ロボット物SS総合スレ 16号機

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1創る名無しに見る名無し
ロボット物のアニメ・漫画・小説・ゲームの二次創作から、
オリジナルのロボット物一次創作まで 何 で も どうぞ。


・当機はSSに限らず、イラストや立体物も受け付けています。
・投下の後、しばらく雑談は控えてください。
・ガンダムやマクロス等の有名作は、該当する専用SSスレが立った場合はそちらへ。もしなければ全部ここでやればいいんじゃあないでしょうか。
・次スレは>>950が立てて下さい。次スレが立つまでは減速を。
・また、容量が470KBを超えた場合は要相談。
・立てられない場合は報告及び相談を。
・とある方が言っておられました。「話題が気に入らないなら、四の五の言わずネタを振れ」雑談のネタが気に入らない時は、新しくネタを振りましょう。
・スルー検定10級実施中です。荒らしは華麗スルーしてください。それが紳士の条件です。
・ルールを守って、楽しく創作活動に励みましょう。
・総員、獅子奮迅の働きを見せよ。健闘を祈る。

まとめwiki
http://www13.atwiki.jp/sousakurobo/

ロボット作品投下用アップローダー
http://ux.getuploader.com/sousakurobo/

お絵かき掲示板
http://www2.atpaint.jp/sousakurobo/

ロボット物SS総合スレin避難所 弐號機
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1257778976/


前スレ
ロボット物SS総合スレ 15号機
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1256313981/


関連スレ
勇者シリーズSS総合スレ Part3
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1253680895/
2創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 20:53:47 ID:UPWXKw9H
スレ発祥連載作品紹介!(※紹介文には多少の誇張表現も含まれています)


【荒野に生きる(仮) ◆8XPVCvJbvQ】
再生暦164年、コンクリートの荒野が広がる未来――。
獣の耳と尻尾を持つ「ヒューマニマル」の少女達はひたすらに戦う。対鋼獣用人型兵器・ヴァドルを駆って――!!
怪獣VS獣耳っ娘!? 話題騒然のデスマッチ!!

【CR ―Code Revegeon― ◆klsLRI0upQ】
これは、悪夢に立ち向かうちっぽけなひとりの人間と、「怨嗟の魔王」と呼ばれた機神の物語。
アンノウンの襲撃で家族を失った潤也は、漆黒の鋼機・リベジオンの玉座に身を沈める。反逆と復讐を遂げるために……!
人類震撼! 暗黒のレコードオブウォー!

【瞬転のスプリガン ◆46YdzwwxxU】
スーパーカーから伸びる鋼の腕――神速の挙動と極微の制動を可能とする、エーテル圧式打撃マニピュレータがその正体!
異世界の侵略者・魔族により廃墟と化した街角で、幼いことねは機械仕掛けの拳法家を目撃した。
変形ロボットならではの技が炸裂する、極超音速機動武闘伝!

【パラベラム! ◆1m8GVnU0JM】
Si Vis Pacem, Para Bellum――汝、平和を欲さば、戦への備えをせよ。
遥か昔に文明がリセットされた世界。黒い機械人形(オートマタ)・リヒターと、彼のマスターとなった少女・遥(19)の神子としての生活が始まった!
軽妙な会話と、動きを魅せるアクションに定評あり? なんだかおかしなキャラ達が紡ぐ、ドタバタ日常コメディ!
「……ねぇリヒター、こんな感じでいいかな?」
<イエス・マイマスター>

【ザ・シスターズ ◆klsLRI0upQ】
平凡な大学生、大野啓介の元に届いた大きなダンボール箱
その中に入っていたのは妹を自称するヒューマノイドで―――
超展開を超展開でねじ伏せる、お気楽ドタバタロボットコメディ!

【電光石火ゼノライファー ◆.dMD1axI32】
「俺、戦うよ。兄さんの代わりに」
正体不明の敵「アンノウン」来襲! 柊頼斗は兄の遺志を継ぎ、巨大ロボット・ゼノライファーに搭乗する!
少年少女の思いが交錯する超王道スーパーロボットの活躍に、キミのハートもブレイズアップ!

【Tueun ◆n41r8f8dTs】
全てを無くしたこの世界で――青年と人形は明日を咲かす
荒廃の大地に安住の地を求めるショウイチ。彼と旅する巨大トラクター・タウエルンには、とんでもない秘密が隠されていた!?
「家業継ぐわ…」「農業ロボ!?」 そんなスレ内の小さな種(ネタ)から◆n41r8f8dTsが丹精こめて育てた、痛快娯楽開墾劇!

【海上都市姫路守備隊戦記 ◆gD1i1Jw3kk】
「鉄の鎧を纏いし日出ずる国の兵」。帝国に虐げられる民が希望を見出した救世主伝説。
兵士として生きる男・清水静が愛に目覚めた時、戦乱の異世界に重装甲強化服のローラーダッシュの唸り声が響き渡る!
止められるものなら止めてみよ! 熱と硝煙! 剣と魔法! 凄絶無比のヘビーアーミー!

【最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ ◆46YdzwwxxU】
ドゥビドゥビッドゥ! ドゥビドゥビッドゥ! ドゥビドゥビドゥビドゥビッドゥドゥビドゥビ!
今日も今日とてロボヶ丘市で激突するのは、変な正義と変な悪!
ハイテンション! 歌うスーパーロボットバトルアクション!

【劇場版 最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ 異世界からの来訪者 ◆gD1i1Jw3kk】
悪のマッドサイエンティストが造り出した『次元転送装置』
その力は二つの世界を交差させる!
海上都市姫路守備隊戦記×最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ 衝撃のクロスオーバー作品!
3創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 20:54:33 ID:UPWXKw9H
【少女機甲録(仮) ◆kNPkZ2h.ro】
80年ほど前に地球上に出現し、地球上全ての生物を滅ぼさんとする謎の生命体群「ワーム」
異形の敵に立ち向かうは、全長4mのパワードスーツ兵器「機士」
陸上自衛軍第28連隊 第4中隊の少女達は、血と硝煙の匂い漂う世界を生きる!

【スーパー創作ロボット大戦OP映像風 ◆gD1i1Jw3kk】
スーパーロボット大戦名物の冒頭の3D戦闘シーンを
ロボット物SS総合スレ作品で再現!
所狭しと暴れまわるロボットたちの雄姿を見よ!

【R,B&G ◆46YdzwwxxU】
Tueun◆n41r8f8dTs vs.瞬転のスプリガン◆46YdzwwxxU
巨大トラクターとスーパーカー ──本来なら走る場所が違う二台が、
同じ道を駆け抜ける!!

【仮想戦闘記録 ◆gD1i1Jw3kk】
海上都市姫路守備隊戦記・外伝
設定のみだった五式重装甲強化服を敵として登場!
果たして静は二世代旧式の機体で勝てるのか!?

【ARTIFACT LEGACIAM あお ◆6k/dFp.sTw 】
突如として現れた謎の未確認侵略体、E&E。その脅威に立ち向かう、謎の巨大ロボットレガシアム!
レガシアムの搭乗者、不破優作は不思議な相棒カイアと共に大事な人々を守る為に立ち上がる!
軽妙な学園劇と迫力あるロボットバトルが織りなす、鋼のジュブナイル、ここに爆誕!

【Diver's shell ◆a5iBSiEsUFpN氏】
人類共通の夢の一つに、「もっともっと遠く」というものがある――――
表面の90%が海で覆われた星、ネオ・アース。黒服達の一件から時は過ぎ、ダイバー達は今日も、夢と浪漫を求めて海を往く。
物語は2ndシーズン突入し、新たな主人公、ジュリアとクラウディアの物語が幕を開けた。
男の娘も出てくる……かも?

【ヴィルティック・シャッフル ◆n41r8f8dTs氏】
普通の少年・鈴木隆昭の前に現れたのは、普通じゃない少女・メルフィーだった。
時を同じくして、平穏な日常に忍び寄る悪魔、オルトロック・ベイスン。
その「カード」を引く時、「未来」は訪れる。果たしてそれは「希望」か、「絶望」か――――

【人狼機兵マーナガルム ◆CNkSfJe3Zs氏】
2149年 春。月と地球、並んだ二つの星による戦争は、まだ続いていた。
革命軍の問題児「ラビットソルジャー」パイロット ソマ・ツクヨミは、自軍の罠にはめられ、正体不明の『狼頭』と敵対する。
兎達が支配する戦場で今、精神すらも噛み砕く異形の獣が目覚めようとしていた――――

【鋼鐵の特攻兵―Gun Strike Girles― ◆6LGb3BALUde1 】
近未来。人類はBUGと呼ばれる巨大生物との戦争を続けていた。
主人公・御前静を始めとした世界各国から集まった個性的な
少女達は、鋼鐵の棺に身を沈めてBUGとの熾烈な戦いに身を投じていく。
戦争という極限状態の中で、少女達は傷付きながらも成長し、
互いに支え合い日々を懸命に生き抜く。
やがて少女達の間に芽生えるのは、友情かそれとも――
ハードボイルドミリタリーの皮を被った百合ん百合んな物語。
欝展開はないよ!

【剣神鋼王ミカズチ ◆YHSi90Gnr2】
其れは鋼の人型。其れは『神』の力を降ろす為の人造の依代。 剣神はその手に太刀を担い、在らざる戦場(いくさば)を駆け抜ける。 その刃は未来を切り開けるか―
4創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 20:55:16 ID:UPWXKw9H
【鋼殻牙龍ドラグリヲ ◆Uu8AeR.Xso】
荒廃した世界を跋扈する、『害獣』と呼ばれる異形の災厄。
人には太刀打ち出来ぬその存在を屠る、暴君竜の如き異形の鋼。その名は「ドラグリヲ」
アルビノの少年「真継雪兎」とゴスロリ姿のナノマシン少女「カルマ」の紡ぐ物語に刮目せよ!

【GEARS ◆B21/XLSjhE】
近いようで遠く、遠いようで近い未来で――――競技用ロボット、ギアが駆ける!
無愛想だが熱い漢、守屋とどこかズレてるハイテンションな少女、霧坂のテンポの良い掛け合いと個性豊かな仲間達!
スポード感溢れる描写と汗と笑いとアイリス・ジョーカーが送る、ロボットスポーツストーリーをとくと見よ!

【機甲聖騎士ザイフリード ◆gU7PBlmT6Y】
紫藤 雪人(しどう ゆきと)は、きわめて平凡な男子高校生であった――ほんの少し前までは。
雪人が目覚めた場所は見知らぬ世界。そして隣には……寝息をたてる女の子!?
ファンタジックロボットSS、ここに見参!

【ロボスレ学園】
ロボット物SS総合スレ、10スレ目突破記念作品! このスレのキャラクター達が織り成すどこまでもフリーダムな青春(?)グラフィティ!
参加者募集中!

【廻るセカイ ◆1m8GVnU0JM】
「もう少しでセカイが滅びる」
世界中にそんな噂が飛び交った。
そして噂の通り、国が、都市が、次々と地図から名前を消していく。人類は滅びを待つだけだった。
舞台は架空の都市“揺籃”
描かれるのはそこに住む彼らが繰り広げる他愛もない日常と、非日常。

【守護機兵Xガードナー シクス ◆wuZfOwaq7U】
CC(コスモセンチュリー)115年。独立を宣言する火星と地球の、人類初の惑星間戦争が行われていた。
少年シュート・ダリューグは独立機動防衛部隊"Xガードナー"に参加するも自分の存在価値に惑う。
戦いを止められるのは薙払う剣か、それとも守護する盾か…
あなたの護りたいモノはなんですか?

【シャドウミラージュ ◆klsLRI0upQ】
あの日、自分は前に進むことが出来たのだろうか?
心に傷を負った青年クーガは、その過去に囚われるように生きていた
そんな青年がシャドウミラージュと呼ばれる特殊部隊に配属される事から物語は始まる
「人」「機」「妖」の三つが紡ぎだすグランドアースサーガ、再び開幕

【秘神幻装ソルディアン ◆tEulldVhj8h6】
因果の日は来たり――世界は異形の怪物アバドンに覆われた。
混迷を極める世界に機械仕掛けの神々は覚醒し、かくして今まさに黙示録が再現される。
測り知れざる過去より続く闘いの行方は、如何に。

【リベンジャー・レディ ◆9MC6FR8UMj7S】
彼女は全てを奪われた。地位を、居場所を、己の四肢すらも……
最新兵器ダウンシューターに制御AIとして『組み込まれた』エムレイン・ブルーは自分から全てを奪ったブルーバレット社に復讐を決意する。
最後の飛翔を前に彼女は呟いた。「さぁ、最期の日を始めようか」
『見届け人』姉小路真澄シリーズ第一弾。


・読者側は、積極的にエールや感想を送ってあげよう! 亀レスでも大感激! 作者はいつまでだって待ってるもんだぞ!
・作者側は、取り敢えずは作品で語れ! 自分のペースでも完結まで誠実に奮励努力せよ!
・我らスレ住人は、熱意に溢れた新作をいつも待ち望んでいる! 次スレの紹介文には、キミのロボットも追加させてみないか!?
5創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 20:56:46 ID:UPWXKw9H
※紹介文未定作品一覧※
【機甲闘神Gドラスター ◆uW6wAi1FeE】

【英雄騎兵ミッドナイト ◆YHSi90Gnr2】

【ブリキの騎士 ◆WTKW7E8Ucg】

【機動修羅バイラム】


※紹介文候補※
【ブリキの騎士 ◆WTKW7E8Ucg】
2024年、混迷と動乱のアフガニスタン。米軍最新鋭兵器、M23機動装甲服が降り立ったその地で、奇怪な陰謀が蠢く。
陰謀の真相は? 米兵たちを待ちうける運命とは? そして、この騒乱の行きつく先は?
ハードな世界観と設定で繰り広げられる、近未来ミリタリーロボットシミュレーションSSに刮目せよ!
――――人の織り成す混沌を、機械仕掛けの騎士が撃ち抜く。

上記の候補はひとまず、作者さんの承認待ちです

紹介文はまだまだ募集中!
作者さんが、自身で考えちゃってもいいのよ


抜け漏れなどあったら次スレ立てる人のために、このレスへ安価でお知らせプリーズ。
6創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 20:57:43 ID:UPWXKw9H
テンプレここまで

Mission start.
7創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 21:02:39 ID:+hh5/HiD
>>1乙です
8創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 21:46:17 ID:sueLAryg
>>1 乙です

でも関連スレの勇者スレは、風前の灯です!
9PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/03(木) 21:50:44 ID:XLS/Y6Cw
 これが、人類を導く>>1乙だ!


 うたたねしてたらこんな時間に……。
10創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:03:16 ID:+hh5/HiD
んじゃ、CR後編投下始めるよー
11CR MAIN後編 1/17:2009/12/03(木) 22:05:02 ID:+hh5/HiD



意志の話をしよう。
この世のありとあらゆる生物は意志の力を持っている。
それは強くあろうとする意志であり、生きようとする意思であり、夢を追う意志である。
ありとあらゆる生物の原動力はこの意志の力であるといっても過言ではない。そしてその意思の力こそが生物に進化する力を与え続けてきた。
猿が人になったのもその一例であるといえる。つまり意志の力こそが生物の力と呼ばれるものの根源であるといえる。
ありとあらゆる大業も意志の力を伴わなければ果たすことはできない。故に意志の力は強大なものであるといえた。
そして意志の力こそが唯一進化と呼ばれるモノへの指向性を持つ力なのだ。
一つの意思が少しづつ、その生態系を変化させていったようにその意思が一つの所に何千、何万と集まる事になるのならば、それは強大な力となる。
だが、この意志の力は形が無い力でもある、雲のように掴めないもので、あると理解は出来るのに、その理解は概念としか得ることが出来ず、触れる事など出来ない。
故に意志の力は人が持つものでありながら人が触れられぬ領域に存在する力だとも言えた。
ならば、その力は存在していようとも無いのと同義だといっても過言ではないだろう。
だが、もし、それを認識し、集め、現実に知覚でき干渉するエネルギーへと変換する事が出来るモノが存在しているとすれば、まったく新しいエネルギーを人は得る事に成功する事になる。
そして、怨嗟の魔王のDeep-seated grudge conversion system(怨念変換機関)はそれを可能にするシステムであった。
人が最も強い意志を発する時、それは自らの命が死と隣り合わせにある状況に他ならない。
自らの生命が死の危機に瀕した時、それを打破する為に人は強い意志の力を発揮する。
進化とは元来、その力の発揮の積み重ねで行われてきたものだとも言える。そして、それが最も濃く現世に残るのが怨念である。
魔王はそれを集め、この世ならざる力をこの世の力へと変換する。
故に怨嗟の魔王なのである。
人の最も強く、最も醜い部分が集成して存在する機体。
人の負の意志の権化とも言える。
そんな機体の中に青年、黒峰潤也はいた。
彼はその幾千幾万もの怨念を纏め上げる怨嗟の魔王の支配者である。
その強大な力を一人の意思で行使する権利を持ち、それを用いて己の目的の為に戦ってきた。
曰く、復讐。
彼が仇とするのは自らの家族を奪った存在である。
それを倒す為に黒峰潤也は今日まで戦ってきた。
そうして今、彼の目の前には敵がいる。
アンダーヘブンからの侵略者。
鋼獣(メタルビースト)。
彼は自らの目的の為、その怨念を率いて戦う。
これは黒峰潤也の後悔の物語である。





CR ―Code Revegeon― capter1  「Beelzebub of grudge」 THE MAIN STORY 後編









「潤也、聞こえてる?ねえ、潤也!」
鋼鉄に包まれた小さな一室の中、女性の声が木霊する。
「聞こえている。五月蝿いから喚くな。状況の報告だけをしろ。」
その声に心底、嫌々そうに白髪の青年、黒峰潤也は応えた。
「OSの再構築は60%までは完了。起動をさせるには単純にエネルギーが足りないみたい。」
「DSGCシステムはどうだ?」
「システムを起動するぐらいまでは出来るよ、この辺りは第三次世界大戦での戦場だったみたいだし、強い怨念も多いから半径10km程度の領域の思念を収束変換すれば、この子を戦闘機動させる事は出来るとは思う、ただ…。」
「なんだ?時間が無いんだ。あんまり勿体ぶった言い回しはするな。」
そう冷酷に言い放つ潤也に対し、女は少し怯えるような声で続けた。

12CR MAIN後編 2/17:2009/12/03(木) 22:06:41 ID:+hh5/HiD
「ご、ごめんね、潤也、ただ、潤也に言われた通り、負荷軽減システムの再構築を後回しにしたから、潤也にかかる負担は通常の50倍程度になると思う。
 やっぱり、今のこの子じゃ無理だよ、潤也、ここは見捨てて離れようよ。それぐらいならば少量の怨念でも出来るから…。」
潤也の身を案じるように女は告げる。
だが、潤也はそれに呆れたような素振りを見せ、
「そんな事は命じた俺が一番わかっている。藍、お前の役目はこいつ動かせるようにし、戦えるようにし、勝てるようにする事だ、俺の心など案じる必要は無い。
 お前はこいつの部品だ。部品がそんな事を心配するのは間違っているだろう?部品なら部品らしく、機体の為の歯車であれば良い。」
覚悟を決めるように、藍と呼ばれた女は言葉を返す。
「うん、わかってる。大丈夫、潤也の望むようにやってみせるから…。」
それを聞いた潤也は少しの呼吸の間をおいた後号令した。
「なら、行くぞ、DSGCシステム起動。」
「了解――収束領域を周囲10kmに設定、Deep-seated grudge conversion system起動。」
藍は機械的な口調でそれを読み上げる。
そしてそれはその鋼鉄の部屋の外で起こった。
鋼鉄の部屋を内蔵する漆黒の鋼機は体の各部を展開し始める。
それに連れられるように大地から、紅の光が浮かび上がる。
それは漆黒の鋼機、怨嗟の魔王が周囲10kmに存在している怨念を浮き上がらせたものだ。
そしてその怨念を吸い上げ自らの中で力へと変換し、機械仕掛けの魔王はそれを力とする。
「本当にいいんだよね?潤也。」
藍は不安げに潤也に再び問いかける。
それが潤也の怒りを買う事を知っていてなお、問いかけずにいられなかった。
今から行う事は潤也の精神を壊す可能性すらある。
普段の施行ですら、潤也にあれほどの負担をかけているのだ。
一歩間違えれば、黒峰潤也という一個体の精神を破壊してしまう可能性もある。
むしろ、その可能性は高い。
もし帰ってきたとしても、まともな精神状態でいる事は出来ないのではないのだろうか。
藍はそれだけはどうしても避けたかった。
だが、潤也は呆れたように、それでいて当たり前のように冷たく言い放つ。
「先も言ったはずだ、部品が人間の心配をするな。まがい物ならまがい物らしく、振る舞え。」
藍はそれに反す言葉を続けようとするが、それが無駄だと知って喉から出かけた言葉を飲み込む。
「――変換開始。」
魔王の中へと紅の光は収束される。
「――っ。」
そうして潤也の意識は暗闇に吸い込まれた。





怨念とは人が無念の最期を遂げた死者は生者に自らの思いを伝えようとし発生するものである。
徴兵され戦争で無念の死を遂げた者。
家族を強盗に目の前で殺され、失意の中殺された者。
愛する者も守ることができず自らの不甲斐なさを嘆き死んだ者。
その恨み、妬み、怒りを生者に伝えようとする。
それが俗に言う心霊現象の正体であった。
だが、思念体と現世の世界は隔離された世界でもあり、普通ならばそれはわずかに漏れ出た程度の影響しか与える事が出来ない。
しかし、怨嗟の魔王のDSGCシステムは怨念をエネルギーに変換する際に、その境界を消滅させてしまうのである。
DSGCシステムは概念である怨念を無理矢理エネルギーへと変換するシステムである。
その際に変換中の怨念がシステムから漏れだし、搭乗者を襲うという現象が起こる。
怨念とは強い意志体であり、己の最も憎むべきモノを永遠と繰り返し見続けるモノでもある。
境界を亡くした状態でそれと生者が接触すると、自らの未練を伝える為に、自らの死を五感を通じ感情の流れまで再現して、伝えようとするのだ。
見知らぬ死者の未練の死の追体験。
つまり搭乗者はシステムによって強大な力を得られるが、その代償としてその力の源である死者の死ぬ時の記憶を何度も体験する事になる。
人の死を感情の流れまで含めて再現する体験、つまり、搭乗者は生きながら何度も己の死を体験する。
死の時の痛み、生きていた時に最後に抱く感情が襲い掛かり、死に、蘇生し、また死ぬ。
つまるところこの機体の搭乗者はDSGCシステムを起動する度に何度も生きながら死んでいる。
これがDSGCシステムの持つ大きな問題点であった。
普段ならば、システムでかかる負担を軽減をしているのだが、先の戦いにおいて、怨嗟の魔王はOSを含むシステムの全削除と再構築という選択を余議なくされた。
これだけの短時間でシステムを再構築する事が出来たのは一重に機体に溶け込んで合一化した藍の力であり、それはそれで驚異的な事であったのだが、流石に全てを元通りにするには時間が足りなかった。
13創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:08:31 ID:9YsHMttr
   
14CR MAIN後編 3/17:2009/12/03(木) 22:08:44 ID:+hh5/HiD
故に構築の優先順位を決める必要が出る事になる。
その際に、潤也は自らを保護するシステムを全て後回しにし、リベジオンを機動させるのに必要なものから構築させたのである。
だが、それがDSGCシステムの持つ危険性を大きく増大させてしまった。
そもそもこの現象を軽減するシステムを作動してなお、怨念は漏れ出し、搭乗者の精神を浸食するのだ。
故に、この状況でDSGCシステムを起動するという事は自殺行為であるとも言えた。
普通ならば精神が壊れてしまう可能性すらあるそれを今、黒峰潤也は行っている。
DSGCシステムでの力の変換が終わるまでの時間、彼は精神はその思念に晒される。
怨嗟の魔王に向けて光が収束する。
「DSGCシステムによるエネルギーの供給を開始、出力10%に到達、再起動。機関連結。CR−02起動。」
そうしてリベジオンの二つの瞳に再び紅の光が灯る。
そして即座に藍はDSGCシステムを停止させる。
「潤也、大丈夫?潤也!!」
悲痛な叫びをこめて藍は潤也に呼びかけた。







この世のどこにでもあり、無限に存在する小宇宙の一つ。
そこは暗黒で満たされていた。
だがそれは静寂を持って作られた闇では無く。
怨嗟にまみれ、塗りつぶされた暗黒。
宇宙のような澄み切った清潔な闇では無く、悲痛な叫びが、嘆きが、怒りが跳梁跋扈し、充満する泥のような暗黒である。
その暗黒の中に黒峰潤也はいた。
既に黒峰潤也という一個体は怨嗟の魔王が集めた千もの怨念の中に混ざりつつあり、その個体の意思を失いかけていた。
この事態を黒峰潤也は想定していなかったわけでは無い。
だが、この魔王に乗ると決めた時、そしてその本質を理解した時、いつかそれと向き合わなければならない日が来ると黒峰潤也は理解していた。
この機体は搭乗者の心を壊す。
元来、力とは、それを扱うモノの心によって初めて意味を持つが、この機体の場合はその力自体が意思を持っており、搭乗者が力の支配者であろうとする事をさせなくしてしまう。
怨嗟の魔王。
禍々しい異名を持つ漆黒の鋼機。
これは搭乗者の精神を怨嗟で塗り替え、世界を滅ぼす魔王を作り上げてしまう機体だという事である。
力の傀儡となった者はその怨念たちの怒りのままに力を振う存在になり、鋼獣以上の災厄に身を落とす可能性すらあった。
黒峰潤也はそれをその類稀なる意志、決意、執念によって、そのような存在に堕ちるのだけは抑えて来ていた。
だが、幾度もの鋼獣との戦いに黒峰潤也の精神は限界に到達しつつあった。
そんな中で通常の50倍近くの怨念に精神が晒されたのである。
藍が持たないと思い、潤也を気遣ったのは至極当然の流れと言えた。
結果この始末。
黒峰潤也とよばれる精神は既に他の怨嗟に浸食されつくされていた。
怒れと怨念は言う。
殺せと怨念は言う。
誰一人としても生かすなと怨念は言う。
死者は生きる者を羨望の眼差しで見つめる。
何故、自分たちは死んでいるのに、彼らは生きているのだろうと…。
15創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:09:59 ID:Uz4mnUmn
 
16創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:10:32 ID:XLS/Y6Cw
 
17創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:10:38 ID:9YsHMttr
    
18CR MAIN後編 4/17:2009/12/03(木) 22:10:49 ID:+hh5/HiD
だから、生きる者、全てが許せず。
それら全てを奪おうとする。
自分たちはこんなにも不幸な最後を迎えたのに、何故、あいつらはあんなにも幸福そうに生きているのだろうかと…。
そんなモノに包まれながら、潤也の視界は闇に染まっていった。

――――――――――
―――――――――い
―は――――――――

それは微かな闇だった。
泥のような闇の中に紛れ込んだ泥の闇とは違う闇。


―――――を――――
――あ―――――――
――――――――た―


幾千もの怨嗟の中で、微かな闇が必死に何か訴えている。
それが消えつつある潤也という存在を繋ぎとめている。

―――の――――――
―――――――け――

それは決して潤也の意思では無い。
リベジオンがDSGCで取り込んだ怨念の一つ。
無念の死を遂げた、一つの意思。

俺――――――――――
――――――助――――
――――人――――――

それは他の怨嗟にかき消されてしまいそうな小さな声だった。
だが、その意思は強いもので、純粋な願いでもあった。
その怨念は何度も一つの願いを伝え叶える事を望むのだ
それを発する怨念の死の瞬間が潤也の意識に流れこむ。
それはとある女性を愛した男だった。
その女の為に自分の弱さを偽り、その偽った自分を真実にしようとした男の最後だった。
腹部への牙の貫通。
それがその男の最後。
消えゆく男の意識の中で愛した女の泣き叫ぶ声が木霊していた。
男は何故自分はこんなにも弱いのだろうと思った、何故自分は彼女を救う程の力も無かったのだろうと思った。
だから、男は無念を残し怨念となった。その怨念が思う事はただ一つ。
『俺はあの人を助けたい。』
泣いて欲しくなどなかった。
尋常ならぬ理想を抱えて、生きていてほしかった。
例え彼女の心が自分に向いたりしなくてもいい。
ただ、彼女が彼女であれるように助けてやりたかった。
それが男の怨念だった。
その呪詛が潤也を泥のような暗黒から引きずりだそうとする。
だが泥のような暗黒は重い、ねばりつくように一度捕えた潤也の意識を離さない。
所詮、幾千もの怨念に一つの怨念では太刀打ちできないのだ。
だが、またそこに新たな怨念が現れる。
『なんかよ、あの人を泣かせるのは嫌なんだよなぁ…。』
怨念はそう告げて、潤也の体を引く。
それは強い意志だった。
そうして潤也を泥のような怨念から引き上げようと他の怨念たちが少しづつ集まっていく…そうしてそれは泥と同じ程の怨念となった。
潤也は自らの半身を泥から引き上げられ潤也に視界が戻る。
瞼についた泥を払いながら潤也は薄らと目を開いた。
19創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:11:12 ID:LHMLPZBY
 
20CR MAIN後編 5/17:2009/12/03(木) 22:11:35 ID:+hh5/HiD
取り戻した視界に映ったそれは怨念が自らを引き上げようする光景であり、怨念が自らを落とそうともする光景だった。
死に瀕した時に発する無念は恨みのみでは無い、自らの無念、自らが何かを成そうとして志半ばで倒れた時にも現れる。
恨みの怨念と無念の怨念。
その片方は自らの怒りの捌け口として潤也を求め、もう片方は自らの希望を載せて潤也を求める。
潤也はその二つが自分を引き合っているのを見て一つの思いを抱いた。
それは確固たる思いだ。
決して変わらぬ思いだ。
黒峰潤也であるが故の思いだ。
故に黒峰潤也はどのような状況に陥ろうとその思いを叫ぶだろう。

「――巫山戯るな。」

お前たちの希望だと?お前たちの絶望だと?
そんなモノは知ったものか…俺は俺だ。
黒峰潤也だ!
これは俺だけの戦いであり、俺だけの苦難であり、俺だけの復讐だ。
俺は何かの希望になるために戦うような高尚な人間でもなければ、怒りに任せその捌け口として無差別に人を殺す程落ちぶれた人間でも無い。
俺が今、行おうとしているこれは誰かの為に、死んでいった者の為になどと大義を乗っけて行うようなものでは無い。
ただ、俺がそうしないと気が済まないからそうしようとしているだけだ。
そんなくだらない闘争なのだ。
そんなくだらない闘争でなくてはならないのだ。
そんなくだらない闘争を高尚な大義名分を背負い、意義のある闘争にする事など決して許されてはならないのだ。
だから、お前らの意志はいらない。
お前らの与えようとする希望も絶望も俺には必要ない。
この戦いに、俺の欲望以外は必要無い。
これは俺一人の戦いでなければならないのだ。
だから――

「―――お前らの思念は邪魔だ!」

潤也は泥の宇宙から自らを引き上げようとしていた怨念を振りほどく、潤也の体は再び絶望が、怨嗟が渦巻く泥の怨念に沈んでいく。
だが、潤也は自らの力でそこから抜け出そうと足掻く。
泥はべたり付くように潤也の体を覆うとする。
そして、それから救い出そうと別の怨念は再び手を伸ばす。
だが、潤也はその手を再び振り払った。
希望の手は取らない、だからといって絶望に身を任せるつもりなど毛頭無い。
この暗闇、この怨念を自らの力で征服する。
ここは潤也の小宇宙である。潤也ただ一人だけが存在を許される精神世界である。故に自らの中に入り込んできた異物は排除しなければならない。
例え、それが自らのキャパシティを大きく超えた絶対的な物量だとしても、勝ち目のない戦いだったとしても…。
惨めだろうとなんだろうと足掻き続ける。
それこそが黒峰潤也だからだ。
その強固な意志は一つの奇跡を呼び込んだ。否、奇跡などでは無い。
奇跡とは偶然が重なり起こるモノ。
人の意など介さずに起こるモノ。
ならば、これは何だ?
それは人の強い意志が起こしえたモノだ。
人の強き思いが呼び起こしたモノだ。
即ち、必然。
黒峰潤也という男の宇宙に霧散していた多くの欠片が一つの場所に集まり始める。
それは怨念たちを寄りつかせぬ強い力を持って一個の個体として確立する。
そして黒峰潤也はその暗黒から抜け出す為に立ち上がった。





「潤也、ねえ、お願いだから起きて!!」
声が聞こえる。
馴染み深い声だ。懐かしい声だ。優しい声だ。
21創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:12:13 ID:XLS/Y6Cw
 
22創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:12:13 ID:fsu598kF
   
23CR MAIN後編 6/17:2009/12/03(木) 22:12:16 ID:+hh5/HiD
―潤也、ねえ、潤也、早く起きてよ―
「―――いや、違う、お前じゃない。」
黒峰潤也は薄らとした意識の中で頭をふり強引に意識を呼び覚ました。
頭痛が酷い。
あれほどの怨念に精神を曝したのだから当然の事だと言えた。
「潤也、ああ、潤也、良かった、本当に良かった。このまま、戻って来れないんじゃないかと…ねえ、潤也、大丈夫だよね?」
馴染み深い声を持ち、それでいてその馴染み深い声の持ち主と別モノである彼女はそう言って自らの身を案じた。
その一挙一動、その全てがあいつと同じだ。
「黙れ、無駄口は叩くな。」
それが潤也にとって許せないものであった。
「あ、うん、ごめん。」
藍は素直に謝る、自らが潤也に嫌われている事を藍は自覚していた。
「状況報告。」
潤也は要件だけを言い催促する。
「再起動に必要な怨念は回収完了し再起動は完了、DSGCシステムの復旧も完了したよ、完全機動の5%程度の戦力は発揮できると思う。」
「そうか、俺が意識を失ってから何分ぐらいたった。」
「2分ぐらいかな。」
潤也は苦笑する。
あれほどの長い間、地獄にいたのに外では2分しか時間がたっていないと言うのか…。
しかし、それでも少し眠り過ぎたなと潤也は思う。
潤也はスクリーンで周りを見渡す。
さきほど、自らを捕獲し護送していた鋼機が次々と鋼獣の群れに破壊されていっている光景がそこには広がる。
「間に合わなかったか…。」
少しの落胆が潤也の声に籠る。
「うん、さっき二機目がやられた所、残るのは隊長の人の機体のみだね。」
スクリーンが四肢が破壊された鋼機に向けてズームされる。
「まあ、いい、あれだけでも生かして返そうか…。」
「それは憐みとか同情とかそういう感情から?」
藍の声に少量の悲嘆の声色が混じる。
「まさか、わかっているだろう?」
潤也は笑う。
「うん、そうだね。」
そうして潤也は操縦席にある二つのオーブを両手で握りしめた。
オーブは潤也の体内に埋め込まれたナノマシンを通じて潤也の脳から発せられる命令を受け取り、機体にその命令を伝える。
そうして、潤也は怨嗟の魔王を立ち上がらせた。
鋼獣の内の一機が第七機関の鋼機部隊、隊長機へと襲い掛かろうとする。
それに対して、潤也はすぐさま魔王を走らせた。
「藍、右腕に怨嗟を収束しろ。」
の右腕部の甲が展開されそこからエネルギーへと変換された紅の光が発生する。
それを螺旋を作り、魔王の機械仕掛けの右腕を覆う。
「収束完了――ソウル・アミュレット始動。」
藍がそう静かに告げる。
そうして、四肢をもがれ倒れている隊長機に迫る鋼獣一機をその拳の甲で殴り飛ばした。吹き飛ばされた鋼獣はすぐさま立ち上がる。
通常ならば、あのレベルの鋼獣など顔ごと吹き飛ばす威力を持つ拳撃なのだが、顔の半分を吹き飛ばした程度で済ませてしまった。
「流石にこのパワーだとダメージが低いな。」
「そうだね、それにこの程度の武装でも乱発は出来無さそう。」
眼前に映る敵は6体の鋼獣。四足に漆黒の巨躯、口には鋭い二本の牙。
見たことも無い型だが、おそらくはレプリカのレプリカ、つまりは量産型の狗どもの一種だろう。
だが、現状の怨嗟の魔王でこれを相手にするのはあまり分のいい勝負では無い。
今、怨嗟の魔王の性能は通常の戦闘機動時よりも低く、その最強の武装である『ルーの槍』を失っている状態にあるのだから…。
ならば、どうするか。
潤也にはあまりにも簡単な話だった。
24創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:12:32 ID:LHMLPZBY
 
25創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:12:40 ID:9YsHMttr
   
26創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:13:03 ID:g0LDeSWF
.
27創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:13:14 ID:LHMLPZBY
 
28創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:13:28 ID:9YsHMttr
   
29創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:13:58 ID:XLS/Y6Cw
 
30CR MAIN後編 7/17:2009/12/03(木) 22:13:59 ID:+hh5/HiD
「DSGCシステムを起動しろ。スペックをこいつをまともに使用できる程度までは引き上げる。」
「え、でも、今の潤也には――」
「――藍。」
潤也の身を案じる藍の言葉を刺すように潤也は告げる。
「ごめん、わかったよ。」
藍はその行為にどんな感情を抱いていようと潤也の決定に逆らう事は出来ない。
藍にとって黒峰潤也は己の全てであり支配者でもある。彼女にはそれ以外の選択肢を与えれていないのだ。
魔王の漆黒の機体の各部が展開し、再び怨念を集め始める。
完全に復旧したDSGCシステムは先ほど程、潤也の精神に侵食を行わないが、まったく影響を与えないというわけでは無い。
単に、怨念が濁流のように潤也に流れこまなくなるだけであり、確実に潤也の精神を浸食するのだ。
今までの戦いで耐性が付いているとは言え、先ほど心身をすり減らすような怨念に晒された潤也にそれをさせるのは非常に危険とも言えた。
「――っ。」
潤也は声にならない嗚咽を漏らす。
再び潤也の精神はあの二つの闇の狭間に置かれる。
先ほどよりはそれは重いものでは無かったが、精神的が先の起動時の浸食があった事もあり、危険性は先と同じ、悪く見れば先よりも悪いといえた。
怨念たちは潤也を求め、自らの願いを託そうとする。
だが、結果は同じだ。
黒峰潤也は決してそれを受け入れない。
そうして潤也は現実に戻ってくる。
奇跡は二度起こりはしないが、必然は何度でも起こる故に必然なのだ。
故に黒峰潤也という存在が破砕されるまで何度でも起こる。
「いけるよ、潤也。」
吸収したエネルギーを見、藍がそう潤也に伝えた。
そうして、怨嗟の魔王は四肢をもがれた隊長機の前に立つ。
潤也はスピーカーをオープンにしてその隊長に向けて語りかけた。
「あんたらは、こいつの事をブラックファントム(黒い亡霊)と読んでいたな。確かにあれは中々に的を得たネーミングだった。」
確かに面白いネーミングだ。
怨念は見方によっては霊とも言える。
霊を使い闘う機体、当たりでは無いが、遠くもない。
中々に面白いネーミングだと潤也は思っていた。
だが、この機体、怨嗟の魔王の本当の名前はそれでは無い。
「だがな、こいつの本当の名前はそうじゃない、こいつの本当の名前はな――」
自身の機体にその牙を突きたてようと迫りくる狗を殴り飛ばす。
先ほどと桁違いの力を纏ったその拳は狗の頭を粉々に砕いた。
そうして魔王は隊長機の前に立ち、潤也は言い放った。
「――リベジオンだ。」
辺りは既に暗闇に包まれ、夕日が沈み夜へと変わろうとしていた。
リベジオンと狗の戦いの幕が開けた。






敵は5機の狗。
野獣のように鋭くどす黒い瞳はリベジオンを刺すように睨んでいる。
リベジオンを攻撃する機会を窺っているのだろう。
先の仲間がやられた事で狗達は1対1の戦闘ではリベジオンに勝ち目がない事を悟ったのだろう。
故に彼らが狙うのは5機全てでの一斉攻撃。
象徴的な武装であった黒槍を失ったリベジオンの武装はもはや紅の光を纏った己の拳のみである。
それは必壊の威力を持つが所詮二つの腕から放たれるものであり、同時に襲いかかる5体全てを相手にする事は出来ない。
2機は破壊されても3機はその機体に牙を突きたてる事ができるのだ。
リベジオンが翼を広げ、それらが届かぬ空へ逃げようとしても飛翔の際のラグで機体ごと喰い砕かれるだろう。
つまり質で圧倒的に劣っていても狗達は数の差から有利を取れるのである。
そのために、その有利を失わぬように狗達は一定の距離を保ちつつリベジオンを囲むように立ち回り機を待つ。
それに対して黒峰潤也の操るリベジオンはゆっくりと右腕を天につきあげる。
突き上げられた拳は固く握られており、その周囲には紅の光が纏わりつくように徘徊している。
じりじりと距離をつめる狗達。
31創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:14:00 ID:LHMLPZBY
 
32創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:14:29 ID:9YsHMttr
   
33CR MAIN後編 8/17:2009/12/03(木) 22:14:42 ID:+hh5/HiD
一歩、また一歩と着実に自らの優位性を確実なものにしようと距離を狭める。
一歩、一歩、さらに一歩。
リベジオンは黒槍を失った事でリーチの短くなった事が災いし、必要以上の接近を許してしまう。
そうして狗達は立ち止った。
それは狗達にとっての絶好の位置。
狗達からすれば飛びかかればその牙でリベジオンの機体を貫ける距離であり、リベジオンからすれば、ギリギリその拳が届かない距離である。
先生攻撃を仕掛ければ、確実にその内の数機はリベジオンの機体を貫くだろう。
狗達は前足を地に踏み込み、延ばし、後ろ足を屈らせる。
そうして後ろ足のバネを使って飛びかか―――
その時だった、リベジオンが天に掲げた右腕の握られた拳を開いたのは…。
拳が開かれるのと同時に腕の周囲を徘徊していた紅の光は拡散するように広がりその周囲を一気に照らす。
それは極光と思えるほどの光を放ち、周囲を紅閃の世界に染める。
そしてその光りを発したと同時にリベジオンは動いた。
視界を閉ざされた狗達はそのリベジオンの動きを把握するのに遅れた
否、かつてリベジオンが対峙した他の鋼獣と比べれば動いたことを把握し反応したのは非常に速かったとも言えるだろう。
だが、それでもその一瞬の隙があれば黒峰潤也とリベジオンには十二分だった。
リベジオンの怨嗟の光を纏った拳が一機目の狗の胴体を貫通する。
それを投げ捨てるように二機目の体にぶつけ、それを投げた方へと駆ける。
破壊された同胞に視界を潰された狗は自らの身に何が起こっているのか理解する事が出来ない。
狗はそれを振り飛ばして、視界を取り戻す。
眼前に映るのは紅い瞳の漆黒の悪魔がその拳を振りかぶり、自らに振りおろそうとしている様。
そしてその拳は狗の頭を粉砕した。
既に周囲に光は無く、二機の狗はリベジオンを視認し、同時に上と下の二方向から飛びかかる。
リベジオンはその自らに向かってきた二機の狗の一機は頭蓋を掴まれ、もう一機は足で頭から踏みつけられその身を地に堕とした。
そして、リベジオンはその二機の狗の頭を握りつぶし、踏みつぶす。
あまりにも一瞬の事であった。
いくら質で勝ろうと数の有利はそれを超えていた筈である。
だが、なんという理不尽か、この怨嗟の魔王はたった一手でこの戦況を逆転させてしまったのだ。
そもそもの狗達のギリギリまでの射程を積めるような移動、慎重に慎重を重ね、万全の攻めを敷くための方策。
その一手の唯一の弱点。
つまりは全ての敵が一歩踏み出せば己の射程に入る程近い距離にいるという難点を見事に活用してみせたのだ。
残る狗は一機。
こうなってしまえば戦力の差は歴然だ。
もはや量と質の戦いは終わり、質と質の戦いへと移り変わる。
怨嗟の魔王は狗を容易く葬り去れるだけの能力を所持しており、狗はリベジオンを倒す術が無い。
狗にとっては絶体絶命とも言える状況であった。
リベジオンは止めを刺さんと悠々と歩を進める。
そうしてリベジオンの射程距離に狗が入り、リベジオンが止めを刺さんと腕を振り上げ――
その刹那、狗が咆哮した。
それは負ける者が発するような絶望の叫びでは無く、未だ戦意を失わず、勝つための咆哮。
機械がそのようなものを発するというのも可笑しな話だが、そのような気骨を感じさせられる咆哮である。
だが、それに構わずリベジオンは必壊の拳を振りおろした。
そうして、その拳が最後の狗の頭部に当たる寸前に――――
「潤也、後ろ!」
藍の声が響く。
それと同時に、大きな衝撃がリベジオンの機体を襲った。
拳を振りおろしていたリベジオンはその衝撃に対して踏み留まる事もできず力のまま横転する。
それを見た狗はすぐさまリベジオンから離れるように後方に飛んだ。
何が起こったのかもわからず、衝撃の際、頭を壁にぶつけた痛みを感じながら潤也は問いかける。
「藍、報告しろ、何があった!!」
機体が受けた衝撃で頭を壁に強くぶつけた個所を抑えながら潤也は藍に現状報告を求める。
「そ、それが…私にもよくわからないんだけれど、破壊した狗がリベジオンに向かって突撃してきたみたいなの…。
損傷に関しては衝撃は凄かったけれど背部にかすり傷程度だから安心して、この子は問題無く動くよ。」
「破壊した断片?俺が狗の破壊に失敗したという事か?」
ならば、納得のいく話だ。
鋼獣のコックピットは頭のあるのが大体だ。
というのも操縦者は頭部から電気神経で繋がり、鋼人一体を果たすのだが、鋼獣は生物を模した機体であり、
かつて鋼獣が作られていた頃、その脳となる搭乗者の乗り込む場所は頭部でなければならないという取り決めがあったらしい。
34創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:14:52 ID:Uz4mnUmn
 
35創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:14:58 ID:LHMLPZBY
 
36創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:15:15 ID:fsu598kF
  
37CR MAIN後編 9/17:2009/12/03(木) 22:15:24 ID:+hh5/HiD
故に潤也は頭部に狙いを絞って狗達を破壊してきた。
だが、もし頭部に操縦席が無いイレギュラーだとしたらどうだ?
そもそもおそらくはあの狗達は遺物どころか、そのレプリカですら無く、まったく新しい機体であるのだから、
そのような取り決めを守らずに別の場所からコックピットの場所も変わっている可能性も無きにしも非ずだった。
しかし、その考えを藍は否定する。
「たぶん、それは違う。もし生きていたらDSGCシステムに怨念が探知されない筈。今、潤也が破壊した5機の狗達からは全て、怨念を確認しているよ。
 つまりは潤也は確かにあいつらの操縦者を殺している。」
「ならば、何故あいつらは動いている?」
少し考えるような間をとって藍は答える。
「可能性の一つとし考えられるのは遠隔操作じゃないかな。
 鋼獣で複座式なんてありえないし、おそらくはあの狗達には破壊された狗を動ける狗が遠隔操作で動かせるようになってるとか…。」
最後の一機だった狗の周りに頭を破壊された五機の狗が集まっている。
「確かに、その線で考えるのが妥当か…」
「でも、これならば、あんまり考える必要も無いよね、結局今あの群を操っている張本人をやっつけてしまえば、私達の勝ちだもの。」
再び狗が吠える。
それに呼応するように半壊した他の狗達が最後の狗の元に終結した。
「だが、話はそこまで簡単にはいかなそうだ。」
潤也は狗が次に行った行動を見てそう感想を述べる。
「え…でもこれって…。」
藍もそれを確認し戸惑いの声を上げた。
半壊した狗達がパーツに分解され、新たな存在へと自らを再構築し、兵装へと変化させたのだ。
そうして、最後の一体であった狗はそれを纏い自らの鎧と武器へと変化させていく…。
「あまりいい予感がしないな、さっさとやるぞ。」
リベジオンは右拳にエネルギーと化した怨念を纏わりつかせ、翼を広げ、宙に浮き低空飛行で狗に迫る。
右腕を振り上げ、高速でその距離を詰める。
その時、狗の方から空気が掃除機に吸い込まれるような音が鳴る。
その音に危険を覚え、潤也はすぐさま攻撃を中断しリベジオンを上昇させた。
それとほぼ同時にパシュンと間抜けな音が響き、リベジオンの後方にあった木々をぶち折っていく。
「え、今のって…。」
藍は再び驚きの声をあげる。
「空圧砲か!!!」
先の戦いでリベジオンの呪式結界を抜けてきた実体を持たない弾丸を打ち出す、砲銃。
それとまったく同じ原理の兵装を狗が使ってきたのだ。
狗の変化が終了する。
体は3割ほど大きさを増した5mほどの体となり背中には二本の巨砲と翼、尻尾は6つに分かれており、顔は縦に三等分して分かれており、全身に刺々しい甲冑のようなものを纏っている。
そして、その外観はそのなんとも言えない不釣り合いな歪さを感じさせていた。
「――キモッ!」
その姿を見た藍は短くかつ的確な感想を述べる。
潤也もまあ、大体は同感なのであまり突っ込まなかった。
言うなれば、とりあえず無理矢理武装を狗にくっ付けただけなのだ。
外観的美意識などまったくを無視し、とにかく武装と装甲を強化して出来た歪な存在。
それが今の狗だった。
狗は再び、リベジオンに向けて砲を発射する。
すぐさまリベジオンは射線からずれるように旋回し回避する。
発射される際になる、火薬の音が破裂する音がしない間抜けな発射音。
そうして実体を持たない弾丸がリベジオンの隣をかすめていく。
それを見て、潤也は空圧砲であると確信する。
「でも、ああいうのはあいつらには作らなさそうな代物だけれど…。」
藍の疑問も当然だ。
焔凰の熱線のような強力な武装を作れる彼らわざわざこのような兵器を作り装備させる必要があるだろうか?
ならば、何故あの狗はあのような兵装を持っているのか?と潤也は考える。
確かにあの空圧砲は対リベジオンへの手段としては有効だとは言える。
だが、所詮、空圧砲で与えられるダメージなどは雀の涙程度であり、機体に大きな衝撃を与えども機体に大きなダメージを与えるのは不可能だ。
だから先の鋼機部隊はそれをメインにもってくるのでは無く、それを起因とした攻撃を仕掛けてきたのだ。
空圧砲だけではリベジオンに大したダメージを与える事が出来ないと知っていたのだから…。
無論、異形と化した狗が行う攻撃が鋼機部隊と比較にならない程の威力を秘めた空圧砲であったならば、話は別だ。
だが、それは過大評価しても鋼機部隊が使ったものと同等の威力のものでしかなかった。
では、何故このような兵装をあの鋼獣は取りつけたのか…?
38創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:15:33 ID:9YsHMttr
   
39創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:16:03 ID:LHMLPZBY
 
40CR MAIN後編 10/17:2009/12/03(木) 22:16:24 ID:+hh5/HiD
UHがこの機体の対策として取り付けた?否、それではあまりにお粗末な出来だ。
少なくとも地上の人間より高いテクノロジーを持つ人間たちがそのようなモノを作るとは思えない。
ならば、一体…。
「考えるだけ無駄だな…。」
そこで、潤也はその思案に関する思考を中断させた。
今、考えなければいけないのはあの狗をどうやって破壊するか?だ。
考えても即座に答えの出ない雑念に囚われていては勝てる勝負も勝てなくなってしまう。
「藍、一気にやるぞ。」
「了解。」
リベジオンは宙で身を翻し、狗に向けて突撃を開始する。
風を斬り、音を裂き、暴風の如く狗との距離を詰める。
狗は迎撃に空圧砲を撃つが、射線を読みきって降下してくるリベジオンは止められない。
あと数秒の間にリベジオンの右腕は狗の頭を掴むだろう。
だが、それで狗の攻撃は終わらない。
背のパーツをまた新しく変換し、新たな砲台を作りだす。
3、4、5、6、7、8、9、10。
全10門にも渡る空圧砲を即座に構成し、展開した。
そしてその10の砲門でリベジオンを迎撃する。
「ちっ。」
即座に潤也はリベジオンに降下をやめさせ上昇し狗から大きく離れる。
先ほどまでは二門であったが故に射線からずれ回避しやすかったが、今度は数が違う。
数が違うという事はそれだけ抜ける間が少ないという事だ。
例え、一発の威力は問題にならなくても空中であれを何発も受ける事はあまりに危険だ。
「なんなんだ、あれは!」
自らの体の構成を組み替えて戦う鋼獣だとでもいうのか?
だが、レプリカクラスでも無いのにそのような事が出来る鋼獣がいるのだろうかと潤也は思った。
「もう、あそこまでいくと要塞だね…あまりのキモさに目が痛くなるけれど…。」
背の多量の空圧砲を見た、藍が呆れるように言う。
もはや狗とすら呼べない四足歩行の異形が背中に背負っている砲は鋼機部隊が使っていた空圧砲が小型化したような印象を受ける代物だ。
実際、威力も彼らが使っていたのと比べると落ちていると潤也は感じていた。
だが、その分、数があり、それらの合計的な威力は彼らの空圧砲を大きく超えるだろう。
潤也は考える。
定石ならば、迎撃手段があるとは言え、こちらの方が有利なのだから、先ほど狗達が自分にやろうとしたように優位性を損なわずにじっくりとした攻めを行うのが理想だと言えるだろう。
だが、潤也には一つ懸念があった。
先ほどから頭痛が酷く、何度か意識を失いそうになっているのだ。
DSGCの過負荷の中にいた代償とでもいうべきか…度重なる負荷の中で潤也は疲労困憊の状態にあった。
見方によっては、この程度の代償でこれだけの力を得ているのだから破格の力とは言える。
だが、それは確実に潤也の精神をすり減らしていた。
「あまり、長くは持たないな。」
自己診断によって自分の状態を把握し、潤也はそう呟く。
ならば、長期戦になる事は望ましくは無い。
多少のリスクを犯そうと短期決戦。
これしか黒峰潤也がこの戦いに勝利する方法は存在しなかった。
だが、あの敵はあまりに異質だ。鋼獣枠から外れた存在だと言ってもいい。
性能的な差ではこちらが有利ではあるが、あの異質さが何故か潤也の心にわだかまりを残す。
先の機体の再構成による空圧砲の増加を見た今となっては、それを雑念だと振り切る事は潤也には出来なかった。
「藍、あれをどう見る?」
「うん、そうだね。とりあえず、一つ仮説は作ってみたけれど、まだ確信は持ててない感じかな。あともうひと押しあれば自信を持てるんだけれど…。」
「それは?」
潤也がその仮説を引き出そうと問いかける。
「うーん、まだ駄目、言えない、自信が持てない仮説だし、もし間違ってたら余計な先入観を抱かせるだけになっちゃうし、それが命取りになっちゃう事もあるから言えないよ。」
「―――言え。」
言葉に冷徹な重みを乗せて潤也は藍に迫る。
少し考えるような間をおいた後、藍は答えた。
この女は黒峰潤也には逆らえないのだ。
「あくまで、仮説として聞いてね。お願いだから…。」
「わかっている、さっさと言え。」
41創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:16:26 ID:XLS/Y6Cw
 
42創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:16:28 ID:9YsHMttr
   
43創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:16:46 ID:LHMLPZBY
 
44創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:17:09 ID:9YsHMttr
   
45CR MAIN後編 11/17:2009/12/03(木) 22:17:19 ID:+hh5/HiD
「たぶん、あれは他の機械のシステムを自身の中に取り込んで解析しそれを自分の中で再現できる鋼獣なんだと思う。あれが、機関の人たちを襲った時の事を思い出して、潤也…。奴らは普通の鋼獣がしない事をしていた筈でしょ…。」
少し考えた後、潤也は納得が言ったように答える。
「奴らは破壊した後も機体を喰らっていた…?」
「うん、それ、確かに獣ならば、殺した獲物を食べる事はあると思うけれど、仮にも機械の鋼獣がそんな事するなんて非合理的だと思うよね?
 そもそもあれには人間が搭乗しているのだし…あの捕食行動には意味があったと考えるのが妥当なんじゃないかなと思うんだ。」
「つまり、あれはあの鋼機のシステムを自身の中に取り込む為の行動だったというわけか…。」
「だね、きっとあの空圧砲も持ってた機体の空圧砲を喰ったのか、
 あの目の前で喰われた鋼機達の中にもデータがあったのかどっちかはわからないけれど、
 自身に取り込んで自身の中でそのシステムを再現し兵装として自らにフォーマットさせたんだと思う。
 この仮説がもし正しかったとしたら、とんでもテクノロジーにここに極まりだね。
 だから自信が持てなかったんだけれど…まあ、この子に乗ってる私たちもそんな事は言えないか…。」
潤也は納得したように頷く。
「しかし、そうだとすると、一つ大きな問題点があるな。」
「問題点?」
「ああ、そうだ、奴の尻尾だよ、よく見ろ、何か思い出すことないか?」
「あの不釣り合いな、6本の尻尾のどこ・・・あっ!」
異形と化した狗の尾は6つあった。
単純な思考で考えるならば、6体が合一化したが故に6本の尻尾であるなどという考えに辿りつくだろう。
だが、もしそうでは無いとしたら?
あの6本の尻尾に意味があるとしたら…。
「―――焔凰の尾!?」
藍も潤也と同じ思考に辿りつく。
「でも、何時?少なくても焔凰はあいつらと戦ってブリューナクまで行使して塵芥残らず消滅した筈でしょ?一体、どこに取り込むべき破片があったというの?」
「あったよ。よく思い出せ。奴らの中でα5と呼ばれていた男が戦った時、焔凰は背負った輪を二つに割り半月輪として投擲した。そして、その半月輪は回収されていないんだ。」
藍ははっと息を呑む。
「奴らがもしそれを喰らい自身の中に取り込んでいたとするのならば、焔凰のシステムを模倣している可能性もあるかもしれない。それにこうだとすると色々納得がいく。」
「確かにそうだね、あの空圧砲だけでこの子に挑むのは余りに無謀だ、彼らがこの子の事をまったく知らないのならばともかく、目の敵のようにして追ってきている身の癖に、あんな玩具だけで戦おうなんてふざけてる。
 でも、あれが牽制を主目的とした兵装であり、もう一つ、こちらを仕留める為の切り札を隠していたとするならば、確かにあの武装は有益な武装だとも言えるかもしれない。」
焔凰の熱線放射。
それもまた実体を持たない攻撃であり、リベジオンの防御を貫く兵装だ。
狗の尾は6本しかなく、焔凰の9本と比べると劣っているのは確かだが。
そもそも焔凰は何処にいるかわからないリベジオンを破壊する為にこの一帯を燃やしつくす程のエネルギーを貯める為、9本のチャージを必要としていたのでは無かったか?
今、この機体はあの狗の眼前に現れてしまっている。
ならば、9本も使う広域熱線放射など必要では無いのだ。
牽制の空圧砲でこちらの動きを止め、本命の熱線でこちらを仕留める。
それが、あの狗の勝ち筋。
暗くなってきた外景に漆黒の機体が溶け込み、意識して見なければわからなかったが、狗の尾の内5本に既に暗い光が宿っているように見える。
つまりはあと少しでチャージは完了し、もはやそれは当てるだけでいいという状況だ。
そしてそれはこの仮説が限りなく真実に近いのだという根拠になりうる物証であり、戦況に対する考え方を大きく変えざるおえない事柄である。
先ほど鋼機部隊が戦った時よりも状況は悪い。
狗は自らの射線にリベジオンを追いこみ、熱線を放射するつもりだろう。流石のリベジオンもあれを受けるのは危険だ。
故にすぐさま接近し、あれを破壊しなければならない。
だが、空圧砲の弾幕により、近づくのは容易では無く、射線から大きく外れるのも難しい。
それに潤也自身のコンディションも最悪だ。
時間が無い。
ならばどうすれば良い?
潤也は自問自答の末一つの結論にたどりつく。非常に危険な手段だ。
46創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:17:37 ID:XLS/Y6Cw
 
47創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:17:40 ID:LHMLPZBY
 
48CR MAIN後編 12/17:2009/12/03(木) 22:18:00 ID:+hh5/HiD
それは自分自身との戦いでもあり、そこまで自分を保てれば勝利は絶対的なものになるといえるだろう。
だが、それは万分の1の確率を願うようなモノだ。
しかし、選択の余地は無い。
もはやそれは策と呼べるほどのものですら無いが、時間が無い故にそれ以外の方法を模索する暇はない。
そんな雑念を持っていたのならば、それは反応を鈍らせ、決意を鈍らせ、相手に一瞬の隙を与えてしまう。
だから考えるのは今、思いついたそれをいかにして成功させるか、それのみ――
故にその一手をまず始めよう。
「藍、設計図を読み込め。ブリューナクの再構築をする。」




これが最後の攻防だ。
空中にて相対する二体の鋼。
狗とリベジオンの決戦。
双方が携えるのは必殺の一撃。
狗が行う事は単純だ。己の背に背負う10門の空圧砲でリベジオンを自らの熱線の射線軸から逃さず捉え、熱線を当てる。
ただ、それだけの事だ。空圧砲は決定打にはならないが牽制の兵装としてはこれ以上無いものだと言えた。
故に確実に当てる為にその気を捉える事だけに全ての神経を扱っている。
それに対してリベジオンもやる事は単純である。
速度、火力、装甲それら全てが狗のそれを遥かに凌駕したスペックで狗など赤子を捻るが如く破壊すればいいだけだ。
だが、今のリベジオンにそれは出来ない話になってしまっている。
今、リベジオンは3つの爆弾を抱えている。
1つめはOS。
鋼機部隊と戦い凍結されたものを削除し、藍のバックアップから復元したものであったが一応の復旧が完了しただけであり、完全な状態へと復旧するにはまだ時間がかかる。
その為、現在のリベジオンには様々な制限が付いてしまっている。また、何かのシステムを起動した際、なんらかのエラーが起こるというアクシデントも想像に難くない。
時間をかければ、それは回復できる見込みのモノであったが、それをこの戦闘中に行うのは不可能な話であった。
2つ目はリベジオンはその最大の武器たる黒槍を失っているという事である。
それはリベジオンの真価を発揮させる為のデバイスの一つであり、一つの遠中近全ての距離に対応した万能兵装であった。
至宝と称され『最果てより来るモノ』の残した神の作りたもうた概念すら超越する力を持つとされるモノの一つ。
だが、それは先の戦いで焔凰との戦いで鋼機部隊を勝利させる為に貸し与えた事により焔凰の爆発の余波に巻き込まれ消滅してしまった。
今、リベジオンが行使できる武装はエネルギーへと変換した怨嗟を腕に纏わせ、そのエネルギーを使い相手を殴りつける呪魂手甲(ソウル・アミュレット)のみであり、射程が腕の届く範囲のみという近距離戦しか許されない状況になってしまっている。
100m近く離れ対峙している現状では、その攻撃を当てるのは相当の苦難な状況であると言えた。
3つ目はリベジオンの操縦者である黒峰潤也の体調。
既に3度のDSGCシステムの稼働、そして2度目の稼働はただでさえかかる精神への負担が数十倍に引き上げられた事もあり、心身共に限界を既に超えており、今まともに思考し、戦うためにリベジオン動かせているのが奇跡とでもいうべき事柄であった。
これが最後の攻防であるもう一つの理由はこれから行われる攻防で狗を仕留められなかった場合、黒峰潤也は確実に戦闘不能の状態に陥り、自滅という末路を送ってしまうだろう、故にもはや悠長な戦いなどリベジオンには許されないのだ。
これらの要素を鑑みた場合天地の差ほどあったリベジオンの優位性は大きく損なわれてしまっており、もはや不利であるとすら言える状況に陥っているのが現状であった。
それを飲み込んだ上で黒峰潤也は行動を開始する。
「設計図のロードを完了、該当因子の検索を開始。」
リベジオンは右の掌を大きく開き、紅光を纏わせる。呪魂手甲の起動。
だがこれは敵を倒す為の発動では無い。
「該当因子の検索を完了――因子収束。」
藍が淡々と機械的に読み上げる。
リベジオンの右腕に纏わりついていた紅光が暴れるようにその腕を回り始めた。
「収束完了――第一段階を終了――第二段階への移行――骨子の構築開始。」
リベジオンの右腕で暴れ回っていた光が今度は一つの形を作っていく。
それは、大きな長い線であった。
「骨子の構築完了―最終段階へ移行――肉付けを開始。」
その線に高速で形が付け加えられていく。
「―――石突きの構築――完了――――柄の構築―――完了――――頭の構築―――完了――潤也、コードを!」
その存在を確定する為のコード。所有者の証である事を証明する為のコード。
49創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:18:47 ID:fsu598kF
50創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:18:50 ID:9YsHMttr
   
51創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:19:02 ID:LHMLPZBY
 
52創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:19:45 ID:LHMLPZBY
 
53CR MAIN後編 13/17:2009/12/03(木) 22:20:19 ID:+hh5/HiD
それを黒峰潤也は唱える。
「The fate of the traitor of God is not happy(神に反逆するモノに幸福無し)」
音声による認証。
そうして、今右腕に収束していた光の塊はその存在は確定し一つの姿を取った。
それは何度もリベジオンと共に見られ、象徴ともいえるほどの印象を与えた兵装だ。
鋭利かつ獰猛で醜悪で、それでいて、美しさを兼ね備えたリベジオンの全長すら超える黒槍。
特に特徴的なのが長大な槍頭で、そこにつけられている刃はもはや薙刀の刃と言っても違和感は無いだろう。
しかし、槍頭に刀の刀身を付けたような薙刀と違い、それは二等辺三角形を模した槍の矛先であり、それは異質ではあるが分類するのならば確かに槍であると言えた。
そしてこの槍こそが怨嗟の魔王、リベジオンの最強の兵装。
「ブリューナク――再創造完了。」
ブリューナク、『ルーの槍』とも呼ばれる至宝の一つにして、『絶対』を歪める黒槍である。
「落ちるよ、潤也!」
藍が声を大きくして潤也に警告する。
それと同時にリベジオンは瞳から光を失い、空中から落下を始めた。
失われたブリューナクの再構築を行った際に先ほどDSGC回収して全てのエネルギーを用いて行ったものだ。
つまりは、今、リベジオンの中にはエネルギーなど微塵も残らず、すっからかんの状態であった。
このような状態で飛行に必要なエネルギー等、確保できるわけもなく、リベジオンは宙に留まる事が出来ず落下する。
それに対して狗はついに己のチャージを終え、牽制に空圧砲を撃ちながら自らの熱線の射線に捕えようとする。
既に飛行する能力すら失ったリベジオンはもはや格好の的だった。
「潤也、本当に良いんだよね?」
空圧砲の衝撃を受けながら揺れる機体の中で藍が潤也に聞く。
「愚問するなよ、部品。それに今この状況まで段階を進めて取れる手段がほかに何がある、やらなければ、最悪の結末しか待っていない。
これは選択ですらない。やらなければ負ける。後の事など後で起こってから考えるものだ。」
「うん、わかってる。でも一つお願いをして良い?」
「なんだ?」
「潤也は潤也のままでいてね。お願いだから…私には潤也しかいないんだよ。
たぶん潤也はそれを非常に迷惑だと感じると思うし、部品が心など持つなと非難するかもしれないけれど、私にとって潤也は唯一の光だから…
あの時、あの場所で潤也に会わなかったらきっと、私はあのまま何も知らず終わりを迎えていたんだと思う。
でも潤也はそこから私を救いだしてくれた。きっと、偶然そうなってしまったんだろうけれど、それでも私にとっては潤也は私を救いに来てくれた神様みたいな人だった。
そして、藍という名前をくれた時は本当に嬉しかった。だから、お願いだよ、潤也。私の事をずっとそうやって嫌悪し続けてもいいから潤也は潤也のままでいてね。別の人になっちゃうのは嫌だよ…。」
それはこれから行う事を危険性を考慮した上での藍の悲痛な願いだった。
彼女には黒峰潤也の行う事を止める事は出来ない、彼女は黒峰潤也に従う以外を許されてはいない。
だから、せめて願ったのだ。
黒峰潤也が無事である事を…自分を保っている事を…。
それに対し潤也は溜息交じりに言葉を返す。
「藍、一つだけ言っておく、この世界には神様なんてものはいない。
いても俺みたいなどうしようもない奴じゃないだろうさ。
もしあの時、お前が救われたというのならば、お前が勝手に自分で助かったんだろうよ。
俺はそれに偶然居合わせただけだ。今、俺がやろうとしている事と何も変わらない。
だからお前の願いなども聞いてやれない。」
「うん、うん。」
涙声で藍は答える。
その声を聞いて潤也の脳裏に藍と同じ顔と声を持つ女性の顔がよぎる。
「だがな、俺は残念なことにここで終われない人間だ。終わってはならない人間だ。終わる事を許されていない人間だ。
だから、俺としても最悪に嫌な事ではあるが、これが今生の別れになる事は無いさ。」
既に狗は熱線の放射態勢に入っていた。
確実に当てられるという確信を得たのだろう。
もはやリベジオンの終わりは秒読み段階まで進んでいた。
「戯言は終わりだ、部品。始めろ。あと、俺が良いというまで止めるなよ。」
藍は少し息を飲んで己の主の声に応えた。
「了解――DSGCシステム、起動。」
落下するリベジオンに向けて紅の光が刺すように向かってくる。
それは人が死に瀕した時に発する怨念であり、絶望であり願いである。
既に限界を超えた潤也は再び、その思念の中に心を晒した。

再び、小宇宙。

怨嗟が潤也の精神を苛む。
己の死を見せ、己の無念を訴え、己の願いを託そうとする。
54創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:20:29 ID:9YsHMttr
   
55創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:20:33 ID:LHMLPZBY
 
56創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:21:11 ID:9YsHMttr
   
57創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:21:15 ID:LHMLPZBY
 
58CR MAIN後編 14/17:2009/12/03(木) 22:21:19 ID:+hh5/HiD
だが、潤也はそれを受け入れる事はない。
受け入れる事は出来ないのだ。
受け入れられるのならばどれほど楽であろうか、この思念に身を任せられたらどれほど楽であろうか、だが黒峰潤也にはそれが出来ない。
故に幾千、幾万もの思念に一人で立ち向かい己を失わないように守り続ける。
潤也の中で硝子が割れるような音が響く、既に限界を超えた黒峰潤也という強大な堤防が荒れ狂う激流を止める事が出来なくなり始めた事を示す音だ。
先ほどまで耐えていた堤防の許容をついにそれは新たな必然を紡ぎだす。
それは終わりという必然だ。
そうして、黒峰潤也という存在の破片が散らばっていく。
失われていく。
濁流に流されるように失われていく…。
そうして黒峰潤也という個体は霧散し最後を迎え、賭けは失敗に終わった。


再び、現実へと戻る。



狗の熱戦が天高くから地上に向かって落ちていくリベジオンに向けて放射される。
その膨大な熱量は鋼機など容易に蒸発させてしまう程の力を持っている。
操縦者を失ったリベジオンにその攻撃をよける術は無い。
つまりはこれにて終幕。
それが『絶対』に定められた結末であり、変えられぬ条理。
だが、リベジオンがその全てのエネルギーを吐きだして再構築した黒槍、それはなんであったか?
「ク、クヒ、ハハハ、クハハハ、アーハッハハ!!!!」
リベジオンの中から笑い声が響く。
無邪気な餓鬼のように腹を抱えて笑う。
そうしてリベジオンはその発射された熱線の射線に向けて黒槍を向けた。
黒槍の先端が割れ、刃が展開する。
リベジオンの体の各部が展開し、そこからエネルギーへと変換された怨念が槍の石突きから矛先まで浸透する。
―ブリューナクの起動を確認―
そうして、リベジオンの二つ眼に赤い光が灯る。
その眼が見つめるのは自らに熱線を放射した狗のみ。
敵意には敵意を、悪意には悪意を…そう自動的にリベジオンは反応した。
リベジオンは自動的に最適を選択する。
それはつまり、避ける術が無ければそれに打ち勝つ力をぶつければ良い。
そして、ブリューナクは自らに蓄えられた、紅の光を吐きだした。
熱線に向かい打つように発射された紅の光線はその射線上で相打つ。
原子力発電所が6日間発生させるエネルギーに相当する熱線がリベジオンの槍から放たれた光線と交わり反発しあいせめぎ合う。
これは誰にでもわかりやすく単純な勝負だ。
威力の高い方が勝つ。
ただ、それだけの勝負。
決着は早期につく、せめぎ合いは終わり、紅の光線は狗の放った熱線を浸食する。
狗は自身の力の負けを認め、すぐさま回避行動に入る。
この判断は英断だと言えた。
その行動があと1秒でも遅れていたならば、全身が光線に貪り尽されていただろう。
結果、光線は狗の翼をかすめていく程度の損害で済む。
飛行能力に支障を来たした狗は地上に堕ちつつも逃走の道を取ろうとする。
だが、リベジオンは、怨嗟の魔王はそんな事を許しはしない。
さらなる怨念が、怨嗟が、絶望が、希望がリベジオンに紅の光となって注がれ始める。
リベジオンの周囲を徘徊するように纏わりついていた線上の紅の光はもはや線とは言えぬものになり、リベジオンの周囲を包みこんだ。
漆黒の機体に何も言わせぬ威圧感を感じさせ威風堂々としていたその姿はなりを潜め、理性を感じさせないなんとも暴力的な光の魔獣へとその身を堕とす。
紅の光を纏ったというよりは光となったと形容する方が正しいだろう。
そして、魔獣となったリベジオンは閃光のような速さで駆け、一瞬で狗の元に辿りつき、狗を殴り飛ばした。
「クヒャヒャヒャヒャ!!!!」
地上に向けて急速で墜落していく狗を奇天烈な笑い声をあげて魔獣は追う。
だが、それで終わる狗では無かった、他の同胞の装甲を取り込み得た故に、一撃で堕ちる程脆い機体では無かったのだ。
自身に向かってくるリベジオンに向けて、背の十門の空圧砲を撃ち放つ。
一発一発が多大な衝撃を与え、相手からまともな航空能力を奪う算段なのだろう。
だが、その目論見は魔獣のあまりの常軌を逸した能力の前に無視された。
59創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:21:53 ID:9YsHMttr
   
60創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:21:58 ID:LHMLPZBY
 
61CR MAIN後編 15/17:2009/12/03(木) 22:22:00 ID:+hh5/HiD
魔獣は回避しようとすらしない、一発、一発は確かに命中している。
例え、威力が弱くとも、これだけ数が蓄積したものとなればただでは済まない、その筈なのに――あの魔獣はまるでそれが何でも無いかのように狗の元に向かってくるのだ。
なんというズルだ。なんという理不尽だ。
これでは戦い自体が成り立っていないでは無いか!!
魔獣はその右腕に黒槍を構え、狗の脳天目がけてつき放つ。
狗はそれを身を横にずらして頭に刺される事を回避した。
だが、その一撃をかわしきれる訳も無く、その槍頭は右前足に突き刺さる。
狗は吠える。
神経接続によって走った痛みが搭乗者にも帰っているのだろう。
だが、狗はそこからでも諦めなかった。
そのまま、右前足を切り捨て逃げようとする。
だが、駄目なのだ。
この黒槍はブリューナク。
至宝にして、『絶対』を歪める槍。
『絶対』とはすなわちこの世に絶対則として定められた法の一つ『因果』。
ありとあらゆるモノに始まりと終わりがある。
それが因果の示す事であり、ブリューナクはその因果を歪める力を持つ至宝なのだ。
そして、その力はその刃で貫いたものの因果を強制的に終りまで進める。
―因果終焉―
形あるものには必ず終りがある。
それは何時、何処で、どんな時に訪れるかは誰も与り知らないところではあるが、それだけは絶対に決められている事である。
それをブリューナクはそこにたどりつくまでの過程を省略して対象を強制的に終焉に辿りつかせてしまう。
故に一刺しされただけでも致命打。
先の戦いで鋼機部隊の隊長は鋼獣の装甲を貫ける武器としてこれを用いたが、その際にはこの黒槍の真価の1%すらも発揮しておらず、この因果に干渉し歪めるこの力こそがブリューナクの真価といえた。
本来必要なコマンドを無視して強引に施行されたそれはにより、槍から光が発せられ、毒のように狗の全身を駆け巡る。
そうして、その狗という鋼獣がそこにいたという事実を終わらせていく。
「シネ、シネ、シネ、シね、しネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シね、しネ、シネ、4ネ、シネ、シネ、シね、しネ、シネ!」
それは潤也の口から発せられた言葉であったが、黒峰潤也が発した言葉では無い。
既に黒峰潤也という存在はそこには存在はおらず、ただ怨念達が黒峰潤也という肉体を傀儡とし己が思うままに振舞っている。
発せられるのは呪いの言葉だ。
そしてその言葉を向けられた狗はブリューナクの毒が機体の全てに回りきり、この世から消滅した。
結果から見れば、それは蟻が象に挑むような話であり、リベジオンの、怨嗟の魔王の圧勝であった。
「――タリナイ。」
怨念たちが呟く。
「シガタリナイ、タリナイ、タリナイ、タリナイ!タリナイ!タリナイ!!」
それは底に沈んでずっと溜まっていた怨念達である。
その怨念がたかだか1人殺した程度で満足する筈も無かった。
魔獣の瞳が生きているモノを探そうとする。
そしてその瞳が、四肢を破壊された一つの鋼機を見つけた。
「だ、駄目!その人を殺したら、潤也がここまでして戦った意味が無くなっちゃう!だから駄目!!!」
藍が悲鳴じみた声を上げた。
魔獣はゆっくりと鋼機に向けて歩を進める。
例え、それが本来の意思を伴っていなくとも藍はそれに逆らう事は出来ない。
だから藍は黒峰潤也に呼びかけて、なんとかしてそうなったモノを元に戻るように願って声をかける。
「潤也、駄目だよ、ねぇ、その人は殺しちゃ駄目なんでしょ?潤也は強いよね?そんな思念が幾千、幾万、幾兆、来ようとも絶対に自分でいられる。それにこんな所では終われないんでしょ!終わるわけにはいかないんでしょ!!だから、負けないで、潤也!!」
涙声で訴えるそれを無視するように魔獣と化したリベジオンは鋼機の前に立つ。
そうして槍を鋼機に向ける。
四肢を奪われ満身創痍な鋼機にはそれを避けようとする術すら無い。
「潤也の馬鹿!!約束守ってよ!!私には潤也が全部なんだから!!全部、全部なんだから!だから潤也が潤也でなくなっちゃうのは嫌だよ!!!大好きなんだ、大好きなんだよ、潤也ぁ!!」
そうして魔獣はその黒槍を振りおろした。



小宇宙。
そこは既に怨嗟が支配する世界であった。
黒峰潤也は決して希望を望む怨念の手を取らなかったが故にそこは死を望む怨嗟に満ち溢れた宇宙となっていた。
もし、例えどちらであろうとその怨念達の代弁者となる事を黒峰潤也が受け入れられたのならば、黒峰潤也は己という人格を失わずにいる事が出来ただろう。
だが、黒峰潤也は決してそれを望まなかった。
62創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:22:29 ID:XLS/Y6Cw
 
63創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:22:36 ID:OPB5vA6Y
   
64創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:22:40 ID:LHMLPZBY
 
65CR MAIN後編 16/17:2009/12/03(木) 22:22:50 ID:+hh5/HiD
否、自らが行おうとしている事をそのような事にしてはならないと思ったのだ。
自分が行おうとしている事は余りに醜い事だ。
己の復讐の為に、妹を殺す。
そんなどうしようもない事を大義名分で行うわけにはいかなかった。
あくまで自分の意思で、自分だけの意思でやらなければならない、そう潤也は決意していた。
だから、怨念達が託そうとした希望も絶望も潤也は拒絶して一人で戦った。
受け入れればどれほど自分が楽を出来るか知りつつも、受け入れる事を良しとせず戦った。
結果、怨念達は潤也の精神を喰らいつくし、黒峰潤也という心の終わりを迎えさせてしまった。
これは当然の結果とも言える。
たった一人で幾千幾万もの意志と渡り合えるはずも無いのだ。
だから、黒峰潤也という存在はここで終わったのだ。
―その人を殺したら、潤也がここまでして戦った意味が無くなっちゃう!だから駄目!!!―
宇宙に声が響く。
それは意味のない声だ。
怨念達は死に飢えている。
自らが死んでいるのに、他の者が死んでいないのを妬んで、自らと同じ域まで堕としたがっている。
だから、その声は無意味だ。
そこにその声を聞き届けるものはいない。
―潤也は強いんだ、そんな思念が幾千、幾万、幾兆、来ようとも絶対に自分でいられる―
虚しく声が響く。
無理だった。
所詮、それは一人の人間に過ぎず、どれほどの強靭な精神力があったとしても、結果、砕かれてしまった。
どんなに拒絶しようとも押し寄せてくる波には耐えられなかった。
―それにこんな所では終われないんでしょ!終わるわけにはいかないんでしょ!!―
怨嗟達は構わない。
何に終われないというのだろうか?
既にもはやこの小さな宇宙の宿主は粉々砕かれてしまっているというのに…。
終われない何をする為に終われないのか、それを終わらせる事は絶対に必要なことなのか…。
―潤也の馬鹿!約束守ってよ!!―
…約束。
約束とはなんだろうか?
この宇宙に響いているのと同じ声が約束という言葉を反芻する。
『そ、これがお兄ちゃんとあたしの約束。』
それは小さな断片だった。砕けた硝子のように小さな記憶の断片だ。
その断片が強く反応する。
『いつか、あたしとお兄ちゃんのどちらかが何か危い目にあったら、必ずどちらかが助ける。そーいう、約束。ゆびきりげんまんうそついたらはりせんぼんのーます、ゆびきった……破っちゃ嫌だからね。』
声が、木霊する。
虚空に怨嗟の嘆きが充満する中に澄み切った声が木霊する。
その声に、その宇宙の果てから果てに存在する小さな欠片達は聞き入っていた。
66創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:22:52 ID:9YsHMttr
   
67創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:23:18 ID:OPB5vA6Y
    
68創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:23:22 ID:LHMLPZBY
 
69創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:23:35 ID:9YsHMttr
     
70CR MAIN後編 17/17:2009/12/03(木) 22:23:39 ID:+hh5/HiD
―大好きなんだ、大好きなんだよ、潤也ぁ!!―
虚空に声が響く。
欠片達がよく知っている声がそこには響いている。
だが、それは紛い物の声だ。
一つの欠片はそれを疎ましく思った。
一つの欠片はそれを愛おしく思った。
一つの欠片はそれを悲しく思った。
一つの欠片はそれを嬉しく思った。
欠片達はその声に様々な感情を抱く。
そして欠片達はそれら全てがそう思った。
ならばその感情を抱く自分は何者なのだろうと…。
断片的な記憶を持ち、それに何かをしなくてはならないという漠然とした衝動だけを持っている欠片。
それは怨嗟の海に流され、それでも海に溶け込む事もできずそこにただ存るだけの存在だった。
その時、急に怨念達がその嘆きを止める。
さきほどまであれほど暴れていた怨念が宇宙から姿を消し、そこには欠片達だけが残された。
欠片達は元に戻ろうと少しづつ歩み寄る。
自分という存在がなんであったのかを知るために…。
そして欠片達は一つ一つパズルのピースをあてはめるように歩み寄っていった。




「システムのフリーズ!?」
藍は驚きの声を上げる。
それは可能性としてはあり得ないことでは無かった。
何せ今使っているOSを含む全てのシステムは急場で再構築した代物だ。
不備が出る可能性はむしろ高いというぐらいだ。
そしてそれが今、このタイミングでDSGCシステムを停止させた。
既に制御不能になっていたDSGCシステムが緊急停止したのは想定外の幸運と言えた。
だが、しかし、もはやリベジオンはその右腕を振り上げ、その槍を振りおろそうとしている。
黒峰潤也を縛っていた怨念達はもうそこにはいないが、自身を失っている潤也にはその一挙一動を止めることはできない。
「潤也、駄目ぇ!!!」
藍が最後の願いを込めて嘆願する、今なら、届くかもしれない。
限りなく可能性の低い話であったが止められるかもしれない、そう思い藍は叫んだ。
それは、その振り下ろされる対象を思ったからでは無い、それによって黒峰潤也がまた傷つく事を恐れたのだ。
そして、槍が振り下ろされた。
その瞬間、潤也の右腕がレバーを握り直す。
鋼機の装甲まで残り一寸の所で黒槍ブリューナクは止められた。
リベジオンはその槍で鋼機を貫かなかったのだ。
最初、藍にはそれが何が起こったのかわからなかった。
それは確かに願っていたものだが、信じられなかったのだ。
そして自らの見ている光景をまた見直し、少し考え、納得した後、優しく語りかけるように言う。
「おかえり、潤也。」




CR ―Code Revegeon― capter1  「Beelzebub of grudge」

          THE END



71創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:24:10 ID:LHMLPZBY
 
72創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:25:06 ID:9YsHMttr
トウカ  オツ
73創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:25:32 ID:XLS/Y6Cw
 
74 ◆klsLRI0upQ :2009/12/03(木) 22:33:49 ID:+hh5/HiD
最初に支援をくださった皆様方に心からお礼申し上げます

http://ux.getuploader.com/sousakurobo/download/209/
とりあえずこんなものも作ってみましたーという所から

さて、これにてCR1章は完結となります
ちょっと強引かなという気もしなくは無いのですが、その反面やれる事は全部やろうという事で
明かせる話は全部明かしてやれる要素は全部突っ込みました
実は当初の予定より、時計の針をちょっと早めに進めております
本当は妹関連もじっくりやりたかったりもしたのですが、終る気がしない(苦笑)ので
予定していたイベントを過去の出来事としていくつか消化してしまいました
この辺り楽しみにしていた人は本当に申し訳ないと思っています
一章の反省点は山ほどあるんですが、とりあえず次はもっとストレートでわかりやすい話を書きますとだけで言ってみます
実は、DSGCシステムの辺り実は二回も同じこと書いてて、30分前に気づきあわてて修正しました
他でも同じことしてないか地味に心配ですw

楽しんでもらえる出来になっているかどうかいつもの如くgkbrで感想をお待ちしていますw
簡単な意見でもいいので色々言ってもらえると凄くうれしいです><
おまけ2(設定資料)ちょっと間に合わなかったのですが来週にでも投下しようと思います(´・ω・`)
75創る名無しに見る名無し:2009/12/04(金) 01:13:05 ID:Qw/6QExW
>>74
お見事、いろいろと揺さぶられましたが素敵な幕引きでよかったです
余韻が残る投下に乙です

読み終えた瞬間にうっかり
「ただいま、」とか言ってしまったわ
まったく…作者さんの思うつぼじゃないのかw
76 ◆klsLRI0upQ :2009/12/04(金) 02:33:54 ID:8gqx9S72
>>75
感想ありです
今回は見せ場をとにかく詰め込もう、盛り上がるシーンを入れようという事にだけ集中して書いてみたのですが
楽しんでもらえたのなら、自分にとって至上の喜びです><
77メカニックデザイン 遅筆(予定):2009/12/04(金) 05:43:50 ID:4WOtV4lF
死んでた…orz
>>74
投下乙です!
怨嗟の魔王の名前の由来が想像以上にダークでした ガクガク(((゜д゜;)))ブルブル
DSGCシステム、赤い光の正体が怨念とは…予想外です
というかブリューナクって怨念の塊だったんですね…怖えぇ
キャラ方面ではやはり藍が気になりますねー、部品という言葉の真意とは一体?
シャーリーさん今回セリフ無しなのがちょっと可哀想かなw話の内容的に仕方無いですがw
潤也の復讐を大義名分で飾らないスタンスはいいですね、あくまで自分のためと言い切れるのは流石
復讐のために妹を殺すという言葉の意味は気になるところです…


では、次回を楽しみにしております!

さっさと遅筆に戻らないと名前が筆で定着しちゃうよ…orz
リベジオン鋭意製作中で御座います!もう少々お待ちください!
78創る名無しに見る名無し:2009/12/04(金) 10:23:04 ID:8gqx9S72
>>77
感想ありです
ちなみにブリューナクは自体は怨念の塊というわけでは無いです
至宝というなんというかスーパーアイテムがありまして、それを起動するのに膨大なエネルギーが必要で
それを供給するのに怨念を使っているという感じですね
なんで至宝を使うだけならば、エネルギーさえあれば可能です
おまけ2に詳細乗っけますが、これからというか今からちょっと忙しくなるので、来週の月曜ぐらいの投稿になるかと思います


今回は黒峰潤也だけを書こうと思って書いてたのでシャーリーさんは話に口を挟ませる余裕が無かった(´・ω・‘)
おまけの方に顛末も乗ってますが・・・再登場の予定はあるよ!!

リベジオン製作、ゆっくり待ってます〜マイペースでどぞー
実は魔獣があんな感じにしたのは極力デザインに影響出ないようにというw
79メカニックデザイン 遅筆(予定):2009/12/04(金) 19:11:21 ID:B1Dui4dQ
>>78
>極力デザインに影響出ないように
( ゚д゚)

(゚д゚ )

( ゚д゚ )

スミマセンでしたあぁぁぁぁぁ!!(ジャンピング空中三回転半捻りスライディング土下座
正月早く来い、いや来て下さいお願いします…orz
80 ◆n41r8f8dTs :2009/12/04(金) 19:21:29 ID:fgvREaAF
携帯から失礼します
>>74
まずは第一章完結、おめでとうございます
詰め込めるだけ見所を詰め込めんだという事で、全てのシーンに興奮しました。お見事。まさか狗共が合体するとは・・・素で驚愕しましたw
それと潤也。今回の独白でスタンスがはっきりしたと共に、ラストの暴走で改めて凄い主人公だなとw果たして彼がこの先、何を失い、何を手に入れるのか・・・最後まで付き合いますよ

ちょっと下けた感想を書くと、藍と潤也の関係が、ゼオライマーのマサキと美久みたいだなとw
可愛いよ藍サポート可愛いよ藍

てか藍・・・あい・・・AI・・・
いや、まさか・・・

それでは幕間に登場した謎の五人の正体にワクワクしつつ、第二章を楽しみにしてます
81PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/04(金) 21:40:39 ID:eNc0qyVd
 えー、では改めまして投下乙です!

>>74
 相変わらずの練りに練られた展開とハイレベルな描写力に鳥肌が立ちました、惚れてしまいます。
 全てを受け入れるのではなく、拒む……潤也は阿修羅の道を往く主人公ですね。果たして彼に安息の日は来るんでしょうか。

>DSGCシステム
 流石、怨嗟の魔王を怨嗟の魔王たらしめているシステムなだけあって、おぞましい機能ですね。まさか怨念が動力だとは思わなんだ……。

>ブリューナク
 昨日も言いましたが、

 ま さ か こ こ ま で 被 る と は。

 プロローグ投下時期もほとんど同じですし、これにはもはやセンチメンタリズムな運命を感じずにはいられない!
 でも、外見やギミックが似てても、機体を動かすエネルギー、マナと怨念の性質は真逆なんですよね。
 どちらも普遍的にあるものだという点も面白い……ああ! クロスオーバーしたくなってきた! クロスオーバーしたくなってきたぞ!!
 リヒターをブリューナクにファイナルフォームライドさせたくなってきたぞッッッ!!

 では、次回も楽しみにしてますね!
82創る名無しに見る名無し:2009/12/04(金) 22:40:41 ID:JfsCoBRX
感想を書こうとしたら書きたかった事が既に他の人に書かれているのも良くある話でウフッフー。
取り敢えず、リベジオンの続き、楽しみに待ってます!
83:2009/12/04(金) 22:41:06 ID:Ppw0/KFU
外見に関してだけは解決するとだけ言っておこうか( ゚ω゚)クックックック…
84PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/04(金) 22:56:30 ID:eNc0qyVd
 では楽しみに待たせてもらおうか( ゚ω゚ )フッフッフッフッフ……。
85創る名無しに見る名無し:2009/12/04(金) 23:13:02 ID:rzKgsfl8
>>74
投下&1話完結乙です!
リベジオンの力の源が文字通りの怨念だったとは……
リスクが大きいのに楽な道を選ばない潤也の覚悟は正直見事だと思いました。
そして情報が少しずつ出てきてますねー。色々な謎が明かされるのが楽しみですw
戦闘と精神世界の描写、思わず引き込まれました。流石ですねw
続きを楽しみにしております!

さて、俺もそろそろ妄想エンジンに火を入れないとな(・ω・`)
しかしブリューナク……俺も初期段階でこの名前使う積もりだったのは内緒w
86創る名無しに見る名無し:2009/12/04(金) 23:27:25 ID:xlGZOWiu
自分も神話ネタの名称を今後もいろいろ使う予定だが
ツクヨミとかフェンリルとかもあるけど
基本的にマイナーどころから引っ張ってくるつもりだから
まず確実に被らないという確信がある
87創る名無しに見る名無し:2009/12/04(金) 23:30:18 ID:kT2vqNnP
自分は開き直る事にしたよ。

俺が…俺達がブリューナクだ!
88創る名無しに見る名無し:2009/12/04(金) 23:32:47 ID:sYo+q7jv
パラベラムといいバイラムといいCR MAINといい
みんなブリューナクが好きなんだな

たまにはロンギヌスとかグングニルとかゲイボルグのことを思い出してあげてね
89創る名無しに見る名無し:2009/12/04(金) 23:38:45 ID:kT2vqNnP
ブリューナクって聞いても版権作品のキャラクターが出て来ない上に(いたらゴメン)
割とメジャーな武器だから使い易かとですw

90創る名無しに見る名無し:2009/12/04(金) 23:44:39 ID:xlGZOWiu
>>89
帽子屋に荷電粒子砲を叩き込まれてくるべき
91創る名無しに見る名無し:2009/12/04(金) 23:46:03 ID:fgvREaAF
皆由来というか元ネタがある中、殆ど造語な俺に隙は無かった

今思うとヴィルティックって変な名前だなぁ・・・
もっとちゃんとした名前にすべきだったか
92創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 00:05:47 ID:nQS5iYqu
 どストレートな名前しか付けられない私は隙だらけだった。
 特にムジナとかヒトガタとかやっつけにも程が(ry

>>91
 タウエルンがあるじゃないですか!
 てか殆どが造語ってのはむしろ凄いとですよ。デストラウとか素晴らしいと思います。
93 ◆klsLRI0upQ :2009/12/05(土) 00:08:48 ID:70Tw6B1h
なんか凄いレスの数にオラは泣きそうだ

>>83
凄い期待してます(あえてプレッシャーをかけてみる)

>>80
褒め殺しで泣きそうですw
>藍と潤也の関係が、ゼオライマーのマサキと美久みたいだなとw
人間関係はかなり違いますが、メカ的な立ち位置だと相当というか丸かぶりですね
言われて初めて気付きました><


>>81
>ブリューナク
実は被ってて何度名前を変えようかと思ったか
でもルーの槍だと叫べないんだよね、ということでブリューナクで通す事に・・・あとネーミングにはもう一つ理由もあります
至宝という事で結構丸バレな気もしますが・・・つかこの辺りは設定に乗せるつもりです(´・ω・`)

>クロスオーバー
むしろ存分にry


>>85
他の道も決して楽ではないのですが、潤也はあくまで己だけでやりたい人なのかな
情報は半分ぐらいだしたと思います、一応現在考えているオチへの伏線も張らせて頂きました


>>89
WAにだな…
94代理投下@◇n41r8f8dTs氏 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/05(土) 00:53:24 ID:nQS5iYqu
「と……言う訳で。メルフィー!」
「スネイル!」
「……ん? あ、あぁ、隆昭の」

「「「ロボスレ学園プレゼンツ! ヴィルティック・ラジオ!!」」」

メルフィ―「と、言う訳で始まりましたヴィルティック・ラジオ略してヴィルラジ! パーソナリティは私、メルフィー・ストレインと」
スネイル「正式名称は時間の都合により省略。マチコ・スネイル。そして」
鈴木「何だかよく分かんないけど、鈴木隆昭の三人でお送りします。……で、何なんだ、この良く分からない企画は。てか何かテンションおかしくないか、メルフィー」
メルフィ―「繋ぎです!」
鈴木「へっ?」
メルフィ―「裏事情を話す事はあまり望ましくないのですが、件のアレがよりによってタイトルの時点で止まっていて、それも1字も書けずに止まっているらしいのです。
      ので、あまり停滞していても申し訳ないだろうと急遽! 今回のラジオ番組を企画しました!」
スネイル「単刀直入に言えば本編が出来ないからお茶を濁すって事ね」

鈴木「キッパリ言っちゃった――――!? いやスネイルさんそこは言葉を濁す、じゃなかった言葉を選びましょうよ!」
メルフィ―「まぁまぁ隆昭さん、ここは無礼講ですよ!」
鈴木「いや無礼講って意味違うと思うんだけど……つかさっきから妙にアッパーなテンションだけど、どうしたんだ、メルフィー……?」
メルフィ―「……こういう企画だから無理矢理でもテンション上げないとやってられないです」(小声で)
鈴木「……そうか」(小声で)
スネイル「ま、楽屋落ちというか身内ネタだけど、パラべラム! とのクロスオーバー前のプレリュードとして捉えれば良いわよ。
     ガンダムZZの第一話みたいなもんだと思って、気軽にかつ刺激的にやりましょ?」
鈴木「何か凄く危ない予感がするんですけど……」
メルフィー「大丈夫ですよ! もし危なくなったら夢落ちか爆発落ちにすれば良いんです!」
鈴木「投げる気満々かよ! その二つは絶対にやらせないからな!」
スネイル「じゃあ皆が一つになる落ち」
鈴木「駄目ですよ!」
メルフィー「じゃあ地球が海に沈む落ちはどうでしょう。哀愁かつ情緒があって」
鈴木「だからそれも駄目! てかメルフィー、意味分かって無いだろ?」
メルフィー「マチコさんがそう言えって……」(小声で)
鈴木「……そうか」(小声で)
スネイル「こらそこーひそひそしてんじゃない。というかメルフィー? 何かさっきから鈴木君に本音漏らしてない?」
メルフィー「マチコさんがそう言えって……」(小声で)
鈴木「……そうか」(小声で)
スネイル「こらそこーひそひそしてんじゃない。というかメルフィー? 何かさっきから鈴木君に本音漏らしてない?」
メルフィー「いえ! とっても楽しみです!」
スネイル「そう。それなら良かった。それじゃあ早速鈴木君、今回のラジオの趣旨を説明してちょうだい」

鈴木「はいはい。……って何で俺が」
メルフィー「私ボケです」
スネイル「私もボケよ」
鈴木「じゃあ俺ツ……って突っ込みはおろか進行までやらす気か!?」
スネイル「貴方ねぇ、私達程度を捌けなくてどうするの? パラべラム!で出てくる方々は貴方の想像以上に個性豊かよ」
メルフィー「例えるならカルピスを溶かさず一気飲みするぐらいに濃い人達です」
鈴木「いやメルフィー、その例え訳分かんない。というか遠回りに失礼な事言ってないか?」
スネイル「良い? これは来るべき本編に備えての予行演習よ。ここでしっかり突っ込みキャラとして成長して、主人公として目立つ為の」
鈴木「いや〜今回ばかりはサブに回った方が良いんじゃないか……クロスだし」
95代理投下@◇n41r8f8dTs氏 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/05(土) 00:55:41 ID:nQS5iYqu
メルフィー(生類を憐れむ様な眼)
スネイル(生類を憐れむ様な眼)

鈴木「……分かったよ。やるよ、やる。この企画で主人公として、突っ込みキャラとして一皮剥けますよ」
メルフィー「流石隆昭さん! 男前!」
スネイル「うん。その意気だ、鈴木君。まぁ……」(何故か目線が下を向く)
鈴木「言っておきますけど、下ネタは絶対にさせませんからね」
スネイル「ナイス突っ込み。さて、このまま君を遊んでいても埒が明かないから趣旨説明宜しく」
鈴木「遊んでたのかよ……」(小声で)
スネイル「しっかり気合い入れてやらないと、今度は手が出るかも」(満面の笑顔で)

鈴木「それでは趣旨を説明しよう」(真顔で)
メルフィー(あぁ、隆昭さんがどんどんマチコさんに染められていく……)

鈴木「まずは前半、クローズアップ! として、このスレのロボット物をカテゴリ別にご紹介します。
   そして後半はメインとして、クロスオーバーをさせて頂くPBM氏の代表作、パラべラム! の世界観やキャラクター、そしてオートマタの魅力に深く迫ってみます。
   そして最後は……」
メルフィー「最後は……って隆昭さん?」
鈴木「スネイルさん、何で最後書いてないんですか?」
スネイル「それはね……最後に分かるわ」
鈴木「……何も考えてないんですね?」
スネイル「楽しみは最後まで取っておくものよ?」

鈴木「……まぁ楽しみにしておきます」(棒読み)
スネイル「それで良し」(満面の笑み)
メルフィー「それでは! 改めてヴィルラジ! 短い時間ですがごゆっくり、お楽しみ下さい!!」


                              この番組は
 
                            新たな技術で紡ぐ未来
                           
                             アールスティック社

                      ロボからロリまで何でもござれ。無限の創作フロンティア
           
                              創作発表板
                             
                             の提供でお送りします
96代理投下@◇n41r8f8dTs氏 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/05(土) 00:57:39 ID:nQS5iYqu
鈴木「と、いう訳で始まってしまいましたが……何だっけ?」
スネイル(舌打ち)
鈴木「ごめんなさい、クローズアップのコーナーです。メルフィー、コーナーの説明頼む」
メルフィー「頼まれましたのでご説明します。このコーナーでは、我がロボット物総合SSスレの代表作をカテゴリ別に分けて、各作品の魅力を紹介します。
      なお、カテゴリ分けの基準は作者の独断と偏見で行わせていただきます事を、あらかじめご了承ください。
      また、今回自作・短編・派生作品、それとスレの初期作品を除いた。スレ発祥掲載作品の一部をご紹介します。かなり幅広いですよ」
鈴木「それとカテゴリだが。分かりやすくスーパー系・リアル系・その他の三つに分ける。いやこの作品はスーパーorリアルだろう的な突っ込みは大歓迎だ」
スネイル「あぁ、それともう一つ。掲載作品の中で続き、または作品ががまとめサイトに載っていない物があるわ。
     そこまでのフォローは出来ない事を先に謝っておくわね。ごめんなさい」  

鈴木「それでは早速……」
スネイル「待って、鈴木君。このままタイトルコールする気?」
鈴木「えっ? 駄目なんですか……? だって唯のタイトルコールですよ?」
メルフィー「隆昭さん、アレですよ、アレ」
鈴木「アレ? アレって何……」(不安げな目線を二人に送る)
メルフィー・スネイル(何故か両腕をクロスさせる)

鈴木「二人とも何やって……手をクロス……? バツ……いや、エック……」
メルフィー・スネイル(深く頷く)
鈴木「い、嫌だって! なんかこう、恥ずかしいじゃん……」
メルフィー・スネイル(生類憐)
鈴木「……分かったよ、やります。やればいいんでしょ」

鈴木「クロォォォォォォッズ! アァァァァァァッッッップ!」

鈴木「はぁ……はぁ……これで良いんでしょ」
スネイル「ではでは早速、作品紹介に移りましょう。メルフィー」
メルフィー「はい! まずはスーパー系の作品からご紹介します。作品数は6作品。どれも実に鉄の城ですよ〜」
鈴木「……もうやだこのラジオ」(小声&ため息)
97代理投下@◇n41r8f8dTs氏 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/05(土) 00:59:14 ID:nQS5iYqu
鈴木「……気を取り直して。まずご紹介するのは16号機にて、第一章が完結したCR−Code Revegeon−から」
メルフィー「目の前で大事な人を失った青年、黒峰潤也。彼の乗る謎の機体、リベリオンと、日本を蹂躙する鋼獣(メタルビースト)なる敵を中心に、この物語は動きだします」
スネイル「この物語が面白いのは彼、主人公である黒峰君が得体の知れない存在として描かれている事。
     彼とリベリオンは強いだけでなく、深い何かを抱えているの。このダーティなカッコよさは中々痺れるわよ」
鈴木「そんな彼に接触を図る、シャーリー・時峰率いる個性豊かなα部隊の活躍も必見だ」
スネイル「果たして黒峰君の行く先に待ちうけているモノとは……暗黒のレコードウォー、ご鑑賞あれ」

鈴木「次の作品は秘神幻装ソルディアン。この作品は中々壮絶だぞ」
メルフィー「人間に仇名す存在、アドバンによって業火に包まれた世界。そんなアドバンに対抗すべく巨大ロボット、ソルディアンを操る青年、柊隆一郎の戦いを描きます」
スネイル「とにかく文章の重圧感が凄いのよ。アドバンとソルディアンの闘いは業火の如く熱いわ。特にソルディアンの初召喚シーンの熱気と言ったら……」
鈴木「召喚する際の呪文もカッコいいんですよね。俺もこう、何か……」
メルフィー「物語は謎の組織とライバルらしき存在も登場し、ますますヒートアップしています。未読の方にはぜひこの興奮を味わって貰いたいですね」
鈴木「測り知れざる過去より続く闘いの行方は、如何に。ご鑑賞あれ」

スネイル「今何か言おうとしたでしょ?ねぇねぇ、鈴木君」(にやにや)
鈴木「次は剣神鋼王ミカズチ。本編前のプロローグがいきなり巨大ロボット同士の激闘という、衝撃的な作品」(スル―)
メルフィー「プロローグでのフツヌシなる巨大ロボットと、青騎士なる謎の機体との一騎打ちから物語は始まります。緊張感溢れる戦闘描写には息を飲みます」
スネイル「けどこの戦いは衝撃的な結末を迎えるの。それから何年か経って、舞台は変わり主人公である物部京介の視点から、本編が始まるわよ」
鈴木「京介の目の前に現れる黒髪の美少女、そしてロリババァと物語は予想の出来ない展開で、一時も目を離せないぞ」
スネイル「その刃は未来を切り開けるか―。ご鑑賞あれ」

鈴木「さて、お次はARTIFACT LEGACIAM。この作品は、作者さんが昔書いた作品を今一度ブラッシュアップした意欲作だ」
メルフィー「近未来、突如として現れた未確認生命体E&Eに、巨大ロボット、レガシアムに乗り大切な日常を守るべく戦う少年、不破優作の物語です」
スネイル「不破君と共に戦う喋る黒猫、カイアとのやり取り、そして不破君の妹である千歳ちゃんの可愛さが印象的よ。千歳ちゃん可愛いわ千歳ちゃん」
鈴木「あらゆる手で攻撃してくるE&Eとレガシアムの手に汗握るバトルも見逃せない」
スネイル「軽妙な学園劇と迫力あるロボットバトルが織りなす、鋼のジュブナイル。ご鑑賞あれ」
98代理投下@◇n41r8f8dTs氏 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/05(土) 01:00:52 ID:nQS5iYqu
鈴木「5作目は電光石火ゼノライファー。このスレの初期にて生まれた名作」
メルフィー「正体不明の敵、アンノウンの来襲を防ぐべく、兄の意思を継いだ青年、柊頼斗と少女、星川希美の闘いを描きます」
スネイル「この作品の肝はズバリ、柊君と希美ちゃんのやり取りね。互いの息を合わしながら、アンノウンへと闘いを挑む二人の姿に胸が熱くなるわ」
鈴木「必殺技のシークエンスはゾクゾクする様なカッコよさを感じる事が出来るぞ」
スネイル「少年少女の思いが交錯する超王道スーパーロボットの活躍に、キミのハートもブレイズアップ! ご鑑賞あれ」

鈴木「っと、これで最後の作品か。最後の作品は無敵無敵ロボ・ネクソンクロガネ。作中で挿入歌が入るという、斬新な作品だ」
メルフィー「架空の都市、ロボヶ市を守る正義のヒーロー、田所カッコマン&ネクソンクロガネと
      悪山博士もとい、謎の紳士イッツア・ミラクルとの闘いがテンション高く描かれます」
スネイル「ホント、これほどテンション高い話は見た事無いわ。 ドゥビドゥビッドゥ!よ。 ドゥビドゥビッドゥ!」
鈴木「ス、スネイルさん……? それとキャラクターもテンション高いんですよね。悪山博士とイッツア・ミラクルのまたぶっ飛んだ悪役な事」
メルフィー「悪山博士って凄い人なのに、孫娘のエリスちゃんの気を引く為に悪い事してるってのがこう……可愛いですよね。おじいちゃんというか」
鈴木「何だか読んでて懐かしい気分になるよな、何故か」
スネイル「ハイテンション! 歌うスーパーロボットバトルアクション!  ご鑑賞あれ」

メルフィー「と、言う訳でスーパー計6作品、如何でしたでしょうか? 何か興味を持たれた作品があれば幸いです」
鈴木「結構疲れたな……と、言ってもまだ沢山あるんだが」
スネイル「次のリアル系は作品数が多くて長丁場になるから、一旦ブレイクタイム。次の放送を待っててね」
メルフィー「それでは次の放送まで一先ずさようならです。住人の皆さん、お休みなさい」
99代理投下@◇n41r8f8dTs氏 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/05(土) 01:02:33 ID:nQS5iYqu
 投下はここまででありんす。
100創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 01:24:31 ID:6nDxiIRR
トライデントとトリシューラ…は槍とはちと違うか。
101創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 15:45:41 ID:zkkVJ+ME
ラジオ乙!まさか三人がかりとは。
愛ある紹介に、作者のみんなも喜んでいることでしょう。

でも確かアドバン・・・じゃないよ?こんな感じのミスがそこそこある気がする。もといの使い方とか。

ラジオでお便り募集とかはしてないのかな。送り先がないか。
102 ◆Uu8AeR.Xso :2009/12/05(土) 16:17:25 ID:ssC20Yl9
また鯖規制らしいのでテスト
103シクス ◆wuZfOwaq7U :2009/12/05(土) 16:25:24 ID:PtGny38a
テスト&もろもろ乙
104 ◆n41r8f8dTs :2009/12/05(土) 17:00:06 ID:y0MBnb4t
>>101
感想どうもです
あぁ・・・確かにアドバンではなくアバドンでした・・・
他にも文法が変だったり用語が間違ってたり見直しが全く足りてなかったです・・・てか他作品の用語を間違えるとか最低ですね、俺orz

・・・この企画止めた方がいいかな・・・
105創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 17:30:33 ID:zkkVJ+ME
そこまで厳しい作者もいまいが・・・たぶん・・・。
個人的には続き楽しみにしてるんだけど。
106創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 18:14:19 ID:ouFTntO0
>・・・この企画止めた方がいいかな・・・

悪いが、そんなことないよ!と言って欲しくて誘い受けしてるようにしか見えない

変な後味残して終わられても、気軽に誤字の指摘すらしづらい空気になるだけなんだが

誤字を悪いと思ってるなら、止めますなんて言い出すんじゃなく

今後はよく見直してから投下するようにするべきじゃないのか
107 ◆n41r8f8dTs :2009/12/05(土) 18:38:31 ID:y0MBnb4t
>>105-106
ネガティブな発言をしてしまい、申し訳無いです
このまま作品を放棄すれば、読んでくださる方々の気持ちを裏切る事になりますね・・・本当にすみませんでした
今後は誤字脱字をしない様、充分な見直しをして、作品を投下する様、心掛けます

改めて、不愉快な気分にさせてしまい、本当にすみませんでした
108創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 20:08:02 ID:nQS5iYqu
 「感想、書くよ!」とか言っておいて今の今までガンネクPlusにうつつをぬかしていたのも私だ。

 では改めまして――――投下乙です!
 メルフィーかわいいよメルフィー。隆昭頑張れ、マジ頑張れ。
 ていうか隆昭、やっぱり中二病のケがあるんですねw なるほど、マチコさんが隆昭を弄りたくなるのも理解できる気がする……。

>ヴィルラジ
 ぶるらじ的な響きがwww

>そして後半はメインとして、クロスオーバーをさせて頂くPBM氏の代表作、パラべラム! の世界観やキャラクター、そしてオートマタの魅力に深く迫ってみます。
 フハハ(キャラの奇行が多過ぎたり世界観の説明自体が殆ど無かったりで解説が)難しかろう!

 では、後半も楽しみにしてますね!

>>101
>お便り募集
 弄り倒されてもいいのな(ry
109 ◆n41r8f8dTs :2009/12/05(土) 22:37:30 ID:y0MBnb4t
それと私事ですが
>>106
貴方のお陰で自分自身の中での弱い部分に気づく事が出来ました
鋭い言葉で指摘して頂き、ありがとうございました

>>108
感想どうもです
スネイルにとって素晴らしいおもちゃになってたりww>隆昭
実はヴィルラジという呼称はずばり、ぶれらじからだったりしますw
出来る限り頑張って深く掘り下げますよ−ご期待下さい。

あ、自分もガンネクに夢中だったり。後はジオとクシャトリアを出すだけ・・・それとお便りコーナー良いですよw疑問や要望があるなら是非是非
110創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 22:42:09 ID:y0MBnb4t
ぶれらじ→ぶるらじ
クシャトリア→クシャトリヤ

何やってんだ・・・orz
111創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 23:13:58 ID:viVC0HC5
>>110
どんまいwなんかドジっ子属性備えているように見えてきたぜw
112創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 23:45:48 ID:9L8JMcU0
確かに…なんか萌えるわ
113創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 23:53:01 ID:nQS5iYqu
>>109
 いささか失礼かもしれませんが、シロちゃんにとってもタカ坊と遥はいい玩具だったりしまs(ry

>ガンネク
 前作と比べると随分ユーザーフレンドリーになりましたよね。
 後は練習モード(というかダメ表示機能)があれば完璧でしたw
114GEARSの中身 ◆B21/XLSjhE :2009/12/06(日) 01:52:15 ID:VlemUmSJ
ロボスレの住人でありながらガンネク買わずに戦国無双3を買ってしまった
空気を読めない作者がGEARS第十話をお届け致します。
115GEARS第十話 1/10 ◆B21/XLSjhE :2009/12/06(日) 01:53:23 ID:VlemUmSJ
統合歴329年8月6日

「楽しかったけど、やっぱり我が家が一番、落ち着くわ〜。」

霧坂は部屋に着くなり荷物を投げ捨て、ベッドの上に飛び乗り寛ぎ始めた。

「気持ちは分からんでも無いが、それは中年の台詞であって子供の台詞じゃない。」

守屋は慎みという物を何処かに置き忘れた同級生の行動に頭を抱える。
霧坂がベッドにダイブした時に黒い下着がチラリどころか、モロに見えてしまい非常に居心地が悪い。

「せめて、大人の台詞って言ってよねぇ?」

守屋が霧坂に行動に対して苦言を漏らすのもいつもの事で、霧坂がそれを適当にあしらうのもいつもの事だ。
だから、霧坂は特に気にするわけでも無く、守屋に向き直り足をバタバタさせながら、さも楽しげに不満を漏らす。
気付いていないのか、気にしていないのか。変に指摘すると薮蛇になり兼ねないので守屋は下着の事に関しては黙る事にした。

「第一、此処は俺の部屋であって、霧坂の部屋では無い。そもそも…」

仮にも男の部屋に二人で居ると言うのにも関わらず、この無防備さ加減には呆れ果てるしか無い。
普段から異性扱いしていないのはお互い様だが、流石に此処まで酷いと辟易するのも通り越して、軽く凹みそうになる。
尤も、其れすらもお互い様なのだから霧坂ばかりに文句を論うのは、少しばかり筋違いというものだ。

「細かい事、気にしないの!!私にとっちゃセカンドホームみたいなモンだしさ。」

あまり守屋の苦言を聞き流してばかりもいられない。あまり放って置くと、苦言では無くお説教が始まるので
キリの良い所で大声を出して守屋の苦言を中断させる。一々、事細かで神経質で面倒な男だと思う。

「さも当然のように俺のベッドにダイブしやがって…もう少し、遠慮ってものをだな…」

(って、止まんないし。)

普段の守屋ならば肩を竦めて溜息を吐く所なのだが、生憎と今の守屋は照れ隠しの真っ最中だ。
自分自身を落ち着ける為に苦言を並べ立てているだけに過ぎず、自分が何を言っているのか、よく分かっていない。
いないのだが、説教の最中、霧坂がベッドにダイブする姿と同時に下着の色まで鮮明に思い出してしまい守屋は赤面して押し黙る。

「さて、それじゃ夏休みの宿題を片付けちゃいましょうかね。」

霧坂は守屋が静かになったのを良い事に放り投げた鞄の中から数冊のテキストを取り出し、守屋のデスクを陣取る。

「聞けよ…オイ。」

霧坂イヤーは馬の耳。声が大きかろうが、小さかろうが都合の悪い事は防御率6割くらいで事前にシャットダウン。

期末試験で一緒に勉強したのを切欠に霧坂が守屋家に居付くようになり早一ヶ月。
他のフロアもそうだが、特に守屋の部屋に関しては勝手知ったるもので何処に何があるかなど本人以上に把握している。
今回の獲物は守屋が既に片付けているであろう夏期休暇の課題だ。デスク右袖下から二番目の引き出しからテキストを取り出す。

「パーフェクト♪」

パラパラと中身を確認して霧坂は満足そうな笑みを浮かべる。正否は別にして一生懸命やりました感がアリアリと出ている。

「どうでも良いが、丸写「母さんが今夜、ウチで夕飯食べていけって言ってたけど如何する?」

説教が始まるよりも早く守屋を黙らせる為、使用回数無制限な上に一撃必殺の威力と信頼度を誇るカードを叩き付ける。

「勿論、有難く頂戴する。」

霧坂の目論見通り、守屋は短く返答し口を閉ざす。
116GEARS第十話 2/10 ◆B21/XLSjhE :2009/12/06(日) 01:54:06 ID:VlemUmSJ
守屋家の住人は総じて料理の腕が致命的で家庭の食卓という物に縁が無く、食事の殆どを外食や出来合い等で済ませている。
そのせいか、守屋は齢16にして手作りの料理や家庭の味といったものに対して、異常な程の執着心を見せるのだ。
幸いにも霧坂の母親は勿論の事、霧坂自身も守屋の舌を満足させるには充分過ぎる料理の腕を持っている。

霧坂は守屋の悲惨な食力事情に同情すると同時に何とも餌付けするのが簡単な男なのだろうと苦笑する。
特に空腹時は従順だし、何を与えても満足そうな笑顔で平らげてくれるので、守屋に手料理を振舞うのも悪い気はしない。

「じゃ、有難く丸写し「駄目に決まっているだろ。」

守屋の反撃。霧坂が喋り終わるよりも早く、暴挙に出るよりも早くテキストを引っ手繰り、半目で睨みつける。

謀ったな守屋一刀!繊細な乙女心を踏み躙るとは何たる事か!?今日の夕飯はお前の嫌いな…って、嫌いな物とかあったっけ?
そんな複雑怪奇で意味不明な感情を込めて睨み返すが、そんな感情を守屋に…寧ろ、理解出来る者など一人として居る筈が無い。

「少しは将来を見据えて真面目に勉強したら如何だ?」

「まだ高1だよ?もう将来とか考えてんの?」

真面目な奴だとは思っていたが此処までかという驚きが半分、お前は進路指導の教師かという反発心にも似た呆れが半分。
守屋は気を悪くするでも無く、そう思われるのは織り込み済みだと言わんばかりに苦笑しながら返答する。

「俺はウチがこんなだからな。高校を卒業したら砕牙州の士官学校に入学して軍へ進む事になるだろうな。」

「軍人かー…私は如何しようかなぁ…」

霧坂は人差し指を唇に当てて考え込むが何も出て来ない。

やりたい事や好きな事と言えば、スポーツギア観戦くらいのもので他の事は割と如何でも良い。
実は自分の手で動かす。作る。直すといった事に関しては、それ程の熱意は持っていないのだ。
常時特等席で観戦出来るからギア部に入ったに過ぎず、選手の道を選んだのも整備するより動かす方がマシだったからだ。

「ま、その内に何か思い付くとは思うけどね。」

「何も思い付かないんなら勉強しておけ。出来るのと出来ないのとでは選択肢の幅が大きく違って来るからな。
後々、やりたい事が見つかっても学力が不足しているせいで、その道に進めないってのは無念だろ?」

「色々、考えてるんだね?」

「全部、母さんの受け売りなんだけどな。あの人も学力不足で苦労したクチらしいからな。
高校卒業する直前で、やっぱり別の道に進みたいって思った時に苦労するぞってな。」

古くから続く軍人一族の一人息子とは言え、軍属に就く事を強要されているわけでも無ければ、期待されているわけでも無い。
「やる事が無いなら家業を継げ」太古の時代に多く倭国人達が遺した言葉に従い軍人にでもなるか程度の心構えをしているだけだ。

「だけど、夏休みももう折り返しだよ?なのに、それらしいイベントが全く無いのは、ちょっと問題だと思うよ?」

守屋は偶には霧坂と真面目な会話でもしてみようと思ってしまった自分が大馬鹿者だったと思い知らされた。
全て夏合宿中に詰め込んで来たとは言え、かなり遊び倒してきたつもりだったのだが、霧坂はまだまだ足りていないらしい。

「夏合宿やって、夏祭りやって、牧場に海に山。花火も見たし来週は区大会もある。これ以上、何を望むんだ?」

「何か物足りないと思っていたけど、地区大会の事を完全に忘れていたよ。」

そう。霧坂にとって、この夏は遊び足りていないのでは無く、ギア分が不足気味なのだ。
と言うよりも、守屋とアイリス・ジョーカーに伯仲出来るだけの実力者との戦いが余りにも無さ過ぎる。
片桐との戦いも悪くは無かったが所詮は遠距戦仕様、鋼のぶつかり合いとは少し違う。

それもこれも、矢神が赤点を取り過ぎて八坂高校に来れなくなったのが悪い。
だが、そんな不満とも後数日でお別れだ。この夏一番の大目玉、守屋と矢神の決戦の日は後一週間足らずで訪れるのだから。
117GEARS第十話 3/10 ◆B21/XLSjhE :2009/12/06(日) 01:54:53 ID:VlemUmSJ
統合歴329年8月12日

八坂州野宮地区大会当日。野宮区立ギアスタジアムには多くの観客が詰め掛けていた。
観客は各校の関係者、熱心なスポーツギアファン。そして、マスコミだけに留まらない。
ギアメーカー、プロモーターチームにギアの盛んな大学、企業といった選手や高校にとって気の抜く事の出来ない観客も多い。

スポーツギアのチームは物好きなスポンサーからの資金提供によって活動を行っているが、それが全てではない。

観客を魅了出来る程の試合を展開出来るだけの技量を持つ選手が搭乗したギアは兎に角、よく売れるのだ。
メーカーや仕様によって長短は分かれるが、スポーツギアの基本性能や価格にそれ程、大きな開きが無い。
勿論、追加パーツや換装パーツ等の性能を向上させる為のパーツもあるが、腕でカバー出来る程度の範囲だ。

よって、チームがギアを購入する際の判断基準は外見、仕様。そして、ギアの印象で決まるのだ。

この野宮地区であれば加賀谷望の愛機、スカーレット。矢神玲のリヴァーツ等が当てはまる。
特にこの2機は地球全土の高校生ギア選手に大きな支持を受けており、生産が追いつかない程である。

彼等が乗ってくれさえすれば広告塔となってくれるのだからメーカーとしては楽な商売だ。
だが、彼等が別の機体に乗り換えてしまったら?自社のギアに乗り換える分には良いが、これが別のメーカーだったら?
企業としては、そんな状態に陥るのは実に面白くない事この上ない。では、もっと乗ってもらう為にはどのような手段を講じるべきか?

例えば予備パーツの安価提供、新開発パーツの優先提供、衝撃緩和剤、弾薬の無償提供などが挙げられる。
兎に角、ギアは金のかかるスポーツ用品だ。消耗品の類でも積み重なると眩暈がする程の金額を要求される。
そういった負担をメーカーが肩代わりする事で長期に渡って広告塔としての役割を果たしてもらうというやり方だ。

守屋としては、アイリス・ジョーカーの性能を観客達に見せ付け、半年足らずで築いてしまった莫大な修理費用を精算したい所である。
何よりも広告塔としての役割を担えた時の金銭以外の利点、工場搬送時の最優先修理は守屋にとっては必要不可欠だろう。
どんな敵でも徹底的に叩き潰す代わりに、徹底的に破壊されるのだから優先的に修理してもらえるに越した事は無いのだから。

加賀谷にとってはプロモーターチームの存在が気になる所だ。
彼等は優秀な選手。それも近々、卒業予定にある3年生をスカウトする為に大会の視察に訪れる。

(全く…何様のつもりなのやら。)

加賀谷はスカウトの可否に興味は無い。寧ろ、辟易する程に引く手数多の状態で正直、目障り極まりない。
此方の都合も考えず、傲慢にも上から目線で品定めをしてくる連中が気に入らないだけだ。
だが、そんな連中を公式の場で完膚なきに叩き潰し、メンツを踏み躙ってやるのはさぞかし楽しいだろうとも思う。

最後に矢神玲。今の所、様々な思惑を錯綜させている部外者達には全くと言うわけでは無いが興味が無い。
学力が少々…いや、致命的に不自由な彼だからこそ、大学や企業のお目にかかって楽に人並みの進路を歩みたいくらいの欲はある。

だが、そんな事の為にこの日、この時、この場所に立っているのでは無い。
誰かと競い合う為に、自分の力を表現する為にスポーツギアの選手としてこの場所に居るのだ。

そして、まだまだ自分と競い合い、ぶつかり合う程の実力には達してはいない物の
将来的には一番のライバルになるであろう少年が銀の髪を陽光で煌かせながら此方へ向かって来る。

「久しぶりだな、守屋。今日は新人戦じゃなくて、レギュラーとして出るんだよな?」

「当然!矢神サンこそ出場するんだよな?またリヴァーツの中に古坂みたいな奴が入ってるって事は無いんだよな?」

守屋にとっては待ちに待った決戦の日だ。唯でさえ長期間のお預けを喰らっている状態だ。
流石にこれ以上は『自称』温厚な守屋でも我慢出来そうには無い。無粋で不逞の輩如きに邪魔をされては業腹というものだ。
そんな守屋の心情を感じ取ったのか、矢神は実に楽しそうに笑う。成長著しい守屋が夏休みの前半で、どれだけ腕を上げたのか?
矢神としても、そろそろ一度、本気で戦っておきたいと思っていた所だったのだ。誰にも邪魔をさせるつもりは無い。

「今日は一切、手加減しないからな。俺とリヴァーツの真の力って奴を見せてやるよ。」

「それは楽しみだ。俺と当たるまでに負けるなよ?」
118GEARS第十話 4/10 ◆B21/XLSjhE :2009/12/06(日) 01:55:54 ID:VlemUmSJ
守屋にとっては初の公式大会だが、緊張には程遠い。
以前、宋銭高校と練習試合を行う前日に霧坂に聞かされていたが野宮地区内で守屋とまともに戦えるのは矢神玲だけだ。
矢神と戦う為には決勝のステージに立たなければならないが、所詮は有象無象。守屋の準備運動の相手でしか無い。

その一方で矢神は抜刀すらせず、ただの一度も被弾せずに拳一つで対戦相手を一撃で粉砕していく。

「まさに破竹の勢いだな。」

守屋は偶然、矢神の試合を目にしてしまい、更に奮起する。
是が非でも、矢神と対等の立場になりたい守屋は左腕一本で、矢神同様に被弾する事無く一撃で勝負を進めていく。
矢神を打ち倒すだけに為に地区大会の舞台に立っているのだ。矢神と同じ事が出来なくては万に一つも勝ち目は無い。

八坂高校ギア部副部長、三笠慶。二年生、阿部辰巳は二人の戦いぶりに嘆息する事しか出来ないで居た。

「守屋の奴、矢神に勝てると思いますか?」

「今のままでは厳しいかも知れんが、漸く巡ってきた矢神との決着に守屋の戦意も充実している。
勝てないにせよ、この場に居る人間全員の度肝を抜く程度には追い詰める事が出来ると思っているんだが…」

確かに一介の高校生に過ぎない二人ですら、守屋の闘気がアイリス・ジョーカーを通じて溢れ出ているのが分かる程だ。
守屋と矢神は流れるように決勝戦まで駒を進める。此処までは八坂のギア部員達の予測通りだ。
だが、観客達はそういうわけにはいかない。完全にノーマークだった1年生が矢神に追い縋る程の勢いで試合を進めていくのだから。

しかし、観客達の驚きなど二人には関係の無い事だし、知った事じゃない。
真紅の装甲に包まれたリヴァーツの眼前に、白銀の装甲を身に纏うアイリス・ジョーカーが立ちはだかる。

「漸くだな。」

守屋は興奮と喜色を含んだ声を矢神に投げかける。これから悪鬼羅刹の如く戦おうとしているとは思えない程、明るい声だった。

「随分と待たせてしまったみたいだからなぁ…」

矢神は楽しくて仕方が無いと言わんばかりに守屋の言葉を受け止め、左肩にマウントされた斬馬刀の柄を握る。

「お互いに手加減は一切、無しだ。」

矢神は真紅の瞳を炎の様に煌かせ、アイリス・ジョーカーの全長よりも長い刃渡り8mもある斬馬刀の切っ先を守屋機に突きつける。

「良し…やるぞ。ジョーカー!」

今までのシミュレーター訓練では受けた事の無い矢神の気炎に煽られ、守屋は意気揚々と声を張り上げる。
右腕に装備されたバックラーブレードの刀身を展開し腰溜めに構え、試合開始の合図と同時に砂埃を巻き上げながら地を蹴る。
スポーツギア随一の脚力を持つアイリス・ジョーカーの加速力から繰り出される刺突は馬鹿正直に矢上機の首に喰らい付こうとする。

フェイントも牽制も無い単純明快な一撃だが、目にも止まらぬ高速の剛撃である事には違いない。
まともに喰らえば敗北は避けられない。とは言え、防ぐのも避けるのも面白くない。何よりも無粋だと矢神は考えた。
守屋が態々、馬鹿正直で力任せな攻撃で俺達の決戦に幕を開けてくれたのだ。
小手先だけの技で対応するなど愚の骨頂。無礼にも程があると考え、矢神は斬馬刀を上段に構える。

「真っ向勝負だ、守屋ァッ!!」

馬鹿正直で力任せな攻撃以外の返礼など思いつきもしない。その結果が敗北だとしても悔いは無いし、敗北など有り得ない。
矢神の闘気を纏った斬馬刀は雷鳴と言わんばかりの轟音を鳴り響かせながら風を引き裂き、大地を侵略しただけでは飽き足らず
地面の役割を果たしていたモノを土砂と共に竜巻の如く、空高く巻き上げ二機のギアを覆い隠す。

周囲に飛び散る砂埃や破片と共に、バックラーブレードの刀身が宙を舞い墓標の様に地に突き刺さる。

霧坂は守屋が敗北したのではと息を飲むが、その不安は5つの轟音によって打ち払われる。
あの聞き慣れたリズムで打ち鳴らされた轟音は間違いなく守屋の両手両足を使った連撃だ。
119GEARS第十話 5/10 ◆B21/XLSjhE :2009/12/06(日) 01:56:52 ID:VlemUmSJ
「今のどうなったの…?」

霧坂は居ても立ってもおられず、落ち着かない様子でスタジアムに視線を向ける。

状況を察するに守屋はバックラーブレードを切り落とされはしたものの、お得意の格闘戦で矢神を圧倒しているという事になる。
しかし、あの八坂五指に数えられる実力者である矢神玲がこんなにも容易く、守屋に連撃を許すとは考え難い。
二人の様子をこの眼で確認したいのに巻き上げられた土砂が晴れていくが、あまりにもゆっくりでもどかしい。

「何あれ…?」

竜巻が晴れ、守屋達がぶつかり合った地点がクリアになり地に崩れ落ちた二機のギアが観客に姿を晒す。
八坂や宋銭の生徒だけで無く、観客全員がスタジアム全体からどざわめき声が静かに響いた。

「どういう事…?」

腰部を大きく歪ませ、両腕と右足。更に頭部を失い地に転がるギアが一機。
一刀両断の名の下、右肩から真っ二つに切り裂かれたギアが一機。

だが、矢神玲と守屋一刀の愛機である、リヴァーツとアイリス・ジョーカーでは無い。
肝心の二人は二機のギアの残骸の中心で背中合わせに構えを取り、周囲を警戒している。

「悪いな。お前の剣ごと、ぶった斬っちまった。」

「右腕を飛ばされるよりマシだ。」

純粋な力比べで戦いの火蓋を切って落とされた二人の決戦は違法ギアの乱入という形で急遽中断させられる。
此処に来てまさかの…いや、この騒ぎの首魁からすれば今日のこの時こそが、絶好のタイミングなのだ。
地区大会とは言え、多くの高校から新旧様々なスポーツギアが集まり、さながらギアの見本市の様相を示している。

正に選り取りみどりの状況。その上、この大会に参加したギアの殆どが各メーカーの修理工場への搬送準備中で
コンディション以前にギアの搭乗すら困難で満足に抵抗が出来ない状態にあり、稼動可能なギアも数で押し込むのは容易い。

絶対有利の状況を待ち構えていた違法ギアの大群がスタジアムの外からブースターを吹かしながらスタジアムの中に侵入する。

次々に降り立つ違法ギア。リヴァーツのセンサーが48機のギアを捉える。
ついさっき、守屋と撃破した奴を合わせて団体50名様で態々、お越し頂いたという事になる。

「こんな夏真っ盛りによくもこれだけの数が集まったもんだ。違法ギアってのは、そんなに暇なのか?」

「ふざけやがって…何処のどいつだッ!!」

守屋は怒気を隠そうともせず、外部スピーカーをオンにして怒鳴り声を張り上げる。

「ヒャーハッハッハッハッハァッ!!」

下卑た笑い声と共に忘れたくても忘れられないモヒカン頭の男がアイリス・ジョーカーのモニタに表示される。

「久しぶりだなァ?矢神!それに守屋ァ!」

「貴様…二度ならず、三度までも俺を阻むか。」

この男のせいでアイリス・ジョーカーの実機訓練が遅れ、矢神との決着を後回しにされた。
そして、漸く待ち望んだ矢神と決着の日にまで横槍を入れて来るとなれば、怒りを通り越して殺意が芽生える。

「古坂か。何をしに来た?」

「こうもギアが揃ってるんじゃ、やる事ァ一つだけだろう?」

古坂機がスタジアムの外に指を向けると同時に爆音が鳴り響く。
120GEARS第十話 6/10 ◆B21/XLSjhE :2009/12/06(日) 01:58:00 ID:VlemUmSJ
爆炎が立ち上っている所に、工場への搬送予定のギアを積んだ輸送車両の駐車スペースがあった筈だ。
そこで何が起こっているかなど、態々、目にするまでも無い。

「少し見ない内にクズっぷりに磨きがかかったようだな?」

身勝手な奴だとは思っていたが、まさか違法ギアに身をやつす程の大馬鹿者だったとは。
ステレオタイプの小悪党のクズ野郎、此処に極まれり。短絡過ぎて笑えてくる。

「吼えるな!テメェ等には散々、恥をかかされたからなァ?テメェ等の命、ギアごと頂くぜ!!」

矢神はお前如きに何が出来ると呆れたように溜息を吐くが、守屋は此処に来て焦りを覚える。

「矢神サン、ヤバくないか?」

「馬鹿言え!雑魚が乗っかったギアがたったの48機、俺とお前なら楽勝ってなもんだぜ!」

矢神は数の不利など全く意に介する事無く、大声で笑い声を張り上げるが
守屋とて言われるまでも無く、この程度の連中に後れを取るなど微塵に思っていない。

「アイツも宋銭高校のギア部の関係者なんだろ?この事が協会に知れ渡ったら、宋銭のギア部は…」

悪質なルール違反があった場合、違反者が所属する教育機関へ3年間の活動停止命令が出されるのだが
今回のケースだと悪質なルール違反以前に完全な違法行為だ。宋銭高校の永久追放は免れない。
そして、高校を卒業したとしても、矢神自身の選手生命も完全に断ち切られる事になる。

「奴のせいで矢神サンと戦えなくなるなんて冗談じゃないぞ!アンタは俺の目標なんだ!あんな下衆に邪魔をされてたまるか!」

「はっはっはっは!嬉しい事を言ってくれる奴だな。」

笑っている場合かと怒鳴りたくもなるが、矢神はあくまで泰然とした態度を崩さない。

「色々、説明は省略するがアイツならとっくに退学喰らってるからな。部外者も良い所だぜ?
要するに神聖な地区大会の決勝戦に空気を読まずに乱入して来た阿呆な犯罪者Aに過ぎないのさ。」

「余計な心配をさせてくれる…だったら最初に言っておいてくれ。」

守屋はリラックスした面持ちで鋼拳を構え、矢神は斬馬刀を肩で担ぎ、違法ギアの大群に向き直り古坂達を手招きする。

「さて、折角の夏だってのにやる事の無い暇なニートども。遊んでやるから、纏めてかかって来いよ。」

「テメェ等ァッ!!」

古坂は口角から唾を飛ばし、吼えるが付き合っていられない。

「待ち受けるのは性に合わない。先手はもらうぞ。」

守屋は獣じみた脚力で手近な敵に肉迫し、加速の勢いに乗ってリヴァイドの胸部目掛けて飛び膝蹴りを放つ。
着地の寸前にナイツの背部に回し蹴りで此方に迫りつつあるサイ・メタル目掛けて吹き飛ばす。
もつれ合いながら倒れ込む二機のギアを膝蹴りの際、リヴァイドから奪い取ったロングソードで串刺しにして地に縫い止める。

「シールドチャクラムセット」

アイリス・ジョーカーは守屋の命令に従い、左腕のシールド内に収納している有線チャクラムを高速回転させ主の攻撃命令を待つ。

守屋は獲物を喰らえと短く言を発し、チャクラムは嬉々としてルナメタルの頭部を貫きメイレーンの脚部に絡み付く。
敵機が体勢を崩したと見ると力任せに引きずり回し自機の元まで手繰り寄せる。上半身を踏み潰し、チャクラムをシールドに収納。
守屋は足元に転がる5機の残骸を一顧だにせず、次の獲物へ向かって駆け出した。

「守屋の奴め…後何機居ると思っているんだ。」
121創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 01:58:36 ID:Tj6f4mWC
ksk
122GEARS第十話 7/10 ◆B21/XLSjhE :2009/12/06(日) 01:58:48 ID:VlemUmSJ
矢神は守屋の戦いを見て心底呆れ果て、仕方の無い奴だと苦笑する。
見ていて気持ちが良い程の瞬殺っぷりだが、あれでは機体に負担がかかり過ぎて、敵が全滅するよりも先に此方が自滅してしまう。

「ま、この程度の雑魚相手に後先考えたり気張ったりするのもバカバカしいか…」

矢神は斬馬刀を水平に構え違法ギアの群れに飛び込み、斬馬刀と共に機体を一回転。
リヴァーツのパワーに遠心力と斬馬刀の重量を重ねた剛撃。

大地と水平に円を描くようにして振り払われた刃渡り8mの斬馬刀は一撃で7機のギアを横一文字に引き裂く。

「折角の雑魚狩りのボーナスタイムだ。自分らしく大暴れさせてもらうぜ!!」

チラリと守屋の方を見ると全身から緩衝材を吹きながら、二機のイーゼルと対峙している。
まるで、後先なんて知った事かと言わんばかりの戦いっぷりだ。

「これで8対8のイーブンか。まだまだ守屋に負けてやれないからな!」

矢神は新たな標的を定め、斬馬刀を振り下ろし次々に敵を葬っていく。

そして、この騒動の張本人である古坂は戦慄するしか無い。
どんな猛者でも、一瞬で鉄屑に出来る程の数を掻き集めて来たというのにも関わらず
一瞬で半数近くが撃破され、こうしている間にも仲間の反応が消失している。

「テ、テメェ等!!相手は近接戦闘仕様のMCI搭載型だぞ!距離を取れ!
あいつ等のギアは飛び道具が無い!!空から撃て!撃ちまくって蜂の巣にしろ!!」

古坂のヒステリックな叫び声を聞いて、違法ギアの大群は慌ててブースターを吹かし宙に逃げ出そうとする。
だが、違法ギアとは言え所詮は無改造のスポーツ用品に過ぎず、最高速を達するまでのタイムラグが長い。
そして、鈍重な動きで宙に逃げようとする敵を、この二人が見逃す筈も無い。

「離脱などさせるかッ!!」

矢神は斬馬刀を投擲。ブーメランのように弧を描きながら4機のギアを地に叩き墜とす。
戻って来た斬馬刀を握り直し、地面に突き刺し矢神は嬉々として牙を剥き出す。

「リヴァーツに飛び道具が無い?それは何時の情報だ?」

リヴァーツの手首、腰、大腿部のカバーが開く。各所に2本のクナイが仕込まれている。
都合12本のクナイが上昇し切れていない7機のギアに突き刺さり、内4機が墜落。

損傷により高度を維持出来ないでいる3機のギアは守屋機から再び放たれたチャクラムで
数珠繋ぎにされ、大地に引き摺り堕とされる。

「やっと半分ってところか?」

「残りは空の上か…逃がすのも癪だな…」

守屋は悔しげに歯噛みするが、逃亡の心配をするまでも無い。
此方が手を出せないと知るや否や、ライフルから放たれた砲弾が雨霰と降り注ぐ。

「クソッ…最近、こんな展開ばっかだなッ!!」

「当たり所が悪ければ一撃で沈むぞ、絶対に喰らうなよ!!」

対アームドギアを前提に設計されたライフルは弾速、火力、命中精度と全ての面で競技用ライフルを遥かに凌駕する。
守屋は両腕のシールドを前面に展開して逃げ回るが、エネルギー切れ、弾切れを起こすまで避けられる筈も無い。
矢神は見ていられないと、軽やかなステップで銃撃の雨の隙間を縫うように守屋機の傍に駆け寄り斬馬刀を旋回させ銃弾を弾き返す。

「もう何でも有りだな、アンタは…って言うか、警備のギアは何をやっている!!」
123GEARS第十話 8/10 ◆B21/XLSjhE :2009/12/06(日) 01:59:34 ID:VlemUmSJ
情けない事、この上無いが矢上の非常識な能力と、高性能な警備用のギアに頼らねば守屋には生き残る術が無い。
せめて、相手が地上に降りてくれれば撃たれる前に潰す事も出来るが、生憎と相手は空に居る。
攻める事は出来ないが、さりとて己の身一つでは守る事すら侭ならず、不甲斐ない自分に苛々する。

「まあ、落ち着け。警備よりも頼もしい天の助けがお出ましだ。」

矢神機に倣って、空を見上げると紅の閃光が空を切り裂いていた。

「あのブースターの残光は…加賀谷部長!?」

「流石のお前達でも対空戦は分が悪かろう?此処は助太刀させてもらう。」

しかし、流石の加賀谷とは言え団体戦の決勝を終えた直後で機体のコンディションは決して良好とは言い難い。
右足は焼け爛れ、左腕の装甲は欠落し、右肩の装甲が切り落とされ全身が薄汚れており、満身創痍の体を為している。

「無茶です!機体のコンディションが悪すぎます!」

「ああ。絶不調過ぎて逆に絶好調極まる。
チマチマと少数を相手に出来る余裕は無いのでな。全員、まとめてかかってくると良い。」

「そんなボロボロのギアで何が出来る!八坂五指だか十指だか知らねぇがッ!!」

加賀谷はブースターを最大出力で敵陣に切り込み、ソードライフルを両手に舞う。

「ならば、これを機会に知っておけ。」

まさに疾風迅雷。ある者は斬られ、またある者は刺され、そして撃たれる。
加賀谷は眼前の敵を一瞬で背後へ抜き去り、全機のブースターを破壊し地に叩き落す。

「矢神、守屋。墜としたギアが客席を巻き込まないように対応を頼む。」

「あ、後先考えてから墜として下さい!!」

次々に墜落して来るギアに肝を冷やした守屋は慌てて、チャクラムを放ち、安全な場所に釣り上げる。
とは言え、空戦が出来る加賀屋の登場で古坂達は地上の守屋達を相手にする余裕は無くなった。
一撃必殺の威力を誇る銃弾の雨に晒される事に比べたら、幾分か気楽なものだ。
それでも、今度は人の命を預かる場面になった為、まだまだ気を抜く事は出来ないが。

「一応、考えなしでは無さそうだ。客席に落ちそうな奴はそう多く無い。」

そう言うと矢神は斬馬刀を構え、客席に堕ちそうな違法ギア目掛けて投擲。
斬馬刀は違法ギアを捕らえ、主人の元へと帰還。矢神機は右腕で斬馬刀を掴み、左腕で違法ギアの首を握り潰す。

加賀谷は次々に襲い掛かる銃弾に目もくれず一直線に敵陣に切り込む。
戦闘用ライフルの威力は確かに驚異的ではあるが、スポーツギアにその反動を押さえ込めるだけのパワーは無い。
撃っている本人達は狙っているつもりでも実の所、照準など全く合っていないに等しく、回避運動を行う必要性が全く無い。
被弾イコール運が無かった程度の流れ弾に恐れる暇があったら一機でも多く地に叩き落とした方が余程、安全だ。

「アームドギア用の武器がスポーツギアに使いこなせるわけが無かろう?選手としても違法ギアとしても三流以下だな。」

攻撃力だけに気を取られた結果がこの様なのだから呆れるしか無い。
この数で内田のスナイパーライフルを持ち出されでもしたら流石の加賀谷でも尻尾を巻いて逃げ帰る所だろう。
スポーツギアに対して一撃必殺の威力である事には違い無いのだから。

「クソッタレ!!これならどうだァ!!」

古坂は劣勢と見るや否や、半ばヤケクソ気味にライフルの銃口を客席に向ける。

「これなら絶対に外れないだろ?お前のせいで多くの人間が死ぬ事になるんだ。ザマー見ろ!!」
124GEARS第十話 9/10 ◆B21/XLSjhE :2009/12/06(日) 02:00:24 ID:VlemUmSJ
「霧坂。出番だ。」

加賀谷は臆する事無く、地上に待機している霧坂に戦闘参加の合図を送る。
地上から爆音が鳴り響くと同時に、古坂機の左腕がライフルと共に消し飛ぶ。

「あ、新手だとッ!?」

「団体戦の選手なものでな。短期戦闘は苦手なんだ。」

形勢逆転も僅か一瞬。いや、形勢逆転にすらなっておらず、加賀谷はしれっとした態度で肩を竦めた。

「霧坂…?」

そして、守屋はブクレスティアの搭乗者が内田だとばかり思い込んでいただけに少なからず驚いていた。
八坂に内田以上の砲狙撃戦が出来る選手が居ない事もそうだが、霧坂に曲芸じみた狙撃が出来ると思っていなかったからだ。
そんな守屋の疑い半分、驚き半分の感情を改めさせてやると言わんばかりに霧坂は立て続けにトリガーを引き絞る。
轟音、頭部を失い墜落。轟音、ブースターが破砕され墜落。轟音、コクピットに直撃。

ブクレスティアの性能もさる事ながら、その専用スナイパーライフルの威力はルールギリギリの火力を持っており
コクピットブロック周辺はさて置き、スポーツギアの装甲程度なら簡単に破壊出来るという点に関しては戦闘用の砲弾と大差は無い。
不可避の魔弾の恐ろしさは守屋自身、その身で嫌というほど味わっている。

「へっへー!どうよっ!!」

我ながら上等な出来だと、霧坂は満足そうな笑顔とVサインをアイリス・ジョーカーのモニターに送る。

「やるな…いや、大したもんだ!」

あまりにも良い笑顔をするものだから、守屋も釣られて笑顔で賛辞の言葉を霧坂に送る。
完全に流れは守屋達に傾いており、50機以上の違法ギアも残るは片手で数える程度で
外を襲撃していたグループも警備のギアに粗方鎮圧されたようで、目立った被害は無いらしい。

「冗談じゃねぇぞ、クソったれぇ!!」

大群を引き連れて来たと言うのにも関わらず、何一つとして収穫は無く手持ちのギアは悉く破壊されてしまった。
楽な仕事のついでに矢神と守屋に落とし前を付ける腹積もりも悉く叩き潰されては古坂の面目丸潰れだ。
奪取は無理でもせめて、一機くらいは破壊していかなければ腹の虫が収まらない。

だからと言って、八坂五指に数え上げられる加賀谷と矢神に太刀打ち出来る筈が無い。
火器と左腕を失った状態で守屋に戦いを挑むのも、これまた無謀極まる。
勝てそうな相手といえば、狙撃型のギアに乗る名前も知らない女。

古坂はダガーを引き抜き、霧坂機目掛けて機体を急降下させる。

「焼け死ねやアアアアッ!!」

古坂機の刀身が鈍い光を放つ。

「ビームの残光!?」

守屋は見覚えのある光の正体に逸早く気付きアイリス・ジョーカーを走らせる。
以前、守屋に極上の恐怖を叩き込んだ光だ。トラウマの克服なんてものは出来ていない。
第一、普通に生活していればビーム兵器と出くわす事などまず無いのだから克服のしようも無い。

「疾く…もっと疾く走れ!ジョーカーッ!」

だが、身体が勝手に…否、守屋の全てが疾く走れ。奴よりも疾く駆け抜けろと己の身体と、アイリス・ジョーカーに命令する。
己の力だけで戦い続けて来た守屋が初めてアイリス・ジョーカーの力を求め、アイリス・ジョーカーは初めて守屋に力を貸し与える。
一瞬にして二機の間に滑り込み、古坂機のダガーが霧坂機のコクピットに突き立てられるよりも疾く我が身を盾とすべく身構える。
125GEARS第十話 10/10 ◆B21/XLSjhE :2009/12/06(日) 02:01:21 ID:VlemUmSJ
アイリス・ジョーカーの左腕が肩口からバッサリと斬り落とされるが、霧坂機には届いていないのだから問題は無い。
ビーム兵器の何が恐ろしいかなど霧坂が知る必要は無いし、何より知って欲しいとも思わない。

「霧坂に触るな…殺すぞ!」

「だったら、テメェを殺してやらぁ!!」

予定は狂ったが守屋機のコクピットは眼前にあり、振り落としたダガーを斬り上げるだけでケリが付く。

「阿呆が…調子に乗るなッ!」

だが、ダガーの攻撃力が高かろうとギアの出力と格闘戦の適性はアイリス・ジョーカーの方が圧倒的に上なのだ。
古坂機の右腕を捻り上げ、引き千切り、手刀で首を刎ね飛ばすが、矢神との決着を邪魔された怒りはこの程度では収まらない。

「アイリス・ジョーカー、フルドライブッ!」

アイリス・ジョーカーは主の命令に従い、ジェネレーターから正常に稼動しているとは思えない程の重低音を吐き出し
胸部の排熱口からは甲高い音を立てながら白煙を噴き、想定外の負荷にフレームが鈍い音を立てながら振動する。
重なり合う三つの異音は主である守屋一刀の怒りを体言するアイリス・ジョーカーの獰猛な唸り声とでも言うべきか。

本来であれば、こんな早期にそれも八坂が誇る未完成の魔改造システムを使う予定は無かったが使わずにはいられない。
更に自身に降り掛かる負担は大きいが、工場送りという結末に変更は無い。ならば全身全霊を持って打ちのめすまでだ。

「三回死んで、幼児からやり直しやがれッ!!」

辺り一面と自身に巨大な亀裂が走る程、激しく大地を踏み貫くと同時に、古坂機を慟哭と共に撃ち貫く。
バズーカ砲の直撃に匹敵する程の衝撃に古坂機は上半身を粉々に粉砕され周囲に上半身だったモノをばら撒く。
流石にコクピットブロックは頑丈に出来ているらしく、残念ながら古坂を殺すには到っていない。

「霧坂、無事か?」

先程は横目で軽く確認しただけだ。守屋は霧坂機に向き直り、しっかりと無事を確認する。
所々、破損はしているものの襲撃の際に受けた傷では無く、試合中に受けた傷があるだけだ。

「守ってくれて、ありがと。私はヘーキだけど、カッコ悪いトコを見せちゃったね?最後の最後でヘマしちゃった。」

霧坂はバツが悪そうに苦笑するが、普段通りの霧坂の様子に守屋は安堵する。

「無事なら、それで良い。」

安堵しながら何故、霧坂の事で感情を振り回されたのだろうかと首を傾げる。
首を傾げるとフルドライブの反動のせいで消し飛んだ、肘から先が粉々になった右腕が眼に映る。
その上、矢神との決着も付かず仕舞いに終わってしまった。何もかもが大失敗で辟易する。

「ま、決着は州大会でだな。」

苦悩する守屋を見て、矢神は苦笑いしながら斬馬刀を担ぎ直し、宋銭高校のゲートへと引き返す。
守屋を庇いながら戦っていたのにも関わらず、リヴァーツはほぼ無傷で足取りも軽い。
立ち去る矢神の後姿を見届けながら、改めて圧倒的な実力差を嫌と言うほど思い知らされる。

「今のままでは矢神サンに勝てないな…」

「州大会まで3ヶ月もあるんだし大丈夫だって!それよりも今は無事に騒動が片付いた事を素直に喜ぼうよ!」

「そうだな…皆が無事で良かった。」

確かに、見知った者の中で何かしらの傷を負った者は一人としていない事は素直に嬉しく思う。
とは言え、ビーム兵器が一介の高校生ですら簡単に手に入る現状に妙な不気味さを感じ
未だに拭えないビーム兵器に対する恐怖心から人知れず、夏の暑さとは関係の無い汗を垂れ流すのであった。
126GEARSの中身 ◆B21/XLSjhE :2009/12/06(日) 02:08:41 ID:VlemUmSJ
以上、投下完了です。

やっとこさ折り返し地点周辺に到着です。
十話投下記念にロボ絵を投下しようと思いました。

自分のセンスの無さに全俺が泣いたorz
127創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 18:05:41 ID:Tj6f4mWC
>>126
投下乙です

重ね、重ねの駆け引きが本当に面白い
戦闘にスピード感が溢れてて、読んでて手に汗握りました

リヴァーツに飛び道具が無い?の下りが格好良すぎて
ああ、いいなこういう情報的なやりとり書いてみたいと思わされましたw

次からはパワーアップイベントなんだろうか?
楽しみに待ってます
128創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 20:41:29 ID:sVTjCKZm
>>126
 投下乙です!
 部長が正気に戻っている、だと……!?
 いつも以上に展開が熱くて痺れました。
 やがみんはバカッコイイ奴ですね、惚れてしまいますw
 守屋はまだビーム恐怖症は治ってないみたいですね。てっきり今回のアレで克服したものかとばかり思っていました。
 かがみんとの試合は州大会に持ち越しになってしまったわけですが……悪党の影がチラついてますね。さてさてどうなる事やら。
 ……なんて考えていたら、なんだかカスタムロボを思い出してしまいましたw
 では、次回も楽しみにしてますね!


 きりちゃんセクシーだよきりちゃん。
129創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 21:39:41 ID:6i3xqntB
>>126
投下乙です!!
あれ?微妙に守屋ときりちゃんの距離が縮まってね?w
しかし相変わらず殺陣が秀逸ですなー、今後の参考にさせて頂きますw
さて、チンピラ使って違法ギア騒ぎを起こしている黒幕を気にしつつ、次回を楽しみに待っております!
130創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 23:15:28 ID:cviDrOyh
>>126
ギア部員のギャップがおまえ誰だよって感じだw だがそれがいい!

迫る感情の矛先も、殺陣を切り取るカメラワークもなんか新鮮
まさに特等席の醍醐味
霧坂がギアに惹かれたのも実感できた気がします

背後で動く利害関係、将来、自分自身の気持ち…
今回は漠然としたものが
一気に動いた重要な神回
投下乙であります
次回も楽しみです
131 ◆Uu8AeR.Xso :2009/12/07(月) 01:59:12 ID:Zgn5zp6j
自分の作品の見直しで精一杯で感想書けませんでした…orz
感想はまた後日……

そして誰もいない内に投下開始いたします。
132 ◆Uu8AeR.Xso :2009/12/07(月) 02:00:42 ID:Zgn5zp6j
鋼殻牙龍 ドラグリヲ 第八話 絶望に堕ちし幼子、添うは優しき雪の兎

先ほどまで地上を覆っていた喧騒が終息し、街は再び静寂に包まれる。
淡い月明かりに照らされ浮かび上がる沢山のバラックの屋根、その上を巨大な異形の影が束の間の間覆い、遠ざかっていく。
大きな翼が打ち下ろされる度に、バラックの屋根屋根の脆い部分が捲り上がる。
そして竜は月を頂点に戴く双頭の塔に凱旋する。

‘…血の香り…?どうされたのです?’
先に帰還していた妃が血の匂いを嗅ぎ付け、怪訝な表情で王を見る。
その足元には今日の獲物と思われる、ガチガチに凍らされ捌かれた“蜘蛛”の身体を構成していた“モノ”が散乱していた。
凍らされ、宝石と見紛う程に様変わりした血液が、妃が鎮座する霜の降りたクヌギの寝床を彩る。

王は翼にはらませていた熱を逃がし、翼を器用に折りたたむ。
“久しぶりに人間相手にヤンチャをしてな…少々手こずってしまった……”
苦笑いしながら妃の方へと向き直り、ドカリと胡坐をかく。
乱暴に座り込んだせいか、クッション代わりに集めた杉の炭の寝床が少しイビツに歪んだ。
その言葉を聞き、全く悪びれる態度を見せない王を見て、妃は表情を少し険しくした。
‘つまりダニ相手に油断して打ちかかったら返り討ちにあったと……?’
                                アイ
“……耳が痛いな…出来るならもう少し優しく言ってくれないか?…『藍』…”
『紅』は頬をボリボリ掻きながら苦虫を噛み潰したような顔をして蒼い竜の名を呼ぶ。
‘ほほほ!妾は事実を言ったに過ぎませぬ。’
『藍』と呼ばれた竜はその蒼く輝く蛇の様に長い身体を艶めかしく、くねらせ『紅』の顔を見て微笑んだ。
宵の空の様に深い蒼色をした鱗は、その動きに合わせて屈折率を変え、虹の様に美麗な光を返す。

‘それで?さっきから掌を隠しておられますが…今度は何を持ってきていらしたのです?
 何時ぞやの様に訳の分からないガラクタでは無いでしょうな?’
そう言って『アイ』は『コウ』の手元に視線を向ける。

“いいや違う…ちょっと面白い奴を連れて………ん?”
手を小さく開いて中を覗いた瞬間、『コウ』は一瞬小さく声を上げた。
ゆっくりと手を開く、そこには先ほどまで確かにいた筈の人物がいなかった、思わず目に手を当て空を仰ぐ。
“しまった…何処かに落としてしまったらしい……。まぁ…死にはしないと思うが…………。”

その言葉を聞いて『アイ』は呆れたような表情をし、その後『コウ』の顔を睨み付けた
‘また間抜けな事を……’
『アイ』はボソリと呟くと、プイッとそっぽを向いてとぐろを巻き、瞼を閉じる。
馬鹿な“蜘蛛”共によって削られた睡眠時間を少しでも取り戻したかったからだった。
‘それで…?連れて来たと先ほど言っておられましたが、一体何を連れられる御予定だったのでしょうか?’
『アイ』は瞼を閉じたまま、ぶっきらぼうに問う。

“あぁ…”
『紅』は『藍』のそのダラダラした背中を眺めながら頬を釣り上げ、嬉しそうな声で言った。

“我らの…同胞だ!”
133 ◆Uu8AeR.Xso :2009/12/07(月) 02:03:20 ID:Zgn5zp6j

{ぎゃああああああああああ!!!」
その頃、話のタネになっていた当の本人はというと、凄まじい速度で落下していた。
瞬きをする間にも、地面がドンドン容赦なく迫って来る。
取り合えず苦し紛れに手足をバタバタさせるが減速する気配はまるでない。
風を切る音が痛いほどに鋭敏化した聴覚を刺激する。

(考えろ…考えろ!俺!)
ジタバタと見苦しく足掻く一方で、脳細胞はフル回転していた。
自分が人である以上、空中で如何足掻いても減速出来る手段など無い。
カルマが起きてさえいれば、クッションか何かに進化して貰って衝撃を受け止める事が出来る筈だが今は其れも望めない。
空を飛ぶ事何ぞ、論外の蚊帳の外の話だ。
あらゆるアイディアが浮かんでは消えていき、焦燥がさらに体温を上昇させる

そして最終的にある都合が良過ぎるかもしれない考えが頭を過ぎった
『紅』の拳を受け止める事がさえ出来る程に頑強に変貌したこの身体なら如何にかなるかもしれない、と。
しかしこの形態も何時まで持続してくれるかも分からない。
(他に出来る事も思いつかない……賭けるしかないか…!!)

カルマをコートの中に入れて、ガッチリと抱き締め、シッカリとコートを身体に巻き付け、尻尾で固定する。
頭を自由が利く片腕でカバーし、そっと目を閉じる。
そして久しぶりに天へ祈った。

{神様仏様法皇様帝様…!もう無断で人の物壊したりしないからどうか俺に慈悲を…!」
目を閉じて数秒後、何か柔らかい物を貫通したと思った瞬間、それに続く凄まじい衝撃が全身の骨格を揺るがした。
特に頭を守っていた腕が強かに打ち付けられ、一瞬感覚が無くなる。
{グッ……!」
そして何度か小さくバウンドし、今度は背中が硬い物にぶち当たった。
{グァ……!ッゥ……。」
胸の奥から何か嫌な物がせり上がって来るが、必死に堪え、何とかリバースせずに持ち堪える。
息を整え、そっと目を開く…普段ならば灯りの無い夜の屋内で視覚が利く筈が無いが今は違った。
部屋の隅から隅までハッキリと見える。

そこは妙に見覚えのある場所だった、…いや正しく言えば何時間前には居た、老人の店の中だった。
壁に手を当て、ゆっくりと身を起こす。
{ちょうどここに落ちれるとはな…運が良いやら悪いやら…。」

そして老人に声を掛けようと店の奥を見たちょうどその時だった。
その店の奥から拳銃に弾を装填する鈍い音が聞こえた。
134 ◆Uu8AeR.Xso :2009/12/07(月) 02:07:22 ID:Zgn5zp6j

「ここまで来たか…畜生の分際で……」
闇の中から朗々と響く老人の物と思われる冷たい声、雪兎にはその声の主がハッキリと見えていた。
その声の主が安楽椅子に深々と座り、杖をブレも無く自分の脳天に突き付けているのを。
何時も見せる様な柔らかい顔では無く、その表情はまるで仁王の様に冷たく険しい物だった
老人が杖に仕込まれていたスイッチを入れる。
その瞬間、雪兎の背後の壁がスライドし大口径のガトリング砲が二門現れた、そして今にも火を吹かんと回転を始める。

{ま…待て!爺さん!俺だって!」
誤解を解かんと、急いで老人を呼ぶ。
「……坊主……では無いな……奴は自分の事を“俺”とは呼ばん、誰だ?貴様……。」
老人は闇の中で眉を上げ、ゆっくりと杖を突いて立ち上がり、再び杖のスイッチを押す。
其れに応じ、背後のガトリング砲の回転が止まる、だがほっとする暇等無かった。
よく見ると老人の右手には拳銃が握られている、その拳銃の形状を見て再び雪兎に緊張が奔る。
背中を冷たい汗がツーッと流れた。

それがただの拳銃だったならば怖くなぞ無い、今のこの形態ならば銃の弾丸程度の物なら安々と見切れるだろう。
それどころか逆に弾丸を殴り返して脳天をぶち抜ける自信もある、出来たとしても相手が相手なのでそんな事はしないのだが。

しかし老人が握っていたのは対害獣用に開発された特殊拳銃だった、そうなれば話は全く違う。
害獣討伐用に調整された其れは、生産数こそ少ないが普及している火器を遥かに上回る程の火力、弾速、扱いやすさそして安定性を保持している。
例えそれが最も威力の低い拳銃型であったとしても、その威力は通常の対物ライフルと比べてでさえ
三歳児のデコピンと全盛期のプロボクサーのストレートと例えられる程の差がある。
いくらこの格好でもそんな物見切れる筈も無く、頭撃たれればほぼ即死である。

マッチを取り出そうとポケットに手を突っ込んで探す。
だが指の腹から伸びる刃がその必死の捜索を妨げる。
(ああ、このクソッタレ…!)
そう思った瞬間手の中に刃が引っ込んだ、どうやら自分の意思で収納が可能らしい。
今の内とばかりに急いでマッチを一本抜き出し、コートの硬い部分に擦り付け、発火させた。

生み出された小さな炎は、ぼんやりと雪兎の顔を闇の中から浮かび上がらせる。
脇に置いてある大鏡に雪兎の姿がぼんやりと映り込む。その時、雪兎は始めて今現在の自分の姿を見た。
指の腹と靴を貫通し生えた大きな鉤爪。口を結んでいても僅かにはみ出る肉食獣の牙の様に鋭く尖った大きな犬歯。銀色の鱗に覆われたしなやかな尾、頭から伸びる後ろ向きの角
そしてぼんやりと闇より浮かび上がる赤い瞳。
その姿は、もはやマトモな人間と呼べるモノでは無かった。
{……これが…俺!?」思わず呟く雪兎

「坊…主…?いや…違うな…奴はコスプレ何ぞに興味は無かった。」
老人は訳の分からない事を口走り、頻りに首を傾げながらも銃口を確実に此方に向ける。
こんな訳の分からない誤解で殺されたのでは笑い話にもならない。

{だから俺だって!いい加減納得してくれよ……‘鰐淵玄十郎’さん!」
いい加減面倒臭くなって老人の名を叫ぶ、其れを聞いた老人は、ようやく雪兎の事を本人だと認めたらしく
銃を下し、表情を変えた。
「坊主…!?本当にお前なのか?しかし……その姿は…」
{俺の事は後で説明するから!………ちょっと発電機借りるぞ!!」
足から生えた爪を引き込み、靴を乱暴に脱ぎ捨て急いで発電室へと向かう。
135 ◆Uu8AeR.Xso :2009/12/07(月) 02:13:58 ID:Zgn5zp6j
発電室の頑強な扉を蹴っ飛ばし、発電用のオイルの匂いが立ち込めたその小汚い部屋に飛び込み
急いで発電機とカルマを、彼女のリボンを介して連結させる。
そして燃料が十分に入っているか確認し、発電機の電源を入れた。ヴンヴンと音を立て、発電量を示すメーターが動き始める。

カルマに流れる電流が大きくなる度に、人形の様にダランとしていた四肢に力が込められたかのように動き始めた。
そしてカルマのOSのシステム音声が、この狭い部屋に反響するよう、高い音で響いた。
無機質で高い女性の声と、重低音で唸る発電機の音だけが、この狭い部屋にシンクロするように反響する。
『システム再起動開始、基本プログラム、コンバットプログラム、進化制御プログラム異常なし。
 …………………………………………………………………人格システムにクリティカルエラー確認。』

(…クリティカルエラーだと!?)
最後に途轍もなく不安な一言を残して、検診プログラムが終了し、カルマは再起動した。
小さな息遣いが耳に届き、それに続いてゆっくりと目が開いた。
{カルマ…分かるか?俺だ」
雪兎は目を開いたカルマの頬をソッと撫で、微笑みかける。
周囲を確認するかのように動き回る瞳、そしてそっと零れ落ちる涙。
その涙を雪兎はそっと拭ってやる、そしてカルマは漸くその小さな口を開いた。

『イヤァアアア!!!』

突然の一際大きな拒絶の言葉、その言葉が耳に届いた瞬間、雪兎は衝撃で発電機に思い切り叩き付けられた。
激しい衝撃で発電機が緊急停止する。
{ガ…ァ…!…な………何…で……。」
雪兎は一瞬何が起きたのか理解出来なかった。
何故拒絶されたのか、何故攻撃されたのか、そして何故彼女は涙を流すのか、何もかもが理解出来なかった。

[警備システム起動。]
カルマの背中を勢いよく突き破り、異形の獣が姿を現す。
紅い三つ目、太い両腕、勇ましい龍の頭、血に濡れた様に紅い牙。
特徴的な下半身が無いうえに小さいながらも、その姿形はまさにドラグリヲその物だった。

『ユーザーは死んだの!死んじゃったの!!私がしっかりしないから…私がちゃんとしなかったから!!』

カルマは泣き叫び、喚き散らす。
そしてその場に座り込んで蹲ってしまった。

『御願い…近づかないで…私を責めないで……御免なさい…御免なさい…御免なさい……だから…御願い!
 バグは消えてぇええええ!!!』

背中を丸め、しきりに嗚咽を漏らす、彼女の小さな躯が震える度に雫が零れ、光って見えた。
136 ◆Uu8AeR.Xso :2009/12/07(月) 02:19:02 ID:Zgn5zp6j
{カルマ……お前……。」

[目標…獣血発現体、型式‘憤怒’…………排除開始。]
そしてカルマの背中から生えたドラグリヲの様な警備システムは、雪兎に向かって巨大な爪を振り下した、ギロチンの様に容赦なくその鋭い鉤爪を

普段の雪兎だったなら、間違いなく避けていただろう。しかし今の雪兎はそれをしなかった。敢えて肩口に爪を受け、血を爪に付着させる。
{グウウウウ…!」
鮮血が肩口から噴き出し、床をパラパラと紅く染める。

そして十分に血が付いた事を確認すると気合いを入れてその爪を弾き飛ばした。
傷ついた腕を庇い、間合いを広げ、叫んだ。
{ドラグリヲ…!俺の血を啜れ……そして気付け!!」
爪に血を付着させて数秒間、警備システムは動かなくなった。
そしてシステム音声が狭い部屋一杯に響き渡る。

[付着した血液のDNAを採取、照合の結果、パイロットと確認。
 ユーザーお騒がせして申し訳御座いません、警備システム…解除致します。]

その言葉の後、背中に生えていた警備システムは、メキメキと潰れると、カルマの体内へと戻っていった。
無音となったその狭い部屋で、カルマの啜り泣く声だけが聞こえる。

やがて雪兎は肩の激痛に堪えつつそっとカルマに近づき、優しく声を掛けた。
{カルマ……顔を上げてくれ…。」
目線を合わせるように膝を突き、再び声を掛ける。

{…俺……いや…僕は生きている…だから…泣くな…。」
その言葉を聞いて、カルマは涙に汚れた顔をゆっくりと上げた。
尚も瞳から涙が溢れ続け、しきりに鼻を啜る。

『本当に……ユーザー…なの?…バグ……じゃないの…?』
{あぁ…バグじゃない……本物だ…。」

雪兎は笑って彼女の問いに答える、その途端、カルマは雪兎の胸に寄りかかった。
『ユーザー……血が…私が怪我を………私…わ゛だじぃ゛……グス……ヒク…フェエエエエエ』
雪兎は頻りに愚図るカルマをそっと抱き締めてやる。

{安心しろ……今日はずっと傍にいてあげるから…。だから…堪えなくてもいいんだぞ……。」
そっとカルマに語り掛ける。
その言葉を聞いたカルマは今までの緊張の糸が切れたのか、胸に顔を押し付け周囲を気にする事無く激しく泣き出した。
『ウワアァァァァァン!ユーザーァアアアア!!』

雪兎は黙って頭をそっと撫で続ける。
コートの胸元が、カルマの涙で濡れて湿る

肩から血が流れ続けているが、今其れは別に気にならなかった。
其れよりも今は、自分の為にここまで泣いてくれた彼女の為に傍にいてやる事が大事だと、雪兎はそう思っていた。
例え出血多量で死ぬ事になっても、今は唯、この子の為にと。


カルマが泣き疲れて眠るその時まで、ずっと。


137 ◆Uu8AeR.Xso :2009/12/07(月) 02:21:26 ID:Zgn5zp6j
投下終わり……寝ます。
お休みなさいまし
138創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 21:47:05 ID:1a/DpyBF
>>137
 投下乙です!
 相変わらずカルマ健気でかわいいよカルマ。あと紅さんドジでかわいいよ紅さん。
 しかし雪兎くんが紅さんの同胞とは一体……。これは本格的に面白くなってきましたね!
 では、次回も楽しみに待ってますw
139創る名無しに見る名無し:2009/12/07(月) 23:09:37 ID:13OMsv3I
>>137
【紅さんは】ドラグリヲ第八話【うっかり可愛い】……Σ(・ω・;)ハッ!
いかんwつい書いてしまったw

‘憤怒’の獣血と共生することになってしまった雪兎くんのこれからが非常に気になりますねー。
地下の施設にあった‘憤怒’と共生した雪兎がツガイの同胞ということになると、収集したあの施設の資料は結構重要そうですね。
そして雪兎くんの優しさとカルマの健気さが非常にいい感じです!w

次回は状況整理回ですかね?楽しみにしとりまーす!
140GEARSの中身 ◆B21/XLSjhE :2009/12/08(火) 01:34:17 ID:18rHGiX6
>>127
ガンダム戦記のイフリート・ナハトがかっこ良かったので
急遽、リヴァーツにクナイをくっ付けてみましたw
所謂、後出しジャンケン的なパワーアップです。

>>128
前にも感想レスでカスタムロボ言われましたw
やった事が無いので、どんなのか知らないのですがイメージ的には2DのACみたいな…
AC,FM,ガンダム以外にも興味を示さないと…たまに雑談に入っていけなくて困るorz

>>129
学園お約束風味の味付けをしてみたかった今日この頃です。
参考だなんて、とととととんでも無い!一人でも多くの人に楽しんでもらえるよう
今後とも努力させて頂きたく思います。

>>130
確かに此処まで来るとギャップと言うよりも不自然さがw
空手とか剣道とか試合前とかこんな感じ…になった事なんて一度も無いな、確かにw
州大会が始まるまでは、またのんびりした日常が始まります。

>>137
投下乙です。
自分の中で、カルマたんと紅さんがドラグリの二大萌えキャラになりましたw
雪兎が紅さん達の同胞ってのは施設のアレのせいで、同胞になったのでしょうか?
それとも、先天的に紅さん達の因子を備えていたという事になるのでしょうか?
もし、後者だとすると雪兎の生まれは?
今後のお話で語られる事になるであろう多くの謎。非常に面白い展開に次回以降が凄く楽しみです。
141創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 02:16:03 ID:44GQ/Iy5
>>140
 クナイはかっこいいですよね。ガンダムシュピーゲルとか中の人込みで痺れますw


>前にも感想レスでカスタムロボ言われましたw
 そういえばそうでしたね、失念してましたw
 ちなみにカスタムロボ、GBAの以外は3Dですじゃ。
 内容は……説明するよりプレイ動画を見るか、自分でプレイしたほうが早いかもしれませんw
142PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/08(火) 02:22:37 ID:44GQ/Iy5
 おっと落書きの投下を忘れてた。

http://download4.getuploader.com/g/sousakurobo/217/Usagi_in_Ofuton.jpg

 ついでにレス返も忘れてた。

>>140
>AC,FM,ガンダム以外にも興味を示さないと…たまに雑談に入っていけなくて困るorz
 ぶっちゃけ雑談はロボあんまり関係無いような気もしなくもないですけどねw
143創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 04:34:55 ID:w7cBgIbf
FMってフロントミッション?
5は傑作。ストーリーが最高だった。
しかしゲームバランスで少し不満有り。
リンク攻撃前提なので敵が異常な程硬い。最高ランクのグロウタスクSSやフジャンM500でさえ一番最初の演習(?)の敵を一撃(正確には二撃)で倒せない事がある。
そしてストライカー武器が強過ぎ。初期メンバーでスキルはストライカーリンクだけで全クリ出来る。他の武器やスキルは何の為に存在するの?って気持ち。
144 ◆n41r8f8dTs :2009/12/08(火) 20:00:38 ID:Rt0x48/0
ちょっと通りますよ
145創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 20:06:51 ID:Rt0x48/0
やっと解除された……( ´ω`)
ちょっと色々テストとして今まで書けなかったレス書きまする
146創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 22:37:23 ID:44GQ/Iy5
>>145
 イィィヤッホォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォゥ!!
 おめでとうございます!
147創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 23:02:16 ID:Rt0x48/0
うがー落ちついて作品が読めないorz
早く感想書きたい……
>>146
どもです。一ヶ月半から帰ってまいりました
解除されたからにはアレを始動させるしかありませんね。今週中に上げます

ラジオ……はごめんなさい、ちょっとお休みで
148創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 23:06:46 ID:8dEaYeZC
>>145
解除おめー!!
貴官の原隊復帰を歓迎する!(`・ω・´ゞビシッ!
149創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 23:17:41 ID:44GQ/Iy5
>>147
 一ヶ月半……長いようで短かったんですね。なんか半年くらい規制されてたような気がしますw

>解除されたからにはアレを始動させるしかありませんね。今週中に上げます
 イィィヤッホォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォゥ!!
 こちらも明日明後日には11話前篇を投下できそうですw
 問題は前篇にロボ戦が出て来ない事ですが……なんか久々な気がするなぁ、一回の投下にロボ戦無いのって。
150創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 23:47:16 ID:Rt0x48/0
だいぶ遅れましたが……
>>126
ただただ拍手。エクセレント。感嘆の二文字です
最初の霧坂さん&守屋ファミリーのほのぼのから一転、vs矢神、古坂乱入、加賀谷さん&霧坂さん参戦…・・と
緩急が凄いです。とにかくバトルのテンポが小気味良くてかつ、既に他の方々がおっしゃられていますが熱い。ホントに凄く熱い
それと守屋君と霧坂さんの関係性が大きく踏み込みそうでそちらも期待大。ホント神回っすなぁ……

投下乙です
>>137
投下乙です。こちらもまた凄いなぁ……何時もながらクオリティの高さに感嘆します
紅さん厳格なキャラに似合わず何というドジっ子ww藍の妖しげな感じもカッコいいなぁ
それにカルマと雪兎の命を掛けたやり取りに涙腺が緩みました
どちらも心から互いを信用してるからこそのやり取りですね……痛さの中に愛が滲んでいる様で素晴らしい描写力……
また様々な謎を孕んでいる今後の展開、とてもワクワクします
>>142
何というパジャマ。コロコロ添い寝したい
151創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 23:50:41 ID:Rt0x48/0
連レスごめんなさい
>>148
恥ずかしながら戻ってまいりました
とはいえまた何時規制になってもおかしくないので、なるべく早く書けるようにしたいですねw
>>149
ホントに長かったですよwあくまで体感時間でですがw
まだ仮組みも出来てない状態なのでだいぶテンポ上げないと…・・ホント、お待たせして申し訳ないです
152前スレ>>869ですが>>882です ◆MVh6W.SAZtbu :2009/12/09(水) 00:47:06 ID:vFHLHZNk
>>126
今回も殺陣が熱い…… そしてなにげにきりちゃんヒロインらしくなるフラグなのか?
矢上との決着は持ち越しですか。まあいいや俺楽しみは取っておく派だし。

>>137
うまいなあ…… 雪兎の姿を見てもカルマがすぐに安堵したりしないところが実にうまい。

ときに質問なのですが、藍さんは体型的には(こーちゃんのように人に近い体型ではなく)
首と尾の長い翼の生えたトカゲみたいなんでしょうか?

>>142
なんというぬくぬく……  表情が実によいなあ。

>>151
おめでとうございます&楽しみにしております。
ただ
>また何時規制になってもおかしくない
これにはマジで足元をすくわれないようにするんだ……!

あと◆klsLRI0upQ氏が埋めネタ書くとか避難所の方で言ってたのでこっちでレス返しをさせて頂いて
15スレ目>>879>>880
読んで頂いてありがとうございます。やっぱり下書き無しですと、後から「こうしときゃ良かった」って部分が出てきますね……
それと
15スレ目>>880>すみません、レス被しました
気にしておりませんです。
というより、「あれ、この企画オレが書き上がるまで書き込み自粛させちゃうんじゃね?」ということに2レス目を描いてる最中にようやっと気付きました……
こちらこそすみませんorz
ワタクシゾイド板住人だったんですが、そっちでSS投下中に他のレスが挟まっても誰も気にしないスレからSS投下始めたもんで、
SSに他のレスが挟まることに対して無頓着というか注意が足りないんですね、俺……
153創る名無しに見る名無し:2009/12/09(水) 21:10:24 ID:MJSNbuZI
短編投下します〜
154電瞬月下 1/7:2009/12/09(水) 21:13:20 ID:MJSNbuZI
それは満月が地を照らす夜の出来事であった。
大和国、本州南部の離れにある孤島。
其処は既に人が住まぬ無人の島にして、罪人を裁く為だけに存在する処刑場である。
その島の大地は既に幾百もの人の心血を啜っており、幾人もの死者の怨念が彷徨っていると噂されている。
故に島から最も近い村落に在住するものからは殺された怨みを抱えた怨霊達が住まう島、呪ヶ島等と噂されている島である。
その島の中心にある処刑所にて、二人の人間が睨み合うように立っており、そこから少し離れた所に一人の翁が座ってその顛末を見届けようとしている。
向かい合う二人の容貌は外からでは何とも判断し難い。それはその者達が身に纏っていた機械仕掛けの鎧がその者達の体を覆いその者達の容姿を見る事が出来なかったからである。
背は一丈半程の機械仕掛けの鎧武者。それは武甲人と呼ばれる、機械式の鎧武者である。
武甲人とは内蔵された機械式の人工筋肉により元来人間が持ちうる数十倍にも運動能力の強化し、深淵な闇も明るく見通す目を与え、銃弾すら遠さぬ強固な装甲を与えるモノであった。
大和国における武者と呼ばれる存在の戦の正装である。二人の武甲人は両手に二丈程の巨大な刀を携えて向き合っている。
それは呪ヶ島と呼ばれた大地に殺気を持って相対している。
仇討。
この二人がこの場に立つ理由はそれだけであった。片方は愛する者を殺され、片方はその愛する者を殺した。
唯、それだけの事。この死合、一合にて終わる殺し合いである。




電瞬月下 ―武甲人 陸式久遠―



復讐者の纏う武甲人、その銘を『綾久遠』という。
鬼の如き顔つきと、筒の生えた熊の如き太い腕、全身を紅と黒で染め上げられたそれはさながら修羅であった。
復讐者が唯、己の愛する者を奪った人間を殺す為にだけ追い求めた手に入れた異形の傑物の名機甲。
それが武甲人『綾久遠』である。だが、鎧だけが傑物では無く、復讐者もまた傑物と呼ばれる力量を持つ者であった。
奈球磨月印流。一ノ太刀による必殺のみを考え、それ以外の全てを考える事を放棄した、狂気の剣。
復讐者はその免許皆伝を認可された者であった。稽古ですら死人が出ると呼ばれる狂気の中で血反吐を吐いて執念のみで身につけ会得した人間。
それが『綾久遠』を纏う武者である。そして復讐者は己の持つ長大な太刀を上段に構え、ただ、それを振り下ろす為の機を待つ。
奈球磨月印流『雪崩』。
奈球磨月印流の上段は全身のバネを用いた高速であり、武甲人の力を借りればその威力は5尺程の厚さの鋼鉄すら斬り裂くと称される斬撃である。
立ち合いの見届け人である翁にはそれが、両腕を縛られた咎人に振り下ろされる絶対死の一刀に見えた。
対して復讐される者が纏う武甲人はまた異質であった。
全体的に細く柔らかく作られており、装甲は『綾久遠』と比べると比較にならない程、薄い、足腰に力よりも機動性を重視した細めの腕、顔立ちは角が一本生えており、白色で纏められている。それは重装甲を基本とする武甲人としては余りに異質の代物であった。
銘を『陸式天尊』と言い、奇形機構でその名を馳せる妖機甲である。そしてそれを扱う復讐される者、此処では咎人と称そうか、その咎人もまた傑物であるが復讐者とはまた異なった傑物であった。
咎人は流派を持たず、師を持った事も無い我流の使い手である。だが、それは戦場に生まれ落ちた戦場を転々としてきた咎人が自身を生かす為に作り上げた殺人剣であり、我流でありながら流派を持つ剣と引けを取らぬ利で構築された剣である。
数々の名うての剣客達がその我流の前に首を落とし、いつしか人は人の域を逸脱した剣、『逸流』と呼び始めた。
咎人は己の太刀を鞘に収め、その柄に指をかける。腰を捻り全身の回転を生かした抜刀の構え。少しでも剣に知を持つものならば誰もがそれをこう呼ぶだろう。
『居合』。
咎人が『雷迅』と名付けた数少ない剣技である。
居合とは電瞬である。抜刀と加速、そして相手の体への刃の侵入それらを最短の挙動で行う雷の如き速さを持つ剣技である。
居合の特性は大きく分けて三つである。
一つは双方が納刀状態であった場合、通常ならば抜刀、構え、斬撃の三段階の流れを組まねばならないが、居合は抜刀と構えを同時に行う為、抜刀、斬撃、二段階の流れで放てるという点である。居合が最速の斬撃として名高い理由もこれにあると言えるだろう。
しかし、双方が抜刀状態であり、既にその特性は大きく削がれているといっても過言では無い。
だが、居合の特性はそれだけでは無い、二つ目の特性、それは刃が仕手の体に隠される事によって間合いの距離感を相手から奪う事であった。
155創る名無しに見る名無し:2009/12/09(水) 21:15:40 ID:dJwf5bN3

156電瞬月下 2/7:2009/12/09(水) 21:16:54 ID:MJSNbuZI
見えぬ刃は相手の間合いの目測を誤らせ、不用意な接近をすればすぐさま神速の斬撃が敵を襲う。一騎打ちにおいて自らの有利な距離の制圧は最重要事項であり、それを誤らせる居合の特性は強力と言えた。
だが、此処にもまた問題点がある。機械鎧に身を包んでいる彼らには常時、敵との距離が電子眼を通して仕手に伝わるのである。つまり間合いを見誤るという事は限りなく低い、故に第二の特性も大きく削がれていた。
この二つの理由にて居合の理は大きく削がれており、この武甲人での決闘にて、居合を用いるという事は愚かしい選択だったとも見れるかもしれない。
だが、武甲人だからこその利点もある、それが第三の特性。居合とは護身の剣であるという事である。それは片手で放たれる斬撃故に、大きな威力を期待する事は出来ないが、腰の回転をも利用して最速で放つことにより、相手の先を取る事に特化している。
居合とは最速の斬撃にて一ノ太刀にて振り下ろされる前の相手の攻撃を弾き二ノ太刀にて敵を斬り捨てる。これが居合の本質である。
それに加えて、武甲人の筋力強化により、片手で放たれる一ノ太刀もまた必殺の威力を持つ程のモノと化しており、仕手はこの構えから攻撃と守りの二択を選択する事が出来るのである。
咎人が復讐者が取った上段に対する構えはこれであった、否、生存の為の殺人剣を身に付けた咎人にこれ以上の構えは無かった。
殺すための殺人剣と生きる為の殺人剣。
奇怪な事である、復讐を志した者がただ殺す剣を求めたのに対し、殺される咎人が生きる為の剣を振う。
復讐者と咎人、狂気の中にその身を投じた者と狂気の中で生まれた者、強面の大柄の武甲人に細身の武甲人。
この二人の間には奇怪な因果が張り巡らせられている。
復讐者が一歩、擦るようにして歩を進める。左足を前に出し、体重を移動させる予備動作に入った。
復讐者は既に勘付いている。敵が何を目論んで居合を選択したのか、その解答を既に得ている。威力にて相打とう等という事は考えられない。
奈球磨月印流の一振りを超える斬撃はこの世には存在しない、然らば、何を目論むか…少し考えれば赤子にもわかる話だ。敵は己の一ノ太刀の出がかりを神速の域にまで達した抜刀術で止め、二ノ太刀にて自らを斬り伏せる所存なのだ。
奈球磨月印流は一ノ太刀は強靭にして無比の威力を持つ斬撃である。だが、それを出がかりで潰してしまえば、もはや恐れるものなく全力の一刀を自らに入れる事が出来る。成程、奈球磨月印流を相手にして使うにはこれほどの最適な攻撃は無いかもしれない。
(然し…。)
だからと言って復讐者は自らの構えを変える事は無かった。例え、どのような小細工を用いようと、ただそれを一ノ太刀にて捻じ伏せて、そのままあの憎い面ごと叩き斬るのみ。ただ、それだけに全神経を扱う。
咎人はさらに腰に練り込みを加える。復讐者の目の前には咎人の『陸式天尊』の腹は見えず、その背が眼前に映し出されていた。それはまるで敵に自らの背を差し出しているようにすら見える異様な光景である。
復讐者はその光景を見て、自らの仇敵が『逸流』と呼ばれている事を思い出す。居合に腰の練り込みを加える事は基本であるが、ここまで練るのは余りに異質である、これでは本当に抜く事が出来るのだろうか?という疑問すら沸かせるものだ。
だが、復讐者はそれを見て得心がいった。故に軽装甲、故に柔軟性を重視した作りの武甲人なのだ。普通の武甲人であればあれ程の練り込みから斬撃を放つ事は出来ない、出来たとしても電瞬の域には届かぬ紛いモノの居合にしかならぬであろう。
だが、この『陸式天尊』は違うのだ、人工筋肉における基礎能力の強化以外は極力柔軟性を重視して作られている。
この特殊な条件が整った時にこそ生身でも普通の武甲人にも放つ事が出来ぬ剣が発せられるのだ。
極限までの練り込みを加えた神速の居合、それが咎人の切り札。
では、どちらの技が優れているか試そうでは無いか。
「――参る。」
復讐者のその声に咎人は無言で応える。
これが復讐者の切り札である。確かに一ノ太刀の出がかりを潰されたのならば、いかな強靭な威力を持とうとそれを発揮出来ずに敗れてしまうだろう。
それは出がかかりが未だ加速しきっておらず、威力が存分に刀刃に乗っていないからである。
だが、復讐者は『綾久遠』の持つ機巧を持ってその難点を克服し、さらなる威力を上乗せする。
雪崩を武甲人の特性を合せ更なる技とした奈球磨月印流雪崩の崩し技、我流秘剣『流星』。
157電瞬月下 3/7:2009/12/09(水) 21:20:27 ID:MJSNbuZI
『綾久遠』の両腕に取り付けられた火筒を点火し、燃料を燃焼させ噴射させる事により推力を得たその上段は出初めから既に必死の威力に達し、剣速も神速の域に入る。
速さと威力を兼ね備えたその一撃はありとあらゆる受け技を無視し、回避する事すら許さず、その刃を敵に届ける。
まさに必殺である。
だが、それは腕にかかる負担も大きく、一度行使するだけで腕が痺れてしまうという欠点も持ち合わせている。
外せば後は無い。一ノ太刀のみを信仰した、奈球磨月印流らしい技といえるだろう。
そして、その必殺の一撃が放たれた。それに呼応するように咎人はさらにねじ込む。斬撃を放つ為の予備動作である。然し、いかに神速の域までに達した居合といえども、流星と化し、光となった『綾久遠』の斬撃の域までは届かない。
そして『綾久遠』の太刀は振り下ろされ地についた。
有り余る程の威力を持った斬撃は大地にすらも吹き飛ばし、周囲一帯に砂埃を舞い散らした。
砂埃により仇敵の姿は既に見えないが、腕に残るのは確かな感触、己の勝利を確信する。砂埃が薄れていく、復讐者の周りの風景は少しづつ鮮明になってゆき、敵の骸を確かめようと復讐者は咎人の立っていた地点に歩み寄った。
(なん…だと…。)
驚愕が復讐者を襲う。
砂埃が晴れ鮮明になった自らの斬撃が放たれた先に…骸となり果てている筈の敵はいなかったのだ。
前方、右方、左方、果ては後方まで電子眼を用いて、己の仇敵を探す。避けられたのだろうか、然らば、あの白い武甲人は何処にいった。
探さなければならない。奴の攻撃を受けなければならない。そして、例え限界を超えていようとも次の一ノ太刀を用いて奴を斬り捨てなければならない。
この死合、敗れるわけにはいかぬのだ。
だが、敵はいない。この地上の何処にもいないのだ。その時、復讐者の脳裏に一つの可能性が過ぎる。だが、それはあり得ない事なのだ。『流星』の性質上その行動は決して許されない筈なのだ、それほどに距離を詰めてこの斬撃を放った筈なのだ。
復讐者は虚空を見上げる。そこには一機一人の白の武甲人が満月を背に宙で身を翻し、自らに向けて腰にある長刀を抜刀しようとしていた。空中から放たれる腰の捻りだけで放たれる居合。すぐさま復讐者は受けようと刀を上段に構えようとする。
「――ぐっ。」
復讐者の腕に激痛が走る。秘剣『流星』を放った代償であった。だが、それを己の強靭な意志力で強引に持ち上げる。だが、それは余りに遅かった。
空中から白い武甲人の斬撃が放たれ、その刃先は復讐者の体を深く抉り体を抜けていく。
復讐者はその斬撃の前に機甲の中で血反吐を吐き倒れる。
「何…故…だ…。」
悠々と地に降り立った白の武甲人に消えそうになる意識の中で疑問を問いかける。
上段から一筋に斬り降ろされた斬撃は縦一筋の斬撃である。
絶対不可避の秘剣『流星』を回避する、このような仮定をしたとしても、理としては尋常ならざる速度にて横転し、攻撃を回避するしか無い。
少なくとも上方から振り下ろされる攻撃に対して上方に回避する等といった行為は自ら斬撃に当たりにいくようなもので、あり得ない回避方法である。
このような理の無い回避はあり得ないのだ。
「何故だ…か…。」
白の武甲人を纏った咎人は答える。
「それはお前が俺が放った技の本質を誤解したからに過ぎない。
 だから、俺から言えるのは、これだけだ、ありがとう誤解をしてくれて、これでまた俺は一つ命を拾う事が出来た。
 それにな、戦場に出てきた人間が殺されるのなんて日常茶飯事の話だ、それを殺した人間をわざわざ探したお前の執念は認めてやらない事も無いが、
 今、お前が行おうとした言葉を世間一般で何て言うか知っているか?逆恨みだよ、バ〜カ。」
咎人が復讐者をそう言って、嘲笑う。(――無念だ。)
そう最後に心の中で思い、復讐者は息を絶やした。
それを離れから見届けた翁は心底、驚愕していた。唯、一合一瞬の攻防。
その攻防の瞬間にまばたきをしていたのならばその一瞬の駆け引きの全てを見逃していただろう。
それは理によって行われた攻防であり、理によって得られた結果である。
奈球磨月印流を自身の工夫を用いてさらなる高みの剣へと進化させた復讐者も恐るべき器量と才覚の持ち主であったが、恐るべきは逸流か、絶対不可避の斬撃を受けた上でその威力を味方に付け、敵を斬り伏せて見せたのだ。
158電瞬月下 5/7:2009/12/09(水) 21:22:51 ID:MJSNbuZI
この攻防で最も重要なのは咎人の見せた腰の捻りである、復讐者も翁もそれを居合と見たがそれは間違いであった。否、分類するならば最後に放たれた一撃は居合であるがそこに到達するまでの過程があまりに異質であった。
確かに納刀し、自身の太刀に指をかけ斬撃を放つ体制を持つ、これは居合の構えであるが、そこから咎人はさらに一つの工夫を用いた、通常の居合に必要とされる以上に腰を捻り、相手に背を見せるまで腰を捻ったのだ。
復讐者も翁もそれは居合の威力をさらに上げようとして行っていた事だと理解していた。
だが、この捻りが居合の威力の向上では無く、別の工夫の為のものだった。そもそもおかしいのだ。
いくら威力の向上が図れた所で、捻る事により予備動作と相手に届くまでの距離が増え、電瞬の域まで達するとされる居合の速度を殺している。
これでは居合の特性を無くしているのと同義なのだ。それに気づく事が出来たならば、復讐者もそれに応じた対応を取れたかもしれないが居合であるという先入観を持ってしまった為にそれに気づく事は出来なかった。
つまりこの捻りは居合の目的ではなく別の目的を持って行われていたという事である。復讐者が秘剣『流星』を放つ瞬間、咎人はさらに捻りを加えて自らの背を完全に差し出した。
これがこの攻防の大きな焦点である。一見それは背を差し出したように見えるが、咎人の狙いは背を差し出す事では無かった。
己の腰にある鞘の尾を相手の前に置く事が最も重要であったのだ。復讐者がその上段を振り下ろした瞬間に、その戦場でのみ育まれて来た超常的な動体視力を持って鞘の尾を相手の刃先に合わせ当てる。
もし、このまま鞘の尾で相手の攻撃を防ごうとしていたのならば、流星がそれを無視しそのまま咎人の体に食い込んでいただろうが、そこからの咎人の取った行動がまた異質であった。
相手の刃先に鞘の尾を当てたままその斬撃の力に逆らわずその斬撃から放たれる強大な力を元に流し受けたのだ。
形容するのならば、復讐者の放つ流星を軸に回転する風車の羽のように自らの身を回転させ、その力を持って自らの体を宙に持ち上げたのである。
しかして流星は空を斬り、咎人は流星の力を用いて飛翔し、宙から相手の威力を乗せた必殺の居合を放った。
おそらく、本来は回転により、鞘の尾に相手の攻撃を流し、その勢いのまま、相手の剣の威力を乗せ斬撃を放つ技なのであったのだろうが、秘剣『流星』の常軌を逸した威力故に咎人はその白の武甲人と共に宙を舞う事となった。
理ではあるが、それは決して咎人の他の人間には出来ぬ所業であり、『陸式天尊』の柔軟性と極力装甲を落とした事による身軽さ、そして戦場で育まれ常軌を逸した動体視力による咎人の見切りによる、余りにも剣の理を逸脱した理で構成された魔剣。
まさに『逸流』と呼ぶに相応しい剣と言えた。
決着は一合にて、この死合の勝者は『逸流』を用いた白い武甲人『陸式天尊』の仕手である咎人であった。
咎人は身に纏った白い武甲人と共に見届け人であった翁の元に歩みよろうとする。
そうして一歩を踏み出したその時、それは起こった。勝利の凱歌を挙げた白い武甲人が転んだのだ。
翁は笑った。先ほどまで真剣勝負にて命のやり取りをしていた為、それが終わって腰が抜けたと思ったのだ。
だが、どうもそれとは様子が違う事に翁も気づく。咎人はそのまま座りこみ、何かを考えるような仕草を取ったのだ。
「いかかが無さいましたか?」
翁は咎人の元まで歩み寄り、尋ねる。咎人は頭に手を当て、その兜を脱いだ。中から現れたのは黒髪の長髪と男とも女とも判別がつかぬ中性的な顔立ちをした人であった。
その風貌はあまりに妖美であり、これを見れば、男でも女でもその容姿の持つ魔に憑かれるだろう。修羅の如き人間が武甲人の中にいると思っていただけにこの容姿は翁にはいささか意外であった。
咎人は笑って翁の問いに答える。
「いや、なに、実はさ、立てないんだ。」
159創る名無しに見る名無し:2009/12/09(水) 21:23:06 ID:dJwf5bN3

160電瞬月下 6/7:2009/12/09(水) 21:25:40 ID:MJSNbuZI
翁は最初それを冗談かと思った。それを見通して、苦笑するように咎人は言う。
「嘘じゃないよ、どうも腰の骨を砕かれちゃったみたいでね、立てないんだ。受け流したと思ったんだけれど、どうも受け流しきれて無かったみたいだなぁ…。いやぁ、凄いな、あの上段。」
己が殺した相手に心底、敬意を払うように咎人は言う。
流星は逸流の前に敗れたが、破れてなお、相手をその毒牙にかけていたのだ。
次第に翁はそれが真実であると知り、その意味を噛み締めた。
あらゆる剣術は足腰があってこそ成立するものだ。その足腰を失ったという事は、咎人は剣を失ったという事に等しい事実であった。
咎人は少し考えるようにし、決心する。
「じーさん、俺はここで腹を切ろうと思う、大変申し訳ないんだが、よければ介錯してもらえないか?」
言葉の重さを感じさせない軽さで咎人は言った。
戦場で生き、戦場で殺し、戦場で身に付けた自らを守る術を失った咎人は生きる為の力を失った。
これまで無限と思える程の人を生きる為に殺し、その呪詛を浴びてきた。
今まではその呪詛を全て返り討ちにしてきた咎人であったが、今の咎人にはその力が無い。
故に死は必然の事柄であり、ならば誰かの手に枯らされる前に自らの手で終わらせる事を選んだのだ。
翁は悲痛に、それを思いとどまるよう懇願する。
だが、咎人は笑ってすまない、頼むとだけ言い、三刻程そのやりとりを繰り返し、そして翁が折れた。
生きる術が皆無であったわけでは無い、咎人の幼き頃のようにその妖美な容姿を駆使すれば、生きる事は出来たかもしれない。
だが、咎人はそこに戻る事だけは決してしたくなかった。
咎人は上半身の装甲を着脱し脇差を抜く。
翁は首に打ち下ろすための刀を構え涙を流す。
「おいおい、じーさん、なんであんたが泣く。」
咎人は笑った。
「恥ずかしながら、わたくしめはあなた様の剣に心を奪われたのです。あれ程の美しき剣、それをもう見れぬ事がわたしくめにそれが哀しくて仕方ないのでございます。」
翁は宙に浮き月を背にあの黒の武甲人を斬り捨てた様を思い出しながら告げる。
これほどの立ち合いこの先、百年の時間を経ようとも見る事は出来ないだろう。故にそれだけの力を持った武者がここで果てる事があまりに悲しくあったのだ。
それに困ったように、それでいて己の剣を誉められた事に小恥ずかしそうに、咎人は頭を掻いて言った。
161電瞬月下 7/7:2009/12/09(水) 21:28:07 ID:MJSNbuZI
「うーん、正直なー、こんなもんあんまり誉められた剣では無いと思うよ。
 剣が強いという事はそれだけの屍を築いてきたという事を示してもいるわけだ。
 本当ならば、力なんてものは殺すためじゃなく、生かすためにあるべきなんだと俺は思う。
 だから、殺す為に作られた剣を美しいと呼んでは駄目だと思うんだ。
 それは人を生かすために作られた剣の為に取っておいて欲しい。俺はそんなものと無縁な一生を送ったけれど、本当に美しいものはどれほど醜くともそういったモノこそが名乗るのに相応しいと思う。
 ほら、俺の場合はアレだ、因果応報って言葉あるだろう?人を殺してきたから、俺もこうなってしまった。相応の結末じゃないか、むしろ遅すぎたぐらいだ。」
己が求めた時には既に手の届かぬ所にあった剣、それを羨望の眼差しで見つめ続けた者がそこにいた。
己の剣が過ちであり、それを自覚し、だがその過ちを極めなければ生きていく事が出来なかった者がそこにいた。
その者、尋常ならぬ怨恨背負い、その重みに潰され今、最後を迎えようとしている。
「じゃあ、戯言はこんな所で終わりにしてさっさと終わらせようか。」
咎人は脇差を逆手に持ち自らの腹に向け刺し、横に抉る。
刃による激痛が咎人を襲い、顔を歪めた。
(ああ…でも…)
翁は涙ながらに太刀を首に向けて振り下ろす、せめて苦しまぬように少しでも早く楽になれるようにと願いを込めて…。
そして咎人の目に最後に映ったのは月であった、暗闇の中で神々しく大地を照らす満月、それは心を吸い込む程美しかった。
死を迎えるまでの一瞬という名の無限の中、それを見つめ、咎人は最後にかなえられなかった望みを想う。
(生きたかったなぁ…。)
そして、その首は地に落ちた。



これが呪ヶ島にて行われた仇討の顛末である。
片方は勝負に勝つが、生きる意味を奪われ負け、片方は勝負に負けるが、生きる意味を奪い勝った。
双方が勝ち、双方が負ける。
奇々怪々な剣術が入り乱れ、その類を見ない結末を迎えたこの仇討は後の世に呪ヶ島三大決闘の一つとして伝えられる。
それは既に伝説と化し、ありえぬ事と、よく出来た空想などと揶揄されるがまごうこと無き事実である事をあなたの心に留めておいて欲しい。
162 ◆klsLRI0upQ :2009/12/09(水) 21:40:25 ID:MJSNbuZI
本来埋めネタとして作成していましたが、なんか文量が思ってたよりも多くなった為、というよりは容量超えちゃった為、こちらに投稿する事にしました
元々はGEARSの10話のスピード感に感銘受けて、ならとにかく一撃に拘ったちょうもっさりバトルを書いてみようか
と生来の天の邪鬼っぽい謎の発想の転換をし一発ネタとして執筆しました
いや、CRやシスターズ書けよとか怒られるかもしれませんが、これのみでこの話は完結なので許してください
あと、三本勝負とか書いてますが他の話は考えてません

アイディアは萌えって何だろうという事考えてた時にやってきたもので、きっと、これは萌えの物語です!!!!!!

モチーフは某ゲーム、知ってる人はバレバレだと思います
今回は話が話の為、硬い文章を心がけたのですが、途中から疲れて地の文章になってきています(´・ω・`)
いつもに増して説明が多いですが今回はこの説明が本編、オチなんてどうでもいいからこの説明こそが本編です!!

こんな風な話ばかり書いてると明るいライトな作品が大好きです、ハッピーエンド至上主義です、なんて言っても信じて貰えなくなる気がしてきた…
163創る名無しに見る名無し:2009/12/09(水) 21:47:51 ID:MJSNbuZI
>>157
咎人が復讐者をそう言って、嘲笑う。
(――無念だ。)


改行が何故かとんでました(´;ω;`)
wikiにのける際などにはよければ修正お願いします
164 ◆n41r8f8dTs :2009/12/09(水) 23:04:22 ID:dJwf5bN3
>>162
投下乙でした。ううむ、深い
シグルイを思わせる深遠な世界観で好みですよ。こう、死が忽然とそこにある様な
咎人のキャラが意外と(良い意味でですよ)崩れていて面白いw
けどその態度の裏には今まで斬ってきた者への有情さみたいなのがあると思うと……ううむ、深い

元ネタは(間違ってたらすみません)装甲悪○ですねwアレのテーマ性の深さは類を見ないと思います
CRもシスターズもゆっくりまっています!から大丈夫ですよww


それと俺も萌えが分かりません><萌えってアレですよね、朽ちていく量産機に降り積もる雪みたいなシチュの事ですよね
165創る名無しに見る名無し:2009/12/09(水) 23:07:59 ID:e/TYmpO8
>>162
 投下乙です! これが説明萌えか……!
 濃い! 凄く濃い! まさに特濃ッッッ!
 ……地の文がド下手な身としては、ただただ驚嘆驚愕です。ほとんど台詞無しでここまでできるって凄いなぁ、尊敬ちゃうなぁ。

>明るいライトな作品が大好きです、ハッピーエンド至上主義です、なんて言っても信じて貰えなくなる気がしてきた…
 “そういう話が好きだけど反発して暗い話を書いてしまう天邪鬼さん”という見方も無きにしもあらずでござる。

 それにしても最近人いないですねぇ。さすが師走。
166GEARSの中身 ◆B21/XLSjhE :2009/12/09(水) 23:08:32 ID:OgtDoMMW
>>163
投下乙です。いや、見事に呪ヶ島の仇討に引き込まれてしまいました。
読み終えた後に「ほぁー…コレはすげぇーわ!」と言ってしまった程ですよ!

>とにかく一撃に拘った

後書きを読んで改めて、驚かされました。
勝負が、たったの一合で終わっていたという…たったの一合でこの文章量!?
しかも、分厚く中身の濃い書き込み量でありながら、もっさりどころか瞬電の如きテンポ。
興奮しすぎて、変な汗がw

殺陣が圧巻なのは言うまでもありませんが、1/7の呪ヶ島の説明の下りが妙にリアルで
実在する御伽噺に武甲人というカラクリ武者を付け加えたと言われても納得してしまう程。
いっその事、大河ドラマ化して大晦日にやっちまえとも思いました。

支離滅裂な上に頭の悪い感想になってしまいましたが、マジで凄い!の一言に尽きます。

良いなー、呪ヶ島。なんか妙に引き込まれる魅力がありますわ。
もしも、残り二つの勝負も思いついたり、機会があれば是非ともやって頂きたいです。
167創る名無しに見る名無し:2009/12/09(水) 23:14:18 ID:dJwf5bN3
>>165
ですねー。戻っては来たけど人いなすw

しかし総じて平均レベルの高い事。ホント皆文章というか総合的に上手いなぁ
やべぇ……怠けすぎて戦闘力8の俺には皆53万に見える(^q^)
168創る名無しに見る名無し:2009/12/09(水) 23:29:02 ID:tO0AdExV
8もあるなんていいじゃないか。俺なんか戦闘力たったの5でゴミですよ。
169創る名無しに見る名無し:2009/12/09(水) 23:29:37 ID:MDsiwTuw
戦闘力1のそれがしは隙だらけでござった

>>165
投下乙であります……!!
いや、正直脱帽ですw
只の一合、そこに込められた互いの意志……圧巻でした!
本格派の時代小説を読んでいるようで鳥肌立ちまくりw
ひたすらGJ!ですw

つーか刀系話で投下が遅れている身としては……もうね……orz
なるべく早く仕上げて投下したいんだ……ホントだよ!?(超切実
170創る名無しに見る名無し:2009/12/09(水) 23:39:55 ID:e/TYmpO8
 地球人は気のコントロールが上手いので、戦闘力が1でもある程度は底上げする事ができますヨ。

 え? 私? 無理ですヨ。


 さてさて、何か雑談のネタでも……あ、そうだ。
 SDガンダムって、いいですよね。
171創る名無しに見る名無し:2009/12/09(水) 23:44:47 ID:dJwf5bN3
>>168-169
じゃあ俺は0.5でwwww

読んでて思うのはホント、皆楽しんで書いてるんだなって凄く伝わるんだよね
その楽しさがクオリティの高さに繋がってるから素晴らしいと思う

いやー焦るわ、焦るw
172創る名無しに見る名無し:2009/12/09(水) 23:48:15 ID:OgtDoMMW
>>170
BB戦士の説明書についていた漫画をまとめ読みしたいのですが
どっかに転がってないものだろうかとググったら、たのみこむで投票やっていたでござるの巻き
173 ◆tEulldVhj8h6 :2009/12/09(水) 23:52:02 ID:EngNlVy1
>>162
乙でござる。
伝奇小説数寄として侍ロボネタは書きたいけど忍者ロボネタはもっとやりたいでござる。
それよりソルディアン第3話を……ギギギ
174創る名無しに見る名無し:2009/12/09(水) 23:58:09 ID:e/TYmpO8
>>171
 あと考えてたネタを先出しされるとものっそい焦りますよねw
 おかげさまでいつも焦りっぱなしです(´・ω・`)

>>172
 なん、だと……!?
 そういえばSDGFのコマンダーサザビーの立体化を待ち望んでいるんですg(ry

 SDGF、立体化が冷遇されてて悲しいです。
175 ◆klsLRI0upQ :2009/12/10(木) 00:48:22 ID:yLN4qF7Y
>>164
元ネタは装甲○鬼にシグルイとるろ剣足したみたいな感じですw
咎人のキャラは硬くも出来たのですがあえて崩した方が面白いかなという事で作ってます
あと実はこの作品、翁以外性別不明だよ!!(←萌えのつもり)

>>165
どちらかというとアニメでは出来ない殺陣みたいなのを想定して書いてみました
むしろ台詞で説明する方が苦手でして、自分の文章っていつも殺陣書くとき、地の文章の方が多くなる事のが多いですw

>>166
そこまで誉めてもらえると恐縮してしまう俺の心の小ささやw
>しかも、分厚く中身の濃い書き込み量でありながら、もっさりどころか瞬電の如きテンポ。
そういってもらえるともう嬉しくてたまりません><
あーたるいかなーと心配しながら書いてたりしたものでしてw

>>169
時代小説なんて吉川三国志と燃えよ剣ぐらいしか読んだこと無かったのですが、それの記憶を手繰り寄せて必死に文章硬くしてましたw
シスターズの文章と比較すると面白い筈、あっちは逆にやらかさ重視してるのでw

>>170
忍者…ロボ…だと…
化かし合い騙し合いの頭脳戦とか派手さ重視のド派手バトルとかどういうのにしても面白そうだなぁー
176創る名無しに見る名無し:2009/12/10(木) 01:12:09 ID:La1ylgJv
 装甲○鬼、装甲響鬼……( ゚Д゚ )ハッ!
    アームド
 そうか装甲響鬼さんかー。

 ちなみに「某ゲーム」でブシドーブレードを思い浮かべたのは君と私だけの秘密だ!
177 ◆tEulldVhj8h6 :2009/12/10(木) 01:18:38 ID:tvepfKL/
>>176
ブシドーブレード……歪んではいるもののよきゲームでござった
アインハンダー共々もう少しシステムを練りこめば化けたはずでござる
178創る名無しに見る名無し:2009/12/10(木) 01:36:31 ID:La1ylgJv
 体力ゲージが無いのはけっこう新鮮だったでござる。
179創る名無しに見る名無し:2009/12/10(木) 01:39:33 ID:8GEy1UCE
目を閉じての心願プレイはなかなか刺激的だったでござるなあ
180創る名無しに見る名無し:2009/12/10(木) 06:59:37 ID:HDjFx/Fl
戦国時代のロボットもの作りたい
181創る名無しに見る名無し:2009/12/10(木) 14:29:46 ID:qIjdC3EX
ゴーショーグンとな!?
182創る名無しに見る名無し:2009/12/10(木) 15:31:39 ID:ElcdH5K1
いや…武者頑駄無かも知れん…
183創る名無しに見る名無し:2009/12/10(木) 15:58:54 ID:X/xyPk3T
ダイケンゴーを忘れちゃ困る
184創る名無しに見る名無し:2009/12/10(木) 16:36:37 ID:La1ylgJv
 宇宙世紀0140年以降の話を書きたいと聞いて。
185創る名無しに見る名無し:2009/12/10(木) 16:41:51 ID:bU5g7aHY
ダイオージャ・・・は微妙に違うか
186創る名無しに見る名無し:2009/12/10(木) 20:04:31 ID:l2j2dBkk
クロース!トライアングール!!
187 ◆tEulldVhj8h6 :2009/12/10(木) 20:08:52 ID:tvepfKL/
>>180
ブシロード……文芸担当の吉田直の急逝により頓挫したブシロード……
188創る名無しに見る名無し:2009/12/10(木) 22:23:32 ID:La1ylgJv
 ふぅ、今日中に11話Aパート書をき上げられると思ったら全然そんな事はなかったぜ!
189創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 01:44:18 ID:qVrTwKnG
違うの
現実世界においた戦国時代にオーバーテクノロジーなロボットがあって
実在の戦国武将がロボットで戦うの
戦国バサラとか戦国無双+ロボットアニメ的な
190 ◆klsLRI0upQ :2009/12/11(金) 01:46:31 ID:2pSiaZ5b
>>189
普通にからくりの君を思い出した俺は間違いなく藤田信者
191創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 08:11:25 ID:7BMvgTse
 ホンダム大量生産と聞いて駆け付けましたにござ候。
192創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 12:50:38 ID:tGp3de84
米から作るアルコールを燃料として、石高がそのまま財力・戦力となる…みたいな感じ?

ほら、戦国時代と言ったらお米じゃない
193創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 12:54:03 ID:qVrTwKnG
真田砲がやられた!
重成の武装具足、象刃改(ぞうじん)が彼の具足、真紅鹿兜(しんくししかぶと)に合流する
既に大阪城塞の陥落は必然だった
「そうか…だがしかし」
幸村は柄状の操縦桿を握りしめる
鹿骨の背中に三列上下二対に配された自律攻防兵器「六紋閃」も既に2つしか残っていなかった
それをパージする
「機体の全余力を前面に回し突破力にせよ」
彼につき従う部下の駆る真紅も続く
「真田が戦、家康に示す時ぞ」
そして、彼らの最後の闘いが始まった

こんなのがしたいの
194創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 13:08:25 ID:qVrTwKnG
もしくは近未来的な日本舞台にした都道府県対抗ロボットバトルもの作りたい
西暦2100年
新党零が政権交代を実現
これにより地方分権が更に強まることが懸念された
しかし新党零(ぜろ)は事業仕分けで機動戦闘ロボットの開発を承認
各都道府県が1体ずつロボットを出し競い合うことでその優勝者が日本の政治を動かす
零式民主制の誕生である
195創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 15:23:40 ID:bKWaRZ/f
零ダムファイトォ!レディィィィィ……ゴォォォ!!
196創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 16:06:52 ID:6Dmq5j2F
それじゃ、主人公は兵庫県出身の兵庫ロボで。
197創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 16:40:57 ID:and6bTch
>>192
むかしシャア板かどっかのオリジナルであったなそんなの・・・
198創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 19:14:57 ID:fjT/zMih
名前に読みがな付いてるのは親切で良いね
199創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 20:03:07 ID:7BMvgTse
 伊賀の忍者ロボのパイロットが主人公の兄貴の分身なんですねわかります。
200創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 20:20:43 ID:I7fg2XUn
>>190
飛び加藤かっこよかった……wいや目眩の加藤かw
「スプリンガルド」も拡大解釈すればスチームパンクなパワードスーツじゃね?と思った俺は末期w
201 ◆tEulldVhj8h6 :2009/12/11(金) 20:44:15 ID:VrPAV8NK
>>191
メカ徳川三傑ですねわかりました
めんどくさい三河武士はもれなく彼らのマスプロダクツです

>>193
種子島に流れ着いたのは鉄砲ではなくロボットだった!
というネタのラノベがあるみたいだけど詳細は不明

>>200
ですよねー
からくりサーカスってロボット漫画ですよねー(違います)
202創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 21:01:27 ID:QopjKmVR
からくりサーカスで一番好きな人形はガン・オブ・フェザー

デザインもいいが、「人形に早撃ちさせる」という意味不明具合がツボなんだよな
203創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 21:03:20 ID:sIZ4XYsy
ういおー
204創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 21:35:43 ID:qVrTwKnG
よっしゃ近未来的都道府県対抗ロボットバトルもの作るわ

ロボコンて名前が登録されてなけりゃ
ロボコン!〜48都道府県対抗機動兵器選手権〜
みたいな
205創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 23:26:56 ID:19hlAxOj
西日本と東日本が分断され、西日本軍 対 東日本政府軍て感じで内戦勃発。

海自戦力で呉と佐世保を押さえられた東日本勢力は陸上・航空兵力で侵攻を食い止めていた…
そして開発された可変戦闘機・人型兵器。
彼らの活躍は膠着状態を打破できるのか!?

群青の空を越えてとマクロスゼロに影響された感満点だなあ… 
206 ◆tEulldVhj8h6 :2009/12/11(金) 23:48:31 ID:VrPAV8NK
戦国×御当地×ロボ……?

閃いた!
ロボットバトルイン江戸!

「それはおよそ一切の戦場に聞いたことも見たこともない甲冑であった」
207創る名無しに見る名無し:2009/12/12(土) 00:05:05 ID:8gKI69tr
>>202
てか、あれ対自動人形対策として武器とわかりづらいものを持たせるというコンセプトから最も外れた人形だよねw
208都道府県対抗機動兵器決選 プロローグ:2009/12/12(土) 12:48:09 ID:QkECKywL
21世紀 日本国年表
 
西暦2012 大規模な気候変動、中国四国地方の一部が水没 
西暦2014 米国日本間に積極的自衛権の行使条約が結ばれる
西暦2020 新統合自衛隊が組織される。同年、石油燃料の全世界においての十数年以内の枯渇が判明
西暦2031 日本国内における原子力発電が9割に至る
西暦2048 自衛隊がJGF(日本国ガーディアンフォース)に改称、中華共和国が東ロシアを領有
西暦2056 沖縄にて大規模な反米暴動が起きる、同年石油燃料枯渇
西暦2069 福岡にて九州独立運動が起こる、同年国連による軌道エレベーター計画、頓挫
西暦2074 世界初のフロート都市、新高松フロートが完成する
西暦2082 アラスカ危機、第二次冷戦が始まる
西暦2091 新党零から初の議員誕生、初の「機動力に於いて実働的」な有人二足歩行機動兵器が開発される
西暦2096 6月にNAU(北大西洋ユニオン)、新制ロシア間で北極戦争勃発、同年10月休戦協定締結
西暦2099 94年のNAU米国に続きEco(ユーラシア大陸同盟機構)でも二足歩行機動兵器の開発が成功、日本国からの技術流出が指摘される
この年日本国内での分離運動が活発化する
西暦2100 JGFに於いて初の機動兵器、零式機動戦闘機が配備
西暦2103 新党零の政権与党が成立 第一回都道府県対抗決選の告知
西暦2105 第一回都道府県対抗決選で東京都が優勝する
西暦2117 第二回都道府県対抗決選で東京都が連覇する
西暦2129 第二回都道府県対抗決選が始まる・・・  
209創る名無しに見る名無し:2009/12/12(土) 13:12:54 ID:06o9BbrA
こんな感じ
プロローグだけ年表風にしてみた
あとは本編作るわ
210創る名無しに見る名無し:2009/12/12(土) 15:14:03 ID:Ks/uS2zB
中途半端にリアル系っぼくしようとしてて微妙……
Gガンのは世界規模だからこそ成り立ってる大会だし、狭い日本で県単位で戦う利点が薄いだろ
ロボット戦国時代のがまだリアルだ

深い設定とか無しにして、各都道府県の猛者ロボット達が頂点目指してぶつかり合うとかのが面白くなるかと
211創る名無しに見る名無し:2009/12/12(土) 20:00:24 ID:UGueUhhq
>>208
・世界各国がどんどん統合されて大きく纏まっていく流れの中で
 日本だけ国内で揉めてるのは何で?
・NAUと新制ロシアが一時的な中断でしかない休戦中、Ecoも新兵器開発に余念が無いって
 一触即発の状況で零式機動戦闘機による国内対抗戦やっても戦争に巻き込まれず
 普通に第二回第三回と続けられるくらいに日本が無事なのは何で?
・ていうか西暦2100〜2129までの30年間は、複数の国家群は何してるのよ?

そもそも「日本の支配権を賭けて、各都道府県が代表出してロボットバトル!」ってのは
どうやっても現実味の無い設定なんだから
変に諸外国の動きとか、政府与党がどうのとか、小難しそうな言葉並べた所でリアルな設定にゃなる訳無いんだから
「首都機能移転問題が国会で揉めた際に、何故か最終的にロボットバトルで日本の首都を決める案が可決された」
くらいで上等なんでないの? あくまで「都道府県同士のロボットバトル」ってのがメインなら
その時代の外国の事情とか、ガン無視しても構わんのだし
212創る名無しに見る名無し:2009/12/12(土) 20:35:00 ID:sRG4XnDp
>>208
大雑把な世界情勢についての内容が続いた後で
都道府県対抗機動兵器決選に直接関わる事が4行で終わる年表だと
プロローグにしても盛り上がりに欠けないか?

都道府県対抗機動兵器決選が物語のメインなんだから
西暦2103の第一回都道府県対抗決選の告知を受け、各都道府県のどう反応したのかとか
そもそも都道府県対抗決選というのはどういうルールで行われたモノなのかを書いてくれんと
状況を想像できんし、その後でいきなり
>西暦2105 第一回都道府県対抗決選で東京都が優勝する
>西暦2117 第二回都道府県対抗決選で東京都が連覇する
と書くだけだと、東京がどう凄いのかとかも一切分からん
せめて、対抗決選がどのように行われ、どの県がどう生き残って、どうやって東京都が勝ったのかや
第一回目と第二回目では変更点が何かあったのかや、西暦2105〜2117の間の日本は
どういう風だったのかを大雑把にでも書いてくれんと、「都道府県対抗決選」の重要さが見えてこない

「都道府県対抗決選」が分らん状態で「第三回が始まりますよ!」と宣言されただけだと
物語の掴みにはならん気がする
本編でしっかりとしたプロローグを入れるのなら、さほど問題は無いのだけど
213創る名無しに見る名無し:2009/12/12(土) 22:32:53 ID:nfDu796u
こんなときは真面目にダメだしするのなw
214創る名無しに見る名無し:2009/12/12(土) 23:25:48 ID:8gKI69tr
年表だけ見てると、なんで都道府県対抗決選が行われているのかわからないのが難点だな
皆、興味があるのはそこだろうし

まあ、本編で説明されるんだろうけれど、頑張って〜
215>>882 ◆MVh6W.SAZtbu :2009/12/12(土) 23:38:12 ID:NC3BQu9K
まあギャグ的なことをまともに考えてやる、ってのは結構面白いと思うけど。っていうか俺がやってるのなんてそんなんばっかしだし。

あと
>>211
>世界各国がどんどん統合されて大きく纏まっていく流れの中で
>日本だけ国内で揉めてるのは何で?
政治なんてそんなもんじゃん。個々の国家が世界全体の状況に逆行してることやるのなんて歴史的にもよくあるしー。
ちょっと違うかもしれないけど日本のゆとり教育批判・競争奨励とかね。自分達より順位が下で順位を上げてきてるわけでもない奴等のやってることマネしてどうすんだw

>NAUと新制ロシアが一時的な中断でしかない休戦中、Ecoも新兵器開発に余念が無いって
>一触即発の状況で零式機動戦闘機による国内対抗戦やっても戦争に巻き込まれず
>普通に第二回第三回と続けられるくらいに日本が無事なのは何で?
冷戦時代なんてそんなだったじゃん。
大国同士の直接武力戦争(キューバ危機とかあったから微妙な表現になっちゃうけど)は無かったけど新兵器開発は盛んだったし
(その関係で技術的には夢が広がりまくってた時代だったけど今じゃアポロは月に行ってなかったとか言う馬鹿がはびこる始末だよ!)、
お隣さんは南と北で今でも休戦中だし。
……こうして振り返ってみると、よく人類絶滅亡しなかったよなー。
216創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 01:15:30 ID:CbdyrT23
>>215
いやいや、都道府県対抗ロボット合戦というふいんきに真面目な世界設定は合いづらいというか
気楽な感じでやっても面白いんじゃないかな?という提案ではないですかねw
以前もこんな風に色々意見出し合った場面もありましたしw

つーか、ホントに人類ってギリギリ幸運なラインで今まで来てるのですよね……wすげぇ奇跡w
217創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 01:40:27 ID:tYeWtjYX
なんか荒れてきたな
218>>882 ◆MVh6W.SAZtbu :2009/12/13(日) 02:20:01 ID:V1jvj25E
>>216
まあオイラも「やってることはギャグっぽいけど真面目でシビアな世界観」という路線もある、という提案をした、ということでw
自分がそれが好きで、ロボスレやら他のスレやらに投下してるSSそんなんばっかw

>つーか、ホントに人類ってギリギリ幸運なラインで今まで来てるのですよね……wすげぇ奇跡w
人類の強運さは異常…… キューバ危機などを含む冷戦期の核関連の逸話を聞くと背筋が凍るものw
現実の人間活動って、「それはひょっとしてギャグでやってるのか!?」ってのがやたら多い。
変な話ですけど、もし並行世界の住人が、この世界の人類の歴史と同じフィクションの話を書いたら、
「設定にリアリティーが無さ過ぎ」とエライ叩かれると思う。
219創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 02:27:35 ID:2jy9dRyH
真実は小説より奇なりというヤツだな…
核魚雷・核対空ミサイル・核榴弾砲とかジョークとしか思えないヤバめの兵器が出てきたしな…

核砲弾発射可能ロボとか現れても笑わない。
220創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 02:40:00 ID:WTUvc0Mm
いざ何かあったとしても
なんだかんだで、人類自体は結構しぶとく生き残りそうではあるけどなあ

とはいえ、さすがに文明は滅びるかもしれんが
そして俺らもムーやアトランティスの仲間入り
221創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 02:46:18 ID:9Z56/wYJ
事実は小説より奇なり。
某急降下爆撃の破壊神にして魔王の御方のような人が実在するのが我々が生きている現実なのです。
この世の摩訶不思議、奇妙奇天烈に対して人間の想像力のなんと貧困な事か。
現実よりも、空想の方が現実的と感じるのだから。
222創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 03:02:45 ID:WTUvc0Mm
何ともこの世は、奇想天外四捨五入出前迅速落書無用なことですなあ
223>>882 ◆MVh6W.SAZtbu :2009/12/13(日) 03:17:55 ID:V1jvj25E
以下のものはマジで考えられてたものです。俺が書いてるからってネタじゃありません(いやある意味ネタなんだが)。
 ・核迫撃砲
 ・機器の保温の一部にニワトリを使う核爆弾
 ・地雷を背負わされて戦車の下に潜り込む犬。でもワンちゃんには敵の戦車と味方の戦車の見分けがつかないぜ!
 ・翼で相手を斬る戦闘機。カッコイイゼ!
 ・翼を取り付けるとグライダーになる軽戦車。飛びゃしなかったぜ!
 ・もともとその車体に取り付けるために設計されたのに干渉する部分があり、違う車体に流用したら干渉しない戦車の砲塔。何を隠そう、あのティーガーの砲塔のことだぜ!

あと「天才芸人日本さん伝説」とか。
224創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 08:00:15 ID:CbdyrT23
>>222
青猫さんの主題歌!青猫さんの主題歌じゃないか!?wΣ(・ω・ )

>>223
ちょwわんこ地雷しか知らなかったwww
どう見ても完全にネタです本当n(ry
225創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 16:24:42 ID:2LBFY3N7
ついでにわんこ地雷について補足すると、戦車の下に潜り込む
わんこ対策のためにドイツ軍は戦車の車体にある防御機銃の
代わりに火炎放射器を積んで走って来るわんこを焼き殺したそうな。
しかしよく訓練されたわんこは火炎放射で焼かれても任務を遂行したりするらしい。
ちなみに米軍は機雷処理に調教したアシカとイルカを使っていますぜ。
226創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 16:25:40 ID:2LBFY3N7
sage忘れすまそorz
227創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 18:33:05 ID:CbdyrT23
>>225
人間嫌いになる話だよねぇorz
さて、流れを変えよう
228創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 18:47:12 ID:YGunl3Fz
・クリムゾンスマッシャー

クリスマス的巨大ロボット。トナカイに牽引されるソリを駆り、悪に手榴弾をプレゼントする。
量子透過によって壁をすり抜けることができる。
必殺技サンダークロスは神の雷。


そんなことより、内輪になるが避難所2号の埋めネタを引き継いで
各作品キャラのクリスマスプレゼントの話しようぜ。
229創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 20:32:25 ID:dt+yBWOx
「内輪になるが」などという内輪ネタNGと受け取られかねない発言は慎みたまえ、君はラピュタ王の前にいるのだ
230創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 20:46:15 ID:Zf0x0Gta
>>229
 バ ル ス !
231創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 20:50:22 ID:dt+yBWOx
へあああああああああああああ、目があああああああああああああ!
232創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 21:09:27 ID:/LPPte0d
つか、内輪も何も、スレの投下物に関した雑談ネタだろ
おもくそ普通の話題じゃねえかw
233創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 21:17:31 ID:5RNoc4M9
このスレのキャラクターでラピュタをやったら、とんでもない事になりそうだなw
234創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 21:26:06 ID:dt+yBWOx
シータはビジュアル的に遥さんですね

ママー!開始3分でムスカの関節が有り得ない方向に曲がってるよー!
235創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 21:42:20 ID:Zf0x0Gta
 まあ待て、待つんだ。
 ムスカ役が誰かによって状況は変わってくるぞ!
236 ◆46YdzwwxxU :2009/12/13(日) 21:42:29 ID:y0k55KTZ
>クリスマス
しょ、しょうがないなぁ・・・。


玩具屋の店頭にて
悪山エリス(変形ガイア恐竜・・・ファングメモリ・・・)

書斎でネットを閲覧しながら
悪山悪男(巷で話題を攫うヒーローのオモチャか。これで決まりじゃ!)

※悪山悪男は毎年、祖父としての手作りプレゼントのほかに、
 サンタとしての市販品のプレゼントも用意している。


田所正男はじめほかの連中はほぼ恋人もいないので鳥の足とケーキを食って寝るそうです。
いや、エリスもあれで一応もう高校生なんだけど・・・爺が爺だし。
237創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 22:03:01 ID:5RNoc4M9
このスレ、ムスカ役の立候補多そうだなー

「へああああ!目が目がああああ!!」って言いたいだけの理由でw
個人的にはオルトロック辺りにやって欲しいけど
238創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 22:04:13 ID:DMRrUgWE
このスレで「目がぁ目がぁぁぁ」というと
ツクヨミさんな気がする

意味が違うがw
239創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 22:13:02 ID:FAURdvCa
シータ役が余りにもバイタリティに溢れすぎてて、パズー役が空気になりかねないから困る
240創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 22:16:53 ID:Zf0x0Gta
>>236
 孫とおじいちゃんは幸せそうですなぁw
 一方他の独り身軍団はアレですが……。

>いや、エリスもあれで一応もう高校生なんだけど・・・
 なに、年齢的に大学生か社会人一年目なのに、外見はどう見ても小学生か中学生なうわ遥さんまだ名前出してないじゃないですかやめ
241創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 22:26:07 ID:ldzYVzzX
シータは遥として、パズー役に一番合ってるのは誰なんだろうな?
242創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 22:32:49 ID:DMRrUgWE
>>241
ていうかシータってラストで脱みつあみするんだよな

……・大丈夫だろうか
243創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 22:33:43 ID:5RNoc4M9
パズー役は雪兎が合いそうかと。いざとなったら変身して空気になるのを防ぐ事も出来るw

244創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 22:34:01 ID:ZvCCr8hv
空気読まずにすんません
1話大体出来ました……もう少し見直したら投下します
>>241
ユト君はどうでしょう
大人しそうに見えて結構芯が強いから
245PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/13(日) 22:39:48 ID:Zf0x0Gta
>>241
 ツクヨミ先生なら空気にはならn(ry

>>242
 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 本人はともかく作者が大丈夫じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

>>244
 イィィィィィヤッホォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォゥ!!
246創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 22:47:03 ID:dt+yBWOx
落ち着いて、師匠!
247創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 23:03:45 ID:DMRrUgWE
>>245
やっぱ大丈夫じゃなかったか……
248創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 23:08:25 ID:ldzYVzzX
そんなに三つ編みが好きかあああああーーーーーッ!
249創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 23:09:19 ID:ZvCCr8hv
うし、それでは行きまする
あー何か本編というか、連載物を投下するのは久しぶりだから緊張する……
250創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 23:10:41 ID:ldzYVzzX
男は度胸、何でも試してみるのさ!
251PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/13(日) 23:11:19 ID:Zf0x0Gta
 40秒で(支援の)支度しな!
252 ◆n41r8f8dTs :2009/12/13(日) 23:11:45 ID:ZvCCr8hv
                  


                                パラべラム
                                   ×
                             ヴィルティック・シャッフル



言いしれぬ重圧に心折れぬ様に、青年は球体に自らの掌を乗せ、ただ前へと気を集中させる。
彼の目下には半透明で蒼色に発光するパネルが広がっており、青年が掌を乗せている球体からは、無機質な数本のラインがパネル上に扇形となって伸びている。
青年の周りには近未来的な計器や物体がバランス良く配置されており、また、青年の目の前には大きなモニターが、外の様子を映し出す。

目の前に見えるのは、遠く遠く見えている、出口かもしれない白く光る穴。だが、何時まで経ってもその穴へと到着する様子は無い。
青年が視線をその穴へと凝視させているのは、早くこの空間を抜けたいという願望ともう一つ。この空間の恐ろしさに、気が滅入りそうだからだ。
ふと目線を穴から逸らす、が、青年はすぐに視線を穴へと戻した。とてもじゃないが、恐ろしくて見ていられない。

穴から広がる様に、その空間―――――次元の狭間は、おぞましい音を立てながら蠢く。一見暗闇の様だが、それは違う。
次元は生きている。様々な時代の、様々な歴史の、様々な怨念と無念が成形するこの空間は、生き物の様に蠢いているのだ。

「隆昭さん、大丈夫ですか?」
青年を気遣って、モニター上のブラウザに、銀髪のショートカットの少女が映る。銀髪の少女は心配そうに、青年に声を掛けた。

「あぁ……大丈夫。心配させてごめん」
青年は明らかに無理な笑顔を見せて、銀髪の少女に返答した。と、もう一つ、ブラウザが開く。
そのブラウザにはグラマラスな衣装に身を包んだ、不敵な笑みを浮かべる黒髪の女性が映っている。女性は口元に笑みを浮かべながら、青年に話しかける。

「後一時間正味で着くから頑張りなさい。絶対に飲まれちゃ駄目よ」

青年は女性の姿を一瞥すると、再び穴に意識を集中させた。コックピットは滴温にセットされている筈だが、何故だろう。
先程から額に冷や汗が流れては、落ちる。もしかしたら、既にこの空間に飲み込まれているのかもしれない。この、人の業が成している様な、空間に。
青年は自らの精神を安定させる為、一息つくと女性に話しかける。

「……スネイルさん」

青年に呼びかけられ、女性が視線をこちらに向ける。その目は青年とは対照的に、怯えや緊張と行ったものは全く見られない。
むしろ余裕があり、なおかつ冷静さを感じさせる。

「もし未来に着いたら……まずは何をするんですか?」

青年の質問に、女性はんーと口元に人差し指を立てて数秒、考える動作をすると、明快な口調で答えた。

「貴方には正体を隠して貰うわ。あっちの世界じゃ既に貴方は死――――」  
253 ◆n41r8f8dTs :2009/12/13(日) 23:12:31 ID:ZvCCr8hv
「マチコさん!」
女性と青年の会話に、銀髪の少女が慌てた様子で割り込んできた。少女の様子に、女性と青年が会話を中断する。

「み……未確認の機影を確認しました! 数は……」
少女の報告より早く、青年はモニターに目を移す。青年の目に映ったのは――――黄金色に輝く、「何か」。
その何かが、青年の目の前で腕を組み、超然として君臨している。青年は震える手をどうにか抑えながら、球体に自らの意思を伝達する。

「スネイルさん!」
「プログレス……? まだ完成していない筈じゃ……」
未だブラウザに映っている女性の顔からは、先程の余裕めいた表情は無い。逆に不測の事態に対して、動揺している様だ。
初めて見る女性のその表情に、青年はどうしようも無い不安と恐怖を抱く。ただでさえ、嫌な状況下なのに――――全く知らない敵が現れるなんて。

「……何にせよ、こんな所で出会うなんて最悪にも程があるわ。鈴木君、早くヴィルティックを向こう側へ。今ならまだ間に……」

女性がそう言った瞬間、ブラウザが瞬時に閉じた。青年は、自分の目の前で起こった出来事が理解できない。

女性が乗っていた巨大なロボットが、一瞬のうちに「何か」の手刀によって頭部を貫かれたのだ。それも、何のモーションも無く。
「何か」に動きがあった様子は殆どない。先程から腕を組んだまま、その場に居ただけだ。だが、確かに今、「何か」によって女性の巨大ロボットは攻撃を加えられた。
青年の瞳孔が見開く。青年の頭の中で、何度も何度も自問自答が響いては消える。どうする、どうするどうするどうする!?

「早く……早く逃げ……なさい……向こう……側へ……」

女性の声だけが、コックピット内に響く。「何か」は手刀を突き刺したまま、こちらを見る気配は無い。
だが、「何か」からにじみ出る強大さと禍々しさは、次元の狭間と一体となって青年を飲みつくしていく。青年の手は無意識に、球体から少しづつ離れていく。

「隆昭さん! 早く!」
が、銀髪の少女の悲痛な叫びで、青年は即座に我に帰る。首を大きく振り、頭の中で過去を振り返る。
そうだ、ここで死ぬわけには――――瞬間、脚部に大きな爆発音が響き、コックピットが上下に激しく揺れ動いた。

「っつ! だが……」

青年の、呼吸が、止まる。
ほぼ零距離目前、「何か」がモニター前面で、青年を睨んでいた。青年は球体に対して、自らの意思を何度も投影するが何も起きない。
考えられる事は二つ――――動きが、完全に封じられたか、あるいは既に急所を……突かれているか。
次の瞬間、「何か」が背部から、機体色と同じ黄金色の巨大な光の翼を広げた。奇しくもその翼は――――青年の乗っている、巨大ロボットが広げるモノと酷似していた。

「動け……動けよ! ヴィルティック!」
青年が必死な形相で球体に力を込めてそう叫ぶ。だが、青年の意思に巨大ロボットは何の反応も見せない。
やがて「何か」は翼を羽ばたかせながら上昇し――――両手で貫いている、二体の巨大ロボットを軽々と持ち上げた。
そして――――勢い良く、二体を次元の狭間へと向けて放り投げた。それぞれ頭部と右肩を貫かれている二体は、何の抵抗も出来ず、次元の狭間へと飲みこまれていく。

真っ逆さまに落ちていく中、徐々に暗くなっていく意識。青年は呟いた。

「こんな所で……まだ何も……してないのに……」

「ごめん……メルフィー……」
254創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 23:14:07 ID:Zf0x0Gta
 
255 ◆n41r8f8dTs :2009/12/13(日) 23:14:32 ID:ZvCCr8hv
次元の狭間から完全に消失した二体をしばらく見下ろし、「何か」は翼を収納すると、青年達が到着する筈だった穴へと飛んでいく。


「まだ調整が完全では無いな……まぁ良い。全ては――――」




――――――――――――――――――――――――この物語に、勝者は、いない―――――――――――――――――――――――― 




                          ビューティフル・ワールド
                       the gun with the knight and the rabbit



雲一つ無い、突き抜ける様に澄んだ青空を、三つ編みの少女が見上げた。心地の良い風に、三つ編みがふわりと揺れる。
少女の目の前には、澄み切った青空に似合う、牧歌的な草原が広がっている。陽気のせいもあって、少女はふわぁとあくびをして寝転がった。
空で二匹の蝶々が求愛行動をしているのか、可憐な軌道を描く。少女はしばらく蝶々の姿を見つづけると、眠そうな目をこすって体を起こし、振り返った。

「ありがとね、リヒタ―。私の修行に付き合ってくれて」
少女が声を掛けた先には、少女を見守る様に佇んだ、厳格な鎧騎士を思わせる、黒色のロボットが居た。
その佇まいは機体色と相まって、少女に対して深い忠誠心を感じさせる、深遠な雰囲気を醸し出している。

――――オートマタ。この世界における、ロボットの定義。
かつて、謎の事象によって世界が破滅し、もう一度人々が世界をやり直している中で発掘された言わば過去の遺産だ。

マナと呼ばれるエネルギーを主として、様々な用途に合わせて使用される。使用されると言ったが、各個意思を持ち、言わば人間とはパートナーの様な関係を築いている。
少女が話しかけたロボットも、このオートマタの一種である。
名は、リヒタ―・ぺネトネイター。彼(どうやら声からして男らしい)には様々な秘密があるらしいが、それはまた別のお話。

リヒタ―は自らの頭部を小さく振ると、その特徴に似合う、温かさを感じさせる落ちついた男性の声で、少女に返答する。

<いえ。マスターがお望むであれば、私は喜んで。しかし無理はなさらないでください>

「大丈夫。こう見えても、私結構体力あるんだから。けど、心配してくれてありがとう、リヒタ―」
そう言って、少女はリヒタ―に明るい笑顔を見せた。屈託の無いその笑顔には、しっかりとした意思と、母性的な優しさが垣間見れる。
リヒタ―は少女の笑顔にツインアイを鈍く光らせる。彼には人間の様に表情は無いが、何かしら少女に対して思う事は、こうして伝えている。

「あ、そうだそうだ……。あのさ、リヒタ―」

少女はそう言いながら、傍らに置いた輪っかの形の何かをリヒタ―に見せる。リヒタ―は膝を着くと、その何かにじっとツインアイで見つめた。
興味が沸いたのか、ツインアイの奥の人間で言う瞳孔――――サーチカメラが伸縮する。少女が笑顔を浮かべたまま、リヒタ―に続けて言う。

「ちょっと花飾りを作ってみたんだ。リタちゃんにあげようかなって思って。可愛い……かな」

リヒタ―は少女と花飾りを交互に見ると、静かな口調で答えた。

<とても綺麗だと思います。彼女も喜ぶと思いますよ>

「ホント? リヒタ―がそう言うなら大丈夫。小さい頃を思いだしながらやってみたけど、結構上手く行くもんだね」
花飾りを両手で掲げて、青空を見上げながら少女は再び草原に仰向けに寝転がる。気持ち良いくらい、空が真っ青だ。
花飾りの間から見える青空を見つめたまま、少女はリヒタ―に囁く様に話しかける。

256創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 23:15:49 ID:Zf0x0Gta
 
257 ◆n41r8f8dTs :2009/12/13(日) 23:16:10 ID:ZvCCr8hv
「早く……早く師匠みたいに一人前のマスターになりたいな。それで……世界中を旅してみたい。この、広い世界を」

<……きっと、マスターならなれますよ。私も……その夢を叶えてみたいですから>

「私も、リヒタ―となら叶えられると思う。頑張ろう、一緒に」
微笑みを浮かびながらそう、リヒタ―に返す少女の目には、優しさと健気さが入り混じり19歳という年よりずっと、大人びた印象がある。

「さっ、休憩終わり! 夕方になるまで頑張……」
草原から立ち上がった少女の耳に、奇妙な音が聞こえる。奇妙といって、体に不調があるとかそういう事ではない。
何か耳鳴りの様な音が聞こえるのだ。具体的に言えば……何かが、落ちてくる音。

「リヒタ―、何か聞こえる?」

少女の問いに、リヒタ―は出来る限りセンサーを集中させる。1秒……2秒……気づく。
確かに少女が言う通り、奇妙な音が空から聞こえてくる。言うなれば、何かが落下してくる、そんな不吉な音だ。

<はい。遠方から確かに……。音が鳴っている方向は……>

リヒタ―はセンサーをあらん限り限界まで集中させ、その音がどこから鳴っているかを調べる。分かっている事は遠方である事と、落ちてくると言う事。
と、南方で動きを止め、空へと頭部を向ける。サーチカメラを伸縮させ、落下物の姿を確認……。
……リヒタ―はどう反応すれば良いか、非常に戸惑う。落下物の姿は何と言うか――――巨大な、人の様だ。
何はともあれ、もしアレが爆発物でも持っているとしたらここに留まる事は非常に危険だ。リヒタ―は少女に振り返り、冷静な声で伝える。

<マスター、ここから離れましょう。こちらに危険が及ぶ可能性があります>
「う、うん……」

リヒタ―にそう返事しながらも、少女は釈然としない何かを感じていた。上手く言葉に出来ないが、漠然とした妙な予感を。
先導するリヒタ―についていきながらも、少女は落下物に視線を向け続ける。

<さぁ、お早く>
「……待って、リヒタ―」
歩いている足を止め、少女は落下物の方へと振り返った。その目はじっと、落下物へと向けられている。というより、釘づけになっている。

<……マスター?>
動こうとしない少女に若干の焦りを感じながらも、リヒタ―も振り返り、落下物にツインアイを向ける。
すると驚くべき事に、落下物の落ちていくスピードがだんだん遅くなっている事に気付く。いや、それだけではない。
落下物に、蒼いもや……いや、オーラの様な物が見える。そのオーラは、落下物を衝撃から護っている様だ。恐らくスピードが落ちているのはこの為だろう。

「……行こう、リヒタ―。あれには、多分人が乗ってると思う」
<……マスター、ですが>
少女はリヒタ―に振り返ると、ツインアイをくりっとした目で見つめた。リヒタ―も少女の目を見つめ返す。
数秒間、少女とリヒターは見つめ合うと、リヒタ―は膝を着いて、少女に言った。

<私の肩に乗って下さい。ですが、少しでも危険を感じたらすぐに離脱します。良いですね>
「ありがとう、リヒタ―」


リヒタ―の肩に乗って、少女は落下物の着地したであろう地点まで急ぐ。落下時に衝撃に備えて身構えていたが、不思議な事に衝撃音も無ければ、衝撃さえ無かった。
数十メートル先に、落下物の姿が見えた。少女は緊張の為か、無意識に唾を飲み込む。リヒタ―が恐る恐る、落下物へと近づいていく。

距離にして1メートル程、少女とリヒタ―の前に現れた落下物の姿は、この世のモノとは思えない、奇妙な物だった。
どちらも人の形を模しているものの、その姿は明らかに人ではない。無機質な色彩、露出した電子部分、そして曲線と直線が入り混じった、硬質なフォルム。
間違いない。どちらもロボットだ。しかしこれほど巨大なロボット、見た事が無い。種類からして、オートマタではない事だけは分かる。

<……如何なさいますか?マスター>
「……どうしようか」
258 ◆n41r8f8dTs :2009/12/13(日) 23:16:55 ID:ZvCCr8hv
人が乗っていると確信し、助ける為に来たものの、実際に落下物を目の前にすると驚きのあまりどうするべきか、少女の思考は混乱する。
もしかしたら異星人が送り込んだ刺客? それとも政府が開発した大型オートマタ? あるいは……止めよう、勝手な推測を立ててもさらに混乱するだけだ。

無理やりにでも頭を冷静にして、もう一度落下物を観察して見る。蒼いオーラで守られていたものの、どちらの装甲も酷く焼け爛れている。
ここに落ちてくる前に負った損傷なのかどうかは分からない。リヒタ―にもう少し歩いて貰い、更に観察を続ける。
白い落下物の方は右肩に、紅い落下物の方は頭部に歪んだ穴が空いている。こちらは間違いなく、ここに落ちてくる前に追ったであろう損傷個所だ。

「……なんだか可哀相だね。こんなに傷つけられて」

ポツリと、少女の口からそんな言葉が出た。可能な事なら、修理してあげたいが……正直、オートマタのノウハウが落下物に通じるとは思えない。
しかし如何するべきか……。もしも師匠が仕事で出かけていなければ、指示を仰げるのだが……。
しかし居ない人を嘆いていても仕方がない。一度やおろよずに帰り、皆にこの事を――――。

<マスター、人がいます>

リヒタ―に呼びかけられ、少女は考えを中断する。気づけば何時の間にか、落下物の周辺に人が横たわっていた。
人数にして三人。少女はその人達が怪我……というか死んでいないか鼓動が速くなる。が、一瞥した限り、怪我らしい怪我は見えない。
ホッと胸を撫で下ろし、少女は一先ず、どんな人達かを確かめて為、リヒタ―に下ろしてくれる様、頼む

「リヒタ―、悪いけど下ろしてくれる? ちょっと確かめたいの」
<不用意に近づかれて危険です。まだ身元も分からないのに>
「大丈夫。何となく……何となく、この人達は悪い人じゃないって気がするから。だから、お願い」

リヒタ―は不安に駆られながらも、膝を着き、少女を下ろした。少女は小声で感謝して、一番近くで横たわっている、銀髪でショートカットの少女の近くに寄ってみる。
ふと、銀髪の少女の姿に、少女は妙なな感覚を覚える。落下物も落下物だが、銀髪の少女が来ている服……? もこれまた奇妙だ。
体のサイズが分かる程、ピッチリしているその服は、触ってみると金属の様に冷たい。おぼろげに見える、血管のように細いラインが全身に走っているのも奇妙だ。
一体どんな材質で出来て……と、他の二人の来ている服もそんな感じである。デザインこそ違えど。
 
そっと肩に手を掛け、意識があるか呼びかけてみる。が、いくら呼びかけても、銀髪の少女が起きる兆しは無い。
まさか……いや、でも血色は良いし、怪我をしている様子も……。と、その時だ。

『……聞こ……えるか?』

突然、男性の声が聞こえ、少女の体がビクッと驚嘆する。リヒタ―が滑り込むように少女の前に立ち、臨戦態勢を取る。
男の声は、頭部に損傷を負った紅い機体から聞こえてくる。少女はリヒタ―の背後に隠れながらも、男性の声に耳を傾ける。
259創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 23:17:05 ID:Zf0x0Gta
 
260創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 23:18:11 ID:dt+yBWOx
 
261 ◆n41r8f8dTs :2009/12/13(日) 23:18:27 ID:ZvCCr8hv
『私は……この機体の……人工知能……スチュアート……貴方……達に……頼みが……ある』

スチュアートと名乗る男性の様子に、少女はハッとしてリヒタ―の前をすり抜けて、近くに寄る。
紅い機体の頭部には、リヒタ―で言うツインアイだろうか、スリットを思わせる部分が見え、淡く点滅している。

<マスター>
「大丈夫」
リヒタ―に心配ないと言った感じで手を上げ、少女はスチュアートの言葉に、耳を傾け続ける。

『そこにいる……三人を……安全な場所に……運んで……くれ……』

少女はスチュアートの言葉に深く頷くと、真剣な面持ちで、スチュアートに言った。

「……分かりました。ですが、一つだけ。出来れば……貴方達の事を教えて貰えますか?」

『信じ……られないかも……しれないが……我々は……未来から来た…世界を……救うために……』

予想だもしない答えに、少女の目が丸くなる。リヒタ―も驚いているのか、臨戦態勢を解いていた。
限界が近いのか、スリットの点滅が次第に消えていく。聞こえていた音声に、ノイズが混じり始める。

『理解は……してくれな……くても……良い……だが……その三人だけは……救って……くれ……それが……私の……願いだ……』

「……分かりました」

『すま……ない……』
スリットの光が消えた。完全に事切れたようだ。場に、言いしれぬ沈黙が流れる。
白い機体と、赤い機体。そして未だに目を覚まさない、身元の分からない三人。未来を救うため――――何もかも、分からないことだらけだ。
もしかしたらとんでもない事に巻き込まれているのかもしれない。だが、そんな事はリヒタ―と関わった日から――――。

「リヒタ―」

少女は振り返って、リヒタ―に真摯な目で、言った。

「この人達を、やおよろずに運ぼう。ライとルガ―さんを呼んで」




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「……で、あの人達は誰なの?」
珈琲を一口飲み、理知的かつ聡明そうな趣の青年、ライディース・グリセンティが掛けている眼鏡を人差し指で上げた。

「遥ちゃんが言うには、草原で行き倒れていたらしい。しかも三人揃ってね」
筋骨隆々にして、麗しい金髪と逆三角形が眩しい漢、ルガー・ベルグマンが、その姿に似合わぬ小さなティーカップに注がれた珈琲を飲みながら、ライディ―スに答える。
二人は同時に、二階の客人用の部屋に目を向ける。あの部屋に、少女が運んでほしいと切願した、行き倒れた三人が寝ている。
とはいえベッドは二つしか無いので、運んできた三人のうち、男一名はソファーに寝かせているが。
262創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 23:19:23 ID:Zf0x0Gta
 
263 ◆n41r8f8dTs :2009/12/13(日) 23:19:37 ID:ZvCCr8hv
「しっかし妙な衣装だよね。何かのスーツなのかも知れないけど、あんな形状のスーツ、見た事無いよ」
ライディ―スの疑問も無理は無い。まぁあの三人が目覚めたら聞くつもりではあるが。

「それにしても……リタちゃんとたまちゃん、それにリヒタ―は何処に?」
「遥ちゃんの話を聞いて、草原へと全速力で走って行ったよ。メカニックとしての魂がうずうずしてきやがった!って。
 状況が状況だから、事態を把握する為にたまちゃんも一緒に。状況説明にリヒタ―を連れてね」
「……つくづく凄いな、リタちゃんのバイタリティは。まぁ、たまちゃんとリヒタ―がいるから暴走はしないだろうけど……」

客人用の部屋――――中々高級そうな二つのベッドと、壁際のちょっとチープなソファーの上に三人は寝ている。
ベッドの真ん中で、少女は誰が目覚めてもすぐに対応出来る様、椅子に座って待っている。こうして1時間経過しているが、健気に。
だが考えるべき事が沢山ある為、退屈はしない。とにかく全てが謎すぎる。巨大ロボット、変な材質の服、そして……。

と、銀髪の少女が徐々に両目を開きはじめる。少女は慌ててイスから立ち上がる。
銀髪の少女は両目を開けた。が、状況が分からないのか、ぼんやりとした表情だ。
少女に気付いたのか、銀髪の少女は顔をそちらに向けた。その表情には、はっきりと不安の色が浮かんでいる。

「あ、あの……私達……」
「無理しなくて良いからね。……怪我とかしてない?」

「か、会長! そんな困りますよ! 俺まだ童貞ですよ!?」

すっとんきょんな声をあげて、ソファーで寝ていた青年が転げ落ちた。青年の馬鹿馬鹿しい目覚めに少女と銀髪の少女が、一斉に青年の方を向く。
当の青年は寝ぼけ眼で周囲をきょろきょろすると、銀髪の少女と少女が見ている事に気付く。サーッと分かりやすいくらい、顔が青ざめていく。
次に青年が取った行動は何かを考えているか、それとも照れ隠しか深く俯いて、首を捻っている。どうやら全く状況が飲み込めていないらしい。

続く様に、もう一つのベッドで寝ていた、黒髪の女性が目を覚ます。
女性は二人の様な反応など露知らず、堂々と背伸びをして、一あくび。全く慌てる様子も無ければ、不安な様子もない。
そして第一声はこれまた能天気な物だった。

「……どれくらい寝てたのかしら。あんまり寝すぎると首が痛くてね〜。年取るのってホント、嫌だわ」

女性の発言に、三人はポカンと口を開けた。無理は無い。女性から危機感とかそういうものが全く感じられないからだ。
女性は立ち上がった少女に目を向けると、じっと見つめた。蛇に睨まれた蛙のように、少女は女性に見つめられて動けない。
数秒、女性はそうしてふむふむと頷くと、ポンッと掌を叩いて、言った。


「取りあえず貴方の事、みっちゃんって呼ぶわ。三つ編みだから」

「……一条です。一条遥です。私の、名前」




                        第 一 話

                         遭遇





       
264創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 23:20:39 ID:dt+yBWOx
 
265創る名無しに見る名無し:2009/12/13(日) 23:23:19 ID:ZvCCr8hv
投下終了です。支援の程、有難うございました

取りあえず一つ……リヒタ―の本名を間違えてしまい、本当にすみませんでした……orz
リヒター・ペネトレイターですよね……あぁ、ちゃんと注意してたはずなのに……本当にごめんなさい、PBMさん

後半、展開がキングクリムゾンしていますが、2話のタイトル前にその飛んだ所(遥の状況説明)を書きます
出来るだけ早く書けるように……なりたいなぁ
266PBM! の人(喜) ◆1m8GVnU0JM :2009/12/13(日) 23:57:03 ID:Zf0x0Gta
>>248
 俺は大好きだ――――っ!!

>>265
 投下乙です!
 なんという事でしょう、興奮でニヤニヤが止まりません! やはりあなたは悪魔です!(言いがかり)

 なるほど、ヴィルシャ的には一期と二期の間の話なんですね。
 それにしても、原作者よりキャラクターを描けているとは(二重の意味で)恐ろしい……!
 まだまだ精進が必要だという事を改めて痛感させられました。タウエルン×パラベラムの時に◆n41r8f8dTs氏を今の私のようにニヤニヤさせるくらいにはならないと! てか、本編をなんとか一区切り付けないと!
  しかしタカ坊はどんな夢を見ていたんだ……。ペテン氏二人組の姿が見えませんが、そっちも気になるところ。まどかは……学校かな?

 では、次回も楽しみにしてますね!

>リヒタ―の本名を間違えてしまい、本当にすみませんでした
 人間ミスは憑き物ですよフゥハハァ。それに私もライの本名時々忘れm(ry
267創る名無しに見る名無し:2009/12/14(月) 00:39:48 ID:idjzf36V
>>265
投下乙!ここからどうやって話が繋がっていくのか、オラワクワクすっぞ!
しかし下手をすればマチコさん以上のクセ者が増えて、タカ坊とメルフィーも大変だw

それにしても、◆n41r8f8dTs氏の書く女性キャラクターってなんだか繊細な印象があるな。どっちも根幹は同じなんだけど、原作の遥さんは「細けぇことはいいんだよっ!」ってのが前面に出てるけど、クロスの遥さんは夢見る乙女って感じ。
こういうのって、比べてみると作者さんの特徴が出てて面白いよねw

……まあ、まだクロスには生身の戦闘が無いからかもしれないけどw
268創る名無しに見る名無し:2009/12/14(月) 00:49:08 ID:cEQgb6Ek
>>267
 キャラクターは作者の分身ですからね、作者が大雑把だとキャラクターも少なからず大雑把になるもんですw
 え? 大雑把過ぎ? こまけぇことはいいんだよっ!
269>>882 ◆MVh6W.SAZtbu :2009/12/14(月) 01:46:52 ID:WqmgHc1i
>>265
投下乙!
これからの展開が気になる、実にいい物語の開幕シーンでした。
スチュアートがこと切れちゃいましたが、恐らくこの後の展開でヴィルティックは動くと思うのですが、
さてどうなるのでしょうか?
余談ですが、直前にラピュタネタが語られていたためか、なんか「劇場アニメ」みたいな感じの映像が脳内で再生されてました。
遥さんの登場シーンなんか、あの「単位時間当たりのセルの枚数が多くて同じ動きでも情報量が多い感じ」の画が見えてまあ。

>>267
確かにキャラクターって書き手により違いますねー。

>>268
>キャラクターは作者の分身ですからね
なるほど、だから俺の書くキャラクターは皮肉好きでひねた性格してるのか……

さて話は変わって…… クリスマスネタは間に合わせられるんだろうか、俺……
270創る名無しに見る名無し:2009/12/14(月) 08:54:38 ID:9S29W35z
>>265
乙です。
ここまで本格的なクロスオーバーは今まで無かったと思うので
とても楽しみです。
271創る名無しに見る名無し:2009/12/14(月) 10:31:58 ID:DFc9lTny
都道府県バトルだけど
やっぱり政治とかと切り離して単に軍事技術力の切磋琢磨的な意味での都道府県対抗の大会にしようかな
超巨大軍需企業が各都道府県の支社を使って大規模な募集かけてみたいな
272創る名無しに見る名無し:2009/12/14(月) 11:59:06 ID:Uz6p0ahp
遥か未来
製作者たちがロマンを追及し、血と汗と涙と技術と魂を注ぎ込みまくった結果
ロボコンはいつしか搭乗式がメインとなっていた!

「やっぱロケットパンチだろう」
「いや、男ならドリルだ!」
「パイルバンカーナメんな」
「貴様にも味わわせてやる。ハンマーの恐ろしさをな」
「ったく、最近はみんな小手先の技術に走る。あー、昔は良かった」
「やっぱ流行りのスタイリッシュなモデルはかっけえなあ」
「こっちは、鎧武者モチーフとか渋いとこ攻めるよ」
「機動性を捨ててパワーとタフさで勝負よ!」
「当たらなければどうということはない!」
「要は使いよう。特徴が無いのが特徴のオーソドックスなのが、結局一番強いのさ」
「俺が……俺たちが、優勝だ!」
273創る名無しに見る名無し:2009/12/14(月) 12:51:54 ID:wNTyTKyI
クリスマスネタ以前にまだ途中だからなぁ
早く書き上げねば今年が終わってしまう…
274創る名無しに見る名無し:2009/12/14(月) 17:47:54 ID:KQUVzVt8
>>265
クロス投下乙です
なるほど、物語は始まったばかりとはいえ空気感にズレがない、遥嬢も「童顔ながらも19歳」という設定に拘ったと思われる描写が垣間見えますナイス♪

個人的にはリヒター様の目がツボ、あらためて書き起こされるとかっけ〜な♪そうそうこれだよ!これなんだよ!とかニヤニヤする俺キモすw

それと隆昭くん、夢とはいえつつしみたまえw

>>266
タウエルン?
これは楽しみな未来が訪れる!気長に待ってます

あとスレに色々と動きがあっていいですね、皆様の投下、期待しております
275創る名無しに見る名無し:2009/12/14(月) 19:53:18 ID:mtrOlups
>>265
クロス作品投下乙です!
うーむ、正直wktkが止まらないwPBM勢のキャラがぶれてないのが凄いです!(珍獣が珍獣のままw)
あと遥さんが2割り増しくらいお淑やかな感じを受けますたw原作の前向き元気なのもいいけどこの遥さんもGJ!
リヒターのギミック描写もナイスでした!
冒頭の黄金のプログレス……果たしてその正体は……?ヴィルティック勢は果たして未来に行けるのか?うーむ、色々気になります!w
次回も楽しみに待ってますー♪

あと鈴木少年とスネイルさんは自重するべきwww(意訳:いいぞもっとやれ!
276 ◆n41r8f8dTs :2009/12/15(火) 00:42:57 ID:soWkDr0l
ちょっと見なかったら感想がドンと来てビックリしてると共に軽い感動が……本当に有難うございます!
というか反応が思っていたより良くて心から安堵しています……レス返答をば
>>266
一応外伝的な位置づけではありますが、時系列では間となっています
いえいえ、PBM氏のあのテンポのいい掛けあいは自分には描けませんよwwまぁ原作に恥じぬクロスになる様、頑張りますが
タウエルン×パラグラム、楽しみにしてます
>>267-268
ホントに苦労させますよwこれから。とは言え、和気藹藹な感じでPBM氏のキャラクターさんと絡みたい所存ですが
繊細……ですかねw何というか、自分の考える女の子って何時も妙に女の子女の子してると言うか……上手く言えませんorz
作者の分身と言われるとあーと唸りますw……自分的に一番投影してるのは多分オルトロックだろうなぁ
>>269
そうですねーどうなるんでしょうwとは言え、PBM氏のキャラクターさんと修理する工程に入りますが
書いた物が映像で再生されるとは、書き手にとって至上の喜びですね。嬉しいです
自分は今回のお話は劇場版のアニメみたいなコンセプトで書いてますねー。せっかくの企画なんで
>>270
承諾してくれたPBM氏の為にも、しっかり取り組みたいですね
とは言え、時間は有限なのでちゃんと考えないと…・・
>>271
本編が投下される日を楽しみにしておりますぜ

277創る名無しに見る名無し:2009/12/15(火) 00:51:41 ID:vlZJWnv/
俺は二次創作すらできない人間なんでむしろそういうの書ける人は逆に尊敬するw
278創る名無しに見る名無し:2009/12/15(火) 00:52:59 ID:soWkDr0l
連レスごめんなさい
>>272
賑やかな未来だなぁwwこれはちゃんとしたSSで見たいww
最後の人はまさか……
>>273
俺も早くこれと、クリスマス用のを書かないと…・・あぁ、根気がorz
>>274
PBM氏の遥さんがパワフルなので、ちょっと趣向を変えてみようかなとw
つってもこれから段々原作の遥さんに近づけていけたら良いなと。
リヒタ―ってツインアイがカッコいいんですよね。そこら辺を書けて良かったです
>>275
まだ1話ですからねー。ブレていかない様、軸足をしっかりと定めて書かないと
冒頭のアレやコレは、本編が終わった後に書くつもりです。ヴィルシャ2期の繋ぎとしての意味でも

それと皆さまが気になっている鈴木君の夢の内容ですが、非常に不健全な内容なので書けません。予めご了承ください
279創る名無しに見る名無し:2009/12/15(火) 01:05:09 ID:soWkDr0l
>>276
……パラグラムって何だ、パラべラムだよ
俺って何でこう……すみませんでした
280PGM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/15(火) 21:15:56 ID:KU/w0BFy
 フッ……どうやら私は名前を間違えられる事に定評がある男のようだなッ!

>>276
>>278-279
 私に1番近いキャラクターはヴァイスですかねー。ああ言えばこう言う的な意味でw

>……パラグラムって何だ、パラべラムだよ
 人に間違いは(ry
 まったく◆n41r8f8dTs氏はドジっ子だなぁw


 ……さて、と。
http://www.kotobukiya.co.jp/kotobukiyashop/img/7535_ad.htm
 お金どうしましょう。
281創る名無しに見る名無し:2009/12/15(火) 22:22:43 ID:JAMPojeF
◆n41r8f8dTs氏ドジっ子説、浮上!

>>276
ティマもメルフィーも乙女だよね。逆にPBM氏のほうは遥さんも珍獣もシロちゃんもたまちゃんもバイタリティが半端ないw
……って、普通の乙女はまどかだけかよ!

>>280
アンサングに引き続き水没王子ktkr!!これは嬉しすぎるw
282PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/15(火) 22:55:21 ID:KU/w0BFy
 ああ、そういえばスレがステイシスしてますね!

>>281
>……って、普通の乙女はまどかだけかよ!
 フフフフフフフ、その考えは甘いですよ奥さん。
 た だ の 女 の 子 が あ の ア ク が 強 す ぎ る メ ン ツ の 中 で 生 き の こ れ る わきゃねぇぇだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

 さて、落書きでも投下いたしやしょうかねー。
http://download2.getuploader.com/g/sousakurobo/220/SD_Ritter.jpg
 この前SDガンダムの話題が出たので勢いでやった。反省も後悔もしていないがクオリティは保証できない。

 やっぱりSDの凝縮された感じはボカァ好きだなぁ。
283創る名無しに見る名無し:2009/12/15(火) 23:08:08 ID:JAMPojeF
>>282
投下乙!SDになってもリヒターはかっこいいのう
てか、毎回思うんだけどリヒターの胸、なんかいないかw

>た だ の 女 の 子 が あ の ア ク が 強 す ぎ る メ ン ツ の 中 で 生 き の こ れ る わきゃねぇぇだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
やっぱりかあああああああああああああ!!
284GEARESの中身 ◆B21/XLSjhE :2009/12/15(火) 23:09:13 ID:dHzG/bYq
>>280
何、この水底がお似合いのネクスト?
メインブースターにお金突っ込んでお持ち帰りしますよ?

>>282
ナイトリヒターって感じが素敵です。
スダドアカワールドに飛ばされてナイトガンダムと共闘を妄想したのは自分だけでは無い筈。

何回描いてもロボ絵が謎の物体になってしまうorz
285創る名無しに見る名無し:2009/12/15(火) 23:11:46 ID:JAMPojeF
ageちまった、ageちまったよ俺……

罰として生体反応のデータを取られつつ神の国へのインド王を渡されてくる
286創る名無しに見る名無し:2009/12/15(火) 23:25:29 ID:soWkDr0l
>>281
女キャラが変に女々しいのは、多分俺が女々(ry
PBM氏のキャラは元気ですよねー。見てて微笑ましいというk
>>280>>282
ドジっ子属性は正直困……w直していきます、はいorz
ホント画力上がりまくりすげぇっす。普通にSDキャラとしてカッコよさと可愛さが両立されててすげぇ

まだ書けてないけど、2話はぶっちゃけリヒト&へ―ちゃん主役回の予定です
へ―ちゃんもしかするとヒロインかも
287創る名無しに見る名無し:2009/12/15(火) 23:33:13 ID:koMfDo3D
>>282
何このリヒター……凄く可愛い……w

>>284
SDガンダムは俺の青春(キリッ
武者シリーズに一発で魂奪われたもんなぁwナイトガンダムでは魔術師のνガンダムのデザインが好きだった……w

>>285
どんまい!
288創る名無しに見る名無し:2009/12/15(火) 23:38:51 ID:KU/w0BFy
>>283
>てか、毎回思うんだけどリヒターの胸、なんかいないかw
 多分炎神スピードルさんでs(ry

 すみません、間違えました。
 アレが本体でs(ry

 胸のアレ、バックブースタのつもりなんですけど、ふざけて目を描いたらなんかそれが定着しちゃいましてw

>>284
 まずはきっちり自立できるか、それが問題だ。

>ナイトリヒターって感じが素敵です。
 和訳すると騎士騎士ですな!

>スダドアカワールドに飛ばされてナイトガンダムと共闘を妄想したのは自分だけでは無い筈。
 ちょっと頭身が高いですけどねw SDGFのほうにならマッチすると思います。
 そういえば改めて見てみると、嵐の騎士トールギスに似てるなぁ。T様かっこいいなぁ。

>何回描いてもロボ絵が謎の物体になってしまうorz
 そんな時は模写から始めるのよ!

>>286
 実は元々SDのほうが得意だったんですよw

>へ―ちゃんもしかするとヒロインかも
 なん……だと……!?
 これはウ詐欺さんが何をしでかすかwktkが止まらない!

>>287
 私はバーサル騎士が好きでしたねー。
289創る名無しに見る名無し:2009/12/15(火) 23:42:36 ID:JAMPojeF
>>286
>へ―ちゃんもしかするとヒロインかも
嫁のメイン回とあらば期待せざるを得ない!

>>287
リヒたんはいつも天然かわいいよ!
俺、ペネ子がヒロインでも別に不自然じゃないと思うんだ……
290創る名無しに見る名無し:2009/12/16(水) 00:18:46 ID:xjcUtM1A
>>289
な、なんかアレなIDだな・・・
291創る名無しに見る名無し:2009/12/16(水) 01:01:36 ID:iBIRR+N8
>>289
何という熱いIDなんだ…
292創る名無しに見る名無し:2009/12/16(水) 01:16:35 ID:jItx0eyQ
>>289
 なんというJAMproject
293創る名無しに見る名無し:2009/12/16(水) 13:31:55 ID:nVU3MVMu
解除…
294創る名無しに見る名無し:2009/12/16(水) 13:59:35 ID:jItx0eyQ
>>293
 おめでとうございます!
295DSUの人 ◆a5iBSiEsUFpN :2009/12/16(水) 14:32:15 ID:nVU3MVMu
    ♪
          ♪ ヽoノ
              ヘ)
              く

解除♪ 解除♪
296 ◆n41r8f8dTs :2009/12/16(水) 17:13:04 ID:MAOxnhsJ
DS氏、規制解除の程、おめでとうございます!
これで本スレも活気を取り戻しますね!


入れ代わる様に自分、パソコンの方が規制されちゃいました・・・orz
297創る名無しに見る名無し:2009/12/16(水) 18:26:27 ID:jItx0eyQ
>>296
(゚Д゚ )
298創る名無しに見る名無し:2009/12/16(水) 20:58:39 ID:/k+2AoHQ
>>295
DS氏解除おめー!

>>296
何……だと……?

一体いつになったら全員の規制が解除されるんだorz
299創る名無しに見る名無し:2009/12/16(水) 21:36:31 ID:jItx0eyQ
 入れ代わりってのがまたえげつないですね……。
300創る名無しに見る名無し:2009/12/16(水) 22:58:09 ID:KVMdBYHn
お、前スレがいつの間にか落ちてる
301創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 00:08:40 ID:Q7aJdNEC
50メートル級のスーパーロボ一体運用しようと思うとどれぐらい費用掛かるんだろう。
設定考えるにも何を参考にしていいのやら
302GEARESの中身 ◆B21/XLSjhE :2009/12/17(木) 00:29:57 ID:/OYWY182
大きさの近い46.9mのスペースシャトル一機の建造費用が約2100億円で維持費が約800億円程との事です。
時代背景が現代であれば割と参考にし易い数字かと思います。
後はエネルギー源や装甲素材の確保は容易か否か。維持加工費は高いか安いか。
適当にそれっぽい数字にしてしまえば宜しいかと。
乱暴ではありますが、自己再生能力+エネルギー無限にして維持費はタダ!!とかw
303創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 00:35:58 ID:Q7aJdNEC
>>302
おお、ありがとう。となると今度はどこから費用をひねり出してくるかだなぁ。
そこら辺はもっと自分で設定ねらなきゃ。
304 ◆uW6wAi1FeE :2009/12/17(木) 00:41:36 ID:L9dncBJb
十字博士独占インタビュー

Q.50メートル級のスーパーロボ一体運用しようと思うとどれぐらい費用掛かるんですか?
A.機密もあるからハッキリとは答えるのは勘弁してくれ。
 だが俺の場合、ぶっちゃけ開発より費用の調達・捻出のほうが大変だ。

Q.俺の場合? 職員に経理担当とかは……?
A.ちゃんといるに決まってんだろ。けどまあ、それとは別の話でな。

Q.別の話?
A.別の話。

Q.別の話とは?
A.男も女も、あんましつっこいと嫌われるぞ。

Q.では国からの援助などは?
A.あるにはあるけど、それだけで成り立ちゃしねぇよ。
 てか、どうせ通常兵器なんて大して役にも立たねえんだし、数台分でいいから、予算こっちに回せよ。
 確かにある程度は数も必要だろうけどよ、国民の血税、バカスカ墜とされるもんに使ってどうすんだ。

Q.本日はどうもありがとうございました。
A.もっと他に訊くもんがある気がしてならないんだが。
305GEARSの中身 ◆B21/XLSjhE :2009/12/17(木) 00:48:04 ID:/OYWY182
>>303
参考になれば幸いです。シナリオの投下、心よりお待ちしております。

金脈を掘り当てた、石油を掘り当てた、欧米の宝くじ一等五回連続当選、ベガスで一生分の運を使い果たした。
世の中、整合性の取れていないネタとしか言い様の無い事が重なり合って流れていますし
多少、荒唐無稽なくらいが丁度良いんじゃないかなーとか言ってみるw
306創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 00:58:45 ID:AR6fx9sZ
うちの重装甲強化服はかつての全面核戦争を教訓に過酷な環境下での長期運用を前提としている。
光、熱、空気中の成分、水分を電力に変換する複合自然発電によって燃料は一滴も必要無い上、ただ動かすだけであれば半永久的に動作し、補給は不要。その代わり出力は低い。
全面核戦争で、過酷な環境に晒されると兵器は即使い物にならなくなる事が発覚したので、修理や整備、維持が最小限で済むよう死に物狂いで技術を発達。
その甲斐あって、戦闘で損傷した場合は別として、普通に動かすだけなら百年は一切の修理、整備などの手間が必要無い極めて優れた低整備性、低維持能力を獲得している……という設定。

と、ここまで書いて50m級スーパーロボット運用の話だったのだと思い出した……。
307創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 01:08:35 ID:E4zrnmik
>>302
 自己再生するのに維持費が必要なウチのオートマタは果たして乱暴なのか否か!

シロ<そこに自己進化と自己増殖があればラスボス並に乱暴でしたね>
リヒト「永久機関があったらさらに完璧だな」
シロ<では波動存在と接触でもしますか>
遥「二人が何を言っているのかわからないんだけど……」
シロ・リヒト「あ、接触者っぽい設定の人いた>

>>305
 まさに事実は小説より奇なり、ですねw
308創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 01:14:50 ID:/OYWY182
>>307
寧ろ、斬新かとw
自己再生するのに維持費が必要なマシンって版権物でありましたっけ?
自分の中ではPBM氏がネタ元なわけですがw
309 ◆tEulldVhj8h6 :2009/12/17(木) 01:41:32 ID:t5W3qbp1
資金繰りの話で個人的に一番衝撃を受けたのはボスが 資 本 主 義 の 胴 元 という某小説……
310創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 01:43:05 ID:E4zrnmik
>>308
 な、何かあったような気がするけど思い出せない……!

 とりあえず、設定的には『自己再生はするけど、再生速度はあんまり早くない』ので、完治までは時間が掛かります。6話の朝食時の会話がいい例ですね。
 それに損傷の度合いによってはもちろん使い物にならなくなりますし、マナが無ければ再生自体できません……確か。
 設定なんかを書いたブツが消滅したのでうろ覚えなんですけどw

 しかしロボのはずなのに全治一ヶ月とか、妙な感じがしますねw
311シクス:2009/12/17(木) 01:52:16 ID:wH8BVzT4
>>308
エヴァって違ったっけ?アレ使徒食って再生したりするじゃん?
まあ装甲は戻んないけど
312創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 01:52:40 ID:NyiZ0ofx
PBMのオートマタはロボットっていうより機械生命体って感じがするな。トランスフォーマーとかSDガンダムみたいな
313創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 01:55:24 ID:/OYWY182
そう言えば、マナの通り道ってライフラインとして作られた物だったんですよね?
更に自立行動にコミュニケーション能力。そして、全治一ヶ月…オートマタって実は人間!?

…人間か如何かはさて置き、オートマタを建造した文明って実は物ッ凄ェ高度な文明なのではとふと思った、たった今。
314創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 02:01:58 ID:vHkAtUvH
そりゃ、オートマタとか数万年(?)経過してまだ動いてるんだから、超高度文明が造ったんだろうなぁ。
315創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 02:25:48 ID:E4zrnmik
>>312
>SDガンダム
 多 分 そ れ だ !

>>313
 人間よりも能力は高いのに、人間に依存しなければ生きていけない。ある意味『荒野に生きる』のヒューマニマルと同じような存在かもしれませんね。
 あ、ちなみに自分の意思を持たないオートマタも存在します。具体的には9話のモヒカン達に連れられてたオートマタとか。

>>314
 かなり無茶な設定ですよねw
 きっと古代人達はドHENTAIだったに違いない。
316創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 16:43:52 ID:NyiZ0ofx
>>315
どんだけSDガンダム好きやねんw

>きっと古代人達はドHENTAIだったに違いない。
へーちゃんのようなけしからん機体(というかAI?)を作るあたりあながち間違ってなさそうだから困るwww
317DSUの人 ◆a5iBSiEsUFpN :2009/12/17(木) 19:00:37 ID:zGrgRvL2
>>265
超絶遅いながら感想をば。投下乙です!

こ、これはいいクロスオーバー!
確かに自分も遥さんが乙女チックに思えます。いいですね、こんな遥さんも。ナデナデしたい。


>>282
相変わらず進化が早い………自分も描かないと。
318創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 19:20:59 ID:E4zrnmik
>>316
 ええ、他にも(ガ――――ッ)や(ピ――――ッ)みたいな、明らかに趣味で作ってるようなブツがチラホラ。
 ……ここまで考えて思ったんですけど、遺跡を調査してて超高性能ダッチワイフとか出てきたら悲惨ですよね。

>>317
 これは進化ではない、ブレd(ry

>ナデナデしたい
 むしろ高い高いしたいでござる、高い高いしたいでござる!
319DSUの人 ◆a5iBSiEsUFpN :2009/12/17(木) 19:34:44 ID:zGrgRvL2
>……ここまで考えて思ったんですけど、遺跡を調査してて超高性能ダッチワイフとか出てきたら悲惨ですよね
ユリアのことk(ry


>むしろ高い高いしたいでござる、高い高いしたいでござる!

 遥「屋上」
320創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 19:49:08 ID:E4zrnmik
>>319
>遥「屋上」
 はい喜んd(グキッ
321創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 19:53:04 ID:NyiZ0ofx
是非腕四の字を極めていただきt(ペキョ
322創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 19:59:31 ID:SrBAVGR6
唐突ですが、
短編思いつきました

投下してもいいですか?
323創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 19:59:41 ID:P9MtAMn+
>……ここまで考えて思ったんですけど、遺跡を調査してて超高性能ダッチワイフとか出てきたら悲惨ですよね
俺が欲しいものはたった一つ!ユリアだアッーーーーー!

まぁ冗談ではなく真面目に考えて、オートマタのように極めて高度な代物を造れる文明なら、そういう物が遺跡から発見されてもおかしくないでしょうね。
ヒロインは性処理用に開発された、人間と全く同じ外見の自らの意思を持った美少女オートマタ!あまりにも斬新過ぎる設定!と思ったが、手塚作品でそんなのが既にあったような……。
324創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 20:02:31 ID:E4zrnmik
>>322
 どうぞ!

>>323
 ふむ……外伝でヤれそうですね、そういう話w
325DSUの人 ◆a5iBSiEsUFpN :2009/12/17(木) 20:04:49 ID:zGrgRvL2
しかし悲しいかな―――この場所では健全(?)でないと許可されないのであった………


>>322
こいっ!
326 ◆Ps/JE/do86 :2009/12/17(木) 20:17:33 ID:SrBAVGR6
場所はどこかの研究室

人間の脳内情報を電気信号化してロボットにコピーし
起動させようと試みる開発チーム、徹夜で実験だ

「博士、電気信号化のパターンを指示通り変更完了しました」

「ああ、御苦労、よし今度こそうまくいく筈だ」

「そのセリフ聞きあきましたよ博士w」

「そのリアクションもなw」

「博士、今回の方式ですとコピーに時間がかかりますので、
 このままお休みください」

「わかった、宜しく頼む」

俺は銀色のロボットの隣で
頭に配線したまま寝ることにする



朝起きた、あーよく寝た
ってか隣にロボットがいなーい!

その時、扉が開いて職員が入ってきた
「おはようございますっ」

「おはよう、ってかロボットは?」

研究職員ニヤリ
なんだその顔は…
その顔は…え、俺だ!?


「おい、みんな聞いたか?今のがロボットの第一声だ!」


終(みじかっ!!)
327DSUの人 ◆a5iBSiEsUFpN :2009/12/17(木) 20:28:27 ID:zGrgRvL2
>>326
((((;゜Д゜)))  世にも奇妙な物語を連想してしまった…
328創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 20:34:15 ID:E4zrnmik
>>325
 素材が何であろうと、それをどう調理するかは料理人次第ですぜ!

>>326
 ああ、なんだろう、なんか不思議な気持ちになったというか何というか。
 一瞬部下にハメられたのかと早とちりしてしまいましたw

>>327
 そ れ だ !
329 ◆Ps/JE/do86 :2009/12/17(木) 21:02:20 ID:SrBAVGR6
感想ありがとです

タモリさん見てますか?
見てたら好きに使っていいとも!

でもなぁ、映像でやると1分ももたないですしw
しかもオチもばれる罠w
330創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 21:17:28 ID:E4zrnmik
 演出次第では1分半くらいには引き伸ばs(ry
331創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 21:37:52 ID:SrBAVGR6
>>330
し、しかし、残りの約49分間は
どうすればいいんだ!!

ずっとタモさんが映ってるだけかw
332創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 21:44:41 ID:r72VVgNh
>>331
世にも奇妙な〜には
それくらいの短編をガンガン連続で入れる回とかもあったでよ
333創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 21:47:36 ID:E4zrnmik
>>331
 むしろタモさんのグラサンがずっと映っているだけというのはどうでしょう。
 ほら、物語じゃないけど非常に奇妙!


 さて、今月中に11話を書き上げたいのに、半分書いた時点で押すも引くもできないぞ!
 ……気分転換に落書きでもしようかしら。最近そればっかりな気もするけれど。
334創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 22:07:13 ID:SrBAVGR6
>>332
よ、ようし
じゃあ、あと30本くらい考えればいいんですね、

なんだか気が遠くなるんだが…

>>333
「世にも奇妙な物語じゃない」って
タイトル変わっちゃいますよおっ

俺は見ないぞ、見るもんか、
じゃテレビつけるかな(←見る気満タンやんけ!)


あ、絵投下どうぞ♪
お待ちしてます
335創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 22:31:08 ID:E4zrnmik
>>334
 ホラーからギャグまで様々なジャンルの話を考えなきゃいけないんで苦労は二乗ですねw

 さてさて、絵を描く前に身体を清めてきますじゃ。
336創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 23:08:22 ID:NyiZ0ofx
wktkwktk
しかしPBM氏のイラスト投下数は凄まじいものがあるな
337長目:2009/12/18(金) 00:17:57 ID:xaBlaOkc
お久しぶり
12月くらいには復帰とか言っときながら
まだもうちょいの間、復帰の目処が立ちませぬ
申し訳ない

もし難なら絵ロスオーバーは俺置いて進めちゃって下さい
それと、桔梗バアさんも今しばらくお待ちを……

――という報告だけなのも難なので
避難所弐号機>>936のネタを拾ってラフ画をでっちあげてみた
http://ux.getuploader.com/sousakurobo/download/221/Mikaduchi_Usosuit.jpg
338DSUの人 ◆a5iBSiEsUFpN :2009/12/18(金) 14:12:18 ID:gbtRtYEp
>>337
相変わらずナイス!
全身を見て早速保存して、もう一度見直してフイタ。ぱんつじゃないk(ry



フゥーハァーハァー 自分も年末から新年まで忙しいゼー
339 ◆Ps/JE/do86 :2009/12/18(金) 19:50:06 ID:N5Hhe8GY
>>337
大物プロデューサーに
「なんつーかもっと色気出ないの?」
と嫌な顔されて

スタイリストが慌てて、
じゃあ下替えてフロントを透かしますから、とか言って持ってきた衣装

(え、これつけるの? やだ、これ透けて見える…)

マネージャーが
「○○ちゃん、笑顔、笑顔!!この仕事大事だから、丁寧にね、ね、」
とか小声で注意する

そんなの…わかってるよっ彼女は唇を噛む、
現場で泣くわけにはいかないもん

「じゃあカメラテストいきまーす」

せわしなく動くスタッフさんたちの声がスタジオに響く

マネージャーは心配そうにプロデューサーの顔色を伺ってる…
もう、これ以上迷惑はかけられない…

それなのに、カメラの前で、上手に笑えない自分も
笑おうとする自分もキライ!

どうしてなんだろう、ずっと憧れていた世界に飛び込んだはずなのに…

 〜あたしね、オーディションに合格したの♪〜

 〜まじか、スゲーよ○○!頑張ってたもんな〜

 〜まーね!!来年上京するんだ、だから思い出いっぱいつくろうねっ〜

ばかだ、あたし、ばかだよ
あたし、アイツの前では
いっぱい笑ってた、いっぱい泣いてた

みんなアイツのおかげだったんだって、今わかった


完(←よしこれで残り28本)←おぃこら

神さまへ
投下乙です、つい便乗してしてしまいました、ごめんなさいm(__)m
しかし何処がラフなのか判りません、ハイクオリティーは、やはり流石です
340PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/18(金) 22:28:02 ID:+TXziMC/
>>337
 チョーさんお久しぶり&投下乙です!
 なんてセクシーなの……! とても私には真似できない……っ。
 いやはや本当にえろいですなぁ、かっこいいですなぁ。鳥居みたいな形の首輪が素敵ですw

 待ってるので、いつでも帰って来てくださいなー。


 さて、自分もチョーさんには遠く及びませんが、落書きをば投下いたします。

http://download4.getuploader.com/g/sousakurobo/222/Rakugaki.jpg

 突貫なのでへーちゃんが残念な事になってますが、あまり気にしないでください、私は気にします。

 ついでに◆n41r8f8dTs氏に伝え忘れた設定をば。

■まどかは本気を出す時に髪をポニーテールに結う癖があります。
341創る名無しに見る名無し:2009/12/18(金) 23:43:06 ID:N5Hhe8GY
>>340
やっぱこうなるとひとりだけ怒りますわな!
(*´д`*)だがそれがいい!
でもやっぱり一読者としては、そろそろ狐ロボの勇姿を見せて欲しいな
342長目:2009/12/19(土) 00:33:03 ID:XMUuGwpF
>>338
>ぱんつじゃないk(ry
リツコ「これが新たにデザインされた、ニュープラグスーツよ」
アスカ「なによこれえ! パンティ丸見えじゃない!」
マヤ「まさに、脳天直撃な格好ですね」
リツコ「ああ、インナーね。その方が殿方にうけるのよ」
ミサト「いーんじゃないの、わっかいんだからあ!」
――というエヴァのドラマCDを思い出したw

だがしかし残念、あの部分は単なるスーツの繋ぎ目なのです
肌が出てる部分は顔・肩・手しかないよ! 下半身はガッチリガードだよ!
パンツじゃないから恥ずかしくないよ!

ついでにいうと、あの部分のモチーフはパンツじゃなくてフンド(ry

>>339
この手の話が超弱点な俺は、3日間は凹むこと必至!w

つうか若干、誰を描いたか伝わってないんではと不安に囚われたので説明をば
ミカズチの春日祈さん(の、嘘パイスー)を描かせて頂きました

>>340
これは良いヘソ
ウ詐欺やペネ子に比べると、たまちゃん不遇だなあw

>鳥居
気付いてもらえると嬉しいですなw
あと余談ながら、スカートの端の模様は春日大社の家紋だったりとか
343創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 00:35:47 ID:w9s8IhbC
>>340
投下乙!
たまちゃんがかわいくなってるwwwペネ子とへーちゃんはなんか武装神姫みたいだな

>■まどかは本気を出す時に髪をポニーテールに結う癖があります。
こういう特徴って面白いよね
344創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 00:54:35 ID:hPE5oUZb
>>341
 11話はたまちゃん&まどかメイン回の予定です……が、果たしてどうなるやら。

>>342
>ついでにいうと、あの部分のモチーフはパンツじゃなくてフンド(ry
 おっきしますた。

>ウ詐欺やペネ子に比べると、たまちゃん不遇だなあw
 機体のデザインが全然決まらないので……。やっぱり背部・臀部に合計九つのスタビライザー兼武器コンテナ装備可能というのは無茶だったか……!
 九尾時の自立は諦めたんですけど、なかなか尻尾みたいにならないんですよね。
 ちなみに作者自身はたまちゃん大好きであります。ついでに言うと、好きだからって強くし過ぎて扱いが難(ry

>スカートの端の模様は春日大社の家紋だったりとか
 どこかで見た事があると思ったら――――!

>>343
 本当にかわいらしくなっちゃってまぁ。描いた本人もびっくりですw
 デフォルメという事でここはひとつ。
345創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 01:26:07 ID:XMUuGwpF
>>344
>背部・臀部に合計九つのスタビライザー兼武器コンテナ装備可能というのは無茶だったか……!
想像するだに難易度高そうだ……!
たしかに背面にそれだけパーツをつけると、スタビライズするどころか後ろへ重心が――
あ、だから前方へバランス取るべく胸が大きうわたまちゃんなにをするやめ

>作者自身はたまちゃん大好き
PBM氏は、見てて清々しいほどにキャラ愛溢れ出してるのが伝わってきますわw
346創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 01:44:26 ID:hPE5oUZb
>>345
 何も考えずに配置したら確実に某スト○ライク○フ○リーダム閣下みたいになりますねw 前屈みじゃないと立てないという異常事態。

>見てて清々しいほどにキャラ愛溢れ出してるのが伝わってきますわw
 子供が出来たら親馬鹿になるのは間違いないと友人に言われたばかりでございますw
 とりあえずこの愛が歪んだものにならないように注意しないと。
347創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 02:03:38 ID:w9s8IhbC
>>346
かぐや消しやめいw

>とりあえずこの愛が歪んだものにならないように注意しないと。
愛が愛を重すぎるって(ry
348自分で自分がわからない男>>882 ◆MVh6W.SAZtbu :2009/12/19(土) 16:34:27 ID:Bu2ssri/
>>337
相変わらずナイス過ぎて言葉も出ねえぜ! ついでに>>342>パンツじゃなくてフンド(ry でヒャッハーだぜ!

>>340
こいつもナイスだ! ナイスだが…… 冷静に見て考えてみるとペネ子の股間がヤバくないか……?

>>346
デストラウも前傾姿勢(というより胸ブロックが前に出ている)じゃないと立てないよ!
まあアイツは最初からそういう姿勢が基本というデザインにしてあったんで押し通せたけど。

>たまちゃんの尻尾の話
もう尻尾接地させちゃうとか、三つに割れて見えるブロックを三つ搭載することで3×3で9に見せるとか。

さてロボスレの諸兄は素晴らしいイラストを見た後でわけのわからなさにあっけにとられる準備は出来たかな?
少し前から戦国時代ロボ物の話がチラホラ出てたんでワタクシちょっと描いてみたもんがあるんですが……

 URLを貼る前に言っておくッ!
 おれは今おれ自身のわけのわからなさをほんのちょっぴりだが体験した
 い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……
 あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
 『おれは戦国時代だっつってんのに好きだからというだけの理由で大鎧をモチーフにしたばかりではなく
  いつのまにか謎な物体を描いていた』
 な… 何を言ってるのか わからねーと思うがおれも何をしたのかわからなかった… 頭がどうにかなりそうだった…
 ユニークな発想だとか独創的なデザインだとかそんな褒め言葉で済まされるもんじゃあ 断じてねえ
 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

これ↓は一体…… 何だ? 誰か教えて下さい。
ttp://dl7.getuploader.com/g/sousakurobo/223/kisenaga.jpg
349創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 17:27:44 ID:bgq8rNmQ
先にLEGOでロボット組んでる
ようやく全機大まかに組んだからそろそろ始めようかね
350創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 22:18:39 ID:00f7cldH
第一回バリアはどう使うべきなのか会議
守るだけじゃ物足りないからもっと変わった使い方があると良いな
351創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 22:23:03 ID:WK+sdN9h
>>348
>http://www.youtube.com/watch?v=5cijFsXVClw
27年前に“太陽の牙ダグラム”のクラブガンナーが既に通った道をなぞっただけのメカだな
極普通だ。
352創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 22:24:52 ID:hY9Uv6bE
>>350
基本:バリア纏って殴る蹴る
応用:バリアを飛ばしたり、カッター状にして斬ったり
自爆:バリアを張った状態で爆発し、エネルギーを内部に集中させる
外道:バリア展開して内部に毒ガス放出
353 ◆YHSi90Gnr2 :2009/12/19(土) 22:24:58 ID:e1Eczcxv
>>337
…………………(゜д゜)
………………φ(゜д゜)<取り敢えず保存、っと
………………………………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?ちょwこれw

あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!
「俺はただ会話の流れで冗談を書き込んだ、そうしたらいつの間にかヒロインの萌え指数が7割上昇していた」
何を言っているか(ry

常々思っていたけどもう絵師様方には足を向けて寝られんね。いやマジで○|_|
書き手の一人としてこの有り難さは文章で返すしか無いのだが……あぁもう第二話で躓きすぎだろ俺orz
…………が、頑張るよ!?

というか
<春日大社の家紋
で、あぁ、ここまで調べてくれていたんだ、と不覚にもジンと来たw長目氏に心から感謝を!
354創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 22:49:47 ID:w9s8IhbC
>>351
なあ、それは笑っていいとこなのか?www
355創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 22:52:38 ID:TZP/+rmk
ダグラムと大帝国紹介ムービーに何の関連性があるのだろうか?
356創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 22:57:18 ID:hPE5oUZb
>>347
 理解を拒んで憎しみに変わるんですね、わかります。

>>348
 何、この……何!? 巷で言うキモカワイイというヤツなのかこれは!?
 なんというか、これが走ってるとこ想像すると非常にシュールですw

>冷静に見て考えてみるとペネ子の股間がヤバくないか……?
 地肌じゃないから恥ずかしくないもん!
 強化スーツとかそんなノリですのでw

>もう尻尾接地させちゃうとか、三つに割れて見えるブロックを三つ搭載することで3×3で9に見せるとか。
 前者は採用する予定です、三本くらい。
 後者は……どうしましょう、アリかもしれないけど別々に動かせるほうが弄る時に楽しいですし……。

>>349
 よし、うpを要求するっ!

>>350
 基本攻撃にしか使っていないウチのペネ子は隙だらけだった。

>>351
 隊長! リンク先がある意味普通じゃありません!
357創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 23:04:04 ID:w9s8IhbC
>>355
>>351にしかわからない何かがあるのではなかろうか。いやきっとそうに違いない

>>356
>別々に動かせるほうが弄る時に楽しいですし
ガシガシ遊べるからね……って玩具かい!
でも確かにギミック多いほうが見せ場も作りやすいよね
358創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 23:20:20 ID:hPE5oUZb
>>357
 そしてその“何か”が何なのか考えるのが我々の役目ですね!

>ガシガシ遊べるからね……って玩具かい!
 Exactly(そのとおりでございます)
 玩具にした時に面白そうなのがいいかな、とw
 とりあえずペネトレイターはシンプルに、ヘーシェンは逆関節への変形機構と腿の武装ラック、ヴァルパインは九本のスタビライザーがセールスポイントですね。
 ……改めて考えてみるとヘーシェンって脚部にギミックが集中してるなぁ、さすがウサギさん。
 あ、多分三機の中ではヴァルパインが1番玩具的に楽しめると思いますw

>でも確かにギミック多いほうが見せ場も作りやすいよね
 00のセラヴィーとか印象に残りまくりですもんね。
359創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 23:25:46 ID:hPE5oUZb
 ちょっと訂正をば。

× シンプルに
○ 可動域の広さ

 なんか腕部が怪しい感じだけど、そのへんはなんとか工夫すれば……!
360創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 23:36:39 ID:uj6eQLBQ
・反射攻撃特化(モリビト2号)
・バリアの反発力を利用して空を飛ぶ
・バリアで自重による崩壊を防ぐ(ベヘモス)
・パントマイムする(バリヤード)
361創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 23:41:21 ID:w9s8IhbC
>>358
>三機の中ではヴァルパインが1番玩具的に楽しめる
換装は男のロマンだしね!

>>360
おい最後www
362創る名無しに見る名無し:2009/12/20(日) 00:01:53 ID:hY9Uv6bE
363創る名無しに見る名無し:2009/12/20(日) 00:21:29 ID:M9imoqwO
>>362
 ラファエルはガ系列の面影がありますね。ハルートはアリオスとアーチャーを合体させた感じ、クアンタは00とエクシアでしょうか。……しかしサバーニャの板チョコは一体何なんでしょう。

 クアンタだけシンプルなので、ひょっとすると劇中で強化されるかもしれませんね。
364創る名無しに見る名無し:2009/12/20(日) 00:27:00 ID:B+bNSDDz
>>362
板チョコ吹いたw
しかしクアンタはともかく他の三機はプラモ化した時に自立できるんだろうか……特にラファエル
とりあえずハルートかっけえ
365芸人失格な>882 ◆MVh6W.SAZtbu :2009/12/20(日) 00:40:33 ID:N1lSmABF
>>350
>バリアの使い方
相手の周りに発生させて捕まえる。何のためにかだって? そんなこと俺にもわからないよ!

>>351
>クラブガンナーが既に通った道をなぞった
しまったそういう勘違いをさせてしまったか…… いかんスベった……

>>356
>別々に動かせるほうが弄る時に楽しい
なるほど、そういう考えがあるわけですね。とすれば確かに一本一本独立していた方がいいですね。

>>357
>玩具にした時に面白そうなのがいいかな、とw
実は知らぬ間に地味に俺は師と同じ道をたどっていたのか……?
俺も「模型にしたときに『これは(構造・機構的に)こういうふうになっているんだあ』
ってわかるようになってると嬉しい」
という発想を持ってるので。

>>353
あ、すみません◆YHSi90Gnr2氏、他スレの話で申し訳ないんですけど、避難所2スレ目の>>953に貼ったデザインの確認お願い出来ますか?
366芸人失格な>882 ◆MVh6W.SAZtbu :2009/12/20(日) 00:54:31 ID:N1lSmABF
>>362
……右下に痩せたゴルディーマーグがいないか……?
367 ◆YHSi90Gnr2 :2009/12/20(日) 01:07:26 ID:PloRPNsQ
>>365
申し訳ないレス見落としてた様ですorz
キャラデザインはtake2で本決まりということで宜しくお願いしますm(_ _)m
バンダナにつきましては……んー、

正方形の布を一回対角線で折って三角形を作る→折った底辺部分を額に当てる→頭頂部側にある頂点を後頭部に持って来る→底辺側の頂点二つを、頭頂部側の頂点を押さえるように頭の後ろで結ぶ

という感じでイメージ出来ますかね?
368創る名無しに見る名無し:2009/12/20(日) 01:09:17 ID:M9imoqwO
>>365
>相手の周りに発生させて捕まえる。
 そしてそのままバリアを収縮させていく……なんてのをリヒターの必殺技にする予定だったのは秘密だ!

>俺も「模型にしたときに『これは(構造・機構的に)こういうふうになっているんだあ』
>ってわかるようになってると嬉しい」
>という発想を持ってるので。
 けっこう頻繁に模型を弄ってるとこうなるんですかねw
 実は最初は極力線を減らそうかとも考えてたんですよ、最初描いたヘーシェンからさらに。だけど駄目でしたw
 シンプルなのって逆に難しいですよね。

>>366
 映像診る限り背中のアレは有線式のビームキャノンっぽいです。
 しかし流石元フロム社員だぜ柳瀬氏。変態っぷりが滲み出てらっしゃる。
369 ◆n41r8f8dTs :2009/12/20(日) 01:10:32 ID:FvbVOJCv
何でこうも忙しいのか・・・orz
落ち着いて感想が書けなくてすみません。ハイレベルな力作の投下、真に乙です>絵師さん方

クロスですが、日曜〜月曜に出来そうです
代理の程、よろしくです
370芸人失格な>882 ◆MVh6W.SAZtbu :2009/12/20(日) 01:33:36 ID:N1lSmABF
>>367
Ja wohl!
>バンダナ
たぶんその説明で理解できたと思います……
どうもバンダナのことを、もっと「すっぽりと頭を覆うもの」だと勘違いしてたみたいです。
するとバンダナ部を一から描き直す必要があるな……

>>368
>けっこう頻繁に模型を弄ってるとこうなるんですかねw
微妙にずれますけど、モデルグラフィックス(だったと思う)で、押井守がアヴァロンの制作に関して
三次元のものとしてそれぞれの角度から見た目の決まるデザインを作るのが難しい、っていうようなことを言ってましたね。

あと怪獣描いてるとその必要もないのに人が入れるように考えちゃうのは基本だw

>シンプルなのって逆に難しいですよね。
難しいですよね……
371DSUの人 ◆a5iBSiEsUFpN :2009/12/20(日) 09:48:50 ID:Rxmsz/ke
ポニーテールの匂いを嗅ぎつけたが……この静寂……遅かったというのか。
372創る名無しに見る名無し:2009/12/20(日) 10:29:24 ID:M9imoqwO
>>371
 全然遅くないよ! よ!
373DSUの人 ◆a5iBSiEsUFpN :2009/12/20(日) 11:49:53 ID:Rxmsz/ke
とりあえず、投下された画像は全て保存していくぜ!
374:2009/12/20(日) 15:14:08 ID:I9AZO5vS
そろそろケリが付きそうです、どう転ぶかはわかりませんが…
一応依頼イラストの方を、時間が無いのでラフですが
http://ux.getuploader.com/sousakurobo/download/224/%E7%A5%88%E3%81%95%E3%82%93.JPG
夜にもう一枚何か投下するかもしれません、では
375創る名無しに見る名無し:2009/12/20(日) 16:01:13 ID:hZ4rDXSZ
>>374
乙です、かわいいやw
この祈さんも(≧ω≦)d
376創る名無しに見る名無し:2009/12/20(日) 16:16:53 ID:M9imoqwO
>>374
(゚∀゚)o彡 おっぱい! おっぱい!
 やはり筆氏の女の子はえろいですなぁ、えろいですなぁ。

 しかしこれでラフとは……いやはや恐れ入ります。
377 ◆Ps/JE/do86 :2009/12/20(日) 16:17:02 ID:hZ4rDXSZ
>>348
僕の家には鯉のぼりがない、兜もない、それなのに姉ちゃんの雛人形はあるんだよ、ずるいな

「あらあら困ったねえ、それじゃ ばあちゃんが古新聞で兜を作ってやろうかねぇ」

「えー!なんで折り紙なのさ、上杉くんのは黒くて金ピカだし、
 織田くんの兜は電動で歩くんだよ!節駆(せっく)っていうんだ、めっちゃかっこいい!大砲だって付いてる、ねえ僕にも買ってよぉ、みんな持ってるんだからさぁ」

母さんは溜め息をついた
「みんなって誰よ?」

「みんなって、みんなさ」

「織田くんと上杉くんだけでしょ? よそはよそ、うちはうち、わかった?」

母さんはいつもそればっかり

「あんたどうせまた友達とチャンバラごっこしたいだけでしょ!?おばあちゃんの紙の兜で充分じゃないの」

あーあ、つまんないな、僕はみんなと同じがいい、違うといやなことばっかりあるんだ

不公平だよ、なんで僕にチンチン無いのかな、赤いランドセルだって恥ずかしくていやだよ

上杉くんの兄さん、来年卒業するんだ、貰えるといいなあ…

家庭訪問の日、先生が来た

「お母さん、お宅のお嬢さん最近黒いランドセルで通学してますよ」

「いけませんか?」

「は? いえ…ただ目立ちたい年頃なのはよく判るんですが集団生活ですから、みんなに合わせるようにしないと…それに普通女子のランドセルの色はどの家庭でも…」

「先生、よそはよそ、うちはうちなんですw」


【完】 おかげさまで残27
378DSUの人 ◆a5iBSiEsUFpN :2009/12/20(日) 17:36:17 ID:Rxmsz/ke
>>374
自分ならこれで完成レベルがラフだと………ソウカオマエガドミナント……

>>377
え?
379 ◆YHSi90Gnr2 :2009/12/20(日) 17:38:17 ID:PloRPNsQ
>>374
…………………(゜д゜)
………………φ(゜д゜)<取り敢えず保存、っと
あれ?この前同じ行動をしたような?w

和風美人な祈さん投下乙です!ラフといいつつ相変わらずのクォリティー!
かわええのぅwかわええのぅwそして巫!女!服!!イィィィヤッハァァァァァァ!!
>>337の長目氏の投下から脳汁出っぱなしだぜ!w

俺の第二人格が「You!あのパイロットスーツ正式採用しちゃいなYo!!」と騒いでいるがそれはまた別な話

絵師様に足を向けて寝られないからそろそろ足が痺れてきたぜ○凹
380:2009/12/20(日) 18:44:37 ID:UIdKkSLh
>>375−376
ありがとうございますm(_ _)m
エロいのはきっと描いてる人がエロいからd(銃声
>>378
よく見ると雑だからよく見ないのが優しさですww
>>379
受け取れ、俺の悪ふざけ!
http://ux.getuploader.com/sousakurobo/download/225/%E3%82%AD%E3%83%84%E3%83%8D%E7%A5%88%E3%81%95%E3%82%93.JPG
うん、勢いでやった、今は反省している
381351:2009/12/20(日) 20:58:33 ID:a9pw/2vy
>>354-358

…… 気にするな…… 単なるコピペミスだ……
俺は…… 気にしない事にする……

>>365
滑る事を恐れていては、芸人はやってられない……
382創る名無しに見る名無し:2009/12/20(日) 21:11:58 ID:PloRPNsQ
>>380
  `¨ − 、     __      _,. -‐' ¨´
      | `Tーて_,_` `ー<^ヽ
      |  !      `ヽ   ヽ ヽ
      r /      ヽ  ヽ  _Lj
 、    /´ \     \ \_j/ヽ
  ` ー   ヽイ⌒r-、ヽ ヽ__j´   `¨´
           ̄ー┴'^´

むぅ……やはり貴殿とは良い酒が飲めそうでござるなw
これも即座に保存フォルダ行きになりますたw
383創る名無しに見る名無し:2009/12/20(日) 21:23:32 ID:M9imoqwO
>>380
 狼に見えてしまった俺僕わっち……。
 しかしなんというおっぱい。けしからん、もっとやれ。

>>381
 知ってるよォッ!
384遅筆:2009/12/21(月) 17:51:25 ID:n4iVAny+
リアルの事情の方が決まりましたので報告します

結論から言うと、駄目でした…
内容は個人的なことなので書きませんが、自分自身の力不足が全てです
なので、自分はこのスレから消えることになります…
受けた依頼は責任を持って全て完成させますが、その後は来ることは出来なくなると思います
(イラストは完成次第不定期で投下していきます、すみません)
7月の終わりから、五ヶ月間程度の短い間でしたが、このスレでの皆さんとの時間は非常に楽しい時間でした、後悔はありません
久しぶりに自分の好きな絵を思い切り描けた、貴重な時間でした
それだけに勝手な理由で消えることになり申し訳ありません、色々な方にもご迷惑をかけたかと思います、本当にすみません
自分の奔放さを許容し、支えられたからこそ、自分らしい絵が描けたと思っています、本当にありがとうございました
これからもこのスレが発展することを願い、影ながら応援していきたいと思います



最後に、本当にありがとう!!最高に楽しかった!!
またいつか会えるならその日まで、じゃあな、皆!!('A`ノシ
385創る名無しに見る名無し:2009/12/21(月) 18:38:31 ID:GKPkTZBF
なん…だと…
386創る名無しに見る名無し:2009/12/21(月) 18:42:35 ID:XwhsPDVH
また会える時を待っていますよ
387 ◆n41r8f8dTs :2009/12/21(月) 18:43:47 ID:0ZQ5Hxfy
>>384
駄目、でしたか・・・orz
非常に残念ですが、リアルでのトラブルなら仕方ないですね・・・今まで可愛い&カッコイイ、ハイセンスなイラストを投下してスレを沸かしてくれて、本当に有難うございました
今後の投下を楽しみにすると共に、いつでも戻って来て下さいね。遅筆さんの事、皆待ってますから

短い間でしたが、本当にお疲れ様でした
貴方の席は、いつまでも空けてます
388パラベラム! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/21(月) 20:42:18 ID:EQhIvgsK
>>384
 そうですか……それは残念です。残る作品の投下を楽しみにしております。
 それにしても、半年も経ってなかったとは意外ですね。

 何年か後にひっそり帰ってくる事を、ちょっぴり期待しつつ……お元気で!
389 ◆klsLRI0upQ :2009/12/21(月) 20:45:07 ID:aXajyk2u
ありでしたー><
自分は画才が皆無な為、いろいろデザインしてもらえて凄くうれしかったです

お元気でー
3906スレ目>>882 ◆MVh6W.SAZtbu :2009/12/21(月) 21:07:59 ID:ZkXvR4Y3
>>384
ちょっと呆然としてしまって何をどう書いたらいいかわからないですが、
結局他の方と同じく残念であるということ、素晴らしい投下に感謝していること、
再び戻ってくることを期待していることをお伝えするしかありません。

パラベルム氏も言っておられますが、半年経っていなかったんですね…… 思わず確認して少々驚いております。

それから、好きな絵が描けた、とか、勝手に消えて申し訳ない、とかの点ですが、
本来知り合うはずのなかった人間同士が、何らかの共通項に引き寄せられたとはいえ、
多分に偶然の要素によって互いの生み出した何ものかを知るようになれる、
ということが、インターネット、掲示板の大きな意義の一つではないかと愚考している次第です。

遅筆氏とロボスレ住人にその機会をくれたインターネットに感謝して。
また会いましょう!
391 ◆YHSi90Gnr2 :2009/12/21(月) 21:16:11 ID:K7/4LE1n
>>384
そういう話になってしまいましたか……
遅筆氏には拙作のキャラクタを素晴らしいイラストにして頂き、心底感謝しております!
いつかタイミングが合ったときに、またこのスレに戻って来て頂きたい!
そんでまた騒ごうぜ!w

貴殿のこれからの活躍と無事な帰還を祈って!(`・ω・´ゞ ビシッ!
392パラベラム! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/21(月) 22:06:42 ID:EQhIvgsK
 ちょっと早い卒業式でしたねw
393 ◆Uu8AeR.Xso :2009/12/21(月) 22:09:05 ID:Ipu5ufrt
>>384
                     _                 (  信.  信   余   )
                      ,r'⌒  `ヽ             )  じ  じ  は  (
                  ( (  ,.  ┴─ .         (   た   ぬ      丿
                     ゝ  ´   /     \        )  く           (
                       「     厂ッヘ ̄\ ',      (    な         )
                  リ    ./  ,==≧v ,ィ}       ノ   い          /
                   /    {  〃   j 「`'}      \             ノ
                     /    .|  r--、_ イ }       ゝ─っ  .-─'′
                    ,イ      | 彳 ̄` ‐.マ}ノ        --==彡 ' 
               r'´ :l  \  .| {_,,_  //
           _/   ゝ.   \\    `´/
        / ̄            ミ≧rrrイ
       /                 ヾツ\
      /         \                \
    /           \                ノ. \
. /        .-‐===キミ、_____∠彡=≧
. '       / ̄ヽ         ∨://///V///// /  ̄\
       /    |  / ̄ ̄ ̄∨////////// /    \
     /      |  / r──-く^V://///// //      ヘ


と言いたいのが本心ですが、事情があるのなら仕方ないですね……。
何時かリアルが落ち着く時が来るのであれば、又来てください。
それでは…何時か又、このスレでお会いしましょうね!
394創る名無しに見る名無し:2009/12/22(火) 19:22:00 ID:RXbmkKPJ
 たまちゃんのデザインもPBMの11話もいっこうに進まない僕はどうすれバインダー!
395創る名無しに見る名無し:2009/12/22(火) 19:49:25 ID:YkmgF+4S
全裸になって宇宙の意思を感じるんだ!
396創る名無しに見る名無し:2009/12/22(火) 19:51:51 ID:RXbmkKPJ
>>395
( ゚Д゚)そ れ だ !
397創る名無しに見る名無し:2009/12/22(火) 20:00:31 ID:YkmgF+4S
ところでIDがブラァッ!ア゛ーツーエ゛ッ!なわけだが
398創る名無しに見る名無し:2009/12/22(火) 20:03:25 ID:RXbmkKPJ
 おお、本当だ! 許せん!
399創る名無しに見る名無し:2009/12/22(火) 21:12:41 ID:c8rlxY6t
だが許せる!
400PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/23(水) 00:05:52 ID:WfiaHPI1
 やっつけでとりあえず大まかな形だけ描いてみました。<たまちゃん

http://download1.getuploader.com/g/sousakurobo/227/%E7%8E%89%E8%97%BB%E5%89%8D%28%E4%BB%AE%29.jpg

 ……ははっ、こいつはヒデェや。120%修正入りますね。
 下の二本をアウトリガーにしようと思ったんですが、今はとりあえず(仮)ということでアルケーのファングコンテナみたいなのくっつけときました。
401創る名無しに見る名無し:2009/12/24(木) 01:31:59 ID:k9V1t1Rn
>>400
かっこいいじゃないか!ちょっと巫女さんっぽいのがツボだw
へーちゃんやリヒターもどんどん改良されてったわけだし、これからに期待せざるを得ない

さて、人いないのでネタになりそうなものを
http://www.fromsoftware.jp/not-xmas09/wpaper/
これはひどい
402DSUの人 ◆a5iBSiEsUFpN :2009/12/24(木) 12:25:22 ID:uK2n/YlU
>>401
クリスマスの装飾から光が逆流する……!
403 ◆Ps/JE/do86 :2009/12/24(木) 12:48:03 ID:fE8fJRky
>>400
乙です
やはり尻尾が難しいですな
ちょっと自分なりの解釈になりますけど件の狐ロボ描いてみてもいいですかな?年内には間に合わないかも知れませんが…

ところで、リヒター様の胸に顔があるのはファンの間ではすでに常識ですが
実は、たまちゃんの肩にも某有名マシンが埋まっておりますってか師匠!これは大胆不敵すぎると思いますw まさに嘘だと言ってよバーニィーです

気付かなかったうっかりさんは、こっそりもう一度見直してくださいませ
404DSUの人 ◆a5iBSiEsUFpN :2009/12/24(木) 20:27:24 ID:uK2n/YlU
.: : : : : : : : :: :::: :: :: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::☆:::::::+::::::::::::::
  . . : : : ::::/⌒ヽ: ::: :: : :::: :: ::: ::: :::::::::::::::::::::::::..,,::。:+:::::::::::::::::::::::
  . .... ..::::/  <`O:: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::+,::o;;::・;,:::::::::::::::::::::
     ⊂ニニニ⊃. . .: : : ::: : :: ::::::::: ::::::::::::::::..<;;::・,,::;ゞ;;o;*::.:::::::::::
     /:彡ミ゛ヽ;)ー、. . .: : : :::::: ::::::::::::::::,,;;;<;+::;;;´;*::o*:,,;;ゞ;;::::::::
    ./ /ヽ/ヽ、ヽ  i. . .: : : :::::::: :::::::::::;;;*;;;〇;ゞ;*::;;:<;;;*;:;ゞ;;o;
   / / 。  ヽ ヽ l   :. :. .:: : :: ::<;;;;〇;ゞ;*::o,ゞ ;*;;;;*ゞ;*:o
  ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄     ;;;*;;;〇;ゞ;*::;;;;;*ゞ;*::o, 〇;;; *
                       : : : : : : llllllll : : : : : :
                           田田田




遅筆氏がまた帰ってくることを祈りつつ……
妹(愛犬)を可愛がりながら今日は去りますね。
405◇n41r8f8dTs:2009/12/24(木) 22:04:59 ID:PBQ5hiFE
今日は聖夜、もとい性夜だ。しねリア充共。まぁ良い。俺は腹に溜まっている今日へのルサンチマンを紛らわす為、ここ、学生食堂にやって来たのだ。
早速お気に入りの月見うどんを啜っていると、クマさんと呼ばれる程の大きな腹とオタ必須アイテムな黒ブチ眼鏡が特徴の森田が話しかけてきた。
「よぉたけちゃん。最近どう?」
「元気だ。駅前のリア充をツリーに吊るしてやりたい」
「相変わらず元気だね。そうそう、知ってる? 最近聞いた噂なんだけどさ」

「フェリットフェアリーがさ、人がいない方向を指さしたりするんだって。まるでそこに人がいるみたいに」

俺は森田のその言葉を一笑した。つまりそれは幽霊を見たって事だよな。ははっ!(某ネズミーランドの黒ネズミ的な声で
ありえない。そんな現象は絶対にあり得ない。モニターの中の嫁が朝起きると現実で朝食を作っているくらいあり得ない
どちらかというと、俺は超常現象に対しては面白いと思っているので否定派ではないものの、幾らなんでもそれは無い。
俺が何故森田の発言を否定するのか、その理由はただ一つだ。

ロボットが、幽霊を見る筈が無いからな。

                               Holy ghost ?

ヘトヘトになりながら4コマ目まで終えて、凄く凄く重い足を引きずって、ボロアパートへと帰る。階段一段を昇る度に感じる鈍痛。
ぐちゃぐちゃになっているポケットからどうにか鍵を取り出し、ドアノブに差しこんで回す。少しでも力強く回したらポロって取れちまいそうだな。
電気を付けると、一人暮らしの大学生らしい散らかり放題のカオスな部屋が広がった。

どうにか物が散乱して滅茶苦茶な中を行く。カバンを適当に放り投げて、俺の魂の休み処であるこたつの中へとダイブ。
さぁて、俺の至福の時間がキマシタワ―っと……こたつの上のテーブルで、ちょこんと座っている小さなコイツの頭を、人さし指に二回叩く。
するとコミカルな電子音と共に立ち上がると、両足を揃えてコイツが俺にお辞儀をする。

『おはようございます、ご主人様』
「おう、おはよう、コスモス」

俺が話しかけているコイツの名はコスモス。正確な名称は汎用小型生活パートナーEGR-5-3。
通称フェリットフェアリーという、全長6〜8cm程度の女の子の形をした小さなロボットだ。

コイツが開発された背景には、身寄りが無い老人の話し相手兼、生活のパートナーとして作られた介護ロボット、トミーの存在がある。
トミーには優秀な人工知能が積まれており、話し相手になるだけでなく、プログラミングされた雑務をそつなくこなす事が出来る。
今でも人不足が深刻な介護業界では、決して欠かす事が出来ない存在だ。うん、どうでもいいね。

トミーに目を付けたおもちゃ会社が、これを発展、独自開発し、機能を削って小型化したのが、今俺が話しかけているコイツ、フェリットフェアリーだ。

自分が好きな様に外見を設定でき、また接し方によって性格が変わっていく様にプログラミングされたコイツは、俺の様なオタの琴線に触れて大ヒットした。
馬鹿騒ぎ出来る友人やオタ仲間は必要だが、現実の恋人とかクソ食らえな俺の様な人種にとって、フェリットフェアリーは最高のパートナーだ。
いつも俺を待っていてくれてかつ、俺の下らない話も真摯に聞いてくれて頑張って答えてくれるコスモスに俺は、惚れている。
406◇n41r8f8dTs:2009/12/24(木) 22:06:12 ID:PBQ5hiFE
俺はじっとコスモスを見つめる。コスモスは俺の視線に小さく首を傾げた。
『何か御用ですか? ご主人様』
「ん、いや別に。あのさ、コスモス。君はサンタクロースって信じるかい?」

コスモスは人刺し指を口に当てて少し考えている素振りを見せると、真面目な顔で答えた。
『空想上の人物とデータにありますが、私は信じています。空想を空想と否定するのは、悲しい事ですから』

やべぇ……これだよ、これ! この馬鹿みたいに真面目な返答!
現実の資本主義に塗れた女らしき生き物! 見習えよ!

おっといかん、思わずルサンチマンが顔を出してしまった。と、携帯が鳴った。開けてみると森田からだ。
数秒経つと、俺以上に寂しい、如何にも男臭い雑多な部屋がホログラムとして映りだした。つうか何でこうも俺はこいつと色んな意味で似てるのだろうか。外見以外。
次に映ったのはツリ目に金髪ツインテールという旧世代を彷彿とさせるフェリットフェアリーと、それに頬を引っ張られている森田の姿だ。
どう育てたかは知らんが、相当勝ち気が強そうだ。あいつ……ツンデレって言ってたけど何年前だよ……。

「おい、大丈夫か?」
「やぁ、たけちゃん! 今ちょっとユリアと喧嘩しちゃっててさー。ご覧のあり様だよ」

相当大変な事になってそうだが、森田は気持ちの悪い程良い笑顔を浮かべている。あぁ、こいつはもうだめだ。
っと、別にコイツの姿を見て少ない優越感を感じたい訳じゃない。俺は早速何の用件かを聞いた。

「で、何の用だ?」
「あぁそうそう! そっちのコスモスたんは件の噂に巻き込まれてないかと心配になってな」
「いや、別に。またな」

ちょっと強引とはいえ携帯を切った。何だそれ……。だからねえっつうのに……。つうか深刻なバグとかじゃないよな……。
ま、いいか。それにしてもあいつの所、仲が良いのか悪いのか分からんな。
ま、それもどうでもいい。何か無駄に疲れちまった。適当に飯作ってコスモスと話して寝るか。

そう思ってコスモスに話しかけようとした、が、何故かコスモスが俺の方を向いていない事に気付く。
そして何故か、コスモスは窓の方を向いている。その方向には、空っ風が吹いてガタガタとしているボロガラスしかない。そして漆黒の夜空。

「……コスモス?」
『ご主人様、不法侵入者です。早急に通報を提案します』
407◇n41r8f8dTs:2009/12/24(木) 22:07:13 ID:PBQ5hiFE
何を……何を言っているんだコスモス? そこには何も無いじゃないか。星さえ見えない漆黒の夜空だ。……何だよ漆黒って。
もう一度コスモスの顔を見てみるが、その目はいたって真剣だ。むむむ……。まさか……まさか……。
まさかマジで森田の話って……いや、待て、ありえん。だってロボットだぞ。人間みたいに不明確かつ非常識な物を見る筈が無いんだ。
にしても参ったなぁマジで。コスモスを修理するとなると無茶苦茶食費を削らなきゃいけない。まずはバグを取る為に……。

次の瞬間、窓ガラスがパリーン! と音を立てて思いっきり割れた。次に目に映ったのは、こたつでピクピクと横たわる、赤い衣装に白髭の頭血だるまなおっさんの姿だ。

……え、えぇ〜……。何、どういう事なの……? 幽霊だと思ったらサンタらしきおっさんから窓から突っ込んでくるとか……。
こういう超自然的なイベントなんて初めてだぞ……どう対処すればいいんだ。というかマジでやばい気がする。
一先ずコスモスと一緒に静かにこの部屋を出よう。それが一番な気がする。

つうかサンタ……か? よくよく顔を見てみると、すげー凶悪ヅラというか、どう考えてもサンタって感じがしない。
……待て。気づくとおっさんの傍らに、やけに薄汚れた袋がゴロッと転がっていた。衝撃のせいでやぶれたのか、中から何か紙の束みたいなのが見える。
俺はパ二くっていた心を落ち着かせて、ひっそりとおっさんに近づく。コスモスが不安げな表情を浮かべているが、心配ないと笑顔を作る。

にしてもどうすりゃいいんだろう……すっげー血塗れだよ。そりゃあ頭から突っ込んだらそうなるわな。うわっ、ハリネズミみたい。
つうかサンタってマジでいたんだ……ちょっと感動してる俺がいる。いや、サンタじゃないだろこれ。百歩譲ってもただのコスプレだろ。
てか冷静に考えて救急車呼んだ方が良いよな。というか不法侵入?

というか死んでないよね? 死んでないよね? え、てかマジで死んでないよな?
俺はおっさんの胸元に耳を当てて、動悸を確かめてみる。虫の息だが生きてる様だ……あぁ、良かった。
顔に目を移すと、何か言いたそうに口をパクパクさせている。俺は何を言ってるかを聞き逃さない様に、耳の神経ををおっさんの声に集中させる。

「逃げ……ろ……ジョニー……。奇跡は……おこらなか……った……」

……は? 何か誰かと勘違いしてないか?

「ミスっ……ちまった……。クリス……マス……だし……派手に強盗しようと……」

派手にって事は……なるほど、このサンタのコスプレはそういう事か。

「流石に……ヘリは……やり過ぎた……な。強風を……考慮してなか……った」

やべぇ……コイツ、馬鹿だ。凄い馬鹿だ。聖夜にヘリで強盗? 多分銀行だろうな。
で、良く分からんがヘリから落ちたのかもしれない。それで俺のアパート目掛けて突っ込んできたと。お馬鹿! 何で俺の家なの!?
どうりで希望に満ちた筈のプレゼントの袋が薄汚れていて血と硝煙の匂いがする筈だ。っておいおい。つまりこの袋の中身は……。
408◇n41r8f8dTs:2009/12/24(木) 22:08:05 ID:PBQ5hiFE
お前と……見た……明日に向か……って撃て……忘れ……ないぜ……」

待て、おっさん目を閉じるな! 今救急車呼ぶから! そんな我が生涯に一片の悔いなしみたいな顔で逝かないで!

……すげー穏やかな顔。つうかもう逝くな、この人。こたつに転がっている、薄汚れた袋。
コスモスはこたつから降りてサンタを騙ったおっさんの顔を覗きこみ、俺に言った。

『ご主人様……サンタさんって本当に居たんですね。私、感動しています』
「……可愛いなぁ、お前は」

その時、携帯が鳴った。付けると、ホログラムが浮かんできた。
森田が偉く怯えた顔で俺に話しかけてきた。何故かユリアが肩の上で体を震えている。

「たけちゃんやべえよ! 出たって、出た!」
「何が?」


「幽霊!」


                            メリークリスマス! ロボット物スレ!
409創る名無しに見る名無し:2009/12/24(木) 22:08:57 ID:PBQ5hiFE
ここまで代理
410創る名無しに見る名無し:2009/12/24(木) 23:19:23 ID:uxQ9iGTr
ロボスレらしいクリスマス作品投下乙です!
つーか強盗www自重できなかったのかwww
主人公の混乱ぷりにワロタw早く通報しとけwww



で、幽霊は?w
411創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 00:30:02 ID:c4HfNOA4
なぜかコスモスの声がとあるインデックスの御坂妹で再生された
412 ◆n41r8f8dTs :2009/12/25(金) 01:07:03 ID:jYjB4/Lv
携帯から失礼します
遅れましたが代理の程、ありがとうございます

>>410
どうにか間に合ってホッとしてますw
まぁ一番アレなのは落ち着いてる主人公何ですがねww

幽霊はえ〜・・・
>>411
聞いてみてなるほど
確かにこんな感じかもしれませんwしかしコスモスはもう少し掘り下げられたかも

しかし人いないですね〜
・・・というか俺が暇なのかorz
413PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/25(金) 03:02:51 ID:4D14XBu3
 こんな時間までクリスマス用のSSを書いていたのも私だ。

 とりあえず今から投下します。感想やレス返はその後ということでー。
414ロボスレ学園 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/25(金) 03:05:16 ID:4D14XBu3
 ――――12月24日、クリスマスイヴ。
 パーティーに、プレゼントに、デートに……大多数の人にとって、ある意味クリスマスよりも大事な日だ。
 そして、ここ“やおよろず荘”にも、大多数に含まれる人々がいた――――


ロボスレ学園:八百万のクリスマス。


 冷たい風の侵入を許さないアーケードの商店街、ごった返す人の群れの中、並んで歩く影二つ。
「今日はクリスマスイヴだね、リヒター」
 中性的な顔とすらりとした長い手足に黒スーツのリヒター・ペネトレイターに、セーラー服姿の三つ編みの少女、一条 遥が話し掛けた。
「クリスマス・イヴ、ですか?」
 きょとんとした顔で首を傾げるリヒター。どうでもいいが、リヒターは本来男性のはず……なのだが、人間の姿になると何故かこうなってしまうのだ。ついてるかついてないかは確かめていない。だってついてたらリヒターを見る目が変わってしまいそうだから。
「うん、クリスマス・イヴ」
「イエス・キリストの誕生日の前夜だという事は知っていますが……マスターはキリスト教徒ではないはずです」
「うん、神社の子。だけど日本人は万華教徒って言うじゃない」
「万華教徒……?」
 再び首を傾げるリヒター。
「つまりコロコロ変わるって事。結婚式は教会、お葬式はお寺、大晦日には神社に行って、元旦に初詣……という感じで。ほら、日本人ってお祭り好きだし!」
 力説する遥の顔は心なしか上気している。日本人はお祭好き……なるほど、凄い説得力だ。
「なるほど、理解できました。説明ありがとうございます、マスター」
 相変わらずご丁寧に、まあ。
 律儀なリヒターに感心しつつ、商店街を歩いていくと、漂ってくるスパイスの香り――――そう、鳥の丸焼きの匂いだ。今回のターゲットである 一羽につき1000円というお手頃価格でありながら、味はなかなかのもので、売切れは必至なのだが、
「目標は、まだかろうじて残っているようです」
 よかった。遥はほっと胸を撫で下ろす。
「じゃあ……みんなけっこう食べるだろうし、三つくらい買ってこっか」
「イエス・マイマスター」


 ♪  ♪  ♪


 商店街から徒歩10分の場所に“やおよろず荘”はあった。傍から見たらまるで豪邸のような庭付き、木造平屋建てのそこは古風な雰囲気を帯びており、かつ周囲がコンクリートの建物ばかりなので若干存在そのものが浮いている。
「きっとみんな喜ぶだろうなぁ……ふふっ」
 無垢な笑顔を浮かべながら、遥が門の前に立つ。両手にはスパイスの香りが漂う袋。
「たっだいまー!」
 ……へんじがない、ただのしかばねのようだ。寝ているか、あるいは出払っているかのどちらかだろう。遥の胸中を不安が過ぎった。
「……誰もいないみたいだね」
「そのようです」
 とりあえず玄関で靴を脱ぎ、共有の炊事場に鳥の丸焼き×3を置くと、リヒターは池の鯉達に餌やりに、遥は自分の部屋に着替えに戻る。


 ♪  ♪  ♪


 スウェットの上に半纏を羽織ると、布団を敷いてそこに寝転ぶ。
「……ふぅ、皆どこ行ったんだろう」
 まさか皆好き勝手に出掛けて行ってしまったのでは――――うん、有り得る。
 しかしこのまま帰って来なかったらどうしよう。鳥の丸焼きはリヒターと協力しても三つも食べ切れない。
 なんだかちょっぴり悲しくなってきて、目尻に浮かんだ涙を拭う。何を泣いているんだ、私は。クリスマスとイヴをひとりで過ごした事なんていくらでもあったではないか……今更寂しいだなんて、そんな事あるもんか。
 頬をぺちんと叩いて弱気を吹き飛ばすと、テレビとヒーターのある居間へと向かうために立ち上がる。
「おおっ、寒っ」
 部屋を出た途端、冷たい北風が襲い掛かってきた。ただでさえ冷たいのに、今は余計に冷たい。
 池を見るがリヒターはいない。まさかリヒターまでどこかに行ってしまったんじゃないかと一瞬考えるが、そんなわけないと一蹴する。
 とにかく居間で時間を潰そう。


 ♪  ♪  ♪

 
415ロボスレ学園 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/25(金) 03:06:35 ID:4D14XBu3
 居間に入ると、そこにはこたつに入ってみかんを頬張るリヒターがいた。安心すると同時にちょっとだけ泣きそうになったが、首をぶんぶんと振って弱気を吹き飛ばす。
「隣、いいかな?」
「イエス・マイマスター」
 リヒターの隣にするりと滑り込むと、手元にあったリモコンでテレビの電源を点ける。この時間帯はどこの局もつまらないワイドショーしかやっていないが、無音よりは遥かにマシだ。
「ねえ、リヒター……」
「はい、何でしょう」
「みんな、帰ってこないね」
「……そうですね」
 そんなこんなで、ただ一切が過ぎていく。現在の時刻は19時45分、帰宅してから既に3時間が経過していた。本来この時間には皆居間でくつろいでいる時間だというのに、今日は誰もいない。
「暇だね」
「マスターと一緒にいる事ができるなら、私は暇ではありません」
「私は暇なの」
 不機嫌な遥が、ぷくっとむくれた。
 その時、だ。
 ぴーんぽーん。
 玄関のチャイムが鳴ったのは。
 待ってましたとばかりに遥が立ち上がる。その顔に浮かぶのは歓喜と興奮。もしも遥に尻尾が付いていたら、それは引き千切れんばかりの勢いで揺れていただろう。
「はーい!」
 玄関に向かっててとてと走る。待ちに待ったクリスマスパーティーだ、落ち着いてなんかいられない。が、
「おかえ……」
「ども、山猫ヤマトです」
 その歓喜と興奮は、すぐに打ち砕かれた。


 ♪  ♪  ♪


「……どうしましたか、マスター」
 俯きながらとぼとぼと戻ってきた主を心配して、リヒターが声を掛ける。
「……宅急便だった」
 俯いたまま、沈んだ口調でぼそぼそ答える。遥の心はもう限界。堤防は決壊寸前だった。
 もしかして、リヒトはシロやルガー、リタと一緒に知り合いの家に遊びに行ったのかもしれない。
 もしかして、まどかとたまは実家に帰ったのかもしれない。
 もしかして、ライは喪盟の仲間達と焼肉にでも行っているのかもしれない。
 もしかして――――自分とリヒターを置いてみんなは食事にでも行ってしまったのかもしれない。
 そこまで考えて、彼女の堤防は決壊した。
「……ぐすっ、ひっ、ひぐっ」
「マスター?」
 涙が溢れ、鳴咽が漏れる。自分自身でも驚くくらい、たくさんの涙が。
「……楽しみに、すっごく楽しみに、してたのに、なんで、なんで誰もいないの、いなくなっちゃうの……」
 ああ、なんだかムカついてきた。
 バンっ! とおもいっきりこたつをブッ叩く。突然変貌した主にリヒターがびくりと怯んだ。
「ほんとに楽しみだったのに、こんな時に……! ふ・ざ・け・ん・な――――っ!!」
 一条 遥、天に吠える。
 そしてすぐさま踵を返すと、少女は炊事場へと消えていった。リヒターはそれを、ただ見ている事しかできなかった。
 ごくごく短い時間が過ぎて、荒々しい動作で襖を開けて、一条 遥が戻ってきた。手には丸焼きの入った袋と……缶ビール!?
「マスター、未成年の飲酒は――――」
「だまらっしゃい! もうやけっぱちだ、全部飲んでやる!」
 リヒターの制止も虚しく、少女はプルタブを開けて缶の中身を一気に飲み干した。
「ぷはぁっ! もう一杯!」
「マスター、み」
「いいの! 四捨五入したら二十歳だもん! あたしにだってお酒を飲む権利くらいあるもん!」
 ああ、駄目だ、一杯で……いや、匂いを嗅いだ時点で完全に酔っている。なんとかやめさせたいが、正直リヒターには遥が暴れた場合に周囲に被害を出さずに止められる自信がない。というか止められるかもわからない。
「おらー、もっろもってこーい!」
 よってリヒターは、主の指示にただ従う、という選択肢を選んだ。


 ♪  ♪  ♪

 
416ロボスレ学園 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/25(金) 03:08:15 ID:4D14XBu3
 時は過ぎて、時刻は夜中の22時。
「いやぁ、すっかり遅くなっちまったな」
<誰のせいだと思っているんだ、この馬鹿野郎が>
「どこぞの三馬鹿が模型のコーナーから動かなかったからね」
「いやー、誰のせいだろうね」
「誰のせいでしょうね!」
「誰のせいだろうな!」
<お・ま・え・らのせいだろうが馬鹿野郎共が!>
「たまちゃんとシロちゃんがいなかったら、もっと遅れてるところでしたね」
<まったくですね。三馬鹿の内、名前にリとヒとトがある人は死んで詫びればいいと思います>
「随分ピンポイントだなオイ」
 賑やかな一団が、二機のオートマタから飛び降りた。やおよろず荘の住人達だ。クリスマスのパーティーのための買い物に行っていたのだ。
 二機のオートマタの魂を、その主が人の身体へ移す。
 本来はもっともっと早くに帰ってくる予定だったのだが、面子が面子のために一部のメンバーが好き勝手に動き回り、結果この時間だ。
 残してきた遥とリヒターは大丈夫なのだろうか。そんな事を考えながら玄関の戸を開ける。全員「ただいま」の大合唱。だが、返事はない。まさか強盗にでも入られるなり拉致されるなりしたのだろうか。
「おーいはるかー、いないのかー」
 赤髪の男――――リヒト・エンフィールドが居間の扉をがらりと開けた、その時だ。
「うおっ、なんだこの酒とスパイスの匂いがないまぜになった名状しがたい香りは!?」
 顔をしかめる赤髪の男。男が視線を部屋へと戻すと、空き缶と骨が散らかった机に突っ伏す影二つ。
 ――――遥とリヒターだ。
「なっ……おい、何やってんだおまえら!?」
 遥の小さな肩を揺するが、反応はない。隣のリヒターも同様だ。どうやら酔い潰れて寝てしまったらしい。
「ったく、しゃーねーな……おいおまえら、こいつら運ぶの手伝ってくれ!」


 ♪  ♪  ♪

 
417ロボスレ学園 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/25(金) 03:09:18 ID:4D14XBu3
 遥とリヒターをそれぞれの部屋に寝かす。幸いどちらもそこまで重くないので簡単に運ぶ事ができた。パーティーはもちろん明日に延期だ。
 深夜、誰もいなくなった居間でちびちびとビールを飲んでいると、
「まったく、散々だな……ん?」
「すみません、リヒト・エンフィールド」
 黒い髪をうなじのところで縛った、リヒター・ペネトレイターが静かに入ってきた。手には綺麗に包装された箱。
「おう、リヒターか。調子はどうよ?」
「頭痛がします」
「こりゃ二日酔いルートまっしぐらだな」
 リヒトが快活に笑った。
「ところで、リヒト・エンフィールド。起きたら枕元に置いてありましたが、これは……何ですか?」
 リヒターが手に持った箱を差し出した。
「ああ、そりゃサンタクロースからのプレゼントだ」
「サンタクロース?」
 きょとんとした顔で首を傾げるリヒター。うむ、文句なしに可愛い。これで幼女体型だったら完全に落ちていた。
「本当に何も知らんのな、おまえ」
「……すみません」
「ああ、いや、謝らんでいい、謝らんで。まあ、アレだ、サンタクロースっつーのはヨシュア君の誕生日に子供達にひっそりとプレゼントを配る中年のおっさんの事だ」
 リヒトの話を聞いた途端、リヒターの白い顔が青ざめる。
「不審者の侵入を許してしまうとは……!」
「いやいや、不審者じゃねーから、いい人だから、サンタさん」
「そうなんですか」
「あたぼうよ。大体悪い人が子供にプレゼントを配るわけがなかろう」
「なるほど」
 リヒターが手に持ったプレゼントに視線を落とす。
「そこで、だ」
 リヒトがこたつの下からリヒターのて同じように丁寧にラッピングされた箱を取り出した。
「実はサンタのじいさんから遥へのプレゼントを渡されてるんだよ、俺。彼女は歳が微妙なラインだから君が決めてくれだとさ」
「リタ・ベレッタも同い年ですが」
「アレは中身が子供だからいいんだよ。そいで、ここからが本題な?」
「はい……!」
 唇をきゅっと一文字に結ぶ。本当にクソ真面目な奴だ、だがそこがいい。
「おまえに、遥のサンタクロースになってほしい」
「はい……?」
「拗ねてる彼女に幸せ届けてこい、って事だよ、ホラ」
 プレゼントを半ば無理矢理投げ渡す。慌てつつもしっかりキャッチするあたり、流石といったところか。
「……わかりました、行ってきます」
「おう、頑張れ若者! おまえにメリークリスマス!」
 音を立てないように爪先立ちで走りながら、リヒターが闇の中へ消えていった。
「さて、と」
 明日は遥にごめんなさいからスタートだな、なんて考えながら、いかにもだるそうに立ち上がって、首を鳴らす。
 今頃、まどかの部屋には金髪の女サンタクロースが向かっていることだろう。リタの部屋とライの部屋には筋肉ムキムキのマッチョサンタが向かっていることだろう。
 蜥蜴のサンタクロースや、油性ペンみたいな名前のサンタクロース、冴えない眼鏡のサンタクロース――――八百万の、無数のサンタクロース達がプレゼントを配り始めたことだろう。
 それぞれのサンタクロース、それぞれのクリスマス。
 八百万の、クリスマス。
「――――それじゃあ、そろそろ俺も今からあいつだけのサンタクロースになるとするか」
 赤い髪のサンタクロースが、部屋からゆっくり出て行った。
418PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/25(金) 03:28:06 ID:4D14XBu3
 投下はここまででございます。
 まさにノリと勢いで書いたので色々アレなところがあると思います、はい。

>>401
 巫女さんはちょっと意識してましたw
 ただ本編描写は巫女さんとか関係ないゲテモノになりそうですが……いや、そうでもないか、うん。

>ネタになりそうなもの
 流 石 フ ロ ム だ、 こ い つ は ひ ど い ぜ 。

>>403
>狐ロボ描いてみてもいいですかな?
 はい! 是非とも! てか喜んで! いつまでも待ってます!

>某有名マシン
 名機MS-06じゃなくてバウンド・ドックっぽい何かのつもりだったのは秘密な!

>>412
 投下乙です!
(´・Д・)何、この……何? え? おっさん大丈夫なの?
 怒涛の勢いが素晴らしいですw これは見習わなくてはwww
 とりあえず「お馬鹿! 何で俺の家なの!?」で盛大に吹きましたwww



 で、幽霊は?w


 さて、今週中にこそPBMの11話を投下できたらいいなぁ。でも戦闘シーンがあまり入れられそうにないなぁ。まあいいや、なるようになるさ。
 それでは、メリークリスマス!
419都道府県対抗機動兵器決選 プロローグ:2009/12/25(金) 12:21:51 ID:so5ks4pw

ちょっとだけ遠い未来、変わり果てた世界で・・・

「起立、礼。」
女委員長の透き通るように凛とした声が教室に響き喧騒が始まる。
「ようやく終わったか・・・」
学生鞄を肩にかけながらポケットに忍ばせた携帯を取り出す。
岡山管区機動庁の文字。
授業中再三に渡って彼のポケットをどつくように揺らしていたのはここからの着信だった。

「ああ、今日からだったのか」
窓から二対の無風ローターを備えたヘリが現れる。
その胴体部には携帯に表示されたのと同じ岡山管区機動庁の文字。
HUDヘルを被った男性がその助手席から叫ぶ。
「ファクター確認、コード101常澄アキ。」
「俺のアバターは!?」
「校庭に配備してあります、事態は一刻を争います。早く迎撃を!!」
「すぐ行く!!」
アキは校庭に向かって駆け出した。
「ちょっと常澄君!!」
委員長がキンキン声でアキを叱咤するが彼は聞いていなかった。


岡山管区旧赤磐


数度の爆撃音。
水没し瀬戸内海と化したかつての赤磐の空を無人戦闘機がかすめていく。
コンピューターで統制された無人飛行機F-135ブラックテイルの織成す鮮やかな編隊機動。
斉射されたミサイルはその目標、兵庫の有する機動戦闘兵器アバター目掛け矢のように降り注ぐ。
「全然足りないねぇ・・・足りねぇんだよねぇ。」
噴煙の中から無傷で姿を現した鉛色のアバター。
「やっぱ大阪なんかとは全然戦力も違うよなあ・・・大都会岡山さんとこのCFはよぉ!!」
右腕が蟹のハサミのように開く。
閃光が周囲の瓦礫を巻き上げながら放たれる。
その一射で三機のブラックテイルは原型を失った鉄くずに成り果てた。
「アラート、岡山側アバターの選闘域侵入を確認。」
オペレーターの警告を由とした鉛色のアバター、優勝候補の一角、大阪を討ち果たした兵庫の機体、
それが彼、荒木督重の駆る「火影」であった。

「ようやく来たか。」



420都道府県対抗機動兵器決選:2009/12/25(金) 12:23:38 ID:so5ks4pw
とりあえあず書いてみたお
もっともっとうまくなりたいお
421 ◆WTKW7E8Ucg :2009/12/25(金) 15:50:56 ID:Knh7Xvez
ご無沙汰してます。
こっちにまとめることにしました。まだ全然進んでません。
http://ncode.syosetu.com/n1038j/
422創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 17:00:39 ID:Knh7Xvez
ルビが使えるサイトなはずだがなんか反映されてない…
423GEARS in X'mas ◆B21/XLSjhE :2009/12/25(金) 19:09:37 ID:G8/gUAhO
「ギリギリだけど何とか間に合ったね。」

「聖誕祭に孤児院へプレゼントを届ける。霧坂にしては珍しく良いアイデアだと思う。
確かに俺に出来る事があるなら何でも協力するとは言ったが…この格好は何なんだ?」

「あ、やっぱり知らないか。旧暦時代、聖誕祭はクリスマスって呼ばれていたらしいんだけど
サンタクロースっていう紅白の衣装を纏った集団が子供の所にプレゼントを運んでいたらしいの。」

「成る程。それで俺は赤の着ぐるみで、お前は白い衣装ってわけか。」

「そう言う事!」

「それは良いが、この気味の悪い着ぐるみは何なんだ?」

「トナカイよ。」

「トナカイ?」

「うん。旧暦の大崩壊時代に絶滅した伝説の聖獣で、一説によると天を駆ける能力があったんだって。
地球上の子供達へプレゼントを贈るという役目を果たす為の交通手段として必要不可欠だったみたいね。」

「そうなのか…しかし、このトナカイとやら、あまりにも不気味だぞ?
子供達を怯えさせてしまわないだろうか…」

「伝説の聖獣だよ?皆、大喜び間違い無しだって!」

「なら良いんだが…」

(ま、何もかもが嘘なんだけど。)

「孤児院に着いたら、ちゃんとソレ被ってよね?」

「…分かった。」

「それから、孤児院が違法ギアに占拠されたり、性質の悪い借金取りとかが来たら…」

「心配せずとも一行で殲滅してやる。」

「それは心配してないけど戦う時、着ぐるみ脱がないでね?」

「トナカイの格好で戦えと?」

「それは勿論。」

「借金取り相手は兎も角、違法ギア相手に着ぐるみでは太刀打ち出来んぞ。」

「大丈夫!大丈夫!ちゃんと武器も付いてるし」

「武器…だと?」

「額のゲッ○ードリルに、眉間のサンダー○レーク、頭にはアイ○ラッガーが装備されてるから。
因みに音声認識。いざっていう時には気合入れて叫んでねん♪」

「………聖誕祭にお前とは二度と付き合わん。」

子供達がトナカイ(?)に扮した守屋を見て、どんな反応をしたのか
守屋がトナカイ(?)の格好で違法ギアと戦ったのかはまた別のお話。

http://ux.getuploader.com/sousakurobo/download/231/GearsX%5C%27mas.jpg
424GEARSの中身 ◆B21/XLSjhE :2009/12/25(金) 19:10:51 ID:G8/gUAhO
守屋の衣装が決まらないまま、あーでもない、こーでもないと唸っていたら
クリスマスが終わりかけていたでござるの巻き。
425 ◆n41r8f8dTs :2009/12/25(金) 20:33:15 ID:jYjB4/Lv
>>418
投下乙っす!
何というイイハナシダナー。この後の団欒を想像すると胸がポカポカします
しかしリヒターは美人さんだな〜。惚れてしまいます
>>420
初投下乙です!
これは先が気になる良い導入部
果たして火影の実力とは・・・次回を楽しみにしてます
>>421
まとめ投下乙です
ゆっくり読ませてもらいます〜
>>424
投下乙です!
イラストもSSもら、ラブラブじゃないか・・・!!くそっ、祝ってやる!
にしても守屋君、不機嫌ながらも乗ってあげるとは実に良い男ですねw
しかし一体キリちゃんはどこでそんなバトルトナカイスーツを・・・
426創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 21:23:11 ID:sV9F/wSA
みんなまとめて投下乙でござる

>>412
こwれwはwww俺のコーヒー返せwww
しかし真冬に窓ガラス破損は辛かろうなあ、貧乏学生にはなおさらw

>>418
おおっ、PBMには珍しくイイハナシダナー。こういうアパートに住んでみたいw
ペネ子かわいいよペネ子、遥さんかわいいよ遥さん。そうか、遥さんは犬属性だったのか
そういえばリヒトが普通に気のいいニーチャンになってる件

>>420
未来の日本はデンジャーだぜ!
いきセンいってるけど、もう少しアバターの外観の描写があったら完璧だった

>>424
あえて言おう!
な ん だ こ の 珍 獣 は ! ?
これがトナカイって、物騒過ぎるわwww

しかし、去年はガチでクリスマスのクの字も無かったロボスレでクリスマスを祝えるとは、この海のリハクの目をもってしてm(ry
427創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 21:30:09 ID:K4GSsCPx
去年はほんと避難所以外人稲だったからなあ
しかも旧避難所だったし
428創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 21:51:24 ID:4D14XBu3
>>420
 投下乙です!
 学生兼ファクターっていうのは辛そうですね。
 しかし“大阪なんか”“大都会岡山”など、色々気になる点がありますね……主に愛知がどうなっているのかg(ry
 >>426氏も言っていますが、アバターの外見の描写がもう少し欲しかったです。
 それでは、次回も楽しみにしてますね!

>>421
 お久しぶりです!
 何やら本格的に話が進み始めたみたいですね……後でじっくりゆっくり読ませていただきますw

>>424
 投下乙ですwww
 きりちゃん、これトナカイとちゃう、ビーバー的な何かや!
 しかしきりちゃんおっぱい大きいのぅ、大きいのぅ。

>>425
 なんか凄く久々にこういうタイプの話書いたので、やたら時間がかかってしまいましたw
 あ、リヒター達はイノベイド的なものだと思っていただければ。両性具有的な。

>>426
 改めて読み返してみたら、どう見ても鳴滝荘です、本当にありがとうございました。

>リヒトが普通に気のいいニーチャンになってる件
 本質は気のいいニーチャンなんですよ。ただかなりやんちゃなだけd(ry


 去年の今頃は投下どころかレスがありませんでしたからね……いやはや、このスレがここまで成長するとは、このロリのPBMの目をもってしてm(ry
429創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 22:00:11 ID:sV9F/wSA
去年の今頃は設定がどうの構想がどうのって感じだったなw
しかし後少しで荒野とPBMが二年目を迎えるのか……
430創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 22:05:17 ID:jYjB4/Lv
>>426
まぁ一応不慮の事故って事で無償で修理してくれたみたいですw
コーヒー申し訳無いですw
>>428
>両性
何・・・だと・・・

興がアップを始めた模様です
>>427
ホントにこの一年で凄く発展しましたよね
思うにパラベラム氏を始めとした絵師さんの力が大きいかと
来年はどうなるんだろう・・・
431創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 22:11:04 ID:4D14XBu3
>>429
 うおおーっ! それまでにあと3話書き上げなければぁぁぁぁぁーっ!

>>430
>興がアップを始めた模様です
 撤退する。てこずる相手でもないだろう。

>思うにパラベラム氏を始めとした絵師さんの力が大きいかと
 ティマと極細はもっと大きいと思うよ!

>来年
 HENTAIっぷりが加速してたりしたらどうしましょうw
432創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 22:17:49 ID:sV9F/wSA
今のロボスレの形って、最初にいた沢山の人がふるいにかけられて出来上がったものなんだな
なんて1スレ目を見て思ってしまった俺はいけない人。変態だけが残った、みたいな

>>430
それはよかったw

>>431
これ以上変態になったら島流し食らうぞwww
433 ◆YHSi90Gnr2 :2009/12/25(金) 22:25:49 ID:mv9Ytip9
ロボ分を増やしたいが躓きすぎて投下に踏み切れない俺参上!

あぁぁぁ、クリスマス的なネタは頭にあったけど結局書けなかったしorz
クリスマス投下作品をこれからじっくり読ませて頂きます!

……いい加減続き投下しないと忘れられそうだな
434創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 22:27:43 ID:4D14XBu3
>>432
 いえ、ギリギリを追求するんでs(ry

>変態だけが残った
 あながち否定できないあたりが悲しいぜ……。


 それにしても、1年近く経ったのに、たったの10話とは不甲斐無いのぅ、自分。
435創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 22:31:16 ID:4D14XBu3
>>433
 少なくとも私は忘れないぞーっ!
436創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 22:47:11 ID:sV9F/wSA
>>43e
俺も忘れないぞーっ!
437創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 22:48:35 ID:sV9F/wSA
安価ミスったorz
>>43e ×
>>433 ○
438創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 22:56:18 ID:A4Ik5L1/
sageもミスってるよ
439創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 22:56:45 ID:jYs0Ghhw
来年までもう一週間も無いよう……年内完結は無理かも。
440創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 23:01:48 ID:sV9F/wSA
本当だ、全角になってやがる……
罰としてツクヨミ先生とにらめっこしてくるぜ……
441創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 23:06:42 ID:4D14XBu3
>>439
 あと6日……うわぁ、もうそんなとこまで来てたんですね……。

>>440
 ムチャシヤガッテ……(AA(ry
442創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 23:10:14 ID:mv9Ytip9
>>435-436
感謝!何とか年内……いや、出来るだけ早めに投下出来るようにする!……積もりだ!w
443創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 23:19:28 ID:sV9F/wSA
>>442
楽しみにしてまっせ!

さて……そういえばこのスレのキャラって地味にポニーテール率高い?
444創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 23:26:09 ID:4D14XBu3
 ◆YHSi90Gnr2氏に負けないように私も頑張らねば……!

>>443
 そんな中、ひとり黙々と三つ編み率を増や……してないんですよね、実は。極東篇がやれれば三人くらい増えるんですけどw
445 ◆CNkSfJe3Zs :2009/12/25(金) 23:30:57 ID:Rv4FgZ5b
皆さん、クリスマスはどう過ごしましたか?

私はもう、可愛い彼女と一緒にデートしてゴージャスなディナーとケーキを食べて
朝まで二人っきりで過ごしましたよ!
何つーかリア充っていうんですか?もう本当に楽しくて
446 ◆CNkSfJe3Zs :2009/12/25(金) 23:32:21 ID:Rv4FgZ5b
嘘です(血涙)

ずっと仕事して
その合間にクリスマス用投稿ネタを書いて過ごしました
年末って忙しいよね
デートとかパーティとかする暇がある奴は大変な目に逢えばいいのに
447 ◆CNkSfJe3Zs :2009/12/25(金) 23:35:58 ID:Rv4FgZ5b
という訳で、人狼機兵マーナガルムの前日談というか、外伝というか
そんなカンジのクリスマスネタ作品

人狼機兵マーナガルム・ビフォー 最後のクリスマス

投下します
 故郷で待つ君へ



 今年の年末は去年以上に月面警備隊の任務で忙しく、年が明けるまで帰れそうにない。
寂しい想いをさせてしまって本当に申し訳ないと心から思っている。この埋め合わせはいつか必ず……






 2146年12月20日。月面都市『フィロラオス』月面警備隊第三基地・格納庫にて。

「このRWはなんだ?」

 目の前に立つ、ラビットワーカー『RW-08 マウンテンゴリラ」を見上げながら、ツクヨミが呟いた。
首を傾げる仕草に合わせ、灰色と黒に色分けされた髪が揺れる。

「トナカイ、だとよ」

 彼の横に立つパーシヴァルが質問に答える。茶色く染められた装甲と、RCBの代わりに付けられた
巨大な枝分かれした角。更に鼻の頭には真っ赤な円が描かれている。言われてみれば、この時期に
よく街でイラストを見かける動物を思わせる風貌だった。

「ああ、そういえば、もう靴下の時期だったか」
「靴下……それも間違っちゃいないが、素直にクリスマスって言えよ……」
「クリスマスが近くなると、飾り付け用の巨大靴下を、兎で修繕するのが主な仕事だった」
「お前の思い出話は兎関連しかねぇよなぁ、本当に……」

 呆れて、大げさに溜め息を吐くパーシヴァル。対して、ツクヨミは微動だにせずに、じっと
トナカイ風味のRWを観察していた。

「それで、コレを使ってクリスマス・パレードでもすればいいのか?」
「惜しいが違う! まず、お前がコイツを着込む!」

 そう言って投げ渡された箱には、ビニールに包まれたパイロットスーツが入っていた。
全体的に赤く、所々に白くモコモコしたファーがついた代物だ。

「メットの代わりに帽子と付け髭をして、アレに乗り込む!」
 サンタクロースの仮装だというのはすぐに分かった。だが、解せない事がある。
「俺がそれを着る意味は」

 コクピットは外からは見えない。パイロットであるツクヨミはトナカイの着ぐるみ担当に徹し、
別の者にサンタクロース役をさせ、手や頭の上に乗ってもらう方が良さそうだが。

「いいから話を最後まで聞け。お前はクリスマスの夜に、RWで都市内を移動し、民家の近くで
 コクピットから降りて煙突辺りから侵入、指定されたプレゼントを設置し即座に退散ってのを
 繰り返す!クリスマスの夜に子供にプレゼントと夢を配る訳だ!それが……月面警備隊
 リアル・サンタクロース・プロジェ〜クト!」

 芝居掛かった明るい口調で、陽気に言い放つ。しかし、目が笑っていない。ツクヨミはその瞳から、
静かな怒りと絶望的なまでの疲労感を理解した。
「そのプロジェクトは誰の発案だ?」
「ダレスト・グループの会長様だ。ソイツの3歳になるお曾孫様が『サンタさんにあいたい!』とか抜かして
 『よ〜し曾祖父ちゃんが合わせたげるからの〜』って安請け合いしたのが発端だそうでなぁ……」

 苦虫を噛み潰したような顔で、パーシヴァルは説明を始めた。思い出すのが不快なのか手に力が入り、
手摺りがギシギシと異音を鳴らす。

「で、自分のとこの家族なり社員なりにサンタ役でもやらせりゃいいのに、年末は忙しくだろうからと遠慮して、
 何故か月面警備隊に話を回して来やがってな!」

 金属製の手摺りが歪み始める。

「わざわざ断り難いように、同じように曾孫や孫や息子に娘、ついでに親戚の子供に夢見させたい金持ちを集めて、
 徒党を組んで月面警備隊まで企画を持ち込んで来やがった訳だ!」

「そして、俺達プルートイド隊に厄介事が押し付けられた、と」
「そういうこった!!」

 そう叫びながら、パーシヴァルは勢いよく手摺りをへし折った。

「"この時期"に、よくそんな事をやる気になったな」
「"この時期"だからこそだろうよ。つまんねぇ事でスポンサー様達と険悪なカンケーになりたくないそうだ」

 今、『月面都市大規模改修計画』という名目で、各地の工場で大量生産されているRWが、どういった目的で
使われる予定なのかを知らない者は、月面警備隊にはいないだろう。統合政府もそれに気付いているようだが……
何か対策を考えているのか、単純に楽観視しているだけなのか、目立った動きはまだ無い。

「まあ、つーわけで、お金落としてくれる方々のご機嫌取りが出来るんなら安いモンだって事でな……」
「しかし、俺がトナカイはともかくサンタクロース役までやるというのは解せんな。俺より侵入工作が得意な奴は
 ウチにもっといるはずだが。チームで行動した方が効率が良くないか?」
「サンタが来るのに合わせて、警備システムを数分間だけだが一時的にダウンさせるそうでな、関わるスタッフは
 極力少なくしたいんだとよ」
「正気か?」

 富裕層が住んでいる地域は治安が良いとはいえ、パーティが多い時期には窃盗等が起きやすく、年末年始は
最も警戒されているはずだが……

「だから、数を減らして問題が起きるリスクを減らしたいんだろうよ。もし仮に何かあったら、俺達を締めあげる
 だけで済むしな。あ、ちなみに警備隊の偉いさん方の家に住むおガキ様にも届けないといけないが、そこで
 事件起きたらウチの部隊全員が拷問コースなんで気をつけろよ」

 元々月面警備隊は統合軍の一部だ。合法的に入り込んでスパイ活動に勤しんでる連中も結構な数がいるらしい。
そういう奴がこの作戦に参加すれば、とても愉快な事になるだろう。それだけプルートイド隊が信用されているのか、
警戒心が欠落しているのか。
「頭が痛くなるな」
「まったくなぁ…………とりあえず、お前は後4日で、このデカトナカイの操作と各ご家庭に行くまでの最短ルートと
 それぞれの家の構造を丸暗記して貰うからな。機密性高める為にメモ取る事すら許可されてねぇ」
「了解」
「俺はマケマケと組んで警備システムの改ざん作業を行う。当日までに全部の家を回らないといけないから、
 今からすぐに行かないと間に合わねぇんで、そろそろ出発させて貰う」

 そう言って、パーシヴァルもツクヨミに背を向ける。

「来年は俺達全員が転職して、もっと忙しくなってるだろうから、今年のクリスマスは全員休暇にして、家族や恋人と
 ゆっくり過ごして欲しかったが……悪ぃな、厄介な仕事押し付けてよ」

 振り返らず、申し訳なさそうに呟くパーシヴァル。

「それは隊長、アンタも同じだろう。それがどんな内容であれ、任務ならば仕方が無い」

 ツクヨミも背を向けたまま静かに答え……

「いや、俺は嫁さんの実家のパーティに参加するが? 作業は24日の午前までに全部終わらせるつもりだしな。
 ぶっちゃけクリスマスも働くのは、ウチではお前だけだ」

 その一言を聞き、思わず振り返った。

「……どうしても休みたいってんなら、別の隊にやって貰えるよう交渉してやっけど?」

 同じくツクヨミの方を向くパーシヴァル。彼はちょっと申し訳なさそうに、そう提案をしたが……

「いや、結構だ」
「お前もティマイオスに帰郷したいんじゃないのか? 確か、クリスマスはお前があの娘と婚約した日だったろ」
「…………それを理由に仕事を蹴ったと言ったら、あいつに軽蔑される。『兎乗りは一度受けた依頼を破棄する事なかれ』
 兎乗りとしての腕で負けた事は一度もないが、魂では一度も勝ててない。これ以上、差を付けられたくはない」
 
 ツクヨミは俯きながらそう答えた。彼にしては珍しく、葛藤があったようだが。

「もしクリスマスを仕事で潰した事で機嫌が悪くなったら、手紙か……直接会った時に謝ればいいだけだ」
「直接会った時、ね……まあ、お前がそれでいいならいいけどよ」

 今度はツクヨミから背を向けて歩き出した。

「急いだ方がいいんだろう?」
「ん、ああ……やべぇ、マケマケを待たせちまってる」

 腕時計を見て、小走りに格納庫を走り去るパーシヴァル。その足音が離れていくのを聞きながら、サンタクロースもどきの
パイロットスーツに着替え始めた。
  2146年12月25日。

 月面都市『フィロラオス』では、昨晩の人工降雪で白く輝く街を、トナカイのようなRWが
音も無く駆け抜けていったという、目撃情報がいくつもあった。

 その話から、奇妙な噂や都市伝説が生まれ、子供だけでなく一部の大人にも話題となった。

 ……しかし、翌年──2147年を半分ほど過ぎた頃には、そんな出来事を思い出す者は、
誰一人いなくなる。

 2147年6月6日 地球と月との戦争が始まった──
オマケ

 パラスは今年5歳になったばかりだが、賢い男の子だった。
だから、他の子供が知らないコトや、大人のウソも知っている。

「一年間良い子にしていると、サンタクロースがやってきて、好きな物をプレゼントしてくれる」
 
 パパやママがいつもそう言っているけど、これはウソだ。サンタクロースはパパなのだ。
サンタクロースを信じる子供は、何て頭が悪いんだろう。

 でも、それをパパやママに言うと、「それは違うよ、パラス」と窘められ、
肝心のサンタクロースの正体についてはいつもはぐらかされる。

 なら、パパがサンタクロースだという明確な証拠を掴んでやろう!クリスマスに枕元まで来た
パパを捕まえてやるのだ!

 ママが「サンタクロースにお手紙を送りましょう」と言って書かされた、プレゼントで何が
欲しいか?というハガキ。それをママがこっそりパパに渡しているのもパラスは知っている。
 そうやって欲しい物を知り、夜中に用意したプレゼントを靴下の中に入れるつもりなのだろう。

 たっぷり昼寝をして、夜中に備える。ターキーとケーキを食べて、ベッドに入らされた後も、
じっと自分の部屋の扉を凝視していた。パパが入ってくるとしたら、そこからだからだ。
 どれくらい時間が経っただろうか。眠い目をこすりながら待つが、まだパパは来ない。
もしかしたら、自分の作戦に気付いているのか?そんな風に考えた時に、コトリと物音がした。
慌てて音のした方を向くが、そこは扉ではなく暖炉。実際に暖炉として使われてはいないが、
外に煙突で繋がっているはずだが……

 やがて、何かが這いずる様な音がして、暖炉から腕が伸びた。腕は絨毯の上で手を広げ、
そのまま残りの身体をを引っ張り出した。

 全身が赤い、真っ白な髭の生えた男。

 本で見たサンタクロースと特徴は同じだが、全然違う部分があった。

 目だ。

 アレは良い子にプレゼントを配るお爺さんの目じゃない。動物図鑑で見た、虎やライオンに近い何かだ。
 硬直するパラスに向かい、ゆっくりと赤い男が迫る。男が持った大きな袋は、プレゼントではなく
喰い残した子供の肉が入っていそうだ。

 やがて、パラスの目の前に立つと、腰を屈めて頭を掴んだ。このまま頭から食べられるかもしれない。
そう思った時、赤い男が呟いた。

「Merry Christmas!」

 パラスの記憶はそこで途切れている。


 翌日、クリスマスだというのに風邪を引いたパラスは一日中をベッドで過ごす事となった。
パパとママはいつも以上に優しくしてくれたし、友達もお見舞いに来てくれた。
 パラスは嬉しくて、昨晩見たモノについてすっかり忘れ、クリスマスを楽しんだ。

 そして、パラスがサンタクロースの正体について知ろうとする事はなくなったとさ。
454 ◆CNkSfJe3Zs :2009/12/25(金) 23:48:59 ID:Rv4FgZ5b
人狼機兵マーナガルム・ビフォー 最後のクリスマス
                     オマケ

終了です
何とかギリギリクリスマスに間に合った……

もうひとつ別にネタ考えたり
トナカイRWやツクヨミサンタの絵を描こうと思ってたのですが
時間が無くて断念しました

来年はもっと頑張りたいもんですね
455創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 23:56:51 ID:sV9F/wSA
>>444
増 え る の か よ
どんだけ三つ編み好きやねんwww

>>454
投下乙でござる

>ツクヨミサンタ
またツクヨミバリエーションが増えたでござる……つか誰か止めろよwwwww

>オマケ
ほら言わんこっちゃない!www
456創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 23:58:55 ID:A4Ik5L1/
>>454
投下乙です
あと1分くらいはクリスマスだもん
先生、メリークリスマス!
457創る名無しに見る名無し:2009/12/26(土) 00:08:10 ID:Lo7+Nhl+
>>423
……なんだこの中世の博物本に載っていそうなアザラシかトドのバケモノは?
そしてクリスマスのトナカイなのに胸に鈴型超音波砲(ゴッド○イス)が足りない……
「メリー・クリスマス」聖誕祭を祝って叫べ!

守屋「メェリィィィィィィィィ! クゥリィスゥマァァァァスッッ!!!」


……書き込む間にクリスマスが終わっちゃったい……
458創る名無しに見る名無し:2009/12/26(土) 00:10:03 ID:c6Qqlf4l
>>454
 投下乙ですw
 うわぁぁぁ、パーシヴァルさんが非常にキレていらっしゃるー!? しかしなんという握力だ……。
 ツクヨミサンタはやめておくべきだった、やめておくべきだったんだよ!
 それにしても、ツクヨミ先生のフィアンセがどんな人か、ぼんやり浮かんできましたね。これは想像が膨らむ膨らむw
 では、本編も楽しみにしてますね!

>>455
 増 え る よ !
 だって三つ編みとか好きだからー!

>ツクヨミバリエーション
 なんですかそのMSVみたいなのw
459 ◆Ps/JE/do86 :2009/12/26(土) 00:13:39 ID:YbTg1N8r
はい!?Σ(゚Д゚;Ξ゚д゚)なんじゃこの投下の嵐はw
とても感想書ききれませんよ皆様乙です!

>>418
メンバーを見守る視線があったかいねリヒトさん、さすがリーダー、狐ロボの件は承諾感謝、貼るのは来年になりますので宜しくです
460創る名無しに見る名無し:2009/12/26(土) 00:22:04 ID:c6Qqlf4l
>>459
 日本人はお祭が好き……ここの住人はまさに日本人を体言してますねw

>さすがリーダー
まどか「一応リーダーは私なんですけど……」
 まだ活躍が無いもんね、仕方ないね。

>貼るのは来年になりますので宜しくです
 お年玉ですねw 楽しみにしてます!
461創る名無しに見る名無し:2009/12/26(土) 00:27:04 ID:3c+AoxQy
>>458
知ってるよおっ!

>>459
このスレは突然盛り上がるから安心できないんだぜ!

>>460
次回はひらがなコンビメイン回らしいから期待してるんだぜ!
462創る名無しに見る名無し:2009/12/26(土) 01:04:56 ID:1iGfhQqc
突然盛り上がったかと思いきや、突然人が居なくなるのも、このスレの特徴ですよねw
463 ◆Uu8AeR.Xso :2009/12/26(土) 01:09:05 ID:DbzibW72
クリスマス終わっちゃったぜ、せっかくのネタが台無しに…。
リアルでもクルシミマスでしたし踏んだり蹴ったりの聖夜(笑)でした…よ!

>>462
余りに反応が無いと空気を壊したかと思って、少しビビる事があるチキンな自分が居ます。
464創る名無しに見る名無し:2009/12/26(土) 01:12:18 ID:c6Qqlf4l
>>461
 り、リーダーらしいとこを見せられるように頑張ります!

>>462
 もう完璧に伝統になっちゃいましたよねw
465創る名無しに見る名無し:2009/12/26(土) 01:17:14 ID:c6Qqlf4l
>>463
 今公開しても遅くないよ! よ!
 ロボスレ一周年の時もそうでしたしw

>余りに反応が無いと空気を壊したかと思って、少しビビる事があるチキンな自分が居ます。
 大丈夫、私もだ。
466創る名無しに見る名無し:2009/12/26(土) 03:05:38 ID:3c+AoxQy
過去スレを見ていると色々再発見できて面白いのう。リベジの妹の話とか、かなり前に出てたんだよね、雑談で
ウーン、まさに天然ものの伏線というやつだな
467都道府県対抗機動兵器決選 プロローグ2:2009/12/26(土) 13:17:29 ID:W/VjhrF6
例えるなら「蟹」
火影の複眼のようなセンサーアイが、指定選闘域内(バトルフィールド)に侵入した岡山側アバターを捕捉する。
「何だ、二足型かよ・・・」
火影の選定因子試験搭乗者(ファクター)荒木督重(すさぎとくしげ)は棺桶のように
無機質で狭いコクピットの中で一人舌を打つ。
それはまるで、ファクターが場合によっては生死に関わるこの戦いを、ゲームのような
感覚で立ち振る舞っているかのような節さえ感じられた。
圧倒的な余裕、それは人型であるという原型を捨てた、アバター火影への絶対的な自信
と彼自身が作ってきた実績が不動のものとさせていた。
兵庫が誇る重砲撃アバター火影、その異形とも言える体積の七割強を占めるであろう脚
部は甲殻類のように装甲が折り重なり、海洋都市体系維持機構を応用した兵庫のフロー
ト技術により二足型に劣らぬ縦横自在な機械的な高機動を可能としていた。

彼方から放たれた岡山のアバターのビームを交わす。
その直線的な動きはまるで、将棋盤上の飛車のようであった。
「そっちの狙いはわかってんだよ!!」
火影の両腕は先程無人戦闘機をやった時のように蟹のハサミのように開く。
集束されていく光塵。
「行けやあ!!」
低い振動音と共に断続的に放たれる光の筋。
これが、西日本最強と目された大阪を一撃に沈めた集束イオン粒子重砲「アルタルフ」
の放つ一撃必殺、文字通り岡山の終わりを告げる紅い光であった。


イメージを文にするのってむずかしい
468◇n41r8f8dTs氏代理投下入ります:2009/12/28(月) 01:21:58 ID:/9kyFr9n
―――――――この物語の主人公である、三つ編みの少女こと一条遥が、もう一人の主人公、鈴木隆昭と遭遇する数十分前に時間を戻そう。

遥とリヒタ―が特訓していた草原から少し離れた場所に、その家はある。
壁に伸びている蔦が特徴的である、二階建てレンガ造りのその家は、不思議とノスタルジックな趣を感じさせる。
この家に住居を構えるのは――――何でも屋、やおよろずと呼称させる面々だ。遥とリヒタ―はこのやおよろずに所属している。
まだまだ期間が短いので、生憎新人としてキャリアは皆無だが……。

やおよろずが掲げる何でも屋という看板は伊達では無い。
オートマタの修理・点検・整備から、ある種の探偵業、果てはちょっとした揉め事処理まで依頼があれば幅広く引き受ける。
それでいて成功率は極めて高く、その筋からの信頼は高い。これから、性格は少々個性的ながらも、プロフェッショルな面々を簡潔ながら紹介していこう

優雅さと渋さを兼ね備えた珈琲の匂いが、部屋に充満する。さて、味の方はどうか。コップに一杯注ぎ、テイスティング。

美味い。やはり上質の豆を焚いただけあり、深い旨みがある。ルガ―・ベルグマンは自らが入れた珈琲の味に、満足げに頷いた。
ルガ―・ベルグマン。彼はここ、やおよろずではメカニック一人目にして、料理洗濯掃除云々の雑務を担当している。その仕事ぶりは正にパーフェクト。
その豪快さ溢れる図体とは反面、常に繊細な仕事ぶりには皆、高い信頼を寄せている。無論、珈琲を作るのも、上手い。

「やっぱりルガ―さんの入れる珈琲は美味しいな。喫茶店開けるよ」

新聞紙を片手に、やおよろずのメカニック二人目兼突っ込み担当のライディ―ス・グリセリティが、ルガ―の入れた珈琲を一杯飲んで感嘆の息を漏らす。
その利発そうな眼鏡が示す通り、理知に富んだ頭脳明晰な少年である。まだ10代ながらも、メカに対しての造詣の深さは並みではない。
が、その常識人ぶりが災いしてか、このやおよろずでは突っ込み役という、幸か不幸かあまり名誉では無いポジショニングを与えられている。
まぁ、彼の突っ込みがあってこそ、面々のボケが一層際立つのだが。彼にはもう一つ特徴があるが、それは後々明らかになる。

「お、珈琲ですね! さっきから良い匂いがすると思ったら……!」
何処からともなく現われた、茶色い作業着を着た一人の少女がテーブルの上に置かれた珈琲を見、嬉しそうに笑う。
少女の綺麗な肌と麗しい金髪は、何か機械でも弄っていたのか煤で薄汚れている。せっかくの可愛らしい姿が少しもったいない。

「整備お疲れさま、リタちゃん。珈琲飲む前に、シャワーを浴びてきた方が良いよ。顔が煤だらけだから」
「はーい! 入れたて宜しくです!」

そう言ってバタバタと、元気よく駆け出していった金髪の少女は三人目のメカニック。リタ・べレッタ。
やおよろずではもっとも個性的でかつ、抑えの利かないおてんば娘だ。ちなみに恋はしてない。

どこかのアグネスがガラっと戸を開けそうな程の発育途上なロリータボディと、幼い顔つきはとても19歳には思えない。思えないが、立派な19歳である。
一応言葉づかいは年相応だが、その性格はまさに体は子供、頭脳も子供。興味がある事には直猛突進。納得するまで追求する。ついでにボケも直猛突進な為、気が抜けない。
とはいえ、彼女はその年にしてライディ―スと同じく、実に優秀なメカニックだ。彼女の確かな腕前には、皆一目置いている。
469◇n41r8f8dTs氏代理投下入ります:2009/12/28(月) 01:22:41 ID:x/64q/FH
<全く……騒がしいぞ貴様ら。さっきから全く寝つけないじゃないか……>
ふと、空中から眩い高級感と、言いしれぬ威厳を醸し出す金色の玉石が備えられた杖がふわふわと二人の間を漂う。
それだけでも驚くべき事だが、杖は驚くべき事に、二人に気だるそうに話しかけている。

実はこの杖は杖ではない。杖の形状をしているが、実はリヒタ―と同じく、オートマタなのだ。
説明していなかったが、オートマタは一部を除き、非戦闘時にはこの様に形態を変えて、持ち主と共にある。リヒタ―も普段は杖として携帯されている。

この杖、もといオートマタの名は玉藻・ヴァルパイン。やおよろずに所属するオートマタの中では、最も古い、いわば古参及び大ベテランだ。
その口調は老獪さと厳しさを兼ね備えた……というより、単純に眠れない事にいらっと来ている低血圧なお姉さん的な物を感じる。
巧みにリヒタ―にも人格がある様に、玉藻にも女性としての人格がある。引き籠りがちで皮肉屋という、少々難儀な性格だが……。

「まぁまぁ……リタちゃんには後で僕から言っておくから」
<ふぅん……少しは女らしさというモノを学んでほしいものだな、リタには……。二度寝するから静かにしてくれ。分かったな>

ルガ―にそう言い残し、玉藻はふわふわとどこかへ飛んでいった。その様子に、ライディースは苦笑する。

ざっと紹介したが、やおよろずの面々はこれで全てではない。主人公である一条遥とは別に、後三人。
このやおよろずを取り仕切る家主、もといオーナーである可憐な少女と、この物語の裏の主役と言える一人の男と一機のオートマタがいるがそれはまた後々。

「ん、ルガ―さん、ちょっとちょっと」
先程までの安らいだ表情から一転、ライディースが新聞のある一面を読み、険しい顔つきになる。
ルガ―がその体格に似合わぬ、可愛らしい刺繍エプロンの紐を締めると、ライディースに体を向けて聞いた。

「もしやまた。例の事件かい?」
「あぁ。今回もアリーナの上位入賞者……。列車に乗ろうとした所を件の犯人に襲撃されて、何も出来ないまま強奪されたって……」
「物騒な事件だなぁ。ここ一週間で何件起きてるんだろう……。多分10件くらい起きてる気がするね」

ルガーとライディースも憂いた表情を浮かべるが無理もない。
何と言ってもここ数週間で、何十ものオートマタが何者かによって強奪される事件が多発しているのだ。

事件の顛末はこうだ。
被害者達は皆、オートマタを所有している神子。それぞれ高い役職に就いていたり、アリーナと呼ばれる武道会の上位入賞者だったりと割とスペックの高い者達が多い。
強奪と言われるだけあり、被害者達は皆、犯人から無理やりにでもオートマタを奪われていくらしい。中には死にはしないものの直接攻撃を受け、重傷を負った神子もいる。
無論、抵抗を試みロボットへと変化させる神子もいるが、闘いが始まった瞬間、気づけば自分のオートマタが機能を停止し、そのまま強奪されてしまうという。
抵抗した神子の中にはかなりのベテランもいるが、その犯人の所有しているオートマタの異常な強さに、全く手も足も出ないと聞く。

被害者の面々は、そのオートマタを口々にこう呼ぶ。「鬼」と。
470◇n41r8f8dTs氏代理:2009/12/28(月) 01:23:23 ID:/9kyFr9n
「リヒトさんとへ―ちゃん、大丈夫かな……」
ライディースが不安げな声でそう言うと、ルガ―が二杯目の珈琲を入れて、明るい声で答えた。

「大丈夫さ。どんなピンチもひょいっと、明るく乗り越えてくれる。そういう二人だよ」
ルガ―の言葉に、ライディースは微笑を浮かべ、置かれた二杯目の珈琲に口を付ける。実はこれ以外にも気になるニュースがあるが、個人的な事なので心にしまって置く。
と、シャワーを浴びて普段着に着替えたリタが、首にタオルを巻いてやって来た。こうして見ると、ホントに小学生くらいじゃないかと思うくらい、リタは小さい。
見計らって、ルガ―がテーブルの上に珈琲を置く。リタはイスに座り目を瞑ると、両手を使って熱い筈のコーヒーを一気に飲み干し、すっきりした表情で言った。

「うーん、美味い! もう一杯!」
「ちょ、熱くないのかよ! コーヒー牛乳じゃないんだぞ!」
「いま豆焚いてるからちょっと待っててくれるかな」
口を付けるや数秒経たず飲み干したリタと、反射的に突っ込みを入れたライディースに苦笑しながら、ルガ―は再びコーヒーを焚く。
普遍的だが、幸福であるこのだらけきった時間。が――――勢い良くドアを開ける音によって途切れる。

何事かと、ルガ―及び二人が玄関へと駆けつけてくる。
三人の前には、リヒターが変化したであろう、黒き杖を持った遥が息をぜぇぜぇと荒げて立っていた。
よっぽど急いだのであろう、服や肌に泥が跳ねている。その様子を一瞥し、ルガ―が心配そうに口を開いた。

「……遥ちゃん?」

「……突然ですみません。ルガ―さん……ライ……頼みが……頼みが、あるんです」

「草原に居る三人を……助けて、欲しいんです」



                          ビューティフル・ワールド

                       the gun with the knight and the rabbit


――――やおよろずから所変わって、大分離れた場所へと視点を変える。

人の気配はおろか、生き物の気配も無く、虚無と負の雰囲気が充満する廃工場。
その廃工場の中へ、凶悪めいた目つきの黒いスーツの男達が、両手に手錠をした子供達を連れて工場の中へと入っていく。
男達の表情には堅気では無い、明らかに外道な雰囲気があり、その男達の後ろで歩く子供達の目に、生気は無い。

男達の先頭で下品な毛皮を羽織り、仰々しいアロハシャツを着た大柄な男(以下アロハシャツ)が、持っているブランデーの瓶をラッパ飲みし、下卑たゲップを吐く。
その横には悪趣味な紫のスーツ(以下紫スーツ)を着た小柄な男が、男をよいしょする様に手を擦って男に媚び諂う目線を送っている。
471◇n41r8f8dTs氏代理:2009/12/28(月) 01:24:06 ID:/9kyFr9n
「しかしボス、今回も高値で……売れますかね?」
紫スーツが手を擦りながらアロハシャツに笑いを浮かべながら言う。アロハシャツはブランデーを飲み干すと、口元を二やりとさせて返答した。

「高値で売らなくてどうする。せっかく苦労して集めたんだ。是が非でも買わしてやる」
「へへへ……流石です、ボス」

アロハシャツと紫スーツは目を合わせると、口元の端々をニヤリと歪ませた。その様は下品としか言いようがない。
アロハシャツと紫スーツ、そして黒服の男達の正体は言わずもがな、悪党だ。それもドが付く。
連中は殺人はもとより恫喝、強請、殺人、強姦、果ては薬物売買まで人として外れた事を幾度となく重ねてきた。それも何十年にも渡って。
無論公的な機関は連中の悪事を捕まえようと躍起になってはいるものの、連中は巧妙に、かつ狡猾に、その包囲を潜りぬける。

今回はその悪事の一つ――――ある売買を行う。その売買の商品は――――人間。それも、まだ10代前半の青臭さが抜けない子供達をだ。

時に難民から奪い、時にふとした瞬間から、親からはぐれてしまった子共を、時に……これ以上は止めておくが、連中は様々な手で商品となりそうな子供達を誘拐する。
そして徹底的に人間としての尊厳を奪い、商品へと仕立てあげていく。勿論、子供達の未来など考えもしない。
自らの意思を失った子供達は、商品として様々な人間へと売買されていく……。

ある子供は異常性癖を持つ富豪の奴隷となり、ある子供は臓器を移植する為だけに生かされ、ある子供は……。
考えるだけでもゾッとする程、えげつなく、残酷な末路を子供達は迎えている。そこに、救いなどありはしない。
今回の取引は、大きな企業の重役と名乗る男から、少女を買いたいと言う契約の元、売買を行う。

子供達はボロ布の様な服と言えない物を着せられており、胸には数字が乱暴に書かれたワッペンが縫われている。
生気を失ってもなお、寒さと恐怖心からか子供達の顔にはハッキリと怯えが見える。
しかし、言葉を発する事を許されない為か、何も言わずガタガタと体を震わせるだけだ。

「で、今回の奴はまだ来てねえのか?」
「もうそろそろな筈ですが……」

各々、廃材や機能を停止した大型機械に座り、連中は取引相手が来るのを待つ。それぞれ腰元に備えた拳銃の点検等をし始める。
毛皮のコートを紫スーツに手渡し、アロハシャツは扇子を広げて風を煽ぎながら、ドスンと腰を下ろして取引相手が来るのを待つ。
待ちながら、商品である子供達を一瞥するその目は、邪悪。冷酷に品定めをするその目に、人間的な物は何も感じられない。

何時頃からか、廃工場の周りを数機のオートマタ達が徘徊し始める。リヒタ―の様な精悍さも堂々さも見えない、醜悪なデザインのオートマタ達だ。

オートマタには、リヒタ―や玉藻の様に特定の持ち主が居ない、野良と呼ばれる種類が存在する。
野良と呼ばれる由縁には、特定の持ち主が居ない為、マナと呼ばれるエネルギーを常に補充できない事と、それ故に性能が低く知能も拙い事から。
しかしそれ故に、マナさえ貰えるならばどんな事でもする。よってその目的の為なら、どんな凶暴な事さえ厭わない。

「きりきり働けよ……ガラクタども」
掌を地面に付き、アロハシャツがニヤリとした笑みを浮かべたまま、誰ともなしに呟く。
恐らく、徘徊している野良オートマタ達とアロハシャツにマナを供給されており、その代価として、取引を守る用心棒となっているのだろう。
この様な男でさえ神子である事に、世の無常さを感じる。と、何者かが工場内に入って来た。今回の取引相手だ。
472創る名無しに見る名無し:2009/12/28(月) 01:24:19 ID:Igo4Tmx5
支援
473◇n41r8f8dTs氏代理:2009/12/28(月) 01:24:46 ID:/9kyFr9n
「ボス、来ましたよ」
「おう」
                   
アロハシャツは立ち上がり、紫スーツから毛皮を受け取り羽織ると、取引相手の元へと歩いていく。取引相手も、アロハシャツの男の元へと歩いていく。。
取引相手の男は体全体が膨れており、これ以上無い程の肥満体形だ。着ている白いスーツも相まって、実に気持ちが悪い。歩く度にドス、ドスと不気味な音が響く。
右手には趣味の悪いダイヤを何個も嵌めており、黒光りする大きなアタッシュケースを持っている。今回の取引における代価だろう。
男達がそのアタッシュケースを見、中の紙幣を想像したのか、目元を緩ませる。紫スーツに至っては分かりやすく口からよだれが出ては、右腕で拭う。

「エトフ・リィー・ヒンル―ド本人だな」

アロハシャツが、手元に握っている資料と、取引相手の男――――エトフの顔を交互に見ながら聞いた。
エトフはにま―と歯を剥いて笑うと、大きく頷いた。アロハシャツの顔にも笑みが浮かぶ。合わせる様に、エトフがげへへへと不快な笑い声を発した。
紫スーツが怒号を浴びせながら、エトフの前に子供達を横一列に並べはじめた。子供達は視線を上げない様ビクつきながら、一列に並ぶ。
やはり怖いのだろう、子供達の目から涙が零れだす。よくよく見ると、子供達の肌には痛々しい痣や、火傷の痕の様な物がちらちらと見えている。

「ガキ一人に付き50万、女は上質なガキを選んだからプラス20万だ。好きなのを選んでくれ」

アロハシャツが葉巻を咥えると、慌てて紫スーツがライターで火を付ける。エトフは子供達の顔をじろじろと見ている。
子供達はただただ、エトフの視線から目を逸らす事しか出来ない。今にも肉食獣に捕食されそうな、小動物の様に。
エトフしばらく子供達を観察すると、アロハシャツに聞いた。

「ちょっと話してみたいんだけどぉ、良いかなぁ?」
その体格に見合った、野太く、そして生理的不快感を感じさせる声に、一層、子供達は体を強張らせる。
アロハシャツは紫スーツと一言二言話すと、構わんよと気の無い返事をした。エトフはしゃがむと、一人の男の子の耳元まで近づいた。
一体何をされるのか……と、子供が肩を震わせる。エトフは子供の耳元に自らの口を近づけると、周囲に聞こえない、しかし通った声で男の子に囁いた。

「俺がくしゃみをしたら、皆を連れて適当な場所に隠れていてくれ。心配すんな、すぐに終わる」

さっきの生理的不快感ボイスと全く違う、痺れる様な低温イケメンボイスに、男の子の顔がキョトンとなる。が、何かを察したのか、小さく頷いた。
子供の反応に、エトフが右目でウインクをする。立ちあがり、アロハシャツに向き合う。
エトフの目を見るに、誰を買うかが決まった様だ。アロハシャツが葉巻を地面に落し、踏みつぶすと、エトフに聞いた。

「決まったか?」
「あぁ、でもちょっと待ってくれぇ。くしゃみが……」

エトフがそう言って大きな鼻を膨らまし、顔をしかめて――――びゃあっくしょん!っと弾ける様なくしゃみを発した。
瞬間、エトフの体が異常に膨張し、やがてエトフの顔が埋もれた。目の前で起きている事が理解できず、アロハシャツ含めた連中と、子供達が目を丸くする。
次の瞬間、エトフの体が大きな音を立てて風船の様に破裂し、持っていたアタッシュケースが右手から落ちた。

するとアタッシュケースが無機質な機械音を立てて横に開き、左右に小さな黒い穴が出てきた。
その穴から白煙が勢いよく噴出される。白煙はあっと言う間に周辺を覆い尽くしていく。連中は事態が把握できず、ただ両目を塞ぐ事しか出来ない。
474◇n41r8f8dTs氏代理:2009/12/28(月) 01:27:26 ID:/9kyFr9n
「皆、隠れるんだ!」
エトフからメッセージを受け取った男の子が、小声で他の子供達にそう言うと、近くの大型機械へと忍び足で走りだす。
他の子供達は最初、男の子の行動にポカンとしていたが、すぐに理解し、男の子へと続いていく。

「くそっ……何なんだよ、こりゃあ!」
黒服の男の一人が、必死に目元を擦りながら状況を把握せんと周囲に顔を向ける。と、その時だ。

「俺の演技、中々だっただろ?」
明らかに仲間では無い男の声がして、男は振り向いた。そこには、紅蓮の様な赤い髪の男がニヒルな笑みを浮かべていた。
男は腰元の拳銃を取り出そうとした。が、赤毛が握っているロッドで男の頭部目掛けて振り払う。確かに伝わる、頭部の重み。

「ガっ……」
赤毛の電光石火の様な素早い動作に対応できず、男はそのまま、声も出せず地面に突っ伏す。
赤毛という異常に気付き、近くに居た黒服を着崩した男が拳銃を赤毛へと向けようとした――――瞬間。

「っと、危ねえな」
赤毛はロッドを地面に突き立てると、バレエを踊るかの様な優雅な回転蹴りを、手首に目掛けて放つ。着崩した男は小さな悲鳴を上げた。
綺麗に着地し、ロッドを先程同様、頭部へと振り払う。これ以上無いほどクリーンヒットしたロッドによって、着崩した男は横転したまま動かなくなった。
赤毛はロッドを肩でトントンと叩くと、天井を見上げて、ほくそ笑んだ。


「くそったれ……! 何してんだてめぇら! 早く奴を見つけてぶち殺せ!」
アロハシャツが義憤に顔を歪めて、黒服に叫ぶ。黒服達は腰元に備えた拳銃を取り出して、謎の闖入者を探す。
次第に周囲を覆っていた白煙が晴れ――――アロハシャツの額にハッキリとした青筋が立つ。商品である子供達の姿が、人っ子一人消えているのだ。


「どこのどいつかは知らんが……タダじゃすまねえぞ馬鹿野郎! 早く見つけ出せてめぇら!」
「俺はここだぞ、アロハ野郎」
突然声が響き渡り、アロハシャツと黒服達が一斉に天井を見る。
そして、気づく。入り組んだ鉄筋の上で器用に立つ、赤毛の存在に。黒服達がアロハシャツを守る様に囲む。

「てめぇか……俺を騙すとは、偉い事してくれたじゃねえか、ええ、このクソガキが!」
「おぉ、くせぇくせぇ。三流の悪党の匂いがプンプンしやがる。ゲロ以下の匂いがな」

アロハシャツの恫喝に、赤毛は全く怯えた様子を見せない。むしろ、この状況を楽しんでいるかのようだ。

「何にせよ、てめえはもう終わりだ! 死ね!」
アロハシャツの男の言葉と共に、黒服達が拳銃を赤毛へと向けて、引き金を引いた。吸いこまれる様に、大量の銃弾が赤毛へと迫る。
幾ら身体能力に優れていようが、これだけの銃弾の雨を避ける事など出来ない……。どんな無残な死体になるかを考え、アロハシャツは残忍な笑みを――――。
475◇n41r8f8dTs氏代理:2009/12/28(月) 01:28:07 ID:/9kyFr9n
「な、何ぃ!?」
が、アロハシャツは笑うどころか、目の前の光景に、驚きのあまり目をひん剥いた。

赤毛は持っているロッドを両手で持つと、凄ましい早さで回し始めた。その早さはまるで、飛行機のプロペラが回っているかのようだ。
黒服達の拳銃から放たれた銃弾は全て、その回転によって叩き落とされるか弾かれて、虚しく地面へと落ちていく。
黒服達が必死に赤毛を攻撃しようと、すべて無効化される。ロッドの回転の元に。赤毛の真下に、銃弾の水溜りが出来る。

急いで大型機械の背後に隠れた子供達も、男の芸当に驚きの目を向ける。その目には、僅かながら希望の色が浮かんでいる。
子供達の視線に気づいたのか、赤毛はロッドを更に回転させて目元が見えないようにすると、子供達に向かってウインクした。
次第に、黒服達の拳銃が弾切れを起こしたり、ジャムりはじめる。赤毛はその瞬間を見計らい、軽々と地面へと飛び降りる。

「纏まってくれて……」
視線をアロハシャツに向け、赤毛は子供達に見せた優しげな表情から一転、好戦的な目つきへと変化した。
黒服達が着地し、こちらに向かってくる赤毛に向けようとした。が、すでに赤毛は黒服達の目前にまで来ており――――瞬間。

「助かるよ」
体勢を低くし、赤毛が全力を込めてロッドを黒服の一人の腹部を薙ぎ払う。その衝撃に、黒服の口から透明な液が飛び出る。
衝撃のあまり、その男は横に居た黒服達を巻き込んで壁へと吹っ飛んだ。地面や壁に背中を強打した黒服達は、激痛のあまり起き上がれない。

「この野郎!」
赤毛が背を上げた瞬間、背後からから紫スーツがナイフを逆手持ちして、赤毛の男へと襲いかかる。

が、あろう事か赤毛は振り向く事さえせず、そのナイフを左手の人差し指と親指で悠々と挟んだ。
紫スーツは渾身の力を込めて振りおろそうとするが、赤毛の力が異常に強い為かビクともしない。紫スーツの額に、焦りからか汗が噴出する。
生き残っている二人の黒服達が、赤毛を殺そうと拳銃の引き金を引いた。この至近距離なら――――が。

赤毛はロッドを横一文字に振り払った。確かに放たれた銃弾が、宙で回転して、コツンと落ちる。
驚嘆しているのか、二人の黒服の動きが止まり、あまつさえ拳銃を下ろす動作まで見せる。

「き、貴様ら、何を怯えている!」
「怯えてんのはあんただろ」
赤毛はそう言って、ロッドを逆手持ちすると、紫スーツの股間に向けて思いっきり振り上げた。
男なら耳を塞ぎたくなるような、鈍く重い音がして、紫スーツは泡を吹きながらあっけなく倒れた。

「悪いが俺は手加減できないんでね」
紫スーツからナイフを奪い、赤毛は正確に、撃ってきた黒服の一人の肩に目掛けて、ナイフを投げる。それは深く突き刺さり、黒服は拳銃を落として膝をついた。
仲間に気を取られている最後の黒服に向かって、赤毛は右足を振り上げた。実に綺麗なハイキックが入る。

最早黒服達と紫スーツに立つ気力は無さそうだ。アロハシャツを除いて、全員が気絶しているか、激痛のあまり悶絶し動ける状況ではない。
476◇n41r8f8dTs氏代理:2009/12/28(月) 01:28:48 ID:/9kyFr9n
「残るはお前だけだぞ、グスタフ・フレ―ン。このままぶっ倒されるか、それともお縄につくか……二つに一つだ。決めろ」
赤毛がロッドを一人だけ残ったアロハシャツに向かってビシッと突きつける。アロハシャツは悔しさのあまり、ギシギシと歯ぎしりした。
と、何故か不利な状況な筈だが、アロハシャツは赤毛の背後に目を向けてニヤニヤと笑っている。

気づけば野良オートマタ達が工場内へと入ってきており、赤毛の周りをぐるぐると囲っている。
目的は考えるまでもなく、闖入者である赤毛を嬲り殺す為だろう。いくら人間に対して異常に強くても、オートマタには敵うまい。絶対に。

「散々恥を?かせてくれたが……何にせよてめぇはもう終わりだ! 後悔する暇もなく死んじまえ!」
アロハシャツ――――グスタフの勝ち誇った声に、赤毛は何故か嬉しそうな笑みを浮かべている。
そしてロッドを地面に立たせると、グスタフに向かって悪役的な笑顔をし、静かに言い放った。

「出番だぞ、ヘ―シェン」
瞬間、ロッドに備われた宝石が眩く白い光を放ちだす。その眩しさに、グスタフと隠れている子供達が両目を塞ぐ。

「パラべラム」

襲いかかろうと赤毛の男を囲んだオートマタ達は、その光に怯み、後ずさりする。その光は周囲を包みこみ――――緩やかに消滅した。

「なっ……何だと?」
光が消えた先に居たのは、赤毛と――――1体の、厳かな雰囲気漂う、ヘ―シェンと呼ばれる白きオートマタ。
尖鋭的な二本の耳を思わせるアンテナと、素早さを感じさせる、逆関節の脚部。そしてバイザー状で作られたカメラアイが、猛禽類を彷彿とさせる紅き光を放つ。
赤毛はグスタフを、ヘ―シェンはオートマタを背中合わせとなって捉える。驚愕したまま、グスタフが聞く。

「て……てめぇら……何者だ?」

「生憎お前みたいなやつに教える名前は持ちあわ」
「答えてあげるが世の情け、正義のロリコン、リヒト・エンフィールドです! 覚えておきなさい!」

場が、凍る。ヘ―シェンは可愛らしくも活発な女性の声で、グスタフが聞いた赤毛の名を答えた。
リヒトと呼ばれた赤毛は、先程のクールな面持ちが一瞬で崩された事に怒っているのか、両手を震わせて、ヘ―シェンに言った。

「馬鹿かお前は! せっかくカッコ良く決めようと思った矢先に……台無しじゃねえか!」
「とてもじゃないですが反吐が出そうなので阻止しておきました。後で鏡に向かって幾らでもカッコいいポーズを決めていて下さい」
「……俺は今、グスタフ以上にお前をぶっ飛ばしてやりたいよ、この白ウ詐欺が」
「そんな心地の良い声で罵倒されても、惚れてしまいます」

一人と1機のあんまりにも緊張感の無い問答に、場の空気が幾らか和む。隠れていた子供達が、声を潜めて笑っている。
まぁグスタフはというと、逆に神経を逆なでされて今にも噴火しそうだが無理もない。
大金を得られた筈のチャンスがまやかしだった上に、部下を一人残らず潰されたのだ。面子も何もあったものではない。

「っと……悪ふざけはここまでだ。グスタフ・フレ―ン。クライアントからの依頼の元、お前をぶっ倒す」

リヒトとへ―シャンが向き合って、、グスタフに向かって親指を立てると、人差し指と中指を伸ばして銃の形を作り突きつける。
そして、二人一緒に声を合わせて、グスタフへと言い放った。

「「さぁ、お前の罪を数えろ」」
477◇n41r8f8dTs氏代理:2009/12/28(月) 01:29:29 ID:/9kyFr9n
――――ここで良い所だが、再び場面をやおよろずに戻そう。

何とも形容出来ない、妙な沈黙が流れて数秒……。視線を宙に向けて、何か考え事をしていたルガ―が一息吐くと、遥の顔を見、言った。

「えーっと……どういう事か説明してくれるかな、遥ちゃん?」

ルガ―の言葉に、遥は少しづつ息を整えていくと、意を決した様にまっすぐな目でルガ―に視線を向けて、語りだした。
事の顛末を、余す事無く。突然、空から巨大なロボットが落ちてきた事、ロボットが落ちてきた所に、得体の知れない謎の三人組が降りてきた事。
そして――――スチュアートが話した、その三人が未来を救うという事まで、全てを。

最初、三人は真剣な顔で遥の話しを聞いていたが、段々スチュアートの時点から悪意が無いにしろ、どうにもその目から疑いの気が見え始めてきた。
遥が全て話し終える。三人と遥の間に、さっきの様な、形容出来ない沈黙というか間が出来る。しばらくそうしていると、ルガ―が冷静な口調で、遥に言った。

「……悪いんだけど遥ちゃん、熱でもあるんじゃないか?」

ルガ―の言葉には別に遥に対して意地悪してやろうとか、そういった悪意はない。ただ単純に、遥の話がどうにも信じられないだけだ。
無理もない。遥自身、自分で何を絵空事をと笑いたくなる。しかし自分は確かに見たのだ。落ちてくる巨大ロボットと、それにあの三人を。
しかも、だ。リヒタ―も自分と同じ物を見ている。私はハッキリと断言できる。あれは夢幻じゃない。

「最近、結構特訓し続けてるからね。体の調子が悪くなっているのかもしれない。だから……」
「……ルガ―さん」

「確かに私の話はあまりにも現実離れしていて、信じて欲しいと言う方がおかしいかもしれません。
 けど……けど、草原に助けを求めている人達が居るんです。私は……私はその人達を助けたいんです」

「お願いします! 力を……力を貸してください」

<私からもお願いします。あの三人が、危険な目に合う前に>

そう言って三人に頭を下げる遥と、その遥と一緒に頼みこむリヒタ―。

ルガ―は、思う。
この子は――――いや、一条遥という子は、まだまだ人間としてもリヒタ―のパートナーとしても未熟だ。これからも成長しなければいけない。リヒタ―も含めて。
しかし、だ。この子は常に、真摯でかつまじめで、それに他人に対してとても優しいな子だ。
人の役に立ちたいと真剣に思い、自らの力を使う事が出来る――――そんな子が、そんな突拍子もない嘘をつくだろうか? 

いや――――。ルガ―はライディースと目が合う。どうやら、同じ事を考えていたようだ。
と、何故かリタの姿が見えない事に気付く。ルガ―は視線を右往左往すると、ライディースに聞いた。
478◇n41r8f8dTs氏代理:2009/12/28(月) 01:30:11 ID:/9kyFr9n
「あれ、リタちゃんは?」
「遥ちゃんの話を聞くが早く、ガレージに駆けていったよ。多分……」
「……なるほど」

苦笑しながら、ルガ―が遥に向き合う。そして優しい声で、言った。

「分かった。確かその三人がいるのは、この先の草原だったね。取りあえず君は服を着替えて待っていてくれ。シャワーでも浴びてね」

ルガ―の言葉に、顔を上げた遥の顔がパァっと明るくなる。その様子に、ルガ―は微笑んで近づくと、優しく肩を叩いた。
ライディースも無言で遥の肩を叩いてサムズアップする。二人が靴を履いて、草原へと歩いていく。それを見送って、遥は家に入ろうとした。

<おい>

鋭いナイフの様な声に呼びかけられ、遥はビクッとする。気づけば目前で、玉藻が浮いている。

<ずいぶん面白い話を持って来たじゃないか。どこで読んだ小説だ、うん?>
「たまちゃん……」
<全く……お前が来てから妙な事ばかり起きる。……退屈はしないがな。後でその現場に行ってみる。お前は休んでいろ>

<それとリヒタ―、貴様にも着いてきてもらうぞ。状況がいまいち把握できんからな>
<了解しました>

言葉は厳しいながら、玉藻の声からは遥とリヒタ―の事を心配している事が伺いしれる。
遥は服を着替える為に靴を脱ぎ、家の中へと入って行く。するとガタガタと音を立てて、何かがこっちに走ってくる音が聞こえる。
目を凝らすと、中身がパンパンに詰まったリュックサックを背負ったリタがこっちに向かって走ってくる。
そして遥の横で急停止すると、しゃがんでリュックサックの中身を整理し始めた。中には、沢山の工具やらが入っている。

「リタちゃん……?」
「巨大ロボットと聞いたら黙っちゃいられませんぜ、遥さん! 一体どんなオバテクが見られるか……メカニックとして腕がなりますよ!」

――――何故だかわからないが、遥は笑顔になった。
「何だ、これ……」
件の三人の目の前で転がる、巨大な物体にライディースはただただ感嘆した。
それもそうだ。こんな巨大なロボット……らしき物体、今まで数十年生きていて見た事が無いからだ。

「観察ならあとで幾らでも出来る。ほら、運ぶぞ、ライディース」
「あ、あぁ」
軽々とメルフィーとスネイルを両肩で抱えるルガ―。当然、ライディースは残った隆昭を運ぶ羽目になる。
ライディースは正直、今だけルガ―の事が羨ましく感じる。

家路を帰りながら、ルガ―はふと、背後の巨大なロボットを見て、呟く。

「……厄介な事にならない事を願おう」


同じ頃――――ポーズを決めたリヒトとヘ―シェンに対して、ブチンっとはっきりとした音で、グスタフの血管が切れた。

「行けぇぇぇぇぇぇぇ! このクソッタレ共をぶち殺せぇぇぇぇぇぇぇ!」

「俺はグスタフを〆る。頼んだぜ、相棒」
「あいあいさー!」


グスタフによって切られた、二つの闘いの火花。

だが、グスタフはおろか、リヒトも、ヘ―シェンも、その者の存在には全く気付いていない。






―――――――――――――冷やかに戦況を見つめる、琥珀色の目をした少女の視線に。

                               



                                     第二話



                                      赤白
480 ◆n41r8f8dTs :2009/12/28(月) 01:35:00 ID:Igo4Tmx5
代理投下、有難うございます!
パソコンの規制が中々解けないが凄く悔しいです・・・orzあれだけの量の文を代理して頂き、本当に有難うございました

体が重いので、感想云々は明日・・・
481PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/28(月) 02:22:49 ID:kcstEhtd
 おお! クロスオーバーの2話ktkr!
 では早速感想……の前に、PBMの11話を投下しようと思います。
 可能ならば、支援よろしくお願いします。
482パラベラム! ◆1m8GVnU0JM :2009/12/28(月) 02:24:18 ID:kcstEhtd
 がたんごとん、がたんごとん。

 列車に揺られて丸一日、灰色の森のアスファルトの木々を越えて。

 ブラウニングのはずれのはずれ、緑の海の向こうの向こう。大地に刺さった杭が見える。天を貫くバベルが見える。

 その塔、またの名を“軌道エレベーター”と言った。


パラベラム!
Episode 11:いざ、神の門へ〜さあ、狩りの時間だ〜


 その前日、レイチェルの駅の改札にて。
「おいおいあんた達、あんな所に本当に行くのかい?」
 人間の身体と顔に犬のような耳と尻尾の半獣人、若い車掌が怪訝顔で赤髪の男に尋ねた。始発前の、靄のかかった早朝の駅は閑散としていて、あまり張り上げてもいないのに声がよく響く。
「おう。何かヤバい事でもあるのか?」
 まるで友人の家に行くかのような気軽さで、半獣人の車掌の質問に男が答えた。
「知らないのかい? 最近野良が大量発生してるんだよ。しかもデカブツまで現れるって話だし……そのせいで誰も近付こうなんてしないんだよ」
 身長の低い車掌は男を見上げながら答えた。なるほどな、と男が呟く。
「だから、命が惜しけりゃやめといたほうがいい。ほら、小さい娘だっているじゃないか」
 車掌が改札の向こうを見る。そこでは三つ編みの少女、肩に狐を乗せた少女、プラチナブロンドの少女、そしてマッチョと眼鏡のチャラ男が談笑していた。
「ピクニックだか何だか知らないけど――――」
 苦言を提した若い車掌の頭を、うっそうと焦げ茶色の毛が茂った大きな手が制帽の上から撫でた。
「スティーヴ、こいつらにそんな心配は無用じゃて」
 そこにいたのは、亜人だった。犬の――――セント・バーナードの獣人。半獣人ではない、獣人だ。なので、顔は、犬そのもの。
「でも、クルップさん」
 レオポルド・クルップ。この列車の運転士であり、御歳八十にして未だ現役バリバリの大ベテラン。その仕事ぶりは年齢を感じさせない程素早く、また丁寧で、現在は後進の育成にも力を入れているという。
「よう、じいさん。まだ生きてるみたいで安心したぜ」
「ちょっと、あんたなぁ」
 赤毛の男の馴れ馴れしい態度を若い車掌、もといスティーヴが注意しようとするが、クルップが片手でそれを制する。
「スティーヴ、お前さんが儂の事を大好きなのはよーくわかった。儂もおまえさんが大好きじゃ、顔も女の子みたいでかわいいしのぅ」
「いえ違いますけど。あとさらっと人が気にしてる事に触れないでください」
 スルー。
「じゃが、こやつと儂はただならぬ関係でのぅ」
「俺はうら若き美少女にしか興味はねーよ」
 またもやスルー。
「その昔、もうそれはそれは激しくグ……パァー!」
 捏造に塗れた昔話に耐え兼ねた男が、ダグラスを思いっきりぶっ飛ばした。くるくると空を舞い、地面に叩き付けられる御老体。
「ちょっ、あんたクルップさんに何てことするんだ!」
「そうじゃそうじゃ、年寄りになんと酷い仕打ちを!」
「クルップさんはなんで生きてるんですか!」
「酷いのぅ」
 ジジィしょんぼり。
483創る名無しに見る名無し:2009/12/28(月) 02:25:35 ID:3oyw/BOc
 
484創る名無しに見る名無し:2009/12/28(月) 02:27:40 ID:3oyw/BOc
 
485パラベラム! ◆1m8GVnU0JM :2009/12/28(月) 02:28:13 ID:kcstEhtd
「相変わらず無駄にタフな上に気持ち悪いな、この老害めが」
 しょんぼりジジィを冷めた目で見つめながら、赤髪の男が吐き捨てた。それを聞いているのか否か、むくりと起き上がりながらジジィが言う。
「そんな事よりさっさと本題に入ろうかのぅ」
 えらく腹立たしいジジィである。
「じゃあさっさと本題に入らせてもらうぞ」
「いやその前にあんたらが何者なのか教えてくれよ」
 そしてえらく空気の読めない部下である。こんなのが車掌でここの鉄道会社は大丈夫なのかといらぬ心配をしつつも、いつも通りの悪戯っぽい、不敵な笑みを浮かべながら男は言う。いや、
「俺は“小さな存在を愛する者”そう――――」
「“壊し屋リヒト”と愉快な仲間達じゃよ」
 言おうとしたところで、後から割り込んできたクルップの声に掻き消された。赤髪のリヒト、これでは話が進まない、といらつきつつも拳をおさめる。
 もしこのままなあなあになってなごみに会えずにアクセス制限が解除出来なければ、あんな画像やこんな動画なんかのけしからんブツが見れな――――じゃなかった、データ収集が非常に面倒くさくなる。よろしくない、それはとてもよろしくない。
 それに変態は変態であると同時に紳士なのだ、ここは穏便にいくべきだろう。後でボコせば問題ない。
「こ、壊し屋!? 生身で機械人形を倒せるっていう、あの!?」
 スティーヴが数歩、後ずさった。“壊し屋リヒト”といえば、亜人以上の身体能力でもって生身で数多の機械人形を葬り、いくつもの部隊を壊滅に追いやった事で割と名の知れた男だ。戦闘終了時にその身体はオイルと還り血で真っ赤に染ま――――
「いちいちウルサイねチミは」
「そうじゃ、あの契約したオートマタに茶々を入れられてなかなかカッコつかない事で有名な“壊し屋リヒト”じゃ」
「いちいちウルサイね、このジジィは」
 毒づく。このじいさまといるといつもこうだ、ペースが乱れてかなわん。
「おい、また話題が逸れたじゃねーか。本題入るぞ本題」
 とっとと切り上げてしまおう。
「おう、なんじゃい」
「単刀直入に言うぞ。ジジィ、バベル行きの列車の運転手をやってほしい」
 “バベル”
 その名を聞いた途端、レオポルドのつぶらな瞳がくわっ、と見開かれた。その光景は、まるで神でも降りてきたかのようだ。そのおりジジィがぽんと手を打って。
「その話、乗ったぞい!」
「さっすがジジィ! 話がわかるぅ!」
 若い車掌の顔が青ざめるのが、はっきりと伺えた。
「ちょっと、お上に無断で勝手に決めないでくださいよクルップさん! 仕事はどうするんですか!?」
 上司の暴走にこの上なく慌てる小さな車掌(女顔)。
「儂がいなくても、代わりはいるもの」
「そりゃいますけど!」
 スティーヴの考えてないツッコミで、ジジィ再びしょんぼり。
「もう儂、仕事辞めて隠居する……」
 ジジィ、超しょんぼり。
 そんなジジィの肩をリヒトの手が優しく叩いた。
「……じいさんよ、どうせ引退するなら、最期は派手に決めようぜ!」
 悪戯っぽい笑みを浮かべて親指を立てる。そんな顔を見て、悲しみのズンドコにあったジジィの顔が喜びに塗り替えられていく。
「そうじゃな! 最期くらいド派手に決めてやるぞい!」
 毛むくじゃらの手を高々と掲げて、ジジィ、獣の如く吠える。いや見た目は獣そのものなのだが。
486創る名無しに見る名無し:2009/12/28(月) 02:28:28 ID:3oyw/BOc
 
487創る名無しに見る名無し:2009/12/28(月) 02:29:28 ID:3oyw/BOc
 
488パラベラム! ◆1m8GVnU0JM :2009/12/28(月) 02:29:34 ID:kcstEhtd
「待ってくださいよ! 何乗せられてるんですかクルップさん! 勢いだけで決めたら後悔しますよ!?」
 必死で上司の暴走を止めようとするスティーヴだが、肝心のクルップは話を聞いていない。
 どうしようどうしようどうしよう。このまま話が進んで、無断で列車を発車したりしたら解雇だとかそういうチャチなレベルじゃ済まなくなるっていうかいくらそれなりに敬愛する上司だとしても巻き添えで職を失うのはゴメンだし――――
 なんて悶々と考えていると、改札の向こうから、黒髪を揺らしながら長身の女性が歩み寄ってきた。
「騒がしいみたいですけど……どうしたんです? ひょっとして、部下が何か失礼な事を働きましたでしょうか……」
 口ぶりからして、リヒトの上司なのだろう、とスティーヴは判断する。
 それにしても、
「綺麗だ……」
「はい?」
 きょとんとする黒髪美女。東洋系の顔つきは凛々しいが、彼女自信が纏った雰囲気は柔らかく、優しげで。
「ああ、いえ、その……。突然バベルまで列車を出してくれ、と言われましても、こちらにも予定というものがありまして……」
 見た目からして、だが――――年上が相手だからか、美人を前にしたからか、緊張して口調がしどろもどろになる。スティーヴ・ダグラス(19)は結構ウブだった。ふわふわの栗毛を指でねじねじ。
「あの、それなら許可はいただいたはずですけど……」
「そうなんですか? 連絡は来ていませんが……おかしいな」
「なにぶん手続きが急過ぎたので、もしかすると連絡が行き渡っていなかったのかもしれませんね……」
 上からの命令が伝わり切らずにどこかで止まってしまっているのだろうか。
 二人して腕を組み、顎に手を当てて考え込む。そのおり、ジジィが、
「おお……おお! そういえばそんな連絡が来とったような気がするわい」
 手を打ちながらそう言った。
「アンタの仕業か――――っ!!」
「うほほほほほ! 儂ももう歳じゃのぅ!」
 ただでさえ裂けた口吻がさらに引き裂けんばかりに口を開け、腹を抱えて笑い転げる老犬。
「うほほ、ほーっほっほっほ! うひー!」
 クスリでもキメているかのような勢いで爆笑するジジィを見、この場にいた彼以外の全員の思考が一致した。
 ――――何がそんなに面白いんだ……。
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ! あひゃふっ」
 あまりにも五月蝿いうえに話が進まないので、リヒトが手刀をジジィの後頭部をぶっ叩くと、ジジィ、昏倒。
「あぁっ、リヒトさん!?」
「うわぁぁぁ!? クルップさんが壊し屋に殺られたぁぁぁ!!」
 突然過ぎる出来事に慌てふためくまどかとスティーヴ。対するリヒトはしばし黙考してから、
「いや、寿命だ」
 あたかも何事も無かったように言う。言い訳にしてはあまりにも見苦しい。
 そのおり、だ。
489創る名無しに見る名無し:2009/12/28(月) 02:31:05 ID:3oyw/BOc
 
490創る名無しに見る名無し:2009/12/28(月) 02:34:29 ID:3oyw/BOc
 
491パラベラム! ◆1m8GVnU0JM :2009/12/28(月) 02:35:00 ID:kcstEhtd
「何かさっきから騒がしいけど、何かあっ……って、あら?」
 改札の向こうから、小さな小さな少女がひとり、こちらにてとてとやってきた。
 柔らかそうな鳶色の髪を二つに編んで顔の両脇に垂らした彼女は、倒れたクルップとリヒトの手刀を交互に見比べて、
「あ?」
「人質とってトレインジャックたぁ、こンのド外道がぁぁぁぁ――――っ!」
 たたたたたた……たんっ!
 助走もそこそこにアスファルトの床を蹴り、小さな身体が宙を舞った。そしてそのまま、吸い込まれるように赤髪の男の胸板を打ち抜く。
「ごぶぅぁっ!」
 フライング・ドロップ・キック、決まった。すぐさま後方に一回転して受け身を取る。自身を一発の砲弾とする事すら可能なその脚力は、まさに人間バズーカと呼ぶに相応しい。
 一方、ドロップキックをまともに喰らったリヒトは、
「御臨終です」
 いつの間にやらそこにいたプラチナブロンドの少女が脈を計って、沈鬱そうな面持ちでそれっぽく告げる。
「あぁっ! リヒトさん!?」
「うわぁぁぁ!? 壊し屋が三つ編みの女の子に殺られたぁぁぁ!!」


 ♪  ♪  ♪


 それから、しばらくして。
<……起きる様子がありませんね>
「起きませんね!」
 二人の顔を覗き込みながら、リタとリヒター。ちなみにリヒターは今回たまの玉(駄洒落にあらず)を借りている。ボディはガレージでお留守番だ。
「ど、どうしよう……死んでないよね?」
 遥、ちょっと狼狽。勘違いでリヒトに危害を加えるのはこれで二度目だ。いくらリヒトが救いようのない変態だったとしても、流石に心が痛む。
 それにリヒトはオートマタを生身で破壊できる男なのだ。もしも怒られて鉄拳制裁なんてなったら……うん、死ぬ。多分死ぬ。絶対死ぬ。
<このバカがそう簡単に死ぬわけないだろう>
<老が……老人に危害を加えるようなロリコンには折檻が必要なので問題ありません、むしろもっとやれ>
「それにしても、リヒトさんを一撃でKOするなんて……遥ちゃん、見かけによらず恐ろしい子だね」
 吐き捨てるたま、煽るシロ、うろたえるライ。
「ここに放置するのもなんだから、とりあえずどこかに寝かそうか」
 筋肉ダルマことルガー・ベルグマンの提案の通り、意識を失った五月蝿い二人は付近にあった東屋のベンチに寝かしておくとして、まずは、
「とりあえず、出発の準備はしておきましょう」
 手の平をぺちんと合わせながらまどかが言うと、皆それに頷いた。


 ♪  ♪  ♪

 
492創る名無しに見る名無し:2009/12/28(月) 02:36:19 ID:3oyw/BOc
 
493パラベラム! ◆1m8GVnU0JM :2009/12/28(月) 02:36:23 ID:kcstEhtd
 さて、何故彼ら“やおよろず”の面々がバベルを目指すのか、それは大体一週間前。恒例のドッキリが終わった翌日まで遡る。
「春になったらバベルへ行こう!」
 突然、唐突に、突如として、その予定は舞い込んだのであった。……いや。割り込んだ、と表現すべきか。
「突然どうしたんだい? バベルに行こうだなんて」
 リヒトの突拍子もない提案に、食事中のルガーも怪訝顔。眉目秀麗、どちらかというと二枚目な顔が無言で告げる。ついに気が狂ったか、前からだけど、と。
「挨拶だよ、ア・イ・サ・ツ」
 と言って立ち上がり、手元にあったデフォルメされた牛が描かれたマグカップの中の牛乳をグイッと一気飲みして、
「……なんだこれ、甘ったるいにも程があるぞ」
「リヒトさん……! 今その牛乳を飲みましたね! グイっと一気飲みしましたね!」
 リタ・ベレッタが、厨房へと続く漢と書かれたのれんの影からスッと音もなく現れた。
「ああ、練乳たっぷりのヤツをグイっとな! ヘドが出るくらい甘ったるかったぞッ!」
「おのれ泥棒め、許さんっ!」
 懐からいつも持ち歩いている神器がひとつ、聖剣モンキーレンチをずらりと引き抜いて、のしのしと、ゆっくりリヒトとの距離を詰める。
 歩み寄る、歩み寄る。蒼い瞳に光が走る。
 そして、
「あの世で私に詫び続けろエンフィールド――――ッ!!」
 ハイ・ジャンプ!
 ……といってもそれはあくまで本人にとってであり、他人からしてみればそこまで高い跳躍ではないのだが。
「ンフフハハハハハ! だぁが断る!」
 後ろに下がり、兜割りを回避。無駄のない、最小限の動きでだ。
 じりじりと距離を調整しつつ睨み合う。勝負は多分一瞬だ、多分一瞬で決まる。
 サン、ニ、イチ――――今だ!
「リタァァァァァァァァ!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
 モンキーレンチを横に薙ぐが、それは難無く受け止められてしまう。身長差40センチ以上の二人の取っ組み合い、開始。
「おまえが牛乳を! 牛乳を飲み干した!」
 流石にこの体格差では力負けは必至なので、腕を弾いて再び後退。なんかもう勝負は一瞬でも何でもないが、そんな事はどうでもいい。
「こらリタちゃん。洗い物任せたのに、サボっちゃ――――」
「遥、駄目だ、来るな!」
「あ」
 ダイニングがあまりにも騒がしいので様子を伺いに来た遥に、勢い余ってリタの手からすっぽ抜けたレンチが襲い掛かった。回転しながら迫る棒状の鉄塊を前にしても彼女は動じる事はない。
 手を開き、レンチの軌道上にかざす。回転に合わせて、レンチと手の平が垂直になるタイミングを見計らって――――
「おおっ」
 それはまるで吸い込まれるように、遥の手の平に収まった。
「『おおっ』じゃないでしょ『おおっ』じゃ! ちょっとこっちに来なさい!」
 リタの手を握り、無理矢理のれんの向こうに引きずっていく。遥の馬鹿力に一応一般ピーポーのリタが逆らえる由もなく、
「は、遥さん、暴力反対です!」
 少女の声がだんだんフェードアウトしていって、やがて部屋の奥に消えた。
「ウヒョー、怖い怖い」
「まるでお母さんみたいだね」
 リヒトとルガーが顔を合わせて苦笑する。
494パラベラム! ◆1m8GVnU0JM :2009/12/28(月) 02:39:00 ID:kcstEhtd
「……とりあえず脇に逸れるちゃった話を戻そうか。挨拶って、なごみちゃんにかい?」
 「おう」とリヒトが頷いた。
「珍しいね、わざわざ挨拶しに行こうだなんて」
 なご なごみ――――No.75753を含めた管理者の本体は各地に点在する遺跡“神の門<バビロン>”にある施設――――たとえば要塞だとか、都市だとか――――内に設置されている。このブラウニングの場合は宇宙へ続く長大な塔、軌道エレベーターだ。
「まあ、久々にあいつの顔も見たいしな」
「またまた。そんな事言うとシロちゃんが拗ねちゃうよ」
「まあそれも悪くねーな」
 賑やかな朝の一幕。ブラウニングは今日も平和だ。匂いを嗅いでからコーヒーを一口飲んで、余韻に浸る。喉の奥へと流れてゆく熱い液体によって、次第次第に意識が覚醒してゆく。うむ、今朝もコーヒーが旨い。
 ――――と、そういえば。
「バビロンに行くならオーナーの許可が必要だけど……って、あれ?」
 いない。どうやらコーヒーを味わっている間に行ってしまったようだ。相変わらず素晴らしい行動力。
「フフッ、なるほど。善は急げ、か」
 もう一口コーヒーを味わってから苦笑する。
 ああ、ブラウニングは今日も平和だ――――少なくとも、今のところは。


 ♪  ♪  ♪


 朝の陽射しを浴びながら、庭の芝生にごろりと寝転ぶ白いワンピース。吹く風はまだ冷たいけれど、陽光はまぶしく、暖かい。
 ――――今日は休日だし、家事の当番もない。ゆっくり休む事にしよう。なんて事を考えながら、まどか・ブラウニングは寝返りをうつ。
<なんだまどか、こんなところにいたのか>
 寝息をたてるかたてないかというところで、耳元に駆け寄ってきた手の平サイズの九尾の狐に声を掛けられ目を覚ます。
「はい、ぽかぽかしていて気持ちいいので」
<あまり長くいると風邪をひくぞ>
「そうですか、じゃあ――――こうすれば、大丈夫ですよね?」
 黒髪の少女はおもむろに起き上がると、狐をそっと抱き寄せた。限りなく本物に近い擬体は、ほんのりと熱を帯びていて。
<お、おい、まどか!>
 突然の出来事にたまが狼狽する。自分からするのはいいが、されるのは苦手なのだ。
「何か問題でも?」
<あ……いや、ない、です。はい>
 たまが恥ずかしそうにぼそぼそと返答し、まどかの胸に顔を埋める。九本の尻尾が嬉しそうに揺れた。――――こんなところまで本物の身体そっくりだ。
「それにしても、遥さん達が来てから、たまちゃん変わりましたよね」
 身体よりも大きなふさふさの尻尾を撫でる。
<……具体的に、どこが?>
「そうですね……前よりも外に出るようになった」
 なんと。まったく意識していなかったが、言われてみれば確かにそうだ。部屋から出る回数は増えたし、他人と会話する機会も増えた。
<……ふむ、つまり脱・引きこもりというわけだな>
「じゃあ、お赤飯炊かなきゃいけませんね」
 冗談言って、にこりと笑う。……いや、まどかなら本気でやる可能性も否めない。
<言っておくが、本来赤飯というのは吉事ではなく凶事に食べるものだからな>
「あらまあ。そういえばそうでしたね。でも今は違いますし、そもそも歴史書にも曖昧模糊とした説明しか載っていない時代の事なんて関係ありません」
 何故か「えへん」と胸を張る。
<まあ、神子なら知っていても不思議ではないがな>
「むっ。たまちゃん揚げ足取りばかりでずるいです」
 えへんの次はぷくっとむくれるまどか。やはり拗ねる少女はいい、非常にいい、とてもいい。抱きしめたい。だからいじめたくもなるというものだ。
<かわいい子ほどいじめたくなるだろう?>
「そんなのわかりません!」
 ぷいっ、ついにそっぽを向いてしまう。たまらんなぁ、ああたまらんなぁ、たまらんなぁ。
495創る名無しに見る名無し:2009/12/28(月) 02:39:14 ID:3oyw/BOc
 
496創る名無しに見る名無し:2009/12/28(月) 02:40:17 ID:3oyw/BOc
 
497パラベラム! ◆1m8GVnU0JM :2009/12/28(月) 02:45:28 ID:kcstEhtd
「あー、お姫様にお稲荷様? キャッキャウフフしてるとこ悪いんだけど」
<なっ……リヒト、いつの間に!?>
 声を掛けられて初めて気付く、背後にリヒトがいた事に。
「フッ、錆びたものだな……白面金毛の九尾の妖狐も」
 中指を眉間に当てて、嘲笑。シロといい目の前のロリコン変態野郎といい、主従揃って人を煽るのが得意な奴だ。
 遥とリヒターもけっこう似ているところがあるが――――『子は親に似る』だとか『ペットは飼い主に似る』という事をよく聞くが、それと同じようなものだろうか。
 ……いや、待てよ。だとしたら私は、誰に似たんだろう?
 ――――まあいい。そんなのは今は関係のない事だ。考えたって何も出てきやしない、長く生きすぎたのだ。
<で、ロリコン紳士様が何の用だ?>
「いや、実はおまえに用はない」
<シバくぞ貴様>
「じゃあ、私ですか?」
 まどか、今にもリヒトに飛び掛からんとする小さな獣をすんでのところで押さえ込む。
「Exactly(そのとおりでございます)」
「何でしょう」
「ブラウニング・バビロン行きの列車を手配してもらえるよう、親父さんに掛け合ってほしいんだ」
「何故ですか?」
「新入りが入ったなら挨拶に行かないとなごみが拗ねるだろ? それに、あいつなら賢者の石の事やリヒターの正体について何か知ってるかもしれない」
 確かに古の時代からこの辺り一帯を管理している彼女――――正確には管理者やオートマタには性別という概念はないはずなのだが、たまやシロ、リヒター、なご なごみにも明らかにそういったものは存在しているのでいいとしよう――――なら、知っていても不思議ではない。
 まどか「ふむ、ふむ」といくらか頷いて、
「わかりました、お父様に掛け合ってみますね」
「サンキューオーナー!」
「いえいえ。でも、いくら年下でも上司に物を頼む時はそれ相応の態度を取りましょうね?」
 手の平を合わせ、眩しいくらいの微笑み浮かべてやんわりと注意する。
「はい、ありがとうございます、オーナー」
「よろしい……って、あら」
 その注意を聞くか聞かないか……怪しいところでリヒトが丁寧に頭を下げるなり、踵を返して脱兎の如く走り去る。
<おい、あんな態度をさせておいていいのか、まどか>
「はい。仏の顔も三度まで、あと二回同じミスをしたら減給するまでです……なんちゃって」
 悪戯っぽく、ぺろりと舌を出す。なんだかまどかがリヒト達の影響を少なからず受けているような気がしてならないたまであった。


 ♪  ♪  ♪


 ――――それから数日が経過して。
 いつものようにまどかが学校から帰ってくると、甘い香りと一緒にエプロン姿の三つ編み少女がお出迎え。
「おかえり、まどかちゃん」
 防寒用の黒タイツがセクシーだが、フード付きの黒い服に黒タイツ、全身黒づくめなのは趣味なのだろうか、あるいは何か考えあっての事なのだろうか。
 そしてルガーとお揃いの猫さんエプロンと、手に麺棒……絶対口に出しては言えないが、なんだか母親の手伝いをしている娘みたい。
「はい、ただいま帰りました」
 靴を脱いできちんと揃え、玄関に上がる。そろそろ父から返事が来ていてもいい頃だが……。
「あの、遥さん。私宛にお手紙とか、来てませんでした?」
「え? ……ああ、そうそう。今朝ご実家のほうからお手紙来てたよ」
 うん、予想通りだ、やっぱり来てた。
498創る名無しに見る名無し:2009/12/28(月) 02:46:17 ID:3oyw/BOc
 
499パラベラム! ◆1m8GVnU0JM :2009/12/28(月) 02:47:06 ID:kcstEhtd
「ちょっと待っててね」
 まどかから向かって右手側の扉――――ちなみに左手側には各々の私室と客間がある、二階へ続く階段がある――――を開けて、事務所へとぺたぺた走っていった。そしてがさごそと紙を掻き分ける音。どうやらしばらく時間が掛かりそうだ。
 手持ち無沙汰なのでどうしようかと考えていると、
<お帰りなさいませ、まどか・ブラウニング>
 見覚えのある宝玉が、ふよふよとこっちに飛んできた。
「ただいま、リヒターさん」
 元々たまが使っていたものだが、現在は機体以外に宿る場所のないリヒターに貸し与えている。たまもよく外に出るようになったし、動き易い九尻の擬体のほうがいいだろうという判断だ。……壊した時が怖いが。
「あーっ、あったあった!」
 嬉しい叫び声と一緒に、遥がてとてと戻ってきた。手には小さな封筒。
「はい、これ。ごめんね、待たせちゃって」
 それをまどかにそっと手渡す。
「いえ、ありがとうございます。ところで、今日のごはんはなんですか? なんだか甘い匂いがしますけど」
 くんくんと匂いを嗅ぐ。バニラエッセンスの匂いだ。
「夕飯はまだ考え中。今はクッキー焼いてたの」
「まあ、クッキー!」
 まどかが手をぱちんと合わせる。嬉しくなるとついそうしてしまう、一種の癖だ。
「ふっふっふ、まあ楽しみに待っていなさい」
 得意気な顔をして、遥がキッチンの方へスキップして行った。
「……さて、と」
 改めて手に持った封筒に視線を落とすと、封をしてあるところに「親」の文字。
<まどか・ブラウニング、これは何ですか?>
「これは『親展』の略で『名宛人以外はこの封筒を開けちゃいけません』っていうサインなんですよ。極東の言葉です」
 ここブラウニング自体、元々極東からの移民者が集まって出来た場所なので、こういうのは不自然な光景ではない。
<そうなんですか。説明ありがとうございます、まどか・ブラウニング>
「どういたしまして」
 そういえば、自分は本の中でしか極東を知らない。自分の先祖の生まれ故郷だというのに。
 ――――いつか行ってみたいなぁ、極東。
 極東から飛び出す前の遥も、似たような気持ちだったんだろうか……いや、そんな事より今は手紙を読む事のほうが先だ。
 破かないように、慎重に糊付けされた封を剥がし、中から折り畳まれた羊皮紙を取り出した。


 ♪  ♪  ♪


 ――――そして、今に至る。
 掛かった費用は出世払いという事なので、言い出しっぺのリヒトにはこれまで以上に頑張ってもらうとしよう。
 ……と、それよりも。
「……まだ起きませんか?」
<ええ、二人共グッスリですよ>
 あれから大体三十分が経過したが、未だ二人は起きない。もう出発の準備は整っているのだが、肝心の運転手がいなければ意味がないではないか。
<水ぶっかけたら起きるだろう>
 相変わらずたまは強引だが、確かにもうそれしかあるま
「ん、むぅ……」
 あ、クルップさん起きた。
「なん……おお、かわいい嬢ちゃん! そうか、ここは天国か!」
 どうやら寝ボケているようだ。
500パラベラム! ◆1m8GVnU0JM :2009/12/28(月) 02:50:20 ID:kcstEhtd
「クルップさーん、まだここは現世ですよー」
 ゆさゆさ。
「うむ、知っとるぞい」
<また寝るか、貴様?>
 たまがキレるのも無理はないと思う。それくらい憎たらしいおじいさんだ。ルガー・ベルグマンといい、フランキ・ロバートソンといい、リヒトの知り合いは皆……何というか、少年ハートを忘れない人ばかりなんだろう。
 ……類は友を呼ぶ、というやつだろうか。それとも男性というのは皆そうなのだろうか。
「も、もう大丈夫じゃ」
 たまの殺気に圧されたか、クルップがふざけるのを、やめた。さて、あとはリヒトだが……今は時間が惜しいので、クルップに頼んで列車に担ぎ込んでもらう。
「……師匠、まだ起きないの?」
「大丈夫、リヒトは殺して死ぬようなタマじゃないから」
 心配そうな面持ちの遥をルガーが諭す。
「お客様、出発してもよろしいでしょうか」
 スティーヴの問い掛けに、まどかが無言で頷いた。それからすぐに列車が加速を始める。
「こういうのってなんだかドキドキしますね!」
「そう?」
 流れていく窓の外の景色を眺めながら無邪気に言うリタと、冷めた返答をするライ。かわいい顔してるだろ、十八なんだぜ、これ……。
「走り始めが一番いいんだよね!」
 片や遥はノリノリのようだ、さすが旅人だけあって、こういう事は楽しめる人らしい。
 わいのわいの。
 しばらくするとなんやかんやで盛り上がり始めるやおよろずメンバーズ。弁当を食べたり、トランプをしたり。ちなみにリヒトはまだ起きない、というかいびきを立てて爆睡している。
 そして、四半日が過ぎた頃。
「ああっ、そこで2を出すなんて!」
 ライがトランプを放り投げる。持ち札は10・K・J。
「読みが甘かったね、ライ」
 ルガーが手札を見せびらかす。カードはそれぞれ8と6。
「じゃあシャッフルよろしく、大貧民のライディースくん」
 一行は大富豪の真っ最中であった。
501創る名無しに見る名無し:2009/12/28(月) 03:00:26 ID:3oyw/BOc
 
502パラベラム! ◆1m8GVnU0JM :2009/12/28(月) 03:04:52 ID:kcstEhtd
「まどかさん、まだ着かないんですかー」
 疲れてきたのか、まどかにもたれ掛かりながら、甘えるようにリタが聞いた。
「はい、あと四半日は――――」
「た、大変だ!」
 扉が荒々しく開け放たれると、息を切らしながらスティーヴが駆け込んできた。
「何かあったんですか?」
「野良、野良だよ、野良が出たんだ! こっちに向かって来てる!」
 そう叫ぶスティーヴは顔面蒼白。無理もなかろう、野良のオートマタが列車を襲撃する事など極稀だ。
<型と数は?>
「ふ、フリューゲルタイプ、数は十!」
 フリューゲルタイプ……飛行型のオートマタだ。装甲は薄いが、機動性は高い。しかし燃費が悪く、自己再生の遅さも相俟って、野性のフリューゲルタイプの個体数は多くない。
<ほう、キナ臭いな。だが……高く売れるか>
 九尾の狐が口の端を引き攣らせた。
「出世払いをする必要はなさそうですね」
<全弾バラ撒いても釣りが来るぞ>
 その主も、同様に。
「リヒター、私達も――――」
<忘れたか、遥。リヒターの身体はガレージだ。神子になってないから、物体の転送はできないだろう?>
 物体の転送は、対象をマナに分解して地脈を通して移動、再構築というプロセスで行われる。一番目と最後はマナが扱えれば不可能ではないが、二番目――――地脈の使用は、正式な神子にしか許可されていないのだ。
「ぐ……」
 遥が悔しそうな表情で引き下がる。
<まあ、おまえはそこで大富豪の続きでもしていろ。すぐに片付けてやる>
 そう言ったたまの瞳は、まさに肉食獣のそれであった。
「大丈夫ですよ、遥さん、リヒターさん。たまちゃんは強いですから。……スティーヴさん、このままではどうせ追い付かれるので、クルップさんに列車を止めるよう言ってきてください」
「わ、わかりました!」
 スティーヴが駆け出すと同時に、まどかが懐からヘアゴムを取り出して髪を結う。
 本気のサインだ。
 扉の前に立ち、列車が停止するのを待つ。
 やがて、甲高い音と共に列車が速度を緩めていき、止まる。
 立て掛けてあった杖を手に持ち、まどかが扉を開けた。
 ――――さあ、狩りの時間だ。


 ――――次回に続くぞオラァァァァァ!
503PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/28(月) 03:16:17 ID:kcstEhtd
 投下は以上となります。支援、ありがとうございました!

 すみません、今回は説明メインとコントの話になってしまいましたorz
 次回こそは白面金毛の九尾の狐の勇姿を……書けたらいいなぁ。
 それにしても、ようやく亜人を登場させる事ができました。長かった、長かったよママン。
 ちなみにスティーヴ君、最初はシベリアン・ハスキーのイケメン獣人だったんですが、作者が半獣人を出したがったためにケモノミミショタになりました。すまない、スティーヴ君。だが私は謝らない。

 さて、とどせんとクロスオーバーの感想……といきたいんですが、もうこんな次回なので、私も今日のとこは寝ようと思います。
 感想は、明日以降という事で☆(リッチランドの時のフラジールっぽく)


 ――――あ、地味にスレの容量が400越えてますね。
504創る名無しに見る名無し:2009/12/28(月) 22:35:45 ID:/0OAq3UI
獣人がいるという事は普通の人間の姿に耳と尻尾が生えた獣っ娘もいるという事だな。許せる!
獣っ娘の耳と尻尾を思う存分もふもふしたい。
505 ◆n41r8f8dTs :2009/12/28(月) 23:04:52 ID:Igo4Tmx5
>>454
凄く遅れましたが投下乙です
何と言う怖・・・いや、屈強そうなサンタさんなんだw
しかし大人の事情とはいえ、愛する人と過ごせなかったツクヨミさんがちょっぴり可哀相ですね・・・

多分お子さんには凄いトラウマを残したんだろうな・・・ツクヨミさんサンタw
>>467
投下乙です!
蟹・・・何て強さだ・・・!
高速で戦闘している様子を思い浮かべてゾクリとします
今後の展開が実に楽しみだ・・!
>>503
投下乙です!
おぉ・・・これは実に興味を引かれるぞ−!!
軌道エレベーターに飛行型オートマタ・・・男の子として期待しない訳にはいかない!
初登場のケモショタ君に期待しつつ、次回を待ってます

しかし年の瀬だからか人いないですな・・・さみしす
506PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/28(月) 23:37:13 ID:kcstEhtd
 みんな纏めて投下乙です!

>>467
 か、蟹のくせに強い、だと……!?
 しかし、兵庫……ふむ。そういえばロボスレ的には兵庫には頼れるガチムチお兄さん達g(ry
 さて、ここから岡山が盛り返すか、あるいは――――

>>480
 クロスオーバー二話キタ――――!!
 さぁ感想……の前に間違いをチェックだ!

 まず一つ!
※ルガーさんはメカニックではなくマネージャーです。何をマネージメントしているのかわかりませんが、マネージャーです。
※しかしメカニックの仕事もこなせるので、あながち間違ってはいません。

 そして二つ目!
× ライディース・グリセリティ
○ ライディース・グリセンティ

 なに、人生に間違いなんて憑き物s(ry

 さてさて、赤ロリコンがなんかヒーローしちゃってますねw
 今回はきっときっと舞台裏でこんな会話があったに違いない。

リヒト「ふむ、オートマタ強奪事件か……どうやらオートマタが強制的に機能停止に陥るらしい」
ヘーシェン<興味深いですね、ゾクゾクします>

 うん、やるよ。奴らなら絶対やるよ。ついでにクライアントに厨二な対応して遥さんか珍獣あたりにぶっ叩かれてるよ、絶対。
 それにしても、エトフ・リィー・ヒンルードとは見事なアナグラムw 関係無いですが、いつかのネクソンクロガネ敵キャラクター募集に出したドン・エフィールもエンフィールドのアナグラムだったりします。
 さて、琥珀色の目の少女とは一体何者で、何をしでかすのか……いやはや、ワクワクが止まらないぜ!

 では、皆さん次回も楽しみにしてますね!

※PBM! は四八(仮)の実況を一日中見ていたのでおかしくなっています。最高にハイってやつです。
507創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 00:00:24 ID:0YahjZH0
>>480
投下乙でござる
クロスオーバーでもライはツッコミ大変そうだなwあとロリコンと白ウ詐欺自重しろwww
しかしやっぱりリヒトは無駄に強いのう。下手したらへーちゃんいなくても大丈夫なんじゃ……。そして遥さんは乙女だのう
では、次回も楽しみにしてるんだぜ!

>>503
本当に被せてきやがった、だと……!?狙ったか、PBM!
こっちの遥さんは話が進むにつれて凶暴化してってるね、おっかないnうわ遥さんなにをするやめ
しかし今回は軌道エレベーターとか獣人とか新型オートマタとか、夢と世界が広がりまくりんぐな回だぜ
さらに次回はたまちゃんの御披露目回ときた、これで期待できないはずがない!

>>506
>ネクソンクロガネ敵キャラクター募集
懐かしすぎるわwww
508創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 00:09:21 ID:l0wVquoC
>>504
 これで犬耳ロリとか猫耳ロリとか狐耳ロリとか狼耳ロリとか夢が広がりまくりですね!
 はいそこ、出すのおせーとか言わない!

>>505
 ロボスレが先祖反りしてますね(過疎的な意味で)w

>>507
 ああ、狙ったよ! ニール並に狙い撃ったとも!
 ライルはやっぱり狙撃よりもガン=カタが得意みたいですね。

>下手したらへーちゃんいなくても大丈夫なんじゃ
 戦力的にはそうかもしれませんが、彼には彼女が必要なんです、精神的に。

 たまちゃんは暴れさせますよ、PBMで初めて味方に飛び道具使わせますからw
509創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 01:18:33 ID:0YahjZH0
>>508
ロリばっか……だと……!?

>彼には彼女が必要なんです、精神的に。
まさに二人で一人の(ry
510創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 10:45:46 ID:l0wVquoC
>>509
 フハハ何を今更!
 ……とか言いつつ、これ以上ロリを増やす気はあまり無かったり。ええ、あまり。
511創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 11:51:45 ID:0YahjZH0
そういえば、このスレにも戦場へ向かった者がいるのだろうか
512創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 12:10:03 ID:l0wVquoC
 チョーさんが夏の陣(三日目)に出陣していた筈でございます。
 なんか今回も凄い事になってるみたいですね(´・ω・`)
513創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 12:24:41 ID:0YahjZH0
今確認してきた、ロスガ最終回が投下されたあたりかw
てかロスガ完結からもう4ヶ月経ってるのか
514 ◆n41r8f8dTs :2009/12/29(火) 20:26:06 ID:s5rjJXjL
>>506
あぁ、何と言う間違いを・・・見直しが不足しておりましたorz
以後間違いが無い様に気をつけます、すみません

前々からリヒトをカッコ良く書いてみたかったので満足ですwちょっとバトルシーンがだるいかなと・・・反省
琥珀色の少女について重要人物ですという事で
>>507
これから隆昭君が突っ込みになるので、少しはライ君が楽になるかなとw
まぁこれからライオネルを少しずつ出すつもりですが、リヒトと良い感じにライバルになれれば良いですね

そういやロスガからもうそんなに経ったんですね
って、まともに完結させたのロスガしか無いな・・・ううむ
515創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 21:14:44 ID:0YahjZH0
なんか先週くらいの事に感じるw<ロスガ完結
516創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 21:45:33 ID:kohLuYsw
確かにそんなに前に感じませんねw
517創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 21:55:40 ID:l0wVquoC
 そしてタウエルン1期終了からもう少しで半年ですね!
 そういえばタウエルンには一切ビジュアルがないなぁ。
518創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 22:00:38 ID:0YahjZH0
まあ、イラスト付き始めたのはロスガからだからw
519創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 22:20:08 ID:s5rjJXjL
自分には遠い昔に感じます・・・w>ロスガ完結
私生活で色々ありすぎて何かもう色んな事が遠く・・・

後は頼みます・・・バタッ
520創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 22:27:14 ID:l0wVquoC
>>519
 ザオリク!
521創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 22:28:17 ID:0YahjZH0
>>519
アレイズ!
522創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 22:29:54 ID:l0wVquoC
 A-LAWS!!
523創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 22:31:50 ID:0YahjZH0
やはりアロウズか!
524創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 22:40:32 ID:l0wVquoC
 そういえば、ガラッゾを適当に改造したらリヒターもどきを作れそうな気がしてきました。
 ガラッゾかっこいいよガラッゾ。
525創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 22:55:36 ID:0YahjZH0
指サーベルっぽいのもあるしなw
526創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 23:17:39 ID:s5rjJXjL
cos-mosさんのフィギュア見てたら生き返ったよ!

唐突だけど、来年に向けてイメチェンしたいとです
PBM氏みたいに名前付けたいけど、何か良いのありますかね〜
527創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 23:24:39 ID:Po2dSTNt
PBM氏のように……たとえば、作品名から切り込んだら……

タウエルン
ロストガール
ヴィルティック・シャッフル

……「タロヴ」?
528創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 23:28:21 ID:0YahjZH0
>>526
頭の上のわっかに気づいて!

PBM氏みたくTRV……なんか語呂悪いな
529創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 23:33:53 ID:l0wVquoC
 氏どころかスレの代表作となったロスガから、ロスガの人、あるいはRSGの人とかいかがでしょう?

 そうだね、直球だね。
530創る名無しに見る名無し:2009/12/29(火) 23:39:30 ID:0YahjZH0
「〜の人」はデフォかいw
531 ◆n41r8f8dTs :2009/12/30(水) 00:00:57 ID:s5rjJXjL
>>527-530
レス遅れてごめんなさい
どれもグッドアイディアで迷いますな・・・w

決めました
皆さんの間を取ってTロGと名乗ります!呼び方はタロジーで宜しくお願いしまーす

次のレスから付けますね
532創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 00:03:10 ID:8k8aY8ep
 たろ爺ですとな!
533創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 00:05:01 ID:3ArLDbTy
早速ネタにするんじゃない!w
534Tロ ◆zoRWl3gR0A :2009/12/30(水) 00:16:44 ID:TztJgu72
って訳で付けてみました
コテ付けるのは初めてなので何か照れますねw
避難所でも書きましたが、名前が変わって心機一転、宜しくお願いします

まぁやる事は変わりませんがねw
535TロG ◆n41r8f8dTs :2009/12/30(水) 00:19:30 ID:TztJgu72
やべ、G後ろに間違って付けちった
こっちが正式なコテです・・・
536創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 00:25:09 ID:3ArLDbTy
すまない、どうしてもエロGに見えてしまう……
537 ◆klsLRI0upQ :2009/12/30(水) 00:27:13 ID:+q6CZYb8
時間見つけて久しぶりに来たらなんか面白そうな話題に…
俺もなんか付けてみようかな(´・ω・‘)
538PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/30(水) 00:33:09 ID:8k8aY8ep
>>536
 見えてしまったではないですか! 見えてしまったではないですか!

>>537
 ○○カッコマンとかいかがでしょう!
539創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 00:39:05 ID:3ArLDbTy
ドゥビドゥの人とか
540TロG ◆n41r8f8dTs :2009/12/30(水) 00:42:44 ID:TztJgu72
いきなりエロGとか勘弁して下さいよw結構気に入ってるんですから
>>537
リベリオンとか作品に兆した名前はカッコイイかとw
541創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 00:45:46 ID:3ArLDbTy
ってPBM氏に釣られた!
すまない◆klsLRI0upQ氏よ、これも全てPBMって奴の仕業なんだ
542薔薇ベラム! の人 ◆1m8GVnU0JM :2009/12/30(水) 00:48:17 ID:8k8aY8ep
>>541
 なんと……PBM、許せんっ!

 そうですね、じゃあ『シスターズ』から妹の人、とk(ry
543創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 00:53:19 ID:3ArLDbTy
>>542
お前やーっ!

そういえば、絵を書いてる人は比較的コテハン多いよね。SS書いてる人でコテハンはあおさんとシクスさんくらいだし
5446スレ目>>882 ◆MVh6W.SAZtbu :2009/12/30(水) 01:46:37 ID:m3Rn0JxQ
>>543
>そういえば、絵を書いてる人は比較的コテハン多いよね。
言われてみれば確かに(まあ俺のは微妙なセンだが)。
あれですかね、SS書いてる人は作品名でわかりやすく個人識別できるけど、
絵だけ描いてる人はそういうわけにはいかないからですかね。

>>537
作品からいくつか考えると……
「姉妹に復讐する人」「幻想の姉妹の人」「幻想に復讐する人」「ネメシス」
545創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 02:04:33 ID:8k8aY8ep
>>554
>SS書いてる人は作品名でわかりやすく個人識別できるけど、
>絵だけ描いてる人はそういうわけにはいかないからですかね。
 多分それでしょうねー。しかし名乗らなくても絵のタッチで一発でバレてしまう罠。
 みんな見事にバラバラですよね、絵やデザインの方向性がw
5466スレ目>>882 ◆MVh6W.SAZtbu :2009/12/30(水) 04:11:01 ID:m3Rn0JxQ
まとめwiki見てて今頃気づいても遅すぎることに気が付いてしまったんだけど……
「剣神鋼王ミカズチ」の作者さんと「英雄騎兵ミッドナイト」の作者さんてトリがかぶってる……(お二方とも◆YHSi90Gnr2)
547古時計屋 ◆klsLRI0upQ :2009/12/30(水) 05:52:42 ID:+q6CZYb8
よく考えたらこんなコテ昔名乗ってたんだった(´・ω・‘)
埃かぶってそうな感が気に入ってるのでこれで行こうと思います
案出してくれた人ごめんよ

>>538
なんだその元ネタw

>>542
実はリア妹いるのでちょっと洒落にならないw

>>544
なんかhackを思い出すようなw
つか、俺そこまで妹だしてたっけ…出してたな…




シスターズの作業し始めたら順調に進まなくて、CRの構成がやたら進むのは何故に(´・ω・‘)
新年に二章予告篇2とかやるかも
まあ、作業遅れてるのの言い訳&TロG氏のANUBIS予告編のパロディのさらにパロディなんですが
548創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 13:05:55 ID:3ArLDbTy
>>545
ロボのデザイン的にはPBM氏と筆氏、◆Ps/JE/do86氏はヒーロー体型、ポリゴン氏はかっこいいゲテモノ、882氏はかわいいゲテモノ
みたいなイメージががが
549創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 16:26:40 ID:u2yDk8jF
>>548
それのSS書き手さん版が欲しいなw
取り合えずPBM氏はパロディと軽妙な文章、◆46YdzwwxxU氏は独特のリズム感がある
550創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 20:07:41 ID:3ArLDbTy
あと、登場人物がひたすら前向きなとことか、時々さりげなく入ってる五七五とか<PBM氏
◆46YdzwwxxU氏はとにかく挿入歌のイメージが強すぎるw
TロG氏と古時計屋氏は登場人物にひたすら容赦ない感じだなー
551ミカズチの書き手 ◆YHSi90Gnr2 :2009/12/30(水) 20:44:03 ID:LQVz5OTc
>>546
俺が以前確認した時は確か「英雄騎兵ミッドナイト」の作者さんてトリ付けてなかったと記憶してまして……w
なので編集した際の間違いかと思っていたのですが……実際に被っていたら俺が変更しますねw

>>549
◆B21/XLSjhE氏は殺陣の軽快さ、◆WTKW7E8Ucg氏は映画のノベライズみたいな空気感。と私見を出してみたり

552創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 20:55:57 ID:8k8aY8ep
 DS氏はキャラクターが生き生きしてますよね!
553創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 21:08:52 ID:31+vMVjx
>>551
映画のノベライズと言えばUu8AeR.Xso氏の世界観もそんな感じかなと思う。
目を閉じれば、その風景のイメージがすぐに思い浮かぶ。
B21/XLSjhE氏の殺陣の疾走感は異常。お前等全員サイバスターかとw
554創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 21:17:18 ID:3ArLDbTy
キャラ絵で分けると
PBM氏→うおおー三つ編みうおおー!
DS氏→うおおーポニーテールうおおー!
882氏→アッー!
筆氏→( ゚∀゚)o彡おっぱい!おっぱい!
◆CNkSfJe3Zs氏→(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク
チョーさん→あなたが神か
555創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 21:27:54 ID:7XInv173
無茶苦茶無茶な提案だけど、各作者さんにどんな歴代でも良いからガンダム物のSS書いてほしいww
文体とか展開で凄く個性が出ると思う。というか明るい展開人とと鬱展開書く人でで凄く差が出そうw
556創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 21:31:46 ID:3ArLDbTy
wikiには載ってないけど、実はPBM氏が種のSSを投下した時があってな(ry
557創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 21:54:22 ID:8k8aY8ep
>>556
 いやはや、あの頃は私も若かった(´・ω・`)
558古時計屋 ◆klsLRI0upQ :2009/12/30(水) 21:56:00 ID:+q6CZYb8
>>555
俺が書くと確実にオリキャラ祭になると思いますw
いや、実は二次創作読むのは好きなんですが書くのは苦手でして(´・ω・‘)
559創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 21:58:44 ID:3ArLDbTy
むしろ誰がどのガンダムの二次創作をするかが気になる俺ガイル
560TロG ◆n41r8f8dTs :2009/12/30(水) 22:07:50 ID:TztJgu72
俺は書くとしたら00ですかねー
フラッグファイターの一員であるオリキャラの人生からCBとは何だったのかを欝展開をふんだんに盛り込んで

まあ、やる事が沢山あるんで当分・・・
つうか自分の作風を思い返すと無駄に欝展開が多いのはなぜだ・・・
561創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 22:14:49 ID:MkWg5DdT
「何者だ!貴様は!」
 僕が声がしたほうを向くと一人のMSがいた。
「あ、あれは・・・」
 僕は夢でも見ている気分だった。
 かつて昔話に出てきた伝説の騎士、炎の剣、力の盾、霞の鎧を身に付け人々を救ったという・・・
「ガン・・・ダム?もしかして・・・伝説の騎士ガンダムなのか!?」
「私の名前はストライク! そこの君! ここは私に任せて早く逃げろ!」
「わ、わかりました!」
 僕は傷付いたラクスを背負うと村のほうに向かって駆け出した。
「逃がすものか!」
「我等ザフト族に歯向かう愚か者には死を!」
 ジンが僕たちを追いかけてくる。
「貴様らの相手はこの私だ!」

台詞はバンバン出てくるけど動作を細かく書けないな
個人的ナイトガンダム物語が大好物過ぎるんだよ
562創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 22:18:02 ID:8k8aY8ep
 やっぱり付け込む隙が多過ぎる種・種死g(ry
 でも00で鉄人部隊の話とかもやりたいですw

>>561
 SDだと動かし辛いですしね……。
563創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 22:27:38 ID:+q6CZYb8
Gかなー
一番殺陣書きやすいしゴリ押しも利く気がしてw
564創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 22:29:11 ID:LQVz5OTc
同じくGですねwあれは取っつきやすい素材かとw
565創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 22:43:23 ID:8k8aY8ep
 でもGガンは必殺技や各国の機体の特徴を考えるのに半端なく体力を使いそうな気がしますw
566創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 22:45:04 ID:+q6CZYb8
>>565
ちょっと言われて考えたのだと
G世界の100年後とかという設定にして流派東方不敗を受け継ぐ主人公がDG細胞の残り香的なものと戦うみたいな設定でやると思います(´・ω・‘)
ちょびシリアス要素いれてあとは勢い重視かなー
567創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 22:48:14 ID:8k8aY8ep
>>566
 そういえば、それで主人公をシャッフル同盟所属にすれば色々問題解決しますね……。
 でも私はゲルマン忍法が好きなんだーっ!
568創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 22:51:08 ID:3ArLDbTy
Gの影忍「(´・ω・`)」
569創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 22:51:47 ID:Q/0EMbKF
昔、ドモンとレインの息子、キョウジ・カッシュがネオシャイニングガンダム(後にネオゴッドガンダムに乗り換え)で戦う話とか考えた事あるなぁ。懐かしい。
570創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 22:54:34 ID:LQVz5OTc
俺が今考えてたのは、Gのエンディングから10年くらい後の設定で、
幼い時にドモン達のファイトを見て感動した少年が、新たに選出されるガンダムファイターを目指すという設定w
で、主人公の師匠が黄色と黒の覆面をしているというw
571創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 22:55:48 ID:8k8aY8ep
>>568
 お前じゃねぇ座ってろ。
 割とデザインは好きですけどねw

 あ、そうだ。冒険王版のファーストとかボンボン版のF91とかVガンの二次創作なら何をやったって大丈夫なんじゃなかろうか!
572創る名無しに見る名無し:2009/12/30(水) 23:03:45 ID:3ArLDbTy
>>571
「くそっ しょうがねえな」とかチンポコユリとか電子レンジに入れられたダイナマイトとかやってるしな!
5736スレ目>>882 ◆MVh6W.SAZtbu :2009/12/30(水) 23:44:49 ID:xFner0zn
>>551
亀レスですまないです……
トリの件をまとめの方から確認をしているのですが、
13スレ目の「紹介文未定作品一覧」で、【英雄騎兵ミッドナイト ◆YHSi90Gnr2】と出てきています(これはこの16スレ目でも同じ)。
ただ、実際の投下があった10スレ目ではトリをつけずに投下されていて、
そのことから10・11・12スレ目を何回か確認しているのですが、ミッドナイトの作者さんが「◆YHSi90Gnr2」というトリをつけた、というレスが見当たりません。
ということで、どこかで何かの勘違いが起こったのではないか、と現時点では考えています。
お騒がせして申し訳ありませんでした。

あと、丹羽部長が進んでなくて申し訳ありません。たぶん年またいじゃうな……
574創る名無しに見る名無し:2009/12/31(木) 20:08:01 ID:GzJwf2Ct
ガンダム二次創作もいいが
マクロスとかもやりたいなぁ……

ここの初期にはあったんだっけ?
575創る名無しに見る名無し:2009/12/31(木) 20:33:19 ID:W9z5vrJV
 そういえば、マクロスFのがひとつありましたね。
576 ◆CNkSfJe3Zs :2010/01/01(金) 00:03:08 ID:y/511fil
あけましておめでとうございます

NEOやってたらエルドラン的な
「小学生がロボット動かして悪党戦う!」的な話を書きたい衝動に駆られたので
来年からは心機一転、その話を書こうと思います
577 ◆CNkSfJe3Zs :2010/01/01(金) 00:04:49 ID:y/511fil
嘘です

今年もマナガルの続き書きますってか書いてます
年明けるまでに投下したかったが、どんどん長くなったので間に合わず……
正月休み中には終わるといいんですけどねぇ
578創る名無しに見る名無し:2010/01/01(金) 00:08:32 ID:AQpLR0OM
年明け挨拶ついでに規制てst
579創る名無しに見る名無し:2010/01/01(金) 00:08:40 ID:GaxSc5Np
あけましておめでとうございます
って新年最初の投下が寄りもよって”鬼”かよ
しかもロボが一体も出ない!
こんなんで良いのか!?

まあ、そんな機動修羅バイラム第三話「遥か東の地にて・・・」
投下します
580バイラム 第3話「遥か東の地にて・・・」:2010/01/01(金) 00:10:18 ID:GaxSc5Np
 アジア統一連合『Asia unnied aggregate.』通称アジア統連、またAUAをという。
 この政府が誕生したのはおおよそ五十年ほど前、当時の東アジアは経済不況、政治腐敗、そして各国の内乱
などによりに揺れていた。
 そんなある日、大国である中華人民共和国が崩壊したことで東アジアのパワーバランスが崩れ、様々な国が
自衛や勢力の増加などを目論んだため大規模な戦争を引き起こされた。
 この戦争は『東アジア統一戦争』と呼ばれ様々な国が自らの歴史を振り返り、たて直す契機にもなった。
 しかし今までの歴史を振り返るいう行為は聞こえが良いが実際は自分達が信じてきたものが全て崩れ落ちた瞬間でもあるのだ。
 そして戦争が終わり数年後、当時の旧中華人民共和国北部に存在する『黄国』の大統領が日本、韓国、南中
国などに安全保障条約を結ぼうと申し出てきた。
 当然のように各国の様々な政治的駆け引きがあったが条約は締結、巨大な軍事組織が誕生した瞬間であった。
 数ヵ月後には軍事的だけではなく経済や文化的な交流を含むようとなり一種の巨大な国家となった。
 さらにそこから数年後、タイやベトナム、ミャンマーなどの東南アジアも加わり、さらに組織は肥大化しア
ジアの歴史至上もっとも巨大な国家群となったのだった。
 アジア統連初代元首の劉元昌は県政を敷き、合衆国のように細部の政治は各国に任せる形を取る。
 これが効したのか、未だにアジア統連は巨大な国家を形成しつつ独自の文化を作り上げていった。
 そして西暦2509年現在、この巨大な国家はユニオンとステイツに並ぶ巨大な先進国となったのだった。

 ボルスがベットにたどり着いたのはバイラムがユニオンの基地を襲撃してから九時間後のことであった。
 既に身体は悲鳴あげており、このまま床に倒れたとしても後悔しないだろう。
 フラフラの身体を精神力で支えながらベットを目指す。
「こんなことで音をあげるとは・・・ 軍人失格だな、私は」
 風呂に入ることも着替えることもせずそのままベッドに倒れこむとあっという間に寝息を立てていた。
 今から六時間前、バイラムが去り事態が収束し一段落した頃であった。
 辺りはすっかり暗くなり幾万もの星が瞬いている。
「ボルス、帰還命令が出たぞ」
 ホテルに向かう道中、ケントがパソコンのティスプレイを眺めながら言った。
「そうか・・・」
 ボルスは案の定と言った顔でハンドルを握っている。
「やれやれ、うちの軍事顧問はこの件をどう思っているんだろうね」
 ケントはキーボードのキーを叩き始める。
「どうした、急に」
「いや、あれだけの力を誇示されたんだ。なにかアクションがあってもおかしく無いと思うんだけど」
 バイラムの存在、あれによりステイツの上層部はバイラムに対するデータなどを持ってくるように命令をす
るはず。
 だが来たのは簡単な帰還命令だけ、データのDも見当たらない。
 ましてやあの正義主義者達がこのまま黙っているわけが無い。
「一体何を考えているのやら」
 ケントは肩を竦めるとパソコンの電源を落とし、シートにもたれ掛かった。
「鹵獲する、なんてことは無いと思いたいな」
 ボルスは一人の兵士としての思いを口にする。
「いや、ありうるな。只でさえステイツは更なる力を求めているし、バイラムの技術は実に魅力的だ」
 ケントは技術者としての言葉をボルスに言葉を返した。
581バイラム 第3話「遥か東の地にて・・・」:2010/01/01(金) 00:11:27 ID:GaxSc5Np
「まあ、どちらにしても帰らなきゃいけないな、ボルス」
「そうだな・・・ところでホテルはこの道を真っ直ぐだったよな?」
 ボルスが辺りを見渡しながら車を進める。
「へ? 僕たちが宿泊しているホテルは十四番地だよ」
「十四番地だと!三十分前に過ぎ去ってしまったぞ!」
ボルス思わず声をあげる。
「なんだって!? おい、ボルス。君が言ったんだぞ、帰りの運転は任せてくれって!」
 ケントは素っ頓狂な声をあげる。
「仕方ないだろう! ミスは誰にでもある!」
「僕はニアミスを許せない主義なんだ!」
 金切り声を上げながらボルスの首を締め上げる。
「ならばあらかじめ教えておいて欲しいものだ!」
 ボルスは思いっきりハンドルを回す。
「そういうところが――」
 二人の男を乗せた車は蛇行をしながら夜の闇へと消えていった。

「材料は鉄と銅と錫…」
 ボルスがベットで寝息を立てている頃、ケントはパソコンに向かっていた。
 近い未来、対バイラム兵器の開発を開発しなくてはいけないだろう。
 だがあれに打ち勝つには並大抵の技術では歯が立たない。
 その為にはバイラムの装甲に傷をつけることから始めよう。
 ケントは近くにあるコーヒーカップを傾ける。
「あっ、無いのか…」
 こういうときにコーヒーメーカーがあれば良いんだけど、場所をとるからな・・・
 ケントが気を取り直して再びディスプレイのほうを向くと画面にエラーの文字が映っていた。
「駄目か、次はパターン398で……」
 再びキーを叩き計算を始める。
 彼がゆっくりと眠れるのはのはかなり後になりそうだ。

 所変わってアジア統連の最東部に位置する日本県、福岡市。
 日本の南方に位置する福岡は既に春真っ盛りであり、桜が所狭しと開花してる。
 そんな桜並木が並ぶ道のそばにある大きなマンションから一人の少年が扉を開け出てくる。
 手には大きなゴミ袋を持っており、そのままエレベーターに乗り込む。 
 そして一階に付くと小走りでゴミ集積所に急ぐ。
「まだ来てないみたいだな、よっと」
 少年が周囲を見渡しゴミ袋を乱雑に置くと後ろから声をかけられた。
「すみません、あの、ここら辺に森宮さんのお宅はどこでしょうか?」
 少年が振り向くと一人の女性が立っていた。
 女性は鮮やかな黒髪を後頭部の天辺でお団子にしており、紺の上着とタイトスカート、そして白のブラウス
を着ている。顔にはなぜかサングラスをかけており一見すれば勘違いを犯したスパイと言った感じだった。
「僕が森宮ですけど…… 失礼ですがあなたは?」
 森宮は疑いの眼差しで女性を見る。
「えっと私は…」
「押し売りなら結構です」
 少年は強気の言葉を口にする。
「違います!」
 女性は少し怒ったような顔をしている。
「久しぶりだね…祐一君!」
 女性がサングラスを取ると少年は彼女が誰であるかを思い出した。
「もしかして・・・奈央さん・・・隣の家に住んでいた水原奈央さん?」
「あたりー!」
 女性は、奈央は思いっきり少年を、祐一を抱きしめる。
「奈央さん! ちょっと離して下さい!」
「良いじゃない、久しぶりの再開なんだから」
 その際胸が祐一の顔に当たるが奈央はお構い無しだ。
「分かりましたから!そろそろ…… 苦しい……」
 祐一は奈央の腕を力技で振り解くと激しく深呼吸をした。
「ここで話をするのもなんですから部屋に来てくださいよ」
「了解」
 二人は祐一の部屋に歩いていった。
582バイラム 第3話「遥か東の地にて・・・」:2010/01/01(金) 00:12:33 ID:GaxSc5Np
「どうぞ、粗茶ですけれど…」
 祐一は居間のテーブルに座っている奈央の目の前にお茶を置く。
「どうぞ、お構いなく・・・って言った方が良い?」
 お茶の水面に奈央の顔が映る。
「言わないほうが奈央さんらしくて好きですよ、僕は」
 奈央はほっとため息を付く。
「助かったわ、堅苦しい言葉って嫌いなのよ」
 奈央は一息を着くと部屋を見渡した。
「へぇ、結構綺麗じゃない」
「掃除は欠かしてませんよ」
 祐一はにこやかに答える。
「所で奈央さんは何をしているんですか?」
 この問いに奈央は苦い顔をする
「軍人よ」
「軍人!? 軍人ってあの鉄砲とか持ったり、戦車とかに乗るアレですか?」
 意外な答えに祐一はただ驚くしかなかった。
 そんな祐一を見ながら奈央はにやけた笑みを浮かべながら質問をした。
「今度は私の質問、祐一君は彼女とかいる?」
「え?ええっと…… いますけど」
 こちらも意外な答えに驚いた。
「嘘でしょ?」
「本当です。一応メールを見せましょうか?」
「結構です。あっ、そういえばお父さんは元気?」
 奈央が祐一の父親の事を聞くと祐一は暗い顔をして黙り込んでしまった。
 そして暫くして祐一は重々しい口を開いた。
「…… 父さんは、行方不明です」
「え?」
 突然の事に奈央は呆気に取られた。
 一方の祐一はテーブルに視線を置きながらゆっくりと話し始めた。
「今から三年前に父さんたちを乗せた探査艦が突然音信普通になったんです」
 祐一は苦々しい顔をする。
「もちろん調査として無人のロケットを飛ばしましたが手がかりも無し、国連の見解では突然現れた隕石によ
って粉々に破壊されたって言われていますけど、実際はそんなものとは思えません。もっと別の何かだと僕は
思うんですけど政府の人たちは詳しい事を教えてくれません」
 あの辺りには隕石群なんてなかったはず。
 握りこぶしを作りながら苛立ちを押さえ込む。
「おまけに母さんの病気は悪化してそのまま寝たきりになっちゃって、八方塞でしたよ。」
 祐一は弱弱しく笑う。その顔がとても痛々しい。
 私、この子に何が出来るんだろう。
 奈央は自分が何も出来ないことに唇を噛み締めた。
「ハロー!ユウイチ!」
 重苦しい雰囲気になっていた所に突然一人の少女がやってきた。
 少女は長い金色の髪を二つに束ねていて上は白のブラウスとピンクのカーディガンを着ており、下は水色の
スカートと白のロングソックスををはいている。顔は白人らしく目鼻が通っておりとても可愛らしかった。
「……Who Are You!?」
 大げさなリアクションで奈央を指差す。
「え?」
 あまり突然の事に奈央は目を白黒させている。
「あなたは誰って聞いているのよ!」
「あっ、そういうことか。私は水原奈央、よろしくね」
 奈央は笑顔で応対する。しかし……。
「ふーん、ユウイチ、こんなおばさんに誘惑されてもついてっちゃダメだよ」
 彼女の一言で笑顔が一転、般若の形相になる。
「誰がおばさんですって!?」
「あなたに決まってるじゃない!」
 売り言葉に買い言葉、まさに修羅場化している。
「あなたに決まってるでしょうが!」
「落ち着いてよ、メアリー。この人は昔の知りあいだよ。」
 いままで黙って祐一がメアリーを諭す。
「ふーん、そうとは思えないわ! 祐一、一人で住んでるし、顔も結構良いし」
583バイラム 第3話「遥か東の地にて・・・」:2010/01/01(金) 00:13:27 ID:GaxSc5Np
 きっと愛人にするに違いないわ!
「あのね、お話が飛びすぎのような気がするんだけど」
 奈央は冷静さを取り戻すもののやっぱり許せないらしく顔が真っ赤になっていた。
「とにかく! 出て行きなさい! GET OUT!」
「ぐぬぬ!こうなったら意地でも張り付いてやるわ!」
 奈央がメアリーに食って掛かろうとしたその時。
「いい加減にしないか!」
 祐一の怒声で二人は豆でも食らったかのように言葉を失った。
「ごめんなさい…」
「SORRY」
 二人はお互いに頭を下げる。
「よろしい、所で奈央さん、何の用でこの福岡へ来たんですか?」
 祐一の質問に奈央は得意顔で答える。
「明日から重慶のほうに行くのよ。」
「明日?って事は今日の飛行機に乗るって事ですよね?」
「ええ・・・ってちょっと、今何時!?」
 奈央は時計を見る。今はもう11時過ぎだ。
「まずい!そろそろ行かないと!」
 奈央は慌てて靴を履くと玄関から出て行こうとする。
「大丈夫ですよ、飛行機はちょっと遅れるみたいですから」
 祐一は携帯電話のディスプレイを見せる。重慶行き、四十分遅れで運行中。
「よかったぁ・・・」
「でも時間を無駄にするのもいけないと思うのでタクシーを呼んでおきましたから。」
「ありがとう!祐一君!」
 奈央は祐一の頬にキスをしようとする。
「NO!やっぱり祐一を・・・」
 しかしメアリーが今にも過密間目で奈央を見ていた。

「じゃあ、私はこれで…」
 奈央は先ほど呼んでいたタクシーに乗り込む。
「はい、奈央さん…また会えますよね?」
 少し寂しそうな祐一の顔を見て奈央は優しくいう。
「もちろんよ、じゃあ祐一君、女の子に優しくね」
「分かっています、それじゃ奈央さん、また」
「うん、またね」
 奈央が窓から大きく手を振るとタクシーは走って行った。
「ところで一体何のようだったの、メアリー」
「OH!ごめんね、今日はね、ええっと…… じゃーん!新型携帯電話を買ったんだよ」
 メアリーは祐一に銀色の携帯電話を見せ付ける。
「もしかして・・・たったそれだけのためにここに来たわけ?」
「YES!」
 あまりの下らなさに祐一は怒ることも出来ず思わず噴き出してしまう。
「くくっ、な、なんだよ、それ」
「うーん、相変わらず祐一は笑った顔が可愛いよ・・・」
「こら、男に可愛いはないだろ?」
「だってホントに良い顔してるんだもん」
 メアリーはそういうとおもむろに駆け出した
「あっ、待ってよ。メアリー!」
 祐一も彼女を追って走り出した。
584バイラム 第3話「遥か東の地にて・・・」:2010/01/01(金) 00:15:18 ID:GaxSc5Np
 水原奈央は重慶に向かう飛行機の中で森宮祐一の言葉を反芻していた。
 僕の父さんは三年前に行方不明になりました。遺品も遺書も何一つありません。
「一明さん・・・」
 奈央は祐一の父、一明の名前を呟く。
 私がまだ中学生だった時、隣に住んでいたのが森宮一家だった。
 頼りがいのある父親の一明さん、優しく温かい母親の理香さん、そして元気でやんちゃな息子の祐一君。
 当時の私は反抗期真っ只中で両親といつも喧嘩をしていたっけ。口煩いとかお父さんと一緒に洗濯しないで
とかそんなのばっかり。
 おまけに進路の事でひと悶着があって家出したこともあったっけ。
 私を支えてくれた一明さん。こう言うのもなんだけど同級生の男の子より素敵だったな。
「奈央ちゃん、夢があるならそこに行ったほうが良い。他の誰でもない君の夢なんだから…」
 両親よりも私を信じてくれた一明さん。このままで良いって言ってくれた一明さん。
 そんな一明さんに憧れて私は超巨大宇宙船の開発者になろうと頑張ったけど人生は上手く行かず、偶然に入
れたのがこともあろうに軍っていうお粗末な結果。でも軍艦とはいえ宇宙船を作れたのは正直嬉しい。
 その一明さんは私が高校に入る頃になると家族を連れて福岡に引っ越してしまった。
 一明さんの夢である外宇宙探索チームがついに結成されたのだ。
 しかし祐一君の話によると三年前に一明さんが乗る調査艦が音信不通となってしまったようだ。
 政府からの見解は何も無く、遺書や遺品といった物も何一つ発見されていないらしい。
 一体何があったっていうの……
 奈央は軽くため息を付くと通路のほうからCAが声をかけてきた。
「あの・・・」
 奈央はCAのほうに顔を向ける。
「お飲み物はいかがですか?」
 CAはにこやかな笑みを浮かべながら奈央に聞いてくる。
「えっと、じゃあ烏龍茶をお願いします」
「はい、かしこまりました」
 CAは手際よくカップを取り出し烏龍茶を注ぐ。
 奈央は飲み物を受け取ると再び窓の外を眺めながら物思いに耽った。
「あれから八年か・・・」
 今度は祐一の事を思い出す。
 久々に会った祐一君は子供の頃とは違いすっかり大人の雰囲気を身につけていたな。
 それにやっぱり親子なのか目元とか仕草が一明さんそっくり。
 それに隣にいた女の子・・・メアリーちゃんだったっけ? あの子も可愛かったな。
 あの二人って恋人なのかな? だとしたらどこまで進んでるんだろ?
 帰ってきたら絶対聞いてみようっと。
 奈央は思わず顔がにやけながら窓の外を眺めていた。
「間もなく、重慶に到着します。安全の為シートベルトを…」
 CAの声で奈央は我に返る。
 そして辺りを見渡すと既に着陸態勢に入っていることに気が付いた。
「今はやるべき事をやらないと……」 
 奈央はシートベルトを締めるとこれからの事を思い出した。
585バイラム 第3話「遥か東の地にて・・・」:2010/01/01(金) 00:16:08 ID:GaxSc5Np
「遅い! 貴様も軍人なら三十分前には到着するように心掛けろ!」
 奈央が重慶について最初に聞いた第一声がこれだった。
「えっとあなたは…どちら様でしょうか?」
 奈央は目をパチクリさせながら目の前の男性を見る。
 男性は黒いスーツを着ており、アジア人特有の肌と黒髪をしていた。
「私の名前はチャウ・リーシェン!日本人の言葉で言えば趙凛深という名前だ」
 男は自分の名を奈央に名乗ったので奈央もそれに従い自己紹介をした。
「私は水原奈央、階級は伍長よ」
「伍長?という事は私より一つ下か」
 リーシェンはそう言いながら奈央をみる。
 一つ下、という事は軍曹なのね。
 でも言い方がムカつくわね。
「あの・・・」
「おお、バスが来たぞ」
 リーシェンに文句を言おうとした時運悪くバスが着てしまった。
 二人はバスの座席に座ると突然リーシェンがこんな事を聞いてきた。
「ところでこれから行く場所がどんな所か理解しているか?」
 バスに揺られながらリーシェンが聞いてきた。
「いいえ? 普通の軍事基地でしょ?」
 中国大陸南よりの普通の軍事基地、それが奈央の印象だ。
「お前は愚かだな」
「なっ!」
「これから行く場所はあの伝説の英雄『荒鷹』こと、ソウ・ヨウシンがいる基地なんだぞ!」
「『荒鷹』ってあの?」
 ソウ・ヨウシン、彼は今から十年以上も前の戦争で活躍した英雄である。それだけではない、天安門に立て
篭もったテロリストを死者を出さずに解決したり、アジア統連で初めてPM部隊を設立したなど武勲をあげれ
ば切りがない。
「その英雄と一緒に任務が出来るのだ。気を引き締めろ!水原!」
「はいはい…」
 リーシェンの熱意がこもった言葉に奈央はただ口だけで返事をするだけであった。
 
 重慶の基地に着くと奈央とリーシェンはアジア統連の軍服に着替え、司令室に向かった。
 二人は司令室の扉の前に立つと目の前の扉が開かれた。
「失礼します! 本日この第五師団、アジア中南基地に配属されたチャウ・リーシェン軍曹です!」
「同じく水原奈央伍長です!」
 二人は踵をそろえ背筋を伸ばし敬礼をする。
「ふむ、良く来たね・・・」
 そこには優しいそうな中年男性が座っていた。
 年齢は五十代後半、柔らかな瞳と穏やかな口調。禿げ上がった頭に白髪が後頭部に申し訳程度ついており白
い口髭がこの人物の年季を表していた。そして制服の襟にはAUAの将校である証の銀の星が付いている。
 彼がこの基地の司令官、ソウ・ヨウシンである。
 リーシェンは目の前の男性をじっとみる。
 これがあの伝説の『荒鷹』なのか? イメージとは全く違うな。
 奈央は奈央の方は緊張しているのか敬礼をしたまま固まっていた。
「はっ!これが辞令書です!」
「どうぞお受け取り下さい」
 リーシェンと奈央は懐から一枚の紙を取り出すと基地司令に両手で差し出した。
「ほほう、なるほど…」
 ヨウシンが辞令書を流し読みをすると二人のほうに目をむける。
「ええっと…… チャウ君の配属先は第三空陸大隊だね、水原君は第八機動部隊。これが命令書だから」
 ヨウシンは二人に笑顔を見せながら命令書を差し出す。
「じゃあ、後は向こうの隊長に従ってね」
「はい、失礼します!」
 二人は再び敬礼をするとそのまま部屋を出て行った。
586バイラム 第3話「遥か東の地にて・・・」:2010/01/01(金) 00:17:10 ID:GaxSc5Np
「ふう、緊張した…」
 奈央は部屋を出ると大きくため息をついた。
「あれが『荒鷹』なのか? 単なる日和見のジジイじゃないか」
 リーシェンは鼻息を荒くして言った。
 そんなリーシェンに奈央は呆れた声を出す。
「もう、そんな事言わないほうが良いとおもうよ」
「だが事実だ」
 リーシェンは胸を張って天井を仰ぎ見たる。
「私は亡きご当主に誓ったのだ。必ずや立派なの将になって見せる、と」
 その為にはこんな所で立ち止まってなんていられない。
「ご当主? ご当主って誰なの」
 奈央は首をかしげた。
 そんな奈央を見て思わずリーシェンは鼻で笑うと遠い目をしながら奈央の疑問に答えた。
「ご当主は私に投資を出してくれた人の事だ。学費や衣食住も全てご当主が用意してくれた。だが一年前に病
を煩ってそのまま亡くなられてしまった。私はご当主に恩返しをしなくてはいけない、周りの者はそんな事は
しなくても良い取っているが私はそれを貫きたい。例えそれが時代遅れだとしてもだ」
 リーシェンがそう言うと奈央は呆けた顔で彼を眺めた。
「何だ、その顔は…」
「こう言っちゃなんだけど結構考えてるんだね」
 正直意外だったな、リーシェン軍曹ってただ何も考えていない熱血馬鹿だと思ってた。
「当たり前だ!そろそろ我々も配属部隊へ行こう、こんなところで油を売っていては部隊長に迷惑がかかるからな」
「そうだね」
 奈央とリーシェンがそれぞれの待機室へ向かおうとする途中、奈央はリーシェンの考えに疑問を持った。
「ねえ、どうして軍人なの? ご当主に恩返しがしたいなら弁護士でも公務員でも十分だと思うんだけど・・・」
「そんなの簡単だ、私の性格を考えると弁護士や公務員と言った頭を使う仕事はどうにも向かないらしい。だ
から軍人というあまり頭を使わない仕事に就いたのだ」
「へ、へえ。そうなんだ…」
 リーシェンの答えに思わず開いた口が塞がらなかった。
「奈央、ここでお別れだ。君の部隊はこの通路を真っ直ぐ言った先にある。私はここを左に曲がるからな」
「うん……」
「では、さらばだ」
 リーシェン足早に去っていく。
 奈央はそんな彼を呆然と見送っていった。

 第八機動部隊の待機室前まで来ると奈央は軽く呼吸を整え扉を開ける。
「失礼します! 本日よりここ、第八機動部隊に配属された水原奈央伍長です」
「ふむ、良く来たな」
 そこには二人の女性が座っていた。
 ウェーブが掛かった長いブロンド髪、顔は厳しさを滲み出ているが彼女の美しさを損なうことはなく切れ目
と赤い唇が印象的だった。制服をきちんと着こなしているのは彼女が几帳面である事を示しており、襟につい
ているのはアジア統連の仕官の証である青の星がついている。
 そしてとなりにいる女性は東南アジアの人間なのか肌がすこし黒いが髪は銀色であった。
 金髪?なんで白人がこんな所にいるのかしら?
 奈央は不思議そうな顔をする。
「私はこの部隊を任されたナタリア・エイゼンシュテイン大尉だ」
「よろしくお願いします、エイゼンシュテイン大尉」
「私のことはナタリア大尉と呼んでくれ。名字で呼ぶと舌を噛むだろう?」
「了解しました、ナタリア大尉」
 奈央の言葉に隣の副官の眉が動く。
「ずいぶん軽々しいですね、伍長」
「え?え?」
 副官の言葉に奈央は戸惑う。
「おい、そんなにいじめるな。水原伍長、私もお前の事をナオと呼ばせてもらおう」
「了解しました」
「では第三格納庫へ行きPMの整備を頼む」
 今まで眉間に皺を寄せていた奈央の顔がパッと明るくなる。
 あっ、そういえば二年前に東ロシアもAUAに入ったんだっけ。
 この事を思い出した奈央は胸につっかえていた苦しみが溶けるように無くなった。
「どうした?」
587バイラム 第3話「遥か東の地にて・・・」:2010/01/01(金) 00:17:52 ID:GaxSc5Np
「いえ、それでは格納庫へ向かいます。」
 奈央は敬礼をすると部屋から出て行った。
「ふむ、何故私の部隊には女ばかり集まるのだろうな?」
 奈央が去った後、ナタリアは隣にいる副官に尋ねる。
「そういう運命なのでは」
 副官はそっけない返事を返した。

「失礼します!本日よりこの第三空陸大隊にチャウ・リーシェン軍曹です!」
 リーシェンが大声で挨拶をすると一人の男がリーシェンの元へやってくる。
 男の動きは機敏で無駄がなくそれでいて慎重さと大胆さが程よいバランスで取れていた。
 この男、できる。
 リーシェンは一目で男がベテランであることに気が付いた。
「私はこの大隊を任されている、カン・コウシュン中佐だ。よろしく頼む」
 コウシュンと呼ばれた男はリーシェンに敬礼をする。
「はっ!よろしくお願いします!」
 リーシェンも敬礼で返す。
「知っての通りこの大隊は空陸、空と陸を戦場とする部隊だ。リーシェン軍曹、君の事は聞いている。」
「と言いますと?」
 リーシェンは頭を捻った。考え付く限り自分の悪行や迷惑と言った事は何一つ聞いていないからだ
「陸戦歩兵部隊で負け無しのルーキーだと聞いていた。最もパンツァーモービルの戦歴は散々だったみたいだな」
 リーシェンは若年軍人高等学校にて素手や白兵戦では優の評価を何度も貰っていた。銃器の扱いはもちろん
のこと、ナイフ、棒術、ボクシングなど訓練では負け無しであった。
 だが機動兵器となるとまったくと言って良いほど手も足も出ず、いつも並の評価を貰ってしまってる。
「はぁ・・・」
 リーシェンは思わず苦笑いをしてしまう。
「軍曹、そういう時はふてぶてしく笑う物だ。軍人の弱気は死神を呼ぶ、覚えておけ」
 コウシュンは真っ直ぐにリーシェンを見据える。
 その視線にリーシェンの精神は引き締まっていき、ある考えが思い浮かぶ。
 私はこの男に認められたい。運でも偶然でもなく実力でこの男を乗り越えたい。
「了解しました、中佐殿!」
「良い返事だ、よし、今日はお前も我々と同じ訓練メニューに付き合ってもらう、泣き言はいうなよ、軍曹!」
「はっ!」
 チャウ・リーシェンとカン・コウシュン、この二人の出会いは人類にとって有益な出会いであった。

第4話「荒鷹」に続く…
588創る名無しに見る名無し:2010/01/01(金) 00:19:01 ID:GaxSc5Np
以上です
訂正 
>しかしメアリーが今にも過密間目で奈央を見ていた
 しかしメアリーが今にも噛み付きそうな目で奈央を見ていた

新年早々やっちまったな
5896スレ目>>882 ◆MVh6W.SAZtbu :2010/01/01(金) 02:17:50 ID:5rYGq2d8
年賀貼り
ttp://dl8.getuploader.com/g/sousakurobo/234/Happy+New+Year.jpg

>>588
投下乙!
>東ロシア
ロシアも分裂してるんですか。かなりドラスティックに国際状況が変わってますね。
そんな中で登場人物達がどう動いていくのか……
第4話を待ってます。
590創る名無しに見る名無し:2010/01/01(金) 20:46:00 ID:0GfAJcFa
>>588
投下乙です!
一見穏やかだった世界という水面に、投げ込まれたバイラムという小石。
世界がこれからどう動いていくのか楽しみです!
591創る名無しに見る名無し:2010/01/01(金) 23:05:22 ID:GaxSc5Np
>>589
見事な絵ですね
こちらそこよろしくお願いします
592都道府県対抗機動兵器決選 プロローグ2:2010/01/02(土) 01:53:13 ID:W6nIRlZD
続き書いてみた

巨大な円柱状の空白。
集束された高出力の紅い熱線はその射線上に存在していた瓦礫を文字通り「蒸発」させてしまった。
浅瀬の上に建つ桟橋のように残されていた旧赤磐ハイウェイの瓦礫は、
中心線から逆トンネル状に抉られ、陥没したU字の底部は海水に浸っていた。

人でいう腕と呼ぶべき複雑系装甲。
このマニュピレーターは本来、二足機動兵器アバターの基本構想である、外付け兵装の効果的装備変更を潤滑的に行う為の機構。
それが火影には構想段階から違うものとされ、その機能を持っていなかった。
「腕そのものを大口径粒子砲とし、一撃必殺の短期決選を前提とす。」
この兵庫のアバター開発時の構想こそが、火影が有する上半身とほぼ同容量を持つ巨大なハサミ状の主砲アルタルフであり、
初戦の鳥取、第二戦では西日本最強と目された大阪の選定アバター、日本GF直属の技術部が開発した「ブルヘッド」を破るという輝かしい大金星に至ったのである。
その自信こそが兵庫(かれら)の強みだった。

蒸気と共に右腕アルタルフの肩部から突出していたバッテリーパックがパージされ、海水から白い蒸気が立ち込める。
そして火影の蟹のような頭部のセンサーアイから紅い光が点滅の後消える。
瞬間的システムダウン。
アルタルフ発射時に回されていた余力を切り離し、いち早く以後の選闘における機動力の確保に回す。
アルタルフの最大出力での使用はアバター動力核「レッドスフィア」、
主催者たるトライユニオンが各都道府県支部48に配布された最新式の燃料電池。
それへの負担を和らげるために、発射と同時に稼働していた動力を複数、強制切断するのだ。
そこから次の行動に移る為の若干残された稼働部からの再起動。
その間の残された僅か数秒、その刹那が火影の稼働力が低下する唯一の隙だった。

「たわいもねぇ・・・アルタルフをモロに喰らって、ファクターごとイッたか。」
荒木は苦虫を噛んだような表情を浮かばせる。
選闘時におけるファクターの死亡、これによるはこの国の法律では問われない。
あくまで選定中の不慮の事故とみなされる。
この規定は生死をかけた緊迫下での選闘が有用性ある結果に繋がるという、完璧な「実働的な機動兵器」を目指す主催者側の意向だ。
それでも彼、荒木督重、彼なりのポリシーに反するものがあった。

「最大出力やらせやがって・・・」
アルタルフの右腕部発射残量ゼロということを示す、右腕部が消灯された火影の表示。
暗いコックピット内でその点滅光を瞳に反射させながら、座席脇に固定されていたドリンクに手をかけようとする荒木。
その矢先、警告音と共にその指先が止まる。

システム再起動と共に画面一杯に広がる「ALERT」の赤い文字、被ロックオンの警告音、残留粒子により若干波打つモニター。
煙が晴れ、円柱状に捲れあがった赤磐の旧ハイウェイの彼方から、何かが海水を二手に巻きあげ青白い光を噴射しながら真っ直線に突っ込んでくるではないか。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

通信越しに聞こえる少年の発する叫び。
画面真ん中で拡大される白と呼ぶほど清廉とまではいかない乳白色の機体。
関節をカバーする紅い装甲が赤と白のツートンカラーを成し、人の顔のようなツインアイを覆うクリアレッドのバイザー。
左手には実体剣、右手には片手式の短機銃というアバターのお手本ともいうような装備。
人型の王道とも呼ぶに相応しい、火影とは対照的なその機体の右肩には、粒子砲を寸前でかすったらしいくすみを被った表面に確かな文字で、
「鬼斬」
ただそれだけ印されていた。
593都道府県対抗機動兵器決選 プロローグ2:2010/01/02(土) 01:59:04 ID:W6nIRlZD
この機体こそ、制式機動戦闘機烈空をベースとした岡山の選定アバター「鬼斬」(おにきり)であった。
列空の特徴ともいえる単発式のターボブースター、その推進力は凄まじく、
火影が作った直線進路を伝い一気に差を詰める。

『さっきみたいな無茶な迎撃運動はもうやめて』

全開のスピードにビリビリと震える鬼斬のコックピット。
そのメインモニター右下のウインドウに映る栗色の髪の少女の忠告。
「わかってるさ逢。でもさっきの一撃で兵庫の蟹にも隙が生まれた。一気に決める・・・!!」
鬼斬のファクター常澄アキ、彼もまた荒木と同じアバターの専属パイロット、ファクターであった。
愚直とも言える彼の戦術に、逢と呼ばれたオペレーターの少女は、無駄だとは思いつつ忠告する。
『敵機背後に複数の熱源、注意して。』
「わかってる!!」
そう言ってアキは操縦桿を握り締め、敵機へのロック解除と共に上昇した。

「最大推力でアルタルフを交わしたか。」
迫りくる敵機を見上げながら「面白くなってきた」
そう言わんばかりの笑みを浮かべる荒木。

「でもな坊主・・・そういう対策も、してるんだよ!!」
突如、火影の背後、そう深くはない海面から飛び出す4つの機影、
その姿は純正の戦闘機、この水没しかけの変動した世界で軍事力の中枢を担う空海両用戦闘機だった。
『ブラックテイルを確認、有人機!!』
「了解!!」
選定時におけるアバターに付随することが許されている戦力、それは先程撃墜された岡山側の無人戦闘機だけではない。
アバターの動力源である「レッドスフィア」
この48都道府県各々が有するスフィア保有数1という規定。
それさえ守られていれば、それを搭載したアバターに付随する戦力は空海戦闘機から旧来の機動戦闘機、あげくは戦艦まで許可されていることになる。

「いけよお前ら!!手柄をやるぞ!!」
「タイガー1了解、各機散開して敵アバターを撃墜する。」

だがもちろん各都道府県を統括する支部、CF(企業軍)が有する戦力は限られている。
内戦ならまだしも、これは実質トリニティの管轄下にある国軍、日本GF(国防軍)の次期主力機選定と、
地方分権が傾倒したこの国における各都道府県のイス取りゲームなのだ。
たがいのアバター撃破のみが勝敗条件となるルールだが、いたずらに人的資源や物的資源を割く訳にもいかない。
それ故、基本無人機より高級かつ有能とされる有人兵器を惜しげもなく投入する兵庫の、「勝利への本気」がアキには感じられた。

『敵機散開、間に合わない!!マニュアルで迎撃して。』

「わかってる。」
ブラックテイルの機首から発せられた機銃をピシピシと火花をあげ、刀身で受け止める。
対無人兵器パターンに設定されていた右手の短機銃を不規則な機動をする有人戦闘機の迎撃にシフトさせる。
ロックをあわせ、パラパラと乾いた音をさせながら落下機動中の鬼斬が張る弾幕。
正面から攻撃をかけたブラックテイルは回避運動を取るが間に合うわけもなく、
主翼を弾けさせながらのたまう鳥のように揺らめきながら海面に墜ちる。
「よし!!」
594都道府県対抗機動兵器決選 プロローグ2:2010/01/02(土) 02:01:26 ID:W6nIRlZD
背後の浅瀬に墜ち爆散する敵機を確認したアキは、即座にミサイルの安全装置を解除、残りの二機をロックする。
「フォックス2!!」
トリガーに据え付けられた赤いボタンを押し込むと、小気味よい発射音と共に両足からミサイルが飛び出し天に向け花火のように上がっていく。
白煙をあげて上昇する二基のミサイル。
「何・・・」
「隊長!!」
上昇中の二機のブラックテイルは引き離し切れず、尾部、尾翼それぞれにミサイルの破片を浴び被弾。戦線離脱を余儀なくされた。
『敵機撃墜確認、あとは兵庫のアバターを。』
「終わらせるんだ。これで・・・!!」
鬼斬の剣が赤く光る。
火影目指し、鬼斬がその切っ先と共に真っ直ぐに加速した。

(狙うは装甲の継ぎ目)

「ハッハァ!!楽しいぜ坊主!!」
火影に残された片腕のアルタルフから紅い光弾が矢継ぎ早に斉射される。
単発連射式に出力を落とした粒子砲。
だがその一弾一弾を押し通してまで懐に斬り込める程の装甲を鬼斬は有していない。
それはこの数十秒間での交戦から荒木が判断し、また、搭乗者(ファクター)であるアキにも周知の事実であった。
しかも鬼斬は火影の真正面。

終わった。

バトルフィールドに設置された全周囲モニターと、オペレーティングモニター越しからアキをサポートする逢はそう思い唇を小さく噛む。
だが、しかし。
「何だこいつは・・・」
荒木は目を見開きその現状に唖然とする。
火影が放った拡散アルタルフの雨霰のような掃射を、岡山の鬼斬は紙一重で回避しながら接近してくるではないか。
「やらせるかよ!!」
斉射操作をキャンセルしそのハサミのような隻腕を振り上げる火影。
懐に斬り込む鬼斬。
ハンマーのように叩きつけられたら間違いなく鬼斬は大破する。
ズシャアンという轟音と水しぶきが上がる。

『アキ?』
瓦礫の粉塵としぶきが入り混じった霧が晴れ、そこにはハサミだけが逆さとなり地盤に突き刺さり、両腕を失った火影に、
頭部下のコックピットデカールの貼られた装甲板に切っ先を向け佇む岡山選定アバター、鬼斬の姿があった。


『兵庫の投降受理を確認。』
しばしの沈黙の後、逢のため息混じりの声が独り言のように聞こえる。
『アキ、貴方の勝ち、私達岡山の勝ちよ。お疲れ。』

「ふぅ・・・」
コックピットの中でゆっくり伸びをするアキ。
選定の終了共に解除されるコックピット内のオープンモニター。
その中の一つで目を見開きブルブルと震える赤い髪の火影のファクターの姿があった。

GF-VF-X選定試験
岡山-兵庫
兵庫側投降勝者岡山
595創る名無しに見る名無し:2010/01/02(土) 02:03:52 ID:W6nIRlZD
プロローグ終わり
アニメ1話アバンのイメージでつ

脳内イメージを絵にできる人うらやましいな
596創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 14:37:24 ID:H78kR8pp
>>595
とどせん(byPBM氏)のプロローグ2投下乙です!
鬼斬かっこいいよ鬼斬というか岡山だから鬼斬な訳ですかねw
拡散型の粒子砲を避けられる程の機動性能が鬼斬のウリですかね?いい主人公機ですw
さて各地でどんな戦いが行われているか、鬼斬がどう戦っていくのか……続きを楽しみにしております!
597創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 15:18:05 ID:OLYbrgKs
えいやと。
http://ux.getuploader.com/sousakurobo/download/236/mochi.jpg


挨拶代わりはさておいて、避難所で予告しておきながら年内に間に合わなかった奴を。
598創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 15:20:09 ID:OLYbrgKs


 鉄の体に打ち付ける 砂を運ぶ風。それに併せるか荒野の地に 響くノイズは体の主、横たわる「彼」のものである。
日を映し返す装甲板。日のように燃えるエンジンドライブ。そのいずれもが先のない事を示すがごとく黒ずんで。
ノイズに遮られながら、死を待つ患者の心電図 まさしくそれと脈を打つ カメラの光はただ弱く。
映る最期の風景は、いかれたピントの機能で歪み、陽炎で歪み、不変の荒野とそこに立つ ヒトガタ輪郭かろうじて とどめるまでになっていた。

僅かに時を遡れば、「彼」をこの地に沈めたものが このヒトガタであることと 同じ機械であることを、確認できていただろう。
そうでなくともここに居る、一人の青年その視界が 彼のものとは反対に、「彼」がヒトガタ見つめることと 同じく「彼」を見つめ返す、その様からも起きた事象 窺い知ることができよう。
電子パネルを隔てて二つ 相反するその表情は、語らずしてそれだけを示す 情報量を持っていた。

無数のパネル、鉄の壁。ヒトガタの臓でありながら 骨でもあるその小さな部屋に 篭る激しい息遣い。
缶に詰められた電解水を 青年浴びるよう飲み、噴出す汗とその息遣い 気休めばかりに抑え込む。
荒く飛び散る水滴を ものともせずとパネルが弾く。
その間に缶が底付くと、温度湿度を吐き出す為か 囲む鉄の壁スライドし。
背から吹き付ける荒野の風。瞳に映る堕ちた巨体。
それら一切に感傷を 見せることなく青年は、ヒトガタは、どことも知れず立ち去った。
もはや認識することもかなわぬ「彼」のカメラを借りるなら 陽炎もやが晴れるのと 共に消えたと映るだろう。

風音止んでようやくと かすかに拾えるノイズの上、中身失った金属の ぶつかる音が一つ重なる。
落ちた缶の回転運動 それが止まるのを見計らってか、ノイズは事切れ荒野には わずかばかりに風の音が 響くばかりの静けさが。
土に還ることもない 大小二つの金属塊。再度吹く風に流された その片割れの前に一つ 影が現れたのはそれから 数刻ばかりの後であった。
599創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 15:21:24 ID:OLYbrgKs


 空を覆う黒煙。
地を埋める廃棄物。
枯渇するエネルギー。
なにもこれは遠い世界の 絵空事ではない。

地球に起こる大変化、1500万分の一。地球の歴史上において たったそれだけの期間に起きた これら全てが周期であると 言い切ることなどできるのか。
例を挙げるならば日本の ごみ最終処分場。その残余年数にして もはや一ケタを下回る。
この数字を実際の、時から切り離すために行う 処理場増加という行為。これ有限である以上、行き詰る日も目前に、迫っていると言えるだろう。

このような背景敷き詰める一方で、この物語迫る危機に対し 人を導く聖書でなければ画期的な論文でもなく、荒唐無稽な喜劇である。
喜劇であり続けることを 語るものとして願いたい。
600創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 15:22:06 ID:OLYbrgKs


 ここに一つの村がある。
村とは言うが行政の 機能失われたこの地において 区分符号としての意味はなく、ただ集落を言い換えた だけの言葉に現されるもの。
ゆえに村に名前は無く。比較すべき対象も 遠くの地にしか存在せず 必要が、ない。
ほんの少しばかりの畑と、その前に立つ二本の木。それにもたれかかるようにして建てられた倉を中心に、あとはぽつぽつと小屋とも言えぬ 村人の家があるだけで、地平線まで延々と 不毛の大地が続くのみ。
晴れ続けば飲み水に困り、食の偏りで病人も絶えず。
そんな悪環境の中、ただ生きると言う目的を 全うすべく人々は 今日も今日とて汗を流す。

しかしそれを踏みにじるか、姿見るからに悪鬼そのもの、先とは異なるヒトガタの 機械が村に現れる。
踏み入れた一歩小屋を潰し、村全体に響く騒音と 機械を操る男の声。
「グハハこの村の作物は俺たち二人が貰い受けるッ!」
「命が惜しけりゃケツからげて逃げな!!」
その要求単純にして悪。
しかしこの村逃げたとして 生き残るすべがどこにあろうか。理不尽極まる行為には 村人もただ黙ってはいない。
「いきなり出てきて何をいうか!貴様らなんぞには種モミ一つ渡さんぞ!!」
「逆らうんじゃねぇ!!」
言うが早いがというより 既に決めていたのだろう、鉄の悪鬼 足を踏み鳴らし腕を振るう。
人の形はしているものの 腕の方やチェーンソー方や火炎放射器、破壊するだけの装置である。
ひとたびそれが暴れれば弱者は逃げる他がない。後がないと分かっていても。
「イヤフーッ汚物は焼却だぜェ!」
一方的な力の行使。既に村の木なぎ倒され、倉を残して小屋も潰され、村人は 迫る炎に追われ。
ならず者二人ここに来て あらかた破壊を終えたからか 己が狂気に酔いしれたからか、逃げ惑う人々追い回す。
「うあっ!」
その標的に選ばれた 少年必死に逃げ回るも、チェーンソーの手でめくれた地面に 足を取られ倒れこむ。
「グハハこうなりゃ犬一匹逃しゃしねぇぜ!!」
迫る影。その時―
601創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 15:22:47 ID:OLYbrgKs
「そこまでだっ!!」

「荒れた大地に芽吹く平和。それを乱すと言うならばこの俺が、相手をしよう!!」
村に臨む小高い崖、落ちる夕日を背に受けて 声の主がそこにはあった。
「あ、あいつはもしや!」
逆光に姿隠されるもならず者の一人はその主に、心当たりがある。
「知っているのかモビー!!」
「最近正義の使者を名乗ってならずロボをとっちめてるっつー奴じゃないですかね!?」
二人が慌てふためく間に 主は空を仰ぎ叫ぶ。
「来いッ!ジャステイオォーッ!!!」

この主こそが、我々の知る先の青年。そして今ここに降り立った 巨大な鉄の鎧こそ、先のヒトガタそれであった。
夕日をその身に受けてなお 白く輝く装甲。剣先が如く研ぎ澄まされた 流線型の、ライン。亀裂の走る地の上に 仁王立ちするその威風たるや、まさしく、帝王。
少年も、追う二人も、誰も彼もが目の前の その姿に圧倒される。
「覚悟しろならず者!地の底に埋めてくれる!!」
すでに人機一体となったそこから、エコーの掛かった啖呵が発せられる。

当然二人、売られた喧嘩を買わずにいられず。薄々感じる力の差だが、退けないのは彼らも同じ。
「なにが埋めるだ!そいつはテメーのほうだぜッ!!」
半ばヤケクソ、もとより戦術などとは無縁。しかし捨て身のその一撃、獅子の喉元破らんとも。鉄の悪鬼、駆ける。

二人は知らぬところだが、両機のスペックその数値に 極端なまでの差など無い。
それを大きく体感させるのは外観、言葉、立ち振る舞い。
ゆえに対するならず者が、己を鼓舞し 恐怖を捨てて、第一撃に全てを賭ける。
最善とは程遠いも、決して無意味なものではない。
だが迎え撃つジャステイオー、自ら追い立てた相手の力量 その脅威十分に知る。
否、知るからこそに追い立てた。相手の力を利用した、必殺の拳を放つために。

「―見切った!」
複数のパネル、センサーを自らの器官のように。研ぎ澄まされた感覚が、迫り来る巨体の中に 一つの点を見出した。
スローモーション。それは向かい合うヒトガタ機械と、その乗者だけが知りうる世界。その中で勝敗は、すでに決していた。
あとはそれを、現実に昇華するだけ。握り締められた拳が、今動く。
「必殺―『ジャスティ…
602創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 15:23:38 ID:OLYbrgKs

轟音!!

まさしく放つ、瞬間に。今起きる全ての動き、それをキャンセルしたのは―小屋!
二機の接触点に対し、垂直に交わった来訪者。その質量と運動に、二機軽々しく跳ね飛ばされる。
一体なにが起きたのか。目前にいた少年、彼であっても分からない。
見上げたものが文字通り、「巨大」な「小屋」にすぎないのだから。

「リサイクル工場『りばい屋さん』」

その衝撃か、傾いた 看板に荒く書かれた文字。トタンを破り突き出した パイプが、タンクが、施設の種別を裏付ける。
好機逃したこと以前に、なんの脈絡もなく現れた 人工物、それに怒るのは 数十メートルばかり先の 地面に伏した、ジャステイオー。
「な、なんなんだ君はっ!」
それはここに居る全員の、代弁の言葉とも言える。間もなく工場その前面、看板横に取り付けられた アナログチックなスピーカーから、返答の声。
「なんだも何も、"修理修繕から廃品回収まで、あなたの町の資源を循環!毎度お馴染み移動リサイクル工場『りばい屋さん』"だこのヤロー。」
宣伝文句と裏腹に、巨大小屋もとい工場の 外観滲み出るように ぶっきらぼうな声と態度。
移動工場の垣根を成す、無限軌道が後ろで喚く。
何者なのかは分かったが、果たしてそれが何故この場に。
一瞬戸惑う青年の さらに後ろで派手に倒れた 悪鬼と二人、起き上がる。
「てーっ…どうなってやがる!?」
直前までの加速により 跳ね飛ばされた衝撃も、ジャステイオーとは比較にならない。
ほんの僅かの間だが 気を失った乗者二人、状況把握も至難だが。
パネルに映るもの見て一変―
「!?なんじゃありゃあ…って―」

「「ゲェーッ!!"ジャンキーナオト"!!」」

二人そろって苦い顔、彼らが呼んだその名こそ 移動工場の桿を握る、工場長「直十=ジャン・クロード」その通り名であった。
機能無いため周りの者 知る由も無いが、その風貌は青年と 同じくどこか凄みを持つも 方向性は間逆。ならず者の延長か、通り名どおりの目つきの悪さ。
「久しく廃品回収に来てみりゃあー」
再び吠えるスピーカー。怒声ととも拾った音は、パネルのスイッチ叩くもの。
それを合図に工場を 激しい振動が包み込む。
「これまた地球によろしくねぇ―」
トタンの壁が四方に開き、突き出す巨筒は腕となる。
起こした上体支えるべく巨大な脚で大地踏みしめ。
体の各部がスライドと伸縮終えて蒸気吹き。
「粗大ゴミのお出ましだなぁ!」
無骨な頭部、その目が光る。
数えて四つ目のヒトガタ機械は、平地にしても見上げるような パーツバランスが加わって、他のそれらより二回りも 巨大であるよう見える。
これがこれこそがならず者どもを 震え上がらせるその要因、『資源転生"サイクラスト"』!
603創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 15:24:20 ID:OLYbrgKs
誰もが感じ取る強い闘気。それを先んじて察したのは、すでに構えるジャステイオー。
「クッ…こいつ…」
常識破りのイレギュラーに 今度は彼が、気圧される。
しかしそこは歴戦の勇士。平静取り戻し相手を見据える。
「お前も平和を乱すというなら容赦は―

 ―せぶばッ!!」再び中断貫く衝撃。
挙動も無しにどっせいと 突き出されるその鉄の爪、心の臓を見事に捉え 乗者を壁に叩きつけると、壁ごと外に抉り出した。
どこに繋がっているのだろう、音はあるが見えぬスピーカー、サイクラストから直十喚く。
「排気は垂れ流しエネルギーは吸い上げ、後でどうなるか考えもなしにブッ飛ばしては土に還るモン還らねーモン一緒くた!!
 それだけやってなにが平和だ!今のテメーに何言っても無駄だと思うがな、それでもこいつだけは言わせてもらう!!」
先の文句以上にも 早回しに語るその言葉、周りの者は精々最後を 聞き取るだけで一杯。果たして何が彼を動かすか。
コックピットを飛び出して 地面逆さに刺さる青年、そこに直十が投げつけたのは 一つの空き缶。
よく見ればこれも我らが知る、電解水を封じていたもの。
そして開口大きく息吸い、
「ゴ ミ ポ イ 捨 て し て ん じ ゃ ね ぇ え え ! ! !」
「そこー!?」
思わず突っ込む少年をよそに主を失ったジャステイオー、倒れるそれの両脇掴むとサイクラスト、凹むばかりに地面踏みしめ。
「てめぇが曲げた資源の循環、その性根もろともに…」
逆さ吊りに宙浮く巨体―そして!
「ブ チ 直 し て や ん ぜ ぇ ぇ え え え ! ! !」
腕と共に空気を裂いて 振り下ろされる、その先は 青年かすめ一尺、奇しくも立った缶の上に!
割れる地と風 衝撃波、立つ粉塵と垂直に 圧縮される、金属塊。
その力、大きすぎる機械巻き込んで 缶つぶしの行為を成す。

「はわわ…」
「逃、逃げましょうよアニキ…」
時間にしてわずか数分の 始終を目にした二人には 既に戦う意思などなく。
己らの機械悪鬼ならば、あれはまさしく鬼神。
後のことなどどうとでもなれ、兎にも角にも今の命と 焼け焦げた地からその足抜き出すが土煙の中から伸びた 鉄爪ぐいと背を掴み。
「テメーらはテメーらで…」
伝う冷や汗。
「自然ブチ壊してんじゃねぇええ!!!」
「ぐべろっ!」「やっぱりね゛!」
その末語るもがな。

604創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 15:25:01 ID:OLYbrgKs

 「あの…一応その助けてもらったわけなので、お礼か何か…」
大立ち回りから一変、村の騒がしさ治まって。唯一例外稼動音立てる 工場の中を少年、訪れる。
粉砕機、反応器、蒸留塔。パイプ、車、ベルトコンベア。
およその機能が凝縮され 巨大な炉心を囲み、休む間もなく動き続ける。
ヒトガタ機械の構成物も至る所に見え隠れし、過剰な大きさの外観に反し その内部は実に狭い。
「一応もなにも俺がお前らを助けようとやったワケでもねーのは分かりきってる事だろが。」
偶然できた空間に思える 僅かなスペース陣取って、工場の主も 油まみれた手を動かし続ける。
気配もないがその狭さ、他に人が居るのだろうか?
そんな事を考えながら「はぁ」と返事をする少年。それでも彼が壊れた小屋等に 処置を施した恩がある。
しかし目の前でひたすらと、機械ばらしては何が基準か、幾つもの箱に放り分ける この男気に留める様子なく。
村人皆に言われたこともあり、去るわけいかず気まずい。
コンベアに乗って運ばれる 悪鬼と帝王二つの頭部に 巨大な装置が被さって、離れたそこに包装された 小さな円筒残るという奇妙奇天烈な光景。
想像どおりの男の見てくれに 萎縮し視線が脇にそれる。
「あーまて…言ったそばからアレだがよ…」
不意に工場長直十、思い出したと口を開き。

「礼があるんならその代わりに、ちと忘れ物届けてくれるか。」

605創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 15:25:45 ID:OLYbrgKs

 「―ったくなんなんだあの工場ロボ!」
いまだとどまる夕日掛かった 荒野を徒歩で 歩く青年、土まみれの体叩きながら 愚痴る。
「だいたい…ってーなんでお前たちがついて来るんだ!!」
振り返る数歩後ろには、互いに体を支えあう…といっても体格差で釣り合わない、ならず者が二人。
「いいじゃねぇすか、どうせマシンもバラされ取られちまったんだし、同じ境遇同士。」
「てめーもどうせアテなしだろ?」
ここまで切羽詰ったら 流石にやり合う余裕も利もない。
痛いところを突かれたことで、反論できず唇かみ締める。
そこに後方から、呼ぶ声足音近づいてくる。
「待ってくださーい!」

駆けて来たのは村の少年。息絶え絶えに袋を持ち出し。
「あの、これ直十さんから渡すよーにって…」
なんだと覗き込む三人。
「"リサイクル資源回収、ご協力ありがとうございました"ってコレ。」

―包装された円筒はトイレットペーパー。

「「「ちり紙交換かよ!!!」」」
三人の声が虚しく響く。

どことも知れぬ暗闇の中 それを眺めているのか、深く腰掛ける男の姿。
年季を含んだ独特の口調と抑揚で呟く。
「…ついに動き出したサイクラスト…。E・C・Oドライブを持つ者…。」
606創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 21:46:01 ID:4aGyIbeU
>>597
投下乙!
絵も含めていろいろフイタw 特に >E・C・Oドライブを持つ者 が地味にツボったw
次回の投下も楽しみにしております。
607創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 22:14:03 ID:OLYbrgKs

 今日もまた、資源の環は保たれた。
"ゴミを捨てるは定められた場所"
エコ以前にまず成すべき条理。
直十よ、サイクラストよ、資源の明日は、未来は、お前と皆が作るのだ!

体よく締めのついた所で、「資源転生サイクラスト」 一度ここで閉幕。
それではまたの機会あれば。
608創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 22:21:05 ID:OLYbrgKs
下調べせずに勢いでやるからさるさん喰らう…(´・ω・`)
これで終わりですお粗末。
609創る名無しに見る名無し:2010/01/04(月) 00:04:55 ID:wxwQYrS8
投下乙&明けましておめでとう!
さて、感想……の前にスレ立ての季節到来だ!

つーわけで初スレ立て行ってくる
610創る名無しに見る名無し:2010/01/04(月) 00:15:37 ID:wxwQYrS8
任務、完了……

ロボット物SS総合スレ 17号機
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1262531633/
611PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2010/01/04(月) 00:53:41 ID:In5g0Diw
>>610
 スレ立て乙。
 よくやった、巨大化してアハツェンと戦う権利をやろう。


 ……ふぅ、遅くなってしまいましたが、明けましておめでとうございます!

http://download1.getuploader.com/g/sousakurobo/237/akeome%21.jpg

 え? クオリティ低い? はっはっは、期待した君が馬鹿だったのさ!

 あ、感想はまた今度ということで! では、今年もよろしくお願いします!


 また誤爆した……orz
612TロG ◆n41r8f8dTs :2010/01/04(月) 22:56:56 ID:RUjSc2v4
遅ればせながら明けまして、おめでとうございます
何という力作量・・・!皆さん超乙です

なるべく今年はペースを上げたいな・・・と。何はともあれ宜しくです
613古時計屋 ◆klsLRI0upQ :2010/01/05(火) 00:44:14 ID:ZTGqTHzj
あけましておめでとうございます

今年はちょっと忙しくなりそうなので執筆ペースが落ちてこちらに来るペースも落ちるかもです
忙しくなる前に出来る限り仕上げておきたい(´・ω・‘)

年始投下予定だった予告編とかものすごく遅れてるんですけれどねw
614創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 01:01:28 ID:+9+cxIM7
廻セカググってたらたどり着いた
今はパラベラムが本命で書いてらっしゃるのか(´・ω・` )
615創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 02:16:54 ID:Tb2TlOqz
元々PBM氏はPBMが本命のはずだが
というか、全部消えたんじゃなかったっけ<廻セカ
616創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 02:39:03 ID:+9+cxIM7
>>610 ありゃ、そうだったのか。失礼。(´・ω・` )
言われてみれば、別のサイトで廻るセカイを知ったからオレが勝手にそう思ってるだけでした

というか、消えてしまったのか・・・;;
617創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 03:09:13 ID:Tb2TlOqz
PBMの一部とネタ帳残して消えたらしい。確か二回くらいあったはず

話は変わるけど、このスレの用語集とかあったら面白そうじゃね?w
618創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 03:13:24 ID:+9+cxIM7
>>617 なんというハルマゲドン

用語集・・・半端じゃない量になりそうですねw
619創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 03:15:20 ID:ZTGqTHzj
>>617
凄く面白そうだけれど
まずwikiなんとかしないとw
620創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 03:20:27 ID:Tb2TlOqz
>>618
二回も焼け野原にされて未だに連載してるロリ師匠の三つ編みとロボへの愛は半端じゃないと思うw

>>619
更新せんといかんよなあ……
そういえば、ぼくらの管理人さん(黒髪ロングで竹帚持ってる)はどうしてしまったのだろう。年明けまで忙しいと言ってらしたが
621創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 21:25:18 ID:7Y349aVw
>>608
投下乙です!
講談や活弁士のような独特の文章がとても新鮮でテンポ良く読めました!
ナオトが実にイイ味出てますねーw
ジャスティオーの人の残念な感じがウケましたw
次回もサイクラストの活躍に期待してますw

管理人さん(ひよこプリントのエプロンを付けている)が戻られるのを待つしかなさそうですなー
622創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 22:43:45 ID:7Y349aVw
誰もいない様なので
師匠の>>611を読んで受信した電波を投下しまーすw
5レス程です
623創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 22:44:30 ID:7Y349aVw
ロボスレ学園番外編〜遥さんとペネ子のお正月〜

 自らの主に付き合って、昇ったばかりの朝日を拝んだ後、朝食に出された雑煮を食べ終えたリヒター・ペネトレイター(人間ver)はやおよろず荘の庭に出てウォーミングアップを行っていた。
 (気合いをいれなければ……!)
 主の希望でこれから『ハツモウデ』という宗教儀式に赴くことになった訳だが、何でも『身動きが取れないほどの人数に昇る参加者を掻き分けて、神に供物を捧げ、己の願いを神に届ける儀式』なのだそうだ。
 (障害を排除し、何としてもマスターの儀式を成功させなければ……!!)
 新年早々ずれた方向にやる気を出しているリヒターである。
624創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 22:46:25 ID:7Y349aVw
 (そろそろマスターは着替え終わった頃だろうか)
 やおよろず荘の中に戻り主の姿を探すと、
 「リヒター!リヒター!」
 横手からかけられた主の声に振り向くと、
 「干支に因んで虎を被ってみましたー!」
 がおー、と両手を上げて威嚇のポーズをとっている遥。
 虎縞のフードとしっぽ型アクセサリー、そして肉球付き猫手袋。
 同年代の女性より小柄な遥がそれらの小道具が加わった結果、そのマスコット的な可愛さが更に増幅されている。
 「良く似合っていますが……その衣装は?」
 「シロちゃんが持ってきたのー♪」
 緩んだ表情で返事を返す遥。
 「……マスター?」
 頬や耳が赤くなっており、身体も微妙に左右に揺れている。
 確かに今朝は屠蘇がやおよろず荘全員に振る舞われたが、遥は少し舐めただけでそれ以上アルコールは口にしてはいなかった。
 (つまり……誰かがマスターにアルコールを飲ませた?)
625創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 22:47:29 ID:7Y349aVw
 「いやー!実に正月らしい光景だな!!」
 そう言いながらこちらに歩いてくるのは、何故か紋付き袴姿の赤毛の男性。
 「ノリで立場を忘れ、酒の力を借りて普段出来ないことをする!これぞ伝統の『Break Out』(ブレイコー)!!」
 と、普段異常に支離滅裂な言葉を垂れ流しながら、グラスに入ったオレンジジュースらしい液体をグイグイと飲み干す。
 「つかぬ事を聞きますが、リヒト・エンフィールド」
 「ん〜?どうした?」
 「そのグラスの中身は?」
 「お、リヒターも飲むか?スクリュードライバー」
 スクリュードライバー:オレンジジュースとウォッカを混ぜたカクテル。
 「バルカン・ウォッカ使ったから結構ガツンと来るぞー?」
 バルカン・ウォッカ:ブルガリア産。アルコール度数88度。世界で二番目にアルコール度が高い。
 「……まさかそれをマスターにも?」
 「ふっふっふ。普通であれば一口でアルコールの強さに気付くだろう。しかしあらかじめウォッカをシェイクする事で空気を含ませる!」
 震えながら右の拳を握りしめるリヒターに気付かず、喋り続ける赤毛の問題児。
 「すると口当たりが柔らかくなり!度数の高さを感じさせなへぶぁ!?」
 一挙動で叩き込まれたアッパーによって天井すれすれまで飛ばされる赤毛。
626創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 22:49:24 ID:7Y349aVw
 重力に囚われ廊下に叩き付けられる赤毛を見もせずに、主の手を取って台所に向かうリヒター。
 「?どうしたのリヒター?」
 「今のマスターには十分な水分補給が必要です」
 緩んだ表情のまま素直に手を引かれる遥。
 「?そうなの?」
 「えぇ、そんな状態では『ハツモウデ』に勝利することはおろか、参加することすら難しいでしょう」
 リヒターの発言に遥は首を傾げるが、
 「リヒター?初詣って戦う物じゃ……」
 「少し時間は遅れますが、休憩を取ってから『ハツモウデ』に向かいましょう。私が必ずマスターを勝利させてみせます!」
 結局アルコールに影響された脳は正常な思考が出来ず、
 「んー……うん。よろしくねリヒター」
 遥は“リヒターの熱意を受け入れる”という判断を下した。
 「イエス・マイマスター」
 主の期待(勘違いであるが)に応えようと胸を張る黒騎士。
627創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 22:50:58 ID:7Y349aVw
 その後、主従が赴いた神社でマナーの悪い参拝客が何人か宙を舞うことになるが……それはまた別のお話。

 因みに赤毛の問題児は、ヘーシェンが気付くまで妙に幸せそうな表情のまま廊下に倒れていたとか。

 ドゲシッ!
 白ウ詐欺「……マスター、廊下で寝ていられると邪魔です」
 ……気付いたというより蹴飛ばした、が正しかっただろうか。

どっとはらい。
628創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 22:55:10 ID:7Y349aVw
以上です。反省はこれからしますが後悔はしていない!
あ、PBM師匠、またキャラ拝借しましたwサーセンw

……さて、土下座の準備をするか
629創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 23:00:56 ID:dWZ8N66G
投下乙です。
イラストに合った素晴らしい電波確かに受け取りましたぜw
余所様のキャラクターを此処まで上手く調理出来るとは素晴らしいですな。
自分も他作品のキャラクター使ってお話を書いてみたけど、電波力が足りてないようです。
630PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2010/01/05(火) 23:31:54 ID:xwElqNKc
 ふぅ。疲れも取れたしやる事もやった、ようやく感想が書けるぞ諸君!
 というわけで、みんなまとめて投下乙です!

>>588
 メアリー、なんて態度の大きな子……! さすが某独立治安維持部隊の出資者が元ネタなだけはありますね!
 さてさて、探査船行方不明事件、キナ臭いですね。やはりバイラムが関係しているのか、あるいは。
 あ、先生! ソウ・ヨウシンさんの二つ名はもう少し捻るべきだと思いまs(ry
 とりあえずソウ氏は陰で禿鷹とか言われてるに違いないw

>>595
 おお、お見事!
 蟹が主人公機かとはやとちりしていた私は相当な馬鹿野郎のようですw
 しかし最初の敵が蟹……うん、なんでだろう、クスリときてしまうのはやっぱりあの警察官のせいに違いない。
 オーソドックスな機体はいいですよね!

>>607
 新作キタ――――!
 この怒涛勢いとリズムは◆46YdzwwxxU氏に通じるものを感じますねー。
 E・C・Oドライブとは、そしてそれを呟いた男は一体……そして正義のヒーローとならず者の三人組はこれからどうするのか! 特に後者が気になりますw

>>614-615
 本当に、綺麗さっぱり消えてしまったのよ……。

>>628
 よし、まずは姿を表せいっ!
つ ラーの鏡

 一瞬ゼノギアスの二次創作が来るのかと思った私はやっぱり大馬鹿野郎のようですね!
 ペネ子よ、大体合ってるけどちょっとズレてるぞ! あと酔いどれ遥さんお持ち帰りしていいですか。

〜ロリコン的お正月〜
 アマテラスさんがょぅι゛ょに戻る日。
631チャンバラ ◆YHSi90Gnr2 :2010/01/05(火) 23:40:54 ID:7Y349aVw
>>630
失敬。はしゃぎ過ぎててトリ付けるの忘れてましたw
酔いどれ遥さんはペネ子が守っているので、先ずはペネ子を倒してくださいw話はそれからですw
632創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 23:56:31 ID:xwElqNKc
>>631
 すみません、番犬を退けても遥さん本人の身体スペックが異様に高いのですが……。
633創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 00:02:12 ID:TZADnZeB
結論:人生諦めが肝心
代案:珍獣を三つ編みにする
634創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 00:20:03 ID:TZADnZeB
今更な上に連レスだが許してほしい
>とりあえずソウ氏は陰で禿鷹とか言われてるに違いないw
これに吹いたんだ
635PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2010/01/06(水) 00:25:32 ID:fXkXiD97
 おうふ、いつもの締め台詞を忘れてた!

 それでは皆さん、次回も楽しみに待ってますね!


>>633
>珍獣を三つ編みにする
 ブロンドで三つ編みのロリとか何その凶器。しかもアホの子とか、何その鬼に金棒。
 あ、ウェーブのかかったブロンドもいいですよね!
636創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 01:08:59 ID:RqMjBTbQ
もうそろそろ容量詰まってきたかな。しかしグンとペース落ちたよねw
まぁ時期が時期だし仕方ないと言えるけど…

埋めネタで、もしこのスレの作品がスパロボになったらで
味方になりそう・味方にしたい敵勢力っている?俺は是非とも悪山じいちゃんを味方にしたいww
637創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 01:35:33 ID:TZADnZeB
悪山じいちゃんは普通に進めてるとスポット参戦だけど、条件を満たすと隠しで仲間になるようなイメージがあるw
とりあえずタウエルンの自動人形とPBMの機械人形がバザーで売られてるところは幻視した
638創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 01:52:26 ID:fXkXiD97
 じゃあ甲属のデイバルデパブロイさんを説得してムードメーカーに(ry
 とりあえずW&Tは条件次第で離脱か続投は確実かなー。
639創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 01:57:05 ID:TZADnZeB
デイバブさんとか懐かしいにも程があるwww
W&T続投の条件はε3遺跡にありそうだな
640空気読めぬ者、その名は>>882也 ◆MVh6W.SAZtbu :2010/01/06(水) 02:59:31 ID:R63HWuIp
>>620>>621
管理人氏とは面識無いけど、こんな人↓だったのかぁ。
http://dl5.getuploader.com/g/sousakurobo/238/the+caretaker+of+robo-sure.jpg
641創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 03:20:06 ID:cjnNRXPV
>>630

綺麗さっぱり消えてしまったのか・・・非常に、残念ですぜ・・・

ところで、廻セカのスピンアウト二次創作小説を書いたのですが
僭越ながら公開しても、よろしいでしょうか?
642創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 03:29:23 ID:fXkXiD97
>>640
Σ(゚Д゚;)予想はできていたのにダメージが、ダメージが大きいのは何故だぁぁぁぁぁぁ!!

>>641
 どうぞ!
 といっても、ちょっといじくったとこがあるので辻妻が合わないところが出てくるかもしれませんが……。
643創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 03:43:34 ID:fXkXiD97
       |
       |      
     /巛 》ヽ, 
     ヾノ"~^ヽ,^   
     (´Д` リ      
     ( つ/⌒ヽ
     (__/  )
    (_(_)ソ────────
   /
  /



644創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 03:44:36 ID:fXkXiD97
 グゥレイト! 誤爆だぜ!
645空気読めぬ者、その名は>>882也 ◆MVh6W.SAZtbu :2010/01/06(水) 04:00:13 ID:R63HWuIp
>>642
ガードされた程度で威力を殺されてしまうようなパンチはストレートではない。

余談だが俺はファッション半裸(パリコレとかFSSとかに出てくるようなヤツ)がカッコ良くて好きなので隙あらば描こうとする。
無論、男限定でである。(オレ アグ○ス コワイ)

嗅ぎ付けろ嗅ぎ付けろ嗅ぎ付けろ ア○ネス 君よ 探れ
まだロリぺド描(えが)く輩がいるなら 巨大な権力(ぶき)で打てよ! 打てよ! 打てよ!
社会の怒りをぶつけろ ○グネス 規制戦士アグネ○ アグ○スッ!

あぶり出せあぶり出せあぶり出せ アグネ○ 君よ 吊るせ
架空の女児にも人権とかある たとえ二次でも守れ! 守れ! 守れ!
犯罪予備軍許すな アグ○ス 規制戦士○グネス ア○ネスッ!
646ロリベラム! の人(臨戦態勢) ◆1m8GVnU0JM :2010/01/06(水) 04:12:01 ID:fXkXiD97
 それは超久々にメデューサ遥さんを描いている私に対する挑戦と見た!
 ……なんか十二支で遥さん12変化とか出来そうな気がしてきました。

 しかし普段よりロリなのはなんでだろう……。
647空気読めぬ者、その名は>>882也 ◆MVh6W.SAZtbu :2010/01/06(水) 04:25:15 ID:R63HWuIp
おお ろりべるむ あなどっては ならぬ あぐねす の おそろしさ は ぱねきこと このうえない

>しかし普段よりロリなのはなんでだろう……。
なに試しに幼き日のオルたん描いてみたらロリってレヴェルじゃなく(ぺドに)なってしまったオレにくらべr
648ロリベラム! の人(臨戦態勢) ◆1m8GVnU0JM :2010/01/06(水) 04:34:15 ID:fXkXiD97
 ふむ……興味深いね、ゾクゾクするよ。

 というわけで>>882よ、うpするがよい!
649空気読めぬ者、その名は>>882也 ◆MVh6W.SAZtbu :2010/01/06(水) 04:43:45 ID:R63HWuIp
>>648
師匠がお望みとあればうpしますが……
ぶっちゃけ、描いてて「あっこりゃひどいや」と思ったので、思うさま描きかけ(これ以上進める気が無い)、
さらに遅くとも7時半までには消させて頂きます。
でコレ↓
http://dl3.getuploader.com/g/sousakurobo/239/%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%81%9F%E3%82%93.jpg
650創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 04:49:04 ID:cjnNRXPV
>>642

ありがとうございます!なんか自分で勝手に書いて廻セカ知ってるリア友に送ってただけなんでこういう公開できる機会を持てるのは嬉しい限りですw


オレが書いてる廻セカってなんかもう原作レイプ小説なんですよw
一年前くらいから書いていて、なんか時が経つ毎に独自設定を加えまくって、今ではなんかもう原作と同じなの場所と登場人物の名前だけじゃね?二次創作じゃくてパクりレベルだろこれ、というカオスっぷりになった代物なので、辻褄云々は大丈夫です(笑)

いやホント、マジすんません( ω ;)


明日(というか今日か)の夜にでも本編上げますねw
とりあえず今はプロローグ的な、事前作品紹介だけ上げときます
651廻るセカイ-Die andere Zukunft-:2010/01/06(水) 04:53:25 ID:cjnNRXPV
「もしさー、もしだよ?」
「あ?」
「もしさ、揺籠が…消えることになったら…どうする?」
「なんだよ、いきなり」
「いや、別に“今のこのセカイならおかしくはない”話題だと思うけどなー」
「そうだな……」

「多分、抗うんじゃないか」

「抗う?」
「俺は揺籠から出る気はない。だから、そん時は多分反対運動とかに参加していると思う」
「そっか」
「お前はどうなんだよ、千尋」
「私?モチのロンでヤスっちと同じだよ」



「もう少しでセカイが滅びる」
世界中にそんな噂が飛び交った。
それは、日を追う毎に増えていく。
実際、一部の都市が地図から名前を消していた。
原因は全くわからない。
ヒトは滅びを待つだけだった。

舞台は日本。新興都市“揺籠”
描かれるのはそこに住む彼らが繰り広げる他愛もない日常と、非日常。

「契約を、結びましょう」

「抗う術を知っていて、それをやらないなんて選択肢、俺にはない」

「日常は、終わりだ」

「俺は、お前を裏切らない」

「護ればいい、ただそれだけですよ」

「絶えなく廻るセカイの下に、我ら誓いを立てん」

「――――我が名を唱えよ、我が名は“罪深き始祖”」

「…私が、願ってもいいんでしょうか…?」

「今は、自分からやりたいって、そう思えるようになったんだよ」


≪廻るセカイ-Die andere Zukunft-≫


……それは、似通っているようで……違う“セカイ”
652PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2010/01/06(水) 05:29:12 ID:fXkXiD97
 ひとつだけ、ひとつだけ言わせてくれ、>>882氏……。

 夜 更 か し し て て よかったぁぁぁぁぁ――――っ!


 ついでに私もメデューサ(ゴルゴン)遥さんをば。

※へたくそ注意!
http://download4.getuploader.com/g/sousakurobo/240/Medusa_Haruka.jpg


>>650
 ならば きさまに セカイのはんぶん をやろう

 じゃなくて、えーと、ほら、
 原案:PBM! の人
 みたいな感じでやればきっと大丈夫!
 自分が廻セカでやろうとしてた事はPBMで果たそうと思ってますので、今の所は。
 ……でも、PBMやクロスオーバーやロボスレ学園が一段落したらまた書きたいなぁ、廻セカ。
653創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 06:19:27 ID:TZADnZeB
先走ってちょっとだけロボスレ用語集を書いてみた。

■極細
ROST GORLの主人公、マキ・シゲルの事。
マキ→マッキー→マッキー極細→極細という流れであだ名が変化していき、現在の形に落ち着いた。ちなみに命名はPBM氏。

■殺意の波動に目覚めた極細
極細ことマキ・シゲルが“殺意の波動”に支配された状態。この状態の彼は、おイタをしたスレ住人達を片っ端から駆逐していく殺人マシーンと化す。
遥さんらと並ぶ、このスレの最強の人間のひとりである。
なお、一度2ch全鯖を落とした事もあるらしい。
命名はやっぱりPBM氏。

■マキられる
おイタをして極細に抹殺される事を言う。

■休日過疎
ロボスレは、本来盛り上がるはずの休日に誰もいなくなる傾向が強い。理由は不明である。

■突然人稲
ロボスレは、盛り上がっていたと思ったら突然誰もいなくなるというケースが多々ある。これも理由は不明である。

■変態
このスレを象徴する言葉である。夏によくこの言葉が飛び交うが、これは夏休みで学生が大量に流入してくるからではなく、
元 か ら い た 住 人 の た だ で さ え ア レ な 頭 が 暑 さ で イ カ れ た
からだという説が最も有力である。
654DaZの人 ◆qwqSiWgzPU :2010/01/06(水) 12:50:56 ID:Ljxus/2x
>>652
そう言ってもらえると大感謝ですw
原案・原作PBM! の人、として書いていけたらな、と思います

とりまこれから廻セカDaZの人、と名乗るのはちょっと長いので(というか変換が多くて面倒ry)
DaZの人 として名乗っていきたいと思いますw
みなさん、よろしくお願いします(´・ω・`)
655PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2010/01/06(水) 13:35:16 ID:fXkXiD97
>>653
 こ れ は ひ ど い

>元 か ら い た 住 人 の た だ で さ え ア レ な 頭 が 暑 さ で イ カ れ た
 あながち間違ってなさそうなのがなんとも……w

>>654
 だずさんよろしくお願いします! というわけで、久々に。
 仲間がふえるよ!
656創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 14:00:13 ID:TZADnZeB
やったねベラちゃん!
657PBM! の人 ◆1m8GVnU0JM :2010/01/06(水) 14:16:15 ID:fXkXiD97
Σ(゚Д゚;)今度はなんか妖怪人間みたいな名前になってるよ!
658創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 14:27:06 ID:TZADnZeB
まあ、人間になれるよう頑張りたまえ、ロリ師匠。あとメデューサ遥さんをお持ち帰r(ゴキャッ

それにしても最近本当に人いないのぅ
659創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 21:08:12 ID:fXkXiD97
 寂しいですねー。
 ああ、遥さんのボサボサの髪をブラッシングしたい。
660創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 21:27:09 ID:TZADnZeB
本当にPBM氏は遥さんにゾッコンだのぅ
しかし同意せざるを得ない
661創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 22:42:01 ID:1CSPIMYN
盛り上げたいのですがねー。
本編の文章がgdっててまだ投下出来そうにないorz

あぁ、遥さんは寝起きでも可愛いなぁ……
662空気読めぬ者、その名は>>882也 ◆MVh6W.SAZtbu :2010/01/06(水) 22:59:12 ID:R63HWuIp
>>652
>夜 更 か し し て て よかったぁぁぁぁぁ――――っ!
美容の大敵なんだぜ。

遥さんはトレーナー派か……!

>>654
ようこそロボスレへ! ここが変態地獄の一丁目だよ!

>>653
俺も考えてみた。ちょっとずれてしまってるかもしれないが……

■ロリ・コン
小さき存在を愛し、見守り、守護する伝説の男。
こう書くと赤毛のあの人と同じ分類群の人っぽいがそういう感じはしないあたりが伝説の男の伝説の男たる所以か。
遺された肖像画等を見るに中近東の人物であるような印象があるが、その印象が当たっているかどうかは定かではない。
なお、この人のことを語るときは事前に「ストーカー」という単語を脳の思考領域から排除しておくこと。

■二次創作
テンプレートにもある通り、ロボスレにおいては商業作品の二次創作は、
専用スレのある作品(2010年1月6日現在においてはガンダムシリーズ・勇者シリーズ・エルドランシリーズ・ゾイドシリーズ)のものが
微妙なことを除けば、スレ内容に完全に合致しているはずである。
しかし、オリジナル作品の方が圧倒的に多く、
そればかりかスレオリジナル作品の二次創作と言えるクロスオーバーやロボスレ学園のほうが投下が多いという、考えてみりゃエラい事態になっている。

■変紳連
おそらくは「変態紳士連盟」の略称。紳士的な何かを持った変態のみが加入を許された選ばれし変態の集団。
つまりロボスレ男性住人の総称である。(参考:変淑連)

■ハイブリッド
SSとイラスト、立体と音楽といったような、異なる複数のジャンルのものを投下している人間をこう呼ぶ
(SSとイラストを投下している人間を指しているような状況にあるが、
 他のジャンル掛け持ちが出てきてもこう呼ばれるであろうことを考えると、辞書的な定義は先述のものとするのが良いと思われる)。
ロボスレにおいてはSSとイラストが7人、SSと模型が2人(うち一人イラストとだぶり)と数が多い。
これは多芸なスレ住人の存在はもちろんのこと、ロボスレが専用のアップローダーを有していることも大きいと思われる。
663TロG ◆n41r8f8dTs :2010/01/06(水) 23:01:32 ID:U6Y2WbFw
去年の16日から何週間待ったか……

解除されましたぁぁぁぁぁ
明日明後日には規制されそうで凄く不安ですが、やっとパソコンの方が解除されましたぜ!
なるべく解けてる時に投下出来れば良いな……各レスはちょっとお待ちを
664DaZの人 ◆qwqSiWgzPU :2010/01/06(水) 23:59:59 ID:9xnSdPXs
>>662
やってきたよロボスレへ! 変態地獄・・・なんとう魅力的な響き///

>>663
おかえりなさい!変態地獄と聞いて飛んできたお初の者ですw

そしてギリギリ6日を過ぎてしまったがまぁ夜には違いねぇと開き直り
廻セカDaZ、上げますw

665創る名無しに見る名無し:2010/01/07(木) 00:01:02 ID:b/wUmWGn
 志村ー! 容量ー!
666廻るセカイ-Die andere Zukunft- Prologue 1/6:2010/01/07(木) 00:02:21 ID:q9wYXF5G
※この作品は「廻るセカイ」の二次創作です。「廻るセカイ」本編や作者様とは、一切関係がありません。


「廻るセカイ-Die andere Zukunft-」


朝、携帯から流れるアラームで目が覚める。
窓から零れる朝日の光を感じながら、携帯を手に取り騒がしく鳴るアラームを止める。
瞼を完全に開き、大きなあくびをしながらカーテンを開き、窓を開け放つ。
視界に映るのは、いつもと変わることない青い空。
天気は雲一つ浮かんでいない快晴。夏にも間違えるような日差しが暑い。
窓を閉めカーテンを再び閉める。薄暗い部屋の中ベッドを降り、クローゼットに手を伸ばす。
取り出したるはオレこと安田俊明(やすだ としあき)が通う『揺籃二高』の制服。私服登校も許可されているのだが、服を選ぶのは面倒臭い。
さっさと着替え、朝の気だるさから大きなため息を一つ吐く。
「(とっとと飯食って、あのバカ迎えにいかねぇと・・・)」
共に登校している幼馴染の存在を頭に浮かべる。学校行く気が失せてくる。
まぁいつまで続くかはわからないが、たぶんこれからもこんな感じなのだろう。
そこら中に溢れている、取るに足らない日常が続いて欲しい。そんな事を考えたりした日に日常が崩壊したりするのが常なのだが。
若干センチメンタリズムになりながらも、いつもの足取りで自室を出て階段を降り、リビングに到着する。
するとキッチンに立っているはずの母親は不在であった。テーブルに置いてあった真新しいメモ書きを手に取る。
「今日は学食か」
今日朝飯作れないごめんね的な内容であったメモ用紙を握りつぶしゴミ箱に捨てる。そしてテーブルに置いてある小銭を手に取りポケットに入れ込む。
誰もいない居間を後にし、玄関の扉を開く。
667廻るセカイ-Die andere Zukunft- Prologue 2/6
朝の5月とは思えない暑さの日差しに思わず顔をしかめる。だが学校に行かないわけにもいかない。
自分の自転車を取り出し、カラカラと手押しで走らせる。どうせ隣りの家に行くのだから今乗る必要もない。
鳥居の前に自転車を止める。鳥居を見上げるとそこにはいつもと変わらず『守屋神社』の文字が。
そして鳥居を潜り石畳を歩き境内へ。そして拝殿、本殿と抜け一番奥にある居住スペース、守屋さんの一軒家の前で足を止める。
インターホンを押すと軽快な音が流れ、すぐに「今行くから待っててーっ」と声がするも、オレが返事を返すことなく切れる。
まぁ、いつものことなのでそのまま待つ。
バタバタと外まで聞こえる音と共に玄関の扉が勢いよく開け放たれる。
「やっほーヤスっち、おはよーさん」
「おう、おはよ」
背中にまで届く長い栗色の髪を揺らしながら慌ただしく挨拶する若干小柄気味の少女。
一応、幼馴染。名を守屋千尋(もりや ちひろ)という。
両親の仲が良くて家が隣りまではよかったのだが、毎朝起こしにくるというイベントは待っていると残念ながら学校に間に合わない。
まぁ、例え間に合ったとしても千尋には起こされたくはないが。
「ヘイヤスっち、今日はチャリ?暑いからもうバスで行っちゃおうぜ」
「バスだと人が密集するからもっと暑いぞ。ちなみにタクシーなんて来るのを待ってると遅刻するからな」
オレたちが住んでいるこの住宅地区東部では、一応学校までのスクールバスというのが存在する。
だがこの季節、バスに乗ると学校に着くころには汗だくになってしまう地獄の車内だ。
「カーエアコンくらい搭載しろってーの。んじゃま、行きますかえ」
「おう」
千尋が裏から自転車を出してくる間に、オレは先に神社を出て自分の自転車に跨る。
そして千尋が鳥居を自転車で走りながら潜ると同時に、オレも後に続く。
「いつも思うんだが、お前石段とか鳥居とか自転車で走行していいのかよ」
「大丈夫大丈夫。巫女だから多少の融通効くんじゃん?きっと」
なんというバチあたりな巫女なんだろう。神様もきっと嫌がっている、絶対。