、やばい……

「だけど、安心して。私達は、貴方にチャンスを与えようと考えたの……
 私達ゲームに乗った者にとって、殺人鬼の数はなるべく多い方がいいから……だから」
次の瞬間、ルカは天地が引っ繰り返る様な事を言った。

「私達の目の前で、オーウェン定岡を殺害して。ね?」

顔面蒼白の呉作に対して、ルカは妖艶な笑みを浮かべて、言葉を紡ぐ。


「そうすれば────私達の本当の仲間にしてあげる」


▼ ▼ ▼

270 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/19(金) 21:34:05 ID:QY/2YsXJ
むずかゆい。原因は分かっている。呉作に抱きしめられた時、
呉作はすかさず俺のズボンの中に手を突っ込み、何かを入れた。感触からしておそらく紙切れだ。
いったいなんなんだろう。呉作は何のつもりでこんな事をした?

オバマという人は、恐らくいい人なのだろう。人柄の良さがひしひしと伝わってくる。
先程まで定岡の心の中にあった警戒心は、キョン、ハルヒ、オバマとの会話によって大分薄れてきた。
やはり人がいるというのはいい。今まではたった一人だったから、正直かなり心細かった。
早く仲間として受け入れて欲しい。

────安心が得られただけに、呉作の謎の行動が気にかかって来た。
呉作は何を思って、俺のズボンの中に紙切れを放り込んだ?あんな不自然な真似をしてまで……

「このゲームに参加している知り合いの名前を教えてもらえるか?」
「ビリー、カズヤ、池田、トータス、城之内、呉作、あとTDNだな……」
定岡は何気ない様子を装って、シャツの裾を直すような振りをして、ズボンの中にある紙切れを握りしめた。
ズボンから手を出して、ばれないようにそっと手を開く。紙切れに書かれた文字を見た瞬間、定岡の頭に電撃のような衝撃が走った。


【────俺以外の四人は、実は殺し合いに乗っている────】


すぐに手を閉じた。オバマの顔を観察する。どうやら気付かれていないようだ。
キョンも同じく気づいていない。助かった…………

あ、あれ?ハルヒは………?

さっきまでハルヒもここにいたのに、目の前に座っていたのに!
い、いつからいなくなった? ど、どこにいったんだ……?

【一日目/黎明/F-05 神塚山山頂展望台】
【涼宮ハルヒ@やる夫スレ常連】
[状態]:健康
[装備]:双眼鏡
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)、手榴弾×3個
[思考・行動]
基本:優勝狙い。夜神月に誰が本物の神なのか理解させる
1:????
※このハルヒはただの一般人。特殊能力は何も持ってません。

【キョン@やる夫スレ常連】
[状態]:健康
[装備]:バールのようなもの、ファルシオン、スモークグレネード×1
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)、救急箱、
[思考・行動]
基本:優勝狙い。とりあえず死にたくない。
1:呉作に定岡を殺させる。

【チャベス・オバマ@本格的!ガチムチパンツレスリング】
[状態]:健康
[装備]:剛剣マンジカブラ(刀)、スモークグレネード×1
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)、携帯電話
[思考・行動]
基本:ゲームに乗る?
1:呉作に定岡を殺させる。
※24時間ルールのノルマを達成。
271 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/19(金) 21:35:19 ID:QY/2YsXJ

【巡音ルカ@ボーカロイド】
[状態]:健康
[装備]:十得ナイフ、スモークグレネード×1
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本:ゲームに乗る?
1:呉作に定岡を殺させる。

【鎌田呉作@本格的!ガチムチパンツレスリング】
[状態]:健康
[装備]:ハリセン、スモークグレネード×1
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本:誰も殺さないし殺させない
1:ピンチ……
2:亜美ちゃんごめん……

【オーウェン定岡@本格的!ガチムチパンツレスリング】
[状態]:健康
[装備]:
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)、スナイパーライフル
[思考・行動]
1:どういう事なの……ハルヒはどこにいった?
272 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/19(金) 21:36:48 ID:QY/2YsXJ
投下終了です
273 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/02/19(金) 21:37:59 ID:QY/2YsXJ
タイトル忘れてた。タイトルは【伸るか反るか】
274 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/20(土) 16:50:20 ID:xS0h2fot
投下乙です。では自分も投下します。
個人趣味ロワ第67話「Theft in emergency」(非常時の窃盗)
登場:須田恭也
275Theft in emergency ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/20(土) 16:53:05 ID:xS0h2fot
67話「Theft in emergency」

二回目のサイレン。第一回定時放送終了の合図が鳴り響き、
会場は再び静寂に包まれる。

「もう20人死んでるのか…知り合いはいないけど…」

F-1のとある民家。和室の中で少年、須田恭也は20人の名前が消された名簿を見返す。
この殺し合いに彼の知人は一人もいないが、
たった6時間で20人も落命しているという事実に彼は愕然とする。

「禁止エリアは…まあ、大丈夫か。気にしなくても。結構離れてるし」

発表された禁止エリアはいずれも現在位置からは遠く離れている。
いずれも余り気にする必要は無いと判断した。
情報が書き込まれた地図と名簿をデイパックの中にしまい込む恭也。
空腹を感じていたのでコッペパンを取り出し、台所から牛乳を持ち出して、軽い朝食を取る。
朝食後、これからどうするか、再び和室に座って考え始めた。

「ホテルに行ってみようか」

地図を見ながら、行き先をホテルに決定する恭也。
しかしここでとある問題に直面する。それはホテルまでの移動手段。

「結構遠そうだから、もう歩くのはキツイな…」

現在位置であるF-1とホテルのあるD-2は地図で見る限りそれなりの距離がある。
まだ疲労感が残っており歩いていくのは億劫だった。
そこでこの民家に何か、自転車のようなものは置いて無いかと、
警戒しつつも外に出て自転車を探し始めた。

「あった…」

小さな倉庫の壁に立て掛けられるように、少し古びているがまだ使えそうな、
黄色いマウンテンバイクが置かれていた。
確か非常時の窃盗は重罪だという話を聞いた事があったが、
自分の命も危ない状況でそのような事も言っていられない。
持ち主には悪いと思ったが、使わせて貰う事にした。
デイパックを背負い、籠にチップカットソーを入れ、マウンテンバイクを両手で押し入口の門へ向かう。

すっかり明るくなった住宅街の通りは、時折妙に冷たい風が吹き抜けていた。
276Theft in emergency ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/20(土) 16:54:49 ID:xS0h2fot
「さて、行くか…」

そして恭也はデバイスで方角を確認し、ホテルに向け出発した。
途中、襲撃されない事を祈りながら。


【一日目/朝方/F-1市街地】

【須田恭也@SIREN】
[状態]:肉体的疲労(中)、身体中にダメージ(大)、右上腕に切り傷(応急処置済)、
マウンテンバイクを運転中、D-2ホテルへ移動中
[装備]:チップカットソー@自作キャラでバトルロワイアル(バッテリー残量:89%)
[所持品]:基本支給品一式(ランタン放棄、コッペパン1個消費)、
流血@浦安鉄筋家族(200粒入り)
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。そのためにも仲間が欲しい。
1:ホテルに向かう。
2:襲われなきゃいいけど…。
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、駐在警官に撃たれ川に転落し、
意識を失った直後からの参戦です。 従って幻視能力は目覚めていません。
※ランタンを破損、放棄しました。
277 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/20(土) 17:00:34 ID:xS0h2fot
投下終了です。
278 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/20(土) 22:27:46 ID:xS0h2fot
個人趣味ロワ第68話「結局成し遂げられなかった」投下します。
登場:エイミス・フロリッヒャー、費覧、ドーラ・システィール
279結局成し遂げられなかった ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/20(土) 22:29:42 ID:xS0h2fot
68話「結局成し遂げられなかった」

D-4にある洋服店の事務室で放送を聞いた桃髪の美少女剣士、エイミス・フロリッヒャー。
発表された死者の名前の中に、この殺し合いにおいて最初に戦った、
朝倉清幸の名前があった事には少し驚いた。
自分の手から逃れたはいいが、結局何者かに殺されてしまったらしい。

「バッカみたい。結局死んじゃったんじゃん」

色々もっともらしい事を言っておいて結局は脱落するとは。
清幸を嘲るエイミスだったが、二回目に戦い、敗れ、命までは取られなかったが、
手傷を負わされ身ぐるみを剥がれ、ゴミ捨て場に捨てられるという、
筆舌し難い屈辱を自分に味わわせた口の悪い狐女、ドーラ・システィールはまだ生きている。
その事を思い出し、エイミスの可愛らしい顔が怒りに歪む。

「あの狐女はまだ生きてるんだ…くっそぉ、
今度会ったら絶対に殺してやるんだから」

テーブルの上のポテトチップスの袋に手を突っ込み、
チップスを取って口の中に放り込む。
木製の長テーブルの上には事務所内を漁って見付けた、
お菓子の袋やジュースの缶、ペットボトルが散乱している。

「調子に乗って食い過ぎちゃったな…太るかも。
まあいいか、腹ごしらえは重要だもんね。大丈夫大丈夫」

エイミスは自分の荷物を纏め、自分の武器であるヤマトの剣を携え、洋服店の事務室を後にした。
当然、テーブルの上を綺麗に片付ける事などしない。

誰もいない市街地の通りを南の方に進むエイミス。

「誰もいないなあ。20人も死んだから、遭遇率も低くなるのは仕方無いか」

辺りを見回して他参加者の姿を探すが誰もいない。
エイミスは適当な交差点を右折した。
そしてしばらく進んで行くと、前方にある物を発見した。

「あれ…? 何かしら」

少し小走りで近付いてみると、それは血塗れの、狐獣人の死体。
身体付きからして女性で、衣服は身に纏っていない。
いや、足が獣のそれの形状なので、元々衣服は着ていなかったのだろう。
周囲には夥しい量の血痕が飛び散っていた。
280結局成し遂げられなかった ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/20(土) 22:31:42 ID:xS0h2fot
「一瞬あの狐女かと思ったけど、違うわね……誰か知らないけどご愁傷様」

一応弔うような言葉を掛けるが勿論建前だけである。
さっさと立ち去ろうと思ったが、その前にエイミスの目に、
恐らくこの雌狐の物と思われるデイパックが歩道の上に置かれているのが飛び込んできた。
既に漁られている可能性もあるがもしかしたらまだ使えそうな物が入っているかもしれない。
周りに誰もいない事を確認し、エイミスは雌狐の死体に背を向け、
デイパックへと歩み寄る。

エイミスの後ろで、雌狐が、
死体であるはずのものが、ゆっくりと目を開けた。

そんな事に気付くはずも無いエイミスはしゃがんでデイパックを漁り始めた。
すると、中からは拳銃が二丁と、その予備弾が出て来た。

「やった! 銃があれば戦力も上がるわ」

予想外、かつ希望していた物品を発見出来た事にエイミスは歓喜の声を上げる。

「やあ」
「……へ?」

突然、背後から若い女性の声が聞こえた。
まさか、どこかに隠れてこちらの様子を窺っていたのだろうか。
エイミスは脂汗をかきながら身体を後ろに向けた。

「う、嘘!?」

そこには、死んでいたはずの雌狐が立っていた。

「嘘じゃないよ。死んで無いよ最初っから。ちょっと眠っちゃっただけ。
でも酷いなあ、人の荷物勝手に漁らないでよね。それ取られるといくら私でも不安だからさあ。
それにしても悪い子。そうねぇ、お仕置きしなくっちゃねぇ……フフフフフフフ」

明らかに残忍そうな笑みを浮かべ、舌舐めずりしながらゆっくりとエイミスに近付く雌狐。
281結局成し遂げられなかった ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/20(土) 22:33:17 ID:xS0h2fot
「う、うあ、ま、待って」

予想外の事態に気が動転し、逃げる事も出来ないエイミス。
次の瞬間。

「ウガァウッ!」

雌狐が獣の唸り声を発し、エイミスに飛び掛かった。
一気に地面に倒され、何とか逃れようともがくエイミスだったが、雌狐は案外力があり、
抜け出す事は不可能事に近かった。
そして、雌狐の牙がエイミスの喉笛を噛み裂き、エイミスはすぐに動かなくなった。
血に染まっていた周囲が、新鮮な血液で再び鮮やかな赤に塗り替えられる。

殺し合いに乗ると強い意志を固めていたが、
一人目は取り逃がし、二人目には敗北。
エイミス・フロリッヒャーは誰一人手に掛ける事出来ず、殺し合いの舞台から退場した。

「ふう……」

冷たくなったエイミスの死体に跨りながら、右腕で血に濡れた口元を拭う雌狐――費覧。
とは言っても、彼女の身体はほぼ全部が血塗れになっていたのだが。

「思わず寝ちゃってたら……危ない危ない。
荷物奪われるトコだったよ。ああ、それにしても…」

費覧は自分のデイパックの中からデバイスを取り出し時刻を確認する。

「うわ、やっぱり放送聞き逃しちゃった……」

時刻は既に第一回定時放送が行われる午前6時をとうに過ぎていた。
放送を聞き逃した事に費覧は頭を抱えるが、ここである事を思い付く。
たった今殺した少女は、もしかしたら放送を耳にし、地図や名簿等に情報を書き込んでいるかもしれないと。
エイミスの死体からデイパックを引き剥がし漁ってみる。

「やっぱり……」

十数人の名前が消された名簿と、幾つかのエリアに○印が書き込まれた地図が出てきた。
282結局成し遂げられなかった ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/20(土) 22:34:16 ID:xS0h2fot
「章高は……消されてないって事は、まだ生きてるって事ね」

自分の知人である章高はどうやらまだ生存しているらしい。
それだけ分かれば費覧としては十分だったが禁止エリアの方も確認する。
最初に出現するのは約1時間後の午前7時らしいが、
どのエリアも離れており特に心配する必要は無さそうだ。
エイミスの名簿と地図を自分のデイパックの中に押し込み、
中からしまっておいた自動拳銃、ルガーP08を取り出し装備する。
ついでにエイミスが装備していた長剣も拾い上げ、やはりデイパックの中に入れた。

「さて、と……何故か知らない、何故か知らないけど、
南下してけば章高に会えるような気がする。よし、行ってみよう。
どうせ行く宛ても無いんだし」

第六感というものか、南の方向に章高の気配を感じた費覧は、
デイパックを背負い、ふさふさの尻尾を揺らしながら歩き出した。



エイミスが憎悪していたドーラ・システィールはどうしていたのだろうか。



ドーラ・システィールはD-3にある金物屋の民家部分で放送を聞いた。

「ふうん……結構死んでるね」

意外に死んでいる、と、ドーラは少し驚く。
自分以外に殺し合いに乗っている者の数は思っていたよりずっと多いようだ。
最初に殺害した春巻龍という男の名前も当然呼ばれた。
二回目に戦って、負かし、気絶させて身ぐるみを剥がした挙句ゴミ捨て場に捨ててきた、
あの桃髪の美少女剣士はどうなったのだろうか。
名前を聞くのを忘れたので生死は分からない。
もしかしたら先の放送で呼ばれた名前の中にあったかもしれないが。

「まあいいけど…さて」

座っていた台所のテーブル席から立ち上がり、
荷物を纏めて出発の準備をするドーラ。
右手に自動拳銃、H&KUSPを携え、金物屋民家部分を後にする。

外に出ると、軽装のドーラにとって少し肌寒い風が吹いていた。

「とりあえず、南の方へ行ってみようかねぇ。
禁止エリアは遠い所だから大丈夫だろ」

デバイスで方角を確認し、ドーラは市街地を南下し始めた。
283結局成し遂げられなかった ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/20(土) 22:35:27 ID:xS0h2fot
【エイミス・フロリッヒャー@オリキャラ  死亡】
【残り  25人】


【一日目/朝方/E-4市街地】

【費覧@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(中)、返り血(大)、市街地をF-4方面に向け南下中
[装備]:ルガーP08(2/8)
[所持品]:基本支給品一式、ルガーP08の予備マガジン(5)、コルトM1917(1/6)、
45ACPリムド弾(30)、ヤマトの剣@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和、
エロ本(5冊、調達品)
[思考・行動]:
0:皆殺し〜♪ 最後には主催者も殺す。
1:南に行けば章高に会える気がする。
2:知人である章高は、限界まで犯してから食い殺す。
[備考]:
※頸動脈断裂と胸と腹に貫通銃創は完治しました。


【一日目/朝方/D-3市街地】

【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康、返り血(少)、市街地をE-3方面に南下中
[装備]:H&K USP(15/15)
[所持品]:基本支給品一式(コッペパン2個消費)、USPの予備マガジン(4)、
鉄パイプ@SIREN
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り、優勝し、元の世界へ帰還する。
1:市街地を南下する。
[備考]:
※バド村殲滅作戦以前からの参戦です。


※E-4市街地にエイミス・フロリッヒャーの死体とデイパックが放置されています。
284 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/20(土) 22:36:42 ID:xS0h2fot
投下終了です。どんどん殺すよ!
285 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 02:16:59 ID:HyS97Tle
個人趣味ロワ第69話「崩壊」投下します。
登場:吉良邑子、神田修次
286崩壊 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 02:18:44 ID:HyS97Tle
69話「崩壊」


F-2のとある民家。
学生服姿の美少女、吉良邑子と、吉良とは別の学校の制服に身を包んだ狼獣人の青年、神田修次は、
リビングの椅子に座り、先刻の放送で発表された情報を纏めていた。

「……そういや、吉良。お前が殺したのって」
「そう、太田君」
「……普段仲良くなかったの?」
「仲は良いっちゃあ良いけど、別に悲しくは無いね」
「ほう」
「それより、禁止エリアは……書いたね。どこも遠いから、気にしなくて大丈夫でしょ」
「そうだな。はぁ…ちょっと冷蔵庫見てこよ」

知り合いもいないため、死者発表で憂鬱になる事も無い修次は、
空腹のため台所に行って食糧を探し始めた。
ここで吉良は自分の荷物の中にある、太田から奪ったある物を思い出す。
「これ」の事は修次には伝えてはいない。

(催淫剤、ねぇ……女に使うと大変な事になるらしいけど、
男に使うとどうなるのかしら)

説明書には「男に使うな」という主旨の注意書きがあるが、
使ったらどうなるのかまでは書いていない。
男に使うとどうなってしまうのか。吉良は無性に試したくなる。
実験台になりそうな男は、すぐ近くにいる。
形容し難い色をした液体が入った注射器を一本手に取り、
台所を漁っている修次に後ろからゆっくりと近付く。
修次は冷蔵庫のみならず食器棚まで物色し始めていた。

「チッ、何も無いんだが……」

(神田君……ゴメンねー)

銀色の毛皮を持った、狼の獣人である神田修次。
この催淫剤、打ち込んだらどうなるのか。
もしかしたら、まさに野獣のようになって自分に性的な意味で襲い掛かるかもしれない。
正直そういった事態は避けたいが、興味の方が警戒心を上回る。

(ええい、いっちゃえ!)

吉良は注射器を構え、修次の背中に突進した。
287崩壊 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 02:19:45 ID:HyS97Tle
「いっ!?」

突然背中に感じる圧力、そして小さな痛みに驚く修次。

「いってえ、何すんだよ、吉良……ぐ……?」
「……」

そしてその効果はすぐに現れた。

「ぐっ、う゛、が、あああああああああ」

修次は口から赤い泡を吹き、床に倒れ激しく苦しみ始めた。
泡は次第に吐血へと変わり、台所の清潔な床があっという間に鮮血で染まる。
予想していなかった凄惨な光景に、流石の吉良も息を呑む。
どうやらあの催淫剤は男に使うと毒薬の効果が表れるらしい。
この様子では、修次はもう助からないだろう。

(でもまあいいか、どうせゆくゆくは殺すつもりだったし)

むしろ手っ取り早く済む、と、吉良は内心喜んでいた。
その時。

「ガアアアアアアアアッ!!!」

修次が立ち上がり、腰に差していた刀を引き抜き、一閃した。
吉良は何が起こったのか分からなかった。そして、もう一生分かる事は無くなった。
彼女の上半身に、下から上に向けて斜めに深い切り傷が出来ていた。
修次の放った刃は吉良の生命維持に必要な臓器を全て斬り裂いていたのだ。
吉良は修次と同じように、口から大量の血を吐き、二度目となる死を迎える。
床に崩れ落ちる吉良の姿を確認すると、修次もまた、
ぷつりと糸が切れたかのように倒れ、虚空を見詰めたまま動かなくなった。

結論から言って、この急造訳ありコンビは上手くいくはずが無かったのである。
だからこのような結果になってしまったのだ。
なるべくしてなった結果、と言えよう。



【吉良邑子@自作キャラでバトルロワイアル  死亡】
【神田修次@オリキャラ  死亡】
【残り  23人】
288 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 02:20:32 ID:HyS97Tle
投下終了です。
289 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 12:32:47 ID:HyS97Tle
個人趣味ロワ第70話「現実は大抵人を傷付ける」投下します。
登場:石川清憲、大沢木小鉄、仁ママ
290現実は大抵人を傷付ける ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 12:34:26 ID:HyS97Tle
70話「現実は大抵人を傷付ける」

放送が終わった後、俺――石川清憲の傍にいる坊主頭の少年、大沢木小鉄は、
どこかそわそわした面持ちで俺の方を見ていた。
俺はその理由が何となく分かった。

「なあ、キヨノリ」
「……何だ?」
「さっきの放送、春巻の名前と、のり子の名前も呼ばれたんだ。
……春巻の名前が呼ばれたって事は………のり子は………」
「……」

俺は小鉄の気持ちを考えると、何も言葉を掛けてやる事が出来なかった。
確か本人から聞いた話によれば先程の放送で名前を呼ばれた「西川のり子」は、
小鉄の親友だったらしい。
つまり小鉄はたった6時間の間に自分の担任教諭と親友の二人の、
身近な人間を失ってしまったという事だ。
まだ小学二年生の、幼い少年には、とても残酷過ぎる現実である事は、
容易に想像出来た。

「畜生…畜生、畜生! 何でだよ…何でのり子が死ななきゃ…春巻だってそうだ!
あいつには散々振り回されたけど、だけど死んでいいような奴では無かった」

床に突っ伏し、涙を流しながら悲しみを吐露する小鉄。
いつも元気そうに振舞っていたけど、やっぱり本心は辛かったんだな。
俺は――知り合いは一人も呼ばれてないから小鉄に比べればマシかもしれないけど…。

「小鉄……」
「うっ……うっ……のり子、春巻…俺、絶対こんな殺し合いから脱出するぞ……!」
「ああ……」

涙を手で拭って、しっかりと小鉄が立ち上がった。
とても芯が強い。俺も見習いたいな。
291現実は大抵人を傷付ける ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 12:35:51 ID:HyS97Tle
のり子と春巻が死んだなんて、俺はとても信じられない。
でも、春巻が脳ミソ飛び散らして死んでいるのを俺は確かに見た。
その春巻の名前と一緒に、のり子の名前も放送で呼ばれたって事は、
もう、死んでいるって事なんだろうな。

最初出会った時は喧嘩ばっかりしていたけど、のり子とは今はよく遊ぶ友達になっていた。
春巻は…最近かなり知能が低下していたように見えたなあ。
もうあの二人の声が聞けないというのはやっぱり寂しいし、悲しい。
でも、泣いてばかりもいられないよな。
仁の母ちゃんはまだ生きてるっぽいけど、正直会いたく無い。
金の事になると見境無くなって凶暴になるしなアイツ。
もしかしたら殺し合いに乗っているかもしれないし、仁には悪いけど。

荷物を纏めて、俺とキヨノリは隠れていた民家から外に出た。
もうすっかり明るい。
門から道路に出て、これからどこへ行くかキヨノリと話し合う。

「どこへ行く? キヨノリ」
「そうだな、まずは――?」

不意にキヨノリが言葉を切った。
何かに気付いたような顔をしている。

「どうし――」

俺が言い終わる前にキヨノリが、俺を庇うように、俺の右側に立ちはだかった。
直後、どんっ、という爆発音みたいな音が響いた。

「がっ……!」

その直後に、キヨノリは苦しそうな声を出してその場に蹲った。
慌てて駆け寄ると、腹の部分を手で押さえていて、赤い血が溢れているのが分かった。

「あら、小鉄君……」
「! その声は……まさか」

明らかに聞き覚えのある中年の女性の声。
声のした方向に目をやると、そこには――。

「じ、仁の母ちゃん!?」
292現実は大抵人を傷付ける ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 12:37:09 ID:HyS97Tle
あの警察官以降、ちっとも他参加者に巡り合えなかったんだけど、
やっと会えたわ〜何だか黒い翼の生えた蜥蜴みたいな生き物と、
私もよく知っている、自分の息子の友達――大沢木小鉄。

「じ、仁の母ちゃん!?」
「うふふ。小鉄君頑張ってるわねぇ。まだ生きてるなんて」

あの馬鹿教師と、西川のり子という、仁ちゃんの友達の一人は死んじゃったみたいだけど。

「こ、殺し合いに乗ってるのか……!?」
「その通り」

嫌あねえ、そんなの、貴方達に散弾銃を向けている事から分かるでしょ?
現にたった今、黒い蜥蜴の腹に散弾を撃ち込んでやったんだからさ。

「何で……何でだよ!! 何でこんな馬鹿な殺し合いなんかに乗るんだよ!
馬鹿だろ! 馬鹿だよお前!!」

むう、普段から大馬鹿な事してる貴方に言われたくないわね。
でもまあいいわ、もうすぐ殺すつもりだから、教えてあげる。

「貧乏生活から抜け出すためよ」
「何…!?」
「開催式の時言ってたでしょ? あのセイファートっていう狼女が。
『優勝したらどんな望みも叶える』って。私はそれに賭ける事にしたの。
もしかしたら私と、仁ちゃんの夢だった、念願の貧乏生活脱出が果たせるかもしれないって」

私の目標を聞いた黒い蜥蜴と小鉄君は、明らかに私を蔑視する目で見ている。
確かに、貴方達から見たら、何て馬鹿な事をと思うだろうけど、
今の私にはこうするしか出来ないのよ。
そして、もう後戻りも出来ない。もう二人も殺してるんだから。

「おい、まさか……春巻や、のり子を殺したのは……!」
「ああ、勘違いしないで。私は二人に会ってもいないわよ」
「くっ……小鉄、逃げた方が……」
「逃がさないわよ。貴方達はここで死ぬの」

私は散弾銃――ウィンチェスターM1897の銃口を二人の方に向ける。
仁ちゃんには悪いけど、小鉄君にも死んで貰うわ。
293現実は大抵人を傷付ける ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 12:38:29 ID:HyS97Tle
「ふ……」
「え?」
「ふざけんなあああああああ!!!」

思いも寄らない事態。小鉄君が私に向かって猛烈な勢いで突進してきた。
私は引き金を引こうと思ったけど、もうその時には小鉄君の協力なタックルが、
私の胴体に命中していた。

「ぐげっ!!」
「小鉄!!」
「この山姥がああああ!!!」

衝撃で散弾銃を離してしまった。
そのまま私は路上に仰向けに倒され、小鉄君は私の胸の上に馬乗りになり、
腰から何かを取り出し、それを大きく振り被り、そして。

ドスッ。


仁ちゃん、ごめんね、お母さんもう帰れないわ。


仁ちゃん、お母さん   間違って たの   か      な




「こ、小鉄……」
「馬鹿野郎……仁の母ちゃんの馬鹿野郎……。
そんな事して、仁の奴が喜ぶ訳ねぇだろ……馬鹿野郎……!」

額に文化包丁が突き刺さり、路上に仰向けになって事切れた、
山姥のような風貌の女性の上で、小鉄が声を震わせ、女性を罵倒していた。
俺の場所からは小鉄の後ろ姿しか確認出来ないが、
恐らく、いや、ほぼ間違い無く――泣いていた。

あの女性――仁ママだったろうか――は、小鉄の友達の母親らしい。
許せなかったんだろうな、小鉄は。
自分の友達の母親が、こんな殺し合いに乗っている事が。
だからあんな行動に……ぐっ、痛ぇ……。

腹に散弾食らっちまったからな…どこかで手当てしないと……。
294現実は大抵人を傷付ける ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 12:40:39 ID:HyS97Tle
【仁ママ@浦安鉄筋家族  死亡】
【残り  22人】



【一日目/朝方/E-4市街地】

【石川清憲@オリキャラ】
[状態]:腹部に散弾被弾、精神的疲労(大)、涙の跡
[装備]:エグゼキューショナーズソード
[所持品]:基本支給品一式
[思考・行動]:
0:死にたくない。生き残る。
1:小鉄……。
2:小鉄には死んで欲しく無い。
3:手当てないと…。
[備考]:
※大沢木小鉄が自分とは別世界の人間だと判断しました。

【大沢木小鉄@浦安鉄筋家族】
[状態]:健康、悲しみ、やり場の無い怒り
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品一式、発炎筒(3)
[思考・行動]:
0:とりあえずキヨノリ(石川清憲)と一緒にいる。
1:…………。
[備考]:
※本編最終話より後からの参戦です。
※バトルロワイアルのルールと性質について理解しました。


※仁ママの額に文化包丁が刺さったままです。
※仁ママの所持品は仁ママの死体の周囲に放置されています。
295 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 12:43:42 ID:HyS97Tle
投下終了です。
296 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 21:27:59 ID:HyS97Tle
個人趣味ロワ第71話「血で染まった癒しの場所」投下します。
登場:レオーネ、エルフィ
297血で染まった癒しの場所 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 21:29:45 ID:HyS97Tle
71話「血で染まった癒しの場所」


真っ赤な鮮血が飛び散り、元は何だったのか予想もつかない肉片や臓物、
骨の破片が飛散した病院のロビー。
奥にある事務室の机が乱暴にどけられ、空いた空間で、
グチャグチャと肉片を食らう、血まみれの雌獣竜、レオーネがいた。

「若そうな人間だったもんなぁ、美味しい」

まるでお菓子を食べる子供のような口調で、
元・人間の青年だった肉片に齧り付く。
レオーネはこの病院で第一回定時放送を聞く事になったが、
放送内容にはまるで関心が行っておらず、情報をメモに取る事もしていない。
それでも禁止エリアの場所だけは記憶していた。

「はぁ、お腹一杯」

肉片を食べ終わり、その場に寝転がり横になる巨躯の雌獣竜。

「もうしばらくここにいよっかな。別に焦る必要も無いよね。
ここは禁止エリアには指定されてないはずだし」

蛍光灯が並ぶ無機質な白い天井を眺めながら、レオーネが呟いた。

「それにしても」

レオーネが様々な銃器の押し込められた自分のデイパックに手を伸ばし、
中に手を突っ込んで、何かを取り出す。
それは、肉片――曽良の首にはまっていた、そして自分の首にもはめられている首輪。
血や脂でべっとりと濡れていた。
食事のため肉片を掻き集めている時に発見し、
何となく拾ったのだが。

「どういう構造なんだろうねぇこれ」

主催者の話によれば爆弾内蔵で、しかも監視装置でもあるというが、
一体どんな内部構造なのだろうか。

「ま、いいけど、さ」

気にはなったが、特に調べる事もせず、レオーネは首輪をデイパックの中に戻し、
再び横になった。
298血で染まった癒しの場所 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 21:31:02 ID:HyS97Tle
「あ゛あ、グウぅあああウウうううううウ…ぐ……ハァハァ」

病院近くの路上で、地面に膝を付き呻き声を上げる、
灰色の毛皮を持ち学生服に身を包んだ狼獣人の少女、エルフィがいた。

「ゼェ、ゼェ、ノ、ノーチラス……マダ、生キテル」

彼女の両目からは真っ赤な血の涙が溢れ、
声音は元のそれでは無く、何か機械で加工したかのように歪んでいた。
ふらふらと立ち上がり、ゆっくりと天を仰ぐ。
エルフィには見えていた。大空に輝く、虹色のオーロラ。
そして、得体は知れないがとても美しい発行体の群れが。

「アナタニモ、見セテ、アゲタイナァ、ノーチラス、フフ、ハハ」

どこにいるか分からない自分のクラスメイト、ノーチラス。
先の放送で、名前が呼ばれ無かったという事はまだ生きているという事だ。
早く見つけ出して、この風景を見せてあげたい。
エルフィが考えている事はただそれのみ。
屍人となってしまったエルフィは、ノーチラスに固執するようになっていた。
そしてエルフィは視線を前方に向ける。
まだ遠いが微かに建物に隠れて見える、病院の建物。

「アソコヘ、行ッテミヨウ……アハハハハ」

病院へ行き先を定めたエルフィは、
右手に大型自動拳銃、デザートイーグル50A.Eを携え、
市街地をふらつきながら歩いていった。
299血で染まった癒しの場所 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 21:32:40 ID:HyS97Tle
【一日目/F-3病院一階事務室】

【レオーネ@オリキャラ】
[状態]:腹部に貫通銃創(ほぼ治癒)、右肩に刺し傷、右手の平に傷、
口と身体が血塗れ
[装備]:九九式小銃(4/5)
[所持品]:基本支給品一式(水と食糧完全消費)、7.7o×58o弾(30)、
ワルサー カンプピストル(1/1)、26.6o炸裂弾(3)、64式小銃(20/20)、
64式小銃の予備マガジン(5)、曽良の首輪、焔薙@SIREN
[思考・行動]:
0:とりあえず出会った人から順番に殺していく。
1:これからどうしようかな。
[備考]:
※聖徳太子の名前と容姿を把握しました。
※西川のり子のデイパックは放棄したようです。
※腹部の貫通銃創は完治したようです。


【一日目/F-3病院周辺】

【エルフィ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:屍人化(不安定)、首筋に注射痕、歓喜、屍人の意識、F-3病院へ移動中
[装備]:IMIデザートイーグル(4/7)、
[所持品]:基本支給品一式、デザートイーグルの予備マガジン(5)、
グロック19(12/15)、グロック19の予備マガジン(5)、クリスの剣@ムーンライトラビリンス改造版
[思考・行動]:
0:もっともっと殺す。
1:ノーチラス…アハハ。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※屍人化しました。但し不安定で、平常のエルフィの意識と屍人としてのエルフィの意識が混濁しています。


※F-3病院一階ロビーは凄惨な状況です。
300 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/21(日) 21:33:59 ID:HyS97Tle
投下終了です。
301 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/22(月) 22:49:20 ID:Wa2110q/
個人趣味ロワ第72話「三人は行くよどこまでも」投下します。
登場:ヴォルフ、平池千穂、森屋英太
302三人は行くよどこまでも ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/22(月) 22:50:50 ID:Wa2110q/
72話「三人は行くよどこまでも」

「中村さんが……」
「太田、シルヴィア……」
「……」

放送終了後、F-5草原で、自分の知り合いが死んだ事に衝撃を受ける平池千穂と森屋英太。
それを沈痛な面持ちで見るしか出来ない人狼・ヴォルフ。
彼の妹であるリーヴァイの名前は呼ばれなかったが、
今目の前で死者として知り合いの名前が放送で呼ばれた二人がいるのに、
大っぴらに喜ぶ事など出来ない。

「あー……二人共」

非常に声を掛けづらかったが、この近辺、エリアF-4は約一時間後に禁止エリアになる。
もたついていると三人共首輪が爆発してアウトになる。
相手は恐らくコンピューター。待ったは利かない。
そうなる前に安全地帯へ移動する必要があった。

「二人共、良いか?」
「あ……ヴォルフ」
「……」

千穂は僅かに目に光る物があった。
英太は何か思い詰めた様子ではあったが涙は流しておらず、
無言でヴォルフの方を向いた。

「この辺りが禁止エリアに指定された。いつまでも留まるのはまずい。
だから……」
「うん、分かったわ……行かなきゃね」
「そうだな…」

すっかり意気消沈してしまっている千穂と英太は、
ヴォルフの言葉に促され、荷物を纏めてゆっくりと立ち上がった。
そして三人は再び市街地の方へ歩き出す。
303三人は行くよどこまでも ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/22(月) 22:52:52 ID:Wa2110q/
(リーヴァイはまだ生きているようだが……早く見付けたいな)

歩きながら、ヴォルフはまだどこかで生存していると思われる義妹、リーヴァイの事を考える。
もしかしたら仲間が出来て共に行動しているのかもしれないし、
あるいは深手を負って瀕死状態になっているかもしれない。
何にせよ、早々に合流したかった。

(太田は死んだか……それにシルヴィアも……)

森屋英太は放送で名を呼ばれた太田太郎丸忠信とシルヴィアの事を考えていた。
太田は前回の殺し合いにおいて、英太と行動を共にしていたとある女子生徒を、
英太の目の前で銃撃するという非道な行いをした人物。
その銃撃による負傷が元でその女子生徒は死亡し、英太は太田に対し激しい憎悪を抱くようになった。
そしてシルヴィアは太田に襲われる前に、散弾銃を装備して襲い掛かってきた。
とても話が出来る雰囲気では無く同行していた女子生徒と共に逃亡していたが、
道中で多々有り、次第に分かり合えそうな気がしてくるまでに至っていた。
目的は違えど、二人共出来れば生きたままで合流したい人物だったのだが、最早それは叶わない。

(伊賀さんは大丈夫かな……)

そして平池千穂は現在生き残っていると思われるもう一人のクラスメイト、
狐獣人娘の伊賀榛名の事を心配していた。
中村アヤが死亡してしまった今、せめてもう一人のクラスメイトとは、
生きたままで合流したかった。

三人がそれぞれの思いを胸に、草原地帯を進んで行く。



そして三人は何とか午前7時前に、エリアF-5を抜け出す事に成功した。
現在地は市街地のエリアF-4の、東端にあたる部分。
丁度市街地と、草原地帯の境界線に当る場所である。
アスファルトで舗装された表通り。整然と並ぶ街灯。路肩に放置された車両。
今は人の気配は無いが、この殺し合いが始まってから三人が求め続けた文明圏がそこに広がっていた。

「ようやっと着いたな……」
「疲れたよ…」
「俺も……」

三人共流石に疲労の色を隠せない。
長時間の徒歩に加え、周囲を警戒しながらの行軍は、
肉体的にも精神的にも辛いものがあった。
304三人は行くよどこまでも ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/22(月) 22:59:48 ID:Wa2110q/
「一旦、どこかで休むか……」
「なら、あそこに喫茶店があるから、あそこで休もうよ」

千穂が指差す方向には、少し小洒落た雰囲気の小さな喫茶店があった。

「よし……少しあそこで休もう……」

三人はしばらく喫茶店内で休息を取る事にした。


【一日目/朝方/F-4市街地喫茶店前】

【ヴォルフ@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(中)
[装備]:二十二年式村田銃@SIREN(8/8)
[所持品]:基本支給品一式、8o×53R弾(30)、ナッチの写真集@永井先生
[思考・行動]:
0:リーヴァイを探す。殺し合いをする気は無い。首輪を何とかしたい。
1:喫茶店で少し休む。
2:平池千穂、森屋英太と行動を共にする。
3:襲われたら戦う。
[備考]:
※伊賀榛名のおおよその特徴を把握しました。
※森屋英太のクラスメイトの特徴をおおよそ把握しました。
305三人は行くよどこまでも ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/22(月) 23:01:19 ID:Wa2110q/
【平池千穂@オリキャラ】
[状態]:肉体的、精神的疲労(大)
[装備]:金属バット
[所持品]:基本支給品一式、PSP型簡易レーダー@オリジナル
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。生き残る。
1:喫茶店で少し休む。
2:クラスメイトの二人(伊賀榛名)を探す。
3:ヴォルフ、森屋英太と行動を共にする。
[備考]:
※リーヴァイのおおよその特徴を把握しました。
※森屋英太のクラスメイトの特徴をおおよそ把握しました。

【森屋英太@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的、精神的疲労(大)、返り血(中)
[装備]:USSR PPSh41(71/71)
[所持品]:基本支給品一式、PPSh41の予備ドラムマガジン(4)、
バタフライナイフ、 マーフィー君@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和
[思考・行動]:
0:生き残る。
1:喫茶店で少し休む。
2:ヴォルフと千穂ちゃんと一緒にいる。
3:太田……シルヴィア……。
4:太田以外のクラスメイトと合流したい(但し太田の仲間らしい吉良は微妙)。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※「宮田司郎」のおおよその外見的特徴を把握しました。
※リーヴァイのおおよその特徴を把握しました。
※伊賀榛名のおおよその特徴を把握しました。
306 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/22(月) 23:04:47 ID:Wa2110q/
投下終了です。本当はエロい話だったが没になった
307 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/23(火) 01:15:47 ID:jcGrsoMp
個人趣味ロワ第73話「ひさみインフェルノ」投下します。
登場:大村寿美、リュード
308ひさみインフェルノ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/23(火) 01:17:32 ID:jcGrsoMp
73話「ひさみインフェルノ」

私――大村寿美は、エリアD-2のとある民家の中で放送を聞いたんだけど、
あんな薄気味悪いサイレンが放送の前後に鳴り響くなんて。
正直、心臓に良く無い。かなり驚いたもん。
リビングの椅子に座っていたんだけど、思いっ切り転げ落ちた。
その時床に頭をぶつけてたんこぶが出来た。痛い。

まあそれはそれとして、もう参加者の内20人が死んでいる。
残りは28人、いや、もしかしたらこうしている間にももっと減っているかも。
これなら優勝も夢じゃないわね。

一応、支給品のコッペパンと民家に残ってた食糧で食事も済ませたし、
そろそろ移動しよう。

私は自分の武器であるリボルバー拳銃、エンフィールドNo.2を携え、
デイパックを背負い、民家を後にした。


「――え?」

少し道なりに進んでいた時、すぐ前方にある古びた倉庫の中から、
マシンガンのような音が微かに聞こえたような気がした。
気のせいじゃ無い。確かに聞こえた。
私は咄嗟に右手側の塀に身体をぴったりくっつけるようにして、
倉庫の方の様子を窺った。

中に誰かいる……?

「あ……」

倉庫の扉が開く音がした。
そして、私の視界に、見覚えのある青っぽい毛皮を持った雌獣竜が姿を露わした。

(あれは確か…私が後をつけていた…)

そう、赤いノースリーブのジャージを着た男と一緒だった雌獣竜だ。
手にはテレビでやっていた国防軍の兵器特集で見たような機関銃が握られている。
さっきの銃声はあれのものかしら?
雌獣竜はこっちには気付いていない。これはチャンス。
私は雌獣竜にエンフィールドの銃口を向け、一気に連射した。
309ひさみインフェルノ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/23(火) 01:19:00 ID:jcGrsoMp
「ぐっ…」

当たった! けど、呻いてはいるけど余り効いているようには見えない。
リボルバーだからあっという間に弾切れを起こす。
私は上着のポッケの中に突っ込んである予備弾を装填しようとした。

だけど、雌獣竜の持っている得物を見た途端、私は硬直した。

さっきまでの機関銃は路上に置かれ、代わりに今持っているのは、
多分――あれは、ロケットランチャーとかいう奴。
一体どこから――ああ、何でも入るデイパックの中しか無いよね。

……いや、そうじゃなくて。

逃げろ!!

逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ!
逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ!
逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ!
逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ!
逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ!
逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ!
逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ!


「発射」


私は、最後に、ちょっとだけ振り向いてみた。
私に向かって真っすぐに、凄いスピードで飛んでくるミサイルが見えた。


「うわあああああああああああああああああああああ!!!!!」
310ひさみインフェルノ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/23(火) 01:20:32 ID:jcGrsoMp
ミサイル着弾と同時に、大爆発が起こり、
私に銃弾を撃ち込んだ白い犬娘は跡型も無く消え去った。
爆発地点は大きく抉れ、周囲の建築物も爆風や破片で大きく損壊し、
黒煙を上げながら火災も発生している。
あの分だと、犬娘が持っていた武器も所持品も全部消えたわね。
やっぱりミサイルは凄い威力だなぁ。

「痛…」

犬娘が放った銃弾は私の左腕に二発、脇腹に二発、左足太腿に一発被弾した。
口径が小さいから大した事は無いけど、やっぱり痛いなぁ。
ちょっと手当しといた方が良いかな。なら……。

「病院、かな」

確か、エリアF-3に病院があったわね。
病院なら消毒液とか包帯とか、手術器具もあるはず。

私は翼を羽ばたかせ、空中へと舞い上がった。
地上から行くよりは、多少見付かる危険はあるけど空から行った方が早い。

「それじゃ、行こう」

私は病院を目指して、翼で空路を進み始めた。



え? 小野妹子? 誰だっけそれ?


【大村寿美@オリキャラ  死亡】
【残り  21人】
311ひさみインフェルノ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/23(火) 01:24:06 ID:jcGrsoMp
【一日目/朝方/市街地上空】

【リュード@オリキャラ】
[状態]:左腕、脇腹、左足太腿に盲貫銃創、F-3病院へ飛行中
[装備]:FIM-92スティンガー@自作キャラでバトルロワイアル(0/1)、
[所持品]:基本支給品一式、70oミサイル(4)、FNミニミ(100/200)、
5.56o×45o200発金属リンク(10)
[思考・行動]:
0:「レオーネ」と思われる自分と瓜二つの雌獣竜を捜す。
1:他の人は…はっきり言ってどうでも良くなってきた。
2:病院へ行こう。
[備考]:
※自分と瓜二つの雌獣竜(レオーネ)の名前を直感的に探り当てました。



※D-2一帯に爆発音が響きました。
※大村寿美の死体及び所持品は消滅しました。
312 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/23(火) 01:25:31 ID:jcGrsoMp
投下終了です。
313 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/23(火) 22:01:28 ID:cYt4amS6
投下乙です。すごいペースだ…。
10日ぶりに投下します。

登場人物 セイバー、一方通行 第3話「きらめく血飛沫一つ」
314 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/23(火) 22:03:02 ID:cYt4amS6
森の中の湖の前で、一人の少女は立ち尽くしていた。
流れるような金色の髪を後ろに束ね、精巧かつ無駄な部分の無い鎧に身を包んだその姿は、見るものにおとぎ話の中の騎士を連想させるような凛々しさを感じさせた。
少女の名はアーサー・ペンドラゴン。
かの名高きアーサー王その人である。

「……」
少女は先程目を通し終わった参加者名簿をデイバッグに戻し、情報の整理を行っていた。
生き残れるのは一人のみ、優勝者への望みは思いのまま、そして『セイバー』の名で名簿に載っている自身の名。
これではまるで、
「聖杯戦争…」
思わず声が出る。
聖杯戦争。
たった一人のマスターとサーヴァントが生き残るまで他のマスターとサーヴァントを倒し続け、最後の一組にはあらゆる望みが叶う願望器である聖杯を手にする事が出来る。
彼女もそんな聖杯を求めて、数多の英霊達の中から七体のサーヴァントの一体、セイバーとして顕現し戦いに身をささげた身である。
とはいえ、その聖杯の真実はまた違った物であり、彼女は聖杯を否定したのではあるが。

だがこの殺人遊戯が聖杯戦争とは別物だという事実はすぐに理解できた。
聖杯戦争とは比べ物にならない数の参加者、自らの首に嵌められた首輪、主催者と思しき少女に返り討ちに遭った幻想種らしき生物。
そして…
「切嗣、それに言峰…彼らが、何故…?」
名簿に名が載っていた、もういる筈のない人間の存在。
サーヴァント達の名があるが、それは今気にするべき事では無かった。自分もこの場にいる以上、他のサーヴァントが現界している可能性もゼロではないだろう。
だが、いやだからこそ、何故英霊でも無い彼らの名が此処に載っているのか。
かつてぶつかり合い、何一つ彼の苦悩を理解出来なかったまま離別した男。
聖杯戦争の裏で様々な画策をし、最後には立ち会っていないものの、確実に死んだ筈の男。
その彼らがこの殺し合いの会場にいるかも知れないという。
つまりあの主催者は、自分達の破壊した紛い物等ではない本物の願望器を持っているのかも知れない。
自分の夢を叶える事の出来る、真の聖杯を。
315 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/23(火) 22:03:45 ID:cYt4amS6
「…だが、例えそうだとしても、私の進む道はもう決まっている。」
彼女は教えてもらったから。
自分は王である前に、一人の人だと言うことを教えてもらったから。
だからこそ、今の彼女は王としてではなく、一人の人として考え、行動する道を選んだ。
この殺し合いに反逆し、人々を守りながら主催者と戦うという道を。

おそらくあの男が聞けば、また自らの正義に酔っている英霊様の戯言、等と罵られるかもしれない。
だがそれでも良かった。
この道はアーサー王の選んだ道でも、セイバーのサーヴァントが選んだ道でもなく、アルトリアと言う名の一人の少女が選んだ道だと胸を張って言い返してやろう。
そして、かつての事を謝罪し、彼や凛、そして士郎達と力を合わせ必ず主催者を倒す。
そう決意し、早速出発しようとデイバッグを抱えて後ろを振り向き――

白い、悪魔と目が合った。
(――ッ!!)
本能的に危機を察知し右側へと飛び跳ね、直後にセイバーが立っていた場所に凄まじい速度で悪魔の手が振り下ろされていた。
すぐに体性を整え、デイバッグから支給品として配られた剣を取り出し構える。

「ハッハッハァ、いヤお見事お見事、あの奇襲をかわしてすぐ様臨戦態勢と来たもンだ、ただの人間だッたら今ので終わッてたゼ。」
対してセイバーに攻撃を仕掛けてきたのは、悪魔ではなく人間だった。
人間は、構えもせずにセイバーへの賞賛の言葉を贈る。
白い髪に白い肌、一見すると女にも見えるし男にも見える中性的な体つき。
そして、獲物を見つけた獣の様な赤い瞳が印象的だった。
その異様なまでの殺意と、先程の攻撃でセイバーは確信した…殺し合いに乗っている、と。
316 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/23(火) 22:05:27 ID:cYt4amS6
「…私の名はセイバーと言う、貴殿の名は。」
「アァ?何だァいきなり」
「決闘の前には互いの名を伝え合う…騎士の礼節だ。」
「…アァそうかい、勇ましい姉ちゃンヨォ、生憎と俺様は騎士なんかじゃないんでね。」
「そうか」
「アア、そうだぜ、だからまぁ…さッさと死ねや、時代錯誤の騎士さんヨォ!!」

それだけの会話を交わして、再び迫り来る悪魔の腕。
だが、

(確かに凄まじい速度だが…動きが単調だ!)
その一撃を避け、今度はセイバーが反撃に移る。
持っていた剣に力を込め、隙だらけとなった相手へと必殺の一撃を叩き込まんとして、

ダン!と相手が突如自身の足を地面に叩き付けた。

一瞬疑問が浮かぶも、構わず頭へと剣を振り下ろそうとしたが、
「…!?」
それを迎え撃つかの様に、地面の砂や石が突如凄まじい速度でセイバー目掛け殺到した。
咄嗟にセイバーは剣で自分の顔を防御したが、砂や石はまるでマシンガンの様にセイバーへと襲い掛かり、全身を痛めつけセイバーを吹き飛ばした。
「があっ…!」
予想もしなかった形での反撃を食らったが、セイバーはそれでも倒れず、すぐに体勢を立て直したがその一瞬だけでも向こうには十分だった。
セイバーが再び臨戦態勢をとった時には、すでに相手はセイバーの目の前まで来ていて―――
セイバーは咄嗟に降ろしていた剣を振り上げたが…なんと剣は、相手の身体に当たったと思った瞬間に根元から折れた。
「そんな…!?」
だが相手はそんな事も意に介さず、驚愕に染まるセイバーの顔を鷲掴みにして、凶悪な笑みを浮かべた。
「まァこンなもンさ…アばヨ、騎士様」
そして耳元で悪魔が囁くと同時に、セイバーの意識は永遠に途絶えた。
317 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/23(火) 22:06:28 ID:cYt4amS6

周辺は、巻き散らかされたセイバーの血によって真っ赤に染まっていた。
湖の近くには、全身の血を逆流させられ、無残な姿と化したセイバーの身体が横たわっていた。
だがその中において、さっきと全く変わらない色合いを保っている存在が一つだけあった。
「お前も運悪ィよなァ」
その存在はセイバーのデイバッグの中身を自分のデイバッグへと移し変えると、悠々とこの場所を後にすべく歩き出した。
「最初に俺に遭わなきゃ、結構生き残れただろうにヨォ」

ある世界に、常に超能力の開発を行っている学園都市と呼ばれる街がある。
そこではレベル0(無能力者)からレベル5(超能力者)までの五段階までのランクがある。
その中でもレベル5は230万人の生徒を抱える学園都市にも7人しか居らず、一人一人が圧倒的な力を持っているのである。
その中でも、突き抜けた頂点と言われる存在、レベル5第一位。
ありとあらゆるベクトル(向き)を変える事が出来、自分への攻撃は全て自動反射、指一本でも触れれば相手を抹殺も出来る、学園都市最強の能力者。
名前も、性別すら解らないこの存在は、いつしか自らの能力名…一方通行(アクセラレータ)と呼ばれるようになったという。

「さァッてまずは、いるかわかンねェがあの最弱でも探すか…この俺に楯突いた事がどういう事か、たッぷり教エてヤらなくちャアな」
そう呟き、観る者全てに恐怖を与えるようなおぞましい笑みを浮かべながら学園都市最強の存在は、闇の中へと消えていった。

【セイバー@Fate/stay night 死亡】
【残り69人】

【B-6/森/一日目/深夜】

【一方通行@とある魔術の禁書目録】
[状態]: 健康
[服装]: 私服
[装備]: 無し
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×5
[思考]
基本:皆殺し
0: この場を移動する
1: 上条当麻(名前は知りません)は必ず殺す
[備考]
※原作3巻からの参戦です。

※B-6/森の湖にセイバーの死体と、折れたフランベルジェ@とある魔術の禁書目録が放置されています。
318 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/23(火) 22:07:25 ID:cYt4amS6
投下終了です
319創る名無しに見る名無し:2010/02/24(水) 00:16:42 ID:xjqbXYJy
投下乙です
一方さんが完全悪役の時期からの登場だと…?予想外だw
320 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/24(水) 00:22:14 ID:1GjgLQrl
投下乙です。セイバー早くも退場か…。
個人趣味ロワ第74話「新たな仲間」投下します。
登場:レイ・ブランチャード、須田恭也、ノーチラス、早野正昭、リーヴァイ
321新たな仲間 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/24(水) 00:23:27 ID:1GjgLQrl
74話「新たな仲間」

レイ・ブランチャードはD-2ホテルの正面玄関前に辿り着いた。
彼女の生きる世界には見られない建築方法、建材で建てられたその高層宿泊施設を見上げる。
これだけ大きく、地図にも載っている建物なら誰かいるかもしれない。
もっともそれが殺し合いに抗う者か、従う者かは分からないが。

強化ガラス製の扉を開けフロントに侵入するレイ。
受付と思しきカウンターと、奥には恐らく部屋の鍵を入れるロッカー。
豪華なソファーとテーブル、観葉植物、見た事も無い形のテレビ。
――レイの世界にもテレビはあるが、手回しチャンネルのような、
非常に古い形のテレビである。デジタル薄型テレビなど知る由も無い。

「これは…このホテルの見取り図か」

ホテル各階の見取り図を発見した。
一階にレストラン、パソコンルーム、大浴場などがあり、
二階から上はずっと客室のようだ。

「まずは一階から調べてみるか…」
「あ、あの…」
「!!」

突然背後から声が聞こえ、レイは持っている自動拳銃、Cz75を声の主に向けた。

「うわっ! ま、待って下さい」
「……少年?」

両手を上げて戦意が無い事をアピールするのは、
緑色の半袖の上着にジーンズを穿いた少年、須田恭也だった。

恭也はとある民家から失敬したマウンテンバイクを飛ばし、
地図上に表記されていたこのホテルへやって来た。
右手に電動回転鋸、チップカットソーを持ち、警戒しながら中に入ると、
何やら案内板のような物を見ている、嫌に露出度の高い妙な格好をした女性の後ろ姿が見えた。
とりあえず声を掛けてみたら、いきなり銃を向けられたのだ。
恭也自身も、ある程度予想はしていたが、やはり実際に銃を向けられれば怯む。

と言うより普段、こんな戦いとはかけ離れた平和な日常に生きる、
ごく普通の高校生である恭也にとって、本物の銃を向けられる事自体、
有り得ない話だったのだが。
322新たな仲間 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/24(水) 00:25:28 ID:1GjgLQrl
「…殺し合いに乗っているのか?」
「乗っていません」

きっぱりと言う恭也。
しばらくお互い無言のまま対峙していたが、やがてレイが銃を下ろす。

「両手を下げていい」
「……」

レイに促されるまま、恭也は上げていた両手を下ろした。

「すまんな。こういう状況だ、危険は出来る限り避けたいのでな。
私はレイ・ブランチャードだ。お前は?」
「須田恭也……あ、あの、レイ、さん……は、殺し合いに乗って無いんですか?」
「恭也か…ああ。乗っていない。それと、呼び捨て敬語無しで良いぞ」
「あ……わ、分かった、レイ」

ぎこちないながらも、お互いに殺し合いに乗っていない事を確認し、
自己紹介を交わす二人。

その時、エレベーターが一階に到着した事を知らせる鈴が鳴った。
レイと恭也が、エレベーターの方に向き、じっと扉を凝視する。
そして扉が左右に開くと同時に、中からバッ、と三人の人物が飛び出してきた。

「!!!」

そして三人――学生服を着た茶色の狼青年・ノーチラス、
パーカーを着た青い髪の童顔青年・早野正昭、
水色と白の毛皮を持った獣足の雌人狼・リーヴァイは、
ロビーに立つレイと恭也の姿を確認し、それぞれの装備武器を向け警戒する。

「待て待て、私達は殺し合いには乗っていない」
「お、俺もだ!」

即座にレイと恭也は戦意の無い事を訴える。
だがノーチラス達もそう簡単に信じる訳にはいかない。

「それなら二人共持ってる武器とデイパックを床に捨ててよ」

リーヴァイがコルトM1911を構えながら静かな声で命じる。
二人は大人しく従い、それぞれ装備していた武器とデイパックを床の上に投げる
323新たな仲間 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/24(水) 00:27:15 ID:1GjgLQrl
「これでどうだ?」
「…………」

しばらく無言のままノーチラス達は小声で何か話し合っていたが。
やがて構えていた武器を下ろした。

「悪かった」
「殺し合いには…乗ってないんだよな?」
「信用していいの〜?」
「……私はレイ・ブランチャード。そしてこっちが……」
「須田恭也」
「そうか。俺はノーチラスだ」
「俺は早野正昭」
「私はリーヴァイ」

緊張も解けた所で全員が互いに自己紹介を始める。
そして立ち話も何だと言う事で、ノーチラス達が行こうとしていた一階パソコンルームで、
それぞれが知っている情報を提供し合う事になった。



ホテル一階にあるパソコンルームは十数台のデスクトップパソコンが設置され、
宿泊客が自由にインターネット等を楽しめるようになっていた。

「これは…あんたの銃か?」

ノーチラスが自分の支給武器である青い自動拳銃・コバルトアローをレイに見せる。

「おお、そうだ。どこかで見たと思ったらやはり私の……。
私が今持っている銃と交換してくれないか?」
「ああ、いいぜ」

レイの支給武器であるCz75とノーチラスが持っているコバルトアローが交換される。
久々に手元に戻って来た自分の愛銃の感触に、レイはどことなく安心感を覚える。
やはり自分の銃の方がしっくり来る。

(これでもう一つの方……カーマインエッジがあればな……)

レイは二丁拳銃使いで、たった今手元に戻ってきたコバルトアローともう一つ、
フレームが真っ赤に塗装されたカーマインエッジという名の対となる自作大型自動拳銃がある。
恐らくコバルトアロー同様、この殺し合いの参加者の誰かに支給された可能性が高い。
出来ればもう一丁の方も欲しいが今はどうしようも無い。
324新たな仲間 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/24(水) 00:30:47 ID:1GjgLQrl
「なぁにあんた。私の事ジロジロ見てさっ」
「あ……いや……何でも無いけど……」

リーヴァイが椅子に座る恭也を間近で睨む。
彼女は知る由も無いが恭也は獣人など現実には存在しない世界の出身。
恭也からすれば、目の前にいるのは本来いるはずの無い、
二足歩行で、言葉を話す雌の狼。
意識しない内に気になってジロジロと見てしまうのも無理は無いのだが。
リーヴァイにとっては余り良い気分では無い。

「ふん、まあいいわよ」

やがて興味を失ったのか、リーヴァイは恭也から離れ、
レイから受け取った首輪の分解作業に当たっている正昭の方へ歩いていった。
その場に残された恭也はする事も無いので、
仕方無くノーチラスとレイの会話に耳を傾けている事にした。


【一日目/朝方/D-2ホテル一階パソコンルーム】

【レイ・ブランチャード@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:コバルトアロー@オリジナル(14/14)、
[所持品]:基本支給品一式、コバルトアローの予備マガジン(5)、
フェイファー ツェリザカ(4/5)、 600NE弾(10)、コンバットナイフ、
牛山サキの水と食糧
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。ゲームの転覆を目指す。
1:ノーチラスと情報交換。
2:ノーチラス、早野正昭、リーヴァイ、須田恭也と行動を共にする。
3:首輪の内部構造が知りたい。
4:殺し合いに乗っている者には容赦し な い 。
[備考]:
※主催側による盗聴の可能性に気付きました。
325新たな仲間 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/24(水) 00:32:29 ID:1GjgLQrl
【須田恭也@SIREN】
[状態]:肉体的疲労(中)、身体中にダメージ(大)、右上腕に切り傷(応急処置済)
[装備]:チップカットソー@自作キャラでバトルロワイアル(バッテリー残量:89%)
[所持品]:基本支給品一式(ランタン放棄、コッペパン1個消費)、
流血@浦安鉄筋家族(200粒入り)
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。そのためにも仲間が欲しい。
1:一応、仲間が出来て良かった…かな?
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、駐在警官に撃たれ川に転落し、
意識を失った直後からの参戦です。 従って幻視能力は目覚めていません。
※ランタンを破損、放棄しました。

【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:Cz75(10/15)
[所持品]:基本支給品一式、Cz75の予備マガジン(5)、
エネマグラ(粘液付着)、ミニローション(残り48ml)
[思考・行動]:
0:殺し合いを潰す。首輪を外す方法を探す。
1:早野正昭、リーヴァイ、レイ、須田恭也と行動を共にする。
2:レイと情報交換。
3:残りのクラスメイトの動向が知りたい(特にエルフィ)。
4:ちょい待ち、このレイって女……ゴクリ。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※もうエネマグラは使わないと決めたようですが、未練があるようです。

【早野正昭@オリキャラ】
[状態]:健康、西川のり子の首輪解体中
[装備]:アイスピック、鍋の蓋
[所持品]:基本支給品一式、工具(調達品)
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。人も殺さない。首輪を外す。
1:首輪の内部構造を探る。
2:ノーチラス、リーヴァイ、レイ、須田恭也と行動を共にする
[備考]:
※西川のり子の首輪を解体しています。
326新たな仲間 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/24(水) 00:35:26 ID:1GjgLQrl
【リーヴァイ@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:コルトM1911(7/7)
[所持品]:基本支給品一式、コルトM1911の予備マガジン(5)、M67破片手榴弾(3)
[思考・行動]:
0:殺し合いはする気は無い。お兄ちゃんを探す。
1:…お兄ちゃん…。
2:ノーチラス、早野正昭、レイ、須田恭也と行動を共にする?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
投下終了です。状態表がもう適当。
ロワで5人グループは大所帯だきっと。
327 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/24(水) 12:52:26 ID:l5GvnHx5
昼飯食べながら失礼します。
参加者と参加作品一部変更させてもらいます。

追加作品:6/6【真剣で私に恋しなさい!】
○直江大和/○川神百代/○椎名京/○クリスティアーネ・フリードリヒ/○黛由紀江/○風間翔一

除外参加者:○クルツ・ウェーバー/○ライダー/○エリオ・モンディアル/○芳野佑介

となります。ああ、ますますカオスなラインナップに…orz
328創る名無しに見る名無し:2010/02/24(水) 16:45:30 ID:svdaOSIX
てす
329 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/24(水) 22:43:29 ID:1GjgLQrl
個人趣味ロワ第75話「滅殺天使みやたん」投下します。
登場:宮田司郎、北沢樹里、ドーラ・システィール
330滅殺天使みやたん ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/24(水) 22:44:44 ID:1GjgLQrl
75話「滅殺天使みやたん」

人気の無い市街地の道路を、
少ししわくちゃになってしまった白衣を着た男が歩く。
ズボンの腰ベルトには鞘に収められた大きな刀が差し込まれていた。

男――宮田司郎は獲物となり得る他参加者を捜して歩いていた。
だが見付からない。

(人数も減っている。遭遇率が下がるのも無理は無いな)

周囲に気を配りながら歩いていると、
進行方向左手の建物の方から扉が開く音が聞こえた。
咄嗟にすぐ近くに停めてあった赤色のセダン車の陰に隠れる宮田。
そして車の陰から様子を窺った。

北沢樹里は荷物を纏め、右手に赤い大型自動拳銃・カーマインエッジを装備し卓球バーを出た。
空には太陽が輝き、美しい青空も広がっている。
その景色を見ると、一瞬ではあるがここが殺し合いの場だという事を忘れられそうだ。

「さてと……どこに行こうかなぁ。武器は沢山あるし」

樹里は既に三人殺害している。
元々自分に支給されたカーマインエッジに加え、
殺害した三人から奪った武器もあり、武装の面では十分だった。
銃と弾薬を大量に所持しているという事で、
樹里は少し慢心しているようだった。
それ故周囲の警戒を少し怠っていたのかもしれない。

「誰もいない…よね」

道路に出て左右を確認する樹里。
当然宮田が隠れている赤いセダンも目に入っていたが、
樹里の立ち位置からは完全に死角になっていた。
そして赤いセダンがある方とは逆の方向に向いた。

宮田は好機と読んだ。

刀を抜き、赤いセダンの陰から飛び出し、一気に樹里の背中に向け走った。
331滅殺天使みやたん ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/24(水) 22:46:01 ID:1GjgLQrl
「え…?」

樹里が背後から近付いてくる足音に気付き振り向いた時にはもう遅かった。
振り下ろされた刃は樹里の胸元から腹部までを一気に撫で斬りにした。
鮮血が飛び散り、樹里の学生服、路面、そして宮田の白衣を汚す。

「う…ぐぁ……ぁ…」

口から血を吐き、呻き声を漏らす樹里。
そしてそれが彼女が発した最後の言葉となった。
間も無く樹里は持っていたカーマインエッジを落とし、
路上にうつ伏せに倒れ、血溜まりを作って息絶えた。

宮田は特に何も言わず、刀に付いた血を樹里の衣服で拭い、
傍に落ちているカーマインエッジ、そして樹里の背負っているデイパックを引き剥がす。

その様子を宮田から見て前方数メートル先に停めてある黒いセダン車の陰に隠れて見ている者がいた。
フォックスリングの女スナイパー、ドーラ・システィールだ。

(あの刀、どこかで見たような気がするけど……まあいいか。
それよりここから撃って当たるかねぇ)

前方数メートル先で死体から荷物を失敬している白衣姿の男。
物陰から今装備している自動拳銃、H&KUSPを発射してあの男に当てられるかどうか。
いつも使っているクロスボウなら自信はあったが、
この使い慣れていない拳銃で当てられるかどうかは怪しい。

(でもまぁ、やってみないとしょうがないさね!)

意を決したドーラは、車の陰から白衣の男――宮田に向かってUSPを発砲した。

「!!」

銃声と同時に宮田の背後の赤いセダンの右ヘッドライトが砕けた。
明らかに自分を狙った銃撃。宮田はカーマインエッジを持って、
急いで赤いセダンの後ろに隠れる。

その間も数発の銃声が響き、赤いセダンに穴が空いていく。
332滅殺天使みやたん ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/24(水) 22:47:58 ID:1GjgLQrl
(あの黒い車の陰にいるな…早めに手を打たなければまずいか)

宮田は手にしたカーマインエッジを、相手に負けじと車の陰から発砲した。
反動が容赦無く宮田の腕と肩を襲うがそんな事に構ってはいられない。

しばらく宮田とドーラ、お互い車の陰に隠れながらの銃撃戦が続いたが、
このままでは埒が明かない。
しかも宮田の銃には予備弾が無い。樹里のデイパックの中にあるのだが、
とても取りに行ける状況では無い。
一方のドーラの銃にはある程度予備弾があり余裕もあった。

「くそっ、こうなったら一か八か」

宮田は賭けに出た。
思い切って立ち上がって身を乗り出し、ドーラの隠れている車のある部分を狙って連続射撃を行った。

「ああ? 一体どこ狙ってんだい?」

ドーラが宮田の突然の不可思議な行動に首を傾げた。
その次の瞬間。

ドーラの隠れていた黒いセダンが大爆発を起こした。
宮田が狙ったのは、ガソリンタンク。
カーマインエッジの弾丸が車の外装を突き抜けガソリンタンクを直撃し、
中に入っていたガソリンに引火し爆発したのだ。
ドーラは車という乗り物の事を全く知らず、ただの「鉄の箱」ぐらいにしか思っていなかった。

爆心地のすぐ近くにいたドーラが無傷でいられる道理は無く、
爆発に巻き込まれ、何が起こったか分からぬままドーラは絶命してしまった。

「ふぅ…」

後に残ったのは、血塗れの白衣に身を包んだ男――宮田司郎ただ一人であった。
宮田は樹里のデイパックの中から武器と弾丸を自分のデイパックの中に移し、
燃え盛る車をちらっと一瞥すると、その場を後にした。


【北沢樹里@自作キャラでバトルロワイアル  死亡】
【ドーラ・システィール@FEDA  死亡】
【残り  19人】
333滅殺天使みやたん ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/24(水) 22:49:42 ID:1GjgLQrl
【一日目/午前/E-3市街地】

【宮田司郎@SIREN】
[状態]:健康、返り血(大)
[装備]:カーマインエッジ@オリジナル(2/14)、アインの刀@FEDA
[所持品]:基本支給品一式、カーマインエッジの予備マガジン(4)、
二十六年式拳銃@SIREN(4/6)、9o×21R弾(30)、ベレッタM92FS(15/15)、
ベレッタM92FSの予備マガジン(5)、シグ ザウエルP228(13/13)、
シグ ザウエルP228の予備マガジン(5)、ドミネーター(0/1)、麻酔弾(4)、
応急処置セット(調達品)
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗る。但し優勝したい訳でも無い。
1:他の参加者を見つけ次第、殺す。
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、意識を失った直後からの参戦です。
従って幻視能力は目覚めていません。
※レオーネの名前と容姿を把握しました。


※E-3一帯に爆発音が響きました。
※E-3市街地に北沢樹里の死体と所持品が放置されています。
北沢樹里の所持品=デイパック(基本支給品一式、64式小銃用銃剣、
ルミーア・ホワイトの水と食糧、シルヴィアの水と食糧、永井浩二の水と食糧)
※ドーラ・システィールの死体と所持品は炎上しています。
334 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/24(水) 22:50:59 ID:1GjgLQrl
投下終了です。
335 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/25(木) 01:59:21 ID:NJsQtIIS
個人趣味ロワ第76話「HOLOCAUST」投下します。
登場:聖徳太子、石川清憲、大沢木小鉄、リュード、エルフィ、レオーネ
336HOLOCAUST ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/25(木) 02:00:25 ID:NJsQtIIS
76話「HOLOCAUST」

聖徳太子は病院の西側の入口に辿り着いた。

「大きい建物だな、誰かいるかもしれん。もしかしたら妹子も…」

この建物の中に捜し人である小野妹子がいる事を願って、
聖徳太子は狩猟用狙撃銃を携え病院の中へと入っていった。



丁度その頃、市街地を地面スレスレで低空飛行し、病院へ向かう、
黒い竜とその背に乗り黒い竜を心配する少年がいた。
黒竜――石川清憲は腹部から深刻な量の血を流していた。

「おいおい、大丈夫かキヨノリ?」
「ああ…何とか、な……」

清憲は実際は出血多量で目が霞み始め、余り大丈夫では無かったが、
小鉄に余計な心配はかけさせまいと無理に笑ってみせた。
しかし明らかに顔色はどんどん悪くなっていく一方で、
小鉄の心配は尽き無い。

「見えた、あそこが病院か…あそこで手当、しとこう…」
「お、おお!」

二人のすぐ前方に、病院の裏口周辺が見えてきた。

そして清憲は裏口付近に下り立つ。
しかし貧血気味なのか、足がもつれて思わず座り込んでしまった。

「キヨノリ! しっかりしろ!」
「だ、大丈夫、大丈夫だから」

感覚が鈍ってきている足を無理に立たせる清憲。
とにかくまずは止血しなければ。
二人は病院の裏口へ足を進めようとした。
その時、背後で何かが下り立った。
気配を感じた二人が振り向くと、そこには青っぽい毛皮を持った、
抜群のスタイルの雌の獣竜が立っていた。
その手には機関銃であるFNミニミが装備されている。
337HOLOCAUST ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/25(木) 02:01:53 ID:NJsQtIIS
「え、何だ、誰?」
「あ、アンタは…」
「んー……」

雌獣竜――リュードは目の前にいる雄の黒竜と人間の少年を見て考え込む。
そして。

「まあとりあえず、死んで」
「え?」
「な――」

小鉄と清憲が拍子抜けした声を上げた直後。
リュードの持っているミニミが火を噴いた。
壮絶とも言える射撃音、そして100発もの5.56oNATO弾の弾丸が、
清憲と小鉄を容赦無く貫いた。
ミニミに装填されていた全ての弾丸が撃ち尽くされた時、小鉄と清憲は、
文字通り「蜂の巣」状態と化し、血塗れの肉塊と化し、地面に横たわっていた。
リュードは何故殺し合いに乗っていない二人を殺害したのか。はっきり言うと、特に理由は無い。
彼女は自分の目的である「自分と同じ姿をした雌獣竜」以外の参加者はどうでも良かったのだ。

ミニミに新たな弾薬をフル装填し、リュードは病院の中へと入って行く。

「確証は無い。確証は無いけど、ここにいそうな気がする」



屍人化した灰色の毛皮を持つ狼少女、エルフィは、
病院内に足を踏み入れ、周囲を見回す。

「誰モ…イナイノカ、ナァ」

既にその声音は元の彼女のそれでは無くなっていた。
エルフィは獲物を捜し、受付奥の事務室の方へとふらつきながら進んで行く。
ロビーが一面、血まみれで所々に肉片や毛髪がこびり付いている事を、
今のエルフィは一切気にも留めない。

「……?」

事務室には、机を乱雑に退けて、その空いたスペースにどんっと居座るように、
一体の巨躯の雌獣竜が寝転がっていた。
紫がかった黒の毛皮を持つ雌獣竜、レオーネである。
当然、エルフィはレオーネのような生き物を見た事は無い。
自分が知り得るどの獣人種とも違う身体的特徴を持った目の前の生き物に、エルフィも最初は怪訝そうな顔をした。
338HOLOCAUST ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/25(木) 02:03:29 ID:NJsQtIIS
だが首に参加者の証である首輪がはまっている事を確認した途端、
エルフィはニタァと、歪んだ笑みを浮かべ歓喜する。

「見ィーツケタ♪」
「ん……何? 誰?」

エルフィの喜びの声にレオーネが目を擦りながら覚醒する。
しかし直後、銃声と同時にレオーネの腹部から血が吹き出た。

「ガアッ!?」

突然の銃撃、そして激痛に悲鳴を上げるレオーネ。
間髪入れず次の銃撃が、今度はレオーネの右胸の辺りだった。

「ウガアアア!! やだ、痛い! 何するのよ!やめて!」
「アハハハハハハハハハ」

エルフィは泣き叫ぶレオーネの事などお構い無しに、笑い声を上げながら次々に、
手にしたデザートイーグルの弾丸を撃ち込んでいく。

「ウギャアアアアア!!」

余りにも不意討ち。まだ寝起きの所を襲撃された事もあり、
レオーネは反撃するのも忘れただただ銃撃を受け痛みに悶えるのみ。
目からは涙が溢れ、血反吐を吐き、失禁までしていた。

「い、嫌、嫌、お願いだからやめてよぉ……!」

ガクガクと怯えた小鳥のように震え、襲撃者の狼少女に懇願するレオーネ。
しかし屍人の意識に支配されたエルフィは聞く耳を持つはずも無い。
歪みきった声音で高笑いを上げながらエルフィが最後の一発を叩き込もうと、
引き金に掛けた指に力を込める。
レオーネは大粒の涙を流しながら、大きく目を見開いた。

だが、引き金は引かれる事は無かった。

「……え? わ、私、何やって、るの……?」
「……???」

エルフィが、エルフィ自身としての意識を突然取り戻したのだ。
自分が今まで何をしていたのか全く分からないエルフィだったが、
目の前に血塗れで、身体中撃たれた痕だらけ、
しかも涙を流し怯えた顔で自分を見ている毛皮を持った竜のような生き物がいる。
そして自分の手には銃口から煙を噴き出している大型自動拳銃。
その状況から、エルフィは今自分が何をしていたのかを難なく探り当てた。
339HOLOCAUST ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/25(木) 02:05:07 ID:NJsQtIIS
「あ、わ、私、そんな」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

狼狽するエルフィに、レオーネが雄叫びを上げ、鋭い爪の付いた右手を、
渾身の力でエルフィの胴体目掛け突き出した。
肉と骨、そしてエルフィの胴体に使用されたレプリカントのパーツが、
一気に破壊され、貫かれる。

「がはっ……」

レオーネの右腕に串刺しにされたエルフィは、大量の血を吐き、
そのまま、銃を落としてぐったりとなった。
エルフィの身体から乱暴に右腕を引き抜き、レオーネは再び身体の激痛に悶え苦しむ。

「ゲホッ、ゴホッ、い、い、だい……苦しいよおお……」

這いずるように、事務室から受付、そして血塗れのロビーへ。

「! あ、あなた……」
「え?」

いきなり何者かに声をかけられ、レオーネは声の方向へ向く。
そこには自分と毛皮の色以外は、まるで瓜二つの雌獣竜がいた。
しかし、今のレオーネにとってはそんな事、どうでも良い事だった。

リュードはついに、自分と瓜二つの雌獣竜を発見した。
だが、その雌獣竜は、口から大量の血を吐き、胴体には、
大口径の銃で撃たれたものと思しき大きな穴が幾つも空き、
出血も夥しく、大粒の涙を流して息を荒げ、濃厚な血の臭いに混ざって、
アンモニア臭も漂っている事から恐らく失禁もしている。
正に満身創痍。見た目で、致命的な負傷をしている事は明白だった。
すぐに駆け寄り、介抱を始める。

「大丈夫? しっかりして。何があったの?」
「う、撃たれたぁ……変な、狼の女の子にぃ……」
「その、女の子は?」
「こ、殺したよぉ………ゲホッ、ゲホッ!!」

更に吐血する雌獣竜。
内臓器官が深刻な損傷を受けているようだ。

「私はリュード、あなたの名前は?」
「……レオーネ……」

やはり。リュードは自分の直感が正しかった事を知る。
340HOLOCAUST ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/25(木) 02:06:34 ID:NJsQtIIS
「ガハッ、ガアアア………もう、動けない、よおお……寒い……寒い………!」
「レオーネ!」

リュードが叫ぶ。
レオーネの強力な自己治癒能力も機能しない程、傷は深刻だった。
もう、助からない。
リュードはレオーネの死を悟った。

(やっと会えたのに……! こんなのって……)

「あ゛………ぐ………う…………」
「レオーネ…………」
「し……死にたくない、死にたくないよおぉぉ……死にたくない…死にたくない…!!」

リュードはどんどん冷たくなっていくレオーネの身体を抱きしめた。
もうそれしか出来ない。
そして、命の火が消える、その直前。

「…………リュー………ド…………―――――」

レオーネは、確かに、リュードの名前を読んだ。
そしてリュードに抱かれた、レオーネの瞳から光が消え、動きが完全に止まった。

「……レオーネ……」

見開いたままの両目を閉じさせ、優しくレオーネの頭を撫でるリュード。
その目からは、涙が流れていた。

ふと、リュードの目に止まったもの。
それは、血塗れのロビーの床に落ちている、一振りの抜き身の打刀だった。



「!! こ、これは……!?」

聖徳太子は病院入口ロビーの余りの惨状にうろたえる。
銃声らしきものと女の高笑いのようなものが聞こえ、適当な部屋で隠れていたが、
何も聞こえなくなって音のした方向にやってきてみればこの有様。

鼻を突く血の臭いに顔をしかめ、左腕のコートの袖で鼻を覆う。
血塗れの天井、床、壁。飛び散った恐らく人間の物と思われる肉片。
そして、受付付近に座っているのは――。
341HOLOCAUST ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/25(木) 02:08:30 ID:NJsQtIIS
「お、お前は!?」
「……?」

一瞬、あの時に自分を殺そうとした、あの竜かと思ったが、よく見ると色が違っている。
その雌獣竜に抱かれるように眠って――いや、死んでいる雌獣竜こそ、
夜明け前に自分に襲い掛かったあのレオーネと名乗った雌獣竜だ。

「…私はリュード。この子は……レオーネ。貴方は…」
「私は…聖徳太子だ」
「聖徳太子? 貴方が……イモコが捜していたわ」
「!! イモコを知っているのか!? 今あいつはどこにいるんだ! 教えてくれ!!」

リュードと名乗った青い雌獣竜の口から飛び出た思いも寄らない捜し人の手掛かりに、
太子は血相を変えてリュードに詰め寄る。
リュードは暫く間を置いて、そして口を開いた。

「死んだ」
「…………何?」
「死んだって言ったの。私が殺したわ」

太子の時が止まってしまった。

(死んだ? 妹子が? 殺した? 妹子を? こいつが?)

「信じられないって言うなら、エリアD-2にある古びた倉庫に行ってみてよ。
そこに答えがあるから。エリアD-2よ。覚えてね。後で忘れても、私はもう言えないから」
「……? それは、どういう……ッ!?」

リュードは先程拾った打刀――焔薙の刃を、自分の喉に当てた。

「お、おい、何をする気だ!?」
「見れば分かるでしょ」

そして、刃をぐっ、と、喉元に押し付ける。
首元の青い毛皮が、赤い血で滲み始めた。

「もう、やる事無いから、これで、この舞台から退場する事にするわ。
じゃあね聖徳太子さん。頑張ってね」
「待――」

血で染まりきったロビーに、また新たに鮮やかな朱の色が加わった。
自分で自分の喉笛を切り裂いたリュードは、最期の力を振り絞って、レオーネの死体と添い寝するような体勢になり、そして、そのまま息絶えた。
342HOLOCAUST ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/25(木) 02:10:48 ID:NJsQtIIS
「……」

余りの出来事に呆然とする聖徳太子。

「あ、あの……」
「!!」

受付の方から苦しそうな少女の声が聞こえた。
見れば、受付入口の柱にもたれるように立っている、狼の顔をした少女が。
腹部にぞっとするような、大きな穴が空いており、なぜ生きて、立っていられるのか不思議な程だ。
狼少女――エルフィは、太子の元に歩み寄ろうとして、バランスを崩し転倒した。
慌てて太子が傍に駆け寄る。

「だ、大丈夫か……!?」
「大丈夫……じゃ、無いです、ね……もう、死ぬみたいです、私」
「そんな…」
「そ、それより、お、お願いが、あるん、です」
「……何だ?」
「もし…茶色の毛皮をした……狼族の…ノーチラスっていう人に会ったら……伝えて欲しいんです。
『エルフィは死んだ』って…………」
「…………」

エルフィが太子に願ったのは、自分が死んだ事を、
まだどこかで生きていると思われるクラスメイトのノーチラスに、
もし太子が出会えたら伝えて欲しいという事だった。
太子は少し悩んだが。

「…分かった。もし会ったら必ず伝える。だから……安心してくれ。エルフィ君」

太子はエルフィの頼みを聞いてあげる事にした。
エルフィはニコリと微笑み、

「………ありが………とう………」

太子に礼を言い、そして、静かに息を引き取った。




太子はロビーとその周辺に残されていたデイパックや武器を掻き集め、
濃厚な血の臭いが漂う病院を裏口から出た。
裏口から出る際、今度は黒い竜と少年の惨殺死体を見付けてしまい、思わず目を背けた。
だが、その死体の荷物も一応使えそうな物は回収した。
343HOLOCAUST ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/25(木) 02:12:57 ID:NJsQtIIS
「妹子……本当に、死んだのか……?」

リュードが言い残した「妹子は自分が殺した」という言葉。
そして「エリアD-2にある古びた倉庫に行けば分かる」という言葉。
いや、それ以前に、本当に小野妹子は死んだのか?
太子は正直、信じられなかった。あの妹子が、死んでしまうなどとても考えられない。
なら――自分の目で確かめる他無いだろう。

そして、エルフィという、灰色の毛皮を持った狼獣人の少女から託された、
ノーチラスという人物に会ったら自分が死んだ事を伝えて欲しいという依頼。

「……くそっ……考える事が多過ぎる……!」

太子は頭を抱え、うんざりしたように言い放った。

【石川清憲@オリキャラ  死亡】
【大沢木小鉄@浦安鉄筋家族  死亡】
【レオーネ@オリキャラ  死亡】
【リュード@オリキャラ  死亡】
【エルフィ@自作キャラでバトルロワイアル  死亡】
【残り  14人】

【一日目/午前/F-3病院裏口付近】

【聖徳太子@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:肉体的、精神的疲労(中)、烏帽子無し
[装備]:狩猟用狙撃銃@SIREN(4/5)、トレンチコート
[所持品]:基本支給品一式、7.62o×51o弾(30)、九九式小銃(4/5)、
7.7o×58o弾(30)、ワルサー カンプピストル(1/1)、26.6o炸裂弾(3)、
64式小銃(20/20)、 64式小銃の予備マガジン(5)、曽良の首輪、焔薙@SIREN、
IMIデザートイーグル(1/7)、デザートイーグルの予備マガジン(4)、 グロック19(12/15)、
グロック19の予備マガジン(5)、クリスの剣@ムーンライトラビリンス改造版、
FIM-92スティンガー@自作キャラでバトルロワイアル(0/1)、70oミサイル(4)、
FNミニミ(200/200)、5.56o×45o200発金属リンク(9)、エグゼキューショナーズソード、
ウィンチェスターM1897(4/5)、12Gバックショット弾(25)
[思考・行動]:
0:このゲームを滅茶苦茶にしてやる!
1:妹子が……死んだだと……!?
2:嫌になってくるなぁ、もう……。
[備考]:
※単行本第九巻第168幕「聖徳太子の持っている木の棒」より後からの参戦です。
※ノーチラスのおおよその特徴を把握しました。

※F-3一帯に銃声が響きました。
※F-3病院裏口付近に石川清憲、大沢木小鉄の死体、
ロビーにリュード、レオーネ、エルフィの死体が放置されています。
344 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/25(木) 02:14:16 ID:NJsQtIIS
投下終了です。長過ぎだww疲れた…。
345 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/25(木) 13:16:02 ID:72bksKvd
長文投下乙です。一気に死にましたな…まぁロワではよくある事…ですよね?

それではまたまた昼飯時に投下します

第4話『アホの子達とお姉さん』
登場人物:フェイト・T・ハラウオン,クリスティアーネ・フリードリヒ,ロゼット・クリストファ
346アホの子達とお姉さん ◆B/laBRMcz6 :2010/02/25(木) 13:18:59 ID:72bksKvd
「ちょっと、さっさと先に進んでよ!」
「文句を言うな、これで精一杯の速度なんだ!」
「だから私が先に行くっつったじゃない、このバカ!」
「ば、馬鹿だと!?馬鹿っていったほうが馬鹿なんだぞ、この馬鹿!」
「うっさいバーカ!クリのバーカ!」
「〜〜!うるさいバーカ!ロゼのバーカ!」

……さて、冒頭からいきなりボキャブラリーに乏しい罵倒合戦を繰り広げるは、二人の少女。
前を行く少女は日本の学生服に身を包んだドイツ人の少女、クリスティアーネ・フリードリヒ。
後ろから着いて来るは修道服を改造したかのような、やや扇情的な格好をしたシスター兼修道騎士、ロゼット・クリストファ。
彼女達が共に持つ黄金に輝く髪と凛とした瞳は、見るものを魅了する…筈なのだが、この殺し合いの場においてあまりにも低次元の口喧嘩を繰り広げるその様は呆れを通り越して失笑物である。
さらにここは一本道の洞窟の中で、こんな所で大声を上げている事がどれほど危険な事なのかは言うまでも無いのだが、それでも二人の口論は止まらない。

二人はこの会場に飛ばされてすぐに出会い、互いに主催者に反抗する意を明かし行動を共にする事を決めた。
そして互いの情報、支給品の交換などを行いながら周囲を探索していた所、この洞窟を見つけたのだ。
最初はクリスが一人で進入し、ロゼットが入口の周辺警戒を行っていたのだが、洞窟が別所へと繋がっているらしく、二人で内部に入る事にしたのだが…

「奥がこんなに狭いなんて聞いてないわよ!本当にこれどっかに繋がってんでしょうね!?」
「フン…それは間違いない、この奥から風が吹いてきているし、この洞窟はどこかの地点と連結している筈だ。」
「…でもこんだけ狭いって事は、人が通れるとは限らないんじゃない?」
「…あ」
ロゼットはこめかみに青筋を立てながら、思わずクリスと交換して手に入れたショットガン、べネリM3を取り出した。
347アホの子達とお姉さん ◆B/laBRMcz6 :2010/02/25(木) 13:21:38 ID:72bksKvd
「な・に・が・…あ、よ!やっぱりあんたバカだわ、このバカ、バカクリ!クリバカ!」
「な、なんだと!それを言うならお前だってここまで進むまでその事に気付いてなかったんじゃないか!人の事いえる立場じゃないだろう!あとその銃しまえ何する気だ馬鹿!」
「うっさいわね!あんただってあたしの上げた剣腰に付けてるじゃないの!このバカ!アホ!トンチンカン!!」
「なんだとこのバカ!バカ!バーカ!ロゼバーカ!」
もはや口論にすらなっていない口喧嘩をしながらも奥に進む二人だったが、突如前方を歩いていたクリスが何かにぶつかった。
ぶつけた鼻先を片手で押さえながらクリスが前側を確認した所、行き止まりになっている様だった。
「…行き止まりだ」
「…もう罵倒する気も失せたわ…。」
さすがに少しバツが悪そうにするクリスを尻目に盛大にため息を吐きつつも、ロゼットは一つ考えが浮かんだ。
「ねぇクリ。」
「な、なんだロゼ?いや、確かに行き止まりだったのは事実で、この件に関する非は私にあるかも知れないが…」
「いや、そうじゃなくってさ、風穴があるのよね、そこ」
「?ああ、確かに少し外に繋がる穴は空いてるが、拳一つ分程の穴だぞ、とてもじゃないが通れん」
「いや、それで十分。」
そう言うとロゼットはデイバッグからおかしな像を取り出すと、前のクリスに渡した。
「?これは確か支給品の…ハニワ?」
「これをその穴に入れて!」
「…!そうか、だが大丈夫か、例え成功してもこれが原因で近くに居る参加者達に自分達の居場所を知らせてしまうぞ。」
「さっきバカバカ合戦をしといて、今更そんな事言うんじゃないわよ。今更来た道戻るほうがよっぽど危険じゃない。」
「そ、それは…よし、分かった、少し下がっていてくれ。」
手乗りサイズのハニワを穴に詰め、クリスも後ろ側に下がりながらデイバッグから鉛筆を一本取り出す。
「ちゃんと当てなさいよ。」
「心配するな、投擲にはそれなりに心得がある。」
それだけ言うと、クリスは無言となり、真っ直ぐ穴へと視線を固定した。
そして狙いをすまし…穴に詰めたハニワに向かって鉛筆を投擲した。
一直線に飛んで行った鉛筆は、ハニワの額部分へと勢い良く当たり、砕けた。


それと同時に、ハニワが一瞬で膨張し、そして爆発した。
ドグワアァァ!!という大きな音が周囲に響く。
だが爆風そのものはそこまで大きいものではなく、離れていた二人の元に爆風が辿り着くことは無かった。

「ワーオ…まさか本当に爆発するとは驚きね。」
「ああ。正直こうして目の前で見るまでは疑っていたが…」

あのハニワに付いていた説明書きには『衝撃を与えると爆発します☆取り扱いには気をつけてね、はにほー』と書かれていた。


「どう?人一人通れるくらいの穴が開いてればいいんだけど…」
「少し待ってくれ、まだ煙が邪魔でよく見えない…。」
348アホの子達とお姉さん ◆B/laBRMcz6 :2010/02/25(木) 13:22:28 ID:72bksKvd

さて、所変わってここはA-1海岸の砂浜。
ここで潮風に身をゆだねている人物もまた流れるような黄金色の髪をしており、両脇に縛りツインテールにしている。
しかしその外観から感じ取れるものは決して幼い印象などではなく、むしろ母性を感じるような柔らかい印象を持っていた。
その人物の名はフェイト・T・ハラウオンという。

「なのは…それにスバルとギンガまで…」
フェイトに光を与えてくれた、最高の親友と、可愛い後輩達の名が名簿には記されていた。
彼女達は一人一人が数多に存在する次元世界を管理・維持するための特殊機関、時空管理局の中でも指折りのエース達である。
それゆえに、その実力は相当の物であり、かつ直前までは管理局内でメンバー解散のパーティをしていた彼女らをこの場に連れ去った主催者は何者なのか。
天才科学者、ジェイル・スカリエッティによる管理局地上本部の襲撃事件以降、以前にも増して厳重となったセキュリティを突破し、
かつ彼女に捕まった事すら気付かせずこんな殺し合いの場に連れ去った存在に、フェイトは正直、恐怖すら覚えた。
自らの子供の様な存在である、エリオとキャロの名が載っていないのは不幸中の幸いと言えるかも知れないが、それ以上にこの殺し合いに参加させられている参加者の数に驚いていた。
自分を含め72人もの人間が、こんな場所に連れて来られ、訳も分からないまま殺し合いを強制させられていると言うのだ。
しかも――
「…ナンバーズの…ドゥーエ」

スカリエッティの作り出した人造人間『戦闘機人』の一体が、参加者の名の中にある。
だが、このドゥーエは自分達機動六課のエースの一人、シグナムの目の前で命を落とし、遺体も自らの目で確認した。
生きている筈が無いのだ。
だがこの名簿にはその名前が載っている。
これは一体どういう事なのか。
同姓同名の別人という可能性もあるが、そんな安直な答えでは納得しきれない。
だがそもそも、このドゥーエがこの会場の何処にいるかも分からない。
となると、気にはなるが今はこの件については保留とするしかない。

そこまで考え、また別の事へと思考を移そうとしたが…

「…っさい!………カ!アホ!……ン!」
「なん…ーカ!ロゼバ…」
349アホの子達とお姉さん ◆B/laBRMcz6 :2010/02/25(木) 13:23:11 ID:72bksKvd
「…?」
潮風に乗って、誰かの声が聞こえてきた。
この場において、姿が確認できない位置から声が聞こえるほどの音量で喋っている所からして、この殺し合いを理解していないか、自棄になってしまったのかも知れない。
そう思い立ち、声のした方へと用心しながら近づいて行くと、そこは浜辺の盛り上がった壁だった。
「…?このあたりから声が聞こえたんだけど…」
周囲を注意深く見回すも、人影一つ見当たらない。
空耳だったかと思い、そろそろこの場から移動しようと歩き出し、

後ろの岩壁が、いきなり爆発して吹っ飛んだ。

「えっ!?」
不意を突かれた事態に、驚きの声を上げ、後ろを振り返る。
さっきまでただの岩壁だった所は大人一人が通れそうな大きな穴が開いており、もうもうと煙が立ち込めていた。
少しの間呆然としていたフェイトだが、洞窟内から物音が聞こえてくるとすぐに険しい目つきとなり、デイバッグから支給品の手裏剣を取り出した。
音はだんだん大きくなっていき、フェイトにも緊張が走る。
だが…
「げほっげほっ…おい、通れるようになったはいいが全身すすだらけになってしまったではないか!ウェッ、口の中に入った…」
「うっさいわね、他に方法無かったでしょうが、文句言うな!」
「それはそうだが、前にいた私はすすだらけなのに、後ろに居たお前は殆どすすを被ってないじゃないか…なんか不公平だ。」
「どっかの自称騎士様が勇ましく、「私が前衛を勤める!」なんて言ったからでしょうが…」
「おお、褒められたぞ」
「褒めとらんわ!」
洞窟から聞こえてきたのは、緊張感の欠片も無い口喧嘩だった。
臨戦態勢でいたフェイトは、途端に毒気を抜かれてしまった。
だがそんなフェイトの心情など露知らず、姿が見えてきた二人は未だに口論を続けている。
350アホの子達とお姉さん ◆B/laBRMcz6 :2010/02/25(木) 13:26:07 ID:72bksKvd
「だいたいロゼ、お前は…って、あれ?」
突如前方にいた少女が素っ頓狂な声を上げた。どうやらやっとフェイトがいる事に気付いたらしい。
「ちょっとクリ、後ろが使えてんのよ!さっさと出ろー!」
そう叫ぶや否や、突如フェイトと目が合っていた少女が盛大にすっ転んだ。
どうやら後ろの同行者に押されたようだ。
幸い地面は砂だったから怪我は無いだろうが、それにしても酷い扱いである。
「ふぅー、久しぶりの外の空気だわー…って、あれ、どちら様で?」
後ろにいたシスターの様な格好をした少女も、やっとフェイトに気付いた様だ。
そこでフェイトは二人に話しかけようとしたのだが、
「ロゼ、貴様ーー!よくもやってくれたなー!」
さっき弾かれた少女がお返しとばかりにとび蹴りを放った。
シスター少女は上手くかわしたが、あからさまに不機嫌そうな顔をしてまたもう一人の少女に食って掛かった。
「なにすんのよ、このバカ!」
「さっきのお返しだ、バカロゼ!」
「だったらこれは今のとび蹴りのお返しじゃこらー!!」
そう叫び、取っ組み合う二人を呆然と見ているフェイトだったが、このままではこの爆発を聞いた他の参加者たちが集まってくるかもしれないと判断し、まずは二人の喧嘩を止める事にした。

(やれやれ、エリオやキャロの時みたいに上手く止められるかしら…)


【A-1/海岸/一日目/深夜】


【ロゼット・クリストファ@クロノクルセイド】
[状態]: 疲労(小)、格闘中
[服装]: 修道騎士服
[装備]: べネリM3@現実(弾数40)
[道具]: 基本支給品一式、プチハニーの死骸×4@ランスシリーズ、不明支給品×1(確認済み)
[思考]
基本:殺しはしない、生き残る
0: おのれクリめ!
1: クロノ達との合流
2: クリスの知り合いを探す
3: ジェナイ、アイオーンを警戒
[備考]
※修道騎士試験合格以降からの参戦です。
※クリスと支給品、知り合いの情報を交換しました


【クリスティアーネ・フリードリヒ@真剣で私に恋しなさい!】
[状態]: 疲労(小)、格闘中
[服装]: 川神学園制服
[装備]: 鋼の剣@ドラゴンクエスト天空物語
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×2(確認済み)
[思考]
基本:騎士の誇りを貫く(主催者打倒)
0: おのれバカロゼ!
1: 大和達との合流
2: ロゼットの知り合いを探す
3: ジェナイ、アイオーンを警戒
[備考]
※ロゼットと支給品、知り合いの情報を交換しました
351アホの子達とお姉さん ◆B/laBRMcz6 :2010/02/25(木) 13:26:55 ID:72bksKvd


【フェイト・T・ハラウオン@魔法少女リリカルなのはStrikers】
[状態]: 呆然
[服装]: 管理局正装
[装備]: 手裏剣×8@現実
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×2
[思考]
基本:主催者の打倒
0: 二人の喧嘩を止め、場所を移動する。
1: 戦えない人間の保護
2: なのは達との合流
3: ドゥーエを警戒?
[備考]
※アニメ最終話〜エピローグ間の参戦です



※A-1周辺に爆発音が響きました。

支給品紹介:プチハニーの死骸 ランスシリーズからの出典
ランス達の出典元の世界「ルドラサウム大陸」に生息するハニワ型モンスター、ハニーの一種。
体内に爆発物質が詰まっている為、衝撃を与えると爆発する。
352 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/25(木) 13:29:02 ID:72bksKvd
投下終了です。

また言い忘れていましたが、ドラゴンクエスト天空物語からの支給品は、
天空物語に出ていないドラクエ5の道具等も天空物語名義で出して行きますのでご了承下さい。
353 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/25(木) 23:30:43 ID:ExkoNupp
投下乙です。緊張感ねえな、この二人wwww
フェイトさんで抑えられるかwww
文練ロワ15話、クロノ・ハラオウン、宮沢謙吾投下します。
354誓い〜キミのためにできるコト〜 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/25(木) 23:32:58 ID:ExkoNupp
深い闇が辺りを包む黒の草原。
普通なら風の音、草が揺れる音だけが場を支配するのだがこの草原では違った。
草原に似つかわしくない音と無言の圧迫感が場を支配している。

キンキンキンと甲高い金属音がうるさいぐらいに響く。
音の出所は二人の人間。

「小さな子とて、容赦はしない。俺の大切な人達のために大人しく死んでもらおうか」

一人は剣道着を来た大柄の青年。逆立てた銀髪が目に引く。
青年の名は宮沢謙吾。
謙吾は手に持った巨大な野太刀を駆使し、刀を振るう。

「それでは他の人はどうなる!他の人にも大切な人はいる。それを無視する気か!」

もう一人は黒の服に身を包んだ少年。実直そうな顔立ちだ。
少年の名はクロノ・ハラオウン。時空管理局の執務官を努めるほど正義の意志が高い。
クロノは手にレイピアらしき剣を持ち、謙吾の野太刀を受け流す。

「それでも、俺は決めたんだ」
「ただのエゴじゃないか、そんなの!」

謙吾はクロノの突きを軽くいなして野太刀による振り下ろしをクロノの脳天目がけて放つ。
受けきれないと感じたのか、クロノは野太刀による一撃を横に飛ぶことで躱す。
謙吾は逃さず、クロノが跳んだ方へ駆け、袈裟に野太刀を振るう。

「っ!」
「おしい」

クロノはぎりぎりで刀身で受け切れたのだが腕がしびれ、苦い表情を顔に出す。
クロノは実戦経験は豊富なれども、まだ十四歳。
身体が出来ていない。それにデバイスが無い状態では魔法が使うことができないため、
魔法なしで謙吾と戦っている。
つまりの所、クロノは経験と自分の肉体だけで戦っているのだ。
355誓い〜キミのためにできるコト〜 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/25(木) 23:36:51 ID:ExkoNupp

「まだだ!」

クロノは下段からの振り上げ、右からの横一閃の切り込み、正面への打ち込みなど多彩な一撃を繰り出し、
謙吾を殺すとまでは行かなくても無効化しようと画策する。
だが謙吾はゆるがない。

「確かに上手い。俺の隙を狙ういい一撃だ。だが、身体が追いついていない」

謙吾は振り上げを余裕で避け、切り込みと正面への打ち込みは野太刀で受ける。
クロノと謙吾は鍔迫り合いになりぎ辺りにはちぎちと金属同士がこすれ合う音が鳴る。

「はあああああ!」
「……気合いは十分なのだがな!」

謙吾がクロノのレイピアをあっさりと押し返し、胴へ向けて神速の一撃を繰り出すが、
クロノ押し返された勢いを利用して、後退することによってぎりぎりのところで躱す。

「はぁ……はぁ」
「大分、息が上がっているようだが生憎、手加減はしてやれん」

クロノは息が上がり片膝を地につけ辛そうな表情をしているが、謙吾は変わらず堂々と両足で大地を踏んでいる。

「君はよくやったと思う。身体能力の差からしても本当にな」

だがそれでもクロノはよろよろと立ち上がりレイピアを構える。

「僕は……時空管理局の、執務官なんだ。こんな所で、くじけちゃいけないんだ」

クロノは立たなければいけない。自分のプライドのために。この島にいる仲間を護るために。
決して折れない不屈の意志を胸に抱えて。

(ここをどう切り抜けるべきか。逃げる?近くに森はあるが入る前に追いつかれる。
それに他の人を巻き込んでしまったら元も子もない。
 なら真正面から打ち勝つ?悔しいが無理だ。言われた通り身体能力の差が違う。
僕も経験で何とかここまで乗り切ってきたがもう限界だ。厳しすぎる)
356誓い〜キミのためにできるコト〜 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/25(木) 23:39:02 ID:ExkoNupp
クロノは頭の中で必死にここから生き抜くための手段を思考する。
だが、どれもだめだという結論に至る。

「もういいか?しかし残念だ。いい気概を持っている子供を殺すのは。
こんな所でなければ剣道でも教えたのだがな」
「あなたがこんなゲームに乗るのをやめれば今すぐにでも喜んで学びたいぐらいだよ」
「それができればな……どんなによかっただろうに。俺には無理だ。
 仲間を護るために殺し合いに乗った俺にはな……」

謙吾は懺悔でもするかのように顔を少し歪めながら語る。
もう止められないのだ。一度決めてしまったことを止めることは謙吾の性格からして許さない。

(くそっ!力が欲しい!ここを切り抜ける力。あの人を救える力。
僕には何もかも足りなさすぎる。力が……力が欲しい!)

クロノは心中で叫ぶ。何もできない自分に。これでもかと無力さを呪った。

《力が欲しいか……》
(な、何だ!?)

クロノの祈りが通じたのか声が聞こえてきた。
どこから?わからない。クロノは謙吾を見るが謙吾には聞こえてないそうだ。

(何だ、お前は。誰だ!)
《力が欲しいかと聞いている……》

クロノの問い掛けを無視し声はクロノに問う。
力が欲しいか、と。

(欲しいさ!でも、もうどうしようもない。僕はたぶんここで死ぬ)
《力が欲しいのなら願え……》
(願う?)
《願うのなら……力が欲しいのならくれてやる!》

クロノは訝しみながらも考える。だがそんな暇は今はない。
謙吾が地面を蹴り高速の勢いでクロノに迫る。手に持った野太刀でクロノの身を引き裂こうと。
357誓い〜キミのためにできるコト〜 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/25(木) 23:41:02 ID:ExkoNupp

(いいさ。なら願ってやる!力が欲しい力が欲しい力が欲しい!力をよこせっ!
 力を…………よこせえええええええええええええええええええ、“空虚”!)

しらないなまえなのになぜかあたまからでてきた。

そんなことをクロノは思い浮かべながら。二人は光に包まれた。

  
  
◆ ◆ ◆
  
  
  
  「何だったんだ、今のは」
  
草原に謙吾は一人佇んでいた。
光が収まった後、クロノはどこにもいなかったのだ。
謙吾は周りを見渡したがそれらしき人影は見受けられなかった。

「あの光が照らされている間に、近くの森へと逃げた?こんな搦め手を残してるとはな、侮れん」

謙吾は自分がクロノのことを侮っていたことを認識し唇を噛む。
自分の油断が招いた結果だ、と強く自分を戒めながら。

「理樹……お前は俺が護る。だから、大人しくしているんだ」

謙吾にとっては仲間は何者にも変えられない大切なものであり、そのためには殺し合いに乗ることも辞さない。
その決意は鉄の如く固く決して折れるものではない。

「俺らの中で“生きている”のは、理樹だけなんだ。
 なら、理樹を護るしかない、それ以外に何もないんだ」

謙吾は思い出す。あの全てが満たされた世界での楽しかった思い出を。
そして、それは虚構というとても儚い夢だということを。
358誓い〜キミのためにできるコト〜 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/25(木) 23:42:51 ID:ExkoNupp

(夢は終わった。覚めない夢なんてどこにもない。あの世界のことを乗り越えて理樹と鈴は強く生きていくはずだった。
 でも、鈴は死んだ。未来を見れるのは“生きている”理樹だけになった。
 なら俺は理樹の為に何をしてやれる?そうして考えた結果が理樹以外を皆殺しとは、俺も大分ヤキがまわったな)

謙吾は自嘲するように笑う。
それがどれだけ愚かしいことで理樹がそんなことをしても喜ばないということも謙吾はわかった上でこの決断を下したのだ。

「理樹の未来の為に、殺す。理樹以外を全て」

剣の鬼が戦場を駆ける。全ては友の為に、ただ一振りの剣として。


【H-4草原/1日目・深夜】
【宮沢謙吾@リトルバスターズ!】
[状態]:健康
[装備]:夕凪@魔法先生ネギま!
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:直枝理樹を最後の一人にする
1 積極的に他者と争う。
2 直枝理樹を見つけたら即座に保護。
※虚構世界崩壊後からの参戦です。

【夕凪@魔法先生ネギま!】
桜咲刹那の愛刀。かなりの業物。
359誓い〜キミのためにできるコト〜 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/25(木) 23:44:28 ID:ExkoNupp

  
  
◆ ◆ ◆
  
  

先ほど謙吾と戦った草原の近くの森の中にクロノはいた。

「これが力……」

クロノが“空虚”の名を叫んだ後、光が二人を包んだ。
その間にクロノは近くの森へ逃げたのだが。

「脚力が上がってる?」

そう、光で謙吾の目をくらましたとしてもそれで生まれる隙だけでは完全に逃げ切れることはできない。
だが実際クロノは謙吾から逃げ切れた。

「この力、身体能力を強化する力か。確かに役には立つ。この殺し合いを止めるのにも!」

クロノは誓う。この力で出来る限りの人を救い、大切な仲間を護ると。
しかしクロノは力を貸した存在、永遠神剣“空虚”のことを知らない。
“空虚”が心の隙を付け込んで持ち主を支配する魔性の剣だということに加え、
そしてその剣が原因で狂ってしまった一人の少女がいたことを。

【H-4森/1日目・深夜】
【クロノ・ハラオウン@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:疲労(中) 、空虚と契約
[装備]:空虚@永遠のアセリア
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:正義を貫く
1 助けを求めている人を救う。
2仲間との合流

【空虚@永遠のアセリア】
永遠神剣の位は第五位。レイピア型の永遠神剣。
360 ◆5ddd1Yaifw :2010/02/25(木) 23:46:27 ID:ExkoNupp
投下終了。最近登場話のネタがなくなってきて涙目ですよ。
頑張らないと……
361 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/26(金) 02:29:00 ID:qwycoKUp
投下乙です。では自分もかなり深夜に投下します。
個人趣味ロワ第77話「まじめにふまじめ」
登場:早野正昭、須田恭也、ノーチラス、レイ・ブランチャード、リーヴァイ、フラウ、伊賀榛名
362まじめにふまじめ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/26(金) 02:30:39 ID:qwycoKUp
77話「まじめにふまじめ」

「成程……これはこれは……うん、そうか…………へぇ」

ホテル一階、パソコンルームの机で、首輪を解体し内部の構造を観察する早野正昭。
机の上には粗方分解され内部の基盤やら極細の配線やらが剥き出しになった首輪がある。

「…何か分かった事は?」

正昭の背後から須田恭也が尋ねる。

「んにゃ。まあ色々と、ね……」

そう言いながら正昭は指で差して恭也にすぐ近く、
正昭が起動させて使っているパソコンの画面に注目するように促す。
何かと思いながら、恭也が画面を覗き込んだ。
すると正昭はメモ帳機能を開き、キーボードで文字を打ち込んだ。

『盗聴されてる』

「なっ!?」
「しっ!」

驚いて大きな声を上げそうになった恭也を正昭が制す。
そして続けて文字を打ち込む。

『首輪の中に盗聴する仕掛けらしき物が組み込まれている。
多分俺達の会話は、いや全部では無いとは思うけど、運営側に筒抜け。
滅多な事は言わない方が良い。まあ、余程の事しない限り、
運営側から何かアクション起こされる心配は無いとは思うけど』

「……」

確かに、主催者セイファートは開催式の時、首輪は監視装置でもある、
というような事を言っていたような気がする。
発信器といった意味合いなのだと思っていたが、
このような仕掛けまで施していたとは。
363まじめにふまじめ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/26(金) 02:31:29 ID:qwycoKUp
恭也は自分の荷物からメモ帳とペンを取り出し、ペンを走らせ、
それを正昭に見せた。

『解除自体は出来そうなのか?』
『解除する事自体は意外と簡単に出来そうだね。
普通の工具でも十分可能だよ。だけど、そういう事をすれば、
首輪の中の起爆装置が働いてアウト。そういう仕組みになってる。
つまりこの首輪を管理している、運営のシステムサーバーをダウンさせない限り、
実質問題、解除は無理、だな』

正昭がパソコンのメモ帳機能で受け答えする。
コンピューター、精密機械の知識に疎い恭也は少し理解に苦しんだが、
つまりは現時点ではやはり首輪をどうこうする事は出来ない、
という事は分かった。

「……あれ? そう言えばノーチラスとレイとリーヴァイは?」

気が付いたら女性ガンナーのレイ、狼青年ノーチラス、狼少女リーヴァイの三人がいない。
正昭が恭也に尋ねる。

「ああ、リーヴァイはトイレに行くって。
それでレイとノーチラスはホテルの事務室の方に行った」
「ふぅん……」




「ぬおおおやめろノーチラス! とりあえず冷静になれ!」
「駄目だ、もう我慢出来ない! ハァハァハァ」

ホテル一階の事務室にて、遂にノーチラスが凶行に及ぼうとしていた。
最初レイと会った時から、情報を交換し合っている時も、
ノーチラスは話を聞きながら受け答えしながら、レイの豊満な肉体に見とれていた。
それに加え扇情的とも取れる程露出度の高い装具。それでいて美女。
元々変態の気があったノーチラスに取って嫌でも欲情してしまう対象だった。

そして、レイとノーチラスは二人っきりでホテル事務室に探索にやって来たのだが。
奥の小部屋の仮眠用ベッドの上にレイが押し倒され、
その上から覆い被さるようにノーチラスが涎を垂らしながら、レイを押さえ付けていた。
364まじめにふまじめ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/26(金) 02:33:03 ID:qwycoKUp
「反則過ぎなんだよその身体! その格好!
そんなナイスバディ見せられたら誰だって欲情するだろ!」
「欲情するのは構わないがこれはいかんぞ! 強姦じゃないか!
こういうのはお互いの同意に沿ってだな……」
「うるさいっ!」
「むぐぅ!」

反抗するレイに、ノーチラスが無理矢理口付けする。
とは言え、人間の口と狼のマズルでは上手く口付けにならないのだが、
何とかノーチラスはレイの咥内に舌を侵入させる事に成功した。

(だああああ、舌が入ってくる! くそっ、ここまでだと言うのか!?
曲りなりにも17年守ってきた私の純潔はここで散ると言うのかあああ!
ちょ、ちょっと待てノーチラス、ああ、そんなに舌を絡めるなっ、あ、ああ)

心の中で叫びまくるレイだったが、次第に変化が訪れた。

「ん……ふぅっ……んん…」
「む……ぐ………」

抵抗を止め、それどころか目を瞑ってノーチラスの舌を受け入れているレイの姿があった。

(何て事だ……身体が熱くなって、くそっ、気持ちいい…!
もう、駄目だ、抵抗する気になれない、私の純潔は今日散るんだ……。
どうにでもなってくれ……)

そして、二人が口を離す。
とても淫らな糸が引いた。

「……ノーチラス……私の負けだ……好きにしてくれ…………」

それは、レイの口から出た敗北宣言。
と同時に、ノーチラスの中の一欠片の理性が消し飛んだ。

「……今日、俺は童貞を卒業するッ!!」
「あ、ちなみに私も処女だ」
「ナ、ナンダッテー!」

そして事務室奥の仮眠室に、女性と狼の荒い息使いと喘ぎ声が響いた。
365まじめにふまじめ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/26(金) 02:34:35 ID:qwycoKUp
水色と白の毛皮を持つ雌の人狼、リーヴァイは、
自分の荷物を引っ提げ、ホテルの入口を出て外に出た。
振り返り、ノーチラス、レイ、須田恭也、早野正昭に対し、申し訳無さそうな顔をする。

「ごめんねみんな……私、やっぱりお兄ちゃんを探さなきゃ。
……さよなら」

そして本物の狼のように四つん這いになり、リーヴァイは市街地へと駆け出した。
その速さは正に疾風。表通りを水色の狼が走る。

(お兄ちゃん…どこにいるの…?)

どこかで生きていると思われる最愛の兄の姿を捜し求め、
リーヴァイはただひたすらに市街地を宛ても無く走り続ける。



「うわっ!?」
「きゃっ!?」

通りを歩いていた狐娘二人――フラウと伊賀榛名の真横を、
凄まじいスピードで何かが通り過ぎ去った。
突然の事に二人は驚き、怯んだ。そしてその影は気が付いた時にはもうどこにもいなかった。

「な、何だったの今の?」
「うーん、何だか犬っぽかったような…でも襲われなかったんならいいじゃん。
先急ごうよ。フラウちゃん」
「う、うん……」

さっき通り過ぎた者の正体が気になったフラウだったが、
榛名の言う通り向こうがこちらに何も接触してこないのなら、
余り深く考える事も無いと判断し、再び歩き始める。
二人が目指すのは前方やや遠くに見えるホテル。
遠目から見てもかなり大きな建物なので、コンピューター設備も整っているかもしれない。
フラウはコンピューター知識が豊富だった。それを活かそうとしていたのだ。
もしかしたら既に先客がいる可能性もある。殺し合いに乗っている人物がいる可能性も。
しかしそれで臆病になっていては何も出来ない。
いざという時は戦う準備はしてある。

フラウと伊賀榛名は、それぞれの武器を携え、周囲に気を配りつつホテルを目指す。
366まじめにふまじめ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/26(金) 02:35:36 ID:qwycoKUp
【一日目/午前/D-2ホテル一階パソコンルーム】

【早野正昭@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:アイスピック、鍋の蓋
[所持品]:基本支給品一式、工具(調達品)
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。人も殺さない。首輪を外す。
1:ノーチラス、リーヴァイ、レイ、須田恭也と行動を共にする。
2:ノーチラス、リーヴァイ、レイに首輪の構造について報告する。
3:首輪の最終的な解除方法を探る。
[備考]:
※首輪の構造を把握しました。また、主催側による盗聴の可能性に気付きました。
※リーヴァイがいなくなった事に気付いていません。

【須田恭也@SIREN】
[状態]:肉体的疲労(中)、身体中にダメージ(大)、右上腕に切り傷(応急処置済)
[装備]:チップカットソー@自作キャラでバトルロワイアル(バッテリー残量:89%)
[所持品]:基本支給品一式(ランタン放棄、コッペパン1個消費)、
流血@浦安鉄筋家族(200粒入り)
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。そのためにも仲間が欲しい。
1:ノーチラス、リーヴァイ、レイ、早野正昭と行動を共にする。
2:襲われたら戦う。
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、駐在警官に撃たれ川に転落し、
意識を失った直後からの参戦です。 従って幻視能力は目覚めていません。
※ランタンを破損、放棄しました。
※首輪の構造を把握しました。また、主催側による盗聴の可能性に気付きました。
※リーヴァイがいなくなった事に気付いていません。
367まじめにふまじめ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/26(金) 02:36:57 ID:qwycoKUp
【一日目/午前/D-2ホテル一階仮眠室】

【レイ・ブランチャード@オリキャラ】
[状態]:全裸、興奮、快楽、ノーチラスと(禁則事項です)中
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品一式、コバルトアロー@オリジナル(14/14)、
コバルトアローの予備マガジン(5)、 フェイファー ツェリザカ(4/5)、 600NE弾(10)、
コンバットナイフ、 牛山サキの水と食糧
[思考・行動]:
0:き、気持ち良い……!
[備考]:
※主催側による盗聴の可能性に気付きました。
※衣服は仮眠室内に脱ぎ捨ててあります。
※リーヴァイがいなくなった事に気付いていません。

【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:全裸、興奮、快楽、歓喜、レイと(禁則事項です)中
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品一式、Cz75(10/15)、Cz75の予備マガジン(5)、
エネマグラ(粘液付着)、ミニローション(残り48ml)
[思考・行動]:
0:童貞卒業したぞ!
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※衣服は仮眠室内に脱ぎ捨ててあります。
※リーヴァイがいなくなった事に気付いていません。


【一日目/午前/???(市街地のどこか)】

【リーヴァイ@オリキャラ】
[状態]:健康、四足で市街地を疾走中
[装備]:コルトM1911(7/7)
[所持品]:基本支給品一式、コルトM1911の予備マガジン(5)、M67破片手榴弾(3)
[思考・行動]:
0:殺し合いはする気は無い。お兄ちゃんを探す。
1:…お兄ちゃん…。
368まじめにふまじめ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/26(金) 02:38:25 ID:qwycoKUp
【一日目/午前/D-2ホテル周辺】

【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、D-2ホテルへ移動中
[装備]:特殊警棒
[所持品]:基本支給品一式、ロープ
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段の模索。
1:ホテルへ向かう。
2:伊賀さんと行動を共にする。
3:パソコンが欲しい(出来れば高スペック)。
4:仲間を集める。
5:クラスメイトと合流する?
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※伊賀榛名とお互いの知人についての情報を交換しました。

【伊賀榛名@オリキャラ】
[状態]:健康、D-2ホテルへ移動中
[装備]:モスバーグM500(6/6)
[所持品]:基本支給品一式、12Gバックショット弾(30)、
スタンガン(バッテリー残り95%)
[思考・行動]:
0:殺し合いはするつもりは無い。但し襲われたら対処。
1:ホテルへ向かう。
2:フラウちゃんと行動を共にする。
3:千穂ちゃんは生きてるかな……。
[備考]:
※フラウとお互いの知人についての情報を交換しました。


※ノーチラスとレイ・ブランチャードが行っている行為は少なくとも次の登場話の頃には終わっています。
369 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/26(金) 02:39:10 ID:qwycoKUp
投下終了です。おめでとうノーチラス。
370 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/26(金) 22:10:30 ID:PL97FEAz
個人趣味ロワ第78話「あの世で改めて頂きます」投下します。
登場:章高、費覧、ヴォルフ、平池千穂、森屋英太
371あの世で改めて頂きます ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/26(金) 22:17:06 ID:PL97FEAz
78話「あの世で改めて頂きます」

スーツ姿の優男、章高はどこへ行くとも無く、
ただただ市街地を歩いていた。
教会で同行していた壮年の紳士、アルソンズ・ベイルが自決。
その様子を眼前で見せられた章高は軽い精神的ショック状態に陥っていた。

「…………」

ほとんど何も口を聞かず、視線もどこか虚ろな章高。
右手にアルソンズの形見であり、自決に使われた、
銃口付近にまだ血痕が付着したままの357マグナムリボルバー・マニューリンMR73が握られている。

「……もう……どうすりゃいいんだよ…………俺、もう疲れたよ……」

殺し合いが始まって既に8時間近く経過しようとしている。
元々平穏なサラリーマンでしか無い彼は、精神的にもさほど強くは無い。
ましてやいつ襲われるか、いつ凄惨な死体を見るか分からない、
殺し合いという状況下で耐えられる程、強くは無い。

もはや章高の精神はボロボロであった。

「費……覧……」

ふと、今も生きていると思われる知人の名前を呟く。
二足歩行の雌狐、費覧。自分の住む家の近くにある森に住み付いている妖狐。
淫乱で、度々地元民を老若男女問わず攫っては犯して帰していた。
特に、なぜか自分を特に気に入ったようで、何度も、死ぬかと思う程、
性交渉を強要された事もあった。

正直、この殺し合いでは会いたくない人物だったが。

「章高!」
「……!」

噂をすれば何とやら。
曲がり角を曲がった所で、章高は費覧と再会を果たした。
章高の顔が急激に恐怖に引き攣るのと対照的に、
費覧はふさふさの狐の尻尾を大きく振り、喜びの表情を浮かべる。
しかし、その毛皮は、口元が特に、そして全体的に赤いもので汚れていた。
その赤いものが血であるという事は、疑いようが無い。
そして章高は確信する。

こいつはもう何人も殺しているのだと。
そして恐らくは、自分をも殺そうとしているに違い無い――と
372あの世で改めて頂きます ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/26(金) 22:19:25 ID:PL97FEAz
もしかしたらそれは精神的ダメージを負った章高の被害妄想に
過ぎなかったかもしれないが、奇な事にほぼ的を得ていた。

「よかったあ、会えて嬉しいよぉ、章高〜〜」

甘えた声を出しながら章高に近付く費覧。

「……るな」
「え?」

章高は突然、大声で叫びながら、マニューリンの銃口を費覧に向けた。

「うあああああああ!! く、来るなあああああ!!!」

そして、引き金を引き、357マグナム弾計6発を費覧の心臓付近目掛け撃ち込んだ。

「……ぁ……はっ……が…」

いくら自己治癒能力に優れ生命力の高い妖狐といえど、
心臓に何発もマグナム弾を食らえば致命傷である。
費覧は口から血を吐き、ガクリと路上に膝を付いた。
胸元の焼けるような激痛。しかしそれも徐々に薄らいでいく。
いやそれどころか、五感全ての感覚が失われていくのを感じ、費覧は自分が死ぬ事を悟った。
章高はただ、弾の切れたマニューリンを構えながら、費覧が死にゆくのを見ているだけだった。

だが、突然。

風を切る音と共に、章高の首が宙に舞った。
頸部の切断面から噴水のように血液が噴き出し、周囲を赤く染めながら章高の胴体は崩れ落ちた。
費覧が最期の力を振り絞って自分の爪と手を使った斬撃を見舞ったのだ。

「章高、ったら……しょうがないなぁ…あの世で………味わおうか…な…………」

それだけ言うと、費覧は路面に仰向けに倒れ、そして、動かなくなった。
373あの世で改めて頂きます ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/26(金) 22:21:59 ID:PL97FEAz
ヴォルフ、平池千穂、森屋英太の三人は隠れていた喫茶店で、
残されていた食糧や支給品のコッペパンなどを利用して軽い食事を取った後、
店の外に出てどこに行くか話し合っていた。
だがその時、かなり近い所から数発の銃声が響き、
三人は様子を確かめに武器を構えながらその現場へと向かった。

そして三人が見たものは、二つの死体。
一つは首と胴体が泣き別れになった、スーツ姿の若い男性の死体。
もう一つは仰向けになって血を流している、獣足の雌狐獣人の死体だった。
ヴォルフが現場に漂う血と硝煙の臭いから、先程の銃声は、
恐らくこの二人が交戦した時のものだと推測した。

「酷ぇな……」
「うん……」

ヴォルフの後ろで英太と千穂が凄惨な光景に言葉を失う。
やはり何度見ても慣れる事は無い。
しかし元々、小動物を狩って生活している人狼・ヴォルフにとっては、
割と見慣れた光景なのか、特に動揺もしない。

「武器を持っているな……この二人には悪いが貰っておこう。
英太、千穂、悪いが…手伝ってくれ」
「あ、ああ、分かった」
「うう…近付きたくないのにぃ……」

死体の傍に落ちている武器やデイパックの中身を回収すべく、
三人はヴォルフ主導の元、二人――費覧、章高の亡骸へと近付いていった。


【章高@オリキャラ  死亡】
【費覧@オリキャラ  死亡】
【残り  12人】


【一日目/午前/F-4市街地】

【ヴォルフ@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(中)
[装備]:二十二年式村田銃@SIREN(8/8)
[所持品]:基本支給品一式(コッペパン1個消費)、8o×53R弾(30)、
ナッチの写真集@永井先生
[思考・行動]:
0:リーヴァイを探す。殺し合いをする気は無い。首輪を何とかしたい。
1:平池千穂、森屋英太と行動を共にする。
2:襲われたら戦う。
[備考]:
※伊賀榛名のおおよその特徴を把握しました。
※森屋英太のクラスメイトの特徴をおおよそ把握しました。
374あの世で改めて頂きます ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/26(金) 22:25:07 ID:PL97FEAz
【平池千穂@オリキャラ】
[状態]:肉体的、精神的疲労(中)
[装備]:金属バット
[所持品]:基本支給品一式、PSP型簡易レーダー@オリジナル
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。生き残る。
1:クラスメイト(伊賀榛名)を探す。
2:ヴォルフ、森屋英太と行動を共にする。
[備考]:
※リーヴァイのおおよその特徴を把握しました。
※森屋英太のクラスメイトの特徴をおおよそ把握しました。


【森屋英太@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的、精神的疲労(中)、返り血(中)
[装備]:USSR PPSh41(71/71)
[所持品]:基本支給品一式、PPSh41の予備ドラムマガジン(4)、
バタフライナイフ、 マーフィー君@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和
[思考・行動]:
0:生き残る。
1:ヴォルフと千穂ちゃんと一緒にいる。
2:太田以外のクラスメイトと合流したい(但し太田の仲間らしい吉良は微妙)。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※「宮田司郎」のおおよその外見的特徴を把握しました。
※リーヴァイのおおよその特徴を把握しました。
※伊賀榛名のおおよその特徴を把握しました。



※F-4一帯に銃声が響きました。
※費覧、章高の所持品をヴォルフ、平池千穂、森屋英太が物色しています。
375 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/26(金) 22:26:19 ID:PL97FEAz
投下終了です。
376 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/27(土) 00:41:49 ID:m4cem0Cl
個人趣味ロワ第79話「心壊レテ、心失クシテ」投下します。
登場:聖徳太子
377心壊レテ、心失クシテ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/27(土) 00:45:20 ID:m4cem0Cl
79話「心壊レテ、心失クシテ」


「…………」

リュードと名乗った青い竜に言われた通り、私はエリアD-2にある古びた倉庫に向かった。
そして中に入り、それを見付けてしまった。

小野妹子の亡骸を。

全身に大きな穴が幾つも空き、大量の血や肉片を周囲に撒き散らし、
顔に至っては最早かつての面影を全く留めない程に損壊しきっていた。
それなのになぜ私がその死体を小野妹子だと認識出来たのかと言うと、
見間違えるはずは無い、血によって赤を通り越してドス黒くなった、あのノースリーブの赤いジャージ。
遣隋使として旅立つより前に私から妹子に下賜した、あのジャージ。

「妹、子……」

ガクリと私は膝を突く。

「お前がいなくなったら、私はこれから誰と喧嘩すれば良いんだ?
誰が私に突っ込んでくれるんだ? なあ、妹子、答えてくれ。妹子――」

当然、答えが返ってくる筈が無い。
それで私は改めて実感する。

――妹子は、もういない。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

私は泣いた。思い切り、声を上げて泣いた。
広めの倉庫の中に私の鳴き声が反響し、木霊した。

何故妹子が死ななければならなかったのか。それも、何故このような、無惨な死に方を?
妹子が一体何をしたというのだ。ただの遣隋使、倭国の官吏の一人に過ぎないのに。
こんな、こんな酷い死に方をしなければならない理由など無い筈だ!
リュード――どうして妹子を殺した!? どうして!? どうして!?

頭の中で幾つもの疑問が湧き起こるが、答えなど出る事は無いし、
誰かが出してくれる訳も無い。永遠にぐるぐる回っているのみ。

しばらくして、私の涙はだいぶ収まった。
それと同時に妙に頭の中もすっきりしてくる。

妹子は、もういない。
私一人だけになってしまった。

もう、疲れた。何もかもどうでもいい。

みんな、みんな殺してやる。

殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。

殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
378心壊レテ、心失クシテ ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/27(土) 00:48:33 ID:m4cem0Cl
「…………」

私は立ち上がる。涙はもう出ない。
そして倉庫の出口の方へ歩いていく。



確かこのエリアにはホテルなる建物があるはず。そこに行ってみるか。



ふふふ。



【一日目/午前/D-2市街地倉庫】

【聖徳太子@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:精神に異常、烏帽子無し
[装備]:狩猟用狙撃銃@SIREN(4/5)、トレンチコート
[所持品]:基本支給品一式、7.62o×51o弾(30)、九九式小銃(4/5)、
7.7o×58o弾(30)、ワルサー カンプピストル(1/1)、26.6o炸裂弾(3)、
64式小銃(20/20)、 64式小銃の予備マガジン(5)、曽良の首輪、焔薙@SIREN、
IMIデザートイーグル(1/7)、デザートイーグルの予備マガジン(4)、 グロック19(12/15)、
グロック19の予備マガジン(5)、クリスの剣@ムーンライトラビリンス改造版、
FIM-92スティンガー@自作キャラでバトルロワイアル(0/1)、70oミサイル(4)、
FNミニミ(200/200)、5.56o×45o200発金属リンク(9)、エグゼキューショナーズソード、
ウィンチェスターM1897(4/5)、12Gバックショット弾(25)
[思考・行動]:
0:もうどうでもいい。みんな死ね。
1:ホテルに行こう。
[備考]:
※単行本第九巻第168幕「聖徳太子の持っている木の棒」より後からの参戦です。
※ノーチラスのおおよその特徴を把握しました。
379 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/27(土) 00:50:19 ID:m4cem0Cl
投下終了です。歩く武器庫・聖徳太子。
380 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/27(土) 20:44:10 ID:dSybCCqF
投下乙です。
太子が…太子がおかしくなっちゃった…。
参加者の数的にも状況的にも、対主催エンドは難しそうですな…。

節操無しロワ投下します。
第5話『リアル鬼ごっこ、開幕』
登場人物 結城ノナ、ザビエル
381リアル鬼ごっこ、開幕 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/27(土) 20:46:10 ID:dSybCCqF
「ここは地図では、おそらくD-5かしら…」
結城ノナがこの会場に飛ばされて最初に行った事は、現在地の割り出しだった。
幸いにして、ここは地図内でも限られた場所にしか無い広大な草原だった為、すぐに現在地をいくつかのポイントに絞り込む事が出来た。
さらに地図上の地理やコンパスを頼りに、自らの現在地を物の3分程でおおよそ特定する事が出来た。

「次は、私に支給された道具の確認を…」
ポニーテールにしている水色に近い青髪を揺らしながらデイバッグに手を伸ばし、中の支給品を確認していきながらも、その心中は大きな混乱、怒りや悲しみがない交ぜになっていた。

そしてその原因の大半は、あのホールでの出来事だった。

彼女は普通の人間ではない。
人が空を飛んでいたり、水を操ったり、周囲の時間を遅くしたりする光景が日常の、いわゆる「ファンタジーな世界」からやって来た、異世界人である。
その異世界、『フィグラーレ』の住人達の中でも、彼女は家柄、素質、能力共に最高クラスの存在と呼ばれていた。
だがその才覚と、彼女自身のぶっきらぼうな性格もあいまって、尊敬の眼差しを向ける者はいても、友人になりたいと言う者は殆どいなかった。
しかし彼女はそれを寂しいと思った事は無かった。
別に友などいてもいなくても何も変わらないし、勉強の時間が減るだけ。
彼女は心からそう思っていた。

だがもう一つの世界に行き、その考えは大きく変わった。
ライバルとの昼の交友、夜の競い合いは理屈抜きに楽しいひと時だった。
彼女のライバルである少女は、類まれなる才能を持ちながらも自分と出会った時は全くの初心者で、
初期はわざわざ彼女が指導しながらも競い合う、という何ともおかしな物だった。

そんなひと時を思い出している内に、自分の特徴的な眼鏡にいくつか水滴が落ちている事に気付いた。

「…っ!駄目よ、私はまだ、泣かない…」
そう自分に言い聞かせ、目元に溜まっていた涙を拭う。
そう、まだ自分は立ち止まり、泣き喚く訳には行かない。
あの心優しい親友、秋姫すももを無残な形で殺したこのゲームの主催者を引きずり出し、この手で制裁を与えるまでは。

自らの決意を新たにし、気持ちを引き締めると視界は自然とクリアに戻っていった。
そして再び支給品の確認を行おうとしたのだが。
382リアル鬼ごっこ、開幕 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/27(土) 20:47:19 ID:dSybCCqF

「殺す…。」

誰かの呟き声が聞こえた。

(…!)
この草原は草が長く伸びてるポイントがあり、今ノナはそこに隠れていたのだが絶対に見つからない保証等何処にも無い。
だが、今この場から動くのも、自分から居場所を知らせるのと同義。
先ほどの呟きからして、どう考えても友好的な人間とは思えない。
隠れているのを見つけられても、逃げて捕まっても、ロクな目に会わないだろう事は容易に想像できた。
どちらを選ぶも命がけ。

そしてノナは、
(…もうしばらくここに隠れていましょう。)
そう決断し、この殺気を出している存在を何とかやり過ごそうと息を潜めていると、また何かをぶつぶつと呟いている声が聞こえた。

「殺す…殺す……全て殺す………我を…この魔人ザビエルを封じた忌々しき日本人共も…大陸に住まう生き物も…我を助けに来なかった魔人達も…」

(日本人に封じられた?魔人?一体何を言って…)
そこまで考えた所で、ノナの思考は中断された。

「皆殺しだアアアアアァァァァアアァアアア!!」
凄まじい、この世全てを呪うかの様な怨嗟の叫びが響いた。
そして、

「まずは貴様から血祭りに挙げてやるうううぅぅぅ!!」
そう叫ぶと同時に、ノナの隠れていた草むらが、一瞬で切り裂かれた。


当然、その場にいたノナは見る影も無く、血と肉が巻き散らかされた凄惨な光景が―――――





無かった。




383リアル鬼ごっこ、開幕 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/27(土) 20:50:15 ID:dSybCCqF
「ぬぅっ!?」
その一撃はノナの居た草むらのみならず、その周囲の地面にまで届き、その部分だけ小規模の地割れが起こったかの様な惨状となっていた。
だが、そこにあるべきノナの死体は存在しなかった。
予想外の光景に驚愕するザビエルの背後の草むらで、草を掻き分け移動する音が聞こえた。

「そこかああぁぁああ!!」
再び一閃。
だがそこにもノナの姿は無い。
そして今度は左側から草を掻き分ける音。

「ぐ、ウグガアアァァァァ!ちょこまかとおおおぉぉぉぉ!!!」
そう叫び、三度自らの拳を叩きつける。
そして、ミシィ、という音が響いた。
確かな手応えだ。







だが、肉にしては硬すぎる。

「ぬぅ…!?」
自分が叩き潰した物をよく見ると、それは何か、小人のような機械だった。
周りにはおそらくカツラだろう、金の毛らしき物が散乱していた。

そして、
『ギー…ナニスンネ……ガガー…』
等と声を発したと思った次の瞬間、周りから同じ様な機械が2体出て来た。
そして3体の機械は一斉に光を放ち―――





「どうやら引っ掛かってくれたみたいね…」
爆発音の響いた地点からやや離れた地点から、ノナは一部始終の光景をミニモニター越しに見ていた。
ノナに支給されていた支給品【ミニロボカイ×3&映像モニター】、これの動作テストをしていた所、今の人間が襲ってきたのだ。
(いえ…正しくは違うわね。)
モニター越しに確認できた襲撃者の風体を思い出しながら、ノナはその場から離れていく。
それは明らかに人間ではなかった。
身体の周りから黒いオーラの様な物を放出し、下半身が無い状態で浮遊しながら移動していたその姿、そしてあの異形の顔立ち。
あれを人間だと言える人間は精神科に行ったほうがいいだろうと思いながらノナは草原地帯から離脱して行く。
(あんなのが他にもいるのかも知れないと思うと、気が滅入ってくるわね。)

あの爆発ではおそらく助からないだろう。
ならば今の音を聞きつけた他の襲撃者が来る前にここから離脱するしかない。

明らかに殺し合いに乗っていたザビエルに対して、ノナは一切謝罪の気持ちを抱かなかった。

384リアル鬼ごっこ、開幕 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/27(土) 20:58:05 ID:dSybCCqF
「…それにしても、こんな早くから失っちゃうとは思わなかったわ。」
内心歯噛みしながら呟いた。
あの支給品があれば偵察、人相の把握、他参加者の動向調査等に使う事もできたろうに。
あれは間違いなく、『当たり』の支給品だった。
それを始まってすぐに失う事になり、ノナは落胆の気持ちを隠せないでいた。

「それに、指輪…」
そう呟き、自分の指に視線を移す。
そこには常に肌身離さず持っていた指輪が無くなっていた。

「…この会場に、あるかしら…?」
祈るような気持ちで呟きながら、ノナはこのエリアから脱出していった。



【D-5/草原/一日目/深夜】


【結城ノナ@ななついろ★ドロップス】
[状態]: 健康
[服装]: 私服
[装備]: 無し
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×2(確認済み)
[思考]
基本:バトルロワイアルの破壊
0: 別エリアへの移動
1: 主催者に対抗できる力を持つ人間を集める。
2: 撫子が心配(二重の意味で)
3: 指輪の捜索
385リアル鬼ごっこ、開幕 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/27(土) 20:58:54 ID:dSybCCqF
3体のミニロボカイが爆発した跡地。
そこに怪物――魔人ザビエルは何事も無かったかのように存在していた。
否。先程と違うことが一つだけあった。
ザビエルの形相が、先程よりも一段と激しく憎しみの色を増していた。

「お、のれ…我を謀ったな……ク、ククククク…」
ザビエルは、殆どダメージを受けていなかった。
その原因は、この魔人が身に包んでいる、あるバリアが爆発のダメージを抑えたのだ。

無敵結界。
ある特定の存在が無い限り、あらゆるダメージを全て無効化する最強のバリア。
制限により弱体化されてはいる物の、その防御力は凄まじい。
あの程度の爆発等、寄せ付けるはずも無い。

「逃げられると思うのか、人間風情が…」
やや離れた所でここから離れていく人間がいたのを、この化け物は気付いていた。


「この我を、ここまでコケにしておいて…逃げられると思っているのかアアァァァ!!」
絶叫し、疾走する魔人。
間にいる者は全て殺す。
目指すは今逃げた人間。
捕まえた暁には嬲り、弄び、四肢を切断し、絶望に絶望を重ねてから殺す。

「フハハハハハハ、アーハハハハハハー!!!」

全てを憎む魔人は、ただ全てを殺す為に夜の草原を駆ける。
なぜ日本人とランス達に封印された自分が此処にこうして存在しているのか、などという疑問すら持たず。


【魔人ザビエル@ランスシリーズ】
[状態]: 憎悪、無敵結界展開中
[服装]: ザビエルの服
[装備]: 無し
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×3
[思考]
基本:皆殺し
0: あの人間を捕まえる。
1: 日本人は特にいたぶってから殺す
2: 同じ魔人だろうが殺す。
[備考]
※参戦時期は、戦国ランス謙信ルートED後からとなります。
※名簿を確認していません。(というよりデイバッグを背負っている事に気付いていません)
※転送される直前まで魔血魂状態でオープニングホールにはいませんでした。その為見せしめのケイブリスの事を知りません。

※B-6/草原の一部に、ミニロボカイの残骸が散乱しています。
※B-6周辺に爆発音が響きました。


支給品紹介:【ミニロボカイ×3&映像モニター】 GUILTY GEARからの出典
終戦管理局がカイを元に作り出したロボット、ロボカイの内部に内蔵されている兵器。
自立行動、飛行機能、自爆装置等が搭載されている。
386 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/27(土) 21:01:04 ID:dSybCCqF
投下終了です。
さすが無敵結界だ、何とも無いぜ!
え、見せしめのケイブリスさん?何の事だか私にはさっぱり…

そろそろ新スレでしょうか?
387 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/27(土) 22:11:40 ID:dSybCCqF
すいません、一部抜けてる部分があります。

自らの決意を新たにし、気持ちを引き締めると視界は自然とクリアに戻っていった。
そして再び支給品の確認を行おうとしたのだが。


「殺す…。」


誰かの呟き声が聞こえた。

↑となります。すいません
388 ◆B/laBRMcz6 :2010/02/27(土) 22:34:15 ID:dSybCCqF
って、よく見たらちゃんと入ってた。
何やってんだ自分…orz
389 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/27(土) 22:42:31 ID:m4cem0Cl
投下乙です。まだこのスレで大丈夫だと思いますよ。
っていうか早いな、容量限界近くなるのw
っていう訳で自分も投下します。個人趣味ロワ第80話「同じ志の者よ集え」投下します。
登場:ノーチラス、レイ・ブランチャード、早野正昭、須田恭也、フラウ、伊賀榛名
390同じ志の者よ集え ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/27(土) 22:44:59 ID:m4cem0Cl
80話「同じ志の者よ集え」

ホテル一階、事務所奥の仮眠室。
俺、ノーチラスは仮眠用ベッドに腰掛けながら、ぼーっと目の前の壁を眺めていた。
隣ではグラマー体型の女銃士、レイ・ブランチャードが恥ずかしそうに顔を赤らめたまま無言でいる。
俺もレイも一糸纏わぬ身体。少し汗に濡れたレイの肌が美しい。

今の俺の気分は、正に夢心地と言ったところか。
何故かって? 実はだな…。

「…悪く無かった」
「マジか? …俺も、まさか、あんなに気持ちいいとは」

そう、俺は遂に童貞を卒業する事に成功したんだ。
レイと出会い、互いに情報交換のため色々話している内、
彼女の露出の高い装具から覗ける極上とも言える豊満な肉体を見ている内、
俺は、前回の殺し合いの時の苗村都月の時のように欲望が首をもたげてきてしまい、
調査のためと偽ってこの事務室奥の仮眠室にレイを連れ込み、
そして…ベッドに押し倒してやってしまった。
最初はやはり抵抗されたけど、無理矢理口づけしてやったら、割とあっさり陥落した。
その後はもう…天国だった。

「始めてにしては中々上手だったと思うが、ノーチラス」
「レイこそ、本当に初めてだったのか? あのしゃぶr」
「言うな!」

中々強いストレートパンチを左頬に食らってしまった。

「ぐ…今更恥ずかしがる事も無いと思うが」
「うるさいっ! と、とにかく服を着ろ! もうそろそろ戻らないと恭也達が心配する」
「へーい」

これ以上レイを怒らせると撃ち殺されそうなので、
大人しく床に放り投げてある自分の服を拾い始めた。
391同じ志の者よ集え ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/27(土) 22:46:32 ID:m4cem0Cl
「三人共遅いなぁ…」

分解した首輪と、何やら俺には意味不明の文字列が浮かぶ
パソコンの画面を交互に見ては作業している早野正昭の後ろで、
俺、須田恭也は、事務室の調査に出掛けたというノーチラス、レイの二人と、
トイレに行ったというリーヴァイ、合わせて三人の帰りが遅い事を心配していた。

首輪に盗聴機能が付いている事を三人にも教えた方が良いのだけれど。
調査の邪魔しちゃ悪いと思うし、ましてや女子トイレに入るのもなぁ。

「はぁ〜〜」

不意に正昭が作業を中断し、疲れたように背伸びをする。
俺は再びメモ帳による会話を始める。

『どうだ?』
『自分でもそれなりにコンピュータープログラムには強い方だと思ってたけど、
こいつは滅茶苦茶手強いね。って言うか、見た事無い文字列だし、
そもそもプログラミングの構造が俺が知ってる奴とは全く違うと言うか…。
もっとその手の事に詳しい奴がいればな…』
『…そうか』
『まあ、何とかやってみるさ』

そうパソコンのメモ帳機能に打ち込むと、
正昭は再び作業に取り掛かった。
俺達を含め、参加者全員にはめられている、爆弾内蔵の死の首輪。
脱出しようにもまずこの首輪を何とかしなければならない。
そしてやっと首輪を外せる糸口が掴めた。
何とか正昭には頑張って貰わないと。

「ん?」
「どうした? 恭也」
「何だか、ロビーの方から声が……」
「え?」

ロビーの方から何やら声が聞こえる。
392同じ志の者よ集え ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/27(土) 22:49:04 ID:m4cem0Cl
ホテルに足を踏み入れた途端、私、フラウと伊賀さんは、
銃を持った二人に遭遇した。
一人は何やら露出の高い装具を身に着けた女の人、そしてもう一人は…。

「あ、あれ? あなた、ノーチラス?」
「ん? そういうお前…確か、フラウだったか?」

それは私のクラスメイトの一人で、茶色の毛皮を持った狼族、ノーチラスだった。
私にとってこの殺し合いにおいて初めてのクラスメイトとの再会。
でも正直元々そんなに仲良い訳じゃなくて多少話した事があるぐらいだけど。
それでもクラスメイトと会えた事はちょっと嬉しい。

「確かお前のクラスメイトだったか?」
「ああ」
「わ、私達は殺し合いには乗ってないわ!」
「乗ってないよ」

私と伊賀さんは殺し合いに乗っていない事を必死に二人にアピールした。
その甲斐あってか、二人はやっと銃を下ろしてくれた。

「どうかし……うお」
「おお、恭也に正昭か」

奥の方からまた二人、青い髪の少年――のような顔の青年と、
茶髪の、私より少し年下ぐらいの少年が出て来た。



その後、互いに自己紹介を済ませた私達は、
ホテル一階の奥にあるパソコンルームに移動した。
そこにはかなり分解された参加者用の首輪と、
何かのプログラムのものと思われる文字列が表示されたパソコンがあった。

早野正昭と名乗った青髪の青年、そして須田恭也と名乗った少年が、
全員に、メモ帳機能が表示されたパソコンの画面に注目するように促す。
言われた通り、私と伊賀さん、ノーチラス、レイさんがパソコンの画面に注目する。
全員が注目した事を確認すると、早野さんがキーボードを打ち始めた。
そしてメモ帳機能に表示された文章に、レイさんを除く全員が息を呑んだ。
393同じ志の者よ集え ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/27(土) 22:52:02 ID:m4cem0Cl
『盗聴されてます』

首輪から参加者間の会話が主催側に筒抜けになっていると言うのだ。
すぐ傍に分解された首輪がある事から相当調べたのだろう。
嘘を言っているとは思えない。
レイさんは小声で尋ねてみたら予想はしていたとの事。
見た感じの雰囲気通り感は鋭いみたい。

『それで首輪の解除の事なんですが、
解除自体は普通の工具でも可能です。ただ、
それを不可能にさせているのがこの首輪の中に仕込まれてる仕組み、
そしてそれを稼働させている運営側のシステムサーバーです。
システムサーバーをハッキングしてダウンさせない限り、
解除は事実上不可能でしょう』

成程、やはり首輪の解除は一筋縄ではいかないって事ね。

『そこで何としても運営側のシステムサーバーを破壊する必要があるのですが、
俺は、いかんせん、そんなにコンピューターに詳しくなくて……。
もっと、そういったものに詳しい人がいればいいんですが。
誰かコンピューター知識に詳しい方がいれば…』

コンピューター知識……それなら。
私は自分のデイパックからメモ帳とペンを取り出し、
自分の意思を書き綴り、早野さんに見せる。

『早野さん、私も手伝います。私、それなりにコンピューターには詳しいので、
力を合わせればもしかしたら……』
『本当かい?』
『は、はい、とは言っても学校の部活程度、かもしれないんですけど』
『いや、助かるよ。どうかお願いしたい』
『はい! 頑張りましょう』

こうして私と早野さんは、いよいよ脱出への光明となり得る、
そして死の危険と隣り合わせとも言える、
バトルロワイアル運営へのハッキングを開始した。
394同じ志の者よ集え ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/27(土) 23:00:34 ID:m4cem0Cl
ノーチラスのクラスメイトだと言う、狐獣人の少女・フラウが、
正昭と共に作業を開始した。
上手くいけば、この首輪を外せるかもしれないとの事だ。
何とか頑張って貰いたいが、過剰な期待は禁物だな。

所で…。

「リーヴァイがいないようだが」

恭也に水色の雌人狼、リーヴァイがどこにもいない事が気に掛かり、
私の横にいた恭也に尋ねてみる。

「実は、トイレに行くと出ていったきり戻ってこないんです」
「何だと?」
「ねぇねぇ」

突然話に割り込んできたのは、フラウと同行してきた、
もう一人の狐娘、伊賀榛名だった。

「それ、もしかしたら見たかも」
「何? どこでだ?」

榛名の話によれば、このホテルに来る途中、猛スピードで通りを駆け抜ける、
大きな狼らしき動物とすれ違ったと言う。
時間的に言って、間違い無い、リーヴァイだろう。
そう言えば兄を捜していると言っていた。
恐らくこの場所で留まっている事に耐えられず、兄を捜しに飛び出して行ったのだろう。
気持ちは分からない事は無いが…。

「すみません…俺がいながら…」
「いや、いいんだ気にするな。あいつが無事兄と会えるのを祈ろう」

申し訳無さそうな表情を浮かべる恭也を励ます。
だが、一応ノーチラス達にも言っておいた方が良いな…。
395同じ志の者よ集え ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/27(土) 23:01:46 ID:m4cem0Cl
【一日目/午前/D-2ホテル一階】

【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:Cz75(10/15)
[所持品]:基本支給品一式、Cz75の予備マガジン(5)、
エネマグラ(粘液付着)、ミニローション(残り48ml)
[思考・行動]:
0:殺し合いを潰す。首輪を外す方法を探す。
1:早野正昭、リーヴァイ、レイ、須田恭也、フラウ、伊賀榛名と行動を共にする。
2:残りのクラスメイトの動向が知りたい(特にエルフィ)。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※もうエネマグラは使わないと決めたようですが、未練があるようです。
※リーヴァイがいなくなった事に気付いていません。
※首輪の構造を把握しました。また、主催側による盗聴の可能性に気付きました。

【レイ・ブランチャード@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:コバルトアロー@オリジナル(14/14)
[所持品]:基本支給品一式、コバルトアローの予備マガジン(5)、
フェイファー ツェリザカ(4/5)、 600NE弾(10)、コンバットナイフ、
牛山サキの水と食糧
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。ゲームの転覆を目指す。
1:ノーチラス、早野正昭、須田恭也、フラウ、伊賀榛名と行動を共にする。
2:殺し合いに乗っている者には容赦し な い 。
3:リーヴァイが心配だが…。
[備考]:
※首輪の構造を把握しました。また、主催側による盗聴の可能性に気付きました。

【須田恭也@SIREN】
[状態]:肉体的疲労(中)、身体中にダメージ(大)、右上腕に切り傷(応急処置済)
[装備]:チップカットソー@自作キャラでバトルロワイアル(バッテリー残量:89%)
[所持品]:基本支給品一式(ランタン放棄、コッペパン1個消費)、
流血@浦安鉄筋家族(200粒入り)
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。そのためにも仲間が欲しい。
1:ノーチラス、レイ、早野正昭、フラウ、伊賀榛名と行動を共にする。
2:襲われたら戦う。
3:リーヴァイが心配。
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、駐在警官に撃たれ川に転落し、
意識を失った直後からの参戦です。 従って幻視能力は目覚めていません。
※ランタンを破損、放棄しました。
※首輪の構造を把握しました。また、主催側による盗聴の可能性に気付きました。
396同じ志の者よ集え ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/27(土) 23:03:42 ID:m4cem0Cl
【早野正昭@オリキャラ】
[状態]:健康、フラウと共同作業中
[装備]:アイスピック、鍋の蓋
[所持品]:基本支給品一式、工具(調達品)
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。人も殺さない。首輪を外す。
1:フラウと共に運営コンピューターへのハッキングを掛ける。
1:ノーチラス、リーヴァイ、レイ、須田恭也、フラウ、伊賀榛名と行動を共にする。
3:首輪の最終的な解除方法を探る。
[備考]:
※首輪の構造を把握しました。また、主催側による盗聴の可能性に気付きました。
※リーヴァイがいなくなった事に気付いていません。

【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、早野正昭と共同作業中
[装備]:特殊警棒
[所持品]:基本支給品一式、ロープ
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段の模索。
1:早野さんと共に運営コンピューターへのハッキングを掛ける。
2:伊賀さん、ノーチラス、レイさん、須田君、早野さんと行動を共にする。
4:仲間を集める。
5:クラスメイトと合流する?
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※首輪の構造を把握しました。また、主催側による盗聴の可能性に気付きました。

【伊賀榛名@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:モスバーグM500(6/6)
[所持品]:基本支給品一式、12Gバックショット弾(30)、
スタンガン(バッテリー残り95%)
[思考・行動]:
0:殺し合いはするつもりは無い。但し襲われたら対処。
1:ノーチラス君、レイさん、須田君、早野さん、フラウちゃんと行動を共にする。
2:千穂ちゃんは生きてるかな……。
[備考]:
※首輪の構造を把握しました。また、主催側による盗聴の可能性に気付きました。
397同じ志の者よ集え ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/27(土) 23:05:08 ID:m4cem0Cl
投下終了です。大所帯だと文章も長くなるのか…ふぅ。
対主催グループですねうん。
398 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 01:03:07 ID:juws5t3z
個人趣味ロワ第81話「ずっとずっと一緒」投下します。
登場:リーヴァイ、ヴォルフ、森屋英太、平池千穂、宮田司郎
399ずっとずっと一緒 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 01:04:53 ID:juws5t3z
81話「ずっとずっと一緒」


E-4市街地。

リーヴァイは四本足で息を切らせながら市街地を走り続けた。
愛する兄の姿を追い求め、襲われる危険すら顧みず。
ただ、大好きな兄に会いたい。それだけだった。
そして、次第にリーヴァイが感じる「それ」は強くなってきていた。

(お兄ちゃんの匂いがする…! 間違い無い…近くにいる!)

絶対に間違えるはずも無い、
大好きな兄の、銀色の人狼・ヴォルフの匂い。
それが、少しずつではあるが、間違い無く近付きつつあった。
リーヴァイが期待に胸を躍らせる。

(もうすぐだ…もうすぐ会えるんだ…! お兄ちゃん…!)



ヴォルフ、平池千穂、森屋英太の三人は、費覧、章高の死体を漁り、
それぞれの武器や使えそうな物品を失敬した後、
エリアD-2にあるホテルを目指し歩いていた。

歩いている最中、ヴォルフが心の中で思っていたのは、妹のリーヴァイの事だった。
水色と白の毛皮を持つ、天真爛漫な妹。
今、どこで何をしているのか、それとも、もう既に…。

(いやいや、悪い方向に考えるのはよそう)

リーヴァイはきっと生きている。もしかしたら今自分達が向かっているホテルにいるかもしれない。
しかし、それもあくまでヴォルフ自身の仮定の話である。
どこにいるかなどはっきりと分かるはずも無い。ヴォルフはそれがとても歯がゆかった。

しかし。

「なぁ、ヴォルフ、向こうからかなりのスピードで何か来るぞ」
「え?」

英太に言われヴォルフが前方に注目すると、
成程確かにかなりのスピードで何かがこちらに向かってくる。
どうやら四本足で走る水色の狼のようだ――。
400ずっとずっと一緒 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 01:06:39 ID:juws5t3z
「!! あ、あれは…まさか」
「どうしたのヴォルフ?」

その狼に、ヴォルフは見覚えがあった。いや、見覚えがあるどころか、
それは自分ととても長く、時間を共有した、そして、
この殺し合いが始まってからずっと追い求めてきた姿。
気が付いた時、ヴォルフも走り出していた。そして――。

ヴォルフとその狼――リーヴァイは、激しく抱擁し合った。

「お兄ちゃん!」
「リーヴァイ!」

手にしていた村田銃を路上に投げ出し、路上に倒れ激しく抱き合い、
待望の再会を喜び合う兄妹。
そんな二人の様子を見て、後ろにいる英太と千穂は互いに顔を見合せながら、微笑む。

「良かったね…ヴォルフ、妹さんと再会出来て」
「そうだな…全く、見てるこっちが――」

ザシュッ、というとても嫌な音と同時に、英太の言葉が途切れた。
それと共に千穂の右半身に何か生温かいものが降り掛かった。

「………?」

千穂が英太の方をゆっくりと向いた時、そこに英太の姿は無かった。
いや、あるにはあった。地面に崩れ落ちた、首の無い英太の胴体が。
そして、英太が持っていたはずの短機関銃、PPSh41を拾い上げ、
それの銃口を自分の方に向ける、白衣姿の男の姿。

それが平池千穂が最後に確認した光景だった。
激しい連射音が響き、千穂の身体を何十発もの弾丸が貫通し、
千穂はほとんど何が起こったのかも分からないまま息絶えた。
男――宮田司郎は次にヴォルフとリーヴァイの方に銃口を向ける。
二人の人狼は突然の出来事に少し狼狽しており、それが元で行動を起こすのが遅れた。
それが命取りとなった。

PPSh41の銃口が火を噴く。

「…………!!」
「ガッ――――」

ヴォルフの銀色の毛皮が、リーヴァイの水色の毛皮が、
一瞬で赤く染まり、二人は大量の血を吐き、路面に崩れ落ち動かなくなった。
401ずっとずっと一緒 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 01:08:15 ID:juws5t3z
「……」

弾丸が切れたPPSh41を携え、宮田は周囲をぐるりと見渡す。
もう動く影は見当たらない。あるのは4人の死体とそれぞれの所持品。
路地裏に隠れて隙を窺っていたがこうも大成功するとは。
宮田は最初に刀で殺した学生服姿の少年の荷物を漁り始めようとした。
その時、ヴォルフとリーヴァイの方向に背を向けていた。

一発の銃声が響いたのと同時に、宮田の背中から心臓、そして胸元までをライフルの弾が貫いた。

「…な……に……!?」

胸元に空いた穴からドクドクと血を流し、
宮田はガクリと地面に膝を突き、持っていたPPSh41を落とし、
そのままゆっくりと路上に仰向けに倒れる。

(そうか、俺は死ぬのか)

最早全てがスローモーションに見えていた。

(……当然の、報い、なんだろうな)

宮田は最期の一瞬、元の世界で少しの間、恋人のような関係であったある女性の事を思い出していた。


襲撃者である、白衣姿の男が倒れ、動かなくなった事を確認すると、
全身に被弾し、血まみれになった人狼、ヴォルフは構えていた村田銃を落とし、
再び吐血しながら道路に仰向けになった。

「リー………ヴァ………」

喉の奥に詰まった血液のせいで上手く発音が出来ないが、
それでもヴォルフは自分の隣に横たわる妹の名前を呼ぶ。
だが、返事は返ってこない。それもその筈である。
リーヴァイはヴォルフと同じように全身を銃弾に貫かれ、血まみれの上に、
顔の左上半分が、丸ごと欠損し、中身が溢れアスファルトの上に流れ出ていた。

妹が死んだ事を悟ったヴォルフだったが、なぜか悲しくは無かった。
その理由は分かっていた。
402ずっとずっと一緒 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 01:10:04 ID:juws5t3z
「……すぐ……行くから………な………俺…も…………」

もう身体中の感覚が無い。目の前も暗くなってきた。
いよいよだろう。間も無く自分も、妹の所へ行ける。

「………リー……ヴァイ………ずっ…と……い…………」

「ずっと一緒」とヴォルフは言おうとしたが、もうそれは出来なかった。
ヴォルフはリーヴァイの頬に最期の力を振り絞って手を添え、
それっきり、ふぅ、と息を吐き、動かなくなった。



市街地が再び静寂に包まれた。



【森屋英太@自作キャラでバトルロワイアル  死亡】
【平池千穂@オリキャラ  死亡】
【ヴォルフ@オリキャラ  死亡】
【宮田司郎@SIREN  死亡】
【リーヴァイ@オリキャラ  死亡】
【残り  7人】



※E-4一帯に銃声が響きました。
※E-4市街地路上にヴォルフ、リーヴァイ、平池千穂、森屋英太、宮田司郎の死体と所持品が放置されています。
403 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 01:12:09 ID:juws5t3z
投下終了です。さあていよいよ大詰めだ……。
書き手なのに自分でも予想出来ない展開になっていく、
それが非リレーロワの魅力の一つだと思うんだ。
404引き返すことは無い ◆6LQfwU/9.M :2010/02/28(日) 01:49:12 ID:xqGR8KU9
「…なんで、こんなことになったんだろうか」
血に濡れた状態で天を仰ぐ下痢。
(どこで…道を間違えたんだろう。)
何処か虚無感を感じるような表情のまま道を歩く。
「俺は間違っていない…はずだ」
自分に言い聞かせるように呟く。
その時。
「正しい訳、無いだろ?」
後ろから声がかかる。
「人を殺すことを正当化することは出来ないんだ、何であろうと」
vもんがだった。
その声に驚いている下痢をよそに、話を続ける。
「だが、疑問を持ったと言うことは、まだ『良心』は残っている。まだ引き返せる。」
だが、その声を聞かずに言う。
「…もう戻れないし戻る気もない。だからここで…殺す」
もはや説得は不可能だった。
ポケットから銃を取り出し、vもんがに向けて放つ。
「…!くっ…駄目だったか…」
名残惜しそうに背を向けて逃げ出すvもんが。
だが、その無防備な背中に向かって何度も発砲する下痢。
「いい加減に…しろ!」
振り向きざまにレミントンM31RSをぶっ放す…つもりが、弾丸が出ない。
(しまった、故障か…!)
そして、とどめの一撃が…叩き込まれた。
「どうして…だ、なんでなんだ」


体の至る所に弾丸の跡。
そしてそこから流れ出る血。
まだあふれ出る血。
それは更に下痢の欲望を加速させ、さらに『危ない』領域に歩ませる。
「何があろうと、もう引き返すわけにはいかない。恨みがある訳じゃないけれど」
弾詰まりを起こしたレミントンM31RSをその場に置いて、またふらふらと歩き出した。


【一日目/早朝/D-7:遊園地付近】


【下痢@板対抗BR】
[状態]:健康、「ふうのしん」発症(85%)
[装備]:火掻き棒@SIRENシリーズ、ワルサーPPK(5/9)@現実
[所持品]:支給品一式、「ふうのしん」の枝@かまいたちの夜、狩猟用狙撃銃(6/7)@SIRENシリーズ
      斬鉄剣@板対抗BR、MINIMI軽機関銃@SIRENシリーズ、MINIMIの弾丸(あと2リロード分)
      クレイモアとC4@メタルギアソリッドシリーズ、jubeatの筺体@ニコニコ動画
[思考・行動]:
基本:欲望のまま行動する
1:もう引き返さない。

【vもんが@板対抗BR 死亡】
死因:射殺
405 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/28(日) 01:50:01 ID:xqGR8KU9
投下終了です。久々ですね
406 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 12:55:17 ID:juws5t3z
投下乙です。では自分も個人趣味ロワ第81話「倭国の天子、死す」投下します。
登場:須田恭也、ノーチラス、早野正昭、レイ・ブランチャード、フラウ、伊賀榛名、聖徳太子
407倭国の天子、死す ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 12:59:10 ID:juws5t3z
81話「倭国の天子、死す」

日が空の中央付近に差し掛かり、正午に近付いていた。

捜し人であった小野妹子の凄惨な死を目の当たりにし、
何かが切れてしまった聖徳太子は、どこか虚ろな目付きで市街地を歩いていた。
そして、辿り着く。10階建ての高層ホテルに。
狩猟用狙撃銃を構え、太子はホテル玄関へと歩いていった。



一方、ホテル一階、パソコンルームでは、
フラウと早野正昭が運営コンピューターへのハッキングを仕掛け、
その作業はいよいよ最終段階に入っていた。
流石に一筋縄ではいかない防御プログラムの数々が行く手を阻んだが、
何とか二人の協力で、少しずつではあるが、確実に突破に成功していた。

「……」
「…………」

フラウと正昭は全くの無言。
作業に完全に集中していると言うのもあるが、
それよりも「首輪から盗聴されている」という事による所が大きい。
ましてやハッキングなんて仕掛けている事が露見でもしたら、
最悪の場合、ここにいる全員の首輪が爆破され兼ねない。

須田恭也、伊賀榛名、レイ・ブランチャード、ノーチラスの四人は二人の作業を見守る。
何しろ脱出への唯一の希望なのだ。
しかし、そこで緊張感の無い発言をする者が一人。

「私、ちょっとトイレ行ってくるね」

榛名が尿意を催し、トイレに向かう。

「榛名、本当にトイレだな?」

レイが榛名に声を掛ける。

「大丈夫よ。一人でどこ行ったりはしないから」

榛名は振り向いてそう言うと、再びトイレに向かい始めた。
レイが榛名に尋ねたのには訳があった。
数時間前、同行していた一人がトイレに行くと行っていなくなり、帰ってこなかった。
恐らくトイレに行くと偽り、自分の兄を捜しに行ったのだろう、という結論に達した。
しかし気持ちは分かるが、余り仲間を失う訳にもいかなかった。
話を聞いたノーチラス、フラウ、早野正昭は深刻そうな表情を浮かべたが、
その者の気持ちを酌んでやろうという事になった。
408倭国の天子、死す ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 13:00:09 ID:juws5t3z
榛名が自分の得物である散弾銃、モスバーグM500を携えながら、
ロビーを通りトイレに向かおうとした。

「トイレは確か……あっちの方…………ッ?」

そこで榛名は、ライフルと思しき物を持ったトレンチコート姿の男と遭遇した。

「え? 誰?」

榛名は驚き、男に尋ねるが、男は何故か何も言おうとしない。
その瞳はどこか虚ろで、とてもでは無いが話が出来る様子では無い事は容易に想像出来た。

(何、こいつ――)

榛名がそう思ったその時。
男は突然持っていたライフルの銃口を榛名に向け、そして――。

「死ね」

男のライフルが火を噴いた。



「おい、何だ今の銃声は!?」
「ロビーの方からだ!!」

ロビーの方から三発の銃声が聞こえ、パソコンルームの五人はそれぞれの武器を携え一斉にロビーへ雪崩込む。

「!! 伊賀さん!!?」
「う……」

ロビーのカウンターにもたれ、左肩から血を流している榛名を見付け、
フラウが心配して駆け寄った。

「大丈夫!? 何があったの!?」
「あいつが…いきなり撃ってきて……」

傷の痛みに耐えながら榛名が指差す方向には、
全身に散弾を食らい息絶えているトレンチコート姿の男の死体があった。
男の傍にはライフル銃が転がっている。
どうやらあれで榛名は撃たれたようだ。
409倭国の天子、死す ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 13:01:19 ID:juws5t3z
「傷を見せてみろ……むぅ、どうやら掠っただけのようだが、出血が酷いな。
止血をしなければ…」
「へへ…咄嗟に避けたからね……でも、痛たたた…」
「あ、余り動いちゃ駄目だよ伊賀さん!」
「だ、大丈夫大丈夫……」



榛名の無事を確認した一行は、
フラウと正昭は榛名の希望もあり再び作業を再開、
レイは榛名の傷の手当て、そしてノーチラスと恭也は襲撃者の男の荷物を調べる事になった。

「……」

恭也にとって、恐らく初めて見る、本物の人間の死体。
近付く度に、血の臭いが強くなり、出来れば離れていたかったが、
この非常時にそうも言っていられない。
ノーチラスは恭也に比べればまだそれなりに耐性はある方だったが、
狼の獣人である彼は当然普通の人間より嗅覚が強く、
強い血の臭いに気を滅入らせてしまう。
それでも何とか男の死体からデイパックを引き剥がし、中身を漁る。

「うお、こりゃスゲェな」

ノーチラスが感嘆の声を上げる。
それもその筈、男のデイパックからは大量の銃器が出てきたのだ。

「何でこんなに…」
「もしかしたら何人もこいつに殺されたのかもしれねぇな、
それじゃ大量に持ってる奴から奪い取ったとか…まあいいや。
死人に口無しだ。有り難く使わせて貰おうぜ」

これ程の大量の武器を有効利用しない手は無い。
ノーチラスと恭也はそれぞれのデイパックに男の武器を移し始めた。
410倭国の天子、死す ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 13:03:48 ID:juws5t3z
「そろそろ放送か?」
「そうね……」

レイが壁に掛けられた時計を見て呟き、左肩に包帯を巻かれた榛名が続いて言う。
時計は午前11時45分を指している。
後15分程度で第二回目の放送が開始される。
今、何人の生存者がいるのだろうか。

「さて、メモを取る準備をしないとな。ああ、榛名はそこでゆっくりしていてくれ」
「ゆっくりしていってね!!」
「いきなり何を……」
「冗談よ。分かったわ。お言葉に甘えさせて貰う……」

第二回放送まで後僅か。


【聖徳太子@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和  死亡】
【残り  6人】


【一日目/昼/D-2ホテル一階】

【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:Cz75(10/15)
[所持品]:基本支給品一式、Cz75の予備マガジン(5)、
エネマグラ(粘液付着)、ミニローション(残り48ml)
[思考・行動]:
0:殺し合いを潰す。首輪を外す方法を探す。
1:早野正昭、リーヴァイ、レイ、須田恭也、フラウ、伊賀榛名と行動を共にする。
2:残りのクラスメイトの動向が知りたい(特にエルフィ)。
3:襲撃者の男(聖徳太子)の武器を頂く。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※もうエネマグラは使わないと決めたようですが、未練があるようです。
※首輪の構造を把握しました。また、主催側による盗聴の可能性に気付きました。
411倭国の天子、死す ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 13:06:15 ID:juws5t3z
【レイ・ブランチャード@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:コバルトアロー@オリジナル(14/14)
[所持品]:基本支給品一式、コバルトアローの予備マガジン(5)、
フェイファー ツェリザカ(4/5)、 600NE弾(10)、コンバットナイフ、
牛山サキの水と食糧
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。ゲームの転覆を目指す。
1:ノーチラス、早野正昭、須田恭也、フラウ、伊賀榛名と行動を共にする。
2:殺し合いに乗っている者には容赦し な い 。
3:リーヴァイが心配だが…。
[備考]:
※首輪の構造を把握しました。また、主催側による盗聴の可能性に気付きました。

【須田恭也@SIREN】
[状態]:肉体的疲労(中)、身体中にダメージ(大)、右上腕に切り傷(応急処置済)
[装備]:チップカットソー@自作キャラでバトルロワイアル(バッテリー残量:89%)
[所持品]:基本支給品一式(ランタン放棄、コッペパン1個消費)、
流血@浦安鉄筋家族(200粒入り)
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。そのためにも仲間が欲しい。
1:ノーチラス、レイ、早野正昭、フラウ、伊賀榛名と行動を共にする。
2:襲われたら戦う。
3:リーヴァイが心配。
4:襲撃者の男(聖徳太子)の武器を頂く。
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、駐在警官に撃たれ川に転落し、
意識を失った直後からの参戦です。 従って幻視能力は目覚めていません。
※ランタンを破損、放棄しました。
※首輪の構造を把握しました。また、主催側による盗聴の可能性に気付きました。

【早野正昭@オリキャラ】
[状態]:健康、フラウと共同作業中
[装備]:アイスピック、鍋の蓋
[所持品]:基本支給品一式、工具(調達品)
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。人も殺さない。首輪を外す。
1:フラウと共に運営コンピューターへのハッキングを掛ける。
2:ノーチラス、リーヴァイ、レイ、須田恭也、フラウ、伊賀榛名と行動を共にする。
3:首輪の最終的な解除方法を探る。
[備考]:
※首輪の構造を把握しました。また、主催側による盗聴の可能性に気付きました。
※リーヴァイがいなくなった事に気付いていません。
412倭国の天子、死す ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 13:17:33 ID:juws5t3z
【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、早野正昭と共同作業中
[装備]:特殊警棒
[所持品]:基本支給品一式、ロープ
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段の模索。
1:早野さんと共に運営コンピューターへのハッキングを掛ける。
2:伊賀さん、ノーチラス、レイさん、須田君、早野さんと行動を共にする。
4:仲間を集める。
5:クラスメイトと合流する?
6:伊賀さんが少し心配。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※首輪の構造を把握しました。また、主催側による盗聴の可能性に気付きました。

【伊賀榛名@オリキャラ】
[状態]:左肩に掠り傷(応急処置済)
[装備]:モスバーグM500(4/6)
[所持品]:基本支給品一式、12Gバックショット弾(30)、
スタンガン(バッテリー残り95%)
[思考・行動]:
0:殺し合いはするつもりは無い。但し襲われたら対処。
1:ノーチラス君、レイさん、須田君、早野さん、フラウちゃんと行動を共にする。
2:千穂ちゃんは生きてるかな……。
[備考]:
※首輪の構造を把握しました。また、主催側による盗聴の可能性に気付きました


※D-2ホテル一階ロビーに聖徳太子の死体が放置されています。
413 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 13:18:44 ID:juws5t3z
投下終了です。
414 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 15:55:42 ID:juws5t3z
個人趣味ロワ第83話「第二回放送(個人趣味ロワ)」投下します。
登場:セイファート、ヴェルガー
415第二回放送(個人趣味ロワ) ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 15:56:35 ID:juws5t3z
83話「第二回放送(個人趣味ロワ)」

正午12時、会場に再び大音量のサイレンが鳴り響く。
そして、主催者セイファートによる第二回目の放送が始まる。

『はーいお昼になりましたー。セイファートでーす。
いやあこの6時間でまた随分と人が減ったねぇ。

うーん特に言う事も無いからちゃっちゃと行くよ。
まず禁止エリアね。えーと一時間後の午後1時から、F-1、E-2、D-5、G-5、F-4ね。

じゃあ次はいよいよ死んだ人の発表よー。

アルソンズ・ベイル
石川清憲
ヴォルフ
エイミス・フロリッヒャー
エルフィ
大沢木小鉄
大村寿美
小野妹子
神田修次
北沢樹里
吉良邑子
章高
聖徳太子
仁ママ
ドーラ・システィール
平池千穂
費覧
宮田司郎
森屋英太
リーヴァイ
リュード
レオーネ

以上22人! これで残りは6人ね! いよいよ大詰めって感じ!?
それじゃ今生き残ってる、えーと、伊賀榛名さん、ノーチラスさん、須田恭也さん、
早野正昭さん、フラウさん、レイ・ブランチャードさん。
後もう一息だから、頑張ってねー。

じゃ、さよならー』

セイファートからの伝言が終わると同時に、再びサイレンが鳴り響き、
放送が終了した。
416第二回放送(個人趣味ロワ) ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 15:57:26 ID:juws5t3z
「セイファート様」
「ん? どしたの? ヴェルガー」

放送終了後、モニタールームの特設の席で資料に目を通しているセイファートに、
巨大な白い狼でありセイファートの側近、ヴェルガーが近付く。

「現在生き残っている6名なんですが、
全員エリアD-2のホテルに集結したまま動きません。
約二名程、ほとんど何も喋っていない者もおりますが……」

この殺し合いで現在生存している6人。
その全員が一ヶ所に集まったまま何の動きも無い。
しかも全く会話も何もしない者が約二名。
何かあるのではとヴェルガーがセイファートに進言したのだ。

「……確かにね。もしかしたら何かつまらない事でもやってるかもしれないわね」

セイファートの言う「つまらない事」とは、要するに脱出手段の模索。
バトルロワイアルを管理する運営コンピューターに対してのハッキング、
或いは首輪の解除方法の模索の事を指す。

「…何か対策を打たれた方が……」
「ヴェルガー」
「はい?」
「確か、残ってる人全員、一ヶ所に集まってるのよね?」
「……そうです」

席から立ち上がり、エリアD-2のホテルの上面図、
そしてホテル内部に6個の参加者を示す丸い点が表示されたモニターを見ながら、
セイファートは牙が見える程口を歪め、笑みを浮かべる。

「生き残っているのは自分達だけって状況になったら…。
どういう行動を取るかしらね。それでも変わらず脱出を目指すのか。
或いは、うふふふ……」
「……」



殺し合いはいよいよ終幕に近付こうとしている。

どのような結末が生存者達を待ち受けるのか。

その答えは、もうすぐ出るかもしれない。


【残り  6人】
417 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 15:59:38 ID:juws5t3z
投下終了です。畜生、語彙が不足してるよなあ
それと「倭国の天子、死す」は82話です、間違えました。
418 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 20:36:11 ID:juws5t3z
個人趣味ロワ第84話「いんふぇるの」投下します。
登場:ノーチラス、早野正昭、須田恭也、レイ・ブランチャード、フラウ、セイファート、ヴェルガー
本編はこれにて終了となります。ありがとうございました。
419いんふぇるの ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 20:37:14 ID:juws5t3z
84話「いんふぇるの」

放送終了後、ホテル一階にいる6人――即ち、現時点での生存者全員の間には重苦しい空気が立ち込めていた。
発表された死者の中には、つい数時間前まで同行し、
そして恐らく兄を捜すため単独で出ていってしまったリーヴァイと、本人から聞かされた兄の名前、
ノーチラス、フラウのクラスメイト、伊賀榛名のクラスメイトの名前も呼ばれた。
当然、仲間や知人の名前が呼ばれてしまった事に6人は悲しんだが、
この重苦しい空気の原因はそれでは無く別の所にあった。

「…6人って事は、つまり、俺達しかもう生き残っていないって事…?」

恭也が口を開く。
そう、もうここにいる6人しか生き残りはいない。
襲われる心配が無くなったと言えばそうかもしれないが、
ここで6人はセイファートが開催式の時に言っていたある言葉を思い出す。

――24時間以内に新しい死者が一人も出なかったら、全員の首輪が無条件で爆破される。

今、フラウと早野正昭の二人で首輪の機能を無効化するために、
ホテルのパソコンを使って運営のコンピューターへハッキングを仕掛けている。
二人の話によれば少しずつではあるが確実に上手く行っているらしい。

だが、もし24時間以内にハッキングが成功しなければ?
もし、運営側にハッキングをしている事がバレたりでもしたら?

待っているのは、紛う事無き、死…!

「…ま、まあ、考えていても始まらんだろう。とりあえず、それぞれ持ち場に戻るんだ」

沈黙を無理に破るかのようにレイが全員に自分の持ち場に戻るよう促す。
とは言っても実際に持ち場があるのはフラウと早野正昭の二人だけなのだが。
レイに促され、フラウと正昭は再びハッキング作業を再開し、
レイを含む他の4人はパソコンルーム内で思い思いの行動を取り始めた。

ここで、フラウと共にパソコンに向かって作業を続ける早野正昭の心の中に、ある不穏な考えが浮かんでくる。

現在生き残っているのはここにいる、自分を含めた6人のみ。
加えて、今自分の手元には、先程ホテルに乗り込んで伊賀榛名を銃撃し、
返り討ちにされた男の持っていた武器の一つ――グロック19がある。

もし、ここで自分が全員を殺せば、もう、それで優勝だ。
そうすれば元の世界に帰れるし、また、何か願いを一つだけ叶えるとも主催者は言っていた。
今自分は狐娘のフラウと一緒に運営コンピューターへのハッキングを仕掛けているが、
そっちの方が、確実なのではないか?
420いんふぇるの ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 20:39:31 ID:juws5t3z
生存者がここにいる、自分を含めた6人しかいないという事実、
そしてハッキングが成功する確率の不安さから、正昭の黒い考えは益々膨らんでいく。

「…早野さん? どうかしたの?」

少し正昭の様子がおかしい事に気付き、横にいるフラウが声を掛ける。

「……ちょっと、休憩していいかな? 流石に目が疲れてきた」
「え? ……分かった。ちょっと休んでて」
「ああ」

作業の続きをフラウに任せ、正昭が座っていた椅子から立ち上がる。
そして再度パソコンルーム内の様子を確認する。
レイ・ブランチャード、ノーチラス、伊賀榛名、須田恭也、そしてフラウ。
それぞれ武器は持っているが、やれない事は無い。

「……」

正昭はとうとう、決断を下してしまった。



ノーチラスは椅子に座りながら、先の放送で名前が呼ばれたクラスメイトのエルフィの事を思い返していた。
他にも森屋英太、吉良邑子、北沢樹里の名前が呼ばれたが、
特に思い入れがあったのはエルフィである。
開催式の時に会ってから、結局一度も再会する事は無かった。
どこで、どのような死に方をしたのだろうか。

「ノーチラス…」
「あ、ああ、済まないレイ、ちょっと感傷的になってたかな」
「いや、無理も無い…気にしなくていい」

余り言葉を発さなくなってしまったノーチラスを心配するレイ。

伊賀榛名は遂に自分が一人ぼっちになってしまった事を知り、
表には出さないようにしていたが、心の中ではとても悲しんでいた。
先の放送で「平池千穂」の名前が呼ばれ、
この殺し合いに呼ばれた自分のクラスメイト二人はどちらも死んでしまった。

(千穂ちゃん、アヤちー…信じられないよ、二人が死んじゃったなんて…)

いつも教室で仲良く話していた友達が、
この見知らぬ土地で、どこかで無惨な死体を晒しているのだろうか。
そう考えるととても辛く、悲しかった。
だが、まだ泣く訳にはいかない。今、早野正昭とフラウの二人が、
運営のコンピューターへのハッキングを仕掛けている。
脱出への光明が見え始めている。

自分は何としても、二人のためにも生きて帰ろう。
榛名はそう決心した。
421いんふぇるの ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 20:41:18 ID:juws5t3z
須田恭也は手に九九式小銃を持ちながら、特に何をする訳でも無く立っていた。

(でも、思えば、物凄く非現実的な事だよな…)

尋ねた村で謎の秘祭を目撃し、駐在警官を謝ってトラックで撥ね、
直後に大きな地震と共にサイレンが鳴り響き、そして瀕死だったはずの駐在警官が起き上がり、
そして自分を拳銃で撃ち抜き、自分は背後の川に落下した。
気が付いた時には、空想の世界の生き物であるはずの獣人達が沢山周りにいて、
そして始まったバトルロワイアル――殺人ゲーム。

恭也はこの殺し合いの中で、二回程本気で殺されかけた。
何とか切り抜け、いつ襲われるとも分からない状況だったが、
どうにか生き延び、今ここにいる。

(俺、どうなるんだろ)

最後には自分はどうなってしまうのだろうか。
放送で名前を呼ばれた他参加者、先程の襲撃者の男のように、
ここで死ぬのだろうか。
出来ればまだ死にたくは無い。



「ん?」

レイが、正昭が作業を中断して、自分の方に近付いてくるのを確認した。

「どうした、正昭?」

レイが正昭に声を掛けるが、どういう訳か返事をしない。
何か、決意を固めたような表情が気に掛かった。

「おい、どうし――」

レイの言葉がそこで止まる。正昭がベルトに差していたグロック19を引き抜いたのだ。
そして、銃口をレイの身体に向け、引き金を引いた。
五発の銃弾が胸元を貫き、レイは口から血を吐いて短い悲鳴を上げながら、
呆気無く絶命した。

「な、何を」

次に正昭はノーチラスに四発の銃弾を、胸元に撃ち込む。
ノーチラスは椅子から転げ落ち、しばらく悶絶していたが、遂に血溜まりを作って静かになった。
422いんふぇるの ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 20:43:43 ID:juws5t3z
「ア、アンタ……!!」

正昭の突然の凶行に、伊賀榛名は持っていたモスバーグM500を構えようとした。
だが、それよりも前に、正昭のグロック19が火を噴くのが早かった。
喉元に一発の銃弾が食い込み、大量の血液が噴き出す喉元を押さえながら、
榛名はしばらく床に倒れてのたうち回っていたが、最期に正昭を睨み付け、
そして――身体中の力が抜け、血溜まりを作って、目を見開いたまま息絶えた。

「あ……あ……!」

恭也は余りの事態に言葉を発する事も出来ず、口をパクパクさせ目を見開いていた。
次の瞬間、恭也の額に小さな穴が空き、恭也の身体は糸の切れた操り人形のように床の上に崩れ落ちる。

「ふ……ふふ……」

いつしか正昭は、明らかに正気とは思えないような笑みを浮かべていた。

「は、早野、さん……!?」

そして、正昭以外で最後に生き残ったフラウが、
正昭の突然の凶行に、身体を震わせ、呆然としていた。

「こ、これで……これで……」

そして正昭が、フラウに銃口を向ける。

「俺が優勝だッ……!!」

パンッ、という音が、パソコンルームの中に響いた。
だが、弾丸はフラウの尖った狐の右耳を掠めるに留まった。
舌打ちをしながら正昭は今度こそはと、再び引き金を引こうとした。
だが――グロック19のスライドはオープン状態で固定され、
引き金を引く事は出来なかった。弾切れである。

「う…うわああああああ!!!」

フラウが叫びながら、すぐ傍に立て掛けてあった九九式小銃を手に取り、
正昭に向けて発砲した。

10メートル程度の距離で小銃弾を胸元に受けた正昭は、
ガクリと膝を突き、仰向けに倒れ最期を迎えた。
423いんふぇるの ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 20:45:32 ID:juws5t3z
「……ハァ……ハァ……」

最期に生き残ったのは、狐獣人の少女、フラウただ一人。
つまり、この殺し合いにおいての最後の一人となったのだ。
それが意味する事は――。



「…早野正昭の死亡を確認しました」

主催本部のモニタールームで、監視員の一人がセイファートに報告する。

「ウフフ……面白い事になったでしょ? ヴェルガー」
「はぁ……」
「それじゃ、放送で知らせてあげなきゃね」

セイファートは定時放送の時に使う放送器具の前に移動し、
スイッチを押して放送可能な状態にする。
そして、殺し合いの舞台に残っているはずの、優勝者に告げる。




『はーい、これでバトルロワイアルは終了でーす。

フラウさん、よく頑張りましたね。お見事、あなたが優勝ですよー。
それじゃあこれから迎えをよこしますから、
ちょっとそこで待ってて下さいねー』




「優勝、ね――」

ホテル玄関前の階段に腰掛け、フラウは呆然と空を眺めた。



【レイ・ブランチャード@オリキャラ  死亡】
【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル  死亡】
【伊賀榛名@オリキャラ  死亡】
【須田恭也@SIREN  死亡】
【早野正昭@オリキャラ  死亡】
【残り1人/ゲーム終了・以上本部選手確認モニタより】


【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル  優勝】
424 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 20:46:54 ID:juws5t3z
投下終了です。また優勝ENDになっちゃったよww難しいなぁ。
楽しかったけど。

後は後日談的な物を書くとしよう。
425 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/28(日) 20:52:22 ID:C2V2nT0F
すいません、>>404は取り消します
ちょっと駄目だこれ
426創る名無しに見る名無し:2010/02/28(日) 21:20:59 ID:NRj4qqdP
乙!
427創る名無しに見る名無し:2010/02/28(日) 21:38:30 ID:R2Gt9IpF
投下乙。おつかれさまでしたー。
優勝おめでとうフラウ!!
428創る名無しに見る名無し:2010/02/28(日) 22:28:27 ID:awqdKXQJ
え、フラウ勝っちゃったw
正直結構びっくりw
429 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 22:35:25 ID:juws5t3z
個人趣味ロワ85話(エピローグ)「ワタシガヤルベキコト」投下します。
登場:フラウ、セイファート、ケトル

これにて個人趣味ロワは完全終了です。
430夢、破れて(前篇) ◆6LQfwU/9.M :2010/02/28(日) 22:36:00 ID:C2V2nT0F
投下します

「…30分経った…でも帰ってきてない」
病院の方を眺めながら呟くめろりん。
(プリンは引き返さないでと言ったけれど…)
やはり心配になり引き返そうとする。
「確かに心配、だけど…プリン自身がそう言ったんだから…」
どうしようかと迷っていると、
「そこに、誰かいるのか」
後ろから声がかかる。
その声に素早く反応し振り向く。
そこに立っていたのは…体をボンデージに包んだ男だった。


「そうか…連れの男に言われてここまで逃げてきたのか」
「ええ…ですけど…」
めろりんが疑いを含んだ声で返す。
そして出来るだけ疑われないようにしているヴァン。
(この人を…信用していいのかな)


「銃声を追って来たら、いったい何だこれは」
少し息を乱し、その場に立ち止まる穴。
(死体だ…どうやら中にもあるようだ…)
血溜まりに足を踏みこまないようにし歩く。
…その時あることに気づく。
「…足跡?どこに向かってるんだ…?」


街の入り口で双方の支給品を見せあう。
「それは…鎌?あと…蟹?」
めろりんの支給品を見て呟くヴァン。
(蟹…吾作か?いや違うな…)
「あなたは?」
「俺は、確か車が入ってたんだ。べんつだったか…」
『べんつ』と言う単語に少し反応するめろりん。
(べんつ!?すごい運だなあ…)
「あとは…ムチだ」
そう言い、デイパックからムチを取り出す。
先が幾つにも分かれているタイプの物だった。
二人が荷物を片づけている時…。
「あ、めろりんだ」
誰かが2人に近づいてきた。
「…下痢さん?」
体には所々血が付いてはいるが、確かにそれは下痢だった。
手には、ワルサーPPKと…プリンが持っていたはずの狩猟用狙撃銃を握っていた。
「えっ…それ持ってるってことは…」
それを見て、全てを悟る。
「そうだよ。プリンは殺した…この手で」
431ワタシガヤルベキコト ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 22:36:30 ID:juws5t3z
85話「ワタシガヤルベキコト」


「……!!」

私はふと意識を取り戻した。
そして、周囲を見渡すと、そこは森林地帯が眼下に広がる崖の上。
首には金属製の首輪。手にはM79グレネードランチャー。

「うあ……あ……」

そして、目の前には…怯えた表情で私の事を見ている猫族の幼馴染、ケトルがいた。

間違い無い、この光景は見覚えがある。
私が――あのセイファート主催の殺し合いに呼ばれる直前、この崖から落ちる前。
いなくなった英人の居場所を傍にいたケトルに問い詰めて、逃げ出したケトルを追い掛けていた時。
今、正にその瞬間に、私はいる。

――戻ってきたのだ。



ほとんど漁夫の利の形で優勝を収めた私は、あの後ホテルでセイファートからよこされた迎えの人達と合流し、
目隠しをさせられ、多分ヘリか何かに乗せられて、主催本部に連れて行かれた。

次に目隠しを取った時、私はどこかの城の応接間のような部屋にいた。
周りには西洋風の鎧に身を包んだ屈強そうな兵士達。
そして――。

「おめでとう、フラウさん」

この殺し合いの主催者である、黒い服を着た狼族の女性、セイファートが小さく拍手しながら立っていた。


そして、セイファートから「何か願いはある?」と聞かれ、私はこう答えた。

「私を、前回の殺し合いの、意識を失う直前の時に戻して欲しい」

それを聞いたセイファートは少し意外そうな顔をした。
432ワタシガヤルベキコト ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 22:38:05 ID:juws5t3z
「別にいいけど、いいの? 折角優勝したのにまた殺し合いなんて。
その殺し合いで死んだら今度こそ本当に終わりよ?」
「……やらなければならない事があるの」

私は、前回の、クラスメイトが全員参加させられていた殺し合いで、
大切なパートナーである、玉堤英人を信じる事が出来なかった。
それで、幼馴染で親友でもあるはずのケトルを追い詰めてしまって――。
だから、やり直したかった。自分の罪を償いたかった。
勿論、今度も生きて帰れる保証なんてどこにも無い。
でも、死はもう覚悟の上だ。私は恐らく、もう一回死んでいる。

今度こそ、英人や、由佳ちゃんや、ケトル、クラスのみんなの助けになりたかった。

「……どうやら決意は固いようね」

セイファートが少し呆れたような、しかし納得したかのような表情を私に向ける。

「……分かったわ。そこまで言うのなら。
でも、言っておくけど、私は戻してあげるだけ。その後はもう一切干渉しない。
もう二度と会う事も無いと思うけど、それで良い?」
「……」

私は黙って頷く。もう覚悟は決めた。
もうこの際、セイファートがこの殺し合いを始めた理由なんてどうでも良かった。
あの時に戻れるなら、やり直しが効くなら――!




そして、今、私は戻って来た。

「フ、フラウ……!」

ケトルが今にも泣き出しそうな顔で私の事を見詰めている。
それを見て、私は心臓が締め付けられるような思いに駆られた。
やはりあの時の私はどうかしていたんだ。
大切な幼馴染をこんなにも追い詰めて。こんなにも苦しめて。

――ああ、そうだ。私は知らない内に、ケトルの事を酷く傷付けていたのかもしれない。
思い起こせば、この殺し合いでケトルと英人に再会した時も、
その後、二人と色々話していた時も、そして、英人に気絶させられて、
目を覚ました時もその後も、私はケトルの事をずっと二の次にしていた。
ケトルも、英人や由佳ちゃんと同じぐらい、大切な存在だった、はずなのに。
433ワタシガヤルベキコト ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 22:39:15 ID:juws5t3z
でも、今は違う。

私はケトルに向けていたグレネードランチャーの銃口を下ろした。

「…え……?」

思いも寄らなかったのだろう。ケトルは何が起きたか分からないといった間抜けな声を出す。

「…ごめん、私、どうかしてたみたい」
「フラウ……?」
「私、馬鹿だよね。英人や由佳ちゃんの事ばっかりで、あなたの事ちっとも考えていなかった。
ケトルだって私にとっては大切な幼馴染なのに、私、私――」

次第に涙が溢れて来た。止める事が出来ない。
そして、とうとう私は地面に座り込んで泣き崩れてしまう。

「フラウ!」

ケトルが私に駆け寄ってきた。
こんな私でも、気遣ってくれるの?

「……ケトル、ごめんね……ごめんね……!」
「いいんだ、いいんだよフラウ……」

私はケトルの胸を借りて、しばらく泣いた。
434ワタシガヤルベキコト ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 22:39:57 ID:juws5t3z
数分ぐらいした後、やっと落ち着いてきた私は、涙を制服の裾で拭いながら立ち上がった。
いつまでも泣いてはいられない。
英人と、由佳ちゃんを捜さないと…そして、この殺し合いから逃れる手段を捜すんだ。
じゃないと、ここに戻って来た意味が無い。

「ケトル……行こう」
「……うん!」

私とケトルは禁止エリアが広がる森から離れ、崖を後にした。


(絶対……今度は、間違える訳にはいかない!)




これより、通称「自作キャラバトルロワイアル」は、本来のそれとはまったく別の結末に向かって動き出す事になる。
その最中、フラウやその知人達がどういった行動を取ったのか、どういった結末になったのか。

それはまた別のお話である。




【個人趣味バトルロワイアル  完】
435 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/28(日) 22:43:10 ID:C2V2nT0F
かぶっちゃって本当に申し訳無いです…
436 ◆UwuX8yY6RQ :2010/02/28(日) 22:43:20 ID:juws5t3z
投下終了です。原作でのフラウの死に様が余りにも哀れでしょうがなくて、
こういったENDにした次第でございますけども。
個人趣味ロワ、これにて終了です。ご愛読(?)ありがとうございました!
感想もらえたり投下乙と言って頂けると本当に嬉しくて励みになりました!
ありがとうございました!

と言いつつ実は三期ロワを構想中です。
今度も自由に有る程度節度を守りながら楽しくやりたいと思います。
437 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/28(日) 22:44:32 ID:C2V2nT0F
投下乙です。
438夢、破れて ◆6LQfwU/9.M :2010/02/28(日) 22:48:04 ID:C2V2nT0F


「おいおい…あいつは一体なんなんだ?」
足跡を追跡し、街の近くまで来た穴。
(かなりの装備だ…あと体の血の量からすると既に2、3人は殺したのか…)
なおも追跡を続ける…が。
カランッ…
足元に捨ててあった空き缶を蹴飛ばしてしまった!
(しまった…後悔先に立たず…だな)
その音を聞き付けて男――下痢が近づいてくる。
「隠れても意味ないな…戦うか」
そう思い、相手の動きを図り、間合いに入った瞬間!
「おらっ!」
手に持つ高周波ブレードで一閃する!
…だが穴の予想は外れた。
(しまった、外した!)
外したことで、体勢が大きく崩れる。
そこをすかさず斬鉄剣で薙ぎ払う下痢!
「うおおっ!」
咄嗟にブレードを構え防御する…が。
鋭い金属音と共にブレードが壊れた。
「な…何だと?」
驚きを隠せず酷く狼狽する。
その一瞬の隙をつき、追撃を加える下痢。
「く…かわしきれなかったか」
腕から血を流しながら呟く穴。
「これで…終わりだっ!」
最後の一撃を加えようとする。
その時。
背後から銃声が響き、穴の顔に血が降る。
「あぐ…」
下痢は手に持っている斬鉄剣を落とし、肩を押さえている。
その銃声の主は…めろりんが握っているワルサーP38だった。
「早くこっちに!」
めろりんが穴に向かって呼びかける。
何とか立ち上がりその場にブレードの残骸を捨て走り出す穴。
…その時、すかさず斬鉄剣を拾う。
(武器が無いんでな、貰っておくぞ)


「穴だったのかー、大丈夫?」
「何とか大丈夫だ…だが治療しておいた方がいいかも知れない」
そう穴が言うとめろりんはデイパックから消毒薬等を取り出す。
「あんたは…誰だ?」
ボンデージに身を包んだ男に問いかける。
「俺は、ヴァン・ダークホームだ。よろしく」
ヴァンが差し出した手を握り返す穴。
腕に巻かれた包帯をさすりながら立ち上がる。
「そこの子…こっちに連れてこないと危ないんじゃねーのか」
チルノを指さしながら言う。
「そうだね…こっちに来てー」
めろりんがチルノに呼びかける。
こくりと頷き、こっちに走ってくる。
その時、物影から誰かが飛び出した!
「!」
439夢、破れて ◆6LQfwU/9.M :2010/02/28(日) 22:49:49 ID:C2V2nT0F
そしてそのままチルノを羽交い絞めにする。
「お前…まだ生きてたのか」
羽交い絞めにしているのは…さっき肩を撃たれたはずの下痢だった。
さっきの弾丸は少しかすっただけだったようだ…。
「苦しい…離してよ…」
チルノが顔に苦悶の表情を浮かべる。
「おい、とっとと離せよ!」
穴が怒りを込めた口調で言う。
だが下痢は冷静な、だが狂気をはらんだ表情のまま離そうとしない。
「もっと…血が…」
そう呟き、手に持つPPKをチルノの背中に突き付け、
「欲しいんだ」
引き金を引いた。
その瞬間、チルノの胸から血が飛び出す。
「チルノ!下痢さん、何てことを…」
だが、めろりんの悲痛な叫び声をよそに立ち去ろうとする下痢。
「逃がすかよ。めろりんは手当を」
急に走り出し、下痢を追跡する穴。
そして走ってチルノの下に行くめろりん。
めろりんがチルノの所に付いた時、もう息は絶え絶えになっていた。
「めろりん…あたい…死んじゃうの…?」
「そんなことない!すぐに治療するから…!」
そうは言ったものの、素人目からしてももう治療しても無駄と言うことが分かった。
「でも大丈夫だよ…あたいはさいきょーだから…大丈夫…だもん」
そう言い残し、チルノの意識は途絶えた。


「だめだ、逃がした。そっちは…」
それ以上は、言えなかった。
「そんな…どうして…何で…」
チルノの亡骸を抱えうつむくめろりん。
(プリンに続いてチルノまで…何でこんなこと…)
その目からは、ポロポロと涙がこぼれていた。


「逃げ切った…もっと…もっと血が欲しい」
虚ろな表情で、病院へ続く道をとぼとぼ歩いて行く下痢。
その顔からは、虚無感と微かに除く狂気が見えた。
440夢、破れて ◆6LQfwU/9.M :2010/02/28(日) 22:50:43 ID:C2V2nT0F
一日目/深夜/F-7:街:入り口】


【穴@板対抗BR】
[状態]:健康、血まみれ
[装備]:斬鉄剣@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、業務用ポッキー@テラカオスバトルロワイアル
[思考・行動]:
基本:ゲームに乗る…?
1:さっきの男(下痢)を見つけ次第殺害する。
※F-7とE-7の間付近に壊れた高周波ブレード@メタルギアソリッドシリーズが落ちています

【めろりん@板対抗BR】
[状態]:健康、悲しみ(大)
[装備]:風切り鎌@かまいたちの夜、ワルサーP38(7/8)@板対抗BR、ノートパソコン@現実
[所持品]:支給品一式、蟹@本格的 ガチムチパンツレスリング、治療道具(6人分)、宇理炎@SIRENシリーズ
[思考・行動]:
基本:人は殺したくない。
1:チルノ、どうして…
※プリンの死を知りました。


【一日目/早朝/E-7:病院への道】


【下痢@板対抗BR】
[状態]:健康、「ふうのしん」発症(85%)、肩に擦り傷、発狂
[装備]:ワルサーPPK(6/9)@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、「ふうのしん」の枝@かまいたちの夜、狩猟用狙撃銃(6/7)@SIRENシリーズ
      火掻き棒@SIRENシリーズ
[思考・行動]:
基本:欲望のまま行動する
1:もっと血が欲しい


【チルノ@ニコニコ動画 死亡】
死因:射殺
441 ◆6LQfwU/9.M :2010/02/28(日) 22:52:05 ID:C2V2nT0F
投下終了です。
割り込み、本当に申し訳ありませんでした。
しかも最終話に割り込むなんて…
申し訳ありません
442創る名無しに見る名無し:2010/02/28(日) 23:44:29 ID:uhuu2SG4
>>◆UwuX8yY6RQ氏
2作品完結乙です。
いやはや、あなたのその心の内に秘めたる情熱にはいつも感服させられますよ。
今後とも頑張ってください。応援しています
443創る名無しに見る名無し:2010/03/01(月) 00:52:59 ID:n4T84Oyo
>>436
完結おめでとうございます。
ゲームをクリアし絶望的な戦場へあえて戻っていくフラウ。
帰ってきた彼女は少し成長していたのでした。今度は一矢報えるといいね。
なんというか感動しました。
444創る名無しに見る名無し:2010/03/01(月) 00:56:40 ID:XUQRHjnT
てs
445創る名無しに見る名無し:2010/03/01(月) 00:57:25 ID:XUQRHjnT
規制解除されてたか
◆6LQfwU/9.M氏も乙です
446創る名無しに見る名無し:2010/03/01(月) 02:11:02 ID:cqnth30E
◆UwuX8yY6RQ氏、完結おめでとうございます。
おお、これは自作ロワアナザーとでもいうべきifの歴史になるのですね。
フラウ頑張った。未来は明るい方向につながっている…といいなあ。
次も楽しみにしています。
447需要ゼロロワ ◆BHtXRZieJ2 :2010/03/03(水) 11:58:38 ID:NxVU4u7x
どうもお久しぶりです。遅れましたが(コレ毎回言ってるな俺・・・)
需要ゼロロワ第7話 赤いきつねと緑のバッファロー 投下します。
今回は一段と疲れた・・・
448需要ゼロロワ ◆BHtXRZieJ2 :2010/03/03(水) 12:00:53 ID:NxVU4u7x
第7話 赤いきつねと緑のバッファロー 

「・・・で、アンタは秘密組織『森羅』のエージェントで、765歳の狐の妖怪だと?」
「何じゃその顔は?信用しとらんって顔じゃな?言っておくが、わしはコスプレイヤーでも、中二病患者でもないからの」

参った。俺、仲根 秀平は大いに混乱している。
だってそうだろ?考えてみろ。
目が覚めたら首輪が巻かれてて、「鬼」に殺し合いを強要させられたんだ。
部屋が光に包まれた、あの後、俺はどういう訳かこの船の中に居た。
もうこの時点でも頭がどうにかなりそうだったんだが、恐らくは兄さんも同じ状況に立たされてるだろうからな。
俺だけ弱音を吐く訳にはいかねぇ。侍である兄さんなら、きっとこのふざけた殺し合いを止めるために立ち上がるだろうしな。
そう自分に言い聞かせ、俺はいつの間にか(恐らく主催者に)持たされていたデイバックの中身を確認してみた。
何か役立つものが入ってるだろうと思ってな。そしたら殺し合いの参加者名簿が出てきた。
さっそく一通り目を通してみたんだが・・・これがまたイカレた内容だった。
星を集める魔法少女、地球侵略を企む宇宙人、鏡の世界で戦う変身ヒーロー、平行世界の自分と戦う高校生、元暴走族の二代目桃太郎・・・
挙げればキリがないが、どれもこれも俄には信じがたい情報ばかりだった。
なら、この内容がデタラメなのかというと、それも違う気がする。というより、主催者が名簿にデタラメを、しかもこんな現実離れしたデタラメを載せる意図が分からない。
まさか事実だってのか・・・とにかく全くのデタラメではないにしろ、この情報を鵜呑みにするのは流石に危険だ。
これ以上名簿から得られる情報はないと判断した俺は、この客船の捜索を始めた。
外観を見てないから実際の大きさは分からんが、俺が最初に飛ばされたホールの大きさからすると、相当大きな客船らしい。
これだけ大きけりゃ、他に一人や二人ほど参加者が居たとしてもおかしくねぇ。
仲間が欲しかったし、何より名簿の真偽を確かめたかったしな。
そうして30分ほど捜索を続けた時だろうか。チャイナ服に金髪のポニーテール、オマケに獣耳という、殺し合いの場とは思えない、
目立ちすぎる格好の小牟さんと甲板で出会ったのは。
そして甲板に備えられたベンチに座りながら、お互いの知っている情報を交換し終わって現在に至るわけだが・・・
正直理解の限界だ。ほんの1時間足らずの間に、これだけの超展開の連続を体験したなんて話しても誰も信じちゃくれんだろう。
確かに名簿には小牟さんは狐の妖怪で、森羅のエージェントとあった。名簿の顔写真とも一致する。
だが、それでも、まるでイタズラ好きな子供のような笑みを浮かべる小牟さんは、とても700歳を超える妖怪には見えねぇ。
妖怪ってのはもっと神秘的というか、神々しいモンだと思ってたんだが・・・
まぁ、今はそんな事考えてる場合じゃねぇか。俺がすべきはこの殺し合いをブッ潰す事だ。

「ところで小牟さんは、これからどう動くべきだと思う?」
「ふむ、一刻も早く零児か中村に会いたいところじゃが、手掛かりない以上、人が集まりそうな所をしらみ潰しに探すしかないかの。
 まずはホテルに向かおうと思うが、異論はあるかの?」
「いや・・・」

小牟さんの話では、名簿の中で小牟さんが知っている名前は、有栖 零児、中村 等、沙夜の3つだという。
有栖 零児は小牟さんと同じ森羅のエージェントで、小牟さんの相棒らしい。
中村 等は保険会社のサラリーマンで、超絶倫人ベラボーマンとやらに変身するらしい。
沙夜は森羅と対立する組織の妖怪で、既に死んだはずだという。
ベラボーマンってのが気になるが、この中で一番信用できそうなのはサラリーマンの中村さんだな・・・

「決まりだな。それじゃさっそくホテルに・・・」

ズオォォォォォォォォォォォォォン・・・・
「ッ!?」
「何事じゃ!?」
突然聞こえた轟音に、俺と小牟さんは同時に立ち上がる。
甲板から外を見ると、この船が停泊してるF−5のすぐ東のエリアから黒煙が上がっている。
「何が起こってんだ・・・」
449需要ゼロロワ ◆BHtXRZieJ2 :2010/03/03(水) 12:05:00 ID:NxVU4u7x
「さて・・・どうしたモンかね・・・」
もう、こうして港を歩き回って一時間ほど経つだろうか。北岡 秀一は少々疲れた様子でため息をついた。
彼の目的は、最初の部屋で主催側に暴言を発した少年、ジョニーを見つけ出すことであった。
不治の病に侵された彼は、永遠の命を手にするべくゾルダとなり、ライダーバトルに参加した。
勝ち残るためなら手段は選ばないつもりだったが、それはあくまでライダーバトルにおいての話である。
病を治す為とはいえ、人を手に掛けるのは流石に気が引けるが、ライダー相手ならまだいい。
最後に生き残ったライダーのみが願いを叶えられるという、ライダーバトルのルールを知った上でライダーになったのだから、当然自分が倒される覚悟もあるのだろう。
だが、今回は違う。自分も含めて、どうやらこのこの殺し合いの参加者は、知らぬ間に拉致されて、強制的に参加させられてるらしい。
いくらなんでもそんな無関係の人間を殺すことは出来ない。城戸のようなお人よしを気取るわけではない。浅倉のような殺人狂になるつもりはない。それだけだ。
となると、厄介なのはこの首輪である。この首輪には爆弾が仕込まれており、これがある限り殺し合いからの脱出は不可能だ。

『あいつに会えば、情報のひとつでも聞きだせると思ったんだけどね・・・』
あの部屋での彼の態度を考えると、彼は主催者側と何らかの関わりがある可能性が高い。
彼に出会えば、主催者の情報や、首輪を解除する方法が分かるかもしれない。
あまり知的な人間には見えなかったが、今のところ手掛かりはそれくらいしかない。

『もう一時間近く港を探してるのに、あいつどころかまだ人一人見つからない・・・これだけ大きい港なら誰か一人くらい居たって彼がいい筈なんだけど・・・』
「ねぇそこのキミ、少し話があるんだけど、いいかな?」
彼が内心で愚痴をこぼした時、倉庫の陰からその男は現れた。
黒いコートを纏った長身の男だった。短い金髪、彫りの深い整った顔立ち、やけに鋭い眼光。日本人ではなさそうだ。欧米人だろうか。

「いきなり何?初対面の人間に対し名前も名乗らずにいきなり質問なんて、あんた礼儀がなってないじゃないの?」
「ああ、これは失礼。ボクは狗隠という者だ。よろしく。」
「狗隠ね。俺は北岡だ」
男の態度が癪に障った北岡は、わざと相手を煽る言葉で返したのだが、男は大して気にした様子もなく狗隠と名乗った。
(狗隠・・・?そんな名前、名簿には無かったはず・・・)

「ところで、名乗った事だし、そろそろ質問したいんだけどいいかな?」
「・・・わかった、手短に頼むよ」
「まず、この殺し合いの参加者の中に、キミが知っている人物はいるかい?」
狗隠が最初に投げかけた質問は、参加者に関する情報。まぁこれは当然だろう。特に隠す必要も無いので素直に話す事にした。

「俺が知ってるのは、城戸 真司、秋山 蓮、浅倉 威 の三人だけだよ」
「ありがとう。それじゃあ次に、キミはあの部屋に居た主催者達について何か知っているかい?」
「いや、全然。ただ、あそこに居た口の悪い肥満児なら何か知ってると思って、さっきまで探してたところだ」
次に質問されたのは、主催者に関する情報。知らないので素直に答えた。

「そう・・・じゃあこれが最後の質問だ。椿 定光という高校生を見なかったかい?黒いのツンツンした髪型の高校生だ」
「いや、この会場であった人間はあんたが最初だよ」
椿 定光。その名前なら確かに名簿にあった。こいつの友人だろうか。

「ありがとう。ボクからの質問はこれで終わりだ。それじゃあ・・・」
「・・・・!?」
北岡は自分の目を疑った。狗隠がそう言い放った刹那、
彼の両腕が巨大な鉈の如き刃物に変形したからだ。

「キミにはここで死んでもらうよ」
450需要ゼロロワ ◆BHtXRZieJ2 :2010/03/03(水) 12:09:13 ID:NxVU4u7x
「キミにはここで死んでもらうよ」
初めて顔を見た時から、嫌な予感はしていた。
弁護士という立場上、北岡は様々なタイプの人間と接してきた。
その為、彼は人を見抜く目に長けていたのである。
そんな彼が狗隠を見た時に抱いた印象は浅倉、いや、どちらかといえば東條 悟のようなタイプの人間。
もっとも、目の前の存在を「人間」と呼んでいいのか、大いに疑問だが。

(なんとなく嫌なタイプの奴だとは思ってたけど、まさかこんな化け物だったとはね・・・)

北岡はあらかじめデイバックから胸ポケットに移しておいた、ゾルダのカードデッキを取り出した。
無関係な相手には手を出さないつもりだったが、向こうから仕掛けてきたのなら、法的には正当防衛だ。
ましてや相手は人間ではない。化け物だ。なら遠慮はいらない。モンスターの相手ならいつもしているのだから。

「変身!」
北岡はすぐ側にあった倉庫の窓ガラスにデッキをかざし、仮面ライダーゾルダに変身した。

―SHOOT VENT―
ゾルダが機召銃マグナバイザーに一枚のカードをセットすると、彼の手元に突然巨大なバズーカ、ギガランチャーが出現した。

「あんまり手荒な真似はしたくないけど、そっちがその気なら、俺も遠慮なくやらせてもらうよ」
ズオォォォォォォォォォォォォォン・・・・
そう言った彼が引き金を引くと、ギガランチャーから砲弾が放出され、狗隠の20mほど後方に設置してあったコンテナを跡形も無く吹き飛ばした。

「どう?これでも俺と戦うつもり?」
「なるほど、一筋縄じゃいかなそうだね・・・でも、ボクはあのコの為に生き残らなきゃいけない。
そして定光くんを殺さなきゃいけないんだ。こんな所で立ち止まる訳にはいかないんだよ」

そう言い終った直後、狗隠は驚異的なスピードでゾルダとの距離を詰め、刃物に変形した右腕を振りかざしてきた。
(っ!?速い!)
ゾルダは辛うじて刃物をギガランチャーで受け止めた。その後も交互に振るわれる刃を、ギガランチャーでなんとか防いでいるが、
近距離での格闘戦において、ギガランチャーを持ったままでは圧倒的に不利だ。

「どうしたの?それで限界かい?」
そう言いながら狗隠が下方から振り上げた左腕の一撃は、、限界を超えたギガランチャーを一刀両断し、そのままゾルダの胸部の装甲を抉った。
「ぐぁっ!」
狗隠の一撃で後方に吹き飛ばされたゾルダは、しかしすぐさま起き上がり、新たなカードをマグナバイザーにベントインする。

―SHOOT VENT―
新たにゾルダの両肩に二門の大砲、ギガキャノンが装着される。どうやら、先程はまだ躊躇があったらしい。
今度は威嚇射撃などしない。こちらに駆け寄る狗隠に狙いを定め、ギガキャノンから砲弾を発射する。
急接近していた狗隠は突然の攻撃に目を見開き、左に回避するが、完全には間に合わず、
二発のうちの一発は右腕の肘から下を吹き飛ばし、残りの一発は小さなモーターボートに命中し爆発した。
ここにきて初めて狗隠が焦りの色を見せる。しかし・・・
「なーんちゃって♪」
何事も無かったかのように笑みを浮かべ、残った左腕を元の形に変形させると、人体の骨格を無視した動きで腕を伸ばし、
地面に転がる右腕を拾い上げ、それを右肘の断面に押し付けた。

(まさか・・・おいおい、嘘だろ!?)
そのまさかだった。痛々しい傷跡は残っているものの、今や狗隠の右腕は完全に接合された。
狗隠は調子を確かめるように、右腕を振り回している。

「待たせたね。それじゃあ再開といこうか」
(コイツ、不死身か!?)
狗隠が再びゾルダに駆け寄ろうとした、その時だった。
451需要ゼロロワ ◆BHtXRZieJ2 :2010/03/03(水) 12:13:25 ID:NxVU4u7x
『待 ち た ま え !それ以上戦う必要は無い!』

突如として周辺に鳴り響いた声に、二人は思わず声の方向を振り返る。

北岡は内心つぶやく。
(この声、拡声器を使ってるのか?にしても、なんでわざわざこんな戦闘中に・・・)
狗隠と北岡が見続けていると、コンテナの裏から声の主は現れた。

「Excellent!二人とも実に素晴らしい戦いぶりだったよ」
その正体は、黒い角と深緑の皮膚を持つ魔人、グリニデだった。

(さて、どうしようかな・・・)
狗隠は迷っていた。殺し合いに生き残る以上、当然この深緑の魔人も倒すべき敵である。
しかし、この派手な戦闘の最中、わざわざ拡声器を使ってまで乱入したという事は、
少なくとも自分や北岡と同等の戦力を持っている可能性が高い。
今から北岡に襲い掛かろうとするのなら、戦闘を止めた事を考慮すると、魔人は恐らく北岡側につくだろう。
この状況で二対一は少々不利だ。
(ここは撤退するか・・・)
そう判断した狗隠は、驚異的な跳躍力で倉庫の屋根やコンテナの上を移動し、その場を後にした。
移動しながら狗隠は考える。

(妙だな・・・腕の再生がいつもより遅い・・・考えられるとしたら・・・首輪の影響か)
参加者の行動を制限する首輪。何かあるとしたら、恐らくこの首輪に仕掛けがあるのだろう。
それだけではない。自分は定光との戦闘で片腕と下半身を失った筈だが、それらは元通りに復元されている。
定光とやよい以外、脅威は存在しないかと思われたバトルロワイヤル。しかし事態は思っていたより複雑らしい。
制限された自身の能力、北岡のような随行体とも異なる未知の戦力を持つ者、さらに自分の能力を制限したり、逆に体を復元するほどの主催者の力。
どうやら参加者と主催を皆殺しにして終わり、という訳にはいかなそうだ。
(確かに気になることは多いけど、そんな事は後で考えればいい)
そう、いかに問題が重なろうと、彼が最初になすべき事は決して変わらない。
(定光くん・・・ボクが殺しに行くまで、生きててくれよ。キミはボクが殺さなきゃいけないんだ!)

【一日目/深夜/F−6/港】
【ノウム・ペーネミュンデ(狗隠)@破壊魔定光】
[状態]健康 、右腕にダメージ(小)
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品
[思考]
基本:殺し合いに乗る
1:定光を殺す
2:やよいを殺す
3:主催者、及び首輪に関する情報を入手する
備考
■原作7巻での定光との戦闘直後からの参戦です
■再生スピードは普段の1/3程度に落ちています
■自身の能力制限に気づきました
452需要ゼロロワ ◆BHtXRZieJ2 :2010/03/03(水) 12:15:55 ID:NxVU4u7x
狗隠の姿が完全に見えなくなったのを確認すると、北岡はゾルダの変身を解除し、グリニデに話しかけた。
「いやぁ、助かったよ。俺は北岡 秀一。どうぞよろしく」
「私はグリニデだ。この殺し合いを止めるために動いている。さっきの彼も仲間に出来れば、主催者側と交戦する際に心強い味方になったのだが・・・
 それは今は保留するとしよう。ところで・・・」

グリニデは北岡が右手に持つカードデッキに目をつけた。
「シュウイチ君は随分変わった道具を持っているのだね」
「ああ、コレ?カードデッキっていうんだけど、俺が作った訳じゃないから、詳しい仕組みまでは知らないんだけどね」
「さっきの戦いを拝見させてもらったが、実に興味深い。君やそのカードデッキについて詳しく教えてくれないかね?」
「まぁ、それは構わないけどさ。ただ、ちょっと疲れたから、体を休められる場所で話したいよ。
 地図によるとこのすぐ北に海浜公園 があるから、ひとまずそこに移動って事でいいかな?」
「分かった。詳しい話はそこで聞くとしよう」
二人は海浜公園を目指して歩き出した。

【一日目/深夜/F−6/港】
【北岡秀一@仮面ライダー龍騎】
[状態]疲労(中)、胸部にダメージ(小)
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、
     ゾルダのデッキ@仮面ライダー龍騎
[思考]
基本:首輪の解除
1:グリニデと情報交換する
2:グリニデの事は半信半疑
3:狗隠と浅倉を警戒
4:城戸と秋山はひとまず放置

【グリニデ@冒険王ビィト】
[状態]健康
[装備]無し
[道具]基本支給品一式、
     拡声器
[思考]
基本:仲間(部下)となる人材を探す。
1:北岡と情報交換する
2:狗隠もいずれは仲間に引き入れる
3:閣下と呼ばれた鬼に「教育的指導」を施す。
備考
■首輪の影響で精神が落ち着いており、「お前」と呼ばれたくらいではキレなくなっています
453需要ゼロロワ ◆BHtXRZieJ2 :2010/03/03(水) 12:19:01 ID:NxVU4u7x
「・・・とりあえず騒ぎは収まったようじゃの」
「そうらしいな」
あれからF−6の監視を続けて10分ほど経つ。あの後もう一度だけ爆発が起きたが、その後は特に騒ぎも無く、元の平穏さを取り戻していた。
船の上からじゃ距離が離れているうえに、夜の暗さで何があったのかは分からんが、恐らく戦闘があったんだろう。

「これからどうする?小牟さん」
「状況が変わったのう。もうしばらくここに留まるぞ」
「確かに、まだあの騒ぎの犯人が近くに居るかも知れねぇしな・・・・」
「いや、それもあるんじゃが・・・」
「ん?まだ他に何か?」

小牟さんは少し言いずらそうな態度を示している。一体どうしたんだ?
「それが・・・へへへ・・・ちと腹が減っておるのじゃ・・・」
「なんだ、そういう事かよ・・・まぁ、言われてみれば俺も少し腹が減ってきたな。ここらでメシにするか」
「うむ、それがいい!」
そういって、小牟さんは嬉しそうにデイバックからタッパーを取り出し、その中からさらに白くて丸い物体を取り出した。
どうやら中華まんらしい。小牟って名前からすると(本名だったらの話だが)、中国人みたいだし、やっぱ中国人も中華まんが好きなのか?
・・・が。笑顔で中華まんにかぶりついた次の瞬間、小牟さんの表情が凍りついた。

「どうした?」
「・・・酸っぱい・・・ヨーグルトが入っておる」
「・・・・・」
そりゃあねーよな・・・

「ま、まぁ小牟さん、それじゃ俺の飯を分けてやるからさ」
「なに、本当か!?」
小牟さんは再び表情をガラリと変えて、目を輝かせながら俺を見ている。ホント分かりやすい人だ。
小牟さんの視線を感じながら俺はタッパー取り出してフタを開けてみた。中に入ってたのは・・・

「どうしたのじゃ中根?」
「イモリの丸焼きが入ってる・・・」
「「・・・・・・」」
こんな滑り出しで大丈夫なのか?俺達?
454需要ゼロロワ ◆BHtXRZieJ2 :2010/03/03(水) 12:20:39 ID:NxVU4u7x
【一日目/深夜/F−5/豪華客船】

【中根 秀平@最強伝説黒沢】
[状態]健康
[装備]無し
[道具]基本支給品一式、(食料:イモリの丸焼き@仮面ライダー龍騎)
     詳細名簿
     ランダム支給品
[思考]
基本:殺し合いを止める
0:・・・・・・
1:爆発を起こした犯人を警戒
2:もうしばらく船内に留まる
3:黒沢を探す
備考
■レスラー先輩との騒動直後からの参戦です
■小牟の事を痛い人だと思っています

【小牟@NAMCO x CAPCOM】
[状態]健康
[装備]無し
[道具]基本支給品一式、(食料:ヨーグルトまん@エアマスター)
     ランダム支給品
[思考]
基本:殺し合いを止める
0:・・・・・・
1:爆発を起こした犯人を警戒
2:もうしばらく船内に留まる
3:零児と中村を探す
4:沙夜の事は気になるが、ひとまず保留
備考
■本編終了後からの参戦です

支給品紹介
詳細名簿
通常の物と違い、名前以外にも顔写真や、参加者の詳細データが載せられている名簿。

ヨーグルトまん@エアマスター
月雄(本ロワには未参加)が食ってた中華まん(?)。酸っぱい。

イモリの丸焼き@仮面ライダー龍騎
浅倉が食ってたイモリ(トカゲ?)。神崎 士郎(本ロワには未参加)に勧めるも、無言で拒否される。
455需要ゼロロワ ◆BHtXRZieJ2 :2010/03/03(水) 12:22:37 ID:NxVU4u7x
投下終了。
規制のせいで、いつも投下が不定期で申し訳ありません
456 ◆UwuX8yY6RQ :2010/03/03(水) 20:15:00 ID:t0LlQw/G
投下乙です。お久しぶりです。だ、誰か次スレを…お願いします…。
457 ◆6LQfwU/9.M :2010/03/03(水) 20:27:08 ID:Da2nWC2Z
立ててきます
458 ◆6LQfwU/9.M