「おとう――ごほん、大尉! どういうことですか!」
ぼろビルの中にあるとはいえ、改修補強が繰り返されたからか他の部屋とは比べて幾分かマシな装いの小部屋に、豊かな髭を蓄えた禿頭の中年と、まだうら若い金髪の少女が相対していた。
ご丁寧に高級カーペットや家具が立ち並んでいるこの部屋、外のドアには『署長室』と書かれたプレートが汚い字で引っかかっている。
つまり少女が唾を飛ばさんばかりに詰め寄っているのは、この自警団のトップである男、アンドリュー・ヒースクリフということだ。
アンドリューはガミガミとまくし立てる少女の言葉を聞いているのかいないのか、静かに机に肘を置き、組んだ掌に顎を載せてその瞳を閉じていた。
泰然としたその態度に更に腹を立てたのか、まだ皺のついていない、真新しい自警団の制服――カーキ色の軍服――を着用した金髪の少女は、更に口調を激しくする。
「大尉! いい加減私たちにも……仕事を下さい! 我々が必ず、ケールズを殺した犯人を――」
「……いい加減にしろ、アシュリー。ケールズの件は一課が担当する」
「ですが、あんな堅物達にこの事件が解決できるとは……」
なおも食い下がるアシュリーに、アンドリューは諦めともつかないため息を漏らした。諦めを知らないこの少女は果たしてどのような教育を施されてきたのやら。
親の顔が見てみたい――などと考えてみたが、結局親は鏡に映る禿頭の男なわけで。
育て方を少しばかり間違えただろうかと、自警団団長、もといアシュリー・ヒースクリフの父親ことアンドリュー・ヒースクリフ大尉は様々な書類が転がる机の上で鈍く輝く銀色のベルを鳴らした。
「……何を?」
「一課の代表を呼んだだけだ。お前の評価を聞かせてやれば良い」
「な……卑怯ですお父様!」
「ここでは私はお前の上官だ。家族ではないと何度言えばわかる。アシュリー・ヒースクリフ少尉」
「ぐ……」
核心を突く父の言葉に、アシュリーは喉まで出かかっていた言葉を呑込み、申し訳ありませんと呟いた。
そんな姿に満足したか、アンドリューは珍しく口元に笑みを浮かべて彼女の肩を叩く。
「一課は優秀だ。だが優秀すぎる故に危険が常につきまとう。お前はまだ若い、いくらだってチャンスはある」
「……はい、大尉」
「特務室だって悪くはない。住めば都と言うだろう」
「……イエス、ボス」
「よし、もう行け。私はこれからケールズの件でやらねばならんことがある」
わざとらしく机の上に転がっていた書類を叩いて示したアンドリューに敬礼を返し、アシュリーはトボトボと所長室を後にした。
今日もまた、負けである。
◆
自警団には全部で四つの部署がある。
一課――、別名『軍』とも呼ばれる課で、閉鎖都市でほぼ毎日のように起こる殺人事件や放火強姦などの凶悪犯罪を取り締まる部署である。
統率されたその動きと、非情に犯人を追い詰めるその姿は尊敬と畏怖を持って『軍』と呼ばれる。
二課。自警団の中でもあまり評判は良くない課である。それは、彼らが主として取り締まる犯罪が通貨の偽装や、収賄問題のためだ。
巨大企業との癒着などが懸念される、自警団の中でもかなりグレーな部署と言えよう。
三課は軽犯罪を取り締まる課である。窃盗やひったくりなど、殺人事件以上の発生率を誇るこの部署は、常に人が出入りする、別名『眠れないの課』だ。
そして最後、アシュリーが室長を務める自警団最高の閑職部署、特務室。
建前上署長であるアンドリューの名によっていかようにでも動く部署の筈だが、未だかつて出動の命令が下されたことはない課であった。
自警団本部の三階、端の端に居を構える特務室は、毎日忙殺されている他の署員から、揶揄を込めて『お気楽特務室』と呼ばれる悲しい部署である。
室長であるアシュリーは元来真面目な性格もあって、この現状を打破すべく署長であり父親でもあるアンドリューに働きかけたわけだが失敗してしまった。
と言っても、失敗した方が逆に良かったのかも知れない。
何故なら特務室メンバーはたった二人。
そして進んで事件を解決させようと思うような気概を持った者は、ここにはいないからである。
「……ただいま」
「よ、お帰りー」
「……失敗してしまった……。すまない、ハーヴィー」
「いやいや、一日ずっとここにいて、そんでおまんまにありつけんだからこれほど幸せなことはねぇよ」
ハーヴィーと呼ばれた男が、のんびりと目を通していたグラビア雑誌を床に投げ捨てつつ言う。
特務室の中心に置かれた来客用のソファ(未だかつて客が座ったことはない)にごろりと寝転ぶその男は、体中からやる気のないオーラを発していた。
「だがなハーヴィー……、私は心苦しいのだ。同僚たちが粉骨砕身しているというのに、私はただ日の当たる窓際でコーヒーを啜るだけなんて」
「お前さんは昔から真面目だからな」
「君が不真面目すぎるだけだ」
ジト目でハーヴィーを睨んだアシュリーは、彼が床に投げ捨てたグラビア雑誌を拾い、それをゴミ箱に捨てた。
既にゴミ箱は雑誌やインスタントコーヒーの殻で溢れんばかりになっている。
「……はぁ、市民を守るのが夢だったんだがなあ」
「ま、いつか叶うんじゃねえか?」
「……そんな日が来ることを願うよ……」
アシュリーの、特務室での日々はまだまだ続く……。
『アシュリー少尉の憂鬱 続く』
というわけで閉鎖都市世界でひとつ。
特務室メンバーの巻き起こすドタバタを描ければと思います。
短くて申し訳ない……。
それでは失礼
652 :
代理:2010/02/04(木) 21:08:38 ID:l0Je2gY6
投下乙です!!シェア的には別部署とのクロス、私立探偵との絡みなんかが楽しみ。
乙でした!
特務室がこれからどうなっていくのか楽しみです!
一日中ぼーっとしていて給料もらえるのは個人的に理想の生活だとおも(ry
投下乙でした!
なるほど自警団の中にも厳しいところやのんびりしたところがあるわけか。
特務室と一課の確執なんかも色々楽しめそう
ケールズ事件は一体どうなるんだろうw
久々に閉鎖都市に投下キタ!
しかし本当閉鎖都市は現実感あふれる作品が多いぜ
どこでどうなるのか全く予想がつかないw
656 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/06(土) 17:21:30 ID:9V7JYswA
次スレも近いね・・・
そろそろスレタイとテンプレ考えないとだねえ
658 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/07(日) 23:10:26 ID:fkoNY+BT
※現在このスレでは3つのシェアードワールドが展開されています。
この世界、俺が盛り上げてやろうじゃん!てな方はお気軽にご参加を!
○先週のまとめ
>>641 ○2010/01/25までのSSまとめ(要ストーリーエディタ)
>>603 ○今週の更新
・閉鎖都市
>>648 「アシュリー少尉の憂鬱」 第1話
再び規制が勃発か!? 今週は久々に閉鎖都市に1作品が追加!
自警団特務室を舞台に繰り広げられる新機軸の「アシュリー少尉の憂鬱」!
一作目にして他作品との絡みも見せるとは、今後の期待も大でございます!
※そろそろスレタイとテンプレ考えようぜ!積極的な意見募集中!
詳しくは
>>581を見てね!
659 :
代理:2010/02/08(月) 00:04:27 ID:Ah9PPGGJ
毎週のまとめ乙です!!
次スレ移行は、先発後発の類似スレタイとカブらない程度に修正するのが良いかなあ、と。
新規参加大歓迎!!的なニュアンスのがいいですね。
「どういうことなんだよ……分かんねえよ」
それは素直な疑問だった。
俺にはなぜ鈴が消えてしまっているのか、どうして夜々重がそんなに悲しそうな顔をして
いるのか分からなかった。分からないまま、ただ突きつけられた結果に、漠然とした不安
だけが焦燥を煽り立てる。
「あなたを助けるにはこうするしかなかったの、黙っててごめんね」
全ての試練は乗り越えたんだと、残されているのはハッピーエンドだけなんだと、当たり
前のようにそう思っていた。
でもこれは違う。俺の望んでいた結末とは何か違っている。これは決してハッピーエンド
なんかじゃない。でも、一体何が俺にそう思わせているのかも分からない。
木々の隙間から降り注ぐ月光が夜々重を照らす。その身体は僅かに透き通って見えた。
危機感にも似た感情が全身を粟立たせる中、不意に殿下の言葉が蘇る。
(アイツは誰かの命を救うことで――)
「……おい」
(――自らの罪を清められるのではないかと考えたのさ)
「ふざけんじゃねえぞ、てめえ!」
鈴がないということは、夜々重の未練は消えたということになる。未練がなければ幽霊は
現世にとどまることができない。
俺が生き返ったら夜々重がいなくなるなんて、そんなバカな話があってたまるか。
「きっとこれが私の、幽霊としての運命なんだよ」
「ちょっと待てよ……なんでそうなるんだよ! ごめんねで済む問題じゃねえだろうが!
せっかく生き返れたっていうのに、そのままいなくなっちまうつもりかよ!」
思わず拳に力が入る。
こんなことで命が救われたとしても、それが罪滅ぼしになるなんて、例え閻魔が許そうが
俺は許さない。
大体なんだ。俺は大事なことは夜々重の口から何ひとつ聞かされちゃいない。でもそれは
きっとそうする必要があったんだと、そう思ってたからこそ黙っててやったんじゃないか。
それなのにこれはなんだ、人をバカにするにもほどがある――
俺は行き場のない怒りに任せ、そんなようなことをわめいた気がする。
「やめてよ……」
目を伏せる夜々重。決して怒鳴りつけたりしないように誓ったはずなのに、どうすること
もできない気持ちで胸が詰まりそうだった。
俺はこれからも夜々重と一緒にいたい。二人で笑い合ったり、どこかへでかけたり、あの
時みたいにケンカしたっていい。悪魔や鬼、妖怪も閻魔も、運命ですら二人で乗り越えて
きたのに、どうして何も言ってくれなかったのか、そんなにも俺は頼りないのか――
「もう……やめて」
俺は怒りに心をゆだねることで悲しみを押し潰していた。だだを捏ねるように、思いつく
限りの悪態をつく。今の俺はまるで子供だった。
夜々重はしばらく黙っていたものの、不意に俺を睨むと強い口調で言い返してきた。
「やめてって言ってるでしょ! 言わないほうがいいことだってあるじゃない! 何よ、
こっちの気も知らないで自分ばっかり言いたいこと言って! それならあの時、あなたは
明日死にますって言ったら信じてくれたの? 私がこうなるってそう言ったら生き返って
くれたの!?」
――できなかったかもしれない。
突き刺さる冷たい目線は、明らかに俺の心を見抜いたものだった。
しかしそれを責めるでもなく、夜々重は背を向けると、自分を落ち着かせるように小さく
ため息をついて続ける。
「何でも言えばいいってものじゃない、そう気づいたのもつい最近。これでも何百年かは
悩んできたのよ? 臆病なところも直して、しっかりした子になれれば、きっと成仏でき
るんだろうって……でもそれは違ってた。幽霊として存在するために与えられた時間は、
変わるためのものじゃない。自分が何のために生き、なぜ死んだのか。それを知り、納得
する為の時間なのよ。私は私なりの、私にしかできないやり方であなたを助けたかった。
自分の罪が生み出した呪いで始まり、自分の罪が招いた悪夢で終わらせる。大事なことを
言えなかった私の罪が、もしもあなたを救えるなら……それなら私は」
ひときわ強い風が、夜々重の長い髪を大きくなびかせた。
「私はきっと……あなたのために生まれてきたんだって、そう納得できるから……」
木々のざわめきが止み、再び取り戻された沈黙が、ささくれ立っていた心を撫でつける。
俺にとって、今のこの状況が理不尽なように思えていたのは、これからも夜々重と一緒に
過ごしたいという、わがままが故なのかもしれない。何百年もの間悩み続けてきた夜々重
の気持ちを考えていなかったのは、俺の方なのかもしれない。
そう思い至るとともに、俺は夜々重がいなくなってしまうという事実に対して、抗う術を
失った。言い返す言葉も、取るべき手立ても、俺にはなにも思い浮かばなかった。
無力だった。
最初から最後まで文句を言うばかりで、何ひとつ夜々重の役には立っちゃいない。だから
そんな俺が、たったひとつ夜々重のためにしてやれることがあるとすれば、それはこんな
風に不満をたれることじゃない。笑顔で送り出してやることなのかもしれない。
分かってはいる。しかしそんなことすらもできないほど、俺は無力だった。
「なんで……どうして俺なんかのために、そこまで……」
怒りは押し流され、悲しみの底から浮かび上がった、一つの疑問。
嗚咽に震える夜々重のそばに立ち、またたく町の灯を――生命の灯火を見下ろす。
夜々重はこの寂しい場所で、ずっとこの灯りを見てきたのだろう。それがこいつにとって
どういう風に映っているのか、俺などに計り知ることはできない。
既に夜々重の身体は、後ろの景色がほのかに透けて見えるほど、その色を失っていた。
「私……ずっとあなたのことが好きだった」
ジャンパーを羽織り直す夜々重の動きが、目端に入る。
唐突に告げられた思いに、返すべき言葉を探せず、ただその続きを待った。
「笑っちゃうでしょ? 知り合いだったわけでもないし、別に何かされたわけでもない。
あなたはただ私の通学路に居た、それだけだもん。もちろん最初っからそうだった訳じゃ
ないよ。でもやっぱり毎日見てると、今日は機嫌が良さそうだなとか、今日は元気がない
な、なんて思っちゃうから、それで私……いつの間にか……」
ふと俺の手を握るようにして夜々重の手が添えられていることに気がつく。
文字通り重なり、しかし触れる感触はもう、そこにはなかった。
「この間ハナちゃんがここに遊びに来てくれた時、あなたのことを教えたの、そうしたら
ハナちゃん、あの人もうすぐ死んじゃうよって……そう言うの。本当はね、最初にそれを
聞いたとき、ちょっと嬉しかった。だってほら、一緒に幽霊になれるかもって思ったから。
でもすぐに気がついたの、あなたは幽霊になれるほどこの世に未練をもってない。あなた
は死んでも幽霊にはなれないって……だから私は、こうするしかなかった。あなただけが
いなくなるなんて、いやだった……」
沈黙――冷たい風が、ほてった身体を通り抜ける。
まさか夜々重はたったそれだけのことで、通学路にたまたま居た俺に惚れたというだけで、
自分の幽霊としての存在をかけ、俺を救ったと、そう言いたいのか。
「き、急にそんなこと言われても困るよね! ああもう私何言ってるんだろう。ごめんね、
最後に変なこと言っちゃって。バカなやつだって思うよね、独りよがりなやつだって思う
よね……でも、それならそれでもいい、変な幽霊に取り憑かれたんだって笑ってくれれば
いいよ」
やっぱり夜々重はバカなんだ。そんなことバカでなければできるハズがない。何が策士だ、
何が知略家だ。こいつは100%ピュアな、穢れの無いバカだ。
「だから、お願い――もう、泣かないで」
最後まで大事なことを言えずにいたのは俺だって同じだ。
思ったことを言えばいい、感じるままに動けばいい。タイミングなんかどうだっていい。
それが言葉じゃなくたっていい。
夜々重に向き合い、手を重ねる。触れることができなくても気持ちは伝わるんだと、指を
絡める。一瞬張り詰める空気、こわばり不器用ながらも閉じられた瞳と、重なる唇。
ふとそこに感じる柔らかい温かさ。しかしそれが夜々重の最後の温もりなのだと理解する。
夜々重の姿はほとんどもう、うっすらとしか見えなくなっていた。
「あなたに会えて、本当によかった……ありがとう」
「ごめんな、こういう時どうするもんなのか、分かんなくて……」
「ううん、いいの……嬉しいよ」
照れくさそうに目を逸らし、ちらと俺を見て微笑む。
俺はそんなにおかしな顔をしているのだろうかと自分の頬を撫でてみると、溢れていた涙
が手のひらを湿らせた。
「不器用なのはお互い様だね」
「そうだな……」
笑ってやることができた。
あまりにも突然すぎる別れに塞ぎきれない気持ちはあるものの、これが今の俺にできる
精一杯だし、それが一番いいように思える。
夜々重は今までずっと見続けてきたであろう景色を見回したあと、向き直り顔を近づけて
きた。
「……じゃあこれが最後のお別れ。いつかまたきっとあなたと会える、魔法のおまじない」
「幽霊が魔法のおまじないってのも、どうなんだかな」
「もう、ちゃかさないでよ」
夜々重はふてくされながらも、バカバカしく、しかし今においては正しいと思えるような
おまじないを俺に教えてくれた。高く昇った月が、明るい光で俺たちを包み込む。
「いい? ちゃんと気持ちを込めて言うんだよ」
「ああ、わかったよ」
きっとこれが最後になる。それでも笑っていられるのは夜々重のおかげなのかもしれない。
もう一度指を絡め、額を合わせて微笑みあい、瞳を閉じた。
「いつの日かまた――」
「――冥土で、逢おう」
言い終え間を置き、込み上げる気恥しさに思わず吹き出す。
そっと瞼を開くと、そこにはもう、夜々重はいなかった。
二人で重ねたその言葉を最後に、夜々重は俺の前から姿を消した。
何度か名前を呼んでみても、返ってくるのは木々のせせらぎと穏やかな風の音。
やがて涙で滲む月から、静かに雪が舞い降り始めた。
俺は自分が価値のある人間だとは思えない。
でも、もう俺の人生は俺だけのものじゃない。俺のこれからの人生は夜々重とともにある。
夜々重と笑い、夜々重と泣き、夜々重と怒り、夜々重と生きる。
繋ぎ止めてくれた命は決して無駄にしない。それが俺のできる唯一の恩返しだ。
小さな雪の粒が、手のひらで溶ける。
きっとこれが夜々重の「ありがとう」なんだと、そっと握り締め、俺は主を失った供養塔
を後にした。
別れの言葉なんて言わない、いつかまた必ず夜々重には会える。
どうしてか俺には――そんな気がしてならなかった。
卍 エピローグ 卍
沸き立つ血の池、聳える針山、轟く悲鳴――ここは地獄の三丁目。
暗雲立ち込める地獄において今日もなお、殿下宮殿は一段と怪しい雲行きに包まれていた。
「殿下様、殿下様! 起きてくださいニャ!」
閻魔殿下のプライベートルーム。扉の外でがなりたてる侍女長の声に、殿下は目をこすり
ながら時計を見て、ごろりと寝返りをうつ。
「んだよ、うっせーな。休みぐらいゆっくり寝かせろよ」
まどろんだ声が終わらぬ間に、扉の鍵ががちゃがちゃと音をたて、がちんと開かれた。
「だから、勝手に開けんなっつーの!」
「それどころじゃないですニャ! 宮殿建立以来の大ピンチがやってきましたニャ!」
「……はあ?」
未だベッドから出る気配を見せない殿下に業を煮やしたのか、侍女長はずかずかと部屋に
押し入りカーテンを開いた。差し込む眩い朝日に、殿下は目を細める。
ため息をつきながらベッドから足をおろし、だらしなくパジャマを引きずりながら窓辺に
近づくと、門前に立つ夜々重の姿に気がついた。
「あいつ、この前の女幽霊じゃないか……なんでここにいるんだ?」
「それがですニャ……あいつ成仏したっぽいんニャけど、逢瀬許諾書持ってるんニャ」
「逢瀬許諾書? ああ、あの『冥土で逢おう』ってやつか。そんなもんほっとけ、あの男
が来るまで冥土で待つと言うならそれもまたここのルールだ。親父の裁きを延期できても、
それがここに入っていい理由にはならんだろうが。今すぐ追い出せ」
寝起きにあっても正しい理屈を並べるあたり、さすが閻魔の息子というところ。
しかし侍女長は「そんなこと分かってますニャ」と言わんばかりに怪訝な目を向ける。
「忘れてませんかニャ? あのとき一緒に来た男、自分じゃまだ気がついてニャいけど、
死線を越えて蘇ったもんだから、不老不死になってますニャ」
気だるそうに言い放たれた報告に、殿下はぽんと手を叩いた。
「おおそうか! やはりな、そうでなくては解呪許可を出した意味がない。そうかそうか、
ちょうど人間界で動くには不便だと思ってたんだ。これからはあの男に色々と……」
「殿下! 喜んでる場合じゃないですニャ!」
ほころんでいた顔を甲高い声がぴしゃりと一括する。閻魔殿下もこれには目を丸くした。
「あの乳幽霊。もしも宮殿に自分を置いてくれなければ、大帝様にそのことをバラすとか
ぬかしとるんですニャ」
殿下の瞳が、さらに大きく開かれる。
「なんだと!?」
「故意の呪いと知っておきながら、不死が成立すると分かっていながらも許可を出したと。
そんな不正が大帝様やクソ真面目な鬼連中に知れたら、どうなりますニャ!」
「ま、まずいな……実にまずい」
ふとよぎった嫌な予感に、思わず殿下は口元を抑えた。
門前に佇んでいた夜々重が殿下に気がついたのか、笑顔でひらひらと手を振っている。
「女中見習いでもいいとか言ってるんですがニャ……週休六日で盆と正月、それから大安
と吉日には現世に戻せとかほざいてるニャ」
「そんなバカな労働条件を押し付けてくる見習いがあるか!」
「じゃあ、断りますニャ?」
「い、いや……」
殿下は難しい顔で部屋をぐるぐると歩き回った後、力なく足を止め、頭をかいてつぶやく。
「仕方ない……条件を飲んでやれ。くそ、また変なお荷物を抱えちまった……」
「はーあ、自業自得ニャ……こんなんじゃ先が思いやられるニャ」
「うっせー!」
その叫びは、広大な殿下宮殿をゆるがすほどのものだったという。
こうして地獄の殿下宮殿にまた一人、やっかいな存在が足を踏み入れることとなった。
おてんば幽霊、大賀美夜々重。彼女が自分の罪を償う日は――
「お世話になりまーす」
まだまだ先のことのようである。
シェアードワールドを創るスレ 地獄世界より
「ややえちゃんはお化けだぞ!」
(完)
666 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/09(火) 18:37:57 ID:Dp2y6QCv
と言うわけで「ややえちゃんはお化けだぞ!」これにて終了です。
ここまで3ヶ月もかかったのに、物語は24時間すらたってないという驚愕の事実。
つたない文章に気を遣わせてしまった部分もあると思いますが、ここまで読んでくださった方
本当にありがとうございました。
乙でしたああ!!
ああ、夜々重ちゃんもたくましくなって(ホロリ
完 結 乙 !
いやー面白かった!大満足!
ドタバタな展開でも、こうしてみると案外まとまって思えるよなあ…
キャラが死のうが成仏しようがまったく問題ない地獄シェアの懐の深さを
思い知ったぜw
避難所の件も把握した!
ややえちゃん完結お疲れ様でした!
めっちゃ面白かったです!
まずは「ややえちゃんはお化けだぞ!」完結、本当にお疲れ様でした!!
寂しいですが、激しく次回作に期待しております。
(…なあリリベル、君の復讐が終わったら、私はどうやって暮らすんだろう?)
「…二百年分の未払い賃金があるでショウ? ワタシが閻魔庁に掛け合ってアゲマス。)
◇
垂れ込める黒雲から重苦しい雷鳴が絶え間なく響く。ようやく『我蛾妃の塔』から足を踏み出した悪魔リリベルは、塔の広い敷地を埋め尽くす地獄の軍勢と対峙した。
…鬼、鬼、鬼。戦装束に身を包んだ精悍な獄卒たちは、怒りに満ちた表情でリリベルと、彼女が肩に担いだ人質を完全に包囲している。
「…う…う…」
ドサリと湿っぽい地面に投げ出され、力無く横たわった人質が呻いた。彼女の名は胡蝶角。獄卒にして由緒ある茨木一門の鬼姫だ。
「…じゃあね、チビ鬼サン…」
瀕死の彼女に冷たい一瞥を向けたリリベルは、怯む素振りもなく待ち受ける大軍との距離を詰めていった。鬼たちの遥か背後で翻る、閻魔王家の旗だけをひたと睨み据えて。
人質が駆け寄った救護隊に運ばれてゆくと、それを合図に数名の鬼がリリベルの歩みを阻むように進み出る。いずれも若いが、恐ろしく戦慣れした風貌の鬼たちだった。
(…おやおや、話が違うな。謀られたんじゃないか?)
カタカタと振動しながら、リリベルの心に語りかけるのは『顎』。彼女の身体をきわどく覆い、今は防具の役割を務めるこの妖は、奈落の底でリリベルが出逢った、たった一人の盟友だった。
「…大丈夫デス『おさがり』、いえ、『顎』、あなたの知りたい事はしっかりと教えてアゲマス…」
自らの名前も知らず、暗闇の中で偶然にも生まれた付喪神、閻魔庁の便利な備品だった『顎』は、ただひとつの見返りだけを求めて、この悪魔の少女と行動を共にしていた。
冷たい拘束具に過ぎなかった彼のなかで、その覚醒と共に芽生えた疑問。『生命』の意味とは?そして『死』とは?
リリベルは答えた。その答えは暗い塔の外、自分が孤独な疾走を続ける復讐の道にある、と。
その言葉を信じた『おさがり』、巨大な鉤爪にも似た『顎』は、文字通りリリベルにぴったりと寄り添い、長らくその住まいであった窓の無い塔から初めて外界に出たのだった。
「…見ていなさい。このリリベルの死に様が、ベリアル栄光の歴史に刻まれるワタシの生きた意味デス…」
いまや互いの間合いに入った鬼たちとリリベルは、憎悪に満ちた視線を注ぎあう。正面にいた棘だらけの黒い鬼が、傍らで音もなく抜刀した女鬼に向けて呆れた声を発した。
「…おいおい怜角、こりゃ何の冗談だ? 陛下どころか、俺らの相手にもならん小悪魔じゃねえか?」
怜角と呼ばれた女鬼は、黒鬼に無言の同意を示しながら無造作にリリベルの前へと脚を進めた。そして彼女が手にした一振りの太刀は、眩しく閃きながらリリベルの手元へと舞った。
「…使いなさい。丸腰じゃ…それこそ冗談にもならない。」
嘲るような鬼たちの言葉にも眉ひとつ動かさず、リリベルはおもむろに受け取った太刀を振るう。重い唸りを発して空を切った太刀はまずまず悪い造りではない。
「…で? 鬼の試し斬りも無料サービス中デスカ?」
立ちふさがったままの怜角に向かい、小首を傾げたリリベルは無邪気な声で尋ねる。怜角はゆっくりと喉元に突き付けられた切っ先を無視し、表情を変えず悪魔に答えた。
「…試してみる?」
怜角の切れ長な眼が次第に妖しい光を帯びてゆく。逆立ち、ざわざわと蠢く彼女の長い黒髪は、いつの間にかリリベルの握った太刀の柄まで絡み付いていた。
「…キサマでしたか…」
どこか嬉しげなリリベルの囁き。しかし美しい二人の魔物による応酬は、いつの間にか近づいた煌びやかな一団によってあっけなく終わりを告げた。
二人を遮ったのは、地獄の様式美を体現した古風かつ鮮やかな礼装の女たち、典雅な香りを振りまく閻魔庁宮廷侍女団だ。彼女たちを率いる夜魔族の侍女長は、あたりに充満する濃密な殺気に臆することもなく、柔和な物腰で怜角に語りかけた。
「…ごきげんようニャ、怜角どの。」
「……」
リリベルが黙って刀を降ろす。侍女長の声は淀みなく、この敷地に集まった全ての者の耳に届いた。
「…おかしいニャ、大帝陛下におかれては、畏れ多くも今日、茨木翁の御自害をお止めになるため、そこなる悪魔と直々に刃を交えられるとの事…」
すっと細くなる侍女長の瞳。いつになく感情の窺えぬ厳粛な面立ちは、整然と居並ぶ侍女たち全てに共通するものだった。
「…しかし獄卒隊諸卿はどういう訳かその悪魔と争っておられる様に見える。これは…陛下が偽りの御言葉で人質を救い、悪魔を騙し討ちにする計略…という事かニャ?」
「…いえ…私は、悪魔に太刀を貸す役目を仰せつかっただけです…」
俯いて答えた怜角と周囲の鬼たちが、悔しげな表情でリリベルの周囲から遠ざかる。細い眉を下げた侍女長は、満足げに喉を鳴らして言葉を続けた。
「…良かったニャ。仮ににも名誉ある獄卒隊士が、同期の仲間を傷つけられた怨みで、大帝陛下の御意向を蔑ろにする、などと…」
侍女長の視線の先には、偶然に地獄に居合わせた来賓、妖狐や精霊の君主、様々な魔物たちが固唾を呑んで成り行きを見守っていた。閻魔大帝と悪魔の果たし合いという前代未聞の事件は、いかなる魔物にとっても大きな関心事なのだ。
「…私のように愚かな誤解をする方が出ては一大事ニャ。獄卒諸卿におかれては、くれぐれも御自重のほどを…」
侍女長が雅やかな衣装を翻してその言葉を締めくくったとき、ざわめく決闘場の空気が変わった。どれほど鈍感な者でも思わず身を竦ませるであろう強大な気配。揃って姿勢を正す魔物たちに向け、再び侍女長の声が厳かに響き渡った。
「…大帝陛下のお出ましである…」
◆
(…リリベル、ちょっと見当違いをしたんじゃないか? あまりに…力が違い過ぎる…)
『顎』の見解は正しかった。遥か前方…果てしなき生命の流転、魂の巡る永遠の旅が描かれた見事な陣幕の前に、忽然とその巨躯を現した閻魔大帝は、遠目にもリリベルの予想を遥かに超える戦士だった。
冥府に君臨する無敵の魔王。抗うことすら愚かしい、『運命』という言葉にも似た裁きの大魔神。確信にも近い敗北の予感が、リリベルの五体にじわじわと這い登った。
(…無理だよ…リリベル、なにか別の方策を…)
しかし彼女は震える脚を懸命に操り、亡き両親を引き裂いた仇敵に向かって歩き始めた。
「…勝てるなんて思っていまセン。でも、奴にほんの少し、髪一本ほどの傷でも付ければ…ワタシと母さんの生は報われるデス…」
(…言っている意味が判らない。それは『自殺』という行為じゃないか? そんな『死』に一体どんな意味がある!?)
いつもは従順な『顎』の反論に、リリベルは当惑しつつも語気を荒げ、彼の言葉を一蹴した。
「…娘が間抜けな爆破未遂犯じゃ、母さんの名誉は守れナイ!! 復讐を成し遂げてこそワタシはベリアルの姫デス!!」
首の無い亡霊騎士、頭頂で髪を結わえたあどけない魔女。すでにリリベルは居並ぶ立ち会い人の中に何人か、西欧の名だたる魔王たちと接点のある者を見つけ出していた。
彼らの目前で、ほんの僅かな手傷でも閻魔大帝に与える事が出来れば、リリベルの、いやベリアル一族の名は世界のあらゆる魔の国で燦然と輝く事になるのだ…
『…わが妹よ。一族の中には、君の母は大魔王ベリアルを籠絡した淫売だ、と謗る者たちもいる。そしてその娘もまた、ベリアルの名には値せぬ、とな…』
魔界の貴族が集う壮麗な舞踏会の夜、慣れない豪奢なドレスを纏ったリリベルの耳元で、異母兄であるベリアルの王子が囁いた言葉だ。
『…ベリアルの姫が憎むべき父母の仇に正当な復讐を遂げる。そうすればどんな愚か者も、君の亡き母を栄えあるベリアルの后として、永遠に讃えることだろう…』
◆
…血の気の失せた顔をまっすぐ決闘の相手に向け、歩き続けるリリベルに『顎』の声はもう届かなかった。しかしリリベルの内なる悲鳴にも似たその声は、とめどなく伝う涙となってリリベルの頬を濡らした。
(…間違っている。君が生命を賭けるベリアルの名誉とやらは、なぜ君の命を軽んじる!? なぜたった一人で闘っている妹を、兄弟たちは助けに来ない!? 例えば…)
例えば…取るに足りぬ小悪魔相手に、閻魔大帝さえ決闘の場に引きずり出したもの。『顎』の強い探究心は先ほどの人質から、在るべき形の名誉と肉親愛すら学びとっていたのだ。
もし違った形で出逢っていたなら、血なまぐさい道具に過ぎなかった『顎』の誠実な魂は、リリベルと共にもっと明るい道を歩めたかも知れない。
(例えば…例えば…たとえ…ば…)
しかしもう、全ては遅かった。リリベルは今、その狂おしい憤りを全霊でぶつけるべき仇敵、恐るべき閻魔大帝の目前に立っていた。
帝位を示す冠と吊り上がった太い眉の下で、あらゆる虚偽を見透かす眼がギロリとリリベルを睨み据える。噴き上がる熔岩のごとき憤怒の形相を見上げた彼女は、初めて恐怖に身を竦ませた。
「怖い、デス…『おさがり』…」
一騎当千の獄卒隊さえ、この魔神の前では戯れる小鳥に等しい。あとほんの少しで閻魔庁と共に粉微塵になる筈だった瞬間さえ、リリベルはこれほどの恐ろしさは感じなかった。
「…『おさがり』、お願いデス。もう少しだけ、力を貸して下サイ…」
諦めたように沈黙していた『顎』が、蓄えた魔力を防御に集中させた。ようやく闘志を取り戻したリリベルに向けて、彼女の倍を超える高みから、閻魔大帝は地を揺るがす重々しい唸り声を発した。
「…小娘よ。口上を聞こう。」
その巨躯にすら収まり切らぬ圧倒的な威圧感が、空気を割いてリリベルに突き刺さる。その耐え難い戦慄から逃れるように、悪魔リリベルは太刀を振り上げ、甲高く叫びながら突進を始めた。
「…問答…無用!!」
◆
…周囲の喧騒は疾走するリリベルの耳には届かない。だが無謀な挑戦者がすぐに跪き、慈悲を乞うと信じていた来賓たち、狡知に長けたリリベルを警戒し、油断ない視線を注ぐ獄卒たちは彼女の堂々たる突撃に賞賛の混じった声を上げる。
注意深い者は気付いていた。閻魔大帝がこの闘いに愛用の巨大な魔剣を用いず、リリベルと同じ官給の太刀を振るっていることを。
そして、大帝の後継者たる皇子とその侍女たちがあろうはずもない敗北に備え、略式だが即位の準備を整えて、この決闘を見守っていることを。
いかなる要請によって応じた決闘にせよ、これは裁き、裁かれる者の衝突ではなく、誇り高い武人同士の名誉を賭けた私闘だった。
父王の古めかしくも厳正な決闘を、まだ年若い皇子は静かな、そして落ち着いた眼差しで見つめていた。
◆
(…跳べ!! リリベル!!)
巌のごとき巨体から俊敏に繰り出される正確な斬撃。『顎』の冷静な指示がなければ、とっくにリリベルの身体はすっぱりと両断されていただろう。
いまや一心同体で跳び、伏せるリリベルと『顎』は、その不遜な挑戦に恥じない健闘を続けてはいた。しかし圧倒的な技量差の前に、ただ疲労と焦燥だけが募ってゆく。
決して踏み込めない絶望的な間合い。幾多の戦歴において敗北はおろか、一切の負傷すら知らぬ地獄の王は、着実にリリベルを追いつめていた。
「…もう充分だ。塔に戻り、裁きを待つが良い。」
幾分穏やかな閻魔大帝の声が、低く身構えるリリベルの耳に届く。だが彼女はその言葉を無視し、太刀を握る痺れきった腕を、渾身の力で振り上げた。
「…クソッタレ…デス!!」
おそらく最後の突撃になるだろう。高く叫んで駆け出した彼女の瞼には、泥にまみれ息絶える自らの姿がはっきりと映っていた。まるで踏みにじられ、見向きもされぬ薊の花のように。
もはや自決に等しい、退くこともできぬ死への疾走。そのとき躊躇なく大帝の懐に斬り込むリリベルの身体から、『顎』の黒い影が音もなく跳んだ。
「…え!?」
(…脚だリリベル!! そのまま脚を狙え!!)
リリベルの首があっけなく宙を舞うはずの瞬間、鈍い破壊音が彼女の頭上に響き渡った。ひび割れた『顎』の欠片が、リリベルの紅い髪とあらわな肩に落ちる。
「『おさがり』っ!!」
大帝の振るった太刀は『顎』を半ば断ち割って停まっていた。リリベルは僅かな隙を見せた標的をしっかりとその間合いに捉えながら、、悲願の一撃すら忘れて愕然と頭上の『顎』を見上げた。
「ああ…あ…」
(…リリベル、君と逢えてよかった。私たちは、まるで…)
はらはらと舞い散る欠片が『顎』の思念をリリベルに伝える。ふつり、と途切れたその想いを、立ち尽くすリリベルの震える唇が引き継いだ。
「…きょうだい、デシタ…」
…痛々しい名誉の為でも、欺瞞に満ちた栄光の為でもなく、ただ、同じ孤独を知る者の為に闘うこと…それが、『生命』の意味を問い続けた『顎』がリリベルに遺した答え。
リリベルはようやく気付いた。自分が本当に死を賭してまで求め続けていたものと、地獄の暗闇で、父も母も、兄弟もなく生まれた『顎』が欲しかったものとは、全く同じものだった、と…
その身体で閻魔大帝の斬撃を止め、悪魔リリベルを守った付喪神『顎』は、砕けてなお白刃に噛み付いていたが、やがて命なき本来の姿で、ドサリとリリベルの傍らに落ちた。
続く
投下終了
◆zavx8O1glQ様乙でした!! 次スレでもどうか宜しく!!
うわああ乙ですだー!
おさがりさんに敬礼っ!!
投下乙でした!
これはまためっちゃ気になるところで続きに。
正直今の地獄シェアの流れを見てると、何が起きても不思議じゃないw
緊張感溢れる睨み合いの中に混ぜる小ネタもまた……GJ!
投下乙!
厄介払いのための口車に乗せられていたとは、リリベルちゃん……なんという悲しき少女。
でも自分でも納得できるものがあったからこそなんだろうな。
しかしおさがりたんがいなくなった今……
すっぽんぽんじゃないか! いいぞもっとやれ!
規制解除キタ
リリベルたそは可哀相なのにセクシー!
そっかまとめwikiとかないんだった
このスレ落ちたら読み返せないんだな…
今のところまとめwikiを作ろうという勇者は現れていない。
創作発表板まとめwikiでやるのもいいと思うけどね。
まとめ乙です!
スレがもつのって512kだっけ?
だとすると残り19k
容量的に投下待ちの作者さんとかがいるようなら
そろそろ立てた方がいいかもしれないね。
>>687 出来ればお願いします。
書き手様、絵師様乙でした。次スレでもどうか宜しく!!
では一応避難所の方にも書いて置きましたが、もう少ししたらスレ立ててきます。
もしダメだったらお願いいたします。
さて、埋めようか
埋めでしか出来ない話がある。埋めだからこそ出来る話がある。
ついにやって参りました埋めタイム。
今回のテーマは「俺、こんな話書こうと思ってるんだ」です。
ええ、ありますよねそういうの。
ていうか「俺、こんな話書こうと思ってるんだっていうのを聞いてもらいたいんだ」
が正しいのかもしれません。
つまり「俺、実際は書かないと思うけど、こんな妄想してるんだ」
と言い換えることもできます。
既に作品を投下している方、書いてみたいけどどうも輪に入りづらいという方。
あなたの妄想を初代スレとともに電子の海へ流してみませんか?
正直、高杜市の再興を画策してました…
代行ついでに俺も。
ヒロインがいろんな作品の男キャラにフラれ続ける。
そんな話を書こうかとおもったのだけど。
どこも女キャラばかりだったという。
「俺、こんな話書こうと思ってるんだ」ということで言い訳ついでに少し書き書き。
とりあえずイチャイチャさせたい。
よし、満足だ。
さあ! 言い訳のコーナーですだよ。
私今期末考査ネ。忙シイネ。でもそのくせつい二日前まで別板の別スレで長編書いてたネ。
あー、次スレでの皆様の作品を読むのが楽しみだー
あんたの投下も楽しみにしてるんだぜ!
697 :
創る名無しに見る名無し: