【創作】お題創作スレ【発表】

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253創る名無しに見る名無し:2010/06/28(月) 21:48:57 ID:MqsuLPL5
ハードなのに噴いたw
254創る名無しに見る名無し:2010/06/28(月) 23:07:34 ID:7r69PCO0
> 「バットは球(弾)を打つもんだぜ?」
無駄に格好つけんなwwwww
つうか、バット違いだw
255創る名無しに見る名無し:2010/06/28(月) 23:43:56 ID:nrs6LsBW
草生えた感想を付けてもらえると非常に安心するw
ありがとうみなさま
256創る名無しに見る名無し:2010/06/29(火) 21:51:31 ID:gXwZbfc1
お題カモン!
257創る名無しに見る名無し:2010/06/29(火) 23:20:08 ID:gWS0eZ4w
お題「Ordinary(普通)」
258創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 03:37:01 ID:luYrsB65
「Out of ordinary BEAT hitter come(異常な強打者現る)!か、ふふ。いいねぇ」

 バットマンはニューズウィークのネット配信を携帯で読み、バットの柄をニギニギ。
 この記事は先日、バットマンが地球に飛来した10km大のバリンジャー級隕石をピッチャ
ーがえし宜しく打ち返した瞬間を報じた記事である。その記事には写真が付してあり、赤
く燃え滾る赤燈色の天蓋と化した隕石が大気との摩擦で超高圧の衝撃波を激甚の破壊と共
に撒き散らすなか、ゴマ粒ほどの点がそれに向かって何かを振っている瞬間を捉えたもの
だ。もちろんそれはバットマンである。
 人類を隕石の衝突と氷河期の危機から救った英雄はナサから表彰されジャクサに表彰さ
れノーベル英雄賞を受賞しさっきの報道写真はピュリッツァーを取り国民栄誉賞を受賞し
た。その後も人類が与えられる栄誉の凡そ概ね大概ほとんどを全部頂戴した。
 バットマンはPCを閉じてバットを見つめる。
 だが、バットマンがバットを眺める目線は、何故だか溜め息と同居である。

「野球、してぇなぁ」

 バットマンは野球が出来ない。バットマンの、“万物をバットで打ち返す”能力は、と
ある代償を強いる諸刃の剣なのであった。
 とある代償。それは、“球界では絶対に芽が出ない”という苛酷過ぎる代償なのであっ
た。
 強過ぎるから出場禁止、というわけではなく、野球という競技の時だけ打ち返す能力や
それを裏打ちする異常な膂力等が完全に弱体化するのである。
 投げれば脱臼。
 打てば骨折。
 走って捻挫。
 彼に野球をする方法はないのだった。
 この特異な体質は、彼が高三の頃に落下した隕石の影響である。
 隕石は多数の死者と共に、人類に奇妙な贈り物をした。人はその日を、“チェンジリン
グデイ”と呼ぶ。

 高三の頃。
 彼は将来有望なバッターだった。
 だけどその姿は他のどんな球児たちとも違わず、ただただ打ち込む熱意の塊だった。
 スカウトを夢見た。
 大学野球も夢見た。
 普通に社会人になって、実業団チームに入るのもいい。
 全部夢が潰えたら、子供野球のコーチでもいい。
 野球が出来ればそれでいい。
 隕石が落ちた。
 野球に関係した夢だけが、全部台無しになった。


 バットマンはだから、時々呟いてしまう。
「野球、楽しかったなぁ」
 あの頃の、もう二度と戻れない日を想って。
「野球、してぇな」

 バットは球を打つものだろう?
 バットマンは先日誰かに自分が吐いた言葉を思い出した。
259携帯 ◆4c4pP9RpKE :2010/06/30(水) 03:44:09 ID:luYrsB65
せっかくなんでアゲ
260創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 08:01:24 ID:0yq2Lx1x
チェンジリングの奴だったんかいw
しかし悲しい能力。こりゃやさぐれるw
261創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 22:48:18 ID:3gU88iE6
バットマアアアアン!!! って感じの読後感でした
せつないなぁ ものすごく切ない でも笑えるwww
ある意味ダークヒーローならではの宿命ですね
テニスとかなら、彼も才能を発揮出来たりするのでしょうか?

ちょっと板違いの話になりますが、今年の吹奏楽コンクールで、4曲ある課題曲候補のうち一つが、
オーディナリーマーチっていう題名なんです つまり「普通のマーチ」ってこと
でも、この曲を吹きこなそうと思っても、他の3曲より、ちょっと難しいんですよね
普通が一番難しい、みたいな 
お題を見ながら、そんなことを思い出したりしていました

もしよかったら、こんなお題はいかがでしょう
「ぼくがかんがえたさいきょうの○○」
262創る名無しに見る名無し:2010/06/30(水) 23:51:54 ID:+L48K4KL
>>258
うわぁ、まさかの展開w
面白かったですよ。
263創る名無しに見る名無し:2010/07/03(土) 15:02:50 ID:4upgc3gv
お題「ファイナルファンタジーのゲーム」
264携帯 ◆4c4pP9RpKE :2010/07/04(日) 04:15:52 ID:fk9Ai+2o
「ぼくがかんがえたさいきょうの○○」

 もう何年も前のことだ。
 野球の神に見放された男=バットマンは、卒業式の日だと言うのにカビと汗の匂いが充
満した野球部の部室に居た。遠くで、クラスメイトの氏名が読み上げられる。バットマン
は聞こえて居ないかのように、部室の、どこかのバス停から拝借してきたみたいな青いプ
ラスチックのベンチに腰掛けて、野球用品を磨き続ける。
 革のグローブ。誰かのスパイク。薄汚れた白球。
 立ち上がって、部屋の隅々も掃除する。ベンチを磨き、ロッカーを磨く。
 ロッカーには、皆で撮った集合写真が貼ってあった。もちろんそこには汗まみれで汚い
笑顔をした、バットマンの姿も写っている。
 その笑顔は、泥だらけで汗まみれなのに、どうしようもなく輝いていた。
 しばらくそれを眺め、バットマンは自分が泣いて居ることに気がついた。
 バットマンは上を向き、学ランの袖を目に押し当てた。
 どうしようもなかった。
 みっともない嗚咽を、自分ではどうしても止められなかった。

「よう田中。やっぱり此所だったか」

 突如掛けられた声に、バットマンは背中を向けた。ちなみに田中とはバットマンの名だ。
 バットマンは目を袖でぐしぐしとこすり、声の方に向き直った。
 国語教師で野球部顧問で監督のブッチャー先生だった。何故ブッチャーかと言うと、ど
う見てもブッチャーだからブッチャーなのだった。

「田中。野球はもう諦めろ。お前にはもう、むいてないんだよ。野球は」
「……フザケンな。俺が野球辞めたら、何が残るんだよ」
「野球馬鹿が野球辞めたら残るのはきっとただの馬鹿だろうな」
「へっ。言ってくれるぜ……」

 赤い目で睨むバットマンを、ブッチャー監督は優しげな目で見つめ返す。

「田中。夢ってどんなものだと思う」
「……俺の夢だけに限って言えば、野球の形をしてた」
「ふん、本当に野球馬鹿だな、田中。だがな、夢ってのは、いつの間にかあるものじゃな
くて、誰かに決めてもらうものじゃなくて、まして叶えるものでもたった一つしかないも
のでもないんだ。じゃあそれを踏まえて、夢ってどんな物だと思う」
「……」
「分からないか?夢はな、自分で“みる”ものなんだよ。お前に、野球と言う夢は閉ざさ
れたかもしれない。だが、それはお前の終わりじゃないんだ。お前はまだまだ、その野球
っていう素晴らしい夢の、何倍も素晴らしいかも知れない夢をみる可能性を何十年分も持
ってるんだ。わかるか、田中」
「……わかんねー」
「今はそれでいい。だけど、いつかは探せ。お前が見たい夢を。お前が、お前のために」

 ブッチャー監督は言いたいだけ言ったのか、満足げにバットマンの背中をぶっ叩いた。

「いてー!」
「さあ田中、卒業式だぞ、晴れ舞台だ。ちゃんとバッターボックスに立て」
「……わーったよ。クソ」
「待て、最後に一つ」
「なんだよ」
「地上においてあなたの使命が終わったかを知るテストをしてみよう。もしもあなたがま
だ生きているのであれば、それはまだ終わっていない。byリチャード・バック」
「似合わねーよ。ブッチャー」
「うるさいぞ。さあ、田中、早く体育館に向かえ」

 バットマンは、自分の能力なんかより、ブッチャーの言葉の方がよほど最強の能力なん
じゃないかと思った。
265創る名無しに見る名無し:2010/07/04(日) 04:26:38 ID:fk9Ai+2o
アゲ忘れた…
266灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/05(月) 02:29:39 ID:ic+/7IGs
さいきょうの“能力”にしたのかー
267灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/05(月) 03:48:29 ID:ic+/7IGs
その男性は71歳だ。
出世コースを歩み、そのための努力に多くの時間を割いてきた。
それに加えて世代の違いもあり、テレビゲームをプレイしたことなんてなかった。
だがそんな彼もゲームに無関心というわけではなかったのかもしれない。
自分から知ろうとしなくても、その作品名ぐらいは聞いたことがある。
プレーヤーが戦って世界を救う。主人公を見てそんな感じのステレオタイプなストーリーを予想した。
美男子の剣士が目立っているが、そちらには大して関心がいかずタイトルのみが記憶に残る。
“最後”と“幻想”の英単語だ。
タイトル末尾の数字も英語で振ってある。たぶん今後も続編が出続けるはずだ。
製作者が一作品目を作った時に、売り上げが低いとシリーズにはしない予定
だったことから“最後”の単語が入っているそうだが、もちろん彼はそんなことを知らない。
彼はこれから再出発する自分にぴったりな言葉だと思った。


それから何日か後のことだ。彼は都内のホテルで仲間と記者会見をしていた。
ちょっと前まで政権を執っていた党を抜けてリスタートを切ったのだ。
自分達の新党をマスコミがは構成メンバーが皆高齢であると報じている。
「ファイナルファンタジーだよ。」冗談交じりに彼はつぶやいた。
268創る名無しに見る名無し:2010/07/05(月) 08:50:08 ID:HUztj+8k
老害にならないことを願いますね
269灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/05(月) 23:25:52 ID:ic+/7IGs
>>268さん
「ファイナルファンタジーだよ。」

これを聞いて選挙の応援する気にはなりませんねwww
270灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/05(月) 23:29:29 ID:ic+/7IGs
お題をください
お題「まさかの10円」
271創る名無しに見る名無し:2010/07/05(月) 23:30:30 ID:SRW4EfZa
電話
272灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/05(月) 23:32:11 ID:ic+/7IGs
sageたのに、はやっ!
では貰いますね
273灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/06(火) 02:13:05 ID:XeOHHanq
[電話]

ジリリリリリリン
電話が鳴った。これから漫画を読もうと思ってたのに。
カチャ
<はい 清水です>
コールド宅配便の者です。
マエダ ジュン様は御在宅でしょうか
<うちは清水ですが>
あっ すいません かけ間違えました
ガチャ

ジリリリリリリン
電話が鳴った。いまぼぉーっとしてたところなのに。
カチャ
<はい清水です>
アオキですけどトモヒト君いますか?
<うちの家族にトモヒトはいませんけど>
あれー?スガワラさんであってますよね?
<うちは清水ですよ?>
ごめんなさい
プーッ プーッ
ガチャ

ジリリリリリリン
電話が鳴った。ちょうどカップラーメンが3分たったとこなのに・・・
カチャ
<はーい清水です>
・・・ぇ・・・ぁ・・・・
<もしもし?清水ですが??>
・・・ぁ・・・・・・・ぁ・・・
<聞こえません 大きな声で> スッ ベリベリ
・・・・・・・・ぁ・・
<(ズルズル ゴクッ)・・もう、麺が伸びたのあなたのせいですよっ!>
・・・・ガチャッ!
ズルズル ゴクッ

ジリリリリリリン
電話が鳴った。どうせ間違い電話だ。でも一応でとかないと。
カチャ
<はい☆ 清水でぇ〜す♪>
・・・・・・俺だけど、そのテンションはなんだ?
<あ・・・//// >
まあいいや・・・ 会う約束のことだけど、急にバイトが入っちゃったんだ。もう1週間待ってくれ。
<そんな! 今日はずっと電話のそばで呼ばれるの待ってたんだよ?間違い電話が多くて大変だったのに!>
ごめん ほんと、ごめん。許してくれない?
<うん許さない でも来週は約束守ってね///>
来週こそ絶対だ それじゃあまたな
<じゃあまた来週>

ガチャ
274創る名無しに見る名無し:2010/07/06(火) 18:54:33 ID:0wEQL2GX
お題「やさいのようせい 原作 天野嘉孝」
俺は今、実家に向かって道を歩いている。
数日前に親父が死んだ。
親父は俗に言う中小企業の社長というやつだったが、特に浪費もせず質実剛健が服を着て歩いているような男だった。
親父自身が管理していた通帳の中身も十数億単位になっており、偶にしか飲まない酒を飲むと俺達にその事をよく自慢していた。
親父が死んだことで親父のその貯金と資産をお袋と俺を含めた三人の兄弟、合計四人で分ける事になる。
親父が特に遺言を残していなければ、だが。
単純にお袋が半分もらい、残りを三等分するとしても確実に億単位の金が俺の懐に入ってくる。
……想像するだけで、頬が緩む。
そんな事を考えていると、いつの間にか実家に着いた。
実家といっても、豪邸ではなく五十坪程度の一軒家だが。
「……あの、ちょっと困ります」
「ですからね、私も払って貰わないと困るんですよ。ええ、モリタニさんが」
玄関前でお袋と頭をはげ散らかした男が少し険悪な雰囲気で話しをしていた。
「私にモリタニさんと言われましても……、それより一体何の請求書なんですか? それが判らないのでしたらお支払いできません」
「……でも10円ですよ?」
「10円でもです」
「困ったなぁ、折角北海道から飛行機でやって来たのに」
「飛行機で来たんですか!? 10円の為に!?」
「ええ飛行機で来ました、10円の為に。だから払ってもらえないと困るんですよ、払って下さいよ〜10円ですよ、10円」
「ですから、何の請求書か判らない以上1円たりともお支払い出来ません帰ってください!」
「そんなぁ、払って貰わないと私がモリタニさん怒られるんですよ〜、お願いしますよ〜、10円ですよ〜?」
お袋と男の話が終わりそうに無いので俺が間に入ることにした。
「まあまあ、二人とも。落ち着いて」
「ああ、お帰りなさい純」
「突然出てきて何ですかあなた、タイ人みたいな顔して……もしかしてナパ・キャットワンチャイさんですか?」
「違います、とりあえず10円は俺が払いますからあなたは帰って下さい」
「それじゃあ駄目なんですよ、あなたこの家の人じゃないでしょう? この家の人から10円を貰ってくる様に言われたんですよ、モリタ」
「そんな馬鹿な事があるかッ!!!!!」
突然、実家の中から弟の泰三らしき怒鳴り声が聞こえた。
「何でどこの誰かもわからない『シゲル』なんで野郎に親父の遺産が全部持っていかれなきゃなんねーんだよッ!!!!!」
その声と内容に驚いた俺と母親は急いで家の中に入った。……何故か男もついてきたがこの際どうだっていい。
駆けつけたリビングでは泰三がもう一人の弟である賢に押さえつけられており、
泰造に襲い掛かられそうになったのか馴染みの弁護士の何原が腰を抜かして床に座り込んでいた。
「何をしているんだ泰三、落ち着けよ」
「兄貴ッ! 落ち着いていられるかよ!? 知らない男に親父の財産を全部持っていかれるんだぜ!?」
「とりあえず落ち着けよ泰三、何原さんだって親父の書いた紙を読んでいるだけなんだぞ」
「……わかったよ、賢、離してくれ」
それを聞いた賢は泰三から手を離した。
「ったく、泰三兄貴は何時も頭に血が上るのが早いから困るんだ」
「うるせーな、仕方ねーだろう出るもんはでるんだからよ」
そう言いながら泰三は乱れたスーツの襟を直す。
騒動が落ち着き、気を取り戻したのか弁護士の何原が床から立ち上がりこう言った。
「さて、ご家族の皆様がお揃いになられたようなので遺言状を最初から読み直させていただきます」
ゴホンと軽く一つ咳をしてから何原は遺言状を読み上げ始めた。
『皆には今まで隠していたが俺にはもう一人息子がいる、名前はシゲルだ』
「ああ、私と同じ名前ですねぇ〜」
何故か今まで居座っていた10円男がそんな声を上げた。
「ちょっと黙っていてください」
お袋がそう彼を制した、それより出て行ってもらったらどうだ? だが、そんなことより先が気になる。
『シゲルは俺が智子と知り合う前、北海道に住んでいた頃出会った飲み屋の女との間に出来た子供だ』
「はあ、偶然ですね私も北海道出身なんですよ」
10円男はまたそんな事を言う。
「だから黙っていて下さい」
何原は続ける。
『その女は俺に隠してその子供を育て続けていたが、つい最近無くなった事をとある伝で知った』
「そうなんですか、私の母親もこの前亡くなったんですよ」
10円男は……、まさか。
お袋もその事に気がついたのか男を驚いた顔で見ながら黙っている。
『年齢は純より六つ上の41歳だ、俺はシゲルに何も父親らしいことをすることが出来なかった、だから遺産の全てをシゲルに渡そうと思う』
「ほ〜、偶然って凄いですね私も41歳ですよ」
……もしかして本当に。
家族全員が10円男と何原の読み上げる遺言状の内容に集中していた。
『シゲルの住所は既に何原に伝えてあるが、一応の身体的特徴も残しておこうと思う、シゲルには首筋に星型の黒子がある』
「へ〜、そんな珍しい黒子なんてあるんですね〜、初めて知りましたよ〜」
俺達は無言で10円男に近寄り「首筋を見せてください」と一言だけ言った。
俺達が真剣な表情でそんな事をいうので10円男もようやく事の重大さに気がついたようだ。
「……マジで?」
全員が無言で頷き返す。
男は少しためらうと黙って首筋を見せた。
皆が男の首筋を覗き込む。
……ハート型の黒子があった。
「……違う」
それを聞いた男は呆れたような顔をして皆を見回してこう言った。
「あれだけ期待させておいて、こんなことになるんなんて何て連中だ、だから都会モンは嫌いなんだ。
ああ、それから10円は明日貰いに来ますから。
さてとビールでも引っ掛けてくるかぁ〜」
そういうと10円男は帰っていった。
「なあ、お袋」
「何? 純」
「最近、白くなったよな」
「……うるさい」
277創る名無しに見る名無し:2010/07/06(火) 23:41:17 ID:SxwuT/Db
創発では不条理物の投下って珍しいな
ところで、ぼくのかんがえた(ryってどこで使われてるの?
278創る名無しに見る名無し:2010/07/07(水) 02:15:37 ID:G4aWZfH3
笑う犬のコントじゃねーかwww
つーかお母さん、オセロの中嶋だったのなwww
最後でわかったw
279灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/07(水) 03:24:59 ID:uSm4TAwT
10円のために飛行機でくるとは気前がいいのかせこいのか不思議な金銭感覚ですねw
280灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/07(水) 18:48:10 ID:uSm4TAwT
お題を募ります
281創る名無しに見る名無し:2010/07/07(水) 19:25:36 ID:G4aWZfH3
「七夕」
282灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/07(水) 19:58:44 ID:uSm4TAwT
良いお題ですね
283灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/08(木) 00:30:39 ID:tlMRHd0T
[七夕]

一年で願いごとをする日は三回来る。
誕生日、クリスマス、そして七夕の三回だ。
だけど七夕だけケーキを用意する風習がないのはなぜだろう。
そのことを疑問に思った男の子がいた。
だから短冊にこう書いた。
「七夕にもケーキが食べたいです。」

それから数十年が経った後、彼は大人になって結婚をした。
そしてまた7月7日の夜が来た。
あの頃と変わらず七夕を祝ってケーキを食べる人は少数派のようだ。
だけど、彼の家では七夕には決まってケーキを食べてお祝いするのだ。

「ゆうた、10歳の誕生日おめでとう」
数十年前の願いは、息子のおかげで毎年叶う。
284創る名無しに見る名無し:2010/07/08(木) 00:46:37 ID:RLEw9AY/
ケーキ食わせるために息子を用意してやるとは、天の川も豪気だなw
285創る名無しに見る名無し:2010/07/08(木) 07:41:33 ID:98ex65Ly
>>283
かわいいなww
ほのぼのして素敵 いい父ちゃんになったんだろうね

ゆうべは、大三角見えたし、ベガとアルタイルも無事に会えたみたい
そう言えば何もお願いしなかったなー
286創る名無しに見る名無し:2010/07/08(木) 13:22:31 ID:0zWFpSvm
夜空に化物語を思い出した
287灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/08(木) 21:24:36 ID:tlMRHd0T
感想ありがとうございました^^
・・・こちらの昨晩の天気はあいにく曇りでしたw
288七夕の話:2010/07/09(金) 14:45:17 ID:e9X/Erxz
夜空に星々が綺羅めいている。
「彦星と織り姫は、実在するのじゃぞ?」
キッコがクズハに、そんな事を教えた。
時間の流れに打ち勝って、長年語り継がれた物語は、その物語自体が、一種の付喪神になるのだという。
彦星も織り姫も、七月七日のこの日だけ、実在するのだという。

天の川には、一年に一度だけ、橋が架かる。
彦星と織り姫の、ほんの少しの逢瀬のためだけに、星々が道を譲る。
相思に恋慕を交わす男女が、互いに彼岸を目指して、歩む。
夏の陽炎を編み上げたような、不確かで、不明瞭な、願いの足場を。
魔素と言うものは人の“思い”によって力を成す。
だから、人が星空に、短冊に願いを託すこの日、莫大な量の魔素が、空にたゆたう。
魔素は空に浮かんで、宇宙(そら)まで達して、幾億の星々に語りかける。
「二人に、ちょっとだけ、時間をあげてくれませんか」と。
星々は語らない。
けれども、彼らはそんなに意固地じゃない。
魔素はゆっくりと星々を動かし、二人の男女の、逢瀬の橋を紡ぐ。
夏の陽炎を編み上げたような、不確かで、不明瞭な願いの足場を。
織り姫は、橋の下が透けた、不明瞭な願いの足場に、足を竦ませる。
遠く下の方に、青い地球も見えている。
織り姫が、まいってしまって顔を上げると、もう、橋の半ばまで歩いて来て居た彦星が、優しくほほ笑んでいる。
大丈夫。
怖くないよ。
彦星の励ましに答えて、織り姫は歩みだす。
踏み締めると、橋の下の景色が、打たれ水面のように、ゆらゆらと揺らいだ。
不確かな橋が、やはり怖い。
織り姫は駆けた。
橋の中心で、彦星に抱き留められる。
願いは叶った。
一年にたった一度きりの、短い、とても短い、再会。
夜が開けるまで、二人は語らい、橋の下に広がる天の川を見下ろし、星の流れに戯れる。
やがて、地球が回り、七月七日の夜が、くるくると行ってしまう。
橋は、両岸から、砂の城が波にさらわれるように、さらさらと融けて行く。
またね。
またあおうね。
二人は緩やかに抱き締めあって、橋が消えるのを見ている。
橋が消えると、抱き合ったまま、天の川に吸い込まれた。
じゃぶん。
瞬間、二人は青い燐光となって、散り散りになってしまう。

「……哀しい御話ですね」
「いや、物語は自らの変わらぬ姿に誇りを持っておる。
変わらぬさまが、変わりゆく人の世に残り続ける事を、誰より喜んでおる。
物語の付喪神だから、もちろん悲哀や悲恋を描くものもあるが、人々に感じ入られる事を、何より喜んでおるのじゃ」
「へぇ、そうなのですか」
「それと、付喪神を現出させる魔素は、人間の願いや思いによって集まる。
だから、『彦星と織り姫が幸せになれるといいなー』みたいな可愛らしいことを妄想しておる人間の思いも含まれておる。
その思いや願いが織り姫と彦星の物語を紡ぎ、余った分は実際に願いや思いの実現に当てられるのじゃ」
「七夕ってすごいんですね」
「特に縁結びに力を発揮するらしいの」
「へぇ」
「クズハ、ちゃんと祈って置くのじゃぞ」
「……何をですか?」
「んー?なんだろうな。ははは」

狐につままれた思いを抱く狐っ娘であった。
289創る名無しに見る名無し:2010/07/09(金) 14:47:13 ID:e9X/Erxz
ああっ
誤爆すいません!
290創る名無しに見る名無し:2010/07/09(金) 18:49:37 ID:39aoyObp
ある意味こっちでも大丈夫だなw
そういえば、七夕なんてもう何年もまともに祝ってないな
291灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/09(金) 19:03:31 ID:+MembYJF
むしろこっちでよかったんじゃない?ww
292名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 01:23:54 ID:aSunmqr2
七夕済んだんで別のお題を!

『梅雨』
293灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/11(日) 01:54:03 ID:1jfxGxrk
七夕の次が梅雨とはw
季節的には逆行になりますねww
294名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 01:54:17 ID:aSunmqr2
アゲ忘れ
つか梅雨って時期でもないか
お題かえましょ
『夏の弊害』
295名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 02:00:20 ID:aSunmqr2
>>293
ああっと!
ごめん変えちゃったよ
296灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/11(日) 02:23:38 ID:1jfxGxrk
>>295
大丈夫ですよー
まだ[梅雨]書いてなかったですし。
297灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/13(火) 04:43:41 ID:nEUQi0lt
「なあ知ってるか?かゆさを伝えるための神経はないんだぜ」
「へー。 じゃあ脳はどうやってかゆみを認識してるの?」
「痛覚神経と温覚神経っていう2つの神経が一か所で、同時に反応するとかゆさとして認識される。
 つまり、ごくわずかな痛さとごくわずかな発熱でかゆみは生まれるわけだ」
「ふ〜ん。かゆさを感じるための神経があってもよさそうなのにね。」
「そして時としてかゆみはしばらく継続される」
「だからさっきから足を中心にぼりぼりしてるんだね。」
「かゆい所を掻くのは、ごくわずかな痛みを別の痛みで上書きするための手段だ」
「ハイハイ。で、なんで足に赤色の斑点ができてるわけ?」
「さあ?わからん。起きたらできてた」
「蚊かな。いや、ダニのせいかもしれないし、単なるあせもかもしれないね。」
「それはわからないが、いずれにしても原因は同じところに行き着く」「なにが原因なのさ。」
「この季節だ。全部この暑さと夏の弊害だ」
298創る名無しに見る名無し:2010/07/18(日) 03:47:26 ID:k/AJjMx4
へー、だから冷やすと治まるのかー
なんか納得
299灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM :2010/07/19(月) 02:08:48 ID:qgIBenNr
>>298さん
感想ありがとうございました。
300創る名無しに見る名無し:2010/07/22(木) 02:06:51 ID:x9FTh1l8
お題「300」
301創る名無しに見る名無し:2010/07/28(水) 20:29:57 ID:nNadubHr
「全長300mの阿弥陀如来立像、か」
十年間もの長い月日を経て、ついに完成した世界に類を見ないこの巨大な仏像を俺は改めて見上げた。

平成四十八年、終わりが見えもしない長い長い平成大不況は、人の心を蝕み、そして狂わせた。
「人の手で人が救われないのなら、人の初心に戻り神と仏に救って貰えばいい」
当時の首相新川由良はそう宣言し、この大仏の開発計画を発表した。
総工費は実に十兆円、国家予算の十分の一。
国の威信を掛けた国家プロジェクトだった。
日本の全ての仏師、芸術家、宮大工、学者、土建屋、左官、果てはフィギュアの原型士まで、ありとあらゆる人材がかき集めらた。
国の為に、国民の為に、そして世界の為に、この大仏は人々の願いを背負い造成が開始された。

プ○ジェクトX〜挑戦者たち〜
ぷろぜぇくとぇっくす

かぜのなかのす〜ばる〜
すなのなかのぎ〜んが〜
みんなどこへいいた〜
みおく〜られることもなく〜

工事中に死者が出た。
だが誰一人として止まろうとしなかった。
誰もが必死だった。
この暗闇から抜け出たい。
日のあたる明るい世界で生きていたい。
そう願い動き続けた。
皆の心が一つになったその瞬間だった。
仏の首が落ちた。
その首に潰され47人の人間が死亡した。
だが彼らの手は止まらなかった、止められなかった。
もうこれしか救われる道は無い。
この仏像が完成したら我々は救われる、そう思っていた。
そして今日、ついにこの仏像は完成した。
それまでに死んだ人間は丁度、百人。
この仏像はこの仏像に救われると信じて死んでいった百人の人間の魂がこもった仏像だった。
死んだ彼らは確実に救われた。
だが残った我々は何一つとして救われなかった。
仏像が我々にもたらしたものは救世でも悟りでも無かった。
二兆円分の外壁と五兆円分の内装と三兆円分の血と汗と涙、只それだけだった。
何も、残らなかった。

「俺はこれからどうなるんですか」
俺は仏に尋ねたが、仏様は顔面にアルカイックスマイルを張り付かせたまま何処か遠くを見ながら穏やかに笑っているだけだった。
302灰色埜粘土 ◆8x8z91r9YM
途中のナレーションがあの番組っぽく自然に読めてしまうww