非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ Part5

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1創る名無しに見る名無し
1999年刑行された小説「バトル・ロワイアル」

現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。

基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前の登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などの発表は書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
  〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!

前スレ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1258792649/

非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html
2 ◆6LQfwU/9.M :2009/12/14(月) 21:18:51 ID:lkaMJky3
スレ立て乙です
前の方の投下が終わり次第投下します
3 ◆N2K943LWJ1Uz :2009/12/14(月) 21:19:41 ID:p1p4y5nI
容量が一杯だったのか。気がつかなかった。>>1有難う!
折角なので、最初から投下していきます
4 ◆N2K943LWJ1Uz :2009/12/14(月) 21:20:51 ID:p1p4y5nI
眼下に広がる岩礁に波がぶち当たり雄々しく弾ける様を、男は溜め息をついて眺めている。
男の背後に立つ灯台に設置されている僅かな照明を除くと、光源は星々のみの暗い所だった。
辺りに民家は見当たらない。周りにある目ぼしい人工物と言えば、灯台と灯台に続く道路があるのみで、
その他には様々な雑草が生い茂る荒れ野が広がるばかりである。

────田舎だ。こんな縁も所縁も何もない、辺鄙な片田舎で、俺は最後を迎えなければならないのか? 何故、俺が?

城之内祐二はついこの間、新日暮里消防署に配属されたばかりの、まだまだ未来への可能性を秘めた若者である。
城之内には、自分ならきっと社会的に尊敬され得る人間になれるだろうと、確信していた。
自分は頭が切れるし、見てくれも悪くない。だからこそ全ての男児が必ず一度は憧れる新日暮里消防署に就職出来たのだ。
そして城之内にとっては、まだまだこれからが人生の本番だった。経験を積み、職員からの人望を集め、
いずれは消防署の署長に出世してやろうと、意気込んでいた。自分を信じて、そして相応の努力を重ねていけば、
決して不可能なことではない。自分は、野心を抱くに十分値する器を持つ人間だ、半ば取りつかれたようにそう思い込んでいた。

しかし城之内の自信とは裏腹に、新日暮里消防署職員の城之内への評価はそれほど芳しいものではない。
とはいっても、決して悪いものでもなかった。新日暮里の名をある意味で背負っている猛者揃いである職員達の目から見れば、
城之内は良くも悪くも平凡な人間だった。これといって際立つ特徴のない彼は、濃いキャラクター性を持つ職員達の目には、
格別良いものにも悪いものにも映らない。その他大勢の、どこにでもいる若者の一人でしかなかった。

そんな職員達の目が、城之内は嫌いだった。自分は平凡な人間ではない。自分は有能だ。
思い通りにいかない周囲の評価を振り払うように、城之内は必死に職務に取り組んだ。
────俺は有能だ。俺は平凡なんかじゃない。周囲の連中は見る目がない。俺の実力を見せてやる。

しかし城之内の思いも空しく、『並の人間』という評価が覆る事は今日に至るまで、とうとう一度もなかった。
それどころか、城之内が頑張れば頑張るほどに、根拠のない自信や他人を見下す性分が気に入らないという職員達がちらほらと現れ、
皮肉な事に城之内は、幾人かの職員達からの人望を失い、疎まれる事になってしまった。
平凡という評価から抗えば抗うほど、城之内に張り付いた『平凡』というレッテルは色濃くなっていく。

城之内が少数の職員達から疎まれ始めた丁度同じ頃、彼と同じ頃に入社した鎌田呉作が、
蟹になるのが将来の夢だと熱く語り、その素直で天真爛漫な性格が先輩に当たる職員達から気に入られ、人望を集めていた。
城之内が呉作に対して嫉妬した事は、言うまでもない。しかし何かしらの嫌がらせを呉作に仕掛けるような事はしなかった。
例え根拠がなかったとしても、元々自分に対して絶対の自信を持つ男である。
自分の努力が呉作に比べて足りなかったのだと城之内は反省し、さらに力を入れて職務に励んだ。

人からの評価を必要以上に意識し、自分は他人よりも優れているという苛烈な自信と愚直な公平さを併せ持つ、城之内はそんな男だった。
彼は何よりも、自分が社会的に何も成し遂げられないまま、死んでしまう事を拒む。
人として生まれたからには、何が何でも多くの人からの尊敬を得られるような、大偉業を成し遂げなければならない。
そうでなければ生まれてきた意味がない。むざむざと機会を棒に振るような事をしてたまるか。そうだろう?

幼い頃からひたすら自分に言い聞かせてきた言葉が、城之内の胸に深く沈みこんでいく。
崖の上から岩礁を眺めて、再び溜め息をついた。

────ここからどう逆転すればいいんだ。仮に優勝できたとしても、できたとしても、俺には殺人鬼と言うレッテルがついてしまう。
例え殺さずに優勝できたとしても、このバトルロワイアルとかいうゲームに参加させられたという事実が誰かに知られたら、
そいつはきっと俺を疑うに決まっている。犯罪者だの、人殺しだの、裏で好き勝手言われるだろう。
そうなると、出世なんて出来る筈がない。一度張り付いてしまったレッテルは一筋縄では剥がれ落ちない。
……『平凡』のように。

城之内は顔を上げて崖から離れる。何気なく灯台の方に足を向け、ぶらぶらと歩く。
視界には灯台と、その奥に広がる混沌とした草原のみしかなかった。改めて、田舎だ。
5 ◆N2K943LWJ1Uz :2009/12/14(月) 21:22:52 ID:p1p4y5nI

────野心を秘めて田舎を飛び出し、大偉業を成し遂げようと夢見た俺だったが、結局はそれもならず。
最後に戻ってきた場所は俺の故郷のような、この国から忘れられたかのような田舎か。
飛び出してやったつもりだった『田舎』だが、とうの昔に『平凡』とかいうふざけたレッテルと同じように、
俺が生まれた瞬間からこびり付いていた訳か。

「二度とこんなド田舎に戻りたくなかったんだがな……」

城之内は遠い目を浮かべて灯台の壁に額を押しつけ、寂しげに呟いた。

ふいに、城之内は何かの気配を感じて後ろを振り向いた。身長180cmはゆうに超すであろう大男がすぐ後ろに立っていた。
トゲ付の首輪とショルダーベルトを身に纏い、鋭い目つきをした、異様な男だった。
外見の異様さだけならまだいい。城之内の恐怖心を殊更に掻き立てたものは、城之内に向けられたサブマシンガンの銃口。
そして背後に立っていた男が、よりによって最悪な男、TDNコスギだったという事。

「TDN……さん。いったい、何の真似ですか?いつの間に……」
「灯台の陰に隠れていたんだよ。何の警戒もなしにぶらぶらと歩きやがって。全く、ゲームのルールを理解してんのか?
 今の状況を見て、俺が何の真似をしているか分からんようでは、やはりお前は脳なしだぜ。ボーイ」
「……あんたにかかれば、誰だって脳なしじゃないですか。貴方はいつもいつも和を乱す。だから消防署から解雇されたんだ」
TDNはくつくつと笑った。
「別に向こうが俺の首を切ったわけじゃないがな。そんな事よりボーイ、何を突き付けられているのか理解しているのか?
 まずはデイパックを捨てて、後ろを向いて両手を上げろ。さっさとしないと撃ち殺す」

そう言われると、城之内は従うしかなかった。TDNは凶暴な男だ。彼の逆鱗に触れるわけにはいかない。

「さて城之内、今までに俺以外の参加者に出会っているか?」
惨めな姿をさらして、脳なしと言われて、城之内の心中は穏やかではなかった。
しかし、後ろから銃を突き付けられているため、言う事を聞かざるを得ない。
「誰にも会ってないです」
「お前の支給品は何だ?」
「まだ確かめてありません」
城之内の背後から含み笑いが聞こえる。
「ずいぶんと間抜けなボーイだな」
「…………」

ゲームが開始された直後、己の境遇に空しさを感じて呆けていたのは致命的なミスだ。
デイパックの中には、TDNを逆転しうる武器が入っているかもしれないのに。城之内は歯噛みする。
銃口を城之内の頭に向けたまま、TDNはデイパックを探る。中から出てきた鉄パイプを少しの間調べた後、
ズボンのポケットの中にしまった。

「TDNさん、俺をどうするつもりですか?」
「銃口を突き付けた姿勢から、予想される次の行動は一つしかないだろ、ボーイ。ましてや殺し合いだぞ」
「…………」

やはり、このままでは俺の末路は決まっている……だろうな。城之内は深く息を吐いた。
そして、死んでたまるかと、強く決意する。城之内は生まれてこのかた、まだ何も成し遂げてはいない。
歴史に名を残すくらいの偉人になりたい。子供のような夢だが、城之内にとっては生きる全てだった。
よりによって消防署を追われたTDNに殺される事は、城之内にとって屈辱だ。

「TDNさん、貴方は殺し合いに乗っているんですか?」
その問いに、TDNは何でもないかのようにまあな、と答えた。
「貴方は確か、バトルロワイアルのルール説明の時に、主催者に向かってFack Youと挑発していたじゃないですか。
 それなのに、いざゲームが始まったら主催者の言うとおり素直に殺し合いをするんですか?」

TDNは城之内の言葉を聞いて押し黙っている。しばらくしてから、TDNはくつくつと笑う。
「急に饒舌になったな。生き残るのにずいぶんと必死じゃないか、ボーイ」
TDNの冷笑が城之内の不安を駆り立てる。いつ引き金を引かれてもおかしくはない。
その事を意識すると、途端に恐怖が心の奥底から湧き出てきた。
まずい……遠回りなどせずに、単刀直入にTDNに用件を伝えなければ……
6城之内はもっと評価されるべき ◆N2K943LWJ1Uz :2009/12/14(月) 21:24:41 ID:p1p4y5nI

「俺を生かしてくれたら協力します!何でもTDNさんの言う事を聞きます!
 二人で行動すれば、TDNさんが優勝する確率がぐっと上がる!」
「おいおいおいおい、いきなり話が飛躍したな。だが残念だったな。今の段階では"まだ"仲間は必要ない」
城之内の顔から血の気が引き、顔面蒼白となる。死の恐怖で、全身が氷のように冷たく固まった。

「そんな……どうしてですか!」
城之内は半ば泣き叫ぶように言った。
「城之内……俺はお前と違って、脳味噌を出来る限り使って行動しているんだよ。全ては死なないためだ。
 仲間、情報、これらは確かに俺を安全にしてくれる。だが、この状況で安全を確保するために
 最も優先的に用意しなければならないものは、やはり武力。だから俺は、ゲーム序盤では
 殺し易そうな参加者に狙いを定めて、武器集めに専念する事にした」
「俺自身がTDNさんの武器になります!命を賭けてでもTDNさんを守って見せ」
城之内が悲鳴のような声を上げた途端、後頭部に鋭い痛みが走った。サブマシンガンで撃たれた?
違う。殴られたんだ。思い切り殴られた。

TDNは、倒れ、朦朧としている城之内に馬乗りし、空いている片手で首を締め付ける。
もう片方の手は相変わらずサブマシンガンを握りしめ、城之内に向けて照準を定めている。

「思ってもいない事を言うな。大人しく従うような性格じゃないだろ、ボーイは。
 プライドだけは無駄に高い雑魚を奴隷にしても、足をすくわれるだけだ」
「お願いだ……!こ、殺さないでくれ……!」
首を絞められ、城之内は思うように声が出ない。
「いい子だ。話すならそれくらいの音量で話せ。さっきみたいに大声をあげたら即撃ち殺す」

────涙が、止まらない。俺はこのまま死んでしまうのだろうか。
職員の連中から疎まれ、何も成し遂げられないまま、こんな辺鄙な田舎で、
よりによってリストラされたゴミ野郎のTDNに……殺されなきゃならねえのかよ

涙と鼻水を垂れ流しながら、しゃがれた声を命をかけて出す。苦しくて苦しくて、だんだん意識が遠のいていく。
TDNはこのまま弾数の節約のため、城之内を締め殺すつもりなのだろう。TDNにサブマシンガンすら使わせられなかった事が、残念でならない。
もう何もかもが嫌になった。どれだけ頑張っても何も自分の思い通りにはいかないのだから。

「どうして……お前みたいな……リストラされた奴、、なんかに……」
「さっきも言ったが俺は別にリストラされたわけじゃない。自分から辞めてやっただけだ」
「う、、う……う……」
もはや声が出ない。意識も真っ白だ。

────自分でやめてやった?単なる言い訳じゃねえか。要するにお前は逃げただけだ。
お前は署内でトップクラスの業績、それこそ池田や定岡のような陰口野郎には手の届かない男だったが、
決してトップにはなれない男だった。辞めたのはいつまでたってもビリー署長やカズヤさんのようになれなかった事に、嫌気がさしただけだ。

「俺が辞めたわけ、知りたいか? ボーイ?」
嫌らしげな笑みを浮かべている。TDNは語りだす。
「俺は長年消防署に勤めていて、何故か毎日違和感を感じていた。仕事をすればするほど、鬱憤が溜まっていく事に気づいたんだよ。
 どれだけ報酬を貰っても、どれだけ称賛されようと、フラストレーションが晴れる事はなかった。俺は何故なのか考えた」
「は……は、」

────だから、手を離してくれ……俺はお前のような奴が殺していい男じゃないんだ。
生きてさえいれば俺はいつか必ず偉大な人物になり、全人類に貢献できるんだ。
生きてさえいれば……俺は……俺は、俺は、俺は、俺は俺は俺は俺は────

城之内が泡を噴き出した。眼球からは黒目が消えた。死の一歩手前だ。
TDNは、そんな城之内を嘲笑を浮かべながら眺め、呟いた。
7城之内はもっと評価されるべき ◆N2K943LWJ1Uz :2009/12/14(月) 21:26:13 ID:p1p4y5nI
「考えたらすぐに分かった。消防員という仕事は俺に向かない。人を助ける仕事は、俺には向いていないのだろう。
 そんな捻くれた俺が殺し合いに乗るのは、極自然な流れだと思わないか?バトルロワイアル、なかなか面白いゲームだ。
 最後の最後に、俺を舐めた主催者も必ず殺す」

TDNの鍛え上げられた握力が、城之内の首を絞める。城之内の意識が完全に飛んだと判断し、
TDNはサブマシンガンを置いて両手で城之内の首を締め、止めを刺しにかかる。

「ボーイ、お前はもう少し自分を知るべきだ。身の程を弁えて、初めから新日暮里消防署に近寄らなければ、
 殺し合いに巻き込まれる事も、俺に出会う事もなかったろうに」

ギチギチと、城之内の首が締め付けられる。

────嫌だ、死にたくない……死にたく…………

【城之内祐二@本格的!ガチムチパンツレスリング 死亡】
【残り39人】

【一日目/深夜/I-10】
【TDNコスギ@本格的!ガチムチパンツレスリング】
[状態]:健康
[装備]:サブマシンガン(残弾数不明、TDNは確認済み)、鉄パイプ
[所持品]:基本支給品一式(パン残り3個)
[思考・行動]
基本:主催者も含めて皆殺し
1:まずは武器を探して武力を集める。
※24時間ルールのノルマを達成しました。
※城之内祐二の支給品を拾いました。
8 ◆N2K943LWJ1Uz :2009/12/14(月) 21:28:06 ID:p1p4y5nI
投下終了。城之内はパンレスキャラの中であんまりネタにされてないような気がする。
面白い空耳が結構あるし、もっと評価されてもいいのに
9Yellow_Cake(危険物) ◆6LQfwU/9.M :2009/12/14(月) 21:45:54 ID:lkaMJky3
投下します


「さっきの男は歯ごたえが無かった。あれじゃ俺の強さは知らしめすには不十分だな」
そう呟きながら北に向かって歩いて行くカンフーマン。
「病院か。誰もいないようだな…包帯でも拾って行くか」
そう呟き、関係者用通路から病院内に入るカンフーマン…


「これからどうしますか?不死鳥さんはどうしたいですか」
さっきまでの動揺は消え、少し打ち解けている透。
「仲間集め!そして皆でこのゲームを壊す」
不死鳥は、決意の籠った声で透に返す。
(…僕らにできるのかな…?でもこの人、何だか戦場を生き抜いてきたって感じがするんだよなー。)
そう心の中で思い、不死鳥の後を付いて行く。
…その時、不死鳥が何かに気づき、手に持っているハイパワーを構える。
その行動に、自然と透も手に持っているネイルハンマーを握りなおす。
「…誰かいるの?いるなら返事して」
不死鳥が静かに診察室にいるであろう人物に話しかける。
だが返事は無い。
不死鳥は構えを崩さず中に入る…
―その瞬間、光が辺りを照らした。
「うわあっ!」
驚きを隠せない声をあげ、壁に吹き飛ばされる不死鳥。
「大丈夫ですか!?」
透はとっさに不死鳥に走り寄り、体を確かめる。
…傷一つ負っていない。
「さっきの爆発は…?それに何で無傷…」
不思議そうに訪ねる透に、不死鳥は胸を張って体に纏っているものを見せる。
「ボムブラストスーツって言うらしいんだけど…これのおかげで助かった」
何事も無かったように答える不死鳥。
「…運がいいな。さっきの爆発で死ななかったのか」
入り口付近が吹き飛び、半ば廃墟の様になっていた診察室から出てきたのは…

カンフーマンだった。
「まったく、入り口にC4を仕掛けておいたのに、死なないとはな。クレイモアも設置すれば良かったか」
まったく悪びれる様子も無く話を続けるカンフーマン。
「死ななかったなら別にいい。もうここに用も無い」
そう言い放ち、その場を走り去るカンフーマン。
「…逃がすか!」
とっさに透がネイルハンマーを投げつける!
「…ぐっ」
どうやら当たったようだ。
そのまま走って、ネイルハンマーが落ちた所へ走る。
…出口まで血が落ちている。血と血の間は間隔が広く、かなりのスピードで逃げたことが分かる。
(危ない奴だ…)
そう思いながら、床に落ちたハンマーを拾い上げる。


「くっ…痛い…」
透の投げたハンマーはカンフーマンの右肩に当たっていた。
しかも運の悪いことに、くぎ抜きの方が当たっていた。
カンフーマンの肩からは血が流れ出て、白い道着を赤く染めている。
(だが、包帯とかは拾ったからまあいいか…)


10Yellow_Cake(危険物) ◆6LQfwU/9.M :2009/12/14(月) 21:49:10 ID:lkaMJky3
【一日目/深夜/E-7:E7病院:2F病室】


【不死鳥@板対抗BR】
[状態]:健康、動揺(小)
[装備]:FN ハイパワー@現実、ボムブラストスーツ@メタルギアソリッドシリーズ
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]:
1:あぶなかった…



【矢島透@かまいたちの夜】
[状態]:健康、動揺(小)
[装備]:ネイルハンマー@SIRENシリーズ
[所持品]:支給品一式、不明支給武器
[思考・行動]:
基本:何が何でも真理を守る。人殺しはしたくない。
1:何なんだ…一体


【一日目/深夜/E-7:病院付近】


【カンフーマン@MUGEN】
[状態]:健康、動揺(中)、中出血(右肩)
[装備]:クレイモアとC4@メタルギアソリッドシリーズ
[所持品]:支給品一式、不明支給品、◆Right//mkoのデイパック
[思考・行動]:
基本:俺がキャラ作成の雛形で終わるようなヤツじゃないと教えてやるよ
1:危なかった…くそっ…
※E-7に爆音が響きました。回りのエリアにも少し響きました。
11 ◆6LQfwU/9.M :2009/12/14(月) 21:54:53 ID:lkaMJky3
1つ目投下終了です。
2つめはちょっと推敲してから投下します
12創る名無しに見る名無し:2009/12/14(月) 22:02:31 ID:g0J4/8VG
>>8
投下乙です
13雨の化身とクオリティ ◆6LQfwU/9.M :2009/12/15(火) 00:08:26 ID:HyJIhchQ
雨が降る。
嫌な降り方だ、と07は思う。
だが、天に毒づいても意味はないので、雨について考えるのはやめた。
代わりに、さっき聞こえた爆音について考えることにした。


「…!?」
デイパックの中身を確認し、今使う物以外はデイパックにしまっている時に、それは聞こえた。
(爆音…?)
それは、自分がいる所から南の方からの音のようだ。
「行ってみるか」
そう思い、南に向けて歩き出した。


(さっきの爆音は…それにここは何なんだ?なぜこんな所に?)
考えれば考える程、謎は深まるばかりで解決しない。
C8から音がしたほうに、足を動かしている途中に、遊園地に突き当たった。
迂回路も無いので、遊園地内を警戒しながら進み、近くのベンチに腰かける。
(それほど広い訳では無いようだな、周りを探索しても人はいなさそうだ)


「そこに…誰かいるんだな?」
とっさに07の後ろから声がかかる。
「!」
07の体が動き、後ろにいる男に銃を向ける。
「待て…俺は敵じゃない…」
落ち着いた口調で返すのは…雷電だった。
「敵意は無い…だから銃を下ろしてくれないか。頼む」
そう言う雷電の手には…何の冗談か、ねぎが握られていた。

【一日目/深夜/D-7:遊園地:広場】


【07@板対抗BR】
[状態]健康
[装備]:デザートイーグル@現実
[所持品]:支給品一式、不明支給品
[思考・行動]:
1:こいつは誰なんだ?信用していいのか



【雷電@メタルギアソリッドシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ねぎ(武器)@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、不明支給武器
[思考・行動]:
1:なんとか信用してくれたか?
2:ま と も な ぶ き が ほ し い
14 ◆6LQfwU/9.M :2009/12/15(火) 00:10:00 ID:HyJIhchQ
2つ目投下終了しました
15電車でGO ◆6LQfwU/9.M :2009/12/15(火) 00:33:28 ID:HyJIhchQ
あのあと、まだ落ち込んでいる◆PURIN//46Eを連れて電車に乗るめろりん。
「仕方ないよ…もう落ち込まないでー」
めろりんが◆PURIN//46Eに話しかける。
「…そうだよね…」
さっきよりは元気が出た声で返す◆PURIN//46E。
「…とにかく、電車の中を調べてみない?」
「…ああ、そうだね」


(えっ?あいつがいなくなったと思ったら、今度はめろさんとプリンが乗ってきた…)
さっきよりは落ち着いているが、それでもまだ恐怖に憑りつかれている下痢。
「でも…仲間になれば…」
その時。
足音がこちらに向かって来る。
そして…
コンコンとトイレのドアをノックするめろりん。
(出て行こうかな、それともいないふりしようか…)
「誰かいるのー?いるんなら私たちと一緒に行かない?」
めろりんが話しかける。
(…!もう出ればいいんでしょ出れば!)
カチャリと鍵の外れる音。
そしてトイレの扉がゆっくりと開く…


「下痢さんがあんな所に隠れてたなんて、気づかなかったよーw」
「そうだなあ、驚いたよ」
恐怖で震えている下痢さんをなんとか宥め、会話を持ちかける二人。
「…俺も驚いたよ、ここに二人がいたなんて」
まだ恐怖が残っている状態で、なんとか声を出す。
「皆何持ってるのー?」
めろりんが聞く。
「私は、これ」
そう言うとめろりんは鎌を出す。
「俺はこれと…これ」
そう言うと、さっき使用した火掻き棒と、狙撃銃を出す。
その時、
―下痢の中で、また何かが首を擡げたような気がした。

「そういえば、それ何?」
突然、◆PURIN//46Eが下痢に聞く。
「ああ、これ。役に立ちそうも無いからあげる」
そして下痢は宇理炎を◆PURIN//46Eに手渡す。
「じゃあ、代わりにこれ」
そう言って、下痢に火掻き棒を手渡した。
16電車でGO ◆6LQfwU/9.M :2009/12/15(火) 00:35:15 ID:HyJIhchQ
【一日目/深夜/C-4:走行中の電車内】


【めろりん@板対抗BR】
[状態]:健康、精神疲労(中)
[装備]:風切り鎌@かまいたちの夜
[所持品]:支給品一式、蟹@本格的 ガチムチパンツレスリング
[思考・行動]:
基本:人は殺したくない。
1:3人なら大丈夫…だよね?



【◆PURIN//46E@板対抗BR】
[状態]:健康、精神疲労(中)
[装備]:狩猟用狙撃銃(6/7)@SIRENシリーズ、宇理炎@SIRENシリーズ
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]:
基本:人は殺さない…でも相手から仕掛けられたなら話は別。
1:貰ったはいいけどこの人形みたいなの何?

?:この状況なら、気に入らない人を殺しても…


【下痢@板対抗BR】
[状態]:健康、「ふうのしん」少し発症(40%)
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、火掻き棒@SIRENシリーズ、「ふうのしん」の枝@かまいたちの夜
[思考・行動]:
基本:絶対死にたくない!
1:仲間が出来てよかった。
2:この感覚…何なんだ…!
17 ◆6LQfwU/9.M :2009/12/15(火) 00:37:06 ID:HyJIhchQ
投下終了です
18 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/15(火) 01:07:22 ID:viPvDoNV
投下乙です。それでは自分も、個人趣味ロワ第15話「錆付いた歯車」投下します。
登場:アルソンズ・ベイル、章高
19錆付いた歯車 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/15(火) 01:08:41 ID:viPvDoNV
15話「錆付いた歯車」

推理小説作家である壮年の紳士、アルソンズ・ベイルは憤慨していた。
やっと原稿を口うるさい担当編集者に渡し、久方振りの休息の時を迎えようとしていたと言うのに、
気がついたらセイファートと名乗る狼獣人の女性が主催する殺し合いの参加者になっていた。

「ふざけおって! こっちはせっかくの休日を楽しもうと思っていたと言うのに、
何が殺し合いだ! 何様のつもりなんだ、あのセイファートとか言う女は!」

H-5の森林地帯を怒り心頭の様子で愚痴をこぼしながら歩くアルソンズ。
右手には自分のランダム支給品であるリボルバー拳銃、左手には明るく周囲を照らし出すランタンが握られている。

「しかもスタート地点はこんな森の中か! 暗くてこのランタン無しではほとんど視界が利かんわ!
その上食糧はペットボトル入りの水二本とコッペパンだと、ふざけておる!
大の大人が十分足りる量などでは無いぞ! いや、子供でも足りないだろう!
さすがこんな狂ったゲームを開く主催者、悪意に満ち満ちてるな!
まあワシのランダム支給品がリボルバー拳銃だったのは良かったが……」

静かな森の中に禿頭の壮年の男の怒りの愚痴が響く。
その怒りの余りアルソンズは失念していたようだ。
明かりを点けていると、自分の位置を明確に知らしめる事になると。
大きな声を出すなどもっての他だと言う事に。
そして、アルソンズの背後から、ゆっくりと忍び寄る人影があった。
当然、アルソンズはまだ気がつかない。

「それにしてもどうするか。殺し合いなどする気は全く無いが、死ぬのは御免だしな」
「あの……」
「やはりどこかで身を潜めるべきか。しかしまずはこの森を抜けないとな」
「あの〜……すいません」
「しかしキツイな、流石に50を超えると長距離の歩きは……」
「あの〜〜」
「ええいうるさいな! 誰だ!?」
「ひっ、あ、えーと」

鬼の形相でアルソンズが振り向くと、そこにはスーツ姿の若い青年がいた。
見るからに優男と言った風貌である。

「ああ? いつからいたんだお前は」
「結構前からあなたの後ろをついて来ていたんですけど」
「何? 気が付かなかったな」
「あの〜、あんな大声出して、しかもそんな明かり点けてたら、凄く目立つと思うんですが、
ここ、殺し合いの場ですよね? 俺は殺し合いする気は無いですけど、
もし俺じゃなくて殺し合いに乗っている人だったら危なかったですよ」
「む……」
20錆付いた歯車 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/15(火) 01:11:33 ID:viPvDoNV
青年に言われ、アルソンズはやっと自分が危険な行動を取っていた事に気付く。
すぐにランタンのスイッチを切り、デイパックの中へ押し込む。
当然辺りは闇に包まれ、光源は木々の葉の間から僅かに覗ける星空のみ。

「……お前、殺し合いに乗っていない、というのは本当か?」
「本当ですよ。乗っていたら声なんて掛けずそのまま殺してます」
「だろうな。いいだろう、信じよう」
「ありがとうございます」

暗くて青年の表情は分からなかったが、どうやら安心した、と言う事だけは分かる。

「ワシはアルソンズ・ベイル。本名はジェームズ・ベイルだが、一応作家でな。
名前だけでも聞いた事は無いか?」
「えーと、俺本は余り読まないもんで……」
「そうか……まあいい。お前の名前は?」
「あ、はい、章高と言います。章が名字で高が名前です」
「面倒だ、章高で良いか?」
「いいですよ」

互いに自己紹介を終えた所で、アルソンズが本題を切り出す。

「さてと、章高とやら。互いに殺し合いをする気は無いのは分かった。
どうだ、一緒に行動しないか?」
「僕も、同行を願おうと思って声を掛けたので、喜んで。宜しくお願いします」

握手を交わすアルソンズと章高。
そして、先程までのアルソンズの声と光で誰か来るかもしれないと言う事で、
二人はデバイスを頼りに北の方向へ歩きながら情報交換をする事にした。
幸いデバイスの画面は仄かに光り、確認出来るレベルで、周囲に気付かれる程では無い。
そしてしばらく歩いた所で、少しばかり開け、夜空の満月の明かりで十分視界が利く場所を見つけた。
中央付近に岩があるので、その陰に腰掛ける。

「章高、お前の支給品は何なんだ?」
「えーと、これ、何ですけど……」

そう言って章高は自分のデイパックから、何やら書類のような物と、
小さなスプレー缶を三本取り出し、アルソンズの前に置いた。
スプレー缶は催涙スプレーのようだが、もう一つの書類は、内容を読んでみないと良く判断出来ない。
21錆付いた歯車 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/15(火) 01:12:38 ID:viPvDoNV
「多少明るいとは言え読みにくいな……しかし明かりを点けるのはまずい」
「ですね」
「これはもっと別の、明かりが漏れないような場所か、夜明けが近付いて明るくなってからでも、
良いと思うが、どうだ」
「じゃあそれで」
「じゃあそれで行こう」

書類は後回しにし、次にアルソンズが自分の支給品であるリボルバー拳銃を見せる。

「いいですね」
「やらん」
「ですよね」

そして支給品の確認が一先ず終わった所で、アルソンズが章高に尋ねる。

「章高、お前はこの殺し合いで誰か知り合いは呼ばれているか?」

その質問を聞いた途端、章高の身体がビクンッと震えた。
何事かと目を丸くするアルソンズに向かって、震えた口調で章高が問いに答える。

「い、一応、いますけど、費覧って言う、妖狐の女性が」
「そうか……それは残念だな。ワシは一人もおらん」
「そうですか……」
「……どうした? 何を怖がっている?」
「……」

章高は、この殺し合いに呼ばれている妖狐の女性、費覧について、
大まかにアルソンズに説明した。

そして数分後、説明を聞き終えたアルソンズは、
章高に対する憐れみと、費覧に対する恐怖心で一杯になっていた。

「……お前、費覧という女性と再会したいと思っているか?」
「正直、思いません」
「……気持ちは分かる」

妙な空気が、二人の周囲に漂っていた。
22錆付いた歯車 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/15(火) 01:14:05 ID:viPvDoNV
【一日目/深夜/H-5森】

【アルソンズ・ベイル@オリキャラ】
[状態]:健康、費覧に対する恐怖
[装備]:マニューリンMR73(6/6)
[所持品]:基本支給品一式、357マグナム弾(30)
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。何とかして脱出したい。
1:殺しはしたく無いが、正当防衛ならば止むを得まい。
2:とにかく北へ。森を抜ける。
3:章高と行動を共にする。
4:章高……気の毒にな……。
[備考]:
※費覧という人物の特徴をおおよそ把握しました。

【章高@オリキャラ】
[状態]:健康、費覧に対する恐怖
[装備]:小型催涙スプレー
[所持品]:基本支給品一式、小型催涙スプレー(2)、
自主製作映画企画書@自作キャラでバトルロワイアル
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。とにかく生き残る。
1:もっとマシな武器が欲しい。
2:アルソンズさんと行動を共にする。
3:森を抜ける。
4:費覧には出来れば会いたくない。会いたくない。
23錆付いた歯車 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/15(火) 01:14:54 ID:viPvDoNV
≪オリキャラ紹介≫
【名前】アルソンズ・ベイル
【年齢】55
【性別】男
【職業】推理小説作家
【性格】気難しいが、根は誠実
【身体的特徴】黒髪で禿頭。髭を生やし小太り
【服装】オーバーコートを羽織っている
【趣味】釣り
【特技】多少推理力はある
【経歴】多くのヒット作を生み出している作家で、幾度か賞にも輝いている。
結婚し子供もいたが家庭を顧みなかったため10年前に離婚している
【備考】本名はジェームズ・ベイル

【名前】章高(しょう・こう)
【年齢】22
【性別】男
【職業】食品会社事務員
【性格】温厚で柔和
【身体的特徴】黒髪の中肉中背、優男
【服装】黒っぽいスーツに赤いネクタイ
【趣味】TVゲーム、食べ歩き
【特技】これと言って無し
【経歴】15歳の時に近所の森の中にある社に住み付く妖狐・費覧と出会い、
現在に至るまで親友として付き合っている、が、頻繁に性交を求められ、
その度に搾り尽くされるため、費覧は恐怖対象でもある。
【備考】一般人


≪支給品紹介≫
【マニューリンMR73】
1973年にフランスのマニューリン社が開発したリボルバー拳銃。
各部品は手間が掛かる削り出し加工で製造され、仕上げと精度の高さには定評がある。
強力な357マグナム弾を使用し、登場から30年以上経過しても、
会社のカタログに載っている現役と言う事から、フランス版コルト パイソンとも言える。

【小型催涙スプレー】
使い捨て方式の、相手の視力を数分間奪う事の出来るガスを発射する小型スプレー。
護身用具として広く普及している。

【自主製作映画企画書@自作キャラでバトルロワイアル】
「自作キャラでバトルロワイアル」の真の黒幕達が記した、
自主製作映画=バトルロワイアルの企画書。
結局の所、この自主製作映画の結末は監督・脚本を手掛けた者にとっては、
全く予想外の結末を迎える事となった。
24 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/15(火) 01:16:00 ID:viPvDoNV
投下終了です。眠い……。
25 ◆NIKUcB1AGw :2009/12/15(火) 01:36:01 ID:n+dEppmH
皆様、投下乙です
では自分も、NIKUロワ第11話投下します
26三国最強 呂奉先 ◆NIKUcB1AGw :2009/12/15(火) 01:36:48 ID:n+dEppmH
バトルロワイアル開始から、まだ数十分。
この短い時間の間に、早くも参加者中上位に入る戦闘力を持つ二人が戦いを開始していた。
おのれの身の丈よりも巨大な深紅の剣を振り回すのは、呂布。
言わずと知れた、三国時代の中国大陸で最強の名をほしいままにした男。
対するメイド服姿の美女は、森。
「機関」に身を置く超能力者にして、常人離れした身体能力を持つ謎多き女性である。

(くっ、まさかこんなにも早く、私以上の実力を持つ相手に出会ってしまうなんて……)

森は、焦りを募らせていた。彼女は、紛れもない強者である。そのことを彼女自身も自覚している。
だが、目の前の相手は明らかに森を上回る戦闘力の持ち主だ。
強者であるがゆえに、森は自分より強い相手との戦闘経験はほとんどなかった。
ゆえに、そのような存在と戦うことになったとき焦るのだ。

「はああああっ!」

気迫の叫び声と共に、森は右手に装着した鉄の爪で一撃を放つ。
だがその攻撃も、呂布に易々と捌かれてしまう。

「ふん!」

そのまま呂布は、反撃に移る。身を翻して回避しようとする森だが、刃が彼女の足をかすめる。
怪我自体は、たいしたものではない。だがこのレベルの戦いになれば、少しの怪我が大きなハンデキャップとなってしまう。

(まずい……。次の攻撃は避けられない!)

取り乱す森に、大剣が迫る。だがその刃が森を切り裂く前に、呂布目がけて一本の矢が飛んできた。
呂布は迷わず攻撃を中断し、矢を回避する。

「まさかこの私が、呂布を相手取ることになろうとはね……。
 荷は重いですが、襲われている人を見殺しにするわけにもいきませんのでね」

そう呟きながら、弓を手にした一人の男が二人の前に姿を現した。
その体は呂布と同じく、中国風の鎧に覆われている。

(知り合い?)

第三者の乱入に気を引かれつつ、警戒を続ける森。
一方の呂布は、自分に弓を向けた相手をじっと見つめる。

「貴様は……たしか北郷軍の朱拠……だったか?」
「天下に名だたる飛将・呂布に名前を覚えていただいていたとは……。光栄ですよ」
「謙遜するな。北郷軍を陰で支える弓の名手といえば、名前は知られている」

会話を続けながら、呂布はゆっくりと朱拠に近づいていく。

「奇妙なことになったが……。もとより我らは敵同士。その首、もらい受ける」

改めて剣を構える呂布。だがここで、彼は一つのミスを犯した。
朱拠に気を取られ、森から注意を外してしまったのである。

「はあっ!」

隙を見いだし、森は跳び蹴りを繰り出す。呂布は反応こそするものの、回避できない。
肩に蹴りを受け、呂布はバランスを崩す。

「勝機!」
27三国最強 呂奉先 ◆NIKUcB1AGw :2009/12/15(火) 01:37:44 ID:n+dEppmH
この好機を逃すまいと、朱拠は迅速に矢を射る。彼が放った矢は、見事に呂布の肩に突き刺さった。
それはたしかに、有効打となる一撃だった。並の武将なら、これほどの怪我を負えば戦闘を続行するのは不可能だろう。
だが、朱拠が戦っているのは並の武将ではない。最強の武将・呂布である。

「かあっ!」

矢を受けながらも、それを感じさせぬ勢いで呂布は走る。一心不乱に、朱拠に向かって。

(やはり矢の一本で止められるほど、楽な相手ではありませんか……。ならば、倒れるまで攻め続けるまで!)

淀みのない動作で、朱拠は次の矢を弓にかける。だが、その矢を放つ前に彼の手は止まってしまった。
呂布の予想外の動作を目にし、思考が一瞬停止してしまったのである。
呂布は、手にした大剣を大きく振りかぶっていた。そして次の瞬間、それを投げた。

「なっ!」

縦にも横にも巨大な剣が、矢をも上回る速度で飛んでくる。予想だにせぬ攻撃方法を前にして、朱拠にそれを防ぐ術はなかった。
横倒しになった剣が、朱拠に命中し易々と鎧を砕く。それだけに収まらず、剣は彼の内臓をあばらもろとも粉砕した。

「がはあっ!」

朱拠の口から、大量の血が噴き出す。誰の目から見ても、もはや彼が生きながらえることは不可能であった。

(やはり私には、荷の重い相手でしたか……。申し訳ありません、北郷様。
 私はこれ以上あなたの助けにはなれないようです。どうか、ご武運を……)

主君の無事を祈りながら、朱拠は静かに息を引き取った。


まずは朱拠を討ち取った呂布。だが、戦いはまだ終わってはいない。
もう一人、彼と戦っている人間がいるのだから。

「はあっ!」

森は、攻撃動作を終えたばかりの呂布に容赦なく鉄の爪を振るう。
回避に失敗した呂腑の顔面に、爪によって傷が刻まれる。
しかし、それで怯む呂布ではない。傷などものともせず、握りしめた拳で反撃を放つ。
バックステップを踏み拳撃から逃れようとする森だが、足の傷がわずかにその動きを鈍らせる。
結果として、呂布の拳は森の右肩をかすめる。それだけでも、破壊力は充分。
森はバランスを崩し、地面を転がった。

(くっ、まずいですね……。足に続いて肩までやられたとなれば……。もはや肉弾戦では勝ち目はありません)

美貌を歪めながら、森はゆっくりと立ち上がる。
ゲームに消極的な彼女には、呂布をどうしても倒さなくてはいけない理由はない。
だが、今更逃げ出したところで呂布の身体能力を考えればすぐに追いつかれるだけだ。
それに彼のような危険人物を野放しにしておけば、保護対象である涼宮ハルヒや同志である古泉一樹に危険が及ぶことになる。
殺人を忌避する気持ちはあるが、自分や守るべきものの命には代えられない。
森は、そう割り切ることが出来る人間だった。

(格闘家として銃器にはなるべく頼りたくありませんでしたが……。そうも言っていられない状況ですね)

大剣を拾い直し迫り来る呂布に対し、森は鉄の爪を投げ捨ててデイパックから新たな武器を取り出す。
その武器の名は、RPG-7。今や重火器の代名詞と言っても過言ではない代物だ。
28三国最強 呂奉先 ◆NIKUcB1AGw :2009/12/15(火) 01:38:30 ID:n+dEppmH
「なんだ、あれは……。武器なのか?」

当然RPG-7など見たこともない呂布は、奇怪な形状の物体に戸惑う。
彼の動きが鈍ったその瞬間を狙い、森は引き金を引いた。
轟音を立て、RPG-7から弾頭が発射される。
その時になってようやく飛び道具と気づいた呂布だが、もはや回避には時間が足りなすぎる。
彼はとっさに、剣を自分の前にかざして盾とした。直後、その剣に弾頭が命中。爆発が起きた。

(命中! これならさすがに……)

勝利を確信する森。だが、その確信は直後にあっさりと裏切られる。
爆風が消えた後に立っていたのは、無傷の呂布だったのだ。

「そんな! 至近距離であの爆発を受けて、無傷で済むはずが……!」

森は、思わず叫んでいた。
彼女は、一つ重大なことを知らなかった。呂布が使っている剣は、ただ巨大なだけの剣ではない。
名前は「烈火大斬刀」。「火」の力が込められた武器なのである。
すなわち、爆発による「熱」に非常に強い代物なのだ。

「その武器には驚かされたが……。俺を倒すことは出来なかったようだな。貴様も、この呂奉先の敵ではなかったということだ」

万策尽きた森に向かって、呂布は烈火大斬刀を振り下ろす。

「百花繚乱」

次の瞬間、炎を纏った斬撃が森の体を両断した。


◇ ◇ ◇


「…………」

二つの骸が転がる前で、呂布はただ立ちつくしていた。
何か物思いにふけっているようだが、その心の内は杳として知れない。

「しょせん、俺には戦うことしか出来ぬ。それだけのことよ……」

感情のこもらぬ声で呟くと、呂布はしとめた二人から奪い取ったチップをしまう。
死人の武器をはぎ取るのは気が引けるが、これは勝者に与えられる印のようなもの。
持っていっても問題ないだろう。そう呂布は考えていた。

「さて、そろそろ行くか。次の戦場へな……」

烈火大斬刀を担ぎ、呂布は歩き出す。その行き先は、本人すら知らない。


【朱拠@中華武将祭り 死亡】
【森さん@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱 死亡】

29三国最強 呂奉先 ◆NIKUcB1AGw :2009/12/15(火) 01:39:16 ID:n+dEppmH
【一日目・深夜/C-2・森】
【呂布@中華武将祭り】
【状態】ダメージ(中)
【装備】烈火大斬刀@侍戦隊シンケンジャー
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2、スターチップ×2
【思考】
基本:戦う。
※第四十六話、呂布子と一騎当千呂布を倒した直後からの参戦です。


※備考
C-2に以下のものが放置されています
朱拠の所持品:支給品一式、エロスの弓@ドラゴンクエスト4コマ漫画劇場、不明支給品0〜2
森さんの所持品:支給品一式、鉄の爪@ドラゴンクエスト4コマ漫画劇場、RPG-7@仮面ライダーSPIRITS、不明支給品0〜1

※支給品紹介
【烈火大斬刀@侍戦隊シンケンジャー】
シンケンレッドの専用武器。シンケンマルに専用ディスクをセットすることで変化する。
長さ2メートルを越える巨大な剣で、その大きさから盾として使われることも多い。
大筒モードに変形させると、秘伝ディスクを発射する必殺技が使用可能になる。
このロワでは烈火大斬刀の状態で支給されているが、ディスクを外せばシンケンマルに戻すことも可能。


【エロスの弓@ドラゴンクエスト4コマ漫画劇場】
ドラクエ8に登場した武器。射抜いた相手をたまに混乱させる。


【鉄の爪@ドラゴンクエスト4コマ漫画劇場】
手っ甲に爪を模した刃を取り付けた武器。
武闘家や仲間モンスターの代表的な武器として知られている。


【RPG-7@仮面ライダーSPIRITS】
パロロワではすっかりおなじみの、対戦車砲。
ライスピではアンリがカニロイドに対して使用したが、まったくダメージを与えられなかった。


※参加者紹介
【朱拠@中華武将祭り】
北郷軍に最初に加わったデフォルト武将。
陰から北郷軍を支えることに誇りを抱いているクールガイ。
地味なキャラクターながらここぞというときに活躍を見せ、視聴者からは「仕事人」と呼ばれ愛されている。


【森さん@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱】
超能力者たちの組織である「機関」のメンバー。
原作ではちょい役だが、「ハルヒちゃん」では作者であるぷよ氏のお気に入りであるため非常に出番が多い。
そのスキルも原作から大きく向上しており、メイドとしての技術はみくるが理想型と仰ぐほど。
さらに格闘能力も、鶴屋さんを軽くあしらうレベルである。


【呂布@中華武将祭り】
ご存じ、三国志最強武将。
出典動画では自らが一軍の長となり、北郷軍と激しい戦いを繰り広げる。
敗北し北郷軍の傘下となってからは自分が戦いでしか存在意義を見いだせないことに苦悩していたという事実を認め、新しい自分を模索している。
30 ◆NIKUcB1AGw :2009/12/15(火) 01:40:18 ID:n+dEppmH
投下終了です
31 ◆hhzYiwxC1. :2009/12/16(水) 07:31:45 ID:biO3m8DG
皆さん方投下乙です。
ものすごく遅れを取ってしまってる……今年中に6話は投下したいですが…
32 ◆N2K943LWJ1Uz :2009/12/16(水) 15:46:40 ID:siRiwSeL
24バトルロワイアル第9話投下します
33できる子とアホの子 ◆N2K943LWJ1Uz :2009/12/16(水) 15:48:38 ID:siRiwSeL
           / ̄ ̄ ̄ \
         / ノ    ヽ \   (とんでもない事になってしまいました
        /   (○)  (○)  \  
       |      __´ _    . |
        \       ̄     /  こんなバカなゲームが成り立つはずがないと、
      ,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノ゙-、.   たかを括っていたのは間違いでしたね
      :   |  '; \_____ ノ.| ヽ i  
          |  \/゙(__)\,|  i |  可哀想に……やる美さん)
          >   ヽ. ハ  |   ||


          / ̄ ̄ ̄ \
        / ノ    ヽ \   (さて、それにしてもこれから私はどうすればいいんでしょうか
       /   (ー)  (ー)  \  24時間ルールとやらで、殺人を強制されている今、手を汚さないまま
      | u     __´ _    . |  でいようとするのは無理な話でしょう
       \       ̄     /  
       /    ∩ノ ⊃ /    さりとて、人殺しをするのはやはり抵抗があります
      (  \ / _ノ |  |    このゲームには私の知り合いが何人も参加しているようですし…
      .\ “  /__|  |    殺しなんてやはりしたくない。しかし……)
       . \ /___ /      


         ____
       /     \   (いっその事、これはゲームだから、と早々に開き直った方が楽なのかもしれません
     /  _ノ ,、ヽ、_  \  
    / ;;;(◯)::::::(◯);;; \ どうせ、いずれは誰かを殺さなければ、生きられないのですから……
   |      __´___     |  早めに割り切っておいた方がいいかも)
   \      `ー'´     / 
    /          \ 


          / ̄ ̄ ̄ \    (やはりゲームに乗る事にしましょうか。
        / ―   ― \
       / -=・=-   -=・=- \ 完璧超人のこの私なら、ゲームに勝利することなど容易い
      |      __´___     .| いくら有象無象が束になったところで、殺る気になった私に勝てる筈がありません。
       \      `ー'´    /  もはや私の生き残りは確定的と言っていいでしょう)


できる夫はデイパックの傍に落ちていた支給品の槍を拾い上げる。
槍を眺めて、できる夫はくつくつと楽しそうに笑った。しかし、少しした後、できる夫の顔から笑みが消えた。
34できる子とアホの子 ◆N2K943LWJ1Uz :2009/12/16(水) 15:51:07 ID:siRiwSeL

        / ̄ ̄ ̄ \
      / ノ    ヽ \   (……いえ、やめましょう。いくらなんでも私に友達を殺す事なんて出来ません
     /   (ー)  (ー)  \  これはゲームだからと割り切るなんて、私に出来るわけがない
    |      __´ _    . |
     \       ̄     /  そんな事よりも、この島からどうやって脱出できるか考えるべきです
   ,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノ゙-、.
   :   |  '; \_____ ノ.| ヽ i  やる夫君ならきっとそうするはず。彼は馬鹿だから役には立たないでしょうが……)
       |  \/゙(__)\,|  i |  
       >   ヽ. ハ  |   ||


(まずは脱出に協力してくれる仲間を探すべきでしょうか。町にでも行けば、人が集まっているかもしれません。
 まあ、その分危険が多いでしょうけど、『できる』私なら、さして問題もないでしょう)
そんな風な思考を経て、できる夫は余裕綽々な様子で、近くの町へ向けて歩き始めた。
自身の有能さに自惚れているのか、それとも案外馬鹿なのか分からないが、
まるで殺し合いとは思えないような軽快な足取りで町へと突き進んでいく。
一応最低限の警戒を周りに払っていたが、慎重で注意深い人間が周りにいたら、できる夫はとうに見つかっていただろう。

一向に誰にも出会わなかったのは、できる夫の周りに誰も参加者がいなかったというわけではない。
この時、できる夫のすぐ近くに参加者はいた。いた事にはいたが、その参加者は所謂バカだった。
いや、呑気と言うべきだろうか。いずれにしろ、彼女がこの時大して頭を使ってなかったのは確かだった。


♪            ♪
 \ <ハ>., -− <ハ> /
   / l/ r  , ヘ i、
   | lノi ノ)ノヽ.)l   ボッコボコにしてやんよぉ〜♪
   | [ii]メ ゚ ヮ゚レ' |   だからちょっと首輪を外してよねぇ〜♪
   / ⊂L_) 〈〉(_」⊃
  ( /. く,_/i_iヽ> )
 .  V    UU  V


              ____
            /     \   …………どうやら彼女はアホの子のようですねえ
          / _,ノ  ⌒ \  
         /   (●)  (●)   \  全く、殺し合いだというのに呑気なものです。
          |       、 ´        |
        \       ̄ ̄    /
       ,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノ゙-、.  さて、ゲームに乗っているようには見えませんが、どうしましょうか。
       :   |  '; \_____ ノ.| ヽ i
           |  \/゙(__)\,|  i |
           >   ヽ. ハ  |   ||

35できる子とアホの子 ◆N2K943LWJ1Uz :2009/12/16(水) 15:53:49 ID:siRiwSeL

「主催の予想を超えて私は逃げるんだよ
 首輪ついているけどお願い外して

 あのね、早く誰か助けて
 どうしたの?
 24時間 ルール残酷よ
 主催者を

 ボコボコにしてやんよ
 爆破まだね、殺さないで
 ボコボコにしてやんよ
 だからちょっと覚悟をしててよね 

 ボコボコにしてやんよ
 最後までね、頑張るから
 ボコボコにしてやんよ
 だからちょっと油断をしててよね

 ボコボコにしてあげる
 世界中の誰、誰より
 ボコボコにしてやりたい
 だからお願い 私を死なせないで〜♪」


「バトロワ中に歌を歌うなんてずいぶんと余裕ですねえ。でも危ないですよ?
 もし、その歌でゲームに乗っている参加者を引きつけてしまったら、貴方死にますよ」
いつものできる夫スマイルで、熱唱している少女に声をかけた。
少女はできる夫を見てぽかんと口を開けた。今頃彼女の脳内では様々な情報が駆け巡っている事だろう。
この白饅頭は何者?ゲームに乗っているの?歌聞かれちゃった……などなど、様々な事が。
少女の目はできる夫の持つ槍に留まった。ひっ、と短く悲鳴を上げる。

「ああ、心配する必要はありませんよ。私は安全です。別にこれで貴方を刺そうなんてこれっぽっちも思ってませんから。
 こんな状況ですから、怖がる気持ちは十分分かりますけどね」
「ほ、ほほ……本当ですか?その槍はとても怖いです!」
少女は明らかに怯えているようだ。
「いや本当ですって。もし私がゲームに乗り気なら、今みたいに貴方に話しかけるようなことはせず、不意打ちしますよ」
少女はそれからも疑わしげにできる夫を見ていた。そしてしばらくして、口を開く。

「…………えっと、あの……私もゲームに乗る気はありません……。
 私の名前は初音ミクって言うんですけど、貴方の名前はいったいどんな感じの名前なんでしょうか……?」
「私はできる夫という者です。初音ミクさんですか。どこかで聞いた事があるような……」
「ええ! い、いやいや気のせいですよ!決して私はアイドルやってるわけじゃありませんよ!」
ミクは慌てて頭を振った。一応アイドルなのだが、その事がばれると色々と面倒臭い。まあ、全て自分でばらしているわけだが。

「ああ、やっぱりあの初音ミクさんですか。やっぱりテレビで見るよりもずっと魅力的ですねえ。
 それにしても貴方のような有名人までこのゲームに参加させられているなんて」
「ええ!どうして私が有名人って事を!……あっ!自分で言ってた!策士だ!謀られた!」
ミクは悔しそうに地団太を踏んだ。

なんというか……この女性はどうも変な人みたいですねえ。策士だ!ってあんた……
いったい誰に対して言っている言葉なんですか。できる夫はミクを見て、苦笑いした。
36できる子とアホの子 ◆N2K943LWJ1Uz :2009/12/16(水) 15:56:09 ID:siRiwSeL

「そ、そんな事よりできる夫さん、どうするつもりなんですか? これから……」
「さあてどうしましょうか。とりあえずこの島から脱出出来さえすれば私達の勝ちなんですが、
 そのためには首輪を外して、この孤島から脱出する手段を用意しなければなりません。
 どっちもどんな風にすればいいのか皆目見当がつきませんねえ。ははは」
あっけらかんと、できる夫は笑った。ミクは不安そうにしている。

「笑ってる場合じゃないですよ……どうするんですか死んじゃったら。死んじゃったら、あの……アレですよ。
 死ぬのは嫌ですよ。死んだらもう生きられないんですよ!死んだら死亡します!」
「ちゃんと頭で考えてから喋りましょうよ。ミクさん、ちょっと日本語がおかしな事になってますよ」
できる夫はミクの言葉に噴き出し、そしてやんわりと指摘した。

できる夫の言葉に、ミクはまたぽかんとした。ミクの言葉のおかしさを指摘したできる夫の方が、逆におかしな目で見られている。
「お、おかしな事って……いったい何を。……あっ!そうですか!
 死んだらもう生きられないってところですね?できる夫さんは輪廻転生という
 あのよく分からないアレを信じていらっしゃるんですか?私はアレはよく分からないです!未知ですね!」
予想外な事に、素の表情で質問してくるミクに、できる夫は驚いた。
「いや、その部分はギリギリおかしくないですよ。何当り前の事を言ってるんだって感じですが……。問題はその後ですよ」
「その後、確か……私、死ぬのは嫌って言いましたよね……まさか、まさかできる夫さんは自殺志望者でしたか!?
 死ぬのが嫌ではないんですか!嬉しいんですか!怖い!悪魔です!」

(なんなんでしょうか。この子、やっぱり本当にアホなんでしょうか。悪魔です!って……あんた……
 さすがにこれほどの変人っぷりは想像していませんでしたよ)
相変わらずできる夫は柔和な笑顔を浮かべていたが、ミクができる夫を見ながら悪魔です、悪魔です、
と言って心底怖がる様を見て、正直、かなり焦っていた。

「いやいやいや、そこじゃないですって。私は自殺志望者ではありません。それに悪魔でもありません。
 その後ですよ。『死んだら死亡します』ってどう考えても日本語でおkじゃないですか」
「日本語でおk……だったらOKじゃないんですか?」
「ああ、すいません。ネットのスラングには詳しくないようですね……
 だから要するに、『死んだら死亡します』という言葉使いは、日本語として間違っているのでは?という事を言いたいんです」
ミクは驚いた顔をしている。そして微妙に顔を赤らめている。どうして言葉使いの誤りを指摘しただけで顔を赤らめるんだ。

「え、えっと……どの辺がおかしいですか?私はそれはおかしくないところで、おかしいところは全くないと思ってるんですけど……」
「同じ意味の言葉を二度重ねて言ってるじゃないですか。それは重言といって、一般的に好ましくない語法なんです。
 死んだら死亡しますなんて使い方は普通しません」
ミクは頭を捻って、できる夫が言った言葉の意味をかみ砕いて考えているようだ。
やがて理解するのを諦めたのか、不思議そうな顔をできる夫に向けてきた。

「あの……今更ですけど……そもそも私、そんな事言いましたっけ……?」
「え? 何をですか?」
「死んだら死亡しちゃうなんて、私言ったっけかなあ……なんて。できる夫さんは記憶喪失なんじゃないんですか?」
できる夫は都合のいいミクの記憶力の悪さに戦慄した。しかも、人を勝手に記憶喪失扱いしやがった!

「ああ……ま、まあいいですけどね。どうせ些細な問題ですし……」
「そうですよね。私は些細な問題である事は当り前で、問題にすら私はならなかったと私は思いますよ。
 でもできる夫さんがいい人っぽい事なのは事実で、今のやりとりでなんとなくそうだと分かったような気がします!
 面倒見がいい方ですね!メイコさんを私に思い出させます!そうでした!そんな事より脱出ですよ!
 できる夫さん!日本語の話はもういりません!」
37できる子とアホの子 ◆N2K943LWJ1Uz :2009/12/16(水) 15:59:09 ID:siRiwSeL

(そうでした!そんな事より脱出ですよ!ってあんた……いきなり話題変え過ぎでしょう、この子。
 なんというか、想像以上におかしな女性のようですね……容姿が可愛いだけに、かなり衝撃的ですよ……
 いい人だと認めてくれたのは嬉しいんですが。どうやら信用して貰えたようですしね。
 でも、なんだかこの人は、優しくしてくれるならどんな人でも信用してしまいそうな雰囲気がありますが……)

「私はできる夫さんは私より頭がいいと私は予想しています。私、殺し合いなんてしたくない。
 死ぬよりも嫌かもしれません。そんな私を助けて欲しいんです。早く脱出するための事をしていきたいんです。
 勿論協力だって惜しむ事はしませんよ?」
できる夫は少し考えて。
「そうですね。私もミクさんと同じように殺し合いなんて絶対にしたくはありません。
 ミクさんを助けたいとも思っていますよ?しかしですね、今の段階では情報が少なすぎて、脱出など出来る筈がないんです」
「そんな…………私は無理でしたけど、できる夫さんはできると思っていたのに……」

「いえ、私を嘗めないでください。私は名前の通り出来る男ですよ!脱出だって時間をかければ出来ます!」
ミクの悲しげな表情を見るなり、なんだか自分がとてつもなく悪い事をしたように思えて、できる夫は慌てて前言を撤回した。
「本当ですか!」
そして、ミクの弾けたような笑顔を見ると、できる夫の顔も同じように綻ぶのだった。

(ううむ、それにしてもさすがは初音ミク。可愛いですね〜。アホですが。
 それにしても、やっぱり可愛いからでしょうか。なんというか、ペースを乱されているような気が……
 これだから私は……。暴虐武人なやる夫君を見習わなければ……))

「本当ですよ!大船に乗ったつもりでいて下さいね!」
「あはははは!できる夫さん、そこは大船ではなく泥船ですよ!できる夫さんも人の事言えないじゃないですか!」
「…………いや、そこは大船であってますよ。泥船だと意味が全く変わります」
「ええ!?私、大船なんて聞いた事ないですよ?泥船に乗ったつもりで着いて来い!みたいなのは聞いた事がありますけど」
「…………」
(彼女の情報源はかなり偏っているようだ……)

できる夫はふと、ある事を思い出し、口を開く。
「そういえばミクさん。貴方がさっき口走ったメイコさんと言うのはもしかして、名簿に載っているMEIKOという方の事でしょうか?」
「ええ!私、名簿なんて怖くて見てないですけど、メイコさんまでこれに参加させられているですか!そんな、そんなの嫌!」
頭を抱え、蹲って恐怖するミク。やっぱりこの人は名簿を見ていなかったわけか。
慌てるのはとりあえず名簿に目を通してからにして欲しいものだ。
「とりあえず、怖がる前にこれで確認してみて下さいよ」
少しだけ涙目になっているミクの可愛さについついにやつきながら、できる夫は名簿を手渡した。
できる夫から引っ手繰るようにして、ミクは名簿を手に取り、目を通す。しかし、ミクは何故か頭をかしげている。

「できる夫さん、この名簿、なんかおかしい。壊れてますね」
「ああ……名簿を反対向きにしてみて下さい」
できる夫はミクの持っている名簿を上下反転させた。ミクは自分の失敗を理解して、顔を真っ赤にさせている。
「ち、ちがうんですよ!これはユーモアです!面白かったでしょ!?」
「ええ、面白いですよ。分かりましたからさっさと名簿を確認して下さい。(面倒臭い人だなあ)」

ミクは恥ずかしそうにしながら、改めて名簿に目を通した。
「そんな!運がなかったのは私だけかと思ったのに!本当にメイコさんが参加してるじゃないですか!
 カイトさんもレン君、リンちゃんとルカさんがいますよ!?そんなぁ……残酷すぎるよ、ケツミルデス……」
「ケツ掘るデスですね。見はしません。それくらいちゃんと覚えておきましょうよ。彼らはミクさんの友人か何かですか?」
ミクは涙をためて、できる夫の問いに頷いた。
「そうです……とっても仲のいい家族みたいなものです。みんながもし死んだら、私は生きていけませんよ……
 私一人だと、アイドル歌手は無理です……私、頭がアホですから」

(自覚はあるのか……)
できる夫は青ざめた。自覚があるのなら、何とかしようとは思わなかったのだろうか。
それにしても、テレビを見る限りではまさかミクがこんな人だったとは思わなかった。
38できる子とアホの子 ◆N2K943LWJ1Uz :2009/12/16(水) 16:00:15 ID:siRiwSeL

「できる夫さん、私は見ての通りアホですから、一緒にメイコさん達を探してくれませんか?」
ミクが縋るような眼でこちらを見てくる。そんな彼女を見て、できる夫は顔を赤くした。
とっさにミクから顔を背ける。

(くぅぅ……さすがはトップアイドルですね……たまりません、たまりませんねえこれは……!)
ミクの目が届かない角度で、できる夫はにやにやとした。
「心配しないで下さいミクさん。勿論手伝いますよ。沢山の仲間を集める事は脱出するにおいて重要ですからね。
 さっきも言った通り私達には脱出するための情報が圧倒的に不足しています。
 ですが、仲間を沢山集めていけば、それと同時に情報も集まってくるでしょう!」
「ああ、ほんとに有難うございます、できる夫さん!きっとこのゲームで唯一で最後の幸運は、
 できる夫さんみたいないい人に出会えた事だと私は思うんです!」
「いや、最後の幸運って……不吉な事を言うのはやめましょうよ……」
「不吉じゃありませんよ!幸運です!できる夫さん、頼りにしてますからね♪」

とびきりの笑顔でミクはそう言ってくれた。もしかすると、女の子にこれだけ頼りにされたのは初めてかもしれない。
ミクのこの一言で、できる夫の心に火がついた。絶対に、絶対に殺し合いをぶっ壊してやるぞ!

「任せておいて下さい!ミクさん!この完璧超人できる夫!殺し合いなんて絶対に許しません!」
「はい!私もアホですけどアホはアホなりに頑張ってできる夫さんを手伝ったり応援したり歌を歌って応援したり出来たらいいと思います!」
 まずはさっき作った私達の応援ソングを歌ってあげます!」
そう言ってミクは歌い始めた。「えっ!ちょっと歌うってあんた!」できる夫は慌ててミクを止めようとしたが、遅かった。
39できる子とアホの子 ◆N2K943LWJ1Uz :2009/12/16(水) 16:01:16 ID:siRiwSeL


  /^7_     wM --‐‐‐ '´  ̄ ヽMw_ 
  ,' / /   / /, /"ヽ   ヘ \ \  聞いていて下さいね!できる夫さん!
  |   //ヘ /  〃 /     \ |  ヽ ヽ  ヽ 
  |  / //   〈   | /    ヽ! \|  〉  |  ボッコボコにしてやんよ〜♪
  |  /  |    |  ! ●     ● !  i|   | 
  L 」    !    !  ⊂⊃     ⊂⊃  i!   ! 
  ヽ ヽ  !   ∧ 人   l ̄ ̄l   人 ∧   !  
   ヽ ヽ |  〈 V  >|__|<  V 〉  |  
     i⌒ヽ⌒ヽ ̄入/ 〔::〕 \人   |   !   
     ヾ ._)__ノ_::/|    /::ヽ{二}|:::.\ 从人  
       \_)   !    i:::::::i   !:::::::.\    
              / = >< = \:::::::.ヽ 
           〉 _/..::::::..\_ 〈 Y´  )
           〈」_」_」_」_」_」〉 、 '´ 
             i    八   i
             ヽ__ノ  ヽ__ノ


       ____
    /      \    
   / ─    ─ \    (歌うのは危険だからやめろって、一番最初に言ったのに…………
 /  (●)}ili{(● )::::::\     
 |       __´___ ::::::::::::::|   覚えてないのか?それとも聞いてなかった……?
 \    `ー'´ ::::::::::: /
,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノ゙-、.    ちくしょう、可愛いけどどうも厄介な人だな……疲れる……)
:   |  '; \_____ ノ.| ヽ i
    |  \/゙(__)\,|  i |
    >   ヽ. ハ  |   ||


【一日目/深夜/G-3】
【できる夫@やる夫スレ常連】
[状態]:健康
[装備]:槍
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本:この島から脱出する
1:知り合いを探しつつ、情報収集
2:ミクさんの歌をやめさせなければ……

【初音ミク@ボーカロイド】
[状態]:健康、熱唱中
[装備]:ボーガン(残り矢数不明)
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本:この島から脱出する
1:知り合いを探す
2:私、きっと一人だと何もできないだろうなあ…
40 ◆N2K943LWJ1Uz :2009/12/16(水) 16:02:40 ID:siRiwSeL
投下終了。最近暗い話しか書いていないので、たまには明るい?話を…
41 ◆5ddd1Yaifw :2009/12/16(水) 20:58:18 ID:5UnWzMnl
投下乙です。
<NIKU氏
呂布強ええ。それに戦闘描写うまいなぁ…
<N2K9氏
ミクが可愛すぎるんですが。実にすばらしい。

文章練習ロワ第六話投下します
42Fight bravely to the despair ◆5ddd1Yaifw :2009/12/16(水) 21:00:19 ID:5UnWzMnl
西洋風の街並みの中に一人の少年がいた。長いモミアゲが目立つ少年だ。
少年――鳴海歩の行動は迅速だった。即座に名簿をチェック。その後に支給品の確認。
入っていたのは銃、自転車、六角形の金属の物体。
銃を腰に差してそれ以外をデイバックにしまう。
そして、歩きだそうとした時、

「動かないで!!」

突如街並みに響く声。
歩がゆっくりと振り返ると藤色の長い髪の少女が銃を構えて立っているではないか。
普通の人なら震える。銃を構えられて平然とする人がいるわけが……

「その腰にある銃を置いてもらおうかしら」

いた。
歩には全くおびえる様子が無い。
それどころか軽い笑みを浮かべながら腰に差していた銃を引き抜いて少女に構えた。

「ちょ!!置いてって言ってるでしょ!!撃つわよ!」

平然と笑みを浮かべている歩に驚いているのか少し声が上ずりながらも言葉を放つ少女。

「いや、あんたは撃てないさ」
「はぁ?」
「笑えることにこういう命を懸けたゲームは初めてじゃないんだ。
 その経験からしてわかることがある。あんたはそれを使うことを怖がっている」
「!?」

図星だったのか、驚きの表情を少女は見せる。

「結論から言うと、俺は乗ってない。安心して銃から手を下ろすといいぞ」

歩が銃をおろすのと同時に少女も銃をおろす。

「あんたもし私が無差別に人を殺すような極悪人だったらどうするつもりだったのよ!
 もしかしたら死んでたかもしれないのよ!
 それに、どうしてそこまで落ち着いていられるのよ!」
43Fight bravely to the despair ◆5ddd1Yaifw :2009/12/16(水) 21:01:16 ID:5UnWzMnl

少女は今まで溜め込んでいた心の内を吐き出すかのように捲くし立てる。

「さっきも言っただろう。聞いてなかったのか?
 笑えることにこういう命を懸けたゲームは初めてじゃないんだ。
 それにいきなり撃たないって時点で無差別に殺してる奴じゃないってわかる」
「っ!確かにそうだけどさぁ……」

相変わらず流暢に喋る歩。
少女に言い聞かせるかのように。

「それに、あんた手が震えてたぞ?そんなんじゃ当たるものも当たらない。
 撃ったとしても間違いなく明後日の方向に飛んでたな」
「うるさいわよ!!しかたないじゃない、こんな状況で震えないほうがおかしいわよ!」

まったくもって正論である。
そんな掛け合いをしていた時。

「俺も混ぜてもらっていいかな?あ、もちろん俺もこんなゲームには乗ってないよ」

今度は家の影から現れた眼鏡の少年が現れた。
少女はびっくりしているようだが、歩はまったく驚く素振りすら見せない。

「ああ、いいぞ。ちょうどこいつと情報交換しようと思っていたところだからな。
 俺は月臣学園高等部一年、鳴海歩。あんたは?」
「おいおい、いきなりこんな風に出てきたのに怪しいと思わないのか?」

この眼鏡の少年が言うことももっともであるのだが。

「そんな風にいちいち怪しがっていたら人を信じることなんて到底出来ないぞ?
 この島では信じることってのは一番重要なんだしな。
 第一、本当に怪しい奴は自分で怪しいなんて言わない」
44Fight bravely to the despair ◆5ddd1Yaifw :2009/12/16(水) 21:02:05 ID:5UnWzMnl

再び流暢に言い聞かせるように喋る歩。
眼鏡の少年も少女もあきれ返っている。

「っは……ははははははははは!!!おもしろい奴だな!!
 それにどうしようもないくらいお人よしだな、稟みたいだ。
 ……俺は私立バーベナ学園二年、緑葉樹。そこの御嬢ちゃんは?」
「誰が御嬢ちゃんよ!調子狂うわね……私は光坂高校三年、藤林杏。
 一応あんた達より年上なんだから!」
「さて、緑葉に藤林、情報交換でもするか。
どっか手ごろな民家にでも入るか」

【D-01/一日目・深夜】
【鳴海歩@スパイラル ?推理の絆?】
[状態]:健康
[装備]:S&WM686 Plus(7/7)
[道具]:支給品一式、ソードサムライX @武装錬金、ハヤブサ号@スパイラル・アライヴ
357Magnum予備弾63

[思考・状況]
基本:この島からの脱出
1 藤林、緑葉と情報交換
2知り合いとの合流

【緑葉樹@SHUFFLE!】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3

[思考・状況]
基本:この島からの脱出
1 藤林、鳴海と情報交換
2知り合いとの合流

【藤林杏@CLANNAD】
[状態]:健康 、少しイライラ
[装備]:LAR Grizzly(8/7+1)
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜2、予備マガジン×4

[思考・状況]
基本:この島からの脱出
1 緑葉、鳴海と情報交換
2知り合いとの合流

【S&WM686 Plus】

1980年にS&W社が開発した回転式拳銃。

【ハヤブサ号@スパイラル・アライヴ】
第22話で結崎ひよのが関口伊万里に貸した自転車。

【ソードサムライX @武装錬金】
早坂秋水の武装錬金。特性は、刀身で受け止めたエネルギー(及びエネルギーによって生じた衝撃)をアースのように吸収し、下緒の飾り輪から放出するというもの。

【LAR Grizzly】

1983年にアメリカのLAR社が開発したマグナムオート。
ちなみに、今回支給されたのはデザートイーグル用に開発された.50AE口径モデルのバリエーションである。
45 ◆5ddd1Yaifw :2009/12/16(水) 21:04:15 ID:5UnWzMnl
投下終了。
みんな速筆だなぁ…
46 ◆8O1KjWVWVU :2009/12/17(木) 00:12:19 ID:2ok+amjV
>錆付いた歯車
うお、オッサン良いキャラ。やっぱいいセンスだ。応援してるぞ。
>三国最強呂奉先
朱拠…職人が逝ってしまった…そして呂布は何処であろうとチートだなwww
>できる子とアホの子
ミクかあいいwwwできる夫はまともだな、AAの中では
>Fight bravely to the despair
スパイラル最近そういや良く出るなぁ。しかしこの対主催は頑張ってほしいなぁ…
創発ロワ第4話「難解なバトロワ」
登場人物
柊眠兎、吉良邑子、真田基二郎
投下します。
47 ◆48CI6tENdQ :2009/12/17(木) 00:12:59 ID:2ok+amjV
トリ間違えた。こっちだ。
48 ◆48CI6tENdQ :2009/12/17(木) 00:14:09 ID:2ok+amjV

「おーい、台!省!誰か…居たら…居たら返事してくれ!」

夜。何もかも巻き込んでしまいそうな暗闇の中で、真田基二郎はすべてを目覚めさせる様な大声で叫んでいた。
わざわざそんな事をするのは、自らの教え子達の為である。
少し話は離れるが…元々真田は、元から筋入りの教師であった。しかし、その筋骨隆々とした体とはまったく関係なく、担当教科は美術であるが、それは置いておいて。
彼が言う「台」と「省」とは、教え子である、大型台と小型省の事を指す。
二人は仁科学園でもきっての不良であり、此処には呼ばれていないが、仲間の中型那賀と色々悪さをしていたらしいが、教え子には変わりは無い。
―――それに、奴等は暴君の様に目に入った者を脅す訳では無い。
台も省も…いや、この殺し合いに呼ばれている人全員、輝かしい未来があるのだ。
その未来を、無理矢理奪うなぞ、やはり真田は許せなかった。

「おーい…居ないのかー!?二人ともー、誰かー!」

その瞬間だった。
目の前に、仁科学園とは違う制服に身を包んだ少女が現れたのは。

「夜中に近所迷惑って言葉を知らないんですか!?まったくもう」

少女は両手を腰に当て、あからさまに怒る素振りを見せる。
しかし、少女は制服に身を包んでいるとはいえ、そのスタイルは抜群で、一種のコスプレではないか、と思う程それは不釣り合いだった。
真田はそんな彼女に気づくと、謝る素振りを見せながら近づいていく。

「…すまん。人を探していてな。まぁその様子じゃお前も別の学校の生徒らしいが…」

それを聞くと、少女ははっ、と感付いて「では、貴方は人を探していると?」と尋ねる。すると真田は頷き、「あぁ」と返す。

49 ◆48CI6tENdQ :2009/12/17(木) 00:17:35 ID:2ok+amjV
「いやぁ!奇遇ですね!私も実は人を探していまして!」
「…成る程。彼氏か誰かか?」
「いやいやいや!そんな物じゃありませんよ!なんだって…英人様は…『ご主人様』なのですからね☆」
「ご主人様?なんだそれは―――」

その一瞬だった。
少女は忍ばせておいた短剣を抜くと、真田の右胸に目がけ突撃したのだ。
真田はその巨体、そしていきなりの出来事に反応出来ずに、その刃を受け入れた。

「…あ、名前聞くのを忘れてしまいました…まぁいいや。さっ!ご主人様を探しに行こっかな♪」

薄れてゆく視界。自らの荷物を背負い、遠くに消えてゆく少女。
言葉を言っても、出てるかどうかも分からない。
完璧に、真田は死を感じていた。
受け入れがたい物だった。
だが―――油断してしまった自分が悪いのだ…。
あの少女は気が狂っただけなのだ、と真田は自分に言い聞かせ続ける。
…しかし、自らそれをやめると、大の字に体を動かし、朦朧となる意識の中、その目を閉じた。
…真田は、少女の凶刃に倒れ、その命を散らした。
しかし、それが意味があるか否かは分からない。

【真田基二郎@学校を創りませんか?】死亡確認

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

短剣を見る。
血で赤く染まり、未だに血の雫が地面に落ち、消えていく。
それをディパックに入っていたハンカチで拭うと、少女、吉良邑子はにやり、と口を吊り上げる。

「待ってて下さいね、ご主人様…今すぐに、私が向かいますので!」

そう言うと吉良は自らの愛すべき主人に会う為、また夜道を行く。
その足はやけに軽く、そして一度苦痛のまま死を与えられた人とは思えない。
吉良邑子恐るべし。
まぁ、同じ世界の同じクラスの人々は、吉良以上に強い人物ばかりであったが、気にしたら負けである。多分。
【D-3/草原/深夜】
【吉良邑子@自作キャラバトルロワイアル】
【状態】昂揚
【装備】十徳ナイフ@現実
【持物】基本支給品、阪神カラーのハンカチ@現実
【思考・行動】
基本思考:ご主人様を見つけだす。
1、邪魔する人は殺す。
2、銃…欲しいな。
3、クラスメイトは基本殺害。忠信はどうしようかな…
※死亡後からの参戦です。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
50 ◆48CI6tENdQ :2009/12/17(木) 00:18:19 ID:2ok+amjV

「困った事になったなぁ…」

俺はその言葉とともに頭を掻き毟る。
指の間に灰色の毛が挟まる。
そのたびに頭にまとわりつく毛が若干今は腹ただしく思えた。

「まさか本当に殺し合いが始まってるなんて…」

まぁ、正直に言うと、今少し目の前で人が殺された。
でも、殺した女は俺の方を気づいていないらしく、それはラッキーだ。

「まぁだからといってあいつを殺すなんてのは無理なんだがね」

何故ならば。渡された物が…

「…コドモニモドール。飲んだら子供になれる秘薬…。
そしてマジックテープで取り外し可能の首輪に、一冊のタイトル不明な本…どうしろっていうんだ」

―――正直、呆れたというか馬鹿というか…
殺し合いをさせるならば、普通は銃や剣とか、武器を与えるのが普通なんじゃないのか?
…この殺し合いにはあの関村影人だって来てるらしいし、正当防衛をするといっても無理な訳だ。

「はぁ…。せめて…せめて武器があればなぁ…」

今、俺の背中はしゅん、となってるんだろう。おそらくだが。

「しかし、気になる物はある訳なんだけど…」

話を変える様に、俺は支給品の本に手を取る。
本は嫌いな訳じゃないけど、タイトルが潰れて読めない。
それに周りが流石に暗い中、しかも外で読むのは嫌、って事で…。

「近くには…あ、喫茶店があるな。そこにでも行ってみるかな」

…しかし、殺し合いの場にて喫茶店なぞ必要あるのか?…まぁ、良いか。

「まあ良い。とにもかくにも、まずはそこに行こう。話はそれからだ」

そう言うと俺は女と死んだ奴の別の方向へと歩みを進めたのだった。
【E-3/草原/深夜】
【柊眠兎@獣人総合スレ〈難解な日常シリーズ〉】
【状態】若干の戸惑い
【装備】内容不明の本
【持物】基本支給品、コドモニモドール@ロリ騎士シリーズ、マジックテープ式首輪@非リレーバトルロワイアル
【思考・行動】
基本思考:まずは本を読んでからだ。
1、てか、この首輪を取りたいなぁ…
2、関村影人に注意。
3、正当防衛はする予定。無理だろうけど。
※第七話、教室に閉じ込められている時、樫村から実験の全貌を聞いた直後からの参戦です。

51 ◆48CI6tENdQ :2009/12/17(木) 00:20:14 ID:2ok+amjV
支給品紹介

【十徳ナイフ@現実】
ナイフ、ハサミ、筆記用具、ペンチ等、十つの機能を一つにまとめた文明の利器。
【阪神カラーのハンカチ@現実】
阪神カラー(黄色と黒)のハンカチ。
【コドモニモドール@ロリ騎士シリーズ】
飲んだら自分の体が子供になってしまう薬。作中では国王が使用し、自身の体を小さくした。
今回効果時間は限定されている。
【マジックテープ式首輪@非リレーバトルロワイアル〈ドキッ!男だらけのバトルロワイアル〉】
首輪の解除は任せろーバリバリと、解除された首輪。
誰かの首に巻き付ける事が可能で、禁止エリアに入ると爆発する。
そのマジックテープをバリバリと剥がせば、解除可能であるが、見た目は本物の首輪そっくり。
  

投下終了。
ペースを上げなきゃな
52創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 01:10:19 ID:rvheJE1y
投下乙ですー
吉良さん怖いなあ
そしてまさかのマジックテープ首輪支給wwww
53 ◆6LQfwU/9.M :2009/12/17(木) 14:12:57 ID:8FjqYcrH
インフルエンザに罹ってしまったので、治るまで投下は停止いたします…
54創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 14:17:48 ID:ikwGGou1
投下乙です
ドキロワからの支給品が真面目に嬉しいです

>>53
お大事に
55創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 19:07:12 ID:mMPN55hq
真田先生…普通の教師にはきつい環境だったか。
でもロリコンの異名を持ち時間と重力を自在に操る美術教師の方の
真田先生がでなくて安心したw
56 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/18(金) 00:35:34 ID:NCGmHxxW
投下乙です。吉良は相変わらずかwしかし英人がいないからどうなるのか?
獣人好きな俺にとって獣人総合スレのメンバーは気になる所。
では俺も投下します。個人趣味ロワ第16話「刈割」
登場:神田修次、最上佳奈
57 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/18(金) 00:37:04 ID:NCGmHxxW
16話「刈割」

くそっ、有り得ない。
俺、神田修次は昨日は家でいつも通り眠ったはずなのに、目が覚めたら殺し合いだなんて。
俺はただの高校生だぞ? 戦闘員でも何でも無いのに。
首には爆薬が入っている物騒な首輪まではめられて、地図やら食糧やらが入ったデイパックも渡されて。
最悪だ。悪い夢なら今すぐに覚めてほしい。
でも、夢じゃ無いんだよな……結構近くで男の首輪が爆破されるのを、人が殺される光景を見たんだし。
鉄錆臭い血の臭いだって、間違い無くリアルだった。

周囲は今にも倒壊しそうなボロボロの廃屋が何軒も建ち並ぶ廃村。
しかも真夜中とくれば、不気味極まり無い。
まあ、夜空に満月が輝いているから、真っ暗って程でも無いんだけれど。
しかし満月かぁ。狼獣人である俺は気がちょっと昂るなあ。
思いっきり月に向かって遠吠えしたくなるけど我慢だ。
そんな事したら自殺行為だ。もう殺し合いに乗っている奴が何人もいるかもしれない。
おまけに俺のランダム支給品は何とも貧相な火かき棒。
これ、似たような物をじいちゃんの家の焼却炉で見た事あるんだけど。
畜生、あのセイファートとか言う奴、もっとマシな物をくれっつの!
だがまあこれでも何度かブッ叩けば殺す事は出来るか?

名簿を見たけど俺の知り合いはどうやら一人もいない。
なら、優勝を目指すのも大いにアリだ。
しかし、もうちょっとまともな武器が欲しいよな。

「お、第一村人……じゃない、第一参加者発見」

前方をとぼとぼと歩く鮫獣人の女の子を発見した。
どうも俺の通う学校とは違う学校の制服を着ているみたいだ。
俺には気付いてないな。よし、殺るか!
俺は火掻き棒を構えて、一気に女の子に走って近付いた。

「えっ!?」
「死ねっ!」

女の子が気付いたが、関係無しに火掻き棒を振り下ろす。
58刈割 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/18(金) 00:38:12 ID:NCGmHxxW
「痛いっ! 痛い痛いよ! やめて!」

女の子の頭から血が流れるが、ここで躊躇しては駄目だ、もう後には引けない。
俺は泣き叫び地面に蹲る女の子を無視し何度も火掻き棒で殴打し続けた。

「やめてえええ! 痛いよおお!」

頭を両手で保護しながら必死に耐える鮫獣人の女の子。
この火掻き棒では殺すには相当な数叩かなければならないだろう。
最初は躊躇無く殺すつもりだったけど、泣き叫ぶ女の子を見て段々罪悪感が湧いてくる。
いや、駄目だ。甘い考えは捨てるんだ。だけど火掻き棒じゃ威力不足だ。

「ぎっ!?」

俺は火掻き棒を地面に捨て、女の子に馬乗りになり、両手で思い切り首を絞めた。

「あ゛あ゛っ、く、苦しいよぉ……死にたくないよぉぉ……」

女の子は首を絞める俺の両腕を引き離そうと必死に抵抗するが、
恐らく力を入れているのだろうが全く通用しない。
そうしている間にも俺は女の子の首を絞める力を強める。

尚も首を絞め続け、数分後に、鮫獣人の女の子は動かなくなった。
細く開かれた目の瞳は虚ろで、口からは泡を溢れさせている。
俺は……遂に、一人殺した……!

「ハァ、ハァ、もう、戻れないな」

この名も知らぬ女の子には悪い事をしたとは思うが、
こうしなければ生き残れないゲームなんだよな。本当に御免よ。
俺は女の子の持っていたデイパックを漁り、中から水と食糧を引き出し、自分のデイパックに押し込む。
そしてランダム支給品を探すと、食べると傷と体力が癒えるという薬草が詰まった袋と、
投げると相手の動きをしばらく封じ込める事が出来るという蜘蛛糸玉を三つ手に入れた。
武器では無かったが、とりあえず役に立ちそうな物で良かった。

「……御免。マジで御免」

謝って許される事じゃ無いって事は分かっている。けど謝らずにはいられなかった。
地面に横たわる鮫獣人の女の子の死体に後ろ髪を引かれる思いだったが、
俺は火掻き棒を拾いデイパックを背負うと、その場を後にした。



【最上佳奈@オリキャラ  死亡】
【残り  44人】
59刈割 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/18(金) 00:40:32 ID:NCGmHxxW
【一日目/深夜/H-1廃村】

【神田修次@オリキャラ】
[状態]:健康、罪悪感
[装備]:火掻き棒@SIREN
[所持品]:基本支給品一式、薬草@オリジナル(残り50枚)、
蜘蛛糸玉@オリジナル(3)
[思考・行動]:
0:優勝を目指す。他参加者を殺す。
1:次はどこへ行こうか……。
2:もっとマシな武器が欲しい。



※H-1廃村に最上佳奈の死体とデイパックが放置されています。
最上佳奈のデイパックの中身=水と食料無しの基本支給品



≪オリキャラ紹介≫
【名前】神田修次(かみだ・しゅうじ)
【年齢】17
【性別】男
【職業】高校生、ガソリンスタンドのバイトをしている
【性格】明朗活発
【身体的特徴】銀色と薄い灰色の狼獣人。引き締まった身体付き
【服装】学校の制服である紺色のブレザーと灰色のズボン
【趣味】ゲームセンター通い
【特技】スポーツ万能
【経歴】中学時代は野球部エースだったが高校になってからは帰宅部
【備考】名字を「かんだ」とよく読み間違えられる

【名前】最上佳奈(もがみ・かな)
【年齢】18
【性別】女
【職業】高校生
【性格】優しい、努力家
【身体的特徴】青い鮫獣人。尖った耳がある。ナイスバディでとても可愛らしい
【服装】学校の制服であるカーキ色を基調としたセーラー服
【趣味】自宅の花の世話
【特技】手先が器用
【経歴】両親と妹がいる普通の家庭で育つ
【備考】卒業までに処女を卒業したいと思っているらしい
60刈割 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/18(金) 00:42:32 ID:NCGmHxxW
≪支給品紹介≫
【火掻き棒@SIREN】
火の周り具合を調節するのに使う長い金属製の細い棒。
ゲーム中においては主人公・須田恭也がかなり終盤まで主力武器にしていた。
もっと他に武器になりそうな物があるような気がするが。

【薬草@オリジナル】
様々なRPGに登場する回復アイテムの代名詞とも言える存在。
本ロワに登場する物は50枚の葉が布袋に押し込められている。
食べると体力が若干回復し、傷も軽い物なら治癒が早くなる。
厳密にはオリジナルでは無いかもしれないが、一応オリジナル出典とする。

【蜘蛛糸玉@オリジナル】
蜘蛛型モンスターの吐き出す糸を加工し、投擲出来るようにした物。
投げると相手に糸が絡み付き、身動きを取る事が困難になる。
61 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/18(金) 00:45:09 ID:NCGmHxxW
投下終了です。
62 ◆YcpPY.pZNg :2009/12/19(土) 00:31:35 ID:/2J025dE
物凄く久し振りなところでいきなりですが、お気に入りキャラロワに参加者を追加したいと思います。

【仮面ライダー剣】5/5
剣崎一真/橘朔也/上条睦月/相川始/天王路博史
【2ch・ネタ】4/4
プーチン/イチロー/ローマ法皇/セガール
【仮面ライダーカブト】2/2
天道総司/加賀見新
【Devil May Cry】2/2
ダンテ/バージル

取り敢えず追加するキャラは以上の13名。
何かもう完結できんのかという参加者数に膨れ上がってきましたが、まぁそこは非リレーなので。
ロワも更新できるよう頑張っていきたいと思います。

あと俺キャラロワと男だらけロワの御二人、完結お目でとうございました!
今は忙しくて読む事が出来ませんが、暇が作れたらゆっくりと読ませて貰いたいと思います!
63創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 00:33:58 ID:V3I3z9xf
もう2chネタだけで全滅エンド可能じゃね?
64 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 00:26:07 ID:WA7iWRtd
>>62 プーチン! イチロー! 何てこったww

>>完結お目でとうございました!

ありがとうございます。今の個人趣味ロワも完結目指して頑張ります!

では投下します。個人趣味ロワ第17話「美しき水面」
登場:リュード
65美しき水面 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 00:27:01 ID:WA7iWRtd
17話「美しき水面」

B-2に存在する、綺麗な純粋を湛えた大きな湖。
畔には手漕ぎボートの有料貸出所があり、また、湖の周りに沿うように遊歩道も造られている。
洒落たデザインの街灯でライトアップもされている事から、
元々存在していた湖を、自然公園のように開発したのだろう。
平時は恐らくカップルや老夫婦、家族連れといったそれなりに多くの観光客で賑わっていたのかもしれないが、
現在は虫の音さえ聞こえない深夜、しかも、殺し合いという状況下。
この湖近辺には、人の姿は一人として確認出来ない。

いや、訂正しよう。遊歩道付近に設置された木製のベンチの一つに座り、
湖を眺めている一人の殺し合いの参加者がいた。
青みがかった黒と青の毛皮を持った、雌の獣竜。名前をリュードと言った。

リュードはベンチに腰掛けながら、夜空に浮かぶ満月の光を反射し輝く湖を、
ぼんやりと見つめていた。

「綺麗……」

揺れる水面が光輝くその光景を見て、リュードが感嘆の声を漏らす。
その声は鋭さ、凶暴ささえ感じる外見からは想像つかない程、若々しい、可愛らしい少女の声音だった。

彼女はとある極秘機関の研究施設で創造された生体兵器だった。
故に、生まれた時からそのほとんどを施設内の特別保育区画で過ごしてきた。
監視カメラと頑強な壁、天井、扉によって厳重に監視、管理されていたリュードは、
現在見ているような「美しい自然の光景」を間近で見た事が皆無だったのだ。
彼女が見ていた物は殺風景かつ無機質な研究室、実験室、自分の部屋。
たまに青空の見える外に出して貰える事もあったが、そこは高圧電流が流れる鋼鉄製のフェンスに囲まれ、
アサルトライフルを装備した警備兵が常駐する見張り台が幾つも存在し、更に何も見えないように見える空には、
極秘機関独自開発の不可視電磁バリアーが展開されていると言う、解放感とは程遠いものだった。

それ故、リュードにとって、目の前に広がる景色は非常に目新しく、美しく、感動的なもの。
いや、研究員も、警備兵も、フェンスも監視カメラも何も無い、「自由に自己意思で行動出来る状態」は、
彼女にとって何物にも代え難い感動であった。

「……殺し合い、かぁ」

リュードは自分の首にはめられた、金属製の首輪に触れ、その冷たく硬い感触を再確認する。
66美しき水面 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 00:28:04 ID:WA7iWRtd
突然、何の前触れも無く、自分はいつもの保育室では無く、大勢の人々、
しかも明らかに研究員では無い普通の人々が大勢いる知らない大きな部屋にいた。
そして現れたセイファートと名乗る、黒い服を着、黒と白の毛皮を持った狼獣人の女性が、
「最後の一人になるまで殺し合え」と、殺し合い――バトルロワイアルの開幕を宣言したのである。
当然人々は抗議したが、リュードは特に何かを言う訳でも無く、
ただ、周囲の様子や、セイファートの様子を見回すだけだった。

その途中で、リュードは自分と容姿が良く似た雌獣竜の姿を発見する。
いや、毛皮の色が自分と色違いなだけで、後は全く一緒であった。
角の形状、しなやかに見え強靭な筋肉で覆われた肉体、形の良い乳房、長い尻尾、猛禽類のそれのような翼。
色が異なるだけで、全て自分の身体的特徴と酷似、いや、瓜二つ。
そう言えば、以前、研究員が話しているのを聞いた事がある。
自分と同様のコンセプトを用い、自分の妹にあたる生体兵器のセカンドタイプを開発している、と。
もしかしたら、あの自分と瓜二つの雌獣竜がそれなのかもしれない。

だがその思考は、突如人々と自分の首に金属製の首輪が出現した事により中断される。
そして、一人の人間の若い男性が、首輪を爆破され、殺された。
リュードは特に戦慄する事も、悲鳴をあげる事も、気分を悪くする事も無かった。
リュードと瓜二つの雌獣竜も同様だった。



「んー……どうしようかな。殺し合い……」

そして今、リュードは思考する。この殺し合いにおいて、自分はどう動くか。

「そう言えば支給品、私は何が支給されたんだろ」

まだ支給品の確認を行っていなかった事を思い出し、自分の傍に置いていたデイパックを開ける。
そして中から出てきた二つのランダム支給品。
一つはFNミニミ。ベルトリンク給弾方式の軽機関銃。
そしてもう一つはFIM‐92スティンガー。最大射程は4000Mにも及ぶミサイルランチャー。
どちらも対人兵器と言うには明らかにオーバースペックな代物である。

「おー。これはアタリだね」

そう言ってリュードは弾薬帯が収納されたケース付きのFNミニミを、片手で軽々と持ち上げる。
軽機関銃とは言え、7sもの重量があるのだが。
細く、華奢にも見える肉体からは想像出来ない程の筋力が彼女にはあるようだ。

「ミサイルランチャーは、予備の弾が少ないなぁ。ミニミを主力にしよう。こっちは予備弾も多いし」

FIM‐92スティンガーをデイパックの中に押し込み、ミニミを装備する。
そして再び、自分がこの殺し合いにおいてどう行動するべきか考え始める。
リュードは開催式の時に発見した、自分と瓜二つの雌獣竜の事が気になっていた。
彼女は一体何者なのか、それが知りたかった。
名簿を開いて見る。すると、一番最後の「レオーネ」という名前だけがやけに気になった。
67美しき水面 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 00:29:38 ID:WA7iWRtd
「……」

確証は無い。何の確証も無いが、あの自分と瓜二つの雌獣竜はこの名前だと思った。

まずは彼女を探す事にして、ならば、他の参加者についてはどうするべきか?
正直に言って、全く見ず知らずの人間や獣人達を助けようとは思わない。
だが、かと言って、進んで彼らを殺しに行く気にもなれない。
リュードは生体兵器として戦闘訓練や強化訓練を何度も行ってきたが、
性格そのものはいたって温厚で、むしろ争いは好まなかった。
勿論、殺せと指示されれば、しっかり殺す。その際に、特に躊躇や後悔と言った念は無い。
だが、今現在、自分に指示を送る者もいない。

「殺し合いに乗っている人だけなら、殺しても大丈夫かな」

この殺し合い、ゲームに乗る者もいれば、恐らく乗らない者もいるだろう。
もしかしたら、泣き叫んで助けを求める人も大勢いるかもしれない。

「……よし」

リュードの行動方針は決まった。
自分と瓜二つのあの紫がかった黒と赤の毛皮を持った雌獣竜――恐らくレオーネという名前――を、
探し出す。その道中、殺し合いに乗っている者は殺し、乗っていない者は放っておく。
行動方針が定まった所で、リュードは再び湖の方へ向き直す。
相変わらず、満月の光が湖の水面に反射しキラキラと輝いている。

「……もうちょっと、見ていこう」

リュードはミニミとデイパックを傍らに置き、ベンチに腰掛け、再び湖を眺め始めた。


【一日目/深夜/B-2湖】

【リュード@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:FNミニミ(200/200)
[所持品]:基本支給品一式、5.56o×45o200発金属リンク(10)、
FIM‐92スティンガー@自作キャラでバトルロワイアル(1)、70oミサイル(5)
[思考・行動]:
0:「レオーネ」と思われる自分と瓜二つの雌獣竜を探す。
1:殺し合いに乗っている者は殺し、乗っていない者は放っておく。
2:もう少し湖を見ていく。
[備考]:
※自分と瓜二つの雌獣竜(レオーネ)の名前を直感的に探り当てました。
68美しき水面 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 00:30:48 ID:WA7iWRtd
≪オリキャラ紹介≫
【名前】リュード
【年齢】不明(精神年齢20代前半)
【性別】女
【職業】生体兵器
【性格】温厚だが、殺人に対する忌避感は皆無
【身体的特徴】青みがかった黒と明るい青の毛皮を持った直立二足歩行の獣竜。
身長は206pと長身。よく引き締まった、魅力的な身体付き
【服装】全裸(服を着るという概念が無い)
【趣味】読書
【特技】翼を使っての飛行、本能的に仕込まれた格闘術(柔道、空手他)、銃火器の扱い
【経歴】日本風国家内のとある極秘生体兵器研究施設で生み出された。
同様のコンセプトで生み出された「妹」に当たる存在がいるが、
彼女は認知していない。「リュード」はコードネーム
【備考】敵とみなした相手には容赦無く、原型を留めぬ程にまで破壊する


≪支給品紹介≫
【FNミニミ】
1974年に完成した分隊支援火器。非常に軽量かつ完成度が高く、
米軍や自衛隊を始め世界各国の軍隊で制式化されている。
ミニミとはフランス語の「mini-mitrailleuse(小型機関銃)」の略。

【FIM‐92スティンガー@自作キャラでバトルロワイアル】
1978年に米軍制式となった携行地対空ミサイル発射器。
出典元の自作キャラでバトルロワイアルでは本ロワの参加者の一人でもある、
男子二十六番:森屋英太に支給され、後に男子十九番:玉堤英人の手に渡った。
69 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 00:34:27 ID:WA7iWRtd
投下終了です。
70 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 15:26:42 ID:WA7iWRtd
個人趣味ロワ第18話「野良ミャオ」投下します。
登場:ドーラ・システィール、春巻龍
71野良ミャオ ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 15:27:39 ID:WA7iWRtd
18話「野良ミャオ」

チッ、一体どういう事なんだい、殺し合いって。
アタシ、ドーラ・システィールは自分の部屋でいつも通り眠ったはずなんだけど、
目覚めたら妙なウルフリングの女が主催の殺し合いとやらに参加させられていた。
それだけじゃ無い、周りには大勢の人間や獣人がいて、
明らかに戦いとは縁の無さそうな奴がほとんどに見えた。

そして今アタシがいるのは海の見える夜の砂浜。
空には満月が輝いていて、影が出来るくらい明るい。

「最後の一人になるまで殺し合え、ねぇ……酔狂にも程がある」

おまけに首には爆破装置付きの物騒な首輪まではめて。
下手な事すれば、開催式の時のあの人間の男みたいになっちまうって訳か。
ったく、アタシは犬じゃねぇってんだ。首輪なんて……。
まあとにかく、支給品とやらを確認するかね。
地図に、名簿、妙な小さな機械、ランプ、かい? ペンとメモ帳、
これは……水と、パンみたいだねぇ。どっちも見た事も無い入れ物に入っているけど。
それで後は……何だいこれは? 武器……なのか?
説明書が付いているねぇ。どれどれ……。

「ふうん……」

成程、この「自動拳銃」って奴は超小型の大砲って感じかねぇ。
このグリップって所を握って、引き金を引けば弾丸が発射されるって事かい。
これは中々、アタリの武器を引いたみたいだね。
出来ればいつも使い慣れているボウガンが良かったけど。

「!! 誰だい!?」
「うわあ! 待ってちょ! 俺は殺し合いには乗ってないちょ!」

気配を感じ、自動拳銃――H&K USPを構えて振り向くと、
そこにはいかにも貧弱そうな人間の男が立っていた。
アタシが銃を突き付けた事に怯えたのか、男は両手を上げて戦意が無い事を訴える。
72野良ミャオ ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 15:30:50 ID:WA7iWRtd
「う、撃たないでちょ」
「アンタが変な真似しなきゃ撃たないよ。アンタ、殺し合いに乗っていないって言ったけど、
本当かい?」
「ほ、本当だちょ!!」

ふうん、嘘はついていないようだね。まあ、例えついていたとしても、
こんな貧相な男、すぐに締め上げれば終わりだけどね。
アタシは銃を下ろす。すると男も顔に安堵の色を浮かべて両手を下ろした。

「悪かったね。アタシはドーラ・システィール。アンタは?」
「は、春巻龍ちょ」

ハルマキリュウ? 変な名前だねぇ。
まあいいか。見た感じ、連れて行っても完璧に足手纏いになりそうだし、
支給品何持っているのか聞いて、いい支給品だったらブン盗っていこうか。

「リュウ、アンタ支給品は何なんだい?」
「支給品? えーと、ちょっと待ってちょ……」

そう言うとリュウは地面に座ってデイパックの中身を漁り始めた。
呆れたね、こいつまだ自分の支給品を確認していなかったのかい。

「あ、これみたいちょ」

そう言ってリュウは取り出した物は何の変哲も無い鉄パイプ。
うーん、アタシが持っているUSPの方が何倍も良い武器だね。

「分かった。それじゃあ、頑張りな」

アタシはそう言い残しその場を後にしようとした。
これ以上こいつに構う必要も無い。
ところが。

「待ってちょ〜! 置いてかないでちょ〜!」

リュウの奴、アタシの右足にしがみ付いてきやがった!

「離しな! アンタなんかに構ってられないんだよ!」
「そんな事言わないで一緒にいてちょ〜! 死にたくないちょ〜!!」

リュウは泣きじゃくりながらアタシの右足を掴んで離さない。
しかも貧相な身体からは想像出来ないような凄い力だ!
73野良ミャオ ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 15:31:45 ID:WA7iWRtd
「離せ!」
「嫌ちょおおお!!」

アタシは段々苛々してきた。
そして。

「離せっ……て言ってるんだよ!」
「えっ――」

アタシは足にしがみ付くリュウの顔面に銃口を突き付け、何度も引き金を引いた。



「ハァ、ハァ、やっちまったね……」

アタシの足元には、頭部が弾け中身の赤黒い何かが漏れ出した男の死体が転がっている。
殺すつもりは無かったんだけど、余りにしつこかったから、つい。
しかし、この自動拳銃とやらは中々の威力だねぇ。これは使えるよ。
さて、これからどうしようか。名簿を見る限り、この殺し合いにはアタシの上司である、
アイン・マクドガルや、同僚知り合いは一人も呼ばれていないみたいだ。
それなら――殺し合いに乗るのもいいかもねぇ。
別に死ぬのが怖い訳じゃ無いけど、まだアイン隊長の元で働きたいしね。

アタシはリュウの持っていた鉄パイプを拾い上げ、腰布に差し込んだ。
銃の弾丸が切れた時の予備武器にでもしよう。
デバイスで現在位置を確認すると、ここは地図で言う所のC-5砂浜みたいだね。
ここから西南の方向に向かうと市街地があるらしい。
人が集まりやすい場所と言ったら、やっぱり建物が密集する市街地、だろうね。

「それじゃあ、行くとしようかねぇ」

アタシは市街地がある西南方向に向かって歩き出した。



【春巻龍@浦安鉄筋家族  死亡】
【残り  43人】
74野良ミャオ ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 15:33:45 ID:WA7iWRtd
【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康、返り血(少)、市街地方面目指して移動中
[装備]:H&K USP(10/15)
[所持品]:基本支給品一式、USPの予備マガジン(5)、鉄パイプ@SIREN
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り、優勝し、元の世界へ帰還する。
1:市街地へ向かう。
[備考]:
※バド村殲滅作戦以前からの参戦です。


≪支給品紹介≫
【H&K USP】
ドイツのH&K社が1993年に開発したプラスチックフレームの自動拳銃。
USPは「Universal Selfloading Pistol(汎用自動拳銃)」の略。
幾つか口径モデルがあるが、本ロワに登場する物は9o×19o口径モデル。

【鉄パイプ@SIREN】
何の変哲も無い鉄パイプ。リーチと威力が平均的で使い勝手は良い。
ゲーム中においては竹内多聞が使用する。
75 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 15:35:19 ID:WA7iWRtd
投下終了。実は自分、FEDAなんてやった事無いんです。
ただドーラ姐さんが好きだったから出したかっただけなんだ……。
76創る名無しに見る名無し:2009/12/20(日) 15:42:26 ID:ztHWwPN6
投下乙

相変わらずハイペースで死んでくなぁ
77蟹になれたね ◆6LQfwU/9.M :2009/12/20(日) 20:08:48 ID:OkFEl5tO
「…」
ヴァン・ダークホームは考えていた。
開始直後に鎌田吾作に会ったはよかったのだが、すぐに蟹になってしまった。
(まったく…自分だけ蟹になりやがって。どうしようか…)
少しの間。そして…
「ここで考えていても意味は無い。とにかく行動あるのみ、だ」
そう思い、大当たりの支給品であるべんつに乗り込み、走り出すヴァン。


凄いスピードで誰もいない道路を走りぬける。
だがその時!
「!危ないっ!」
道の真ん中に誰かがいるのを感じ、ブレーキを踏みしめる!
だが、間に合わなかった…
超スピードで走るべんつは、道路にいた人…あほこちゃんを轢いていた。
(やってしまったか…すまない。許してくれ)
そう心の中で謝罪し、べんつに乗り込みその場を走り去る…


【一日目/深夜/D-5:道路】


【ヴァン・ダークホーム@本格的 ガチムチパンツレスリング】
[状態]健康、後悔(大)
[装備]:べんつ@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、不明支給品
[思考・行動]:
1:不注意だった…くそっ、何てことだ…
※D5に大きな音が響きました。


【あほこちゃん@板対抗BR 死亡】
死因:轢死

【鎌田吾作@本格的 ガチムチパンツレスリング 蟹化】


≪支給品紹介≫
【べんつ@板対抗BR】
板対抗BR上で最強の近接武器。
攻撃されれば確実に死亡は免れられない。
攻撃力:15
78ゲイ♂パレスの契り ◆6LQfwU/9.M :2009/12/20(日) 20:54:10 ID:OkFEl5tO
「まったく、歪みあるな…そうだろう?カズヤ。」
「ああ、そうだな」
二人で向かい合いながら、灯台の小部屋で話あっているカズヤとビリー。
(これからどうすれば…殺し合いはだらしねぇと皆に説いて回るか?)
とりあえず、この二人はゲームに乗る気はないようだ…


二人は灯台のてっぺんまで来た。
ここなら周りが見える・・・
「ここにいる全員!殺し合いなんてだらしねぇことはやめて、俺たちとゲームを壊さないか?」
カズヤが支給品であるメガホンで叫ぶ。
続けてビリーが、
「そうだ!こんな馬鹿らしいゲームに乗って何になるんだ?一緒にゲームを壊そう!」
と大声で叫ぶ。
「…これで、乗ってる奴もそうじゃない奴も集まるかもしれないな」
「そうだな。あとは待つだけだ…」



【一日目/深夜/E-1:灯台:頂上】


【ビリー・ヘリントン@本格的 ガチムチパンツレスリング】
[状態]健康
[装備]:メガホン@現実
[所持品]:支給品一式、不明支給品×2
[思考・行動]:
1:さて、これでどうなるか…


【木吉カズヤ@本格的 ガチムチパンツレスリング】
[状態]健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、不明支給品×2
[思考・行動]:
1:これでどうなるだろうか
※島中に二人の声が響きました。
79久々のオリジナル ◆6LQfwU/9.M :2009/12/20(日) 21:43:46 ID:OkFEl5tO
あたりが少し、明るくなり始めた頃…
「はあ…はあ…やっと着いた…」
ゲームスタートからずっと歩き続けて、なんとかB-2まで辿り着いた野村和也。
「それにしてもぼろぼろだ…何かあればいいんだけどなあ」
そう思いつつ、廃工場の扉を開く。
中から、工場特有の空気が流れ出て、和也を包む。
(むっ…)
それに少し嫌悪感を抱きながらも、足を踏み入れる。
「結構広いなあ…誰かいてもおかしくないな…」


古くなった階段をゆっくりと登り、辺りを見回す。
(本当に広い…こりゃうちの学校の校舎よりも広いな)
そう思いながらも、近くの事務所に入り、古びた椅子に腰かける。
「誰か…なんだろう、来て欲しいのかな、来て欲しくないのかな」
なんだか微妙な気持ちで和也はうとうとし始め…
…そして夢の世界へ旅立った。


【一日目/黎明/B-2:廃工場:2F事務所】


【野村和也@オリジナル】
[状態]:健康、睡眠
[装備]:大阪名物はりせんチョップ@板対抗BR、熱き魂の封じ込められた腕輪@板対抗BR
[所持品]:デイパック
[思考・行動]
基本:死にたくない。でも人殺しはしたくない。
1:Zzz…
80 ◆6LQfwU/9.M :2009/12/20(日) 21:46:29 ID:OkFEl5tO
投下終了です
81 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 22:37:37 ID:WA7iWRtd
投下乙です。鎌田は……一応死亡扱い、なのか?
しかしべんつってwwww
ビリー! 木吉!! 駄目だ、典型的な死亡フラグだぞ!
野村さんはどこまで生き残れるのか……。
では自分も投下します。個人趣味ロワ第19話「妖艶淫狐降臨ノ巻」
登場:楢原喜三郎、費覧
82 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 22:38:28 ID:WA7iWRtd
19話「妖艶淫狐降臨ノ巻」

F-1市街地の路上にて、二人の参加者が対峙している。
一人は黒い学ランに身を包んだ眼鏡を掛けた少年、楢原喜三郎。
もう一人は妖艶な雰囲気を漂わせた、極上の身体付きの二足歩行の雌狐、費覧。
喜三郎の手にはリボルバー拳銃、コルトM1917が、費覧の手には骨董品とも言える自動拳銃、ルガーP08が握られている。

「貴方も殺し合いに乗っているのですね、妖狐さん」
「その口振りからして、貴方もみたいね、眼鏡君」
「ええ。こんな面白そうなゲームは、恐らく人生の中で二度と無いでしょうから」
「そうだね……それは私も同じよ」

しばらく二人は数メートルの距離を保ったまま互いに睨み合って動かない。
夜風に喜三郎の髪が、費覧の艶やかな毛皮が揺れる。
そして、先に動いたのは費覧の方だった。
素早く横へ跳びながら、喜三郎に向けてルガーP08を撃ち放つ。
しかし、複数放たれた9o×19o弾は、喜三郎の髪を数本切り裂く程度に留まった。
費覧とは反対方向に横に跳んだ喜三郎は、費覧に向けてコルトM1917の引き金を引く。

「があっ!」

費覧が短い悲鳴を上げたのと同時に、彼女の豊満な乳房と、腹部にそれぞれ穴が空き、血が噴き出す。
そして費覧はそのままその場に蹲り、苦しげに息を荒げる。
傷口からポタポタと血液が滴り落ち、アスファルトの上に黒い染みを作った。
喜三郎は銃口を向けたまま費覧に近付き、傍まで来た所で立ち止まった。

「終わりです。何か言い残す事はありますか?」

喜三郎が費覧に尋ねる。
だが、苦しんでいたはずの費覧の口が、一気に嗤うように歪んだ。

「なんてね☆」
「っ!!」

次の瞬間、費覧が気のようなものを纏わせた拳で、喜三郎の胴に強烈な一撃を食らわせた。

「ぐああああああああっ!!」

それを受けた喜三郎は一気に道の反対側のビルの壁まで吹き飛ばされ、壁を大きく破壊し、その場にズルズルとずり落ちた。
まだ息はあるが、身体的ダメージは相当なものであると、外見から十分に判断出来た。
費覧が立ち上がり、落ちていた自分の拳銃、ルガーP08を拾い上げ、
ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら崩れた壁にもたれかかって動かない喜三郎に近付いていく。
フサフサの尻尾が艶めかしく動いていた。
そして喜三郎の所まで来ると、俯いていた喜三郎の顔を左手でぐいっと上げ、自分と視線を合わせる。
83妖艶淫狐降臨ノ巻 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 22:39:17 ID:WA7iWRtd
「妖狐の生命力、なめてもらっちゃ困るなぁ。普通の人間なんかより、何倍もタフなのよ?
心臓撃たれたり首切られたりしたぐらいじゃ、死なないんだから」
「ぐっ……」

喜三郎が屈辱に顔を歪ませる。

「さてえ。終わりです。何か言い残す事はありますか?」

先程喜三郎が自分に言った言葉をそっくり言い返しながら、牙が見える程口元を歪ませ、
喜三郎の額にルガーP08の銃口を突き付ける。

(くそっ、これまでか……)

喜三郎は観念し、最期の言葉を口にした。

「残念です……」

そして、次の瞬間、銃声が夜の市街地に響いた。



費覧は、喜三郎の持っていたコルトM1917と、デイパックの中に入っていた予備弾薬、
そして水と食糧を自分のデイパックの中に入れた。

「さて、他の参加者を探しに行くとしますか。ついでに章高も」

この殺し合いに呼ばれている唯一の知人の名前を呼び、雌の妖狐は軽やかな足取りで夜の街へ消えていった。


【楢原喜三郎@オリキャラ  死亡】
【残り  42人】


【一日目/深夜/F-1市街地表通り】

【費覧@オリキャラ】
[状態]:胸と腹に貫通銃創(命に別条無し)、返り血(中)
[装備]:ルガーP08(3/8)
[所持品]:基本支給品一式、ルガーP08の予備マガジン(5)、コルトM1917(1/6)、
45ACPリムレス弾(30)
[思考・行動]:
0:皆殺し〜♪ 最後には主催者も殺す。
1:知人である章高は、限界まで犯してから食い殺す。


※F-1市街地表通りに楢原喜三郎の死体とデイパックが放置されています。
デイパックの中身=水と食糧抜きの基本支給品一式
※F-1一帯に破壊音が響きました。
84妖艶淫狐降臨ノ巻 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 22:50:20 ID:WA7iWRtd
≪オリキャラ紹介≫
【名前】楢原喜三郎(ならはら・きさぶろう)
【年齢】17
【性別】男
【職業】高校生
【性格】礼儀正しく、計算高い
【身体的特徴】黒髪の中肉中背で、眼鏡を掛けている
【服装】黒い学ラン
【趣味】数学書を読む事、勉強
【特技】暗算
【経歴】それなりに裕福な家庭で育つ
【備考】殺人に対して興味を持っているとか

【名前】費覧(ひ・らん)
【年齢】不明(外見年齢精神年齢10代後半、推定200歳)
【性別】女
【職業】妖狐
【性格】明るい博愛主義者だが、淫乱
【身体的特徴】薄い黄色の獣足型狐獣人。巨乳で大人びた魅力
【服装】全裸(服を着るのが嫌い)
【趣味】淫らな事
【特技】妖術(幻術や気を纏わせての攻撃)
【経歴】中国風国家のとある辺境の森に住み付く妖狐。
旅人や地元市民を掻っ攫っては男女問わず犯しまくる危険人物として認知されている
【備考】最近は章高という人間男性に対しかなり屈折した愛情を抱いている


≪支給品紹介≫
【コルトM1917】
1917年に開発されたリボルバー拳銃。
自動拳銃用の45ACP弾を使用出来る拳銃をという米軍からの注文による。
日本においては第二次世界大戦直後に不要となったM1917が大量に日本に持ち込まれた。

【ルガーP08】
1908年にドイツ陸軍の制式となった名銃。
トグルロックという独特の機構を内蔵している。
最も普及した拳銃弾である9o×19oはこの銃のために開発された。
85 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 22:51:39 ID:WA7iWRtd
投下終了です。一番楽しい時は死亡者リストを編集する時という俺は異端?

今日映画でインデペンデンスデイやってるなw
86 ◆zbNp9Zvz9w :2009/12/20(日) 22:59:01 ID:csH0Fqp6
皆様投下乙です

皆さんの作品に触発されたので、自分も非リレーロワをやってみようと思います
87少年漫画雑誌(嘘)ロワ、開幕 ◆zbNp9Zvz9w :2009/12/20(日) 23:00:43 ID:csH0Fqp6
彼(あるいは彼女)は戸惑っていた。
気がつくと見知らぬ場所――西洋風の装飾が施された、巨大な部屋――に居て、
そのうえ体が椅子に座らされたまま動く事もできないのだから当然だろう。
頭を動かすことすら出来ない、彼/彼女に与えられた自由は唯一、瞬きのみ。
強制的に固定された視線の先には豪奢に飾り立てられた椅子と、それに尊大に腰掛ける黒衣の男の姿があった。
「さて諸君、目が覚めたかね?」
目前にいる老若男女、全員が目を覚ましたのを見計らって、男は口を開く。
「すでに見知っている者も居るだろうが……私の名は大魔王ウォルラープ。
 今宵、貴公等に集ってもらった理由はただ一つ。
 我が肉体の完全なる復活の為の、贄としての役割」
男の放つ不穏な言葉に、数人の人間が顔を青ざめさせる。
「貴公等には最後の一人になるまで互いに殺しあってもらう。
 そして残った一人には帰還の権利と、好きなだけの褒美を与えよう。
 どのような褒美でも構わない。
 完全となった私の力でいかなる願いでも叶えてやろう」
どんな願いでも叶える。
その言葉は毒のように彼ら/彼女らの心に投げかけられる。
「それから、私に刃向かおうなどとは考えぬ事だ。
 貴公等の首には枷として首輪をつけてさせてもらった。
 私に反逆などすれば……たちまちに貴公等の首は弾け飛ぶだろう。
 さらに無理に外そうとするのは勿論、
 朝、昼、夜の放送毎に読み上げられる禁止区域に侵入しても同じ事だ」
そこまで口にして、大魔皇はゆっくりと目の前の者たちに視線を巡らせる。
そして、彼ら(もしくは彼女ら)の顔に浮かんだ、ありとあらゆるネガティブな感情に満足げに頷くと徐に宣言した。
「それでは儀式を始める……貴公等の健闘を祈っているぞ」
言葉とともに、そこにいた全ての者たちが次々と消え始める。
やがて、暗く広い謁見の間には、大魔王のみが残された。

【ゲームスタート 残り55名】
88少年漫画雑誌(嘘)ロワ名簿 ◆zbNp9Zvz9w :2009/12/20(日) 23:01:24 ID:csH0Fqp6
異能力バトル系1
○主人公/○ヒロイン/○敵キャラ/○サブキャラ/○自由枠
異能力バトル系2
○主人公/○ヒロイン/○敵キャラ/○サブキャラ/○自由枠
異能力バトル系3
○主人公/○ヒロイン/○敵キャラ/○サブキャラ/○自由枠
ファンタジー系1
○主人公/○ヒロイン/○敵キャラ/○サブキャラ/○自由枠
ファンタジー系2
○主人公/○ヒロイン/○敵キャラ/○サブキャラ/○自由枠
ギャグ系1
○主人公/○ヒロイン/○敵キャラ/○サブキャラ/○自由枠
ギャグ系2
○主人公/○ヒロイン/○敵キャラ/○サブキャラ/○自由枠
恋愛系1
○主人公/○ヒロイン/○敵キャラ/○サブキャラ/○自由枠
恋愛系2
○主人公/○ヒロイン/○敵キャラ/○サブキャラ/○自由枠
その他1
○主人公/○ヒロイン/○敵キャラ/○サブキャラ/○自由枠
その他2
○主人公/○ヒロイン/○敵キャラ/○サブキャラ/○自由枠
89ルール・設定 ◆zbNp9Zvz9w :2009/12/20(日) 23:03:57 ID:csH0Fqp6
某週間少年雑誌の連載中漫画のキャラを集めた……という設定のオリキャラロワです
うん、わけがわからないww
90 ◆zbNp9Zvz9w :2009/12/20(日) 23:06:24 ID:csH0Fqp6
投下終了宣言してませんでした、申し訳ありません
91 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/20(日) 23:33:49 ID:WA7iWRtd
投下乙です。架空の週刊少年雑誌に連載されている漫画のキャラって事ですかね?
これは期待です。個人的にはもっとオリキャラロワが増えてほしいところ。
92創る名無しに見る名無し:2009/12/21(月) 07:13:33 ID:MPY6NeQe
架空のジャ○プやサン○ーのキャラでロワ、みたいな感じですか、楽しそうです!

俺も非リレーやりたいんだが、飽きっぽいんだよなあ……
名簿固定しないで、その時出したいキャラを出す、っていうロワをしたいと思ってます。
93 ◆eT6t2VPp6c :2009/12/21(月) 23:47:29 ID:4bWr1C0X
昔ゾンビパニックという企画があったのですが
ここでマップとか使い回してオール自己リレーで書いてみてもよろしいのでしょうか?
まあ自分一人で書くとピクルや虎眼先生が暴れまくって結局バトロワと変わらない話になりそうですが…
94 ◆.maUtDwYFk :2009/12/22(火) 00:36:37 ID:3xE5PZPb
皆さん投下乙でした

オリ二つ名ロワ、第三話 か弱い不死者 投下します
登場人物:山本咲(女子15番)、井東龍一(男子3番)
95か弱い不死者 ◆.maUtDwYFk :2009/12/22(火) 00:38:01 ID:3xE5PZPb

女子出席番号15番、山本咲【蠢動(トラッシュ)】はキョロキョロと周囲を見渡しながら前に進み続ける。
毎日丁寧に整えている長い髪が乱れるのを構わず静かに動く。
親からもらった自慢の顔に泥が跳ねるのはたまらない。
だが、今はそんな
彼女の能力は物を振動させる能力、固体液体気体問わず全てのものを振動させることが出来る。
やろうと思えば地震だって起こせるし、津波も簡単に呼ぶことが出来る。
防御手段が取れないため、先の戦法は取れないが。
とはいえ、ガチガチに固まったジャムの蓋も簡単に取れるし、お風呂で『ジャグジー♪』とか言いながら贅沢な気分にも浸れる。
日常生活ではそれほど悪くない能力だが、こんな時には全く使えない能力だ。
いや、そもそも人を殺す能力が簡単に手にはいるのも嫌だが。
だから今はこの村越から渡されたベレッタM92Fだけが頼りだ。
もちろんそう簡単に人を殺せるとは思えないが、ないよりは断然マシだ。
あるだけで心が落ち着いてくる。

「おーい、お前山本か?」

その時、突如として声をかけられた。
低い声だから男だ、それでいてこの軽い感じは女にはとことん甘い渡辺哲也(男子17番)だろうか。
渡辺ならば女を殺すことはしないかもしれないし、咲は武器として拳銃を持っている。
拳銃を握り締めながら、意を決して振り返る。
その瞬間に襲いかかるという恐怖を覚えながら、だ。

「お、やっぱ山本じゃねえか。いやはや、ようやく一人目だわ」
「……誰?」

そこに居たのは真っ黒なフルフェイスヘルメットを被った男子生徒だった。
ヘルメットのシールドはスモークがかかっていないが、この薄暗さでは誰か分からない。
体格は普通、制服は着崩している、分かりやすい武器は手に持つアイスピックだけ。
未だに襲いかからないと言うことは率先して殺すつもりはないと言うことだろうか?
咲と同じ、いつの間にか生き残っていたという漁夫の利狙いの可能性が高いだろう。

「って、うお! それ銃じゃねえか! 俺はアイスピックっていうのに不公平じゃねーかこれ?」
「その声……ひょっとして井東?」
「おうおう、井東だよ井東。そこの小屋でヘルメット拾ったから被ってんだ」

ヘラヘラと緊張感のない声で答える。
そこでようやくヘルメットのシールドを持ち上げて、顔をあげる。
井東龍一(男子3番)【不死屍毒(デッドリーハッピーエンド)】だ。
井東に対してはあまり良い印象を持ってはいない。
何故なら井東はいわゆる『不良』なる人種だったから。
見せしめとして村越に殺された角田をいつもツルンでいる仲間とイジメている姿を何度か見かけたことがある。
その際に学級委員の中村翼や生真面目すぎる植木桃子と対立している姿も、印象を悪くしている。
どうせ出会うならあの二人が良かった、もしくは人付き合いの薄い自分でも親しくしている足立莉子と。
そんな咲の考えを知ってか知らずか、相変わらず井東はニヤニヤとヘルメットの奥で笑う。

「さ、ではやりますか」

その一声と共に井東は手に持ったアイスピックを突き刺す。
咲の身体にではなく、井東自身の左手へと。

「……たぁー、痛えー!」
「何、してんの?」

確か井東は能力名から不死系統の能力だったはず。
それに自殺だとしても首ではなく手の甲と言うのは不自然だ。
自傷癖でもあるのだろうか?
どんなにしても傷つかない自分の力に酔って、自らを痛めつけたがると言うのは不自然ではないように思える。
さすがに不気味に感じたのか、咲はズッシリとくる重みを感じながらベレッタを構える。
96か弱い不死者 ◆.maUtDwYFk :2009/12/22(火) 00:38:55 ID:3xE5PZPb

「なんだよ、怖いなおい。大丈夫大丈夫、これで山本を殺したりなんかしねえよ」
「……」

いっそのこと地面を震わせてしまおうか、という考えが頭に浮かぶ。
だが、万が一木が根元から崩れてきてしまった場合などを考えるとその勇気がわかない。
それに攻撃方法なら拳銃があるのだから、それで十分だろう。

「あー、痛い痛い……」

そう呟きながら、井東は左手のケガを撫でながら、右手に血溜りを作るように血を集めていく。
咲はそれがひどく不快に感じて思わず眉をしかめてしまう。

「さあぁて……じゃあな!」

その言葉と共に、ポイっと、じゃれつく様に手にたまった血を咲へと投げつけてくる。
咲は突然の井東の行動に驚くが、なんとか腕でガードをするように防ぐ。
が、瞬間にガードした腕から溶けるような熱さと凍るような冷たさを感じた。

「くぁ……ぁあ!」
「んじゃ、山本。お前の顔は嫌いじゃないぞ」

何かされた、腕に感じる激痛に苛まれながらもなんとかそれを理解する。
だがそれは意味のない行動だ。
顎に何かが触れる、井東の手だと分かりながらも痛みで抗うことが出来ない。
そして、井東の血に濡れた指と咲の乾いた舌が絡まり。
最後に形容し難い苦味と酸味と甘味と辛味が広がり、咲の意識は吹き飛んだ


   ◆   ◆   ◆


「あーもう……痛えったらありゃしねえよ……」

スリスリと龍一は既に治癒が済んだ手の甲を撫でながら愚痴をこぼす。
彼の能力、【不死屍毒(デッドリーハッピーエンド)】は血を猛毒へと変える能力だ。
何でもこの血がかかった人間はものすごい苦痛に苛まれ、体内に取り込んでしまった場合はまあ、死ぬ。
目とか鼻の粘膜とかならアウト、皮膚なら痛いだけだ。
ちなみにこの能力のせいで龍一は結構な面倒にあっている。
具体的に言うと献血が出来ない、社会に役立てない間抜けな能力だ。
そして、その血が変わるのに釣られるように彼は死ににくなった。
まるで血をばら蒔いて全員を殺しても龍一だけは死なないようにしてあるかのように。

「化け物みたいであんま好きじゃないんだよなぁ、この能力。
 田中の野郎とかはなんか勘違いしてるみてえだけどよ」

頭に浮かんだのは龍一を恨めしそうに見る田中智司の姿。
智司はいわゆる『不良』と呼ばれるグループの中でも、上手く馴染めていない奴だった。
能力へのコンプレックスからだろうか? だとしたら、お笑いぐさだ。
そんなものに劣等感を覚えるのなら、人を殺すことしか出来ない龍一はどうなる。
死ににくいのだって面倒なだけだ、痛みも残るし気絶だってする。
そりゃ最初に「お前は死なない!」と村越に言われたときは龍一も小躍りした。
なにせ死なないのだ。
漫画やゲームならば一気にラスボスクラスの能力、大勢の人間に自慢した。
だが、それが直ぐに間違いだと気づいた。
まずその翌日に龍一は自分が血を流してはいけないことに気づいた。
万が一にも怪我をしてしまった場合、それだけで大勢の人間が死ぬ。
一時はノイローゼに陥ったものだ。
97か弱い不死者 ◆.maUtDwYFk :2009/12/22(火) 00:39:42 ID:3xE5PZPb

(そー言えば、俺って上条ちゃんにカウンセリング受けたよなぁ……あれってひょっとして村越も絡んでたり?)

そこまで考えて村越の催眠能力を思い出す。
カウンセリングを続けて一ヶ月、龍一はびっくりするほど何も気にせずに生活出来るようになった。
それが催眠の仕業だと言われれば納得できる。

「元々、これが目的だったのかねえ……殺し合いに乗せるためにそういう感情を無くさせたとか?」

村越の催眠は疑えば疑うほど怪しく思えてくる。
一年の頃からの担任と言うこともあって、いつから仕込んでいたのか読めないのだ。
となると、殺し合いが円滑に進むように催眠をかけた相手は龍一だけでないかもしれない。
いつもツルンでいる舘野悠斗(男子7番)や吉田春樹(男子16番)なども何か催眠をかけられているかもしれない。
そして、その舘野や吉田とも殺し合わなくてはいけないのだ。

「……ちっ、しょうがねえだろ。死にたくなんてないんだから」

なるべく山本の死体を見ないように龍一はベレッタを回収する。
ズシリと腕にかかる重さにその凶暴さが伺える。
こんなの相手に戦うハメになってたかもしれなかったのかよ……と龍一は思うが、今はこれを手に入れた。
有利になったことを素直に喜んでおこう。

(あーあ、せっかくのカワイイ子がこんなことに……山本って見た目だけならかなり好みなんだよなあ)

山本咲といえばクラスの男子連中にも見た目はかなり評価されていた女子だ。
出来る事なら殺したり殺されたりなんて関係よりも、手をつないだり別の箇所を繋いだりする間柄になりたいタイプ。
少し性格は面倒くさいが、それを補って余りある容姿を持っている。

「にしても、徹底的にカウンター能力なんだよな……俺。
 頭潰されたらどうなるかも知らねえし……まあ、上手くやるしかねえか」

とりあえず逃げの姿勢を取り続け、気づいたら生き残っていた。
それがベストだろう、幸いにもそこの小屋でバイクのヘルメットを見つけた。
頭の防御も大丈夫だし、銃で死ぬことも少なくなった。
一番心配なのは身体能力を釣り上げる能力者のことだ。
龍一は死ににくいとはいえ身体は普通の中学男子。
タコ殴りにされて死にたくても死ねないままということが続くかもしれない。

「やだねぇ……ホントにそういうのだけは勘弁だよ」

こうしてか弱い不死者のバトルロワイアルが始まった。

【山本咲(女子15番)死亡】

【一日目/深夜/E−2森】
【井東龍一 男子3番】
【不死屍毒(デッドリーハッピーエンド)】
[装備]:アイスピック、ベレッタM92F、フルフェイスヘルメット
[所持品]:支給品一式、予備弾倉
[状態]:ブレザーにフルフェイスのヘルメット姿
[思考・行動]
0:なんとしてでも生き残る。

男子3番  井東龍一【不死屍毒(デッドリーハッピーエンド)】
自分の血が猛毒に変わる能力、自分の意志でのON・OFFを切り替えることが出来ないオート式。
不死の能力も備えている。
頭を潰されたり重火器の弾幕を食らうと死ぬかもしれないが、内蔵潰されるぐらいならば大丈夫。

女子15番 山本咲 【蠢動(トラッシュ)】
自分に触れているもの全てを振動させることができる。
98 ◆.maUtDwYFk :2009/12/22(火) 00:40:24 ID:3xE5PZPb
投下終了です
みなさんの筆の速さがガチで羨ますぃ……orz
99 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/22(火) 17:56:23 ID:B31IAt/C
投下乙です。能力考えるの楽しそうですねw
自分も個人趣味ロワ第20話「人の話を聞かない女」投下します。
登場:聖徳太子、吉良邑子
100人の話を聞かない女 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/22(火) 18:03:26 ID:B31IAt/C
20話「人の話を聞かない女」

聖徳太子は激怒した。
必ず、倭国の摂政たる自分にこのような仕打ちをしたあのセイファートなる女に、
必殺天誅を下してやると心に誓った。
今彼はF-1市街地に存在するスーパーの精肉コーナーに立っている。
店内は非常灯しか点いておらず薄暗い。

「くっそ〜セイファートだか何だか知らないが、
この聖徳太子をこんな馬鹿げたゲームに参加させるとは! 許せぬ!」

頭から煙が出るのではないかと言う程怒りを露わにする太子。
そして拳を天井に向け振り上げ、声高らかに反逆宣言を行う。

「殺し合いだと! そんな事するか! 馬鹿め!
見てろ、絶対にこんなゲーム滅茶苦茶にしてやるぅ〜!」

しかし彼は大声を出す事は危険な行為だと言う事に気が付かない。
まあ、馬鹿だし。

「とにかく、まずは妹子の奴を探しに行こう。妹子め、まさかもう殺されているなんて事は無いだろうな」

太子は早速この殺し合いに呼ばれている自分の部下を探しに行こうとする。
その時だった。

ヒュンッ

何かが太子の被っていた烏帽子を撃ち抜いた。
そしてそれは惣菜コーナーの壁に突き刺さって静止する。
壁に太子の烏帽子が貫かれたままの、太いボウガンの矢が突き刺さっていた。
突然の出来事に状況が上手く飲み込めず混乱する太子。

「はあ……困った事になったなあ」

不意に少女の声が聞こえた。
太子が声のした方向へ向くと、そこにはかなり大型のボウガンを構えた学生服姿の少女が。

「な、何をするんだいきなり!」
「今度は別の殺し合いだなんて」
「死ぬ所だったぞ!」
「何だか忠信とか他のクラスメイトもいるみたいだけど、英人様はいないみたい」
「後ちょっとでもズレていたら私の頭を貫通していたじゃないか!」
「こうなったらさっさと優勝して、英人様の所に帰ろうかな」

少女は太子の言葉を全く無視している。いや、聞いている様子すら無い。
101人の話を聞かない女 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/22(火) 18:05:09 ID:B31IAt/C
「聞けぇええええ!!」

これで怒らない太子では無い。こめかみに典型的な怒りマークが浮かび上がっている。
ただでさえ殺し合いなどというふざけたゲームに無理矢理参加させられ怒り心頭な所に、
少女のこの態度、彼にとって到底受け入れられる事では無かった。

「ああ、ごめんなさい。次は外しませんのでご安心を」

やっと太子の言葉に耳を貸した少女は、ボウガンに矢を装填し再び太子に向ける。
そして、引き金を引く。
高速で放たれた鋼鉄製の矢が太子に襲い掛かる。

「ヒャアッ!」

しかし太子はそれを華麗な身のこなしで間一髪回避した。

「やりますね」
「くっそー! 覚えていろ!」

こちらは丸腰、このままでは圧倒的不利、殺されると感じた太子は少女からの逃走を決行。
商品が陳列された棚の間の通路を全速力で駆け抜ける。
当然、相手が逃げれば追う。少女もボウガンを構えながら太子を追走した。
その間も矢は何本か太子に向けて放たれたが、その度に通常考えられないような身のこなしでかわした。



「ゼエ……ゼエ……ゼエ……」

どうにか振り切ったようだ。聖徳太子は市街地の裏路地、古びた室外機の裏に隠れていた。
愛用の烏帽子を失ってしまったのは痛かったが、命があるだけマシと思うしか無い。

「早い所妹子と合流しないと……」

そして更に部下との合流の思いを募らせる。
先程のように殺し合いに乗っている参加者がいるという現実が、その思いを更に加速させていく。

そして太子は自分が重大な過ちを犯している事に気が付かない。

――支給品の確認を行っていないという事に。
102人の話を聞かない女 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/22(火) 18:06:42 ID:B31IAt/C
【一日目/深夜/F‐1市街地裏路地】

【聖徳太子@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:肉体的疲労(小)、烏帽子無し
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品一式、ランダム支給品(1〜2)
[思考・行動]:
0:このゲームを滅茶苦茶にしてやる!
1:妹子はどこにいるんだ?
[備考]:
※単行本第九巻第168幕「聖徳太子の持っている木の棒」より後からの参戦です。
※支給品の確認を行っていません。

◆◆◆

少女――吉良邑子は先程まで追っていたジャージ姿の男を見失ってしまった。

「逃げられたか……悔しいなあ」

獲物を取り逃がしてしまった事を悔やむ邑子。
その表情からは殺人に対する忌避感や罪悪感、躊躇といった感情は全く感じ取れない。

「待ってて下さい英人様。私は必ずあなた様の所へ戻ります!」

そう宣言すると、邑子はデバイスと地図で現在位置及び方角を確認し、ボウガンを携え夜の通りを歩み始めた。


【一日目/深夜/F‐1市街地裏路地】

【吉良邑子@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:ドーラのボウガン@FEDA(1/1)
[所持品]:基本支給品一式、ボウガン予備矢(24)
[思考・行動]:
0:ご主人様(玉堤英人)のため、優勝し帰還する。
1:参加者を見つけ次第殺す。例えクラスメイトであっても容赦しない。
2:忠信は……。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。


※F-1スーパー内、惣菜コーナーの壁に聖徳太子の烏帽子が刺さったボウガンの矢が突き刺さっています。


≪支給品紹介≫
【ドーラのボウガン@FEDA】
フォックスリングの女スナイパー、ドーラ・システィールが愛用する大型ボウガン。
扱いこなせれば強力。
103 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/22(火) 18:13:03 ID:B31IAt/C
投下終了です。吉良ってこんな感じで良かったかな?
104 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/22(火) 18:33:18 ID:B31IAt/C
修正。吉良の現在位置は裏路地では無く表通りです。
105誰もいない? ◆6LQfwU/9.M :2009/12/22(火) 22:06:47 ID:O7onn5Xp
まったく人の気配が無い駅のホームに誰かが(いろんな意味で)立っている。
「ここまで歩いてきたはいいが、誰もいないんじゃ意味は無いな…」
そうぶつぶつ言いながら、近くの椅子に座る阿部。
(さて…ここで誰かが電車目当てで来るのを待つのもいいが…)
そう思いつつ、またツナギのホックを下ろそうとするが…やめる。
(…トイレはどこだ)


「…もう誰もいないはずだ」
呟きながら、駅の近くまでまた歩いてきた田鼠。
(さっきは酷い目にあったな…まったく)
そろそろと駅入り口に歩み寄り、ふと気づく。
「…足跡が付いてるじゃないか」


「まったく、トイレの場所が分かりづらいじゃないか」
文句を言いながらトイレから出てくる阿部。
その時誰かの気配を感じ、辺りを見回す。
(誰もいない…思い過ごしか)
だが、思い過ごしでは無かった―
「があっ!」
急に背中に痛みが走る阿部。痛みと驚きで、一瞬何が何やら分からなくなる。
(何だ!?一体何が…)
そう思いつつ、阿部の意識は遠のいていった…


【一日目/深夜/G-5:G5駅トイレ付近】


【田鼠@板対抗BR】
[状態]:健康、安堵
[装備]:ダーク♂熊手@本格的 ガチムチパンツレスリング
[所持品]:支給品一式、不明支給武器
[思考・行動]:
基本:上手く立ち回って生き残る。
1:死んだ…のか…?
2:仲間を探しに街の方へ行くかな?


だが、田鼠の考えに反し、阿部は気絶しただけでなんとか死んではいなかった。


【阿部高和@ニコニコ動画】
[状態]:健康、気絶
[装備]:なし
[所持品]:◆6/のデイパック、支給品一式、ウージー(32/32)@現実 、首輪探知機@現実
[思考・行動]
基本:いい男を食いたい。女はどうでもいい。
1:(気絶中)
106 ◆6LQfwU/9.M :2009/12/22(火) 22:08:35 ID:O7onn5Xp
ああ、時間は深夜じゃなくて黎明です
107伝説は現実に ◆6LQfwU/9.M :2009/12/22(火) 22:33:21 ID:O7onn5Xp
「ああ、一体どうしてこんなことに」
一人さびしくとぼとぼ獣道のような道を歩くvもんが。
(俺が何か悪い事したかな?ああ、何でこんなことに)
運の悪い時は悪い事が重なる物で、支給されたものはうまい棒とゲームの筺体だった。
(最悪…ゲームあっても遊べないし、そもそも遊んでるような時でもないし)
そう思いながらとぼとぼ歩くvもんがだった。


「…?あれなんだ」
少し歩いていくと、何かがある。
vもんがはそれに歩み寄り、声も出ない程驚いた!
―伝説のコンビニへの入り口だった。


「沢山あるなあ…さすがコンビニ」
中にある武器の豊富さに、息を飲むvもんが。
(でも欲張ったらだめだよね。大体こういう時は欲張ると痛い目見る)
そう思い、棚に置いてあるデイパックを2つ取り、店を出る。
外に体が完全に出た瞬間、
「あれ?無くなってる…」
コンビニへの入り口は、最初から無かったかの様に消え失せていた。
(まあいいか。中身はなんだろう)
中に入っていたのは…斬鉄剣とレミントンM31RSだった。
(えっ…なんか嫌な予感プンプンだけど、まあいいか)


【一日目/黎明/C-5:畦道】


【vもんが@板対抗BR】
[状態]:健康、困惑(小)
[装備]:斬鉄剣@板対抗BR、レミントンM31RS(13/13)@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、うまい棒@現実、jubeatの筺体@ニコニコ動画
[思考・行動]:
基本:死にたくないな
1:これ…死亡フラグなんじゃ…
2:いつもの仲間を探して合流したい。
※伝説のコンビニは何処かへ移転しました。
108 ◆6LQfwU/9.M :2009/12/22(火) 22:34:44 ID:O7onn5Xp
投下終了です
109 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/23(水) 00:39:41 ID:4ikF0mu+
投下乙です。
二つ名ロワで「二つ名メーカー」なるものを知り、個人趣味ロワのオリキャラ、
及び私の本名を二つ名メーカーにかけてみましたらこんな感じに↓

朝倉清幸:二重螺旋(トリプルバインド)
楢原喜三郎:切断肋骨(ゴシックインサイド)
最上佳奈:拡散肋骨(ボーンフラワー)
神田修次:月下恐慌(クラッシュサーベル)
早野正昭:機甲多面体(オーバーヒートクラスタ)
アルソンズ・ベイル:二重半径(ランダムレクイエム)
エイミス・フロリッヒャー:蠢く乖離(ウィアードコラプション)
ルミーア・ホワイト:機甲侵犯(オーバーヒートスパイダー)
リック・ゼラルス:亡骸(インセイン)
レイ・ブランチャード:切断円舞(ソリタリーディバイド)
費覧:惨劇極限(ルナティックインパルス)
章高:無限百景(カオティックレプリカ)
伊賀榛名:磔(エクソダス)
平池千穂:亡霊周波数(マイクロウェイブメビウス)
中村アヤ:錯覚戯画(トリッキーチルドレン)
石川清隆:遍在する灰燼(スーサイダルプロトコル)
石川清憲:心臓解放(ダークリベリオン)
宮中秀也:地裂支配(リヴァイアサン)
リュード:砕け散る理論(エレメンタルエラプション)
レオーネ:断絶過剰(センチメンタルノイローゼ)
ヴォルフ:融解周波数(メルトダウン)
リーヴァイ:撃墜連斬(フュージョンタンバリン)
大村寿城:迅雷図鑑(アサルトトラップ)

セイファート:酩酊中枢(ハイプリエステス)

本名(自分):蛇縛淘汰(キュリオスクーデター)
110 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/23(水) 00:43:05 ID:4ikF0mu+
終了です。結構しっくりくるものもあれば「何い!?」と思うものも。
111◇NIKUcB1AGw レス代行 :2009/12/23(水) 01:16:51 ID:qhzgua2v
NIKUロワ第12話「親バカと聖女と相談中」、投下します
112◇NIKUcB1AGw レス代行 :2009/12/23(水) 01:17:33 ID:qhzgua2v
人気のない路地の真ん中。柊かがみは名簿を手に、物憂げな表情を浮かべていた。

(失態だわ……。まさか幸星党の主力メンバーが、揃いも揃って拉致されるなんて……。
 くじらさんや桜庭先生がまだ向こうに残ってるとはいえ、アメリカの物量相手じゃ明らかに駒不足……。
 絶対に死人を出さずにみんなでここから脱出しないと……。
 だいいち、戦争の勝敗以前にこなたやつかさやみゆきが死ぬなんて嫌だもの!)

かがみの脳内に、優勝して自分が生き残るという選択肢はない。
仲間と一緒に生き残らなければ意味がないのだ。
そもそも、このゲームを主催した「ハルヒ」は彼女にとって元から敵だ。
素直に言うことを聞く義理などないし、聞いたところで無事帰してもらえるとも思えない。
ならば道は一つ。このゲームに反逆し、「ハルヒ」を打ち倒すしかない。
もとより、いつかは倒さなければならない相手だ。その方法が変わっただけの話である。

(よし、そうと決まればさっそく行動よ! まずはこなた達との合流ね!
 見てなさい、こんな殺し合いなんかすぐにぶっ潰してあげるんだから!)

決意を固め、かがみは颯爽と歩き出す。だが、その足はすぐに止まってしまった。
前方から、ものすごい勢いで走ってくる何者かに気づいたからだ。

(まさか、さっそく殺し合いに乗った人が……?
 あんまり殺しなんてしたくないけど、最悪の場合は自分の身ぐらいは守らないとね……)

支給品の拳銃を構え、かがみは迫ってくる相手を待ちかまえる。
少しして、闇の中でもはっきりと見えるほど相手との距離が詰まる。
近づいてきたのは、簡素ながら品のいい衣服を身につけた、凡庸な顔立ちの青年だった。

(来る!)

止まる気配もなく突っ込んでくる青年に対し、かがみは威嚇射撃を行おうとする。
だが彼女が引き金を引くより早く、その体は青年の腕に包み込まれていた。

(えっ!?)

予想外の展開に、戸惑うかがみ。そんな彼女に向かって、青年は言う。

「よかった、こんなに早く見つかって……。無事だったんだな、かがみん!」
「いや、あの……。どちら様ですか?」


◇ ◇ ◇


数十分後。

「だーかーらー!! 私はあなたの娘じゃないって!! 他人の空似なんですってば!!」
「うーん、でもなあ……。ここまでうり二つで、なおかつ名前までそっくりってのは……」
「あーもう……」

いくら言っても納得してくれない目の前の青年……空気王に対し、かがみはもはや何度目かわからぬ溜め息を漏らす。
話を聞くに彼の養女がかがみとうり二つで、それ故かがみのことを娘だと勘違いしているらしい。
その誤解を解くために先程からかがみは説明を繰り返しているのだが、結果はごらんの通りである。

(あの涼宮さんが私たちの知ってる涼宮さんの異次元同位体であるのと同様に、この人の娘ってのもおそらく平行世界の私なんだろうけど……。
 あんなのが父親って……。我ながら同情するわ)

浮かない表情で、またしても溜め息をつくかがみ。だが直後に空気王が放った一言が、彼女の表情を一変させる。
113◇NIKUcB1AGw レス代行 :2009/12/23(水) 01:18:14 ID:qhzgua2v
「まあいいや。ここは納得しておこう。うん、納得した」
「はあ? ちょっと、いきなりどういうことよ?」

突然発言を翻した空気王に、かがみはたまらず詰め寄る。

「いや、いきなりっていうか……。ずっと考えてた末に出した結論だよ。
 君のその姿は、俺にはかがみんにしか見えない。けど、君がかがみんだとしたら俺に嘘をつく理由が全くない。
 つまり君は、本当にかがみんとは別人なんだろう。理屈で考えればすぐにわかることだ。
 けど、感情でどうしても納得できなかった。その整理がようやく出来たってことだよ。
 悪いね、迷惑かけちゃって」
「い、いや、謝られても困るんだけど……」
「お詫びと言っちゃなんだけど、君に力を貸すよ。わざわざ話に付き合ってくれたってことは、積極的に他の人を襲うつもりはないんだろ?
 だったら俺と志は同じだ。俺もこんなふざけたゲームに付き合うつもりはないからな。
 それに、娘とそっくりの女の子を放っておくわけにはいかないよ。
 ああ、もちろん迷惑だったら断ってもらってもかまわないけど」
「あ、いえ、断るだなんてそんな……。こちらこそ、よろしくお願いします」

急にまともになった空気王に、どう対応していいのかわからないかがみ。
流れでつい、彼からの申し出を受け入れてしまう。

「よし、それじゃあ交渉成立だな! よろしく、柊さん! それじゃまあ、早速行きますか!
 君の友達や俺の娘を早く見つけてやらないとな!」
「あ、ちょっと待ってください!」
「ん?」

意気揚々と駆け出そうとする空気王だが、かがみはそれを制止した。

「本格的に行動する前に、お互いの武器をチェックしておきたいんです。
 もしかしたら、相手にゆかりのある武器が支給されてるかも知れませんし……。
 というか、私の武器が空気王さんに支給されていないか確認したいんです。
 柊かがみ専用強化スーツ、って支給されてませんか?」
「いや、残念ながら」

かがみの問いに対し、空気王は首を横に振る。

「使用者の名前が入ってれば、俺もピンと来るだろうしな。というか、俺のランダム支給品はこれだけ」

そう言って、空気王はかがみに何かを投げ渡した。

「なんですか、これ。変な形のベルトみたいですけど……」
「ギャレンバックル、って代物らしい。融合係数が高い人間しか使えないが、使うことが出来ればギャレンという戦士に変身できるらしい。
 まあ、騎乗士の国で使われてる『宝具』と同じようなものだな」
「ふーん、こっちでいう変身ヒーローのアイテムってことかしらね……」

「騎乗士の国」というのはかがみには聞き覚えのない固有名詞であったが、すでに空気王を異世界の人間と認識している彼女はさほど気にしてはいなかった。

「それじゃ、こっちからも聞かせてもらうかな。『龍騎』と『クレイジーダイヤモンド』、この二つのどっちか、支給されてないか?」

ギャレンバックルを返してもらいながら、空気王はかがみに尋ねる。

「んー、申し訳ないけどそれもないですね。私に支給されたのはこの銃とナイフと……。
 それから、この槍みたいなやつ……」

かがみの取り出した、三つ目の支給品。それを見たとたん、空気王の目の色が変わった。

「悪い、ちょっとそれ貸して!」
「えっ?」

戸惑うかがみから半ば強引に支給品を奪うと、空気王はそれをまじまじと見つめる。
114◇NIKUcB1AGw レス代行 :2009/12/23(水) 01:18:56 ID:qhzgua2v
「間違いない……。これは三国ロワ国に伝えられる伝説の武将・呂布が使っていたとされる武器、方天画戟!!
 まさかこの目で見られる日が来るとは……」
「あの、空気王さん?」

あっけに取られるかがみをよそに、空気王は独白を続ける。

「保存状態も良好、よく手入れされている……。武器としてでなく、骨董品としての価値も付くな……。
 持って帰れば1000万……いや、2500万ルルーシュぐらいの値段は……」
「あのー、もしもし?」

かがみの呼びかけは、またしても無視される。
空気王は異様なまでに真剣な表情で方天画戟を構えると、それをたまたま近くにあった道路標識目がけて振るった。
小気味よい音を立てて、標識は半ばから断ち切られる。

「…………!」
「実用性も問題なし、だな」

満足そうな笑みを浮かべる空気王の横で、かがみは驚きのあまり目を見開いていた。

「ちょ、ちょっと! 空気王さん、見た目によらずけっこうすごいこと出来るじゃない!
 何? 実は武術の達人だったとかそういう話?」
「いやいや、そんなたいそうなものじゃないよ。俺はただ、使い方がわかるだけさ」

興奮気味のかがみに対し、自分の腕を叩きながら空気王は言う。

「俺はもともと、流浪の行商人だったからな。自分で言うのもなんだが、目利きは一級品だぜ?
 その目を持ってすれば、初めて使う道具を使いこなすこともたやすい」
「それはそれですごいわね……」
「まあ逆に言えば、道具が何もないとそこらのチンピラにも簡単に負けるんだけどな!」
「いやいや、そんなこと誇らしげに言うなー!!」

なぜか高らかに笑う空気王に、かがみの鋭いツッコミが炸裂する。

「まあいいわ……。それ、空気王さんにあげます。
 どうせ強化スーツなしの私じゃ、筋力が足りなくて使いこなせないだろうし」
「おお、それはありがたい! 恩に着るぜ!」

目を輝かせながら、かがみの手を握る空気王。かがみは若干呆れつつも、それに付き合う。

「それじゃ武器の確認も済んだし……。改めて行動開始といきますか」
「ああ、そうだ。その前に言っておきたいことがある。俺の呼び方についてなんだが……」
「え? 『空気王さん』じゃ何か問題あるんですか?」
「パパと呼べ」
「だが断る」
「じゃあ俺は、断ることを断る!」
「なんじゃそりゃー!」

こうして、微妙に不安な二人の旅路が始まったのであった。
115◇NIKUcB1AGw レス代行 :2009/12/23(水) 01:19:41 ID:qhzgua2v
【一日目・深夜/D-3・市街地】

【柊かがみ@こなたとハルヒの第二次世界大戦】
【状態】健康
【装備】ベレッタ M92@仮面ライダーSPIRITS、朝倉さんのナイフ@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱
【道具】支給品一式
【思考】
基本:主催者である「ハルヒ」の打倒。
1:幸星党メンバーとの合流(こなた、つかさ、みゆきを優先)。
2:強化スーツが支給されているなら入手したい。
※南米でアメリカ連邦と交戦している時期からの参戦です。


【空気王@パロロワ戦記】
【状態】健康
【装備】方天画戟@中華武将祭り
【道具】支給品一式、ギャレンバックル@仮面ライダーディケイド
【思考】
基本:バトルロワイアルの打破。
1:知り合いとの合流(かがみん、みWikiを優先)。
2:宝具「龍騎」とクレイジーダイヤモンドのDISCが支給されているなら入手したい。


※支給品紹介
【ベレッタ M92@仮面ライダーSPIRITS】
9ミリ口径の半自動拳銃。アメリカ警察の標準装備として採用されている。
左利きの人間にも使えるようになっているため、かがみをはじめとするらき☆すたメンバーにはありがたい銃である。


【朝倉さんのナイフ@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱】
説明不要。朝倉さんのシンボルとも言えるアイテム。
「ハルヒちゃん」でも、第1話でちゃんと使っている。


【方天画戟@中華武将祭り】
呂布が愛用する武器。槍のような本体の側面に、月牙と呼ばれる刃が付いた形をしている。
ちなみに正史には登場しておらず、実在の武器であるかどうかは不明。


【ギャレンバックル@仮面ライダーディケイド】
「ブレイドの世界」で作られた、仮面ライダーギャレンへの変身アイテム。
融合係数という数値が高い人間でないと使用できない。
原作「仮面ライダー剣」では橘朔也、「ディケイド」内では菱形サクヤが使用した。
後に「ライダー大戦の世界」でもギャレンは登場するが、台詞がなく「ギャレン」としか呼ばれないため中身がサクヤのままだったのかは不明である。
なおこのロワでは、ラウズカードは変身に必要なAのみ付属している。


※参加者紹介
【柊かがみ@こなたとハルヒの第二次世界大戦】
こなたの親友。出典動画ではこなた達と共に異世界に飛ばされ、そこで戦争に巻き込まれることになる。
聖女として幸星党のシンボル的ポジションを務める一方で、陸軍総司令官として自ら最前線で戦闘を繰り広げている。
次元を越えた影響でラノベオタクが悪化しており、捕虜はもれなく彼女の布教活動で洗脳されることになる。
あと、こなたの嫁。


【空気王@パロロワ戦記】
書き手ロワ国の国王。
元は各地をまわる旅商人だったが、書き手ロワ国の建国に尽力したことで王に選ばれる。
孤児であったかがみんとみWikiを養子として引き取っており、彼女たちを溺愛している。
116◇NIKUcB1AGw レス代行 :2009/12/23(水) 01:20:56 ID:qhzgua2v
>>115最下段追加
飄々とした性格だが、怒らせると怖い。

以上で投下終了です
117創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 01:35:19 ID:8yppp+s3
投下乙
118 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/23(水) 22:26:22 ID:4ikF0mu+
投下乙です。では俺も行きます。
個人趣味ロワ第21話「For an irreplaceable younger sister」(かけがえの無い妹のために)
登場:ヴォルフ、平池千穂
119For an irreplaceable younger sister ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/23(水) 22:28:32 ID:4ikF0mu+
21話「For an irreplaceable younger sister」

G-7の森で灰色と純白の毛皮を持つ人狼、ヴォルフは悩んでいた。
いつものように義理の妹と夜の生活を楽しんだ後、住処で就寝したはずなのだが、
目覚めた時にはそこは自分達の住処では無く、大勢の人間や獣人がいる豪華なホール。
そこには妹のリーヴァイもいた。
そして現れたセイファートと名乗る狼獣人の女性が「殺し合え」と宣言した。

「参ったな……非常に面倒な状況だ」

首にはめられた首輪を触り、溜息を漏らすヴォルフ。
この首輪は無理矢理外そうとしたり逃げようとしたりすれば爆発する。
あのホールで殺された人間の男のようになるのだ。

「殺し合いか。別に殺し自体は何とも無いが、リーヴァイの奴がいるからな」

この殺し合いに参加させられている自分の妹、リーヴァイ。
血は繋がっていないが、ヴォルフとリーヴァイの二人は本当の兄妹のように強い絆で結ばれていた。
このバトルロワイアル、最後の一人にならなければ帰れないとの事。
ヴォルフ自身は殺人に躊躇がある訳では無かったが、最愛の妹を殺す事など出来るはずが無い。

「考えてても仕方無いな。とにかくリーヴァイを探そう」

ヴォルフは自分のデイパックを開け、中身を調べる。
基本支給品の他に、古いライフルと予備弾、それと何やら人間の女性の写真集だった。
カタカナで表紙に「ナッチ」と書かれている。なぜか刃物で切り付けられたような傷があるが。
写真集をデイパックにしまい込み、ライフル――二十二年式村田銃を装備する。
ライフルで撃たれた嫌な思い出が蘇るが気にしないようにする。

「しかし探すと言ってもどこを探せば……」

ガサガサ。

「!! 誰だ!?」

すぐそこの茂みから物音が聞こえた。
風に揺れて葉が擦れた音では無い。明らかに誰かがいる。
音がした方向へ村田銃の銃口を向けるヴォルフ。
120For an irreplaceable younger sister ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/23(水) 22:32:35 ID:4ikF0mu+
「う、撃たないで下さい!」

茂みから両手を上に上げて出て来たのは黒っぽい制服に身を包んだ黒髪の少女。

「変な真似をしなければ撃たない。お前、殺し合いに乗っているのか?」
「いいえ、乗っていません」
「本当だな?」
「本当です!」
「……いいだろう。悪かった」

村田銃を下ろし脅した事を詫びるヴォルフ。少女は顔に安堵の色を浮かべ両手を下ろす。

「俺はヴォルフ。見ての通り、ワーウルフだ。お前は?」
「平池千穂って言います。ヴォルフさん、ですか」
「呼び捨てでいいぜ。あと敬語使わなくてもいい」
「えっ、あ……うん。分かった」

ヴォルフと千穂はすぐ近くの木の幹の根元に座り簡単に情報交換をする。

「妹を見ていないか? リーヴァイっていう、水色と白の毛皮の雌のワーウルフなんだが」
「ごめん、見てない……」
「そうか……千穂、だったな? お前は知り合いはいるのか?」
「うん、伊賀榛名と中村アヤって子。クラスメイトなの。
伊賀さんは狐の獣人で、中村さんは牛の耳と角を持った牛娘なの。私と同じ制服を着ている」
「分かった。あー、お前支給品は何だったんだ?」
「あ、確認してないや」
「お前……」

いつ襲われるか分からないのに呑気だな、と心の中で毒づくヴォルフ。
千穂は自分のデイパックを開け、中身を漁る。
そして二つのランダム支給品を取り出し地面に置いた。
月明かりの元に照らし出されたそれは、金属バットと、
携帯ゲーム機、プレイステーションポータブル(略してPSP)だった。
金属バットなら分かるが、なぜ携帯ゲーム機を? と首を傾げる千穂。
ヴォルフはPSPを見て千穂とは違った意味で首を傾げる。彼の住む世界には無い物だからだ。
千穂が試しにPSPの電源を入れてみると、ある事に気が付いた。

「あれ、何これ?」
「どうした?」

PSPの画面には、中央の三角形の印を中心に二つの黄色い点と名前が表示されていた。
「ヴォルフ」「平池千穂」とある。千穂の点は三角形と重なるように表示されている。
121For an irreplaceable younger sister ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/23(水) 22:35:33 ID:4ikF0mu+
「何だこれは……?」
「これ、もしかして探知機なのかな。近くにいる人の名前が表示される」
「探知機……つまり近くに誰がいるか分かると言う事か。便利そうだな」
「うん」

上手く使えば重宝するかもしれないアイテムに気を良くする二人。

「それで、これからどこへ行くの?」
「そうだな……どうもこのデバイスとかいう機械によると、現在位置はC-3らしい。
北の方へ行くと展望台があるみたいだ」
「特に行く宛てが無いのなら、そこに行ってみない?」
「そうだな。そうしよう」

二人は北の方角にあるという展望台へ向かう事にした。

「ところで、ヴォルフ」
「何だ? 千穂」
「尻尾触っていい?」
「……」


【一日目/深夜/G-7森】

【ヴォルフ@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:二十二年式村田銃@SIREN(8/8)
[所持品]:基本支給品一式、8o×53R弾(30)、ナッチの写真集@永井先生
[思考・行動]:
0:リーヴァイを探す。殺し合いはする気は無い。首輪を何とかしたい。
1:平池千穂と行動を共にする。展望台へ行ってみる。
2:襲われたら戦う。
3:尻尾……触らしてやるか?
[備考]:
※伊賀榛名、中村アヤのおおよその特徴を把握しました。

【平池千穂@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:金属バット
[所持品]:基本支給品一式、PSP型簡易レーダー@オリジナル
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。生き残る。
1:クラスメイトの二人(伊賀榛名、中村アヤ)を探す。
2:ヴォルフと行動を共にする。展望台へ行ってみる。
3:尻尾……触りたい。
[備考]:
※リーヴァイのおおよその特徴を把握しました。
122For an irreplaceable younger sister ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/23(水) 22:38:06 ID:4ikF0mu+
≪オリキャラ紹介≫
【名前】ヴォルフ
【年齢】20
【性別】男
【職業】野生の人狼
【性格】冷静
【身体的特徴】銀色と白の毛皮を持った獣足型狼獣人。引き締まり程良く筋肉が付いている
【服装】全裸
【趣味】狩り、走る事、妹とじゃれる事
【特技】自己流格闘術、多少銃も扱える
【経歴】両親が物心つく前に他界し、10歳の時に同じ境遇の雌人狼の子供と一緒になった
【備考】リーヴァイという2歳年下の義理の妹がおり、肉体関係も持っている

【名前】平池千穂(ひらいけ・ちほ)
【年齢】18
【性別】女
【職業】高校生、バスケ部所属
【性格】明るい
【身体的特徴】黒髪ストレートヘアの美少女、身体付きは普通
【服装】学校の制服である赤ネクタイ付きの黒っぽいブレザーとスカートに白い靴下
【趣味】小説執筆(主に恋愛系)
【特技】ジャンプ力がある
【経歴】両親と姉がいる普通の家庭で育つ。
【備考】運動能力は高い

≪支給品紹介≫
【二十二年式村田銃@SIREN】
羽生蛇村の老猟師、志村晃が狩猟で使用していた旧式の猟銃。
性能は新式には劣るが、装弾数が8発もあるのが特徴。

【ナッチの写真集@永井先生】
某実在女性タレントの写真集。永井先生こと永井浩二が大切にしていたが、
写っている女性タレントの起こしたとある事件がきっかけで、激昂した永井浩二の手により、
包丁で表紙をズタズタにされた。

【金属バット】
野球で使われる金属製のバット。
某K1が「ウッディ!!」と叫びながら振り下ろしていたのとは全くの別物。

【PSP型簡易レーダー@オリジナル】
PSPの中身を改造して製作された簡易レーダー。
半径50M以内にいる人物の名前を表示する。
電源を入れればすぐ機能するため、ボタンや十字キーなどはただの飾り。
123 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/23(水) 22:40:47 ID:4ikF0mu+
投下終了です。今さらだが、自分はこの非リレーロワに巡り合えて幸せです。
124いざ病院へ ◆6LQfwU/9.M :2009/12/26(土) 00:26:47 ID:aK+14/uX
走っていく電車を見つめ、何かを考えている◆PURIN//46E。
「ここから南の方に行けば病院があるみたいだし、そっちの方に行ってみない?」
突然めろりんが提案する。
「…え?ああ、いいかも…でも、さっき声が…」
慌てて返事を返す◆PURIN//46E。
そうだ。
さっき声が聞こえてきたのだ。


「ここにい…合いなんてだらし…やめて、俺たち…さないか?」
声が響く、だが不明瞭な声は、電車に乗っていた3人の耳に届いた。
「そうだ!こん…いゲームに…なるんだ?一緒に…そう!」
続いてまた不明瞭な声。
3人は暫く黙っていたが、下痢が一番最初に口を開いた。
「…今の声はいったい何だろうか」
「さあ…だが、ゲームに乗ってる人の発言じゃないのは確かだよね」
◆PURIN//46Eは何か考え込んでるような表情で答える。
「どんな人なんだろう?危ない人じゃないんだろうけど」
めろりんが不安を含んだ口調で答える。
(とにかく…調べたいな)


(まあここにいても何もないだろうし…まあ行けば何かあるでしょ)
そう思い、ひと足先に出口に向かう◆PURIN//46E。
「あ、ちょっと待って」
それを止める下痢。
「…どうしたの?何か不都合な事でもあった?」
「…トイレ行きたいんだ」


(…さっきから何なんだ、頭が痛い。それに…言葉ではなんだか説明しがたい感覚も…)
そう考え、トイレの個室で頭を抱える下痢。
(この状況でおかしくなったんだろうか…)
そして何か満たされない物を感じながら、手を洗いトイレを出る下痢。
「よし、下痢さんも来たし、病院に向かって歩こう」
めろりんの呼びかけに応じ、3人は駅を出た…
125いざ病院へ ◆6LQfwU/9.M :2009/12/26(土) 00:27:43 ID:aK+14/uX
【一日目/黎明/A-7:A7駅出口】


【めろりん@板対抗BR】
[状態]:健康、精神疲労(小)
[装備]:風切り鎌@かまいたちの夜
[所持品]:支給品一式、蟹@本格的 ガチムチパンツレスリング
[思考・行動]:
基本:人は殺したくない。
1:病院…少し遠いけど頑張ろう


【◆PURIN//46E@板対抗BR】
[状態]:健康、精神疲労(小)
[装備]:狩猟用狙撃銃(6/7)@SIRENシリーズ
[所持品]:支給品一式、宇理炎@SIRENシリーズ
[思考・行動]:
基本:人は殺さないけど…でも相手から仕掛けられたなら話は別。
1:病院か…何かあるといいなあ

?:この状況なら、気に入らない人を殺してもいいよね?


【下痢@板対抗BR】
[状態]:健康、「ふうのしん」少し発症(45%)
[装備]:なし、火掻き棒@SIRENシリーズ
[所持品]:支給品一式、「ふうのしん」の枝@かまいたちの夜
[思考・行動]:
基本:絶対死にたくない。
1:病院か…まだ暗いから怖いなあ
2:何か足りないような気がするんだよね…
126餌食 ◆6LQfwU/9.M :2009/12/26(土) 00:43:26 ID:aK+14/uX
(倒したはいいけど、どうしようか)
倒れている阿部の前でしばし思案に耽る田鼠。
「ここに置いといてもなんだかアレだし…かといって運ぶのも…」
その内に、あることに気づいた。
(さっき倒したと思ったけど、気絶してるだけなんだろうか)
そう思い、倒れている阿部に近寄ると…
ガシッ、と阿部の腕が田鼠を掴む。
「!」
予想外のことに驚き必死で手を振り解こうとするが…離れない。
(くそっ、振り解けない…!離してくれ…)
だが、その思いに反し、田鼠を掴む力はだんだん強くなる。
「…俺を倒したつもりだろうが、あんな攻撃でやられるほどヤワじゃないんでね」
そして手を離さず立ち上がる阿部。
「くそっ、離せ…離してくれ!」
必死の思いで手を振り解く。
「おおっと、抵抗しても良い結果にはならないぜ?」
依然として態度を変えない阿部。
それに反し、体が竦んで動けない田鼠。
「今だっ!」
阿部の目がまたしても光り、体が竦んで動けない田鼠を捕まえトイレへ…


「アッー!」


「結構抵抗してきたんで、少々乱暴にさせてもらったが、許してくれよ」
すでに事切れている田鼠の体を離し、田鼠が持っていたデイパックを拾う。
(だが、あまり歯ごたえは無かったな…今度はもっと強いやつを食いたいな)


【一日目/黎明/G-5:G5駅トイレ】


【阿部高和@ニコニコ動画】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:◆6/のデイパック、田鼠のデイパック、支給品一式、ウージー(32/32)@現実 、首輪探知機@現実
[思考・行動]
基本:いい男を食いたい。女はどうでもいい。
1:さて、次は誰がいいかな…


【田鼠@板対抗BR 死亡】
死因:悶絶死
127 ◆6LQfwU/9.M :2009/12/26(土) 00:50:11 ID:aK+14/uX
投下終了です
128信じようと信じまいと ◆6LQfwU/9.M :2009/12/26(土) 22:14:38 ID:VXl8F+lF
すでに遊園地から去り、遊園地からも近いショッピングモールに着いた07と雷電。
(時間が時間だから、まだ真っ暗だ…たしか、懐中電灯が入ってたな)
そう思い、入り口にデイパックを置いて中にある懐中電灯を取り出すが…
「…あっ」
懐中電灯を取り出したはずみで、本が転がり落ちる。
それは、もう一つの支給品である、「ロア全集」であった。
ページをパラパラめくって、そのまま閉じる。
(役に立たないなこれ…まあ…持っててマイナスになるような物でもないか)
そして本をしまって、デイパックを背負い直した。
「ちゃんとついて来てる?まさかこの程度の距離で疲れた訳でもないだろ」
雷電に問いかける。
「…ああ、ちゃんとついて来てるさ。心配する必要は無い」


「人の気配が無いな…誰もいないようだ…」
雷電が誰に言うでもなく呟く。
確かに、2人が周りを照らしても、誰一人いない。
そして照らして行く内に、階段を見つける。
「…階段だ。どうする?上へ行くか、それとも、そのまま真っすぐ進んでもいいが…」
少し考えて07が、
「そうだな、先に上へ行って、後から下を調べよう。」
そう答え、階段を登って行った…


【一日目/深夜/D-6:ショッピングモール:階段踊り場】


【07@板対抗BR】
[状態]健康
[装備]:デザートイーグル@現実
[所持品]:支給品一式、ロア全集@その他
[思考・行動]:
1:さて、どうなることやら…

【雷電@メタルギアソリッドシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ねぎ(武器)@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、不明支給武器
[思考・行動]:
1:人がいないな…まったく、何なんだ?
2:ま と も な ぶ き が ほ し い



≪支給品紹介≫
【ロア全集@その他】
オカルト板に存在する、「信じようと、信じまいと―」と言うスレに投稿されているロアが纏められている。
129高く高く… ◆6LQfwU/9.M :2009/12/26(土) 22:51:43 ID:VXl8F+lF
「…何のビルだ?これは」
目の前にそびえるビルの入り口に立ち呟くスネーク。
(鍵は…掛かっていない。というか自動ドアか)
確かに1歩足を踏み出した瞬間、入り口が開いたのだ。
「まあ、開ける手間が省けていいか…」
そう思い、ビルの中へ入っていくスネーク…


(一体どうなっているんだ…ここはどこなんだ)
卓上ライトが点いている机にひじをつき、考え込んでいる一樹守。
(ああ、どうすればいいんだ…武器のような物も頼りない…)
一樹に支給されたものは、カメラと何かよく分からないDVDのような物だった。
どれも約に立つような物ではなさそうだ…


エレベーターがどんどん上に向かって進んで行く。
そして…止まった。
(さて、この案内によると、ここは…フィットネスクラブか…)
エレベーターの扉が開き、フィットネスクラブが見える…はずなのだが…
「真っ暗じゃないか…ライトライト…」
慌ててデイパックから懐中電灯を取り出し、辺りを照らす。
ライトで照らされたフィットネスクラブの名前は…「ゲイパレス」
(!?…何て名前だ…)
名前のインパクトに驚きながらも、クラブ内に入るスネーク。
「中は普通のクラブなんだな…名前からして変なとこかと思っていたが…」
そう呟きながら、電気を付けるために壁のスイッチを押す。
押した途端、眩しい光が目に入り、一瞬目を瞑る。
「…これでいいか」


【一日目/黎明/E-6:ビル21F:「ゲイ♂パレス」内】


【ソリッド・スネーク@メタルギアソリッドシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ダンボール箱@メタルギアソリッドシリーズ
[所持品]:支給品一式、不明支給品
[思考・行動]:
1:さて、どうするか
※ビルの一郭に電気が点きました。


【一日目/黎明/E-6:ビル15F:オフィス内】


【一樹守@SIRENシリーズ主人公】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、カメラ@板対抗BR、即死耐性プログラム@MUGEN
[思考・行動]:
1:どうしたら…

≪支給品紹介≫
【即死耐性プログラム@MUGEN】
キャラクターに対して即死耐性を付ける。
普通の人間にも有効かは不明。
130 ◆6LQfwU/9.M :2009/12/26(土) 22:54:14 ID:VXl8F+lF
>>128の状態表の時間帯は黎明です…
投下終了です
131蟹から帰ってこい ◆6LQfwU/9.M :2009/12/27(日) 21:23:29 ID:Yw68eFUm
道をさっきより遅いスピードで走っているヴァン。
(ふう…ここにきて早々、人を殺すことになるとは…何だってこんなことに)
悩みながら車を走らせる。
ふと気づくと、道端に男が立っている。
だが、その男は車のヘッドライトに照らされた瞬間、あることに気づく。
(血まみれじゃないか…怪我してるのか?それとも、返り血か…?)
ヴァンはその男と、少し距離を置いて車を止め、道端にいる男に歩みよる。
「おい、お前そこで何を…!」
男…穴はいきなり手に持っている刀を振りかざしヴァンに向かって走ってくる!
それに一瞬驚きながらも我に帰り、車に向かって走る!
「くっ…!fuck!何だこいつ!」
車内に転がり込みドアを閉め、鍵をする。
「出てこい!」
穴が殺気のこもった声で怒鳴り、ドアを抉じ開けようとする。
ヴァンはそれにかまわずアクセルを踏み、車を発進させる。
「くっ…待…」
だんだん穴の声が遠くなる。


(ふう…まったく、危ないところだった…もう、まいただろ)
そう思い、街の入り口に車を停めるヴァン。
「さて…地図によるとこの街の東の方に道なりに進むと駅があるのか…」
少し考えた末に、結論を出した。
「…まあ、街を探索するのもいいか」


【一日目/深夜/F-2:街入り口(東)】


【ヴァン・ダークホーム@本格的 ガチムチパンツレスリング】
[状態]健康、後悔(大)
[装備]:べんつ@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、不明支給品、蟹(鎌田吾作)@本格的 ガチムチパンツレスリング
[思考・行動]:
1:ふう、何て奴ださっきのは…
2:街を探索するか。


【一日目/深夜/E-3:道端】


【穴@板対抗BR】
[状態]:健康、血まみれ
[装備]:高周波ブレード@メタルギアソリッドシリーズ
[所持品]:支給品一式、業務用ポッキー@テラカオスバトルロワイアル
[思考・行動]:
基本:ゲームに乗り、優勝する。
1:逃がしたか…
132 ◆uuKLWnNKfE :2009/12/29(火) 11:08:29 ID:YhustJYc
トリップテスト
133創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 11:11:16 ID:YhustJYc
駄目だ スレ汚しすまない
134創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 18:09:37 ID:Al9SFnRv
てs
135もうどうにでもなれ ◆6LQfwU/9.M :2009/12/29(火) 21:39:48 ID:Al9SFnRv
突然、首輪から声が。
「全員殺しあってるか?そうでなくてもいいが。まあ聞いてくれ。」
声の主は、主催者である謎のプログラマであった。
「ここでちょっと重大発表。一部の参加者がはりきって殺し合いしてるおかげで人数が足りない。んで、死んだ奴を一人だけ復帰させるぞー。」
そう言って、手元で何かを操作する謎のプログラマ。
「これでよし…さて、全員引き続き頑張れよー」


「あれ、確か俺死んだよな…?」
自分の置かれた状況がいまいち理解できない表情で、湖畔に立っている◆Right//mko。
(何か知らんけど、生き返れたなら…ありがたい。)
そう思い、足元のデイパックを拾う。…そのとき、あることに気づく。
「変な臭いが…これって、血の臭いじゃ…?」
臭いの方向を向くと、古びた小屋がある。
その近くには、足跡が…1,2人分ある。
(行ってみるか…)


「誰かいるのか…!」
小屋の前まで来て、扉を開けると…死体が転がっている!
「…霜月じゃないか。なんでこんなことに…」
そして、霜月の変わり果てた姿の近くに血の付いた銃が落ちている。
まだ血で濡れている銃を拾い上げ、呟く。
「何があったのか分からないが…危険な奴がまだ近くにいる可能性もある…」
そして、自分のデイパックも開ける。
(どこでもドア!?役に立たないじゃないか。それに…靴べら…)


【◆Right//mko@板対抗BR 復帰】


【一日目/黎明/B-4:湖畔の小屋】


【◆Right//mko@板対抗BR】
[状態]:健康、困惑
[装備]:イングラムM10@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、どこでもドア@板対抗BR、靴べら@SIRENシリーズ
[思考・行動]:
基本:生き残る。
1:何だよこれ…
2:霜月…どうなってるんだよ


≪支給品紹介≫
【どこでもドア@板対抗BR】
地図上の場所を言うと、そこまで行ける。
当然ステージ外には出られない。
136いい男、降臨(再放送) ◆6LQfwU/9.M :2009/12/29(火) 21:41:19 ID:Al9SFnRv
デイパックを担ぎ、道を歩く阿部。
(さっき駅に来る時、分かれ道があったな…標識によると…)
阿部の脳裏に標識が蘇る。
←街 ↓G5駅 ビル→
蘇る、と言うか…実際に目の前にあるんだが…
「さて、今度は…街だな。」

血も少し乾き、赤黒く染まった服のまま道を歩いている穴。
(さっきの奴は逃がしたが…近くに誰かいれば…)
感情が読み取れない目を動かし、辺りを見回す。
…誰かが歩いてくる。
とっさに近くの茂みに身を隠し、相手を観察する。
(武器を…持ってない!?何で持ってないんだ…まあいい。)
息を殺し、じっと待つ…
その男、阿部は穴の潜んでいる茂みの前を通り過ぎる。
(今だっ!)
素早く茂みから飛び出し、阿部に斬りかかる!
「うおっと!」
阿部は咄嗟に避けるが、バランスを崩し尻餅をつく。
(くっ…まずいな)
立ち上がろうとする阿部に、さらに斬りかかる穴。
そしてそれを紙一重でかわす。
「うおっと!…危ないじゃないか、まったく。そんなもの振り回したら危ないぜ?」
だがそれを無視し、また斬りかかる。
…今度はかわしきれ無かったようだ。
(…肩を斬られたか…だがかすり傷だ。問題無い…)
やっと立ち上がり、デイパックからウージーを取り出す。
「あまり武器は使いたくないが…仕方ない。」
そう呟き、穴に向かって銃を撃ち込む…!
だが、その銃弾を蝿を落とすように全て弾く穴。
(くっ…何て奴だ…ここは一旦逃げるか…)
そう思い、来た道を引き返し走り出す。
「そうは行くか!」
走って逃げる阿部を追いかける。
逃がさない…!
そんな思いが穴の全身からにじみ出てくるようだった。


「…ここなら分からないだろう…」
森の中に身をひそめている阿部。
(しかし、奴は一体…?あいつは掘りたくないな)


「また見失ったか…くそっ…」
道の真ん中で辺りをキョロキョロ見ている穴。
いくら逃がさないと思っていても、まだ暗い。
見失うのも無理は無い。
(絶対…探し出してやるよ)
137いい男、降臨(再放送) ◆6LQfwU/9.M :2009/12/29(火) 21:42:40 ID:Al9SFnRv
【一日目/黎明/F-5:森の中】


【阿部高和@ニコニコ動画】
[状態]:健康
[装備]:ウージー(24/32)@現実
[所持品]:◆6/のデイパック、田鼠のデイパック、支給品一式 、首輪探知機@現実
[思考・行動]
基本:いい男を食いたい。女はどうでもいい。
1:これでひと安心か…


【一日目/深夜/E-4:道の真ん中】


【穴@板対抗BR】
[状態]:健康、血まみれ
[装備]:高周波ブレード@メタルギアソリッドシリーズ
[所持品]:支給品一式、業務用ポッキー@テラカオスバトルロワイアル
[思考・行動]:
基本:ゲームに乗り、優勝する。
1:また逃がしたか…!くそっ
138 ◆6LQfwU/9.M :2009/12/29(火) 21:44:09 ID:Al9SFnRv
投下終了です
139妖刀の恐怖2nd ◆6LQfwU/9.M :2009/12/30(水) 22:49:23 ID:9+gYdqjL
工場の手前で停止するセグウェイ。
(さて、ここには誰かいるかしら?)
セグウェイを降り、入り口に歩いて行く。
「…誰かいるみたいね」


ふと目をさまし、辺りを見回す和也。
(寝てたのか。こんな状況で眠るとは…結構神経図太いんだな)
自虐的に笑い、立ち上がる。
「さて…どうしようか…」
そう思いつつ事務所を出る。
その時、誰かいるのに気づく。
(まずい!隠れないと…)

2階への階段に向かって一直線に歩いて行く。
(電気が点いてれば誰かいるなんてすぐに分かるのに…)
そう思いながらも、さらに歩を進める。
そして階段をわざと音を立てて登る…。
(うわ…お願いだからこっちに来ないでくれよ…)
和也は事務所の近くにあったロッカーへ咄嗟に飛び込んでいた。
そしてその中で必死にこっちに来ないように願っていた。
「さて、どこにいるのかしら?隠れてないで出て来たら?」
彩子がさも楽しそうに大声で言う。
そして近くの部屋に入る。
(よし、今なら逃げられる…)
部屋に入るのをスリットから見ていた和也は、音を立てないようにロッカーを開ける。
そして足音を立てないように階段を降りて行く…が。
階段の途中にあった空き缶を蹴ってしまう!
空き缶はそのまま階段から大きな音を立て転げ落ちる。
「…逃げようとしても無駄よ?」
彩子が部屋から飛び出し、階段の方に歩いてくる。
(まずい!逃げないと!)
一気に階段を駆け降り、入り口にまっすぐ走っていく。
そして外に出た時、入り口付近に何かあるのに気づく。
「…これ確かセグウェイとか言ったよな…貰って行くか」
そしてセグウェイに乗り、そのまま走り去った…


「逃がしたみたいね…ごめんなさいね村正さん。」
ゆっくり入り口から出てくる彩子。
(まあいいわ…まだまだ時間はあるし…ゆっくり行きましょう)
140妖刀の恐怖2nd ◆6LQfwU/9.M :2009/12/30(水) 22:50:13 ID:9+gYdqjL
【一日目/黎明/B-3:森】



【野村和也@オリジナル】
[状態]:健康、睡眠
[装備]:熱き魂の封じ込められた腕輪@板対抗BR、セグウェイ@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、大阪名物はりせんチョップ@板対抗BR
[思考・行動]
基本:死にたくない。でも人殺しはしたくない。
1:なんとか逃げ切ったか…


【一日目/深夜/B-2:工場入り口】


【守谷彩子@オリジナル】
[状態]:健康、血まみれ
[装備]:妖刀村正@現実
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]:
基本:村正に血をあげるためにも参加者を殺す。
1:逃がしちゃったわね…
(心の中):どうして、こうなってしまうの…?誰も殺したくないのに!
141Hとの遭遇、病の覚醒 ◆6LQfwU/9.M :2009/12/30(水) 23:46:58 ID:9+gYdqjL
「だんだん明るくなってきたか…でもまだ暗いから注意しないと…」
◆PURIN//46Eが2人に呼びかける。
「そうだねー。でも、もう少しすれば明るくなっていくのも分かるよ…」
めろりんは最後に「そこまで生きられれば…」と言いかけそうになるが、それを留める。
その時、道に誰か座っているのに気づく。
「…誰かいるの?」
下痢が呼びかける。
その人影に向かって歩き出す。
「…この子何処かで見たことあるような…なんだろ、思い出せない…確か名前は…」
◆PURIN//46Eが名前を言うのと同時に、その子が名前を言う。
「「チルノ」」


「…で、あたいこのゲームを壊そうと思ってたけど、暗かったから…」
道を歩きながら、チルノがこれまであったことを話している。
「…あそこで誰か来ないか待ってたんだー。怖くなかったの?」
めろりんが聞く。
「大丈夫!あたいさいきょーだから!」
チルノが答える。
(最強、ね…こんなちっちゃい子まで参加させるとは…何て奴だ)
◆PURIN//46Eが心の中で毒づく。
そして、新たに1人増えた状態で、4人は病院へ向かって行った。
…と思いきや、何やら下痢の様子がおかしい。
それを心配し、◆PURIN//46Eが声をかける。
「大丈夫?疲れたなら、休憩したほうがいい?無理しないで言って…」
(…我慢できない…!)
次の瞬間。
下痢が◆PURIN//46Eに向かって火掻き棒を振り下ろす!
「プリン、危ない!」
咄嗟に大声を出し、注意を引くめろりん。
その声に驚き、咄嗟に攻撃をかわす。
「げ、下痢さんいきなり何するんだ!危ないだろ!」
めろりんの怒声も気にせず、さらに攻撃してくる下痢。
「うおおおっ!」
下痢の体に体当たりをぶつける◆PURIN//46E。
そして立ち上がり、びっくりして動けずにいるチルノをおんぶして走る!
(まったく、何で下痢さんはいきなり攻撃してきたんだ!味方じゃなかったのか!?)
頭の中が混乱し、何がなんだか分からなくなっている。
そして走る3人を追いかけずに見つめている下痢…


遊園地の北門に座り込み、肩で息をしている◆PURIN//46Eとめろりん。
そしてチルノを地面に下ろす。
「ねえ、一体なんだったの?さっきの人、味方じゃないの?」
チルノが疑問をぶつける。
だが、それに答えられる者はいない。
「分からない…分からないよ」
なんとか◆PURIN//46Eは一言発する。
「下痢さんは…最初から私たちを狙ってたのかな…?」
めろりんが言う。
「…信じたくないけど、そういうことになるんだろう…多分。」
◆PURIN//46Eがあきらめたように言う。
(…下痢さんめ…覚えてろよ)


「とうとう…やってしまった…」
持っている火掻き棒を見つめ、その場に座り込む下痢。
だが、後悔の念に反して、その顔は…笑っていた。
142Hとの遭遇、病の覚醒 ◆6LQfwU/9.M :2009/12/30(水) 23:47:56 ID:9+gYdqjL
【一日目/黎明/D-7:遊園地:北門前】



【めろりん@板対抗BR】
[状態]:健康、疲労(中)、混乱
[装備]:風切り鎌@かまいたちの夜
[所持品]:支給品一式、蟹@本格的 ガチムチパンツレスリング
[思考・行動]:
基本:人は殺したくない。
1:下痢さん…何で?


【◆PURIN//46E@板対抗BR】
[状態]:健康、疲労(中)、怒り
[装備]:狩猟用狙撃銃(6/7)@SIRENシリーズ、宇理炎@SIRENシリーズ
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]:
基本:人は殺さない…でも相手から仕掛けられたなら話は別。
1:下痢さんめ…何でなんだ?
2:下痢さんを見つけて殺す。謝っても許す気は無し。

?:この状況なら、気に入らない人を殺しても…


【チルノ@ニコニコ動画】
[状態]:健康、混乱
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、不明支給武器×2
[思考・行動]
基本:あたいさいきょー。
1:さっきの人は味方じゃなかったの?


【一日目/黎明/C-7:道】



【下痢@板対抗BR】
[状態]:健康、「ふうのしん」発症(50%)
[装備]:火掻き棒@SIRENシリーズ
[所持品]:支給品一式、「ふうのしん」の枝@かまいたちの夜
[思考・行動]:
基本:絶対死にたくない。
1:やっちゃったか…だが、不思議なことに悪い気分じゃないな
2:皆は病院に行くんだろうな。
143 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 09:55:06 ID:pYn9JoFe
tesuto
144 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 09:59:44 ID:pYn9JoFe
よしトリップOK!
◆6L氏投下乙です。まさかの死者復活! H登場! これからも楽しみにしています。
自分も久々に投稿します。個人趣味ロワ第22話「廃展望台での遭遇」
登場:森屋英太、志村晃
145廃展望台での遭遇 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 10:07:27 ID:pYn9JoFe
22話「廃展望台での遭遇」

F-7に存在する、朽ち果てた廃墟の展望台。
最上階、360度景色が見渡せるようになっている展望ルームに、
学生服を着た少年――森屋英太の姿があった。



あ、ありのまま起こった事を話すぜ!

「殺し合いに参加させられ、死んだと思ったら、今度は別の殺し合いだった」

……嘘だと思うだろ? だけど本当なんだ。
俺、森屋英太は以前、別の殺し合いで死んだはずなんだ。
だけど目が覚めた時には今度は別の殺し合いと来た。
首にはお馴染み、爆破装置内蔵の絶対に外せない首輪もはめられている。
あの血みどろの殺し合いをまさか二回もする事になるなんて誰が予想つくよ!?

とにかく前と同じくデイパックの中身を確認しよう。
名簿に地図にランタンに、ん……何だこの小さな機械? デバイスだって?
へえ、現在位置と時刻と方角が分かるのか……こりゃ便利だな。
んでペットボトル入りの水にパン、そしてバタフライナイフと何だか不気味な顔をした何かの動物のぬいぐるみ。
まあとりあえずバタフライナイフは十分武器として使えそうだな。ちょっと頼り無いけど。
ぬいぐるみは説明書によると「マーフィー君」という名前らしい。お世辞にも可愛いとは言えない……。

「微妙な支給品だな……いいや。とりあえず名簿を見てみよう」

名簿の紙を開くと、自分を含め48人の名前が書かれていた。何人か見知った名前もある。

「シルヴィアだって?」

死亡者発表で名前が呼ばれたはずのシルヴィアの名前を発見した。
俺の頭に白髪に猫耳、猫の尻尾を持った、喧嘩っ早い猫族ハーフの少女の姿が浮かぶ。
あいつ、前回の殺し合いではゲームに乗っていたけど、今回はどうなんだろうな……。

「!!」

そして俺は「そいつ」の名前を発見した。
「太田太郎丸忠信」。俺の目の前で、遥に致命傷を負わせ、死に至らしめた張本人の名前が名簿に載っていた。

「太田……お前も、ここにいるのか」

こいつだけは、こいつだけは許す訳にはいかない。
あいつの事だ、きっとこの殺し合いでもロクな行動を取らないだろう。
もし出遭う事があったら、その時は絶対に殺してやる!

「おい」

不意に声が聞こえた。咄嗟に両手に鋏の刃を持って身構える。

「安心しろ。ワシは殺し合いをする気は無い」

窓から入ってくる月明かりで、声の主の容姿が見えた。
薄い茶色っぽい、猟師のような格好をしたじいさんだった。手には鎌らしき物を持っている。
146廃展望台での遭遇 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 10:08:39 ID:pYn9JoFe
「殺し合いはする気は無いって、本当ですか?」
「本当だ。もし殺し合いに乗っているなら、話し掛けずにさっさと殺しに掛かっている」
「……それも、そうですね」

どうやら信用しても良さそうだ。
じいさんは「志村晃」と名乗った。見た目通り猟師をしているらしい。
俺も自分の名前を自己紹介する。
互いの名前が分かった所で、元々警備室だったと思われる、
壊れたテレビモニターや椅子などが散乱した部屋に移動し、情報交換をする事にした。
部屋の電気はやはり点かないので、テーブルの上に俺のランタンを点灯した状態で置き明かりにする。
まず互いに支給品の確認。俺は今装備しているバタフライナイフと謎のぬいぐるみマーフィー君。
志村さんは装備している草刈り用の鎌と、デイパックから取り出したインスタントラーメンの代名詞「チキンラーメン」5袋入りパック。
あのセイファートとか言う狼族の女は本当に殺し合いをさせる気があるのか?
名簿を開き互いの知り合いの確認。
自分はクラスメイト8人と自分が分かる限りの特徴を伝えた。
志村さんは知り合いでは無いが、自分が住む村の村医である「宮田司郎」なる人物について話してくれた。
そして最後に俺は、自分が別の殺し合いで死んだ事、この殺し合いに呼ばれている他のクラスメイトも、
その殺し合いに参加させられ、命を落とした奴もいるという事も話した。

「むう……信じ難いが、ワシも何の前触れも無く突然この殺し合いに参加させられたからな。
有り得ん話では無い」

以外にも志村さんはあっさり信じてくれたようだ。

「ところで、森屋。話振りからしてお前は『太田太郎丸忠信』とやらに相当な憎悪を抱いておるようだな」
「! ……ええ。あいつは、あいつは……」

俺は志村さんに、前回の殺し合いでの出来事を包み隠さず話した。

「成程。そんな事があったのか……」
「……」
「しかしな森屋。お前の気持ちが分からん訳では無いが……憎しみからの復讐は何も生まんぞ」
「分かってます! 分かってはいるんです。でも、でも……」

憎悪や復讐は何も生まない。何かの漫画で似たような台詞を見た事があるような気がする。
それは分かってはいるさ。でも、理屈じゃないんだ。

「まあ、部外者であるワシがとやかく言う事でも無いが……無茶な事はせん事だ」
「……はい……すいません……」

志村さんに宥められ、俺は意気消沈してしまった。



サイレンが鳴り、地響きが起こったと思ったら、殺し合いとは。
全く訳が分からん。いや、訳が分からんのは、あの村、あの女も同じだがな。
ともかくこの殺し合いとやらでたった一人の優勝者が決まらなければ、元の世界に帰還する事は出来ないらしい。
首には爆薬が仕込まれた首輪もはめられている。脱出はほぼ不可能事に近いだろう。

この殺し合いには知り合いでは無いが、知っている人間が一人呼ばれている。
宮田司郎……村の村医であり村の暗部として大きな実権を握る「宮田医院」の若き院長。
確か前院長の実子では無かったと聞いたが……ワシもほとんど面識が無いので顔ぐらいしか分からん。
どんな人物なのかも不明瞭だ。この殺し合いでどういう行動に出るのだろうか。
147廃展望台での遭遇 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 10:10:11 ID:pYn9JoFe
しかしいつも使っている猟銃――二十二年式村田銃が手元に無いのは痛いな。
あれがあれば数倍楽に戦う事が出来るんだが。

殺し合いはする気は無いが、あの村に帰りたいとも思わない。
70まで生きて今更死が怖い訳でも無い。
しかしだ……目の前の学生服姿の少年、森屋英太は自分の憎むべき相手がこの殺し合いに呼ばれているらしく、
その相手を殺したいとさえ思っている。
なぜか彼の事が心配だった。思えば森屋は昔死んだワシの一人息子と同年代。
容姿も性格も似ても似つかないと言うのに、なぜか息子と森屋を重ねてしまう。



「下手に動くと危ない。しばらくここで様子で見よう」
「そうですね」

森屋英太、志村晃の二人はしばらく廃展望台に留まる事にした。


【一日目/深夜/F-7展望台最上階警備室】

【森屋英太@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:バタフライナイフ
[所持品]:基本支給品一式、マーフィー君@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。生き残る。
1:志村さんと行動を共にする。しばらくこの展望台に留まる。
2:太田に今度会ったら絶対に殺す。
3:太田以外のクラスメイトと合流したい(但し太田の仲間らしい吉良は微妙)。
4:シルヴィアの事が少し心配。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※「宮田司郎」のおおよその外見的特徴を把握しました。

【志村晃@SIREN】
[状態]:健康
[装備]:鎌
[所持品]:基本支給品一式、チキンラーメン(5)
[思考・行動]:
0:殺し合いをする気は無い。但し襲われたら戦う。
1:森屋と行動を共にする。しばらくこの展望台に留まる。
2:「宮田司郎」には用心しておく。
3:森屋が少し心配。
4:狙撃銃が欲しい。
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、意識を失った直後からの参戦です。
従って幻視能力は目覚めていません。
※森屋英太のクラスメイト(エルフィ、太田太郎丸忠信、北沢樹里、吉良邑子、
サーシャ、シルヴィア、ノーチラス、フラウ)のおおよその特徴を把握しました。


※F-7展望台最上階警備室は森屋英太のランタンの光によって室内が照らされています。
光が外に漏れている可能性もあります。
148廃展望台での遭遇 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 10:16:19 ID:pYn9JoFe
≪支給品紹介≫
【バタフライナイフ】
折り畳みナイフの一種で、溝の付いた二分割グリップで刃を上下から挟むように収納するのが特徴。
開閉操作には若干の慣れが必要。

【マーフィー君@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
松尾芭蕉が大切にしている謎のぬいぐるみ。中身は綿(芭蕉の弟子・曽良が確認)だが、
たまに呻き声を発し動く姿を目撃されている。芭蕉が曽良に叱られた時などに抱き締めていたりしているため、
芭蕉の涙の臭いが染み付いているとか。

【鎌】
草刈りに使う普通の鎌。フックのように使う事も出来ない事は無いが強度の面で不安が残る。

【チキンラーメン】
1958年に発売された、お湯を注ぐだけで調理出来るインスタントラーメンの祖。
登場から半世紀以上経った現在でも多くの消費者に愛されている。
そのままスナック感覚で食べる事も可能だがしょっぱいので注意。
149 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 10:23:46 ID:pYn9JoFe
投下終了。間を置いて次を投下します。
150WHITE OUT ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 10:41:24 ID:pYn9JoFe
個人趣味ロワ第23話「WHITE OUT」投下します。
登場:大村寿美 ※大村寿城を大村寿美に変更。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
23話「WHITE OUT」

「はぁ……全く殺し合いなんて有り得ないよ……」

A-2の森の中を、とぼとぼと歩く人影。
黒のYシャツの上に淡い灰色のジャケット、カーキ色のスカートに茶色のブーツという姿の、
白い毛皮に血のように赤い瞳を持った犬獣人の若い女性。
目付きは鋭く、背も高めで、非常に大人びた、いや、威圧感たっぷりな印象を受ける。
名前を大村寿美。この殺し合いの参加者の一人だった。

「寒いなあ……」

時折吹き抜ける夜風に身体を震わせる寿美。
威圧感のある外見に似合わず、彼女はとても柔和かつ穏やかな性格だった。
しかしその外見からか、学校でクラスメイトから怖がられ、避けられたり、
ナンパしてきた不良達が謝罪して足早に逃げ去ったりと、本人にとっては不本意な出来事が何度も起こっていた。
友人と話している時、冗談で凄んでみたら、その友人は失禁してしまった、などという事も。
しかし今の彼女に取ってそれは大した問題では無い。

(名簿を見る限りじゃ、私の知り合いは誰もいないみたいだし、
最後の一人にならなきゃ帰れないのなら……やるしか、ないかな)

自分のランダム支給品である中折れ式のリボルバー拳銃、エンフィールドNo.2を握り締め、
大村寿美は殺し合いに乗る事を決意する。
人殺しに対し躊躇が無い訳では無かったが、やはり自分の命は惜しい。

(……うわ、何だかおしっこしたくなってきた)

急に尿意を催す寿美。だが、ここは木々生い茂る森の中。当然トイレなどあるはずも無く。

「木陰でするしか無いっぽい? 一応私女の子なんだけど……」

寿美は周囲を見て人影は見当たらない事を確認する。
その間にも尿意はどんどん高まっていく。我慢出来るものなら我慢したかったがどうやら無理のようだ。
やむを得ず、寿美は手近な樹木の陰で用を足す事にした。
151WHITE OUT ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 10:42:35 ID:pYn9JoFe
【一日目/深夜/A-2森】

【大村寿美@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:エンフィールドNo.2(6/6)
[所持品]:基本支給品一式、380エンフィールド弾(30)
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り優勝を目指す(が、まだ少し迷いがある)。
1:他参加者を探す。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】大村寿美(おおむら・ひさみ)
【年齢】19
【性別】女
【職業】大学生
【性格】物腰柔らかく穏やか
【身体的特徴】白い毛皮の犬獣人。狼のような風貌だが犬。
赤い瞳の鋭い目、172pと女性としては高身長かつグラマー体型。威圧感溢れ近寄り難い雰囲気
【服装】黒のYシャツの上に淡い灰色のジャケット、カーキ色のスカートに茶色のブーツ
【趣味】廃墟探検、インターネット
【特技】筋力が強い
【経歴】5歳の時に両親が離婚し母親の手で育てられる。
その威圧的な風貌かつ筋力が強い事から怖がられ周囲から孤立しやすい(決して嫌われている訳では無いが)
友人の合コンなどでボディーガードを頼まれる事もある。当然本人は複雑な心境だとか。
やはり自分の容姿の事を若干コンプレックスに思っているようだ
【備考】キレると本当に怖い

≪支給品紹介≫
【エンフィールドNo.2】
1932年にイギリス軍制式となった中折れ式のリボルバー拳銃。
ちなみに「見ろ! 人がゴミのようだ!」でお馴染み某大佐が使用していたのも、
このエンフィールドNo.2らしい。
152WHITE OUT ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 10:45:40 ID:pYn9JoFe
投下順間違えたwwwww
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「はあ……」

木陰でしゃがみ、一安心といった感じの溜息を漏らす寿美。
今彼女は小さい方の用を足している最中なのだが、その格好と言うのが、
当然パンツは下ろし、引っ掛からないようにするためスカートも大幅にたくし上げている。
そして深くしゃがんでいる状態なのでもし正面から覗こうものなら。

(そういえばこんな外でおしっこだなんて初めてだっけ。
うわ何この解放感。変な気分。癖になりそう)

妙な快感を覚え、尻尾を揺らし目を細め恍惚の表情を浮かべる寿美。
しかしすぐにそんな事をしている場合では無い事を思い出す。

(いやいや、いつ襲われるか分からないんだからさっさと済ませよっ)

力を込めて残っているものを絞り出し、その辺の茂みの葉をティッシュ代わりの使い、
立ち上がってパンツを上げたくし上げていたスカートを戻す。
腰のベルトに差し込んでいたエンフィールドNo.2を抜き取り、右手に装備する。
改めて寿美はそのリボルバー拳銃を観察する。月明かりが金属フレームの銃身に反射していた。
そして手に感じるずっしりとした、金属の感触。人を殺せる本物の拳銃。

「……やらなきゃ。やらなきゃ死んじゃうんだ……」

寿美は自分自身に言い聞かせるように、何度も繰り返し呟いた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
投下終了です。
153修羅道を駆ける少女 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 10:50:02 ID:pYn9JoFe
どんどん行きます。第24話「修羅道を駆ける少女」投下します。
登場:北沢樹里、ルミーア・ホワイト、中村アヤ
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24話「修羅道を駆ける少女」


E-5の草原地帯。平坦では無く台地状になっており、所々に大きな岩や茂みが点在している。

学生服に身を包んだ、茶色のセミロングの髪を持つ少女、北沢樹里は、
月明かりの下、自分のデイパックを漁り支給品を確認していた。
出てきたランダム支給品は真紅の色に塗られた大型自動拳銃と、その予備マガジン五つ。
アタリを引いた、と、樹里は笑みを浮かべる。

次に名簿を確認する。何人かクラスメイトの名前があったが、ほとんどは全く知らない名前だ。
自分の足を奪った愛餓夫、自分を保護した海野裕也、その彼女であり裕也と自分を殺害した倉沢ほのかの名前は無い。

支給品を確認し終えた所で、樹里は自分の身体を確認する。
失ったはずの足は元通りになり自由に動かせる。そしてほのかに負わされた致命傷も綺麗に無くなり、
体力も十分、まさにベストコンディションである。
何より足が元通りになり、また走れるようになった事が、彼女にとって狂喜したい程喜ばしい事だ。

(また走れるようになって嬉しいけど、また殺し合いをする事になるなんて……)

首にはめられた首輪を指でなぞりながら溜息をつく樹里。

(でも、今度はちゃんとした武器もあるし、何より自分で動ける。前回と大きく違う点がそれ)

前回の殺し合いの時、彼女は歩行手段を失い他人の保護無しでは何も行動出来なかったが、
今回はしっかり自分の足で移動する事も出来るし前回は無かった武器もある。
この殺し合いにおいて自分はどうするべきか。

ダアン!!

「!」

樹里が思案している時、辺りに銃声が響き、樹里の向いている方向の前方数メートル先にある地面が抉れた。
驚いた樹里が振り向くと、そこには銃口から煙を噴き出す拳銃を震えた両手で構えた、
長い白髪をツインテールで束ねた若い女性、ルミーア・ホワイトが立っていた。

「ご、ごめんなさい、ごめんなさい、でも、私、死にたくないの」

白髪ツインテールの女性は震えた口調で言う。その表情からは恐怖の色が滲み出ていた。

「お願い、死んで!」

そしてルミーアは手にしたリボルバー拳銃――二十六年式拳銃の引き金を引き、樹里に向けて次弾を発射する。
だが、放たれた弾丸は樹里の頬を僅かに掠めるに留まった。

「えっ、な、何で当たらないの? ちゃんと狙ってるのに」

かなり近距離で狙って発砲しているのにも関わらず命中しない事に焦るルミーア。
彼女は知る由は無いが二十六年式拳銃は命中精度がかなり低い部類に入る拳銃なのだ。
ましてや銃に関して素人な彼女が扱えば、命中率は更に低くなる。
154創る名無しに見る名無し:2009/12/31(木) 10:50:47 ID:P/dwn0yo
投下乙
初登場話から放尿ってwww
155修羅道を駆ける少女 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 10:51:07 ID:pYn9JoFe
ドォン!!

「がっ、い、痛い……!」

ルミーアの腹部に激痛が走る。樹里が持っていたカーマインエッジでルミーアの腹部を撃ち抜いたのだ。
たまらず持っていた二十六年式拳銃を落とし、腹を押さえて崩れ落ち苦しむルミーア。
樹里はルミーアに近付き、銃口を向けてこう言い放った。

「死にたくないのはアンタだけじゃないんだよ」

直後に数発の銃声が周囲に響き、ルミーア・ホワイトは呆気無く絶命した。

「ふう、やっちゃったな……とうとう」

樹里がたった今殺害した名前も知らない女性の死体を見下ろしながら言う。
思っていた程罪悪感はわかない。もしかしたら既に壮絶な殺し合いを経験しているため感覚が麻痺しているのかもしれないと、樹里は思った。
女性が持っていたリボルバー拳銃と、デイパックを拾い上げる。
彼女、北沢樹里がこの殺し合いでどう動くべきか考えていたが、出した答えは「殺し合いに乗る」だった。
地図とデバイスを取り出して確認すると、今自分がいる場所はE-5の草原地帯。西の方角に行けば市街地があるらしい。

「街なら人も集まりやすいだろうね。よし、街に行ってみよう」

樹里は荷物を引っ提げて遠くに見える街の明かりを目指し歩き始めた。



樹里がルミーアを殺害する様子を茂みの陰から目撃していた人物がいた。
黒っぽいブレザーとスカートに身を包んだ、牛の耳と尻尾、爆乳を持った少女、中村アヤである。

「やっぱり、殺し合いは始まってるんだ……!」

自分にしか聞こえない程度の小声で呟くアヤ。

「どうしよう……伊賀さんや平池さんもいるみたいだけど、殺し合いに乗っていないとも限らないし、
っていうか何より、支給品がコレじゃあ……」

アヤの視線の先にあるのは地面の上に置かれた自分のランダム支給品、
自転車のチェーンと百円ライター。
これではとてもでは無いが襲われたりでもしたら一溜りも無い。
さっきの自分と同年代ぐらいの、別の学校の制服を着た少女のように、銃を持った敵に襲われたら殺されてしまう可能性が非常に高い。
幸いあの少女は自分には気付かず街がある方角へ歩き去ったようだが。

「私、運動神経鈍いし……ああ、殺されるしか無いのかな。
嫌だよぅ、死にたくない……グスングスン」

アヤは体育座りしたままスンスン泣き始めてしまった。
スンスン泣いたのは小学生の時友人達と一生懸命作った秘密基地に、
薄汚い野良狼が住み付いてしまった時以来だった。


【ルミーア・ホワイト@オリキャラ  死亡】
【残り  41人】
156修羅道を駆ける少女 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 11:03:19 ID:pYn9JoFe
【一日目/深夜/E-5草原】

【北沢樹里@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、市街地に向け移動中
[装備]:カーマインエッジ@オリジナル(8/14)
[所持品]:基本支給品一式、カーマインエッジの予備マガジン(5)、二十六年式拳銃@SIREN(4/6)、
ルミーア・ホワイトのデイパック
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り、優勝を目指す。
1:市街地へ向かう。回収したデイパックの中身の確認もしたい。
2:クラスメイトとは出来れば会いたくは無い。
3:足、元に戻って嬉しいな。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※中村アヤの存在に気付いていません。

【中村アヤ@オリキャラ】
[状態]:健康、嗚咽、死への恐怖
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品一式、自転車のチェーン、百円ライター@SIREN(燃料残り:100%)
[思考・行動]:
0:死にたくない。
1:これからどうしよう。
2:クラスメイト(伊賀榛名、平池千穂)は……。


※E-5一帯に銃声が響きました。
※E-5草原にルミーア・ホワイトの死体が放置されています。ルミーアの装備及びデイパックは、
北沢樹里が回収しました。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】ルミーア・ホワイト
【年齢】21
【性別】女
【職業】大手家電メーカー事務員
【性格】基本的に明るいが、臆病な部分もある
【身体的特徴】白髪の長い髪をツインテールにまとめている。青い瞳。身体付きは中の上
【服装】OLっぽいスーツ
【趣味】買物、昼ドラ鑑賞
【特技】ブラインドタッチ
【経歴】ごく普通の家庭に生まれごく普通の人生を歩んできた
【備考】一般人

【名前】中村アヤ(なかむら・あや)
【年齢】18
【性別】女
【職業】高校生
【性格】おっとりしている、泣き虫
【身体的特徴】ハーフ牛獣人。桃色の長髪に牛の耳と角、尻尾。当然爆乳でスタイル抜群、可愛らしい
【服装】学校の制服である黒っぽいブレザーとスカートに白いニーソ
【趣味】映画観賞
【特技】記憶力はかなり良い
【経歴】高校一年の時の宿泊学習で伊賀榛名と同じ部屋だったが、
深夜に榛名に寝込みを襲われる(性的な意味で)
【備考】運動神経が著しく悪い上に手先が不器用、おまけに勉強も苦手だが、
なぜか記憶力だけは抜群
157修羅道を駆ける少女 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 11:04:41 ID:pYn9JoFe
≪支給品紹介≫
【カーマインエッジ@オリジナル】
ガンナーであるレイ・ブランチャードが愛用する二丁拳銃の内の一つ。
レイが自作し、赤色に塗装された大型自動拳銃で、45ACPに酷似した実弾を使用する他、
レイ自身の魔力を弾丸にして発射する事も可能。
但しレイの魔力しか受け付けないようにセッティングしてあるので、
レイ以外の魔力を持った者や、魔力を持たない者が使用する際は実弾射撃しか出来ない。
ダブルカラムを採用し装弾数は多め。

【二十六年式拳銃@SIREN】
旧式の中折れ式リボルバー拳銃。
ゲーム中においては羽生蛇村にテレビ番組の撮影で訪れた元アイドルのリポーター・美浜奈保子が使用する。
現実の二十六年式拳銃は命中精度が悪いとの事だが……。

【自転車のチェーン】
自転車の駆動部に使われる頑丈なチェーン。
振り回す事で武器としても使えるが、腕などに巻き付ける事で防具にもなる。

【百円ライター@SIREN】
燃料が切れたら廃棄する方式の簡易ライター。
ゲーム中においては「ライター」と表記され、羽生蛇村小学校折部分校教諭・高遠玲子が、
屍人の手から教え子・四方田春海を救うのに使った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
投下終了です。間を置いて次を投下します。
158創る名無しに見る名無し:2009/12/31(木) 11:07:06 ID:P/dwn0yo
連続投下すぎるぜぇー!
乙!
そして俺は今日何回乙と言うかな?
159寂しい芭蕉は、一人ぼっち ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 11:36:31 ID:pYn9JoFe
個人趣味ロワ第25話「寂しい芭蕉は、一人ぼっち」投下します。
登場:松尾芭蕉
―――――――――――――――――――――――――――――――――
和服姿の冴えない風貌をした男、俳人・松尾芭蕉は、頭を抱えながら墓場の石畳で造られた道を歩いていた。

「ああ……どうしてこんな事になっちゃったんだよ……」

いつものように師匠に冷たい自分の弟子、曽良をお供に旅をしている道中、
宿屋に宿泊し、食事を取り、風呂に入り、就寝したはずだった。
だが、目覚めた時、そこは宿屋の部屋では無かった。

「殺し合いなんて出来る訳無いよ……でも死にたくもないし……。
曽良君は今どうしてるんだろう」

自分と同じくこの殺し合いの参加者となっている弟子の名前を口にする。
師匠であるはずの自分に対して異常な程スパルタで、頻繁に暴力を振るい、時折凍り付くような殺気さえ感じる弟子、曽良。
恐らく自分の事を全く尊敬などしていないかもしれないあの鬼弟子が、
自分の事を助けてくれるかどうか。

芭蕉はちょっと想像してみる事にした。

〜松尾芭蕉の想像〜

「曽良君! 曽良君じゃないか!」
「芭蕉さん……無事だったんですね」
「良かったあ……怖かったよ曽良く――」

グサッ

「え……曽良、君……?」
「すみませんね芭蕉さん。この殺し合いでは一人しか生きて帰れないという事らしいですから」
「そ、そん、な……」

【松尾芭蕉@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和  死亡】

〜松尾芭蕉の想像、終わり〜

「あああああああああああああああああああ駄目だああああ」

あの鬼弟子が自分の事を助けてくれるはずが無い、と、芭蕉は絶望感に打ちひしがれる。
160寂しい芭蕉は、一人ぼっち ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 11:37:25 ID:pYn9JoFe
「もう駄目だ、私はここで惨めたらしく死ぬしか無いんだッ……」

まさにどうあがいても、絶望。
首には逃げると爆発する死の首輪がはめられ逃げる事など不可能。
爆発したらどうなるか、あの開催式が行われた円形ホールでまざまざと見せつけられた。
男の首が爆発し、鮮血が飛び散る瞬間の映像が芭蕉の脳裏に再生させる。
ふと、芭蕉は周囲を見渡す。

「ここって、墓場、なのかな」

墓石の形状は自分の知るそれとは異なるが、雰囲気で何となく分かる。
夜の墓場に一人ぼっち。自分が今置かれている状況を再確認した途端、
芭蕉の心はさっきまでとは異なる恐怖心がわき起こってきた。
彼はお化けとか心霊現象とかそういった類のものが大の苦手なのだ。

「は、早くこんな場所から逃げよう。あ、でも、どっちに行けば――」

ガタンッ。

「キャ――――――――ッ!!!」

突然聞こえた物音に芭蕉は悲鳴をあげ、一気に走り出した。
墓場内の柱に立て掛けてあった板きれが風で倒れただけなのだが、芭蕉の恐怖を刺激するには十分過ぎた。

「うわあああああああああああああ」

涙と鼻水を垂れ流し錯乱状態で走り続ける芭蕉。
さあこの弱ジジイはこのバトルロワイアルでどのような道筋を辿る事になるのか。
果たして元の世界に帰り、俳聖・松尾芭蕉として後世に名を残す事が出来るのか。

「曽良君助けてえええええ!!」


【一日目/深夜/G-5墓場】

【松尾芭蕉@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:健康、錯乱
[装備]:不明
[所持品]:基本支給品一式、ランダム支給品(1〜2)
[思考・行動]:
0:死にたくない。
1:うわああああああ!! 出たああああああ!!
2:曽良君とは出来れば会いたくない。
[備考]:
※単行本第八巻第145幕「怪談奥の細道」より後からの参戦です。
161 ◆UwuX8yY6RQ :2009/12/31(木) 11:38:33 ID:pYn9JoFe
投下終了です。書きだめしたから投下できてきもちいい(笑)
もうすぐ年が明けるね。今夜はガキ使見る予定。
162創る名無しに見る名無し:2009/12/31(木) 11:43:58 ID:P/dwn0yo
投下乙
そりゃ曽良君が奉仕マーダーとか考えられないだろうなw
163創る名無しに見る名無し:2009/12/31(木) 23:12:20 ID:+nAWKo5P
投下乙
足も治って今回はちゃんと戦うらしい樹理様。
ほのかが参加してなくてよかったね
164 ◆zbNp9Zvz9w :2010/01/01(金) 01:12:33 ID:6QNF6XZy
あけましておめでとうございます
早速ですが新年初投下をさせていただきます
165第一話 ◆zbNp9Zvz9w :2010/01/01(金) 01:14:16 ID:6QNF6XZy
「どうして」
鞄から出てきた名簿を手に、俺は思わず呟いていた。
皆原雪菜、渡辺昌子、明智拓馬、一条和樹。
俺の名前――須藤真一の後ろに並ぶのは、見知った四人の名前。
「皆原……」
俺みたいな社会不適合者にも、優しく接してくれるクラスメイト。
とても暖かい、陽だまりの様な、俺の憧れの人。
「渡辺……」
いつも明るい後輩の少女。
俺の事を好きだと告白してくれた、女の子。
二人が死ぬことなんて、考えられないし、許したくもない。
拓馬や和樹だってそうだ。
幼稚園時代からの腐れ縁をこんなところで終わらせるなんてありえない。
けれど、その想いとは裏腹に俺の脚は動き出そうとはしなかった。
もちろん、拓馬達と合流したい、皆原や渡辺を守りたいという気持ちに嘘は無い。
なのに足が動かない理由を俺は知っている。
『俺、皆原さんの事が好きだ』
ここに来る直前、拓馬から言われた言葉。
『そうやって答えを出さずにいるつもりか?
 今まで通りの関係って幻想にすがり続けて、最低の逃げを繰り返すつもりなのか?』
それは胸の奥にある小さなしこり。
『お前は最低だ』

自分でもわかっていた。
少なくとも渡辺に告白された時点で、俺は選択しなければならなかった。
だけど、俺は二人の優しさに甘えて、甘え続けて、二人を傷つけ続けた。
俺が優柔不断な所為で。
もちろん、今はそんな場合じゃない事くらいわかっている。
でも、あの日の答えが出ない限り、俺は……


166第一話 ◆zbNp9Zvz9w :2010/01/01(金) 01:15:08 ID:6QNF6XZy
不意に、風が吹いた。
背中への衝撃と共に、世界が反転する。
背後から襲われた。
そう気付いたときには、すでに俺の体は硬い地面へと押し付けられていた。
「無駄な抵抗はせずに私の指示に従いなさい、いいですね」
同時に頭上からかけられる女性の声。
首筋に突きつけられた硬く冷たい感触に、俺は首を縦に振るしかなかった。
「待ってくれ、俺は殺し合いなんてする気は」
「静かにしなさい」
俺の弁解をあっさりと切り捨て、女性はそのまま俺を地面から引きずり起こす。
「ゆっくりこちらを向いてください」
言葉と共に俺の首から刃物が離れる。
おそるおそる振り返ると、そこには妙齢の女性がカッターナイフを手に立っていた。
年は俺より少し年上、なんだろうか?
夜闇にも目立つ白っぽいワンピースのような服に身を包み、彼女は無表情でこちらを見つめている。
「あの、ほんとにあなたに危害を加えるつもりなんてないですから」
俺の必死の弁明にも関わらず、言葉は帰ってこない。
女性は眉一つ動かさず、俺をじっと見つめている。
ひょっとしなくても、こちらを警戒してるのだろう。
確かに、俺は爽やかな好青年というタイプではないので疑われても仕方はないが……
(やっぱり、ショックだよな)
などと俺がへこんでいると、空気を読んだのか女性が声をかけてきた。
「失礼、私は葛木出羽といいます。
 このような環境なので過剰に反応してしまいました、申し訳ありません」
「いえ、別に気にしてないんで……あ、俺は須藤真一っていいます」
そうやって心の内を隠しながら自己紹介を返す俺を、女性はやはり表情を変えずにじっと見つめている。
「えっと、その……」
微妙な空気だった。
こんな状況でなければ逃げ出しているところだが、今ここで逃げて何かしら誤解されるのも嫌だった。
(だけど、こんなのが続くんだったら、いっそ……)
なんて考えているときだった。
唐突に……本当に唐突に、葛木さんがこちらに話しかけてきたのだ。
「須藤さんは、お知り合いの方はいらっしゃるんですか?」
「え? あ、はい、友達が四人いました」
「そうですか……私は、一人も知人が巻き込まれていないようなので、そういうものなのかと思ったのですが」
そう言って、彼女は言葉を途切れさせる。
しかし、それも一瞬の事で。
「では須藤さん、もしよろしければ一緒に行動していただけませんか?
 一人ではやはり、心細くて」
「それはまあ、もちろん……いいですよ」
同意する俺に葛城さんは、表情を変えずに『ありがとうございます』という、
そうして、俺たちは共に行動することになったのだった。


167第一話 ◆zbNp9Zvz9w :2010/01/01(金) 01:16:11 ID:6QNF6XZy
(……理解できませんね)
目前の人間に謝礼を述べながら、『それ』は葛木出羽という殻の中で一人ごちた。
抱いた疑問は無数にあるが、大部分を占めるのはやはり殺し合いなどという儀式の事。
(食物の連鎖を箱庭にしたと言えば聞こえはいいですが、そこまで上等ではないですね。
 儀式というからには、やはり信仰に関するものなのでしょうか?)
それ自身には積極的に参加する意思などないが、それでも殺し合いを行う理由には興味がわく。
そして、その様な状況に置かれた知的生命体の行動にも。
そう考えると、環境に染まる前のサンプルが見つかったのは僥倖である。
(この人間は一般的な雄の若者のようですね。
 どうやら交流のある個体も参加しているようですし、存分に観測させていただきましょう)
目前の個体がどういう末路を辿るのか。
そう思考すると『それ』は知的好奇心を大きくかきたてられるのだった。
(しかし、本当に解せませんね。
 私の顔や名前を聞いて何の反応も示さないとは)
多少は知名度が上がったと思っていたのですが……などと考えながら、『それ』は目前のサンプルについて歩き出した。



【1日目/深夜/C-4・石炭加工所 貨物駅付近】

【須藤真一(恋愛系1・主人公)@恋愛系漫画1】
[状態]健康
[服装]ブレザー制服
[装備]なし
[道具]基本支給品、未確認支給品1〜3
[思考]基本:殺し合いはしたくない
    1:葛木出羽と行動を共にする
    2:仲間を探したいが……
    3:俺はどっちを選ぶ……?



【葛木出羽(その他1・自由枠)@その他漫画1(SFホラー系漫画)】
[状態]健康
[服装]白いワンピース
[装備]カッターナイフ@現実
[道具]基本支給品、本人確認済み支給品0〜2
[思考]基本:知的好奇心を満たす
    1:サンプル(須藤真一)を観察する

168第一話 ◆zbNp9Zvz9w :2010/01/01(金) 01:17:39 ID:6QNF6XZy
キャラクター紹介
【名前】須藤真一(すどう しんいち)
【種族】人間
【性別】男
【年齢】18
【職業】高校生
【外見】少なくとも好青年風ではない
【性格】優柔不断だが熱血漢の面もある
【備考】恋愛系漫画1の主人公
    同級生の少女と後輩の少女の間で心を揺らしている


【名前】葛木出羽(かつらぎ いずは)
【種族】精神寄生体(体は人間)
【性別】肉体は女
【年齢】19
【職業】アイドル
【外見】美人の部類に入るが常に無表情
【性格】冷静、好奇心旺盛
【備考】その他1、SFホラー系漫画の登場人物
    元は芸能界を目指す普通の少女だったが、寄生体に体を乗っ取られた
169第二話 ◆zbNp9Zvz9w :2010/01/01(金) 01:19:25 ID:6QNF6XZy
暗い森の沼辺に少女の姿があった。
と言ってもただの少女ではない。
額からは一本の角を生やし、瞳を爛々と紅く輝かせるそれはアザミという名の鬼であった。
少女が胸中で燃やすのは怒り。
すなわち、大魔王許すまじという想いである。
殺し合いなどという馬鹿げた戯言に己を喚び出し、
そのうえ、生涯の伴侶と定めた少年や、ついでに恋のライバルたちまでをも巻き込んだという事実。
どれ一つをとっても、あの愚昧な王を処断する理由には充分である。
だが、さらに彼女にとって許せぬ事が一つあった。
それは、鬼の宝にして力の源であるアレを盗まれた事。
角に次ぐシンボルを失う事を一族のプライドが許さぬし、
力の源を失ってしまえば山をも崩す鬼の力も半分以下となってしまう。
いや、それ以上に重要なのはただ一つ。
鬼が宝を奪われるという事は、その身全てを相手に捧げるという事。
だからこそ、彼女はあの悪逆非道の王を倒し、彼女の宝――すなわち虎柄のパンツを奪い返さねばならぬのだ。

その誓いとともに少女は、短いスカートを翻し駆け出す。
露出部に当たる夜気に心許なさを感じながらも、彼女の心は常に熱いままであった。


170第二話 ◆zbNp9Zvz9w :2010/01/01(金) 01:20:25 ID:6QNF6XZy
【1日目/深夜/B-1・森林 沼地】

【アザミ(恋愛系2・ヒロイン)@恋愛系漫画2】
[状態]健康
[服装]セーラー服、ぱんつはいてない
[装備]なし
[道具]基本支給品、本人確認済み支給品1〜3
[思考]基本:大魔王許すまじ
    1:自分のパンツを奪い返す
    2:生涯の伴侶が心配
    3:ライバルたちも一応心配


キャラクター紹介
【名前】アザミ
【種族】鬼
【性別】女
【年齢】17
【職業】高校生
【外見】額から角が生えている少女
【性格】直情バカ
【備考】恋愛系漫画2のヒロイン
    山をも崩す怪力を持つが、パンツを取られると半分以下になる
171少年漫画雑誌(嘘)ロワマップ ◆zbNp9Zvz9w :2010/01/01(金) 01:21:23 ID:6QNF6XZy
172 ◆zbNp9Zvz9w :2010/01/01(金) 01:22:07 ID:6QNF6XZy
投下終了です。
自分の遅筆を実感しましたよorz
173創る名無しに見る名無し:2010/01/01(金) 01:32:13 ID:84JmT9ZQ
乙!
面白そうじゃあないか

それと皆様あけましておめでとうございます
174なんということでしょう ◆6LQfwU/9.M :2010/01/02(土) 21:32:28 ID:pBSX5TTA
「ああ、どうしよう」
道をとぼとぼ歩いているvもんが。
(街にでも行けば、誰かいるかな…)
そしてさらに歩いて行くと、何かが道の真ん中にある。
それは…無残にも肉片と化したあほこちゃんだった。
「…!」
それを目の当たりにして言葉が出ないvもんが。
その時、誰かが近づいてくる。
「お前が殺したのか?」
その男はvもんがに聞く。
「…な訳ないでしょ!変なこと言うなよ!」
必死に否定するが、その男には聞こえていないようだ。
「まあいいや…お前いい物持ってるから貰おうか。…お前を殺してな」
その男…カンフーマンは、デイパックから銃を取り出し、vもんがに向ける。
(危ない…!)
一目散に物陰に隠れ、銃の乱射をかわす。
「うおおおおおっ!」
銃を乱射し、辺りに弾をバラまくカンフーマン。
だが…突然銃撃が止まる。
(弾が…リロードしないと…)
デイパックから弾を取り出し、銃に込めるが、その手がもたつく。
そしてその隙をつき、レミントンをカンフーマンに撃ち込む。
散弾をモロに食らい、カンフーマンの体が吹き飛ぶ!
「あっ…く…」
腹に直撃し、その場で悶え苦しむカンフーマン。
それに走って近づき、手に持っている斬鉄剣を…
…胸に深々と突き立てた。
「…ここまでか…」
そう言い残し、カンフーマンは息絶えた。


「…まったく…危なかった。」
カンフーマンの体からゆっくりと斬鉄剣を引き抜き、デイパックにしまう。
(危ないじゃないか…だが、この銃は貰っておくよ)


【一日目/黎明/D-5:道】


【vもんが@板対抗BR】
[状態]:健康、困惑(小)
[装備]:レミントンM31RS(12/13)@板対抗BR、MINIMI軽機関銃(0/200)@SIRENシリーズ
[所持品]:支給品一式、カンフーマンの装備+jubeatの筺体入りデイパック、斬鉄剣@板対抗BR、MINIMIの弾丸(あと2リロード分)
[思考・行動]:
基本:死にたくないな
1:危なかった…

【カンフーマン@MUGEN 死亡】
死因:刺殺

≪支給品紹介≫
【MINIMI軽機関銃@SIRENシリーズ】
SIREN2であるキャラの最終ステージでのみ使用できる武器。
ゲーム中では弾数∞になっているが、今回は普通になっている。
175 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/02(土) 21:33:53 ID:pBSX5TTA
一時終了です
176封印がとけた ◆6LQfwU/9.M :2010/01/02(土) 23:21:13 ID:pBSX5TTA
走る。
とにかく走る。
薄暗い街をただ走る。
そして…街を抜けた先は…ビルだった。
「…電気が点いてる…」
火掻き棒を握る手に一層力が入る…

「さて…どうしようか…」
カウンター内の椅子に腰かけ、考えるスネーク。
(ダンボールは…大事だ。だが…これはいったい…)
スネークが不思議そうに眺めているのは…何か良く分からない機械と卵だった。
「この形から見ると…ここに卵を置いて…レバーを下ろす。すると…」
綺麗に卵が割れ、下の皿に落ちる。
「…卵を割る機械か?こんなものを使うより手で割った方が早い気もするが。」
そう呟く内に、また一つ卵が割れる。
「料理するにも台所は…無いようだし、困ったな…」
そう呟き、卵を機械から外す。
その時、入り口の扉が開く音が響く。
咄嗟にスネークはカウンターに身を隠し、相手の気配を探る。
「隠れたって駄目だぞ?電気が点いてる時点で誰かいるって分かるんだから」
大声で言う下痢。
「…そうか、無駄か。なら出て行ってやる」
スネークがゆっくりカウンターから身を乗り出して言う。
「1つ聞こう。お前は…殺し合いをする気はあるのか?」
「する気がなければ、わざわざあんな事は言わないだろ」
あくまで冷静に聞くスネークと、これまた冷静に答える下痢。
「そうか、残念だ。なら俺はもうお前と話すことは無いな。」
そう言うと、ゆっくり距離を取りつつ、スタッフ専用の出口に近付く。
「…おおっと、逃がすわけにはいかないな」
カウンターを乗り越え、スネークの方に近付く。
そして火掻き棒を振り下ろす。
だが空振りに終わった。
「次は外さな…」
いつの間にかスネークは後ろに回り込んでいる。
そしてそのまま下痢を…CQCで投げる。


「完全に気絶している。これならいいだろ」
気絶している下痢のそばで呟くスネーク。
(だが…念には念を入れて…)


「これでいいか…」
鍵をかけ、さらに棒で入り口を封じる。
(目が覚めても、これなら出られないだろう。)
そして、スネークはエレベーターの方に歩いて行った。
177封印がとけた ◆6LQfwU/9.M :2010/01/02(土) 23:22:13 ID:pBSX5TTA
【一日目/黎明/E-6:ビル21F:エレベーター付近】



【ソリッド・スネーク@メタルギアソリッドシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ダンボール箱@メタルギアソリッドシリーズ
[所持品]:支給品一式、全自動卵割り機と卵(3/5)@ニコニコ動画
[思考・行動]:
1:暫くは安心だな


【一日目/黎明/E-6:ビル21F:「ゲイ♂パレス」内】



【下痢@板対抗BR】
[状態]:健康、「ふうのしん」発症(55%)
[装備]:火掻き棒@SIRENシリーズ
[所持品]:支給品一式、「ふうのしん」の枝@かまいたちの夜
[思考・行動]:
基本:絶対死にたくない。
1:(気絶中)
2:病院には…行きづらいな…
178第1回放送 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/03(日) 00:02:00 ID:C4O6CEnu
「さて、皆お待ちかねの1回めの放送だぞー。良く聞いてね」

「スタートから1回目放送までの死亡者は、
野比玉子
◆6/WWxs9O1s
さけ
◆Right//mko
513
霜月
あほこちゃん
田鼠
カンフーマン

以上9名だ。このうち◆Right//mkoが復活してるからなー。頑張って殺しあえよー」
その声を最後に、放送は終わった。
179 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/03(日) 00:03:48 ID:pBSX5TTA
ちょっと死亡者が多いので、放送時間を4時間間隔にしました
180創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 00:05:25 ID:Y/6lwKbn
ペースの速さにビックリだ
181快楽終わりて狼青年は後悔す ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 08:10:50 ID:NS5STLT2
投下乙です。
少年漫画雑誌(嘘)ロワ>ぱんつかwwwwいいね
需要ゼロむしろ自己満足ロワ>第一回放送到達ですか・・・ペース速いw
うまく感想書けないな・・・。
自分も投下します。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
26話「快楽終わりて狼青年は後悔す」


「……あっ……俺……」

意識を取り戻した時、俺はシーツがくしゃくしゃになったベッドの上で、全裸の仰向けに寝ていた。
気だるい身体を上半身だけ起こし、まだ頭がボーッとした状態で自分の身体を見る。

「あ゛っ、な、何だ、コレ」

自分の身体の状態を見て俺は驚愕する。
狼族である俺の身体は茶色の毛皮で覆われているのだが、
腹部から胸元にかけて、何か、白く濁った粘液が夥しい量こびり付き、固まっている。
ベッドから下りてふらつく足取りで、壁に掛けられた鏡を覗き込むと、うはあこれはこれは。

顔から胸、腹、足にかけて、全身、白い粘液が固まった物がこびり付いてる……。

「あ、背中の方には付いてない」

背中の方には白い液体はほとんど付着していない。
この白く濁った液体は何なんだ……いや、部屋中に充満しているこの独特の臭気から正体は大体分かる。
俺も今まで数え切れない程、出してきたからな、生命の源たる、この液体を。
この液体はほぼ間違い無く、俺のものだ。俺のDNAが俺の身体の全面一杯に……。
ああでもどうしてこんな大量に……あ、そうだ、俺は確か……。

「これだ、俺はこれで……」

ベッドの上に落ちていたそれ――エネマグラを拾い上げる。
装着していた部分から抜け落ちてしまったのだろう。身体に付着した白い液体とは別種の粘液が付着している。

このエネマグラというのは、本当に物凄い快感をもたらしてくれたよ。
自分で言うのも何だけどマゾっ気もある俺は、もう本当に、死ぬと思った。
途中から完全に意識が飛んでしまった。その間、俺は狂ったようによがり続けていたのだろう。
そしてこの俺のDNAがたっぷりと含まれたこの白く濁った液体もその時に――。
182快楽終わりて狼青年は後悔す ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 08:11:34 ID:NS5STLT2
「ハァ……何やってるんだろ俺。こんな大変な時に」

クラスメイトが何人も参加しているこの殺し合いの中で、俺はなんて馬鹿な事してるんだろう。
ゲームスタートからそれなりに時間も経っている。きっと既に死人も出ているはずだ。
そんな時に、俺って奴は、俺って奴は……。

「……風呂入ろう」

とにかく、身体中にこびり付いたこの液体を洗い流そう。気持ち悪いし、この臭いはキツイ。
幸い小さなバスルームが設置されている。良かった。



数分後。シャワーを浴び終えた俺は、備え付けのバスタオルで身体を拭きながらバスルームから出た。
毛皮で覆われてるからな。よく拭いておかないと気持ち悪くなってしまう。
身体を拭き終えると、床に散らばっている下着や衣服を拾い集め身に着ける。
下着、ズボン、シャツまで着た時点で、ふとカーテンが閉め切られた窓の外が気になった。
隙間から覗くと、相変わらずまだ夜の暗闇が覆っているが、若干西の空から明るくなってきている。
ガラス越しにほんの僅かだが銃声らしき音も聞こえてくる。やはり戦っている奴がいるようだ。

「にしても、この臭いは……」

部屋の中に充満する濃密な雄の臭い。自分でしてしまった事とは言え、嗅覚の鋭い俺の鼻にはキツイ。
換気すればいいのだが窓を開ける訳にもいかない。誰かいる事がバレるかもしれないからだ。

「エアコンとかに、換気装置付いて無いのかな」

壁に設置されているエアコンの操作パネルを調べると「換気」と書かれたボタンが。
押してみると、ゴオーッと小さな機械音が鳴り、換気が開始された。
しばらく待てば、この雄臭さは無くなるだろう。
再びベッドに近付き、エネマグラを拾い上げ、それをクズカゴに入れようとした――が、思い止まり、
ローションと一緒にデイパックの奥の奥へ押し込んだ。
――これは二度と使うまい。うん。
183快楽終わりて狼青年は後悔す ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 08:12:18 ID:NS5STLT2
さてこれからどうするべきか。
外はまだ暗いし、下手に動き回ると返って危ないな。エルフィやクラスメイトは少し心配だが。
やっぱりもう少し明るくなるまで、このホテルの部屋でおとなしくしておいた方がいいか。
部屋の唯一の出入口に鍵を掛けておけば侵入される事も無いだろう。多分。
今回は前回と違って使える武器もあるしな。
机の上に置いてある、青く塗装された大型自動拳銃に目をやった。


【一日目/深夜/D-2ホテル】

【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的疲労(小)
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品一式、コバルトアロー@オリジナル(14/14)、
コバルトアローの予備マガジン(5)、エネマグラ(粘液付着)、ミニローション(残り48ml)
[思考・行動]:
0:殺し合いを潰す。首輪を外す方法を探す。
1:仲間を集める。
2:しばらくこのホテルに留まる、が、暇を潰せるものを見つけたい(エネマグラ以外で)。
3:クラスメイトの動向が気になる(特にエルフィ)。
4:痴漢、は……どうしようかな……。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※D-2ホテル8階802号室にいます。
※精神崩壊は治りました。正常な思考、判断が可能です。
※衣服を身に着けました。
※もうエネマグラは使わないと決めたようですが、未練があるようです。
184 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 08:13:56 ID:NS5STLT2
投下終了です。うーん何書いてるんだろう俺は。
185 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 08:28:00 ID:NS5STLT2
投下します。個人趣味ロワ27話「異種族コミュニケーション」
登場:石川清憲、大沢木小鉄
186異種族コミュニケーション ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 08:28:53 ID:NS5STLT2
27話「異種族コミュニケーション」


「すっげー! これ着ぐるみじゃねーの? 本物なの!?」
「そ、そうだよ……あんま触んなよ」

俺、石川清憲は困惑していた。
今俺の身体のあちこちを探っているこの小学生ぐらいの人間の少年。確か大沢木小鉄と名乗った。
そんなに竜が珍しいのだろうか。決して希少種族では無いはずだが。
少なくとも街を歩けば普通に見かける程度はいる。
確かに人間や狼獣人と比べるとぐっと数は少ないかもしれないけど。
しかしはしゃぐ小鉄をどうにか落ち着かせて話を聞いてみると、何となく、謎が解けた。
小鉄が言うには、俺のような竜族や獣人といった存在は架空の生物でしかないと言うのだ。
それだけじゃない。住んでいる住所を聞いたら全く知らない国家の名前や地名が出てくる。
俺の方も自分が住む国の名前や街の名前を話しても全く知らないという答えが返ってきた。
これらの事から俺はある結論を出した。

「なあ小鉄、もしかしたらさ」
「何だ? キヨノリ」
「俺が住む世界とお前が住む世界、全く別の、異世界なんじゃないかな」

ああ、やっぱり。小鉄は首を傾げて全く理解出来ていないって感じだ。子供には難し過ぎたか。
いやそれ以前に何だかこいつ、こういう言い方はまずいけど「馬鹿」って感じがするしなあ。

「どう意味だ? わかんねー」
「あーつまりな、うーんと……」

その後、俺は小鉄に異世界の概念などを説明しようとしたが、この子に分かるように説明するのは不可能に近いと悟り、やめた。
当の本人もあまり気にしていない様子だしな。

「あ、そういえば支給品まだ確認していなかったな。小鉄、お前は?」
「え? 何が?」
「支給品だよ支給品。確認したのか? ほら、お前が今背負ってるデイパックの中身見たのかって事」
「あー見てないや」
「一緒に確認しよう」

俺と小鉄は砂浜で支給品の確認を行う事にした。
まず俺。出てきた物はでっかい剣。斬首に使われる処刑道具の一種「エグゼキューショナーズソード」。
見た目程重くは無い。十分武器として使えそうだ。
俺のランダム支給品はこれだけか……小鉄は?

「小鉄はどうだ?」
「えーと地図に名簿にランプみたいなのに……」
「いや基本支給品はいいからランダム支給品の方を言ってくれ」

さっきから思っていたんだけど、こいつ、今自分が置かれている状況分かってんのかな?
全然緊張感が無いっていうか、下手したら自分が殺されるって事、自覚してないっぽい。
いや、してないんだろうな。こいつ多分この殺し合いのルール何も分かってない。
187異種族コミュニケーション ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 08:31:03 ID:NS5STLT2
「出てきたぞキヨノリ。この二つがそうかー?」
「ん。どれどれ……」

小鉄がデイパックから取り出し砂浜の上に置いた二つのランダム支給品。
一つはごく一般的な文化包丁。もう一つは発炎筒三本セットだった。

「成程ね……小鉄、とりあえず包丁は装備しとけ」
「おう、わかった」

文化包丁を小鉄に装備させ、俺は名簿を広げる。
俺と小鉄含めて48人の名前が五十音順で印刷されている。
「石川清隆」? 俺と名前が似ているな……でも知り合いでもなんでも無い。
どうやら俺の知り合いは誰も呼ばれていないようだ。

「小鉄、この中でお前の知り合いはいるか?」
「え? うーんと……」

小鉄に名簿を見せて知り合いがいるかどうか尋ねる。
しばらく名前を目で追って見ていた小鉄だったが、しばらくして三人の名前を挙げた。
「西川のり子」「春巻龍」「仁ママ」の三人。
小鉄曰く、「西川のり子」は、小鉄のクラスメイトで関西からの転校生。
明るい性格で、小鉄の遊び仲間の一人との事。
「春巻龍」は自分のクラスの担任教師だが、生徒から借金をする、まともな授業をしない、
夏休みや冬休みといった長期休業に入ると高確率で遭難し数日から数週間行方不明になる、
教室を自分の居住空間に仕立て上げ教え子達から大顰蹙を買うなど、
おおよそ教師とは思えない人物らしい。確かに話を聞く限りだと教師以前に人間としてどうかと思うが。
「仁ママ」は遊び友達の一人の母親との事だが、家が極度の貧乏で金や食い物の事になると見境が無くなり、
非常に凶暴になるらしい。しかも逆ギレが得意技とか。見た目は山姥そのものだって?
「仁ママ」なる人物は本当に人間なのだろうか。

「とまあ、こんな所かな」
「そうか……」

とりあえず、警戒するべきなのは「仁ママ」だろうか。

「ところで、小鉄」
「ん? 何だ?」

俺はさっきから気になっている事を思い切って小鉄に聞いてみた。

「お前さ……今自分がどういう状況に置かれてるか、分かってる?」
「……どういう事?」

……やっぱりだ。ああ、もう、面倒くせぇ……。
188異種族コミュニケーション ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 08:34:06 ID:NS5STLT2
「あのな、小鉄……」

俺は今自分達がさせられている殺し合い「バトルロワイアル」について小鉄に説明する事にした。

いや、っていうか何でこんな事しなくちゃいけないの?


〜黒竜説明中〜
〜馬鹿少年難解中〜
〜黒竜呆れ中〜
〜馬鹿少年更に難解中〜
〜黒竜根気良く説明中〜
〜馬鹿少年徐々に理解し始めた模様〜


「ゼェ……ゼェ……ゼェ……分かってくれたか? 小鉄」
「えーと、今俺達は『ばとるろわいある』っていうゲームをさせられてて、最後の一人が決まらないと帰れない……だっけ?」
「……まあいいよ。合格! ……あ゛〜〜〜」

何だか色々不十分な気もするけど、もういいや。疲れたよ〜。

「大丈夫かキヨノリ!?」
「あー大丈夫、大丈夫……ハハ」

精根尽き果ててへたりと砂浜に座り込む俺を小鉄が心配する。
全く、自分の命が危ないって時に俺はなんて荷物を抱えてしまったんだろう。
見捨ててどこかへ行くって事も出来るはずなんだけど、こうなったら見捨てる訳にもいかないしなあ。

――ついてないよ。ったく……。



うーん、キヨノリが頑張って説明してくれたみてーだけど、やっぱよく分かんねえなあ。
「ころしあい」「ばとるろわいある」聞き慣れ無い言葉が多過ぎる。
でも「ゲーム」とも言っていたし、最後まで脱落せずに残っていたら家に帰れるって事は何とか分かった。

にしてもこの首にはめられてるの、何なんだ? いくら引っ張っても全然取れないし。
あのせい、何とかって、犬みたいな頭をしたおばさんは何なんだろ。
189異種族コミュニケーション ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 08:35:42 ID:NS5STLT2
まあいいや。のり子や馬鹿春巻、仁の母ちゃんもいるみたいだし、早く会いてぇな。
あー、仁の母ちゃんは……出来れば会いたくはねぇなー。
今何やってんだろ。あいつら。

何にしても学校が始まるまでには帰りてぇな。連続登校記録がストップしちまう。


【一日目/深夜/A-5砂浜】

【石川清憲@オリキャラ】
[状態]:精神的疲労(大)
[装備]:エグゼキューショナーズソード
[所持品]:基本支給品一式
[思考・行動]:
0:死にたくない。生き残る。
1:小鉄はどうするか……見捨てる訳にも……。
[備考]:
※「西川のり子」「春巻龍」「仁ママ」のおおよその特徴を把握しました。
※大沢木小鉄が自分とは別世界の人間だと判断しました。

【大沢木小鉄@浦安鉄筋家族】
[状態]:健康
[装備]:文化包丁
[所持品]:基本支給品一式、発炎筒(3)
[思考・行動]:
0:とりあえずキヨノリ(石川清憲)と一緒にいる。
1:ばとるろわいある……?
[備考]:
※本編最終話より後からの参戦です。
※バトルロワイアルのルールと性質について若干理解しました。


≪支給品紹介≫
【エグゼキューショナーズソード】
死刑囚の首を刎ねるのに使う斬首刑用の長剣。「エグゼキューショナー」とは「死刑執行人」という意味。
やや広めの身幅をした刀身を持ち、柄は短めに造られている。
刺突の必要は無いため切っ先は丸く造られているが、刃の切れ味は勿論鋭い。

【文化包丁】
「万能包丁」「三徳包丁」とも呼ばれる、菜切包丁と牛刀包丁の利点を兼ね備えた、
一般家庭でよく使われている包丁。

【発炎筒】
鮮やかな赤い炎を上げる筒状の道具。
本ロワで支給された発炎筒は自動車などに装備されているものと同じ。
本来は緊急時などに車道や路肩に停車した際に後続車に対し前方に危険や障害物がある事を知らせるために使う。
しかしロワ内においてはわざわざ自分の位置を知らせる事になるため使い所が難しいのではないだろうか。
190異種族コミュニケーション ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 08:37:21 ID:NS5STLT2
投下終了です。まだまだありますがあまり連投するとさるさんを食らうので、
少し時間を置いてから投下します。
出典キャラが元のキャラと性格違ってくるのは気のせい。気のせい。
191 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 09:00:29 ID:NS5STLT2
投下します。個人趣味ロワ28話「ブラッド・プリンセス」
登場:リリア・ミスティーズ
192ブラッド・プリンセス ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 09:03:31 ID:NS5STLT2
28話「ブラッド・プリンセス」


「リリアパンチ!」

掛け声と共に、森の中の木々の一本が大きく揺れる。
木の根元の部分には、紺色のドレスを着た、翼を持った美しい女性、リリア・ミスティーズの姿が。
拳を固く握ったまま突き出した右手は大木に大きくめり込んでいる。

「……やっぱり」

不満気な表情を浮かべながら、リリアはめり込んだ拳を引き抜く。

「力がかなり制限されてるみたいね」

衝撃で僅かに痛みが残る右手を擦りながらリリアが言った。
本来ならば、大木を粉砕出来る程の威力を誇るリリアパンチがこの程度の威力しか出せないとは。
この分だと他のリリアナックォやリリアノキワミなども同様にかなり制限されているだろう。
いや、もしかしたらチートパラメーターである自分の身体能力も普通の人間並に弱体化されている可能性がある。
あのセイファートの仕業に違いない。

「どこまで私を虚仮にすれば気が済むのよ……!」

リリアの端正な顔が怒りに歪む。

「まあいいわ。さっさと優勝して、あいつの所へ行ってやりましょう」

リリアは背中の翼を広げ、一気に上空へと飛び立った。
会場の空へと舞い上がったリリアは、まだ夜の帳に覆われたゲーム会場の全景を確認する。
遠方に海や街の明かりが見える。それなりに広大のようだ。
もう少し高い位置で眺めてみようと、リリアが翼を羽ばたかせ更に高度を上げた、その時。
リリアの首輪から、警告音が発せられた。

『警告。禁止エリアに侵入しています。退避が確認されない場合、30秒後に首輪を爆破します』

「!!」

流石のリリアも一瞬焦ったが、少し高度を下げてみると、警告音が鳴り止んだ。

『禁止エリアからの退避を確認。カウントをリセットします』

無機質な女性の声のアナウンスが流れ、首輪は再び沈黙した。
リリアはほっと胸を撫で下ろす。高まっていた心臓の心拍数が下がっていくのを感じた。
どうやら余り高く飛び過ぎると首輪が作動するらしい。

「空も安全じゃ無いって事ね……」

高度を上げ過ぎると首輪が作動する。かと言って高度を下げ過ぎると地上からの攻撃を受けやすくなる。
上手く調節する事を必要とされる。リリアは大儀そうに溜息を付いた。
恐らく地図の外に出ても同じように首輪が作動するようになっているのだろう。
首輪で自爆、などという間抜けな死に方は彼女にとっても御免だった。
193ブラッド・プリンセス ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 09:18:40 ID:NS5STLT2
「この首輪……どうにかしたいな」

左手で首輪に触れながらリリアがぼやく。
首輪をはめられているという事自体、彼女のプライドが許さなかったし、
何より、この首輪がある状態では自由に空も飛べない上に主催に命を握られているという屈辱。
しかし自分には機械の知識など皆無。そもそもリリアの生きる世界にこのような高度な機械技術など存在しない。
だがしかし――それは優勝すれば何の問題も無いだろう、と、リリアは判断する。

「さて、どこに行こうかしら……街に向かうのもいいけど……」

優雅に空を飛びながら、会場を見渡すリリア。
満月の光が照らす草原、海、森、街並み……気になる場所はいくつもある。
夜空を吹き抜ける風がリリアの艶やかな黒髪を揺らした。


【一日目/深夜/H-6森上空】

【リリア・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:健康、やや不機嫌、飛行中
[装備]:USSR PPSh41(10/71)
[所持品]:基本支給品一式、PPSh41の予備ドラムマガジン(5)
[思考・行動]:
0:主催者セイファートに鉄槌を下す。そのために優勝する。
1:目に付いた参加者から皆殺しにしていく。
2:どこへ行こうかしら。
[備考]:
※本編でガレスを倒し、監獄城から脱出し帰還した直後からの参戦です。
※彼女の身体能力及び能力には制限が掛かっているようです。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
投下終了です。
194 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 09:51:40 ID:NS5STLT2
個人趣味ロワ29話「DEMENT」投下します。
登場:曽良、リック・ゼラルス
195DEMENT ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 09:54:35 ID:NS5STLT2
29話「DEMENT」

青年、曽良が再び意識を取り戻した時、既にそこには彼以外誰もいなくなっていた。
まだ感覚が麻痺している身体を無理矢理起こし、壁に手を掛けて何とか立ち上がる。
自分は一体どうしてしまったのだろう。確か、遭遇した男を殺すべく、男に馬乗りになっていたはずだったが。
ふと背中に小さな痛みを感じ、手を背中に回して痛みの原因を探った。

「っ……!」

小さな痛みを我慢して「それ」を背中から引き抜き、手の平に乗せて確認する。

「これは……吹き矢、か?」

それは麻酔銃の弾頭なのだが、曽良の生きる世界に存在する銃と言えば火縄銃ぐらいしか無いので、
曽良が吹き矢と勘違いするのも無理は無い。

「眠り薬か何かが仕込まれていたんだろうな……くそっ!」

端正な顔を怒りに歪ませ、麻酔銃の弾頭を床に思い切り叩き付ける曽良。
その床には自分が装備していたネイルハンマーとデイパックがそのまま置かれていた。
デイパックの中身を確認したが漁られた形跡は無い。
名簿や地図、デバイス、食糧、自分のもう一つの支給品であるスペツナズナイフも無事だった。
しかし曽良の表情は曇っている。彼はこの殺し合いに呼ばれている大切な人物の事を考えていた。

「芭蕉さんのために、頭数を減らさなければいけないのに……」

松尾芭蕉――俳人で、曽良の師匠たる人物。
ただ、二人の関係は師匠と弟子という関係からは考えられない程、弟子である曽良が師匠であるはずの芭蕉に対し、
暴言を吐いたり、暴力を振るったり、一時は見捨てようとさえもした。
だが、それでも、彼――曽良にとっては、松尾芭蕉なる人物はたった一人の自分の師匠であり、
きっと将来、何百年後までその名を残すであろう立派な俳人になり得ると確信していた。
だからこそ、このような訳の分からない理不尽な殺戮ゲームとやらで死なせる訳にはいかない。
だが、松尾芭蕉という人間は非常に臆病な部分がある。何せ何気無い言葉を無理矢理とも言えるような聞き間違いで心霊現象と結び付けてしまう程だ。
いつ誰に襲われるか分からない、確実に死と隣り合わせというこの状況で果たして彼が自力で生き残っていけるのか。
その可能性は限り無く、限り無く「ゼロ」に近い。
だからこそ、松尾芭蕉の弟子である自分が助けなければ。
可能な限り人数を減らしていき、松尾芭蕉が生存出来る可能性を少しでも高くするのだ。

「芭蕉さん、死んだりしたら、許しませんよ」

ネイルハンマーとデイパックを拾い上げ、曽良は雑居ビルの正面玄関へと向かう。
途中でデイパックからスペツナズナイフを一本取り出し、懐にしまっておいた。


雑居ビルを出た曽良を待っていたものは、他参加者との遭遇。
軽装鎧を身に纏い、茶髪に白い鉢巻を巻いた青年、リック・ゼラルスである。

「ちょっといいか、アンタ」

リックは手にした日本刀、焔薙の切っ先を目の前の和服姿の青年、曽良に向ける。
曽良はネイルハンマーを手にしたまま微動だにしない。
196DEMENT ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 10:05:14 ID:NS5STLT2
「俺はリック・ゼラルス。アンタの名前聞かせてくれ」
「……曽良だ」
「ソラ? 分かった。ソラ、アンタは殺し合いに乗っているのか?」
「……」

数秒間を置いて、曽良は問いに対し答えを出す。

「乗っている」
「……それは自分のためか? それとも、誰か別の人のためか?」

次の問いに、曽良はまともには答えなかった。

「お前に言っても仕方無い」

ガキィン!!

「なっ!?」

次の瞬間、リックにとって信じられない事が起こった。
切っ先を目の前の青年に向け構えていたはずの焔薙が、甲高い金属音と共に横に弾き飛ばされたのだ。
その衝撃で焔薙はリックの右手からすっぽ抜け、固いアスファルトの上にカランカランと転がる。
突然の事にリックは狼狽するが、そんな暇も無く、曽良がネイルハンマーを振り上げ殴り掛かる。

「くそっ!」

間一髪で後ろに跳び、渾身の力で振り下ろされたハンマーを回避するリック。
すぐにでも焔薙を取りに行きたかったが、曽良はリックにそんな余裕を与えまいと攻勢を掛ける。
対するリックは現在丸腰のため避けに徹していた。
だがこのままではいつかやられる。そう思ったリックは一か八かの行動に出た。

「うおおおおおおおおおおっ!!」

怒涛のような曽良のネイルハンマー攻撃を潜り抜け、リックは曽良の顔面に全力の一撃を入れる。

「ごおっ!!」

顔面、両目の間辺りに強烈な殴打を食らった曽良は、衝撃でそのまま後方に仰向けに吹き飛んだ。
その拍子に手にしていたネイルハンマーを手離してしまった。

「ハァ、ハァ、ハァ……」

曽良がアスファルト上に倒れた事を確認すると、リックは自分が落とした焔薙を拾おうと、
路上に投げ出された焔薙に向かって歩き出す。
197DEMENT ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 10:06:35 ID:NS5STLT2
「おい」

と、その時、リックを呼び止める声が聞こえた。
リックは無意識に声のした方向に振り向いてしまった。

ドスッ

「げうっ」

何かが突き刺さったような嫌な音ど同時に、リックの右目の視界が真っ黒に塗り潰され、頭部が後方に大きく仰け反った。
残った左目の視界でよく見てみると、何かナイフの刀身のようなものが自分の右目の辺りから生えているのが確認出来た。
痛みは無い。ただ、右目に感じるのは焼けるような熱さ。
何か、熱い液体が右目から流れ出ている。右手で触って見てみると、それは暗がりではドス黒い液体にしか見えなかったが、
血液だという事は間違い無かった。


――おい、嘘だろ。


状況が理解出来なかった。
そして右手の事に気を取られている間に、残った左目の視界は「それ」を映し出す。
街灯の光に照らされた、青年の顔。固い決意を宿した両目で真っ直ぐにこちらを見据えていた。
青年の手にはネイルハンマー。そしてそれをこちらに近付きながらゆっくり振り上げる。



――ああ、やべえ。



リックには全てがスローモーションのように見えていた。



――全く、やってられねえよこんなの。やめだやめ。俺はもう降り



ネイルハンマーの重く、致命的な一撃が、リックの頭部をいとも容易く砕いた。



◆◆◆
198DEMENT ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 10:07:45 ID:NS5STLT2
リックが落とした日本刀を拾い、そしてリックが腰に差していたその日本刀の鞘も拾い上げ、
曽良は日本刀を鞘に収め自分の腰帯にその日本刀――焔薙を差し込んだ。
そしてリックのデイパックの中身を漁ったが、他に支給品が無い事を確認すると、それを路上に放り投げる。

曽良が路上に視線を落とす。そこには右目をナイフの刀身に貫かれ、頭から大量の血を流して息絶える、
茶髪の白い鉢巻を巻いた青年、リック・ゼラルスの屍が転がっていた。
曽良がリックに殴り飛ばされた時、曽良は懐にしまっておいたスペツナズナイフの事を思い出した。
即座にそれを取り出し、刃をリックの方に向け、声を掛けた。
そしてリックが自分の方を向いた瞬間、スペツナズナイフのレバーを押し込んだ。
拳銃弾並の速度で発射されたナイフの刀身は、リックの右目に見事に突き刺さった。
そして状況が飲み込めず呆然としている所に、ネイルハンマーで止めを刺したのだ。

「俺は……俺は……」

ついに殺したのだ。人を殺した。
師匠のためとは言え、本来は許されざる行為。
自分はもう後には引けない事を曽良は悟った。

「駄目だ、迷うな。芭蕉さんのためだ、芭蕉さんの……」

呪詛のように繰り返し呟く曽良。しかし、彼の心は確実に揺らいでいた。
この気持ちは何なのだろう、自分は、人を殺した事に対して動揺しているというのだろうか?
最初出会った男を殺したとしても、このような気持ちになったのだろうか。

(そんな事は無い。俺は覚悟を決めたはずだ。この殺し合いで芭蕉さんを生き残らせるために、
人殺しをも厭わないと。覚悟したはずだ……ッ!)

曽良は心の中で必死に自問自答する。

(大丈夫だ。俺はやれる。芭蕉さん、俺は、いや、僕は――必ずあなたを――)

青年、曽良は覚悟を決め直し、再び修羅の道へ身を投じていく。
例えそれが師匠が望まない事だったとしても、例えそれが間違っている事だったとしても。
曽良は、もう止まらないと決心した。
199DEMENT ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 10:10:11 ID:NS5STLT2
【リック・ゼラルス@オリキャラ  死亡】
【残り  40人】



【一日目/黎明/E-3市街地表通り】

【曽良@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:顔面打撲、鼻血、背中に針の痕、精神不安定(軽度)、決意
[装備]:ネイルハンマー@SIREN(血痕付着)
[所持品]:基本支給品一式、スペツナズナイフ(2)、焔薙@SIREN
[思考・行動]:
0:芭蕉さんを生き残らせる。そのために他参加者を殺す。絶対に。
1:芭蕉さんとは会いたくない。でも生きていてほしい。
[備考]:
※単行本第八巻第145幕「怪談奥の細道」より後からの参戦です。


※E-3市街地表通りにリック・ゼラルスの死体とデイパックが放置されています。
デイパックの中身=基本支給品一式


≪支給品紹介≫
【スペツナズナイフ】
旧ソ連の特殊部隊・スペツナズが使用していたと言われる、刀身を射出可能な特殊ナイフ。
グリップ内に30p程の強力なスプリングを備えており、鍔の位置に配置されたレバーを押す事で、
刀身を前方に射出する事が出来る。有効射程は10M程度。勿論ナイフとしての使用も可能。
本ロワで支給された物は小型サイズと思われる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
投下終了です。
200それは危険な出会いなの ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 11:16:28 ID:NS5STLT2
個人趣味ロワ30話「それは危険な出会いなの」投下します
登場:小野妹子、リュード、大村寿美
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
30話「それは危険な出会いなの」


森の中を歩き続けてきた赤いノースリーブジャージ姿の青年、小野妹子は、
ようやく目的地の湖に到着する事が出来た。

「ここが湖か……何だか公園みたいな感じになってるな」

街灯や遊歩道、ボートの貸出所が存在する事から、自然公園のような感じなのだろう。
きっと平時ならば観光客で賑わっていたのかもしれないが、今では人っ子一人見当たらない。
とりあえず時計回りに湖を見回ってみようと歩き出したその時。

ドゴオオオオオオン!!!

「うわあああああああああああああああああ」

ボート貸出所の木造の建物が突然大爆発を起こした。
爆風で妹子は思い切り吹き飛ばされ、赤色のアスファルトの上を転がる。
飛び散った建物の小さな破片が周囲に降り注いだ。
両腕に出来た擦り傷と身体の打撲の痛みを我慢しながら起き上がり振り返ると、
黒煙を上げながら炎上するボート貸出所の光景が。

「な、何が起きたんだ!?」
「ごめんなさい、大丈夫?」

不意に女性の声が背後から聞こえた。妹子が声のした方向に振り返る。

「――――ッ!!?」

そこに立っていた「そいつ」に、妹子の顔が驚愕の色に染まる。
それは片手に携帯用ミサイル射出器「FIM‐92スティンガー」を携えた、青い雌獣竜・リュードだった。
勿論、妹子の生きる世界には存在し得ない生物である。妹子が驚くのも無理は無い。

「安心して。あなたを殺す気は無い。ちょっと、これの試し撃ちをしただけ」

そう言うと、リュードはスティンガーを妹子に見せつけるように動かす。
妹子はまだ驚いていたが、日本語を話しているので少なくとも意思の疎通は可能と考え、
目の前の怪物に話し掛けてみる事にした。

「えーと、殺し合いをする気は無い、というのは、本当なんですか?」
「……あなたは殺し合いに乗っているの?」
「い、いいえっ!! 乗っていません!」
「……そう? ならいい」

どうやら、目の前の怪物は自分に敵意は無いようだ、と、妹子は判断する。
201それは危険な出会いなの ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 11:18:09 ID:NS5STLT2
「じゃあ、私は行くわ」
「あ、待って下さい、えーと……」
「リュードよ。あなたは?」
「小野妹子です。あの、リュードさん、僕、捜している人がいるんです! 一緒に捜しては頂けませんか!?」

妹子はリュードに同行を求めた。
これから先、捜し人である聖徳太子を捜索するのに、ロクな武器が無い状態では非常に不安だった。

「えー、嫌だ」

だが、リュードからすれば殺し合いに乗っていない妹子の事などもはやどうでも良い事だった。
従って協力するつもりも一切彼女には無かった。

「そんな、お願いします!」
「嫌」
「お願いします! 自分一人だけじゃ、苦しいんです!」
「嫌」
「お願いします!!」
「しつこい」

しばらく、燃え盛る火災現場のすぐ近くで、青年と雌獣竜の押し問答が続いた。

そして数分後。折れたのはリュードの方だった。

「……負けた。協力してあげる」
「ありがとうございます!!」

リュードの尻尾にしがみ付いた状態で礼を言う妹子。それを呆れた表情で見つめるリュード。
こうしてノースリーブジャージ青年にして元遣隋使、小野妹子と、
生体兵器の青い雌獣竜、リュードは共に行動する事となった。

「ところで、イモコ。あなた、武器は?」
「えっ、僕は……ああ、あったあった。これ、なんですけど」

そう言って妹子が見せたのは、落とした拍子に少し傷が付いてしまった、大沢木小鉄のリコーダー。

「そんな物で戦う気?」
「しょ、しょうがないじゃないですか! これしか支給されなかったんですからっ!!」
「ハァ……ちょっと待ってて」

そう言うとリュードは近くの鉄製の手すりに近付き、持っていたスティンガーを置くと、
その手すりを掴み、支柱との接合部分をその怪力で破壊し、外してしまった。
そして繋がっていたもう片方も力ずくで取り外し、手すりの一部を持って妹子に近付いてくる。
202それは危険な出会いなの ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 11:20:58 ID:NS5STLT2
「はい」

そう言って妹子に鉄パイプのようになった手すりの一部を手渡し、妹子はそれを受け取った。
長さは1M程で、そこそこの強度とリーチを合わせ持っている。少なくともリコーダーよりは遥かに使える武器になった。

「あ、ありがとうございます」
「とりあえず、しばらくはそれで我慢してね」

リュードはデイパックにスティンガーをしまうと、中からもう一つの武器、FNミニミを取り出し装備した。
スティンガーもミニミも見た事が無い妹子は目を見張る。

「それじゃあ、街の方へ行こうか。街なら人も集まりやすいだろうし」
「は、はい」

リュードと妹子は北の方角、市街地方面へ伸びる道路を進んで行った。



その二人の後をこっそりついてくる、白い犬獣人の女性、大村寿美の姿があった。
右手にリボルバー拳銃、エンフィールドNo.2を携え、前方を歩く二人に気付かれない程度に、
絶妙な距離を保ちながら後をつける。

(まさか、あんな威力の兵器を支給されてる奴がいるなんて……)

寿美は先程、リュードがスティンガーのミサイル弾を試射した際に起こった爆発を目撃していた。
あんな威力を持つ兵器を持った相手に、拳銃で正面から挑むのは自殺行為と考え、
こっそり後をついて不意を突くつもりでいたのだ。
いや、それだけでは無い。実は寿美は現在位置や方角を知るのに必要な小型端末機・デバイスを、
湖に来る前、うっかり落として破損してしまった。
なので二人の後をついていけばいつかこの森を抜けられる、とも思っていた。

(とにかく、しばらくはあのケモ竜とジャージ男の後をつけていこう。
そうすれば多分、この森も出れるかもだし、不意を突いて殺す事だって出来るはず。
……考えが甘いかなぁ。いや、何とかなるでしょ。うん)

そんな事を考えながら、寿美はリュードと妹子の後をつけて行った。
203それは危険な出会いなの ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 11:22:23 ID:NS5STLT2
【一日目/黎明/B-2湖周辺】

【小野妹子@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:両腕に擦り傷、全身にダメージ(小)、市街地方面へ移動中
[装備]:鉄パイプ(手すりの一部)
[所持品]:基本支給品一式、小鉄のリコーダー@浦安鉄筋家族
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。とにかく聖徳太子を捜す。
1:リュードさんと行動を共にする
2:襲われたら……どうする?
3:市街地へ向かう。
[備考]:
※単行本第九巻第168幕「聖徳太子の持っている木の棒」より後からの参戦です。

【リュード@オリキャラ】
[状態]:健康、市街地方面へ移動中
[装備]:FNミニミ(200/200)
[所持品]:基本支給品一式、5.56o×45o200発金属リンク(10)、
FIM-92スティンガー@自作キャラでバトルロワイアル(0/1)、70oミサイル(5)
[思考・行動]:
0:「レオーネ」と思われる自分と瓜二つの雌獣竜を捜す。
1:殺し合いに乗っている者は殺す。
2:イモコと行動を共にする(不本意だが)。
3:市街地へ向かう。
[備考]:
※自分と瓜二つの雌獣竜(レオーネ)の名前を直感的に探り当てました。

【大村寿美@オリキャラ】
[状態]:健康、小野妹子とリュードの後をつけている
[装備]:エンフィールドNo.2(6/6)
[所持品]:基本支給品一式(デバイス破損)、380エンフィールド弾(30)
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り優勝を目指す(が、まだ少し迷いがある)。
1:前方の二人(小野妹子、リュード)に見つからないように後をつける。
[備考]:
※デバイスを破損しました。自分で現在位置、時刻、方角が確認出来ません。


※B-2一帯に爆発音が響きました。
※B-2湖のボート貸出所が炎上し、煙を上げています。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
投下終了です。
204創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 12:15:53 ID:Ixoluef2
投下乙!
205 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 12:24:47 ID:NS5STLT2
最後です。個人趣味ロワ31話「聖堂、考える二人」
登場人物:竹内多聞、エルフィ
206聖堂、考える二人 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 12:25:47 ID:NS5STLT2
31話「聖堂、考える二人」

竹内多聞とエルフィは聖堂の壇上にある、豪華なパイプオルガンとステンドグラスを見上げていた。

「綺麗ですね」
「そうだな……それにかなりの年代物のようだ」

この教会で灰色の狼の顔を持った少女、エルフィと出会った後、二人は互いに情報交換をした。
エルフィは自分が以前も殺し合いに参加させられ、死んだ身である事、
この殺し合いにクラスメイトが何人か参加させられている事を話した。
多聞は大学の教え子の一人と共にとある寒村を訪れた際、
突然サイレンと大地震が起こり、気が付いた時にはこの殺し合いに呼ばれていた事、
自分の知り合いは一人もこの殺し合いには呼ばれていない事を話した。
その後エルフィがクラスメイト8人のおおよその外見的特徴と性格を多聞に説明し、
互いの支給品を確認し合った所で、情報の交換は終わった。

「だがいいのかエルフィ、これは私が持っていても」

そう言って多聞はベルトに差し込んでいた大型自動拳銃・IMIデザートイーグルを手に取る。

「いいんです、私の手には大きいし、重いから……私にはこれがありますから」

エルフィは装備していた自動拳銃・グロック19を多聞に見せた。

「そうか……ならありがたく使わせてもらおう」
「はい」
「ところでエルフィ、君と話している時、ふと思ったのだが……」
「何ですか?」

数秒程間を置いて、多聞が口を開く。

「私が住んでいる世界と、君が住んでいる世界は、全くの別世界なのではないか?」
「えっ……? どういう事ですか?」

エルフィは多聞が言い出した事が理解出来なかった。
多聞はそんなエルフィに、出来るだけ分かりやすく伝えた。

「私が知る限り、君のように動物の頭と毛皮を持った『獣人』という存在は、
架空の存在でしか無いはずなんだ。それに、君が言う日本の歴史は、
私が知る日本の歴史と共通の部分も多いが、それ以上に合致しない部分が余りにも多過ぎる。
それに……」

次々と自分とエルフィが異世界の人間同士だという説の根拠を挙げていく多聞。
最初は半信半疑だったエルフィも、次第に多聞の唱えた説を信じるようになっていった。

「もしかしたら、この殺し合いの参加者は、皆が同一の世界から呼ばれた、と言う訳では無いのかもな。
多くの並行世界から、あのセイファートと名乗る狼の女がそれぞれの世界の住人を拉致し、
このような理不尽な殺戮ゲーム『バトルロワイアル』を開催した、とも考えられる」
「でも、それが本当なら、何でこんな事を? ……ああ、でも、以前私が参加していた殺し合いも、
目的なんてまるで分からなかったしなぁ……」
「……あのセイファートの目的が何であれ、まず私達が考えなければならないのは、
この殺し合いをどうやって止めるか、だ。そうだろう? エルフィ」
「そうだね、竹内さん……」
207聖堂、考える二人 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 12:26:48 ID:NS5STLT2
確かにそうだ、と、エルフィは思う。
この殺し合いの目的を考えるよりも、今はこの殺し合いを止める方法を模索するべきだろう。
だが「止める」と言っても、具体的にどうすればいいのだろうか。
まず一番の課題は参加者全員の首にはめられた特殊金属製の首輪。
これにより主催者に命を握られているので、脱出しようにもまずこの首輪を何とかして解除しなければならない。
仮に解除出来たとしても、主催側が脱出を許すはずも無いだろう。

「……急いで答えを出そうとしても、無理だ。情報も少な過ぎる」
「そうですね……」
「このゲーム会場には市街地が存在するらしい。そこなら人も集まりやすいだろう。
もしかしたらこの首輪を解除出来る奴もいるかもしれない」
「ですけど……殺し合いに乗っている人も、沢山いると思います」
「だろうな。だが『虎穴に入らずんば虎児を得ず』という言葉もある。多少の危険は覚悟しなければならんだろう」
「確かに……」
「……だがまあ、まだ外も暗い。もうしばらくはこの教会に身を潜めよう。
下手に動き回るのも危険だ」
「分かりました」

二人は明るくなり次第、市街地方面へ向かう事を決めた。



【一日目/黎明/G-4教会】

【エルフィ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:グロック19(15/15)
[所持品]:基本支給品一式、グロック19の予備マガジン(5)、
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。 何とかして脱出する。
1:竹内多聞さんと行動を共にする。明るくなるまで教会に留まる。
2:クラスメイトと合流する……?
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
208聖堂、考える二人 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/03(日) 12:29:04 ID:NS5STLT2
【竹内多聞@SIREN】
[状態]:健康
[装備]:IMIデザートイーグル(7/7)、
[所持品]:基本支給品一式、デザートイーグルの予備マガジン(5) 、
クリスの剣@ムーンライトラビリンス改造版 ダンロップのTシャツ@永井先生
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。そのためにも仲間を集める。
1:エルフィと行動を共にする。明るくなるまで教会に留まる。
2:襲われたらそれなりに対処はする。
3:安野……大丈夫だろうか。
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、意識を失った直後からの参戦です。
従って幻視能力は目覚めていません。
※クリスの剣の持ち主「クリス・ミスティーズ」と、名簿に書かれている名前、
「リリア・ミスティーズ」は何か関係があるのではないかと考えています。
※エルフィのクラスメイト(太田太郎丸忠信、北沢樹里、吉良邑子、サーシャ、
シルヴィア、ノーチラス、フラウ、森屋英太)のおおよその特徴を把握しました。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
投下終了です。書いてる時思ったんだけど、
このコンビ、動かしずれえ(笑)
209創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 12:30:28 ID:NS5STLT2
トリップ解除
210 ◆NIKUcB1AGw :2010/01/04(月) 01:28:26 ID:6vQa6MXQ
相変わらずUw氏の投下スピードは化け物じみてますなあ……
では自分も、NIKUロワ第13話投下します
211罪と罰 ◆NIKUcB1AGw :2010/01/04(月) 01:29:20 ID:6vQa6MXQ
「ちくしょう、わからねえ……。わけがわからねえっつーんだよ! なんなんだ、これは!」

暗い森の中、「ジュクの秀」こと小島秀範は感情をむき出しにして叫んでいた。
彼は悪の組織「バダン」の一員として、島根まで巨大ロボット「キングダーク」を移動させる任務に就いていたはずだった。
だがその途中ふいに意識が飛び、気が付けばこの殺人ゲームの参加者とされていたのだ。

「冗談じゃねえ! 俺がいなきゃあの作戦は成り立たねえんだぞ!」

秀のバダン内における立場は最下層、下の下である。にもかかわらず、彼が重大な作戦の中枢に抜擢されたのにはわけがある。
キングダークは、もともと秘密機関GODの長である呪博士が作り上げたロボットを復元したものである。
博士は自分以外の者がキングダークを操作できないよう、あるプロテクトをかけていた。
それは改造手術を受けていない、生身の人間にしか操作できないというもの。
そして構成員のほとんどが改造人間であるバダンの中で、数少ない生身の人間が秀なのだ。
彼が選ばれたのはそれだけの理由であり、彼の能力も組織への忠誠心も関係がない。
だが、彼がいなければ作戦が根底から崩壊することも事実なのだ。

「こうなったら、やるしかねえのか……。全員ぶっ殺して、あの女に頼んで元の場所に返してもらうしか……」

自分のせいで作戦が失敗したとあっては、自分を拾ってくれた恩人・三影に会わせる顔がない。
なんとしてでも、自分は帰らなければならないのだ。
そのために、秀はバトルロワイアルゲームに乗る決意を固める。
彼は自分に支給された荷物をあさり、中に入っていた拳銃を手に取った。

「やってやらあ……。ジュクの秀を舐めるなよ……!」


◇ ◇ ◇


数分後、秀は一人の少女を発見する。
桃色の長い髪が印象的な彼女は、地面にはいつくばって「メガネメガネ……」と呟いていた。
どうやら、この視界の悪い森でメガネを落としてしまったらしい。

(カモだな……)

少女に気づかれないよう物陰に隠れつつ、秀は改めて銃を構える。
そして、銃口を少女に向けた。
心臓が激しく脈打つ。銃を持つ手が異常なまでに震える。
かつては新宿で悪党を気取り、今は邪悪な組織に身を置く秀だが、自分の手で人を殺したことはない。
他者の命を奪うという重圧が、彼の心身に重くのしかかっていた。

(何をビビってやがる、俺……! たしかに俺は自分で人を殺したことはねえ……。
 けど、兄貴や怪人どもが人を殺すところはさんざん見てきたじゃねえか!
 今更びびる必要なんか、どこにもねえんだよ!)

腕の震えが止まる。目が据わる。秀が覚悟を決めた証だ。

(死んでもらうぜ、姉ちゃんよお!)

歯を食いしばり、秀は引き金を引く。直後、少女の肩を弾丸が貫いた。

「あう!」

突然我が身を襲った痛みに、少女は悶絶の声をあげながら崩れ落ちる。

「ちっ、急所には当てられなかったか。仕方ねえ。もうちょっと近くからもう一発ぶち込むか」

不満げに呟きながら、秀は少女の前に姿を見せる。
相手は無力な少女、しかも手負い。万が一にも反撃を喰らうことはないはず。
そんな慢心ゆえの行動である。
212罪と罰 ◆NIKUcB1AGw :2010/01/04(月) 01:30:41 ID:6vQa6MXQ
「おとなしくしておけよ。次は確実に脳天ぶっ飛ばして、楽にしてやるから」

やがて少女の眼前まで近づくと、秀は彼女の額に銃の照準を合わせる。
彼はすでに、自分は100%確実に少女を殺せると思いこんでいた。
ゆえに、秀は気づかない。彼女……高良みゆきが、いつの間にか落としたメガネを見つけてそれをかけ直していたことに。
秀の銃が二発目の弾丸を発射する直前、みゆきは叫んだ。

「ペルソナァ!」

「なっ!」

秀は驚きを隠すことが出来なかった。目の前の少女が何やら叫んだ瞬間、彼女の周りにおもちゃの如く小さな兵隊たちが大量に出現したのだ。
事実を事実としていえば、このとき動揺せずに引き金を引いていれば秀は勝っていた。
だが予想外の事態に混乱する彼は、それが出来なかった。その瞬間、彼の敗北は決定したのだ。
棒立ちの秀に、小さな兵隊たちは銃弾を浴びせる。その銃弾はお返しと言わんばかりに、秀の肩を貫いた。

「あぎゃああああ!!」

悲鳴を上げながら、秀は背中から地面に倒れ込む。その様子を、みゆきは冷たい眼差しで見つめていた。

「この私に傷を負わせるとは……。覚悟は出来ているのでしょうね?」

丁寧だが、刃のごとき鋭さを帯びた口調でみゆきは言い放つ。
それを聞いて、秀は確信した。この女は、平気で人を殺せる人間だと。
怪我の度合いは、おそらく五分。だが撃たれた拍子に銃を手放しして待った自分に対し、相手は謎のミニ兵士たちを従えている。
まともにやれば、殺されるのは自分だ。
とっさにそう判断した秀は、急いで体勢を変える。
両足を正座の形にし、両手と額を地面に付ける。すなわち、土下座である。

「すまねえ! 俺だっていきなり殺しあえなんて言われて、怖かったんだ!
 だから無防備にしてたあんたを見てつい、魔が差して……。
 もうこんなことはしねえ! 約束する! だから、命だけは助けてくれ!」

秀が選んだ選択肢は、命乞い。
彼にもプライドはある。たかが小娘にここまでして嘆願することに、屈辱を感じないわけではない。
だが、命には代えられない。秀には、どうしてもここで死ねない理由があるのだ。

「顔を上げてください」

自分に頭を下げる男に対し、みゆきはそう告げた。
許されたものと判断し、秀は喜びの笑みを浮かべながら顔を上げる。
だが、その笑顔は一瞬にして凍り付いた。彼の目に飛び込んできたのは、自分を包囲する兵隊たちの姿だったのだ。

「たかが土下座ごときで、私を傷つけた罪が償えるわけないじゃないですか」

聖女のような笑みを浮かべながら、みゆきは悪鬼のような言葉を言い放つ。

「やりなさい、バッド・カンパニー」

みゆきの号令と同時に、兵隊たちは一瞬のずれもなく同時に銃弾を放つ。
瞬く間に秀は蜂の巣となり、息絶えた。

「ふう……。まったく、こういう身の程知らずには困りますね」
213罪と罰 ◆NIKUcB1AGw :2010/01/04(月) 01:32:03 ID:6vQa6MXQ
溜め息を漏らしながら、みゆきは秀の首輪に付けられたチップと彼の荷物を回収する。
まるで、それが当然の権利だと言わんばかりの態度で。
それが終わると、みゆきは脇目も振らずに移動を開始した。
撃たれた肩の傷が痛むが、幸い自分に支給された命のリングは歩くことで傷をいやしてくれるという優れもの。
効果もわざとかすり傷を付けてから歩くことで実証済みである。
もっともその実験中にうっかり転んでメガネを落としてしまい、先程の男につけいる隙を与えてしまったのだが。

「やはり私一人では、どうしても隙ができてしまいますねえ……。
 こんな愚かなイベントを開催したあの女に制裁を下すためにも、早く皆さんと合流しないと……。
 泉さんたち、どこにおられるのでしょう」

とても殺人を犯した直後とは思えぬ穏やかな口調でひとりごち、みゆきはなおも歩き続けた。


【一日目・深夜/C-6・森】
【高良みゆき@こなたとハルヒの第二次世界大戦】
【状態】右肩に銃創、黒みwiki
【装備】命のリング@ドラゴンクエスト4コマ漫画劇場、ヨッミーの拳銃@パロロワ戦記
【道具】支給品一式×2、不明支給品0〜4、スターチップ×1
【思考】
基本:バトルロワイアルを頓挫させ、「ハルヒ」に制裁を加える。
1:幸星党メンバーとの合流。
2:襲ってくる相手は容赦なく葬る。
※南米でアメリカ連邦と戦っている時期からの参戦です。

【ジュクの秀(小島秀範)@仮面ライダーSPIRITS 死亡】


※支給品紹介
【命のリング@ドラゴンクエスト4コマ漫画劇場】
ドラクエ5に登場した装備品。
装備していると1歩歩くごとにHPが回復する。
このロワにおいては負傷は回復できるが、体力は回復しない。


【ヨッミーの拳銃@パロロワ戦記】
書き手ロワ国三本柱の一人、ヨッミーが自作した拳銃。
殺傷力はごく普通。相手が超人クラスだと牽制にしかならない。


※参加者紹介
【高良みゆき@こなたとハルヒの第二次世界大戦】
こなたの親友の一人。
出典動画では異次元に飛ばされ、幸星党の一員として戦争に関わっていくことになる。
次元を越えた影響で二重人格になってしまい、メガネをかけている間はいわゆる「黒みwiki」の性格になる。
作中ではすでに戦意を失った敵の司令部に戦車を突っ込ませるという、なかなか外道なことをやっている。
一方でたしかな経営手腕を持ち、買収した「らっきー☆ちゃんねる」を世界三大マスコミの一角にまで育て上げている。
また特殊能力として、ペルソナ「バッド・カンパニー」を使用可能。
バッド・カンパニーの元ネタはジョジョのスタンドだが、本人がペルソナと言っているのでペルソナなのだ。


【ジュクの秀(小島秀範)@仮面ライダーSPIRITS】
もともとはその通称どおり新宿を縄張りにするチンピラだったが、バダンの力に魅せられ偶然出会った三影英介に懇願。
彼の力でバダンの一員に加えてもらう。
卑屈で調子に乗りやすい小悪党だが、三影には純粋な敬意を抱いている。
214 ◆NIKUcB1AGw :2010/01/04(月) 01:33:08 ID:6vQa6MXQ
投下終了です
215追加放送 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/04(月) 01:59:53 ID:DuWlQMcy
「…あーっと、いい忘れてた。人数減ったんで、動きの無い奴は強制送還するぞー。」
そして手元の機械をいじる。
「須田…小林…美樹本…この3人は動きが無いな。悪いが、動かない奴はつまらないからな、片づけるぞ」
その瞬間、3人は元の世界へと帰還した。

【須田恭也@SIRENシリーズ 強制送還】
【小林真理@かまいたちの夜 強制送還】
【美樹本洋介@かまいたちの夜 強制送還】

「…と、これでよし。さて、今度は追加だな。3人抜けたから…2人位追加でいいか」
そしてまたもや機械をいじる。
「これで新しく参加者が追加されたはずだ。よーし、頑張ってくれよ」

【パフェニー@板対抗BR 途中参加】
【うさぎ@板対抗BR 途中参加】


【一日目/早朝/?-?:不明】


【謎のプログラマ@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:バトロワ制御装置
[所持品]:なし
[思考・行動]:
基本:このバトロワを管理する。
1:さて、これで面白い展開になってくれるかな?
216過疎地・灯台 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/04(月) 21:10:36 ID:upD8O2lt
「…さて、2時間位経ったが…誰も来ないな。」
ビリーがカズヤに話しかける。
「ああ、そうだな…俺たちの方から探しに行くべきだな」
そう言い、2人は下に降りる階段へ向かった。


ほんのり明るくなりつつある浜辺で、2人はデイパックから何かを取り出した。
「まさか、こんな小さいバックに…モーターボートが入ってるとは思えないよな」
2人で海まで引きずり、浮かべる。
「そうだな。だが…これに乗ってどこに行くんだ?この地図に外側は書かれて無いが…」
運転席辺りをいじりながら喋るカズヤ。
「これに乗れば…ここの外側にも行けるかもしれない。だが、出れるなら主催者はこんなものを用意するだろうか」
確かにそうだ、とカズヤは呟いた。
「…わざわざ自分から簡単に脱出出来るような物は用意するはずは無い…だとしたら…」
砂地に置いた地図の上に石を置く。
「この石はこの船と思ってくれ」
ゆっくりと地図の外に移動させる。
そして静かに、ビリーが言う。
「エリア外に出れば、多分死ぬだろう…。どうなって死ぬのかは分からないが…多分死ぬ。」
そして石を今度は島に沿うように動かす。
「だが、こうやって島に沿って移動すれば、大丈夫だろう。移動時間の短縮にもなる。」


何やら運転席をいじり、エンジンをかけるカズヤ。
「さて、出発だ!」
アクセルを踏み、海岸からゆっくり離れていく船。
「だが、どこに行く?行けそうなところは…港があるんだな。そっちに行ってみるか」
「そうだな。」
そして、2人が乗った小型船は、港目指して旅立った…。



【一日目/早朝/D-1:海上】


【ビリー・ヘリントン@本格的 ガチムチパンツレスリング】
[状態]健康
[装備]:メガホン@現実
[所持品]:支給品一式、不明支給品
[思考・行動]:
1:港目指して出発だ


【木吉カズヤ@本格的 ガチムチパンツレスリング】
[状態]健康
[装備]:モーターボート@現実
[所持品]:支給品一式、不明支給品×2
[思考・行動]:
1:港に行けば誰かいるだろう…
217誤解フラグ ◆6LQfwU/9.M :2010/01/04(月) 21:40:17 ID:upD8O2lt
ゆっくりとしたスピードで森の中を走る和也。
道が悪く、あまりスピードが出せずにいた。
「でも便利だな、これ。これのおかげで逃げ切れたような物だからな…」
そんなことを言っている内に、森を抜けた。
(湖…?広いなあ…誰かいるかな?)
セグウェイに乗ったまま、湖に少し近づき、辺りを見回す。
そして、薄暗い中誰かが湖畔に座っている。
「…誰?」
突然影に呼びかけられる。
「そっちこそ、誰?」
同じような言葉で返す。
まだ薄暗く、相手の姿が良く見えない。
和也はとりあえず懐中電灯を取り出し、相手を照らす。
「…!」
その男は…
―手に血がべっとり付いている銃を持っていた。
(誰か殺したんだろうか?それとも殺された人から取ったんだろうか)
思案を巡らせるが…答えは出ない。
(とにかく、危なそうだな。逃げた方が良いのかな…?)
そう考えてるうちに、相手が近づいて来た!
「…とにかく逃げる!」
セグウェイの全速力で走り出す!
「あっ、ちょっと待って…」
何か言っているが、よく聞き取れない。
(とにかく逃げる!)


「行ってしまった…何で?俺何か悪いことしたっけ…」
走り去ってしまった方向を見つめ、理解できなそうに呟く◆Right//mko。
(まさか、銃を持ってたから?確かにそれなら逃げられてもおかしくないけど…)
またその場に腰かけ、湖面を見つめる◆Right//mkoだった…

【一日目/早朝/B-4:湖畔】


【◆Right//mko@板対抗BR】
[状態]:健康、困惑
[装備]:イングラムM10(30/30)@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、どこでもドア@板対抗BR、靴べら@SIRENシリーズ
[思考・行動]:
基本:生き残る。
1:仲間になってくれないかなと思ってたけど…


【一日目/早朝/A-4:道】


【野村和也@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:熱き魂の封じ込められた腕輪@板対抗BR、セグウェイ@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、大阪名物はりせんチョップ@板対抗BR
[思考・行動]
基本:死にたくない。でも人殺しはしたくない。
1:危なかった…
218 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/04(月) 23:45:17 ID:upD8O2lt
投下終了です
219創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 23:19:38 ID:Lvku8PYN
楽しみに見ているよ
220 ◆5ddd1Yaifw :2010/01/08(金) 01:58:46 ID:drrk0kSp
test
221 ◆5ddd1Yaifw :2010/01/08(金) 02:07:30 ID:drrk0kSp
規制解除きたああああああ!
久しぶりですが文章練習ロワ第七話投下します。
222迷いと決断 ◆5ddd1Yaifw :2010/01/08(金) 02:10:36 ID:drrk0kSp

(原村さんに優希ちゃん、部長に京ちゃんまで……)

静まり返った黒の森。月明かりのみが黒に微かな明かりを灯す。
この森でびくびく震える一人の少女がいた。
宮永咲。清澄高校麻雀部の大将を努めるエース。
だがそんなエースも殺し合いの場ではただの人。麻雀ができるからといって生き残れるわけではない。
そんな彼女の心境は恐怖と心配。
自分の知り合いがいることに安心と不安を感じる咲。
震えが収まらないどころかますます強くなっていく。
当然だ、普通の女子高校生が殺し合いをしますといきなり言われて怯えるのは当たり前だ。

風が吹き、スカートがたくし上げられる。しかし咲にはそれを気にする余裕すらない。

――怖い怖い怖い。痛いのは嫌だ。死ぬのはもっと嫌だ。そして何よりも――

皆と会えなくなるのは嫌だ。

(会いたい……会いたいよ、原村さん)

ただそのことだけを考えながら歩く。本当はもう歩けないぐらい精神的に参っているというのに。

再び風が吹く。宙を舞う木の葉が顔に張り付き思わず声を上げる。

「少しいいか?」
「ひっ……!」

機を覗っていたのだろうか、突然の後ろからの声に驚く咲。
振り向いた先にいたのは制服を着た利発そうな顔立ちの青年。
咲は汗を滝のように流しながらがたがたと震える。

(どうしようどうしようどうしよう!助け……助けを呼ばないと。
 こういう時は、大声を出して――無理、怖くて出せない!それに、声なんて出したら殺される!?
 そんなの嫌だよぅ)

頭の中がごちゃごちゃでどのように対応すればいいのか迷う咲。
223迷いと決断 ◆5ddd1Yaifw :2010/01/08(金) 02:11:38 ID:drrk0kSp
こうなるのも無理はない。この暗闇で後ろから突然声をかけられたら誰だってびっくりする。

「あ、ごめん、驚かせちゃって。大丈夫、俺は君に危害を加えるつもりはない」
「ふぇ?」
「ただ少し……聞きたいことがあって声をかけただけだから」

青年は両手を軽く挙げて、敵意がないことを示し咲を落ち着かせようとする。

「じゃあ改めて、俺の名前は杉崎鍵。少し聞きたいことがあるんだ。
君は俺と会う前に誰か他の参加者と会ったかい?」
「い、いえ杉崎さんが初めてです……」

声が上ずりながらも律儀に答える咲。

「そうか……なら、」

咲の返答に失望したのか、鍵の顔が能面のように無表情になり、

「もう用はない。悪いが死んでくれ」

背中に隠し持っていた銃を取り出し即座に引き金を引いた。



◆ ◆ ◆



ひどく乾いた音が辺りに響いた。パンッと軽い音が。

それと同時に奇妙な感じがした。
ナニカが欠けた感覚。
右手が、ない。
何でない、の。
手がないと麻雀ができないよ?
あ、
224迷いと決断 ◆5ddd1Yaifw :2010/01/08(金) 02:12:42 ID:drrk0kSp

「ああ゛あぁあ゛あああ゛ああ゛ァぁぁぁ嗚呼ああ゛あ嗚呼ぁ゛ぁああああああああ!」

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!

「っち、はずれたか。やっぱ片手撃ちなんてかっこつけるんじゃなかったわ。
 はぁ、主催者も気がきかねえな。もっと使いやすい拳銃をよこせっての」

何を言ってるの?この人は。
こんな危害を加えないって、そう言ってたのに。

焼けるような痛みが私を襲う。
そして、欠損した右手から流れ出る血液が私を赤に染める。
あはは、全身血塗れ、きっと洗濯は大変になるだろうな。

「たす……てぇ、ぉね゛ぇぢゃ……おとぉ……さぁ、原…………らざん、京ぢゃん、部ちょぉ、染……輩、
 だずげて、だれ……か」

誰か助けてよ。誰でもいいから。
どうしてこんな目に私があわなきゃいけないんだろう。
私は麻雀が好きなただの女子高生なのに。

「うーん、ほっといても死ぬかな、これは。でも一応とどめをさしておくかね。
 まあ、運が悪かったね、美少女ちゃん」

何を言ってるんだろう、もう何も聞こえないや。
最後にもう一度原村さんと――

麻雀したかったな。

死に、た、くな、いな、ぁ。



――――お姉ちゃん――――
225迷いと決断 ◆5ddd1Yaifw :2010/01/08(金) 02:14:38 ID:drrk0kSp



◆ ◆ ◆



「まずは一人、順調なスタートかな」

暗闇の森の中を一人の青年、杉崎鍵は足早に歩いていた。
宮永咲を殺したあの場所から一刻も早く離れるために。

(俺、人を殺しちまったんだな。何も悪くもない美少女ちゃんを。ハーレムの主、失格だな)

鍵は歯を食いしばり俯く。それも仕方がない。自分を僅かながらでも信じてくれた少女を、
殺してしまったのだから。
それでも、鍵は歩みを止めたりはしない。

「俺は大切な人達を護るために、」

人を殺してしまった以上、立ち止まることは許されない。
痛くても、苦しくても、辛くても。

「人を殺すって決めたんだ」

もう、あの日常には――



【宮永咲@咲-Saki-死亡】



【E-4 /1日目 深夜】
【杉崎鍵@生徒会シリーズ】
【装備】:IMI デザートイーグル(6/7+1)予備マガジン×6

【所持品】:支給品一式×2。不明支給品1〜5
【状態】:健康
【思考・行動】
1:大切な人達を護るために殺し合いに乗る
※E-4で宮永咲の叫び声が響き渡りました。

【IMI デザートイーグル】
アメリカのマグナムリサーチ社がデザインし、イスラエルのIMIが生産している。
世界有数の大口径自動拳銃。口径は.50口径モデル。
226迷いと決断 ◆5ddd1Yaifw :2010/01/08(金) 02:15:40 ID:drrk0kSp
投下終了。咲さん哀れなり。
227創る名無しに見る名無し:2010/01/08(金) 18:36:45 ID:G/fKK9kP
投下乙!
228妖刀はもういいだろ ◆6LQfwU/9.M :2010/01/08(金) 21:44:06 ID:XVSScM3t
自分のセグウェイに乗って逃げた和也を追い、湖まで来た彩子。
だが、そこに和也の姿は無い。
(こっちに逃げたはずなのに…まあいいわ…)
仕方ないわね、と言いたそうな表情で溜息をつく。
「そういえば、またここに戻って来たのね。さっきよりかは明かるいけれど…」
そのとき、湖畔に座っていた◆Right//mkoが近づいてくる(彩子は誰か分かっていない)。
(あら、丁度いいわ。あっちから来るなんて好都合)
だが、近づいてきた◆Right//mkoが途中で足を止め、銃を向ける。
「いきなり何のつもり?そんな物出して…」
相手の神経を逆撫でするような口調で話す。
「それはこっちのセリフだ。何で血まみれなんだ?」
それを無視し、静かな声で言う。
だが、小馬鹿にするような口調で返す彩子。
「今こっちが質問してるんだけれど…質問には質問で返せと教えられてきたんですか?」
その瞬間。
ぱらららららっという音と共に、◆Right//mkoの銃から弾が飛び出す!
だが、再度刀が勝手に動き弾を弾く。
「くっ…!まだだ」
更に弾を弾倉が空になるまで撃ち込んでいくが、ことごとく弾かれる…!
弾の切れた銃を握りしめ、ピクリとも動けない◆Right//mko。
「なんで…弾が…」
それに答えるように言う。
「この刀が私を守ってくれるのよ。そんな銃じゃ私は殺せないわ」
そう言いながら動けない◆Right//mkoに歩みよる。
「それに、距離もあるしね。さっきの人は至近距離で撃ってきたからまずいと思ったけど」
1歩、また1歩と確実に近づいて行く。
(さっきの人…?まさか、霜月を殺したのはこいつか…!)
そう思っているうちに、もう目の前に彩子が立っていた。
「一つだけ聞く…あの小屋にいた奴を殺したのはお前なのか…?」
刀を振り上げ、呟く。
「そうよ。まあ、あなたもあの人と同じような戦い方だったわね。」
「そうか…」
そう呟き、項垂れる◆Right//mko。
そして首に刀が当てられ―
(せっかく復活出来たのに…そりゃないぜ)
―風を切る音とともに、◆Right//mkoの首は胴と分かれていた。


切断面からまだ血を少し流している◆Right//mkoの体を見下ろしている。
血の上から更にべっとりと血が付いている。
(さて…これでよし。もうここに来ることも無いわね)
◆Right//mkoの死体に背を向け、残っているセグウェイの車輪の跡を追いかけた。


【一日目/深夜/B-2:工場入り口】


【守谷彩子@オリジナル】
[状態]:健康、血まみれ
[装備]:妖刀村正@現実
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]:
基本:村正に血をあげるためにも参加者を殺す。
1:セグウェイの後を追いかける。
(心の中):もう、諦めるしかないの?


【◆Right//mko@板対抗BR 死亡(2回目)】
229 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/08(金) 21:46:52 ID:XVSScM3t
状態表の深夜→早朝です
230行動方針 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/08(金) 22:37:39 ID:XVSScM3t
「―っと、禁止エリアは、C-5だ。入ったら死ぬから、気を付けろよ。あと30分で有効になるから。」
その声を最後に、声は途絶えた。
「C5が禁止エリアだって、チェックしとこうか。それと…」
「パフェニーさんとうさぎが参加させられた…それと3人いなくなったって事でしょ?」
遊園地内の椅子に腰かけながら話すめろりんと◆PURIN//46E。
それとどこから持ってきたのか、アイスを食べているチルノ。
「お前は呑気でいいな…まあ、その呑気さが俺を正気に留めてくれる」
それを聞いて、きょとんとするチルノ。
「ああ、いや。何でもないよ…」
「さて、どうしよう?病院が禁止エリアにされなかっただけ良かったよー。」
突然チルノが口をはさみ、
「今から病院、って所に行くの?そこって遠いの?」
と言った。
「うん、今から病院に行くんだよーwそれと病院はここからそれほど遠くないから大丈夫だよ」
とめろりんが少しなだめるように言う。
(でも、この子大丈夫かな…見た目小学生ぐらいだけれど…)


「病院に行った後は…どうしよう?」
突然◆PURIN//46Eが言う。
「そうだねー、このFラインを通って街に行ってみる?」
机に置いてある地図のFラインをなぞって、街まで指を持っていく。
「それとも、近いビルに行ってみるのもいいけど…」
病院に近いビルを指さす。
突然、◆PURIN//46Eが席を立ち言う。
「…まあ、次のことは、病院に付いてから、考えてみようよ」
そう言いながら、歩き出す…が。
「プリン、この子どうするの?寝ちゃってる…」
椅子に座ったまま、眠っているチルノを見下ろす。
「まだまだ時間的にはおそいからなあ。俺が背負うよ、大丈夫」
そして、チルノを背負って、改めて病院へと進んだ…
231行動方針 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/08(金) 22:39:48 ID:XVSScM3t
【一日目/早朝/D-7:遊園地:軽食店】


【めろりん@板対抗BR】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:風切り鎌@かまいたちの夜
[所持品]:支給品一式、蟹@本格的 ガチムチパンツレスリング
[思考・行動]:
基本:人は殺したくない。
1:病院へ行って、それから…


【◆PURIN//46E@板対抗BR】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:狩猟用狙撃銃(6/7)@SIRENシリーズ、宇理炎@SIRENシリーズ
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]:
基本:人は殺さない…でも相手から仕掛けられたなら話は別。
1:今は病院へ。下痢さんを探すのは後。
2:下痢さんを見つけて殺す。謝っても許す気は無し。

?:この状況なら、気に入らない人を殺しても…


【チルノ@ニコニコ動画】
[状態]:健康、睡眠
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、不明支給武器×2
[思考・行動]
基本:あたいさいきょー。
1:Zzz…
232 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/09(土) 12:10:35 ID:qy8bqbxP
24バトルロワイアル第10話投下します。やっと10話まで来れた…

今更ですが、24ロワは参加キャラの元ネタからして、キャラがはっきり定まっていない奴ばかりなので、
基本的に性格が変わっていたりなどのキャラ崩壊がありまくりです。というか書き易さのためなら、
あえて積極的にキャラを(個人的に違和感がない程度に)崩したりもしていくつもりです。
そういうのが苦手な方は要注意。本当に今更ですが。
233 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/09(土) 12:11:54 ID:qy8bqbxP
────生き残る上で最も大切な事は何か?

強力な武器を手に入れる事、頼りになる仲間を見つける事、誰にも見つからない隠れ家を作る事。
これらの事は生き残る上にどれも確かに重要だろう。だが、僕は上記の事柄よりもさらに重要な『大前提』があると思う。
こいつを欠かしたら、どれだけ強い武器を見つけ、頼りになる仲間を見つけ、頑丈な拠点を作ったとしても、
たちまち死に至るに違いない。それだけ重要な、生きる上での大前提とも言えるものは何か?
それは何事にも囚われない屈強な精神力だ。

バトルロワイアルは誰もが理解している通り異常なゲームだ。僕の知り合いも、死んだやる美を除いて13人参加している。
大抵の連中は自分と親しい人間が死んだら心を痛めるだろう。だが、その感情は危険だ。
悲しみが怒りへと変わり、怒りが絶望へと変わり、絶望が虚無感を呼ぶ。最後に待ち受けるのは自暴自棄だ。
何ものにも頓着しない、冷静な精神を保ち続けることこそが、このゲームを乗り切る必要条件だ。

「とまあ、こんな風に分析したところで、どうせ僕も皆が死んだら悲しむだろうな。
 僕ほどの人間でもやはり悲しむだろうから、この条件を満たせる奴なんてこの世に一人もいないんじゃないか?」

平瀬村の役場のソファに一人もたれ掛り、夜神月は近所のスーパーから拝借してきたリンゴを齧った。
ソファの横にはスーパーのレジ袋が置いてある。中にはスーパーから盗んできた果物類がいくつか入っていた。
何故もう少し腹が膨れそうなものを盗まなかったのかと言うと、スーパーには僅かな果物しか置いていなかったからである。

「でも武器なんかで勝ち負けが決まったら何も面白くないな。一番最初に強力な武器を支給された奴が優勝なんて興醒めもいい所だ。
 ただの運試しじゃないか。運試しならジャンケンで手っ取り早く決めろって話になる。
 やっぱり己の能力が生死を分ける、なんて感じの方が燃えるからいいな。まあしかし、そうなると僕の生き残りは確定なわけだが」

何故彼がこうもぺらぺらと独りで喋っているのかと言うと、単に暇を持て余しているからだ。
深い意味はない。しかし、他人から見ると一人で饒舌に喋っている月の姿は酷く不気味に映るわけで……

「ああ、それにしてもやる夫が参加しているのがなあ……なんともこのゲームの結末が見えるようで嫌だな。
 あいつの主人公補正、もといチート並の勝負強さをもってすれば、どうせこの騒動も適当に無難な方向に収まっちまいそうだ。
 まあ、僕は生き残れるのならどんな方向に収まってくれようと、一向に構わないわけだが」
「…………ッ!?」
役場の2階から階段を下りてきた如月千早は一人で楽しげに喋る月を見て絶句した。
まるで見えない死神相手に話しかけているようではないか。

「ああ、起きたのか。ずいぶんと長い間寝ていたな。欲張って睡眠ガスを吸い込みまくったのか?」
「…………」
「僕の名前は夜神月。ここまで独り言をぺらぺら喋る奴に出会ったのは初めてか?
 まあ、気にするな。僕は暇なんだ。君が起きてくれたお陰で、漸く話し相手が出来るから安心したよ。
 さすがに、このまま一人で喋り続けていると本気で狂人になってしまいそうだからな。
 独り言で狂人になるのかどうかは分からないが……なんとなくなりそうな気がするよな?」
「ずいぶんと……よく喋りますね……私の名前は如月千早です」
「千早さんか。寝覚めはどうだい?役場の前で眠りこくっているのを見つけてね。
 話しかけたり触ったり叩いたりしてみたが一向に起きなかったんだよ」
ははは、と月は笑っている。それから千早に向かってレジ袋に入っているバナナを一本投げ渡した。

「食べるといいよ。毒は入ってないから安心しな」
「……地面に寝ている私を、わざわざこの建物のベッドに運んだんですか?」
「ああ。お節介すぎて気持ち悪いか?だけど地べたで寝ている女性を放っておく事なんて出来なかったんだよ。
 暇だったからな」
「い、いえ……気持ち悪いとは思いませんけど、運んだ理由は暇だったからなんですか……」
呆れている千早を見て、月はにやりと微笑んだ。

「ははは、千早さん、引くなって。さすがの僕でも女性にドン引きされたら傷つくくらいの純情さは持ち合わせてるんだぜ?」
「ひ、引いていません……!ただちょっと、運んだ理由が暇、というのに少し呆れたと言うか」
「呆れたのなら仕方がないな。断っておくが千早さん。僕は最強に万能な人間なんだ」
「…………?」
突然脈絡のない事を言い出した月に、千早はまたしても懐疑の視線を向けた。
この人、変な人だ……
234沖木島ネットワーク ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/09(土) 12:13:31 ID:qy8bqbxP

「今の段階では変人にしか見えないかもしれないが、実は僕は他の追随を許さない優秀な頭脳を持っている。
 さらにトップクラスの身体能力を持ち、容姿端麗、おまけに手先が器用だ。もしかすると僕は神なのかもしれない……」
「…………あの、いったい何を言って……」
「要するにだ。万能であるが故に、僕はほとんど苦労なんてしないんだ。だから僕はいつもする事がなくて暇人だ。
 万能な人間もろくにする事がなければ神はおろか、天才ですらない。僕は神であると同時に────
 ────他の追随を許さないくらいの、最高の暇人なんだよ(キリッ」
キリっとした顔で月は言った。千早はまたも呆れている。そんな事、自信満々に言う事ではないだろう。

「ところで、千早さんはこのゲームに乗るつもりか?乗るのなら僕だけは頼むから見逃して欲しいところだね」
割と重要な事を相変わらずのへらへらした顔で何事もないように月は言った。
勿論、千早はゲームに乗るつもりはない。それどころか、友人たちを助けようとすら思っている。
千早が思うに、律子さん、真辺りは放っておいても自分で生き残るためになんとかしそうな気がする。
それ以外の面々、特に雪歩とやよいあたりは今頃怖くて怖くて震えているかもしれない。
かつては自分の事だけで必死になっていた千早だが、今では友人達を心配して、実際に助けに行きたいと思っている。

「乗るわけがないじゃないですか。月さんも、乗っていませんよね……?」
自信満々で、訳の分からない妙な男だが、何故か憎めない親しみ易さが彼にはある。
一応聞いては見たが、恐らく彼は乗ってはいないだろう、というものを千早はすでに感じている。
「主催者の言いなりになるつもりは、とりあえずのところ、ないね」
「そうですか。では、私と一緒に知り合いを探しに行きませんか?」
「……どうしようか。悩むところだな……。千早さんと共に行動できるのは魅力的だが……」
月は顎に手を当て、少し考えるような素振りを見せた。十数秒の沈黙の後、月はおもむろに立ち上がる。

「千早さん、すまないがもう少し決断を先延ばしにさせて貰うよ。ちょいと確かめたい事があったんだ」
「確かめたい、事? いったい何ですか、それって」
千早を無視するかのように、月はさっと千早に背を向け、建物の奥へと歩いていく。仕方がなく、千早は黙って彼の後を追った。

役場の応接室を抜けて、いくつものデスクが並ぶ部屋に入る。
部屋は、役場の職員達が実際に働いているのが想像出来るくらいに、ついさっきまで人がいたかのような煩雑さを残していた。

「まあ、見ての通り、所謂村役場の光景だな。これを見てみろ」
月はある机を指差した。いや、机ではない。その机の上にある電話だ。
「通じるんですか……?」
「千早さんが起きてから試そうと思っていた。だからまだ試していない。
 だけど、僕は恐らく通じると思う。周りをよく見てみろよ。よおく観察するんだ。何か、違和感を感じないか?」
千早は言われた通り、部屋中を見渡してみた。だが、月の言った違和感が分からない。

「何も役場に限った話ではない。こういう不特定多数の人間から電話をかけられるような職場には、いくつも電話があるのが常識だろ?
 それがどうだ? ここにある一台しかないぜ。もしかしてこの村役場は何か下らない流儀のようなものを持っていて、
 そして血迷ったか電話を一台しか置かなかったのだろうか。まさかな。今は平成だぜ?その気になれば電話くらいいくらでも買える。
 ま、だからこそ、この部屋に電話が一台しかないのは本当に不自然なんだよな。」
月は少し離れた所にある机まで歩いた。
「この机を見ろよ。ここに何か置いてあった跡がある。ずいぶん長い間置いていたんだろうな。
 ”色”ではっきり分かる。この場所に、何かが置かれていたという事が。さらに極めつけはこれだ」
月が指差したものを千早は見た。そこには先が乱暴に引きちぎられた電話線があった。

「向こうにもある。そっちの方にも電話が置かれていた跡があった。いくつもある。
 主催者の仕事もずいぶんと雑だな。これくらい、僕でなくても気づく。いや、わざと気付かせようとしているのか」
「主催者の仕業なんですか……?どうしてこんな事を」
「どうしてこんな事をしたのか。いくつかおぼろげながら見当がついているが、
 実際に電話をかけてみればもう少しはっきりした答えが見えてくるんじゃないか?」
月は一台だけ残った電話の受話器を取り、110をプッシュした。
とぅるるるると、月の耳に呼び鈴が響いた。
235沖木島ネットワーク ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/09(土) 12:15:13 ID:qy8bqbxP

『こちら鎌石村役場。おかけになった電話番号は現在電話に出る事が出来ません。ピーっとなったら……』
「はは。110番にかけたつもりだったが、なにやら予期せぬ所に繋がったな」
「どこに……?」
「鎌石村役場。鎌石村ってのはな、ここから北にある村だ。千早さん、地図を見て確かめるといい。
 目が覚めてからすぐだから、まだ見ていないんじゃないか?」
「……少し馬鹿にしすぎではないですか?
 目覚めていきなり全く知らないベットに寝かされていたら、誰だって色々と確認します」

月は乾いた笑みを浮かべながら、留守電メッセージを残さないまま、受話器を下ろした。
続いてある番号をプッシュする。月の父親の携帯だ。

『こちら鎌石村役場。おかけになった電話番号は現在電話に出る事が出来ません。ピーっとなったら……』

続いて自宅の電話番号をプッシュ。

『こちら鎌石村役場。おかけになった電話番号は現在電話に出る事が出来ません。ピーっとなったら……』

様々な番号で、繰り返し試してみたが、かかった所は全て『鎌石村役場』だった。
どんな番号を押そうと、鎌石村に繋がるようにされているのか?外部への連絡は、やはり閉ざされているのか。
まあ、当然と言えば当然か。用意周到な主催者が、こんな所でミスを犯すとは思えない。
月はふとある事に思い付き、少し考えた後、『内線』のボタンをプッシュした。
この島に村は三つある。全ての村に役場、ないしは何か村の中心地的な建物があるとしたら……

とぅるるるるると呼び鈴が鳴る。月が期待した通りのメッセージが聞こえてきた。

『こちら氷川村役場。おかけになった電話番号は現在電話に出る事が出来ません。ピーっとなったら……』

月は千早に向かってしてやったりの、会心の笑みを見せた。
「思った通りだ。この電話は外部にコールすると鎌石村へ、内線を押してコールすると氷川村の役場に繋がるように改造されている」
「助けは、呼べないんですか?」
月はきょとんとした顔を千早に向けた。すぐに笑顔になる。
「そんな事主催者が許すと思ってるのか?ありえないだろ。
 この電話は要するに、殺し合いの参加者達の関係がより複雑になるように用意されたギミックさ。
 それ以上でもそれ以下でもないね。まあ、簡単に言いのけちまったけど、こいつは相当役に立つぜ?
 知り合いを探すために足を棒にする必要はなくなったってわけだ」

確かに月の言う通り、この連絡手段に気づいているのといないのとでは、得られる情報に雲泥の差がある。
電話に気付いた事によって、月と千早は相当なアドバンテージを得た事になる。

「そんなに、役に立ちますか?」
「やれやれ。想像力がないのかあんたは。錆びちまうから少しは脳味噌を使ってやれよ」
「具体的に教えて下さいよ!」
役に立つという事が分からないわけではない。ただ千早はやはり共にこの島に放り込まれた仲間の事が心配で、
いても立ってもいられないのだ。この電話を具体的に役立たせる方法を、月に示して欲しい。

「まあ、例えばだな。我慢強く電話をかけ続ければ誰かが呼び鈴に気づくだろ。
 その誰かが電話に出たら情報をゲットできるチャンスだ。命の危険なんて一切しなくていい。
 なにせ電話越しだからな。しつこく電話しなくても、留守電を残せば誰かが聞いてくれるかもしれないじゃないか。
 運が良ければあんたの友達がこっちに電話をかけてくるかもな」
「…………」
千早はごくりと唾を飲み込んだ。そう言われてみると改めて素晴らしいギミックだ。ただ……
236沖木島ネットワーク ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/09(土) 12:16:38 ID:qy8bqbxP

「ただ……あまり情報を広めすぎるのはやめた方がいいですね。もし、殺し合いに乗っている参加者に聞かれたら……
 あと、嘘にも気を付けないと。電話越しだから、誰でも簡単に嘘がつけてしまう」
「ははは。何を言っているんだ千早さん。その点は心配いらない」
「……? どうしてですか?」
あまりにもあっさりとした、自身の漲る言葉に千早は首を傾げた。

「この僕がどこにでもいる輩の嘘に引っ掛かるとでも思うかい?いや、千早さんは僕と会って間もないからな。
 僕の事を何も知らないのは無理もない。まあ、この僕がいる限り、心配する必要など皆無ってことさ」
「……その過ぎた自信がいつか月さんの身を滅ぼしそうな気がしてならないんですけど……」
「気にするな。何はともあれ心配した所で仕方ない。仕方ないなら迷う必要などなし!」

月は早速適当なボタンをプッシュする。

「さて、千早さん。もし留守電だったとしたら、どんなメッセージを残したい?」

いきなり聞かれたため、千早は少し焦った。どんな内容にすればいいだろうか。
不特定多数の人間がこのメッセージを聞く事になるかもしれない。
春香達の名前を出すべきか、否か。自分がいる場所を明かすべきか、否か。

「────────、という内容を盛り込んだメッセージをお願いします」
千早はどこか浮かない顔で言葉を紡いだ。月は千早の顔を見て少しいぶかしんだが、
何もなかったかのように、受話器を上げて饒舌に話しかけている。


実のところ、千早は電話という便利なギミックを前にしてもなお、ある事について気を揉んでいた。
それは、自分自身が春香達を探しに行かなくていいのか、と言う事。電話を利用するなら、探しに行くわけにはいかない。
いつ誰から電話がかかってくるか分からないのだから、電話の前から離れるわけにはいかなくなる。
つまり待ちに徹しなくてはならない。千早は自分の事を、春香や雪歩など仲間達の中ではまだ勇気がある方だと思っている。
勇気のある自分が、ただ待つだけという楽な道を選んでいいのか、という迷い。
例えば雪歩は、殺し合いの中満足に行動できるような勇気を持ち合わせているのだろうか。
持ち合わせていないだろう。恐怖で震えて縮こまっている雪歩が目に浮かぶ。
そんな彼女たちに、無理を強いて、私自身は楽をするのか?

私は守る側の人間だろう。少なくとも、事務所の仲間達の中では……

強い責任感から、千早は罪悪感を感じたが、感じた所で仕方がない。
月はすでにメッセージを伝え終わった。今から仲間達を探しに行くわけにはいかない。
誰か一人は電話の前にいなければ満足に電話を利用できないからだ。
千早だけ仲間を探しに行って互いに一人になってしまうと、二人とも危険だ。誰かに襲われたら対処できない。

いずれにせよ、サイは投げられた。私が迷っている間に────
237沖木島ネットワーク ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/09(土) 12:18:50 ID:qy8bqbxP


春香達がどうしようもなく心配になってきたら、罪悪感で潰されそうになったら、
月に私が一人で仲間探しに出かける事を提案してみよう。月は傲慢な点が玉に傷だが、
頼りになる親切な人間だと思う。無下に断るような事はしないと信じる。
きっと、彼は私の気持ちを汲み取ってくるはずだ。



(さて、鬼が出るか蛇が出るか……。とにかく、何か面白い方向に転んで欲しいもんだ)

千早が今現在感じているような心配を、この男は一切しない。
それが悪い事か良い事なのかはここではどうとも言わない。
彼はあくまで、暇な自信家だった。そもそも、この男は心配や不安を感じたりするのだろうか。
殺し合いだというのに、ゲームが開始されてから今までずっと、顔色一つ変えていないではないか。

【一日目/深夜/F-2 平瀬村役場】
【夜神月@やる夫スレ常連】
[状態]:健康
[装備]:火炎瓶×5
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)、果物数個
[思考・行動]
基本方針:なし(どう行動すべきか決めかねている)

【如月千早@アイドルマスター】
[状態]:健康
[装備]:暗視ゴーグル
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)、赤外線ゴーグル、バナナ
[思考・行動]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:春香達に会いたい。
2:私は楽をせずに、春香達を探しに行くべきなのか?
238 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/09(土) 12:19:59 ID:qy8bqbxP
投下終了。長文癖をどうにかしたい。
239創る名無しに見る名無し:2010/01/09(土) 12:35:16 ID:RdhBX05I
投下乙です
月、笑えるくらいに自信満々だな
こういう奴は足下をすくわれるのがお約束だが、さてどうなるか……
240 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 13:43:34 ID:o1VJx1JZ
皆さん投下乙です。そして遅ればせながら明けましておめでとうございます。
久々に個人趣味ロワ投下したいと思います。
32話「驕った姫の落日」登場:森屋英太、志村晃、ヴォルフ、平池千穂、リリア・ミスティーズ
241驕った姫の落日 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 13:45:41 ID:o1VJx1JZ
32話「驕った姫の落日」

森屋英太と志村晃は、朽ち果てた展望台で遭遇した後、軽く情報交換をし、
そしてそのまま展望台の最上階に留まっていた。
英太は元警備室の部屋の中を漁っている。かなり大昔にこの展望台は使われなくなったようで、
机や椅子、画面が割れて中の機械部分が剥き出しになったテレビモニター、いずれも厚く埃を被り、
壁に貼られた水着姿のグラマーな豹族の女性のポスターは色褪せ、傷みきっていた。
一方、晃はと言うと、展望台の窓から下界を見下ろしていた。
周囲を山や森に囲まれた閉鎖的な寒村で生まれ育ち、村から外へ出た事などほとんど無かった晃にとって、
遠くに見える海や街の明かりは非常に新鮮なものだった。

「どうしたんすか志村さん」

晃の様子を英太が見に来た。

「ん……いや、な。ワシは住んでいる村からほとんど外に出た事が無くてな。
こういう、景色を眺めるなんて事も無かったもんでな……」
「はあ……」

一体どんな村で育ったのだろう、と英太は思ったが、そこを聞く気は特に無かった。



人狼のヴォルフ、女子高生の平池千穂は目的地の展望台まであともう少しという所まで来ていた。
満月をバックに影が映える、廃墟の展望台が木々の葉の間から見えていた。

「もうすぐだな」
「うん……え? ヴォルフ、ちょっと待って!」

ヴォルフの後ろを歩いていた千穂が突然ヴォルフを呼び止める。
何事かとヴォルフが千穂に近付いてみると、千穂の持っているPSP型簡易レーダーに反応があった。
どうやら前方の展望台に、自分達二人以外に向かっている者がいるらしい。
レーダーの画面には「リリア・ミスティーズ」と表示されている。

「!! 千穂、伏せろ!」
「えっ!?」

ヴォルフが千穂の背中を押さえ、自分と一緒に地面に伏せさせる。
千穂がヴォルフの方を見ると、空に顔を向けていた。
見れば、満月輝く夜空を、翼を生やした人間が飛んでいくではないか。
レーダーを確認すると、どうやらあの人物が「リリア・ミスティーズ」と見て間違い無いようだ。

「……後をつけてみるか」
「そうだね」

二人は夜空を飛ぶ謎の人物を追跡してみる事にした。
242驕った姫の落日 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 13:51:46 ID:o1VJx1JZ
「ん?」
「どうした森屋」

英太が満月の輝く夜空に、何かが飛んでいるのを目撃した。
最初は鳥か何かかと思ったが、こんな夜中に鳥が飛ぶというのもおかしい。
なら、あれは何なのだろう?

「何かが、飛んでくるような……」
「何……?」

英太の言葉を受け、晃が夜空に目を凝らす。
確かに、何かがかなりのスピードでこちらに向かって――。

「……森屋! 部屋に戻れっ!!」
「え!? 何!?」

何かを察知したのか、晃が突然血相を変えて英太に警備室跡に戻るよう急かした。

「どうしたんだよ志村さん!?」
「いいから早く!!」

そして英太が警備室内に入り、展望ルームの窓から見えない位置に移動した、
その直後だった。

ダダダダダダダダダダッ

「ぐぉっ、がっ、ぐ、あ」

機関銃の射撃音と共に、警備室の入口付近に立っていた晃の身体中を弾丸の掃射が襲った。
連続発射された計10発の弾頭が、晃の胴体を容赦無く抉り、貫通した部分から赤い血液が噴き出し、
埃に塗れた床に飛び散り黒っぽい斑点模様を作る。
そして晃の口からごぼっ、と、血液が噴き出し、そのままうつ伏せに倒れ込んだ。
英太は奇跡的に無傷だったが、このままでは殺されるのは時間の問題だった。

(くそっ、相手は銃を持っている、しかもマシンガンか何か……どうする? どうすればいい、俺!?)

志村さんは辛うじて息があるようだ。駆け寄りたいが、丁度部屋の入口付近で倒れてしまっているため、
下手に飛び出すと自分も銃撃される可能性が高い。

入口から顔だけ出して、様子を窺うと、展望ルームの外に翼を生やした女性と思しき人間が飛んでいた。
手には何やら銃のような物を持っているのが見える。
しかも拳銃とかそういう類の物では無い、あれは恐らく――機関銃とかそういう物だ。
どうやらあれで自分と志村さんを銃撃したようだ。

あの翼の生えた女はもうすぐ自分と志村さんの息の根を止めるためにこの部屋に入ってくるだろう。

英太は今丸腰の状態だった。自分のデイパックは現在、有翼女から視認出来る位置にあるテーブルの上に置いてある。
取りに行くのは自殺行為だし、もし取りに行けたとしても中身は折り畳み式のナイフと謎の動物のぬいぐるみなのだが。
――基本支給品については恐らく全参加者共通なのだろうから、面倒なので省く。
243驕った姫の落日 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 13:54:10 ID:o1VJx1JZ
一方の晃の所持品は有翼女からは見えない位置にある別のテーブルの上に置かれている。
中身は確か、鎌とチキンラーメン。とても連射可能な機関銃に対抗出来る道具とは思えない。
この部屋には一つしか出入口は無い。まさに万事休す。

しかし、志村晃の支給品である鎌の事を思い出した英太の頭にある考えが浮かんだ。

(一か八か……!)



リリア・ミスティーズは展望台の展望ルームのすぐ外を飛んでいた。
たまたま目についたこの廃墟の展望台だが、運良く参加者がいた。しかも二名。
一名はたった今の銃撃で仕留めたようだが、もう一人は奥にある部屋に隠れてしまった。
だが、別に問題では無い。中に入って始末すれば良いだけの事だ。

「隠れたって無駄ですよ。今行きますから……」

邪悪な笑みを浮かべながらリリアが展望台の中へと入っていく。
そして装備した短機関銃、USSR PPSh41の空になったドラムマガジンを交換し、
ゆっくりと部屋の入口に近付いていった。

この時、リリアはすっかり油断してしまっていたのだろうか。

入口から部屋の中に入った時、すぐ脇に隠れている森屋英太に気が付かなかった。

「うおおおおおおおおおっ!!」
「なっ!?」

英太が雄叫びを上げながら、右手に持った鎌を大きく振り被ってリリアに突進した。
リリアは咄嗟にPPSh41を英太に向け掃射――する暇も無かった。

ドスッ!

リリアの首に鎌の曲がった刃が深々と突き刺さる。
衝撃で思わずリリアは持っていたPPSh41を床に落としてしまった。
鎌が刺さった場所から、大量の血液が噴き出し、リリアの首元、ドレス、そして床を光の加減でドス黒い液体に見える血が汚す。
リリアは首から鎌を引き抜こうとしたが、出来なかった。
244驕った姫の落日 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 13:58:47 ID:o1VJx1JZ
(こ、ここまで、だと言うの……?)

身体中から力が抜け、リリアは遂に膝をつく。
意識が徐々に遠退いていく。予想もしていなかった呆気無い自分の幕切れに、リリア自身、心の中で苦笑していた。

(油断、していた……何て無様…………お笑い…だ……わ………)

バタン、とリリアの身体が倒れ、動かなくなる。
そしてあっと言う間に大きな血溜まりが出来、首から噴き出す血液も段々と少なくなり、やがて……何も出なくなった。
リリアの両目は開いていたけども、もう光を宿していなかった。



森屋英太は、たった今自分が殺した翼の生えた紺色のドレス姿の女性の死体の前で立ち尽くしていた。
よく見れば両手が小刻みに震えているのが分かる。
前回の殺し合いの時でさえ一人も手に掛けなかったが、ついに今回の殺し合いで初めて殺人を犯した。
数秒ぐらいその場に立ち尽くしていたが、晃の事を思い出し急いで駆け寄る。
幸いまだ息はあったが、身体中に穴が空きそこから血が噴き出して床に流れている。
明らかに致命傷だった。

「森屋……さっきの奴はどうした……」
「……死にました。俺が殺しました」
「……! そう、か……ぐうっ、ゲホッ、ゲホッ!」
「志村さん!」

吐血する晃を英太は心配するが、どうする事も出来ない事は彼自身がよく分かっていた。
英太の頭の中に、以前の殺し合いでクラスメイトの死に際を見た時の記憶が蘇る。
特に、一緒に行動を共にしていたとある女子の事が。



――えいたくん……なみだでしょっぱいよ……。
――……で…も…………これで…さびしくない…よ…………こ…わく……ないよ…………。



「……くそっ…くそっ……」

慣れる慣れないの問題では無い。いつ見ても人が死ぬ場面は嫌なのだ。
流石に「あの時」のような悲しみは無く、涙も出なかったが。
そして晃は薄れゆく意識の中、最期の言葉を英太に伝える。

「英太…いいか…………絶対に……生きて…帰れ………!」

そう言い終えるのと同時に、晃の両目は閉じられ、静かに息が絶える。
英太は沈痛な面持ちで、それを見届けた。
245驕った姫の落日 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 14:01:00 ID:o1VJx1JZ
展望台の階段を駆け上がり、ヴォルフと平池千穂は最上階の展望ルームに辿り着いた。

数分前、二人は空を飛ぶ「リリア・ミスティーズ」と思われる人物を見付からないように追跡していた。
するとリリア・ミスティーズは廃展望台の展望ルームに持っていた武器らしき物を向け、直後に機関銃の射撃音が響いた。
もうしばらく様子を見てみると、リリア・ミスティーズは、
そのまま展望ルームのガラスが割れている所から展望台の中に入っていってしまった。
そしてしばらく様子を見ていたが、それっきりで銃声も何もしない、何も分からなくなってしまった。
仕方無いので警戒しつつ、展望台を上ってみる事にしたのだ。

「どうなったのかな……」
「しっ! まだいるかもしれん。大きな声を出すな」

小声でやり取りする二人。ヴォルフはその手に二十二年式村田銃を握り、
警戒しながら先程リリア・ミスティーズが展望台内部に侵入した位置を目指す。
そしてその位置に辿り着き、そこで二人が見たもの。

「!!」
「こ、これは……!」

それは、血塗れで仰向けに寝かされた老人の死体。
身体中に穴が空いているので、先程機関銃らしき物を掃射していたリリア・ミスティーズに殺されたのだろう。
そして老人の死体を見下ろし、呆然と立ち尽くす学生服姿の少年。
少年の方はどうやらほとんど無傷のようだ。
ヴォルフは死体を見るのには慣れていたが、千穂は初めて死体を目にするため、思わず目を背けていた。
そんな千穂の事を心配しつつも、ヴォルフは当事者と思われる少年に話し掛ける。

「……なあ、ちょっといいか?」
「あ……アンタら、いつの間にそこに」
「俺達は殺し合いには乗っていない。とりあえずそれは本当だ……この人は……さっきの奴に?」
「さっきの奴って言うのは、そいつか?」
「何……ッ!!?」

少年が指差した方向には、
翼を生やした、紺色のドレスを身に纏った黒い長髪の美しい女性――の死体が転がっていた。
細い首に鎌が突き刺さり、床には血溜まりが出来ている。

「……間違い無いよヴォルフ。レーダーに名前が出ている」
「本当か……」

千穂の持っているPSP型簡易レーダーを覗き込むと、
白い文字色で「ヴォルフ」「平池千穂」「森屋英太」、赤い文字色で「志村晃」「リリア・ミスティーズ」と表示されていた。
「森屋英太」は恐らくこの少年、「志村晃」は恐らくこの死んでいる老人だろう。
ヴォルフと英太の二人はリリアの死体に近寄る。千穂はやや離れた位置からそれを見ていた。

「……そうだ。こいつに殺されたのか、この人は」
「ああ……」
「……こいつを殺したのは、お前か?」

ヴォルフが英太に尋ねる。
それに対し英太は少し辛そうな表情で、だがしっかりと答えた。

「ああ……俺が殺した……俺が……」

ヴォルフと千穂は黙ってその告白を聞いた。

風が吹き抜ける音が、展望台最上階に響いていた。
246驕った姫の落日 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 14:03:00 ID:o1VJx1JZ
【リリア・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版  死亡】
【志村晃@SIREN  死亡】
【残り  38人】



【一日目/黎明/F-7展望台最上階警備室】

【森屋英太@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、返り血(中)、悲しみ、少し呆然
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品一式、バタフライナイフ、
マーフィー君@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和
[思考・行動]:
0:生き残る。
1:志村さん……。
2:ついに人を殺しちまった……。
3:狼男(ヴォルフ)と可愛い女の子(平池千穂)、話してみるか。
4:太田に今度会ったら……どうする?
5:太田以外のクラスメイトと合流したい(但し太田の仲間らしい吉良は微妙)。
6:シルヴィアの事が少し心配。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※「宮田司郎」のおおよその外見的特徴を把握しました。

【ヴォルフ@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:二十二年式村田銃@SIREN(8/8)
[所持品]:基本支給品一式、8o×53R弾(30)、ナッチの写真集@永井先生
[思考・行動]:
0:リーヴァイを探す。殺し合いをする気は無い。首輪を何とかしたい。
1:この少年(森屋英太)と話す。
2:平池千穂と行動を共にする。
3:襲われたら戦う。
4:あーそういえば尻尾の件はどうするか。
[備考]:
※伊賀榛名、中村アヤのおおよその特徴を把握しました。

【平池千穂@オリキャラ】
[状態]:健康、死体を見て少し気分が悪くなっている
[装備]:金属バット
[所持品]:基本支給品一式、PSP型簡易レーダー@オリジナル
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。生き残る。
1:少年(森屋英太)と話す。
2:クラスメイトの二人(伊賀榛名、中村アヤ)を探す。
3:ヴォルフと行動を共にする。
4:尻尾まだ触ってないな……いや尻尾だけじゃなくてもっと他の……。
[備考]:
※リーヴァイのおおよその特徴を把握しました。


※F-7一帯に銃声が響きました。
※F-7展望台最上階警備室に志村晃、首に鎌が刺さったリリア・ミスティーズの死体と所持品が放置されています。
志村晃の所持品=デイパック(基本支給品一式、チキンラーメン(5))
リリア・ミスティーズの所持品=USSR PPSh41(71/71)、
デイパック(基本支給品一式、PPSh41の予備ドラムマガジン(4))
247 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 14:05:14 ID:o1VJx1JZ
投下終了です。
248 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 15:46:12 ID:o1VJx1JZ
個人趣味ロワ第33話「赤い水」投下します。
登場:松尾芭蕉、石川清隆、アルソンズ・ベイル、章高
249赤い水 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 15:47:01 ID:o1VJx1JZ
33話「赤い水」


「お化けいる〜……ここ怖い……」

一体どれだけの間、悲鳴を発しながら墓場の中を走り回っていたのか。
松尾芭蕉は息切れしながら墓石の一つにもたれ掛かって座り込んでいた。
着ている着物は泥だらけになっている事から、何度か躓いて転んだのだろう。

「そ、そうだ……支給品を確認してなかった……」

疲労により返って冷静になる事が出来たのか、ここに来てようやく芭蕉は、
自分のデイパックの中身を漁り始めた。
名簿や地図などの基本支給品は後回しにし、ランダム支給品を取り出す。
何か武器になるような物が入っていれば気が休まったのだが。

「何だこれ……?」

出てきた物は赤い液体が入った大容量の注射器が三本と、
「参加者詳細名簿」と表紙に書かれた小冊子。
赤い液体が入った注射器は説明書には注射器の使い方しか書かれておらず、中身の液体の正体は分からない。
だが、まるで血のように赤く、ただの色水とも思えない。
流石の芭蕉も何となく「やばそうな液体」とは感じた。

(これを人間に注入したらどうなるんだろう……)

注射器の一本を手に取りながら芭蕉は考える。
そして脳裏に苦しみもがく人間の姿を思い浮かべてしまい、自分で想像しておきながら恐怖する。
そそくさと注射器を地面に置き、次に参加者詳細名簿なるものを開いてみる。
そこには小さな似顔絵――芭蕉は知る由も無いが、これは「顔写真」という物である――が沢山並び、
それぞれの下に名前、職業、性格が至って簡潔に書かれている。

(こ、これって、この殺し合いの全参加者の似顔絵と名前が書いてあるって事!?
凄いな……何だか犬とか猫みたいな人もいるし……あ、私の欄だ! 曽良君のもある!)

自分と弟子である曽良の顔写真とデータが記載された場所を見つけた芭蕉。
それぞれの顔写真の下には、

『名前:松尾芭蕉(まつお・ばしょう)  職業:俳人
性格:気弱、臆病』

『名前:曽良(そら)  職業:俳人(松尾芭蕉の弟子)
性格:松尾芭蕉に対して加虐嗜好(S)、他人物に対しては冷淡』

と記載されている。

「確かになあ……私は気弱で臆病かもしれないな。しかし曽良君の性格の記述は実に正確だ、うん」
250赤い水 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 15:48:16 ID:o1VJx1JZ
しかしこの参加者詳細名簿なる物、かなり役に立つ代物かもしれない。
これを一通り読めば、書かれている職業や性格などから、誰が危険人物の可能性があるかを割り出す事が出来そうだ。
もっとも、記述されている事が「嘘」でなければ、の話だが。
そう考えた芭蕉がランタンを取り出し詳細名簿を読もうとした、その時だった。
一発の銃弾が、芭蕉のすぐ近くの空気を切り裂いた。

「うわあああああ!?」

突然の出来事に再び恐慌状態に陥る芭蕉だったが、今度は自制心が働いたのかその場に留まった。
しかしこの場合、逃げ出した方が良かったのかもしれない。
芭蕉の前方十メートル程に、小型のリボルバー拳銃を構えた青年、石川清隆が立っていた。
彼は翼を生やした女性、リリア・ミスティーズに襲撃された後、迷った末に殺し合いに乗る事を決意し、
比較的近場に存在したこの墓場を訪れたのだ。
その時、墓場を大声を出して走り回る芭蕉の姿を目撃(この時の芭蕉は恐怖で完全に錯乱しており、
更に暗かったため清隆の存在には気付かなかった)し、こっそり後をつけていた。

「おっさん、さっきまでこの墓場ん中大声出して走り回ってた人だろ?
この殺し合いの中で、あれは完璧に自殺行為だぜ」

清隆の言葉を聞いて、芭蕉は先程までの自分の愚行を後悔する。
――そう言えば目の前の青年は何と言う名前だっただろう。参加者に間違い無いので、詳細名簿に載っているはずだが、
ざっと見てみただけだし、勿論、今確認する余裕も無いし、そもそもそんな事は今はどうでもいい。
目の前の青年は、確実に自分を殺そうとしている。
手には見た事も無い武器が握られているが、どうやら火縄銃と似たような物で飛び道具らしい。

清隆がじりじりと距離を詰めてくる。その度に芭蕉の顔は死への恐怖で引き攣り、
脂汗が流れ、心臓の鼓動がはっきり聞こえる程大きくなっていた。



清隆は実を言うと、完全に余裕があるように装っていたが、
38口径短銃のグリップを握るその手は微かに震えていた。
彼は殺し合いに乗る事を決めたとは言え、やはり所詮は平穏な暮らしをしてきた一般人。
いざその時が来ると、平静を装うのに必死になっていた。

(おい、何震えてんだよ俺。今更、後になんて引けねぇだろ)

心の中で自分を叱咤する清隆。
森で襲い掛かってきたリリア・ミスティーズと名乗った女性のように、殺し合いに乗った人間が大勢いるはず。
生き残るためだ。仕方の無い事だ。と、自分に言い聞かせる。

(大丈夫だ。これだけ近けりゃ当たるさ。何、簡単だ。引き金引くだけだ。
銃なんて扱った事無ぇけどな……おっさん、悪いな。アンタに恨みは無ぇけどよ、俺もここで死にたく――)

「う、ああああああああああ!!!」
「えっ!?」

突然、銃を向けられ硬直していたはずの男――松尾芭蕉が絶叫し、突進してきた。
その手には何か液体のような物が入った注射器らしき物が握られていた。
まさか反撃されるとは思っていなかった清隆はロクに狙いも定めず引き金を引く。
しかし、放たれた38口径弾は芭蕉の右肩を掠めただけだった。
そして、芭蕉は手にした注射器の針を、清隆の首に思い切り突き刺した。
251赤い水 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 15:49:48 ID:o1VJx1JZ
「ぐああああっ!!?」

首筋に走る痛み。頸動脈に何かが流し込まれる感覚に、清隆は動揺し、戦慄する。
一体何を注入していると言うのだろうか。

「この糞ジジイ!!!」
「ぎゃあっ!!」

芭蕉の腹に思い切り蹴りをぶち込み、吹っ飛ばして転倒させる。
空になった注射器が墓場の石畳の上に落下し、ガラス製であったために砕け散ってしまった。
慌てて注射部位を押さえる清隆。幸い大した出血こそ無いものの、
正体不明の液体を身体の中に注ぎ込まれたという事実に恐怖せざるを得ない。

「野郎、ぶっ殺してやる!!」

怒り狂った清隆が今度こそ息の根を止めんと、地面に蹲り腹を押さえ吐瀉しながら苦しむ芭蕉に向け、
38口径短銃を発射しようとした。

だが、清隆がその引き金を引く前に銃声が響く。
38口径短銃のものでは無い、別の銃の銃声である。

(な、何だよ? 俺、まだ撃って……)

「動くな! 下手な真似をしたら、今度は当てるぞ!」

壮年の男性の声が墓場に響く。清隆と芭蕉が声のした方向に顔を向けると、
そこにはオーバーコートを羽織った、外国人と思われる気難しそうな中年男性と、
黒、或いは紺色系のスーツを着たサラリーマン風の優男の姿が。
オーバーコートの男――アルソンズ・ベイルの手には銃口から煙を噴き出す大型リボルバー、マニューリンMR73が。
アルソンズは厳しい目付きで銃口の先にいる青年――石川清隆を睨み付ける。
周囲の状況からして、前方の青年が殺し合いに乗っていると判断して差し支えは無さそうだった。

「くっ……」

全く想定外の事態に狼狽する清隆。
この距離で撃ち合いをして勝てる自信など無かった。
それに、先程謎の液体を注入された事で、戦意が減退していた事もあり、清隆は完全に及び腰になっていた。

「……ちくしょおおおお!!!」

清隆は絶叫し、墓場の出口に向かって脇目も振らず走り出した。



「……逃げたか。全く、腰抜けめ。そんな度胸でよく人を殺そうとしたものだな」

逃げ去っていく青年の後姿を見届けながら、アルソンズは青年を嘲笑する。

「あの人、大丈夫でしょうか」

そう言ってアルソンズの後ろにいた章高が、蹲っている和服姿の男――松尾芭蕉を指差す。
二人は芭蕉の元へ駆け寄る。

「おい、大丈夫か」
「あの、どこか、怪我とかは――」
252赤い水 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 15:54:19 ID:o1VJx1JZ
「…………ふひっ」

アルソンズと章高の二人が目を合わせる。
今、この男は、笑ったように聞こえたが……。

「ふひひひひひひひひひっ」

芭蕉は明らかに普通では無い笑い声を上げながらゆっくりと立ち上がる。
そして、おもむろに自分のデイパックの中に手を突っ込むと、赤い液体の入った注射器を二本取り出した。
そしてアルソンズと章高は芭蕉の顔を見た瞬間、思わず凍り付く。
目は焦点が定まっておらず、口からは涎とも、泡ともつかない何かを噴き出していた。
明らかに正気では無い、と言う事は確かだった。

次の瞬間。

芭蕉は手にした注射器の針のカバーを外したかと思うと、その内の一本をアルソンズの首に突き刺した。
そして、中身の液体を躊躇も無く、アルソンズの体内に注ぎ込む。

「ぐあああああっ!? な、何をする!! やめろ!!」
「俳句の神が君を欲してるんだよお〜〜君は生贄に選ばれたんだ〜〜うっふふふふふふ」
「アルソンズさん!? くそっ、やめろ!! 離せ!!」

アルソンズと章高は必死で意味不明な事を喋る芭蕉を引き剥がしたが、
時既に遅し、既に注射器の中の液体は、アルソンズの中に全て注ぎ込まれた後だった。

「だ、大丈夫ですか!?」
「あ……ああ……何とも……」

アルソンズは片膝を付いて首筋を押さえ、苦しそうな表情をしているが、今の所特に身体に異常は無いようだ。
一方の芭蕉は訳の分からない事ばかりを言い、狂った笑い声を上げながら、
自分のデイパックを残したままどこかへ走り去ってしまった。
その手に残った最後の注射器を持ちながら。

芭蕉が走り去った後、アルソンズと章高の二人は、芭蕉が残していった荷物を漁っていた。
先程の注射器の説明書と思われる物を発見したが、書いてあるのは注射器の使用方法のみで、
肝心の注射器の中身には一切触れられていなかった。
謎の液体を注射され、さすがのアルソンズも内心不安になっていた。
一体あの液体は何なのだろうか。もしかしたら遅効性の猛毒薬品か何かかもしれない。
だとすれば、自分はやがて確実に死ぬだろう。解毒剤でも打たない限りは。

「アルソンズさん……」

アルソンズの心中を察した章高が心配そうな表情で声を掛ける。

「……今の所は何とも無いがな。一体あの注射器の中身は――」

そう言い掛けた所で、突然アルソンズは、何か言いようの無い感覚に襲われた。
何か、どことなく、幸福感にも似たような、そんな感覚。
そして。

「!! あ、アルソンズさん、目、目から、血が――」

異変はすぐに目に見える形でやってきた。

アルソンズの両目から、真っ赤な、血の涙が流れ出ていた。
253赤い水 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 16:03:21 ID:o1VJx1JZ
◆◆◆


石川清隆は墓場を抜け、幹線道路が走る草原地帯まで来ていた。
そして街灯の灯るアスファルトの道路までやってくると、適当な街灯の根元に座り込み、呼吸を整える。

(まさか……あそこで銃を持った奴が出てくるとは思わなかった。
完全に油断していたぜ……くそっ)

まだ自分は覚悟が足りないのだと、清隆は思う。
だからあの時、絶対に殺せるはずだった和服姿の男に予期せぬ反撃を食らって謎の液体を注射され、
結果的に無様に逃げ出すはめになってしまったのだ。

(そう言えば、さっきのあのおっさんが俺に注射したアレは一体……ん?)

清隆の思考が一旦中断される。妙な感覚に襲われたためだ。
言葉で言い顕すのは少し難しいが、強いて言うなら、何か好きな食べ物を食べている時や、
大好きな人と会話している時のような、そんな感覚。
しかし周囲には好物も無ければ会話する相手もいない。
その時だった。清隆は頬を伝って何かが流れ出るのを感じた。
指にそれを取って、見た瞬間、清隆の背筋が凍り付いた。

「え、何だこれ、血?」

清隆の両目から血の涙が流れ出ていた。


◆◆◆


結論から言おう。

松尾芭蕉は狂ってしまった。

殺し合いという異常状況下、恐怖、絶望、諦念、激痛……彼の精神を破綻させるのに十分過ぎる材料が溢れていた。

「うふふふふふふふみんなみんな曽良君もみんなキノコになってしまえばいいんだああああ〜〜〜」

最早、彼の思考は支離滅裂で、正常な行動は全く出来ないと言った方が良い。

その手には、赤い液体で満たされた注射器が一本、握られていた。

それ以外には何も持っていない。

「ああああ〜?」

そして狂人と化した元・俳聖の男が見つけたもの。

それは、古いながらも荘厳な佇まいの、教会だった。


◆◆◆


石川清隆。アルソンズ・ベイル。
彼らが「彼ら」でいられなくなるその時まで、後どれくらいの時間が残されているのか。
254赤い水 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 16:06:33 ID:o1VJx1JZ
【一日目/黎明/G-5墓場西部外周付近】

【松尾芭蕉@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:発狂、右肩に掠り傷、衣服が土汚れだらけ
[装備]:赤い水入り注射器@オリジナル
[所持品]:無し
[思考・行動]:
0:(思考回路が破綻しています)
[備考]:
※単行本第八巻第145幕「怪談奥の細道」より後からの参戦です。
※狂いました。正常な思考・判断が出来ません。


【一日目/黎明/F-5草原幹線道路】

【石川清隆@オリキャラ】
[状態]:屍人化進行中(進行度10%、血の涙流出、軽度の感覚異常)、首筋に注射痕、動揺
[装備]:38口径短銃@SIREN(4/6)、ガントレット@FEDA
[所持品]:基本支給品一式、38sp弾(30)
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り、優勝する。
1:血の涙……!?
2:リリア・ミスティーズという女には注意。
3:「石川清憲」が少し気になる
[備考]:
※リリア・ミスティーズの名前と容姿を把握しました。
※自分と似た名前の「石川清憲」なる人物が少し気になっています。
※屍人化が進行しています。いつ完全な屍人と化すのかは不明です。


【一日目/黎明/G-5墓場】

【アルソンズ・ベイル@オリキャラ】
[状態]:屍人化進行中(進行度15%、血の涙流出、軽度の感覚異常)、首筋に注射痕、動揺
[装備]:マニューリンMR73(5/6)
[所持品]:基本支給品一式、357マグナム弾(30)
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。何とかして脱出したい。
1:どういう事だ……!?
2:殺し合いはしたく無いが、正当防衛ならば…………。
3:章高と行動を共にする。
[備考]:
※費覧という人物の特徴をおおよそ把握しました。
※屍人化が進行しています。いつ完全な屍人と化すのかは不明です。

【章高@オリキャラ】
[状態]:健康、動揺
[装備]:小型催涙スプレー
[所持品]:基本支給品一式、小型催涙スプレー(2)、
自主製作映画企画書@自作キャラでバトルロワイアル
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。とにかく生き残る。
1:血の涙……!? これは一体……。
2:もっとマシな武器が欲しい。
3:費覧には出来れば会いたくない。会いたくない。
255赤い水 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 16:07:28 ID:o1VJx1JZ
※G-5一帯に銃声が響きました。
※G-5墓場に松尾芭蕉のデイパックが放置されています。
デイパックの中身=基本支給品一式、参加者詳細名簿@オリジナル



≪支給品紹介≫
【赤い水入り注射器@オリジナル】
SIRENに登場する、人間を屍人へと変貌させる「赤い水」を、
今回のロワの主催側の研究グループが改造を施し、それを注射器に入れたもの。
人間や動物の体内に注入されると、血液内で液体の成分が増殖し、血液に取って代えられる。
不要になった血液は目から排出され、血の涙となる。
そして奇妙な幸福感などの感覚異常、意識障害、異常行動を繰り返すようになり、
最後には生ける屍「屍人」と化す。
但し本編に登場する屍人とは下記のように性質が異なる部分が多い。
■不死では無い。頭部を破壊するか焼き殺せば倒せる。またシェル化もしない。
■ある程度の自我が残り、会話も辛うじて可能。
■犬屍人や蜘蛛屍人などに変化はしない。
■「仲間を増やすため」に殺戮を行うのではなく「愉快目的」で殺戮を行う。
また完全に屍人化するまでの時間は個人差があり、注入後僅か数分で完全に屍人化する者もいれば、
何時間も掛かる者もいる。
本ロワでの屍人は「殺しを楽しむ殺戮マシーン」という設定です。

【参加者詳細名簿@オリジナル】
バトルロワイアル全参加者の顔写真及び名前、職業、性格が簡潔に記載された小冊子。
顔写真は身分証明などに使われる物から隠し撮りされた物まで様々。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
投下終了です。
256創る名無しに見る名無し:2010/01/09(土) 16:11:27 ID:0QBL8CdL
>>238
投下乙!
月は本当にいいキャラしてるなw

投下乙!
不覚にも俳句の神のくだりは吹いたw

それにしてもとうとう屍人が来ましたかこれからの展開に期待しています
257 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/09(土) 16:55:55 ID:o1VJx1JZ
個人趣味ロワ第34話「あなたは今どこで何をしていますか」投下します。
登場:リーヴァイ
私ことリーヴァイは、デイパックの中に入っていた二つのランダム支給品の内の一つ、
オートマチックピストルのコルトM1911を右手に持ちながら森の中を歩いていた。
この殺し合いに呼ばれてる私のお兄ちゃん、銀と白の毛皮を持ったワーウルフ・ヴォルフを捜して。
背負っているデイパックの中には基本支給品一式、M1911の予備マガジンが5個、
そしてもう一つのランダム支給品であるM67破片手榴弾が3個入っている。

野生のワーウルフである私は衣服を纏っていない。
つまり小物を収納できるポケット的なものが無いから、M1911のマガジン交換の時はちょっと大変かも。

それにしてもお兄ちゃんはどこにいるんだろうなあ。
地図見たら結構会場広いし、どこにいるのか皆目見当つかないけど。
でも、生き残って歩き回っていればいつか絶対会える……気がする。
お兄ちゃんは多分そう簡単には殺されはしないと思うけど……早く会いたい。

そう言えばこの殺し合い、参加者の全体の何割が殺し合いする気になってるんだろう。
私とお兄ちゃん入れて全部で48人もいるんだからやる気になってるのは一人や二人じゃ済まないだろうな。
少なくとも私のように殺し合いに乗っていない人よりは、乗っている人の方が多いと思う。
数時間前に私が見たウシヤマサキとか言う人間の女みたいな。
お兄ちゃんは……殺し合いに乗るような人じゃない、と思いたい。

それにしても首にはめられたこの首輪、厄介だし鬱陶しいなあ。
野生に生きるワーウルフが首輪をはめられるなんて屈辱よ、屈辱!
それに、爆弾まで仕掛けられてるらしいしこの首輪……首輪を爆破されて死んだあの人間の男みたいになるのは嫌。
でも無理に外そうとすればアウトだし、放っておくしかないかぁ。はあ……。

「ん……」

ふと顔を下に向ければ、白い毛皮に覆われた自分の乳房と下腹部が見える。
……自分で言うのも何だけど、結構いい身体してるよね、私。
毎日お兄ちゃんにたっぷり愛されてるからだねきっと。うふっ。

私は――私はお兄ちゃんが本当に大好き。
優しくて、落ち着いていて、強くて、カッコ良くて、逞しくて……。
顔から背中を覆う銀色の毛皮、顎から腹までを覆う白色の毛皮、程良く引き締まった肉体、
ふさふさの尻尾、鋭い牙、金色の瞳、ぴんっと尖った耳、長いマズル、爪。
何もかも。何もかもが、私は大好き。
血は繋がってないけど、小さい頃から私を本当の妹のように可愛がってくれた。

大好きだったから――別のワーウルフの雌と交尾してるのを見た時はちょっとショックだったなあ。

後で聞いてみたら慌てた様子で「あれはただの遊び」だと言っていたけど。
うん、お兄ちゃんだって男だもん、女遊びぐらいはするよね。
それは分かってる。分かってる、つもりなんだけど……。

気が付いたら木々が生い茂る森から舗装された道路に出てた。
地図とデバイスで確認すると、この道路を南方向に進めば市街地、反対方向に行けば湖に出れるらしい。
湖はやめておこう。何かさっき爆発音みたいなのが湖の方からしたし。
市街地へ行ってみようか。人も大勢集まりやすいだろうしね。

私は道路を南下し市街地方面へ向かう事にした。

「お兄ちゃん……早く会いたいよ」

お兄ちゃん、私の大好きな、お兄ちゃん。
私が見つけるまで――お願いだから、死なないで。
【一日目/黎明/C-2森幹線道路】

【リーヴァイ@オリキャラ】
[状態]:健康、市街地方面へ移動中
[装備]:コルトM1911(7/7)
[所持品]:基本支給品一式、コルトM1911の予備マガジン(5)、M67破片手榴弾(3)
[思考・行動]:
0:殺し合いはする気は無い。お兄ちゃんを探す。
1:市街地へ向かう。
2:ウシヤマサキ(牛山サキ)には要注意。
[備考]:
※牛山サキの名前と容姿を把握しました。


≪支給品紹介≫
【コルトM1911】
1911年に米軍の制式となったシングルアクション自動拳銃の傑作。通称「ガバメント」。
大口径で威力の高い45ACP弾を使用し、ストッピングパワーが強い。
登場から90年以上経過した現代でも現役で販売、使用されている。
1986年に特許が切れ、他社他国により多種多様なコピーモデルが生産されている。

【M67破片手榴弾】
米陸軍やカナダ陸軍が使用している手榴弾。
内部に硬質鉄線が入っており爆発と共に破片を撒き散らすため殺傷能力が高い。
破片は爆発地点から約15M範囲拡散する。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
投下終了です。
260創る名無しに見る名無し:2010/01/09(土) 17:07:15 ID:o1VJx1JZ
トリ解除
261幻視へのいざない ◆6LQfwU/9.M :2010/01/09(土) 23:55:05 ID:7MlzOdZU
投下します。「幻視へのいざない」


暗かったオフィス内も、先程より明るくなっている。
そしてその中でひじを付いて眠っている男。
だが不意に目をさまし、辺りを見回す。
(やっぱり…現実なのか…)
がっくりと肩を落とし、ため息をつく。
「…でもこれが現実なら…ここでじっといても何もならないな」
そう呟き、立ち上がる。
その時、脳裏に閃光が走るような感覚が守を襲う。
(何だ…?何かが見える…)
目を瞑っているのに…何かが見える。
『そうだねー、このFラインを通って街に行ってみる?』
誰か分からないが声が聞こえる…しかし何だか不明瞭だ。
そして、誰かの視点で見える顔。
(誰だろうか…?)
今度は…おそらくそうだろう…視点の主の声がする。
「…まあ、次のことは、病院に付いてから、考えてみようよ」
テレビの砂嵐のような映像が見えている映像にうっすらかぶっていてよく見えない。
『プリン、この子どうするの?寝ちゃってる…』
声にも何だかエフェクトがかかっているような感じがする。
そしてちらりと女の子が視界に映ったかと思うと…
…今まで見えていた映像が急に砂嵐へと変わった。

「なんだったんだ、今のは…?」
今起こったことが理解できなそうに言う守。
だが分かったことがある。
1つ、今の視点の主は「プリン」と呼ばれていた。
2つ、視点の先の女性は、プリンと同行しているんだろう。
3つ、2人に加えて、女の子が同行している。
「この3つが分かった…だが、どうすればいいんだ?」
情報を得たことで、余計に混乱してしまう守であった。


【一日目/早朝/E-6:ビル15F:オフィス内】


【一樹守@SIRENシリーズ主人公】
[状態]:健康、混乱
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、カメラ@板対抗BR、即死耐性プログラム@MUGEN
[思考・行動]:
1:余計に分からなくなってしまった…
※めろりんの声と顔、プリンの声を知りました。ですが2人がどこにいるかは分かっていません。
262 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/10(日) 00:02:46 ID:QtK2TcWn
ちょっとしゅうりょうです
263 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/10(日) 17:33:03 ID:wWgYcncK
乙です。視界ジャックktkr
264静かに朝を迎えられない ◆6LQfwU/9.M :2010/01/10(日) 22:25:03 ID:fMgGaJAC
2Fをぐるりと回り、ゲームセンターの近くの椅子に座ってパンをかじっている2人。
「こんな状態でも、腹は減るもんだな」
07がクリームパンの最後のひと口を口に入れ、言う。
「ああ。だが、これからどうする?2階には特に何も無かったしな」
雷電が水をひと口飲んで言う。
そして07が立ち上がり歩き出す。
「出発するのか?」
「…いや、トイレだ」


1分程経ち、トイレから07が出てくる。
「…出発するか?」
雷電が聞く。
「ああ。だが、その前にさっき行かなかった1階の方に行ってみるか」
そう言い、吹き抜けになっている場所へ向かう。
そこから階下を覗く…すると。
「あれは…人じゃないか?」
確かに、雷電が指さしている場所には人が倒れている。
「…行ってみるか」
階段を走り降り、広場の倒れている人のところに走り寄る。
雷電が生死を確認するが…雷電の表情から既に息絶えている事が分かる。
「しかし…こうやって見てみると死んでるようには見えないが…それに、満面の笑みだぞ」
確かに、その男は満面の笑顔のまま、死んでいる。
「不思議なこともあるもんだな…とにかく、この人はどうしようもないな」
「ああ、できるなら埋葬してやりたいが…そうもいかない」
仕方なく、2人はその男の遺体を放置し、先に進むことにした…


【一日目/黎明/D-6:ショッピングモール:階段踊り場】


【07@板対抗BR】
[状態]健康
[装備]:デザートイーグル@現実
[所持品]:支給品一式、ロア全集@その他
[思考・行動]:
1:先を急ぐか…
2:この人が誰かは分からないが、安らかに眠ってくれよ


【雷電@メタルギアソリッドシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ねぎ(武器)@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、不明支給武器
[思考・行動]:
1:…。
2:ま と も な ぶ き が ほ し い
265鍋 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/10(日) 23:03:08 ID:fMgGaJAC
「わたしが なに したっていうんだろう…でも さんかしたなら いきのびないとね」
淡々とした口調で独り言を言ううさぎ。
(でも まず どうすればいいんだろう? この いえを たんさくしてみよう)


1階をひと通り探してみたが、日用品などがあるだけで特に役に立ちそうなものは無い。
(うーん… やっぱり ぶきになるような ものは かいしゅうされてる…)
そう考えながらも、2階への階段に歩を進める…が。
「このにおい… ち なのかな? なまぐさい においも まじってる…」
疑問を持ちながら、2階へと上がって行く。
そして、臭いを辿って行くと、その臭いは正面の部屋から臭って来る。
そしてドアノブには…血が付いている。
(あけちゃ いけないきがする… でも…)
でも…
ゆっくりドアノブを回し、ドアを開ける…
「!」
その中には、血だまりの中に倒れているさけの姿だった。
(なんだ さけか。 でいぱっく おちてるし もらうよ)
血に濡れたデイパックを拾い、開ける。
「…あいすそーど… これは あたりだ。 じぶんのほうは ちゅうしゃきと… たべもの?」


【一日目/早朝/F-2:民家】


【うさぎ@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:アイスソード@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、赤い注射器@SIRENシリーズ、新日暮里のごちそう@本格的 ガチムチパンツレスリング
[思考・行動]:
基本:いきのびる。
1:これだけ ぶきがいいなら いきびられる!

≪支給品紹介≫
【アイスソード@板対抗BR】
凍死系の近接武器。攻撃力6。威力の割に軽く、扱いやすい。
266 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/10(日) 23:10:03 ID:fMgGaJAC
投下終了です
267 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/10(日) 23:39:42 ID:vqPohC5R
投下乙!

24ロワの参加者をちょっと修正。朝倉涼子、水銀燈、ダディに退場して貰って、代わりにナギ、涼宮ハルヒ、キョンにバトロワ参戦して貰います。
過去のSSで出ていた水銀、朝倉、ダディについての記述は後で修正するつもり
以下、新名簿

15/14【やる夫スレ常連】
○やる夫/○やらない夫/○できる夫/○キョン/○阿倍さん/○夜神月/○前原圭一/
○翆星石/○涼宮ハルヒ/○ナギ/○泉こなた/○柊かがみ/○柊つかさ/○やる美/○やらない子
12/12【本格的!ガチムチパンツレスリング】
○ビリー・ヘリントン/○木吉カズヤ/○鎌田呉作/○城之内祐二/○いかりやビオランテ/○TDNコスギ/
○トータス藤岡/○井上カブレラ/○クリームシチュー池田/○オーウェン定岡/○チャベス・オバマ/○萩原雪歩
8/8【ボーカロイド】○初音ミク/○鏡音リン/○鏡音レン/○MEIKO/○KAITO/○弱音ハク/○神威がくぽ/○巡音ルカ
8/8【アイドルマスター】○天海春香/○如月千早/○萩原雪歩/○高槻やよい/○秋月律子/○菊地真/○双海亜美/○星井美希

計43/43

それでは24ロワ第11話投下します。
268さて自己紹介 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/10(日) 23:42:56 ID:vqPohC5R
なんという偶然ッッッ!!

バトルロワイアル開始直後にッッ!!参加者6名がッッッ!!

ここッッ!!G−6鷹野神社にて遭遇するとはッッッ!!


「幸先がいいものだ」
見通しの全く効かない山を駆け下りて、神社に出た瞬間にばったりと出会った5人の参加者達。
チャベス・オバマは彼らを見るなり、表情を柔らかくし呟いた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!」
あまりにも突然の出会いに、鎌田呉作は息を飲んだ。
自分を除いて5人もこの場所にいるのだ。彼らの内、誰かが殺し合いに乗っていたとしてもおかしくはない。
呉作は死ぬ事を殊更恐怖していた。貧弱な肉体の俺が、殺し合いに乗る奴との戦いに勝てるか?

「すごい……。偶然ってあるものなんだね……」
双海亜美は目の前にいる5人を眺めて感嘆した。もし誰にも会えなければ、怖くて寂しくてどうしようもなかっただろう。
5人との突然の出会いは、亜美にとっては嬉しい出来事だった。だが、油断はできない。
誰が殺し合いに乗っているか分かったものではないからだ。

「…………」
巡音ルカは注意深く5人を観察した。ただ一言も発さずに、値踏みするように冷たい視線を5人に注ぐ。
感情など何も読みとれなさそうな、冷たく鋭く、薄暗い目つきだった。

「キョン。あんたなんでこんな所にいるのよ」
「なんでって。偶然以外に理由があるか」
六人の内の二人は顔見知りだったようだ。涼宮ハルヒはキョンと呼ばれる青年に向かって気難しそうな視線を送った。
視線を送っただけで、ハルヒはもう何も喋らなくなった。いや、何も喋らないのはハルヒだけではない。

オバマ、呉作、亜美、ルカ、ハルヒ、キョン────
鷹野神社に集った六人の参加者達はそれぞれ誰ともなしに口を閉じて、自分以外の五人の出方をじっと観察していた。
この五人の中に、はたしてゲームに乗り気な参加者、すなわちマーダーはいるのか?いるとしたら、それは誰だ?
誰も何も喋らない硬直状態。重苦しい沈黙が彼らを包み込んだ。

唯一人、この沈黙を意に返さない者がいた。双海亜美だ。五人を見回して、彼女はにっと笑った。
「そんなに緊張しないでさ。まずは皆集まって自己紹介しようよ!」
猜疑心がないのか、それとも幼い故なのか、彼女は堂々と五人に詰め寄る。
そんな彼女を見て、残りの参加者達に緊張が走る。

「いいわ。彼女の提案通り、まずは自己紹介といきましょう。このまま硬直していてもらちが開かないでしょう?」
遭遇した当初から今までずっと沈黙を保ち続けていたルカの唇が、このタイミングで動いた。
彼女も亜美と同じように自分以外の五人の元へと詰め寄る。
しかし、亜美とルカ、二人の動作は同じでも、堂々としている亜美とは違いルカは微妙に青ざめている。
ルカが恐怖を隠し切れていない事をオバマは見抜き、誰にも見えないようにそっと嘲笑した。

「いいだろう。私もその提案に賛成だ。確かにこのままではらちが開かん」
表情から嘲笑の色を消して、オバマはルカと亜美の元へ歩み寄る。

そこから先はすんなりといった。三人が集まったのを見て、呉作とキョン、ハルヒも彼らの元に集まる。
ハルヒだけは相変わらずの仏頂面だったが、元々訳の分からない性格をした彼女の事、
こんな表情をするのはいつもの事だと、キョンはたかを括っていた。
269さて自己紹介 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/10(日) 23:44:41 ID:vqPohC5R


六人は鷹野神社のさい銭箱の前の石畳の上で、円状に向かい合って座った。
夜気に晒されている石畳は、ひんやりと冷たかった。

「自己紹介って、具体的にどんな感じにしていくつもりよ」
「順番に言っていこうよ!」
「その順番はどう決めるのよ」
「おいハルヒ。何イライラしてるんだ?」
小学生の亜美を相手にしても刺々しい口調を止めないハルヒに、キョンは突っ込んだ。
「別にイライラしてないわよ。ふん。楽しくて笑っちゃうわ」
ハルヒは口角を釣り上げる。

「とりあえず一番初めに自己紹介を提案した、貴方から始めるのがいいと思うわ」
ルカが亜美の目を見て提案する。
「私?うーん、分かった」
亜美は少しの間、どんな事を話そうかな、と顎に指を当てて考えた。

「私の名前は双海亜美!年は12才!765プロダクションっていう芸能事務所に所属していてねえ。アイドルの卵だよ!
 えーっと趣味はねぇ。遊ぶ事と食べる事が好きかな。あと、イタズラとモノマネも好き!」
亜美の言葉を聞いて、ルカの目が瞬いた。
「あんた、アイドル候補生なの?だったら、私の事、分からない?」
「え……?」
亜美は疑問符を浮かべながらルカの顔をまじまじと見た。何かに気付いたのか、少しずつ亜美の顔が紅潮していく。

「巡音ルカ、ちゃん?まさか、こんな所にいるなんて」

間違いない。亜美の目の前にいるピンク色のロングヘアーの女性は、確かにあの"巡音ルカ"だった。
初音ミクと双璧をなす。今最も売れているアイドルだ。
今まで気づかなかったのは、さすがの亜美といえども緊張していたからだろうか。
こんな所でルカに会えた衝撃は亜美から始まり、他の者たちにも伝染していった。

「まさか……!ルカのような有名人までこんなゲームに参加させられてるのか!」
自分のようなどこにでもいる輩が参加しているのならまだしも、
ルカのような成功者まで参加させられているとは夢にも思わなかった。
呉作は予想と異なっていたゲームの参加者の実態に、衝撃を感じた。

「まさかの参加者だな」
オバマはくすりと笑ったが、目は笑っていなかった。まるで初めから彼女の正体に気づいていたかのように。
「どうでもいいけどさ。亜美、ちゃんだっけ?まだ一番肝心な事を言ってないわよ」
唯一人、ルカの正体を知っても眉一つ動かさなかったハルヒが、話の流れをぶった切った。
「肝心な事?」
亜美だけが気づいていない。他の5人は、ハルヒが言った『一番肝心な事』が何なのか、分かっているというのに。

「殺し合いに乗っているのか、乗っていないか、よ」

悪戯っぽくにやりと笑って、ハルヒは言った。亜美の表情が固まった。
やっぱりそういう方向に話が行くのか!と、呉作は緊張で息を飲む。
ルカは表面上は穏やかさを保っているが、心中は呉作と同じく穏やかではない。
キョンもルカと似たり寄ったりの状態だ。

(そんな単刀直入に聞く奴があるかよ……それにしてもどうして今のこいつはこんなにカリカリしてるんだ?
 やっぱりハルヒの考えている事は魑魅魍魎過ぎてよう分からん)
270さて自己紹介 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/10(日) 23:46:58 ID:vqPohC5R

「そんなの!乗ってるわけないじゃん!私は、あのやる美って人が可哀想で……
 あのケツホルデスって主催者、絶対に許さない!」
ハルヒの挑発にとうとう熱くなってしまったのか、亜美は血気盛んな様子でまくし立てた。
あまりに亜美が熱く宣言したせいか、他の者達はそれぞれ面食らったのか、何を思ったか知らないが、
表情を固めて沈黙している。ハルヒのみが相変わらずのイタズラっぽい笑みを亜美に向けていた。

(やっぱりそうだよな……)
心の内の方から、緊張が少しずつ解けていくのを呉作は感じた。
あそこまで堂々と、主催者に宣戦布告した亜美に感謝したい気持でいっぱいだった。
(人殺しなんて駄目だよ。俺も蟹になれるなら優勝を目指すのもありかも、って一時は思っちゃったけど。
 やっぱり、自分の夢のためだとしても、人殺しだけはしちゃいけない。絶対に駄目なんだ。
 あの亜美って子には助けられたな。あの子がああいってくれたお陰で、俺にも勇気が……)

「亜美ちゃんの自己紹介はこんなところでいいかしら。何か質問したい人はいる?」
「はい。質問」
ルカの言葉を聞いて、ハルヒは手を挙げた。
「亜美ちゃんさあ、この状況を楽しむって気持ちはある?」
ハルヒの質問の内容に、亜美だけではなく、5人全員が面食らった。
「う、ううん。ないよ。早く皆と一緒に家に帰りたいよ」
「そう。有難う。素直に答えてくれて」
「何を言っているんだお前は。いい加減おかしいぞ?今のお前は」
ハルヒの妙な態度を、いつものハルヒから見てもさすがに変だと感じたのか、キョンは言った。

「変かしら?別に普段通りよ」

(なんだこいつ……さっきから変な奴だなあ)
(何を考えているのかしら……)
(何をしようとしている?)
(この人なんか怖いよ)

「いつものお前を考慮に入れても、今のお前は変だ」
「そう。まあいいわ。次に自己紹介するのは誰?誰もしたくないなら、次は私がしてもいい?」
「…………」
誰も何も言わないので、ハルヒは自己紹介を始める。

「私の名前は涼宮ハルヒ!ただの人間には興味ありません!この中に宇宙人ry」
「お前それが言いたいだけちゃうry」
「五月蠅い!亜美ちゃんは小学生だから可愛かったけど、私みたいな高校生がこの状況で趣味を言ってもどうでもいいわよね?
 だから趣味とかそういうのは割愛!それで、一番肝心な事だけど……」

次の瞬間、涼宮ハルヒは、天地が引っ繰り返るような事を堂々と宣言した。


「私はゲームに乗って、優勝を目指すわ!」


しばらく、誰も口を開かなかった。

「…………え? 今、なんて?」
呉作は呆気にとられたまま、漸く呟くように言った。あまりの衝撃に眩暈がした。
何か聞き間違えたのだろうか。まさか、この状況でゲームに乗りますなんて言えるわけがない。
今からお前らを殺しますと言っているのと同じ事だ。ただ袋叩きにあうだけじゃないか。
271さて自己紹介 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/10(日) 23:48:53 ID:vqPohC5R

「私は本気よ。あんた達も例外なく殺すからね」
呉作の眩暈は止まらない。今目の前にいるこの少女が、ゲームに乗る?
殺人鬼になる?と言う事は、俺も殺されるのか?こいつに?

「きゃあああああああああ!!」
金縛りにあっていたかのように硬直していた亜美が、突如悲鳴を上げた。
「キョン!亜美ちゃんを抑えて!」
「おおお、抑えてってお前!殺す気か!?」
さすがのキョンも動揺を隠しきれていない。ハルヒが奇想天外な脳味噌を持っている事は重々承知していたつもりなのだが。
「殺すにしても後よ!とにかく悲鳴を止めないと、殺人鬼がこっちにくるかもしれないじゃない!」
「殺人鬼ってお前!お前も殺人鬼になるつもりなん」

キョンが慌てている間に、オバマが素早く動いて、後ろから右手で亜美の口を塞いだ。
「おじさんナイス!」
「色々とおかしな状況だが、君が支持した通り、まずはこの子を落ち着かせるのが先決だ」
「いや、先決って……」
呉作が呆れたようにオバマ達を見ている。

「何よりも先決なのは、今すぐこの女から逃げるべきなんじゃないか?
 だって、こいつは殺す気満々なんだぞ」
「そうだとしても、彼女一人で我々五人をどうにかできると思うかね?一人で何が出来る?」
確かに言われてみればそうだが、呉作の不安は消えない。
「支給品次第で、俺達五人を皆殺しにする事も……」
「心配いらない。妙な動きをしたら、私が即、彼女を斬る!」
どこからいつ取り出したのか、オバマは亜美を抑えつけていない方の手に、妙に豪華な刀を握りしめていた。
その刀の間合いに、ハルヒの首はあった。

「別に今は何もしないわよ。だいたい、まだ自己紹介が終わってないじゃない。
 全員の自己紹介を聞かせて貰わないとね。そういう約束だったでしょ?」
(そんな約束したっけかなあ……)
呉作は首を傾げる。亜美の提案でただなんとなく始まっただけのような気がするのだが。
「いいわ。次は私が自己紹介する」
即座にルカが名乗りを上げる。

殺人鬼がいるのに話し合いが続く。この妙な状況に、呉作は呆れていた。
自己紹介が全員済んだら、ハルヒはいったいどうするつもりなんだろう。
このままでは、オバマの言った通り、袋叩きにしてやれば簡単に決着がついてしまう。
だが、そんな事は当のハルヒだって十分予想できたはずだ。

「もう自己紹介する必要もないかもしれないけど、そちらの殺人鬼さんは私の名前を知ってもあまり驚かなかったみたいだから、
 一応『一番肝心な事』以外も言うわ。私の名前は巡音ルカ。大好物はタコよ。苦手なのは初音ミク」
「どうでもいいから早く『一番肝心な事』を言いなさい。私の反応が薄かったからっていじけてるんじゃないわよ」
ピシャリとハルヒが言い放つ。ルカはそんなハルヒをじとりと睨んだ。

「一番肝心な事ね……そうね……」
ルカの唇は動きを止めてしまった。そして、何故か俯きがちになり、怯えているようにも見える。
まるで口にする事を躊躇うようにして、一音一音、震えるようにして喋り始める。
「わ、私はこのゲーム…………このゲームに、」
もはや体全体が恐怖に震えている。やはり、怖い。こんな事を言うのは怖い。やめるか?いや、駄目だ。

「乗ろうと思っているの」
ルカは顔を上げてちらと五人の様子を窺った。空気が凍りついていた。
オバマに抑えられている亜美はまたも血相を変えて卒倒しそうになっている。
ハルヒのみがほっと安堵したかのように、頬を緩めていた。
272さて自己紹介 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/10(日) 23:54:06 ID:vqPohC5R

「なんなんだいったい……この状況」
キョンは戦慄した。まさか、三人目が現れるとは……、キョンの予想は見事に外れてしまった。
「おかしいぞ……なんだこの状況は……!どうしてルカまで!あんなに有名なのに!」
呉作もまた、亜美と同じように悲鳴を上げそうになっている。
(ありえないだろ。人殺しがどれだけ悪い事なのか理解してるのか?まともなのは亜美ちゃんだけか!)

「これは意外な展開だな」
オバマはどこか楽しそうに言った。
「次は私の番でいいかな。名前はチャベス・オバマ。趣味は筋トレと肉体演説だ」
肉体演説という言葉にツッコミを入れたい衝動に駆られたが、キョンは話を乱したくないので黙っていた。
「亜美ちゃんには悪いが私もゲームに乗ろうと思っている。なかなかいい支給品があるんでね」

「俺の名前は……ていうか名簿に載せられている名前はキョンだ。不本意だがキョンと呼んでくれ」
オバマの自己紹介による衝撃に、またも打ちのめされている呉作と亜美を無視して、キョンは早々に自己紹介を始めた。
「俺もゲームに乗る。ハルヒが乗るんなら、まあ、仕方がないからな……。
 どの道、生き残るためには優勝を目指すのが一番良さそうだ」

「〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!」
もはや言葉が出てこない。

あっという間に終わったキョンとオバマの自己紹介。だが、その内容は戦慄すべきものだった。
今や六人の内、優勝派は四人。優勝派の方が多数派になってしまった。
対主催派は今のところ亜美一人だった。ハルヒが自己紹介を終えた時は、一番命の危険に晒されているのはハルヒだったが、
今となってはもう違う。今最も危ないのは、たった一人主催者に楯突く意思を見せた亜美だ。

「さあ、あんたが最後よ」
ハルヒが話を振った。とうとう呉作の自己紹介の順番だ。
それにしてもどうすればいいのだろうか。呉作は、元々は殺し合いに乗るつもりなど全くなかった。
亜美の言葉に共感し、主催者を打倒してやろうと考えていた。
しかし、今、優勝狙いが多数派のこの場で主催者打倒を宣言する事は、文字通り死を意味する。
とはいえ、優勝狙いを宣言してしまえば、亜美の命は────

呉作は心を決めて自己紹介にのぞむ。動揺を隠しきれない。

「あ、お、俺は鎌田呉作。何よりも大好きで、憧れているのものがある。それは蟹だ。
 俺は蟹になりたい。なりたいから…………」
オバマに抑えつけられ、顔面蒼白の亜美にちらりと目をやった。

「俺も殺し合いに乗るつもりなんだ。優勝して蟹になりたい」

オバマの手の内で、亜美はもがもがと口を動かして、声にならない悲鳴を上げた。
(嘘よ!本当は殺し合いに乗るつもりなんてなかった癖に!こんな状況でこんなに酷い嘘をつくなんて!)
亜美の罵倒の声が聞こえてくるようで、胸が苦しい。罪悪感で潰れてしまいそうだ。

(ごめんよ亜美ちゃん。でも、背に腹は代えられないんだ……。亜美ちゃんは立派だと思うよ。カッコ良かったよ。
 でも俺は、俺の場合はカッコ悪くてもいいから生きていたいんだ。自分の命のため、乗るって一応言ったけど、俺は人を殺すなんて絶対にしないから。
 俺の場合、ゲームに乗るなんてのは口だけだから。人殺しはしない。それだけは亜美ちゃんの意思を継いで絶対に守るから…………さ)

ハルヒ、ルカ、キョン、呉作────
四人が固唾を飲んで見守る中、オバマは握りしめた刀の刃を亜美の首筋の頸動脈に当てて、切った。

血が溢れ、まもなく亜美はあっけなく死んだ。
273さて自己紹介 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/10(日) 23:56:41 ID:vqPohC5R

▼ ▼ ▼

「あいつ、怪しいわ」
「言われなくても分かってる。あいつは……鎌田呉作は命惜しさに、とりあえず俺達に合わせただけだろう」
ハルヒが呉作の目を盗んで、キョンにそっと耳打ちし、キョンもまたそっと呟いた。

「そう言えばお前、どうして殺し合いに乗る気になったんだ?」
「あんたこそどうなのよ」
「俺は……なんだかんだで優勝を目指すのが一番生還できる確率が高いと思ったからだ。
 お前が初めにゲームに乗るって言った時は面食らったけどな」
ふーん、とハルヒはどうでも好さそうに言った。

「私の場合は面白そうだからよ。それ以上もそれ以下もないわ」
「まあ、お前なら本当にそれだけの理由で乗りそうだが。本当はもう一つ、もっと重大な理由があるだろ。
 一番の理由は夜神月が参加していたからだろ?あいつに勝ちたいんだろ?」
キョンの言葉に、ハルヒはぴくりと身を震わせて反応した。

「ふん。ばれてるのなら仕方ないわね。その通りよ。馬鹿なくせに、自分の事をいつも神だ神だ言うあの馬鹿月に、
 誰が本物の神様なのか教えてやるのよ。このゲームはあの自称神と私、どっちが本当の神なのか教えるいい機会」

キョンはハルヒと月の関係を思い出すようにして考える。月は傲慢だ。そして変人だ。
それなのに誰よりもあらゆる点で有能だから性質が悪い。ハルヒの全てを上回る月は、同じ完璧超人として、
ハルヒにとってまさに目の上のたんこぶなのだろう。学校でもしばしば衝突していた二人だったが、
ハルヒはいつも月に相手にされず、軽くあしらわれてばかりだった。そんなハルヒはこのバトルロワイアルを舞台に、
月との最終決戦を始めようとしている。

「お前、勝てるのか?いつもいつも相手にされてない感があったが……」
「まあ見てなさい。このゲーム、何でもありじゃない。何でもありなら私は今度こそ負けないわ。
 誰が本当の神か、あの馬鹿に教えてやるんだから!」


「…………」
「鎌田呉作は嘘をついていると思うかね?」
呉作の目を盗んで、オバマは亜美の死体の前で黙り込んでいるルカにそっと話しかけた。
ルカはちらりとオバマを見たが、一言も話さないまますぐに視線を外して、じっと亜美の死体を眺めている。
もう頸動脈からの出血も止まっている。枯れたように死んでいる亜美の姿は、正視に耐えない。

私も、死ねばこうなるのかしら…………


【双海亜美@アイドルマスター 死亡】
【残り38人】

274さて自己紹介 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/10(日) 23:58:25 ID:vqPohC5R
【一日目/深夜/G-6 鷹野神社】
【涼宮ハルヒ@やる夫スレ常連】
[状態]:健康
[装備]:ファルシオン(曲刀)
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)、手榴弾×3個
[思考・行動]
基本:優勝狙い。夜神月に誰が本物の神なのか理解させる
1:呉作を警戒
※このハルヒはただの一般人。特殊能力は何も持ってません。

【キョン@やる夫スレ常連】
[状態]:健康
[装備]:バールのようなもの
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)、救急箱
[思考・行動]
基本:優勝狙い。とりあえず死にたくない。
1:呉作を警戒

【チャベス・オバマ@本格的!ガチムチパンツレスリング】
[状態]:健康
[装備]:剛剣マンジカブラ(刀)
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)、携帯電話
[思考・行動]
基本:ゲームに乗る?
※24時間ルールのノルマを達成。

【巡音ルカ@ボーカロイド】
[状態]:健康
[装備]:十得ナイフ
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本:ゲームに乗る?

【鎌田呉作@本格的!ガチムチパンツレスリング】
[状態]:健康
[装備]:ハリセン
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本:人は殺したくないけど自分が死ぬのは勘弁
1:この4人から疑われないようにしないと……
2:亜美ちゃんごめん……


※双海亜美の死体の傍にデイパック(中身:基本支給品一式(パン残り2個)、双眼鏡、スモークグレネード×4個)が落ちてます。
275 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/11(月) 00:00:36 ID:vqPohC5R
さて投下終了。このハルヒの元ネタは某ロワの神(笑)。
あそこまで狂わすつもりは今のところないけど
276 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/11(月) 01:38:59 ID:OKwUnMn/
投下乙です。N2K氏は文章の密度が濃くて凄い(褒め)w
あのロワの神(笑)は本当に外道だった……今のところって事は、
まさかの展開も有り得るって事ですね分かります。

では自分も個人趣味ロワ第35話「猫族ハーフと愛媛のチンパン」
登場:シルヴィア、永井浩二 投下します。
277猫族ハーフと愛媛のチンパン ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/11(月) 01:40:44 ID:OKwUnMn/
35話「猫族ハーフと愛媛のチンパン」


E‐3に存在するとある二階建ての民家。
今ここにはこの殺し合いの参加者二人が身を潜めている。
一人はシルヴィア。白髪ボブカットの猫耳猫尻尾が生えた学生服姿の美少女。
もう一人は永井浩二。30歳を目前にして無職の日本愛媛県在住の男の子。
二人は一時間程前に同じエリア内にある雑居ビルで遭遇した。
浩二が和服姿の青年に殺されかけている所をシルヴィアが自分のランダム支給品である麻酔銃を使って助け、
そして今隠れているこの民家に辿り着いた。

「何してんの浩二」
「いや煙草無いかなと思って」

そう言いながらリビングのダッシュボードを漁る永井。
シルヴィアはそんな永井の様子を半ば呆れた表情で見ていた。
と言うのもこの永井浩二という男、現在自分がいつ、誰に襲われるか、
いつ死ぬのか分からない「殺し合い」という状況下にいるというのにまるで緊張感や真剣さが感じられないのだ。

「お、あったあった……あー? 何か見た事ねぇ銘柄だけど、まあええか」

お目当ての煙草を見付け上機嫌になる永井。
すぐにリビングの椅子に座って煙草を吹かす。

「あーうまいわ。シルヴィアもどう?」
「私、まだ未成年なんだけど」
「あーそうか」
「……アンタさあ、本当緊張感とか恐怖心とかそういうの無いね」
「死にたくはないけどな」
「……」

こいつ、助けなくても良かったな、と、心の中でシルヴィアが愚痴る。
しかし助けてしまったものは仕方無い。

「でもアンタ、結構いい武器支給されてて良かったじゃん」
「そやけど……これ本物なん? エアガンじゃねーの?」
「本物だよ……見てみ、金属製じゃないの」

テーブルの上には二人のデイパックとシルヴィアの麻酔銃「ドミネーター」、
そして永井の前には二丁の自動拳銃とそれぞれの予備マガジンが置かれている。
「ベレッタM92FS」と「シグ ザウエルP228」である。
どちらも多装弾――ベレッタが15発でザウエルが13発――で、扱いやすい自動拳銃である。
この二つは永井の支給品であった。

「ベレッタの方欲しいんだけど? 麻酔銃だけじゃ戦えないし」

二つある自動拳銃の内、より装弾数の多いベレッタを譲ってくれるよう永井に頼む。
麻酔銃しか持っていないシルヴィアにとって護身用の武器は欲しい所。
棒術が得意なので棒状のような物があれば良かったのだが。
そして殺し合いにおける銃器の重要性を分かっていない永井はあっさりそれを承諾した。

「ええよ。じゃあ俺はこっちのザウエルとかいう奴か」

煙草を咥えながらザウエルを手に取り観察する永井。
硬い金属の質感と重量が手から伝わり、さしもの永井もこれがプラスチックのBB弾を使う玩具では無い事を悟る。
今自分の右手に握られているのは本物の銃。
引き金を引けば音速の速さで鉛の弾頭が銃口から発射され、目標を抉る。
そう考えると少し怖かった。
278猫族ハーフと愛媛のチンパン ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/11(月) 01:42:33 ID:OKwUnMn/
「それにしてもシルヴィア、お前前にも殺し合いした事あるって本当なん?
しかも一回死んでるって」

ザウエルをテーブルの上に置き、永井がシルヴィアに訊く。

「本当だよ。まさかこんな幸せゲームを二回も出来るとは思わなかったね」
「死んだ時って、どうなん? どんな感じなん? やっぱ走馬灯とかある?」
「……似たようなものならあったよ。アンタも一回死んでみれば分かる」
「遠慮しとくわ」

苦笑いしながら永井が言う。

「んで、これからどーすん? はっきり言ってこっから動きたく無いんだが」
「そりゃあ、勿論、この殺し合いを何とかして潰す気でいるよ。そのために仲間集めだな。
兎にも角にもこの首にはめられている首輪、こいつを何とかして外さないと。
それとこの殺し合いに呼ばれてるクラスメイトとも合流したいしさ」
「さっき話してくれた奴らか。こんなん言うのも悪いけど、そいつら信用出来るんか?」
「んー……太田と吉良以外は大丈夫だと思うよ。多分、だけど」

自信無さげにシルヴィアが答える。
と言うのも彼女は過去の自分の体験から、クラスメイトに対して非常に威圧的な態度を取る事が多く、
友人、と辛うじて言えるのは自分に積極的に話し掛けてきてくれた、
同じ猫族ハーフ――と言っても外見は完全に猫族そのものだが――のサーシャぐらいしかおらず、
他のクラスメイトとはあまり良い関係では無かったためだ。
今回の殺し合いに呼ばれているクラスメイトの中で、サーシャと森屋は何とかなるかもしれないが、
他の6人、エルフィ、太田太郎丸忠信、北沢樹里、吉良邑子、ノーチラス、フラウは、
自分に対してどういう対応に出るのか分からなかった(特に太田と吉良)。

「うーんまあええか。経験者のお前の言う事に従うわ」
「どうも……」

気付けば既に何本も煙草を吸い終わっている永井。
この男は相当なヘビースモーカーなのだろうと、シルヴィアは思った。

「んじゃ永井。後十分ぐらいしたらここを出発したいんだけど」
「えーどこに行くん? あんま遠いトコやったら嫌なんだがマジで」
「……お前さっき『経験者の言う事聞く』みてぇな事言ってただろうが!!」

この凸凹コンビの今後は如何に。
279猫族ハーフと愛媛のチンパン ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/11(月) 01:45:20 ID:OKwUnMn/
【一日目/黎明/E-3市街地民家一階リビング】

【シルヴィア@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:ベレッタM92FS(15/15)
[所持品]:基本支給品一式、ベレッタM92FSの予備マガジン(5)、
ドミネーター(0/1)、麻酔弾(4)
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。ゲームを潰す。
1:永井浩二と行動。
2:クラスメイト(特にサーシャ、森屋英太)との合流を目指す。
3:もう少し強力な武器が欲しい。
4:着物の若い男(曽良)を警戒。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。

【永井浩二@永井先生】
[状態]:健康、喫煙中
[装備]:シグ ザウエルP228(13/13)
[所持品]:基本支給品一式、シグ ザウエルP228の予備マガジン(5)
[思考・行動]:
0:殺し合いなんかしたくねーよ。死にたくも無いし。
1:シルヴィアと行動を共にする。
2:博之はおらんみたいやな。
3:着物の若い男(曽良)を警戒。
[備考]:
※2007年当時からの参戦です。
※シルヴィアのクラスメイト(エルフィ、太田太郎丸忠信、北沢樹里、吉良邑子、サーシャ、
ノーチラス、フラウ、森屋英太)のおおよその特徴を把握しました。


≪支給品紹介≫
【ベレッタM92FS】
多くの国の軍や警察といった公的機関で採用されている、信頼性の高い自動拳銃の名銃。
本ロワに登場するM92FSはスライド脱落事故防止のために耐久性向上がなされた改良版。
撃鉄部分が大きく露出しているのが特徴。

【シグ ザウエルP228】
スイスのシグ社の堅牢な自動拳銃・シグ ザウエルP226の小型モデル。
コンパクトかつ13発と多装弾で、信頼性も高い。
280 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/11(月) 01:51:53 ID:OKwUnMn/
投下終了です。眠い。
281創る名無しに見る名無し:2010/01/11(月) 12:17:29 ID:KV4+NqWH
>>275
投下乙!
序盤から6人登場話を書いてしまうとは

>>280
投下乙!
いいコンビだ
282 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/11(月) 20:37:33 ID:5nMQO6ng
投下乙
永井が永井らしくていいw

24ロワ第12話投下します
283ある意味最強コンビ ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/11(月) 20:39:11 ID:5nMQO6ng
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284ある意味最強コンビ ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/11(月) 20:40:57 ID:5nMQO6ng


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     ,.イ三>ー''"¨¨`ーミ三ミ≧、
    ,イミシ'´        `丶ミミヽ
    ノミf ,. =≡≡ミ;  ミ≧z、ヾミミ!     や ら な い か
   'ミミノ /  _ヽ ノ  r '"`ヾ!',ミミ}
   l三{  ,. '-'‐'` , '⌒ヽヾtェュ、 Wリ
   |彡!      | f:!.f:!.| `゙"''` }if
   jミシ     .:.:.:`,.エ.,´:.:..    l|!
   /^i{: : . .  ..:.:./,;Y';,ヽ、:..   リ、
  {{ 人: : ..    `"二二`'  :.. . :.トヘ
   ヾ二!: : : : : : . . _.:._ . . . . : : :.にl|
    V}、: : : : : , '´: : : ` :、: : : : ノ_ソ
     ゙i \: : : : : : : : : : : : : : : ,.イ
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          N| "゚'` {"゚`lリ       …………嬉しい事言ってくれるじゃないの
             ト.i   ,__''_  !
          /i/ l\ ー .イ|、       こんな風に誘われたのは久しぶりだ
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    /  ヽ. /    ト-` 、ノ- |  l  l  ヽ.
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  }/ -= ヽ__ - 'ヽ   -‐ ,r'゙   l                  |
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285ある意味最強コンビ ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/11(月) 20:43:20 ID:5nMQO6ng



(何をやるつもりなのかな……)
D−4高原池にて、二人の男が向かい合っている所を、天海春香は茂みに隠れて盗み見た。
適当にぶらぶら歩いている時、突然視界の端に二人の男が見えた時は心臓が止まりそうな思いがした。
あの人達はゲームに乗っているのだろうか。それとも乗っていないのだろうか。
なんとか心を落ち着けて、茂みに潜んで男達が危険かそうでないかを確かめようとしているのだが……

「しかしやろうにもこの場所は少し頂けないな」
「オー、どうしてデスカ?私は野外プレイもドンと来いヨ?」
「あんたいい男だが頭の中までザーメンいっぱいのようだ。
 殺し合いの真っ最中、こんな見晴らしのいい所で交わると危なくて仕方ないじゃないか」
「オー、そうでしたそうでした。いやあ、あんた歪みねえなあ」
「嬉しい事言ってくれるじゃないの」

(なんか、何を話しているのか意味がよく分からないなあ。ザーメンって武器の事かな。
 ブーメラン的な何かかな)
春香、それは知らない方がいい。

「俺は阿倍高和だ。あんたはなんて名前なんだ?」
「私はビリー・ヘリントンと言う。新日暮里消防署の署長をやってるよ」
「何!新日暮里消防署!?」
阿倍と名乗る男は弾かれるようにベンチから立ち上がった。

(なになに!?なんなの!?)
唐突に、思わぬ反応を見せた阿倍に対して、春香は興味を向ける。
見つからないギリギリの位置まで春香は移動して、耳を澄ました。

「新日暮里消防署と言えば、選りすぐりのゲイが集まる、世界有数のハッテン場じゃないか!」

春香は一昔前のギャグ漫画ばりに見事にずっこけた。なんとか見つからなかったから助かった。

「失礼な!そんな下品な場所じゃないよ!たまたまいい漢達が消防署に集まり、
 たまたま交わるようになっちゃっただけだよ。本業はあくまで消防員デスヨ!
 世界有数のハッテン場とか言われたのも全部偶然。たまたまデスヨ!たまたま!」
「金玉だけにか……」
「そう。金玉だけにね……」
阿倍はとビリーは感慨深そうに言った。あんたらは何を言っているんだ、と春香は心の中でツッコミを入れる。

「いや、本業の方もしっかりしている事は十分承知しているつもりだ。
 さっきは下品な言い方をしてすまなかった」
阿倍はビリーに 向かって手を差し出した。差し出された手をビリーは堅く握る。
「仕方ないね」

「ところでだが、まあ聞くまでもないと思うが、ビリーはこのゲームどうするつもりだ?」
「そんなの決まってますよ!ケツホルデスはだらしねえ!バトルロワイアルだらしねえ!バトロワぶっ潰す!」
「ああ。俺も同感だ。貴重な尻穴を減らすわけにはいかないからな」
再び、がっしと握手する二人。

(二人とも殺し合いに乗る気はないみたい……)
でも何故だろう。茂みから出て行こうという気持ちは全く出てこなかった。
まあ、当り前だ。ゲイだの金玉だの尻穴だのという単語がナチュラルに出てくる会話をこなす人間に、
関わりたいと思う人間は普通いない。

「とはいえだ。俺は何をどうすればゲームがぶっ壊せるのかよく分からんからな。
 しかも、ビリーのようないい男を目にしてしまったから、今にも息子が暴発してしまいそうで気が気でない」
「オー、それは私も同じですよ!」
阿倍は少しの間考えてから、デイパックから地図を取り出した。
286ある意味最強コンビ ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/11(月) 20:45:43 ID:5nMQO6ng

「ところでビリー、支給品は何だった?俺は残念な事に孫の手しかない。こんなガラクタじゃあマス掻きくらいしか出来ないな」
「私の支給品はリポビタンDデスヨ!これで精力絶倫だね!」
「つまり、お互い支給品は大外れだったってわけか!」
「そうみたいだねー」
「なんてこったい!ははははははははは!」

(なんて異常な会話なんだろう……)
大笑いする阿倍とビリー、二人の大男。何がそんなに面白いのか春香にはいまいち理解出来なかった。
とりあえず、二人が物凄く意気投合しているという事は茂みから覗いていても十二分に伝わってくる。

「そこで提案なんだがビリー、この近くにあるホテル跡と地図に書かれている廃墟に行ってみないか?
 武器として丁度いい黒光りしていて長くてガッチガチに堅い棒とかが落ちているかもしれないぞ。廃墟だけに」
「おっほっほっほっほっほ!鉄骨ですか!ちょっと勘違いしそうになったよ!阿倍さん歪みねえ!」
「わはははははははは!」
なんとも楽しそうな二人である。

「いやいや、ビリーがつい誤解しそうになった『そっちの棒』でもホテル跡に行けば楽しめるかもしれないぞ。
 どこかの建物に入ればブスリとやっていてもそうは見つからないだろう。
 まあ、廃墟でも一部屋くらいは使える部屋があるはずだ。なにせホテルだからな」
「オー、それは楽しみですね。ところで、どっちが先攻ですか?」
ビリーの質問に、阿倍は手を顎に当てて考える。どちらがどちらを掘るのか。何か上手い決め方はないだろうか。

「良かったら新日暮里消防署に伝わるパンツレスリングというスポーツでどちらが掘るかを決めないカ?」
「面白そうな提案してくれるじゃないの。じゃあホテル跡についてから、そのスポーツをやって決めるとするか。
 ルールも何も全く分からんが、俺は負けるつもり全然ないぜ?」
「フッフッフ……望むところだね」


それからも他愛のない様子で、春香にはあまり意味が分からない内容の会話を楽しげにこなしながら、二人は移動を始めた。
春香は談笑しながら遠ざかっていく二人をじっと凝視した。悪い人達ではないと思う。
ゲームには乗らないと互いに言い合っていたし、何よりも知り合ったばかりの人とあれだけ親しく出来る人が、
悪い人だとは思いたくない。でも……とにかく近寄り難い!色んな意味で!

(うー、あの人達が変な事言わなかったらこんな風に茂みに隠れる必要なんてなかったのに!)
結局春香は、茂みから体を出さないまま、そのまま隠れた状態のまま二人を追跡する事にした。
まあ、やはり春香も没個性とはいえ女の子。明らかに下ネタ塗れの会話を楽しげにこなす二人の大男には、
やはり警戒心を抱いてしまうものなのだろう。

(それにしても、あの人達の会話、だいたいの内容が下ネタだとは思うけど、一部本当に分からない単語があったなあ。
 ザーメンっていうのは結局何なんだろう。それに、ホテルで『掘る』っていうのはいったいどういう事なんだろう。
 穴掘りでもするのかな……)

一応その通り。ある意味、穴掘りで間違いはない。
287ある意味最強コンビ ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/11(月) 20:48:09 ID:5nMQO6ng

【一日目/深夜/D-4 高原池】
【阿倍高和@やる夫スレ常連】
[状態]:健康
[装備]:孫の手
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本:対主催
1:ホテル跡に移動して使えそうな武器をゲットする

【ビリー・ヘリントン@本格的!ガチムチパンツレスリング】
[状態]:健康
[装備]:リポビタンD
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本:対主催
1:ホテル跡に移動して使えそうな武器をゲットする

【天海春香@アイドルマスター】
[状態]:健康
[装備]:麻酔銃(残弾数不明、本人は確認済み)
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)、アイスピック
[思考・行動]
基本:誰か頼りになりそうな人を探す
1:阿倍さんとビリー兄貴を尾行する。
288 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/11(月) 20:49:24 ID:5nMQO6ng
投下終了。ガチホモ界の二大巨頭がコンビに。
下ネタサーセン
289創る名無しに見る名無し:2010/01/11(月) 21:06:59 ID:KV4+NqWH
乙wwww
何という最凶コンビwwwwwwww
290凍る世界 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/11(月) 22:25:52 ID:E9nS/vtQ
「武器も良いし、ここは一つ優勝狙ってみるかな…ふひひ」
片手に支給品である冷凍爆弾を握り、道を歩くパフェニー。
(だが、優勝するには敵を殺さないとな…)
そう思い、辺りを見回す…。
自分より左には、森がある。
前は、まだ道が続いている。その向こうには、小さく駅が見える。
右には、崖とガードレール。
(向こうの駅に…誰かいる気がするけれど…もっといそうなのは…)
そう心の中で結論を出し、森の方を向く。
…誰かが歩いてくる。
肩に少々の血のしみが付いていることから、手負いであることが分かる。
(これはチャンスだ…!)
そう思い、人影に自分から近づく。
「おい、そこの人」
声をかけると、すぐに返事があった。
「誰かいるんだな?」
返事の声には、傷を負っていることなど気にしないような声だった。


「ふむ…阿部さんはいい男を食ってきたのか…」
「ああ。だが、今は別にいいんだ。それに…仲間が欲しいんでね。」
2人は出会った時は一瞬警戒したが、すぐに打ち解けた。
「ああ、これやるよ。いくら強いとはいえ、武器が無いんじゃ危ないぜ」
そう言い、パフェニーは冷凍爆弾を手渡す。
「…爆弾か?爆弾なら、起爆装置のような物があってもよさそうだが」
そう言いながら、爆弾を眺め回す。
「ああ、時限式なんだよ、それ」
そしてパフェニーが歩き出す。
「出発するのか?」
「トイレだ」
「なら、一緒n「断るぜ」


(さて、阿部さんは…爆弾を持ってるな。よし、これで…)
そしてパフェニーがポケットから取り出したものは…小さなスイッチ。
そう、さっきの爆弾は「時限式」と言っていたが、実は「遠隔操作式」だった。
(ごめんな阿部さん。だが、これも優勝のためだ…)
そして、小さなスイッチを…ゆっくりと、押した。
「ぐあぁっ!」
阿部が手に持っていた爆弾が炸裂し、中に入っていた冷凍剤が体1面にかかる。
(くっ…罠だったのか…だが…)
デイパックからウージーを取り出そうとするが…体が動かない。
「…凍りついてるのか…!なんてこった…」
その時点で体が凍りついているのを理解する。
全身氷に包まれ、緩やかに意識が遠のいていく…
(…正樹…せめて死ぬ時は…お前のケツの中で…)
そして、阿部の意識はプツリと途絶えた。


凍りつき、氷の塊になっている阿部を見下ろし、デイパックを拾う。
「ごめんな、阿部さん。だが、俺も優勝したいんでね)
そして、その場を足早に去った。
291凍る世界 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/11(月) 22:27:06 ID:E9nS/vtQ
【一日目/早朝/G-4:道端】


【パフェニー@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:冷凍爆弾@その他
[所持品]:支給品一式、不明支給品、阿部の所持品
[思考・行動]:
基本:優勝を狙う。
1:すまんね、阿部さん…

【阿部高和@ニコニコ動画 死亡】
死因:凍死
292凍る世界 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/11(月) 22:29:17 ID:E9nS/vtQ
≪支給品紹介≫
【冷凍爆弾@その他】
このロワオリジナルの支給品。
リモコンで操作し、爆発すると加害範囲内にいる人間を凍りつかせる。
距離によって凍る程度は変わるが、30cm程なら確実に対象を凍死させる。
293 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/11(月) 22:32:33 ID:E9nS/vtQ
投下終了です
294 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/12(火) 00:52:59 ID:IkplOSbu
投下乙です。あ、阿部さん……!

自分も投下します。個人趣味ロワ36話「がんばれ聖徳太子」
登場:聖徳太子、レオーネ
295がんばれ聖徳太子 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/12(火) 00:53:42 ID:IkplOSbu
36話「がんばれ聖徳太子」


あの矢を発射する見た事も無い武器を持った少女に追われ何とかそれを振り切った後、
私はある高い建物の出入口付近で自分の支給品の確認していた。
基本支給品の他に入っていたのは「狩猟用狙撃銃」と予備弾、そして「トレンチコート」という変わった外見の衣服だった。
少し肌寒いからな、トレンチコートをジャージの上に着よう。
狩猟用狙撃銃を装備し、トレンチコートを羽織り、私は再び妹子を捜し始めた。
少しずつ空が明るくなり始めているようだ。現在の時刻は午前2時50分。
いつもなら完璧に寝ている時間だ……。

それにしてもこの街の住人は一体どこへ行ってしまったのだろう。
この殺し合いが開催されるという事で、皆避難したのだろうか。
いや、というよりこの殺し合いの会場は倭国のどこかなのか? しかし店の看板には倭国の言葉が書かれているしな。
むう……考えても仕方無いか。

妹子の奴はまだ生きているのだろうか? 私も妹子も戦いなどまるで無縁だ。
あいつは賢い部分があるから、殺し合いに乗っている奴と出くわしても上手く立ち回ると信じたいが。

「……!?」

ある曲がり角を曲がった瞬間、私はその場で硬直して動けなくなってしまった。

そこに、私の知り得る常識では考えられないような生き物が立っていたのだ。
紫がかった黒と赤の毛皮を持った、まるで角の生えた蜥蜴のような頭部と鳥のような翼を持った、異形。
身体付きからして恐らく女性、いや、雌と思われる。
首に街灯の光を反射する首輪がはめられている事や、デイパックを所持している事から、
どうやら参加者の一人であるらしい。

「……私はレオーネ」
「何?」

目の前の怪物が言葉を発した。しかも少女の声だ。
私は少し戸惑ったが、どうやら意思の疎通が可能なようだ。
思い切って話してみる事にした。

「れ、レオーネと言うのか君は? 私は聖徳太子。これでも倭国の摂政だ。
名前ぐらいは聞いた事あるだろう?」
「……知らないなあ」

し、知らないだと!? 倭国の最高権力者であるこの私の事を知らないとは、
余程の田舎で生まれ育ったのか? 倭国語を話しているのだから倭国に住んでいると思うのだが。

「聖徳太子さん」
「ん? な、何だ?」
「私、お腹空いたの。だからちょっと前に、デイパックの中に入ってたパンと、女の子を食べたんだけど」

空腹なのか。パンと女の子……。

――今何て言った?

「え? 女の子、て?」
「だから、その辺歩いてた女の子を食べたの。おいしかったなあ。筋肉も内臓も新鮮で。
血もとても喉越しが良かったし」

よく見れば、レオーネの口元と胸元は、赤黒い液体か何かで汚れている。
ちょ、ちょっと待て、まさかこいつは……!
296がんばれ聖徳太子 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/12(火) 00:55:26 ID:IkplOSbu
「人を、人を食ったのか!?」
「そうだよ。何? 何か変な事あるの?」

食人の事をさも当たり前のように語るレオーネ。
その表情からは罪悪感や後悔といった感情は全く感じられない。
私はもしや、非常に危険な人物と出くわしてしまったのか!?

「あ、そうそう、私の支給品の一つ見せてあげる」

そう言うとレオーネは自分のデイパックから何やら、私が持っている狩猟用狙撃銃と形状が似たような物を取り出した。

「九九式小銃だって。中々アタリの武器だと思わない?」
「う……」

そうは言われても、私は「銃」なる物についてよく分からないのでコメントしようが無いのだが。

「他にもあるんだけどね、とりあえずコレだけ。まだ試し撃ちしてなくてさ。だから……」

次の瞬間。
レオーネは左手に持った九九式小銃の銃口を私の方へ向けた。

「聖徳太子さん、あなたで試させて♪」


ダァァァン!!


数瞬前、私が立っていた地面に、小さな穴が空いた。

「あーん何で動いちゃうの〜?」
「う、動くに決まっているだろ!! 私はまだ死にたくないんだッ!!」

叫びながら、私は狩猟用狙撃銃をレオーネに向けて構える。
さっきの言動とたった今の銃撃で私が導き出した答え。
このレオーネという獣竜は、殺し合いに乗っているか或いは殺人を平然と行う非常に危険な人物だ。間違い無い。
少なくとも私を殺す気でいる事は確かだ。だが黙って殺されるような私では無いぞ!
私はレオーネに向け、狩猟用狙撃銃の引き金を引いた。
銃声が響き、肩に反動が来る。

「ガアッ!!」

レオーネの腹部から血が噴き出した。
苦鳴を上げ、左手で腹部を押さえるレオーネだったが、すぐに怒りに満ちた獣の形相で私を睨んできた。

「痛い、じゃない。何するのよ」

先程までののんびりとした口調はどこへ。背筋が凍るようなドスの利いた声だった。
薄々予想はしていたが、やはり強靭な生命力を持っているらしい。一発じゃ無理か。
これは無理に戦わない方がいいかもしれない。

少々無様だが、私は左側方の道路に向かって走り出した。
297がんばれ聖徳太子 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/12(火) 00:57:10 ID:IkplOSbu
意外にも、追ってくると思っていたレオーネの姿は無かった。
走り続けたため乱れる呼吸を整えながら、デイパックからデバイスなる小さな機械を取り出し、現在位置を確認する。
どうやら今自分がいる地点はエリアE-1とE-2ぼ境界線付近らしい。

しかしまさかさっきのレオーネのような怪物まで参加者にいるとは。
思想も身体能力も危険な奴が他にもいるんじゃないだろうか。
こうなるとますます妹子の事が心配だ。早い所見付け出さないとな。

「全く、本当に面倒な事になってしまった……」

狩猟用狙撃銃を構えながら、私はエリアE-2の方に続く道路を歩き出した。


【一日目/黎明/E-1とE-2の境界線付近】

【聖徳太子@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:肉体的疲労(小)、烏帽子無し、E-2方面へ移動中
[装備]:狩猟用狙撃銃@SIREN(4/5)、トレンチコート
[所持品]:基本支給品一式、7.62o×51o弾(30)
[思考・行動]:
0:このゲームを滅茶苦茶にしてやる!
1:妹子はどこにいるんだ?
2:レオーネに注意。
[備考]:
※単行本第九巻第168幕「聖徳太子の持っている木の棒」より後からの参戦です。
※レオーネを危険人物と判断しました。


◆◆◆


私――レオーネは、さっきの聖徳太子と名乗った人間の男が作った、
腹部の貫通銃創をさすっていた。
血は止まったようだけど、治癒には少し時間が掛かりそう。
聖徳太子は逃げたけど、別に追わなくてもいいと思ったから追わなかった。
わざわざ深追いする気にもならなかったし。
撃たれた時はちょっとムカついたけど。

私自身の支給品は今装備している九九式小銃とその予備弾。
そしてこの殺し合いが始まってすぐぐらいに出会って、食べちゃった人間の女の子のデイパック。
中には基本支給品一式の他にワルサー カンプピストルと予備の専用炸裂弾三つと、
アサルトライフルである64式小銃と予備マガジンが五個入っていた。
水と食糧、そしてランダム支給品を抜き取って女の子のデイパックは捨てちゃった。

カンプピストルは高威力だけど予備の弾が少ないし、64式小銃は連射が出来るけど弾の消費が早いから、
余り乱用は控えた方がいいわね。
単発式の九九式小銃を主力に使っていこう。ちょっと装填とか面倒だけど。
予備弾をいつでも取り出せる状態にしておかなくちゃ。
298がんばれ聖徳太子 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/12(火) 00:58:40 ID:IkplOSbu
「さてと」

私は九九式小銃を装備し、他参加者の姿を求めて再び市街地を歩み始めた。


【一日目/黎明/E-1市街地表通り】

【レオーネ@オリキャラ】
[状態]:腹部に貫通銃創(治癒中)、口と身体が血塗れ
[装備]:九九式小銃(4/5)
[所持品]:基本支給品一式(水と食糧完全消費)、7.7o×58o弾(30)、
ワルサー カンプピストル(1/1)、26.6o炸裂弾(3)、64式小銃(20/20)、
64式小銃の予備マガジン(5)
[思考・行動]:
0:とりあえず出会った人から順番に殺していく。
1:次はどこへ行こうかな。
[備考]:
※聖徳太子の名前と容姿を把握しました。
※西川のり子のデイパックは放棄したようです。
※聖徳太子とは別の方向へ向かっています。


※E-1一帯に銃声が響きました。


≪支給品紹介≫
【狩猟用狙撃銃@SIREN】
狩猟用として広く普及しているボルトアクション式狙撃銃。
ゲーム中においては主人公・須田恭也が終盤に入手し使用する。

【トレンチコート】
冬季用のコートの一種。ウエスト位置のベルトが特徴。

【九九式小銃】
第二次世界大戦開戦の年である1939年(皇紀2599年)に日本軍制式となったボルトアクション小銃。
初期型の評価は高いが後期型になるにつれ戦時急造型が目立ち総合的な評価は低め。
本ロワに登場する物は九九式長小銃で、性能が高いとされる初期型を忠実に復元した物。

【ワルサー カンプピストル】
1930年代に開発された信号拳銃を擲弾(グレネード)用拳銃に改良したもの。
「カンプ」とは製造国であるドイツ語で「闘争」という意味。

【64式小銃】
1964年に自衛隊制式となった国産突撃銃。
反動を抑えるため発射薬の少ない減装弾を使用している。
構造にクセがあり分解整備には熟練を要する。
現在は後継である89式小銃に更新が進んでいるが未だに現役。
299 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/12(火) 01:00:55 ID:IkplOSbu
投下終了。ジャージの上からトレンチコートを纏い、
狩猟用狙撃銃を装備した聖徳太子(烏帽子無し)を想像して頂けたら幸いです。
300 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/12(火) 23:40:30 ID:IkplOSbu
個人趣味ロワ37話「さよならフラウ」投下します。
登場:伊賀榛名、フラウ
今回ちょっとギリギリかも
301さよならフラウ ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/12(火) 23:43:49 ID:IkplOSbu
37話「さよならフラウ」


私こと伊賀榛名はこの殺し合いが始まった直後、とってもおいしそうな私と同じ狐獣人の女の子を見付けた訳。
それで、支給品の一つのスタンガン(もう一つはモスバーグM500というショットガンだった)で、
気絶させて近くのラブホへ連れ込んで、今、じっくり味わってるんだ♪

このフラウって子、私より大人びた外見してるけど、凄く可愛い声で鳴くねぇ。
最初はかなり抵抗して手こずったけど、そこは男も女も泣き叫ぶ私のテクであっさり陥落。
快感を覚えたら後はもうこっちのものよ。
もうそれはもうありとあらゆる事を、もちろんあっちの方のね。ウフフフフフフ。
途中から拘束を解いても逃げるどころか逆に私に抱き付いて求めてくる始末。

それにしても殺し合いかあ。何だってただのエロい女子高生であるこの私と、
普通の女子高生でありクラスメイトの千穂ちゃん、私のお気に入りの牛娘のクラスメイトのアヤちーが、
血みどろの殺し合いなんかしなくちゃいけないのかね。
首には爆薬内蔵の危険な首輪まではめて、あのセイファートとか言う狼獣人の女は何を考えてるのやら。
しかも最後の一人にならなきゃ生きて帰れないなんて。
今まで気に入った下級生や同級生の子を男女問わず口説いてシてきた口だけど、いくら何でも殺し、はねぇ。
千穂ちゃんやアヤちーを殺す気になんてなれないし。

それだったら死ぬまで欲望の赴くままに行動しよう。

「ハア、ハア、ハア、ハア、ふう……」
「ハァー……ハァー……ハァー……」

ラブホの一室、ベッドの上で私は乱れた呼吸を整える。
そして私の下には恍惚とした表情で、涎を垂らし舌を出しながら息を荒げているフラウちゃん。
私とは違う黄金色の毛皮に覆われた身体が艶めかしく動いている。
当然私達二人は一糸纏わぬ全裸で、汗ばみ、毛皮が湿っていた。
身に着けている物は首にはめられた銀色の金属製の首輪のみ……。
首輪がはめられた全裸の狐獣人の少女二人が絡み合ってるなんて、どこのエロ本のシチュなのコレ。
まるで悪人にでも捕まって行為を強制されてるみたい。
あ……そんな妄想しながらだともっと興奮するかも。


「どう? フラウちゃん……気持ちいいでしょ?」
「う………ぐ…………」

あれ? 目を合わせてくれないなあ、そんな悪い子にはお仕置きが必要ね。

「ねえねえフラウちゃん、これ何だと思う?」
「ふえ?」

そう言って私が床に散乱するラブホ貸出の大人の玩具の中から、
まだ未使用の「それ」を手に取り、フラウちゃんに見せる。
302さよならフラウ ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/12(火) 23:45:00 ID:IkplOSbu
「な……何……また………入れる…の……!? い……嫌……!」

形状で何となく察したみたいね〜。あ、でも「初めて」は私の指でやってあげたわよ?
その後別の道具で色々出し入れしたりしてあげたら最初は痛がって泣き叫んでいたけど、
すぐにアンアン別の意味で泣き叫ぶようになっちゃった。
それなのに「嫌」って変だよねえ。でも、今回は違うんだよ。

「入れるのは正解。でも安心してネ。今度入れるのは……コ、コ♪」

「それ」を、「そこ」に押し当てる。
「そこ」は「女性の一番大事な部分」とは別の所です。何なのかは想像にお任せします。
フラウちゃんの顔が一瞬で青ざめるのが分かった。
そして数秒もしない内に大粒の涙を流しながら私に必死の懇願を始める。

「嫌ああああああああああああお願いやめてそれだけは勘弁して許してええええええ!!!!
他ならなんでするからああああ!! ××××したり××××したりもするからやめてえええええ!!!!」

ちょ、大声ですっごい恥ずかしい事言ってる事に気付かないのこの子。
物凄い必死ね。でも、今更やめる事なんて出来ないなあ。
こんなに可愛いい相手見付けたの、久し振りだもん。
きっと今の私の顔は、フラウちゃんにとって小悪魔に見えただろうな。

「うふふ、ダーメ」
「ああああああああああああああああああああああああ」


〜ここから先は音声のみでお楽しみ下さい〜


「うぁ……ああああ、な、こんな……ぐああ!!!」
「大丈夫大丈夫、ローションたっぷり使うから、ほら、力抜いてフラウちゃん」
「む…無理だよぉ……そんなの入らないよぉ……」
「大丈夫大丈夫、為せば成るって」
「やだあぁぁぁぁぁぁぁっ!」
303さよならフラウ ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/12(火) 23:47:58 ID:IkplOSbu
「それじゃ、いっきまーす!」

「やだ…たす、け、があああああああ!!
やあああああああああああああああああああああああああああ!!」













そしてフラウは、何度でも絶頂を迎えた。


逃げ出そうとしても、身体は欲望に従順で、逃げ出す事も出来ない。


仕方無いので、フラウは、考えるのをやめた……。
304さよならフラウ ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/12(火) 23:49:50 ID:IkplOSbu
【一日目/黎明/E-2市街地裏繁華街ラブホテル】

【伊賀榛名@オリキャラ】
[状態]:全裸、快楽、興奮、フラウを弄んでいる
[装備]:無し
[所持品]:無し
[思考・行動]:
0:殺し合いはするつもりは無い。但し襲われたら対処。
1:フラウちゃんをじっくり私好みに仕上げる。
2:イイ男イイ女がいたら……ウフフ。
[備考]:
※衣服と所持品は部屋の中に放置されています。

【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:精神崩壊、全裸、両腕を背中で拘束されている、快楽、伊賀榛名に弄ばれている
[装備]:無し
[所持品]:無し
[思考・行動]:
0:らめえええええええええええええええええええええ
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※フラウの衣服と所持品は伊賀榛名が預かっています。
※精神崩壊しましたが、「行為」が終われば治ります。



※伊賀榛名とフラウの「行為」は次の時間帯になる頃には終わっている(はず)です。
305 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/12(火) 23:55:26 ID:IkplOSbu
投下終了です。フラウ大好きなんです。
原作の方で余りにも報われない死に方をしたからこんな風になってしまったんだきっと。

後悔も反省もしていない

と言い切れればどんなに楽か
306 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/14(木) 00:09:33 ID:tiIbBtvd
投下乙
確かにギリギリのラインかも

24ロワ第13話投下します
307ダブル雪歩に花束を ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/14(木) 00:11:31 ID:tiIbBtvd
スーツ姿のビジネスマン風の男が夜道を歩いていた。
ウェイトトレーニングでもこなしているか、男の体は鍛え抜かれた刃のように鋭い筋肉が備えられている。
それでもどういうわけなのか、男から漂う雰囲気に、彼の肉体から窺えるような鋭さはない。
それどころか、どこか愚鈍さすら窺えるのだから、彼の肉体自体とは正反対のオーラをこの男は放っている。

それもそのはずだった。彼、いかりやビオランテはいつ殺されるか分からないこのゲームに、心底怯えていた。
しきりに首を振って、眼球をコロコロと動かして辺りを気にするその様子からは、何の威厳も見えない。
その逞しい肉体とは裏腹に、ビオランテの心は非常に弱弱しいのである。
人は見かけによらないとはまさに彼のためにある言葉だ。ビオランテはその見かけによらず、ヘタレだ。

「ああ〜。もう、もう最悪……!もう最悪や〜もうあかん!」
目に涙を浮かべながら、大きな体をこれでもかというくらいに縮めている。
ぶつぶつと泣き言を呟きながら、彼は暗い夜道を弱弱しく歩いて、必死に隠れられる場所を探していた。

道の両脇には雑草が生えた茂みがあり、そこに隠れようと思えば隠れられるのだが、
ビオランテにその考えは元よりない。深夜にそんな得体の知れない茂みの中に分け入っていくなど考えられない。
彼にとって、それはあまりにも恐ろしすぎる行いだ。そんな事をすればきっと恐怖でどうにかなってしまうだろう。

「あかん……あかん……こわい……あかんわ、もうあかん……助けてえ」
いや、ただ夜道を歩いている時点でもうどうにかなってしまいそうなくらい恐怖しているのだから、
茂みになど入ったら、それはもう大変な事になる。

「え!ええええええええ!ええ!なになになになに!!」
ビオランテは突然喚き声をあげた。目の前に突然巨大な何かが現れたからだ。
巨大な何かはビオランテの前に立ちふさがり、ぴくりとも動かない。
怖い!タスケテ!もうあかん!ビオランテは全身総毛立ち、かちかちと震えた。

(あかんあかんあかんあかん!わしはもうここで死んでしまうわ!
 もうあかん!怖い怖い怖い怖い!…………え?)
爬虫類が背中をはいずり回る様な恐怖を全身に感じながら、ビオランテは何かに気付いた。
「あ……なんや……ただの建物か……」
騒々しい男である。

「あかんわ〜この建物めっちゃ怖いわ〜……気持ち悪いけどここに隠れなしゃあないかもしれん……」
一人でぶつぶつ呟きながら、ビオランテは一歩一歩すり足で建物へと近づく。
その内、すり足から匍匐前進にでも変わるのではないだろうか、と思える位の怯えようだ。
「あかん〜……気持ち悪ぅ」

建物は何かの施設のようだ。落ち着いてみれば沖木火葬場と掘られた文字が見えたはずだが、
ビオランテは当然落ち着いていないので何も目に入らない。
正面の開かない自動ドアを無理やり開いて、ビオランテはそっと建物の中に忍び込んだ。
建物の中に入ってもやはり怖いものは怖い。どこか落ち着ける空間はないかと、辺りを見渡す。
障害者用トイレが目に映った。

「トイレか……嫌やなあ」
嫌やなあ、嫌やなあ、怖い怖いと言いながら、ビオランテは再びすり足を始める。
トイレは怖い。怖いけどこのままここにいるのはもっと怖い。
もっと怖いなら仕方がない。仕方がないなら行くしかない、と彼は自己完結した模様。

「す、すいませーん……入りますからねぇ」
何故か空いている障害者用トイレにノックするビオランテ。言葉が震えている。
恐怖のせいで頭がどうにかなってこんな意味のない事をしているのか、素でやっているのかは判断がつかない。
ゆっくりとトイレのドアを開いて、そぅっと中に入り、急いで鍵を閉めた。
308ダブル雪歩に花束を ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/14(木) 00:13:32 ID:tiIbBtvd


「はあぁぁ……」
トイレの床に座り込み、特大の溜め息。トイレは勿論怖いが、閉鎖されている狭い空間であるから、
今までに比べてかなりマシだ。と思った次の瞬間、ビオランテの顔は驚愕に染まった。
「え!?えええええ!!何これ!!!なになになになに!!どういう事!?」
これはいったいどうした事だろうか。世にも奇妙な光景がビオランテの目に映った。
いきなり、何の切欠もなく突然、彼の前に何者かが姿を現したのである。

「えええええ!!誰誰誰!!もうやめてよもう〜〜」
ビオランテは殊更に怯え、裏返った声で悲鳴を上げた。目の前の何者かもビオランテと同じように怯えている。
そして、心なしか姿形までビオランテと似たような────

「あ……なんや……鏡か……」
つくづく騒々しい男だ。
「ええ〜、やめてよもう。鏡とか怖いわ〜」
ずりずりと、鏡が見えない位置まで床を這う。

「あかん……怖すぎる。わしなんかが参加出来るゲームちゃうわ……これ。
 わしには向いてへんわ……勝たれへん」
ビオランテは漸く落ち着ける場所を見つけて緊張の糸が切れたのか、つい悲しくなって涙をこぼした。
筋骨隆々の大男がさめざめと泣いているのだから、これだけ見苦しいものはなかった。

「ビリー署長らも、参加しとるのかしら……」
デイパックを見て、ふと名簿の事を思い出す。名簿を取り出して、眺めてみた。
ビオランテにとって予想外の名前がそこにあった。ビリー・ヘリントンなど、職場の同僚達の名前ではない。
彼らの参加は、なんとなく予想できていた。ビオランテが全く予想していなかった名前がそこにはあった。

「嘘やん……ユッキー……!」
名簿にしっかりと刻まれた萩原雪歩という名前。彼はそれを凝視して、呟いた。
彼は彼女の事が好きだった。彼女は新日暮里消防署内で唯一の女性にして、事務員を務めている。
それほど親しいわけではない。それどころか、彼は萩原雪歩とあいさつを交わす程度しか、今まで話した事がなかった。
臆病な性格だが、彼は今まで人見知りや人付き合いに苦労した覚えはない。だが、雪歩の前ではどうしても照れてしまい、
上手く舌が回らないのだった。

『ユッキー』という呼び名も、フランクなトータスやビリー署長が彼女をそう呼んでいるのを密かに真似しているだけで、
本人の前で言った事がない。別に言っても怒られないとは思うのだが、やはり気恥かしくて呼べない。

何故彼女の事を好きになったのだろうか。ビオランテはしばしば不思議に思う。
自分は生粋のガチホモだったはずなのに。女には興味がなかったはずなのに。
会話すらろくに交わしていないのに、何故こうも彼女の事を好きになってしまったのだろう。
答えはいつも出てこない。どれだけもっともらしい理由を添えてみても、何かが違う、というような気がしてくる。
自分はガチホモなのにどうして彼女の事が好きなのか、理由は分からないが、
彼女の事が好きだという気持ちだけは確かだった。

はたして、いつからだろうか。
彼女が笑っているのを見る事がたまらなく楽しくなったのはいつからだろう。
楽しげに、流暢に彼女と会話するトータスや署長に嫉妬するようになったのはいつからだろう。
彼女に挨拶をして貰えただけで、嬉しくてたまらなくなったのはいつからだろうか。

「ありえんわ……ケツホルデスありえんわ……ユッキー関係あらへんやん……
 新日暮里消防署はガチホモの巣窟ぞ。消防署からの参加者はガチホモだけっていうんが筋やろうが……」
彼女だけはなんとしても死なせるわけにはいかない。ケツホルデスへの怒りを燃やしながら、
彼は再びデイパックに手を突っ込んだ。強力な支給品さえあれば、わしやってなんとかやりようがある!
309ダブル雪歩に花束を ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/14(木) 00:15:55 ID:tiIbBtvd

スポンっとデイパックから出てきたのは、綺麗な綺麗な花束だった。
デイパックに入っていた支給品はそれだけだった。ビオランテはあんぐりと口を開けて呆けた。

「嘘やん……なになになに?……何これ?わし、殺し合いの真っ最中にユッキーに花束届けに行くん?」
冗談にもほどがある。しかし、何度調べなおしても、デイパックには他には何も入っていなかった。
「あかんわ……もうあかんわ……詰みやわこれ……」
再び、ヘタレモードに戻ったビオランテ。名簿に乗せられた雪歩の名前を目にしながら、
ユッキー、ユッキー、とうわ言のように呟く彼の目には、やはり恐怖しかなかった。

「あれ……?」
ふと、妙な違和感に気づく。名簿がおかしい。彼の愛する萩原雪歩の名前が、なんと二つある。
見間違いかと思い何度も見直してみたが、やはり二つある。

「どういう事なんこれ。印刷ミスなんか?ユッキーと同姓同名の奴が参加しとるんか?」

まさかそんな偶然があるとは思えないが……
ビオランテは二つの名前を交互に見比べ、何故か感慨深げな様子で言った。

「ダブル……雪歩か……」
心なしか、ドヤ顔である。上手い事でも言ったつもりなのだろうか。
彼の手には、未だに美しい花束が握りしめられている。

【一日目/深夜/H-7 焼場】
【いかりやビオランテ@本格的!ガチムチパンツレスリング】
[状態]:健康
[装備]:花束
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本方針:雪歩を死なせたくない。だけど怖くて死にそう
1:どうしてユッキーが二人?
310 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/14(木) 00:24:16 ID:tiIbBtvd
投下終了。ヘイポーが脳裏にちらつく……
311 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/14(木) 00:27:22 ID:vM7W+A0h
投下乙。実は俺もヘイポーがフラッシュバックしてた・・・
312 ◆NIKUcB1AGw :2010/01/14(木) 01:04:51 ID:t529H3yM
投下乙です
これはいいヘタレだ
それでは、自分もNIKUロワ第14話投下します
313仮面ライダー、その名の意味 ◆NIKUcB1AGw :2010/01/14(木) 01:06:40 ID:t529H3yM
B-2、ホテル。この建物の上層階で、滝和也と鎌田という二人のゲーム参加者が遭遇していた。
開口一番、鎌田は自分がゲームに乗るつもりがないことを滝に告げた。
その言葉をすぐには信用しなかった滝だが、鎌田のねばり強い説得でようやく信用する様子を見せる。
そして二人はつい先程、共に行動することを決めたのである。

「それじゃ鎌田さん、まずは下まで降りましょうか。こんな所にいたんじゃどうにもならない」
「たしかにそうですな。では、まいりましょう」

滝の言葉に、鎌田は同意を見せる。しかし、言葉とは裏腹にその場から動こうとはしない。

「どうかしました?」
「いえ、できれば滝さんに先に行っていただけないかと……。
 何せ私はただの雑誌編集者ですから、荒事には慣れていなくて……。
 軍隊関係者だという滝さんが先に行ってくださるのなら、安全を確保してくださるかと思いまして」
「そうでしたか。たしかに、一般の人が突然こんなことに巻き込まれては怯えるのも無理はありませんね。
 わかりました、俺が先に行きましょう。後をついてきてください」

鎌田の言い分を聞いた滝は、それを受け入れ鎌田に背を向けて歩き出した。
彼のその行動を見て、鎌田は表情を一変させる。
人畜無害という風だったその顔には、今やどす黒い笑みが貼り付けられていた。

(お人好しが……。まずは一人、もらった!)

鎌田は、大きく右腕を振るう。するとそこから、鋭利な刃と化した衝撃波が放たれた。
衝撃波は、まっすぐ滝の背中に向かって飛んでいく。
だが刃は、滝を切り裂くことはなかった。
命中直前に、滝が体を大きく横に動かしたのである。

「何!?」

予想外の滝の反応に、思わず声をあげる鎌田。そこに、熱のこもらない滝の声が浴びせられる。

「どうにも疑いが晴れなかったんで、わざと隙を見せたらこれか……。
 鎌田さん、あんたゲームに乗るつもりだな?」
「ふん、あなたごときの三文芝居に引っかかるとは……。私も焼きが回ったものです」
「三文芝居はどっちだか……」

おのれの本性を見破られても、鎌田は落ち着いた態度を崩さない。
なぜなら、彼には強者の自覚があるからだ。

「相手がただの一般人ならこのままでもいいのですが……。あなたはそれなりに実戦経験があるご様子だ。
 ならばより確実にしとめるために、これを使わせてもらいましょう」

そう言い放つと、鎌田はポケットからカードのデッキを取り出した。
それが何を意味するのかわからず首をかしげる滝をよそに、鎌田はデッキを窓ガラスにかざす。
すると、どこからともなく出現したベルトが彼の腰に巻き付いた。

「変身!」

叫び声と共にポーズを決めた鎌田は、ベルトの中央にデッキをセットする。
その瞬間、彼の体は青い鎧に覆われていく。
ほんのわずかな時間の間に、鎌田の姿は魚類を思わせる鎧の戦士に変化していた。

「お待たせしました。それではお相手しましょう、この仮面ライダーアビスがね」
「仮面ライダー?」

慇懃無礼に告げる鎌田。その言葉を聞いた滝は、露骨に不快感を見せる。
314仮面ライダー、その名の意味 ◆NIKUcB1AGw :2010/01/14(木) 01:07:45 ID:t529H3yM
「おいおい、冗談はたいがいにしろや。私利私欲で人を殺すあんたが仮面ライダーだと?
 あんたに、その名前を名乗る資格はねえよ」
「はて、おかしなことを仰いますね。仮面ライダーとは、『超人的な戦闘力を持つ仮面の戦士』の総称のはずです。
 善人だろうが悪人だろうが、力を手にすればその人は仮面ライダーとなる。
 人間全てが、仮面ライダーになる可能性を秘めているのですよ」

まあ、私は人間ではありませんがね。鎌田は心の中でそう付け加える。

「違うな」

だが滝は、鎌田の言葉を真っ向から否定した。

「仮面ライダーとは、『おのれの感情を殺してでも力無き者のために戦う仮面の戦士』のことだ。
 その魂がないあんたは……どんなに姿形を似せたところで、仮面ライダーにはなれない。
 そんなのは、ただの怪人だ」
「何をわけのわからないことを言っているのですか。仮面ライダーに魂など必要ない。
 必要なのはただ一つ、力です。こんな風にね!」

仮面の下で下卑た笑みを浮かべながら、鎌田は滝に殴りかかる。
その拳は滝の胸を直撃し、彼の体を大きく吹き飛ばした。

「どうです、この力! これこそが、仮面ライダーの証でしょう!」
「違うな」

口から血を漏らしつつ、滝は再び鎌田の言葉を否定する。

「あなたも頑固ですねえ。なぜそうも真実を受け入れようとしないのか」
「そりゃこっちの台詞だ。力だけ手に入れたって、仮面ライダーにはなれねえんだよ」

かすれた声で反論を続けながら、滝は自分の荷物に手を突っ込んだ。

「見せてやるよ、魂を伴った本当の仮面ライダーをなあ……。
 結城! お前の魂貸してもらうぜ!!」

滝が取り出したのは、口元のみが空いた青いヘルメット。
昆虫を模したと思われる、触角と赤い複眼が特徴的である。


「変

    身!」

力強く叫び、滝はヘルメットをかぶった。
彼の顔がヘルメットに覆われると同時に、その肉体を強化スーツが包み込む。
仮面ライダー4号・ライダーマン。その姿が、そこにはあった。

「それがあなたの言う、真の仮面ライダーですか? ずいぶんと貧弱そうな姿だ」

嘲笑を浴びせる鎌田だが、滝はそれを意に介さない。

「たしかにこのライダーは、純粋な力では一段階落ちるかも知れない。
 だが、込められた魂は決して劣らないぜ」

露出した口元に笑みを浮かべ、滝は鎌田に向かって走り出す。
そのまま、彼は跳び蹴りを繰り出した。
鎌田はまともにその蹴りを食らうが、よろける程度で決定打にはいたらない。

「この程度ですか……。やはり、話になりませんね」
「けっ、まだまだこれからだっての。いくぜオラ!」
315仮面ライダー、その名の意味 ◆NIKUcB1AGw :2010/01/14(木) 01:08:50 ID:t529H3yM
冷や汗を浮かべつつ、滝はあくまで強気な態度を崩さない。
そのまま、二人は本格的な戦闘になだれ込んだ。


◇ ◇ ◇


そして、数十分後。
彼らの戦いは、すでに大勢が決していた。
優勢に立っていたのは、鎌田。
滝も豊富な実戦経験を活かし健闘したものの、スペックの差を覆すにはいたらなかったのである。

「大口を叩いておきながらその様ですか……。何とも情けないですねえ」

強化スーツのあちこちを破損し、その下の傷口から血を滴らせる滝を見ながら、鎌田は今一度眼前の敵をあざ笑う。
実際には彼も少なからずダメージを受けているのだが、生意気な口を利く相手に優位に立っているという暗い喜びが鎌田に痛みを忘れさせていた。

「うるせえよ……。まだ俺は負けを認めちゃいねえ。勝ち誇るのは、俺を殺してからにしろ」

肩で息をしながらも、滝はあくまで強気。仮面の下の目は、まだ生気に満ちている。
そのことが、鎌田は許せない。滝の放つ雰囲気が、先の戦いで自分を追いつめた仮面ライダーたちを思い出させるのだ。

「ならば、お望みどおり殺してさしあげましょう。鮫の餌になってしまいなさい」

そう宣告すると、鎌田は一枚のカードをバイザーにセットする。

『ADVENT』

バイザーから流れる電子音声とと共に、鎌田の背後の窓ガラスから二体のモンスターが飛び出してきた。
アビスの契約モンスター、アビスハンマーとアビスラッシャーである。
呼び出された二体のモンスターは、すぐさま滝を標的と認識して襲いかかる。
だが、滝は一切の動揺を見せない。

「今更鮫なんざ……お呼びじゃねえんだよ!」

ボロボロの体とは思えぬ電光石火の動きで、滝は拳を振るう。
その攻撃を受けた二体の鮫型モンスターは、反撃もできぬままそれぞれ部屋の隅まで吹き飛ばされた。

「なんだと……? ミラーモンスターが一撃で……。あの死にかけのどこにそんな力が……」

予想外の事態に、鎌田は口調を取り繕うのも忘れて呟く。
そこへ生じた一瞬の隙を突き、滝は鎌田につっこんだ。
タックルを炸裂させた後そのまま鎌田の体を抱え込み、滝は窓ガラスに向かって激走する。

「まさか……。おい、やめろ!」

滝を止めようと、鎌田は必死で彼の体を攻撃する。
だが、密着された状態からでは威力のある打撃は繰り出せない。
当然、滝は止まらない。

「とくと味わいな……。これがてめえがさんざん馬鹿にした、仮面ライダーの魂が呼び込んだ力だ!
 例え自分を犠牲にしてでも、悪を倒す! それが仮面ライダーなんだよぉぉぉぉぉ!!」

声の限り叫びながら、滝は体当たりで窓ガラスを突き破る。
上空へ飛び出した二人の体は、重力に引かれ遙か下の地面へと降下を始めた。

(本郷、一文字、村雨、アンリ、それにSPIRITSの野郎ども……。
 無責任で悪いが、俺はここでリタイアになりそうだ……。
 バダンとの戦いは……お前等に任せたぜ……)
316仮面ライダー、その名の意味 ◆NIKUcB1AGw :2010/01/14(木) 01:09:48 ID:t529H3yM
迫り来る地面を視界に捉えながら、滝は戦友たちの顔を脳裏に思い浮かべていた。


◇ ◇ ◇


「危ないところだった……。まさか、あんな雑魚に命の危険を感じさせられるとは……」

無人のホテルの一室で、鎌田は荒い息を整えていた。
「無人」というのは、この部屋のことではない。この世界には、鎌田以外の生物は存在しないのだ。
彼が今いるのは、ミラーワールド。「龍騎の世界」のライダーだけが入ることを許される、鏡の中の異世界だ。
鎌田は滝の手に込められた力がわずかに緩んだその隙を突き、拘束を逃れて窓ガラスからミラーワールドに飛び込んだのだ。

「だが、あの男ももう死んだ……。所詮は無力な人間だったということ……。
 勝ち残るのはこの私だというのは、揺るがない事実だ……」

鮫を模した仮面の下で、鎌田は醜悪な笑顔を浮かべる。

「それにしても、妙だな……。先程から体力が回復するどころか、かえって疲れているような……」

先程も述べたように、ミラーワールドは「龍騎の世界」のライダーしか進入できない世界。
いわば、専用の安全地帯だ。
そんなものを、主催者がただで使わせるはずがない。
実はカードデッキに施された細工により、ミラーワールドでは変身による体力の消耗が加速するようになっているのである。

鎌田がそれに気づくのは、果たしていつか。時は、刻々と流れていく。


【一日目・深夜/B-2・ホテル3階(ミラーワールド)】
【鎌田@仮面ライダーディケイド】
【状態】ダメージ(中)、疲労(大)、仮面ライダーアビスに変身中
【装備】アビスのデッキ@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考】
基本:最後の一人まで勝ち残る。
※第7話終了時点からの参戦です。



「こ、これは……」

ホテルに到着した甘寧は、戦慄に顔をこわばらせていた。
鮮血の海の真ん中で倒れている男……すなわち滝を見つけたのである。
甘寧は特定の事柄については異常な面を見せるが、基本的には常識人である。
倒れた男を見て「くそっ、一番乗りを逃したか!」などと悔しがることはせず、すぐさまその生死を確かめにかかる。

「ひどい怪我だが……。まだ生きているのか……」

滝にとって幸運だったのは、地面に激突するまでヘルメットが外れなかったこと。そして激突した後にヘルメットが外れたことだ。
前者がなされなければ、滝は生身のまま地面に叩きつけられ間違いなく絶命していただろう。
そして後者がなされなければ、仮面ライダーに課された疲労の蓄積という制限により彼は衰弱死していただろう。
その点を問題にすれば、滝は非常についていた。
だがそれでも、即死を免れたというだけ。ライダーマンの強化スーツに守られていたとはいっても、彼の体は瀕死の重傷を負っていた。
このままでは、遅かれ早かれ滝は死に至る。だがやはり、彼は幸運だった。
ここで彼を発見したのが、甘寧だったのだから。

「これ、ちゃんと効果は確認してないけど……。今は一刻を争う事態だし……。
 どうか説明書きに嘘がありませんように……」
317仮面ライダー、その名の意味 ◆NIKUcB1AGw :2010/01/14(木) 01:10:45 ID:t529H3yM
祈るように呟きながら、甘寧は自分に支給された液体を滝に飲ませた。
それはファウードの回復液。いかなる負傷も治してしまうという代物だ。
そんな貴重な物を見ず知らずの他人に使用してしまうことに、甘寧は一切のためらいを見せない。
それが武将・甘寧という男なのだ。
回復液を飲まされた滝は、次第にその顔色がよくなっていく。全身各所に着いていた傷も、次々とふさがっていった。

「よかった、ちゃんと効果がある薬だったんだ……」

滝が助かりそうだと判断し、甘寧は胸をなで下ろす。

「さて、どうしようこの人……。こんな所に放置しておくわけにもいかないし……。
 とりあえず建物の中で休ませようか。目が覚めたら、メアリーのことを知らないか聞きたいしね」

大柄な滝の体を軽々と背負うと、甘寧はホテルの中に入っていった。


【一日目・深夜/B-2・ホテル1階】

【滝和也@仮面ライダーSPIRITS】
【状態】気絶
【装備】なし
【道具】支給品一式、ライダーマンヘルメット@仮面ライダーSPIRITS、不明支給品0〜2
【思考】
基本:殺し合いには乗らない。
1:弱者を守る。


【甘寧@中華武将祭り】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考】
基本:メアリーを取り戻す。
1:滝が目を覚ましたら、話を聞く。
※呂布軍と交戦している時期からの参戦です。


※支給品紹介
【アビスのデッキ@仮面ライダーディケイド】
仮面ライダーアビスに変身するためのアイテム。
原作でも鎌田が「龍騎の世界」で使用している。


【ライダーマンヘルメット@仮面ライダーSPIRITS】
結城丈二がライダーマンに変身するために使用するアイテム。
かぶると全身が強化スーツに覆われる。
他のライダーと違い結城は右腕以外生身であり、ライダーとしての力はあくまで強化スーツによるものなのである。


【ファウードの回復液@パロロワ戦記】
いかなる負傷も癒し、体力も回復させる素晴らしい液体。
318仮面ライダー、その名の意味 ◆NIKUcB1AGw :2010/01/14(木) 01:11:51 ID:t529H3yM
※参加者紹介
【鎌田@仮面ライダーディケイド】
「龍騎の世界」で「ATASHIジャーナル」副編集長として生活していた男。
だがその正体は、鳴滝によって「剣の世界」から送り込まれた怪人・パラドキサアンデッドであった。
自分の正体に気づいた編集長を殺害しその罪を夏海に着せようとするが、ディケイドと龍騎の活躍により失敗。
「剣の世界」に逃走するが、そこでディケイドによって今度こそ止めを刺された。


【滝和也@仮面ライダーSPIRITS】
かつてインターポールに出向し、仮面ライダー1号・2号と共にショッカー及びゲルショッカーと戦ったFBI捜査官。
平和な世界となってからは世界の闇を知りすぎたとして閑職に回されていたが、本郷との再会を機に再び戦いに身を投じる。
その後バダンが本格的に活動を開始した際には、対バダン特殊部隊「SPIRITS」の隊長を務めることとなった。
319 ◆NIKUcB1AGw :2010/01/14(木) 01:12:44 ID:t529H3yM
投下終了です
320 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/14(木) 01:51:06 ID:vM7W+A0h
投下乙です。
では自分も個人趣味ロワ第38話「Doll thrown away」(捨てられた人形)投下します。
登場:ドーラ・システィール、エイミス・フロリッヒャー
321Doll thrown away ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/14(木) 01:52:39 ID:vM7W+A0h
38話「Doll thrown away」

露出度の高い衣服を身に着けたの狐獣人の女性、ドーラ・システィールは市街地を訪れていた。
スタート地点である海岸の砂浜で縋り付いてきた鬱陶しい人間の男を自分の支給武器であるH&K USPで射殺した後、
周囲を警戒しつつ、獲物を探しながらこの市街地までやって来たのだ。

「何だか見た事無い建物が多いねぇ」

中世ヨーロッパ風の建物しか見た事の無かった彼女にとって、
アスファルトで舗装された道路や路肩に停めてある自動車、ガスでは無く電気で点く街灯に、
洗練された外観を持つコンクリート製の高層ビルなど、見る物全てが新鮮で興味を引かれた。

周囲を見渡しながら道路を歩くドーラだったが、その足が不意に止まった。
前方からかなりのスピードで走ってくる人影が見えたからだ。
よく見れば刀身に何やら風のようなものを纏わせた長剣を持っている。
元々殺し合いに乗る気で他参加者を探して歩いていたドーラは特に動じる事も無く、
USPを前方の人物に向けて構え、引き金を引いた。

ところが、放たれた銃弾は何やらバリアのようなもので跳ね返されてしまった。

「何っ!?」

予想外の出来事にドーラは一瞬戸惑った。

「はあっ!!」

そしてその人物がドーラに向かって剣を振り下ろす。
風を纏ったその刀身は強力な斬撃となってドーラに襲い掛かる。
しかしドーラも幾多もの死線を潜ってきた歴戦の士、避けるのは難しく無かった。
間一髪刃を回避したドーラが改めて攻撃してきた相手を見る。
裸同然のビキニ鎧の上に白いマントを羽織った、桃髪の美少女。
明らかに自分より遥かに年下の、まだ子供と言っても良いようなその容姿に、ドーラは若干呆れたような口調で言う。

「なんだい、ガキじゃないか」
「ガキ言うな!」

ガキと言われた事に腹を立てたのか、少女が再びドーラに斬り掛かる。
しかし軌道を完全に読まれているのか、あっさりかわされてしまう。
自分の繰り出す攻撃が当たらない事と余裕綽々で相手がかわす事に少女は段々苛立ちを募らせる。
そして自分の魔力を刀身に集中させ、風に代わり烈火の炎を纏わせた。

「へえ……アンタ魔法剣士か何かかい」
「その通りよ。私は魔法剣士、エイミス・フロリッヒャー。今度こそ仕留めさせて貰うわ。
そんでもってその拳銃頂く」
「悪いけどアンタみたいなガキにやられる程、アタシは甘くない、よ!」

言い終わるのと同時にドーラがエイミスに向かって銃を発砲する。
しかしやはり銃弾はバリアによって弾き返されてしまった。

「ふふっ。無駄よ……そんな物効かないわ」

不敵な笑みを浮かべるエイミスだったが、よく見れば少し息を切らしていた。
何度も剣を振り下ろすなどの激しい動作を続けていたせいもあるだろうが、それだけでは無い。
剣の刀身に炎や風を纏わせて攻撃する、物理攻撃を無効化するバリアを張る。
これらはエイミス自身の魔力によって発動させているのだが、当然それは使用者本人の体力を消費する。
長時間連続で使用していれば疲労がたまり、魔法の効果は薄れ、最後には発動自体出来なくなってしまう。
322Doll thrown away ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/14(木) 01:54:19 ID:vM7W+A0h
ドーラはエイミスの攻撃をかわしつつ銃撃を仕掛けていたが、
その間、エイミスの様子を観察していた。
この冷静な分析力は流石歴戦の女スナイパーと言った所か。

(息切れしてる……顔色も少し悪い……どうやら魔法の長時間発動で、
疲れてきてるみたいだねぇ。もう少し遊ばしといてやれば、バリアも弱くなるかもねぇ)

果たしてドーラの予想通り、徐々にエイミスの顔には疲労の色が濃くなってきていた。
そして刀身に纏わせた魔法効果もバリアもかなり弱くなってきていた。

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……く、くっそおおおおおお!!」

それでもなお斬り掛かってくるエイミス。
数時間前に彼女は別の参加者を襲っていたが、取り逃がしてしまった。
元々プライドの高い彼女にとっては我慢ならない屈辱だった。
だから今相手にしているこの狐獣人の女は何としても殺したかった。

しかし、余りにドーラを倒す事に集中し過ぎていたエイミスは、
いつしか自身の周囲を覆わせていたバリアが消滅している事に気付かなかった。
そしてドーラはエイミスの右太腿目掛けてUSPを発砲した。

「ぎゃあっ!」

すると、今度は銃弾はエイミスの右太腿を掠めた。
掠めたと言ってもそこそこ深く抉れ、赤い血液が流れ出てアスファルトの上にポタポタと垂れた。
激痛に怯み、思わず傷口を押さえようとするエイミス。
だが、次の瞬間、エイミスの何も身に着けていない部分の腹部に突き上げるような衝撃が走る。

「がっ……!」

ドーラがエイミスの腹部を思い切り蹴り上げたのだ。
あっという間に呼吸困難に陥り、口から胃液らしきものを吐き出し、腹を押さえ苦しみ悶えるエイミス。
嘲笑うかのような笑みを浮かべたエイミスの背後に回り込み、両腕でエイミスの首を締め上げた。
女性とは思えないような凄まじい力でエイミスの気道ど頸動脈が圧迫される。

(く………苦しい……こ…殺される……の………?)

もはや声を出す事も出来ない。エイミスは何とかドーラの腕を外そうと試みるも徒労に終わる。
そして段々視界が暗くなり、聞こえる音も遠くなり、妙な心地良さがエイミスを襲ってきた。

(……死に……たく………な…い…………な……あ……………)

格好悪い。自分は誰も殺せないまま、この狐女に殺されるのだ。
エイミスは薄れゆく意識の中、自分自身を嘲った。

そして数秒もしない内に、エイミスの意識は途絶えた。
323Doll thrown away ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/14(木) 01:55:12 ID:vM7W+A0h
「ふう……落ちたみたいだね」

足元でぐったりと横たわる桃髪の美少女魔法剣士を見下ろしながらドーラが言う。
桃髪の美少女――エイミスはまだ息があった。締め技で気絶させたのだ。
すぐに撃ち殺す事も出来たが、ドーラには自分にいきなり襲い掛かってきたこの少女に、
何かお仕置きをしてやりたいと思っていた。
周囲を見渡し、適当な路地裏の入口を見付けると、ドーラはニヤリと悪魔的な笑みを浮かべた。



路地裏には少し開けた場所があり、どうやらゴミ捨て場になっているようだった。
生ゴミの入った黒いゴミ袋や、壊れて使えなくなった家電製品、錆付いた廃車などが多く山積みになっている。

「よっ…こい、せっ、と!」

ドーラはこのゴミ捨て場まで気絶しているエイミスとエイミスの所持品を運び、
そしてそれらを汚い地面の上に下ろし、自分のデイパックの中を漁り、ランタンを取り出して明かりを灯す。
薄暗かったゴミ捨て場の様相と、今この場にいる二人の姿が明かりに照らされる。

「よし……いい感じだねぇ。それじゃあ、この小娘にお仕置きと行こうかね」

ドーラは地面に横たわるエイミスのマント、そして全身の必要最低限な部分を覆っているビキニ鎧、
履いている靴を乱暴に剥ぎ取り、エイミスが持っていた長剣でそれらをズタズタにしてしまった。
これでエイミスは現在、一糸纏わぬ、まさに生まれたての姿になってしまった。
同年代の少女と比べてもかなり豊満で魅力的な部類に入る身体が露わになる。
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながらドーラは今度は、エイミスを生ゴミ袋が大量に積んである場所まで引き摺り、
そして抱え上げると、ゴミ袋の山へ放り投げた。

「ぷっ…あっはっはっはっはっ! いい眺めだねぇ!」

腹を抱えて大笑いするドーラの目の前には、ゴミ山に無惨に捨てられた全裸の美少女。
それはさながら、飽きて捨てられた人形のようだった。

「起きたらどんな顔するか楽しみだけど……私も別の獲物を探さなきゃね。
じゃあねエイミスとやら。起きたらまず着る物探しな。あ、せめてもの慈悲で剣は残してやるよ」
324Doll thrown away ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/14(木) 01:55:59 ID:vM7W+A0h
ドーラはランタンの明かりを消し、自分のデイパックからUSPの予備マガジンを取り出してUSPのマガジンを交換し、
エイミスのデイパックの中から水と食糧を抜き出して自分のデイパックに入れ、
ゴミ山で未だ気を失ったままの真っ裸のエイミス・フロリッヒャーに別れを告げ、ゴミ捨て場を後にした。

ゴミ捨て場の地面にはエイミスが使っていた長剣――ヤマトの剣が突き刺さっていた。


【一日目/黎明/D-4市街地】

【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康、返り血(少)
[装備]:H&K USP(15/15)
[所持品]:基本支給品一式、USPの予備マガジン(4)、鉄パイプ@SIREN
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り、優勝し、元の世界へ帰還する。
1:獲物を探す。
[備考]:
※バド村殲滅作戦以前からの参戦です。

【エイミス・フロリッヒャー@オリキャラ】
[状態]:気絶、肉体的疲労(大)、全裸、腹部にダメージ(中)、右太腿に掠り傷
[装備]:ヤマトの剣@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和
[所持品]:基本支給品一式
[思考・行動]:
0:(気絶中)
[備考]:
※朝倉清幸の名前と容姿を把握しました。
※能力には制限が掛かっています。
※あとどれくらいで目覚めるのかは不明です。
※疲労蓄積により魔法効果発動が現在困難です。



※エイミス・フロリッヒャーのドーラ・システィールによってズタズタにされ、
D-4市街地にあるゴミ捨て場に放置されています。
325 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/14(木) 01:57:27 ID:vM7W+A0h
投下終了です。寒い。指の感覚が無い。

修正。
※エイミス・フロリッヒャーの衣服はドーラ・システィールによってズタズタにされ、
D-4市街地にあるゴミ捨て場に放置されています。

です。
326創る名無しに見る名無し:2010/01/14(木) 19:00:51 ID:G+u6+JaS
投下乙
アナタって最低の屑ね
327 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/14(木) 20:20:38 ID:vM7W+A0h
326>> 屑でごめんなさい
328 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/14(木) 21:39:17 ID:vM7W+A0h
投下します。個人趣味ロワ39話「警官でさえ敵わない」
登場:朝倉清幸、仁ママ
329警官でさえ敵わない ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/14(木) 21:41:11 ID:vM7W+A0h
39話「警官でさえ敵わない」

警官の制服に身を包み、散弾銃であるウィンチェスターM1897を装備した一人の男が、
コッペパンを食べながら夜の市街地を歩いていた。
男――朝倉清幸は数時間前、エイミス・フロリッヒャーと名乗る、
ビキニ鎧の美少女剣士と交戦し振り切った後、この殺し合いを潰すため共に戦ってくれそうな仲間を探して歩いていた。
しかし遠くから銃声と思しき音はすれど誰とも遭遇しない。
運が良いと言えば確かにそうなのかもしれないが仲間集めの側としてはこれは困り物。
小腹も空いてきたので支給品のコッペパンを食べているのだが……。

(味気ねぇ……まあ、当然だな。ジャムも何にも付いてないしな)

普通に焼いたパンの味しかしないコッペパンはお世辞にも美味しいとは言えず、
清幸の顔に不満の色が滲み出る。
この殺し合いという状況下において贅沢を言うつもりは無かったが、
せめてもう少し味気ある食糧を渡して欲しいと心の中で愚痴をこぼした。

そして最後の一欠片を口の中に放り込み咀嚼していると、
前方に何か人影らしきものを見付けた。

「!」

咄嗟にM1897を構え警戒態勢を取る清幸。
通りは街灯が点灯しているとはいえ、かなり薄暗い。
人影が徐々に接近してくるのは確認出来たが、容姿まではまだ分からない。

「そこに誰かいるのか?」

清幸は思い切って人影に声を掛けてみた。
人影は丁度街灯の明かりの当たる場所で立ち止まった。

「いっ……!?」

清幸がどういう訳が戦慄する。
人影の正体は「山姥」――では無く、まるで山姥のような強面の風貌をした中年女性。
手には――確かあれは蕎麦を切る時に使う蕎麦切包丁だったはず――を持っている。

「あなた、お巡りさん……?」

女性が清幸に声を掛ける。その鬼のような風貌とは裏腹に、とてもか細く弱弱しい声音に聞こえた。
330警官でさえ敵わない ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/14(木) 21:42:52 ID:vM7W+A0h
「ああそうだ。俺は朝倉清幸。見ての通り警官だ。えーと、あなたは?」
「私は仁ママよ。本名じゃなくてあだ名だけど、名簿にはあだ名で登録されてるから」
「そうか、えー、仁ママさん、仁ママさんは殺し合いには乗っているのか?」

自己紹介も終わった所で、清幸は一番聞きたい、最重要事項を仁ママに尋ねる。

「乗ってるわ。もう一人殺した所よ」
「成程そうか……って、何!?」

ヒュッ

それはまさに刹那の見切り。一瞬の出来事。
仁ママの蕎麦切包丁の一撃が清幸の喉を薙いだ。

「ぐっ、ご」

清幸の真一文字に切り裂かれた喉笛から凄まじい勢いで鮮血が噴き出し、
目の前にいる仁ママの身体とアスファルトを汚す。
足から力が抜け、M1897をアスファルトの上に落とし、ガクンと膝を突く清幸。
それを仁ママはただじっと見つめていた。
清幸は何とか、何か声を発しようとしたけども、出るのはひゅー、ひゅーという安物の笛のような音のみ。
そして清幸の意識は遠退く。何も聞こえなくなる。視界は何も映さなくなる。
死は、それ自体は、この殺し合いが始まった時に覚悟こそしていたが、
こうも唐突に、呆気無い幕切れになるとは予想していなかった。
怖いと言うよりも、不思議と笑いが込み上げてくる。

(…呆気……無い…な………へへっ………)

最期に残された思考の中で、朝倉清幸が紡いだ言葉はそれだった。

間も無く朝倉清幸は静止する。永遠に。



仁ママは大きな血溜まりを作ってアスファルトの上で息絶える警官・朝倉清幸を見下ろしていた。
彼女がこの殺し合いで殺人を犯すのはこれで二人目である。
ただ、最初の時と違うのは警官が銃――しかも散弾銃と呼ばれる類の物――を装備していた事。
こちらには近接武器しか無いので、まともに戦ったら勝ち目は無かった。
なので、不意討ち戦法に打って出たのだが、上手く行った。
331警官でさえ敵わない ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/14(木) 21:45:07 ID:vM7W+A0h
仁ママは蕎麦切包丁の刃に付着した血痕を清幸の制服で拭き取り、
傍に落ちているウィンチェスターM1897を拾い上げる。
現在持っている蕎麦切包丁とバールより何倍も良い武器である。

「いいわね。これで戦いも楽になるはずだわ」

上々の戦利品に気を良くする仁ママ。
そして清幸のデイパックの中からM1897の予備弾である12ゲージバックショット弾25発と、
水と食糧を入手する。
早速装備を蕎麦切包丁からウィンチェスターM1897に持ち替える。
ずっしりとした重量感が仁ママの手から脳へと伝えられる。
試しにすぐ近くにあった家電製品店のショーウィンドウガラスに近付き、
腰だめに構えて引き金を引いた。

ガシャアアアアアアン!!

銃口から発射された9個の小粒弾がショーウィンドウガラスを粉々に粉砕した。

「うっひょおう! こりゃあいいわあ!」

散弾銃の予想以上の破壊力を目の当たりにし、仁ママは第興奮する。
そして先台を動かし、空薬莢を排出し次弾を発射可能な状態にした。
仁ママの心の中に優勝への希望が、貧乏脱出への希望がますます膨らむ。

「うけけけけけけけ! 行けるわ! 優勝出来るわきっと!
待っててね仁ちゃん! うけけけけけけけけけけ!!」

奇怪な笑い声を上げながら、散弾銃と言う危険な得物を手にした山姥がまだ夜の明けぬ市街地を疾走する。

彼女の狂気じみた進撃は留まる所を知らない。


【朝倉清幸@オリキャラ  死亡】
【残り  37人】
332警官でさえ敵わない ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/14(木) 21:48:07 ID:vM7W+A0h
【一日目/黎明/D-4市街地南部表通り】

【仁ママ@浦安鉄筋家族】
[状態]:健康、返り血(かなり多)、狂気
[装備]:ウィンチェスターM1897(4/5)
[所持品]:基本支給品一式、12Gバックショット弾(25)、蕎麦切包丁、
バール、サーシャの水と食糧、朝倉清幸の水と食糧(コッペパン一個消費)
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り、優勝し、貧乏生活から抜け出す。
1:他参加者を片っ端から殺していく。
2:息子の友達(大沢木小鉄、西川のり子)とその担任(春巻龍)も容赦無く殺す。
[備考]:
※原作最終話の前後の時期からの参戦です。



※D-4市街地南部表通りに朝倉清幸の死体とデイパックが放置されています。
朝倉清幸のデイパックの中身=水と食料無しの基本支給品
※D-4南部周辺に銃声が響きました。
333 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/14(木) 21:50:27 ID:vM7W+A0h
投下終了です。

スレの容量まだ大丈夫かな?
334 ◆fRBHCfnGJI :2010/01/14(木) 23:58:30 ID:G+u6+JaS
投下乙です
仁ママこええ

久々に狂人ロワ投下します
335 ◆fRBHCfnGJI :2010/01/15(金) 00:01:08 ID:G+u6+JaS
おっと、題名と参加者の変更を書き忘れていた

題名「エロエロ痴女子校生 殺し合いに降り立つ」

参加者の変更 リラックスするヤクザ→力まない嘘吐き

ではこれより投下します
うそ【×嘘】

1 事実でないこと。また、人をだますために言う、事実とは違う言葉。偽(いつわ)り。「―をつく」「この話に―はない」
2 正しくないこと。誤り。「―の字を書く」
3 適切でないこと。望ましくないこと。「ここで引き下がっては―だ」

◆◆◆

パ ァ ン

「嘘だよバァアアアアアアアアアアアアアアアアカ!!」
D-3エリアの何の変哲も無い平野にて男の罵声が響きわたっていた。
男の患者名は『力まない嘘吐き』と言う名前通りの嘘吐きである。

「ヒャヒャヒャヒャ、さっそく吐いちまったぜぇ!嘘吐いちまったぜぇ!題名から嘘吐くとかヤバイなぁ!超俺ヤバイなぁ!おいィ!
もうどれくらいヤバイかっていうとアレだな!この前全長20mにも及ぶ巨大ゴキブリを一人でぶっ殺してやった時の俺の強さぐらいやばいな!おいィ!
まぁゴキブリ倒したつってもそんな巨大なゴキブリ居る訳ないっていうか、それ以前にゴキブリ嫌いな俺が、そんなゴキブリと対戦とか、
そんなセガールVSイチローみたいなヤバイ試合のセッティングをするわけがないじゃねぇかヒャヒャヒャヒャ!
そうだよ!嘘だよ!ゴキブリの下り全部嘘だよ!ヒャヒャヒャヒャ!
何か久しぶりに長セリフ書くから、読者の方に少しでも嘘を嘘と見ぬいて欲しいというか、俺の長セリフをわかりやすくする為の配慮……
とかいうのも嘘だ!ヒャヒャヒャヒャ!
さてさて、
あれだろ?そろそろ俺のセリフで怒りのストレッチパワーがここらへんに溜まってきたんじゃないのかい?ヒャヒャヒャヒャ!

『ああ……スゴい溜まってきたよ……今なら怒りで空が落ちてきそうだよ』
何の前触れも無く、嘘吐きの脳天に斧が振り下ろされた。
高所から鉄が落下したかのような鈍い音を立てて、嘘吐きの体が崩れ落ちて行く。

『…………まず一人だ、次は二人、そして三人、そうやって殺して殺して殺しまくってやる。
権力だ……権力の為にはこの殺し合いにも喜んで乗ろうじゃないか』

斧を振りかざしたのは少年だった。
まだ幼いともとれるようなその顔には、はっきりと殺意の表情が浮かんでいた。

パ ァ ン

そして誰が予測しただろうか、その殺意の表情がスイカ割りのスイカの様に赤い中身をぶちまけて弾け飛ぼうとは。

『俺が死んだと思っただろォ!嘘だぜェ!嘘だ!嘘だ!ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!
人間っていうのはよぉ!頭蓋骨に斧が突き刺さっても案外無事なんだぜぇ!ヒャヒャヒャヒャ!』

そして嘘吐きは少年のデイパックを回収していく。

『ヒャヒャヒャヒャ!やるぜェ!こればっかりは嘘じゃなくよォ!
この殺し合いに勝ち残って!支配階級になってやろうじゃねぇか!ヒャヒャヒャヒャ!』

嘘吐きの宣言は果たして嘘で終わるのか、それとも……

【一日目/深夜/どっか】



【力まない嘘吐き】
[状態]:超健康 頭蓋骨に斧が刺さっている
[装備]:強い銃
[所持品]:基本支給品二式、不明支給品1〜5
[思考・行動]
基本:この殺し合いに優勝する
1:嘘吐いて楽してずるして優勝を狙う。」

「ヒャヒャ……」

「ヒャヒャヒャ……」

「ヒャヒャヒャヒャ!」


「これも嘘だよ!バァアアアアアアアアアアアアアアアアカ!具体的に言うと俺の二回目のセリフの「から方針欄1の横の」までな!あれ全部俺のセリフだから!ヒャヒャヒャヒャ!」


「あァ……嘘ついでに言っておくとさぁ…………俺がこうして今元気に喋っているっていう状況もさぁ、実は嘘なんだよね……ヒャヒャ…………ヒャ」


【力まない嘘吐き@死亡】
◆◆◆ 場面転換及び意味不明状況の解答

パ ァ ン

D-2にある鉄塔の頂上部より、一発の銃弾が放たれた。
狙う標的は隣のエリアで喚く狂人であり、狙った部位は心臓だった。

弾丸が正確に『力まない嘘吐き』、(まぁ、『力まない嘘吐き』と言っても狙撃者には狙った対象の名前など知る由も無かったし、興味も無かったのだが。)
を狙い撃った時、彼の胸に宿っていたのは『歓喜』の思いだった。
まるで貴族の狩りのごとく、狙撃手にとっては他人を撃ち抜くことなど娯楽の一種に過ぎなかったからである。

「…………クク」
鉄塔頂上の狙撃手から笑いが漏れた。

「……ククククク」
支給された狙撃銃の備え付けスコープを覗き込み、さらに笑う。

「ハハハハハハハハハハ!」
スコープに写っていたのは、だらしなく白目を剥き、胸に開いた穴からダクダクと血を垂らしていく『力まない嘘吐き』の死体であった。

「やべぇwwwwwwwwwwwwwwww一発で狙撃成功とかwwwwwwwwwww俺天才wwwwwwwwワロスwwwwwwwwww」
場の雰囲気が変わり、狙撃手はだらしなくにやけ面を浮かべていた。

「もうこれwwwwwwww俺のwwwww優勝だろwwwwwwwwwwwwwww
狙撃手に狙撃銃渡すとかwwwwwwwwwwwww外科医wwwwwwwwwwwwマジ新切wwwwwwwwwwwwwwww」
ニタニタニタニタニタニタと、狙撃手の顔はチェシャ猫の様に裂け、そしてにやける。

「鉄塔にwwwwwwwwwwww引き篭ってwwwwwwwwwwwwww狙撃すりゃwwwwwwwwwwwwwwwww
俺wwwwwwwwwwwwww最強wwwwwwwwwwwwwwwパネェwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
狙撃者は再び狙撃銃を構えた。

「というわけでwwwwwwwwwwwwwwwww早くwwwwwwwwwwwww他の奴来いよwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
撃ちぬいてwwwwwwwwwwwwwやwwwwwwwwwwwんwwwwwwwwwwwwwよwwwwwwwwwwwwwwww
そして優勝してwwwwwwwwwwwwwwwwwww権力利用して人間狩りwwwwwwwwwwwwwwwwwww
うはwwwwwwwwwwwww夢が広がリングwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

狙撃手の患者名は『にやけ面の狙撃手』
果たしていつまでそのにやけ面が続くのであろうか。

【一日目/深夜/D-2 鉄塔】

【にやけ面の狙撃手】
[状態]:健康 にやけ面
[装備]:狙撃銃『ニーチェイワク』
[所持品]:基本支給品一式、不明支給品0〜2
[思考・行動]
基本:殺し合いに優勝してwwwwwwwwwwwww人間狩っても捕まらないようにするおwwwwwwwwwwwwwwww
1:鉄塔から動かずにwwwwwwwwwwwww狙撃しまくってやんよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
2:可愛い娘がいたらwwwwwwwwwwwwww犯るとかwwwwwwwwwwいいんじゃねwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwうはwwwww俺鬼畜wwwwwwwwwwwwww

*力まない嘘吐きのデイパックは、D-3エリアの死体の側に転がっています。
投下終了

リハビリ的文章の筈なのにどうしてこんなにウザイ感じになったのだろうか
340 ◆fRBHCfnGJI :2010/01/15(金) 00:13:00 ID:diN0XoM6
支給品について書くのを忘れていたので

【狙撃銃『ニーチェイワク』】

「怪物と戦う者は、自身も怪物になることのないよう気をつけなくてはならない。
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている――ニーチェ曰く」
の「――ニーチェ曰く」が兵器に見えたという狂人発明家によって開発された長距離狙撃銃。
あくまで狙撃銃でありレーザーは出ない。
341創る名無しに見る名無し:2010/01/15(金) 00:15:35 ID:yi6bN8vU
投下乙です
狙撃手うぜえw
342 ◆fRBHCfnGJI :2010/01/15(金) 00:23:13 ID:diN0XoM6
誤字修正
>>338
外科医→精神科医
343 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/16(土) 03:09:49 ID:6IBav63e
投下乙です。
嘘吐きのボイスが高木渉で脳内再生されたw
それと狙撃手うぜえwww
では自分も投下します。個人趣味ロワ第40話「全てはご主人様のために」
登場:太田太郎丸忠信、吉良邑子
344全てはご主人様のために ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/16(土) 03:11:23 ID:6IBav63e
40話「全てはご主人様のために」

夜空が徐々に白み始め、夜明けまで後数時間だという事を告げる。
F-2市街地住宅街の道路を歩く人影があった。
九五式軍刀を装備した学生服姿の男、太田太郎丸忠信である。

「銃声、だな……」

どこからか響いてくる銃声と思しき音に耳を済ませる太田。
彼にとっては特別な音では無い、むしろよく聞き慣れた音だ。
一瞬足を止めたが、それだけで、すぐに歩みを再開する。

(しっかしどうすっかねぇ。あの果樹園から遥々歩いて街まで来たはいいけど、
そうすぐにいい女に巡り合えるとは限らねぇし、何より銃を持った奴に襲われたらちぃーと厄介だ)

スタート地点である果樹園で自分より年下と思われる少年と交戦した後、
果樹園を出て街へと繰り出した太田であったが、彼の基本行動指針はあくまで「生き残る」事にある。
「女性の参加者に出くわしたら(容姿にもよるが)奴隷にする」という別の行動指針もあるが、
それはあくまで基本行動指針に付随してくるものであり、
故に太田は自ら進んで殺し合いをする気は今の所は無かった。

但し相手が男性であり尚且つ身体能力、武装が自分より劣っていると判断した場合は話は別である。
この殺し合いは人数が少なくなればなる程、生存率のアップに繋がるのだ。
なので自分より弱そうな他参加者は早々に始末し、頭数を減らしておくのが良いと太田は考えたのである。

そして太田がある小さな交差点に差し掛かる。
右方向の道路から、出会い頭に、太田自身が良く知る人物と遭遇した。

「太田君ではないですか」
「吉良かよ。生きてたのかお前」

普段の生活でよくつるんでいるクラスメイトの吉良邑子である。
前回参加させられていた殺し合いでは一度も会う事は無かった。
手にはかなり大型のボウガンらしき武器を装備している。
345全てはご主人様のために ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/16(土) 03:12:36 ID:6IBav63e
「もしかしてお前も前の殺し合いでくたばった口か?」
「その口振りはもしや太田君も!? そうなんですよ、私、前の殺し合いで広竜君と戦っている時に、
誰かに撃たれて死んじゃいまして。気が付いたら今度は別の殺し合いだなんて、驚きですよねぇ」
「そうだな……」
「でも残念です、この殺し合いには英人様はおられないみたいで」
「あ? 英人様??」

怪訝そうな顔で太田が吉良に訊く。
すると吉良はとても幸福感溢れる笑顔を浮かべながら言った。

「そうなんですよぉ、私が見付けたご主人様の英人様!
私は前の殺し合いの時、英人様のために戦っていたようなものです」
「おいおい、英人って、玉堤英人の事か?」
「それ以外に誰がいるんですかぁ、もう! 分かりきった事聞かないで下さいっ」
「……」

吉良が「誰かに尽くし『奴隷となる』ことに悦びを覚える真性のマゾ」というのは太田も知ってはいたので、
それ程驚きはしなかったが、いざ実際に目の当たりにすると、流石の太田と言えど、引いた。

「でも、この殺し合いには英人様はいません。
だから、私は早めに英人様の所へ戻らなければいけないのです。
なので――」

次の瞬間。

吉良が太田の心臓目掛けて、ボウガンの矢を発射していた。

「がっ……!」

自分の胸に突き刺さるボウガンの矢を目にして、太田の端正な顔が驚愕に歪む。
そしてそう間を置かずに、今度は腹にも衝撃と共に矢が生えた。
口から吐血し、太田がガクンとその場に膝を突く。

「私はこの殺し合いに優勝して、英人様の元へ帰ります。
ごめんなさい、太田君」

頭上から吉良が何かを言っていたが、最早太田はそれが何と言っているのか聞き取る事も出来なかった。
薄れ行く意識の中、太田は最期の力を振り絞り、言った。


「クソッ、タレ、が」
346全てはご主人様のために ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/16(土) 03:13:58 ID:6IBav63e
アスファルトの上に横たわり、今や物言わぬ屍と化した太田太郎丸忠信の荷物を漁る吉良邑子。
そして太田の装備していた九五式軍刀と、注射セット、水と食糧を入手する。

「まず一人目……次もこの調子で行けばいいんだけど」

吉良の心に太田に対する罪悪感や謝罪の念はまるで無い。
先程事切れる直前の太田に言った謝罪の言葉もあくまで建前のみ。
一応、学校生活で何度か行動を共にする事はあったので多少は思う所はあったかもしれないが、
それも吉良自身の大いなる目標の前では何の意味も為さない。

「少し疲れちゃったな……どこか、適当な民家で休もう」

そう言って吉良は身を潜めれそうな民家を探すために歩き始めた。



【太田太郎丸忠信@自作キャラでバトルロワイアル  死亡】
【残り  36人】



【一日目/深夜/F‐2市街地住宅街表通り】

【吉良邑子@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:ドーラのボウガン@FEDA(0/1)
[所持品]:基本支給品一式、ボウガン予備矢(23)、九五式軍刀、
フォナ特製際淫剤注射セット@オリジナル(残り5本)、太田太郎丸忠信の水と食糧
[思考・行動]:
0:ご主人様(玉堤英人)のため、優勝し帰還する。
1:参加者を見つけ次第殺す。例えクラスメイトであっても容赦しない。
2:どこか適当な民家で休憩する。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。


※F-2市街地住宅街の路上に太田太郎丸忠信の死体とデイパックが放置されています。
デイパックの中身=水と食糧抜きの基本支給品一式
347 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/16(土) 03:15:37 ID:6IBav63e
投下終了です。
えーと、太田何だか動かし辛いと感じたので退場させました、太田ファンの方スンマセン
348天国では… ◆6LQfwU/9.M :2010/01/17(日) 00:03:23 ID:y1QeEYiu
下界から聞こえてくる爆発音。
「あ、まただれかやられたみたいですね…」
それをコーヒー片手にのんびり聞いている田鼠。
不思議なもので、死んでこう上から見ていると妙に冷静になる。
「めろりんは…生き残れそうですね、vもんがは…装備がいいから心配いらないか」
コーヒーを一口すする。
(…問題は◆PURIN//46Eだ…嫌な予感がする…)


下界を覗き込む◆Right//mko。
(下痢さんまだ気絶したままか…シベリア最後の代表なんだ、生きてくれよ)
そこに小走りで近づく霜月。
「手紙だよー」
そう言い、何か書いてある紙を手渡す。
『◆Right//mko、残念だったな。せっかく復活したのに…まあ、ドンマイ 謎のプログラマより』
(…ああ…もう…!)
手紙を乱雑に丸め、その場に放り投げる。


【一日目・早朝/天国】

【田鼠・霜月・◆Right//mko@板対抗BR】
[状態]:霊体
[装備]:なし
[所持品]:なし
[共通思考]
1:バトロワを見守る。
349寝る子は育つ ◆6LQfwU/9.M :2010/01/17(日) 00:19:25 ID:y1QeEYiu
「…!寝てたの…?」
はっとベッドから飛び起き、辺りを見回す不死鳥。
辺りはうっすらと明るくなり、先程よりかなり時間が経っていることが分かる。
「起きて起きて!2人とも、寝てたみたいだよ」
咄嗟に透を起こす。
「…あぁ…やっぱり夢じゃないのか…」
がっくりと肩を落とす。
不死鳥がデイパックから時計を取り出し、時間を確認する。
「4時…28分…2時間近く寝てたんだ…」
洗面台で顔を洗い、眠気をはらう透。
「どうしますか?とにかく、ここを出発しないと始まりませんよ?」
「そうだね…とにかく、病院を出ないとね」

病院の前に立つ二人。
(出たはいいけど…どこに行こう?)
その時、透が何かを拾い上げる。
「何かあった?」
なぜか妙に慎重に手渡す。
暗くて良く分からないそれを、懐中電灯で照らす。
「…爆弾!?」
それは、逃げて行ったカンフーマンが落としたC4だった。

【一日目/深夜/E-7:E7病院前】


【不死鳥@板対抗BR】
[状態]:健康
[装備]:FN ハイパワー@現実、ボムブラストスーツ@メタルギアソリッドシリーズ
[所持品]:支給品一式、C4(1/1)@メタルギアソリッドシリーズ
[思考・行動]:
1:何でこんなものが…


【矢島透@かまいたちの夜】
[状態]:健康、動揺(小)
[装備]:ネイルハンマー@SIRENシリーズ
[所持品]:支給品一式、不明支給武器
[思考・行動]:
基本:何が何でも真理を守る。人殺しはしたくない。
1:何がどうなってるんだろう?
※2人とも1回放送を聞き逃しました。
350 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/17(日) 00:39:38 ID:y1QeEYiu
おっと、投下終了です
351 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/17(日) 22:10:24 ID:quLiO+kK
投下乙です。羨ましい投下速度。天国から……成程それもありか!
では自分も難産だったが投下。個人趣味ロワ41話「SILENT HILL」
登場:須田恭也、神田修次
352SILENT HILL ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/17(日) 22:11:33 ID:quLiO+kK
41話「SILENT HILL」

「ここは…村、か?」

明かりの点いたランタンを左手に持ちながら、エリアG-1の廃村地区に足を踏み入れたのは、
右手に小型の電動回転鋸を装備した、半袖の緑色ジャケットにジーンズ姿の少年、須田恭也。
G-2に広がる果樹園にて一人の襲撃者と交戦し、逃れた後、園の西口から続く古道をずっと進み、
そして辿り着いた場所は人気の絶えた集落だった。
電気など通っているはずも無いので、
敵に発見される恐れはあるがランタンを灯さなければ、ほとんど足場が見えない状態だ。
雑草に覆われほとんど見えなくなってしまっている道、
屋根が陥没し屋内が瓦礫の山と化した廃屋、
錆に覆われタイヤが地面に埋もれている軽トラック、
もう永久に配達物が投函され、配達される事の無いポスト、
今にも倒れてしまいそうな、腐食の進んだ木製の電信柱……。
廃村を形成する多様な要素が、ランタンの明かりによって照らし出される。

「村、か……」

そう言えば自分はネットの掲示板に書き込まれた情報を見て、
羽生蛇村という山奥の寒村を訪れ、そして怪異に巻き込まれた。
そして気が付いた時はこの殺し合いに呼ばれていたのだなと、恭也は思う。

「それにしても……」

周囲を見渡しても廃屋や廃車などの殺伐とした風景が広がるのみ。
家屋は倒壊寸前で中に入っても何か役に立ちそうな物があるとは思えず、身を潜める事も出来そうに無い。
どう見てもこの廃村で得られる物は何一つ無いように思えた。
もし廃墟マニアなら涙が出る程嬉しい場所かもしれないが、
生憎恭也は廃墟マニアでは無かった。

近くの廃屋の壁にもたれ、デイパックの中から地図とデバイスを取り出す。

(今いるのはエリアG-1……ここか。やっぱり廃村地区……地図のかなり端の方だな。
北に真っ直ぐ進めば、街に出れるのか)

現在位置を確認し地図と照らし合わせる。
そして街にこれからの行き先を定め、地図とデバイスをデイパックの中にしまい込む。
市街地であれば人も集まりやすく、何かしら物資もあるだろう。

「よし……行くか……」

デイパックを背負い、ランタンを翳し道を照らしながら道を進み始めようとした。
だがその時。

ガンッ!!

「ぐあっ!」

突然、恭也の後頭部を鋭い衝撃が襲う。
思わずその場に昏倒する恭也を、更に何度も衝撃が襲い掛かる。
何度も何度も何か細長い、しかしそれなりの強度を持った棒状の物で殴打されている。
353SILENT HILL ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/17(日) 22:16:19 ID:quLiO+kK
「や…め……!」

とにかく頭部を両手で防御しながら自分を攻撃している襲撃者に訴えるが、
当然襲撃者がそれに耳を貸すはずも無い。
身体中を襲う激痛。このままでは殺される。
この襲撃者は確実に自分を殺す気でいる、何とかしなければ殺される。
恭也は右手に持ったチップカットソーのスイッチを入れた。
そしてそれを襲撃者のいる方向に思い切り薙ぎ払いを掛けた。

「ぎゃあああああっ!!」

若い男の悲鳴、そしてガリガリガリと回転鋸が何かを切り裂く嫌な音、手から伝わる確かな手応え。
ほぼ同時に、攻撃が止んだ。
身体中の痛みに耐えながら、恭也は顔を襲撃者の方に向ける。

「ぐあ……あ……っ」

両手で胸元を押さえながら苦しみ呻き声を発する、
服装からして恐らく自分と同年代の高校生の少年。
だがその頭部は尖った耳に長いマズル、銀色の毛皮に覆われ、
ズボンの腰の部分からふさふさの尻尾が生えていた。
それは恭也が知る限りでは、開催式の時に見たこの殺し合いの主催者・セイファートと同様、
空想上の生き物であるはずの狼男――獣人であった。
普段の日常であれば非常に驚くだろうが今はそんな事どうでも良かった。

ブレザーを着込んだ狼少年は真っ赤な鮮血が滴り落ちる胸元を押さえながら、
眉間に皺を寄せまさに獣の形相で恭也を睨み付ける。
威嚇するかのように鋭い牙を剥き出しにする狼少年に恭也はたじろぐ。
よく見れば右手に火掻き棒を持っていた。どうやらあれで殴られたようだ。
再びチップカットソーのスイッチを入れ、回転音を唸らせる刃を狼少年に向ける。

「っ……」

高速で回転する円形の鋸刃を見て気圧される狼少年。
それを見てここは押すべきだと判断した恭也は脅すようにチップカットソーを突き出す。
しばらくお互い睨み合いをしているだけだったが、
やがて狼少年が自分の方が不利だと判断したのか、舌打ちし、
傷口を押さえながら走って逃げて行った。

「いっ……てぇえええ……」

狼少年がいなくなった後、恭也の身体中を再び激痛が襲う。
殴られた腕を見ると見事に線状に青痣が出来ていた。恐らく衣服の下も同じだろう。
動けない程でも無いし我慢出来ない程でも無いがかなりの激痛である事には変わり無い。
354SILENT HILL ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/17(日) 22:17:20 ID:quLiO+kK
「ランタン、壊れちゃったな…」

狼少年に奇襲された際にランタンは落下し、破損してしまい最早使用不可能。
スタート時より明るくなってきたとは言え、まだかなり暗い。
無闇に暗い場所を歩くと道に迷う可能性もある。

(明るくなるまで…せめて肉眼で道が見えるようになるまで待つしかないか……)

無理はせず明るくなるのを待つ事にした恭也。
適当な廃屋の壁に寄り掛かって座り、ふぅっと深く息を吐く。

「何でこんな事になっちゃったんだよ……」

そして自分が今置かれている殺し合いという状況に、愚痴をこぼした。



廃村の外れの林の中。
息を切らして走ってくる、ブレザー姿の狼獣人の少年――神田修次。
呼吸を整えながら速度を落とし、やがて立ち止まる。

「ぐっ…」

胸元には真一文字の傷が出き、ネクタイが切断され、
傷口からかなり大量の血液が流出していた。
苦痛に顔を歪める修次は、自分にこの傷を負わせた先程の自分と同年代と思われる人間の少年に対し怒りを露わにする。

「くそっ…あの野郎……」

傷口がズキズキと痛む。
幸い出血の割には傷は浅いようだが、鋸の刃で切り裂かれた傷口は果たして上手く治癒出来るかどうか。

「……まあ、最初に襲ったのは俺なんだけどさ。
やっぱ、火掻き棒じゃ大したダメージ与えられねぇな…畜生、主催者の奴、
本気で殺し合いさせたいならもっとマシな武器よこせよ」
355SILENT HILL ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/17(日) 22:18:40 ID:quLiO+kK
その怒りは自分に支給された火掻き棒に、
そしてこの殺し合いの主催者にまで向けられる。

「ん、そう言えば……」

何かを思い出し、傷の痛みを我慢しながら自分のデイパックを漁り始める修次。
そして取り出したのは薬草のたっぷり詰まった袋。
それは修次がこの殺し合いにおいて初めて殺害した参加者から奪った支給品の一つ。

「これ、効くのかな。えーと、使用方法は……食べればいいのか?
うわ、まずそうだな、オイ」

薬草の外見は普通の緑色の葉っぱ。
これを食べろというのは、完全に野原に生える雑草を食べるような気分である。
修次は狼獣人。当然肉食である(一応野菜も食べるが)。
しばらく手にした薬草を見詰めて立ち尽くしていた修次だったが。

――意を決して口の中に放り込む。

そして咀嚼ッ……!

「成程成程……まっずいなあ〜〜〜〜」

予想通りの味だったようだ。


【一日目/黎明/G-1廃村】

【須田恭也@SIREN】
[状態]:肉体的疲労(中)、身体中にダメージ(大)、右上腕に切り傷
[装備]:チップカットソー@自作キャラでバトルロワイアル(バッテリー残量:89%)
[所持品]:基本支給品一式(ランタン破損、放棄)、流血@浦安鉄筋家族(200粒入り)
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。そのためにも仲間が欲しい。
1:明るくなるのを待つ。その後街へ。
2:傷の応急処置を済ませたい。
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、駐在警官に撃たれ川に転落し、
意識を失った直後からの参戦です。 従って幻視能力は目覚めていません。
※ランタンを破損、放棄しました。


【一日目/黎明/G-1廃村東北外れ】

【神田修次@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(中)、胸元に真一文字の切り傷、薬草の効果により治癒能力増大中
[装備]:火掻き棒@SIREN
[所持品]:基本支給品一式、薬草@オリジナル(消費中)、
蜘蛛糸玉@オリジナル(3)
[思考・行動]:
0:優勝を目指す。他参加者を殺す。
1:うう〜〜んまっず〜〜〜い(泣)
2:もっとマシな武器が欲しい。
356 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/17(日) 22:20:15 ID:quLiO+kK
投下終了です。
357幸運は2度も続かない ◆6LQfwU/9.M :2010/01/17(日) 22:40:49 ID:RgvxPlvf
「…うー、頭が…」
頭を抱え立ち上がる下痢。
(さっき投げ飛ばされた時、気絶したみたいだな…)
辺りを見回すが、さっきの男はいない。
カウンターを出て、他の部屋も見るが誰もいない。
仕方なく出口に向かい、外に出ようとするが…ドアが開かない。
「…開かない!くっ、さっき気絶してる間に閉められたんだ…」
鍵を開け、ドアに手をかけるが、開かない。
「鍵だけじゃないのか…壊すために体力を消費しても意味は無いなあ…」
渋々カウンターの方に戻るが、その時ある物が目に止まる。
それは…従業員用入り口だった。

「あいつも、ここを封鎖しておくのを忘れていたんだな…まあ、好都合だ」
通路を通り、非常階段を降りる下痢。
冷たい風が時折強く吹く。
「寒いなあ…それに高いし…これを降りるのはひと苦労だなあ…」
早足で階段を降りる。
はるか下の地上目指して、どんどん降りて行く。

「あれで暫くは出られないはずだ。」
ビルの上方を眺め呟くスネーク。
(だが…従業員用の入り口を封鎖していなかった…失敗したな)
だが、スネークは妙な違和感を覚える。
ビルの入り口が…増えている。
一番左の入り口だけ、他の入り口とまったく違う。
スネークは警戒しながら、その入り口に近付く。

中は意外と広く、そしていたるところに金色のデイパックがある。
「…武器でもあるんだろうか…一応1つ開けてみるか…」
中からは…透明に透き通った剣が出てきた。
(…ガラスで出来ているようだな…もう一つ…)
中から…またデイパックが出てきた。
(な…開けるか)
中から…巻物のような物が出て来た。

ガラスのつるぎと巻物を持ってコンビニの外に出るスネーク。
「何だこれは…パルプンテ…?」
その時…回りの景色が歪んで…!
気づいた時には、見知らぬ場所に立っていた。
「一体、何なんだ?」
358幸運は2度も続かない ◆6LQfwU/9.M :2010/01/17(日) 22:42:22 ID:RgvxPlvf
【一日目/早朝/D-3:丘:頂上の東屋】


【ソリッド・スネーク@メタルギアソリッドシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ダンボール箱@メタルギアソリッドシリーズ、ガラスのつるぎ@板対抗BR
[所持品]:支給品一式、全自動卵割り機と卵(3/5)@ニコニコ動画
[思考・行動]:
1:何だ…?


【一日目/黎明/E-6:ビル18F:非常階段】


【下痢@板対抗BR】
[状態]:健康、「ふうのしん」発症(65%)
[装備]:火掻き棒@SIRENシリーズ
[所持品]:支給品一式、「ふうのしん」の枝@かまいたちの夜
[思考・行動]:
基本:絶対死にたくない。
1:頑張って階段を降りる。

≪支給品紹介≫
【ガラスのつるぎ@板対抗BR】
威力7の近接武器。
その名の通り壊れやすく、1回や2回の攻撃で壊れる。
359燃料が無いと ◆6LQfwU/9.M :2010/01/17(日) 22:52:38 ID:RgvxPlvf
「結局、めぼしいものは見当たらずに時間だけが過ぎたか…」
山の中の古びた道路をゆっくり走るヴァン。
道が細く、脱輪しないように走っているため歩くのと同じようなスピードにまで落ちている。
(山を越えて行くと…道路に出る。道路に出れば高層ビルと病院が見えるようだな。)
思った通り、道がだんだん新しくなっていく。

街の中を走り抜けるヴァン。
だが、その時急にべんつが失速する。
「…故障か?」
だが、すぐにそれが間違いだと気づく。
ガソリンが、もう無いようだ。
(ガソリンが切れたか…ガソリンを補給しないとな…)
だが、近くにはガソリンスタンドは無い。
「ガソリンを…探さないとな」

【一日目/早朝/F-7:街中】


【ヴァン・ダークホーム@本格的 ガチムチパンツレスリング】
[状態]健康
[装備]:
[所持品]:支給品一式、不明支給品、蟹(鎌田吾作)@本格的 ガチムチパンツレスリング
[思考・行動]:
1:ガソリンを探さないと…
※F-7にガソリンが切れたべんつ@板対抗BRが放置されています。
360 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/17(日) 22:53:26 ID:RgvxPlvf
投下終了です
361 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/17(日) 23:54:46 ID:D5jLfhz9
両者とも投下乙です

24ロワ第14話投下します
362雪歩EXと殺せない苛めっ子 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/17(日) 23:57:07 ID:D5jLfhz9
「…………っ!!」
路上に座り込んで名簿の確認をしていると、突然背後から何者が動く気配を感じた。
萩原雪歩は動揺しながらも素早く後方に振り向き、ポケットの中に仕舞った武器を不安げに握りしめた。


          ´: /二二二二二`丶
        /: : :.:/ : : : : : : : : : : : : : : : \
      /: : : : :/: :/: :/: : : : ハ: : :ヽ: :\: \
.     /: : : : :,' : /: : {: : : : :ノ:ハ : : }: : : } : : ヽ 警戒する必要などないわ
     ': : :i: : :{__/ー┘ ̄ ̄    ̄`ヽノ:j: : : : '
      |: : :l: : :|    _ノ~   ヽ    W: : : : |  妾は主催者の言いなりにはならんからな
 ∧___j: : :| : l:| ___..二     ニ.._ !: : : !:W
 |    | .: ;レ:.八  弋::::ノ    弋::ノ `ハ: : :N
 `ー一'| : { ( ̄    ¨       ¨   ': :レ'┘
      |: :{\ノ           '    {: :|
     |: :\: ーヘ.   r、___    ,' : |
     |: : : :Y⌒゙ト 、  `ー -'´  イ: : :|
.      ,': : : /|  |  >  __ , イ  .|l : : |
     /: : : /│  |      /: : |   |: ∧|
.   /: : :_/ -|  |       {rヘ|   |:│ |
   /x<::::::::::L___j _      \{__ト│ |
  /  ヽ ::::::| : : |   ヽ.  /  ̄|: : :|:::}`\
. /      Y⌒| : : |〜ー─-〜─|: : :|ー|  ヽ


振り返ると、にたにたと、妙にずる賢そうな笑みを浮かべた少女が立っていた。
武器は何も持っていないようだが、やはり油断はできない。

「……な、名前はなんていうんですか?」
怯えながらも、なんとか接触を図ろうと、雪歩は震えた声で名前を尋ねる。
「くくく……声が震えておるではないか。妾は御厨ナギと申す者じゃ。そちの名は?」
「私は、萩原雪歩と言います……名簿には、何故か私の名前が二つ載せられているんですが……」
「同姓同名の者でも参加しているのかの。なんにせよややこしい事じゃな。
 して、そちはこれからどう行動するつもりじゃ?妾を殺すつもりかえ?」
雪歩は血相を変えて、ぶんぶんと首を振った。
「そ、そんな事しません!私は、ただ怖くて怖くて……これから何をするかなんて、正直言って何も考えていません」
「ずいぶんとヘタレな女じゃの。知り合いは参加しておるか?妾の場合は何人かいるのじゃが……」

知り合いなら何人も参加している。雪歩は新日暮里消防署の事務員として働いている。
同じ消防署の消防員達が、何人もこの殺し合いに参加しているのだ。

「はい。私も、知り合いは何人も参加しています」
「やはりそなたもか。となると、いくら臆病なお主でも彼らを探したくはない、という事はなかろう?」
「はい……それは勿論」
その答えを聞いて、ナギは一層薄ら笑いを強くした。何がおかしいのか、雪歩には分からない。
「妾も同じ気持ちじゃわ。やはり妾とはいえ一人のか弱き女。この殺戮ゲームで一人で行動するのはあまりにもリスクが高すぎるわ。
 そこで、知り合いでも誰でも良いから、誰か頼れる者を探そうと思っておるのじゃ。
 どうかの?妾とそなた、知り合いを探したいという点で思いは同じ。ここは一つ、協力して仲間達を探してみんか?」
「…………それは、願ってもない話です」
断る理由などどこにもなかった。


「ふぅむ。纏めるとこうかの。知り合いはこれだけか?」

ナギが名簿を差し出す。雪歩の知り合いの名前の横に、丸印がされている。
丸印があるのはビリー・ヘリントン、木吉カズヤ、鎌田呉作、城之内祐二、いかりやビオランテ、
TDNコスギ、トータス藤岡、クリームシチュー池田、オーウェン定岡の9名。
彼らの外見的特徴などは、すでに雪歩から聞いている。
代わりにナギの方も、雪歩にクラスメイト達の名前と特徴を教えている。
363雪歩EXと殺せない苛めっ子 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/17(日) 23:59:10 ID:D5jLfhz9


「妙な名前の奴らばかりじゃのう。しかも全員男とは。そちの交友関係が気になる所じゃな」
ナギは、ひひひと馬鹿にしているような含み笑いをした。雪歩はそんなナギを無視して話を続ける。
「この内、TDNさんという方は、どうも変な方で、正直言って……もしかしたら危ない人かもしれません」
「もしかしたら、かもしれませんか。もう少し信用できる情報をないのかえ?」
「すいません……私は、TDNさんを含めて、この9人とはそんなに親しい仲ではないので……」
「ひひひひひ……まあ良いわ。十分じゃわ。さて……」

ナギはおもむろに、雪歩からは見えない太ももの辺りに、手を伸ばした。
スカートのポケットに手を突っ込み、中に入っているスタンガンを大事そうに握りしめた。

「ところで雪歩よ。そちの支給品はなんじゃ?妾はアルコールじゃ。外れなのか大外れなのか判断に苦しむのう。
 まあ、使い道がない事はないがの……」
小瓶をひらひらと雪歩の目の前にかざすナギ。この小瓶、実は中身はアルコールではなく、毒薬である。
説明書によると、何か飲み物にでも盛れば、人一人を十分に殺せる程強い毒であるらしい。

「私の支給品は、これです」
雪歩はポケットから何か小さなものを取り出して、ナギが座る目の前にぱらぱらと置いた。
数えてみると、10個ある。これは何だろう?とナギは目を丸くした。
「爆竹です。それと、この……木の棒が一つ」
隣に寝かせてあった木の棒を雪歩は手に取る。それは棒というより、むしろ枝だった。
探せばすぐにでも見つかりそうな、何の変哲もない木の枝だ。言うまでもなく外れ支給品である。

「かかかかか!そちも運がないの!」
「…………はい」
俯く雪歩を見て、ナギはますます大笑いした。これは幸先いいのう。
ナギは爆笑するのをやめて、普段のにやついた笑いに戻った。

(情報は頂いた。相手が無力であることも確認した。これでもうばっちりじゃな!
 ゲーム開始早々にして、24時間ルールとやらのノルマ達成じゃ!萩原雪歩め。
 妾がゲームに乗っていないというのは大嘘じゃ。そなたの間抜けっぷりをあの世で悔いるがいいわ)

ナギはポケットの中のスタンガンを握る。説明書によると、これの電撃を食らわせれば、
大抵の人間はそのまま気絶してしまうらしい。気絶さえさせられればもはやこっちのものだ。
あとはいくらでも殺しようがある。

「いやいや、笑ってすまなんだわ。さて、粗方情報交換も済んだ事だしの。
 そろそろ知り合い達を探しに行くか。ここでこれ以上油を売っている暇などないわ」
「そうですね……」
ナギは名簿やメモ帳などをデイパックしまっていく。それを見て、雪歩をテキパキと出発する用意を始めた。
雪歩の方が若干早く準備を終えて、デイパックを背負って立ちあがった。
ナギもまた、デイパックを右手に持ち、立ち上がろうとしている。
左手はスタンガンの入ったポケットの中に収まっている。

ナギの両目が殊更に鋭くなる。立ち上がり様に、奇襲を仕掛ける。それでお終いだ。

────その時だ。

「ナギさんっ!危ないっ!」
「ええッ!?」
突然、雪歩は立ちあがる途中のナギに飛びついて来た。
「そ、そなた……何を」
ナギはタックルを食らった衝撃でバランスを崩し、雪歩と共に盛大に転んでしまった。
364雪歩EXと殺せない苛めっ子 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/18(月) 00:00:49 ID:/XjQOvyO

共に転んだナギと雪歩の頭の上を凄まじいスピードで何かが通り過ぎて行った。
今のはなんじゃ!?何かがいる!?ナギは転んだ状態のまま、急いでスタンガンを取り出した。
そして立ちあがると同時に、ナギは思わず息を飲んだ。彼女が今まで背を向けていた方向に何者かが立っていた。
身長190pはゆうに超えるだろう大男。着物のような服の上からでも、その肉体が鍛え抜かれている事が良く分かる。

その男は、僅かに血糊が付着している馬鹿長い刀を自身の目の前でゆるゆると振って、刀の感触を確かめている。
馬鹿長い長刀を装備した着物姿の鍛え抜かれた大男。見るからに異様な光景だった。

「よう作りこまれておるな……かつて小次郎が扱った物干し竿の名を借りるだけの事はある……
 このがくぽが振るに相応しい刀じゃ……」
「〜〜〜〜〜ッッ!! このドグサレがぁッ!!」
初めはついビビってしまったが、ナギの気の強さは半端ではない。
この大男のせいで雪歩を仕留め損ねた事に、彼女はいきり立つ。
だが、怒鳴った事によってがくぽにじとりと睨みつけられ、ナギの怒りは一瞬で収まりすぐに後悔に変わる。
彼女の足もとで、まだ地面に座り込んでいる雪歩がナギの片足に縋りついて恐怖でガタガタと震えている。
怖い怖い怖い怖い……!!

「小娘。お前はこの遊びに乗っておるのか?」
「そ、そちは乗っておるようじゃの……」
「わしはそなたに聞いておるのじゃ……!何か答えてみよ。乗っておるのか乗っておらんのかという事でなくとも構わん。
 何でも言いたい事を申して、わしの機嫌を買って命を繋いでみるが良い」
ナギは普段のにやついた笑みを浮かべたまま、しばらく固まってしまった。
さて、なんと言ったものか。乗っていないと答えれば即切られそうな気がするし、
かといって乗っていると言っても切られそうな気がする。

「ふ、ふふふ……何をどう言っても次の瞬間には殺される気がするのう……。恐ろしい殺気じゃわ」
「くくく。分かっておるではないか。しかしほれ、そこは人の世の情けというもの。
 最後に何か一言言い残す機会を与えてやるわしの慈悲、無駄にするでないぞ。
 そこの娘も同様じゃ。何か言い残したい事があるならば、このがくぽが耳を貸してやろうぞ」
がくぽが何の前触れもなく雪歩に話を振ったので、彼女はびくりと一瞬強く身を震わせた。
「な、ナギさ〜〜ん……」
一層強く、ナギの足に抱きついた。
「ええい!鬱陶しいわ!」

(おのれ……おのれ……!こんな時代錯誤なドグサレに妾が殺されてなるものか!
 このヘタレ女から情報を奪うなどと考えずに、さっさと殺してこの場から離れてしまえば良かったわ!)
ナギは自分の足に縋りついて震えている雪歩を睨みつけた。
(こうなったのも全部ぜ〜んぶ貴様の所為じゃ!死んでも許してやらんから覚悟せい!)

「逃げようなどとという考えは起こすでないぞ。うぬらは二人とも我が刃の死の間合いに入っているが故、
 逃げられる道理は全くないぞ。大人しくしていれば、苦痛を感じる間もなく貴様らの息の根を止めてやる。
 さて、では……言い残したい事はないようじゃし……」

パチンとがくぽの右手の中で刀が反転し、刃がナギと雪歩の方を向く。
さすがのナギの目にも、恐怖で涙がじわりと浮かぶ。
がくぽは狂気の笑みを浮かべて、筋肉を硬直させて、そして────

────タァンッ!

「はっ……?」

刀をナギと雪歩に振り下ろそうとした瞬間、何か激しい轟音がして何故かがくぽは倒れた。
ナギは呆けた顔で目の前の光景を何度も確かめるように凝視していた。
ふと、雪歩の様子が気になり視線を下に向けてみると、驚いた事に彼女の手には、
銃口から煙を吹かせている拳銃が握りしめられていた。
365雪歩EXと殺せない苛めっ子 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/18(月) 00:03:31 ID:/XjQOvyO

「お、お主が……」
ナギはがくぽが倒れた原因は雪歩にある事を理解した。雪歩は未だにナギの足を抱いて震えている。
しかし突然、彼女は悲鳴を上げながらナギの足もとから立ちあがり、弾かれたようにどこかへ逃げて行った。

「きゃあああああああああああああ!!!」
そんな雪歩を魂が抜けたかのようにぼうっと眺めていたナギは少しして漸く我に返り、
「……まっ、待たんか雪歩!そなた、支給品は爆竹と木の棒だけだと言っておったではないか!何なんじゃ!その銃は!」
と言いながら、彼女を追いかけて行ったとさ。

▼ ▼ ▼

「うわああああん!!怖かったですぅ、ナギさあん!」
「やかましい!!」
逃げ回った後、涙を浮かべて縋りついてきた雪歩をナギはひっぱたいた。

「どういう事じゃこれは!!そなたが拳銃を持っておったなど、妾は聞いておらぬぞ!」
「ご、ごめんなさい……でも、やっぱりナギさんは初対面なんで、警戒しておいた方がいいと思ったんです。
 こんな状況で、初対面の人の前に拳銃を出すなんて怖くて出来ませんっ……別に悪気はなかったんです……」
騙された怒りに燃えるナギに大真面目に謝る雪歩。何はともあれ雪歩のおかげで助かったのだから、
雪歩がナギに謝る必要などないと思うのだが、そこはやはり傲慢にして暴虐武人なナギの事。
隠していた雪歩を必要以上にせめて、謝罪を強いてくる。自分も毒薬をアルコールと偽っているというのに、自分勝手な女である。

「全く、妾ともあろうものが本気で死ぬかと思ったわ。拳銃があるならあると初めから言っておれば、
 あれだけ惨めな醜態を晒さずとも済んだものを……!あの木の棒はどこから持って来たのじゃ?どこかで拾ったか?」
「は、はいそうです。ほんとにごめんなさい。…………っっ!」
雪歩は手首を抑えて、顔を歪めた。かなり痛そうだ。

「どうしたのじゃ?」
「銃を撃った反動で、痛めたみたいです……」
反動程度で手首を痛めてしまうものなのか?と少々疑問に思いながら、
ナギは雪歩の痛めた手首を不思議そうに眺めた。つんつんと指先で突いてみる。

「あっっつっ!」
「そんなに痛いのかえ?」
「痛いですよ!」
「ふむ。もしかしてまた何か妾を騙しているのではなかろうな?寛大な妾といえど、二度目の嘘は絶対に許さぬからな」
「じ、銃を隠していた件については何度も謝ってry」
「やかましい!妾は寛大じゃが根に持つタイプなのじゃ!
 とはいえ、痛いというのはどうも本気らしいようじゃの」

ナギは本気で痛そうにしている雪歩をじっと眺めた。殺そうとした女に助けられてしまった。
その事実が、ナギのプライドを妙に傷つけてくる。

さっきの騒動を共に経験したおかげと言うべきかの。雪歩は妾に対する警戒を薄めた様じゃ。
ここでさっきのようにスタンガンで雪歩を殺してしまうのは簡単じゃが……。
さっさと殺して拳銃を奪い、足手纏いのウスノロ女から離れるのが、
優勝するにおいては一番理にかなった行動じゃろうが……しかし。

「妾はそなたがどんな負傷を負ったのかよく分からんのだが、とりあえず水で冷やせばなんとかなるじゃろうか?」
「え……えと、そうですね。多分、手首を捻挫したんだと思います。だから、冷やすのはアリだと思います」
「なるほどそうなのか」
そう言って、ナギはいそいそと自分のデイパックから水の入ったペットボトルを取り出して、
不器用な手つきで雪歩の痛めた手首にかけてやった。雪歩は目を丸くして、
水で冷やされている手首と一生懸命なナギとを交互に見た。そして、くすりと微笑んだ。
366雪歩EXと殺せない苛めっ子 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/18(月) 00:05:28 ID:/XjQOvyO

「な、ナギさんって辛辣な言い方ばかりしますけど……意外と優しい所あるんですね」
この台詞にナギがカチンときたのは言うまでもない。
「あ、アホか!妾はただ命を助けられた借りを返したまでじゃ!別にそなたに優しゅうしておるわけではないわ!」
いつの間にか空になっていたペットボトルで雪歩を殴った。空なので別に痛くはない。

「ご、ごめんなさい!ナギさん!もう言いませんから!」
「あああ!ペットボトルが丸々空になってしもうたではないか!貴重な水が!
 今更じゃが、妾はなんて勿体ない事をしてもうたんじゃ!
 何もかも全部貴様の所為じゃ!妾のペースを乱しおって!」
あまりにも今更過ぎる。そもそも、ペットボトル一本の水で雪歩の手首が冷えるわけもなかった。

【一日目/深夜/D-5】
【萩原雪歩@本格的!ガチムチパンツレスリング】
[状態]:健康
[装備]:爆竹×10、拳銃
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本方針:知り合いを見つける

【ナギ@やる夫スレ常連】
[状態]:健康
[装備]:スタンガン、毒薬
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個、ペットボトル一本消費)
[思考・行動]
基本方針:優勝する。ステルスマーダー的に行動する

▼ ▼ ▼

路上に倒れ伏した男の肢体が、ぴくりと動いた。足の指先から頭の天辺まで、
痙攣のように身を震わせた後、男はがばりと体を起こした。神威がくぽである。
彼は死亡してはいなかった。

いくらがくぽが恵まれた体格を持っているとはいえ、銃弾をくらって生きていられるような人間がこの世にいるのだろうか。
いるはずがない。どれだけ強くなろうとも、人間は人間の限界を超えられない。
となると、がくぽが未だに生存している事は、本来あり得ない事である。
何故彼は生きているのか。銃弾をくらってなお、何故彼は生きていられるのか。
さて、そもそも彼は本当に銃弾をくらったのだろうか。
367雪歩EXと殺せない苛めっ子 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/18(月) 00:07:10 ID:/XjQOvyO

「おのれ。口惜しや口惜しや」
がくぽは座り込んで、ぶつぶつと呪いの言葉を吐いた。
「あの小娘。拳銃を隠し持っておったとは……鞘で銃弾を受け止めなければ、わしとはいえ今頃は……」
がくぽは銃弾が突き刺さっている長刀の鞘を凝視した。

がくぽは着物姿であるから、武士さながらに腰に鞘をさしておく事が出来る。
結果から言うと、腰に差しておいた鞘ががくぽの命を救った。
右手に握りしめた刀をナギと雪歩に振り下ろそうとした瞬間、
雪歩がいつの間にか懐から取り出した銃をこちらに向けていたのが目に映った。
その映像を見て、がくぽの左上は電速的な凄まじいスピードで反応し、腰にさした鞘を握って、
飛来してきた弾丸を体に当たる寸前の所で鞘で受け止める事に成功した。

鞘で受け止めてもなお、弾丸の衝撃は凄まじく。がくぽは今まで気絶していたというわけだ。
それにしても、恐るべきはがくぽの身体能力である。銃弾を鞘で受け止めるなど、がくぽの他に誰が出来ようか。

「おのれ小娘どもめが……口惜しや……」

ナギと雪歩への憎悪を燃やして、時代錯誤な剣鬼は立ちあがる。

【一日目/深夜/C-5】
【神威がくぽ@ボーカロイド】
[状態]:健康
[装備]:物干し竿(刀)
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本方針:優勝する
1:ナギと雪歩を憎悪
368 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/18(月) 00:12:28 ID:/XjQOvyO
投下終了。そして雪歩の状態表を修正。

【一日目/深夜/D-5】
【萩原雪歩@本格的!ガチムチパンツレスリング】
[状態]:健康
[装備]:爆竹×10、回転式拳銃S&WM19(残弾数?)
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本方針:知り合いを見つける
369 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/18(月) 22:57:16 ID:Pr4L6fof
投下乙です。がくぽってこんなキャラなのか…。
それでは自分も個人趣味ロワ42話「夢のまた夢」投下します。
登場:レイ・ブランチャード、牛山サキ
370夢のまた夢 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/18(月) 22:59:03 ID:Pr4L6fof
42話「夢のまた夢」

私、レイ・ブランチャードが銃に興味を持ち始めたのはいつ頃だっただろうか。
そうだな、確か5歳の時には既に前装式と後装式の違いを知っていた。
10歳になる頃にはリボルバー拳銃、オートマチック拳銃のノウハウ、扱い方をマスター。
14歳で初めて銃を自作、そして今では……恐らく大抵の銃器は扱えると言える。
それもこれもガンナーだった父の影響だろうな。

「重たいな……」

エリアD-1の市街地、とある空き地にて、私は自分に支給された武器の一つ、
超大型リボルバーの「フェイファー ツェリザカ」なる物を試し撃ちしようとしていた。
しかしこのツェリザカ、かなり重い。重過ぎる。こんな重量のある物を「拳銃」と呼んでいいのだろうか。
様々な銃器の名称や外見を知ってはいたがこれは初めて見た。
弾薬の薬莢の長さ、つまり発射薬の量、これはライフルの弾とほぼ同等だぞ……。

まあともかく撃ってみない事には何も始まらないな。
目の前のブロック塀に向け、向け、て……お、重い! 構えて保持するだけでも一苦労だ!
いかん、これは反動半端じゃないかもしれない。

しっかり構えて……引き金を、引いた。


ドゴオオオン!!


爆発音のような音と共に着弾地点のブロックが粉々に粉砕された。
確かに反動がきつい、が、思っていた程では無い。
しっかり保持してさえいれば何とか抑え込めるぐらいではあるな。
威力も高いし使用する価値は十分にあるだろう、が……主力には出来ないな。
使い勝手ならばもう一つの支給品であるオートマチック、Cz75の方が良い。

ツェリザカをデイパックの中にしまい、腰紐に差し込んでおいたCz75を装備する。
さっきの銃声で殺し合いに乗っている奴に気付かれたかもしれない。
とりあえずここを離れよう、そうだな。どこに行くとするか……。

……ん?
371夢のまた夢 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/18(月) 23:00:45 ID:Pr4L6fof
◆◆◆


……いつの間にか周りは民家やお店が建ち並ぶ閑静な住宅地。
私が人殺しを犯した森は、背後の遠くの方に広がってる。随分歩いたなあ。

私は――私はアイドルになりたかった。だから色々頑張ってきたけど、
結局何も実らず、一人のファンも出来ず、サインも求められず、
やっとサインを求められたと思ったらそれは連帯保証人の書類で、
言われ無き800万円以上の借金を背負う羽目になる。当然私はそんな大金持っていない。
出したCDも全く売れないし、久々に里帰りしたら両親のやってる弁当屋が潰れていたりして。

別に悲劇のヒロイン気取る気は無いけどかなり悲惨な目に遭ってるよね私。

そして今度は殺し合いと来た。もう、最悪を遥かに通り越してるよね。
知り合いが一人も呼ばれて無いのは良かったけど。
私の右手には鋭利なコンバットナイフ。これで知らない男を一人殺した。
でも、大丈夫だよね? これは殺し合い。それがルールなんだから、誰も咎めたりなんてしないよね。
私はまだ死にたくない。最後の一人にならなきゃ生きて帰れないって言うなら、
そうしてやるわよ。

ドゴオオオン!!

「! な、何!?」

突然爆発音のような音が周囲に響いた。
思わず地面に伏せる私。

「………」

しばらくして、何とも無い事を確認すると、辺りを気にしながらゆっくりと立ち上がった。
一体何だったのさっきの音は、しかも結構近くから聞こえたような気が…。

「あ…」

前方の工事用の塀に囲まれた場所から他参加者の姿を見付けた。
何だろう、どうやら女の人みたいだけど、まるでRPGの世界に出てくるような格好をしている。
凄いいいスタイル、私もあんなだったらなあ。
どうやらまだ私には気付いて無いみたい、殺るなら今…!
私は女性に向かって無言で走って近付き、コンバットナイフを振り被った。
1、2メートル手前で女性が気付いたけども、この間合いならもう私のもの。
コンバットナイフを思い切り振り下ろし、女性の首に刺さ――らない。

「えっ」

コンバットナイフを持った私の右手は女性の左手で受け止められていた。
と同時に私のお腹に何かが押し当てられる。
顔を下に向けて見てみると、女性の右手に握られた黒っぽい――。
372夢のまた夢 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/18(月) 23:02:39 ID:Pr4L6fof
ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ!!

え?
何、今の音…え…何、何だか、お腹





うあああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

「ごぼっ、があ、あああああああ、痛い痛い痛い痛いっ痛いよおおおお」

血が、血が止まらない、止まらないよ!

ちょっと待って、そんな、痛い、痛い、痛いっ、あ、足から力が抜けっ、てっ

死、ぬの? わ、た、し、死ぬの??? い、嫌だ、死に、たくない、

嫌、嫌、嫌、お願っ、いい、だ、誰、かっ、た、す、けてっ助け、て。

い、いった、わたしが、何、した、て、言う、の? ねっえ、ど、してっわ、た、しがっ、こ、んな、目に、いっ、

助けて、助けっ、て、マネージャー、社長、お父さん、お母さん、だっ、誰で、も、いい、からっ。



もう、ア、イドルに、なん、て、なれ、なくて、も、いい、か、ら、生き、たい、よ



ドンッ!!


◆◆◆
373夢のまた夢 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/18(月) 23:05:35 ID:Pr4L6fof
――何も殺す事は無かっただろうか。しかしこの女は間違い無く私を殺す気でいた。
始めからそのつもりだったのか、それとも錯乱でもしていたのかは知らないが…。

腹に五発、頭に一発、Cz75の9ミリパラベラムを撃ち込んでやった。
腹部に受けた時点で女は苦しみながら撃たれた所を両手で押さえ地面に膝を突いた。
そして止めに頭を撃ち抜いた。見事に貫通部分から脳漿が噴出したな。
今までエンカウントモンスターの頭部を撃ち抜いた事は何度もあるが、
人間は……初めてだ。良い気分はしない。当然か。

気が引けるが、女の持っているデイパックの中身を調べる。
女が使ったコンバットナイフ以外にランダム支給品は無いようだ。
水と食糧、そしてナイフを貰っておこう。

「……すまんな」

地面の上に横たわる、最早頭部が直視出来ない程損壊した女の死体を見下ろしながら言う。
この女もこの狂ったゲームの犠牲者の一人、自分の日常があっただろうに。
最も、人生を終わらせたのは、私だが。

それでは当初の目的、これからの行き先を考える事に戻ろう。
地図によれば東に行けばホテル、南に行けば繁華街になるらしい。
仲間集め、及びリックの捜索をこなすためにはどこへ行くのが良いか。
それに、数時間前に拾った、惨殺された少女の首輪もよく調べたい。
上手くすれば首輪解除のヒントにも成り得る。

「…さて…これからどこに行くべき、か」


【牛山サキ@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和  死亡】
【残り  35人】
374夢のまた夢 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/18(月) 23:07:08 ID:Pr4L6fof
【一日目/黎明/D-1市街地】

【レイ・ブランチャード@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:Cz75(10/15)
[所持品]:基本支給品一式、Cz75の予備マガジン(5)、フェイファー ツェリザカ(4/5)、
600NE弾(10)、コンバットナイフ、牛山サキの水と食糧、西川のり子の首輪
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。ゲームの転覆を目指す。
1:これからどこへ行こうか。
2:リックを探す。同時に仲間も集める。
3:拾った首輪を調べる。
4:殺し合いに乗っている者には容赦し な い 。


※D-1に銃声が響きました。
※D-1市街地に牛山サキの死体とデイパックが放置されています。
デイパックの中身=水と食糧抜きの基本支給品一式
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
投下終了です。牛山サキは不幸な一生を終えた…。
ところでこのスレは500KB超えるとアウトなんだっけ?
375悪夢 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/19(火) 23:40:14 ID:/BLfwxHz
何とか病院に付き、病室を物色するめろりん。
(消毒液とか…包帯とかあればいいかな…でも、骨折とかしたら…)
とりあえず近くにある物をデイパックに入れる。
「…すごいなあ…何で沢山入れてるのに、一杯にならないんだろう…」
少しの疑問を持ちつつも、物を詰め終わる。
そして振り向くと…◆PURIN//46Eがいない。
「えっ!?プリン、どこいったの?」
少しパニックになるが、すぐに落ち着く。
ベッドの上で、眠っている◆PURIN//46Eを見つけたからだ。
(眠ってたのかー、よかった…)


夢の中。
(くそっ…くそっ…!)
『得体のしれない物』から必死で逃げる。
全力で走っている…はずなのに。
「何で…何で振り切れないんだっ!」
どんどん『それ』は背後に近づき…そして。
…ゆっくりと、◆PURIN/46Eの体を包んだ。
燃え上がるように熱いような、凍りつくように冷たいような。
柔らかいような、固いような。
口では言い表せないような感覚が体中を刺激する。
そして―

「うわああああっ!」
絶叫と共に飛び起きる◆PURIN//46E。
そして辺りを見回し、今の出来事が夢であったことを確認する。
「ど、どうしたの!?」
驚いた表情で、◆PURIN//46Eの顔を覗き込んでいるめろりん。
その声で、眠っていたチルノが目をさます。
「…どうしたの…?」
眠たそうに目を擦り、2人を見つめる。
「何でもないよ、寝てていいよ?」
めろりんが優しく言う。
そして、チルノはまた眠り始めた。

「さっきの声、尋常じゃ無かったよ?一体、何が…」
めろりんが不思議そうに聞く。
動揺を隠し切れない様子で、◆PURIN//46Eが呟く。
「…夢を見たんだ。得体の知れない物が俺を包み込んで…」
「夢、か…さっきのことが、もしかしてトラウマになったんじゃ…」
めろりんが自分の事の様に心配して言う。
自分が殴り殺した男の顔。
断末魔。
そして血。
血。
血。
(―夢にも見る程…俺の心に深く…)
その時、◆PURIN//46Eはあることに気づく。
「そうだ、チルノの支給品!確認してみない?」
そう言い、ベッドから降りチルノの持っていたデイパックに近づく。
「休まなくても大丈夫?」
「…他の事してた方が気が紛れるんだ…中身も気になるしね」
傍から見ても、まだ休んでいた方が良いことは十分過ぎる程分かる。
デイパックに手を伸ばした時、
「やっぱり休んでた方がいいよ?確認は私がするから」
376悪夢 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/19(火) 23:41:14 ID:/BLfwxHz
そう言って、◆PURIN//46Eをベッドの方に連れて行く。
そして、寝かせた後掛け布団をかける。
「…無理して、体壊して困るのは自分でしょ?だから…」
まだ休んでていいよ、と言うような笑みを浮かべ、デイパックの方に向うめろりん。
(眠るのが怖い…だが、こうやって寝っ転がっているだけでもいいか)

デイパックを探り、物を取り出す。
(ワルサーP38…それに、これ…ノートパソコン?それ以外は私たちと同じ…)
デイパックから銃とパソコンを取り出し眺めるめろりん。
「うーん、パソコンかあ…役に立ちそうだけど…」
…めろりんの言ったことは、当たっていた。
確かにパソコンは最重要アイテムなのだが…


【一日目/早朝/E-7:病院:病室】


【めろりん@板対抗BR】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:風切り鎌@かまいたちの夜、ワルサーP38(8/8)@板対抗BR、ノートパソコン@現実
[所持品]:支給品一式、蟹@本格的 ガチムチパンツレスリング、治療道具(6人分)
[思考・行動]:
基本:人は殺したくない。
1:プリンが心配。トラウマになってるのかな…?


【◆PURIN//46E@板対抗BR】
[状態]:健康、精神疲労(大)、トラウマ?
[装備]:狩猟用狙撃銃(6/7)@SIRENシリーズ、宇理炎@SIRENシリーズ
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]:
基本:人は殺さない…でも相手から仕掛けられたなら話は別。
1:…忘れたくても…忘れられないのか…
2:下痢さんを見つける。そして事情を聞く。

?:この状況なら、気に入らない人を殺しても…


【チルノ@ニコニコ動画】
[状態]:健康、睡眠
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:あたいさいきょー。
1:Zzz…

≪支給品紹介≫
【ノートパソコン@現実】
ノートパソコン。無線LAN付きで、快適なネット環境。
実は「首輪解除プログラム」が入っているが、パスワードが掛かっている。
しかも、プログラムの一部が欠けている。使用するには、何かを使わないと…?

―――
次スレ必要なら立てますが、どうしますか?
377 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/20(水) 00:16:09 ID:GBYEPIn7
>>376 6LQ氏 自分はもう立てても大丈夫だと思いますが…。
自分個人の考えですからねー他の人はどうなのか…。
378 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/20(水) 00:17:41 ID:KFJvUcrq
一応立ててきます…
379 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/20(水) 00:20:40 ID:KFJvUcrq
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1263914398/

一応立てておきました まだ不要なようなら落としてください
380 ◆5ddd1Yaifw :2010/01/20(水) 02:33:18 ID:Ll6uTZxA
スレ立てと投下乙です。
パソコンがどう影響するのか……
文章練習ロワ第八話投下します
381ライオンハート ◆5ddd1Yaifw :2010/01/20(水) 02:34:37 ID:Ll6uTZxA
気付いたらここにいた。
真っ黒の視界、漆黒の草原。振り向くと視界の先には海がある。
青ではなくひたすらに黒い海が。
唯一月の光が真っ黒な視界に明かりを灯してくれる。

「ここは……っ……」

寒い。体の全身ががたがたと震える。
さっきのあれが脳裏にあるからだろう。

死んだ。
人が死んだ。
あっさりと。
かわいい女の子だった。それが……一瞬で肉の塊に変わった。
首がぱぁんと音を立てて破裂し、ゆっくりと残った胴体が倒れていく様は気持ち悪かった。
.
当然だ。そんなの見て平然と出来るか。実際に見てしまった俺はその場で何度も吐いてしまった。
それに相乗して匂いがひどかった。
血と嘔吐物の絡み合った不快な匂い。生臭さの充満したホール。
きついというレベルを超えていた。
出来ればもう二度と嗅ぎたくないと声を大にして言いたい。

風が吹く。
暖かい風が吹いているのか。それとも冷たい風が吹いているのか。
わからない。わからない、わからない……!
ああ、いっそのこと全てを吹き飛ばす風が吹いてくれたらいいのに、この恐怖も。

このゲームに参加するということは……もしかしたらこの島で何も出来ずに惨めに死んでしまうかもしれない。
ぐちゃぐちゃな死体となってただ朽ちていくだけ。じゃあどうする?このゲームに乗るのか?

「……たまるか……」

殺して殺して殺して。
裏切って裏切って裏切って。
そうすれば、運よく優勝できるかもしれない。
382ライオンハート ◆5ddd1Yaifw :2010/01/20(水) 02:35:39 ID:Ll6uTZxA

「乗って……るか……」

それでも俺は。

「乗ってたまるかあああぁあぁぁああああぁああぁぁああああああ!!!!!!!!!」

こんなゲームには乗らない。柄でもなく大声で叫ぶ。

クールになれ?

一時のテンションに身を任せるな?

知 っ た こ と か !

(ここにはカニ、スバル、フカヒレ、姫、)

俺の最高の仲間達。こんなばかげたゲームに乗る奴なんて一人もいないはずだ。
そう確信めいたものが俺にはある。

(……それに、良美だっている)

俺の最愛の彼女。あの雨の日に俺らはようやくスタートラインに立てた。
良美も少しずつではあるが俺を信頼するようになり、俺もそれに応える形で頑張っている。

「信頼には応えないとな……俺は良美を護る!」

あの日々を。
良美とのこれからを。
こんなことで終わらせはしない!

「行こう、早く行動しないと」

覚悟を決めろ、対馬レオ。
仲間、良美の誰一人欠けることのなくこの島から脱出。
やることは山のようにある。
383ライオンハート ◆5ddd1Yaifw :2010/01/20(水) 02:36:29 ID:Ll6uTZxA

「上等だ、見てろよ郷田真弓!」

負けられないんだ、こんなところで。
とりあえず俺は支給品として入っていた匕首を腰に差す。
ここは殺し合い、武器はいつでも使えるように身につけていたほうがいいだろう。

「俺の今いる所は、A-9だからここから近いのは灯台か」

ひとまずは近くの施設に行こう。もしかしたらそこに良美がいるかもしれない。

(できれば……早めに他の仲間とも合流したいけどな)

【A-9/1日目/深夜】
【対馬レオ@つよきす】
【装備】:匕首@操り世界のエトランジェ
【所持品】:支給品一式
【状態】:健康
【思考・行動】
1:灯台に向かう。
2:仲間との合流。佐藤良美を最優先。
3:全員無事にこの島からの脱出。
※佐藤良美ルートEnd後からの参戦です。

【匕首】
睦月透真の使っている匕首。
元は透真の父が持っていたものである。
384ライオンハート ◆5ddd1Yaifw :2010/01/20(水) 02:37:25 ID:Ll6uTZxA
投下終了。
レオが無駄に熱血モード。
385 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/21(木) 00:42:06 ID:f7prRhEe
投下乙です。熱血だなー。
さて自分も投下します個人趣味ロワ第43話「病院/3時33分33秒」投下します。
登場:宮田司郎、曽良  容量まだ大丈夫か…!?
386病院/3時33分33秒 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/21(木) 00:43:09 ID:f7prRhEe
43話「病院/3時33分33秒」

エリアF-3、病院二階の休憩所に、椅子に座りながらぼんやりと天井を眺める、
病院という場所に良く似合う白衣姿の男――宮田司郎がいた。
すぐ脇には鞘に収められた、かなり大振りの刀が立て掛けられている。

(この殺し合いが始まってから、この病院内を探索して回ったが、
応急処置に使えそうな物以外は特に何も無かったな…)

病院は5階建てで、決して大規模では無いが、それでも一人で回るにはかなり難儀な広さ。
宮田は殺し合いが始まってすぐに殺し合いに乗る事を決めたが、
その前にこの病院内を調べ使えそうな物が無いがどうか探る事にした。
ところが。

(いやそれ以前に、入れる部屋がほとんど無かったんだが)

病院内には多くの部屋があり多くの扉が存在したが、そのほとんどが固く施錠されている、
ノブが破壊されている、向こう側で何かが突っ掛かっている、どかせるのも億劫になる程大量の荷物で塞がれている、
といった理由で開けられなかった。
そのため入れて調べられた部屋は全体の部屋数に対しごく僅かだったのだ。
もっとも無理に入ろうとも、鍵を探そうとも思わなかったが。

結局、包帯や消毒液など応急処置に使えそうな物を調達し、
全部は見ていないとは言え探索で疲れたので二階休憩所で休んでいた。

ふと外に目をやれば夜空は、まだ暗いが大分明るくなっている。

「夜明けが近いな…」

時刻を確認すると午前3時33分を指している。
この殺し合いが始まっておよそ3時間33分経過したという事だ。
恐らく死人も何人か出ている事だろう、そして自分と同じように「やる気」になっている者は何人いるのだろうか。
宮田は人を殺す事自体には何ら抵抗感は無い。
なぜなら――。

両手を自分の目の前に翳し、何度も拳を握り締めたり開いたりを繰り返す。
それはまるで「あの時」の事を反芻するかのように。
宮田の顔は至って無表情。その様子から彼の内心を推し量るのは至難。
そしてふと宮田は自分の座る椅子に立て掛けた刀を手に取った。
387病院/3時33分33秒 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/21(木) 00:43:59 ID:f7prRhEe
(中々重い。だが――扱えない程では無いな)

鞘から引き抜き、外から僅かに漏れる光を反射する鋭い刃を覗き込む。
接近戦ならば中々優秀かもしれないが相手が銃を持っていた場合は、逃げるか、
不意を突くという戦法を取るしか無いだろう。
出来る事なら飛び道具――銃火器――も欲しい所だ。

ただ、宮田は優勝したい訳では無い。ただ、殺し合わなければ死ぬ事になる、
特に知り合いもいないので殺し合いを躊躇する必要も無い、というのが彼がルールに則る理由である。
死ぬのが怖い訳でも無いようだが。
刀を鞘に収め元の位置に立て掛け、宮田は椅子に深く腰掛けてテーブルの上の支給品の水を飲む。

(もう少し明るくなったらここを出て、参加者を探しに行くとしよう。
まあ…もしかしたら待っている間に来訪者が来るかもしれんがな)


◆◆◆


宮田の予測は的中する事になりそうである。
病院を目指し歩く一人の参加者の男がいた。和服に身を包み右手に刀を持った――曽良である。
彼はE-3にて参加者を一人殺害した後、獲物を求め、地図上で近くにあり目立つ存在だった病院を目指していた。
獲物を探す理由はただ一つ。

(芭蕉さんを優勝させる。もう迷わない。芭蕉さん以外は、全員殺す)

自分の師匠のためである。

(病院…多分名前の響きからして医療施設か何かだろうな。
怪我を手当てしたい奴が集まってくる可能性はおおいにある)

曽良は右手に装備した抜き身の刀――焔薙の刀身を見詰める。
ぎらりと光る刃。これを振り下ろせば簡単に人は殺せる。
この刀は曽良がE-3で殺害した参加者から奪った物だ。
更にデイパックの中には自身の支給品であるネイルハンマーとスペツナズナイフもある。
特にスペツナズナイフはかなりの速さで刀身を射出する、至近距離なら避けられる可能性は低い優れ物である。
その威力は既に一回、曽良は自分の目で見て実感していた。
388病院/3時33分33秒 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/21(木) 00:45:10 ID:f7prRhEe
「さて、行くとするか……」

肌寒い風が吹く市街地の路上を、曽良が病院を目指して歩く。

曽良の予想も当たってはいた。現在病院には一名、他参加者がいるのだから。



【一日目/黎明/F-3病院二階休憩所】

【宮田司郎@SIREN】
[状態]:健康
[装備]:アインの刀@FEDA
[所持品]:基本支給品一式、応急処置セット(調達品)
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗る。但し優勝したい訳でも無い。
1:明るくなるのを待つ。
2:他の参加者を見つけ次第、殺す。
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、意識を失った直後からの参戦です。
従って幻視能力は目覚めていません。


【一日目/黎明/F-3病院周辺市街地】

【曽良@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:顔面打撲、鼻血、背中に針の痕、精神不安定(軽度)、決意、F-3病院へ移動中
[装備]:焔薙@SIREN
[所持品]:基本支給品一式、スペツナズナイフ(2)、ネイルハンマー@SIREN(血痕付着)
[思考・行動]:
0:芭蕉さんを生き残らせる。そのために他参加者を殺す。絶対に。
1:病院へ向かう。
2:芭蕉さんとは会いたくない。でも生きていてほしい。
[備考]:
※単行本第八巻第145幕「怪談奥の細道」より後からの参戦です。
389 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/21(木) 00:47:04 ID:f7prRhEe
投下終了です。無印サイレンで忘れてならないのが数字の「3」!
エリア番号、話数の下1ケタは偶然「3」になりました。
短い話ならまだ投下出来るっぽい…?
390チュートリアル ◆6LQfwU/9.M :2010/01/21(木) 23:17:05 ID:u84ohlnY
エレベーターの扉が開き、中から光が漏れる。
「さて…どこへ向かおうか…」
ゆっくりエレベーターから出、出口に向かい扉を押し開ける。
冷たい空気が吹き込み、頬をなでる。
(ここを出て…どこに向かうべきなんだ?近くにある施設は病院ぐらいだが…)
とりあえず歩き出す…が何かに躓き、転びそうになる。
「何だ?…デイパック?」
そう思い見下ろすと、ほのかに金色が付いているデイパックが落ちている。
何かの罠かと、咄嗟に辺りを見回すが、誰かいるような気配は無い。
(開けてみるか)
デイパックに手をかけ、慎重に開ける…
…リボルバー式の銃と、それに装填出来るであろう弾が入っている。
ずっしりと重く、また妙に銃身が長い。
そして説明書には…
『パイファーツェリスカ、装弾数5。使用弾薬、600N.E弾。』
とだけ書いてあった。
「重い…だが、まともな武器が手に入った…」
パイファーツェリスカを握りしめ、歩き出す…。
「そう言えば…さっきのはなんだったんだ?」
頭の中にさっきの光景―他人の視界―が蘇る。
(集中すれば…もしかして)
そっと目を閉じ、辺りに意識を集中させる。
自分を中心にぐるりと回るように、さらに意識を巡らせる。
『うう…これほど高いと、風も強いんだな…』
他人の視界を捉えた。
だが、なぜか視界が途切れる。
「…結構疲れるな…」
その場に座り込み、体力の回復を図る一樹だった。

【一日目/早朝/E-6:ビル前】


【一樹守@SIRENシリーズ主人公】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:パイファーツェリスカ(5/5)@現実
[所持品]:支給品一式、カメラ@板対抗BR、即死耐性プログラム@MUGEN、600N.E弾(15個)
[思考・行動]:
1:かなり…疲れるな…
※下痢の声を知りました。ですがどこにいるかは分かっていません。
※視界ジャックは体力を消耗し、ある程度疲労が溜まると強制的に解除されます。

≪支給品紹介≫
【パイファーツェリスカ@現実】
全長55cm・重量6kg。
その大きさから、拳銃と呼べるかどうかは疑わしい。
391 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/21(木) 23:19:03 ID:u84ohlnY
投下終了です
392 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/22(金) 23:00:04 ID:xpg9MYww
24ロワ第15話投下します
393役立つ支給品? ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/22(金) 23:00:47 ID:xpg9MYww
夜の闇の下、ぽっかりと広がる原っぱの真ん中に美希はポツンと座りこみ、支給品の説明書を読んで首を傾げた。
彼女の支給品は一見、単なる携帯電話にしか見えないのだが、説明書によるとこの支給品の名前は携帯電話ではなく、
【禁止エリア指定機】らしい。読んで字の如く、次の放送で宣言される禁止エリアの場所をこちらから指定できるようだ。
一回の放送で指定できる禁止エリアの数はただ一つだけ。計三回使えるようだから、
全て使い切るつもりであれば三個まで自分の好きな位置を禁止エリアにする事が出来る。

でも、見た目は完全に携帯電話だ。というより、【禁止エリア指定機】という名前以外は携帯そのものである。
携帯本来の機能は使えないのだろうか。美希は電源を入れてみる。
一通り美希が思いつく限り番号をプッシュし続けてみたが、どこにもかからなかった。

「むうう……やっぱり、これは携帯だけど携帯じゃないみたいなの」
がっかりする美希。もしかしたら、とほんの少しだけ期待を抱いてしまった事を後悔する。

それにしてもどうしようかなあ……

美希は再び首を傾げた。禁止エリア指定機と言われても、正直これが何の役に立つのかいまいち分からない。
役に立つどころか、侵入すると首輪が爆発して死んでしまう禁止エリアを増やすなど、
美希にはむしろ悪い事のように思える。

「こんなのより……もっと使えるものの方が良かったの……」

乗るつもりはないが、何か武器のようなものの方が良かった。
ケツホルデスからゲームの説明を聞いた時は、テレビか何かの企画だと早とちりし、
それならばやる気を出して頑張ろうと思っていたのだが、そんな気持ちはやる美という少女が
吹き飛ぶ光景を目の当たりにした瞬間、跡形もなく消え去った。これは企画などではない。
本物の死のゲームだと、理解出来たからだ。

今は、ただただ不安なだけだ。こんな暗い原っぱに突然放り出されて、爆弾入りの首輪を巻かれて、
24時間以内に最低一人を殺さなければいけない殺し合いを強いられる。
これから先自分がどうなってしまうのか、考えるとどうしようもなく気が滅入ってくる。

「うう……私は人殺しになるなんて嫌なの……一人しか生きられないなんて嫌なの……
 でも、だからといって、やっぱり死にたくもないよぅ……」

美希は手の内にある携帯に目を落とした。こんなもので、どうやって生き残れというんだ。
無理だ。無理に決まっている。とにかく、まずは仲間になってくれる人を探さなければならない。
全てはそれからだ。幸いな事に、ここには事務所の友達が何人もいるらしい。

ううん、良く考えたら別に『幸いな事に』じゃないの。
皆まで参加させられているなんて、とってもとっても『不幸な事』なの……

【一日目/深夜/G-8 原っぱ】
【星井美希@アイドルマスター】
[状態]:健康
[装備]:携帯電話(禁止エリア指定機)
[所持品]:基本支給品一式(パン残り2個)
[思考・行動]
基本方針:人殺しになるのは嫌だけど、死ぬのも嫌
1:頼りになる人を探す
394 ◆N2K943LWJ1Uz :2010/01/22(金) 23:01:36 ID:xpg9MYww
投下終了です
395 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/22(金) 23:25:20 ID:SD1AMzse
投下乙です。自分も投下します、が、もし途中で投下出来なくなったら次のスレに投下します。
個人趣味ロワ45話「ぱらいぞうにまうづ」
登場:中村アヤ、石川清隆
396ぱらいぞうにまうづ ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/22(金) 23:28:48 ID:SD1AMzse
45話「ぱらいぞうにまうづ」

ざわざわと草が風に吹かれる音がE-5の草原地帯に流れる唯一の音。
西日が少しずつ少しずつ夜空を明るくしていく。夜明けが近いのだ。

桃色の髪を持った、黒っぽい学校指定の制服に身を包んだ牛娘の少女、中村アヤは、
茂みの中で仰向けに寝転んでいた。
彼女は数時間前に参加者同士の戦闘、そして参加者の片方が殺されるのを目撃して以来、
下手に動くのはよそうと、ずっと茂みに隠れ続けていた。
時折、遠くから銃声らしき音が響き、その度にアヤは怯え両耳を塞ぐ。
銃声がする度、どこかでまた誰かが殺されたのかと思うと、たまらなく怖い。

「ひっ…」

また遠くから銃声らしい音が聞こえた、ような気がした。
いや、もしかしたら空耳かもしれないが、アヤには聞こえたような気がした。

(怖い、怖いよお……)

自分でも知らず知らずの内に目から涙が零れる。
もうずっとこんな調子であった。

(でも……ずっとこのままって訳にも行かないよね……)

下手に動かず一ヶ所に留まっているというのも常套手段の一つではあるが、
この殺し合いに呼ばれているクラスメイト二人の事や、
定時放送後に出現するという禁止エリアの事などを考えると、
全く動かない訳にも行かない。
それに、アヤの支給品は自転車のチェーンと百円ライター。何とも頼り無い。
誰かに襲われでもしたら非常に危険であるため早急に武器なりえる物の調達を必須とした。
そういう意味でも全く動かないという訳にもいかないのだ。

「勇気を出さなきゃ、駄目かあ……!」

アヤは決断する。移動するという事を。
荷物をまとめ、百円ライターを上着のポケットに入れ、申し訳程度に自転車のチェーンを右腕に巻く。
友達に見せてもらった何かの漫画で腕に鎖を巻いて防具にしていたのを見た事があったからだ。
申し訳程度だが何も無いよりはマシだろう。
そして茂みから出て、遠くに見える市街地に向けて歩き出そうとした時だった。
397ぱらいぞうにまうづ ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/22(金) 23:31:05 ID:SD1AMzse
「ヴ…ぁ、あああ……あ、ア、あああ」

突然、男の呻き声のようなものが聞こえ、驚いたアヤは声のした方向へ咄嗟に振り向く。
そこには半袖のパーカーと思しき服を着た、20代前半ぐらいの人間の若い男。
覚束ない足取りで歩き、何故か顔は下を向いていて表情が窺えない。
しかし――。

「あ、あの〜」
「あああううううおおおおおおおおお」

明らかに様子が変である、どう見ても、正常には見えない。
得体の知れない男にアヤが恐怖し始め、走って逃げようとした、時。
ゆっくりと男が顔を上げ――その顔を見た途端、アヤに戦慄が走った。

男の両目からは赤い、血の涙が止め処無く流れ落ち、よく見れば男の衣服は血で汚れていた。
それだけでは無い。男は――笑い始めた。

「……ふ……フフ、ハハハハハハ」

何かが楽しいのか、それともただ単に気が触れてしまっているのかは分からない。
とにかく、男は何の脈絡無く、笑い始めた。
しかも、男の声色は、どこか歪んでいるような、専用の機械か何かで加工されたかのように聞こえる。
そんな異様な様子の男にアヤはますます恐怖する。

(な、何なのこの人? 首輪付けてるしデイパック持ってるから参加者の一人みたいだけど、
何にしろ早いとこ逃げ――)

パアン!!

「ひっ!」

耳を劈くような銃声が周囲に響く。と同時にアヤの顔のすぐ脇の空気を音速の弾丸が突き抜ける。
アヤが再び男の方を見ると、男は銃口から煙を噴き出す小型のリボルバー拳銃をアヤの方に向けていた。

「あ…ああああっ!!」

男が銃を向けているのを確認した次の瞬間、アヤは市街地方面に向け全速力で走り出した。
398ぱらいぞうにまうづ ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/22(金) 23:33:59 ID:SD1AMzse
「ヒャハハハハ…逃げるな、逃げるな、逃げるなあああああああ!!!」

男が歪んだ声音で叫びながらアヤを追走する。
アヤの恐怖心が最高潮に達し、頭の中はとにかく男から逃げる事で一杯になる。
普段、運動神経が鈍く、走る事も大の苦手のはずだと言うのに、
この時ばかりは自分自身でも驚くようなスピードで走る事が出来た。
アヤは思う。これがいわゆる「火事場の馬鹿力」という奴なのだろうと。


◆◆◆


石川清隆の目に映る世界は、正に幻想的そのもの。
空にはオーロラが輝き、何やら正体不明ではあるが、とても色鮮やかで美しい発光物体が宙を舞っている。
いつしかテレビで見たクリオネの事を、清隆は思い出していた。

いつから自分の目に映る世界がこのような美しい世界になったのだろう。
そう、それは確か、墓場で殺そうとした中年男性に妙な液体を注射され、
そして墓場から逃げ出した後、両目から血が流れ出た、その数十分後ぐらいからだ。
しかも、目に映る世界が綺麗なだけでは無い、清隆は今までに無い程、幸せな気分だった。
恐怖も、痛みも、悲しみも、絶望も何も無い。とても、幸福な気分。
違法薬物を使用した者は恐らくこのような感じなのだろう。

そして、ある欲求が清隆の心の奥底から湧き出てくるようになった。
いや、欲求と言うよりは、まるで何者とも知れない「誰か」に命じられているような。

「人を殺せ」
「殺すんだ」
「何も躊躇する事は無い。殺せ」
「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」
「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」
「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」
「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」
「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」
「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」

これは、欲求では無い。誰かが、誰かが命じているのだ。自分に。
それが「誰か」なのかは分からない。いや、分からなくてもいい。
元々殺し合いに乗るつもりだったのだし、今更、殺しをためらう気は無い。
むしろ好都合だ。今なら、何の迷いも無く、殺せる。
399ぱらいぞうにまうづ ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/22(金) 23:36:35 ID:SD1AMzse
そして清隆は草原で発見した女子高生と思われる牛娘の少女に銃を向け、発砲した。
だが外してしまい、少女は全速力で逃走を開始した。
当然、清隆も追い掛ける。幸福感の余り、笑い声を上げながら。

「フハハハハハハハ………良い気持ちだああああ」



【石川清隆@オリキャラ  屍人化】



【一日目/黎明/E-4草原】


【中村アヤ@オリキャラ】
[状態]:市街地方面へ向け全速力で疾走中、恐怖(大)
[装備]:自転車のチェーン
[所持品]:基本支給品一式、百円ライター@SIREN(燃料残り:100%)
[思考・行動]:
0:逃げろ!! 逃げろ!! 逃げろ!! 逃げろ!!

【石川清隆@オリキャラ】
[状態]:屍人化、首筋に注射痕、中村アヤを追走中
[装備]:38口径短銃@SIREN(3/6)、ガントレット@FEDA
[所持品]:基本支給品一式、38sp弾(30)
[思考・行動]:
0:生きている奴を殺す。
1:目の前の牛娘(中村アヤ)を追い掛けて殺す。
[備考]:
※屍人化しました。正常な思考が出来ません。



※E-4に銃声が響きました。
400 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/22(金) 23:40:58 ID:SD1AMzse
投下終了。ギリギリ?
401創る名無しに見る名無し:2010/01/23(土) 11:28:12 ID:XjCwhWsY

屍人化っていう発送はやっぱり非リレーしか出来ないよね
402失敗 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/23(土) 21:40:51 ID:vprs+/Ti
投下します 途中で容量オーバーしたら次スレに投下します。

「高いなあ…どれくらい高いんだろう?」
目の前にそびえたつ高層ビルを見上げ、呟く不死鳥。
そしてその後ろに遅れて到着する透。
「はあ…歩くの早いですよ不死鳥さん」
「ごめんね、急いだ方がいい気がするんだ。」
会話を交わしながらビルの回りを歩いて行く。
その時。
足音が響く。
「…あ、不死鳥さんか…こんな所で会うなんて奇遇ですね」
非常階段を降りてくるのは…下痢だった。
ゆっくりと階段を降り、扉を乗り越え不死鳥たちの方に近づく。
(嫌な感じがする。もしかしてゲームに乗ってるかも知れないから、油断しないでね)
小声で透に囁く。
(はい…でも、本当に乗ってるんですか?乗ってないかもしれないじゃないですか)
囁き返す透。
「別にゲームに乗ってる訳じゃないですから、武器下ろしてくださいよ」
猫なで声で言う下痢。
それに応じ、不死鳥は銃を下ろす。
「じゃあ、今から2人でビルを調べるから…ここで別れることになるね」
そう言って、不死鳥と透はビルに向かって歩き出す。
…その時、下痢の目の色が変わり―
―手に持っている火掻き棒を、透の頭めがけ振り下ろした。
「!」
あまりに突然の事で、声が出ない透。
(くっ…!さっき不死鳥さんが言ったとおり、ゲームに乗ってたんだ…!)
その音を聞き振り返る不死鳥。
「不死鳥さん、逃げて!僕のことはいいから!」
透の一言に、不死鳥は目を丸くする。
銃に手をかけ、引き金を引こうとするが…引けない。
403 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/23(土) 21:40:55 ID:per6/CRb
もう無理かな容量的に、そろそろ次スレ?
404失敗 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/23(土) 21:41:34 ID:vprs+/Ti
(安全装置…!)
「…どうしても、逃げなきゃ駄目?」
透を見捨てることが出来ずにその場に立ち尽くす。
そんな2人に更に追撃する下痢。
「ぐぅっ…早く、逃げて…」
不死鳥に襲い掛かろうとする下痢の足を掴み、息も絶え絶えの状態でなお逃がそうとする。
「…本当に…本当にごめん…!」
心の底から嫌そうに呟き、走る不死鳥。
(真理…最期に…君と…)
「…もっと血が欲しいんだ…」
狂気に満ちた目で透を見下ろし、最後の一撃を加える。
(ごめんね…真理…)
その一撃が、透の頭を打つと同時に、意識は途絶えた。

「やっと血を得た…いけないとは分かってるけどねー。」
血が大量に付いている火掻き棒を握り、その場を立ち去る。
(病院…行くか…)

「ごめん…ごめん!」
何度も謝りながら、道を全速力で走る不死鳥。
(安全装置を解除してれば…もっと反応が早ければ…)
目から大粒の涙をこぼしながら、薄暗い道を走る―

【一日目/早朝/F-7】


【不死鳥@板対抗BR】
[状態]:健康、後悔(大)
[装備]:FN ハイパワー@現実、ボムブラストスーツ@メタルギアソリッドシリーズ
[所持品]:支給品一式、C4(1/1)@メタルギアソリッドシリーズ
[思考・行動]:
1:ごめん…本当に…!


【一日目/早朝/E-6:ビル前】


【下痢@板対抗BR】
[状態]:健康、「ふうのしん」発症(75%)
[装備]:火掻き棒@SIRENシリーズ
[所持品]:支給品一式、「ふうのしん」の枝@かまいたちの夜
[思考・行動]:
基本:欲望のまま行動する
1:もっと血が欲しいなあ…
2:病院に行こうかな

【矢島透@かまいたちの夜 死亡確認】
死因:撲殺
405 ◆6LQfwU/9.M :2010/01/23(土) 21:43:27 ID:vprs+/Ti
投下終了です
多分これで容量一杯と思います
406 ◆UwuX8yY6RQ :2010/01/23(土) 21:47:45 ID:per6/CRb
投下乙です
407創る名無しに見る名無し
  ┌┐         / //
 [二  ] __     〔/ /
   | |/,ー-、ヽ      /
  / /  _,,| |     ./              _ ____  __
 レ1 |  / o └、  ∠/          / :>─-─‐- 、`\  `\
   .|__|  ヽ_/^     ,/             /.x//⌒  ⌒\ \ ヽ   \
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   [二二_  ]    /           / .::// /{{//{{{ノノ ノノリ }}ハ |  ∨::   `\
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     / ∠.____    ̄フ    /.:::::::/ノリ /////   ////厶匕イく入:::..   ノ
     ∠.___  /   /     7⌒( ((r个ー─( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄》  _厂>\::::....,′
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    / o ヽ/  /   /     \    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      ノ
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