スレ発祥連載作品紹介!(※紹介文には多少の誇張表現も含まれています)
【荒野に生きる(仮) ◆8XPVCvJbvQ】
再生暦164年、コンクリートの荒野が広がる未来――。
獣の耳と尻尾を持つ「ヒューマニマル」の少女達はひたすらに戦う。対鋼獣用人型兵器・ヴァドルを駆って――!!
怪獣VS獣耳っ娘!? 話題騒然のデスマッチ!!
【CR ―Code Revegeon― ◆klsLRI0upQ】
これは、悪夢に立ち向かうちっぽけなひとりの人間と、「怨嗟の魔王」と呼ばれた機神の物語。
アンノウンの襲撃で家族を失った潤也は、漆黒の鋼機・リベジオンの玉座に身を沈める。反逆と復讐を遂げるために……!
人類震撼! 暗黒のレコードオブウォー!
【瞬転のスプリガン ◆46YdzwwxxU】
スーパーカーから伸びる鋼の腕――神速の挙動と極微の制動を可能とする、エーテル圧式打撃マニピュレータがその正体!
異世界の侵略者・魔族により廃墟と化した街角で、幼いことねは機械仕掛けの拳法家を目撃した。
変形ロボットならではの技が炸裂する、極超音速機動武闘伝!
【パラベラム! ◆1m8GVnU0JM】
Si Vis Pacem, Para Bellum――汝、平和を欲さば、戦への備えをせよ
意思ある機械人形(オートマタ)・リヒターと、彼のマスターとなった少女・遥(19)の戦いが始まった!
なんだかおかしなキャラ達による軽妙な会話と、動きを魅せるアクションに定評あり。ファンタジックロボット冒険活劇!
【ザ・シスターズ ◆klsLRI0upQ】
平凡な大学生、大野啓介の元に届いた大きなダンボール箱
その中に入っていたのは妹を自称するヒューマノイドで―――
超展開を超展開でねじ伏せる、お気楽ドタバタロボットコメディ!
【電光石火ゼノライファー ◆.dMD1axI32】
「俺、戦うよ。兄さんの代わりに」
正体不明の敵「アンノウン」来襲! 柊頼斗は兄の遺志を継ぎ、巨大ロボット・ゼノライファーに搭乗する!
少年少女の思いが交錯する超王道スーパーロボットの活躍に、キミのハートもブレイズアップ!
【Tueun ◆n41r8f8dTs】
全てを無くしたこの世界で――青年と人形は明日を咲かす
荒廃の大地に安住の地を求めるショウイチ。彼と旅する巨大トラクター・タウエルンには、とんでもない秘密が隠されていた!?
「家業継ぐわ…」「農業ロボ!?」 そんなスレ内の小さな種(ネタ)から◆n41r8f8dTsが丹精こめて育てた、痛快娯楽開墾劇!
【海上都市姫路守備隊戦記 ◆gD1i1Jw3kk】
「鉄の鎧を纏いし日出ずる国の兵」。帝国に虐げられる民が希望を見出した救世主伝説。
兵士として生きる男・清水静が愛に目覚めた時、戦乱の異世界に重装甲強化服のローラーダッシュの唸り声が響き渡る!
止められるものなら止めてみよ! 熱と硝煙! 剣と魔法! 凄絶無比のヘビーアーミー!
【最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ ◆46YdzwwxxU】
ドゥビドゥビッドゥ! ドゥビドゥビッドゥ! ドゥビドゥビドゥビドゥビッドゥドゥビドゥビ!
今日も今日とてロボヶ丘市で激突するのは、変な正義と変な悪!
ハイテンション! 歌うスーパーロボットバトルアクション!
【劇場版 最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ 異世界からの来訪者 ◆gD1i1Jw3kk】
悪のマッドサイエンティストが造り出した『次元転送装置』
その力は二つの世界を交差させる!
海上都市姫路守備隊戦記×最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ 衝撃のクロスオーバー作品!
【少女機甲録(仮) ◆kNPkZ2h.ro】
80年ほど前に地球上に出現し、地球上全ての生物を滅ぼさんとする謎の生命体群「ワーム」
異形の敵に立ち向かうは、全長4mのパワードスーツ兵器「機士」
陸上自衛軍第28連隊 第4中隊の少女達は、血と硝煙の匂い漂う世界を生きる!
【スーパー創作ロボット大戦OP映像風 ◆gD1i1Jw3kk】
スーパーロボット大戦名物の冒頭の3D戦闘シーンを
ロボット物SS総合スレ作品で再現!
所狭しと暴れまわるロボットたちの雄姿を見よ!
【R,B&G ◆46YdzwwxxU】
Tueun◆n41r8f8dTs vs.瞬転のスプリガン◆46YdzwwxxU
巨大トラクターとスーパーカー ──本来なら走る場所が違う二台が、
同じ道を駆け抜ける!!
【仮想戦闘記録 ◆gD1i1Jw3kk】
海上都市姫路守備隊戦記・外伝
設定のみだった五式重装甲強化服を敵として登場!
果たして静は二世代旧式の機体で勝てるのか!?
【ARTIFACT LEGACIAM あお ◆6k/dFp.sTw 】
突如として現れた謎の未確認侵略体、E&E。その脅威に立ち向かう、謎の巨大ロボットレガシアム!
レガシアムの搭乗者、不破優作は不思議な相棒カイアと共に大事な人々を守る為に立ち上がる!
軽妙な学園劇と迫力あるロボットバトルが織りなす、鋼のジュブナイル、ここに爆誕!
【Diver's shell ◆a5iBSiEsUFpN氏】
人類共通の夢の一つに、「もっと遠く」というものがある――――
これは、表面の90%が水で覆われた星を舞台に、愉快なダイバー達が織り成す物語。
男の娘もあるよ!
【ヴィルティック・シャッフル ◆n41r8f8dTs氏】
普通の少年・鈴木隆昭の前に現れたのは、普通じゃない少女・メルフィーだった。
時を同じくして、平穏な日常に忍び寄る悪魔、オルトロック・ベイスン。
その「カード」を引く時、「未来」は訪れる。果たしてそれは「希望」か、「絶望」か――――
【人狼機兵マーナガルム ◆CNkSfJe3Zs氏】
2149年 春。月と地球、並んだ二つの星による戦争は、まだ続いていた。
革命軍の問題児「ラビットソルジャー」パイロット ソマ・ツクヨミは、自軍の罠にはめられ、正体不明の『狼頭』と敵対する。
兎達が支配する戦場で今、精神すらも噛み砕く異形の獣が目覚めようとしていた――――
【鋼鐵の特攻兵―Gun Strike Girles― ◆6LGb3BALUde1 】
近未来。人類はBUGと呼ばれる巨大生物との戦争を続けていた。
主人公・御前静を始めとした世界各国から集まった個性的な
少女達は、鋼鐵の棺に身を沈めてBUGとの熾烈な戦いに身を投じていく。
戦争という極限状態の中で、少女達は傷付きながらも成長し、
互いに支え合い日々を懸命に生き抜く。
やがて少女達の間に芽生えるのは、友情かそれとも――
ハードボイルドミリタリーの皮を被った百合ん百合んな物語。
欝展開はないよ!
【剣神鋼王ミカズチ ◆YHSi90Gnr2】
其れは鋼の人型。其れは『神』の力を降ろす為の人造の依代。 剣神はその手に太刀を担い、在らざる戦場(いくさば)を駆け抜ける。 その刃は未来を切り開けるか―
【ロボスレ学園】
ロボット物SS総合スレ、10スレ目突破記念作品! このスレのキャラクター達が織り成すどこまでもフリーダムな青春(?)グラフィティ!
参加者募集中!
・読者側は、積極的にエールや感想を送ってあげよう! 亀レスでも大感激! 作者はいつまでだって待ってるもんだぞ!
・作者側は、取り敢えずは作品で語れ! 自分のペースでも完結まで誠実に奮励努力せよ!
・我らスレ住人は、熱意に溢れた新作をいつも待ち望んでいる! 次スレの紹介文には、キミのロボットも追加させてみないか!?
リング状の円盤の上。
そこには二機の鋼機が立ち双方が太刀を構え向き合っている。
その片方の鋼機の中に自分はいた。
目の前のモニターには一機の黒い鋼機。
ただ、ただ、ただ、全ての区切りを付けたかった。
相手は祖父を陥れた張本人、そして――に陥れられた被害者。
ジャミング。
決着が付く。
傷ついたものが復讐を傷をつけた者に復讐を行いその結果傷ついた別の人間がまた復讐を行う。
言うなればこれは復讐の連鎖だった。
それを終わらせたかった、それは相手も同じだったのだろう。
だからあの男は最期に言ったのだ「俺にはなるな。」と・・・。
それは善意だったのかもしれない、違う道を行くことで永遠に苦しめという意味だったのかもしれない。
――おい
リプレイ。
映像が巻き戻される。
二体の鋼機の剣戟が始まる。
片方は二刀、もう片方は一刀だった。
二刀を持つ鋼機は次々と攻撃を繰り出す、その一刀の鋼機はその攻撃をなんとか受けるのが精一杯だった。
なんで今こんなモノを見ているんだろうか・・・。
ああ、わかっている、これは夢だ。
――お〜い
だが、出来るならばこの時に戻りたい。
そう切に願う。
所詮はそれは適わぬ夢に過ぎないのだとは理解している。
だが、だがそれでも、それでも俺は――
――起きろ!!
バシャーーーーーンと大きな水の音がした。
そうして全身に染み渡る冷水の冷たさと共にクーガ・ラグナグは覚醒した。
「目、覚めた?」
目の前には空のバケツを持った、赤い髪の女がいる・・・。
クーガも昨日、初めて会ったばかりの女だ。
彼女は何か面白いものを見るような目でクーガを見つめている。
名前はミナ、同じシャドウミラージュの部隊員で、クーガと同じ鋼機乗り、つまり騎士だという。
「――冷たい。」
クーガの体はびしょびしょに濡れていた。
体だけでは無い寝ていた寝台までがびしょ濡れだ。
「だってさ、あんたがあんまりに起きないもんだから。」
ミナはニコリと笑う。
「いや、それでもこれは無いだろ!普通はさ、優しく肩をポンポンとか叩いてあげたりして起こすのが基本じゃないのか?それがせめてもの人間としての常識じゃないのか?」
「体揺すって『起きろ』って何度も言ってるのに、あんたまったく目を覚ます気配がないからさ、もう強行手段に出るしかないってね?わざわざ起こしてやってるのに起きないあんたが悪い。」
ミナはむっっとクーガに指をさした。
「いや、それでもな・・・。」
その後に言葉が続かなかった。
実のところ・・・いや、本人にとっては本当に嫌な話ではあるのだけれど、クーガの朝の弱さは知人達には有名な話だ。
ちょっとした馴染みのある人間には朝の弱さを天変地異が起こってもあなたはベッドの上で安らかに寝ているなどと酷く言われた事もあるぐらいだ。
いや、むしろそいつが言いだしっぺか・・・。
「とはいえな・・・」
窓から外を見た、町並みの先にある地平線のさきからうっすら光がこぼれている。
つまりは今、現時点では日の出前という事だ。
昨日は深夜過ぎまで起きていた為、こんな時間に起こされて起きろというのはちょっと酷な話なんじゃないだろうか。
「何の用だ?こんな時間に・・・講話なら昼からの筈だが・・・というかなんで俺の部屋にいる?。」
「んー、暇だからかな。」
「ひ、暇ぁー?」
クーガは間の抜けた声を上げた。
「そ、この世で最もにして最大の敵は暇だと思わない?クーガ・ラグナグ。」
「だからフルネームで呼ぶなって、俺、その字は嫌いなんだから、クーガでいいの!クーガで!!呼び捨てでいい、俺も昨日、あんたが言ってたみたいに他人行儀で話されるのは嫌いだし。
ああ、でも、さんとか君とか呼ばれた事無いから呼ばれてみた事ないからちょっと憧れが…。
ああ、何を言っているんだ、俺は…。大体だな、暇だったらむしろ好き放題できるから楽しいじゃないか。」
「自分でボケたあとツッコミやる奴なんて始めて見た…。」
カタリナは面白いものを見たような目をしながら、少し考えるようにして、続ける。
「ふーん、でも一人で出来る事なんて、やっぱ飽きるっしょ、やっぱり生活には刺激っていうのが大切だと思うんだよね、でも刺激ってものは誰かと作りあげるもんだからさ、あたし一人じゃ出来ないんだよね。」
「んで、なんで俺がその刺激を作る相方に選ばれたんだ?昨日、会ったばっかだし・・・それっておかしくないか。」
ミナはそのクーガの発言を受けて、さも当然のように、
「理由は簡単にして単純明快、他の奴を弄るの飽きたから。」
と即答した。
「あーそうですか・・・。」
他の部隊員も同じ目に合わされていることを知り、クーガは少しシャドウミラージュの仲間に同情した。
「ま、今から緊急会議あるみたいだから、それでってのもあるけどね、さっさと起きなよ、十分後かららしいし。」
「じゅ、十分後だって!!それを先に言えよ!てか、いったいどこが暇なんだ?!んで、どこだそれは?」
クーガは慌ててベッドから飛び起きて着替えを始める。
流石にびしょ濡れの格好で会議になんていくわけにはいかない。
「イアナーラ領主館の会議室、まあ、あんたが昨日長ったらしい講釈を受けてたところね。」
「その長ったらしい講釈を台無しにしたのは誰だよ・・・。」
クーガはミナの発言にボソりと呟いた。
一昨日、このイアナーラに着たばかりのクーガは鋼機技師のカタリナに現状と任務の説明を受けていたのだが、この女が乱入してきた為に中途半端なところで終わってしまった。
正直なところ、まだカタリナに聞きたい事があったがゆえにクーガはミナのこの行動に少々の恨みを持っていた。
さて、ところでだ、一つクーガは気づかないといけない事に気づいていない。
それに気づいているミナは必死に笑いを堪えている。
だが、ミナが何かに対して、笑いを堪えているのはクーガにもわかった。
「何、必死に笑いを堪えてるんだ?」
その発言がさらにミナの笑いのツボを刺激し、ついに我慢が出来なくなったミナはゲラゲラと笑い始める。
「だってさぁ、あたし一応、女なんだぜ、ちょっとは気ィ使えったりしねえよのかよ。
クク、駄目だ、あーもう駄目、プクク、本当に駄目、普通、女の目前で服着替えるか?
それも昨日あったばかりのようなやつの前で、クハーもうたまんないな。あんた絶対デリカシー無いとか女に会うたびに言われてるだろ。」
悲しい事に事実である、つい先日もとある少女に面と向ってデリカシー無いですねと笑顔で言われたのだ。
「そう思うなら普通は女から出てくだろ、お前も大概だ、出てけ!!!」
苦し紛れにクーガは大声をあげて言う。
とはいえ既に先手が取られている為、もはや苦しい、非常に苦しい発言だった。
そのクーガの表情をみてミナは、
「いいの、いいの、私は劇団の生まれだから男の裸なんて見慣れてるし、やましい心なんてこれっぽっちも持ち合わせてないんだからさー。」
と笑いながら答える。
クーガはそれはそれで問題だとは思ったが、この手の手合いにそういう事いってもまったく意味を成さないを経験から知っている。
主にとある知人のせいで…。
状況によってはこういう奴にそういう事を言うと、さらに話が伸びるという酷い惨場に発展しかねない。
それで会議に出られなくなったら、幸い自分の寝室は領主館の二階の客室だ。
会議室は1階。
つまりは、今なら急げばまだ間に合う。
ならばこの目の前にいる女をまともに相手にしてはいる暇など無い。
だから―
「だから、さっさと出てけ!」
そういってクーガはミナを無理矢理部屋から追い出した。
クーガが会議室に入ったのは会議の始まる丁度30秒前だった。
「初っ端からこんなギリギリに来るとは関心せんぞ、坊主。」
慌ただしく会議室に入ったクーガを席の最前列にいる白髪の老人が睨むように見てそう言った。
クーガは周りを見渡す。
会議室の中には20人ほどの人間がいた。
「すみませんでした。」
クーガは即座に謝る。
その後ろでセイムとミナがクスクスと笑っていた。
その仕草にクーガは少々むかっ腹が立ったが今はそんな事で文句を言っている場合では無いと思い何も言わずにセイムたちの後ろの席に腰掛けた。
「まあ、ドンマイ。」
セイムはクーガに小声で一言、そう言った。
「どうせ、悪いのは俺ですよー。」
そう一言だけクーガはむくれたように返した。
「さて、話を始めようかと思うがいいかな。」
スクリーンの前にカタリナが立ってそう言った。
それに対して、全員が了承の一声を出す。
「あー、そうそう、話を始める前にいっておくが、今回のこの会議には隊長は不参加だ、なんでも国の式典に呼ばれたらしい。
最近サボりすぎてたせいか、そのツケを返せと国王自ら書状を送ってこられたそうだ。
まあ、そういうわけで隊長はいない、隊長代行としてはホークアイ副隊長に頼む事になった。
まあ、明後日には戻ってくるそうだが・・・その間の臨時というわけだな、さて前座はこんなところだな、それじゃ副隊長、頼む。」
白髪の老人が席を立ち、クーガ達の側を向いた。
「初めて会う者もおるから言っておこう、わしがホークアイ・グロウズだ。」
静かでそして重い、そんな声だった。
手や顔のしわといった容貌からさっするに軽く60はゆうに超えているだろう。
しかし、一番強く印象を与えるのはその非常に鋭い目であり、その眼光からは老いから出るような衰えのようなモノを感じさせない。
会議室全体に息がつまりそうな程の緊張感が充満している。
それを誰が放っているのかをクーガはその時、理解した。
「では各員からの報告に入ってもらおう。まずは、ディールダインの収集状況から・・・。」
そうして、各員が報告を始めた。
13 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/04(日) 22:43:33 ID:Sxab0v5g
物資の補給状況、鋼機の整備状況、人員の補充等様々な報告が終わり、現存する妖魔の数の情報に入った。
報告から妖魔をクロロスペッツゥナから誘いだす作戦は成功しているという、つまりはシャドウミラージュは役目を果たしてるという事なのだろう。
妖魔分布の担当者は報告を続ける。
「現在の妖魔のこの地域一体の分布状況をわかりやすくしたものがあります、モニターを見てみてください。」
モニターに情報が掲示される。
「この辺り一帯の地図に妖魔の分布・動向を現したものです。クロロスペッツゥナのある北東部が3分の1の数の妖魔になっているのがおわかりいただけるでしょうか?」
差し棒で担当者はその該当箇所を指す。
確かに前日受け取った資料と比べると、北東部の紅いマーカーの量が大きく現象しているのがわかる。
その分、色々な箇所に薄く、妖魔が現れていると示唆はされている・・・。
「とりあえず妖魔の誘導には成功しているといったところか・・・。」
ホークアイが顎の髭をなでるようにして言った。
「ええ、これは大きな成果です、次のスライドを見てください。」
モニターに別の映像が表示される。
そして、同じ地図にマーカーで新しい妖魔の分布が表示される。
「これは明後日の妖魔の動きを今までの動きから予想したものです。当初の予定では南部に妖魔を集める予定でしたが北東部にも若干妖魔がいってしまいました。ですが、この程度ならば問題ないでしょうし――」
その時、扉を開けて、一人の男が大きな男が入ってきた。
何か慌てている様子が感じ取れる。
その男はスライドの前で説明している報告者の耳元で、告げる。
報告者の顔が焦りの顔が見えた。
そして2分ほど、二人の間に静かなやりとりがあった。
セイムはそれを気にいらなそうに報告者を見て、
「こういう場所で内緒話をするのは関心しないな・・・。」
そう冷たく言い放った。
「そうよね、あたしたちにも何か教えてほしいよね。」
ミナはセイムのその発言に同調する。
それを聞いてホークアイは少し考えるようにした後、
「まあ、問題は無いだろう、言ってやれ。当事者もここにはいる事だしな。」
報告者に説明を促した。
報告者は少し困った顔をした後、ホークアイの方を見て、ため息をつき、決意を固めた顔をして、
「クーガ・ラグナグ名誉騎士の報告にあった、『名無し』が妖魔の襲撃にあったそうです。」
そう告げた。
クーガは立ち上がった。
「・・・・・・それはどういう意味だ?」
クーガの口調には焦りが含まれているのはその会議室に居た人間全てが感じ取れただろう。
「言葉通りの意味です、クーガ・ラグナグ名誉騎士、あなたが妖魔グラスと戦った際に居たという『名無し』が3時間ほど前に妖魔の襲撃に会ったということです。」
クーガは席から離れようとするが、それをセイムが、
「どこへ行く気だ?」
そういって抑えた。
「どこでもいいだろう。」
クーガはそうぶっきらぼうに答える。
クーガの表情から普段感じられる余裕がまったくない。
唇が震え、顔が真っ青になっている。
誰の目から見てもクーガが正常な判断力を失っているのは明らかだった。
そうしてセイムはその場に立ち会った人間としてクーガが何をしようとしているかは理解している。
クーガは今すぐにでも『名無し』の人々を救いに行こうとしているのだ。
責任感からか、情からか、それともまた他の感情からかはわからない・・・だが、それが彼を急かせているのは事実だった。
だが、そう、まだ席を立つには早い。
「まあ、話は最後まで聞いてからいけよ。」
「そんな暇が――」
反論しようとしたクーガの顔面をセイムは殴りつけた。
その光景に会議室でどよめきが起こる。
「あのな・・・まともに動く機体も無いお前が今、あの集落に向かって行ったところで何が出来るというんだ?何をするとしてもまずは状況確認からだろ・・・少しは落ち着いて人の話を聞け・・・。」
セイムの静かに一喝し、クーガは押し黙った。
「わかったか?」
「わるかったよ・・・。」
セイムが言った事はクーガも頭の中では理解していたのだろう。
だが、クーガは『名無し』の事を考えると、いてもたってもいられなかった、それゆえに急いているのだ。
ミナはその光景を見て、少し呆れた風な素振りを見せた後、
「んで、襲撃って言われてもさー、実際にはどんな事があったわけ?」
そう、報告者に質問した。
その場であった出来事に気を取られていた報告者はミナの言葉に虚を突かれ慌てて答える。
「え、あ、はい、一応、クーガ・ラグナグ名誉騎士殿の送られた増援の鋼騎士二体が迎撃を行い、その場の妖魔は撃退したそうです。」
「ん??なら問題無いんじゃない、被害らしい被害は出なかったんでしょう?対して取り乱すような話でもないじゃないか。」
ミナはあきれたように言った。
しかし、報告者は深刻な表情を変えない。
「他になにか問題があるのか?」
セイムはそう報告者に問う。
「ええ、そうです、確かに撃退には成功したそうです、『名無し』側にもたいした被害はありませんでした、しかし、この際の妖魔の動きが妙だったそうなのです。」
「妙?」
ミナは興味深かそうに聞き返した。
「ええ、そうです、どうも『名無し』には複数、だいたいは4、5体の妖魔が襲ってきたらしいのですが、護衛の鋼機たちが現れた途端に、退却をしたそうなのです。」
セイムは少し思案し、一息ついて、報告者に尋ねた。
「一つ聞きたい、そいつらは護衛の鋼機達と交戦すらしていないのか?」
「ええ、そうです。」
報告者は眼鏡に手を当てながらそう答える。
その回答に対してセイムは腕を組み考え始める。
クーガはそれを訝しげに見て、
「一体なんの問題があるんだ、それは?」
セイムに聞いた。
セイムは腕を組み、少し声のトーンを落として答える。
「ああ、おかしいと思わないか?普通の妖魔ならば例え鋼機がいようとも、村を襲撃してくる筈だ。基本的にはいくら鋼機を使おうと複数の妖魔に対抗するのは人間側にとって分の悪い勝負だからな。」
鋼機一機につき、下級妖魔一匹と戦えるというのが基本的な今の鋼機のステータスだった。
かつては複数がかりでやっと一匹と戦えるというケースだったのだからこれでも人間側は妖魔と闘えるようになってきているという事である。
しかし、妖魔が優位なのは変わらない、『名無し』に送り込まれた鋼機が精鋭だとしてもだ。
「妖魔は馬鹿じゃない、むしろ俺達人間なんかよりずっと賢い奴もいると言われている、知の求道者とかがいい例だ、つまりだな、奴らには戦力的優位性が確実にあるというのにわざわざ鋼機を見るやいなや退却した、クーガ、これの意味するところがわかるか?」
セイムは謎かけのようにクーガに問う。
ミナはセイムのその問いで納得したというように頷いていた。
さて、問題だ。
クーガは考え始める。
まずは要点を並べてみよう。
一つ目は妖魔達は戦力的優位性があるのにもかかわらず戦いもせず退却したという点・
二つ目はシャドウミラージュ部隊はディールダイン採掘における妖魔の陽動のため、このイアナーラ一帯で妖魔を倒してこの一帯の妖魔の本拠地クロロスペッツゥナから誘いだしているという点。
そして最後は妖魔グラスの件で妖魔達は活発化している、おそらくはグラスの従者、またはそれに類するものが仇を取ろうとしているという点。
こうして並べてみると思考しやすい。
こういう思考に必要なのはこちらからの視点ではなく、妖魔側からの視点で事を考えるということだ。
妖魔達は恐らくはシャドウミラージュの目論見通り自分達に害を成すシャドウミラージュの殲滅を目標としてクロロスペッツゥナから出てきている。
妖魔達はまずどこに自分たちがいるかを探そうとする筈だ。
それゆえに現在広い範囲で妖魔が出現している。
つまり今、各地に妖魔が拡散しているのは自分達の所在を探しているということになる。
無論、シャドウミラージュは各地でまばらに転戦を行った為、この廃街イアナーラに自分たちが潜んでいる事にはまだ気づいていないのは先の報告から明らかだ。
さて、ここで考えることは非常に簡単な話だ。
鋼機が守る人間の集落という存在を妖魔はどのように認識するのか?
そしてその思考の末にたどり着いた先にクーガは戦慄する。
簡単な話だ。
誤解……だ。
それも最悪。
つまりは―――
「妖魔たちは『名無し』をシャドウミラージュの本拠地だと認識した――のか?」
【3−4に続く】
というわけで3−3終了です
残り四回ですが、御付き合いくださると幸いです
>>1 スレ立て乙!
>>19 投下乙です!
ミナさん大雑把すぎですよw
あとヤバめな展開になってきましたなー
副隊長さんは一体どんな判断を下すのか
>>19 投下乙です!
おお、なにやらキナ臭い事になってきましたね……!
しっかしミナいいキャラしてるなぁ、いいぞもっとやれ!
次回も楽しみにしてますね!
ふぅ、不覚にもクーガをかわいいと思ってしまった……。
>>19 投下乙っす!
次第に不穏な空気になってきたなぁ……俺っ子いいよ俺っ子。でも水掛けるのはひでぇw
何か次に大きな戦闘でもおきそうですね……次回も待っています!
んじゃま、無事に前スレも終わったんでヴィルシャ最終回の前篇を投下します
ホント何時も無駄に長く(ry
支援する!
……何も、見えない。周囲を見渡せど、真っ暗闇だ。右を向いても左を向いても何も見えない。俺、死んでないよな……多分。
平衡感覚はある。妙に体が重いけど。取りあえず一歩踏み出す。しっかりと地に足が付いてる。
歩ける……みたいだな。それにしても何だ? この肩に圧し掛かる不快な感じは……。体が沈んでいきそうなほど、重い。
歩いている内に、次第に目が慣れてきたのだろう。ぼんやりと何かが浮かんでいるのに気付く。真っ白くぼんやりと浮かんだ影だ。
俺が近づくと、だんだん白い影が明確な形に見えてきた。……人、か? 誰かが、俺に背を向けている。どこか見覚えがある。俺は、その人に話しかけた。
「……メルフィー?」
「どうして……私を助けてくれなかったのですか?」
そう言いながら振り向いたメルフィーには――――顔が、無かった。一瞬息が詰まる。
恐怖のせいか、足が自然に後ろに下がる。背中に何かがぶつかり、振り向くと――――顔が無い、会長がいた。
「貴方のせいよ。貴方が何も守れなかったから、皆死んだの。分かる?」
「会長……何を言って……」
気付くと、俺の周りを顔の無い人達が囲んでいる事に気付く。皆……俺の見覚えのある……。……当り前だ。
俺を囲っているのは――――俺が守りたくても、守りたかった人達だから。そうか……俺が、俺が力を持っていながら、誰も守れなかったから、皆……。
「鈴木君は私達を見殺しにしたんですね」
「ひでぇよ、隆昭……俺、死にたくなかったのに……」
「何故助けてくれなかったんだ! 隆昭!」
「死にたくない……死にたくないよ……隆昭、助けて……」
違う……俺は……俺は皆を救いたかったんだ。でも……俺はヴィルティックを……。
「お兄ちゃん」
小さい女の子の声がして、視線を下に向ける。俺の服の裾を引っ張る君は――――俺がヴィルティックで……。
「お兄ちゃんは、ヒトゴロシなの? 人を殺す為に、そのロボットに乗ってるの?」
「……違う」
「嘘。お兄ちゃんは人を殺す為に乗ってるんだよ」
「違う! 俺は……」
「じゃあ、なんで私を殺したんですか?」
正面に、メルフィーが立っていた。俺を見ているその目から、涙が伝っていた。
やめてくれ……そんな目で、俺を……見ないでくれ……。俺は……俺は皆を守りたかったんだ……だから……。
「貴方が殺したんです。何も守れなかったんじゃない。何も守る気が無かったんですよね」
「そう、鈴木隆昭。君は力を好き勝手に使いたいだけなんだよ。私も君も同じ、人殺しで人類にとっての死神なんだ」
オルトロック……やめろ。メルフィーの肩から……手をどけろ。メルフィーに……アレ、何で、俺声が出ないんだ? このままじゃ、メルフィーが……。
長居は出来ないが支援。しかし感想が間に合わないだと…!?
「いい加減自覚したまえ。君は私の同じ種。人殺しなんだ」
「止めろ……俺はお前とは違う……違うんだ」
「違う? 冗談はよしてくれ。私を殺した時の君の顔、実に快楽に満ちていたよ。最高なんだろ? 力を振り回せる事が」
「俺は……」
「さぁ、次は誰を殺すのかな。いっそ――――この町を焦土にしよう。ヴィルティックで」
やめろ……やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
ヴィルティック・シャッフル
最終回 前編
「うわぁぁぁぁぁ!」
叫び声を上げながら、俺は飛び起きた。心臓が半端無くドキドキしている。両手で額を触ると、滝の様な汗が噴き出ている事に気付いた。両手が汗でべとべとだ。
……酷い。酷く怖い夢だった。夢なのにこう……変にリアルで。もう見たくないな……あんな夢。けど、絶対にもう一度見る気がする。
というかいつの間にベッドの上で寝かされてたんだろう。何か妙な感じだな……病院って気がしない。
いや、ちょっと待て。どこだ、ここ。俺は寝ぼけている目をこすって、周りに目を移す。
病院……じゃない事は分かる。病院特有の、薬とかの匂いはしないし、何より壁の色がクリーム色とか明らかに病院じゃないだろ。
それによく分からない絵画やら、デカいTVやら、如何にも外国製って感じのインテリア群とか、何というか……ホテル?
まさか……だとしても、誰が俺をここまで運んできたんだろう。怪我をしてるなら普通病院だろ。ホテルとか怪我人を運ぶ場所には明らかに不適合だよな?
理由が分からない……。とは言え、怪我の手当てはしてくれたみたいだ。髪の毛で隠れた額に、包帯が巻かれている事に気付く。止血されてなかったら危なかったな。
奇跡的に怪我をした部分は頭だけみたいだ。他の部分は普通に動く。……恐らくというか、ここまで俺を運んできてくれた人が手当てしてくれたんだろう。
感謝したいけど、人影が見えない。取りあえず、俺は俺をここまで運んでくれた人が来るまで、待つ事にする。その人がきたら事情を聞き……ん?
「隆昭……起きて……隆昭……」
何故かメルフィーが傍らで、椅子に座っていた。疲れているのか分からないが、寝言で俺の名前を言いながらこっくりこっくりしている。
俺が起きるのをずっと待っていたのかな。そしたら悪い事をした。直ぐに俺と交代でベッドで寝ても……と言いたい所だが、喉が枯れている為か声が出ない。
馬鹿みたいに叫んでたもんな……。あんなに大声出したのは何年振りだろう。とにかくオルトロックに勝つ為に、俺は必死になってた。……周りも顧みず。
……けど、守れなかったな。もっと早く、ヴィルティックの事を自覚してれば、俺は皆を……救えたのかな。
<体の具合はどうかしら?>
その時、俺の頭に聞いた事の無い声が響いた。――――この感覚、メルフィーが初めて俺には通信機で話しかけてきた時の感覚と同じだ。
メルフィー以外に未来人が? なら何の目的で俺に話しかけてきた? というかどこに――――と周囲を警戒していると、誰かがこちらを見ている事に気付いた。
その人物に目を向ける。バスローブを着た……妙に妖艶な雰囲気の美人の女性が、腕を組み壁に寄り掛かって、俺の方をニヤニヤしながら見つめている。
……凄い胸だ。メルフィー並み、いや、もっとあるかも知れ……いや、今はそんな事はどうでもいい。安直な考えだと思うが、この人が俺をホテルまで運んできたのだろう。
俺は唾を飲み込んで出ない声を出そうとした。が、女性は人差し指を形の良い唇にあてると、指を右耳まで移して、耳たぶを二回叩いた。
すると、女性の小さな耳を覆うほどに大きなヘッドホンが、少しづつ浮き出てると実体化した。恐らく……メルフィーの狐耳と同じく通信機の類だろう。
<会話の方法はメルフィーから教わってるよね?>
<……これであってますか?>
<うん、上出来上出来。で、怪我の具合はどう? まだ痛みとかあるかしら?>
包帯が巻かれている部位を再び触ってみる。血は止まっているだろう。妙にズキズキするのは、寝起きしてすぐだからかな?
ガキの頃から体が妙に頑丈なせいか、頭以外に怪我らしい怪我はしてない。俺は女性に頷いて返答する。
<頭がまだ冴えていませんが……特に怪我はありません>
<そう。それなら良かったわ。お腹も空いてる事でしょうし、下にご飯、食べに行きましょうか>
下という事はやはりホテルなのか、ここは。おそらくレストラン……って変に考え過ぎか。
女性の言葉に反応してか、俺の腹の音が豪快に鳴った。顔から火が出るくらい恥ずかしい。女性を見ると苦笑していた。二度恥ずかしい。
そうだ、俺だけじゃ悪い。俺は女性に、メルフィーも一緒に連れて行くよう提案する。
<えっと……良ければメルフィーも連れて……あ、メルフィーってのはそこの椅子に座って寝ている女の子で……>
<メルフィーならさっき食べたから心配しないで。着替えるからちょっと待っててくれる?>
そう言って女性は指を鳴らしてヘッドホンを消し、手をひらひらさせてバスルームらしき場所へと向かった。状況が全く飲み込めない……。
けど食事を頂けるのならありがたい。素直にお世話になろう。それにしても妙だな。あの女性、初対面の筈なのに全くそんな感じがしない。何だろう、この感覚……。
数分後、カジュアルなジーンズとジャケットを着た女性がバスルームから出てきた。結構厚い服なのにスタイルがハッキリと見て取れ……俺は頬を軽く叩いて自制する。
……見惚れてる場合じゃない。そういや俺の服とかどこ行ったんだろう。だいぶ気付くのが遅れたが、このホテル名であろう刺繍が入った、寝間着を着せられているみたいだ。
<貴方の服ならベッドの端に置いてあるわ。外で待ってるから、着替えたらノックしてくれる? そうそう>
そこで女性は言葉を切ると、メルフィーを一瞥して、俺にウインクした。
<貴方を運んできた時、メルフィーが三日三晩、貴方の為に付き添ってあげたのよ。だから起こさないように静かに……ね>
メルフィー……ごめんな、余計な心配を掛けさせて。俺は黙って女性に頷く。女性は微笑みを浮かべたまま背を向けると、ドアを開けて外に出た。
ベッドから起きあがり、ベッドの左端に置かれた、丁寧に畳まれている服に着替える。メルフィーの寝顔を見ると、不思議に安心感が沸く。……行こう。
静かに服を着替え終えて、抜き足でドアまで近づき、ノックして外のお姉さんに知らせる。ドアが開く音がして、俺は外で待つ女性と共に、下に向かう。
部屋の外に出ると、ずっと先まで続く廊下が見え、黄金色のルームナンバーが高級感を漂わせるドアがズラリと並んでいる。
状況が全くと言っていいほど把握出来ていないが、ここが高級なホテルだって事は分かる。そんなホテルに俺とメルフィーを運び込めるなんて何者なんだ、この女性は。
並んで歩いているが、如何すればいいのか分からん。会話を切り出そうにも、今の俺じゃ質問ばかりが出てきて会話にならなそうだ。
とは言え、このまま黙っている訳にもいかない。俺は意を決し、女性に話しかける。
HQ、支援砲撃を要請する
<……このホテルに俺とメルフィーを運んでくれて有難うございました>
<正確には私のアストライル・ギアね。彼が貴方をここまで転送してあげたから、感謝ならあとで彼にして。で、何か聞きたい事ある?>
アストライル・ギア……? 通信機……アストライル・ギア……転送……。停滞していた、俺の頭の歯車が鈍いながらも動き出す。
間違いない。俺とメルフィーをこのホテルまで運んでくれたのはこの人だ。アストライル・ギアを使っての意味がちょっと分かりかねるが。
この人のお陰で、俺もメルフィーも生き永らえた。だが……信用に値するのか? 命を救って貰って難だが、俺はこの人を味方とは断定できない。
立ち止まって俺は女性に視線を向ける。俺に気付いたのか、女性が振り返った。その顔にはどこか掴み所の無い、ふわふわした笑顔が浮かんでいる。
<どうしたの? 何か質問でも浮かんだ?>
<怪我の手当てをしてくれて、なおかつメルフィーを救ってくれた事に関しては感謝します。だけど……俺はまだ貴方についての素性を知りません>
<俺は……俺は貴方に素性を教えて貰えない限り、共に行動する気にはなれません。
命の恩人に対して、失礼千万な事だとは思います。ですが、オルトロックと対面した時の事を考えると……どうしても、貴方の事が信用できないんです>
俺の視線と、女性の視線がぶつかる。女性の目は笑っているものの、その目には言いしれぬ力を感じる。やはり……か?
と、彼女が俺から目を離し、後ろを振り返る。……戦闘でも仕掛けてくるのか? いや、それは幾らなんでも早計過ぎるか。だけど油断はできない。
再び彼女が俺の方へと目を移す。もしもそうだとしたら……と、女性が右手を上げた。俺の体は自然に身構える。――――が、女性が取った行動に、俺は意表を突かれる。
女性は左肩を二回叩いた。すると、女性の服装が……何で遥ノ川高校の制服に? それにあれほど膨らんでいた胸も、制服に合わせてか幾分小さくなる。
呆然とする俺の目の前で、彼女は制服の胸ポケットから何かを取り出して、それを目に掛けた。眼鏡だ。……そこには、ありえない人物が立っていた。
「あんまりサボってると、また氷室さんに怒られますよ! 鈴木君!」
……木原さん? 木原さんですよね? なんで君がここにいるんだ?
そこに立っているのは、今の時代に珍しい黒髪に黒ブチ眼鏡の奇跡なほどに地味な少女、木原町子さんだ。
木原さんはビシッと、俺に対して人差し指を立てて叱る様にそう言った。
何が何だか理解できない。俺とメルフィーを助けたのは木原さんだってのか? 木原さんが未来人? アストライル・ギアの適合者?
おい……ちょっと待て。何から突っ込めば、というか頭の中の情報が整理できない。もしかしたら死んでいて、ある種の地獄に落ちているんじゃないか、俺。
「ふぅ……この声を出すのも楽じゃないのよね」
一転、木原さん……らしき女性は、艶のある大人な声で眼鏡をしまい、左肩を再び二度叩くと元のカジュアルな服装に戻った。
<あら? どうしたの、まるで豆鉄砲を至近距離で食らった鳩みたいな顔だけど?>
<どういう意味ですか……。というか……驚くなという方が無理だと思います>
<そりゃそうね。ま、色々聞きたい事があるんだろうけど、取りあえずレストランに行きましょうよ。
貴方が私に聞きたい事が沢山あるだろうし、私も貴方も伝えたい事があるしね>
ひとまずこの件は保留しておこう……。エレベーターに乗り一階に降りると、レストランに続くエントランス・ロビーが俺達を出迎えた。
天井を飾るシャングリラが実に眩しい。中央で獅子の姿を象った豪勢に流れる噴水にしろ、そこらじゅうに見える金色の装飾品と大理石の床にしろ……。
とんでもなくグレードが高いホテルみたいだな。俺は生涯、こんなホテルに入った事は勿論泊まった事も無い。TVの中の世界だと思っていたよ。
<言っておくけど、ここは遥ノ市じゃないから。東京のちょっとした良いホテル。このホテルの屋上で、貴方とオルトロックの戦い、見せて貰ったわ>
見せて貰った……? どういう意味だ? この人はずっと……俺とオルトロックの戦いを見ていたというのか?
<……全部見ていたんですか? 俺とオルトロックの戦いも、オルトロックが……オルトロックが、街の一部を消した事も>
女性は、俺の質問に対して何も答えない。ただ黙って、レストランへと足を進めている。……俺は心の奥でもやもやしたモノを感じながらも、黙ってついていく。
それにしても不思議な人だ……。今の横顔も、さっき木原さんに変身した時の顔も、全部別人に見える。表情が全て違うのだ。今の女性が木原さんと同一人物とは思えない。
……底知れない。この人の雰囲気を表すとすれば、この一言に尽きる。好奇心と警戒心が半々、俺の中で膨らんでいる。
<このレストランよ。結構良い所だけど、気遅れしないでね>
女性がそう言って、レストランに入っていく。気後れって……普通のレストラン見えるけど……。まぁ良い。俺も続いて、レストランに入る。
<遠慮しないで。食べたい物を好きに注文して良いから。お金なら全て私が出すからね。あ、でもちゃんと食べ切れる料理にして欲しいな。残されたらお金が勿体無いから>
……なんかこういう店に来た時のお袋みたいな事言うな、この人。つっても寝起きだし、そんなにボリュームのある飯は食べらんないと思う。
結構内装がおしゃれというか、このホテルらしい高級志向だけど、値段とか普通だろう。そう思いながらメニューを開ける。
……何……だと? サラダ一品が2000円? スープが2500円? それにステーキが……6000円? 何だ、このあからさまな値段詐称は。東京という土地柄ゆえか?
遥ノ市じゃ一番高いステーキでも2500円なのに……。これは確かに残したらとても勿体無い。凄く勿体無い。
どれも目玉が飛び出て飛んでいきそうな価格設定だが、俺はその中で安くも高くも……いや、普通の飲食店に比べたらべらぼうに高いが、3500円のコロッケの何たらかんたらを頼む。
「あ、私はこのヴィラ・コンテを一つ」
彼女がウェイターに飲み物を頼んだようだ。ワインだったかな。俺はウェイターにメニューを渡す前に、そのヴィラ・コンテという銘柄を見てみる。
一十……5万3000円。俺はリアクションも忘れて棒で叩かれて驚いている犬の様に口を開けた。普段彼女というか……あれ、誰か思い出そうとしてたけど、何故か思い出せない。
多分疲れのせいだろうな。それより今は彼女に聞かねばならない事が沢山あるんだ。俺は彼女を正面から見据えて、質問を切り出す。
<まず……貴方の本当の名前を教えて頂けますか? えっと……き……き……>
<木原町子>
<そうそう、木原さんだ。木原町子というのは、偽名なんですか?>
彼女は水を飲み干すと、口元を指でなぞった。一々動作が妖艶で目のやり場に困る。俺はなるべく視線を落とさない様、女性を見据え続ける。
<えぇ。私の本当の名前は、マチコ・パラディス・フレイリック・ローティニア・スネイル。
……冗談抜かすなって目してるけど、一字一句本名よ。ついでに、名前はマチコで名字はスネイル。どっちで呼んで貰っても構わないわ>
……はい? 偽名だと思ってたけど、本名の方がずっと偽名に感じるんですが……。てかミドルネーム凄すぎますよ! 何人ですか、貴方は!
容姿というか全てが変わってる気がする……。真面目に何者なんだろう、この人。まさか中学二年生時に卒業するべきあれじゃないよなぁ……。
それにしても、何かどっちも呼びにくい……。姿が変わったというかほぼ別人だけど、俺が思うに偽名が一番しっくりくる。一応聞いてみよう。
<……木原さんじゃ駄目ですか?>
<駄目。偽名はあくまで偽名よ。それに……木原町子という人間はこの世界にはいないもの>
<……どういう意味です?>
いない……とはどういう意味何だろう。 確かに木原町……あれ? おかしいな、木原町子って誰だっけ……?
必死に頭の中の記憶という記憶を探し出すが、木原町子という名前は知っていても、誰であるかが明確に思い出せない。さっきまで思い出せたのに……。
……俺と女性の間に長い沈黙が、流れる。女性、いや、スネイルさんが静かに口を開いた。実際には開いてないけど。
<……オルトロックが最初、学校を襲撃したのを覚えてる? 貴方がヴィルティックを起動させる前に>
<はい……思い出したくもないですが>
<あの時を見計らって、私は「木原町子」ではなくマチコ・スネイルとしてこの世界から本来、私がいるべき世界――――つまり未来へと戻ったの。
「木原町子」という存在はその瞬間、この世界からは消えたわ。跡形も無く、ね>
……ごめんなさい、言っている意味が良く分からないです。だって木原町子ならさっき、俺の目の前で……。
けど俺はその木原町子という人の事が、全く思い出せない。どんな声だったか、どんな性格だったか、ましてや……どんな容姿だったのかさえ。
上手く言えないけど、怖いな……。何か大事なモノが、頭の中からすっぽりと抜けているみたいな、そんな感じだ。
<三日間寝ていたから、その影響が遅れてやって来たのよ。不安に思う事は無いわ>
<けど……駄目だ、思い出せない……>
こんな事って……。けれど幾ら思い出そうとしても、俺の頭に木原町子という人は浮かんでこない。悔しいけど思い出すのを止める。
それにしても……これじゃあまるで、木原町子って人間が最初からこの世界にいなかったって事になるんじゃないか?
それって凄く寂しいというか、虚しいというか……。だってそうじゃないか。自分自身の証明が、何もかも無くなっちゃうんだから。
<……良いんですか?>
<……何が?>
<木原町子として、この世界から居なくなるって事が。だって……だって誰にも、覚えて貰えないんですよ?>
俺がそう言うけど、スネイルさんは微笑みを浮かべているだけだ。……寂しくないんですか?
俺なら、自分の存在がこの世界から居なくなるなんて思うと、情けないが泣き出したくなる。だってそうじゃないか。誰も自分の事を、思い出してくれないなんて。
<あくまで木原町子って存在は、貴方の監視を隠す為のフェイクみたいなもんだったからね。別に何とも感じないわ。
それに、氷室さんは見てて飽きなかったし、貴方の振り回される様子には何時も和ませて貰ってたし>
……良く分からないけど、俺、軽く小馬鹿にされている気がする。ってちょっと待ってくれ。今さっき監視ってはっきり聞こえたんだが……。
それにフェイクって……。木原町子って人に変装してたのは、俺を監視する為の仮の姿だったって事か? というかそもそもスネイルさん、貴方は一体何者なんだ?
頭の中でマグマの様に、疑問が沸き出てくる。そんな俺を察したのか、スネイルさんは水面の様に落ちついた声で、ゆっくりと説明しだした。
シェー
<貴方を監視し出したのは、二年前に転校生として遥ノ市高校に来てからよ。ある人に頼まれてね。学生生活は昔を思い出させてくれて、実に楽しかったわ。
そうそう……言いそびれてたけど、私は未来ではブレイブグレイブの開発者の一人として働いていたのよ。大勢の仲間と共にね。
それと、プレイヤーとして、数多の大会にも参加してきたわ。その時の通称……聞きたい?>
<い、いえ、別に>
<魔女。まるで魔女の様に妖艶なプレイスタイルと、特殊カード使用時の鮮やかさは右に出る者はいないって言われてたのよ。どう? 凄いでしょ?>
誰も聞いてないのに……凄く目が輝いてるし。さっきのまでのクールで底知れない雰囲気の女性は何処に。というかナルシストなんですか?
取りあえず突っ込みはそれぐらいにして……。やっぱりそういう事か。アストライル・ギアを所持してるから、ブレイブグレイブに関わりがあると思ったけどまさか開発者なんてね。
もしかしたら、ヴィルティックに開発にも一枚噛んでいるのかもしれない。それに……いや、今聞くべきなのは、そういう事じゃない。
俺はじっと女性の目を見ながら、俺自身の中で一番答えが聞きたい質問をぶつける。
<監視を……>
<俺の監視を貴方に頼んだ人は……どんな人なんですか?>
どこまでも迂闊で馬鹿な質問だと思う。それに、こんな質問で素直に教えて貰えるとは絶対に思わない。
けど、ここで黙っていたら、俺は一生後悔すると思う。もしもスネイルさんが俺に対して、何かしら措置を取ろうとしたとしても、俺は答えを聞きたい。
スネイルさんと俺の間で、またも重い沈黙が流れる。と、スネイルさんが何故かクスクスと笑いだした。
<……そんなストレートに聞かれて、はい教えますと言う人がいると思う? もし居たとしたら、三下の悪党くらいよ。何時でも切り捨てられるポジションのね>
やっぱりそうなるか……。いや、これで良かったのかもしれない。必要以上に秘密を知ろうとして、大火傷しないとも限らないし。
<けど……その勇気に免じてヒントをあげる。私に貴方の監視を依頼したのは、貴方に一番近い人よ。……殆ど言っちゃった様なものね、これじゃあ>
……え? スネイルさんはそう言って、自嘲的に笑った。その笑いには、何処か一抹の寂しさみたいなのを感じる。……ヒントとはいえ、手がかりを貰えた。
けど、俺に一番近い人……? どういう意味なんだろう。俺に関わっている人は皆、未来の事なんて何も知らない筈だ。
未来を知っているとすれば……いや、馬鹿な。メルフィーがそんな依頼を出す訳無いだろ。大体メルフィーだって……。
待て、何かが引っ掛かる。メルフィーは俺にヴィルティックを渡す為に、未来からやってきた。それにスネイルさんも……。駄目だ、上手く言葉が見つからない。
こんがらがった俺の頭を解す様に、丁度良いタイミングで料理がやってくる。
……すげぇ。値段のせいか、皿の上がキラキラ光っている様に見える。この高級料理って感じの匂いもたまらんね。空腹の為か、マジで料理が輝いて見える。
<一先ずご飯を済ませて。私が話す話は、ご飯を食べながら聞ける様な軽い内容じゃないから>
同じく運ばれてきたワインを一口飲んで、スネイルさんが俺にそう言った。食べながら聞けないほど重い話……何か聞く前に気が滅入ってくるなぁ。
けどま、出来たての料理を待たせて話を続けるのは失礼だと思う故、俺は目の前の料理に専念する事にする。
うおぉ、フォークを少し入れただけですんなり入る……。フォークを刺して切り取った料理を口に入れる。一口、二口。
――――その瞬間、俺の頭に電流が走った。何だ、この美味さは!? こんなに美味い食い物食った事ねぇ!
空腹との相乗効果だとしても、美味い、美味すぎるぞ! コロッケの中の野菜と肉が織りなす絶妙のハーモニーに、掛けられたソースが三位一体となって俺を包む。
最早言葉はいらない。美味い。この三文字しか、俺の頭には浮かばない。気付けば皿は真っ白になっていた。三分も掛からず俺はコロッケ何たらかんたらを食べ終えてしまった。
ボリュームが凄く足りない気がするが、それさえ美味さにカバーされて俺はもう満足。これだけ美味い飯を食わせてくれたスネイルさんにはホントに感謝しなきゃな。
<凄い食欲ね……ま、三日も寝てたんじゃ当り前か>
三日? 俺って三日もベッドで寝てたのか……。
それほどあの戦いの後に疲れ切っていたのかもしれない。ホントに全身の神経を集中させて、オルトロックと戦ったからなぁ……。それに柄にも無く叫んだり、
にしてもメルフィーには悪い事したな……。余計な心配を掛けさせた上に、ずっと俺に付きっきりだったなんて。相当精神的に疲労してそうだ。
謝るだけじゃ何か悪いな。何か気の利いた物でも……そうか……もう家、ないんだっけ……。
<食べ終わったみたいね。それじゃあ本題に入りましょうか?>
<……スネイルさんは食べてて平気なんですか?>
<私の事は気にしないで。それより悪い方と凄く悪い方、どっちを先に聞きたい?>
どっちを選んでも俺にとって悪い方みたいだ……。どっちも聞きたくないけど、それは出来ないし、したくない。
だけど本能では、どっちも拒否している自分がいる。何を言われるかは大体予想は付く。それでも……キツイモノは、キツイ。
もし聞いた後、俺は平然としていられるかと思えば、多分していられないだろう。それなら凄く悪い方を先に聞いた方が……。
<……自分で決められないなら、悪い方から言ってあげようか?>
スネイルさんの声にハッとする。どこか奴の――――オルトロックの言葉と重ねって、俺の中での忌まわしい記憶が蘇る。
そうだ……俺には、未来を救うって目的があるんだ。頭を横に振って、気を取り直す。ヴィルティックに乗った時から覚悟は決めていたんだ。……ここで折れてどうする。
一度息を吐き、俺は呼吸を整えて、スネイルさんに返事をする。
<……悪い方からお願いします>
<分かった。それじゃあ話すけど、耳を塞がない様にね。私、口下手だから物事をオブラートに包んで話せないんだ。だからしっかりと聞いて、理解してね>
分かっています。僕も真実から逃げ……と思って唐突に思い出す。確かあの日、弁当を忘れる以外に何かあったんだ。とても重要な事が。
ぼんやりとその日が何かを、記憶の底から引きずり出す。あの日……そうだ、あの日は……。
<……オルトロックが、貴方の目の前でエルシュトリームクラッシュを撃ったでしょう? その範囲内に、貴方の住んでいるマンションがあった。で……>
今頃思い出すなんて、何やってんだ、俺は……! あんな日に誰も守れないなんて、俺は……俺は……。
どこまで……愚かなんだ……。俺の中で次にスネイルさんが何を言うか、既に分かっている。聞きたくない。だけど――――。
<……三人とも亡くなったわ。貴方のお父さんとお姉さんは、その日偶然、何時もより早く家に帰って来てたみたい>
<……偶然、じゃないです>
<え?>
<……忘れてました。あの日は姉貴の、姉貴の誕生日だったんだんです。あの日は……>
思い出した……あの日は……姉貴の、誕生日だった。メルフィーの事で頭が一杯で、俺は……忘れてたんだ……。
お袋が朝、俺に話しかけたのは弁当を忘れてるってだけじゃなくて、姉貴の、誕生日って事だったんだ……。
俺は……よりによって最高の記念日に、最低な間違いを犯してしまった。ごめん、姉貴……ごめん……ごめん……。謝ってもしょうが……しょうがないって……。
途端に視界が歪む。あの酷い夢がフラッシュバックして、俺は両手で顔を覆った。スネイルさんの言葉を、頭で理解しても心が理解を拒む。
<……泣いてるの?>
<泣いて……ません……>
俺……どこまで駄目だろう。守りたい人の記念日も忘れて、しかも守れないなんて……何なんだよ、俺って。
誰に……謝ればいいんだ。謝った所で、誰も……帰ってきやしない。……悔やんでも、何も、戻っちゃ来ない。
何のために俺は……ヴィルティックに乗ったんだろう。誰も守れず、今さえ守れず……俺は……俺の存在は……無意味、じゃないか?
抑えようとしても、涙が止まらない。分からない……俺がヴィルティックで戦う意味が……。
<自問自答なら、部屋に帰ってから好きなだけやりなさい。でも、時間は貴方の為に待ってはくれないわよ>
……スネイルさんの声のトーンが、今までと違う。俺の心を抉るような、鋭い声だ。確かに泣いていた所は、時間は流れてしまう……。
俺は弱くなっている心を無理やり奮いただせて、スネイルさんの話を聞く体勢を取り、しっかりと耳を傾ける。
……どうしたんだろう。スネイルさんは何故か俯いている。何か考えているみたいだ。俺は泣いていた眼をこすって、じっとスネイルさんが話しだすのを待つ。
どれくらい時間が経っただろう、スネイルさんが顔を上げ、俺に聞いてきた。
<一つ、先に聞いておくわ。貴方はこの後……いや、この先、どうするつもり?>
<……俺は>
<俺はこの先……メルフィーと一緒に未来に行くつもりです。この世界にいても、未来を変え――――>
その瞬間、俺は気付いてしまう。凄く悪い方という、言葉の意味が。
――――「木原町子」という存在はその瞬間、この世界からは消えたわ。跡形も無く、ね――――
そして……スネイルさんが、俺に何を言いたいかを。俺の意思を察したか分からないが、スネイルさんは俺の目をじっと見ながら、言った。
<本気でその決意を固める覚悟があるなら――――貴方に教えるわ。未来に於ける全てをね>
「今日はメルフィーと一種にゆっくり休みなさい。遥ノ市に行く時間は……10時で良いのね?」
「はい。宜しくお願いします」
「任しといて。それじゃ、メルフィーに宜しくね」
スネイルさんを部屋まで送って、俺はメルフィーが待つ、あの部屋まで歩く。にしてもスネイルさんのルームナンバーが666なのは偶然なのか否か。
ついでに遥ノ市に戻りたいとスネイルさんに頼んだ。あの戦いの後、街がどうなったか知りたいのと――――会長と草川に会いたいからだ。あの二人が無事なのか、それを知りたい。
それにしても妙に頭がふらふらする。現実感に欠けているというか。今更現実感に欠けるとか何言ってんだろうな、俺。
結局、俺はスネイルさんに自分がどうするかを答える事が出来なかった。怒られると思ったけど、スネイルさんは優しい声で仕方ないわねと言ってくれると、こう続けた。
<明日は一日、貴方の自由に過ごしなさい。それでじっくり、自分がどうするべきか、何をするべきかを考えてね。
けど忘れないで。決断を早めに出さないと、全ての未来が閉じられてしまうから。今の貴方には酷な事だとは分かってる。でも覚えておいて>
<半端な希望を持って生きていく事は、絶望よりもずっと辛いわよ。例え何も見えない暗闇でも、泳ぎなさい。絶望の海を。
けど、貴方にはその先の未来という光を掴む資格がある。必死にもがいて、苦しんで、その光を奪い取るの。貴方が守りたい全ての人と――――貴方自身の為に>
・・・
<それと、確定された未来は変えられない。だけど、確定前の未来は変えられる。貴方自身の行動でね>
……こんな事を言いたくは無いけど、訳が分からない。絶望の海だの、光を掴む資格だの……。本気であの人の事が良く分からなくなってきた。
……ナルシストでポエマーなのか? いけない。命の恩人に失礼だ。それにしても良かった。あそこですぐに決断しろと言われなくて。
この期に及んで、俺はまだ悩んでいる。分かってるんだ。悩んでる時間さえ勿体無い事くらい。けど……踏み出せないよ。まだ。
カードキーを通して、ドアを開ける。結構時間経っちゃったな。すまない、メルフィー。
ベッドの所まで行くと、メルフィーは椅子にすわってまだ寝ていた。今気付いたけどツインベッド……当り前か。
にしても良く寝てるな。ここまですやすや寝てると、起こすのが悪い気がする。このままにしておこうか……けど駄目だろ、それじゃ。
俺はメルフィーの両肩を掴んで優しく揺らしながら言う。
「メルフィー、起きてくれ、メルフィー」
メルフィーは強く目を瞑ると、少しづつ閉じていた眼を開けた。まだ寝ぼけ眼みたいだ……。
「……隆昭……さん?」
「ごめんな、メルフィー。ちょっと飯食いに行ってて……」
俺の事が分かったのか、次第にメルフィーの目が開いていく。そしてその目からじわっと大粒の涙が――――え?
ちょ、メ、メルフィー! む、胸! 胸が当たっ、当たってるって! いきなり抱きついてくるとかこ、心の準備が……。
真っ白くなった頭を喚起させて状況を判断する。メルフィーは起きるなり、俺に抱きついてきた。勢い余って、二人一緒に後ろのベッドに倒れる。
「良かった……」
メルフィーはそう言いながら、目からぽろぽろと涙を流した。落ちてきた涙が、俺の頬を濡らす。
趣味が悪いと思うが……泣いているメルフィーの顔は、結構可愛い。……てかこのままの体勢だと、理性が色々ヤバい。
「隆昭さんが……隆昭さんが生きてて……本当に良かった……」
「いや、うん……それは良いんだ。あのさ、ちょっと離れてくれるかな……」
俺がそう言うと、メルフィーの顔がポカンとして、次第に顔が赤くなってきた。そして慌てて俺の上から退くと、何故かベッドの上で正座した。
頬を赤く染めて、メルフィーは俺と目を合わせない様に俯いた。……可愛いなぁ。言葉が浮かばないほど。
「ご、ごめんなさい! つい気持ちが舞い上がっちゃって……ごめんなさい!」
照れているのか、メルフィーは早口でそう謝った。気持ちが舞い上がったなら仕方ないね。
しかしさっきは別の意味で頭が真っ白になったよ。てか抱きついてくるなんて思いもしなかった……。こんな経験初めてだよ。
俺はベッドに腰掛けて、メルフィーの方を向き、さっき言えなかった事を伝える。
「……さっき起こせば良かったな。ごめんな、変な心配掛けさせて」
「いえ、私こそいきなり抱きついて、ごめんなさい……でも隆昭さんが生きててくれて、本当に嬉しかったんです」
そう言ってメルフィーは微笑んだ。アレ……メルフィーってこんなに可愛かったっけ……。湯気が出てるみたいに、頭がポーっとなる。
思えば真正面からこうやって、メルフィーと話すのは初めてな気がする。こうして見ると……あぁ、可愛いしか言葉が出てこないよ。
未来の世界について話してた時も、サンドイッチを一緒に食べてた時も、俺はメルフィーは正面から見てはいなかった。
俺は……ヴィルティックの事も、メルフィーの事も理解しようとしなかったんだな。
「あのさ……。ありがとな、メルフィー。俺、メルフィーが居なかったらオルトロックに負けてたと思う」
「……私の方こそ、有難うございました。マチコさんから聞いたんです。隆昭さんが、私を寸での所で転送してくれたって。もし少しでも遅かったら、私……」
そう言うとメルフィーの目からまた涙がこぼれてきた。ホント、変に涙脆いんだよな、この子。
俺はポケットから何故か入っていたハンカチを取り出し、メルフィーの涙を拭う。拭いた涙から、温かい感覚を感じる。
「なぁ、メルフィー。あんま泣かないでくれ。なんかさ、悲しくなるんだ。メルフィーが泣いてると」
俺がそう言うと、メルフィーは流れていた涙を手で拭って、大きく頷き、笑顔を見せてくれた。
「……はい。出来るだけ……泣かない様にします。隆昭さんを、悲ませたくないですから」
メルフィー……? メルフィーはそう言って目を瞑ると、自分の頬に俺の手を当てた。
白くて、綺麗で、柔らかいメルフィーの頬に触れる。何か頭の中がグルグルしてきた……ヤバい、俺の理性が……。
「とっても……温かいです。隆昭さんの手って」
考えてみればこれ何てゲームのシチュエーション……。美少女とベッドの上で二人とか……こんなシチュエーション、数十年生きてて初めてだよ。
ど、どうしよう……。こういう時に男ならその……。あぁもう、色んな意味で未経験な俺じゃどう行動するべきかなんて分かる筈ないだろ!
ひ、一先ずメルフィーから離れよう。それで風呂入って寝よう。そうすれば今凝り固まっている脳みそも少しは軽くなるだろう。
「あ、あの、あのさ、メルフィー。ちょっと俺、風呂入るから、後でメルフィーも入りなよ。うん」
必要以上にキョドりながら、俺はメルフィーから手を離して風呂に入る為に……。
その時、メルフィーが俺の服の裾を掴んで、言った。
「もう少し……」
「もう少しだけ……一緒に居て下さい」
予 告
未だに傷跡を残す遥ノ市で、俺は二人と再開する。草川も会長も、あの事件で前の二人とは変化していた。
二人と話していくうちに、俺は俺の存在意義について模索する。俺が生きている意味、俺が――――ヴィルティックで戦う意味を探して。
俺の存在自体が、争いを生むのなら、俺の存在そのものが悪とするならば――――俺は、決断する。未来を、救う為に。
次 回
『ヴィルティック・シャッフル』
グッドバイ 後篇
最後に引くカードが何であろうと、俺は戦う。光を――――掴む為に
ハンカチを用意して支援
支援の程、誠に有難うございます。お陰で最後まで途切れる事無く投下できました
何か詰め込みすぎて自分自身、内容が良く把握出来てませんwというか初めてSF?分を出せたかも
次で良くも悪くも最終回なので、全力で取り組みます
>>51 投下乙です!じっくり読ませて頂きます!
あと無粋ですが
>>32の下から4行目が……
>>52 あ、これは繋げると読みにくいかなと思って切ったんですけど、おかしいですよねorz
正しくは
<そりゃそうね。ま、色々聞きたい事があるんだろうけど、取りあえずレストランに行きましょうよ。 貴方が私に聞きたい事が沢山あるだろうし、私も貴方も伝えたい事があるしね>
です。誤解を招いてしまい、ごめんなさい
>>53 あぁいえ、そうではなくて、誤字の方でしてorz
余計なこといいましたw
お先に失礼しますノシ
3行目ですた(−ω−;)重ね重ね失礼を
>>51 投下乙です!
鬱々真っ盛りかと思ったらそうでもなくてほんの少しだけ安心しました……ほんの少しだけ、ほんの少しだけ。
あ、そういえばヴィルシャってロボスレ一周年記念作品でしたね。
では最終回、頑張ってください!
×天井を飾るシャングリラ
○天井を飾るシャンデリア
のことかな?
>>51 お疲れ様でした!
最終回も楽しみにしています!
>>57 あぁ、そういう事か……全然気付かなかったorz
◆YHSi90Gnr2さん
>>57さん、有難うございます&重ね重ねすみません
>>20-22 ミナが思ってよりも良い感じに思われてたみたいで良かったですw
ここからが本番ですね(´・ω・‘)
>>51 乙です
相変わらずのクオリティに感嘆というか
メルフィーがここにきて可愛すぎる><
というかこの次回予告、反則ですね
wktkが止まらない
>>51 投下乙です、明日ジックリ読ませて頂きます。
こんな夜更けに支援できる方はいないと思いますが…前編投下します。
鋼殻牙龍 ドラグリヲ 第三話 闇夜を蠢く鼠 前編
「ふぅー…いい湯だった…風呂に入るのも何か月だろうな…。」
老人が風呂を進めてくれたので久し振りに羽根を伸ばさせて貰った。
水を思いきり使える環境は何とも羨ましい物だとしみじみ実感する。
長い髪に纏わり付く水気をタオルで絞り取りながら和室に降りると、滅多に喰えないような御馳走が卓上に並んでいた。
客が久々に来たからといって少々張り切りすぎである。
「サーロインなんて大判振る舞いしすぎじゃないか?」
目の前の熱した鉄板の上にドンと置かれた厚切り肉が、大量の脂を滴らせピチピチと景気良く肉汁を跳ねさせる。
肉の焼けたとても良い匂いが狭い部屋に充満し、空腹を加速させる。
そして傍らに山のように盛られたホカホカに炊けた白米と、ゆらゆらと塩気のある湯気を立てる味噌汁がさらに食欲をそそる。
「今晩働いて貰わねばならんかもしれんからのう…それに最後の晩餐が合成肉じゃったら泣けるじゃろう?。」
老人はケラケラ笑いながら縁起でもないことを抜かし、陶器の器になみなみと注がれた酒をグイッと一気に飲み干す。
「クゥー…やはり仕事の後の一杯はいつの時代も変わらぬ旨さじゃのう…!」
そう言って器を卓上に叩きつけると僕にまた酌を促す
「おいおい、そんなに飲んだら体に毒だぞ?」
そう言いながらも僕はまた酒を器になみなみと注いでやる
「ふん…何を言うか、このご時世死ぬ時はアッサリ死ぬんじゃ、やりたいことをやっておかんとつまらんだろう?なぁ嬢ちゃん?」
酒を口に運びつつ老人は一心不乱にバリバリと車のバッテリーを食べ続けるカルマに唐突に話を振る。
『はい!』
カルマはちゃんと話を聞いていたのかよく分からないが、取り合えず元気よく返事をした。
そして再びバッテリーに齧り付き始める。
「ほれ、お前さんも喰わんかい!腹が減っては何とやらとも言うしの!」
老人は機嫌よさげに割り箸を僕の手元に放る。
「そうだな…そんじゃ頂きますっと。」
程良く焼け、脂を染み出させる肉を口の中に放り込む。
口の中を旨みが凝縮された肉汁が満たし、幸福感が身体全体を包み込む。
「うっっっっまい!何時も思うけどこんな食材一体何処で仕入れてるんだ?そこらの店じゃただの鯖だって高く取引されてるっつーのに。」
喋りながらも口の中に肉の旨みが残っているうちに白米にがっつく。
「ワシの現役時代のパイプのお陰じゃて、おっとこれ以上は企業秘密じゃ、何せこれが無くなったらワシもおまんまを喰いあぶれる事になるからのう。」
口の中につまみを放りこみながら酒を口に含む。
口調はおちゃらけているが、言ってる事は本心だろう。目が笑ってない。
その会話を最後に一旦話を打ち切り、飯を胃袋に放り込むことに集中させる。
大量に用意されていた料理が見る見るうちに減ってゆく。
そして老人はその様子を見てニヤニヤ笑っていた。後で料金でも取るつもりなのだろうか?
そんな事を思いながらも手を止める事は出来ず遂には完食してしまった。
今度の食糧配給更新の時に値段が上乗せされてないかが妙に怖い。
「そういえば首領に連絡入れてくれたんだよな?何て言ってた?」
老人の思考を逸らそうと適当な話題を振る、すると老人はにこやかにしていた顔を急に引き締め、ゆっくりと口を開いた。
「快く許可をくれたよ…、だがそれよりも気になる事を言うとった。」
「…?気になる事?」
老人は網戸の張った窓際に向かい、煙草を燻らせながら言った。
「この辺では見ない“害獣”を駆除したらしい、しかも戦闘慣れしとるような動きだったと言うとったのう。」
「…戦闘慣れ?」
「あぁ…実はその時のデジタルフィルムも送られてな…………?」
窓際の金属フレームで煙草の火を揉み消した後、そう言って老人は自らの懐を探り出す。
だが見つからなかったようで着ていた服全体をまさぐってみるが見つからず、箪笥の中を引っ掻き回し始める。
「はて……何処に置いたか…。」
箪笥の中から帳簿やら何やらを引きずり出し必死に捜し回るが一向に見つかる気配がない。その時カウンターの上にあった無線機がけたたましく鳴りだす。
「ええぃ…何じゃ、人が忙しい時に…。」
老人は機嫌悪そうに無線を引っ掴み、通話スイッチを押す。
「ワシじゃ…今ちょうど忙しくてな…用があるなら……何?」
老人の顔に少し緊張が走ったのが分かった、まだ見える方の目の淵がピクピクと動く。
「分かった…自警団を歓楽街、ゴミ処理場、スラムに待機させておけ。分かっておると思うが…一匹たりとも逃すなよ…。」
そう言い終わって一拍待った後無線のスイッチを躊躇わず切った。そして充電台に無線を叩きつける。
「“鼠”が出たらしい……全く…やっぱり心配しすぎじゃったかのう?お前さんに頼むような相手でも無いわい。」
ドッと座椅子に座り直し、酒を一気にあおる。
「いや…せっかく御馳走を喰わせて貰ったんだ…少し位役に立たないと申し訳ないだろ?」
おもむろに立ち上がると僕は店に降り、店内にあったバールと鉄パイプをひっ掴み、コートの内ポケットに入れる。
「どこに行くんじゃ?」
老人が驚いた顔で僕に尋ねる、害獣対策に残ってくれとは確かに言ったが雑魚掃除を手伝ってくれるとは思っていなかったようだ。
「なぁにちょっとした助太刀だよ」
「いいのか?駄賃は払わんぞ?絶対にだぞ?」
老人は何度も用心深く確認する
「別にいいさ、こんな旨い飯食ったのも久しぶり何でね…、ちょっとしたお礼だよ。」
暖簾を潜り外に出ようとすると、背後からカルマが追い縋る様に叫ぶ。
『ユーザー、私も一緒に行きます!』
カルマは急いで残りのバッテリーの残骸を口に放り込み、一緒に来ようとトテトテと走ってくる。
「だーめ、こんな所でドラグリヲになったら街に無駄に被害が及ぶし“ツガイ”だって見逃す筈が無いだろ?」
僕は何とか縋り付いて来ようとするカルマを何とか押し止めながら話を続ける。
「僕は大丈夫だから、爺ちゃんと一緒に行儀よくお留守番してるんだよ?分かったね?」
『でも!』
彼女は不安そうな目付きで僕を見る。
瞳はうるうると震え、今にも雫が零れそうになっている。
「大丈夫…例え離れていても、お前の一部は僕の身体の中にあるんだから…絶対に大丈夫。」
僕は彼女と目線を合わせて安心するまでしっかりと言い聞かせる。
そして頭をそっと撫でてやる。
『………………はい。』
説得を初めて数十分経ってようやく彼女は渋々と了承してくれた。
「よし…それじゃ、食後の運動と行きますか。」
入口脇に纏めて置いてあった工具類の中から最後にチェーンソーを一台借り、表に出ると僕は月明かりだけが照らす夜の闇に自ら溶け込んでゆく。
そして老人が話していた施設がある区画に勢い良く飛び込んで行った。
投下完了 こんな夜更けに支援してくださった方に感謝致します。
また妙に短くてすいません、もう少し長く描けるよう努力しますので。
>> 蜥蜴 ◆Uu8AeR.Xso氏
乙っす。なんだか少しパンクなカンジが今までの作品に無くて
イイよね。sage支援。
>> ◆n41r8f8dTs氏
ヴィルシャ、終わっちまうんスか……orz
私用が落ち着いたら支援キャラ絵を数枚上げようと思ってます。
続きの構想とかは無いんですか?
>>66 うぉぉぉぉ――――! カルマうぉぉぉぉぉ――――!! バッテリーなら我が家に大量にあるぞうぉぉぉぉぉ――――!
さてさて鼠とは何者なのか、そしてカルマかわいいよカルマ。
次回も楽しみにしてますね!
>>67 >支援キャラ絵
wktkwktk!!
>>51 投下乙ッ!
明るい未来明るい未来……二人に幸あれ。
>>66 「ユーザー」という呼び方は初めて聞いた。投下乙です!
ところでバッテリーは乾電池でいいのでしょうか。ウチに一杯あるy(ry
>>67 期待せざるを得ない
ろ、ロボスレ学園はさらっと終わらせるつもりだったのに気付いたら戦闘初めてちょっとで3500文字突破だと……!?
どうしてこうなっt(ry
うお!いつのまに新作が!支援出来ず申し訳無い
>>66 投下乙っす!
カルマの好物はバッテリ−かw食事代半端なさそうだww
主人公の飄々としたスタンスが良いなぁ。果たして鼠の実力は以下に。
次回も楽しみにしています〜
さて、皆さん感想の程、有難うございます!ただただ感謝っす!
ハッピーエンド・・・うーん・・・前にも書きましたが、なるべくしてなるとしかw
けど真っ黒ではなくておぼろげながらも光・・・というか希望は消えていない・・・そんな終わり方になれば良いなとw
>>67 >私用が落ち着いたら支援キャラ絵を数枚上げようと思ってます。
なんと!こりゃあ期待するしかねぇ!気長にかつwKtKして待ってます!
一応次で本編は終わります。けどヴィルシャ自体はまだ終わらないですね
本編で出来なかったギャグ?みたいな番外編と、本編から数年後を描いたエピローグを書く予定です
どっちも本編で抑えてた分、弾けるつもりですw
>>71 >どっちも本編で抑えてた分、弾けるつもり
これは期待せざるを得ない!
>>72 いえっさー!
>>66 投下乙です!
カルマがバッテリーの残りを口に放り込んで付いていくところがカワイイw
>>70 私は一向に構わん!
>>75 え?いえいえいえw
重箱の隅つっつくみたいでアレだったので遠回しに言おうとして
逆にややこしくしたみたいで(=ω=;)失礼しますた
1000 :創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 00:01:29 ID:UYyTZ2Em
1000なら
>>936作品化
これは言い出しっぺの法則発動になるのかネタ元の義務になるのか……
どちらなんでしょ?w
いっそご両人とも……
なぁに書きたくなったら書けばいいのヨ
変態しかいまだに登場していない自作品に絶望し、
横道を逸れて血と硝煙と臓腑に塗れて汚泥の中を
はいずり回る外伝を書いたらまたしてもロボが登場し
ないでござるの巻
自分の体験を基にするとやっぱりロボから離れていくなぁ
最近スレに来れませんけどミリミリ書いているのでそのうち
また一気に投下しますので
書きたい事と変態ネタは沢山ありますし…登場人物がみなそれぞれが
何かしらの偏執性を持っているってのも問題だなぁ
普通のキャラが一人もいねぇorz
正直、悪役ネタと変態ネタは相当持ってるが
それを中々披露できない(´・ω・‘)
てかなんで俺の作る作品は喋らない奴ばっかなんだ・・・
>>81 これは期待
>>82 披露しないと(主に自分が)大変なことになるぞォーッ!?
吉良やブッチ神父みたいな悪役を作りたいお……
『どこへ行かれるのですか?』おまえは『磔刑』だーーーーッ!!
あーちなみにシャドウミラージュ、諸事情により23〜24時ぐらいの投稿になります
すいません(´;ω;‘)
>>81 世の中には登場キャラの中に善人が2人しかいないマンガもあるのですよw
終わった時に後味がよければ無問題!ですw
>>85 私は一向に構わんっ!!
あぁ、それにしても自分のが進まない。
>>85 了解ですー
>>87 やぁ、御同輩。俺も筆が進まなくてね。
休憩に一杯どうかな( =ω=)っ旦~
>>88 頂こう。
ふと気がついたんだ。ロボモノなのに作中では人間主役じゃん、俺の、と。
>>89 ロボ物は人間ありきでしょ(キリッ
とか言ってみるw
そういう切り口もアリだと思いますよー
筆が進まないというか
どこまで嘘ついていいのかわからね(´・ω・‘)
勢いで考えた設定が後ですごい足を引っ張ってるこの悪寒
開き直ってとんでも理論満載の最終兵器を投入するかなー
自分もなかなか進まなくてイライラしてきたでござる……あ、そういえば昔電撃イライラ棒ってありましたよねー。
というわけでまだ途中ですけど、ロボスレ学園投下していいですかね?
>>92 イライラ棒をワザとぶつけて遊び始めたのはいい思い出
投下カマァーン!
――――ブリーフィング――――
清水「操作とルールは覚えたか、一条」
遥「えと、まあ大体は」
清水「よし、なら後は実際に動かして覚えろ」
遥「わかった、やってみる!」
清水「一条は格闘のカットさえしてくれればいい。二人の相手は俺がする」
♪ ♪ ♪
ヘーシェン「さて、ヘーシェンとヴィルティックというよーわからんコンビになったわけですが」
隆昭「遠距離戦に不安があるな」
ヘーシェン「冗談抜きで清水さんのブルショルがやっかいですね」
隆昭「弾幕がな……。でもヘーシェンは回避力に定評あるだろ?」
ヘーシェン「ええ、もちろんです。装甲は紙ですが」
隆昭「じゃあしばらく清水の相手を頼む」
ヘーシェン「……なるほど。
ヴァーストでかちゅ、それれいんれしょ」
隆昭「ああ、 バ ビ ブ だ」
――――ブリーフィング終了。システム、戦闘モード起動します――――
支援ゥ
戦場に、それぞれの機体が舞い降りる。フィールドは市街地、時刻は夜だ。
ディスプレイに表示される、スタートまでのカウント。3、2、1……。
『バトル・スタート』
一条の迅雷を除く3機が、一斉に中央に向けてブーストした。
「え、えーと、“ぶーすとぼたん”ってどこ!?」
取り残された一条は見事にテンパっているが、そんなものは想定の範囲内だ。問題は自力で解決してもらうとして、今は2機を引き付けるだけ。
『シャッフル』
清水がスティックを押すと、コントローラーからアナウンスが流れると同時にディスプレイの隅にカードが出現した。種類は……ミサイル、ミサイル、バスターソード、アクセル、ストリーム。
カードを選択し、発動――――まずは牽制だ。
『アクセル、ミサイル、ミサイル!』
ブルーショルダーの肩にミサイルが装備され、機体の最大速度が上昇した。
回避のために小刻みにステップを織り交ぜて移動しつつ、射撃ボタンを長押し。チャージする事によって100mm多目的ミサイルが100mm超振動極熱ミサイルへと変貌を遂げる。
マルチロックして、発射。ヴィルティックとヘーシェンにミサイル襲い掛かる。
が、
『フレアー!』
『ディフェンス!』
読まれていた。ヘーシェンに向かったミサイルはフレアーによってその軌道を変え、ヴィルティックに向かったミサイルはディフェンスによって防がれる。初心者というのは……やはり嘘か。
だとしたら、おそらくはセオリー通りヴァースト狙いの戦い方をしてくるだろう。
ヴァーストは特殊なカードだ。引いてから10カウント後に発動可能になり、発動すると機体の能力が上昇し、モーションが変更される。
……そこからさらに10カウント待てばエクステッド・ヴァーストが発動可能になるのだが、流石にそこまでの余裕はあるまい。
ヴァーストを使われれば低コスト機のブルーショルダーは手も足も出ないだろうが、幸い通常時のヴィルティックの性能は高コストの大型機にしてはそこまで高くない。ヘーシェンを落としてコストオーバーを狙いたいところだが――――
『バスターソード:振動熱斬刀!』
清水が300cm超振動極熱刀を召喚して、ブルーショルダーが白亜の巨人に襲い掛かる。
――――ヴァーストを発動されたら厄介だ、ヴィルティックから潰させてもらう。
99 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 22:24:55 ID:jS3EkPFc
♪ ♪ ♪
移動に、誘導を切るためのステップを織り交ぜながら、ブルショルがヴィルティックに殺到する。
――――やっぱ俺狙いかよ! なら!
『デコイ、マイン!』
ギリギリのタイミングでデコイとマインのカードを同時使用。ブルーショルダーのターゲットサイトが強制的に機雷入りのダミーに変更される。
しかしそれは一足遅く、ブルショルの格闘は既にヴィルティックに対して誘導が掛かっていた。伸びの優秀な(リーチの長い)ブーストダッシュ格闘なのでステップでは回避が間に合わない。
「うお、やば――――」
「ライダーキック」
画面に割り込む白ウサギ。ブルショルを蹴り飛ばす。
「おれは、みかただ」
「ナイスカット!」
「ここは私に任せてください」
すぐさまブーストダッシュでダウン中のブルーショルダーとの距離を離す。なにやら「私この戦いが終わったら、マスターとにゃんにゃんするんですよ」という死亡フラグが聞こえたような気がしたが、多分気のせいだろう、うん。
とにもかくにも清水のブルショルはヘーシェンにお任せだ。
『シャッフル』
俺はヴァーストを引き当てるのに専念するとしよう。
♪ ♪ ♪
ダウンしていたブルショルが起き上がった。ここから数秒間は無敵時間だ。相手の格闘のリーチ外へと機体を下げ、隆昭が設置した機雷入りダミーの付近へ。
『プットオン:アーマード!』
カードの効果によって脚部と肩部に装甲が装着された。これでいくらかの攻撃は無効化する事が可能だ。
しかし何よりも頼もしいのは格闘攻撃が命中した場合、それを無効化した上で相手を怯ませる事ができるという事。これによって相手の大火力格闘攻撃――――300cm振動熱斬刀を封じる事ができる。
ブルーショルダーカスタム、通称ブルショルは射撃寄りの万能機だが、それだけではダメージソースが心許ないため、時には格闘を狙っていく必要もある。
つかず離れず、そういう立ち回りを要求される機体だ。
一方ヘーシェンは格闘寄りの万能機。射撃は支援と牽制に留め、カット耐性の高いコンボでダメージを稼ぐ機体で、装甲(=HP)の薄さもあって接近戦のリスクを減らすために闇討ちメインで立ち回るのが最も安定した戦い方になる。
そう、ブルショルとヘーシェンの相性はぶっちゃけあまり良くない。普通の機体なら問題にならない攻撃も、ヘーシェンにとっては致命傷になりうるからだ。それがたとえアーマー付きであっても。
さて、おそらく清水はセオリー通りアーマーを破壊しにかかってくるか、あるいは――――
クイックターン。ブルショルがヴィルティックへと踵を返す。
――――ガン無視か。
『ライフル:アンチマテリアル!』
銃口補整や誘導が掛かる赤ロックが可能な距離の短いヘーシェンだが、これの弾速ならば着地時の硬直さえ狙えば当たらない事もない。……射撃時に足が止まるのが難点だが。
乙女の誘いを無視するような輩には痛ーい罰を与えてやろうではないか。
シェー
♪ ♪ ♪
清水らが短いやりとりで腹を探り合っている頃、一条 遥は絶賛混乱中だった。
何が起こっているのか、わからない。
何をしていいのか、わからない。
なので一応皆がやっていたように右のスティックをカチリと押してみる。
『シャッフル』
「うおわ!? コントローラーが喋った!?」
素人っぽさ丸出しだ。
画面の隅で複数のカードが高速回転、5枚のカードが現れる。何やらこれを選択して武器を装備したり機体の性能を強化したりするらしい、さっき流し読みした説明書に書いてあった。
試しに弓の絵が描かれた赤いカードを選択してみる。
『クロスボウ!』
迅雷の手の中に、どこからともなく大きめのボウガンが現れた。
やる事は生身の神子同士の戦闘とあまり変わらないのか、と思いつつ今度は八角形の太ましい棒が描かれたカードを選択。
『金砕棒!』
どうやら“かなさいぼー”というらしい。今のは勉強になった。
遥か向こうで激戦が繰り広げられているにもかかわらず、壁の後ろに隠れて呑気にカードを選択して試し撃ちをしたり、適当に機体を動かす遥。
……よし、操作方法は大体わかった!
意気揚々と機体を跳躍させ、壁の向こう側を見る。が、
――――なんだあれわ。
縦横無尽、自由自在に跳び、駆けるロボット達と無言でコントローラーをガチャガチャやる3人。あまりに別次元すぎて一瞬アホの子になってしまった。
動きが目で追えない。みんな何をやっているのだろう。ダンス?
などとボケている暇は無かった。前方からアラート。ヴィルティックからの攻撃だ。
「ちょっ……危ない!」
命中するギリギリのところをステップで回避、距離を離すべく180゚方向転換してブーストダッシュ。
「おお、避けた」
隆昭が呟いた。
意外なのは自分もだが、わざわざ声に出さなくても……。
「初めてなのに不意打ちなんて!」
「戦場では空気である事のほうが罪なんだよ、先輩!」
接近してきたヴィルティックにボウガンを撃つが、白亜の巨人はそれを苦もなく躱し、迅雷に肉薄する。
「来るなー! 来るなー!」
「大丈夫だ、ちょっとくすぐったいけど痛みは一瞬だから!」
「どっち!?」なんてツッコミを入れている余裕はない。ヴィルティックの腹部に巨大な砲がドッキング。
『エルシュトリームクラァッシュ!』
……名前からしてなんかヤバそうだ。
バチバチと電光を走らせながら、蕾が花開くように砲の先端が展開していく。
なんとか逃げようとするが、駄目だ。ぴったりくっついて離れない。
「さあ、おまえの罪を数えろ」
「何言ってるのこの子!?」
「ああ、タカ坊は時々厨……う わ ら ば !」
説明しようとしたヘーシェンと隆昭が、マルチロックしたミサイルの直撃を喰らった。ヘーシェンはアーマーの耐久値が減り、ヴィルティックはひるんだ事によってエルシュトリームクラッシュの発射体勢が解除。初めてのまともなダメージであった。
「おいパンツうさぎ、今のはネタだって事くらいお前ならわかるだろ。つか厨二病言うな。あとタカ坊ってなんだ」
そ し て ま さ か の 仲 間 割 れ 。
「ふふっ、ヘタレって事ですよ。ヘ・タ・レ」
なんて妖艶な笑みを見せながらチラリとスカートを上げて白い腿をみせるウサギ。パンツはギリギリ見えない……ん? 今チラっと見えたかな?
気になる、凄く気になる。これは戦闘どころではない。
「って、Oh……」
気になるのは自分とタカぼ……隆昭だけではないらしい。遥の視線の先では――――
遥の視線の先では、清水が震えていた。
センターにシャッフルしてシェー
今回はここまでとなっております!
え? 戦闘がモロVSシリーズとディケイドだって?
ははっ。
嫌だなぁ、気のせいですよ。
>>106 投下乙です!
なるほど、武装やらはシャッフルシステムですか!これは面白いw
いいですなこの場面w続きをお待ちしとりますw
というか途中ageてしまいましたorzスイマセン
ちょっとφ37遺跡行ってきますノシ
>>106 乙………乙ッ!!! 戦場でドジっ子属性は危険なんだぜ…!w
ウサギさんのパンチラ(?)に胸がときめいた自分は変態
>>108 どうなってもしらんぞーッ
>>51 亀レスですが、投下乙です!メルフィーが甲斐甲斐しく過ぎて羨ましい…。
>>106 乙です…!う〜ん、やっぱりたまりませんな、クロスオーバーという奴はよく分からないけども脳汁が出ます。
紹介分さえ未だに無い私の作品は参戦には程遠そうですが…
そういえば前スレの新作って幾つ投下されてましたっけ?
ふぅ、いい湯でしたー……。
換装もとい感想ありがとうございました!
それではレス返をばー。
>>107-108 >シャッフルシステム
それに伴う製作側の負担やら何やらは華麗にスルーしてくださいw
>ちょっとφ37遺跡行ってきます
待てッ、早まるんじゃあない!
>>109 >戦場でドジっ子属性は危険なんだぜ…!w
でも作者がドジっ子大好きだから仕方ないんだぜ……!
>ウサギさんのパンチラ(?)に胸がときめいた自分は変態
はっはっは、書いてる本人が興奮して大変な事になってたので無問題ですよ!
さてさて、
>>100の伸びのいい(=リーチの長い)というのはちと乱暴でしたね。
正確にはよく動く(つまりカット耐性の高い)格闘って意味です、確か。
そして◆n41r8f8dTs氏、◆gD1i1Jw3kk氏、隆昭と清水をあんな奴にしてしまってすみませんでしたm(_ _)m
>>110 >紹介分さえ未だに無い
なんならYOU自分で書いちゃいなYO!
>参戦には程遠そうですが…
果たして……そうでしょうか……。
……俺の潜水機がボドボドダ
ガードロボにこてんぱんにされますたorz
>>110 蜥蜴氏のドラグリヲと◆B21/XLSjhE氏のGEARSですな。
前スレの新作
俺なんか紹介文はあるのに参戦の目処が立っていないぜ!w
>>113 >……俺の潜水機がボドボドダ
ウゾダ、ウゾダドンドコドーン!
>紹介文はあるのに参戦の目処が立っていないぜ!
果たしt(ry
というか面白そうなネタがあったらもう半ば参戦ケテーイですよw
とりまDSはネタ考えてあります、ハイ。
そういえば宇宙戦に耐えられる機体ってあるんだろうか
リベジオンとかは宇宙似合いそうだけど
>>114 くそ!早く本編を上げないと学園参戦が遅れる!w
だけど進まないんだorz
>>112 >自分で書いちゃいなYO!
具合のいい宣伝文句が思い浮かばないのです、不器用ですから。
>>115 スーパーロボット系はイメージ的に無条件で耐えれるような気がします。
>>115 一応オートマタは宇宙おkですじゃ。
>>116 自分でロボスレ学園を書くという手もありますぜ!
というか学園って、基本的に本編が詰まった時の息抜きですしー。
>>117 なるほどー。
>>115 リベジオンの他にレガシアムも大丈夫っぽいですよね
フツヌシも一応いけるかとw
>>118 おぉ、それは盲点だったw
ちと考えてみますかねw
>>115 今書いてるのは陸海空宇宙踏破可能です
今週までに投下できればいいなー
リベジオンは理論上可能な事と現実にやる事に差が結構あったりしますw
一応、理論上は宇宙駆動も可能です
宇宙での行動考えて設計はされていませんが
ではそろそろいくよー
「あくまで可能性にすぎない話ではあります…。」
報告者はクーガの解答に補足する。
「うーん、というか十中八九確定かな、ディスプレイを見てみて…。」
ミナはそう言って、ディスプレイの方を指さした。
ディスプレイにはここら一帯の地図が映し出されておりそこに地区ごとに数字が散りばめられている。
「これは明後日の妖魔達の各地で分布を表したものだったよね?」
ミナの問いを報告者は肯定した。
そのままミナは続ける。
「となると北東部の大体…そう、大体この辺りかな、ここに一つの集まりができてるよね?数にして20前半の個体数といったところじゃないかな?
『名無し』があるのは北部のこの辺りだったよね?」
ミナがディスプレイの地図を北部を指さした。
そこは『名無し』ある地区である。
そこからほんの少し北に妖魔の群れが集まっていた。
「まあ、皆、知っての通り妖魔達は馬鹿じゃない、そもそも妖魔達がクロロスペッツゥナから出てくる理由を作ったのはあたし達なんだし、
あたし達の戦力を過小か過大かは知らないけれど、最低でも、自分達と対等に戦える程度には強いと評価して考えられている筈…。
だから、あたし達に煮え湯を飲まされてきたんで確実にあたし達を仕留めようと戦力を結集させている。」
会議室の人間全員が押し黙る。
誰もがミナの発言に異論は無かった。
だが、だからといってどうするのか?各人の思考はそこへ行く。
そして、その沈黙を最初に破ったのはクーガだった。
「ならば、いますぐにでも『名無し』に向かわないといけないんじゃないか?」
クーガは右腕を左手で強く握りしめていた。
すぐにでもこの会議室を出て、あの集落に向かいたい。
あの少女との約束を守らなければならない。
だが、鋼機も無いお前に何ができる?
今このまま、あの集落へ行ったところで妖魔に踏み潰されるがオチなのは明白だ。
だからと言って、見捨てる事など、諦める事など出来るものか・・・。
そんな思いが渦巻く自身に痛みを与える事で感情が暴走するのを必死に押さえつけているのだ。
そう、まだだ、今はまだ感情に身を任せる時じゃあない。
クーガの後ろから席を立った音が鳴る。
席を立ったのは一人の男だった。
室内の人間の視線がその男に集まる。
男はコホンと咳払いをしてから発言を始めた。
「今回の件に関しては見逃すという方向にするのを提案します、そもそも『名無し』は我が王国に保護を約束されているモノではありません。
つまりは、これを守る義務は私たちには無いのです。そもそも私たちの目的は妖魔の陽動です。
つまりは彼らがいい的になってくれるのであれば我々の任務遂行において良い方向に進むのは間違いないでしょう。
彼らは検討違いの場所に攻め込もうとしているのですから、わざわざ我らが救出に向かって戦力を削ぐ必要がどこにありますか?
むしろ、その後の事を我々は考えるべきだ。やる必要の無いことをやろうとしている、クーガ・ラグナグ名誉騎士、あなたの提案はまったくを持ってナンセンスだ。」
その男の発言にクーガの中の何かが暴れだしそうになる。
クーガはそれを必死に理性という名の鎖で縛り付けた。
彼の発言はこの国では正しいのだ。
彼はこの国で振りかざされている正論を主張している。
だが、クーガはあの集落を見捨てようなどという思考は1ミクロンも無い。
「まあ、このままならばお前の提案は受け入れられないな。」
セイムはそう静かに言った。
>>119-120 >ちと考えてみますかねw
>今週までに投下できればいいなー
wktkwktkwktk!!
>>121 つまり宇宙に上がるフラグ!
ああ、わかっている。
考えろ。
何かこの会議室の人間達を説得するにたるモノを!
この時、クーガの脳裏に思い浮かんだのは一つだった。
―正論ってのはな―
クーガの中で一人の男が笑って言っている。
腹が立つ。
これ以上無く腹が立つ。
なんで、なんで、なんでお前が俺の中にいる!
なんで思い出の中から消えてくれない。
お前がいなければ…お前さえいなければ…。
「おい、クーガ、おい。」
セイムがクーガを呼びかける。
その言葉でクーガははっと我に返った。
「クーガ・ラグナグ、何か反論でも?」
クーガは自分が席を立っている事に気づく、いつのまにか視線は自分に集まっていた。
悪い癖だ、思考に囚われると周りが見えなくなる。
息を吸う。
ここが正念場だ。
自分1人ではあの集落を救う事は出来ない。
そうだ、シャドウミラージュ、彼らを動かさなければならない
さあ、はじめよう。
「では、いくつか気になった点があるので、たしかにその『名無し』は国の保護対象外ではあります。
ですが、ここにいる会議室の皆さんがご存知の通り、私は先日、名誉騎士の特別権限により数名の鋼騎士を出動とその『名無し』の保護を要請しました。
これはつまりは我が国の貴重な戦力をそこに送り込んだという事になります。
これを見捨てるという事は国の重要な資産を失うという事では無いでしょうか?これを見捨てる事は出来ないのではないでしょうか?」
クーガは私などという自分らしくも無い一人称を使っているのを柄じゃない事をやっているなと心の中で軽く自嘲した。
一人の男が手をあげる。
さきほど、集落を見捨てろと言った男だ。
「何かご意見があるのならば、どうぞ、えーと―――」
男は席から立ち上がって言った。
「レイズだ、担当は情報の統括とそれに類する雑務全般をやっている。」
レイズはそう静かに自己紹介した。
「失礼、で、何か?」
クーガは冷たく言い放つ。
今、見捨てようといっている一派はこのレイズという男を中心としている。
「クーガ・ラグナグ名誉騎士、あなたも面白い事を言うものだ、あなたが権限で勝手に送り込んだ騎士達を救え?
何を馬鹿なことを言っている、それはあなたの責任だ。」
冷嘲しつつ名誉騎士と呼ぶ時の声に棘がある。
そもそも名誉騎士というのは上級騎士に匹敵する程の位であるにも関わらず、正式な手順で得られる位ではない。
無論、なんらかの武勲や名誉を立てた際に賞賛と賛美の証として贈られる事もある位なのだが、クーガの場合はこれを悪名高き王名と共に授かっている。
つまりはこの名誉騎士としての称号も王名と同じ疑いをかけられている。
この点でもクーガ・ラグナグへの世間一般での風当たりはあまりよくない。
「私が言ってるのは責任の所在の話ではない、救える可能性があるのにそれを見捨てるというのか?国の重要な戦力なんだろう!」
クーガはレイズの苦言に臆さずに応答する。
支援しますorz
レイズは苦笑して、
「見捨てる他ないだろう?あなたの命でどのような鋼騎士が送られたにせよ、我々は我々の目的を優先すべきだ。
心痛いが小事より大事、こんな事もわからないのか?」
とクーガを侮蔑する。
そういうレイズの挑発にクーガは己を必死に抑える。
ああ、わかっている。
わかっているんだ。
この男の言っていることは、正しい。
だから――そう、正論に勝つには正義を示す。
「なるほど、ならば、もし、私がそれよりも得策を提案をした場合はどうします?」
クーガはにレイズ静かに問う。
「提案?」
レイズはふん、と笑った。
「そうです、提案です、良い案を出してみせましょう。」
「はは、何を馬鹿なことを考える余地もなくこれが最善だろう?一体、何をどうしてどうすれば、これより最善がありえる!」
レイズが大声をあげる。
「レイズ、少し黙れ。」
ホークアイはレイズに静かにそう告げる。
レイズは何か言い返そうとしたが、ホークアイの鋭い眼光に睨み付けられ萎縮し押し黙った。
そうしてホークアイは顎の白髭をいじりながら言った。
「さて、クーガ・ラグナグ名誉騎士、君は言ったな?ここにいるレイズより良い案を出すと?」
さきほどとは違う安穏とした雰囲気でホークアイは問う。
「ええ、そうです、その通りです。」
「ふむ、なるほど、では君はその発言にどれほどの覚悟があるのかね?」
「覚悟?」
ホークアイは静かに笑う。
「なぁに、戯れだよ、ここにいる人間の全部とはいわないが過半数は納得させるような案を出さなければ君の案は通る事は無い。
悲しいかな、レイズの言っている事はいわゆる正論だ。お前はこれを覆すという…お前の発言通りならば、その顔を見ている限りそれなりの自信もあるのだろう。
だがな、我々が行っているのは、ここにいる人間全員の命の使い方の話だ。つまりは君は我々にこれから命を賭してそれを行えと発案するわけだ。
だから、我輩は君の案を聞く前に聞いておきたいのだよ、どれほどの覚悟を持ってそれをしようとするのかを…我輩はお前の事をよく知らんからな、お前がどういう人間なのかも知っておきたいというわけだ。」
「それが戯れというわけですか…。」
この老人は試しているのだ。
自分がどれほどの覚悟を持って発言しようとしているのかと――
ならば、解答はこうするべきだろう。
「そうですね、では俺はこの発言に俺という存在の22年の人生の意義つまりは騎士の全ての権利を賭けます。つまりはもしこの案が通らなかったのならば、俺は騎士である事を辞めましょう。」
死を賭すという考えもあったが、ここで求められているのはそんな短絡的なものではないのだろう。
ホークアイはクーガのその解答に対して特別な反応を見せず、
「いいだろう。」
と静かに応えた。
視線がクーガに集まる。
会議場の人間全員がクーガが何をどう提案するのか待っているのだ。
さあ、本番だ。
示すのは正義。
ならば、こういう所から始めよう。
「さて、私が提案する案ですが、それ自体は簡単な案です、それはつまり・・・・・・『名無し』を見捨てるという事です。」
会議室がどよめく。
それもその筈だろうレイズの『名無し』を見捨てるという事に対して、それを上回る最善の案を出すといっていた人間が言い出したのが、その『名無し』を見捨てるというレイズ同じ事を言い出したのだ。
それは我が身可愛さにレイズと同じ意見にしたと取られかねないようなものだ。
「おいおい、クーガ、それは一体どういう意味だ?」
最初にクーガにそう尋ねたのはセイムだった。
「どうもこうもないさ、セイム。確かに今からあの集落を守るというのは無理な話だろう。頑張って考えてはみたがやっぱり現状からするとあの集落は見捨てるほか無いさ。」
クーガは淡々と言う。
それに対してレイズは声をあげた。
「貴様、ふざけているのか?」
「別にふざけてなんかいませんよ。」
「なんだ…と…。」
何かを言おうとするレイズを無視してクーガは言う。
「ところでカタリナさん、この街、イアナーラは現状だとどれぐらいの人間が収容できますか?」
クーガのその発言にふーんとカタリナが頷いた後、答えた。
「だいたい、壊れた施設や使い物になってない家屋も多いが元々はここは貿易都市だった街だったからな、ある程度、修復してやれば軽々と200は収容できる街として再生できるだろうな。何より発電施設が生きているのは大きい。無論、意欲的な改修等は必要だろうが―――」
「――――くははははは。」
レイズが笑い声をあげた。
「ま、まさかな、そんなくだらない事を提案しようとしているとは、貴様は馬鹿か?」
「馬鹿なのは否定しないが、俺が何をしようとしているのかあんたにはわかっているのか?」
その発言をしたあとクーガはまずったな…と内心思った。
せっかく取り繕ってきた言動をつい崩してしまったからだ。
「何って?明白じゃないか、貴様は『名無し』の人間をこのイアナーラに移住させようとしているんだろう?
なるほど、確かにそうすれば『名無し』は見捨てても、そこにいる人間を生きながらえさせる事は出来るかもしれない。
だが、それは妖魔の迫る街に我々が赴くという事だ、妖魔との戦闘の可能性もあるだろう。
確かにお前の言っていることをやれば『名無し』の人間を救えるかもしれん、だが、結局のところそれが我々が行っている作戦になんの影響がある。無駄な戦力の消費では無いのか?論外だ。」
レイズは嘲笑した。
それに対しクーガはため息を付く。
「なんだ、その態度は!」
レイズの前にクーガは指でVサインを作った。
「2割正解といったところです、その推論じゃあ駄目ですよ、確かについでとしてイアナーラに『名無し』の人間を移住させますが、大事なのはそこじゃあない。」
「何…。」
レイズの顔が引きつる。
「ちょっと、整理しておきますか、今、我々シャドウミラージュに課せられているのはクロロスペッツゥナにいる妖魔に対し我々が各地で攻撃を仕掛けることでクロロスペッツゥナから妖魔達をおびきだす事です。
これに関しては報告にあったとおり概ね成功しているといえます。
つまりは妖魔達は今我々がどこにいるか、躍起になって探していたというわけです。」
ホークアイはクーガが何を言おうとしているか納得したように頷いた。
クーガは続ける。
「そして先日、私がその地域一帯を統括していた妖魔グラスを殺した事で、その近辺にあり、
妖魔グラスの支配下にあった『名無し』に我々がいるのではないかという疑いを持ったという事は戦力を集めだしているという報告からしても明白なのでしょう。
となると、一つ不思議な事があります。」
「不思議なこと?」
ミナが不思議気にクーガに聞いてきた。
「そうさ、ミナ。分布表を見てもらえばわかると思うが確かに妖魔は『名無し』への襲撃に向けて集まりだしている、だが多くみても30程度だ。
この分布を見るに少なくともこのイアナーラ地帯全体には200以上の妖魔が我々を探しにクロロスペッツゥナから出てきている。
そもそも妖魔達がこんなに森から出てきていて、俺たちを殺そうとしており、それでいて自分たちの居場所を見つけたのならば総勢を率いて確実に殺しに来るんじゃないか?
なのに自分たちに割かれた戦力はせいぜい先ほどの述べた程度…これが何を意味するかわかりますよね?」
ミナは少し考えた風な仕草を取った後、ちょっと自身なさげに言った。
「つまりは、妖魔は一つ『名無し』にあたし達『シャドウ・ミラージュ』がいると当たりを付けた、けれどそれをまだ疑っている段階だって事?」
「ああ、そういう事になる。」
そのクーガとミナのやりとりを不満そうにな顔をして見ながら、
「だから何が言いたいんだ?」
とレイズは棘のあるような声で言った。
それに対してクーガはニヤリと笑い、言い放つ。
「何を言いたいか……ですか、それは凄くシンプルなもので先ほどあなたも言っていたじゃないですか、『名無し』は囮として利用価値があると、だから自分はそれを最大限有効活用しようと提案しているんですよ。」
「最大限?」
「ええ、そうです、確かに今、妖魔達は我々『シャドウミラージュ』が『名無し』にいる可能性が大きいと踏んでいます。
ですが、さきほど述べたようにまだ、それを彼らは疑っている状態だ、とするならばまだ、この『名無し』という餌に妖魔達はまだ完全に喰いついていない。
その為、『名無し』は囮としては不完全、ならばどうすればこの囮を完全なものにすることが出来るのか?
簡単な事です、奴らに疑いではなく確信を与えてやればいいんですよ。」
「なるほどね。」
そう発言したのはセイムだった。
「つまり、こう言いたいわけだ、現状では『名無し』を囮として扱うには役不足だと?
そして、お前は持っている、それを完全に囮とさせるような策を・・・。」
クーガはそれに頷く。
「ええ、その通りです。」
語尾が強まる、そう答える声には強い決意のようなものがあった。
「ではそれは何かな?」
ホークアイは無表情に聞く、それに対してクーガは笑って言った。
「別に特別難しい話ではありません、非常にシンプルな話です。これからさっさとその『名無し』に向けて集結している妖魔20数体を我々シャドウミラージュが総力をあげて叩き潰せばいいんです。」
「おいおい、お前は今、何を言っているのかわかっているのか?」
セイムがクーガにそう聞いた。
会議室にいる人間の誰もがクーガの言ったことが何を意味するのか理解している。
だが、それは常識的な範疇で考えるならば狂気の沙汰だ。
「ああ、わかっているさ、セイム。でも出来るならばこれが最善だろう?
妖魔20数体を倒してしまえば奴らはあの集落、つまりは『名無し』に俺たちの本拠地があると確信を持って攻めてくる。
20以上の同胞がやられたんだ、警戒してさらに戦力を増強してくるだろう・・・クロロスペッツゥナからさらに多くの妖魔をおびき出すことに成功するかもしれない。
これはの意味するところは・・・だ、つまりシャドウミラージュの目的として最も良い結果を得られるんじゃないか?」
一般的な見解でいえば鋼機1機につき、妖魔1体を倒せる程度の能力、つまりは1:1の戦力であるとされている。
名うての鋼騎士が乗ったところで1機で3体倒すことが出来れば奇跡というレベルだろう。
現在、このイアナーラにいるシャドウミラージュのメンバーの中で鋼機を扱えるのはクーガ、ミナ、セイム、そしてホークアイの四人である。
この事はクーガも前もって渡されていた資料によって承知している。
そしてクーガの持つ鋼機、D―42 スラッシュゲイルは三日前の戦いで中破しており、現在急ピッチで修復作業に入っている状況だ。
それはこの戦いにクーガは参加できないという事を意味していることに他ならない。
つまりはクーガは20以上の妖魔を3人で倒せという無茶を言っているのだ。
「確かにただの鋼機ならば、その戦況を勝利するという事は不可能だろう・・・だが、しかし、このシャドウミラージュに配属されている鋼騎士の鋼機は全てDなんだろう?」
そうカタリナに向けてクーガは言った。
そう問われたカタリナは吸っていたタバコを灰皿に置き、新しいタバコのケースの開封を始めた。
クーガは、まだ吸うのかよ!と突っ込みたくなったが、その思いをぐっと堪えることにした。
カタリナはそのままタバコに火をつけて一息吸ってから、答えた。
「その通りだ、というのがいいのかな。シャドウミラージュはD型鋼機ばかりのまあ、王立鋼騎士団の団長どもからすれば気が狂わんばかりの贅沢部隊だからな。
現在、五機のD型がこの部隊に存在している。君の『D−42 スラッシュゲイル』、ミナの『D−40 グレリーナ』、セイムの『D−34C シュナイザー』、
グロウズ副部隊長の『D−25C2 グレイスター』、そしてグレイル・レイスター部隊長の『D−30C アシュラ』以上の五機がこの部隊には存在している。
だが、この部隊長は現在本国に戻っているため『アシュラ』は使えない。
君の機体の状況に関しても急ピッチでやってはいるがあと4日はかかるだろう。つまりは3機しか、今、シャドウミラージュには戦力になるD型はいないという事だ。」
そのカタリナの発言に付け加えるようにホークアイが言った。
「もしもの為にこちらに最低でも一機は防衛用に必要だ。だから、正確には使えるのは二機だ。」
クーガはそれに頷く。
「十分でしょう、D型鋼機は通常の鋼機8機分の能力があると言われています。襲ってくる妖魔は約20だというのならば、ちょっと頑張ってもらうだけで十二分にこれをこなす事が出来る筈です。
それに8機分の戦力なんて例え話に過ぎないでしょう?
Dを預けられてこんな所にいるような変人共がそれぐらいの戦力差を苦にするのですか?」
挑発するようにクーガは言った。
クーガの発言を受けて会議室の人間が騒ぎ始めた。
「かかか、こんな所か、いってくれるじゃないか、ガキ・・・。」
「いやいや、むしろここってそんな所じゃない?」
「まあ、変人ばっかってのは間違ってないなー、俺様は例外だが他の奴はみ〜〜んな変人だし…。」
「ちょっち待ち、セイム、今あたしを変人のカテゴリに入れたでしょ、ふざけんな!いちいち自分に様を付けて喋るようなお馬鹿さんに変人呼ばわりされたらあたしの家族が皆、泣くわ。」
「私は所詮、変人だよな、うん、そうだ、そうだ、所詮変人だ・・・・・・変人だ・・・変人なんだ・・・。」
「あーー、すまんが、タバコ切らしたんで部屋に取りにいっていいかー。」
騒ぎになる事自体はクーガも予想していなくは無かったのだが…「そんな不可能な事を言うな!」苦言や罵声で五月蝿くなると思っていた為にこの展開はいささか予想外だった。
というかこいつらシリアス出来ない性質なんじゃないか・・・というか本当に変人軍団なのかもしれない・・・。
そんな考えが頭をよぎって、自分もそんな集団の一員になってしまったのだと思うとクーガは酷くいたたまれない気持ちになった。
だが、これならば思っていたよりもずっと簡単にいけるかもしれない。
「え〜と、それで、ちょっと皆に問いたいんだけれど、20の妖魔を二機のD型鋼機でやれますよね?」
返ってきた解答はこうだった。
「余裕だ。」
こうして、会議の結論は一つにまとまろうとしていた。
そうして会議は票により決を取る段階に移る。
「ちょっと、待ってくれないか?」
一人の男、あのレイズが異を唱えるまでは…。
【3−5へ続く。】
というわけで残り3回です
こういうシーンを書いてるといつも説得力あるかなーと思ってしまいます
ロボ成分、今日は名前だけでしたがもうちょっと待ってね
明後日はロボずくしだから・・・
すみません……投下にレス被しました……。
罰としてツクヨミ先生とにらめっこしながらφ37行ってきます……。
>>137 投下乙です!
カタリナさん相変わらずマイペースかつヘビースモーカー過ぎw
そしてみんな変人だなぁ、かっくいーなぁ。
次回も楽しみにしてますね!
>明後日はロボずくし
イィィィヤッホォォォォォォォォォォォォォォォゥ!!
>>137 投下乙です!
レイズから小物臭がしやがる……。意見が嫉妬から出ているのかそれとも計算からでているのかw
カタリナさんヤニ吸うの早いよ!wあと舞台のカオスっぷりがナイスw
ロボ尽くし、wktkしながら待ってます!
>>138 待ち給え!色んな意味で戻れなくなるぞ!?www
>>140 せめてこれを持っていけ……
つ「サングラス」「8連魚雷ランチャー」
っと、俺はこの辺で失礼をばノシ
>>138 ただ、ロボバトルという意味では1話や2話のが濃いと思いますw
今回は結構あっさり目だったりー
>>139 カタリナは呼吸するように煙草を吸うような女をry
ちなみに酒豪で酒乱だったりします
本当、この人、鋼機の権威という立場が無かったらどうしようもない人だと思いますw
ひ、久々の休みだからってこんな時間まで寝てるなんて……。
>>141 ありがとうよ、相棒。
だが俺はもう燃え尽きちまったんだぜ、真っ白にな……。
>>142 あっさりだとしても期待せざるを得ないのだ!
>ちなみに酒豪で酒乱
確かにすごくどうしようもない人ですねw
だがそこがいい!
おお、今日は珍しく人いネーナ
ところがぎっちょん!
ココニオルゾ
参上!
ふっ……どうやら役者は揃ったようだな!
待て、戦隊モノ的に考えると一人足りない!
ふははははは! あぁそのようだ!
これじゃあロボに合体できませんねぇ。
……ん? そういえば一人余分、っていう考え方もありますね!
ごめん、もうちょっとしたらレス書く
5人目が来たぞ――――!
そんな事より聞いてくれ、最近抜け毛が酷いんだ
流石の流れですな貴殿達はw
まあ
>>154氏の髪の毛の話は置いといて、もう容量120 KBなんですねー。
六人目の戦士か……ゴールドかシルバーか、はたまた全くの別物か。それが問題だ
>>159 ふっ、当然だ(ワックスで髪の量を捏造しながら)
>>160 早いよなー
もう3つも投下されてますしねw
もう容量の1/5使っちゃってますもんねw
>>161 じゃあBの全く別の何かで!
黒騎士ブルブラックかっこいいよ黒騎士ブルブラック。
|・ω・`) 生存報k・・・
|彡サッ!
>>106 投下乙です―、あぁ、そう来たかwブルショルはだいぶカード使ったけど大丈夫かなw
何となくヴィルティックが善戦してて嬉しい限りです。遥が意外なジョーカーになりそうな予感
オルトロック「うずうずして来ました。どうにかなりませんか^^」
>>137 投下乙っす!クーガ頭が切れるなぁ。さすが主人公
レイズの小物っぷりは素敵。やっぱ敵キャラはこう情けなくなきゃw
次はロボットバトル大盛りという事で、期待しております
そろそろ祝日が近づいてきて規制されそうな予感orzかこうと思っても、他の事が忙しくて中々…
仮面ライダー的なヒーロー物が書きたいぜ……ロボット戦と肉弾戦でひたすら超人バトルしたい
>>164 生存報告乙!
>>165 いいね!
CM明けの時のアイキャッチと勝手に脳内補完w
サイズ差については言及しませんよ?えぇw
>>137 うォん感想書いてないやん。今更ながら投下乙!
レイズの提案が気になりますなぁ。作戦か、技術面か…
次回の鋼機無双に期待したいっ!
>>164 誰やねーん!
>>165 あなたは何故おっぱいをそんなに綺麗に描けるのかと!
>>166 ガンダムvsガンダムNextでも、自分みたいな前作経験型の初心者と違ってガチの初心者の動きって全く読めませんからねー。油断してるとこをサテライトで蒸発させられた時は嬉しいやら悔しいやらw
あとオルトロックさんはそのうち悪役として出すので覚悟しておいてくださいw
>>165 おお、おっぱいに加えてロゴまで来た
iや'は水滴、eはネジがモチーフかな?
それはそうと、hが足りていないような……
いや、もしやこれはダイブスーツの広告的な感じに捉えれば……(フェードアウト)
うわぁんH入ってないじゃんH……吊ってくる。あぁツクヨミさーん!
>>170 >油断してるとこをサテライトで蒸発
それはキツいなw
>オルトロックさんはそのうち悪役として出す
誰と戦わせる予定なのか……非常に気になるところですな
>>171 ならば端のほうにキャッチコピーをですな(ry
>>172 ツクヨミさんを吊るですって……!?
>>173 いやあ、突然画面が真っ白になった時はどうリアクションすればいいのかわかりませんでしたw
>誰と戦わせる予定なのか
DS組と戦わせようかと思ってます……許可さえいただければ。
>>174 ツクヨミさんと睨めっこして遊ぶんだ♪
>DS組と戦わせようかと思ってます……許可さえいただければ。
承認ッ!!!
176 :
長目:2009/10/06(火) 21:08:31 ID:m8mTL+Jz
>wikiの人
そういえば、遅ればせながら容量問題解決乙です
ちょいと要望をば
ツクヨミ先生の絵なんですが、ロボスレ学園のトコにも載せといてもらえるとありがたいですわー
>>174 「ご注文に応じて、様々なサイズに対応します!」とかかなw
いや、どこのサイズとはいいませ(ry
DS組とオルトロックがバトルだと……!?うおおロボスレ学園止まんねぇ!
ぬお、絵の投下ktkr
>>165 この2ショット良いなぁ。しかし胸の(ry
このコメントはφ37に沈められました
>>175 フュージョン承認(゚∀゚)キタ――――!!
2vs1で戦わせようかと……陸上で。
>>176 あ、チョーさんだ! こんばんはーw
>>177 あくまで息抜きだから、次がいつになるかはわからないけどね!
>>174-175 オルトロック VS 潜水機とな
これは期待せざるを得ない
と思ったら
>>179ww
>陸上で
自立できねぇwテラ鬼畜ww
あ、自分も勿論おkですよ。もうスコーンとぶっ倒しちゃっていいですよwwその為に作った様なキャラですからw
それにオルトロックさんを凌ぐ悪役を構想中ですし
オルトロックさんならやりかねませんなぁ>陸上でフルボッコ
陸上じゃあ立ってるのが精一杯だぜ!
>>180 >抹消しておいた
おおぉ……俺の要らんツッコミが……何というトリガーを引いてしまったんだ
>>185 >立ってるのが精一杯
さらに勘違いまでしていたとは
うん、穴の空くほど読み直してこよう
>>186 潜水機によって違うけど、歩行はまず無理というのが常識という設定なのですぜー。
>>187 思うにミノフスキークラフトを付けて
空Aにするべきではないか?
>>188 防塵装置を付けて陸Aにすべきだと、僕は思いますよ
>>189 ホバークラフトも忘れないでください……
このスレでスパロボ風の強化パーツを考えるのも面白いかもw
>>190 フル改造ボーナスでSってのもアリかと思います
陸上で戦えなくていいじゃない 主武装が魚雷だもの
みつおゥ
>>190 ホバーで水上移動となり
水中に潜れなくなった潜水艦に存在する価値はあるのか・・・?
むしろ水中仕様デストラウ
>>187 なるほどー
ブレグレ的には『ウイング』を上手く引けるかにかかってそうだw
>>194 Σ(・ω・;)シ、シマッター! 潜れませんよねそうですよねw
防塵装置とフライトユニットのダブルでw
そうだ!最初からSアダプターを付けておけば万事解決じゃないか!
まぁー……作者の自分が言うのもアレですけど、アーマードコアでいうMT程度の戦闘力ッスよ、多分。
反則な装備があるでもなく、耐久に優れるでもなく、大火力でもない。貧弱なんですよ。
ここはティマにアクアモジュール付けた時に
スク水装備になるかビキニ姿になるかどうかについて
真面目に討論するべきだと思うんだが
>>200 そこはスク水一択だと言わせて貰おう
黒か連邦カラー(白)になるかは悩むところだが……
じゃあ、3〜4歳くらいの子が着るような小児用水着に一票
ふぅ、いいお湯じゃったわい。
>>184 オルトロックはよくいる困ったちゃんとして出そうかと思ってますw
>>187 何故かホバーみたいな感じで動きます、ゲームなのでw
大丈夫、本家VSシリーズだって無重力のはずのジェネシス内部でバクゥが大暴れしてm(ry
>>196 せ、そうですね(動揺)
>>199 代わりにコストを低くすればおkですぜ!
倒しても倒しても湧いてくるってのはけっこう精神的にキますよー。特に高コスト機使ってる時なんかは。
ええ、キルレシオがね、腕の差がね……orz
>>200 私もスク水(白)に一票!
>>200 あえて競泳タイプのスク水を推す俺は異端児
じゃあサラシとふんどs(ry
>>206 競泳水着は良いな
パイスーデザイン描きながら考えてた時、女性用のを競泳水着っぽいのにしようとした事がある
_____
/ ̄ ̄ ̄ ̄\,, /−、 −、 \
/_____ ヽ / | ・|・ | 、 \
| ─ 、 ─ 、 ヽ | | / / `-●−′ \ ヽ
| ・|・ |─ |___/ |/ ── | ── ヽ |
|` - c`─ ′ 6 l |. ── | ── | |
. ヽ (____ ,-′ | ── | ── | l
ヽ ___ /ヽ ヽ (__|____ / /
/ |/\/ l ^ヽ \ / /
| | | | l━━(t)━━━━┥
>>207 オヤジさんの装備ですね、わかります。
きっとメルフィーはビキニなんじゃろなぁ……。
>>209 唖然としているwwww
投下なら支援だ!
脱線したら活気づくのがこのスレの特徴w
投下か?投下なのか!?
>>200 勿論ぜんら……うわっ!何だお前等!なにおするやめろやめろはなせいやだいやだはりがねでしばられてしょうしんじさつはいやd
極細だ!極細が来たぞー!
ロリコンは消毒されるぞー! ロリコンを出せー!
逃げろー!?極細が来tせdrftgyふう
|┃三 /::::::::ハ、\、::::::::\\::::::::::::',
|┃ i:::::::イ `> ー─--ミ::::::::::::|
|┃ {::::::::| ::\:::/:::: \:::リ-}
ガラッ. |┃ ',::r、:| <●> <●> !> イ ロリコンがいると聞いて
|┃ ノ// |:、`{ `> .:: 、 __ノ
|┃三 |::∧ヘ /、__r)\ |:::::|
|┃ |::::::`~', 〈 ,_ィェァ 〉 l::::::》
|┃ |:::::::::::::'、 `=='´ ,,イ::ノノ从
|┃三 ノ从、:::::::::`i、,, ... ..,,/ |::::://:从
┃| 三
┃| 三
┃| 三
┃| 三
┃| 三
┃|
┃| ピシャッ!
┃| ∧∧
┃| (; ) 三
┃|⊂ \
吹いたwこのスレ大好きだw
ってか閉める方向反対じゃね? と気がついたときにはアグネスアグネス
まァいいや。十二話前編投下したいなぁ〜。
住人が、増えすぎた妄想をスレに投下するようになって10スレ以上が過ぎていた。
創作発表板の巨大なSS総合スレッドは、人類の第二の故郷となり、人々は、そこで作品を産み、育て、死んでいった。
ロボット物総合SSスレ 12号機。一般人から最も遠い男マキ・シゲルは、マッキー極細を名乗り、スレのロリコン達に戦争を挑んできた。
この5分あまりの戦いで、マッキー極細は、スレのロリコンの半分を死に至らしめた。
人々は彼の行為に恐怖した……。
l | ./ / / | \ ∧ もし誰も傷つけずに生きていいと言われたら、
`|| / / | \ ∧
_)) / / / / ,.< l | ヽ \ \ /
彳 | | l l |/ \ 、 ゝ l V | 、\ \ /_
| | | l Vrf==ミ.ヽ\` \ l V l } /\/ \
| | | 、 l リ ィ心\ヽ\__, l/ ' /∨ | 紳士たるロリコン諸君! 君達がいくら思いを寄せようと
| | | トl 、__廴fソ ハ i  ̄ / //=/ / /\
∧ | |ーゝ.\  ̄`` ∠. ィァ≦Zz.ノ ィ / /\ ティマは私と極細のモノだ! それほどティマを愛でたければ
∧\\ `\ , ´心ハ} ´iア // / //
__∧ ヽヽ { 弋_fソ_/ // /ヽx/ 私を超えてみろ!今の私は
|∧ ∧∧ 〉 ` ー=彡 / / ∨
ヘ || | | ,_ ⌒ ∠ノ , ' / / /
〈∧ヘ.| | | {ニニ_ 、_ / / ./ ' / 阿 修 羅 を も 凌 駕 す る 男 だ !
V〉 ヽ |_| ゝ ` `ミ _ 、_ / _ ´_ ´ //
=\ \\\ 丶、 `ン` / / / .∠/
コピペミスッてるし……orz
_, _
i¬ニ、=─'´ `ヾ´ ̄_二¬
', ヽン´/ ,ヾ / /
ゝ. /イ/ i ,i i"""´´´ヾ ∨ , /
Xi | | l| l| l| ミ ∨/
. l lj│! || || || キ iヘ
>>225 | |j│!_,」L.」L 」ヽ _,. _‐'ニ }. ! | 貴様は歪んでいる!
Y'| ! ト、マミ ....... ィぃTア 'ハ |│
| | ! ヘ ゞ'.::::::::::::::::.`ー' /ツ |│
| | | | ゝ. ' "",ィ´ | │|
| | | | | ト、  ̄´ /,⊥._| │|
| | | | ト. | >- イィ___∠.│|
, -、 Y.l | |V⌒y'´ f´ ヽ ̄ヾ
/ \ ∨.! k 7ユ´f'⌒、 ヽ._」
/ \ ヘ|│ン / / ト i二! _ ヒ! _
. / ヽ. ! | ∨!ノ j `ーt'/´ i \__, -‐''´
i ヾレ' i 丿 ヾ | r‐v ‐、
| /Y ,⊥∠、 l L_j !
| // l ! r¬、 ` 7 ,ノヾ 、
kij
‖iik
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':;;;;;;i|;:;:;:;:;:;: i|! `:、;;;;;i|;:;:;:;:l!
ヽ;;!;:;:;:;:;l" ゙l;;;;:‖l !
jlk'" klTi
l‖"
ヽ(´・ω・)ノ<うるせえアクシズぶつけんぞ
| /
『Diver's shell』
十二話 「真相(前)」
正午になったというのに雨は降り止まなかった。
「アレックス氏救出隊の配置を完了。そちらの状況を知らせよ」
「こちらW。Tの潜入及び組織の連中の配置を確認した。ヴァンデッタの一人が居る可能性があり、まだ突入が出来るとは思えない」
「了解」
通信を切ったウィスティリアは、タナカが送ってくる映像を見つつ、ゴーグルで締め付けられて苦しげな銀髪を無理矢理中へ押し込む。黒服の男達が居る家から少し離れた廃屋の屋上の影。倉庫の奥に彼女は居る。
タナカは上手い具合に屋根裏や断熱材の裏などに潜り込んで小型カメラで映像を撮ってきている。状況は大体掴めたが、家と周辺が入り組んで狭いという悪条件の為、中々突入の機会を見出せないで居た。
どんなにプロを集めても失敗するときはある。ならば、いい条件を揃えて失敗の可能性を出来る限り低くするのが良い。
既に突入隊は待機している。一声かければドアを蹴破って救出可能だが、拘束されて銃を向けられているのでは躊躇ってしまう。
知らせないことを条件にしている以上、黒服の連中に連絡など取ったら血祭りは必至。
交渉の余地は無く、あるのは暴力による解決のみなのだ。
ウィスティリアは空を見上げた。灰色の雲に覆われた空からは夏に近づいた匂いを孕んだ雨が轟々と叩きつけるように降り注いでおり、帳をかけるように波打っている。
雨が止まないうちに決行すべきだろうか。雨が降っていれば音は打ち消され、家に接近するまで姿を覆い隠してくれるに違いないのだが。数秒の悩みの後、タナカが送ってくる映像をゴーグルで確認する。
天井の隅からの映像だ。女は顔色一つ変えずに銃の分解整備を行っているのだが、周囲の男達は明らかに疲れている。寝てもいいオヤジとエリアーヌと違って常に警戒していなければならないからだろう。
映像を切り替える。家の裏庭のようだ。男数人が、家の屋根の影で雨を避けながら、タバコで一服している。素人とかそんなレベルではない。銃を持たされただけなのではないかと考えてもいいくらいだ。
チャンスだ。
タナカが潜入に成功し、男数人が家の裏で一服していて、天気は雨。
やるなら今しかない。ウィスティリアは廃屋の屋上の倉庫から飛び出し、無線に命令を出した。
タナカはカメラがしっかりと固定されていることをサッと確認すると、腰から取り出した金属性のワイヤーを手繰らせ、ピンと緊張させるように握る。
屋根裏から這い出て、トイレの天井の蓋の隅から内部を覗き込む。誰も居ない。足音や気配も聞こえなかった。音をさせないように、便座の蓋の上に足をつけ、天井を閉める。
ドアの内側に耳をつけて外を確認。ドアを薄っすらと開けて片目だけ出すようにして廊下へと視線をやって安全を確認し、さっと出てドアを閉める。ドアノブを捻りながら閉めるのを忘れない。
トイレから家の裏の倉庫へと忍び足で進む。これまた誰も居ない。タナカは、微かなタバコの臭いを感じて鼻を動かす。まだ吸っているなら行幸だ。
裏庭へ出る扉に近づけば、強めにノックをして、普通なら出さないしゃがれ声を張り上げた。
「サボッてんじゃねぇーぞ!」
外で大体3人程の足音が聞こえ、小さく罵り言葉が聞こえた。どたどたと慌しく駆け寄ってくる黒服の男の足音三人分。タナカは両手に握ったワイヤーを目線まで上げて見て、壁際に身体を吸い付けるように寄せた。
ドアが開かれる。タナカは足を突き出して男の一人を転ばせた。すると、後ろから入ってきた二人も覆い重なるようにしてばらばたと倒れ掛かっていく。間抜けにもほどがある。
「誰だおまッ!?」
最後に入ってきた男が、タナカを見るや声を上げて、銃を構えようとする。だが転んでもつれた状態では構えるものも構えられない。タナカは男の首をワイヤーで縛り上げ、胸倉を掴んで柔道の要領で地面に叩きつけて沈黙させる。
二番目の男には頭部に踵落とし。鍛え抜かれた筋肉と重力から生じる威力に一撃で意識が粉砕された。
最後。一番下に居る男。やっと襲撃にあったことに気が付いて叫ぶ頃には時既に遅し。タナカが両手に握りなおしたワイヤーが脂ぎった首筋に食い込んで声を上げさせない。タナカは、ワイヤーを引いて首を圧迫することで意識を奪えば、男を床に横たえる。
物音に気が付いたのか、家の表のほうから足音がしてきた。さっと身を翻しつつ無線機をつける。
「突入を」
「了解」
銃を構えて訝しげに倉庫に入ってきた男にタナカが襲い掛かる。家の曲がり角から突如現れたかと思えば、頭部に拳を叩きこんで背後に周って口元を押さえ、引き抜いたナイフを目の前で見せつけ、両足を裏から膝で押して地面に膝で立たせる。
タナカはナイフを腰に仕舞い、もがもがと口を動かしながらも恐怖で両目をぎょっと広げている男の首筋に拳銃を押し付けた。
「立て」
男に選択肢は無い。
タナカは、男を盾にしたまま居間へと進んでいく。拳銃を見せびらかすように男の首筋に食い込ませた。
その時、突入隊がスタングレネードを家に投げ入れた。グレネードランチャーで投射された弾が窓ガラスを破壊して突入。閃光が爆発するなかで、レーザー狙撃銃による無音の一撃が煌き、実弾による正確な射撃が男を制圧していく。
「クソがああッ!!」
女の絶叫が轟いた。
タナカは男を盾に侵入した。
黒服の男達は皆倒れて、オヤジとエリアーヌは地面に伏せていた。エリアーヌは全身グルグル巻きなので芋虫のような体勢なのだが。
全身黒で統一された防護服に身を包んだ隊員の何人かが外で銃撃戦を始めた。
はて、二人を確保し、黒服の男を半分死んでいるとは言え制圧できたのに銃撃戦?
タナカはそう考えつつ、盾にしていた男の首筋に手刀を叩き込んで昏睡させて床に転がし、拳銃の安全装置をかける。そういえばウィスティリアが見つからない。タナカは駆け足で家の外に出て、拳銃の安全装置を外しながら道路に出る。
女だ。例の女が、隊員と凄まじい銃撃戦を繰り広げていた。両手の自動小銃を乱射し、腹部に弾丸を受けようが受けまいがお構い無しに隊員を釘付けにしている。
タナカは、コンテナの陰で攻撃の機会を伺っているウィスティリアの側に寄り、拳銃を腰に戻して背中の散弾銃を両手に握った。
「ヴァンデッタが派遣した戦闘用義体ですかね」
「でしょうね。防弾チョッキ着てると言っても直撃して痛くないなんて妙な話よ。足に当たってるのに痛そうじゃないし。面倒ね。市街地で銃撃戦なんて」
女は、隊員の撃つ短機関銃の銃弾に当たっているにも関わらず、両手の銃をひたすら撃ちまくりながら徐々に後退し始めている。
自動小銃は連射すると銃身が跳ね上がって命中は期待できない上に反動が物凄い。女は義体特有の腕力で押さえつけているのだ。用済みになった薬莢が面白いぐらいに飛び跳ねて落ちていく。
ウィスティリアは狙撃を要請しようとして無線機を起動した。
「拳銃弾やレーザーを防げても―――」
発射。
物陰に隠れようとした女の左腕に大きな穴が空き、衝撃で自動小銃の片方がどこかへ滑った。タナカは、散弾銃のポンプを引いて弾を装填し、物陰から身をせり出して引き金を落とした。耳をつんざく射撃音。女の片腕に皹が入って表面が砕けた。ポンプアクション。
かちん、と排出されたシェルが水溜りに落ちて止まる。
再装填。タナカは何気ない動きで弾道を調整し、女が腕を動かすよりも前に同じ場所に弾丸を叩き込む。ポンプを引き、ショットシェルを排出。硝煙が立ち上る。
「スラッグ弾は防げない」
それでも初弾は防いでいたのだから驚きだ。タナカの腕の良さが無ければ片腕で銃を撃ち続けていたかもしれない。
女は、片腕が破壊されても痛みを感じないのか、意味不明な言葉を吐きながら路地裏へと逃げ込む。すかさず数人の隊員が後を追って走り出した。
雨は降り続いている。水の音にも負けない銃の連射音がばりばりと響く。
「あんな狭いと狙撃は無理ね。加勢しましょ」
「了解しました」
二人は髪や装備がズブ濡れなのを気にせずに駆け出した。
ほぼ同じ頃、別の場所でユトとメリッサの家族などを監禁していた黒服の男達の仲間が一斉に取り押さえられたという報告が入った。
『機体』の性能は、いまだ体験したことが無い未知の領域に達していた。
それは、そう、レシプロ機乗りがある日突然ジェット機に搭乗した時。地べたを這いずり回るしかない鶏が天空を舞えるようになった時。長い間隔でしか主観を刻めない植物が人になった時。
ポンピリウスとは比較出来ない速度で水の中を「飛翔」する機体。空気の皮膜を作ることによって水の抵抗を皆無にし、浮遊して推進することで、水中であるというのに矢の様な速度で進む。
『鍵』によって目覚めた機体には、パスワードなどのセキュリティが設定されておらず、しかも乗り込むと読めなかった言語も全てが読めるようになった。
運良く二人乗りということもあり、ユトとメリッサは機体に乗って地上へと帰還していた。
例の『宝石』は、機体に乗って遺跡内部をくまなく探した結果、添付されていた写真そっくりのを発見したので持ち帰ることにした。ポンピリウスを失ったのは痛手だが、たったこれで命を救えるなら安過ぎる出費だ。
だが二人は腑に落ちない点が幾つもあった。
まず一つ目。黒服の連中は、何故こんなことをしなくてはならなかったのか。『鍵』を奪って勝手に潜ればいいではないか。人質までとって潜らせる必要があったのか。
二つ目。遺跡の謎の空間にあった機体と宝石は一体なんなのか。遺跡が建造された目的すら分かっていない今考えたところでどうしようもないことなのだが、つい考えてしまう。
機体に乗って遺跡内部のパイプラインを進んでいる最中にガードロボに見つかっても襲ってこない。何か理由があるのだろうか。機体を味方と認識しているなら説明が付くが、それならば何故、誰でも乗れるお手軽設計にして置くのかという疑問が残留する。
ユトは、潜水機と大差ない方式でありながら圧倒的に滑らかかつ機敏に動く機体に圧倒されながら、記憶の中にある道をひたすら遡っていた。メリッサは作業しようにも右腕が無いのでぼんやりと外の様子を窺っている。
メリッサは、疲労を湛えた顔で、腕時計を見てみる。13時。昼間だった。不思議と空腹は感じない。ただ、皮膚にじりじりと迫ってくる焦燥感と不安が、どうしようもない苛立ちを生み出してくる。
父親は、オヤジさんやエリアーヌは無事だろうか。メリッサは左手で前髪を掻き揚げて一時的にオールバックを作って崩す。頭皮が解れる。思考の逃避でもある。
「急いで」
「分かってる。けど、もう少しかかると思う」
機体の速度を上げる。今までの潜水機の全速が亀のように遅く感じられるほどの高速へと達し、景色が目まぐるしく変わっていく。独特な低音を撒き散らしながら一機の蒼い機体が遺跡の複雑なパイプを曲がり、鋭角に地上を目指す。
機体が進むたび、脇に寄せられた水が遺跡の壁を撫ぜ、押し寄せて、静止している水へと衝突して消える。
約束の時刻までは猶予はあっても、心に余裕は無かった。
「WとT、及び救出隊より本部。ヴァンデッタの一人を追い詰めました。目標の救出は完遂。捕獲します」
ウィスティリアは、短機関銃の弾がマガジンに入っていることを確認して、差し込みなおして銃を撃てるようにする。黒の防護服に身を包んだ二人と、救出隊の隊員は、手負いの女をとある倉庫へと追い詰めていた。
義体は本来なら人間と同じ出力・強度しか許可されていないというのに、女のそれは遥かに凌駕しているとしか思えない性能であった。
だが所詮は単身。拳銃弾では致命傷を与えるに行かなくとも、10、20、30と撃ち込めば損傷を広げていくことが可能となる。人の形態では防御にも限界がある。
雨に濡れた二人は、女が逃げ込んだ倉庫の鉄の扉の前で待機している隊員達に合図を送ると、二階にある錆び付いたドアの前で中の様子を窺う。周辺は隊員で固めてある。逃げられはしない。
「お先にど〜ぞ?」
気軽い調子でタナカを先に入れようと微笑を浮かべてみせるウィスティリア。タナカは溜息を漏らすと、散弾銃の安全装置を外す。ウィスティリアがドアノブに手をかけて開ける準備をする。
雨の音が何も無い時間を埋める。
誰かが息を飲む音がした。
「………GO!」
タナカが言うより先にウィスティリアが扉を開け、同時に銃を構えた隊員が倉庫の中になだれ込む。タナカが豹を思わせる俊敏な動きで倉庫の中に滑りこみ、後ろからウィスティリアが続く。
二階には居ない。一階だ。二人は、二階で激しく撃ち合いが始まったのを聞いた。直ちに加勢すべく、手すりから身を乗り出して銃を構えた。
女は、大声を上げて悪鬼の表情で、自動小銃を片手で構えて撃ちまくっていた。
隊員は遮蔽物に身を隠して応戦しているが、女の命を顧みない大胆な射撃に阻まれて有効な一撃を命中させられない。足や腕に命中しても痛くないのだ。女は自動小銃の弾を装填し、また気が狂ったように撃ちだした。片腕で装填出来るとは驚きだ。
女は上の二人には気が付いた様子は無い。
タナカは右腕を。ウィスティリアは短機関銃による援護射撃をせんとして構える。
「撃って!」
ウィスティリアの一声が引き金を落とす。爆音が倉庫に轟いた。
無事だった方の左腕の間接に散弾銃から放たれたスラッグ弾がめり込んで向きを捻じ曲げ、ウィスティリアの短機関銃の掃射で自動小銃が沈黙。隊員達が身を乗り出し弾を叩き込み、女をその場で崩れ落ちさせた。
全身至る所に穴を穿たれ、場所によってはオイルを垂れ流し、電流を迸らせ、地面で痙攣している。義体であるから死にはしないだろうが、動くことは不可能である。油断なく二人は銃を構え、隊員が女を確保するところを見守る。
隊員の一人が親指を突き上げた。辺りにほっとした空気が流れた。
ウィスティリアは短機関銃を下げ、ゴーグルを頭から外して匂うように美しい銀色の髪の毛を引き出して頭を振った。タナカも銃を降ろすと、やや解れた表情を見せる。
「終わりましたね」
「そうね。あっけなかったけども」
後は、多分帰還してくるであろうユトとメリッサを回収することだけだ。到達出来たとは思えず、かといって死亡しているとも思えない。自分の命と引き換えにしてでも助けようと行動していることだろう。
二人は倉庫から出ようとして、
「これは―――?」
ウィスティリアが微細な音を拾ったことで足を止めた。
どこからか、キーン、という高音が響いてきているのだ。倉庫内部ではない。外だ。それもある程度の距離、もしくは高さ。雨の音を掻き消して、不安定に大きくなったり小さくなったりを繰り返している。
ヘリなどを頼んだ覚えもなければ、市街地の上空、しかも低空を大型の航空機が飛行許可を取れる訳も無い。
その時、二人の無線と女に応急処置を施していた隊員の無線機が鳴った。
全員が降ろしていた銃を構えなおして警戒する。隊員の中には壁際に寄って背中をとられないように警戒するものも居た。
「本部より各員。武装した飛行艇が……!」
ノイズ交じりの無線が情報を伝えた。
次の瞬間、倉庫に居る誰もが動く間すら与えられず、真上から機関砲による掃射を受けた。屋根が弾け、倉庫そのものが圧倒的な鉄の嵐に晒されて小爆発を起こし、崩落する。
―――……射撃音は、遠くから聞けば獣が遠吠えをしているかのようだった。
【終】
何と衝撃的な展開……投下乙
支援に感謝!!
プロローグを本編に入れないのなら、後編が最終回かと。
疲れたー。
プロローグじゃねぇよエピローグだよ!
>>251 二回目だけど乙っすー。後で読みますねー
長いようで短かったなぁ…
>>251 投下乙です!
黒服共め、ざまぁ見やがれ!! ……と思ったらまた大変な事に……ええい、悪というのはしぶといものですね。
しかしウィス姐さんとタナカさん(ウホッ)は一体何者なのか……。
次回も楽しみにしています!
>>251 投下乙!
いいね、黒服の連中がやられた時は実にスカッとしたよ。これがカタルシスというものか……
>>251 投下乙!
タナカさん手並みが鮮やかすぐるw
遺跡の新型器の高性能っぷりに驚愕w
ウィステリアとタナカは無事なんだろうか……次回も期待しとります!
>>223 YouいっちゃいなYo!
キャラの核心に迫る裏設定とか考えていたら変態になってた
幼い頃に近所のお姉さんに悪戯されてそっちに目覚めたとか、死別した母親の温もりが忘れられなくて
母性を求めるあまりそっちに目覚めたとか、冷淡な両親の元で育ったが故に孤独を紛らわす為に実妹と
×××しちゃったとか、養父に襲われそうになったので逆に殺しちゃって以後男性恐怖症になって
同性じゃないと駄目とか、ただ単に生れつきの天然女ジゴロで気がつけばそっち系だったとか、
美しいものを愛でるのは当然の事だと宣うどうしようもないガチだったとかetc…
駄目だ変態淑女しかいねぇorz
>>257 変態幼女と見間違えた自分は死んだ方が良いと思った。
>>257 流石の俺も感服せざるおえない
何だ……俺って普通だったんだな。安心した
やはりここは変態のすくつなんですね
>>253 ふと気がついたら13万文字になってたでゴザル
>>254 悪は往生際が悪いのがデフォに違いないです。次回も頑張ります。
>>255 半殺しですからねw
>>256 途中でCQC使わせて見ました。タナカかっこいいよタナカ。
遺跡の機体の脳内イメージは自分の好物のを具現化させたという。性能も。
>>258 構わん、それを書くんだ
完全にすくつです本当に(ry
×変態のすくつ
○紳士の社交場
>>251 投下乙です
矢継ぎ早にトラブルが訪れる、この展開は熱いぜw
つうかWTコンビかっけぇw
そして、超性能(スーパーキャビテーションかな?)な新機体イカすなぁw
後編にも期待!
>>251 投下乙です、神秘的な雰囲気の新型機いいですな。
それと黒服さん方のフルボッコされっぷりにスッキリ致しました。
次回も楽しみにしております。
23時頃に投下予定です、現在最後の誤字脱字探し中w
今回1万2千程度なので支援よろしくです
>>251 乙です
後で読ませていただきます
>>265 遺跡の機体の性能高すぎで潜水機涙目というw
次回も頑張ります。
>>266 はいな、次回も頑張りますっ
>>267 支援できれば支援しますぜ!
>>271 ああ、それロスガのうわ極細なにをするやめ
「ちょっと、待ってくれないか?」
クーガの発案した妖魔撃退案を踏まえ、これからのシャドウミラージュの行動に決を採ろうとした時の事だった。
一人の男が立ち上がった。
眼鏡をかけた細身の男。
そう、この会議でクーガの発言をことごとく反対してきたレイズだった。
「決を採る前に一つ、クーガ・ラグナグに一つ聞いておきたいことがあるんだがいいだろうか?」
「いいだろう、認めよう。」
場を仕切っていたホークアイはそれを認める。
クーガはそれを見て、まだレイズが折れていなかった事を知る。
この男とはどうも平行線を行くことになりそうだ、とクーガはその時、思った。
「今更なんでしょうか?あなたの言ったことに対して全てこちらなりの対論を用意し答えたつもりですが・・・。」
「そうだな。」
レイズは即答した。
「簡単に認めるんですね、それではこれ以上、何を言いたいんですか?」
きっと、また何か新しい問題点を作ってごねるつもりなのだろう。
そうクーガは思っていた、だが返ってきたのは――
「とある人の教えでね、引き際は大切だと言われていてね。とりあえずこれから行う決でそれは決まるからいい。だが一つ、君に問いたい事があるんだ・・・。」
そのいい様は不思議な感じがあった。
まるで、この男は決によって得られる結果には興味を失っている。
クーガにはレイズを見て何故かそう感じられた。
いや、もしかすると最初からこの会議の結末などに興味は無かったのかもしれない…。
「ええ、いいですが、これで本当に最後にしてもらえますか?」
何故?そんな風に感じたのだろうか。
自意識過剰なのだろうか、だが、何かモヤのようなモノを感じる。
クーガは考えるが、そう感じた理由を突きとめる事が出来ない。
背筋に嫌な汗が流れる。
だが、そんなクーガに構わずに、
「ああ、約束しよう。」
レイズはそう言った。
そして少し回りを見渡した後、言葉を続ける。
「さてと、これはさきほどホークアイ氏が君にかけた誓約と同じようなもので単純に興味で聞く話だ。
君は妖魔を倒す事でシャドウミラージュに課せられた任務を遂行できることから、我々がその危険に身を晒す価値がある事を示した。」
「それが何か?」
「せっかちだな、君は・・・ここはいわゆる前説という奴だ、ここからが本当に聞きたいことなんだが、結局のところ、君は内心『名無し』に住んでいる人間を救おうとしてこんな発案をしているのだと思う。」
「だったらなんなんだ?」
クーガの声に少し怒気が篭る。
虫の知らせとでもいうべきか、さきほどから嫌な予感がするのをクーガは感じていた。
「うん、公私混同するのはこの際、別に良いよ、この部隊を作った理由だってそんなようなものだからね。でも君は一つ大事な可能性を見逃している、いや、あえて目を背けているとでもいうべきかな・・・。」
レイズに違和感を感じる。
さきほどまでのレイズの口調はある種、堅いものがあったのだが、それが何故か今は柔らかくなっているのだ。
「勿体ぶらないでさっさとお願いします。」
「人の話はゆっくり聞いて欲しいもんだけどねー、ああ、わかった、わかった。じゃあ、本題に入ろう、では君はどうやって『名無し』に住んでいる人間たちをこのイアナーラに移住させるつもりなんだね?」
その言葉はズシリとクーガの心に圧し掛かる。
「別にこれは集落にいる人間たちの移動手段をどうするんだ?なんて言ってるんじゃないよ。
うん、うん、賢明な君ならわかる筈だ。彼らはいわゆるコミュニティという奴だ。
国から追い出されて来た人間たちの集まり、それが生きるために懸命に努力して、一つの集落を作り上げた。
その苦労は非常に大変なものだっただろう・・・。だから彼らは妖魔に従ってまでそのコミュニティを守ろうとした。
そんな彼らがそう簡単にこの町に移住してくれるかい?」
「それは自分たちの命を守ろうとしたからだ!!だから、生きるためにはそういう支配を受け入れざるおえなかった、それは彼らの生きようとする意志に他ならない。だから生きるためならばきっと受け入れてくれる筈だ!!!」
クーガは大声をあげる。
それと同時に自身に余裕が無くなってきているのを感じる。
そう、おそらくはこの男の言いたいところはこういう事では無い。
ほうら―――あの男がニヤリと笑って言ってきた。
シェー
「そう、そこなんだよ、最大の問題点は・・・。この町はかつて貿易都市として栄えていた、そして妖魔に滅ぼされた街だ。
きっと君にもこれが何を意味するかわかる筈だ。
そう!君の言った通りなんだ、大事なのは例え移住したところでこの街でずっと生きていけるという保障がどこにあるのか?つまりはそういう事なんだ。」
レイズは続ける。
「今は僕らが各地で彼らと戦い、このシャドウミラージュの本拠地がイアナーラである事を突き止められないように各地でかく乱している。
今のところはそれが上手くいっているのは確かだ。だがな、結局のところこれは一時的なものでしか無いんだよ。
いつかはばれる、それに我々は別に街を守るために結成された部隊じゃあない、妖魔を殺すために結成された部隊だ。
つまりはな、ずっとここに居座って守ってやれるわけじゃあない。それは君にも言える事だね。
いくら自由が効く権限を持っているとは言っても、D型を与えられた者の責務を放棄する事なんて許されるわけがない。
これが何を意味するか?簡単だ、結局のところその『名無し』の人間たちには妖魔達に殺されてしまうという結果が待ち受けているという事なんだよ。
さてと、ここで質問だ、きっと君の案通りにいけば『名無し』の住人達はここに移住してくるだろう、君の言った通り生きる為にね。その後、君は彼らになんていうつもりだい?」
「・・・・・・・・・・・・。」
何も言えなかった。
「俺はあなた方を救うためにここまで頑張りました、その結果、あなた方を救う事が出来ました、あとはあなた達だけで頑張ってください。こう言うかい?」
何か言わないといけないと思うが、口が動かない。
何を言えばいいのかわからない。
「それともだ、僕たちはいなくなるけれど、この町はきっと大丈夫です、おそらくは妖魔達が襲ってくる事はもう無いでしょう。これなのかな?」
そんな、そんなのは…
「ああ、そうか、それでも僕が鋼騎士をやめてこの街のためにがんばります、自分に目をかけてくれた人の事なんて忘れました。うん、偽善者ならこれだな。」
そんなのは絶対に―――
「嫌だ・・・。」
何か言わないといけないそう思って最初に吐いた言葉がそれだった。
体が震えている。
「『嫌だ』ね・・・。それはガキの発言だよ。君の偽善と自身の心の裕福の為によって変な希望を与えて、君の心は満たされるわけだ。
でも、その後さらに君は彼らに今以上の絶望を与えかねない。
だとするならさ、そんな希望を与えてやらない方がずっと優しいんじゃないかと僕は思うんだけどね。」
「――嫌だ・・・。」
クーガは呟くように繰り返す。
それに対してレイズは冷たく――
「だからそれは――」
「嫌なんだ!!!もう、絶対に嫌なんだ!ちょっとでも可能性があるのにそれを見逃して後悔するのは嫌なんだ!!また、あの時みたいに後悔するのは嫌なんだ!!!だから、だから――俺は――俺は――。」
1年前、もし、あの村で妖魔達に襲撃された中、我が身可愛さに逃げ出したりしなければあの村は救う事ができただろうか?
半年前、もし、あの円盤上での闘いでもし俺があの時、諦めなかったら、俺はあの男を救う事が出来ただろうか?
周囲の人間たちは仕方ない事だ、きっと諦めなくても助けられなかった、むしろ君まで死んでいたとクーガを慰めた。
でも0%ではなかった筈だ。
救えたかもしれない。
救えたかもしれないのに・・・!!
それを自分はしなかった。
そうしなかったのだ。
そう、だから、これからはと思った。
自分に決して諦める事を許さないという誓約を定めた。
だが、これはなんだ?結局、お前は何も変わっちゃあいない。
何がラグナグだ、何が名誉騎士だ、何が閃刃だ。
お前はゼスを殺したあの日、あの時からまったく前に進めていないのだ。
前に進みたいのに、前に…もっと…モットマエニ。
「ふむ、それが君の本質というわけか・・・危ういな・・・。」
狼狽するクーガを見てレイズは頷く。
「まあ、君の考えでは――」
そうレイズはクーガにさらなる追求をかけようとした時――
「―――グレイル、そろそろその辺にしてやってもいいんじゃないかの、これ以上はなんというか趣味が悪いじゃ済まされん域に入りそうじゃ。」
さきほどまで沈黙を守っていたホークアイがそう告げた。
ただ、その発言に少々の違和感を感じさせる。
ホークアイの声には先ほどまであった厳格な雰囲気が無いのだ。
「―――そうかな?」
ホークアイの発言を受けてレイズはおどけたように言う。
「俺様もそう思うぜ、ちょっと悪ノリしすぎだ、隊長。」
「あたしもちょっと引いたわー。」
「クーガ君が可哀想ですよ、まだ入ってきたばかりなのに…。」
「たばこ……。」
会議室内の人間がレイズに向けて糾弾を開始する。
レイズはそれを受け大声を上げて――
「ええい!お前らも最初はやる気満々でやってたくせになんだいきなりこの展開は!!!これじゃ俺一人が悪役みたいじゃないか、いや、嫌われ役楽しそうだしと引き受けたのは俺だけどさ!!!こんな展開、俺はまったくといって望んでいない!!!!」
クーガはきょとんとする。
いや、何が目の前で起こっているのかまったく理解出来ない。
「大体さー悪趣味よねー、人の心の傷まで抉ろうとするなんて・・・。」
「何が悪趣味だかまったくわからん、俺は俺なりにだな、こいつの化けの皮を引っぺがしてやろうかと・・・思ってただけで、これが悪趣味だっていうのか!!」
会議室上の人間たちが息を合わせて―――
「ああ!!」
「うん!!」
と言った。
「ちくしょー、てめえら、俺だけに責任押し付ける気だなぁ〜。くくく、覚えてろ、ガメロン星人。」
「誰だよ、ガメロン星人って!!!」
「いや、知らない?最近スーサウで流行の―――。」
会議室中の人間たちがレイズに向けてわけのわからない騒動を起こしている中で・・・クーガは少しづつ冷静さを取り戻しつつあった。
そしてちょっと余裕が出来た頭で考える。
そもそも隊長ってなんだ、隊長って・・・なんの隊長?
情報の統括担当しているレイズって人だよな、こいつ。
えーと、でもさっきホークアイがレイズに向けてグレイルがどうだのこうだのと・・・。
グレイル、グレイル、なんか聞き覚えがあるなこの名前。
ん?名前、ああそうだ、思い出した、確かグレイルっていうのはシャドウミラージュの創設者で、えーとつまりは―――
「はぁぁああぁぁぁ?」
クーガは一つの結論にたどり着き思わず声を上げる。
「おう、クーガ君、どうしたんだね、ははは。」
それに対してレイズ(自称)は笑いながら言った。
なんかむかっ腹が立ってきた。
もし今、自分が考えている事が間違っていないのならば・・・えーと、その、この様々な感情のトルネードを何処にぶつけるべきか・・・。
いや、まずは事実確認が先だ。
うん。
「えーと、とりあえず聞いておくけれど、あなたの本名はレイズじゃあ、ありませんね?」
それに対してレイズ(仮)はにこやかに笑って――
「おう!よく気づいたな!!本当の情報担当のレイズ君はこっちの眼鏡くんだ!!」
とレイズ(ビチ糞)の横にいた眼鏡をかけた細身の男、指差した。
レイズ(本人)は申し訳なさそうな顔をしてクーガを見て
「は、はじめまして、じょ、情報の担当やってる、レ、レイズです・・・。」
とビクビクしながら応えた。
うん、もうこれは確定だな。
間違いない。
うん、うん、うん、うん。
「そしてレイズと名乗っていたあなた、あなたの名前は自分の予想だと『グレイル・レイスター』とかいう名前なんじゃないかと思うのですが・・・。」
「ピンポーン、大当たりー!!おいおい、皆見ろよ、こいつすげえぜ、ばれない様に伊達メガネかけて、髪を括ったりして完璧な変装までしたのにこいつあっさりと正体を当てやがった。」
さきほどまでレイズとかいう偽名を名乗っていた男グレイルが楽しそうにそう言うのに対し、セイム、ミナ、ホークアイをはじめとする面々がものすごーく可哀想なものを見るような目で見つめる。
「ああん、駄目、そんな純な瞳で見ないで!!感じちゃう!!!」
両腕を抱き合わせ体を震わせながらグレイルがそう言う。
どうしよう、物凄く殺したい・・・。
そうクーガが思った時、グレイルはクーガの方に向いて真面目な顔して語りかけてきた。
「まあ、悪ふざけはこのぐらいにしておくか、あらためて初めましてだ、クーガ・ラグナグ、俺がこのシャドウミラージュの部隊長を務めている、グレイル・レイスターだ。
今のは、えーとなんだ、新人がどんなとーへんぼくなのかなーというのを皆で嘘ついて知ろうという。
まあ、そんな感じの余興だったんだが、思いのほか上手くいってあんまりにも面白かったんでつい悪乗りしてしまった。柄にもない一人称、そうそう僕って奴、使ってたんだけど結構、俺の演技もうま――――――うげぶ!!」
クーガの拳がグレイルの顔面を直撃する。
感情などよりも反射的に体が動いた感じだった。
「い、痛いじゃないか!!親父にも―――ぶげらば!!」
さらに一撃、もう一撃、両腕で二撃、拳打は止まらない。
「い、いや――うぎ――なんつーか――ぐご―――本当に―――げび―――すまんかったと思ってるからさ――うががが――ああ、悪乗りしすぎました、許してください本当にすいませ―――うぎぃぃいぃ。」
その瞬間、グレイルの股間にクーガの蹴りが炸裂した。
それはイングラ王国に伝承されている古武術の究極の技にして、あらゆる屈強な能力を持つ男にも等しく大きなダメージを与える武道の極意。
ありとあらゆるモノはその一撃の前には無力であり、それを撃たれたものは確実に戦意を喪失する。
かの武名を持つ有名な拳術家、ストロング・タイタンですら、この一撃に対しては撃たれる前に倒すしか無いと評したほどだ。
故に一撃必殺、その一撃が今、電光石火の如くグレイルの股間を襲った。
グレイルはその撃たれた股間を抑えて悶絶するように床に倒れこむ。
流石にその光景を見かねたのかセイムがクーガを止めに入ったのだが、まったくグレイルへの攻撃の手は緩まずその後、5人がかりでやっとの事でクーガを止める事に成功した。
月の光が薄く差し込む夜空。
雲もほとんどなく、その空には月の他にも数々の星の光が灯っており、それはなんとも言えぬ自然の神秘を感じさせる。
まさにこの光景こそ満天の星空というに値するだろう。
そんな中、一つの黒い影が星の微かな光を遮っていく。
鋼機運搬用の小型飛行船ともいえるそれは『名無し』北部への妖魔の群れに向かって飛行していた。
何をするためか・・・。
無論、その妖魔達を殺す為だ。
「あっれぇー、拗ねてんのかなーやっぱり?」
飛行船の後部にある鋼機格納庫内の鋼機に既に搭乗しているミナが飛行船の操縦室にいるクーガに向けて無線ごしに話しかけてきた。
「拗ねてるんじゃない、怒ってるんだよ。」
「あちゃー怒っちゃ駄目だよ、怒っちゃぁ。あんなの軽いジョークなんだからさ。」
軽口を叩くようにミナは言った。
「あ、あれが・・・ジョーク・・・・・・だって・・・・・・。」
もしあれをジョークで済ませられる人間がこの世に存在しているのならば、その人物を拝んでもいい。
その時、クーガは真にそう思った。
「それにあんなに面白い展開になるなんてこっち側も予想すらしていなかったわけで・・・。」
ミナが思い返しながら能天気に言う。
クーガはそれをとても歯痒く思う。
あとで聞かされたのだがあの会議の目的としてはクーガが一体どのような人物かわからないから、ちょっと騙して、どういう人物なのか知ろうという意図があったらしい。
あとは新手の新人いびりか…。
なので、あの会議でされた内容は全て嘘・・・だとまだ良かったのだが、8割方は本当の情報だった。
つまりは妖魔が『名無し』に迫っているというは事実だったらしい。
だが、シャドウミラージュではレイズと名乗っていたグレイルが言っていたように『名無し』を見捨てる等という考えは毛頭無く、最初からどうあっても助けに行くという事で一致していたようだ。
『名無し』の住人達には前もって交渉済みだったらしい。
現在、自分たちが妖魔討伐に向かっている向こうでセイムは『名無し』の住人達を回収し護衛する任にあたっている。
つまりはクーガが皆を説得するために必死に頭こねくり回して考えていた事は全て無駄だったという事を意味していた。
その上、あんまりにも情けない醜態まで晒してしまったのだ。
なんというかあまりの恥辱に猛烈に死にたいという衝動がクーガの中で蠢いていた。
「いや、でも本当に驚いたんだよ。」
ミナが面白そうにあの会議室を思い出して言う。
クーガはそれに対してなんとも怪訝そうな顔をして
「何がだ・・・。」
と応答した。
「いやーあれだよ、実はさ、あんたがグレイルに向けて提案したあの案があったじゃない?」
「ああ、それがどうした?」
もう思い出したくもない事だった。
「あれね、グレイルの言ってたあたしたちに今回『名無し』へと戦力向ける為の大義名分として言ってたと事とまったく一緒だったんだよね。
私達にはまあ、ちといい加減だが、このぐらいの理由づけしとけば大丈夫だろうって説明しかなかったから、ああいう目論見まであったのはまったく知らされてなかったけれど…。」
その発言にクーガはいささか驚いた。
“結局のところその『名無し』の人間たちには妖魔に殺されてしまうという結果が待ち受けているという事なんだよ。”
ならばあの男が自分に向けた言葉は何だったのか・・・。
これを言ったのはグレイル・レイスター本人だった筈だ。
ならば自分のあげた案の問題点も全て理解していた筈、それでいて彼はその案を発案したという。
矛盾していないだろうか・・・。
彼は結局は無駄な徒労に終わることを実施しようとしているのだ。
だが、目的を果たせない可能性の大きい案を彼が取り入れたのは何故だ?
戦略的な価値があるから妖魔を殲滅するのであって『名無し』を見捨てるつもりで最初からいた。
そう、これならば筋は通っている。
だが、そういうわけでもなかった。
グレイルはクーガとミナを妖魔の殲滅に向かわせる一方で、護衛を兼ねてセイムを『名無し』の住人達の移送に向かわせた。
もし、戦略的な価値として、その戦闘を見込むのならば、住人の安全よりも二機のD型鋼機によって敵を殲滅させ、その戦略が確実に実を結ぶようにするべきだろう。
そして何よりも本当にこの戦略を行うのならば、『名無し』の住人は見捨てるべきなのだ。
その方が無駄な戦力も使わずに済む。
だが、グレイルはそれを行わなかった。
つまり彼は『名無し』の人間を見捨てるつもりなどは無く、彼もまたあの村の住人たちを助けようとしていたという事になる。
だとするならば、グレイルは何故このような行動を取ったのだろうか・・・。
決して、彼らを救えないこの案を…。
感傷か?それとも戯れか・・・。
それはクーガに自身の案が駄案である事を示した男のする事とは思えなかった。
いや、もしかするとあの男は自分が答えられなかった、あの問いの答えを知っていたのかもしれない。
そう、『名無し』の人間達を完全に救える方法を・・・。
ふと、そんな考えがよぎったが――。
“ああん、駄目、そんな純な瞳で見ないで!!感じちゃう!!!”
「うん、無いな。」
即座に確信を持って断言した。
「あんた何独り言、言ってんの?」
あんまり唐突な発言だったせいかミナがいぶかしげに聞いてきた。
「いや、なんでもない。」
「そう。」
不満そうにミナが呟く。
ここで一つ気にかかっていた事があったのを思い出した。
この数時間で色々ありすぎて、頭がパンクしそうだ。
「そういえばさ、お前、大丈夫なのか?」
「ん?何が?」
「何がって、これからお前がやる事だよ。」
「あーあー、なんだークーガっち、もしかしてあたしの事、心配してくれてるの?」
「“っち”ってなんだ“っち”て!!やめろよ、気色悪い・・・。
心配してるかって?それは、まあな・・・俺の想定じゃあ、二機で妖魔を殲滅するという話だったわけだし、いくらD型を使うといってもお前一人で20の妖魔を撃退するというのはいくらなんでも無理があるんじゃないのか・・・。」
妖魔討伐に向けられたのはクーガとミナであったが、クーガの鋼機は修理中の為、持ってこれるわけもなく、この輸送機に乗っている鋼機はミナのグレリーナのみであった。
つまりはミナ一人で妖魔と闘うということに他ならない。
いくらD型といえどこれは死ににいくようなものなのではないかとクーガは内心思っていた。
「まあ、あたしと隊長以外の鋼騎士だったらそうだろうなー。」
ミナが自信気に言い放つ。
「凄い自信だな。」
「まあ、それは後のお楽しみというところかなー、それよりもあんたこそ、本当は『名無し』の方に行きたかったんじゃないの?」
「それは・・・まあ、なぁ。」
元々、クーガは『名無し』に向かう輸送車に乗りこんで、『名無し』の人々の護送の手伝いをするつもりだった。
「護送の手伝いをしようとしたら、鋼機に乗れないお前なんて邪魔なだけだって追い払われたんだもんね。それでも何かやりたいと頼み込んでたら、隊長にじゃあ、輸送機の操縦をやれと押し付けられて、まあ、何かな心中お察ししますよー。」
思い通りに行動が出来ず苛立ちを感じているクーガを面白そうなものを見るようにミナは言う。
「全部、知ってて聞いたのかよ、昨日も思ったが性格悪いなよな、お前って…。」
「褒め言葉として受け取っておこう。それに、目的地着くまで鋼機の中で待機とか暇だし、狭いしー、いいよなークーガっちはそんな広いところにいられてー。だからちょっと弄らせて遊ばせろ。」
なんて暴論だ、それは!!
しかし、まあ、確かに鋼機の中で待機するというのは暇な事ではある。
鋼機の操縦は搭乗者の動きをトレースするシステムになっているのだが、広い操縦室で体の動きに合わせて機体が動くというわけではなく、体を動かそうとする方向に力を入れることでその方向に動くというものだった。
つまりは腕をあげようとするならば、腕を上に上げようとすれば、本当にはあげられないが、機体はそのような行動を取ることになる。
かつての鋼機は大型の操縦室があったのだが小型化、簡略化、そして動作情報の伝達の速さの考慮を重ねる内にこの形に落ち着いたのだという。
まあ、つまりは人、一人が満足に動けない程度には狭いので背筋を伸ばす事も出来ず中で待機となると意外とストレスがたまる。
「広いって言ってもなぁ・・・別に空気がいいもんでもないし、機体は自動操縦になってて俺がやることは無いしで―――」
「あは、つまりはクーガっちも暇なんだ。」
「だから『っち』はやめろと『っち』は・・・だいたいだなぁ、輸送機の操縦なんてほとんど機械がやってくれるんだし鋼機に遠隔操縦用の機能も搭載されてるんだから、俺がこの輸送機に乗っている意味もほとんど無いだろ。
こんなんなら役立たずでもいいから『名無し』の方に連れてってくれって嘆願するべきだった・・・。」
「あれだと思うよ、非常時の時のためって奴、もし輸送機が壊れて墜落しそうになったらがんばってね!って事!」
ため息を付くクーガを茶化すようにミナが言った。
「それよりもさ、確認なんだけれど、クーガっち、今暇なんだよね?」
「だから、『っち』は、ああ、もうお前、面白がってやってるだろ!」
「もち。」
「あのなぁ…。」
「そんなことは気にするだけ無駄だから、さあ、質問の解答を!!クーガっち、暇なの?暇じゃないの?」
「まあ、暇といえば、暇だ。」
実際のところ操縦も全部機械任せの為やることが無い。
だからあと目的地につくまでの1時間の間クーガはやることが無かった。
「そうかー、ちょっと聞いても良い?」
「何をだ?」
「ゼス・ブラックスターの事・・・。」
「昨日ので納得したんじゃなかったのか?」
その話をするのは心底嫌だといわんばかりにクーガは言った。
「んーでもやっぱり本人の口から聞いておきたくて・・・。」
クーガはまた、ため息を付く。
「そんなにしてまであの男の事、聞きたがるのはなんでだ?」
「んー、あたしは昔あの人に世話になった事があるからね、言ってしまえば恩人だった。
だからゼス・ブラックスターが死んだというのは結構ショックなニュースでね。
ゼス事件の事は情報も規制されてて関係者の誰もが真相を話してくれない、だから私は独自で色々情報を探ってたというわけ。」
何故、そこまでゼスにミナが執着していたのか、クーガは納得した。
あの男は孤児の救援に力を入れていたりもしていたといわれている。
ゼスの持つ様々な逸話から孤高な男であったと思われがちだがその実、面倒見がよく、当時の騎士団では厳しくも、回りの人間を思いやっている人間だったといわれている。
それゆえにゼス事件があった今でもあの男を尊敬している人間は多いのだ。
だから噂がたつ、ゼス・ブラックスターは何かの陰謀に巻き込まれて殺されたのではないか?という事が・・・だ。
「それでなんで俺なんだ?」
クーガはそう静かに答えた。
「まあ、色んなルートで調べてみたんだよね、昔のツテとかも使ったりしてさ、そしたらどうもゼス事件以降に名誉騎士の位を受けたクーガ・ラグナグって男が事件の中枢に関わっている人間らしいって所までは掴んだんだよね。
んで、なんとかあんたに出会えないかなと思ってたところ、あんた自らがシャドウミラージュに配属されてくるっていうじゃないか。
こればっかりは驚いたなー、まさか会いたかった人間が自分から会いにくるなんて…。
そして昨日、ちょっとカマかけてみたんだよ・・・。そうしたらまさかのビンゴっぽい反応するじゃない?」
その時、クーガは失敗したなと思った。
クーガはあの時、この女は確信を持って俺に問ったのだと思っていた。
それゆえに感情あらわにしてしまった。
―だからお前は未熟なんだ…―
頭の中であの男が笑う声が聞こえる。
それがクーガにはどうしても嫌だった。
「だからせっかくだしね、聞いておきたいんだ、あのゼス事件、本当は何があったのか?そして何でゼス・ブラックスターは死んだのか?」
ミナは静かに問う。
その声には怒りや悲しみ等といったような感情は無く、ただ、ただ、その事象に対しての興味があり真実を知りたいが為に言っているようにクーガは感じた。
「知ったところでなんになる・・・あの話は俺にもいい思い出じゃない・・・。」
「それでもあたしは知りたい、別にあんたがゼスを殺していたって私はあんたの事を恨んでどうこうしたりはしないよ、あたしにやらなければならない目的があるしね。
それに、あたしはゼス・ブラックスターの事を人間としてはそれほど好きではなかったからね。本当にこの件に関して調べているのは興味本位なんだよ・・・。」
「目的?」
「くだらない事だよ、それに質問しているのはあたしの方だ、質問に質問で返すのはマナーが悪いって言うんじゃないかな?」
クーガは押し黙る。
何かを言おうとして、出てこようとする言葉を飲み込むような仕草がスピーカー越しから感じ取れた。
「かーーーー、だんまりかー、わかったいいよ、いいよ、ならば一つ賭けをしない?」
「賭け?」
「そう賭け、3分以内に今からあたしが妖魔達20数体を倒す事が出来たら、なんでもあたしの問いに答えてもらえるという賭け。」
「一体それで俺になんの得があるんだ?それに・・・本当に大丈夫なのか?」
ミナの事を心配するようにクーガは言った。
3分で20数体の妖魔を倒す、それを1機で行うという事は真っ向勝負にはならずにセオリーとしては一気に大量殲滅用の兵装を使って倒すという事になる。
確かにそのような兵装を使えば不可能ではないのだが、クーガには大きく気にかかる事があった。
クーガはこの輸送機にミナの乗る鋼機『D−40 グレリーナ』が積み込まれる現場に立ち会っている。
その時、クーガが見たグレリーナはそのような大型の大量殲滅兵装が搭載できる重鋼機H型を素体としたものではなく、軽装を主体としオールラウンダーな能力を誇る鋼機であるS型を素体としたようなものだった。
セイムの鋼機であるシュナイザーのような複雑な可変機能があるようにも見受けられなかった為、そのようのは大火器は搭載していないと見るべきだろう。
むしろ、その紅蓮の炎のような真紅のカラーリングから感じさせる存在感とは対象的に非常に細い体をしていた為、通常のS型鋼機が搭載しているような武装のほとんどが装備できないように見えた。
普通に考えるならばミナが宣言した3分どころか勝つのが不可能に近いような戦いといえるのだ。
しかし、それは普通の鋼機で考えた場合の話であり、ミナの乗る鋼機はワンオフで造られたD型である。
つまりはD故の何かがあの機体にはありそれへの信頼があるからこそ単機でグレイルをはじめとするシャドウミラージュの面々はミナとグレリーナを送り込んだのだろう。
だが、あの細身で3分で戦いを終わらせるというのはクーガにもとてもではないが考えづらい話ではあった。
「ん?だから、さっきも言った通り、だいじょ〜ぶだって!ミナお姉さんの凄さを信じなさい!!それにね、賭けの事だけどねゼス事件の事は聞かないって約束もするよ。」
イアナーラを発つ時、シャドウミラージュの誰もが彼女の心配をしていなかったところから見るにおそらくはあの部隊のミナを知る誰もが心配する必要すらないという考えなのだろう。
ミナも勝つ事を当然とした上でこのような話を持ちかけてきている。
これはかなり高い勝算があるという事なのだろう。
「だがな、賭けってのはお互いにリスクを背負ってやるもんだと思うんだけどお前はリスク背負って無くないか?」
ミナが少し考えるような間を置いてから答えた。
「闘うことがリスクってのは駄目?」
「駄目だね、さっきからお前は楽勝みたいな話をしていたじゃないか、俺はお前の能力知らないし、そんなのをリスクと認めない。
だから・・・そうだな、もし失敗したらお前の目的とかいうのを聞かせてもらうなんてのはどうだい?じゃなかったらこんな部隊にいる理由でも―――」
「えー、人の過去ほじくるのは悪趣味だよー。」
口を尖らせながらのミナの発言に対して大きく息を吸ってクーガは答えた。
「お前に言われたくない!!」
【3−6へ続く。】
というわけで投下終了です、ついに七夜連続更新も残り二回、次回はついにロボ戦です
とりあえず彼に関して一言だけ…
うん、正直、最初はちょっと若くしたスネークみたいなキャラを想定してました
本当だよ!!!!
>>292 投下乙ですw
ハッハー! 隊長ざまぁないぜー!
……すみません、あのシーン腹抱えて笑いましたwww
そして次回は遂にロボ戦! 楽しみに待ってますね!
>最初はちょっと若くしたスネークみたいなキャラを想定してました
嘘だッ!!
>>292 嘘だ!!(AA略
投下乙ですw
いやー、まさか隊長だったとはwすっかり騙されたぜw
あとミナがウザ面白いwというか問題児多すぎだろこの部隊www
クーガはこれからも苦労するのだろうなー
>>292 投下乙です
隊長悪趣味すぎるw
クーガが望み通りの行動に出てくれて溜飲が下がったぜ
これがカタルシスか……w
つうか、この部隊フリーダムすぎるw
特に性格的な意味でw
ロボ戦はこの無茶な条件をどうクリアしようというのか
引き続き期待
>>292 投下乙です。
こいつ等、面白すぎるwww
モニタにお茶吹いてしまったw
三つ編みは大好きだけど描く時は果てしなくめんどくさいでござるのマキ。
>>292 投下乙っす。明日じっくり読みますねー
皆ペース早くて凄いなぁ。俺も今週中に投下しなきゃ
>>293 ホントダヨー
>>294 いやー、あれでも一応人格者なんですよー、タブンネ
>>295 そもそも、部隊自体のコンセプトが色々自由なところですからね
ある意味、シャドウミラージュは、はぐれ者集団とも言えます
そのせいか騎士団から抜けた存在でもあるのである種片っ苦しさは無い感じですw
>>296 あそこはもう書いてる方もノリノリで書いてたなぁーw
ああいうのは余裕があるとぽっと出てきますw
>>298 俺はペースが速いというより遅いからry
あせらず、自分が納得できる感じになってから投下するのが一番だと思います
>>300 いやぁ、毎回作品が投下されてて焦りますよw
俺遅い上に出来しょっぱいから、スレのクオリティ下げてんじゃないかと不安になりますorz
後2〜3行書いて、誤字脱字の確認が終われば投下出来るのですが
スレが面白いせいで、ついつい腕が止まってしまいますw集中力が欲しいwww
>>301 それは自分も同じでござるよ……。
3スレに1度投下できるか否かですから……。
>>272 かような記憶ですらサラリと引っ張り出してくるとは……
ID:yQ/2wy60……恐ろしい子!
同じく頻繁に投下できないでござる(=ω=;)
んーと、多分木曜辺りに短いですが続き投下出来るかとw
確かにスレ読んでて作業止まるw
>>304 こんなんでも古参ですから!
>>305 バッチコーイ!
さて、落書きを投下しようと思ったら弟がコンビニに夜食を買いに行ってしまったでござるのマキ。
>>306 中々焦らし方を心得てる弟さんじゃないか
>>306 何を書いたのかお兄さんに教えて御覧なさい
>>307 いや本当に、毎度毎度タイミングがいいというか悪いというか……w
……帰ってくるまでもうちょっと描き込みましょうかねー。
ロリ絵師が眼鏡を描いたと聞いて起きてきました
メガネと聞いて作業途中に飛んできました
しかし弟は帰ってきませんでした。
劇場版オンドゥル借りてくるってアンタ……いや見たいけど、凄く見たいけど。
仕方ないので30分になっても帰って来なかったらおとうの部屋にスネークします。
眼鏡と聞いてペンタブ放り出してきました
へ、下手くそなんだから期待はしないでよね!
ネタ完成。
ワードパッド換算で83kb。なげえよ!
ああ、投下してから眼鏡っ娘じゃなくて眼っ娘になってる事に気付いたでござるのマキ。
まあいっか!
>>316 なげぇよ!
投下方式はいかがいたします?
( ゚∀゚ )
>>317 _(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
\/ /
>>317 誰もいないなんてアリエナイザー、それがこのスレ
ナイスだ…実にナイスだ!
えぇい!メガネっ娘の世界文化遺産への登録はまだか!
>>318 分割しましょ、数日に分けて
要望があればtxtファイルで上げますがどうします?
>>317-318 甘いな、私はまだ起きているぞ!
これはいい三つ編み眼鏡。つかPBM氏って三つ編み好きねぇ
隅っこのちっちゃいリタとまどかにときめいたのは秘密だ!
>投下してから眼鏡っ娘じゃなくて眼っ娘になってる事に気付いたでござるのマキ。
DSの人に引き続き脱字ハケーン
>まあいっか!
えらくドライだなオイw
>>317 なんとも委員長ライクな一条嬢w
そしてさりげに、リタにアホ毛がフィードバックされてるではないかw
>>321 スレ投下でいいんじゃないかとー
>>319 こっち見んなw
>>320 眼鏡が取って付けた様な感じになってますが、それは小生が眼鏡を描くのが下手だからでござる。
>誰もいないなんてアリエナイザー
発展を続ける内に不夜城になったりして……いやいやまさかまさか。
>>321 やっぱり分割がベストですかねー。
しかし再びスレの容量を気にする日が来るとは、このロリのPBMの目(視力カス)を持ってしても(ry
>>322 >つかPBM氏って三つ編み好きねぇ
好きなものは好きだから仕方ないと申しまして!
>えらくドライだなオイw
いーえ、大雑把なだけですw
>>323 >なんとも委員長ライクな一条嬢w
学園では一応クラス委員長という設定があるよーな、ないよーな。
それにしても“いちじょうじょう”ってなんか語呂よくないですねw
>リタにアホ毛がフィードバックされてる
せっかくチョーさんにつけていただいたアホげ それをすてるなんてとんでもない!
>>323-324 それでは分割で……と行きたいところですが、そろそろ眠気が限界なので今夜はここまで
次の夜から投下開始したいと思います
>ヘーシェン「あんっ。
> ……かっこよくキメたのになんでひったくりますかクラス委員長」
確かに委員長設定(?)がw
>>325 楽しみにしてるぜ!
327 :
長目:2009/10/07(水) 01:20:49 ID:XpHJ0D5n
>>324 >語呂よくない
あえて狙ってみたw
ツッコミが入れてくれてありがたいぜw
語感やテンポを意識して文章組み立てたり、逆にあえて外して違和感誘うのは楽しいよね!
>それをすてるなんてとんでもない
既にあるものに手を加えるのはなかなかにスリリングなれど、好評を得られたのならこれ幸いw
>>325 明日を楽しみにしてます!
>>326 >>328 その場のノリとも取れますけどねw<委員長設定
>>327 >語感やテンポを意識して文章組み立てたり、逆にあえて外して違和感誘うのは楽しいよね!
はい、凄く楽しいですw
>既にあるものに手を加えるのはなかなかにスリリングなれど、好評を得られたのならこれ幸いw
貧乏性なので、基本「これは外せねぇ!」ってとこ以外は何でもくっつけますよ!
0から1を作るより、1から2を作るほうが得意なのでw
>基本「これは外せねぇ!」ってとこ以外は何でもくっつけますよ!
つまり胸の肉以外ということですね!
>>330 誰が上手い事言えとー!
ただまどかはもうちょっと増量したほうがいいかもしれない……。
>>331 >まどかはもうちょっと増量
そんなこと言われたら、こう返すしかないじゃないか
イィィィヤッホォォォォォォォォォォォォゥ!!
>>332 Σああっ、リアクション取られた!w
しかしこれ以上の増量は私には不可能だ……後は貴公に任s(ry
>しかしこれ以上の増量は私には不可能だ
がんばれがんばれできるできる絶対できるがんばれもっとやれるって!!
しかし俺もそろそろおっぱい描かねばなるまいと思ってるのよ
だってほらウィス姉さんの質量兵器の凶器っぷりがマジぱねぇんだもの
あのおっぱいを描けってネオ・アースが俺に囁くんだもの
>>334-335 貴公は私にもっと熱く……いや、厚くなれと申しますか!
>あのおっぱいを描けってネオ・アースが俺に囁くんだもの
ンフフハハハハハハ! ならば描いてしまえ! 投下してしまえ!
流れぶった切るけど、これって話ができ次第投下して良いのかな?
ロボット物には興味があって今書いている途中なんだけど
>>338-339 お早い回答サンクス
まだ途中だから少し後になるだろうけど、異世界ファンタジーロボット物の予定
ごちゃごちゃが過ぎるかもしれんが、まあいいや
やったねパラちゃん!
なんかパラノイアとかパラサイトとかを連想する略称ですねw
作者本人が言うのもナンですが、PBMがファンタジーとは思えなくなってきました……多分学園の仕業だ!
誰も居ない 誰も居ないならイマノウチ……
ウホゥ、何がイマノウチなのかな……!?
私だ
まったく気付かなかった。
暇を持て余した神々の
遊び。
遊び。
wwwwwwwwwwwノリがwwwwwwいいwwww
もうおまえら結婚しろ
まさかこんな事になるとは、このロリのPBMの目を持ってしてm(ry
ああ、駄目だwwwwwww腹筋がwwwwwww
>>354 ちなみに、私は、人間で言うところの、
男だ。
やっぱ駄目だ、耐えられるもんじゃねぇwww
>>355 わかっとるわいwwwモンスターエンジンやめいwww
家帰ってからだけど、メルフィーの過去 話って需要ある?
短編じゃなくて短文的な物だけど
ああ、もう4時か……。
皆さん調子はいかがです?
台風が来るという事でwktkしながら雨戸を閉めて食料を買いに行くところでござるのマキ
パソコン☆
ロリコン☆
二人合わせて!
ただの……変態だ!
それでも構わん!
小説ススマナイヨー
ワタシモダヨー。テカカイタラキエタヨー。
>>370 なに、この携帯ではよくある事(キリッ!
>>370 _,,..i'"':,
|\`、: i'、
.\\`_',..-i
.\|_,..-┘
Oh... 間違えてるジャン
ノリが良いのは結構だけど、容量5分の1使ってるし、程ほどにね
今更ながら帰ってきたぞい。何時なるか分かんないけど感想と一緒に過去話書きやす
結構短い上にかなり抽象的になるけど許してくれ
>>374 了解です、支援は任せてください!
あ、ちなみに容量は後少しで半分になりやす。現在214 KB。
>>374 支援は任せろ。多分居るはずだ。
容量ヤバイのかもなぁ。調子に乗りすぎた。
AAなんかは容量食うし、特に自重すべきかな。正直すまんかった
メルフィーの過去、楽しみにしてるぜ!
すみませんでしたorz
>>377 昨日俺もAA張ってたし、気にするな!
……悪い、かなり時間掛かるかもorz
>>379 おk、気にしn(ry
>かなり時間掛かるかもorz
だとしても、待つ!
自分も暫くかかりそうなヨカーン
最終話とエピローグを一気に書いてしまおうと思ってるからなおさら
了解です、気にしm(ry
>>379 >>381 さらに了解です!
じゃあ間を持たせるために、ちょっとした絵でも……。
ども、83kbの男です。
本文を何日かかけて分割して投下したいと思います
……と、その必要は無さそうですね!
>>383 ふつつかものですが、支援させていただきます!
>>317 !?
……お義父さん!遥さんを僕に下さい!!?(錯乱中
あと一連の流れに吹きましたwお腹痛いwww
>>374 了解です!居たら支援しますので
>>383 おお!w楽しみにしとります。支援もしますねー、居たらw
序文
二〇××年現在、南極大陸を横断する長大な山脈の頂点に位置する台地の直上に、ごく小さいが決して現代人が忘れることのない黒い一点が存在している。
その半径五百メートルほどの〈奈落〉という名で呼び習わされる穴こそが、アバドン生物群の侵略用の経路である。
〈奈落〉が観測されたのは五十年前のこと。始めはオゾンホールと誤認されていたそれはサイズの小規模のために見逃されていた。それがゆっくりと、しかし確実に拡大していることが判明し、
現在のサイズにまで至ったのは二十五年前。派遣された観測隊は、その大半を〈奈落〉から出現した怪生物により殺戮された。
それが始まりだった。三月もしないうちに怪生物――アバドンは地球を覆い尽くした。
時を同じくして全世界に遺跡群が「出現」した。最古の物で十億年前にまで遡ることの出来る異形の遺跡群は、確かに知性体の創造したものであり、
五十にも上る「新遺跡群」の内部には例外なく古代の超技術で創られた遺物が眠っていた。
「ならば、これでアバドンに対抗しよう」
常人には全く狂気の沙汰としか言いようがないその案は、予想以上の戦果を挙げた。
中でも強力だったのは〈ソルディアン〉と呼ばれる人型の古代遺物である。いわば巨大人型兵器であるソルディアンは動力炉であるブラック・サンを以って
山をも動かし海をも断ち割るその力でアバドンを駆逐していった。
しかし発掘されたソルディアンは僅か十機。もはや中国大陸を実質支配するほどに増えたアバドンとの数の差は覆しがたく、戦況は膠着。
更に遺跡発掘を国連より委任されていたアブラクサス財団は七機のオリジナル・ソルディアンを奪って叛旗を翻した。――国連頼むに足らず、ならば世界の盟主たらん、と。
アバドンは「肌の色が違うだけの人間」ではない。人間ですらなく、地球人類の敵である。だが突きつけられた刃を前にしても、
人類は愚かにも同族同士の争いをやめられないままでいる。
一部ではこんな声も囁かれているという――「この愚かさ故に人類はアバドンに滅ぼされても仕方がないのではないのか」、「アバドンこそ神の使わした裁きの天使ではないのか」……
正直を言えば、万能者でも預言者でもない私には分からない。しかし、大部分のアバドンは醜悪だ。その上生きたものでも異臭が酷い。
そんなものを私は天使だとは思いたくもないし、そんなものに人類を滅ぼして欲しくもない。易々と滅亡に甘んじるほど人類は弱くもないはずだ。
人は独りでは非力である。時に巨人と呼ばれる私とて例外ではない。だから、諸君らの力を貸して欲しい。真に温かい時代を求めて、諸君らの知恵を拝借したい。
我々は共に闘う者たちの傍らに在ろう。
希望があるとは到底言いがたい。失われた命も少なくない。それでも人間はまだ負けていない。一人でも生きている限り決して敗北はないのだ。
人間の意地と尊厳にかけて、闘い抜こうではないか。
ウォルター・ラザルス「ゲニウス発足宣言」より抜粋
ぉぉっと支援
地獄と化した東京の中心に、俺はいた。
全長二十五メートルの機械仕掛けの巨神として――龍頭人身の機械の神として。
眼下に広がるのは瓦礫の都市と踊り狂う炎。動くものは既に無く、逃げ出すか埋もれるか骸になったかのいずれかだろう。舞い上がる煙と炎の照り返しにより、空が不穏に赤黒い。
異形の怪物が空を舞う。巨神より二回り大きく、その三本の尻尾の長さは二百メートルにも及ぼう。黒金の鱗に覆われた馬鈴薯状の体躯に手足はなく、
そこにあるべき箇所からは四つの蜥蜴じみた頭部が生え出ている。血管の浮き出た蝙蝠の六枚の翼も含めれば、これも巨龍と呼ぶことが出来るはずだ。
そして、均一に配置された翼の中央で見開かれた巨大な眼球に似た器官は――巨龍が〈アバドン〉と呼ばれる怪生物である証明である。
アバドン・ヘッド〈ヴァシュタル〉。
昂、と巨龍の四つ首が鳴いた。まだ崩壊にも巻き込まれずに残っていたビルの窓ガラスは、それだけで全て割れ砕けた。
東京中に散らばっていたアバドン〈ブフレーム〉が、水母状の肉体と触腕を震わせながら集ってきた。
空を埋め尽くすほどに結集する怪物の群れは、殆ど〈ヴァシュタル〉をも覆い隠していた。まさしく恐怖と災厄の象徴である。
しかし俺の戦意を萎えさせるには到底物足りない。流された血と涙を贖わせるには、奴らの命を以ってするしかない。それが決して等価になり得ないとしても、だ。
だから、闘うのだ。
〈貴様らはッ! 邪魔だッ!!〉
俺の叫びに応じて巨神が吼える。同時に巨神の口腔にまばゆい光が灯った。
〈ヴォル・ファイア!!〉
口腔から放射状に空間が煮え滾った。炎すら色褪せる白の焔が瞬く間に数百ものブフレームを蒸発させた。
だが空間から熱が失われる一瞬のうちに、ブフレームが生じた間隙を塞いでゆく。一方でブフレームどもの一部は俺を包囲するように押し迫ってくる。
〈ゼオ・ソード!! テイル・ハーケン!!〉
思念が腕部装甲の形状を剣に変え、後頭部の「尾」を伸ばす。ブフレームの肉体を左右二本の剣が斬り裂き、無数の金属節からなる尾とその尖端の三爪鉤が挽肉に変えてゆく。
前に、前に。俺は未知の力を以って推進し、遅々と、しかし確実に〈ヴァシュタル〉へ向かっている。だが、その姿は一向にして見えない。
数十匹ものブフレームが下半身を拘束した。ブフレームの触腕は微細動し、接触する物質をじわじわと破壊する。推進力が削がれたところに、次々にブフレームがたかってゆく。
巻き添えを食ったブフレームの頭蓋が千切れ、肉塊となって地上に落ちてゆく様子を俺は見たが、これを意に介するような敵ではないことは分かり切っている。
伸ばした〈テイル・ハーケン〉で一斉に薙ぎ払いながら前進する。装甲は十枚ほど抜かれたが、軽微と言って問題ないだろう。集中攻撃されれば別だが――支障はない。そう巨神が告げている。
一体何万匹ブフレームを殺したのか分からない。どのくらいの時間が経ったのかも分からない。
〈ゼオ・ソード〉と〈テイル・ハーケン〉を揮ってブフレームの陣形を突き崩しながら進む巨神たる俺の眼が、やっとその姿を捉えた。
黒金の鱗、四つの蜥蜴の首。何万と殺戮されながら一向に数を減じる様子も見せず密集陣形を敷くブフレームが俺を阻む。
だがそれが何だ? 手の届く範囲に奴がいる。それだけで十分――!
〈殺ァァァァァァァァァッ!!〉
狂ったように叫びを上げながら俺は〈ゼオ・ソード〉の剣尖を奴に向け――
黒煙の渦巻く空で、攻撃ヘリコプターが巨神と巨龍の闘いを観ていた。
「〈ヴォルカドゥス〉、〈ヴァシュタル〉と交戦開始しました」
「貸してくれ」
メル・ファン・ヒューレンが覗いていた双眼鏡をジャック・フェルトンは引っ手繰るようにして受け取った。
彼は双眼鏡越しの光景に眉根を寄せた。濛々たる煙とブフレームの敷く陣形が、双眼鏡の望遠能力を上回り、視界を閉ざしているのだった。
「黒が七分に赤が三分、と言ったところですね」
赤い空を埋め尽くす黒い敵群をメルはそうなぞらえる。ジャックは双眼鏡を降ろし、ヘリのパイロットのラウラ・オルツィに命じた。
「もう少し近付くんだ」
「無理です。ブフレームががただでさえ哨戒するみたいに泳ぎ回っているんですから」
だとしても――ラウラの抗議にそう言い掛けて、ジャックはやめた。
双眼鏡から眼を離し、黒煙のヴェールを透かし見ようと試みたがどだい無理な話だった。異形の戦場となっているだろう地点を睨み付け、ジャックは呟いた。
「……分かっているさ」
ジャックは息苦しさから逃れようと、襟元のネクタイを緩めた。ジャックとて人生の半分以上を軍という組織に捧げた男である。
AH-64〈アパッチ〉如きであの修羅場へ飛び込むのは自殺行為であり、後々のために情報収集に徹するべきであるということは理解しているのだ。
しかし、眼下に瓦礫が溢れ、無辜の民が血を流している惨状を眼にして、どうして拱手傍観など出来るだろう?
――なかんずく、戦渦の中心で息子が闘っているのを知っている父親などは――
プラズマ火球が中空を走る。紫電を曳きながら炸裂した火球の直撃を受け、膨大な質量の金属が圧し折れる音が轟いた。
「東京タワーが!」
ラウラの叫びに、思わずジャックの視線も向けられた。
全高三百三十三メートルの巨大な電波塔は昭和三十三年の完成より長らく東京の象徴として屹立していた。
それは〈ヴァシュタル〉の攻撃の余波と足下に満ちる炎によって自重に耐え切れず飴細工のように捩れていたのだが、今や火球の直撃を受け崩落していた。
鉄骨が雪崩のように轟音を上げて落ちてゆく。
この都市を好きだと思ったことなど一度も無い。だのに、無残な東京タワーの姿に心が波立つのを、ジャックは感じた。
この東京で過ごした時間こそが、自分が最も人間らしくいられた時間だったのだと自覚せざるを得なかった。
東京タワーの崩落は、まさに大都市の終焉を告げる声だった。
秘神幻装ソルディアン 第一話 「灼熱の日に龍は吼える」
シェー
秘神幻装ソルディアン 第一話 「灼熱の日に龍は吼える」
その日は東京の七月でも珍しい猛暑だった。降るような蝉時雨に項垂れつつ、柊隆一郎は陽射しから逃れるように大学病院に入った。
汗を拭きながらエレベーターを待つ隆一郎がぎょっとしたのは、やや硬いが流暢な日本語で金髪碧眼のアメリカ男性が声を掛けてきたからだ。
「久しぶりだな」
一年半ぶりに顔を合わせたジャック・フェルトンは実に颯爽としていた。一八三センチの隆一郎と殆ど変わらない上背に、生まれる前からこの髪型だったと思わざるを得ないほどしっくりしているクルーカット。
アイボリーホワイトのサマースーツに合わせたブルーのシャツにボウタイ。右手に提げているのはピンクガーベラの花籠。
軍人らしい真っ直ぐな視線と立ち姿は男の中の男といった風情で、汗一つかいた様子もない。
血の繋がった父親と知らなければ、惚れ惚れしたとしても仕方ないところだろう。
「……何でこんなところに?」
隆一郎は尋ねた。隆一郎の記憶が正しければ、夏の間は父が家にいないのが柊家の常だった。よって隆一郎は子供の頃の夏休みにいい思い出が余りない。
尤も元アメリカ海兵隊で、母雪菜と結婚してからは国連の平和維持活動のために世界中を回っているという父が東京に腰を落ち着けることが出来るのはクリスマス休暇くらいのものだ。
それすらご破算になることもあったから、多分父と息子が一緒に過ごせた期間は数年程度という計算になる。
「先生のお見舞いに決まっている」
先生というのが母方の祖母柊玉枝に対するジャックの呼び方だった。玉枝が幼い頃に母を亡くした隆一郎にとっての母代わりならば、
ジャックにとってはまさしく恩師と呼ぶべき存在だということは本人の口から嫌というほど聞かされている。
チャイムがエレベーターの到着を知らせた。ドアが開き、足を伸ばしたタイミングがかち合ったため隆一郎は足を引いてしまった。一方のジャックはお構いなしにエレベーターに乗り込んだ。
「乗らないのか?」
「……乗るよ」
隆一郎はエレベーターに乗らない理由を探したが結局見つからず、こうして親子は一つのエレベーターに乗ることになった。
祖母の病室に先に足を踏み入れたのは隆一郎の方だった。
病室は個室で、清潔に保たれているが、辛うじて装飾と呼べるのが花瓶に生けられたまま萎れた花だけで、如何にもわびしい感じがあった。
傾斜のあるベッドに横たわったままの祖母の玉枝は笑顔を見せた。彼女が倒れたのは一年前のことだ。浪人中の隆一郎が奮起したのはその直後のことである。
「よう祖母ちゃん。来れなくって悪かったね」
「いいのよ。大学生ともなると忙しいんだから……おや、珍しい並びね」
扉口で佇むジャックに気付いたように玉枝が言う。ジャックは頭を軽く下げて一礼した。
「お久しぶりです、先生」
頭を上げ、ジャックは玉枝に視線を送る。ある種の職能を持った者同士だけが使えるアイコンタクト。
玉枝が言った。
「リュウ、悪いけど、お茶でも買ってきてくれる?」
隆一郎がきょとんとしているところにジャックが千円札を握らせた。
「釣り銭は取っておいていいぞ」
「じゃあ、ありがたくもらっておくよ」
隆一郎が退室し、リノリウムの床に反響する足音が遠ざかる。
ジャックは花瓶を片付けてピンクガーベラの籠を置いた。
「リュウも気の利かない男だ」
「あたしが断ってるのよ。客人からいちいち御見舞い品を貰っていちゃあ、大変なことになるからね。それに、今のあたしは立ち上がるのも困難なおばあちゃんだし」
柊玉枝は自衛隊諜報部の元エースである。現役から退いてもその影響力は生半なものではなく、今なお幕僚長などのかつての教え子たちが何某かのヒントを求めて面会にやってくる。
ジャックが柊雪菜に近付いたのも元はと言えば玉枝に近付くためのことだった。
「で、何かあったの?」
ジャックの多忙さは玉枝も当然知っている。現に彼が今まで「長老の卓見」を聞きにきたことなどなかったのだ。
ジャックは椅子に座って玉枝に正対し、告げた。
「硫黄島より通信が入りました。『蝗が逃げ出した』と。恐らく今日中に東京に辿り着きます」
玉枝の表情に翳りが差した。
「目標はやはり〈フォー・ヘッド〉? ……幕僚長に釘を刺しておくべきだったわね」
「撃破出来なかった我らの責任でもあります。そちらの方にも手は回してありますが――」
やや言い淀んだが、決心したように言う。
「最悪の場合、〈ラスタバン〉を覚醒させます」
溜息を吐く玉枝。
「あたしの孫を……あなたの息子を修羅地獄に堕とすつもり?」
「我々も最大限バックアップはします」
悔悟を含んだ口調でジャックは言い足した。
「――出来ればもっと早くに信頼関係を築きたかったのですが」
「それはあなたの責任でしょう。大体、信頼関係なんて一朝一夕で築けるものでもないでしょうに」
玉枝は遠い目をする。
「あたしも歳だからもうこの世に大した未練はないけれど、あなたはまだ若いんだから命を無駄にしちゃ駄目よ」
「はい」
「隆一郎をお願いします、ジャック」
「分かりました、先生」
ちょうど隆一郎が戻ってきた。何も知らないジャックの息子にして玉枝の孫。
ジャックは少し逡巡したかのように見えたが、立ち上がり、隆一郎の方に向き直って言った。
「リュウ、手を」
返事を待たず、息子の右手に父は金属の塊を乗せた。受け取った本人は絶句し、状態回復にはきっかり三秒を必要とした。
「……何これ?」
「シグ・ザウエルP226。いい銃だ。水や泥に浸けても問題なく作動する」
「いやそうじゃねえ! 息子に銃を渡す父親がどこにいる!?」
しらっと答えた父親に握らされたオートマティックのハンドガンを投げ捨てることも出来ないままわめく隆一郎に、ジャックはやはりしらっと言った。
「父親の銃を息子が受け継ぐ伝統は、アメリカでは良くある話だ」
「銃刀法がある国と銃による死亡件数が交通事故による死亡件数より多い国とを一緒にするな!」
「問題ない、弾は抜いてある」
「……だから、銃刀法ってのは弾のあるなしじゃないんだよ……」
父子のやりとりに、祖母が堪えきれず噴き出した。ジャックもにやりと笑う。
どうやら一杯食わされたらしい、と隆一郎はようやく気付いた。脱力。
「からかうのはこの辺にして――隆一郎、それは一種のお守りだ」
ジャックの顔が真顔に戻る。父がリュウではなく隆一郎と呼ぶのは、昔から本当に重要な話をする時だけだった。
「弾は渡さないが、本当に必要になれば使い道が分かるだろう。バッグの底に隠しておけば見つからんはずだ。それでも何かあったら私の携帯に連絡しろ」
携帯を取り出して父と子はデータを交換する。その最中、隆一郎はジャックの顔を見た。何か嫌な予感がしたからだ。それを感じ取って、ジャックは言い足した。
「別に死にに行く訳じゃないからな。ついでに言うと、形見分けでもない」
「……分かったよ」
データの交換が終わって、隆一郎は手の中の銃を見つめた。その重みに耐え切れず、隆一郎はバッグの底に銃を突っ込んだ。
ジャックは踵を合わせて玉枝に敬礼した。
「では、私はこれで失礼します」
「行ってらっしゃい、ジャック」
踵を返し退室する父の背を、隆一郎は何も言わず見送った。
その後祖母ととりとめのない世間話をして隆一郎も帰ろうとした。
「リュウ」
「ン?」
「いつまでも元気でね」
「大丈夫だって、じゃあな、祖母ちゃん」
孫が病室から去ると、玉枝は声もなく涙を流した。
病院から出たジャックの前に一台のヴァンが止まった。確認するまでもなく後部座席に乗った彼に、運転手のメル・ファン・ヒューレンが尋ねた。
ショートにした髪の襟足が撥ね、十代の少女に見える線の細い顔を更に幼く見せている。
「ジャック、息子さんとはどうでしたか?」
運転手の問いに返事をするように、彼はサマースーツの上着を脱いだ。Yシャツの腋と背の部分が眼に見えて濡れている。メルは苦笑を漏らした。
「あら、直射日光を浴びた時間は三分にも満たないはずなのに」
「銃を持っていたからな」
メルは敢えて何も言わず、口元に笑みを浮かべたまま運転した。
ジャックの携帯電話が無味乾燥な着信音を鳴らした。
「私だ」
『ラウラ・オルツィ』
「ラウラ、進捗状況を」
『やはり内閣が愚図ばっかりです。戦闘のVTRを見せて納得させていますが――』
「犠牲が出てからでは遅い。災害は食い止められんが、被害の拡大は防ぐことが出来る。何とかして呑ませろ」
自衛隊の事前の出動要請――それがアバドンを硫黄島以北にまで到達させた彼らの責務である。
アバドンによる東京の被災を最小限に食い止めるためにやらなければならないことだ。彼らは自衛隊の戦力に過度な期待はしていない。
在日米軍にも要請しているが、それもまた同じことが言えた。通常兵器は奴らには通用しない。
実際戦力が不足している今、餅は餅屋――アバドン退治はアブラクサス財団に任せるべきだ、というのが彼らが所属する組織の総意である。
もしアブラクサスでも何とか出来なければ――それが〈ラスタバン〉の出番だ。
そしてそれは隆一郎の出番でもある。
事態が到来しなければ無論いい。だが、最悪の想像は昨日から今なお脳裏に染みついて離れなかった。
丸一日、仮眠すら出来ていない。ジャックは四十七歳である。今はまだいいが、二日三日と続くと体力が保つか自信がない。そんな年齢になったことを自覚した。
同時に、隆一郎も今年で二十になることを思い出す。歳月の早さに辟易としながら、ジャックはこれからやらなければならないことを考えた。
それは病院から出て、家路に急ぐ隆一郎に降りかかった出来事だった。
「やっほ、リュウ!」
「うわわわわわわッ!?」
背後から声を掛けられ、隆一郎は素頓狂というのがそのまま当てはまるような声を上げた。
「な、何だ驚かすなよペトラ」
「それはこっちの台詞だよぅ」
ペトラはにっこりと笑った。胸を押さえて脈打つ心臓をなだめつつ、隆一郎はバッグの底の金属の塊を意識した。大丈夫、問題ない。
ペトラ・ナトリーは金髪に緑の眼、褐色の肌の美人である。
隆一郎の大学の留学生であり、機械工学や電子工学の泰斗ナッシュ・ナトリー博士の娘。彼女自身天才と呼ばれ、父親と同じ分野においても将来有望な逸材らしい。
来日した時から驚くほどネイティヴな発音の日本語を話していた(日本語が習得困難な言語であることは説明するまでもないだろう)。
普通なら自他共に凡俗を以って自認する隆一郎が近付ける相手ではなかったが、ひょんなことから友達づきあいが始まったのだった。
彼女は隆一郎に近付き、鼻を蠢かせて匂いをかいだ。この娘にはこういう癖がある。しかも異様に鼻が良い。――まさかとは思うが、銃の臭いまで嗅ぎつけられやしないだろうな?
「病院に行ってた?」
隆一郎は安堵して言った。
「ああ。そっちはバイトか?」
「うん」
「まだやってるのか? アブラクサスと関わるのはやめとけって」
「だいじょぶだいじょぶ! ヤヴァい人はとりあえずいなさそうだし、給料払いだってコンビニ店員なんかよりずっといいんだから。多分、二十代サラリーマンよりは上じゃないかな?」
「……そんなにもらえるのか?」
さすがアブラクサス、信者と書いて儲けるというのは伊達ではないな、と隆一郎は考えた。
アブラクサス財団が国連と敵対関係にあるのは事実だが、その所有する知的財産はもはや現代人には必須である。
取り分けアブラクサスの関連会社のパーツを少しでも使っていない携帯電話はない、というのは隆一郎にとっては常識に近い。
反面、キリスト教系の宗教結社という発祥からどうにも偏見は拭いきれない印象がある。末端の過激派の暴走はネット上でも知られるところになり、正直言って関わりたくない相手だった。
しかし大学に通っていれば思わせぶりな女子学生がアブラクサス財団の勧誘だった、などという話はざらにあることで、更に言えばもう少しで入会させられるところだった。
隆一郎好みの美人だったしあちらもまんざらではないようだったが、カルト宗教に身を投じた孫を持った祖母に合わせる顔がないと思い直し、断腸の思いで断ったのだった。
以来、大学で話し掛けてくる女子と言えばペトラくらいである。多分何か黒い噂でも流されたのだろう。別にどうでもいいけど。
二人は歩きながら会話する。
「ペトラなら他の稼ぎ方があるんじゃないのか?」
「それが今やってるヤツだよ。守秘義務で何も言えないけど、歩合制で割合がいいんだよ? 勧誘とかもないし」
「資格とかはいるのか?」
「特に要らないけど……リュウはとある生物の四塩基配列位置をビット変換で特定出来る? 普通のウィンドウズで」
「無理!」
即答する。ペトラの言っていることの意味すら理解出来ないレベルである。というかそれって専用にカスタマイズしたコンピュータでやることじゃないのか?
遠い目をした隆一郎の耳に、遠くサイレンの唸り声が聞こえた。思わず二人は立ち止まる。
地響きがそれに続く。市民は悲鳴を上げて逃げ惑うか、唖然としてそれを見上げた。
全長二十メートルの人狼――〈ティンダロス〉という名の鋼鉄の人狼がそこにいた。足元の民衆には目もくれず、ただ目の前だけを見据えるそれは、まさしく地上最強の兵器と呼ぶに相応しい。
「……ソルディアン?」
呟く隆一郎の脳裏に、一瞬だけ記憶が呼び覚まされた。
子供の頃に見た鋼鉄の巨人。蹲る、灰色の巨人を見上げるまだ幼い柊隆一郎。
いつ、どこで見た光景だ? 隆一郎は記憶の底を探ったが、手がかりさえ見つけられない。思い出そうとすればするほど、却って遠ざかってゆく気さえする。
ペトラがシャツの袖を引っ張っていることに気付いた。
「ソルディアンの隊列。只事じゃないよ」
重火器を手にした鉄の人狼の群れ――それは隆一郎に不穏という概念が具象化したような印象を与えた。
今日はここまで! 次も隆一郎と共に地獄に付き合って貰いたく存じます
>>424 投下乙です!
ううむ、ハードな感じですね……リュウやペトラ、ジャックはどうなってしまうのか。いやはや実に気になります。
次回を楽しみにしてますね!
あ、ところでメルさんはいただいてm(PAM! PAM! PAM!
さて、しばらくしたらDS氏に対抗して描いた絵を投下しましょうかね!
……タイトルロゴ無いけど。
>>424 投下乙!
ネーミングが俺のハートにビンビン来るぜぇぇぇぇ!!
地獄だろうとあの子のスカートの中だろうと、どこへでも付き合おう!
>>425 >DS氏に対抗して描いた絵
wktk
>>424 神話関係が大好物な自分には素晴らしい作品! 投下乙!
文章力ぱねぇ………戦闘シーンの描写の速度感がすごいッス。
ところどころ「分かる」ネタがあって笑った。
次回も楽しみに待ってますぜ!
>DS氏に対抗して描いた絵
やめてぇ!!! 「h」を抜いて描いちゃった古傷をえぐらないでぇ!
>>424 投下乙です
おいおいこれはまた熱いじゃないか
悲壮かつ勇壮だなぁ
宗教ネタの絡み方も好みだー
個人的にはジャックが好きだなぁ
鉄面皮と見せかけて、可愛いところある親父さんじゃないかw
性的な意味ではないよ!w
奈落の底まで付き合わせてもらうぜ
>>426 >地獄だろうとあの子のスカートの中だろうと
>あの子のスカートの中だろうと
>あの子のスカートの中
私も付き合いますよ!
>>427 ――――現在、過去の絵を見て自分の古傷をえぐっている最中ですのでしばらくお待ち下さい――――
30分くらいに投下しようかしらー。
430 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 20:28:40 ID:ILIUG+MB
うぉぉ!すげー新作ktkr。やべぇ、感想が追い付かない
何か書いてるうちに長くなってきちゃったぞ/(^0^)\今日中に終わるかなぁ…
>>432 投下乙!
遥はやっぱり慌ててる顔が一番似合うような気がするw
そして久々のロボ絵ktkr!リヒターかっこいいよリヒター。彼にならとっつかれてもいい
>>424 ドが付くくらいのハードな空気が伝わって来ましたよ!
ジャックいいですね。覚悟を決めた漢はかっこいい!
次回も楽しみにしとります!
>>432 これは……!
PBM氏、遥が回を重ねる毎に可愛くなってません?w
リヒターも格好いいのぅw
>>432 どれだけ進化すれば気が済むんだアンタ
そして恐らくは初のロボ正面画ktkr
O.......TZ
>>386 ふっふっふ、遥を嫁にするとリヒターまで付いてくr……ってメリットしか無いだと!?
>>434 私もそう思うネ。というか女の子の慌ててる顔私大好きネ。
>>435 いつもは前に垂らしてる三つ編みを後ろに持ってきてみたでござるのマキ。いやぁ、存外悪くないですね、後ろもw
>>436 むしろ初心に返って昔描いた絵を参考にして描いたものだったりしますw
>>433 参らせたでござ
>>437 ってオイィィィィィィィィ!?
アンタ頭取れてんぞ! しっかりしろォォォォ!!
>>432 おお、線が安定してきてるっぽいねぇ
しかし慌て顔に定評のある絵描きだw
今更気付いたんだけど、この二人、騎士と魔法使い的なビジュアルの取り合わせなのねw
>>434 >遥はやっぱり慌ててる顔が一番似合う
すげぇ分かるw
なんてこった!
>>437が死んじゃった!
このひとでなし!
>>438 >メリットしか無い
遥
家事全般得意、一応常識的、ドジ
リヒター
健気、天然、腕っ節○
……確かにメリットしかネーナ
O〜TZ <実はろくろ首
じゃなくて。
人もロボも小説もできるなんてうわぁぁん
>>441 君に無いのはロボだけ なら 描けばいいじゃない
絵が書けない俺には
>>432は眩し過ぎてソーラレイ
天は二物を与えるんですねorz
>>439 そりゃもう慌て顔ばっか描いてますからw
>騎士と魔法使い的なビジュアルの取り合わせ
黒いローブは趣味でもあるんですけどね!
てかリヒターが黒騎士っていうよりも魔王みたいな感じになっちゃってるのはご愛嬌w
そして何を思ったか仲間は魔法戦士と武闘家ウサギとお姫様と重騎士キツネですけどねー。
>>440 あ、遥のとこに、
肉体言語 ○
寝相 ×
追加しといてくだs(ry
どう見てもメリットしか無いじゃねぇぇぇかぁぁぁぁぁぁぁ!!
>>441 な、なんだって――――っ!?
>人もロボも小説もできるなんて
下手の横好きと申しまして!
>>443 それは憎しみの光だ――――っ!?
潜水機の絵は描いてたけどみんなのレベルの高さに封印しっぱなしですだ
文が描けない俺から見ればここにいる全員後光が差してるわ
それに真祖様は描くまでもなく恵まれてるからいいじゃないか!
>>443 技術とは先ず模倣から入る物なのだよ?(何様
描きたい気持ちを以て、イラストの写しから練習してみるといいのでは?w
まぁ描けない人間の戯言ですがねw
>>445 ルールは破るために、夜の校舎の窓ガラスは割るために、そして封印は解くためにあるんだぜ
>>445 ならば今がその時だ!
>>446 Q:これは後光ですか?
A:いいえ、後藤です。
>>447 あながち間違いじゃないというか、それ正解ですぜ旦那!
後は数をこなせば嫌でも上手くなりまさァ。
封印解除の予兆と聞いて飛んできました
ただひとつ、確かな事がある
wikiのPBM氏、ロリコンこと◆1m8GVnU0JM氏の作品欄の賑やかさは異常
儂も早く賑やかにしたいものじゃのぅ(=ω= )
>>445 今こそ封印を解くのじゃ!!w
>>424 なんか似たのに昔レスした事あるぞと思って調べたらやっぱりw
あそこほとんど反応無いからな〜
今日は10時投下予定です
>>453 おぉ、脳内とだいぶ違ったので新鮮だったで御座る
もちっとふとましい体系かと、それにかなり人型(?)ですな、脚も思ってたより長いで御座る
とりあえず保存しといた
>>453 ほほぅ、俺の想像よりスマートだったわ。
もうちょっとずんぐりして流線型な感じだと思ってたw
>>454 ぶっちゃけあれのリファインです
あれは見切り発車で書き出したので設定の詰めが甘いところがありまして、それならいっそ書き直した方が速いよな、と
考えなしに機体サイズを40、50mにするもんじゃないと思いました
自分にはこれが限界なのですぜ……
脚が長いのは自立を想定していないから――とか。うん、描けないから誤魔化した。
>>451 SS 4作
画像 未掲載含めて70〜90くらい
でしたっけ? 我ながら馬鹿げた数字だなぁ。何やってんだかw
>>452 節操無く色々投下したら賑やかにはなるよ! よ!
……表面上は。
>>453 投下乙です!
おお、煌めく流線型かと思ったら違うんですねー。もっと線が少ない感じを想像してましたw
では正直に言おう。
直線が多いロボも描けないが流線型が多いロボも描けない。
消してしまおうか…
>>457 ふむふむ
何故か銃の解説のシーンがやたら印象に残ってたので覚えてました
凄い楽しみにしてます><
ではそろそろ行こうか(´・ω・‘)
>>453 俺も流線型を想像しt(ry
なんか下半身だけになっても活動できそうな感じが面白いなw
>>459 >画像 未掲載含めて70〜90くらい
ああ、本物の馬鹿だなw
未掲載多いからなー、実際はどれくらいなんだか
>>460 直線系デザインならポリゴン氏の持分だね
鍛錬あるのみ、もしくは乳を極めるのじゃ、フォッフォッフォ…
>>453 なるほど、こういう形だったのかー
イメージの難しかった部分が氷解した感じ
スラッと長い足のイメージはあったんだけど、自分の想像じゃどうしてもバランスが取れなかったんだよなぁ
胴体大きめに想像してたからかな
あと、俺ももうちょっと流線型を(ry
「頭はきっと深海探査艇っぽいに違いない」という妄想をしていたのは
ある程度当たっていたぜ、ということを主張したい、力説したい
投下? 支援支援っ
あぁ封印がぁぁぁぁぁぁぁ 流線型がぁぁぁぁぁ
D型鋼機D−40 グレリーナ・コックピット。
クーガの大声はスピーカー越しにミナの鼓膜に大打撃を与えていた。
「あー耳がキンキンする、もっと音量下げて喋ろう?」
からかいがいがあって中々に可愛いものだとミナは思う。
名誉騎士と聞いてどんな奴が来るのかと思っていたのだが、思いのほかまとも、いや、ある種抜けている奴で面白い。
それがクーガへのミナの評価であった。
「あのな―――」
クーガが言葉を続けようとしたその時、レーダーが音を鳴らす。
さきほどまでの軽い空気と違う、重たい空気が一気に流れる。
妖魔の反応だ。
「数は24、獣種の群だ、目的地についたみたいだな。」
「把握、打ち合わせ通りに落としてくれればいいよ。」
「了解、でも本当にこれでやるのか?フライトユニットもなしに・・・。」
ミナは深呼吸する。
ここからはミスが許されない。
心を冷たく細く保つ。
今から赴くのはその気構えが必要な戦場だ。
「問題ない、あたしのグレリーナに不可能は無いからね。」
ミナはそうただ強い力をこめて言い放った。
種別によるが大体において妖魔達は耳と鼻がいい。
2000m程度ならばその鼻と耳で敵が来たのを察知してしまう。
だが圧倒的な戦力差を覆すためには寝首をかく奇襲しか手は無かった。
ゆえにこの殲滅戦にて発案されたのは高度10000mからの鋼機の投下による奇襲。
だが、これをフライトユニットも無くパラシュートのみでこれを行うのは非常識な事であった。
当然ながら鋼機は十数tの重さを誇る。
これによる重力の加速をパラシュートだけで落としきるのはかなりの早い段階でパラシュートを散開しなければ機体を無事に地上に降ろすことは出来ない。
安全確保の為には最低でも900m、搭乗者の安全性を最大限吟味するならば1200mの時点で散開するのが望ましい。
だが、これでは妖魔に気づかれてしまい、奇襲は成功しない事になってしまう。
よって外付けのフライトユニットを使いもっと降下した所でブースターの逆噴射による減速をかけるのだが、フライトユニットは使い捨てのものであり、
シャドウミラージュでのストックも少なく今回は未使用という事になった。
この話を聞いたとき、クーガとセイムはグレイルにいくらなんでも、
無茶だミナの身を案じて抗議したのだが、ミナが自分からいけると言い出したのとカタリナも可能だといったゆえにパラシュートのみで行く事になった。
高度700mでのパラシュート散開により減速を行い、減速、着地後、即座に奇襲、20数体と予測される妖魔を倒す。
これがこの作戦の内容だった。
つまりはミナはこれから理論上は可能というレベルのウルトラCに望む事になる。
暗闇に包まれた夜であるが故に着地の難易度をさらにあげていた。
空が雲に覆われておらず月灯りがあるのが、不幸中の幸いと言った所だ。
もし常識的な考えをする人間がこれを見たならばこんな事をする人間は自殺志願者だといわれてもおかしくは無い。
高度10000mまで降下した輸送機は鋼機、後部のハッチを開く。
グレリーナ内のミナに通信が入る。
「ミナ、いけるな。」
確認するようにクーガは言った。
「誰に聞いている。」
ミナの声色が棘棘しくなっているようにクーガは感じた。
これから行う事に集中しているのだろう。
何か景気付けの文句の一つでも言っておこうと思っていたのだが、今は、その集中を乱さないよう余計な事は言わない方がいいとクーガは判断した。
「あと降下まで30秒だ。」
「了解。」
深呼吸をする音。
先ほどまで話していた、人をおちょくったような気質が今の彼女からは感じられない。
いや、むしろこれが本来、ミナの姿なのかもしれないなとクーガは思った。
「カウント、10・・・・・・9・・・・・8・・・・・・7・・・・・・6・・・・・・」
クーガは静かにカウントを読む。
「5・・・・・・4・・・・・・3・・・・・・2・・・・・・1。」
「じゃあ、行って来る。」
ミナの乗った真紅の鋼機グレリーナはハッチから飛び出した。
機体にはその真紅を覆うように紺色の摩擦軽減用のコートが被せられている。
全長13mの機影は大地に向けて重力による加速を始める。
高度…8000…5000…4000…3000
機体は順調に加速していき、鋼機としては軽量とはいえ12tほどの重量を誇るそれはすぐさま最高速度まで達する。
真紅の機体を覆う紺色のコートは暗闇に溶け込みすぐに暗闇の中に溶けて言った。
クーガは機器から送られてくる情報だけでグレリーナの降下状況を追う。
高度…2000…1700…1500…1200…1000
残り1000を切った。
クーガは息を呑む。
ここからがグレリーナに乗るミナの真価が問われる所である。
失敗すれば機体ごとその反動で破壊され死亡するのは免れないだろう。
たった1度のチャンス。
高度…900…800…700…650…
「おい!!」
クーガが大声で叫んだ。
予定では安全性を鑑みて高度700の時点でパラシュートを展開する予定だったからだ。
だが、なんのグレリーナは何の挙動も起こさない。
クーガの背筋に嫌な悪寒が走る。
確かに、可能性としては700mでの散開では着地までに妖魔に気づかれる可能性がある理想を言うならば、もっと低い地点での着地が望ましい。
だが、それはあまりにも危険、否、命を投げ出すような行為だ。
地上まで残り500mを切ったがグレリーナは何の挙動も起こさず降下していく。
・・・480・・・450・・・400・・・380・・・
この瞬間、グレリーナは背部のパラシュートユニットを展開した。
グレリーナは大地に向けて減速を始める。
だが最高速度に達したその機体には減速しきるまでの時間が足りないのは明白だった。
・・・300・・・250・・・200・・・
クーガはモニターでグレリーナの降下速度を確認する…。
減速しきれてない・・・。
速度の安全領域に達するにはやはり距離が足りないのだ。
この速度のまま大地に着地すれば機体はその反動で破壊されるだろう。
・・・150・・・100・・・50・・・20・・・10・・・
そしてグレリーナは大地に衝突した・・・。
それと同時に大きな土煙を起こす。
その場で眠っていた妖魔達はその音で覚醒した。
撃つべしっ
妖魔の群たちの前に大きな音が鳴り響くと同時に砂煙が上がった。
眠っていた妖魔達は目を覚まし、何事かとその音の聞こえた方を向いた。
獣種と呼ばれる妖魔は鼻が利く、ゆえに何が近くに来たのかを即座に理解した。
金属が熱を帯びた独特の匂い。
妖魔達もよく知る匂いだ。
そう妖魔達が目的としていたものがそこにいるのだ。
自分たちに歯向かう為に下等生物が作り上げた忌々しい兵器。
砂埃が消え、その姿が妖魔達の眼前に現れはじめる。
そこには紅蓮のように紅い一の鋼が月夜の光を浴びて立っている。
その姿はあまりに妖しげでかつ美しかった。
その戦場から東方の崖の上に一人の男がいた。
男は黒いフードと道化のような仮面を被っている。
その男はこれから起こる事を観察するように見ていた。
砂埃の中から現れた紅蓮のシルエットを見て黒いフードの男はそう呟く。
「なるほど、この戦場にシャドウミラージュが切ってきたカードは彼女でしたか・・・。出来れば閃刃の方を拝みたかったのですが、これはこれで興味深い。ミナ・ザ・マリオネッター、噂に名高きその妙技とくと拝見させて頂こう・・・。」
その光景にクーガ・ラグナグは心底、驚嘆する。
グレリーナの特性も勿論だが、それ以上にミナの操縦技術にだ。
本来ならば大破しているグレリーナがそこにいる筈だった。
だが、ミナはグレリーナが大地に着地する瞬間に足、膝、腰、肩、肘、手と次々と衝撃を受けるポイント変え、着地時に受ける衝撃を受け流したのだ。
これを人間がやるのならばまだ理解はできるのだが、鋼機でやったという事は脅威的な事であった。
無論、これは通常の鋼機には不可能な事だろう。
それを可能にするには度を超えた柔軟性が必要だ、そして、それこそがあのグレリーナの機体特性なのだろう。
真紅の機体を視認した妖魔達は威嚇するように大きく吼える。
彼らに油断は無い。
おそらくはかの妖魔グラスを倒したほどの実力を持つのだから・・・。
ゆえに全力で殺しにかかる。
24の妖魔、48の瞳が真紅の機体に襲いかかろうとしたその時、その真紅は右手を空にかざした。
その瞬間だった、妖魔達の内の二体が全身から血しぶきをあげて倒れたのだ。
妖魔達は血しぶきをあげて倒れた同胞を見る。
それは輪切りにされ数多の肉片に変えられていた。
妖魔達には何が起こったか理解できていない。
目の前の敵は攻撃するような素振りすら見せなかったのだ。
たかだか手を上にあげただけ。
それだけだった。
妖魔達は即座に理解する、それが目の前の敵の攻撃なのだと・・・。
だが、何故・・・。
いや、考えるな。
この数、この量、戦況は圧倒的に有利ではないか。
妖魔達は己を激する。
グレリーナは今度は左腕を横になぎ払うように動かす。
それと同時にまた同胞たちが2、3と体から血飛沫をあげて倒れていく。
だが、その攻撃で妖魔達は確信した。
眼前の敵は一度の攻撃で己ら全てを倒すような攻撃を使う事はないと・・・。
ならば問題ない。
24の我々の内、たかだか4の同胞がやられただけだ、ならば我々の量がモノを言う。
そして殺された同胞の分まで奴をえぐり殺してやればいい。
そうして妖魔達はいっせいに襲いかかる。
それを感知してグレリーナは両腕妖魔の方に向けた。
また、何かをするつもりなのだろう。
だが、構うな敵は恐らくはかのグラス公を殺したモノ。
元より、被害を受けず倒せる等と思ってはいない。
残りの距離約30歩。
我々がそれだけの距離を走破し奴に我らの中の1個体が牙が突き刺させばいい。
だから、どのような攻撃を仕掛けてこようと―――
残り20歩。
この戦いは我らの勝利だ!
残り10歩。
その間合いに入り込んだ瞬間、グレリーナーは前に突き出した両腕を後ろに引き上げた。
妖魔達はその瞬間、自らの体に何かがまとわりつく感覚を覚える。
だが、構わない。
今何かされようとも攻めきれば――
残り5歩。
そしてグレリーナは手を握り締めるように閉じた。
その瞬間、15の妖魔達は次々と、血飛沫を上げて倒れていった。
生き残った妖魔達はその一瞬で自らの同胞が一斉に倒れていくのにパニックを起こした。
そう何が起こったのかわからない。
何故あれだけの動作で我々の仲間たちが死ぬ、殺される、蹂躙される。
いくら人間達のあの鋼の鎧を用いたところで、1:1で闘っても我々のが分がいいのがほとんどなのだ。
どれほど強くてもこれだけの数でたった一人の人間などに敗れる事などはありえない。
これは人間側のみならず妖魔側としても周知の事実であった。
ならば目の前にいるのは何だ。
体が震える。
刃を体につき立てられたわけでもない、矢で射たれたわけでもない、火器で体を貫かれたわけでもない。
ならばこの震えはなんだ?
ただあの腕を振り上げるだけで仲間たちは次々と息絶えていく。
何故だという疑問が妖魔達を支配する。
そしてその疑問が恐怖と化している。
また、その真紅がその腕を振り上げた時に2の同胞が倒れる。
そしてその敵はまだその場所に降り立ってから一歩たりとも動いていない。
次々と転がり落ちる同胞の肉片。
辺り中に妖魔の血の匂いが充満し、それと同時に肉が焼け焦げた匂いがする。
それと同時に妖魔達の目は一つの事に気づく。
さきほどは暗闇に隠れて見えていなかったが匂いを得る事で気づいた、血にぬれた赤いラインが宙を舞っているのだ。
血の付いたラインはその身に付いた血を焼き蒸発させている。
その妖魔はその眼と鼻で無数のライン出所を追う。
グレリーナはまた腕を振り上げる。
ゆるやかにしなやかに妖艶に・・・。
妖魔達の視線がそこに集まる。
そして妖魔達がそのラインの全てがグレリーナの指先から出ていることに気づいた時。
既にその妖魔の体には複数のラインが絡みついており。
そのラインはグレリーナが手を握り締めた腕を後ろに引くと同時に妖魔の体を切り落とした。
この間、グレリーナが大地に降り立ってから2分32秒の出来事であった。
それは圧倒的な光景だった。
たった一機の鋼機の前に24の妖魔の妖魔が数多の肉片と化して転がっている。
もはやこれは驚異的な戦果というようなレベルすら超越してしまっているような光景だった。
輸送機で空からその一様を見ていたクーガはその結末に固唾で息を呑む。
恐らくはあの赤いライン、言い換えるならば鋼線のようなものを扱いグレリーナは闘ったのだろう。
グレリーナが行ったのは自分が先の戦いにてスラッシュゲイルで行ったワイヤークローを使った戦闘法の応用のようなものだ。
応用といえば楽だが、その実やった事のレベルがまったく違う。
ワイヤーギミックは通常鋼機の両腕に搭載されるものであるが、この機体は違う。
グレリーナは両手の五指から出る鋼線を自在に操ったのだ。
そもそもワイヤークローは攻撃用の中距離武器であり、クロー部分を対象に射出し突き刺すといったような兵装だ。
だが、グレリーナのワイヤーは根本から違うのだろう。
妖魔の体毛は硬く、並大抵の火器では貫けないようになっている。
つまりはワイヤーを妖魔の体に巻きつけて引いた所で、妖魔の体を、ああも簡単に切断する事はできない。
カメラ越しに測定される膨大な熱量から察するに、ワイヤー部分に高熱を持たせる事によってその熱で切断するという仕組みになっていたのだろう。
理屈はわかるが、それを操るという事は生半可な事では無い。
そしてそれを扱うために徹底的な軽量化と柔軟性への追及、それを行われた機体があのグレリーナだろう。
そして何よりも驚異的なのはあれを操縦したミナだった。
一見、ミナは圧倒的な機体性能と操縦技術で妖魔達を倒したように見えるが、実際の所それだけでは無い。
むしろそれだけならば今頃彼女は妖魔達にその体に牙をつきたてられていただろう。
だが、そうなる事は無かった。
これは何故か?
言うだけならば簡単だ。
彼女は戦場を操作し、妖魔達をもまるでマリオネットのように操ったのだ。
全てはその戦いにおける演出とでもいうべきか。
グレリーナが大地に着地してからその地点から動いていない。
そう、自分から妖魔達の方へと向かい攻撃したということは無いのだ。
つまるところ、こういう事だ。
まず、射程内の妖魔数体を高熱ワイヤーにて斬殺し、注意を己に引きつけた。
そして、自分に突撃してくるように仕向ける。
ここで重要なのが一見怒涛の攻めを行っていたように見えた彼女は実際は守りの布陣をしいたという事だ。
そう、つまりは彼女は自身を囮とし、鋼線による結界とでもいうべき網に妖魔達を誘いこんだのだ。
おそらくは紅という目立つカラーリングを採用しているのも機体自身を囮として注目を引きつけ、その武器であるワイヤーの存在から注意、逸らす為のものなのだろう。
そうして、あとは網に引っかかってしまえばあとは容易いものだった。
引っかかった鋼線を巧みに操り妖魔達の肉体を切断、解体。
あとはその光景に戦意を失った妖魔達を倒すだけでいい。
これがこの戦いの全貌だった。
「おーい、聞こえてる?クーガっち。」
その一声でクーガはミナから通信が入っていたのに気づく。
「なんだ?ミナ。」
「なんだもこうだも無いよ、早くあたしを迎えに来い。」
「了解した。」
クーガは輸送機の機体を地上に向ける。
「あと、3分以内のノルマをやったからね、約束守れよなー。」
「えーと、今か?」
少し困ったようにクーガは告げた。
「んー、疲れたから、帰り道でいいよー。」
「わかったよ。」
何を聞かれるのか、それを考えるだけでクーガはお先真っ暗な状況を思い描き、これから待ち受ける未来に向けてため息をついた。
戦場から東方の崖の上。
黒いフードを被った髑髏仮面(スカルマスク)の男はその始終を見て考察する。
目の前で広がっているのはたった一機の鋼機にその体を切断された妖魔たちの群れの残骸。
これは、そう普通ならばありえない光景、ありえない勝利、ありえない偉業。
だが、それを可能にするモノを髑髏仮面は知っていた。
「つまらんものを使う。」
髑髏仮面はそう、ため息をつく。
つまらない。
こんなものを見たかったのでは無い。
その声には期待を裏切られたとでもいうような響きがあった。
「――そうかな?」
そういって後ろから髑髏仮面に語りかける男がいた。
風貌は黒髪の長髪に黒眼、細身で白いシャツの上に茶色の皮製のジャンパーを羽織っている。
髑髏仮面はその男を見て驚いた後、即座に身構え、腰にある刀剣に手をかけた。
一触即発とでもいったような空気が回りに流れる。
「あれは覚悟があるから使っているんだ、そしてそれが何を意味するかも知っている。つまらんものと吐き捨てる程、安いものでは無いんだよ、まったく。」
「神出鬼没とは聞いていたが、まさか、こんな所で会うことになるとは思ってはいなかったよ、グレイル・レイスター。」
「人を驚かせるのが好きでね―――というのは冗談で実のところあいつらがちょっと心配になって見に来たんだが、お前を見つけた時は驚いたよ。しかし、その仮面は何だ?道化傀儡の真似事か?柄でもない。」
グレリーナが輸送機に収容されるのを見送りつつグレイルは言った。
「答える義務は無いですね。それよりも王国鋼騎士の最高位『天聖騎士』に名を連ねる男がなんのようですか?」
「そうだな……お前を捕らえに来たというとどうする?」
グレイルが静かに、それでいて威圧するように言った。
「これは、これは怖い、王国最強を自他ともに認められるあなたにかかれば、私など、あなたに相打ちをしかけるのが精一杯でしょう。」
「ほう、相打ちね…ガキが言うじゃないか…。」
その時、髑髏仮面の腰にあった通信機の音が鳴った。
《――今どこにいる?》
無線から声が聞こえてくる。
その声はボイスチェンジャーで変換された機械的な声になっていた。
「呼んでるみたいだな、出なくていいのか?」
髑髏仮面は嘲笑するような声をあげた後――
「そうですね、それではおさらばです、また会いましょう。」
刀剣の帯を引っ張っりあげ、深々とお辞儀し、崖から飛び降りた。
「何を!!」
グレイルは追う。
当然ながら200mはあるだろう高さから飛び降りれば普通の人間ならば死んでしまう。
だが、髑髏仮面は違った大地に向かって降下したかと思うとその途中で静止したのだ。
地面に落ちるのでもなく、崖に何かを引っ掛けてぶらさがっているのでもなく、そう文字通り空中に浮いていた。
それと同時に大きな何かのエンジンが駆動する音が鳴り響くのをグレイルは聞いた。
「さあ、さあ、さあ、おいで、おいで、我が死神よ。」
今まで何も無かった筈の空間に少しずつ黒く着色がされていく…それは少しずつ大きな人型を模りだし――鋼機と化す。
それはまるで最初からそこにいたかのように存在していた。
全長は14mぐらいだろうか…全身を覆う黒色の重装甲が特徴で威圧感を放つ、武装は見える限りには両腰にある大型の刀のみに見えた。
それはかつてグレイルが古代史の物語で読んだムシャといわれる存在を連想させる。
そして、その黒い鋼機の右の手のひらには髑髏仮面が立っていた。
「これは………まさか…ステルスシステムか!!」
グレイルは驚きの声をあげる。
最近、王国の鋼機技術局で新考案されたリアルタイムで光学処理を鋼機に施すステルスシステムだが多くのディールダインの使用が必要とされまだ研究があまり進んでいなかった。
そう、だからおかしいのだ。
そのようなシステムを搭載している鋼機がD型以外にある事自体が…。
だが、心当たりがある。
そう、それはつまりはあの組織の―――
「覚えておくといい、グレイル・レイスター!これがDシリーズを超える究極の鋼機DD(ダブルディー)シリーズだ!!」
髑髏仮面はグレイルに指差しそう言い放ち、黒い機体と共に去っていく。
その姿を眺め、もの哀しい感傷に浸った後、グレイルは静かに呟いた。
「まだ続けるつもりなのか…あの日の復讐を…。」
【3話 エピローグに続く。】
というわけで次でラストです
ちょっと圧倒的すぎかなと思ってたんですが、まあ、一回こういう戦闘書いてみたくてというのが発端でした
いや、今もそうだけど俺の戦闘ってどうしても苦戦ばっかになりがちなんですよね(´・ω・‘)
CRも現行で酷い勝負になってますし・・・
一応、補足すると、今回の戦いは完全に相性勝ちなところもありまして
他のDと比べると頭が抜けているか?というとそうでもありません
あと今日は妖魔の設定でもあげておこうかなと思います(前にあげた奴と大体同じなんですが)
妖魔の設定といっても大体が外見上の設定で、妖魔の全てを語っているわけでは無いのですが
厨二具合の暴走が一番凄い所でもあるのでよければ読んでやってくだせぇ
>>484 投下乙です!
このグレリーナ凄いよぉ! さすがスラッシュゲイルのお姉さんンンンンッ!!
氏の書く殺陣はいつもかっこいいなぁ、尊敬しちゃうなぁ。
さてさて。ダブルディー、そしてスカルライダー……じゃなかった、髑髏仮面は一体何者なのか……次回のエピローグも楽しみにしています!
>>484 投下乙です!
高熱を帯びた鋼糸!
曰くありげな仮面の敵キャラ!
そして現行の鋼機に存在しないステルス機能を持った黒いDD!!
盛り沢山で……堪能しました……w
>>484 乙です。ワイヤートラップかっこええなー
何かボスっぽい人も出てきたし佳境でスNE!
>>484 投下乙!
なんていうか、氏の作品って丁寧だよね。そんな感じする
しかし糸で攻撃はツボだなぁw
>>484 投下乙です
ミナTUEEEEEEE!!!
ワイヤーもさることながら、月下に映える紅の立ち姿が格好いいぜ
そして遂に敵役が登場ですなー
髑髏仮面と黒武者の正体やいかに
>>484 ワイヤー! 相手を切り刻まざるをえないっ! 投下乙!
もっと戦闘を! 次回に期待!
ヒートワイヤーに紅のカラーリング!
かなり自分のツボにキマってますw
グレリーナの今後の活躍に期待!
おぉ!続々と投下乙です、後でジックリ読ませて頂きます〜
それと十一時過ぎには投下出来そうです。
その時何方か支援してくださいますか?
支援できる……かな?
実は自分も書いてみて初投下できそうです
面白い作品は創作熱をかき立ててくれますなあ
>>485 >戦闘
やっぱロボ書くならこれかかないとね!と毎回気合いを入れまくって書いてますでの
良い評価もらえると凄くうれしいですw
そのせいか、入れすぎて時間がかかっていつも悪いな〜と思ったり・・・
>>486 もう出来るだけの詰め込みはしたよ><
>>487 ワイヤーを使うロボというのが個人的には好きなのと戦闘に非常に応用が効くのがいいです
ただ、描写が思ってたよりも結構難しくて当時難航してましたw
>>488 もうちょっと描写省いてもいいかなーと思う事は多いんですけれどねw
>>489 月下に立つというのはガチのシュチュだと思います><
もう、ああいうシーンアニメで見るのも好きで好きでw
>>490 ありですw
でも戦闘は今回で終わりなんだったりー
でも、次のエピローグも色々頑張ってますのでよければ付き合ってくれると幸いです><
感想書けなくてスマソ。時間経ってじっくり読みまする
……皆クオリティ高すぎて投下できるレベルか不安になってきたぞ
>>496 それは思ったけれども、それに追いついて追い越せるよう努力すればきっと!
……うん、そうだといいな
本編進めずにDSのキャラのTSネタを書いてしまった…
>>497-498 いややっと半分くらいなんだ
まぁ今日中には出来るけど、多分皆の最後かな
>>496 同レベルの書き手がここにいるぞ!!(何を偉そうに
さぁ、どーんと!どーんと!!w
マイペースにいけばいいのですヨ。そして過去を振り返って赤面するのもまた一興。
しかし情け容赦無い新作ラッシュですねw
>>496 書くも描くもクオリティが低いくせに投下しまくってる厚顔無恥な輩がここにいますぞ!
あぁそうだ、wikiの方〜。
俺のトリが他の作品に付いてたのでお暇な時に修正をおながいしますw
>>499 DSでTS……妙に似合う気がするのは何故だろう……w
エリアーヌを筆頭に、性の枠をはみ出てる人が若干名いるからだろうかw
ただ、親父さんだけが想像できねぇ!
やったー、投下できるぞー
まだひよっ子だけど投下して良いかな!
文章に粗がありまくりだろうけど、指摘とか受けて上手くなりたいな
イタリア辺りの押しの強いおばちゃんみたいなイメージ?w
>>507 了解!支援は任せろ!意訳:アドバイスは期待しないでw
じゃあ投下する!
戦闘があまりないのが一番の難点……
「あんた! ウチの家に代々伝わるそれ、壊したら承知しないわよ!」
「わかってるよ! くそっ!」
外から聞こえてくる少女の声に、少年は一人毒づいた。
叫び出したいのはこっちの方だというのに。
眉間に皺を寄せ、少年は正面を見据える。彼の目前にはスクリーン。
そして、それに映し出される巨影。
巨影に対する全体的な印象は、騎士であった。堅固な鎧に身を固め、その手に握る剣で敵を断つ。
そんな騎士が、ただただ純粋に大きくなった、そんな印象。
そう、そして印象に違わず、その騎士は巨大であった。
地上――草花が咲き誇り、野獣が駆け回るのどかな草原――についている足。二本のそれから視線を上に、10m近くまで持ち上げていくと、そこには大地に屹立する巨大な騎士の姿があった。全体的にすらりとしたフォルムである。
兜から下ろされた面、そこから覗く両眼は怪しく光る。それは人で言う知覚のための器官。この騎士で言えば、敵を察知するためのカメラアイ。
騎士の両眼は、こちらを捉えている。スクリーン越しに、怪しげな眼光で射貫かれているような気がして、少年は思わず身震いした。
騎士の上半身は、鈍い光沢を放つ合金で覆われている。腰金部分には、一振りの剣――生身の人が扱える大きさではない。巨大な騎士に併せたサイズの剣である――が提げられていた。
あれがあの騎士の得物なのだろう。形状から見て、刺突専用の細剣か。
自分が乗っているここ――つまりコクピット――を狙われれば、たまったものではない。操縦桿を握る両手が、じっとりと汗ばんだ。
「いい!? 奴を倒さなくちゃ、私たちに未来はないの! 頑張りなさいよ夜這い魔!」
「その呼び方やめろっ!」
自分が緊張していることを知ってか知らずか。スクリーン手前に映る自身の足下で、少女が声を張り上げた。
それにしても不名誉な名前をつけられたものである。そんな名前を大声で叫ばれたからだろう、先ほどまで張り詰めていた自分の気持ちが、少し緩くなった気がする。果たしてそれが良いことなのか悪いことなのかは置いておいて。
「あ、おい! こいつの名前なんだっけ!」
「我がエウリューデ家に代々伝わる最高の機甲騎士! 人呼んで、機甲聖騎士ザイフリード! 覚えなさいよ!」
>>509 了解。あとでじっくり読ませて頂きます!
機甲聖騎士ザイフリード 第1話【紫藤雪人】
紫藤雪人(しどうゆきと)は、きわめて平凡な男子高校生であった。
それは身体能力的にも、頭脳、学力的にも。そんなわけで、彼は可もなく不可もなくと言った高校生活を送っていた。
ただし、彼の置かれている境遇は、平凡とは対極に位置するものであった。
彼は二年前に両親と死別し、その時から彼は双子の姉である紫藤由希音(しどうゆきね)と二人暮らしをしていたのだ。
生活費や学費のためのアルバイトなどに追われてはいたものの、双子の姉、自身が最も愛する者との共同生活は充実していた。
由希音は面倒見が良く、同い年であるとはいえ、彼の母親の代わりとなっていたのだ。
両親を失ったが、彼ら二人の生活はそれほど非道いものではなかった。互いに支え合い、両親の死を乗り越え暮らしてきたのだから。
しかし、そんな幸せ生活はつい一月前に崩れ去った。
双子の姉、由希音の失踪である。
突然の失踪。きっちりとしている性格である彼女が、弟の自分に何も言わずに姿をくらましたのだ。
雪人にとってそれは大きな驚きと悲しみを与えた。食事は喉に通りはしたが、学校へ向かう気力は湧かなかった。
警察に捜索願を届け出、一週間。彼も町内を駆けずり回り、由希音の向かいそうな場所、
二人の思い出の場所、思いつくところありとあらゆるところを探したが、それでも彼女の姿は見つからない。
二週間が過ぎ、警察はさほど熱心に捜査を行なわなくなってきていた。それについて憤りを感じはしたものの、
むしろ雪人を、『自分が姉を見つけるんだ』という気持ちにさせた。
三週間。雪人は半ば諦めかけていた。ついこの前までの、由希音を探し求める熱意は霧のようにどこかへ消えた。
もう姉は見つからないのではないか、そう言った諦めが彼の心の内を支配していたのだ。何故かはわからない。ただ時たま夢に見る、由希音が誰か見知らぬ男と楽しそうに笑っている姿が関係しているような気がした。
それに、いい加減学校へ来いと催促の電話も絶えず鳴り響くようになっていた。雪人は金銭的な事情から奨学金を受け取っており、
その制度が適用される生徒に留年という不名誉な措置が取られた場合、問答無用でその資格を剥奪されるのである。
自身の生活のためにも、雪人は姉の捜索を諦めざるを得なかった。
由希音が失踪して一月。
雪人は変な夢を見るようになった。誰かが呼んでいる。『助けて』と囁く声。耳元で、静かに、誰かが囁く。
由希音だろうか。いや違う、雪人の覚えている由希音の声ではない。では誰が?
考えどもわからない。しかし日に日にその声は確かなものに、そして大きくなって行き、雪人は眠れぬ日々が数日ほど続くまでになっていた。
『私たちを、助けて。この地を、駆けて』
「くそっ!」
まただ。雪人は枕を壁に投げつけた。ぽーんと間抜けな音がして、枕が跳ね返る。
それを見て忌々しげに舌打ちし、雪人は布団を頭から被った。どんどんはっきりと聞こえてくるようになった謎の声。気持ちが悪くて仕方がない。
誰が何のために、誰を助けろと言うのか。助けてもらいたいのはこっちの方だと、雪人は思う。
瞳を閉じる。深呼吸。落ち着けば、この謎の声も消えてしまうのではないかと微かな願望を胸に抱いて。
『お願い――助けて。私たちにはどうしようも、できない――』
「あああああっ!」
布団をガバリとはね除けて、雪人が吠えた。忌々しい忌々しい忌々しい!
自分が望んでいるのはこんな得体の知れない声ではない。姉の、最愛の人の、由希音の声だというのに!
「お前は誰だ! 何なんだ! 俺に何をさせようって――」
『私たちを――助けて欲しいの――』
「助けろ助けろって! 俺はお前を知らないし、どうやって、何から助けろって言うんだよ! ああもう!」
『そう、それは正論ね――。なら、こちらに来て――』
こちらに、来て。雪人がその言葉に微妙な引っかかりを覚えていると、突然、激しい耳鳴りに襲われた。
「な、うわああっ!?」
ガンガンガンガンと、何か大きな鐘を叩き鳴り響かせるような、大きい衝撃が彼を襲う。あまりの衝撃に、立っていられない。膝がガクガクと笑う。食道から、今日の夕飯が込み上げてくる。吐いた。痛い、痛い痛い痛い。
耳が痛い、頭が痛い。激痛に耐えきれず、頭を抱えて雪人は転げ回った。布団を巻き込み、なおも回る回る回る。
実際は数分か、しかし苦痛の時間は数時間近く及んだようにも感じられた。悲しいかなその痛みにも慣れ始めた頃、急に視界が真っ白に染まった。
閃光と呼ぶのがふさわしい。まるで太陽の光を近距離で浴びたかのような、それほどの眩しさが雪人を襲う。瞳を閉じても、その閃光は瞼の裏側に張り付いたままだ。眼球がキリキリ痛む。まさに三重苦。
「あ、もうっ……、なん、なんだよ……っ!」
『儀式――。あなたを、呼び出すための』
「いみ、わかんね――」
それが、最後に雪人が聞いた言葉であり、雪人が十六年間を過ごした世界に残した最後の言葉でもあった。
しえん
「……」
頭が痛む。これは寝起きの、特に寝不足の時に感じる痛みだろう。
ゆっくりと視界が開けてくる。だがそれはぼんやりとしたままで、雪人は現状を把握することが叶わなかった。
ただ、布団の感触から、自分が今、由希音と共に暮らしていたあの家にはいないということだけはわかる。こんな高級な布団、初体験だ。
「……んぁ」
間抜けな声が漏れた。体を起こし、深呼吸。
酸素が行き渡ったのか、大分頭も、視界もはっきりとしてきた。
「ここは、どこだ?」
辺りを見回した雪人は、呆然と呟く。どうやら自分は、天蓋付きのベッドで寝ていたらしい。当然ながら、こんなベッドで横になったことなど彼は一度もない。
ベッドの置かれているこの部屋は、やけに広かった。何畳あるだろう。数える気も湧かない。
天井からは高級感溢れるシャンデリアが吊り下がっており、部屋の壁際にもまた、アイボリー製なのだろうか、非常に趣のある色合いの家具が肩を並べている。午後のティータイム用か、ご丁寧に小さな丸テーブルまで用意されていた。
どこかのホテル――にしては広すぎる。となれば、王族や貴族などの私室であろうか。
しかしそれだと、自分がこの部屋で寝ていた理由の説明にはならない。雪人に、そのような知り合いや親戚などはいない。
「……寒い、わ」
「ああ、ごめん」
反射的に雪人は言葉を返し、硬直した。
寒い……? 誰が? 自分は特に寒いと感じはしない。むしろ心地よいのだが……。
ギ、ギ、ギ、と錆び付いたブリキのおもちゃが如く、ゆっくりと首を回した雪人は、ついさっきまで自分が寝ていたすぐ近く、鼻先数十センチのところに、同い年くらいの少女が寝ていたことを知った。
すぅすぅ、と規則正しい寝息が聞こえる。と、同時に、胸が上下しているのも見えた。
胸。少女は無防備にも、白いレースが映える、薄いネグリジェをその身に纏っているだけであった。布地から、その白い柔肌が透けて見える。
「あわわわわわわ!」
自分が置かれている状況を理解することがついに出来なくなり、雪人は慌てて目を逸らした。すやすやと寝息を立てるこの少女は、自分を、見てはいけないものを見てしまったような、そんな気持ちにさせるのだ。
実際、見てはいけないものを見ているというのもあるのだが。
「……しかし、これは一体……」
気がついたら、無防備な少女と同衾していました。なんて、少し嬉しくあるが、まったく説明のつかない出来事にもほどがあろう。何がどうなってこうなってしまったのか――、雪人が頭を捻っていると、
「お姉様、ここに――」
「う、うわっ!?」
部屋のドアが外側から開かれ、隙間からぴょこんと、雪人の側で寝息を立てている少女と瓜二つの少女が顔を覗かせた。奇声を上げた雪人と、彼女の視線が交差する。
数秒の沈黙。
お互い固まって、動くに動けぬ状況であった。
「ぁ――」
だがその均衡は破られる。
「あ、あ、あ、……お姉様が、殿方を……? い、いえ……まさか……、夜這いっ!?」
「ち、ちがちが違うっ!」
少女がそう考えてしまうのも無理はない話であった。見知らぬ男が、姉の寝台にちょこんと座っているのだから。
「夜這いじゃない、夜這いじゃないから落ち着いて!」
「ど、どうしましょうどうしましょう! ああ、お姉様が、お姉様が!」
「……もぅ、なにようるさいわねぇ……」
横から聞こえてきた声に、雪人はぎょっとした。今まで寝息を立てていたはずの少女が目を覚ます。
それはつまり、またもいらぬ誤解を招く可能性があるというわけで――。
「……ふわぁ、ミナ、あんた少し……、すこし…………」
デジャヴ。視線が交差する。しかしそんな時でも、その存在を声高に主張する胸に目がいくのは男の性か――。
「お、おはよう、ございます……」
「……………………よ、夜這いっ!?」
予想通りの反応に雪人は内心で大粒の涙を流し、そのまま流れるように繰り出された少女の右アッパーをもろに食らって意識を飛ばした。
「で? あんた何物? 回答次第によってはここで息の根を止めるわよ」
「は、え? なんでそんな物騒な」
「いいから答えなさい。まさかフランツァの間者?」
雪人が気を失っている間に着替えたのだろうか、少女(姉)は、白いワンピースに身を包んでいた。
栗色の髪の毛を頭蓋頂点付近で結って下に垂らしている。つまりはポニーテールだ。
その眉はかなり吊り上がっており、彼女がいかに怒り心頭かを表していると言えた。無理もないとは思うが、それにしても人の話を聞かない少女である。何を言おうと耳を傾けず、雪人は腕と足を縛られ、丸太よろしく床に転がされていた。
ちなみに、少女(妹)の方は魔術師よろしく黒いローブに身を包み、姉の後方で静かに佇んでいた。腰を越えて伸びる栗色の髪が印象的だ。引きずらないのだろうかと、雪人はぼんやり考えた。
「って、フランツァって何だよ……。というか、なんなんだよもう!」
「なんで夜這い魔の癖にいきなり怒り出すのよ」
「夜這い魔じゃねえっつの! 元の世界に戻してくれよ!」
「元の世界……?」
自由を奪われたとはいえ、雪人は途中まで冷静であった。辺りを見回し、窓から外の景色を見、ここが元自分のいた世界でないことを知った。驚きは特になかった。珍しい体験をするものだなと思っただけであるが……。
「こんな目に遭うんなら早く帰らせてくれ!」
「なんのことよ! わけわかんないわ!」
「こっちの台詞だよ畜生!」
雪人は喚く。喚いてもどうにかなることではないだろうが、それでも喚いた。
喚くくらいしかやることがないというのが事実だ。この少女は話を聞かない。
「……少し、宜しいですか」
「何よミナ」
今まで黙っていた少女(妹)――どうやらミナというらしい――が、おずおずと口を開いた。
気まずそうに雪人に視線をやった後、少女(姉)と一言二言会話を交わす。
「はぁ!? それは本当なの!?」
「ま、まだ確信は持てませんが……」
「そう……、ふーん……、そう」
うんうん、と何度か頷き、少女(姉)が雪人を見た。
その瞳には、何かを試そうとしているような、そんな光が見える。
「あんた、名前は」
「……そういうのって、自分から名乗るのが普通じゃないのか」
「ぐ……。ふん、私はマナ・エウリューデよ。そしてこっちが、双子の妹のミナ・エウリューデ」
マナが、黒いローブを纏う自身の妹を指さした。
ミナは無言で会釈し、雪人もそれに返した。妹の方には好感が持てる。――夜這い魔扱いされはしたが。
「で、名前は」
「紫藤雪人」
「しどー、ゆきと?」
「ユキト、ですね」
慣れない発音のためか、首を傾げたマナに代わり、ミナが静かに言葉を続けた。
「ユキト、私たちはあなたを待っていました」
「……待っていた……?」
「そう、あなたなら、この世界を救えるはずです。きっと……、いえ、絶対に」
力強く、断定するようなミナの口調に気圧されて、雪人はただただ押し黙ることしかできなかった。
「……」
「……なぁ、それって――」
どういう意味だ、と続けようとした雪人の耳に、轟音が飛び込んできた。
思わず一斉に、全員が音のした方向、窓の外を見やる。
広く続く草原。草花が咲き乱れ、野ウサギたちが駆け回るのどかな草原。
だが、そんな安寧の地の一部は黒く焦げ、所々に大きな穴が穿たれていた。
「何が……?」
「フランツァの機甲騎士よ」
雪人の呆然とした声に、マナが苛立ちを隠さずに答えた。
「フランツァ……?」
「敵よ、敵。私たち王国の敵」
「……?」
「今はまだ、わからなくても良いのです、ユキト」
頭の上に疑問符を浮かべて首を傾げる雪人に対し、ミナが諭すように言った。
「そうね……、ミナの言う通りだわ。今一番大事なことは、あいつを退けること」
マナが指さした先に、人影のようなものが見えた。だが、それは人影というのには大きすぎる。
10m近くはあるだろうか。鈍い光沢を放つ鎧に身を包む、巨大な騎士がそこにはいた。
「なんだよあれ……。ロボット……?」
「説明は後よ、とにかくこっちに来なさいユキト」
「は、はぁ?」
マナに腕を引かれ、雪人は部屋を後にした。ミナもそれに続く。
どうするつもりなのか。雪人はマナに尋ねてみるものの、返ってくる答えは芳しくなかった。
今更になって気がついたことだが、この少女達は随分と巨大な屋敷に住まっているらしかった。
あのだだっ広い部屋を出た後、一定の間隔で調度品が並ぶ廊下をかれこれ数十分は歩いている。
「なぁ、おい、あの……機甲騎士だっけ? それが来るんじゃないか?」
「来るでしょうね」
「来るでしょうねって……。逃げなくて良いのかよ」
あんな巨大なロボットに襲われては、まず生き残るのは不可能に近い気がした。
なにより彼女たちは、自分たちの敵だと明言している。
敵ということはつまりこちらを攻める理由があるわけで、その対象はこの少女達……。
「厄介な……。早く元の世界に戻りたい……。ていうか、これって夢なのかな」
「ユキト、外に出るわよ、広いところへ!」
「はぁ?」
反論する間もなく、雪人は二人の少女に手を引かれて屋敷の外へと出た。
空は青い。雲一つ無い青空だが、対して雪人の心は暗かった。ずしんずしんと大地が揺れる。あの巨大な騎士が一歩踏み出す度に、振動が伝わる。そのスケールの大きさに、雪人は呑まれそうになっていた。
「おい、おい、おい……、あれを退けるって言ったよな」
「言ったわ」
「無理だろ、絶対!」
「ふふん、それがそうでもないのよね。見なさい、これを!」
雪人の言葉に鼻を鳴らし、マナは得意げに、屋敷のすぐ側にある小高い丘を指さした。
丘だ。丘であった。草木が生い茂る、小高い丘。
見なさいと自信満々で言われても、雪人にはただの丘にしか見えず、これが起死回生の決め手になるとは到底思えなかった。
「丘じゃないか」
「ただの丘じゃないわ。あそこにはね、眠ってるのよ。私たちの切り札が」
マナが笑みを浮かべながら言った。
「……そう。そして、この世界を救うための聖騎士が」
ミナも、静かに言葉を紡ぐ。
「……何の話をしてるんだ……?」
切り札。聖騎士。もう雪人にはよくわからない単語が飛び交い始めて来た。
自分だけでも逃げるべきだろうか、いやしかしと一人勝手に葛藤を始めた雪人であるが、その考えはマナとミナ、二人の声によって遮られる。
「ユキト」
「あなたに話があります」
「な、なんだよ……?」
二人の、えらく真面目な声音に少し戸惑いつつ、雪人は言葉を返す。
「……ミナ」
「はい。……白銀を纏い、大地を駆ける聖騎士よ。今我らに、汝の力を――」
雪人にはよくわからなかったが、印か何かを結んだミナが何事かを呟いたと同時に、マナが自慢げに指さしていた丘が崩れ落ちた。
そして、そこからちらりと何かが覗く。
そう、これは――。
「な、ロボット……?」
「そうよ、私たちの切り札。……機甲聖騎士、ザイフリードよ!」
続く
投下終了でございます
ごめんなさい戦闘皆無でした……。
支援ありがとうございます。嬉しくて涙がちょちょぎれそうですはい。
出来るだけ早く第2話を、戦闘描写及び機甲騎士の描写込みで書きたいところ
いやほんと至らないところだらけで恥ずかしいけど、何かを書いてみんなに見てもらえるのは嬉しいものですね
>>532 初投下乙です!
なぁに、全然悩む事ありませんよ。自分の二作目なんか戦闘?何それ食べモノ?な作品でしたから
>>532 投下乙!
最近ハードな作品多いから心が落ち着いただわさ
しかし天麩羅の紹介文が凄いことになりそうだなw
>>532 投下乙っ!
夜這い魔……素晴らしい続けたまえ
>>532 丁寧な導入部(・∀・)イイヨイイヨー♪
これからの雪人と姉妹の関係が楽しみだw
次回は戦闘と騎士の外観ということで今からwktkしながら待っとくよ!
>>532 投下乙です!
大丈夫! 戦闘分が無くたって、他の方々が補給してくれまs(PAM! PAM! PAM!
白い姉と黒い妹いいですねー。
ヴァイス「いいですねー」
次回戦闘という事で、楽しみにしてます!
私も頑張らねば。
そういえばこのスレ、ミナが三人いるべ……。
そして次はカルマたんの登場だおるぁぁぁぁぁぁぁ!!
スゴイ勢いで作品が投下されている…!
その勢い、まさに台風ッ!
投下ラッシュが落ち着いたら、自分も投下しますねーw
よーし自分TSモノを投下しちゃうぞー
やべぇーこの流れやべぇ―
俺もちょっと〆てもうすぐ投下できるけど、槍玉にされそうwwクオリティ的な意味で
>>533 ありがとうございます。そう言われると大分心が楽になります、はい。
>>534 ハードな作品は書けないんですよねぇ、憧れますけど
>>535 やっぱり夜這いという響きは素晴らし(ry
>>536 戦闘と騎士の外観、とにかくやるだけやってみます。
時間かかる気もしますが、頑張りますよ
>>537 双子でも色々対比させたかったもので……
ミナが三人……。もう少し考えて名前つけるべきだったろうか。
支援と感想、ありがとうございました。
自分もちょくちょく顔を見せて、支援や感想に精を出したく思います、はい
容量は早くも300 KB! このスレどこまで持つんだろう!
……あ、お風呂開いた。
>>543 大丈夫ですヨ。自分の作品なんかヘーシェンって名前のキャラが複数出たりしますからw
(馬鹿めそれは機種名だ)
まあそういうネタは置いといて。
これからよろしくお願いしますね!
wikiのほうもよろしく!
>>544 ご湯っくり〜( =ω=)ノシ
……さて、場面の流れに行き詰まったぞ、とwww
>>544 あ、自分もお風呂行こうかと〜。
本日はラッシュですから投下は明日にします。
TSネタフヒヒ 学園も考えちゅー
よし、誰もいないな。この隙に投下しちゃうぜ!
後半になる程ありゃりゃな感じになるが、勘忍な!
―――――フィ、起きろ。
――――――ルフィ、起きろって。
―――――――メルフィー!
「ひゃっ!?」
「おぉ、起きた起きた。てっきりそのままぽっくり逝っちまったのかと思ったぜ」
彼の声が耳に響き、私は驚いて飛び起きた。起してくれるなら、もっと優しく起こしてくれればいいのに……。
私がそう思い脹れっ面をすると、彼は何時もの人懐こい、屈託の無い笑顔を見せた。何時の間にか寝てしまってたみたいだ。
公園のベンチで寝るなんて、お母さんに行儀が悪いって怒られちゃうな。けど、木々から入り込んでくる陽だまりの中で座っていると、どうしても眠くなってしまう。
それもこれも彼が、ちょっと公園で遊びたいなんて言ったからなのだけど。中学生にもなって、子供達とキャッチボールなんて……そこが彼らしいけど。
「もう気が済みました? ブレグレの大会に向けての調整があるから、私はこのまま帰りますけど」
私は少し呆れた素振りで彼に帰る事を伝える。彼は持っているボールを弄りながらあっけらかんとした声で返す。
「おう! けどあんま無理すんなよ、メルフィー。……つっても俺も練習しなきゃいけないんだけど」
「なら一緒に帰りましょうよ。代表選手なんですから少しは自覚を……」
「おにいちゃーん! 早く投げてよ―!」
元気な男の子の声が、私達の会話を遮る。遠方を見ると、手でメガホンを作った男の子が彼に向って早くキャッチボールを再開する様急かしている。
その男の子の後ろにも、彼に遊んで貰いたくて目を輝かしている子供達の姿が見える。……こうなれば彼の決断は一つだ。
「悪いな、メルフィー。チビ共が俺をお呼びだからさ。おじさん達に宜しく言っといてくれ」
そう言って彼――――祐二は私にウインクして、踵を返して子供達の元へと行ってしまった。子供達の歓気が聞こえる。
全くもう……。私はため息を吐いてベンチから立ち上がり……そうだ、言っておかなきゃ。
「祐二――――! 明日はちゃんと練習に来て下さい! 絶対ですよ!」
私の声に、祐二は右手を上げた。ちゃんと聞いて……ないみたい。けどこれも何時もの事だ。そう、何時もの―――――。
サラウンド
アストライル・ギア―――――汎用型巨大防護機体……分かりやすく言えば巨大なロボット。深海や宇宙、惑星等、人知の及ばない所の探査等の用途で創られ、世界中で開発されている。
私の両親はどちらもアストライル・ギアの開発者であり、技術者だ。ある日、父さんが母さんや仲間達と一緒にアストライル・ギアを使ったゲームを考案した。
その名はブレイブグレイブ。世界各国が、各々で改造したアストライル・ギアを使い、母国の尊厳と誇りを掛けて戦う――――そんなゲームだ。
当初はやはりというか、アストライル・ギアを何だと思っているのかと反発の声が凄ましかったらしい。でも父さんはその声に負けずに必死になった末――――遂に踏み込んだ。
ブレイブグレイブは案の定、世界中で大きなブームとなり、今では多くのスポンサーが付いて世界中のメディアが取り上げる程だ。
今でもブレイブグレイブは国家間の代理戦争じゃないかとか、アストライル・ギアをゲームとはいえ、戦闘に使うとは何を考えている等の批判の声は絶えない。
私はそんな人達に対して反論する気は無い。確かに巨大ロボットで戦うなんて、ちゃんとした規定があるとは言え正気の沙汰とは思えないだろう。
でも。だからと言って私は父さんを侮蔑する気もない。むしろ誇りに思う。アストライル・ギアの開発者にして、世界中を夢中にするブレイブグレイブの考案者の二足の草鞋を履いている父を。
一人娘である私は、自然にアストライル・ギアの魅力に取りつかれ、気付けばブレイブグレイブに嵌り込んでいた。
非常に恵まれた環境で育った為か、私にとってブレイブグレイブは一番近くにある遊びであり、また私自身の人格を成型する大事な特技になっていた。
母さんは私が夢中になる事に難色を示していたが、父さんは喜んで私にブレイブグレイブを教えた。まるで自分が楽しんでいるかのように。その反動で凄く母さんのしつけが厳しかったが。
私が彼――――喜侘村祐二に敬語を使うのは、その母の影響だ。昔からにマナー云々を躾けられたお陰で、反射的に他人に対して敬語で喋る癖が出来てしまった。
それ故に私には小さい頃(ブレイブグレイブに夢中である事もあるが)から友達らしい友達が出来なかったが――――そんな私に手を差し伸べてくれたのが、祐二だ。
忘れもしない小学1年生の頃、彼に恥ずかしくなる様なセクハラ……もとい、いたずらをされて、私は初めて敬語を使わず、彼に怒鳴った。その時、彼は私に言った。
「なんだ、普通に喋れるじゃん! それじゃ今日から、お前俺の友達な」
……今思うと厚かましいにも程があるが、それがきっかけで、何時も一人だった私は祐二と友達になった。
祐二は正に男の子って感じで、馬鹿なくらい明るくて、活発で、何時も私の手を引っ張ってくれる。そんな彼の影響か、私も人と気軽に話せ、友達を作れる様になった。
同時に祐二はブレイブグレイブに対しても嵌りこんだ。今では私とタッグやグループを組むほどに。
けど、その性分からか祐二は真面目に練習に付き合ってくれない。それがらしいと言えばらしいし、練習しなくても強いんだけど……。
物思いに耽っていると自宅に着いた。今日も父と母は、地下でブレイブグレイブの研究をしている。
小さい頃から住んでいるから実感が沸かないけど、私の家は日本でも有数のお屋敷らしい。まぁ確かに大きいけど、だから何だろう。
私にとって重要なのはお屋敷では無く、その地下にある専用の研究施設だ。私はそこでブレイブグレイブに嵌り、共に育ってきた。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
大きな鉄製の玄関を開けると、執事さんが草刈りしている手を止めて私に声を掛けてきた。私は会釈して、執事さんに聞く。
「お父様とお母様は……」
「隆昭様は地下でブレイブグレイブの研究中です。ルナ様は学会に研究成果の発表の為にお出かけになられました」
「有難うございます。後でお飲み物を用意しますね」
執事さんと別れて自室に荷物を置き、専用のエレベーターを降りて、私はお屋敷の地下にある研究施設に入る。重圧な機械音と共にドアが開き、白衣を来た研究員の人達が映る。
中央には巨木の様なシュミレーション・ジェネレーターが稼働しており、研究員の人達がその周りで忙しなくシュミレーションの調整を行っている。
ここでの研究結果を基本に、ブレイブグレイブは動いていると言っても過言じゃない。私はその中で指示を出しているあの人の元へと駆けよる。
「マチコさん!」
私の声に気付いて、その女性――――マチコ・スネイルさんが振りむいた。この人は父と母と一緒にブレイブグレイブを研究している人だ。
ずっと昔から顔馴染みの人で、いつも面白い話やブレイブグレイブで戦い方を教えてくれる、先生みたいな人でもある。
「あら、お帰り、メルフィー。今日はフランスから挑戦者よ。勿論勝てるわよね?」
「勿論です!」
私は二つ返事で、ジェネレーターと直結している大型のシュミレーションマシンに入る。白くて流線型のそのマシンに入ると、私はほっと落ち着く。
前面に広がるコンソールパネルに半分埋まった球体に手を乗せると、周囲を覆うラインが蒼く光って、起動音が鳴る。この起動音の涼しげな音がとっても気持ちが良い。
目の前のモニターが暗闇からその光景を映した。遠くに目を向けると、フランスの国旗がマーキングされた、相手のアストライル・ギアが見えた。
今、私がやっているのは、ヴァーチャルと呼ばれる仮想戦闘システムで、限りなく実践に近い感じでブレイブグレイブを仮想体感できる機械だ。
このヴァーチャルは全国、いや、全世界で設置されており、何時でもだれでも相手を探して戦う事が出来る。性別は勿論年齢も関係無く。
父が語るにヴァ―チャルこそがブレイブグレイブをブームに導いた立役者で、それ故に母に頭が上がらないとか。
「相手はユーロ杯でランク30位に入ってるわよ。主に遠距離戦に気をつけなさい」
「分かりました! 接近戦で攻めます!」
マチコさんからのアナウンスを聞き、私は目の前の相手に集中して―――――唱える。
「シャッフル」
「お見事。盾を囮にして上からとは容赦ないわね、何時もだけど」
ヴァーチャルから出てくると開口一番、マチコさんがそう言った。確かに上から斬るのは少しやりすぎたのかもしれない。けど。
「常に相手に容赦なくあれ。それが最大の礼儀――――って教えたのはマチコさんですよ」
「あら、確かにそうだったわね。私ったら年取ったわねぇ……」
私とマチコさんは笑いあった。多分私達しか分からないと思う空気だ、これは。
と、髪を掻きながら、手元の資料を入念にチェックする―――――父さんと、父さんの助手を務めるあの人の姿が見えた。父さんが私に気付いて手を上げながらこっちに来る。
「お帰り、メルフィー。学校はどうだった?」
「ただいま、お父さん。んー特に何も」
「そうかそうか。そいつは結構。で、勝ったのかい? 今回の相手には」
私はVサインを作り、満面の笑顔で父に誇る。父は嬉しそうに、眼鏡の奥の目を細めた。
父の嬉しそうな姿は嬉しい……それに何というか……恥ずかしいな、何か。助手の……。
「オルトロック君、君も褒めてやってくれ」
「先程の戦い、実に鮮やかでした。流石鈴木博士のお嬢様と言いますか」
オルトロックさんに褒められて、私の頬が自然に紅くなる。……人の外見にとやかく言える程私は人が出来てないが、この人は別だ。
何というか美形と言うか。じっと見ていられない。オルトロックさんはブレイブグレイブで世界ランク上に入る、最強のプレイヤーとして知られている。けどそれだけじゃない。
オルトロックさんはブレイブグレイブについての知識だけでなく、アストライル・ギアについての知識も非常に豊富で、研究員として父さんやマチコさんに見出されて以降、父さんの助手として働いてる。
ヴァーチャルでプレイヤーとして何度か手合わせしたけど、私は全く勝てなかった。それほどの人なのだ。
「ですが、反応が0.03秒遅れている様な気がします。後方時に少しスラスターを吹かし過ぎているんです」
言われてみれば……確かに回避行動を取る時、私は若干距離を置きすぎている気がする。そんな所まで見ているなんて……。オルトロックさんって凄い。
「ずっと画面見てたけど、全然気付かなかったわ。そこまで見てるとかちょっと怖いわね」
マチコさんがそう言って苦笑いするけど、私はやっぱりオルトロックさんは凄いと思う。
何時かブレイブグレイブについて色々教えて貰いたいけど、どうしても顔を見ると恥ずかしくなってしまう。祐二と居る時は何ともないのに……。
「そう言えば……後3年したら、本当のブレイブグレイブで戦える様になるわね、メルフィー」
マチコさんの言葉に私はハッとする。そうだ……私は18歳になれば、ヴァーチャルではなく本当のブレイブグレイブに出場する事が出来るんだ。
私の夢は、ヴァーチャルではなく、本当のブレイブグレイブで頂点を取る事だ。小さい頃からずっと、私はその夢を追いかけて生きてきた。
「でも実践は怖いぞ。本当に大丈夫かい? メルフィー」
父さんが私の頭を撫でながら、心配そうにそう言った。私は大きく頷いて、父さんに答える。
「うん! その為に今日まで頑張ってきたし……ねぇ、お父さん?」
「ん?」
「私……ブレイブグレイブに出れるよね? ヴァーチャルじゃなくて、本当にアストライル・ギアに乗って……」
私の質問に、何故か父さんはオルトロックさんとマチコさんと顔を見合せた。オルトロックさんは特に反応せず、マチコさんはニヤニヤするだけだ。
不安になって、私は父さんに再度聞く。ここで否定されたら、私は何のために頑張ってきたのか分からなくなってしまう。
「ねぇ、お父さん……」
「あぁ、絶対に出れるさ。それまでに、メルフィーの為にカッコいいアストライル・ギアを作ろう。約束しよう」
そう言って父さんは、私の頬に手を当てた。……暖かい。私は目を瞑って、じっとお父さんの手のぬくもりを感じる。ずっとこのまま……。
―――――ルフィー。
――――――メルフィー。
「メルフィー?」
……いつの間にか、眠っていたようだ。目を開けると、心配そうに私を見る祐二の顔が見えた。そう言えば少し疲れて眠っていたんだ。
遠くから観客達の歓声が聞こえる。そうだった……もうすぐ決勝戦なんだ。ブレイブグレイブの出場権を掛けた、ヴァーチャルによる全国大会の。
何で子供の頃の夢なんて見たんだろう。……そうか。この大会で勝てば、私はようやく夢への切符を掴めるんだ。ブレイブグレイブの――――日本代表の一員として。
「大丈夫か? 良かったら飲み物でも……」
「いえ、大丈夫です。それより祐二こそ」
「俺は大丈夫さ。メルフィーが何ともないなら、それで良いんだけどさ」
私がそう聞くと、祐二は心配ないという風に手を煽いだ。思えばここまで来るのに、祐二も変わったんだ。色々と。
かつてのやんちゃな成りは潜め、今の祐二はとても落ち着いている。それも全て――――あの日からだ。私が祐二とパートナーとなった、あの日から。
「本当に俺で良いのか?」
「貴方でないと駄目なんです。全国に行く為には」
あの日――――高校に上がってすぐ、私は祐二にブレイブグレイブ――――ひいてはヴァーチャルの全国大会のパートナーになって欲しいと志願した。
幼い頃からの付き合いって訳でもあるし、私にとって祐二との相性は最高だった。今までの戦いから考えて。それに――――。
「オルトロックさんとヴァーチャルじゃなくて、ガチで戦えるからな」
祐二に本心を突かれる。そう、もし出場権を掴んで日本代表となれば、私達はオルトロックさんとヴァーチャルではなく、正式に戦う事が出来るのだ。
あの人と……オルトロックさんと実際に戦ってみたい。そして私の成長を――――見て貰いたい。それが私の第二の夢。
一番はブレイブグレイブの頂点に立つ事だ。それこそが私の―――――。
「この戦い、絶対に勝つぞ、メルフィー。勝って世界への切符を掴むんだ」
「はい! それと……」
私は祐二に向き合い、決勝に向かう前に伝えるべき事を伝える。
「貴方とパートナーを組めて、良かったと思います。ありがとう、祐二」
「それは俺も同じさ。ガキの頃からお前と組めて、ここまで来れたと思う。……あのさ、メルフィー」
「もし、決勝にまで行って、ブレイブグレイブの出場権を勝ち取れたら、俺と……付き合ってくれないか?」
息が、詰まる。全く予想していなかった祐二の言葉に、私の頭が理解できずに数秒間、止まる。
パートナーとしてではなく、異性として見た事が無かったから尚更。けど、どこかで分かっていたのかもしれない。
祐二の私に対する――――視線が変わっている事に。でも、今は―――――。
558 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 23:57:01 ID:5rukbzqy
「……今はまだ答えは出せません。でも……」
「受け取って、おきます。もしも出場権を掴めたら―――――」
私は目を瞑って、胸に手を当てる。ドキドキはしない。むしろ不思議なくらい落ち着いている。
「パートナーを超えて――――恋人として貴方と付き合います」
――――ィ。
――――――フィー。
―――――――めんな、メルフィー……。
……え? 目を開けると、そこには―――――血まみれで横たわった……祐二が、いた。
状況が……状況が、理解できない。今さっきまで……今さっきまで私は……。いや、今は、今はとにかく……。
「祐二……しっかりして、祐二!」
怪我の状態は、怪我の状態はどうなって……。私はそう思いながら祐二の上着を取り――――強烈な吐き気に見舞われれる。
形容出来ない程、祐二の体は酷い状態になっている。沸き上がってくる吐き気を押えながら、私は……。
「すまねぇ、メルフィー……俺が……悪いんだ」
「祐二……お願いだから喋らないで……」
「いや……言わせて、くれ……」
「オルト……ロックに……騙され……てたんだ……」
「イル……ミナスに……入れば……世界が……変えられるって……」
そう言って祐二は目を……閉じた。……やだ……目を……目を覚まして……。
「お前……も……騙され、たんだな……」
目を……目を開けてよ祐二……やだ……やだよ、こんなの……。
「泣くなよ……メルフィー……。お前は何も……悪くねぇ……よ」
違う! 私が……私が戦争って自覚してなかったから……。私は……。
「しょうが……ねえって……。俺達は……大人には……逆らえない……から」
……祐二? しっかりして……しっかりして、祐二!
「次……は……平和な、世界で……お前……と」
「好き……だ……」
祐二……祐二! 起きてよ……祐二! いや……いやぁぁぁぁぁぁぁ!
「祐二!」
……夢、か。額を掌で拭うと凄い汗を掻いていた。……もう見ない、見たくないって思ったのに、あの夢を見てしまった。
何でだろう……。オルトロックにあの事を責められたからかな。忘れよう、忘れようってずっと思ってたのに……。
そう言えば、私……。そうだ、ヴィルティックが動きを封じられて、それで……。死んで、ないんだ。私。
それじゃあ、隆昭さんは……。私……隆昭さんを守れなかった……。未来を……。
「落ちついたかしら?」
その時、ここにいる筈の無い人の声が聞こえて、私は思わずその方向に振り向いた。何で……。
「……どうしてマチコさんがここに?」
「おっと、ちょっとごめんね。連絡入ったから」
「私よ。どうなった? そう……勝ったのね。えぇ、ヴィルティックは後で回収するから良いわ。それより彼は無事?」
「なら、今すぐ彼を乗せて戻ってきなさい」
「メルフィーが、待ってるから」
562 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 23:58:43 ID:lbRAIXqF
支援有難うございますー。断片的にも程があるけど、メルフィーの過去について夢って形式で書きました
一番の見どころは綺麗なオルトロックだったり。この頃は猫被ってたんです、凄く
>>564 投下乙です!
オwルwトwロwックw違和感激しすぎwww
色々と人間関係複雑だのぅw
566 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/08(木) 00:05:49 ID:HYf7bakz
あ
つーかスイマセンorz
途中ageてしまいますた
その前も投下の間にレス挟むしo...rz
>>567 俺もageてますから……。
o...rz
遅くなっちった……続けて投下よろしいですか?
>>564 投下乙です! この穏やかな日常が破壊されると思うと……こんちきしょー。
オルトロックよ、学園では覚悟しておけよ……!
>>569 カモ――――ン!!
>>569 おお!カルマたん!……もといドラグリヲが!w
支援おk
>>564 オルトロックw
しかし女の子可愛く書くの本当に上手いな〜
鋼殻牙龍 ドラグリヲ 第三話 闇夜を蠢く鼠 後編
防衛戦争時の傷痕がそのまま残ったスクランブル交差点。
大量の弾丸が撃ちこまれ廃墟同然となったビル街、前時代の面影なくただ風化するだけになった街を虫達の歌声だけが寂しげに響き渡ってゆく
欠けた月のみが照らす寂れた大通りを、木枯しと共に淡く紅い光を放つ何かが颯爽と駆けて抜けていった。
「こっから一番近いのはスラムか…まだ本格的に襲われてなけりゃいいけど……。」
店からくすねて来た地図を片手に全力で走る。
ナノマシンで強化された足のお陰で常人を遥かに凌ぐ速度で移動しているが、何分広い上に夜間は害獣除けのトラップが作動している為全力で走る事が出来ない。
下手すると地雷を踏んだっきりサヨウナラと面白くも無い人生の幕を引く羽目になる危険もある。足先と耳に神経を集中させ駆ける。
さっきも対獣地雷に引っ掛かり粉微塵になった浮浪者の死体をチラリと見たのもあったのか、今回かなり慎重に動いている。
「ショートカットは無い物か……ゲッ……こっからしばらくトラップ地帯か……。」
地図を確認すると罠を示すバツ印がそこかしこに描かれている、こんな所を通る位なら遠回りした方がまだ早い。
仕方なく別のルートを探そうと踵を返し、走り出そうとしたその時だった。
突如照明弾が各地で上がり、辺りを照らし始める。これは鼠に限らずこの街での害獣駆除開始の合図だった。
「始まったか……!」
現在地のすぐ傍でも照明弾が上がった。
ダダダダダッと鉛玉が飛び交う音と、悲鳴を上げる鼠の声が近場で聞こえる。
どうやら思ったより戦場は近かったようだ、罠に嵌らない様慎重に先へ進む。
しばらく歩くと自警団の一小隊が鼠の群れとやりあっているのが見えた。
だが僕は自警団とは合流せずに路地裏へスッと入る、見つかって深夜徘徊やら事情聴取やら罰金何やらの話になって面倒な事になるのはゴメンだった。
「あっちの通りとそっちの通りには袋小路になってるから勝手に始末してくれるとして……ここだな。」
しばらく思案の末、僕は自警団の連中が撃ち漏らし逃がした鼠を駆除しようと考えた。
それなら連中と顔を合わせる必要も無いし、決まりである。
銃撃から逃げてくる“鼠”が来るまでの間、ビルの残骸によじ登り、その影に息を潜める。
自警団と鼠達がぶつかっている今のうちにコートに仕込んでいた武器を再確認する。
貰って来たバールと鉄パイプ、野宿用に持ってきたマッチに試験管入りの特殊燃焼オイル、そして護身用のポンプアクション式ショットガン。
銃に弾を装填し肩にかける。無駄撃ちは出来ない、カルマが近くにいなければ弾丸の補給さえ出来ないのだから。
背負っていたチェーンソーを下ろし、徐にエンジンを始動させる。歯を回し、獲物を寄越せとばかりに唸りを上げるチェーンソーを両手に持ち、待機しておく
「これ以上近づけるな!奴らのディナーになりたく無い奴は撃て!どんどん撃て撃てぇ!」
自警団の連中が大張り切りで機関銃をぶっ放す、普段の憂さを精一杯晴らすかのごとく無暗矢鱈に撃ちまくる。
弾が明後日の方向に飛び散ってるのが見ていて勿体無い上に流れ弾が怖くて堪らない。
うちの姉御が見たら余りの無駄遣いップリに発狂するだろう、AIM一つマトモに出来ない鈍らな腕でよく街を守ってるから俺様達を崇めろ讃えろ等と言い腐れたもんである。
しかし、その弾幕を頼みにした戦法は確かに有効だったようで、鼠達は一定以上の間合いから近づきあぐねていた。
近づこうと試みた個体が突っ込む度に忽ち蜂の巣となり、侵攻を阻止する。
鼠達は肉壁となった仲間の死骸を頼りに前進しようと試みるが、うまくいかず攻め込めずにいる。
{キィッキィッ!キィッキィッ!}
しばらくすると大方の予想通り、自警団の猛攻にさらされ懲り懲りだとばかりに路地裏に鼠が数匹逃げ込んで来た。
“鼠”と言うと可愛げがあるが、実際は全く可愛くない、まずその姿である。
口は胴体の真ん中まで裂け、口の中は不潔な牙がズラッと並び、今にも喰いつかんとばかりに迫ってくる。そして虫の様に表情が読み取れない不気味な複眼。
大きさもその辺の軽自動車並みにデカイ、しかも繁殖力もオリジナルの鼠に劣らないと言うのだから嫌になる。
しかし単体の戦闘能力は低く、銃器を持った一般人でも複数なら仕留められる程度なのが救いなのだが。
「来たな…さぁて、始めますか!」
鼠達の先頭が真下に来た瞬間、コートに忍ばせていたオイル入り試験管をコンクリートむき出しの地面に投げつけ、チェーンソーの刃を下に構え、飛び降りる。
「ようこそ……そしてさようなら!永遠になぁ!」
回転する刃を鼠の脳天狙って思いっきり深々と突き立て抉る。
グジャリグジャリと嫌な音をたてて肉が引き裂かれ千切れ飛び、頭蓋を貫通し脳へ至る。
{ギャッ}
短い叫び声を上げた鼠の顔は呆気なく二つに割れ、目を塞ぐ様な勢いで脳漿が混じった血のシャワーを噴き出した。
噴き出た鮮血が僕のコートと顔を濃い緑色に染める。
ジュルジュルと血液が絡み合う音を立てながら、回り続けるチェーンソーを死骸から引き抜く。
「ッペ……、いつ嗅いでも浴びてもいい心地はしないねぇ……。」
血を噴出し続ける鼠の死体を脇に蹴飛ばし、チェーンソーを構え直す。
「さぁ…次は誰だ?独逸でも伊太利亜でもいいからさっさと掛かって来い!」
{ギギギギィ!!}
突然味方が殺られて混乱し激昂したのか、複数の鼠が纏めて迫ってくる。
戦術的には確かに正しい行動なのだが、迷わずその行動を取った鼠達の態度に少しムカッとした。
「…サシで掛かって来れないチキン野郎は一匹残らず失せろ!」
ポケットから取り出したマッチに点火し鼠達の足元付近に放る。
すると予め撒いていたオイルに次々と引火し、凄まじい勢いで火達磨になってゆく
先ほど焼いていた肉とは正反対の悪臭と黒煙が周囲の壁を舐めるように拡散し、夜の闇に溶け込んでいく。
{ギィヤアアア!!!}
生きたまま焦げ肉にされていく鼠達の断末魔が路地裏に木霊する、必死にのたうち回るが火は弱まる事を知らずに更に強くなる。
ほっといてもこのまま死ぬだろう。そう考え、炎が完全に消え去る前にこの場を去ろうと後ろを向く。
火を使った事で恐らく自警団の連中に気付かれただろう、ドサクサに紛れて射殺されては堪らない。
「さっさと帰って風呂に入り直すか……。」
ボヤキながら数歩足を踏み出す。
その時後ろから殺気を感じた。
{ギャッ!ギャッ!}
「大人しく死んでろ!」
燻った煙に隠れたつもりで背後から躍りかかって来た最後の“鼠”の頭に振り向きざまにゼロ距離から散弾を撃ち込んでやる。
そして怯んで、足を止めた瞬間最上段に構えたチェーンソーをトドメとばかりに力一杯叩きつける。
ギュルギュルと回り続ける刃に鼠の皮膚と硬い体毛と肉が巻き取られ、そしてズタズタに引き裂かれていく。
「最後まで僕を殺そうと挑んでくれた…君にサービスだ……」
そう呟くと僕はナノマシンを瞬間的にフル稼働させる。
全身に力が漲り、刃が鼠の身体を豆腐を斬るかのように一気に食い込む。
そして最終的に完全に両断してしまった、化け物といえども所詮は生き物、ここまでやっておけば安心だろう。
「これでホントの最後か……。」
再度、周囲の安全を確認する…………異常無し。
ホッと息を付き、チェーンソーの電源を落とす。
ようやく一息付けると思った時、表通りからザワザワと声が聞こえる。
「オイ、誰だ?今撃った奴は?」
「俺じゃないぞ?」
「俺でも無い」
「あそこから聞こえたな?誰か見に行け」
「了解。」
どうやら好き勝手ドンパチして暴れていた連中も流石に気が付いたらしい、面倒な事になる前にさっさと退散しよう…。
この場からさっさと逃れる為にナノマシンを起動しようと、丹田に力を込めたその時だった。
ゴトッ……
突然地面が揺れる、………地震か?
ゴトッ……ゴト……
再び揺れる……オカシイ……地震の揺れじゃ無い………
その時老人の言葉がふと脳裏を過ぎった
………先に投下された連中が入り込んでくるかもしれん………
………まさか!
最悪の光景が脳裏に浮かぶ。
そしてそれは程なく現実となった。
コンクリートとアスファルトに覆われた地面を砕き、巨大な鉄杭が砂埃を撒き散らし生えてくる
いや…それは鉄杭ではなく“脚”だった。
{ギィヨョョョョョョョ!!!}
何かが甲高く叫ぶ声、そして誰かが絶望に打ちしがれる声。
そして何かが砕ける音が一斉に闇夜に響いた。
「ば…化け……ぎゃ…!!」
自警団の誰かの断末魔が聞こえた。
叩きつけられた脚が、更に砂を巻き上げる。
すると視界全体が砂埃に包まれ何も見えなくなった。
こういう時は無暗に動くことが一番危ない事を理解していた僕は咄嗟に伏せ、じっとする。
しばらく動かずに伏せていると突如地面が無くなり、身体が宙に放りだされる。
「な……!」
必死に手と足をバタつかせるが何に引っ掻けることは出来なかった。
そして僕はなす術も無く闇の中へと墜ちて行った。
「照明弾が上がっとるのう…今頃ドンパチしとる頃か……。」
老人は薄暗い部屋の中で紫煙を燻らせる。
灰皿の上に落ちた灰が、一瞬赤く光ったと思うとすぐにまた消えてゆく。
『…………………。』
「…心配かの?」
老人は部屋の隅っこで寂しそうに躯を丸めてるカルマに優しく声をかける。
その声と姿は普段の態度からは想像出来ない程、優しくそして穏やかな物だった。
「なぁに安心せい…奴の腕と身体ならばそう簡単には死にはせんよ……。」
老人はカルマにそう語りかけ、ゆっくりと慰めるように撫でてやる。
『それは頭では分かってます、だけど…だけど……。』
彼女がそう言い澱んでいるその時だった。
カルマは顔を突然ハッと上げ、慌てて表に出ようと駆け出してゆく
「ま…待て!何処に行くんじゃ!?」
老人は慌ててその後を追いすがり、肩を掴む。
その言葉に、カルマはスラスラと答えた。
『地中に複数の巨大な生体反応…間違いありません、害獣です…しかもこのサイズ……上位種だと思われます。』
老人はその言葉に衝撃を受け、うろたえる。
「そ…そんな馬鹿な…上位種は既に“ツガイ”の餌に………まさか!」
老人は自分の推測が当たっていた事を察した、瞬時に顔が青褪めてゆく
『私が行かなきゃユーザーが……お願いです!行かせてください!』
カルマは必死に老人に頭を下げる。
「…………ワシが言える事は何も無いわい……早く坊主の所に行っておやり…。」
老人はその健気な姿に心を打たれたようだった。そっと頭を撫で、そしてその小さな背中を押してやる。
するとカルマは満面の笑顔で老人に礼を言った。
『ありがとう、御爺ちゃん………必ず…必ず戻ってきますからね!』
そして闇の中に一人駆けてゆく。
「何も手助け出来ない…無力なワシを許せ………」
闇に溶けていくその小さな背中を見えなくなるまで見つめながら、老人は一人ポツリと呟いた。
投下終わり、皆様ご支援の方ありがとう御座いました。
う〜ん何度見直しても一話一話が短く感じますな…更に精進するよう努力致します。
最後に
どなたか次スレが立つ前に紹介文書いて下さい御願いします…orz
>>585 投下乙です!
ああもう、カルマ可愛いなあもう!
しかしチェーンソーとはえげつないw
それにしても毎回気になる引きで終わりますね……次回も楽しみにしてます!
>次スレが立つ前に紹介文書いて下さい
じゃあそのうちまた皆で紹介文考える時間作りましょうか?
>>585 投下乙です!
巨大な上位種の登場。次回はロボバトルですね!
期待してますぜ!
>>585 さすがカルマ健気だ
次回は再び大暴れか?楽しみにしとりますw
>>586 新規さんまた増えたからそうしましょうかね
>>588 まあ皆がノッてくれるかどうかが問題ですけどね!
>>590 そうでした!……まぁ出来ると信じていれば何時かは出来ると僕は信じております。
感想は明日改めて…。
今日はもう眠いので寝ます、皆様御休みなさいまし。
>>蜥蜴氏
投下、お疲れ様でした。おやすみなさいまし。
では、投下も一段落したっぽいので、自分も投下いきまっせ
な、なんだこのボスラッシュは……!
支援します!
統合暦329年5月30日
初夏の訪れを予感させるような強い陽射しに辟易しながら
これまた一緒に居るのが辟易するようなクラスメイトが、さも当然かのように隣を歩いていた。
「そういや、守屋君って格闘は得意だけどさ、剣とか銃も達者なの?」
「剣は兎も角、銃が得意な高校生って滅多に居ないんじゃないのか?」
守屋が至極、真っ当な返答をするが、少なくとも霧坂にしてみたら守屋は真っ当な高校生では無い。
守屋が紛争地域で重火器を振り回していると言われても、「ああ。そうだろうね。」と簡単に信用するだろう。
「いや、得意そうじゃん?第一、フツーじゃないんだし。」
普通じゃない。その言い方に少し憮然とするが、気持ちは分からんでも無い。
「確かに家はあんなだし、物心が着いた時から色々、叩き込まれたけど
他人を殺傷する目的の道具は持たされた事が無いんだ。
だから、機械術にしたって刃は潰してあったし、銃火器の類だって触れた事が無い。」
「そっか、ゴメンゴメン。じゃあ、守屋君が大会に出るとしたら格闘か自由形かな?」
守屋は聞き慣れない言葉に眉を顰め、霧坂に聞き返した。
「自由形ってなんだ?」
「大会の出場種目だよ。本来なら同じ武器同士で戦うんだけどね。
其々が得意な武器、ギアに最も適切な装備をして戦うんだよ。銃vs剣とかね。
流石にMCIとSCIで区分されるけどね。」
要はギアのバーリ・トゥードか。初めてギア部の見学に行った時の加賀谷と三笠の戦いをふと思い出した。
ソードライフルvsハルバート+ランス。アレも一種の自由形か。
互いに武器を合わせるよりも好き勝手な武器でぶつかり合った方が面白そうだ。
「面白そうだな。早く大会に出場してみたいもんだ。」
「ま、守屋君の場合はアイリス・ジョーカーの再調整からだね。」
前回の戦いで破損した左腕の修理がギア部の整備担当班の手に負えなかった為、工場送りになってしまったのだ。
守屋は自分の操縦技術が未熟だからと破損させてしまったと考えていたが、原因は少し違う。
アイリス・ジョーカーの反応速度を抑えていた為、守屋の動きをトレースする事が出来なかっただけに過ぎず
例え、大会上位の腕を持つ選手であっても、そうと知らなければ守屋と同じく機体を破損させていただろう。
ギアが工場から戻って来たら守屋はアイリス・ジョーカーの反応速度を調整しながら
単純動作を繰り返しながら、最適なパラメーターを設定する事から始めなければならない。
自動設定でも前回よりは比べ物にならないくらい動かし易くなるが、モーショントレースという性質上
MCI搭載機の性能を最大限引き出す為には最適値を見つけるのは必須事項だ。
何よりもMCI部門の大会出場者達は皆通って来た道であり、自動設定で出場するなど言語道断なのだ。
「早く、ジョーカーに慣れたいんだけどな…」
ぼやく守屋を霧坂が珍しく普通に宥める。
「適切な調節をしたギアがどれだけ扱い易いかはシミュレーターでも分かったでしょ?
それに変な癖が付くといけないからね。守屋君はレギュラーなんだから、しっかりやらないと。」
霧坂がまともな事を喋るのは初夏の陽射しによる熱射病なのではと
微妙に失礼な事を考えながら、スタジアムに足を踏み入れた。
ギア部の選手陣は加賀谷の前に並び、活動前のミーティングを行っていた。
「よし。全員、集まったな。今日はシミュレーターを使った総当たり戦を行う。
1年…特に守屋は『まだ』対人戦を経験していないからな。」
「ええ。『まだ』未経験ですね。」
実際には宋銭高校の生徒と交戦し撃退しているのだが、そんな事実は無い事になっており
今回のシミュレーター訓練が初めての対人戦という事になっている。
「では、守屋はリヴァイド・ジョーカーのデータ。それ以外の部員はリヴァイドのデータを使え。
使用兵装は各自自由とする。守屋のみMCI搭載機になり、近接系の選手にはかなり大きなハンデを抱える事になるが…
ギア選手としてのキャリアは無いも同然だ。つまり、負けたらかなり恥ずかしいぞ?各自、肝に銘じるように。」
シミュレーターに乗り込み、加賀谷の指示通りリヴァイド・ジョーカーのデータをロードし、兵装にナックルガードを選択。
戦闘準備完了。ギアのモニターがスタジアムの映像を映し出す。
既に相手のリヴァイドが待ち構えていた。全員の使用ギアがリヴァイドのせいで誰か全く分からない。
ライフルにショートソードを装備しているのは分かるが…誰がどの武器を得意としているのか守屋は知らない。
ただ、誰が相手であっても全力でぶつかるという気概。勝つにせよ負けるにせよ、得る物があるという思い。
あわよくば全勝したいという、ささやかな欲望を持っている程度だ。
開始の合図を待っていると相手ギアから通信が入る。
「やっほ、一番手は私だから、お手柔らかにね。」
「霧坂はライフルと短剣を使うのか…」
「ま、私も初心者だからね。色んな武器を使って模索中ってわけ。
守屋君は素手でやるの?って言うか、素手の方が強いんだっけ?」
「多分な。やってみれば分かるさ。俺もある意味、模索中だからな。」
そう言って、構えを取る、
「成る程ね。」
守屋が攻撃を仕掛けるには、距離を詰める必要がある。
しかも、SCI機は人間の至らない所をシステムを補ってくれる。例えば、ライフルのロックオン。
単純な命中精度だけなら、アームドギアにも匹敵する。
以前に加賀谷が高速飛来するロケットランスにライフルの砲弾を何発も直撃させる事が出来たのも
加賀谷の腕による所も大きいが、サポートシステムを適切に運用出来たからこそでもある。
特に飛び道具に事関してはSCI機の優位は非常に大きい。
更に守屋が距離を詰めようにも追いかけっこでは霧坂に分がある。
MCI機は総じてブースターや、スラスター等の推進装置が無いからだ。
とは言え、フィールドの広さは無限では無い、一方方向に逃げれば壁に遮られるし、飛べば天井がある。
エネルギーと弾数も当然、無限では無い。延々と機動力任せで後退しつつ、ライフルで狙撃すると言うわけにはいかない。
弾、エネルギーが尽きる前に壁際まで追い詰められる前に守屋を撃破しなければならない。
兎に角、守屋に攻撃をさせてはならない。守屋に格闘戦を挑むのは無謀過ぎる。
遠距離戦闘ならSCI機に分があるが、近接戦闘ならMCI機の独壇場だ。
何よりも、守屋の格闘戦技能ならばギアを通してとは言え、一撃で昏倒しかねない。
戦闘開始の合図と同時にライフルを二発。後方に跳躍し着地と同時に更に一発。
最初の二発を左腕で打ち払い、3発目を身体を逸らし回避。
霧坂が様子見をしている隙に距離を詰めるべく地を蹴った。
霧坂は距離を詰める為に疾走する守屋を見て、思っていた以上に早いなと思った。
だが、足が早い事など如何でも良い。銃弾を打ち払って無効化するなんて、どんな非常識だ。
「あれ…また左腕?」
以前、宋銭高校の生徒と戦った時も飛び蹴りを左腕で打ち払っていたのをふと思い出した。
まさかと思い。霧坂は左腕に一発、後方に飛び退り右腕に一発。
守屋は左腕で銃弾を打ち払い、右腕を狙った一撃を左前方に跳躍し疾走した。
「成る程。左腕は盾で、右腕は剣ってわけね。じゃあ、コレなら如何かな?」
右腕に向けて、マガジン一つを使い切るつもりで発砲する。
守屋は一発も被弾しない。SCI機の射撃精度が非常に高いのは既に聞き及んでいる。
リヴァイド・ジョーカーのモニタを最大望遠でリヴァイドのライフルの向きで着弾位置を
マズルフラッシュで発砲のタイミングを計り、回避行動に移る。普通なら出来ない芸当なのだが
SCI機に関しては話が違ってくる。攻撃が正確過ぎるが故に予測回避が容易なのだ。
そもそも、MCI機でSCI機に追いつける等と思い上がっていない。
安全に回避行動を取れるように充分な距離を取っている。
本格的に距離を詰めるのは弾が切れてからでも遅くない。
流石に連射されると回避は困難だが、回避だけに意識を集中させれば致命傷だけは避けられる。
現に奇跡的ではあるが、連射されたライフルの砲弾を全て回避した。正直、もう一度やれと言われても出来そうに無い。
「ふーん…やっぱりね。」
左側に攻撃を行うと左腕に打ち払われる。右側に攻撃を行うと、かなりの頻度で左側に飛び退く。
「素人相手に動きを読まれるのは如何なんだろうね?」
独りごちて、ニ発目のマガジンをセットする。
「これで撃ち止めだけど、これで充分かな。」
右腕に向かって、3発発砲。ワンテンポ遅れて何も無いリヴァイド・ジョーカーより遥か左の空間に向けて3発発砲。
霧坂の予測通り、守屋は左前方に向かって機体を跳躍させる。着地点には砲弾が3発。
「此処まで予想通りだとはね。3発と言わずに、もう5〜6発くらい撃ち込んでおけば良かったかな?」
霧坂の放った銃弾は守屋機の脚部を撃ち貫こうと襲い掛かる。
「残念。そこはキルゾーンでしたとさ。足を潰されたら、まともな回避運動も取れないよね?」
霧坂は勝利を確信するが…守屋は無造作に左腕を振るった。
三発の砲弾を打ち払うが、度重なる強引な防御のせいで左腕が爆散する。
「これは…大失態だね。」
恐らく、手の内は知られてしまった。しかも、新たな攻撃手段を講じようにも残弾は僅かだ。
「この攻撃で得られたのは守屋君の左腕…うあ、割に合わないわ。」
必勝の策は守屋に通じず戦意喪失から来る痛恨の操縦ミスをやらかしてしまい勝負は一瞬でケリがついた。
「分かっていたけど、本当に強いわ。私の方が一ヶ月も長く乗ってるんだけどなぁ…」
「ま、要模索ってところか?」
悔しがる霧坂を前に軽くおどけて見せるが、霧坂の予測能力に肝を冷やしたのも、また事実だ。
(日常会話でもよく読まれるしな…俺って分かり易いのか?それとも、霧坂が異常なのか?)
強いて言うなら、どちらも正解である。
モニターから霧坂のリヴァイドが姿を消し、大剣を携えたリヴァイドが現れた。
「おー、来た来た。まずは一勝、よく頑張ったな!」
次の対戦相手から快活な声が届けられた。
「回避した先に銃弾ぶち込まれた時は流石に如何しようかと思いましたけどね。」
声の主は2年のレギュラー、阿部辰巳だった。黒髪に黒目、スポーツギア部の中で最も倭国人らしい顔立ちをしている。
「遠距離攻撃に対する防御手段や回避運動が単調過ぎるんだ。ま、気にする事じゃねーよ。
MCI同士の戦いで飛び道具使う奴なんて滅多にいないしな。」
阿部の指摘に、やっぱり分かり易いのかと少し凹む。
「ま、守屋とやる時はコレの方が良いだろ?」
阿部機は携えた大剣を両手で握り、腰溜めに構える。
とは言え、阿部機はMCIでは無くSCI機の為、レバーやペダル、モーションプログラムによって操作を行う。
使用出来るモーションプログラムの数にも限りがある。長丁場になればなる程、呼び動作だけで動きを読まれてしまう。
だが、MCIは搭乗者の動きをトレースする操縦システムだ。格闘戦に事関してはSCIのような制限は一切無い。
守屋にとって圧倒的有利な状況。
格闘戦における下地は完成していると言っても良い。だが、ギアの性能を完全に引き出すには至ってはいない。
(ま、後輩のレベルアップに付き合ってやるのも先輩の役目ってな。)
構えを崩さずブースターで距離を詰め、突き、切り上げ、振り落とし、薙ぎ払いの四連撃を放つが軽やかに避けられる。
(格闘戦だと回避運動も変則的になるんだな。)
また単調な動きで避けるようなら注意の一つでもしてやらなければなと考えていたが、自分が口出しするまでも無い。
(今度は打たせてみるか。)
大剣を振るいながら、守屋が攻撃に転じ易いように攻撃と攻撃の間に発生するタイムラグを広げてやる。
(ブースターも無いのに早いな。流石に良い踏み込みをする。)
隙ありと守屋機は一瞬で距離を詰め、鋼拳を阿部機の左腕に叩き込む。
両手で持つ事が前提の武器だ。腕の一本でも落とせば攻撃能力は半減どころじゃ済まされない。
(何も教えてねーのに、よく理解している。ガキの時から鍛えたれてた言ってたな?)
確かに守屋の踏み込みは早い。攻撃も理に叶っている。攻撃パターンも多彩だ。
だが、その速さもMCIとしては早いと言うだけに過ぎない。阿部は慌てもせずに、ブースターを一吹かしして、一歩離れる。
(そういや、もう一発来るんだっけな。)
阿部機は大剣を持ち上げ盾の代わりに構え、守屋機の右回し蹴りを防ぐ。モヒカンと戦った時と同じだ。
「きっとそう読んでくれると思いましたよ。」
守屋の挑発気味の発言に阿部が眉を顰めようとするが、それよりも早くコクピットに衝撃が走った。
守屋機の左足刀が阿部機の右足に甚大なダメージを与える。
幸い欠損だけは避けられたが、踏み込みに頼った斬撃は後何発放てるだろうか?
(足を潰されたのは初めてだな。よりによって手持ちのモーションパターンの踏み足は右と来たもんだ。
…手詰まりか。つーか、後輩の欠点を気付かされて如何するんだよ、俺。)
手詰まりと言うには若干、語弊がある。阿部の用意したモーションパターンには
ブースターを活用した空対地、地対空のブースターを活用した攻撃プログラムがある。
だが、SCI機を使う予定の無い守屋にとって利益をもたらす攻撃では無い。
(やれやれ…後輩を舐め腐った罰だ。此処は花を持たせてやるか。)
満足に攻撃が出来ないまま阿部も守屋に撃墜され、次の対戦相手と相対する。
歳方アリア。阿部と同じく、2年のレギュラーで二丁のハンドガンを装備している。
「守屋、わたしゃ吃驚だよ。まさかギアに乗って一週間の奴が阿部を倒すとは思わなかったよ。」
「阿部さんも、此方に合わせて戦ってくれた上に手加減までされてましたから。」
「でも、余裕ぶっこいて負けるのは先輩としてどうよって感じなんだけどねぇ…
まあ、先輩として立つ瀬が無いから、そろそろ負けてもらおうか!」
開始の合図と同時に距離を詰めて来る。
(てっきり、霧坂と同じようにアウトレンジからと思ったんだけどな…)
歳方はブースターの出力を最大値まで引き上げ守屋機に迫りながら、ハンドガンを発砲する。
二丁のハンドガンから吐き出された弾は守屋機に一発も被弾しない。
(当たらない?どうなっている?)
SCIの精密射撃能力は人間のそれを大きく上回っている。
なのにも関わらず、歳方機の射撃は出鱈目だ。避けるまでも無く当たらない。
(アレはそもそも狙っていないのか?厄介だな…)
こちらを狙っているのか狙っていないのか分からないが、モニタを最大望遠モードにしても見切るのは非常に困難だ。
ライフル程の攻撃力は無いが発射感覚が短い上に高速移動しながらの射撃の為、銃身が激しくぶれている。
これでは攻撃予測なんて出来やしない。
(霧坂みたいな丁寧な攻撃なら見切るのも簡単なんだろうけど、こういった雑な攻撃は見切れないみたいだねぇ。)
漸く、守屋が苦戦らしい苦戦…と言うか随分と戸惑っているようだ。助言くらいはするべきだろうか?
「守屋〜。SCIの攻撃は確かに正確だろうけど、常に正確無比で合理的な攻撃をすると思ったら大間違いだよ。
全部が全部、合理的な攻撃なら霧坂の攻撃みたいに読み易い攻撃になっちゃうだろ?」
アドバイスの言葉を銃弾と一緒にプレゼント。牽制弾を数発。そして、本命弾を四発。
非有効射程距離からの、ただ当てるだけの銃弾。有効なダメージでは無いが四肢を捉えていた。
(やろうと思えば、いつでもやれる…ってわけか。)
距離の詰め合いもそろそろ終わりだ。ハンドガンの有効射程距離になると同時に歳方機は発砲を止める。
それどころか、ブースターの勢いを緩めない。
(すれ違い様に背中に攻撃って所か…?正面からぶつかって膝蹴りで打ち落としてやる!)
全身のバネを使って跳躍し歳方機に正面から立ち向かう。
歳方は思わず口を吊り上げ、ニヤリと笑った。
(面白い子だ。MCIでSCIを相手に真正面から空中戦を挑んで来るだなんてね。)
歳方機は空中で一回転、膝蹴りを避け守屋機の背中に二発銃弾を撃ち込む。
「今、撃たれた所にSCIのブースターがあるんだよ。普通なら墜落だねぇ。」
(さて、これは手強いな。いや…)
反転し、再びこちらに高速接近する歳方機に向き直り、跳躍する為、全身のバネを撓ませた。
(また膝蹴りかい?愚直だねぇ…付き合ってやるよ。)
機体を跳躍させ歳方機の両腕を広げ正面に立ちはだかる。勿論、膝蹴りなどするつもりは無い。
先程と同じく回転しつつ逃げようとする歳方機にしがみついた。
「これは…何なんだ?」
「合理的且つ、非合理的な攻撃ですかねぇ…多分。」
「いや、多分って…」
因みにリヴァイドには他のギアにしがみ付かれたまま、高度を維持出来る程のパワーは無い。
更に対戦開始から常時ブースターを最大出力で稼動させていた事もあり…
「嘘っ!?エネルギー切れ!?」
態々、ご丁寧に再現された重力に引き摺り落とされる。
一瞬の油断が敗北に繋がった。それも空中で飛びつかれ地面に引き摺り落とされるという
合理性以前に不条理極まりない攻撃。そもそも、あんな攻撃をする奴なんて見たことが無い。恐るべし素人。
しかし、負けは負けだ。それも一番、不恰好な負け方をしてしまった。
「り〜ん〜…わたしゃ、もーダメだ。仇を取ってくれ〜。無理なら私より情けない負け方してくれ〜!」
次の守屋の対戦相手として内田燐が守屋と向かい合っていた。
「同じマニューバを立て続けに二回も使うからだよ。それからエネルギーの無駄遣いが多すぎ。」
守屋と歳方の戦闘記録を流し見しながら、歳方にアドバイスを流す。
「と言うか、子供の頃から戦闘訓練受けてるんだから私達より身体の使い方が巧い事くらい少し考えたら分かるよね?」
「もう良いよ。それ以上言われたら立ち直れそうにない…」
仕方が無いなぁ…と、話を打ち切り、守屋にスナイパーライフルを突きつけた。
「また飛び道具…」
歳方と戦って嫌と言う程に思い知らされた。
(相手が潰す気で来たら、手の打ちようが無い。)
遮蔽物の無いバトルフィールドで真正面で向かい合っている。
スナイパーにとって最悪の条件だが、MCIにブースターもスラスターも無い。
走る以外に高速移動を行う手段を持ち合わせていない。
勿論、ブーストダッシュと比較にならない程遅い。
「弾数はかなり少ないけど、早いし当たると痛いから注意してね?」
内田はその場から動きもせずに守屋に狙いを付ける。
守屋はすぐ様、サブモニタを最大望遠モードに切替、銃向を確認し着弾位置を予測する。
(狙いは胸部装甲…一撃で決める気か。)
左腕を盾代わりに構える。どれ程の威力を持つか分からないが、左腕と引き換えに見切る腹積もりだ。
(また左腕…本当に癖なんだね。)
ナックルガードじゃなくて、素直にシールドを装備すれば良いのにと苦笑する。
アドバイスは後からでも出来る。今はやるべき事は守屋にギア戦の経験を積ませる事が最優先だ。
躊躇いも無くトリガーを引く。霧坂のライフルとは違いマズルフラッシュは無い。
突然、襲い掛かる衝撃に守屋は転倒する。幸運にも砲弾は左腕をもぎ取っただけで胸部装甲には届いていない。
(あ、そっか。SCIと違って中の人が驚けば、ギアも驚くんだね。一発目は命拾いしたけど、ニ発目はどうする?)
内田がライフルを構え直すと、守屋は慌てて立ち上がり右腕で胸部装甲を庇った。
あくまで正面から受け止め、攻撃を見切るつもりらしい。取り合えず攻撃力が高い事だけは理解したらしく
ギアのつま先を軽く浮かせ、素早く後ろに倒れ込む準備もしている。
「度胸…あるね…」
「割と臆病ですよ?弾速が全然分からない以上、闇雲に突っ込んでも勝ち目無いですからね。
両腕と引き換えに見極めさせてもらいますよ。足が使えれば攻撃は出来ますからね。」
勝負を投げたわけでは無さそうだ。本気で右腕を犠牲にして足技で倒すつもりらしい。
だったら、足を狙えば内田の勝ちは確実になるのだが…
(正面対決でそれは無粋だね。アリアちゃんも阿部君も、こういう気分で戦ったのかな?)
歳方と阿部が、守屋のやりたいように戦わせてやっていたのを思い出し納得した。
こうも馬鹿正直に正面から向かって来られるとアレコレ小細工するのも馬鹿馬鹿しくなってくる。
一方、守屋は視覚では内田機の砲弾を見切れないと分かると、集音センサーの感度を上げ
発砲音で着弾のタイミングを計る為に聴覚に意識を集中させていた。
発砲音が鳴り響くと同時に後ろに倒れ込もうとするが、既に遅い。
砲弾はナックルガードを弾き飛ばし、右腕の装甲を削り取っていた。
格闘戦には使えないが、まだ盾代わりにはなる。
再び、立ち上がり右腕を構える。
(発砲音が聞こえてからじゃ遅い。)
発砲音と同時に倒れ込む。受身を取るよりも早く右腕が宙を舞っていた。
右腕は耐え切れなかったが、受けた衝撃その物はかなり軽減されていた。
「距離を離せば大分、安全になると思うよ?」
「内田先輩こそ…足を狙えば、一発でケリが付きますよ?」
守屋機があまりにも凄惨な姿に変わり果ててしまった為、思わず口出しをしてしまったが
無粋な事を言ってしまったと後悔する。改めて、これはそういう勝負なのだと思い知らされる。
内田がトリガーを引いたと同時に守屋が右肩を前にして前に踏み込んだ。
前のめりに崩れ落ちる守屋機を内田は固唾を飲んで見守った。
「これで…防ぐ物が一個も無くなってしまいました。」
思いの他、余裕そうな口ぶりで立ち上がる守屋機を見て何故か、安堵した。
「こっちも残り一発。次が最後だよ。」
3回攻撃を受けて理解した。SCI機のようにブースターやスラスターがあるならいざ知らず
この距離ではMCI機にスナイパーライフルの一撃を代償無しに無力化する手段は無い。
だからこそ、4発目の攻撃を右上腕部に被弾させ弾を消耗させる事に集中した。
どうせ避けられないのなら後ろに下がるよりも前に進む方が良い。それに内田から嬉しい報告も聞けた。
残りの弾数は一発。ならば、取るべき選択はこれだ。内田機を目指して真っ直ぐに駆ける。
(本気?自暴自棄になっているわけでは無いみたいだけど…こっちも追い詰められているのは同じだしね。)
気を取り直し、トリガーを引く。音に合わせて守屋機が身を沈め…地に伏した。
「直撃…守屋君、私の勝ちだね。」
少し不満だった。馬鹿正直に正面から突っ込んで来るくらいだから、
想像だに出来ないような奇策があるとか、こちらの攻撃を完全に見切ったのではと
変な話だが、自分を倒す下準備が整ったのではと期待していたからだ。
「いてて…先輩、ちょっとばかり気が早いですよ?」
戦闘情報を確認すると確かに守屋機のコンディションは最悪だが、撃破扱いにはなっていない。
「そっか、最後の最後でちゃんと回避出来たんだね!」
「いや…その…そうじゃなくてですね…」
やけに守屋の歯切れが悪い。
「どうしたの?」
「えーと、身を沈めてやり過ごそうとしたのですが…両腕が無いせいでバランスが取れず先輩が撃つよりも早く…こう、ガッシャーンと…」
運も実力の内とは言うが内田は開いた口が塞がらなかった。
間抜けな幕切れではあったが主兵装を無力化された事は事実だ。
「もう少し良いところまで行けると思ったんだけどなぁ…」
特に悔しそうには全く見えない。寧ろ、喜色混じりのぼやき声がスピーカー越しに鳴り響いた。
「ほんの少しでも行かせてしまうと負けかねないので…すいません。」
確かに守屋機は両腕が欠落し、度重なる転倒で薄汚れていた。
それに引換え、内田機はスナイパーライフルの弾が尽きただけで機体その物の
コンディションは良好…開始位置からライフルを5発撃っただけで終わったのだから当然だ。
「大丈夫。良く頑張ったね!」
守屋が正式に入部する前、内田は守屋について噂を鵜呑みにしていたせいで
否定的な物の見方をしていたが、行動を共にするようになり一方的な確執は既に無くなっている。
当然だが、守屋は横暴な人間では無いし、無闇に暴力を振るうような人間でも無い。
力を誇示する事も無く、ただ一心で部活に精を出す普通の男子生徒と何ら違いは無い。
何よりも内田は歳方に、守屋は霧坂に事ある毎に振り回され厄介事を押し付けられる。
そんな受難体質という共通点もあってか二人の関係は他の部員と同様良好である。
さて、様々な思惑がありもしたが2年生レギュラー陣全員に勝利するという快挙を成し遂げしてしまった。
残るは3年生レギュラー。副部長、三笠慶。そして、部長、加賀谷望との対戦である。
この二人の戦いは入部前に一度見ている。自分の心をいとも容易く奪い取るような戦いをした二人と戦う事が出来る。
正直、勝算など全く無い。更に加賀谷に至っては三笠を一撃で落としている。
だが、守屋は意気軒昂。身近な所に自分を圧倒的な実力差で叩き潰してくれるような相手が居る方が強くなり甲斐があると言うものだ。
「此処まで負け知らずか。素質はあると思っていたが、大したもんだ。」
三笠は賛辞の言葉と共にハルバードを構え、背面ブースターを起動させる。
「だけど、此処まで来たら負けられないよな?」
まるで自分を倒してくれる事を期待するような口振りだと感じた。
実際、三笠は守屋の勝利を期待している。勿論、手加減は一切しないし自分も負けるつもりは無い。
だが、SCIとMCIが格闘戦で戦った場合、SCIの優位は機械制御された正確無比な攻撃のみである。
機体の仕様上、守屋が勝って当然の戦いである。
(MCI部門の個人戦…出場する以上、俺程度に負けるなよ…俺より強い奴なんてゴロゴロしているんだからな)
昨日今日、初めてギアを触ったような1年をレギュラーにするくらいだ。守屋にかける期待は非常に大きい。
(とは言え…負けるのも癪なんだよなぁ…)
コンソールパネルを手馴れた手つきで操作し、背中のランスを消失させる。
(負けた時の言い訳用にな…)
「それじゃ、全員に勝つつもりで行きますよ!」
「上等だッ!!」
三笠機はブースターの出力を最大値まで引き上げ、守屋機目掛けて突撃。最初の一撃は小細工無しの渾身の一撃だ。
守屋もそれを察し、カウンター狙いで拳を構えた。力任せに攻めてくれるのなら、機体性能の差でまだ勝機がある。
(カウンターで頭部を潰す。巧くいけば一撃で三笠先輩を倒せる!)
それで、倒せるような相手では無い。避けようともせずに、この場に留まっているのだ。カウンター狙いな事くらい見抜かれて当然だ。
カウンターは十中八九不発に終わる。問題は不発に終わった後、三笠は如何動く?
自分は如何動けば良い?カウンターを諦めて、接触される直前に跳躍し背後を取る?
論外だ。相手は性能差の不利を承知した上に力攻めを選んだというのに自分は逃げに転じるだと?
それは逃げと変わらない。攻撃だろうが回避だろうが、真正面からだ。改めて、拳を握り直し、迫り来る三笠機を睨み付けた。
以上で投下終了です。支援あざっした!
23KBも使ってやった事と言えば戦闘のみ…アホかと、バカかとorz
そして、次回も戦☆闘。話が全然進んでませんorz
プロット上では16話で終了だったのですが、このペースだと32話終了予定にorz
もっと文章短くまとめる力が欲しいですorz
>>608 投下乙です!
なるほど、こういう形でキャラを紹介するという手もありましたか……新しい、惹かれるな。
それにしても描写が丁寧ですねー。そしてきりちゃんかわいいよきりちゃん。
あ、もう容量が350 KB越えてる……。
>>609 プロット上では守屋からクソボッコにやられる予定だったのですが
話が守屋VS他校の生徒という形で進んでいく為、バトルに限れば出番が全く無いので
ある一定の花を持たせた上で、キャラ紹介を行うという形を取りました。
瞬殺される予定だった飛び道具組二人に花を持たせた上でどうやって敗北してもらうか
守屋と一緒に必死こいて悩みぬいた挙句、…超やっつけ仕事でご覧の有様です。
内田戦とかマジで納得いかねぇorz
もう二度と守屋に飛び道具使う奴と戦わせねぇwww
>>608 大丈夫、俺なんか戦闘だけで2万字使った事あるから!!(なんのフォローにもなってない気がする・・・)
次回も戦闘のあたりは自分とおんなじ問題抱えてそうですw
しかしこういう話は考えた事すらなかったからすごい新鮮で楽しいな〜
>>610 なるほどなるほど。そのテクニック、げっちゅさせていただきます!
>超やっつけ仕事でご覧の有様
でも面白かったですよw
次回の3年生戦も期待させていただきますw
>>611 本格的な殺陣が入ると一気に文字数跳ね上がりますよねw
>>611 >>613 戦闘描写の文字数に関しては皆、同じようなモンだという事で安心しときますw
>>612 どーぞどーぞ!お互いに刺激しあって良いものを書けるよう頑張りまっしょい。
>>614 はい、お互い頑張りまっしょい!
自分も今週中に投下できたらイイナー。
MGでVガン……だと……!?
すまん、誤爆した。罰としてオルトロックと一緒にφ37行ってくる
VもいいけどMG GXを出してください磐梯先生……。
自由から改造するのは嫌です……。
しかし改めてじっくり見てみるとシンプルでかっこいいですね、ビクトリー。
>>617 死ぬ時はオルトロックも道連れにお願いしますねw
>>618 MG版はなんかふとましくなってるな
>死ぬ時はオルトロックも道連れに
ああ、俺死ぬの前提!?
一晩経過しても作品ラッシュだとぉ!?
いいぞ、読まないと。
>>564 メルフィーは祐二の嫁っ 投下乙ゥ!
綺麗なオルトロック吹いたw
>>585 カルマが心配だ… 投下乙!
爺さんの過去とかが気になるところ。
>>608 激しい読み合い… いいですねぇ。でもロボがパトレイバーに見えた自分は背後からマキられるべき。
投下乙!
さぁてネタで書いたTSモノでも投下しようカナー
『Diver's shell』
おまけ 「起きたらとんでもない事になってた」
朝起きたら。
とんでもないことになってた。
「…………………バカな」
ユトはそう呟くと、洗面所の鏡の前で戦慄して滝のように汗を流し始めた。
朝起きた時に感じた違和感を詮索することなくとりあえず洗面所で顔を洗ったのだ。そこで、とんでもない現象というか、物体というか、マテリアというか、肉体ィというか、兎に角目撃してしまった。みちゃった。
まず、顔だ。
ユトの記憶の中の顔は余り男っぽくない。自覚している。だが今鏡に映っているのは、女性なのだ。童顔に、眠そうながら優しげな目つき。唇は血色がよくふにふにとしていそうで形がいい。
髪も違う。
金髪を適当な長さに切っていたはずが、いつの間にか肩まで伸びて優雅な光を放っている。猫のように細く柔らかい。
体も違った。
多めに見積もっても平均的な男性の体はそこに無く、つつましいながらパジャマの上から隆起する柔らかそうな曲線が胸部にあって、腰に触れてみると見事なまでな曲線があった。
洗面所で声を出したときに気が付いたこともある。声だ。
一般的な男性の声が上流階級な女性の声に変わっていたのだ。喉仏に手を置く。アダムのリンゴはいずこ?
「あー、あー、あー………マイクのテストちゅー」
マイクなんて無いのは知ってる。
完全十全100%混乱中の頭脳ではこうするしかないのだ。
すると、まてよ。
ユトの頭に疑問が一つ浮かび上がる。
『ついてるのか? ついてないのか』
トイレに行くしかないのか。いや、時間はまだ早い。慌てるような時間じゃない。でも、確認しないと始まらないではないか。
うんっ、と頷くと、トイレに直行してドアを閉めた後に鍵を閉める。
数十秒後。げっそりとして下腹部を撫でながらトイレから出てきたユトの姿があった。
叫びはしなかったが心の中で絶叫した。
ついてないな、俺、と。
しえん!
「め、メリッサ?」
「おう?」
朝飯。
当番をカレンダーで確認して見たところユトの当番だったため、服を着替えて(目隠し状態で)いつもどおり(色々間違っているが)朝食を作っていると、メリッサらしき男性がリビングに入ってきた。
不覚にもいい男だった。
茶色と黒の中間の髪をバラバラに切って首筋に流した細身のイケメン。
ふぁぁと欠伸をしながら席に座って、テレビ観賞を始める。テレビがつくまでの間でユトの方に顔を向けると、指先を上げて尋ねてきた。
「手助けは必要かい?」
「いらないっ、うん、いらないんだ!」
「そうか」
普段から癖のある口調だったり、男っぽい口調ではなかったことは幸いだった。地のしゃべり方でも通用する。ただメリッサが砕けた男口調だと非常に話しにくい。
パンを焼いて、目玉焼きを作る。
ユトはちらりと後ろを向いてメリッサを見てみた。何度見てもいい男だった。男のユトが見てもいい男だった。
朝の清清しい空気が白々しい。
どうしてこうなった。
どうしてこうなった♪
「ねぇ……め、メリッサ」
「なんだい」
「男………なんでもない」
「変なユトだなぁ」
ニコッ。
メリッサは女なら一撃で落としそうな笑みで挙動不審なユトを笑う。
ユトは心の中で神様をサンドバックしながら天を仰いだ。
「もうやだこんなの」
平常心を保てたのは性分としか言いようが無い。
冷静すぎるのは混乱の証。
ユトは走っていた。
部屋で自分の服を探して見たところ、女物から男物まで一通り入っていた。女の俺って偉いとか呟きながら男物で身を固め、普通のブラジャー(際どいのもあった)ではなくてスポーツブラにパンツ(これだけはどうしようもなかったので泣く泣く)を着て、外出した。
今日は遺跡調査の予定も無い。
確かめたいことが幾つもあった。ユトは、まず最初に……と考えてどうしていいのか分からず走りまくっていた。
自分とメリッサの性別が変わったということは他の人も同様なのでは。
そう考えると混乱は強まる一方だ。
海に面した公園へと向かっていって、階段を上がって、潮風を感じた途端に足を地面にとられて思いっきり転倒した。
顔面から突貫する羽目になって痛みで悶絶して地面を転げまわる。朝から何をやっているのだ。
「おはようございます。大丈夫ですか?」
「ハハハ……これは傑作だなぁ」
嗚呼。
………嗚呼ッ。
頭の痛みを両手で押さえて堪え。何故か傷一つない眼鏡を拾い上げて装着し、視線を上げてみると、知っているような知らないような人物二人が見下ろしてきていた。
黒髪の女性が手を伸ばしてきている。ユトは大人しく掴まって立ち上がった。
「タナカ……さんとウィスティリアさん?」
「当ったり前だろう、なぁタナカ」
「他の人に見えるなら眼科と精神科をお勧めします」
黒髪の女性――タナカ。
鏡面に切れ込みを入れたように鋭い切れ長の二つの瞳。黒髪は腰まで伸びており、見ただけで艶やかで柔らかくいい匂いを感じ取れそうだ。服装はラフでありつつ清楚なワンピース。健康そうな二の腕が出ている。
銀髪の青年――ウィスティリア。
飄々として怪しげな笑みを浮かべた端整な顔立ち。長めの銀髪を三編みにして垂らし、引き締まった肉体を強調するように白のYシャツの胸元を開けている。悔しいがいい筋肉だった。
誰も彼も性別が違うなんて。
ユトは返事をするよりも早く、階段を一足で飛び越えて駆け出した。
「まともなヒトはいないのかぁぁああああああ!!」
冷静な頭が沸騰しそうだった。
彼……ではなく彼女は、色々なところを駆けずり回った結果、『全員性別が違う』という悲しい結論を得た。
そしてユトは最後の砦――オヤジさんの家へと行くことにした。
オヤジさんではなくオバサンなのかと余計なことを考えたのは秘密だ。
オヤジさんの家は元通りだった。だが油断は出来ない。人が違っている可能性が高い。古臭い家のガラス戸の前に立って中を覗き込み、眼鏡の位置を直しながら必死な様子をかもし出すように額を押し付ける。
ガラス戸の隙間から埃と油の臭いが漂ってきた。
「ユトか?」
ギチギチギチ。
首だけを回転させて後ろを向くと、ツナギのきょにゅーなお姉さんがいらっしゃった。
なんできょにゅーなんですか。
美しい髪の毛をゆったりと伸ばし、胸を見せ付けるように『オヤジさん』が立っている。
富士山級とはなんたることか。たゆんたゆんとか聞こえてきたのは気のせいだ。
「もういやあああっ」
「あっ、おいどこに行くんだ」
ダッシュ!!!
街の外に向かって離陸せんとばかりに駆け出すッ!!
息が切れるほど走った頃、気が付いた頃には涙目で町外れの廃工場の正面玄関の低い階段に座り込んでいた。
神様、なんですかこれは。設定を間違えていませんか。性別のところを弄りましたな? 超高速で脳裏に文章の配列が浮かび上がった。天まで届け。
その時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ユト………さんですか?」
「エリアーヌ……!」
眼を上に向けてみた。
足、お腹、顔。あぁ、エリアーヌに変化は無かった。オレンジ色の古ぼけてダボダボなツナギに独特な帽子。片手に買い物袋。時間からして昼ごはん用か。
ユトはエリアーヌの方に歩み寄ると、ぎゅっと抱きしめた。小柄な体のエリアーヌは、ユトが抱きしめるとびくっと震えたが、空いている片手で背中を撫でてくれる。
「駄目ですよ―――ユトさん」
「ぇ?」
エリアーヌの様子が妙だ。
猫なで声に近いざらつく声でユトの耳元で囁き、驚くほどの力で廃工場の奥に引きずり込んでいく。いつの間にか取り出したロープで両腕を縛り付けて、しかも数秒の間に首に縄がかかっている。
工場の奥に引きずりこまれたユトは、突如突き飛ばされて尻餅をついてしまう。眼を開くと、両足が縛れていた。いつの間にと考えるが、エリアーヌを見て考えが吹き飛んだ。
暗い工場に差し込む昼間の光を逆光に、ツナギの前を開けたエリアーヌが立っている。
顔を赤くして、呼吸を荒くしながら歩み寄ってくる。
意味が分からない。
逃げようともがくが、綱がしっかりと結び付けられているので芋虫のように体を捩るしかない。腕と足に食い込んで皮膚が赤くなっただけだった。
エリアーヌが迫ってくる。獣がするように手足で四つんばいで迫ってくる。あっという間に圧し掛かられ、組み伏せられ、耳元に口を寄せられてしまう。ぞくぞくとした感覚が背中を撫ぜた。
ユトは、恐る恐る口を開いた。
顔面蒼白になり、赤くなる。ユトの顔が信号機のように点滅しているようで。
押し倒されて圧し掛かられている。ユトは、耳元をエリアーヌに舌でなぞられるのを感じ、声が出そうになるのをグッと堪えながら尋ねんと。やすりのようにザラつく舌は唾液で湿っていて。
男のときよりも鋭く尖った皮膚から伝播したナニかがユトの両脚を蠢かせた。
「エリアーヌって………っ…、……ぅ…男だよ……ね?」
「女に決まってるじゃないですかー」
また女か。
しかも 女 に や ら れ る。
ってか性格が違う。なんで変態になってるねん。
エリアーヌはユトの胸へと指先を走らせ、
「うおお尾おおおおおお御おおお雄おおおおおおおオオォぉ!?」
そこで眼が覚めた。
爆撃で実家が吹き飛んだのを目撃してしまった兵士のような声を上げ、エビフライになる前のエビのように跳ねてベットから転落してしまう。
強か顔面を打ちつけたが、そんなことは些細なことだ。自分が男であることを確認するために素早く全身を触って見て嗅いで確認し、床の上でほっと溜息をつく。頭のてっぺんから足の裏まで男だった。
エリアーヌに押し倒されるなんて。
時計を見る。朝だった。
もうあんなのはこりごりだな。ユトは脳内で呟きながら部屋を出て行った。
続かない。
【終】
元ネタ?はブラックラグーンのおまけ漫画。本編書けよと小一時間。
>>629 投下乙です! 支援の真っ最中にこんがり焼かれるとはなんたる不覚……!
ウホッじゃないタナカさんいいよタナカさん。
そしてウィス兄さんの三つ編みに反応してしまった俺僕私……! ああっ、なんで野郎なんだ! なんで野郎なんだ!
♂でも♀でも変わらずエリーかわいいよエリー。
慌てふためいてる上にエリーに襲われるユトかわいいよユト。
いやぁ、面白そうですね、TSネタw
いつか私も書いてみたい……!
631 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/08(木) 12:39:22 ID:oVp+FK3I
まとめwikiの管理人に要望〜
ブラウザ非依存のルビを使えるようにしてください。
設定>CSSカスタマイズのユーザー定義CSSに以下を突っ込むだけです。
ruby {
display: inline;
position: relative;
top: 0;
bottom: 0;
padding: 0;
line-height: 1em;
}
rp {
display: none;
}
rt {
display: inline;
position: absolute;
top: -1em;
left: 0;
font-size: 50%;
line-height: 1em;
white-space: nowrap;
text-indent: 0;
}
a:link rt,
a:visited rt {
text-decoration: none;
}
ダレモイナイ、ダレモイナイナライマノウチニ……。
>>630 順番が違うけど、感想ありがとうなんだゼ!
書きたいなら書くんだ!
最近、3DCGに手を出そうかと考えている……
ロボも人も立体的に描けんし
投下する物なんて……無い!
いや、過去のあまやちを投下しようと思ったんですけど、これはヤバ過ぎる……。
>>635 新しい……惹かれるな。
>>635 SUGEEEEEEEEE!
機体と戦闘の描写に四苦八苦……。
でも書くのはやっぱり面白いなあ
>>608 投下乙でした!
俺も初期投下がほぼ戦闘シーンですたw
次回も楽しみにしとります
>>629 GJ!www
軽快な流れがナイスでしたw
>>635 CGを導入……だと……!?オラわくわくしてきたぞ!w
一応、設計の勉強で3D自体は扱ってるんだが
それを別のソフトでやれるかどうかが問題なんだよなぁ
慣れれば早いのだろうが
何事もチャレンジですヨ!
男は度胸。なんでも試してみるのさ。
と兄貴が申しておりましたゼ
抵抗するんじゃあない……いっちゃえよ!
なんとおおおおおおおおお!
と叫びたくなるレス発見
3D見てみたいですw
ようし……もっとだ、もっと来い!
今までありませんでしたもんね、3DCG。新境地ですw
八時ごろソルディアンの続き投下します
了解しました!
承前
アブラクサスには二つの顔がある。キリスト教の異端派という発祥を持つ宗教団体、ひいては研究機関としての顔と、アバドン殲滅を最大の目的として掲げる武装組織としての顔である。
アメリカ合衆国の財政難と中国という仮想敵の破綻から防衛マニュアルを見直された現在では、在日米軍の戦力は往時の七割程度に削減されている。
そんな日本と手を軍事的に手を組んだのはアブラクサス財団だった。
中国がアバドンによって分裂し、そのためにロシアが国境防衛に腐心している今、日本の敵はアバドンくらいのものである。
内外の要因に足を引っ張られ防衛費を足すも削るもままならない日本政府にとっては、アブラクサス財団は最良のパートナーと言えた――
土地の貸借料や公共料金を踏み倒すことはおろかそれらをビタ一文誤魔化すこともなく支払ってくれるだけでも、米軍などより遥かに良心的な同盟相手である。
戦闘構成員たちが乗り込んだ〈ティンダロス〉は総勢六十機。東京支部の大半の戦力と言ってよく、日本ではこの規模以上のソルディアンが行動に移った例はない。
平和に慣れた東京の市民たちがビル街を整然と行軍する全長二十メートルの鉄の巨人を唖然とした眼で見つめるのも無理からぬことだろう。
アブラクサス制式採用機である〈ティンダロス〉の外見は人狼に良く例えられる。
マットな質感のダークグリーンのカラーリングはともかく、突き出た鼻面のドップラーレーダー、頭部の左右に立ったクラビカルアンテナ、
正面のデュアルアイカメラ。形状と言い配置と言い確かに犬科の獣のそれで、〈ティンダロス〉を――主に政治的な理由で――採用しない国家から、
乗り手共々犬と揶揄されるのもしばしばだ。
だが機主は、そして〈ティンダロス〉と対峙した者は知っている。
この〈ティンダロス〉を犬とするならば、彼らは最高の猟犬であり、ただの犬と侮った者は等しくその報いを受けるだろうことを。
やがてそれが雲の切れ間から垣間見えた。
アバドン〈ブフレーム〉の姿が宙を漂っていた。半透明の傘を持つ水母であり、傘からは紫の触手が無数、垂れ下がっている。
その頭蓋に開いた眼球のような器官は分厚い甲殻であり、それに守られるようにあらゆる不可思議な現象を司る心臓部が納まっている。
これが宙を泳ぐ姿は一見ユーモラスにさえ見えるが、実際は水母以上に剣呑極まりない生物だ――
少なくとも、水母は船や建造物を破壊し崩壊に追いやったりはしないし物理的に出来もしない。
数は目視出来るだけで無数――少なくとも四桁に上る。しかし〈ティンダロス〉には無理な数ではない。
白昼の蒼穹に向けて砲声が響き渡る。重火器の獰猛な咆吼、劣化ウラン弾とミサイルが空間を埋め尽くし、アバドンの群れを打ち砕く。
ブフレームに声帯などはなく、アバドンは銃弾に引き裂かれ、爆炎に焼かれ、破片に砕かれ、数を減じてゆく。鉄の嵐の前には人類の敵と言えど無力とさえ思われた。
だが弾丸は有限。弾が撃ち尽くされ、〈ティンダロス〉は続々とカートリッジを交換していく。
対するアバドンの数は無限とも思えた。無限とも思える数が銃弾に撃ち砕かれては蒼穹の彼方から現れ、弾幕の途切れ目を縫っては徐々に接近しつつある。
そしてブフレームの触手が一機の〈ティンダロス〉に触れた。ブフレームの紫の触手は微細な刺胞で覆われているが、その刺胞は高周波で振動し、物質を破壊してしまう。
〈ティンダロス〉の特殊装甲と言えども例外ではなく、ブフレームに絡め獲られた一機は腕や足を奪われ、コクピットを納めた頭部を破壊された。
それを皮切りとして修羅場が始まった。機械仕掛けの人狼と空飛ぶ水母の混戦。水母の頭部に人狼が高周波ブレードを叩きこみ、その腕を触手が折り砕く。
僚機に絡みつく触手を引き離そうとするうちに自身も触手に絡まれる〈ティンダロス〉。たちまちに戦場は大量のジェル状の物体と少量の合金の破片と体液やオイルに覆い尽くされた。
そんな有様だから一部のブフレームが防衛ラインを突破しても手の講じようがなく、ただ味方の勇戦に期待するしかなかった。
進退極まってなお奮戦を続けるパイロットたちに、ラボから通信が入った。
〈えー、こちら、ナイキッシュ・アルバロン。ティンダロス・ライダーの皆さん聴こえますか? ブフレームの一匹が第七区画に侵入しました。
第七区画には我々が〈フォー・ヘッド〉と呼称するアバドン・ヘッドのサンプルが保管されています。それとアバドンが接触すると、恐らくもンの凄い悪い事態が起きます。
多分東京が酷いことになっちゃうンじゃないかな? こう言えば後は分かってくれますよね、ライダーの皆さん? では、奮闘を期待します〉
ナイキッシュ・アルバロンと言えばアブラクサスのみならずアバドン研究の大権威である。アブラクサス上層部にも顔が利き、そんな相手が言い放った命令だから聞き容れざるを得ない。
しかし、奮闘とは! 言葉は違えど暗に「死んでも食い止めろ」と言ったのは火を見るより明らかである。
だが法外な給料で雇われていることは間違いない事実であったし、何より指示に従わなかった際に起きる事態が気にかからなかった者はいない。
まさしくこの通信こそが更に戦況を悪化させたのだった。
支援
652 :
◆tEulldVhj8h6 :2009/10/08(木) 20:12:39 ID:OA2gX3GD
劣化ウラン弾の十字砲火が一つ二つブフレームを潰してゆく。一つ二つの群れが防衛線の突破を試み、敢え無く撃破され続けた。
そうした応酬が十数度繰り返されて、やっと一匹のブフレームが防衛線を突破し、また砲弾に水母状の身を四散させる。
それは、あるいは幾重にも戦死者を累として銃弾の雨を掻い潜ろうとする修羅場の兵士の姿にも似ていた。
――数十度目、一体のブフレームが第七区画の研究棟に触れた。触手がコンクリートの壁をたちまちに破壊してしまう。
ブフレームの存在に気付いた〈ティンダロス〉がそいつをバラバラに吹き飛ばした。だがブフレームは止まらない。正確に言うなら、ブフレームの群れは。
群れは〈ティンダロス〉を飲み込んだ。無論飲み込まれた〈ティンダロス〉は破壊されたが、完全な破壊を受けたものは殆どいなかった。
それはあたかも完全に解体するのももどかしげなようにも思われた。
アバドンは津波のような激しさで研究棟に雪崩れ込んだ。
ブフレームの目的は地下に埋設されている最重要施設にあった。張り巡らされたトラップと監視カメラはこれまで全ての侵入者たちを退けてきた。
しかしブフレームの一群にかかれば人間用の機構など意味を失い、分厚い地下隔壁も紙も同様でしかなかった。
不運な研究員たちは逃げ惑い、あるいは触手に身体を破壊され、あるいはアバドンの肉体に押し潰され、あるいは瓦礫に押し潰されて行った。
ナイキッシュ・アルバロンの背後で壁に穴の生じる轟音が響く。何が起こったかは見なくても分かる――紫と黄色で斑に染め上げた蓬髪を掻き上げながら、
アルバロンは緊張感を欠く声でマイクに告げた。
「えー、業務連絡です。たッた今ブフレームが〈フォー・ヘッド〉と接触しました。戦闘を継続している人もそうでない人も速やかに避難してください。
まァ絶対安全圏なンてもう東京のどこにもなくなッちまッたンですけどNE!
なお、それでも闘うという奇特な人は好きにしていいですよ。頑張ってという他言葉はありません。私は死にたくないので逃げます。
じゃ、生きてたらいつかどこかで逢えるかも知れないので恨み言はその際に受け付けます! バイビー」
そこまで一息に告げて通信を切り、ブフレームの触手に引っかからないように動く。
アルバロンの動作が用心深く、だがむしろ緩慢だったのはブフレームに見つからないためだった。多くの動物は素早く動くものを優先して認識する。
アバドンの生態は多くが謎に包まれているが、この点に関しては獣も怪生物もさしたる差異はないらしい。
ましてやブフレームは「目標」を見つけ、注意をそちらへ向けている。目立つことをしなければ見逃してくれるはずだ。
アルバロンに戦闘の意志はない。武器などもちろん持っていないし、仮に武器を持っており、運良く倒すことが出来たとしても、
次々に雪崩れ込む数の暴力の前には無意味だろう。触らぬ神に祟り無し、だ。
――だが、その前に。
アルバロンの視線がその光景に釘付けになった。
それは巨大な培養槽に浸けられた、巨大な蜥蜴の首だった。
鼻面まで十メートルはありそうな黒金の鱗の蜥蜴の頭部が、滑らか過ぎる切断面を露にして緑色の液体に浸けられていたのだった。
ブフレームの触手が彼我を隔てるガラス面に触れると、死んだものと思っていた蜥蜴の頭部はぎょろりと黄色の眼を剥いた。
培養槽に亀裂が走ると、液体の圧により厚さ二十センチのガラスは雨細工のように割れた。勢い良く緑がかった透明な液体が迸り、床に流れる。
同時に、先ほど開かれた壁の空隙からブフレームの群れが雪崩れるように入り込んだ。あたかもそれは王の帰還を待ち切れぬ奴僕の有様だった。
数十のブフレームが絡み合い、混じりあい、一体の巨大なブフレームの如く振る舞い、その触手を蜥蜴の頭に伸ばした。
それが触れた瞬間――蜥蜴の頭はそれを食らった。
ブフレームの群れの流入は止まらない。室内で小山を成すブフレームにアルバロンは身の危険を感じ始める。
蜥蜴の頭の断面の肉が盛り上がる。骨を形成する。その上から筋肉や血管が、皮膚や鱗が形成されてゆく。
しかし、足りない。この程度では王の飢えが満たされはしないのだ。
王の飢渇を嘆くようにブフレームが次々とその顎に身を投げ出す。
ブフレームを食らうごとに王は肥え太る。肥え太った王は血管の浮き出た蝙蝠の六枚の翼を羽ばたかせて研究棟を突き破り、中空高く舞い上がった。
その三本の尻尾の長さは二百メートルにも及ぼう。黒金の鱗に覆われた馬鈴薯状の体躯に手足はなく、そこにあるべき箇所からは四つの蜥蜴じみた頭部が生え出ている。
〈フォー・ヘッド〉の通称の所以だが、正式な名称は別にある。均一に配置された翼の中央で見開かれるように存在する巨大な眼球は、心臓部を覆う外殻だ。
アバドン・ヘッド〈ヴァシュタル〉――それが四つ首の巨龍に冠された名である。
〈ヴァシュタル〉が四つの顎を開き、その奥に赤い光点を燈らせた。四つのプラズマ火球が宙を走る。〈ティンダロス〉が数機、そちらを振り向いた瞬間に蒸発していた。
更に流れ飛んだ火球が高層ビルに直撃し、建築物を盛大に折れ飛ばした。ガラスと建材が群集に降り注ぐ。大小の破片を浴びて十数人が負傷し、あるいは死亡した。
熱波に煽られた街路樹が続々と炎を上げる。火球の一つが有料駐車場に着弾し、車が爆発し、あるいは吹き飛んで甚大な被害をもたらした。
逃げるぞと言うより早く隆一郎はペトラの手を引いてその場から逃げ出した。
脚力には自信がある。柊隆一郎の名前は中学高校では区内で知れたスプリンターであり、高校時代では都の記録を塗り替えかけたことさえある。
尤もその記録は隆一郎とは無関係な理由で抹消されていたが、陸上には全く未練のない今では最早どうでもいい話だった。
遠く砲声が轟いた。馬鹿な群集がケータイのカメラでその様子を撮影していた。――まさしく馬鹿だ、そんなに死にたいのか?
いくら世界中で流れるアバドンのニュースが対岸の火事だからと言って、今後もそうだとは隆一郎には思えない。脳髄の奥で本能が逃げろと言っていた。出来るだけ早く、出来るだけ遠くへ。
「痛いッ」
ペトラが隆一郎の手から逃れた。
隆一郎の足が止まる。隆一郎は振り返った。
「大丈夫、リュウ?」
「嫌な予感がするんだよ。早くここから――」
逃げ出さなくっちゃ。そう言い掛ける隆一郎の耳に、風を切るような音が聴こえた。
頭上で轟く破砕音――ビルの瓦解する音。弾け飛ぶ重金属音。
手を伸ばしかけた隆一郎の胸をペトラの手が突き飛ばす。その細腕のどこにそんな力があったのか、隆一郎は尻持ちを付いた。
その目の前――つい一瞬前に隆一郎が立っていた場所に、巨大な瓦礫が落ちた。濛々たる土煙が立ち込め、隆一郎は呆然とその名を呼んだ。
「――ペトラ?」
落ちてきた瓦礫は横三メートル、縦四メートル――ペトラを押し潰すには十分な質量でアスファルトに突き立っていた。
まるで墓標のように――不吉な印象が脳裏を掠め、隆一郎は立ち上がった。
呆気ない――ペトラ・ナトリーはこんなに簡単に死んでいい娘ではないはずだ。何が起こっているのかは分かっているが脳が状況を許容しない。瓦礫を蹴ってみたものの人の手では到底動かせる質量ではないことが分かっただけのこと。
それでも隆一郎は瓦礫を蹴り続ける。何のために蹴り続けているのかも判然としないまま蹴り続ける。
瓦礫の下から流れた血が隆一郎の靴を濡らした。
隆一郎は途方に暮れて空を見上げた。青空は不穏に黒ずんでいた。蝉の声も聞こえない。狂騒すら耳に入らない。
けれど、アバドンだけは眼に入った。水母みたいな姿をしたブフレームがそこかしこで紫色の触手を揮っている。
瓦礫が降る。金属が飛ぶ。人やそうだったものが千切れて舞う。
太陽が翳った。一際巨大な、四つの頭のアバドンが視界から太陽を覆い隠し、その四つの顎で吼えた。
隆一郎の視界の隅から隅を火球が横切った。火球が何処かで炸裂して地面を揺るがす。
全てがスローモーションに見えた。隆一郎は火球が飛んで行く方向を見た。
そこは病院だった。ついさっきまでいた隆一郎がいた病院だった。祖母の玉枝が入院している病院だった。
やめろ、やめてくれ。
病院の白い壁に火球が直撃し、炸裂した。内包するエネルギーが解放され、病院の外から内部を吹き荒れ、瞬く間に七階建ての病院の半分が消失した。
「――うああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」
有らん限りの声を上げて隆一郎は絶叫した。
何故、かくまで無力なのか。無慈悲なる怪物が無慈悲なる暴力を揮い、瓦礫と屍の山を築く。
見開いた眼から涙が流れる。
――力があれば。そう思った瞬間、頭蓋から脊髄に掛けて電流のような衝撃が走った。心臓が一際高く脈打ち、血液と共により強力な力を全身に送り出す。
バッグに入れた銃を手に執る。銃の形が変わっていた。
メタルグレーの色彩はカッパーレッドに。銃身には精緻な文様が刻まれている。銃把には跡形も無かったはずの銀の鍵のような意匠が象嵌されていた。
隆一郎の脳裏に、記憶が呼び覚まされた。
子供の頃に見た鋼鉄の巨人。蹲る、灰色の巨人を見上げるまだ幼い柊隆一郎――父が自分にこの銃を渡した訳に納得した。
これはまさしく俺のものだったのだ。ずっと以前から――
ブフレームが中空に浮いたまま静止し、隆一郎に触手の先を向けたのが見えた。
――力があれば。
ある、力ならばここにあるのだ。隆一郎は涙を振り払い、銃口を天に向け、白熱する脳髄の赴くままに口訣を唱えた。
劫掠の空より火の涙の落ちる時
赫奕たる太陽が烈しく命照らす
荒ぶる戦龍は鋼鉄灼く熱帯びて
森羅万象等しく灰燼と化しめん
「眼醒めよ、因果の日は来たり――〈ヴォルカドゥス〉!!」
隆一郎の背後に亀裂が走る。アスファルトではない。空間に亀裂が生じたのだ。
引き裂かれた大気が唸り声を上げ、風が巻く。空間の亀裂も雷に似た破裂音を鳴らして広がりながら、隆一郎の背後を中心に稲妻形を描いて八方に散る。
ブフレームが恐れるようにその身を震わせて後退する。
そして「それ」は現れた。六本の指で亀裂を押し広げながら、それは姿を現した。
全長二十五メートル。有機的な曲線を主として構成された黒鉄と赤銅の装甲は強靭さを窺わせる。
四肢のバランスは人型のそれだが、左右とも六本ある手の指は異形の証明か。
頭部を飾る五本の角は金色に輝き、その下を彩るアイスブルーの双眸が人の知性さえ感じさせる一方、鼻面に当たる部分は鋭利な印象で突き出し、爬虫類の凶暴さを添えていた。
龍頭の魔人、あるいは人型の龍。そんな印象を想起させるこの機械は、ソルディアン以外の何物でもありえない。
山をも動かし海をも断ち割るオリジナル・ソルディアン以外の何物でも――ソルディアンは隆一郎を六本指の手で掬い、頭部にその身を寄せた。隆一郎は頭部の蒼い眼から操縦席に乗り込む。
操縦席は眼と同じアイスブルーの液体で満ちていた。液体を肺に満たせば呼吸の必要がなくなり、また衝撃を殺す緩衝材でもあり、更に体温や血中の酸素濃度を最適値に保ってくれる。
ハニカム・スクリーンが淡い光を発し、正対する形で硬すぎもせずも軟らかすぎもしない奇妙な材質の椅子が備え付けられている。
椅子に座ると心臓部であるブラック・サンの脈動を感じた。同時に、両脇に半球状の物体が現れた。椅子と同様の材質で出来たそれは操縦用のインターフェイスであり、
指が触れると同時に隆一郎にもう一つの視点、完全な客観視点が付加された。
しかし今の隆一郎にはコクピットを観察する余裕はない。ただ怒りが在るだけだ。この怒りをぶつけたい。血と涙の報いを怪物どもに贖わせたい――己の中の獣に従い、隆一郎はその力を揮う。
まず隆一郎は虫を払うように腕を揮う。呆気なくブフレームが潰れた。
次に上空に視線を向ける。黒煙は濃さを増し太陽を覆いかけていた。無数のブフレームが群がり出していた。復活したオリジナル・ソルディアンを呪うように――千を越える数が降り注ぐように襲いかかる中、いささかの恐怖も覚えることもなく隆一郎は吼えた。
「ヴォル・ファイアッ!!」
上下に開いた口吻から晧々たる光が迸り、空間を瞬時に煮え滾らせる。白い焔は上空一万メートルにまで屹立し、千のブフレームを呑み込んだ。
沸騰も一瞬ならば冷却も一瞬のこと、通常の色彩を取り戻した空間にはブフレームの存在した痕跡は塵さえ見当たらなかった。
ソルディアンは翼を持たぬ身で高く舞い上がる。やはり無数のブフレームがその身に絡みつこうと触手を伸ばす。
「ゼオ・ソード!」
隆一郎の声に応え、ソルディアンの左右の前腕部装甲が変型する。液体のように形を失い、形が固定されたそれは拳の方に尖端を長く突出させていた。剣だ。
左右二本の剣が揮われるその都度、ブフレームどもは斬断された肉の塊と化して落ちてゆく。
柊隆一郎という機主を得た今、十一機目のオリジナル・ソルディアン〈ヴォルカドゥス〉が本当の意味で覚醒したのだった。
今日はここまで! 明日か明後日で終わりまでいけるかな?
うおうなんてハードな……
しかしそれ故に凄く引かれるしなにより描写が巧みすぎる……
乙です! 凄く乙! 自分も頑張らねば!
>>665 投下乙で……す……って、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 修羅場だぁぁぁぁぁぁ!!
それにしても十一機目ってのはツボですなぁ。イレギュラーな存在、惚れてしまいますw
次回も楽しみに待ってますね!
>>665 投下乙です!
これは……なんという弩ハードな展開!!
理不尽を打ち砕く為に力を望む……王道ですな!!
次回も楽しみにしております!w
それにしてもこの描写の巧みさ……見習いたい物だw(=ω=;)
>>665 と な り で こ ろ し や が っ て ッ ! !
投下乙!
これは酷い過去……よろしい、隆一郎君、全部ぶっ壊してしまえ!
3Dかあ、ハードのスペックさえ足りりゃあなあ……
すまねぇ、最終回を考えるのに必死で読んでても感想書けないんだorz
すげー亀レスになるけど感想まとめて書くって迷惑かなぁ…
ウォォ……やった ついに十二話後編が完成した…………
さぁエピローグエピローグ
>>671 アリだと思いますよ!
ではでは、そろそろ新規さんのテンプレ紹介文を考え……ますか?
>>673 おお、紹介文と聞くとワクワクするなあw
>>671 無問題!
俺は貰えたら嬉しいですがねw
>>672 おつかれー!さぁ見直しが終わり次第投下を!!w
>>666-669 感想ありがとうございます。
あとコテやsage忘れなどお見苦しい点があり申し訳ない。
>>673 他人の眼から見た自作の概要というのは興味がありま砂
>>674 wikiに掲載された時に書くという手もありますねー。
さて、まだ紹介文の無い作品は、と。
・ブリキの騎士
・ドラグリヲ
・ソルディアン
・Gドラスター
・ザイフリード
こんなところでしょうか?
しばらく見なかったら前スレおワットるし流れ早いしおいつけねえよ(∵`)
感想はいつだって欲しいものさ……。
嫌がる作者を自分は知らない。
>>676 全部書いてからということでー……じゃないと続かないんだもん
>>678 多いなぁ。考えてみようかな。
>>678 風呂に浸かりつつ考えてみます。
しかし多いですねw
683 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/08(木) 21:26:04 ID:+/wWMNt2
ここは創発版でもイレギュラーなスレだからなw
>>665 投下乙!最近人死にが多くて心が痛むんだぜ!
描写が丁寧で引き込まれるなあ。次も楽しみにしてるぞ!
ってageちまったよ、俺としたことが……
罰としてツクヨミ先生とにらめっこしながら殺意の波動に目覚めた極細と戦ってうわ極細なにをするやめ
>>679 この頃ホントに早いんですよね。スレの流れがw
過去ログはwikiの方に10号機まで格納されてますので、
確認はそちらでw(=ω=;)
マキられたか…!
……紹介文、息抜きに俺も考えていいかな
もう流れは決まってるけど、先に進めないんだorz
11号機待ちなんだよな……
まあいいや描くネタでも探すかな
マキられちまいましたね……!
さて、
>>484さんの墓を作りながら自分も考えてみまショッカー。
>>679 この頃ホントに早いんですよね。スレの流れがw
過去ログはwikiの方に10号機まで格納されてますので、
確認はそちらでw(=ω=;)
天麩羅の整理も必要だな……
うわ、同じ内容を二回もorz
ちょっとティマと極細がいちゃついてる所を邪魔してくrうわ極細なにをするやめ
ま、またマキられたか…!
うむ。整理が必要ですな。
ずっと言い忘れてたけど
天麩羅1行目、二時創作になってるんだよな
二次に直しておかないと
前々スレのアドレスは要らないと思う
代わりに避難所のアドレスを足しておいたらどうだろうか
あら、確かに避難所のアドレスがないな、これは追加すべき
ああ、また一人マキられてしまいましたか……。
というわけでぱぱっと考えてみたでござる。
【機甲騎士ザイフリード◆gU7PBlmT6Y】
紫藤 雪人(しどう ゆきと)は、きわめて平凡な男子高校生であった――ほんの少し前までは。
雪人が目覚めた場所は見知らぬ世界。そして隣には……寝息をたてる女の子!?
ファンタジックロボットSS、ここに見参!
やっぱりこういうのって難しいなぁ……。
DSを完結いたしました。長かったです。書き始めた時はここまで続くとは思っていなかったです。
見直しやスレの容量を考えて、明日以降に投下したいと思っています。
十二話後編とエピローグで二話となっております。
風呂に入りつつ考えてみた
>>696と被っちゃうけど
【機甲聖騎士ザイフリード◆gU7PBlmT6Y】
高校生、紫藤雪人はある日、見知らぬ世界へとやってきた。
その地で出会うのは、白と黒の双子姉妹、マナとミナ。
彼女たちとの紆余曲折の果てに雪人は駆る。
白銀を纏い、大地を駆ける聖騎士ザイフリードを!
異世界ファンタジー系ロボットSS、いざ参る!
……難しいッスね
難しいな……
シャドウミラージュのラストは風呂入ってから投下の予定なので23時になるかと思います
今回は色々おまけも付くよ
いつものアレもあるよ!!
>>699 期待ッ!!
だけど同じくお風呂逝かなきゃー体力眼精疲労がマキっきーィ
あー、これが俺の限界
【鋼殻牙龍 ドラグリヲ】
荒廃した世界を跋扈する、『害獣』と呼ばれる異形の災厄。
人には太刀打ち出来ぬその存在を屠る、暴君竜の如き異形の鋼。
その名は「ドラグリヲ」
アルビノの少年「ユーザー」とゴスロリ姿のナノマシン少女「カルマ」の紡ぐ物語に刮目せよ!
難しいのぅ……
>>697 乙ですw
期待してますよっ!
>>699 了解しました! 支援は任せてくださいよ!
>いつものアレもあるよ!!
ktkr! 今回もはっちゃけますかw
シャドウミラージュの後にPBMの9話前篇投下しようと容量大丈夫かな……。
全部出来上がってからのほうがいいですかね?
取りあえずイメージが沸いた物から書いてみました
各作者さんがいらっしゃれば是非を
・鋼殻牙龍 ドラグリヲ
東京を跋扈する悪しき「害獣」―――奴らを倒すべく、鋼を纏った正義の野獣、ドリグリヲ!
闇と恐怖が支配すこの世界を、「僕」と新感覚ロボ少女、カルマが光をともすべく疾走する――――!
血沸き肉躍る、バイオレンス&ハードなロボットバトル、ここに爆誕!
・秘神幻装ソルディアン
青年、隆一郎を襲ったのは、あまりにも残酷で、無慈悲なる暴力。
力無き物を守る為に、隆一郎はその名を叫ぶ!眼醒めよ、因果の日は来たり――――ヴォルカドゥスと!
今目覚める巨大ロボット、ソルディアン! ダイナミックかつ巧みな描写で見せる、一大ロボット叙事詩、今ここに!
・GEARS
近いようで遠く、遠いようで近い未来で――――競技用ロボット、ギアが駆ける!
無愛想だが熱い漢、守屋とどこかズレてるハイテンションな少女、霧坂のテンポの良い掛け合いと個性豊かな仲間達!
スポード感溢れる描写と汗と笑いとアイリス・ジョーカーが送る、ロボットスポーツストーリーをとくと見よ!
うん、ひでぇセンスの無さだ。容赦なく没って良いっすよ
>>696>>698>>701 俺よりずっとセンスある件。難しいのぉ……
んー、むー、どんどん縦に長くなってきてるし、個人的には1作3行以内くらいにまとめたいトコでござる
【GEARS ◆B21/XLSjhE】
統合暦329年5月――“世界一有名な軍人の息子”、守屋一刀(モリヤ イットウ)は
転校先の高校で、鋼鉄の格闘スポーツマシン、スポーツギアに出会う。
各校の意地を賭けて鋼の巨人がぶつかり合う、青春バトルドラマ!
漢字が多いぜチクショウ
うわぁぁぁぁぁ! GEARSを忘れていたぁぁぁぁぁぁ!!
罰としてティマを掠ってきmうわ極細なにをするやめ
>>701.704
おおおおおおおおおおお、いい……これはいいです…!
でも実は劇中で主人公の名前ちゃんと出てるんですよね。(第二話)
それと荒廃した世界観に“正義”って言葉は合わないような気がしないでも無いです。
>>707 あぁぁぁorz大変失礼を!
ユーザーを真継雪兎に変更で(=ω=;)
>>707 あぁ、これは大変失礼しましたorz
自分的に
>>701の方がいいと思います。ユーザーを真継雪兎に変更でどうでしょうか
>>709 発言が被った!?wしかも殆ど同じ文面www
では
【鋼殻牙龍 ドラグリヲ】
荒廃した世界を跋扈する、『害獣』と呼ばれる異形の災厄。
人には太刀打ち出来ぬその存在を屠る、暴君竜の如き異形の鋼。その名は「ドラグリヲ」
アルビノの少年「真継雪兎」とゴスロリ姿のナノマシン少女「カルマ」の紡ぐ物語に刮目せよ!
こんな感じでいかがでしょうか?蜥蜴氏
うわログが
管理人さん、お疲れさまとお礼を申し上げます
にしても今日はシャドウミラージュの三話完結、明日はDS完結ですかー
この流れに乗っかって土曜日ヴィルシャの最終話が投下出来れば良いな。いや、します
>>710 OKです。
こんな素晴らしい紹介文を書いて下さり、お二方感謝で御座います!
まぁ、良いんじゃないですか?
【エピローグ】
夢を見ていた。
始まりはなんだっただろう…。
ああ、そうだ、母の笑顔だ。
母はいつも優しかった。
母は劇団『幻想館』の花形だった。
母の操糸は誰よりも綺麗だった。
糸を使ってまるで自分が空を飛んでいるように見せたり、遠くにあるモノを糸で使ってもってきてまるで物体が意思を持ったように動かす一族の技能、剣糸術を使い、見に来たお客さんに幻想を与えていた。
そんな母を持っていたのがあたしの何よりの自慢だった。
あたしは母のようになりたかった。
だからあたしがお母さんに糸操りを教えてもらうようにお願いしたのは自然な事だった。
初めてそう母に教えてお願いしたとき、母は少し困った顔をした。
そうして母はこういった。
「剣糸は一歩間違えれば人を傷つけてしまう、そんな危ない技能なの、だからね、お母さんと一つ約束しよう。絶対この技を他人を傷つける為に使わないって…。」
いつも優しい母の顔がその時ばかりは怖いぐらいに真剣だった。
それでもあたしはそんな母を恐れずに――
「うん、頑張る!そしてお母さんみたいになる!」
そういったあたしは母はまた笑って頭を撫でてくれた。
その日からあたしは糸操りを教わり始めた。
母の指導は厳しくもあったがあたしは熱心にそれを聴き練習し一つ一つの技を身に染み込ませていった。
―――そうして7ヶ月がたったある日。
「ミナ、明日からお母さんと一緒に舞台に上がってみない?」
母はミナに笑顔でそう言った。
「えー、でもあたしはまだ巻きが下手だし…。」
巻きというのは糸を狙った箇所にしっかりとくくり付ける技の事だ。
この結びが強いと解けなくなってしまうし、逆に弱いと糸で自分を釣る時に解けて落ちてしまう。
だからこの巻きをうまく操作する事が糸操りの重要な点の一つだった。
「大丈夫、お母さん練習が終わってもミナが頑張って練習してるのを見てたんだから、あんなに頑張ってるミナが出来ない筈ないよ。」
母の声は優しかった。
「う、うん、なら…頑張ってみる…。」
正直、自信は無かった。
それでも、あたしは母の期待に応えたい一心でそう答えた。
そして舞台の本番。
あたしが任されたのは演目名「天女舞」のオオトリである演目名と同じ天女舞と呼ばれるパートだ。
天女舞というはこういうお話だ。
とある才能ある天女がその才能ゆえに慢心し、天界にての横暴な振る舞いをしていた。
それを見かねた神様は天女を下界に落としてしまう。
天女は下界に落ちて最初は自分をこんな汚いところに落とした神様を呪ったのだが、ある時、心臓に不治の病をもった少年と出会った。
天女は最初はその少年を侮蔑していたが、自身の病気を顧みずいろんな人に健気に尽くそうとする少年に心を打たれ始め、優しさというモノを理解しはじめる。
そうして少年と天女は仲良くなっていった。
だが、そんな幸せな日々にも長くは続かない、少年はその病ゆえに倒れてその息を引き取ってしまう。
天女は自身の能力でなんとか少年を生き返らせようとするが、天女の中でも頭一つ抜けて高い能力をもっていた彼女でも少年を生き返らせる事は出来なかった。
そんな彼女に残されたのは天女の最大にして最後の秘法「転魂の舞」。
自身の魂を削りとり、他者に与える事で死に瀕した他者を救うという禁じられた秘術。
だが天女は迷わなかった。
なんとしても少年を救ってやりたかった。
そうして天女は舞を舞う。
命を賭けて少年を救う為に、その過程で魂を削りとったことで天女はどんどん体が小さくなっていってしまう。
そうして天女が泡ほどの大きさになったとき、少年は息を吹き返した。
それを見た天女は最後に良かったと笑って消えていった。
とまあ、こんな感じの物語である。
天女舞というのはこの物語の肝である転魂の舞を舞うパートだ。
本来ならばこの転魂の舞のパートでは天女役の女性が途中で子役と交代し、体が小さくなっていくのを表現していくのだが、幻想館には子役がおらず、そのパートの表現を飛ばして死んでしまう天女という風に描写していた。
あたしという子役を得た今の劇団はついにこの天女舞を完璧な形で行えるのだ。
演目が始まる。
母は糸操りだけではなく演技も上手い。
記者達はその面からも天才と褒め称えたが、それはとてつもない努力に裏づけされたものだというのもあたしは知っている。
あたしの演技の指導を行ってくれたあとも一人でずっと熱心に演習しているのをあたしは何度も見た。
舞台でついに少年が死んでしまった。
天女は泣き叫び色々な術で少年を生き返らせようとするが生き返らない。
それはまさに迫真の演技だった。
あたしはごくりと息を呑む。
それは自分の出番が近づいているという事だ。
腕が震える。
失敗したらどうしよう。
お母さんがあんなに頑張ってるのに…あたしがそれを台無しにしちゃうんじゃないだろうか…。
怖い…そんなの嫌だ…。
舞台が暗転する。
その間に背景を変える為小道具の人たちは大急ぎで背景を変え始める。
あたしはそれを見ていて逃げ出したくなった。
その怖さからか涙が流れてくる。
逃げたい。
もう、こんなの嫌だよぉ…。
そんな中、母が自分を見つけて、にこりと微笑んだ後、あたしを抱きしめた。
そしてこう言った。
「いい、ミナ、よく聞いてね。今までミナは凄い練習してきたでしょ、きっとお母さんはミナに凄く辛い事もやらせたと思う。
でもミナはそんな中、諦めずに文句も言わず、ずっと、ずっと、ずーーーーーーっと、頑張ってついてきてくれた。
だからね、お母さんはこう信じてるんだよ。ミナは絶対、演技を成功させる事が出来るって…諦めずに、ずっと頑張った人はね、必ず報われるんだよ。
だから一緒に頑張ろう、ミナ。」
そう言う母の腕の中はとても温かくて優しくかった。
「で、でも、もし、もし失敗したら――」
母は笑ってあたしのあたまをポンと叩いた。
「やる前から失敗することなんて考えちゃだーめ。今は演技を頑張ることだけを考えるの、頑張って、頑張って、頑張って演技する。
それでも駄目だったら――お母さんが一緒に謝ってあげる。それにね、ミナに文句をいうような奴がいたら追い払ってあげる。だからね、頑張ろう?」
「うん。」
そして母はあたしをもう一度強く抱きしめた。
なんだろう少し勇気が湧いてきた気がする…。
「それではそろそろお願いします。」
舞台の背景の移動が終り、小道具の人たちが戻ってきて母にいった。
母はあたしを見て、優しく笑って言った。
「じゃあ、一緒に行こうか。」
その時の母の笑顔は本当に天女のような笑顔だった…。
結果から言えば、舞台は大成功だった。
あたしは演技をミス無くこなす事が出来、好評を得た。
舞台最後の挨拶で、舞台上であたしが会場の客に歩いて挨拶した時、会場中から拍手が起こった。
あたしはこの時の事を絶対に忘れないだろう…その時、あたしはそう思っていた。
暗転する。
炎上する舞台。
倒れた柱と床に足を挟まれ母は身動きが出来ない状況だった。
あたしはなんとかその柱から母を引っ張りだそうとしたが、子供の力では抜けない。
「ごめんね、ミナ、お母さんはもういいからあなたは逃げなさい。」
母は笑って言う。
「嫌だ、そんなの嫌だよ、お母さん!!」
あたしはそんなの絶対に認められない。
「嫌だ、お母さんがいないなんて絶対に嫌だ、お母さんが――」
そういって母を引っ張ろうとした時、大きな音と共にあたしの頬の熱い衝撃が走った。
そうして母をもう一度見た後にあたしは気づいた。
母があたしを手を上げたのだと…今までどれほど厳しく言ってもあたしに一度も手を上げた事が無かった母が…。
「ごめんね、ミナ…痛かった?でもね、ミナ、あなたには生きていて欲しいの。」
母は強く言う。
「でも、でも、そんなの嫌だよぉ…。」
それでも泣きじゃくるあたしに母はあーあーと笑った。
「恥ずかしいから言わなかったんだけどね、実はお母さん、ミナが始めて天女舞やったときね、あんまり凄かったものだから感動して舞台裏で泣いちゃったの、それにちょっと、本当にちょっとだけだけど嫉妬しちゃった。」
おぉ…DS明日完結か、名残惜しいのう名残惜しいのう
>>716 えーと気分を害されたならスイマセン。余計でしたね。
「え……。」
あたしは驚いた。
いくらミスが無かったとはいえその演技の隅々にはまだ練習の足りない稚拙な部分が多かった筈だ…。
「演技をするにおいてに大事なのは上手い演技をするというだけじゃないの、演技にはね、その人引き付けて離さない妖しさというのが必要なの…。
お母さんは才能なくてね、その妖しさをついに手に入れる事が出来なかった…。
出来ないからより綺麗な演技を、より上手い演技を…そう思って練習していたの…。」
母は続ける。
「だから、ミナの初舞台の時にね、ミナの演技を見ていた時…ミナの演技にはね、その妖しさがあったの。嬉しく思った反面、良いなぁってちょっと思っちゃった。
それでいてね、私はね、ミナの演技に心の底から感動してたの…。
技はまだ拙いところがあるけれどそれ以上にミナの体から発せられる不思議パワーというと変な例えかなと思うけれど、そんな力を持ったあなたがさらに技を完璧に身につけたらどんな凄い役者になるだろう…って…それが凄く楽しみだった。」
火がさらに舞台を包み始めていく…。
そんな中で母はミナに優しくいった。
「だからね、ミナはこんな所で死んじゃ駄目。だってあなたにはまだ未来がある。
まだまだ、先は長くて辛い事もあるかもしれないけれど、頑張れば必ず報われる。
あなたには才能もあるし、何よりもあんなに厳しい訓練に文句一つ言わずついてきた強さもある。そんなあなたが報われない事なんてありえないよ。」
あたしは泣きながら立ち上がった。
お母さんをここに置いていきたくない。
でも、これほどあたしの事を思ってくれている母の意志を蹴り飛ばすような事が出来ようか…。
「お母さん、あたし…あたし頑張るからね!絶対、凄い役者になってみせるからね!」
母は泣きながらそう叫ぶあたしに向かってニコリと笑って――
「――いきなさい。」
そう言った。
それからあたしは後ろを振り返らなかった。
後ろを見たらきっと決心が鈍る。
きっと母から離れられなくなる。
目の前に火があがる。
死んでたまるものか…。
母を犠牲にしたのだ。
母を見捨てたのだ。
母を…あの母を…。
優しかった。
自慢だった。
――大好きだった。
火を避ける為に迂回路を探す。
あたしはなんとしても生きなければならない。
こんな所で死ぬことなんてあたしには許されない。
絶対に…絶対に!!
まだ火の手の弱いところを見つけた。
あたしはそこに向けて走る。
天井が崩れ始める。
間一髪だった。
あと少し走り出すのが遅れていれば、あたしは落ちてきた天井の下敷きになって死んでいただろう。
あたしは出口を探す。
消化作業が行われているおかげか出口部分の火の手は薄かった。
そしてあたしはまた走った。
涙が止まらない。
それでも走った。
ただ、走った。
母との約束を守る為に……。
ただ―――ただ―――走りぬいた。
外に出る。
先に逃げ出していた幻想館の仲間達はあたしを見つけ、生きていて良かったと抱きしめてくれた。
あたしは生き延びたのだ。
支援
そして、あたしは泣き叫んだ。
その時だったか、周りの人間たちが絶叫をあげたのだ。
燃え上がる舞台を見にきていた野次馬たちが皆、逃げ始める。
何事かと思い、あたしは燃え上がる舞台を振り返る。
燃え上がる劇場の上に何かが立っているのを見た。
そこにいたのは人間ではなく、大きな異形だった。
一つ…そう、一つ目の化け物……。
それが、この炎の原因を作り出したモノ。
そしてその化け物の口には一つの異物が咥えられているのが見えた。
あたしはそれが何かと気になり、凝視する。
その何かが何なのかと気づいた幻想館の仲間はあたしの視線を遮ろうとした。
けれど…遅かった。
あたしは体が動かなくなる。
怒り、悲しみ、恐怖。
なんとも形容しがたい感情があたしの中で渦を巻く。
だって…だって…その化け物の口には上半身が喰いちぎられたお母さんが―――
「うああぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!!」
絶叫と共にあたしは目を覚ました。
息を吐き、周りを見渡す。
全身汗だらけだ…。
ここは何処だとあたしは確認を始める。
回りには多数のモニターとコントロールバーが手元にあった。
そしてお前は誰だとモニターに微かに移る自分を見て自問自答する。
「夢か…。」
D−40 グレリーナ。
その機体の中にあたしはいた。
妖魔の群れとの戦闘後のデータ整理が終わった所で疲れてそのまま眠ってしまったのだろう…。
「それにしてもね…。」
あんな夢は久しぶりに見た。
昔はよく見てはいたが最近は滅法見ていなかったからだ。
ドライブの副作用だろうか…あとでカタリナに聞いておかないといけない。
しかし、嫌な夢だった。
もし、もしも母が生きていて今の自分を見たらなんと思うだろうか…。
母はこのような事をする為にあたしに剣糸術を教えてくれたわけじゃなかっただろう…。
だが、あたしにはやらないといけない事が二つある。
それを果たす為には――
「おい!ミナ!!おい!!聞こえてるか!ミナ!!」
無線越しに声が聞こえた。
知っている声だ。
「聞こえてるよ、うるさいからもっと声のトーン落として…。」
クーガ・ラグナグ。
昨日、シャドウミラージュに配属されてきた新入りで王名持ちの名誉騎士。
いきなり機体を壊してやってきた時はどんな名前だけのヘボかと思ったが、セイム曰く腕は確かだそうだ。
あいつはそういう所ではテキトーな事をいわない奴なので本当なのだろう。
「うるさいってなぁー、さっきのお前の絶叫の方がずっと…。」
ん?聞かれていた?
そんな筈は無い。
でも、なんであたしはこいつと話しているんだろう…?
無線のスピーカーはOFFに―――――なってない。
寝相でスイッチ弄っちゃったんだよねぇ…これ…。
ちょっと自分が嫌になる。
だからちょっと八つ当たりしてやる事にした。
「えー、乙女の寝言を聞いてたのぉ〜もう、クーガっちたら、そんな趣味があったんだぁ〜。」
「な、何も聞いてねぇよ、大体ずっといびきかいてたし…。」
「何か言った?(意訳:何、阿呆なこといっとるんじゃ死なすぞ、コラ)」
あたしは出来るだけ優しく答える。
「いえ、なんでも無いです、ミナさんはずっとすやすやお休みになられていました。」
「よろしい。」
からかうのは失敗した。
まあ、無線越しに話してる相手には結構ダメージあったみたいなのでOKとしておこうか…。
しかし、このあたしがイビキか…まずいな…これをセイムにでも聞かれたら永遠にネタにされかねない…気をつけないと…。
「それで一体なんの用?」
「いや、叫び声あげてたからなんかあったのかと心配したんだけどな…その調子じゃ問題なさそうだし…心配して損したと嘆いてる所。」
さっきのあたしの叫び声を聞いてこいつなりに心配してくれていたようだ。
それはちょっと悪いことしたなと思う。
「ごめんね、なんでもないから忘れて…。」
「いいよ、別に…。」
ぶっきらぼうにクーガは答えた。
そこであたしは一つのことを思い出した。
「それよりもクーガっち、約束の件、覚えてる?」
そう、まだあたしは彼に約束を果たしてもらっていない。
「ミナが言った質問に答えるだっけ、最初も言ったけれどゼスに関しての事ならば俺は答えないからな。」
「おーけ、おーけー。」
「んで、何を聞きたいんだ?聞いても面白いことなんてもうほとんど話したと思うが…。」
何を聞くか…それは最初から決めていた。
もし彼の経歴があたしの調べた通りならば知っている筈だ…。
だから、聞こう――全てはあたしの目的の為に――
「一つ目の妖魔って知ってる?」
<第三話 変幻する糸 了>
次回予告
妖魔の森クロロスペッツゥナ
そこから発せられるSOSに向けてシャドウミラージュは決死の救出作戦を決行する
そこに待ち受けるのは―――
シャドウミラージュ第四話『九曜(ナインデイ)』
それは九つに分かれたオロチの頭蓋
To be continued
投下乙です!
過去話でも人が死ぬのは心が痛いデスね
>>729 毎日の投下、お疲れさまでした
昨日の分も合わせてじっくり読ませていただきます
>>716 あ、別に気分は害してないですよ。変に誤解を与える書き方で申し訳ない
>>729 投下乙です!
なるほど、冒頭の女の子はミナだったのですか……うわぁ、これはきっついなぁ。
そして次回予告がかっくいーですなぁ。こういうのを書ける才能に嫉妬してしまいますw
では、次回も楽しみにしてますね!
さてさて、お風呂から上がったらPBMを投下すべきか否か……。
カキフライで食中りを起こしてしまいましたorz
食べ物の美味しい季節になりましたが、皆さんも気をつけて下さいね。
それはさて置き、
>>704氏に
>>705氏。素敵な紹介文有難う御座います!
どちらも甲乙付け難いのですが先手必勝という事で
>>704氏の紹介文を
採用させて頂きたく思います。
◆klsLRI0upQ氏
投下お疲れ様です。ミナの過去と戦う理由。キャラクターの掘り下げが丁寧で引き込まれますね。
それにしても、お話の切り方がずるい…これでは次回も期待せざるを得ない!非常に続きが気になります。
と言うわけで、連続更新は継続という事でwww
>>729 乙!
物語を作ることって楽しいよNE!
>>729 投下乙です!
キツめな過去ですなー。ミナの求める答えをクーガは持っているのだろうか?
次回も楽しみにしてまーす
あとがきがいつも通りで安心しましたw
投下乙。
物語書くのは難しい、書けるていいものだね
>>728 書いてるときに辛いと思えないとそのシーンは人に伝わらないだろうと思って
自分が辛いなと思うまで気持ち入れて書きました…
ちょっと改行おおすぎかなーとは思ってたりするんですが
>>730 ありです
感想はいつでもいいので貰えると水を得た魚のように喜びます><
>>732 シャドウミラージュを書く時、一つのルールを作ってまして
冒頭に必ずその話の重要キャラの何かを書くという風にしてます
次回予告に関してはCRもっと凄いの考えてますよ〜
>>733 続きはプロット含めて、10数話ぐらい出来てるけれどまず、CRきっちり書かないとね!
いくらなんでも三作品同時連載は無理ですw
>>734 だよNE☆
ちなみにあとがきをスクロールすると…(まあ、バレバレか)
なんかことごとくスルーされて悲しいお……。
>>733 >カキフライで食中り
おうふ。大丈夫ですか!? カキはヒットすると冗談抜きで危ないですからね……トイレから出れません。
>連続更新は継続という事でwww
やめて! ◆klsLRI0upQ氏が過労で死んじゃう!
>>735 実は四話はミナの問題はひとまず置いといてという流れになります
ここでミナの話全部やっちゃうと後半空気っちゃう><
>あとがき
正直、あれ書くためにシャドウミラージュ書いてたと言ってもry
あいつらの出番まで書いてやれる時が来るのかなー
実はあいつらの為に主題歌まで作ってやってるんだけれど…
んで、あの二人が言ってましたがあとがきボーナスシナリオは明日投下予定です〜
ボーナスなんて言うほど大したもんでも無くて、簡単な補完かけた手記形式なもの
もしスレ埋めるのに使えるのならば、それように投下するよー
>>733 有難うございます。
>>705氏の紹介文も硬派な感じがしてカッコいいです
一日でも早く治る事を祈っています
>>738 10割ネタを振って8割スル―される俺に比べりゃ全然大丈夫ですよ
>>738 俺……お腹が治ったら、カキフライ食べるんだ……
カキにヒットしたのは生まれて初めてですが、ここまで攻撃力が高いとは…
もう色々と搾り取られてしまいましたw
>>738 えーと、前半部分だけ投下で!お願いしたいです!w
>>741 まwwwてwww
それは完全にフラグだwww
一昔前は自分の絵に話をつけてやろうと考えていたこともありました
ヒロインがラスボスになりました
ふぅ、いい湯じゃったわい。すみません、なんかブルーになってましたw
だがだいじょうぶだ おれはしょうきにもどった!
>>740 なんと。
次からなるべく食いつくように努力しますので、どうか命だけは……!
>>741 ああっ、これが本当のカキ中毒……!
>>742 了解しました! お風呂上がりの一杯を飲み終わり次第投下します!
ちなみに前篇は戦闘ありません。期待してた方ごめんなさいorz
>>744 爽やかな青年がマッシブなアーミーに変わることなら良くある
>>744 ヨヨですね、わかります。
では投下を開始いたします! 今回も短いよっ!
歓迎パーティーの翌日、晴れた日の朝。
遥はひたすらリヒターにマナを送り続けて、リヒターはひたすら『とっつき』を放ち続けていた。
リヒト曰く、遥もリヒターもマナのコントロールが甘いらしく、まずはそこをなんとかしないと何も始められないそうだ。
パラベラム!
Episode 09:黒い仮面の狂戦士〜嫌な既視感の予兆の光景〜
まずはマナを賢者の石から取り出すために意識を集中。そして取り出したマナを手に集ると、地下に走っているマナの通り道“地脈”に乗せて、リヒターへ送る。……のだが、
「だあーっ、またバラけたぁっ」
遥の周辺を実体の無い蛍が舞う。地脈に乗せるまでの間に、どうしてもマナが拡散してしまうのだ。
リヒト曰く「マナを纏める」との事だが……ようわからん。
「これ地味だけどけっこう疲れるね。リヒター、マナはどれくらい溜まった?」
<……腹八分目程です>
腹八分目か……よし。
「じゃあそろそろお願い」
<イエス・マイマスター>
リヒターの右手にマナが集まり、光を放つ。
「で、そこから伸ばして!」
<イエス・マイマスター>
リヒターが力むと、手に纏ったマナがほんの少しだけ伸び、刃を形作る。
<ダガー、形成完了しました>
一方のリヒターは、マナのコントロール技術がめきめき上達していた。これが才能の差だろうか……遥、少し嫉妬。
「よしよし、よくやった。じゃあ今のうちに伐っちゃおっか!」
が、その嫉妬は微塵も表に出さない。だってギトギトしたのは嫌いだから。
――――健康的にいこう、爽やかに。
<イエス・マイマスター>
命じられた通り、リヒターが手近にあった木を根に近いところでぶった伐る。
スパン。太い木がまるで刀で大根を斬るみたいに気持ち良く伐れて倒れる。
一本、二本、三本――――と、リズミカルに木々を伐採していくリヒターと、賢者の石からマナを搾り取る遥……ああ駄目だ、またバラけた。
「おお。やっとるね、遥ちゃん」
初老の紳士があらわれた!
彼はジェームズ・ロバートソン。遥にとって初めてのクライアントだ。ちなみに依頼内容は――――ロバートソン氏の別荘の庭の掃除。激しく地味な事だが、遥はルーキーなので仕方がない。
何事も、小さな事から、コツコツと。
「あ、ジェームズさん。こんにちは!」
遥がぺこりと頭を下げる。
心臓の鼓動が高鳴って、ついつい早口になってしまう。
「こんにちは。調子はどうかな?」
「はい、見ての通りぴんぴんして」
<マスター、ロバートソン氏がおっしゃっているのはおそらく身体の事ではなく仕事の事かと……>
まさかの勘違い。完全にアガっている。
「ああっ、すみません! えーと、そうですね……。大体あと一時間もあれば完遂できると思います」
「おお、早いじゃないか。じゃあこの作業が終わったら教えてくれたまえ、ティータイムにしよう」
そう微笑みながら遥の肩を叩いて、ロバートソン氏は向こうに建つ屋敷へと消えていった。なんでもロバートソン氏はけっこうな資産家だそうで、ここ以外にもいくつか別荘を所有しているらしい。
「すごいねぇ、お金持ちって」
もはや点になってしまったロバートソン氏の背中を見ながら遥が呟く。
<イエス・マイマスター。どんな仕事をなさっている方なのでしょうか>
そう言いながら片手間に光のダガーで丸太を大量生産するリヒター。
「えーと、このメモによると鉱山を持ってるんだって」
肩に掛けたポシェットから、ルガーが情報を纏めたメモ帳を取り出して、それを確認する。
<まるでおつかいの内容を確認する子供のようだな>
「今なんて言いまし……って、あら?」
支援
しえーん
クスクスという笑い声に引き攣った笑みで返そうとするが、途端それは驚愕に変わった。何故ならそこにいたのが、
<ん? 私は“かわいい”と言ったつもりだったんだがな>
「はい。かわいいですよ、遥さん!」
ひらがなコンビの主のほうにしてやおよろずがオーナー、まどか・ブラウニングと、ひらがなコンビの従のほうにしてみんなの教官、玉藻・ヴァルパインだったから。
たまちゃんこと玉藻・ヴァルパインは現在、手の平サイズの狐型機械人形に宿っている。これはブラウニング家に代々伝わっている由緒正しい機体で、めちゃんこ高級だとか何とか。ちなみに尻尾は九本。これはたまちゃんのこだわりらしい。
「ちょっ、まどかちゃん! 頭の上に手ぇ置くのやめて! 恥ずかしいから!」
「ああっ、すみません! 危うくお持ち帰りしてしまうところでした……」
そうか、この子もやっぱり普通じゃないのか……。
がくりとうなだれる遥をよそに、まどかの肩の上に乗ったたまが問い掛ける。
<ところで、調子はどうだ?>
「どうもこうもないよー、全然上手くいかないよー」
ふらりふらりとまどかに縋り付く。豊満なバストが柔らかい。ずっとこの谷間に顔を埋めていたい。というか、揉んでみたい。
「よしよし」
まどかが優しく頭を撫でる。ああ、これでまどかが年上だったらなぁ。なんて思いながら糸目で頬擦りをしていると、
<おまえ達、何をイチャイチャしている!>
「ひぎいっ!」
何故かブチ切れたたまの体当たりを喰らって地面に叩き付けられ……そうになって華麗に受け身。基本ドジだが、なんやかんやで身のこなしはそれなり以上だ。
「ああっ、遥さんが! 何するんですか、たまちゃん!」
<仕事中にイチャつく奴があるか!>
「は、遥さんと私はそんな関係じゃありません!」
顔を真っ赤にしてまどかが反論した。“そんな関係”……?
<そんな事くらいわかっている!>
「だったらやきもち妬いちゃ駄目です!」
<やっ、やきもち……!? 私がやきもちなんて妬くわけないだろう!>
ひょっとして今の、結構図星だったんだろうか。声を荒げてたまも反論。
一方遥は、たまちゃんもけっこうかわいいとこあるんだなぁ、なんて腕を組んで顎に手を当てながら考えていた。完全に他人事モードだ。そんな時、ガサゴソと木々を分ける音。
<……一体何があったのですか、マスター>
気付けば両手から木の臭いをぷんぷんさせながらリヒターが背後に立っていた。
「うーん……痴話喧嘩、かな? ところでリヒター、お仕事終わったの?」
<いえ。すみません、マナが切れてしまって……>
限界に達したのか、リヒターが強制的にスリープモードに移行する。そうだった、そういえばけっこう長い事放置してしまっていたんだった。
「うーわ、なんてこった! ごめんねリヒター!、今マナあげるから!」
再度意識を集中。リヒターにマナを
<おい、ちょっと待て遥>
送ろうとして、たまに呼び止められる。
「あー、はいはい?」
遥、放出しようとしたマナを寸止めされてちょっといらいら。これは……下品な例えだが、トイレに行きたくても行けない感覚に似ている。
<そうそう、これが言いたくて来たんだ>
「はい、そうでしたね」
いつの間にやら痴話喧嘩は終了していたようだ。まどかがたまを抱き抱えていた。
「い、言いたい事あるなら早く言ってね。漏れちゃうから、マナが」
その場で足踏みを繰り返す遥。早くしないとマナが無駄になってしまう。
<どうせ掃いて捨てる程湧いてくる、少しくらい無駄になっても大丈夫だろう。それに粗相をするわけじゃないんだ、別に気にする事はない>
「あの、そう言われると余計に恥ずかし……んあっ」
出た、出てしまった。
マナと一緒に力が抜けていき、ゆっくりと息を吐きながらその場にぺたんと尻餅をつく。ついでに恥ずかしいあれやこれやがフラッシュバック。なんだこの羞恥プレイ、死にたい。
「わわ、なんかやたらと扇情的ですね……」
<まだまだマナのコントロールが成っていないな。最低でも一分は持たせられるようになれよ>
「ひっ、人事だと、思ってぇ……うぇぇぇぇぇ」
「よしよし」
泣き出した遥をまどかが抱きしめる。
<おまえ達、何をイチャイチャしている!>
「ひぎぃっ!」
何故かブチ切れたたまの体当たりを喰らって地面に叩き付けられ……そうになって華麗に受け身。
「ああっ、遥さんが! 何するんですか、たまちゃん!」
<仕事中にイチャつく奴があるか!>
「は、遥さんと私はそんな関係じゃありません!」
無限ループって怖い。
♪ ♪ ♪
「……で、あによ」
俯いて不機嫌な声で、遥。こう見えてけっこうキレている。
<悪かった、悪かったよ>
身体を駆け上がり、肩にちょこんと乗っかったたまを、掴む。
「恥ずかしい思いさせといてその謝り方は無いんじゃないかな……!」
遥の馬鹿げた握力が、たまの擬体を圧懐せんと襲い掛かる。各部位からミシミシ、ミシミシと嫌な音。
<ご、ごめんなさい>
「ん、わかった、ゆるす」
短く言うと、たまの身体をぽとりと落とした。
<きゅう>
地面に落ちたたまの身体がぴくぴくと痙攣。
「ああっ、たまちゃん!」
「次やったらその九本の尻尾全部三つ編みにして糊で固定してやるから覚悟しとけよ……」
と、ドスの効いた声で、遥。泣かせると冗談抜きで怖いタイプのようだ。
「は、はい。きつく言い聞かせておきますから、何とぞ命だけは……!」
その迫力たるや、仮にもこのブラウニング領のお姫様を深々と土下座させる程。
まあ、遥も旅で数々の修羅場をくぐり抜けて鍛えぬかれてきたのだ。悪党は何人も懲らしめているし、キツい肉体労働だってやってきた。……正直外見からはとてもそうは見えないが。
しえーん
「……わかった」
遥、ずっと俯いたまんま。
<し、死ぬかと思ったぞ……>
ぜぇはぁと息をしながら、たまがまどかの足元に倒れ伏す。
「だ、大丈夫ですか、たまちゃん!?」
倒れたたまをまどかが拾い上げて抱きしめた。
まどかの豊満なバストが、たまの擬体を圧懐せんと襲い掛かる。各部位から再びミシミシ、ミシミシと嫌な音。
<大丈夫だ……死んでは……いな……ぐふっ>
「ああっ、ごめんなさい!」
「えーと、自分もやっといて何だけど……たまちゃん大丈夫?」
<だから大丈夫だと……。それより、伝えたい……事が……>
今にもポックリ逝ってしまいそうだが本当に大丈夫なのだろうか。
「うん」
真剣な表情で耳を貸す遥。
<マナを纏める時は……髪の毛を……三つ編みを編む時を……>
玉藻・ヴァルパイン、機能停止。
「たまちゃん!? たまちゃ――――ん!!」
揺すっても叩いても、たまは反応しない。まさか本当に壊れてしまったのだろうか、自分のせいで。
「遥さん……」
「何、まどかちゃん……」
短い付き合いだったが、彼女に教えてもらった事は忘れない。厳しいがお茶目な、いい教官だった。
「マナ切れです……」
「へ?」
今何と?
「ですから、マナ切れです……」
ふむふむ、つまり今のはマナ切れによる強制スリープモードだと、君は。
すぐ傍に鎮座している黒騎士を見る。なるほど、つまりリヒターと同じ……って、
「びっくりさせるなぁぁぁ――――っ!!」
「ひゃあ!?」
突然大声を出した遥にまどかが驚いた。
「あの、えと、まあ、その……たまちゃんって一応、狐さんですし」
「理由になってないよ!?」
「そうですよね、どちらかというと狸さんのほうが適切ですよね……」
「や、よくわからないんだけど……」
「狸寝入りって、あるじゃないですか」
ああ、なるほど。
しえーん
投下の真っ最中に二回も携帯を焼かれるとは……えぇい、これはどういう事だ。
ふぅ、前篇終了です。支援ありがとうございました!
なんか今回えらい暴走してるのは一時期の流れの仕業だ!
次回はちゃんと戦闘あるから期待しないで待っててね!
投下乙
何というテンションまさしくコメディ
乙です!
>ずっとこの谷間に顔を埋めていたい
あらん限りの同意とshit!
玉藻とまどか、綺麗なレズはいいレズだ
>>759 女の子同士仲良くしているのを見ていると和むよね!!……和むよね!!!
とまぁ大事なので二回(ry
ふむ、気になるところで切れたw後編の投下をお待ちしております!
>>759 投下乙!相変わらず色々酷いw(褒め言葉)
ドジっ娘の馬鹿力怖いよドジっ娘の馬鹿力。手乗りたまちゃんほしいなあw
感想ありがとうございました!
>>760 テンションしか取り柄が無いですけどね!
>>761 レズじゃないよ百合だy(ry
でも妹取られて嫉妬してる姉が1番近い感じかな?
>>762 和むよね! 和むよね!!
大事なので(ry
ちなみに今回重要なのはたまちゃんの<マナを纏める時は〜>の部分とサブタイくらいでs(ry
>>763 三つ編みお下げのドジッ娘は林檎を潰せる程度の握力を持っているので注意しましょう。
では次回も期待しないで待っててね!
安心なさい、ここに妙なメカ描く以外能のない子がいますよ
ふぅ、なんとか一段落して見直しも終わった〜w
投下は明日かな?人いなさそうだしw
容量もやヴぁいです。
乙です
ああ、いいなぁ、この雰囲気
俺ももっと色々あんなことやこんな事を書きたいよ〜
次スレ立ったら埋めネタ提供しますよ〜
現在445kb
も う 容 量 か w
んでは次スレですかね〜っと
では俺はこの辺でノシ
ふと思った。三つ編みお下げってなんか幼く見える髪型だよね!
>>765 それはとても凄い事だと思います!
>>766 最大級のカタルシスを期待してますぜw
>>768 気に入っていただけたなら幸いでありまふー。
>>769 wktkwktk!
DSの最終回と共に新型ロールアウトですかねー。
自分も埋めネタ考えとこうw
壁|・ω・`) もう次スレかぁ…
壁|0M0) 早いものだな……。
壁|・ω・`) DS………ワガママを言うと次スレで投下したいんだ……
壁|0M0) やはり容量が足りないか……。
……どうします?
壁|・ω・`) 立てたいけどまだ早すぎる気がして……。800前じゃ埋めってレベルじゃ
容量も470 KBまでまだ少しありますしね。
うーん……紹介文の続きをするとか?
紹介文が思いつかない悲劇
あんまりDSさん待たせるのも悪いし、先にスレ立てちゃ・・・やっぱ駄目か。今は人が少ないからなぁ
話題って訳でもないけど、完結作抜いて、今どんだけ作品が投下されてんだろう
ここ最近で新しい人入りまくって把握出来ねぇw
大丈夫。自分は今「最終回これでいいのか!? 盛り上がりに欠けてないか!? 矛盾とかモヤモヤはないのか!?」とパニくり中
埋めネタとして過去のあまやち投下してもいいけど、長い事ロボ出ないしなぁ……。
>>780 かなり多いですよねw
>>781 ああっ、ならなおさら早くしないと!
>>782 あやまちの封印解除を要請する
早くされちゃらめぇぇ だけど早くしてぇぇぇ が今の心境
でも戦闘もロボも無いよ! よ!
チョット待ってくださいねー、今修正してますからー。
【鋼殻牙龍 ドラグリヲ】
荒廃した世界を跋扈する、『害獣』と呼ばれる異形の災厄。
人には太刀打ち出来ぬその存在を屠る、暴君竜の如き異形の鋼。その名は「ドラグリヲ」
アルビノの少年「真継雪兎」とゴスロリ姿のナノマシン少女「カルマ」の紡ぐ物語に刮目せよ!
・秘神幻装ソルディアン
青年、隆一郎を襲ったのは、あまりにも残酷で、無慈悲なる暴力。
力無き物を守る為に、隆一郎はその名を叫ぶ!眼醒めよ、因果の日は来たり――――ヴォルカドゥスと!
今目覚める巨大ロボット、ソルディアン! ダイナミックかつ巧みな描写で見せる、一大ロボット叙事詩、今ここに!
・GEARS
近いようで遠く、遠いようで近い未来で――――競技用ロボット、ギアが駆ける!
無愛想だが熱い漢、守屋とどこかズレてるハイテンションな少女、霧坂のテンポの良い掛け合いと個性豊かな仲間達!
スポード感溢れる描写と汗と笑いとアイリス・ジョーカーが送る、ロボットスポーツストーリーをとくと見よ!
上から拾って貼り付けてみる
ではそろそろ投下しまーふ。
空が震える。
大地が揺れる。
景色は、この世のものではない。
どこまでも広がる白い地平と黒い空。
空が震える。
大地が揺れる。
その中心でぶつかり合う黒と白。
空が震える。
大地が揺れる。
セカイが、揺れる。
そして、そのセカイは廻るのをやめた――――
♪ ♪ ♪
Opening:それぞれの“日常”
さしたる変化のない“日常”
それは意外に脆くて、繊細だ。
だから大切にしなきゃいけない。
それを忘れたからって、別にどうかなるわけじゃ、ないけれど。
♪ ♪ ♪
シェー
朝、携帯から流れる五月蝿いアラームで目が覚める。
安田俊明、16歳。
好きな食べ物はマンゴー(濁点を取るのは禁じ手)。苦手なモノはやたらテンションの高い幼馴染み。
大きくあくびをしてから、辺りを見回す。
視界に映るのは、いつもと変わらない、雑然とした部屋。
――――さて、とっとと朝メシ食って学校行くか。
さっさと着替えを済まし、ドアノブに手をかける。
――――早くあの馬鹿迎えに行かねぇと……。
ふと窓の外を見る。
天気は雲ひとつ無い超快晴。むしろ陽射しがヤバそうだ。……俺、暑いのは嫌いなんだがな。
大きなため息をひとつつき、俺は自室を後にした。
――――なんて事ない、取るに足らない日常。
いつまで続くかどうかはわからないが、多分これからもこんな感じだろう。……そんな事を考えたりした日に日常が崩壊したりするのが常だが。
学校行くのめんどくせぇなぁ……。
♪ ♪ ♪
ほんと、どって事ない。
あと15分はいける。
……朝ごはんの時間を除いて、だけど。
守屋千尋、15歳。今日も元気に二度寝を決行中。
「あちー……」
……寝れない。
夏の暑さってすげー……。
一度起きると寝れないとはなんたる魔力か。
とりあえず一度身を起こして窓を開ける事に。
……めんどくさいので側に転がってた孫の手で窓を開ける事に。
「……ふん!」
届かない。
「はっ!」
惜しい、あと少し。
「せい!」
紙一重!
「ふんはっせい!」
ヤパーリ届かない。
……諦めてエアコンの電源を入れる事に。
……ない、リモコンがない。
ガッデム! シット! なぁんてこったぁ!
――――しかたない、このまま寝よう。
時間になったらヤスっちが来て起こしてくれるっしょ。
――――なんて事ない、取るに足らない朝の一幕。
あー、起きるのめんどくせー。
♪ ♪ ♪
「……さて、と」
宮部都、15歳。ただいまお弁当を鋭意制作中。
玉子焼きとたこさんウィンナーを弁当箱に入れて、おにぎりをラップにくるんで作業終了。
……我ながらかわいくできたと思う。特にたこさんウインナーとか。
「うん、いい感じ」
小さくガッツポーズ。
……そろそろ制服に着替えないと。
階段を登って、2階にある自分の部屋へ。
窓を開けてベランダに出る。
――――今日もいい天気だ。洗濯物がよく乾きそう。
結わえていた髪を解き、エプロンを外して、のびをする。
……さて、着替えよ。
特に変わった事もない、普通の朝。
……あー、今日現代文の宿題集めなきゃ。……めんどくさ。
♪ ♪ ♪
張り切って早起きしたのはいいけど何もやる事が無い。
神崎志帆、16歳。ただいま音楽鑑賞中。
スピーカーから流れる大好きなアーティストの音楽を聴きながら、ただベッドに寝転がって天井を眺める。……もちろん、音量はひかえめで。
「……あ」
天井に人の顔の形をした染みを発見。
……昔はこれが怖くてここで寝れなかったなー。……今もちょっと怖いけど。
しみじみと昔を思い出す。
曲を止めて、カーテンを開ける。
朝日が光に慣れていない網膜を刺激する。
事件とか事故とかそういうのは何もない、一日の始まり。
……そういえば私、今シャツ一枚じゃん。
着替えるのめんどくさいなぁ……。
♪ ♪ ♪
……っと。いかん、もう朝じゃねえか。
松尾亮也、15歳。ただいまバリバリ完徹中。
いや待て、『徹夜』って表現は勉強やってる時だけだって聞いた事あるぞ。………まあどうでもいいが。
目の前には戦闘中にスタートボタン押して絶賛放置プレイ中のゲーム。……はっきり言ってダレた。そして眠い。
スイッチを弾いて、ゲームをスリープモードにする。
もう制服には着替えてあるし、正直準備は万端だ。
今から寝るのはマズいよな……。
しかし睡魔には勝てない。
とりあえず寝ておく事にする。
――――そういえば今日部活朝練あんじゃねーか。
……部活行くのめんどくせー。
♪ ♪ ♪
……ダルい。ダルさマキシマムだ。
椎名俊一、15歳。やり残していた宿題を完遂中。
まったく聞いてねぇよプリント5枚って。
部活で疲れてるのに宿題なんてできるわけないだろうが。
……とにもかくにも今やっているプリントで最後なのだが。
早いとこ終わらせて二度寝でもしたいところだ。……そんな暇は無いが。
首を鳴らし、シャーペンを机に置く。
……ダレた、続きは学校でやるとしよう。
……なんかあんまり気分よくねぇ朝だな。
――――もう全てがめんどくせー。
♪ ♪ ♪
「……うわあ」
興奮に思わず声を上げる。
リーゼンゲシュレヒト・シュタムファータァ。歳は数え切れないくらい。
ちなみに今コンビニで週刊誌を立ち読み中。
バトル漫画はやはりいいものだと思う。必殺技とかすごくかっこいいし。
「おお……」
……店員とか他の客の視線がなんか痛いけど気にしない。
私も必殺技欲しいなぁ……。
こう、なんか、ずばばーっと派手なやつが。
蒼いポニーテールの長髪をわしゃわしゃと掻きむしりながら雑誌を棚に戻し、次の雑誌を手に取
「ん……」
手が、届かない。
……こういう時は自分の身長の低さを呪う。
「よっ! ほっ! はっ!」
ぴょんぴょん跳んでみるが……やはり届かない。
……ま、いいか。
踵を返し、コンビニの外に出る。
陽射しが眩しい。
さして変わる事のない日常。いつまで続くかわからないけど。
でもそんな日常を、終わらせたくない。
おっと支援
だから投下の真っ最中に携帯焼くなと小一時間(ry
黒歴史のオープニングはこれにて投下終了、なんですが。
……まだまだありますね、容量。どうしましょ? まだ一応ストックはありますが……。
自分には判断出来ませぬのだぜ。
ところで「携帯を焼く」とは?(^p^)
梅かあ……なんか
いやだめだな
BBQにされているのでございます。こいつのおかげでしたらばにも書き込めません。
……ぶっちゃけ自分もよくわからんのですが、規制みたいなものだと認識してます、ハイ。
>>795 気になる気になる!
3000字程度のネタはあるよ
帰宅後なので20持以降になると思うけれど
>>797 ナイスタイミング
>>796 なんか落書きでもして落とそうかとオモタけど描いてる間に埋まるからいいかなていう
実験中のネタしかないし
>>798 ではお言葉に甘えて、修正完了後に続きを投下しましょうかね!
>>800 期待してるぜ
ふと思ったんだが、このスレでディシディアを作るとしたらどんな感じになるんだろう
ディシディア?(^p^)
ぐぐったら「異説」と出ましたけど、それですか?
>>801 ディシディアというと……FFのアレですかネ?
FFキャラの格ゲー?←うろ覚え
>>801 先生、だったらまんまスーパーロボット大戦でいいと思います!
470KBを超えたらどうなるんです?
変な意味じゃなくて、板が強制的に落とされるのかなぁと思って
どうなんですかねぇ
あぁ、全然話違うんですがこのスレ向きな話がさっき見たラノベでありました
500 KBを越えたら書き込めなくなります。
2機目なんかが1000いってないのはそのせいですなー。
『メイガス』
これはとある一族の繁栄と衰退を書き記したものである。
その一族は代々、一つの技術を口伝で血縁者に伝承を行っていた。
それは剣糸術と呼ばれる技能だった。
十指でそれぞれにつけた糸を操る。
術者の意思で自由自在に動く糸は遠くにある人形を他者に気づかせないように動かしたり、糸を用いて自分の体を持ち上げてまるで空を飛んでいるように見えたりといったようなモノであった。
何も知らない人間から見ればそれはまさに魔法だった。
彼らはそれを扱い一つの劇団を作り上げる。
劇団「幻想館」。
剣糸術を用いて行わる演目の数々は幻想的であり妖艶であり多くの人々を魅了し、大きな人気を呼ぶことになった。
この高い人気が王都にまで届き、ついには国からメイガスという魔法を扱う者という意味を持つ芸名が送られた。
おそらく、これがこの一族の絶頂期であっただろう。
ある日、幻想館に一人の男が現れる。
その男は鋼騎士だった。
鋼騎士とは機械の鎧『鋼機』に乗り妖魔や国に害する者と戦うモノのことだ。
男は言った。
その技能を民を守る為に使ってみる気は無いか?と…。
つまりは鋼騎士への勧誘であった。
メイガス達は驚いた。
男は見抜いていたのだ、自分たちの剣糸術が単なる芸能では無いと…。
そう剣糸術は芸能では無い。
一族に代々伝えられる行き過ぎた護身戦闘術だ。
戦乱の中、武器すら与えられなかった人間たちが生き残る為にはどうすればいいかという中で編み出された技能。
戦後、彼らにその技能が戦いに必要とされなくなってから、彼らが芸として使用してきたが、剣糸術はその気になれば、音もたたず証拠も残さず糸だけで対象を殺害する事が出来る。
それだけの能力を持った技能だった。
ゆえに門外不出とされ、一族以外の誰もその技能を扱うことを許さなかったのだ。
鋼騎士の男は誠実だった。
もし単なる国の利益の為にその技能を欲しがっているのならばメイガス達は即座にその男を叩きだしていただろう。
だが男はこう言ったのだ。
その技能はきっと魔から人間たちを護る事が出来る、あなた方の力が必要だと…窮地にあるこの国を救うために力を貸してほしいと…。
男の瞳に嘘は無かった。
そう言って、男は何度も頭を下げ懇願した。
当時、イングラに上陸してきた妖魔の群れが問題となっており、それを鋼機によって討伐していたのだが、王国の鋼機は共和国の鋼獣と比べると大きく劣り、対妖魔の能力も低く情勢は酷いものだった。
それを少しでも改善されるようにと男は働いていたのだ。
当時、創案されていたワイヤーシステムは鋼機に中距離間における応用の利いた駆動を可能とさせ、そして半永久的に使用可能な中距離武器として注目されていた。
これがあれば、鋼機の戦術、戦略的価値が大きく変わる事になるのだが、正式採用が出来るレベルの兵装にはならず、開発は難航を極めていた。
だが、メイガスが持つ剣糸の技能のノウハウさえあれば、ワイヤーシステムの完成に大きな一歩を踏みだす事が出来るのではないか?と男は踏んでいたのだ。
それゆえに男は真摯にそれを頼み込んだのだ。
それを理解したが故にメイガス達はその是非の議論を行う事になる。
メイガス達の中では意見がその話を受けるかうけないかで真っ二つに割れた。
正義感の強いメイガスは人を護る為に使えるのならば、それはそれでいいのでは無いかと申し入れを受けいれる事に賛成した。
その反面、現実主義者なメイガスは自分たちの技術が悪用される日が来るのを恐れ受け入れることを反対した。
そしてそのまま意見は真っ二つに割れ、結論が出る事は無かった…と思われていた時、一つの事件が起こる。
「幻想館」が運営していた劇場が妖魔の襲撃を受けたのだ。
その襲撃で劇場は燃え、「幻想館」の人気役者であった、メリーベル・メイガスは命を落とした。
メリーベル・メイガスは鋼線を操る技術が劇団でも最も上手く、指を何時動かして糸を操作したのかわからないような自然さで演劇をしていたそうだ。
何度か、雑誌に取り上げられた事もあるので国営ライブラリーのデータバンクを検索すればその名前の情報は今でも見る事が出来るかもしれない。
それゆえに彼女のファンは多く、この死は大きく嘆かれる事になった。
そして幻想館は劇場と花形役者を失った事で大きな痛手を持つことになってしまう。
だが、問題はそれだけではなかったのだ。
劇場はイングラ王国の首都イングラにあった。
当然ながら、首都イングラは対妖魔への防衛に最も力を入れられている場所でもあった…。
そう、つまりは妖魔がイングラの警戒網に引っかからず首都内に現れる事などありえない(・・・・・)事なのである。
どうして、どうやって妖魔が首都に入ってくる事が出来たのか…?
原因はわからなかった。
だからこそ人々は考えたのだ…もしかすると幻想館の人間が劇の見世物にする為に妖魔を首都に引き入れたので無いか?と…。
噂は瞬く間に広がった。
それはなんの根拠も無いものであったが、可能性があるというだけで群衆は幻想館を非難し、中傷した。
いつも満員だったその劇は人が入らなくなり、やじ馬が増え、公演する度に劇を荒らされた。
これがイングラ王国で最も栄華を極めたといわれた演劇の雄、幻想館のその栄華からの転落の始まりである。
メイガス達はこれを否定する為に一つの決断を下す。
王国への剣糸の技術の提供である。
つまりはワイヤーシステムの開発に協力を申し出たのだ。
もはや有無を言わせられる状況ではなかった。
失った信用を取り戻す為には自分たちが妖魔を招きいれたのでは無いという証がなんとしても必要だったのだ。
国がその協力を大々的に取り上げ宣伝する事を条件に契約は成立した。
つまりはメイガス達はこれにより妖魔との関係が無い事を証明しようとしたのだ。
それから幻想館はワイヤーシステムの鋼機搭載における様々な考案を行った。
そしてそれはワイヤーシステムの完成という形で実る事になる。
彼らの名誉もこれで護られる筈だった。
だが、そこで司法局は技術提供を終えた彼らにその場で捕らえ、そして妖魔を都市に引き入れた罪で起訴した。
何故、今…。
開発に関わった人間たちはそれを疑問に思いメイガス達の擁護に回った。
だが、それも実らずメイガス達はメイガスという字を剥奪される事になる。
今にして思えばそれは不自然だった。
いくら噂が立ったとはいえ、そんな簡単に都市内に妖魔を連れ込めるわけが無い。
何よりも彼らは自分たちの大事にしていた人間を失っている。
では何故、そのような噂を有無を言わせないような速度で広まったのか・・・。
単なる噂話からの派生にしてはあまりに度が過ぎている。
誰かが、そう、誰かが彼らを陥れたのではないか?
その後も少しの間、細々と演劇を行っていたのそうだが、周囲の人間の目は冷たく、わざわざ劇場にまで入って野次を飛ばすものまでいたようだ。
そうしてイングラに居場所を無くした彼らは闇に消えていった。
その失意は計り知れるものではないだろう。
そして、彼らをこちらに引きいれてしまった私は罪人だろう。
私はまたここで過ちを犯しているのだ。
幻想館の花形、メリーベル・メイガスには齢8歳の娘がいたそうだ。
まだ、年端もゆかぬ子供ながらその糸繰りは天才的であの母親を超える程の才能の持ち主だったらしい。
彼女の事を思うと心が痛くなる。
私が彼らの技能の本質に気づいてしまったが故に招いた事態だ。
これは私の懺悔である。
だが、せめて、せめてもの償いの為に私は今、彼女がどこで何をしているのかが知りたい。
真求者 ブラッドレイ・クライス
この手記はブラッドレイ・クライスが行方不明になった後、彼の部屋にて発見された手帳に記されていたものである。
というどうでもいい3000字程度の補完でしたー
こういうのは作中でやる余裕ないしね(´・ω・‘)
>>813 投下乙!ん〜?ブラッドレイが益々謎なキャラにw
これも物語の中で明かされるのだろうか……
>>809 kwsk
>>810 なん…だと
>>813 投下乙ですぜ旦那。
古ぼけた部屋の木製の机の上に置かれているのを想像しました。
ブラッドレイって一体…
>>813 投下乙です!
ブラッドレイ・クライス……なんか勇者アバンみたいなキャラを想像してしまいますが、果たして……!?
あ、そういえばあと2 KBで次スレの季節ですね!
>>815 シャドウミラージュでは明かされないかも
ある程度は触れると思いますが・・・
>>816 >ブラッドレイって一体・・・
世間一般的にはイングラ王国に大きな問題を起こした人間とはされています
>>817 >アバンみたいな人
どうなんだろw
まあ、この人物については作中と設定資料以外じゃ語っちゃ駄目だと思うので
人物像についてはノーコメです
埋めついでに、今まで感想を送れなかった作品にまとめてレスを
・シャドウミラージュ
連日投下、改めてお疲れさまでした
いやぁ、熱い。実に熱いですな!クーガの主人公ぶりもミナさん及びグレリーナのワイヤー無双も全てに痺れました
結末が切なくも希望を感じさせて、爽やかな読後感でした。面白かったです
ぜひCRに一段落ついたら、4話を読みたい所ですねー。待ってますよ
・秘神幻装ソルディアン
読んでいて思わず唸ってしまいました。描写が他の方も言っている通り、巧い。
ソルディアンの戦いっぷりが正に鬼神を思わせてゾクゾクしました。隆一郎の覚醒シーンも、凄い鬱シ―ンを跳ね飛ばすような熱さでモニターが焼けるかとw
つか俺よりずっと展開がハードじゃないですか……orzあらゆる意味で貴方に感服です。次回もお待ちしております
・鋼殻牙龍 ドラグリヲ
おぉう、害獣の恐ろしさが凄く伝わってきますよ……。厄介な敵って感じが凄いです。
それとやっぱカルマ可愛いよカルマwおじいちゃんの心情にもジーンと来ました
次はロボバトルと言う事で、期待しております!
・GEARS
守屋と部員達の戦いに手に汗握りました。にしても守屋はカッコいいなぁ
何だか段々部員達との中が進展してきそうで、2828してきますw霧坂さんとはどうなるのかが一番気になるなー
それと戦闘描写ですね。このスピード感は実に見習いたい。俺はこういう風にスピーディに書けないからorz
DSさんとPBMさんはちょっとお待ちを―。あぁ、でもスレ埋まっちゃうかな
立てて来る
>>819-820 ほいさっさ、了解しました!
さて、次スレの季節だーっ! スレ立てる人はテンプレに気をつけましょうね?
次スレで1クール分かw
早かったような長かったようなw
一つのレスに纏めれば良かったな。それとザイフリ―ド忘れてました。作者さん、ごめんなさい
・Diver's shell
最終回前と言う事で息尽かせない展開ですな!まさか敵の女性が……意表を突かれました
ウィスティリアさんとタナカさんがプロフェッショナルすぎて笑いましたwこの二人なら敵はいませんね!
果たしてφ37の新型の真価とは、そしてウィスティリアさんとタナカさんは無事なのか……次の最終回、ドキドキしながら読ませていただきます
それとTSネタwwやっぱメリッサはイケメンに変わるんですねw
・機甲聖騎士ザイフリード
良い意味でノリが軽くて、自分も和みましたw美人姉妹と出会えるなんて、羨ましいぞ、雪人
ミナとマナと雪人のドタバタな掛け合いも笑えますwにしても異世界物か―。トキメキますね
これから三人をどんな運命が待ち受けるのか、wktkしてます
・パラべラム!と廻るセカイ
……遥さん怖いよ遥さん。普段可愛いだけに、これは怖い。あのたまちゃんがコテンパンとは……
どことなくロバートソンさんに陰りが見える様な見えない様な、気のせいかなw
しっかしマナの扱いって大変ですね。今すぐにでも変わってやりたいです。まどかと
それと黒歴史の方ですが、自分もこれはちょっとコメントに困りますw完成された状態で拝見したいですね
かなり雑になりましたが、全部面白かったです。ペースが速くて追いつけなかった……
それと最近スレ立てしたんで、自分は出来ないですorzすみません
>>826 あらやだ可愛いじゃない
マジレスすると
気持ち悪さを狙ってるにしては、デザイン的にまとまり過ぎてるかと
もっとアンバランスにしないと、「異形の殺人兵器」ってインパクトは出ない
>>816 電撃文庫 世界の中心針山さんBの
工場長のドリームチェイスという話です。
ある意味このスレ向きですw
>>826 こんな感じのメタルギアがあった気がする。とりあえず、気持ち悪くはない。
>>826 こんなのが襲ってきたら泣きながら逃げる自信がある
00のオートマトン的な怖さがありますネ。アレは蜘蛛っぽいけど
>>830 mk-2ですか?それか月光
>>825 感想、ありがとうございます!
>あのたまちゃんがコテンパン
手の平サイズだったのである意味仕方ないですけどねw
>どことなくロバートソンさんに陰りが見える様な見えない様な
キ、キノセイダヨ。
>まどかと
ってぅヲイ!
>完成された状態で拝見したい
現在マッハで加筆・修正中でございます。連休中にはなんとか……!
>>826 あら、可愛い……。
ところでスレ立てはどうなった諸君w
>>825 あ、感想ありがとうございますです。
TとWの二人はハリウッドのノリだったり。爆発を背景に乗用車で脱出するタイプです。
はい、次回も頑張りますね。
TSしたら美人さんはイケメンっ……というゴーストの啓示がありましてw
じゃあ俺が行ってくる
>>831 御名答! トリつけ忘れてたーよ。
>>827 どっちも設定練り中のオリジナルに出てくる奴らで、
手前が「装脚式戦車」の「ベアトリーチェJ型」、奥が「装脚式装甲砲」の「新規変異体」。
いろいろと設定があったり。
>>828>>830>>832 >あらやだ可愛いじゃない >気持ち悪くはない >かわいさがある
ぬ〜ん、やはり「ゴキブリモチーフにしときゃ世間一般での気持ち悪いデザインになるだろ」な安易な考えでいったのはまずかったか。
良く考えみりゃ、俺ってゴキブリにも美しさとかカワイさとか見出すタイプだった。
>気持ち悪さを狙ってるにしては、デザイン的にまとまり過ぎてるかと
>もっとアンバランスにしないと、「異形の殺人兵器」ってインパクトは出ない
確かに。
手前の奴の方は「虫ケラのように殺されていく」ってのを担わせるんであんまインパクト無くてもいいんだけど、
奥の奴の方は「人間を生きたまま××を××して体外消化で食う(残虐につき伏せ字)」って奴なので、
インパクト必要なんだよなー。
頼みます
駄目じゃったわい……
次、
>>845でチキンレース開始!携帯の人は注意な!
>>820 おおう、感想ありがとう御座います。
こんなのは序の口で御座います、もっともっと厄介な化け物が登場させる予定ですので。
ロボバトル現在執筆中で御座います、成る丈早く投下したいと思いますので御期待ください。
ksk
ksk
ksk
了解、ちといってきまー
このホストでは、しばらくスレッドが立てられません(´・ω・`)
すまん、誰か頼む
お
>>839 気持ち悪さを主張するには美しさが完成されてしまっているぞ、御同輩
>>851 申し訳無いですが、ソルディアンはまだ作者さんの了承を得ていないので、外して貰えますか?
その他はそれで大丈夫だと思います。
>>851 あとは作品名の横に酉つければおk
……だよね?
>>825 あ、わざわざ感想をありがとうございます。ザイフリードです。
>ノリが軽い
コメディが好きな人間なものでして……。
緊張感がなさ過ぎたかなと反省しております。
>掛け合い
描写が苦手な人間でして……。
ほぼ登場人物の会話で話を進める癖があるのですorz
そのため掛け合いが笑えるとの感想を頂けてかなり嬉しく思います。やったっ
>どのような運命
プロット通りに事が運ぶとかなりの色々起こりますねぇ。
というかプロットだとまさかの三部作なんですwできんのかww
感想ありがとうございました。これを励みに頑張りたいと思います。
第2話は70%ほど終わっているので今週来週には投下できるかな……?
まてまて、よく考えたらザイフリードもシャドウミラージュもないぞおい
>>856 >コメディが好き
>描写が苦手
(・∀・)ナカーマ! 貴殿とは気が合いそうだ……。
さてさて減速減速ゥ! ちなみに現在482 KBでございます。
859 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/09(金) 21:37:45 ID:ByXzbCNJ
うわ、紹介文まで考えて頂いていたのですか……
気づかずに申し訳ございません。
どちらも素敵な紹介文ですが、ここは順番から言って
>>696さんの紹介文をお願いしても宜しいでしょうか
>>858 おお、よろしくお願いします。シリアスが書けません……orz
wikiみてきた&報告トン
今のテンプレにあるのが9スレ目までの新作、それ以降の紹介がない。
トリップがすぐには分からない作品もあるし、すまんがとりあえずは
>>785と
>>696を追加で良いかな?このスレの容量もアレだし。
あと
>>785作品作者さんのトリップ分かる人いないか? 最近投下ラッシュで読めてないんだよ……(´・ω・`)すまない
ああ、あとソルディアンを外す。
>>862 【鋼殻牙龍 ドラグリヲ ◆Uu8AeR.Xso】
【GEARS ◆B21/XLSjhE】
【秘神幻装ソルディアン ◆tEulldVhj8h6】
>>696も「聖」が抜けてたので一応
【機甲聖騎士ザイフリード ◆gU7PBlmT6Y】
>>862 ソルディアン ◆tEulldVhj8h6氏
ドラグリヲ ◆Uu8AeR.Xso氏
GEARS ◆B21/XLSjhE氏
ですよー
リロードしてなかったorz失礼
sage忘れてやがる……。ごめんなさい
>>852 >美しさが完成されてしまっている
やはり動物をモチーフに選ぶのではなかった…… 自分が人間以外の動物だときれいにライン追っちゃう人間だってわかってたじゃん、俺……
実はアンバランスな要素も入れてはあるんですが、それが
・駐退復座器が前に突き出している ・金網シュルツェン ・砲のマウント位置が後端で、撃つと反動でひっくり返りそう
とかいう部分。いや兵器オタじゃないとわからな過ぎると気付けや自分……
……半端に人間の要素入れてみるかなー(先入観を捨てて見ると、実は人間て結構気持ち悪い形してる)
>>868 蟹喰ってるときに先入観捨てるなよ!絶対だぞ!
>>869 建立乙!
ツクヨミ先生とアフガニスタンでツーマンセルを組む権利をやろう
>>859 はいw
ファンタジー仲間同志、頑張っていきまっしょい!
>>864 うわぁぁぁぁぁぁぁぁ! なぁぁぁぁぁぁぁぁんてこったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
すみません、すみません!
>>869 スレ立て乙!
よくやった、デストラウとタイマンを張る権利をやろう。
>>869 せっかくなのでこっちで乙
>>868 モチーフつか素材の目に付いた部分だけ取り出していじくりまわして気色悪くするのは楽しい。肋骨とか尾鰭とか
機械にすると虫系も格好良くなっちゃうから
グロい機械って難しそうですね
>>869のドジっこぶりは若干、萌の領域にまで突き抜けた感があるなw
だが乙だ
>>869乙! 向こうでも言ってきたがこっちでも。
>>871>>873>>874 カブトムシの幼虫を見て「噛み砕きてえな」と思ったことのある俺に隙はなかった。
>>875 >モチーフつか素材の目に付いた部分だけ取り出していじくりまわして気色悪くするのは楽しい。肋骨とか尾鰭とか
あー、わかるわかる。もうスレに関係ないけど、成田デザインのウルトラ怪獣なんか、こういう動物モチーフデザインの一つの頂点だと思う。
>>876 >グロい機械って難しそうですね
「機械だ」って時点で、脳の中で形の許容幅みたいなものが広がりますからね…… 「グロっ」って認識させにくい。
上でシリアスが書けないって話が出てたけど、俺は逆にギャグが書けないっす
何でどれも雰囲気が暗くなるんだろうww
性根かorz
>グロい機械って難しそうですね
マトリックスのセンティネルとかは
手っとり早くグロくしたいなら不規則性に訴えればいいのかしら
隙間の中だけ異様な密度だとか騙し絵的なアウトラインとか、目立つ場所を天の邪鬼につくればいいのだろうか?
内部構造が剥き出しだったり
用途不明のケーブルが生えてると機械的な気色の悪さは出せるかと
後は「謎の錆」かな、個人的には
「ソコが錆びるくらい何に使ってんだよ」って感じで
マイナーだけど、メガゾーン23ってロボアニメのデザルクってのが凄い気色悪いですよ
攻撃方法も触手だし
つ「攻殻機動隊のアンドロイド(壊れかけ)」
気持ち悪さの基本は曲線だよな
>>880 確かにあれは「グロ」ですな!w
やはり触手か……
触手か…… 触手的なもんなら、
>>826の奥の奴が出すんだよな、人間を食う時に。そこを頑張ってみるか……
粘液がぬらぬらてかてかしてるとさらに気持ち悪いですよねw
後はちと個人的であれだが、モチーフを一つに絞らないことだな。キメラ的な要素が盛り込まれる
個人的には歯車が大量に並んでいるのが機械的なグロになると思う
からくりサーカスの操り人形や自動人形が技使う時に
装甲が開いて歯車が出てガガガガガって動き出すシーンが
カッコイイのもあったけど、不気味なのが多かったし
魔改造しすぎてイミフななのも不気味
個人的にえっちぃのとグロいのをどれぐらい入れていいのかでいつも迷う
「統一性の無」さと「曲線」、あとは「軟体っぽい感じ(触手)」
こんな感じですか。参考になるなぁw
昔描いた生体金属ロボの絵を唐突に張りたくなってきたぜ…
>>879 俺もギャグ書けないぜ
笑えるギャグというのがイマイチわかんね(´・ω・‘)
微笑ましいとかぐらいならばわかるんだが
シャドウミラージュのグレイルのネタは結構好評貰えたけれど
あれは本当に偶然の産物だからな〜
ああいうのが毎回思いつくといいんだが…
半端に人型ってのも不気味要素かね?
多脚の虫っぽい外観なのに片腕だけ付いてるとか
二脚用の脚が三本生えてるとか
>>896 俺も笑い成分がどうしても捻り出せませんorz
つーかどんどん話が平坦にwマジどうしよw
あぁもう容量で押しつぶされるッ 早く貼るのよッ
半端に人型か、OFはそれを意図してデザインされたそうな
>>894 かっちりパーツ分けされたメカしか描いていない身としては期待せざるを得ない
>>894 昔の人がこんなことを言っていてね、「ちらっと思ったが貼りどき」と。
いやー、上の書き込みなんかを見つつ、「グロい」ただそれだけの機械を描いてみてますが、
まだラフとも言えないような段階だけど「グロい」っつーか「カオスwww」だなこりゃ。
昆虫の頭部分が仰向けになっている人間の上半身とか
きっちり人の形してるのにグロかったら本物だな
>>896 確かに俺も意図的にギャグ仕込むのが出来ないっすねw
それにこれ入れても笑えるのか?って考えると…・・
>>899 何、違う様で何時も同じサイクルな俺に比べればw
ソルディアンの人はすげーっす。俺の鬱はあんなに激情的なまでに表現できないからなぁ
笑い成分……自分はぶっちゃけその場のノリですね、ほとんど。あとはネタ帳からちらほら。
スベり上等! くらいの勢いでやってますw
ツッコミとか貰えた時の感動はひとしおですぜ!
>>896 自分のはギャグになっているのかどうかもわからないですが……
ほんとシリアスな雰囲気を書けない人間なんです
自分の作品に笑いってあったっけ…
>>907 ネタ帳! す、すげぇ……
自分は基本その場のノリで済ませてしまうので……
考えた上でのギャグなんてあるのかなぁ……。ないなあ
>>909 ユトのファンキーな兄ちゃんやTSネタは笑えましたよw
速く貼らないとスレが沈むなこりゃ…
『汝求めよ、さらば与えられん』これが本当ならいいのにね
>>912 なにィ…!
っていうか今日は投下できる感じがしねぇー
そういや俺もグロいつもりで組んだラフを人にビジュ機といわれたことがあったな
うぼぁー
どうせあと3 KBだ、姿を現すぜ!
>>908 なんというか……あれ? 俺、何気取ってんの? ってなっちゃいますよねw
>>910 漫才ですか……面白い、ゾクゾクするよ(訳:やった事無いYO!!)
>>911 ネタ帳といっても思い付いた事や友人との掛け合いを書いてるだけですよw
ほとんどその場のノリと変わりませんってw
ロボスレ学園とか100%ノリで書いてますし。
あ、支援ならここを使い潰してからしますよ!
>>914 なにィ……!?
時間が時間だから途中でパパーンが帰ってきちゃうかもウェーイ
>>909 何を言っとるんだ、ありまくりじゃないかw
>>916 >ロボスレ学園とか100%ノリ
あれは確かにそんな感じしたわw
>なにィ……!?
そしてノリいいなオイw
むしろ俺の作品に笑いがあったか思い出せない…・・
筆が進むと一日で1万字かけるけれど進まないと1日100字ぐらいしか書けない(´・ω・‘)
本当それの繰り返しだわw
一人称が書きやすいんだけれどどうもキャラ増やしてくと一人称だと限界あるから
どうしても1人称に近い三人称って書き方になっちゃってるのが問題なんだと思うw
いや、群像劇にちょっと憧れがあって、キャラ増やしがちなんですよね
容量目一杯ならみんながウェーイ
明日には投下したいなぁ
500 KBだーっ!
埋まれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
ぬるぽ
(0w0)ウェーイ
限界を突破したるッ