スレ発祥連載作品紹介!(※紹介文には多少の誇張表現も含まれています)
【荒野に生きる(仮) ◆8XPVCvJbvQ】
再生暦164年、コンクリートの荒野が広がる未来――。
獣の耳と尻尾を持つ「ヒューマニマル」の少女達はひたすらに戦う。対鋼獣用人型兵器・ヴァドルを駆って――!!
怪獣VS獣耳っ娘!? 話題騒然のデスマッチ!!
【CR ―Code Revegeon― ◆klsLRI0upQ】
これは、悪夢に立ち向かうちっぽけなひとりの人間と、「怨嗟の魔王」と呼ばれた機神の物語。
アンノウンの襲撃で家族を失った潤也は、漆黒の鋼機・リベジオンの玉座に身を沈める。反逆と復讐を遂げるために……!
人類震撼! 暗黒のレコードオブウォー!
【瞬転のスプリガン ◆46YdzwwxxU】
スーパーカーから伸びる鋼の腕――神速の挙動と極微の制動を可能とする、エーテル圧式打撃マニピュレータがその正体!
異世界の侵略者・魔族により廃墟と化した街角で、幼いことねは機械仕掛けの拳法家を目撃した。
変形ロボットならではの技が炸裂する、極超音速機動武闘伝!
【パラベラム! ◆1m8GVnU0JM】
Si Vis Pacem, Para Bellum――汝、平和を欲さば、戦への備えをせよ。
遥か昔に文明がリセットされた世界。黒い機械人形(オートマタ)・リヒターと、彼のマスターとなった少女・遥(19)の神子としての生活が始まった!
軽妙な会話と、動きを魅せるアクションに定評あり? なんだかおかしなキャラ達が紡ぐ、ドタバタ日常コメディ!
「……ねぇリヒター、こんな感じでいいかな?」
<イエス・マイマスター>
【ザ・シスターズ ◆klsLRI0upQ】
平凡な大学生、大野啓介の元に届いた大きなダンボール箱
その中に入っていたのは妹を自称するヒューマノイドで―――
超展開を超展開でねじ伏せる、お気楽ドタバタロボットコメディ!
【電光石火ゼノライファー ◆.dMD1axI32】
「俺、戦うよ。兄さんの代わりに」
正体不明の敵「アンノウン」来襲! 柊頼斗は兄の遺志を継ぎ、巨大ロボット・ゼノライファーに搭乗する!
少年少女の思いが交錯する超王道スーパーロボットの活躍に、キミのハートもブレイズアップ!
【Tueun ◆n41r8f8dTs】
全てを無くしたこの世界で――青年と人形は明日を咲かす
荒廃の大地に安住の地を求めるショウイチ。彼と旅する巨大トラクター・タウエルンには、とんでもない秘密が隠されていた!?
「家業継ぐわ…」「農業ロボ!?」 そんなスレ内の小さな種(ネタ)から◆n41r8f8dTsが丹精こめて育てた、痛快娯楽開墾劇!
【海上都市姫路守備隊戦記 ◆gD1i1Jw3kk】
「鉄の鎧を纏いし日出ずる国の兵」。帝国に虐げられる民が希望を見出した救世主伝説。
兵士として生きる男・清水静が愛に目覚めた時、戦乱の異世界に重装甲強化服のローラーダッシュの唸り声が響き渡る!
止められるものなら止めてみよ! 熱と硝煙! 剣と魔法! 凄絶無比のヘビーアーミー!
【最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ ◆46YdzwwxxU】
ドゥビドゥビッドゥ! ドゥビドゥビッドゥ! ドゥビドゥビドゥビドゥビッドゥドゥビドゥビ!
今日も今日とてロボヶ丘市で激突するのは、変な正義と変な悪!
ハイテンション! 歌うスーパーロボットバトルアクション!
【劇場版 最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ 異世界からの来訪者 ◆gD1i1Jw3kk】
悪のマッドサイエンティストが造り出した『次元転送装置』
その力は二つの世界を交差させる!
海上都市姫路守備隊戦記×最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ 衝撃のクロスオーバー作品!
【少女機甲録(仮) ◆kNPkZ2h.ro】
80年ほど前に地球上に出現し、地球上全ての生物を滅ぼさんとする謎の生命体群「ワーム」
異形の敵に立ち向かうは、全長4mのパワードスーツ兵器「機士」
陸上自衛軍第28連隊 第4中隊の少女達は、血と硝煙の匂い漂う世界を生きる!
【スーパー創作ロボット大戦OP映像風 ◆gD1i1Jw3kk】
スーパーロボット大戦名物の冒頭の3D戦闘シーンを
ロボット物SS総合スレ作品で再現!
所狭しと暴れまわるロボットたちの雄姿を見よ!
【R,B&G ◆46YdzwwxxU】
Tueun◆n41r8f8dTs vs.瞬転のスプリガン◆46YdzwwxxU
巨大トラクターとスーパーカー ──本来なら走る場所が違う二台が、
同じ道を駆け抜ける!!
【仮想戦闘記録 ◆gD1i1Jw3kk】
海上都市姫路守備隊戦記・外伝
設定のみだった五式重装甲強化服を敵として登場!
果たして静は二世代旧式の機体で勝てるのか!?
【ARTIFACT LEGACIAM あお ◆6k/dFp.sTw 】
突如として現れた謎の未確認侵略体、E&E。その脅威に立ち向かう、謎の巨大ロボットレガシアム!
レガシアムの搭乗者、不破優作は不思議な相棒カイアと共に大事な人々を守る為に立ち上がる!
軽妙な学園劇と迫力あるロボットバトルが織りなす、鋼のジュブナイル、ここに爆誕!
【Diver's shell ◆a5iBSiEsUFpN氏】
人類共通の夢の一つに、「もっともっと遠く」というものがある――――
表面の90%が海で覆われた星、ネオ・アース。黒服達の一件から時は過ぎ、ダイバー達は今日も、夢と浪漫を求めて海を往く。
物語は2ndシーズン突入し、新たな主人公、ジュリアとクラウディアの物語が幕を開けた。
男の娘も出てくる……かも?
【ヴィルティック・シャッフル ◆n41r8f8dTs氏】
普通の少年・鈴木隆昭の前に現れたのは、普通じゃない少女・メルフィーだった。
時を同じくして、平穏な日常に忍び寄る悪魔、オルトロック・ベイスン。
その「カード」を引く時、「未来」は訪れる。果たしてそれは「希望」か、「絶望」か――――
【人狼機兵マーナガルム ◆CNkSfJe3Zs氏】
2149年 春。月と地球、並んだ二つの星による戦争は、まだ続いていた。
革命軍の問題児「ラビットソルジャー」パイロット ソマ・ツクヨミは、自軍の罠にはめられ、正体不明の『狼頭』と敵対する。
兎達が支配する戦場で今、精神すらも噛み砕く異形の獣が目覚めようとしていた――――
【鋼鐵の特攻兵―Gun Strike Girles― ◆6LGb3BALUde1 】
近未来。人類はBUGと呼ばれる巨大生物との戦争を続けていた。
主人公・御前静を始めとした世界各国から集まった個性的な
少女達は、鋼鐵の棺に身を沈めてBUGとの熾烈な戦いに身を投じていく。
戦争という極限状態の中で、少女達は傷付きながらも成長し、
互いに支え合い日々を懸命に生き抜く。
やがて少女達の間に芽生えるのは、友情かそれとも――
ハードボイルドミリタリーの皮を被った百合ん百合んな物語。
欝展開はないよ!
【剣神鋼王ミカズチ ◆YHSi90Gnr2】
其れは鋼の人型。其れは『神』の力を降ろす為の人造の依代。 剣神はその手に太刀を担い、在らざる戦場(いくさば)を駆け抜ける。 その刃は未来を切り開けるか―
【鋼殻牙龍ドラグリヲ ◆Uu8AeR.Xso】
荒廃した世界を跋扈する、『害獣』と呼ばれる異形の災厄。
人には太刀打ち出来ぬその存在を屠る、暴君竜の如き異形の鋼。その名は「ドラグリヲ」
アルビノの少年「真継雪兎」とゴスロリ姿のナノマシン少女「カルマ」の紡ぐ物語に刮目せよ!
【GEARS ◆B21/XLSjhE】
近いようで遠く、遠いようで近い未来で――――競技用ロボット、ギアが駆ける!
無愛想だが熱い漢、守屋とどこかズレてるハイテンションな少女、霧坂のテンポの良い掛け合いと個性豊かな仲間達!
スポード感溢れる描写と汗と笑いとアイリス・ジョーカーが送る、ロボットスポーツストーリーをとくと見よ!
【機甲聖騎士ザイフリード ◆gU7PBlmT6Y】
紫藤 雪人(しどう ゆきと)は、きわめて平凡な男子高校生であった――ほんの少し前までは。
雪人が目覚めた場所は見知らぬ世界。そして隣には……寝息をたてる女の子!?
ファンタジックロボットSS、ここに見参!
【ロボスレ学園】
ロボット物SS総合スレ、10スレ目突破記念作品! このスレのキャラクター達が織り成すどこまでもフリーダムな青春(?)グラフィティ!
参加者募集中!
【廻るセカイ ◆1m8GVnU0JM】
「もう少しでセカイが滅びる」
世界中にそんな噂が飛び交った。
そして噂の通り、国が、都市が、次々と地図から名前を消していく。人類は滅びを待つだけだった。
舞台は架空の都市“揺籃”
描かれるのはそこに住む彼らが繰り広げる他愛もない日常と、非日常。
【守護機兵Xガードナー シクス ◆wuZfOwaq7U】
CC(コスモセンチュリー)115年。独立を宣言する火星と地球の、人類初の惑星間戦争が行われていた。
少年シュート・ダリューグは独立機動防衛部隊"Xガードナー"に参加するも自分の存在価値に惑う。
戦いを止められるのは薙払う剣か、それとも守護する盾か…
あなたの護りたいモノはなんですか?
【シャドウミラージュ ◆klsLRI0upQ】
あの日、自分は前に進むことが出来たのだろうか?
心に傷を負った青年クーガは、その過去に囚われるように生きていた
そんな青年がシャドウミラージュと呼ばれる特殊部隊に配属される事から物語は始まる
「人」「機」「妖」の三つが紡ぎだすグランドアースサーガ、再び開幕
【秘神幻装ソルディアン ◆tEulldVhj8h6】
因果の日は来たり――世界は異形の怪物アバドンに覆われた。
混迷を極める世界に機械仕掛けの神々は覚醒し、かくして今まさに黙示録が再現される。
測り知れざる過去より続く闘いの行方は、如何に。
・読者側は、積極的にエールや感想を送ってあげよう! 亀レスでも大感激! 作者はいつまでだって待ってるもんだぞ!
・作者側は、取り敢えずは作品で語れ! 自分のペースでも完結まで誠実に奮励努力せよ!
・我らスレ住人は、熱意に溢れた新作をいつも待ち望んでいる! 次スレの紹介文には、キミのロボットも追加させてみないか!?
※紹介文未定作品一覧※
【リベンジャー・レディ ◆9MC6FR8UMj7S】
【機甲闘神Gドラスター ◆uW6wAi1FeE】
【英雄騎兵ミッドナイト ◆YHSi90Gnr2】
【ブリキの騎士 ◆WTKW7E8Ucg】
抜け漏れなどあったら次スレ立てる人のためにこれに安価でお知らせぷりーず。
1おつ
テンプレここまで
抜け・ミスがありましたら安価にてご指摘下さい
Okay, we're ready. Here we go.
一乙で御座います。
スレ立てお疲れ様です。
俺は今モーレツに
>>1乙してるぅー!
ついに僕もここの一員ですね!宜しくお願いします!そしてお休みなさい
>>1乙だZE
※紹介文候補※
【リベンジャー・レディ ◆9MC6FR8UMj7S】
彼女は全てを奪われた。地位を、居場所を、己の四肢すらも……
最新兵器ダウンシューターに制御AIとして『組み込まれた』エムレイン・ブルーは自分から全てを奪ったブルーバレット社に復讐を決意する。
最後の飛翔を前に彼女は呟いた。「さぁ、最期の日を始めようか」
【ブリキの騎士 ◆WTKW7E8Ucg】
2024年、混迷と動乱のアフガニスタン。米軍最新鋭兵器、M23機動装甲服が降り立ったその地で、奇怪な陰謀が蠢く。
陰謀の真相は? 米兵たちを待ちうける運命とは? そして、この騒乱の行きつく先は?
ハードな世界観と設定で繰り広げられる、近未来ミリタリーロボットシミュレーションSSに刮目せよ!
――――人の織り成す混沌を、機械仕掛けの騎士が撃ち抜く。
上記2つはひとまず、作者さんの承認待ちです
紹介文はまだまだ募集中!
作者さんが、自身で考えちゃってもいいのよ
ボトムズの新作OVAキタァァァァァァァァァァッ!
どんな内容なんだろう。赫奕たる異端の後の話かな?
あれ? 下書きに保存しておいた廻セカが@以外全部消えてますよ? これはどういう事なんです?
10000文字が全部消えてますよ? 何があったんです?
……あれー? おかしいなぁ。
>>19 バックアップを! バックアップを使うんだ!
>>18 天下のBBCさえ注目するボトムズの新作OVA! これは期待せざるを得ない!
メル蘭冗談はさておき、気になりますなー。来てくれ、コマンドフォークト! ←無理だろ
>>19 ……師匠……
あはははは、ばっくあっぷ? 嫌だなー、そんなのありませんよー。あははははは。
うやぁぁぁぁぁぁ!! やる事また増えたよばかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
>>19 逆にかんがえるんだ、この際根本的にグレードアップ出来ると考えるんだ
たぶん
あぁ、いかん。トリ付けっぱなしだったorz
TRPGネタですが、
嘉神朋也とフランベルジュのコンビはこのスレ的にアリかもしれないと思いました。
ではお先に失礼をばノシ
/(^o^)\
>>23 これは遥のAAが貼られる流れ
マジで泣けるな・・・
10000文字なら全然大丈夫なんですよ、10000文字なら。
でもね、桁が一つ違うと、もうやる気なんか起きません……ハハッ。
奇数号機にはSS面で何か起こる……
このジンクスがまさかこんな早くこんな形で起きるとはな……
……師匠……
>>29 イベントじゃなくてアクシデントがおこっとりますやん
どうしてこうなった
作品を書き溜めてる身としては師匠の苦痛が痛いほど分かる。
滅茶苦茶時間掛かるもの…
>>23 ワープロソフトは使ってないかい?
あれにはバックアップファイルを勝手に吐き出してくれてるソフトもあるぜ
ついでに言うと以前投下した種の二次創作もキレイサッパリ消えてました……。
さらに言うと面白半分で書いた替え歌まで消えてましたorz
でもPBMとネタ帳は無事でよかった……。
>>32 PC壊れてからずっと携帯で書いてるので、そういう類の機能はありませんorz
これじゃあ師匠じゃなくて死傷ですよ、ハハッ。
……ん? そういえば廻セカは途中までなら黒歴史ノートにバックアップがあったような……。
あー。でも駄目だ、もうやる気出ないやー。
かける言葉が見つからない……なんか投下しようか
>>35 分かる……君の気持ちが痛いほどわかる…
さて、明日はちと用事があるので今のうちに投下してしまおう
うおォン被った。しかし投下してしまう。
『Diver's shellU』
第二話 「雨模様」
すはーぁ、と間の抜けた音をさせつつ紫煙を吐き出す。
乾いた唇と唇に挟まれたタバコ。その隙間から白い煙が立ち上り、湿気の多い空気中へと四散していく。先端に灯った火が機嫌よさげに強さを増した。火の粉がぱチりと弾ける。
オルカの居る孤児院と、ジュリアの家はさほど離れて居ない。徒歩でも十分行ける距離だ。
だが、天気が悪いと近場でも距離があるように感じてしまう。ジュリアは、使い古した傘を持ち直すと、タバコを咥えたままで空を仰ぎ、落ちてくる雨をぼんやりと見遣った。
傘をさしたままでは通れないようにも見える通路を曲がり、小さな橋を越え、廃屋を迂回して比較的大きな通りへと出る。小高い丘にある階段を一段一段上がっていくと、孤児院が見えてきた。
極めて単純なコンクリート造りの学校に似た構造の建物。空き地程度の庭。適当に配置された遊具。それらは全て古びている。雨で建物が濡れているせいなのか、いつにも増して侘びしさが増大している。
ジュリアは、雨で湿った髪を指で弄ると、タバコを携帯灰皿にねじ込んで、孤児院の正面玄関から裏へと周る。
かつてはあったであろう外壁の格子がヘナヘナと地面に垂れていた。
裏口へとたどり着き、ドアの前で傘を折りたたむ。傘の水分を落としていると、ドアの内側になにやら物音がしてきた。なんとなく誰かが分かった。昼間ということもあり、孤児院の小さい子供は昼寝をしている。ということは昼寝をしなくてもいい人物だろう。
ドアの内側の人物が鍵を開けると同時にドアノブを捻って開けた。動揺しまくりのオルカが居た。
特に表情を変えていないジュリアは、片手を上げて挨拶をした。
「おっす。ナニびっくりしてんの?」
「そんなまだ心の準備が!?」
「ハイハイ。じゃー私はドアの前であと一時間ほど待機してよっかなぁ〜」
極めて冷静なジュリアと、裸を見られた少女のように大慌てなオルカ。いつまでたっても事が進みそうにないと判断してジュリアは、オルカを押しのけて、裏口に傘を立てかけると、それこそ家の主のように中へと進んでいく。
なまじ男っぽい性格のジュリアだけに、オルカのほうが女の子に見えるようでもある。
孤児院へは何回か来ているので構造はある程度把握している。部外者であるはずのジュリアを先頭に、オルカが続いて事務室へと足を踏み入れた。
事務室は、オルカの性格を現したように整っており、書類やら端末やらが中心の静かな部屋だ。孤児院で働いているほかの人の姿が見えない。
ジュリアは一番近い椅子を引き寄せて座る。オルカは、ジュリアから少々離れた位置に椅子を持ってきて座った。
何も喋らないで居ると雨が建物の屋根を叩いている音が聞こえてくる。止みそうにない。
「………」
「………」
しえん
よく考えてみれば、なんで孤児院に来たんだろう。あぁそっか、オルカに会いに来るついでに掃除とかなんとかを頼まれにきたんだった。などと考えつつも無言。
何をするでもなく二人は座っているだけ。壁にかけられた時計からカッチコッチと時間を刻む音が聞こえてくる。
ジュリアは沈黙を打ち破るべくオルカに声をかけた。
「仕事とか無いの?」
「実は、昨日張り切って仕事やって掃除やって修理もやって買い物もやってしまいまして」
それじゃなにもやることが無いではないか。
ジュリアは、両腕を組む。赤い瞳が細まり、じっとりとした目つきに変わる。
「ってことは私は要らない子かなにか?」
「そんなことは無いですよ!」
「ふーん、ふーぅぅーん、つまり暇だけど呼んだよ! ってのかぁ………いいけどねー、いいけどねぇー」
両手を振って否定するオルカだったが、やる事も無いのに呼び出したことになりかねないわけで。ジュリアは、やれやれと溜息をつきつつ立ち上がり、オルカにじりじりと迫り始めた。
無言の圧力にオルカは気圧されて椅子の上で身を引く。表情が強張る。
距離が握手できるほど迫り―――オルカの頭部にジュリアの両腕が巻きついた。腕は一瞬で蛇のようにしなり、首へと掛かり、あろうことかオルカの首をぐいぐいと絞め始めた。
オルカは、ある意味で抱きしめられているという嬉し恥ずかしさと、首にジュリアの腕が食い込むという二つの苦行を与えられて顔が真っ赤になる。一つは羞恥。一つは酸欠。
ジュリアの腕を解除せんとオルカは必死で抵抗を試みるが、案外手加減無しで締めてくるので無理だった。
「……ぐるしッ!? ……とって、おねがッ、うぐぐ………ぅ」
「弱っちいなぁ、オイ。ホラ」
程よい筋肉で包まれた腕が解かれる。
オルカはケホケホ咳をしながら喉を擦り始め、強すぎたと思ったジュリアが背中を擦る。収まったのを見ていたジュリアは、オルカと向かい合うように椅子を配置して座った。
オルカは灰色で長めの髪がボサボサなのにも気がつかない様子で、徐々に目つきがじっとりとしてくる。流石に首を絞められて悦ぶようなタイプではないのだ。ジュリアは片手を上げてウィンクをかましつつ軽い調子で謝罪した。
「悪ぃ悪ぃ。……調子に乗りすぎたかな」
「いえ……」
「そーだ、昼飯は食ってるか? 賠償金ということで」
なんか遥を見てたらどうでもよくなってきたぞ!
いつまでもくよくよしてても仕方ない、これはPBMだけに集中しろという神の啓示だったんだ!
あー、スレ住人の中にチェーンソーをお持ちの方はいらっしゃいませんかー。
>>37 支援しますよ!
>>38 もうかれこれ1年近くこれなんで慣れちゃいましたw
時計が指している時間は昼間。
オルカの話を聞いている限りでは忙しいようだったし、ひょっとすると何も食べていないかもしれない。男勝りな外見から勘違いし易いが、ジュリアは料理が得意なのだ。
すると、漫画のようにオルカのお腹から「ぐぅ〜」と分かりやすい音が聞こえてきた。
今更否定など出来るわけも無く、首が縦に振られた。若干顔が赤い。
ジュリアが立ち上がる。つられてオルカも立ち上がった。事務室の隅のほうには簡易的な料理場がある。ジュリアは、オルカに座っておくように言うと、冷蔵庫の中身を調べ始めた。
野菜類、肉類、果物。基本的なところは揃っているようだった。冷蔵庫の横の棚を開けると、中にパスタ麺が入っている。ジュリアは、顎に指を這わせ、冷蔵庫に視線を戻す。
料理を手伝おうとそわそわするオルカだったが、ジュリアの背中が「黙って座ってろ」と語っているために、どうしようもなく座っているしかない。
「ニンニクと唐辛子もあるのかぁ……。ふーん。働いてる人用にしては豪華な……。これならいけるかー」
ニンニクと唐辛子をボウルに入れ、その他いろどりのある野菜を少量放り込む。作る料理が決まったのだ。
調理台の下にある棚を開けて鍋を取り出すと、たっぷりと水を注いで火をつけ、温度を上げていく。
ふと後ろを向いてみた。オルカが、惚けたように見てきていた。視点を定めておく場所が無くて見ているのかと思ったが、こういう結論に至った。
「そんなに腹減ってる?」
「! はい、勿論!」
「そっか」
話しかけられるとは思って居なかったオルカは、自分でもびっくりするほどの声量で返事をしてしまう。反応するのに数秒と掛かっていない。瞬間的に声が出てしまった模様だ。
ジュリアは、調理台の隅にあったエプロンに袖を通すと、お湯に一掴みの塩を入れた。
「手っ取り早くペペロンチーノでいくわ。腹減ってるみたいだし、食べられたはずだし」
「大丈夫です。……え〜っと、あ、お皿出しておきます」
「頼む」
ジュリアは、ぐつぐつと音を立てて沸騰している鍋にパスタを入れた。
しえん
食事が一通り終わった二人は、お皿を洗っていた。
皿と言っても使用したのは幾つもない。洗剤で汚れを落として、水分をふき取って乾燥させるだけだ。あっという間に終わってしまう。
時間はオヤツ時。雨音は遠く聞こえながらも、滝を建物の上に配置してるが如く猛烈な量の水を降らせている。窓を閉め切っていても水が染み込んでくるようだ。
さほど大きくない机に座った二人は、昔のことやらなんやらを話している。孤児院での出来事、それから何があったか、最近のニュース、好きな食べ物。
ジュリアとオルカの会話が止まる。よく考えてみれば、こんなに長い時間話したのは子供の頃にいた孤児院以来ではないのか。二人は、相手が成長しても大元が変わっていないのを感じた。
「そういや仕事ってどうなってんの? あんまり私と話してちゃダメなんじゃねーの?」
「今日は……いけない。もう行かないと」
時計が指し示すのは、時間切れの合図。
慌てて立ち上がるオルカに、ジュリアも立ち上がると、大きく伸びをしつつドアの方へと歩いていく。
「私もちょっとは出来ることがあるかもしれないから行くよ」
「そんな。悪いですから」
両手をふるようにして言いつつドアノブを捻ろうとするオルカだったが、それより先にジュリアがドアを開けて廊下に出ていた。後からオルカが続く。
ジュリアは、悪戯に笑いながらオルカの肩付近をバンバンと叩いた。オルカが『けほっ』とか声を出したのは気のせいだ。
「なぁーに水臭いこと言ってんだか。手伝わせてよ」
「そんなに言うなら、仕方ないですけども」
「ほら行くぞー」
「僕が先に行かないと色々とですねッ!」
「早いモン勝ちと言うことでー!」
二人は、我先にと廊下を走っていった。
ジュリアが帰宅するのはもう少し後になりそうだ。
しえん
「今頃よろしくやってるかな〜」
「何がですか?」
麻酔の打ち場所を間違えたような緩みっぱなしの顔の女と、少女と見間違う麗しい青年、計二名がのん気にもお茶を飲んでいた。前者はクラウディア。後者はエリアーヌである。
オヤジさん繋がりでエリアーヌと面識があったクラウディアは、一人で整備するのは時間がかかるということで呼んでいたのだ。そして彼女の思惑通り、エリアーヌは十人分と言えるほどの活躍を見せ、朝から始めて夕方になる頃には完全に終了していた。
彼が何時間もぶっ続けで整備できるだけのタフネスを持っていたのは、クラウディアにとっては嬉しい誤算であった。
格納庫から出て、リビングのテーブルにての簡単なお茶会。
……そのはずだったのだ。
お茶を入れて、軽食を作って、談笑して、映画を見て、うつらうつらして、ふと気がつくと夜になっていた。内容だけ見るなら女友達のそれと大差ない。つまり簡単に言うとダラダラしすぎたのだ、二人そろって。
顔をテーブルにつけたまま何をするでもなく顔をニヤ付かせるクラウディア。彼女が呟いた一言の意味が理解出来なかったエリアーヌは、栗色のセミロングの髪をさらりといわせながら首をかしげて見せた。
テーブルの上は片付いていて、紅茶の注がれたカップやお菓子しか乗っていない。エリアーヌが片付けたのだ。そういうところは女性であるはずのクラウディアよりも女性らしい。
夕闇迫る時間帯。カーテンの隙間からは、ぼんやりとして輪郭の無い光が入ってきている。夏に近いからまだ明るさが残っているだけで、冬だったら真っ暗なところだ。
クラウディアは頭を上げると、自分の前に置かれているカップの中の冷え切った紅茶を飲み干し、人差し指を一本出して話し始めた。
「ふふっ〜ん………逢える時間が不定期でちょっとイライラ気味の彼に機会をプレゼント……。いくらあのニブチンでも、どどーんと言われたら分かるでしょ?」
「えっと、それは誰の話なんですか?」
やっと話が分かってきたエリアーヌは、眼を輝かせながら身を乗り出す。
恋の話は女の子なら誰でも好きなのだろう―――……エリアーヌはれっきとした男性だが。
「きまってンでしょん。オルカ君の淡い恋っ。ああもうッ、語らずにはいられないッ!!」
「お相手はやはりっ!?」
「その通りでゴザイマス―――ジュリア――」
興奮した様子で話を待つ一人、話そうとする一人。
その時だった。
「私がどうかしたって?」
しえん
玄関のドアが乱暴に開かれると、雨でズブ濡れになったジュリアが入ってきて、リビングにいる二人を睨みつけた。シャツはびしょ濡れ。ズボンは水が滴る。黒のショートカットはつい今しがた水バケツ爆撃を受けたかのようだ。水も滴るいい女とはいかない現実。
ぽた、ぽた、ぽた、と落ちる雫がリビングの床に落ちる。ジュリアの赤い瞳が、ぎろりとリビングを舐めるように見て、テーブルの上の紅茶の入ったカップやら茶菓子やらを見る。
なるほどなるほど。
冷たい雨に晒されている最中、このお二人はのん気にお茶会を開いていたというのか。
誠に腹立たしい限りなのだが、整備を終えてのことだから怒るに怒れず、バスルームへと直行することにした。
「ジュリアー、傘どうしたのー?」
「外見てみろよ。風が物凄くてさらわれちまったよ」
クラウディアとエリアーヌが窓の外を見てみると、いつの間にやら暴風が吹き荒れていた。轟々と雨が建物を叩き、風がゴミを舞い上がらせている。この中を傘をさしてあるいてきたというなら、風に持っていかれても不思議は無い。
バスルームの扉が開いて、閉じる音がした。
お茶会組は顔を見合わせる。
「エリアーヌ君は今日泊まっていってもいいよ。むしろ泊まりなさい」
「ええーっ!? それはダメ……」
「泊まらないと裸にひん剥いて遊んじゃうわよん♪」
「わ、分かりました……から、それだけは……」
御巡りさんにご厄介になりそうな発言で脅しをかけるクラウディア。エリアーヌは、雨の中で裸になって帰るのを想像して顔を青ざめさせ、ぺこぺこと頭を下げる。微妙に涙目になっていた。
クラウディアは拳を握って親指を立てると、さっそくエリアーヌに着せる服を考え始めた。あれもいいな、これもいいな、いやこれも、と。
人の思考まで読むことは出来ない一般人のエリアーヌは、残りの紅茶のカップを洗い場に持っていった。
その夜。クラウディアは写真を撮影しまくったとかなんとか。
【終】
第二話は終了です。また日常描写でサーセン。次回こそは潜れるはずかと。
今日は寝ます。
『ぽた、ぽた、ぽた、と落ちる雫がリビングの床に落ちる』
なんだよこの表現… ランニング中に走ったみたいなことになってるジャン自分くたばれファッキン
>>53 投下乙。マターリしてていいのう、こういう雰囲気も好きだ
しかしあれか、エリアーヌ君には逃れられない宿命が(ry
投下にレスを被してしまった……だが、咎は神を倒してから受けy(ry
>>53 投下乙です!
エリー! 愛しのエリーきた! これで勝つる!
幼馴染みのぎこちなさがグッドですね、もどかしいったらありゃしないw
では、次回も楽しみに待ってます!
野暮用で出掛けて帰ってきたら師匠が立ち直ってた
何を言ってるかわからねーと思うが(ry
師匠はポジティブだのう
>>53 投下乙!
まさかのエリー登場wwwこれは親父の出番も近いか!?
次回も楽しみにしてるぜ!
そして、
>>36に期待せざるを得ない
なんか平和な発想で描こうとおもたが投下していいのか
これロボじゃなくねみたいな
イインダヨー!
そうでつか、では用意しましょ
グリーンダヨー!
ちょwこれはいいロボwww
自走するめりっとwwwww
>>17 相変わらずココの紹介文は簡潔で明快だね。
最後に
『見届け人』姉小路真澄シリーズ第一弾。
とだけ付けてくれれば即決です。
>>62 ロペットに後輩がw
細々としたネタはいくつか有るんだけどね、ファンタジーモノとか。(無論、ケモ耳同様に趣味前提の設定で)
でも、遅筆だからねぇ。完結させてからじゃないと、他人から見たらセミ・エターなる状態ですよ。ええ、まったく。
あと、荒野に生きる(仮)も、ちょいちょい手直ししてたり。
短編のリベンジャを完結させてから再投下予定で、エターなってはいませんので悪しからずw
毎度同じ事書くけど、皆いろいろと速過ぎるよw
>>62 いいねえ。究極に合理性を突き詰めた茶運び人形だ(茶運び人形に合理性が必要なのか、という疑問はとりあえずおいておく)。
>>66 >毎度同じ事書くけど、皆いろいろと速過ぎるよw
俺みたいにスレ掛け持ちしてると愕然としますよw マジで書き込みが少ないスレだと1つ新レスが付くまでの間に、ここは2スレくらい進んでたりするw
電気ポットのフォルムてかわいいと思った
いや、なんか、ごめん
>>66 【リベンジャー・レディ ◆9MC6FR8UMj7S】
彼女は全てを奪われた。地位を、居場所を、己の四肢すらも……
最新兵器ダウンシューターに制御AIとして『組み込まれた』エムレイン・ブルーは自分から全てを奪ったブルーバレット社に復讐を決意する。
最後の飛翔を前に彼女は呟いた。「さぁ、最期の日を始めようか」
―『見届け人』姉小路真澄シリーズ第一弾。
こんな塩梅ですかね?
確かにこのスレは常にV−MAX状態ですなーw
土日は割と減速するよ!
でも省みたら俺土日にばっかり投下してる!ふしぎ!
そういえば一時期5日で1スレ消費というレッドパワーに突入してましたねw
半年かかってたのにねぇ…
>>62 購入した
ここのスレが創作で一番大盛り上がりと聞きましたけど実際どうなんでしょー?
>>53 投下乙っす!いやぁ、掛け合い良いなぁw
そして遂に僕のエンジェルなエリア―ヌktkr。これはまた極上の2828ラブコメの予感……
次も楽しみにしてます!
>>62 これは一家に一台欲しいww
確か電気ポッドって妙に丸くて可愛いですよねw
さて、エピローグが大体書き終わりましたが……が
昨日全部終わらすとか言ってすみませんでした
エピローグだけで一日潰れそうですorz後番外編の仮組みが出来るかできないか……なんてダメ人間なんだ、俺
取りあえず一番書きたかったエピローグが書けて良かった……。2へのモノローグ的でもあるし
ちょっと私情があるので、それが終わった夜頃投下します―
>>75 こうしてあらためて見てもスゴい勢いだよなあ。
冗談抜きで、ロボスレでの1日分の数のレスが付くのに、半年以上かかるスレもある。
荒らしは極稀レベルだし、雑談ネタの引き出しが多いし、
絵もSSも投下頻度が多いし……凄いスレだなここw
78 :
653:2009/10/24(土) 17:29:34 ID:3Q2J2tjl
バイクに変形するロボについて考えてるんですけど、何か参考になるものってありますか
79 :
653:2009/10/24(土) 17:31:17 ID:3Q2J2tjl
すんません、名前が変になってました。ここで質問ばっかしてることがバレバレだ。
ガーランド
ライドバック
あと青いの
特撮なら
オートバジン
サイドバッシャー
サイドバッシャー初登場時はかっこよすぎて吹いた
皆様感想ありがとうございますです。読み返してニタニタしてる自分はきっと変態。
>>74 了解しましたー!
>>75 そんなに… 予想外ですた
>>78 つトランスフォーマー
ありがとう。一通り調べてみますね。
トランスフォーマーは自分には未知の領域だからなぁ。
TFでバイクから変形っつったらアーシーだな。
アーシー欲しいな。
結構良い女だし。
バジルの造形魂で検索だ
>>78 つマシンロボのバイクロボ
バイクに変形するマシンロボは他にも有るけどね
人、いるかな?
ヴィルシャのエピローグ投下しやす。10レス行かなきゃいいな…
ヴィルティック・シャッフル
エピローグ・0
―――――A.D,2060。人類は異星により採掘した新機軸のエネルギー、アイルニトルにより格段の進歩を遂げていた。
長期に渡るアイルニトルの研究により、開発された巨大ロボット、アストライル・ギア。非常に強度と汎用性に優れたそれにより、人々は自らの生活圏を地球から宇宙へと広げる。
その内、人々はブレイブグレイブなる、アストライル・ギアを使った大衆娯楽を生み出した。目覚ましい科学の発展による、素晴らしき未来……ここまでなら。
ブレイブグレイブは世界中を巻き込む程のムーブメントとなる―――――が、その裏で少しつづ、破滅の足音へと忍び寄っている事に、誰も気付かなかった。
何時頃だっただろうか、さる世界大会で、スポンサーを名乗っていた謎の組織、イルミナスが突如として参加選手、もとい全てのアストライル・ギアを完膚なきまでに破壊した。
イルミナスの首領――――ネクサスと自らを称する男は、電波ジャックによって、世界中の人々へ向けて告げた。これは、戦争だと。
ネクサスの宣戦布告と同時に世界を覆い尽くす今まで見た事の無い兵器、マリオネット。各国が主力とする既存の軍事兵器では、マリオネットに対して抵抗すら出来ない。
今まであくまで重機として扱われていたアストライル・ギアが本格的に兵器として導入され――――世界はイルミナスとの戦争へとシフトした。
だが、イルミナスは既に世界を掌握していると言っても過言では無い。
イルミナスの科学力と技術力は、各国の科学力と技術力を遥かに凌駕しており、各国が今更開発した軍用アストライル・ギアなど相手にもならない。
次々と燃やされ、蹂躙される国々。イルミナスは敗北した国家を支配下に置き、自らの領地とした。国の名と誇りは剥奪され、その国は「イルミナス」その物となる。
脅威はそれだけではない。大気圏上に君臨する巨大なアストライル・ギア、ゴルディバ。
ゴルディバに内蔵された大型加粒子砲、ヴェルストリームはネクサスの命令により、如何なる場所であろうと容易に焼き払う事が出来る。
実質、抵抗を試みた国家が複数、ヴェルストリームによって焦土へと変えられている。地上と宇宙、どちらも―――――。
しかし、全ての人々がイルミナスに屈した訳では無い。
イルミナスの魔の手から脱し、抵抗を続ける、国境も人種も超えたイルミナスに仇す人々によるレジスタンス組織――――ERT。
ERTは国を亡くし、行き場を無くした人々を保護しながら、独自に開発したアストライル・ギアと、パイロット達によりこの絶望的な状況下でイルミナスと戦い続ける。
そしてその中には、凄ましい身体能力と、マリオネットを一撃で葬る程の戦闘能力を保持するアストライル・ギアにより、イルミナスを討伐する正体不明の一人の男がいた。
電子機器が搭載された特徴的なヘルメットと、蒼きラインが駆け巡る、白きパイロットスーツに身を包んだ、その男の名は――――。
また街が一つ、イルミナスの手に落ちる。否、手に落ちるというより踏みにじられると言った方が正しいか。
生々しい死体の匂いと、無慈悲な死を思わせる煙硝の匂いが立ちこめる街を、指先に備われたビーム砲で破壊しながら巨大な何かが数機、闊歩している。
何かの特徴と言うべき部位と言える、目玉の様な無機質なカメラアイが、上下左右とギョロギョロと絶え間なく動きながら赤く発光し続ける。
89 :
◆n41r8f8dTs :2009/10/24(土) 19:34:17 ID:+HCeab76
今、街を闊歩しているのは、マリオネットなるイルミナスの無人型量産アストライル・ギアだ。この機体の活躍によって、世界が掌握されたと言っても良いだろう。
マリオネットという名が示す通り、この機体は生気を感じさせない不気味な姿をしている。量産される事を前提に置かれている為、必要最低限の構造に抑えられているのだ。
アイルニトルが搭載された腹部から生えているか如く、伸びている骨の様な脚部と腕部、そしてアンバランスな程に巨大なカメラアイ。
その一切の無駄を省いた構造により高い機動性を誇り、またアイルニトルから直接接続されている両手は砲口は高い出力を誇るビーム砲であり、手刀にする事により、ビームソードとなる。
この機体の恐るべき所は、量産型な故に一機倒しても次々と攻撃してくる事だ。少しでも疲弊すれば、その隙を突かれ―――――そうやって各国の軍隊は成す術なく滅んでいった。
ここで視点を街の方に向ける。マリオネットと、そのマリオネットの派生である、こちらもイルミナス開発の対人型兵器――――キルラットが跋扈する中。
端麗な黒髪のショートカットが煙硝によって茶色く汚れ、服がボロボロに擦り切れ、手足が切り傷や擦り傷で見るも痛ましい姿になりながらも、一人の少女が疾走する。
どうにか自分を叱咤しようと零れてくる涙を腕で拭う。傷口に涙手が染み込んで酷く痛むが、必死に堪えて少女は走る。
少女を追って、四肢をスプリングにより伸縮させながら、4機のキルラットが追う。得物をしつこく追いつめる、猛禽類の如く。
キルラット―――――イルミナスがレジスタンスやゲリラに対する抑止力として開発した、対人兵器だ。
ネズミをモデルとしており、不快感を催す曲線型のフォルムと、スプリング機構によって動作する脚部は目標を素早く追いつめる。
何よりの脅威は、背中に収納され、目標を補足した場合に作動する機銃と、脚部に収納され、目標の足を切断する高周波ブレード。
そして赤外線や夜間での透視機能等を兼ね備えた目、ことマリオネットと同じく、アンバランスな程に大きなカメラアイだ。何処に逃げようと、キルラットから逃れる術は無い。
今から30分ほど前、イルミナスへの抵抗分子と認定され、逃亡していた少女とその家族の住処が特定された。
そしてキルラットとマリオネットによって、少女の家族は勿論、少女の家族と親しい付き合いを送っていた人々が、戦闘員として洗脳するに値する人間以外全員殺された。
少女の目の前で、4機のキルラットは、容赦無く少女の父親も、母親も、弟も死体へと変えた。父親が早く逃げろと叫んでいなければ、恐らく少女も―――――。
少女は逃げながら、今までの日々を思い出す。イルミナスによって戦場と化した世界で、家族や友人と過ごした日々。とても苦しかったが、それでも生きる事に希望を持てた日々に。
だが、その日々は一瞬で破壊されてしまった。イルミナスは少女の希望を蹂躙し、凌辱し、全てを奪っていった。
目の前で家族が、友人が、ズタボロの布切れの様に軽々しく死んでいく。さっきまで親しく話していた人々が、気付けばただの骸となっている。
正直、少女の精神も肉体も既に限界を達していた。少女の息は激しく乱れており、足元は歩くのが背一杯という程にふらついている
後方からはキルラットが追ってきている事は分かっている。逃げなきゃ。けど、もう――――。その時、少女はその場で大きく転倒してしまった。
意識が朦朧としていた為か、目の前に転がった瓦礫の破片に気付かなかったのだ。少女の足には一文字の大きな傷が出来ており、血が飛び散っている。
「……もう」
少女は体を起して、体育座りをすると深くうずくまった。キルラットがこっちに向かってくるのが見えるが、もう体力が底を尽きた為、動けない。
「もう……無理だよ……」
顔を両手で覆い、少女は泣きじゃくる。冬の寒さが、少女の傷だらけの肌を一層傷つける。立ちあがる気力も、体力も無い。
目元が涙で滲む。悔しい。こんな不条理に、かつ簡単に何もかも奪われても、自分には何も出来ない、その現実が何よりも悔しい。
「お父さん……お母さん……シュウ……」
もう、私には誰もいない。何時も厳しいけど、時折優しかった父親も、どんな事があっても包みこんでくれた母親も、やんちゃだけど元気に励ましてくれた弟も。
誰も……。何時の間にか涙が乾いていて、キルラット達が囲んでいる事に気付く。少女は意を決する。ごめん、ごめんね、皆―――――。
「エクステッド」
その瞬間、少女の耳に人工的な男の声が聞こえ、少女の前方にいたキルラット達が全て、音も無く切断された。長く伸びる、蒼い刃によって。
死を覚悟した少女は、自分が死んでいない事に気付き、恐る恐る顔を上げる。その瞳に映るは――――一奇妙なヘルメットを被った、これまた奇妙な出で立ちの男だった。
男は細身の体ではあるが、それを感じさせない屈強な雰囲気を醸しており、恐らくパイロットスーツであろう白き衣装には、所々に血管を感じさせる蒼きラインが走っている。
頭部を覆うヘルメットには通信機だろうか、触角の様な物が伸びており、二つの大きな目――――だろうか。カメラアイが緑色に発光している。
少女は男の姿に、弟が自分に良く見せていた……特撮のヒーローを思い出していた。名前は思い出せないが。
「立てるか?」
男は呆然と見上げている少女にそう聞いた。少女は数秒ほど呆然と見上げていたが、ハッとすると慌てて立ち上がった。
男は頷き、左手に持った、蒼い刃を発する、柄が異様に太い、銃の様な形の不思議な剣を右手に移すと、少女を足元から抱え、自らの左腕に乗せた。
少女は落ちない様に、男の首に自分の腕を絡ませる。
「君の命、私に預けてほしい」
低く、しかし優しい声で、男は少女に言った。少女は男をじっと見つめ――――大きく頷いた。
異常を感知したのか、他で偵察していたキルラット達が男の元へと寄って来た。何時の間にか囲まれているようだ。
その内の一機が、脚部を伸縮させて、飛びかかる。瞬間、カメラアイが蒼く光り――――無機質な女性の声。
『重力制御起動』
「怖かったなら目を閉じていてくれ」
男の言葉に、少女はじっと目を閉じた。キルラットが飛びかかった先に――――男と少女の姿は、無い。
カメラアイを上に向けた途端、一瞬でキルラットのモニターがモザイクとなり、プツリとブラックアウトした
男は両足で、キルラットの胴体部を叩き潰していた。反応した他のキルラット達が背中から機銃を引き出すが、既に男の姿はそこにはない。
右足、左足と、男は跳躍しながら、次々とキルラットの胴体部を叩き潰す。男の攻撃は少女を庇っているとは思えないほど実に軽快だ。まるでそこだけ重力が消えている様に。
キルラット達は男の攻撃に成す術も無く、男が着地した瞬間、一斉に膨張し、爆発した。
マリオネットから隠れて、男はどこからか持ちだした包帯を、少女の足に巻き付けるとこう聞いた。
「もう少しだけ、頑張れるか?」
少女は無言で頷く。男はもう一度少女を抱く。
「少しばかり揺れるが、心配しなくて良い」
男が囁くように少女にそう声を掛ける。少女は男に言われたとおり、目を閉じた。
キルラットが全て沈んだものの、未だにマリオネット達が、生存者がいないか何度も首を上下左右に振っている。
その視界は広い。このままでいれば、少女も男も何れ見つかってしまう。と、男が何を考えているのか、あろう事にマリオネットに向かって走り出した。
次第にマリオネットの姿が近くなり、マリオネットのカメラアイが男の姿を捉える。その瞬間、男が剣の柄を変形させた。
男の手に握られているのは、剣では無く銃だ。銃身が漆黒で染められ、また角ばっていてエッジが利いており、大きい。
男は銃口をマリオネットのカメラアイに向けると、引き金を幾度か引いた。すると銃口から、蒼く光る弾丸が放たれた。
凄ましい威力なのか、その弾丸により、カメラアイに複数の穴を開く。カメラアイの機能が潰された為、マリオネットの動きが止まる。
男は続けて、右腕をマリオネットの頭上に向ける。すると左手の甲に楔が実体化し、射出された。楔の後には、太いワイヤーが繋がっている。
楔がカメラアイの上部に引っ掛かる。男が見上げると、ワイヤーが一気に男を引き上げた。怖いのだろう、少女が自らの体を男にぎゅっと寄せた。
装甲を蹴りあげながら、男がマリオネットの頭部に飛び乗る。そして立ちあがり、銃を天空へと向けた。
「すまない。少しばかり騒がしくなるが、我慢してくれ」
男の言葉に、少女は小さく頷いて一層目を強く閉じる。
少女に頷き返し、男は銃を下に向けると、勢い良く突き出した。すると銃身がスライドし、中には蒼く、メカニカルな構造が覗くもう一つの銃身が出てきた。
男の足元を青い魔方陣が広がる。その魔方陣は緩やかな回転から、次第に速くなっていく。
「行くぞ、オウガ」
男がそう呟き、再び銃を天空に向けて引き金を引く。瞬間、マリオネットの周辺を蒼い光が包む。その光は、地上から天空へと伸びている。
突然の閃光に、囲っていたマリオネット達が瞬時に後方に下がる。光が次第に収束していき――――そこに居るのは、マリオネットではなく、全く別の機体が居た。
黒き機体色を彩る、聡明な蒼いライン。騎士を彷彿とさせる精悍なスタイルにそぐわぬ、右腕を重装甲の拘束具。
そこにいたのは――――色や形は違えど、紛れもなく、ヴィルティックだった。否、今の名は―――――ヴィルテイック・オウガ。
何が起こったか分からず、少女はぼんやりと目を開く。どうやら自分は膝元に座らせて貰っているようだ。
状況はよく分からないが、多分……ロボットに乗っている事だけは分かる。体力が限界を逸した為か、少女の目は自然に閉じていた。その中で、少女は思う。
―――――この人が、私を助けてくれた。私も……この人の様にイルミナスに……。
オウガの左手に、巨大な杖―――――インペリアルロッドが召喚された。オウガは静かな佇まいで、マリオネットに向ける。
一機が手刀を作り、ビームソードを成型して斬りかかる。が、オウガは微動だにせず、ロッドを伸縮させてカメラアイへと突貫させた。
突貫させたまま、オウガは機体を宙返りさせて、背後から斬りかかってくるマリオネットに向けてロッドを叩き落とす。鈍い衝撃音の後、爆発。
残りのマリオネット達がビームキャノンを乱射してくる。しかしそれらの攻撃を全て、オウガはロッドを高速で回転する事により防いでいる。
高速回転させたまま、オウガはマリオネット達に向かって勢いよくロッドを放り投げた。ロッドは伸縮し、マリオネット達を殴打しながら巻きこんで上昇する。
回転が止まった瞬間、巻き込まれたマリオネット達が爆発し、曇った空を照らした。クルクルとブーメランの様にロッドが戻ってくる。
増援だろう、何時の間にか大勢のマリオネットが、オウガを囲んでいる。
「使いたくは無かったが……仕方ないか」
男がそう言いながら、握っている球体を押し込んだ。瞬間、オウガの目が青から紅へと変化する。
「エクステッド……ヴァースト」
右腕を覆っている重装甲が外部へとパージされ―――――その姿を現した。ヴィルティックの右腕全体が、蒼き光によって成形されている。
左手のロッドを右手に持ちかえる。するとロッドの両端の部分が蒼く光る長刀となった。
オウガの各部装甲が展開し、男は前を見据えると、静かに呟いた。
「貴様達を――――断罪する」
「ん……」
少女が少しずつ、閉じていた目を開ける。……温かい。自分はベッドに寝かされているようだ。
次第に少女の中で、あの記憶が蘇ってくる。と、おぼつかない視線を窓に向けると、あの男が軍服を着た大柄な男と何か喋っているのが見えた。
話が終わったのか、男は軍服の男に踵を向けて歩き出す。少女はベッドから飛び上がり、急いで外に出た。状況を把握してる場合じゃない。伝えなきゃ―――――あの人に。
「待って!」
少女の叫びに、男は立ち止まった。
「私には……私にはもう、何も無い。家族も……友達も……」
男は少女の言葉を黙って聞いている。少女は荒くなっている息を落ちつかせながら、男の方へと歩いていく。そして――――息を飲んで心を落ち着かせると、言った。
「お願い……」
「……お願い、します。私に……私に、イルミナスと……イルミナスと戦う方法を教えてください。このままじゃ私……」
「駄目だ」
冷徹な声で少女の言葉に即答し、男は再び歩み出す。少女はまだ痛みが残る足を必死で走らせ――――男の背中に抱き付いた。
「お願い……私を……私を連れてって……。あいつらに復讐しないと、私……」
「生きる目的が、何も……無い」
「憎しみと怒りだけで、敵は討てない。復讐心だけで輪廻を断ち切る事は出来ない」
「君に咎を背負わせる訳にいかない。咎を背負うのは――――俺だけで十分だ」
そう振り返った男の気迫に、少女は気圧され、ゾッとする。今の男の雰囲気は、自分を助けてくれた時とは全く違う。言うなれば、修羅の様だ。
少女は如何すれば良いか分からず、その場にペタンと腰を下ろし――――大粒の涙をハラハラと零した。
「分かんない……分かんないよ……私、私は……」
「だから、私……」
温かな手が、少女の頭を撫でる。男はしゃがみ、少女に語る。
「生きてくれ。死んでいった人達の分まで。それが、君の成すべき事だ。頼む。この先がどれだけ辛い事があっても―――――生き延びるんだ」
少女は泣きながら、頬に触れる男の手を両手で握る。男は軍服の男が背を向けて簡易病院に戻るのを見計らい、ヘルメットを解除した。
そして少女の目を見ながら、優しく、包み込む声で言葉を紡ぐ。
「私が素顔を晒すのは、君で三人目だ。良いかい? 私は何時でも君を見ている。だから――――生きるんだ。
生き続けて、次の世代に語り継いでくれ。この時代について――――私の代わりに。それが、私の君への願いだ」
そして男は、少女を強く抱き寄せた。少女が男の介抱に、泣くのを堪える。
男は少女の体を優して離し、再びヘルメットを被ると立ちあがって、歩み出す。と、少女が慌てて叫んだ。
「待って! 名前……名前を……教えて」
銃をスライドさせて天空に撃つ。廻る魔法陣の中で――――男が少女に、自らの名前を教えた。
「私の名は――――ハクタカ。この世界に光を灯す、一筋の流星」
ハクタカと名乗る男の姿が、蒼き光の中へと消える。少女はハクタカが消えるのを見守りながら、目を閉じ、呟いた。
「ハクタカ……必ず……また、どこかで」
少女の体に毛布が羽織られる。立ちあがり、少女は歩きだす。
この後、少女は懸命にこの世界を生きていく事となる。それが苦しい物だとしても、幸せに生きていくはず――――だった。
この物語の、もう一人の主人公でなければ。
――――――――――――――――――――――――1年後――――――――――――――――――――――――――――
生気の無い瞳が、鈍く標的を映す。少女は手元の拳銃の安全装置を解く。
そして銃口を、目の前の男に向けた。男は口を極太のロープで縛られており、顔中を痣が覆っている。
男は必死の形相で抵抗しようとしているが、椅子に縛られており待ったく身動きできない。少女の仲間であろうか、もう一人の少女がロープを切って、男を喋らせる。
「お、お前ら……こんな事して……」
「聞きたい事は一つだ。アジトは何処にある」
男は何も答えず、少女に向かって挑発的な視線を返す。少女は無表情のまま、男を見つめていた。
瞬間、少女は男の足に向けて引き金を引いた。男の足から大量の血が噴出し、叫び声を上げた。
「舐めるな。貴様一人殺す事に、何の抵抗もない。もう一度聞く。アジトは何処だ」
「ぜ……」
「絶対に……教えな……」
「そうか」
少女が男のこめかみに向けて引き金を引いた。不愉快な音が部屋に響いて、男の背後に血だまりが出来る。
懐からカードを取り出し、通信機に実体化させると、少女は感情も起伏も無い声で、通信機に伝えた。
「こちらナナ。アジトの特定に失敗。次の指示を仰ぐ」
Beyond The Progress
ヴィルティック・シャッフル2
へ続く
おつ
支援有難うございます。どうにか止まらず投下出来た……
明日は番外編に行け……・たら良いなぁ
>>74 お疲れ様です! いやいや、一日であれだけやったら死にますって!
ではエピローグ、楽しみにしてますねw
>>75 >板のレス数の10〜20%は、このスレが占めてる
あらまあ、実はここって凄い勢いだったんですね……。
>>78 ファイヤー、レッド! バイクル、イエロー! ウォルター、グリーン!
い〜つ〜だ〜って〜、呼んでくれ〜♪
ウインスペクタ――――♪
ウインスペクタ――――♪
(゚∀゚)o彡 メイデイ! メイデイ!
(゚∀゚)o彡 メイデイ! メイデイ!
>>97 おお、投下乙です!
ってああー!! 変身するキャラを次に出そうと思っていたら先を越された――――!w
にしても、なんか凄い事になってますね。これは2期に期待せざるを得ない!
それでは、番外編も楽しみに待ってますw
>>99 すみません、ぶっちゃけ言いたかっただk(ry
>>97 投下乙です!
エピローグでまた凄い展開になっとるー!?wあぁ、2期が待ち遠しいw
番外編も楽しみにしとります!
>>101 男には我慢できない時があるものだ……( =ω=)=3
>>97 投下乙!
随分様変わりしたなあ。てかメルフィーはどこに
どうやら未来に行って本格的な戦闘が始まるみたいね……次回も楽しみにしてるぜ!
>>100 >変身するキャラを次に出そうと思っていた
なるほど、変更前のサブタイはそういうわけだったのか
>>97 投下乙。なんかいろいろと二期仕様にアップデートされて、ついにやられメカが(ry
展開のブラック分は健在なうえさらにヴィルティックもブラック(ry
>>97 投下乙です。
エピローグで一段落と見せかけて、非常に続きが気になる終わり方ですね。
物語のもう一人の主人公がどんな物語を描くのか?
2の投下を楽しみに待っています。
それでは、GEARS第八話。投下します。
統合歴329年7月28日
夏休みが始まり、真夏の青さに草木も生気を失うような炎暑にギア部の面子はくたばりかけていた。
何せ実機訓練でもやろうものならブースターから噴出される高熱の炎により発生する熱風が
夏の熱気を倍増してくれるのだからやってられない。
「だあああ!!やってられるかッ!!」
突然、雄叫びを上げスチール製のデスクに頭を叩き付ける。
ガァン!!と金属がへしゃげる音が木霊する。
「夏だ!!夏休みだ!!夏休みの定番!!夏合宿に行くぞ!!」
ガバッと立ち上がり、額から血を流しながら握り拳を作って皆に提案…最早、命令に近い。
八坂高校スポーツギア部の部長である加賀谷望は連日の猛暑の為か、普段の姿は見る影も無い程に壊れていた。
普段ならば沈着冷静な男なのだが、この時ばかりはただの危険人物である。
何とも言えない妙な迫力のせいでスポーツギア部、暴力担当…基、期待のルーキー守屋一刀も
変に逆らったり、無粋な突っ込みを入れる気にもなれず大人しく肯定する事しか出来なかった。
「良いですね。夏合宿。」
乾いた笑顔で肯定する守屋に気を良くしたのか。
加賀谷は亀裂の入った眼鏡をキラリと光らせ、額から血をダラダラと垂れ流しながら強く首肯した。
「そうだろ?そうだろ!特に守屋の為にもなるからな!」
「俺の為にもなる?」
「うむ。我々、ギア部はMCI搭載機が一機しか無いから矢神に協力を求めねば実機訓練が出来ないッ!!
だが、合宿という名目でMCI機を保有する高校に襲撃を仕掛ければ、そんな問題など容易く解決出来る!!」
堂々と胸を張り、情け無い上に危険な言動で着実にキャラ崩壊進行中の加賀谷を
一先ず、見なかった事にして2年生の歳方アリアが悔しげに肯定する。
「それに私等じゃシミュレーターを使った訓練にも付き合ってやれないしな…
せめて、阿部や副部長みたいに近接武器も使えれば良いんだけど。」
「近接戦は苦手だもんねぇ…」
歳方の嘆きに同じ2年生の内田燐も頷く。
元々、歳方は中近距離で連射性能の高いハンドガンでの牽制を
内田は長距離からの砲撃支援を其々担当しており近接戦闘に関しては畑違いの分野になる。
ましてやMCIの個人競技で射撃武器を使う選手など滅多にいない為、訓練にも付き合えず
自分達に出来る助言も守屋にとって、あまり意味を為さない。
元々の担当が違うのだから当然と言えば、当然なのだが同学年の他校生に
後輩の面倒を見させている現状に情けなさや、不甲斐なさ、申し訳なさを感じて溜息を吐く。
「宋銭高校の矢神が来るようになって以前よりはマシにはなったが、対人戦闘における経験があまりにも少なすぎる。」
副部長である三笠慶もその事は理解していたが、別段気にする様子は無い。
ギアの数が多い高校は忘れがちだが、ギアとは非常に高価なスポーツ用品で
八坂高校のようにギアを6機も保有出来るチームはそう多くは無い。
ギアの数が少ないチームなら普段の練習が他校との練習試合みたいなもので、大半の高校で行われている練習方法である。
「その通りだ。よって、夏合宿を利用してMCI搭載ギアを保有する高校に対し
時間が許す限り徹底的に!!それも片っ端から殴り込みをかけ殲滅する!!」
額からダラダラと血を流しながら加賀谷の変人度が加速気味に上昇していくが
涼しくなれば、恐らく頭も冷えて元に戻るだろうと思い、見なかった事にして
守屋は様々な高校のMCI担当の選手と戦える事を純粋に喜んだ。
矢神と練習を共にするようになってから、加賀谷から動きが格段に良くなっていると
褒められたのだが、自分がどの程度、マシになったのかが全然、分からない。
何せ、幾度と戦っても矢神に勝てない上に比較対照になる相手が矢神しかいないのだ。
初めに戦った頃に比べれば、あからさまな手加減をされる事は無くなったものの
矢神は本来の得物である剣を持ち出した事が無く、そんな様子も無い。
毎回、良い所まで追い詰める事が出来るのだが、後一歩という所で撃墜されてしまう。
矢神が常にギリギリの所で守屋に勝てるように手加減をしている為、実力差が全然埋まっている気がしない。
後一歩が踏み越えられないと錯覚してしまい、自分が成長していないのでは余計な焦りを覚える。
実際の所、出鱈目な勢いで差は狭まっているのだが、元々の実力差が天と地の差ほどあったのだから
分かり難いのも当然と言えば当然なのだ。それに加賀谷の見立てなら絶対に間違いはあるまい。
第一、矢神はMCIギアの選手としては最上層の存在だ。最下層の守屋が易々と敵う相手では無い。
だが、矢神は僅か1年で最上層の域まで到達出来てしまったのだ。自分には同じ事が出来るのだろうか?
こんなにも恵まれた環境に身を置きながら、人並み程度の実力と結果では話にならない。
その為にも様々な敵を知り、己の力を知る事の出来る合宿という名目の遠征は今の守屋にとって打って付けであった。
何よりも矢神が期末試験で赤点を連発してしまい夏休み返上の補講授業で八坂に来る事も出来ない。
「では、明日からギアの数が揃っている高校に殴り込み…武者修行の旅に出るぞ!!」
「応!!…って、明日?」
まだ見ぬ多くの敵達との出会いや、武者修行という響きに守屋のテンションも急上昇するが
明日からとは急過ぎる。あまりにも急なので自分の聞き違いでは無いかと平静を取り戻し聞き直す。
「スポーツギア部は毎年、7月29日から8月6日は強化合宿期間だろう?当然だろ?」
「な゛…!?初耳ですよ!」
何を今更と言うような顔をされるが、そんな事を聞いた覚えなど全く無い。
思わず、霧坂の様子を伺うが、どうやら守屋と同じ状態のようだ。
互いに見合わせ、この眼鏡、頭大丈夫か?という表情をすると、霧坂は力無く首を横に振った。
「既に先方には連絡している!何も問題は無い!」
何故か、加賀谷は得意げな顔に満面の笑みで親指をグッと立て歯を輝かせる。
未だに額から流れ続ける顔の流血模様と相まって非常に鬱陶しい事、この上無い。
「すまんな。守屋、霧坂。見ての通り、加賀谷は夏になるとアホになるんだ。
連絡させたつもりが、まさか練習相手の学校にしか連絡していなかったとは…」
「ええ。最近、気でも違えたかの様な変わり様だったので心配していたのですが、此処まで酷いとは…」
ある種の熱射病のせいで人格崩壊を起こしてしまった加賀谷の頭が残念な事になってしまい
流石の守屋の一言も中々に容赦が無いが、それを咎める者は誰一人としていない。
「確かに壊れた部長を初めて見た時は軽く殺意を覚えたもんなぁ…」
しみじみと2年の阿部辰巳が呟き、歳方、内田の二人が「確かに」と声を合わせて頷いた。
「守屋君。GO」
霧坂が加賀谷を指差し首を掻っ切るジェスチャーを守屋に送る。何がGOだ。
統合歴329年7月29日
「そう言えば、その冷泉学園ってのは強いのか?」
例によって定位置である守屋の左隣に座っている霧坂に、これから向かう高校について訪ねてみた。
加賀谷部長曰く、多くの選手と戦うのが趣旨であって、相手の強さは度外視しているらしい。
ギア歴が一ヶ月だけ先輩の霧坂は唇に人差し指を当て、むーっと唸り冷泉について知りえる情報を搾り出す。
「んー…MCIが3機、SCIが7機。ギアの保有台数だけで言えば、かなりの大規模だね。
練習の幅や密度は八坂の比じゃ無い筈なんだけど…」
冷泉学園の活躍や目立つ選手の名前が思い浮かばず言いよどんでいると
仕方が無いなと、歳方が笑顔で助け舟を出す。
「れーせんなんてアレだ。数ばっかのザコだ。」
全く持って身も蓋も無い。だが、その通りなのだから仕方が無い。
「アリアちゃん、冷泉学園の中で言わないでよ?」
歳方の失礼極まる言動に内田は眉を顰めながら嗜める。
それが事実だとしても、それで騒動を巻き起こされては適わない。
そして、騒動が起こったら自分が真っ先に巻き込まれるのは分かりきっている。
(でも、今年は守屋君が居るから大丈夫かな?)
内田は守屋の事を自分と同じ受難体質だと思っていたが、今やその考えを改めている。
今や八坂高校スポーツギア部の受難体質は守屋一刀、一人だけだと。
「れーせんでも、大事な守屋のイケニエだからな。終わるまでは大切に扱ってやるって!」
「要するに八坂の敵では無い…と言うわけですか。」
何と無く、黒い羽と触覚、三角の鍵尻尾が似合いそうな笑い方だなと思っていると阿部が異を唱える。
「そうは言うけどな、もしかしたら守屋みたいな、スッゲェ1年が居るかも知れないだろ?」
宋銭高校も去年の全国大会までは完全に無名だったにも関わらず、矢神玲という
イレギュラーの出現により強豪高校の一角を担うようになったという一例がある。
これまでが取るに足らないチームだとしても油断では出来ないのだ。
「あー…金だけはあるみたいだし、余所から強い選手を引っ張ってきてるとかってのも考えられるのか…」
実力はあるが設備の無い生徒、金はあるが実力のある生徒がいない学校の間ではよくあるやり取りで珍しい事では無い。
「ま、居ても居なくても守屋の餌食になるだけだろうがな。霧坂もしっかりな?」
当然の事だが、守屋一人を鍛えればそれで良いと言う話では無い。
いずれは霧坂もSCI団体戦の選手として八坂の中核を担う立場になる。
ならば、霧坂自身も守屋を煽って遊ぶばかりでは無く、そろそろ実力を見せてやらねばなるまい。
他の部員に隠れて目立たないが、加賀谷より課された訓練メニューは欠かす事無く消化しているし
守屋程の非常識な早さでは無いにせよ、着実に実力を伸ばしていっている。
力試しの機会を与えられて喜んでいるのは守屋だけでは無いと言う事だ。
「勿論ですよ。八坂の一年は守屋君だけじゃないってトコ、見せ付けてやりますよ!」
霧坂は握り拳を一つ作り不敵な笑みを浮かべ、守屋の胸を叩いた。
支援
冷泉学園到着早々ギア部の面々に挨拶と簡単な自己紹介を済ませ実機訓練に移る。
守屋はアイリス・ジョーカーを起動し加賀谷の指示通り追加装備無しで冷泉学園の生徒と対峙する。
前髪が長く目があるのか無いのかよく分からない顔をしている上に特徴らしき特徴が無い3人組のMCI選手達に
守屋は山田A、山田B、山田Cと心の中で勝手に名前を付ける事にした。既に本名を忘れてしまったのだから仕方が無い。
冷泉高校の一番手は山田Aとナックルシールド装備のレイス・ジョーカー
「アレが噂のアイリス・ジョーカーか。生身の戦いと、ギアの戦いの違いを教えてやらないとな。」
そんな事を今更、教えて貰わずとも身内に嫌という程、叩き込まれているし、噂の中身の方が気になって仕方が無い。
矢神と練習するようになって動きが格段に良くなったと言われたが
さて、一体どの程度、自分がマシになったのか…判断材料扱いして申し訳無いと思いつつ構えを取る。
試合開始のサイレンと同時に山田Aのレイスが拳を振るう。
(パーツの予備は潤沢なんだが…初日から潰すわけにもいかんか。)
ガードを解き、バックステップで迫り来る鋼拳をやり過ごし、再び距離を詰める。
「戻りが遅い。」
レイスの稼動限界まで振り抜かれていた腕を山田Aが戻すよりも早く、左フックで更に押し込む。
胸部装甲と上腕の装甲が干渉し合い、火花を散らし装甲を歪め、あるいは弾き飛ばす。
弾けた装甲の破片にエネルギーパイプが引き裂かれ、レイスの右腕がダラリと垂れ下がる。
「そ、そんな!?たったの一撃で!?」
狼狽する山田Aの事など知った事かと言わんばかりに右フックで左肩部を強打、左フックで右腕を無かった事にして
左ローキックで右足をへし折り、腰部右膝蹴りを突き刺し、山田Aが体勢を崩し地に伏せるよりも早く右正拳突きで頭部を破壊する。
「まずは一人。」
機体の損傷状況、疲労状況を確認するが打撃の際に必要とされる衝撃緩和剤が規定通りに減っているだけだ。
打撃に使った部位も、まだまだ疲労状態には程遠く、もう少し無理をさせても問題無さそうだ。
「ギアに乗って精々、三ヶ月程度の一年に負けるなんて情け無い奴め…」
山田Aよりも前髪の長い山田Bがロングソードを上段に構え守屋を間合いの中に捉える。
「剣か…矢神さんと思って戦う…のは流石に可哀相だよな。」
山田Aと戦って冷泉学園の実力は大体分かった。レギュラー陣達の言う通りの実力しか無い。
山田Bの実力も顔と同様、大した差はあるまい。衝撃緩和剤を激しく噴出しながら跳躍するレイスを待ち構える。
狙いはアイリスの頭部か。機体を撓らせ身体全体で放たれる斬撃は古坂に比べれば格段に上だが…
ロングソードが振り落とされるよりも早く肘裏に手刀を叩き込み両腕を破壊。零れ落ちたロングソードを奪い取り頭部を刎ねる。
「フェイントも無しか…残るは一人。」
山田A,Bよりも少し背の高い、山田Cに向き直る。
「アイツ等…一年だからって甘く見るなって言っただろうに!!」
地を蹴り、アイリスを貫こうとランスごと体当たりを繰り出す山田Cを跳躍とバックステップを織り交ぜながら攻撃を避けるが
ブースターでは無く、脚力によって繰り出される緩急が激しい体当たりは捌き難く、避け続けるのも存外に難しい。
避け続けるのは面倒だと言わんばかりに、突き出されたランスを小脇で受け止め山田C蹴り飛ばし、ランスから引き剥がす。
山田Cが慌てて体勢を整えようとするが、それを守屋が許すはずも無く、奪い取ったランスで山田Cの頭部を貫き沈黙させる。
「レイス・ジョーカー、三機撃破。加賀谷部長、実機訓練完了しました。」
「よし。引続き、シミュレーター訓練に移ってくれ。整備とSCI組の実機訓練が終わり次第、また実機訓練に移ってもらう。」
アイリス・ジョーカーを仮設格納庫に収容し、シミュレーターを起動させる。
整備担当の部員曰く、衝撃緩和剤の補充だけ良いらしく、打撃に使用した部位の装甲交換も必要無いそうで
もう少し激しい攻撃をするなり、攻撃を受けるなりして機体を損傷させて欲しいと頼まれる。
あまり気乗りはしないが、整備担当の部員達にも練習の場を提供し整備のノウハウを蓄積して貰わねばならない。
特に激しい損傷を受ける事になるであろう州大会中、肝心な時に修理する事が出来ないでは話にならない。
次の実機訓練ではもう少し激しく攻撃をしてみるかと思案しながら、リヴァイド・ジョーカーをシミュレーターステージに出現させる。
被弾による損傷よりも、自身の攻撃の反動で損傷を受ける方が前向きだしなと自分自身を納得させ山田トリオを待つ。
「本当に良いのか?」
「構わん。思う存分に叩きのめしてくれ。」
何やら山田達が驚き戸惑っているが、加賀谷はそれに対して意に介する事無く続けた。
「此方の選手はMCIと戦う機会が非常に限られている。極力、多く長く戦わせてやらねばならん。」
無論、其方が疲れているのであれば一旦、休憩を挟んでからでも構わないが。」
「舐めるなよ、八坂ッ!!俺達が勝つまで休憩など無いと思え!!」
加賀谷の皮肉を込めた気遣いに躊躇いがちだった山田達に気炎が立ち上る。
「一体、如何したのですか?」
置いてけぼりの状況で意味が分からない。
「何の事は無い。ただ3対1で戦うように頼んだだけだ。
それとリヴァイドの攻撃力を最低にレイスの防御力を最大にしておいた。」
シミュレーターだから出来る裏技なのだが、ただでさえ性能差があるにも関わらず
更に性能差を広げた上に3対1で叩き潰してくれと頼まれては、躊躇いもする。
「そして、あの物言いですか…そりゃあ、怒りもするでしょう。これは存外、手強そうだ。」
「得る物があるのなら負けても構わんぞ?」
得る物が無いから、こんなにもあからさまなハンデを付けたのだ。
それにも関わらず、この加賀谷の言い様は守屋の闘志に火を付けるには充分過ぎた。
「ハッ…上等だ。敗北どころか、膝を屈する事無く終わらせてやりますよ。」
加賀谷は些細な事で血気を逸らせる守屋と山田トリオに肩を竦め試合開始のサイレンを鳴らす。
それと同時に3機のレイスはリヴァイドを取り囲むようにして其々、慎重に必殺の間合いを取る。
まずは正面の徒手空拳の山田Aのレイスが地を這うようにリヴァイドに肉迫する。
姿勢を低くし視界の外から下半身のバネを使い急襲するのが目的なのだろう。
(姿勢を下げるのが早すぎる。それでは奇襲にならない。)
跳躍と共にリヴァイドの頭部目掛けて、レイスの拳が突き出される。
リヴァイドもまたレイスの拳に目掛けて拳割の要領で鋼拳を叩きつける。
迎撃成功。ダメージは無いも同然だが、レイスは空中で動きを止める。
今、こうしている間にも二人の山田が一撃必殺の攻撃と共に守屋に迫りつつある。
お前の相手は後回しだと山田Aに膝蹴りを叩き込み、更に機体を浮かせ中段蹴りを放ち距離を離す。
山田Aが蹴り飛ばされ、守屋の視界の外に出ていくと同時に、ロングソードを振りかぶる山田Bが視界に入ってくる。
防御力が跳ね上がっているせいで、先程と同じように一撃で腕を破壊して剣を奪うというわけにもいかない。
如何したものかと一瞬思案するが、すぐに中断。利用出来そうな物が手近にあるでは無いか。
ランスを携えリヴァイドを背後から刺し貫こうとする山田Cのランスの穂先を山田Bのレイスに受け流す。
山田Bは山田Cのランスに深々と突き刺され戦闘不能状態に陥る。
ランスが山田Bに刺さり身動きが取れない事を良い事に、山田Cの頭部に執拗な打撃を繰り返すが有効な打撃を与えられない。
とは言え機体その物は守屋の打撃に弾かれ、浮かされ、吹き飛ばされている。
つまり、ダメージにならずとも機体の動作に影響を及ぼす程の衝撃は発生している。
その衝撃は現実の物として再現されシミュレーター用のコクピットを激しく揺らす。
「となれば…搭乗者狙いで行くか。」
より衝撃の加わり易い胸部や腹部に正拳の連撃を浴びせ、股関節に膝蹴りを打ち上げる。
ダメージは無いに等しいが上下前後左右にコクピットを激しく揺さぶられ、山田Cが呻く。
生半可な攻撃では通用しないかも知れないと守屋が必要以上に連撃を叩き込んだせいで
気絶を通り越して胃の中の内容物が逆流しかけているのだ。
そんな山田Cの危機を知ってか知らずか、山田Aが復帰し守屋に飛び掛る。
「三笠先輩のブーストハルバードの方が1000倍早いな。」
山田Cへの攻撃を中断し、身体を半身程逸らし腹部に目掛けて膝蹴りで打ち上げ、空かさず背部に肘打ちで地面に叩き落す。
矢張り機体へのダメージは無いが、地面に叩き付けられた際に発生する衝撃の影響で山田Aは立ち上がれずにいる。
引続き、山田Cに打撃を与えようとするが座り込んだまま立ち上がる様子も無い。
最早、雌雄を決したも同然で、戦意の消失した相手にこれ以上の攻撃は酷だと構えを解き、一息吐く。
「撃破1、戦闘不能2。俺の勝ちですね。」
歴然たる性能差に数の利を与えてもこの程度かと加賀谷は肩を竦めた。
と言うよりも防御力を跳ね上げたのは大きな失態だった。ギアが守屋の攻撃に耐え切れても搭乗者は別だ。
死屍累々といった表現の似合う山田トリオを見て加賀谷は心から謝罪の言葉を述べた。
皮肉を込めたつもりは無いのだが、敵に気遣われ慰められては立つ瀬が無いと山田トリオは戦意を奮い立たせる。
「甘い!!甘いぞ!!八坂!!そして、守屋一刀!!」
これには守屋どころか加賀谷も驚いた。
空元気で怪我をされても困ると山田トリオのバイタル値を確認するが、アドレナリンの分泌量が多いだけで
身体的なダメージは死ぬようなレベルでは無く、訓練を続けても恐らく問題は無さそうだ。
問題があるのかも知れないが生憎、加賀谷は医者では無い。いざとなれば冷泉の顧問が責任を取る事になるだろう。
「俺達が勝つまで休憩は無いと言ったッ!!」
「この俺に持久戦を挑むつもりか?上等だッ!!」
(州大会下位校の選手では使い物にならんか。)
実際の所、SCI機の選手である加賀谷にはMCI機の選手としての守屋の実力を今一つ測りかねている。
確かに身体能力は優れていよう、尋常ではない成長速度である事も認めよう。だが、州大会上位に食い込むレベルでは無い。
此処までは分かっているが、どの程度のレベルなのかと問われると答える事が出来ない。
だから、適度な実力を持った敵を用意して守屋の実力を図り、今後の訓練方針を立てるつもりだったのだが
辛うじて州大会に出場出来る程度の実力の選手など最早、守屋の敵では無い。
(守屋が頼もしいのか、俺が用意した敵が弱過ぎたのか…)
膝を屈する所か、ただの一撃被弾する事無く一方的に山田トリオを攻め立てる守屋を見ながらしみじみと思った。
「なんだ、まだやっていたのか?」
守屋に破壊されたレイス・ジョーカーの修理が終わったにも関わらず、実機訓練を行う事も無く
シミュレータールームに引きこもって、延々と轟音を立て続けているのだから一体、何をしているのかと
加賀谷に代わりSCI選手陣の指揮を取っていた三笠が守屋の様子を見に、シミュレータールームに現れた。
「三笠先輩。いえ、存外にしぶとい相手で。
守屋らしからぬ言動に三笠は首を傾げる。冷泉学園の選手など取るに足らない雑魚ばかりだ。
先程から延々と鳴り続けている轟音の正体は間違い無く、守屋の打撃により生じた衝撃をシミュレーターが再現している音の筈。
「しぶとい?経験が浅いとは言え守屋が苦戦するような相手じゃ無いと思ったんだが…」
「なんでも、俺に勝つまで休憩しないとか。」
口を動かしながら、斬撃を打ち払い回し蹴りを放ちレイスを弾き飛ばす。
「それに昼に様子見って…今、何時ですか?」
ランスの突進を蹴り上げ、がら空きになった胴へ鋼拳を突き入れる。
「もう5時前だぞ?守屋は兎も角、冷泉の連中、飯も食わずによく頑張るな。」
三笠が苦笑いしていると、守屋は半ば驚きながらレイスの鋼拳を受け止める。
「道理で腹が…」
受け止めた鋼拳を捻り上げ、足払いで機体を浮かす。
「減るわけだ。」
腕を押し込み、胴を蹴り上げ頭から地に叩き落す。
「てっきり、まだ二時くらいかと思っていました。」
戦闘不能になったレイス3機を見て満足げに答える。
「何セットやったんだ?」
まだ余力が残り気味の守屋に呆れる。
「ちゃんと数えては無いですが…80セットくらいですかね?」
「今ので183セットだ。最早、限界への挑戦だな。」
圧倒していたのは最初の内だけで、後の方はただただ一方的な虐殺みたいなものである。
「シミュレーターって言ったって、かなりの衝撃を受ける筈だぞ?
それにも関わらず、守屋の攻撃を183セット…肉体の強靭さだけなら驚嘆に値するな。」
「機体が再起動しないな…遂に死んだか。」
聞こえないならば気にする事も無いかと、加賀谷が失礼極まり無い事を言う。
ある意味、死んだも同然の状態で山田トリオの限界への挑戦は終わりを迎えた。
そして、山田トリオはスポーツギア史上、歴史的な連敗記録を樹立したのである。
「そんな事よりも、もうすぐ祭の時間だ。二人とも早く来いよ。」
「祭…ですか?」
夏合宿とは全く関係の無さそうな単語に守屋は胡乱な表情で首を傾げる。
「折角の夏休みなんだし、練習ばかりじゃ息が詰まるだろ?各地の行事も一緒に楽しんでしまおうって魂胆さ。」
確かに魅力的な魂胆だ。明日以降は何処の選手と戦い、何をして遊ぶのかと思うと
夏休み特有のトコトン夏を楽しめ的なノリで、テンションが跳ね上がる。
「素晴らしいだろう!!女子の浴衣姿はお前も好きだろう!!」
空調の効いた管制塔に居たせいか、はたまた他校生が居た為、自重していたのか知らないが
加賀谷の目が煩悩に薄汚れ、合宿前のテンションに戻り不穏な叫び声をあげる。
「………」
守屋は死んだ魚の様な目をして口を噤んだ。
「まあ…何だ。こんな奴でも部長なんだ。そうドン引きしないでやってくれ…」
「大好物に決まっているッ!!」
加賀谷を遥かに凌駕し、これまでに無い程の気合を込め守屋が咆哮する。
「お前もかよ!?」
「三笠先輩はお嫌いですか?女性の浴衣姿は。」
そんな突っ込みなど意に介するどころか無駄に凛々しく真面目な表情で三笠に問いかける。
「同じ男として同情を禁じ得ない。あの魅力が分からんとは…最早、お前に語る事は無い。すぐさま死ね。」
三笠が口を開くよりも早く、加賀谷が殺気を迸らせる。意味不明なノリで殺されては溜まったものでは無い。
単純な殴り合いの喧嘩ならば十中八九、三笠が勝つだろうが何せ、このノリだ。
第一、暑さの余り自らの頭を叩き割って意味不明な言動を口走る男に勝てる気がしない。
「嫌いだとは一言も言っていないし寧ろ好きだ。ただ、守屋が煩悩を表に出した事に驚いただけだ。」
三笠は降参するから勘弁してくれと両腕を上げ、突っ込みの理由を語る。
守屋は部活と武に一辺倒の男で、色事に限らず歳相応の愚にも付かないような欲望を剥き出しにしている所を誰も見た事が無い。
守屋一刀を知る者なら誰でも驚き戸惑って当然だ。
「自分も男ですから。」
とは言え、本人の言うとおり守屋も若く健全な高校生だ。三度の飯より女が好きと言うわけではないが
人並み程度に煩悩を持つし是だけは譲れない拘りもある。それが浴衣を初めとする倭服だったと言うだけの事だ。
「しかし…祭ですか。では、自分も支度をしてきます。」
「集合場所は冷泉学園の校門前だ。あまり遅いと置いて行くぞ。」
三笠の言葉に頷き、踵を返し外に向かいながら、モバイル機を起動させる。
目の前に冷泉学園周辺のマップデータを呼び出し、目当ての店を検索し
店員達に自分の目当ての品を置いているかを問いかける。
八坂も統合歴以前は倭国の一部だったのだから、置いていない店の方が少ないとは思うが…
祭となればアレが無くては話にならない。
「部長達も事前に言っておいてくれれば、家から持って来たというのに…困ったものだ。」
一つも困っていない顔をして目当ての品物を販売している店へと歩き出した。
程無くして、待ち合わせ場所である冷泉学園の校門前に向かうとそこには霧坂が一人で待っていた。
「守屋…君?」
霧坂は守屋の見慣れない姿に驚き戸惑うが守屋は霧坂の姿に喜ぶ。
「霧坂も浴衣か。分かっているじゃないか。」
霧坂は群青の生地に大振りの紫陽花をあしらった浴衣にベージュの帯に小梅の意匠を模った帯留を巻き
長いブロンドアッシュの髪をアップにしてパールビーズの花簪を刺し、うなじを強調する髪形に変わっていた。
「へへ。どーよ?」
「よく似合っている。可愛いじゃないか。拝んでも良いか?」
霧坂の恰好は守屋のモロ好みで珍しく厭味一つ言う事も無く即答で賛辞の言葉を並べ立てた。
「お、意外な反応。」
守屋が世辞など言う筈も無い。それが霧坂が相手なら尚更だ。
霧坂は守屋の言葉が心からの賛辞であるという事を見抜き、素直に喜んだ。
「浴衣の似合う女性は地球の宝だからな。」
「チッ…そういうオチかよ。」
喜びもほんの束の間、守屋にとってみれば浴衣が似合う女であれば誰でも眼福。
似合いさえすれば誰でも良い事に気付き、浮かれていた自分が馬鹿みたいだ。
「ん?」
「別に〜それよか、守屋君こそ格好良いじゃん。何か似合うというか自然というか…」
漆黒の生地に真紅の裏地に龍の刺繍が入った帯。
遥か昔、倭国が戦国と呼ばれていた時代に傾奇者と呼ばれる者達さながらの出で立ちである。
「砕牙に居た頃は倭服着る事の方が多かったしな。それにしても皆、遅いな。遅かったら置いて行くぞとか言ってたのに…」
「既に置いてかれているの。でも、一人放置していくのも可哀相だから態々、こうして待っていたってわけ。
本当に置いていくとは何とも無常な先輩方だ。だが、この状況は絶好の機会だ。
昔からやってみたかった事を霧坂に実行する事に決めた。
「悪いな、待たせたか?」
「ううん。今来たところ」
霧坂が浴衣姿とこの機会、思わず調子に乗って倭国定番のネタを振るが模範解答的な返しに思わず絶句する。理由は特に無い。
「何で、ネタ振りした守屋君がドン引きしてんのよ?」
期待通りの返しをしてやったというのに、確かにこれは理不尽極まりない。
「そりゃあ、不慣れなネタ振りなのは分かるけど、もう少し頑張るべきじゃない?」
「すまん。流石に其処までの領域には到達していない。」
守屋の敗北宣言に珍しく霧坂は情けない男だと肩を竦め、定位置である守屋の左隣に立ち祭りの会場へと足を向けた。
ぬか喜びさせたり、理不尽な対応をされたのだ。これでもかってくらい奢ってもらわないと割に合わないというものだ。
以上、投下完了です。
wikiの過去作品をまとめ読みするのが非常に楽しい今日この頃。
うわ、ロボット魂のサベージ×2弄ってたら投下終わってた!?
>>119 投下乙です!
部長がこれ以上無いくらい気持ち悪いw あとやがみんは冗談抜きでアホだったのかwww
しかしなんやかんやで守屋ときりちゃんはいいコンビだなぁ、羨ましいですw
では、次回も楽しみにしてますね!
>wikiの過去作品をまとめ読みするのが非常に楽しい
今まで気付かなかったとこに気付けたりして凄く楽しいですよねw
そういえばヴィルシャ二期のタカ坊のポジションってテッカマンブレードUのDボゥイっぽいな……
>>119 投下乙!
相変わらず守屋は強いのう。この守屋より強い八神って一体……ああ、馬鹿かw
てか部長壊れすぎwwwもう修理諦めて買い換えるレベルじゃねーかwww
感想感赦感謝です。皆驚いてくれて何よりw
>>79の流れでモスピーダが出てこなかった事にちょっぴり哀愁なんだぜ
>>100 だから前に言ったじゃないですかwヒントは仮面ライダーってw
ううむ、思ったよりハクタカがカッコよく書けなかった……。頭の中じゃすげーヒロイックなんだが難しいのぉ
>>102 これからもっと凄いと言うか色んな意味で酷い流れになる予定です
けど主人公がいきなり人殺しちゃったからなぁ……どうしよう
>>104-106 メルフィーとスネイルはちゃんと出てきますよ―。あいつは……どうでしょうw
1期で抑えてた分、もうバリバリ真っ黒な展開にする予定です。まぁちゃんとカタルシスを得られる展開を目指しますが
もう一人の主人公である彼女には、彼女なりの戦いをして貰います。それが何かは、本編にて
>>119 投下乙です!
山田三兄弟可哀相だよ山田三兄弟(´;ω;`)しっかし流石モデルセガールww守屋さん色んな意味で強すぎるww
つか夏祭りktkr。これはあんな事やこんな事が起きるフラグですね、分かります!
型物守屋さんと、霧坂さんの関係が少しでも前進するのか……あぁ、ワクワクが止まらん!次回が楽しみです!
>>122 >モスピーダ
完全に失念していt(ry
>ヒントは仮面ライダーって
展開的な意味だと思ってたんですw
ハクタカと黒い仮面の狂戦士でちょうど釣り合っていい感じじゃないかw
そういや13号機が505までしか見れないけど何故だろう
>>122 言われてみれば何かテッカマンブレードっぽいすね、ハクタカw
何はともあれ、今まで書きたくて堪らなかったヒーローが書けて良かったですw
>>121だった……orz
つかまだ仕事が沢山あるし書かねば
>>119 投下乙!
部長が熱暴走しているwそして八神んがバカなのが確定したwww
守屋強いなぁwやはり主人公無双は読んでて気持ちいいw
まぁ山田123は哀れだったがw
ヒロイン?と距離が詰まるのかそうでないのかこの先楽しみだw
おお、さすが休日……
>>119 投下乙。さすがセガール、隙がない、多くの意味で
みんないいキャラしてるけど、山田トリオを特に応援し(ry
さて過疎なので絵投下をもくろんでみる
>>133 !?
これはナイス異形だ!w俺にはこの形状は思い浮かばないw
この複腕の付き方面白いな
全体的に緩やかな曲線とアナログの陰影が良い味出してるね
>>133 おわぁ!?かっけぇ!
複腕と頭部の曲線がカッコ良すぎる!有機的なデザインがそそりますな
どんな攻撃を繰り出してくるか予想が付かねぇw
それにしても流石休日……人いないなぁ
レスどうもです
>>134 普段可動範囲やらに納得できたら後は割と気にせず描いてるので、やっぱりナンセンスの塊に
しかもこれかなり肩胛骨と鎖骨に頑張ってもらわないといけないかもしれない
>>135 最初は全部直列に付けるというジョークからはじまっとりますがその辺面白味がないなと
つーわけで空間的に展開するアーチ型にしてはめ込み式に。陰影はやっぱアナログでも難しいっす
>>136 頭は割と実験的なフォルムにしてたり。複腕は羽に見えなくもないなーくらいの並べ方にしてみてまつ
戦い方……新劇場版の3号機とか、ダミープラグとか、原作漫画版の迅雷みたいな具合がしっくりくるかなーと
ちなみにアーチを延ばせば複腕はもっと増やせるというおもちゃ的な発想も含んでたり。確実に肩周りが死ぬけど
1文字も書けずに貴重な日曜日が終わってしまった(´・ω・`)
にしてもこの板って過疎がデフォなのに、ここだと過疎だと妙に不安になるw
私もお昼から今までずっと書き続けて3000文字デスヨ……。
やっぱり殺陣は時間がかか(ry
CR書き終えた〜
いかんせん量が多いので今日一日校正に費やそうと思います(´・ω・‘)
明日投下予定ですのでその時はよろしくです><
5時から今まで書き込み無し……だと……!?
>>140 了解しました、楽しみにしてますねw
相変わらず休日はかなりの過疎っぷりですよねーw
>>140 くる!CRくる!これでかつる!
楽しみにしとりまーすw
>>141-142 ぶっちゃけ今まで一番問題ありな内容なのでどうとられるかgkbrだったりしますw
どういう方向性を突き進むべきか迷っていたのですが今回でひとつの指針がたった感じですね
書くの冬がきてましたねー。
なんつってー。
>>143 むしろさらに楽しみになってきましたw
>>143 オラわくわくしてきたぞ!w
さて、筆をすすめねば…w
>>143 ほう……それは期待せざるおえない
まぁ自分は色々とキツイ描写して来ましたが特に咎められなかったし、心配無いと思いますよw
ここまで書いてしみじみ思う。ヴィルシャってどうしてこうなったんだとw
最初は謎の転校生!巨大なロボット!地味な僕が皆のヒーローに!?みたいなギャグ満載の学園物になる筈だった筈……
俺つくづく明るい話が書けないんだなぁ……
人いないと思ったらDS氏と◆uW6wAi1FeE氏が規制喰らってたのか……
さて、雑談のネタ振りでもしてみよう
ここの作品の中で一番乗りたい、あるいはパートナーにしたい機体は?
ティマ
>>146 確かタウエルンも最初はほのぼのした話の予定でしたよねw
>>147 ティmうわ極細なにをするやめ
遥さんを!……あれ?なんか違う?w
んー、潜水機は乗ってみたいですな
全く別の方向にノリノリの人々がいると聞いて
>>150 ではニコラス兄さんを後部座席に乗せて深海を散歩する権利をあげよう!
>>151 誰が上手い事言えと。
>>152 嫌な予感しかしないよ!?
ぜってートラブル起きるってwww
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵。∴∵
∴∵∴∵:。∴∵∴∵∴: --─- ∴∵∴∵∴∵∴∵
∴∵゜∴∵∴∵∴∵ (___ )(___ )
>>148-149 ∵。∴∵∴∵ ゜
∴∵∴∵∴:∵∴∵_ i/ = =ヽi ∴∵∴∵。∴∵∴
∴∵☆彡∴∵∵ //[|| 」 ||] ∴:∵∴∵∴∵:∴∵
∴∵∴∵∴∵ / ヘ | | ____,ヽ | | ∴:∵∴∵∴∵:∴∵
∴゚∴∵∴∵ /ヽ ノ ヽ__./ ∴∵∴∵:∴∵∴∵
∴∵∴∵ く / 三三三∠⌒> ∴:∵∴∵:∴∵
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∵∴∵∴∵
∧∧ ∧∧ ∧∧ ∧∧
( )ゝ ( )ゝ( )ゝ( )ゝ 無茶しやがって・・・
i⌒ / i⌒ / i⌒ / i⌒ /
三 | 三 | 三 | 三 |
∪ ∪ ∪ ∪ ∪ ∪ ∪ ∪
三三 三三 三三 三三
俺は守屋君かなぁ。馬鹿馬鹿言われながらも一緒に戦いたいw
>>152 生命の危機www
ではへーちゃんは貰っていきますね
>>154 待ち給えw
守屋くんは強いが機体じゃないwww
>>156 やべぇ、何か誤解してた
じゃあティマで。あ、やましい意味じゃなくてお馬さんになりたい
>>156 乗るんじゃなくてパートナーにって事だろう
と書いた辺りで
「あ、パートナーにしたい機体か!」と気付いた
>>146 キツイ描写、実は結構抑えましたw
いや、逆にエグくはなったのかな・・・
スポーツギアに乗って、このスレの皆と対戦したいw
ロボスレ学園のブレグレが欲しいです
パートナーって意味だと小型で自立型がやはり浮かびやすいか
取り合えず手乗り玉ちゃんは私のものだ
戦闘で頼れるパートナーになってくれそうなのはツクヨミや清水静かな。
どっちも人付き合いがアレな感じだけど。
むしろ遥さんに頼られたい……俺じゃあ逆に頼ってしまいそうだ
『ロボットで』ヒロインが少ないからのぅ、必然的に人気が集中し易い。
生身でも強いけど、巨大ロボの中枢として合体するロボッ娘(orサイボーグ娘)が出てくる話ってありそうなのにねぇ?w
ドラグリヲのカルマがそれに近いかな
>>166 おぉ!そうか、彼女はナノマシンの集合体だった!
ではカルマを貰っていこう
カルマたんがいたか!
>>169 人間だってんなら証拠見せてくださいよ証拠!
カルマはこういう時、若干口の端に上りにくいが
実際にはティマや遥にも並び得るポテンシャルを秘めてると思うのだよ
ロリ的な意味で
ええ、ロリ的な意味で
>>169 ロボスレ(戦闘力的な意味で)最強の少女の名を、欲しいままにしてるからなぁ、遥w
君は今泣いて良い
ここに泣き胸を一つ用意したから
>>169 はるかさんじゅうきゅうさい!はるかさんじゅうきゅうさいじゃないか!
僕に毎朝お味噌汁を作っt(ごきっ
>>169 オートマタっぽい継ぎ目とかが無いかどうかじっくり見たいからその服をぬいd(ボキリッ!グシャッ!
>>170 どうしろとw
>>172 実はまだ強くなる予定g(ry
>ここに泣き胸を一つ用意したから
遥「……すみません、遠慮しときます(深々と頭を下げながら)」
>>173 君にお義父さんと呼ばれる筋合いは無いな!
確かにカルマは今の時点でもかなりの良キャラですからねー。もしかしたらもしかするかもw
唐突に思ったけど、主人公ズで野球大会とか面白そうだと思いました
投げる前に気迫でバッターが試合放棄するツクヨミ投手とか
>>174 遥「すみません、遠慮しときます(無表情で脇固めを極めながら)」
>>173-174 は誰に仕留められてるんだ
ティマなら極細だが、遥は…
@遥自身が
A無難にリヒター
BまさかのPBM氏
>>176 バッターやってもピッチャーの動きで球種読めるだろうし
割と優秀ではあるだろうなぁ
どんなに活躍してヒーローインタビューが放送される事は無いだろうが
>>176 なんだかんだで一部除いて堅実にいきそうなタイプが多い感じだなw
個人的に遥さんのドジに期待せざるを得ない
>>176 本編の活躍もだが、イラスト1枚投下されるだけでかなり変わると思うのぉ
>>175 フ、俺が泣きそうだ
>>180 どんな挙動も絶対に見野が無い気がする。ツクヨミさん
というか試合が終わったら静かに居なくなってそうだなぁwヒーローインタビューとか全く興味無さそうw
>>181 うちの隆昭はのんびりライトに行かせます。地味ですから
>>181 んではウチの糸目はレフトでw
それなりに動けるとは思うんですが、いかんせん活躍描写までいってないのでw
野球大会か
リヒト&バット形態ヘーシェンがしれっとバッターボックスに立って
レギュレーション違反でクレーム付けられてる情景が浮かんだw
>>176 ツクヨミ先生は審判でどうでしょう。
……ピッチャーが死にますねw
>>179 >>173氏はわしがやっt(ry
>>180 なんやかんやでツクヨミ先生もスペック高いですよねw
>>181 1.バットが手からすっぽ抜ける。
2.投げると明後日の方向にボールが飛んでいく。
3.フライを取ろうとしてコケる。
4.フライを取ろうとして何かにぶつかる。
5.フライを取ろうとしておでこに命中。
6.ホームランしたのに気付かない。
7.そもそもルールがわからない。
※ただし他にも色々やらかす可能性があります。
ピッチャー・ツクヨミに対抗するには
バッター・オヤジさんくらい連れてこないと厳しいかも知れんw
あの人なら、あの人ならカッ飛ばしてくれる
>>185 ヒーローインタビューで「ほぼイキかけました」とか言いそうだなw
>>186 最後駄目じゃねーかwww
>>176 うちの清水さん、未経験の事には全く対応出来ない凡人(あるいは凡人以下)なので戦力外通告受けそう。
野球での戦闘力は恐らく各作品主人公ズで最低。たったの5ぐらい。
となると清水さんは間違いなくベンチ待機の乱闘要員
ドアラとか敵じゃないぜ
守屋といい清水さんといい乱闘要員多いなw
つまり
ロボスレ学園乱闘要員
守屋
遥さん
清水
という事かw
いつの間にやら遥が乱闘要員にw
そして相手校が可哀想過ぎる…
あとはそうだな・・・
手乗りたまちゃんをバッターボックスに立たせて
異常なまでのストライクゾーンの狭さで、ピッチャーを困らせたりだとか
>>192 守屋と遥は無関係を装いそうな気がw
>>193 向こうにも残虐ファイトに定評のあるオルトロック選手とかいますぜ。
遥も訳分かんないまま、敵チームボコボコにしてそうだなぁ……・w
隆昭(怖い人達だなぁ……俺は普通で良かった)
ドラグリヲの雪兎くんはナノマシンの力で活躍出来そうではあるが、
やはりレギュレーション違反?w
メリッサ「ピッチャー交代。守屋くん、よろしく」
守屋「デッドボールになっても知らんぞ」
メリッサ「それでいいの。次のバッターはアレだし」
ニコラス「Hey!」
アウトコース届かないとかね
>>194 バットどうやって振るんですかw
>>196 向かってくる相手チームを混乱しつつもちぎっては折り、ちぎっては折り……。
>隆昭
シロ「ではタカ坊、これをどうぞ」
つエクステッド
相手校ってオルトロックとかなのかw
なにそれこわい…
>>201 ちっこいバット持って、全球見送りでフォアボールでw
>>201 隆昭「何だこ……あぁ、力が!力がみなぎってきた!」
????「私の名は」
>>202 ファースト・黒服、セカンド・黒服、ショート・黒服、センター・黒服とかw
>>205 キャラ変わるのかよwwww
>>206 遥さんに瞬殺された世紀末チンピラ集団も忘れないでね!
>>203 すごく……癒されました……。
>>205 シロ「タカ坊厨二病モードキタコレ」
>>206 レフト・レフト、ライト・ライトとかもアリですね!
>>208 そ れ だ w
どうして思いつかなかったんだ俺、ってくらいのベストチョイスw
>>197 彼の体質に文句を言ったアンパイアは試合前日に何者かに捕食され(ry
兵庫重歩兵中隊の皆はどちらのチームにいるべきなのだろうか?
まさかレフトとライトが話題に上がるなんて誰が想像したかw
ただ単に名前考えるのが面倒だったんだよなぁw
>>208 ちょwwwwwwこれ以上無いくらいのベストチョイスwwwwwww
>>211 応援団とかw
一方、タウエルンとショウイチはグラウンドの芝生の手入れを任されました
少女機甲録の面々はチアだよな、野郎を応援する気はさらさら感じられんが
ある意味では盛り上がるだろう、色々と
じゃあまどかとエリーはマネージャーだな
つか一番重要な監督って誰が適任なんだろうw
皆我が強くて纏めるのが凄い苦労しそうW
悪山の爺さんとかどう、監督?
>>218 監督:おやぢ
なお負傷者はレイチェル先生が全身全霊で看護してくれます
ブリキの騎士の面々は野球いけそうだなぁ、元ネタ的に
(B.O.B.はラストシーンで、部隊の皆で野球をする)
>>220 サインが誰にも読めずに困るんですね、わかります
悪山の爺さんは孫娘を観客席に配置で采配力がアップしそうだな
>>221 なんか黄色と黒の縞模様のはっぴ着てきたりしそうなんですが。
>なお負傷者はレイチェル先生が全身全霊で看護してくれます
遥逃げて! 超逃げて!
あとはミカヅチの若本司令とか監督向いてるんじゃないかな
なんせ若本ですから
チアにウィスティリア姐さんとメリッサ追加で、エリアーヌはみんなの常識に任せるわ!
スプリガン(私にどうしろと……)
>>227 チアにジュリアとクラウディアも追加願おう
エリーは小柄だからピラミッドのトップとか向いてるね!
>>228 そこはリリーフカーで
ヒューマニマルの皆さんは即戦力になりそうですなw
>>230 遥「はい! はい! 私も小柄! 小柄!」
そういえばティマとカルマもチアいけますねw
遥さんそんなに出場嫌ですかw
>>233 必死の主張も空しく、ウサギ=跳躍ということで
結局、擬人化ヘーシェンにトップ役を奪われ、ガックリ来てる遥が浮かんだw
さて、ところでこれは重要な問題なんだが
・・・チーム名は?
>>233 小柄…つまりPBM勢からはリタがチアに参戦するんですね!わかりまs(グシャッボギッ
いかん、ティマ、カルマ、リタ、パンツウサギとかのチア姿を想像してたら
らきすたのOP的な映像が脳内再生され始めた
>>240 遥さんがグレてもなめねこみみたいになって逆効果な気がw
しかし突然水を得た魚のように盛り上がったなwww
>>236 ズバリ“ロリ・コンと愉快な仲間達”だな!
うわなんだあんたらなにをするやめろはなs
>>243 ちょwwwww上手ェ!
ktkr!!!!!
野球ネタがあったので便乗
<意気込み編>
長官「相手の戦力の分析と、自分達の戦力の把握から勝負は始まっています」
エルツ「楽しむことが一番大事だと思いますが、負ける気はありません」
リート「時速180キロくらいなら余裕で投げれるぜ」
ディーネ「ヒューマニマルの動体視力からすれば、並みのボールは止まって見えますが……いいんでしょうか?」
龍也「乱闘があると聞いたから、とりあえずスタングレネードを持ってきた。下手をすれば、網膜と鼓膜を破壊する代物だ」
<プレイ編>
長官「そろそろ歳だから、あまり自信はないけれど……」
エルツ「ボールを追いかけるのって楽しいですよね」
リート「だりゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
ディーネ「理不尽な試合にならないように力をセーブして……」
龍也「とりあえず一塁に対人地雷をセットしておけ」
いかん、物騒だw
しかし、ここまでしても、ここの連中が相手だといい試合が展開されそうでいやだw
>>243 ……俺の想像よりずっと可愛いじゃないですか!!やべぇ、吃驚して一瞬言葉が出なくなりましたよww
てか胸のサイズがパネェwwそれにパイロットスーツのエロさが半端無いっすよ!
何か凛としてて凄く頭が良さそうです、このメルフィー。ここまでカッコ可愛く書いて貰えるなんて作者として感無量です!
意見が欲しいと言う事でちょくちょく疑問に答えます
・全体的に
いやもう、文句の付け様は全然無いです。というか描写が少なすぎて描く時に迷われたそうで……
本当に申し訳ないorz
・狐耳
自分はこれでおKです。近未来的なデザインがgood!
・輪郭
これもおk。自分的にメルフィーは可愛いと言うより美人って感じなので
……って作中にそう書けばよかったですね。ホント描写不足ですみません
・スーツ
もうこのスタイルが強調されて実にたまらんです、はい
自分はこの感じで満足ですね。可愛く見せるデザイン……あぁ、申し訳ない、思いつかないorz
・靴
これは作中描写が(ryはい、ごめんなさい
履いている靴は都合良くスーツと一緒に圧縮転送されます。状況によっては装置が空気を読むので、隆昭との遭遇時には裸足でした(何だそれ)
学生服→パイロットスーツの時も同じ様に……あぁ、設定作りの租がこんな所に出るなんて/(^0^)\
取りあえずこれくらいで。参考になりそうもない返答ばかりですみません
完成品を楽しみにしてますよ―!
それとお仕事の程、お疲れ様です。余り無理はしないでくださいね(´・ω・`)
>>245 な、なんて物騒な……・w
けど
>>245 けど確かにここの面子だと、普通に渡り合えそうですねw
ラウディッツ「ジャーク!俺の必殺魔球、魔王ボール一号でブチ殺してやるッ!」
ジャーク「貴様の軽い球如き、我が拳で粉微塵に打ち砕いてくれるわ!」
遥「普通に野球してください」
清水「野球をするのはいいが……別に、重装甲強化服を使っても構わんのだろう?」
遥「駄目に決まってるじゃないですか」
清水「……駄目なのか……」
中隊長「清水、今日こそブッ殺してやるゥゥゥゥゥーーーーーッ!ハイパースッライドゥイィィィィィングッ!」
清水「破ッ!」
ドグチャ!
中隊長「オオオオオォォォォォーーーーーッ、お、オ、俺の大事な玉がアァァァァァーーーーーッ」
遥「何やってるんですか、清水さん!?」
清水「? ヘーシェンから向かってきた選手には全力で迎撃しろと教えられたが……違うのか?」
遥「思いっきり間違ってます!?というか、ラグビーの時も相手選手を思いっきり蹴り倒してましたよね!?」
清水「ああ、あれもヘーシェンから教えてもらった。あの後、何故か退場になってしまったが」
>>243 おお、投下乙!なんという巨乳美人wwwタカ坊め、祝ってやる、祝ってやるぞ!
>>245 対抗して遥さんが白燐超高熱耐消火性焼夷弾頭型発煙化学爆弾(煙幕とも言う)を持ち出したようです
>>243 !!?
おぉ!?wまた新たにこのスレのヒロインに魂が吹き込まれましたよ!?w
仮組みなのに何このハイクオリティーwww
しかし、こんな美人さんに手を出せないタカ坊がいっそ哀れになってきたw
>>245 ちょw小隊長普通に野球しろよwww
>>248 ヘーシェンwwwあの愉快犯めwww
おぃィ!?遥のストレスがマッハなんだが!?www
251 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/26(月) 18:14:06 ID:9RBVvrm+
じゃあロボットが人間の心をもったらっていう斬新なお話やります。
そんでゆっくり人間に近づき、人間も機械にロボットに歩み寄ります。
いつしかロボットと人間の境界がわからなくなり
「あなた達人間は記憶の外部化をもう少し考えて使用すべきだったね」
とかいいます。
そしてそんなこんなで世界大戦とかロ人大戦 囚大 人間がロボットに覆いこまれ
なんつかニュータイプになってそれから
魂というゴーストを持つ 殻 意思と認識 不可分であった身体と魂の分断
それらの長なるものを傀儡廻しとしよう
そういや遥さんも守屋に負けず劣らず受難体質だよなあw
そして共通点:腕っ節が滅茶苦茶強い
>>243 おお、投下乙です! 相変わらずクオリティ高いなぁ……すごくセクシーです……。
ではゆっくりお休みなさいませー。
>>245 リートとリュウは自重しなさいwww
>>248 遥(駄目だこの人達、何とかしないと……)
シロ&リヒト(計画通り……!)
>>243 くっ…携帯から見れない俺涙目
でも投下絵は神の仕業だろう、と空気を読んで乙してみる
>>254 urlに直接アクセスして、サムネイルの部分押せば概要は掴めるかも
しかしいつ来ても素敵な投下物がありますねこのスレ
そういや今日CRが投下予定なんだよな。ワクワク
それまでの間に話題を振ってみるテスト
オールマイティなここがちょっと苦手なw
各作品に声優を充てるとしたら?ただしフツヌシの若本司令除くw
じゃあカルマに金朋先生を(ry
そういや、見た目もそうだが
キャラの声も特にイメージせずに書いてるなぁ
各種駆動音や爆発音は書いてる最中も脳内再生出来るんだが
きりちゃんは堀江 由衣さん、守屋は関 智一さん……とかドウデショ?
んー、守屋は関智一、とか?w
それ森屋のモデルの中の人www
金朋先生はPBMのリタにも合いそうだな−
同じPBMでへーシェンにちょっと年だが三石さんを充てたいw
あのノリそのまま演じてくれそうだw
オルトロックは子安さんなどいかがでせうか?w
>>261 変身せんでいいw
>>264 リタのテンションは金朋先生そのまんまだもんなw
ちなみにPBM氏はヘーシェンの声を広橋 涼で想像してるそうだ(3号機より)
>>264 確かにリタに金朋先生はピッタリですねw
そして三石さん声のヘーシェンは月に代わってお仕置きしてくれそうですねw
>>265 変態! 変態じゃないか!
>>266 なんか最近遥の声は水樹 奈々さんもアリかなと思えてきたりしてますw
あぁ、ひんぬ−繋がりか・・・
CR23時ぐらいに落とします〜(´・ω・‘)
>>269 投下予告ktkr!
了解、支援する!!
そういや今書き途中の作品のキャラだけは花澤香菜で脳内再生してる
何故かって?某アニメの某キャラが元ネタだからさ!
とりあえず、出来上がるのは今週末だろうが
主人公のCVの脳内イメージは適当なのにそれ以外は割と具体的だったりする
>>269 了解しましたー。支援はMAKASETE
>>271 宜しければ…・・・w
自分は隆昭はヘタレ声もカッコイイ声も出せる櫻井孝宏さん
オルトロックは子安もgoodですが、湧き出る気持ち悪さを考えると飛田展男さん以外に浮かびませんw
メルフィーだけが浮かばないですね……ヒロインっぽい声は浮かびますが
>>273 とりあえず、ジャックは小山力也氏だったり
ジャックのモデルが某バウアー氏って訳でもないんですが、モデルとしたキャラのCVを脳内で小山氏に当てていたら……
後は分かるね?ね?
箱根のみなさーん!
うたわれるものですよ――――!
まさか食いついてくるとはwww
このスレ的にはそうでもあるがぁぁぁぁですねw>小山さん
後、フルメタのクルーゾ―とか
>>276 あぁ、ゆかなかー。確かにテッサとかの声で浮かびますネw
けど個人的にはCCとかドSボイスでスネイルの方が・・・…w
相変わらずこのスレの住人はネタの引き出しが多いw
なんといううたわれるスレッド
>>280 またまた、期待してたくせにw
小山力也もいいけど小山剛志もいいよ!
>>281 レオス・クライン「我々はいつも誤りを犯す。そうは思わないか、レイヴン(´・ω・`)」
>ドSボイスでスネイル
も、盲点だった……!
>>281 スネイルさんに踏まれたいです
>>282 変に知識が豊富だよなw
まあ知識が豊富じゃなきゃ話は書けないだろうが、特にパロディとか
>>284 バング殿ですねわかります
>>282 はっはっは、広く浅くですけどねw
>>285 パロディはそうでもないと思いますぜ。
>バング殿ですねわかります
古王であり仮面ライダーオーディンでありフィル・アッカマンでもありますね!
∀本編でアッカマンが死なないことに違和感と怒りを覚えた人間は俺を含めてこのスレにも何人かはいるはずです
ポゥ共々、何かしらの罰は受けてほしかったかも。
>>284 下品な方の小山さんはアレだ、DSのオヤジさんとかいかがなものか、キャスト的に
まあまあ。ガンダムの中には新鋭機を強奪したり軍を脱走したり何も考えずに世界征服してもお咎め無しどころか賞賛されるような連中が……いたっけ?
>>289 なんかおやぢさんが凄く武闘派なキャラに思えてきましたw
>>290 いません。誰が何と言おうと、いません。
んじゃーここで話題転換―
もうすぐ我らがスパロボNEO発売日ですが買う人いますかね―
自分は生憎wii未所持ですがorz
>>292 同じくWii未所持ですorz
まあ、どのみち今までのスパロボとはけっこう勝手が違いそうなのでしばらく静観……ですかね。
>>292 気になってはいるのですが、同じくwii未所持なので傍観orz
同じくwii未所持につき静観
さらに財布がすっからかん
リューナイトのリアルタイム世代なので買いますよー
皆持ってないんすか―。妙な安心感がw
エルドランシリーズ全員集合って所は凄くそそられるんですがね―……wii買う程かというと……w
>>297 おぉ!是非是非楽しんで下さいねw
参戦作品的にwiiごと買うしかないので
貯金が尽きる危機だけど購入予定
Wiiごと買うにしてもお金が……orz
AC3SLPとかガンネク+とかHGユニコーンとか色々買わなきゃいけないですし。
>>301 そういやHGクシャトリヤを買った勇者はこのスレにいるのだろうか?w
ここのところ、不況だの何だので貯金が面白いように減っていて
残金を見たら5万しかなかったが
「NEO買ってWii買うだけなら釣りは残るな……後の事はその時考えよう」
というのが今の思考
たぶん後悔はするだろうけど、今の欲求に嘘は付けない
>>303 なるほど、プリミティブな欲求に従うというわけですね。
>>303 心配になるじゃないかw
しかしその気持ちが分かってしまうんだな、これがw
んじゃ、そろそろいくかー
どぞー
―本当に教えてよかったの?―
どこか幼さを残したような声で彼女が告げる
「いいんだ、久しぶりに人と話した気がした。」
密室にある小さな玉座に腰かける青年は少々の喜の感情を帯びさせ答えた。
―人と?―
彼女は続ける。
「ああ、そうだ、人とだ。人間ってああいうモノも持っているんだという事を忘れていたよ。」
いつもならば、彼女の問いなどには暴言を浴びせ返している青年だったが、今日はそんな気分になれなかった。
―ありがとうと言われた事?―
そうなのかもなと青年は笑う。
「あんな経験はいつ以来だろうな、少なくともこいつに乗り込んだ時からはそんな事言われた事はなかった
いつも、いつも、殺したい、壊したい、まだ生きたい、死にたくないそんなものばかり見てきたせいでああいうものがあるというのをすっかり忘れていたよ。」
あの日、あの決意の元にこの機体に乗り込んで一体どれほどの月日を戦っただろうか…と青年は思い返す。
―でもその希望が叶わないものだと知った時、その人の絶望はさらに大きくなるよ…―
真理だろう、人は望みを持つからこそ、その望みが高ければ高いほど、落ちた時、どん底まで落ちこんでしまう。希望と絶望は等価なのだ。
だが、それでも――
「あいつらならば、やってくれる、そんな気がするんだ。」
青年は信じてみたかった。自分が見てきたものが全てでは無いと証明してほしかった。
―それでも駄目だったら?―
彼女の発言を現実的だ、一つの事を除けば現実を見る事以外の事をしない。
「その時は―――」
青年、黒峰潤也はその時、一つの決意をした。
―馬鹿、どうせあの人たちは救われないのに―
CR ―Code Revegeon― capter1 「Beelzebub of grudge」 THE MAIN STORY 中編
――広域熱線放射まで残り2分。
第七機関直属組織「イーグル」戦闘部隊αチーム「α5」、南雲ゲンジは静かに機体をそこに座らせ上空にいる敵を見上げた。
空にいるのは九つの尾と背に負った輪が特徴的な鋼獣・焔凰だ。
残り数分で自分たちをここら一帯ごと消滅させるような攻撃を行うのだという。
まったくなんという理不尽だとゲンジは唾を吐く。
常識的に考えるのならば、そのようなことはありえないという出来事であったが、ゲンジは今、自身の目に映る敵がその常識という枠の外の存在である事を熟知している。
残された時間は1分と50秒ほどだ。
だが、だからといって、ゲンジにここから逃げ出す術は無い。
否、逃げようとも思わない。
そもそも今回の任務事態が気に入らなかったのだ。
ブラックファントムの捕獲などという、みみっちい事の為に演習を数か月間やらされていたのがそもそもゲンジにとってストレスでたまらなかった。
もし、あのシャーリー・時峰がこの部隊の隊長でなければ、ゲンジは三日でその訓練を投げ出していただろう。
シャーリー・時峰への恩義、その感情だけが彼をその訓練を続けさせた。
その思いと行動に後悔など微塵も無いが、やはり、憤りが溜まるのは抑えらなかった。
だが、今この場はどうだ?
目の前にいるのは我々人類の仇敵。
この感情をぶつけるには絶好の機会じゃないか…。
ゲンジの口元が歪む。
「不謹慎だが、感謝するぜ、鋼獣…。」
ゲンジは鋼機を立たせ、その両手に持たせた二丁のアサルトライフルの銃口を焔凰に向けた。
「良いサンドバックになってくれよ!!」
そうしてゲンジは雄叫びをあげながら自身の鋼機の両腕に持たせたアサルトライフルのトリガーを引いた。
絶えることなく火薬が炸裂する音が鳴り響き、その銃口から発射された無数の弾丸は焔凰に向けその身を衝突させる。
ゲンジの鋼機に握られた二つのアサルトライフルから発射される弾丸が嵐の如く焔凰の体に命中し、焔凰はその体を九の字に曲げた。
鋼獣の特徴の一つにその強靭な装甲を上げられるが、例えその装甲で実質的なダメージを防ぐ事ができても足場の無い空中では弾丸が衝突した時に発生する衝撃を無効化する事は出来ない。
故に焔凰は空中でバランスを崩す。
だが、この程度で終わる焔凰では無い。
すぐさま自身の翼を羽ばたかせ自身の態勢を立て直す。
そして自身に銃口を向けた敵を視認し、機械と機械が擦れるような咆哮を上げた。
ゲンジを敵と認識したのだ。
焔凰の背中に背負われた円輪が二つに割れる、そして体からその二つの半月輪がゲンジの乗る鋼機に向けて発射した。
すぐさまゲンジはアインツヴァインに発砲をやめさせ、機体を走らせる。
半月輪は左右から孤を描き、ゲンジのアインツヴァインをその身で切り裂こうと追う。
ゲンジは左手に握られたアサルトライフルを投げ捨て、右手にあるアサルトライフルを両手で持たせる。
―――携帯武器の形態を切り替えます、ARモードからGRモードへ
ゲンジのゴーグルにアサルトライフルの形態変更の終了の表示が現れる。
「んじゃまー。」
二対の半月輪の片方に向けてグレネードランチャーへと変形したその武器の銃口を向ける。
ゴーグルにロックオンの報告が入る。
「おらよっと。」
トリガーを引き発射。
ぼんっと間抜けな音が鳴り、そこから発射された榴弾が半月輪と衝突する。
その衝突と同時に榴弾が爆発、爆風で半月輪の一つはゲンジ機への軌道から逸れ、大地に突き刺さった。
そしてゲンジはすぐさま、砲弾を装填し、もう一つの半月輪に銃口を向ける。
だが、そんな一挙一動を待ってくれるほどこの攻撃は甘くない、もう一つの半月輪はゲンジ機の体を切断しようと10m程の距離まで迫っていた。
この距離で撃てば、自機もただでは済まない。
ゲンジはすぐさま迎撃を諦め、機体を地に這うように屈ませた。
半月輪はゲンジ機めがけて後方から迫ってくる。
鋭角的に決して獲物を逃さぬようにと、迫るそれはさながら生きるものの生命を刈り取る死神の鎌だ。
だが、南雲ゲンジとアインツヴァインはそれを一笑に伏す。
地を這うように脚部を大地にあて、自身の目前に迫った半月輪のさらに下に潜り込ませ、そこから半月輪の側面を蹴り上げた。
半月輪はゲンジ機の上方に軌道をそらし上方へと向かい機体の肩をかすめていく。
しかし、これで攻撃が終わるわけでは無いゲンジ機の肩をかすめた半月輪は再び宙に浮かびを弧を描いてゲンジ機をめがけてUターンを行う。
執着深く失敗しようと何度でもその命を刈り取ろうとするように…。
だが、既に十分な距離は取った。
グレネードランチャーを半月輪に向け、トリガーを引く。
榴弾の直撃とともに爆発、二つ目の半月輪も軌道を曲げ大地に突き刺さった。
そしてゲンジは自身の機体に中空にいる、焔凰を見つめさせ、手のひらを見せ、翻し、それで終わりか?と手招きをする。
焔凰は怒り狂うように咆哮する。
焔凰はその巨大な両翼を小さくし、ゲンジ機に向けて滑空を始めた。
目標は当然、ゲンジの機体だ。
ただ、一直線に全身を獲物を射抜く一矢ようにして突撃してくる。
速度はあるものの軌道は単純でアインツヴァインの性能とゲンジほどの技能があれば、それは回避できない攻撃では無い。
だが、ここでゲンジ機には一つの問題が発生していた。
アインツヴァインの右足、先ほどの半月輪を蹴ったその左足がまともに動かなくなっていた。
原因は先ほどの半月輪の回避の際に鋼機に通常想定されていないアクロバティックな動きをさせた事と半月輪を蹴り上げた際に受けた反動の双方が重なったのだろう。
足を引きずるようにしてゲンジは機体を動かすが、焔凰が補正を利かせて向きを微調整してくる。
回避する為にはギリギリまで引き付けた上での回避が必要なのだ。
だが、今、ゲンジの機体にはそれを行う為の足が無い。
万事休す、焔凰の逆鱗に触れた南雲ゲンジになす術は無く、その機体は敵の攻撃を受けるのを待つだけの木偶の坊だ。
焔凰の体躯がゲンジ機に目前まで迫る。
これを打破する方法は無い。
だが…それはこれがゲンジと焔凰の1対1の戦いだった場合の話だ。
そう、南雲ゲンジはたった一人でこの焔凰に立ち向かっていたのでは無い!!!
その焔凰の鋭利な鋼爪がゲンジ機を捕らえようとしたその瞬間、焔凰の後方から四本のワイヤーが発射され、焔凰の体を絡め捕らえた。
それと同時に焔鳳の後方に潜伏していた二機の鋼機は立ち上がり腕部から放出されたワイヤーを肩にかけ深く大地に踏み込み、焔凰の体をワイヤーで引く。
急激な反動が焔凰はバランスを崩すが、翼を大きく開き、羽ばたき、その2機の鋼機の引く力を強引に引き返すそうとする。
2体の鋼機を腰を深く落としそれに堪えようとするが、少しづつ地面を擦るようにして引きづられていく…。
なんというパワーだろうか。
焔凰は足場もない中空で翼から生まれる推力だけでアインツヴァイン2機のパワーを凌駕しているのだ。
それは鋼機と鋼獣の絶望的なスペック差を浮き彫りにする事実だ。
だが、今はそんな事は問題では無い。今、彼らにとって重要なのはそのような事では無い。
ゲンジは機体に持たせたグレネードランチャーの銃口を焔凰に向けた。
一時的にとはいえ、対象が静止しているこの距離ならば、弾速が遅い榴弾でも当てる事が出来る。
ゲンジは機体にトリガーを引かせた。それと共に榴弾が銃口から発射される。
焔凰に向けて発射された榴弾が直撃し爆発する。
すぐさま、ゲンジはアインツヴァインに新しい榴弾を装填させる。
「おおおおおおおお!!!!!」
一発が当たった程度では終わらせない。
もう1度は無いチャンス、自身の持つ榴弾全てを吐きだすまで休む暇なく攻撃が繰り返される。
ゲンジのゴーグルに弾切れの表示が出る。
元々ゲンジの機体の可変ライフルには予備の榴弾は積まれてい無いためこれ以上の弾丸は無い。
ゲンジは目標のいた場所を見る。
焔凰の体は爆薬の爆発による煙に飲み込まれ、目視出来ない状況になっていた。
煙が少しづつ晴れていく…。
薄らと見えるのは双翼を持つ大鳥の影だ。
それが何なのかゲンジは理解している。
恐らくは他の二人も同じだろう。
だが、それにショックを受ける事は無かった。
当然あるべき事実として受け止めている。
この程度で倒せるのならば、絶望的な相手では無いのだ。
そうして焔凰は薄れていく煙の中から現れた。
タイムリミットまで残り1分
「まあ、当然の結果か…。」
第七機関直属組織「イーグル」戦闘部隊αチーム「α6」、加持蓮はアインツヴァインの背部にある小さな操縦席で呟いた。
機体のカメラが捕えているのは二翼と九つの尾を持つ鋼獣『焔凰』だ。
流石にあれだけの攻撃を受けて無傷であったというわけではなく、体の各部に破損が見られる。
だが、それは所詮微々たるものとしか言えないものでもあり、焔凰の機能は問題なく動くだろう。
それに対してこちらは焔凰に向けワイヤーを放った左腕が焔凰を捕らえていた際に腕全体に負荷の限界を超え、電気神経をねじ切られてしまいもはや機能しない。
この事実は今、自分たちがやったのは足掻きでしか無い事を示していた。
いや、そもそもとしてこの戦い自体が足掻きでしか無いのだ。それほど、鋼獣と鋼機には差がある。
蓮は右腕が震えているのを感じた。
それを見て、あいかわらず自分は情けないなと思う。
実際のところ、蓮はこの状況が怖かった。
生死が隣合わせの事態、想定されていないイレギュラーの来襲、そしてそれからの逃避が不可能であるという現実、自らの手が届かない領域にいる絶対的な存在への恐怖。
蓮は普段は冷静沈着を装っているがそれは、一種の自己暗示のようなものでその本質は臆病だ。
仲間を見捨てて逃げた過去もある。
この絶望的な状況、『α5』南雲ゲンジならば、それがどうしたと笑ってみせるのだろうが、蓮はそこまで精神が強い人間では無い。
加持蓮にしてみれば死ぬ事はなによりも怖い事であり、自分の生は何よりも優先したい事である。
蓮には機関への愛や忠誠などといった感情は微塵も無く、このような兵隊をやる事になったのもそもそも、それ以外を彼の周りの環境が許してくれなかったからだ。
そんな蓮についたニックネームがアントラスト(信用できない男)であった。
蓮自身その評価は正当なものだと思っているし、その汚名で呼ばれる事も当然の事だと思っている。
そして、それはこれからも同じことであり、決して変わらない自分の本質だと思っている。
だが、蓮は出会ってしまった。
情けない話であるが、蓮が今、この場に立つ事になったのも全ては一人の女の為なのだ。
それは知られたりすれば、ゲンジにいらぬ尾ひれを付けて、機関内に言いふらし回られ、格好のネタにされるような事実であり。
決して誰にも知られぬように蓮は自分の中に閉じ込めている思いだ。
その女の事を思う旅に蓮は思う。
おそらくは彼女はこんな所で戦意を失う男など愛してくれないだろう。
今、彼女は自分に絶対の信頼を寄せてくれている。
それは蓮が望むような形では無いが、ある種、その信頼は盲信的であり、それを裏切られるなんて事は微塵も考えていないだろう。
蓮は自分がいかにずるい人間なのかを知っている。だから何度も、その誤解を解こうとした。
自分は最低でどうしようも無い人間なのだと、あなたにそのような信頼を向けてもらえるような光を持った人間では無いのだと、何度も、何度も、何度も…。
だが、彼女はそんなことを言われる度に少し困ったような顔をしたあとに言うのだ。
―だから、私はお前を信頼しているんだよ。―
こう、言うのだ。
操縦室内の壁に向けて自分の頭をぶつける。
敵に恐れを抱く己を戒めるように、情けなくどうしようもない自身の本質を封じ込める。
彼女の信頼され、思われているような人間であれるようにと!
金属に衝撃による音が響く、そしてその音は頭の中で残響となって残った。
この限られた時間の中で、自身を正常な状態に戻す事など不可能だろう。
だが、これで良い、正常な自分など捨ててしまえ、今ここにいるのは彼女の思っている自分だけで良い。
無線通信が入る。
「α6、そろそろ大詰めだ、そっちの機体の状態はどうだ?」
彼女は、そう蓮に聞く。
「奴とのパワー比べをした際に、左肩の電気神経をやられました、ですが、まあ、このぐらいは予想の範囲内でしょう。」
「そうか、こちらは認証作業に手間取っている、何せ古い型の兵装だからな、時間までには間に合うと思うがあと30秒ほどは必要だ。」
「了解です、では今からα5のサポートに入ります、α6の機体も足をやってしまっているみたいですから一人では苦しいでしょう。」
「すまないな、君が私の部隊にいてくれて良かったよ。」
「当然です、この俺がいるんですから、この戦いに敗北はありえません。」
なんという嘘八百、いったい何時、お前がそのような過信を出来るような人間になった?
本当は逃げたいんだろう?
逃げられないと知っていても現実逃避をしたかったんだろう?
だが、そんな心が一つも籠っていない強がりを吐いた蓮に彼女は言うのだ。
「ああ、頼りにしてるよ。」
その言葉を受けて、蓮は自分の感情を自分の本質を偽る。
彼女の前では自身は完璧な人間でなければならない。
自分のような人間を信じてくれている彼女に報いなければならない。
だから、蓮は、今この時だけはそうあれるようになろうと思った。
そして、蓮はその震える小さな手で操縦桿を握り直した。
焔凰と『α5』南雲ゲンジの戦闘は続いていた。
焔凰は爆撃後その翼でワイヤーを切断し、すぐさまゲンジの元に直行した。
そしてその脚の爪での攻撃に移行する。
上空から急降下して加速を付けていた先ほどと違い、回避不能という程の速度では無かったが、機体の片足がまともに動かない状態でその攻撃を回避するのは至難の業であった。
焔凰はその足の鋭利の爪でゲンジの機体の体をかすめていく…。
ゲンジは動かない方の足の関節をロックし軸にして、最低限の動きでなんとか焔凰の猛攻を凌いでいるのだ。
だが、それも限界に近い、攻撃が繰り返される度にその爪はゲンジの機体を捕らえようとしている。
おそらくはあと2、3度目かの攻撃には完全に機体は捕らえられるだろう。
焔凰の攻撃がゲンジの機体に迫る。
ゲンジ機の肩から腰までを斜めに切り裂くようにして足が掃われた。
「ぐっ。」
ゲンジは機体の体を後ろにそらせて間一髪でその攻撃をかわす。
機体の胸部にこすれた爪が三筋の跡を残していく。
だが、これだけで焔凰の攻撃は終わらない。もう片方の足を今度は後ろに剃った機体に爪を押しつけるように突き出してきた。
機体を後ろにそらさせた所への突き。
これを無傷で回避する事は不可能だ。
ならば、とゲンジは最低限の被害で済むようにと自機の右腕を焔凰の迫りくる足にぶつける。
爪が自身の機体を引き裂く音。
腕と足がぶつかった時の衝撃の反動を利用して、なんとか胴部への直撃を回避したが右腕を切断された、否、爪で削り取られたというべきか…。
機体が大地を転がり、背後にあった巨木にその巨躯をぶつける。
ゴーグル越しに機体が自身に何かを訴えかけている。
見るまでも無い、右腕が使い物にならなくなったという事だろう。
今はそんな事を確かめるよりも、早く、立たなければ…。
左の掌を地につける。
まともに機能しない片足と片腕ではスムーズに立つ上がる事すら出来ない。
まだまともに動く右膝を地に建て芯のように固めた左足のつま先を土に潜り込ませ、バランスをとる。
だが、その行為は余りにトロい。
焔凰はそんな一挙動を待つような敵では無かった。
再び迫る、焔凰の爪撃。
その爪は頑固な鋼機の装甲をバターでも切るように簡単に切断するほどの凶悪な切れ味を持つ攻撃。
絶対絶命、絶対不可避の一撃。
「――流石にここまでだよなぁ…。」
やれることは全てやったし、これだけの時間と高度を稼げれば、恩の字といった所だろう。
ゲンジは戦闘を諦め、脱出装置を起動させる。
カチ、カチ、カチ。
何度か入力を繰り返すが、脱出装置は起動しない。
「よりにもよってこんな時に故障かよ…。」
心当たりがなくも無かった、先ほどからの焔凰との戦闘の中で何度もコックピットのある背部に大きな衝撃を与えていた。
その際に、脱出装置になんらかの不具合が発生してしまっていたとしても不思議な事では無い。
約束された死の未来、そんな中でやっぱり、あの人は怒るんだろうなぁ…とゲンジは思う。
―私の部隊では誰も死ぬことを許さない、私の部隊に入ったからには君たちには絶対生還を義務として貰う。―
隊に入った時、彼女が自身の部下に向けていった台詞だ。
なんて甘い思想だろうか…。
自分ですら見た事のない地獄を目の当たりにしてきた筈なのに…そんなもの叶う筈がないと知っている筈なのに…。
いや、だからだろうか、だからこそ、このような甘い思想に彼女は憑かれたのだ。
誰も死なせないという甘い、甘い幻想、それが、それが叶える事が出来たならばどれほど素晴らしい事か…。
それを叶える為に…彼女はここまで来たのだ。
「死にたく…ないな…。」
死ぬ覚悟が無かった訳では無い。
だが、そう、彼女のシャーリー・時峰の幻想を自分が壊すというのがたまらなく嫌だった。
カメラ越しに一機の鋼機が出てくるのが見える、α6の機体だ。隊長の認証終了までの護衛を投げ捨てて、自分の所へ来たのだろう。
だが、来るのが少し遅かった、その距離からでは間に合わない。
やはり逃れられない死。
そして、その鋭利な爪は振り下ろされ――
しえ
―――その時、ぱしゅっんとなんとも気の抜ける音が鳴り響いた。
銃声では無い、まるで空気が発射されるような音。
その数瞬後に焔凰は大きくバランスを崩した。
一瞬、ゲンジは何が起こったのか理解できなかったが、この音をゲンジは知っている。
実体を持たないが高密度に圧縮した空気を射出し、対象に大きな衝撃を与える特殊兵装。
これは…α4の空圧砲か!!!
焔凰はバランスを翼を何度も大きく羽ばたかせ、態勢を立て直そうとする。
それに見向きもせずα6機は焔凰の真下を潜り抜け、ゲンジの乗る鋼機の肩を抱き抱え走りぬける。
ゲンジは機体が大きく揺れるのを感じる。
大地を引きずりながら、機体が動かされているのだ。
絶対では無いが、一応の安全圏への離脱。
その後、α6は右腕に持たせたアサルトライフルを焔凰に向けて撃ち放つ。
ゲンジは空圧砲による遠距離砲撃支援を行ったα4と隊長の護衛を投げ捨て自身の救出にきたα6に向けて、
「てめえら、二人とも何してやがる。」
そう、苦々しく言った。
それを呆れたようにα6は返す。
「何を?ふん、何をだって?α5、君はやはり馬鹿だな?我々のチームには絶対生還の義務があることを忘れてたのか?それに隊長から許可も貰っている。」
ああ、どうせ俺は馬鹿ですよ、わかりきった事を何度も言うな馬鹿が…。
α4がそれに続く。
「そうですよぉ、忘れたんですかぁ?」
ああ、お前も相変わらずウザい。
てめえも潜伏して、俺らがもしもの時の為に必ず戦闘データを持ちかえれるようにという保険だっただろうが、それが何してやがる。
せっかく安全域にいたお前の居場所が奴にばれちまったじゃねぇか。
お前ら、みんな、みんな、みんな、大馬鹿野郎だ。
「まったくあんなもん律儀に守るもんでもないだろ…。」
でもそれがある意味このαチームの正しい姿なのかもしれない。
元々、普通の軍隊にいられなくなったような奇人変人の集まりだ。
ならば、このようなおかしな奴らばかりであるのが正常なのだ。
「奴のチャージまであと30秒ほどだ。だが、俺達はその前に切り札を得る。そうすれば隊長がすべてを解決してくれるだろうさ、それまでの辛抱だ。お前はそこで寝てろ、あとは俺がやる。
お前のようなアクロバティックな操縦技術は俺にはないが、俺でも時間を稼ぐくらいの事は出来る。」
そんな軽口を叩きながらα6は弾を切らしたアサルトライフルのマガジンを取り換える。
その一瞬の間を逃さず焔凰は突撃してきた。
自身の機体に迫りつつある焔凰の動きをトレースし、機体に回避行動を取らせながら、α6『加持蓮』は考える。
先ほどから、焔凰の行動には一つおかしい点があった。
普通に考えるならば、それはありえない話だ。
何で奴はその特徴たるエネルギーを用いた攻撃を行わない。
奴の尾一つ一つには発電所が一日に生産するエネルギーに相当するほどのものが蓄えられているのだという。
そのエネルギーを攻撃に転化する術も持っており、今、我々の目の前で行われているカウントダウンはそのエネルギーを最大限まで利用した広範囲攻撃なのだ。
だが、おかしくないだろうか?そもそもそのような攻撃に奴が乗り出す切っ掛けになったのは自分たちが隠れていたからだ。
ならば、もはや、そのように貯蔵する必要もなく、自分たちにそれを使ってもいいものだ。
元々自分たちのこの戦闘はあわよくばこの戦いの中でそのエネルギーを散漫に使わせようなどという狙いもあった。
だが、焔凰はそれを行わなかった。
それは何故か?
恐らくは答えはこうなのだ、焔凰はまだ、自分たちの前に現れていない存在を意識している。
そもそも焔凰は何を目的にここまでやってきた?
ああ、そうだ、自分たちαチームと焔凰の目的はまったく一緒、つまりはブラックファントムを目当てに奴はここまでやってきたのだ。
今、奴らはブラックファントムが行動不能な状態になっている事などは知らない。
故に常に唯一自らの仲間を破壊している、ブラックファントムを警戒している。
いうなれば、そのエネルギーは対ブラックファントム用の貯蔵なのだ。
だから自分達と闘う時もその尋常ならざる能力を使わずに自分たちとの戦いに臨む事になっている。
逆にいえば、自分たちなんてその程度で十分なのだ。
鋼獣の強靭な装甲はこちらの攻撃をほとんど通さないという事実だけで、
ここまでズタボロにされてしまっているのを見れば、現状では自分達はその程度の存在だという事を示しているに他ならない。
だから、焔凰はその程度の存在に攻撃されたのに怒りのような行動を起こした。
だが、その怒りというものは人が自らをさした蚊をその手で叩き潰そうとするようなものではないかと蓮は思う。
それで潰そうとしたのを予想外に逃げるので奴は自分達にさらなる怒りを感じたのだ。
つまる所、焔凰は自分たちをその程度の存在として見ていないのでは無いだろうか?と蓮は考察していた。
ならば―
「――そこに付け入る隙はあるかな。」
蓮の機体の眼前まで迫る焔凰の鋼爪。
それは自身の機体から見て、右の方向から左へと薙ぎ払うように振り下ろされる。
定石通りならば、ここは後ろへの回避が適当だ。
だが、蓮はあえて機体を焔凰に向けて機体を走らせた。
先ほどから、α5『南雲ゲンジ』と焔凰の戦いを見ていて、気づいた事がある。
焔凰はあらゆる攻撃を二段構えで行っている。
南雲ゲンジが先ほどこれとまったく同じ状況に陥った時、彼は後ろへの回避を実行したが、その後、突くように繰り出されたもう片足にある鋼爪が襲いかかる事になった。
半月輪での遠距離からの攻撃もそうだ一つ目は先行させ、若干遅延気味に届いた二つ目でその機体を切断しようとした。
一度目は外すことを前提で放ち、二つめの本命で対象の全てを持って行こうとする。
相手の行動を先読みし、決定打を放っているのだ。
例えそれが全力では無いとしても、敵は確実に自分たちの命を刈り取る選択をしてきている。
驕りはあれども油断は無い、まさに強敵と言えよう。
絶対的な戦力を温存すれど、だからといってその温存した戦力以外の手は全て使ってきているという事だ。
南雲ゲンジはそれを類希なる操縦技術を駆使し、なんとか回避する事に成功したが、そのような操縦技術は蓮には無い。
油断を突けばどんな絶望的な状況でも勝機があるが、この敵には油断は無い。
だが、あえて蓮はそこを突く。
用意周到な攻撃というのはある程度相手の行動を予測して行われるものだ。
ならばだ、その先読みを崩すイレギュラーを起こしてみたならばどうなるか?
機体の体を焔凰の鋼爪が左腕を抉る。
だが、今はそれで良い。
もはや使い物にならなくなった腕ぐらい、くれてやる!
その代り、俺が、俺達が…お前の全てを奪いつくす!!!!
蓮の乗るアインツヴァインは焔凰の真下を通り抜け、左腕が破壊された衝撃でバランスを崩しながらも背後に回る。
それと同時に右腕からワイヤーアンカーを放った。
予想外の行動に虚を突かれていた焔凰の首にワイヤーが巻きつく。
「捕まえた!」
それと同時に蓮は機体の全体重をかけて、ワイヤーを引っ張った。
焔凰は横からの力に、体のバランスを奪われる。
先ほど、α5に迫っていた際にワイヤーを巻きつけた胴部とは違い今回はその首にワイヤーを巻きつけている。
空中にいるという事は滞空時にバランスを保っているという事が重要となる。
先ほどは二機がかりであったとはいえ、芯をずらしたような攻撃には至らなかった。
それに加え、先ほどは前進しようとする敵を後ろに引っ張っていたのだ。
当初はそれでも二機がかりならばいけるという算段で会ったが、焔凰の想定以上のパワーで強引に押し切られてしまった。
故に今回は芯をずらし、前へと進もうとしていた敵に横の力を入れてバランスを崩す。
そうして焔凰は地に堕ちた。
「今です!隊長!!」
焔凰が堕ちた地点から600メートルほど離れた地点から蓮の叫びに呼応するように一機の鋼機がブーストジャンプする。
αチーム隊長、『α1』シャーリー・時峰のアインツヴァインである。
その右腕にはブラックファントムの黒槍を携えている。
先の戦いでブラックファントムが鋼獣を一刺で消滅させた巨大な黒槍である。
これを使えるようにする時間を稼ぐ為に、これの射程内に敵を引きこむ為に、α5は自身を囮にし、焔凰を引き付けていた。
その間に、シャーリーは黒槍の認証コードをブラックファントムから受取り、それに対応させる為の機体OSの簡易ダウンデートを行う。
これまでの攻防は全てこの黒槍の使用認証の時間稼ぎとその射程内への誘い込みであった。
そして、今その戦いは成果として実を結んだ。
千載一遇唯一無二のチャンス。
シャーリーは機体を焔凰の背に乗せる。
そして黒槍を大きく構えて―
その瞬間、焔凰は激しい抵抗を起こした。
強引に体を動かし、ワイヤーを翼で断ち切る。
そうして翼をはばたかせ、強引に自らの体を中に浮かせようとする。
焔凰の背に乗ったシャーリーのアインツヴァインは、バランスを崩して、焔凰の体から転げ落ちそうになるのを首を左腕で九の字にロックして凌ごうとする。
それに構わず焔凰は体を振り飛翔を始める。
10t近くある鋼機の重さをまったく無視するように焔凰は宙に浮き、そして自分の背に張り付いたアインツヴァインを大地に振り落とそうとする。
それと同時に、焔凰最後の尾に光が灯った。
タイムリミット。
自身の体にがっちりくっついたアインツヴァインを落とすような挙動をとりつつ、焔凰は飛翔を続ける。
地上から500m、1000m、2000m。
3000mに到達した時点で焔凰はその身を中に止める。
そうして一度大きく降下し、また再び飛翔をする。
自身の背にある荷を強引に振り落とそうというのだ。
アインツヴァインの腕の関節が限界を来たし、焔凰の首から手を離す。
宙に放り投げられるアインツヴァイン。
そのまま、地上に向かって落ちていく…このまま落ちれば絶対壊滅、否もし助かったとしてもその先には焔凰の広域熱線放射による絶対死の攻撃が待っている。
焔凰は顔を地上に向けその嘴を開く。
光が高速で焔凰のくちばしに集まりはじめ、それは大きな砲口と化す。
エネルギーのチャージはすでに終了している、あとはその一撃を放つだけでこの一帯はあとかたもなく消滅してしまうだろう。
だが、その時不可解な現象が起こった。
地上に落下している筈のシャーリーのアインツヴァインが、空中に浮いたまま留まったのだ。
肘関節が用をなさなくなった左腕を焔凰の方にあげながら、右手に握った黒槍を投擲する態勢をとっている。
鋼機はフライトユニットが無ければ飛行は出来ない。
背部にあるブースターを使えばそれなりに大きな跳躍は出来るが、所詮それは中空に浮くなどという事を実現出来るものではなく、ありえない事であった。
だが、今、それは現実に起こっている。
その光景を見た、ゲンジと蓮は思う。
シャーリー・時峰、やはりあなたは化け物だと…。
遠距離からの為、仔細に見る事は出来ないが、彼女の乗るアインツヴァインの左腕から銀色の線が発せられていた。
アインツヴァインの両腕部に内蔵されているワイヤークローだ。
彼女は自身の鋼機が振り落とされる瞬間、左腕からワイヤークローを発射し、焔凰の胴部に巻きつけることで自身を釣り、落下を阻止したのだ。
所詮は鋼獣には大した重石にもならない、先ほど蓮はバランスを崩すことに成功したが、今、シャーリーの機体がワイヤーを巻きつけている
だが、腕一本で鋼機の全体重を支えられるわけもなく、シャーリーのアインツヴァインの腕はすぐさま悲鳴をあげ限界を迎える。
黒槍の投擲態勢をとっているものの形だけで精一杯でもあり、このまま、投擲してもそれは焔凰に回避される所か、届きすらしないだろう。
そんなアインツヴァインの見向きもせず、焔凰は発射態勢に入る。
これが撃たれるという事は全ての終わりを意味する。
シャーリー・時峰が守りたかったものすべてが無に帰すという事を意味するのだ。
そして彼女は、そう、彼女はそのようなことをさせるのを絶対に認めない。
機体背部のブースターをフルブーストさせワイヤーを巻きつつ、焔凰に向けて突撃する。
その反動で限界を迎えていた左腕が吹っ飛ぶ。
なんとしても黒槍の射程距離まで機体を持っていかなければならない。
距離を詰める、250m、200m、150m、100m。
射程内に焔凰を届く、この距離ならば、たとえ無理な投擲でも、焔凰を捉える事が出来る筈だ。
そうしてシャーリー・時峰はこれまで自身の部下たちの思いを乗せるようにして、アインツヴァインに黒槍を投擲させた。
機体の加速も得た黒槍は標的に向かって一直線に向かう。
狙うは後腹部、エネルギー貯蔵庫である尾を今から破壊しても効果は薄い。
既にエネルギーはあの砲口に送られている筈なのだから、あの焔凰を消滅するに足るエネルギーが残されているのか疑問があった。
だが、だからといってあの態勢から小さな頭部を狙うのはあまりにも博打である。
故にシャーリーは後腹部を狙った、エネルギー貯蔵庫である尾のエネルギーが集まる大きなパイプのようなものがある筈だと…。
その可能性に僅かな望みをかけて…。
そして、その矛先は焔凰の後腹部を貫いた。
その瞬間、時間が止まった。
発射態勢に入っていた焔凰の砲口、そしてその焔凰の後腹部に刺さった巨大な黒槍、左腕を失い空中に掘り出されたシャーリーのアインツヴァイン、それを地上から見上げるシャーリーの部下、そしてそれを動かぬ体で傍観する漆黒の鋼機。
焔凰の嘴から熱戦が放射されれば、焔凰がどうなろうとこの一帯は消滅してしまう。
故にαチームがこの状況で勝つにはシャーリーの攻撃が発射までに届いていなければならない、それでいいて、焔凰がチャージしたエネルギーで自滅しなければならない。
それがもし必殺の攻撃でなかったとすれば、傷を負いながらも焔凰はこの一帯を焼き尽くしてしまうだろう。
彼らはその永遠ともいえる一瞬を神に祈った。
その凍った時を一番最初に破ったのは焔凰だった。
自身に突き刺さった黒槍を無視するように、その嘴を開きなおして――
その時だった、焔凰に刺さった黒槍の傷から光が漏れだしたのだ。
漏れ出した光は焔凰の身を包みこむようにして広がり、焔凰の機体を蝕み始める。
光は焔凰の体を核として球状に広がり始める。
それと同時に大きな衝撃の余波が生まれ、中空に投げ捨てられていたるシャーリーのアインツヴァインは吹き飛ばされた。
シャーリーは吹き飛ばされる力を加速力にし、背部ブースターでブーストをかけ、その光球から距離をとった後パラシュートを散開する。
地上からその鋼機を見上げる二機の鋼機。
賭けは成功したのだ。
それは砂粒一つを摘みあげるような所業であり、0では無いが、限りなく0に近い可能性を救い上げるに値するような事象だった。
それを彼らは成し遂げた。
ついに人類は、鋼獣に自らの力で一矢報いる事に成功した。
シャーリー・時峰の元にα6『加持蓮』から通信が入る。
「た、隊長、α4が、サヤが!!!」
その声には勝利の余韻に浸る声は無く、まるでこの世の終わりのような絶望的な響きがあった。
さて、話の腰を折ってすまない。
まずは、はじめましてと言っておこうか、私はこの物語の語り部である。
この物語は死の実感であると考えてもらいたい。
死とはなんだろうか?という高尚な物語では無いが、登場人物は死と向き合う事で何かを知り何かを得何かを失っていく…。
これはそのような物語だ。
その象徴がご存知の通り、あなたも知る漆黒の機体、今はブラックファントムと呼称されている怨嗟の魔王の事だ。
怨嗟の魔王には一つの力がある。
これは神の定めた法則すら殺す力であるが、決してそれはそれを扱う者の心を裕福にすることはないだろう。
力とはなんらかの対価を支払うことで得られるものだ。
あるスポーツ選手は時間と努力という対価を支払い、それを実力として身につけていくように、大小はともかくとして何かを得るには必ず何かの対価を支払っている。
リベジオンのもたらす力もまたそれを扱う人間になんらかの対価を要求する。
この物語は王道ではない。
では、このあたりから初めていこうではないか、ついにCode Revegionの幕が開ける。
暗黒の第一章ついに幕開けである。
それでは皆様、ごゆるりとお楽しみください。
The fate of the traitor of God is not happy.
焔凰とαチームの戦いから3分後、山岳地帯下腹部。
「――なあ、やめてくれ。」
一人の女の声がそこに響いていた。
それ以外になる音は金属と金属がぶつかり合う音だ。
「頼むから、やめてくれ…。」
懇願するように女性は言う。
女の声は震えている。
「―――頼む、頼むから。」
あまりにも弱弱しい女の声。
1分ほど前から女性は同じ事を何度も繰り返している。
女は四肢を砕かれた鋼の人形の中におり、目の前で起こっている光景をただ一人モニターゴーグル越しに見つめているのだ。
「頼むから、頼むからそれ以上、それ以上、私の部下を噛まないでくれぇぇぇぇぇ!!」
女の絶叫が響く。
だが、それを無視するように6体の鋼の異形は何かをむしゃぶりつくすように食していた。
異形が食すのは2つの鋼の機体。
かつて女の部下として共に闘い戦場を生き抜いてきた大切な仲間の乗る機体だ。
「噛むな、噛むな、噛むな、砕くな、砕くな、砕くな、頼むから、頼むから、もう私から部下を奪わないでくれ、お願いだから…。」
あまりにも悲痛な願い。
女の声に既に戦意は無かった。
ただ、何もできずその惨劇の傍観を強いられている。
彼女に許されたのはただ許しを乞う事だけだ。
だが、異形達はそれを気にも留めず食事を続ける。
腕をもぎ、足をもぎ、頭を食い潰し、そして胴体にその牙を立てる。
「や、やめろ、やめてくれ、それはダメだ、やめてくれ、やめてくれ、やめてくれ、やめてください、やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて…。」
牙が胴体に突き刺さる。
牙に赤黒い液体が付着したの女は見た。
「う、うぁ、あああ、うあああぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」
即死だっただろう。
あれに乗っていたのは優しく強い男だった。
自身の弱さを知りながら、それでいてそれに立ち向かおうとする男だった。
鋼の異形はそのまま咀嚼するようにゆっくりと鋼機の胴部を頬張る。
跡形も無くなる程にその鋼機を食し終えた後、6体の異形は女の乗る鋼機の方に歩みよってきた。
女の機体も喰らうつもりなのだろう。
女は逃げだす気力すら失っていた。
「なんで…なんで…私は…また…。」
女は自分の力のなさを呪った。
また、自分は仲間を守ってやる事が出来なかった。
なんて自分は無能なのだろう。
そう、またなのだ。
たかだか鋼獣、一体を倒しただけで天狗になっていた。
そこから敵の増援が来るなど考えてもいなかった。
一瞬の隙を突かれ、集団で迫るそれにすぐさま対応する事が出来なかった。
それがこの結果を呼び込んだ。
たった、たった四人の部下すらまともに生還させる事が出来ない。
そうして獣を模した鋼の異形達は女の目の前に立つ。
それは死が約束された瞬間だ。
そうして、その毒牙が迫ろうとした時、その異形の一つが宙を浮いた。浮いたというよりは何かに吹き飛ばされたという方が正しいのだろうか。
それに反応するように5体の鋼獣は臨戦態勢に入る。その時、女は自身の背後に何かがいるのだと気付いた。
女の機体は既にメインカメラである頭部を失っており予備カメラで外の光景を見ているため、自身の機体より背後を見ることができない。
だが、そのような事が出来る存在を女は一つだけ知っている。
しかし、それはありえない事なのだ。
それは機能自体を凍結され木偶と化しており、今、行ったような戦闘機動がとれるような機体では無い。
予備カメラの前に漆黒の機体が姿を現す。
背面から見るそれはその大きく歪な翼がなんとも象徴的に見えた。
手の甲が大きく展開し、紅い光を発生を大地から発生させそれを吸い取っていく…。
紅い光は鋼獣の口内からも発生しており、それら全てが、漆黒の機体の元に集っていく。
「あんたらは、こいつの事をブラックファントム(黒い亡霊)と読んでいたな。確かにあれは中々に的を得たネーミングだった。」
漆黒の機体の中から発せられる男の声が響く。
「だがな、こいつの本当の名前はそうじゃない、こいつの本当の名前はな――」
一体の鋼獣が漆黒の機体に向けて飛びかかる、それを漆黒の機体は紅い光を纏った拳で殴りつけ吹き飛ばした。
「――リベジオンだ。」
To be continued
というわけで中編です
本当は蓮とかゲンジに踏み込んだエピソードまで用意してたんですが
なんか尺というよりは内容的に入れる隙間があまりなくて、結果使わずに終わってしまいました
蓮の決意の下りはその名残だったりします…
今回の戦闘かなり反省点が多かったりします、ちょっとgdgd気味というか、まずタイムリミットが全然活かせてなかったりしたのが・・・orz
多対1への挑戦をしてみたのですが、マジ難しくて困った…
とにかく未知への挑戦だったので、どんな評価が来るのかgkbrです
当初、ラストの流れはもっとグログロになる予定でした
ただ、あれはどっちかというとちょっと切ない話になっちゃうので、こっちのがショッキング系にはなってはいるので
うーん、どっちがいいかというと微妙な所だなぁーと、こっちのが緊迫感あるので良かったかなと
というわけで後編までお付き合い頂けると幸いです
>>335 投下乙です!
いやあ、相変わらず戦闘が熱くて鳥肌が……ってえぇぇ!? えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
ちょ、え? 死んじゃったんですか!? いいキャラだったのに!?
なんて容赦ないんだ……。
確かにもちっとタイムリミットは強調すべきだったかもしれませんね。ただ他は相変わらず文句なしですw
では、次回も楽しみにしてます!
>>243の者です。亀になりますが。
>>◆n41r8f8dTs氏
おおお、ありがとうございました。
「作中描写が(ry」は描いていて面白かったので無問題ですw
むしろ描写しすぎると今のヴィルシャのテンポは出ないかも知れないし。
俺も胸は17歳にしてはオーバー・スペックだったかもと思いましたw
いつになるか分かりませんが、一枚絵を上げる際はもっとクオリティを
上げたものをうpしようと思います。とりあえずデザインまででした。
それと遅ればせながら、いままでの作品大変楽しませて頂きました。
ヴィルシャ2やその他新作も期待しています。
何だか初めてうpした絵を見てもらったから、レスもらうと凄い
嬉しいよ……。レスくれた皆さんありがとうございました。
別路線でPBM氏の描く遥ちゃんのようなロリキャラも描いてみたいけど
ハンパリアル路線の私が描くとロリは軒並みミュータント化……
>>◆klsLRI0upQ氏
乙です。相変わらずウザいワロタw
「――そこに付け入る隙はあるかな。」 ……カッコいいセリフだぜ。
なんかこういうタイミングの呟きってクるものがありますよね。
あぁ掛け合いおもろいなぁ、……とか思ってたら後半真っ黒だぁああ!!
後編全裸で待機
>>337 >遥ちゃんのようなロリキャラも描いてみたい
私は歓迎しますよ! 盛大に! ウチの子ならどうぞ踏み台にしたって下さいw
そしてYOU酉付けちゃいなYO!
>>335 乙!でした!
それぞれが役割を果たして、綻びが出来てもお互いにそれを繋ぎ合わせて、漸く届いたところで、無惨にも断ち切られた。
この持ち上げてからの落とし方は流石です……あぁぁぁ、ゲンジも蓮もいいキャラだったのにorz
時峰隊長は、とりあえず命は助かったけど……ある意味更なる苦しみがまっているんだよなぁ(´;ω;`)
とにかくいつもの如くGJでした!多対一の描写もグッド!
ご本人がおっしゃる通り、タイムリミットの進行がちと目立たなかった感がありましたねw
さて、後編を紳士スタイルで待つとするかw
340 :
337:2009/10/27(火) 00:06:02 ID:WVklJVzy
>>PBM氏
うす。失礼の無いよう、訓練に訓練を重ねた上で娘さんを描かせて
頂きますw
酉は一枚絵を投下した時につけようと考えていますので、またいずれ。
しばらく感想以外はROMりますです。
……して、本日SS等の投下はナシでゲスか?
>>335 お見事。限りなく絶望に近い状況下ながら、α中隊の決して諦めない闘志による激闘に手に汗握りました
シャーリーの機転の利いた行動に驚かされながら、リべジオンの黒槍による攻撃シークエンスの一連の流れ――――素晴らしいです
多対1の戦い方は面白かったですよ。鋼獣が如何に恐るべき存在かが再認識できました
そして最後……いやぁ、胃が痛いwこの窮地は予想できそうで出来ませんでした
あれほど熱い所を見せてくれたキャラ達が次の瞬間には無情にも命を刈り取られる……あぁ、ホントに凄いw
自分はまだまだ生温いですねwこれほど強烈な展開を書けるようになりたいですw
後半がどうなるか、今から楽しみですね。期待してます
>>337 いえいえwメルフィーを書いて頂いて、本当に有難うございます
自分はホントに描写が苦手な人間なんですよw改善しようとしても中々……w
是非是非今後も、気軽に投下して下さいね!楽しみながら切磋琢磨していきましょうw
>>340 今日やる気になれば番外編が書けるか書けないか
>>340 娘を……頼んだぞ……ガクッ。
>本日SS等の投下はナシでゲスか?
まだ3500文字しか書けてないでヤンス。肝心の黒い狂戦士すら出てないでヤンス。足が痛いでヤンス。
やっぱり不意打ちって精神的にキますね……。
>>336 元々殺す為に作ったキャラだったのですが
設定作る内に感情移入酷くなってヤバかったですw
>>337 蓮は個人的にα組の中では一番のお気に入りキャラです
真っ黒さは富士鷹ジュビロの影響が大きいかとw
>>339 タイムリミット構成でやるとキャラの心情を拾えなくて泣く泣くこういう風に構成を変えました
やってて思ったのはタイムリミットはキャラ一人に絞らないと辛いなぁーと
後編はやっと、やっとリベジオンがまともに動きます(笑)
>>341 当初からα組に焔凰に勝たせようと思っていたのですが、困ったのが普通に書くとあれ?鋼獣弱くね?と思われてしまう所でした
んで、いろいろ頭こねて考えたのですがありがたい言葉を頂けて良かったですw
もしソルディアンやCRやヴィルシャが同じ世界観だったら・・・
地球ヤバくね?
地球はともかく人類は確実に滅びてね?
349 :
シクス:2009/10/27(火) 18:08:45 ID:XR12MS/7
少し投下するので支援をお願いします
派手にやっちゃってー
第四話
シュートとルーナは格納庫を出ると、廊下に見知らぬ人物が壁に持たれて立っていた。
長いストレートの黒髪、鋭い瞳、一瞬、女性と思わせる端整な風貌だが、統連軍の青い軍服で男なのだと分かる。そして開口一番、彼は言い放った。
「ダリューグ家の者だと聞いて来てみれば、僕の勘違いだったようだな」
「…なに?!何が言いたいんだよ」
「有名な戦士の御子息が只の家出息子だったなんて、とんだ貧乏くじを引かされたもんだ」
明らかに落胆。それ所か嫌みを言い始める。
ルーナは察知していた。彼の言った言葉でこれから何が起こるかを。
「ッ…!?言わせて置けば、お前ぇー!」
シュートが一番言われたくない事、それは家族の事。歴戦の勇士の息子である劣等感、父への嫌悪、兄との対比、生まれてから今まで言われ続けられてきた言葉が脳裏によぎる。次には体は駆けだしていた。
「待ってシュートッ!」
ルーナが叫ぶ。
だが止まらない。すでに一直線に対象に向かって拳を振り上げていた。
普通は無謀すぎる事だ。相手は軍人でシュートは素人、勝てる要素は無い。だが軍人である青年にもシュートには勝てる要素が有るからだ。
それは、この“眼”だ。
支援
幼少の頃、兄と受けた眼の手術。何でも一緒が良いと思っていたがこの時ばかりは、あまりの眼の痛さに後悔した。だが痛みが退いた時、世界が全く違うモノに見えた。
高速に見えるボールがノロノロ飛んでいた。落下する雨の滴が見えた。とにかく周りがゆっくりに見える。
シュートは歓喜した。人と違う能力、ヒーローにでもなった気分だ。
だがそれも一瞬の出来事だった。
兄レインの眼を使った実験の日、シュートの眼に激痛が走ると共にあるビジョンが見えた。
兄の乗る機体が爆発するシーン
夢なんかじゃない、起きていた時に見たビジョンだ。兄や父に言えど信じてもらえない。まだ自分でも確証は持てなかったが言い表せない何かがそう言わせた。
そして起きた。予感が確信に変わったのだ。
家を出て逃げだした時だって、軍人を相手に喧嘩をした時も、ロボット同士の戦いの時もそう、この眼のおかげだ。この眼が全てを見せてくれる。俺は誰にも負けない。
「負けるわけ無いんだッ…!」
シュートの拳が青年の頬へと向かう。確実に決まった、そう確信した時だった。
「甘いな」
冷ややかな声が聞こえた。いつの間にかシュートは床に突っ伏していた。
しえん
>>350 申し訳ない、アク禁になってしまいこれで終わりです
今バイト先で携帯に文章を写したのを見ながらの書き込みです
中途半端になってしまい楽しみにして…ないかもしれないけれど本当に申し訳ない
っ*y=- ('A`)
356 :
337:2009/10/27(火) 20:33:03 ID:eGc+I/Na
>>348 きょぬー至上主義のオレ歓喜。
というか
>>243のメルフィーといい、このスレには巨乳ブームが到来しているのだろうか。
ゴールデン・エイジ
──PBM氏が築いたロリ黄金時代は、今ここに新たな局面を迎える。
357 :
337:2009/10/27(火) 20:36:22 ID:eGc+I/Na
>>355 乙です。
身体能力強化系すね。続き楽しみにしてます。
いつか絵を描かせてくださいな。
>>346 人類7割位いなくなってそうじゃね?
>>348 AA略 おっぱい!おっぱい!
やはり描かれるとイメージ掴みやすくなりますね
>>355 いい所で切れてしまいましたねw投下乙です!
続きをお待ちしとります。
>>355 乙です、続き期待しておりますよ。
あ、私もあと少しで投下出来そうかも。
>>348 投下乙です!
これはいい巨乳おねいさんだ……貧乳派の私も惚れてしまいそうですw
>>355 投下乙です!
未来を見る事のできる目……なるへそ、シュートの強さにはそういう理由があったんですね。
では、次回も楽しみにしてますw
しかしシクス氏までも規制とは……これは面倒な事になりましたね。
>>356 例えロリが敗れても、私には三つ編みがあるッ!
>>359 楽しみにしとりますw
亀だけど纏めて投下乙!
>>335 これは……むごい。持ち上げてからどん底に突き落とすとは
そして遂にリベジオンが動きだすか
>>348 アホの子いいよアホの子w
しかし相変わらずなんというおっぱい
>>355 そうか、規制か……作者さん3人も規制喰らってんのはキツいなあ
完全な形で見れるのを楽しみにしてるぜ
ところでDSとPBMが同じ世界観だったら違う意味でヤバくね?
ロリも巨乳も男の娘もひととおり揃いますねw
まぁ待つのだ
ロリババァがまだ揃ってないのだぜ
ただのババアならたmうわ狐さんなにをするやめ
そうか、
>>364は死んだか……。
確かにロリババァ属性(のじゃロリ?)のキャラはいませんね……ロリババァは登場予定ですが。
>>367 >ロリババァは登場予定
正座して待ってる
この状態で、気持ち3年くらいは行ける
>>355 投下乙っす
シュート・・・なんて悲しい過去が・・・
シュートは一矢報いる事は出来るのか、次回を楽しみにしてます
>>363 俺が本当のロリババァを見せてやる・・・
と言いたいとこですが、自分も規制になっちゃいました<(^0^)>
何か相当長引くらしいです。気軽に雑談に混ざれなくなるのが悲しいっす・・・今は携帯ですがもし作品を投下する際は代理よろしくです・・・
ロリババァ枠をもう一つ追加しておいてくだされ。
あ、設定確認してみたらのじゃロリちゃんといましたw
多分次の次くらいに出てくると思うので、期待しないで待っててね!
それにしてもロリばっか増えるのぅ。もう5人目じゃよ。
>>371 ほほぅ、それは楽しみなw
俺の所は次の投下で出せそうですが……金曜までになんとかw
どうやらロリの時代は終わってなかったようだなwww
>>371 規制喰らっとる人も増えとるぞ、もう4人目じゃ
>>369 >代理よろしくです
任せておけぇい
>>370 >ロリババァ枠をもう一つ追加
イィィヤッホォォォォォォォゥ!
>>371 のじゃロリとロリババァは似てるがちょっと違うんだ……!
あ、ちなみにどちらも好物です。好物です
>ロリばっか増える
敢えて言おう、それでこそだ、と
……あ、ロリ6人だった。
>>369 なん……だと……!?
>>372 おお、私も楽しみにしてますw
>>373 面倒な事になりましたね……。
>>374 あ、大丈夫ですよ、歳はちゃんとババァですw
当然ながら人間じゃないですけど。
まぁ自分は居ても居なくても支障は無いんで良いんすがw
DSさんが規制されて長いですからね−。早く解除されて欲しいです
>>375 増えたwwwwww
>当然ながら人間じゃない
オートマタか、あるいは別の何かか……
>>376 おいおい、そんな事言うもんじゃないぜ
>規制
厄介だなぁ
とりあえず俺にできることとして、スレ見る時は避難所もまめに覗くことにしよう
>>376 おいおい兄弟、言葉の選び方には気を付けてくれよ?w
さもないと俺が悲しくなるぜ?(・ω・)→(´・ω・`)コンナフウニ
>>379 そうか、避難所も確認必要か。ありがとう気づかせてくれてw
厄介すね。どうにかならんもんかな
規制ばっかりはどうにもねー
避難所の方ではp2(規制中でも書き込めるツールらしい)ってのを薦めてくれてる人もいたよ
P2はモリポタ買わないといけないよ
まあ、基本は専ブラから、時間見て投稿していけば
とりあえずは大丈夫だと思うけれど
モリタポについては……
あー、まぁ、薦めた当人でもないのにあれこれ言うのも難なので
避難所をご覧下さいということで
そういえばもう15スレ目か
気が早いけど50の大台に乗るのもそう先ではないね
10日で1スレとして計算すると、大体来年の夏から秋頃には50機目がロールアウトされてる事になりますねー。
その頃はどうなってるんだろう、ここ。
是非とも「ロボット物SS総合スレ 百式」ロールアウトの瞬間を拝みたいのう
そこまでいくとwikiの過去スレの項目が凄い事になりそうですねw<ロボスレ百式
こんなにも勢いがあるのは、職人の方々の投下はもちろん
wiki管理人さんの丁寧な更新も理由の一つだと思う。
だから音沙汰が無い事が不安やが…
住人のノリの良さも大きなファクターですねw
>>389 >先週から今週にかけて割と暇がなさそう
だそうなので、恐らく今週か来週あたりには何か動きがあると……いいなぁ。
391 :
注目:2009/10/28(水) 11:10:32 ID:ufAJlP5c
いろいろと忙しい方なんだなぁ
本当は俺ももっと暇あれば手助けしたいだけれどね(´・ω・`)
実は同じ世界だったんだよ!と言われてもあんまり違和感無さそうなのがパラベラムとタウエルン。
他にも世界観が近かったり合いそうな作品とかあるかなー。
世界観と百合的な意味で鋼鐵の特攻兵と少女機甲録
シビアな世界観な意味でブリキの騎士と人狼機兵マーナガルム
学園物的な意味でGEARSと剣神鋼王ミカズチ
地球ヤバイ的な意味で秘神幻装ソルディアンと鋼殻牙龍ドラグリヲとCR ―Code Revegeon―
が個人的に会う気がします。あぁ、このスレでスパロボやりたい
世界観やデザインの設定が難しそうだ
デザインの設定といえば
>>1を見てふと思ったのだけど、立体物で投下されたものってあるの?
>>396 13号機の
>>916氏が投下予告と共にデザイン原案で貼ってましたね。
もう見られないようですが(・ω・`)
ねんがんの フレームアームズを てにいれたぞ!
とりあえず素体で遊んでみてから何作るか考えよう
そういやソルヘリオンさんくらいですね、作品が立体物なのって
一番立体化出来そうなのはへーちゃんかな。モチーフがアレっぽいしwネクソンを超合金辺りで見てみたいなー
デザインがある中で一番立体化が難しそうなのって何だろ
>>398 おお、まさかの合体ロボだ……
まだ本編は投下されていないみたいだけど、期待しちゃうなー
>>399 >立体化が難しそう
変形機構や関節の動きまで再現しようとするなら
スプリガンではないかな
>>399 全く模型知識のない自分には、ヘーシェンが一番難しいように
思えますね。
何か細かそうだし
>>399 デストラウは重量バランスが難しそうですなー
ニア ころしてでもうばいとる
>>401 確かにスーパーカーからあのデザインに変形するのは凄く難度が高いと思うw
>>402 実を言うと自分も難度は非常に高いと思いますw
ただ、デザインはパトレイバーのグリフォンを彷彿とさせるので、グリフォンをなぞると一番立体化はしやすいかなと
>>403 少しでもバランスが崩れるとドンガラガッシャーンですねw
自分が難しいと思うのはポンピリウスですね。こう、スケールモデル的な
このスレに模型組は何人くらい在籍しているんだろう
もうやってないけれど昔レゴでロボ作ってたことならある
410 :
長目:2009/10/28(水) 19:42:24 ID:o0YdsB5z
またコテ忘れた……
学習しないぜ、俺
>>407 すさまじくピンポイントな求人だw
でも、こういう募集は面白いな
そしてなかなか珍しいIDをしてるじゃないか
>>399 >>402 >>404 へーちゃんは描いてるうちに自立出来るかどうか怪しい事になりましたが、大丈夫でしょうか……。
>デザインはパトレイバーのグリフォンを彷彿とさせる
描いた本人が言うのもアレですが、グリフォンより零式似だと思いますじゃ。
つまりヴィクセン(AC)に零式(レイバー)の頭くっつけりゃ簡単にそれっぽい物が(ry
>>407 おお、これは面白いw
>>408 相変わらずクオリティ高すぎだよチョーさん! 鳥肌立っちゃったよ!
>>410 うおわ。相変わらず凄まじい雰囲気が出てるッス……
「これぞSF!」って感じですぜ!
長目氏は個人サイト等はお持ちでは無いのですか?
>>407 面白い求人だwww
>>408 うぉおおおお!?
チョーさんすっげー!!wやっべwすげーしか出てこねーよこれw
>>413 なぜか、黒と青の世界ってSFっぽい、と思ってる俺がいたりw
>サイト
あー……1日3〜5hitのものなら一応w
でも晒しはナシだよ!
>>でも晒しはナシだよ!
うすw つーか見れば見るほど引き込まれますです。
4コマ目が余りに美麗だったので試しに壁紙にしてみたんですけど、
凄い細部まで描き込まれているんですね……鳥肌立ちました。
いや、マジかっけーす!
避難所をちょっと覗いてみるといいかもしれないよ?よ?
>>416 >細部まで描き込まれている
そんなところまで見て頂いて、ありがたいやら恥ずかしいやらw
>>419 敢えて言おう!良いセーラーであると!!w
黒タイツエロいよ黒タイツ
遥さんのはロボスレ学園のアイキャッチですね。わかります
>>419 おー、陰影に気合いが入ってますな
遥のぷにっとした足回り、さすがはロリに定評のあるPBM氏
メリッさんはちょっとスケバンっぽいような剣道少女っぽいようなw
こういう凛々し可愛さはどっから来るんだろう。目と頬かなぁ
ちと研究してみるかな
>本スレより避難所のほうが盛り上がる
まぁ、今回は絵の元作品の作者さんが規制中なのに加えて、他の方にも規制大量発生中らしいのでw
>>420 避難所でも言いましたけど、なんか遥って田舎の学生臭が(ry
個人的に遥はスカート長めなイメージがあったのですが、いかがでしょう。あと黒タイツは凶器。ロリに色気は最終兵器。三つ編みは最高。
>>421 言われてみればヨーヨーで敵を攻撃しそうな感じですねw
>こういう凛々し可愛さはどっから来るんだろう。
うーん……目から描いてるせいでしょうか?
あるいは、ロリばっか描いてるせいでしょうか?
>>419 やっぱり遥さんが中学生くらいにしか見えな(ry
メリッサのひとつ上にはとても見えな(ry
だがそこがいい!
メリッサはどう見てもスケ番です本当にありがとうございました
しかし意外とセーラー服似合うなあ、メリー。ユトの学ランも見てみたいw
>>423 >ユトの学ラン
だが袖の余りまくっているエリーも捨てがたい
>>423 そんな遥のほっぺをぷにぷにしたいです。
メリッサはほんとにどう見てもスケ番ですねw
>>424 なんですかその最強の兵器は。
じゃあ想像してみよう、おやぢの学ラおえっ。
オヤジ「ごらーッ! 花壇を荒らしたのは、どこのどいつだ―――ッ!!」
ユト(エ―――ッ? 校務員!?)
ルガー「花壇を荒らすのは感心しないね」
ニック「筋肉だけでなく、モラルも足りていないとはけしからんな!」
タナカ「まったくです」
ユト(マッチョトリオもか――――!?)
遥「筋肉は置いといて、モラルが無いのはいけませんよね」
ニック「最愛だな!」
ユト(何さりげなく溶け込んでるんだ一条さんは!? てかニックはワルサシンジケートの一員だろ、モラルも糞も無いわ!)
メリッサ「何……この異様な光景は」
なんという肉々しい面々w
こいつは暑苦しいww
ユトのツッコミのキレが素晴らしいw
てか遥さん何溶け込んでるんですかwww
避難所にGドラの2話前編が投下されたようですよ奥さん。
wiiとNEO買った!
貯金の残りが2万チョイ!
給料入るのが来月21日!
……ギリギリ行けるか
おお、買いましたか、NEO!
あー、てすてす。
これより2連チャンで代理投下を行います。
手の空いている方は支援をお願いいたします。
場所は食堂、時は昼過ぎ。大の男が、至近距離で顔を突き合わせて睨めっこをしていた。
「壮馬よ、どーすんだ、おい」
片や28歳。超動技研所長代理。天才らしくない天才科学者にして、Gドラスター開発者。
「待て。何故俺のせいみたいな目で見る、十字」
片や32歳。百戦錬磨のエース。鍛え抜かれた肉体を持つ、Gドラスター搭乗者。
あれから一ヶ月。
幾度かエンドア出現の報があり、その度に出撃した。そしてその全てに勝利してきた。
一度は苦しい戦いもあった。それでも勝ちを収めたのは、皆の努力と壮馬の実力によるものだろう。
二人の喧嘩は続く。
職員たちも、慣れたもの。今更大袈裟に慌てたりはしない。お互い胸倉を引っ掴んで、シャツに皺を作るまで発展しているが、平和なものだ。
本日の喧嘩の理由。それは……、
「テメーがメインパイロットだろーが! 連れてこい!」
「スカウト失敗してる奴の言うセリフかっ!」
「成功してりゃぁ、こんなこと言わねぇよ!?」
今日も今日とてパイロットは補充されず、状況の進展が無かったこと。
マッチョサイエンティストは、壮馬の言葉も意に介さない。むしろ逆ギレしてくる始末。
十字によってわざわざプリントアウトされた調査書類を、壮馬は頑丈なテーブルが軋む勢いで叩きつけた。
そこにはパイロット候補のプロフィールと、人懐っこそうな雰囲気の顔写真が載っている。
難波隆斗、21歳。中学高校と、多数の運動系クラブを兼部。助っ人として大活躍したが、結果として、公式に大した成績は残していない。
現在は大学生活の傍ら、知人の居酒屋でアルバイト中。部活やサークル等には属していない。トラブル体質なのか、何かと荒事に巻き込まれることが多いものの、それを身一つで片付けたこともまた多い。
この際経歴はどうでもいい。実力を計った上で、眼鏡に叶えば協力を要請する。
いや、正確には既に叶っている。後は同意を得るだけだ。
だけなのだが……。
「大体、いくら力試しだからって、馬鹿正直に力ずくで攻めて、あっさり返り討ちにあってりゃ世話ねえだろ! 警戒されてどーする、警戒されて!」
大声上げて壮馬が反論するも、暖簾に腕押し糠に釘。大人げない逆ギレはなおも続く。
「悪かったな、骨のあるスカウト手配できなくて! つーか仕方ねえだろ、まず第一に、無駄に強い奴じゃなきゃいけねぇんだから!」
「何度も言わせるな! そう作ったのはお前だ!」
「ふははははは! 後の祭りって言葉を教えてやるわ!」
かなり自棄っぱちな声の十字。
どうやら、二進も三進もいかなくなって八つ当たり、ということらしい。これとは別の問題で、連日徹夜している影響もあるかもしれないが。
相変わらずの十字に、壮馬は毒気を抜かれる。我ながら、毎度毎度馬鹿らしいことをする。
「っとにお前は……ま、いいや」
席を立って、通路へ向かう。
「どこ行く、壮馬」
「灯台」
振り向きもせず、手をブラブラさせて気のない返事。それだけで全て伝わった。
十字も軽く返す。
「そんじゃ、何かテキトーに酒でも買ってきてくれ。豆か茶っ葉でも可」
「所内の自販機で済ませろ」
あっさり断られた。
壮馬の後ろ姿が見えなくなってから、とぼとぼと自販機に向かう。
缶コーヒーを購入し、口をつけると顔をしかめて一言、
「……こんなお子様向けのもん、飲めるかよ」
軽い不満を漏らしながら、一気に飲み干した。
ビルの屋上で、町を見下ろす女がいた。
眼下には、いつもと変わらず賑わう街並みがある。
無地のタートルネックにノースリーブのジャケット、ホットパンツというカジュアルな装い。
飾り気といえば、腰に設えられたチェーンのアクセくらいの素朴な服装ながら、それがかえって素材を引き立てている。
町を歩けば、男女問わず高確率で目を引くだろう容姿も、一人きりでは無用の長物。
本来は立ち入り禁止の殺風景なビルの屋上は、若く美しい女性に似つかわしい場所とは思えない。
彼女の名は、セイナ。エンドア幹部の一人。
しゃがみながら膝の上に頬杖をつき、短めの髪をビル風に揺らしながら、彼女はつまらなそうに呟いた。
「気楽なもの」
行き交う人々のの表情は様々だ。
笑う者、怒る者、泣く者、驚く者、怯える者、恥じる者、苦しむ者、あるいはそれらの混じり合った者。
のんびり散歩をする者もいれば、時間に追われるビジネスマンもいる。学校帰りの若者たちや、世間話に興ずる老人もいる。
いずれも共通しているのは、そこに確かな生があること。あるいは雑多な意思と言い換えても良いだろう。
多少の騒乱こそあれ、依然として日常の維持が為されている。
「この地区の防備が固い証拠ね。でも、いずれはそんな余裕もなくなる」
懐を探り、内ポケットから十枚ばかりの金属片を取り出す。
幾何学模様の刻まれたカードを扇状に広げ、その中央に描かれた円を、セイナは一枚一枚指先でなぞっていく。
走る光が順に模様を満たし、起動準備が完了した。
「ラインってば、遊び道具とか言ってたけど」
さして興味もなさそうに、セイナはそれを一枚一枚無造作に投げ捨てていく。
カードは音を立てて地面にぶつかるや激しい光を放った。
「な、何だ!?」
誰かが叫んだ。
光が晴れて現れたのは、カード一枚につき三体の鋼闘士。ゆっくり顔を上げ、周囲を見渡して状況の把握を開始しだす。
身長は3メートル近く、巨人と言っても差し支えないだろう。
その外観は至ってシンプル。金属質な光沢とのっぺりした顔立ち以外は、まるで裸体の男性のようだ。
あえて言うならば、その名の通り、古代の闘技場で技を振るった闘士が近いだろうか。もしもこれが動かないのであれば、美術館こそが似つかわしい場所かもしれない。
一切の重火器は搭載しておらず、装甲と馬力を駆使した徒手空拳での殲滅戦を任とする対人兵器。
効率ではなく、心理効果に重きを置いた無機質の塊。
一呼吸置いた後、鋼闘士は、その使命を遂行しようと足を踏み出す。
石造りの地面に、亀裂が走った。
やなこってす
身ぶり手振りを交え、若者は制服姿の少女に道案内をしていた。
「ああ、その店ね。あの角を曲がって、それからずっと真っ直ぐ。信号を越えたら、後は嫌でも目に入るよ」
年の頃なら二十歳前後。量販店の安物ばかりで身を固めた、一見どこにでもいる普通の若者だ。
一通りの説明を終え、人当たりの良さそうな青年は、少女に軽く確認を取る。
「これでわかった?」
「大丈夫です。ありがとうございました」
少女は深々とお辞儀をした。丁寧な物腰が、育ちの良さを喚起させ、相手に好印象を与える。
加えて、この少女は小柄だった。幼いのではない。単純に背丈が低く、どこか儚げだ。
目の前の青年も、特別に目立つ体格をしているわけではないが、それでも並べば少女の小ささが強調される。
こうなると、ムラムラした健全かつ邪な情欲を持て余すのが、若い男子というもので。
「いいのいいの。ところでさ、俺、難波隆斗っての。キミの名前は? なんなら案内ついでに買い物まで付き合うよ。ついでにお茶でもどうかな?」
「あはは。せっかくですけど遠慮します」
満面の笑みで青年――隆斗が誘うが、悪意の欠片もなく簡単にかわされた。誘われ慣れているというよりも、冗談や社交辞令としか受け取らなかった感じだ。
というより、受け取ってもらえなかったのが正解だろう。天然の人懐っこさというのも、ものによっては考え物だ。数え切れぬ敗北の歴史から、隆斗はそれが身に染みて解っている。
無論、少女自身の無垢さと真面目さの影響も大いにあるだろう。愚鈍ではない。だが、客観的な己の評価に気付かぬかばりか、向けられる視線にも妙に鈍い。下手に拒絶されるより、よほど防備が固く手を出し難い相手だ。
とはいえ、もともと隆斗は、物事気楽に楽しむ性質。結果は気にせず、少女に倣ってこちらも軽く流す。
「うあー、あっさりかー。残念だけど仕方な――」
少し大袈裟なポーズで落胆を表してみようとした矢先、町の違和感に気付いた。
「何だ、アレ」
「? どうしました?」
未だ何も気づかぬ少女が、雰囲気の変化だけを感じて小首を傾げる。
今までと打って変わって険しい顔になった隆斗が、前方の一点を凝視していた。視線に釣られて、少女もそちらへ振り向く。
数百メートル先、大通りの交差点あたりが酷く騒がしい。
音は届かず子細もはっきりせぬまでも、大きなモノが暴れているのだけは、少女にも確認できた。
そして“それ”は、確かにこちらへ迫ってくることも。
騒乱は瞬く間に伝播する。危険の到来を察知した順に、蜘蛛の子を散らすように逃げだした。無数の個人はやがて人波となり、少しでも原因から遠ざかろうと川下へ向かう。
「な、何があったんでしょうか……」
人波に呑まれながら、誰にとも知れず彼女は訊ねた。
正体不明の脅威に不安なのだろう。震える小さな手に力を込めて、身近な人に精一杯縋っている。
「よくわかんないけどヤバそうだ。俺から離れない方がいい」
少しでも安心させようと、隆斗は言った。
余計なことは伝えない方が良いだろう。
隆斗の目には、何が起こっているのかはっきりと映っていた。“それ”がどんなもので、“何を”飛び散らせていたのか。
とにかく、今はここから離れるのが賢明だろう。隆斗一人ならともかく、片手に荷物を担いでいては、安全な場所まで逃げる他にできることはない。
ふと、怖気が背中を走った。
「危ない!」
少女を庇ったと同時に、ビル壁を突き破り、巨人が破壊をもたらしにやってきた。
し
「悪趣味……」
相変わらずビルの屋上で、セイナは呟く。
遊び道具などというから何かと思えば、何のことはない、乱暴に生命を奪うだけのシロモノだった。
鋼闘士の武器は、己のボディのみ。そしてそのサイズ。殺戮一つとっても、自然と凄惨になる。
頭だけを砕く、強引に身体を引き千切る、内臓を破裂させてのたうち回らせる等々……。即死できればマシなほうだ。パワーの問題ではなく、中途半端な大きさ故に、一撃で殺しきれないことも多い。
こういう無駄に生理的嫌悪を煽るやり方は、セイナの趣味ではない。同じ生命を奪うにしても、他にやりようはあるはずだ。
人の生命など、ナイフ一振り銃弾一つで散らせるし、逆にもっと大雑把な手段で、原型を留めぬほどひと思いに壊す方法だってある。
効率的でもなければ、見てて面白いものでもない。こんなことに一体何の意味がある。
どうせ面倒臭がったラインに、体よく鋼闘士の性能実験を押し付けられたに決まってる。後でどんな目にあわせてやろうか。
セイナが内心毒づいた時、
「ん?」
妙な動きを見た。
広がるはずの侵攻が乱されている。正確には、流れを断ち切る動きがある。
いくつもの建物が陰を作り、具体的には判らない。ただいたずらに弱者をなぶるものよりは、面白い見世物にありつけそうだ。
「百聞は一見に如かず……だっけ」
セイナは跳ねる。次々と建物の屋根を飛び移り、彼女は詳細を確認しに行った。
そして現場近くのビルの屋上に降り立ち、原因を知る。
「へぇ、凄い」
セイナは感嘆の声を上げた。
その正体は、たった一つの人影。見る見るうちに、鋼闘士を蹴散らしていく。
思いがけない展開を発見し、女の顔が、小さく愉悦に歪む。
「下暗し、とはいうものの。まさか他人様のお先を真っ暗にする連中と出くわすとはな」
研究所からさして遠くもない中規模の都市。
たまには一肌脱いでもいいだろうと、イマイチ頼りない成果のスカウトに代わって、少々骨を折ろうかと思った矢先にこの始末。
突然の凶行を事前に止める術はないだろう。壮馬がこの場に遭遇したことは、町の人々にとって不幸中の幸いとなるだろう。
だがそれでも、憤りを感じざるを得ない。事前に何かができたわけでもない。無力な人々が犠牲になったのは、紛れもない事実だ。
悠長に弔っている暇さえもない。今の自分にできることは、仇討ちのみ。
行く手を阻むように、壮馬は鋼闘士の一団の前に姿を晒した。
大通りのそこかしこに転がる肉塊を視界の隅に捉え、小さく歯軋りする。
「ホントに悪趣味もいいとこだ。冗談じゃねぇぞ、胸糞悪ぃ」
怒りを隠そうともせず、啖呵を切った。
各所が血に塗れた多数の鋼の像。この惨劇が、無表情の不埒モノ連中の仕業なのは、疑う余地もない。
そうしている間に、鋼闘士の一体が襲ってきた。
岩をも砕く右の打ち下ろしを、片手で軽く手首を掴んで止めた。
そのまま握り潰した後、すかさず肘から先を捩じ切り、殴り倒して機能停止。
残った鋼闘士たちは混乱する。
見たところ武装の一つもしていない生身の人間が、鋼の巨体を力技で撃破した。通常あり得ることではない。
だが理由を追及している暇はない。重要なのは、仲間が容易く破壊された事実。一体で挑めば、同じ結果になる。障害を手強しと判断した鋼闘士は、複数で同時に攻めることを決定した。
右、左、正面からそれぞれ一体の計三体。
壮馬は姿勢を低くし、相手の勢いを利用して、まずは正面の一体を足払いで転ばせる。転倒する方向を調整し、左側の一体を巻き込ませて動きを封じた。
さらに先程破壊した残骸の足首を掴む。そのまま振り回し、右側からの一体へ向けてぶん投げた。二つの巨体がぶつかるや、もろとも水切り石の如く跳ね、道の端までいってようやく停止した。
鋼闘士が起き上がる間もなく跳躍し、追い打ちをかける。次の瞬間には、既に倒れた鋼闘士の真上。頭部を蹴り潰し、ついでにその勢いのまま、もう片足で胴体にも風穴を開けてやると、二体目も機能を停止した。
バチバチと、火花の音だけが、今の今までこの機械たちが生きていたことを証明していた。
傍に設置された看板には、こう書かれている。
『ゴミ集積所』
二体分のスクラップを足元に、壮馬はゆらりと上体を起こし、鋼闘士たちに向き直った。同じころ、転ばせた鋼闘士も立ち上がってくる。
とりあえず目の前のザコは、残りざっと十体。
「明日は資源ゴミの日か。丁度いい。クズ鉄にしてやるから、ちっとは世の中に役立てよ」
拳を握りしめ、壮馬は言い放った。
別の鋼闘士のグループに、隆斗たちは追われていた。
少女を抱きかかえて逃げ回る隆斗の目が、人ごみの中に知った顔があるのを確認した。
「親父サン!」
声を上げて隆斗は駆け寄り、バイト先の主人である中年の男に並走する。
横に見知った顔が出現し、居酒屋の主人はダンディな髭面を緩ませた。
「おぉ隆斗、無事だったか」
「挨拶はいいから、この娘お願い」
大物なのかただのマイペースなのか、意外と呑気なトーンの声を上げる親父を制して、抱えた少女を手渡す。
「え? あ、あの……え?」
わけもわからず、少女はされるがまま、隆斗から親父の腕の中に移動させられる。
「何だそりゃ。お前はどうするんだ?」
少女を降ろしながら、親父が問う。律儀に受け取りはしたものの、親父に人一人を抱えて走る体力はなかった為、結局一緒に走ることにした。
体力的な問題ならば仕方ない。隆斗が抱えているよりも速度は遅くなったが、今はこれでいいだろう。
「あの妙な連中を食い止めます」
「はァ!?」
その提案に、少女でさえ素っ頓狂な驚きの声を上げる。
知り合いである親父も、少女に同意するように、呆れ顔を隠しもしない。
「バカ言うな。いくらお前だって――」
「俺の腕っ節は知ってるでしょ? 少なくとも、注意を引きつけだけはしますんで、早く逃げて」
「隆斗さんが早まらないでくださいよ」
少女こそ必死に止めるが、
「――……わかった。とにかく気をつけろよ」
「ちょっ!?」
心情を察したのか、はたまた説得は無駄と判断したのか、単に雰囲気に流されただけか、親父は神妙な顔で送り出す。戸惑うのは、少女ばかり。
「なァに、無茶はしませんよ」
笑顔で親父にガッツポーズ。自分にとっては、危険などさらさら無いとアピールした。
「大丈夫だって。そんな顔しないの」
続いて、心配そうに見てくる少女の頭を撫でる。
少女の背を軽く叩いて、逃走を促す。
親父に手を引かれ、多くの人たちとともに、その姿は小さくなっていった。
あとは、言いだしっぺの自分が、約束を果たすのみ。
「と、カッコつけてみたものの……」
余裕を演出しているうちに、すっかり取り囲まれてしまった。
足止めについては早速成功したものの、同時に早速大ピンチとなった。
腕っ節に自信があるのは嘘ではない。他と比べて、規格外だという自覚だってある。
馬鹿なことを続けても無事でいられたのは、この生まれ持った身体によるものだという自負もある。
お節介な性格が災いし、余計なことに首を突っ込んで……突っ込み過ぎて、時にはそのスジの人と事を構えることさえもあった。
それでも反省しないから、波の立たない生活は遠ざからない。ここ暫くに至っては、とんと心当たりのない連中に、何故だか絡まれたりもしていた。
無論、時には多少痛い目を見たことくらいはあった。だがへこたれるほどでもない。楽観的な性格で、すぐに記憶は上塗りされる程度だった。
だが今回ばかりはどうだろう。さすがにこういう経験は初めてだ。
どう対処すべきか混乱し、頭の中がぐるぐる回る。
巨人は待ってなどくれない。隙あらば躊躇なく殺しにかかってくる。大きく拳を振りかぶり――
風切り音が隆斗の鼻先を掠め、鉄塊が足元を砕いた。
咄嗟に一歩後退ったことで、辛うじて無傷ではいられたものの、
「やっぱ……早まったかなァ……」
これで危機が去ったわけではない。むしろこれからが本番だ。
カッコつけが招いた災い。自業自得とはいえ、さっそく後悔しかけていた。
それでも後戻りはできない。過ぎたことを嘆いても仕方が無い。
顔は青ざめ、少し泣きそうになりながら、隆斗はひたすら避けることに神経を集中しはじめた。
「驚いた。あんなのもいるのね」
手下がどんどん倒されていっているというのに、見物に勤しむセイナは、どこか楽しげだった。
念のため手の空いている鋼闘士に信号を送り呼び寄せてみたが、思った通り、まるで数が利にならない。このまま程なく全滅させられそうな勢いだ。
それもそのはず。サイズ差と徒手空拳という条件上、どうしても同時に攻められる数は限られる。
となると、最初の段階で仕留められないならば、スタミナ勝負に持ち込むしかないのだが、一体一体撃破される速度を考えても、烏合の衆にそれを期待するのは酷だろう。
結果は見えた。
セイナは立ち上がり、次に向けて身支度を開始する。
「それじゃ――」
腰のチェーンに手をかけ、トップについている飾りを掌中に収める。柄に薔薇をあしらった剣と絡みついた棘のシンボル。
眼前にかざすと、起動を開始した。
ガシャンと音を立てて、ゴミ捨て場にあるスクラップの山が、また一段と高くなった。
「フンッ」
一仕事終え、壮馬は埃を払うように掌を叩く。
あの後、異常事態を察し援軍に現れた鋼闘士も含め、今全て片付け終わった。鋼闘士、都合二十一体分お掃除完了。
うず高く積み重なったスクラップも、ここまでくればなかなか壮観だ。明日の仕事に滞りが無いよう、事前に業者に手を回しておくのが親切かもしれない。
「さて……と」
手頃な鋼闘士に寄って、亀裂をこじ開ける。
注意して内部を観察し、当たりをつけてパーツを一つ引き抜いた。
拳を開いてみれば、スティック状の記録媒体がある。
「エンドアの連中か」
マリオネットにも同様の部品が確認されている。
頑丈なだけで、ろくに容量もとられていない無駄なパーツだ。解析すれば、エンドアの名前だけが出てくるだろう。
要するに、これが奴らの宣戦布告代わりというわけだ。
まずは無言で大暴れし、食い止めて初めて名前がわかる。そのくせ、目的は一向に明かさない。戦争にしてもケンカにしても、まるで礼儀がなっていない。
相変わらず根性が捻くれている。こんな発想が出来るということは、その気になればまともにコミュニケーションもとれるだろうに。
意思の疎通が出来ぬ化物や、和解の余地のない生存競争のほうが、精神衛生上よほどマシな相手だ。
壮馬はメモリを握り潰した。
ほぼ同時に、
「!」
鋼闘士の身元に確証を得るのを待っていたかのように、何かが壮馬の頭上に飛来してきた。
壮馬が飛び退くと、空を切ったそれはアスファルトを砕いて着地する。
轟音が響き、鋼闘士が作るよりも大きなクレーターが一つ作られた。
「チッ、次から次へと。遠慮なしかよ」
迫る破片の流れ弾を受け止める。
埃でできた薄いブラインドの向こうには、スラリと立つ黒い人影。
人型であれど巨人ではなく、むしろ無駄の省かれ均整のとれた細身の肢体の――女。
全身を覆う黒ずくめのボディスーツと、各所に装甲を配した、超科学の産物による強化スーツ。
一見重装備のようだが、身体の線を強調する奇妙な艶めかしさがあった。
表情を窺い知ることはできない。ヘッドパーツに付属するマスクによって、額から顎まで、一分の隙もなく覆われている。
これがエンドア幹部が一、セイナの戦闘形態。
セイナは壮馬に顔を向け、抑揚を抑えた声で語る。
「邪魔者は排除する」
「悪いね、女の子の頼みとあっちゃあ聞いてやりたいとこだけど」
不敵な笑みを浮かべ、壮馬は腕を構えた。
「やれるもんならやってみな、お嬢さん!」
拳と拳が激突する。
セイナの連打をいなしながら、壮馬は機会を図る。
単身挑んできただけあって、鋼闘士よりも遥かに強い。ガードするたびに、腕が痺れる。攻撃の速度も重さも、防御力や技量も段違いで、一筋縄でいく相手ではない。
壮馬とセイナの格闘は続く。
大気を震わせる乱打戦。踏み込みで舗装は砕かれ、余波でビルのガラスが微細に揺れる。
常人ならば、掠っただけで命取りになりかねない程の暴力が、二人の間で巻き起こる。
そしてそれは、今現在殴り合いをしている二人にとっても同じこと。ただでさえ人間離れした応酬だ。少しのミスが、即大事故に繋がることだろう。
いやむしろ、防具を身に付けていない壮馬の方が、条件的には不利かもしれない。
(だが、甘い)
壮馬はセイナの腕を取り、投げ飛ばす。
セイナは空中で姿勢を制御し、着地。間髪入れず、再び迫ってくる。
それに合わせて、
「戦いってのは」
「!?」
「突っ込むだけが能じゃないぜ」
カウンターが、セイナの顔面に叩き込まれた。
たとえ顔を隠し声を抑えようと、感情が挙動に宿っている。
対峙する女戦士は、実力はあっても未熟が勝ちすぎる。これでは拮抗した際に頼れるモノがない。
いかに流れるような華麗な動きだろうと、いかに尋常ではない殺傷力の打撃が振るわれようと、素直すぎる流れはかえって読みやすい。
感情を込めることが悪いのではない。表面を取り繕っているだけで、まるでコントロールできていないというのが問題だ。
その証拠に、依然セイナは一撃もクリーンヒットはしていないが、壮馬はその逆。時間経過とともに、徐々に命中率は上がっている。決定打こそ入っていないが、明暗は分かれつつある。
攻めあぐねたセイナが、僅かに大振りになった。隙を見逃さず、右ストレートを躱すと同時に、空振りした腕を跳ね上げた。
それだけでいい。たったそれだけのことで、ギアを外され空回りを起こす。辛うじて保たれていた均衡が、一気に瓦解し始める。
力量はほぼ把握した。油断ならず、容易く押し切れる相手でもなかったが、正面切っての戦いならば、十中八九負けはない。
(とはいえ、やっぱやり難いなぁ)
最小限の動きで攻撃を受け流しながら、壮馬は困惑する。
敵とはいえ、女を殴るのは、男としてあまり気持ちがいいものではない。叶うならば、物事はやはり穏便に済ませたいものだ。
そんな壮馬の内心など露知らず、セイナは焦りを覚えていた。
今までにも増した速度でラッシュを繰り出すが、狂わされたペースは、そう簡単には戻らない。
否、今のセイナに戻すことはできない。若干ながら、無自覚なパニックを起こしている。むしろ余計な隙を生み出すだけ。
このような場合、冷静さを貫いた者が勝つものだ。
がむしゃらな攻めは、誘いに乗りやすく、そして読みやすい。悉くを捌ききってから、今度は壮馬が攻めに転ずる。
(だが、まあ――)
結局の所、敵ならば容赦する理由はない。もしも情けをかけるとするならば、一通りしばき倒した後だ。
壮馬の攻めは、さらに鋭さを増す。右拳、左拳、続いてさらに右と見せかけてガードを誘い、蹴りを決める。
硬軟織り交ぜた体術を駆使して、体力を削っていく。
両者間が空いた時、セイナは一か八かの賭けに出た。拳で弾幕を作り、力技で強引に情勢をひっくり返そうとするが、それも誘い。壮馬は的確に猛攻を掻い潜って、懐へ飛び込んだ。
いかな暴風雨も、台風の目に入ってしまえば、どうということはない。
時が止まったかのような一瞬の中、女の全身に戦慄が走る。
渾身の一撃が、胸部装甲に目がけて見舞われた。
鉄塊よりも凶悪な拳が、空を裂く速度で叩き込まれる。
咄嗟に腕を組んで受けるセイナ。あわや無防備という際どいタイミングで、ギリギリ直撃を避ける。
「くっ!」
彼女は思わず呻き声を漏らす。
みしりと骨の軋む音、そして激しい衝撃が、セイナの全身を駆け巡った。
辛うじてガードし、両足で踏ん張ったものの、それでも身体ごと飛ばされ、軽く十メートルは地を滑らされた。
「うぅ……っ!」
障害物に背中を打ちつけて、ようやく勢いは止まった。息が詰まる。
背後にはビルの外壁。手形ならぬ背形が、記念碑の如く刻まれた。代わりに手形が刻まれたのは、己の左腕。装甲も破損し、暫くは使い物になりそうにない。
身体を起こしてひき剥がすと、パラパラと破片が落ちる。
気が萎えたわけではない。ダメージは大きいが、まだ続行可能なはずだ。
「――っ!?」
だが力が入らず、思わず崩れかけた。完全に膝が笑っている。
(本当に人間?)
実際に拳を交えてみると、疑問を通り越し、いっそ呆れてくる。
興味本位で見知らぬ相手にケンカを売ったら、えらく痛い目を見た。
単純な戦闘能力にそう大きな差はない様子だが、なぜこうも差が出るのか。経験値か、センスか、あるいはもっと別のものか。表面的な数字だけでは計れない何かがある。
いや、強化スーツも無しに、スペックが互角ということ自体が、そもそもおかしな話ではあるのだが。
殴りつけた男が、当然の結果といわんばかりに、余裕綽々で構えているのがなお忌々しい。
だとしても、不利は否めない。その事実は認めざるを得ないらしい。もう少しこの非常識な男の情報を集めたいところだが、致し方なかろう。
意地を張ってても、己の無事には代えられない。強硬手段に移る。
「どうする。まだやるかい?」
勝利を確信した壮馬が、降伏を勧告してくる。
悔しいが、この男の言うとおり、肉弾戦では勝ち目が無いらしい。
そう。肉弾戦では。
まだ戦いは終わっていない。
壮馬の言葉を無視して、セイナは腰の後ろのホルダーから、鋼闘士の時とは別タイプの金属製のカードを取り出した。指先で空へ向けて投げる。
第二ラウンド、開始。
「――出なさい、プレネガス」
「プレネガス?」
セイナの呼びかけに応え、カードは弾けて消えた。
エンドアの扱う金属カードは、一種の転送装置。セイナの背後で、天空と大地に眩い梯子がかかる。
光が消えた時、ビルと並んでも遜色が無いレベルの巨人が、日中の大通りに出現していた。
「なるほどね。マリオネットか」
さすがの壮馬も苦笑い。いくらなんでも、丸腰はキツそうだ。
今度のタイプは、陸戦に主眼を置いたモノらしい。胸、肩、腕とゴリラのように立派な上半身と、巨木のように安定感のある足腰。それがそのまま、50メートル程度のサイズまで拡大されている。
攻防兼用の装備として、両腕部には巨大な盾がある。肘より先に装着されているが、拳から肩まで広くカバーしている。
真っ黒いボディは、見上げると巨躯に見合った相当な迫力。もしも慣れない者がこの場にいたならば、その姿だけで居竦まること請け合いだった。
つい、とセイナは顎で目の前の男を指す。同時に、巨体が動き出した。
その黒いプレネガスは、足元の“小さい”男を見据えながら、腕を持ち上げた。
「お、おいおい……マジかよ」
「マジ」
即座に肯定。フェアでないなどとの妄言に付き合う謂れはない。命乞いする時間を与えるつもりもない。
躊躇なく、巨拳は叩き込まれる。
周囲に爆音が響き渡った。
大気の震えが収まれば、そこには見るも無残に砕け散った瓦礫と、本日一番のクレーターだけがあった。いかに怪物じみていようと、人間など跡形もないだろう。
遊び心など出さず、最初からこうしていれば良かったのだ。
しかし少々勿体ないという思いもある。終始余裕ぶって癇に障ったが、興味深い素材だったのは事実。
あまり気持ちのいいものではないが、後で死体のサンプル回収くらいしておこうか。肉片の一つくらいは残っているだろう。
そう考えた矢先、
「冗談キツいぜ。こんなん真面目にやってられるかい」
「!?」
声のした方に目をやれば、イタズラ小僧のようにセイナに向けて舌を出す壮馬がいた。
どこにいるかと思えば、プレネガスの腕をよじ登っている。あの一瞬で取りついて、被害を免れたらしい。
プレネガスが叩き落そうとしても、なかなか上手く命中しない。曲芸を演ずるように避けられる。
「チョコマカと……!」
歯ぎしりをするようにセイナが呟いた。
所詮は虫けらのようなもの、一発当たれば終わり。それは確かだ。
だが虫けらを一発で仕留めるのは意外と難しい。ああも密着されては、単純火力はあまり役に立たない。逆に、下手を打てば、自爆して破損する恐れもある。
そういった意味で、あの男にとっては、むしろ地を這いずり回るよりも、安全地帯になっている。
そうこうしているうちに、随分と高い所まで登られてしまった。
「ったく、人一人相手に乱暴すぎるぜ。そっちがそうくるなら、こっちも本番だ」
肩まで到着。
プレネガスの手を掻い潜りながら頭部を蹴って、ビルの屋上――の、フェンスの上に飛び移る。
これで壮馬の視線の高さは、プレネガスと同じになった。
セイナは息を呑む。そんなことで大きさのハンデが克服されたわけではない。なのにこの自信は何だ。
「貴方、何者?」
今更ながら、彼女は問う。
「つれないこと言うなって。何度かやり合ってるはずだろ」
「?」
「ほぅら来た」
男の親指で“そちら”が指された。
「あれは――!」
壮馬の示した先。大通りから見える開けた空。その彼方に二つの光点があった。
猛スピードで迫るそれは、程なくカタチとして視認できるようになる。
鳥や翼竜と見紛う複雑なディテールを持った、二機の大型戦闘機。
セイナには見覚えがあった。
ラインも、リオルフも、そして自分も、大なり小なり苦汁を舐めさせられた憎き宿敵。
前を往く一機に向かって壮馬は叫ぶ。
我が物顔で大空を舞う怪鳥、その名は――、
「ドラストクラウン!」
Gドラの代理投下は終了。続いてXガードナー四話の代理投下を開始いたします。
一瞬、頭が真っ白になる。シュートは再び立ち上がり、もう一度仕掛ける。
何度も、何度も、殴り掛かろうとする。が、その拳は空を切るばかり。そして、分かったことがある。
(早いッ…!?何でだ?!)
この“眼”でしっかりと見据えている。シュートだけが見えるスローモーションの世界。だが、それよりも数段速く青年が動く。
「…グッゥ!!」
シュートの腹部に熱い衝撃。こみ上げてくる物があるが必死で飲み込む。脂汗が止まらない、威圧感、圧倒的差。苦悶の表情で睨む。
「…コノォ…ウッ?!」
いつの間にか青年の指が、シュートの眼の前にあった。あと少し動いていたら突き刺される所だった。
「不思議な顔をしているな」
氷の様な声が耳を通る。
「…俺も“眼”を矯正している」
腰から崩れ落ちるシュート。それにルーナが駆け寄る。
「この眼…“アルターアイ”は動態視力、反射神経、思考・判断力の強化。それを持つ者同士が戦えばどうなる?」
シュートの耳の側まで来る。
「技術の差だ」
決定的。あきらかな差がそこにはあった。
「ただ戦術があろうが、それを生かす戦略が無いと意味がない…分かるか?」
図星すぎて言葉も出なかった。
サイバ・ドール 十八歳
元統連軍極東方面第三独立愚連隊ブライトス小隊所属
十歳で士官学校に入学、十二で卒業しすぐ実戦投入、十四で少尉に就任
一年前、核の護送任務中に兵器が謎の爆発、それより周辺地域に多大な被害が起こる
サイバ・ドールは唯一の生き残り
シュートは医務室で手当を受けた後、ブリッジにてサイバの事を聞いていた。
「…と、こんな感じでしょうか」
副長のグラン・バールが説明を終える。
「シュートが出ていったのと入れ違いで来たんだけど、まさか、あんな事になるなんて…」
ルーナが心配そうに見る。
「俺のせいじゃない。あっちが勝手に勘違いしただけだし。それに俺は俺だ!親を持ち出すなって話だ」
シュートはくせっ毛の髪を掻きむしる。
「あらまぁ坊ちゃんお冠だねぇ」
「んだとゴラァッ!」
ライドがまた、いらない所で突っかかる。これは直らない性分だ。
「ちょっと、こんな所でまで喧嘩なんかしないでよ!」
その中にルーナが交わる。さらにグランや操舵士、索敵士が止めに入るがもう収集が付かない。
けたたましい音が艦内に響きわたる。
「後方に追尾する艦を確認」
一人参加しなかった通信士サラーが淡々と伝える。
「敵艦を黙視で確認」
月明かりに飛行する光る銀色の艦の後方に、鋭角なシルエットをした紅い戦艦<ファルシオン>。通信士の声を聞きビーク・トライバは拳を握り締めた。
「艦長、私を拾っていただきありがとうございます」
「なぁに、気にする事はない。君も苦労したんだろう?今日ぐらい休んだらどうだね」
「いえ、今を逃せば次がいつ来るかは分かりません。ならば今がチャンスなのです。それに夜戦は得意です」
「…それにしても、あのガードナー隊がかね?」
艦長が訝しげに聞く。
「“剣と翼の生えた盾のエンブレム”…間違いありません」
「報告では五年前のスフィア落としで壊滅したと聞いたんだがな…」
近年まれに見る激戦だった。廃棄されていた球体型コロニー“スフィア”が太平洋上に墜落。水位上昇による津波、破片が世界各地に飛来、地球軍に大打撃を与えた。
任務に当たったWガードナー隊はスフィア破壊任務を受けていたが失敗、隊員は行方知れずとなった。
「なんであれ驚異になる前に潰しておく事に損はありません」
「そうだな…各員戦闘配備!」
(隊長…必ず私が仇を取ります)
ビークは火星式の敬礼をする。
「我が烈火なる母星の為に…!」
代理投下、完了です。支援ありがとうございました!
書き溜めている最中の本編よりも先に外伝を土日のどちらかで投下します。
マニアックかつ専門用語出てきますけど平にご容赦を。
ちなみにまだロボは出ません。オッサンと兄貴しか出ません。
了解しました、心待ちにしておりますw
452 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/30(金) 22:49:28 ID:HqxYbge5
ロボスレなのにアップローダーが…
しかし、避難所の盛り上がり具合は見てるとあっちが本スレな気がするから困るw
みんな規制なんだなw
本スレが誰もいないと不安になるぜ(´・ω・‘)
……今ならやりたい放題できるか
何かこう
この間に作品を投下しまくって
自分色に染め上げるとかも出来るんだよな
そう思うとちょっとやる気が湧いてくるのは歪んでるだろうか
うわああああ予告したけど一向に書き終わらないよぉぉぉ
兄貴とオッサンしか出てこないと予告したけど、欲望に負けて姐御キャラが出ます。
百合も変態成分もなくて、代わりにミリタリーなんですけど…むしろそのほうがいいのか。
459 :
バイラム:2009/11/02(月) 22:25:31 ID:Mjihcjfo
多少は規制解除されていると思うのに誰も書き込まない…
とりあえずネルソンの設定だけでも…
・ネルソン 全長23メートル、基本重量91トン
基本兵装はロングライフル、マシンガン、ガトリングガン、ブロードソード
最高速度はジャンボジェットより少し速い時速320KM
ユニオンが開発した汎用パンツァーモービル。
性能は他の勢力より若干低いがコストパフォーマンスに優れている
ユニオンは電子機器の面が強いので多数の無人機を配備しすることが可能
そのおかげでユニオンの軍事費は安く、別の所に力を入れられている。
カラーリングは量産の緑と青でいわゆる量産カラー
みんな書くのが早いな…
なんか置いていかれそうです…
NEOと村正読んでるせいか筆進まない(´・ω・`)
そろそろ規制終わってるのも多いはずなのにこっち人いないとかw
規制解除?
というわけで私は帰ってきたァァァァッ!
イィィィイヤッフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!
ヒァウィゴー!
466 :
仮免ライダー:2009/11/03(火) 23:10:26 ID:8IbIPmbq
解除デス
ですよねー
でもなんやかんやで結局は壊滅状態でしたねー。
だねぇ
現状まだ規制解除されてない人もいるし、しばらくは避難所との並列進行かね
さてさて、予告通りPBM! 10話前編を投下いたしますー。
「まったく、派手に暴れてくれたもんだな」
真っ二つになった一ツ目に腰を下ろして空を見上げていた紳士に、黒髪黒スーツの青年が馴れ馴れしく話し掛けた。シュンスケ君だ。
「これ、全部お前がやったのか?」
倒れたモヒカンとオートマタ達を指すシュンスケ君の問いに紳士はゆっくり首を振る。
「いいや、やったのは彼女達だよ、ロバ」
紳士の答えを聞いて、シュンスケ君――――否、フランキ・ロバートソンは目を丸くした。機械人形のほうはともかく、あんな小さな少女のどこにそんな力があるというのだ。
「おいおい、冗談だろ?」
「私が冗談を言うと思うのかね?」
「むしろ冗談しか言わないタイプだろうが。つかいつまで紳士気取ってる気だ、気色悪い」
暴言を浴びせられても、しかし紳士は怯まない。
「それは心外だな、シュンスケ君。私はずっと昔から紳士だよ。そしてこれからもね」
「だーかーら! ……ああクソ、もういい。ところで件の遥ちゃん達は?」
すると紳士は白いステッキを森の方へ向けて、
「モヒカンの残党を追って林道の方に行ったよ」
「林道の方、ねぇ……敷地の外に出なきゃいいんだが」
スーツの裏ポケットから禁煙パイポを取り出してくわえる。表情は険しい。
「何かあるのかね?」
「ああ、最近な……この辺に出るようになったんだよ」
「出る……というと何が?」
するとフランキ・ロバートソンが再び口を開く。いくばくかの間を置いて。
「機械人形殺し、だ」
パラベラム!
Episode 10:黒×黒×黒〜騎士とウサギと狂戦士〜
道を外れ、そびえ立つ針葉樹の間にて、睨み合う黒と黒。
一触即発のにらめっこ。
お互い無手だ、武器はない。
リヒターが腕を使った攻撃を好むのに対して、ヘーシェンタイプは基本的に足技が得意。手数ではリヒター、リーチでは黒いヘーシェンが得意といったところだろうか。
しかし問題は、リヒターが連戦で消耗しているという点だ。マナの残量も少なく、あまり時間をかける事はできない。……スペック上でならともかく、現状では圧倒的にリヒターが不利であった。
焦燥が、心を蝕む。
なんにせよ、このまま時間を空費するわけにはいかない。ならば――――
先手、必勝!
前方へ最大出力でブースト。瞬時に加速した巨大な質量の塊が、黒いウサギに襲い掛かるが、黒ウサギは瞬時に逆関節モードに変形して高く高く跳躍、回避と同時に後退し、距離を離す。
――――こちらの状態を読まれているのか……?
だとしたらこれは面倒な事になった。マスターを頼る事ができない以上、持久戦に持ち込まれれば勝ち目はゼロだ。
迂闊だった。
マスターの言う通りにしていれば、こんな事にはならなかったというのに――――
♪ ♪ ♪
なんだなんだ、楽勝じゃん。
クロ――――シュヴァルツが心中でほくそ笑む。
ちょっと策を弄しただけでこれだ。武器も無いようだし、なんであの馬鹿猫はこんなのにやられたのやら。
ステップ、ステップ、ステップ。迫る貫手のことごとくを回避。逃げるが勝ちだ、攻撃はしない。
<あははははっ! 随分とちょろいじゃない、リヒター・ペネトレイター!>
挑発、しかし反応はない。……いや、一撃一撃に本格的に焦りが見え始めた。
――――ふふっ、焦ってる焦ってる……ん?
<マナの匂い?>
<……! いけません、マスター!>
ちらりと一瞥すると、そこには地面に手を置く三つ編みの少女……なるほど、チャージね。
どうやら焦っているのは目の前の黒騎士だけではなかったようだ。ならば!
<出番よ、あんた達!>
「待ってたぜ、この時をよォ!」
「あいつらの仇だ、覚悟しろこのガキィ!」
飛び出した悪党二人が、遥に襲い掛かった。
♪ ♪ ♪
モヒカンコンビが勢い良く遥に襲い掛かる。万事休すか、リヒターがそう思った、その時。
「待ってましたっ!」
「な!?」
「に!?」
地面に置いてあった手で掴んだ砂を思い切り悪党二人に投げ付ける。――――そう、今のはブラフだったのだ。本当はチャージなどこれっぽっちもしようとしていない、ただマナを放出していただけだ。
「へぁぁぁぁぁ! 目がぁぁぁぁぁ!?」
「り、リーダー!」
モヒカンリーダーの目に砂が入ったようで、目を押さえて目茶苦茶に暴れ回る。
「ちくしょう、このガキよくもリーダーを!」
いや「よくも」って……砂が目に入っただけじゃん。
あれはただのオーバーリアクションだ、多分。
馬鹿の一つ覚えのように真正面から殴り掛かってきたモヒカン七号の拳を捌いて引っ掛け、脇を潜って、
「鉄山靠っ!」
体当たり。
「ごぶっ!」
続いて倒れた七号に馬乗りになった後、腕と身体を両足で挟んで固定し、
「腕挫十字固っ!」
ぱきぱきぱきぱき。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
逃げようとすればする程、関節は極まっていく。そして、
「成敗!」
ぽきょっ。
「あふん」
モヒカン七号、昇天。
そしてすぐに七号の側から離脱、目を潰されたモヒカンリーダーを目標に据える。
木々の間を縫うように接近、跳躍、回し蹴り。モヒカンリーダーが「ぐぇ」という短い呻きを発すると同時にもんどり打って吹っ飛んだ。
「なーんだ、随分とちょろいじゃない、この人達っ!」
負けず嫌いの遥、意趣返しとして黒いウサギに大声で告げた。
♪ ♪ ♪
「なーんだ、随分とちょろいじゃない、この人達っ!」
三つ編みの少女はわざとらしく叫ぶと、リヒターに向けてウインクした後、
「もうこっちは大丈夫だから、心配しないで!」
遥が小さな手を天に掲げ、地面を叩いた。
それと同時に力が漲る、マナが巡る。遥がマナをチャージしてくれたのだ。
<脆弱な人間のくせに……!>
それを見た黒いヘーシェンが苦虫を噛み潰したような声で吐き捨てる。
<マスターは弱くなどない>
――――そう、彼女はむしろ、私よりもよっぽど強い。
思い返せば自分なんかむしろ助けられてばかり。そんな体たらくで何が騎士だ、何が賢者の石を護るだ、情けない。
リヒターの闘争心に火が点いた。天に向かってうねる、巨大な炎が。
負けたくない、負けていられない。紅い双眸が輝きを増す。
<はぁ? あんた何>
「チャージ完了! リヒター! おもいっきりやんなさい!」
黒いウサギの言葉を遮って満面の笑顔でサムズアップする遥に、リヒターが返す。
<イエス・マイマスター!>
――――今までに無いくらい、はっきりとした声で。
♪ ♪ ♪
森の中を、まるで獲物を求めるかのような獰猛さで黒い人型が駆ける。
敵はどこだ、敵はどこだ、敵はどこだ。
飢えた猛獣のような獰猛さで、黒い人型が駆ける。
敵はどこだ、敵はどこだ、俺の敵はどこだ。
そのおり、遠方から鋼と鋼がぶつかり合う音、マナの匂い。
――――そこか。
獲物を見つけた黒い狂戦士が、残酷な笑みを浮かべた。
♪ ♪ ♪
黒い騎士が強く辺りの土を蹴って走りだした。マナが満ち足りているせいか、はたまた心が満ち足りているせいか、身体がいつもより軽く感じる。いつもより早く、自在に動ける。
相手が反応するよりも早く、跳び回し蹴りを繰り出す。マスターがやったのと同じように。
<ぐぅっ!>
黒ウサギはそれを何とか腕で防御するも、受け止めきれずに吹き飛ばされる。
着地、制動、地面がえぐれる。
追撃。
右で肘打ち、裏拳。続けざまに左で正拳。
立て続けに攻撃を喰らい、よろめいたウサギに体当たり。煙を巻き上げて細い木や枝をへし折りながら突き進み、やがて止まる。
マウントポジション。これならいつでもとどめを刺す事ができる。が、
<貴様に聞きたい事がある>
<何よ? 言っとくけどあたしは何も喋らないわよ。むしろ一思いにやんなさいよ、さあ!>
そう言う黒いヘーシェンの声は震えていた。強がりなのは明白……ならば。
<賢者の石の情報はどこで手に入れた>
<だ、だから、何も喋らないって>
<答えなければ、四肢を切断して野良の餌にする>
黒いウサギがひっ、と息を飲んだ。あと一押し。無言でダガーを作り出して右腕に突き付ける。
<うっ、ひっ、ひぐっ……>
すると黒いウサギが泣き出した。……少しやりすぎただろうか。リヒター、ちょっと狼狽。
<答えれば、何もしないぞ>
<……ほんと?>
しゃくり上げながら聞く声はか弱い少女そのものだ。
リヒターはその問いに無言で首を縦に振った。
<……わかった、話す。だからその手どけて、お願い>
リヒターが言われた通り手を離す。と、
<かかったなアホが!>
黒ウサギがリヒターの身体を思い切り跳ね上げ、バランスが崩れたところを一気に脱出する。そして逆関節モードに変型し、跳躍。
<とんだお人よしの天然ボケね、お・ば・か・さん!>
膝のカバーを開け、中から棒手裏剣を取り出し、打つ。名前の通り棒状のそれはリヒターの装甲に穴を穿つ事叶わず弾かれる。が、
<ばぁくはぁつ!>
かわいらしい声を合図に閃光と爆音。リヒターがそれをもろに喰らって怯む。カメラと棒手裏剣を弾いた左腕部にダメージ。左手は人差し指と中指の第二関節から先が消失し、カメラは回復までに数秒を要す。
――――幼い声にしてやられた。
そもそも相手はトリックスターとすら言われるヘーシェンタイプだ、何か企んでいても不思議ではないというか、こちらにもひとりトリックスターがいるではないか。
彼女の普段の態度や行動から逆算すればある程度は推測できる……といってもやはり個体差というのはあるもので、ひょっとすると素直な性格のヘーシェンだっているかも知れな
<隙ありっ!>
膝のカバーから今度は高周波ナイフを取り出すと、ジグザグのステップで接近。飛び掛かると同時に、動きを止めたリヒターの腹部にそれが突き刺さる。
装甲を切り裂く甲高い騒音はまるで絶叫、飛び散る火花はまるで鮮血。
だが超高密度のマナによってコーティングされたリヒターの装甲にはなかなかダメージが通らない。それならば、とウサギがナイフを押し込む腕に力を込めた。
尖端が装甲に食い込み始めたその時、突然シュヴァルツが跳び退いた。
<……!? なんでこんなタイミングで!>
耳のようなレーダーをぴこぴこ動かしながら悪態をつく。
何かいるのか、それともブラフか。警戒しつつ、リヒターもレーダーで辺りを探る。
オートマタはいない。だが、接近する人間サイズの反応がひとつ。
<何だ、これは……!>
ただの人間にしては速い、速過ぎる。
<“機械人形殺し”よ。あたしは死にたくないから撤退するわ。今日のところは見逃してあげる。じゃあ……ねッ!?>
黒ウサギが脚部を逆関節に変形、跳躍しようと屈んだ刹那、ワイヤーがその脚部に絡み付いた。バランスを崩した黒ウサギがそのまま派手にずっこける。
<ちょ……嘘!? なんて馬鹿力なのよ!?>
いくら小柄なヘーシェンタイプといえども、重量は軽くはないし、ジャンプ力だって平均値を軽く上回る。発生するエネルギーは人間サイズでどうこうできるレベルではない。
だが、それはやってのけたのだ。今しがた眼前に現れた、それは。
<見つけたぞ、俺の敵を>
くぐもった声が林道に響く。
声を発したのは、漆黒の狂戦士。
黒衣を纏った、仮面の戦士。
リヒターは一瞬、彼の姿を鏡に写った自分自身だと錯覚した。それ程までに似過ぎている。細部は違えど、シルエットはまるでリヒターをそのままダウンサイジングしたかのようだ。
大まかな相違点は、リヒターよりも軽装である事、腰のバックルにある真紅の宝石と、そこから全身に走る血管のような赤いライン。
中に人が入っているのだろうか、生物的な印象を受けるラインもそうだろう。
“機械人形殺し”はワイヤーを巻き取ってから、黒騎士に向けてこう言った。
<見つけたぞ――――ブリューナク。我が半身よ>
ふぅ、これにて10話前編投下完了です。え? 展開が無理矢理? いつもの事ですよフゥハハァ。
とりあえずアレです、“機械人形殺し”の外見の描写がハクタカと同じじゃねーか、ってのは多分偶然ですよはははははは。
偶然じゃないなら多分乾巧って奴のせいです。555のフォトンブラッドを参考しにしてるので。
それにしても、やっと10話目か……スレはもう15機目だというのに、不甲斐無い……!
× 参考しにしてる
○ 参考にしてる
こんな誤字をやらかす僕は……ヒトデだぁ……っ!
あ、あと“機械(ryのワイヤーはDTBから強い影響を(ry
>>477 投下乙です
オートマタの動きの速さが凄い!へーシェンタイプの俊敏な描写、惹かれますなぁ。続きが気になる謎展開もナイスで先が楽しみでございます。
連載10回突破おめでとう♪
>>477 乙です
十回おめです!
仮面の戦士で黒思い出したら、ワイヤー出てきて何故か爆笑してしまいましたw
にしても機械人形殺しの正体が気になりますな〜
>不甲斐ない
古参とか言われながらまだ一章すら終わってない俺は(´・ω・‘)
CR後編執筆始めました
昨日、テンション高すぎたせいか筆が進み
前置きで4000字使ってしまい、没にしようか凄い悩んでいる最中ですw
今回は書くこと多いので前回より長くなるかな、戦闘成分は流れよりも派手さのが重視されているという
自分の中では珍しい感じになる予定なのでこうご期待
ちょっと私用で留守にしてたら感想いっぱいきてるー!? Σ(゚Д゚;)
>>478-480 うひゃあ、ありがとうございます!
では個別にレス返をばー。
>>478 序盤のサイクロプスとの戦闘でへーちゃん(白)の長所をあまり描けなかったので、今回は黒いほうで思いっ切りやろうかと思いまして……それでも不完全燃焼な感じが拭えませんけどw
そろそろ徒手で戦わせるのやめよっカナー。
>>479 だってワイヤーアクションとか好きだからー! 黒<ヘイ>さんの戦い方はかなりツボです。でも猫<マオ>さんはもっとツボです。
ちなみに蘇芳が三つ編みでヒャッハー! したのも私だ。
>機械人形殺しの正体
三通りくらい用意してありますが、さてさてどれにしようかしらw
>古参とか言われながらまだ一章すら終わってない俺は(´・ω・‘)
貴方にはシャドウミラージュもあるではないですか(`・ω・´)
>戦闘成分は流れよりも派手さのが重視されているという
>自分の中では珍しい感じになる予定なのでこうご期待
これは期待せざるを得ない! リベジオンが本格的に戦うのは初めてなので楽しみにしてますw
>>480 展開がシリアスっぽいのは、多分某白ウ詐欺がいないからかとw ええ、クロちゃんはけっこう真面目な娘なんです。
あと機械人形殺しの件。ぶっちゃけハクタカが登場した時、想像してた機械人形殺しの外見と目茶苦茶被ってたので冷や汗ダラダラでしたがあえて登場を強行! 最初から予定にあったんだから仕方ないね!
>記念に何かしようかなぁw
はい! 是非とも「何かして」くださ
レイヴン、ワタシハナニカ、サレタヨウダ……。
>ロゴ
投下乙です! 一瞬ヴィルティック少女って何だ!? と思ってしまった僕は……ヒトデだぁ……っ!
しかし本当に増えましたね、みっちりぎっしりじゃないですかw
規制解除された?
本スレよ!私は帰ってきた!!w
お帰りなさいませー。歓迎しよう……盛大にな!
一昨日、超格好良い殺陣を思いついたが
それを書けるシーンまでいくのが長すぎるというジレンマが俺の胸中を支配してたまらん・・・orz
ぃぃいやったぁぁああ規制解除されたぁぁぁあああ!
test
ヒャッハー!規制解除だぜぇ!!
てす
てすと
規制ときいて
見直し完了、投下開始します。
鋼殻牙龍ドラグリヲ 第6話 王の力、人の覚悟
王は喜び、そして猛っていた。
これ程にまでに血が滾るのは何年ぶりだろうか。
自らの領土を作り上げる為、妃と共に醜き虫ケラ共を焼き払い、粉砕し、喰い千切って来た時も、この様な興奮を得られる事は無かった。
“だが…今の高揚感は何であろう……”
視線は目の前にいる見た事がない姿をした銀色の羽根の無い龍に注がれる。
小さいながらも背を向けて逃げだそうとせず、そればかりか自ら恐れずに立ち向かって来た。
“面白い…!”
竜はその無謀とも言うべき勇気を見せた者に感嘆し、そして興味を持った。
指の関節をバキバキと鳴らし、呼吸を整える。
すると周辺の温度が劇的に下がってゆく。
軽く燃やしてしまっては面白くもない、長く持って貰わねばつまらない。
“覚悟はよいか…ゆくぞ小僧……!”
王は、今いるこの空洞が崩れんとばかりに咆哮した。
そして鱗の間からスラスター代わりに細かく強い炎を噴出し、一気に加速する。
巨大な体躯に似つかわしく無い速度で接近した竜は、銀蜥蜴に向かってその強靭な拳を振り下ろした。
……………
ナノマシンを介して機体と完全に同調した僕に、その拳を避ける事は難儀な事では無かった。
「遅い」
腰の筋肉と連動し肩が後ろに下がった瞬間、タイミングを見計らって一気に後方へと飛び下がる。
踏み砕かれた地面に竜の拳が振り下ろされ巨大な穴が開き、爆炎が巻き起こる。
そしてその穴がみるみるうちに融解し、更に大きな穴が開く。
炎の陰に隠れ、アチラ側から此方の様子が見えなくなった時、僕は仕掛けた。
「全砲門解放、貫徹榴拡散弾装填…!」
『了解、指定砲弾装填…、冷却装置アイドリング開始。』
口と腕の装甲が大きく展開され、砲口が竜を狙う、そして竜の姿が炎の陰からチラリと見えた瞬間、閃光が迸り黒煙と火薬の爆発で生じた炎を纏い、弾丸が撃ち出された。
放たれた砲弾は赤き竜を貫かんと空を引き裂く甲高い音を立て、飛翔する。
{グオオオオオオ!!}
しかし竜の気迫と共に発された“熱膜”により、全ての弾が忽ち液状化し、そして気体へと還っていった。
その蒸気の向こうで竜が“余裕だ”とばかりに指を振る。
「チィ…このチート野郎が!!」
相手の余りに狂った能力に思わず悪態を付く。
竜は今度は此方の番だと言わんが如く、その場で拳を振り被って腰を捻り、突き出した。
銀蜥蜴との間合いは遠く離れているにも関わらずである。
――――何をした…?一瞬僕は戸惑った。
その瞬間、突き出された拳の先から高熱を纏った衝撃波が解き放たれ、大気を震わせ地面を溶かしながら迫る。
「何ぃ!!?」
地面の僅かな起伏を蹴り飛ばして衝撃波の進行ルートから急いで退避した。
衝撃波は轟音を立てながら進み、僕らの立っていた所を削り溶かし呑み込んでゆく、それでも勢いは衰える事無くそのまま闇の中へと消えていった。
しばらく静寂がこの場を支配する。
そして竜が指を鳴らす、その瞬間遥か向こうで閃光が奔った。
「んだと……!?」
その直後地面を揺るがす大爆発が起き、僕らは衝撃波で吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。
衝撃でモニターの表示が揺らぎ、全身の鱗状装甲が噛み合い悲鳴を上げる。
「…チィ……ふざけた攻撃しやがって……!」
壁に叩きつけられた瞬間、腰と背中に渡って強い痛みが奔った、口元から血が滲み出る。
機体と自らの神経を完全に融合させ、性能を大幅に引き上げる代償として、全ての痛覚を自らの身に引き受けなければならない。
それがバーサークモードの最大にして唯一の欠点だった。
『大丈夫ですか……ユーザー……?』
カルマが僕の身を案じるかのように声を掛けてくる。
ホログラム体だと負荷が重くなる為か、モニターの隅っこから小さく顔を出して話しかけてきた。
「大丈夫だ…お前が何時もその身で味わっている事を…代わりにやってるだけだから……!」
めり込んだ躯を壁から抜きながら答える。
竜はその様子を腕を組みながら退屈そうに眺めていた、そして再び拳を構え先ほどと同じ挑発をする。
それと同時に体躯を覆っていた“熱膜”が消え、竜の姿がハッキリと見えてきた。
「接近戦で来いってか?……上等だ…やってやる…やってやるよおぉ!!!」
[ヴォオオオアアアアアアアアアアア!!!]
先ほどの竜の雄叫びにも負けじと、銀蜥蜴も高らかと吠え声を上げる。
そして全身全霊の力を逆関節の足に込め、一気に解放する。その瞬間、弾かれたように急加速し竜の懐へと駆け出していた。
地面が踏み砕かれ砂が宙を舞い、小石が高く蹴り上げられる。
「ウォオアアアア!!」
その小さな小石が目の前を真上に飛んで行った瞬間、僕は竜に向かって躍りかかった。
最上段、中段、蹴り、身を翻してからの突き、そして突き出された腕からの砲撃と連続で攻撃を繋げる。
爪が宙を閃く度に空気を引き裂く鋭い音が響き、打ちつけられる
{グゥンッ!!!}
だが竜はそれを全て、適切で無駄の無い素早い動きで受け止めた。
金属音が前途の音に対極するように鈍く鳴り、腕が素早く大きく動きまわる。
爪が突き刺さった部分の鱗がパラパラと落ちるが爪を抜く度に瞬く間に再生し、元通りとなる。
「…!……コイツ…!!」
愚痴っている暇は無かった、すぐさまカウンターで高熱を纏った掌底が放たれる。
掌からは青白い炎が噴き出し、焼き尽くさんと迫ってくる。
(当てられたら終わる…!)
ただのパンチの空振りから発された衝撃波の威力を脳裏に浮かべながら、躯を捩って避けた。
避けた瞬間一番近かった部位が火に触れたように熱くなるのを感じ、そのまま一気に距離を離す。
その時、ようやく宙を舞っていた小石がパラパラと落ちてくる。
傍から見ればほんの数秒の内に起こった出来事だろうが、今の僕には数時間にも及ぶような長い時間に感じられた。
「真正面からは埒が明かないか……だったら…こうされたらどうだ!?」
再び竜の懐へと飛び込み、軽く二三発突きを入れワザと防がせる。
その後、カウンターで今度は拳骨が大振りで振り下ろされる。
「今ッ!」
体を僅かに低くして拳をかわし、その隙を突いて再生されたネイルアンカーを竜の肩に打ち込むと同時に巻き上げ、素早く背後に回り、巨大な翼を掴んで背中にしっかとしがみ付いた
組みつくと同時に肉が焼ける程の熱が全身に纏わり付く。
「あっづ…………!」
だがこれで怯む訳にはいかない、熱気に耐え徐に爪を振り上げる。
「喰らえ!!」
闇の中、白銀の爪が閃き、背中の甲殻を引き裂かんと突き立てられた。
ガッキと音を立て、しっかりとした手応えを感じる、甲殻を深く貫通し肉に近い部分まで突き通せた事を確信する。
「もう一撃!!」
もう一発同じ所を刺せばダメージが通るだろう、そう思い急いで爪を引き抜いた。
だが、その瞬間思わぬ事が起きた。
刺されて穴が開いた箇所から凄まじい勢いで蒸気が噴き出し、アイカメラを直撃する。
「な…!?」
モニターが水蒸気で見えなくなり、自身の目も爛れるような痛みにさらされた。
「ぁああ゛あ゛!!」
思わず一瞬手を離し、目を閉じる。
その一瞬だった。
『避けて!!』
カルマが耳元で急かす様に必死に叫ぶ。
痛みに負けずに急いで目を開くと、目の前に竜の裏拳が急速に迫っていた。
「!!!」
このまま当てられたら死ぬ、本能的にそう察知した僕は咄嗟に両腕を盾代わりに顔の先へと突き出す。
だがそれでも全てを受け止める事は出来なかった。
竜の裏拳をマトモに受け止めた瞬間、両腕が消炭となり吹き飛ばされ、頭から地面へと落とされた。
両腕を焼かれ、皮を剥がれた様な痛みが襲う。
「うわあぁぁ!!……畜生…!畜生……!!!」
必死に歯を食いしばりながら痛みに耐える。
唾液と血とが混じり合い、止めどなく口の端から赤い液体が流れる。
腕が無くなり、如何し様も無くなった今になっても地面に躯を押し付けながら必死に立とうと画策し、
しばらく地面を芋虫の様に醜く、砂だらけになって這い回る。
遠くから、ゆっくりと、確実に竜が足音を立て迫ってくる。
恐らくトドメを刺すつもりなのだろう。
腕が真っ赤に白熱した後、青白く燃え上がったのを見て、そう悟った。
「終われない……終われるか…!こんな……所でぇ!!」
四苦八苦しながら何とか立ち上がり、竜を睨み付ける。
鱗の間に挟まった砂埃がハラハラと落ち、硬い地面を軽く叩く。
尻尾で思い切り地面をブッ叩き、鱗を逆立て威嚇を試みる。
だが竜の歩みは止まらない、このまま何もしなければ間違いなく僕は死ぬ。
やるしかない………。
僕は覚悟を決めた。
今の自分に残された最後の武器を使う事を…
最強にして最悪の両刃の剣を
全てを呑み込み、焼き尽くし消し去る滅びの光を
「カルマ…“ブレス”……頼めるか?」
『……いいえと言っても無理にでも丸めこんで撃たせるつもりでしょう?』
彼女は僕の考えを見透かすように答える。
「あ……えーと…それは……。」
『分かってます、私もこんな所でスクラップに何かなりたくありませんからね。』
彼女の普段とは打って変って凛とした声が、コックピット内に響き渡る。
「……頼む。」
『了解……“ブレス”発射体勢に移行……』
脚の装甲の透き間からスパイクが飛び出し、地面深く貫く。
『口内砲撃機構補修開始…圧縮粒子封入弾装填……緊急冷却装置稼働…撃鉄生成完了!』
口が開き、全身の装甲が大きく解放される。
装甲の下に隠された大量の人工筋肉の合間から高温の蒸気が噴き出し、凄まじい勢いで機体が冷えてゆく。
コックピットの中も巨大な冷凍庫の中に放り込まれたかのように冷えてゆく。
だが…それと相反するように、僕の血潮と心は熱く滾っていた。
口内のリボルバー状の装弾機構に不気味に輝く弾丸が装填され、光が口の継ぎ目から漏れ始める。
{グルルルルルルルル…?………!!}
竜は突如として歩みを止めた。
いぶかしむ暇も無い内に、間合いを大きく開らき、その巨大な翼を大きく広げ、嬉しそうな雄叫びを上げた。
{グオオオオオオオオオオオオオオォォォォ!!!}
そして息を大きく吸い込み、再び陽炎を立て始める。
どうやら僕らが何をしようとしているか悟ったらしく、そして自らも同じ攻撃で迎え撃とうと考えたらしい。
前方の空間の温度が凄まじい勢いで上昇する。
竜の体表を紅い炎が包み込み、その後、口の中にその炎が集束されていく
「最後だ…!これで!!!」
装甲の上を流れる紅いラインが、脈動するように点滅しさらに激しい光を放つ。
覚悟は決まった。
「撃てッ!!」
『承認確認…!“ブレス”…!発射!!』
撃鉄が弾丸を叩く、その瞬間、爆音と衝撃と共にこの空間を隅々まで照らすような凄まじい光が撃ち出された。
コックピット内部が先ほど竜に組み付いた時とは比べ物にならない程の熱に包まれる。
「くぉおおおおおおおおおあああああああ!!!」
肉が、皮膚が、神経が焼けるような感覚が全身を包む。
その痛みは通常モード時に発射した時の痛みとは比べ物にならない程、苦しい物だった。
だがそれでも、意識を必死に保つ。
{グオオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアァァァ!!!}
“ブレス”が発射されると同時に竜の口からも、血の様に赤黒い熱線を発せられた。
青白い光と赤黒い光がぶつかり合い、巨大な閃光が迸る。
衝撃で装甲が剥げ、一瞬発生した恒星を超える熱量によって周囲一体が融解する。
「ウオオオオオオオオオオオオァアァァァァアアアアア!!!」
意識を飛ばさぬよう、全身全霊を込めて叫ぶ。
ぶつかり合うエネルギー量が増すにつれて、閃光はドンドンと大きくなってゆく。
そして遂に訪れる臨界。
周囲一帯を吹き飛ばすような凄まじい爆炎が、この空洞の全てを包み込んだ。
機体がその爆炎に晒され、装甲が筋肉が抉り取られてゆく。
最後に頭部パーツが消し飛んだ瞬間、今まで痛みを受け止めていた神経が限界を迎えた。
「…ガ……ァ………ぁ……………………。」
その途端、視界が急速に暗くなっていく、張り詰めていた神経が緩むのを感じ、全身から力が抜ける。
意識が…全てが虚無に呑み込まれていく。
もう何も見えない、何も聞こえない、何も感じない。
そして何もかも動かなくなった、指先も、眼球も、内蔵器官も何もかもが
『え…そんな……嘘……ですよね……冗談…ですよね?ユーザー……?』
機体の調節に没頭していたカルマは呻き声が聞こえなくなったのを不審に思い、コックピット内に視点を戻し、
生体反応を発しなくなった雪兎の姿を見て愕然とした。
すぐさま、ありったけの応急処置を施すが、蘇生する様子を全く見せなかった。
『イヤ……そんなの…嫌…!御願い…!返事をして!ユーザー…!ユーザァァァァァアアアア!!!』
カルマの悲痛な慟哭が、動く物の無くなったコックピット内に響き渡り、彼女の意思は絶望の渦中へと放り込まれた。
だが、その時彼女は気付いてはいなかった。
雪兎の体内にから発せられる、一つのとても小さな生体反応に…………
遅ればせながら支援いたします!
投下完了です。
支援はありませんでしたが、規制に引っ掛からず投下する事が出来ました。
お話はちゃ〜んと続きますのでご心配無く。
最近忙しくて時間が無いです…
誰か一日を36時間にしてくれないでしょうか……。
間に合わなかったか……orz
>>500 投下乙です! 文字通り熱い戦い、ごちそうさまでした!
バーサークモード……なんという両刃の剣。それでも勝てないツガイはなんたるチート。
では、次回も楽しみにしてますね!
>一つのとても小さな生体反応
ちょ、これってこの前流し込まれた……雪兎君は大丈夫なのか……!?
>>500 投下乙です。
バーサークモードVS王。王の圧倒的な強さが滲み出る臨場感、緊迫感の入り混じった非常にお見事な殺陣でした。
辛うじて勝利と生を勝ち取った雪兎ですが、ブレスの後遺症とか大丈夫かなとか心配しつつ続きを期待してします。
>>502 負けてます、死んでます(厳密には違うけど)
>>500 投下乙!
戦闘の展開、そしてその衝撃的な結末と、非常に引き込まれる内容でした。
そして
>>503 >死んでます(厳密には違うけど)
さらに気になる一言が……!
作者◆wuZfOwaq7U氏から依頼が出ていたので、避難所のほうに投下されていたXガードナーの6話後篇を代理投下します。
5レスですので、支援はして頂かなくても大丈夫です。
では次スレから。
>>503 申し訳無いです!バーサーク+ブレスで、被害は大きいにせよ
こりゃ勝っただろと決め付けてました…確かに読み返してみると
ブレスによるダメージについては何も言及されてないですね。
…死んで無いって事は、これ絶対絶命?
今、一話から読み返して来ました。
>一つのとても小さな生体反応
雪兎君の事かと思っていたのですが、5話で害獣の幼生から流し込まれた"何か"の事でしたか!
今更ですが、5話のカルマ、テラエロスwww
「ゴフッ!…外が騒がしいな?」
エホバ・バイシクルの格納庫、デッキの片隅で整備士長ダッカー・ブランは昼食の弁当を盛大に吹いた。
その米粒が正面に座っていたライドの顔に掛かる。
「…不幸だ」
顔の米を取りながら呟く。先程の賭け試合に参加したライドは持ち金の半分をスッてしまったのだ。
その為、基地の購買部ではあんパンと牛乳しか買えなかったのだ。
「01出るぞ、そこどいてくれ!」
解放されたゲートの向こう、カタパルトの上を走るシュートが叫んだ。
「大将!また家出する気かぁ?」
「違う、出撃するんだよ」
シュートは黄色のガードナー、X01のコクピットによじ登る。
「へぇ、坊ちゃんやる気になったんだ…出撃?火星の侵攻軍かッ!?」
「黒いマシンが暴走してんだッ!この基地の機体らしい!」
胸部のハッチが開く。機体に乗り込み、各電源を起動させる。
「大将、カタパルトは整備中だから使うなよ」
「了解!足元に居る奴、みんなどけぇ!」
資材や補給物資を運ぶ人達を急かす。
「シュート・ダリューグ、Xガードナー1号機、行きますッ!」
01が発進する。
だがカタパルトはメンテナンス中の為、その上を走って出撃する。
『シュート聞こえる?演習場で試験運用機“メイル”が暴走してしまったの。至急、機体の破壊をお願い!』
ルーナからの通信だ。
「正に向かってんよ。破壊?中に人は乗って無いのか?」
『らしいけど…無人機だって聞いたから』
「そうか、分かった…居たぞ!」
黒いマシン、メイルは破壊を続けていた。建物は黒い煙と炎を上げ、奴の周りには止めに入った機体、演習機や先程の軍人達のマシンが無惨な姿を晒していた。
「後ろを向いている、今がチャンスだ!」
敵機はまだこちらに気付いていない。01は腰のラックからレーザーブレードを取り出すと、それを構えた。柄の先端から光の刃が形成される。
「ブースト全開、一気にかっ捌く!」
目標へと加速し間合いを積め、光の剣を突き立てる。
ぐるん、とメイルの首がこちらを向く。そして、虹色のフィールドを発生させた。
「この輝きは、IW(イリュージョンウォール)?」
01のブレードが弾かれる。
「I・Wはガードナーの専売特許じゃないのか?」
圧縮した粒子を障壁として放つI・WはXG隊が新開発した特殊兵器である、はず。
「ッたく、今日は分かんない事だらけだ」
01はブレードを捨て拳を構える。
すみませんが、◆wuZfOwaq7U氏にちょっと確認することがありますので、ちょっと時間おいてから続きを投下します。
「目には目を、I・WにはI・Wだ!」
01の周りに球体状のバリアが発生すると、それが両腕に収縮される。
「打ち抜いてやる…!」
01の拳がメイルへと向かう。勿論、相手もバリアを形成した。
衝突。二機の間で閃光が迸る。01はパンチを何度も打ち続ける。そして放った拳がバリアを通り、肩の発信装置を破壊した。
だが、敵機は怯まず逆に反撃する。メイルの拳が01の胸部を殴打。機体に衝撃が走る。シュートはコンソールに頭を打ち、額から血が流れる。
意識が朦朧とする中、通信が入る。
『こちらX03、援護します!』
幼い少女の声がスピーカーから流れる。後方から接近する機体。爆炎の中から現れるオレンジ色のマシン、蟹の様な大きな腕、肩には翼の生やした盾のエンブレム。
「…ガ、ガード…ナー?」
地を滑る様に高速移動する。03の腕の四つ爪の間から四本のレーザーが発射された。メイルはそれを回避する。通り過ぎたレーザーはぐにゃっと曲がり敵機を追尾する。それぞれが腕部、脚部を貫く。
『まだまだ、逝っけぇ!』
ダルマ状態になった黒いマシンが崩れ落ちる前に03が急接近する。両腕が高速回転し爪がドリルの様になり敵機を貫いた。
『駄目押しにィもいっちょ!』
片方のクローも敵機の胸に突き刺す。
『引き裂け!ゼーロォスリィーッ!』
爪が花が咲く様に四方に開く。そのまま、腕を左右に動かし黒い機体を二つに裂いた。
「凄い、けど無茶苦茶だ…」
コクピットを開き、その光景を見てシュートは呟く。
すさまじい惨状の中で佇むオレンジの機体はまだ残骸を痛めつけていた。その体は返り血の様にメイルの引き裂いた時に吹き出たオイルにまみれていた。そんな03がこちらに近づいてきた。
「ダイジョーブですかぁ?」
コクピットが開くと心配そうな少女の声が聞こえる。
「大変!血が出てるじゃないですかぁ?早く医務室に行きましょう」
ヘルメットをシートへ放り投げるとこちらの01に飛び移ってくる。
「あれ?さっきのお兄さんじゃないですか?ガードナーに乗ってるって事はぁ…XG隊の人?」
「…あ、う」
シュートは口をパクパクさせる。
「そうだ、自己紹介しなきゃ!あたし“ミア・キャイリー”十五歳。今日からXガードナー隊に配属されます。よろしく!」
今日は本当に分からない事だらけだ。気が遠くなってきた。
「ちょっと、生きてます?もしもーし?寝ないでくださぁい!」
作戦室。暗い部屋で昼間の戦闘を記録した映像を眺める人影。
「…いいのか?試験体十号を持って行かれて、あれは提督のお気に入りじゃなかったのか…」
白衣の老人が呟く。
「七号との戦いで勝ったのです。それにあれはまだ色々経験が足りない…データを取るにはピッタリの部隊じゃないか」
提督と呼ばれる額の後退した金髪の男が言った。
「…経験ねぇ、そっちの経験は十号に無理矢理強いた癖に…」
「博士、何か言いました?」
「…いんやぁ?それにしても、メイルも色々調整が必要じゃなぁ、まさか部外者に一度でも深手を負うとは…これは楽しくなってきた!」
「Xナンバーの一号機、乗っているのはアグリットの倅ですか…もう一つの、昇進証明の“アルターアイ”を持つ少年ですか。彼もこちらで監視してますよ…協力者が居ますからね」
「…火星からの特派員か…昔“勝利の守護機兵隊”の頭脳が、変わり果てたもんですなぁ…」
「お黙りッ!」
「…何も怒鳴らんでも、禿げるぞい?」
「フン、過去です。何時までも時代遅れの組織に用はありません。今が攻め時、守るだけが戦いではない…勝たなきゃ死。勝つ事が全てです。たとえ、何をしようとも…です」
男は声を荒げる。
Xガードナー六話完。
代理投下終了。
しかし、今夜の晩餐会にはまだ来賓が来る。
>>500 投下乙です!バーサーカーモード+ブレスでも敵わないとは……
王がどれ程のモノか再認識させられますたw
しかし相変わらず殺陣がお見事。頭が下がりますorz
さて、害獣の幼体から流し込まれた異物が生命反応……これは次回が気になる引きですなw
楽しみにしとりまーすw
>>500 投下乙です!
すげぇ……臨場感半端ねぇ……マジでこっちまで痛さが伝わってくるほどの死闘でした
そしてまさかの展開に呆然としてしまいましたw
うわーこう来るか……先が気になりすぎる……!
>>513で言った、もう一組の来賓をお連れした。7人組なのでボーイの支援は無くても大丈夫だ。
では次レスから。
―――――限りなく遠く、限りなく近い未来で―――――
人は新たなる資源によって、無限なる進化を遂げた。だが……その進化は果たして正しかったのか?
何時の世になろうと人は争いを繰り返す。それはDNAの遺伝の様に。この進化は果たして――――正しい事なのか?
その答えは――――私が導き出す。
灰色の雲が支配す、光差さぬ暗き空を静謐な灰色を纏いその艦――――プレスディアは潜行する。「敵」から知られぬ様に。
時同じく、戦火渦巻く瓦礫の街に向かって、白き影が落下する。弱き者を――――救うために。
<ハクタカ、ポイント100524を確認>
<こっちでも確認したわ。重力制御システムの使用を許可する。存分に暴れなさい>
白き影の存在に気付きだす、獰猛な野獣を彷彿とさせる「敵」。だが、白き影は臆さない。
白き影は手元の銃を地上に向け、引き金を引く。銃口より放たれし蒼き銃弾が、「敵」を破壊する。
同時に地上へと降り立ち、町を蹂躙する、操り人形を彷彿とさせる「敵」。白き影は落下しながら拳銃を真下に向ける。そして再び引かれる引き金。
地上を回転する黒き魔方陣より現れいずる、漆黒の機神―――――オウガ。オウガは白き影――――ハクタカへと、意思を示す。
『戦闘承認。我が主よ、命令を』
「断罪を――――開始する」
Beyond the Progres
ヴィルティック・シャッフル2
『確認数は8体。被害拡大を抑える為、接近戦を提案』
遥かなる宙より舞い降りてくる操り人形。凄ましい物量は、灰色の空を覆い尽くす。
地上を焼き尽くす無数のレーザー。無慈悲なるその攻撃に、生きとし生けるものは成す術も無く滅されていく。
―――イルミナスが人類に対する宣戦布告をしてから、全てが変わるまで大して時間は掛からなかったわ。
抵抗しなかった訳じゃない。出来なかったの。あまりにも戦力差があり過ぎてね。イルミナスにとっては赤子の手を捻るよりも容易だったわ。
対抗すべく現れる、武骨な形状をした緑色一色のアストライル・ギア達。抱えた兵器の引き金を引き絞り、空より舞い降りる操り人形へと射撃する。
しかし操り人形は、その攻撃を軽やかに回避し、一斉にレーザーの雨を降らす。いとも簡単に貫かれていくアストライル・ギア達。
ほんの数分で、地上は再び、残酷な静寂を取り戻す――――が。
――――イルミナスは私達が抵抗している間にも、着々に計画を進めている。アイルニトルを使い、時空を掌握せんとね。
もしこれが成功すれば、イルミナスによって人類の歴史そのものが支配されるでしょう。こちらの戦力は絶望的。あまりにもね。
突如として空を覆う操り人形の前に現れし、オウガ。両手より召喚し、蒼き両刃の剣で次々と操り人形の胴体を次々と両断していく。
どれだけ操り人形が群ろうと、黒き魔神の機動力に追いつけない。自在に空を動き回り、操り人形の胴体部をその刃にて無に還す。
――――でも、全ての希望が潰えた訳じゃない。ハクタカ――――それはこの世界に光を灯す、一筋の流星。
私達はどれだけ困難な状況下でも、彼の行く道を開けなくてはならない。それがイルミナスに対する、唯一の対抗策。
その時、オウガに鋭利なる白き刃を研ぎ澄ました紅き機体が斬りかかる。
蒼き刃と白き刃――――つばぜり合う二体の刃は、操り人形達を損壊させながら、灰色の雲を強烈な閃光で照らす。
「貴様がハクタカか……」
「――――何者だ?」
「俺の名はザッシュ。一度貴様と戦ってみたかった。虚無なる英雄よ、俺の力――――受け止めてみろ……!」
「ハッハ―!数だけは多いぜクソッタレェェェェェ!」
曲線と直線が入り混じった、独特なツートンカラーの機体に乗り、その男――――リジェット・トライガムは野獣の如き咆哮を上げる。
機体の両腕に付けられた二基のガトリングは、周囲を囲む操り人形達を鉄クズへと変えていく。ガトリングの銃口より湧き出る硝煙。
が、リジェットの調子と裏腹に、ガトリングは数秒後、激しい回転を止める。
「ちっ! もうイっちまいやがった!」
「だからそういう戦い方はするなって言っただろ。ただでさえカツカツなんだぞ」
リジェット機を飛び越え、頭部に角が付けられた機体が襲いかかる操り人形に弾丸のシャワーを浴びせる。動きが止まり連鎖爆発。
搭乗者である、眼鏡を掛けた男――――深山宗明が呆れた口調でリジェットに言う。深山は機体が持っている大きなライフルを連射し、正確に操り人形に穴を開けていく。
「あぁ!? こんな時に金の話すんな! 醒めちまうだろうが!」
「単純馬鹿が……」
その二機をサポートする様に、後方から極太のビームが、操り人形を蒸発させていく。
専用のヘッドギアを脱ぎ、鮮やかな青髪をなびかせ――――エストラ・ロシャンは整った口元に、凶悪な笑みを浮かべた。
「ま、闘いの真骨頂は肉弾戦だからな!」
二基のガトリングを投げ捨て、鮫の歯の如く尖った大型ナイフを召喚し、リジェットは豪快に笑った。
「っと……お客様だ」
宗明がそう言うと、リジェットとエストラはカメラアイを空中へと向ける。
雲を突き抜け、超高速で飛んでくる一体の機体。その姿は巨大な戦闘機にも見えるが、違う。
明らかに異色なそのフォルムは、巨大な鷲を思わせる。鷲はきりもみ回転しながら、三人に向かって急降下してくる。
そう――――アストライル・ギアだ。鷲の機体色は毒々しさを思わせる紫色に、帰り血の様な赤が点々としており実に不気味だ。
「おいおい、変形機体かよ……!」
リジェットがそう呟いた瞬間、鷲は宙で回転しながら、本来の姿へと形を変える。
「お前らだな? イルミナスに仇名すカス共は……!」
鷲から一人の男の声が響く。男の音色には、殺し合いを心から楽しむといった残虐性が浮き出ている。
「自分から挨拶とは丁寧だな。何者だ?」
宗明の質問に、男は答える。
「これから殺すカス共に教える名はねえな! さぁ……殺し合いだ! 楽しませろよぉ!」
――――これより我々は大気圏外へと昇り、イルミナスの本拠地へと突入する。現在、ハクタカが航路を開ける為に単身、大気圏外で戦闘を行っている。
その間、我々は地上で出来る限りの抵抗を行う。貴官らの命を……我々に預けてほしい。
地上から宇宙へと、オウガは操り人形を蹴散らしながら急上昇する。オウガの行く先に「敵」は―――――いる。
「ちぃ!」
オウガを捉える様に、大量の植物の種の様な形状のポッドがレーザーを射出しながら縦横無尽に飛び回る。
オウガはロッドを回転させレーザーを防ぎながら、ポッドを操る「敵」へと接近する。
「敵」である、白き機体は、白百合の様な優雅な姿に反し、ポッドを使いオウガに鮮烈な攻撃を繰り返す。やがて、その内の一基が、オウガの背中を捉えた。
「だが……!」
オウガはロッドの回転を止めた、瞬間。ロッドをレーザーが一瞬にして焼き切る。が、オウガは既にそこに居らず――――。
白き機体の頭部を鷲掴みした。ミシミシと音を立てて、白き機体のカメラアイが割れる。
「ここは通して貰う……」
「やっと会えたな。ハクタカ」
「何?」
コックピット内で、黒き短髪と、赤い眼の少女―――――ナナは、憎悪に満ちた目で、ハクタカへと叫んだ。
「……お前が、お前がいるから……争いは止まらないんだ! 私がお前を殺す! ハクタカァ!」
「この声……まさか、お前は……!」
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!」
「隆昭さん!」
ハクタカの蒼きラインが黒く変色し、ハクタカが悲痛な叫び声を上げた。ハクタカの中の男の顔を、青筋が走る。
「マチコさん……隆昭さんは……隆昭さんは救えないんですか……?」
「それは……無理よ。彼を救えるのは……彼しかいないわ」
「敵機が……え? 100……200機以上が降下して来ます!」
巨大なモニター上に映される光景。それは、正に地獄。
空には空は無く、操り人形達が大量の群を成して降りてくる。地上に太陽など、無い。
それでも――――三人は戦う。生き残るために、
「ハクタカが戻ってくるまで、絶対に死なねえぞ!」
「俺達には、守るべきモノがある……お前達には奪わせない、機械ども……!」
「ここで死んでも、悔いは無いわ。お前達と一緒ならね」
「どうして……」
「どうしてそんな目をするんだよ……」
「私は、私は人を沢山殺したんだぞ! この手はもう、どうしようもないくらいに……どうしようもないくらいに汚れちゃったんだ。だから……」
「君の罪は、俺が拭い去る……だから、もう戦うな。サナ」
「何故だ……なぜそこまでして、お前は戦える?」
「簡単な答えだ……。俺は背中に……人類を背負ってるからな」
「素晴らしい……! これが、人間の進化、最終形態だ!」
強固な鎧に身を包んだ、全ての黒幕――――ネクサス。そして―――――。
「戻りなさい、ハクタカ! これ以上戦えば、貴方はアイルニトルに取り込まれるわ!」
「やめて……もう止めて、隆昭!」
「俺は……俺は……!」
「俺は……全てを救う!この身が……滅び去ろうと!」
――――もし……もし、全てが終わったら……
――――ん?
――――もし、この戦争が終わったら、二人で静かに暮らしたいです。苦労するかもしれないけど、貴方となら
――――きっとなれるさ、平和な世界に。
――――信じてます。私、貴方なら必ず出来るって。
「アストライル・ギアを司る要素は何だと思う? 性能? 違うね。
パイロットさ。それが欠けたアストライル・ギアは屑でしかない。そして私は思うのさ。あの機体の強さは―――――そこじゃないかとね」
「―――――シャッフル」
「俺は救ってみせる。この掌で、救える者を全て」
オウガ―――――ハクタカ
「殺せるだけ殺す。無用な者なら味方でも」
ユレイナ――――ナナ
「立ちはばかる者は全て壊す。それが何であろうとな」
ユニティ―ス――――ザッシュ・ロストマン
「要するに弱肉強食の理、だ。弱い奴は食われんだよ。強い奴にな」
メイディクス――――ウェル・ラ―・クィス
「始めよう。人類の新たなる進化を」
プログレス――――ネクサス
「本当にイルミナスの目的が支配だけだと思うか?」
「何?―――――何だ、この反応は?」
「……来た」
Beyond the Progres
ヴィルティック・シャッフル2
「お前が……イルミナスの首脳か」
「如何にも。そして……」
「な……何だと? どうして……どうしてお前が」
「オルト……ロック!」
「全ては計画通りだ。そう、貴様の死、もな」
『戦闘終了。プログレスの勝利を確認』
『任務の完了を確認。乙』
代理投下終了。
投下前に書き忘れてしまったんですが、これはn41r8f8dTs氏がANUBIS風に書いたヴィルシャ2の予告です
(どうしてそういうものを書く流れになったのかは、避難所の方を参照してもらうとして)。
525 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/09(月) 05:42:35 ID:319iQDb8
OCN規制でパソコン書き込めない
うぷろだにうぷしたうらるを携帯から貼るしかないかな
避難所とか
そういう時は避難所をご利用下さいなー。
そろそろこっちに戻ってこないとやばいんじゃないかw
× ロボット物SS総合
○ ロリータ物SS総合
いい加減、感想とか雑談とかならこっちでしろと思う
規制解けた宣言してる奴とか特に
つっても、あっちに作者が集まってる以上、ここが過疎るのは仕方ないと思うぜ
まぁこの板は比較的緩いから、レスに間が空いても落ちる心配は無いけど、こっちにも気を配って欲しいな
一応本スレだし
何のための本スレだよってか
確かにそろそろ平常運転した方がいいわな
>>531-532 確かにおっしゃる通りですな(´・ω・`)避難所でちょっとはしゃいでしまった
俺自身は雑談要員ですがw
ではこちらに書き込み、と_φ(=ω= )
535 :
長目:2009/11/10(火) 19:39:55 ID:yTmBwX3S
けど規制されてる作者さん達はどうすべ
携帯使えるなら雑談ぐらいは参加してもらう?
>>535 この手の塗り方は印象強く残るなあ
いや絵自体が高品質で凄いんですけど
ニッチな落書き品質の俺にはまぶしいでやんす
>>536 雑談は自分の意志でするものなので、それはちょっと駄目なんじゃないかと。
確かに完全に平常っつーわけにはいかまいなあ
まあ本スレにもなるたけかまってあげてねということで一つ
>>535 投下乙です!
うぉおー!!格好いい!スゲェ!惚れるぜこれはw
そしてこんなオートマタを従えている遥さんを脳内妄想……
少女とロボットは絵面としては定番だが、格好いいのぅw
>>536 わざわざそこまでしろとは言えんなぁ
つうか、それ逆に避難所の意味なくねw
まぁ取り敢えず、
本スレを忘れないで!、という事でw
>>531の言い方だとそこまでしろって感じるけどね
>>531氏の書き込みは少し強い言葉だけれども、
それを寂しくて拗ねてしまった女の子に脳内変換したらちょっと幸せになれたw
>>537 この塗り方、今回やってみたところ
コントラストで印象を強めつつも、実は影である程度形を誤魔化せることが判明うわ遥さんなにをするやめ(ぼきり)
>>540 本編でもこれくらいかっこよく見えるように頑張らないといけませんね!
よし、まずはスカーフを装備させるところかr(そういう意味と違う)
>>542 よぉしっ! ならば雑談のネタを振るのじゃあっ!
>>547 雑談のネタですかー……
んでは、
今本編が進まなくて、小ネタで考えた奴なんですが、
日常+ロボッ娘+バトル
だと、やっぱり脱走してきた(or廃棄される筈だったけど何らかの要因で無事だった)元兵器ってのしか出てこなかったんですが、
他のシチュエーションって何か思いつきますかね?
社会に馴染めるかのテストとしてダンボール詰めで郵送されてくるとか
バトル相手は…ライバル企業のロボ娘?
いわゆる押しかけ女房というか、ある日突然同居人がーって話かな
・異世界の機械の国からやってきた魔法少女ならぬ機械少女
・◆9MC6FR8UMj7S氏のPRファイトみたいな、民生品による娯楽バトル
……とかかなー
>>548 うーん……地面を掘ったら出てきたとか? ∀みたいな感じで。
あと宇宙から落ちてきたとか未来からやってきたとか。
>>548 ちょっと前の少年漫画的な王道路線で行くなら
主人公が何か特殊な能力持ってたりとかあって殺されそうになったり誘拐される危険がある
で、ソイツの身辺警護の為にロボッ娘を配備
ロボッ娘「家でも学校でも24時間、ずっと貴方をお守りいたします!」
主人公「ええ〜そんなぁ〜」
みたいなノリ?
で、主人公に付きまとうロボッ娘の出現に焦る幼馴染だの
いつのまにかロボッ娘と仲良くなってる母(見た目若い)や妹(血が繋がってない)だの
ロボッ娘をライバル視してる内に、主人公の事が気になっていくツンデレだのを配置し
更に、主人公を狙って襲撃してくる敵も全員美少女なロボッ娘!
って所までは思い付くな
宇宙人、未来人、異世界人、超能力者……はおいとくとして、とにかく、その辺のパターン
いわゆるドタバタラブコメのガジェットは大抵使えるんじゃないだろか
>>552の逆パターンで
「あなたは未来のためにいてはならない。よって抹殺します」
みたいなターミネーターライクなヒロインvs主人公の構図もいけるんじゃないかな
てす
さて、ロボッ娘がロリッ娘に見えてしまったわけですが。
>>553 ターミネーターパターンで
「主人公の息子が未来で起こる人類VS機械の戦争の、人類側のリーダーになる」とかで
そいつを消す為に、「主人公が子作りできなければいいんでね?」という結論に達して
未来からやってきた戦闘用ガイノイドが高性能ダッチ○イ(ry
>>549-553 流石このスレの住人の方々w即興でこれだけ出るとはw
俺にはまさに「その発想はなかった」で感心しきりですよw
>>555 このスレの住人としては正常です。えぇ正常ですともw
>>556 そ の 発 想 は な か っ たwww
取り敢えずSSじゃないからセフセフw
そういや、自分、古の昔に
未来からやってきた機械娘がマンションの隣室に住む話の設定メモしてたよ
今思い出したよ……(遠い目)
おお、地味に555Enterしていた!
>>557 ですよねー、普通ですよねー。
ロボはロボでもスチームパンク的なロボっ娘とかもアリかもしれぬ
ところどころ歯車覗いてるような
赤面すると耳から蒸気噴射して暴走
ロボッ娘でエロというと
某有名漫画の続編(続編自体はマイナー)であったネタなんだが
偶然巻き込まれた事故が原因で、人間の記憶や精神ってか、魂そのものを
量子コンピューターに移したロボットになってしまった主人公を
そのボディを開発していた悪の組織が取り返そうと狙ってくるってのが基本的なストーリー
で、その組織から送られてきた何人目かの刺客が、主人公と同じように人間からロボット化した少女で
ガチの死闘になったんだが、戦闘中に組織のゴタゴタで2人揃って生き埋めにされ
巻き込まれた生存者と共に脱出する為に、生き埋めになって一時的に機能停止してた少女を
再起動させるべく、ボディを光通信で接続したんだが
その際に両親と一緒に殺されるって、ロボ化する以前の記憶を覗き見てしまい
再起動と同時に「人の記憶を覗き見るな!」と主人公に蹴りかかっていったのが
何かエロチックでした
また大規模規制が再開されたから会話が止まったのか
単純に俺の趣味にドン引きされただけなのか
それが問題だな……
>>531-532 心配ご無用。いつもの人がいなくなる現象ですからw
肉体よりも深いところで繋がったということか……うむ、なるほどエロい
急に人が居なくなるのは何時もの事さ。
ああ、すみません、ORヴェルトール撃破にチャレンジしてましたw
……負けましたけど。
それにしてもまた大規模規制始まったんですか……面倒な。
>>563 ちなみに接続して覗き見た際に、それが過去の記憶なのだと気付かずに
主人公が撃たれる寸前に助けようとしてしまったおかげで
「銃殺された両親の死体を見て泣いてた所で、戻ってきた犯人に自分も撃ち殺される」
って子供の頃の記憶がベースになってる悪夢を何度も見続けてたってのが
「撃ち殺される寸前に、主人公(若干美化されてる)が助けに来てくれる」って内容に強制変更され
真夜中に目覚めてベッドの上で悶える日々が続き
「お前と戦って殺せば、あの変な夢を見る事もなくなる!」と
次の刺客に襲撃され死にかけてた主人公を、わざわざ救出した上で
もう一度殺し合いを申し込み、「もう泣いてる子供にしか見えないんで、戦う気が起きない」と拒否られ
ガチ泣きするような関係になってました
人格持ったロボット同士が、互いに接続し合って記憶や思考を覗くってのは
何かエロチックだから、自分も何かのネタで使いたいな〜とは思ってる
また規制?
そのようですヨ。
誰か生き残った方はいらっしゃいませんかー!
生き残ってるってか
P2使ってる負け組です
む!?
きみとぼくとは戦う予感!!
おぉ!お久しぶりです!
良ければ避難所に来て下さいな−
あれそっちですか
皆、何処へ行ったー!?
規制解除されたか?
おお、解除されてるされてる!
どうやら今回の規制は短かったようだな……
またすぐに規制されそうではあるが
しかし人がいないな……
落書きでも投下すんべか
本スレよ!私は帰ってきた!(二度ネタ
>>582 投下乙です! ……って、普通の少年、だと……!?
一体何があったんだツクヨミ先生……。
>>582 おぉ!これがパイロットスーツ姿……まさに「兵士の装備」といった感じがナイス( =ω=)b
>あと、オマケとして
!?
ちょwツクヨミさん一体何があったんですかwww
印象変化しすぎだこれw
目の形や顔のライン自体は極力同じように描いてあるので
濃過ぎる隈を消して髪型を変えて、瞳のサイズをちょっと大きくしてるだけなんですけどね
髪型に関しては
若い頃は、元々癖っ毛なのを細かく手入れして真っ直ぐにしてたんだけど
軍に入ってからは外観に執着しなり、そういう事を全然やらなくなった結果です
まあ、黒々してた髪が真っ白になってるって変化もありますけど
あ!よくみると17歳の胸のマークがRSですねっ
おお、本当だ! 気付かなかったw
RSって結構身近な存在なんですよね。
ならばTシャツのデザインになっているのも納得w
>>586-588 正確には戦闘用であるRS(ラビットソルジャー)ではなく
工作機械のRW(ラビットワーカー)ですけどね
本編の10年前、RWは月に大量にありましたが
RSは開発中のがちょっとある程度なので……
戦争起こるまでには、RW使ったスポーツ競技がいくつか存在して
娯楽の少ない月では割と人気だったとか
ツクヨミもそういうのの大会に出場し、準優勝飾ってるとか
細かい設定を考えてはいますが……・
本編早く書き上げねば
元が作業用の重機……でしたっけ。だから身近な存在なんでしょうナー。
それにしてもこのTシャツ、欲しい……!
そうでしたRWでしたw
確かにこのデザインはシンプルでカコイイ( =ω=)b
とりあえず帰ってこれたー
良かった・・・
しかし、なんつーか、まだ3割ぐらいの内容で7000字ぐらい使っちゃたから頭が痛い
なんでこの内容をもっと簡潔かつ短くまとめられないんだろう・・・orz
>>592 スカーフ付きの男子制服とは……
`¨ − 、 __ _,. -‐' ¨´
| `Tーて_,_` `ー<^ヽ
| ! `ヽ ヽ ヽ
r / ヽ ヽ _Lj
、 /´ \ \ \_j/ヽ
` ー ヽイ⌒r-、ヽ ヽ__j´ `¨´
 ̄ー┴'^´
>>593 俺のように話がまだ始まってもいないのに文字数がとんでもなく多いのもいるのですよw
つまり何が言いたいかというと……
お互いに頑張りましょう!(+=ω=)b
第七話「竜宮 零」
月軌道上に浮かぶ火星侵攻軍の要塞基地〈バスティオン〉
十年前、地球軍の月奪還作戦にて火星軍の砦となったこの要塞は、現在も侵攻軍の大事な補給基地として稼働している。
ビーク・トライバは新しく手に入ったマシンに複雑な思いを抱いていた。
XG隊との戦いの後、ビークの乗った艦は修理と補給を受けに宇宙へ上がっていた。自分の機体の修理をさせてもらえると思っていたが、何かの手違いでドライドを手に入れる事になってしまったのだ。
それまでの愛機には愛着があった。が、軍では新しい兵器の開発が進んでおり、今の機体は古く、時代遅れらしい。指揮官機であったドライドさえ旧式扱いだったのだ。もちろん抗議もしたが、
「…そんな旧式、修理してる暇なんて無いですよ。それに、あんなデカイ刀持たすなんて無茶もいい所だ」
と、言われてしまった。
ビークはデッキを見下ろせるカフェテラスでコーヒー牛乳を飲みながら作業を眺めていた。
「あんたまだミルク無しじゃ飲めないんだぁ?」
不意に頭を小突かれる。振り向くと立っていたのは利発そうな女性。日焼けした褐色の肌、鋭い眼付き、かなり短くした切りそろえた赤髪の女軍人だった。
「えっと…もしかしてリヴァ・ティニーか?」
「oh!正解、よく気が付いたね?」
満面の笑みのリヴァ。ビークは少し困惑気味だ。
「火星の士官学校であって以来、五年ぶりだな?あの頃はもっと髪が長かったよな」
「まぁね、決意の現れって奴?所で何見てたの?」
「ん?あぁ…アレだよ」
ビークは巨大な刀を背負った機体を指さす。
「あ!アレってディン・マルコー隊長のドライドだよね?アタシ、あの刀を造った工房に付いていった事あるから分かるよ。でも隊長の機体って黒じゃなかったっけ」
「…」
「あ…ごめん」
沈黙が流れる。
「…最後まで戦士だった」
「面倒見の良かったよね、アタシしょっちゅう怒られてたけど」
リヴァの頬に涙が伝う。訓練生時代には沢山世話になった。その師に恩返しも出来なってしまった。思い出を語り虚空を見つめるリヴァの横顔を見つめるビーク。ふと、目線がいく。
「リヴァ、その額の絆創膏どうした?」
微妙に髪に隠れて見えなかったが彼女の額にクマ柄の絆創膏が張られていた。
「あ、コレ?この間、新型のテストでぶつけちゃって…今の隊長がくれた物なんだ」
「そうか?やけにファンシーだなあ、と思って…どう言う隊長だ?」
「それがさぁ〜もの凄いカッコいい人でさ、何と言うか儚げと言うか…腕も確かなんだよ!」
「そうか…それは良かったな」
「あ、もしかして妬いてんの?ビークってアタシの事ぉ好きだったんだぁ〜!」
「バ、バカを言うな!俺は何時でもエリーゼ一筋だ!」
首に掛けていたロケットを取り出し印籠の様に見せつける。
「でも、連絡なんて取れないでしょ?火星と地球じゃ」
「毎日メールは送ってる!」
「でも火星、地球間じゃ時差がでるからねぇ…届くのは一週間?一ヶ月?一年?…もしかして浮気されてるかも!」
「エリーゼはそんな女じゃない!」
「あっそ…好きにすれば良いじゃない?地球で一生野垂れ死ね!」
不穏な空気の中、一人の男が近づいてきた。
「ティニー中尉、もうすぐ作戦の時間だ。ブリーフィングルームへ」
内容と反比例した何処か頼りなさそう声だった。
「隊長!」
リヴァは一転、猫を被った様な可愛らしい声で返事をした。
(こいつが、隊長?)
ビークは困惑した。
最初は弱々しくも感じた。だがそれは違った。
童顔には見えるが高身長で、白髪。左眼には眉から頬に掛かる大きな傷跡があった。
「…記憶が無いんだ」
男の第一声だった。
投下は以上でーす。
>>599 んー、難しい所ですなぁ。
氷があるにしてもそれを真水に変える手間とかもあるでしょうし、
地球(料金安い)>月面都市(料金高い)>厳しいコロニー(配給制) これ位ですかね?水の価値w
統合歴329年8月3日
「祭りで戦い、山で戦い、平原で戦い、牧場で戦い、今日で5日目か…」
八坂高校スポーツギア部一年生、守屋一刀は夏合宿の出来事を思い返していた。
7月29日、冷泉学園にてレイス・ジョーカー3機を徹底的に捻り潰した後に冷泉地区の夏祭りに参加。
7月30日、藤宮高校のアクト・メイレーンを撲殺後、藤宮山の大林で森林浴を満喫した。
8月1日、峰葉学園のディーヴァに執拗且つ理不尽な脚技で蹴り倒し、キャンプファイアを楽しんだ。
8月2日、茂弓高校のルナメタルを斬殺。茂弓自然公園で牛の乳搾りを体験した。
夏合宿にしては明後日の方向へ突き進み過ぎている気がしないでも無いが
八坂高校スポーツギア部の部長、加賀谷望(夏仕様)のイカレ具合に比べればマシだ。
「夏の定番と言えば、海だあああああああああああああッ!!!」
「いや、違うだろ。…違わないけど。」
公共の場で咆哮する加賀谷から数歩離れ守屋は無関係を装い、口の中でぼそりと突っ込みを入れる。
小気味よく後頭部を引っ叩いて、なんでやねんと突っ込みたいのだが、アレの仲間と思われるのは勘弁願いたい。
「海はさて置き…今日は守屋も油断出来ない相手だぞ。」
守屋が憮然としていると、八坂高校スポーツギア部副部長、三笠慶から刺激的なお言葉が投げかけられる。
「お、遂に強敵の出現ですか?」
見知らぬギアに見知らぬ選手との戦いは楽しい。だが、相手が強いと尚楽しい。
だからこそ、実に楽しそうに待っていましたと言わんばかりの表情で三笠に向き直る。
「ああ。宝仙高校はウチと同じで団体戦主体のチームで、個人戦にはあまり力を入れて来なかったんだ。
だけど、今年になってからウチと同じで、少しばかり状況が変わってしまってな。」
「MCI搭載機を一機導入、適合する一年生が一名入部。だけど、練習相手が居ないという事ですか?」
「ああ。その上、初の対人戦で全部員を撃破したそうだ。」
成る程。同じ一年生で置かれた立場も似ている。相違点を上げるとすれば守屋は初の対人戦で全部員の撃破に至ってはいない。
それどころか初の対人戦で守屋を敗北至らしめた男に未だ、ただの一度も勝利する事が出来ないでいる。
苦虫を噛み潰したような表情で、その男…加賀谷に目線を移すと不穏当な言動と共にを咆哮し
周囲の歩行者を恐怖の渦に陥れていた。通報されてしまえ。
守屋は再び目線を逸らし他人のフリをしながら何故、コレに勝てないのかと自問自答する。
考えるまでも無い。猛暑のせいで無残な姿に壊れてしまったが、コレとて八坂州五指に入る猛者なのだ。
いくら素質があるとは言え、スポーツギアを始めて半年にも満たない素人が如何にか出来る相手では無い。
それは重々承知している。事実、どんなに強くなってもその差が埋まらないのだから。
(納得いかねぇ…)
一人で悶々としながら、思考の海に意識を埋没させてしまったせいで、迂闊にも危険人物の接近を許してしまう。
恐怖の大王と化していた加賀谷が、爬虫類の様な目付きで腰を振りながら、ゆっくりと守屋ににじり寄って来たのである。
先輩達に助けを求めようとするが因みに三笠を初めとする上級生達は既に退避済み。裏切り者め。
加賀谷は守屋との距離が1mという所で大きく跳躍。守屋の頭上を飛び越え、空中で4回転半、着地と同時に守屋に指を差す。
「似た者同士、お互いに切磋琢磨して来い!!」
見事としか言い様が無い筈なのに気持ち悪いとしか形容が出来ない。
と言うか、お前の運動神経は壊滅的な程に悪いんじゃなかったのか。
宝仙高校に到着後、加賀谷は宝仙高校のスポーツギア部を恐怖の渦に…基、挨拶へ出向き
仮設格納庫の中で整備担当の部員達に最終調整の為に指示を飛ばす。
あのイカれたノリで、まともな指示を出せるとは思えないが、状況が悪くなった例は一度も無い。
納得は出来ないが腐っても加賀谷望だ。信じるしかあるまい。
(それよりも今日の対戦相手だな。)
仮設格納庫の中ではアイリス・ジョーカーの足元で整備担当の部員達が右往左往して非常に慌しい。
試合前はいつもだが、アイリス・ジョーカー担当の部員達は特に忙しく走り回っていた。
加賀谷は守屋が対戦するギアを見るなり急遽、守屋機の構成を変更するよう命じたからだ。
最近、定番装備になりつつある右腕のブレード内臓シールドは兎も角、脚部の追加衝撃緩和剤ユニットが並から特盛に変更。
そして、今回、初めて使用する有線式チャクラム内蔵シールドが左腕に装着されようとしていた。
「いよいよ、換装パーツの解禁ですか。」
「今日が総仕上げみたいなものだからな。」
予備のパーツは多めに用意してあるが、追加装備に関しては元々のストックと流通量が少なく
ある意味で本体よりも貴重な為、易々と破壊されても困るし格下相手に持ち出すような代物では無い。
だからこそ、追加装備を使う時は破壊されても惜しくないような相手と戦う時に限られる。
「それに加賀谷が急な構成変更を命じるくらいだ。搭乗者と同じでギアも難物って事だろ。」
だとしても、生身でもギアでも使った事の無いチャクラムなど持たされても使い所が分からない。
だが、加賀谷の教育方針は戦いを通じて自分で気付けという物で、細かな指示やアドバイスを出す事は滅多に無い。
ただ急な装備変更を指示するくらいだ。使いこなす事が出来れば戦いを有利に運ぶ事が出来るだろう。多分。
「加賀谷曰く、備えあれば楽しいな…だそうだ。」
「それは楽しいですね。全然、意味が分かりません。」
「俺も分からん。だが、この界隈で宋銭を除けば最強の相手だ。油断はするなよ。」
宋銭を除けば最強。三笠の言葉を受け、宋銭高校スポーツギア部の二年、矢神玲の事を考える。
この男もまた加賀谷と同様、底の見えぬ男だ。そして、恐らく8月12日に行われる地区大会でケリを付ける事になる。
シミュレーター訓練での戦績は散々な物で正直、勝てる見込みは全く無い。
妙な焦燥感に駆り立てられるが、今は目の前の敵だ。
「分かりました。アイリス・ジョーカー出しますよ。」
お前に用は無いと湧き上がる焦燥感を心の奥底に追いやり、アイリス・ジョーカーを立ち上げる。
宝仙高校のギアスタジアムの中に機体を歩ませると既に対戦相手が腕組みして待ち構えている。
だが、素手でやり合う気は無いらしく足元には巨大な棍棒のような武器が鎮座していた。
「君が噂の守屋一刀君だね?私の名前は片桐セイナ。今日の共同訓練、お手柔らかにね。」
「ああ。宜しく頼む。」
最近、勝手に変な噂らしきものが一人歩きしているような気がしてならない。
アイリス・ジョーカーのサブモニターには対戦相手である片桐セイナの屈託の無い笑顔が表示されている。
青みがかったショートヘアに翠の瞳に絆創膏。少女と言うよりはまるで少年だ。
(眼は…紅くないな。)
初の対人戦で全部員を完膚無きにまで叩き潰したという事前情報から察するに紅眼の仕業だと思っていたのだが
紅い眼を持つわけでも無ければ、ふざけた保護者に、ふざけた訓練を課せられたような雰囲気も無い。
何にせよ、油断出来る相手では無い。守屋機はブレードを引き伸ばし、いつでも跳躍出来るように腰を落とす。
試合開始の合図がスタジアムに鳴り響く。敵が来るのを待ち受けるのは性に合わない。
守屋機は地を蹴り、砂埃を巻き上げ、白煙を吐き出しながら片桐機に肉迫する。
一歩一歩、地を蹴る度に地面が抉れ、砂煙と土塊が宙に巻き上げられる。
低空を飛翔する戦闘機のような勢いで迫り来るアイリス・ジョーカーの勇姿を片桐は楽しそうに口の端を吊り上げた。
(良い気迫をしている。部長達なんかよりもずっと楽しませてくれそうだよ。)
まずは小手調べ。加速の勢いに乗せたブレードを片桐機の腹部に目掛けて一閃。
だが、手応えは無い。片桐は守屋機の斬撃に合わせて機体を前転させ、攻撃を潜り抜ける。
機体が背中合わせになると二人は機体に急制動を掛け脚部から白煙と化した緩衝材を勢い良く吹き出す。
だが、それも一瞬。両機は機体を急反転させながら再び攻撃に転じる。初動はほぼ同時。
ぶつかり合った武器が大きな火花を迸らせ、機体に纏わり付く白煙を弾き飛ばし、膠着状態を生み出す。
だが、力任せに押さえ込もうとする片桐に付き合うつもりなど無い。守屋機は半歩身を引きブレードを折り畳み
片桐機の踏み足に足払いを仕掛け体勢を崩す。片桐は慌てて立て直そうとするが、それよりも守屋が追撃に移る方が早い。
守屋は片桐が対応出来ないと判断すると更に間合いを詰めながら鋼拳を5発叩き込む。
片桐機は守屋の容赦無い連撃に機体を激しく揺さ振られ、装甲を軋ませる。
それでも守屋は攻撃の手を緩めない。片桐機の頭部目掛けて、左足を蹴り上げる。
頭を潰されては堪ったものでは無い。両腕を交差し如何にか体勢の立て直しを計る。
ガードを崩されたはしたもの、何とか頭部への攻撃は防いだ。今度は此方の番だと反撃に転じようとする。
(ガードが崩れたな…)
一度、攻撃に転じた守屋が易々と反撃を許す筈も無く、蹴り抜いた左足を踵落としの要領で再び片桐機の頭部に襲い掛かる。
一発一発が一撃必殺の威力を秘めている癖に、弱点に対する猛襲も執拗と来たもので、とんでもない奴だと片桐は舌を巻く。
「あはは…冗談じゃねーわ。」
此処一番で漸く回避行動が間に合った。守屋機の踵落としは空を切り地面に激突し小さなクレーターを作った。
本当に冗談じゃないと苦笑いしながら、安全圏まで飛び退く。全く余裕の無い状況だが片桐の表情は実に楽しそうだ。
「こりゃ、相手の土俵に合わせてたら勝てねーわ。」
片桐は自分自身の戦闘能力と、愛機イーゼル"イェーガー"で守屋に近接戦闘を挑む愚を悟り、更に後退。
だが、後退した片桐を守屋が逃がす筈も無く、ここぞとばかりにアイリス・ジョーカーは撃ち出された砲弾の如く疾駆する。
あの脚力と技量だ。瞬き後一つ終える頃には間合いを詰められるどころか、攻撃を終えているだろう。
「ま、こっちもそうなんだけどね。」
守屋機の鋼拳が片桐機を打ち貫くよりも早く、片桐は攻撃に転じる。
今まで打撃に使っていた打突武器を腰溜めに構え、イーゼル・イェーガーの名が示す通り引鉄を引く。
爆音と共にマズルフラッシュが放たれ、破壊エネルギーを纏った巨大な砲弾が勢い良く吐き出される。
「生憎と私と、この子の本領はこっちでね。守屋君はどーよ?」
流石に一撃でスポーツギアを沈黙させる程の威力は無いが、ほぼゼロ距離。
回避なんて不可能と言っても過言では無いし、ダメージも五分と五分だ。
「どーも何も、扱うのも扱われるのも苦手だけど…特にアレだ。ソードライフルなんて最悪だ。」
景気良く噴出される白煙に気も止めず機体を急制動させ姿勢を落とし砲弾をどうにかやり過ごす。
守屋は忌々しげに顔を歪め、真紅の機体と優等生の皮を被った変人を思い浮かべる。
そして、歳方や内田の二年生の二人組みもそうだ。飛び道具を使う相手に良い思い出が無い。
「ソードライフルでは無いけど、これも中々の逸品だよ?」
片桐は守屋以上に忌々しげに顔を歪める。いや、忌々しいと言うよりは悔しげと形容する方が正しい。
何せ苦手だと言っておきながら、奇襲じみたゼロ距離からの砲撃を避けられてしまっては立つ瀬が無い。
「MCIの銃使いか…面白そうだな。」
忌々しい得物ではある。だが、MCI同士の戦いで飛び道具を持ち出す相手と戦う機会は滅多にない。
SCIと異なり、MCIには照準システムや制御装置が無く、命中精度は劣悪。相手に被弾させるにはかなりの錬度を要する。
しかし、近接武器と打ち合いが出来る程の耐久性と質量を持つ銃身を軽々と振り回し
あきらかに不向きな筈の長物を短銃さながらの早撃ちなんて芸当までやってのけるパワーがある。
MCIに飛び道具など愚の骨頂…そんな一般的な認識を改めさせられるには充分な相手。
そして、何よりもこんな珍しい相手と戦うのは実に面白い。
「中長距離用のキャノンライフル。装弾数はそんなに多く無いから弾切れするまで頑張って逃げてね。」
片桐は今度は此方の番だとでも言いたげな様子で楽しげな口振りで守屋機に銃口を突きつける。
事実、楽しんでいた。ギア部に入部して四ヶ月、ただ一度の敗北も許した事が無い自分が初めて追い込まれたのだ。
それも、熟練の猛者では無く自分と同じ高校からスポーツギアを始めた、同じ一年生を相手にして。
これまで上級生相手にしか戦って来なかった二人は同級生相手に負けてたまるかと牙を剥く。
「弾切れするまで撃たせる程、悠長な奴に思われていたのか…俺が易々と撃たせると思うなよッ!!」
気迫と共に片桐機に鋼拳を打ち飛ばすが、拳が届くよりも早く片桐は機体を真上に跳躍させ守屋の打撃から逃れる。
「跳躍力は奴の方が上か!」
追撃し空中戦を挑もうとするがアイリス・ジョーカーの脚力では追い付けない。
落下して来るまで大人しく此処で待つか?飛び道具を持っている相手に?論外だ。阿呆としか言い様が無い。
後退しながら回避行動を取り、片桐機の着地を待ってから反撃に転じるのがベターな選択なのだろうが
それでは無難過ぎて、とても面白く無い。啖呵を切った以上、正解も不正解も関係無く前に出るべきだ。
出るべきなのだが、前に出る為の手段が無いのでは如何しようも無い。
(いや、良い物があるじゃないか。)
守屋は忸怩たる思いで機体を後退させようとするが、頭のイカれたボスが持たせた武器の存在を思い出す。
左腕のシールドに内臓された有線チャクラム。流石に飛び道具扱い出来る程の射程距離は無い。
だが、空中の片桐を叩き落すには充分過ぎる射程距離だ。
片桐が地上の守屋に銃口を向けるよりも早く、左腕を片桐機に突き付けチャクラムを射出する。
チャクラムは甲高いうねり声をあげて風を切り裂き、片桐機の腹部を食い破ろうと襲い掛かる。
だが、片桐は動揺する事無く、極めて冷静に対応する。
「打撃に比べたら遅いし、軽い。」
再びキャノンライフルを棍棒のように持ち、迫り来るチャクラムを弾き返す。
更に落下エネルギーを伴いキャノンライフルの砲身を守屋機の頭部に叩き落そうと猛襲する。
流石に意地を張って良い攻撃では無いとチャクラムを巻き戻しつつ、安全圏まで飛び退く。
危機一髪。隕石と言わんばかりの勢いで地面を抉り、片桐機の各部から景気良く緩衝材が噴出される。
更に砂煙と土塊が柱のように巻き上げられ、片桐機の姿を掻き消す。
(使い所がよく分からんな。)
再びチャクラムが収められた左腕を一瞥する。
(加賀谷部長が持たせてくれた以上、意味はある筈なんだが…)
使い道の分からない武器に気を取られていても仕方が無いが、加賀谷ならどう戦うのかと一瞬、意識を思考の海の埋没させる。
迂闊にも程がある。先程、守屋は片桐が見せた一瞬の隙を付き、七発の打撃を一瞬で叩き込んだ。
片桐は守屋と同じ事をキャノンライフルで返礼。だが、放たれる砲弾は七発どころでは済まされない。
砲身からはフルオートで悪ふざけかとしか思えない量の弾が吐き出される。
とは言え、MCIの命中精度なぞSCI機と比較にならない程、劣悪だ。避けるまでも無く易々と当たる物では無い。
だからと言って、余裕をかましてもいられない。アイリス・ジョーカーを中心にけたたましく降り注がれる弾幕の雨。
避けずとも当たりはしないが、何処へ向かって飛んで来るかも分からない以上、抜け出す事も出来ない。
シールドで機体を覆い機体に降り注がれる砲弾の雨をやり過ごすが、この場に縫い止められているのも同然だ。
「砲撃が止んだ………ッ!?」
片桐がマガジンを入れ替えている隙に防御体勢を解き絶句する。
一見出鱈目に放たれた砲弾の雨は守屋機だけで無く、大地にも降り注がれ
綺麗に整地されていたスタジアムは見る影も無い程、無残な姿に変わり果てていた。
だが、今の守屋には変わり果てたスタジアムの姿を認識する事が出来ない。
何故か?
執拗なまでに降り注がれた弾幕の雨によって、盛大に巻き上げられた土煙と土塊は
スタジアム全体を覆い隠し、一寸先すら見る事も叶わないのだ。
土煙の結界。または砂塵の牢獄とでも形容すべきか。
戦闘兵器の意匠を凝らしただけの競技用の砲弾で此処までの事が出来るのか?
いや、競技用の砲弾で、これ程の芸当をやってのけるとは。
これまでに経験した事の無い状況に守屋は片桐の発想にただただ驚嘆する事しか出来ない。
「これは一体、どう動くべきか…?」
驚嘆ばかりもしていられないのだが、突拍子も無い展開に二の足を踏めずにいると爆音と共に砲弾の洗礼が再び降り注がれる。
視界が最悪なのは片桐も同じ筈にも関わらず、迫り来る砲弾は先程とは比べ物にもならない正確さで守屋機を捉える。
片桐が放った砲弾は7つ。その内の2つは地を抉り、3つはシールドに阻まれ、2つは左肩と右膝を捉えた。
「そりゃ、同じ場所にずっと突っ立ってりゃ目隠ししたって当たるに決まってるよ!」
「ダメージになったのは2発だけだ。下手糞。」
負け惜しみも良い所だ。兎に角、いつまでも立ち尽くしていては蜂の巣にされてしまうだけだ。
幸い、砲弾によって切り裂かれた砂の結界が片桐が居る位置を教えてくれる。
跳躍力では遅れを取ったが、瞬発力はアイリス・ジョーカーに分がある。
守屋機は砲弾によって作られた道を辿り真っ直ぐに爆走する。
撃ちたければ撃てば良い。一発や二発で撃ち落される程、柔な機体では無い。
それに単純な損傷の度合いで言えば、片桐の方が上だ。
どんなに傷付けられても片桐に追いついた時、腕なり脚なりが動けば逆転は容易い。
「なんだ。3発は防がれたんだ。今度こそ、これでおあいこ…かな?」
爆音が立て続けに7回鳴り響き、吐き出された砲弾は背後からアイリス・ジョーカーに襲い掛かる。
「後ろを取られただとッ!?」
外れた4発の砲弾は大地を蹂躙し、残る3発は守屋機の後頭部、背部、腰部に喰らい吐き盛大に転倒させる。
「あんな見晴らしの良い所を真っ直ぐ、走ってるんだもん。そりゃ狙うに決まってるっしょ!
それよりも、これでお互いに直撃5発。これで振り出しかな?」
何が振り出しなものか。視界は最悪だというのに、片桐は守屋の姿をはっきりと捉えた上に
音も無く守屋機の背後に回り、見事に頭部を撃ち抜いたのだ。
だが、頭部を撃たれたとは言え、視界が一瞬明滅しただけで破壊には遠く及ばない。
「一発や二発、首を撃たれたくらいじゃ破壊はされんか…」
わざと声に出して呟く。声は震えていない。声が裏返ったりもしていない。
いつも通りの、普段通りの自分だ。ただの杞憂らしい。
何が杞憂なのか?
(矢張り、負ける気がしないな。)
絶対的に不利な状況。だと言うのにも関わらず、守屋は諦める以前に己が敗北する事など全く考えていない。
厳密には考え付かないでいた。この状況でも、己が敗北するイメージが全く掴む事が出来ないのだ。
不利な上に猛暑のせいで、遂に頭がイカれたのか?それとも、無意識の内に虚勢を張っていたのか?
そんな不安があったのだが、どうやら普段通り過ぎる程、いつもの自分だ。だったら普段通りにやれば良い。
そう片桐の言った通り、これでおあいこ。ただ振り出しに戻っただけに過ぎないのだ。
ぶつかり合う一年生。交差する砲撃と鋼拳。
だが、守屋一刀を良く知る二人の男。守屋を圧倒する二人の男は違う感想を持つだろう。
加賀谷望。そして、矢神玲の両名がこの場に居たら口を揃えてこう言う筈だ。
『アイツは追い込んでからが厄介なんだ。』
結果だけを見れば確かに華々しい戦果と言えよう。
結果だけしか見ないから守屋一刀の本質を見間違えてしまう。
確かに過去の戦績を遡ってみると、綺麗な勝ったり圧倒的な勝利を納める事は滅多に無い。
戦えば必ずと言って良い程、機体を壊す。メーカーの工場で修理を依頼した回数も少なくは無い。
この場に矢神が居たら、加賀谷と同じ事を言っただろう。
「アイリス・ジョーカーが転倒した時点で徹底的に追撃するべきだった。
最早、イーゼル・イェーガーに勝ち目はない。」
守屋機はありとあらゆる箇所に砲撃を受け無残な姿に変貌している。
あまり良い傾向では無い。だが、そんな事はいつもの事だ。
(精々、いい気になってぶっ放していれば良いさ…)
砲撃に晒されながら状況を整理する。イーゼル・イェーガーを撃破する為に。
装甲が弾け、欠落していくが放っておけば良い。結果的に奴を殴り飛ばせば帳尻は合うのだから。
それに砲弾に晒され続けるのも悪い事ばかりでは無い。
立て続けに放たれる砲弾によって砂の結界は切り裂かれ視野が広くなる。
「成る程…そういう事だったのか。」
結界と形容してはいるものの、所詮は白煙、土煙、土塊を巻き上げて作った粗悪品だ。
目暗ましその物が有効な手段とは言え、容易く破綻する。
それを理解していたからこそ、片桐は意図的に地を抉り結界の再生を行っていた。
それなのにも関わらず、破綻したのは何故か?何故、守屋に見破られたのか?
片桐は見てしまったのだ。砂の結界の隙間から転倒するアイリス・ジョーカーを。
アイリス・ジョーカーの装甲が欠落する様を。そして、興奮気味に己の勝利を確信する。
後、数発も砲弾を叩き込めば、勝利出来る。あの守屋一刀に。
片桐は興奮状態に陥り只管、砲弾を撃ち込む。自身の攻撃で砂の結界が薄くなっていく事も気にせず。
結界など無くても自分の勝利は確定的だ。結界の事なぞどうでも良い。
勝利への確信と興奮が片桐から冷静さと判断能力が欠落していく。
矢継ぎ早に砲弾が撃ち込まれるが、何処から来るのか分かりさえすれば避けられないにせよ対応は難しくない。
「とは言え…応用力に関しては片桐の方が上か。俺もまだまだだな。」
密度の薄くなった結界の外側から、此方に銃口を向ける片桐機を見て、またも驚嘆する。
片桐はMCI機の中でも随一の跳躍力を生かし、守屋機を中心に跳び回りながら空中で砲撃を浴びせていたのだ。
更に発砲時の大き過ぎる轟音を利用し、着地時の衝突音を掻き消し、音も無く背後に回ったかのように見せかけた。
常に鳴り響く発砲時の轟音は音が大き過ぎて、逆に位置の特定が出来ないという性質を利用したのである。
それだけでは無い。MCI搭載ギアは性質上、陸地での格闘戦が主となる。
空中戦を行うという発想が無い。それ故に、常に目線は前後左右。試合中に空を仰ぎ見る癖が無い。
だから多くの選手は対戦相手が上に居る筈が無いという固定概念に囚われる。
互いに生身で戦っているのでは無くギアで戦っているのだから人間と同様の戦い方をする必要は無い。
メーカーや、製造時期、開発コンセプトによってギアの性能は実に多彩で、その性能を引き出す為には
生身の人間同士の時のように戦うだけが全てでは無いし、それだけでは強豪選手に勝利する事は出来ない。
勝手にギアの戦い方を決め付け、自分自身の力だけで戦い続けて来た結果がこの様だが
ギアの応用力や限界に対する認識を改めさせられたのは大きな収穫だ。
何より、今やるべき事は後悔したり感心する事では無い。そんな物は寝床の一人反省会の時にやれば良い。
今やるべき事。それは…
「さて…勝ちに行くか。」
片桐が使っている手品は全てタネを明かした。片桐は丸裸にされたも同然。
だが、思考は乱さない。冷静且つ、油断無く片桐機を追う。
砲撃を警戒しつつ、機体を走らせていると銃口を此方に向ける片桐機が見えた。
まるで自分が狩る側だと言いたげに無防備な姿を晒し攻撃を当てる事だけに集中している。
キャノンライフルが周囲に爆音を轟かせながら、巨大な砲弾を吐き出し
守屋機の頭部を食い破ろうと砂煙を、土塊を切り裂きながら猛進する。
片桐は迫り来るアイリス・ジョーカーの事など露知らず、嬉々として砲弾叩き込み、
弾が切れてはマガジンを入れ替える作業に没頭していた。
もしも。そんな言葉に意味など無いが、もしも、片桐が守屋機の姿だけで無く、進行方向も確認していれば
先程から守屋機が居るであろう予測位置にマガジン2発分の砲弾を叩き込んだにも関わらず
AIが試合終了のサインを。片桐の勝利を宣言しない事に疑いを持てば違う結果にもなったのだろう。
片桐は着地と同時に新たなマガジンを挿入。最早、動き回るまでも無い。棒立ちで発砲し続ける。
確かに格闘戦能力の高さだけに事関して言えば、最強の相手だったと認めよう。
だが、それでも、この私に撃ち落されて終わる事には違いは無い。いつもの対戦相手と何が違う?
機体の頑丈さも認めてやるべきか?などと思いながら最後のマガジンを装填する。
「え…?最後…?」
有り得ない。今回用意したマガジンは7個。この一戦で使い切る為に用意したわけでは無い。
7つもあれば二戦くらいは無補給でいけると思って事前に持ち込んでいたのだ。
此処に来て漸く、片桐は異変を感じ取る。
「守屋君を追い込んで、トドメを刺すつもりで…」
散々、発砲しまくった挙句、最後のマガジンを装填した。
片桐は大粒の汗を滝のように流しながら、情報モニタを確認する。
興奮しまくった挙句、発砲しまくって自分が勝った事に気付かず、アイリス・ジョーカーに追撃を仕掛けた。
いくら競技用の弾頭とは言え、これだけの直撃弾を与えたのだ。大怪我をさせているかも知れない。最悪の場合…
だが、情報パネルはアイリス・ジョーカーの健在を示している。
「これだけ撃ったのに!?なんで、撃破出来てないの!?
って、そもそも被弾していない!?なんで!?どうなってるの!?」
MCIギアに搭載されている簡素で粗悪なレーダーがアイリス・ジョーカーの現在位置を表示した。
そんなレーダーが相手ギアの現在位置を捉える事など出来る筈が無い。出来るとすれば…
片桐が狼狽していると突然の衝撃がコクピットを揺さぶり、イーゼル・イェーガーのモニターがブラックアウトする。
「な、何…どうなってるの、これ…」
「敵が前から来るとは限らない。片桐と同じ事をやっただけだ。」
イーゼル・イェーガーは首を切り落とされ、糸の切れた操り人形のように地に崩れ落ちた。
大見得切って頭部を刎ね飛ばしたは良いものの、改めてステータスパネルを確認すると普段通り、最悪としか言い様が無く
グリーンランプなんて物は相変わらず無縁で、全身レッドとイエローの見事なコントラストで彩られていた。
ついでに派手に動き回ったせいで、衝撃緩和剤の特盛も完食寸前。
(五体満足で勝てたのはある意味進歩か?)
「あーもー、悔しいなぁ…って言うか、飛び道具は苦手なんじゃないの!?」
「一度、攻略の糸口が見つかればいくらでも逆転出来るさ。
それと手加減している癖に戦い方が一々、雑過ぎる。」
攻撃が雑な上に集中力が持続しないのは本人の問題なので、それはさて置き
片桐が、もっと姑息に無慈悲に攻めていれば守屋を容易く撃破出来ていたであろう。
にも関わらず、特に前半は此方の能力を測るかのように観察しながら戦っていたように感じられた。
「べ、別に舐めてたわけじゃないってば…」
片桐は怒られた子供のように小さくなるので、守屋は別に怒ったつもりは全く無いと肩を竦める。
「州大会でやり合う相手なんだし?色々と出し惜しみさせてもらっただけだよ。」
「成る程。だったら、次にやり合う時は全て暴かせてもらうさ。」
どんな手札を持ち出そうと、今回と同様に正面から叩き潰してやれば良い。
それにアイリス・ジョーカーがボロボロになるのは何時もの事だ。
何もかも普段通りなのだから州大会でもボロボロにしたり、されたりしながら敵を倒せば良い。
統合歴329年8月5日
「まさか残りの合宿期間を丸々、遊びに使うとは…」
宝仙高校のスポーツギア部に別れを告げ、八坂高校スポーツギア部のメンバー達は
当初の目的…では無いが、それなりにお目当てになっていた海水浴場へと訪れていた。
加賀谷の入手した情報によると守屋達の行動可能範囲でまともな練習相手になりそうな高校が無いそうだ。
あんまり雑魚ばかりと戦っても仕方が無いし、あまり手の内を晒すような真似もしたく無いので遊んでしまえという事らしい。
些か物足りない気分もするが、青い空の下で青い海に浮かんでいると、こういうのも良いかと戦意が薄れてくる。
「ま、頑張った自分へのご褒美って事で!何だかんだで全勝中なんだって?」
「そういう霧坂こそ、一度も撃破されていないんだってな?」
加賀谷曰く、霧坂はSCI乗りの一年生の中では、この界隈でトップクラスの技量を持つらしい。
「そりゃ、加賀谷部長のスパルタ訓練メニューだって毎日こなしているし
対人戦の回数と人数だけなら守屋君よりも上なんだからね。」
そう言うと霧坂はそれなりに豊満な胸を張り、得意げな笑みを浮かべる。
「成る程…そういや、霧坂とはまだ実機でやり合った事無かったな。」
良い感じに揺れる霧坂の胸には目もくれずに波に揺られながら、顔を合わせる事も無く青空を眺めながら口を開く。
初めて、シミュレーターで対戦した時は悉く、動きを読まれ左腕を破壊され胆を舐めた事を思い出す。
「守屋君がSCIに乗るんだったら相手になるけど?」
まるで守屋の態度が、お前には女としての魅力は全く無いが、搭乗者としてならアリだと言っているようで
流石の霧坂も表情を憮然とさせる。卑猥な表情で見らるのも勘弁だが、女としては矢張り誉められたいものである。
「無理を言うなよ。」
そんな霧坂に気付いた様子も無く守屋は半笑いで勘弁してくれ降参だと両腕を上げる。
「さらりと恐ろしい事言うからだよ。それよか他に言うべき事があるんじゃないの?」
「あ?ああ…可愛いな?」
「あー…」
さり気無い所か直球で誉めろと言わんばかりの態度で守屋に迫るが、お気に召さない所か何の感慨も無いらしく
浴衣姿の時とは打って変わって、適当に取って付けたような誉め言葉に霧坂は憤慨を通り越して軽く眩暈がした。
一先ず、海パンを奪い取り、そこいらに居る女の子を手当たり次第に呼びつけて
守屋を晒し者にするのは基本としてどうやって報復してやろうか。
それともアレか?根本的な考え方が間違えていたのか?
この場合、ハイレグビキニでは無く、スク水を着てくるのがベターだったのか?
(何で、私が守屋君なんかの為に、そんなモノ着てあげなきゃいけないのよ。)
そもそも、守屋がそんな事を望んでいる筈も無く、ただの言いがかりでしか無い。
そんな感じに失礼な事を思案していると、守屋と霧坂を呼ぶ三笠の声が聞こえる。手には海の定番アイテムである西瓜が。
何か最近、コイツ等仲良いなとか思いながら守屋の後に続いて三笠の元に向かうと守屋の鍛え上げられた背筋が目に付く。
見事に鍛え上げられてはいるが生憎と地上最強の生物程では無く、鬼の形相の様な背中では無い。
意外と普通の人間と大差無いんだなと少しばかり残念な気分に陥りながら、定位置である守屋の左隣に並んだ。
以上、投下完了です。
投下乙です
殺陣も素晴らしい攻防ですがあれですな、強い敵と闘うことで何かを得てる感じとか、そうゆうメンタル部分の描写がなんかイイ!
流石スポーツギアの物語だなと思いつつ作者さん絵も描いてるやんスゲー!!ロボ外観絵もみたーいw
612 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/15(日) 06:14:55 ID:cJROeh16
戦国時代のロボットもの作りたい
ゴーショーグンとな!?
いや…武者頑駄無かもしれん…
なるほど。
BASARAの本多忠勝みたいなのがいっぱい出てくるんだな。
是非頑張って作ってくれ。
むしろ、からくりじゃね?
>>610 投下乙です!
今回も殺陣がGJですた!あと部長w落ち着いてw
守屋君の戦闘中の分析力はかなり高めですなー。冷静だw
あときりちゃんの女子としてのプライドが徐々に傷つけられているw頑張れきりちゃんw
>>612 変形合体する城ですねわかりますw
城を変形させるなら姫路城がいいなぁ。姫路市市民としては。
>>611 ロボット物のスレなんだから人じゃなくてロボ描かなきゃダメだろと思ってはいるのですが
意外とロボ描くのって難しいんですよね。落書き初心者にはかなりハードル高めです。
年内に公開出来るように頑張りますね。
>>612 時代劇とか90年代スーパーロボットアニメのノリと勢いがあるので
エレキテル、カラクリといった単語を混ぜるとそれっぽくなるかもですねw
>>617 部長は気温が下がれば元に戻る筈です。多分w
守屋君のお父さん曰く「弱いなら弱いなりに頭使って戦え」との事です。
きりちゃんも守屋君の事をあんまり男扱いしていないので、きっとお互い様w
これよりPBMのep10後半を投下します。支援が可能な方、どうかよろしくお願いしまーす!
♪ ♪ ♪
「……機械人形殺し?」
紳士が疑問系で復唱する。
「そう。文字通り機械人形を破壊して回ってる正体不明の仮面の戦士……っつー話だ。俺はこの目で見た事がないからわからんが」
いつの間にかロープでモヒカン達をぐるぐる巻きにしていたフランキ・ロバートソンが紳士の疑問に答える。
「しかもな、ただ破壊するわけじゃないらしい。そいつが殺ったオートマタは全部、穴も空いてないのにコンデンサが空っぽだったんだとさ」
「ほう……」
紳士の眉がぴくりと動いた。
「遥ちゃんとリヒターの事、助けに行ったほうがいいんじゃないのか? それに、もしかすると“機械人形殺し”はお前の同類かもしれないぜ」
「いいでしょう」
フランキの言葉に乗せられてか、紳士が白いステッキを持ってゆっくりと立ち上がる。口の端を吊り上げながら。
「ただし、ネタばらしは最後というわけで」
♪ ♪ ♪
<ブリューナク……?>
聞いた事もない名前で呼ばれるのはこれで二回目だ。自分はリヒター・ペネトレイターなのか、はたまたブリューナクなのか、それとも別の何かなのだろうか。
リヒターの胸中を疑問と不安がよぎる。
――――私は、何者なんだ……?
その隙を見計らってか否か、“機械人形殺し”がリヒターに歩み寄った。
<さあ、鋼鉄の身体を捨ててひとつになろう。あるべき姿に還ろう>
その手がリヒターの冷たい肌に触れる。優しく、触れる。戸惑う黒騎士、嗤う狂戦士。
<誰だ、貴様――――>
<俺は、お前だ>
そう言って“機械人形殺し”が脇腹を鷲掴みにした。その驚異的な握力のせいで装甲が軋み、歪む。
<――――!?>
いや、それだけではない。身体から力が抜けていく。突然膝が笑い出し、やがて重力に負けてひざまずいた。しかし各部に異常は無し……いや、コンデンサにあれだけあったマナがほとんど無くなっている。
マナを、喰われている。
タネや仕掛けがどういうものかはわからないが、確実にマナを吸収あるいは放出させられている。なるほど、これが彼を“機械人形殺し”たらしめている所以か。
何とかこの状況を打破したいが、動けなければどうしようもない。意識が強制終了するのも時間の問題だ。
もはやこれまでか、そう思った時だった。
“機械人形殺し”が後ろに跳躍。一拍遅れて棒手裏剣が飛来し、地面に突き刺さる。
<邪魔をするな、黒ウサギ……!>
漆黒の狂戦士が睨む先には、同じく漆黒の仔兎が一羽。どさくさに紛れて撤退という選択肢もあったはずなのだが、
<はぁ!? 邪魔をしたのはそっちでしょ!? 何あんた、何様のつもり!? せっかくそれなりに上手くいっててさ、あともうちょっとで作戦成功ってとこで乱入ってふざけてんの!? 死ぬの!? いやむしろ死ね!! いっぺんと言わずなんべんでも死ね!!>
キレている。とても、キレている。
ひたすら手裏剣を投げながら怒鳴り散らしている。“機械人形殺し”よりも、むしろ現在の彼女のほうが狂戦士っぽい。
さらに手近にあった木を無理矢理引っこ抜き、大きく振りかぶって――――
<距離さえあれば、マナを吸収される事もなかろうよ!>
殴打! だが“機械人形殺し”はそれを易々と片手で防ぐ。よろめいただけで、ダメージらしいダメージは見当たらない。黒ウサギ、思わず舌打ち。
<ちょっと、そこのあんた! 協力しなさい!>
リヒターさんご指名入りました。
<……マナを吸収されて動けな>
<問答無用! 言い訳無用! あの三つ編みの子呼んでチャージしてもらえばいいじゃない! 何のために契約してると思ってんのよ!>
狂戦士を丸太で殴りつけながら、黒ウサギ。……物凄い剣幕だ、女性のヒステリーって恐い。マスターも怒るとこんな感じなんだろうか――――なんてリヒターが勝手に想像してびくついているところに、
「おーいリヒター、大丈夫!?」
噂をすればなんとやら。三つ編みマスター登場。
<ああ、いいとこに来た! ちょっとあんた、こいつにマナをチャージして!>
「……はい?」
突然さっきまで敵だった者に支援を要求されて当惑する遥。助けを求めるような目でリヒターに向き直る。顔面には「説明求む!」の文字がありありと見えるようだ。
<すみません、マスター。これは私も何と説明したらいいのか……>
だが、当のリヒターも困惑しているので説明のしようがない。
<昨日の敵は今日の友って言うでしょ!>
丸太で横に一閃するも、しかしその一撃は、ひょい、とバックステップで避けられる。
<きのうのてきはきょうのとも……?>
ふむ、そういえば現在行動を共にしているヴァイス・ヘーシェンも玉藻・ヴァルパインも、一度戦ってから現在の関係になっているではないか。
<……なるほど、確かに昨日の敵は今日の友>
「え? 今ので納得しちゃったの?」
<はい、納得しました>
遥は思う。この子、ちょっと天然過ぎやしないかと。
<……不穏な行動を取った場合は即座に排除します。マスター、チャージをお願いします>
チャージならついさっきしたはずなのだが……。
「ひょっとしてリヒター、ボケた?」
この場合、ボケているのは遥のほうなのだが。ちなみに二人の視界の外では黒ウサギが絶賛暴走中だ。
<対象は何らかの方法でマナを強制的に放出、あるいは吸収する事が可能なようです。それにやられました>
遥が「なるほど」と手を打つ。緊張感も何もあったもんじゃない。が、
「……聞きたい事はまだあるけど、とりあえず今はやめとく。危ない奴が相手なんだよね」
スイッチが切り替わる。途端、少女の表情が凛と変化した。
<イエス・マイマスター。感謝します>
「どういたしまして。私はリヒターが活動できなくならないようにマナを送り続けるから、敵を近付けないようにお願い」
手の平をリヒターに当てて、直接チャージ開始。これで離れてするよりも遥かに素早くチャージする事ができる。
<イエス・マイマスター>
リヒターがこくりと相槌を打った。そして二人の間にしばしの静寂。向こうではキレたウサギさんの盛大なラフファイトが繰り広げられているが、気にしている余裕は無い。
集中、集中、そして解放。大量のマナが拡散せずにリヒターへと流れ込む。みるみる内にコンデンサがマナで一杯になっていく。
「チャージ完了、行ってヨシ!」
リヒターの手の平をポンと叩く。
それにしても、離れてチャージした時とはスピードが段違いだ。自分の未熟さを痛感して、遥ちょっとしょんぼり。
<イエス・マイマスター>
リヒター・ペネトレイター、ブースト・オン。
「がんばって!」
無言の相槌を返事として、圧倒的な加速性能を以って黒い疾風が狂戦士に肉薄する。
<下がれ、黒いヘーシェンタイプ!>
黒と黒、衝突。二倍以上の体格差から放たれたパンチを片手で軽々と受け止め、“機械人形殺し”が嗤いながら、
<来たか、ブ>
<遅いわ、バカ!>
――――言おうとした台詞に被せる形で黒ウサギが叫んだ。これで遅いなんて、そんな無茶な。
<そこ動くなよクソ野郎!>
そして槍投げの要領で、丸太を、
<死ねぇぇぇぇぇ!!>
投擲!
しかし一直線に飛んでいったそれは、空いていたもう片方の手が展開した防壁でベクトルを逸らされて明後日の方向へ。
そしてその光景に気を取られたリヒターを回し蹴りで吹き飛ばした後、黒ウサギに急接近。鳩尾に一撃食らわせ、十六文キック。そして悠然とその場に仁王立ち。
<笑止>
今、なんだかクスリと嘲笑われたような気がした。
<くっ……バリアまで張れるなんてずっこいわよ、このやろう!>
立ち上がり、叫ぶ。言葉の威勢はいいが、身体のほうは真逆のウサギ。じりじりと後退していく。
<……我々は二人掛かりですが>
そこに水を差すリヒターのツッコミ。
<だ、だまらっしゃい! それはそれ、これはこれなの!>
理由になっていないのだが……。そう言おうとして、咄嗟に口をつぐむ。今はそういうタイミングじゃない。
<って、あれ?>
立ちくらむ。どうやら先の一撃でマナを奪われたようだ。
<なに、これ……ヤバい>
リヒター、黒ウサギを庇うように前へ。
<……大丈夫か>
<貴様に用は無い、失せろ>
黒ウサギが返事をする前に“機械人形殺し”が抑揚を押さえた声で言った。意趣返しだろうか。
<い、言わずもがな!>
なんて言いつつ、ちょっとだけ躊躇ってから逆脚に変形して、
<心配してくれた事、少なからず感謝してる>
<早く失せろ>
<うるさいな、空気読めバカ! ……気を取り直して。でも、次に会う時は敵だからね。覚えてなさいよ!>
黒ウサギ、ハイジャンプ。あっという間に豆粒程の大きさになって、森に消える。
<……あ>
どうしよう、聞くべき事を聞く前に逃がしてしまった……が、まあいい。どうせ次も現れると本人が宣言したのだ。その時にまた聞き出せばいい。それよりも――――
目の前にいる、小さな、しかし圧倒的な存在を睨みつける。
同じ顔、同じ色。漆黒の狂戦士、小さな巨人。
誰だ、誰だ、誰だ、こいつは。
どういう事かわからないが、自分は目の前のドス黒いそれを理解できない。いや、理解しようとしない、したがらない。拒絶している?
わからない。誰だ、何だ、私は。
<これで邪魔者はいなくなった……さあ、思う存分>
急接近。拳を振るう。それを受け止めるリヒター。
<殺し合おう!>
何もないところ、障壁を作り出す。それを蹴って一回転。
<存分に!>
肩へと踵落とし。
<そして!>
着地。間髪入れずにターン、跳躍、膝蹴り。浮き上がる巨躯。
<ひとつに!>
<……ッ! させるか!>
ブースト。空中で姿勢制御。後退。そして、
<何処の誰かもわからない奴に!>
ダガー発振。袈裟掛けに振り下ろす。
<言っただろう!>
だが、その一撃は素手で受け止められる。
<俺は、お前だ!>
“機械人形殺し”がダガーを喰らう。マナで形成されたそれは、狂戦士の絶好の馳走となった。
<またか!>
続いてリヒター、小さな身体を圧殺せんと腕に力を込める。全体重を乗せる。だが狂戦士は怖じる事なくそれを受け止めた。地面が陥没する。が、
<笑止!>
マナを吸収。リヒターが脱力したところを押し返す。送られてくるマナより、吸収されているマナの量が勝っているのだ。先程よりはまだマシだが、このままでは――――!
♪ ♪ ♪
「何、あれ……」
眼前で繰り広げられる激闘を見、三つ編みの少女が呆然と呟いた。あんなに熱くなっているリヒターは初めて見た。
さらに、機械人形と互角以上に戦う人間――――本当に人間かどうかは怪しいところだが――――なんて見た事がない。亜人だってあそこまでの身体能力は持ち得ていないはずだ。
――――いや、そういえばついさっき見たではないか。機械人形を一刀の下に葬り去った、初老の紳士を。
「まさか、ロバートソン氏……?」
いやいやまさかさか。ロバートソン氏にはリヒターのコスプレをしてリヒターに襲い掛る理由は……いや、今はそんな事を考えている場合ではない。ぶんぶんと首を振って雑念を吹き飛ばす。
「……どうしよう」
マナのコントロールの甘さが、ここにきて如実に現れてきてしまっている。近付けばマナのロスは減るが、それはあまりにも危険だ。
考えろ、一条 遥。どうすればロスを無くす事ができるのかを。どうすればマナの拡散を防ぐ事ができるのかを。
「――――そういえば」
たまが言っていた事を思い出す。
――――マナを纏める時は……髪の毛を……。
「髪の毛? 髪の毛、髪の毛……」
自分の三つ編みを弄ってみる。髪の毛、マナを纏める、髪の毛、纏める――――そうか!
左手を地面に着けてリヒターにマナを送りつつ、空いた右手から捻り出したマナを三つの束に分け、編むようにベクトルを操作する。勝手は髪の毛と同じ。慣れたものだ、簡単にできる。
ぐちゃぐちゃな方向に進んでいくマナを真っ直ぐにさせようと躍起になって、こんな簡単な事に気付けなかった自分が憎い。後でたまちゃんにちゃんと謝って、お礼を言っておこう。
「よし、できた!」
三つ編み少女が、勝ち気に笑う。
♪ ♪ ♪
<これは……>
突然自分の中に大量に入り込んできたマナに、黒騎士が驚きの声を上げた。しかも今までの漠然とした、曖昧なものではない。明確な形――――三つ編みのマナだ。マスターらしいな、とリヒターが苦笑。
<何だ……!>
一方の狂戦士も、リヒターに送られるマナの量が爆発的に増えた事に驚きの声を上げる。マナの吸収が追い付かない。
リヒターの力が戻る。それに負けじと“機械人形殺し”もパワーを上げる。
<うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!>
<あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!>
文字通り、押しつ押されつの大接戦。お互い一歩も譲らない。
ざわ、ざわ、ざわ、ざわ。互いの力が辺りを揺らす。二人の間で世界が揺れる。
<やるな、それでこそ!>
“機械人形殺し”が纏っているマナが収縮した。直感的に危険だと判断。すぐさま手を離し、前方に障壁を展開させて、バックブースト。
<離脱か。だが……>
チャージ、チャージ、チャージ――――
<遅い!>
解放。
“機械人形殺し”を中心に、エネルギーの波が球状に広がる。衝撃と閃光を伴って。それは離れた木の陰でマナを送っていた遥にもはっきりと感じられた。びりびりと震え、揺れる地面と空気に鳥肌が立ち、反射的にその場に伏せる。
やがて、少女の視界は光で埋め尽くされた。
♪ ♪ ♪
やがて、光が収縮する。呻き声と同時に目を開けた遥の目の前に広がるのは、凄惨な破壊の痕であった。
まず視界に入ったのは、地面に穿たれたクレーター。
木々は吹き飛び、地面は刳れて。中央には、バチバチと、爆ぜる燐光を纏った黒い人影。クレーターの渕には、前面の装甲を焦がした巨人がひざまずいている。
「リヒター!」
見るも無惨な姿と化した黒騎士に、思わず遥が声を荒げた。駆け寄ろうとして、踏み止まる。
――――狂戦士が、こちらを見ている。
「この……っ!」
三つ編みの少女が身構えた。駄目元だ、腕の一本くらいは極めて――――
「……!?」
だが、願いは叶わず。一瞬で距離を詰められ、首を締められた。少女の小さな身体が軽々と持ち上げられる。
「あぐっ」
苦しい。息ができない。怖い。死にたくない。だけど、それよりも――――
<貴様……まさか“心臓”を……>
――――腹立たしい。
「知、る、かぁっ!!」
怒りに任せて、全力で、思いっきり、顔面を蹴る。偶然、かたまたまか、先程の大技の反動で防御力が低下しているのか。少女の爪先が赤く光る目に侵入した。
<ごがぁッ!>
怯み、ホールドが緩んだ隙に脱出。
「ゲホゲホッ! ゲホ……おぇっ!」
肺に急に酸素が流れ込み、咳込む。口元の唾液を拭い去り、少女が黒い狂戦士を睨みつけた。
「わけのわからない事をごちゃごちゃ抜かしやがって、この野郎……!」
その瞳に絶望はなく、そこにあるのは、不屈の闘志だけ。
<女よ、“心臓”を寄越せ……!>
片目を手で覆いながら、もう片手を遥に伸ばす。
「それ以上近付くなっ!」
偶然足元に落ちていた、折れた棒手裏剣を拾い上げ(けっこう重い)、槍のように構える。
<寄越せ……!>
「しつっこい!」
放たれる突き。が、即席の、槍は掴まれ、ヘシ折られ。
「……おお」
衰えたとはいえ、身体能力は人以上らしい。尻餅をつく遥と、じりじりと迫る黒い影。リヒターはまだ動けない。
――――いけませんな。それは犯罪ですぞ。
聞こえたのは、覚えのある、紳士の声。ステッキを持った、紳士の声。
「ジェ、ジェームズさん!?」
初老の紳士が、狂戦士の肩を掴んでいた。“機械人形殺し”が力を入れても振り切る事ができない程の握力で。
<貴様……何者だ>
苛立ち全開。狂戦士が尋ねる。
対する紳士はら口の端を吊り上げ言った。
「――――通りすがりの、“小さな存在を愛する者”ですよ。ああ、これは覚えていただかなくても結構」
余裕綽々。手の力を強める。ミシミシと軋む黒い肩。
<その手を離せ>
高速の裏拳。
「貴方が退くならそうしましょう」
にこやかに、微笑みながら受け止める。
<離せ>
懲りない“機械人形殺し”が再び要求。
「貴方が退くなら――――」
<離>
「――――なら失せろ、下衆が」
狂戦士にだけ聞こえるくらいの声量で紳士が吐き捨てた。地獄の底から這い出てきた鬼のような目と、声で。
数秒間黙考したのち、黒い狂戦士は無言でその場から立ち去った。
あまりに唐突な出来事に、遥、唖然。
「大丈夫かい? もう悪い人はいなくなったよ、遥ちゃん」
「あ、は、はい。……二度も助けていただいて、ありがとうございま……あれ?」
むぅ、なんて事だ。力が入らない。どうやら腰が抜けてしまったらしい。
「あのー……」
「腰が抜けてしまったようだね……どれ」
紳士、少女をお姫様抱っこ。
「わ、わ! ジェームズさん!」
突然の出来事に遥が驚き、萎縮する。だがロバートソン氏はにこりと微笑み、言う。
「しかし、このままでは動けないだろう?」
確かにそうなのだが、これはちょっと……いや、かなり恥ずかしい。
「ああ、それとね。実は私はジェームズ・ロバートソンという名前じゃないんだよ」
「へ?」
突然何を言い出すんだこの人。
「私の名前はね」
一度遥を地面に下ろし、頬のあたりをぐいっと掴むと、べりべりと音を立ててマスクを引っぺがす。
「え?」
マスクの下から、現れたのは――――
「えぇ?」
「私……いや、俺の名前はな、リヒト・エンフィールドってんだ」
よく見知った、師の顔だった。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――!?」
一難去った静かな森に少女の絶叫が響き渡り、辺りの鳥が飛び去った。
♪ ♪ ♪
数刻後、シュンスケ君改めフランキ・ロバートソン邸の庭にて。
「ちょっと、こんなのってアリなの!?」
バン! 完全復活した遥が机を叩く音が響く。が、まどかがびくんとおののいただけで、他のメンバーは必死で笑いを堪えていた。
「い、いや、でもこれウチの伝統だからね」
肩を震わせ、手で口元を隠しながら、リヒト。
「そ、そうそう。まどかちゃんもライディースくんも通った道だよ」
時おり口の端をピクピクと引き攣らせながら、ルガー。
<私達は通ってませんけどね>
「仕掛け人ですからね!」
いつもと同じテンションで、シロとリタ。
<ぷっ……あ、ああ、そうだぞ。私だってハメられ……くくくくっ>
隠す気すらないたま。嘘つけ、どう考えてもハメる側じゃないか。
「またシメられたいの? 教官」
<すみません>
五月蝿い狐を、その気迫と握力でもって黙らせる。
「で、でも本当に本当なんですよ?」
「そうそう、僕達も無理難題押し付けられたもんね」
そして遥をなだめるまどかと昔を思い出して苦笑するライ。
――――ロバートソン邸は、某なんでも屋の如くカオスな様相を提していた。
「まあまあ遥ちゃん。約束通り報酬はきちんと払うから、それで許してくれよ。な?」
笑いを堪えつつ頭を下げる本物のロバートソン氏ことフランキ・ロバートソン。どう見てもその辺にいる気のよさそうなにーちゃんだが、こう見えていくつかの鉱山を所有している富豪なのだから世の中わからない。
「でもアレだろ、俺が紳士ってピッタリだろ」
ニヤニヤしながら話し掛けてくる赤髪のリヒト。正直紳士とは程遠い。
「まだルガーさんのほうが似合ってます!」
「おいおい何言ってんだ、変態は変態であると同時に紳士でもある……いやむしろ変態は変態という名の紳士なんだぞ」
目の前の変態が何を言っているのか理解できない。
そのおり、リヒターが窓の外からこちらを覗き込んだ。付着した炭素は綺麗に拭き取られ、吹き飛んだ指は必死に探してくっつけられている。
<……それにしても驚きました。ここまで手の込んだ事をするとは>
そう、今回の騒動は全て、遥とリヒター以外のやおよろずメンバーとフランキによる盛大なドッキリだったのだ。何でも新人をハメるのはここの伝統らしい……なんて迷惑な伝統だ。
「わざわざシロちゃんの色を塗り替えてチンピラと一緒にけしかけたり、変な格好して襲い掛かってきたり……ちょっと気合い入れ過ぎなんじゃ――――」
「……いや、俺らそんな事してないぞ? なあ?」
リヒトが全員に尋ねると、皆一斉に首を縦に振った。
「え」
つまりアレは本物の襲撃者だったとでもいうのか。遥の背筋に嫌な汗、一筋。
「大丈夫だ、いざとなったら俺がいるからな!」
リヒトが力瘤を作って見せる。正直コレには頼りたくない。
<大丈夫です、マスター。いざとなったら私が、この身に代えてもお守りいたします>
恭しく頭を垂れるリヒター。あまり無理はしてほしくないのだが……心配になるから。
「ま、とにもかくにもまずは情報収集だ。近い内になごみんとこに殴り込みに行くぞ」
キリッ。何故か顔が真面目モードになる変態紳士。が、そんな事はどうでもいい。
今、遥が気になる事はただ一つ。
――――なごみって、誰?
♪ ♪ ♪
暗い暗い、部屋の中。小さな小さな影ひとつ。
広い部屋を、行ったり来たり。落ち着きも無く闊歩する。
部屋のドアにはプレート一枚、書いてあるのは五つの数字。
早かったのう、と影が呟く。
彼女はなごみ、なご なごみ。
古き時代の、忘れ形見。
――――はいはい次回へ続く続く。
ふぅ……なんとかクロスオーバー前にep10投下完了しました。よかったよかった、これで心置きなく雑談に参加できる……。
何やら展開が唐突だったりしますが、まあいつものこt……wiki収録時に出来たら修正し……たいなぁ。
え? アサルトアーマー? ああ、便利ですよね、あれ(棒)
とりあえずアレです、リヒトと“機械人形殺し”はかなりのチーターです。生身でオートマタと互角以上に戦えます。仮面ライダーとかテッカマン的な何かです。
さてさて、次回はまどかとたまちゃんのターン! ……になるといいなぁ。期待しないで待っててね!
あ、感想やレス返は明日という事で!
誰もいない、続いて投下するならイマノウチ……
鋼殻牙龍ドラグリヲ 第七話 獣の目覚め、其の名は“憤怒”
ここは……どこだ…?
フと気が付くと雪兎はまた深い深い闇の中にいた。
全ての光がこの漆黒に飲まれたように何も見えず、耳鳴りがするほどの静寂が僕を包む。
だが何時もとは違い、先ほどまでの記憶が鮮明に残っていた。
閃光に包まれ、崩壊していくドラグリヲの中で力尽きるまで叫び続けていた事を。
僕は……死んだのか……?だとしたら……ここは地獄なのか?
身体の感覚が無い。
動こうにも身体が言う事を聞かず、ただ只管この暗い空間の中を揺蕩い続けている。
このままずっと、この暗闇の中で永遠に漂い続けなければならないのか?
そう考えると徐々に焦燥に駆られていく。
「クソ…どこだよ…ここは!」
そう毒づくが状況は一向に変わらない、無情に時間だけが過ぎてゆく。
思わず心に不安が生まれたその時、闇の向こうに小さな光が見えた。その光は此方へと少しずつ近づいてくる。
そしてある程度の大きさになった所で動きを止めた。その直後、闇の中に男の声が響き渡る
{小僧…生きたいか?}
―――誰?
{質問に答えろ……生きたいか?}
男は質問を繰り返す。僕は答えた。
―――生きたい…いや…生きなくちゃ……。
{何故だ?}
―――父さんとの、約束だから……。
{……それだけか?}
―――それだけじゃない…僕には…そばにいてやりたい人がいるんだ…だから……
男は黙りこむ、そしてため息混じりに言った。
{何でこんな奴に寄生しちまったのかね……、いいぜくれてやるよ……俺の命…貴様にな……。}
その言葉が終ると同時に制止していた光は行動を再開し、再び此方へと近づいて来た。
しかも先ほどとはまったく違い凄まじいスピードで迫って来る。
形が確認できる位の距離になった瞬間、僕は背筋が凍りついた。
闇の中から巨大な大顎を持った半透明の化け物が減速せず向かってくるのが嫌でも見えた。
サーッと血の気が引く。
―――うわ!ちょっ…ストップ!スタァァアアプ!!
何とか制止させようと声を張り上げるが、その化け物は聞く耳を持たず嫌がらせの様に更にスピードを上げる。
そして衝突、僕の身体は完全に砕かれたと思われた。
だがその予想は大きく外れる事となった。
頭に衝撃が奔り、突然身体の感覚が戻る。
そして徐々に周囲の場景が視界内に構築されていく。
バチバチと音を立てて燃える炎の隣で倒れていた僕はゆっくりと上体を起こした。
「……ここは…?」
起き上がろうと地に手を付けて、体重を掛ける……が。
「んおおお!???」
地面がヌルヌルと滑り、思い通りに動く事が出来ない。
体勢を立て直す前に、転んで後頭部が地面に衝突した。
「グホオォ!」
頭の中を火花が散り、視界内を星が飛び回る。
「…ん?」
今確かに、痛みを感じた。
「生きてる…のか…?僕は…。」
後頭部に付いた液体を拭いとり、コケない様恐る恐るゆっくりと立ち上がる。
「夢…か…、随分と変な夢を見たもんだ……しかし……何だ?このヌルヌル……。」
手に付いたヌメリの元に目を落とす。
それは触れずとも表面が蠢き、そして光の加減で虹の様な輝きを返す不思議な液体だった。
その物体に、僕は見覚えがあった。
「グロウチウム…?まさか…カルマ!?」
銀色のゲル状の液体の中心に飛び込み、手探りで必死に本体を探す。身体が焼けるように熱い、だがそれでも止める訳にはいかなかった。
なるべく深く、そして重く液体が身体に圧し掛かる所を徹底的に捜索する。
ただ闇雲に振り回される腕の先が、虚しく銀の液体を撹拌し巻き上げる。
だがそれでも諦めない、しつこく執念深く手足を振り回す。
そして遂に何かが指先に触れた。
「…!」
触れて形状を確かめ、そして確信する。間違いないこれは右手だと、そしてその小さな手を必死に掴んだ。
その瞬間急いで液面へと浮上する。
「ぶはっ!……カルマ!!!」
顔にベットリと付着した液体金属を拭い取って、頬を優しく叩く。
だが瞳は開かない。
「カルマ!しっかりしろ!!!」
液面から引き上げて、胸に耳を押し当てた
すると僅かに駆動音が聞こえて来た、その音に続いてリズミカルな振動も共に感じる。
どうやらコアは損傷していないようで安心した。
「……よかった、壊れて無い………。」
安心して思わずその場にへたり込み視線を上に向ける
そして上を向いた事を心の底から後悔した。
そこには威風堂々とした体躯の竜が、遥か頭上から僕たちを見下ろしていた。
大気がチリチリと焼かれ、爆ぜる音が闇の中へと融けていく。
全身の赤い鱗が焦げ付いたように真っ黒に変色している。
あれほどの爆炎の中で、たったそれだけのダメージしかなかった事に驚愕し、そして絶望した。
{グンッ!}
そして再び張られた熱膜によって焦げ付きが剥がれ、あっという間に元の姿に戻ってゆく。
「……そんな。」
ブレスを喰らっても消滅しない、こんな化け物に敵うはずがない。
絶望が僕の思考を席捲していく。
竜はへたり込む僕の姿を憎々しげに眺めながらゆっくりと降りてくる。
その時だった。
――――怒れ…そして…屑肉となる理不尽な運命から抗え…!!見せてみろ…貴様の“憤怒”を…!
夢で聞いた、男の声が僕の意識の中で響いた。
その途端、身体に異変が起こる。
先ほどの研究施設で起こったような激痛が全身を駆け巡った。
「グ…!?またか……何で今…?}
僕は戸惑った、だがその感情を無視し、身体は凄まじい勢いで変化していく。
聴覚が、触角が、嗅覚が急激に鋭くなっていくのを直感で感じ取る。
炎の陰に揺られて、ユラユラと不鮮明に闇の中から浮かび上がっていた竜の姿が、鱗の凹凸までハッキリと綺麗に見えるようになった。
呆然とする暇など無かった。
痛みが手と足の神経を激しく掻き毟る。
「ウアァアッ!!!}
その痛みが限界に達すると同時に手足の指が裂け、そこから鋭利で無骨で巨大な刃が飛び出して来た。
それに応じて、口の中の全ての歯が抜け落ち、刀の様に鋭利で頑強な歯に素早く生え替わる。
「うぁ!?………グッ…………ウウウウウウウウウ……}
パラパラと地面に落ち、跳ねる歯。いくつかの歯は液面へと落ち、そして沈む。
同時に頭と腰に割れる様な痛みが奔る。
その瞬間、頭蓋骨を突き破り竜の角の様に後ろを向いた突起が、腰の付け根辺りから銀の鱗に覆われた靭な尾が血を噴き出しつつ生えて来た。
思わず自分の両手を見る、その爪に映り込んだ自分の顔を見たとき瞳の赤みが益々強くなっていくのが見て取れた。
「どうなってんだよ…夢じゃ…なかったのかよ……!}
身体の痛みは尚も増し続け拒絶したくなるも、身体の変貌はそれを無視し尚も変化を続ける。
胸の奥底から沸き起こる自分でも驚くような獣の唸り声が、竜を圧するように激しく吐き出された。
{ヴォオオオオァァアアアアアアアアアアア!?」
大気がビリビリと振動し、地面にピシッと小さな亀裂が奔る。
竜はその苦しみもがく僕の姿を腕を組んで眺め続けていた。
徐に顎の先に指を添える。
そして思わぬ物が、竜の口から飛び出して来た。
{獣血の侵蝕に耐えるか…面白い……。}
穏やかで、そして荘厳な雰囲気のある声が、僕の耳に確かに届いた。
{…!?」
{だが苦しかろう……その苦痛…ここで終わりにしてやる、それが…貴様にしてやれる我の最後の慈悲だ。}
竜はそう言うとゆっくりと、拳を振り被る。
そしてその拳が青白く燃え上がり、陽炎に包まれた。
{………死んでたまるか…こんな所で!…“俺”はこんな所で死ねないんだぁああああああ!!!」
偽り一つ無い、心の底からの叫びを全身を震わせるようにして張り上げた。
それに呼応してか、全身に今まで感じた事の無いような力が漲って来る。
作動させていなかった筈のナノマシンが強制起動し、紅いラインが全身を隈取りのように彩り、そして輝く。
そして再び先ほどの衝動が沸き起こって来る、胸の奥底から込み上げてくる、獣の咆哮が。
{ヴグルルァアアアアア!!!」
{安らかに…眠れ…!}
振り下ろされた拳に向かって、咆哮と共に両手に生えたその刃を思い切り天に向かって突き上げた。
竜の鉄拳と僕の爪がぶつかり合い、発生した衝撃波がビリビリと周囲を振動させる。
地面が衝撃波によってヒビが縦横無尽に奔る。
{ぬう…!?}
受け止められた瞬間、竜は困惑した声を上げた。
全力では無かったとはいえ、自らの拳がこんな小さく脆弱な存在に止められるとは、思いもしなかったからである。
だが驚いた事はそれだけでは無かった。
ドラグリヲの爪でも貫通出来なかった鱗を易々と突き破り、その下の軟肌まで到達し、深々と突き刺さった。
そして爪を伝ってツーッと液体が滴る。
{貴様…!}
竜は怒気と歓喜と真逆の感情を込めた声を上げた。
{ヴォオオラアアァァァアア!!!」
その軟肌に爪を食い込ませ、俺は竜をそのまま闇の向こうへとブン投げた。
全身の骨格とミシミシと鳴り、筋肉が脈動する。
鱗の間から爪が引き抜かれた瞬間、シャワーのように血液が勢いよく噴き出す。
だがその血は他の害獣のように濃い緑色ではなく、毒々しいまでに紅かった。
噴き出した血液が僕の身体を赤く濡らし、その跳ねた飛沫がカルマにも降りかかり可憐な白黒の衣装を赤黒く染め上げる。
それを見て俺は更に戸惑った。
「何で……害獣が赤い血を……。}
投げられた瞬間、竜は宙で翼を広げ、体勢を素早く戻して地面に着地する。
そして振り返り、怒声を張り上げた。
{害獣……だと?無礼者が!!我をあの様な虫ケラ共と同列に扱うな!}
竜は本当に嫌そうな表情に顔を歪め、吠え猛るように俺を叱咤する。
「うわぁ!えっと…御免なさい!!}
その余りの剣幕に反射的に謝ってしまった。
――――化け物相手に頭下げて何やってんだ。
やってる自分が一番馬鹿らしく思えた。
だがそれと同時に、一筋の希望も感じた。
――――言葉が通じるのなら、交渉も可能かもしれない…と。
だがそれ以上考える必要はない事をアチラ側から態度をもって示してくれた。
{今は機嫌が良い…特別に生かしておいてやる…ありがたく思うのだな………}
竜はこちらが物を言う前に、拳から発していた熱を消して腕組みをし、その場にドカリと座り込んだ。
その暴力的でアホみたいな力とは裏腹に非常に紳士的かつ単純な性格だったことにホッとする。
此方が思案に明け暮れている間、竜は俺の身体をジッと眺めて続けている。
そしてボソリと呟いた。
{獣血の侵蝕を自らの力のみで抑え込むとはな……}
{…獣血?」
聞いた事も無い単語を聞き、思わず復唱する。
だが竜はその言葉を無視した。
{興は終わりか…ならば我はもう帰る、妃が待っているのでな……。}
竜はゆっくりと拳を地面について立ち上がり、天井の穴の真下へと歩き出す。
{え…?ちょ…まって!折角言葉が通じるようになったんだから話を………」
コウ
{我が名は“紅”……}
こっちが訪ねようとも思わない事を勝手に喋って後ろを向き、天を見上げる。
{又……会うこともあろう…さらばだ…小僧……!}
竜は折りたたんでいた翼を大きくはためかる。
そして翼全体に熱を孕ませ、飛び立とうとした。
「ちょ…ちょっと待って!ホントに待って!!}
俺は慌てて“コウ”と名乗った竜の足に爪を立ててしがみ付き、強引に引き止める。
{……何だ?}
颯爽と飛び去ろうとした所を急に止められ、鬱陶しそうに顔をこちらに向ける。
その表情はさっきまで威風堂々とした態度とは裏腹に、非常に人間臭いものだった。
さっきまで醸し出していた威厳が全て台無しである。
「…ここから一緒に引き上げてくれない………くれませんでしょうか?}
その場に正座をして、乗せていってくれないか駄目元でお願いする。
だが返答は意外な物だった。
{………光栄に思うがよい……王の御手に抱かれて、宙を舞う事が出来る事をな…。}
“コウ”と名乗った竜はそう言うとそっと手を差し伸べる。
罠かもしれないと一瞬考えたが、寝ている間に挽肉にされなかった事を鑑みて、無いだろうと判断し
俺はピクリとも動かないカルマの躯を優しく抱き抱え、“コウ”の掌の上に乗る。
そこは、先ほどまでの熱が無かったかのようにヒンヤリとしていて、とても居心地がよかった。
{準備はよいか?しっかり掴まれ!}
竜はその強靭で大きな翼をはためかせ、一気に飛び上がった。
翼によって周囲の壁が削られ、崩落していく。
その速度は凄まじい物だった、天高く開いていた小さい穴が凄まじい勢いで大きくなっていく。
そして最大まで大きくなったと思った瞬間、俺たちは星屑の瞬く夜空の下にいた。
風が僕の髪と尻尾を靡かせ、吹き渡っていく。
見上げると今まで感じたことの無い位、星が近くに見えた。
「これは凄い…!}
思わず手の力を緩め、カルマを抱きなおす。その瞬間悲劇は起こった。
そのタイミングに合わせて、“コウ”が身体を捻って方向転換し激しく揺れた、その瞬間バランスを保ちきれず掌から滑落する。
{あ………アッーーーーーーーーーーーーー!!!」
そして僕は月に照らされ飛び去ってゆく“コウ”の姿を眺めながら、間抜けな体勢で、小汚い街中へと墜落していった。
胸の中で何も知らずに眠り続けるカルマを抱いたまま。
終わった…。寝ます、感想はまた後日…お休み…。
>>629,637
投下乙です
>>629 やはり正体は貴様だったかリヒトw
いやしかし、混戦は燃えますなー
二転三転する戦況が熱いぜ
そして口調が気になるぜなごみん、ロリババァ或いはのじゃロリの匂いがするぜなごみん
>>637 おわぁ! 雪兎がとんでもなく偉いことに!w
さらにその格好で街中にダイブとは、どうなってしまうのだw
あと、コウさんテラ気高す
彼からはツンデレの匂いがしないでもな(ry
みんな纏めて投下乙だぁっ!
>>610 おお。格闘機vs射撃機、いいですね……熱い。そして片桐さんはなかなかの策士よ。
守屋は相手にすると面倒かつ予算に優しくないタイプですねw 二重の意味で厄介だw
部長は……もう……。
しかしきりちゃんが巨乳だったとは、なんという誤算だ……!
>>637 おお、流し込まれたブツはパワーアップのほうのフラグでしたか!
てっきり「貴様の中に入り込んだ寄生虫は三日後に貴様を腹の中から食い殺す。助かりたければ三日以内にうんぬんかんぬん」のほうのフラグかt(ry
紅さんは強いなぁ。嫁さんの名前が気になりますw てか、害獣じゃないんですか紅さん。
それにしても、カルマが大丈夫っぽくてよかっt
って落ちた――――!? どこまで波瀾万丈なんだオィィィィ――――!?
>>638 >やはり正体は貴様だったかリヒト
バレていた、だと……!? やるな、貴様!
あ、なごみんはご想像の通りののじゃロリババァですw 人じゃないからどんな外見でも自由自在だイャッホゥ!!
>>629 >>637 お二方投下乙っす!
>>629 漸くこれを言える……
や は り お 前 か www
言動と悪乗りっぷりでそうでは無いかと思っていたら案の定だよ!w
しかし「機械人形殺し」は本気でオートマタの天敵ですなぁ……
ノーリスクでマナ供給できる遥さんとリヒターのコンビしか相手が出来ませんなぁ
しかし、リヒターが更に可愛くなってませんか?w優秀なんだけど素ボケキャラw
そしてロリババァ……だと……?
>>637 前回やばい引きだったからどうなるかと思っていましたが……二人とも無事でよかったー!w
そして雪兎君がヤバそうな謎のパワーアップとな!?「憤怒」と聞いてニヤリとしてしまった俺はファンタジー中毒w
そして一難去ってまた一難w地上に落ちるまでに何とか頑張ってくれ雪兎君w
ツガイの紅い方、もとい紅様が喋った!Σ(・△・ )まさか高知性なお方だったとは!これは後の展開が楽しみですのぅw
最近SS読んでるとスパロボ風な情景に勝手に脳内変換されるw末期だw
>>629-637 投下乙です
>>629 これはまさかの神展開キタ!!遥嬢の三つ編みって伏線!?マジかこれ!!読者を揺さぶる驚きの連打が気持ちいいなぁ今回も!
正体見破れてなかった私は遥嬢と一緒に「ええぇー」ってハモる羽目に♪
いやー楽しい、この世界に住んでみたいわ
>>637 投下乙です
凄すぎる…何がってこの実際に見てきたような描写っぷり、解像度が素敵
パラベラム!がアニメならドラグリヲは特撮とか実写寄りかもなぁと個人的に思い始めまして…カルマちゃんを誰にしようかなwとか勝手に思い悩むのも楽しw
>>640 しかし“機械人形殺し”のせいでアンサラーのみなさんが強敵に感じなくなりそうで怖かったりそうでなかったり。チートキャラって扱いが難しいですね……w
>>641 三つ編みの件は前々からやりたかった展開のひとつだったりしますw というかむしろこの展開のために神子の設定を(ry
変なところに伏線を落っことしているかもしれないので要チェックだ! ……同時に、伏線かと思ったら思わせぶりだった、というのも多々ありますけどw
>いやー楽しい、この世界に住んでみたいわ
うわ、嬉しい! 感無量です!
ソフトバンク規制解除でござる
しかしまだしたらば規制ってどういうことなの・・・
なんだって!それは本当かい?
おお、本当だ!私は帰って来たああああああああああ!
どうだー!
647 :
筆:2009/11/16(月) 22:39:16 ID:E57ZOFct
キタ━━━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)´,_ゝ`)・A・)━━━!!!
おっしゃあぁぁ!復活!
皆さん、お帰りなさい!
投下乙でやんす
俺も戦車対ロボットで書いてみっぺえ
壁|ω<)ノシ<みんなおかえりー!
>>629 投下乙です。
チートキャラの機械人形殺しを恫喝一つで退かせるとは、ロリコン恐るべし。
何れ、この二人の頂上決戦も見てみたいですw
それにしてもリヒターが萌えキャラになっているのは気のせいでしょうか?
>なごみんはご想像の通りののじゃロリババァですw
ィィィィィヤッホオオオオオオオオオオオオオオウ!!!!
>>637 >ドラグリヲの爪でも貫通出来なかった鱗を易々と突き破り
雪兎Tueeeeeeeeee!!!
それにしても紅さんカッコイイですな。
害獣扱いされて憮然として意外と人間味もありますし、ツンデレ+アニキ臭のする男前オーラを感じますw
>>639 気が付いたら、守屋が底力Lv9を取得していましたw
652 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/17(火) 09:25:03 ID:NisCg7Yp
kiseiされてるかな
>>651 ロリコンは何気にかなり強いよ! 退かせたのは“機械人形殺し”が大技使った後で消耗してたから、ってのが大きいですけど。
>それにしてもリヒターが萌えキャラになっているのは気のせいでしょうか?
しかし一番最初の構想だとリヒターはオッサンだったというのは秘密だ!
>気が付いたら、守屋が底力Lv9を取得していましたw
おお、なんというわかりやすい例え。底力が発動するとダメージ通りにくいわ攻撃痛いわで物凄く面倒ですよねw
底力でふと思ったんだが、各作品の主役キャラの能力をスパロボ風にしたのを
いつかでイイから見てみたいナーと思ったw
>>654 反射的にスパロボ風の特殊能力が思い浮かんだよ。
例)ロリコン
パターン1
自陣営のロリキャラのダメージをレベルの回数分、援護防御。
その際のキャラクター間の位置関係は一切、問わない。
パターン2
自陣営のロリキャラ攻撃時にレベルの回数分、援護攻撃。
更に絶対命中+クリティカル+シールド防御・バリア無効。
その際のキャラクター間の位置関係は一切、問わない。
パターン3
自陣営のロリキャラにダメージを与えた敵陣営のユニットに
パターン2の攻撃+ロリキャラの被ダメ+装甲無視攻撃
ロリコンと言う名の変態紳士
パターン1〜3の能力を全て兼ね備える。
>>655 なんという超絶エースボーナスwww
さすがロリコン俺たちに(ry
今回チートクラスの能力ということが発覚したのでちょっと納得してしまったw
赤毛の変態紳士「ロリは人類の宝!いや希望!!故にロリに仇なす者には鉄拳制裁じゃー!!」
う詐欺「黙って下さいマスター、もとい変態」
ロリコン「仮に変態だとしても変態というn(ry」
へーちゃん「はいはいワロスワロス」
この流れ、なんだかデジャヴw
>>655 持ってるキャラ自体は少なそうですねw
>>657 ぶっちゃけ、悪乗りで作ったリヒトさん専用スキルですw
>>658 固有アビリティ……だと……!?
そういえば、このスレをゲームにしたら固有アビリティ持ち多そうですねw
神出鬼没で超強力でロリコンとくれば極細も搭載してそうですなw
>>659 いつか何処かのゲームクリエイターが作ってくれる事を信じていますw
前にも出ていましたが、このスレでA.C.Eがやりたいです
衝撃のアルベルト並に無双する極細が浮かんできた件
つか主人公ズって皆アタッカータイプっぽいからサポートタイプが凄く必要だと思うw
サポート系ならヒロインの皆さんが習得しそうな気がw
>>662 言われてみれば!Σ(・△・;)
修理・補給を持ってそうな機体が見あたらないぞ!?w
ミスったwパイロット能力の話でした……orz
自己修復しそうなの多いけどなw
神子の皆さん「補給なら任せろ」
カルマたんとか、もろにサポート系キャラクターですしね。
遥さん+リヒター、ショウイチ+タウエルンで人機コンビで精神コマンド二人分とか
パラベラムの人間組はマナの供給繋がりで中盤から後半にかけて補給を覚えそうなメンツが多そうですw
>>664 あながち間違いでもない
本家に比べて補給・修理期待がスゲー少ないから、自然に難易度が高くなりそうだw
後、個人的に悪役側のクロスも期待してる
一番厄介になりそうなのってどいつだろう
EN攻撃してくる機械人形殺しはウザそうだw
>>668 本家スパロボだって
原作じゃ別に修理したり補給したりって機能は微塵もなかったのに
弱ユニットだから修理、補給持ちになってるって奴はいっぱいいる訳で
>>668 組織だとアブラクサス、個体ならツガイが強力そうだ
>>670 まぁ確かにそうだwPBM系とDS系が持ってそうなイメージだ、何となく
つか本スレで雑談って久々な気がする
そうだ!
量産機がある世界観だったらOGみたいに修理装置、補給装置を乗せれば!w
>>668 オルトロックもヤバそうwスパロボWの時のガウルン並みにw
>>668 DSのガードメカがかなーり厄介な気がします、出現する地形的に。
>>672 白ウ詐欺<今のところ大した技のない私が補給担当になりそうな気がしますね>
黒ウ詐欺<ぷっ、ざまぁないわね>
白ウ詐欺<何言ってんですか、クロちゃんは修理担当ですよ>
リタ「トーラス(※変態企業ではない)的な意味でですね!」
>>674 Σ(・△・ )そうだった!
ツクヨミさんのインパクトの所為でつい主人公機扱いしていたw
重装甲強化服も量産機だな。しかも主人公が乗ってるのは二世代旧式の機体だし。
……あれ?量産機の上に旧式機の主人公ってうちの清水静だけ?
>>677 カスタムしてる時点で既に専用機レベルなのではw
>>678 いやまぁ、確かに専用機といえなくもないけど、性能的には最新の五式重装甲強化服を先頭に
五式>四式≧三式BSC>三式
ぐらいしかないです。
そういえば乗り換えネタとか面白そうですよねw
そういえば、ヘーシェンタイプ、ヴァルパインタイプなんかのオートマタや、ティマ(のボディ)も
実は量産型っちゃ量産型なんだよね
折角なので本家には出来ない事をやってみよう。
悪山の爺さんの魔改造で主人公'sのロボットが合体!!
ってのは流石に無理だろうけど、捏造合体攻撃ならアリか?
あの爺様は悪人サイドだろw
特徴あったり共通点あるロボット同士は合体攻撃捏造しやすいかも。ウサギ×2とか。
スカンクエイプ(ツクヨミ)&ヘーシェンですね、分かります。
ハルカさん(PR)&遥さん(PBM!)ですね、分かります。
>>681 今のところワンオフ機はリヒターとフラガラッハ、少数生産は虎徹くらいですねー。
あと、空戦特化型の機体は燃費があまりよろしくないのであまり数が残っていないという設定があったりします。より強い個体でなければ、この先生きのこれない!
>>682 ウサギ×ウサギ……はもう出てますねw
ヴィルティック(あるいはオウガ)とリベジオンの合体攻撃とか見てみたいかも。
ドラグリヲ×ヴォルカドゥスのツインブレスとか熱いぜ
物理的にも
>>680 >そういえば乗り換えネタとか面白そうですよねw
ネクソンのカッコマンは天才なのでどんな機体でも乗れそうですね。
才能0%努力100%のうちの清水さんは重装甲強化服以外からっきしで、他作品の機体に乗ったら一歩目でこけるというドジを披露する羽目になります。
>>688 装甲強化服なら、ブリキの騎士は操作法が近いかも知れんね
あと、身体能力が高ければアイリス・ジョーカーはいけるかも
対戦相手の関節を極めるアイリスを妄想した
アイリス・ジョーカーの乗り心地は激しく縦揺れ+横揺れするバスの中みたいな感じです。
その中で平地と同様、飛んだり、跳ねたり、走ったり、格闘したりをイメージすると分かり易いかもです。
身体能力と平行感覚が優れていれば慣れ次第で誰にでも乗りこなせます。
なので、遥さんがアイリス・ジョーカーに乗った場合、
>>690みたいな感じの事を
やってくれるんじゃないかなーとか思ってますw
て言うか、何故、関節技を極めてくる敵を出さなかったんだ、俺w
そういえばスカンクエイプはスポーツ競技用もあってツクヨミ17歳は大会で準優勝という設定を読んだ
スポーツ、競技用?
おい、まさか…
優勝したのって、
守屋様じゃねーのかw
まさかのクロスオーバーwww
てか身体能力が高さが重要なら主人公ズは大体乗れそうだなぁ>アイリス
・・・逆に考えて運動が苦手そうな主人公って誰だろ
>>692 そういうクロスもアリですねw
つまり遥とハルカ、雪兎と雪人、守屋一刀と守屋千尋なんかの同名ネタもアリという事だ!
テスタメント
ぶるるぅぅあぁぁぁーッ!やったぜ解除じゃ!
>>680 ウチのガードナーは、もろガンダムなリアル系なので乗り換えネタとかやりたいなー
まあ正に今やってるんですが…
ガンダムがリアル系?
運動性が高くて装甲値とHPが低い
でもGガンは思いっきりスーパー系だよなぁ。
でも運動性も高いよな……スーパーリアル系でいいんじゃね?
Gガンと聞いて、何故か人外主人公's(生身)がオートマタやら鋼獣やら害獣を片っ端から
千切っては投げる情景が脳裏を過った。
出来そうだから困る
そもそもリアル系とスーパー系で区別する事に意味などないと何故わからんのだ!
またそーやってぶち壊しにする
>Gガンと聞いて、何故か人外主人公's(生身)がオートマタやら鋼獣やら害獣を片っ端から
>千切っては投げる情景が脳裏を過った。
Gガンの主人公たちが得た力、すなわち明鏡止水の心とは、心が波風立たぬ凪の境地へと至ることだ。
凪、それはすなわち、空、無――そう、悟りの境地だ。
悟りという言葉を分解すると、小五ロリになるというのは皆も知っての通りだろう。
明鏡止水、すなわち小五ロリの境地においてGガンの登場人物たちは黄金色に輝く。
リヒトの、自らを指し表した言葉を思い出して頂きたい。
彼はロリコンだ。そして変態という名の紳士だ。
紳士といえば英国。
これらの関係を裏付けるように、英国にはロイヤル・スモール・アームズ・ファクトリー・エンフィールドという彼の者に縁ある企業が存在する。
このロイヤル・スモール・アームズ・ファクトリー・エンフィールドは1988年に閉鎖されている。
同じ英国において、黄金の夜明け団なるの魔術組織が発足されたちょうど100年後のことだ。
そう、ここで黄金という単語が姿を現す。
リヒトはマナを扱う神子。そして、マナとは超自然的な力の源、すなわち魔法の力の源泉だ。
そういう意味で彼は魔術師とも言えるであろう。
エンフィールドと、黄金の夜明けを名乗る魔術師、これらが無関係であるとは言えまい。
これに対する裏付けは、作者であるパラベラム!氏の名からも伺える。
彼の別名に薔薇ベラムというものがある。
そう、薔薇である。これは黄金の夜明けに関わりある組織である、薔薇十字団を連想させる。
また、リヒトが人種的に幼い容姿の女性が多い極東の国を指して「さすが黄金の国だ!」と賞賛していたことからも、
彼自身、小五ロリと黄金に何らかの繋がりを見出していたことは明白であろう。
小五ロリ、小学五年生――年齢に換算すると10〜11歳だ。
ここで遥とリタが、互いを「十歳と九ヶ月」と言い表していたことを思い出して頂きたい。
すなわち、遥とリタこそがパラベラムにおける悟りの境地なのである。
小五ロリ=明鏡止水、ロリを嗜む紳士、紳士の国のエンフィールドと黄金の魔術師。
これらのキーワードから導き出される結論は一つ!
リヒトが明鏡止水の境地にいたり、黄金色に輝きああなんかめんどくさくなってきたからもういいや。
なんやかんやで人類は滅亡する!
,ィィr-- ..__、j
ル! { `ヽ,
N { l ` ,、 i
ゝヽ _,,ィjjハ、 |
`ニr‐tミ-rr‐tュ<≧rヘ
{___,リ ヽ二´ノ }ソ
'、 `,-_-ュ u /|
ヽ`┴ ' //l\
--─‐ァ'| `ニ--‐'´ / |`ー ..__
く__レ1;';';';>、 / __ | ,=、 ___
「 ∧ 7;';';'| ヽ/ _,|‐、|」 |L..! {L..l ))
| |::.V;';';';'| /.:.|トl`´.! l _,,,l | _,,| , -,
! |:.:.:l;;';';';'|/.:.:.:||=|=; | | | | .l / 〃 ))
l |:.:.:.:l;';';'/.:.:.:.:| ! ヽ \!‐=:l/ `:lj 7
| |:.:.:.:.l;'/.:.:.:.:.:.! ヽ:::\:: ::::| ::l /
本当にノリが良いなぁ、このスレは。
>>706 もー! いくらなんでも長すぎ
30行以内にしてよ!
>>711 それでこそロボスレでござるよw
ああ、早く規制解除されないかなぁ。本スレが寂しいなぁ。
>>714 投下乙です!(*゜д゜)=3ムッハー
二人ともかわいいw
というか眠るマスターを見守るペネ子という電波を受信したぜw
>>715 正座でじーっと顔を覗き込んでるんですねわかりますw
LEGOでロボット組んだ
耳ついた犬みたいな顔の獣人ばかりだから名称をハウンドにしたいんだが、houndの各字の頭文字をどうするか迷ってる
種のガンダム、ザクとかギアスのKMFとかフルメタのロボット兵器も英字の頭文字の集合体が名称だよね
かっこいい
ちなみに設定は数世紀後の現実世界の未来なんだけど、水位上昇により陸地の大部分は水没
人々は海底都市の勢力とメガフロートの都市に分かれてる
突然変異したスズメバチにより陸を追われたメガフロート勢力が海底都市に侵略かけてて、対する海底都市はスズメバチの撲滅とメガフロート勢力との戦争状態にあるみたいな感じ
ちなみに軌道エレベーターは前世紀にたくさん作られたけどただ一つ完成したエレベーターを含め皆放棄されてる
バベルの塔みたいな作りかけ
文明は宇宙へ上がれるとこまできたがスズメバチの登場により廃棄→海底に逃げようみたいな感じ
ロボットは空海陸での戦闘が可能で対水圧を想定し丸み帯びてる
LEGOで組んだ形状のこじつけだけど
>>715-716 眠るマスターと正座と聞いては、膝枕にまで思考が及ばざるを得ない
>>717 写真をうpする作業に移るんだ
しかし、スズメバチが人類を脅かす敵というのは斬新だなw
>>718 膝枕もいいが、寄りかかられておどおどするペネ子というのもそそられないかい?
>>717 迷ってるなら…例えば自分なら略称表記を
「H&D」にして「ハウンド」と読ませるかな
二文字だけ考えればおk
と思ってたら既にクロムハウンドというれっきとしたゲーム作品があったおrz
てすてす
723 :
シクス ◆wuZfOwaq7U :2009/11/21(土) 12:29:47 ID:lRdkAVH+
今度こそ解除?
よし!復活じゃ!これで勝てる!
ガードナー七話後編今日深夜投下予定
>>721 多少のカブリなんか無視しないとオリジナルなんて書けないよ!よ!w
>>724 お待ちしております
ガラッ
ごめんください(゚Д゚≡゚д゚)なんだ、投下まだだったかw
しゃーない、もう寝るぽ
「あ、いや…そんなまじまじと見つめるもんだから、もしかしたら自分を知ってるのかと思ってね?」
白髪の青年は申し訳なさそうに言った。
「すまない…俺は貴方を初めてみる」
「そうか、じゃあ自己紹介だね。僕は竜宮 零特務大尉…と言ってもこの名前が本当かは分からないけどね」
そう言って零は制服のポケットから一枚の写真を取り出す。
所々破れたりしている焼け焦げた跡があった。
写真には零ともう一人、幼い少年が写っていた。二人とも楽しそうに笑っている。
日付は、CC110.02.21.
五年前の日付。裏には掠れた字でこう書かれていた。
『レイ…リュ…グの誕生日…撮…た人…ルーナ…』
「ルーナ…女の名か?」
「誰なんだろね?もしかして僕の彼女だったりするのかな?」
零のその言葉に何故かリヴァがムッとする。
「これしか手がかりは無い。でもほら、この時期ってスフィア落としの真っ最中らしいじゃない?その時の生き残りかも、って救助された時に言われたよ。それで火星で治療とリハビリを受けて今に至ると…」
「だが待て、貴方が火星側の人間である証拠があるのか?生き残りといっても地球の人間かもしれないぞ?」
核心を突く。
得体の知れない青年。もしかすりと地球から送り込まれたスパイかもしれない、そうビークは思っていた。
「大体、そんな人間が何故パイロットを、しかも隊長にまでなっている?おかしくないか!」
「それは…」
「どうなんだ?説明は出来るのか、あぁ?!」
どもる零の胸ぐらを掴み、ビークの追及は続く、が。
「いいかげんにしてっ!」
その叫びがビークの言葉を遮った。
「…何だよリヴァ」
「彼…隊長の過去を詮索しないでちょうだい」
「何故だ?こいつはスパイかもしれないだろ!」
乾いた音が響く。ビークの頬に熱い感覚。
「地球にいて何も知らないくせに偉そうに言わないで!隊長は私達の仲間、それでいいじゃない!別に記憶なんか無くたって、素性が分からないといけないの?!」
リヴァは顔を涙でグシャグシャにして悲痛な声で怒鳴る。
「リヴァ、もういいんだ…ウゥ」
零は頭を押さえ床にしゃがみ込む。
「大丈夫!レイ…!」
「心配しないで、すぐ収まるから。それに信用は行動で示す…だから安心して」
零はリヴァの肩に掴まり立ち上がる。
「そうだ、ビーク君…君は本日付けで少佐に就任だそうだ…おめでとう。新たにトライバ隊として君に部下が付く」
カツ…カツ…
「名前は、ジェイミー・グリンガー」
カツ…カツ…
「…ジェイミー?」
カツ…カツ…カツッ
ビークは振り返った。そこには一人の男が居た。虚ろな目、オールバックにした銀髪、そして、
「地球軍の制服…」
そう異様な雰囲気を放つ男が着ている服装は紛れもなく地球軍の物。が、所々アレンジして裾などを破かれている。
「彼は僕の命を助けてくれた恩人で、元地球軍の兵士だった男だ」
「…兵士っつって傭兵だ、貰えるモンがあったから居たまでの事…でアンタが隊長さん?ヨロシクゥ?」
握手を求めてきた。ビークも手を出す。
「こ、こちらこそよろしく…ジェイミーって言うからてっきり女かと思ったよ」
「…あ?」
次の瞬間、ビークの右手の指があらぬ方向へと曲げられていた。
「ぐっ!?何を…!」
「竜宮さんよぅオレァ言ったはずだぁジェイミーの名は捨てた今のオレの名はジェイド・オーバーな?魂の名って奴だよ?わかる?」
ジェイミーはビークを突き飛ばした。ビークは痛む右手を押さえ唸る。
「すまないジェイド気を付ける」
ビークの情けない状態にリヴァは見向きもしない。
「ったくよ、ま、そう言う事だ、ヨロシクゥ?」
支援してくれてありがと!ようやく七話終了です。謎の二人、竜宮零とジェイm…ジェイド・オーバー
カフェタイムのビークはえらいモンを押しつけられたな。零とリヴァとの関係も気になるところ
やっと守護機兵Xガードナー第一部全てのキャラが出そろいました…
でも次回からガードナー隊についての説明回と各キャラの掘り下げになる予定です
それでは皆さんオヤスミ!
>>734 投下乙!だがみじかいっ
ぶっちゃけ量もっと欲しいなあ、でもまあ…執筆は大変でしょうし、読むだけの自分は我儘ですね、反省
さて、揃ったメンツに既に変なのが居たんだがw 軍服って改造していいのか?ルナマリアよりは控え目といえなくもないが…奴の活躍を密かに期待してます
い、いいじゃん!
遊びは文化、ケレンは正義さ!
避難所で最強議論が持ち上がっていたが、あれは止めといたら方がいいと思うな・・・。
いくら脳味噌ほかほかのロボスレ住人とはいえ、基本、荒れるネタだし。
>>734 投下乙です!
また濃い目のヤツが出てきましたねーwしかしジェイド(仮)は傭兵とはいえ敵軍の服装でダイジョブなんだろうかw
>>735 量が少ないのは自分の技量不足なんでスマン、何とか投下の間隔が早くなればいいんだけどねぇ…
ジェイミーの軍服については、元地上のゲリラ部隊出身で戦いの中で服がボロボロになったのを
自分で裁縫してあり愛着があるので火星軍の制服を着てないんですね〜
対戦中心で格闘コンボの練習がマトモにできなかったお……。
>>734 投下乙です!
地球軍の改造軍服……お上の連中がなんか五月蝿そうですねw
しかし敵も味方も変なの(褒め言葉)ばっかで賑やかだなぁ。次回も楽しみにしてますね!
ひとまず12-14スレまでwikiにまとめてみました
15スレと避難所1-2はまだです
それと、絵は俺じゃアップできないので、そちらは管理人さん待ちで
何箇所かどうしたらいいのか分からず保留にしたところがあるので、そこについて質問をさせて下さい
>シクス氏
ガードナーの第一話について
14スレの
>>324と
>>389-391の両方をまとめて第一話ということでいいでしょうか?
それとも
>>324はプロローグとして切り離しますか?
>◆gD1i1Jw3kk氏
14スレ
>>20のブルショル(清水機)の設定は
載せる場所は、海上都市姫路守備隊戦記の設定ページでいいですか?
それと、ソルヘリオンは本編待ちということで、ページ作成は保留してます
>>736 面白い話題になるかなあ、と思いましたが軽率でした。反省。
>>740 それでオッケーです。
>>741 早速回答ありがとうございます
では行ってきます
>>740 繋げちゃって良いですよ!笠増し笠増しィ
>>743 回答ありがとうございます
了解しました
746 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/22(日) 23:12:23 ID:DBAyZx8H
>>745 おー高品質だ!
こういうセンス素敵。GJ
>>745 おぉぉぉすごく格好良い!
吃驚するほど想像していたシルエットと合致してる!
>>745 うめぇwwww
シクス氏、前々からイラストを所望してたからな−
凄い喜ぶと思うw
>>745 ああ、なんだ、また神か。
って、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!? 相変わらずクオリティ高すぎですよ!
おお、速攻リアクションありがとうございます皆様
今回はシクスさんが先に寝ちゃったみたいな…
すれ違い人生だw
そーいえば今回から
酉つける約束でしたので
これでついたのかな、宜しくお願いします、普段は読者でございますw
>>745 ぅ…う…うぎぃゃぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁーっ!!すげええぇぇぁぁっー…!(光の奔流に飲み込まれる)
01カッケー!!背中のブースター良い!特に腹部が素晴らしい!
自分が中一に描いた01とは比べモンにならねぇ!感動感謝感激の極み!貴方はもしや…神なのか?
解除きた?マジ出来た?
754 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/23(月) 07:13:05 ID:4o9lcD3S
ロボット絵書きたいが絵下手だ
手書きもお絵かきソフトも
755 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/23(月) 07:58:12 ID:nYXHRA6k
神が居ると聞いてやってきますた
忘れられた頃に投下されるのが日課の我がSS。
ネットに繋げない環境がついに改善されたので、明日にようやくリベンジャーレディB-SIDEを投下できます。
エロパロと梯子してると、このスレの流れが健全でホッとする…
>>756 お久しぶりですー。
>明日にようやくリベンジャーレディB-SIDEを投下できます
了解しました、投下を心待ちにしてますね!
>エロパロと梯子してると、このスレの流れが健全でホッとする…
住人の心の中は不健全だけどね!
>>745 ちょwwwすげぇwww
なんだろ?整合性?とにかくクォリティーたけぇwwwGJです!
>>756 おぉ!お久しです!( >ω<)ノシ
リベンジャーレディの続き楽しみにしとります!
このスレの住人は変態という名の紳士ですからね!w全年齢脳と18禁脳の使い分けなど造作もないよ!w
人は皆、変態という名の紳士なのだ――――
byロリ・コン
もはやロリ・コン、悲劇の英雄でもなんでもなくなってきたなw
だがそれがいい。
『炉理魂』
巨大ロボ・ロリコンガーLを動かす超エネルギー。搭乗者のか弱き人類(幼女)を守る熱き魂と共鳴し
無限の力を発揮する。これを利用したロリコンガーの必殺技“ハイドロ・エクスタシー・リビドー”は
どんなに厳しい規制をも七色妄想閃光で打ち砕く!
さぁ行け!ロリコンガーL!悪の組織AGNESを打ち倒せ!
降臨! 絶対規制ロボ・アグネスクロガネ!
守護機兵Xガードナー/外伝『L』
街を破壊し続ける巨大な怪獣。逃げ惑う人々、阿鼻叫喚の渦。
「そこまでだ、規制獣ッ!」
そこに一体の巨人が姿を表した。
「か弱き人を守る為…幼い笑顔を守る為…今日も今日とて戦い続ける!
愛と正義のスーパーロボ、ロリコンガーL推参!」
鋭角な形。白銀の肢体。そして胸の巨大なL字マーク。
「クソ〜、秋葉原の街が…行き付けの同人ショップを壊されるなんて“色利攻助”一生の不覚ッ…!」
『ちょっとバカ助平!くやしんでないで早く戦いなさい!』
「うるせぇ!サポートアンドロイドの癖に生意気だぞ!この身長180cm!」
『どう言う文句よッ!?優秀な私“美広璃子”様じゃ不満だって言うの?』
「ったりめーだ!どうせなら金髪ツインテールっ娘が良かったよ!チェンジッ!」
『なんですってぇー!』
その間に規制獣はアキバの街を破壊していく。
『…タンマ!あんな所に女の子が!』
逃げ惑う人々の中に一人取り残された少女が居た。
『規制獣の進攻上に女の子が不味いわ!』
敵は巨大な角を振り乱し突き進む。
「まかせろ!ロリィィィブゥゥメランッ!」
胸のL字型の装甲板を剥がし規制獣へ投げ飛ばす。
ス パ ン !
規制獣の角が根本から綺麗に切断された。
「ゆるせねぇ…か弱い乙女を襲うなんざぁ生かしちゃおけねぇぜ!」
攻助の怒りと共にロリコンガーが白熱化していく。
『…毎度ながら不純な動機だけど炉理魂ドライブ、パワーマキシマム!いけるわよ』
「よっしゃー覚悟しろ規制獣!」
ロリコンガー上昇、そして背部のスラスターから七色の光が放出される。
「「ハイドロ・エクスタシー・リビドー!!」」
全身七色に包まれたロリコンガーは敵へ一直線に突撃する。規制獣は断末魔を上げ消滅した。
こうして街の平和は守られたのだった。
次回予告
助けた少女は何と男の娘だった!そして忍び寄る謎の女の影が攻助を襲う
次週、ロリコンガーL『敵か味方か?ショタコーンS』お楽しみに♪
「ん?ドアが開いてる」
深夜、トイレに行こうとしたシュートは扉から光と音が漏れる部屋を見つけた。
「おーい、ミア?テレビ見るならイヤホン付けろ〜音が外に丸聞こえだぞぉ」
「…すいませぇん、気を付けますぅ」
ミアの声と共に、とある人物が部屋から出てきた。
「…サイバ、何してんの?」
「…」
「…」
「…俺は硬派なものが好きだ。長浜、とかな」
と、言うわけで守護機兵Xガードナーいかがでしょうか?
まあぶっちゃけ思いつきでなんですけどね?キャラを掘り下げる意味も込めての外伝です
本当はちゃんとしたスーパーロボット物もあるんですよ?自分の130ある作品集の中には…
ロリコンガーは今考えたアドリブだけどね。おやすみ
ロリはともかく巨乳が好きです(挨拶
http://ux.getuploader.com/sousakurobo/download/196/ リベンジャーレディB-SIDE
ずいぶんと脇の話を削っては見たけれど、想定の三倍以上に長くなってしまった。
なんか三万字近くあるんで、ロダに上げた事だけ報告。
以下あとがきみたいなもの(ネタばれなし)
・登場人物の名前はスレ初期ごろに投下した「のりと勢いだけ〜」から流用
・ロボ戦は短め
・リアルが荒んでいると、荒野とか背景が暗い話が書けなくなってしまってぐんにょり
・スレのノリにしたがって、今度こそ短編のライトなやつでも書きたい(荒野がまた延期されるというジレンマ)
以下、再び名無しに戻ります
>>767 うお、これは凄い
文章が凄くドライでかつシリアスさがあってごくりと読まされました
>>767 投下乙でありました!(`・ω・´ゞ
いやー、魅せますねぇw荒野も心待ちにしてるけど、こっちもシリーズ化して貰いたいんだぜ!w(マテ
見届け人シリーズがwikiの ◆Ca5CQwhLD6氏のページに追加されることを祈っておこうw(ダカラマテッテ
紅白鬼かっこいいよ紅白鬼
>>767 投下乙です。
話が面白いし、情景描写も凄くリアルでグッドでした。
これはもっと読みたいです。
>>767 素晴らしい読みごたえ、本格的な作品投下乙です
文章削らない追加執筆の完全版が欲しくなってきました
ギャグが滑っても気にしないもん…
>>767 投下お疲れさまです!圧倒的なボリューム、感服するばかりですわ、次も期待
>>772 そうだ、その意気だっ
新たな伝説をつくればいーんだ
しかーし
>>767の興奮が未だに覚めなーい、
凄すぎてなにも考えられなーいw
あと微妙に人が居なーいw
774 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/25(水) 21:28:22 ID:LoIIW2Fu
皆書いてるSSてロボの戦闘やメカ描写に力いれてる?
なんかラノベでメカもの売れないのはメカ描写が緻密すぎてついてこれない人大井からとか書いてたが
ならキャラ萌主体でメカ描写をゾイドバトルストーリーや、電撃のアーマードコアの連載もの程度に押さえて
ロボットのラノベじゃなく
あくまでも
ロボットが出てくるラノベみたいなのってこのスレはスレ違いかな?かな?
>>774 そもそも人型ロボットがメインで
戦闘とか別に無い作品もある訳で
ロボットが出てくるラノベってだけなら
普通にスレの範囲内だろう
個人的には、巨大な戦闘用ロボットが出てくるけど
ロボ描写省略、戦闘シーンも大幅カットってんで
書いてる方が満足できるかどうか?ってのが問題だと思う
そういうのを人様が書く分には普通に楽しく読むが
自分の作品で、ロボの戦闘やメカ描写を省略するとか絶対に無理だな
むしろそういうのが書きたくてこのスレに作品投下してるんだし
>>772 サイバwww長浜作品派だったかwww
>>773 時折過疎るのがこのスレのお約束wとはいえ規制からこっち伸び悩んでますなw
>>767 投下乙です!
なんと、予想外の展開に驚きました……そういうカラクリでしたか。いや本当に驚いた。
しかし姉小路さん&紅白鬼の戦いはカッコイイですね、惚れてしまいますw
それでは、次回も楽しみにしてますね!
>>772 サイバの意外な一面が明らかにw なんやかんや言っても男の子なんですねw
>>774 個人的には入れてるつもりですが、まだまだ皆さんに敵わないのが現状ですw
……てか、拙作がまさにそんな感じなんですよね<ロボットが出てくるラノベ
ま、肩の力抜いていきましょーよ。ガチガチになったら動けませんぜ!
>>774 本格的にメカやっているつもりでも技量が全然たらないんだよなぁ…
動きの描写よりも台詞で簡略して説明する方が自分は楽
>>767 遅れましたが投下乙です
すげぇ。いやホントに凄いです。感服しました
迫力ある描写に加え、一気に読ませてくれるストーリーテリングと密度にクラクラしながらも、終盤の綾小路の独白には涙腺が緩みました。カッコイイです
しかしこれほどの作品が投下されると、書き手として燃えますよw荒野の方も楽しみにしてます
>>772 アグネス怖いよアグネス
サイガの長浜好きは納得出来ますw
早くパソコンの規制解けないかなぁ・・・
>>774 自分の戦闘はかなり誤魔化してて人間のバトルにギミック入れた感じみたいに展開してます
イメージとしては特殊能力モノの能力の要素がメカのギミックになってるという感じで
そちらの方が殺陣考えるのが楽ですし、バリエーション付けやすいので、四脚とか多腕とかあんまり凝ったのにするとたぶん自分は動かせない、いつかやりたいんだけれどね!!
シャドウミラージュのスラッシュゲイルなんて殺陣考えやすいから刀持たせて近接特化の機体、それだけじゃ派手さがないから加速装置で高速機動も出来るなんて安易な決め方してますし
CRのアインツヴァインの戦闘シーンにもそんな色が結構多いです(そういう意味ではリベジオンは異質)
個人的に銃を使った描写は難しいです、ただ撃ってるだけになっちゃうので、
大砲の発射シークエンスぐらいしか変化付ける術が自分の中で思いつかない・・・この辺りはいつか自分で新しい事をやりたいと思っている所なんですが・・・
自分はメカ描写戦闘描写キャラクター描写物語描写全部やりたくて書いてるので本当に情けない筆力ですが、それでも出来る限りは書こうと思って書いてるかな
そしていつも動きと解説と対話のパートの比率で悩む、テンポは悪くなってないか、説明不足では無いか、無個性な描写になってないかとかもう考えるだけでいつも頭がパンクしてますw
対話パートと戦闘パートは同じ文量でも時間のかけ方が2:8ぐらい差がありますし・・・なんつーか自分には本当に大変です
あと躍動感出す為にちょっと心理描写多めにしてます…筆力あると無機質で緊迫感のあるモノが書けるんだけれどその域にはまだ達せてない・・・orz
今度投稿する奴は心理描写の比がいつもより多いのでどういう感想が来るか書きながらgkbr状態だったりしますが…
上手くいってるといいなー
あ、そういうラノベモノは全然OKだと思う
ある意味、自分のシスターズもぶっちゃけ上のジレンマから抜け出した話書きたくて始めた話でもありますし、OKもらったりしてますので
まあ、いつの間にかロスガというあまりに偉大で大きい山が目の前に立ちふさがっていて書く方もこれまたgkbrモノなんですがw
×サイガ
○サイバ
でした・・・シクスさん、名前を間違えてしまい本当にすみませんorz
つか地味に容量がピンチな件w
あとスーパー系とかも描写が難い。今回で分かったけどオーバーなアクションは小説にしずらい
ガオガイガーの小説どんなんだったかな?読み返そう…
あとミアの部屋に何故サイバが居たのか
(ぶっちゃけナデシコのオマージュだけどね?あとあのアニメは話に関わってきません、あったら大変)
>>781 何故サイバの孫の名前を知っている…!
ガガガはかなり淡白だったような記憶が
個人的に燃えるとこまではいかなかった
幼稚園か小学生か忘れたけど、まあ
そのくらいの頃からおれ、ロボット大好き
画用紙にいっぱいロボットの絵を描いて父親に
「ねーどれがかっこいい?」って見せたら
「みんな格好悪い」って言われた
全部がに股だ、手が変だ、とかおれもう泣きそう
対決シーンのつもりで、
ロボ(胸のライオンからビームが出る)と怪獣を描いた絵(まあ子供だから正面からしか描けないわけで、記念写真みたいに並んで立ってる絵な訳だなこれが)に至っては、忘れもしない、
「なんでビームが横にでてんだ」と言われた
身振り手振りで
「こう出るのか?ん?こう」
とか突っ込まれて笑われて、さすがに限界きて泣いた
別に恨んでなどいない
昔の事を思い出しただけ
あの時の子供の頃の自分に
会う夢を見たんだ
安い画用紙と汚ないクレヨンを
大事そうに抱えたガキんちょが、こっちみて
「ニッ」って笑ってた
完(は!?)
>>785 投下乙です
良い。上手く言葉に出来ないけど、何かほのぼのした。GJ
俺もそんな時期があったなぁ・・・あの頃の純真さはいづこ
>>786 投下乙です!
いや−上手いw荒野さんもハイブリット何ですよね。いやはや羨しい
あぁ、姉小路さんに叱られたい&小泉さんふかふかしたい
おのれハイブリットめ・・・羨ましいです(´;ω;`)
投下乙です!
>>785 ……なんか感動しました。昔はよくあったなぁ。
>>876 姉小路さんかっこいいよ姉小路さんw
紅白鬼が思ったより生物的で驚きましたw
>>787-789 やったー感想どーもです
今まで乙したことはありましたが、投下乙される作家様の気持ちが、
今わかりました、ヒャッハー♪これは素晴らしい発見!!
これで私も最近話題のハイブリットだ
路線が微妙だがな…
>>786 でっかい響鬼さんを想像していた俺に隙はない、
と思ってたら全然違った
どこはかとなく和風な感じだ…口が怖いが強そうでイイ!
>>790 全然アリだと思いますよ。むしろこの路線……イイっ!
>>790 ハイブリット化おめでとうございますw
まぁアリだと思いますよ。ここは懐が広いスレなので、こういう形式のも
しかし参ったなぁ。住人としても執筆速度的にもどんどん周りから置いてかれてる気がするw全くSSに手が付かないや
ゆっくり休むってのもまあ、アリじゃないかしら
>>792 最近まったりですし、ある程度サボっても大丈夫だと思いますよw
作品が思ったように書けず
気分転換としてマーナガルムと方向性が違う
直球のスーパーロボットの絵を描いてみようと思い立った
色付けたりするソフトって何がお勧めですかね?
わさびバニラでいいんじゃね
>>785 (´;ω;`)やばい、涙ぐんだ
>>786 おぉ!これが初着色……だと……!?
人物もふいんき出てるし紅白鬼もGJ!
>>792 最近書けてない俺参上!
続き書きたいのに筆が進まないジレンマ……orz
俺みたいなのもいますからwのんびり行きましょうやw
>>795 GIMPはどうでしょうか
フリーソフトですが色付け以外にも中々機能に富んでてオススメです
>>793-794>>798 何だろう・・・書く意欲は湧き出てるんですが、中々踏み出せないというか・・・
今までの反動か、一字も書けないですwんで、頭の中じゃ構想が出来てるから何で書けないんだろうと・・・
頭の中がアンチスパイラルです><
>>799 無理矢理でも一歩踏み出してみる、とか。もしかすると波に乗れるかもしれませんぜ!
>>800 いやホントにその通りですよね。いつまでも停滞してる訳には行かないし・・・
待たせてしまってすみません。どうにか漕ぎ出してみます
>>801 応援してますねw
さて、自分も頑張らないと!
書きたいのに書けないジレンマが酷いw
結構終盤近くまで書いてあとラストの攻防とエピローグだけなんだけれどなぁー
ふぅ、なんか毎回ゲストキャラがおっさんと若者になりそうな予感……。
>>803 同士よ…分かりますぞぉその気持ち!痛いほど分かる!
自分も今、キャラを掘り下げるべきか、話を先へ進めるか迷っている所だ
>>804 自分なんて次に出るの主人公の親父とその同僚ですよ…十代なんて5人しかいない
怖い顔。
視力が及ばぬ無限のエネルギー。
今、その力を恐るべき武器へと変えて、何かが襲ってくる
掘り起こされた〜 悪夢が囁く〜
嘘です。
という訳で、人狼機兵マーナガルム 第2話Eを投稿します
実験艦フェンリルのRS用通路は、とても狭かった。横幅はRSが1機なんとか通れる程度の上、何らかの部品や機器と思われる
部材が無造作に並べられている。更に、天井には四肢の欠けたスカンクエイプがワイヤーで吊るされており、縦方向にも狭い。
頭部の複合センサーと、胸部装甲と一体化していたメインモニターを欠いた狼頭では、流石のツクヨミといえど通り抜ける
のは手間が掛かった。
移動する最中、吊るされたスカンクエイプが何度も目に入る。それぞれ形状は別々だが、全て狼頭と同じような改造を施そう
としたようだ。おそらく、スカンクエイプをベースに新型の試作機を作ろうとしたが、思った以上の性能が出ず、ベースとなる
RSをライオンイーターに変え、この狼頭を完成させた……という所だろうか。
「しかし、これはまるで……」
磔刑だ。
ツクヨミはRSが生きているとは思わない。破損したRSを見て「可哀想だ」と言う意見者がいる事に関して、理解がするが
共感は出来ない。操縦している時も、RSに込められた設計者や製造者、整備士の魂を感じる事はあるが、RSそのものに魂が
あるという発想は、彼にとってはナンセンスなのだ。
とはいえ、これはあまり愉快な光景ではない。どの道、足元に注意しなければいけないのだと、極力上を見ないように、
ツクヨミは狼頭を進めた。
少々時間が掛かったが、狼頭はフェンリルのRS格納庫へと辿り着いた。吊るされたスカンクエイプこそないが、通路と
同じく色々な物が雑多に転がっており、窮屈な印象は変わりない。
深く溜息をつくと、ツクヨミは狼頭を屈ませ、その巨大な腕を伝って格納庫へと降りた。ヘルメットを脱いで、汗で
べったりとくっついた髪をかく。
「出迎えは無しか」
格納庫にはツクヨミ以外に人影はない。誰かが見ている気配はあるが、おそらくはモニター越しに観察しているのだろう。
既に非常用バッテリーも切れたのか狼頭が完全に動きを止めたおかげで、監視カメラの駆動音を聞きとる事が出来たのだ。
それから1分もせず、パタパタと足音が聞こえてきた。音からして、ハイヒールを履いた女性。おそらく身長は155〜175cm程度。
反響音が多くて自信はないが、おそらくは巨乳だろう。
「……もう少し待たせた方がいいですかね?」
目線の先にある通路の曲がり角の置くから発せられたと思う呟き。その声で、近付いてくるのがユノー・ハーディングと気付き、
ツクヨミは眉をしかめた。状況から考えれば確実に会う人物ではある。だが、音声のみでも不快感の強かった女だ。直接会って
会話するというのは、どれほど精神的に疲労するのか……
いっそこのまま、待ち続けた方がマシかもしれない。そんなツクヨミの思考を無視するように、一人の女性が格納庫へと歩いて
きた。
ユノー・ハーディングは美人だった。インドア派の研究者らしく、筋力の付いてない細い手足と白い肌、ツクヨミの目測で
約165cmの身長と86cmのDカップと思われる豊かな胸。声や口調から想像していたものとは違う、優しげな目付きと顔。童顔で
10代と偽っても通用しそうだが、ツクヨミの目に映る皮膚の張りからして、二十代半ばなのは間違いないだろう。色が薄く
くすんだ金髪と、顔の右半分を隠した左右非対称の髪型と軍服の上から白衣を纏うファッションセンスが気になりはするが、
それらを差し引いても彼女は十分に美しかった。
「お待たせしまたした! ソマ・ツクヨミ中尉!」
十数秒ほどその場足踏みしていた事に気付かなければ、良い印象を持てる挨拶なのだが。
「直接会うのは初めてですね」
溢れんばかりの笑顔が、とても胡散臭い。
「それにしても……写真で見るよりも、迫力がありますね、そのお顔」
相手が何も言っていないのに、一方的に喋り続ける行為を挨拶と呼んでいいのだろうか?ツクヨミ自身もコミュニケーション能力に
関しては褒められたものではないが、ユノーも彼と同等かそれ以下だろう。
人間関係に第一印象は重要だ。その恵まれた外観を持ってしても、あの狂気じみたスピーカー越しの態度と今の言動のおかげで、
ツクヨミの中でのユノーという女は「極力関わらない方がいい」に分類されていた。かつての学友に「美女だったら何をされても
問題無い」と強く主張する者がいたが、ツクヨミはそういう風には生きられそうにない。
挨拶を返すタイミングを逃して沈黙するツクヨミを前に、ユノーも会話のネタが尽きたのか、早々に口を噤んだ。数秒ほどの静寂、
それを破ったのは、やはりユノーであった。
「ああそうだ、怪我はしてないですか?」
笑顔のまま、ツクヨミに向かい手を伸ばす。口調や表情だけなら、相手を気遣う優しい女性に見えない事もない。
「あんな戦闘ですから、火傷や打撲……もしかしたら骨折くらいしてるかもしれませんし、ちゃんと検査した方がいいと思うんですよね、
医務室で」
その言葉にツクヨミは、彼にしては珍しく、動揺したように顔を手で抑えた。
「必要無い」
「この艦の医務室は凄いんですよ? 設備に金を掛けているので、大病院並みの検査や手術が可能なんです。だから、安心して身を任せて」
「必要無いと言っている」
「……そんなにイヤですか? 医務室に行くの」
ソマ・ツクヨミは医務室がとにかく嫌いだ。医療と言う行為がどれだけ素晴らしいものか、医者という人物が命を救う為に
どれだけ努力を重ねているかは知っている。だが、それでも彼は、病院や医務室という空間に耐える事ができなかった。1週間は
絶対安静と言われても、3日で自主的に退院するほどに。
しかし、その話を知っている者は数少ないはずだ。革命軍では『不死兵 ソマ・ツクヨミ』という、尾びれ背びれの付いた噂で
有名にはなったが、真相も広まっていれば味方への畏怖ではなく笑い話として広まっているはずだが……
「悪いなツクヨミ! お前の弱点、俺が教えたんだわ!」
ユノーの背後から、中年男性が手を振りながら格納庫へと入ってきた。2mを超える巨体に、ユノーとは対照的な褐色の肌と鍛えられた
丸太のように太い手足。全体的な見た目は革命軍が使用するRSの名の元になってる類人猿型のUMAに近い。その筋肉で今にも破けそうな
ほど張っているが、纏っているのは間違いなく月面革命軍の将官用制服だ。その男の事を、ツクヨミはよく知っていた。
「パーシヴァル・プルートイド……少将、お久しぶりです」
思わず名前を口にしてしまった後に、襟章を見て階級名を付けたして敬礼。パーシヴァル・プルートイドはツクヨミの上官だった男だ。
もう地球に降りて半年ほどで、部隊の再編だなんだで、互いに別々の部隊へ転属されたのだが……
「ハッハッハッ! お前が昔の知り合いだって言ったらよ、Dr.ハーディングが何か弱みを教えてろっつーからさ!」
笑いながらユノーの前に歩み出ると、楽しそうにツクヨミの肩をバシバシと叩く。痣の上から叩いてきているのは、確実に気付いて
やっているのだろう。
「もう少将ですか、早い出世ですね」
「ん、ああ、まあな」
ツクヨミと共に戦っていた頃は、中佐だったはずだ。再編成の際に月面都市の本部への栄転が決まったとかで、やたら騒いでいたのは
覚えているが、そこから数年で少将にまでなっているというのは驚きだった。
しかし、純粋に褒めたつもりのツクヨミの言葉に対し、先程まで笑顔だったパーシヴァルの表情は濁り始める。考えてみれば、本部へ
行って少将になった男が、南極で実験艦なんぞに乗って、中尉風情の出迎えなんてやっているのか……
「ああ、少将も厄介払いされ……」
言葉が出終わる前に、ツクヨミは宙を舞った。先程までツクヨミがいた場所には、拳で突きを放ったポーズのパーシヴァル。
ツクヨミは地球の重力のままに落ち、床に叩き付けられた。
「深く考えんと喋って、相手を不快にさせる癖は変わってねぇな……まあ咄嗟に腕で防御したのは褒めてやるがよ」
パーシヴァルは己の身体を鍛えるのが趣味の男だ。更に、どこぞで習得した謎の武術を使う為、素手ならばおそらく革命軍最強だろう、
という声もある。その洗練された技は、並外れた反射神経を持つツクヨミですら、まず避ける事は出来ない。防御出来たのは、
ほとんど運だ。
「ガッ……ハッ……」
両腕で防いでいたにもかかわらず、全身に重い衝撃が走り、動くどころかまともに呼吸する事すら出来なくなった。それでも
ツクヨミは立ち上がろうとするが、まるで芋虫か何かのようになっていた。
「医務室に運ぶの、手伝ってやろう」
そう言うと、パーシヴァルはまともに動けそうにないツクヨミを担いで歩き出す。突然の出来事に驚き硬直していたユノーも、すぐに
笑顔に戻り、嬉しそうにその後をついていった。
人狼機兵マーナガルム 第2話「人と狼」E
終了です
絵を描いてて煮詰まったんで分の方を書いてたら
ある程度進んだのでその分を投下しました。
ので、短いです。
新キャラ出しました。オッサンが増えました。
狼頭の正式名称もパイロットもまだ出てません
次こそは……
>>812 投下乙です!
ツクヨミ先生は医務室が嫌いなのか……これはいい事を知ったw しかしユノーさん、あからさまに胡散臭い演技なんかしてw
新キャラのパーシヴァル少将、豪快ですね。そして核心突いてますね。
ああっ、ユノーさんの三つ編みに、わたしのこころがみだれる!
では、次回も楽しみにしてますね!
投下乙ディス!( ◎皿◎)
パーシヴァルさん良いですなぁ!マッチョなオッサンはカコイイ
ユノーさんも良いですよぉアシンメトリーGOOD
>>812 投下乙!相変わらず嘘予告ひでぇwwwそしてやっぱりツクヨミさんの分析力パネェwww
もしユノーさんが155cmだったらPBM氏が暴走していただろうなぁ
そしてパーシヴァルのおやっさんいいキャラしてるw
遥の太股ハァハァ……遥の太股をスリスリしたい……。じゃなくてリヒターすげえ格好良い!
>>817 おっと、一番にするのは私だ!
>>818 描けたせいで気が抜けてました……これは面倒な事になった――――
820 :
シクス ◆wuZfOwaq7U :2009/11/29(日) 00:20:23 ID:uRdSMOil
避難所にエロス旋風が吹き荒れているようです
ではこちらは硬派に行きましょう
機動修羅バイラム 第二話
投下させて頂きます
機動修羅:バイラム
第二話「やってきた悪魔」
パンツァーモービル、別名、統合戦闘機動兵器。
初めて開発に着手されたのはおおよそ三十年ほど前、コンセプトは『どんな場所でも戦闘を続行できる機動
戦闘兵器』であった。
そのため様々な形のパンツァーモービルが開発された。虫型、動物型、車型など。しかしどの形も構造上に
欠点を抱えていた為、出来ては消え、作られては廃棄されるという末路を迎えるのだった。
そして様々な過程を得てパンツァーモービルは人型、という形で決着が付いた。
『なぜ人型か』という疑問をあげるものも多いがパンツァーモービルの優位点である『器用さ』を確立した
のは他ならぬ人の手足なのだ。
だがパンツァーモービルには弱点があった。それは"器用貧乏"であったことだったのだ。
空は航空機に劣り、陸では戦車に劣る、さらに海では潜水艦や巡航艦といった物に負けてしまうことが多か
った。
結果、パンツァーモービルは半端物の烙印を押されてしまう。
しかしパンツァーモービルが軍事的に復帰する機会がやってきた。『中東戦争』である。
この中東で起こった戦争はパンツァーモービルの再評価に繋がった。
戦車で通れない陸路を移動をし、航空機には厚い装甲で対応、そして海では飛び魚のように空と海を交互に
行き来をし敵を撹乱し撃破した。
こうしてパンツァーモービルは爆発的に広まり、軍事的に大きな礎を築くことに成功する。
このことを人々は後にこう呼ぶ、『機動革命』と。
「はぁぁぁぁ!」
ファルの乗るビスマルクがバイラムに近付くと腰に備え付けてある剣を振るう。
凄まじい金属音が辺りに響きファルは確かな手ごたえを感じたが……
「嘘でしょ!?」
ファルは起こったことが理解できなかった。
なぜならバイラムはビルマルクのロングソードを無造作に掴んでいるからだ。
決して遅い速度とは思えないビスマルクの斬撃を、だ。
そしてそのまま力を込め、剣を砕き割る。
「くうっ!」
彼女は一旦バックダッシュをし、間合いを取ると脚部に格納していたマシンガンを取り出し掃射する。
だがバイラムは避けることも無く、そのまま弾丸の雨を受けた。
まるで自身の頑丈さを試すかのように・・・
「甘い!」
ファルはすかさずビスマルクの背面に付いているミサイルをバイラムに叩き込む。
「やったの!?」
凄まじい閃光と爆音が辺り一面に広まり、ファルは完全に破壊されたと思った。
当のバイラムはシールドを構えることも無く堂々と立っていた。
「そんなっ!」
何の効果も無いの!?
この事実に対し彼女は驚くしかなかった。
折れた剣をバイラムに向け、様子を見る。
お互い相手を睨みつけたまま動かなかった。
いや、動かなかったというより出来なかったといったほうが正しいだろう。
目の前の敵機の性能は未だ未知数。
ネルソンの攻撃をかわした機動性、装甲を一撃で切り裂く剣、そしてビスマルクの攻撃をことごとく受け止
めた脅威の防御力。
まさに化け物と呼ぶのに相応しい。
そんな相手とどう戦えばいいの? どんな武器が、どんな戦法が有効なの?
考えれば考えるほどいやな考えが生まれていき、答えは未だに深い闇の中にある。
「じゃあ、データを取るしかないわね」
目の前の敵について徹底的に調べる! それが今の私に出来ること!
ファルは自分にそう言い聞かせ、深呼吸をすると再びペダルを踏む。
一方のバイラムは言葉を発することもなく、ただ真っ直ぐに敵を、ビスマルクを見ているだけだった。
「司令!」
基地のオペレーターが茫然自失の司令官に向かって叫ぶ。
「司令! ミスリーア少尉からSパーツの呼び出しコールを受けていますが…」
オペレーターの声に我を取り戻す。
「アンノウン相手にこちらの手を見せるべきか・・・仕方が無い、許可する!」
司令の一声を聞くとオペレーターはキーボードを叩き始めた。
「それと基地内に残っているネルソンも出せるだけ出しておけ!」
「了解!」
オペレーターの声を聞くと司令は自身の頬を叩き気合を入れなおす。
あんなアンノウンにこの基地をやらせるわけにはいかん!
彼の目に再び軍人としての誇りが宿る。
「我々に喧嘩を売った事を後悔させてやる・・・」
新たな決意を秘め、彼は再びバイラムに戦いを挑もうとしていた。
ビスマルクの換装パーツの一つ、通称『Sパーツ』である。
Sパーツは打撃と斬撃をメインとした装備であり、特に大型対艦ソード『ブリューナク』と装甲破壊武器
『ミョルニル』の威力は折紙つきである。
他にも装甲を貫通させる槍『グングニル』やレーダーやロックオンシステムの無効化する『フェアリーテール』
など近距離に特化した装備である。
だが不幸にもこの基地にあったのは『ブリューナク』のみであった。
バイラムの後方にある射出口から緑色のコンテナが現れる。
「きたっ!」
バイラムを飛び越しパーツに近付こうとする。だがバイラムはそれを感づいたのかビスマルクの足を掴もう
と手を伸ばす。
「こんのぉぉ!」
ファルは思いっきり床が抜けるほどペダルを踏み込み、バーニアを吹かせる。
間一髪、バイラムの手は空を切り、捕まれることは無くパーツのところへたどり着いた。
「行くわよ、ビスマルク。まずはこいつの正体を突き止める!」
背面のジョイントを開放し、パーツを取り付け始めるビスマルク。
だがバイラムはその隙を見逃すことなく彼女の方へと向かっていく。
「足止めなら、これで!」
ファルはビスマルクに残っていた弾薬全てをバイラム・・・ではなく基地の地面に叩き付けた。
バイラムはひるむことなく突っ込んでいくがビスマルクの姿はどこにも見えない。
首を動かし敵をを捕捉しようとした瞬間・・・
「でぇぇぇい!」
上空からブリューナクを振り下ろそうとするビスマルクがいた。
突然の事にバイラムの反応も遅れる。
激しい金属音が当りに鳴り響いた。
誰もが攻撃は当ったと思った、倒れることはなくても傷一つぐらいつけられると思っていた。
しかしバイラムにはダメージが無かった。
「こ、こんなことって・・・」
「あ、ありえん・・・」
バイラムがダメージを受けなかった理由、それは・・・
「し、真剣白刃取りだって!?」
そう、バイラムはブリューナクを見事両手で器用に挟み、自らの顔面の前に押しとどめたのだ。
あまりの人間的な動きに誰もが驚愕した。
見ていたケントの額に汗が流れる。
いくらパンツァーモービルが人型だからってあんな動きが出来るはずが無い! たとえ、プログラムされて
いたとしてもそれを使うには個人の技量や機体の細かい制御が必要なはず!
バイラムの技術力に思わず身体がすくむ。
バイラムはそのままブリューナクを振り回しビスマルクを大地に叩きつけようとする。
「まずい!」
ファルはブリューナクを手放し体勢を立て直そうとするが、目の前にバイラムが現れ剣を振るう。
「きゃぁぁぁ!」
思わずレバーを倒すファル。
それが幸か不幸か分からないがバイラムの剣はビスマルクのコックピットではなく右腕を切り裂くだけに留まった。
「くぅぅ・・・」
凄まじい轟音と共に倒されるビスマルク。
「はっ!」
ファルが辺りを見ると既に十機以上のネルソンがバイラムの周辺に展開をしていた。
「ミスリーア少尉! ここは撤退をしろ! 作られたばかりの新型を壊されるわけにはいかん!」
突然ディスプレイに基地司令の顔が大きく写る。
目はギラついており、何が何でもバイラムを撃墜する意志を感じる。
「しかし!」
ファルもファルとて退きたくはない。こちらとてエースのプライドがかかっているのだから。
「これは命令だ! それに片腕を失ってまで戦う必要も無い!」
ここは彼の方が正論である。
「っ! 了解……」
基地からの通信が切れるとファルはそのまま地下の格納庫行きのエレベーターに乗った。
「撃てぇい!」
司令の叫びと共に何十、何百発もの砲弾がバイラムに向けて撃たれる。
激しい轟音と爆発音が天に響き、焼け焦げた硝煙の匂いが基地全体に広まる。
そして焼けた鉄の弾がバイラムを焼く。
「やったか!?」
しかし・・・悪魔は堂々と立っていた。しかも壊れた様子は何一つなく細かい傷といった物も特に見当たら
ずに。
「うっ・・・」
避難所で誰かが思わず声をあげる。
悪魔が笑ったように見えたのだ。まるで我々の無力さを嘲笑するかのように。
「バ、化け物か!?あのバイラムとかいうPMは!!」
司令が恐怖と混乱に陥っているとバイラムは武器も構えず一機のネルソンのほうへと前進していく。
当然ネルソン達も持ちうるだけの銃弾を再びバイラムに叩き込む。
しかし、ネルソンの砲撃をものともせずゆっくりと進んでいく。
そしてネルソンが間近に近付くとそのまま手で頭部を掴む。
メキメキと金属が軋む音を響かせながら力任せに引きちぎり、地面に投げ捨てた。
まるで圧倒的力を誇示するかのように。
首が取れたネルソンをネルソンの装備品であるロングソードを胴体に突き刺す。
刺した場所が悪かったのかネルソンに火花が走る。
「自爆プログラムを起動させろ!あんな奴にユニオンの誇りを汚させるわけにはいかん!」
「了解! 4871番機、自爆!」
基地司令の命令を聞いたオペレーターが破壊されつつあるネルソンに自爆プログラムを送る。
自爆プログラム送られたネルソンはバイラムに取り付き自爆しようとするが……
だが取り付く間もなくバイラムの剣によって真っ二つにされてしまった。
「くそ!」
一機のネルソンを倒し終えるとバイラムは剣を構えながら上昇していく。
基地を見渡せる高さに到達するとゆっくりと多数のネルソンの方へと振り向き、背中のバーニアを光らせな
がら向かっていく。
そして殺戮が始まった。
一機目と二機目は横に真っ二つにされ、三機目と四機目は袈裟をばっさりと斬り裂かれる。
五機目と六機目は剣によって串刺しにされ、七機目と八機目は頭部と動力部を盾で叩かれ撃墜された。
三機編成でやってきたネルソンには備え付けの銃で、動力部、駆動部、集積部の部分をそれぞれ撃ちぬく。
数機でバイラムを囲むもののすばやい攻撃で突破され、ワイヤーで身動きを取れないようにするが逆に振り
回され、ソードで一斉攻撃をするが素手で胴体などを引きちぎられた。
ありとあらゆる攻撃手段を行うがただの鉄くずが増えるだけという結果に終わった。
そして、最後のネルソンが縦に真っ二つに斬られ、爆発した。
基地の全戦力をあのPMに向けた、しかしバイラムは圧倒的な性能で基地に存在していた全てのPMを駆逐
してしまった。
「あ、あ、あぁぁぁぁぁ…」
基地指令は気の抜けた声を上げながらその場に力なく倒れる。
基地司令だけではない、オペレーター、避難所に居た全員も声をあげることが出来なかった。
「正に……化け物……というわけか……」
ボルスがやっとの事で出した言葉はここにいた全員の気持ちを表すものだった。
「……ボルス」
この時の親友の顔をケントは忘れないだろう、悔しさと恐怖が混じり合わさったこの顔を。
バイラムは辺りを見渡し、目ぼしい敵がいなくなったのを確認すると天高く飛びあがり凄まじい速度で飛び
去っていった。
「……行ったか…」
ケントが呟くと会場が少しずつ騒がしくなっていく。
あれは何だ?
ユニオンの新型ではないのか?
いや、もしかしたらテロリストによる襲撃かもしれない。
様々な憶測が会場を包んでいる中、ケントは悪魔が去ったことに対し安堵のため息をついた。
「ボルス、そろそろ僕たちも行こう」
ケントがボルスの肩に手を置く。
「そうだな……」
ボルスは会場を後にしようと出口に足を向けながら、もう一度黒い悪魔をの事を思い返す。
圧倒的な力で基地の戦力を蹂躙した悪魔。
もし、もしもあれと戦うことになれば…
「全滅は必至だな」
ボルスはかつて無い危機感と共に雲ひとつ無い青空を仰いだ。
「……負けちゃった…」
ファルはビスマルクのコックピットの中で膝を抱えている。
エースとしての自信はあった。たとえどんな敵であろうと勝つ……とはいかなくてもデータぐらい取れると
思っていた。
だが、結果は惨敗。手も足も出なかった。
「ううう…ごめん、パパ……」
彼女は胸元からロケットを取り出し、手に跡が付くほど強く握り締めた。
ファリウェス=ミスリーア、彼女の戦いもここから始まろうとしていた。
三日後、ユニオンはバイラムに対し第一種テロリスト手配を国連に求めた。
国連側もこれを了承、バイラムは国際的テロリストの名を得る。
しかし、この戦いは人類に対する破滅へのプレリュードでしかなかったことを誰も知らない・・・
第3話「遥か東の地にて・・・」に続く
以上です
ところで貴方は金髪ロシア女性仕官にビシバシと叩かれたいだろうか?
次に出す予定なんですけど・・・
>>828 投下乙です!
バイラム、なんて圧倒的な戦闘力……ボルスの言う通り、まさに化け物ですね。無言なところがまた恐い。
そしてファルさん頑張って!
>人類に対する破滅へのプレリュード
なん……だと……!?
では、次回も楽しみにしてますね!
>貴方は金髪ロシア女性仕官にビシバシと叩かれたいだろうか?
はい喜んでー!
>>828 投下乙!強いなバイラム、性能差が歴然としてる
さて、このバイラムに各国がどう対応していくのかが非常に気になるところ。次回を楽しみにしてるぜ!
>貴方は金髪ロシア女性仕官にビシバシと叩かれたいだろうか?
アリだとおもいます!
>>812 だいぶ遅れましたが投下乙です!
ユノーさん腹黒可愛いよユノーさん。ツクヨミ凄いストレス溜まってそうw
それと豪快な新キャラktkr。拳で会話する・・・正に男のロマンです。次回も楽しみにしてますぜ!
>>828 お久しぶりです&久々の投下乙です!
バイラム鬼強!凄ましい畏怖感が出ててカッコイイです
ここから物語が大きく動きだすかと思うとワクワクします・・・!
何時か明かされるであろうバイラムの正体にwktkしつつ、次回に期待します!
>貴方は金髪ロシア女性仕官にビシバシと叩かれたいだろうか?
答えは一つ
いいですとも!
>>812 投下乙です、機体が吊られたイメージは食肉の如し、
弱肉強食とシンクロする描写カッコヨス
互いの内部事情…探りあうやりとり…なにやら訳ありな女の造られた笑顔…
それでも過酷な戦場を生き抜いてきた魂の形だと思えば許せるような気はする
この距離が今後変化するのだろうかと深読みしながら期待しております
>>814 こりはよい
誤爆先からも乙されてるwとかあり得んだろ普通
やはりあなたには人の心を動かすマナを供給する力がある、は!?(゚∀゜)何か降りてキタ
>>828 投下乙です、次回はもはやそれがメインでもいい希ガス、板的には危険な香りが漂うわけですが…子供ははやく寝ましょう、
…ぐがぁ(ホマエが寝る
な)
書き終わったー
全部ではないけれどとりあえず本編は終了、校正と修正+α製作して金曜夜にでも本スレに投下します
約3万字なので二日にわけないと流石に無理かな・・・(シャドウミラージュの1話と同じ容量ぐらい)
しかし、今回は筆がいつもの倍速で進んでたんだけれど、量も倍になってしまい
結局、いつものペースだったという・・・とりあえずやれること全部やったよ!!
>>828 投下乙です
バイラムTUEEE
こういう無双状態は読んでる方も気持ちいいです
ロボは人型でなくてはならないのか?という疑問への理由付けが地味にツボでした
>ドS
え、うん、もち!!
835 :
筆:2009/12/01(火) 19:31:12 ID:+aj5uiMz
>>812 亀でゴメンよ!投下乙です
ユノーさんの黒さはいいね、心が洗われ…洗われ…ないorz
可愛い女性が好きです、でも腹黒い女性はもっと好きです(某CM風
少将かー…マッチョキャラがまた…誰か集合絵とか描きそうでいやだww
>>828 こちらも亀ですが投下乙です!
バイラムTUEEEEEEEE!!
無数に弾撃ちこむ→煙晴れる→無傷のゴールデンパターンはいいですね、やっぱり
>ところで貴方は金髪ロシア女性仕官にビシバシと叩かれたいだろうか?
むしろ全裸待機ですがww
まったく、やはりこのスレは変態ばかりだな!
837 :
筆:2009/12/01(火) 20:07:08 ID:+aj5uiMz
変態じゃないよ、仮に変態だとしても変態という名の紳士だよ!
亀レスで失礼
>>812 ツクヨミさんの超感覚を甘く見ていた所為で彼の中でユノーさんの評価が更に下がったw
そしてパーシヴァル少将wなにいきなり元部下を罠にはめてるんだw更に殴るしw
いかんwツクヨミさんが完全に孤立無援だwww
さて次回も楽しみじゃのぅ
>>828 ちょwバイラムすげぇ!?w
なんというか……こいつはPMの皮をかぶった特機に違いないwww
ケント&ボルス、そしてファルがこれからどんな感じに動いていくのか楽しみです!
>ところで貴方は金髪ロシア女性仕官にビシバシと叩かれたいだろうか?
ふむ……寒くなってきたというのに……紳士スタイルで待機せねばならんとはな(全裸にネクタイを締めつつ
魔女っ子スレに誤爆しても違和感なさそうだなw
むしろ、下手すると魔法っ子スレからの誤爆扱いにされそうですねw
誤爆の前科ありますし……。
アレは結果オーライじゃないかw
だな、ってか
そのメール欄なんなのさ
本当だ、andってなんぞ……
罰として久々にツクヨミ先生とにらめっこしてくる
ふう、死ぬかと思ったぜ
そういえばもう軽く雑談したら新型ロールアウトなんだよな
あと3 KBで新型に移行ですねー。
さて、どうしてくれようか。
しかし避難所が異様な盛り上がりを見せているなwww
変態共の理想郷。吹き溜まりとも言えるか。
避難惑星エンドレスイリュージョンはそんな土地。
皆の規制が解除されれば、ここだって変態共の理想郷に返り咲けるはずだ!
果たして返り咲いていいんだろうか……w
むしろここが投稿場所で
向こうが紳士の雑談場所みたいなすみ分けになって来てる感があるがw
え? ここは紳士の投稿場所デスヨ?
結局ここも紳士のフィールドだというのか……!
瀕死の紳士、爆死…御粗末
は?
>>853 いいえ、(一応)巨人のフィールドです。
857 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 18:27:10 ID:R2Gcn+pq
つかまだ埋まってないけど、CRの投下来るんだべ?
先に次スレ立てた方がいいと思う
ごめん、変なこと書いた…執筆に戻る
投下準備があるのに、ここで止まってるのも難だし
立てて来ちゃうわ
>>860 スレ立て乙です!
壁|M0)<オツディス
スレ立ておは乙!
なかなか投下できないけどなんとか頑張る
スレたて乙!
つか、良く考えたらこっち埋めないとね!!
つまり埋めネタが必要という事ですね!
>埋めネタ
無謀なことしていい?
ふむ、埋めネタか……いかん、何も出ないw
では恥を忍んで一つネタを
ガンダムVSガンダムやったことない俺はいつもロボスレ学園のブレグレを往年の作品「ブレイクエイジ」風に脳内再生しているんだ……(・ω・`)
ブレイクエイジ知ってる人いるかな?w
>>867 知りません、すみません……
>>868 それではやってみるかな、「下書きも何もなしにいきなり本文欄にSS書く」という無茶企画を……
870 :
>>869:2009/12/06(日) 01:44:09 ID:1UcTaKAH
量子力学によると、完全な無というものは存在し得ないらしい。
なんでも、位置と運動の双方を同時に確定したものとして観測するのは不可能であり、
完全な無が存在するとすると、その双方が無いと同時に確定してしまうため、
完全な無というものは存在し得ないそうだ。
そのための存在の揺らぎがこの宇宙の誕生にかかわっているなどという難しい話は俺の理解出来る範囲を超えている。
ただ、存在し得ない量としての面を考えると、存外、完全な無と無限というものは同じものなのではないかと、そんな風に思うだけだ。
なぜそんなことを思うのか、それは俺は俺たち自身の死というものについて考えを巡らせずにはいられない性分だからで、
それはつまり、今現在の俺が置かれている状況においては、
俺は自分で自分を精神的にあまり望ましいとは言い難い方向に追いやってしまうということくらいはわかっているのだが、
持ち前の性分というものとは、結局一緒に墓の中に収まるしかないものだと諦めている。
それでこの無力な人間は思うわけだ、個人の生命というものにはすべてに優先されるべき無限の価値があるという考えも、
個人の生命に価値など全く無い、何かのために進んで捨てるべきだという考えも、どちらも成立し得ない、
もっと言えば、その両者とも、方向性は違えど個人の生命というものに何かしら他のものと比較して計ることの出来ない絶対的な意義を見出している
という意味では全く同じものであって、それは誤った考えではないかと。
個人の生命など、種々雑多な他の要因と同列に混じって、それ単体では何らの意義も持たないただの量として計算され扱われるものだろう。
少なくとも、今俺達の置かれたこのくそったれな状況においては。
872 :
>>869:2009/12/06(日) 02:09:00 ID:1UcTaKAH
視界が明るい。よく見える。それが俺を苛立たせる。
今、俺の脳は、俺自身の体が得る情報を処理するのにも、運動を制御するのにも使われず、
このバカデカい人型の棺桶の得る情報を処理し、運動を制御するために使われている。
直接制御、搭乗者の脳と機体を電気的につなぎ、モニターの読み取りや操縦操作など無しに制御、操縦を行う技術だ。
これがあるから、人型の機械などというものをコマンド化された入力無しに一人で動かせる。
考えても見て欲しい、この棺桶は御丁寧にも指が一本一本つくってあるのだ。
つまり、もし何らかの操作によってこいつを動かすのだとしたら、操縦する人間は指の一本一本まで他の部位を動かすのには使えない。
だから、相手の動きに合わせて柔軟な瞬発力を発揮し、かつ器用な作業をこなさなくてはならないというこの任務のために人型兵器を運用している今の条件では、
この自分の脳を奪い取られて部品の一つにされているような技術が不可欠なのだ。
俺は周囲の状況を確認する。確認しよう、と思うだけで、まるで元から知っていることであるかのように状況が頭の中に浮いてくる。畜生め。
俺の10m右にはイアンの機体、俺とイアンの機体と線で結ぶと正三角形を作る後方の位置にヨハンの機体。
さらに後方には戦車一コ小隊が俺達の前方に睨みを利かせ、その後ろには指揮車両が鎮座している。
そして俺達の前方には――戦車に屠られた同族の間に立つ、奴の姿がある。
873 :
>>869:2009/12/06(日) 02:46:03 ID:1UcTaKAH
奴等が何なのか、俺は知らない。それどころか、少なくとも公式には、人類の全てがそれを知らないことになっている。
そうでなければ俺達がここでこうしている意味が無い。
奴等が何なのか、それを知るためにサンプルとして奴等を生け捕りにする、そのためにこの機体が作られ、俺達が押し籠められているのだ。
奴等は、いつの間にかいた。
あんな10m前後もあるまるで鎧を着込んだバケトカゲみたいな生物が既知の領域にいたら、とっくの昔に人類はその存在を知っていたはずだ。
とすれば、奴等は人類にとって未知のどこかからやって来たのだと考えるしかないところだが、
しかしながら、あんな連中がどこかから来たことを示すような観測データもなければ、それを秘匿できるような知能を連中が有しているようにも考えられなかった。
だから、こう表現するしかない―― いつの間にかいたのだと。
とにかく、現在、奴等は人類と接するところに存在している、それは一分の違いもない事実だ。
そして奴等は戦車の複合装甲をも貫く牙と棘、最新の対戦車火器をも以ってしなければ貫けない外殻を持っていた、これは極めて重要な事実だ。
連中は基本的には人類に何もしない。正確に言えば、連中の方からは人類に何もしかけてこない。
ただ自分達がいたいところにいてしたいようにしているだけのようで、
奴等が人間を食った、なんて話もあるが、これは連中が襲ってきたというわけではなく、自分達の方から近づいて、その中で連中のところに取り残された奴がいたのが、
そんな話になったのだと、俺はそう思っている。
そんな連中が相手でも、友好的な関係というやつを築くことは出来ないようで、奴等は駆逐されるべき存在とみなされている。
連中は自分達のいたいところにいると言ったが、どうも連中は人類がこれから新たに開発しようとしているところ、
つまり社会経済的な発展のために将来の利益をそこから得なければならないところが好きなようで、そこから追い出そうとすると激しく抵抗する
――殺されると思って自衛のため反撃しているだけなのかも知れないが。
そうであれば、人類は何としても奴等を駆逐しなければならない――人類の輝かしい未来のために。
すると問題はその方法だ。奴等は現在人類が有する兵器でも殺すことは出来るが――現に今、俺達の眼の前には戦車に殺された連中が転がっている――、簡単に、というわけにはいかない。
それに弾薬も燃料も消耗部品もただではない。さらに重要なことに、連中への対応で戦力が減ることは、軍事バランスというものに望ましくない影響を及ぼすかも知れない。
となれば、必要なのは効率的に奴等を駆除する方法を探ることだ。例えば、こんなものを置いておけばそれを食べて死ぬとか、こんなものを近付けると逃げていくとか。
そしてそれを探るためには、連中を生け捕りにして調べなければならない。
そのためには、連中の生物ならではの予測しがたい素早い動きに合わせて動き、殺さず動きを止められる兵器が必要になる。
そこで用意された人型の棺桶に、俺達は詰め込まれているというわけだ。
874 :
>>869:2009/12/06(日) 03:17:07 ID:1UcTaKAH
「エルンスト、奴の斜め後ろに回り込んでくれ。俺とヨハンで前からいく。向きを変えたら逃がさないようにしてくれ」
イアンからの通信だ。俺は奴を刺激しないように静かに大きく回り込んでいく。
奴は威嚇するような音を出しながらも、俺達に全面的に注意を向けることは無く、戦車を警戒している。
ああ見えて、知能は結構高いのだろうか? この人型棺桶の戦闘能力など、戦車のそれには遠く及ばない。
ただ、戦車ならどうやっても連中を殺すか逃がすかの二つに一つしかないが、こいつなら生け捕りに出来る可能性もある、それだけでこんなことをやらされているのだ。
俺はこのあたりでいいという位置につき、態勢を整える。奴が首を回して横目で俺を見て、一声吠え声を上げた。
それを見て、俺の頭にふと、常々疑問に思っていることがよぎった。連中は一体何を食って生きているのかということだ。
俺は奴等が何かを食っているところを見たことが無い。俺が話す機会のある同僚達も、見たことが無いらしい。
あるいは連中を送られた研究機関の人間や御偉方という奴等は知っているのかもしれないが、
何が何でも「機密だ」と言う人間から答えを得られるとは思えないからそっちの線から調べようとしたことも無い。
どうあれ、俺がその具体的方法を知らないだけで、あのデカい図体を維持して動かすだけのエネルギーを連中がどうにかして得ているのは間違いない。
――あるいは、それを調べることも奴等を生け捕りにする理由なのか?
人類は常に社会・経済的に成長を続けなければならない。そのためには新たな技術開発が必要であり、さらにそれには新たな科学的知見という奴が根底に要求される。
そして新たな科学的知見というものは、実験やら自然界の観測やらを元に得られるものだが
――前の世代までの人類は自然を破壊しまくり、俺達の世代の人類が新たな観測を得る機会を激減させたのだ。
浅薄にしてはた迷惑なことだ、人類は無から何ものかを生み出せるという馬鹿な勘違いでもしていたんだろうか?
そんなことはともかく、新たな科学的知見をもたらすかも知れない奴等との接触は、少なくとも社会的指導層や経済的重鎮にとってはピンチはチャンスでもあるという奴なんだろう。
875 :
>>869:2009/12/06(日) 03:34:06 ID:1UcTaKAH
イアンとヨハンが身構えつつ奴に近付く。ゆっくりと。奴は後脚で立ちあがり、大きく口を開いて吠える。他の連中と同じ、恐らく威嚇しているのだ。
それでも刺激しなければ、大抵は――
突然、いつもとは異なったことが起きた。奴がいきなり上体を倒して前脚を付いた姿勢に戻ると、ヨハンの機体に突進したのだ。
あまりに急な事態に、誰も対応出来なかった。轟音と表現したくなるような大音響とともに、ヨハンの機体が押し倒される。
それを見て我に帰り、駆け寄って奴に背後から飛びかかり、組み付く。イアンの機体も組み付いていた。
振り飛ばされそうになるも、何とか踏ん張り、引き剥がす。
口にくわえていたヨハンの機体の左腕を宙に飛ばしながら、奴がもんどりうって背中から倒れる。今度は俺が下敷きだ。
視界は奴の背中で埋め尽くされ、自分の動きが有効に働いているのかさえ分からない。
と、急に視界が空へと切り替わった。奴が横倒しになったのだ。
飛び起き、見ると、イアンの機体の腕と奴の前脚がワイヤーで繋がっている。
揉み合っている間に、両前腕に装備された捕縛用ワイヤーをまわしていたのだ。
すかさず、俺もワイヤーを引き出し、奴の後脚にまわす。ヨハンが何とか右腕だけで奴の首と尾を縛り上げ、捕縛は完了した。
876 :
>>869:2009/12/06(日) 03:49:47 ID:1UcTaKAH
俺達はしばらく呆然と立っていた。
機体が完全に搭乗者の体のように動くと知っているからか、
ただ直立姿勢を維持しているだけの人型棺桶が、呆然と突っ立っているように見えるのは面白いものだ。
「……今日はヤバかったな」
イアンが口を開いた。
「ああ、ありがと……」
それにヨハンが応じ掛ける、その時、
「コープ少尉、ベック軍曹、機体からリスト軍曹を降ろして応急処置をしろ! 今衛生兵をそっちへ行かせる!」
その通信にはっとしてヨハンの機体から送られている搭乗者のフィジカルデータを確認する。
あのとき搭乗区画のある胴体にもダメージが与えられていたのか、これは――!
「あ、あ、あ……」
ヨハンの機体が膝をつく。
「馬鹿野郎! フィジカルデータは常に確認しとけって言ってるだろうが!」
この機体の直接制御機構は、搭乗者の感覚をも完全に機体の制御にまわす。故に、搭乗者は自分の体の状態すら直接は認識することが出来ない。
本当に危険な状態に陥るまでは。
破損する可能性など気にしていられない、機体を倒れこませ、飛び降りる。ヨハンの機体に駆け寄り、強制ハッチ解放機構に手を伸ばす。
間に合え、間に合え、間に合え――!
877 :
>>869:2009/12/06(日) 03:58:00 ID:1UcTaKAH
ヨハン・リスト軍曹は少尉殿になった。なんやかや色んな実績が認められたとかで――いきなりイアンと同じ階級になったわけだ。
おまけに勲章まで授与された。
奴にはもったいないくらいだ、俺とイアンはそう言いながら基地の奴らにその勲章を見せて回り、見せるべき相手にはすっかり見せてしまってから、
寝室のもう主のいないヨハンの荷物の前に立って、誰もいないのを確認してから、その勲章を床に思い切り叩き付けた。
――了――
878 :
>>869:2009/12/06(日) 03:59:17 ID:1UcTaKAH
終わりました…… 我ながらわけわからん。
>>878 投下乙です!
これが、下書き無し……だと……!?
脳直のインターフェィスだと起こりうる状況……エルンストとイアンの無念が伝わって来ました。
GJでした!
つーか圧倒されるなぁw無駄に文章長い身としてはw
>>878 投下乙です! ……すみません、レス被しましたorz
有り得そうな事故で怖いですね。ヨハン軍曹……ご愁傷様です。
しかし短時間でなんという完成度。遅筆な上にヘボヘボな私にはあなたが神に見えます。
いわゆる一章における設定資料、埋めようSSが完成したと思ったらなんか結構酷い文量になってしまったので本スレ投下に変更して、埋めネタにも良いのでtxt投下予定だったこっちを投下
先の展開の暗示もちょっとあり、埋めネタだし別にいいよね?
いわゆる設定資料的なものより若干内容を崩した感じになってるので(SO3の用語辞書みたいな)
そういうのが苦手なら読まない方がいいかも
【黒峰潤也】
この物語の主人公。
21歳、男、性格は真面目だが、若干、天の邪鬼な側面もあり、あとシスコン。
第一章から半年前に起こった事件に起こった第七機関第三区画壊滅事件により家族を失っており、その際にリベジオンと遭遇し、その適格者として扱われる。
それが人生の転機となり、UHの鋼獣と単身闘う事になった。
当初は、鋼獣に純粋な恨みと怒りで戦っていたが、とある事実が彼をさらなる地獄に落とした。
目的は家族を奪ったものへの復讐だが、復讐という字面通りに受け取るとあとで痛い目見るかも…。
風貌はビジュアル系というよりは優男、だが目に隈があって人生に疲れた目をしている感じ、つまりはちょい病み系優男。
髪は白髪であるが、元々は黒髪、これはリベジオンの操縦者になった際に体内に打ち込まれたナノマシンが色素の配列変えてしまった為。
父親は豪徹、母親は香、妹は咲。
たぶん、好き嫌いがわかれるキャラ。少なくとも格好良い奴ではありません、惨めでどうしようもなくて、それでも歩みを止められない人。
主人公にそんな奴おいていいんかいと思われるかもしれないけれど、これはこういう奴の物語です。
【琴峰藍】
この物語のヒロイン。
年齢不詳(外見では16歳程度)、ミドルヘアーの黒髪が特徴で和装を好むが、潤也のせいでほとんど着れないのが悩みの種。
過去に潤也に命を救われた事がありそれ以降、潤也を好いている。ある意味、信仰しているといってもいいかもしれない。
DSGCシステムの怨念の負荷軽減のシステムは彼女が後付けでリベジオンの中で作り上げたもの。
ただし負荷軽減のシステムは彼女がリベジオンと合一化しなければ起動する事が出来ない。
また、合一化した際に、リベジオンの一部を自身の中に取り込んでしまい、リベジオンの操縦者である黒峰潤也には逆らえなくなってしまった。
まあ、そもそも、そんな事なくても彼女が潤也に逆らうという事はまず無いのだが…。
藍というのは正式な名前ではなく、黒峰潤也が彼女につけたものである。
その風貌や声は潤也の知る誰かとあまりにそっくりなのだが…。
【秋常譲二】
22歳、男。
『イーグル』所属、α部隊α8。
性格は熱血漢でお人好しの三枚目。
鋼機への知識が深く、独創的なディールダインの流用法を発案したり、鋼機の設計に関わっている。
S−21アインツヴァインは彼がいなければ完成しなかったと言われている。
鋼機操縦の技術も総じて高水準であるが、トラウマが災いしてパイロットには向かないと評価されている。
イーグルの司令をやっている秋常貞夫とは親子の仲であり、犬猿の中でもある。
あるトラウマから人が死ぬのを見過ごすことが出来なくなっている。
『鉄の処女』が『英雄』にしたがっている人間。
【シャーリー・時峰】
29歳、女。
『イーグル』所属、α部隊隊長。
祖母は時峰九条。
一見するとわからないがその本質は人情家で仲間思い。
技能、判断力、とっさでの機転と全てが特筆する技能を持つが、仲間を見捨てる事が出来ない。
これは彼女の根底にあるものが起因になっている為であり、ある意味病気。
それが起因して、一度、仲間を全員死なせてしまった過去がある。
それが元で、一時、軍を離れる事になるが、秋常貞夫の熱烈なコールによってイーグルに所属する事になる。
周りから完璧超人と思われがちだが料理と裁縫が苦手。ある意味祖母似か…。
あとは前曝した設定と大体同じなので略、実は予想外に好評で自分としてもびっくりなキャラ。
【加持蓮】
20歳、男。
『イーグル』所属、鋼機操縦士。
天才だが、本番に弱いというある意味、天才型の典型。
それを本人も疎ましく思っており、自虐する事が多く、自身の力をよく過小評価する。
シャーリー・時峰に一目ぼれし、彼女の手伝いをしたいと自分の弱さを自覚しながら戦っていた。
ぶっちゃけ主人公やれるタイプ。
殺す為に用意したキャラなのに設定書いてから死なすには惜しいなぁ…と何度も思ったキャラ。
本編では描かれなかったが、シャーリーが今回の戦いで生還したのは彼が死の間際に命がけで彼女を守ったからである。
【南雲ゲンジ】
21歳、男。
『イーグル』所属、鋼機操縦士。
サーカス出身であるが、家と喧嘩別れして、軍に参加。
その生まれのせいか特筆すべき反射神経を持ち、それを鋼機操縦に生かしたアクロバティックな機動が特徴。
だが、彼の操縦に機体が付いて来れず機体を何機も破壊した過去があり、軍を追い出された。
ただ、その際、偶然居合わせた秋常貞夫が、ゲンジをスカウトしCR1章に映る。
ヤンキー的な所が特徴である、あと馬鹿。
【狩石シャナ】
23歳、女。
『イーグル』所属、鋼機操縦士である。
だが、『現実主義者』に送り込まれたスパイでもある。
今回の作戦のモニターを担当しており、逐一情報を『裏』に送っていた。
その後、自身の機体が破壊されたとカモフラージュし離脱。
【時峰九条】
第七機関最高戦力。
【秋常貞夫】
55歳、男。
『イーグル』総司令。
秋常譲二の実の父だが、とある事件をきっかけに人間関係が疎遠になっている。
時峰九条とは旧来の知己。
無類の煙草好き。
【琴峰雫】
42歳、女。
『イーグル』副官。
スタッフロールに名前乗らなかった可哀想な人。
柳瀬よりも喋ってるのに…。
【柳瀬恵】
28歳、女。
『イーグル』所属のオペレーター。
【UH】
アンダーヘブン。
地下世界からの侵略者。
鋼獣を使い人に襲い掛かるがその真意は不明。
【『裏』】
世界政府を裏から動かすこの世界の5人の支配者達。
『現実主義者』、『思想家』、『道化師』、『皮肉屋』、『鉄の処女』の五名で構成されている。
正確にはこの組織に名前は無く、便宜上、裏から世界を操る者という意味で『裏』と呼称されている。
ある者は機関の長であり、あるものは軍人であり、あるものは何の役職にもついていない人間である。
ただし、その各々の能力は常軌を逸しており、まさに超人的な能力を持つ(超能力とかの意味じゃないよ)
この集団の目的はCR計画の遂行。
それぞれ思想は違うが、それを求める為に必要なものが同じであるために、協力関係を築いている。
【『現実主義者』】
『裏』のメンバーの一人。
裏のまとめ役。
会合の司会進行をよくやる。
ちなみにリーダーとかはこの組織いませんので彼がリーダーというわけではありません。
これ以上は語れないので、裏話。
唯一の常識人として作成。目的も一番普通だったりします。硬い口調を心がけてますが、ちょっとしたユニークさもあるみたいな人です。
【『鉄の処女』】
『裏』のメンバーの一人。
第六機関の長、若くして第六機関を立て直した天才。
あまり語れないのでいきなり裏話。
名称に関しては、当初裏メンバー全員に統一性をもたせようとしていたのだけれど、なんか平坦でつり針が無い名前になってしまい、悩んでいたときになんか神が降りてきて、処女とかいいんじゃね?電波残して、去っていった。
それだけじゃダイレクトすぎるから厳つい意味を加えるために鉄の処女なんて名前のキャラ名称になりました。
そのため裏メンバー全員が統一性ナッシングの名前になりました。個人的にはインパクトある名前とのギャップの面白みだと勝手に思ってる。
大体の場合、提案側。
【『道化師』】
『裏』のメンバーの一人。
あまり語れないのでキャラコンセプトだけ。
スレにいないタイプの悪役を書こうと思って作成。
自覚ある狂気。好かれる悪役では無く、嫌われる悪役をイメージ。
変態とか狂喜乱舞系は既にスレにいるので上手く棲み分けできるといいなー。
ちょっとずつ被ってる気もするけれど…。
いきなり全裸になった過去明かされる変態だけど…道化であり、相手にも道化を強いる人。
行動原理は愉快か愉快でないかが全て。大体の場合提案側。
【『皮肉屋』】
『裏』のメンバーの一人。
『裏』に入ってからの歴は一番浅い。
他のメンバーの反対を押し切って『道化師』が無理矢理入れさせたメンバー。
これ以上は、あまりry
道化師とは犬猿の仲。
基本的に集会で出た、提案を評価し、シュミレート役割を担っている。
【『思想家』】
『裏』のメンバーの一人。
これ以上はry
鉄の処女は砕けてて若さイメージしてるのと比べて、こっちはちょっと熟女系。
実は『裏』メンバーで一番、キャラが薄くて危険性を感じて…うわ、なにをすealjskalhldajnふじこ。
『貴婦人』にするか最後まで迷ってました(´・ω・‘)
【支竹幸三郎】
100年間に存在したという思想家にして科学者。
彼の著作は、問いかけを用いているのが特徴で、答えを書かず問いかけ、それへの答えを考えさせるといった作風を取っている。
【最果てより来るモノ】
なんか重要っぽいモノ。
正体が明かされるとしたらラスト。
―メカ関連―
鋼機に関してはアレ以上も無いのでリベジオン関係中心で
【リベジオン】
とある人物が100年前に最果てより来るモノの遺産を元に作り上げた鋼機。
ベースとなったのはS−16シュバルツ。通称:怨嗟の魔王、型番はCR−02。
『裏』の計画には存在しないイレギュラーにして凍結されていたCRナンバー。
DSGCシステムにより理論上、半永久機関と呼べるものを搭載しており、それを元にした強大な力を持つ。
それは、100年後の鋼獣や鋼機を凌駕するスペックを誇る。
だが、その反面、DSGCシステムによる負荷で搭乗者を喰い殺す機体でもあり、まさに悪魔の機体と呼べる。
また、至宝の一つ、ブリューナクの設計図を内蔵している。
今回使われた内蔵兵装は以下に記述
【『呪魂手甲(ソウル・アミュレット)』】
拳に怨嗟を変換したエネルギーを纏わせる兵装。
また、因子の収集や、ブリューナクの構築に使われる。
【『呪魂結界(ソウル・フィールド)』】
怨嗟を自身のまわりに徘徊させバリアとする兵装。
自身の全てを覆う事は出来ないが、実態を持つものはその膨大なエネルギーを持って消滅させる。
だが、弱点も多く、全身を守る事は出来ない事、実態を持たない攻撃には無効な事、巨大な質量の武装の前には無力である事(その武装が消滅しきる前にリベジオンに到達してしまう為)等という欠点も抱えている。
【『禁戒・魔獣纏衣(ソウル・ビースト)』】
DSGCシステムを稼働させ、怨嗟で自らの姿を光の魔獣へと変貌させる兵装。
正確には兵装ではなく、変化の過程。
リベジオンの本来の力を発揮させる兵装であるが、搭乗者の精神を引き換えにする兵装であり、禁戒扱いされている。
【至宝】
神の法を歪める宝。
唯一無二の因子で構成された物質であり、世界に4つだけ存在するとされる、最果てより来るものの遺産。
至宝はこの世のなんらかの『絶対』を歪め干渉する力を持ち、この至宝を持つものこそが世界のなんらかの『絶対』から逃れることが出来る。
また構成因子は決して消滅しないという特性を持つ。
起動には多大なエネルギーを必要とするのも特徴であり、まともに扱うことも出来ない。
また、至宝は全てがひとつの所に集まらないとその真価を発揮できないとされる。
【設計図】
設計図、それは至宝を構成するのに使われていた因子の構成図である。
あらゆる物質は因子によって構築されている。
例えば、刀剣は青銅や鉄といったものを練成することで刀身が成り立つ。
これは刀剣を作るに足る因子を集め、それを新たな形として作り上げた事により成り立つものだ。
通常、この因子というものは変幻自在のものであり、例え同じ刀であっても同じ鉄を使わなければならない等という事はない。
性質的には同じであっても、その存在自体は別のものであってもいいのである。
だが、至宝と呼ばれる物質はその構築に使われている因子の性質が違う。
至宝とは、互換が利かない唯一の因子のみで作られたものであり、その因子を用いなければ、同じものを作る事が出来ないとされるものである。
わかるだろうか?例えば、パンを焼く時に一袋の小麦粉を用いたとする。
だが、そのパンを調理の途中で間違えて焦がしてしまい、また1から作り直しになってしまった。
この際、また新しい小麦粉の袋を取り出して、その他に必要な材料を取り揃え、パンを新たに作り上げた。
例え一袋の小麦粉を失っても、新たな小麦粉を使えば、パンは作る事は出来る。
だが、この至宝というパンはそうはいかない、最初の小麦粉以外ではこの至宝とよばれるパンは作る事が出来ないのである。
代替が利かない、そのような因子のみで構築された世界で唯一無二の物質、それが至宝なのである。
そして、至宝にはもう一つ特性がある。
至宝を構築していた因子は不滅であるという点。
たとえ、その統合を解かれ、空気に帰ろうともそれは至宝の因子であり続けるのである。
故に設計図とは、その至宝を構成する因子を検出し、収束し、再構成する為の構成図、ある意味、至宝の本体とも言えるデータ、それが設計図である。
【ブリューナク】
至宝のひとつ。ルーの槍とも呼称される。
世界に存在する絶対則の一つ『因果』を歪める。
『因果』とは始点Aと終点Bを定義するものであり、いうなれば、何かがそこに始まったのならば、それは何らかの過程を経て、必ず終わりが有るということ始まった瞬間に定義してしまう事を言う。
ブリューナクはそれを歪め、その法則を変えてしまう槍なのである。
作中で暴走したリベジオンが過程を省略して、すぐさま対象に終焉までこの槍を用いて導いたが、それはこの槍の力のほんの一片でしかない。
だが、一見この力は万能に見えるがそうでは無く、これただひとつでは因果終焉と因果回帰の二つの能力しか使うことができない上発動での誓約が多い。
その本質である因果改竄は禁戒に辺り、他の至宝と組み合わさる事によって始めて可能になる能力である。
この槍は一刺しすればそこから送られる毒によって対象の因果を改竄し、一瞬で終焉に導いてしまうという事実は特筆すべきものであり。
まさに一撃必殺を体現した武装とも言えるだろう。一度の起動に多量のエネルギーを喰らうのが特徴。
その力を使うには呪言(コマンド)が必要だが、先の戦いでは魔獣と化したリベジオンがその過程を省略して、強制施行した。
砲撃形態と大槍形態が存在しており、砲撃形態時は矛先が左右に展開し、蓄えられたエネルギーを放つ。
ある意味、リベジオンの本当に驚異的な点はこのブリューナクを所持しているという点でリベジオンの本当の恐ろしい点だと言っても過言ではない。
裏話。
他作品と名前被っちゃっててどうしようかと困っていた際、ルーの槍を作中呼称の大本にしようかと思った事もあるんだけれど、
「ルーの槍ィィィィ!!!」と「ブリュゥゥゥゥゥナクゥゥゥ!!!!」だと、後者のほうが燃えたので後者のまま続行したみたいな。
【因果終焉】
ブリューナクを行使し、敵に因果の毒を送り込み、強制的に終焉を迎えさせる。
ありとあらゆる防御を貫く、一撃必殺。
ブリューナクの象徴的な能力だが、矛先で貫かなければ施行されず、砲撃形態でこれを発動する事は現状では不可能である。
当て字的にはカルマエンド、ただこの作品、技の名前を叫ぶ作品ではないので『カルマァァァエンドォォォォォ!!!』なんて格好良く叫んではくれないとは思う。
膨大なエネルギーを用いて施行される為、DSGCシステムとの兼ね合いから、多様は厳禁。
相手を滅ぼすのと同時に自らも滅ぼしかねない為、ある意味、因果応報を内臓した攻撃とも言える。
発動にはコマンドが必要、今回はその過程を怨念たちがすっ飛ばした。
実は凄くルビ使いたかった。
【鋼獣】
UHの用いる機動兵器。操縦は神経接続式であり、タイムラグなしの機動が可能なのが大きな利点。
獣とモチーフにしたデザインが特徴で鋼機を大きく凌駕する能力を持つ。
上位、中位、下位とクラス分けがされているが、それはUHにおける重要度のクラス分けであり実際の強さを示すものでは無い。
とはいえ、上位に値する鋼獣は中位未満の能力を持つ等という事は無い。
また、祖が無い鋼獣をオリジナルと呼び、なんらかの鋼獣を模倣して作った鋼獣をレプリカと呼ぶ。
【天狼】
てんろうと読む。中位に値する鋼獣にして、オリジナルの一つ。
モチーフは翼を持った狼。出番こそなかったが、こいつも一応、圧縮空気を吐く能力を持っている。
後編で犬が使った空圧砲はこの天狼の空気発射と鋼機部隊の空圧砲を融合させたモノ。
【焔凰】
えんおうと読む。上位に値する鋼獣であり、三獣神機『鳳凰』のレプリカ。
光を集めエネルギーをディールダインで増幅し、強大な力として発射する能力を持つ。
モチーフはそのまんま鳳凰。シャーリー達がこれに勝てたのはもはや奇跡的な出来事である。
【模狗】
まねいぬと読む。下位に値する鋼獣であり、オリジナルであるが雑種と呼ばれるスクラップ品。
能力も鋼獣の中では最下層の白物であり使い物にならないレベル。
ただし、その特性である機構の吸収は類を見ない能力であり、取り込んだ機構によっては上位に近づく事も出来る代物である。
ようは伸びしろだけは無限大みたいな鋼獣。合体機構とかも他の鋼獣から取り込んだものである。
作中では狗と表した、実は狗以上の説明できなかったんだよなぁー。
というわけで設定資料です、埋めついでにちょっとどうでもいい小話を・・・・
個人的にはSO3の辞書みたいな形式が凄い好きで、あれにならってというか
公然の出す設定資料は手元にあるのを毎度書き直してたりします
しかし投下してて、やっぱこの手のもんはtxtでアップして読みたい人にだけ読んでもらうようにするのがベストだなーとか思いました
えーと、疲れたので本日の夕方以降にSSの方は投下しようかと思います、気づいたら徹夜してました…もう時間的にも寝れないw
なんでアレだけの内容で1万字までいったんだよと小一時間自分を問い詰めたい気分です・・・orz
んで埋めついでに質問を・・・
皆さんプロットとかどうしてます?
俺は大筋だけ書いて書きながら細かい筋を付け加えていくタイプなんですが、皆どうして書いてるんだろうと思って埋めついでに聞いてみます
>>887 私もそんな感じですねー。
まあ、大筋すらコロコロ変わるからプロットがあまり役に立たないんですけどw
ええ、未熟者の証明ですね!
>>887 投下乙です。これは面白い
『裏』は今後の物語の謎を握る重要な存在になりそうですね
悪役と聞いて『道化師』の動向を注目せざるおえない
自覚ある狂気……か
プロットはぼんやりと残しておいて、後はぶっちゃけその場その場で書いてます。凄くずぼらですw
どうにか整合性や設定に無理が無い展開にしていって、そこから段々盛り上がりそうな感じに話を修正していきます
◆klsLRI0upQさんの様に細かく設定まで考えるのは凄いなー、とつくづく。自分書こうと思っても書けない人間なんで
>>888 大丈夫、俺もです!!!
いや、なんどCRの展開を変更したやらw
本当は細かいラインまで決め打ちしていく方が伏線管理も出来ていいんだろうなぁーとは良く思うのですが
そこまで労力が払えないw
>>889 俺の設定なんて俺理論満載ですので、そんなに褒められたものでは無いですw
ちょっと自分より賢い人が見ると何言ってんだこいつ?とか言われかねない代物ですし
設定なんてものは自分が納得できるかどうか?という点だけに集約していると思います
自分は本編で書けなかった部分の補足説明を設定晒しているだけですしw
>どうにか整合性や設定に無理が無い展開にしていって、そこから段々盛り上がりそうな感じに話を修正していきます
うお、俺とは逆のタイプだ、自分は盛り上げから考えて、そこから整合性考える人間なので