スレ発祥連載作品紹介!(※紹介文には多少の誇張表現も含まれています)
【荒野に生きる(仮) ◆8XPVCvJbvQ】
再生暦164年、コンクリートの荒野が広がる未来――。
獣の耳と尻尾を持つ「ヒューマニマル」の少女達はひたすらに戦う。対鋼獣用人型兵器・ヴァドルを駆って――!!
怪獣VS獣耳っ娘!? 話題騒然のデスマッチ!!
【CR ―Code Revegeon― ◆klsLRI0upQ】
これは、悪夢に立ち向かうちっぽけなひとりの人間と、「怨嗟の魔王」と呼ばれた機神の物語。
アンノウンの襲撃で家族を失った潤也は、漆黒の鋼機・リベジオンの玉座に身を沈める。反逆と復讐を遂げるために……!
人類震撼! 暗黒のレコードオブウォー!
【瞬転のスプリガン ◆46YdzwwxxU】
スーパーカーから伸びる鋼の腕――神速の挙動と極微の制動を可能とする、エーテル圧式打撃マニピュレータがその正体!
異世界の侵略者・魔族により廃墟と化した街角で、幼いことねは機械仕掛けの拳法家を目撃した。
変形ロボットならではの技が炸裂する、極超音速機動武闘伝!
【パラベラム! ◆1m8GVnU0JM】
Si Vis Pacem, Para Bellum――汝、平和を欲さば、戦への備えをせよ。
遥か昔に文明がリセットされた世界。黒い機械人形(オートマタ)・リヒターと、彼のマスターとなった少女・遥(19)の神子としての生活が始まった!
軽妙な会話と、動きを魅せるアクションに定評あり? なんだかおかしなキャラ達が紡ぐ、ドタバタ日常コメディ!
「……ねぇリヒター、こんな感じでいいかな?」
<イエス・マイマスター>
【ザ・シスターズ ◆klsLRI0upQ】
平凡な大学生、大野啓介の元に届いた大きなダンボール箱
その中に入っていたのは妹を自称するヒューマノイドで―――
超展開を超展開でねじ伏せる、お気楽ドタバタロボットコメディ!
【電光石火ゼノライファー ◆.dMD1axI32】
「俺、戦うよ。兄さんの代わりに」
正体不明の敵「アンノウン」来襲! 柊頼斗は兄の遺志を継ぎ、巨大ロボット・ゼノライファーに搭乗する!
少年少女の思いが交錯する超王道スーパーロボットの活躍に、キミのハートもブレイズアップ!
【Tueun ◆n41r8f8dTs】
全てを無くしたこの世界で――青年と人形は明日を咲かす
荒廃の大地に安住の地を求めるショウイチ。彼と旅する巨大トラクター・タウエルンには、とんでもない秘密が隠されていた!?
「家業継ぐわ…」「農業ロボ!?」 そんなスレ内の小さな種(ネタ)から◆n41r8f8dTsが丹精こめて育てた、痛快娯楽開墾劇!
【海上都市姫路守備隊戦記 ◆gD1i1Jw3kk】
「鉄の鎧を纏いし日出ずる国の兵」。帝国に虐げられる民が希望を見出した救世主伝説。
兵士として生きる男・清水静が愛に目覚めた時、戦乱の異世界に重装甲強化服のローラーダッシュの唸り声が響き渡る!
止められるものなら止めてみよ! 熱と硝煙! 剣と魔法! 凄絶無比のヘビーアーミー!
【最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ ◆46YdzwwxxU】
ドゥビドゥビッドゥ! ドゥビドゥビッドゥ! ドゥビドゥビドゥビドゥビッドゥドゥビドゥビ!
今日も今日とてロボヶ丘市で激突するのは、変な正義と変な悪!
ハイテンション! 歌うスーパーロボットバトルアクション!
【劇場版 最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ 異世界からの来訪者 ◆gD1i1Jw3kk】
悪のマッドサイエンティストが造り出した『次元転送装置』
その力は二つの世界を交差させる!
海上都市姫路守備隊戦記×最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ 衝撃のクロスオーバー作品!
【少女機甲録(仮) ◆kNPkZ2h.ro】
80年ほど前に地球上に出現し、地球上全ての生物を滅ぼさんとする謎の生命体群「ワーム」
異形の敵に立ち向かうは、全長4mのパワードスーツ兵器「機士」
陸上自衛軍第28連隊 第4中隊の少女達は、血と硝煙の匂い漂う世界を生きる!
【スーパー創作ロボット大戦OP映像風 ◆gD1i1Jw3kk】
スーパーロボット大戦名物の冒頭の3D戦闘シーンを
ロボット物SS総合スレ作品で再現!
所狭しと暴れまわるロボットたちの雄姿を見よ!
【R,B&G ◆46YdzwwxxU】
Tueun◆n41r8f8dTs vs.瞬転のスプリガン◆46YdzwwxxU
巨大トラクターとスーパーカー ──本来なら走る場所が違う二台が、
同じ道を駆け抜ける!!
【仮想戦闘記録 ◆gD1i1Jw3kk】
海上都市姫路守備隊戦記・外伝
設定のみだった五式重装甲強化服を敵として登場!
果たして静は二世代旧式の機体で勝てるのか!?
【ARTIFACT LEGACIAM あお ◆6k/dFp.sTw 】
突如として現れた謎の未確認侵略体、E&E。その脅威に立ち向かう、謎の巨大ロボットレガシアム!
レガシアムの搭乗者、不破優作は不思議な相棒カイアと共に大事な人々を守る為に立ち上がる!
軽妙な学園劇と迫力あるロボットバトルが織りなす、鋼のジュブナイル、ここに爆誕!
【Diver's shell ◆a5iBSiEsUFpN氏】
人類共通の夢の一つに、「もっともっと遠く」というものがある――――
表面の90%が海で覆われた星、ネオ・アース。黒服達の一件から時は過ぎ、ダイバー達は今日も、夢と浪漫を求めて海を往く。
物語は2ndシーズン突入し、新たな主人公、ジュリアとクラウディアの物語が幕を開けた。
男の娘も出てくる……かも?
【ヴィルティック・シャッフル ◆n41r8f8dTs氏】
普通の少年・鈴木隆昭の前に現れたのは、普通じゃない少女・メルフィーだった。
時を同じくして、平穏な日常に忍び寄る悪魔、オルトロック・ベイスン。
その「カード」を引く時、「未来」は訪れる。果たしてそれは「希望」か、「絶望」か――――
【人狼機兵マーナガルム ◆CNkSfJe3Zs氏】
2149年 春。月と地球、並んだ二つの星による戦争は、まだ続いていた。
革命軍の問題児「ラビットソルジャー」パイロット ソマ・ツクヨミは、自軍の罠にはめられ、正体不明の『狼頭』と敵対する。
兎達が支配する戦場で今、精神すらも噛み砕く異形の獣が目覚めようとしていた――――
【鋼鐵の特攻兵―Gun Strike Girles― ◆6LGb3BALUde1 】
近未来。人類はBUGと呼ばれる巨大生物との戦争を続けていた。
主人公・御前静を始めとした世界各国から集まった個性的な
少女達は、鋼鐵の棺に身を沈めてBUGとの熾烈な戦いに身を投じていく。
戦争という極限状態の中で、少女達は傷付きながらも成長し、
互いに支え合い日々を懸命に生き抜く。
やがて少女達の間に芽生えるのは、友情かそれとも――
ハードボイルドミリタリーの皮を被った百合ん百合んな物語。
欝展開はないよ!
【剣神鋼王ミカズチ ◆YHSi90Gnr2】
其れは鋼の人型。其れは『神』の力を降ろす為の人造の依代。 剣神はその手に太刀を担い、在らざる戦場(いくさば)を駆け抜ける。 その刃は未来を切り開けるか―
【鋼殻牙龍ドラグリヲ ◆Uu8AeR.Xso】
荒廃した世界を跋扈する、『害獣』と呼ばれる異形の災厄。
人には太刀打ち出来ぬその存在を屠る、暴君竜の如き異形の鋼。その名は「ドラグリヲ」
アルビノの少年「真継雪兎」とゴスロリ姿のナノマシン少女「カルマ」の紡ぐ物語に刮目せよ!
【GEARS ◆B21/XLSjhE】
近いようで遠く、遠いようで近い未来で――――競技用ロボット、ギアが駆ける!
無愛想だが熱い漢、守屋とどこかズレてるハイテンションな少女、霧坂のテンポの良い掛け合いと個性豊かな仲間達!
スポード感溢れる描写と汗と笑いとアイリス・ジョーカーが送る、ロボットスポーツストーリーをとくと見よ!
【機甲聖騎士ザイフリード ◆gU7PBlmT6Y】
紫藤 雪人(しどう ゆきと)は、きわめて平凡な男子高校生であった――ほんの少し前までは。
雪人が目覚めた場所は見知らぬ世界。そして隣には……寝息をたてる女の子!?
ファンタジックロボットSS、ここに見参!
【鋼殻牙龍ドラグリヲ ◆Uu8AeR.Xso】
荒廃した世界を跋扈する、『害獣』と呼ばれる異形の災厄。
人には太刀打ち出来ぬその存在を屠る、暴君竜の如き異形の鋼。その名は「ドラグリヲ」
アルビノの少年「真継雪兎」とゴスロリ姿のナノマシン少女「カルマ」の紡ぐ物語に刮目せよ!
【GEARS ◆B21/XLSjhE】
近いようで遠く、遠いようで近い未来で――――競技用ロボット、ギアが駆ける!
無愛想だが熱い漢、守屋とどこかズレてるハイテンションな少女、霧坂のテンポの良い掛け合いと個性豊かな仲間達!
スポード感溢れる描写と汗と笑いとアイリス・ジョーカーが送る、ロボットスポーツストーリーをとくと見よ!
【機甲聖騎士ザイフリード ◆gU7PBlmT6Y】
紫藤 雪人(しどう ゆきと)は、きわめて平凡な男子高校生であった――ほんの少し前までは。
雪人が目覚めた場所は見知らぬ世界。そして隣には……寝息をたてる女の子!?
ファンタジックロボットSS、ここに見参!
【廻るセカイ ◆1m8GVnU0JM】
「もう少しでセカイが滅びる」
世界中にそんな噂が飛び交った。
そして噂の通り、国が、都市が、次々と地図から名前を消していく。人類は滅びを待つだけだった。
舞台は架空の都市“揺籃”
描かれるのはそこに住む彼らが繰り広げる他愛もない日常と、非日常。
【守護機兵Xガードナー シクス ◆wuZfOwaq7U】
CC(コスモセンチュリー)115年。独立を宣言する火星と地球の、人類初の惑星間戦争が行われていた。
少年シュート・ダリューグは独立機動防衛部隊"Xガードナー"に参加するも自分の存在価値に惑う。
戦いを止められるのは薙払う剣か、それとも守護する盾か…
あなたの護りたいモノはなんですか?
【シャドウミラージュ ◆klsLRI0upQ】
あの日、自分は前に進むことが出来たのだろうか?
心に傷を負った青年クーガは、その過去に囚われるように生きていた
そんな青年がシャドウミラージュと呼ばれる特殊部隊に配属される事から物語は始まる
「人」「機」「妖」の三つが紡ぎだすグランドアースサーガ、再び開幕
【秘神幻装ソルディアン ◆tEulldVhj8h6】
因果の日は来たり――世界は異形の怪物アバドンに覆われた。
混迷を極める世界に機械仕掛けの神々は覚醒し、かくして今まさに黙示録が再現される。
測り知れざる過去より続く闘いの行方は、如何に。
【リベンジャー・レディ ◆9MC6FR8UMj7S】
彼女は全てを奪われた。地位を、居場所を、己の四肢すらも……
最新兵器ダウンシューターに制御AIとして『組み込まれた』エムレイン・ブルーは自分から全てを奪ったブルーバレット社に復讐を決意する。
最後の飛翔を前に彼女は呟いた。「さぁ、最期の日を始めようか」
『見届け人』姉小路真澄シリーズ第一弾。
【ロボスレ学園】
ロボット物SS総合スレ、10スレ目突破記念作品! このスレのキャラクター達が織り成すどこまでもフリーダムな青春(?)グラフィティ!
参加者募集中!
・読者側は、積極的にエールや感想を送ってあげよう! 亀レスでも大感激! 作者はいつまでだって待ってるもんだぞ!
・作者側は、取り敢えずは作品で語れ! 自分のペースでも完結まで誠実に奮励努力せよ!
・我らスレ住人は、熱意に溢れた新作をいつも待ち望んでいる! 次スレの紹介文には、キミのロボットも追加させてみないか!?
※紹介文未定作品一覧※
【機甲闘神Gドラスター ◆uW6wAi1FeE】
【英雄騎兵ミッドナイト ◆YHSi90Gnr2】
【ブリキの騎士 ◆WTKW7E8Ucg】
【機動修羅バイラム】
【ビューティフル・ワールド the gun with the knight and the rabbit ◆n41r8f8dTs】
【都道府県対抗機動兵器決選】
【資源転生サイクラスト】
※紹介文候補※
【ブリキの騎士 ◆WTKW7E8Ucg】
2024年、混迷と動乱のアフガニスタン。米軍最新鋭兵器、M23機動装甲服が降り立ったその地で、奇怪な陰謀が蠢く。
陰謀の真相は? 米兵たちを待ちうける運命とは? そして、この騒乱の行きつく先は?
ハードな世界観と設定で繰り広げられる、近未来ミリタリーロボットシミュレーションSSに刮目せよ!
――――人の織り成す混沌を、機械仕掛けの騎士が撃ち抜く。
上記の候補はひとまず、作者さんの承認待ちです。
紹介文はまだまだ募集中!
作者さんが、自身で考えちゃってもいいのよ!
天麩羅はここまででござるのマキ
師匠、コスプレ遥さんの太股スリスリしたいです!
今4話進めているけど…詰まった
せっかくだからなぜなにバイラムでお話で不明瞭な点をちょっと解説したほうがいいかもしれない
独り善がりっぽくなってるし
というわけで質問を求む
ロボット兵器が戦車や戦闘ヘリに苦戦しつつもなんとか戦っていく話ってこのスレ的にあり?
有り
その逆でも面白そうだね。
おk、完結させてから投下するんで三月ごろまで待ってて
OKOK,無事に完結する事を祈りつつ楽しみに待ってるよブラザー
俺も暇になってきたし続き書かないとだなー
>>1スレ立て乙です
>>10 奈央さんのスリー(冗談ですw
そうですなー、バイラムの具体的な強さが知りたいですな。各国の軍事力に比べて
もちろんネタバレしない範囲でw
>>8 これは実にいい脚・・・!
俺もス(撲殺
>>15-16 楽しみにしてますぜ
つうか元旦ネタ全く書けなかった・・・おまけに本編も書けてないし
ホント申し訳無い
>>10 AUAとユニオンとステイツが3強みたいですが、軍事力的にも同等くらいなんですかね?
あと3強以外の国がどんな感じなのかも知りたいです
>>1乙です
現状報告的なモノを少し
現在、CR2章とシスターズ3話並行作業中です
なんかどんどんシスターズのミナが制御不能のキャラになってきて楽しいやら、これでいいのかと悩むやらで大変です
来週は作業出来なくなるのは確定なんで今の内に頑張りたい・・・
スレ建て乙ですと手ぶらですが。
こうもあっさりと名前書き連ねられると恐縮してしまいます。
それにしても時間がないのに余計なことはやってしまう。
test
てすてす
おぉ!知らないうちに解除来てた!!
取り敢えず避難所に投下した本編を此方にも投下いたします。
鋼殻牙龍ドラグリヲ 第9話 帰還、我が家へ
目を覚ました雪兎の耳に飛び込んで来たのは、朝を告げる小鳥たちの歌声だった。
ヒヨヒヨと頻りに囀る声が喧しいようでどこか心地よい。
強盗侵入防止の為に鉄骨を埋め込まれた小さな窓の間から朝日が射し入れ、薄暗い発電室がジワリと明るくなる。
{…は……そうか…あのまま寝ちまったのか…僕も…。」
雪兎は何時の間に掛けられていた毛布を払いのけ、立ち上がろうとするがその寸前で思いとどまり胸元を見た。
『クゥ…クゥ…。』
カルマが小さく可愛らしい寝息を立てながら深い眠りに落ちている。
雪兎は思わずその柔らかい頬を指先でソッと撫でた。
『ミュ………ん……。』
撫でられた事に違和感を感じたのか呼吸が一瞬止まるが、しばらく経つと何事も無かったかのようにまたスヤスヤと寝息を立て始める。
起こさない様、息を殺しそっと優しく毛布の上に下ろす。
{どっ………こいしょっと……。」
カルマに軽く毛布をかけてやった後、ようやく自らの服装に目がいく余裕が出来た。
警備システムによって破かれた服には血が染み込み、紅く染まっている。
{うへ…酷く汚しちまったな………。」
以前、服を酷く汚した際に同居人に馬鹿野郎とばかりに大量の凶器を投げられた事を思い出しながら雪兎は呟いた。
鬱陶しいとばかりに引き裂かれた防弾コートと上着を脱ぎ捨て、不要となった上着を引き千切る。
そして昨日付けられた肩口の傷に対して少し遅れた応急処置を施そうと患部を見たその時だった。
{な…何じゃこりゃあぁあ!??」
雪兎は仰天し、目を剥いた。
傷口を含む肩全体が銀色の鱗のような瘡蓋に覆われ、塞がれている。
雪を戴いた山脈のように綺麗に並んだそれは朝日を惜しげもなく照り返し、雪兎の目を眩ませる。
こんな物が生えてきた経験なぞ今までの人生である筈も無く、雪兎は大いに狼狽した。
恐る恐る指で触れてみると、まるで金属片に触れたように固く、淵は刃物の様に薄く鋭い。
{……まさか。」
嫌な予感を感じ、何時の間にか閉まっていた扉を蹴破って洗面台へと直行する。
ガランガランと音を立て、分厚く重い金属製の扉がアルミ箔の様にグニャリと拉げるがそんな物を一々気にする余裕なぞ、今の雪兎には無かった。
洗面所の薄い木製のドアをぶち破り、急いで鏡の中を覗き込む。
鏡に映し出された自分の顔、赤い瞳、絹のように白く靭で一つに纏められた長い髪、顔を斜めに過ぎる傷跡
其処までは見慣れた物だったが、次々と目に入る異物を見る度にどんどんテンションが下がってゆく。
頭の逆向きの角、尾てい骨辺りから生えた銀の鱗に覆われた尻尾、肉食獣のそれの様に鋭い牙等の異形≠フ証、まともでは無い人間さえも見れば目を疑うだろう。
{どうすりゃいいのよこれ……。」
頭を抱え、その場に座り込む雪兎。
人付き合いは、服は、トイレはどうするのか………と、これから起こるであろう日常生活での不便さを考えると忽ち憂鬱になってゆく。
その時、尻尾を何か硬い物で思い切り突かれた
{ぎゃあ!」
たまらず尻尾を抱きかかえ背後を向くと、いつの間にか歯ブラシとコップを持ち仏頂面をした老人の姿があった。
「朝っぱらから喧しい奴じゃの…。」
老人はギロリと険しい目つきで雪兎を睨みつける。
「お前さんのお陰で余計な出費が出てしもうたわい…」
そう言うと老人は雪兎の足下に何かを投げて寄越した、怖ず怖ずとその投げ寄越されたメモを拾い上げ、読む。
そこには昨日壊した物の修繕費が事細やかに記されていた。
{……いち…じゅう…ひゃく…せん…まん………………………。」
読み進めていく度に、雪兎の顔が青く染まっていく。
{鰐淵玄十郎組合長閣下ご迷惑かけてすんませんでしたぁあああ!!!。」
そして即土下座へと至った
卑屈にもデコを床に高速で擦り付け、煙が立つ。
「ふん…もう遅いわい、先程御社≠フオフィスに連絡させて貰ったからのう…
当然お前さんの給料から天引きだろうな…カァカカカカ!!!……って床が焦げ付くから止めんか!」
そして再び杖が飛ぶ、放たれた杖は吸い込まれる様に雪兎の後頭部へと命中した。
{あごぁああああ………」
形容し難い呻き声を上げ、床に突っ伏した雪兎を無視して老人は話を続ける。
「ふん…まぁそんな事は今は如何でもいい、聞きたい事が山ほどある…が…取り合えず着替えてこい…。」
涙目になり、後頭部を押さえながらノソノソと起きあがる雪兎を尻目に老人は居間へと戻っていった。
{…4ヶ月ただ働きか………。」
ようやく別の件の返済が終わったかと思えばこの仕打ち…ギャグ漫画よろしく止めどなくダラダラと溢れる涙が雪兎の頬を濡らす。
{…と……ぼやいてる場合じゃなかったな……。」
取り合えず適当な服を側のタンスから引っ張り出しサッサと着替え、発電室でそのまま眠っていたカルマを居間のソファーの上にそっと移し終えた後、居間の座卓の側にサッと座り込んだ。
卓上には朝食の目玉焼きに味噌汁に雑穀入りの飯とこのご時世では贅沢な品がズラズラと並ぶ
一方カルマ用の食器には使い道の無くなったコンピュータメモリやバッテリーが乗せられ、そしてお椀の中には明らかに危ない色合いをした謎の液体が並々と湛えられていた。
{爺さん……」
「何じゃ?」
{これは…何よ…」
そう言いながら雪兎は人差し指でカルマ用のお椀をツンツンと突く、突かれる度に表面の油がアメーバの様に不気味に形を変える
「軽油味コーンスープじゃが…それがどうした?」
(………………………。)
絶句する雪兎を怪訝な顔でしばらく眺めた後、老人はようやく本題に入ろうと口を開いた。
「………?まぁいい…昨夜…あの大穴の中で一体何があったのか…教えて貰おうかの。」
{あぁ…実は…………。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
雪兎は昨日起こった事の詳細を話した。
地下に用途不明の巨大な空洞があった事、ツガイ≠フ片割れとガチで殺りあった事、そして研究施設を見つけた事や害獣≠ノ噛まれた事を。
研究施設の話に差し掛かった時、突如老人は肩を怒らせて立ち上がり、声を張り上げた。
「馬鹿な…地下の探索は8年前に全て終わらせた筈だ!…それが今頃になって何故!」
老人の目は大きく見開かれ、口角から唾が忙しなく飛ぶ。
{ちょ…!落ち着きなよ爺さん、どうしたんだよいきなり!?」
その様子を見て雪兎は大いに驚いた。
幼い頃からこの老人と面識があった雪兎だが、ここまで落ち着きを無くした姿を見たのは初めてだった。
取り敢えず落ち着く様に促すと、老人は我に返った様に落ち着きを取り戻し、ゆっくりと腰を下ろした。
「……………すまん」
{どうしたんだよ、らしくない…。」
「何でもない…だからあまり詮索しないでくれるかの……?」
深刻な表情をして俯き呟く老人、その顔は酷く憔悴しているように見えた。
しばらく場を沈黙が支配する。
「そんな事よりお前さん、身体の方はどうなんだ?害獣に噛まれて、そんな訳の分からん事になったんだろう?」
話の流れを変える為か、老人の方から雪兎に話題を振ってくる。重苦しい空気に耐えかねた雪兎はあっさりとその話題に乗った。
{あぁ…別にどうってこと無い……それよりもこの尻尾と角…どうにか何ねぇかな……このまま表出歩いたら…確実に変人だと思われるし
これが害獣のモンだと悟られたら…………」
最悪のシナリオが脳裏を過ぎり思わず身震いする雪兎。
「取り敢えず丈の長いコートと服があった筈…その位くれてやるから…それで何とか誤魔化していけ…。
御社≠ノ帰ってから考えても遅くはないじゃろう?」
そう言うと老人は、商品として店に飾られていた服のうちフード付きの丈の長いものを雪兎に投げて渡し、積み上げられた防弾チョッキの山の上に吊されていた防弾コートもついでに投げ寄越した。
{…あぁ、ありがとう。」
貰った服を早速着込もうとする雪兎だったが……
{あ…あ?……尻尾が邪魔で着られない……………」
「………………………………………………」
部屋の中で沈黙し、固まる野郎二人、だがここでそれを救う救世主が目覚めた。
『うぅ………。』
ソファーの上で寝ていたカルマがようやく目を覚まし、起き上がる。
『……オハヨウ御座います、ユーザー、お爺ちゃん……。』
ソファーからヨッと飛び降り、雪兎の足下にトテトテと足音を立て駆け寄ってくる。
{カルマァアアア!よくぞ良いところで目を覚ました!!」
余りのナイスタイミングに感動した雪兎は駆け寄ってきたカルマをギュッと抱きしめ、頬ずりした。
『ふぁ…!ユーザー苦しいです、どうしたのですか?行き成り…。』
唐突の出来事に驚いたのか、困惑しながら雪兎の腕の中でモゾモゾと動く。
{実は(以下略」
『そんな事ならお任せ下さい!』
カルマはそう言うと、指先から少量の液体金属を放出し、下着とズボンにくっつける
そして数秒後、真剣な顔をしていたカルマは表情を和らげ、『これで大丈夫』と呟いた。
『この銀色の部分に尻尾を通して見て下さい。』
{分かった…よっと……おぉ…!!」
その言葉通りに尻尾を通すとその銀の皮膜は意志があるかのように伸縮し、尻尾とズボンの隙間を上手く埋めてくれた。
雪兎は感動した、ちゃんと今、服が着られる…こんな普通の事が…何でここまで嬉しいのだろうと…それは
『ユーザー、遊んでても良いんですか?』
突如頬を軽くピシピシと叩かれ現実に引き戻される
{何だ人が感動している時に…。」
顔にしがみついていたカルマを引きはがし、その頬を撫でたりつつき回したりしながら雪兎は訪ねた。
『リニア…もうすぐ出ますよ。』
{…は!?」
その言葉を聞いた時、雪兎の背中を冷たい汗が流れた、以前仕事で指定された時間を守れなかった際に見た首領の青筋浮かべた恐ろしい笑顔が脳裏を過ぎる。
{何故それを早く言わない!!!」
雪兎は用意された朝食を急いで胃袋に放り込み、カルマ用の飯を彼女の口の中に流し入れる。
『モガモガモガァ…』
カルマの口の中に入った瞬間、そのガラクタは原型も残さず磨り潰され飲み込まれていった。
何時もは良く噛んで食べろと説教をする物だが、緊急事態である今そんな事を言っている暇はない。
{んじゃあ帰る!閻魔様の元で鉢合わせしないよう祈ってますよ!!」
「お前さんも折角生き長らえたその命、粗末にせんようにの。」
雪兎は新しい安全靴を拝借し玄関先に立て掛けてあったチェーンソーを手に取り、コートの中にしまい込む。
そしてカルマをおんぶし、おもむろにクラウチングスタートの体勢を取った。
『じゃあね!御爺ちゃん』
「またな嬢ちゃん…躯を壊さぬよう、気を付けるんじゃぞ?」
『はい!』
カルマが返事をした瞬間、砂埃が部屋中に充満した。その中を一筋の紅い光が暖簾を勢い良く通り抜け、光の中へと駆けていった。
「まったく、何時まで立っても騒がしい連中じゃわい……。」
ゴホゴホと咳をしながらも、微笑みながらその背中を見送る老人{鰐淵玄十郎}
しばらく後、老人は表情を変え一人静かに、憎らしげに呟いた
「自らの息子さえも…畜生へと身を堕とさせるか………真継よ……。」
懐から取り出したタバコに着火し、窓を開く。
そこからチョイと顔を出し紫煙を黙々と燻らせながら雲一つ無い良く晴れた空を見上げた。
その視線の先には太陽の光を我が物と秤に浴び、鱗を煌めかせながら天高く舞う二匹の竜の姿があった。
もうまもなく地区の住人達も目覚め、今日を生きる為に行動し始めるだろう
今日も雑多で堕ちた町の長い一日が始まる。
投下完了。
これで取り敢えず序章は終わりです、次回まではノンビリ回です。
色々設定とかも、保管庫に上げなきゃなと思いながら寝ます。
前スレが埋ま……った、と考えていいんでしょうか、これは。
>>9 >>17 待ちたまえ、まずは私の番d(ペキャッ
>>28 投下乙です!
あ、感想は避難所に書いておきましたw
前
>>660 可愛いもの、美しいものを愛でるのは当然さ……問題は遥さんが自キャラという点ですが。
前
>>661 むしろ、睡眠中/寝起きの無防備な女性は非常に可愛いと思うんですよ!
前
>>662 日によって代わります。……ええ、ただ単純にトレーナーが書きやすかっただけです。
個人的にはやっぱりパジャマかなと!
>しかし、オリジナル作品の方が圧倒的に多く〜
確かに、冷静に考えてみたら面白い事になってますね。二次創作の二の字くらいしかないw
パロは多いけどな! ……はい、すみません、私です。
前
>>663 イィィヤッホォォォォォォォゥ!!!
あとはこれが糠喜びにならないといいのですが……。
>問題は遥さんが自キャラという点ですが
なに、制作者がキャラクターを嫁と言う話も少なくないから問題ないさ
例
股間t(ry高村和宏→リーネ
今川泰宏→秋元羊介
柳瀬敬之→アニュー
ケンズィー・テラオカノフ→ティエレン
鷲尾直広→フラッグ
鷲尾直広→ネーナ
福田己津央・両澤千晶→ラクシズの皆さん
だ、だず氏はいずこへ……。
>>30 おーい! 釘宮病患j(ry鷲尾ちゃんが二人いるぞー!
というか、何ですかこの明らかにツッコミ待ちなメンツはw
だず氏、もしかして新型の存在を知らないのでは……
>釘宮病患j(ry鷲尾ちゃんが二人いる
ああ、本当だ、なんてこったい!
>>28 と、危うく感想を書き忘れるところだった。投下乙です!
姿が戻ってないのは辛いなあ。雪兎くんもそのうちツガイみたいになっちゃうんだろうか。しかしこれで序章とは濃ゆいのう
次回も楽しみにしてるんだぜ!
カルマたんかわいいよカルマたん
そういえばこのスレの作品がスーパーロボットスピリッツみたいな格ゲーになったらどうなるんだろうとかネタを振ってみたり
>>28 投下乙!
雪兎さん、また借金こしらえたんですか?(笑)
後、軽油味があるなら肝油味も在ればいいのに・・・
次回も楽しみにしていますよ
おお、スーパーロボットスピリッツとは懐かしい。
アイリス・ジョーカーとか使いやすそうですね。あと隠しコマンドか何気かでアイリス・ゾンビが使えたりw
何気に射撃機って少ないんですよね。
>>34 アイリス・ゾンビって何だっけ?
聞いた覚えはあるけど、詳細が思い出せない…
少なくとも本編には出てないですよね?
確か戦う度にボロボロになるアイリス・ジョーカーのあだ名だったはず
ある意味毎回出ているw
ドラグリヲとかモーションが面白そうだな
>>36 おお、あざっす。
だったら、隠しキャラっていうよりも勝利ポーズですねw
狼頭とかコンボが繋ぎやすそうで初心者から神の魅せプレイまで手広くカバーしてくれそうなイメージです
そしてパワーファイターなタウエルン……なんだろう、ナノマシン散布の性能次第ではローカルルールで禁止されそうな予感がw
>>37 >ボロボロの勝利ポーズ
なんかガンネク+のリボーンズガンダムを彷彿とさせるなw
>>38 タウエルンは本編でも圧倒的だからw
そういえばペネ子とへーちゃんは手技主体と足技主体で見事に分かれてるな。そして圧倒的といえばリベジオン
オートマタの必殺技は、それぞれのマスターが攻撃に参加して賑やかな演出になるのではと予想してみたり
つまり遥さんのサブミッションがデストラウに炸裂したり……無茶だなw
>>41 流石、遙さんだぜ!俺達に出来ない事を(ry
ペネ子にはとっつき(ピンポイントバリア貫手)があるから大丈夫なんですが、へーちゃんには必殺技っぽい攻撃がハンマーくらいしかないんですよねw
いっそ赤髪のロリコン召喚→捏造合体攻撃とか。
いや、やっぱりここはライダーキックか……!?
>>41 遥さんがM78星雲の人になってしまった!
>>42 流石は人間バズーカだぜ……
>>43 いやいやそこは「そのとき奇跡が起こった!」で
……なんか遥さんの戦闘力がサイヤ人並に跳ね上がっていってるような気がしなくもないw
もう遥さんが生身で戦えばいいと思うよ。
>>44 確かにキングストーン的な何かは宿してますけどw
>>45 あくまでネタ的な意味でなw
本編じゃ一応人間の域は出てないぞ
強さで言えば赤髪の旦那の方がチートじみてますしね。
今更だけどクロスSS2話の旦那の戦闘シーンかっこ良かったなーとw
某特撮ヒーローみたく「日本じゃ二番目だ」と相手に言ってなんでも出来そうな感じですもんね。
「お前のロリ度なんて日本で二番目だ。」と銀河一のロリコン登場的なw
個人的にドラゴンボールスパーキングみたいなゲームがやりたいな
それで、各作品から誰を出したい?
ちなみに遥さん、最初は爆弾魔にする予定でした。ええ、初期にやたらグレネード投げてたのはそのせいです。
>>48 ロッド回して攻撃弾くとか素敵ですよね!
>>49-50 しかし越えられない存在として英雄ロリコンの存在ががが
>>51 リベジオン! リベジオン!
むしろ格ゲーにした時の各キャラの戦闘スタイルが気になる。
>>51 ソルディアンで暴れたいw
>>52 それが今じゃあまさかのサブミッション
まーた突然人居なくなるwww
それで再びもしもゲームになったら関連の話題なんだけどw
もしこのスレがスパロボ見たくSRPG化した場合、要となる戦艦とかが無い件
>>56 とりあえず、実験艦フェンリルがありますよ
とても狭いですが
>>56 拠点なら海上都市姫路があるんですけどねw 移動可能らしいけど、海上都市を戦艦扱いは無茶か……。
PBMも戦艦出す予定あるけど、出るのはかなり先だろうなぁ。
狭くて入らなければ天井に吊るせばいいか
外に引っ掛けとくのはアリですか?
>>57 すまねえorz忘れてた
しかしユノ―さんと各キャラがどんな会話するのか……愉快な光景になりそうだなw
>>58 スクランブル多くて碌に休めなさそうだw>姫路
考えてみればロボット物に定番な主人公の移動戦艦みたいなのが無いんだなー。皆各々で戦えるからか
しかし各作品の主人公達を纏められるブライトさん指揮官って誰かいるかなwスゲー苦労すると思うけどw
拙作でも一応戦艦は出す予定ありますが、……同じく当分先になるかと
そういえば「守護機兵Xガードナー」も戦艦あったようなw
>>61 こうなったら強力わかもと指令に喝を入れてもらうしかあるまい!
メカニックはけっこう充実してる……のかな?
>>63 エホバ・バイシクルですね! シクス氏は何処へ……。
一日置いて帰ってまいりました、新入りのだずです
いや、さっそく容量オーバーに気づかないとかいう凡ミスを犯してしまいマジすいませんでした;;
普段気にしたことなかったんで、失念しておりました´`
そうだ、ガードナーもだった。これは失礼orz
確かにシクス氏の応答が無いな…・・新しい人が二人も入ったけど
なんつうか大規模規制の煽りだろうか、前よりずいぶん流れが遅くなっちゃったよね
まぁ総発全体からみれば早いんだろうけど
>>64 若本「引き受けてもいいが……前線に出てしまっても構わんのだろう?」
>メカニック
拙作の技術部長が未知の技術が見られると聞いてアップを始めたようです
>>66 川´_ゝ`)<何、気にする事はない。
>>67 きっと冬眠中なんですよ。きっと夏になればまたわけわからん早さでスレ消費するようになりますってw
>>66 おぉ!DaZさんお帰りーw
なーに、その程度のミスは初期の俺と比べれば何と言うこともないですよw
>>66 御帰りなさいませ
さぁ、昨日の続きを投下するんだ!
構想にあるリアルロボ系になら、戦艦も出てくるっちゃ出てくるんだけど
とりあえず目の前のこと片付けにゃあ先に進まんから
手をつけられるのは、いつのことになるやら
ロボスレのヌクモリティに全オレが泣いた(´;ω;` )
今からちょっと原稿に修正加えるので、一時くらいにまた上げ直そうと思います。
>>68 落ち着いてください指令!
>拙作の技術部長が未知の技術が見られると聞いてアップを始めたようです
なんか医療班のロリコンお姉さんもアップを始めそうで怖いんですけど。
……あれ? もしかしてロボスレのお姉さんキャラって変人ばっか?
>>70 何、短すぎるから設定も投下してけと言われた私に比べれb(ry
相変わらず初心者に優しいスレだなw
だがそこがいい
ユノー「私はメカニック的立場ですが、自分の造った機体以外を弄る気はありません!」
パーシヴァル「働け」
ツクヨミ「働け」
???「マスターが働く価値の無い仕事は、やる必要は無イ!」
パーシヴァル「お前の主人はニート様か何かかコラァ!!」
ユノー「仮にも会社務めの人間に対してその発言は無いでしょう!?」
ツクヨミ(いっそテティスに声をかけるべきか)
>>74 意外とロリキャラに危険人物はいないんだよな。珍獣とかはいるけどw
>>76 ユノーさんはニート属性だったのか……! あと???ってもしかしt(ry
>>74 ウィスティリアさんとレイチェルさんとマチコさんの誰がいちばん危険なんだろう
しかし濃い面(ry
レイチェルさんが断トツな気が……あの人の狂気は半端じゃないと思いますw
アイザックさんといい、◆6LGb3BALUde1氏のキャラは強烈だから困るw良い意味で
まさに変態! ってキャラクターですよねw
とりあえず終了したので今度こそ上げたいと思いますw
なんか加筆してたらエラく長くなってしまった
一応前回の続きからではなく、最初から上げたいと思います
朝、携帯から流れるアラームで目が覚める。
窓から零れる朝日の光を感じながら、携帯を手に取り騒がしく鳴るアラームを止める。
瞼を完全に開き、大きなあくびをしながらカーテンを開き、窓を開け放つ。
視界に映るのは、いつもと変わることない青い空。
天気は雲一つ浮かんでいない快晴。夏にも間違えるような日差しが暑い。
窓を閉めカーテンを再び閉める。薄暗い部屋の中ベッドを降り、クローゼットに手を伸ばす。
取り出したるはオレこと安田俊明(やすだ としあき)が通う『揺籃二高』の制服。私服登校も許可されているのだが、服を選ぶのは面倒臭い。
さっさと着替え、朝の気だるさから大きなため息を一つ吐く。
「(とっとと飯食って、あのバカ迎えにいかねぇと・・・)」
共に登校している幼馴染の存在を頭に浮かべる。学校行く気が失せてくる。
まぁいつまで続くかはわからないが、たぶんこれからもこんな感じなのだろう。
そこら中に溢れている、取るに足らない日常が続いて欲しい。そんな事を考えたりした日に日常が崩壊したりするのが常なのだが。
若干センチメンタリズムになりながらも、いつもの足取りで自室を出て階段を降り、リビングに到着する。
するとキッチンに立っているはずの母親は不在であった。テーブルに置いてあった真新しいメモ書きを手に取る。
「今日は学食か」
今日朝飯作れないごめんね的な内容であったメモ用紙を握りつぶしゴミ箱に捨てる。そしてテーブルに置いてある小銭を手に取りポケットに入れ込む。
誰もいない居間を後にし、玄関の扉を開く。
朝の5月とは思えない暑さの日差しに思わず顔をしかめる。だが学校に行かないわけにもいかない。
自分の自転車を取り出し、カラカラと手押しで走らせる。どうせ隣りの家に行くのだから今乗る必要もない。
鳥居の前に自転車を止める。鳥居を見上げるとそこにはいつもと変わらず『守屋神社』の文字が。
そして鳥居を潜り石畳を歩き境内へ。そして拝殿、本殿と抜け一番奥にある居住スペース、守屋さんの一軒家の前で足を止める。
インターホンを押すと軽快な音が流れ、すぐに「今行くから待っててーっ」と声がするも、オレが返事を返すことなく切れる。
まぁ、いつものことなのでそのまま待つ。
バタバタと外まで聞こえる音と共に玄関の扉が勢いよく開け放たれる。
「やっほーヤスっち、おはよーさん」
「おう、おはよ」
背中にまで届く長い栗色の髪を揺らしながら慌ただしく挨拶する若干小柄気味の少女。
一応、幼馴染。名を守屋千尋(もりや ちひろ)という。
両親の仲が良くて家が隣りまではよかったのだが、毎朝起こしにくるというイベントは待っていると残念ながら学校に間に合わない。
まぁ、例え間に合ったとしても千尋には起こされたくはないが。
「ヘイヤスっち、今日はチャリ?暑いからもうバスで行っちゃおうぜ」
「バスだと人が密集するからもっと暑いぞ。ちなみにタクシーなんて来るのを待ってると遅刻するからな」
オレたちが住んでいるこの住宅地区東部では、一応学校までのスクールバスというのが存在する。
だがこの季節、バスに乗ると学校に着くころには汗だくになってしまう地獄の車内だ。
「カーエアコンくらい搭載しろってーの。んじゃま、行きますかえ」
「おう」
千尋が裏から自転車を出してくる間に、オレは先に神社を出て自分の自転車に跨る。
そして千尋が鳥居を自転車で走りながら潜ると同時に、オレも後に続く。
「いつも思うんだが、お前石段とか鳥居とか自転車で走行していいのかよ」
「大丈夫大丈夫。巫女だから多少の融通効くんじゃん?きっと」
なんというバチあたりな巫女なんだろう。神様もきっと嫌がっている、絶対。
互いに他愛ない世間話を交わしながら学校までの道を走っていく。
髪にかかる風が涼しくて心地良い。やはり自転車にして正解だった。
なんだかんだでだいたいいつも通りの時刻に学校に到着し、そのまま自転車置き場まで走り自転車を止める。
「しっかし、自転車で行ける距離なのにバスで行く人の気がしれないねぇ」
「お前は朝の自分の言動を思い出せ」
くだらない会話を続けながら校舎に入り、教室を目指す。
そこまで広くはない校舎である。教室まで5分もかからず到着した。
「おはよーっ」
千尋が意気揚揚と教室に入っていく。オレはそのまま千尋の後を追うように教室に入り、黙って自分の席に着く。
「よう、安田」
ふと顔を上げると目の前には金髪の長身の男が立っていた。
松尾亮也(まつお りょうや)。所謂アウトロー側だが、腐れ縁で仲が良いと言える数少ない友人の一人だ。
「おう、三枚目」
「朝っぱらからひでぇなぁ。オレほど二枚目の男っていなくねぇ?」
「お前だったら椎名の方がよっぽど二枚目だよ。というか椎名が二枚目だから松尾は三枚目なんじゃないか?」
「人を勝手に二枚目にするな」
そう言いながら松尾の後ろから黒髪の男が話に加わる。椎名俊一(しいな しゅんいち)という名前だ。
長身な松尾の近くに立っているせいもあるが、椎名は平均的に見て身長が低い部類に入るだろう。
だが、そのクールな性格と頭の良さで、ムードメーカーの松尾とは対照的だ。運動神経は二人とも抜群だが。
いつもこの三人でだいたい過ごしている。友人が少ないオレにとっての数少ない親友だった。
「おい椎名・・・俺から二枚目ポジションを奪うとは・・・」
「だから勝手に俺を二枚目にするな。オレが二枚目だったら、十分安田も二枚目だろう」
「オレ?それはねぇよ。・・・とりあえず松尾が三枚目なのはもうキャラ的に決定だな」
そんな馬鹿話を続けていると、始業のチャイムが鳴る。そしてチャイムの音と間髪入れず教室に担任の教師が入ってくる。
相変わらずのくだらないHRを終え、一時限目が始まる。
机の中から置き勉している教科書を数冊引っぱり出し、机の上に頬杖を着く。
「・・・暑い」
正直この気温は参る。オレ自身暑いのが苦手というのもあるが、この気温は誰でも暑いと思うだろう。
壁にかかっている温度計に目をやる。・・・35度。今は5月なのにこの温度はおかしいだろう。
もう全てが億劫に思え、窓の外を見る。
世界はいつもと変わらない。ように見える。変わることのない日常。
だが、今の世界は着実に終わりへと向かっている。ゆっくりと、確実に。
世界の消失。アホみたいな御伽噺のようだが、現実にそれは存在した。世界が少しずつ消えていっているらしい。
この前も中国のどっがが消えただのをニュースで見た。それは何の前触れもなく、突然の出来事だった。
だから学校に来ている人間も少ない。来ているのはバカか真面目なヤツ。
そして、現実を受け入れたくなくて。日常は永遠に続くと信じたくて、日常を続けているヤツ。
そしてオレはどの部類に入るのだろうか。たぶん、バカだからだろう。
「……つまんねぇなあ、オイ」
シャーペンの尻をかじりながら、無意識のうちにそんな事をこぼしていたのだった。
「(くそ、マジで眠くなってきた・・・)」
あくびを噛み殺し、再び窓の外に目をやる。ふと窓から見える隣の校舎の屋上に人影らしきものが見える。
女の子・・・か。スカートとツーサイドアップの髪型からそう断定した。
その女の子は屋上の手すりに手をかけ、その向こう側へと降り立つ。
とっとと手すりからフェンスに変えろっての・・・。だから自殺なんて、するんだろうが。
最近自殺者が全国で急増している。世界の消失による絶望が、人を死へと駆り立てる。
あの子もおそらく消えていく世界に絶望したのだろう。別段珍しい光景でもないが、呆れて驚く気もない。
「(自殺なんて、バカのすることだ)」
そう考えてふと視線を前に戻すと、前の席のバカが席を立ち、教室を飛び出していった。
「(千尋のヤツ、ホントお節介だな。・・・バカなヤツ)」
そして、オレもそのバカの一人らしかった。椅子から体を起こす。
「オイ安田、お前、どうしたんだ」
千尋が教室を抜け出したことに苛ついているのか、青筋を浮かべながらハゲ教師がオレを睨む。
「・・・トイレ、行っていいスか」
オレもそのままにらみ返しそう言う。トイレという建前拒否はできないはずだ。早く許可しろ。
「・・・仕方ない、早く行ってこい」
「・・・どうも」
短くそう言い返し、教室を出ようとすると凛とした声で、教室の中から声が聞こえた。
「すいません、私も行ってきていいですか?」
長い黒髪を僅かに揺らし席を立った少女。宮部都(みやべ みやこ)。
クラス委員長であり、絵に描いたような委員長でもある。真面目に学校に来ているヤツの筆頭みたいな女だ。
「宮部・・・お前もか。もういい、勝手にしろ」
教師が呆れたようにそう言う。宮部は一言礼を言うと、オレの横を通り過ぎて教室を出ていく。
「チッ・・・」
軽く舌打ちしながらも後を追うようにオレも教室を出る。そうして前を走る宮部に向かって話しかけた。
「お前まで来る必要はないんじゃねーの?委員長さん」
オレがそう言うと宮部は足を止め、黒髪をなびかせ振り返る。
「何よ。安田はトイレなんでしょう?早く行ってきなさいよ」
「オレが、本当にトイレに行きたいとでも思ってんのか?」
お互いにらみ合うが、こんなことをしてても時間の無駄にしかならないことをお互い察し、並ぶように走り出す。
「安田も屋上、行くんだ」
「まぁ千尋が行ったからな。アイツ一人だと何するかわからねぇし」
ぶっきらぼうにそう答えると、宮部は呆れたように口を開いた。
「安田って、本当に守屋さんのこと好きよね」
「言ってろ。アイツとはただの腐れ縁だ。恋愛感情なんか一欠片もねぇよ」
アイツとはただの親友であり腐れ縁。恋愛感情なんか一切なかった。
「はいはい、わかったわかった」
絶対わかってないだろう。・・・事情を説明すれば理解できるのだろうが、オレは説明する気もなかった。
千尋のことはただ心配なだけ。心配する理由なんて、オレの場合おいそれと人に話せる理由でもない。
「急ごう安田。もうすぐ授業が終わる」
「そうだな」
そうして互いに無言になりながら懸命に走る。数分もしない内に屋上までたどり着いた。
「千尋ッ!」
そう叫びながら屋上のドアを開け放つ。だが、そこには遥かに予想を裏切る光景が待っていた。
千尋が、さきほどの少女に土下座しているという、意味のわからない状況だった。
「・・・あ?」
思わずそう声が出てしまう。いや本当に、なにこの状況・・・?
「邪魔っ!」
オレそう呆けていると後ろから蹴りが飛んでくる。オレはその衝撃に耐えきれずに屋上の床に放り出されてしまう。
「痛ってぇ・・・、ゲホッ」
軽い呼吸困難に陥りながらも、なんとか起き上がる。
「志帆っ、なにしてんのよ・・・」
「都・・・?なんでここにいるの?もしかして、なんか騒ぎになっちゃった?」
宮部が志保と呼ばれた少女に詰め寄る。そして困惑したような表情を浮かべる少女。
「ってて・・・。で、千尋はなんで土下座してんだよ」
「いや、私の勘違いだったんですぜ。この娘が下を覗き込んでたのをアタシが勘違いしちゃっただけなんでっせ」
千尋が顔を起こしそう言う。だから土下座してたのか?お前の土下座、軽いんだな。
「あはは、なんか本当騒がせてごめんね?大丈夫、自殺とかじゃあないから」
「神崎志帆・・・でよかったよな?なら、なんであんなとこにいたんだ?」
よく見るとこの少女は見覚えがあった。相手にはないだろうが、松尾がたしか可愛いって騒いでた気がする。
「だから下覗きこんでるだけって、アタシ言ったじゃんよヤスっちさんよー」
「その動機を聞いてるんだよ」
まさか何も考えず柵を越えて下を覗きこんだなんてことはないだろう。もしそれだとしたら黄色い救急車を呼びたくなってくる。
「それは・・・ほら、この前ここで自殺した人がいたじゃない?」
三週間前くらいだっただろうか。ここの生徒が屋上から飛び降り自殺をした事件があった。
オレとはまったく接点がないし名前も知らない生徒だったから特に気にとめてはいなかったが、たしかにそんなことはあった。
「ここから落ちたら本当に人って、死んじゃうのかなって思って見てたんだ。そしたら授業が始まっちゃってて」
「そこにアタシが来たってわけでしてよ」
「お前は言葉遣いを一定させろ。・・・ってことは、やっぱり神崎には自殺の意思はなかった、ってことでいいんだな?」
とりあえず千尋に突っ込み、そして確認のためもう一度聞いておく。
「うん。まったくもってないよー」
「なら、万事解決ね。そろそろ教室戻りましょうよ」
宮部がそう場を纏めるかのように言う。宮部はこういう役がやっぱりあっていると思った。
「賛成だ。そろそろ戻らないとあのハゲうるせぇからな。っても、もう手遅れだろうけどな」
「たぶん宮部ちゃんはないぜ、説教。アタシとヤスっちにはあるだろうけど」
千尋がげんなりした様子でそう答える。たしかに、宮部は普段の行いがいいからな。
「あはは、今回は騒がせてごめんね。では、頑張ってくださいなー」
神崎がそうカラカラと笑う。ったく、心配して損だった。
「じゃあ、私たちは戻りましょう」
宮部を先頭にして屋上を後にする。神崎は別の教室なので途中で別れ、オレたちはそのままハゲの待つ教室へ。
案の定怒られ、放課後の説教もプラスされてしまった。
あっという間に放課後になり、ハゲ教師の説教タイムを終えてオレと千尋は帰路に着いていた。
「うへ、慣れたとはいえ最悪なのには変わらないねぇ、あのハゲ」
「たしかにな・・・。でもまぁ、冷房の効いてる職員室で説教だったってだけでもよかったと思おうぜ」
この蒸し暑い気温の中で説教だったと想像すると、ますます気分が滅入ってくる。
「お。お前らまだいたのかよ」
「・・・説教か」
駐輪場を出ると、そこには椎名と松尾の二人が立っていた。オレにとってはなんでお前らがまだいたのかよって感じだが。
「その通りだ。お前らこそ、なんでこんな時間までいるんだよ」
オレがそう尋ねると、松尾はよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに誇らしげに語り始めた。
「そう、それは放課後、オレと椎名は来るべき魔の手から勇気と友情を駆使してだな・・・」
「単純に、主将から逃げてただけだ」
椎名が松尾の熱弁をバッサリ斬って説明してくれる。
椎名は弓道部に所属している。おそらく部活をサボろうと逃げるところにはち合わせ、鬼ごっこをしていたというところだろう。
「んじゃ一緒になったのも何かの縁だ、一緒に帰ろうぜ」
松尾が人懐っこそうな笑みを浮かべてそう誘ってくる。特に、断る理由もなかった。
「おっと、私はパスで。今日ちょっと寄るとこあるんだよねー」
「お、なんだよ守屋ー、マジかよー」
「千春さんのお見舞いか」
御守千春・・・いや、伊崎千春か。訳あって入院している彼女への見舞いの日が今日だった。
「ああ、千春ちゃんのお見舞いか。なら俺たちも久々に行っていいか?」
「うん、いいよー。たぶん千春も喜ぶだろうしね」
千尋がそう言い、このまま千春の入院している病院へ向かうことになった。
朱色の空から零れる光が照らす道路を、四人で自転車を走らせながら病院へと向かう。
きっと、あと数時間もしない内に空は真っ暗になってしまうだろう。
そして、他愛ない会話を続けながら、ふと目に気になるものが目に入った。
自転車の向きを曲げ、急旋回して元来た道を引き返す。
「ちょっとちょっと!?どうしたのさヤスっち!?」
「ちょっとな!お前らは先に行ってろ!」
そう言い残し、少し自転車を進め、人気のいない公園の前で自転車を止める。
ちょうど建物の影になり、光が当たらない公園。薄暗い公園。
その雰囲気からか、あまり人がここで遊んでいるところを見たことがない。
そして、そこのブランコに、こんな公園のブランコに座っている一人の人影。
一人誰にも気付かれずに、目を拭っている一人の少女。
それを見ると、ふと胸が痛くなる感覚が襲う。胸に釘を刺したような、心の痛み。
「千尋のこと、言えないよな。本当に」
軽く笑い、オレは公園の中に足を踏み入れた。
このとき、オレが何も見ずにそのまま病院に行っていれば、
何も変わることのない、平和な日々を送れていたのかもしれない。
だが、この頃のオレが、そんなことを思うはずもない。
日常と、非日常。その境界線は、今思えばここが境界線だった。
ここから始まった。オレの非日常。
絶え間なく廻るセカイの中の、ほんの小さな出来事から――――。
※この作品は「廻るセカイ」の二次創作です。「廻るセカイ」本編や作者にるびー様とは、一切関係がありません。
「廻るセカイ-Die andere Zukunft-」
朝、窓から入る光の眩しさで目が覚める。カーテンを閉めるのを忘れていて、日差しが直接当たっていたみたいだ。
おかげで、目覚ましよりも早く起きてしまった。
私、シュタムファータァはソファから重い体を起こした。彼からベッドの使用許可はもらっているのだが、利用する気にはなれなかった。
着替えもせず、そのまま冷蔵庫を開ける。流れる冷気が私の寝ぼけた意識を覚醒させてくれる。
入っていた残り物の牛乳を取り出し、コップに移しもせずそのまま飲む。
昨日は、彼の家に着いた瞬間風呂にも入らずソファに直行してしまったから、髪の毛が荒れ放題となっていた。
「とりあえず、お風呂借りますよ…」
ここには居ない彼に意味の無い報告をし、脱衣所に入る。
昨日から着っ放しだった服を洗濯機に放り込み、そのまま風呂場に入る。
頭っから冷たいシャワーを浴びる。肌寒さは感じるが、朝風呂の気持ち良さの方が勝っている。
ふと鏡に映る自分の姿を見つめる。凹凸の無い白い肌に、空色の長い髪。そして…真紅の瞳。
外見に年齢はあまり比例しない体質とはいえ、もう少し凹凸が欲しい…と思ってしまう女心が、自分でおかしくて思わず笑ってしまう。
「へっきしっ」
情けないくしゃみをしてしまう。…少し水に当たり過ぎたか。
シャワーを止め、風呂場を出る。しまった、着替えを忘れていた。
タオルで体を拭き、彼の寝室に入る。そして適当にYシャツを引っ張り出す。彼の服なのでサイズが合わないが、まぁ誰も居ないので何が見えていたとしても気に止めはしない。
ちなみに自分の服はきちんと持っている。が、バッグの中から引っ張り出すのが面倒なのだ。
脱衣所に戻り、ドライヤーで髪を渇かす。
置いてあったくしで髪を梳き、長い髪を後ろで束ねヘアゴムで止める。
うん、いつもの私の髪型。俗に言うポニーテールという髪型が、動き易くて私は好きだった。
…明日は、私が所属する組織“セカイの意思”の議会がある日だ。
“セカイの意思”。構成員の大半が特異な巨人になれる種族、“リーゼンゲシュレヒト”で構成されている組織。活動目的は世界の安寧…。だが、やっていることはそんな生易しくない。
セカイを汚し、貶めるヒトが密集する都市を、“世界から抹消する”。それが、“セカイの意思”のやっている行いだ。
それが良い行いであるかは私にはわからない。無論道徳的に言えば正しいことではないのかもしれない。だが、全体的に…、世界にとっては良いことなのかもしれない。
事実、戦争や内乱は格段に減ってきているのは結果として出ている。…誰も消されたくなんかない。抑止力というのも案外馬鹿には出来ない。
私の担当する地域は“揺籃市”。この都市の内情を監視し、“セカイの意思”による“抹消”が必要かどうか監視するのが私の役目だ。
だが、まず揺籃市が消されることはないだろう。無論、低俗な人間がいない筈はないが、それも“普通の都市”の範囲内だ。内乱や紛争もなく、穏やかな都市だと思う。
と、まぁそんな都市でも一応監視し、報告するのが私の仕事だ。明日の議会で提出するレポートはあと少し、今日一日あれば終わる。
議会に出席するのは正直嫌だが、これが初めてというわけでもない。前と同じ通りにやればいいだけだ。
そう自分に言い聞かせ、私はレポート作業に取り掛かった。
午後七時を告げる鐘が鳴り終えたと同時に、私はレポートを書き終えた。
こんなレポートなんて所詮流し読みされる結果にあるから、そうそう真面目に書く必要はないんだが…、だからといってやることもないので真面目にやってしまった。
「……む」
強い空腹感に今さら気付く。当然といえば当然だった。なにしろ朝の牛乳以外何も口にしてないのだから。
冷蔵庫を開ける。朝の牛乳の残り以外……何も、入っていなかった。
お金は持っていない。……仕方ない、彼に連絡するしかないだろう。
携帯を開く。少ないアドレス帳の中から彼の名を探し当てるのは容易だった。
何回かのコール音の後に、聞き慣れた声が聞こえる。…彼の声に、無意識に安堵を感じてしまうことが、彼に頼りきっていることの証明のような気がして自分に嫌気が差した。
『どうしたシュタムファータァ?なにかあったのか?』
「御飯がないです」
いきなりの私の返答に少し呆気に取られているのが、電話越しでもわかってしまった。…仕方ないではないか。食欲は人間の三大欲求の1つなのだから。
『お前なぁ…、……まぁいいか、金を置いておかなかった俺が悪いか。俺の部屋の右にあるタンスの上から2番目の引き出しに金が入った封筒が入ってるからそっから勝手に取っていってくれ』
「感謝です、久遠」
そう言い、電話を切る。
言われた通り彼の部屋から資金を調達する。
サイズの合わないYシャツ一枚だったので、私の上着をバッグから引っ張り出し、Gパンを穿いて部屋を出る。
204号室。彼が生活の拠点として購入したマンションの一室に、私は寝泊まりしていた。
恥ずかしながら、私に家はない。両親は…いない、が、これは別にリーゼンゲシュレヒトとしては珍しいことではないから気にしたことはない。
幼馴染みである久遠。真名はエーヴィヒカイト。久遠は…所謂あだ名だ。彼がそう呼ぶのを望んでいる。まぁ別に私はどっちでもいいのだが。
というか、エーヴィヒカイトの方が昔から呼んでるから呼びやすいのだが……まぁ、無駄に機嫌を損ねるのもよろしくないので久遠と一応呼んでいる。
閑話休題、家がない私は、久遠の厚意で部屋を自由に使っていいことになっている。
揺藍市や遠方に宿泊する際には、お金を用意してくれているし。本当、久遠には頭が上がらない。
マンションを出て、近くのコンビニで弁当と飲料を購入し、部屋に戻る。
一人だけで取る食事。…寂しくないと言えば嘘になるかもしれないが、寂しくて耐えられないような年齢でもないし、一人の食事は慣れている。
それに、リーゼンゲシュレヒトは基本は単独行動が主となる。私だけが特別というわけでもない。
暇潰しにテレビを点ける。大して面白くもないバラエティをBGMにしながら、近くに置いてあった週刊誌を読む。
「そういえば、明日は新刊の発売日でしたか…」
私が毎週楽しみ読んでる週刊誌の今週号の発売日は明日。
だが、明日は議会の日。…始まるのは午後からだし、そこのコンビニで読めばいいか、と一人納得する。
…担当地域があるといっても、別に毎日四六時中監視していなければならないというわけではない。
私は一週間に3日くらいだが、リーゼンゲシュレヒトによっては、一週間に一日や毎日行っていたり、一ヵ月に一回とかそういう事例があるため、雑誌の発売日以外は揺籃に出掛けている。
ちなみに今日は行く予定だったが、レポートを終わらせなくてはならないためパスした。
そして、週刊誌を読んだり風呂に入ったりしている内に時刻は11時になっていた。
「明日は議会ですし、もう寝ておきますか……」
電気を消し、ソファに横になり、毛布を被る。身長の低い私にとっては、ソファもベッドも大した変わりはなかった。
瞼を閉じ、自意識を“0の意識”にシフトする。
“0(ゼロ)の意識”。セカイを意識出来なくなる状態…簡単に言えば意識不明の状態だ。
この状態だと全く身動きは出来ないが、シフトするだけで一瞬で眠りにつけるし、自分で決めた時刻に正確に起きることが出来る。
無論疲労は回復するが、寝た気があまりしないので私は議会や大事な約束があるとき以外はあまり使用しない。
0の意識にシフトし、一瞬で意識が落ちる。
……目覚めるのは、10時00分。
0の意識から覚醒する感覚が私を襲う。
「あうう……」
思わず呻いてしまう。意識が一瞬にして完全覚醒するこの感覚は、やはり慣れるものではない。私は苦手だった。
時刻は10時00分ジャスト。毛布を撥ね除け、ソファから起きる。
洗濯しておいた私の私服を着る。動き易いショートパンツに黒い長袖のTシャツ。そしてその上に少し大きめの白いパーカー。これがいつもの私の格好だった。
無論、この服で議会は行けない。議会には“セカイの意思”の制服着用が義務付けられているためだ。
“セカイの意思”の制服には簡易的な認識疎外が備わっているから私服でも使えるのだが、あんな暑苦しいローブを私服では使いたくない。ただでさえ私は動き易い服の方が好きだというのに。
とりあえず朝飯の確保と週刊誌の新刊を見るためにコンビニに向かう。
部屋を出ると、まるで夏のような日差しが私を襲う。雲一つ無い晴天だった。
まだ春とはいえ、今日の気温は夏そのものだった。…セカイに害のある人間を消す前に、先に地球温暖化をなんとかするべきではないだろうか…?
そんなことを考えながらコンビニに着く。冷房を点けてくれていた店員の判断が嬉しかった。
汗が一瞬にして冷える感覚。まさか春にこの感覚を味わうことになるとは思わなかった。
楽しみにしていた週刊誌を手に取る。まず目次を開き、目的のページを開く。
「うわぁ…」
興奮で思わず声を上げてしまう。子供っぽいとはわかっていても仕方ない。最近の漫画はすごいと思う。必殺技など、すごく格好良いと思う。
「わー……」
店員や客からの視線が痛い。寒い。だが興奮を押さえることはできない。唯一の自分の趣味なのだからこのくらいは見逃して欲しいものだ。
「ふわーお…」
こう漫画を見てると、自分にも必殺技があればと憧れてしまう。
「(こう…ババーッ!とかシュビビーッ!みたいなの)」
空色の髪をガシガシと掻き、雑誌を棚に置き、次の雑誌を手に取る。
…手に、取りたかった。
「よっ、ほっ、ふっ」
取り敢えず飛んでみる。無論、届くわけはなかった。
釈然としない気持ちを抱えながらも、雑誌をあきらめる。
別に、本来の目的とは違かったため気にする程のことじゃないさ、と自分に言い聞かせながら朝食を買い、コンビニを出る。
相変わらずの日差し。青く、透き通った水のような空。
週刊誌を楽しみにして、読んで、飯食って。さして変わることのない日常を、いつ終わるかわからない日常を、
私は、続けたい。終わらせたくない。
そんな気持ちを胸に抱きながら、私は部屋へと戻った。
議会まで…、あと2時間といったところか。
“セカイの意思”の第三支部。一応そこが私の所属となっている。
そこまでは電車で四駅と、近い場所にある。いや、久遠がわざと近い場所のマンションを借りたんだろうが。
私の服は先程までとは打って変わり、白を基調としたローブで覆われている。…“セカイの意思”の、制服。
「(本当、あまり好きじゃないんだけどな…)」
電車が停止し、目的の駅に到着したことを告げるアナウンスが鳴る。
ここから徒歩で十分くらいの所に、“セカイの意思”の施設が存在する。
心なしか重い足取りで、支部までの道のりを歩く。
セカイの意思の支部の外観は、大きめの…市役所、といった所か。
自動ドアを潜り、中に入る。クーラーが効いているのか、中は涼しかった。
中は同じローブを着ている同族が何人も忙しなく働いている。
正直これが“正常に見えていたならば”なにかの危ない宗教団体と絶対に勘違いするだろう。…いやまぁ、似たような団体ではあるのだが。
とりあえず受け付けに向かい、会議室の番号を教えてもらう。
会議室に向かうまでの道。奇異の視線が幾つも感じられる。
まぁ、慣れている。リーゼンゲシュレヒトの中でも弱い方である自分に与えられているエクスツェントリシュの称号。奇異の対象に見られない方が不思議だった。
視線を無視しながら、会議室の前に到着する。
一呼吸し、中に入る。中には数人しかいなかった。まぁ時間前だから不思議ではない。
バッグからレポートを取り出す。
「……ディス、レポートです」
“漆黒の堕天使”…ディス。私の数少ない友人の一人であった。
「シュタムファータァか。たしかに、受け取った」
彼はそれだけ言うと、私から受け取ったレポートに目を通し始めた。
特に友人らしい会話はない。だが、いつも彼はこんな感じだ。気にする程のことじゃない。
そのまま自分の席に座り、今日の議題書に目を通し始める。
―――今回の議題は、いつも通りの定例報告に……抹消国の選定。
私たちは、“セカイの意思”の派閥の中で、“革命派”の部類に入る。国々を抹消に積極的な派閥のことだ。
一番悪い噂が絶えない派閥であるが、人数は派閥の中で最大だ。そしてそのリーダーが、“漆黒の堕天使”ディス。【冥王の心臓】とも呼ばれ、最強クラスのリーゼンゲシュレヒトであり、“稀少者”のエクスツェントリシュのさらに上。
今までに6人しか誕生してないと言われる“秘匿者”、アーブストゥークの一柱だ。
アーブストゥークはその能力の特異性から、存在が公表されると様々な危険性がある。“セカイの意思”内部からの強い圧迫や嫉妬、暗殺…。それゆえに、アーブストゥークは自らの存在を隠す。
普通のリーゼンゲシュレヒトはアーブストゥークについてまったく知らないだろう。能力も人数も知らないはずだ。私が知っているのも、ディスから個人的に教えてもらったからだ。無論他言無用と釘も刺されている。
だが、ディスは違う。自らがアーブストゥークであることと、自らの能力を積極的に公表している。
圧倒的なカリスマ性で反発勢力の介入を遮断し、自分の勢力を拡大していき、統制する。
それが革命派のリーダー…【冥王の心臓】ディスだ。
だが、私は革命派に所属しているが、国々を抹消するのに反対だ。ヒトという生き物はセカイに有害…なんて、私は思わない。思いたくない。
だから、本心では“革新派”なのだろう。だが…革命派に属しているからには、その気持ちは、隠さなければ…いけない、の、だろうか。
「全員揃ったな…。では、定例議会を始める」
ディスが全体に聞こえるようにそう言うと、空気が一気に変わる。
考え事をしてた私も、一気に思考を現実に戻される。
…議会は、予定通り、つつがなく進行されていった。
各自監視地域の状態等を担当者が報告していく。…いつも通りの、定例議会。
「いい加減、本格的に我々も行動を起こすべきではありませんか」
ナハトが口を開く。“漆黒の堕天使”ディスの懐刀と言われる、“漆黒の闇”ナハト。
ディスと同じ“漆黒”を司るリーゼンゲシュレヒトであり、優秀なエクスツェントリシュでもある。
そして、革命派の中でもより国々の抹消に積極的である。…私は、苦手なタイプだった。
「どういう意味だ?ナハト」
「セカイを汚すだけの存在であるヒトを消すのに、慎重過ぎるのではないかと」
嘘だ。ヒトを世界を汚すだけの存在?そんなことはない。それに慎重?今月に入って小さな国も含めてどれだけの国々を抹消したというのか。どれだけの人が悲しんだと言うのか、消えたというのか。
「どこが、慎重じゃないんですか…ナハト」
思わず口から出てしまった言葉に、自分自身が驚いていた。
それ以上に、自分がこんな怒りを覚えていることが一番驚きだった。
「慎重ではないだろう?度重なる戦乱、動乱…このままでは、星が死んでしまう」
「そうしているのは一部のヒトのみです。実際、他のヒトはセカイに害を与えていない」
「その一部が問題だと言っているのだ。だいたい、その一部とやらはセカイにどのくらいの規模でいるのか貴様はわかっていない」
ナハトの言うその一部は、あまりにも多すぎる。
「では、その一部はどれだけの数なんですか!?」
「それを見定めるために監査がある」
「監査でどの国も問題がない、それが貴方には不満なのでしょう?ナハト」
「不満などと、そんな利己的な感情で言ってはいない」
「ならその一部のみをセカイから遮断すればいいでしょう!ナハト、何故貴方はそうまでヒトを…」
憎むのですか――――
「静粛に。……そこまでだ。ナハト、シュタムファータァ」
売り言葉に買い言葉。口論となっていた私たちを静かにさせる、鶴のような一声がディスから発される。
「しかし、ディス…!」
「黙れ。いかなエクスツェントリシュと言えど権力は知れている。それにお前達を止めることなど私一人でも造作もない」
ディスから放たれる殺気。私はどうとして、あのナハトを黙らせる程の殺気は、アーブストゥークの威厳を表していると言えた。
「…そうだな、次の抹消対象地域は、シュタムファータァ、お前の担当都市…揺籃だ」
「そんな…!?」
私の担当地域、揺籃は平和で、温かい都市だ。そんな都市が何故抹消担当になるのだろうか。ディスは何故…揺籃を担当都市にしたのだろうか。
「これは“世界の意志”。わかるな?シュタムファータァ」
「………はい」
担当地区の抹消は、そこの担当者が実行することになっている。
つまり…今回の抹消は、私が直接行わなければならないということだ。
私が、直接、…消す。
それは、あまりにも突然で。覚悟も、理由もなかった私を…意気消沈させるには充分に足る出来事だった。
「これにて議会を終了する。シュタムファータァは後で書類を受けとりに来るように」
そうディスが言い、今回の議会が終了する。
ぞろぞろと全員会議室を出ていく。残っているのは、私一人。
「……っ」
涙が出そうになるが、堪える。これはセカイの意思。わかっていたことだ。いつか私がやらなければいけないときが来ることは。
だが、それは揺籃がセカイに害を為すときだと思っていた。何故、何故揺籃が。
「エーヴィヒカイト…私は、…」
親友の名を呼ぶが、勿論返事は返ってこない。当たり前だ。それに彼が居たとして私はまた頼るのか。まだ頼るのか。
「私一人で、やるしかないことなんだ」
そう自分に言い聞かせて、足腰に力を入れる。
正直倒れそうだし、今すぐベッドに倒れ込みたい気分ではある。
だが、これは私の役割だ。なら、やらなければ。
会議室を出て、受け付けで書類を受領する。書類の中身は世界の抹消についての概要やら何やら。正直見るだけで気が滅入る。
書類を片手に支部を出る。自動ドアが開くと同時に襲い来る熱気。
「(クーラーって、素晴らしい)」
とりあえずこんな暑くては気が滅入りすぎてぶっ倒れてしまう。
適当なファミレスに入り、クーラーの効いた空間で一休みする。
注文はパンケーキとドリンクバー。だがドリンクバーを取りに行く気になれず、お冷やをチビチビと飲む。
パンケーキが届く、が、やはり口を付ける気にはならない。
きっと今の自分は死んだ魚のような目をしているのだろう。
「いつまでもヘコんでるのも、よくないか」
気合いで精神を持ち直し、パンケーキにかぶりつく。メイプルシロップの甘さが、さっきまでの憂鬱な気持ちを忘れさせてくれる。
あっという間に平らげ、勘定を済ませる。
また熱気が充満する空間に出てしまう。数分で汗が出てきてしまう程、外は暑い。
とりあえず、揺籃に向かおう。消すにしろ消さないにしろ現地に着かなければ話にならない。
駅に向かい、切符を買う。この時間に出れば午後には着くだろう。
電車を乗り継ぎ、フェリーに揺られること二時間。揺籃の港に到着する。
現地の人たちが笑い、楽しんで生活している様を見ていると今すぐ引き返したくなる。
彼等はどう思うのだろうか。自分が彼等から笑顔や、家族や、幸せを奪う存在と知ったら。
笑いあっている人たちを見てるとどうにもいたたまれなくなってくる。
二町目の公園。あそこなら、誰も来ないだろう。雰囲気が尋常じゃなく悪いから普段は誰もよりつかない。
私は周囲の雑踏から逃げるように公園を目指した。
公園には、もう午後になると言うのに誰もいなかった。それがこの2町目の公園である。
ベンチに座り、顔を抱え込む。気分を変えるために此所に来たというのに、気落ちした気分は変わることがなかった。
「エーヴィヒカイト……」
耐え切れなくなり、携帯電話にある彼の番号をプッシュする。
冷たい、電子音が鳴り続け…出たのは彼の声ではなく、不在を告げる携帯アナウンス。
「ダメだなぁ…私は…」
もう、泣きたい。誰かに甘えたい。誰かにこの気持ちを吐露したい。わかってもらいたい。
そんな気持ちが雫となって、目から零れ出る。
「…っ、うぇええ…、っ…」
「どうしたんだ?」
私の影を覆う、新しい影と、男の声。
「え…?」
見上げた景色に映る、朱色の空と、目付きの悪い、一人の少年のこちらを心配するような表情。
「いや、泣いてたからさ。それも“こんな場所”で」
何かあったのか、と…言葉を紡ぐ少年の顔には、僅かな照れが見えた。
「私は、…泣いて…」
「泣いてるって。ハンカチ、いるか?」
手渡された水色の無地のハンカチ。私はそれで目を拭うと、ハンカチは濡れていた。
「な、だろ?」
「…ありがとう、ございます」
見ず知らずの人間に心配される程私は深刻そうな雰囲気を醸し出していたのだろうか。
「おーいヤスっちー!どうしたんだーい?」
遠くからこちらに近付いてくる女の人の声。
「うぇ…コイツ等がいることを思わず忘れてた…」
こちらに近付いてくる複数の気配。
…もし、このとき私と彼が出会わなければ、…なんて、この頃は、欠片も思わなかった。
「もう少しでセカイが滅びる」
世界中にそんな噂が飛び交った。
実際、一部の都市が地図から名前を消していた。
それは日を追う毎に増えてゆく。
原因は全くわからない。
ヒトは滅びを待つだけだった。
舞台は日本、新興都市“揺籃”
描かれるのはそこに住む彼らが繰り広げる他愛もない日常と、非日常。
「なら、護ればいい」
『廻るセカイ-Die andere Zukunft-』
「絶えなく廻るセカイの下に、我ら誓いを立てん」
「ーーーーーー我が名を唱えよ、我が名は“罪深き始祖”」
なんか予想より長くなってしまった・・・
連続投稿の制限やら改行制限、行が長すぎる等の様々なアクシデントを受けながらも
なんとか投稿終了・・・
お見苦しかったとは思いますが、何卒初心者のやることなので生温かい目で見ていただけたらなぁ・・・なんて
いや、いろいろとホントすみません・・・><
>>98 自分自身ギャグもそうですが、楽しげな日常を書くのがどうも苦手でして・・・w
んらもう開き直ってしまえと、終始暗めな話になってしまうと思いますw
動画>>もはや戦車の勢いを越えてますね、それw
無人機械でこんな物が出てきてしまうなんて、昔からは考えられなかった時代になりましたね、ホント。
DaZ氏、良かったら避難所も覗いてくれい
覗いてきましたw
あちらでも書きましたが、やっぱりどんなものでも感想をもらえるってのは嬉しいですねw
104 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/09(土) 11:59:48 ID:KQ7swL0x
とぇすと
余りにも本編が進まないのに小ネタが出来てしまったので投下
「突発ラジオ企画『休日過疎』ー!(カソー!カソー!)」
(テーマ音楽)
「えー、という訳で執筆に詰まった時の毎度お馴染み突発ラジオ、メインパーソナリティーを勤めるのはこのスレのツッコミ代表、鈴木隆昭と」
「特技は打撃。スプリガンでお送りします」
「おいおいヘーシェン、最初から飛ばしてるなぁ……ってマジでスプリガンさん……だと……!?」
「ヘーシェン嬢にここに座ってこのメモを読むように言われたのだが……」
先程の台詞が書かれたメモ(チラシの切れ端の裏)を隆昭に示すスプリガン。
「すいません、白ウ詐欺がご迷惑を」orz
隆昭の流れるような土下座とスタジオ内の空気で出番が終わったことを察したスプリガンは、
「……では私はこれで」
そのまま席を立ってスタジオから退出していった。
「ふぃ〜……ところでヘーシェンはどこにいったのやら……」
緊張で出た額の汗を拭いながら呟いた隆昭に唐突に返事が返ってきた。
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン。ゲストのお迎えからただ今戻りましたー」
背後に一人の人物を従えたウサ耳付き少女がやたらに偉そうな態度でスタジオに入ってくる。
「いや、そういうことは先に言っとこうよ!?というかゲスト来ることも全然聞いてなかったよ!?」
「ではゲスト紹介ー。本日のゲストはこちらー」
「スルーかよ……って」
(………………え、誰?)
「短い黒髪と精悍な顔立ちが特徴的なイケメンさんですねー」
(服装からすると……神社関係?……これは遥さんの関係者か!?)
「狩衣姿が凛々しいこちらの方は……はいタカ坊。答えてください」
「いや、なんでスケッチブックで『ボケて』のカンペ出しながらそういうことを言うのか」
「いわゆる無茶ブリです」
「無茶ブリって分かってんだったら止めとけよ!?……えーと、遥さん関係の人、かな?」
「惜しい!凄く惜しいです、タカ坊!」
「え、ホントに?」
「さて、時間が押してるので、このまま正解発表に移りまーす」
(……あれ?俺の勘って結構凄くない?)
「正解は……スレ初登場、擬人化フツヌシさんでーす」
「おいィ!?惜しくないよ!?正解から完全に別方向だろさっきの俺の答え!?」
「こまけぇことは(ry」
「謝れ!さっきちょっといい気になっちゃった俺に謝れ!」
「相変わらずタカ坊はちっちゃいですねぇ」
「見下しながら『ちっちゃい』とか言うな!!」
「人間としての器の話ですが……タカ坊はそんなに器量があると?」
「……さてと」
「おやタカ坊、召喚用の銃なんか取り出してどうするんですか」
「……人に害を与えるオートマタを駆除しようと思ってね」
「ほほぅ、『因幡のヴォーパルバニー』の異名を持つこの私を駆除出来るとでも?」
「やられ役なのかそうでないのか分かんない渾名だな!?」
「………………出番は、これだけか」
睨み合いから本気で相手の隙を伺い始めた二人を余所に、スタジオの隅でお茶を啜っていたフツヌシ(擬人化)が
「このドタバタに参加した方がいいのだろうか……?」
どこからか大太刀(霧風)と長砲(飛燕雷)を取り出しながら呟く。
止めてフツヌシ!リアル流血沙汰はバラエティーでは御法度よ!?
続かない。
以上です。ついカッとなってやった反省も後悔もしている
相変わらずのオチ無しですんませんorz
111 :
TロG ◆n41r8f8dTs :2010/01/10(日) 01:08:46 ID:4fVc4K3U
やっと第三話の仮組みオワタ……何週間もかかった上に年越しちゃったいorz
一先ず寝まする……凄く亀になりますが、書くレスは明日早朝に
早朝といいつつ8時になっちまったい
>>28 亀ですが投下乙です!
雪兎君……災難っすなぁ……wしかしこれは着実に覚醒している……のか?
爺ちゃんとの会話は面白いですねw幼い頃から通じ合ってるだけ、お互い理解し合ってる様で
それにしてもカルマ器用可愛いよカルマ。ホント、雪兎君にとって欠かせないパートナーだな―
次回も期待していますー
>>98 初投下お疲れ様です!
おぉ……これは斬新です。PBM氏とは別のアプローチで、廻るセカイの世界観が打ち出されてて
微妙に見え隠れする暗い影に、段々不安感を覚えますw果たして俊明の世界はどうなってしまうのか・・・・・
そしてシュタムファータァは……実に次回が楽しみな、良い内容でした
次回も期待しています!
>>110 これはひどい(もちろんいい意味で)
ホント隆昭はPBM氏の作品でもそうですが、突っ込みというか巻き込まれ役には適していますネwww
まさかのスプリガンさんとまさかのフツヌシ擬人化にはただただ吹かせて頂きました
……フツヌシ擬人化はもしや本編に出てくるのだろうかw
では本編も楽しみにしています!
今日中に三話、上がれば良いな…
やっと出来た……何か色んな意味でどうなんだろうかこれw
案の定あほみたいに長いので、もし支援しても良いよと言う人が居るならお願いします
まぁ時間を調節しながら投下して見ますが
ではどぞ
先程からコンロで熱されていたやかんが、蓋から蒸気を上げながら音を鳴らす。どうやら中の水が沸騰した様だ。
イスに座り、静かに新聞を読んでいたルガ―は立ちあがると、再び珈琲を入れ始めた。
珈琲を入れるのは四人分。二階の客室で寝ている、今だに正体不明の三人と、その三人の目覚めを健気に待つ遥の分だ。
全員分のティーカップに珈琲を注ぎ終え、甘くならない程度に砂糖とミルクを入れ、お盆の上に乗せる。
こうして見ると、ルガ―のエプロン姿は実に様になっている。正に喫茶店のマスターといった面持だ。
客室には、遥と一緒にライディースも入っている。あの三人は悪い人間ではないとは思うが、もしかしたら状況が理解できずパニックを起こすかもしれない。
その際、ライディースに遥と一緒に自分が着くまで場を収めて欲しいと伝えている。まぁ今の所、特にドタバタしている様子は無いから心配ないと思うが。
階段を昇り、いざ客室へと。ドアの前に立ち、ルガ―は軽くドアをノックし、言った。
「失礼、珈琲を入れてきたよ。少しは落ち着いたかね?」
もし三人が起きていた場合、なるべく緊張させない様、出来る限り温和な表情を浮かべてルガ―はドアを開けた。
「遥ちゃんの髪……良い香りね。食べちゃいたい」
「ひゃあ!? か、髪の毛の匂いを嗅がないでください! くすぐったい……です」
「眠気覚ましにちょっとだけ……」
「もう駄目だ……俺は会長と……俺は会長と不埒な夢を見てしまった……俺はもう……」
「……寝言くらい誰でも言いますよ。だから隆昭さん……そう落ち込む……落ち込む事ないですよ……多分」
客室へと足を踏み入れたルガ―を迎えたのは……色んな意味で反応に困る、何というか珍妙な光景だった。
悪戯っ気に満ちた笑みを浮かべながら、遥を抱き寄せてくんくんと髪の匂いを嗅ぐ女性と、逃げようとしても逃げられず、女性の成すがままにされる遥。
ソファーの上で落ち込んでいるのか、暗い表情で体育座りをしている青年と、正座し、どこか浮かない表情で青年を慰めている、銀髪のショートカットの少女。
そしてこのカオスな光景に、ただただ苦笑いを浮かべて壁際で腕を組んでいるライディースである。
ルガ―はライディースとアイコンタクトを取る。大体の状況は掴めた。掴めた、が……困ったな。
この三人、悪い人間ではないものの、一癖も二癖もありそうだ。そう……我々、やおよろずの様に。つまりそれは、一筋縄ではいかないと言う事。
一先ず、この三人の中でリーダー……代表者と話をするべきだな。ルガ―はそう判断し、遥を弄んでいる女性へと近づいた。
「その子はウチの大事な人材でね。そろそろ離してはもらえませんかな?」
ルガ―の発した言葉に、女性は一息吐くと遥をベッドから優しく解放した。よっぽど強い力だったのか、何故か遥は息を荒げている。
ルガ―に気付き、ソファーにいる二人が座り直した。二人ともその表情は硬い。恐らく初対面である事と、ルガ―の鍛え上げられた図体に緊張しているのだろう。
「珈琲を入れてきたんだ。そろそろ落ち着いた頃だろうし、一杯如何かな? お話でもしながら」
女性はルガ―が片手で持っているお盆の上の珈琲に目を向けた。そして含みのある笑みを浮かべて、ルガ―に返答した。
「有難く頂くわ。伊達男さん」
116 :
TロG ◆n41r8f8dTs :2010/01/10(日) 23:46:20 ID:4fVc4K3U
ビューティフル・ワールド
the gun with the knight and the rabbit
ジリジリと肌が焼ける様な緊張感が、廃工場内を支配する。一瞬でも火花が付けば、すぐに爆発してしまいそうな、
そんな雰囲気の中でも、一人と一機に怯む様子はなど微塵もない。むしろ、そんな緊張感さえ愉しもうとする不敵な気慨さえ感じる。
驚異的な身体能力で、悪漢どもを瞬時に蹴散らした赤毛の男、リヒト・エンフィールド。そのパートナーにして、未知数の実力を隠し持つ白きオートマタ、ヘ―シェン。
雰囲気からして底知れぬ強さが窺い知れるこの一人と一機に立ち向かうは、前門のグスタフ・フレ―ンと後門の野良オートマタ軍団。
リヒトとヘ―シェンは背中合わせに、互いの倒すべき敵を定める。リヒトはグスタフ、ヘ―シェンは野良オートマタ軍団だ。
と、グスタフが懐から、悪趣味な装飾が成された、長い銃身が印象的なリボルバーを取りだした。
そして血管が切れそうなほどの大声で、リボルバーを思いっきり振り下げながら野良オートマタ軍団へと叫んだ。
「行けぇぇぇぇぇぇぇ! このクソッタレ共をぶち殺せぇぇぇぇぇぇぇ!」
リヒトは指をハッキリと響く程に鳴らすと、ヘ―シェンに向かって明快な声で伝えた。
「俺はグスタフを〆る。頼んだぜ、相棒」
伝えるが早く、グスタフの方へと走り出したリヒトに、ヘ―シェンはサムズアップしながら明るい声で答えた。
<あいあいさー!>
かくして、グスタフの咆哮により闘いの火蓋が切って落とされた。
リヒトにグスタフを託し、ヘ―シェンは改めて倒すべき敵である、野良オートマタ達へと意識を集中させる。
先程まで囲っていた野良オートマタ軍団がほぼ一斉に、ヘ―シェンへと襲いかかる。奴らに作戦や戦略などという、高尚な物は無い。
ひたすら獲物となるオートマタを力押しで倒すだけだ。だが、例え一機一機は貧弱でも、それが束となると話は別。
どんな強いオートマタでも、腕や足等を掴まれて動きを封じられれば最早成す術なし。ハイエナにたかられる草食動物の如く、喰い殺されるだけだ。
しかしヘ―シェンに慌てる様子も無ければ、慄く様子もない。逆に、指を立てるとちっちっちっと左右に振って、余裕たっぷりに言った。
<あらあらうふふ。そんなガッつかなくても、美女は逃げませんよ〜>
二機がヘ―シェンを抑え込もうと、左右から迫ってくる。かなり距離が近い。ぼやぼやしていれば、あっという間に抑え込まれてしまうだろう。
だが、ヘ―シェンは動かない。まるで……何かの期を伺っている様に。ふと、ヘ―シェンの両足が緑色に淡く発光している事に気付く。
二機の魔の手が伸びる。このまま……と、その時。ヘ―シェンは両膝を屈めた。そして、二機が目前まで迫って来た途端。
ヘ―シェンは勢い良く両膝を伸ばすと、天高く跳び上がった。その衝撃で、二機の両腕が原型が無くなる程に粉砕した。
バランスを失ってゴロンと動けなくなる二機。残りの野良オートマタ達が、飛び上がって姿を消したヘ―シェンを探す為に右往左往する。
<おーにさんこーちら>
ヘ―シェンの声が響き渡る。探していた獲物の声がして、野良オートマタ達がその方向に体を向ける。
しかし何処を見ても、ヘ―シェンの姿は見えない。何処に居るのかと――――その時。
一機が妙な違和感を感じる。異様に頭部が重い。おまけに中のカメラアイが故障でもしたのか、周りの景色が緩やかにモザイクと化していく。
頭部を触り、異変を確かめようとした――――瞬間、その違和感の正体に、気付く。
何時の間にか、ヘ―シェンは野良オートマタの一機の頭部に器用に片足立ちしていた。それも両腕を組みながら。
しかしバランスを崩す様子は全く無い。その立ち方は、まるで曲芸の様に美しい。
ヘ―シェンは無言で周囲を軽く一瞥すると、次の瞬間、思いっきり自らが乗っている野良オートマタの頭部を踏み潰した。
踏み潰すと同時に飛び跳ね、空中で華麗に一回転すると、近くに居た野良オートマタの頭部目掛けて左足を思いっきり叩き落とす。
しかしそこでヘ―シェンの動きは止まらない。再び飛び跳ね、その後方に居る野良オートマタへと空転しながら右足で思いっきり叩き落とす。
信じられないような身軽な動きで、ヘ―シェンは左右の足を巧みに使い、次々と野良オートマタ達を破壊していく。
空中の敵に対応できないのか、ヘ―シェンの常軌を逸した機動力にあっけに取られているのか、野良オートマタ達に抵抗する術はない。
最後のオートマタの頭部を踏み潰し、へ―シェンはぐるりと月面宙返りをして、綺麗に着地した。
<お気の毒ですが――――貴方達は、すでに死んでいます>
着地と同時にヘ―シェンがそう言い放った瞬間、野良オートマタ達は一斉に倒れた。
頭部を完全に潰された機体、ピンポイントに動力部を破壊された機体等、各々の違いはあるが立ち上がれる野良オートマタが居ない事だけは確かだ。
圧倒的な強さで、ヘ―シェンはこの闘いを制した。勝因は至極単純である。強いのだ。ヘ―シェンは。
<さて、マスターの方はと……>
少し時間を戻し、リヒトの方に視点を向けてみよう。
ヘ―シェンがオートマタ達を挑発している頃、リヒトはまっすぐ走り出していた。無論、一切武器無しで、だ。
「何のつもりかは知らねぇが……止まれ! 止まんなきゃ殺すぞ!」
グスタフは向かってくるリヒトにそう言いながら、リボルバーの引き金を引く。銃弾はリヒトの頬を次々と掠めていく。
恐らく、グスタフはワザと狙いを外しているのだろう。この期に及んで、まだ自らが優位だと思っているからだ。
言動や態度は三流だが、腕はそれなりらしい。銃弾を掠める毎にリヒトの頬が削れ、コンクリートに生暖かい血がポツポツと落ちていく。
しかしリヒトは怯む事無く、グスタフの元へと疾走する。その目に迷いは無い。例えダメージを受けようと、リヒトの足は止まらない。
気付けば残り二発。グスタフの顔に、はっきりと焦りが見え、リボルバーを握っている手が若干震えだす。
「……くそったれが! そんなに死にたきゃ殺してやるよ!」
どうにか震えを押えながら、グスタフは狙いをリヒトの額目掛けて定めた。
そして――――引き金を引く。いくら化け物染みた身体能力があろうと、この距離だ。奇跡でも起きない限り避けられはしない。
避けたとしても、まだもう一発弾丸は残っている。どちらにしろ、俺の勝ちだ――――。必然的な勝利に、グスタフの頬が自然に緩む。
「狙うなら最初に狙えっての……だから三流なんだよ」
そう呟きながら、リヒトは右腕を顔の前に目一杯伸ばすと、手首を左手で掴んだ。予想だにしない行動に、グスタフが驚嘆する。
「何をする気だ!?」
次の瞬間、リヒトは飛んでくる銃弾を人差し指と親指で挟んだ。いや、掴んだ。勢い余ったのか、リヒトは体を右方向に回転させた。
まさかの防御行動に、グスタフの顔が青ざめる。銃弾を生身で、しかもほぼ至近距離で塞ぐなんて……本当に化物か、この男は。
「お返しだ。射撃の手本を見せてやる」
回転しながらリヒトは掴んだ銃弾を空中に向けて放り投げる。同時にグスタフの方へと向き直る。
慌てて、グスタフがリボルバーを向けた。あと一発。この銃弾を外せば、実質グスタフの負けが決まる。
早く、早くこいつを殺さないと、俺はあの人に殺されちまう! グスタフの額と手に大量の冷や汗が滲む。
狙いはリヒトに向かってまっすぐ向かっている。外す要素は無い。だが……だがだ。
本当に当たるのか? こんな無茶苦茶な事を平気な顔で行える男に――――いや、当たる。当たる筈だ。むしろ当たってくれ。
何が何でも殺すんだ、コイツを、コイツを殺すんだ! グスタフは覚悟を決め、引き金を引く為に指を掛ける。
グスタフが銃を構えると同時に、リヒトは目の位置まで両腕を伸ばし、右手を握り拳にして立てると、左腕で固定した。
銃弾が右手へと落ちてくる……瞬間、リヒトはリボルバーの銃口目掛けて、銃弾を親指で弾いた。
弾かれた銃弾は吸い込まれる様にリボルバーの銃口へと飛んで行き、一切ぶれる事無く、銃口へと。
その一瞬をグスタフは全く認知出来ない。引き金を引いた――――。
「ぐわぁっ!」
銃身内で銃弾同士がぶつかり、グスタフのリボルバーが暴発した。その衝撃に思わずグスタフはリボルバーを手放す。
「し、しまった!」
グスタフは拾おうとその場に屈むが、次のグスタフの目に映ったのは、あの男の、影。
恐る恐る、グスタフはその顔を上げた。あの男が、悪魔の様な天使の笑顔で、言った。
「次はちゃんとした銃を買うこった。ま、その前にお前は中身を伴え。1000年掛かっても無理だけどな」
瞬間、リヒトのローキックがグスタフの顔面を直撃した。と、言ってもだいぶ手加減しているが。
グスタフは勢い良くゴロゴロと転がると、壁に激突して仰向けになった。白目を剥き、口から唾液が零れている。
とはいえ死んだわけではない。あくまで気絶しているだ。しかし手加減でもこれほどの威力なのは恐ろしいが。
<何時もながらやりすぎです。マスター>
「良いんだよ。こういう連中は生易しくすれば図に乗るからな。徹底的にやれば懲りるだろ」
<どっちが悪役か区別が付きません>
「あんな戦い方したお前には言われたくない」
戦闘終了。野良オートマタ軍団はヘ―シェンによって全て沈められ、長であるグスタフ含め、悪漢は全員、リヒトの鉄拳により再起不能となった。
大型機械に隠れ、静かに息を潜めていた子供達が、恐る恐る出てくる。そして目の前に光景に、息を飲んだ。
あれほど恐ろしい存在だったグスタフ達と、凶暴なオートマタ達が見る影も無く撃沈しているのだ。
と、リヒトに話しかけられた男の子が、リヒトに気付いて走り出す。他の子供達は顔を見合わせると、頷き合い、男の子に続く。
<それで今回のクライアントは誰なんですか?>
「ちょっとした大富豪だよ。数週間前、旅行中に息子が居なくなって、警察を頼っても見つからないってな。
それで最近、こいつらの悪事を耳にして、もしかしたら何か絡んでるんじゃねーかなと思って探ってみたらビンゴ」
<……あぁ、それじゃあマスターが話しかけたあの男の子は>
「そう、クライアントの一人息子。俺の話をすぐ理解してくれる賢い子で助かったよ」
リヒトとヘ―シェンの周りに、子供達が集まる。
絶望的な状況から助けて貰った事で、感極まり泣いている子や、リヒトを羨望の目で見つめている子、反応は十人十色だが、共通しているのは助かった事に対する安堵だろう。
しかしこれほどの子供達を、奴らは……。リヒトは子供達を見つめながら、次第に苦々しい顔つきになる。
グスタフを倒した所で、何も変わりはしない。本当の悪人―――――益を得ている人間は、のうのうと生きていやがる。
奴らのコネクションはクモの巣の様に多岐に、かつ深く深く繋がっているのだろう。この状況を変える事は出来ない。その益を得ている人間を倒さない限り。
――――と、リヒトは頭を振る。何を考えているんだ、俺は。俺達は正義の味方でも何でもない。何でも屋だ。俺達はクライアントの依頼を遂行する事だけを考えりゃいい。
余計な感情を挟めば、それだけ迷いが生じる。もし迷いが生じれば――――周りを傷つける事になる。それだけは、絶対にしてはならない。
<それにしても……クライアントの息子さん以外の子供達は如何に為さるおつもりですか?>
「心配すんな。そっちの伝手はもう付いてる。児童保護施設にな。指定の場所で合流して、クライアントに連絡を取って、この仕事はコンプリートだ」
そうして、リヒトは自分の前に立つクライアントの一人息子の髪を撫でた。一人息子は泣きそうな目をぐっとこらえる。
その様子に、リヒトは優しげに微笑むと、子供達に爽やかなイケメンボイスで言った。
「皆よく頑張ったな。けどもう少しだけ、俺に付き合ってくれ」
「ほえぇ……」
目の前の巨大な鉄の物体に、リタはただただ感嘆の息を漏らす。これほど巨大な物体だとは思いもしなかった。予想外です。
リュックを下ろすとドスンと重い音がして、地面が少しばかり凹む。ガチャガチャと計器等を取り出し、リタは早速調査を開始した。
リタの周りを玉藻が浮遊しながら物体を観察する。時折、リヒタ―に疑問に思った事を質問しながら。
<見れば見る程現実感が薄れそうだ……しかしリヒター、本当に何の衝撃音も無く、これが落ちてきたのか?>
<はい。私達が移動している間、特に衝撃はおろか、墜落した音さえ聞こえませんでした>
<そうか……>
普段はよほどの事でもない限り驚きもしない玉藻も、流石に今回ばかりは別だ。これほど謎に満ちた物体は、本当に見た事が無い。
その大きさ、形状、共にオートマタとは全く別の、言わば別次元の存在だ。共通しているのは、機械……ロボットという事だけ。
あの三人が何者なのかは知らないが、こんなモノを乗り回すとは……。一体、どんな世界で生きてきたのだろう。想像もつかない。
<リタ、何か分かったか?>
「むー……調べていますが、全く分からないです。材質も駆動系統も、オートマタとは全然違う事くらいしか」
<そうか……>
性格はともかく、メカニックとしては一流であるリタがお手上げとなると、悔しいがこれ以上詮索しても時間の無駄だろう。
それにしても……ウチには既にリヒタ―という、得体のしれないブラックボックスがいるが、まさかリヒタ―以上に訳の分からないモノが増えるとは……。
全く……一条遥、お前が来てから退屈しないよ。玉藻は人知れずふふっと微笑した。
にしてもこれをどうするべきか……こんな田舎だ、妙な連中が嗅ぎつけてくるとは思えない。
しかし、だ。万が一見つかった場合、我々の生活が脅かされる事は容易に想像できる。
かと言ってこの二体を隠せるような場所等、この近くには無い。それ以前にこの二体を運び出す方法などありはしない。
何にせよ、あの三人からこれについての話を聞く必要がある。もしも拒否すれば……その時は、その時だ。
<リタ、そろそろ日が暮れてきた。今日は引き揚げるぞ>
「えぇ〜……けどもう少し……」
<ちょうどまどかも帰ってくる。調査はまた明日、ライディースも連れてきてだ。ほら、急げ>
リタは玉藻にねだる様な眼をしたが、玉藻はそんなリタを露知らず、さっさと家へと戻っていく。
行動が早い玉藻に、リタは小さくため息をつくと、リヒタ―に顔を向けて言った。
「……帰りますか。ちょうど、お腹も空きましたし」
「それでは自己紹介をさせて貰おう。まず僕達の事だけど、端的に言えば何でも屋を経営しているんだ。名前はやおよろず。
依頼があれば、探偵業から機械の修理まで幅広く受持つのがポリシーさ。もちろん、法に触れる様な事はしないよ。あくまで健全な範囲で、ね」
ルガ―の説明に、女性は軽く頷く、ソファーに座っている二人も頷くが、青年の方は少しだけ首を傾げた。が、すぐに打ち消した。
「僕はルガ―・ベルグマン。仕事はそうだな……マネージャーを担当してる。いうなれば仕事の斡旋とか云々ね」
お盆を脇に挟み、ルガ―が自らの自己紹介を始める。三人と遥はそれぞれ、マグカップを手に持っている。
ソファーに座っている青年がだいぶリラックスしたのか、マグカップの中の珈琲を一口飲むと、小声でおいしいと言った。
「そこの壁に寄り掛かっている彼はライディース・グリセンティ。メカニック担当で、機械を修理したり、点検したりと機械関連の仕事している
後もう一人、メカニックが居るけど後々紹介させてもらおう」
ルガ―の紹介に、壁際に寄り掛かっているライディースが三人に向かって手を振った。少女と青年は軽く会釈を返す。
そしてルガ―が遥を紹介しようとした時、イスに座っていた遥は自ら立ち上がり、明快な声で三人に言った。
「私の名前は一条遥と言います。その……ここでは見習いとして働かせてもらっています。宜しくお願いします!」
遥の自己紹介に、ルガ―は言葉を付け足した。
「君達を見つけて、僕達に助けを求めたのは誰であろう、遥ちゃんなんだ。礼を言うなら、後で遥ちゃんに言ってもらえるかな」
「あ、いえ、私は特に何も……」
そう言って遥は赤面した。あくまで遥は三人を救いたいと思っていただけなのだが、こう言われると正直、照れる。
青年が遥の様子に人知れず小声で可愛い……と言おうとしたが、、隣の少女の生累を憐れむ様な視線に気づき、黙って俯いた。
女性はルガ―の言葉に何度かふむふむと頷くと、納得した様に掌をポンッと叩いてルガ―に言った。
「分かりやすい説明有難う、ルガ―さん。それと遥ちゃん、さっきは変な事してごめんなさいね」
「いえいえ。少しでも気持ちが落ちついたのなら……でもちょっとくすぐったかったですけどね」
「そう……それなら落ち着きたい時にはまた嗅が」
「丁重にお断りします」
眩しい程の笑顔で遥に断られ、女性は残念そうにま、しょうがないか呟くと一転、真剣な表情でルガ―に向き直る。
「それじゃあ私達の事も話さないとね。最初に現実味が無い事を先に謝っておくと……」
先程までの軽妙な雰囲気がピリッと締まる。女性の柔和だった目つきが、いつの間にか鋭い目つきに変わっている。
雰囲気を察したのか、ソファーの二人とライディースと遥も真剣な面持ちで、女性の話に耳を傾ける。
「私達三人は、貴方達のいる世界とは全く違う、別の世界から来たわ。貴方達が見た巨大なロボット同士で、戦争が起きている世界からね」
戦争と聞き、やおよろずの面々の顔に若干曇りが出る。女性はそれを察するがあえて、話を続ける。
「私達はその戦争を終結させる為、あの巨大ロボットに乗って戦争の火種を広げている人物を倒す為に、時空を移動していたの。
だけど移動している最中、見た事の無い機体から襲撃を受けた。圧倒的な強さだったわ……本当に手も足も出ない程に」
「……それでその機体との戦いに負けて、この世界に落ちてきた、と?」
「えぇ。ルガ―さんの言う通り、私達はその機体の攻撃で時空の狭間……。
説明すれば長くなるけど、簡単に言えば一度落ちたら何処に行くか分からない所に叩き落とされたのよ。
それで私達は落ちていった先が……」
「この、世界……か」
場に、言いしれぬ重い沈黙が流れる。その中で、遥はハッキリとスチュアートの言葉の意味を、理解し始めていた。
何故、スチュアートが世界を救う為と言っていたのか、何故、この三人を救ってくれと遥に伝えたのかという意味を。
「それで、その時に負ったダメージが深刻でね。多分動力炉には異常は無いと思うけど、駆動部やらに……ね」
「そこで本題に入るけど……あの二機の修理が完了するまで、私達をやおよろずで雇ってくれないかしら?」
女性の言葉に、ライディースが戸惑いの表情を浮かべ、遥が小さく驚いた。想定済みだったのか、ルガ―に変化は無い。
二人の反応も無理は無いだろう。助けてあげた人から雇ってくれと言われても、単純に反応に困る。
だが、あの巨大なロボットを目の当たりにした手前、無碍に断る気にもなれない。女性の言っている事に、嘘は無い事くらい分かる。
やおよろずの面々が何も言わないのに気付き、女性は目を擦ると少し声を和らげて言った。
「こう見えても機械関連に関してはかなり腕に自信があるの。元居た世界では技術者やってたから。
それに掃除洗濯炊事何でもござれ。雑用と呼ばれる事はほぼ何でもこなせるのよ、私」
そして女性はソファーのふたりに指を向けると、冷やかな笑みと目つきで続けた。
「そうそう、そこの二人を自由に使って貰って構わないわ。どんな事でもね」
女性の言葉に青年がお前は何を言っているんだといった表情で立ち上がろうとする。が、寸でで少女が青年の肩を押えて無言で首を振った。
青年は明らかに不安げな目をしていたが、少女と数秒見つめあうと、深いため息を吐いて大人しくソファーに座りなおした。
少女が対して女性に対して目配りすると、女性は小さく頷き、ルガ―の方に向きなおって、再び言葉を続ける。
「どうかしら? もちろん……決定権は貴方にあるから、もしも駄目なら私達はここから潔く出るわ」
女性がルガ―の目を真正面から見据える。どうやらルガ―が、この三人の行く末決断しなければならない様だ。
ライディースと遥、そしてソファーの二人の視線がルガ―に集中する。ルガ―は内心弱る。
どう返答するべきか、非常に迷うのだ。もしこの女性の言葉を聞きいれ、雇う事を認めれば今まで以上に出費が増えるだろう。
それに負担も増える。しかし、だ。この三人を追い出した所で、あの大きな機体はどうする? というか、この三人は女性自身も言っていたが、他の世界から来た人間だ。
この世界に適応出来るとは限らない。もしも酷い目にあったりでもしたら、この三人を助けた遥を傷つけてしまう事になるのではないか。そう考えると……。
5人の視線がルガ―に決断を迫る。ルガ―の額に一筋の汗が流れ、ルガ―の閉じていた口が開きはじめた。
「お話は全て聞かせて頂きました」
凛とした少女の声がして、その方向に6人の視線が集中する。
そこには、学生服を着た、肩まで伸びた美しい黒髪と幼い顔つきに似合わぬ豊満な胸が印象的な少女が、穏やかな微笑みを浮かべて立っていた。
黒髪の少女はゆっくりと、一歩一歩女性の方へと歩み寄っていく。そして女性の顔を見据えて微笑みからキリッとした精悍な表情になると、女性に言い放った。
「やおよろずのオーナーとして、貴方達を採用いたします。その代わり、しっかりとやおよろずの一員として、働いて貰います。良いですね」
黒髪の少女の言葉に女性はまっすぐ視線を返し、静かに目を閉じると、しっかりと黒髪の少女を見据えて、言った。
「ありがとう。ヴィルティックとルヴァイアルの修理が済むまで、やおよろずの為に身を粉にして働くわ。そこの二人も良いわね」
女性がソファーの二人に目を向ける。二人は無言で顔を見合わせると、答えた。
「はい!」
「は……はい……」
少女の後で答えた青年の声に、覇気は、全く無い。しかし何はともあれ、話は全て決まったようだ。
黒髪の少女は元気良くパンと手を叩くと、ルガ―に振り返って、明るい声で言った。
「それじゃあそろそろ、夕食の準備をしましょうか、ルガ―さん。リヒトさんとヴァイスさんが帰ってきますし、それに」
「遠くから入らした新人さん達も、お腹がすいてるでしょうしね」
その頃、子供達を指定の場所へと連れて行く為、リヒトとヘ―シェンは子供達を連れ、廃工場から立ち去ろうとしていた。
と、何故かリヒトは上部の誰もいない鉄筋で出来た通路を見上げている。まるで何かの気配を、察知しているかのように
<マスター、どうかなされましたか? てきは ぜんめつ した 筈ですが>
「いや……何でもねえよ。さ、早く用事済ませて帰るぞ。美味い飯が待ってるからな」
リヒトの予感は外れてはいない。通路から地べたにペタンと座り、リヒトとヘ―シェンを冷やかな目で見ている少女が一人。
背中まで伸びた長髪は白く、野暮ったさを感じる半面、神秘的な雰囲気を発している。
淡い琥珀色の瞳は、何を映しているのかジトっとしており、髪の毛の色と相まって生気を感じさせない奇妙な感覚に囚われる。
と、少女は両手に自らの背丈ほどに長いステッキを握っている。
その先端には扇型の巨大な目を思わせるオブジェが付いており、目の部分には赤黒く輝く、野球ボール大の大きさな球体が嵌めこまれている。
少女の目は先程からずっと、ヘ―シェンを見つめている。と、少女が静かに立ちあがった。そしてステッキを――――。
「おいリシェル、駄目じゃねえか、勝手に奴を起こしちゃ」
何処からともなく男の声が聞こえ、腕が少女の肩を掴んだ。
「……駄目?」
「駄目だ。あれはまだ喰う時期じゃねえ。大体本気出してねぇ相手なんざ喰っても、美味くも何ともねえぞ」
男の言葉に、少女はステッキを握り直すと、再びぺたんと座った。そして男に顔を向けて言う。
「ねぇねぇ、ライオネル。リシェル、町に行ってみたい。この近くにあるでしょ?」
「町? あぁ……構わねえよ。その代わり、俺が呼んだら必ず来いよ」
男の言葉に少女は頷く。男は移動を始めるリヒトとヘ―シェンに目を向けると、静かに言葉を発した
「あのガキもデカくなったな……ヘ―シェン……盗らせてもらおうか」
その男の名は―――――ライオネル・オルバ―。
第三話
始動
しえん
遅かったか・・・
ごめんなさい、マキられてましたorz
しかし力技とはいえ、どうにかやおよろずの面々を全員出せました
後は上手く話を転がさないと…
>>127 おぉ!すげぇ上手い!
バイオ的な要素とメカニックな要素が上手く混じり合って、独特の雰囲気がありますね
それにしても人居ない……珍しくPBM氏がいないからかなー
すみません、ちょっと今忙しくて……。多分今日の夜くらいには解放されると思うので、しばしお待ちを。
あ、感想はその時に!
てす
>>126 投下乙です!
いやー、戦闘シーンカッコイイ!
ヘーシェンの足にマナを収束させた?蹴撃での軽業がナイスでした!
「弾丸なんてのはな、当たると思うから当たるんだよ」的な行動と弾丸受け止めは、流石「壊し屋」といった感じですなw
さて、敵が姿を見せてきたのでますます目が離せなくなりましたw
次回も楽しみにしとります
>>127 これは……!カッコイイ!!
個人的に4枚目の「tume」が気に入りましたw
しかしこのセンスは凄いw
>>127 パーツの太さのメリハリと曲線がキレイですね。
しかしこれで昔とは恐ろしい子!
>>127 何という有機的デザイン…
思わずうちの主役機のデッサン化をお願いしたくなってしまった……
皆さん、投下乙です!
ふぅ……すみません、なんやかんやで復帰が一日遅れてしまいました。だが私は謝らない。
それではレス返と感想をば!
>>97 なんか、読んでると胸の奥がムズムズしてきますねw
それにしてもPBM ver.よりも色々と洗練されてるなぁ。展開が同じなら、これからこのスレではもうお馴染みのあの人やあの人が出る予定ですね……性格全然違いますけど。
>>110 フツヌシさんからペネ子と同じ危険なオーラを感じるwww
しかしタカ坊は完全に巻き込まれ役になっちゃってますね。はっはっは、一体誰のせいでしょうね!
そして白ウ詐欺はすっかり煽り屋が板に付いちゃってまぁ。……ちなみに最初(廻セカの頃)の設定は無口キャラだったのは秘密な! 黒い子は何も変わってませんけどw
>>126 クロスオーバーktkr!!
地味にへーちゃんの一対多の戦闘はこれが初めてですね。しかしなんと美しい殺陣だ……。へーちゃんにも出番あげないとなぁ。
――――って、へーちゃんピンチの予感が! これは期待せざるを得ない!
ライオネルと赤毛のロリコンの関係や、リシェルの正体、タカ坊達はこれからどうするのか……いやはや、続きがとても気になりますw
てか、あの遥さんに手を出すとは、マチコさん、恐ろしい人……!
では、次回も楽しみにしてますね!
>展開が同じなら、これからこのスレではもうお馴染みのあの人やあの人が出る予定
おお、これは期待せざるを得ない!
>最初(廻セカの頃)の設定は無口キャラだった
全然想像できねぇwww
>>135 信じられるかい? 毒を吐くような性格でもなかったんだぜ……。
今では作者本人ですら想像がつかn(ry
人、いませんねー。
年末からこっち、ずっと人稲だよなぁ。まあ、皆忙しいんでしょう
じゃあ、ここで話題でも出してみるテスト
このスレの各キャラクターのイメージに合いそうなBGMは?
>>131 感想dクスです!
今回は今まで静かだった分、戦闘に力を入れてみたので楽しんで貰えたのなら幸いです
リヒトは少々やりすぎ(身体能力的な意味で)な気がしましたが、まぁ最強のロリコンだしそのままにしました
ヘ―シェンはもう少し分かりやすく描写した方が良かったかな……と反省してます
>>134 数日ぶりですPBM氏w感想dクスです
殺陣が気に入って貰えたなら嬉しいなぁとしみじみ。かなり分かりにくいが連続キックはカブトのキックホッパーを参考にしてたりします
内容は言えませんが、かなり大変な事になりますよ、へ―ちゃんwだからもしかしたらヒロイン枠かも
PBM氏が隆昭を遊んでいるなら、こっちは遥ちゃんを遊ばせてもらいますよw
>>137 自作のキャラで考えると
隆昭:コードギアスの第一期OPのCOLORS
メルフィー:アイマスのCOSMOS COSMOS
スネイル:カウボーイビバップのtank!
みたいな感じです。ダイブ色んな意味で外れてますね
>>138 >カブトのキックホッパー
なるほど、地獄姉妹の姉のほうなんd(ry
どうりでデジャヴを感じると思ったら、ゲーム版カブトの持ちキャラでしたかw 格ゲー下手くそだから連続ライダーキックが全然出来なくて練習したなぁ。
……ん? つまりペネ子は必殺技的に仮面ライダーザb(ry
>PBM氏が隆昭を遊んでいるなら、こっちは遥ちゃんを遊ばせてもらいますよw
いいのかい、そんなにホイホイ遥さんをからかっちゃって。こっちには2月頃にショウイチさんとタウエルンが来るんだぜ。
慣れない環境に放り込んでくれるわー!
ネタを振っておいて寝落ちするとはなんたる不覚か……!
>>138 >スネイル:カウボーイビバップのtank!
他は大体イメージ通りだったけど、マチコさんだけ予想外過ぎで吹いたw
個人的にオルトロックのBGMが気になったり
>>139 >つまりペネ子は必殺技的に仮面ライダーザb(ry
パーフェクトハーモニーか!パーフェクトハーモニーなのか!
>こっちには2月頃にショウイチさんとタウエルンが来るんだぜ
タウエルン本編がシリアス一直線だっただけにどう絡むのか予想がつかないw
>>139 あのゲーム、今でも高値だそうですねー
まぁダメゲーが多い仮面ライダーのゲームでは信じられないくらいの神ゲーだったからやむなしかなとw
そうだ、リヒタ―も戦ってもらいますよ。軽快なヘ―シェンとはまた違った描写が出来たら良いなと
>こっちには2月頃にショウイチさんとタウエルンが来るんだぜ。
楽しみにしてますw
>>140 自分でも何でtankなのかよく分かりませんww
オルトロックですか……言われてみれば考えた事無かったかも。うーむ
スパロボAのラスボスなヴィンデルのCHAOSですかね。色んな意味で。ついでにOGSバージョンで
自分も無駄にシリアスだっただけにクロスが楽しみですw
>>141 ワカメのおやっさん、自分の撃ったMAPWで自滅するような男だったのにAPだと強くなってたなあ……取り巻きが
やおよろずの面々が引っ掻き回すか、シリアスなノリに乗っかるか……後者は珍獣がいる限り不可能に近いかw
>>142 一応真正面から戦えばそれなりなんですけどね、ワカメさんw
明るいノリのタウエルンとショウイチは是非見たい所ですねw
自分の方でお借りしてるリタは・・・どうしましょうw
さて、早速パソコンの方が全鯖規制になってしまいましたが・・・
あぁ無情
>>143 タロさん……(´;ω;` )
しかし規制が酷いなあ。もしやこれはゴルゴムの(ry
許せんッ!!
遥さんの色塗りしてたらインクが零れた、死にたい……orz
>>137 適当に当てたらこんなとこですかねー。
遥さん→盗めない宝石(Xenogears)
ペネ子→反撃開始(フルメタル・パニック)
リヒト→Gun's&Roses(バッカーノ!)
シロ →Moon Flower(∀ガンダム)
まどか→優雅なひととき(Gガンダム)
たま →
ルガー→東方は赤く燃えている(Gガンダム)
珍獣 →パンをこねよう(∀ガンダム)
ライ →木製飛行機(∀ガンダム)
……なんか髭ばっかになってしもうたw
>>141 個人的にオルトロックはガンダムXの「死線」が合ってると思いますw
>>143 なんか最近規制が激しいですね……何が起こっているんだ。
>>144-145 いいや、これは乾巧って奴の仕業なんだ。
>>147 ああ、本当だ! 罰としてスカート穿いた遥さんにクロックネックロックか腕十字固めを掛けられてきてもいいですか!
遥さん→盗めない宝石(Xenogears)
ペネ子→勝利ヘノ道(ダイ・ガード)
リヒト→Gun's&Roses(バッカーノ!)
シロ →Moon Flower(∀ガンダム)
まどか→優雅なひととき(Gガンダム)
たま →反撃開始(フルメタル・パニック)
ルガー→東方は赤く燃えている(Gガンダム)
珍獣 →パンをこねよう(∀ガンダム)
ライ →木製飛行機(∀ガンダム)
番外
オルトロック→死線(ガンダムX)
昨日から公開プロキシがどうのBBQがどうのな事態になって投稿できなくなって
むちゃくちゃあせったけど、一日経ったら治った。よかった(´・ω・`)
感想とか返レスをば。
>>126 細かい戦闘描写がすごい格好良かったですw
話がすごい読みやすいですねw参考にさせてもらいます^q^
次回を楽しみに待ってますw
>>134 一応ゲーセンの辺りまでは概ね原作通りの流れでいきますw
といっても、削った部分や追加した部分もあって色々とカオスになってますg(
そしてゲーセン以降から完全に自分の独自話で行こうかな、とw
原作レイプ乙wwwwwのような生温かい目で見守って戴けたなら幸いでございますw(`・ω・´)
・・・エーヴィが一番原作から変わってるかも・・・(・ω・;)シロは無口っ娘でいく予定ですw
>>137 自分のキャラではないですが個人的イメージとしては
シュタムファータァ-Metamorphose-(モノクローム・ファクター)
安田俊明-ONE DROP-(神の雫)
守屋千尋-NEXUS 4-(SUBARU レガシィCM)
御守千春-STRENGTH.-(ソウルイーター)
まぁ、曲調二の次の歌詞だけで選んでますがw
この4曲を作業用にループすることもしばしば。
去年の9月か10月あたりからずっと散発的にBBQにされる私に隙は無かった。
BBQにされると避難所にもにも書き込めないってどういう事なの……。
>>149 ロボスレ版廻セカは序盤の流れそのものが変わってるので無問題ですよw
そしてその目はどう考えても生暖かくないwww
>>148 田中公平と管野よう子率高い感じね。とりあえずへーちゃんのBGMが儚い感じなのは意外だった
あと死線は名曲だよね!
>スカート穿いた遥さんにクロックネックロックか腕十字固め
ご褒美なのか命懸けの罰ゲーム(特に前者)なのか判断し辛いので却下です。タナカさんとルガーとニックのガチムチ野郎達とムンムンムラムラするがよい
>>149 なるほど、つまりこれらの曲を聞けばDaZの展開がある程度予想できるt(ry
>>150 散発的にですか、やべぇ、めっさ怖いです(((°Д°)))
ならないことを祈りながらレスしようと思いますw
突発的で自分の行動関係なしに起こるから怖いですよね・・・
>>151 や、やめてーw
聞くのはどれも良い曲だから勧めるけど歌詞をマジマジと考えながら見るのはやめてーw
いや、まぁぶっちゃけると見てもネタバレにはならんとですがw(´・ω・`)
>>151 アッ――――!!
>へーちゃんのBGMが儚い感じなのは意外だった
ミスマッチなところがいいかt(ry
>あと死線は名曲だよね!
駆け抜けるGXとサテライト・キャノンもいいよ!
>>152 しつこく書き込みしてたらその内書き込めるようになりますよー。
ぬぅ、勉強不足で殆どの曲が分からぬw
探して聞いてみるかw
PBM氏のはサントラだから、曲名見てもピンと来ないのは普通じゃよ
しかし赤ロリコンにGun's&Rosesはピッタリだなw
>>155 dクスです。成る程サントラか……!
金欠が続いてるから音楽CD久しく買ってないぜorz
折を見て好きな作品のサントラ買ってみるかなw
>>155 バカ騒ぎ大好きですからねw
>>156 実は最近アニメのサントラをひたすら買いあさっている私。
よーしパパ唐突に話題振っちゃうぞー
もしこのスレのキャラでライアーゲームしたら誰が強そう?
某ニコ動見て面白そうだと思ってw
白ウ詐欺さん無双しか思いつかないお……
マチコさんやオルトロックがかなりの癖者になりそうな予感がします。あと潤也くんとか。
とりあえず遥さんとタカ坊は翻弄される側ですね、確実にw
基本的にダークな人達が強そうだよね、基本的に
珍獣みたいなアホの子もある意味強そうではあるけどw
基本的にアホの子って神に愛されてますからねw
携帯から失礼しまっしゅ
>>149 レスdクスです!
いえいえw自分ではもっとカッコ良く出来なかったかと猛省してますorz
これからもなるべく分かりやすく話を書ける様に精進します
廻セカ、楽しみにしてますよー
>PBM氏
オルトロックにガンダムXの死線ですか・・・
その発想は無かった。今度聞いてみますw
ライアーゲームですかー
やっぱ隆明はあたふたしますね、多分w
あー、断空斬です。断空剣ではありません
CGのクオリティはそれなりにいいね
ツクヨミは無駄に五感や直感(五感を統合した情報処理能力)が優れているので
ちょっとした声色の変化や筋肉の動き等で
「相手が嘘を付いているかどうか」や「どういう心理状態にあるか」をおおよそ読み取れるが
そこから先の「何故、嘘を付いているのか」「どうしてそういう心理状態になっているのか」を
あまり深く考えようとせずに行動するので
瞬間の判断が生死を分かつ戦闘時の読み合いなどには強いが
大規模な戦略や戦術、純粋な心理戦や駆け引きなどになると基本的に役に立たない残念な人です
頭の回って交渉能力もある人が、高性能な嘘発見器として扱うのが正しい運用法
あ、そうだ。キャラはみんな愛してますよー。ただ、神と言う割には創造物に振り回されっぱなしな気が……。
>>166 動きがしょっぱいのが残念ですね。
……キャラデザはもっと残念ですね。
>>167 これは白ウ詐欺とツクヨミ先生のウサギコンビでいかざるを得ない!
作品での格ゲー妄想が最近酷い
酷いスルーパスだ
所で自分のロボを有名な人が描いてくれるなら誰に書いて欲しい?
自分はリアルロボット系が好きなのでカトキハジメ氏に
山賢以外に無し
俺は八房龍之助氏か安藤弘氏ですかねー。
あ、宝木金太郎氏もw
自分はやってもらえるのなら鷲尾直広氏に描いてほしいですねーw
あけおめ、そして、ただいま。人生の選択を迫られてて何も続きを出してなくてすまん
このままじゃ、俺達の戦いはこれからだEND、になってしまうね
話が出来てないのにスレに書き込んだりわけにはいかないから、しばらく離れてた
あとPSPから何で毎回3〜4レス分ぐらいしかできないし
とりあえず逃げてはいないんで、出来上がった時また来ます、長文ゴメン
ゼノギアスとメタルサーガとガンダムトゥルーオデッセイを足して割らない様な
俺ゾイドRPGの妄想を何時もしてる……
……なんで、どんな形であれ確かなイメージを創れないんだ俺よ…… orz
寿命を半分差し出して文才を得られるなら悪魔に魂を渡してもいい、と思うほどに全然進まない。
うちの清水と×さん&××××が悪党相手に戦う話とか、ちょっとしか書けてない。
原因不明で×××××の世界に転移してしまった清水静は意識不明の状態の所を悪党に捕まって牢屋へ。
そこへ、悪党に捕まった×さんが同じ牢屋に入れられる。
二人は協力して脱走し、生身で悪党をなぎ倒し、捕獲されていたブルーショルダーに二人乗りで、追撃の×××××を振り切って離れていた××××と合流。
そして二人と一機は協力して悪党を叩き潰すのであった。めでたしめでたし。
文才も必要だが、×さんの生身の戦闘力をどのぐらいにすればいいのか悩む。
××××はブルーショルダーよりも圧倒的に性能が上でいいとして、自分の創ったキャラクターじゃない他所様の娘さんをどう扱うべきか。
1からデザインしてもらえるならブチとかシドとかの本職?の人だけど今ある分を描いてもらえるなら獅子猿とかかなぁ…
えるしっているかTCGばたけのいらすとれーたーはめかずきがおおい
>>172 柳瀬敬之氏か海老川兼武氏、出渕裕氏がいいですねー。
>>176 お久しぶり、生存報告乙です!
了解しました、作品が投下されるその時を心待ちにしてますね!
>>177 何それ、凄く好みなんですけど……。
>>178 モザイクを取るのじゃー!
>>180 >モザイクを取るのじゃー!
だが断る。
取り敢えず、うちの清水さんの戦闘力を100として遥さんの戦闘力は75ぐらいが適切かなぁ、と思ってるけど、どうなのだろう、PBM氏?
>>181 口ではそう言っているが、身体は(ry
清水さんの生身の戦闘が今のとこ無いので何となくですが、多分80ちょいくらいだと思います。
まだ遥さんは『魔法を覚えていない魔法戦士』の状態なので。
>>182 回答ありがとうございます。
生身で戦う清水さんはなるべく早く見せたいなぁ、と思ってます。
いざとなったら最終手段、酒を使ってでも。
>>205完結乙。
未完成すぎるが折角なので
【ウィキペディオー】
新たな脅威に立ち向かうべくあらゆる世界のロボットの情報を収集、武器を開発したり協力したりする兵器。
メインシステムである「ぼくロボデータベース」には膨大な量のロボット情報が内蔵されるはずだったが開発が遅れに遅れている。
カテゴリ識別や共通モチーフ等のリンクによって参考やクロスオーバーの利便性アップを図っているが…
現段階では代わりに(完成の先が見えやすいという理由で)サブシステムである「SS」のまとめが行われており、こちらは現行世界まで補完が完了している。
http://www21.atwiki.jp/bokurobo/ 11スレにもなって今更するからおわらない/(^o^)\
うわああああああやっちまったあああああああ!!!
誤爆だスマン忘れてくれ…
しかもよりによってこことは…確信犯か俺は…orz
>>183 清水さんに飲ませるのか、自分をドーピングするのかどっちなんだァーッ!
>>184 ロボゲ板からの誤爆乙です! そんなドジなあなたには機動戦士ガンダム 一年戦争を購入する権利をあげよう。
>>182 その割には強いというか魔法覚えても戦闘力20しか上がらないのかよw
>>184 ついでにHGストフリのライフルを塗装する権利もあげよう
と、すまん、清水さんの戦闘力を100とした場合か。盛大に勘違いをしていた
罰として遥さんのグランドチョーク食らってくる
ええいガンダムはいいっ!水陸両用機をよこせっ!
魔法戦士…つまり遥さんは後々魔法で肉体を強化して戦うんですね、わかります。
>>188 君にその権利はない。大人しくツクヨミ先生と二人っきりの放課後を過ごすがよい。
>>189 ならドーシートをフルスクラッチする権利を(ry
>遥さんは後々魔法で肉体を強化して戦うんですね、わかります
実際バイキルトさえあれば他は(ry
基本的に神子はマナで身体能力をブーストするのがデフォです。ちなみに某赤いロリコンはその上昇幅が異常に高いのであんな馬鹿げた戦闘力を誇っている……という設定があったりなかったり。
>>184 ペロリ、貴様・・・図鑑スレの住民だな!!!!
>>176 お久しぶりです&おめでとうございます
了解しましたー
何時でも投下と復帰、お待ちしております!
>>177 お久しぶりです!
おぉ、あの人とのクロスですか・・・!
一読者として、楽しみにしています。遂に清水君が生身で戦うか・・・
さて、何気に自分も土日中に四話を上げようかなと
図書館でパソコンが利用出来るので、もし出来たらこっちに上げたいですね
>>190 >実際バイキルトさえあれば他は(ry
殴ったほうが強いもんなあw
最近は特技があるからそうでもないけど
>某赤いロリコン
一瞬赤い彗星かと……ハッ!?リヒトがロリコンかつ強いのはそのせいか!
流石は休日、人がいないね!
>>194 だが少し待ってほしい。某赤い彗星はロリコンだが、シスコンでありマザコンでもあるので少し違うのではなかろうか。
……と、マ・クベ司令がおっしゃっておりました。
それは小説版だっけ?
SSの投下が無い…… 微妙なもの投下するなら今のうち
新薬の開発やら新しい手術方法の確立やら、そういった医学の発展のためには、どうしたって人間を使った治験がいる。
動物実験という方法もあるし、それは当然行われているのだが、
やはり人間と他の動物とで違う部分というものはあるからだ。
これは別に、人間は万物の霊長だとか崇高な特別な存在だとかいうわけではなく、
単に種類の異なる動物には違いがあると、それだけの話だ。
例えば、豚用の薬を開発しようとしていて、犬を使った治験だけで満足な結果が得られると考える奴は
―――少なくともそんなことを任されるような人間の中には―――いないだろう。
だがそうは言っても、やはり治験のためのいわば実験台となる人間というのは、なかなか数をそろえるのが大変なもので、
革新的な、すなわちどうなるか分からない要素の大きいことをする場合には特にそうなる。
そこでこう考えて実行した人間がいたわけだ―――
再生医療の技術を使って作った人間の各部器官を“パーツ”にし、コンピューターでそれを維持するロボットを作って、
そいつで治験を行えばいい、と。
言ってみれば脳をコンピューターに置き換えた人造人間を使って人体実験をするようなもので、
なぜ脳が機械ならばそれは人間ではないとみなせるのか、
例えば、人間の腸には人間としての尊厳とか存在意義とかの、
そういった人間として認められるための資質みたいなものは無いのかという意見は無かったのか気になるところだが、
人間が人間であるところの理由、もっといえば人間を人間たらしめる要因は、
精神的活動、つまり脳の機能にあるという考えが全ての前提のように存在していたのだろう。
そう考えてみると、ピルトダウン人の正体を見破れなかった学者のことをあながち笑えないのかも知れない。
とりあえず、この“ロボット”は広く受け入れられた。そして好評をはくした。
なにしろ人間と同じ体なのに、人体実験をしていることにはならないのだ。
それに生物というわけでさえないから、動物愛護という観点からも都合がよかったのだろう。
ラットに何か注射するより、このロボットを切り刻む方が倫理的問題が無いのだ。
医療関係者なら、それは飛び付くだろう。そして医学の進歩のため邁進した。
工業関係者や軍事関係者にもこのロボットは重宝された。安全性や殺傷性能を“実際に”確かめられるのだ。
こういったわけで、このロボットは大きな需要を得、人類の発展の速度を上げるのに貢献した。
こうして人間は“合法的な人体実験”の手法を手に入れたわけであるが、
それを可能にした“ロボット”に、全く注文を付ける余地を見出さなかったのか、というとそうではない。
すなわち、“人間”には感情も思考も思想もある。それら精神活動が、人体に与える影響はどうだ?
例えば、同じ病気で同じ治療を受けていたとして、
「貴方は重病です、治る見込みはほとんどありませんが、可能性は0ではありませんから治療しましょう」と言われたのと、
「苦しいでしょうが、現代医学なら十分治せる病気です、頑張って下さい」と言われたのでは、
果たして結果は同じなのか違うのか?
そんな疑問にこたえるための実験もしたくなって当然のところで、実際ずっとそれはしたかったのだろうが、
情報技術の発展によってAIの性能が上がることで、ようやく現実にそれを行うことが可能となったわけだ。
そうなれば当然、それは実行に移される。だがここで、別の問題が持ち上がった。
人間の精神活動を模擬できるということは、当然苦痛を感じるわけだ。
人間と同じ精神活動を行うものが、人間と同じように感じる苦痛を与えられるということを、
果たして看過してよいものなのか?
だがしかし、このロボットを使った実験開発はもはや人類の発展のために欠かせない要素となっている。
いまさらそれをやめて停滞を受け入れることなど出来るのか? 人類は発展し続けなければならないのだ。
喧々諤々の議論が戦わされ続けた。意見は百出した。そして結論という名の対処法が生み出された。
すなわち、低性能なAIや、わざと“苦痛を与えられても仕方のないような人格”にプログラミングされたAIを使えばよいのだ。
これは全く完璧な回答に思われたが、しかしここにも落とし穴があった。
つまり、やはり高性能なAIを搭載したロボットで実験をしたいもので、
すると“苦痛を与えられても仕方のないような人格”のAIの作成が主流になるところだが、
さて、ある人格なんてものをそううまく個々の要素に分解してプログラムとして構成する、なんてことがそうそう出来るのか?
実際、“善良とみなすべき人格”のAIというものをつくってしまう、という事例も多々あった。
そこで、出来てしまった“善良な人格”のAIはどうする。廃棄するか。いや、そういうわけにはいくまい。
なにしろ、そもそもそれを与えられるべきではない存在に苦痛を与えるわけにはいかない、というのが事の起こりなのだ。
そしてまた結論という名の対処法が生み出される。
つまり、出来たAIはとにかくロボットに搭載し、後から人格を判定し、
保護されるべきとは見做されないロボットだけを実験に供するのだ。
言い換えれば、保護されるべきと見做されるロボットには人権に準ずる基本権があるとされ、
このいわば“準人権”を持たないロボットは、人類の発展の犠牲にされて当然、ということだ。
これでひとまずの決着を見た。
それでも人間の飽くなき向上心というものには歯止めがかけられないもので、この結論にも不満が寄せられた。
つまり、判定に時間がかかり、また、実験に供されるロボットの数がどうしても少なくなるのだ。
時間がかかるのはやむを得ないとして、数の方は増やせないか。
もっと具体的な方策を言えば、“切り捨てる基準をもっと下げられないか”。
しかしそれには抵抗があった。そんなことは簡単には出来ないと。
そこで代替案が探される。ロボットの代わりに苦痛を与えられても仕方のない人間、例えば死刑囚を使うのはどうか。
これは受け入れられた。
思い起こして頂きたい、そもそもこの、「“善良なるロボット”は実験に供せない」という問題はどうして起こったか、
さらに言えば、何故“善良なるロボット”に苦痛を与えるのは忌避すべき事項で、
“善良でないロボット”には人類の発展のために苦痛を与えてよいのか。
それは結局、人間的な価値の基準となるもの精神であって、その器が何で出来ているかではないからではないか。
ならばだ、精神の器が人工的につくられたものであるのか、自然発生したものであるのかが、
精神の善悪の前にどれだけの意味を持つというのか。
むしろこの問題に直面したことで、人類は純粋な精神の向上というものに初めて本当の意味で向き合えたのではないか。
さて人類はますます発展していく、その速度をさらに上げつつ。
だからもし、あなたがプログラムによってつくられた人格を持っていなかったら、
高邁な人格をプログラムされたものに負けぬ精神を持ち続けるよう、常に気を抜かないことだ。
それが出来なければ、ある日ドアを叩いて入ってきた人間があなたを指してこう言うだろう、
「これは人間ではありません」。
―――了―――
投下終わり…… と。
変なモン投下してごめんよ。まあSSの投下が無いから枯れ木の山のにぎわいと思っておくれ。
それにしても俺のSSってワンパターンだな……
まぁ終末だから人がいないのは仕方ないね
このスレのキャラに関して久々の話題を振ってみる
相当作品数増えたけど、悪役の分類ってどうなってるんだろう
かなりタイプが広がったよね。もろ悪役で笑えるようなのから、ガチで陰湿なのまでw
そういやここって人造人間キカイダーのような作品でも投下していいんだっけ?
正直、あんなあまりにもレベルが高過ぎる傑作を書く自信は全く無いけど。
>>203 投下乙です!
ううむ、深い、深いですね
読んでいてバイオノイド的な物が浮かびました。最後の結末が人間とロボットの境界が緩んだ気がしてゾクっと来ました
良いSSです。ありがとうございました
っと、投下が遅れていてホントに申し訳無いです・・・
ちょっと日曜に投下が難しくなるかもです・・・そうなったらごめんなさい
>>205 十分許容範囲ですよー
というか自分、アンドロイド物書いてましたし
>>203 投下乙です!
オォゥ……なんでしょうか、この『世にも奇妙な物語』を見た後のような不思議な、気持ち悪い感覚は。色々と考えさせられました。
では、次回も(あったら)楽しみにしてますね!
>>204 悪役というか、敵役のバリエーションもかなり充実してきましたよね。拙作の敵役はアホばっかですがw
>>205 全然オーケー!
>>203 投下乙!ちょっとホラー入ってるのがイエスだね!
>>204 陰湿なのから熱いやつ、果ては俺の嫁まで幅広くうわ黒うさぎさんなにをするやめ
>>205 そう気張る必要は無いさ、もっと来い!
>>207 おkおk、全裸で待ってる
>>208 機械人形殺し「……。」
>>203 投下乙ですー
深い内容でしたね・・・。なんというか、言葉が思いつかないというかなんというか。
難しい内容でとても感銘を受けました。
>>204 今のところクール系というか暗い系しかいないw
まぁプロット上では終盤まで含めても敵で明るいキャラって出てこないけd(ry
>>204 >まぁ終末だから人がいないのは仕方ないね
偶然にも意味深な感じに……
>>205 なに、気にせずやってしまえばいい。やった後にするから“後”悔っていうんだぜ……!
>>206>>208>>209 ありがとうございます!
しかしふと気付いたんだけど、短編ネタも一作品と数えた場合、ロボスレで一番投下「作品」数が多いのって実は俺なんじゃないか……?
ありがとうです!
俺のSSってなんかこういう系統かギャグ・ネタかに二分されますね。
>>203 投下乙ですー、うーむ、この不気味というか独特の雰囲気…いいですね。
>>204 その悪役でスパロボ風戦闘前会話何か作っても面白いかもしれませんね。
特にオルトロックとか他作品の主人公になんと言って激昂させるか気になりますし
>>214 ありがとさん!
オルトロック「ところで、どこかに置いて来たのかい、君のむn」 ……誰に言ってるとは言わないが。
亀分含めて
そういやトリ付けて感想書くの始めてかも…
>>97 キャラのセリフ回しが丁寧だ、見習いたい(´;ω;‘)
導入の入れ方が非常に上手くて、うお、何が起こるんだろうと引き込まれます><
次回も楽しみにしてます
>>126 キャラ萌えがわからないなんて嘘だ><
俺よりずっとわかってるよ!
戦闘終了後のやりとりが凄く可愛いくて…
>>203 ありえそうな仮想未来なシュチエーション…定番ネタとは言え
ある意味、ロボットに負けるな人間なんだろうなぁー
というかこういうビターな考えよう系のシナリオ大好きですw
うおー!人がいねええええええええええええええ!!
休日は決まって人稲だけど、皆何してるんだろう
お久しぶりで御座います。
そして、明けましておめでとう御座います。
暇な時間を見繕ってゲーム三昧やってたら、捜索意欲がモリモリと沸いてきました。
自由度の高いゲームとか、ストーリーが最低限度のゲームって色々と妄想を掻き立てられて面白いですよね。
お陰様でGEARS完結後の作品の構想が形になりかけています。まだ完結していないのにねw
そして、いよいよAC5のご登場ですね。発売までにGEARS完結を目標に頑張りたい今日この頃です。
それでは、今年も宜しくお願い致します。
嗚呼、やりたいゲームが多過ぎるorz
みんなおにゃのことキャッキャウフフしてるんだよ!
しにたい
221 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/18(月) 00:02:56 ID:QCYXWXh+
>>218 そういう妄想は楽しいよね。ガンダムゲーのミッションモードとか妄想設定が楽しすぎるw
>>219 野郎とキャッキャウフフしてたよ!ゲーセンでな!
>>220 我が世の春がきたああああああああああああああ!!
つか遥さん、マジで女児用ですかw
ageちまった……これは罰として遥さんにパロスペシャルを極めてもらわざるを得ない!
二日もあったのに仮組みすら三分の一しか出来てないなんて・・・orz
宣言しといてホントすみません、今週中にどうにか・・・どうにか仕上げやす
一応内容としてはライオネルがド外道な悪役かを
ちょっと描写がえぐ過ぎないか心配
>>220 遥さんの生の太股スリスリしたいよぉっ!
>>220 なんかロダがひどく503エラーが出ると思ったら……!
きっとこの絵のせいだ、この絵じゃしょうがない
>>220 ( ゚∀゚)o彡゜ぱんつ!ぱんつ!
ついでに設定をようやく書き終えたのですが…こちらに投下してもいいんですかね?
いやはや眼福であった。つか、遥さんとスネイルさんはこのスレのぱんつ要員かw
あ、そういやぱんつうさぎもうわうさぎさんなにをするやめ
>>226 かまわん、投下せい!
ぎゃあああああぁぁぁぁぁーーーーーッ
何て物を見せやがるんだてめェェェェェーーーーーッ
ゴルゴムの仕業に違いない、許さん!
>>221-222 >つか遥さん、マジで女児用ですかw
ひとえに作者の趣味でs(ry
だって野暮ったいのって可愛いじゃないですか!
>パロスペシャル
残念、遥さんは私にストンピングを喰らわせる係だ。代わりにルガーさんにパロスペシャルを掛けられる権利をやろう。
>>223 大丈夫ですよー、いつまでも待ってますからw
>>224 おっと、まずは私かrうわ遥さんなにをするやめ
>>225 ぱんつの力は恐ろしいという事ですね!
>>226 どうぞ!
>>227 シロ「屋上」
>>228 後ろが禍々しく、そして神々し過ぎる……。なんでしょう、オルトロっ子はオルトロックの妹だという脳内設定が勝手に……。
>>229 あれれー? なんかクリスマスあたりに>
>>882って人から似たようなトラップ喰らったような気がするよー?
>>230 いや、乾巧ってやつのせいなんだ。
>>231 自殺だなんて、そんな……ご冥福をお祈り致します。
これでドズル中将やバスク大佐がライブラリ出演になってしまうのか……。
>>228 おいヤンデレwww
>>229 風呂上がりのおっさん……だと……!?なんというトラップ
そういえば、なんだかんだで登場人物の年齢層はきっちりバラけてるよね
>>230 いいや、ディケイドの仕業だ!
>>231 ひろみちゃん……ご冥福をお祈り致します
>>232 アッー!
>>220 ( ゚∀゚)o彡゜ぱんつ!ぱんつ!
>>228 ヤwンwデwレw自重しろオルトロックwww
デストラウが格好良すぎワロタwww
>>229 ちょwオサーン自重www
「りばい屋さん」店主は31か……
>>231 なんという……(´・ω・` )
安らかにお眠り下さい
>>233 むしろ全体だけで見るとおっさんのほうが多い……わけでもありませんね。少女機甲録とか鋼鐵の特攻兵ががかなりの人数稼いでますしw
そしてPBMにも地味に数だけは(男が)ちゃんといる事に気付く。
>>220 >>229 ヽ(゚∀゚)ノパンツだぁぁーー(?
>>231 ドズル中将・・・
まだ早いでしょう、57歳って・・・悲しすぎる。
お悔やみ申し上げます。
とりあえず廻セカDaZですが、今日の深夜にでも2話目を上げようかと思います。
まぁ、修正作業が終わればの話ですがw
終わらなかったら短編というか設定でも上げようかしら・・・
ようやく一息付けた…ついでに今まで出てきた用語の設定と解説をば。
↓
『時代設定』
現代に近い時代、ただし生命工学と軍事の分野のみが現代を越えて発達していた世界
『世界の状況』
ユーラシア、南アメリカ、南アフリカは一国残らず壊滅しており植物型巨大害獣世界樹≠フ苗床になっている。
生き残った人々は離島へと避難し、要塞都市を建造して引き籠もり、僅かな地下資源のみを頼りに生活している。
害獣の海水に触れる事を何故か嫌う特性のお陰で、イギリス、日本などの群島国家は無事。
しかし空母型害獣の大陸から連れてくる小型害獣による侵攻により徐々に追い立てられている状況。
アメリカとカナダはその強大な財力と資源に物を言わせ、強大な船団を造り上げ国土に死の灰を振りまいて離脱し
海上をあても無く彷徨っている。
オセアニアの国々も無傷で健在だが、難民に押し寄せられては困る為か完全鎖国中。
『ナノマシン』
生命工学の発達により誕生した超小型生体強化素子。
起動すると生体機能を劇的に引き上げるが、身体を必要以上に酷使する為、使いすぎると逆に肉体に致命的な損傷を与える。
雪兎がナノマシンを起動すると紅いラインが現れるのは、接種したナノマシンの型式が古い(いわばポンコツ)の為、そして低負荷低出力高持続
最新式のナノマシンは使用を気取られないため、起動しても外見の変化は起こらない。
大人は実用化された当時非常に高価だった代物の為か、接種していない割合のほうが多い。(量産方法が確立された現在でも十分高い)
この時代に生まれてくる子供には接種が完全に義務づけられている
『害獣』
人類の天敵、突如世界中の地下から湧き出す様に現れ、すさまじいまでの繁殖能力と急速に進化する特性により人類を絶滅寸前まで追いやった。
世界樹≠巣とし、人が住むあらゆる所に侵略をしかける。
人間以外の生き物は食事以外の名目で殺さないが、人間の場合は容赦無く肉片となるまで攻撃を続ける相容れる筈のない存在。
特定種を除いて海水を嫌う、緑色の血液、種類問わず全て卵生という特徴がある。
『ツガイ』
旧首都に棲み着いている幻獣型竜種に分類される一対の大型害獣。
一応害獣に分類されるが、他の害獣には見られない特徴として、高い知能を有し、赤い血液を流す。
人間の血肉を激しく嫌い、同族の肉を好んで食す異端の存在。
人智を越えた力を持ち、旧首都内には彼らを神と崇めるカルト宗教も存在する。
旧首都の人間とは共生の関係にある。
紅いのはツンデレ、蒼いのはクーデレ
『リニア』
全ての交通機関が破壊された為に新たに建造された、この時代ではごく普通な輸送プラットフォーム
重武装戦闘リニア、リニア搭載軌道兼用哨戒車両、貨物用快速リニアと様々な種類がある。
『グロウチウム』
カルマの躯を構成する成長金属
劣化しにくく、環境に合わせて成長するという金属と生物の長所を同時に併せ持った夢の金属。
当然非常に高価な代物で、100グラム単位で要塞都市を買い占められる程の値段が付く
>>235 どちらも百合とは、さすが自衛隊は格が違ったという事かw
最近見ないけど、どうしたんだろう
>>236 >>220はともかく、
>>229で喜ぶだと……!?
変態め、よくよく好きと見える
>今日の深夜にでも2話目を上げようかと思います
wktk。全裸で待ってるんだぜ
>>238 ダンディなお人大好きです^q^
だが尻は貸さないぜ・・・!
>>237 かなりヘビーな世界観だったのね……
>海上をあても無く彷徨っている
なんだか激しいロマンを感じるのは気のせいじゃないはず!
>>239 ならば私から尻を貸そう
仮組み出来たズラ・・・
ちゃんとした形にするので、早くて水曜日くらいには投下出来ると思います
しかし凄い力作ラッシュだ・・・
感想レスを付けたいのは山々ですが、ちょいと作品に集中したいので、それは自作投下時に
>>240 いいのかい?オレはノンケでもmおっと、誰か人が来たようだ。アグネスか。
んじゃ、るセカイ-Die andere Zukunft-2話、あげようと思います
KB大丈夫、改行制限頑張る。連投制限は食らったら風呂入って時間置いて続き上げる。
よし、完璧。オレに隙はなかった・・・。
オレ、2話を無事に上げたら遥姉に膝枕してもらうんだ・・・。
「ヤスっちは見知らぬ幼女を誘拐しようとしていたのだった…」
こちらに来たのは女の人が一人に男の人が二人。全員この男の人の友人のようだった。
「戻ってきたのかよ・・・。先行ってろって言ったじゃねぇか・・・」
男の人の方がガックリと項垂れる。
「甘いなヤスっち、そこに面白さを感じればすぐ駆け着く。それが私さ・・・」
ヤスっちと呼ばれた男の人に対して親指を立てる女の人。
「して安田俊明くん。この幼女は誰なんだ?」
「えーっと、だな」
思わず口ごもるさっきの男の人…安田俊明という名なのか。
「おっと何故口ごもるヤスっち…。まさか本当に幼女誘拐を…?」
「黙ってろ千尋。オレはただ、人間の良心に従って行動してただけだ」
泣いてる女の子がいたのでハンカチを渡した…という理由ではきっと恥ずかしいのだろう。そんな感じがする。
「えっと、私がですね」
「ストップだぜ幼女!…その前にだな」
やたらテンションが高いなこの女の人…。
「私たちは君の名前がわからない、君は私たちの名前がわからない…あとはわかるな?」
要するに自己紹介をしようと言うことか。
どうしようか。身分を偽ろうか・・・。一応戸籍は複数持ってるからその中の一つを・・・いや。
…今さら私の正体がバレたところで、どうでもいいか。どうせ終わるのだから。
「まぁ私から言うと、名前は守屋千尋。これでも高一さ」
さっきの女の人は守屋千尋という名前だったのか。活発な性格なんだろうな…やっぱり。
「オレの名前は安田俊明。まぁ、よろしくでいいのか?」
安田俊明。少し目付きが悪い男の人。でも見ず知らずの私に声をかけたってことは根は優しいのだろう…多分。
「俺の名前は椎名俊一。以上」
感情変化が少ないクールな人そうだ。イマイチ何を考えてるかは表情から読み取れそうにない。
「俺の名前は松尾亮也ね。よろしく。というかなんで自己紹介タイムに入ってるの?」
人懐っこそうな笑顔を浮かべて話し掛けてくる金髪の少年。他の人と比べると背が高いな。髪はきっと染めているのだろう。
「さて、君の出番だぜ…?」
千尋さんが松尾さんをスルーして期待に満ちた目で私を見る。
「私の名前はシュタムファータァ。端的に言うならば、この街を消しに来た人です」
淡々と、今までの空気を打破るように機械的に感情を込めないで言う。
場が一瞬にして鎮まる。みんなが私を怪訝な表情で見つめる。
「・・・・・・この街を消しに来たというのは、どういうことだ?」
言葉を失って絶句している中、椎名さんが冷静に口を開く。
「次に消えるのがこの揺籃…という意味です。私はそのためにここに来ました。所謂組織の人間というヤツです。ま、正確には人間ではないんですけど」
「ちょい待ちちょい待ち、シュタムファータァちゃんだっけ?君みたいな幼女が街を消しに来たってのはこれなんてエロゲ?くらいの摩訶不思議アドベンチャーなわけで…」
「・・・千尋、お前落ち着け」
驚くのは無理はない。いきなりこんな子供が荒唐無稽なことを言い出したら大半の人間はそれを冗談として受け取って笑うだろう。
「信じられませんか?」
「にわかには信じがたい話なのはたしかだな」
椎名さんはこちらを警戒するような瞳で見ている。本当に冷静な人だ。
「見せましょう証拠を。これが貴方たちの現実の理解を越えている事象だということを。私がリーゼンゲシュレヒトであるということを」
"セカイ"を体に循環させていく。ヒトが、ヒトでなくなるためのステップ。
体中の血液が沸騰していく感覚。……何年ぶりなのだろうか。この感覚は。
『現界せよ我が体、-罪深き始祖-シュタムファータァ』
その言葉を紡ぐと、私を白銀の光が包み込み、段々その光が肥大していく。
公園全体を覆い尽くす程になった瞬間光が消え…そこに現れたのは、羽根のように存在する12枚のプレートを纏った白銀の巨人だった。
「な、なんだ…!?」
四人とも驚愕の表情を浮かべる。目の前に突如“非現実的な事実”を見せ付けられたのだから当然だろう。
「これで信じますか?」
「…こいつは、想像すら出来なかった」
さっきまで冷静な表情を崩さなかった椎名さんが、驚愕な表情を浮かべている。
「やっべぇ…すげぇ、スーパーロボットだーっ!」
きゃっほー、と嬌声をあげながら私の膝元にへばり付く千尋さん。
「……へ?」
「……守屋は、こういう女の子だ」
椎名さんが呆れたように言うが、顔は笑っているようにも見えた。
「お、俺も触っていいか!?」
松尾さんが私の返事を待たずにもう片方の足にへばり付く。
「やべぇ…サイズSの地Aか…?リアルロボットかも知れない…」
ブツブツ私の足元で楽しそうに喋り出す千尋さん。
「えっと、とりあえず元の姿に戻りますよ…?」
えーっ、と言われたが問答無用で元の人の姿に戻る。
「シュタムファータァ」
安田俊明…ヤスっちさんが私の前に出てくる。
「ま、あんま気にすることでもないだろ」
あっけらかんと、彼は答えた。
「いやそりゃ揺籃は消されたくないけど。なんつーか、オレ等はお前みたいな子供が消すって言われても、な」
「それでも、それでも!揺籃は私が消さなければいけません・・・!」
「わかってる。けど、信じられねぇんだ。まぁ、非常識な存在だってのはわかったけどな」
まさか、そんなことを言われるとは思わなかった。恨まれて、責められて、非難されて当然だと思っていた。
だが、この人たちはそれをしなかった。私みたいな女の子が、と。信じようとしなかった。
だからリーゼ化した。非常識の証拠を見せた。そのはずなのに・・・。
何故なのか…私には理由がよく理解出来なかった。
「うわ、もうこんな時間!私もう病院行かないと面会時間が!」
千尋さんが思い出したかのように慌てはじめる。
「っと、忘れてた・・・。どうする?お前も付いてくるか?」
差し伸ばされた手。私は、その手を取った。
この人たちが私を非難しない理由を知りたかったからだ。それを知るまで、この人たちに付いていってみよう。
そう、私は思った。
徒歩で二十分くらいだろうか。病院に私たちはたどり着いていた。
みんな自転車だったが、私に気を利かせてくれたのか自転車を押して移動していた。
病院の外観はとにかくデカい。聞いた話ではもともと本州にあった超デカい国立病院の副院長が独立し、揺籃に来たらしい。
設備も最新だし人員も完備されている。揺籃みたいな離島には不釣り合い…とはさすがに言い過ぎか。
「病室覚えてんのか?」
「愚問だね」
みんなを先導するように、この広い病院内を迷うことなくスムーズに入院棟までたどり着いた。
「302…伊崎千春。ここであってるな」
「いやっほーい、ちっはるー!お姉ちゃんが遊びに来たぞーっ」
ヤスっちさんがドアのプレートを確認してるときにはもうドアを開け放って入っていた。
「千尋、お前もう少し静かに入ってこれないのか」
病室のベッドには誰もいなく、変わりにパイプ椅子に座る長身の男性が一人。
「むむ、伊崎孝一…千春を何処に隠した…?」
「見慣れないお客様がいるな。どちら様だい?」
千尋さんの発現を華麗にスルーしてこちらに優しげに問い掛ける伊崎さん。
「シュタムファータァ、です」
「シュタムファータァ…ドイツ語で始祖か。素敵な名前だな」
キザな台詞だったが、この人が言うと何故か嫌な気はしなかったが。
私はあんまり始祖という言葉が好きではないので、素直には喜べなかった。
「伊崎…お前、すごいな。オレなんてただ外人ってぐらいにしか」
すると伊崎さんは呆れたように口を開く。
「あのなぁ俊明。オレはこの病院の院長…伊崎尚仁の息子であり、医者の卵でもある。医療に関わる者にとってドイツ語は英語より馴染み深い言葉だぞ?そのくらいわかって当然だ」
「あ、そう」
「で、真面目に千春は何処?」
ヤスっちさんと伊崎さんの間に身を乗り出すようにして聞いてくる千尋さん。
「実を言うとオレも今来たばかりで知らないんだな。まぁ、病院内にいるのはたしかだ。すぐに帰ってくるだろうよ」
伊崎さんは軽く笑いながらそう言った。
「どうする千尋?探しに行くのか?」
すると千尋さんは少し考える素振りを見せるが、すぐにまた明るい表情を見せた。
「んじゃあ、お姉ちゃんは探しに行くとしますわい。みんなはどうする?」
「私は、付いていっていいですか?」
「オッケオッケ、紫蘇ちゃんは私と一緒ね〜」
カラカラと笑いながら二つ返事で了承する千尋さん。……いや、待て。…始祖ちゃん?
「始祖ちゃんって…私のことですか…?」
「NoNo紫蘇ちゃん。イントネーションが違うな、始祖ちゃんしなくて紫蘇ちゃんなのが個人的にミソなんだぜ」
親指を立て拳をこちらに向ける千尋さん。始祖じゃなくて、紫蘇…?
「それ、あだ名として女の子っぽくないだろ」
「ヤスっち黙れッ!」
ヤスっちさんが突っ込んだ瞬間に千尋さんの鉄拳がヤスっちさんの顔面にめり込み、体が床に沈む。
「またつまらぬ者を斬ってしまった…」
「…いや、お前殴っただろ」
ヤスっちさんが起き上がりながら突っ込みを入れる。そしてヤスっちさんの言葉を完全にスルーし、他の人たちに付いていくかを聞いていく千尋さん。
結局、私と千尋さんとヤスっちさんが千春さんを探しに行くことになった。
……ちなみに紫蘇ちゃんというあだ名はシュタムファータァが言いにくいからとのこと。私としては“始祖”が嫌いなだけだから“紫蘇”は構わなかった。
たいした違いではないかもしれないが、私にとっては重要だった。
三人で病室を連れ立って出る。
「で、どこから探すんだ?」
ヤスっちさんがそう言うと、千尋さんは自信満々な顔で笑いながら口を開いた。
「実はね、千春の場所はもうわかってるのだよ、ワトソンくん」
「誰がワトソンだ。というより、わかってるなら何で言わなかった」
「行ってみればわかるさ、ワトソンくん」
ニヤニヤしながら千尋さんは先導しながら、上へと向かっていく。
そして千尋さんは屋上と書かれたプレートの扉の前で止まる。
「…喋らないで、ゆっくり入ってね」
「…ゆっくり入っていってね!…」
ヤスっちさんの声で小さくそんなような声が聞こえた気がしたが、扉の蝶番の金音で確証は得られなかった。
ドアがゆっくりと開いた、そこには。
------病院の屋上。
------茜色に染まった空の下。
------祈るように歌う、影、ひとつ。
Freude schoener Goetter funken,
Tochter aus Elysim
Wir betreten feuertruken,
Himmlische,dein Heiligtum
Deine Zauber binden wieder,
was die Mode streng getelit,
alle Menschen werden Brueder,
wo dein sanfter Fluegel weilt.
alle Menschen werden Brueder.....
「-----歓喜よ、美しい神の閃光よ、
楽園からの娘よ、
我等は情熱に満ち、
天国に、汝の聖殿に踏み入ろう。
汝の神秘な力は、引き離されたものを再び結び付け、
汝のやさしい翼のとどまるところ、
人々はみな兄弟となる------」
茜色の世界に響き渡った澄んだ声。
交響曲第九番、第四楽章。
千尋さんと同じ栗色の髪を靡かせ、まるで私たちがいたのを知っていたかのように、自然に、美しく彼女は振り向いた。
「歌は、いいね」
そう、どこか悲しそうな、遠くを想う表情で彼女は微笑んでいた。
「や、第九の後にそのセリフはマズいでしょ」
千尋さんがカラカラと笑いながら突っ込む。
「無問題〜無問題〜」
無邪気な笑顔で答える千春さん。小柄な身長と合わさって、まるで妖精のようだった。
「あなたは、だれ?」
千春さんが私の方を興味津津な瞳で見つめる。
「この子はねー、紫蘇ちゃんって言うんだよーっ」
「うわきゃっ」
千尋さんがそう答えながら私に飛び付いてくる。それを見て千春さんは朗らかに笑った。
「紫蘇ちゃんね〜。よろしくね〜」
千尋さんに抱き付かれて困惑してる私に対して手を伸ばす。
「うわぁ、駄目駄目〜、千春無理しちゃ駄目っ」
千尋さんが慌てて私から離れて千春さんに近付く。
「大丈夫なのに〜、そのくらい」
「万が一があるでしょ、もう」
不思議そうに見ている私の隣りにヤスっちさんが立つ。
「千春な、腹の中に子供がいてな。もうすぐ生まれるそうだから、千尋も心配で仕方ないんだろうよ」
「…そうだったんですか」
言われてみれば千尋さんのお腹は不自然に大きい。
何故こんな若い年齢で?という疑問が湧いたが口に出さなかった。
何か、私には想像もつかない理由があるのだろう。詮索は、する気になれなかった。
「ほらほら、病室で愛しの伊崎孝一が待ってるんだから、行くよっ」
「えへへ、うん、そうだね。行こうか〜」
嬉しそうにな顔の千春さんを連れて、千尋さんと千春さんは屋上を後にした。
「………」
「ヤスっちさん、屋上に来てからひたすら空気でしたね」
「言うな。空気を読んだだけだ」
心なしか声を落としたヤスっちさんと共に、千尋さんの後を追うように屋上を出た。
私たちが病室に着くと、千春さんはベッドで体を起こしていた。
「おかえり、二人とも」
ベッドの上から私たちに笑いかける千春さんは、屋上にいた時よりは嬉しそうだった。伊崎さんがいるからだろうか。
「安田も来たことだし、オレはそろそろお暇する」
椎名さんがバッグを担ぎ直す。
「お、じゃあオレも帰るわ。じゃあね、千春ちゃん」
「はいはーい、来てくれてありがとね〜、椎名くん、松尾くん」
松尾さんも同じくバッグを担ぎ直す。
「安田、お前はどうする?」
「そうだな…、千尋はどうするんだ?」
千尋さんは少し考える素振りを見せ、床に置いてあったバッグを拾い、担ぎ直した。
「んじゃ、私も今日帰るわ。ここで解散だね。じゃね、千春。また日曜日にゆっくり話そ」
「うん、みんなまたね〜」
手を振りながら朗らかに笑う千春さんを尻目に、私たちは病室を出た。
病室を出て少し歩いた時、椎名さんがふと足を止め、口を開いた。
「紫蘇…少し、付き合ってくれないか」
そう言った椎名さんの瞳は、真摯で、厳しかった。
だが同時に、こうなるんだという確信はどこか心の中であったのかもしれない。
「椎名、お前…」
「…聞いておくべきことがあるだろう」
椎名さんがそう言うと、誰もが口をつぐんだ。
「…ここじゃなんですから、屋上で話しましょうか」
5人で屋上に向かう。その間は、誰も喋ることはなかった。
私が先導し、本日二回目となる屋上の扉を開ける。
夕焼け空は消えかけ、夜の黒い空が覆い尽くそうとしている。
「…単刀直入に聞く。お前は、オレの…、揺籃の敵となるのか?」
椎名さんがこちらを真直ぐな瞳でい抜く。私の甘さを、打ち消すかのように。
「私は…、ヤスっちさん達の敵にはなりたくない。でも、これは議会で決まったことですから、逆らうのは難しいでしょうね」
不思議と、感情を乱さず淡々と言えた。まだ会ってから一日も経ってない私に、親切にしてくれた人たちを裏切ると言ってもいいかもしれない行為だというのに。
「…議会? 世界を消しているのは、何か組織がやっていることだと?」
「ええ。私たち人外なるリーゼンゲシュレヒトの組織…“世界の意志”が行っています。」
「非現実的だな。だが、都市が消えてるっていう非現実が今現在ある以上、信じざるを得ないか」
非現実的…か。生まれた瞬間からリーゼンゲシュレヒトである自分には、最初から突き付けられた現実だった。
ヒトにとっては、非現実的なのだろう。
だが、現実と理解したところで何をしたとしても無駄だ。個人の意志など、世界の意志の前では所詮捩じ伏せられる。
それが、現実だ。
「紫蘇ちゃん」
千尋さんが、一歩踏み出した。
「そう難しく考える必要はないんだぜ?シンプルに考えるんだ」
そう言って千尋さんは私の前に立ち、目線を合わすように軽く屈み、優しい瞳で私を見る。
「納得いかないなら、逆らっていいんだよ。……逃げるのも大事だぜ」
そしてふと気付いたように顔を真っ赤にし、私に背を向けながら何かを小声で呟いた。
「逆らう、ですか…」
今まで、考えたことはなかった。今まで不満や納得いかないことはあったが、全て、逃げてきた。
……私が…逆らう……?
(……やめよう)
エーヴィヒカイトの顔が頭に浮かぶ。派閥は違えど彼も同じ組織。今まで散々世話になり、甘えてきた彼を裏切るような真似だけはしたくなかった。
「まぁ、最終的な結論を出すのは自分自身だろ」
そう言ってヤスっちさんが私の頭に手を置く。
手の暖かさは、彼と同じだった。
「そういえば紫蘇ちゃん、家は?」
「今日こっちに着いたので、ホテルにはチェックインしてないですね」
…気分的にそんなことを考える余裕が無かったというのが本当の理由だが。
「ホテル暮らしなんて紫蘇ちゃんみたいな子がやっちゃいけないぜ…よし、私の家に泊まっていきな。部屋も余ってるからさ」
胸を張って千尋さんがそう言う。……厚意は嬉しいのだが、年下扱いが微妙に癪なのは言わないでおいた。
「千尋、今日はなんか気前いいな」
「私はいつも気前がいいのさっ」
そう言ってヤスっちさんの背中を叩き、屋上の出口の扉に手をかける千尋さん。
「椎名さんも、もう良いよね?」
すると椎名さんは私を見て、軽く微笑んで「ああ」と呟いた。
「じゃあ、皆さん帰りましょっ」
千尋さんの号令と共に、千尋さんたちは病院の屋上を後にした。
「………」
「松尾さん、屋上に来てからひたすら空気でしたね」
「言っちゃ駄目。空気を読んだだけなの」
心なしか声を落とした松尾さんと共に、千尋さんの後を追うように屋上を出た。
病院からの帰り道。商店街で松尾さんたちと別れて、そこから千尋さん家までは一直線とのこと。伊崎さんは、まだ千春さんに付いているらしかった。
何も違和感なく、帰路を歩く二人。何年も同じのように、とても自然だった。
いつもなら、私一人。
でも今日は三人。
私と、ヤスっちさんと千尋さん。
気分が浮ついてなかなか落ち着かない。
落ち着かないのは千尋さんも同じみたいで、さっきヤスっちさんにトイレの心配をされていた。
…デリカシーに欠けていたようで、その後すぐに千尋さんはヤスっちさんを殴り、ヒゲを引き抜いていたが。
「…くそ、まだ痛い」
顎を擦りながら呟くヤスっちさん。…自業自得のような気がしないでもない。
「ヤスっちが悪いから、当然の結果だぜ」
「…まぁ、色々あったからショックを受けたってのはあるかもしれないけどよ」
…そうだ。この人たち。温かい人たちの日常を壊すのは、壊したのは、自分だ。
「……ごめんなさい」
「いやいやー、紫蘇ちゃんが気にすることじゃないぜーっ」
私を抱き締める千尋さん。そのまま頭をガシガシと撫でられる。
……どうして、この人たちは優しいんだろうか。
ナハトじゃないが、ヒトという生き物は“非常識”を嫌い、迫害する生き物だ。
他人は他人。友人や知人以外には必要以上に干渉しない生き物だ。
勿論そんな人たちばかりではないが、ここまで親切な人たちはそうはいないだろう。
幸運だったのは、私が落ち込んでいるときに出会えたことか。
「じゃあね、ヤスっち」
「おう…また明日」
ヤスっちさんと別れ、石段を登っていく。
……守屋神社、か。
「(最初に守屋と聞いたとき、気付かなかったのは私のミスですね…)」
気分が優れなかったとはいえ、迂闊だった。
まあ…たいした問題ではないか。
「たっだいまーっ」
本殿の裏手にある居住区…本宅の扉を開いて中に入る千尋さん。
「おうおかえり、我が娘…よ…」
扉の向こうにいた千尋のお父さんが、私と目が合い、瞳を一瞬細める。
……この人が、今の“守屋”の当主か。
力はないようだけど…途絶えたのか?もしくはただの人間が婿養子として入ったか…。
「ああ、お父さん、この子はね!」
「いや、何も言うな我が娘よ。私はそこまで理解のない父親ではない…!その娘を泊めろと言うのだろう!?大・歓・迎SA!」
視線を柔らかくし、高々と叫ぶ千尋さんのお父さん。
…多分、私がリーゼンゲシュレヒトだというのは看破されただろう。
感知能力はあるのか。まぁ、今は認識阻害を使ってないし、カンの良い人間なら違和感を感じるだろうし、なにより“守屋”の人間ならわかってもおかしくないか。
「…お世話になります」
「紫蘇ちゃん、私の部屋行こうぜっ」
千尋さんのお父さんに一礼してる私の手を掴み、二階の千尋さんの部屋に連れていかれる。
「あと少しで晩飯だから、もうちょと待っててね」
私は渡された座布団に座り、千尋さんが制服から私服に着替える。
「紫蘇ちゃんが泊まる部屋は私の真ん前だぜっ、見に行くかい?」
「後でいいですよ〜」
その後、美味しい晩ご飯を戴き、客間を使わせて私は深い眠りについた。
…千尋さんのお父さん、孝明さんからは、特に何も聞かれたりはしなかった。
そして床に着くとき、私はたまらない、理由の知れない不安に襲われて仕方がなかった。
及ばずながら支援します
遅かったか……!?
これで残りを投下する分の支援はかせげたはず!
まだ必要なら付き合いますぜ!
……寝落ちしなければ。
「………」
……六月ももう少し
で終わる。それを過ぎれば七月下旬から夏休み。
それまで特に何も無い、“安田俊明”としての退屈な日常が続くんだと思っていた。
それが突然これだ。
「-------いつまで続くかはわからないとは言ったがな」
正確には『心の中で』を追加すべきだが。
まぁ、とにかくアレだ。世の中ってのは不思議と無秩序で溢れてる。
たかが小市民数人の日常がぶっ壊れたところで、廻るセカイを止められるわけでもない。
……まぁ、島ひとつ消えるとあったら話は別にだが、それでも一時話題になるだけ。半世紀もすればそんな話題は風化する。
窓のカーテンを閉め電気を消し、ベッドに横になり、ふとある疑問が浮かんだ。
そもそも半世紀も持つのだろうか?このセカイは……。
さしたる変化のない“日常”
それは意外に脆くて、繊細だ。
だから大切にしなきゃいけない。
それを忘れたからって、どうにかなるわけじゃない。
今考えると、始まりは本当にどうでもいい事からだった。
いや、『どうでもよかった』
そう、過去形。
今は…違うから。
日常が壊れるのは、唐突なケースが多い。
きっかけは大なり小なり様々でも、一瞬でそれは崩れる。
そして現われるのは“非日常”。
だけど、それもいつかは“日常”になる。“慣れ”てしまう。
結局、“日常”なんてものはいつもすぐそこにあるんだ。
そう……ただ、気が付かないだけで。
■廻るセカイ-Die andere Zukunft- Episode2
1/11
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>>245 4/11>246 5/11
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>>248 7/11
>>249 8/11
>>250 9/11
>>251 10/11
>>282 11/11
>>283 >>252-281 >>283 さん
ありがとうございましたヽ(゚∀゚)ノ
まさかこんな時間に支援してもらえるとは思わず、自分風呂に行ってました・・・申し訳ないです;;
>>241 続きが気になりますw水曜日を楽しみに待ってますw
ですがお体に無理はしないでくださいね><
なんとかEpisode2、上げ終えました・・・(´・ω・`)
前回よりは若干スムーズに上げられた気がしましたが・・・まだまだですねw
だが遥姉の膝枕は 私 の 物 だ
×4/11>246 ○4/11
>>246 (#゚Д゚)最後にウッカリミス・・・・
都道府県ロボバトルの未来世界のもかいてみた
青い空、蒼い海
〜アライド領内旧ニューギニア海域〜
ピコーン、ピコーンというソナー音、スクリューが作る泡。
この時代の公用語でshinouと印された白い船体が、
まだ蒼さを保った深度の海中をゆっくり航行してゆく。
前時代の航空母艦。その地位を受け継いだ潜水空母。
護衛艦すら持たない単独航行。
それはこの艦がアライドという軍属でありながら戦争とは全く趣を異にする任を与えられていることを意味していた。
白い巨大空母が「遊泳」する静の世界、海中。
その上では全く正反対である動の世界が繰り広がれていた。
「くたばれ虫野郎!」
アライドの制式機動戦闘機、TRF-15クーガーが海面すれすれの背面飛行で上空目掛け射撃する。
光速で放たれるレールガンの弾道に巨大な「蜂」がグロテスクな破裂音と共に体液を散らし爆ぜる。
「まだだ!そっちに行ったぞ!」
残る3匹の蜂に他の各機も応戦する。
M3マシンガンの銃声と、蜂が発するドスの効いた低い振動音が交錯する。
と、後退しながら応戦する編隊から孤立した機に一匹の蜂が接近した。
「しま・・・」
孤立機のコックピット、そのコックピットではおおよそその場所に似つかわしくない少女が正面上の蜂に照準を合わせていた。
「ロックオン。正面上。」
斉射される左腕部に据え付けられた接近戦用バルカン。
「どうして、何で死なないのよ・・・?」
彼女が張った弾幕は、確かに蜂の巨大なゴーグルのような眼に命中した。
しかし被弾した蜂の複眼は無数のスペアに機能を変換することで全く衰えないままの速度で、少女が駆るクーガーに6本の鉄骨のような足で組み付いた。
「ああああああああああああ!!!!」
衝撃に大きく体を背もたれに打ち付けむせる少女。
「フェルミィ!!」
猫のようなレドーム状の耳を生やしたクーガー。
その頭を蜂の顎がガッツリと咥え、一思いにバリバリと噛み砕く。
カメラパーツを太陽光に反射させながらクーガーの頭が粉々に砕け散る。
コックピット内の光は消え、その閉鎖された空間はコンソールが発する赤青緑の微弱な光が点滅する。
「フェルミィ!!」
「何これ、嘘!?」
メインモニターが潰され暗転したコックピット。
フェルミィと呼ばれた少女は恐怖のあまりレバーをガチャガチャに動かしながら叫ぶ。
蜂の発する耳鳴りのような鳴き声が彼女を冷静沈着な彼女をの正気をかき乱す。
「嫌、嫌あああああああああああ!!!!!」
その視力を失いしゃにむに暴れるクーガーに組み付いたまま、蜂は上体を器用に回転させながら敵の「急所」をまさぐる。
そのぷっくり膨らんだ尻の先端からは濡れそぼった蜂の巨大な針、鋼鉄すら貫通する蜂最大の武器が度々剥き出しになった。
蜂は羽根をはためかせ獲物を捕えたまま、焦らすように乱雑に揺り動かしながら弄ぶ。
コックピットを探しているのだ。
「いやああああああああああああああ!!!!」
ヒステリックに泣き叫ぶフェルミィの、美しいサテンブロンドの髪がもみくちゃになる。
ミサイル、マシンガン、バルカン。
搭載されたありとあらゆる兵器が、体に取りついた蜂を振り放そうと放たれる。
が、その弾は、どれも自機にぴったりと組みついた蜂には当たらず、見当違いな晴天目掛けて虚しく斉射されるのみであった。
「待ってろ今助けてやる!!」
巨大蜂にから逃れようとしゃにむに暴れる僚機の姿と、通信越しに聞こえる正気を失ったフェルミィの悲鳴。
その断末魔とも言える執拗な絶叫に耐え切れなくなった一機が交戦中であるにもかかわらず加速する。
「トリガー7、後に付かれてるぞ!!」
「わかってます!!引き離してフェルミィも助ける!!」
「カイト!!」
隊長機の怒声に呼応するかのようにブースターの青い炎を全開に追撃をかける三番機。
「間に合えええええ!!!!」
Gの衝撃に操縦桿を握り締め歯を食いしばるパイロットの少年。
ロックオンと同時に放たれたニードルミサイルがフェルミィに取りついた蜂に撃ち込まれた。
比較的装甲の薄い蜂の尾部に槍状の弾頭を撃ち込まれても尚、全く動じない昆虫特有の強靭な生命力。
だが、しかし・・・
「「マーク! 二次ロック完了。バースト!」
彼の人差し指で再び引かれたミサイルのトリガー。
その瞬間蜂の尾部はブチャブチャという破裂音を撒き散らして体液を撒き散らしながら内部から爆散した。
残った上半身がフェルミィから離れ海面に墜ちていく。
「ふぅ・・・間に合った・・・」
至近距離で爆散して蜂の体液まみれになったクーガーを保護したカイトは、海面に没した蜂を見届けるとため息混じりに呟いた。
「よくやったカイト」
カイトを追っていた最後の蜂を撃墜した隊長機がカイト機の横に静止した。
「ありがとうございます。」
フェルミィ機を抱き抱えながらカイトのクーガーは頭(こうべ)をあげた。
「だがしかし、もうそんな無茶はやめろ。その戦い方がいつか君を殺す。いいな?」
「はい!」
ハキハキと返事をする新米パイロットに一抹の危うさを覚えながらも、優しく労いの言葉をかける隊長。
その横のモニターにはもう一人の彼の部隊の新人パイロット、フェルミリカ・アンジェ少尉の寝顔も写されていた。
気は失ってはいるが大事にはいたっていないようだ。
「フェルミィが無事だったんだ。まあよしとするさ。」
「アルヴィン隊長!」
一機の機影がしぶきをあげて海上から上がってきた。
この戦闘を蜂が立ち入れない安全な海面下から終始観測し、データ収集を行っていた特殊兵装のTRF-16シルヴァーフォックス、この戦闘機部隊に属する一機であった。
「ナインテール。、ボルヒェルドか。どうした?」
フェルミィ機を回収したアルヴィンは長年信頼を置いてきた副官の慌てた様子にすぐに気付いた。
「深櫻から緊急通信です。ディープ・ハウンズがまた現れたようです。」
「わかった。ジル達に牽制させるよう伝えろ。フェルミィ機収容後我が小隊もすぐに向かうと。」
「了解!」
そして負傷機を抱えた3機のTRF(トリニティ・ロール・ファイター)は海中にダイブした。
「トリガー2から通信よ」
水色のパイロットスーツのジッパーを胸下まで下ろし、気だるげに吸い上げたドリンクのストローを離す。
「舞葉。どうせ、わかってるんだからね。」
ポニーテールに束ねたオレンジ色の髪を、パイロットスーツと同じ水色のヘルメットが覆う。
「ジル・フィッツジェラルド大尉以下、第二小隊は深櫻発艦のち、ディープ・ハウンズの妨害行為から深櫻を守りつつ対象を牽制。ただし」
「発砲は許可できない。でしょ?」
ドリンクを固定具に戻しパイロットスーツのジッパーをあげるジル。
「もう、先に言わないでください!」
ブリッジモニターに映る管制官の少女が不機嫌そうに頬を膨らませる。
「だってこれでもう何回目よ?、はあ・・・」
そう言ってジルがだるそうにコックピット上、横一列に並ぶスイッチレバーを次々に倒す。
と、先程までこの狭いコックピット内に流れていた洋楽が止み、モニター領域が一気に広まり彼女のTRFが起動する。
目の前に広がるのは待機していた深櫻の格納庫。艦載機一機ごとに設けられた小部屋状のハンガー。
「まあいいわ、早く降ろして。」
「了解しました。ハッチ解放します。」
前方の巨大な対水圧扉がゆっくり上下にスライドしていく。
どっと押し寄せた海水がハンガー内に流れ込み、駐機中の彼女の乗機TRF-14ボブキャットを膝下まで浸らせる。
ハンガーに押し寄せる水位は尚も増し、彼女の愛機を水槽のように海水で完全に満たした。
「さて、行きますか。」
踏ん張るようにかすかに力んだボブキャット。
ジルは確かめるようにもう片方のレバーを今一度しっかり握り締め、ゆっくり押し倒すと、
泡を吐きながら愛機がゆっくり歩き出す。
その先の海水に満たされた区画には、対水圧潜水服を着込んだクルーが電光灯を肩の上で振りながら、
他のボブキャットをカタパルトまで誘導している姿が見えた。
その先には光誘導のラインが照らす薄暗い中深度の海中が広がっている。
「つまらない牽制ごっこがまたはじまるのね。」
ジルは下で自機を誘導するクルーに従いカタパルトに歩を進める。
「カタパルト固定完了しました。発艦後は速やかにトリガー9、トリガー6と編隊を形成し指定ポイントまでの急行を願います。」
舞葉の表情はさっきとは打って変わった真剣なものになっていた。
「了解してるわ、トリガー7、ジル・フィッツジェラルド機、発艦します。」
足元から離れた誘導員が据え付けられた手すりにしがみつくと、
ゴポゴポと泡が渦巻きジルのボブキャットが蒼い闇の中へ飛び出していった。
深度100メートルの海中を突き進む三機のTRF(トリニティ・ロール・ファイター)
機動接近戦に長けたボブキャット2機。
その後ろを追従する灰色の一回り小さな機体は軽量支援機TRYF-35ジャガランディである。
「フィッツジェラルド機より2小隊各機。我が隊は編隊を維持しつつ対象へ接近する。」
「了解。」
大変動以後の地上を支配する巨大な甲殻スズメバチ「バリアント」
この南極の地下深くから目覚め瞬く間に生存圏を広げたこの怪物との実戦データの為に編成されたのが、
深櫻所属実験戦闘隊「トリガー隊」なのだが、
ジルを小隊長とする彼ら第二小隊が今接敵しようとしている者は恐るべき殺人蜂ではなかった。
「何で私達があんなハエみたいな奴らの見張りをしなきゃならないのかしら。」
『ディープハウンズ接近、リカオン、6機です』
舞葉から送られてきた鮮明な敵機映像には黒と黄色のTRFが映り込んでいた。
「リカオン?ユニオンの最新鋭機かよ」
ジル機の後を追従するジャガランディのパイロット、エミリオ・カレン少尉が舌打ちする。
「黙っててエミリオ。」
ジルは不機嫌そうに眉をしかめるとオープン回線のスイッチを押し込んだ。
「前方より接近するリカオン各機に告ぐ。本部隊はアライド所属深櫻実験戦闘隊。
本部隊は現在上空でバリアントの調査戦闘中である。ただちに反転し本海域から離脱されたし。」
ある程度距離が迫ったジル達三機と相手のリカオン部隊は互いを正面に捉えたまま孤を描いて遊泳する。
「聞こえてないの!?」
「連中わかっててやってるんですよ。」
苛立ちを隠しきれずに声を荒げるジルとは対照的にユーリは冷静だった。
自然回帰主義を掲げる私設武装勢力「ディープ・ハウンズ」
地上は人類だけのものではない。
行き過ぎた環境汚染が大変動を促し、結果人類は地上を失った。
かつて太古の地球で清浄な繁栄を築いたというバリアント。
そのバリアントによる原初の秩序への回帰を謳う彼らは、海底から地上への人類種の帰還をめざすアライドを敵視し、幾度もの妨害活動を行ってきた。
「繰り返す。ただちに・・・きゃあっ!!」
衝撃に思わず悲鳴をあげるジル。
リカオンは正面に据えたジル機目掛けて何の躊躇いもなく魚雷を撃ち込む。
「大丈夫かジル!!なろうッ!!」
エミリオのジャガランディが振動刀を構えジル機の前に出る。
「撃ってきたのはあちらだ。こちらも応戦できる!!」
超長距離から両者の邂逅を観測していたボルヒェルトが叫んだ。
「その為にナインテールを連れてきたのさ!」
フェルミィを連れ帰ったアルヴィンとカイトのクーガーが上天から現れた。
「隊長!!」
「よくこらえたなジル。」
「ハウンズの愚行、この超長距離からもしっかり記録できました。
これでもう統治評議連に文句は言われない。」
ボルヒェルトが声を弾ませながら言う。
「これで戦力差は5対6、ほぼ五分です。貫樹舞葉管制官!」
ユーリ機も腰にマウントされたニードルガンを手に取る。
舞葉が傍らの管制官に確認をとる。
『ナインテールからの映像受信完了です。各機応戦してください。』
戦略支援実験機ナインテール。
アライドが有するカサンドラ級イージス潜とも遜色ない広域レーダーを搭載するこの電子支援機が、
今まで喉から手が出るほど欲しかった不明瞭な先制攻撃の証拠を押さえることに成功したのだ。
「各機交戦7を許可する!!」
アルヴィンと彼の駆るクーガーの咆哮を皮切りに、深櫻艦載機部隊による苛烈な正当防衛が始まった。
ふぅ・・・
テキストってデータにしてうpした方がいいんかな
みんな普通に原文うpしてるけど
テスト
どうにか解除されたみたいです……
多分今日の夜には上げられると思いますー。感想もその時に
とあるネトゲのオープンβに参加した時に、このスレのキャラの名前を使わせてもらおうと思ったんだ。
【オルトロック】は既に使われています。
軽く吹いたよw
DaZととどせん、まとめて投下乙です!
>>285 なんでしょう、こう改めて読んでると、自分も書き直したくなってくる……でも今はやらなきゃいけない事があるんだ!
それにしても、展開を知ってる場合はどう感想書いたらいいのか悩みますねw
>遥姉の膝枕は 私 の 物 だ
ただし百万歩譲って神守のほうのハル姉ぇだ。一条 遥は私のものだ、私だけのうわ遥さん達なにをするやめ
>>291 おや、どうやら今回は都道府県ロボバトルから離れたお話みたいですね。殺人蜂のせいで海底で生活せざるを得なくなった人類ってのはけっこうツボにきましたw
>都道府県ロボバトルの未来世界のも
とどせんの未来の話なのか、それともただのタイプミスか……。
>テキストってデータにしてうpした方がいいんかな
好きなほう選べばいいんじゃないんでしょうか! 時にとどせん氏は酉付けないんで?
>>293 うわっはぁ! 楽しみに待ってます!
>>294 なん……だと……!?
纏めて投下乙!
>>285 さすがPBM氏原作なだけあって、ロリータ大活躍だな!
ちっひーがリュウセイ化しているwwwしかし紫蘇とは( ´∀`)なんと聞こえのいいあだ名かーー!
>>291 侵略者ktkr!つかこれタイトル無かったらとどせんだと気付かないぞw
あれだよね、背面飛行って痺れるよね
>>294 結局このスレのキャラの名前を使ったのかが非常に気になるわけだがw
もうすぐ終わりそうです……
12時回った頃に投下します
298 :
TロG ◆n41r8f8dTs :2010/01/20(水) 00:07:24 ID:Y+xTDtUM
でけた……一先ず投下します
各感想はその後に……
支援します!
――――リヒトと子供達の姿が廃工場から立ち去って数時間後。すっかり日が暮れ、淡い月明かりが、無感情に廃工場内を照らしている。
目の奥で閃光が走る。まるで二日酔いの朝の様な強烈な頭痛。どうにか歯を食いしばりながら、グスタフは起き上がった。
相当な時間、気絶していたようだ。記憶が飛んでいる。しかし頭痛が引いてくると共に、おぼろげに記憶が蘇ってくる。
そうだ……リヒト、リヒトエンフィールドという名の男だ。
大事な取引を身分を騙ってふいにした挙句、「商品」――――子供達を根こそぎ奪った憎き男。
それもだ、確かヘ―シェンというオートマタを使い、野良オートマタを一機残らず倒してしまった。そうだ、一機残らずだ。
記憶が鮮明に、かつ明確になっていく内、グスタフの胃の中でムカムカしたモノが湧き出てくる。無駄だと分かっていても「商品」を探すが、やはり人っ子一人いない、
……野良オートマタ? グスタフは無意識にそのワードを口にした。するとものの数秒経たない内に、グスタフの顔がみるみる青ざめていく。
グスタフは思いだす。破壊された野良オートマタは野良という体裁は取っているものの、実際は野良ではない。借り物だ。
ある男に、もしもの時の保険として借りておいたのだ。闖入者に対するカウンターとして。ある男はグスタフのそれに対して、気前良く8体ものオートマタを貸した。
ただし、一つだけ条件がある。絶対に傷を付けず、なおかつ汚れも無いちゃんとした状態で返す事……もしも破れば、それ相応のペナルティがある、と。
グスタフに野良オートマタを貸し出したその男は、グスタフらの生きる黒い業界では、オートマタのディーラーとして広く名が知られている。……危険な男という意味で。
男の名は……その時、何かを蹴り上げて、地上に着地する音が廃工場内に響いた。グスタフはビクっとして、その音のした方向へと体を向ける。
同時に、股間にダメージを負った紫スーツを除き、沈黙していた手下達が、ふらつきながらも立ち上がる。
しかし、既に手下達の顔からは戦意は喪失しており、早くここから逃げたいと言った感じで、グスタフに視線を向けている。
……未だに白目を剥いているのを見ると、もしかしたら紫スーツは二度と立ち上がらないのかもしれない。
何者かが、グスタフの元へと歩いてくる。音が近づいてくる度、グスタフの額に異常な程流れる冷や汗。
やがてグスタフの前に、何者かが月明かりに照らされて、その姿を現した。
その人物は長身の男、だ。ウェーブがかった漆黒の黒髪に、口元に生えている不精髭は、奇妙な事にだらしなさを感じさせず、むしろ色気さえ漂う。
そしてグスタフを真正面から捉える目は、鋭く、それでいて理性と凶暴性を兼ね備えており、肉食獣の王者――――ライオンを彷彿とさせる。
体よく整った薄い口元に若干の――――意地の悪い笑みを浮かべる。獲物を喰らう前の肉食獣の如く。
男の体を覆う赤茶色のロングコートからは、今まで男がどんな人生を歩んできたかを感じさせてくれる、乾いた血の匂いがする。
夜風が吹き、コートがバサバサと靡く。その中から見えるは、細身ながらも一切の無駄無く、完璧なまでにシェイプアップされた男の肉体だ。
しかしこれらの特徴はあくまで前提に過ぎない。男の最大の特徴は――――左腕が、消失している事だ。
本来、普通の人間にある筈の男の左腕には、ブラブラと垂れ下った袖が靡いては返る。しかし男はそれが当り前の様に気にも留めない。
不気味な笑みを浮かべたまま、男はグスタフに対して一言目を発した。
「一部始終、見させてもらった。俺が言いたい事は分かるな?」
「オ、オルバー……」
顔を青ざめ、冷や汗を掻きながらも軽く体を震わせるグスタフと、グスタフを笑みを浮かべながら見下す男。それをただ見ている手下――――否、違う。
先程まで伸びていた紫スーツが、ハッとして起き上がった。だらしなく零れている涎を腕で拭い、紫スーツは視点を右往左往し、グスタフを見つけた。
そして何かを察したのか、右手を背後に回すと、スーツの後ろポケットに入っている折り畳みナイフを取り、収納していた刃を引き出し、強く握りしめた。
一歩ずつ足を進める男に、グスタフは後ずさりする。意図してかは分からないが、男が歩く度に、グスタフは壁際へと追いつめられていく。
焦りからか、背後に注意していなかったグスタフが壁にぶつかった。その目は捕食されようとしている小動物の様に、恐怖に慄いている。
「本気で戦ってあのザマか。言っておくが、野良オートマタ共に一切の不備は無い。全てはお前のミスだ」
「ち、違うんだオルバ―……その、なんだ、知らなかったんだ……あんな野郎が取引相手を装ってたなんて……だから……」
「お前が幾ら騙されようが俺には関係無い。だがな、俺の貸した商品をあそこまで傷物にするって事は、どういう意味か……分かるよな?」
決して気付かれぬ様、紫スーツは忍び足で、男の背後へと近づく。男はグスタフを追いつめて問答している為か、気付いていないようだ。
男の真正面に立った紫スーツは、折り畳みナイフを持った両手を腰元へと持ってくると、低く体勢を取る。このまま男の背中を刺すつもりだろう。
「さて……どうケジメを付ける? 8体分の修理費は安くは無い事は、お前が一番分かっている筈だ」
「頼むオルバ―、話を……話を聞いてくれぇ……」
と、グスタフは気付く。男の背後でナイフを構える、紫スーツに。紫スーツもグスタフに気付き、親分を救いだす為に俺頑張りますよ! 的な感じで表情を引き締める。
だが、何故かグスタフは紫スーツに対してはっきりと険しい顔を浮かべ、なおかつ激しく首を振った。おい馬鹿今すぐやめろと言いたげな表情だ。
しかし紫スーツにはそれが、今すぐ助けを求める怯えた表情に見えた。紫スーツは力強く頷くと、男に向かって走り始める。次第に縮まる距離。
そして。今にも男が刺されようとしているのに、冷やかに上から見つめる琥珀色の目の少女。後数歩で、ナイフが男の背中に突き刺さる――――その時。
「――――雑種が」
男がドスの利いた声でそう呟き、舌を打った瞬間、紫スーツが握っていた折り畳みナイフが、宙を舞い、虚しく地上にカランっと音を立てて落ちた。
男は体を回転させ、長身を際立たせる長い脚で、折り畳みナイフに向かって回し蹴りを放っていた。だが紫スーツには蹴られたという感覚は無い。
それもそうだろう。何故なら男の攻撃に、一切音が無かったからだ。紫スーツはおろか、他の手下も、グスタフでさえ何が起こったのかが分からない。
回転蹴りを決めた男の姿は、まるで彫刻の様に美しい。グスタフも手下も、紫スーツも時間が止まったかのように動きが停止している。
はっとして、紫スーツが動こうとした途端、男の動きが視界から消え――――瞬間、紫スーツが体ごと、地面に叩きつけられた。
「なっ……」
男からの攻撃を、紫スーツは全く認識出来なかった。気付けば自分の体が地面に横たわっており、なおかつ男に顔を踏まれていた。
喜々とした面持で、男は紫スーツの顔を踏みつけている足に、力を加えていく。男が力を込めていけばいくほど、紫スーツの顔が醜く歪んでいく。
あまりの激痛に紫スーツは男の足を叩くが、男は更に力を加えていく。ブチリと、耳を背けたくなるような、何かの音が響いた。
紫スーツは涙と血を垂れ流しながら、遠くなっていく意識の中、必死に男の足を叩く。だが、それに反して、男は力を――――。
瞬間、強烈な破裂音と共に、男のズボンを、おびただしい量の血液が赤黒く染める。目の前の凄惨な死体に男は
「……はは、ははは、ははははははははは!!」
と満面の笑みを浮かべて笑った。
周りの手下達はただ、紫スーツが男に異常な方法で殺されているのを見ているしかなかった。それは何故か。体が動かないからだ。
男が放つ、この世の人間とは思えないおぞましいオーラに。この異常な光景も露知らず、少女は退屈そうにあくびをした。
紫スーツを踏んでいる男の足に、形容出来ない柔らかい感触が走る。もはや紫スーツの顔は、見るも無残な姿へと変わっており原型すら無い。
べチャリという音がして、男は靴底を見る。紫スーツだったモノの眼球がへばりついていた。男は舌打ちすると、靴底を地面に叩き付け、擦り潰した。
手下の一人が、紫スーツの変わり果てた姿に耐えきれず、膝を付いて嘔吐した。他の手下達はただ、紫スーツの骸に虚ろな目を向けている。
男がふと、忘れていたのか、グスタフを追いつめた壁に目を向ける。しかし時既に遅く、グスタフの姿が消えていた。
恐らくというか、自分だけ助かる為に廃工場から逃げたのだろう。男は舌打ちして、紫スーツの骸を蹴り飛ばした。ゴロゴロと闇の中に骸が消えていく。
と、男は周りの手下達を一瞥すると、再び口元に――――笑みを浮かべた。
「くそ……くそったれ!」
息を荒げながら、グスタフは必死に廃工場から疾走する。手下がどうなろうが知った事じゃない。俺さえ生き残れれば、それで良い。
グスタフは思う。あの男――――ライオネル・オルバ―はやはりヤバい人間だった。どうして俺は……あの男に関わってしまったのか。
ライオネルに関する噂は腐るほど聞いた事がのに。契約を無視したり、野良オートマタを壊した人間は、仲間含め全員、皆殺しされると。
また、マフィアやギャングという一大勢力でさえ、その凶暴性故に手出しは出来ないと。幾らなんでもオーバーなんだと、俺は笑い飛ばしていた。
それに何故かは知らないが、他のディーラーに比べて貸出料が異様に安いのもあったかもしれない。何故安いかは分からないが……。
――――だが、ライオネルと対峙した瞬間、今更ながら思いだす。
俺は昔、ただのギャングの下っ端だった頃、ライオネルが邪魔してきたギャングを皆殺しにするのを見た事があった。
そう――――あの意地の悪い笑みを浮かべ、次々と凄惨な方法で、殺していくのを。
「……ここまで……逃げれば……」
グスタフは息を整える為に走るのを止めた。夜である事もあって、すでに廃工場は見えない。見えないが、とにかく遠くまで走って来た事は確かだ。
かなりの距離を走ったと思う。このまま1日くらい歩けば、適当な街が見つかるだろう。幸い、金なら沢山ある。
落ち着いたらまた再び、同業者を募れば良い。一先ず今日の事は全て忘れよう。あの男ととも、二度と関わらない。
一応後ろを振り向くが、人の気配は無い。グスタフは胸を撫で下ろし、再び歩き出そうとした。
「手下を置いて敵前逃亡か。笑わせるな」
突如後ろからあの男――――ライオネルの声がして、グスタフは反射的に振り向いてしまった。
次の瞬間、グスタフはライオネルによって首を掴まれると、締め上げられながら天高く、持ち上げられた。
頸動脈が締められ、満足に息が出来ない。グスタフは只、ライオネルに視線を向ける事しか、出来ない。
「あのガキも少しは人を見る目が身に着いたようだな。確かに三流の屑だよ、お前は」
そう言いながらグスタフを絞め上げるライオネルの右腕は、細身の体に反して異様な程に盛り上がっていた。
浮きあがっている血管と怒張した筋肉の塊は、ライオネルの雰囲気と相まってどこか人間離れしている。まぁそれもそうだろう。
右腕一本のみで、グスタフを持ちあげているのだから。並みの腕力ではない。
「それとな、お前の手下は全員あの世行きだ。あちら側でせいぜい詫びるんだな」
グスタフの顔が恐怖に慄く。最後の抵抗をしようと体を動かそうとするが、もはや意識が遠のいていき、視界が真っ白に染まる。
数秒後、太いパイプが折れる様な音がして、グスタフの首がガクンと項垂れた。ライオネルは乱暴にグスタフを放り投げる。
と、後ろにあの杖を入れているのか、身の丈ほどの大きなギターケースを担いだ少女が、ライオネルに話しかけた。
「お仕事終わった?」
少女の言葉に、ライオネルは振り向くと、今までの狂乱ぶりから一転、無表情で答えた。
「帰るぞ。醒めた」
ビューティフル・ワールド
the gun with the knight and the rabbit
「つまり! 要約すると、皆さんは未来人という事ですね! 分かります!」
キラキラと目を輝かせて、リタがテーブルに身を乗り出してそう言った。リタの反応に、女性は嬉しそうに笑う。
やおよろずの面々に既に適応している、むしろ適応しすぎている女性と違い、まだ少女と青年は緊張しているのか表情が硬い。
黒髪の少女との契りが終わった後、三人はルガ―達と共に下のリビングに降りて、夕食が出来るのを待つ。
少女が黒髪の少女に夕食の用意を手伝いますと言ったが、黒髪の少女は優しげに微笑み、今日は疲れているだろうから休んでいて下さいと返した。
三人はそれぞれ、黒髪の少女が用意してくれた服に着替えており、偶然にも三人に丁度ぴったりのサイズである。
台所では、ルガ―と黒髪の少女が今日の夕食であろう料理を作っている。
何時にも増して大人数の為、今日の料理は大鍋を使用しており、グツグツと煮込まれている大鍋の中の料理からは、湯気と共に実に食欲をそそる匂いがする。
食事が出来る間、リタとライディース、それに遥と、未来人こと三人は親交を深める為、しばし会話を交わす。内容は無論、三人が居た世界についてだ。
ちなみにリヒタ―・玉藻・ヘ―シェン及び、オートマタの事については……。
いきなり説明すると驚かせてしまうだろうと言うリヒタ―の提案で、誰かが自分達を紹介するまで待機している。玉藻はリヒタ―の提案に少し不満げだが賛同した。
「そう。巨大ロボット同士で闘い、自由に宇宙旅行する……そんな世界よ」
女性がリタ達にそう説明するのを少女と青年は静かに聞いているが、内心分かっている。
あくまで明るく話しているが、実際に起こっている事――――戦争については話さない様にしている事に。恐らく女性も、真実については話したく無いのだろう。
「凄いな……あまりにも話が大きくて、上手く想像できないよ」
女性の話に、ライディースは眼鏡をクイっとして感嘆の息を漏らす。普段は割りかしクールな目線で物事を見るライディースだが、女性の話には素直に興味深々と言った具合だ。
ふと、青年が遥の顔をチラチラと見ている事に気付く。何か自分も話を切り出そうとしているが、どうも浮かばないようだ。
女性の話を聞いていた遥が、青年の視線に気づき、ん? と青年の方を向く。が、青年は照れ隠しの為か、遥から視線を逸らし、俯いた。
>>295 あと2回くらい投稿したらオリ展開入る予定ですーw
ならオレは100万歩歩いてハル姉を手に入れうわなにをするやめ
>>296 実は廻セカDaZの主人公機はSRXというネタバレ設定gおっと誰か人が来たようだ
>>297 + +
∧_∧ +
(0゜・∀・) ワクワクテカテカ
(0゜∪ ∪ +
と__)__) +
「あ、そうそう……そういえばさっきから不思議に思ってたんだけど」
ライディースがそう言って、女性に疑問を投げかける。
「あのパイロットスーツ……で良いのかな。ここに運んできた時からベットに行くまで、全く汚れてなかったのは何でかな?
草原の上とはいえ、多少は汚れると思うんだけど。下らない質問ですまない」
ライディ―スの疑問に女性はふむふむ……と頷くと、分かったわと言って何処からか一枚のカードを取り出した。
両面透明で、何か文字が打たれている不思議なカードだ。女性はそのカードをテーブルの中央に置いた。
するとそのカードの面から何かが空中へと浮かんできた。ホログラムだ。思わずライディースと遥が驚いて身を反らす。
対照的にリタはおぉー! と声を上げて、カードから出てきたホログラムに、一層目を輝かした。
映像には女性が来ていたパイロットスーツであろう、衣装が映し出されている。大きさにして10p程度。
何と表現したらいいか、そのパイロットスーツはボンテ―ジを彷彿とさせるデザインで、赤色と相まってなかなか刺激的だ。
女性は人差し指でその衣装を回しながら、やおよろずの面々に説明し始める。
「まず、これが私のパイロットスーツね。結構良いデザインでしょ? さて、ライディース君のなぜなにについての答えなんだけど、至極簡単。
私達が来ているパイロットスーツには特殊な加工が成されててね。ちょっとの汚れはおろか、そんじゅそこらの銃じゃ傷つかないほどの耐久性なのよ。
まぁ、流石にマシンガンレベルの銃が相手じゃちょっと危ないけどね。そうだ、面白いもの見せてあげる」
続けて女性は、耳を二回軽く叩いた。すると女性の両耳を半透明の物体が覆い、やがてその物体は黒いヘッドホンとして実体化した。
目の前で起こった事に、遥とライディースは狐に包まれた様な唖然とした表情で女性を見つめ、リタはおぉぉぉぉ! と声を上げ、少女マンガに出てくるキャラ並みに目を輝かせた。
やおよろずの面々の反応に、女性は期待道理といった感じで堪えた様に笑う。
「……どういう事なんだい?」
ライディースが恐る恐る、女性に説明を求める。その反応に女性はヘッドホンを軽く二度、トントンと叩いた。
するとヘッドホンの輪郭が次第に薄くなっていき、やがて煙の様に消えていった。遥とライディースがただただポカンと、口を開けている。
「御覧の通り、種も仕掛けもございません。あるのはちょっとした科学力だけ。……っと、ちゃんと説明しないと駄目ね、ごめんなさい」
「私達の世界では、こういう風に物体を自在に出したり消したり出来るの。小難しい言葉を使うと圧縮転送って技術が発達しててね。
貴方達が見たあのロボットは普段、銃として圧縮転送……つまり、普段は銃として使っているのよ。非戦闘時には」
「……すまない、なんというか現実味に欠けてて上手く言えないんだけど……あんな巨大なのがその……銃になるってのかい?」
「ええ。ついでに言うと、私達が着てたパイロットスーツにも圧縮転送が使われてて、何時どんな状況でも私服や制服に着替える事が出来るわ」
女性の説明に、遥とライディースは心もとなさげに頷いた。やはり現実感が欠けている、いや、欠けすぎていて理解し得ないのだろう。
それを察してか、女性はテーブルの上のカードをしまい、もう一枚別のカードを懐から取り出した。両面白色のカードで、縁に英語で花という文字が打たれている。
「いまから圧縮転送の一例を見せるわ。よーく見ててね」
自然に女性の手元にやおよろずの面々の視線が集中する。リタと言えば、先程から未知の技術に心がときめき過ぎているのか凝視して全く動かない。
そして女性は、手品を見せる前の手品師の様に、カードを挟んで三人に見せながら口元に寄せて、唱えた。
「トランス・インポート」
瞬間、カードから白い雲の様な煙がほわほわと女性の手元を隠した。煙が晴れると、驚くべき事に女性の手元に鮮やかな色彩の花束が握られていた。
遥は呆然というか、呆気に取られた表情で拍手している。うおぉぉぉぉぉ! とリタはサルの様に飛び跳ねてオーバーに驚くと、女性に花束を見せて欲しいとねだった。
女性は嬉しそうに笑いながら、リタに花束を渡す。ライディースとリタがその花束が造花ではないかと、匂いや感触を確かめる。
……が、どう見てもこれは本物の花だ。ちゃんと花特有の心安らぐ香りがするし、少し湿った感触。この感触は、造花では出せまい。
「実はこの花、その男の子……隆昭君って言うんだけど、彼が試練を乗り越えた記念に、男になったのを祝って用意したんだけどね。
隣に居る女の子……メルフィーとラブラブしてたから、渡しそびれちゃった」
女性の余計なひと言に、やおよろずの面々の視線が花束から少女と青年に切り替わる。とてもつない早さで。
あまりにも唐突な女性の振りに、青年が激しく咳き込んで、慌てて立ち上がった。その慌てぶりは尋常ではない。
少女と言えばかなり照れており、顔を真っ赤にして誰とも目を合わせない様に俯いている。
「ちょ、ちょっとスネイルさん! 何言ってるんですか! ラブラブって……」
「あら? 私は事実を言ったまでよ。あのホテルの一件は熱かったわね―。歌ってくれ。未来の為に。だっけ」
「ちが、いや、アレは違います! アレはその、メルフィーを励ます為に……って、何勝手に人の会話盗み聴きしてるんですか! 犯罪ですよ!」
「壁にスネイル障子にスネイルって知らない? そういう事よ」
「訳分かりませんよ!」
「……何というかライみたいだね。あの隆昭って子」
「えぇ。まるでライディースさんの御兄弟みたいです」
女性と青年の不毛なやり取りに、遥とリタは小声でそう言った。無論、ライディースには一切聞こえていない。
「ちょっと良いかな」
二人の会話も露知らず、ライディースは明るい声で女性に再び話しかける。会話を切ってくれたライディースに、青年は内心感謝した。
「貴方達が未来から来た事は重々理解できたよ。わざわざその貴重な技術まで見せてくれて……どう感謝すれば良いのやら」
「良いのよ、別に減る物でも何でもないしね。何時かパイロットスーツの方も見せてあげるわ」
「それは嬉しいな。でだ、僕達はまだ、貴方達の名前を知らない訳だが……そろそろ教えて貰っても良いかな」
ライディ―スの提案に、遥とリタは小さく頷く。特に遥は動作は小さいものの、先程からずっとその事が気になっていた。
今後どれだけ一緒に過ごす事になるかは分からないが、名前は知っておきたい。そうすれば少しは今より距離が縮まるかもしれない。
女性はそうね……とひょうきんな態度から一転、神妙な面持ちになった。少女もと青年も、顔を上げてやおよろずの面々に向き合う。その時だ。
<いい加減くたびれたぞ。何時まで待たせる気だ>
少しイラついている女性のドスの利いた鋭い声がして、青年はビクっとする。どこからその声がしたのかを探していると、テーブルに視線を戻して、ビビる。
何時の間にかテーブルの上を杖がグルグルと回っている。いや、飛んでいる。いや、浮遊している。青年は思わず驚いて叫んでしまった。
「うわっ! 杖が飛んでる!」
<いきなりこの私を杖呼ばわりとは失礼だな……貴様>
「しかも杖が喋った!」
<だから杖と呼ぶな!>
杖――――もとい玉藻が、三人をチェックするように空中で静止する。そして女教官の様なハリのある声で、三人に言った。
<私の名は玉藻・ヴァルパイン。このやおよろずを取り仕切っている古参であり、オートマタの一機だ。それは後説明するとして……。
貴様達が何者かであるかは把握した。少なくとも嘘や出まかせではない事は信じよう。だがこの世界にはこの世界のルールがある。
良いか? 貴様達が今までどう生きてきたかは知らんが、この世界に居る以上、この世界のルールに従って貰うぞ。それがしきたりだ。分かったら返事をしろ>
「はい!」
「分かったわ」
「は……はい」
少女と女性に比べ、どうにも青年の返事の歯切れが悪い。玉藻は青年に体を傾けると、喝を入れた。
<貴様! 返事はどうした!>
「は、はいぃ!」
玉藻の新人への喝入れを尻目に、リヒタ―が遥に近づき、ちょっと心配気味な声で聞いた。
<マスター、あの三人、悪い人間ではなさそうですが……信用に値しますか?>
リヒタ―の質問に、遥は小声で答える。
「うん。まだもう少し付き合ってみないと分かんないけど……多分、良い人だよ」
遥は思う。ここまであの三人を運んできて良かったと。もし助けて無かったらと思うと、とても胸が痛くなる。
前より生活が幾分騒がしくなりそうだが、そのぶん楽しい生活になりそうだ。なりそうだが……。
なんだろう……この妙な胸騒ぎは。
「たーまーちゃん、いきなりそうやって新人さんを怖がらせちゃだーめ」
<む……まどか。……お前が言うなら>
可愛らしいエプロンに身を包んだ黒髪の少女が、テーブルの上に大きなテーブルマットを引いた。
黒髪の少女にそう言われて、玉藻は先程の威勢はどこへやら、殊勝にも壁際に寄り添って静かになる。
後ろからこれまた可愛らしいひよこエプロンに身を包んだルガ―が、大鍋をもってドンっと、マットの上にお玉の入った大鍋を置いた。
「おぉ、今日はシチューですね! この香り……クリームシチュー!」
「って、匂いだけで分かるのかよ!」
「あのライディースって人……隆昭さんみたいです」
「彼、良いツッコミのセンスよ。鍛えれば無限大に伸びるわね」
女性と少女が小声で会話しているが、青年にもライディースの耳は届いていないようだ。むしろ青年は空腹の為か、大鍋に入ったシチューに気を取られている。
と、リタの手に握られている花束に気付く。そして花束から、女性に目を移す。女性は微笑んで、ルガ―に行った。
「私からのちょっとしたプレゼントよ。出来たら、花瓶に入れてくれると嬉しいわ」
「小粋なプレゼント、感謝するよ。食卓が鮮やかになりそうだ」
それから黒髪の少女とルガ―は非常に手際よく、人数分の食器を配置する。女性が出した花束は、綺麗な花瓶に入れられてテーブルを彩る。
「あれ? 何か一人分多くないですか?」
ふと、気になって青年が質問する。確かに遥の隣に、一人分のイスと食器が置かれているからだ。
青年の疑問に、ライディースが答える
「あぁ、そこにはウチの大黒柱が座るんだ。もうすぐ帰っ……」
「リヒト・エンフィールド、ただいま帰還!」
<ヴァイス・ヘ―シェンもただいま帰還!>
突如、謎の鮮やかな赤毛が印象的な長身の伊達男――――リヒトが、元気な声で叫びながら、リビングへと乱入してきた。
リヒトと一緒に明快な声でヘ―シェンも叫ぶ。ノリと良い戦闘中といい、本当に息の合ったコンビだ。
リビングに入るや否や、リヒトはくんくんと、周りの匂いを嗅ぎ、緩んでいる表情から無駄なくらいキリっとした表情になり、大鍋に向かって指を差していった。
「ずばり! 今日の夕食はホワイトシチューだな!! 俺の予測は当たる!」
言いしれない、痛々しい、虚しい、沈黙が流れる。
<……間が悪いぞ、馬鹿野郎>
あまりにもあんまりなその雰囲気に、リヒトの顔が次第に曇りだし、やがて三人に向かって言った。
「あ〜……何かすまねえな、飯前だってのに食卓を冷ましちゃって。で、あんた達は?」
―――――遥か遠く、やおよろずとも、廃工場からもずっと離れた場所で、その作業は行われている。
その場所は言わば厚い雪と氷によって成形された極寒地である。既に真っ暗闇な夜だと言うのに、多くの照明を使って、
照明が照らす中、大量のオートマタと、防寒服で身を包んだ男たちが忙しなく動いている。どうやら何かの発掘作業の様だ。
この現場を、冷淡な目で見ている一人の男が居る。防寒服の中の中から見えるは、衰えよりくる、弛んだ頬と肉体。
顔には多くの皺が刻まれており、相当の年月を生きていた事が分かる。髪と髭は既に白く染まっている。
男は老人である。しかし、だ。姿見は老人ではあるが、普通の老人とは明らかに違う一点がある。
目、だ。その目は野望に燃える若者様にギラついており、しかしそれでいて思慮の深さと知的な雰囲気を漂わせている。
老人は作業現場をただ黙々と見続けている。まるで、今か今かと何かが発掘されるのを心待ちにしている様に。
と、男の背後から、一人の男が歩いてくる。勿論、防寒服を着ている。
防寒服から若干見える男の服は黒く、恐らくスーツであろう。
しかし、グスタフの手下の様な下品な印象は受けない。絶対的に規律を守る、そんな印象を受ける。
男は老人の耳元まで近づくと、芯の通った声で耳打ちした。
「只今、ステイサムが出発致しました。到着は明後日になるかと」
男の言葉に、老人の目が若干見開く。老人は現場を見つめたまま、男に聞く。
「奴の抹消はステイサムに一任しているが……何処の馬の骨に依頼すると言った? まぁ、私には関係ない話だが」
男はズボンから携帯機器を取り出し、パネルに触れると、老人に返答した。
「やおよろずの――――リヒト・エンフィールドという男にです」
第四話
狂気
投下終了です。途切れ途切れで申し訳ない
なんというレス数……支援レス、心から感謝いたします!
ちょっと前半、かなり酷いと言うかグロい描写ですみませんorz
でもライオネルってキャラがどれだけヤバいのかはこれくらいしないと形にならない気がして……常々すみません
風呂入ってから各レスします。改めて支援、感謝します
>>331 投下乙でした! 明日ゆっくり読ませていただきますね!
上がりました。多分連レスになりますし亀ってレベルじゃないですが
>>216 感想レスdです!
いえいえ……未だにキャラ萌えに着いて模索中です
PBM氏のキャラをお借りしてますからねー。どうにか軽妙なテンポが出せないからと悩みっぱなしですw
>>218 おめでとうございますー
GEARS新作、何時でもお待ちしております!
>>220 アグネス早く来てくれ―!
しかし何でこうも学生服がフィットするんだ……遥さん、恐ろしい子!
>>229 ウホッ、良い男……!あぁーこういう感じの絵ももちろん大歓迎ですよw
にしても直人さんトランクス派なのか……扇風機であ―は夏の定番
>>228 なんというかホント愛されてますよね、隆昭ww色んな意味で
それにしても
>>882氏のネタイラストのクオリティの高さは凄いですねww毎度毎度
つかデストラウすっげぇ書いてますよねww6〜7枚くらいw
>>237 設定資料投下乙です
確かにかーなーりハードな世界観ですね……世界樹にテッカマンブレードのラダムを思い出しましたw
何となくナノマシンが物語の鍵を握りそうな……
>>285 二話投下乙です!シュタムファータァちゃんもとい紫蘇ちゃん可愛いよ紫蘇ちゃん
千尋の明るさが物語に良い意味での軽さがあって読んでて気持ち良いです。にしても紫蘇……
……もしや第九の台詞は某エのつくアレの(ry
それにしても先が気になりますね。果たして紫蘇はどんな心境の変化を遂げるのか、世界はどうなるのか……
次回を楽しみに待っています
>>291 投下乙です!今回は番外編的な話ですね
殺人蜂とクーガ―の闘いが迫力あって良かったです
それにしても巨大な昆虫が闊歩する世界か……虫嫌いな俺には怖い世界だw
本編の都道府県の方も楽しみにしてます―
それぐらいなら分量ならここに投下しても大丈夫だと思いますよ。5万文字以上はデータにした方が良いと思うけどw
>>294 何……だと……
それ、俺です。嘘です
すみません、連レスなっちゃいました・・…寝ます
>>331 投下乙ですーw 今回も非常に良い話のテンポでとても読みやすかったですw
ライオネル格好良いですねぇヽ(゚∀゚)ノ ああいう渋い敵キャラ大好き。
そして発掘作業が気になりますねぇw何を発掘してるやら・・・
伏線が明らかにされる日を楽しみにしとりますw
4話が今からwktkですw次も頑張ってくださいw
紹介分が地味に気になったので、作ってみました
【廻るセカイ-Die andere Zukunft- ◆qwqSiWgzPU】
「もう少しで世界が滅びる」。世界中にそんな噂が飛び交った。
そして噂の通り、国が、都市が、次々と地図から名前を消していく。人類は滅びを待つだけだった
舞台は架空の都市“揺籃”
特別な一人の少女と、普通の少年の出会いから、それは紡がれていく
「抗う術があるのに、やらないなんて選択肢、オレにはない」
……それは、似通っているようで……違う“セカイ”
こういうのは、やっぱ苦手ですw
あと勝手かとは思ったんですが、管理人様が今不在のようなので、まとめwikiに自分の作品を追加させていただきました。
間違いのないように編集し、確認もしましたが万が一不具合等あったらマジですいません;;
>>335 感想dです
なるたけ会話を多くして見ましたが、テンポが良いと言われると凄く嬉しいですw
ライオネルは今回みたいな危険な面だけでなく、もうちょっと人間臭い部分も書けるようになると良いなと
伏線……どうでしょうw
>>836を見てみましたが、大丈夫だと思いますよー纏め乙です
今更ですが安価ミスでした……
>>336です、DaZ氏、すみませんorz
ぽんぽんの痛みと脳が強制ダウンするよーな眠気で2日書き込めんかった……
>>229 これはいいパンツ……
男パンツ!? 男パンツ……
同志が増えるよ! やったねたえちゃん!
>>237 なかなか世界が楽しいことになってたんですね、劇中の舞台は人が住むのにまだ向いてる地域だったというのか……
>>285 投下乙!
やっぱり心の揺れ具合の描写がいいな〜。
さてシュタムファータァ改め紫蘇ちゃんはいかなる決断を下していくのか……
>>291 投下乙!
こちらもまた世界が楽しいことに……
いかん、どうしても言いたくてたまらないから言わせてもらいます。
「デカい蜂がいるならデカい蜂の子もいるんだろうな」
>>340 感想dです!毎回何となく引っ張る様な展開にしているのでこれ幸いですw
常に隆昭にはスネイルさんが近くに居る事を自覚して欲しいですね(暗黒微笑
それと年末から自分の作品(というかオルトロック)のイラストを何枚も書いて頂き、有難うございます。ホント嬉しいです
勿論ネタとして分かっていますよwあのオルトロックをここまで弄ってもらえて作者冥利に尽きますw
にしても人居ないですね…
PCトンだ/(^o^)\
>>342 ちょwww何があったんですかwww
バックアップとかは大丈夫だったですか・・・?
>>344 今日PCの電源つけたら何故か突然のブルスク、再起動しても[ようこそ]画面の後ブルスク。
それを10回程繰り返した後、諦めてOS入れ直しました…orz
でも全滅したと思った小説のデータが何故か他所に保存されてて助かったよおおお
他のデータが全滅した事に変わりはないけどね!!
>>346 もしかしたらそれシステムの復元で治せましたぜ・・・!
オレも一回その症状起きたんですが、セーフモードで起動してシステムの復元で
直しましたから・・・
コピペで失礼ですが
システムの復元を使用して Windows XP を以前の状態に戻すには、以下の手順を実行します。
1. Administrator として Windows にログオンします。
2. [スタート] ボタンをクリックし、[すべてのプログラム]、[アクセサリ]、[システム ツール] を順にポイントし、[システムの復元] をクリックします。システムの復元が開始されます。
3. [システムの復元の開始] で、まだ選択されていない場合は [コンピューターを以前の状態に復元する] をクリックして、[次へ] をクリックします。
4. [復元ポイントの選択] ページの [一覧で復元ポイントをクリックしてください] の一覧で、最新のシステム復元ポイントをクリックし、[次へ] をクリックします。
注: システムの復元で実行する構成の変更を一覧表示するシステムの復元メッセージが表示されることがあります。[OK] をクリックします。
5. [復元ポイントの選択の確認] ページで [次へ] をクリックします。システムの復元により、以前の Windows XP 構成に復元され、コンピューターが再起動されます。
6. Administrator としてコンピューターにログオンします。システムの復元の [復元は完了しました] ページが表示されます。
7. [OK] をクリックします。
コンピューターが以前の状態に正常に復元され、いつもどおりに実行されている場合、完了です。
復元処理は正常に完了したが、コンピューターが要求どおりに実行されていない場合、「システムの復元を実行した後にシステムの復元を元に戻す方法」セクションに進んでください。エラーメッセージが表示され、復元処理が完了しなかった場合、
またはシステムの復元を実行できない場合、「次の手順」セクションに進んでください。
システムの復元を実行した後にシステムの復元を元に戻す方法
誤って復元した Windows XP を以前の構成に戻す場合があります。復元を元に戻すには、以下の手順を実行します。
1. Administrator として Windows にログオンします。
2. [スタート] ボタンをクリックし、[すべてのプログラム]、[アクセサリ]、[システム ツール] を順にポイントし、[システムの復元] をクリックします。システムの復元が開始されます。
3. [システムの復元の開始] ページで、[以前の復元を取り消す] をクリックし、[次へ] をクリックします。
注: システムの復元で実行する構成の変更を一覧表示するシステムの復元メッセージが表示されることがあります。[OK] をクリックします。
4. [復元の取り消しの確認] ページで、[次へ] をクリックします。システムの復元により、元の Windows XP 構成に復元され、コンピューターが再起動されます。
5. Administrator としてコンピューターにログオンします。システムの復元の [取り消し完了] ページが表示されます。
6. [OK] をクリックします。ここで、別の復元ポイントでシステムの復元を再実行することができます。
Administrator=管理者ユーザーです
頑張れ!
このスレでSRCを作るなら一話は誰の話を持って来たい?
そういや気づいた
いつもいるPBM氏がいないんだ。かなり仕事が忙しいのかもしれない
違うよ! 携帯があやうくお釈迦になりかけてスレに来れなかっただけだよ!
いい加減買い替えないとなぁ……。
あ、感想はちょっち待ってください!
避難所でこの名前で呼んでくれた方がいたので、このコテハンで固定します。
>>347 もう完全に再インストールしてしまったから無理なんですよね……orz
お気に入り入れ直すのめんどいです(^q^)
>>350 ヴィルティックとGEARSとミカヅチの世界観が一緒になった
パラレルワールドからスタートした方がシックリしそうですね、時代背景的に一番現代に近そうですし
そして別世界の悪山爺さんの発明のせいで時空が歪んで云々と
PBMとTueunのシンクロ率もかなり高いと思うんだ
具体的に言うとクウガとアギトくらい
ふぅ、いい湯であった……。
えー、それでは改めまして感想とレス返をば!
>>331 クロスオーバー投下乙です!
ライオネルは相変わらず氏の描く悪役って感じで素敵ですね、本編に出したいくらいです。
……もし出した場合確実にPBM補正で迂闊で残念な部分が出てくると思いますがw
そして珍獣が激しく珍獣してますね、だがそこがいい。ついでに赤ロリコンは相変わらず間が悪いですね、だがそこがいい。
さてさて、一体老人は一体何を発掘しているのか、ライオネルがどうやおよろず連中にからんでくるのか……次回も楽しみに待ってますね!
ダルナス<このスレで発掘といえば俺だろJK>
遺跡の機体<ちょっと待てコラ>
>>340 >壁にスネイル
やっぱり考えますよね、このネタw
>コレ伝わってるでしょうか?
ウ、ウン、チャントリカイシテタヨ? ホントニホントダヨ?
>>342 (゚Д゚;)
>>350 一番最初にレガシアム、中盤手前くらいでヴィルティックを参入させたらいい感じに鬱展開をクラッシュしつつ熱い展開を描けるかと。
え? PBM? ありゃ駄目だ、緊張感までクラッシュしかねんよ!
>>354 パラレルワールドじゃないか!
>>350 ワルレックスin悪山のじいちゃん率いるモビルドール化した違法ギア軍団がロボヶ丘を闊歩する!
ロボヶ丘の騒動を鎮める為、授業を抜け出して迎え撃つ守屋一刀とアイリス・ジョーカー!
悪の天才科学者によって生まれ変わった無人ギアの大軍団とワルレックスの脅威的なパワーの前に絶体絶命の窮地に陥る守屋一刀!
しかし!この世に悪の栄えた例無し!陽光を背に受け、我等が待ち望んでいたアイツがやってきた!
ロボスレ大戦 第一話 最強無敵ロボ!!ネクソンクロガネ!!
という電波を受信した。ネクソンはマジンガーZのポジションがよく似合うと思う。
個人的にはやおよろずの面々は異世界人では無く、J9ポジションなイメージ。
だけど、リヒトだけロム兄さんの香りがするw
経験値泥棒ポジは誰になるんだろうw
リベジオンとか機械人形殺しはちょっと違うしなあ
バイラムが適任じゃないかな?
スパロボF&αのガンダムWポジにもなれると思う。
ツインバスターライフルは範囲広くて強かったなぁ。ずっと主力で使ってた。
そして第三次で初めてイデオンガンの攻撃範囲を見た時、バグかと思ったのも良い思い出。
ガンダムX・DX「一応ウチも射程∞なんですけど……」
経験値泥棒候補にツガイを推してみる。
縦10km、横5kmの海上都市姫路は地形扱いかなぁ。
艦船にするにはでか過ぎるし、最大速力が1ノットしかないから移動力は1固定な感じだし。
都市といっても実際は実用性一点張りの軍事要塞みたいなもんだから、単体でも相当戦闘力は高いけど。
ツガイはむしろスポット参戦な気がしなくもないw
可動構造物か…
スパロボでWAPWといえば百式とZZとサイバスターが!
ええ、初スパロボの第三次ではお世話になりましたとも。
そいいえばWAPW持ちって少なそうですね。パッと出てくるのはタウエルンくらいかしら?
ここで重要な要素な悪・敵役について振ってみる
本家スパロボみたく、悪役同士が手を組むとしたらどことどこが手を組みそうかな
>>365 ヴォルカドゥスとドラグリヲも入るかな?
>>366 鋼獣と害獣とアバドンの縄張り争いが見たいです。
野良「マナよこせよ、おうあやくしろよ」
シュワルツ「機械人形ではなく自動人形連れてこいと言っただろうが!」
>>360 GXとDXはサテライトキャノンの使用制限が痛いからなぁ……
“月が出てなきゃ使えない”ってのはまだしも
チャージに数ターンかかって1MAPに1回だけじゃねぇ……
>>367 スプリガンの魔族も混ぜてあげてください。
>>368 古坂「おいィ? 俺はギア用意しろって言っただろうが! カードゲームしに来たんじゃねーんだぞコラ!」
※アストライル・“ギア”なのであながち間違っていません。
>>369 い、イデだってゲージ溜めるのに時間掛かるよ! よ!
試しにSRCダウンロードしてみたけど使い方分からなかったんだぜ(´・ω・`)
SRCは慣れると面白いんだぜ。MAP作成と敵の配置が面倒臭いけどw
個人的にはPilotテキストとRobotテキスト弄ってる時が一番幸せ
ふっ、俺もだぜ(´・ω・`)
そもそも携帯な私には無理なんだぜ(´・ω・`)
>>376 SDホワイト・グリントだと……!?
えぇいブキヤめ、グランゾンといい、いくら使わせる気だ!
M9とか緊急発進ブースターとか月光蝶とかリゼルとか、磐梯先生も絶好調だよ!
ああ、財布のお金が吸われていく……。
おっと失礼、緊急展開ブースターでした。
ユニコーンで盛り上がってきたよね、HGUC。とりあえずリゼルはイケメン過ぎる
>>355 >
>>340 >>壁にスネイル
> やっぱり考えますよね、このネタw
誰もが考え付くけど誰もがあえてやらないことをやっちゃう男、それが
>>882!
>>コレ伝わってるでしょうか?
> ウ、ウン、チャントリカイシテタヨ? ホントニホントダヨ?
いや〜良かった良かった。
俺の描くオルトロックを女扱いされると、避難所に描いた理由の他に、
「男ならそのままネタになるが女だとそうならないので、かなりのことやらないとネタにならない」
って問題もありまして。
で、オルトロックの扱いからして、その「かなりのこと」は変態ネタになってくるわけですけど、
それだと、一例に描いてみましたが、こーいう↓キッツいことになっちゃうわけです。
http://dl6.getuploader.com/g/sousakurobo/249/hentai.jpg 流石の俺もこーいうのを連発するのはちょっと…… というわけです。
>>382 >残念だが、既にPBM氏が落書きでやっちゃってるのさ!
シマタ素で忘れてたアルヨ。
>デストラウ、語尾ラウかよwww
一応キャラ付け考えてまして……
(以下の内容は
>>882のバカが勝手に妄想しているものです。
TロG氏、及び氏の作品には一切関係ありませんので、問い合わせたりしないで下さい。
あと、
>>882に深いとこ突っ込んできてもたぶんバックれます)
オルトロック:
大事なことなので最初に言うが18歳以上。
隆昭の高校の生徒ではない(ってゆーか高校生でもない)が、頻繁に闖入してきては変態行為を繰り広げる。
その際よく制服を着てくるが、繰り返しになるが18歳以上で高校生ではないのにどこで入手したのかは謎である。
変態行為に走る理由は、本人いわく「女狐と年増に隆昭君は日ごろ惑わされているだろうからこのくらいやらないと」。
しかしそれならば嫌々やっているはずだが、本人は極めて生き生きしているのが気にかかるポイントである。
ちびトラウを使い魔として従えているが、それに至る経緯は不明(本人は語らず、ちびトラウはその話題が出ると恐慌状態に陥る)。
使い魔ちびトラウにやらせていることはもっぱら(検閲により削除)。
また言うが18歳以上で高校生でもないのにどーやって生活しているのかは謎であるが、ちびトラウがバイトしている姿が良く見かけられるとか何とか。
本人は自分のことを「好きな人になかなか想いを告白できない乙女心にあふれる人間」と思っているが
(恐ろしいことに、自分が隆昭を好きなことはちびトラウ以外誰も気付いていないと素で思っている)、
周囲からはストーカー予備軍と思われている。
しつこいようだが18歳以上で高校生でもない。
ちびトラウ:
オルトロックの使い魔。極めて非常識な存在のくせに主人のせいで常識人ぶりが際立つ。
語尾に「〜ラウ」「〜デス」をつけてしゃべるが、これはキャラ作りのためであり、本当の口癖ではない。
そのため、しばしば口癖を間違えたり、付け忘れたりすることがある。
「パシリ」という言葉に何故か異常なまでに反応する。
実はこれで「コント的な会話ネタやろうか」とも考えてたんですが、出来るわけねーだろ。
あとTロG氏、マジでごめんなさい。
テスト
とりあえずオルトロック&デストラウと遥さん&ペネ子は愛され過ぎだなw
>>381 ビジュアルが普通のオルトロックだったら即死だっt……ってデストラウ! デストラ――――ウ!!
>>383 凄く……痛い子です……。
>>385 だって三つ編みとか好きだからー!
ティマ&極細も愛されてるよ!
ラノベの初心者向けサイトみたらキャラの設定とかきっちり組み立てておかないとあとからチグハグになるらしい
絵とか文とか進化しすぎててワロタ
生存報告を……せいぞn
面白ければ後付けだろうがなんだろうがどうにでもなったりもしますけどね。ドラゴンボールのように。
>後付け
ミノフスキークラフト、ツィマッド社等「えっ」
後付けでも整合性があれば別に問題ないですよね。ただしGPシリーズのスペック(主に推力関係)と陸戦型ガンダム、テメーらは駄目だ。
どっちも大好きですけどね!
悪いほうばかり見てしまうのは、しかたないけどいかん事ですよ……。
>>390 生存報告、乙です!
後付もものによるけどね
設定に縛られて身動き取れなくなるなんてのもよくある話
骨組みをしっかりさせつつ、肉付けに遊びをもたせられるのが理想
ロボットもそうだ
基礎設計が確かなら、発展性は確実に縦横に広がる
つまるところが、ペイロードに余裕があると色々積められるってことだな
>設定に縛られて身動き取れなくなる
「ビームサーベル同士は鍔迫り合いできない」ですねわかります
>>392 08小隊は劇中劇ってことで許してやってつかぁさい。外伝が出る度に生産台数増えてってるよね、陸戦型w
あと遥さんをハグさせてくだsうわ遥さんなにをするやめ
一日見てなかったけど何か凄い事に…・…
一先ず返レスはアレを投下してからにします
考えてたけど中々形に出来なかったアレが
>>882氏のお陰で書きはじめられたので
>>394 それでもあの作品は悪い意味で設定に縛られていなかったような……ビームサーベルの件は律儀に守ってたけど。
>>395 おお! ついにアレが来ますか!
>>397 うおおー! 兄さん! 兄さぁぁぁぁぁぁん!! キョウジ兄さんかっこいいよ(*´Д`)ハァハァ
堀氏の熱演がたまらんですね!
>ガンダム二十八号機
鉄人かと突っ込むべきか! 突っ込むべきなのか!?
一応ガンダム8号機までは設定ありましたよね……ペーパープランで機体の建造はされてないって設定でしたけど。
まあ、アレからデンドロビウムに発展していくと考えればアリな気がしなくもないようなあるような。
って、7号機と8号機間違えてた……。
>>397 兄さんはツッコミ所が多すぎるwww
しかしキラルかっこええなあ
>>398 落ち着いて、師匠!
ガンダム(MA)あるいはGアーマー→7号機重装フルアーマーガンダム→ガンダム試作3号機(デンドロビウム)
っていう流れかな
>>397 流石兄さん!www
何度見てもやっぱGガンはとんでもないよなぁ(いい意味で)
>>400 ガンダムGダッシュ「面白そうだな、俺も混ぜろよ」
>落ち着いて、師匠!
大丈夫です、今ロリの一滴が見えました。
>>401 ここまでガンダムをぶち壊した今川はとんでもねー化物ですよねw
Gダッシュさんはマイナー過ぎるので……
ジムスパルタン、ザクスピード、キケロガ、ドルメル……ビジュアルを思い出せる人はどれだけいるのでしょうか。
>>404 やべえドルメルさんしかパッと出てこねぇ
>>405 最終回の告白は蛇足って時々言われるけど、やっぱりアレ抜きじゃGガンは語れないと思うんだ
>>405 決勝リーグは毎回最終回ばりの熱さでしたよねw
>>406 はい先生! ドルメルがパッと出てくるだけでも大概だと思います!
408 :
◇mrWAgdZPyAさんの代理投稿です:2010/01/24(日) 23:32:28 ID:0AiKAPf4
鋼鐵の特攻兵外伝―Special Mechanized Infantry―
アンドロイドは電気羊の夢を見るかもしれないが、全加工人―フルプラセス―に関して言及すれば答えはNoと言わざるを得ない。
文字通り全身を加工されたサイボーグであるフルプラセスは、その唯一の生身である生体脳も機械の身体に適合させる為に幾らか加工を施さなければならない。
フルプラセスの生体脳―わざわざ人間の脳をこう呼ぶのは、クローン培養して加工された人工脳を用いたアンドロイドが存在する為だ。
それらと区別する為に、ちゃんと生身の人間から生まれたという意味で生体と付ける―はその機能のほぼすべてを加工される。具体的にどんな加工を施すのかは専門家ではないから分からないが、端的に言えば生体脳のデジタル化だ。
生体脳をデジタル化するというのは、昔のテレビ放送がアナログからデジタルに移行したのに喩えられる。アナログと同じ電波帯域でデジタルは映像をより高明細に、より受信可能なチャンネル数を増やす事を可能とした。
つまりはそれと同様の事だ。生体脳で発生するシナプスを介したニューロン間の微弱な電気活動を明確なデジタル信号に変換し、機械とのインターフェースを確立する事でフルプラセスは義躰を自分の身体のように動かす事が出来る。
そればかりか、機械と神経を接続すれば、思い描くだけでそれらを自在に操作する事も可能となる。この便利な技術は未加工人―クルード―も度々利用している。
金属骨格と人工筋肉の身体になるのは嫌だが、念じるだけで尻を拭かなくて済むようになるのならば脳を少しぐらい弄るのも吝かではないという訳だ。
俺から言わせればそれは馬鹿げた発想だ。脳を加工した段階でクルードも俺達の様に自前の部分が殆どないフルプラセスと大差がなくなる。生体脳を弄るとはそういう事なのだ。己の魂を加工するに等しい行為だ。
程度にもよるが、加工された生体脳からは人間的な曖昧さが排除され、全てが明瞭に区分されるようになる。0か1かといった具合に。内分泌系は全て数式で記述されるようになり、それにより脳から遊びがなくなってしまう。
加工した部分に比例して、何処か人工的にならざるを得ない。それは日常生活の中では気付かないほんの些細なものだが、フルプラセスにとってはそれが非常に重要なのだ。
自前の部分が少ない故か、フルプラセスは自分を形作る目に見えないモノにこだわる。それは生身の頃の癖や趣味だったり、思い出だったりする。自分はこういう人間なんだ、というのを主張せずにはいられない。
フルプラセス、取り分けてSMIに我の強い人間が多いのはその為だ。常に自分はこういう人間なんだと周囲に誇示し続けないと、本当に自分という存在が信じられなくて不安で仕方がない。
SMIは強迫観念に囚われた精神病患者を集めた部隊と言っても過言ではない。俺も含めて、この部隊の連中は何かしらの心の病気を抱えている。それも当然だ。
人間の魂は、鉄と油の身体を前提に設計されてはいない。こんな藁人形よりも酷い代物に押し込められた魂が、一体如何して正気でいられると保障できる。何かしらの歪みが生じるのは必然だろう。
ついでに一言添えるとフルプラセスの意識にはオンとオフしかない。クルードの様に寝ぼけたり、酔っ払うという事がなくなる。そもそも軍用の戦闘用義躰にそんな機能は必要ないから当然といえば当然だが。
フルプラセスには起きてるか、寝てるかの二つしかない。そして俺達が起きてる時は大量の武器弾薬を虫けらどもにぶち込んで死と破壊を撒き散らしている場合が多い。
もしくはくだらない話をしているか、趣味に熱中している。フルプラセスはクルードよりも人間的な生活を送る上でやらなければならない事―食事や排泄など、その他の様々な雑多な事―が少ないので、その分の時間を好きなように使えるのだ。
つまりは俺達には暇な時間が多いという訳だ。
さて、フルプラセスがどれほど非人間的且つ機械的な存在なのかという事は俺の拙い説明でも幾らか分かってくれたと思う。
俺自身、その血も涙もないフルプラセスだから、クルードだった頃に比べると人間的な曖昧さがなくなってしまって幾らか機械的な生き方を窮屈に思っている。
しかし、フルプラセスはその生体脳の構造上、夢を見るなどという曖昧な状態に陥る事がない筈なのに、今の俺は夢を見ていた。
俺がまだクルードだった頃、まだ妻と娘が俺にいた頃の夢を、俺は確かに見ていた。
そして俺は喘いだ。夢の中でもいいから、またあの頃に戻りたくて。
急に意識のスイッチが入り、ギャレンタインは虚無の中から覚醒した。同時に、再起動した義躰のステータスウィンドウが幾重にも視界上に展開されていく。
クルードならば、起きぬけに難解な数学問題を解けと言われても脳が上手く働かないだろうが、意識にオンとオフの二つしかないフルプラセスの生体脳の寝覚めははっきりとしている。
人間は、徐々に五感が覚醒していく中で己を取り巻く環境をゆっくりと認識して目覚める。五感から得られる情報は膨大で、寝ぼけている脳ではそれらを上手く処理できない。
それで目覚めてから暫くして寝違えていたり、寝相が悪くて布団を何処かにやっていたり、寝小便を漏らしてしまった事に気付く。
フルプラセスの場合、意識のグレーゾーンがないので、意識が覚醒した瞬間から物事を正確に認識する事が可能だが、それは奇妙な感覚だった。
様々な感覚器官から得られる情報を、覚醒した瞬間に当たり前のように受け入れて処理するというのは、これからの自分の人生で起こる全ての出来事を予め知っているかのような、そんな超常的な感覚だった。
ギャレンタインは義躰のステータスウィンドに表示された情報から、自身の義躰に異常が無い事を確認すると瞬きをするような感覚でウィンドウを閉じ、何気なく艶消しの黒い人工皮膚に覆われた死人の様な手を、機械の瞳でじっと見詰めた。
金属骨格に人工筋肉を縫い付け、人工皮膚で覆ったそれは冷たい化学物質の青い血液が流れており、固く筋張っていた。
爪の代わりに指先の上半分を覆う鈍色の金属カバーには機械油と硝煙がこびりついている。掌は指紋の代わりに襞状の強化ゴムの滑り止め加工が施され、手の甲には管理用のバーコードとシリアルナンバーが刻印されていた。
それを見る度に、ギャレンタインは自分の身体が自分の物ではないという事実を突き付けられているような気がしてうんざりした。己の魂すらも既に自分の手から離れているというのに。
しかしその手には、もう少しで何かを掴めそうだった奇妙な感触が残っていたが、それは時折生体脳に生じる生身の頃の感覚だろうとギャレンタインは思い、直ぐに記憶の片隅に押しやった。
一つ、問題が発生していた。義躰のシステム自体に問題は無かったが、今の今まで全てのシステムがオフラインになっていた。つまりギャレンタインは気絶していたのだ。
気絶していた原因は分からない。ギャレンタインの義躰はJDFの特殊作戦モデルだ。その性能は、他の戦闘用義躰とは比較にならない。低軌道上からの降下の衝撃でシステムがダウンするとは思えなかった。
ちゃんと落下傘は開いたし、減速スタビライザーも正常に作動していた。しかし、その衝撃はやはり凄まじく、生身なら重傷を負っても何ら不思議ではないほどだが、特殊装甲に覆われた頭部は、20mm機関砲弾の直撃に耐えられるように設計されていた。
今、ギャレンタインは棺桶の中に居た。
正確に言えば、低軌道上のRLVから地上に直接降下する際に使用する個人用降下ポッドの中だが、地球に向かって8Km/secで突入するとなるとそれは最早お誂え向きの棺桶といっても差し支えは無い。
但し、既に地上に降下した今となっては棺桶とも呼べぬ代物だ。大気との激しい摩擦熱でポッド表面の耐熱素材の大部分が剥がれ、溶け掛かった卵の様だった。
ギャレンタインは生体脳を介して乗降ハッチを操作したが、ハッチは圧搾空気の排出される音と共に少しだけ開いてそれ以上動く事は無かった。
恐らく、ポッド全体の構造材が歪んでいるか融解しているのだろう。仕方が無いので、ギャレンタインはハッチを無理やり押し開けた。フルプラセスの強化された筋力ならば造作も無かった。鈍い音を立ててハッチの開閉機構が捩じ切れる。
完全に開放されたハッチから覗くのは白い満月と煌びやかな星屑を鏤めた夜空だった。頭上を覆う背の高い木々の梢にぽっかりと開いた穴から月と星明りが注いでいる。それは降下の際にポッドが穿ったものだった。
仰向けで潜り込んでいた降下ポッドから起き上がり、周囲を警戒する。電子化された視覚は既に低光量/赤外線モードに切り替えられていた。
ギャレンタインの義躰には、一昔前の攻撃ヘリと同等の索敵能力が備わっていた。全天候の索敵能力は環境に左右されずにそのスペックを最大限に活用可能だ。
視界とミリ波レーダーに敵影が無い事を確認すると、ギャレンタインは携行火器を降下ポッド内部の収納スペースから取り出して背負うと、武器を油断無く構えたままポッドの外に足を踏み出した。
SMIの小銃手が使用するのは、ドイツの兵器メーカーH&K社がSMI専用に製作した代物だ。.
338口径HKM64小銃はかなり大型のブルパップ式で、特別仕様の.338口径(8.6mm×70)強装弾を使用する為、強力な威力を持つ。
大柄で粗暴なフルプラセスが使用するので、銃自体は非常に頑丈に作られていて故障は滅多にせず、どんなに劣悪な環境下でも確実に作動するのが隊員から好まれていた。
その分重量があるが、無限に近い体力を持つフルプラセスには大した問題では無い。
小銃の各部位に設置されたピカティニー・レールには様々なオプションを装着可能で、エイムポイント社製ドットサイトをレシーバー上に、
不可視/可視光線に切替可能なシュアファイヤー製フラッシュライトとレーザーエイミングモジュールをハンドガード側面に、同社製サウンドサプレッサーを銃口に、銃身の下に50mm擲弾発射筒を装備していた。
小銃の他にもギャレンタインは右大腿部のレッグホルスターにフルプラセス仕様の大型自動拳銃を携行していた。
アメリカのコルト社が製作した.50口径M2046A2自動拳銃は、一見するとガバメントそのものだが、使用する.50口径弾(12.7mm×40)に合わせてかなり各部が大型化し頑丈に設計されており、
十五発の弾薬を装填可能なダブルカラム式の弾倉を収納するグリップはフルプラセスの大きな手でなければ握れないほど太い。
小銃と拳銃の他には、半自動式の狙撃銃も携行していた。
チェイタックアソシエーツ社製の.408口径M400狙撃銃は、削り出し加工で製作された.408口径弾(10.5mm×77)を使用し、2500ヤードという長距離に於いても優れた命中精度を誇る。
大口径狙撃銃であるので重量も嵩むが、それぐらいは大した事はない。
銃口には同社製の長大なサウンドサプレッサーが装着されており、ほぼ無音だ。頑丈な外殻を備える大抵のBUGを一撃で仕留められる。
携行する手榴弾は通常のものではなく、EFP(Explosively Formed Penetrator:爆発成形侵徹体)手榴弾と障害除去用燃料気化手榴弾だ。
前者は爆発と同時に広範囲に爆発成形侵徹体(爆発の衝撃波で金属が弾丸形状に成形されて、秒速2km〜3kmで発射され装甲を貫通する)をばら撒く。
後者は大きさが500mlペットボトルほどもあり、名称に燃料気化とあるが使用されるのはサーモバリック爆薬でこれは固体の化合物を気化させる事で粉塵と強燃ガスの複合爆鳴気を作り出し、強力な爆発を発生させる。
それらに加えて、黄燐手榴弾も幾つか携行していた。黄燐は激しく燃え、撤退するのに好都合な煙幕を発生させる。
ギャレンタインは周辺を警戒しながら身を隠せそうな場所を探した。今いる場所は鬱蒼とした奥深い森の中だが、身長230cmの重装備のフルプラセスが潜り込めるような場所はあまりなさそうだ。
暫く歩くと苔が分厚く繁茂した大きな岩がごろごろと転がっている涸れ谷に出たので、四隅を岩に囲まれた身を隠すのに適した窪地に陣取り、頭を少し出して周辺を隈なくミリ波レーダーで走査した。
敵影はおろか、一緒に降下した筈の分隊の面々の識別信号すら反応しなかった。
そんな筈はないとギャレンタインは何度も走査したが、やはり電子化された視界の片隅に表示されているレーダー画面には何も映っていない。
自分に搭載されているレーダーが故障しているのではと思い、ギャレンタインは自身の義躰に自己診断プログラムを走らせたが意味はなかった。義躰は何処も故障していなかった。全て正常だ。
ギャレンタインは動悸が早まるような錯覚に陥った。勿論、義躰は完全にコントロールされているから、クルードのようにアドレナリンが過剰分泌されて恐怖に備えようとする生理反応などある筈がない。
義躰は常に万全の状態にある。しかし、それに搭載される精神までもが義躰のように機械的という訳ではない。
幾ら加工されているとはいえ、フルプラセスの精神構造がまるっきり常人と懸け離れている訳ではなく、何度も死線を潜り抜けてきたギャレンタインと謂えども想定外の事態に直面すれば恐怖を感じる。
糞。作戦が計画通りにいくなんてのは稀だ。むしろ上手くいかないのが当たり前なんだ。
ギャレンタインは過去の失敗を振り返り、焦る気持ちを落ち着けた。こういう場面で冷静な判断が下せなくなれば終わりだ。作戦は失敗し、自分も死ぬ。それを回避する為には何よりもまずは冷静でなければならない。
暫くして落ち着いた所で、丁度良く通信が入った。作戦司令部からだ。ギャレンタインは落ち着きを取り戻した状態で通信に出た。
『ギャレンタイン! 生きていたのか!』
脳内に直接響くその声は感極まっていた。まるでクリスマスと新年が一緒に来たかのように。
ギャレンタインも頭の中で独白するようにしてその声に応答した。フルプラセスは言葉を発する事なく意志の疎通が可能だ。
<俺はちゃんと生きています。尤も、元から死んでいるようなものですが>
『今までどうしていたんだ? 戦術ビーコンは全く反応しなかったぞ』
<システムが全てオフラインになっていました。今は全てのシステムがオンラインになっていますが、恐らく、それが原因でしょう。ところで今はどんな状況なんですか? 他の連中が何処にも見当たらない。まさか降下に失敗したんですか?>
『残念ながら君の想像通りだ。RLVが降下地点を間違えた。君とドク以外は別の地域に降下してしまった。彼らは君らのいるグロズヌイからかなり離れた味方占領地域にいる。
BUGの巣の奥深くに降下しなかっただけ幸いだ。既に回収部隊が空路から向かっている』
<つまり俺とドクだけが人類とBUGとの境界線上にいる訳ですね? ドクは今何処に? 俺のレーダーには何の反応もありません>
『ドクは最低限の動力だけを残して巧妙に隠れているよ。君が無事ならばまだ成功の望みはある。取り敢えず合流して当初の予定通りに行動してくれ。常に衛星で君らの動きは追尾している。必要ならば攻撃機の援護も付ける』
<了解。出来ればそんな事にはならないで欲しいんですけどね。虫に食い殺されたくはないので>
通信を切るとギャレンタインは頭の中で現状を整理しようと試みたが、悪い考えしか浮かばなかった。現在、この付近にいるのは自分を含めた二名だけだ。
生身の兵士ならば兎も角、完全武装の熟練したSMI隊員ならば何とか出来るかもしれないが、やはり戦力不足なのは否めない。既に此処はBUGの占領支配地域なのだ。
直に連中の斥侯が降下ポッドの残骸を発見するだろう。そうなれば周辺一体のBUGが総動員で侵入者を狩ろうと血眼になって探すに違いない。
取り敢えず降下に成功したハンス・ドクトル=Eシュミッドと合流しなければならない。先ずはそれからだ。ギャレンタインは高速バースト通信でシュミッドを呼び出した。やや間があってからシュミッドが呼び出しに応じた。
<ドク。無事か?>
貴方こそ無事でしたか!私はてっきり、降下に失敗したとばかり思っていました!』
<原因はわからんが、一時的にシステムがオフラインになっていた。それで戦術ビーコンが上手く作動しなかったんだ。ところで今何処にいる?こちらのレーダーでは位置を確認できないぞ>
私は最低限の機能を残して義躰を低稼動状態に保って隠蔽しています。戦術ビーコンも切ってあるので分からなくて当然でしょう。私一人だけではこの作戦は無理だと、
先程、スターリング中佐に作戦の中止を言い渡され、新たな脱出経路を模索している間は待機を命じられていたのですが』
<残念だがドク、作戦は継続される。いや、継続しよう。俺達はこういう時の為に高い給料を貰っているんだ。それが公務員の在るべき姿だ>
ギャレンタインは自らに言い聞かせるように言った。彼自身とてたった二人だけではあまりにも無謀なのは承知していた。
しかしクルードだった頃にこなしてきた任務の中にはもっと無謀で危険なのが幾つもあったし、それに今の自分は生身より遥かに頑強な義躰と強力な火力を持っている。簡単な事だ。さっと行ってさっと済ませればいい。たったそれだけの事だ。
<ドク、戦術ビーコンをオンラインにしてくれ。位置を確認したい>
『分かりました。ちょっと待って下さい』
程なくしてレーダー画面に味方を示す青い光点が表示された。意外な事に、両者の距離はそれほど離れていなかった。距離にしてほんの数十mだ。シュミッドもこの涸れ谷の岩場に潜んでいるらしい。
<ドク、こっちに来てくれるか?>
『直ぐに向かいます。六時の方角から進入するので、撃たないでくださいよ』
そこで通信は一度切れたが、暫くすると微かな物音と共に重装備のフルプラセスが小銃をローレディ―身体をやや前傾にして銃口を下に構え、不意に現れた目標に対して素早い射撃が行える姿勢―に構えて窪地の縁に現れた。
ギャレンタインは他のSMI隊員を見る度に、鏡に写った化け物じみた自分の姿を見ているようだった。
ギャレンタインとシュミッドは、ぴったりと肌に張り付くように伸縮性のある防弾繊維製のアサルトスーツを着て、靴底に鋼板を仕込んだタクティカルブーツを履いていた。
装備は全てタクティカルベストに収納してあった。背面には個人用携帯無線機を入れるモジュラー式のポーチと手榴弾ラック、大型ユーティリティポーチが取り付けてある。
シュミッドは背中にフレーム付きベルゲンを背負っていたので、干渉しないように予め背面のポーチ類は取り外してあった。
ベスト下部には予備の装備品を括り付けたベルトを通す為のループが設けてあり、マガジンポーチやユーティリティポーチ、レッグホルスター、レッグポーチ、バットパック等を装着したベルトを連結してあった。
ギャレンタインは.410口径弾を二十発装填した狙撃銃用の弾倉を大量に詰め込んだバンダリア(襷状の弾薬入れ)を襷掛けにして携行していた。
ファスナーとファスティックでベストとベルトはそれぞれ固定され、レッグホルスターとレッグポーチも同様に左右それぞれの大腿部に固定されていた。
装具の下には特殊複合装甲製のプロテクターを装着している。装着者の動作を妨げないようにエルゴノミクスに基づいてデザインされたスマートな鎧は、少し重量があるが高い防御力を備えている。
最も装甲の厚い胴体部は、大口径機関砲弾の直撃に堪える抗弾性があるが、たとえ貫通しなかったとしても常人ならばその衝撃で即死するほどで、義躰を使用するフルプラセスだからこその高度な防弾装備であった。
SMIが使用するプロテクターは単に防御力を高めるだけではなく、小型燃料電池と人工血液をも内蔵しており、作戦行動時間を延長させる為の機能も備わっている。
それらは胴体部の背中側に内蔵されており、外から見ると少し膨らんでいるのが分かる。
義躰の背中にはそれらとの接続ポートが設けられているので、ダイバーが用いるウェットスーツのようなアサルトスーツの背面は、中ほどから上がそっくり露出するようになっていた。
SMIのフルプラセスが使用する義躰の頭部は、それ自体が頑強な特殊複合装甲に包まれているが、更に防御力を高める為に索敵・通信機能強化モジュールを組み込んである分厚い防弾シールド付きのヘルメットを被っていた。
一見すると暴徒鎮圧の警官隊みたいな格好と言えなくもなかった。
<ドク、何も異常はないか?装備はなくしていないよな?>
シュミッドの姿を確認すると、ギャレンタインも小銃をローレディに構えて窪地を出て、小走りに駆け寄った。
<全て異常なしですよ>
シュミッドは成人男性一人が優に収まるほど大きなベルゲンを背中で揺すってみせた。その中には大量の医療品と工具が詰め込まれていた。
ハンス・ドクトル=Eシュミッドは裕福な医者の家系の生まれで、元々は将来を嘱望されていた優秀な外科医だった。
しかし熱心なアウトドアマンだった彼からすれば、民間での医療従事は退屈過ぎた。確かに人の命を救う仕事に遣り甲斐があったのも事実だ。
それは素晴らしい仕事だし、誇るべき仕事でもあった。だがそれ以上にもっと心臓を高鳴らせたかったシュミッドは、JDFに入隊して降下救難員(PJ:パラジャンパー)を目指した。
一生に一度の人生ぐらい、自分の好きに生きても良い筈だ。しかもその選択が誰かを不幸にする訳ではない。
ただ、最も危険な最前線で患者を救うだけだ。医者を辞める訳ではない。なにも医師の治療を受られるのは安全な生活を送る民間人に限った事ではない。敵の真っ只中で孤立している傷付いた兵士もそうあるべきだ。
支援
PJの主な任務は、墜落して敵地に取り残された航空機パイロットの救出である。航空機は、いつ、何処に落ちるかわからない。
洋上かもしれないし、山岳地かもしれないし、ジャングルかもしれないし、市街地かもしれないし、極寒地帯かもしれないし、砂漠かもしれない。
その為にPJは様々な事態を想定した過酷な訓練を受ける。
重装備で山岳地帯を踏破し、灼熱の砂漠で捜索し、極端な高々度から落下傘降下し、必要であれば敵の遥か後背へ降下し、行方不明になったり負傷したパイロットをの行方を突き止め、手当し、家に連れ戻す訓練だ。
この地球上に存在する、ありとあらゆる厳しい自然環境下で傷付いたパイロットを救出し、必要であれば手術も行えるようにならなければならないのだ。
また、パイロットが不時着した機体から脱出不可能という場合には電動カッターや油圧ジャッキなどの救急用工具で、機体を切断したり押し広げたりして引っ張り出さねばならない。
そして敵地からパイロットを救出する大抵の場合、敵に追われたり包囲されて交戦中という危機的な状況が多い。PJはその真っ只中に降下し、強力な敵部隊と交戦しつつパイロットを救い出すのだ。
PJとは、まさしく最強の衛生兵と言っても過言ではなかった。
シュミッドがSMIに転属してきたのは、任務中に重傷を負い、もう軍務を続けられる身体ではなくなってしまったが、残りの長い人生を病院のベッドの上で過ごすよりも非人間的な義躰に換装してより過酷で悪条件の任務に没頭する為であった。
彼はエクストリームスポーツのように危険で激しいこの仕事の魅力にすっかり取り付かれていたのだ。
<それじゃあ行こう。グズグズしている時間はないからな>
ギャレンタインは先頭に立つと走り出した。シュミッドもそれに続く。二人とも重い武器と装備を身に付けていたが、フルプラセスの脚力ならばたとえどんなに重装備であろうとも険しい山道を羚よりもずっと速く走れた。
既に時刻は真夜中になろうとしている。思わぬアクシデントが立て続けに起こった為に、作戦は大幅に遅れている。隠密行動に徹するよりも今は失った時間を取り戻す方が重要だった。
今回、第22SMI連隊F中隊α小隊Δ分隊に下された任務は、グロズヌイ郊外の山岳地帯に墜落したJDFの輸送機に積み込まれている、次世代型量子コンピューターの試作実用モデルを回収するというものであった。
現在、一台が数百億ドルに達するのも珍しくはない量子コンピューターは、その構造に超伝導素子を用いている。
しかしこれは極低温下でなければ維持出来ず、その為の大規模な冷却施設が必要であり、また本体自体も駆逐艦並みのサイズと非常に巨大である。
しかし次世代型は大幅な小型化に成功し、また常温で機能しつつもその性能は従来型を遥かに上回るという。
人類とBUGとの生存闘争が始まり、人類は一丸となってこの天敵に対して立ち向かわなければならなくなった。それは軍事に限らず、経済、産業、様々な分野で互いに協力するという事でもあった。
それがかつてないほどの各分野の進歩を促し、特に軍事に関連するあらゆる技術は目覚ましい発展を遂げていた。次世代型量子コンピューターの実現もその産物の一つである。
JDFが天文学的な費用と人員を投入して漸く実現一歩手前まで漕ぎ付けた次世代型量子コンピューターが実用化されれば、今まで以上に戦局を有利に導く事が可能となるかもしれない。
高度に電子化された現代の軍隊には、膨大な情報を処理する高性能なコンピューターがどうしても必要なのだ。
苔むした岩がゴロゴロと転がる山道を素早く踏破し、涸れ谷を超えると開けた場所に出た。そこはちょっとした空き地のようになっていて、前方には二十mほどの絶壁が聳えていた。
<シュミッド、義躰の設定値を変更しろ。一気に跳び越えるぞ>
空き地に走り出たギャレンタインは速度を落とすどころか一層加速すると、義躰の脚部の人工筋肉に膨大な運動エネルギーを発生させる為に収縮させた。
その瞬間、金属骨格が撓み、不気味な音を立てて軋んだ。循環器機構はフル稼働状態だ。信号を送り込むと、青い人工血液と人工筋肉の間で急速な化学反応が引き起こされ、更にエネルギーが蓄えられた。
鎧に覆われた大腿部は、普段の倍以上の太さに膨れ上がっていた。
人工筋肉に蓄えられたエネルギーを、地を蹴って跳躍すると同時に解放する。
地面に足型が深く刻まれるほどの勢いにより、重装備を身に纏った長身が、まるで重力から解き放たれたかのような勢いで軽やかに宙を舞い、絶壁の上に降り立った。
数瞬遅れてシュミッドも着地する。
現在、SMIが装備している義躰はアサルターシリーズ・フナサカZ型という大型の強襲戦闘用重義躰である。細身ながらも新開発の人工筋肉のお陰で従来型よりも更なる重装備が可能となっており、出力も上昇している。
カタログデータに依れば、フナサカZ型は大柄であるにも拘わらず、金属ヘリウムを燃料とする装甲歩兵の動力付き装甲化外骨格(パワードスーツ)の噴射跳躍(ブーストジャンプ)並みの機動力があるとされていた。
長い軍隊生活でギャレンタインは、兵器は額面通りの性能を発揮しない事を嫌というほど知っていたが、この義躰ばかりは信頼に足ると考えていた。如何なる状況でも、如何なる環境でも正しく機能する兵器こそが兵士に求められるのだ。
<もう少しで墜落地点だ。ここからは慎重に行こう>
先程よりも幾らか速度を落としたが、それでもクルードの兵士よりもずっと速く道なき道を進んだ。夜戦の鉄則の一つである、なるべく音を立てないように気をつけた。夜間は昼間よりもずっと遠くまで音が聞こえる。
会話なら二○○m、叫び声なら一km先まで聞こえる。ギャレンタインもシュミッドも、会話は全て生体脳で直接行い、装備の全てに防音処置を施していた。
弾倉はしっかりと固定された状態で収納され、金具類にはOD色のテープを巻いていた。ちゃんとそれらの処置が出来ているのかを確認する方法は、何もかもをもたくしこんでその場で飛び跳ねればいい。それで音がしなければ何も問題はない。
幽霊のように一切の音を立てず、密生する木々の合間を縫うように走り、深い茂みは慎重に掻き分けて墜落地点へと近付いていく。近付くにつれて航空機燃料の臭いが漂ってきた
。ギャレンタインの義躰に鼻は無いが、匂いを感じ取る為のセンサーが代わりに備わっていた。人工培養細胞を応用したそれは、普段は人間並の感度だが、設定を変更すればよく訓練された優秀な警察犬以上に匂いを嗅ぎ分ける事も可能だ。
<一旦停止…ビンゴ、目標を発見>
生体脳で会話をしているが、ギャレンタインはハンドシグナルでも後続のシュミッドに合図を送った。
茂みを慎重に掻き分けて進み、抜け出たところで目の前に輸送機の胴体部が現れた。それはまるで浜辺に打ち上げられた鯨のように巨大で、太い木々を薙ぎ倒して鎮座していた。
パイロットの腕が良かったのだろう。主翼は墜落して木々を薙ぎ倒して止まる間にもぎ取れて失われてはいたが、胴体部は原形が保たれていた。
周辺一体をレーダーと視覚センサーで走査し、敵影が無い事を確認してからギャレンタインは茂みから出て輸送機に近付き、機体に生じた裂け目から内部へ侵入した。
機内は真っ暗だったが、電子化された目を持つギャレンタインにはさほど苦にはならなかった。
赤外線影像と低光量増幅映像を組み合わせた視界は、光の届かない機内でも昼間のようによく見える。機内は異様なほど静かで、火災は発生しておらず、煙も無い。
機内に隙間無く張り巡らされている太い電気ケーブル類の所々が千切れてぶら下がっている。普段は高圧電流が流れているそれらは、今は電気が流れていないので全くの無害だった。
身長230cmのギャレンタインが立ち上がっても余裕があるほど、機内の天井は高く、広々としていた。機壁に備え付けられていた備品類が床に散らばっている。まるで無法者に略奪された後のようだった。
ギャレンタインが侵入した裂け目は丁度胴体部の中間に生じており、目的の回収物は後部に安置されていた。
機上輸送係(ロードマスター)の姿は何処にも見当たらない。恐らく、墜落の際の衝撃で吹き飛んだ後部の貨物扉から外に放り投げ出されてしまったのだろう。
ぽっかりと口を開けている後部からは薙ぎ倒されて折り重なっている木々が百mほど先まで見える。
そこを探せば機上輸送係の遺体は見つかるかもしれないが、残念ながら彼らを回収する余裕はない。しかし積載物が収納されているコンテナ類は床にしっかりと固定されていたので無事だった。
シュミッドはパイロットの安否を確認する為に機首の操縦席へ向かったが、直ぐに二人分の認識票を手に戻ってきて力無く首を振った。
<パイロットは?>
<駄目です。チーフ、二人とも死んでいました。目茶苦茶です。遺族にはとてもじゃないけど見せられませんよ>
<ロードマスターも見当たらない。恐らく、機外に投げ出されたな。出入りできそうな所に俺達以外の足跡は見当たらなかった>
そもそも、BUGが闊歩する占領支配地域を歩こうと思うクルードは少ないだろう。もし墜落しても機体が炎上せずに無事ならば、CSAR(Combat Search and Rescue:戦闘捜索救難)チームが来るまでその中で待機している方が安全だ。
CSARチームが来なければいよいよ覚悟を決めて、巨大な化け物が蠢く地域を自分の足で通り抜けなければならないが。
<生存者がいないのは残念だが俺達は俺達の仕事をやるだけだ>
ギャレンタインはコンテナに備え付けられているキーパッドにパスワードを入力していった。ほどなくして全てのロックが外れ、装甲化された分厚い扉が開放される。
中には衝撃吸収素材などで厳重に梱包された、切り株ほどもある銀色の円筒が安置されていた。ひんやりとした特殊合金に包まれたそれは、所々に無数の出入力端子が設けられていた。
<これが次世代型の量子コンピューターですか?随分と小型なんですね>
448 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/24(日) 23:55:18 ID:hZGYZoSb
シュミッドが作業をするギャレンタインの背後から興味深げに覗き込んだ。
<いや、これはあくまでも量子コンピューターを構成する一つの部品に過ぎない。従来型よりも小型化されたとはいえ、そのサイズは人間が携帯するにはかなり難しい大きさだ。
これはCPUだ。これが次世代型量子コンピューターの開発で一番金が懸かっている>
ギャレンタインは輸送用コンテナ内部に入ると、備え付けられていた衝撃吸収素材が内張りされた分厚い装甲で作られた運搬用耐衝撃ケースにCPUを慎重に移した。
<さぁドク、背中のベルゲンの代わりにこいつを背負ってくれ>
ギャレンタインに言われた通りにシュミッドは、パイロットを救助する為の様々な道具が詰まったベルゲンを下ろし、代わりに耐衝撃ケースを背負った。
<背負ったな?よし。それじゃあさっさと帰ろう。こんな所には一秒でも長居はしたくないからな>
シュミッドを促し、ギャレンタインはコンテナの外に出て機外に出ようとした。が、妙な違和感を感じ、ふと、立ち止まって略奪されたかのように荒れた機内を見回した。
電子化された視界内をカーソルが忙しなく動き回り、何か変わった所が無いか、不自然な点が無いかと探ろうとする。視覚センサーを様々な光波帯に分けて情報を複列処理し、
多角的に分析していく。同時に、視覚だけではなくその他のセンサーをも総動員して走査する。
やがて聴覚と嗅覚がそれぞれ不審な点を発見した。
義躰の超小型サーボモーターの駆動音とは明らかに違う、規則正しいが弱々しい生体の鼓動と何かの機械が作動している音と液体が循環する音、航空機燃料と潤滑油が混ざった空気の中に生命の息づく匂いが感じられた。
それはまだクルードだった頃に覚えのある音と匂いだった。
<なぁドク、何かおかしいとは思わないか?>
<何がです?>
機体の裂け目から外の様子を注意深く窺っていたシュミッドは、生体脳通信で応じた。
<ここには一人も生存者がいない筈なのに、あのコンテナの内部から微弱な生体反応が検出されたぞ>
ギャレンタインの言葉に振り返ったシュミッドは、壁面透視センサーを使って、量子コンピューターのCPUが積み込まれていたのとは別のコンテナを注視した。
<本当だ…でもこれは生きている人間のものとは思えませんね。何かの機械じゃないでしょうか?>
<目だけじゃなくて鼻と耳でも探ってみるんだ>
<……確かに、これは生命体だ。しかし、体温が二十℃しかありませんよ。一般的な哺乳類とは思えない>
<だが調べてみる価値はありそうだ。俺達の任務はCPUの回収と生存者の救出だ。給料分の働きはしないと税金泥棒になっちまう>
不可解な反応があるコンテナの前にギャレンタインは立った。そのコンテナにも厳重なロックが掛けられていた。キーパッドにパスワードを打ち込まなければ開きそうにはない、頑丈そうな扉は固く閉ざされている。
<パスワードがなければ開きそうにはありませんね>
<そこでお前さんの出番だよ。ドク、PJは金庫をこじ開けるようにしてパイロットを救出する道具を持っている筈だ。そいつでぶち破ってくれ>
作業をしやすくする為にシュミッドは背負っていた耐衝撃ケースを一旦床に下ろし、ケースを背負う為に下ろしたベルゲンから皿型の小型装置を幾つか取り出した。
それは分厚い装甲を焼き切る為の成形炸薬で、戦闘工兵も使用する代物だ。但しPJが使用するものはあくまでも閉所に閉じ込められた人間を救出する為のもので、安全性を考慮して威力は低く調整されている。
シュミッドはそれらを手際よく扉に設置していき、電気コードと起爆装置を繋げて直ぐに爆破準備を整えた。
<では、爆破します>
シュミッドが起爆装置の点火ハンドルを回すと、思ったほどの爆発は起こらなかった。成形炸薬は、爆薬の化学エネルギーを利用して円錐状の金属製ライナーをドロドロに溶かして液状にし、秒速数kmで射出する。
装甲を一瞬で焼き切る為の爆薬だから、子供が遊びに使う噴出花火よりも激しい火花が飛び散っただけで音はそれほど大きくはない。鼻の奥にツンと来る金属の焼ける臭いと火薬の臭い、煙が機内に充満した。
必要最低限の爆薬でシュミッドは装甲越しに物理的なロック機構だけを正確に焼き切っていた。ギャレンタインがハンドルを捻ると何の抵抗もなく、コンテナの扉は音も無く開いた。
コンテナ内部は成形炸薬の爆発で生じた金属臭のする煙が充満していたが、電子眼に搭載されている赤外線影像装置はそれを物ともせずに正確な視覚情報をギャレンタインに提供していた。
尤も、それは輪郭がはっきりとした白黒映像でしかない。色や細部の形状まではよく分からなかった。
中央には大掛かりな装置が置かれていた。微弱な熱を発しているらしく、白く浮かび上がって表示されている。その装置からは微かに液体の循環する音と生体の鼓動が感じられた。
もっとよく見ようと思い、ギャレンタインは電子眼を低光量増幅/赤外線影像モードから人間の肉眼と同じぐらいしか物を見る事が出来ない通常モードに切り替えた。途端に世界は暗闇に包まれ、傍に居るシュミッドの姿もぼんやりとしか見えない。
ギャレンタインはヘルメットの側面に装備されている、不可視/可視光線切替機能を持つ強力なフラッシュライトを点灯した。
<なんだこれは…>
神よ、と思わず喉元まで出かかった言葉を飲み込む。宗教とはとうの昔に訣別している。古く伝統的なカトリックの家で育ったギャレンタインだが、最早フルプラセスとなった自分には頼る神などいないのだから。
フラッシュライトに照らし出されたのは、巨大な培養槽だった。様々な機械に繋がれ絶えず忙しなく動いている。しかし問題なのは、その中にプカプカと浮かぶ物体だった。
胎児のように身体を丸めて培養液の中に浮かぶのは幼い女の子だった。まだ十歳になったばかりだろうか。オブラートのように透明な膜に包まれて液体の中に浮かび、時々ぴくりと動いた。
肋骨が浮かび上がるほど華奢な身体の穴という穴にはには大小様々なチューブが繋がれ、その小さな命を維持する為に絶えずゴボゴボと音を立てて酸素や栄養が送り込まれ、老廃物が吸い出されていた。
<これは…この子はなんだ……>
ギャレンタインはあまりの出来事に言葉を失っていた。しかしシュミッドは冷静にその機械に繋がれた少女を観察していた。
<これは恐らく擬似冬眠装置…所謂コールドスリープですね>
<コールドスリープ?>
<よくSFなんかに登場するでしょう?人間を冷凍保存する装置ですよ。尤も、これは冷凍ではなく体温を極低温状態に保つ冬眠装置の一種で、実際に医療機関で使用されている技術です。
言い換えれば人工的に仮死状態にする事で代謝を最低限にまで減らし、若さを保ったまま未来へ行く方法でもありますが>
シュミッドが元々は医者だった事を今更のようにギャレンタインは思い出した。
<水槽を満たすのは羊水に近い成分と微小生体機械群(ナノマシン)で、あの子を包む膜は微小生体機械群が作り出したものでしょう。
あの膜は胎児が母親の胎内にいてもふやけないようにする為のものと同じ役割を持っています。羊水の中にいるのは、床擦れなどを起こさずに済み、尚且つ定期的に人体に刺激を与えるのに都合が良いからです。
ほら、時折ぴくっと動くでしょう?要は赤ん坊にまで退行させた方が色々な面で都合が良いんですよ。母親の胎内に勝る環境はありませんからね>
成る程、道理で、遠い昔に嗅いだ事のある懐かしい匂いだと思った訳だ。フランケンシュタインよりも化け物みたいな姿をしている自分達が、母親の温もりに包まれて育まれていたという事実が信じられない。
そしてギャレンタインは、自分が一度は子を成して自ら我が子を取り上げた事があるというのも悪い冗談としか思えなかった。
<それで、この子は何でこんな装置の中で眠っているんだ?>
<コールドスリープを行う患者の大半は、現代の医学では治癒の望めない難病を患っている場合が多く、現代よりも医学の進歩した未来に希望を託して眠りにつきますが、
その他は単純に今の世の中に絶望して、今よりはマシになった世の中で人生をやり直したいと願う人々ですね>
<で、この子はどっちだ?人生をやり直したいと思うほど生きているとは思えないし、かといって俺の死んだ婆さんと同い年にも見えないな>
<ちょっと待って下さい。今、医療記録に接続してみます>
シュミッドはユーティリティーポーチから取り出した光通信ケーブルを自身の項に接続し、もう一方の端子を装置の情報端末の出入力ポートに差し込んだ。
<ふむ…この子は病気といえるようなものは患っていません。極めて健康体ですね。それにコールドスリープもつい最近です>
<じゃあ、この子の親御さんがBUGとの戦争で荒廃した現代を憂いて、せめて我が子だけは争いのない未来で生きて欲しいと泣く泣く別れたのかもしれん>
<仮説としては面白いですが、それも有り得なさそうです。何のデータも残っていないんです>
<なんだと?どういう事だ?>
ケーブルを抜き取り、ポーチに仕舞うとシュミッドはギャレンタインの疑問に答えるべく続けた。
<全く何も残ってません。消されたのか、それとも始めから無かったのか。とにかく、この女の子が何者で何の目的でこの装置の中にいるのかも分かりません。しかし一つだけ断言する事が出来ます>
シュミッドは足元に置いたベルゲンの中から真空パックで小さく薄く圧縮された毛布を取り出し、包みを破り捨てた。
<こんなに小さな子供は放って置けないという事です>
投下終了です。支援の数にたまげました。心より感謝します
ちょっとしたら、自分も作品を投下します
代理乙!引き続き支援を続行する
投下乙で……って立て続けに、だと!?
了解しました、支援します!
すみません、風呂入ってました
先に色々書きたいので返レスします
>>349 実に美人さんですな……
何気にナイスバ(ry
>>355 感想dです!
自分としては、ライオネルは今までの悪役とはまた違った感じに描きたいなと
リタとリヒトはもっとPBM氏に近づけるように頑張りますw
>>382 これは懐かしいw今やスネイルは完全にかたつむりが固定イメージですw
>>387 うほっ、良いカラー遥さんw
こう、色遣いの素朴さが実に遥さんですw
>>390 お久しぶりですぜ!
また遊びに&投下お待ちしてます!
さて……
>>381>>383 怒るだなんてとんでもない
むしろ、前に考えてたけど何時の間にかやる気が無くなっていたアレを書くきっかけになりました
何と言うか、こんな感じで考えればいいんだなぁと。そうか……こういう考え方があるなと。
色んな意味で
>>882氏、貴方には心から感謝いたします。その文を作品に変えて…・・
では次から投下いたします。多分大丈夫だと思いますが、出来たら支援、お願いします
注意
※この作品は二次創作であり、本編のヴィルティック・シャッフル、もといビューティフルワールドとも深い関連性はありません。多分
※それゆえ、一部というか殆どのキャラの立ち位置、もとい性格が本編のキャラとは違っております。予めご了承ください
※なお、この作品を読む時は、部屋を明るくしてモニターから5pほど離れてご覧ください
※それとこの作品を読んで気分が悪くなった、天気が悪くなった、ウチのTVが故障した、ヘルメットを被ってなかったから即死した等の苦情は受け付けません。予めご了承ください
それでは本編をお楽しみください
――――メルフィー。
……ん?
――――起きたかい、メルフィー。
……また、君? ……そろそろ君が誰か教えてくれない……かな?
――――俺は――――。君の騎士になるべく現れた。
私の……騎士? ねぇ……それってどういう意味……。
――――もし君に危険が迫れば、君の元に白き龍が現われる。そのチャンスを――――逃すなよ。
待……待って! まだ……まだ君の名前を聞いてない!
――――また、会うよ。もうすぐ。
頭に、鈍くジンジンする痛みが走った。目の奥で星が瞬いては消えて行く。
気付けばベットから転げ落ちていたみたいだ……。それもまたあの夢……。顔も名前も分からない、変な男の人が私に話しかけてくる。
これでもう5回くらい、その夢を見ている。けど、私はその男の人の顔も、名前も知らない。分かりそうな時に限って目が覚めてしまう。
普通だったら好きな人の夢とかだろうけど……私にはまだ、そんな事を考える様な人はいない、はず。
階段を下りて洗面台で、寝ててクシャクシャになった髪を整える。うん……これで大丈夫。
冷たい水で顔を洗いながら、寝ぼけている頭をどうにか目覚めさせて再び二階に上がる。早く着替えて学校に行く準備をしなくては。
パジャマから制服に着替える。胸のリボンを結んでっと……これで良し。少しでもズレてると注意されるから、しっかり整えないと。
階段を下りると、リビングからお母さんの作っている朝食の美味しそうな匂いがした。今日はパンと目玉焼きかな。
ダイニングに着いてテーブルの上を見ると、ぴったり的中。少しだけラッキー。早速席に座る。
「おっはようメルフィー。飲み物何飲む?」
キッチンで皿を洗いながら、挨拶間際、母さんが何を飲むかを聞いて来た。勿論朝はアレに決まってる。
了解!
「おはよー、母さん。んーと……牛乳入れてくれる? ありがとね」
「良いの良いの。しっかり食べて、授業に備えてね」
母さんが自分の珈琲と、私が飲む牛乳を入れた二人分のマグカップをテーブルに置き、向かい側の席に座った。
喉に牛乳を流し込むと、その冷たさから頭が冴えてきた気がする。焼きたてのパンもカリッとした後、フワッとした甘みがあっておいしい。
そう言えば……何時もは、母さんの隣で新聞を読んでいるお父さんの姿が無い。って事は……。
「お父さん、また研究所?」
「うん。後で朝ごはん届けなきゃ」
やっぱりか。昨日から父さんは研究所で、何時もの実験に励んでいる。何やら、二足歩行ロボットの開発とかいう実験らしいけど、私はそれ以上の事は知らない。
父さんと母さんはお互い科学者で(母さんは一線引いて、今は主婦だけど)母さんの方から父さんにプロポーズしたらしい。
父さんの実験の為なら我が身を省みない荒唐無稽な所に惹かれたと言っていた。
正直私には良く分からない。けど、本人同士で理解しあえる所があるのだろう。っと、のんびりしてる時間はあんまない。
「ごちそうさまー。美味しかったよ、お母さん。レストラン開けると思う」
私は席から立ち上がって、食器を洗う為にキッチンに向かう。
「バレバレのお世辞を言っても、小遣い上がんないわよ」
「ばれたか」
母さんと特に意味の無い会話をしながら食器を洗い終わり、用意してくれたお弁当をカバンに詰める。
ついでに必要な物を忘れていないかチェックする。文房具、教科書etc……。バッチリ。これで特に心配事は無い……かな。
玄関へと向かい、靴を履く。母さんが玄関で見送ってくれる。これが地味に嬉しい。
「それじゃ行ってきます。父さんにも宜しくね」
「はいはい、行ってらっしゃい。ちゃんと定時には帰ってくるのよ。まぁ……遅くなるなら連絡してね」
「はーい。じゃ、改めて行ってきます」
母さんに手を振りながら、私はドアを開けて外に出た。気持ちの良い、突き抜けるような青空と、眩しい太陽が見えて清々しい気分になる。
何だか今日は妙な予感がする。妙といっても悪い意味では無く、何かとんでもない事が置きそうな。
けどそんな予感は常に肩すかしだ。それかとっても小さい事。ま、期待しないで今日も一日頑張ろう。そう思って歩き出す。
ふと、空から何か落ちてくる音が聞こえた。私の耳は普通の人より優れているとは思えないが、その音は確かに聞こえている。
私は立ち止まって空を見上げた。……落ちて、来てる? まだ影が小さいけど、しっかりとこっちに向かって、何かが落ちてくる。
郵便物? いやいや、それは無い。なら鳥? まさか……隕石!? いや、隕石ならあんな小さくない筈……。
『たぁ―すけてぇ――――――!!』
その得体の知れない物体は、悲痛な叫び声を上げながら落ちてくる。どうしよう……警察? 警察とかに電話した方が良いの?
けどどう考えても落ちてくるまで間に合わない……! なら早くこの場から逃げなきゃ。けど逃げていいの? 助けを求めてるのに……。
……決めた。出来るかどうかは分からない、というか無理かもしれないけど、受け止めてみる。
あんな高さから落ちてくる物を受け止めたりしたら、どう考えても無事で済む訳が無いと分かっていても、私の体は自然に落下物を受け止める為に動いていた。
カバンをその場に置いて、受け止める為に落下物が叫んでいる方向へと駆ける。多分この辺に落ちてくる……気がする。
両手を胸の前に伸ばして、落ちてくるのをじっと待つ。空を見上げると、その落下物の形がハッキリと分かるくらい――――次の瞬間。
私はしりもちをつきながら、その落下物を受け止めて、胸で抱いていた。
未来系!
魔法少女
ヴィ・ヴィっと!メルちゃん 起
……って、何やってんの私! 私はほぼ反射的に、その落下物を胸から離して両手で掴んでみた。不思議な事に衝撃はおろか、怪我の一つも無い。
受け止めた時の感触も妙だった。かなりおっきい物体なのに、持ってみると結構軽い。けどがらんどうって訳でもなく、ちゃんと中身があるのを感じる。……ホント不思議だ。
これ……何だろう。所々はカクカクしててかつ、触ってみるとツルツルしてて工業製品みたい。それに色が白いし。
くるくる回してみると、手や足が付いている事に気付く。全体像を見る為に、立ち上がってもう一度両手で持ち直してみる。……ロボット?
上手く言えないけど、この落下物はどうやらロボットの様だ。頭と思わしき部分に見える、二つのカメラ? から見える目がバツ印になっててちょっと可愛い。
『う、うーん……』
喋っ……喋った? まぁ、さっき素っ頓狂な声で叫んでたから可笑しくは無いけど……。
状況を把握しているのか、バツ印になっていた目が黒い丸になると、きょろきょろと忙しなく上下左右に動いた。あぁ、やっぱ目なんだ、これ。
そして落下物は背中に何で出来ているのか、半透明な翼を背中から出すと、自分から私の手を離れた。翼を絶え間なく動かしながら……飛んでる?
凄い……自分の力で飛んでるんだ。私は呆然と口が開いている事に気づいて、恥ずかしくなり閉める。落下物は私の正面で浮きながら一言目を発した。
『し、失礼しました! お怪我はありませんか?』
「うん……大丈夫」
落下物はその外見からは想像もして無かった、気弱な女の子の声で慌てながら私の安否を気遣った。
それにしても自分で飛行するわ、言葉は喋るわ……おもちゃだとしたら凄すぎる。というかなんで空から落ちてきたんだろう……。
『良かったぁ……メルフィーさんが怪我でもしたら大変な事になりますからね。あぁ、ホントに……」
「……ちょっと待って。どうして私の名前を知ってるの?」
ホントに何で私の名前を知っているのか。私の記憶にはこの落下物と出会った事はおろか、存在さえ記憶に無い。
もし誰かが私に手を込んだ悪戯をしているにしても、こんな無茶苦茶凄い物を作る意味はあるのだろうか。私がその人の立場なら、今すぐおもちゃ会社に売り込む。
落下物は私の言葉に分かりやすいくらいあたふたすると、切羽詰まった感じで話した。
『え、いや、な、何でも無いです、はい! えっと……僕の名前はヴィル・フェアリスと言います。
正確には装着型戦闘ドライブユニットTH-147 ヴィル・フェアリスと言います。あ、全部は言わなくて良いですよ。呼ぶ時はヴィルでもフェアリスでも……」
「……ごめん、何が何だかよく分からない」
正直な気持ちだ。いきなり現われたと思ったらヴィルだのドライブだの……というか説明するならどこから来て、又何故私の名前を知っているかが先ではなかろうか。
しかしこのヴィルって子(人では無いけど)、相当ドジっ子というか、私に似た匂いがする。こう……どこか煮え切らないというか。
一先ず私にはヴィルをどう扱って良いか分からない……。ちょっと手間がかかるが、お父さんを呼んで調べて貰おう。そう思いながら携帯を取り出そうと腕を伸ばす。
腕時計が、8時25分を指していた。……遅刻! しまった、ヴィルに夢中になってたせいで学校の事をすっかり忘れてた!
私は悪いなと思いつつ、ヴィルをスル―して学校へと猛ダッシュする。ここから家まで歩いて10分。8時半までに走っていけば間に……合うか!
『ま、待ってメルフィーさん! お話を!』
「また会えたら聞くから! ごめんね!」
ヴィルにそう答えながら、私は必死に学校へと駆ける。あまり運動が得意じゃないせいで息が上がって苦しい。けど……。
けど、諦める訳にはいかない。学校に通って二年、遅刻歴ゼロを絶対に守らなきゃ……あと5分……後5分間全力で走れば間に合わ……。
無かった。私が息をゼェゼェと荒げて学校に着いた頃には、生徒指導の先生がガチャンと校門を閉じていた。目の前で無情にも締まる鉄格子。
やってしまった……今まで真面目さと勤勉さが取り柄だったのに……。これで一回バツが付いてしまった……。
それもこれも……ってヴィルはただ落ちてきただけで、それを救おうとして立ち止まったのは私だ。ヴィルに何ら落ち度もバツも無い。
しょうがないか……私は小さく肩を落とし、先生に話して学校に入れてもらった。何がラッキーなんだろう……。
他の生徒の邪魔にならない様、音を立てない様に廊下を静かに歩いて、私は自分の教室である2‐B組へと向かう。
一応今はホームルーム中でまだ授業には入っていない。とはいえ朝の出欠確認はとっても大事だ。それも……あぁ、もう。
遅刻はどう足掻いても遅刻だ。私は現実をしっかり受け入れる。恐る恐るドアを開けて教室に入る。皆の視線がちょびっと痛い。
「遅いぞ、ストレイン。5分の遅刻だ」
「すみません、先生……」
そう言いながら、私は先生の方を見て、驚いた。教卓に立っている先生の隣に、学校の制服を着た。知らない男の子が立っているからだ。
男の子の印象は正直、失礼だとは思うが地味だ。黒い短髪に、鋭くはないけどタレ目でもない目。薄い唇。上手く言えないが……地味でかつ、普通だ。
けど、不思議な事に私は地味とは思うものの、悪い印象は抱かない。何となく仲良くなれそうな気がする。
「取りあえず自分の席に座りなさい。後で職員室で遅刻の理由を聞くから」
「はい……すみません」
私はそう言いながら、自席である窓際から一番近い、3番目の席に座る。私はこの窓からの景色が見れる席が好きだ。
授業に身が入らない時、ふと外を見ると心が落ち着いて、再び授業に集中する事が出来る。とはいえ外の景色に気を取られて、注意される事もあるけど……。
……そう言えば私の後ろって右左、どっちも空席だった。もしかして……。いや、そんな漫画みたいな……。
先生が男の子の名前を黒板に書きはじめる。もしかしてでなくても転校生、もしくは転入生な事は分かる。
カリカリと黒板に書かれたその名前は、初対面で話した事も無いのに、度々失礼だとは思うがとても、地味で普通だ。
先生がその名前を読みながら、男の子の事を紹介した。
「今日からこのクラスの仲間になる鈴木隆昭君だ。前は都内の学校に通っていたが、ご両親の都合で引越して、この学校に転校してきた。
まだこの町、もといこの学校に来て間もないから、色々と教えてやって欲しい。それじゃあ、鈴木君」
やっぱり転校生……か。にしても両親の都合で転校してくるって大変だなぁ……とぼんやり思う。
生憎生まれてからずっとこの町に住んでるから、どんな心境かは分からないけど。
なるたけ仲良くとはいかないまでも、顔見知りくらいにはなっておきたいなと思う。色々困った時に、お互い助け合えるかもしれない。
そんな事を思っていると、鈴木君は先生の紹介に軽くクラスに頭を下げて、自己紹介を始めた。
「鈴木隆昭です。前居た学校では、生徒会に所属していました。
なるべく早く、皆と仲良くなりたいなと思います。宜しくお願いします」
ハッと、する。
この声……私が見てた夢の声と……同じ? いや……違う。限りなく似てるけど、違う。
あの夢で聞いた声はもっとこう、紳士然としてて大人っぽい、かっこいい声だ。悪いけど、鈴木君の声とは全く違う。
皆が拍手する音で我に返る。いけない……頭を切り替えなきゃ。
「それじゃあ鈴木君は……ストレインの後ろの席に座ってくれ」
「分かりました」
あぁ、やっぱり……。けど悪い気はしないや。休み時間、気軽に喋りかける事が出来るかもしれない。
鈴木君は席に座って身支度を済ますと、私に声を掛けてきた。
「宜しく頼むよ。えっと……」
「メルフィー、メルフィー・ストレイン。どっちの名前で呼んでも良いよ」
「それじゃあ宜しく、ストレインさん」
そう言って鈴木君は人の良さそうな笑顔を見せた。良い人……なのかな。一先ず気軽に話せそうタイプでほっとした。
……それと、やっぱりあの人の声とは違う。アレは気のせいだったみたいだ。疲れてるのかなぁ、私……。
ホームルームが終わると、クラスの皆、鈴木君の席に集まって、鈴木君に対して遠慮なく質問攻めにする。
転校生だし都内に住んでたという事で、皆興味深々なんだろうな。
私も鈴木君に話したかったけど、今の状態じゃとてもじゃないけど無理だし、何より遅刻の理由を先生に話さなきゃいけない。億劫だけど職員室に向かう。
「今度は気を付けろよ。授業に戻って良い」
「以後気を付けます」
「失礼しました」
遅刻の理由(朝寝坊という事にしておく)を先生に話し、一礼してからドアを開けて職員室を出る。まだ始まったばかりなのに疲れがドッと……。
それにしても朝の爽やかな時間は何だったのかと……。にしてもあの後ヴィルはどうしてんだろう。
まさか迷子とかになってないよね……。あの様子だとそうなっててもおかしくない。誰か親切な人にでも……って何で私ヴィルの事を犬猫みたいな感じで見てんだろう。
「おっはよー、メルフィー。珍しいじゃない、遅刻するなんて」
聡明かつ活発な声がして振り向くと、私の友達にしてクラスメイトのルナが、肩を叩いて挨拶してきた。何時見てもアイドルみたいな笑顔だ。
氷室ルナ――――端正な顔立ちと十代とは思えないナイスプロポーション、それにツインテールで、男子生徒のみならず女生徒からもとても人気が高い。
それに生徒会の会長だけあって成績優秀でかつ運動神経も抜群。おまけに柔道・空手・剣道の段位を持っていて、他にもいろんな資格を取得してると聞く。
運動神経が悪く、要領も悪い、真面目さ位しか取り柄が無い私からしたら、ルナは友達以上に羨望の対象だ。私の友達で良いのだろうかとさえ、たまに思う。
ルナと話しながら教室へと向かう。
「何かあったの? ホント、何時も時間に正確で無遅刻無欠席なアンタがねー」
「うん……ちょっと寝過ごしちゃって」
そう言って私はちろっと舌を出した。ルナとは気心が知れてるけど、あの空から落ちてきた……というかヴィルの事は説明できない。
「まぁ、真面目なアンタもたまにはサボりたい日があるって事ね。分かってる分かってる」
「別にサボりたかった訳じゃないよ……」
「じょーだんよ、冗談。ホントに珍しいからさ」
私の返答にルナはちょっと首を捻ったけど、軽く弄ってくれただけで深くは聞いてこなかった。有難う、ルナ。
「てか、ルナはどうして職員室に?」
「私? 私はちょっと生徒会の事で、ね。それよりメルフィー、今日体育だけどジャージ持ってきた? 今日は冷えるけど」
「……ジャージ?」
「そう、ジャージ。あ、その顔……やったわね」
ルナがニヤリとした。ジャージ……ジャージ……あぁ! そうだ、ジャージ忘れてた!
そうだった……今日は体育がある日だった。それも外での。体操服でも授業は受けられるけど、真冬の今にそれはとってもキツイ。
いやキツイってもんじゃない。男子でさえ寒くてジャージ着用が基本なのに……。厄日だ、今日は。私の口から自然に深いため息が出る。
「全くドジっ子なんだから……今日は見学してれば?」
「ううん、ちゃんと出るよ。ジャージ忘れたくらいで休めないし」
「まぁ……そんな真面目な所が、あんたらしいけどね」
「おはよーメルメル―」
「ひゃあ!?」
そんな声がした途端、誰かが背後から私の胸を鷲掴みにした。こんな事をする人は学校の中では一人しかいない。
「こら、町子! いきなりメルフィーの胸を掴んじゃダメって言ったでしょ!」
「ルナルナもおはよー」
いきなり背後から私の胸を揉みしだいたこの子の名前は町子・スネイル。この子も私の友達にして、クラスメイトだ。
縁の赤い特徴的な眼鏡を掛けていて、眠たそうな目と八重歯がキュートな、小柄で可愛らしい女の子。
でもちょっと性格が変わっていて、低いテンションでシュールなボケと突っ込みをかましてくる。それもかなり対応に困る奴。
ルナはしっかり突っ込んであげるけど、正直私は町子のそういう所に押されてしまう……。気が弱いなぁ、私。
「おはよう、町子……胸揉むの止めてくれる?」
「朝の日課ですんで……」
「どんな日課よ!」
パチ―ンとルナのツインテールが町子の頬を叩いた。くるくると町子が駒の様に回りながら、私から離れてくれた。
毎朝こんな感じで私達は朝の挨拶をかわす。……胸を町子に揉まれるのも含めて。一応私の了承を得てからだけど。最近は守ってくれないけど。
そんなこんなで教室に着いた。ドアを開けると、これまた何時もの朝の光景。
「おっはよ―! メルフィーちゃ」
「不用意に近づくな馬鹿もん!」
ルナの天高く舞い上がったハイキックが、スッパーンと気持ちの良い音を立てて草川君の頭部へと綺麗に入った。
今蹴られた彼は草川大輔と言って、このクラスのムードメーカー、もといトラブルメーカーで有名な男子生徒だ。
特にトラブルメーカーとしては、学校で知らない人はあんまり居ない。
何かモテたいけどモテナイ男子生徒で、一大徒党を組んでるらしいけど、私はそれ以上知らないし、知る由もない。
「マスター! お気を確かに!」
「けど氷室さんに蹴られて羨ましい!」
「さぁ今日は何色でしたか、マスター!」
常に草川君と一緒の、それぞれ痩せ・中・太とバランスの良い三人組が、草川君を気遣った。いや、馬鹿にしてるのかもしれないが。
「今日のルナルナは黒だよー」
「ちょ、ちょっと町子何言ってるのよ! ってか何処見てんのよ!」
「ふふふ……町子アイは0,01秒のパンチラも見逃さない……」
町子の謎の観察力に、仰向けに倒れたままの草川君が、親指を立ててグッドジョブしながら言った。
「その通り、麗しきブラックだった……。これで……何の悔いも無く……逝ける……」
「マスタァァァァァァ!!」
「馬鹿馬鹿しい……さ、勉強するわよ、メルフィー、町子」
「うん。また昼休みね」
こんな感じで毎朝、私の学校生活は始まる。たまに草川君と三人組の寸劇が無い日があるけど、だいたいこんな感じだ。
自席に戻ると、鈴木君が頬杖をつきながら外を眺めていた。……鈴木君もこの席好きなのかな。
「ここの席って良いね。景色が良くて。好きになりそうだよ」
鈴木君が嬉しそうな声で、私に話しかけてきた。
「う、うん」
予想もしなかった言葉に、思わずどもる。何だろう……そう言う事を言ってほしかったけど、ホントに言われると……照れる。
会話を続けようとしたけど、上手く言葉が出てこないから口を紡ぐ。次はちゃんと話せると良いな……。
チャイムが鳴って1時限目が始まる。私は気を引き締めて、ノートを開こうとした。
「先生すんません、家に忘れ物したんで取りにいってきていいですか?」
鈴木君が立ちあがって、担当の先生にそう言った。
「鈴木君……だっけ? 転校初日から困るな……ちゃんと担任に断ってきてから、取りに行ってくれ」
「はい。すぐ戻ります」
鈴木君の行動に皆ヒソヒソと話す。なんとなく気になるんだろう。
まぁ、鈴木君は鈴木君なりに何か事情があるんだと思い、私は再び意識を授業に集中させた。
風が吹き荒ぶ屋上、忘れ物と嘘を付き、鈴木はフェンスに寄り掛かって町を眺めている。その目は何かを待っているかのようだ。
と、どこからか、メルフィーの前に現れたあの物体――――ヴィル・フェアリスが、鈴木の前へと降りてきた。
「お帰り、フェアリス。メルフィーに会ったみたいだが……ちょっと失敗しただろ?」
『す、すみません! 上手くメルフィーさんの所に行こうとしたんですけど、姿勢制御が上手く出来なくて……』
鈴木はふぅ、と軽く息を吐くと、再びフェアリスに話しかける。
「お前はもう少し特訓するべきだな。まぁ、そんな事よりメルフィー、どう思う?」
『メルフィーさんには失礼ですが……普通の女子高生にしか見えないです。本当に大丈夫なんですか? 彼女……』
「心配無いよ。何たって彼女は」
「俺の――――婚約者だからな」
to be continued...
投下終了です。支援の程、誠に感謝します
にしても ◆mrWAgdZPyAさんの力作の後に自分のはちょい、アレですねw
◆mrWAgdZPyAさんの作品は後日、ゆっくり読ませてもらいます
>>393 なるほど・・・
たしかに言われてみればその通りですね・・・。参考になります
>>405 たしかにGガンは良いですよね!オレも一番好きなガンダム作品です。
ガンダムに最初に触れたのがGガンだった、っていう影響もありますが、それでも一番好きですw
あのノリとテンションが最高に格好良いw
>>461 代理投下乙です。
設定が深いなぁ・・・。舞台設定が濃いから舞台背景がわかりやすいですw
そしてリアルものですね。重厚な雰囲気とシリアスさがすごい良かったですw
続きも楽しみにしてますねーw
>>489 原作を読んだことがないのですが、非常に楽しく読ませていただきましたw
ファンタジー物も面白かったですが、こういう学園物も面白いですねw
明るい雰囲気と相変わらず読みやすい文章がとても良かったですw
そこら辺自分も読みやすい文章が書けるように努力したいですねw羨ましいですw
こちらの作品も含め、両方とも更新を楽しみに待っていますw
>>461 代理投下乙。
フルプラセスの内面描写が面白かったです。特に「意識のグレーゾーンが無い」というところが。
少女のことが何者であるのかも含めて気になりますね。
>>489 投下乙!
ついに始まりましたか、コレがw
>いきなりメルフィーの胸を掴んじゃダメって言ったでしょ! ←なぜかコレがエラく自分のツボに入りましたw
>>468 >何と言うか、こんな感じで考えればいいんだなぁと。そうか……こういう考え方があるなと。
>色んな意味で
>>882氏、貴方には心から感謝いたします。その文を作品に変えて…・・
コレ読んで最初に思ったのが「ヤベぇTロG氏オレにあてられてる」だったオイラって一体……(←
>>882にも自分がろくでもない奴だという自覚くらいはあるらしい)
なにせ
>>397>>398見てコレ→
http://dl7.getuploader.com/g/sousakurobo/251/betujin+mk28.jpg を描いちゃうよぉな奴なので、
考え方がまともな作者さん達から見れば意外性があるのはある意味当然……
まあここでチョイ真面目な話をすれば、何らかの事象が他の事象にどう影響を与えるか、ということは論理的に完全な予測をすることは恐らく不可能なのであって、
そこが純粋な効率主義に基づくシステムからは発生しない、ある種のいい加減さや異なる他者同士の具体的な目的を有さない相互交流を含有するシステムの面白さであり、
それらのシステムから見れば非効率的な事象の存在意義であるんじゃないかなあ……と考えております。
(いきなり何を言い出すんだこのバカはとお思いでしょうが、
例のオレが書きたいって言ってるベアトリーチェが出てくるSSのテーマの一つがコレなので、グチグチ考えちゃってるんですよ。
オレがロボスレ含めあちこちにちょくちょく投下するSSにも、根底にコレをテーマに持ってるヤツが多いし。
あと、個人的にコレは数学的に証明可能だと思っている)
しかし俺のSSやらイラストやら書き込みやらには統一性無さ過ぎだな。
>>882って3人くらいいるんじゃないか?w
>>492 顔でクスリときたがべつじんで吹いたww
昨日の支援祭が嘘みたいに静かだな・・・
なんか頻繁にプロ串規制になる……。
すみません、明後日までちょっと忙しいので、感想は金曜ということでorz
何だ…このロボスレらしくない静寂感は…
497 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/27(水) 07:20:18 ID:XsvSfo1p
でもガンダムの話題になると何処に居たんだって感じで出てくる件w
なんか名無しが減ってるというかいない気がする
投下後の反応を見るに
>>498 懐かしいなおい
まあそれはともかく
マジでそうだと思う>作者は増えたが読者は減った
それと元気な
>>882氏とPBM氏を除いて絵書きさんがどっと来なくなったと思う。皆前は誰かしら来てたのに
やっば大規模規制が相当痛手になった気がする
前みたいな盛況はしばらく無理かもな・・・
ついでに聞いときたいが、読者(書き手じゃなくてマジで読み手専門)の人、いるか?
テスト
やっと規制解除された…後編は次の休みに上げますので
>>461 代理投下乙!
おお、雰囲気出てていいね!
しかし鋼鐵の特攻兵かっこええなあ。本編とは雰囲気が全然違うところがまた面白いw
>>489 続けて投下乙!注意書きの時点で盛大に吹いたwww
ヴィルたんかわいいよヴィルたん。つかタカ坊から変態の香りがするwあと羨ましいぞ草川!
>>492 俺のコーヒー返せwww
>>491 どうせならこの機会にwikiに収録してある作品読んじゃいなYO!
>>498 アムロもシャアも化け物くさい動きするなぁ。腕切られた時点でほぼ詰み確定なんだよね、シャア
>>499 ここにいるぞー!
あああ
>>500超えてる・・・
書かなきゃ書かなきゃ残りを書かなきゃ・・・
むしろ容量が300超えてる件
ちっ、どいつもこいつもとんだ創作バカだぜ・・・
差し当たり俺は今週末を目指す――ぜ!
うおおー! ちょっと自由になったぞうおおー!
投下&代理投下乙でした! というわけで2つに分けて感想とレス返をばー。
>>461 ピリピリとしたプレッシャーが伝わってきて興奮しますね! ギャレンタインってこんなにかっこよかったんだ……名前ギャレンだからへたれかt(ry でもドクさんはもっと輝いてるね!
さてさてさてさて、ギャレンさんは置いといて、カプセルの中のょぅι゛ょ! ょぅι゛ょですよ奥さん! その正体は一体何なのか、いやそんな事よりどんな子なのか!
>>489 マスター草川だと……!? 面白い、そのネタ使わせてもらうぞ兄弟ィ! ……何に使うかは未定ですけどw
あとVVメルのタカ坊は常時厨二モードですかそうですか。あとマチコさんはどの時空でも自重しませんね、いいぞもっとやれ。
あ、そうだ。最近黒い下着もいいものだt(ウボア――――
いやいやそんな事より体操服はブルマですかハーフパンツですかそれともスパッツd(グ……ズ……ギャァァァァム!!
な、何はともあれ、どちらも次回を楽しみにしてますね!
>>492 ああ、ネタで先を越された!
実は
>>882氏の中には後二人、臆病者と破壊衝動の権化がいt(ry
>>498 やっぱりアムロさんは圧倒的やでぇ、流石は戦闘特化型ニュータイプ。大佐はサイコフレームの情報をリークしなければ勝ってたのに……でもそういう所が大佐らしくて素敵ですよねw
>>499 ははは、実は僕、元々はSS書きなんだ……。
>>501 あ、そういえばDoCoMo規制解除らしいですね、おめでとうございます! 楽しみに待ってるので、お仕事頑張ってくださいね!
>>506 奇遇だな、俺も今週末には投下する予定なんだ。
……容量大丈夫でしょうかw
>>508 つまり目的は滅尽滅相!
……と思ったら誤解除、だと……!?
誤解除って、なんだそりゃ……
解除?
よーし、あまりに人稲だからパパ話題振っちゃうぞー
さあ、お前の好きなガンダムを教えろ!
ガンダムXディバイダーだ!
白くて美しいモビルスーツだァ。
次点でターンエーかな。変なのがいい。すごくいい。
俺はヘビーアームズがたまらなく好きだな、あの全身火器っぷりがたまらんw
最近のだとリボーンズとかブリッツが素敵だと思う
>>514 やはりXはディバイダーに限るよな!
>>513 やはりF91こそが最も美しいMSだと、私は!
次点を挙げ出すとゼータとかストライクとかバスターとかνとかお髭様とかアリオスとかアルケーとかダブルエックスとかシスクードとか汚い忍者とか背負い物取っ払った運命とかキリがないので割愛します。
割愛できてないよ師匠!つかシスクードとかまたドマイナーなモンを挙げてきたな
そういえばF91は前描いてたよね
うん、俺デスサイズがたまらなく愛おしいんだ……
EWのガンダムは全部好きだけどw
デュエルとかエクシアとかF97とかサンドロックとかGP02とかリボガンとかM1アストレイとかマンダラとか割愛したよ! よ!
>F91
VSBRを背部にマウントしてあるのに何故かグリップ出しっぱなしのヤツですねw
Robot魂のF91が待ち遠しいなァ。
>>518 アクティブクロークがかっこよくなったよね、バスターシールド消えたけど
カトキがリデザしたエピオンとか見てみたい気がする
>>519 >F97
わからないからクロスボーンと言いなさい。あとさりげなくゲテモノ混ぜるなw
>>518 でも俺、EWの機体で一番好きなの、トールギスVなんだ……(次点、サーペント)。
>>520 中の人もゲテモノだよ!
>>520 EWをこの前改めて見たんだが……カトキ様いい仕事してるわーw
あぁ、そうかF97=クロスボーンだったかw素で忘れてたぜw
いろいろ考えたがV2だな
あのゴテゴテ感が子供心を掴んで仕方がない
>>521 MFは基本ゲテモノだらけじゃねーか!
>>522 ゼロカスの羽根とかデザインの暴走っぷりが半端じゃないよなw
だがそこがいい
>>522 でも個人的にウイングゼロはTV版のほうが好きだったり。
あとF99がレコードブレイカーですねー。
>>523 セカンドVもあるよ!
>>501 作品投下、遅ればせながら乙です
本編の外伝に相応しい、全く趣向の違った作品で面白いです。実にハードボイルド……!
ギャレンタインとシュミッドのコールドスリープを廻る会話が世界観を顕著に表現していて面白いです
果たして幼女の正体は……そして戦闘と脱出で二人はどんな活躍を見せてくれるのか
後半を楽しみにしてます
>>492 やだ……カッコいい
何か目からビーム撃ちそうな鉄人ですねwナイスヒーローロボットw
さて、皆さんヴィヴィっとを読んで下さり有難うございます
どうでも良い事ですが、今回は起承転結の起で、全4話なのであほみたいに展開が早い予定です
なるべく今週中に投下出来る(というか規制が来ないうちに)かもしれないので、その際宜しくです。勿論クロスの方も
それと避難所でドラグリヲの新作が投下されてますよー
>>526 投下後一日たって、穴だらけだった事に気付いてリテイクしてる自分がいます…orz
後ほどこちらに修正したのを投下させて貰ってもよろしいでしょうか?
カモーン!
>>513 MSなら迷わずターンXと答えるけれどガンダムとなると難しい…
頭にぽっと浮かぶのはXディバイダーとキュリオスとBFセカンドLとνガンダムとリボーンズガンダム
実はリボーンズのリバーシブル仕様がギミック大好きな俺にはツボ抑え過ぎてたんだよなぁー
というわけでBFセカンドLかな(何がっ!)
531 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/27(水) 22:46:02 ID:krMoKQ2S
正直な所、コテ付きの方々の自己主張が強いと思う。
作品のクロスネタは悪い事じゃないが内輪ネタ的になるから新参者が入りにくい。
そしてまたしばらくクロスネタ自重な雰囲気になるんですねわかります
つか、ここの住人の大半はコテ付いてる気がするのは気のせいか
読み手の方々が少なくなっているっぽいので、もしかしたら大半コテ持ちかも(´・ω・`)
古参コテが作品投下以外の面でもスレを盛り上げてきたのも事実だろ?
言い方は悪いけど、どんなに駄作でも投下しさえすれば感想レス貰えるし気軽に入れると思う。
古参新人名無し関係無く当たって砕けろ的なノリでスレを沸かす事が出来るのがロボスレクオリティだと思うんだがな。
つまり、中堅や新人も名無しも古参に負けないようにガンバレ。
コテ使い過ぎると閉鎖感でちゃうかなと思って
基本的に投稿時と連絡時以外はコテ外すようにしてるんだけれどたまに忘れる(´・ω・‘)
この際だから、読み手の方々もコテつけてみるとか
というか、読み終わってちゃんと感想をつけてくれるのも古参コテだという事実
……最近俺はしゃぎすぎてたかもしれない
自重しますorz
ふむ……取り敢えず
>>535氏のパターンでこのまま続けて様子見ですかね?
それ以外にロボ好きな新人さんを増やす方法が思いつかないorz
しかしクロス作品は読みたいので続けて下され!w
というか、この静けさはアホみたいな頻度で起こる規制のせいなんじゃないかと思いますが……。
>>537 古参だからこそ他よりも厳しく守らなきゃいけないモンがあるんですよ、多分。
>>538 書き込みは自重しちゃ駄目だよ!
>>538 クロスはクロスで面白いからやめちゃ嫌だよ><
それにクロスって新規さんからしてもなんでこの作品がクロスしてるんだろ
と興味持ってもらってクロス元まで読んでもらえる可能性も結構大きいんだからw
>>538 え?たろ氏雑談の時はちゃんとコテ外してない?
あ、いや、クロス他作品はこれからも続けてくつもりなんだ
ただ俺悪ノリ過ぎる所あるから……古参としてだらしないと思って
むしろ積極的に悪乗りすべきだと思うのだがどうだろう
ほら、ダブル真祖の片割れを見るんだ、悪乗りの権化みたいな存在じゃないか
素晴らしい反応速度だwww
書き込みが減ったのは規制が一番の原因だと思います
2、3スレ振りに書き込める…
このスレの半分は悪乗りで出来ています。
つまり、
( ・ω・)つ『ためらうな!』
こういうことか
>>546 すみませんねぇ、悪乗りが馬乗りに見えて少し戸惑ってたんですヨ。
>>547 おかえりなさい! そういえばauが規制解除なんですってね。
……今度は誤解除じゃないよね? ね?
>>548 むしろ創発板的に「貼ると修羅」ではないでしょうか!
馬乗りの権化wそりゃ戸惑うわw
>>548 キョウジとシュバルツごとデビルガンダムを撃つ時のドモンみたいな心境ですねわかります
何かネガってました、すみません。自分どうも変に弱気というか……
それともう埋めの時期に入ったと思うんでぶっちゃけますが
前から思ってたんですけど(まぁ前にノリで乗ってはいましたけど)真祖って何なんですかw
真祖はPBM氏一人ですよ。俺は途中から鳴り物入りで入って好き勝手しただけで、スレをここまで盛り上げたのはPBM氏の力あってですから
よっし、色々お話が進んでる中すみませんが空気読めずに投下させていただきます。
鋼殻牙龍ドラグリヲ 第十話 疾き風追う青き怪鳥
建物も、森も、山も、視界を遮る物が何もない大地を、大量の荷物と少しの人と二人の密航者を乗せ、武装リニアは行く
雲一つ無く地平線の彼方まではっきりと見える様な晴天に見舞われ、大地はたちまち灼熱の地獄へと変貌した。
日はちょうど中天に差し掛かり、地上にある物全てを焼き付くさんが如く容赦無く照りつける。
燦々と照りつける太陽の元を一陣の熱風が砂埃を巻き込み、吹き抜けてゆく。
{あっじーーーーーー…………」
ゴテゴテと張り付いた装甲同士がぶつかり合いカツカツと鳴る小さな金属音に耳を傾け、雪兎はミサイルタレットの装甲ユニットを背もたれにして時折空を見上げながら銃の手入れをしていた。
窮屈だったフードを脱ぎ、忌忌しい角が柔らかな髪の間から自らの存在を主張するように勇ましく斜めに天を突く。
この角の存在にカルマが気付いた際、削られたり思い切り引っ張られたりと色々試行錯誤していたが、それらの干渉行為にもこの角は一切ビクともしなかった。
{しかし丈夫すぎだろ…これ…。」
作業の手を一時止め、その角を撫でる。金属のように冷たい光を放つ其れは触れてみると人肌のように暖かみを感じた。
今は隠す必要のない尻尾を屋根の上にデンとさらけ出し日の光を存分に浴びさせる。
銀の鱗は蒼天から降り注ぐ光を乱反射させ虹のように美麗に輝いた。まるで旧首都に君臨する女王の其れの様に。
傍らには手から伸びる触手をセンサーに接続し、目を瞑ってしゃがみ込むカルマの姿がある。
繋がれた触手がユラユラと揺れる度にセンサーがその動きに呼応してぎこちなく回った。
『警戒エリア突破まで残り約163秒・・ブースト処理済み対生物センサー異常無し・・引き続き武装リニア哨戒管制システム掌握を継続・・』
{了解…」
愛用のレミントンの銃身を布切れで拭き上げながら、雪兎は簡潔な返事を呟く様に返す。
いつもの柔らかな表情は姿を消し、険しい表情を浮かべながら地平の先へと視線を移した。
{しっかし……あっちーなぁ……。」
雪兎の額に玉のような汗が浮かび、その度に風に晒され乾き、消えてゆく。
たまらず懐から水筒を取り出し、一気に呷る。
冷たい水が乾いた身体を潤し、熱を持った身体を内から冷やしていった。
{ふぅー……これがスポーツドリンクだったらなぁ…」
空になった水筒をカルマの長いスカートの上に置く、すると水筒と面した部分だけが銀色に溶け水筒を飲み込んでゆき、あっという間にカルマの躯の一部となる。
ゴミも出ず彼女の血肉にもなり家計にも安心。なんと環境に優しい処理方法であろうか。
『贅沢言わないでください、排水を啜るより遙かにマシでしょう?』
目を瞑ったまま雪兎のボヤキに勝手に返事をするカルマ。
「お前は水飲まなくていいからそんな事言えるんだよぉ…、そんな事よりもカルマぁ…ドラグリヲのボディ再構築まで後どの位かかる?」
説教臭いカルマの返答に言い返しつつ、銃を拭っていた布切れを頭の角に引っ掛け、弾丸を装填しながらカルマに訪ねた。
声をかけられると、カルマは申し訳なさそうな顔をして雪兎の方に振り向いた。
『すみません・・・最低でも後4時間は掛かります・・・遭遇時は白兵戦を覚悟しておいてください。』
そう言って再びションボリと目を伏せる。
{あぁ分かった、だからってそこまで自分を責めなくてもいいって、お前を作った見知らぬ誰かさんが色々考えた結果そういう仕様になったんだと思うからさ。」
心の底から申し訳なさそうな顔をするカルマを見て、雪兎はいたたまれない気持ちになり思わずその小さな頭をワシワシと撫でた
『はい…』
撫でられて僅かだが笑顔を取り戻すカルマ、その天使の様な微笑みに雪兎の張り詰めていた神経も僅かに癒された。
こうやって警戒エリアを抜けるあと少しの間、穏便に済めばいいと雪兎は思った。
しかし、この荒れに荒れた世の中、簡単に物事が済む筈が無かった。
第一、大量の食料プラス人間を運ぶそれを、万年空腹の害獣が見逃す筈が無かったからである。
突如、カルマの蒼い瞳が真っ赤に点滅、その後首から上だけがエクソシストよろしく素敵な動きをして最後尾の方へ向き直った。
{ィイッ!?」
突然の出来事に思わず雪兎は仰け反り、装甲ユニットに思い切り後頭部をぶつけ悶絶した。
角が堅い装甲をもろともせず易々と突き刺さり、ぶつけた部分が見事に凹む。
{がああああぁぁぁぁぁ…」
『警告、警告、生体熱源確認・・・サイズL、行動パターンからデータ照会・・・・ヒクイドリ≠ナす!』
{わ…分かったから、もうちょっとまともというか…普通に知らせてくれ!心臓に悪いだろうが!!」
角を装甲ユニットから引き抜き、穴の開いた布切れをポケットにねじ込んで、コートの下から取り出したチェーンソーを屋根に思い切り突き立て立ち上がる。
遠目に見ると、たしかに大きな砂埃の中心で艶やかな蒼い頭に誇るような冠を戴き、その鉄筋のように強靱な足を軽やかに動かし地面を砕く巨大な怪物が迫ってくるのが確認できた。
鎧の様に堅牢な黒い羽毛が全身を包むその様は、まるでこちらを圧し潰さんと押し寄せてくる鉄球の様にも思えた。
『ジャミング解除完了・・・防衛兵器の緊急起動を確認。射線に入らぬよう注意してください。』
カルマが言い終わらないうちにリニアの武装車両の装甲が展開し彼方此方から機関砲が飛び出し、火を噴いた。
薬莢が屋根に乾いた音を立てて跳ね返り、焼けた大地へと落ちていく。
間抜けにも射線のど真ん中を突っ走っていたヒクイドリ≠ヘその機関砲による集中砲火に鶏冠を晒され吹き飛ばされた上に思い切り怯み地面に転げ、顔面から地面に思い切り突っ込んだ。
そして再び地平線の遙か彼方に消えてゆく。
{馬鹿な奴…」
その醜態に思わず雪兎は苦笑し、追って来ないだろうと高をくくり胸を撫で下ろし言い零した。
しかし、害獣がこの程度の事で諦める筈が無かった。
自慢の鶏冠を人間の玩具ごときに粉微塵にされたことでヒクイドリ≠ヘ激昂し、猛狂った。
{ギギギギギギギギッ!!!!!!}
そして巨大なクレーターが出来るほどの強大な脚力で地面を抉り飛ばしたかと思うと、先ほどとは比べものにならないほどの速度で迫ってきた。
全身の羽毛が一斉に威嚇するように立ち上がり、只でさえ巨大な身体が更に大きく見える。
風の抵抗は先ほどよりも格段に増した筈だが、それを意にせずドンドン加速して距離を詰めていく。
{ゲッ…しっつこい禿野郎だぜ…!畜生!」
その必死の形相を見て思わず毒づく雪兎。
{こんのぉポンコツミサイル!さっさと飛べってんだよ!!」
いつまで経っても動かないタレットに腹が立ち、自分が痛くない程の強さで蹴っ飛ばす。
雪兎の暴言に腹が立ったのか、ここに来てようやくミサイルタレットが起動し怪鳥の胴体を狙って幾つものミサイルが音よりも早く放たれた。
幾筋もの白い線を描き吸い込まれるように怪鳥の元へ向かう飛翔体の群れ、しかしその飛翔体を怪鳥は狙い澄ましたかのように翼で次々と弾き返し打ち落とす。
弾かれた飛翔体は次々と地面に落ちて爆発し、その衝撃でリニアが揺らぎ大きく減速した。
{チィ……!」
爆発によって巻き上げられた砂が煙幕代わりに車両を一瞬包む、ほんの一瞬だった。
その砂埃が晴れた時、目の前にいたのは先ほど大きく距離を離された筈の怪鳥であった、驚く暇も無く怪鳥はその強靱な足に生えた爪を容赦無く屋根へと突き立てた。
哀れにも踏み潰された車両は一瞬傾いたかと思った瞬間、見事に真っ二つに切断された上に線路を逸脱し茶色い大地に叩き付けられ、見るも無惨なスクラップに変貌した。
破壊した車両には目もくれず、嘴を新たな標的に突き立てる怪鳥。このペースだと目的地に着く前にリニア自体が粉砕されてしまう。
{カルマ!来い!!」
『了解・・・白兵支援形態ガントレット°N動します』
カルマは髪を結っていたリボンを外し雪兎の腕にしがみつくと、彼女の躯を構成していた物質がドロドロと溶け雪兎のコートの右の袖に染み込ませ一体化してゆく。
躯の原型が無くなっていくに応じ、右手に持っていたショットガンと屋根に突き立てていたチェーンソーが飲み込まれてゆき、新たに右腕にドラグリヲの腕を模した巨大な篭手が形成される。
その篭手の先から廻る刃が、そして上部からダットサイト付きのスラッグガンがビキビキと脈打ちながら生えてきた。
雪兎のナノマシンと呼応し、赤く点滅するラインがその篭手と雪兎の身体を彩る。
――――こんな所で死ぬわけにはいかない。
一つの思いが雪兎を衝動的に突き動かし、覚悟を促し、そして望んだ。
荒々しく禍々しい、全てを磨り潰す憤怒≠フ獣の力を
刹那、全身を苦痛と漲るような力が包み込み脈動する。
そして獰猛で勇ましく全ての者を畏怖させる様な雄叫びが雪兎の全身から響くように発せられた
{ヴオァアアアアアアアアアアア!!!」
カルマと一体化していない方の腕の指の腹を引き裂き日本刀のように曇り一つなく、それでいて禍々しい形状をした爪が血を吹き出しつつ生える。
スパイクのように堅牢な爪が鉄板入りの安全靴を貫き、禍々しく瞬く紅い瞳が怪鳥のけばけばしい面を捉える。
{ヴウウウゥゥゥ……」
屋根の上に響く人外の唸り、それに気が付いたのか今まで車両の破壊に夢中になっていた怪鳥はその唸り声の発生源である雪兎を睨み付け威嚇する様に喧しく囀った。
{キィヨロロロロロロロ!!!}
{そう騒ぐなよ…朝飯は食ったか?チキン」
雪兎はその的としか思えない怪鳥の鼻面に銃口を向ける。
『安全装置解除・・対害獣用スラッグ弾装填・・オートエイム作動・・銃口補正問題なし・・何時でもどうぞ。』
カルマの射撃支援機能のお陰で丁度サイトのど真ん中に怪鳥の眉間が映る。
{豆でもくれてやるよ!冥土の土産にな!!!」
その台詞の瞬間、銃口から閃光が迸り一発の弾丸が放たれた。
風を引き裂く音が火薬の炸裂する音にかき消され、一直線に怪鳥の眉間を目指す。
しかし野生の感という物か、命中する寸前間一髪で交わし、目元に一直線の傷を付けた。
一時おいて緑色の鮮血が傷口から噴水のように吹き出す。
{ギョオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアア!!!}
人間ごときに傷を付けられたことに、怪鳥はさらに憤激した。
自分が嘴で傷を付けた車両を瞬く間に真っ二つにし猛然と迫ってくる。
このレベルで過疎対策を話し合う状況か……
こう言っちゃなんだがうらやましいことだ。俺のホームスレなんか……
個人的な見解を述べさせてもらえば、
むしろ悪ノリなどの多い良い意味でのカオスな状況にした方が新規参入はしやすいと思うんだがね。
二次作品の問題に関して言えば、容易にwikiで過去作品を読めることをもっとアピールすべきかなぁ……と思う。
個人的な経験からいって、掲示板上に掲載された作品を読むときには、過去のものを追いにくいのを苦に感じるので。
そこはロボスレにはせっかく充実したwikiがあるのだから、前面にアピールしない手はないと思う。
まあ悪ノリ大王みたいなオレが言っても自己弁護に聞こえちゃうかもしれないけど。
支援
559 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/28(木) 00:34:50 ID:ypjZ2xMG
支援します!
{いいぜ…掛かって来やがれ!!」
懐に潜り込まんと身を低く構え、屋根を蹴り猛然と怪鳥の元へ迫る。
しかし怪鳥は雪兎の接近を拒むようにその巨大な翼で打ち払う様に大きく横に一閃振った。
{……!?何だ…クソッ!」
素早くバックステップを踏み、羽根のリーチから逃れる。
前方にあった機関砲やタレットは根ごそぎ剥ぎ取られ、地面に叩き落とされた。
激昂した筈の怪鳥はリニアの屋根に乗り上げたまま、何故かその場を動かない。
何故か乗り上げた車両をじっくりと時間をかけて壊してゆく。
その気になれば一撃で粉砕できる筈なのにである。
{まさか…巫山戯やがってぇ!!」
足を止めしばし考えた後、雪兎は青ざめ、そして怒った。
どうやら怪鳥はこのリニア自体を全て破壊すれば片が付くことを理解したらしい。
こんな危険地帯のど真ん中に取り残されれば、時速約500q近くのスピードで地面に投げ出され肉塊になった全乗員共々遊ばれた末に喰われる事が目に見えている。
羽根を振り回してこちらの接近を牽制し、ゆっくりと確実に爪を車両に突き刺し、破壊していく。
{てめぇの相手は僕だって言ってんだろ、この鳥頭!!」
スラッグガンを再三に渡り撃ち込むが、頭を羽根の下に覆い隠され致命傷を狙えなくなった為ダメージは通るが行動不能にするには至らず徐々に追い詰められてゆく。
一つ、また一つと車両が破壊されていく中、焦っていた雪兎の頭に一つの考えが浮かんだ、一つ間違えれば自分が此奴の晩飯になるだけだが試してみる価値は十二分にあった。
{カルマ、警戒エリアから抜けてるか?」
雪兎は唐突にカルマに問う。
『え…?離脱済みです、序でに離脱直後から救難信号を打電してあります。もう少し耐えれば救援が来ると思われますが。』
それを聞いた雪兎は右手に装着された篭手と化した相棒に心の中で感謝しつつ、ニヤリと頬を吊り上げた。
{そうか…だったら問題ないな。」
『…?ユーザー!?何を!??』
カルマの戸惑う声を無視し、雪兎は特攻宜しく怪鳥が陣取っている車両まで突撃する。
すぐさま振り払おうと翼を広げ構える怪鳥、だがその羽根のリーチの手前で雪兎は老人の店から拝借していた閃光手榴弾を取り出し、怪鳥の顔面向けて思い切り放り投げた。
そして破裂、目を潰す程の閃光と破裂音が怪鳥の視界と聴覚を奪う。
{ギィッ!!!!?}
しばしの硬直の後、混乱しながら一心不乱に翼を振り乱した、硬質の羽根が何度も車両の屋根を掠り、大きな傷を付ける。
そして視界と聴覚がクリアに戻った時、怪鳥は困惑した。さっきまで対峙していた人間がいなくなっていたからである。
必死に当たりを見回し、探し回る怪鳥。
だが当の獲物は自分の全く予期せぬ所にいた。
{こうするんだよォ!!」
怪鳥が前後不覚になり必死に暴れている間に上手く車両と車両の間に隠れた雪兎は、篭手の回転刃を思い切り車両の連結部分に叩き付けた
瞬く間に連結部分から派手に火花が散り、すぐさま断裂する。
support
突然自分の取り付いていた車両が減速し始め、慌てて屋根から降りようと一瞬よそ見をする怪鳥。
雪兎はその隙を見逃さなかった。
{ヴォオオオオオオアアアアアア!!!」
切断後、すぐさま車両内に飛び込み天井に付けられた傷から外を見ていた雪兎は、左手の爪で屋根を細切れにして一気に懐に取り付き、そのたっぷりと肉のついた腹に篭手の回転刃と左手の爪を深々と全力で突き立てた。
吹き出した緑色の生臭い血液がたちまち雪兎の身体を染め、次々と散らばる肉片が汚く怪鳥の羽毛にへばり付く。
{ギャアアアアアアアアアアアアア!!!!}
自分の腹の中を突然激痛がはしり、怪鳥はパニックに陥った。
転げるように車両から飛び降り、腹にへばり付いたものを引き剥がそうと必死に暴れ回る。
{オマケだ…遠慮無く受け取れよ!!」
引き離される直前、冥土の土産とばかりにさらに深々と篭手を突っ込み、スラッグガンをこれでもかとばかりに撃ち込んだ。
一撃、また一撃と撃ち込まれる度に大量の血液が噴き出し、千切られ、役目を果たさなくなった臓物の欠片が怪鳥のわめき声と共に湧き出してくる。
装填していた弾丸を全て撃ち込み終え、腕力の限界に達すると同時に振り落とされ、地面に思い切り叩き付けられた。
{グアッ…!!」
全身を強かと打ち付けられ、倒れ込むする雪兎。
このまま寝ていては先にあるのは死あるのみ、必死に意識を保ち地面を殴りつけ回避運動を行い急いで立ち上がる。
目の前には腹から大量の血液を吹き出し、悶え続ける怪鳥の姿があった。
緑色の血液が大地を湿らせ、緑のペンキをたくさん零したような大きな血溜まりが出来、その血溜まりに溜まった血液が怪鳥の臓物で汚れた羽毛をさらに汚い色に染め上げる。
もはや立つことさえ出来ないその哀れな姿を見て、雪兎はほんの少し哀れに思った。
{これで終わりだ。」
篭手の中でガチャガチャと弾丸が再装填される音を聞きながら、雪兎は怪鳥の眉間にゆっくりと銃口を向ける。
このまま引き金を引けば決着が付く、その時だった。
――――時間だ
{………え?…ウ…グ…ガァアアアア!?」
突然、以前夢で聞いた男の声が頭の中に響く、その瞬間体中が激痛に襲われた。頭が、腕が、足が、胸が体中のありとあらゆるパーツが苦痛の信号を一斉に雪兎の神経へと送り込み、行動を阻害する。
{グアアアアアアアアアアアアア!!ハッ…ハッ……痛い!ぃ痛い!!誰か…誰かァアアアア!!!」
外聞をかなぐり捨て必死に喘ぎ、唾液をだらしなく垂れ流し叫ぶ。
s
『ユ…ユーザー!?落ち着いて!落ち着いてください!!!』
突然の出来事に困惑するカルマ、当然である。今の今まで一緒にいた中でこの様な事が起きたことは一度も無かったのだから。
『モ…モルヒネ投薬開……え…そんな強制解除!?何で……キャ!』
そして自らの意志に反して強制的に形態変化が解除され、カルマは焼けた大地に身を放り出された。
地面に伏す暇は無いと急いで雪兎の方へ向き直り、声をかけようとする。その瞬間雪兎の姿を見て、カルマは絶句した。
雪兎の身体に残っていた獣の証が再び身体の侵蝕を始めたのである。
雪兎の白い肌を銀の鱗が徐々に覆い始め、爪と牙と角が更に巨大化し、攻撃的な形状に変化し
背中の皮を破り、少しずつ背ビレが生え、骨格さえ僅かずつだが変貌し始めている。
{ガ…ガ…………オ……オ…………。}
『ユーザー…しっかりして!ユー………』
何も出来ずに、ただ声をかけ身体を揺らす事しか出来ないカルマ、何度も触手を雪兎に繋ごうとするが雪兎の肉体≠ノ拒否され、接続することが出来ない。
{ギギギ……!}
『!!!』
突如、カルマの耳に入る聞きたくもなかった声、聞こえたその方向へ顔を向ける、そしてサッとカルマの顔が青くなった。
怪鳥が最後の力を振り絞って再び立ち上がり、こちらに迫ってきている。
もはや何をしても、生き延びられる事はないだろう。そう自らでも理解したかのように腹から血を吹き出しつつ一歩一歩確実にこちらに迫ってくる。
絶対にただでは死なない、貴様らだけでも道連れにしてやると言っているかのように。
『ア…ア………。』
倒れた雪兎を抱きかかえ、必死に後ろに下がるカルマ。
だがそれで逃げ切れる訳が無く徐々に距離を詰められていく。
『ぼ…防衛機構……起動』
カルマの呟いた言葉に従い、一瞬形成された小さなドラグリヲの形、しかし完全に成形される前に怪鳥に蹴り飛ばされ、霧に還る。
『い…嫌…………。』
それでも必死に雪兎を引き摺って逃げようと試みるカルマ、だが自分の衣装が泥で汚れるだけで全く効果がない。
そしてついに怪鳥の足の爪が確実に届く距離まで詰められてしまった。
怪鳥は悔いはないと満足そうに目を細め、最後の力を振り絞り、その巨大な足を振り上げた。
『ヒ………………、イヤアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
カルマは泡を吹き痙攣する雪兎を力強く抱きしめ、目を閉じた。
機械は死後の裁判を受けられるのか、天国に逝けるのか、何時もなら下らないと切り捨てる考えがカルマの擬似人格形成機能によって再生成されメモリー上を駆け巡る。
彼女の論理脳が程なく『その時になれば分かる』と機械らしくない答えを導き出した後、カルマはその時が来る一瞬を待った。
その時だった。
「うちの可愛い可愛い娘と大馬鹿息子に一体何の用だい。」
{!????ギャアアアアオオオオオオアアアアア!!!}
突如響き渡る怪鳥の物と思われる断末魔、思いもしなかった展開に、カルマは恐る恐る目を開き怪鳥がいた方向を見た。
そこには首を無くし、噴水のように血を吹き出し倒れてゆくヒクイドリ≠セったものと
ステルス加工マントを風にはためかせ、紫色の身体強化アーマーを着込み、緑色の血を滴らせる両刃の高振動ブレードを持つ一人の老女傑の姿があった。
ドシャアと大きな音をたて崩れ落ちるヒクイドリ≠フ身体。
地面に胴体が触れた瞬間、その肉体は一瞬にして分子レベルまで切断され、塵へと還っていった。
そして訪れる静寂。
カルマはその大きく頼もしい背中を見て、涙を流しながら笑顔を浮かべ、叫んだ。
『あ…あぁ……ド…首領!!』
その声を聞き、ちらりと後ろを見る老婆。
老婆はカルマの顔を認めると険しかった表情を緩め、その健康的な歯を剥き出しにニヤリと笑った。
s
投下完了、真面目な話をしてる最中に投下してもよかったのかな?
と思いつつも投下させて頂きました、多数の方のご支援感謝致します。
584 :
>>556:2010/01/28(木) 00:51:18 ID:KJulIJ9t
>>583 投下乙!
感想は読み終わってから書かせて頂くとして……
割り込みました、すみませんorz
>>583 加筆、修正のうえ投下乙です!
ふっふっふ、たくさんいるように見せかけて、支援していたのはその実たったの3にn(ry
しかし本当にデンジャーな世界ですね。オラ、旧首都から出とうない……。
そしてババa……首領は頼れる親分タイプの人みたいですね! そうだね、首領だから当然だね。
では、次回も楽しみに待ってますね!
ってうぇあ、レス返忘れてた!
>>551 弱気でドジっ子……えぇい、完全武装ではないか!
まあそれはそれとして。
あら? ロボスレに初めてSSを投下したのってたろ氏じゃありませんでしたっけ?
>>556 まず必要なのはwikiの更新ですかねー。
そして管理人さん(黒髪ロング)はどこへ行ってしまったのか……。
支援しまくってたらさるさん食らったでござるのマキ
>>583 投下乙!
後半がけっこう加筆されてるね。そしてカルマたん防衛機構ktkr
えっちな事しようとするとこれで炭化物にされるんですね
しかしエリスのリボンといい遥さんのサブミッションといいカルマたんの防衛機構といいティマの極細といい、ここのロリキャラってやたらガード堅くないかw珍獣以外手を出せそうにないんですけど
>>551 このスレのはじめてを奪ったあなたとPBM氏に与えられた称号であります
それにSS投下数はたろ氏が、イラスト投下数はPBM氏が一番多いしね
感想ありがとう御座います、やはり朦朧とした脳みそで書いてもだめですねー、今回の失態でハッキリしましたよ。
しかし、投下前の真面目なお話を読んでいて自分も反省しなきゃいけないところがあるかもしれないと
思いつつ、名無しに戻って寝ます。
wikiは自分の作品は自分で更新する方式にした方がいいかもねー
やること自体はコピペだけで良いんだし
>>586 ロボスレに最初にSS投下した方はもうこのスレにはおられないと思います
1スレ目から残っている古参はPBM氏と古時計屋氏だと思う
PBM氏はパラベラム、古時計屋氏はシャドウミラージュ投下してた筈
というか記念すべき初代スレは全然違う雰囲気のスレだった
2スレ目冒頭のリベジオン投下からスプリガンとかネクソンクロガネとかオリジナル作品が投下されはじめ
そして雑談からタウエルンが生まれ、それをTロG氏がSSにして参戦みたいな流れだった
ごめんね、1スレ目から居るけど、投下速度が異常に遅い上に普段の書き込み時はコテ使ってないから影が薄くて……ごめんねw
1スレ目はそれはもう濃ゆいロボ談義がメインって感じだったかな?
作品作るにあたって必要そうなロボの仕組みについてとか
今思うとなんだか下積みの様でもあった
たまにはあれ位濃い話もしてみたいな
アウトプットだけじゃなくてたまにはインするのも大事らしいですよ
自分は知識が無いんで参考にさせていただく位でしたがw
大変な事実に気づいてしまった
17スレまで見事に続いたこのスレだけど
このスレのキャラにツンデレっていなくね?
古典的なあ、あんたの為に的なキャラ
それはもうって程は濃くはなかったようなw
なんというか、初代の終盤〜3機目って群雄割拠の戦国時代だったような気がする。あと初代序〜中盤は企画中心というか設定中心というか……まあSS書く人はいなかったな。ぼくロボスレみたいな感じだった
しかし今見ると誰が誰かけっこうわかって楽しいな。PBM氏の別人っぷりが異常だがw
>>591 私は荒野氏の事忘れてないぞーっ!
>>592 別の方向性で濃い話なら4〜9号機あたりで嫌という程してたよ!
>>593 ヴィルシャのルナ会長とかツンデレなんじゃないですかね!
>>593 たまちゃん(PBM!)とかシュヴァルツ(PBM!)とかミヤミヤ(廻セカ)とかメリッサ(DS)とかジュリア(DS)とかミナ(ザイフリ)とか、それはもう見事なツンデレな予感がするんだ
>>594 PBM!(今):昔は謙虚なナイトだったんだよ!
PBM!(昔):……すみません、単純に昔のロボスレの雰囲気が苦手だっただけです、はい。
具体的にはこんな風に別人ですね! 多分この二人が融合すれば最強に(ry
598 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/28(木) 21:29:56 ID:93FIKe8z
ラノベで面白いロボものなんかある?
>>598 有名どころならやっぱりフルメタ辺りじゃないですか?
設定の練り込み具合も凄いですし、シリアスとギャグの使い分けも上手い
>>598 ファンタジー系ですが
榊一郎『イコノクラスト』
神野オキナ『星魔の砦』、『封神機伝マカリゼイン』、『南国戦隊シュレイオー』シリーズ
某スレでロボ物の地雷小説は何かと質問した子は手を上げなさい。先生怒らないから。
イリーガルテクニカはいまいちだった。
ロボの名前は好きなんだがなぁ、ナトリウムとか。
>>601 貴様、見ていたなッ!……正直すまんかったw
コールドゲヘナとか好きだったなあ
あとロボ物じゃないけど川上稔の作品に出てくるロボの戦闘はかっこいい
ちょいと忙しいので感想等のレスは置いといて、気になるレスがあった為それだけでも
>>589 白銀の騎士の事を指しておられるのなら、恥ずかしながらあれは自分が昔書いた奴です
酉は忘れちゃったんですけどね。ついでに幸せな〜からのも
久々に過去ログを見てみたら全然成長してない自分にビックリしました
いつまでも変わらないたろ氏クオリティというやつだよきっと
今日が休みなので、修正も兼ねてPCが使える内にwikiを弄ってみたんですが……どうでしょうか。
とりあえず遅くなっちゃったんで、12話のAパートは今日のお昼くらいに投下しようと思います。
>>607 投下乙です!
おお、色がつくと特殊部隊っぽさが増してさらにカッコいいですね……惚れてしまいますw
>>583 すらりと現れる首領が糞格好良いです
しかし超人婆ネタが被ってしまった(´・ω・`)
みんな考えるのは同じなんだろうかw
マジどうしようw
>>608 wiki編集乙!色々修正されてるのね。姫路守備隊戦記の設定の編集の仕方が無駄に凝ってて吹いたwww
支援の準備はおkだぜ、いつでも投下してくれ
>>609 なに、氏の超人婆はロリババァ属性持ちだから問題あるまいw
おっと、気づいたらカッコマンが投下されてるじゃないか。失念しててごめんよ
>>607氏
ってカッコマンのくせにすげぇカッコいいwwwなんかロボコップを彷彿とさせるね
>>610 姫路のとこはせっかくなのでちょっと悪乗りをしてみましたw
ではお言葉に甘えてそろそろ投下しようと思いますー。
では支援
「まどかちゃん、大丈夫かな……」
列車を下りていくまどかの背中を見ながら、ぽつりと遥が呟いた。いくら神子とはいえまだ十四歳の、しかもこのブラウニングのお姫様だ。さらに今回の敵は飛行型、しかも無数。襲われる可能性だって十分に有り得る。もしそうなったら……ああ、そんな事想像したくない。
「大丈夫だよ、遥ちゃん。……むしろ心配するべきは相手方かもしれない」
浮かない顔の遥の肩を、大きな手が優しく叩いた。ルガーだ。ルガーはにこりと微笑むと、窓の外に視線を移して、
「――――彼女達はひょっとすると、このやおよろず一デンジャーな人物かもしれないからね」
パラベラム!
Episode 12:Are you ready?〜穴開きチーズにしてあげます〜
ゆったりゆっくり、落ち着いた足取りで列車を出たまどかに、フリューゲルタイプ達の視線が殺到した。だがまどかは怯える事なく、むしろ余裕の表情で鳥達を睨め回す。
スティーヴが言った通り、数は十。腕と翼が一体になった機体や、背中にウイングを備えた機体、モノアイ、バイザー、逆関節――――それぞれ細部に違いがあり、どうやら完全に同一の機体というわけではないようだ。
深呼吸して、金属製の杖を地面に突き立てる。
「パラベラム」
それは神子だけが使える魔法の呪文。マナの道を開き、鋼鉄の巨人を召喚するためのパスワード。
直後、轟音と白煙が巻き起こり、まどかの姿を完全に隠蔽した。鳥たちが警戒し、素早く飛翔する――――その時。
煙の壁にいくつもの穴を開け飛び出した鉄の塊が、防壁を貫通して逆関節の左脚を吹き飛ばす。
<ナ、何ガ>
驚愕を口に出す事すら許されないまま、逆関節の頭部が鉄屑と化した。ゆっくりと落ちていく逆関節を尻目に散開する僚機達。
そのおり、煙の中から長い砲身がぬっと顔を出した。そして一拍遅れてそれの持ち主が姿を現す。オリーブ色の装甲に身を包んだ重オートマタだ。
<まったく、完全に破壊してはいけないというのは面倒なものだな>
密集していた敵に散られたせいで狙いがつけにくくなったが、彼女にとって、そんな事は些細な問題のようだ。
「いいじゃないですか、その面倒臭い事をすれば家計が助かるんですから」
――――いや、正しくは“彼女達にとって”か。
「それに、言い出したのはたまちゃんですよ。……あ、4時の方向」
言われた通りの場所に無造作に二発発砲。モノアイの頭部が粉々になった。それでもモノアイはなんとか姿勢を制御して墜落を避けると、腕部の装甲がスライドさせ、姿を現した機銃でたまを狙う。
<まあ、確かにそうだがな……>
それを確認するや否や、即座に腕を狙って三発撃つ。一発は外れたが、他は手首と腕の付け根に命中。
久方ぶりに銃を撃つせいか、思ったよりも当たらない。ああっ、クソッ、苛々する。
<おい、おまえら。破壊されたくないなら武器を捨てて投降しろ。新しい御主人様くらいは捜してやるぞ>
<固定武装ヲドウ捨テロト言ウンダ!>
腕と翼が一体になった機体が、さっきまでモノアイだった機体を指差して言う。……ああ、それもそうか。
「これは一本取られましたね、たまちゃん」
まどかが手で口元を隠してふふふと笑う。
<いや、どっちみち身体はいただくんだ、武器を捨てる事に変わりはないだろう。全然一本取られてないな、うん、全然一本取られてないぞ。……で、どうなんだ? 断る理由はないだろう?>
鳥たち、顔を見合わせてシンキングタイム。安定した生活というこの上なく素晴らしいものをチラつかされて、心が揺れないわけが――――
<断ル>
あった。
<貴様ノヨウニ、タカガ人間ニ頭ヲ垂レルナド、我々ニハ我慢デキナイノデナ!>
「あら、まあ」
<そうかい……!>
自分自身を嘲笑されただけでなく、あまつさえ惚れた女……じゃなかった、妹同然の少女を馬鹿にされたたまが、地の底から聞こえるような声で言った。
こういう場合、シロなら上手い事を言うのだろうが、たまは違う。ウサギと違って狐は凶暴なのだ。
<マナ不足で流暢に話す事すら出来ないくせに、随分と偉そうな口をきくな、ん?>
発砲、発砲、発砲。腕と翼が一体になった機体は辛うじて防壁でそれを防ぐも、次々と吐き出される貫通力に優れた大口径ライフル弾はいつしか防壁を貫き、正確に彼のコンデンサを撃ち抜いた。
背部から、まるで鮮血のように圧縮されたマナが噴き出す。蛍のような、美しい光が。
<……もう我慢しなくていいぞ、まどか。思いっきりやろう>
♪ ♪ ♪
「たまちゃんはともかく、まどかちゃんが危険って……とてもそうは見えませんけど」
散発的に鳴り響く発砲音をまったく気にかけていないルガーに、怪訝そうな顔で遥が尋ねる。
普段の、少なくとも今まで遥が見てきたまどかはどこにでも居そうな純朴な女の子だ。そんなまどかが、あのリヒト・エンフィールドより危険とは思えない。というか絶対リヒトのほうが危険だろう、色んな意味で。
「そりゃあ、いつものまどかちゃんはごくごく普通の女の子だよ。だけどね――――」
窓の外に転がっているフリューゲルタイプを見て興奮している二人のメカニックを一瞥すると、ルガーは言葉を続けた。
「トリガーハッピーなんだ、あの子は」
♪ ♪ ♪
<……もう我慢しなくていいぞ、まどか。思いっきりやろう>
たまの言葉を聞いた途端、まどかの顔が待ってましたとばかりにパッと輝いた。
「はい!」
杖を地面に突き立てると、金属と金属がぶつかり合ったような音が響き、たまの両手と両肩に光球が出現した。右手に持った対物狙撃銃を捨てて光球を握り締めると、光が広がり、形になっていく。
<Substantiation>
地面に落ちた対物狙撃銃が粒子になって空へ還っていくのと同時、纏った光が弾けて、武器が実体を持つ。手の光は大型ガトリングガンに、肩の光は多連装ミサイルランチャーに。
それを確認した鳥達が、発射体勢が整う前に片を付けようとブースタを全開にする。その内の一機、フレームに最低限の装甲をくっつけただけの、もやしのようにヒョロ長い機体が軌道を外れてまどかへと突進した。
「えー、では、改めまして……」
迫る驚異もなんのその、少女がごほんっと咳ばらい。
「Are you ready?」
<Yes,My master>
手に持つ杖をくるりと回す。すると、つい先程まで金属性の棒でしかなかったそれが光に包まれ、別の何かに姿を変える。
<マスターサエ潰セバ――――>
「OK!! Let's Partyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyy!!!!!」
――――少女はそれを構えると、眼前の敵に景気良くぶっ放した。いくつもの光がもやしの胸部を刳り、軌道を変える。轟音を響かせて、もやしが地面に激突する。
一拍遅れて、飛び散った多数の破片が小気味いい音を立てて列車にぶつかった。
――――キャリバーフィフティー。たった今まどかが盛大にぶっ放した、とある重機関銃に模した杖だ。まあ杖と言っても、その姿形はほとんどベースになった古代の重機関銃そのものなのだが。ちなみに名前もその重機関銃の愛称のひとつから取ってきている。
さて、このキャリバーフィフティー。見た目こそ重機関銃の尻に柄を付けただけだが、当然まどかのような少女でも扱えるよう、中身は全くの別物になっている。
材質の変更とマナの特製によって重量とリコイルは軽減され、打ち出される弾も圧縮されたマナに変更。これにより威力の調節が可能で、幅広い運用が可能となり、さらに神子ならばほぼ無尽蔵に弾を打ち続ける事ができる。
もっとも、最大出力で撃ってもオートマタ対する決定打にはならない。関節を狙うか、相手がフリューゲルタイプのような超軽装甲の機体だった場合のみ、それなりのダメージを与える事が可能だ。もちろんバリアを張られていればアウトであるが。
そして、たった今まどかの手によって行動不能に陥った野良は――――必要以上にマナを使うのを渋っていたのもあるだろうが――――相手がただの人間の小娘だという事で油断して、最低出力で防壁を展開していたためその屍を曝す事となったのだ。……死んでないけど。
「――――過信と慢心は、死出の旅への片道切符ですよ」
ピクピクと痙攣するもやしを一瞥すると鳥達に銃口を向けて、キャリバーフィフティーにマナを装填しながらひとりごちる。
さて、残るは七機。一対多に特化したたまならば取るに足らない相手だろう……取るに足らない相手だろうが、久方ぶりの戦闘だ、やっぱりもっとぶちまけたい、バラ撒きたい。だから――――
「ふふふ、穴開きチーズにしてあげます」
その直後、鈍く光る砲身は再び咆哮した。
♪ ♪ ♪
曳光弾駆け抜ける戦場を、レーダーセンサー総動員で、超長距離から見る影ひとつ。茶褐色の、狸が一匹。その名はムジナ、寒戸(さぶと)・ムジナ。またの名を、お杉と言った。
<……あらま、一網打尽ってヤツねぇ>
まるでカトンボのようにフリューゲルタイプ達が落とされていくのを見ながら、お杉がぼそりと呟いた。
フリューゲル達も健闘していると言えるだろうが、あれは相手が悪いというものだ。一見何も考えずに弾をバラ撒いているように見えて、その実狙い易い場所に誘導している。例えるなら――――そう、詰め将棋のように。
<あの緑のブルタイプ、どう思う? レオン>
別の場所で待機している獅子型のオートマタ、フォルツァ・レオーネに話し掛けた。
<ああ、強いな。今すぐにでも戦いてぇ>
やや押さえた調子で、低く唸る。歓喜に打ち震えているのがよくわかる声だった。
<動物園だの何だの言って、自分が一番野性に忠実じゃん>
苦言を提しつつ、補助装置もフル稼動の最大望遠で戦闘を観察。……あ、また一機やられた。
<戦うためにアンサラーに入ったんだ、あんなものを見て興奮しないはずがねぇ。だろう? ムジナ>
なるほど確かにレオンのようなタイプならそうだろうが、お杉は別だ。アンサラーに入ったのだってある程度安定した生活を手に入れるためだし、戦いなんかよりも悪戯をするほうが断然好きだ。
そんな自分が気付けば幹部になり、気付けば極東から西洋くんだりまで来ていた。まあ、今の生活もそれなり以上に楽しいので、そこまで不満はないのだが。
<まあ、あんたならそうかもね。で、どうするの? 戦いたいなら行ってくればいいじゃない。援護ならするよ?>
適当に戦ってもらって撤退しよう、勝てそうならもちろん勝たせてもらうが。
<いいや、俺が戦いたいのはリヒター・ペネトレイターだ。惜しいが、あれと戦うのは次の機会だな>
<じゃあ、あの牛さんどうするの>
<おまえに任せる>
<えー>
ひどい、押し付けだ。
<おまえもシュヴァルツと同類か>
呆れた声で獅子が呟く。わざわざ口に出して煽りやがってこの野郎。シュヴァルツの事はかわいいと思うが、あの子と同類というのはちょっと心外だ。
<だいたいあたしは偵察に来ただけで、別に戦いに来たわけじゃないんだから、そんないきなり戦えって言われても困るんだけどさ――――>
声を上げるお杉の目線の先では既に戦闘は終わっていて、動けなくされたフリューゲルタイプ達が次々と回収されているところだった。
<ブルタイプの武器をいくつか使えなくするだけでいい、頼んだぜ、相棒>
<へ? ちょっ、意味わかんな>
ぶちっ。
切れた……いや、切られた。
<あンの獅子舞ぃっ!>
勝手に相棒とかぬかしやがって、こっちの都合はお構いなしか。力任せに地面を殴り付ける。
――――だが、まあいい。やるだけやってやろうではないか。そう、大丈夫だ。的は大きいんだから。
傍らに置いてあった武器一式をハードポイントにマウントし、お杉は背景に溶け込むようにその場から消えた。
♪ ♪ ♪
これにてAパートの投下は完了です。支援、ありがとうございました! ……ちょっと短過ぎましたね、すみません。
さて、今回はついにまどかが暴走しました……うん、この世界に普通の人なんていないんだ、すまない(´・ω・`)
Bパートでたまちゃんがキャストオフ! できたらいいなぁ。
あと、キャリバー50の形をした杖なんてデタラメな物が出てきましたね。本来は3人で運用するものだとか、三脚も無しで撃ったら指の骨が折れるとかそういうシロモノだが気にするな、俺は気にしない。作中でも説明しましたが、外見だけ似せた別物です、はい。
ふぅ、またさるさん食らっちまったぜ(´・ω・`)
>>627 投下乙!たまちゃんの戦闘力が半端ねぇwたまちゃんが普段着てる装甲はブルタイプオートマタのものなのね
そしてまどかが某アメリカ合衆国大統領になっているwwwwwこれはひどい、いいぞもっとやれwwwww
さて、BパートはたまちゃんVSお杉さんかな?Bパートも楽しみに待ってるんだぜ!
>>627 投下乙です!たまちゃん強すぎて全然ピンチじゃないのかwそんな気はしていたが
でもなんつーかギリギリの攻防戦を見たいよなぁとか思ったあたりでお杉に獅子舞登場は巧いわ、これはやがて熾烈な戦闘になる予感♪飽きさせない展開がニクイね今回も!!役者がどんどん賑やかになってもう既に続きが気になってしまいます
それと途中から新規読者が入ってもある程度は大丈夫なように気配りされてると感じました
次回のキャストオフ、楽しみにしてますね
そういえば赤いロリコンの出番が皆無だったけど、まだ気絶してんのかな?w
しかし人いないねぇ
>赤いロリコン
シャア! シャア! シャア!
たまに覗いてみるとコンスタントに質の高いSSが来てるなぁ
それとも自分と比べてるから良く見えるのか
……おそらくは前者だ!
>>631 そう言うあなたのIDにCA(シャア・アズナブル)が!
感想、ありがとうございます!
>>628-629 たまちゃんは1000年生きてるから、経験値がダンチなのよね! まあ途中から引きこもり生活突入してますけどw
ギリギリの攻防は……が、頑張ります。
>途中から新規読者が入ってもある程度は大丈夫なように気配りされてると感じました
きっとまだ序盤だからそう感じるんだよ! よ!
もうすぐ1周年ですよ奥さん……。
>>630 気絶中というか爆睡中です。なんやかんやで白うさぎさんも傍にいるので二人共今回は出番皆無です。
>>631 たまになんて言わずにいつも覗いてくださいなw
時間をかけずに読める量じゃないもので……
自分が書いてる方に影響が出過ぎるのも怖い。
IDだと!?
俺はロリコンでシスコンでマザコンだったのか!
635 :
634:2010/01/30(土) 00:13:43 ID:g2UGkVav
>>634-635 流れで理解できちゃうYO!!
あ、アフランシ・シャアかも知れないじゃないですか! いやそれだとACか……。
てか師匠、地味に幸せな結末に紹介文付けて完結作品一覧に放り込んだり、◆jj8wkTPAaY氏のリンク先を◆n41r8f8dTs氏にして(どちらもたろ氏)、◆n41r8f8dTs氏のとこに白銀の騎士と幸せな結末を移動させたり、たろ氏関連で色々と余念がないなオイ
>>637 やっぱり
>>882氏の描くクリーチャーは上手いのぅ……
>>637 >>822氏かい? 十分早い! 早いよっ!
投下乙です! 確かにかなり進行しちゃってますねw
この寄生されてる感じがイエスだね! 何故かバイオハザードがやりたくなりました。
>Mw2w現w役wwww
現役ではないですけどねw でもアレならこの先もずっと第一線で使われてそうではあるかも。
とりあえずブラウニングさんが使うからM2にしただけってのは内緒な!
>>638 ミッドナイトの作者欄を修正したりもしたよ!
仮組み出来た―。やっと主要キャラが皆出せたか……な?
そいでは感想等を
>>583 亀ですが投下乙です
加筆&修正されてあるだけあり、色々パワーアップしてますね!
やはり戦闘シーンの迫力が凄いしカッコいいです。にしても最後の婆様カッコ良すぎ震えた……
ワクテカしながら次回を待ってます
>>607 うぉぉぉぉかっけぇぇぇぇ
なんかこう、何故かグレートサイヤマンを思い出しましたwバイザー良いよバイザー
>>608>>627 まとめwikiの大改装、乙です!凄い改装されててびっくりしました
それと自分の作品を纏めてくれて、本当に有難うございます
それと作品投下乙です!
たまちゃん……流石やおよろずの古参戦士、すげぇ強いですなww
また、まどかちゃんが良い意味でキャラぶっ壊れてて前言撤回、驚きました!まさかトリガーハッピーとは・・…w
良コンビになりそうなムジナとレオーネに期待しつつ、次回を楽しみにしてます―
さて……仮組みを早くし上げて土日中に投下したいですが
容量って大丈夫ですかね……多分1万字以上超えるので
一万なら大丈夫だと思う
643 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/30(土) 18:40:56 ID:jkHOuSqp
>>642 あぁ、だったら良かった……
今回の話から戦闘がこの先あんまり無いからちょっと大丈夫かな……w
すみません、sage忘れてましたorz
645 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/30(土) 19:49:41 ID:FuzTjOGw
現在397 KBだから、まだ二発は耐えられるはずだ!
>>640 全部勢いでやったので、お節介じゃなかったかとちょっとヒヤヒヤしてたのは秘密ね!<wiki大改装
感想、ありがとうございます!
いやぁ、トリガーハッピーネタはずっとやりたかったので、ようやく出せてスカッとしましたw
ええ、実はたろ氏のクロスオーバーまでに合わせようかと思ってた時期もあったんですヨ……結果はこの有様ですがァ!
次回は期待しないで待っててね!
「早くし上げて」が「たくし上げて」に見えてしまった……飢えているのか、私は!
亀ですが感想等をー
>>583 白兵戦モードもカッコイイですな!相変わらずカルマたんの万能っぷりが凄いw
やはり【憤怒】の力は代償アリでしたかー、更に変化が進行しちゃったみたいで雪兎くんが心配です
そして最後に全部持っていった老女傑!バbもとい、首領カッコイイよ首領
また雪兎が酷い目にあうかどうかでドキドキしつつ、次回も楽しみにしとります
>>607 おおぉ……凄く……カッコイイですw
やはり色付きになると印象がぐっと変わりますね!
>>608 編集乙でありますm(_ _)m
ちょっと印象変わりましたねー。スレのテンプレが入ったりで色々工夫して頂いたことにGJを!
>>627 まどかは「やおよろず」の良心……そう考えてた時期が僕にもありました……
たまちゃんの強さは予想してたけど、流石にパートナーのトリガーハッピーには驚きましたw
装甲がブルタイプなたまちゃん……
つまりたま姉ぇだけにバインバイn(不適切な発言によりパーリーされました)
>>637 確かにwこれはもう戻れない所まで逝った感が伺えるwww
やっぱり生物系は
>>882氏上手いなぁ……
修正やGSG全編書き直しもしたいけど携帯だから無理だ…パソコンが使えればなぁ。
個人的にはGSGをもうちょっと丁寧に仕上げれば良かったと後悔しているので。
後から読めば読むほど粗が出てくる…orz
外伝の続きは投下出来れば明日の夜にでも。
あと余談ですが、ハンス・ドクトル=Eシュミッドのドクトル≠ヘあだ名で、
彼の正しい名前はハンス・シュミッドです。仲間からはドクと呼ばれています。
>>646 たくしあげた幼女のスカートの下にあるのはドロワーズ。
これだけは譲れない。
たくし上げたスカートの中身……
ドム「そんなにバーニアを見たいのか?」
こういうことですねわかりますん
感想、ありがとうございます!
>>647 い、一応良心的ではあるよ! 暴走すると誰よりも危険な子ではあるけれど!
>つまりたま姉ぇだけにバインバイn
胸部装甲だけパージされないんですn……いや、むしろ胸部装甲を積極的にパ(不適切な発言によりパーリーされました
>>648 はっはっは! 慣れれば携帯でだって書けまっせ!
>たくしあげた幼女のスカートの下にあるのはドロワーズ。
>これだけは譲れない。
確かにドロワーズは魅力的だ……しかしスパッツも中々いいものだとは、思わんかね?
>>649 え、あ……う、うん! か、描いてるよ! 上げるとは言ってないがね!
>>652 うわー! へんたいだー!
絆創膏はえろ過ぎるよおにいちゃん……。
それにしても、今日はスランプでござる。
俺も書けないです……
ペースが思った様に上がらない。申し訳ない
>>655 仮組したら書かないと駄目なんすよ俺
何度宣言破った事か……
>>654 そんな時はリラックスだ!
>>655 いや、描けたんですけど、色塗りを盛大にミスったというか何というか……。
>>656 タブーは破るために(ry
責任感が強いのぅ、氏は。だがゆとりを持つ事も大切ぞ
>>657 なんと……それは惜しい。ちなみに描いたのは遥さん?
>>659 ロボスレのアイドル久々過ぎて涙出た
しかし相変わらず足がえろいわ制服が可愛いわで……セーラー服と翻るスカートはPBM氏のお家芸だな!
>>660 ……すみません、久々なのにマッハで仕上げたせいでかなり粗いです。
>セーラー服と翻るスカート
はっはっは! 単純にそれらが大好きなだけさ! でもこれなんかティマよりも珍獣に見えるような気がしてきた……。
言われるとそう見えてくるから困る。
そういえば、ロスガ連載中はティマのイラストでこういう表情って無かったよね。こういうの見ると改めてロスガがハッピーエンドで本当に良かったと思うw
本当にハッピーエンドで良かったですよね。
やっぱり可愛い女の子には笑顔が1番ですよ!
>>659 殺陣が進まなくてクサクサしてた気分が一気に和んだよ!
さすがですGJ!
たろ氏のIDにMeたんが潜伏している事に今気付いたでござるのマキ。MeたんかわいいよMeだん。
>>664 おお、こんな絵でもお役に立てたなら幸いですw
>>663 まったくだw
そういえば、ロボスレ学園の制服はこれで決定なのかな?
私の大腸には、職務に対する精励を切に望む。
>>659 投下乙!
久々ですねえ…… 実に師匠テイストなかわいらしさに満ちたイラストです。
彩色は水彩マーカーですか?
>>656 政治家として大成するために必要なことが二つある。
1.約束は絶対に破らないこと。
2.約束は絶対にしないこと。
さて、
>>637をご覧になって下さった皆さん、ありがとうございました
(しかし 犬耳→パチロボ→あれ…… あぷろだをサムネ表示したときのオレの投下したモンのカオスっぷりがパネェ)。
しかし、誰かカルマ描いてくんねーかな。
ドラグリヲでデザイン出来てるのがオレの描いた人外ばっかりだもんで、このスレ的にバランスが悪いやうな気がしてならないんですわ……
一方ロリ師匠は
ティマ→遥さん→遥さん→遥さん→遥さん……
ある意味カオスだwww
ロボスレなのにロボ分が足りないのはいつもの事w
>>666 決定というか、そもそもあまりバリエ自体がないようなw
>>667 彩色はコピックです。おかげで財布からお金が飛んでいきましたw
ところでカルマの髪型ってロングでしたっけ? 髪の色が自由自在な事は覚えてるんですが……。
>>668 待つんだ。
ティマ(制服)→遥さん(制服)→遥さん(ぱんちら)→遥さん(部屋着)→遥さん(たいがー)
と書けば非常にバリエーションが豊かで……カオスですね。
>>670 >彩色はコピック
あ、やっぱり。
>カルマの髪型
確か避難所の方でツインテールとか書いてあったような……
で、カルマの髪型って避難所の方でドラグリヲの設定漁ってて見付けたんですが……
そのドラグリヲの設定漁ってた目的であるところの「リニア」の設定が見付からないッス。
確かどこかに書いてあったと思うんですけど、心当たりのある方います?
>>669 2ページ目からはそれなりにあるんだけどねw
>>670 さらに遥さん(魔法少女)とか遥さん(普段着)とか遥さん(黒タイツ)とか遥さん(夏服)とか遥さん(眼鏡)とかやたら増えるから困るw
>>671 ツインテールですね、ナルホド了解合点承知、大体わかったヤハリソウイウコトカ。
……べ、別に描くなんて言ってないんだからね! 聞いただけなんだからね!
リニアですか……すみません、心当たりありませんorz
>>672 遥さん(廻セカ)とか遥さん(巫女服)とか遥さん(SD)とか……なんかもうキリがありませんねw
>>673 > ……べ、別に描くなんて言ってないんだからね! 聞いただけなんだからね!
ツ……ツンデレーっ!? ということは……
さておき、「
>>667みたいなこと言うなら自分で描け」って話なんですが、オレ女の子描けないからなー。
ネタとか自分の作品のキャラとか描くならまだしも、人様のキャラをデザイン起こしとかできないっす
(だからマチコさんやメルフィーはギャグ顔しか描いてないんだな)。
これっぱかりはどーにもならん……
真上にあっただと……!?
上から来るぞ、気をつけろ!
さてさて、冷静に考えてみたらゴスロリもツインテも苦手分野じゃないか……これは克服のチャンスだと考えざるを得ない。
>>675 ふぁ! これだぁ!
いや〜、すいません、ありがとうございます。避難所に書き込まれていたとばかり思いこんで本スレのほうは探してませんでしたorz
描けたのはいいけど、眼が大きくなってしまったでござる……うーん、なんかコレジャナイ臭がする。
あ、うpはちょっち後になります、今家族にPC占領されてるので。
>>681 普通に可愛いと思う俺ガイル
カルマも可愛いけど、地味にタイトルロゴも可愛いなw
>>681 カワイイのぅカワイイのぅw
確かにタイトルロゴもかわいいw
しかしゴスロリ風の服装も描ける師匠はすごいなぁw
プ、プレステ2のコントローラーを持ったまま意識がトんでいた……。
>>682-683 なんか寂しいと思って即席で作ったタイトルロゴが意外に好評でびっくりであります。
ゴスロリはやっぱりまだ勉強が必要だと痛感しました……何がゴスロリなのか、まだ理解できてません。
さてさて、休日はやっぱり人がいませんねw
あーもうすぐ書き終わりそうです
とはいえ12時は回りそうなので、その際にはおねげえします……
感想は先に
>>684 大丈夫ですか師匠!あとタイトルロゴは普通にいいデザインだと思います!
>>685 了解!
>>685 了解しました! 今回も張り切って支援しちゃうんだから!
>>686 大丈夫、ゆっくり湯に浸かったら元気になったよ!
688 :
TロG ◆n41r8f8dTs :2010/02/01(月) 00:38:40 ID:HOs9ExiU
ふー……すみません、月曜なっちゃいましたorz
では感想の程を
>>659>>681 ティマ久しぶりだよティマ(作者なのに
あー確かにこういう、幸せな感じの表情ってのはエピローグでやっと出ましたね、ティマ
ホント、座談会で描いた様なBADエンドにしなくてホント良かったですw
そしてカルマたんツインテ可愛すぎるよツインテ
雪兎君が羨ましいですなぁ……こんな可愛い子と年中一緒とは
しかしこの子がバリバリ機械食ってる所を考えると萌えていいのかどうかw
ではでは、さっそく投下します
無駄になげー・……
その男の目の前に広がっている光景は、地獄だった。
男の目の前には、数時間前までは悪態を付きながらも、気心の知れた仲間達が変わり果てた姿で転がっている。
或る者は胴体を貫かれ、また或る者は一部分を切断され、未だに出血が止まる事が無い。凄惨。男の目の前には、仲間達が流した血の海で広がっている。
男の膝元はその血で真っ赤に染まっており、また、現実を認識する事を拒んでいる為か、がたがたと震えが止まらない。
「……嘘だ。嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ!」
瞳孔が開きっぱなしでかつ、涙を垂れ流しながら男は慟哭する。激しく首を横に振り、仲間達の姿を見ない様にする。
しかし、男の顔は自然に仲間達であったモノへと向いてしまう。反射的に、男は腹を押えて嘔吐した。
「ジャ……ック」
その時、男の耳元に虫の息で、男の名を呼ぶ声がする。ジャック――――と呼ばれた男は、ハッとすると震えている膝元を無理やり奮い立たせ、立ち上がった。
被害を負ったのはジャックの仲間だけでなく、ジャック自身もだ。ジャックの膝元や両腕等の部位には、大きな痣や痛々しい深い切り傷が幾つも走っている。
朦朧とした足つきで、ジャックは自らを呼び掛けた男の元へと片膝を下ろした。
ジャックの足元には、口元に蓄えられた、白き髭が逞しい男が仰向けになっている。口元から流れている大量の血が男の白髭を鮮血に染めており、今にも息絶えそうだ。
男が装着している、黒色の如何にも攻撃を受けつけない強固な装甲服は、斜め方向――――右肩から左脇腹にかけて深く抉られている。否、斬り刻まれている。
ジャックは血を押えようと装甲服を外すが、その有様を見て思わず目を逸らした。男が負っている傷の深さは、最早施しようが無い。
「隊長……隊長!」
「お前ほどの……奴が……泣くんじゃ……無い」
ジャックが隊長と呼ぶその男は、ジャックを泣かせまいとするように、腕を上げて涙を拭おうとした。
しかし男が幾ら腕を上げようとしても、男の意思に反して体が次第に硬くなっていく。もうすぐ限界が近いようだ。
「ジャック……頼みが……ある……最後……のな」
男の言葉に、ジャックは自分の腕で涙を拭うと、力強く頷いた。
「あの……子供を……助けて……やって……くれ……」
隊長の言葉に、ジャックの目が見開く。その顔には、何故そんな事をという疑問と、言いしれない怒りという複雑な表情が浮かんでいる。
「どうして……」
次にジャックはどう答えればいいか分からないのか、苦悶の表情で歯を食いしばると、グッと目を瞑って、叫んだ。
「どうして……そんな事を言うんですか、隊長! 奴は……あのガキは皆を、隊長を!」
「ジャック!」
男は今にも息絶えそうとは思えない、鋭く芯の通った声でジャックの二言を制した。
僅かに顔をジャックの方に向け、男は優しげで、温かい微笑みを浮かべながら、ジャックに言った。
「あの……子供も……俺達とおな……じ……利用され……た……だけ……なんだ……」
「だから……よ」
男の目から、一筋の涙が流れては、地面に落ちた。
「お前……が……救って……くれ……あの子……を」
―――――目が、覚める。どうやら夢を見ていた様だ。
それも、二度と見たくない、あのクソッタレな夢を。ライオネルは両手を開いたり閉じたりして、感覚を現実へとシフトさせていくと、舌を打って立ち上がった。
ライオネルが壁に寄り掛かって寝ていたこの部屋は、床と壁がシックな木彫で出来ており、夜はその木彫という特性故に、とても涼やかだ。
しかし奇妙な事に、その部屋には家電はおろか家具さえもない。
あるのは、同じく木彫のシンプルな二つのイスと、テーブル、そして月明かりが照らす大きな窓だけだ。
蓋の開いた瓶ビールを手に持ち、ライオネルは階段を下りて一階へと降りて行く。
そこでライオネルを迎えたのは、商売道具である、それぞれハンガーで吊られているのと、地面に鎮座している野良オートマタ達のガレージだ。
しかしライオネルはそれらに見向きもせず、どこからかバールを持ってきて中央に立つと、何も無い地面を二度叩いた。
すると地面から、凹型の大きな取っ手が音を立てて立ち上がった。バールを取っ手に引っ掛け、思いっきり上へと引く。
すると、地面であった場所が重圧な音を立てながら開きはじめた。どうやらマンホールの如く、地下へと繋がっているドアの様だ。
ドアを完全に引き、バールを投げ捨てて、ライオネルは梯子を降りながらその中へと入っていった。
地下へと着いたライオネルは、壁を触りながら近くにあるスイッチを押した。
明るくなった途端、ライオネルの目の前に左右で横並びに並んだ数十機のオートマタの姿が映った。地下とは思えない程、その空間は奥行きがあり遠くへと伸びている。
歩きながらライオネルは一体一体に鋭い目つきを送る。どのオートマタも、野良オートマタとは比べ物にならない程にデザインが洗練されており、実に強そうだ。
そう……どれも野良オートマタと違い、同じ様なデザインの機体は一体も無い。全て何かしらカスタマイズされている様だ。しかし疑問である。
何故ライオネルは、これほど多種多様なオートマタを所持しており、また地下に隠しているのかが。
やがてライオネルはビールを一気に飲み干し、再び地上へと戻る。
地上に戻り、バールを引っ掛けてドアを完全に閉じた。地面には一切、取っ手はおろかドアがあった形跡さえ見えなくなっている。
階段を昇り、二階の寝室に戻ると毛布に包まって小さく寝息を立てて眠っている。琥珀色の目の少女がいた。
ライオネルが少女に近づき、頬を撫でる。すると。ん……と、少女は眠そうな目を少しづつ開いた。
「仕事に行くぞ、リシェル」
ビューティフル・ワールド
the gun with the knight and the rabbit
「あー……うん、大体分かった。つまりあんた達は予期せぬアクシデントのせいで、この世界に落ちてきたって訳だ。その……巨大ロボットに乗って」
<現実味が無さすぎて、逆に現実的ですね。私が云うのもなんですが>
「そう。現実味が無さすぎて、私達も正直混乱してるのよ。まぁ……貴方達の所に落ちてきたのが不幸中の幸いね」
女性が語った今までの経緯について、クリームシチューに舌鼓を打ちながら、リヒトは分かっているのか、分かっていないのかヘ―シェンと共に頷いて見せた。
今から数分前、空気をブレイクして乱入してきたやおよろずの大黒柱こと、リヒト・エンフィールドを囲み、各々の自己紹介がてら、夕食が始まった。
黒髪の少女は自らをまどか・ブラウニングと名乗り、異世界より来た三人に、この世界の事をすべからく教えた。
ちなみにリヒトも自己紹介したが、またもオーバーフリーズを引き起こしてくれたので割愛する。
この世界は一度、何か大きな事があってリセットした事、マナと呼ばれるエネルギー、そしてオートマタなる、世界から欠かす事の出来ないロボットの事等……。
女性はシチューを食べながら聞いているが、青年と少女は真面目に食事に手をつけず、じっと話に耳を傾けている。
「冷めちゃうから食べながら聞こうぜ、そこのボーイミーツガール」
「そう固くならないで、食べながら気軽に聞いて下さい。温かいうちが美味しいので」
リヒトとまどかにそう言われて、青年と少女は申し訳無さげに小さく頭を下げて、シチューを食べ始めた。青年が具のジャガイモを口に運ぶ。
「あ……美味い」
<当り前だ。まどかの作った料理は常に美味と決まっている>
青年がふと漏らした言葉に、玉藻が誇らしげにそう言った。
「おかわりもありますんで、欲しかったら言って下さい」
「おかわり!」
まどかの言葉に異常な程タイミング良く、リタがすっからかんになった皿を差し出した。
「早っ! まだ食べ始めて3分も経ってないよね!?」
「ライディースさん知らないんですか? カレーと同じくシチューも飲み物ですよ」
「どこのウガンダだ!」
「それにしても悪いわね、まどかちゃん。ただでさえ厄介になってるのに、こんなに美味しいご飯を食べさせて貰って」
女性の言葉に、まどかはいえいえと首を横に振った。ちょっとした仕草からも、品の良さが出ている
「にしても俺はまだ見てないんだが、その巨大ロボットはどれだけの傷を負ってるんだ? 再起不能レベル?」
「いえ、原動力である部分には恐らく傷が無いから、外装と駆動部を修理さえ出来れば、一週間も掛からないと思う。ただ……それは10人以上の整備員がいたとしたらね」
「そうか……」
女性の返答に、リヒトは唸った。シビアな事を言えば、出来るだけ早く修理を終わらしてもらった方が良いだろう。
ウチはただでさえ、毎月のオートマタの整備に困窮するほど家計が火の車だ。生活費云々の事を考えれば、もっとシビアな事になる。
まぁ……今はそういう事を言っている場合じゃないか。リヒトはその考えを打ち消した。
「大丈夫ですよ!」
元気一杯口の中にシチューを入れながら、リタは極めて明るい声でそう言った。
「私とライディースさん、それにルガ―さんの力があればアレを一週間掛からず三日で直してみせますよ!」
「いや三日は無理だよ。まだどんな構造になってるのかも分からないのに……」
「やる前から諦めちゃ駄目ですよライディースさん! ネバーギブアップ!」
「ネバーってまだ始まってもいないんだけど……」
二人の漫才を制する様に、ルガ―がゴホンと咳払いをして三人に向きなおると、静かに、尚且つ落ち着き払った様子で口を開いた。
「一先ず、貴方達は今日から、やおよろずの一員として働いて貰う事になる。寝住食はこっちで保障するから心配しないでくれ。
ただ、郷に入れば郷に従え。たまちゃんが言っていた様に、この世界と、やおよろずのルールに従って、生活してもらう。それだけは肝に銘じておいてくれ、分かったかな」
ルガ―の言葉に三人は深く頷いた。その目からはしっかりとした真摯さと誠実さが窺える。
と、女性がちょうどシチューを食べ終わり、何処からか取り出したハンカチで口元を拭うと柔らかい口調で微笑みながら話し始めた。
「この世界についての事を詳しく、それに分かりやすく教えてくれて本当に有難う。それに美味しい料理まで食べさせてもらえて、心から感謝するわ。
それで……まだ、私達の事を教えていなかったわね。だいぶ遅くなったけど」
女性は胸元に手を当てると、ゆったりとしたテンポで、自己紹介を始める。
「改めて初めまして。私の名前はマチコ・スネイル。どっちもカタカナね。
本業はそうね……科学者兼パイロットかな。今は、この子達の保護者って所。それでこの子達の事だけど」
女性が右手で、バスガイドの名所案内の様な手つきで、二人を紹介し始めた。
「女の子の名前はメルフィー・ストレイン。ちょっとドジっ子で融通の利かない所があるけど、素直で一生懸命な子。
男の子の名前は鈴木隆昭。正直言って、どこにでもいる様なとっても普通の子。けど、イザって時にはしっかり決める子よ。二人とも良い子だから、宜しくね」
「宜しくお願いします」
「あ、えっと……宜しくお願いします」
丁寧にピシッと頭を下げる少女――――メルフィーと、たどたどしく頭を下げる青年――――隆昭。
どことなく性格の、というか育ちの違いが結構出ているものの、二人とも内から出る真面目さが良く分かる。
「それじゃあ俺も改めて。リヒト・エンフィールドだ。業界では結構名が知れてる、イカしたハードボイルドだ。宜しくな」
<確かにハードボイルドですよね。毎回素晴らしくタイミングを外しても、平然とネタに走るんですから。
あ、そんなハードボイルドのオートマタ、ヴァイス・ヘ―シェンです。4946>
「お前って奴はいっつもいっつも……」
リヒトとヘ―シェンの自己紹介に、スネイルは声を潜めて笑う。隆昭とメルフィーは反応に困っている様だ。
「それでは僕達も。僕はルガ―・ベルグマン。やおよろずではマネージャーといって、仕事の斡旋をしたり色んな事をしてる。何かあったら聞いてくれ」
「僕はメカニックのライディース・グリセンティ。メカならオートマタでも何でも担当するよ。勿論あの巨大ロボットもね。宜しく」
「頼もしいわね。宜しく、二人とも」
「はーい! 私も同じくメカニックのリタ・べレッタです! 19歳の花咲く乙女です! 宜しくぅ!」
「……俺より年上だったのか……小学生かと思った……」
隆昭の本当に、本当に悪意の無いうっかり出てしまったその小声はしっかりと、リタの耳に届いている。
しかしリタはあえて何も言わない。何も言わずに、その小学生と一見間違えそうなプリティフェイスで天使の笑顔を浮かべながら、隆昭を見つめている。
「では。私はこのやおよろずのオーナーである、まどか・ブラウニングと言います。宜しくお願いしますね」
<まどかのオートマタである玉藻・ヴァルパインだ。特に言う事はないが、厄介な事は起こすなよ、良いな>
玉藻の言葉に、隆昭が強張った顔になる。よっぽど返事の件で怒られた事が響いている様だ。
隆昭の様子に気付き、まどかが苦笑いしながらフォローする。何があったかは台所に居ても大体分かってる。
「たまちゃんは口調がちょっぴりキツイけど、優しい子だから大丈夫ですよ、鈴木君」
「あ、はい……すみません」
そして最後は、三人と初めて出会い、そして三人を助けた、遥の番だ。
「えっと……一条、遥です。やおよろずではまだまだ新人ですが、これからもどんどん自分が出来る事を……」
「遥、面接じゃないんだから、軽く自分の事を話せばいいんだぞ」
「あ、そ、そうでした、ごめんなさい!」
リヒトの言葉に、そう言って遥は赤面した。しかしやおよろずの面々は誰も遥を笑ったりはしない。家族の様な、温かい視線を向けている。
「……何か良いですね。皆仲が良くて、温かくて」
周囲に聞こえない様、メルフィーは小声で、スネイルに耳打ちした。スネイルはふっと視線をメルフィーに向ける。
「しばらく忘れてました……こういうの」
そう言って俯くメルフィーに、スネイルはただ、メルフィーの左手を優しく握ってあげた。
「一条遥です。やおよろずでは新人ポジションです。宜しくお願いします!」
<リヒター・ペネトレイターです。マスター、及び一条遥のオートマタです。宜しくお願いします>
「うし、全員自己紹介が終わったな。んじゃ、飯を食い終わったら早速役割分担だ。寝る前の一仕事、頼むぜ、皆」
食事が始まって30分後、あれだけ鍋にたっぷり入っていたクリームシチューは、大人数なだけあり、既にすっからかんになっている。
リヒトは一仕事と言ったが、別に全て終わるまで何もしてはいけないという訳ではない。個々で自由にお風呂に入って良いし、夜食を食べても構わない。
ただ、気持ちの良い朝を迎える為には。その前の夜にやるべき事をやろうというのが、ここ、やおよろずのルールの一つだ。
それぞれの役割分担はこうだ。まず遥とスネイルは洗濯物の折り畳み、及び整頓、まどかとメルフィーは皿洗い及び台所の掃除。
一番大変な、ガレージの掃除及び道具の片づけは、ルガ―とリタ、そして隆昭が担当する。
話し相手として、遥チームにはリヒタ―、まどかチームには玉藻、ルガ―チームにはヘ―シェンが付く。
リヒトとライディースは用があると言って、何処かに行ってしまった。リタは二人に対して不満げに頬を膨らましていたが、ルガ―に言われて仕事に取り掛かる。
「流石に量が多いわね……さすが大所帯」
山の様に三つのかごに入っている洗濯物を見ながら、スネイルは苦笑しながらそう言う。
「けど毎日やってますからね。普通に慣れちゃいますよ」
「……初めて会った時からそうだけど、良い子ね、遥ちゃんって」
スネイルの言葉に照れているのか、頬を少し赤くして、遥は俯いた。
「いえ……日常的な事をしてるだけですから」
「ううん。そうやって謙遜してる所とかとっても……」
何故かスネイルが遥との距離を縮めてくる。と、凄く自然な感じに、リヒタ―が割り込んできた。
<所で聞いてみたかったのですが>
「むむ……やるな、リヒタ―君」
<あちら側の……未来では、どういった生活をされてたんですか? 穏やかな生活では無いとは思いますが……>
「あ、私もそれがちょっと気になってました」
リヒタ―の質問に、スネイルは畳んでいた洗濯物を膝に置き、少し考える素振りをすると、静かに口を開いた。
「あんまり良い生活では無かった……かな。こうやって、ゆっくりと家事をしながらお喋りなんてすごく久しぶりだもの」
そう語るスネイルの横顔は、笑っている様に見えて寂しそうにも見えた。
「だから、変な事言うけど、今の作業って凄く面白いというか、楽しいの。昔を思い出してね」
「そう……ですか」
<不躾な質問をしてしまい、申し訳無い>
「ううん、良いのよ。リヒタ―君。私が変に感傷に浸ってただから。気にしないで」
「……だけど」
「ん?」
「……だけどきっと、こういう日常に戻れると思います。スネイルさんも、メルフィーちゃんも、鈴木君も、皆。私、信じてますから」
「……ありがとう。遥ちゃん」
「それで、メルフィーさんって鈴木君とはどういうご関係なんですか? 恋人ですか?」
まどかから出てきた、あんまりにもドストレートな質問に、メルフィーは危うく皿を落としそうになった。
後ろではじっと玉藻が見張っている為、そうそうミスは出来ない。雰囲気は和やかではあるが、奇妙な緊張感をメルフィーは感じている。
それにしても……まどかとメルフィーが並んでいるのを見ると、色んな意味で男にとって最高に保養な眺めだ。
「いえ……彼とはそういう仲では無いです。けど……」
「けど?」
やおよろずのオーナーとはいえ、まどかはそれを除けば普通の等身大な女の子だ。色恋沙汰にも当然興味がある。
キラキラと目を輝かせて返答を待つまどかに、メルフィーはどう答えるか迷った挙句、答えた。
「……大事な人、ですかね。私にとって」
「大事な人ですか……それってつまり友達以上で恋人……」
分かりやすいくらい、メルフィーの顔が赤くなった。そして思いっきり否定する様に、大きく首を横に振った。
その反応にまどかはニヤニヤする。それにしても二人とも、こうして見ると普通の女の子だ。
「そ、それは違います!」
「分かってますよ。だけど鈴木君、羨ましいですね。こんなにもメルフィーさんに思われてるなんて」
まどかの言葉に、メルフィーは今度は小さく首を横に振った。その目は何故か、憂いていた。
「時々……」
「時々……不安になるんです。隆昭さんを見てると」
「不安……と言いますと?」
「……隆昭さんは大事な人です。けど……」
「けど……時々、気付いちゃうんです。隆昭さんを……昔、好きだった人に重ねてる自分に」
「突然ですが! 鈴木くんのあだ名を決めちゃおうのコーナー!」
<イエ―イ!>
「イエー……って何ですか、それ?」
やおよろずの本拠地である、二階木造建ての隣に隣する大きなガレージで、ルガ―達は一日の締めである片づけを行う。
といっても複雑な事をする訳ではない。そこら辺に置かれている道具や器具を、決まった場所に片づけたり、埃などが溜まっている地面を掃いたりするくらいだ。
とは言え道具や器具は中々の重量な為、必然的に男が必要になる。何時もはライディースやリヒトだが、今回は男という事でちょうど隆昭が入った。
最初こそ、リタとヘ―シェンは道具をどこにしまうかなど真面目に教えていたが、案の定、物珍しい真面目モードは2分程度で切れた。
「んじゃーまず一つ目はアッキ―はどう?」
<お、呼びやすいですなー。けどインパクトに欠ける気がしますね>
「俺は別にアッキ―でも……」
「んじゃ二つ目! 隆昭だからタッキー!」
<あーこう何と言うかガッカリカーニバルですね、色々と>
「え、いや、だから俺はアッキ―でも……」
「中々決まりませんねぇ〜ではでは、こいつでどうだ! タカ坊!」
<タカ坊……採用! 良いですね! 何かどっかのギャルゲの主人公みたいで!>
「タカ……はいぃ?」
「それじゃあ宜しくです、タカ坊!」
<4946、タカ坊!>
「ちょちょ、ちょっと待って下さいよ! 俺の意思を尊重してくれても」
<小学生。俺より年下とは思ってなかった……全く、タカ坊は甘いですねぇ>
「えっ……」
「聞こえてないと思ってました? ふっふっふ、このリタイヤ―は100メートル先に落ちた針の音をも聞き取れるんですよ〜」
「何かもう訳分かんないです……」
「ちゃんと掃除してくれないと、何時まで経っても終わらないよ。ほら、隆昭君も気にしないで仕事仕事」
どうにも悪ふざけが過ぎる一人と一機、そして巻き込まれている隆昭に、ルガ―は苦笑混じりに言った。しかし、とルガ―は思う。
こうして見ると、この青年――――鈴木隆昭は、本当にどこにでもいる様な、普通の青年だ。
こんな青年が本当にあの巨大なロボットを操り、戦っているのだろうか……。心の奥底で、ルガ―は如何しても懐疑心を持ってしまう自分が嫌になる。
だが何にせよ、今日からスネイル達3人はやおよろずの大事な仲間である事には変わりはない。
ならば、マネージャーとして三人を迎え入れ、そして守っていかなければいけない。
それが――――このやおよろずのオーナーであるまどか・ブラウニングに対する、私なりの流儀であり、誓いだ。
「それにしても謎のオートマタに異世界から来た三人か……しばらく退屈しねえぞ、こりゃあ」
各々が役割分担をこなしている中――――ライディースとリヒトは、やおよろずの地下にある、ある部屋に居る。
至る所に数々の書物が塔の如く積み重なっており、薄暗い雰囲気が妙に怪しげなこの部屋は……。
ライディ―スの大事な居場所にして、リヒトが情報を得るに絶対不可欠な場所でもある。
今、二人の目の前にある、四角い物体はリセットする前の文明で人々が日常的に使用していた、膨大な情報端末。
その名もパーソナル・コンピューター、略してパソコンだ。このパソコンは非常にデリケートかつ高級な品物な為、本当に一部分の人間しか所有していない。
また、異様に電気代を食う為、やおよろずの家計簿が火の車なのは正直これのせいもある。
「退屈はしないけど、その分生活費が大変な事になりそうですけどね……」
手慣れた手つきで、パソコンの一部分である、文字が羅列された薄いキーボードを高速で打ちながら、ため息交じりにライディースが呟いた。
「で、今回は何を調べるんすか? 最初に言っておきますけど、あの三人が乗って来た巨大ロボットについては何も出てこないっすよ」
「んなこた分かってる。俺が調べたいのは三つ」
「オートマタの型番と、その型番の出現地、そして最近起こった、オートマタ絡みの犯罪だ」
リヒトが話したワードに、ライディースは苦々しい顔をする。明らかに何でそんな事を調べるのかと言いたげな。
そんなライディースに、リヒトはポンッと肩をたたくと、二カッと笑って無駄に爽やかな声で言った。
「心配すんなって。ちょっと、な」
「……リヒトのちょっとは後で必ず大事になるから怖いんすよ。……解除するっす」
深いため息を吐きつつ、ライディースは瞬間的にキーボードに打ちこんだ。
すると、パソコンの画面を多くの数字が流れ出すと、その一部が浮き出し、数秒後、75753という数字が画面中央に出てきた。
情報を閲覧出来るとはいえ、大きな事件が絡んでいたり、機密事項な情報な場合、固いプロテクトが掛けられている事が多々ある。
そんな場合、この75753――――通称なごなごみにアクセスし、パスワードを入力する事で、一時的にプロテクトを解除できる。巧みにこの75753が何かは不明だ。
ライディースがイスから立ち上がり、リヒトと替わる。リヒトは慎重に、75753のパスワードを打ちこむ。数秒の沈黙の後、白いツールバーが出てきた。
「行くぞ……。ZAX‐1、出現地、オートマタ関連の犯罪……と」
リヒトがそのキーワードを打ち込み、エンターと書かれたキーを押した。
すると画面上に、ZAX‐1が出現地と思われる場所が、×印で描かれた地図とここ数日で起こった、様々なオートマタ関連の犯罪事件のデータが羅列された。
「で、これで何を……」
リヒトの背後から興味深げに見ていたライディースが、そのデータと地図を一緒に見ていて何か気付いた様だ。
「分かったかい?」
「……このZAX−1って型番のオートマタ、色んな事件に関わってるじゃないっすか。……どういう事です?」
確かにライディースが言う通り、表示されているバツ印は全て、犯罪事件のデータに必ず該当している。それも10件以上。
「この前グスタフの件で、ヘ―シェンがぶっ倒したオートマタに今俺が調べた型番、ZAX‐1ってのが刻んであったんだよ。
俺はあの時、野良の奴らが嗅ぎつけてきたと思ってたが、それは違う。本当に野良なら、型番なんざとっくの昔に消えてる。って事はだ」
「悪い奴がいるって事だよ。下種な奴らに野良オートマタを騙ったオートマタを貸し出してる、いわば死の商人って奴がな」
「まだ眠いよ……ライオネル」
「どうせすぐ終わる。それに明日遊ぶんだろ? なら先に仕事しろ」
未だに深い眠りについているレンガ造りが洒落た町で――――ライオネルと、その後ろで眠そうに少女が目を擦っている。
少女は寝間着だろう、だいぶだぼだぼなパジャマの上に、毛布を羽織ったまま歩いており、あの不気味な杖が入った大きなギターケースを背負っている。
と、少女の前を歩いているライオネルが、動きを止めた。
そして振り向き、しゃがむと少女に言い聞かせる様に話す。
「獲物だ。俺が奴を引きつけてる間、奴をギターケースから出せ。良いな。」
ライオネルの言葉に少女は分かっているのか分かってないのか、コクンと頷いた。ライオネルは立ち上がると、真正面へと振り向いた。
正面から、何者かがこちらへと歩いてくる。街灯がぼんやりと照らす中、その何者かがはっきりと姿を現した。
「カルマス・ダインだな」
ライオネルはその何者かに対して、挑発する様な口調で声を掛けた。
その何者か―――――否、カルマス・ダインと呼ばれた男は、ライオネルに反応して、バッと右腕を振り上げた。
拳闘家の様な黒き衣装をマントで羽織ったその男は、正に筋骨隆々という言葉に相応しい程の肉体で、強者のオーラに満ちている。
一切の無駄を省いたスキンヘッドに、口元に生えている立派な髭、そしてライオネルを見据えるその目は、自らの勝利を常に確信している、そんな自信に満ち溢れている。
「どこの馬の骨かは知らんが……こんな時間に我を呼び出すというのなら、それなりの覚悟があろうな」
そう言いながら、カルマスは右腕に嵌めたバンドに触れる。バンドには、銀色の球体が、深夜とは思えないほどの光を放っている。
「まぁ待て。お前の相手は俺じゃない」
「リシェル、出番だぞ」
ライオネルが後ろを見ながらそう言うと、あの杖を持った少女が、寝ぼけ眼でライオネルの前に出てきた。
その少女の姿に、カルマすがあからさまに嫌悪感を示す。
「おい、貴様何の真似だ? こんな子供を……」
「遠慮する事はねえぞ、リシェル。叩き潰してやれ」
ライオネルがそう言った瞬間――――寝ぼけ眼だった少女は、はっきりと目を開けた。
その目の瞳孔は、淡い琥珀色から―――ー鈍く、そして凶暴性を感じさせる紅色へと変わっていた。
少女――――リシェルは杖の先を、地面に着けると、カルマンの顔を見て、口元の端々を歪ませ、言った。
「パラべラム」
「それではお気を付けて」
「早く帰れ。干渉されると鬱陶しい」
女性に言われるが早く、黒服は夜に溶け込む様な黒色の高級車に乗り込み、その場を後にした。
灰色のダッフルコートを着、中に漆黒のスーツと、朱色のネクタイをしたその女性は、黒き髪を束ねており
聡明そうな、しかし感情が計り知れない、深い蒼眼をしている。片手には、何が入っているのか重そうなアタッシュケース。
女性はスーツの胸元から、一冊の文庫本サイズの聖書を取りだした。
聖書を開くと、左のページには、大極を思わせる、白と黒の球体が嵌めこまれており、そして右には、一枚の写真が挟まれている。
その写真を見、女性は無感情な口調で、一人つぶやいた。
「リヒト・エンフィールド……試してみる価値はあるか」
第五話
月夜
投下終了です。支援してくれた皆さん、本当に有難うございます
一先ずこの話で、主要なキャラは全員出てきました。最後に出てきた女性は先に言ってしまうとステイサムその人です
支援しようとしたらプロ串規制とか……グレてしまいそうです。
>>688 感想、ありがとうございます!
か、カルマのはギャップ萌えというやつですよきっと! 実際素敵だと思(ry
と、それはともかくとして、
>>713 投下乙です! ライオネルもどうやらワケアリな人物みたいですね……これはこの先が楽しみですね、ゾクゾクします!
それにしても珍獣は想像主の手を離れても、自重という言葉を知らない子だな! 遥さんは野獣から乙女に進化したといuうわ遥さんなにをするやめ
しかしカマトトぶるとは……やっぱり珍獣から子悪魔にクラスチェンジしたというべきでしょうか。あとペネ子GJ! いい番犬っぷりでした!
メルフィーとまどかは女の子女の子してて、読んでて微笑ましかったですw
そして隆昭のアダ名が正式にタカ坊に決定してしまったwwwルガーがかっこいい保護者っぷりを見せつけてたのに笑いが止まらないwww
なんというか、リヒトがまともな主人公しててなんか新鮮に感じてしまう……作者なのに。
さて、ライオネルとリシェルの実力とはいかに? ステイサムの目的は一体!? 次回も楽しみに待ってますね!
〜今回のツッコミのコーナー〜
うさぎさん<リタイヤーって響きが再起不能って感じですね>
珍獣さん「言われてみればそうですね!」
>>713 改めて投下乙!ステイサムって男性かと思ってた……
ルガーおじさまかっこよすなぁ。それにしても順応性が高いというか、人見知りしないなぁ、やおよろず連中……PBM世界の人は今のとこみんなそんな感じだけどw
しかしやっぱり遥さんが……乙女だ……
そういえば、ライオネルとレオーネ(レオン)って、どっちもライオンがモチーフだよね
>>715 ウ詐欺さんのツッコミ吹いたwww言われてみれば確かにwww
あ、そうだ。やおよろずの家計が火の車なのは11〜13話の出来事のせいだったりします。それまでは一応何とかなってたりします。
>>716 >ライオネルとレオーネ(レオン)って、どっちもライオンがモチーフだよね
気が合いそうですしねw 正直ライオネルにはレオーネのマスターになってもらいたいくらいですw
>>681 デザイン乙! 業かわいいよ業
なんてゆーか、「お人形さんみたい」な女の子の感じがいいですね……
あと他の人も仰ってますがタイトルロゴもよし。
さーて、これで心置きなく人外を描けるぞー
(冷静に考えてみれば、鰐淵翁はバリバリ人類でカルマの方が人外なんだが、まあ細けぇことはいいんだよな方向性で)
>>713 投下乙!
それぞれのキャラクターの違いが反映された文章がいいですね。
それに(おそらく次回繰り広げられるであろう)戦闘が気になる幕引きです。
>>718 ただ問題は、目の色を設定だと青なのに赤くしてしまった事……/(^o^)\ナンテコッタイ
あ、どなたかわかりませんが、wikiの更新乙でした!
wiki乙でした
いろんな設定読み直してるのが凄い楽しかった設定厨な俺です
本当だ、wikiが大量更新されている……乙です!
>>713 投下乙です!
過去を背負った悪党イイヨイイヨー!
今回もなんか乙女率が高いよね!約一名(匹?)除くw読んでて和みましたw
あとタカ坊が正式決定とはwwwカワイソスwww
悪党共の暗躍を妄想しつつ、次回も楽しみにしてます!
wiki更新して下さった方乙であります!(`・ω・´ゞ
人いないなー(´・ω・`)
ここにいるぞー!
今月の17日までに13話終わらせないといけないのに全然進まないでござる……(´・ω・`)
725 :
バイラム:2010/02/01(月) 23:15:52 ID:fvkgU1k+
こっちにもいるぞ!
節分の日に投下する予定だ!
400行を超えてるけどネタはあっさりだ!
容量によっては次スレまでお預けの可能性もあるので注意して下さいねー。
ん?暇作っては徹夜して書いてる癖に
書いては消してを繰り返しているせいでまだ2000字程度しか仕上がってません俺がry
いや、最初、快心のネタが出来たと思ったけれど収拾付かなくなって泣く泣くやめたという・・・orz
皺の殆ど無い白いベッドとシーツ。消毒液や薬品の混ざった独特の匂い。あまり弾力のない椅子に座り、白衣を着こんだ人間が目の前を
歩きまわる。よく知っている、そして最も嫌っている、いかにも『医務室』という環境下で、ツクヨミは頭痛と吐き気に耐えながら診断を
待っていた。ちなみにここまでツクヨミを運んできたパーシヴァルは「じゃあ、俺はやる事があるんでよ!」とだけ言ってそのままどこかへ
行ったので、ユノーと今は二人きりだ。
パーシヴァルに殴られたダメージでまともに動けないのをいい事に、無理矢理パイロットスーツを服を脱がされ、更に全身の打撲や
擦過傷を視診、触診され、「念の為」と精密検査をする為に検査服を着せられ全身を隈なくスキャンまで行われたのだ。
これがツクヨミにとってどれほど苦痛だったのか──数年前、医務室のどこがどう気に入らないのかをパーシヴァルに30分ほど掛けて細かく
説明した事があったが、「ああ、うん……何つーか、そういう病気もあるわなぁ」と、えらくどうでも良さそうな一言が返ってきただけで
終わっている。それを境にツクヨミは、この不快感を人に説明するのは止めていた。
誰にも理解されない痛みから少しでも逃れる為、『医務室にいる』という意識を逸らすべく、目の前で動きまわる白衣の人物……
ユノー・ハーディングへと目を向ける。
いかにもな軍医がいるのかと警戒していたが、運ばれている最中にユノーが「自分がやる」と言い出し、そのまま今に至っている。
医者が診察する様を観察してニヤニヤするくらいは予想していたが、まさか本人が直接医療行為を行うとは思わなかった。しかも妙に
手際がよい。慣れてない人間がチンタラと作業するという『医務室らしさ』の削減を期待したツクヨミには期待外れではあったが。
ユノーは医療用ハンディコンピューターに表示されているカルテに、何やら入力しながらチラチラと此方を見てくる。そして目が合う度に
笑顔を浮かべた。ツクヨミが普段以上に顔色が悪くなっているのを、心底楽しんでいるのであろう。とはいえ、目を逸らして医療器具が
目に入るのも、目を閉じて音だけを聞くのも嫌だったので、ツクヨミはユノーの顔を凝視し続けた。彼女はすぐに目線をハンディコンピューター
に移して作業を再開した。病的な目付きでじろじろと見られても、ユノーは一切気にする事は無く、悠々と入力を続けた……
ツクヨミが口を開くまでは。
「ダレスト・サイバネティクス社製の義眼。色々と増設してるようだが、ベースとなったのはSEM-V5-30かV7+の初期型」
「……なっ!!」
ユノーの右半分を覆う長い髪。それが彼女の動きに合わせて、ほんの一瞬……といっても、ツクヨミの動体視力が捉えるには十分過ぎる程度に
揺れ、何を隠していたのかを知る事が出来た。
右頬まで縦に伸びた傷跡。そして、その傷の中央にある右目に収まった複数の小型カメラが並ぶメカニカルな義眼。ユノーが慌てて右眼周辺を
髪ごと抑えつけるように両手で隠した。余裕の笑みは完全に消え去り、頬がみるみる赤く染まる。肩を震わせながら、左目でツクヨミを睨みつけた。
「お、男の人が女性をじっくり見る時は普通、胸か尻でしょう? 人の顔とか眼とか見るってセクハラですか!?」
「何だその反応は」
義眼についてをいきなり指摘された事に動揺したのか、珍妙な言葉を口走るユノー。セクハラを気にする女性がする主張は普通逆だろうに。
「…………顔の怪我や眼について何か言ってくるとは予想してましたけど、いきなり種類まで当ててくるなんて」
しかしすぐに落ち着きを取り戻し、深呼吸してから何事も無かったように答える。表情も笑顔に戻ったが、顔の赤みが残っているせいで先程までの
余裕は微塵も感じられない。
「あ〜、ちなみにSEM-V7+の初期型で正解です。よく分りましたね」
「昔の知り合いが、それと似た義眼を使っていた。片目ではなく両目だったがな」
「……そうですか」
そもそも、彼女の義眼のようなサイボーグ技術は月では珍しくない。元々、各地で事故が多発するような酷い環境だ。住人の一割以上が、
事故で重傷を負ってサイボーグ化しているような街も存在すし、まるでピアスかタトゥーでもするように生身の腕や脚を切り落として
機械に取り換える若者達が社会問題化したり、仕事をより効率良くする為にセンサー類や工具を内蔵する者がいるくらいだ。当然、革命軍の
兵士の中にもサイボーグ技術の恩恵を受けている者も多い訳だが、それ故にユノーの反応は妙だった。
サイボーグ化した者を差別したり、サイボーグ化した者が劣等感に苛まれるというのは月では既に過去の話だし、地球でもよほどの田舎の
時代遅れの老人でもなければそういった反応はしないだろう。
とはいえ、抵抗を持つ者はゼロではないし、単純に無機質なデザインを好かない者は多く、普通の眼球と見た目は変わらないタイプは存在する。
なので、見た目に拘るのであれば、わざわざあんな義眼をを使う理由は無い。目元の傷跡を気にしてるにしても、ナノマシン治療で跡形もなく消せるし、
金と時間は掛かるが眼球そのものを再建する事だって出来るのだ。治療費はやたらと掛かるが、貧困層の者ならともかく天下のエラトステネス社の
社員が払えない額ではない。
『傷跡を人に見られたくないが、傷跡を消す事も出来ない』
その理由は技術的な話ではなく、何か精神的な問題か。だから不用意に眼の事を指摘されたら動揺するのだろう。そこまでツクヨミが推測した辺りで、
今度はユノーが口を開く。
「とりあえず、まとめ終わりましたけど……何であれだけの無茶やらかして、軽い怪我程度で済んでるですか?」
完成したカルテの情報を目の前にある大型モニターに映しながら、ユノーが呆れたようにつぶやく。
「まあ、怪我と言っても全身に軽度の打撲と火傷があるだけですけどね。一番大きな怪我はプルートイド少将に殴られた所……
ガードした腕の骨に、ちょっとヒビが入っているだけ。まったく不快なくらいに頑丈ですねぇ、ソマ中尉」
「そうか、ではもう検査終了だな」
立ち上がってそのまま医務室を出ようとするツクヨミ。ユノーはわざわざ火傷部位を爪を立てるように掴みながら、
それを引きとめた。
「ちゃんと治療しないと駄目ですって」
鋭い痛みが走ったが、ツクヨミは表情を変えることなくユノーの手を払った。
「必要無い」
「そうは行きませんよ……貴方はこれから、『ライズガルム』の操縦をしてもらうんですから。体調は完璧でないと、データ取りになりません」
聞き慣れぬ名前。しかし、それが意味する事がすぐに理解できた。
「それが、あの新型RSの名前か」
狼頭……いや、ライズガルムのパイロットをやらされるというのは予想の範囲内だ。その為に自分が生かされたのは、深く考えるまでもない。
「ええ……あれが、あれこそが我が革命軍の存続を掛けた『マーナガルム計画』における、実戦に対応出来るレベルまで達した試験機です!
ちなみに、『マーナガルム』というのは『月の狼』を意味し、世界の終りに月を喰らう最強のガルムの名前でして……」
月の名を冠しているが、その名称は不吉過ぎないか。そう思ったが、医務室にいるだけで消耗していっているツクヨミに、立ち上がって
イキイキと解説を始めたユノーへとツッコミを入れる気力は残っていなかった。
「その名にふさわしい最強のRSを作りだすのがマーナガルム計画です! スカンクエイプをベースとした数機の試作型を経て、ライオンイーター
をベースとして作りだしたのがこのライズガルム! あ、名前の由来はですね〜、元々捻りも無くテストガルムって名前の予定だったんですけど
ちょっと安直過ぎるだろうという事で、計画はここからがスタート地点という事で、『ムーンライズ(月の出)』と合わせてライズガルムと
名付けました。ちなみに私の案ですよ? 格好良いでしょう! ではでは、続いては機体性能についてですが……」
明後日の方向を向きながらマーナガルム計画やらライズガルムやらについて熱く語るユノー。ツクヨミは何も言う気力もわかず、しかしこのまま
放置される訳にもいかないと、行動を開始する。
何やら専門用語を並べながら、腕を大きく動かしくるくると回って離れていくユノーを横目に、彼女が使っていたハンディコンピューターと横に
並べてあった無針注射器を手に取る。注射器のラベルが『外傷(軽度)治療用ナノマシン』と書かれているのを確認してから、注射器に付属していた
制御チップを外して、ハンディコンピューターの前にかざす。チップの色が白から赤に変わると同時に注射器を左腕に打ち、打った場所にチップを
押し当ててテープで固定する。
「つまりライズガルムこそが、世界最強になりうる可能性を秘めた、現在の革命軍において……って、何を勝手にやってるんですか!?」
ユノーがツクヨミの動きに気付いた時には、既にその行為は終わっていた。慌ててツクヨミに駆け寄り、その左腕をとって凝視した。
「完璧にできてますね」
「ああ、後はこのチップが赤から青になるまで外さないというのを気をつけるだけで、医療用ナノマシンによる治療は完了だ」
「……医務室は、嫌いなんじゃないんですか?」
「だから覚えた。それだけの話だ」
どうしても医務室に行きたくない一心で勉強し、己の手足が動く程度の怪我の治療ならば可能な程度に詳しくはなった。道具さえあれば
わざわざ、こんな手間暇をかけて診断してもらう必要もない。
「これで俺がここにいる理由は無くなった」
再び立ち上がり、医務室を出ようとするツクヨミ。その瞳には、何物にも揺らがない「この部屋を出る」という強い意志が静かに輝いていた。
人狼機兵マーナガルム 第2話「人と狼」F
終了です。
しかし短いし話も中々進みませんなぁ……
とりあえず主人公機(暫定)の狼頭の名称は、
『ライズガルム』です。
ユノーの台詞から分かる通り
ZにおけるMK-II、ZZにおけるZのようなポジションのRSでして〜
まあ細かい設定は本編が進んでから……
この後控えてるネタがまだまだあって、二話がクソ長くなりそうなので
EとFを三話に冒頭にするべきかと悩んでますが
とっとと続きを書いてから決める事にします
それではおやすみなさい
ふぅ、容量オーバーになるんじゃないかと若干ヒヤヒヤしました。
というか、冷静に考えてみたら、時間的に支援必要無かったんじゃ……。
>>743 と、とにかく、投下乙です!
なんと、狼頭はマーナガルムではなくライズガルムだったんですね、これは全くの予想外でしたw
しかしなんと禍々しいデザインなんだ……どことなく某因果地平の番人を思い出しますね。
そしてユノーさんは義眼でしたか、片目が隠れる髪型だったのはそのせいだったんですね。それにしても、今回のユノーさんは可愛く見えるから困……らない。やっぱり三つ編みは最高ね!
では、次回も楽しみに待ってますね!
絵師こないかな
本格的な挿絵あったら燃えるだろなぁ
ここの板は絵師少ないんかな
>>743 確かによくよく考えたら支援の必要無かったな……投下乙!
おお、これはなかなか可愛らしい機体……って待てい!www
装甲展開前と後で全くの別物になる機体はこのスレ初かな?(たまちゃんは着込むタイプだから別として)
あとツクヨミ先生、それ多分説明した相手が悪いです
というかツクヨミ先生、型番までわかるなんて、相変わらず洞察力凄すぎです
そして今回のユノーさんは可愛らしいな……やっぱりどこかイカれてるけどw
では、次回も楽しみに待ってるんだぜ!
>>745 ロボだけとか人だけとか背景だけとか、あるいはその中の二つずつならそれなりにいると思うんだ。でもロボも人も背景も描ける人は貴重だと思う
それに、結構頻繁にイラスト投下されてるし、メカニックやキャラクターもデザインされてるあたり、ここはかなり恵まれてると思うぞ
……チョーさん、どこ行ったんかなぁ
test
>>743 久々の投下乙です!
何と可愛らしい……これがまさかの狼(ry
独創的なデザインでカッコいいですな。頭部の変形機構がワイルドで素敵
というか牙まで生えてくるとは……これで噛まれたら相当痛いんだろうなぁ
そしてユノ―さんの過去ktkr。あの気丈さの陰にはそんな隠された事情があったんですね……
にしても流石ツクヨミさん、ハンパネェ観察力だ。ちょっと驚いてるユノ―さん可愛いよユノ―さん
>『傷跡を人に見られたくないが、傷跡を消す事も出来ない』
この言葉良いですね。自分もこんな名言を書けるようになりたいです。次回を期待してます
さて、多くの感想を寄せてくれて、皆さん本当に有難うございます
日常パートという事で、どうにかダレない様に心がけましたがやっぱ微妙に(ry
今後リタとヘ―シェンからはタカ坊と呼ばれますので、そこら辺宜しく(?)ですw
これからも日常というか、後々の伏線パートが続きますがちょくちょく刺激的なシーンも入れて行きますので、引き続きお付き合いください
それとwikiの方、凄ましい大更新にただただ感謝&お疲れ様です
まさかの用語集に自分の事が書かれててちょっと……恥ずいですw
>>743 投下乙!
狼頭が思ったより胴体がゴツいデザインでした。
ユノー女史の思わぬ一面とかが見えて、面白かったです。こういう多面性のあるキャラクターはいいやね。
さて、ワタクシ常々◆CNkSfJe3Zs氏みたいなことやってみたいと思っていまして、ちょっとかいてみちゃいました。
http://dl6.getuploader.com/g/sousakurobo/260/forged+dragon.jpg http://dl7.getuploader.com/g/sousakurobo/261/dragon.jpg ロボットが戦い、竜が闊歩する異世界―――
ある日突然、日常から切り離されてそんな非日常に放り込まれてしまったら、あなたはどうしますか?
その世界で生きていく? それとも元の世界に返る?
「帰りたい?
この世界で生きていくことと元の世界に変えることとの得失計算が出来てるどころか
その計算のために必要な情報もろくに持ってない今の状態で帰りたいって断言する?
そんな奴のことを専門用語で早○野郎っていうの」
“お約束”に従ってやりたいことを我慢して生きるのなんていやだ。
「で、この世界にワタシ達の世界から都合のいいものだけ持ってくる方法を見付けてぐうたら生きる、
っていうことを目指しちゃいけない合理的理由なんてあるの?
そして仮にその合理的理由があったとしたところで、その理由を成り立たせる前提条件を覆せばそれでいい話よね。
前提条件を覆しちゃいけないと言われたって、さらにその前提条件を……とずっと続くし」
“世界がそうであること”より“ワタシの意志”を優先しちゃいけないなんて納得出来ない、知ったこっちゃない。
「こんな危険なことまでして…… どうしてワタシを助けてくれたの?」
「……別に…… ただ、お前が死んじまうなんて…… お前といられなくなるなんて嫌だからさ」
「つまりアンタの自由意思で助けたいから助けたってことよね。じゃ、見返りとかあげなくていいよね」
ワタシは感じたいように感じて、思いたいように思って、やりたいようにやって、生きたいように生きる!
「鎧って種類によって動きやすさが全然違うって知ってる?
重量が適切に体の各部に分散されてしっかり密着するようにつくられてる鎧って重さの割に動きやすいの。
で、ひるがえって胸の話なんだけど、これはまさに動きやすい鎧の真逆。
皮下脂肪みたいに分散なんかせずにポンとまとまってそれも体から突きだすみたいにくっついてる脂肪の固まりが
邪魔にならないって思う?
ワタシの胸は大きくていいって言うんなら、今のワタシの話を論理的に否定してからにしてくれる?」
「好き勝手生きる」、それを至上命題とするオタク女子が、最強の竜の主人に選ばれた弟と一緒に異世界中をかき回す!
ロボット物SS総合スレの奇才、6スレ目
>>882が
原案・設定・メカデザイン・キャラクターデザイン・演出・執筆の全てを手掛け、
渾身の力を込めて放つファンタジーロボットSS、
「それでもワタシはあやまらない」、2010年3月より連載開始!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
* *
* + うそです
n ∧_∧ n
+ (ヨ(* ´∀`)E)
Y Y *
>>749 嘘から出た真という諺があってだな……
取り敢えず制作準備に戻ろうか
>>749 嘘企画や一発ネタから
ガチの作品に発展した事は珍しくないですよね!
いいからやるべきそうするべき
>>749 ある兄貴はこんな名台詞を残しています
「『やってみたい』…そんな言葉は使う必要がねーんだ。
なぜならこのスレやこのスレの住人は、その言葉を頭の中に思い浮かべた時には!
実際に本編を書いちまってるからだ!だから使った事がねェーッ!
『やっちゃいました』なら使ってもいいッ!」(ジョジョの奇妙な冒険5部より プロシュート兄貴
真面目な話、これだけ筋が出来てるなら短編でも良いから挑戦して見ては?
実際、自分がタウエルンを書きはじめた時はこんなノリでしたし
>>748 楽しみに待ってるんだぜ!
用語集は……恨まないでくれ……
>>749 こっちも楽しみに待ってるんだぜ!
え?やるんだよn(ry
そういや容量って大丈夫ですかね
もうそろそろ時期かなぁと
それとまたも携帯規制らしいです
自分のは初めて引っ掛かっちゃいましたorz
>>748 そうなったいきさつを理解しないで「タカ坊」と呼んで、タカ坊の反応に戸惑う遥さんを想像してヒャッハァしたのは秘密だ!
>>749 サイズのせいでイラストを見る事はできませんでしたが、投下乙です!
これは面白そうだ……本編の投下を楽しみにしてますねw
>>754 現在65KBですから、新型ロールアウトは明日のバイラム氏の投下が終わってからでも遅くはないと思います。
しかし、私が未だに規制に引っ掛からないのは奇跡と言うべきでしょうか……。
って、65KBじゃなくて466KBでした……どんなミスやねん。
なんでしょうか…… ここ数年で例を見ない「ヤバいヤバいヤバいやb」感です……
2時間ちょっと前のオレをしばき倒したい。早く来てドラえもん。
マジな話…… 私、ある程度以上長いSSはちょっと前に言った「ベアトリーチェの出てくるSS」とゾイドスレで手一杯です……
で、考えたんですが、「ベアトリーチェの出てくるSS」って、
第一部(SF戦国時代もの)→第二部(ファンタジーもの)→第三部(第一部とはまた異なるSF戦国時代もの)→第一部´
という構成を考えてるんですね
(「適当に今考えやがったろ、こんな構成があるかい!」と思われるのはごもっともですが、実際こういうふうに考えてたんです。
というより、中学の時描いてたファンタジー系マンガをいじくり回す過程で第一部・第三部のひな型設定ができた、
っていうのがこのSSの始まりなんです…… ……改めて変な中学生だったんだなオレ)。
……そして、この第二部が、考えてるものだとロボットが出ないんですね(しかし戦車は出る…… ここは設定なんで……)。
そこで、第二部を
>>749のものと組み合わせる形で再構築する、っていうんで許して頂けないかと……
規制解除キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
新型ロールアウト後、GEARS11話投下致します。
>>758 投下ラッシュキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
GEARSさん!GEARSさん!投下前にwiki読んで予習してて凄い事に気付いたよ!
アイリス・ジョーカーの動力源とフツヌシの補助動力が
プ ラ ズ マ ジ ェ ネ レ ー タ ー
偶然の一致なんだろうけど、設定がクロスしてるよ!!
リアル生活が修羅場入ってて一週間とちょっとぶりにこのスレに来れた・・・
しかし、一週間もするとかなりレスが進んでるw
かなりの亀レスになってしまいますが感想をば
>>627 投下乙ですw
たまちゃん無双すぎwだがそれがいい。
そして個人的にまどかがかわいすぎて生きてるのが辛い・・・ゲフンゲフン
Bパートでのお杉VSたまちゃんが楽しみすぎるw
次回をwktkして待ってますw
>>658 くぁいいのぅ。いつかオレも絶対に描こう。そうしよう。
ゴスロリって反則的に可愛いと思うんだ・・・!
>>713 投下乙ですーw
ライオネルが相変わらず格好良い・・・!
そして日常シーンは相変わらずの明るさが良いですねwキャラも魅力的ですけど、
そのキャラたちをああも上手く楽しく動かせるのが良いとともに羨ましいですw
自分日常シーンとかホント苦手なんです・・・;w;
しかしタカ坊に吹いたw某ギャルゲでよかった。某エロゲのタカ坊になるとただのクソになってしまうw
そして75753って・・・wなごなごって・・・w
次回も楽しみに待ってますw
>>758 GEARSをWikiで見て惚れてしまった。ヤバい、面白すぎるw
思わず全話一気に見てしまったw加賀谷さんがめっさ格好良い・・・wあーいうポジのキャラ本当大好きw
規制解除おめです!11話、楽しみにしてますw
そういえばなごみんまだ本編にチラッとしか出てきてないなw
よし、スレ立て行ってくる!
駄目だった……次誰か頼むorz
了解。では行って来ます
スレ立て初めてで不備があるかも知れませんが、挑戦してきますね
おっと、危ないw
>>768 スレ立て乙です! よくやった、使徒と生身で戦う権利をやろう。
久々過ぎてしくじったぜorz
ちょっと果物ナイフでラミエルに吶喊してくる(´ω`)ノシ
新型が立ったか……
>>762 投下乙!可愛くなってる、さらに可愛くなってるよカルマたん!
それにしても、何を食べてるのか非常に気になるでござる
>>768 スレ立て乙。よくやった、ズダでエンジン出力を限界まで上げる権利をやろう
773 :
バイラム:2010/02/03(水) 20:59:35 ID:CYk7Izu8
では予定通り
機動修羅バイラム第4話を投下いたします
容量オーバーになるかもしれませんけど…
774 :
バイラム:2010/02/03(水) 21:00:33 ID:CYk7Izu8
第4話「荒鷹」
外宇宙調査隊。それは火星以降の惑星を人の目で調査する特務宇宙船団である。
もともとの発足はNASAによる火星着陸に起因する。
この無謀だと思われていた火星着陸は人類の新たなステップとなった。
当時のNASA局長であるアーネトス・バイルは次のように話す。
「今こそ人類は宇宙という名のフロンティアへ旅立たなくてはならない。故郷を大事に思うなら我々は一人立
ちをし、地球という星を外から眺めるべきである!」
この演説をうけ、多くの技術者や宇宙飛行士候補がNASAに詰め掛けた。
無論、森宮一明もまたその宇宙飛行士候補の一人である。
そこから十年という月日が流れ、今度は火星以降の宇宙、すなわち木星などの外宇宙を目指す計画が発表さ
れた。
しかし当時の宇宙船やロケットでは火星以降の世界を進める船は未だに作られていなかった。
資金を費やされ、研究者達は様々な考えを出すが事態は膠着してしまう。
そんなときある技術者の一声で事態は新しい局面を迎える。
「エリュシニウムで宇宙船を作ろう」
誰もが驚いていた。電気を発生される金属エリュシニウム、只でさえ制御が難しいあの金属で宇宙船を作ろ
うというのだ。
誰もが失笑をする中、研究者達はこの馬鹿げた計画に乗る気でいた。
そして3年の月日を費やし、ついにエリュシニウムで作られた超高速宇宙艦『ADAM』が完成した。
これにより人類は火星を超え、木星、土星を様々な星を目指せる事を人々に見せた。
当然、人の目による他惑星探索ということで乗組員の人選も厳選かつ公平に行われた。
そしてついに、外宇宙探索チームが結成され宇宙艦ADAMは地球から旅立った。
だが、ADAMは天王星に近付いたところで突如消息を絶ってしまう。
当然のように政府は無人探査船を送るものの宇宙飛行士たちの遺品は何一つ見つからなかったと発表。
しかしこれに納得する者は少なく、疑念を拭えずに今日までに至った。
彼らに何があったのか。以前謎のままである。
「一明さん! 私、やりましたよ!」
奈央は大声で憧れの人の名前を呼びながら走っていく。手には丸めた紙を握り締めていおり歩調はかなり
軽快だ。
奈央は一明に近付くと大切な物、合格通知書を一明に見せた。
「見てください! 私、宇宙訓練高校に入学できたんです!」
宇宙訓練高校とは新たな宇宙飛行士を率先して育成する専門学校だ。無論この学校に入学するには学力だけ
ではなく、体力、判断力、適性検査などをパスしなくてはいけない。もちろん一明も宇宙訓練校を卒業した人
間である。
「すごいじゃないか! よくあの試験を突破できたね」
一明は奈央の頭を優しくなでる。手の平から暖かな体温が奈央の頭に広がる。
「はい! 私、目指します! 一明さんと同じ宇宙飛行士を!」
奈央は真っ直ぐな瞳で一明を見るが一明の様子が少しおかしい。
「一明さん?」
奈央は一明の手を握ろうとするがその前に遠くへ行ってしまう。
「なおちゃん・・・さよなら」
「待ってください! 一明さん! 一明さぁん!」
奈央は彼を追って走りだすが一明の影はどんどん小さくなっていき、消えていった。
「一明さん!」
奈央は大事な人の名を叫びながら飛び起きるが憧れの人はどこにもいない。
「夢・・・なの?」
寝ぼけた眼で自分の部屋を見渡す。薄暗い闇と静けさが先ほど見たものを夢だと教えてくる。そして時計を
見ると起床時間まではまだ三時間もあった。奈央は長い髪をかきあげながら軽くため息を付く。
「一明さん……」
彼女は窓の外を見つめると瞳から一筋の涙が零れ落ちた。
水原奈央がここ、重慶基地で働くようになってから既に五日経とうとしていた。
彼女の仕事はAUA軍艦、伏儀の整備から始まり、搭載されているPMの整備、新型エンジンのテスト、そ
して・・・
「ナオ、お茶を入れてくれ」
「はい」
ナタリアのお茶酌みであった。
奈央はガスレンジの上にあるポットを暖めようとする。ポットはあっという間に熱い湯気を立たせるとゴポ
ゴポと空気の音を響かせてきた。
奈央は沸騰したお湯をカップに注ぎ、暖める。そしてカップのお湯を黒い箱に捨てるとお茶が入ったティー
ポットを注ぎ始めた。ほのかな香りと白い湯気が立ち上る。
「さすが奈央だな、私ではこうはいかん」
ナタリアは感心した面持ちで奈央を見る。一方、奈央のほうは顔を微動だにせず軽く会釈をして、部屋を出
て行った。
「ふぅ・・・」
奈央は廊下に備え付けられている椅子に座りながら天井を見つめ、ため息を付いた。
「私、何をしているんだろう?」
思わず愚痴がこぼれる。
無理もないだろう、彼女が目指しているのは『軍人』ではなかったのだから。
私がなりたかったのはもっと・・・大きい物のはずじゃ・・・一明さんみたいな夢を与える宇宙飛行士にな
りたかったのに・・・今の私は・・・いったいなんだろう?
就職先がなかったからだなんて軍に入って、一明さん、怒ってるだろうな・・・
奈央は気分を変えるためにが窓の外を見るとコウシュンたちが基地の周りを走っていた。空陸大隊の午前の
訓練である。
「一、二、一、二!」
規則正しいリズムで声を出しながら歩調を合わせる第八大隊の軍人達。
奈央はその様子を暫く眺めていた。
隊員一同が滑走路前にやってくるとコウシュンがすかさず次の指示を出す。
「よし! 次は腕立て伏せと腹筋、腿上げを3セットだ!」
「了解!」
隊員達は敬礼をするとすかさず大地に手をつけて腕立て伏せの準備に入る。
「初め!」
「はっ!」
かけ声と共に腕立て伏せを始める大隊の面々。その中にリーシェンの姿も見える。
「頑張ってるな」
奈央は漠然とその様子を眺めている。
「よう、彼女。今暇なのかい?」
突然後ろから声をかけられる。
奈央が振り向くと後ろには一人の男性が立っていた。男は東南アジア出身らしく日に焼けた黒い肌と黒い髪。
堀の深い顔立ちで鼻も高く、顔はかなりよかった。だが洒落っ気なのかだらしないだけなのかAUAの制服を
軽く着崩していた。
「あの、あなたは…」
奈央が男の名前を尋ねると男は明るい笑みを浮かべながら言った。
「俺の名前は、パーチャイ、階級は少尉だ」
パーチャイは奈央に手を差し伸べるが奈央のほうは怪しげにパーチャイを見ている。
「あっ、別に俺は怪しいものじゃないよ」
奈央の警戒心を感じ取り取りつつもにこやかな笑顔を崩さなかった。
「そうですか、その少尉殿が私に何か御用でしょうか?」
奈央は警戒心を解くことなく目の前の男に対し冷たい声を浴びせる。
「おいおい、そうつんけんしないでくれよ。どうだい、これから一緒にランチでも…」
「結構です」
あまりの取り付く暇のなさにパーチャイの額には冷や汗が出ていた。
「せ、せめて名前くらい教えてくれよ、な?」
ガードが固い奈央に思わずうろたえつつもちゃっかりと名前を聞き出すパーチャイ。
「私は水原奈央伍長です」
奈央は観念したかのように軽くため息を付くと目の前の男に自分の名前をの名乗った。
「ナオか・・・いい名前だね」
やっと前進したかに思えたのか、パーチャイは思わず笑みがこぼれる。
だが、ここで二人の会話は途切れてしまう。
「すみませんがそろそろ仕事がに戻らないといけないので・・・」
奈央はパーチャイに頭を下げると早歩きで去って行った。
「うーん、失敗したか?・・・」
パーチャイは腕を組むと奈央が去っていったほうをじっと見送っていた。
「よし! 訓練、完了! 全員整列!」
コウシュンの声にならい手早く整列していく。
「これにて午前の訓練を終了する! 解散!」
この言葉を聴いた大体の面々はそれぞれに散っていく。
リーシェンが待機室に向かおうとすると一人の男が現れた。
「よう、みんな! 今日もご苦労さん」
「パーチャイ少尉!」
男が片手を挙げて挨拶をすると大隊の面々が男に集まっていく。
「誰なんですか?」
リーシェンがコウシュンに問う。
「うちの隊員だ、数ヶ月前に負傷し入院していたんだが・・・ ようやく戻ってきたか」
コウシュンが人の波を掻き分けてコウシュンの前に立つと隊員に見せていた軽薄そうな顔はせず引き締まった
顔で敬礼をした。
「報告します! 本日を持ってリコウ・パーチャイ、本隊に復帰します」
「よろしい、では早速だが彼と一緒に午後の飛行訓練をして欲しい」
コウシュンはリーシェンのほうに目配せをするが彼のほうは目の前の男といきなり組めと言われたことに戸
惑いを隠せなかった。
昼食を終えると今度はPMを使った飛行訓練、及び哨戒任務に入る。
隊員の整列が終わるとコウシュンが叫ぶ。
「よし、飛行訓練に移る。総員、搭乗!」
叫びと共にそれぞれが持ち場についていく、無論リーシェンやパーチャイも自分のPMに乗り込む。
パーチャイとリーシェンが乗り込むのはAUAの現行機『青龍』である。
リーシェンはコックピットに乗り込むと起動するためのカードキーを差し込む。
緑の発光と共に青龍が動き出す。
「バランサー・・・問題ないな。エンジン、及び燃料、弾薬、オールグリーン。青龍、発進します」
リーシェンは計器やシステム情報を見ながら最終チェックをするとオペレーターに呼びかける。
「了解、それでは発進どうぞ」
オペレーターの言葉を聴いて思いっきりペダルを踏み込む。計器が八十になると左の操縦桿を後ろに傾けた。
すると青龍は風に乗って大空を目指して飛び上がって行く。
これが青龍なのか・・・シミュレーターとは違う、これが実機なのか。
リーシェンは自身が乗る青龍の手応えに驚いていた。
「どうだい、ルーキー! 青龍の乗り心地は?」
後ろからパーチャイが声をかける。
「シミュレーションとは違いますね、風の影響をかなり受けます、それに操縦桿が思ったより固いです」
リーシェンは率直な感想を述べる。
「そうかい、じゃあまずはスロットルを上げてみな。限界を知らない奴とは組めないからな」
「了解」
二人はスロットルを限界まで上げ、大空を優々と駆け回る。
「いやぁほぉぉ!」
パーチャイの雄たけびをあげながら青龍を一回転させる。
「速度二百、もっと出せるのか?」
一方のパーチャイは計器と周囲に気を配りながら速度をどんどん上げていく。
「ルーキー! こいつが青龍だ! この感覚を覚えて置け!」
「了解!」
二匹の龍が大空を舞台にして華麗に舞っていた。
リーシェンとパーチャイが一通り機体性能を調べつくした時、通信が入った。
「二人とも、一通りの試験は終わったか?」
通信の送り主はコウシュンであった。後ろから銀のPMがリーシェンたちを追ってきている。
AUAの陸戦型PM、玄武である。玄武は青龍に比べ速度や武装面は貧弱であるものの防御に関しては他の
PMより遥かに高い。
「いいか、お前達の乗る青龍は攻撃性能が最も高い。だからと言ってそれに頼った攻撃はするなよ!」
「はっ!」
「了解、中佐」
空を駆ける青龍の後ろを玄武が激しいエンジン音を響かせ走っていく。速度は青龍に比べ明らかに遅いが足
に大地を踏みしめながら駆けて行った。
「うん? なんだ?」
突然、青龍のレーダーに何かが映る。データにはないパターン、アンノウンのようだ。
「隊長! レーダーに反応が!」
「何? 少尉、お前の方はどうだ?」
「こちらでも確認、もうすぐカメラに入ります」
雲の壁を突き破り二人の前に現れたのは漆黒のパンツァーモービルだった。
「あ、あれは・・・バイラムだ!」
「な、なんだと!」
何故、国際指名手配がこんな所に。
コウシュンは思考を切り替え、空かさず指示を出す。そして右にあるコンソールパネルを叩きながらカメラ
の記録を開始する。
「少尉、軍曹! 攻撃準備! 間違ってもこちらから手を出すなよ!」
「了解!」
二人は背面に備え付けてあるマシンガンに手を伸ばしバイラムに向ける。鋭い銃口が太陽の光に反射して今
にも火を吹きそうだった。
玄武の胸部に備え付けられている赤いランプをバイラムに向けて送信する。そしてマイクのスイッチを入れ
るとゆっくりと喋りだす。
「国際重要参考人、バイラムに告げる。貴殿はAUAの領内に不法侵入している――。」
コウシュンが喋り続けてる一方バイラムのほうは何もせず、ただコウシュンたちのほうを見つめている。
「――以上! 貴殿に五分間の猶予を与える。それを過ぎて回答が無い場合、こちらから威嚇攻撃させてもらう」
コウシュンが喋り終えるとバイラムの様子を観察するために別のレコーダーを立ち上げた。
四分ほど経過した頃だろうか、リーシェンはやたらと深呼吸をしている。
「……」
リーシェンの額に汗が流れた。
まだなのか? こんなにも長いのか?五分という時間は!?
「焦るなよ、ルーキー。我慢も軍人の務めだぜ」
パーチャイの言葉の耳に入れるが頭では緊張感でいっぱいになっていた。
コウシュンが時計を見るとすでに五分が経過している。
「返答は無し・・・か」
コウシュンは左手を上げ二人に発砲の合図を出す。
「撃っても良いってさ!」
「喰らえ!」
パーチャイの言葉に堰を切ったかのようにバイラムに向けて引き金を引く。
だがバイラムは稲妻の様な機動性で青龍に向かってきた。
「は、速い!」
リーシェンが体勢を整えようとするが既にバイラムは後ろに回りこんでいた。
「しまっ・・・」
振り向こうとした瞬間、背面を切りつけられる。
「うあぁぁぁぁ!」
背面のウイングとバーニアを破壊されリーシェンの青龍はそのまま大地に叩きつけられた。
「リーシェン!」
パーチャイはリーシェンの元へ駆けつけようとするが目の前にはあの悪魔が立っている。
そしてバイラムは無慈悲に剣を振るった。
パーチャイは思わず仰け反ってかわそうとレバーを倒す。
「うぉ!」
寸前でかわしたつもりだったが脚部の装甲に亀裂が入っており配線などが露出していた。
「マジかよ…」
一撃で装甲を持っていかれるなんて・・・マジモンの化け物か・・・
パーチャイの気持ちを知るわけもなく再び剣を振るってきた。
「んなろぉ!」
青龍のマシンガンがバイラムに向けて連射されるがバイラムはそれを難なくかわして行く。
そして青龍の目の前に来ると今度は思いっきり横一文字に剣を振るった。
「くそぉ!」
パーチャイはシートについている銀色の取っ手を思いっきり引くとシートごとコックピットの外へ放り出さ
れる。
それと同時に爆発が起こり青龍が無残な姿を曝した。
パラシュートに揺られながらゆっくりと大地降り立つとリーシェンの青龍へと急ぐ。
一方のバイラムはスピードを殺さずそのままコウシュンの玄武に接近する。
玄武がバイラムに照準を合わせるもののバイラムのほうが速く玄武の砲筒を切り裂いた。
「くぅ!」
あまりの速さにコウシュンはただ驚くだけであった。だがだからと言って何もしないわけではない。
玄武は間合いを取る為にバックダッシュし、バイラムを観察し始めた。
一方のバイラムは青龍のほうばかり見ていた。動かなくなったのをきちんと確認するかのように。
「おい、軍曹! しっかりしろ!」
パーチャイはコックピットのハッチを無理矢理こじ開ける。
「うう・・・」
中ではリーシェンがうめき声を上げたままピクリとも動かない。手が足を守るように置かれていることから
足に何らかのダメージを受けたようだ。
「命は別状がないみたいだな」」
パーチャイは手持ちのメディカルキットから添え木を取り出し、リーシェンの足に当てる。そして医療テー
プをきつめに巻いた。
「リーシェン軍曹! パーチャイ少尉! 早く離脱をしろ!」
コウシュンがマイクに向かって大声で叫ぶ。
「すみません、後はお願いしますね。隊長」
リーシェンはパーチャイの肩に捕まると多少よろめきながら駆け足でその場から去っていく。
バイラムは追撃する様子もなくただその様子を呆然と見送っているようだった。
「来い! 貴様に戦いのなんたるかを教えてやる!」
コウシュンは思いっきりペダルを踏み込み、バイラムに接近する。
バイラムは玄武のほうに身体を向かせると剣を構え、攻撃に備えた。
「そこだ!」
玄武は頭部に備え付けられている機関砲でバイラムの頭部を攻撃するがバランスを崩した様子もセンサーが
ぶれた様子も見られない。
これがバイラムか・・・
コウシュンの焦りを笑うかのようにバイラムは玄武の顔を目掛け剣を思い切り突き出してくる。
玄武は間一髪というところで避けるがバイラムはそのまま縦に振り下ろす。しかしそれも紙一重でかわし、
腰に備え付けてある長棒を掴み無造作にバイラムの足を払う。だがバイラムはそれを跳んでかわしそのまま
玄武の頭部に蹴りを喰らわせようとする。玄武は身をかがめてかわすと今度は胸に向かって突こうとするが
バイラムは軽々とそれを受け止めた。
正に一進一退の攻防が続いている。
「すごい・・・あれが・・・」
リーシェンは見惚れていた。
動きに全く無駄が無い。それだけじゃない、確実にPMの弱点を的確についている。一体どれだけの修練を
積めばあそこまでいけるんだ?
「当たり前だ、隊長は無意味な訓練を一切しない」
パーチャイはコウシュンの動きに見とれているリーシェンを下ろすと通信機の電源を入れる。
「こちら空陸第八大隊所属、第一小隊、重慶基地、応答を願います」
酷いノイズ音が数十秒響くと明るい女性の声が聞こえてきた。
「こちら重慶基地、定時連絡が途絶えましたが何かありましたか?」
「おっ、その声はマリアちゃんだね? どうだい、今晩食事でも」
「やだ、少尉ったら」
「少尉! 無駄話をしてないで下さい!」
「はいよ、悪いけど司令に伝えてくれない。国際指名手配のバイラムと交戦中、援軍を求める。」
「了解、では十分ほど持ちこたえてください」
通信が切られるとパーチャイはバイラムたちのほうを向く。
「隊長! 十分後に増援が来ます! それまで耐えてください!」
「わかった、お前達はなるべくその場から離れていろ。巻き添えを食っても責任は取れんからな!」
コウシュンはバイラムを睨みつけたまま再び操縦桿を握りなおした。
「了解」
二人は玄武からどんどん離れていく。
コウシュンはバイラムから一旦、離れ間合いを調整しようと後退した。
だがバイラムはステップを踏み再び近距離の間合いへ持っていく。
しかし、それを見据えていたコウシュンは玄武の最も固い場所である拳をバイラムの顔面に叩きつける。
バイラムはそれを首を動かすだけで避けるが今度は足を払おうとする。金属と金属がぶつかり合う音が響き
渡るがバイラムはバランスを崩さない。
再び両者は火花を散らし始めた。
パーチャイの通信を受けて八分経過した。
ここでコウシュンにミスが生じた。
無理もないだろうすり減らす戦いは必ずミスを招く。
「ちぃ!」
コウシュンの動きをカバーしようと体制を整えようとする。しかし、それを見逃すバイラムではない。
バイラムの剣が玄武の右肩部を貫く。だが・・・
「貴様を倒すのに無傷でなどという事は考えてはいない!」
左腕に備え付けてあった短剣を取り出しバイラムの首元を切り裂こうとする。しかし短剣は凄まじい金属音
を立てて二つに割れてしまった。
「何だと!?」
ほとんどのPMの弱点は首のはず!?
だがこのショックを受けることなく次の行動に移る。
「ここはどうだ!?」
今度は手足を使い見事なアームロックをかけた。
しかしバイラムは力技でそれを振りほどこうとする。
「完全に決まっている! これ以上動けばこのまま腕をへし折るぞ!」
コウシュンの注意を全く聞くわけでもなくバイラムはそのまま力を入れ続ける。
「仕方が無い! 折らせてもらう!」
玄武の腕にさらに力をいれると凄まじい金属の亀裂音が響く。しかしバイラムは構わず力を入れ続ける。
「無駄だ! そんな事では脱出する事は出来ん!」
玄武もまた力を入れ返す。そしてついに激しい亀裂音が目の前に響き渡った。
「そんな馬鹿な・・・」
コウシュンは目の前の出来事が信じられなかった。
「こんなことがあって良いのか?」
リーシェンは思わず呟く。
信じられなかった。誰もが腕がへし折れたと思った。いや、確かに折れた。
だが折れたのはバイラムの腕ではなく玄武の腕であった。
バイラムは自分の腕についている玄武の腕を掴み無造作に辺りに放り投げる。
「くぅ・・・」
腕を失った玄武はよろよろと後ずさりをする。
その隙を見逃すはずがなく、バイラムは持っていた剣を躊躇することなく思いっきり縦に振り下ろした。
「ちぃ!」
コンマ数秒であった。玄武がバイラムの攻撃を見てからバックステップを踏むまでの間。
「そ、そんな・・・」
玄武の頭部装甲が真っ二つにされ丸裸になる。カメラや配線が剥き出しとなり攻撃を受ければ玄武のセンサー
類は全て使用不可能になるだろう。
だが突如バイラムは止めを刺すのをためらった。
「どうした、何故止めを刺さない!」
バイラムはコウシュンをしばらく見つめると背面のバーニアを輝かせ、天高く上っていった。
「待て! バイラム!」
コウシュンは叫ぶがバイラムはすこしもこちらを見ようとしなかった。まるで何かから目をそらすかのように。
それと同じタイミングで多数の通信が入ってきた。
「コウシュン中佐! 応答を願います!」
「隊長! 応援に来ました!」
多くのPMが玄武の元へと急ぐ。
コウシュンは悪魔が去った空を睨みつけた。
「バイラム・・・また手合わせする日が来るだろう」
その時は私の全てをかけて貴様を討つ!
「珍しいね、君が負けるなんて」
ヨウシンが男の顔を舐めるように眺める。
「申し訳ありません」
コウシュンはただ頭を下げるしかなかった。
「私が聞きたいのはそんな言葉はじゃない、報告書と君による口答による報告だ」
ヨウシンは湯飲みを手に取り入っているお茶を啜った。
コウシュンはゴホンと軽く咳払いをすると口火を切ったかのように報告を始める。
「本日、統一時間午後一時一八分、重慶の南部にある久仰にて国際テロリストであるバイラムが出現」
「バイラムが?」
ヨウシンの眉が動く。
なにか目的があるのだろうか?
コウシュンの報告を聴くたびにヨウシンの顔が引き締まり、彼を『荒鷹』にしていく。
「はい、当然のように我々はバイラムに対し警告と国際軍事法第一条を口頭と電子文章で発信し返答を待ちま
した」
「記録は?」
「無論、録ってあります。もちろん改竄や編集は一切しておりません」
コウシュンは彼の目の前に黒いディスクを置く。
ヨウシンはディスクを手に取り自身のコンピュータに入れる。
バイラムの動画を見ながら手を口元へ持って行き脳を動かしていく。
「続けて」
「五分間待機しましたがバイラム側からは返答は無し」
「それで威嚇をしたんだね」
「はい、しかし・・・」
コウシュンは軽く口ごもる。
「しかし?」
「撃つ前に砲口を切り裂かれました、一撃で」
「その時の被害を教えてくれないかな」
「青龍は二機撃墜され、指揮官用玄武は大破しました」
コウシュンの報告にヨウシンは目を丸くした。
「そんなに強いの?」
ヨウシンは疑問を口にする。
目の前の男は自分が出会った中でかなり高水準の実力の持ち主だ。例え小隊であっても慌てることなく確実
に任務をこなす。それがコウシュンの評価だ。しかし、彼をここまでコケにする存在とは一体どんな敵なのだ
ろう?
「はい、居合い切りの要領でしょうか、一気に接近され真っ二つにされかけました」
アジア統連が所有するPMで最も装甲が厚い玄武、その装甲がまるで紙切れのようにあっさりと切り裂かれ
たのだ。
コウシュンはあの時の恐怖を振り払うかのように強く拳を握り締める。
「死者は?」
「いません、しかしチャウ・リーシェン軍曹が軽傷を負いました」
新任早々、こんな事に巻き込まれるとは不幸な奴だ。
コウシュンは医務室のベットで唸っているリーシェンに心の中で同情する。
「そう、軽傷で済んで良かったよ。所でバイラムと戦ってどうだったの?」
ヨウシンが質問するとコウシュンは少しの間を開け、ゆっくりと口を開く。
「……こんなことは申し上げたくは無いのですが、今の軍事兵器ではバイラムに太刀打ちできません」
「”AUA”の軍事力不足ってこと?」
ヨウシンはコウシュンの言葉に首をかしげる。
「いえ、そうではありません。喩え”ユニオン”でも”ステイツ”でもバイラムに対抗できる兵器は無いでしょう」
「つまり、今の”人類”じゃ勝てないってことかな?」
「はい・・・」
これは戦士としての感でありコウシュンなりの結論であった。
アレに勝つには人類の持つ全ての技術を投入したPMを作るしかない。
「そうか、ありがとう」
「いえ・・・それでは失礼します」
コウシュンは敬礼をすると踵を返し部屋を出て行った。
コウシュンが出て行った後ヨウシンはバイラムのデータを眺めながら不敵な笑みを浮かべる。
「バイラムか・・・久々に骨のある相手と出会えたよ」
湯飲みに入っていたお茶を一気に飲み干す。
荒ぶる鷹の目がバイラムという獲物を捉えた瞬間でもあった。
「くぅぅ・・・バイラムめ」
ベットの上でリーシェンが苦々しい顔をしながら呻く。足にはギブスが巻かれていることから骨折ですんだ
ようだ。
「大丈夫なの?」
奈央はリーシェンの顔を覗き込む。
「ああ、だがこのままでは俺の面子は丸つぶれだ。何とか・・・あのバイラムとかいうパンツァーモービルを
叩かないと・・・」
リーシェンは身体を起こしイラだった顔を見せる。
「ちょっと、無理しないでよ! 只でさえ腕の骨にひびが入ってるんだから!」
奈央は動こうとするリーシェンを手で制す。
「そうだ、無茶しすぎだぜ。新人さんよ」
奈央の後ろから低い声が聞こえてきた。奈央が振り向くと後ろにいたのはパーチャイ少尉だった。
「よう、伍長。相変わらず美人だね、どうだい俺と食事でも・・・」
パーチャイが奈央の方に手を置こうとすると奈央はその手を叩き落す。
「気安く触らないで下さい」
「つれないの……」
奈央の冷たい言葉にパーチャイは肩を竦めてリーシェンのほうを向く。
「さて、ルーキー。どうだ? 何も出来なかった気分は」
下卑た笑みを浮かべながらパーチャイはリーシェンを見る。
「悔しいに決まっています、たった一機、しかも隊長に頼りっぱなし! これでは無能を証明しているような
ものだ!」
「なら、朗報だ。水原、お前にも協力してもらうぞ」
「え? 何をですか?」
「ユニオンのビスマルク、ステイツのナイツ、そして俺たちAUAにもついに新型が配備される」
「新型・・・ですか?」
奈央は初めて聞く言葉にと疑問を覚えた。
そんな奈央を尻目にパーチャイは続ける。
「ああ、玄武、朱雀、白虎、青龍の特性を生かした統合戦術機動兵器だと聞いている」
リーシェンは興奮した顔でパーチャイに聞く。
「名は? その新型の名前はなんという名前なんですか?」
「黄龍だ。北の玄武、南の朱雀、東の青龍、西の白虎、そられを全て統括するという意味でこの名をとった」
「黄龍・・・なんて相応しい名だ。」
リーシェンは立ち上がり医務室を出て行こうとする。
「どこへ行くの?」
「決まっている、訓練にだ。その黄龍、必ず使いこなして見せる!では・・・」
リーシェンは奈央とパーチャイを一瞥すると勢い良く医務室から出て行った。
「おいおい、配備はまだまだ先だぜ…… 全く、気が早いな、アイツは。じゃあな、水原伍長。もしデートし
てくれるなら俺のアドレスによろしくな」
パーチャイは奈央にウィンクすると医務室を出て行った。
「ふぅ、リーシェン軍曹もパーチャイ少尉も言いたい事だけ言って出てちゃった。あっ、そういえば私の力を
貸してもらうって言ってたけど何をするんだろ?」
奈央の頭に再び疑問が浮んでいった。
そして舞台は強国、ステイツに移ろうとしていた。
第五話「強国の驕り」につづく
以上です
ようやくボルスとケントたちにスポット当ります
いやぁ、長かった…
あと、何故自分はアメリカ人女性のイメージを膨らませると
巨乳で金髪になってしまうのでしょうか?
巨乳…好きですか?
投下乙!
もう容量が無いから、感想は次スレかな?
は、早い。そうですね、感想は次スレという事でw
唐突に浮かんだネタは……
次スレに投下しよう
すみません、お礼をいうのをすっかり忘れていました。
支援していただいてありがとうございます。
いっぱいいっぱいで申しわけありません
じゃあ埋めって事で叫んでみよう
ティマー!sうわ極細なにをするやめ
叫ばせてもらえない……だと……!?
またマキられたのか……
そういえば、もう少しで20スレいきますねー。
考えてみれば凄いですよねw当座は28号までを目標にしますかw
早いもんだねぇ