コードギアス反逆のルルーシュLOST COLORS SSスレ43
■全般
・支援はあくまで規制を回避するシステムなので必要以上の支援は控えましょう。
(連投などに伴う規制について参考>>3-あたり)
・次スレ建設について。
950レスもしくは460kBオーバーしたら、「スレを立てる?」か訊くこと。立てる人は宣言してから。
重複などを防ぐために、次スレ建設宣言から建設完了まで投稿(SS・レス共に)は控えてください。
※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例)940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など。
・誤字修正依頼など。
保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は次のアドレス(
[email protected])に。
※修正依頼の際には、作品のマスターコード
(マスターコード:その作品の投稿が始まる、スレ番号-レス番号。保管庫の最優先識別コード)
を必ず記述して下さい。
例)0003-0342 のタイトルを○○に カップリングを○○に
(↑この部分が必須!)
マスターコードを記述されず○スレ目の○番目の……などという指定だと処理ができなくなる場合があります。
■SSを投下される方へ
1.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい。(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
2.前書き・後書き含めて10レス以上の連投になると同一IDからの投稿が規制されます。(←「さる」状態)
間に他IDからの「支援」が入ることで規制は回避できますので、規制にかかりそうな長文投稿の際は
投下前に支援を要請して下さい。逆に、必要ない場合は支援の要らない旨を書いてください。
前レス投稿から40秒ほどで次レスを投稿することができます。(投稿に関する規制については >>3- あたり参考)
3.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。尚、直前の投下完了宣言から15分程度の時間を置いてください。
4.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
5.なるべくタイトル・カップリング・分類の表記をして下さい。(特にタイトルはある意味、後述の作者名よりも重要です)
・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
6.作者名(固定ハンドルとトリップ)について。
・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
(トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で)
・トリップがあってもコテハンがないと保管庫に領地が作れず、??????自治区に格納されます。
7.規制により投下できない場合は
>>1の 代理投下依頼専用スレッドに投下し、代理で投下してもらう方法もあります。
(代理投下依頼の際は各レスの容量のチェックを推奨。SSチェッカー>>3- が便利です)
前書きの中に、以下のテンプレを含むことが推奨されます。(強制ではありません)
【メインタイトル】
【サブタイトル】
【CP・または主な人物】
【ジャンル】
【警告】
【背景色】
【基本フォント色】
■創作発表板での投稿規制について。 参考(暫定)
1レスで投稿可能な容量
・X:1行の最大 / 255byte
・Y:最大行数 / 60(改行×59)
・Byte :最大容量 / 4095Byte
但し、改行に6Byte使うので注意。例えば60行の文なら59回改行するので
6Byte×59=354Byte これだけの容量を改行のみで消費する。
※1レス分の容量の投稿の可否を判断できるツールが投稿トーマス卿の保管庫からDLできます
TOP→通常→保管嚮団→保管嚮団本部入室→SSチェッカー
<使用法>
1.ダウンロードしたものを解凍する
2.SS.xls を開く
3.SSをテキストエディタで開く → Ctrl A で全文コピー
4.貼り付けシートのH11セルを選択
5.右クリック → 形式を選択して貼り付け → 値
6.レスを区切るところに
<<<<<レス区切り>>>>>
をコピペ(H6セルのものをコピペする)
限界値は自由に変えられます。いろいろお試しください。
さるさん( 過剰数の投稿に対する規制 )
・1時間に投稿できる数は10レスまで。それを超えると規制対象に。
・毎時00分ごとにリセット。00分をはさめば最長20レスの連投が可能。
・規制されるのは2人まで。身代わりさるさん2人で、00分を待たずにリセット。
連投規制( 連続の投稿に対する規制。短い間隔で連続の投稿ができない )
・40秒以上の間隔をあければ投稿可。
おしりくさい虫など( 携帯のみ?同一内容の投稿に対するマルチポスト規制 )
・「支援」などの同じ言葉を繰り返し投稿することでも受ける規制。
違う内容を投稿すれば解除される。スペースを挟むだけでも効果あり。
■画像投稿報告ガイドライン
ロスカラSSスレ派生画像掲示板
PC用
http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic 携帯用(閲覧・コメントのみ)
http://bbs1.aimix-z.com/mobile.cgi?room=lcsspic 1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。
尚、コテハン&トリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く。
・アニメ他公式媒体などにインスパイアされた場合は、それを書く。(例:R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)
2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
(SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください)
例)「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。 画像板の(タイトル)です。
〜(内容・注意点などを明記)〜 よかったら見てください」
・内容:挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど。
・注意点:女装/ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)/微エロ(キス、半裸など)
/ゲテモノ(爬虫類・昆虫など) など(絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮をお願いします)
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。
3.気になった方は画像掲示板を見に行く。
画像の感想は、原則として画像掲示板に書き、SSスレの投稿報告レスには感想レスをつけないこと。
画像に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したものとします。
・SSスレに投稿報告した時点で、美術館への保管に同意したものと見なされます。
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください。
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります。
(ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)
----以上、テンプレ終了----
>>1 乙であります。
新スレですね。
気分を変えてぱーっといければいいなぁ。
そんなわけで、続き投下します。
支援は要らないと思います。
なお、パラレルなので、そういうものが駄目な人はスルーよろしくです。
ドアが激しく開かれる。
来たか……。思ったより早かったな。
ゼロはそう思いつつ、入ってきたカレンの方を向いた。
その瞬間、プリントされた紙がディスクに手と一緒に叩きつけられた。
「これはどういうことなんですかっ」
その語尾は怒りに震えている。
その紙には、見つけた記事がプリントされていた。
「ふむ……。そういうことだが……」
そのゼロの言葉に、カレンの怒りが爆発する。
「何考えてんのよっ、あんたはっ!!」
怒りに任せ、ゼロの胸元を締め上げる。
今までのカレンなら絶対にしないことだろう。
ゼロは、絶対の尊敬すべき人物であり、彼にしたがっていればいいと考えていたからだ。
だが、今のカレンは違う。
そう、カレンは変わってしまった。
ライという愛する人を見つけてからというもの。
そして、彼を失うことを恐れ、彼の為なら何でもするだろう。
それは、ゼロにとって少し寂しいことだった。
だが、これで……。
ゼロは、仮面の中でニヤリと笑った。
《OPスタート OP曲「彼と私の世界は……」TVサイズバージョン 歌/紅月カレン》
歌姫、舞う!! 第3話「思い」
《スポンサー紹介 メインスポンサー/万歳なみこー サブスポンサー/べくたー 》
「痛いじゃないか、カレン。まずは放して欲しいものだ。これでは、言い訳も出来ない」
ぬけぬけしく言うゼロの言葉に、ますますカレンの怒りが燃え上がる。
私の大切な人を……よくも……。
だが、その怒りを抑え、何とか手を放す。
「ふう〜……。助かった……」
ぎろりと怒りの炎に燃えるカレンの目がゼロを睨みつける。
それにも、怯えるどころか、楽しむかのようにゼロはしゃべりだした。
「先に言っておくが、今回のことは、私は何も強要もしていないし、私が考えたわけでもない。それだけは、絶対だ」
だが、その言葉を鵜呑みに出来るほどの余力は今のカレンにはない。
「じゃあ、どういうことなのよ。説明してよ」
その剣幕を受け流すかのように、ゼロは話し出す。
「今回の件は、ブリタニアかにり提案なのだ。そして、ライは応じた。ただ、それだけなのだよ」
「信じられないわ」
ばっさりと切り捨てるカレンの言葉に、苦笑するゼロ。
だが、すぐに言葉を続けた。
「そういえば、今度、ベストヒットロードに出ることが決まったな。何でだと思うかね」
まるでからかう様な口調。
だが、その方が効果的だったのだろう。
怒りに燃え上がるカレンの頭の中で、点と点が繋がっていく。
「まさか……」
「そう、そのまさかだよ。君のベストヒットロード出演を条件に提案されたのだよ、今回のことは……」
その言葉に、カレンの膝から力が抜け、ガクガクと身体が振るえ、その場に力なく座り込む。
「そんな……。そんなことって………」
そんなカレンを見下ろして、言葉を続けるゼロ。
「君と一緒にいたからこそ、ライはこのチャンスを逃したくなかったのだと思う」
ゼロの諭すような言葉。
だが、それはカレンにとって受け入れられない言葉だった。
「じゃあ、出ないっ。ベストヒットロードなんて、もう出ないっ。だから……、だから……ライを呼び戻してよぉ……」
カレンの顔がくしゃくしゃに歪み、目から涙があふれ始める。
怒りが一気に心細さと悲しみに変わっていく。
そして、気が付く。
彼がいつもカレンを支えていたことを……。
そのやさしい思いにいつも包まれていたことを。
だから、言葉が……。
出演を拒絶する言葉が、無意識のうちに漏れる。
だが、それは間違いなく彼女の本音だった。
だが、それは一喝された。
ゼロの言葉で……。
「馬鹿か、貴様はっ!!!」
その言葉に、悲しみと心細さに溺れかけていたカレンの心が我に返る。
「何の為に、ライはやりたくもないことをやっていると思っているんだっ。いい加減にしろっ。ライの努力を無駄にするつもりかっ!!!!」
次々と言葉の刃が、弱いカレンの心に突き刺さる。
だが、そうなのだ。
ゼロの言葉。それは正論。
なのに……、カレンにはそれがとても辛い。
愛とは、強さであり、そして、弱さなのだ。
今、カレンの心を支配しているのは、弱さ。
そして、ゼロの言葉は、強さを求めている言葉なのだ。
「でも……」
言葉に詰まるカレン。
彼女にしてみれば、正論など関係ない。
ただ、彼が傍にいて欲しいだけなのだ。
しばしの沈黙が部屋を支配する。
ただ、嗚咽を繰りかえすカレンの声だけが響く居心地の悪い時間。
そして、最初に折れたのはゼロだった。
「はぁ……。ライの言うとおりだな……」
その言葉にカレンの涙が止まる。
「え?!」
「ほらっ……。ライからの手紙だっ」
机の中から出された封筒をカレンに渡すゼロ。
それを奪うような勢いで受け取り、中の手紙を開いて貪るように読むカレン。
泣き顔だったカレンの顔が、ほっとしたものに変わっていく。
それを溜息交じりで見るゼロの心境は複雑だった。
「でだ。落ち着いたな……」
「……はい。済みませんでした」
「ふう……。わかればよろしい。ただ、今の気持ちを忘れるな。それが今回の肝だからな……」
ゼロの言葉にきょとんとするカレン。
それはそうだろう。
意味がわからない。
「まぁ、待て。今から説明する」
ゼロはそういうと1枚の紙を渡す。
そこには、歌の歌詞らしきものが書き込まれていた。
「連中がきちんと約束を守るとは限らんからな。その曲で一波乱起こすぞ。以前のお前なら無理だが、今のお前ならその曲は十分歌えるだろう」
ゼロはそう言い切る。
そして、楽しそうに笑い出した。
「ふふふはぁははははははははははははははっ……。シャナイゼルめ、お前の思ったとおりに進むと思うなよっ」
《アイキャッチ カレンバージョン》
《万歳 ブルーレイソフト「歌姫舞う!」1巻 予約CM》
予約特典----初回限定版 カレン等身大抱き枕
全巻購入特典----ライ抱き枕
《べくたー OP、EDシングルCD + オリジナルサウンドトラック CM》
3点を集めて、劇中に出てきたユーフェミアの写真集をゲットしようキャンペーン開催
《アイキャッチ ユーフェミアバージョン》
「どうですか、ライさんっ」
「すごいですね……。ユーフェミアさま」
そう聞かれ、僕は笑って誤魔化すしかなかった。
もちろん、味はまったくわからないほど、緊張していた。
そりゃそうだろう。
ずらりと並ぶ面子を知っていれば、言葉も選ぶし、緊張もする。
なぜなら、夕食を招待されて行ってみたら……。
「ふふふふ、君がライ君だね。実際に会うのを楽しみにしていたんだよ。今夜は楽しんでいってほしい」
やさしそうな2枚目の男性が、呆然としている僕にそう話しかけてくる。
ブリタニアのシャナイゼル福社長だ。
「あ、ありがとうございます。でも、僕なんかこんなところにいてもいいのでしょうか……」
そんな僕にシュナイゼルは苦笑する。
「なぁに、今夜の君は主催者のパートナーだからね。いてもらわなくては困るよ」
そうなのだ。
今日は……ユーフェミアの誕生日であり、誕生会に僕は呼ばれたのだった。
そして、来てみたら……ずらりと並ぶブリタニアの関係者。
あ、あそこに見えるは、世界的有名なコミックバンド「純潔派」のヴォーカリストのオレンジこと……。
えーと……名前なんだっけ……。
まぁいいや。
うわー……。
伝説のロックバンド「ラウンドオブナイツ」のメンバーまでいるぞ……。
すごすぎ……。
本当にすごすぎる豪華なメンバーばかり……。
それに、ユーフェミアの身内の人も多く来ている。
姉のコーネリアや社長のオデッセウス……。
これって、本当に僕はいていいのかよ。
困惑している僕をシュナイゼルは楽しそうに見ていたが、すぐに秘書のカノンに呼ばれ、「では、失礼するよ。楽しんでいって欲しい」という言葉を残して別の人の方に行ってしまった。
で、ユーフェミアは、祝いを述べる人々と楽しそうにおしゃべりをしている。
ふう……。
困ったよなぁ。
帰るに帰れず、仕方なく壁際でぼんやりと見ていると、「貴様がライか……」と声をかけられる。
その声には、とてつもない威圧感と僕を吟味するものがあった。
「え?!」
慌ててその声のほうを向くと、白髪の大男が立っていた。
その圧倒的な威圧感と存在感。
そして、僕を値踏みする視線。
そう、この男こそ、ブリタニアの会長であり、世界の芸能界の三分の一を支配するブリタニアの王 シャルル・ジ・ブリタニア。
ぎろりっ……。
その視線の前に、僕は威圧され身動きが取れない。
これが……王の風格というものなのかもしれない。
「ふむ……」
しばらく僕を見た後、シャルルは豪快に笑いだす。
「ふはははははははははははっ。気に入ったぞ、ライとやらっ。ユーフェミアのやつは、男を見る目はしっかりしているようだな」
その言葉を残し、シャルルは僕の傍から離れていった。
その瞬間、緊張が解ける。
ふう……。
生きた心地がしなかった。
それがシャルルと始めて会ったライの感想だった。
「よしっ、いい感じだっ」
ゼロが歌い終わったカレンに言う。
「だがまだだっ、カレン。今のお前なら、その場にいる全員の心を虜にするほどのものが出来るはずだっ」
そう、ここは、黒の騎士団のスタジオ。
そこでは、ライの手紙を読み、まるで別人のような決心をしたカレンが歌の特訓をしていた。
2日後の番組生放送出演を前にして……。
つまり、出演に新曲披露を行い、よりインパクトを強くする。
それが、ゼロとライの作戦であった。
その為に長年温存していた歌の封印を解除することを決心したのだ。
今のカレンなら、歌えると確信して……。
だが、そんな二人に茶々を入れる人物がいた。
演奏をつき合わされている玉城だ。
「おい、親友よ。これきちんとこなしたら、約束どおり役職と出番増やしてくれるんだろうな……」
その言葉にめんどくさそうにゼロが答える。
「わかっているとも。玉城、だから心配しないで手伝ってくれないかっ」
「よしっ。任しとけっ。このゼロの親友を信じろって」
そう言うと、ころっと態度を変えてニコニコとしている。
ふー……。簡単に騙される小物の典型的なタイプだな。
そんなことをゼロが思っていることを知らずに……。
「シュナイゼル様、これが例の報告書や書類関係でございます」
秘書のカノンが書類の束を差し出す。
それに目を通すシュナイゼル。
彼らの姿は、パーティ会場から少し離れた一室にあった。
「ふー、これでいいか……」
最初は、ここまでやるつもりはなかったが、ライと直接会って決心した。
あの男は、有能だ。
わが駒として、ぜひ欲しい。
そう思った男だった。
「番組の特番放送の映像編集のほうはどうかね」
「はい。無事滞りなく……」
「露骨に変なものにはしないように」
「わかっております」
カノンが恭しく頭を下げる。
これで手は打った。
後は……。
すべては、ベストヒットロードの放送終了後にはっきりすることになる。
つ・づ・く
《EDスタート ED曲「貴方が好き好き〜、大好きなの」TVサイズバージョン 歌/ユーフェミア・リ・ブリタニア》
次回予告
「ついにベストヒットロードの放送の当日ね」
「そうだね。がんばって、カレン……」
「ところが、その日………」
「えーと……どうしたんだいっ、カレンっ」
「次回 歌姫、舞う!!第4話『波乱万丈な一日の始まり』にご期待くださいっ」
「どうなるんだっ……」
「えーっと……、ライは見てるだけでいいから……」
「そりゃないよぉーーっ、カレンっ」
(音声、画面フェードアウト……)
以上で終了です。
続きは、また準備できたら投下したいと思います。
あと、前回、感想ありがとうございました。
大変励みになります。
では〜
>>15 今回もGJです!
ば、バカな…ゼロが頑張ってるだと(ぉぃ
そしてシュナイゼルさんはやっぱり腹黒いです。まさに芸能界っぽい…
GJです!
芸能界の裏を見た気がした
>>15 GJ!
編集だと・・まさか・・
マジ震えてきやがった・・こわいです・・
しかもゼロの高笑いという失敗フラグのおまけつき・・
>予約特典----初回限定版 カレン等身大抱き枕 うん、妥当だ
全巻購入特典----ライ抱き枕 おいィ?
次の投下を待っています
前スレ749
軽いノリが楽しすぎるw GJです!
前スレ埋まったみたいだな、乙
1レスネタ
タイトルの通りのパロディ
適当なので嫌いな人はスルーしてください
ウソ予告
反逆裁判
〜初めての反逆〜
「無実の罪の人間を救うんだ」その信念が彼の原点
無実を証明し真犯人を見つけるのは彼の生きがい
自分の信念を貫く彼にライバル達は容赦なく襲いかかる
「疑わしき罪は全て有罪だよ。ライ…」
「それは違うよルルーシュ…」
ライの言葉は変わり果てた親友に届くのか?
「信じ抜くのが弁護士だよ、君のなりたかった本当の弁護士さ…」
幾つかの事件を解決する度に見え隠れするルルーシュの過去
そしてルルーシュの変わり果ててしまった事件にライは挑む
親友の為に
信念の為に
そして自分の為に…
その為に今日も彼は法廷で叫ぶ「異議あり!!」
…と
という適当予告
全く今の自分が書いてるのと関係ないですw
携帯いじってたら思いついたので投下してみました
本番は明日ぐらいに投下予定です
本番は完全コメディです
ではまた明日ぐらいに
>>21 おぉ、こちらも裁判ネタか!
本編、楽しみにしています!
前スレのぎあすっ!!にクソワロタ、GJ
前スレ埋め投下今頃読んで笑った
かわいいなチクショウ!
乙でした
前スレの埋めネタGJ!
にしても
うが〜〜ってww
26 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/20(日) 07:24:50 ID:vOw7voYO
>>26 そこは、関連スレ扱いされてないよ?
向うもこっちを関連スレだと思ってないだろうしね。
糞アニメの本スレとか要らん
ここはあなたのいう糞アニメのゲームのSSスレなんだが
31 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 04:36:05 ID:rshEMqYl
R2派とロスカラ派って仲悪いんか?
まぁ俺も、R2は黒歴史レベルの駄作とは思っているけど。
どうなん?
33 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 09:46:32 ID:rshEMqYl
ようつべにはなぜロスカラ動画が無いのか?
>>33 おまえライスレ潰した異常粘着キチガイだろ
35 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 19:53:46 ID:zyqFi65s
あぼーん
>>36 もうどっちでもいいが、ここはSSスレなんだぞ
ageとかそういうSSに関係ない別スレのレスを貼り付けるのを止めろよ
じゃあ別人だということにしておこうか。とりあえずまずsageてくれ
基地外でもカプ厨でも何でもいいが
早く死ねばいいのに
40 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 23:13:17 ID:mQmE7Nrm
SSスレの歴史もこれで終わりか……
そんな事いうなよ、、、、といいたいが、今の状態じゃなぁ
せめて投下があれば空気も変わってると思うが逆にこんな空気じゃしにくいな。
終わる時はあっという間だな、、、、、今ごろ荒らしはほくそえんでるだろうな。
こんなこと言いたくないけどさ
ただでさえ過疎ってたところにトーマスの更新やめます宣言でとどめさされたようなもんでしょ
なんで余計なところでしゃしゃりでてくることしか頭にないんかなああの人?
この程度で終わったとか言うなよw
毎回荒れる度に言われてるが、荒らしは徹底的にスルーだ
挑発的なレスを返して来ても相手にしない事
別にトーマス卿のまとめが閉鎖してなきゃ過去スレ分は読めるし、最近のはwikiにちゃんと管理してくれてる方がいるから大した問題じゃないだろ
まだ最近でもここに落としてくれる職人さんっていたっけ。
目に見えて減った気がする。
キャラゲーで発売からこれだけ経っても継続的に投下があるってだけで幸せな話だよね。
これだけ愛されてるキャラゲーなんて滅多にないよ。
どうこう言って週1ぐらいは投下があるんだから騒ぐほど過疎ってもいない。
何ヶ月も前と比べて過疎ったもう駄目だ、って過去を引き摺りすぎじゃないかね。
次第に先細っていくのは仕方のないことなんだし、いちいち個人のせいにしたり
嘆いたりするほどのことじゃない。
衰退していくこともまとめて楽しんでいく余裕ないとキャラゲーのSSスレと良い付き合いなんて出来ないよ。
ロスカラは好きだが他のキャラゲーも好きだから二行目以外には同意だ
過疎った過疎ったいちいち騒ぐ方がアホの所業にしか見えん
48 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 04:08:47 ID:OmvRCUDw
初代から一年半くらいか…。
そりゃ短編ネタも尽きるよなぁ。長編は基本未完がSSの世界だし。
それでも待ってる作品も待ってる職人さんもいるので頑張って欲しいところ。
俺は気長に待ってるよ。
49 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 06:06:02 ID:FtyBOicw
来月の重大ニュースはロスカラ2の発表とみた
50 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 06:07:57 ID:FtyBOicw
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 32
http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/gal/1226828782/ 609 名無しくん、、、好きです。。。 2009/09/22(火) 06:32:18 ID:rYUFgr7A
やはりR2(外伝)は超駄作なんだな、本編(ロスカラ)の良さが分からないから、R2に支配されている邪教徒はロスカラをそういう風に見てしまうのね・・・・。
自分では何にも出来ないクズキャラばっかりだからなぁ→R2
ああ・・・このスレはどうなることか
52 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 12:29:45 ID:FtyBOicw
>>53 スレ41で「全年齢板なんだから、18禁の直リンは止めないか?」で、頭の「h」は取ってるんだが……
あぼーん
これくらい静かなら、したらばに引っ越す方がまったりできていいかも。管理人ならやるぜ?
57 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 10:21:10 ID:dzJgiZJi
オリジナルのKMF描きたい
>>56 まだ動きを起こす段階でもないと思うけどな。
これがもうしばらく続くようなら考えても良いと思うけど。
wikiでぎあすっ!!の作家名が[―{}@{}@{}-]になってるけど、これp2&串で出ちゃう単なるミスです。特に意味は無いんです。すみません。
規制回避用に使ってるだけだからいまいち慣れなくてね。
別に修正しなくてもいいんだけど、気になったので一応。
↓お詫びに小ネタ
「おはこんばんちわー! 黒の騎士団・零番隊隊長、紅月カレンでーす!」
「お、おは……? ええと、同じく作戦補佐のライです」
「『ライとカレンのラジオ☆クロキシ!』始まりましたっ! 全国のアンダーグラウンドラジオリスナー聞いてるー!?」
「こ、この番組は入団希望者の増加を目指し、僕達が黒の騎士団の魅力や活動を面白おかしく宣伝していくラジオ番組です……え、なにこれ」
「じゃあまずは簡単な自己紹介から。私、紅月カレンは零番隊の隊長です。零番隊っていうのはゼロの親衛隊みたいなものかな」
「実質、エース的な役割だよね」
「そうね。使用ナイトメアは紅蓮弐式。初の純日本製ナイトメアよ! 赤い色が目印だから、日本人のみんなもゲットーで見かけたら手を振ってね!」
「手を振ってどうするんだ」
「ふふん、ライ。紅蓮は器用だから手を振り返すファンサービスもできるのよ? ――こんな感じで」
「ねぇ今右腕上げたよね!? そっち輻射波動だよ怖っ!」
「黒の騎士団で紅蓮と握手!」
「死ねと!?」
「じゃあ本日の一曲目、ゼロで『正義の味方〜黒の騎士団のテーマ〜』」
「あれ? 僕の紹介は――ってゼロも何歌ってるんだーっ!」
『正義の味方〜黒の騎士団のテーマ〜』 作詞・作曲 桃色ぷにぷに
黒き炎を身に纏い 命を賭して戦う戦士
奇跡と運命(さだめ)を与えられた そう我々は黒の騎士団(※)
世界が力におびやかされる 日本が名前を変えられる
飢餓や(貧困!) 支配や(差別!) 力と力の弱肉(強食!)
許さない 許せない
絶望乗り越え その先の 輝く勝利を手に入れろ
Sight!(サイッ!) ブリタニアの悪事 見逃すな
Fight!(ファイッ!) ブリタニアの脅威 打ちくだけ
Knight!(ナイッ!) ブリタニアの支配 終わらせろ
黒き刃に全てを託し 死を覚悟して戦う戦士
(※)くり返し
「改めまして、紅月カレンです」
「……ライです。っていうか今の……その……」
「黒の騎士団に入ると、毎朝日本国旗を見上げてこれを歌います」
「何言ってるんだ!? っていうか減るだろう入団希望者!」
「あ、さっそくリスナーからFAXで反応がきてるわね」
「きょうびFAXって……。――そういえば今気づいたけどこれ生放送なのか。なら最初の挨拶で全時間向けにした意味は……」
「基本生放送だけど、地域によってはラジオを聞くのもままならない所もあるから、録音で聞く人のためにね」
「なんだ、その急な生々しい設定」
「はい、じゃあFAX読むわよ。シズオカゲットーにお住まいの、クロキシネーム、木下さんから」
「ほお、シズオカゲットーから」
「『ブリタニア軍だ助けて』」
「緊急事態!? というかラジオ聞いてる場合か!」
「こんな時、黒の騎士団に入っていたら援軍が来てくれるわけです」
「助けに行かないの!?」
「あ……ここでニュースをお伝えします。シズオカゲットーのレジスタンス組織のうち、《木下グループ》がたった今壊滅しました」
「木下ぁーっ!」
「続きましてヨコハマにお住まいの、クロキシネーム、双葉さんから。『ライさんカレンさん初めまして。トークがとても楽しく、これから毎週聞こうと思います。ところで、騎士団のお二人は休日はどのように過ごしているんでしょう。やっぱり休みとかは無いんですか?』」
「普通だ……打って変わって、ふつおたが来た……!」
「黒の騎士団だって休みはあるわよ」
「ま、まあ……団員の士気にも関わるから……不定期なのはしょうがないけど」
「今度、団結式もやるのよね。ライが幹事で」
「ん……?」
「慰安旅行形式の宴会でね。やっぱり行くとしたら温泉旅館かしら」
「――って待ってくれカレンそれは危ないフラグがたっている気がするっ!」
「混浴フラグねドンと来い! ――あっ、そろそろ時間。また来週も聞いてね」
「また急だな。ああ……でも来週はもう解散してるかも……」
「お相手は紅月カレンと!」
「ライでした……もう疲れた」
木下ァァァァァァ!!!
>>60 GJでした、ピンクもふもふ卿!
温泉はダメだwバッドエンド直行www
次の投下を楽しみにしています
もっふー!
学生時代によく聞いたラジオを思い出したよ
ありがとう
こんな、ハードボイルドの夜にはペプシコーラのオンザロックに限る・・・
どうも、お酒が飲めないハーフボイルド野郎こと蒼い鴉です。
今から、5分後に投下を行いたいと思います。
ライ×コーネリアでタイトルは「Dorping Kiss」です。13KBほどありますので支援お願いします。
「Dorping Kiss」
「……行きますよ、コーネリア殿下」
「あ、あぁ」
紫がかった髪と軍服に身を包んだ豊満で均整のとれた体に腕を回してソファの上に倒すと、ライはそのように呟き、彼女はそれに答える。
手袋を外し、素肌でコーネリアの髪を梳くように一撫でして、その手を頬に移すと、コーネリアはピクンッと肌を震わせて、甘えるようにライのその手に擦り寄り、小さな甘い吐息を漏らす。
猫のようにとも、犬のようにともとれる行動はとてつもなく可愛く愛しいものであった。
それは、厳格な雰囲気を身に纏わせるエリア11の総督であると同時にブリタニア皇族である彼女からは想像できるものではなかった。
互いの視線を交換し、二人の顔はうっすらと赤みを帯びる。
そして、ゆっくりと二人の唇が近づいていく。
距離の縮まる唇と唇。近づくにつれて大きく動く互いの心臓。
しかし、残り数センチといったところで互いの唇の動きが止まった。
そして、コーネリアが静かに声を出す。
「…何をしておられるのですか、エニアグラム卿?」
それは自分の上にいるライに向けられた言葉ではなく、その上でライの頭を両手で押しているナイトオブナインに向けられた言葉であった。
「いや、私のことはお気になさらずに」
「気にしますっ!」
思わず、コーネリアはライを挟みながら剃刀のように目を鋭くさせてノネットに対して声を張り上げる。
「気にしなくともよろしいのに……」
どこか残念そうな声を出すノネットはライが淹れたブランデー入りの紅茶を飲む。しっかりと紅茶に於けるゴールデンルールを守ったその紅茶は自分の領地へ引き取った時からのお気に入りであった。
「ですから、気にすると申しているのです!エニアグラム卿!」
向かい側に座っていたコーネリアはヒビでも入れんばかりにテーブルを叩き、紫がかったの髪を振り回しながら荒い声を出す。
支援
その隣に居るライが「まぁまぁ」と宥める。すると、彼女は素直に、若干むくれた顔をしながらライが差し出した紅茶を飲み始める。
もし、今より昔にコーネリアという女性を知る者がいたら、どのような顔をするのであろう。
神聖ブリタニア帝国第二皇女コーネリア・リ・ブリタニアが、各エリアで様々な武勲を立てた女傑がたった一人の少年の言葉を素直に聞いたのだ。
しかも、先程の行為の最中の彼女は子猫同然であった。
どんな人間でも愛しい者の前ではチョコレートのように蕩けてしまうという良い例だ。
「しかし……」
紅茶を半分ほど飲み干すと、ノネットはカップをソーサーに置く。
「未だにできていないのですか、キス」
ノネットの言葉、主に最後のキスという部分にコーネリアは頬を紅潮させる。その反応でノネットは若干呆れたような表情をする。
戦や軍に関することは満点でも、愛やそれに関することはほぼ0点と言った所か。だが、それだけ彼女が学生時代などで如何に武門に打ち込んでいる証明でもあった。
「殿下、いちいち恥ずかしがっては先に進みませんよ?あと数週間もすれば本国で結婚式なのに、本番ではそれは通用しないんですから」
その言葉に紅潮させた顔を更に赤くさせたコーネリアは呆れたような口調で紡ぐノネットに反論をした。
「さ、先程のはできそうだったのです!あと少しもすれば…」
「でも、結局できませんでしたよね」
「ぬぅ……」
ノネットの言葉に思わず口ごもるコーネリア。
「それに、ライ。お前もお前だ!男だったらきっちりと女性をエスコートしてハートを鷲掴みにしてしまえ!」
「鷲掴みって……」
向けられた少々厳しめの視線に対してライは苦笑を浮かべて頬を掻く。
「お前もエニアグラムの名を持つ者として、殿下の夫となる者としてそれぐらいはしろ、ってことだ」
今から、一年と少し前にここエリア11ではコーネリアの妹でもあるユーフェミアが提唱した行政特区日本が設立した。
その式典の最中、ノネットが遅れながらに記念式典の会場に到着した時に肩からの血で腕を濡らしたライを見つけた。
何があったのかを頑として言わず、しまいには自分を殺せなどと言ったのだ。ただ事ではないことを察知したノネットはライを自分の領地へと連れ帰った。
そして、一年後にはエニアグラムの名を持つことになった銀髪の少年はコーネリア・リ・ブリタニアにプロポーズを行ない、コーネリア自身もこれを受け、二人は結ばれることになり、数週間後には結婚式を迎えることとなった。
だが、先程も言ったようにこの二人――特にコーネリアは恋を始めて知った初心な少女のようにライとのキスに対して戸惑いと恥ずかしさを覚えている為か今まで何度も挑戦するが結局できずにいた。
ノネットも最初の内は微笑ましいと言って多めに見てきたが、さすがに本国での結婚式の日が迫る中で多少の焦りを覚えて、ライとコーネリアのキスを無理やりサポートを行うこととなったのだ。
「まぁ、確かにいくら何でも無理矢理なサポートでキスを交わしたとしても嬉しくはないでしょう」
そう言ってノネットはソファから腰を上げるとその横にある四角い物体に手を伸ばす。プラスチックのケースであるところからクーラーボックスであると考えられる。
蓋を開けると、白い煙が姿を見せる。その中に手を入れ、ノネットが取り出したのは二つのグラスであった。
縦長で、飲み物の量が多く入るタイプだ。だが、ライとコーネリアはそれの出現に良い顔をしなかった。正確には、グラスの中に注がれている液体にだった。
その液体は血の色を宿し、まるで本物の血が注がれているようであった。
「あ、あのノネットさん…」
「ん?どした」
隣にいるコーネリアの眉をしかめた顔を見たライは恐る恐るとノネットに尋ねる。尋ねられたノネットはグラスを二人に近づけながら答えた。
「コレってまさか本当の血じゃ……」
「あぁ、本物のマムシの生き血だが?」
支援
あっさりと言うノネット。それに対して開いた口の塞がらないコーネリア、ライはというと別段驚く表情を見せなかった。
本国に居たとき、今以上の行動を何度も見せつけられていたので『驚く』というよりも『驚けない』のだ。
「どこから持ってきたんですか、こんなモノ…」
マムシと言うんだから、イレブンで手に入れたんであろうが。
「いやぁ、特派のセシルに相談してみたらこれが効果的と聞かされてな?枢木に頼んで生け捕りにしてきてもらったんだ。大丈夫だ!鮮度に問題はない」
「いえ、そういう問題じゃなくて」
マムシの生き血が精力剤として効果的、だという話はライも耳にしたことがある。だが、あくまで迷信のようなものと考えていたので試そうとは思わなかった。
まさか、時を経てこのような形で迷信を試すことになろうとは考えつかなかった。
「エニアグラム卿、お気遣い感謝致しますがこのようなあからさまな方法は少し……」
「お言葉ですが、殿下」
コーネリアの異議を唱える言葉を止めたノネットの言葉には、力強いものが宿っていた。
「恐れながら、このようなドーピングまがいの事をしなくては殿下とライの距離はいつまでも縮まらないと実感いたしました」
ノネットの言葉にコーネリアもさすがに思いつくところがあってか息を呑む。
「いつまで経ってもキスに対して戸惑いを持ち続けているのは、いかがなものかと」
「………」
更にノネットの言葉は続く。
「これでは、ブリタニア第二皇女、コーネリア・リ・ブリタニアの名が泣いてしまいますぞ?」
その言葉により、コーネリアが守った沈黙は破かれた。テーブルを手の平で叩きつけ、剃刀のような鋭さを持つ目がノネットを捉える。
「そ、それでは!エニアグラム卿!エニアグラム卿はしたことがあるというのですか!?その……キ、キス…を」
キスという単語を発する際に頬を紅潮させながらもコーネリアはノネットに問い掛けることができた。
「えぇ、ありますけど」
またしてもアッサリと言うとノネットは顎に指を添えて、ライの方にちらりと視線を送る。ライがその視線に気づくとノネットは視線を逸らした。頬を薄く紅潮させながら。
「!」
「?」
ノネットのその行動はある者に衝撃を与え、ある者には頭の中にクエスチョンマークを思い浮かばせた。その次の瞬間、ライは己の横から冷たいものを感じ取った。横を振り向けば、そこには今まで見たことのないような顔をしたコーネリアがいた。
ライには即座にそれが怒りによるものだと察知した。親衛隊に属していた頃に怒りの顔を何度も見たことがあるが今回のは一層特別なモノとなっていた。
「で、殿下…お、落ち着いてください」
「……黙れ」
宥めようとするが、氷のような刃でライの言葉は一蹴されてしまう。普通の男ならば、諦めるだろうがライは違った。命令口調にも似た彼女の言葉を受けても宥めの言葉を止めようとしなかった。
「この、浮気者がぁ……!」
「落ち着いてください殿下!どう考えたって、ウソに決まってるでしょう!!」
迫り来るコーネリアはついにライの軍服の襟元を掴みだした。その力は強かった。必死に言葉を続けるが力を弱める素振りを見せようとしない。
「ウソ……だと?」
「そう!ウソなんですってば」
ライが発した言葉の中にあった単語を反芻したとき、彼女の手の力がほんの少しゆるくなった。更に身の潔白を証明しようと言葉を紡ぎ、力を緩めようとするが。
残念ながら、ライの考えは脆くも崩れ去ることとなった。
「ウソではないぞ?ラ・イ♪私の屋敷に居た時、お前が優しくしてくれたキスを私は忘れていないぞ?」
「ノネットさん!?」
ノネットの甘い声が耳に届いた頃、襟首を掴む手に力が再び篭り始めた。ライは咄嗟に声を出して言葉を中断させようとするがノネットは止まらなかった。それどころか、声高々に語り始め、自分を抱き締め、身を捩じらせながら聞く者を煽らせた。
「……あの時、お前は私を壁に押し付けて、体をピッタリとくっつけて…そして啄ばむように私の唇を……あぁ!」
「……ライ、貴様…」
「ノネットさん!本気で勘弁してください!言っていい冗談と悪い冗談が――」
その時、ライは最後まで言葉を紡げなかった。瑠璃色の瞳に拳を固めて今にもそれを振り下ろしかねないコーネリアの姿を捉えたからだ。
「ま…待ってくださっ」
だが、いつまでたっても痛みはやって来ない。不審に思い、目を開ける。それと同時に耳の中に鈍い音が入り込む。
音の発生源を探ろうと、顔を横に向けると机の上に異変が起こっていた。二つグラスの中にあったマムシの生き血の一つが空となっていたのだ。
「……ライ」
自分を呼ぶ声にライは反応した。そこには頬を上気させ、手には生き血の入ったグラスを持つコーネリアの姿があった。
コーネリアはグラスの縁を口にゆっくりと近づけ、そしてそれを一気に煽った。ライの制止の声も空しく響き、それに呼応するかのように一気に減るグラスの中身。
「……ふぅ!」
勢いよく飲み干したコーネリアはグラスを叩きつけるようにテーブルの上に置いた。そして、ライの方に向き直った瞬間、コーネリアはライの両腕を掴み、彼の背中をソファに押し付けた。
「うわぁ!!」
思わず、悲鳴を上げるライ。
「キ、キスの一つくらい……わた、私…でも…!」
先程以上に顔を真っ赤に染め上げるコーネリアが紡ぐ言葉は舌足らずであったが、今から行う行動の推測には十分すぎるものであった。
ゆっくりと近づく唇。逃れることができない。少し近づくだけでも高まる心臓の鼓動。血が激動する感覚。そして、今落ちた――彼女の鼻血が。
「で、殿下…?」
顔に落ちてきた数滴の液体。見上げれば、顔を真っ赤に染め上げ、気絶する彼女の鼻から血が流れ出していた。
「殿下ーーー!?」
その夜、コーネリアの執務室内でライの声が良く響き渡った。
支援
「………ふぅ、やれやれ」
濡らして絞ったハンカチをコーネリアの額の上に乗せるとライは一段落した声を出す。
あの後、大量の鼻血を出したコーネリア。ライとノネットの適切な処置によって、今は落ち着いてライに膝枕をしてもらい、キスに関して何かと魘されている。
「ノネットさん…気を遣っていただけるのは有り難いんですけど……」
「いや、すまんな。まさか、こうなるとは……」
「違いますよ。そういうことじゃなくて…」
テーブルの上に出ていたグラスとコーネリアの鼻血を処理しながらノネットは謝る。だが、ライは彼女の言葉を否定した。
「ユーフェミア様の事で悩んでおられる殿下の気を紛らせてくれたんですよね?」
コーネリアの妹、ユーフェミア・リ・ブリタニアが唱えた行政特区『日本』の構想。その新しい体制には、多くの賛同者が集まった。
かつて、エリア11で猛威を振るっていた反ブリタニア組織、黒の騎士団を闘わずにして無力化させるほどであった。だが、必ずもエリア11の全てが特区日本に賛成しているわけではない。
特区日本設立後も散発的に発生する反ブリタニア勢力によるテロ事件は後を絶たず、黒の騎士団の協力によって大きな惨事には至っていないが、平和を願うユーフェミアにとっては頭の痛い悩みの種だった。
ブリタニアとナンバーズを区別するコーネリアは特区に関してはユーフェミアに任せ、自分はエリア11の統治に力を注いでいる。
だが、その本心では愛しの妹の悩みを一刻も早く取り除いてあげたい、そんな思いなのである。
それは、ノネットも同じ気持ちであった。学友であるコーネリアの手助けを行いたい、しかし、ノネットは皇帝直属騎士団ナイトオブラウンズに属している。
軍とは別の独立した指揮系統を有する為、勅命以外ではおいそれと動くことはできないし簡単に行動を起こすこともできない。
唯一できることは張り詰めさせた気をほんの少しでも抜き、今だけでも女の幸せを、結婚式に向けて足を踏み出してもらうこと。
「大丈夫ですよ」
ノネットの沈黙を肯定と取ったライは安心感を与える微笑をノネットに向けた。
「スザクを自分の専任騎士とした後に、スザクのことを話すユーフェミア様を見て少し、安心しました」
彼女はある意味で一人だった。まともに会話を交わせる人数は限られ、自分と同世代の人間など皆無であった。
「ユーフェミア様はしっかりと手にしましたよ。しっかりとね……」
優しく泣く子を宥める母親のような柔らかい声でライは言葉を紡ぎ、コーネリアの額に乗せていたハンカチを取ると彼女の頭と髪に指を這わせ、梳くように撫でる。
「もう『お飾り』ではありませんよ、今ある場所で多くのことを悩み、多くのことを語ってそこから答えを導き出せばいい……」
コーネリアの頭を撫でる動きが更に優しくなる。目を瞑っているが、撫でられている本人も満更ではない表情を醸し出している。
「……ライ、お前は人を観察することは得意みたいだな」
「そうですか?」
微笑んでノネットの言葉を返すライ。
「できれば、その観察眼をもう少し女心に活かしてほしいものだ」
軽く溜め息を吐くノネットにライはその言葉の意味が判らないのか、頭に疑問符を浮かべる。
「……そこまで、朴念仁でいるつもりはないんですが。それより、殿下を隣の部屋にあるベッドに移しましょう」
そう言ってライが立ち上がろうとしたとき、ノネットは見た。今まで気持ち良さそうな顔をしていたコーネリアが先程のライの言葉を聞いた途端に見る見る内に額に青筋を立てるのを。そして、立ち上がろうとするライの太腿を思いっきり抓るのを。
「アガッ!イデデデッ!で、殿下!?お、起きて…!アッ――!」
どうやら、もっと強くしかも抉るように抓られたようでライの声にならない悲鳴が執務室内を木霊した。
「で、殿下…いた、痛いですっ!ご、ごめんなさ」
その様子を見ていたノネットはまたも溜め息を吐いたがその顔はどこか微笑んでいた。
投下終了です。支援してくださった方有難う御座います!
乙でした。キスの寸止め…実に惜しい。ノネットさん、確信犯過ぎる。
しかしライに身を任せるネリ様も、前に進もうとしてマムシの血を飲んで倒れるネリ様も、健気でかわいらしいです。
この二人には今後幸せになってほしいと思いました。
GJです。
1レス目を読んで「オイオイこの人投下する場所間違ってんじゃねえの?」
などと思ったおバカな私を許してねw
全滅してるとこがあるじゃねえかw
歌詞の中二病っぷりがそこはかとなくゼロらしくて困る、乙でしたw
って確認しないうちに次がw
ネリ様可愛いよネリ様。
ノネットさんは誰か止めてやらないと大変なことになるぞw
いやもうなってるが。
>>75 GJでした!
ノネットさんのサポート、なんか微妙に間違えた方向な気が……
そしてマムシwwwシメたのか、その場でシメたのか!?
次の投下も待っています
4:45分頃に投下します
支援?
83 :
羽付き羊:2009/09/25(金) 16:44:12 ID:QTG3UlBV
お久しぶりです。羽付き羊です今回は短編を一つ投下したいと思います
まず先週に投下しようと思っていたんですが、噂の新型にかかってしまい投下が遅れてしまったのをここで謝罪しておきます。どうもすみませんでした
カップリングなし
タイトル<反逆裁判〜初めての反逆〜>
ジャンル ギャグ
クロスじゃないです
注意
名前の通り完全にパロってるのでその手の話が嫌いな人はスルー
扇の扱いが悪いので扇好きな人もスルー(バドレーも)
ネタなので軽く読む人にお勧め、深読みすると後悔します。
一部キャラが崩壊しております
以上の事を踏まえて読んでもいいと思う人はぜひ読んでください。
支援は要らないと思います
念押し支援
85 :
羽付き羊:2009/09/25(金) 16:46:08 ID:QTG3UlBV
反逆裁判
〜初めての反逆〜
とあるマンションの一室で1人の女性が頭から血を流して横たわっている。
「くそ…何で私がこんな目に…」
そう言っている男の手にはチーズ君の置物を持っている、血まみれでそれが犯行に行われた凶器という事を物語っている。
「捕まりたくない…どうすれば…」
パニックを起こしそうだった頭に先程ここを訪れようとした男を思い出していた。
「そうだ…アイツのせいにするんだ、アイツのせいに…」
自分の罪を逃れる事ができる可能性が出てきた男は笑い始めた。
「くはははは…ははははは!」
狂気に満ちた悪魔の笑顔で…
8月3日 午前09:47
地方裁判所 被告人第2控え室
(うう〜キンチョウするな〜)
「お前もよくやるよなぁ〜初めての弁護が殺人事件なんてな。」
僕の師匠のノネットさん言うように初めての弁護が殺人事件なんて正直嫌だった、しかしそうは言ってられない、何故なら…
「ライ〜、オレ、アイツがいない人生なんて死んだ方がマシだ〜。俺を有罪に、いや死刑にしてくれ!」
(無茶言うなよな…)
「アイツを殺したのは誰なんだ!?教えてくれよ、ライー」
(新聞にはお前って書いてあるんだけど…)
そう僕が初めての裁判をこの殺人事件にした理由はコイツ、リヴァルだ。殺人事件の犯人にされているコイツを救うために僕はココにいる。
コイツは色々バカな事はしていて“事件の影にヤッパリヴァル”なんて言われているが殺人なんてする奴じゃない、しかも自分が好きな人間を殺すなんて彼が物語の主人公になるくらいありえないのだ。
「おい!いくらなんでもそれは失礼だろ!?」
だからこそ僕はコイツの無罪を勝ち取らなければならないのだ!
「…無視かよ!もういい、死んでやる〜」
「うるっさい!法廷の準備できるまで寝てろ!」
「ぐぎゃ」
…ノネットさん、被告人にボディブローは止めてくださいよ…
「だってコイツうるさいからな、もう聞くこと聞いたし裁判まで寝かした方が楽だろ?」
そうですけど…まぁいっか。
肝心なのは今日コイツの無実を証明する事なんだから…
あっ紹介が遅れたね。僕の名前はライ。3か月前から弁護士になりエニアグラム法律事務所で働いている新米弁護士だ。
今日は記念すべき初めての法廷に立つのだが…
なんというか初めての裁判が殺人事件で、しかもほぼ有罪確定の裁判の弁護をするのは敗北記念にピッタリな気がするんだけどね…
その事件の内容は至ってシンプル、マンションの一室で若い女性が殺された。捕まったのは不運にも彼女と付き合っていた男、リヴァル・カルデモンド。
一応、小学校からの親友というか悪友というかまぁそんな感じの付き合いだ。…さてコイツはさっきも言ったけど犯罪に手を染めるようじゃない、ただひたすらに運が悪い(ついでに女性運も)
ただ一つ言える事は今コイツは無実の罪を被せられようとしている。それを救うのが弁護士ってヤツだと僕は思っている。…そうアイツがそうだったように…
僕はコイツを救う、僕の弁護士人生にかけて!
「まだ始まってもないものをかけるなよ…」
ノネットさんそれは言わないでくださいよ…
86 :
羽付き羊:2009/09/25(金) 16:48:53 ID:QTG3UlBV
8月3日 午前10時
地方裁判所 第2法廷
ざわざわざわ…
僕はどうも初めての裁判という事で僕は色々緊張しているらしい。何故なら裁判長の席に仮面を被った人物がいるという幻覚をみているからだ。
「またジェレミア裁判長仮面被ってるよ…あの人いつもあれだな…」
ええ!?僕の幻覚じゃなかったんですか?
「ん?まぁ近年犯罪の増加に伴い優秀な人材を裁判員にしたりして性格やら趣味やらは無視だったからな〜」
…これでいいのかな?この国の将来は色々心配になってきましたよ…
「まぁ、あの人はあの人なりの真実ってやつを求めてんじゃないか?」
「おはようございました」
「…たぶん」
たぶんって…
「それではリヴァル=カルデモンドの法廷を開廷したいと思うが、検察側、弁護側準備は整っているのか?」
というのを聞いてやることはやりそうだなあと思いますよ、ノネットさん。
「そうだろ?」
「え〜検察側準備完了です」
む、検事が何か言ってますよ?
何か冴えない人ですね、あの人なら勝てそうな気がしますよ。
「アイツは扇検事!」
知ってる人ですかノネットさん?
「久しぶりだなノネット弁護士」
久しぶりとか言ってますよ?
「いや…噂だけしか聞いた事はないが、ずいぶん汚い噂しか聞かないぞ例えば…」
じゃあ何で久しぶりって言ってるんですかね?…例えば何ですか?
「記憶喪失の女の面倒をみたからといった理由であんな事やこんな事をしたり、このスレには書けないような事を毎晩したらしいぞ。」
「ちょっと…」
許せませんね!
「さらに自分が目立ちたいからと言って上司を裏切って今の地位にいるというヤツらしい…」
「おいってば」
絶対に許せませんね!
「さらにさらに今では記憶喪失の女は身ごもっているのだ!」
有罪にいや強姦罪で裁きましょう!裁判長もそう思うでしょう?
「死刑だな、絞首刑。」
「双方の同意があってしてるんだ!!!!結婚してるし、愛し合ってるんだからいいだろ!?」
顔真っ赤ですね…あの人冗談通じないんでしょうか?
「まったく空気読めん奴だな、色々な意味で終わってる。」
「全くだ…大体本当にそうなら今ココにいないだろうというのが分からんのか?」
「…アンタ等全員名誉棄損で起訴するぞ!」
裁判長、弁護側準備完了しています。
「では始めようか」
「………」
87 :
羽付き羊:2009/09/25(金) 16:49:35 ID:QTG3UlBV
(睨んでるよ…こっち見ないでほしいね全く。)
「っごほん、え〜弁護人は今回初めての法廷だと聞いたのだが間違いはないか?」
はい、その通りですが…
「依頼人が有罪になるか無罪になるかはお前次第だという事を肝に銘じておけ。」
もちろんです。
「じゃあ初めてという事だから手始めに被告人の名前を教えてもらおうか?」
よし、それならちゃんと調書を読んだから分かるぞ…
被告人は…
…ひ、被告人は…
ありゃりゃりゃ?
ってヤバっ、ど忘れしちゃった…
「ら、ら、ら、ライ、お前ってやつは…」
すいません、色々インパクト強すぎちゃって混乱したみたいです…
でもそんな痛い子をみる様な眼で僕を見ないで下さいよ…
「事件の事は法廷記録、法廷記録はRボタンでいつでも呼び出せるから、それで確認しとけ」
ノネットさんRボタンって何ですか?
「ああ、ここはアドバンスとかDSとかじゃなかったな〜スマン、スマン、ボケていたみたいだ。普通に机の上にあるから見とけ。」
了解しました。ええ〜と、あった、あった。
支えん
89 :
羽付き羊:2009/09/25(金) 16:52:07 ID:QTG3UlBV
被告人の名前は“リヴァル・カルデモンド”時々ラジオネームで“リカルデント”と呼ばれたりします。
「何で知ってんだよ!」
ははは、毎週反逆の山○DXを聞いていたから当然だよ。もはや中毒リスナーさ、
高槻えじゃないか〜♪そじゃないか〜♪ってね
「…それは引いたぞ?ライ…」
そんな眼で見るなよリヴァル…
「…ほ、ほう〜リカルデントとはずいぶん歯に優しい名前だ。よろしい次は被害者の名前を」
(裁判長も少し引いてるし…)被害者の名前はC.C。というかこの人の本名が法廷記録にも残っていないんですが…
「それは大人の事情というものだ。よろしい次に被害者の死因は?」
死亡推定時刻は16:00〜17:00までの間で、死因は鈍器で1発ガツンとやられていますね「よろしい…ところで扇検事?今の弁護人の発言の通り凶器は何だ?」
「凶器はこの《チーズ君》の置物です、死体のそばに転がっておりました。」
「証拠品として提出してくれ」
○チーズ君の置物
とあるピザ屋のマスコット《チーズ君》の形をした置物。
かなり重いし色までしっかり付いているかなり精巧。
「とまあ、こんな風に審理が続いていくと証拠品が増えるんだ。それはお前の武器になるからよく覚えておけよ?」
はい、ノネットさん。
この辺で法廷記録をまとめておくか…
○C.C.の解剖記録
死亡時刻は、7月31日
午後4時以降5時まで。
鈍器による一撃で失血死。(記録自体は8月1日に判明している)
なるほど…まぁ、これだけじゃあ証拠は不十分ですね…
「それは私以外の検事にあたった場合だ…君の依頼人はもう有罪を待つだけなんだよ、くははは!」
…僕は信じる、僕の依頼人は絶対に無実だ、それだけは誰にも譲れない!
「ふふ…その強がりが何時まで持つの…「さっさと被告人を呼べよ、この会話は時間の無駄だ」ぐぬぬぬ…ノネット弁護士!」
「早く呼べ、この犯罪者!」
「そうだ、このジェレミアからも要請する速やかに呼んでまいれ、この犯罪者!」
何で2人とも煽ってるんだ?
「「私もまだ結婚していないというのに…」」
…嫉妬かな?
「俺は犯罪者ではない!何度言ったら分かるんだ!」
「「まだ2回目だ、とっとと呼んで来い!」」
…この2人仲良いな〜
「ぐぬぬぬぬにぃねぇぇ…」
あ〜あ、あんなに歯ぎしり立てて大丈夫かな?
「お前ら3人まとめてこの裁判終わったら起訴してやるぅぅぅ!」
えっ?僕も入ってるの?
90 :
羽付き羊:2009/09/25(金) 16:54:00 ID:QTG3UlBV
そうこうしてる内にリヴァルは証言台に立っちゃってるし…
「君は被害者に最近フラれたそうだね?」
普通に聞き始めたよ、あの極悪検事さん。
「んだと?今世紀最高のカップルに向かって何て事を言うんだ!」
リヴァル。お前に彼女できたなんて誰も知らなかったんだぞ?
「本当だって、ただ最近はこっちから連絡いれても出なくてさ…」
「それを“フラれた”て呼ぶんです。実際彼女は君にあまり会っていないし殺害される前の日も海外旅行から帰ってきたばかりだったんだ。」
「な、なんだって…」
「裁判長。被害者のパスポートです。亡くなる前日までニューヨークにいたようです。」
○パスポート
事件前日7月30日にニューヨークから帰国してきたらしい。
チーズの臭いが半端ないパスポート。何故こんなに臭いが?
「彼女はニートで収入がありませんが彼女には“下僕”がたくさんいたようです」
「げ、下僕?」
「彼女に貢ぐ男たちの事を彼女はそう呼んでたらしいです。」
な、なんて女だ…まるで魔女だな…
「何だって?」
リヴァルの眼を今日は見る事ができそうにないな、可哀想すぎる…
「嘘だ!俺はアイツに罵倒されたり、“童貞坊や”とか“サブキャラ”とか“忍者に生まれ代われ”とか言われてきたけど…」
その時点で付き合ってるのがすごいよ…
「俺が“ピザ”を作った時は『お前のピザはなかなかだな』って言って食べてくれたんだ!…俺の金で」
それはカモられているというのでは?
「…被害者のC.C.はそういう人間だったって事だ。君は彼女についてどう思うかな?」
「ちぃ…狡い手を使いやがって、ライ、この質問に答えさせたらややこしい事になるぞ?」
そうですね…リヴァルのヤツはたぶんこう言いますね
「「死んでやる…もう、死んでやる!天国でアイツを問い詰めるんだ!」」ってぐらいに言うんじゃないで…もう言っちゃいましたね
「もうダメかもな…」
「…では、審理を続けようか。」
裁判長…あっちに傾いてきてるよ…
「まぁ被告の動機は分かってもらえたと思います。」
「…うむ」
とほほほ…
「それと事件当日君は彼女の部屋に行っているね?」
「行ったよ?だから何?」
ざわざわざわ…
「静粛に!」
何で木槌じゃなくて仮面で叩いてるんですか?
「さぁ?気分じゃないのか?ときどきはちゃんと木槌だしな」
そんなんでいいんですか?この国ヤバいかもしれませんね…
91 :
羽付き羊:2009/09/25(金) 16:56:17 ID:QTG3UlBV
「それで?貴公は?」
「ただ留守で会えなかったんだよ…結局…」
“異議ぁりぃ”
(何かイマイチ迫力にかけるな…)
「裁判長。彼は嘘をついております。我々には今のウソを立証する証人がいます。死体の発見者です死体を発見する直前に殺人現場から出てくる被告人を目撃しているのです!」
ざわざわざわ…
「静粛に!静粛に!今すぐその証人を呼んでまいれ!」
「はい。現場の第一発見者のバドレー・アスプリウスさんを入廷させて下さい。」
何だ?…どっからどうみてもあっちの人の方が怪しくないか?クネクネしすぎだし何より明らかにヅラ!何を考えてるんだ?いくらなんでもヅラが波平さんVer.はおかしいだろ!
「アナタが宗教団体“嚮団”の勧誘のバドレーさん?」
「は、はいさようでございますよ。」
「では、さっそく証言を言ってもらおうかね?」
な、何故誰も突っ込まないんだ?明らかにヅラだよ!上下10p以上髪が浮き沈みしてたら誰だってわかるだろう?
…もういいや、見なかったことにしよう…
<証言開始>
〜事件の当日目撃したこと〜
勧誘していたらとある部屋から男がでてきたんです。何か慌てていてドアを半開きにしたまま部屋を出て行きました。
おかしいと思って、ちょっと部屋を覗き込んでみたんですよ。
そしたら女の人が死んでいてね…それを見て私は恥ずかしながら腰を抜かしてしまいまして部屋に入れなかったんです。
私はすぐに警察に連絡を取ろうと思ったんですが…
彼女の部屋は電話が通じなくて近くの公衆電話から連絡したというわけです。
時間ははっきり覚えています午後2時でした。逃げた男は間違いなく被告の人です。
「なるほどな…」
(何か少し引っかかるワードがあったな…まさか本当にこの人が?)
「ところで何故現場の電話が通じなかったのだ?」
「現場はその時間は停電中でした。電話は停電中でも通じるんですが種類によっては子機は使えないんです。」
「つまり…現場はそのタイプの子機だったということだな…」
「はい、一応証拠品として提出します。」
○停電記録
事件当日の午後1時から6時頃まで、現場のマンションは停電だった。
因みにマンション名は“アーカシャの剣”らしい。
「では弁護人、“尋問”を」
じ、“尋問”ですか?
「ライ、こっからが本番だぞ。」
…あの尋問ってどうすればいいんですか?
「今の証言の“ウソ”を暴くんだ、もちろんな…」
つまり僕の依頼人が無実ならウソをついているのはあっちの方ということですね?でもどうやって?
「鍵を握ってるのは“証拠品”だ。“証言”と“証拠品のデータ”の間に決定的な食い違いすなわち“ムジュン”があるはずだ。それを突きつけろ!」
了解です。あの部分ですね…
92 :
羽付き羊:2009/09/25(金) 16:58:31 ID:QTG3UlBV
<尋問開始>
〜事件当日目撃したこと〜
バドレーさん、アナタは死体を発見したのは“2時”で間違いはありませんか?
「ええ、2時ですよ。それがどうしたんですか?」
それはおかしいですね…扇検事も分かるでしょ?
「ん?何がおかしいんだ?」
(あの顔は本当に分かってないな?どんだけ〜)
解剖記録のデータと明らかにムジュンしてるんですよ。被害者の死んだのは“午後4時より後”なんです。2時に死体を発見するのは絶対に不可能なんですよ。
どうして2時間もズレてるんでかね?
「……!それは…あの、」
(油汗まみれだな…やはりアイツがリヴァルを…)
“異議ぁりぃ”
「それは、些細なことですよ。単なる記憶違いでして…」
「私にはそうは思えんな、バドレー、どうして死体発見したのが2時だと?」
「…ええと、その、何というか…」
「見事なツッコミだぞ、ライ!そうやってムジュンをどんどん指摘していけばいいんだ。ウソは必ず次のウソを生み出すはずだ。そのウソをまた見抜いて、アイツを追い詰めろ!」
リヴァル、お前の無実を証明してやるからな…待ってろよ
「…あっ!そうそう、思い出しました!」
「ならもう一度“証言”してもらおうか?」
<証言開始>
〜死体を発見した時間について〜
死体を見つけた時、時間が聞こえてきたんです。あの音、時報みたいな感じでした、たぶんテレビだったかと。
でも、時報にしては2時間もズレがあったんですから被害者の方はビデオをみていたんじゃないですか?
それを聞いて勘違いしたのでしょね…どうもご迷惑をおかけしました…
「では弁護人、“尋問を”」
<尋問開始>
バドレーさん、テレビの音があの時聞こえたんですか?
「ええ、そうだと思います。」
また勘違いをしておられますね、そもそもマンションは“停電中”だったはずですよ?
証拠品の停電記録がそれを証明しています
「…?」
あの日は電化製品が使えるワケないって事ですよ!
「んにゃ!?」
今、一瞬ヅラが宙を舞ったぞ?
「バドレーよ、最初からちゃんとした証言をなぜ言わぬ?」
「ええと、何分死体をみたショックから気が動転したみたいで…すいません。」
いや、やつは絶対に何かを隠している。そうじゃなければここまでムジュンが続くはずがないんだ。
「…次からは真実だけを話せ、そうでなければお前を信じる事はできなくなるぞ…」
「は、はい…」
93 :
羽付き羊:2009/09/25(金) 16:59:42 ID:QTG3UlBV
<証言開始>
〜時間を聞いたことにつき〜
「やっぱり、“見た”んじゃなくて“聞いた”んでした。現場には時計があったじゃないですか。ほら犯人が使った凶器のあれです…」
“待った!!”
ちょっと待ってくださいよ。“凶器”はこの通り置物ですよ?このどこが時計なんですか?
「ハンゲぅぃっぁ!!」
(今、完全にズラが宙を舞ったな…)
「何ですか…さっきから偉そうにベラベラ喋って、あれは時計なんですよぉ。間違いなく…」
「裁判長、ちょっとよろしいでしょうか?」
「何だね?扇検事」
「この置物は、証人の言うとおり実は置き時計なんですよ。首がスイッチになって時間をアナウンスするタイプです。時計には見えないんで<置物>として提出したんです。」
「なるほどな…ライよ、これでもう問題点はないか?」
問題だらけですよ…この証言こそがバドレーさんが真犯人だったという決定的な証拠です!
「「「何!?」」」
その置物が時計だということは実際に手をとってみないと分からない…しかし証人は“部屋には入っていない”と証言しているんです。これは明らかにムジュンしている!
「なるほど…」
なぜこれを証人が知っているか、それは事件当日、部屋に入ったからだ!
「な、なんだって、し、知らないぞ私は…」
アナタが殴ったんだろ?これで被害者を!彼女を殴った時にこの時計が鳴った、アナタはその音を聞いたんだ!
ざわざわざわ…
「静粛に!…おもしろいな…続けろ」
バドレーさん、アナタはかなり驚いたんでしょうね…だって被害者を殴った瞬間、置物が急に喋りだしたんですからね…
その声が強烈に印象に残った…だからアナタはその時計だけをはっきり覚えていたんだ。その時間と一緒にね…
“異議ぁりぃ”
「な、な、な、何を言ってるんだ君は?そんないい加減な事を言わないでくれ!」
いい加減?…僕の推理がいい加減ではない事は証人の顔とズラを見たら一目了然ですよ。
「ぬぐぐぐぐぐ…」
ズラが宙に浮いてるってどんな原理なんだよ…
「どうなんだ?証人?」
「私が聞いたのは…いや見たのは…うぐぐ…ぬぉぉ!」
ペチャ
ズラをコッチに投げないで下さい…いやマジで…
「るっせんだよ!細けぇ事を愚だ愚だ言いやがって、アイツが犯人なんだよ!さっさと有罪を食らわしやがれ!死刑だ!ぶっ殺せ!」
ざわざわざわ…
「静粛に!静粛に!」
「裁判長、今の弁護人には何の根拠もありませんよ!?」
「ライ、証人が聞いたという時報がこの時計だったという証拠はあるのか?」
そんなのは簡単な事ですよ、この場で時計を鳴らせばいいんですからね。裁判長、その時計をお貸しください。
しえん
95 :
羽付き羊:2009/09/25(金) 17:02:07 ID:QTG3UlBV
いいですか。…よ〜く聞いてください。ポチっとな。
《マルゲリータ!9時25分だチーズよ。朝食にはピザだよね?》
「な、何というか…変なアナウンスをする時計だな…」
…まぁ、チーズ君ですからね(こんなキャラ設定だったのか、チーズ君…)
「で、これがどうかしたのか?」
扇検事、今の本当の時間は何時ですか?
「11時25分……ぬあっ!!」
2時間、遅れているんですよ。この置時計はね…そう殺人現場で、バドレーさんが…いや真犯人が聞いた時刻と同じく、ね。
さぁどうですか?言い逃れできますか?
「…へ…っへ、っへ!!アンタ、1つ見逃してるよ!」
(?何がだ?)
「その時計が、事件当日にも遅れていたかどうか。その証拠はあるのか?」
(く…そんな事どうやっても証明できないぞ…クソッ!あと一歩だったのに…)
「ライ、貴様はそれを証明できぬのか?」
……
「ならばこれでバドレーの尋問を終わらせなければならないな…」
「へっ!ヒトがわざわざ証言しに来たっていうのに、犯人よばわりかよ!全く弁護士ってのはクズ野郎だな!」
(クソっ!…ハゲめ!…すまない、リヴァル…もう少しだったのに…僕にはもうどうしよもない…)
“待った!!”
「ちょっと待て、バドレー・アスプリウス!」
の、ノネットさん…
「ライ、ここであきらめたらダメだ…考えろ!」
でもどうしたら?事件があった日に、時計が遅れていたなんて分かるわけが
「そうだな…ならいっそのこと発想を逆…ゴホン、発想に反逆するんだ!」
ノネットさん、今少し間違えましたね?これ一応は反逆裁判なんで、その辺よろしくお願いしますよ?
「う〜む、本家の方のセリフは全部入ってるんだがな〜、しかも次回は私は死ぬし…」
まぁ、その辺は何とかなるかもしれませんから、指で机に“の”の字を書かないで、ね?
「もう台本貰ったもん、私どうせ死ぬもん…」
大丈夫ですよ、その代わり人気は鰻上りですし逆にそっちからの活躍はミツル…ごほん、ルルーシュより活躍しますから、ね?
「出番減らない?」
ええ!
「人気出る?」
もちろん!
「ならいいや、では気を取り直して…発想に反逆するんだ、何故“時計が事件当日に2時間遅れていたか”ではなく、そもそも何故あの時計が“2時間も遅れていたのか”とその理由を考えてみるんだ!」
…!
「分かるか?」
はい!それなら分かります、この証拠品ですよね?
「どうなんだ、ライ、何故事件当日、2時間時計が遅れていたのか証明できるのか?」
…もちろんですよ
「できるもんならやってみろ!」
お前のそのふざけた感じもこれまでだ、だが…いい加減ズラを元に戻したらどうなんだ?
そう…本編までにな!
…続けばいいのに…
96 :
羽付き羊:2009/09/25(金) 17:02:59 ID:QTG3UlBV
“待った!!”
「俺の出番はないままなのか?こんな服まで着てスタンバッてたんだぞ?」
ないっぽいね。まぁその赤い服が似合っているから、いいんじゃないか、ルルーシュ?
「ぶぅはははははは!!私など次回作があっても出番がないんだぞ?」
仕方ないじゃん、そこまで行くと面倒なんだってば…
「私に至っては、シリーズ通して自分が役に立つシーンがあまりない。ずっとライと一緒にいれるから十分だけど…」
まぁアーニャは原作に共通点があるしね…(乗り移られただけだけど…)
「何よ、私なんか次回のシリーズの鞭持った検事役なのよ?しかも縦巻きロールの娘役なのよ?冗談じゃないわよ!」
そのツンデレ加減で選ばれたんだよ…カレン(ほとんどツンのところね)
「仮面の検事役は私か?このビスマルクでいいのか?そうなのかライ?」
…さぁ?因みに3までしか僕ネタ知りませんよ?
さて楽しんでくれました?この物語が続くにしろ終わるにしろ僕が主人公には変わりありません。今後ともロスカラをライをお願いします。
“異議あり!!”
「「「「「まだ話は終わってない!」」」」」
却下です。その異議は認められません。
“待った!!”
「ちょっと待て、私は殺されたままなのか?」
…で、ではまたの機会に、さようなら〜
「待て話は終わって…」
GAME OVER
→to be continued?
97 :
羽付き羊:2009/09/25(金) 17:03:52 ID:QTG3UlBV
まぁネタなんですが、ネタなりに楽しんで頂けたら嬉しいです。さて需要があれば続きを書こうかなとも思ってますが、あまりにネタなのでたぶん続かないでしょうね…
ちなみにオチは公式のお試しのやつです。うろ覚えなんで適当ですが…
逆○裁判ネタたっぷり入っているんですが、知らない人でも楽しんで頂けるのがネタだと思ってたりするんで、知ってたら10倍面白いとかそんな感じだといいな…
ストーリー的には逆裁の台本をアレンジした物をアドリブを含ませながら演じるって感じです。
駄文に付き合ってもらって感謝です。
反逆者の願いの方は構想できてるけど表現力足りんので書き溜めして文章の肉付けをしている状況ですのでまだまだ時間がかかりそうですが、まぁ今年度には次回分はできるかなとおもいます。
ではまたの機会に…
>>97 羽付き羊卿、GJでした!
昔やった体験版を思い出しながら読みました、矛盾がボロボロと出てくる様が懐かしい。
というか >殺されたままなのか? 当たり前だろうwwwww
次の投下もお待ちしております!
>>97 乙です!
コメントが無くてすみません
それでも次の投下をお待ちしています
みなさん投下、乙でした。
いくつも読めて嬉しい。
>59
ページ更新しました。
「ぎあすっ!!」はもふもふさんのページに組み込みましたが
名無しでの収納の方が良ろしければ
wikiのスレッド掲示板等でご要望いただければ幸いです。
皆さん、投下乙でした。ここんとこ投下が続いてますね。
5分後くらいに、投下します。短いお話なので、支援なしでも大丈夫だと思います。
こんばんは、それでは投下します。
作者:余暇
タイトル:ゼロ、満開!
(注意)
・カッコいいゼロが好きな方、すみません。
・割とカオスだと思います。
『ゼロ、満開!』
「はぁ〜い、探したわよ」
ある時、僕はアジトの中でラクシャータに声をかけられた。彼女の隣には、ゼロもいる。
「やあ、二人して僕に何か用事か?」
「うむ、ライにぜひ見て欲しい物がある。すぐに私の部屋まで来て欲しい」
「見て欲しい物?ゼロ、それは一体何なんだ?ラクシャータが一緒ということは、新型ナイトメアか新しい武装の図面かな。特区ができて戦争も収まってきたのに、本当に研究熱心だな」
僕がそう予想を立てると、ラクシャータがニッと笑う。
「フフ、残念ねぇ。悪いけど今回は、そっちじゃなかったのよぉ。まっ、ナイトメアの研究の片手間に、ゼロに頼まれて作った物なんだけど」
「へえ、そうなのか。何を作ったのか興味はあるな」
一体ゼロはラクシャータに何を頼んで、そして彼女は何を作ったんだろうか。
「まあ、一種の娯楽のようなものだよ。君も、そのつもりで気楽に見てもらえればいい。では行こうか」
僕はゼロやラクシャータと一緒に、彼の部屋へと向かうことにした。
そしてゼロの部屋に着くと、早速彼がラクシャータに指示を出す。
「よし、ラクシャータ。早速だが例のアレを」
「はいはい、せっかちな人ねぇ」
そしてラクシャータは部屋の隅へ行くと、一つの小さな球体を持って戻ってきた。
「私が作ったのは、これよぉ」
「……え、これって花の球根か?しかも、真っ黒じゃないか」
そう、僕が見せられているのは何かの植物の球根だった。しかも腐敗しているのかと勘違いするほど、黒い色をしている。
「うむ、私が彼女に頼んだのは、とある花の品種改良なのだよ。球根が真っ黒なのは改良を重ねた結果であり、決して腐敗などではない」
「花の品種改良だって?どうしてまた、そんなことを?」
僕が尋ねると、ゼロはポーズを決めながら答えた。
「よく聞いてくれた。特区日本が軌道に乗り、少しずつ平和がこの地に戻ってきた。だが特区を運営するには、何かと費用もかかるのは君も知っているだろう。
そこでだ、ゼロに関する斬新なグッズを大々的に世に売り出し、費用の足しにすることを決めたのだ」
「ざ、斬新なゼログッズ?もう少し普通の収入源は考えられなかったのか?」
するとゼロは、また別のポーズを決めながら話し始めた。いちいちポーズを決めないと話せないことなのか?
「ふっ、自分で言うのもおこがましいが、ゼロの人気は意外と高いのだぞ。それこそ上昇カーブ一直線だ!」
「カーブなのか直線なのか、どちらかにしてくれ。まあとにかく、この球根をどうやって売り込む気だ?何か人気が出るような、面白い特徴でもあるのか?」
するとゼロが、マントをはためかせて言った。
「愚問だな、ライ。当然用意してあるさ、ラクシャータ!」
「了解〜」
ゼロに指示されたラクシャータが、土の入った植木鉢を持ってきた。僕は一体、これから何を見せられるのだろう。
「この球根だけど、みんなが『あっ』と驚くような特徴があるのよ。それをアンタに今から見せてあげるわぁ。まずは、球根を土に植えてっと」
「ふむ、土に植えるのは一緒なんだな」
「そして、お水をたっぷりあげるっと」
土の中に植えた球根に、ラクシャータがじょうろで水を与えていく。
「ラクシャータ。一体、この植物の特徴って何なんだ?まさか、すごく成長速度が速いとか?」
するとラクシャータが、ニヤッと笑ってみせる。
「いい所を突くわねぇ。そう、答えは……」
そう言ったラクシャータが、突然どこからかミニコンポを出してきた。そして一枚のCDをセットする。
「それじゃあ、ミュージック・スタートォ」
ラクシャータがスイッチを押すと、何やら軽快なメロディが聞こえてきた。だが何故だろう、この歌詞はどこかで聞き覚えがあるんだが。
「あの、この歌詞ってブリタニアでの式典か何かをテレビ中継している時に、聞いたような気がするんだが」
「ご名答ぉ、これはブリタニア国歌・ヒップホップヴァージョンよぉ。歌っているのは、最近デビューしたコルチャックwith不愉快な手下たちで……」
「ヒッ…ヒップホップ!?いいのかそれ、僕が気にすることじゃないけど。ていうか、そこは『不愉快な』ではなく『愉快な』にした方が…って!?」
僕は鉢植えに起きた異変に気づき、声を上げた。何と曲に合わせて、土の中から芽が出てくるではないか。
「ど、どういうことだ!」
「音楽のリズムに合わせて、自由に成長速度を変えられる。これが、この植物の特徴よぉ。面白いでしょ」
「お…面白いというか、むしろ不気味だぞ。何故か髪が勝手に伸びてくる、呪いの人形を想像してしまったぞ」
するとゼロが、抗議の声を上げる。
「失礼な男だな、私がせっかく提案したアイデアを、そのように評価するとは」
「って、君のアイデアだったのか!?しかし、これはさすがにシュール過ぎだろう」
「私もライの意見に同意するわぁ。自分の技術力を見せたいからあえて黙っていたけど、こんなのがニョキニョキ生えてきたら、小さな子供が泣かないとも限らないわよ?」
「んなっ!?ラクシャータ、君が以前私のアイデアを褒めてくれたのは、あれはウソだったと言うのか!」
ショックを受けたらしく、ゼロが頭を抱える。まさか共同開発者からこんなことを言われるとは、思いもしなかったろうな。
しかしラクシャータも、「開発前に指摘してやる」という選択肢はなかったんだろうか。今さら本音を言われても、余計にショックなだけだと思うのは僕だけだろうか。
「しかし…葉っぱも茎も全部真っ黒というのは、ゼロのグッズだからわからなくもないが、何となく縁起が悪そうだな」
「くっ、人が気にしていることを……。だがきっと、受け入れてもらえるはずだ!」
「あ、一応気にはなっていたんだな」
そんなことを話しているうちに、ブリタニア国歌・ヒップホップヴァージョンが終わった。そして植物はというと、これまた真っ黒なつぼみが、今にも開きかけている。
「五分もかからず、こんなに成長してしまうのか。ますます不気味だ」
「う、うるさい!さあ、もうすぐ花が咲くぞ」
僕たち三人が見つめる中、ついにつぼみは開いた。そしてその瞬間、僕は信じられない現象に遭遇することとなる。
『我が名は、ゼロ!』
「えぇっ!?は、花がしゃべった!」
ゼロの仮面に似た形の真っ黒な「ゼロの花」が咲いた瞬間、何とそれが言葉を発したのだ。当然僕は動揺し、頭の中が混乱してくる。
「フフッ、驚いたでしょ?この花はねぇ、何とゼロの言葉が話せちゃうのよ。それがもう一つの特徴にして、最大の売りなのよぉ」
「ラ、ラクシャータ。『売り』とは言うが、これは予備知識と心の準備がなければ、お年寄りだと体に響きそうだぞ。おもちゃじゃない限り、誰も花がしゃべるなんて思わないぞ」
「あら、仙波大尉はこれを見ても、『面白いものですな』とか言って笑っていたわよ?だからアンタが心配しなくても、大丈夫なはずよぉ」
「もう他の人で試したのか。ていうか、大尉で試しても一般の人との精神的強さが違い過ぎて、参考にならない気がする。あの人がどれだけ修羅場をくぐってきたと思っているんだ」
勝手に仙波大尉をお年寄りに分類しながら、僕はラクシャータに問題点と思ったことを指摘した。大尉には、後でそれとなく謝っておこう。
「ハハハ、この『ゼロ・チューリップ』の仕掛けに驚いているようだな」
「自分の仮面が、チューリップに似ているという認識はあったのか……」
ゼロが得意そうにポーズを決めながら、僕に話しかけてきた。
「だがこれで終わらないぞ。この花は、他にも言葉を話すのだよ」
「えっ、まだあるのか」
驚く僕をよそに、ゼロはチューリップに触れた。するとゼロ・チューリップが声を上げる。
『条件はすべてクリアされた!』
「よりによって…いや、何でもない」
ゼロのプライドを考えて、僕はあえて何も言わなかった。せめて、この企画が失敗しないように祈ってあげよう。
「フッ、最早言葉もないか」
「ああ、色々な意味でな。しかし、これをどう具体的に売り込むんだ?これは花屋というより、おもちゃ屋で売るべきなのか」
するとゼロが、またしてもポーズを決めながら言った。
「うむ、方法なら決まっているぞ。名づけて『百万本のゼロをあなたに』作戦だ!」
「ひゃ、百万本!?そんなに売り込む気なのか」
「そうだ。こいつを全世界に売り込み、資金を稼ぐのだ。そして見せてやろう、私が売り込む、忠実な花たちを!」
ゼロが高らかに宣言すると、懐からスイッチを取り出し、そのボタンを押した。
すると四方を囲んでいた部屋の壁が、まるで箱を解体した時のように外側に向かって倒れ、無数のゼロ・チューリップが三人を囲むようにして出現する。
『『『『我が名は、ゼロ!!』』』
「う、うわぁあああ!何だよこのチューリップ畑は!?ていうか、壁!壁が!」
頭の中が完全に混乱している僕をよそに、ゼロが話し始める。
「どうだ、この漆黒の花畑は!まさに壮観だろう!」
「まっ、待ってくれ!どこをどうツッコんだらいいかわからなくて、頭の中がグチャグチャだ!」
「なぁるほどね〜、ライの頭の中がお花畑寸前ってことかぁ」
「待て、ラクシャータ!まだ思考回路まで放棄はしていないから!ていうか、何故平然としていられるんだ!」
頭の中を必死に整理しながら、僕はラクシャータにツッコむ。
「だってぇ〜、これは私が作ったのよ。製作者が自分で作った物を見て動揺して、どうするのよ」
「くっ、理由が当然過ぎてツッコめない!」
何が何だかわからない僕の意識は、次第に白いモヤがかかってきた。思考を手放す時は、近いのかもしれない。
「喜べ、ライ。いつも帳簿を見てため息をつくお前の力に、もうすぐなってみせるぞ。私のカリスマ性と、この『ゼロ・チューリップ』の力でな!フハハハハハ!」
『『『フハハハハ!!』』』
百万と一人分のゼロの高笑いを聞きながら、僕の頭は思考を停止しようとしていた。
(ああ、悪い夢なら覚めてくれ。ていうか、そろそろ起きなきゃ。……え?起きる?起きるって――)
「うーん、うーん……はっ!?」
アジトのラウンジにあるソファの上で、僕は飛び起きた。仰向けになっていたせいか、背中が汗で濡れている。
「ゆ、夢かぁ…良かった。そう言えばさっき、疲れていたからソファの上で少し寝ようと、仰向けになったんだっけ。しかし、本当にとんでもない夢だった」
心の底から安どしながら、僕は床に足を下ろす。もうあんなカオスな夢は、二度と見たくないものである。
「はぁ〜い、そこにいたのね。探したわよぉ」
するとそこへ、ラクシャータとゼロがやってきた。あれ?何か既視感が。
「どうした?二人して僕に何か用事か?」
頭の中に引っかかるものを覚えつつ、僕は二人に尋ねる。するとゼロが声を発した。
「うむ、ライにぜひ見て欲しい物がある。すぐ私の部屋まで来て欲しい」
(ちょっと待て、思い出したぞ。これって、さっきの夢の展開と同じじゃないか)
僕は少しずつ嫌な予感を胸の中で膨らませながら、一応尋ねてみる。
「見て欲しい物?ゼロ、それは一体何なんだ?ラクシャータが一緒ということは、新型ナイトメアか新しい武装の図面かな。特区ができて戦争も収まってきたのに、本当に研究熱心だな」
期せずして、夢の中と同じセリフを僕は口にした。するとラクシャータが、ニッと笑いながら言う。
「フフ、残念ねぇ。悪いけど今回は、そっちじゃなかったのよぉ。まっ、ナイトメアの研究の片手間に、ゼロに頼まれて作った物なんだけど」
(ま、まずい。ラクシャータのセリフまで夢の中と一緒じゃないか。いやいや、僕が気にし過ぎなんだ。そうだ、そうに違いない!)
僕は頑張って前向きな心を保つと、二人に言った。
「そ、そうなのか。何を作ったのか興味はあるな」
興味があるのは間違いない、怖いもの見たさとか色々な意味で。
「まあ、一種の娯楽のようなものだよ。君も、そのつもりで気楽に見てもらえればいい。では行こうか」
(ああ、正夢じゃなきゃいいなあ。さっきみたいに壁が倒れて百万本のゼロとかは、一応心の準備はできたがシュール過ぎる……)
僕は大きな不安を抱えながら、二人と一緒にゼロの部屋へと向かったのであった。
結論から言おう。ゼロの部屋で僕が見せられたのは、何と僕の愛機・試作型月下をモデルにしたボブルヘッド人形だった。触ると頭の部分がコミカルに揺れる、あのおもちゃのことだ。
実は黒の騎士団の女性団員たちの間で、僕及び試作型月下の人気が高まっているらしく、それを知ったゼロが、彼女たちのやる気向上のためにラクシャータに作らせていたらしい。
ちなみに僕はその事実を知った時、安心し切ってしまって思わず床にへたり込んでしまい、不思議がった二人に夢の話をして、大笑いされてしまったのであった。
以上で終了です。
>>108 投下お疲れさまです!最後辺りの文を見て安心してしまったのは俺だけではないはずw
ゼロ・チューリップなんてディートハルトしか買わないような気がw
次回のあなた様の投下を全力でお待ちしています
>>108 投下乙!一面真っ黒な花だらけw
たしかにこれは怖い
次の投下を待っています
>>108 余暇卿、GJでした!
喋るゼロチューリップだと!? ……欲しい……
何気に「上昇カーブ一直線」がつぼに入ったwwwww
試作月下の人形も欲しいけどな!
次の投下を全力でお待ちしています!
こんばんわ。前作の続きを投下します。
【メインタイトル】コードギアス 反逆のルルーシュ L2
【サブタイトル】〜 TURN04 太平洋奇襲作戦(前編)〜
【 CP 】無し
【 警告 】●根幹は黒騎士ルートを準拠してのR2本編介入ものですが、展開の所々にオリジナルな設定と話が混ぜ込んであります。
●王様ライの性格は自分の考えに依存してます。苦手な方はご注意下さい。
それでは、投下行きます。
夜の帳が落ちたエリア11。
その闇夜にライトアップされた政庁が浮かんでいる。
ルルーシュは学園の屋上でその光景をただ無言で見つめ続けていた。
そんな彼の背後にはスザクが居た。
しかし、ルルーシュはスザクと向き合おうとしない。いや、今向き合う事は出来ないと言う方が正しいだろう。
ルルーシュの表情には隠しきれない程の苦悶と憎悪の色が浮かんでいたのだから。
原因は単純明快。
スザクは携帯片手に先程までルルーシュが会話していた人物、ナナリーと話しているからだ。
自分を売った男が何食わぬ顔をして最愛の存在と会話をしている。
幾らルルーシュと言えども、お得意のポーカーフェイスを貼り付ける事は不可能だった。
唯一の救いと言えるのは、スザクと話しているナナリーの声がルルーシュには聞こえない事だろうか。
ルルーシュは手摺に凭れ掛かり視線を落とす。そして、今度は心此所に有らずといった様子で中庭で行われている舞踏会を見つめた。
一方、スザクはそんなルルーシュの背中にチラリと視線を送った後、通話口から聞こえるナナリーの声に耳を傾けた。
『すいません。スザクさん』
「こっちこそごめん、ナナリー。変な期待させちゃったみたいで……」
ナナリーという単語にあらん限りの力で手摺を握りしめるルルーシュ。だが、背中が死角となりスザクがそれに気付く事は無かった。
『いえ、雰囲気が似ていたので驚いてしまって……あの……』
「何だい?」
言葉に詰まるナナリーに向けて、スザクは柔和な声色で問うた。だが……。
『学園の皆さんはお元気ですか?』
「っ!!」
返って来た問いにスザクは絶句した。すると、返答が無い事が余程不安だったのか通話口より響くのは震えるようなナナリーの声。
『スザク…さん?』
「えっ!? あぁ……うん……元気だよ」
『そうですか。よかった…よかった…』
依然としてナナリーの声は震えたまま。しかし、そこに先程までの不安の色は無い。
彼女が心の底から安堵している事が分かり、スザクは唇を噛み締める。が、今の彼の表情を知る由も無いナナリーは――。
『それでは来週エリア11で』
「うん」
『お会い出来る日を楽しみにしていますね』
待ち遠しさを隠しきれない様子で、やや高陽した口調と共に会話を切り上げた。
ナナリーとの通話が終わるとスザクは携帯を制服のポケットに仕舞い込む。
一方、漸く悪夢が終わりを告げた事に安堵したルルーシュは、気取られぬよう軽く一息吐くと振り向いた。
その顔に先程までの苦悶の色は無かった。仮面を貼り付けたルルーシュが問う。
「終わったか? スザク」
「終わったよ。ルルーシュ」
そう告げるとスザクはルルーシュの傍らまで歩み寄る。
ルルーシュは近づいて来るスザクに向けて極自然な笑みを浮かべてみせた。
「それじゃあ、行こうか。主賓が居ないままだと会長がふて腐れるぞ?」
「そうかな? 結構楽しんでるみたいだけど……分かったよ」
手摺より少し身を乗り出して中庭を見たスザクが苦笑すると、ルルーシュもそれに習う。その時、二人の視線が交差した。
目が合った彼等は互いに釣られるかのようにどちらとも無く気恥ずかしそうな笑みを浮かべると、肩を並べ出口に向かって歩き出した。
傍目に見れば、その光景は如何にも仲の良い友人同士だと映るだろう。
だが、彼等の間にはお互い一年前には想像も出来なかったような……深い谷が広がっていた。
――――――――――――――――――――――
一見、庭園かと見紛うばかりに花が咲き乱れる一室。
その部屋の中央に彼女、ナナリー・ヴィ・ブリタニアは居た。
彼女の表情は芳しくない。ナナリーには3つの懸案事項があったからだ。
一つは言わずもがな、兄であるルルーシュの行方。そしてもう一つは学園メンバーの安否だった。
皇族として復帰したナナリーは、それらを調べる術を持ち得なかった。何故か。
ブラックリベリオン以降、父である皇帝シャルルに彼女は学園との接触、その一切を禁じられていたからだ。
それでも気になったナナリーは皇族への復帰もそこそこに訪ねて来たシュナイゼルへ真っ先に相談したが、逆にルルーシュの捜索はアッシュフォード家の立場を危うくするとの指摘を受けてしまう。
そのような事を言われてしまえば心優しい彼女が動ける筈も無い。
ナナリーはこの一年ただひたすらに兄や学園の仲間の安否を気遣う事しか出来なかった。
だが、ここに来てルルーシュの無事はナナリー本人によって確認された。
本来なら彼女にとって何よりも喜ばしい事の筈。が、ナナリーの表情は優れなかった。
それは単(ひとえ)にルルーシュから告げられた頼み事の真意と、その後のスザクの態度に起因する。
それらが新たな懸案事項として燻る事となったからだ。
――お兄様……スザクさんは嘘を吐いてるのかしら?
ナナリーは一人思考の海に沈む。が、未だルルーシュの真意は分からず仕舞い。
出口の見えない迷宮に迷い込みそうになったナナリーは、ひとまず残りの懸案事項へと思考を切り替えた。
――学園の皆さんは元気……良かった。本当に……。
スザクから告げられた言葉を胸の内で反芻した時、ナナリーはやっと表情を和らげた。
と、同時に最後の懸案事項も霧散していった。
最後の懸案事項。それは、突如として現れた新しい異母兄、ライ皇子に関する事だった。
学園での記憶を奪われたライは一年近く前、皇族としてオデュッセウスを始めとする他の皇族達と顔合わせをしていた。
そこにシャルルの意図があったのかは定かでは無いが、復帰したばかりのナナリーはその場には呼ばれなかった。
8年近くも他の兄姉とは疎遠となっていた彼女をオデュッセウスやシュナイゼルは快く迎え入れたが、対するギネヴィアやカリーヌはナナリーを疎ましく思う傾向が強く、会話らしい会話を交わしていない。
特にカリーヌは殊の外ナナリーを毛嫌いしており、久方ぶりの再会であるというのに陰湿な言葉を浴びせた程だ。
結果として、その事をナナリーに知らせたのはオデュッセウスだった。
当初、その名を聞いたナナリーは大層困惑し執拗に問うたが、オデュッセウスが知っているのは容姿程度で詳しい事は一切知らされていなかった。
しかし、余りにも執拗に問うナナリーに困り果てたオデュッセウスは「何れ会う機会もあるだろうから、その際に尋ねてみるといいよ」と窘めるとその場を後にしてしまう。
困ったナナリーはシュナイゼルにも同じ事を問うたのだが、シュナイゼルに至っては「彼の事は放っておこう」との一点張りでライに関する情報は一切引き出せなかった。
初めて見せるシュナイゼルの頑な態度を若干不思議に思いつつも、ナナリーが次に訪ねたのは警護担当として赴任してきたアーニャだった。
が、アーニャの答えはオデュッセウスのものとそう大差が無かった。
その為、最後にナナリーは藁にも縋る思いでアーニャと同じくその場に居たというスザクに尋ねた。
だが、スザクは「殿下は彼とは別人だ」と断言してしまう。
スザクの発言は嘘と言えば嘘になるが、聞きようによっては真実とも言える。あのライはライでは無くライゼルなのだから……。
ナナリーはその時のスザクの悲しそうな口振りが気になりつつも、やっと安心する事が出来た。
そうして、やっぱり有り得ない事だった、同名の別人なのだとの結論に至った。
至ったのだがそれでも妙な胸騒ぎが消える事は無く、それは彼女の心を燻り続けた。
その結果、近いうちに会って自分自身で確認すればいいと己に言い聞かせたのだが、彼女の思惑とは別に二人は終ぞ出会う事は無かった。
ナナリーは先程のスザクの言葉を今一度反芻する。
そして、その中には当然ライも入っているのだと思った。いや、思い込んでしまった結果、ナナリーの懸案事項は一つとなった。
但し、その事で彼女の気が楽になる事は無い。
彼女にとってルルーシュの真意が分からない事は何よりも心苦しいのだから。
しかし、今はそれよりも重要な事が有るのをナナリーはまだ知らない。
暴君と化したライが今この時、銀色の仮面を被りカリフォルニア基地を騒がせていたという事を……。
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コードギアス 反逆のルルーシュ L2
〜 TURN04 太平洋奇襲作戦(前編)〜
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機情の長を出迎えるべく、左右に分かれた兵士達が居並ぶメインターミナル。
当初、そこに現れたカリグラの姿を見た兵士達は、ゼロを彷彿とさせるその容姿に慌て蓋めいた。
が、幸いにも到着前に皇帝の身辺警護を司る特務総督府より連絡が入っていた為、警戒こそすれカリグラを拘束しようという動きは無い。
尤も、彼に対してそのような行為に及べばこの場に居る者達全員良くて人形、悪ければ屍に成り果てるだけだが。
ざわめく兵士達を余所に悠々と歩みを進めるカリグラ。そんな彼の視線の先には二人の男女が居た。
二人の傍まで歩み寄ると仮面の奥でライはその内の一人、眼鏡を掛けた男を見定めた。
「出迎エ御苦労。オ前ガ"ロイド・アスプルンド"カ?」
「そうだよ。そういう君がカリグラ卿だね?」
問われた男、ロイドは飄々とした口調で返す。するとロイドの傍に居た女が慌てて咎める。
「ちょっとロイドさん!……も、申し遅れました。セシル・クルーミーです」
全く物怖じしないロイドにセシルは気が気でなかった。
しかし、カリグラは特に気にも止めずにセシルの名乗りに小さく首肯して返すと言った。
「早速ダガ、私ノ軍馬ヲ見タイ」
「軍馬? 面白い表現をするね。まぁいいや、どうぞどうぞ」
足取り軽く案内役を買って出たロイド。そんな彼の後ろをカリグラは無言で続く。
喧噪醒めやらぬメインターミナルが視界に入っていないのか。
まるで無視するかのようにその場を後にする二人の姿に、皆の奇特な視線が痛いセシルは一人肩を竦めながら後に続いた。
メインターミナルを抜けた三人は連絡通路を進む。
通路のガラス窓の向こうには、滑走路と無数の巨大な航空艦が離陸前の整備を受けている光景が広がっている。
カリグラは歩きながらガラス窓の向こうに見えるその光景を眺めていた。
隣には相変わらずの態度で楽しげに語るロイドの姿。
その後方を歩むセシルは憮然とした態度であったが、最早咎める気も起きないようだ。
「いやぁ、君の騎乗データを見せてもらった時は本当に驚いたよ?」
「………」
「何せ久々だったからねぇ。スザク君クラスのデータを見るのはさ」
反応が無い事などまるでお構いなしといった様子で嬉しそうに語り続けるロイド。
しかし、スザクという名が出た時カリグラはやっと反応を示した。
「"ナイトオブセブン"……」
「そうそう。君の反応速度は彼には及ばないみたいだけど、それも僅かな差……いや、部隊指揮のシュミレートじゃ完全に上回ってる。よく似た身体能力なのに、タイプは全く違うよねぇ。ンフフ」
脳裏で二人のデータを思い浮かべているのか、ロイドは恍惚の笑みを浮かべていた。
そんなロイドの台詞に背後からセシルが追従する。
「そうですね。スザク君は例えるなら一騎当千の騎士ですけど、あなたはまるで――」
「ソレ以上ハ止メテオケ。帝国デソノ名ヲ冠スル事ガ出来ルノハ皇帝陛下只オ一人」
「し、失礼しました!」
カリグラが振り向く事無く窘めると、セシルは慌てて謝罪した。
すると、ロイドは意外だとでも言いたげな口調で呟いた。
「ふ〜ん。優しいところもあるんだねぇ」
「何ガダ?」
「君の噂は色々と聞いてるよ? 機密情報局長官、カリグラ。公爵さえも粛清する男。一部の人達は君を帝国の影の暴君だって言って畏れてる」
公爵・粛清。それら二つの単語を聞いたセシルは瞳を見開いた。
「えっ!? あの事件って……」
「そう、彼の仕事だよ」
告げられた事実にセシルは今更ながら目の前を歩む男、カリグラに畏怖の眼差しを送った。
一方、ロイドは「ねぇ?」とでも言いたげな視線でカリグラを見やるが、カリグラの視線は相変わらず窓の向こう。
「ヨク知ッテイルナ」
「貴族社会は狭いからねぇ――っと、着いたよ」
特に気にした様子を見せず、ロイドは壁に埋め込まれたパネルに指を走らせアヴァロンへと続く扉を開いた。
◇
そのアヴァロン内部にあるナイトメアの格納庫。
そこには新型のヴィンセント指揮官機を初めとする数体のナイトメアが鎮座しており、格納庫内では慌ただしく動き回る技術者が多数見受けられる。
だが、そこには明らかに技術者では無いと分かる二人の男が居た。ギルフォードとデヴィッドだ。
デヴィッドは眼前に佇む一機のナイトメアを見上げると疑問を口にする。
「この機体は何なのでしょうか? ギルフォード卿……」
問われたギルフォードもまた、デヴィッドと同じくその機体を見上げると顎に手を当てた。
「枢木卿のランスロットに似ているが……頭部が全く違う。それに、あれはフロートユニットか? 初めて見る形だ……」
「しかし、フロートにしては少々小さ過ぎませんか? この大きさの機体を飛ばせる程の出力があるのでしょうか?」
「……見た目だけでは判断出来ないな」
二人は互いに言葉を交わしながら、眼前に佇むナイトメアについて考察していた。
ギルフォードが言ったようにそのナイトメアは傍にある彼等の機体、ヴィンセント量産型や指揮官機とは明らかに違っていた。
外殻はランスロットを基調としているようでもあるが、頭頂部にその存在を雄弁に主張する1本角と深い海のような蒼い双眸、そして輝く銀色の体躯。
その間接部位は黒色で、それが銀色と相まってこの機体の存在を更に際立たせている。
更に特筆すべきはその大きさ。隣に控えるヴィンセントより頭二つ程抜け出ていた。
「枢木卿専用の新型でしょうか?」
「それは……無いだろう。先程ロイド博士はコンクエスターの整備に手間取った、と仰っていたからな」
ギルフォードはやや困惑した様子で返すと、格納庫の中央に主の如く佇む白いナイトメアに視線を移す。
「あれがコンクエスターだろう」
「では、これは?」
「分からない。しかし……」
再度の問いにギルフォードは言葉に詰まった。するとその時、入口より楽しげに語るロイドの声が格納庫に響いた。
二人はほぼ同時に背後を振り向く。
すると、ロイドの隣を歩む仮面の男が視界に入ったデヴィッドは思わず吐き捨てるかのように言った。
「彼奴は……」
「やめておけ」
「……はい」
しかしギルフォードに咎められてしまい、デヴィッドは渋々といった様子で口を噤んだ。
「お久しぶりです。カリグラ卿」
ギルフォードが軍隊式の敬礼で出迎えるとデヴィッドは無言で後に続く。
すると、カリグラが応じる前にロイドが口を開いた。
「あれ? 知り合いだったの?」
「えぇ、ですが――」
「実際、コウシテ直ニ会ウノハ初メテダガ……久シ振リダナ、"ギルフォード卿"。アノ作戦以来カ……」
「その節は……申し訳無い」
ギルフォードは若干表情を強張らせつつ謝罪した。
しかし、カリグラたるライとしてはほぼ思惑通りに動いたギルフォードを咎めるような気は起きなかった。かといって、褒めるのかと言えばそれこそ有り得ない。
「謝罪ハ不要。結果デ示セ。ソウダナ……案外近イウチニ訪レルヤモシレナイナ」
「近いうちに?……まさかっ!!」
「可能性ハ有ル」
短く頷くカリグラを見たギルフォードの瞳が光る。
「そう思うに至る情報を掴んでいると?」
「タダノ勘……イヤ、コレハ願望ダナ。ダガ、貴公ハ何モ思ワナイノカ?」
直ぐ傍で二人の会話を憮然とした態度で聞いていたデヴィッドは、その何とも曖昧な返答を聞いた瞬間、露骨に訝しんだ。
だが、ギルフォードは違った。彼は一言断りを入れると自身の思いを吐露した。
「いえ……ゼロは油断ならない男です。アプソン将軍にもご忠告申し上げたのですが、聞き入れては……護衛も不要とまで言い出される始末で……」
「危機管理能力ノ欠如。アレハ所詮ソノ程度ノ男ダ……デハ、共ニ行クカ」
その場に居た一同はカリグラの提案に心底驚いた様子で一斉に瞳を丸くした。その中で、皆を代表するかのようにセシルが問う。
「あ、あの……カリグラ卿もお乗りに?」
「アァ、陛下ヨリ允可ハ得テイル」
カリグラは面食らった様子のセシルに向き直ると外套の下から封筒を取り出した。
受け取ったセシルは中身を確認して一言、「た、確かに……」と述べると、満足げに頷いたカリグラは指示を下す。
「"レーダー網"ニ引ッ掛カラナイヨウ艦隊ノ後方ヲ飛ベ。"アプソン"ニ気取ラレルノハ面倒ダ」
「こちらの方が先に進発する予定ですけど……」
セシルは少々不満げに言った。既に管制塔には飛行計画を提出済みであり、作成したのは彼女だったからだ。
だが、当然それはカリグラには関係の無い事だった。
「修正スレバイイ」
平然と告げられたセシルは、思わず視線でロイドに助けを求めた。が――。
「従うしか無いんじゃない?」
「……他人事ですね」
ロイドに裏切られた格好となってしまったセシル。
が、カリグラの手前声高に拒否する訳にもいかず抗議の眼差しを浮かべるしか無かった。
一方、ロイドはそんな寒々しいまでの視線を受けても「雑務は任せてるからね〜」と何とも軽いノリで告げるのみ。
カリグラに至っては、見向きもしていない。
そんな中で唯一焦った素振りを見せたのはギルフォードだった。
「で、では、我々はこれで。皇女殿下へのご挨拶に伺いますので……」
セシルの不機嫌さを感じ取ったギルフォードは、デヴィッドを引き連れるとそそくさとその場を後にした。
ロイドはヒラヒラと手を振りギルフォード達を見送った後、カリグラの前方に歩み出る。そうして振り向くと両手を広げ嬉々とした笑みで告げた。
「おめでとぉ〜。これが君の機体だよ」
しかし、対するカリグラは何のリアクションを見せる事無く、腕を組むと眼前に佇む機体を無言で見上げていた。
ロイドもまた、それ以上語る事無く機体に視線を移す。
暫しの沈黙が流れる。
やがて、未だ眺め続ける二人の傍を気を取り直したセシルが通り過ぎる。
彼女は機体の足下にある機器類にまで至ると書類を手に取り説明を始めた。
「多少違う箇所もありますが、外郭はランスロットを基調としています」
銀色の仮面の下。ライは機体に宿る蒼色の双眸を見つめつつ、セシルの解説に耳を傾ける。
「全高は5.65m。全備重量は9,327kg。装備目録はこちらになります」
セシルは機器類の上に置いてあった厚手のファイルをカリグラに手渡すと、やや誇らしげな面持ちで概要を語り始めた。
「指揮官機をご希望との事でしたので、各種の情報処理能力とデータリンク。他にはECCMへの抗堪性及び索敵能力を強化しました。それらは隣にある指揮官機より上です」
「何しろ予算は潤沢だったから」
セシルの解説にロイドが合いの手を入れた。余談ではあるが、ロイドはその資金を幾らかランスロットに回していたりする。
二人の説明を聞きつつ、カリグラは書類を読み進める。
「麾下"ナイトメア"及ビ艦船ノ発射管制サエモ統治下ニ置ケルカ」
「はい。この機体に搭載されている命令権限を上書き出来るのは皇族方の直接命令のみです。しかし、ラウンズ専用機には元より拒否権限が与えられています」
「ソレラヲ除ケバ概ネ絶対遵守ノ命令ニナルトイウ訳カ……」
カリグラの呟きに対してセシルは小さく頷くと説明を続ける。
「他の装備は現行のランスロット・コンクエスターと概ね同じですが、ハドロンブラスターは取り除いています。その代わりと言っては何ですが、遠距離用装備として強化型ヴァリスを採用しています」
「理由ハ?」
「ハドロンブラスターは、発射時に姿勢制御を必要とするので機動性に難点が残ります。その点、この機体は現行のナイトメアの機動性能を限界まで追求していますから」
「ソレニシテハ、ヤヤ大型ノ機体ダガ?」
「ですから新型のフロートユニット、エナジーウィングを搭載しました………試作型ですけど」
「成ル程………待テ、試作型ダト?」
最後の一言が引っ掛かったカリグラは顔を上げると問うた。が、それに対する答えは直ぐ横に居たロイドから発せられた。
「そうだよ。理論は彼女が完成させてるんだけど、なにぶん実戦データが不完全でね。いきなり僕のランスロットに装備する訳にはいかなかったからさ」
「私ノ"データ"ヲ使ウ気カ?」
ロイドの意味する所を察知したカリグラは二人を交互に見据えた。視線が合った気がしたセシルは自然と後退る。
しかし、ロイドは「そうだけど?」とあっさり白状すると特に悪びれる様子も無く笑った。
そんな無邪気な子供のような笑みを向けるロイドを見て、カリグラは少し拍子抜けした。
「飛ブノダロウナ?」
「それは流石にテスト済みだよ。ただ、もう少しデータが欲しいんだよね」
「ソウシテ得タ"データ"ヲ元ニ、完成型ガ"ランスロット"ニ搭載サレルノダロウ? ナラバ――」
「今何かと忙しいんだよね、彼。でも、そこに君が現れた。ランスロットとの適合率89%っていう君がね」
「………」
「シュミレート値を当て嵌めただけだから誤差はあるけど、それを差し引いてもこの数値は十分優秀だよ」
ロイドの視線を受けて、モルモットにされるのは我慢ならないと思ったライ。
だが、彼は躊躇した。取り外させるには書類に記載されているスペックは余りにも魅力だったのだ。
ライは手に持った書類に再び視線を落とす。
「型式番号Z-01/X――」
「機体名はトライデント。陛下直属の機密情報局、そのトップが乗る機体としてはいい名前だと思うけど?」
「ちょ、ちょっとロイドさんっ!!」
ニヤリと口元を緩めるロイドを見たセシルが慌てて止めに入るが――。
「陛下ハ"ポセイドン"カ?」
シャルルの容姿を思い起こしたのか、仮面の下でライは微苦笑を浮かべると僅かに肩を揺らした。
それを見たロイドはすかさず釘を刺す。
「僕はそこまで言ってないよ〜」
が、その顔には笑みが浮かんでいた。セシルはそんな二人を見てただただ唖然とするばかり。
「シカシ、何処ガ"トライデント"ダ? アレデハ"ランス"ダガ……」
顎で機体を指し示すと率直な感想を述べるカリグラ。すると、ロイドは「待ってました」とでも言わんばかりに破顔した。
「セシル君。見せてあげて」
「はぁ……分かりました」
二人のやり取りに付いて行けなくなりつつあったセシルは、切り替えるかのように溜息を一つ吐くと声を張り上げた。
「全員一時作業を中断して!」
格納庫内にセシルの声が響いた。
それまで彼等を横目に黙々と作業をしていた技術者達の手が一斉に止まる。
技術者達の視線を一身に受けたセシルは再び口を開く。
「今から起動させます。データのバックアップをしておくように」
セシルが理由を告げると、技術者達は再び慌ただしく動き始めた。それを不思議に思ったカリグラはロイドに問う。
「ドウイウ意味ダ?」
「この機体は起動時に大規模な電波障害を発生させるんだよ。機体に内蔵してる高出力のレーダーとサクラダイトが干渉し合ってるんだけどね。一度、作業中に起動させちゃってデータが吹き飛んだ事もあったからさ」
「電磁波ノ類カ? 身体ニ悪ソウダナ……」
「ほんの2〜3分の事だし。まぁ、大丈夫でしょ」
根拠の無い言葉だったが、仮面の下でライは思わず顔を顰めるに留めた。
やがて全技術者からのバックアップ完了の知らせを受けたセシルは、そこで始めて機体の足下に設置してあるコンソールに指を走らせた。
機体より小気味良い電子音が格納庫内に響き渡る。
「起動しました。続いて、指揮形態に移行します」
セシルが告げた次の瞬間――。
ジャキンッ!!
トライデントの頭頂部に有る一本角。それが三叉に分かたれた。
「成ル程、コレガ……」
それを仮面越しに認めたライは納得した様子で呟いたが、次の瞬間には彼は思わず目を見張っていた。トライデントの双眸が蒼から紅に変わったからだ。
――これではまるで……。
「データリンク完了。システム異常無し。トライデント、形態移行完了しました」
「今は、このアヴァロンのメインシステムと連結させてるよ」
二人からの知らせに、ライは紅く変化した双眸を見つめながら問う。
「……当然、理由ガ有ルノダロウナ?」
その最もな問いにロイドは「まぁね」と前置きした後、再び口を開く。
「君が望んでる複数の大部隊への指揮を一度に処理出来るような演算システムは、大き過ぎてナイトメアには積めないからね。一個小隊規模なら十分可能だけどさ」
「膨大ナ情報処理ハ艦船搭載ノ"システム"ニ行ワセルト言ウ訳ダナ?」
カリグラの指摘にロイドは短く首肯した。が、急に神妙な面持ちになると言葉を紡いだ。
「……そこで一つ。胸部部分への被弾には注意してね。この機体の心臓部とも言えるAPA方式のレーダーとESMを内蔵させてるから。ここが損傷したら指揮どころじゃ無くなるよ」
「分カッタ。ソレデ? ソノ"レーダー"ノ有効範囲ハ?」
「最大で約250kmです。しかし、このレーダーはモードとの組み合わせ次第ではそれ以上の索敵能力を発揮出来るかと……」
「確カニ最重要部位ダナ……」
「後は陸戦用としてファクトスフィアと熱源探査能力も向上させてる」
セシルとロイドからの説明を受けたカリグラは質問を変えた。
「良ク分カッタ。ダガ、個別戦闘ニ関シテハ?」
「コンセプトは指揮官機なんだけどねぇ……」
カリグラの質問にロイドはやや肩を竦めた後、告げた。
「まぁ、いいや。遅れは取らないね。でも、その際に気をつけて欲しいのは指揮形態のまま戦わない事。併用した場合のエナジーの消費量は尋常じゃないから、10分も戦えば空っぽになるよ」
「胸部ノ件トイイ急所ガ多イナ」
「それは君の理想が高過ぎるんだよ」
「ロ、ロイドさん!」
「ん? 何か間違った事言った?」
一見すれば非難とも取れるロイドの発言にセシルは慌てた。
しかし、当の本人はセシルに首を傾げて見せた後、カリグラに向き直る。
「指揮能力や索敵能力を特化する為に性能の大部分をそこに持って行ってるんだよ? 同時に個別戦闘でも圧倒しろってのがそもそも無茶な話だもの」
「ダガ、オ前ハ遅レハ取ラナイト言ッタ……ソレヲ可能ニシテイル絡繰リハ?」
「君の実力も理由の一つだけど、コアルミナスと機体各所に使用しているサクラダイトの比率はランスロットより多いからね。勿論、多ければ良いってもんじゃないよ。そこは――」
「制作者ノ腕ガ物ヲ言ウ?」
ロイドの言葉を遮ったカリグラは値踏みするかのように仮面を向ける。対するロイドは口角をやや吊り上げて見せた。
「そういう事。えぇと、他には――」
そうして、ロイドが再び口を開いたその時――。
「私のエナジーウィングですねっ!」
セシルの声が周囲に響いた。
「はいはい、そうですね」
ロイドが少々拗ねた様で口を尖らせると、それまで一歩引いていたセシルが胸を張って前に出る。すると、不承不承といった様子でロイドは語り始めた。
「彼女が言った様に、これの機動性能は既存のフロートユニットとは一線を画す程。絶対の制空権を与えられてると言ってもいいね」
「シカシ、実戦投入ガ成サレタ事ハ一度モ無イノデハ無イカ。アクマデモソレハ机上ノ話ダロウ?」
ロイドの賞賛混じった説明を誇らしげな笑みを浮かべながら聞いていたセシル。
カリグラの発言にも彼女が笑みを崩す事は無かったが、その額にはうっすらと青筋が浮かんでいた。
それを見たロイドの表情が強ばる。笑いながら怒るセシルの怖さを良く知っていたからだ。
「い、今はね。でも、間違い無いと言ってもいいよ」
「マァ良イ。乗レバ分カル事ダ……」
ロイドの狼狽を余所に、再び眼前の機体を見上げたカリグラはポツリと呟いた。
「短期間デヨク作ッタモノダ」
「あれ?褒めてるの?」
「タダノ感想ダ」
食いついて来たロイドを軽くあしらうかのように言うと、あしらわれたロイドは微笑を浮かながら同じように機体を見上げた。
「開発計画は昔から有ったからね」
ロイドの言葉にカリグラは僅かに首を傾げて続きを促すと、その役目をセシルが買って出た。
「以前より指揮官機を含む次世代機の開発計画は進められて来ました。トライデントはその初期に考案された計画を元に製造されています。ただ……」
「適正を満たせるパイロットは片手で数える程度でさ。結果、製造コストが跳ね上がっちゃって計画は頓挫。その後に僕のランスロットが注目された。当然だけど」
「最終的にはシュナイゼル殿下の後押しもあり、ランスロットをベースにした今の次世代機の量産が始まりました」
シュナイゼルの名前に仮面の下のライの片眉がピクリと動く。が、二人がそれに気付く事は当然無い。
ライは仮面越しに紅く変化した双眸を見つめながら言葉を紡ぐ。
「幻ノ機体ト言ウ訳カ……世代ハ?」
「計画された当時は第4世代が主流だったけど、性能としては第8世代と第9世代の中間ぐらいかな。当時としては、規格外の怪物だね」
「シカシ、ソノ怪物デサエ至ラナイ……第9世代トハ一体ドレ程ノモノニナルノダロウナ」
「ンフフ、興味有る? だったら、それを見る為にもエナジーウィングのデバイサー頑張ってね」
「………………」
ロイドの要望にカリグラが沈黙でもって答えると、暫しの間周囲に静寂が訪れた。
やがて、徐にカリグラが口を開く。
「角モソウダガ、瞳ノ色ガ変ワル……面白イ趣向ダナ」
「あぁ、それ? 陛下の指示だったんだよね」
あっけらかんと告げたロイド。その言葉に思わず瞳を見開いたライは慌てて仮面を向けた。
「何ダト?」
「あれ? 言ってなかった? これの開発資金を出したのは――」
「皇帝陛下自らお出しになられました」
セシルの一言に、仮面の下のライの表情は開いた口が塞がらないといった様子でいた。
しかし、そこまでの驚きとは知るよしも無いロイドは飄々と語る。
「頼めば幾らでも予算が下りて来るんだもん。ホント、潤沢過ぎて逆に怖いくらいだったよ」
「………………」
「あの……カリグラ卿?」
微動だにしないカリグラを不思議に思ったセシルは恐る恐るといった様子で尋ねると――。
「クハハハッ!」
カリグラは突如として笑い出した。格納庫に哄笑が響き渡る。
やがて、呼吸を整えたカリグラはやや肩を震わせながら言った。
「陛下ノゴ期待ニ沿ワネバナ」
そうして再び銀色の機体を見上げた。
――味な真似をしてくれる……。
仮面の下でライが射抜かんばかりの視線を機体に浴びせていた時、彼の肩にロイドが手を置いた。
「ところでさ。出発が延びた訳だし、君は暫くはこの基地に滞在するんだよね?」
「ソレガ?」
それを不快そうに手で払ったカリグラ。一方で、全く気にしていないように笑みを浮かべるロイド。
「ちょっとシミュレーションして行かない? こっちとしては、データも欲しいしさ」
「…良イ考エダナ」
一瞬の思考。しかし、シュミレート事態は嫌いでは無かったライは、暇潰しにはなるか、と思ったのだろう。次の瞬間には同調していた。
それを受けて、再びロイドの顔が破顔する。
「決まりだね。じゃあ、セシル君。準備よろしく」
「はい」
その後、次から次へと湧き出て来るシュミレーションに、心身ともに疲れ果てたライは自身の決断を心底後悔する事となった。
以上で投下終了です。
>>121 投下お疲れ様です!
いや面白かった
ライの機体に試作とはいえエナジーウイングが搭載されたのは初めて読みましたよ
いや、戦闘が楽しみですね
っーかこの作品の暴君ライとロイドさんって気が合いそうですね
投下乙!
続きが気になっていたので見つけてからすぐ読んだ
すごくおもしろいので、是非とも続きをすぐ読ませてください
次の投下を全力でお待ちしています
>>121 ライカレ厨卿、GJでした!
ライの乗る機体、これはおもしろい。
フルに稼動すると10分程度しか持たない、逆に言えばいつ振るに稼動するのかがカギということ。
太平洋での戦闘で新型のエナジーウィングがどれだけの性能を発揮するのか気になるところ
次の投下を全力で待っています!
三分後に投下させて頂きます。6KBほどですので支援の必要はないと思われます。
時間となりましたので投下します
【タイトル】貴女が知らない、貴女のために
【CP】ライ×ヴィレッタ
租界のショッピングモールを歩いていたら、ふと足が止まりあるものが目に留まった。
灰銀の髪の下から覗く瑠璃色の双眸が捉えたもの、それはショーウィンドウに飾られた一着の白いドレスだった。
――彼女が着たら似合うかも
ふとそんなことを思ってしまう。頭を振ってその場を離れたがドレスが目に焼きついて離れない。
そのままショッピングモールを歩いて花屋を通り過ぎようとした時、またしてもあるものが目に留まってしまった。
どうするか腕を組んで考え出すライ、唸りつつもアッシュフォード学園のクラブハウスに向かって歩いているつもりであったが、知らず内に踵を返して先程の店へと引き返していた。
穏やかな日差しが窓から差し込む部屋にヴィレッタ・ヌゥはいた。
ある人物から呼び出されて、その部屋にある椅子に座り込み腕時計にチラチラと視線を送っている。
本日も学生は勉強という義務を終えるとクラブなどに足を向けていった。
彼女が顧問を務める水泳部は今日は休みとなっており、職員会議が終えた現在、任務の定期報告の時間までの間はフリーとなっている。
軽く三十分は経過したであろうか。彼女は暇つぶしにと纏め上げた長髪をいじり始める。
枝毛を二箇所ほど見つけたときに部屋のドアが勢いよく開かれた。一瞬、身構えそうになってしまったが入ってきた人物を見てすぐにその行動は中断された。
アッシュフォード学園の制服で身を包み、灰銀の髪と瑠璃色の瞳が特徴的な少年――ライが入ってきたからだ。
「?」
思わずヴィレッタはライが両手で抱え込んでいる白い大きな箱に目が奪われてしまい、頭の上に疑問を思い浮かべる。
その視線を察知したのかライは歩を進め、彼女の前に抱えていた白い箱を差し出す。
「遅れてすみませんヴィレッタさん。あの、突然ですみませんけど・・・これ、隣の部屋で開けてみてもらえませんか」
ヴィレッタが差し出された箱を手に取ってまじまじと見る中で、ライは笑顔でそう言った。
「ライ・・・これは?」
いきなりの事に理由が分からず、とりあえずは箱の中身を聞いてみると「いいから」と背中を押されて隣の部屋に押し込まれる。
隣の部屋へ行き、箱を開けてみると中には白いドレスが入っていた。
体にぴったりし、膝下付近から裾を広げ、人魚の尾ひれ状にした型が特徴的なマーメイドラインのドレスだ。胸から首までの生地はレースで編みこまれおり、レースの網目から肌が見えるようになっている。
タイトなウエストから広がっているティアードスカートはスタイルをより美しく演出するだろう。
マーメイドラインのデザインはシンプルなところが特徴的である為に様々なアレンジを加えられる。
このドレスには布に絹を使っているのだろう、持ち上げた部分が指を滑っていった。
これを着ろということなのだろうか。
ドレスのサイズからして他の女の物とも思えない。果たしてこれを自分が着てもいいのだろうか?暫く考え込んでいるとライが部屋に入ってきた。
「まだ着てないんですか?」
「という事は・・・・・・これは私が着ていいのか?」
ヴィレッタの言葉にライは微笑んで、「その為に買ってきたんですよ」と答えて部屋を出て行った。ヴィレッタ再びドレスに視線を移す。
白のドレスは子供の頃にしか着た記憶がない。果たして今の自分に合うのだろうか
ライは時計を見た。時間はとっくに過ぎていて、部屋を出てからもう二十分は経っている。
「・・・・・・」
無言で立ち上がるとベッドルームのドアを開けた。部屋の奥へと進んでいくとヴィレッタがシーツに包まり隙間からライを見つめている。
箱の中のドレスは無くなっているという事は一応着替えたらしい。
「ヴィレッタさん?」
ライが一歩踏み出すとヴィレッタもそれに合わせて一歩下がる。
一定の距離を保とうとする様に。ライにはその行動が理解できなかった。
「シーツなんか巻いてどうしたんですか」
「ライ、取らなくては・・・ダメなのか・・・?」
ライが足を前に踏み出すごとにヴィレッタはどんどん壁に追い詰められていく。
「見ないほうがあなたの為だと思うのだが」
背中が壁に当たった。これ以上後ろへは下がれない。ライとの距離が縮まってい
く。ライは手を伸ばしてシーツに触れた。
「見せてください、ヴィレッタさん」
「う・・・・・・」
ライの顔を見てヴィレッタは言葉に詰ってしまった。
ドレスを着た自分を鏡で見た時に軽いショックを受けた。可愛いドレスはとても自分とは不釣合いな物に見えたからだ。
綺麗、美しい、そんな言葉は社交場で嫌というほど聞いてきた。若いが故に見下されぬ様、落ち着いて見えるものを身につけて社交場に行っていた。
だから持っているドレスも自然と落ち着いた物ばかりになる。可愛い物など一枚も無かった。
自分のイメージとは違う服、そんなちぐはぐな姿を見たらライは気を悪くするのではと思った。
脱ぎたかったが折角、彼が自分の為にと買ってきたドレスだ。持ち主に見せない訳にもいかない。
そんな葛藤をしている内にライが部屋に入ってきてしまったので慌ててシーツを纏ったのだ。
ライの手に力が篭る。シーツが引っ張られた瞬間にヴィレッタは目を瞑る。彼の視線から逃れる為に。
「・・・・・・・・・」
「似合いますよヴィレッタさん。とても綺麗です」
その言葉に恐る恐る目を開けるとライが嬉しそうに笑っていた。
「・・・変、ではないか?」
「いいえ。これが変であれば、僕の目はおかしいと思われますよ・・・・・・あと、こっちに来てもらってもいいですか?」
ライはヴィレッタの右手を握って踵を返す。
ヴィレッタは彼の手を拒否することなく、それに従って、着替えていた部屋から元々居た彼の部屋に戻ってきた。
部屋の中央まで連れられると、ライは微笑みながらヴィレッタに向き直った。
「三秒だけ、目を瞑って下さい」
言われた通りに目を瞑り心の中で三秒数える。
「目を・・・開けてください」
ゆっくりと瞼を開くと目に飛び込んできたのは両手一杯のブルースターとホワイトスターの花。
ブルースターの花言葉は『幸福な愛』、ホワイトスターの花言葉は『信じ合う心』
その二つは結婚式に主に使われる花であった。
「!?」
呆気に取られているとその花束を両手に持たされた。
ライが嬉しそうに微笑んだ。その笑顔にドキっとしてしまう。
こんなにも幸せそうに笑っている彼を見るのは。そう思うと自分も嬉しくなった。
「・・・・・・ありがとう、ライ」
精一杯の笑顔で返すとライの顔が少し赤くなった。
「ヴィレッタさん・・・今日はこのままでいてくれませんか。できれば、寝るときまで」
「っ!?な、なななな、ラ、ライ!」
こんなにもドレスが似合うのに何故、誰も気がつかないのだろう。
豪華な装飾品よりも可憐な花の方が何倍も魅力的に魅せられる。
ライから見れば、ヴィレッタはまるで少女だ、ならばそれ相応の格好をするのが一番似合う。
綺麗な服を着せて無理に頑張らせなくても、時が経つにつれてちゃんと似合うようになる。
それまで待てばいい。
――ゆっくり、と
これにて投下終了です。色々とドレスの資料を見たりしまして、家族から若干誤解を受けましたw
乙でした。彼女が知らない別な自分自身を、ライが気づかせてあげる。穏やかな空気が流れてますね。
またの投下をお待ちしています。
褐色の肌に白いドレス。映えるだろうなあ。
似合うだろうなという思いつきでドレスを買ってしまうライ。
学生の分を超えた男ぶりににやにやがとまりません。
ヴィレッタエンド見たさにロスカラ再プレイしたくなりました。
乙です
投下乙!
おもしろかったよーーーー!
次の投下をお待ちしています
お疲れ様でした
うわーすげえヴィレッタさんが可愛いSS
純血派ルートやりたくなってきました
>>131 蒼い烏卿、GJでした!
ヴィレッタさんがいい! そして花言葉等の豆知識にほぅと感心してしまう。
ゆるやかな流れにある自然さというかなんというか
いいかんじのSSでした。
次の投下をお待ちしています
あぼーん
>>羽付き羊さん
いや、笑わせてもらいました。
しかもオチがあれとは……。
本当に面白かったです。
今度は、体験版じゃなく、きちんとした本編を期待します。
GJでした。
>>蒼い鴉さん
いやぁ、SS投下のスピードが速いっ。
それに2つとも実にそれぞれのキャラクターの味が染みてうまいっ!!
(おでんみたいなほめ言葉ですけど…www)
しかも味付けが違うっ。
まさに、読み比べてそれぞれ違う面白さを楽しめます。
次回作も期待してます。
GJでした。
>>余暇さん
いやはや、本当に筆の早いことに驚きます。
しかも面白いんですからタチが悪いwww
その笑いのセンスには脱帽です。
次回作も期待してますよ。
もちろん、シリアスもラブコメも……もちろんあっちの方も……www
GJでした。
>>ライカレ厨さん
キマシタっ!!
待ってましたよ、続きっ。
本当にライカレ厨さんの極悪ライは魅力ありすぎ。
それに今回は、ロイドが実にいい感じでした。
本当に相性いいのかも……、この二人は……。
しかも、今までにない性能のナイトメア。
さてさて、それをどう料理するのか期待してます。
なんせ、今まで出てきたオリジナルのライ専用ナイトメアのほとんどが力押しのやつばかりだったからなぁ。
あ、一部違うのもありましたが……。
ともかく、続き期待しております。
GJでした。
こんにちは、前回の続きが出来たので投下したいと思います。
「逆転ギアス 探偵パート 」
4スレ位です
中編みたいな物ですのでライが出てきません、どうかご勘弁ください。
16:40 アッシュフォード学園校舎
校舎中に散らばったC.C以下、約30人の捜査官(オーケストラ部部員)はユフィの足取りと目撃証言の聞き込みに走り回っていた。
ユフィが行きそうな露店やクラス、体育館にお化け屋敷と、上に下に校舎の端から端まで。
その中で証拠品となる、またわ重要な聞きこみ等の部分をここでは紹介しよう。
「逆転ギアス 探偵、捜索パート」
その1
ユフィのSP
「確かユーフェミア様が宣言をなさったのは、学園祭が始まってから4時間後。で、その後ユーフェミア様には逃げられてしまったんだよ」
「うんうん、まるで忍者みたいな身のこなしだよユーフェミア様は」
と,感心しているSPの皆様。
「あ・・・・そうですか」
SPに聞きこみに行った部員は唖然となった。
(このSPダメじゃん)
(いつか首飛ぶわね、この人達)
ともかく、SPの証言によれば宣言があったのが12:20頃、見失ってしまったのがその3分もたたない時だった。
「つまり、12:20にはもう姿を晦ましていたって事ね」
「じゃあ捜索する時間帯は12:20から16:30の4時間だな」
その2
校舎入口
その1でSPからの調査を受けた捜査組の1つは校舎の入り口で聞き込みをしていた。
「ユーフェミア様なら12:30頃、校舎内に入って行きましたよ」
「それを証明出来る物は有りますか?」
校舎内へと続く入口に設置されている受付の係員は
「ええ、有りますよ!来校してくださった皆様には、ここに名前を書いてもらってますから」
迷子防止も含めての処置だそうだ、それに部員は目を輝かせる。
(“校舎来場者の入校記録”を捜査手帳に書き込んだ、ユフィは12:30に校舎に入っている)
その3
1F、「手作り工芸 フラワーガーデン 」
ここは、ビーズを使って手作りアクセサリーが出来るお店。
「ユーフェミア様は、あそこのテーブルで一生懸命アクセサリー作ってましたよ。来店は12:30頃だったかな」
「どんな物作ってました?」
女学生達の質問に1年生の店員は
「えーーーと、神龍の形のやつでした。青とユーフェミア様が特別に頼んだ銀色のと」
男子生徒の証言に捜査員の女子達は確信する。
「作る為だけにわざわざ特注なんてしないわよね」
「女が力を込める場面はただ一つ!」
「「男ね!!」」
(“神龍の形をしたビーズ工芸”、“特注の銀色をしたビーズ”を捜査手帳に書き込んだ、この二つはユフィしか選んではいない)
その4
2F、家庭科教室「柳月」
いわゆるクッキー作りを体験出来るお店。
「ここにユーフェミア様が来たかって?ああ、来たよ。クッキー作ってた」
「どの位いた?」
「うーーーん、来たのが1:15位だったかな?8個作り上げたら別の場所に行ったから、だいたい45分には居なくなってた」
ほうほう、と手にしているメモ帳、もと言い操作手帳に書き込んでいく捜査官。
「そういや、ユーフェミア様えらくにやけてたな」
「にやけてた?」
「ああ、何か悪魔の笑みみたいな?そんな感じの笑い方してたぞ」
その言葉でますますユフィを怪しいと思う捜査官(オーケストラ部員)だった。
(“手作りクッキー”を捜査手帳に書き込んだ、ユフィは作り終えたときに怪しい笑みをこぼしていたそうだ)
捜査を開始して数十分、大方の証拠品が揃い、散らばっていた部員達は、C.Cのいる3F音楽室前に集合していた。
「ふむ、だいたいの足取りは判ったんだが・・・・」
「2:00からの足取りが判んないんだよね、4:30には控室に着いたから」
「少なくとも4:20まではこの校舎の中に居たと思うんだけど」
それぞれが自分の考えを話していく、ここまでの調査で2:00まで、つまり家庭科室までの足取りは掴めていたのだが、それ以降の情報がぷつっと途絶えてしまっている。
そのため、皆うーーーんと唸ってばかりいる状態、暗礁に乗り上げているのだ。
「そういえば、この音楽室は調べたのか?」
「いや、まだだ。調べてみっか、捜査は足でだしな」
こうして音楽室の中を調べることとなった一行だが、思いもしない収穫が待ち受けているなど、知るよしもなかった。
その4
音楽室
中に入っても特別変わった様子は無かった、静かな風の音だけがする室内、だが!
「ここは矛盾している、明らかに!!」
入った瞬間にC.Cが声高だかにそう叫んだ、他の部員も同じだった、なぜなら―――
「ええ、矛盾しているわ」
「なぜ窓が開いてるんだ?ここを出る時には閉めてったのに」
(”開いている音楽室の窓”を捜査手帳に書き込んだ、リハーサル前、窓を閉めてから音楽室を離れたのに開いていた)
怪しいと踏んだ捜査員達が調査を開始、すると窓際を調べた1年生の男子が
「先輩、この手すりにキズが出来てます!!」
そう叫び、上級生達がそこに脱兎のごとく集まる。そこには―――
「何かの引?き傷みたいだ」
「金属と金属の擦れ合った感じみたいだな、相当な力だぞこれ」
(“手すりのキズ”を捜査手帳に書き込んだ、かなり強い力で引?いたものだ)
さらにその近くの床に
「ん?これはシミだな、だれかここで飲み物でもこぼしたのか?」
「いや、今日は音楽室に飲み物を持ち込んだ人はいないはずだよ」
少量ではあるが、2箇所にシミをC.Cが発見した。
(これも何かの・・・・この微かな匂い・・・・なる程、そういう事か)
とある事実を見つけたC.Cはニヤッとする、しかし醸し出すその雰囲気は殺気にも似た強いものだった。
「ど、どうしたのC.C?なんか殺気の様なものが背後から・・・・」
「案ずるな、ただ汚した犯人が誰なのか、検討がついただけだ」
その発言に全員が勢いよく喰らいつく、ある者は鼻息を荒くし、ある者は目をギラギラに輝かせて。
「「マジか!?」」
「「誰なの、C.C!?」」
「焦るな、まだこれは仮説の段階にしかない。もっと決定的な証拠がなければならない」
それでもC.Cは全員をなだめ、冷静に状況を分析する。
「じゃあ、後何が必要なんだよ?」
「とある人物の身体検査と証言が必要だ、それこそまさに決定的な証拠となる。皆行くぞ、ユフィを追い詰める最後の証言と証拠を取りに!!」
「「「「了解!!」」」」
C.Cの力の籠った一声に応える部員は、彼女の後に続く。
決定的な証拠を掴み、真実を明らかにする、そして何より楽しむためにね!
(“床のシミ”を捜査手帳に書き込んだ、微かに匂いがした)
次回「逆転ギアス 法廷パート」
以上で終了!
皆様からのご感想、ご指摘お待ちしています。
では、失礼します。
パラレル”卿乙です!
さっそく指摘なんですが
「何かの引?き傷みたいだ」と
かなり強い力で引?いたものだ)は
誤字ですよね?
わかっているかもしれませんが一応言っておきます
でもすごく面白かったです
次の投下も楽しみにしています
>>145 「ひっかき傷」「ひっかいた」と書きたかったんですが、おかしいな・・・・。
ご指摘ありがとうございます、助かります!
あぼーん
久々の投下ラッシュでもうウハウハです
職人さん達、本当にありがとうございます
この数日は投下が連続して来てますね
職人の皆さん、乙でした!
>>144 乙です
メモされた内容はどのように活きるのか
次の投下を楽しみにしています
151 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/27(日) 20:37:46 ID:NVayoiA+
ライに声を付けてみた
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5620049 もっとライ好きを叫ぶぜ!!
そうだ!
どうせ聞こえるなら、聞かせてやるさ!
ライ!
好きだァー! ライ! 愛しているんだ! ライー!
猫一匹を追い掛け回しアホの子を披露する前から
好きだったんだ!
好きなんてもんじゃない!
ライの事はもっと知りたいんだ!
ライの事はみんな、ぜーんぶ知っておきたい!
ライを抱き締めたいんだァ!
潰しちゃうくらい抱き締めたーい!
心の声は
心の叫びでかき消してやる! ライッ! 好きだ!
ライーーーっ! 愛しているんだよ!
ぼくのこの心のうちの叫びを
きいてくれー! ライさーん!
ライを見てから、ライを知ってから、僕は君の虜になってしまったん
だ!
愛してるってこと! 好きだってこと! ぼくに振り向いて!
ライが僕に振り向いてくれれば、ぼくはこんなに苦しまなくってすむんです。
優しい君なら、ぼくの心のうちを知ってくれて、ぼくに応えてくれるでしょう
ぼくは君をぼくのものにしたいんだ! その美しい心と美しいすべてを!
誰が邪魔をしようとも奪ってみせる!
◆ニコニコ動画、YouTube、Winny等、ファイル共有に関する話題・URL貼りは厳禁。
他スレだけでなく常識だぞ
日本語読めるなら控えてくれ
日本語云々じゃなくて確信犯的荒らしに反応しても、、、
4分後に投下させて頂きます。5KBほどですので支援の方は大丈夫です
時間となりましたので投下します
【タイトル】代理湯たんぽ
現在、午前一時を回ったところだ。
布団の中に入って既に三時間ほど、僕は未だに眠れずにいた。
うっすらと細目を開けただけで、ごく間近で寝息を立てている子供のような寝顔が見えてしまう。
時折何が可笑しいのか、小さく吐息だけで笑うこともある。
そんなことをされて、眠れるわけがない。自分の耳たぶに、その笑う息が触れるほど近くに、恋焦がれる人が寝ているのに、どうして心安らかに眠れようか。
今思えば、今日受けた言葉に何故疑問を覚えなかったのか。
寝る支度を全て済ませてから寝巻きに着替え、いざ眠ろうとした時、ロイドさんからそのままの姿でいいからある人の部屋に来るように、と伝言を受けた。
首をかしげながらその人物が居る部屋の戸の前まで足を運び、戸の向こうに居る人物に向けて来訪を告げた。
「入っていいぞ」
陽気な声が僕の声に答え、僕は戸を開けてゆっくりと部屋の中に入った。
部屋の電気は消え、枕元に組み込まれている電灯が部屋をほんのりと照らす。
薄暗い部屋の中で枕元に布団にくるまったままで部屋の主――ノネットさんはにっこりと微笑んで僕を出迎えた。
ノネットさんはここ最近、特区日本の様子が気になる為か、このように何度もエリア11を視察にやってくる。
何故こんな時間に薄暗い部屋に呼び出したのか、そこからして僕は怪しむべきだったのかもしれない。
「すまんな、こんな遅くに。今夜は・・・お前に頼みがあって来てもらったんだ」
そう言って、ノネットさん様は僕に手招きをして近くに来るように言った。
多少の疑問符を思い浮かべる僕は近くに寄ると、ノネットさんは愛しさを覚える華奢な手でぐい、と袖を引いた。
布団の隙間から覗けたその肌は、まるで白い雪のように見えた。その顔をふと見るとどこか赤らめているように思えた。
「ライ・・・今夜、私と一緒に寝るぞ」
「え?」
そう言って、枕元の電気を消した。目の前が暗くなる。
窓から差す月明かりでごくわずかに人の輪郭のみわかる。ばさりと、布団がはだける音がした。
「さぁ、入れ」
「え、あの・・・?」
突然の彼女の言葉と仕草で僕の頭の中は消しゴムをかけられたように白くなる。
「ほら、早くしろ」
混乱する僕を尻目にノネットさんは淡々と言った。思い過ごしかもしれないが、微かに怒気を含んでいるようにも思う。
「し!失礼・・・します」
「んっ」
僕は慌てて布団の中に潜り込んだ。黒い影になっていて、その中は見えなかった。ただ、どこか湿ったような暖かい闇に包まれる心地がして、触れているものの正体を考えると落ち着かなかった。甘い声が耳元で囁かれる。
「そのまま動くなよ、ライ。このままだ・・・今日は寒いんだ。暖房が壊れてしまってな、このままでは正直キツくてな」
ぎゅっと抱き締められて、体が密着させられているのに何もしないで、ただ傍で寝る。
それがどれほど難しいことか、僕の気持ちなど分かっていない口ぶりでノネットさんは告げた。
僕は反論の言葉を紡ごうとするがそれをすることができなかった。頭が過熱してまったく動かないのだ。
寝床から脱出するための言い訳一つ考えるのにも数十分はかかっていた。
ようやく辿り着いた反論、寒いなら懐炉でも湯たんぽでも使えばいいんだ、と僕が言おうとした時にはすでに、ノネットさんは微かな寝息を立てて寝入っていた。
唾液一つ飲み込めないほど、僕の体は緊張に包まれていた。こうしてすやすやと寝入っている様を見る限り、寒いという理由で彼女の寝入りが浅いとは到底思えない。
だが、そんなことを考えても指一つ動かすことは出来なかった。この状態では無意識に寝返りを打つことを恐れて、眠れない。そっと横目で寝顔を盗み見るしかやることが無かった。
時々、疲れた目を休ませるために、天井を見つめた。窓の外から見える満月の照り返しもあって、薄ぼんやりと光っている。
さながら水槽の底で泳ぐ魚の気分だった。安心と緊張と期待と不安、彼女に触れたい気持ち、全ての気持ちが混ざり合って、僕の胸の中は群狼が辺りを徘徊するようにざわめいていた。
「・・・・・・ん、むぅ」
寝言が聞こえた。何とも分からなかった。けれど、それが自分の名前なら良い、そんな夢想を抱いて、それから、僕の顔はほんの少し熱を帯びた。
自分の考えが浮ついたものでありこの場には相応しくない物のように思えた。けれど、それならこの場に相応しい考えは一体何なのだろうか。考えつかないと分かっている。
それでも、僕が窓の外が少しずつ白んでくるまで、考えてみた。
―翌朝―
「いや〜!すまなかったなライ。急な頼みごとでちゃんと眠れたか」
「・・・・・・大丈夫です、ちゃんと眠れましたよ?」
嘘をついた。目の下にクマを作ってどこが眠れたのだろうか?だが、一睡もできなかったと、それをはっきりと口にできるほど僕の神経は図太くはない。
「そうか。じゃあ、今夜もお前に頼むか」
あっけらかんと言い放つノネットさん。内心では嬉しいのだが、さすがにこれ以上寝不足にはなりたくない。そう考える僕はお断りをした。
「い、いえ・・・今日は僕用事がありますのでもしよろしければ、湯たんぽか何かを持ってきますので・・・・・・」
自然と声が小さくなる。寝不足になるのが嫌と思いつつも僕は先程の言葉にほんの少し後悔の念を覚える。あのようなことを無機物に任せるのは、嫌だからだ。
それでも、ただ寒いからという理由で僕を呼んだのなら、自分にそれを止める資格などない。それが正しいのか、正しくないのかは分からない。
そう思うがそれでも、嫌なのは変わらなかった。
「じゃあ、ダメだな」
ノネットさんは一言で切って捨てた。その言い切り方は清々しかった。
「お前と一緒ではないと良く眠れないことに気がついた。だから、お前でないとダメだ」
そう言われて、僕のふらふらな身体がふわふわと舞い上がる心地がした。
これにて、投下を終了とします。
ブリタニアに湯たんぽとかってあるのかな・・・
乙でした。ノネットさんと添い寝なんて、そりゃ落ち着かないわ。いろんな意味でw
しかし最後の「お前でないとダメだ」には、彼女の意思が詰め込まれてていいですね。
次回の投下をお待ちしてます。
乙です。
最近蒼い鴉さんは投下が多いですね、投下ご苦労様です。
次の投下をお待ちしています。
あぼーん
>>159 乙でした!
抱き枕となったライ、確かに落ち着かないな。
徹夜した後の夜ならサクッと眠れる……はず?
次の投下も待っています。
あぼーん
>>159 お疲れ様でした
いやこれはよく頑張ったライ!!
っーかノネットさんワザとか?
面白かったです
次回も待っております
あぼーん
>>159 お疲れ様です、鴉さん。
早いですねぇ…。
しかも面白い。
ノリノリですね。次回作も期待してます。
GJでした。
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
あぼーん
な・・・何事なんだ?
スルーしろってもスレが潰されかねないな。
21:50分過ぎに投下します。支援はなくても大丈夫です。
こんばんは、そろそろ投下します。
作者:余暇
タイトル:G−ハプニング
(注意)
・ある虫が出てきます。
・微エロ…みたいな感じの描写が、わずかですがあります。
『G−ハプニング』
ある日の放課後、僕は生徒会室でシャーリーと一緒に書類に目を通していた。
「今日は他に誰も来ないのだろうか。ミレイさんが家の用事で先に帰るのと、スザクが軍の仕事で来られないのは、昨日聞いたが」
僕がそう言うと、シャーリーが顔を上げて答える。
「えっとね、ニーナは大学の研究室に用事があるみたい。カレンは何も聞いていないけど、多分病院じゃないかなあ。もしかしたら、遅れて来るかもしれないけどね」
「なるほど。じゃあ、ルルーシュとリヴァルは?」
僕が二人の名前を出した途端、シャーリーの表情が不機嫌そのものになる。
「ああ、さっきリヴァルのバイクに二人仲良く乗って、どこかへ行っちゃった。どうせまた、賭けチェスだと思うけど。
まったく、『仕事があるんだから残って』って休み時間に声をかけておいたのに」
「適当にはぐらかされてしまったのか、君も大変だったな」
僕が苦笑いすると、シャーリーは肩をすくめた。
「うん、まあね。だから助かったよ、ライ君がいてくれて。君は仕事が正確で速いから、二人で頑張ればきっと今日中に片づくよ」
「僕自身は、自分のことは大したことないと思っているんだがな。だが君に期待されている以上、全力は尽くそう」
僕たちは笑い合うと、再び仕事に取り掛かった。
それからしばらく時間が過ぎた頃、ある程度仕事を片づけた僕たちは、少し休憩することにした。
「あっ、そうだ。ライ君に聞きたいことがあるんだけど」
机を隔てた僕の向かい側の椅子に座って伸びをしながら、シャーリーが声をかけてきた。
「聞きたいことって何だ?答えられる範囲なら答えるが」
「ありがとう。じゃあ早速なんだけど、最近カレンとはどうなのかな?」
「カレンと?うーん」
興味深々のシャーリーに聞かれ、僕は考えた。カレンには学園でお世話係主任として関わってもらっているだけでなく、最近では黒の騎士団における仲間として、背中を預け合っている。
シャーリーに騎士団のことは話せないが、この場合、「カレンとは互いに信頼し合っている」とでも言えばいいのだろうか。
「まあ、互いに信頼し合えるいい関係だと思う。彼女には色々と世話になっているし、いくら礼を言っても言い尽くせないかもな」
「へえ、そうなんだ。友人としては、結構いい感じみたいだね。じゃあさ、一人の女の子として彼女のことはどう思う?」
「女の子として?」
シャーリーに次の質問をされ、僕は再び考える。この質問の意図としては、「カレンは僕から見てどんな女の子か」ということを指すのだろうか。
まさか「男勝りで熱血で、玉城におちょくられたら拳で応える元気な子だ」なんて、口が裂けても言えないよな。
「そうだなあ。やはりお嬢様らしくおしとやかで、一見近寄りがたい所もあるけれど、実は面倒見のいい優しい人だと思う。多くの男子に人気があるのも頷ける」
「うーん、私が聞きたいのはそういうことじゃないの。あっ、でもライ君ってそういうのに鈍感っぽいから、わかるかなあ」
シャーリーが首を横に振った後、一人で何か言っている。何か、あまりいい印象を与えないっぽい言葉が出た気もするんだが。
「じゃあ、どういう意味で聞いたんだ?」
「あ、うん。えっとね、その…カレンのことをす……」
少し恥ずかしそうに言葉を紡いでいたシャーリーの動きが、突然ピタッと止まる。そして何やら、自分の足元付近を見回している。
「ん?どうしたんだ」
「う…嘘。でも今のって確かにアレ、だよね?」
「いや、アレと言われても」
シャーリーが机の下で何を見つけたのかわからず、僕が足元に視線を移した時だった。
「きゃあああっ!」
「うわっ、シャーリー!?」
突然シャーリーが悲鳴を上げ、椅子から転げ落ちた。僕はあわてて椅子から立ち上がり、シャーリーの近くに駆け寄る。
「シャーリー、どうしっ……」
僕が駆け寄ると、椅子が横倒しになり、その隣でシャーリーが床にへたり込んでいた。その綺麗な脚をこちらに向け、微妙に開いた状態で。
丈の短いスカートの中が見えそうになり、僕は瞬時に目をそらす。
「で、で、出たの!ゴキブリ!」
「ゴ、ゴキブリ?」
僕は周囲を見渡すが、床の上にはそれらしき生物はいない。
「別にいないぞ」
「本当だよ、本当に黒い虫がいたんだってば!こっちの方も見てよ!」
「いや、『こっち』というのが君のいる方向だというのは理解できるが、その……」
僕は相変わらずシャーリーから視線をそらし、少し熱くなった頬を指で掻きながら指摘する。
「学園のスカートは、結構短い。仮にも男の前でその姿勢でいるのは、そろそろ…だな」
「え?……きゃあっ!」
自分の姿勢に気づいたシャーリーが、あわててスカートを上から押さえながら、床に座り直した。そして顔を真っ赤にしながら、僕に尋ねてくる。
「もしかして、見ちゃったとか?」
「いや、それはない。断じて見ていないから、安心してくれ」
一瞬白い布状の物が見えなかった気がしないでもないが、シャーリーのためにこの記憶は全力で抹消しよう。
「しかし、ゴキブリなんてどこから入ったんだ。学園内は結構綺麗だと思うんだが」
その後、僕はシャーリーと隣り合って椅子に座っていた。彼女の気持ちも、少し落ち着いてきたらしい。
「どうなんだろうね。でもゴキブリって、一応飛ぶんでしょ?校舎のどこかの窓が開いている隙に、そこから入ったのかも」
「可能性はないとは言えないな。しかしすごい驚きようだったが、ゴキブリは苦手か?」
僕が尋ねると、シャーリーは顔をしかめて答えた。
「当然だよ、大嫌い。何だか黒光りして、気持ち悪いじゃない。あんなゾッとするような虫を好きな人なんて、いないんじゃないかな」
「随分な言いようだな。そこまで言うなら、やはりゴキブリは多くの人から嫌われ…いや、ごくまれにそうじゃない人もいるかもしれないんだろうけど」
一瞬卜部さんのことを思い浮かべ、僕はシャーリーに完全に同意するのをやめた。あの人の場合、虫という虫が好きだからな。それこそ、胃袋に収めてしまうくらいに。
「でも困ったなあ。ゴキブリがいると思うだけで、仕事に集中できないよ」
シャーリーが、困り顔で言う。
「よし、僕が捕まえよう。確か殺虫剤があったよな」
僕がそう言って、椅子から立ち上がった瞬間だった。僕たちの足元を、黒い何かが横切っていく。間違いない、ゴキブリだ。
「きゃあああっ!」
「言ったそばから!」
シャーリーが悲鳴を上げ、僕はゴキブリを追った。
「机の下に入ったはずだが、どこだ」
殺虫剤を探す時間が惜しかったため、僕は部屋の隅にあった古新聞を丸く包み、構える。
「どこ、どこ?」
僕の近くで、シャーリーがオロオロしている。そして間もなく、入り口側の机の下からゴキブリが出てきたのを、僕は見つけた。
「いつの間にあんな所へ!」
ゴキブリが部屋の入り口とは反対方向に走り、僕はそれを追った。シャーリーも怖がりつつ、結末を見届けるために後からついてくる。
「よし、隅に追い詰めたぞ。叩くのは忍びないが、許してくれ」
丸めた古新聞を片手に、僕は祈った。
「ラ、ライ君……」
シャーリーが僕の少し後ろに立ち、怯えながらゴキブリを見つめる。
「よし、せーの!」
僕が古新聞を振りかぶろうとした、その時だった。何とゴキブリが、その黒い羽根を突然広げ、僕たちの頭上目がけて飛び立ったのだ。
「きゃあああっ!飛んだ飛んだ、怖い怖い!」
「ちょっとシャーリー、落ち着いて!」
シャーリーが泣き叫び、僕の服の袖をつかむ。僕は何とかゴキブリを追おうとするが、うまく身動きが取れずにいた。
そしてゴキブリの鈍い羽音が二人の耳元をかすめ、彼女の動揺が頂点に達した。
「やああっ!」
「ちょっ、うわっ!」
僕たちはもつれるように、床の上に倒れ込んでしまった。そしてゴキブリは、何事もなかったかのように少し離れた床の上に着地する。
「だ、大丈……!」
「いたた。ごめんねライ君、私のせい…で!?」
自分たちの状況を理解した僕とシャーリーは、同時に絶句した。僕が彼女を床の上に押し倒す格好になり、もう数センチ近ければ二人の唇が重なりそうなくらい、僕たちの顔は接近していた。
「「ご、ごめん!」」
僕たちが動揺し、同時に相手に謝った時だった。
「失礼します、遅れまし……」
生徒会室の扉を開け、カレンが入ってきた。そして僕とシャーリーの姿を見つけ、硬直する。
三人の瞳が一点に交わったまま、大変気まずい空気が室内に流れ始めていた。
「カ、カレン!違うの、これはね!」
「違うんだ、別にこれはやましいことがあったわけでは……」
あわてて弁解しようとする僕とシャーリーを見下ろし、カレンが不気味なくらい落ち着いた声で言った。
「もしかして私、お邪魔だったかしら?」
まずい、何だかすごく怒っている。まあこんな場所で男が一方的に女性を押し倒しているのを見れば、女性としては怒るのかもしれない。とにかく、何とか誤解を解かないと。
「と、とにかくこれは誤解なんだ。僕とシャーリーは何も……」
「だったら、いつまでシャーリーを押し倒しているのかしらね?」
「あっ!す、すまないシャーリー!」
僕はあわててシャーリーの上からどいて、彼女を助け起こした。そして二人で床に座り、カレンを見る。
(あっ、カレンの足元にゴキブリが)
その時、僕はカレンの足元にゴキブリがいるのを見つけた。
「あら、ゴキブリ」
カレンもそれに気がついたのか、静かにゴキブリを見ている。やがてゴキブリは、開け放たれた部屋の扉から外へ出ていった。
「よ、良かったぁ……」
その様子を見届けたシャーリーが、安堵のため息をつく。
「実はさっきから、あのゴキブリを捕まえようとしていたの。でも急に飛んだから私がびっくりしちゃって、それでね……」
「あ、もしかしてそれでさっきの体勢に?」
「そう、そうなの!だからね、私はライ君とは何もなかったよ!ねえ、ライ君?」
「ああ、そうだ。僕たちにやましいことは何もない」
シャーリーに同意を求められ、僕は何度も強く頷いた。するとカレンが、微笑んで言う。
「何だ、そうだったのね。ごめんなさいねシャーリー、誤解しちゃって」
「ううん、いいよ。確かに私たち、紛らわしい状態だったから。本当にごめんね」
「別にいいわ、シャーリーは…ね」
カレンが少し怖いくらいの笑みを、僕に向けてきた。それは外見では判断できないが、一緒にいる時間が長く、かつ彼女の素顔を知っている僕にはわかる。
もしかして、まだ怒っているのか。誤解は解けたはずなのに。
「ライ、後で少し話し合いましょうか。私は少し用事があるから、また後で『じっくりと』ね」
何故か「じっくり」の部分に力を入れ、カレンは僕にそう告げると、生徒会室から出ていった。
「な、なあシャーリー。まだカレンは怒っているんだろうか」
するとシャーリーは、微妙な笑顔で答えた。
「うーん、あんなのを見ちゃったからねえ。多分、怒っていると思うよ」
「何故だ、誤解は解けたはずじゃないか」
「女心は複雑なんだよ、色々とね。その様子だと、まだライ君にはわからないか」
そう言ってシャーリーは肩をすくめ、僕は首を傾げた。どういう意味なんだ、彼女は何か知っているらしいが。
「とにかく、ちゃんと仲直りしなよ。私も二人のこと、応援しているんだからね」
「あ、ああ。仲直りは当然だが、何を僕たちは応援されているんだ?」
するとシャーリーは、いたずらっぽい笑みを浮かべて言った。
「何でもないよ。でもきっと、ライ君だっていつか理解できるはずだから。それと、さっきはごめんね」
結局シャーリーが言うことの意味が何なのか、僕にはわからなかった。
その後。少しだけ残っていた仕事を片づけた後、僕はアジトへ行ってカレンに会った。何を怒っているのかは彼女の口から語られず、代わりに模擬戦を申し込まれた。
その日の紅蓮の動きは抜群で、僕の乗る試作型月下は常に劣勢に立たされ、結果は完敗。また模擬戦が終わってからの彼女は上機嫌そのもので、結局僕は何も知らないまま許されることになった。
ちなみに、その時の彼女の怒りの原因が嫉妬だったことを僕が知るのは、特区日本が成立して彼女と付き合い始めてしばらくのことである。
以上で終了です。一年以上書いてきて、シャーリーはこれがほぼ初書きです。
余暇卿乙です!
たしかにあの黒いのは嫌だ
面白かったです
次の投下をお待ちしています
乙でした。
シャーリー物はわりと珍しいですよね。
ロスカラでは、どちらかというと不遇な感じなので、SSで見かけると妙に嬉しくなりますw
どうでもいいですがGと聞いてマント閉じたゼロを連想してしまった、すまんゼロ。
乙です
嫉妬物好きな私には嬉しかった
190 :
風太郎:2009/09/28(月) 23:42:36 ID:xBAXvvv7
乙です。
R2でのシャーリーを思うと、この日常が掛け替えのないものに感じます。
ちなみに僕も昔はGが苦手でしたが、「虫食い同好会シリーズ」で克服しました。
なまじ“あの”光景を想像すれば、リアルで意外なほど耐性がついていました。
>>186 余暇卿、GJでした!
さすがはG、恐ろしい……
というか >胃袋に収めてしまうくらいに
いや、確かにゴキブリ食えるとは聞くが……菌に注意したりして食うのだろうか、あの人……
次の投下を全力でお待ちしています!
面白かったです
僕も嫉妬ネタは大好物なので!
確か飼育して世代を重ねれば無菌状態に出来るらしいから…
案外卜部さんなら食いかねんですな
そう言えば昔火○鳥でそれっぽい虫を食ってる話があったの思い出したよ
>>192さん
確か、た○陽編でしたね。
メインディッシュはネズミのから揚げでしたっけw
>>193 まさか分かる人がいるとは!
そうそう、店に並んでるのもそれっぽい食材ばっかりなの
ゲットーのイレブンでもまだそこまでは無いだろう!
とは思うんだけど
卜部さんならあれを食うしかない状況になっても平気そうですよね
>>194 あ〜、言われてみれば「光」と「影(シャドー)」の構図はブリタニア人と
ナンバーズの関係に近いかも。
……いや、逆か。
さしずめ、ライもある意味「ハリマ(犬上)」と「スグル」の関係にちかいものがありますしねw
まぁ、卜部さんの部屋には保存食で「ゴキブリの油漬け(だったかな?」のストックがりそうですがw
火○鳥は永遠の命がテーマでしたが、それにまつわる苦悩や葛藤とC.C.のそれは
近いものがありますしね。
22:00から投下するけどいいよね?
答えは聞かないけど
というわけで投下開始
タイトルは「とある日の日常風景(ラウンズVer)」
注意点
・最初に言っておく! ラウンズVerとあるが他のVer書く予定はない
・ついでに言っておく! パロディネタがあるぞ
・最後に言っておく! 特区失敗→ゼロ捕縛→ラウンズ的な流れを想定している!
あと支援は要らないぞ、きっと
ブリタニア本国の一角、皇帝の騎士・ナイトオブラウンズ達は己の技量を高めあっていた。
互いに訓練用の木剣を手に取り、打ち合うその様は舞を踊っているようにも見える。
「へぇ、ますます腕に磨きがかかってるじゃないか」
少し距離をとり、相手を見据えながら長身の青年、ジノがそう口に出す。
それを受け、彼が剣を打ち合っていた銀髪の青年も返す。
「それはこっちの台詞だよ」
そして、互いにニヤリと笑い再び剣舞を始めようと駆け出す――
「……十分経った……休憩……」
が、どこか冷めた声が二人の動きを止めた。
「いいじゃないか、アーニャ。 実際の戦場で10分以上経っても決着がつかないことだってあるさ。 その為に訓練しておくべきだろ?」
そういうジノの方を向こうとせず、携帯を弄りながらアーニャは言う。
「『10分以上戦う訓練』ではなく『10分以内に倒す訓練』をすべき……
それに、最初に10分経ったら教えてくれって言ったのはあなた……」
「まぁ、とりあえずは休憩しよう。 訓練自体は後でまたやればいい」
そう言うアーニャに対してジノは反論の言葉を探していたが、対戦相手の青年、ライにまで休憩しようと言われた為に諦めることにした。
「じゃ、休憩しますかね……で、だ。 スザクはどうするんだ? 模擬戦」
木刀で素振りをしていたスザクは勢いよくそれを降り下ろしたあと、左手で汗を拭いながらジノの方を向く。
「うーん、僕も訓練しようかと思ったんだけど……」
そして彼はチラリとアーニャの方を見る。 その視線を感じたのかアーニャは傍らに置いている銃を手にする。
「……あぁ、なるほど、得物が噛み合わないってことか」
「……銃は剣より強し」
アーニャを見てジノが言うと彼女はポツリと呟いた。
「じゃあ五分くらい経ったら僕かジノと戦おうか」
ドリンク(ただしセシル作ではない)の入った水筒を片手にライが言うとジノとスザクが頷いた。
「ほぅ、その向上心は素晴らしいなぁ」
と、扉から聞こえてくる声。 そちらのほうに3人が視線を向けるとそこには開いた扉に背を預けたルキアーノ・ブラッドリーがいた。
「そこで、だ。 俺もお前たちの訓練に協力してやろう。 ありがたく思え」
胸を張ってそう言うルキアーノに対して、ライとスザク、ジノは一瞬顔を見合わせてから揃って答えた。
「せっかくですけどお断りします」
少し止まる時間、ややあってルキアーノが叫ぶ。
「この『ブリタニアの吸血鬼』が直々に稽古をつけてやると言っているのに断るだとぉ!?」
懐に手を伸ばしながら叫ぶ吸血鬼をみてライは答える。
「だって……投げナイフと戦っても……」
ライの言葉に追従してスザクとジノが頷く。
以前の訓練で、ルキアーノはひたすら距離をとってのナイフを投げてきたのだ。 回避の訓練にはなるが攻めに集中できない、故に三人は断ったのだ。
「自分の有利な条件で戦うのが策士というものだよ。 不利な条件だからって戦わない君たち」
嘲るように言うルキアーノを見ながら三人は小声で話す。
「……なんか言ってることおかしくないか?」
「奇遇だな、僕もそう思った」
「うん、確かにそう思う」
とりあえず意見が纏まった三人は、少し休憩を長くしようとそう決めた。 が、ルキアーノが更に続けた言葉に事態は加速した。
「まぁ、しょうがないよなぁ、自らが仕える皇女様を護れなかった枢木卿と共にいる奴等だ。
実際護れなくて良かったのかもしれないなぁ、虐殺――」
「ブラッドリー卿」
ルキアーノの言葉を遮りながら、スザクは傍らに置いていた自らの手袋を取ろうとする。
「それ以上言うなら……僕は貴方に名誉を賭けた決闘を申し込まねばなりません」
スザクはルキアーノに鋭い視線を向けながら静かに言った。 彼の後ろに立つライも同様の視線をルキアーノに向ける。
彼もまたユーフェミアを護れなかった、そして彼女に起こった真実を知る者だから。
その両者の怒りを感じとったのか、ルキアーノは口の端を歪めながら楽しそうに叫ぶ。
「いいだろう、さぁ、決闘だ! 互いの命を! 大切な物を賭けた!
私は奪う! 君たちから大事なものを! なんなら二人で来たまえ!」
大量のナイフを構えるルキアーノに対してスザクは近くに備えつけられていた剣を手にする。
また、ライも一歩進むがジノにより止められる。
「……何故止める」
「分かってて言ってるだろ。 スザクは正式に決闘を申し込んでいない。
ブラッドリー卿から始めたわけだが、これは明らかに私闘だ。 二人でかかれば騎士道不覚悟、お前ら揃って処刑かもな」
軽く言うジノだが、その目から真剣さを感じたライはゆっくりと頷く。
スザクは負けない、そう信じて見守ることにした。
張り詰める空気、高まる緊張感。 そして、どちらも動かずに過ぎる時間。
「双方そこまでッ!」
だが、その空気は打ち破られることになった。
いつの間にやら両者の間にビスマルク・ヴァルトシュタインが割って入っていたのだった。
「お前達のどちらでも、今失えばブリタニアにとって大きな不利益となる」
「だが、枢木卿が……」
「申し訳ありませんでした」
言い繕おうとするルキアーノだったが、スザクがビスマルクに頭を下げ、その場を離れたことで後を続けることは出来なかった。
「……ふむ、どうやらブラッドリー卿は血の気が有り余っているようだ」
そんなルキアーノの様子を見てビスマルクは言う。
「私でよければ訓練に付き合うが、どうだ?」
「ったく、頭にきたのは分かるがもっと落ち着けよ。 ヒヤヒヤさせやがって」
うつむき歩いてくるスザクの首に手を回しながらジノが言う。
「……あぁ、ごめん……」
「気にするな――とは言えないな、僕も」
そう言いつつライは、何か話題を変えられないかと言葉を探し、そして浮かんだ事を口に出した。
「――そういえば、何故ここにヴァルトシュタイン卿が……」
皇帝の騎士『ナイトオブラウンズ』基本的に順列などはないが、ナイトオブワン、ビスマルク・ヴァルトシュタインだけは違う。
訓練場に来ることなどないほど忙しいはず、その疑問を傍らから聞こえた声が解消した。
「私が呼んだ……ケンカが始まりそう、って……」
アーニャが携帯電話を弄りながら言う。 無関心に見えてやることはやっていたようだ。
「ありがとう、アーニャ」
「ごめん、アーニャ」
ライとスザク、二人がそれぞれの言葉でアーニャに礼を言う。
「別にいい……」
少し携帯電話から目を話してそう言うと、彼女はまたそれを弄りだした。
「お、なんか面白いことになってるぜ!」
いつの間にかスザクから腕を離していたジノが三人に声をかける。
その視線の先には対峙する二人のラウンズがいた。
「ヘヘっ! それじゃあお手柔らかに……」
軽薄な笑みを口元に浮かべつつルキアーノが言う。
だが、その視線は真剣に目の前にいるビスマルクに向けられている。
そのビスマルクも木剣――身の丈を超える長さである――を構え、相手をその右目で見据えていた。
「戦場で大事なものは――」
訓練用なのだろう、刃引きされたナイフを構えて走りつつルキアーノはいつもの口上を述べようとする。
「黙れッ!!」
空気が震えるような大声、それに一瞬ルキアーノは止まる。
「そして聞け! 我が名はビスマルク! ビスマルク・ヴァルトシュタイン! ブリタニアの剣なり!」
そう叫ぶとビスマルクは一気にルキアーノとの距離を詰めた。
「ちぃ!」
舌打ちしながらルキアーノは一息に三本のナイフを投げる、が
「どぉぉぉぉりゃぁぁぁ!」
ビスマルクはその大剣にて迫るナイフをすべて払った。 そしてその勢いのままルキアーノにその剣を降り下ろす。
「あぐっ!」
悲鳴をあげた後、倒れるルキアーノに対してビスマルクは言う。
「安心しろ、峰打ちだ」
この顛末をみたジノとアーニャは「峰打ちは凄い威力だ」と間違った知識を植え付けられるがすぐに横の二人に訂正された。
「諸刃」の剣に峰はない、と。
おまけ的な何か「副題:彼が峰打ちと叫んだわけ」
「ライ卿、礼を言うぞ」
必殺技の試し打ちという訓練を終えたビスマルクはライに話しかけてきた。
「はい、気に入ってもらえたようで良かったです……それでこれを」
ライはビスマルクに紙袋を渡した。
「おぉ、すまないな。 続きが気になってたのだ」
柔らかな笑みを浮かべながらビスマルクは言う。
「ぼ……私も枢木卿に薦められて興味を持って……今は彼以上にはまっていますよ」
ライもそういいながら笑う。
「SAMURAIとはすごいものだな。 エリア11、矯正エリアとなったとはいえ侮れぬ底力だ」
紙袋の中にはSAMURAI、もといさまざまな形で書かれる小説や漫画などが詰め合わされていた。
あとがき
だって生身でも機体に乗ってもでっかい剣振り回すとか親分じゃないか
ずっと書きたかったこのネタ、書けて満足。
最近中途半端に書いて止まってるSSが結構あって困る。
203 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/01(木) 04:08:13 ID:cqcmEZhW
余暇卿さん乙です。
やはりGに立ち向かうための武器は
古今東西昔から新聞紙を丸めたものなんですね。
全力感想人Yさん乙です。
そうですね、親分とビスマルク卿の戦いはすごく・・・楽しみです。
そうなったら謎の食通の立場はどうなるんでしょうね?
では余暇卿も全力感想人Yさんも
次の投下を全力でお待ちしています。
>>202 いやいやビスマルクはこのネタかバッチリハマりますね
それに結構性格が似てる気がしますし
全力感想人Y乙!
ビスマルクがSAMURAIになるなんて
でもけっこう似合ってる
次の投下を全力で待っています
206 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/02(金) 01:49:42 ID:J1c8sz4G
あまりのキモさに笑っちゃいました☆
いまごろ更新再開とか・・・
もうアホかとバカかと・・・
もう再開する気はないかと思ってた。
やる気がないならいっそ閉鎖してほしい
そのほうがすっきるするしあきらめもつく
>>208 あんたもそう思うよな?もうトーマスの時代はおわったんだよ
じゃあ次はwikiさんの時代を終わらせる気なんですね、マルチコピペさん。
ってかそんなに気にくわないなら自分が管理するまとめサイト作ればいいのに。
まとめなんてボランティアみたいなもんなんだし、やってくれる人がいるだけでも感謝だわ
ってマジレスしちゃいかんのか
いいんじゃね?
でも後から荒らしの相手をするな、スルーしろって言われるけど
っうか只のトーマス卿嫌いの奴に何を言っても無駄だよ。奴も無視するか、俺には
無理だしか言わんのだから。結局奴はSSスレがどうなろうとどうでもいいんだよ。
以前投下よりトーマス卿を糾弾する方がましだって言うんだから。
奴に付いて頭ががくるのは只の個人攻撃なのに二言目にはスレの為とか自分は悪くない的な
事を言う事なんだよな。まあそれが荒らしなんだろうけどね。
我々は住民の代表して発言しているだけだ
荒らしなどと名誉棄損もいいところだ
だね、大層なこと言ってる時もあるけど
ただ単に管理人さんが気に入らないから叩いて追い出したいだけなのよね
おいおいみんな、そんな今の流れで邪魔なのは自分って気付いてない代表(笑)の馬鹿に構って職人さんが投下しずらい空気作っちゃ駄目だぜ
んな馬鹿はほっといて切り替えようぜ
まあ正直トーマス卿個人としてはそんなに好きじゃない部分ももちろんあるよ、確かに
でも管理人としてはよくやってると思うし、粘着して叩くまでの意味は感じない
本当は好きなんじゃないの?一生懸命叩いてる奴
違うな間違ってるぞ
投下が来ない原因は我々ではなく全てトーマスによるものだ
証拠はある
奴が更新をさいかいしてから一つも投下がない
これはつまり職人が奴を嫌悪してるからにほかならない
成る程本当は好きで溜まらないから構って欲しくて色々言うけど、構ってくれないから
つい、きついこと言うと、、、、ツンデレだね。
言い換えれば、自称代表さんが相変わらずの事をスレに書き込んだからとも取れるわけだwww
>>220 ツンデレw
だよなー逐一保管庫のチェックしたり管理人さんの動向を追いかけてるし
そう思うと途端にどうでも良くなるねぇ
じゃあツンデレって事でおk?
これからは皆で生ぬるい目で見守ると言うことで
このスレに常駐してるなら土日に投下が殆どないのはギャルゲー板に有ったころからの
常識なのにそれを無視して叩くってことはやっぱりツンデレだねwwww
それに
なぜ貴方たちはそうまでして荒らしに構うんだ…?
荒らしじゃないよツンデレだよw
まぁむかつくからだろうね。俺個人で言うと、投下があるまでの暇潰しかな?人が居るよ
って直ぐ解かるし投下の時支援を受けやすいでしょ。
つかこんな事書くと付け上がらせるだけだって批判は受けるだろうけどけど甘んじて受けるよ。
>>224 もはやこのゴミが荒らし化してるよな
暇潰しで荒らすとかクズ過ぎる
スレの為だの職人の為だのと正当化して正義ヅラしてるところがアレ以上にタチが悪い
もうあのクソアンチと一緒に死ねばいいのにな、同じ害虫なんだから
それとも自分もツンデレ(笑)とか言って誤魔化すのかね
226が言ってるのは224のことじゃないんじゃないの?
言い過ぎたもなにも大したことも言ってないのになんで謝るのか。
口先だけで折れて場を収めた気になるなよ
>>224 正直、こいつはこうなんだと言い聞かせないとやってられんからですよ
荒れたら職人も支援者も消えてスレが終わるだけだとおもうなぁ…。
5分後くらいに投下します。10レス位を予定していますので、よろしければ支援の方をお願いいたします。
りょーかい
畏まりました
こんばんは、では投下します。
作者:余暇
タイトル:最強(?)のデコボコトリオ
(設定と注意)
・基本はライ視点ですが、途中2レスはヴィレッタ視点になります。
・少しオリジナルキャラが出てきます。
・戦闘とかナイトメアとか、慣れないシーンに挑戦したので、少し違和感あるかもしれません。
しえん
し・え・ん
『最強(?)のデコボコトリオ』
ある日のこと。僕は政庁にあるジェレミア卿の部屋で、彼やヴィレッタ卿とともに書類整理をしていた。
「ええい、何故私がこのような雑務をせねばならんのだ!このようなことは、下の役人に任せればいいだろう!」
そして案の定、三十分もしないうちにジェレミア卿が文句を言いだした。まあ、こうなるのはわかっていたが。
「ジェレミア卿、今は耐えて下さい。我々純血派の軍における地位を取り戻すためには、こうした小さなことからコツコツと実績を積み重ね、地道に評価を上げていくしかないのです」
ため息交じりに、ヴィレッタ卿がジェレミア卿を諌める。心中、お察しします。
「だがヴィレッタ、これではいつ以前のような栄光を取り戻せるか、わからんではないか。だから私は戦場にて大きな手柄を立て、早く元の純血派に戻りたいのだ」
「ジェレミア卿、僕はヴィレッタ卿の方が正しいと思います。雑務だからと侮ってはいけません、こういう仕事こそ的確に早く済ませなければ、いくら戦果を挙げても評価は上がりません」
「むぅ、ライ卿までそのようなことを。だが貴公が言うのならば、あながち間違いでもないのだろう。ならば仕方がない、ひとまずこの作業だけでも終わらせよう」
僕が声をかけると、ジェレミア卿は渋々ながらも納得してくれた。そして口の中でまだ文句を言いつつ、書類に目を通し始める。
ふとヴィレッタ卿の方を見ると、「助かった」とでも言いたげな視線を僕に向けてきた。そして僕も軽く頷いてそれに応えた後、再び仕事に取り掛かった。
ちなみに言っておくと、このようなやり取りは今日だけでこれが三回目であり、しかもこんなことが三日連続で繰り返されているのだ。もうため息しか出ない。
それから二時間が経過して、ようやく作業が終わった。僕たちは三者三様に、大きく息を吐く。
「やっと終わりましたね」
「やはり私には合わない、つまらん作業であった」
「ジェレミア卿、またそのような……」
本当に三者三様、色々な感情が渦巻いている。ジェレミア卿もヴィレッタ卿も、相も変わらずといった具合だ。
「やはり私は、ナイトメアで戦場を駆け抜けるのが一番性に合っている。このような作業は最も似つかわしくない、そうは思わんかライ卿」
この話題を振られるのも、もう何回目だろう。数えればキリがない。僕は軽くため息をつき、ジェレミア卿に言った。
「確かに、ジェレミア卿のナイトメア操縦技術はすごいと思います。『戦闘と事務的作業のどちらが合っているか』と問われれば、間違いなく戦闘でしょうね。
でも今は作戦に参加できても、あまり重要でないポイントしか僕たちには割り振られないじゃないですか。そこで戦果を挙げても、すぐに名声を取り戻せるとは思えません。
だったら、なおのことこういう書類整理から地道に評価を上げて、また最前線で戦わせてもらえるようにしていけばいいんですよ」
僕がそう言うと、ジェレミア卿は渋い表情で言った。
「そうかもしれんが、性に合わない分野でどう評価を上げるのだ。これでは満足に評価も上げられず、純血派の名声は半永久的に取り戻せぬまま。
ならば、軍人らしく少しでも多く戦闘に参加して戦果を挙げ、評価を上げていくべきではないのか?」
「確かに軍人は職業柄、戦闘に率先して参加するものです。ですが四六時中戦闘が起きているわけでもありませんし、組織で動く以上、こういう仕事だって少なからず発生します。
それにこのエリア11での戦争が終結したら、戦闘に参加する機会なんて減るでしょうね。そうなったら、ジェレミア卿はどうするんですか?苦手な事務的作業を、嫌でもやる日々が続くんですよ。
だったら、今のうちに苦手意識を克服して、こういう仕事でも評価を上げられるように自信をつければいいんですよ」
「ぐっ、それは……。だ、だがここでの戦争が終結しても、まだ世界中のどこかで戦争は続く!今度はそこへの参加を志願して、再び戦地に身を置けば良いではないか」
ジェレミア卿は、なおも食い下がってくる。そんなに書類整理が嫌いなのか、この人。
「ではもし志願したとして、それが簡単に承認されて別の戦地に行けるという保証が、今の僕たちにはありますか?正直な所、かなり厳しいでしょうね。
もし、どうしてもあなたが『少しでも多く戦闘に参加したい』と思うならば、こういった書類整理から地道に評価を上げていくしかありませんね」
「くっ、どうしてもそこに行き着くのか。私は戦闘でこそ己の真価を発揮できるというのに、いつまでこのような仕打ちに耐えねばならんのだ」
眉間にしわを寄せるジェレミア卿に対し、僕は少し優しく声をかける。
「大丈夫ですよ、そのために僕やヴィレッタ卿がいるんですから。何のために僕たちが、あなたのそばにいると思うんです?何故純血派は三人もいるのに、一人で苦しむんです?
一緒に力を合わせて、頑張って純血派の地位を回復させましょうよ。僕たちもお手伝いしますから、ねえヴィレッタ卿」
「ん?あ、ああ。ジェレミア卿、ライ卿の言う通りです。我々が補佐しますから、今はとにかく耐えて下さい。いつか道は開けますから」
僕に話を振られ、一瞬言葉に詰まった後、ヴィレッタ卿もジェレミア卿に励ましの声をかけた。まあ実際一番苦しんでいるのは彼女だと思うし、僕の言葉に疑問を持っても仕方ないか。
それに僕自身も、何となく放っておけないから彼らに協力している部分が大きい。随分期待をかけられている現状を考えると、そんなことは彼らに言いにくいけど。
「おお、二人とも……」
ジェレミア卿が、何か感動したようなキラキラした瞳で僕たちを見つめている。本当に単純というか、何というか。
「ありがとう、何だか勇気が湧いてきたぞ。そうだな、必ずや苦手分野も克服し、私が純血派の地位を回復させてやろう。いや、『私たち』が!」
そう言って親指を突き出し、ジェレミア卿が歯を光らせて笑った。爽やかというより、暑苦しい。
「しかしやはり、私たちの真価が一番発揮されるのは戦場だと思うのだ。ああ、今すぐ戦場に飛び出して三人で輝かしい戦績を……」
ダメだ、まるでわかっちゃいない。
「ハァ、何だか頭が痛くなってきた」
ため息をつきながら、ヴィレッタ卿がこめかみを指で押さえている。本当にいつか倒れそうで、すごく心配だ。僕が何とかして支えてあげないと。
結局、この後も似たようなやり取りが小一時間ほど繰り返されたのであった。
しえん
それから数日が過ぎた。僕たち純血派は、中規模レジスタンス組織の掃討作戦に参加するため、とある地方に来ていた。
どうやら今回の組織は黒の騎士団とは関わりを持たないらしいが、それでもエリア11に駐留する軍にとっては、大事な戦闘である。
そして今回は主力を温存するということで、運良く純血派にも活躍の機会を与えられたというわけだ。
「むぅ、今回は黒の騎士団との戦闘ではないのか。私はこの手で一刻も早くゼロを討ちたいのに、それだけが残念でならない」
もっとも、せっかく活躍の場を与えられたのに、「ゼロと戦えない」というだけでジェレミア卿は不満らしい。本当に立場をわかっているのか、この人。
「いいですか、ジェレミア卿。不満なのはわかりますけど、これもちゃんとした任務で、戦果を挙げるいい機会なんですよ。
この作戦で活躍できれば、今度からはもう少し重要な所を任される可能性が出ないとも限りません。ですから、今は不満を胸にしまって頑張りましょう」
「むぅ、それもそうだな。よし、まずはこの作戦に大きく貢献し、いつか必ずゼロと!うおおお!」
僕の言葉に乗せられ、ジェレミア卿が俄然やる気になる。空回りしなければいいのだけど。
「すまないな、ライ卿。ジェレミア卿のせいで、本来は特派として動くべき立場の貴公を巻き込んでしまって」
ヴィレッタ卿が、心底すまなそうに僕に耳打ちしてくる。
そう、本来は特派に所属する僕が何故純血派と一緒に行動しているのかというと、ジェレミア卿が今回の作戦の司令官に、しつこく僕を推薦したからである。
その司令官も最初は取り合わなかったらしいが、彼が何度も頼みに来るので、仕方なく折れたらしい。
ヴィレッタ卿からその話を聞かされた時、僕は「強引なことをするものだ」と呆れたし、ロイドさんには憐れみの目で見られてしまった。
だが結局、彼らを放っておけない気持ちと、ロイドさんの「クラブのデータを取るいい機会だしねぇ〜」という言葉に押される形で、僕も参加を承諾したのである。
それと、実は少し嬉しくもあったのだ。僕に向けられた、ジェレミア卿の厚過ぎるくらいの信頼が。だからこそ、僕は彼らの力になってあげたいと思う。
「いえ、気にしないで下さい。確かに初めは面食らいましたけど、最終的に決断したのは自分の意思ですから。
ジェレミア卿にこれだけ信頼してもらえるのはやっぱり嬉しいですし、その期待に応えたいですから。それと、もちろんヴィレッタ卿のためにもね」
「何、私のため?私はジェレミア卿から貴公を引き離してやることもできず、色々な騒動に巻き込ませ、迷惑をかけているというのに」
困惑顔のヴィレッタ卿に対し、僕はさらに話を続ける。
「そんなことないですよ。確かにドタバタが多くて大変な時もありますけど、お二人といると何だか居心地がいいんです。
それにヴィレッタ卿は純粋で真っすぐで、そして意志が強い人だ。僕はそんなあなたを、どんな形であれ支えてあげたいんです。もしかして、ご迷惑でしたか?」
するとヴィレッタ卿が、突然顔を赤くしてあわて始める。
「そっ、そんなことはない!貴公に対して『迷惑だ』などと、お…思えるはずがないだろう。しかも私のことを買いかぶり過ぎだ、私はそんな……」
「買いかぶってなんかいませんよ、僕の本心を言っただけです。僕は本当に、あなたを心から尊敬しています」
「う…時々、貴公という人間が恐ろしくなる。だが、その…あ、ありがとう」
伏し目がちに、ヴィレッタ卿が僕に礼を言った。僕は軽く頷くと、腕時計を見る。
「そろそろ時間ですね、作戦本部で作戦の内容を聞きましょう」
「むむっ、時間か。ならば行くぞ、ライ卿!」
僕は二人と一緒に、作戦本部が置かれているテントの方へ向かった。
しえん
「ちょっと待て!ライ卿だけ本陣で待機とは、どういうことだ!」
作戦区域の地図が置かれた机を両手で叩き、ジェレミア卿が怒鳴る。だがこの作戦の司令官は、冷たく言い放つ。
「だから言っただろう、『特派の新型がいなくとも、我々だけで十分だ』と。彼は万が一の場合に備えての切り札みたいなものだと思えば、それでいいじゃないか」
「お言葉ですが、私もこの作戦内容には反対です。確かに相手ナイトメアの数を考えれば、我々のサザーランドだけでも勝機はいくらでもあるかとは思います。
ですが、こちら側の被害を最小限にとどめ、なおかつ我々との力の差を見せつけるならば、ライ卿のランスロット・クラブを前面に押し出すのがよろしいかと」
「そこまでしなくとも、我々だけでも奴らに力の差を見せることはできる。被害だって、大したことにはならんはずだ」
「ですが……」
頑として譲らない司令官に対し、ヴィレッタ卿がなおも食い下がろうとする。
「この作戦の指揮を執るのは私だ、文句は誰にも言わせない。もし不服ならば、即刻この作戦から外れてもらうぞ。
それにしても、せっかく君たちを作戦に参加させてやった上、『特派の新参者を加えろ』という無理難題まで聞き入れてやったというのに、なおも我を押し通そうとするとはね。
純血派とは、ここまで落ちぶれてしまったのかね」
「なっ!?言っていいことと悪いことが……」
司令官の嫌味に立腹したジェレミア卿が、前に出ようとした時だった。僕は素早く彼を手で制すると、司令官に向かって言った。
「わかりました。指示通り、こちらで待機します。ですが万が一の場合は、ご決断は速やかになさいますようお願いします」
「おい、ライ卿!」
「ここは抑えて下さい、ジェレミア卿。せっかくのチャンスを、僕のせいで失うわけにはいきません」
「ぬぅ……!」
ジェレミア卿が、渋々といった感じで引き下がる。司令官は冷たい笑みを浮かべると、僕たちに向かって言った。
「君は随分と物わかりが言いようだな。だがこれだけは言っておく、友人を作るならもう少し人を選んだ方がいい。
君たち二人も、物わかりのいい彼に感謝するんだな。では、以上だ」
しえん
支援
余暇さんが猿の襲撃を受けたため、代理投下いたします。
支援お願いいたします。
「まったく、何なんだあいつは!」
テントを出た後、歩きながらジェレミア卿がまだ文句を言っていた。
「仕方ありませんよ、ジェレミア卿。ただでさえ、特派ってだけでいい目では見られないんですから」
「やはり、彼がライ卿を戦線に出そうとしないのは『特派だから』という理由か」
「おそらく」
ヴィレッタ卿からの問いかけに、僕は頷いた。
自分で言うのもアレだが、最近特派の活躍は多少なりとも注目されている。それと言うのも、ランスロットとランスロット・クラブという、最新鋭のナイトメアが二機も配備されているからだ。
それらの機体で作戦に大きく貢献し、僕とスザクは「特派のダブルエース」などと称され、スザクに至っては、ユーフェミア殿下にいたく気に入られている。
だがにわかに出てきた若輩者、特に片方は名誉ブリタニア人という二人が注目されれば、古参の軍人の中には「面白くない」と思う者も出る。あの司令官が、その典型的な例だ。
僕とクラブを戦線に出して敵を倒されれば、功績は半分特派の物になり、「ナイトメアで勝った」と言われる。そうなれば、自分の軍における存在価値が誇示できなくなる恐れがある。だから僕を外したのだ。
「僕だって、特派やお二人のことを悪く言われるのは、気分のいいものではありません。ですがここで我を押し通して作戦から外されてしまったら、自分たちからチャンスを手放すことになります。
今はそんなことをしている場合ではありません、純血派の地位を回復するために頑張らないと。ですから、あなた方二人だけでも」
「ライ卿、すまない。我々のために、嫌な思いをさせてしまったな」
殊勝な面持ちで、ジェレミア卿が僕に謝る。
「僕は大丈夫です。それよりも気をつけて下さい。この作戦区域は廃都市で、道はある程度の幅がありますけど、崩れかけたビルや瓦礫など相手が盾にしやすい物が多い。
そして中央通りから離れた場所にちょっとした広場がありますけど、そこはナイトメア十騎が一斉に動くには少し狭過ぎる。囲まれないようにだけ、注意して下さい」
「ああ、わかった。それと私からも謝りたい、貴公には迷惑をかけてばかりだ」
謝ってきたヴィレッタ卿に対し、僕は微笑みながら答える。
「気にしないで下さい。それよりも、無事に帰ってきて下さいね。戦果を挙げることも重要ですけど、あなたが無事でいてくれることが一番大切なことで、僕はそれを願っていますから」
「うっ、あ…ああ。こ、心遣いに感謝する。貴公の言う通り、その…ぶ、無事に帰ると約束しよう」
顔を赤くして視線を僕からそらしながら、ヴィレッタ卿が答える。怒らせてしまったんだろうか、でもそんな感じには見えないが。
「よし、ではそろそろ行くとしよう。ライ卿、我々の活躍を見届けてくれ!」
「ではな、行ってくる」
「はい。お二人とも、気をつけて。いざとなったら僕の方でも何とかしますから、とにかく全員で無事に帰ってきて下さいね」
「ああ約束するぞ、我が同志よ!」
ナイトメアの方へ向かう二人を、僕は見送った。そしていよいよ、作戦が始まろうとしていた。
作戦が開始されると、僕は作戦本部のあるテントの中にいた。目の前には司令官がいて、無線で兵士に指示を送っている。
『敵ナイトメア、中央通りに現れました!数は五!』
「よし、相手はナイトメアを全部出してきたか。かかれぇ!我々との力の差、たっぷりと思い知らせてやるのだ!」
司令官がそう言うと、無線からアサルトライフルの発射音などが聞こえ始める。ついに戦闘が始まったのだ。
『うおおお!私が相手だー!』
『ジェレミア卿、あまり出過ぎないで!』
(ははは…相変わらずだ。しかしあそこなら、ある程度は自由に動けるか)
相変わらずの二人のやり取りに苦笑いしながら、僕は無線に耳を傾けていた。
『ぬぅ、距離ばかり取りおって!正面から堂々と勝負せよ!』
(ジェレミア卿がいら立っているな。おそらく相手は距離を開け、接近戦を避けている。一気に近づこうとすれば損傷は避けられないし、少し厄介だな)
僕がそう思っていると、兵士の一人から報告が入ってくる。
『敵ナイトメア、西へと後退していきます!指示を!』
「構わん!そのまま奴らを追い詰め、一気に叩くのだ!」
無線の向こうにいる兵士たちに、司令官が指示を出す。僕は机の上に広げられた地図を眺め、現状を把握しようとする。
(今いるのは中央通り、ここから先には交差点があって、そこから南北に走る道路は幅がやや狭い上に、脇道は全部瓦礫で塞がっている。そっちに誘われたら、明らかに動きづらくなるな。ん?ここから先って…まさか!)
僕があることに気づいたすぐ後に、次の報告が入ってきた。
『敵ナイトメアが我々と距離を取りつつ、交差点を右折!北へと向かいます!』
(やはりそう来たか、まずいな)
予感が当たった僕は、すぐに無線で声をかけた。
「ヴィレッタ卿、聞こえますか?僕です!」
「おい、貴様!」
司令官の怒声を無視して、僕は声を発し続ける。
『ライ卿か、どうした!』
「ここから先の道路は元々幅が狭く、瓦礫などで一部が埋まっていて、今までみたいに自由には動けなくなります。脇道から回り込むにしても、使えそうな道はまったくありません。
そしてそれだけじゃない、敵はこの先の広場に、あなたたちを誘い込むつもりです!退路を断たれたら、囲まれてしまいます!」
『くっ!瓦礫を盾にして、接近戦も射撃戦も我々が不利な状況にし、焦れた我々を広場まで誘導するのが、こいつらの役目か!道理で報告より戦車の数が少ないわけだ!』
「おそらく、広場の近くに待機しているんでしょう。この街は元々彼らの故郷で、地の利は向こうにあった。地形と心理を利用した作戦に、まんまとかかってしまったってことです」
『うおおお!私が倒す!』
『ジェレミア卿!今の話を聞いていたのですか!?』
そこへジェレミア卿の雄たけびと、ヴィレッタ卿が彼を制しようとする声が聞こえてきた。本当に彼らしい。
広場へ着く前に、うまい具合に敵ナイトメアに追いついて破壊できれば状況も変わるのだろうが、そうそう簡単に行きそうもない。
「ええい、貴様!この作戦の司令官は私だぞ!勝手な予測を垂れ流して、味方の士気や行動を揺さぶるとは、どういうつもりだ!こいつの言うことは無視しろ、早く奴らを追うのだ!」
ましてや、司令官がこの有り様である。このままでは、敵の思うつぼだ。
『ですが司令官殿、このままでは本当に!』
「うるさい!いいから指示に従うのだ!」
『くっ、イエス・マイロード』
ヴィレッタ卿が食い下がろうとするが、司令官は聞き入れようとしない。仕方なく彼女も折れ、僕に声をかけてきた。
『すまないライ卿、私もジェレミア卿たちを追う。みんな血が上って、冷静に考えられないでいるようだ。どうやら、ついて行くしかないらしい』
「わかりました、気をつけて」
僕がそう言い終えると、司令官がにらみつけてきた。
「申し訳ありません、出過ぎた真似をしました。以後気をつけます」
「ああ、まったくだ。ぜひそうしてもらいたいね」
その後、無線で「広場に敵が入った」との報告が入り、司令官は追うよう指示した。僕は嫌な予感が的中しないよう祈っていたが、それは通じなかった。
『報告します!広場に進入しました所、入り口にあるゲートが爆破され、道を塞がれました!あっ、敵戦車や機銃が出現!囲まれました!』
「何だとぉ!?」
僕が予想した通りの展開になり、司令官があわて始めた。
「ええい、怯むな!活路を開け!」
『ダメです!我々の行動可能範囲が狭く、うまく身動きできません!』
我慢できなくなった僕は、意を決して司令官に声をかけた。
「僕を出撃させて下さい!広場の東側入り口に通じる、ナイトメアが一騎通れるだけの狭い道があります。そこを通れば、クラブのスピードならすぐ広場に着きます。
今は『特派』だの『僕が生意気だから』だのと言っていられる状況ではありません!人命がかかっているんです、ご決断を!」
「黙れ!それを決めるのも私だ、貴様や特派に手柄を横取りされるなど!」
司令官に対し、僕も負けずに話しかける。
「今の僕は純血派です、ジェレミア卿やヴィレッタ卿の仲間なんです!仲間を助けようと願って、何が悪いんですか!」
そこまで言って、僕は言葉を切る。こういう挑発的な言動は気分のいいものではないが、仕方がないか。
「あなたは今回、コーネリア殿下から指揮を任されているんですよね?それはすなわち、大事な兵士の命やナイトメアを、殿下からお預かりしたのと同じだ」
「な、何が言いたい!私を脅すつもりか!」
総督殿下の名前を出されて動揺する司令官に対し、僕は言葉を続ける。
「黒の騎士団相手の作戦であれば、多少の損害もやむを得ないかもしれません。しかし今回は違う。言い方は悪いが、戦略を間違えなければ損害は最小限に抑えられ、犠牲者など出るはずもない組織が相手だ。
しかし、あなたはそれを誤り、彼らを危険にさらしている。ナイトメア数騎が行動不可能になるだけならともかく、誰かが命を落としてしまえば、あなたの責任問題は避けられない」
「うっ、そ…それは」
僕の指摘を受けて、司令官の顔から血の気が引いていく。
「でも今なら、まだ間に合うかもしれません。いいえ、僕が必ず間に合わせてみせます。大切な同志だけじゃない、軍のみんなを助けるために。
手柄のことばかり気にしていたのでは、下手をすればあなたの軍人生命にも関わってきます。僕の望みとあなたの今後のためにも、今動くしかないんですよ」
「くっ、ぬぅぅ……」
僕に決断を迫られて、司令官が唇をかみしめた。そして絞り出すように、僕に命令を下す。
「やむを得ん、出撃せよ!味方と合流し、流れを変えるのだ。ただし貴様が宣言した通り、味方を誰一人として死なせるな!わかったか!」
「イエス・マイロード!」
僕は司令官に一礼すると、クラブのキーを握りしめ、テントを飛び出した。
(必ず間に合わせてみせます!だからジェレミア卿、ヴィレッタ卿、みなさん……、無事で待っていて下さい!)
支援!
支援
「くっ、完全に囲まれたか!」
広場で敵に囲まれながら、私はサザーランドを操縦し、こちらに向かってくる銃弾を何とかかわしていた。
他の機体も少しずつ損傷箇所は増えてはいるものの、アサルトライフルで応戦するなどして持ちこたえていた。しかし十騎のサザーランドがひしめくこの状況では、相手の攻撃を受けるので精一杯だ。
『ぬうう、何たる不覚!みすみす相手の策にはまってしまうとは。だがこのままではライ卿に申し訳が立たぬ、道は私が切り開く!他の者は何とか持ちこたえよ!』
ジェレミア卿のサザーランドがライフルを構え、戦車を破壊する。そして隙を見て突撃しようとするが、彼に攻撃が集中し始め、押し戻されてしまった。
「ジェレミア卿、無茶です!ここは少しずつ戦力を削り、どこかの道に通じる風穴を開けねば!」
『しかし他の者は機体の損傷が大きく、あまり長引かせることはできん!ならばここは私が活路を切り開き、彼らを守らねば!』
『守るだと?今まで君たち純血派を冷遇してきた我々を、何故そこまでして守ろうとするのだ?その技術があれば、君たちだけでも助かるだろうに』
オープンチャンネルに設定された通信を使い、一人の兵士がジェレミア卿に尋ねる。
『ふっ、簡単なこと。ここにいる全員で生きて帰ると、同志と約束したからだ。同志との約束を破るなど、私は絶対にしない主義でな。
それに、その同志を信じているからだ。彼なら、ライ卿ならこの状況を黙って見過ごすはずがない。生きて待ってさえいれば、必ず何とかしてくれる。だから貴公らも、信じて耐えるのだ!』
その声を聞きながら、私は思った。他者を見下し、常に自分本位だったジェレミア卿が、これほどまでに他人に厚い信頼を寄せ、自分に冷ややかな視線を浴びせてきた者を守ろうとしている。
周りを冷静に見ることができず、相手に迷惑をかけるのは相変わらずだが、彼はライ卿に出会ったことでこんなにも変わった。このような言葉を、今まで一度でも聞いたことがあったろうか。
そして私自身も、ライ卿のおかげで「身分や名誉以外にも大切な物がある」と教えられた。「人の心を彼が呼び覚ましてくれた」と言っても、過言ではないと思う。
私はそんな彼に、「無事で帰る」と約束した。そして彼は、味方の犠牲を望んではいない。だから私も、まだ望みを捨てるわけにはいかないのだ。
「ジェレミア卿、援護します!何としても活路を切り開くのです!」
『おお、ヴィレッタ!随分とやる気ではないか』
「ライ卿との約束です、ここは誰一人として死なせるわけにはいきませんから。ですからここは、我々が」
『よし、我々純血派の力を大いに発揮するぞ!』
するとそこへ、敵レジスタンスのリーダーらしき男から通信が入った。
『盛り上がっている所悪いが、お前らは自分たちが袋のネズミだってことが、まだわかっていないようだなぁ?』
『ふん、これしき大したことないわ!このような包囲網だけでは、我々は倒れん!ブリタニアのためにも、信頼する同志のためにもな!』
『ハハッ!じゃあそのお仲間よりも先に、あの世に送ってやるよ!野郎ども!』
男の合図で、五騎のナイトメアが一斉に銃を構えた時だった。突然轟音が響き、東側の通りの前を固めていたナイトメアが、煙を上げて崩れ落ちる。
『なっ、何だ!?新手か!』
『東側から何かが来る!も、ものすごいスピードだ!』
敵に動揺が走り、男たちがあわてている。私が乗るサザーランドのセンサーにも、高速で接近する機体の反応が出ていた。それだけで、私はすべてを確信した。
「そうか、彼が……」
『おお、やはり!』
確信を得ていたのは、ジェレミア卿も同じだった。やがて東側の通りの奥から、撃破されたナイトメアを切り裂いて、一体の白と青に色塗られたナイトメアが現れる。
『遅くなりました!みなさん無事ですか!』
私たちのサザーランドの前に止まり、敵に向けてMVSを構えるそのナイトメアこそ、大切な同志であるライ卿の愛機、ランスロット・クラブだった。
しえん
しえん
『しっ、新型だとぉ!?』
『ブリタニアの野郎、俺たちを刈るのにこんな物まで!?』
レジスタンスのメンバーが、口々に動揺の声を上げる。これは形勢が逆転したか。
『ジェレミア卿、ヴィレッタ卿!大丈夫ですか?』
『おお、同志ライ卿よ。貴公の助太刀に感謝するぞ!』
私のサザーランドの中に、ライ卿の声とジェレミア卿の声が響く。正直ライ卿の声が聞けてホッとしたし嬉しかったが、努めて冷静を装う。
「ああ、問題ない。しかし、よくあの司令官が出撃を許可したものだな」
『まああの人にとっては苦渋の決断だったんでしょうけど、何とか理解してもらえました。しかしみなさん無事のようで、本当に良かった』
「ああ、ジェレミア卿のおかげだ。『全員で生きて帰る』という貴公との約束を守るため、みんなを守っていたのだ」
『そうでしたか。本当にありがとうございます、ジェレミア卿』
『フッ、貴公との約束は絶対だからな!さあ、我々でこの状況を打破しようぞ!』
クラブの隣に、私とジェレミア卿のサザーランドが並び立つ。敵側のリーダーらしき男が、怯えたような叫び声を上げる。
『く、くそぅ!さっきから何なんだ、お前らは!』
その声に対し、私たちは口々に答えた。
「我々はブリタニア軍を構成する一派、純血派だ」
『大切な仲間を守るため、僕は…僕たちは戦っている』
『そして貴様たちを捕らえ、エリア11やブリタニアの平穏を守る者だぁ、覚えておけ!』
その後、勝敗はあっさり決まった。私たち純血派によって敵方ナイトメアは全部行動不能となり、それと同時に士気を喪失したリーダー格の男から、降伏の申し入れがあったのである。
sien
「いやあ、ライ卿!貴公のおかげだ、礼を言うぞ!」
「い、痛いですってジェレミア卿!」
本陣に戻ってから、僕はずっとジェレミア卿に手を握られ、腕を強く振り回されっぱなしだった。あの場にいた兵士たちが礼を言いに来た時だけ手を離してくれたが、その後すぐ再びつかまれ、そのたびに痛い思いをしている。
「ジェレミア卿、そろそろ手を離されては?ライ卿が痛がっています」
「むっ、すまんな。しかし本当に貴公のおかげで、すべてが良い方向に進みそうだ。あのように礼を言われたのは、久方ぶりかもしれん」
「確かに、あの者たちの我々を見る目は多少は変わったでしょう。上層部の評価も、これから少しずつ良い方向へ向かう可能性が出てきました。
これもすべてライ卿、貴公のおかげだ」
ヴィレッタ卿に礼を言われ、僕は首を振った。
「いいえ、僕だけの力ではありません。僕が駆けつけるまでみんなを守ったのはお二人ですし、今までのお二人の頑張りがあったからこそ、周りの見る目が少しずつ変わってきたんだと思います。僕はそのお手伝いをしただけですよ」
「謙遜するな、ライ卿。私たちがここまで来られたのも、ライ卿の協力があったからだ。貴公の活躍なくして純血派は語れないし、貴公の言葉のおかげで何度も救われたのだ」
「ジェレミア卿の言う通りだ。ライ卿が我々に協力してくれるようになって、随分と色々なことを教えてもらったし、助けてもらった。それに……」
そこまで言って、ヴィレッタ卿が不意に視線をそらした。
「その…私自身も変わってきた気がするのだ。あなたのおかげで、価値観だとか本当に大切な物とか、色々変わったことや知ったことがあった。あなたに会えて、私は……」
「ヴィレッタ卿?」
どうも様子のおかしいヴィレッタ卿に、僕は首を傾げながら声をかけた。
「あっ、いや…何でもない!今言ったことは忘れてくれ。とっ…とにかく、今日は本当に助かった。礼を言わせてもらう。それと、心配させてすまなかった」
「え…あ、はい」
我に返ったように、ヴィレッタ卿がまくし立てる。何を言いたかったのかわからないが、本人が「いい」と言うのならいいか。また機会があれば、その真意を聞かせてくれるだろう。
「でもまあ、気にしなくていいですよ。僕たちは三人で一つのチームですから、純血派という名前のね。誰一人として欠けてはいけないんです」
僕は笑みを浮かべながら、二人に声をかける。
「色々とドタバタすることもありますけど、僕はお二人と一緒にいる時間は好きですよ。充実しますし、楽しいですから。それに、お二人はもう大切な仲間ですから。
ですからこれからも、一緒に頑張っていきましょう。微力ながら、純血派のためにお手伝いさせてもらいます」
「おおおお、ライ卿ー!」
「おぶっ!?」
すごく感動したらしいジェレミア卿に抱きつかれ、僕は変な声を出した。汗で暑苦しいし、息ができない。
「ありがとう、同志よ!私はこの出会いに、一生感謝すると誓おう!そして私は今、猛烈に感動している!感動フォルテッシモだー!」
「くっ、苦し…助け……」
「ジェレミア卿!ライ卿の顔色が変わってきています!早く離して下さい!」
この後、気を失いそうになる寸前まで、僕はジェレミア卿に抱きしめられたのであった。やはり彼は相変わらずだ。
作戦の後、純血派に対する周りの評価は少しずつ好転してきている。そして僕とヴィレッタ卿は、相変わらずジェレミア卿に振り回される日々を送ってはいるが、以前より彼らにも笑顔の時が増えてきた気がする。
それは状況が良くなっているせいもあるだろうが、結局何だかんだ言っても、この仲間たちと一緒にいる時間が大切で、互いにかけがえのない存在だと思えるからだろうと僕は思う。現に僕自身がそうだから。
支援
以上です。支援して下さった方と代理で投下して下さった方、本当にありがとうございました。
――――――――――――――――――
↑
以上が余暇さんの文章です。
支援ありがとうございました。
支援
260 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 03:05:38 ID:vol8TANh
>>258 代理投下乙! そして余暇卿、GJでした!
どちらかというと実戦派なジェレミアとそれをフォローするヴィレッタ。
更に二人を助けるライ、三人がそれぞれを信頼している、いいかんじでした。
テンションが高く熱血漢なジェレミアはキャラ的にいいね!
次の投下も待っています。
オレンジがいいやつすぎて困る。相変わらずの文章力ですなあ、見事です。
乙でした。
しかし、ジェレミアは直属の上司にはあまりしたくないw
友人としてなら、ちょいと暑苦しいが良い関係が築けそうだけどw
いいなあこの三人組
ルルーシュやスザクとはコンビでの描写はよくあるけど
純血派は別れてる事の方が多いのでなんか新鮮ですね
>>260とトーマスをぶつけたら面白いことになりそうだなあ
はじめまして、前進といいます。
初めての投稿なので、至らぬ点や、レベルの低い文章ですが温かい目で読んで頂けると幸いです。
ライナナでルートはとりあえず特派です。
僕の名前はライ。記憶喪失の状態でアッシュフォード学園で倒れていたのを生徒会のメンバーであるミレイさんとルルーシュに発見されて助けてもらった。
その後、同じく生徒会のメンバーであるスザクの紹介で特別派遣響同技術部、通称特派でテストパイロットとして働くことになった。
僕はどこで身に付けたのか分からないが、卓越したナイトメアの操縦技術や戦略眼で数々の功績を上げ、スザクとともに「特派のダブルエース」と呼ばれるようになった。
今日はスザクと二人で僕が以前に行った「敵を倒せば倒すほど敵が出てくる」シュミレーションを行った。
しかし、スザクが膨大な体力を持ち、僕が効率の良い戦略を立て、二人のコンビネーションが良くとも無限の敵にはかなわなかった。
コーネリア総督の親衛隊のグロースター30機に囲まれ、満身創痍で突破したら、今度は40機が登場しミサイルや、アサルトライフルの一斉放射を食らった。
イジメに近いですよ。
シュミレーションを終えた僕らは床に倒れた、さすがのスザクも立つことも無理だったようだ。こんな時、いつもセシルさんが止めてくれるのだが、別の仕事が有ったようでこの場には居なかった。
シュミレーションを始める前に「絶対に無理はさせないでくださいね、ロイドさん」と言っていたがロイドさんがそんなことを守るわけが無かった。
そのロイドさんは、仕事を終えたセシルさんが僕とスザクの様子、シュミレーションの設定、その結果を見てはしゃいでいるロイドさんを見て、笑みを浮かべながら別室に連れて行かれた。この時は、ロイドさんを哀れには感じなかった。
それから一時間後、大部体力が回復したスザクとともに食事の買出しに行こうとした。しかし、
「待って、ライ君、スザク君。いい食材が手に入ってオニギリを作ってみたから食べてみなさい」
セシルさんが大きなお皿にオニギリをのせて、にこやかに言った。
僕とスザクは断ることが出来ず、全部食べることとなった。
翌日、非番である僕は授業を受けていたが、シュミレーションの疲労とセシルさんのオニギリで体調は最悪だったので授業の内容は何一つ覚えていない。
昼休み、僕はナナリーとの食事の約束で中庭に向かっていた。そこには、ナナリーと咲世子さんがすでに待っていた。
「こんにちは、ライさん。来てくださって、嬉しいです」
この、ナナリーの笑顔を見れただけでも今日は来てよかったと思える。
僕たちは中庭にシートを引き、ピクニックを行った。
一つ目のランチボックスには鳥の唐揚げ、卵焼き、タコさんウインナーなどが入っていた、そして、ナナリーが二つ目のランチボックスをあけた。
「咲世子さんみたいに、上手に作れませんでしたが、頑張って作ってみました」
そこには、少々形が悪いオニギリが入っていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
僕の頭の中は昨日のセシルさんのオニギリで頭がいっぱいになった。
「ライさん・・・」
「ライ様・・・」
ナナリーが不安そうに、咲世子さんが不満げに僕を呼んだ。
「ごめん。・・・いただきます」
僕は覚悟を決めてオニギリの一つを食べた。
「これは・・・うまい」
僕が食べたのはオニギリの中身は、ジャムでも、チョコレートでもなかった。
「ありがとうございます。えーと、中身はなんて言いましたっけ?」
「おかかです、ナナリー様」
「そう、オカカです。この間咲世子さんに教えていただいたのです。オニギリの定番だそうです」
それから、僕はオニギリを全部食べた。
オニギリは全て、塩味がちょうど良く、中身とライスの相性も良かった。
「美味しかったよ、ナナリー。ナナリーはオニギリを作るのは上手だね」
「そんな・・・私なんてまだまだです」
ナナリーが照れくさそうに答えた。
「そんなこと無いよ。そうだ、ナナリーだったらジャムやチョコレートのオニギリも美味しく作れそうだね」
「ライさん・・・」
「ライ様・・・」
今度は何やら心配するような感じで言った。
それから、僕は二人の話を聞くとセシルさんのオニギリが異常だと初めて知った。
以上で終わりです。
また投稿させていただきます。
いつか文章力の方も前進するといいですね
>>270 乙です。
〜だった。 〜なった。 等の 〜った で終わる文が多く、読みにくい印象をうけますね。
もう少しそういったところのバリエーションを増やしていくといいかな、と思いました。
次の投下を待っていますよ
>>270 乙です。
文末に過去形を多様しているのが気になりました。
進行形をもう少し加えるだけで、文章は格段に読みやすくなると思いますよ。
内容そのものはオーソドックスで良かったと思います。
次回の投下もお待ちしております。
まずは他の作家さん達の作品を読んで、参考にされたらどうでしょう。
最初は批判されるかも知れませんが、そこから自身のオリジナルを構築していけば良いですし。
某ライダーも、
「おばあちゃんが言っていた。学ぶとは、まず真似ることから始めていく」(だったかな?)
と言っていますしw
投下前に、口に出して読んでみるといいかも…。
この方法は、結構ベテランの職人さんもやっていることだし・・・
まあ上手くなる方法は色々ありますが、まずは何よりも楽しんで書くことです。
肩に力を入れすぎると、書くのがつまらなくなりますからね。
書きたいことから書いていけば十分だと思いますよ。
次も楽しみにしています。
五分後くらいに投下します。支援はなくても大丈夫です。
こんばんは、では投下します。
作者:余暇
タイトル:うっかりドッキリ
カップリング:ライ×シャーリー
『うっかりドッキリ』
「ふむ、こんな時間か……」
ある日の午後のこと。クラブハウスの自室でくつろいでいた僕は、四時を指す時計を見て呟いた。
今日は午後から職員会議のため、授業は午前中で終わっていた。お昼に自室に戻っていた僕は、今まで昼食を食べたり読書をしたりしながら、適当に過ごしていたのである。
「しかし、さすがにのんびりし過ぎたかな。最近は特派に通い詰めだったから、少し休んでから数学の復習をするつもりだったのに」
最近は特派の研究室で過ごす時間が多かったため、復習が少し遅れ気味だった。だから特に用事のないこの機会に勉強するつもりだったのだが、読書に夢中になり過ぎてしまったらしい。
「とにかく、早く始めよう。えーと、ノートは……ん?おかしいな、これは嫌な予感がしてきたぞ」
僕はカバンの中を探してみるが、いくら探しても数学のノートは見つからなかった。
「しまった、教室に置いてきてしまっていたのか。参ったなあ、こんなことならもっと早くに取り掛かるべきだった」
復習をするには教室へ行かねばならないが、僕はそれが少し面倒だった。かと言って復習を諦めるのは、これからの時間が少しもったいない気もする。
「仕方がない、取りに戻るか」
僕は軽くため息をつくと、制服に着替えて教室へと向かった。
「よし、あったぞ」
教室に入った僕は自分の机の中を探り、すぐに数学のノートを探し当てた。そして教室の窓から入る西日を眺めながら、僕は軽く汗を拭く。
「しかし夏が近いせいか、直射日光で室内に熱がこもると、少し暑いな。さて、早く帰って復習するか」
僕はノートをカバンに入れると、教室から廊下に出た。すると向こうの方から、誰かが歩いてくる。
(ん、あれは……)
向こう側から歩いてきた少女は、僕に気がつくと笑顔で手を振ってきた。
「ライ君、こんにちは」
「やあ、シャーリー」
そう、僕が出会ったのはシャーリーだった。彼女は上着を脱いでブラウス姿になっており、腕に持った制服のポケットからは、ネクタイの端がわずかに顔をのぞかせている。
「どうしたの、何か忘れ物?」
「ああ。帰って復習するつもりだった数学のノートを、教室に置いてきてしまって」
「へえ、真面目だね。でもライ君でも、うっかりすることはあるんだ」
シャーリーにそう言われて、僕は苦笑いしながら言った。
「今まで読書に夢中になっていたから、本当に真面目かと言うとそうでもない。だが、うっかりなのは認めるしかないな。
ところで、君こそ教室に何か用事か?わざわざこんな時間に来るなんて」
僕が尋ねると、シャーリーは小さく舌を出して答えた。
「実はね、歴史の課題のプリントを教室に置いてきちゃったの。提出期限までには時間があるんだけど、早めに終わらせたいから」
「なるほど、うっかり者なのはお互い様だな」
「あははっ、そうだね。お互い、うっかりミスには気をつけないとね」
シャーリーが明るく笑い、僕も笑みを返した。本当に明るくて、楽しい女性だな。
「しかし、夏は確実に近づいているな。昼間の外もそうだったが、西日で熱のこもった教室も暑い」
僕がそう言うと、シャーリーは笑顔で頷いた。
「確かに暑くなってきたね。今日は部活も自主練習の日なんだけど、少しでも体を動かしておきたかったし、水の中は冷たくて気持ちいいから、さっきまでプールで練習していたの。
でもプールから出たら結局暑くて汗をかいちゃうし、もう上着は着ないで来ちゃった」
「ああ、今までプールにいたのか。しかしこういう時にプールに入ると、さぞ気持ちいいんだろうな」
「ふふっ、ライ君も水泳部に入ってみる?君なら大歓迎だよ」
「ハハ、まあ考えてみる」
シャーリーに笑顔を向けられ、僕も笑みを返す。今は軍に入って忙しいし、記憶探しも並行してやっているから、部活のことは多分後回しになってしまうだろう。
でもいつか戦争が終わって記憶も取り戻せたら、少し部活のことを考えてみたい気持ちもある。せっかくできた大切な仲間と、もっと色々な経験をして過ごしてみたいから。
「あ、そろそろ教室に行ったらどうだ?プリント……」
途中まで言って、僕はシャーリーの胸元に違和感を感じた。ブラウスの布地が、不自然な形で盛り上がっているのだ。
(あっ、ボタンを掛け違えたのかな。道理でおかしいと思っ…いや、それじゃあその下に見える白いのって……)
緩んだ胸元の隙間から見えるのがシャーリーのブラジャーだと気づき、僕は顔が熱くなるのを感じた。見えるのがその白い布地だけならまだしも、彼女の綺麗な肌が少しだけ見えるものだから、余計恥ずかしい。
(疲れていたのか急いでいたのか知らないが、もう少し身だしなみに気を配るべきじゃなかったのか?ていうか、ここへ来るまでに誰か指摘しなかったんだろうか。
と、とりあえず彼女に伝えて…待て!それじゃあ僕が彼女のその部分を見ていたと、告白するようなものじゃないか!それって、印象としてはかなり悪いんじゃないか?)
このまま指摘せずにいれば、帰宅の際にシャーリーが恥をかくことになる。それを未然に防ぐためには、ここで僕が彼女にブラウスのことを指摘して、直してもらうしかない。
だがそれをすると、彼女は僕に「自分の恥ずかしい姿を見られた」と思ってしまうだろう。それはそれで気まずいし、今後の生徒会活動なんかにも影響が出かねない。
「どうしたの、ライ君?顔が赤いよ」
「えっ?あ、いや何でもない。気にしないでくれ」
「ふーん、そうなの?」
シャーリーが首を傾げ、僕を見る。
(本当は何でもあるし、大いに気にして欲しいんだがな、自分の身なりを。でもハッキリとは言いにくいし、どうしたものか)
チラチラと目に入るシャーリーの胸元を気にしつつ、僕は悩んでいた。だが悩んでいても始まらないし、事態が好転しないのも事実であった。
(悩んでいても仕方がない、もう思い切ってしまおう)
心を決めた僕は、一つ呼吸をして気分を落ち着かせ、シャーリーに向かって話し始める。
「シャーリー、僕が今から言うことを、落ち着いて聞いて欲しい。これは君にとって、少し重要なことだと思う」
「えっ、ど、どうしたの改まって。でもライ君がそう言うなら、きっと大切なことなんだよね。一体、何の話?」
シャーリーが真剣な眼差しで、身を乗り出すように僕を見つめる。真面目なのはわかるが、真実を知ったらどんな反応をするのやら。
「重要だとは思うが、あまり真面目っぽい話でもないんだ。と言うのも、その…ブラウスのボタンがだな」
「ん?ブラウス?」
キョトンとしたシャーリーの胸元を指さし、視線をそらしつつ僕は指摘する。
「ブラウスのボタンを掛け違えているから、その…胸元が緩んでいるぞ」
「えっ…わっ、わわわっ!?」
胸元の状態に気がついたシャーリーが、あわてて両腕で前を隠した。そして恥ずかしそうに赤面しながら、僕の方を見る。
「もっ、もっと早く教えてよー。まさか、ずっと黙って見ていたの?」
「そんなわけあるか。僕も気がついたのは、つい今し方なんだ。まあ言うのが恥ずかしくて、少し迷ったが」
「やーん、恥ずかしいよー。今までこんな格好で歩いていたなんてー」
胸元を隠しながら、シャーリーが悶絶する。まあ、普通はそう思うよな。
「とりあえず、教室の中で服装を整えてきたらどうだ?いつまでもこのままってわけにもいかないだろう」
「う、うん。そうだね、ちゃんとしてくるよ」
少し落ち込みつつ、シャーリーが歩を進める。そしてすれ違いざま、少しだけ足を止めて僕の方を見た。
「ねえライ君、もしかして…見ちゃった?」
その言葉を聞いて、僕はシャーリーの白い下着と肌を思い出してしまった。そして熱くなった頬を指先で掻きつつ、小さく頷く。
「すまない、少しだけ見てしまったかも」
「エッチ……」
「はい、すみませんでした」
僕の謝罪の言葉を聞いた後、シャーリーは教室に入っていった。二人の今後に、尾を引かなければいいんだが。
「でも良かった、最初に会ったのがライ君で」
廊下を並んで歩きながら、シャーリーが言った。服装を整えて教室から出てきて以来、彼女はこんな感じですっかり落ち着いている。
「だが本当にすまなかった、その…見てしまって」
改めて謝罪する僕に対し、シャーリーは手をパタパタさせて言った。
「いいよ、気にしないで。ちゃんと確認しなかった私が悪いんだし、君は私を思って教えてくれたんだから、むしろ感謝しているの。
それに、恥ずかしいのは恥ずかしいけど、見られたのがライ君でまだ良かったよ」
「それは、どういう意味だ?」
僕が尋ねると、シャーリーは話し始めた。
「だって、もし最初に私のあの姿を見たのが会長だったとしたら、きっと大変な目に遭っていたはずだよ。多分触られたりとか、もっと恥ずかしいことをされたと思う」
「ええっ?いくらミレイさんでも、そこまでは…いや、どうだろう。可能性を否定し切れないのが、あの人だから」
「でしょ?実際、イベント用衣装の採寸と称して、何度もあちこち触られてきたんだもん。もう大変だったんだから」
「そ、そんなに触られたのか。さすがの行動力というか、何というか」
もしかして、これから僕もミレイさんに触られる機会があるんだろうか。生徒会での日常は楽しいし好きだが、本当にある意味パワフルだ。
「しかし、無事にプリントを持って帰ることができて良かったな。僕もしっかり復習しないと」
「うん、そうだね。お互い頑張って勉強を…あれ?ちょっと待って、そう言えば私……」
シャーリーは足を止め、カバンを開けて中を探り始めた。
「どうした?」
「うん。教室に入って服装を整えたまではいいけど、その後プリントをカバンに入れた記憶が…あー!」
何か思い出したらしく、シャーリーが口元を手で覆った。そして、何やら恥ずかしそうに頬を染める。
「あはは…プリント、教室に置きっぱなしだったよ。服装のことしか頭になくて、一番大切な用事を忘れてきちゃった」
「え?」
僕はシャーリーの言葉を聞いて、一瞬呆気に取られた。そして何だかおかしくなって、小さく噴き出す。
「ははっ、シャーリーって本当に楽しい人だな。今回は僕も悪かったが、やっぱりうっかりさんだ」
「あー、笑ったなー!」
僕に笑われたシャーリーが、僕をにらんできた。だがそれも長く続かず、彼女もすぐ笑顔になる。
「でも良かった、ライ君が本当に自然に笑えるようになって。きっと、この学園が楽しいから笑えるんだよね」
「ああ、楽しい。ここに来てみんなと出会えた奇跡に、感謝している。もしできるなら、これからもみんなと一緒に思い出を作っていきたい」
「もちろんだよ、私やみんなも、ライ君と一緒に思い出を作りたいんだもん」
「ありがとう、これからもよろしく頼む。ついでに、うっかり癖も治るといいな」
「もー、それは余計だってば!」
またシャーリーが僕をにらんでくるが、決して険悪な雰囲気などではない。むしろ和やかな空気が、二人の間には流れている。
その証拠に、僕たちはしばらく見つめ合った後、自然と噴き出していたのだから。
「ふふっ、ライ君も冗談を言うようになったんだね。いい傾向だと思うよ」
「それも君たちのおかげだ。それじゃあ、改めてよろしく頼む」
「うん、こちらこそよろしくね!」
この和やかで優しい時間や世界が、僕は本当に好きだ。いつまでもこんな時間が続いて欲しいし、この世界や仲間たちを守りたい。僕は心の底から、そう強く願っていた。
以上で終了です。
乙!
最近はあまり投下されないので貴方の作品の投下を待つ
のが最近の楽しみです
次の投下を全力で待っています
>>284 GJでした
やっぱり何気ない日常風景がうまいなぁ……
読んでいて引っかかるところなど特にないし、そして面白い。
次の投下を全力でお待ちしています
えーと、投下します。
前回の続きです。
パラレル警報発動中!!
気になる方は、スルー推奨。
「兄上、本気なのですかっ…」
絶句するコーネリア。
それを涼しげな表情で見つめるシュナイゼル。
「彼をユフィのものにするためには、そこまでしないと駄目だと思ってね」
「ですが、これでは……」
見せられた計画書と映像にだだコーネリアは愕然とする事だけしか出来ない。
そして、実の妹さえも道具として扱う兄に恐怖さえ感じてしまう。
そして、この件を兄上に相談した自分の不甲斐なさに情けなくなっていた。
「この計画は、もう社長の許可ももらっているからね。後は、実施するだけだよ」
まるで計画書どおりに進むと決定しているかのような口調に、ますます苛立ちが強くなる。
兄上は……。
この人は危険だ。
ブリタニアを潰す災いになる。
そうコーネリアは思い始めていた。
《OPスタート OP曲「彼と私の世界は……」TVサイズバージョン 歌/紅月カレン》
歌姫、舞う!! 第4話「波乱万丈な一日の始まり」
《スポンサー紹介 メインスポンサー/万歳なみこー サブスポンサー/べくたー 》
「はぁ、ふう、はぁ、ふう……」
深呼吸を繰り返す。
そして、パンと自らの両頬を叩き、気合をいれる。
ライ、見てて……。
私は、決意をより高めると井上さんと一緒に事務所を出発した。
その様子を見つめるゼロ。
仮面の為、表情はわからない。
だけど、期待してくれていると私は思っている。
今日は、みんなの期待を一気に花咲かせるときだ。
そう、ライの苦労を無駄にしないためにも……。
「行ったか……」
社長室の椅子に座り、身体中の力が抜けた。
休憩をいれつつ、練習はさっきまで行われていた。
結局、最後はカレンの気迫におされ気味で、ゼロは精神的にも肉体的にもクタクタの状態になっている。
あの体育会系のノリは嫌だ……。
そんなことを考えてしまう。
練習風景が頭に浮かんだが、まさに一昔前のスポコン漫画のノリだったのだ。
言い出したこっちが止めるとは言いにくい上に、カレンがこれまた燃え上がってしまって止められない。
気分は、暴走列車を一人で止めている感じだ。
今日ほど本当にライのすごさを感じたことはない。
こんなパワフルなカレンを一人で制御し、押さえ込んでしまっていたのだから。
いや、これも愛の力というやつか……。
一人そんなことを考えては納得してしまう。
まぁ、どちらにしても、やはり、やつは有能だな。
そんな風にライの才能の再評価さえしてしまっていた。
だが、その特訓のおかげで、結果は上々といったところか。
いや、最高にいいという状態だ。
これならいける。
そう確信できるほどに……。
すでに、今回の新曲披露以降の作戦も練ってある。
ラジオ局にはもう手をまわしており、非ブリタニア系のほとんどのラジオ局とは、ヘビーローテーションとして1週間以上流してもらう事が決定している。
それに雑誌なんかの出版関係やインターネット関係もうまくいきそうな感じだ。
ただ、TVだけは、ブリタニアの力が強すぎてうまくいっていないが、それでも話題になれば取り上げなくてはならなくなるだろう。
「くっくくくくくく……。ブリタニアの舞台で火蓋を切ってやる。シュナイゼルめ、今回はこっちが一泡ふかせてやる番だからな……」
独り言がもれる。
だが、その時だった。
卓上の電話機が鳴りだす。
その音に、慌てて姿勢を正すゼロ。
それは、まるでいたずらを見つかった子供のような反応だった。
深呼吸をして、気分を落ち着かせるとゼロは受話器を取ろうとする。
だが、ディスプレに映し出された相手の表示を見て動きが止まった。
そこには、「おでんやナナちゃん」と表示されていた。
「では、ライさん、まいりましょうか……」
ユーフェミアにそう言われ、僕は状況が把握できずきょとんとしてしまう。
「えーっと、どこに……」
確か撮影やインタビューはさっきので終わりのはずだ。
だから、カレンの傍についてやらないと……。
そう思っていたのだから、余計に驚いた。
「何を言っているのですか? 写真集の紹介ですわ」
そう言ってにこやかに笑うユーフェミア。
えっ……そんな仕事あったっけ?
「だって、今日1日は、私に付き合ってくださらないと契約違反ですよ」
少しふくれっつらで文句を言うユーフェミアだったが、その言葉と行動に違和感を感じてしまう。
彼女は、こんなことをいう女性だったのか?
なんか、僕を自由にしたくないという感じがして気持ち悪い感覚に襲われる。
自分の知らないところで、よくないことが進行している。
そんなことを考えてしまいそうになっていた。
いかん、いかん……。
どうしたんだろう、僕は……。
こんなことを考えるなんて……。
今浮かんだことを、頭を振って消し去るとユーフェミアに聞き返した。
「どこに行くんですか?」
「ええ、エリア11チャンネルです。そこのベストヒットロードという番組で宣伝するのですよ」
実に楽しそうなユーフェミアの声。
だが、その言葉が、ますます僕を不安にさせる。
カレン……。
これほどカレンの傍にいたいと思ったことはなかった。
ライさんは、一瞬怪訝そうな表情をされたものの、一緒に行くよと言ってくださいました。
うふふふ……。
うれしいわ。
私は、一週間の間、行動を共にする事で、もうすっかりライさんに夢中になっていた。
これからもずっと一緒にいたい。
そう思うまでに……。
すーっとライさんの手に自分の腕を絡ませる。
真っ赤になったライさん……。
すごくかわいい。
くすくすくすくす……。
なんて甘い時間なんだろう。
そんなことさえ考えてしまう。
ああ、それが今日で終わりだなんて……。
何とかならないかしら……。
また、シュナイゼルお兄様にお知恵をお借りしないと駄目ね。
ライさんを私のものにするの。
うふふふ……。
それはとても甘美な考えにしか思えなかっただろう。
初めて知った愛するという行為に、完全にユーフェミアは舞い上がってしまっていた。
それは仕方ないことなのかもしれない。
これは初めての恋なのだ。
だから、相手のことなど考える余裕などないのかもしれない。
いや、違う。
初めてだからとかは関係ないのかもしれない。
恋は、盲目。
自分以外のことが見えなくなってしまうのが、恋なのだから。
《アイキャッチ ユーフェミアバージョン》
《万歳 ブルーレイソフト「歌姫舞う!」2巻 予約CM》
予約特典----初回限定版 ユーフェミア等身大抱き枕
全巻購入特典----ライ等身大抱き枕
収録内容 3話、4話 ファイナルカットバージョン
音声特典 本人達のオーディオコメンタリー
《万歳なみこー ぷれいしちゅえーしょん3ゲームソフト「歌姫舞う! 木漏れ日の中の君へ」 発売決定CM》
ヒロインは、もちろんカレンとユーフェミア。だけど、それだけでは終わらない。
黒の騎士団編では、マネージャー仲間の井上さん、女性演歌歌手の千葉さんが攻略可能。
ブリタニア編では、作詞家セシルさん、上司のコーネリア様、マネージャー長のアリアさんも攻略可能となっている。
さらに、第2弾で発売される追加ディスクで攻略キャラ、シナリオが増加する発展する恋愛アドベンチャーゲーム。
さぁ、期待して待てっ!!
―― 予約特典として、シャルル記者会見演説映像集とゼロ記者会見演説集が入ったDVDが付いてくる。
こいつはすごいぜっ
さぁ、いますぐ予約だっ!!
《アイキャッチ カレンバージョン》
「な、何っ……」
電話の内容を聞き、ゼロは絶句した。
自分達の予想以上の事が実施されようとしていることに……。
「ほ、本当なのかっ……ナナリー」
なんとかそう言うだけで精一杯の声。
だが、電話越しのナナリーの声は、肯定する。
躊躇もせずに……。
「はい。間違いありません、お兄様」
その言葉に迷いはなかった。
ナナリーより知らされた事実。
それはシュナイゼルの行おうとする策の内容だった。
「くうっ……。まさかそこまでやるとはな……。しかし、ナナリー、なぜそこまで詳しい内容を知ることが出来たんだ?」
その言葉に、電話越しのナナリーの声がやっと柔らかく、そして楽しいものになった。
「お兄様は、私が元人気アイドルだったということを忘れてしまったのですか?」
そう、今でこそ「おでんやナナちゃん」の看板美少女店長だが、ブリタニアが日本進出するまでは、ナナリーはアイドルとして活動していたのだ。
それも国民的美少アイドル「奈々」として……。
実際の活動期間は、1年と短いものの、その圧倒的な可愛さと存在感。
そして癒され系の魅力とたまに出る毒舌がかもし出すバランス感に、いまだに根強いファンも多く、業界にも知り合いが多い。
事実、ブリタニアの中にでも彼女のファンは存在している。
だからこそ、彼女の周りには情報が集まる。
いまや、影の日本芸能界の情報通No.1といわれるほどに……。
「そ、そうだったな……。で、対策だが……」
ゼロが、いやこの場合は、仮面をしていてもルルーシュと言うべきだろう。
ルルーシュが慌てて対策のことを口にしようとしたが、ナナリーの言葉が割って入る。
「お兄様の会社が契約しているレコード会社の買収は、カグヤ様が動かれてキョウトの方で何とかするそうです。他の策も何とか無効とまでいけませんけど、手は打ってもらっています」
淡々と当たり前のように言うナナリー。
「そ、そうか……。手際がいいな……。さ、さすがだ……、ナナリー」
我が妹ながら、怖さを感じる……。
もしかしたら、父上やシュナイゼルよりも手ごわい相手なのかもしれない。
そう一瞬、ルルーシュは思ってしまう。
いかん、いかん……。
ナナリーに限って……。
そんなことがあるわけがないじゃないか……。
ルルーシュは慌てて今頭に浮かんだ考えをかき消す。
そして、それにあわせるかのように受話器の向こうのナナリーが言葉が続けた。
「ほとんどのものは対応できたのですが、どうしてもTV局の方だけは間に合わなくて……」
言いながらナナリーの声が一気に沈んだものになる。
その声に、ルルーシュの心が奮い立たないはずがない
「大丈夫だ、ナナリー。そっちはわれわれが何とかしょう……」
すばやくそう答える。
そして、それを実施する術を彼は持っている。
「はいっ。さすがお兄様ですわ。期待していますから……」
まるで、そう返事されるのがわかっていたかのように、ナナリーの声が変わった。
沈んでいた声が、一気に嬉しそうなものに変わる。
そして、そう返事を返すと、電話はナナリーの方から一方的に切られたのだった。
いきなりの事に、頭が真っ白になるルルーシュ……いやゼロ。
だがすぐに止まっていた思考がゆっくりと動き始める。
なにかナナリーの好きなように使われているという感覚。
そういう違和感を感じたものの、今は考えている暇などない。
そう、残された時間はあまりにも少ないのだ。
ゼロは、すぐに内線ボタンを押して内線00に電話を入れる。
暫く呼び足し音が続き、その後にけだるそうな女性の声へと切り替わる。
「なぁにぃ〜?」
「ラクシャータか……。今すぐやってもらいたい事がある」
「ふーん」
ゼロの真剣な声にもけだるそうな女性の声は代わらない。
「映像技術の魔術師といわれる貴方の技術でしか出来ないことだ」
「ふーん。面白そうね。いいわよぉ〜。うちの最高の編集機械紅蓮と月下が活躍できるなら文句はないし……」
「もちろんだ。活躍してもらわなければならない。ともかく今からそっちに向かう……。よろしく頼む」
そこまで言って、ゼロは受話器を戻した。
シュナイゼルめっ……。
貴様の思い通りにさせるものかっ……。
そう決意して、ゼロは社長室を飛び出したのだった。
つ・づ・く
《EDスタート ED曲「貴方が好き好き〜、大好きなの」TVサイズバージョン 歌/ユーフェミア・リ・ブリタニア》
次回予告
「放送時間が刻々と迫っていく中、ゼロの作戦はうまくいくのか……」
「えーと……」
「そして、私の新曲は、きちんと放送されるのでしょうか……」
「あのさ……」
「次回 歌姫、舞う!!第5話『ベストヒットロードその1』にご期待くださいっ」
「僕は無視なのか?」
「………」
「………」
「ふんっ……」
「な、何っ。何かなカレン」
「胸押し付けられて、よかったわねぇっ。鼻の下伸ばして……真っ赤になっちゃって……」
「あ……い、いや…その……」
「な、なにさっ、わ、私の方が大きくて柔らかくて気持ちいいんだからねっ……、ライのばかぁぁぁあっ。」
「あ・あはははははは………(ライの乾いた笑い)」
(音声、画面フェードアウト……)
以上で終了です。
では……
乙!
次回作をお待ちしています
>>293
乙でした
>編集機械紅蓮と月下 なん……だと……!?
どんな編集機械だよ!? あれか、輻射波動を応用したりして編集……できるのか?
次の投下も待っています。
てす
297 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 23:48:00 ID:X9EuVt86
まったく青い腐れは哀れだな
スレを追い立てられてブログに逃げたはいいがそのブログも回転休業状態じゃないか
だんだん可哀そうになってきたぜwwwwwwwwwwww」
おーおー好き勝手いいなさる
>>293 乙です、ゼロの秘策は何なんだろう。次回をお待ちしています。
正直どっちもどうでもいいんだが
宣伝乙
トーマスの態度ってなんかムカつかないか
ここでは媚売ってるのにチャットだと偉そうに語りだすって…
ここはトーマス卿の行いを糾弾するとこじゃないから。
っうかさ貴方はいつもこのスレの代表として発言しているようだけど、それならこの間
までスレを荒らしていた奴とか上の方で蒼い人を叩いてる人とかはいいの?
もしどうでもいいとか無視するとかいうなら。貴方はただトーマス卿が嫌いなだけの
アンチだと認定いたします。もし認定されたら二度と我々とか言わずに一人でスレとは
関係なくやってください。此処以外で。
複数回線
反逆裁判
予告編
前回の注意書きと同じ
予告編はシリアス重視で本編はギャグ重視
僕の弁護士人生の中で一番後悔している事件は星が綺麗な夜に起こった…
2話『反逆姉妹』
何時も笑顔で僕を支えてくれた人
その人はもう2度とその躰で話す事はない
変わり果てた姿になっていた
初めての裁判を
初めての反逆を
初めての無罪判決を
教えてくれた人は…
「僕が絶対に犯人を捕まえるんだ!」
その事件は彼にとって本当の意味での始まりでしかなかった
「久しぶりだな、ライ…いや、初めましてかな?ライ弁護士」
再会した旧友は彼の知っていた友ではなかった
人を疑う事しかできなくなっていた
「俺は勝つぞ…どんな手を使ってもな」
「君がどんな手を使ってこようと僕は真実という判決しか求めていないよ、つまり僕の依頼人の無実をね」
彼女の妹を護るため
真実を求めるため
彼は運命に反逆をする
見え隠れする運命の糸
見えないようで少しずつその形を現していく
「ライ…私、信じてるね」
彼女の言葉に応えるため真実を歪める人に反逆するため
彼は今日も走り
突っ込む
そして法廷で叫ぶのだ
「意義あり!!」
と
という予告編
まあ来年までに前編を上げれたらいいなあって感じです
前回の続き?
まあ2話で説明しますよ
ではまた機会があれば
>>306 >前回の続き?
>まあ二話で説明
カットされたwwwww
投下待っています
s
↑すいません。ミスしました。
お久しぶりです。
POPPOです。
アク禁が解除されたみたいです。
AO入試が成功して、大学に受かりました。
センターやB大の試験が控えているのですが、第一志望大学に合格したので、受験は終了です。
「覇道のライ」のTURN06「ナナリー・ヴィ・ブリタニア」前半を書き終えたので、
ちょっと過疎気味のここに再び投下したいと思います。
それでは、
全部で9スレくらいです。
支援…あれば、一つほどお願いします。
EU前線。
スペイン南西部にある沿岸部の都市、マルベーリャ。
曇り一つない快晴の下、丘では黒煙が上がり、機械の騎馬に乗った人間たちが殺し合いをしていた。
海には、ブリタニアの旗を掲げる何十隻もの艦隊が、陸に銃砲を向けて、火を放つ。
空には、百を超えるKMF。
戦況は、誰が見ても分かる。
EU軍の劣勢。
だが、地形を利用した戦闘配置でEU軍は必死の抵抗を続け、数日間、膠着状態が続いていた。
一二〇〇の進軍で三度目の上陸攻撃だが、相手のゲリラ作戦にブリタニアの戦力も徐々に削られている。
その時、
突如として、空から一騎のKMFが地上に降り立った。
敵性ナイトメアフレームの熱源反応に、EUの指令室は確認を急いだ。モニターでその姿を確認するや否や、その正体は判明する。
「あの機体は…ランスロット・クラブ・イスカンダル!先日、正式にラウンズとして就任した ナイトオブツー、ライ・アッシュフォード卿のナイトメアです!」
指令室が揺れる。
「『蒼の亡霊(ファントム)』…」
「あの小僧に、一体どれだけの兵が失われたか!マデイラ諸島での敗北を、忘れてはいまい!?」
「エリアE5に待機しているレスフォッグ卿に連絡を――」
その時、『征服王』の名を冠したナイトオブツーの専用機、ランスロット・クラブ・イスカンダルの角の部分が、光を帯びた。
広範囲の一般回線がジャックされ、KMFのコクピットにいるライのメッセージが伝えられた。
『勝敗は決しました。降伏してください』
劣勢と言えど、EUの敗北は決定していない。
敵地の中央に降り立った騎士が吐く言葉では無かった。
彼には、マデイラ諸島で敗北を喫したことがあり、司令官は頭に血が上った。
地上にいるブリタニア兵は、ランスロット・クラブ・イスカンダルのみ。
戦況を見て、怒号と共に命令を下した。
「やれっ!相手はたったの一騎だぞ!」
四方から突撃するパンツァーフンメルを視認して、深く息を吐き、
『…残念です』
と、述べた。
『マリーカ』
『Yes, my lord』
ランスロット・クラブ・イスカンダルの一〇〇〇メートル頭上、白と青でカラーリングされたヴィンセントが、動いた。
背後のエナジーフィラーの供給を受けることができるエナジージョイントが、手元にある可変ハドロンブラスターと連結した。
ランスロット・クラブ・イスカンダルが武装する可変ハドロンブラスターと同系のライフルであり、短、中、遠距離に対応する。
そして、エナジーフィラーをリンクさせることで、威力を半減させることなく、一〇キロメートル以上の超遠距離攻撃を可能した。
コクピットの頭上からスナイプサーチャーが自動的に展開し、マリーカは両手で握った。
トリガーに指先が伸びる。
『船長!この艦がロックオンされました!距離三〇〇〇〇メートル!』
「ナイトメアにしては優秀なIMFだな。だが、この長距離でこの艦を狙撃できるとでも?」
サーチモニターの標準が固定され、高性能の演算プログラムが稼働する。
『LOCK ON』
の赤文字が表示された。
マリーカはトリガーを引いた。
彼女が乗るヴィンセントから、高出力のハドロン砲が放出される。
天空から放たれた一筋の光が、EUの司令塔を射し抜いた。
上昇する海水の柱。
強烈な熱を帯び、残骸へと化す一隻の戦闘艦。
唐突に一般回線が遮断されたことにより、兵士たちは指揮艦の喪失を察知した。
ブリタニア側の指令モニターには、数秒遅れでEUの指揮艦に『LOST』と表示される。
動揺を隠しきれないEUの兵士たちに、オープンチャンネルと一般回線にライ・アッシュフォードの声が耳に届く。
『これでお前たちのリーダーはいなくなった。君たちはどうする?これ以上の戦闘は意味をなさない。降伏すれば、命は保証する。祖国の為を想うなら命を無駄に――』
『し、死ねぇぇえええ!』
ライのメッセージが言い終わることなく、一機のパンツァーフンメルは牙を向いた。
現実を受け入れられない一人の兵士は、憤怒に身を任せ、死んだ上官の命令に従った。
一機の銀色のKMFが迫りくる中、ランスロット・クラブ・イスカンダルの両手には何も持っていなかった。背部にある可変ヴァリスも黄金の剣も控えている。
突撃する機体に対して、クラブはあまりにも無防備の状態だ。
クラブは武器を持つことなく、両手から発射されたスラッシュハーケンを飛ばし、そのパンツァーフンメルを捕まえた。
一機を遠心力で振り回し、他の機体を次々となぎ倒していく。遠距離から構えていたKMFは容赦なく、クラブにアサルトライフルを撃った。
その弾丸は、クラブが捕らえていたパンツァーフンメルに直撃する。
穴だらけになった同胞は爆散するが、クラブの両腕にあるブレイズルミナスが全てを防いでいた。
コクピットにいたライは、深く息を吐くと、
『では、君たちの気が済むまで、存分に挑んでこい!』
クラブの鞘から、黄金の長剣が引き抜かれた。
右手には剣を。
左手には銃を。
可変ハドロンブラスターの銃身は最小になり、近距離散弾モードに展開する。
太陽の光で彩られた剣に、KMFの碧眼が写った。
同時に、ライの碧眼に戦士の意思が宿る。
躊躇うこと無く殺戮を成す、冷たい瞳。
『誰一人として、容赦はしない』
襲いかかる敵に対して、ランスロット・クラブ・イスカンダルは猛威を振るった。
ワンセカンドアベレージ、一三回の入力。
ライは常人を逸した操作技術で、雨のように降り注ぐ弾丸を掻い潜った。
敵兵には、弾がすり抜けるように見えているはずだ。
その姿な、まさに『蒼き亡霊(ファントム)』――
縦横無尽に戦地を駆け巡り、敵を蹂躙する。
その姿は、まさに『征服王(イスカンダル)』――
その姿に、彼と背を共にする者は歓喜に震え、彼に敵対する者は、恐怖に震えた。
ライ・エルガルド・ヴァン・アッシュフォードの勇敢なる背に、畏怖と愛き想いを抱えた者は、彼も例外ではなかった。
ラウンズの就任から、彼の非凡なる才覚に気づき、いち早く目を付けた人物。そして、強大な後見人として彼を支えた実力者、シュナイゼル・エル・ブリタニアは微笑をこぼす。
「騎士の手本だねえ。彼は」
「ええ。崇高なる騎士道。まるで、かつてのナイトオブツー、サザーランド卿のようですね」
彼の背後に控えている側近、カノン・マルディーニは率直な感想を述べた。
「そして、優秀な政治家でもある」
「……ええ」
「ふふっ、まったく。アッシュフォード卿といい、枢木卿といい、そして、ゼロといい…エリア11には、面白い人材が埋もれているものだね」
シュナイゼルの失言ともいえる発言に、カノンは眉をひそめた。
今や世界的に有名な国家反逆者となった「ゼロ」に対して、面白い、とは、らしからぬ言動だ。
しかし、と彼は思う。
カノンは、シュナイゼルに意見する事を止め、数メートル先に表示されている巨大モニターに目を移した。
そこには、戦地状況を逐一知らせるフィールドスコアが映されており、中央にはブリタニア軍のKMFを示す青い点滅があった。
その機体は、第8世代型KMF、ランスロット・クラブ・イスカンダル。
周囲には、赤い縁で表示された『LOST』の文字が多数あり、情報が更新されるごとにロストメッセージは増加し、文字が重なり続けていく。
青い点滅はその場から動かない。ただ、敵性KMFの熱源反応が、一機のKMFの距離に関係なく、次々と『LOST』の文字に変換されていくだけだ。
これが何を意味するか。
それは、たった一騎のナイトメアフレームによって、敵性KMFが次々と撃墜されている、という事実の表示に他ならなかった。
戦場では、ライによる一方的な虐殺が繰り広げられている。
『LOST』の文字が表示されるたびに、人間の命が散ってゆく。
ライの上空に控えている副官のマリーカの援護もあり、彼の猛攻は勢いを増した。
まさに、一騎当千。
わが軍にとっては吉報でありながらも、目を疑いたくなる戦況報告に見入っている者も少なくなかった。
島の四方からナイトオブツー直属のKMF部隊が進撃を開始し、『LOST』の増加は一気に加速した。
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ、覇道のライ」
TURN06 「ナナリー ヴィ ブリタニア」
「ルルーシュがいなくなったぁ?」
カレンの素っ頓狂な声に、ピザを摘まんでいたC.C.の手が止まった。
中華連邦領事館の指令室にいる二人は、目を合わせた。
「それは本当なの?玉城」
『ああ。何処捜してもいねェんだよ。これからKMFの訓練が始まるってのによぉ』
携帯越しに、苛立っている玉城の声が届く。
『部下の話によると、ラジオを聞いた後から様子が変だった、だとよ。皇女様のバカ話でなに同様してやがるんだ。あのブリキ小僧は』
エリア11の新総督となったナナリーが、ルルーシュの実の妹であることは知っている。玉城がそれを知るはずはなく、彼の言い分も理解しているが、カレンは玉城の辛辣な言葉に怒りに震えた。
さらには、「部下」という言葉を強調する玉城の言動に落胆すら覚えていた。
適当に相槌をうって、すぐに携帯電話を切ると、
「C.C.は知らない?」
「ルルーシュの行方は見当が付かないが、理由は分かる」
「それぐらい、私にも分かるわよ」
「ナナリーが総督か。確かに、これは私にも予想外だったな」
C.C.はもう一度、ピザを手に取り、口に運んだ。
チーズがとろりと伸びて、口元に落ちる。
それを綺麗に舐めとる姿は、女のカレンから見ても、蟲惑的な色気を感じた。
「…探さなくてもいいの?ルルーシュを」
「それはお前の仕事だろ。カレン」
「はぁ?」
「ならば、リリーシャに任せておけばいい」
そう言うと、C.C.は最後の一枚をたいらげ、手についたケチャップを舐める。
カレンは無言で立ち上がり、その場を離れようとした。
その時、背後から声がかかる。
「何処に行く?」
「決まってるじゃない。ルルーシュを探しにいくわ。リリーシャの負担は、少しでも減らしてあげたいし…」
「…ルルーシュに会ってどうする気だ?」
「どうって、それは…」
カレンは言い淀んだ。本当にその先の事を考えていなかったらしい。
否。
その先の言葉が、今の自分自身に言えるものなのかと、躊躇しただけだろうと、緑髪の彼女は思った。
「あいつを焚きつけようと思ったのか?それはお前に必要な事だよ。カレン」
「……」
「私は、お前に問いたい」
「…なに?」
チーズ君人形を抱きしめ、紅髪の少女を見据えた。
黄色の瞳が、彼女を静かに射抜く。
「お前は、黒の騎士団とライ、どっちを取る?」
カレンの目が見開かれる。
彼女の反応を無視して、C.C.は言葉をつづけた。
「今、黒の騎士団を抜けられると非常に困る。特に次の作戦では、お前の戦力は必要不可欠だからな。
…だが、私個人としては、お前がどの道を選択しようと構わない。自分の未来は、自分自身が決めることだ」
長い言葉を浴びせた後、今一度、彼女の顔を見た。
返答に困るのでもなく、睨むのでもなく、ただ、口を一文字に結んでいる。
「私は…黒の騎士団に残るわ。そして、ブリタニアと戦う。でも、私、私は…」
言葉を区切り、告げた。
「ライを取る」
カレンは、明確な意思を持って答えた。
「ライが記憶を取り戻して、それでも黒の騎士団に帰らないというのであれば、私はライの傍にいる。
必要なら、黒の騎士団だって辞める。私はライと一緒にいたい。離れたくない。
それが私の答えよ。C.C.」
…扇さん達には申し訳ないけど、とカレンは小さく呟いた。
C.C.は、天井を見上げながら、
「…そうか。それはよかった」
と、理解しにくい返答がかえってきた。
カレンは首をかしげる。
「…よかった?」
ふん、と鼻息をあらすと、
「お前が人間でよかった、と言ってるんだ」
その言葉に、紅髪の少女はさらに困惑する、
口を三日月にして、緑髪の少女はカレンを見据えた。
薄く口が開かれる。
「なぁ。カレン。私は誰だ?」
「…?何言ってるの?C.C.はC.C.でしょう?」
「そんなトートロジーな答えは聞いていない」
身を翻し、チーズ君人形を隣にそっと置くと、彼女は話を切り出した。
「私は魔女だ。その魔女たる所以はどこにある?」
「それは…」
言うまでも無い。答えはすでに出ている。
不老不死。
頭を撃ち抜かれても死なない不死身の肉体。
C.C.はカレンの心情を読み取ったように、言葉を続ける。
「そう。私は死ぬ事が出来ない。もう何百年もだ。その不死の体。そして、契約者に与える能力。ギアス。それが、私が魔女と呼ばれる理由だ。
だが、この世には人の身でありながら、「神」や「悪魔」と人ならざる呼称で名づけられる者がいる。
…ああ、「狂王」と呼ばれた人間もいるな」
その言葉を聞いた途端、カレンの瞳が鋭くなった。
不快感と敵意を露わにして。
彼女の意識無く、両手に拳が作られる。
「そういう奴らとカレンのような人間、何が違うと思う?」
「……何がって言われても」
「心だ」
「精神が、人間を超越しているんだよ」
声を潜めるカレンに、言った。
「…言っておくが、ライもルルーシュも、すでに人間ではない」
彼女の意図することはこうだ。
天才の中でも、さらに飛び抜けて才を持つ者は、例外なく、強烈な利己(エゴ)主義(イズム)と現実(リア)主義(リズム)を持っている。
自我が強すぎるあまり、意思がブレることはない。
幼い頃に願った夢。十人十色違えど、一度は、その身に余る大志を抱いたことがあるはずだ。だが、人は時が経つにつれ、その道の険しさを知り、現実と折り合いをつけていく。
時間や環境によって心が移り変わる。それは人の常だ。だが、ほんの一部だけ、幾多の時が経とうとも、その大志を燃やし続け、目的に愚直に推進することができる人間がいる。
想いが強固であるがゆえに揺るがない。ただひたすら愚直で、強烈な意思。
それを傍観しているだけなら、敬服に値する姿勢に見えるが、所詮はただのエゴでしか無い。
思考と行動の差は、意思の強さが約一〇倍異なると言われている。では、時が経っても移ろいゆくことなく、持続するためには、どれほど強烈な意思(エゴ)が必要であるか。想像に難くないであろう。
C.C.はルルーシュの軌跡を物語る黒の騎士団のマークを見ながら、
「意思(エゴ)もここまでくれば、馬鹿はいつしか天才と呼ばれるようになるものだ。ルルーシュしかり、ライもまた然り、だ」
彼女は大きな溜息をついた。
「…より強いチカラを持った意思(エゴ)が生き残る。人間の歴史はいつもそうだ。何も変わっていない」
「……C.C.?」
「だから、お前には普通の人間であるべきだ。あいつらのような馬鹿は、二人だけで沢山だ」
黄色の瞳が少女を見つめる。
彼女の不安定な視線と口調が、いつもと違っていた。
普段は飄々としていて。捉えどころのない魔女が、カレンには何故か小さく見えた。
二人の間に妙な空気が流れる。
カレンは話をどう切り出そうか考えていた。
今から、ルルーシュを追わなくてはならない。彼こそ黒の騎士団、牽いては日本に必要な人間だ。自分には、ライという男が必要だが、彼を取り戻すためにも、ルルーシュの協力無くては成しえない。
彼女はまだ、心の奥で願っているのだ。
ライを救い、日本の救うというゼロの奇跡を。
そんなことを考えていると、C.C.はカレンを見ていた。
ニヤついた目つきで。
嫌な予感がした。
無論、その予感は的中する。
「カレン。お前も難儀な奴だなぁ。惚れた男が普通の男であれば、ここまで思い悩む事も無かっただろうに。
力ある者に靡くのは女の本能だが、ライに愛され、ライを愛したお前だ。
極上の雄の味を知ったお前にとって、他の男はさぞかし霞んで見えるのだろうなぁ」
空気を変えるにしても、あまりの痴話にカレンも言葉を失った。
「ちょっ!?C.C.!アンタってやつは!」
カレンの詰まった表情を見ると、薄い笑みを浮かべた。
緑髪の魔女はひらひらと手を振る。
「行くなら行って来い。日が落ちる前に行け。ブリタニアの警戒は夜のほうが厳しいからな」
遅くなった
支援
支援
誰かが肩を揺さぶっている。
私は虚ろな目で、
「……ん?」
「リリィ…寝ないでよ」
シャープペンシルを持ったノエルが、私の制服をプチプチと指していた。
全然痛くないけど止めて。制服汚れるから。
「で…終わったの?ヘンリーのプリントは…」
メガネをかけているヘンリエットはふん、と口をとがらせると、持っていたプリント全てを私の目の前に差し出した。
すでに赤ペンでチェックがつけられている。
…これは、ヘンリーも怒るなぁ。
「ノエル。これ、やばいよ?マジで」
「だ・か・らぁ!こうして頼んでるんじゃないかぁ!」
今、私ことリリーシャ・ゴットバルトとヘンリエット、ノエルは、私とヘンリーの部屋で勉強会を開いていた。
無論、私は高校程度の勉強などする気も起きなかったけど、カレン先輩からもらったテストで大体の範囲と傾向を掴んでいたから、気に病む必要もない。
ヘンリーは、元々勉強は得意だし、今回は特に気合いを入れていたらしいから、テスト返却日の午後に、復習なんてやるはずはない。
残りは体育会系のノエル。
去年までは成績は順調に伸びていたのに、今回は再試を受ける始末。
私とヘンリーは、ノエルに再試対策のプリントを作っていた。
…でも、これは酷い。
「現在まで返却された5教科の内、世界史以外はすべて追試決定…先月は陸上部の大会もありましたし、エリア11内でベスト8に入った功績が認めます…で・す・が!」
「ひぃ!」
「それでも2週間ですよ!準備する時間は余分にあったでしょう!」
まったくその通り。
ノエルがSOSのノンバーバルメッセージを発しているが、無視。
ヘンリーの愛の鞭をありがたぁく受けなさい。
2週間も時間を無駄にするなんて、馬鹿としか言いようが無いじゃない。時間を無駄にするってことは、命を無駄にしているということに等しいのよ?そのへんの自覚が足らすぎるわ。
たった今流れている時間さえ、二度と戻らないって皆知ってるはずなのに。
「ところでノエル。その頭に巻いてる白い布は何?全然似合ってないわよ」
「ハチマキっていうんだって、イェルクとゲットーに行った時に売ってたんだよ」
「…バンダナとどう違うの?」
「さあ?」
興味無さそうに、ノエルは首を振った。
「それに、イェルク?また彼氏変えたの?ノエル」
「今年に入って、すでに四人目ですよ。この娘。男にばかり現抜かしてるから、こういう結果を招くのです!」
ヘンリエットの剣幕に拍車が掛かる。
折角綺麗な肌してるんだから、シワばかり作っちゃだめよ。ヘンリー。それにノエルの彼氏の模様替えは、今に始まったことじゃないんだし。
「だってぇ、私、アッシュフォード家を卒業すると同時に、男爵家に嫁ぐことになってるんだもん」
いつもいがみ合う二人が、今度ばかりは同調した。
「「はぁっ!?」」
ヘンリエットは大声を上げて、私は目を丸くして、頬杖をついているノエルを見る。
「ちょっ…初耳ですわよ!そんな大事なこと、何故今まで黙っていたのですか?!」
ノエルは、あごでシャープペンシルをカチカチしながら、
「パパ。上昇志向が激しくて、貴族になりたいらしいの。ウチは平民だけど、金持ちだし、繋がりが欲しいんだって…相手の人は見たことも無いんだけど」
「侯爵家である私も、まだ決まっていないのに…」
「私も…」
「えっ!?ウソォ!?」
今度は、ノエルが驚く番だった。
ノエルの勉強会は一先ず休憩に入って、彼女から根掘り葉掘り聞いた。
しかし、驚いた。まさかノエルがそんなことになっていたなんて。休学届を併用して、学校を休んでは、黒の騎士団を指揮していた私にとって、友達の大きな悩みすら知らかったのはちょっとショックだった。
それに、私がこうして彼女たちと共に時間を割いていることにも理由があって、少し後ろめたさを感じた。
それは、
「ねぇ、ヘンリー。ライ様って、何時このエリア11に帰還なさるの?」
「…私のソースによると、EU遠征に赴いているらしいですわ。このエリア11に帰ってくるのは、早くてもあと半年はかかるでしょうね」
出来るだけ、自然な流れで…違和感無くライの情報を得る。
この一言を聞くためだった。
ヘンリエット・T・イーズデイルは軍事企業を有する侯爵家の令嬢だ。軍との深いパイプラインを持っている。
さらには、ヘンリエットはライ・アッシュフォードに会いたいと父上に進言し、父もライを高く買っているらしく、彼に取り継ごうとしているらしい。
アッシュフォード家も公爵家になったとはいえ、つい先日の事で、貴族としての人脈は何も変わってはいない。
だからこそ、ライに関してのみ、彼女の情報は下手な報道機関の人間よりも確かな情報を持っている。
義理の姉に当たるミレイ先輩すら、ライの動向はナイトオブセブンを介してのみの情報しか持っていないが現実だった。
今回の件は、ディートハルトの情報と照らし合わせても、誤差が無い。
…どうやら、私の杞憂だったようだ。
これで、今回の作戦における最大の不確定要素は消えた。
カレン先輩の不安も、すこしは取り除くことが出来る。
「ヘンリーったら、お父様の伝手でEUに行こうとしたんだよ。流石、ライ様親衛隊隊長…というか、ヘンリーは侯爵家だから、チャンスはあるよね。羨ましい」
きっ!とメガネを添えて、目をつりあげるヘンリエットは紫理の髪を揺らせた。
「羨望を行動に移しなさい!ノエル。それが大義を成す者と成さぬ者も違いですよ!」
「…イエス…マイロード」
ノエルの何気ないジョークが私のツボにハマった。
「……ぷっ!あっははは!」
私は声を上げて笑う。
そんなにおかしい?と、二人揃って私の顔を見た。
だから、私は瞳で彼女たちに語った。
ええ、おかしいわ。
だって、領事館とは、たった数キロしか離れていないのに、此処はこんなにも平和なんだから。
誰にも聞こえることなく、私は心の中で呟いた。
この平和だけは、失いたくない。
これが、私の意思(エゴ)。
TURN06 「ナナリー ヴィ ブリタニア」 前半終了です。
代理投下スレにもありますが、スルーしてくださいww
これから、無理なく自分のペースで書き込みをしようと思うので、またよろしくお願いします。
それでは。
POPPO卿お帰りなさい、受験お疲れ様でした。
早速の投下乙でした、これからも楽しみにしていますのでご自分のペースで頑張ってください
乙
合格おめでとう乙
投下ありがとう乙
まとめてO2(オーツー)
>>320 乙。
しかし……投下続けるならばプロット投下したのはまずかったのでは……?
今から誰がどうなるか分かっているのは……
それとも少しずつ変えていくのかな?
乙です。こんなに早く戻ってきていただけるとはありがたや
おかえりー
おめでとー
ありがとー
第一志望にAOで受かるとか…
マジですか?
てかそれでセンターとか受けるとか…
なんだかな…
POPPO卿受験乙!そしてお帰りなさい。
これからを楽しみに、待っています。
329 :
創る名なし:2009/10/22(木) 01:43:09 ID:rdXoyJbZ
あまり出来のいい小説ではありませんが一つ投下したいと思います。支援は必要ないです。
タイトル
ゲームセンターに行こう
登場人物
ライとC.C.の二人がメインでゼロやスザクみたいなキャラが何人か出ます。
330 :
創る名なし:2009/10/22(木) 01:45:47 ID:rdXoyJbZ
たまにしか取れない休日を部屋でのんびり過ごそうと思っていたある日のこと。
「ライ、ゲームセンターに行くぞ」
「ゲームセンター?」
「そうだゲームセンターだ」
「何故僕がC.C.と一緒にゲームセンターに行かなければならないんだ?」
「どうしても手に入れたい物があるんだが私では無理だ。だからお前が必要なんだ。ちなみにお前に拒否権は無いぞ」
正直あまり気が進まないのだが、行かないという選択肢は存在しないようなので素直に従うことにした。
そして僕達二人は道中何事もなくゲームセンターに到着する。
「それで、どうしても手に入れたい物って何だ?」
「チーズ君だ」
「チーズ君?それなら沢山持っているじゃないか」
「私が欲しいのはあそこのクレーンゲームの中に一体しか入ってない激辛ハバネロ唐辛子味ピザの赤チーズ君だ」
そんなピザ誰が食べるんだ・・・それに何故ピザ屋のキャラクターのぬいぐるみがクレーンゲームになっているのか。
「こういうものはルルーシュに頼んだほうがいいんじゃないのか?」
「ルルーシュにも先日やらせたがあいつはこのクレーンゲームはアームの力が弱い、こんなものいくらやっても取れるわけがないと言って不機嫌そうに帰っていったぞ」
いかにもルルーシュらしいな。
「アームの力が弱いなら誰がやっても結果は同じじゃないか?」
「何とかしろ。お前にはバトレーから与えられたありとあらゆるゲームセンターの知識があるはずだ」
「何だそのムチャクチャな設定は!」
とりあえず僕はクレーンゲームをやってみることにした。アームの力が弱いなら頭に付いているヒモの部分を引っかけて取る方法しかない。
「よし、うまく引っかかった」
僕は赤チーズ君を一発で取ることに成功した。
「よくやったぞライ」
半ば強引に連れてこられたゲームセンターだったが、C.C.が嬉しそうにしているのを見るとたまにはこういうのも悪くないかなと思う。それと一応バトレーにも感謝しておく。
331 :
創る名なし:2009/10/22(木) 01:49:50 ID:rdXoyJbZ
「せっかく来たんだしほかのゲームもやっていくか」
「私は構わんが何をやるんだ?」
「このゲームはどうだろう?」
新機動兵器ナイトメア
白の騎士団VS鰤谷亜
「何だこのゲームは。プレイヤーキャラが弱そうな仮面男と生意気そうな体力バカ男しかいないぞ。こんなゲームやめておけ」
「だが、あるコマンドを入力すると隠しキャラの銀髪男が登場するらしい」
「ほう、ならやってみろ」
「↑↑↓↓←→←→で最後にボタンプッシュ」
僕はどこかで聞いたことのあるようなコマンドを入力した。ゲーム画面に銀髪のロイという名前のキャラが追加される。
「この隠しキャラは両方のルートで使えるらしいな」
「ならあの仮面男がやられるのが見たい。鰤谷亜ルートでやれ」
僕はC.C.の言う通りに鰤谷亜ルートを選ぶ。
ゲームスタート
「ロイ、今回の任務は白の騎士団のリーダー、セロ機撃墜だ。準備はいいね?」
味方キャラの体力バカ男スザキが説明する。
「敵のナイトメアが来たよ!」
「セロの所には行かせないぜ!」
「玉本、前に出過ぎだぞ」
出てきたのはザコ敵の二人、小木と玉本だ。
「そこをどくんだ!」
スザキがスラッシュハーケンで攻撃する。
「チクショー」
玉本機はスザキ機のスラッシュハーケンの直撃で戦闘不能になった。僕は残りの小木機を狙う。
「何だこの動きは?」
僕は素早く小木機の死角に回り込みライフルを撃つ。
「うわああっ」
小木機を撃墜。ザコ敵とはいえ弱すぎるように感じたのは気のせいか。
332 :
創る名なし:2009/10/22(木) 01:53:30 ID:rdXoyJbZ
「ロイ、この先にセロがいる筈だよ」
スザキ機はどんどん先に進んでいく。
「出たな黒兜」
「セロは私が守る!」
ラスボスはセロと白の騎士団のエース青月エレンだ。
「ぬおおおおお、セロおおおお、貴様はこの私、オレンジ・ゴットバルトが倒すんだあ!」
突然イベントムービーが流れ、一機のナイトメアが出てきた。きっとこのキャラはやられ役に違いない。
「あんたの相手をしている暇はないの!」
エレン機の右手がオレンジ機を捕らえる。
「ぐうっ何だこの攻撃は」
「これでもう逃げられない」
「ま、まだ私は・・セロに・・・」
「さよなら」
「オハヨウゴザイマシタ」
エレン機のシャイニング波動によってオレンジは散った。
「ロイ、僕はもう一体のほうと戦う。セロは君が倒すんだ」
スザキはエレン機に突っ込んでいった。
「おのれ黒兜、私は奇跡を呼ぶ男セロだ。戦略が戦術に負けるなどありえないんだ!」
セロ機がハンドガンを乱射してくる。僕はそれをあっさりとかわし近づいていく。ちなみにスザキ機は一方的にボコられていた。
「何故だ、何故攻撃があたらん!」
僕はセロ機の攻撃を回避し続け、懐に入りソードを突き刺した。
「うおおおおお」
「セロ機撃墜、ゲームクリアです。得点は1億万点、ランクはSです」
ナレーションがわけのわからないスコアを告げてゲームは終了した。
「ランキングが2位に大差をつけた1位とは流石だなライ」
「何か明らかにラスボスが弱くなかったか?」
「そういう設定なんだろう。こんな仮面男が強いとは思えん」
ゲームの中のキャラとはいえひどい言われようだな。
「そろそろ帰ろうか」
「そうだな。夕食はピザを注文しろ。」
「注文してもいいが一枚までだぞ」
「ケチだな、騎士団の給料はそんなに少ないのか」
「失礼なことを言うな。そんなにピザを何枚も食べ続けていたらすぐに太るぞ。」
「余計なお世話だ」
こうしてライの休日は終わった。後日バトレーの元にはライからワカメと安物の発毛剤が送られたという。
333 :
創る名なし:2009/10/22(木) 01:57:18 ID:rdXoyJbZ
以上で終了です。
334 :
創る名なし:2009/10/22(木) 02:05:41 ID:rdXoyJbZ
すいません。細かい設定が抜けてました。
ライは黒の騎士団に入って特区成立後の平和な日本という設定でした。
なんというか地味にじわじわくるなこれwww
>>334乙です!
すいません。
>>120の続きを少しだけ投下します。
――――――――――――――――――――――
枢木スザクの復学祝いより翌日の夜。私立アッシュフォード学園。
人気の無い機情の地下施設には、背もたれに身を預けると頬杖をつきながら剣呑な表情を浮かべるルルーシュの姿があった。
ルルーシュは、もう片方の手に持ったチェスの駒の角で机の上に置いた盤上を一定のリズムで鳴らしている。
彼の正面には真新しいモニターがあり、そこには緑髪の女、C.C.が映っていた。
C.C.は淡々した口調で告げる。
『卜部から報告があった。ニイガタでの物資受け取りは上手くいったらしい』
「そうか……」
作戦が無事に終了したというのにも関わらず、ルルーシュはさして喜ぶ素振りを見せなかった。
一方、その理由を百も承知であったC.C.は咎める事を控えているのか、相変わらずの態度で問う。
『しかし、この総領事館に戻る方法が無いが?』
「だろうな。だが、それについては問題無い。既にラクシャータ達が中華連邦を発った。卜部達には、ニイガタ沖で合流するように伝えておけ。座標は後で送る」
『分かった』
端的に返したC.C.は、学園での戦利品でもある黄色い人形を抱き締める。
『それで? この後はどうするつもりだ? 戦えるのか? ナナリーと……』
「戦う? ナナリーと? それは何の冗談だ?」
ルルーシュは瞳を細めると批難めいた視線を送るが、C.C.はさして気にした素振りを見せない。
『では、放っておくのか?』
「論外だな。このままでは、昔の様にまたナナリーが政治の道具に……」
『歩けず、目も不自由な少女。駒として使い捨てるつもりかな?』
C.C.の歯に衣着せぬ発言に、ルルーシュは激昂すると手に持った黒のキングを握り潰さんばかりに力を込める。
「そうさせない為に俺は行動を起こした! その為の黒の騎士団だ! ナナリーの為のゼロなんだ!」
『それがお前の生きる理由である事は知っている。しかし――』
「俺はナナリーが幸せに過ごせる世界を創る! その為にもブリタ二アを破壊する!!」
怒気を孕んだ口調で断言したルルーシュは、黒のキングを盤上に叩き付けるとモニターを睨み付ける。
「V.V.とかいう奴はブリタニア本国に居るのか!?」
『そこまでは分からない。しかし、V.V.はお前の父、ブリタ二ア皇帝シャルルの最初の同志……』
「同志?」
『嘗て、二人は誓った。神を殺し、世界の嘘を壊そう、と……』
「それは何かの比喩か?」
『…さぁな』
答えるまでの僅かな間をルルーシュは見逃さなかった。
それはC.C.が何かを知っている時に見せる反応だという事を、薄々ながら理解していたからだ。
尤も、問うた所でまともに答える事が無いという事も重々承知しており、問い詰めるだけ無駄だと悟ったルルーシュは話題を切り替えた。
「………まずはナナリーだ」
『動くのか?』
「愚問だな。航行ルートも既に手に入れている」
さも当然の如く鼻を鳴らすルルーシュに対して、C.C.は僅かに身を乗り出すと詮索するかのような眼差しを向けた。
『機情の長とやらはどうするつもりだ?』
「ロロやヴィレッタから必要な情報は得ている。例えば、奴はこちらから報告を上げない限り、定時以外に連絡して来る事は無い……とかな」
不敵な笑みを浮かべるルルーシュ。だが、C.C.が表情を崩す事は無かった。
『そんなに単純な存在か?』
「万一に備えて当日はヴィレッタをここに張り付かせる。連絡が有ったとしても問題は無い。条件はクリアされている」
ルルーシュは、抜かりは無いと言わんばかりに胸を張ってみせた。
対するC.C.は『そうか……』とだけ言うと、短く息を吐きその身をソファーに沈める。
ルルーシュはそんな彼女の仕草が少々気になった。
「何か言いたそうだな?」
その問いに、C.C.は黄色い人形を抱いた腕に悟られぬ程度の力を込めると問う。
『以前、お前は言っただろう? 気になる存在だ、と。それで? 見た感想は?』
「気になるのか? 魔女らしく無いな」
『ルルーシュ、はぐらかすな。どうだった?』
問い掛けるC.C.の瞳は笑っていた。
心中を見透かされているように思えたルルーシュは、歯噛みしながらも口を開く。
「…………ライである筈が、無い……」
するとルルーシュの態度を見たC.C.は、不意に形の良いその唇に微苦笑を湛えた。
『まるで願い事のように聞こえるぞ? 魔王らしく無いな』
C.C.の鸚鵡返しを不愉快に思いながら、ルルーシュは拳を握り締める。
「確かに、機情に長官ポストが新設されたのはあの戦いより後だ。ライの消息が途絶えた時期と近いものがある」
『なら、尚更だ。そいつの素顔が分からない以上、疑ってかかるべきでは?』
C.C.の指摘はもっともだったが、ルルーシュは一瞬苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべた後、俯きがちに言う。
「……予想以上だった」
『何?』
「以前、ライが見せた雰囲気とは比べものにもならない程の威圧感。それに、あの冷徹過ぎる性格……」
『お前の予想を超えていたという訳か……だが、そうでなくては狂気の王とは呼べまい?』
「あいつの悪口は止せ!!」
顔を上げたルルーシュは再びC.C.を睨み付ける。が、批難の視線も何のその。
C.C.は普段の捉え所のない表情に切り替えると言った。
『悪口では無い。歴史的な評価だ。お前が教えてくれたのだぞ? 尤も、ブリタ二アでは英雄だったな』
「機情の本部があるのはそのブリタニア本国だ。今はまだ彼奴がライかどうか確かめる……その術が無い」
『だから今はこのままで良いと? それは只の逃げだ。ルルーシュ、お前の目的にはブリタニアの破壊も入っているのだろう? このままでは、何れは否が応にも対峙するハメになるのだぞ?』
「っ!!」
痛い所を突かれたルルーシュは言葉に詰まる。
しかし、C.C.はお構いなしとばかりに捲し立てる。
『その時に確かめれば良いなどと考えているのなら、愚鈍にも程がある』
「…………」
『その上で聞くが、もし、仮にそうだった場合はどうする? 戦えるのか?』
「……ライは友達だ……」
C.C.の執拗な問いに、ルルーシュは遂に本心を吐露した。しかし、それでもC.C.は追求の手を緩めなかった。
『甘いな。その甘さが命取りになった事を忘れたのか?』
そう前置きすると、C.C.は嘲笑の気配を漂わせながら思い出したかのように語る。
『白兜のパイロットがスザクだと分かってからも、機会など幾らでもあったというのにお前はギアスさえ掛けようともしなかった。いや、そういえば説得はしていたな。無駄に終わったが……』
「お前という奴はっ!!」
ルルーシュはバンッ!と両手を机に叩き付けると立ち上がる。対するC.C.はしたり顔。
『だが、結果はどうだ? 嘗ての友はお前を売り……今やナイトオブラウンズだ』
「そんな事は分かっている!!」
『いや、お前は何も分かっていない。もし、その仮面の男がライだったとしたら? 冷酷無比と伝えられる頃の性格に戻っていたらどうする? そんな気構えでは確実に殺されるぞ? 私はお前に死なれるのだけは困る。それを忘れるな』
「…………」
ルルーシュが黙り込んでしまうと、C.C.もルルーシュの言葉を待つかのように口を噤む。
暫しの沈黙の後、ルルーシュは口を開いた。瞳に並々ならぬ決意の色を滲ませて。
「戦おう」
『討つのか?』
よもやこれ程早く決断するとは思っていなかったC.C.は瞳を丸くする。
が、ルルーシュは鼻を鳴らすと否定した。
「有り得ないな」
『……そうか、捕縛する気か』
ルルーシュの意図に気付いたC.C.は、納得しつつも剣呑な表情を浮かべると問う。
『その任に当たる者達は、一歩間違えれば全員死ぬ事になるぞ?』
「ギアス、か……」
『お前の時のように忘れさせられている可能性もあるがな』
自身の懸念する所を告げたC.C.に対して、ルルーシュは頭を振ると意地の悪そうな笑みを浮かべる
「手駒とするなら忘れさせるメリットが無い……あの男ならそう考える。だが、お前にギアスは効かないだろう?」
その問いには、流石のC.C.も苦笑した。
『やはりそう来たか。だが、私一人では無理だ』
「10秒程度動きを止めてやれば、お前でも可能だろう?」
『ほぅ。どうやって?』
ルルーシュはその問いに対しては何も答えなかった。ただ、口元を釣り上げるのみ。
(しかし、ルルーシュはまだ知らない。ロロとライの繋がりを。そして、ロロのギアスはライに封じられているという事も……)
一方、その仕草にどうやら策はあるようだと判断したC.C.は、それ以上の追求を控えた。
『まぁ、いい。それで? 万事上手くいったとして、その後はどうする?』
「今更だな。記憶を取り戻す以外に何をすると思ったんだ?」
ルルーシュが、さも当然とでも言わんばかりに胸を反らすと、C.C.は逆に哀れむかのような視線を送った。
『ほぅ、どのように取り戻す?』
「待て……俺の時のような事は出来ないのか?」
気になったルルーシュが怪訝な表情で問うと、C.C.は一転して愉快そうに微笑を浮かべる。
『さて、それはどのような事だ?』
「お、お前っ!!」
ルルーシュは狼狽した。
そんな彼を尻目にC.C.は妖艶な笑みを浮かべてみせる。
『フッ。何をそんなに焦っている? これだから童貞坊やは――』
「黙れ、魔女!! それよりも…どうなんだ?」
ルルーシュは一喝するが、その後に続いた言葉は何処か縋るかのような響きを含んでいた。
C.C.は暫し黙り込んだ後、視線を逸らすと言った。
『あれは私が持っていたお前の記憶を流し込んだに過ぎない』
「ライの記憶は?」
『あいつとはああいった接触は行っていないからな』
そこまで告げると遂に意を決したのか。C.C.はルルーシュに向き直ると――。
『持っていない』
何時になく真剣な眼差しで告げた。
自身の目論みが瓦解する音を聞いたルルーシュは呆然とする。
「ライを取り戻しても……記憶は取り戻せない?」
『……私の方でも方法は考える。だが……』
「覚悟は必要だと?」
『………………』
今度はC.C.が何も答えなかった。ルルーシュは唇を噛み締める。
静寂。
しかし、それを打破したのはルルーシュだった。
「そこにカレンは居るか?」
『隣の部屋で待機している』
「呼んでくれ」
その頼みに、C.C.は思わず剣呑な表情を浮かべた。
『告げる気か?』
「詳細は控えるが、カレンには知る権利がある」
『………………』
見つめ合う二人。先に口を開いたのはC.C.だった。
『……分かった』
諦めたのか納得したのかは定かでは無いが、C.C.は了承の言葉を紡ぐと人形をソファーに残し席を立つ。
暫しの間が空き、スピーカーが遠くの方で何事か話し合う二人の声を拾う。
それからまた間が空き、ルルーシュが黄色い人形に見飽きた頃、モニターには背後にカレンを従えたC.C.の姿が映った。
C.C.は画面の左端に座ると再び黄色い人形を抱き締める。
カレンは先程までC.C.が座っていた場所に腰掛けると、画面に映るルルーシュを見据えた。
『話は終わったの?』
「あぁ」
『用件は? 私もあなたに聞きたい事があるから手短にお願い』
「ライに関する事だろう? こちらの用件もそれだ」
『見つけたの!?』
カレンは身を乗り出すとモニターに詰め寄った。
すると、その逼迫(ひっぱく)した表情にルルーシュは及び腰になる。
「い、いや。まだだ……」
『……そう』
肩を落としたカレンはソファに座り直すと俯いた。
「済まない……」
ルルーシュの謝辞を聞き、カレンは俯いたまま口を開く。
『うぅん、私こそごめんなさい。探してくれてるのにね』
そう告げると顔を上げたカレンは精一杯の笑みを浮かべた。
『感謝してるわ……ありがとう』
突然の感謝の言葉。
ルルーシュは、予想だにしなかった事態に困惑しながらも胸を痛めた。最も、それを面に出すような事はしなかったが。
しかし、そのせいで話すべき事を失念してしまう。
ルルーシュが必死に思い起こそうとしていると――。
『私には何も無いのか?』
憮然とした態度でC.C.が口を開いた。
時間稼ぎなのか本心なのか分からないが、カレンの意識はC.C.に向く。
『あんたにも感謝してるわ、C.C.。ありがとう』
驚くべき事に、カレンはC.C.にも礼を述べた。
が、ルルーシュと同じく予想していなかったのか。C.C.はそれまでの態度を忘れてしまったのか瞳を丸くした。
しかし、その態度には流石にカレンの表情も曇る。
『何よ、その顔』
『……なに、意外だったのでな』
『前言撤回した方がいいかしら?』
『いや、感謝されるのは気分がいい』
C.C.はそう答えると僅かに口元を綻ばせた。
呆れたカレンが口を開こうとすると――。
「そろそろ良いか?」
考えが纏まったルルーシュが口を開いた。
ハッとなったカレンはモニターに向き直ると、ルルーシュの真剣な眼差しが彼女を出迎えた。
「ライに繋がる情報は、未だ見つかっていないのは事実だが………」
『言って、ルルーシュ。どんな些細な事でもいいの』
「ブリタニアに一人、妙な男が居る」
ルルーシュの発言を聞いたC.C.は気取られぬ程度に一人眉を顰める。
一方で、カレンは露骨に顔を顰めると問う。
『妙な男?』
「銀色の仮面を被った男だ」
『ゼロにそっくりだそうだ』
C.C.の補足にカレンは瞳を瞬かせた。
『名前は?』
『カリグラ……機密情報局長官、カリグラ。最も、名前かどうかは疑わしいがな……』
『カリグラ……』
視線を落とすと男の名前を呟くカレン。
ルルーシュはその姿に妙な胸騒ぎを覚えた。
「そいつが居るのはブリタニア本国だが。いいか、カレン。これだけは言っておくぞ?」
一旦会話を区切ると、ルルーシュは剣呑な表情を浮かべた。
『な、何よ?』
すると、困惑するカレンに向けてルルーシュは釘を刺す。
「絶対に独断専行するな」
しかし、カレンは一瞬呆気にとられた後、微苦笑を浮かべた。
『その男が居るのはブリタニア本国なんでしょ? 手が出せる訳――』
「カレン。約束してくれ」
言葉を遮ると何時に無く真剣な眼差しを向けるルルーシュ。
カレンは少々気圧されつつも、そんなルルーシュの態度が気になった。
『わ、分かったわよ。でも、どうして?』
カレンが問うと、彼女の疑問に答えたのはC.C.だった。
『こいつは心配しているのさ』
『心配?』
『何でも、相当に凶暴な奴らしい。こいつが密かにライでは無い事を祈る程だからな』
「C.C.!!」
『何だ? 事実だろう?』
「お前という奴は……」
ルルーシュは眉間に手を当て苦言を呈した。
その後、二人は普段と同じように犬も食わない口論を始めた。
そんな二人の言い争いを聞き流しながら、カレンはルルーシュより告げられた男の名を胸の内で反芻する。
――カリグラ……機密情報局の……。
ライとのファーストコンタクトまで……後3日。
343 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/24(土) 02:48:27 ID:hmzFveXi
支援
投下終了!
これにて〜 TURN04 太平洋奇襲作戦(前編)〜は本当に本当に終わりです。
なんか消化不足だと思ったら、大事な話が抜けてまして・・・。
トーマスさん、並びにwiki管理人さん。
お手数ですが、これも含めての前編保管をお願い出来ませんでしょうか?
申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
中編も、もう少ししたら投下出来ると思います。
それでは、失礼します。
失礼、あげてしまったorz
>>345 いえ、こんな夜中に支援して頂きありがとうございました。
GJGJ!
ライとカレンの初遭遇……どうなるのか本当に楽しみ。
では次の投下もwktkしてお待ちしております。
乙!
ごめん支援できなくて・・・
次回を楽しみにして待っています
>>344 ライカレ厨卿、GJでした!
ついに予想してしかるべき出来事が……
真実、ライ=カリグラなわけでその記憶を取り戻す鍵は……
というか圧倒的な性能の機体がブリタニア側に増えてるけどどうなることやら
貴方の次の投下を全力でお待ちしています!
00:05過ぎに投下します。2レス分なので支援はなくても大丈夫です。
こんばんは、では投下します。
作者:余暇
タイトル:幸せの使者と、心優しき少女
カップリング:ライ×ナナリー
『幸せの使者と、心優しき少女』
ある日曜日の午後のことだった。僕は学園の中庭を、ナナリーの車椅子を押しながらゆっくりと歩いていた。周りでは様々な花が綺麗に咲き誇り、僕の心を楽しませてくれている。
「風も気持ちいいし、暖かくて空もスッキリ晴れている。まさに散歩日和だな」
「ええ、本当にそうですね。お花のいい香りがして、鳥の鳴き声が聞こえて、すごく心がウキウキしてきます」
僕に車椅子を押されながら、ナナリーが微笑む。いい天気なので彼女を散歩に誘ってみたのだが、楽しんでくれているみたいで本当に良かった。
「おっ、風が…ん?」
そして僕たちのそばを風が通り抜けた時、花壇の隅で小さな何かが揺れるのが目に入ってきた。
「ライさん、どうかしましたか?」
「いや。今一瞬だが、花壇の隅に何かあるような気がしたんだ」
それは気づかぬまま素通りしてしまうような、本当に小さな存在に思えるものだったが、何故か気になった僕は視線を落とし、花壇の隅の方を見た。
そして視線の先に見える「何か」の正体が、ついに明らかとなる。
「あっ、これって四つ葉のクローバーじゃないか」
僕が見つけたのは、小さな四つ葉のクローバーだった。綺麗な花たちの影に隠れるように、決して自分の存在をアピールすることなく、クローバーは四枚の葉を空に向けて広げている。
「えっ、四つ葉のクローバーですか?確か滅多に見つからない珍しい物で、幸せを運ぶって言い伝えがあるんですよ」
「ああ、それは僕も知っている。実際に幸せが訪れるかどうかは別として、何だか得した気分だ」
「ふふっ、良かったですね。ライさんが嬉しそうだと、私も嬉しいです。これも四つ葉のクローバーが運んできてくれた、幸せなのかもしれませんね」
ナナリーが笑みを見せ、僕も楽しくて笑みを返した。彼女が言うように、四つ葉のクローバーは本当に幸せを運ぶのかもしれないな。
「でも四つ葉のクローバーって、何だか懐かしいです」
ふとナナリーが、昔を懐かしむような表情を見せた。
「小さい頃、庭園でお兄様と一緒に四つ葉のクローバーを探して、すごく楽しかったのを思い出します。もうあれから、何年過ぎたんでしょう」
「へえ、その頃からルルーシュと仲が良かったんだな。君たちは本当に理想的な、いい兄妹だな」
僕が声をかけると、ナナリーは恥ずかしそうに頬を染めた。
「あ、ありがとうございます。でもそんなに褒められたら、嬉しいですけど何だか恥ずかしいです」
「恥ずかしがることはない。そしてこれからも、二人で仲良くして欲しい」
「は…はい、そうします。あっ、でも私は二人だけじゃなくて、ライさんや他のみなさんとも、その…もっと仲良くなりたいです。どなたも、すごく大切な方ですから」
「ありがとう、ナナリー。僕も君と同じ気持ちだ。君や学園の人たちには感謝しているし、できるならこれからも仲良くしていきたい」
優しいナナリーらしい言葉に、僕も正直な気持ちを返した。僕はお世話になっている人たちが好きだし、恩返しがしたいから。
そして何より、彼女の優しい笑顔をいつまでも見ていたいから。
「ナナリー、この四つ葉のクローバーはどうしようか。もし良かったら、君が持っていてもいいんだぞ。僕は今ここにある幸せだけで、十分幸せだから」
ナナリーにとって、四つ葉のクローバーは昔を思い出させてくれる物らしいので、「彼女が持っていた方がいいのでは」と思った僕はそう提案した。
だが彼女は、静かに首を横に振る。
「いいえ、そのままにしてあげて下さい。その四つ葉のクローバーも、花壇で人知れず芽吹いて、この世界で懸命に生きているんです。
そんなクローバーを、私たちの都合で摘み取って持ち帰るなんて、何だかかわいそうじゃないですか」
「ふむ。確かに君の言う通り、無粋な真似はしない方がいいかもしれないな。それにこの場所で偶然見つけるからこそ、幸せが訪れるんだろうし。
すまない、ナナリー。君の思い出に関わる物だから、どうかなと思ったんだ」
謝る僕に対し、ナナリーは優しい笑みを向けながら言った。
「いいえ、気にしないで下さい。ライさんは私のためを思ってそう言って下さったんですし、その優しさは嬉しいです。
でも私にとって大切なのは、『過去』ではなく『今』であり、そして『未来』なんです。みなさんと一緒にいられるこの瞬間が大好きで、この平和で優しい世界が、いつまでも続いて欲しいんです。
もし私がこの四つ葉のクローバーにお願いするとすれば、『この世界がいつまでも優しい気持ちを忘れないように、これからも誰かに小さな幸せを届けて下さい』といった所でしょうか。
みなさんが笑顔と『幸せだな』って気持ちを持ち続けられることが、私にとって一番の幸せですから。ライさん、こんな私って変ですか?」
「ナナリー……」
ナナリーの言葉を聞いて、僕は胸の中が温かい気持ちになるのを感じていた。そして僕は彼女のそばにひざまずくと、彼女の手を優しく取った。
「全然変じゃない、むしろ君らしくて素敵な願いだと思う。ナナリーは本当に優しくて、人を温かい気持ちにさせてくれる素敵な女性だと僕は思う」
「そ、そんなことないです。ライさんは、その…私のことを褒め過ぎだと思います。あまり褒められてしまうと、何だか恥ずかしいです」
ナナリーが恥ずかしそうに頬を染め、モジモジする。そんな姿さえ、僕には愛らしく映った。
「それは悪かった。でも今のは僕の本心だから、撤回するつもりはない。それにナナリーにはいつまでも、今の優しい君のままでいて欲しいから」
「うぅ、ライさんって何だかずるいです。でも…ライさんが言うように、私も今の気持ちを忘れずにこれからも過ごしたいです。もちろん、みなさんやライさんと一緒に」
ナナリーが僕の手を握り、その想いを僕に伝えてくる。僕も彼女の手をそっと握り返すと、優しく声をかけた。
「ああ、僕も同じ気持ちだ。そしてナナリーの願いが四つ葉のクローバーに届いて、叶うといいな」
「はい、叶うといいですね」
僕とナナリーは手を握り合い、優しい日差しと風の中で笑い合った。どうか風に揺られている四つ葉のクローバーが、彼女の願いを聞き入れて世界中に幸せを届けてくれますように。
以上で終了です。誕生日ネタではありませんが、ナナリー誕生日記念ということで。
>>354 余暇卿、GJでした!
ほのぼのほっこりするいい雰囲気、思わず口の端がゆがみますね。
次の投下もお待ちしています
ということでSS書き上げた
今から投下するよ、いい?
答えは聞いてない
ナナリー誕生日おめでとう。
タイトルは「悩んだ先は」
注意点
・ナナリーがでてきません
2レスくらいですよ
「ミレイさん!」
机をはさんで二人の男女が向かい合っている。 銀と金、異なる二色の髪の色が互いの存在を知らせている。
そしてライは真剣な面持ちで言葉を発する。
「ナナリーの誕生日プレゼントって何がいいですか?」
ゆっくり、そして確実に放たれたその言葉に、ミレイ・アッシュフォードは腕を組みながら答える。
「自分で考えなさい」
言葉尻に音符を付けていそうな声色で言うミレイ、しかしその顔は少しこわばっていた。
「いえ、考えても思いつかなかったから……いっそナナリーに聞こうかなって……」
なおも言い募るライにミレイはビシっと風を切り指をライへと向けた。
「いい? プレゼントはね、人に聞くもんじゃないのよ! プレゼントは……心なの!」
彼女が胸を張って右手を左胸にあてて言ったその言葉にライは感銘を受けた。
「プレゼントは……心……」
「その通りよ! いくら高価なものであっても、心がなければそれはただの物体! 元素の塊よ! 心がこめられたものにかなうはずがない!
ライ、貴方が精一杯考えたプレゼントが、ナナちゃんのことを想って選んだプレゼントが! もっとも誕生日にふさわしいプレゼントなのよ!」
さらに続いたミレイの言葉を聞き終えると、ライは感動した様子で言う。
「ありがとうございました! 会長! それではプレゼント買いに行ってきます!」
そういって駆け出そうとするライの背中にミレイが声をかける。
「ちゃんとお財布は持った? ハンカチは? ティッシュは?」
「大丈夫ですよ、しっかりポケットに入れています!」
言いつつライは外へと駆けていく。
一人残されたミレイは呟く。
「まぁ、本人に聞くのは間違ってはいないけど、ルルーシュと被る可能性が高いと思うわよ、プレゼントがね」
多少ノリで喋っていたミレイであった。
「……で、だ」
並ぶ店々を見ながらライは思う。 結局何を買おう、と。 よくよく考えればある程度の指針が欲しかったからミレイに聞いたのだ。
別に何から何まで彼女に聞こう、と思っていたわけではない。
「どうするかなぁ……」
止まっていても仕方がない、とばかりにとりあえずライは歩き出す。 なにか歩いているうちに思いつくのではないか、と考えながら。
「へぇ、ここにこんな店があったんだな……」
初めて見る店に歩みを遅くしたりしながらそれでもプレゼントを探す、という目的は頭から外さない。 ナナリーに渡すプレゼント、ということで視覚的に楽しむものはほぼアウトである。
お菓子とかも味や香りのいいものじゃないとなぁ、と思いつつショーウィンドウに並べられた商品を眺める。
「難しいなぁ……」
そう呟きながらもライはどこか懐かしい気持ちに包まれる。 以前にも同じことをしたような、そんな気がした。
しかしながら抽象的なそのイメージは完全には形をなさず、ふとしたことで再び崩れる。
「あら、ライ様?」
そう後ろから声がかけられる。 彼を様付けする相手など彼の今持つ記憶のなかでは一人しかいない。
「咲世子さん? どうしてここに?」
「私は少し夕食につかう食材を買いにきたのです。 ライ様こそどうしてここに?」
ライは今現在ナナリーの近くにもしかしたらルルーシュよりも傍に居ることが多いかもしれない咲世子に言ってもいいものか悩んだ、が彼女が秘密を漏らすことはないであろう、という判断より打ち明けることに決めた。
「実は、ナナリーへのプレゼントを買いに着たんです」
その言葉に咲世子は少し目を見開く。 そして、彼女は確認するようにライに聞いた。
「……今からですか?」
「今からです」
「ナナリー様の誕生日は」
「明日ですね」
咲世子は絶句した。 せめて、せめてもう少し早めに買うべきではないか、と。 一日で考えたものをプレゼントにするつもりなのか、と。
しかし、続く言葉に咲世子のその気持ちは打ち消される。
「実は一週間くらい考えてたんですけどこれだ! ってものが思いつかなくて……
この前もシミュ……仕事中にぼんやりしちゃってロイドさん―――――あぁ、ロイドさんっていうのは僕とスザクの上司なんですけど、ロイドさんに『こんなんじゃいい結果が得られないよ』と嘆かれて……」
その言葉に咲世子は何を言うべきか考える。 一週間悩んで決まらないプレゼント。 自分が今、彼女が欲しがっていたものをほのめかせばおそらく彼はそれを買う。
それはそれでいい、だが、彼自身が彼女に何をあげるか、精一杯悩みぬいた上で選ぶものの方が良いことは分かりきっている。 だが、ここまで悩んでいるのだ、おそらく、何を買うか決めてもそこで再び何かに迷うかもしれない。
ゆえに、咲世子はライに小さな助け舟を出すことにした。
「これは私見ですが、おそらくライ様がそこまで考えて選んだものであれば、ナナリー様が喜ばないはずはないと思いますよ」
「そうでしょうか……?」
「そうです」
少し言い募るライに対して強く言う咲世子、実際、ライと二人で折り紙を折る彼女の様子を見るとそう思わないほうがおかしいだろう。
俯き何かを思案するライだったが、ふと何かを思いついたように顔を上げる。
「ありがとうございます、なんだか迷いが晴れた気がします。 最初に思いついたプレゼントを見て決めようと思います」
その笑みを見て、咲世子も笑顔で答える。
「お役に立てて光栄です」
どこかの店へと走ってゆくライを見送りながら咲世子は思う。 秋とはいえ早く冷蔵庫にタマゴを入れないと、と。
あとがき
あえて誕生日プレゼントは何か、とかもらったナナリーの反応はどうなのか、とか
他の人のプレゼントは何なのか、とか書かない。
各自でナナリーのありがとう、の笑みを思い浮かべてください
>>354 乙でした。
ルルーシュが邪魔しなくなるとはw
それとも、草木の影から後を付けてるのだろうか?w
>>360 サヨコさんGJと思ったら最後で吹いたw
乙でした
みんな、乙!
皆に乙!
書いたから投下しようとしたら規制だった
汚いな流石規制きたない
というわけで久々に携帯オンリーで投下しようと思いまする。
タイトルは「ハロウィン作戦」
・ギャグです。
・携帯からの投下が久しぶりすぎてレス数にあたりが付けられない。
・電池切れかけ、充電しなきゃ。
ではいきます
「よし、では次の作戦について説明しようか」
仮面を付けた人間がホワイトボードを指示棒で叩く。 そんな少々シュールなことが黒の騎士団のアジト内の会議室にて起こっていた。
しかしその場にいる面々は真剣な面持ちで仮面の人間の動作を追っている。
「君達はハロウィンという行事を知っているか?」
仮面の人間――ゼロはそう切り出す。 恐らくは答えを求めてはいないであろう問い、それに一人の男が元気よく答えた。
「おうよ! 酒が飲めるめでてえ日だろ、ゼロ!」
そんな玉城の言葉にしばし会議室は静寂に包まれた。
「そう、一般的には仮装して街を練り歩く。 宗教的観点等様々な視点から見ることも出来るが、私が今回の作戦に使うのは仮装して練り歩くというところだ」
ビシッっと指示棒でホワイトボードを叩くゼロ、その先には仮装と言う文字が赤い丸で囲まれていた。
ちなみに玉城は扇と井上に同意を求めたが、井上に頭をひっぱたかれていた。
「……なんで玉城はこの会議に出てるんだろう」
ボソリ、とライが呟く。
「なんだかんだ言ってもさ、あいつはムードメーカー的な所があるからな」
小声で呟き、当然答えなど期待していなかった疑問に返答があったことにライは
「ふむ……しかしな、ゼロ」
「なんだ、藤堂?」
ゼロが作戦内容を述べる前に藤堂が疑問を投げ掛けた。
「正直、仮装する意味が分からんのだが?」
「あぁ、そういうことか……ディートハルト」
「了解です、ゼロ」
その質問を予め想定していたかのようにゼロは落ち着いてディートハルトの名を呼んだ。 それに呼応してディートハルトは映写機のスイッチを入れる。
そしてホワイトボードにあるチラシが映し出された。
「『ハロウィン記念、皆にお菓子を配ります』、か……」
扇がそのチラシの見出しを読み上げる。 そのチラシには政庁の近くでハロウィンの催しをやる旨と大きなかぼちゃの後ろにいるユーフェミアの写真が載せられていた。
「それでは今回の作戦の概要を説明しようか。 なに、簡単なことだ。
仮装してお菓子を貰いにいく、それだけでいい」
「……それに何の意味があるのか僕にには分からないんだけど」
ライの言葉にその場にいるほぼ全員が頷く。
すると、ゼロはライの方に視線――と言っても仮面で何処を見ているか分からないが――を向けて、言う。
「そうだな……より分かりやすく言うならば―――合法的にブリタニアの物資を奪い、尚且つ日本の文化を広めることの
PCで確認したが、携帯からだと途切れるな……すまないが投下し直す
「よし、では次の作戦について説明しようか」
仮面を付けた人間がホワイトボードを指示棒で叩く。 そんな少々シュールなことが黒の騎士団のアジト内の会議室にて起こっていた。
しかしその場にいる面々は真剣な面持ちで仮面の人間の動作を追っている。
「君達はハロウィンという行事を知っているか?」
仮面の人間――ゼロはそう切り出す。 恐らくは答えを求めてはいないであろう問い、それに一人の男が元気よく答えた。
「おうよ! 酒が飲めるめでてえ日だろ、ゼロ!」
そんな玉城の言葉にしばし会議室は静寂に包まれた。
「そう、一般的には仮装して街を練り歩く。 宗教的観点等様々な視点から見ることも出来るが、私が今回の作戦に使うのは仮装して練り歩くというところだ」
ビシッっと指示棒でホワイトボードを叩くゼロ、その先には仮装と言う文字が赤い丸で囲まれていた。
ちなみに玉城は扇と井上に同意を求めたが、井上に頭をひっぱたかれていた。
「……なんで玉城はこの会議に出てるんだろう」
ボソリ、とライが呟く。
「なんだかんだ言ってもさ、あいつはムードメーカー的な所があるからな」
小声で呟き、当然答えなど期待していなかった疑問に返答があったことにライは肩をビクリとはねあげる。
ゆっくりと顔を向けると南が少し笑いながらライの方に顔を向けていた。
「アイツがいるとな、なんだかその場の空気が変わるんだ。 良くも悪くもな。
お調子者のアイツが感情をあらわにしてくれたおかげで俺達が冷静でいられたってのもあるしな。 ―――ただ……」
「ただ?」
少し考え込む素振りを見せる南にライは続きを促した。
「うん……まぁ、正直今回はアイツ別にいなくてよかったんじゃないかなぁ、と」
「……やっぱりそうですよね」
井上とカレンのツープラトン(クロス・ボンバー)をくらっている玉城を二人してため息をつきながら眺めた。
「ふむ……しかしな、ゼロ」
「なんだ、藤堂?」
ゼロが作戦内容を述べる前に藤堂が疑問を投げ掛けた。
「正直、仮装する意味が分からんのだが?」
「あぁ、そういうことか……ディートハルト」
「了解です、ゼロ」
その質問を予め想定していたかのようにゼロは落ち着いてディートハルトの名を呼んだ。 それに呼応してディートハルトは映写機のスイッチを入れる。
そしてホワイトボードにあるチラシが映し出された。
「『ハロウィン記念、皆にお菓子を配ります』、か……」
扇がそのチラシの見出しを読み上げる。 そのチラシには政庁の近くでハロウィンの催しをやる旨と大きなかぼちゃの後ろにいるユーフェミアの写真が載せられていた。
「それでは今回の作戦の概要を説明しようか。 なに、簡単なことだ。
仮装してお菓子を貰いにいく、それだけでいい」
「……それに何の意味があるのか僕にには分からないんだけど」
ライの言葉にその場にいるほぼ全員が頷く。
すると、ゼロはライの方に視線――と言っても仮面で何処を見ているか分からないが――を向けて、言う。
「そうだな……より分かりやすく言うならば―――合法的にブリタニアの物資を奪い、尚且つ日本の文化を広めることのできる作戦だ」
ライの方から皆の方に仮面を動かしながらゼロはそう言う。 一部(特に玉城)はそれで納得したが、それでも未だ大事な所が明らかにされてはいなかった。
「待ってくれ、ゼロ。 物資を奪うのは分かる……うん、まぁ、分かるが日本の文化を広めるというのは?」
扇の出したその疑問にも慌てることなくゼロは答えた。
「ハロウィンではお化けや怪物、魔女の恰好をして練り歩く。 ミイラ男やドラキュラ、狼男に悪魔、という風にな。
ならば、日本の伝統的なる怪物、鬼や妖怪を出しても良いだろう?」
最後に全員に問いかけるようにゼロは言う。
「つまりは俺達が奪われた『日本の文化』!」
「それを少しでも広め、取り戻すというわけか!」
「やっぱゼロはすげぇよ!」
口々に言う、黒の騎士団の幹部、特に旧扇グループ、にゼロは満足そうな雰囲気をかもしだす。
「決行は一週間後のブリタニアのハロウィンイベントだ! 他の皆にも伝えてくれ。 ……ラクシャータ」
「はいはーい、何か特殊メイクとかいる仮装なら私に言いなさい。 喜んでやってあげるわ」
ゼロの横に控えていたラクシャータの言葉でこの作戦会議は終わることになった。
そして会計監査等の事務的な会議を終え、各自解散の流れとなった。
「妖怪かぁ……どうするかなぁ……」
帰り道でライは呟く、何故か1000種類以上の妖怪が網羅されている自分の頭に戸惑いながら。 もしかして妖怪博士だったんだろうか、という訳の分からない考えも彼の脳内に浮かんだ。
「やっぱり猫またとかその辺が無難かなぁ……ライ、あなたはどう思う?」
横を歩くカレンの問い掛けにライは思考を自分の仮装からカレンの仮装へと切り替える。
猫耳を付けたカレン、似合う。 ミレイ会長の思い付きイベント、猫祭りの時に撮られた写真を見た記憶と照らし合わせるとそれは確定的に明らかだ。
しかし、それはつまり――そこまで思い、ライはつい考えを口に出した。
「……砂かけババアとかどうかな」
その言葉、特にババアの辺りでカレンの雰囲気が変わる。 先程までは少し思い悩んでいた表情だったが、今はとてもイイ笑顔だ。
「ふぅん、そう、砂かけ“ババア”ね。 そう、ライは私に砂かけ“ババア”が似合うって言うのね?」
イイ笑顔を浮かべながらカレンはライに聞く。 その笑顔に背骨に氷柱が突き刺さったような寒さを感じながら、ライは慎重に言葉を探す。
「いや……似合う、というより、ほら、やっぱりテレビとかに撮される可能性があるから。
ネコマタとかだと素顔がそのままだろ? だからラクシャータに頼んで特殊メイクってヤツをほどこして貰えば、ね?」
後半ライの口からスラスラと言葉が出てきた辺りからはカレンの笑顔にあった形容し難い雰囲気は消えていた。
なるほどね、と軽く言ったカレンは、なら、とライに対して言葉を発した。
「じゃあ、ライもそういう特殊メイクをしてもらう方がいいわ。
ライは私と違ってアッシュフォード学園に住んでるんだし、バレる可能性も、バレた後の危険性も私より高いんだから」
カレンの言葉に頷きつつ、ライは再び思考を巡らせた。
とりあえず人型の妖怪以外―――大入道やだいだらぼっち等大きさに無理のあるものも――を除外。
素顔のままでも出来そうなものや輪郭がそのまま残りそうな物――別に特殊メイクをしても出来そうではあるが――も除外。
少なくなる選択肢の中から、ライはピンッと来たものに決める。
「よし、じゃあ僕は―――」
ハロウィン当日、黒の騎士団のトレーラーには様々な妖怪が集っていた。
何やらフラフラしているぬりかべにやたらとゴツい子泣きじじい、そして多数のネコマタや一つ目小僧が多数。
他にも様々な種類の妖怪がそこにいた。
そして壇上にマントを付けた黒い、目玉の化け物のような人間が現れる。
「諸君、これより作戦を始める! 各自豆腐は持ったな?
いざ、トリックオアトリート!」
『トリックオアトリート!!!』
目玉の親父の号令――何気に変声機から出る声がいつもと違う――に呼応する妖怪たち。
ちなみに卵ではなく豆腐を投げ付けるのは仙波のアイデアで、曰く「〜前略〜卵より豆腐の方が日本らしい、豆腐小僧という妖怪が〜後略〜」ということだ。
「悪い子はいねぇかぁ!」
「藤ど……酒呑童子、それはなまはげです」
「フハハハハハ! トリックオアトリート!」
「うら……馬頭、イナゴの唐揚げをまくな!」
「牛頭、お前も醤油さし片手に何をやっておるか」
藤堂率いる四聖剣は全員が鬼の恰好をして先頭を駆けていた。 特に藤堂はどこから持ってきたのか、金棒を振り回してノリノリである。
ちなみに千葉、仙波はそれぞれ茨城童子、牛鬼の恰好をしており、仙波の蜘蛛の脚はヤケにリアルである。
造形は卜部が担当したという。
「しっかしアンタは無駄に似合ってるわね……ここまでくると才能よ」
「しっしっし、そんなに褒めるなって照れるじゃねぇか」
「ねずみ男が似合うってどう考えても誉め言葉じゃないと思うんだが?」
旧扇グループの面々は各自、いわゆる○太郎の仲間の妖怪(だが、鬼太○はいない)に扮していた。
そして、大きな車輪つきの茶碗に入ったゼ――目玉の親父を、巨大な鬼○郎が後ろから押していた。
「ゼ――父さん」
「なんだ、鬼太○」
お約束と言えるやり取りをしつつ一人と一機は進む。 その大きな鬼太○の中で一人の青年がため息を吐いていた。
「仮装したかったなぁ……」
大きな鬼○郎の正体、それはハリボテを被せた先行試作型月下である。
ただのハリボテとあなどることなかれ、頭にはラクシャータ謹製の毛針を模したペイントガンが装備されている。
更に下駄はスラッシュハーケンの様に飛ばすことの出来る有線式リモコン下駄。
なお、この装備は今回の作戦のためだけに開発されたもので、量産計画など一切立てられていない。
「おい、鬼○郎! もうすぐブリタニア政庁だぞ!」
「分かってますよ、父さん」
ブリタニア政庁の前、そこにはドラキュラに狼男、魔女やジャックオランタン等、有名な西洋の怪物が勢ぞろいしていた。
そして一際高い場所にはカボチャを模したバッグを持ってたたずむ黒い翼と尻尾、そして何故かトラの耳を付けたユーフェミアがいた。
そして、その隣には自らの首を右手に抱えた騎士――デュラハンの仮装をしたスザクがいた。
「あら、あれは確か……日本の妖怪さん達、ですね!」
異彩を放つ集団を目にしたユーフェミアはパンと手を叩き、隣にいるスザクの方を少し向いて確認をとると、花が咲いたような笑顔を浮かべる。
「ハロウィンパーティーにようこそ、皆さんどうか楽しんでいって下さいね」
そう言って彼女はカボチャのバッグから飴玉を取り出し投げ始めた。
するとそれに呼応して周りに控えていたブリタニア兵達もお菓子を投げ始める。
「父さ―――ゼロ」
「なんだ、鬼―――ライ?」
外部スピーカーを切って話しかけるライにゼロもまた元のボイスチェンジャーに戻して応える。
「……作戦云々言ってた僕達が恥ずかしくなってきたよ」
「奇遇だな、私もだ」
日本の妖怪の面々は沢山のお菓子を持ち帰ることに成功した。 そして、ブリタニア――ユーフェミアの企画したハロウィンイベントは彼女の姉が驚くほどの大成功を収めた。
おまけ
「そういえばC.C.は?」
騎士団のアジトに直帰する訳には行かないので各自現地解散となったあと、KMF移送用のトレーラーに乗ったライはゼロに聞く。
「あぁ、C.C.がいると余計な騒動が起きる可能性が有るからな、別の場所でカボチャピザを50枚ほど用意したから大丈夫だろう」
そんな会話をしつつ、アジトへの帰路を走っていた。
「おかえり、遅かったな」
「何故ここにいる!? ピザはどうした!?」
ゼロの部屋にてオーソドックスなピザを食べているC.C.を見てゼロは思わず叫んだ。
焦っているためか目玉の親父ボイスへの変声機がオンになっている。
「たったあれだけのピザで私を足止めしようという浅はかさはアワレだな。
私を足止めしたくばあの三倍は持ってくるがいい!」
百五十枚もピザ置いてたらチーズの匂いがものすごいことになるだろう。
そんなツッコミ心で入れ、C.C.と激しい口論をするゼロを後目にライはユーフェミアキャンディ(包み紙にデフォルメされたユーフェミアが描かれている)を舐めた。
「ん、ピーチ味か」
ハリボテを剥がすのは手間がかかるだろうなぁ、と近い未来のことについて思いを巡らせるライだった。
あとがき
ハロウィンは既に終わっている?
……我のログには何もないな。
久しぶりに携帯からやると大変さを改めて知った。
規制解除きてー;はやくきてー;
しかしあとがきのときに猿とか卑怯すぐる
>>379 ハロウィーンイベント万歳\〈○〉/
そして乙!
〉クロスボンバー!
このネタはまさに完璧!バンダナがコレクションに追加されるのかww
>>379 乙です。
ハロウィン何てすっかり忘れてたw
目玉の親父になるゼロ、想像すると笑えました
えーと、規制解除になっているか確認の為、投下します。
短編です。
次から始めます。
支援は要りません
撃墜マーク
「しかしすごいよなぁ……」
整備をしていた一人の団員が何気なく呟く。
「本当だぜ……」
同じようにナイトメアを整備していた他の団員も答える。
そして、それはその場にいた団員にあっという間に広がっていき、全員が2機のナイトメアの肩に描かれたものに注目していた。
撃墜マーク、或いは撃破マークといった方がいいのかもしれない。
2機のナイトメア、紅蓮弐式と試作先行量産型月下。
黒の騎士団の双璧といわれるエースの機体。
数多くの激戦を生き抜き、戦い抜いた歴戦の勇士、その肩に書かれた撃墜数は、22と16。
そして、そういう話題になると、持ち上がるのはどちらが強いかという原始的な、それでいて本能的な興味。
「やっぱ、紅蓮の方が撃破数多いし、紅月隊長の方が強いんじゃないか」
「いやいや、ライ戦闘隊長は、最近参戦して16機だ。こっちの方がすごいぜ」
「確かに……。戦闘参加の時期を考えれば……」
「違うって。あの白兜がいなけりゃ、倍は撃破出来ていると思うぜ、紅月隊長は……」
こうなってしまうとただの水かけ論でしかない。
で、行き着く先は……
「僕とカレンのどちらかが強いかだって?」
「へぇ……。そんな事が話題になっているんだぁ……」
そう、結局は二人に話して、決着をつけてもらうことになるのである。
「うーん、どうなんだろう……。カレンは、どうする?」
困ったような反応を示すライに対して、カレンは面白いおもちゃを見つけた子供のように目をきらきらさせていた。
「いいじゃないのっ。面白そうだし……」
その様子を、ライは苦笑して見ている。
「まぁ、カレンがいいなら……」
「じゃあ、やってみましょうよ、ライ」
そう言って二人はその場を立ち去ったのだった。
――2時間後
結果を聞きに言った団員は、聞かなくても結果を知る事となる。
別にうわさを聞いたとか、戦っている様子を見たわけではない。
いや、そんな事をしなくても、二人の姿を見ただけで結果がはっきりとわかってしまった。
ライ戦闘隊長の勝利。
それは間違いないらしい。
なぜなら、ライの頬にカレンのものと思われる紅いキスマークと言う名の撃墜マークが新しく書き込まれていたから……。
だけど……、やはり、この場合は、紅月隊長の勝利なんではないだろうか……。
いろんな意味で……。
その団員は、そう思ったのだった。
<おわり>
以上です。
よっしゃー……。
規制おわったーっ。
では、失礼します。
乙!
いいですねー頬に紅いキスマーク・・・
次の作品を待っています
乙です
キスマークたまらない
キスという撃墜マーク、その発想はなかった
乙です!
……今日は書き込めるといいな
388 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/12(木) 22:30:29 ID:OVHXzPgE
マイナーなギャルゲーSS祭りを開催したいです。
マイナーなギャルゲーSS祭り!
1. SS祭り規定
自分の個人サイトに未発表の初恋ばれんたいん スペシャル、エーベルージュ、センチメンタルグラフティ2、canvas 百合奈・瑠璃子のSSを掲載して下さい。(それぞれの作品 一話完結型の短編 20本)
EX)
初恋ばれんたいん スペシャル 一話完結型の短編 20本
エーベルージュ 一話完結型の短編 20本
センチメンタルグラフティ2 一話完結型の短編 20本
canvas 百合奈・瑠璃子 一話完結型の短編 20本
ダーク、18禁、クロスオーバー、オリキャラ禁止
一話完結型の短編 1本 プレーンテキストで20KB以下禁止、20KB〜45KB以内
2. 日程
SS祭り期間 2009/11/07〜2011/11/07
SS祭り結果・賞金発表 2011/11/08
3. 賞金
私が個人的に最高と思う最優秀SSサイト管理人に賞金10万円を授与します。
389 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/12(木) 22:32:09 ID:OVHXzPgE
(1) 初恋ばれんたいん スペシャル
初恋ばれんたいん スペシャル PS版は あまりのテンポの悪さ,ロードは遅い(パラメーターが上がる度に、
いちいち読み込みに行くらしい・・・)のせいで、悪評が集中しました。ですが 初恋ばれんたいん スペシャル PC版は
テンポ,ロード問題が改善して 快適です。(初恋ばれんたいん スペシャル PC版 プレイをお勧めします!)
初恋ばれんたいん スペシャルは ゲームシステム的にはどうしようもない欠陥品だけど。
初恋ばれんたいん スペシャル のキャラ設定とか、イベント、ストーリーに素晴らしいだけにとても惜しいと思います。
(2) エーベルージュ
科学と魔法が共存する異世界を舞台にしたトリフェルズ魔法学園の初等部に入学するところからスタートする。
前半は初等部で2年間、後半は高等部で3年間の学園生活を送り卒業するまでとなる。
(音声、イベントが追加された PS,SS版 プレイをおすすめします。)
(3) センチメンタルグラフティ2
前作『センチメンタルグラフティ1』の主人公が交通事故で死亡したという設定で
センチメンタルグラフティ2の主人公と前作 センチメンタルグラフティ1の12人のヒロインたちとの感動的な話です
前作(センチメンタルグラフティ1)がなければ センチメンタルグラフティ2は『ONE〜輝く季節へ〜』の茜シナリオを
を軽くしのぐ名作なのではないかと思っております。 (システムはクソ、シナリオ回想モードプレイをおすすめします。)
(4) canvas 百合奈・瑠璃子シナリオ
個人的には 「呪い」 と「花言葉」 を組み合わせた百合奈 シナリオは canvas 最高と思います。
規制が解除された・・・ならば、やることは一つしかないでしょう。
22:30に投下致します。10KBですが、念の為、支援願います
任務…了解!
時間となりましたので投下致します。
【タイトル】The rain
【カップリング】ライ×カレン
その日は雨が降っていた。
雨から逃れようと人々が走り抜け、反射した光は宝石の如く輝きを放つ。
気がつかない内に雨が降っていた
空を覆う雨雲は一筋の光も通さない闇のようで、全ての色が灰色に支配されてしまっている。
今、雨が降っている。
水分を含んだ服は重さを増してじっとりと絡み付き、肌に侵入してくる。
雨が降る。
目に見えるもの、見えないものが潤されていく。
だけど喉が渇く。躰はこんなにも濡れているのに潤いを欲する。
雨が降る。
――全て洗い流してれ、そして、この渇きを潤してくれ
「聞いているの?」
「――へ?」
「もう・・・・・・」
「いでででっ」
この部屋の主であるカレンは容赦無く手にしたタオルで乱暴に銀髪の少年の濡れた頭を拭く。
その手を押さえるとペシっと叩かれ、タオルだけを残して手が離れた。
「カレン、もう少し優しさを込めて拭いてくれると有り難いのだが・・・」
「その分の優しさが勿体無いから駄目よ」
冗談とも本気とも付かない返事をカレンは返してくる。
「・・・それ酷くないか?」
不満そうに言うとジト目で睨まれた。
「豪雨の予報があったのに、傘も何も差さず、約束の集合時間三十分以上遅刻した人に、愛想を振りまいても仕方ないでしょう」
カレンは言葉を区切りながらクローゼットから引っ張り出したバスローブを手渡すと足元にタオルを敷いた。
「ここで着替えてからシャワールームに行ってね。その姿じゃ床が濡れちゃうわ」
途中で雨に降られ全速力で黒の騎士団アジトに逃げ込んだはいいものの、髪の毛からはポタポタと水滴が垂れ、服なんて絞れそうな勢いである。
入り口でバッタリと鉢合わせしたカレンは二、三秒固まっていたが、動かないでと言い入口に立たせタオルを持ってきてくれた。そして今に至る。
「濡れた服はそこへ置いておいて、乾かしておくから。お風呂から出たら部屋に戻ってきてね?」
「あぁ、すまない」
たっぷりと水を含んだ服はかなり脱ぎにくく、やっと脱いで着替えた時には体が寒さで痺れてきていた。
彼女に声を掛けて風呂場へと直行し、温めのシャワーを浴びた。
体の痺れも解け、温まった体で言われた通りに部屋に戻るとテーブルにティーカップが置いてある。
手にとって口に運ぶと嗅ぎ慣れた香りと味。紅茶の中には少量のブランデーが混ざっているようだ。
「これは・・・」
ドアを開けて入ってきたカレンに声を掛ける。
「アルコールは血流を良くするのよ。体を温めるのには丁度いいしね」
カレンはそう言うとソファーに座り何事も無かった様に雑誌に目を移す。
「おかわりは?ちなみにブランデーは無いけど、紅茶はたっぷりあるわ」
それに苦笑いをすると残っていた紅茶を飲み干し、ソファに座っている彼女の膝を枕にして体を横にする。
一瞬だけ驚かれたがその後は何事も無かったように雑誌のページをペラペラと捲っている。
窓から外を見ると雨はまだ降り続いていた。それを見ている内にトロンとしたまどろみが両目の瞼に重く乗ってきた。徐々に上瞼が下瞼に向かって降りている。
睡魔に体を委ねて両目の瞼が降りた時に意識は夢の中へ誘われていた。
気が付くとライは街の中に居て辺りを見回していた。
自分よりも目線の高い人々が傘を差し足早に通り過ぎていく。
自分の事など気づきもしない風に。
その手は紅く染まっていた。
それをライは滴り落ちるその紅い液体を舐めていた。
喉の渇きを癒す様に。
だけど、その行為を中断させるようにその左手を掴む女がいた。ライはその手を振り払おうとしたが女は決して離すことはなかった。
その人物の表情は伺えないが何か力強い迫力がライを捉えて離してくれなかった。
だが、判った。見えないその眼はとても悲しい感情を宿して彼を見ていた・・・そしてその女はライの手を引いて彼の体を抱きしめた。
「!!」
飛び起きて周りを見る。そこは街中ではなくカレンの部屋だった。
握り締めた手を開くと何も付着していない。
溜息と共に額の汗を拭う。心臓は早鳴りのまま納まらない。
「大丈夫?」
カレンはベッドに座るとライの顔を覗き込んだ。
「嫌な夢でも見たの?」
不安気味な顔をする彼女に大丈夫だと言うと不意に喉が乾き、ベッドから起き上がってテーブルの上にあった水差しから直接水を飲んだ。
「?」
水を飲んだのに渇きが満たされない。
試しにもう一口飲んでみる・・・駄目だ、喉は渇いたままだ。
「どうしたの?・・・」
テーブルの前から動かない事を心配してかカレンが隣に来た。渇きが増して胸が苦しくなり、その場にしゃがみ込んだ。
「ちょっと!?」
カレンが肩に触れたその瞬間胸の痛みと渇きが消えた。
「?」
しかしすぐに渇きがやってくる。それに耐える様に彼女の腕に手を添えると苦しさが消えた。
「!?」
どういう事だろう。何故、カレンに触れると渇きが癒されるのか。試しに腕を放してみると渇きが急激に襲って来た。
「うっ」
もう一度触れると渇きが治まる。どうやらカレンに触れていないと駄目なようだ。
ならば触れていれば何ら問題は無い筈だったのだが、時間が経つにつれて渇いてくる。片手で触れていたのを両手にするが効果は無い。
このままではまた胸が苦しくなってしまう。焦りの中、ある考えが浮かんだ。
「ごめん、カレン」
「え?」
不安そうに様子を伺っていたカレンを抱きしめた。途端に渇きが潤される。
支援
さて、どうしたものか。
カレンを抱きしめている事も忘れ、一人眉間に皺を寄せた。
「・・・こら、いつまで抱きしめているつもり?」
段々と恥ずかしさがこみ上げてきたのか離れようとカレンが手に力を込めようとする。
普通なら放すかもしれないが今は事情が事情なだけに放す事は出来ない。
「駄目か?」
「う゛・・・」
上目遣いで言うとカレンの手の力が緩み、悪いと思いつつもその隙をついて抱しめなおす。
「カレン・・・結構、柔らかいんだな」
「!・・・な、何を言ってるのよ!」
素直な感想を述べると彼女の顔は見る見るうちに赤くなるそれと同時に緩んでいた腕の力も強くなる。
しかしこっちも引き下がれないのだ、何とかこっちのペースに持っていくしかない。
どうしようか様々な思考を巡らせているライ。そこでライが何か思い付いた時にカレンの体は突然無重力の感覚に襲われた。
「ひあっ!?」
奇妙な悲鳴を上げて、カレンはライに持ち上げられていると気づくには数秒ほどの間隔が必要だった。
カレンを抱き上げたライはベッドに向かって歩き出す。
「ちょちょっっと!」
何かを察知したのかカレンの抵抗が激しくなる。それを何とか無視してベッドに降ろした。
「ここなら抱きしめられてもカレンは文句が言えないだろ?」
片膝をベッドに乗せて彼女の背中を押すとベッドの軋む音がした。
上半身を離している為、息が少しずつ苦しくなってくるが物事には順序というものがある。
きちんと順番通りにしなければどんな事も成功しない。
「駄目か?」
頭を撫でていた手を下にずらす。頬に触れてから唇にも触れ、そのまま首筋まで降ろしていく。
「・・・・・・」
「カレン?」
カレンとの距離を縮めると夏彦の頬に手が添えられた。
「・・・何かあったの?」
その一言にライの体が硬直したように一瞬動きが止まる。真っ直ぐに見据えられた瞳と目が合った時、何故だか悲しい気持ちになった。
「何も・・・無い」
ライはカレンの額にキスをした。するといつもの甘い香りが鼻孔に入りライの脳を刺激した。
だが、妙な気分が神経を逆撫でた。
息苦しさは消えたが胸の苦しみは取れないままである。
「・・・さっきからの行動が私には理解できなかった。突然苦しみだしたかと思うと今度は私を抱きしめたまま放そうとしない・・・・・・何かを焦っているの?何があなたをそうさせるの?」
彼女に余計な心配を掛けさせるわけにはいかない。
だからこの事は黙っているほうがいいのだ。胸の苦しみは彼女を騙している罪悪感だろう。
「何でもないよ」
「・・・そう」
腕をベッドから離すとカレンは降りた。
「今日は、もう帰るわ」
「な!ちょっと・・・」
腕を掴んで自分の方へと向かせると、振り向いたカレンの表情は冷静だった。
「あなたは私に隠し事をしている、どうしても言えない事なら仕方ない。だけど私はそれで納得できるほど人間できてないの・・・」
「カレン・・・」
「明日にはいつもの様に笑顔でライと話せるようにするわ・・・だから、その手を放し
て」
無理に微笑む顔が見たくなくて無意識に手を放すと、ごめんねと一言残してカレンは部屋を出て行った。
呼吸が苦しくなる。だが彼女の元へは行けない。手を放してしまったのは自分だ。
心配を掛けさせたくないからと黙った事実は結果的に彼女を傷つけた。
カレンは嘘を付かれたり、隠し事をされるのが嫌いだから。
今なら未だ間に合うと言う自分とこのまま楽になってしまいたいという自分が存在している。
次の日に冷たくなってる自分を見たらカレンはどうなるのだろう。泣き崩れるだろうか、それとも一人で涙を堪えるのだろうか。
「うっ・・・」
目の前の物が全て二つに見える。息を荒く吐きながらなんとか立ち上がり壁に手を着きながらベッドから降りる。ちょうど部屋のドアの前に居るカレンの姿が見えた。
「カレ・・・ンッ・・・!」
大声で叫んだつもりだったが口から出るのは空気だけで、音として出されたのかもわからない。耳から聞こえるのは自分の呼吸だけだ。
その声が聞こえたのか、振り向いた様に見えた。視界が大分悪くなってきている。
脂汗が額を伝うのが分かりながら一歩ずつカレンの元へと足を前に出す。よく訪れているはずなのにこの部屋がこんなにも広く感じたのは初めてだった。
少しずつ目の前に霞が掛かってくる、完全に落ちる前にたどり着かねば。不意に足の力が抜けて片膝が床に着いた。立ち上がろうと体に力を込めた時、何かが体に触れた。すると呼吸が楽になり、それが彼女だと気づいた時は意識が落ちる直前の事だった。
+++++++++++++++++++++
「――う・・・」
「気がついた?」
凛とした声が心地よく耳に入ってくる。
うっすらと目を開けると自分を覗き込むカレンの顔が見えた。目元が少し赤くなっている――泣いていたのだろうか。
腕を伸ばして頬に手を当てると溜息をつかれた。
「きちんと説明してくれるわよね?」
「――うん」
病気の症状を掻い摘んで話した。心因性のものだろうと言うとやっぱりかという風に目を細められた。
「ごめん・・・余計な心配をかけさせたくなかったんだ」
申し訳なく小さく言うと頭をペシっと叩かれた。
「そんなこと言うなら、最初から素直に言いなさい」
「――ごめん」
そう言うとまた叩かれた。顔を上げるとカレンの顔が急にニコリとした。
「そういえばあなたが気絶する前に言った言葉覚えてる?」
「・・・何か言った?」
「うん」
その言葉を思い出したのかクスクスと笑い出した。
「何て言ってた?」
どうも嫌な予感がする。
「覚えていないなら別に良いわ。気にしないで」
「え、ちょっとカレン!」
焦ったように言うとカレンは頑として話さなかった。多分よっぽど恥ずかしい事を言ったのだろう。まるで子供のように拗ねて横を向いていると顔を上に向かされた。
「ラクシャータさん、キョウトからの呼び出しで今日は居ないんだって」
「そうか・・・・・・」
ぷいっとまたもや、ライは顔を横に向ける。すると、またもや顔を上に向かされた。
「拗ねないの、アレぐらいで・・・だから」
カレンの顔が綻んだ。その刹那、カレンは仰向けたとなったライの体に覆いかぶさる形で乗っかる。そして
「今夜はずっといてあげる」
少々の恥ずかしさを身に染みるのを覚悟でカレンは最高級の笑顔を向けた。そして、ライも愛しい彼女に対して抱きしめるという形で応えた。
以上で投下終了です。支援してくださった方ありがとうございます。
久し振りに投下できましたんで、これから柿の種を肴に牛乳のオンザロック(子ども)へとしゃれ込みます(何
乙彼さまでした。
カレン可愛いよカレン
弱っているライ良かったです
やっぱりライカレは王道でいいですね。
乙
夏彦×カレン萌え
誤字を発見しました。
>>395 「・・・・・・」
「カレン?」
カレンとの距離を縮めると夏彦の頬に手が添えられた。
「・・・何かあったの?」
夏彦は完全に誤字です。ライに修正お願いします。
>>400 誤字報告ありがとうございました
夏彦ワロタ
誤字ってレベルじゃねーぞ
まあ夏彦×○○のSS書いてたのを、ライとカレンに修正して投下って感じかね
>>397 乙でした
心因性……過去のことでも思い出して暗い気分になったんだろうか
悪いが普通に引いたわ
さすがに名前すげ替えて通用するような話が王道とは思えんw結局は誰でもいい話なんだよな
多少修正した所で筋は同じだろうし
まあ盗作とかじゃなかっただけよかった
厳しいかもしれんが、正直な一感想として書いとく
いつもの正義厨に突っ掛かられそうだが、多分荒れるだけだから一個人の感想としてスルーしてくれ
まあ、とりあえず乙でした
蒼い烏最低じゃん。いらなくね
>>405 もう止めとけ
これ以上責めてどうすんだよ
>>397 手違いがあったみたいだけど
台詞等には違和感もなく、ニヤニヤとライカレを堪能させていただきました。
ひとつ気になったのは最初アジトのカレンの部屋にいたはずだから
カレンが「帰る」と言った先の場所は租界の家のことかな?
所詮別カプSSを改変したものなんだからそこまで突っ込むのも哀れというか、野暮なんじゃね
まあもうあまりつつくのは止めておこうぜ、こんなことで無意味に荒れるのもなんだし
すげ替えSSも立派な創作のうちだし、そんなんで成り立つような関係なのも事実なんだしさ
>そんなんで成り立つような関係なのも事実なんだしさ
一言多いよ
無意味に荒らす気が無いなら、もう少し発言は考えてくれ
はい、じゃあこの話はおしまい
まあ残念な部分もあるけど
いままでの蒼イ鴉さんの投稿で特別こういうわかりやすい違和感がある作品もなかったし
懲りずに投稿して欲しいな。リアルロスカラ好きは飢えてますからw
ロスカラNLSS扱ってた個人サイトも随分消えたもんね。BLはむしろ増えたけど。
荒らしがくいついてるだけだけだしな
何でもかんでも荒らし扱いは良くないな、便乗した荒らしもいるのは確かだが
荒らしを呼び込むような作品だと貶したい荒らしか?と思われても仕方ないぞ
まあ俺も萎えたクチだけど、鴉さんがまさかアドバイスや感想を気にせず無視するというか
スルーする人だとは思わないし(これまでにはそういう困った人もいたがw)
読者のコメントを参考にしてこれから汚名や悪評価を返上することだって出来ると思う
職人も少ない今の状況じゃとにかく多くの作品を読みたい人ばかりだろうし、
めげずにまた投下して欲しいな。個人的には、夏彦主人公の話にも興味ありますよw
>>411 男向けはサイクル早いからなあ、まあNLが特に男向けって訳でも無いんだが
女の方はハマれば長いらしいが、詳しくないからわからんな、増えてんのか…
本編のイベントだか何だかで何かしら展開があるようならまたちょっとは増えるかもしれないな
外部サイトにしてもここにしても
414 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/16(月) 15:15:23 ID:EbTlnJjP
アドバイスや感想を気にせず無視やスルーする困った職人と言えば青い腐れだが、いい機会だから鴉さんはコテハン変えたらどうか?
青いと頭についていてはあの腐れと同類ではないかと誤解されないか心配している
>>415 別に荒らしでもないと思うが、過敏すぎ。
言い方は悪いが内容には同意だし
>>414みたいなのが荒らしだろ
気に入らない意見は何でもかんでも荒らしってのはどうかと思う。
横レスすまないが気になったもので。
もうその話題は終わってんだよ
空気読め
雰囲気を変えるために……
気軽に楽しんでいただければ幸いです。
これからも……
どろどろとした血が手にまとわりつく。
床に広がる紅い染み。
ハアハアとまるで獣のような荒い息。
鼻を突く血のニオイが鼻の奥をくすぐる。
そして、足元に横たわるのは、かって友人だったはずの肉の塊。
「くふっ……」
漏れるように口から息が漏れ、そして、それは狂気じみた高笑いへと変わっていく。
「ひゃはははははははははは……」
だが、その高笑いは後ろから聞こえた音で止められる。
それは、人の声。
いや、声とはいえないだろう。
それは声になっていなかったのだから……。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃっ………」
ゆっくりと振り向く。
そこには、ガタガタと振るえ、座り込む女性がいた。
ああ、知っている。
僕は知っているぞ、この人を……。
自然と口元が釣り上がっていく。
ああ、また楽しめる……。
また、この悦楽を楽しめる。
僕はゆっくりと身体の向きを変えた。
ガタガタと振るえながらも、まるでその場に縫い付けられたかのように動けない女性――シャーリーに近づいていく。
ゆっくりと手に持っている紅く染められたナイフを振り上げた。
「はいっ、OK−−−−っ」
その一言で、場面の雰囲気が変わる。
殺気だった雰囲気が一気に緩和され、日常の空気へと変わっていく。
そして、メガホンをもったミレイがニコニコしながらその場に出てきた。
「いいわっ、いいわよぉぉぉっ、ライっ、あなたさいこーよっ。もうすごいとしか言えないわっ。まるで本物の殺人鬼みたいよっ」
よほどの事がない限り見れないほどの実に満足げな笑顔。
どうやら、ミレイとしては、文句ない出来栄えって事らしい。
「ああ、確かに……。さっきのは鬼気迫る演技だったな」
横でカメラを回していたルルーシュが驚いた表情で相槌を打つ。
「うんうん。私、本当に怖かったから……」
複雑な表情で笑いながらシャーリーも頷いている。
「あははは……。なんか複雑だなぁ……」
僕は苦笑して頭をかいた。
ただ夢中でやっただけなのだ。
褒められる事に慣れていないせいか、少し恥ずかしい気がするものの悪い気はしない。
「何言ってるのよっ。褒めてるんだからっ……。この後も頼むわよぉ」
バンバンとミレイさんに背中を叩かれる。
少し痛いけど、なんかとても嬉しかった。
こうして、ミレイの一言から始まった生徒会製作の自主作製映画の撮影は順調に進んでいく。
始めは乗り気ではなかったみんなも、いつの間にかいろいろがんばってしまっていた。
本当に会長のガッツの魔法の効果はすごいとつくづく思い知らされる。
まぁ、そう思っている僕もかなり楽しんでいるし、みんなもかなり楽しんでいる。
ドタバタと過ごしていく時間。
淡々とした日常とは違うお祭り的な時間。
だが、それもまたいいものだ。
そんな事を思いつつ、続きのシーンの撮影準備をしているみんなを見回しているとミレイさんに声を掛けられた。
「ふふっ、いつの間にか自然に笑えるようになったみたいね、ライ」
その言葉に、僕は初めて自分が微笑んでいる事に気が付いた。
ああ、そうか……。
これが自然な微笑みなんだ……。
「でも、まだまだだからねっ。これからもバンバン楽しんでいくんだから……」
ミレイが楽しそうにそう宣言する。
「はいっ、がんばりましょう、ミレイさんっ」
ぼくも精一杯の笑顔で頷く。
そう、まだまだなのだ。
これからももっともっと楽しまなくては……。
僕の大切な友人達と一緒に……。
そして、それは、僕の大切な思い出になっていくだろう。
決して忘れる事のない、大切な大切なものに……。
<おわり>
以上です。
では、また会いましょう〜♪
乙
>>421 乙です。
ミレイさんは一体何を思ってこんな演劇をやろうと思ったんだw
死体役はもちろん…リヴァルだろうなww
≫421 乙でした! 殺人鬼ライ、考えただけでも怖そう...
>>421 おつ
本物の殺人鬼みたいは褒め言葉なのだろうか……
全体にいい話のはずなのに
一レス目が鬼気迫りすぎて二レス目が嘘っぽい添え物にしか
428 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/22(日) 12:37:42 ID:41EOqGUA
マイナーなギャルゲーSS祭り!変更事項!
1. SS祭り規定
自分の個人サイトに未発表の初恋ばれんたいん スペシャル、エーベルージュ、センチメンタルグラフティ2、canvas 百合奈・瑠璃子シナリオ
のSSを掲載して下さい。(それぞれの作品 一話完結型の短編 10本)
EX)
初恋ばれんたいん スペシャル 一話完結型の短編 10本
エーベルージュ 一話完結型の短編 10本
センチメンタルグラフティ2 一話完結型の短編 10本
canvas 百合奈・瑠璃子 一話完結型の短編 10本
BL、GL、ダーク、18禁、バトル、クロスオーバー、オリキャラ禁止
一話完結型の短編 1本 プレーンテキストで15KB以下禁止
大文字、太字、台本形式禁止
2. 日程
SS祭り期間 2009/11/07〜2011/11/07
SS祭り結果・賞金発表 2011/12/07
3. 賞金
私が個人的に最高と思う最優秀TOP3SSサイト管理人に賞金を授与します。
1位 10万円
2位 5万円
3位 3万円
やっと規制解除。
ここ一月分ほどまとめて皆さん乙でした。
どうもこんばんは、一つ短編を書いたので投下します。
「蒼き悪夢」
カップ無し
親衛隊からラウンズルートでR2最終話でのパラレル物
ライがかなり狂気じみた設定で、誰も救われません
またしてもとある一場面を元にしました、嫌いな方全力スルーをお願いします
「蒼き悪夢」
新皇帝、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアにたてつく反乱分子として処刑されることとなったナナリー達を護送するパレード。
扇をはじめ、カレンや玉城、あまつさえナナリーまでもが見せしめとなっているこの状況下、静かに計画は進んでいた。
ルルーシュの、最後の計画が・・・・・・。
「・・・・な、なんだ?」
列の先頭を行っていたサザーランドが停止する、その視線の先に居たのは奇跡を起こす者。
「ゼ、ゼロ!?」
「ゼロが!?」
「ゼロだと!?」
そのパレードを見物していた人々誰もが驚愕する、まさかゼロがここに来るとは、と。
「まさか、ルルーシュ達がやろうとしてる事って!?」
計画の全てを悟ったカレン、その間にゼロ、スザクはマントを翻し駆け出す。
サザーランドが応戦するも、彼にかかっているギアス、元々の身体能力、それらすべての条件が弾丸をことごとくかわさせる。
「撃つな!!私がやる!!」
ジェレミアが打って出る、しかし彼もこの計画を知り賛同する1人、すんなりとスザクを通してしまう。
(行け、仮面の騎士)
かわしたスザクは、その勢いのままルルーシュの目の前に降り立ち剣の切っ先を突き付ける。
「・・・・・」
ニヤッと笑うルルーシュ、こうなる事も全て計画の内。
あとはこのまま、世界の全ての憎しみを背負い、命尽きるだけ・・・・そのはずだった。
「ふざけた茶番はもうたくさんだ!!いい加減にしろ!!」
「「っ!!」」
その場に声が響いたわけではない、だが、ルルーシュやスザクにナナリーまでその場にいた全ての人の脳裏にその声が響いた。
憎しみに満ちた、怒りの声が。
(今の声・・・・ま、まさか!?)
スザクは聞き覚えのある声を聞き剣を下す、自分が聞いたその声はもう聞けないと思っていた、その事に目を見開き絶句する。
(そんな・・・・だって、あの時確かに)
(戦死・・・・なされたのでは)
カレンも、ナナリーも同じだった。
かつて、いや、今でも想うその人の声だったから、しかし最も絶句しているのは、その声を必死に否定しようとしているのは、他でもないこの計画を打ち出した張本人だった。
「陛下!!南東より高速で接近する機体が。こ、この機体は!!」
「ば、馬鹿な・・・・そんな事が・・・・」
空を爆走するKMFが1機、それはかつてスザクが乗っていたランスロットに似ていた。
「ランスロット・クラブ・サイサリス!!」
そう、先の大戦でナイトオブゼロによって撃墜されたはずの機体、そのパイロット諸共撃ち落とされたはずの“蒼き死神”として恐れられた存在――――。
「「「ラ、ライ(さん)!!」」」
そこからは尋常ではない怒りのオーラが発せられている、その場に居る者すべてが動けない程の。
コックピットのライの額は血で黒く汚れ、スーツはボロボロで本来の役割を果たせない。
クラブすらもその怒りを醸し出しているかの様だった。
塗装は剥がれ落ち、黒く汚れ、左腕はサザーランドの物を代用している。
いかに傷つこうと、立ち上がる復讐人の様ないでたちだった。
「ライ、まだ生きていたのか!?」
「当たり前だルルーシュ!!あの時僕は言ったはずだ、必ずこの日本に帰ってくると、そしてユフィとダールトン将軍、散って逝った仲間の無念を晴らすと!!」
あの時の、守れなかった悔しさを胸に今までラウンズとして闘ってきた日々、多くの死にふれ、いくら心が擦り切れようとも、張り裂けようとも戦い続けた。
日本に帰る事を夢見て。
「貴様を信じてきた仲間を裏切り、数多くの人の命を無理やり奪った!!下劣な事しかしない貴様によって作られた平和なぞ、偽りの物でしかない!!」
「ライ!!ルルーシュは―――」
「貴様もだスザク!!」
ライの怒りの矛先は、反論しようとしたスザクにも及んでいた。
「貴様もまた仲間を裏切った!!親友を最悪な形で裏切り、僕をも裏切った!!あろうことか今、英雄として祭り上げようとされるだと?そんな事が許されるものか!!」
僕の言動は自分でも何を言っているのか、何をやっているのか判らなかった。
ただただ許せない、その想いが僕を突き動かしていた。
戦いの中で見つけた僕の大切な人も、居場所も、何もかも奪われた。
そう、僕は今復讐人なのだ!!そして、自らの復讐を果たす為に戻ってきた!!
(ライ、なぜ生きている・・・・なぜ!?)
皇帝側の中で最も厄介なライを俺は真っ先に倒したはずだ、始めはおされていたものの、スザクにかけたギアスで完璧に落としたはず!!何故!?
そこで俺は、フルスピードで迫って来るライの駆るクラブ、その右腕には巨大なバズーカを装備されていたのに気付く、今までの物とは比べ物にならない程巨大なもが。
「ライ、貴様・・・・一体・・・・何を」
「なにルルーシュ、Mk-82型の弾を叩きこむだけさ、ただ―――――」
次の言葉に誰もが凍りつく事になる、その地獄から聞こえてくる様な重い声から発せられるその言葉に。
核弾頭だけどね
「「「なっ!?」」」
「ら、ライさん!!待ってください、そんな事をしては―――」
ナナリーの必死の言葉、親衛隊に所属していた当初なら、この言葉も耳に入っていただろう。
「君も一緒のほうがいいかなナナリー、大好きなお兄様と共に行く事が出来るんだ。その方が幸せだろ?」
「ラ、ライさん・・・・」
しかし復讐人となっている今のライには届かない、さらに気が狂っているかのように自分の思考がめちゃくちゃで、ライは狂気に走っている。
そんな人間には言葉を聞く術など有りはしない。
ナナリーは絶句する、あまりのライの変貌に。
「ライやめて!!あなたは、罪も無い人まで巻き込む気なの!?」
「黙れカレン!!支配され、ただ惰眠をむさぼっていただけの輩に、生きている資格など有ってたまるものか!!」
毎日戦い続け、常に気を張り巡らし、いつ死ぬとも判らない日々を送ってきたライにはここに居る人間など“ただ生きている”としか最早思えなくなってしまった。
(そうだ、全てはこの日本が元凶、ここにいる意思が、ここのすべてが元凶なんだ!!こんなくだらない国の為に、皆は!!)
聞いたカレンも言葉が出なくなってしまった、ライのあまりの変わりように。
僕は奥歯を強くかみしめ、拳を爪痕が残る位強く握り、おもいっきり右のガラスに守られている赤いボタンを叩いた。
ガシャン!!とした音と共に手からは血が流れる、けど痛みはまったく感じなかった。
こんな痛み、今まで散って逝った英兵達の悔しさ、苦しみから比べればどうという事は無かったからだ。
数秒後、目の前のディスプレイにはオールグリーンを示す表示が点灯していた。
その合図は、核の安全装置が外され、射撃準備が出来た知らせだった。
ルルーシュのいる所まであとわずか、僕は力一杯踏んでいたペダルに更に力を込め、操縦かんを握りしめる。
その時の僕の心は高ぶっていた。
(長かった、今まで見ていた悪夢も、全ての呪縛からも解き放たれる、やっと仲間の無念を晴らす事が出来る!!)
護衛のサザーランドは一斉にアサルトライフルをクラブに撃つ、しかしことごとく弾丸はクラブに当たらない。
「この様な弾幕など!!」
ルルーシュ達の一団の真上に着くと、ライはクラブを天へと向けクラブを上昇させる、
ディスプレイに映るルルーシュ達は必死に僕に何かを言っている、でも聞こえないし聞く気も無い。
「ライ、頼む!!殺すなら俺だけでいい、だから、だからナナリーだけは!!」
(いい気味だなルルーシュ、良かったじゃないか?最愛の者といっしょに逝けて)
「お、俺は・・・・俺は、生きなきゃいけないんだ・・・・でも」
(苦しいだろうなスザク、ギアスに翻弄されている愚かな騎士、だが安心しろ、ギアスの力でも生きられはしないから)
「ライ、お願い、やめて!!」
「ダメですライさん!!こんな事はいけません!!」
(カレン、ナナリー、君達がもっとしっかり支えていればこんな事にはならなかっただろうに。でも大丈夫、大好きな人達も置いては逝かせないから)
心の中で冷たく笑い、其々の人へ最後の言葉をかける。
そしてターゲットスコープを作動させ、皆を代表してルルーシュにターゲットを絞らせる。
その時、僕の口は勝手に開いた。
「待ちに待った時が来たのだ、多くの英霊が無駄死にでなかった事の証の為に―――」
バズーカの銃口をルルーシュに向け、僕は発射のボタンに掛かっている指にゆっくりと力を込めていく。
「再び我らの栄光を取り戻す為に、己が信念の成就の為に―――」
そしてこの瞬間、僕は一気に指に力をかけ、最後の審判を下した。
「日本よ、私は帰って来たーーーーー!!!」
その瞬間、銃口からは強烈な光と轟音が鳴り響き、辺りを包みこみ焼き尽くしていく。
ルルーシュとスザク、カレンやナナリー、ここに居た人は全てが無に還ってしまった瞬間だった。
その後には
「ふふふふ、ひぃはははははは、ふははははははははは!!」
ライの狂気に満ちた高笑いしか残らなかった、と云う。
以上です。
狂気に走っている人物を書くのは、かつておられましたアシッド氏のを参考にしたんですけど、まだまだ遠く及びませんね。
同じシュツエーションでまったく違った物も書こうと予定しています。
では、この辺で失礼します。
「○トーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」じゃなかった
「ライーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!」
このライの元恋人はニナ……じゃなかった、ニーナかも知れんね
ライがガ〇ーに・・・
あの〜元親衛隊らしいですが、ネリ様(ご主人様)も一緒にふっとばしたのでは(汗
何気に言ってることがめちゃくちゃw
だがそれがいい!
乙ー。
ライ CV:大塚明夫
ですねw
乙です。
それにしても過疎ってきたな
来年の発表がロスカラR2であることにちょい期待してる
毎日チェックしには来てるけどまともにパソコンから書き込めないしな。
大手プロバイダーの一斉大規模規制が解けないからこの板自体が大打撃喰らってるはず
自分もチラシ裏にSS書いたりはするけど、
こんなとこで発表する度胸ないしなあ
職人さんたち帰ってきてほしいぜ
来年ギアスの新シリーズ始まるらしいじゃない。
また戻ってくるさ。俺も数年ぶりだけど投下しようと思って書いてるところ。
その節はよろしく。
449 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/08(火) 12:08:37 ID:exkFiWsK
トーマスさんが個人的にホームページを運営してるようですが誰か知りませんか
知ってたらおしえてくださいm(__)m
何かもう、半永久的に規制されそうなんだ、うちは……。代理で動ける人も今は少なそうだしなあ。
>>450 避難所の規制スレか代行スレでモリタポねだってP2通すのが吉
>>449 こいつ前に雑談の方に出た粘着じゃねえのか?
かもしれないね。
そうじゃないにしても、本人があえて告知してないのを勝手に晒すものじゃないな。
規制マジでうざいな・・・
避難所……ちょっと話し合わないか?
職人さんの為にも
言いだしっぺの法則って会長が言ってた
変に他力本願な話の振り方なんだよな。
とりあえず避難所の議論スレにでもネタ振りして上げておけば
「話し合い」も始まるかもしれないのに
代理投下依頼スレは健在だし、それなりには覗いてるから
規制されてなければ投下はするつもりでいるよ。
時間がかかるのが嫌とか、そこまでしなくてもと思うならそれはしょうがないでしょ
修正依頼のメール認証のときなんかも思ったけど
本当にどうこうしたい「書き手」不在でご立派なお膳立てばかり整うのは
このスレの悪い(?)パターンだな
まあ続編もなく発売からずいぶん長く過ぎてるしな
寂しいことだけど、いつまでも燃料なしでは燃えられない
こうやって少しずつ消えていくんだろう
哀愁が感じられてそれもいいさ
穿ちすぎ
本当に終わってたらカキコ自体なくなってるよ
何気にまだ結構いるよな
ギアスの新作の効果は知らないけど
えーと、久々に投下します。
規制から開放された記念www
かなり前に書いた「ささやかな願い」シリーズの完結編です。
黒いナナリーがダメな人はスルーよろしく。
ささやかな願い その6(完結編)
カップリング ライ×ナナリー
ささやかな願い その6(完結編)
最近、僕は考えるようになった。
言い様にこき使われているのではないのだろうかと……。
今日もその1日のほとんどをナナリーと咲世子さんの用事で使いきり、ぐったりと疲れた身体をベッドの上に投げ出した。
そうだよな……。
何か間違っている気がする。
僕はもっと別の一日のすごし方があるはずなんだ。
よしっ。
明日、きちんと言おう。
そうだ。そうしょう……。
ライはそう決心し、眠りの中へ沈み込んでいった。
そして、翌日の朝。
「あ、あのさ、ナナリー……」
そう言いかけたものの言葉が続かない。
そうなのだ。
すっかりナナリーの魔性の可愛さの虜になってしまったライは、あの日以来、彼女に本能的に逆らえなくなっていた。
そんなライの心の迷いに関係なく、ナナリーが微笑む。
「どうかなさったのですか?ライさんっ」
その心まで蕩かせる様な可愛い声と魔的な可愛さ倍増の微笑みの前に、ライの昨日の決心はあっという間に吹き飛んでいた。
「い、いや、なんでもないよ、ナナリー。今日は、用事はないのかなって……」
そんな事を言ってしまう。
その言葉にくすりと笑い、ナナリーが囁く。
「今日は、ずっと私と一緒にいてくださいね、ライさん」
その甘い誘いの言葉に、僕は即答する。
「ああ、今日はずっと一緒だよ、ナナリー」
すーっと跪くと、ナナリーの右手を持って、手の甲にキスをする。
今に思えば、なせそんな事をしたのか、ライ自身もわからない。
ただ、その雰囲気に飲まれてしまったというべきなのかもしれない。
「きゃっ」
その突然のライの行為に、顔を真っ赤にして可愛い悲鳴を上げるナナリー。
「君のためなら、何でもするよ……。君は僕のお姫様だ」
自己陶酔してしまったかのような台詞。
まるで自分じゃないじゃない感覚。
そう。プログラムされていることを実行している感じさえしてしまう。
でも、悪い気はしない。
「うれしいですわ。ライさんっ。じゃあ、ライさんは、私の騎士さまですね」
その言葉に、ナナリーは頬を朱に染めて宣言する。
「ありがたき幸せ。僕は、ナナリー姫のため、身も心も捧げます」
その宣言に、ライも答える。
その時だ。
ナナリーの口がほんの一瞬だがくすりと微笑を浮かべた。
だが、ライは気が付かない。
それほど微妙で、ほんの一瞬だったのだ。
だが、ライにとって気が付かなかった方がいいのかもしれない。
それは悪魔の微笑でもあったのだから……。
こうしてライは、自ら墓穴を掘ってしまった。
二度と這い上がれないほどの穴を……。
その頃の咲世子さん。
場所は、ライの自室。
彼女は、ベッドに隠し付けられていた機械を回収していた。
その機械には、大きな文字で「睡眠学習装置」と書かれており、それにセットされたカセットテープには「好き好きナナリー、咲世子特別編集版」とラベルが書き込まれていた。
こうして、まず1つ、ナナリーのささやかな、本当にささやかな願いが叶えられた。
だが、ナナリーのささやかな願いが、コレだけで終わるはずもなく、その願いの波はより巨大な波を引き起こし、周りの人間を巻き込んでいく。
それは……、ナナリーだから。
そう。
かわいい美少女の願いは、何事においても強力なのだ。
ちゃんちゃん〜♪
以上でおわりです。
まぁ、笑って許してくださいませ。
黒くてもナナリーはかわいいです。
ええ、可愛いですとも……。
天使のようで、小悪魔的なんて最高じゃないですか。
では、また別のSSでお会いしましょう。
遂に終わってしまいましたか
黒いナナリー面白かったです。
ものすごく久しぶりな感じがw
規制解除おめ&完結乙です!
本当に「小」悪魔なんだろうか(((;゚Д゚)))
ともあれ、乙でした
GJ!
黒ナナリーかわいいw
470 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/12(土) 13:03:46 ID:Js9c6F76
ナナリーーーー
まさか睡眠学習・・・いやこれは洗脳に近いな
睡眠学習wその発想はなかったw
もうこのナナリーはギアス貰って、コード奪って魔女になればいいんじゃないかな
472 :
名無し:2009/12/13(日) 13:36:57 ID:VXDJ799o
ギアス新シリーズはじまるらしいです
漫画だけど
473 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/14(月) 00:34:46 ID:Ya1B6GwY
漫画なのか…残念ですね。
私はてっきりロスカラ2のさきがけでライがアニメに登場するんだとばかり思ってました
ロスカラ好きな私としては新シリーズはライを主人公にした内容の漫画にして欲しいです。
いや、新プロジェクトで複数の作品展開がある中のひとつ、という話みたいだよ。
ロスカラ2とまでいかなくても、絡めて創作のネタにできるような展開があるといいねえ。
475 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/14(月) 15:08:05 ID:Hv0tlGC7
トーマスさんがホームページ開いてるのはどうやら確定のようですが
まったく検索にかかりません
職人は知ってるんですよね
教えてください
>>475 こいつはいつもの粘着荒らしの可能性がある
詳しくは雑談前スレ参照
477 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/14(月) 16:26:53 ID:Hv0tlGC7
何の証拠があって人を荒らしと決め付けるのか?
トーマスさんのホームページ教えてってだけでふざけんな
知らないんだろ?黙ってろ
別にいつもの荒らしだろうが荒らしじゃなかろうがどうでもいいが、
今の状況だと確実にお前は荒らしだぞ
知りたいなら本人に直接きけばいい、いつもの荒らしじゃないなら教えてくれるだろ
大体ここには知ってる奴いないと思うぞ、職人以外は
ホモ絵に興味ないから少なくとも俺は知らん、ここを荒らすのは止めて他をあたれ
479 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/14(月) 17:17:18 ID:Hv0tlGC7
俺は荒らしじゃないしトーマスさんのサイトを知りたいだけ
メール送ってもなんかメール認証がどうとか言ってシカトするんだよ
だからここで利いてるだけ
例の本音語るスレにもいたキチか あの時と全く同じ流れだな…
なんでそこまでして一個人に執着するんだろね。
トーマス氏はこのスレの公式な何かでも何でもないのに
捕まって楽になりたいんだろ。
どうでもいいからやるなら勝手に一対一でやっててもらいたいんだがな
無関係のスレ巻き込むなよと
>>479 指摘された呼び捨て以外は何も変わって無いのに違うと申すか
あのスレの最後を見た人間が何人いると思ってんだ
スレが伸びてるのでウキウキして見たら、
SSはどこにもなかったでござる
自分で探すが基本。
ましてや職人さんのところならいざ知らず、管理人さんのHPを知りたがるとは・・・
誰も教えてくれないと思うから、がんばって自分で探してね。
だよね。だいたいsage進行が基本的なルールなのにそれも守れないどころか、聞こうと
してる人を呼び捨てじゃねえ。
メールが出来ないのも明らかに悪行三昧で着信拒否されてるからだし。
人に物を尋ねる時には礼儀が必要ですよ。
はあ・・・、ロスから2出ないかなあ。
488 :
gf ◆mFOLOrz6/zNu :2009/12/15(火) 12:33:49 ID:trSzfA63
pu^
489 :
名無し:2009/12/15(火) 19:57:48 ID:i+eeigI5
なんでも新シリーズはC.C.以外は名前が変わるらしい
スザクもどきが主役でルル−シュが謎の男って設定らしいぞ
漆黒の連夜とかって名前だったかな
ちなみにソースはニュータイプ
名前が変わるもなにも、あれは別人だろ。
ご先祖かもしれんけど。
結構前のことだから思い出せないんだが…
ライも歳とらない系なんだっけ? 記憶違い?
ライはどっかの遺跡で休眠していただけで、コード持ちじゃないし不老だったりもしないはずだね。
サンクス、やっぱアヤフヤになってるなぁ
久しぶりにやり直してくる
494 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/16(水) 00:28:41 ID:dxeq/nT7
そんなことよりトーマスさんのホームページ教えてください
ネタ漁りのためにDS版を初めてやってみたが、ネタ漁る前に投げ出してしまった。
ロスカラに慣れきった身体では、あれは拒否反応が起こって・・・
仕方ない。
ロスカラやり直してこよう
あーDS版のオリキャラには拒否反応俺にも出たな
一応2,3周したがどうもあの水色頭の皇族はキツい。
ライしか受け付けんかったわ
他キャラ叩きしながらライageか
頼むから他所ではやらないでくれよ、ただでさえ煙たがられてるんだから
500 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/17(木) 09:27:05 ID:hLjLaynp
水色頭の皇族っていうとロスカラ本編中でちらっと出てきた資料画面の
CGに載ってた人ですよね?確かギアス編でエリア11に視察に来たって設定
だったような…間違ってたらごめんなさい。
501 :
名無し:2009/12/17(木) 10:16:18 ID:mxG9f0mh
一応水色君はロスカラに出ていますよ
そろそろクリスマスだな…そういえばギアスにクリスマスあったっけ?
あるとしてもライは昔の人だから行事自体知らなかったりしてな
ブリタニアなりその前身なりが存在する時代に生まれたなら、知ってることは知ってるかな。
まあブリタニア以前もどこまで史実通りなのか分からないけどw
ギアス世界の偉人って、ちょくちょくギアスユーザーが混じってそうだし。
磔にされたあの方とかは途中でコード持ちになったんじゃないかとか色々思うw
でもそっか、もうクリスマスか……SS的にも定番のネタだけど、どうなるかね。楽しみ。
>>502 そう言えばライが生まれたのって約百年前って本当?
Wikipediaだとそうなってたんだけどさ
>>504 作中ではそんな文章があったな
でも、剣とか槍で戦争する時代だからもっと昔っぽいけどね
ん?
作中には具体的な年代の言及なかったと思うんだけど、どの辺りにあった?
ぼかされたままだったような記憶があるんだけど、勘違いかな。
百年以上前って作中であったような…スマン、もう一回ロスカラやってから言うべきだったな
今からカレンエンド見てくるよ
>>505 ギアスの世界観は技術発展が現代と違うから、百年前が剣と槍でもおかしくないのかも。
>>508 そういや銃も火薬じゃなくてコイルの銃だったな。
銃が出来たのも最近なら納得いくね
最近というかギアス世界に火薬は存在しない
いや存在はしていたかもしれないが、とにかく火薬技術が発展しなかった世界だよ
そういや、C.C.は現役時代(?)のライのことは知らなかったんだよな。
V.V.コード側から貰ったギアスだから、C.C.が知っているとは限らないんだけど、
100年程度前のことならC.C.は把握してそうな気がするんだよな。
時代的にも、基本的に史実通りなら日本も明治を迎えてる頃だし、
皇族がブリタニアに嫁いでるなら記録に残ってる気がする。
この「ライが100年前の人間」って、解放戦線編だかでの
「ライの血筋(母親の)は100年前に途絶えている」的な
台詞を勘違いしてるんじゃないかと思う。
「少なくとも100年以上前」ということなら正しいのだろうけど。
花火はあるし、火薬技術が発展しなかったというより
電気系統の技術がより効率的に発展したという見方のほうがしっくり来るかな。
サクラダイトが超伝導技術を飛躍発展させたと考えれば
このレアメタルの発見応用以前まではこっち同様に火薬技術が発展しててもいい気はする。
名前からして日本発祥のつもりだろうし、
「サクラ」を選ぶあたり少なくとも近世以降、近代より下った時代に名づけられてるぽい
考察乙だが火薬技術が発展しなかった云々は公式設定じゃないか
まあ原作設定ってことにしておいてもいいだろうけど
火薬がないってことはないわな。花火あるし。
発展レベルの問題じゃね
ノネットさんの銃なんかフリントロックだしなw
存在はしたけど用法は花火レベルで、軍事方面での発展はしなかったって感じだな
火薬よりも効率のいい軍事転用できる技術があるしなぁ
>>511 V.V.側ってのも確定じゃないでしょ
シスターの前の契約者って考える事も出来るし
それならC.C.が知らないって理由も一応は通る
ただ、そうなると相当古い時代…年号三桁以下になっちまうがw
どっちにしても100年程度の昔と考えるのはちと無理がある感じだな。
具体的にいつ頃なのか特定するのは不可能だけど。
というか、あえてぼかしてる感じもするw
>>517 ライの契約者が死んでいるとも限らないよ。
ギアスENDの時になんか遠くから「おやすみ」と聴こえたっていう描写があったから生きているかもしれん。
>>519 あれってムービーで口パクしてるC.C.だと思うんだが
いや、ちゃんと声が付いていたぞ。
V.V.と同じ人だが。
さて、投下するけどいいよね? 答えは聞いてない
タイトルは「全力で働け!」
ジャンルはギャグっぽいもの
ライヴィレ要素もあることはある。
じゃあいくよ、いい?
カリカリカリ……とボールペンが走る音が机の上で鳴る。 時折隣から書類を補充しつつ、書き上げた書類を隣の机のほうへと置く。
隣の机から聞こえるカタカタとヴィレッタさんがキーボードを打つ音がどこか心地よく感じられてきた。
僕達が大部分を完成させた書類、あとは責任者がサインをすればできあがるその書類たちは主なき机の上でひたすらにその存在を主張しているように見える。
そうして僕が次の書類へと取り掛かろうとすると、隣の机からため息が聞こえた。
「また仕事を投げ出して……どこをほっつき歩いているんだ、ジェレミア卿は」
キーボードを叩くヴィレッタさんがため息混じりに呟く。 それを横目で眺めつつ、そういえば……と僕はジェレミア卿に頼まれていた伝言を彼女に伝える。
「ジェレミア卿なら貴女がくる前に『特派のトレーラーで訓練をしてくる。 今度こそゼロを倒して見せるぞぉぉぉ!』 と叫んで部屋から出て行きました」
僕がありのまま起こったことを伝えるとヴィレッタさんは眉間にしわを寄せて深いため息をついた。
「まったく……盛り返したとはいえいまだ純血派の地位は低いというのに……あの人は……」
「シミュレータで2,3回模擬戦をしたら疲れて帰ってきますよ、それまでの間はこの仕事を片付けましょう」
必要箇所に書き込みを入れながら、今までのジェレミア卿の行動から十分予測できる当たり障りのないことを言う。 そこで会話を打ち切り、僕は仕事に戻る。
何故か盛り返してきたはずの今でも最大三人しかいない政務室にはやたらと仕事が舞い込んでいる。 僕達は、今現在二人でその仕事をこなしているところだった。
あとは純血派の責任者"ジェレミア・ゴットバルト"のサインを入れるだけというところまで完成させる、という仕事を。
ペンの走る音とキーボードを叩く音だけが僕の耳に入るおおまかな音となってしばらく経った。 書類も残り少なくなり、後はジェレミア卿が帰ってくるのを待つだけだ、と僕は考えていた。
隣の机に書類を持った手を伸ばしたとき、何か暖かいものが手に当たる。 反射的にそちらのほうを向くとヴィレッタさんと目が合う。 そこで少し視線を下に向けると、僕の手と彼女の手が触れ合っていた。
「あっ……」
僕か、彼女か、あるいはその両方か、思わず声を上げてしまう。 なんとなく気恥ずかしい雰囲気が満ちる。
互いに見つめあい、刹那が永劫と感じられるようなその一瞬。 僕とヴィレッタさんの距離が近づいていくような、そんな錯覚が起きる。
「くそっ! あと一歩で作戦が成功していたものを……! 聞いてくれ、同志ライ、ヴィレッタよ!」
微妙な空気を完全にぶち壊して僕らの上司が帰ってきた。
「ジェ、ジェレミア卿、お早いお帰りで」
「ま、またダメだったんですか、シミュレータ」
とっさに僕達は距離をとる。 そしてごまかす様に僕はジェレミア卿に詳しい結果を聞くことにした。
「そうなのだ、同志ライよ! もう少しでシミュレータの作戦が終了したというのにゼロが現れたのだ!
おのれぇ! ゼロ! シミュレータという仮想世界でもこの私の邪魔をするとは!
しかしシミュレータは所詮シミュレータ、このジェレミア・ゴットバルトがリアルで貴様を倒してみせる!」
とりあえずごまかすために話題を振ってみたが、ジェレミア卿は一人でヒートアップしていく。
そのジェレミア卿にヴィレッタさんが声をかける。
「あー、その、ジェレミア卿?」
「む、ヴィレッタ。 そうだ、次は君も来たまえ、ロイド伯爵が言うには二人から四人まで同時に作戦を実行できるらしい。 我ら三人揃えばゼロなど恐れるに足らず!」
熱く語り始めるジェレミア卿と、何かを言いたそうなヴィレッタさんを見比べつつ、僕は彼女の手助けをすることにする。
「ジェレミア卿、ヴィレッタ卿が何か言いたいことがあるようですが?」
「ん? そうなのか? ヴィレッタ?」
ジェレミア卿がそういうとヴィレッタさんは首を縦に振り、彼に向かって口を開く。
「シミュレータで戦闘訓練を積むのはかまいません。 ですが、政務をおろそかにしないでいただきたい」
ヴィレッタさんはキッパリとジェレミア卿に言った。 仕事をしろ、と。 その言葉に対してジェレミア卿は何故かニヤリと笑いながら答えた。
「仕事をするのはかまわんが、別にサボってしまっても構わんのだろう?」
「サボらないでください!」
即座にヴィレッタさんのツッコミが入る。
「だがな、この前みたテレビ番組に言っていたのだ。 仕事をするとストレスが溜まる。 ストレスが溜まった人間はR18指定のゲームをやる。
そしてストレスを発散するために性犯罪に手を染める、と。 私は性犯罪の予防のために仕事をサボっているのだ!」
言い切った。 堂々と。 清々しくなるほどきっぱりと。
「あのー、ジェレミア卿?」
「なんだ、同志ライ?」
とりあえず僕は根本的な疑問を口にする。
「貴方は性犯罪をする、と?」
「するわけがなかろう! このジェレミア・ゴットバルトがそのようなことをする人間だと思うのか!?」
その言葉を聞き、僕は安心して次の言葉を口にする。
「じゃあ働け、全力で!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!! 次の書類を持ってくるのだ! この、ジェレミア・ゴットバルトが貴様らに全力でサインを入れてやる!」
やはり仕事が進むと気持ちがいいな。 そんなことを思いながら僕は新たな書類の束をジェレミア卿に渡す。
「……まぁ、仕事をしてくれるなら害はないか……」
隣の机のヴィレッタさんがつぶやくけど気にしない。 うっかりギアスを使ってしまったけど僕は気にしない。
ガリガリと減っていく未完成書類の山が見える、今はそれだけで十分だ。
投下終了。
クリスマスSS、頑張ってみようと思う。
そう、全力で!
全力で投下乙!
オレンジワロタw
扱いが酷すぎるwww
乙でした!
流石ジェレミア!書類仕事も全力だぜ
SSを初投稿したいのですが、普段使い慣れていないので、何か注意点等があれば教えていただきたいのですが…
全力で投下すること
10レス以上なら支援要請しておくと困らないかも
投下終了後それとわかるようにレス
こんなものかな
533 :
如月:2009/12/23(水) 22:02:56 ID:aJ66Vbbx
>>532 ありがとうございます。それではものは試しでやってみます。
支援は必要ないと思います。
【メインタイトル】守るべきもの
【ジャンル】過去篇
534 :
如月:2009/12/23(水) 22:04:46 ID:aJ66Vbbx
頬を撫でる風の感触が気持ちいい。背中に広がる草花の柔らかさは体を包むようで、先ほどまで見ていた青空の景色は見ている者に安らぎを与えてくれる。
城にある施設などで特に気に入っているものなどはあまりないが、この庭園は好きだ。
最近は国王としての公務を立て続けにこなさなければいけなくて、休みどころかろくに睡眠をとることすら出来ていなかった。
けれど、自分はこの国の王であり、民を束ねる立場にある人間だ。だから、いかに疲れていてもそれを周囲にさらすわけにはいかない。
民には権力者としての威厳を示すため。周りの者には弱みを見せないために。
もともと第三王子であり、さらには異国の人間である母上との間に生まれた自分には敵が多く、周囲に信頼できる者の数は限られている。
今は王である僕の言葉に従っているが、油断したらいつそこにつけこまれるかわからない。特に、先代の父上の腹心だった者達は機会さえあれば国家の転覆を謀ろうとするような輩だ。
だから、気が置けない。頼れる者がいないために自らの仕事の数が増える。そんな状況で常に気を張っているから体力的なこともそうだが精神的にもとても疲れる。
だから、今日は久しぶりの休みだったから気が緩んでしまったんだ。
この穏やかな時間と光景につい、うとうとしてしまった。
「――ま。――さま」
声が聞こえる。自分を呼ぶ声が聞こえる。けれど、起きなければいけないとわかっていながらも体はまだ眠りに身を任せようとする。
「お兄さま!お兄さま!」
そんな反応に痺れを切らしたのか名前を呼ぶ相手は先ほどよりも大きく声を発して、僕の体を何度も揺すった。
さすがにそんなことをされればどんなに眠たくても目は覚める。だから、僕は無理矢理起こされたことに不満を覚えながらも相手に従うことにした。
「…エリス?」
僕を呼んでいたのは愛しい妹だった。寝転んでいる僕を上から見下ろすように見ている。それがわかると先ほど感じた不満は微塵もなくなった。けれど、そんな僕とは対照的に彼女はとても機嫌が悪そうだ。
「どうしたんだ?」
「もうっ!どうした、じゃありませんわ」
そう言ってぷいっと顔をそむけてしまった。頬を膨らませながら怒っている様子は可愛らしいものだけれど、あまりそういう表情はさせたくない。
「何を怒っているんだ」
535 :
如月:2009/12/23(水) 22:08:03 ID:aJ66Vbbx
問いかけるように見つめるがエリスは視線を合わせてはくれない。
「理由を聞かせてくれないか?」
手を伸ばして出来る限り優しくエリスの頬に触れた。まだ幼く、女の子らしい柔らかい感触が手のひらに伝わる。
「もう……」
すると、そんな妹を慈しむ行為に少しは気をよくしたのか、渋々といった感じでエリスは話しはじめた。
「お兄さまったら、久しぶりにいっしょにいられるのに寝てしまわれるんですもの」
「えっ?」
「私、とっても楽しみにしていましたのに」
そういえばそうだった。数日前、休みをとれたことを伝えるとエリスはとても喜んではしゃいでいた。
「そうか、それは…すまなかった」
僕が寝てしまったことがエリスが怒っている理由だとすると、明らかに僕が悪い。いくら疲れていたとはいえ、迂闊だった。反論の余地もない。
「機嫌を直してはくれないか?」
宥めようと話しかけてはみるものの、エリスは謝罪を受け入れてはくれずにそっぽを向いてしまった。彼女はとても頑固なところがあるから、こうなったらしばらくは話を聞いてもくれないかもしれない。
「悪かったよ。エリス」
「知りません!」
めげずに何度も話しかけてみたけれど、エリスの機嫌は少しもよくならず、僕は困惑していた。普段はとても聞き分けがいいのに一度こうなるとしばらくは直らない。それに、今回は一段と気分を害してしまったようだ。
そのためどうしようかと必死に思案していた。すると、そこで思わぬ助け船が入った。
「エリス」
不意に背後から妹を呼ぶ声が聞こえた。その透き通るような声につられて僕もエリスもそちらを向いた。
「お母さま」
「母上」
そこにいたのは母上だった。その立ち振舞いはとても優雅で、年を重ねても容姿の美しさは変わらない。
昔は異国の者だと周囲からは非難されることも少なくなかったが、それでも、今も昔も美しく優しい母上を自慢に思う。
そういえば、エリスがあまりにも急かすものだから、先に二人で出かけて母上を待っていることにしていたのだった。
僕とエリスから同時に反応が返ってきた母上は先ず僕を一瞥してから、目線を妹へと向けた。少し、厳しさを含んだ様相で。
「エリス、あまりライを困らせてはいけませんよ」
「こ、困らせてなどいませんわ」
母上の言葉にエリスは珍しく歯向かってみせた。慌てた表情を隠せていないので、反論が有効であるようには思えず、あまり意味はないが。
そんな様子に母上の表情は少し険しくなる。そして、諭すように言葉をかける。
「ライはこの国の王たる身の上です。まだまだ未成熟なこの国のために身を削るような思いで公務にあたっています」
536 :
如月:2009/12/23(水) 22:10:38 ID:aJ66Vbbx
「それは、わかっていますわ。けれど……」
「なら、私たちが為すべきことはライを懸命に支えることです。わかりますね?」
母上は厳しくも、優しく丁寧にエリスに語りかける。エリスはその度に何度も頷いてはいるが、納得できないのか自らを律しようと必死に我慢しようとしているのか、泣き出してしまわんばかりだ。
「母上、僕は構いませんよ」
「ライ……」
「せっかくの時間を僕の居眠りのせいで無為にしてしまったのは事実ですし、非は僕にあるのですから」
そう言って雰囲気を変えようと笑っておどけてみせた。確かに母上の言うことは正しいが、それをまだ幼い妹に求めるのは少し酷だと思う。
「エリス」
そして、俯き加減な妹に向き直した。名を呼ばれたことに反応して目は合わせたが、その瞳は不安そうに揺れている。
「おいで」
腕を広げて迎え入れるように構えた。けれど、いつもは飛び込んでくるはずのエリスはこちらを伺ったままで迷っているのか動かない。仕方ないので、僕は自ら妹を抱き寄せた。
「……お兄さま」
「なんだ?」
「寂しかったから意地悪してみたくなっただけなの。ごめんなさい」
僕の腕の中に収まっているエリスは上目遣いに謝る。そんな仕種があまりにも可愛らしくて、ぎゅっと強く抱き締めた
「きゃっ、お兄さま?」
「謝る必要なんてないよ。言っただろう、僕が悪かったんだ。」
だから笑ってくれ、と続けて抱き締めていた力を緩める。
すると、今度はエリス自身から抱きついて僕の胸に頬ずりをしている。
「ふふふ」
その楽しそうな様子に、明るい笑顔に安堵して母上によく似た黒髪を撫でた。
537 :
如月:2009/12/23(水) 22:13:37 ID:aJ66Vbbx
「ライ、あなたは本当にエリスには甘いわね」
すると、今まで僕とエリスのやりとりを静観していた母上が声を発する。そちらに目をやると、まるで呆れた、とでも言いたそうな母上の表情があった。
「そんなことはありませんよ。まあ、でも兄は妹に甘えて欲しいと思うものではありますけれど」
そんな様子に苦笑で返して、再びエリスの髪を撫でる。母上は仕方ないわね、と息を吐いていたけれど、こんなにも愛しいんだ。それに、母上だって自身が思っているほどはエリスに厳しくなれていない。結局は幼いエリスに二人とも甘いんだ。
そんなことを考えていると不意に背後に母上の気配を感じた。
「母上?」
無言で近寄ることを不思議に思いながら、見えない様子を伺おうと声をかける。しかし、返答は返ってこず、確認のためにエリスを抱えたまま振り返ろうとした。けれど、身を翻す前に母上に抱きしめられた。
「は、母上!何を!?」
体が温もりに包まれると同時に恥ずかしさがこみ上げてくる。自分からする分にはなんとも思わないのに、相手にされるとこんなに照れるものだとは思わなかった。
「お兄さま、お顔が真っ赤になっていますわ」
「なってない!」
「ふふ、照れなくてもよろしいのに」
顔に熱が集まっていることを自覚しているので、無駄だとわかっていながらも必死に否定する。恥ずかしさからかエリスのからかいに対して少しムキになってしまう。
538 :
如月:2009/12/23(水) 22:14:46 ID:aJ66Vbbx
「ライ、あなたが言うように母も息子には甘えてほしいと思うものです」
「しかし、これは…」
母上の細い腕から抜け出すことができないわけではない。けれど、強引に振り払うことなど選択肢に入るはずもなく、結局なすがままにされている。
「私は貴方の強さをとても誇らしく思います。しかし、人に頼ることは恥ではありません。少なくとも、息子が母に甘えることは誰にも責められるようなことではありません」
「母上……」
「だから、せめて今ぐらいは甘えてください」
そう言われては反論のしようがない。それに、決してこうされていることが嫌なわけではない。嫌なはずがない。
「……それでは、少しだけ、こうしていましょう」
エリスを抱き寄せほんの少し母上に体をあずける。素直に従うことにした僕に母上は何も言わず、先ほどよりも強く、それでも柔らかく包んでくれた。表情は読めないが、きっと穏やかに笑っているだろう。
母上と比べるようにエリスを見ると、相変わらず楽しそうにしている。ただ、こうして身を寄せ合っているだけなのに。
きっと、わかっているんだ。こんななんでもない時間がとても大切なものだと、かけがえのないものだと。僕だって今は緩みきった表情をしているに違いない。
「母上、エリス」
こんなにも愛しい。ただ、傍にいるだけで幸せだ。
「愛している」
だから、必ず守るんだ。大切なもの以外は奪って、壊してしまうとしても。
たとえ誰に恨まれ、憎まれることになっても。
幸せが消えないように。消さないために。
大切なものだけは、必ず……
539 :
如月:2009/12/23(水) 22:17:58 ID:aJ66Vbbx
終わりです。初めてだったので、手間取ってしまいました。
妹の名前は捏造です。批判でもよろしいので、感想をくれるとうれしいです。
ともあれまずは初投下乙
>>539 乙でした。
いずれ壊してしまう幸せだ、と思うとなんとなく悲しい気分になりますね。
乙でした。
読みやすさ優先なのでしょうけど、ここまで行を開けなくても良いかな?
テキストそのものは読みやすいと思いますよ、GJでした!
>>539 文章全体的にもキャラ描写も、非常に丁寧に作られているなと思いました。
ゲームではっきりとは出てきていないキャラがいても、情景が浮かんでくるようです。
乙でした。
あと自分も542さんと同意見で、ご自分のHPなどに載せられる場合は
この行間でベストかもしれませんが2ちゃんねるの場合はもう少し詰めた方がいいかもしれません。
おそらく携帯からのようなので難しいかもしれませんが
>>1-4のテンプレートもご参考に。
しかしゲームが誕生してもう2年近くになるのに
また新たな職人さんが現れたことがとても嬉しい
なんかSSのネタにならないかと、
黒の騎士団カレンルートやり直してたけど、
久々にやるとけっこうイメージが変ってて面白いな
ライってもっと冷めてる印象だったけど、意外に普通の子だし
まあルートによって違うけどw
かなり初期の段階からカレンはライのこと気にしてるし、
ライはライでカレンばっかり見てるし、
そういうルートだと分かってても楽しい
次はノネットさんに乳固めでもされてくるか
ライはルートによって結構性格違うからね。
というか、パートナーになるキャラの影響をモロに受けるというか。
同じ主人公使っていても違う側面を描けるのがロスカラの面白いところだと思う。
547 :
代理:2009/12/25(金) 01:59:47 ID:J0itpo07
全力感想人さんの代理投下です。
10レス越えなので支援してくださる方がいれば助かります。
「あとがき」まで投下がおわっていなければさる。
タイミングよく続きを引き継いで投下してくれる方が現れなければ
解除を待って続き投下します。
以下、本文
・・・・・・・・・
まえがき
タイトルは「妬みのアッシュフォード学園・クリスマス変!」
注意事項
・ギャグです
・キャラ崩壊してるところがあります
・パロネタです
548 :
代理:2009/12/25(金) 02:01:39 ID:J0itpo07
「しっとの心は!」
『父心!』
「押せば命の!」
『泉わく!』
『見よ!!しっと魂は暑苦しいまでに燃えている!!!』
しっと団、それは人前で公然といちゃつくアベックどもを撲滅するために活動する集団。
特にこのアッシュフォード学園支部においては学生と言う身分にありながら恋愛に現を抜かす愚か者どもに正しき道を示すことが主な目的となっている。
「諸君! 私がしっと団アッシュフォード学園支部団長のリヴァル・カルデモンドである!」
『リヴァル! リヴァル!』
「勇敢なる団員たちよ、よく集まってくれた!」
リヴァルが身振り手振りでその感謝の意を伝える。 ビシっと決めているポーズではないが、それでも力強さを感じる。
「君たちに集まってもらったのは他でもない……」
彼はそこで一呼吸置く。 それから、周りに居る団員たちを見渡した後口を開いた。
「来たるクリスマスにおいてのアベック殲滅作戦への協力を頼みたい!」
右手を前に突き出しながらリヴァルは言う。
「本来クリスマスというのはキリストの生誕を祝う、神が人間として生まれたことを祝う、厳かなる宗教行事!
それを何を勘違いしたのか、いちゃいちゃいちゃいちゃと、アベックどもが恋愛ごっこをやる習慣が蔓延している!
そこで我々がきゃつめらに正義の裁きを食らわしてやるのだ! これは決して私怨ではない! 神をもはばからぬ愚か者たちに天誅を下すのだ!」
『うおぉぉぉぉぉおぉぉおぉぉおお!!!』
そのとき、皆の心はひとつとなり燃え上がった。 そう、彼らのやっていることは正しいのだ。
本来厳かなる宗教行事をとち狂って恋愛行為にいそしむほうが間違っているのだ、家に帰って家族とともに祝うべきなのだ。
まかり間違っても電車内で手をつないで目と目で語り合ったり、イルミネーションを見て君のほうがきれいだ、とかいう行事ではない。
彼らは間違いを正すのだ!
そんな絶好調な雰囲気の中、唐突に団長の背後から声が上がる。
「ふぅん、面白そうなことをやっているね、リヴァル」
「……誰だ!?」
リヴァルは驚きを隠しつつ背後から聞こえてきた声の主を確かめる。 少なくとも彼がここに立つまで後ろに誰もいなかったはずだ。
そしてさっきの彼の演説中に入ってきたのだとしたら誰かが気づくはず。 リヴァルは警戒を強めながらゆっくりと後ろを向いた。
549 :
代理:2009/12/25(金) 02:03:40 ID:J0itpo07
「やぁ」
「ラ、ライぃ!?」
そこにいたのはいまやブリタニアのエースパイロットと呼ばれている、リヴァルの友人、ライであった。
「何故ここに……まさか!」
「いや、たぶん君の考えていることと僕の目的は違うよ」
リヴァルは彼が自分たちを殲滅しにきたのかと思ったが、ライはその思考をすでに読んでいたようでそれを否定する。
「簡単なことだよ、僕もしっと団に協力―――アベックの殲滅を手伝いたいんだ」
「なん……だと……!?」
リヴァルは予想できなかったライの言葉に動揺する。 が、すぐに正気をとりもどし冷静に状況を判断する。
「しかし、ライはどちらかといえばもてるほうだろう? それにどんなルートでも女性キャラとのエンディングがあるはずだ」
訂正。 正気を取り戻していなかった。
「あぁ、大抵のルートではそうだよ。 でもね……」
彼はどこか達観したような表情になる。
「僕の選んだ道は特派なんだ……」
特派ルート、それは大抵のルートに存在する女性とのエンディングがないルート。 スザクとの友情エンドやロイドさんに最高のデヴァイザーと呼ばれるエンドの二択。
セシルさんとのエンディングがないのだ。 セシルエンドがないのだ。
「僕だって頑張ったさ! 特区日本が成立したあとも! でもね、いくら彼女の創作料理を食べようとも、何度気絶しようとも、なぜか思いが伝わらない!」
語るライの瞳からは涙があふれている。
「そして、ある日ジンギスカンキャラメルカレー・レモン味を食べたとき僕は悟ったのさ。 こんなにも苦しいのなら、こんなにも悲しいのなら、もはや愛などいらぬ! と」
そのアレンジされすぎた料理の味を思い出して若干顔を青くしながらライは締めくくった。
「ライ……疑ってごめん、本当にごめん……」
ライの言葉を聞いたみなが涙を流していた。 ライはもてる人間だ、というのはおよそそこにいる団員すべてが分かっている。
だがしかし、彼は愛ゆえに苦しまなければならなかったのだ。 その愛は憎しみに変わってしまうほど深き愛だった。
それほどまで深き愛ならば、彼らしっと団は嫉妬しない、彼らが憎むのは、あくまで軽い気持ちを持つアベックである。
彼らは思う、歪んだ愛を生み出すアベックどもを駆逐しなければ、と。
「ライ、俺たちはこれから君を同志として迎え入れよう。 そして、君にも話そう、我らしっと団の計画、そう……」
リヴァルは両手を広げ、大声で叫ぶ。
「ブラッククリスマス作戦を!」
550 :
代理:2009/12/25(金) 02:06:00 ID:J0itpo07
「ダメだな、それじゃあダメだ」
「ちょっと待てよ、俺たちの考えたこのブラッククリスマス計画の何がだめだって言うんだよ」
しばらく黙って説明を聞いていたライが、早速計画にだめだしをする。
「アベックに武力介入って、これじゃあ普通に捕まるよ。 犯罪行為だ」
「で、でもアニメでは武力介入はかなりの戦果を……」
「現実を見ろ、これはアニメじゃない。 堂々と介入なんてできるはずがないんだ」
言い訳するリヴァルにライはきっぱりと言い切る。
「でもそれじゃあ作戦が……」
「任せろ、僕にいい考えがある、とりあえずは相手が知り合いのときは積極的に話しかけにいく。 空気を読めない振りをするんだよ。
少なくともそれでおおっぴらな場所でイチャイチャなどはできない。 建物の中とか人目に付かない場所でなら勝手にやればいい」
「……なるほど」
そばで聞いていたリヴァルや、その他の団員が頷く。 とりあえずマスクを被り警察沙汰スレスレのことをやる危険性は回避されるのは間違いなかった。
「そして、知らない人間のときは僕に任せてくれないか、ロイドさんに頼んで作ってもらった非殺傷兵器で……」
「おいィ! お前武力介入するなって言った自分の言葉を忘れたのかよ!」
ニヤリと笑みを浮かべながら銃のようなものを取り出すライに即座にリヴァルはツッコミを入れる。
「大丈夫、気づかれない距離から狙い撃つ。 ばれなければ犯罪じゃないってロイドさんが言ってた」
大丈夫だろうか、ブリタニア軍。 しっと団の面々にそんな思いがよぎった。
そんなこんなで議論は進み、大体の作戦内容が決まった。
「……では、最終手段として武力介入はありな方向でいいな」
「あぁ、どうしても分かってくれないアベックにはそれしかないからね」
ニヤリと笑うリヴァルとライ、それに釣られるように団員たちもほくそ笑む。
そして、満足げな表情を浮かべながらリヴァルは言う。
「では皆、解散!」
551 :
代理:2009/12/25(金) 02:08:44 ID:J0itpo07
クリスマス当日、天気予報はくもり、どんよりとした空は絶好のしっと日和だ。
「よし、それでは作戦を決行する! しっとエースよ、準備はいいな!」
「はい、団長!」
しっとエースことライを筆頭に集結した隊員たちの前で団長、リヴァルは宣言する。
「これより、全アベックどもに正義の鉄槌を下す! 各自奮戦を期待する!」
『うおぉぉぉおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!』
団員たちは各自が思い思いの方向に走り去っていく。 それを見送ったしっとジミーとしっとエースの二人は標的と定めた存在のほうへ向かう。
ルルーシュ・ランペルージのいる方へと。
「見つけたぞ……世界の歪みを……」
「落ち着くんだ、リヴァル……まずは様子見だ」
草の茂みから双眼鏡でルルーシュの姿を確認する二人。 ルルーシュからは死角となっているが当然他の人間からは見えている。
公園のベンチに腰掛けて、なにやら疲れている様子のルルーシュ。 彼に裁きを下すべきか否か、まずはそれを見極めるのだ。
「……動きがないな」
「いや、左を見ろ!」
小声で呟かれたライの言葉に反応し双眼鏡を左のほうへと向けるリヴァル。 そこにはよく知るクラスメートの姿がうつっていた。
「シャーリーか、うーん、じゃあルルーシュは裁きの対象にはならないかな……」
シャーリーは積極的と言えるが、かといって度を越えた行動はしないはずだ。 軽いキスはあるかもしれない、だが、それを見せ付けることはないはずだ。
一応身内ということで、今回はおおめに見るという結論を下そうとしたリヴァル。 念のために言っておくが、シャーリーの口からミレイ会長にしっと団活動がもれるのを恐れたわけではない。
しかし、その無罪判決はたやすく覆ることとなる。
「む、なにやら緑色の髪の女の子が現れたぞ」
「なん……だと……!?」
リヴァルが双眼鏡で覗き見ると確かにアッシュフォード学園の制服を着た緑髪の女の子がピザを片手にルルーシュの左腕を掴み、歩き出した。
シャーリーはそれを呆気にとられたように見ていたが、我に返ったのかルルーシュの右腕を掴みその歩みを止める。
そして二人は口論、いや、シャーリーが騒ぎ、緑の髪の女はそれを受け流しているように見える。
だが、そんなことは些細なことだ。
「なぁ」
「なんだ?」
「ルルーシュ君、二股をかけてたのか」
「あぁ、そうみたいだね」
短い会話に嫉妬をこめて、二人は頷きあう。
『今が裁きの時!』
ライは懐からロイドさん謹製のたぶん非殺傷な銃を取り出す。 が、どこからか音もなく飛んできた苦無がそれに突き刺さる。
「なっ!?」
驚きつつもライはそれが飛んできた方向に目を向ける。 と、更に二本の苦無が飛んでくるのが見えた。
ライはそのうちひとつをギリギリのところでかわし、もうひとつは先ほど苦無いが突き刺さった銃で受け止める。
552 :
代理:2009/12/25(金) 02:10:30 ID:J0itpo07
「どうしたんだ、ライ!?」
リヴァルが驚いた声を上げる。 彼の目にはいきなりライが転がったようにしか見えなかった。
「リヴァル、君はルルーシュの元にいくんだ。 そして、あの男の敵に裁きを 僕はここで彼女を食い止める。 いくんだ、リヴァル!」
ライは視線を一箇所にとどめながらそう言う。 目をパチクリさせるリヴァルの手になにか少し重量の感じられるものが渡される。
「大して威力はないスタンガンだ。 バチィ、とルルーシュにかましてやれ」
小さな声で言うライにうなずき、リヴァルはルルーシュの元へ向かう。 その背中に一本の苦無が投擲されるが、ライが先ほど銃に突き刺さった苦無を投げてそれをはじく。
「……ゴム製か」
投げられた武器の素材を手触りから判断する、げに恐ろしきはそんな武器で鉄を貫通する威力を生み出した存在か。
ライは再び視線を襲撃者のほうへと向ける。
「で、何故あなたがここに? 咲世子さん」
「ルルーシュ様を傷つけさせるわけにはいかないので」
ライが視線を向けた先、木の枝の上にはクラブハウスでメイドをしている篠崎咲世子がいた。
「一応非殺傷の武器らしいので傷は付かないはずでしたが、あなたが……」
「えっ!?」
ライの言葉に咲世子は意外そうな言葉をあげる。
「えっ!?」
そしてそれはライも同じである。 まさか驚かれるとは思っていなかった彼は、咲世子の反応に驚く。
『…………』
その場になんともいえない空気が満ちた。
553 :
代理:2009/12/25(金) 02:12:32 ID:J0itpo07
「ルルーシュ!」
「リヴァルか!? 頼む、助けてくれ!」
覚悟! という前にルルーシュが悲痛な声で叫ぶ。 シャーリーと緑髪の女に左右の腕を引っ張られて、その顔は苦痛に歪んでいる。
「離しなさいよ、ルルは私とデートなの……!」
「いや、こいつにはこれからクリスマス限定のピザを私に奢る崇高な使命があるのだ」
二人は言い合いながらぐいぐいと腕を引っ張る。 そしてそのたびに悲鳴を上げるルルーシュ。
リヴァルはスザクに聞いた大岡裁きとかいうものを思い出した。 もっともその後、ルルーシュがソロモン王の英知が元の話だろう、と言っていたが。
「えっと、そのまま互いに引き合って勝った方が連れて行けばいいんじゃないか?」
離した方が連れて行くというこの話のオチはシャーリーも知っているはずである。 これでシャーリーが離せば、リヴァルが後をとりなせばいいだけだ。
そうすればシャーリーの好感度が上がる。 そしてこの美談がミレイ会長に伝わればミレイからリヴァルへの好感度がうなぎのぼりで有頂天となる。
しかしリヴァルこの裁きを行ったのが権力者であるということを忘れていた。 それに、緑の髪の女がこの話を知っている可能性を失念していた。
「そうか」
「えっ!」
リヴァルの言葉を聞いてすぐに緑の髪の女はルルーシュの腕を離す。 シャーリーが腕を引いていた勢いのまま後ろに倒れ、腕をつかまれていたルルーシュも引きづられてこける。
「ほう、女を押し倒すとは、やるじゃないかルルーシュ」
緑の髪の女が言うように、二人が倒れた姿勢はルルーシュがシャーリーを押し倒しているように見えなくもない。
そのことに気づき互いに赤面する、が、近づいていた顔は緑の髪の女により引き離させる。
「というわけでこいつは私が連れて行くぞ、悪く思うな」
「えっ、ちょっと待ちなさいよ!」
ルルーシュの腕を取り歩き出す女を再びシャーリーが止める。
「勝ったのは私よ」
「あぁ、そうだな。 だが、古来からこの話は離した方の勝ちなんだよ」
「えぇ!? あ……そういえば前にスザク君が……」
「わかったか、ではそういうことでこの財布はいただいていく」
「自分で食べるもののお金は自分で出しなさいよ、別にピザを食べるくらい一人でいいじゃない」
「ふっ、屈辱に満ちたルルーシュの顔がピザの旨味を何倍にも増幅させるのさ」
リヴァルは見た、シャーリーからオーラ的な何かが湧き上がるのを。 そして彼は思う。 ほっとけば天誅が自動的に下されるのではないか、と。
一人納得したようにうなずいたリヴァルはそこから立ち去ろうとする。 しかし、世の中そんなに甘くなかった。
555 :
代理:2009/12/25(金) 02:14:26 ID:J0itpo07
「おい待てリヴァル、置いていくな! 置いていかないでください!」
そのルルーシュの言葉に思い出したかのようにリヴァルのほうを見る二人。
「リヴァル、私の勝ちよね? ルールどおり手を離さなかったんだから」
「ふふっ、私の勝ちだろう? 史実のように手を離したのだから」
リヴァルをにらみつける二人、わかっているなと言いたげな視線はリヴァルを凍りつかせる。
だが、そこにリヴァルに対する救いの手が差し伸べられる。
「なら三人でピザを食べに行けばいい」
「ライ君!」
『ライ!』
「ほう」
四者三様の言葉を放ち、ライのほうを向く四人。 そして一人納得したような声を出した緑髪の女はルルーシュの手を引きながら走り出す。
「確かシャーリーだったか、来い、私が至高のピザを食べさせてやろう」
「ちょっと、待ちなさいよ!」
それを追って駆け出すシャーリー、あとにはライとリヴァルの二人が残された。
「ライ、お前無事だったのか!」
「あぁ……何でも勘違いだったらしい」
「はっ!?」
何が勘違いだったのか、そんなことをリヴァルが考え……そして気付く。
「あっ! ルルーシュに裁きを与えるのを忘れてた!」
彼は展開が激しすぎたための根本的な目的を忘れていた。
「大丈夫だ、僕にいい考えがある」
それを聞いたライは何かを思いついたのかおもむろに携帯を取り出す。
そして手馴れた様子でどこかへ電話をする。
「もしもし……うん、そうだよ……実はルルーシュが二股をかけていてね……あぁ、本当だよ……シャーリーとあと緑色の髪の女の子だったよ……うん……それじゃあ」
ピッっと音を立ててライは通話をやめる。 そして、ふぅと息を吐きリヴァルのほうを見る。
「これで大丈夫だ」
「えっ!?」
ただ一本の電話、リヴァルにはそれがどう裁きに繋がるのかがわからない。
そしてリヴァルの反応からわかっていないことに気付いたライは簡単に彼に説明する
「ナナリーに電話した」
556 :
代理:2009/12/25(金) 02:16:25 ID:J0itpo07
そして夕方すぎ、アッシュフォード学園にしっと団団員たちが集合する。
「よし! これからが本番だ! 夜に向けて活性化するアベックどもを! 聖夜を性夜に変えようとする愚か者どもに鉄槌を!」
『うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!』
今日一番の気合と怨念がこもった叫びをあげる団員たち。 そう、彼らの本格的活動は今から始まるのだ。
だが、そんな彼らの熱さを冷ますかのように天候が変わる。 曇り空から雪が降り始めたのだ。
「しまった! 天はわれらを見捨てたか! これでは『うわぁ、雪が降ってきたわ。 ホワイトクリスマスね、素敵!』 というノータリンな会話が発生してしまう!」
別にクリスマスは素敵である必要はない、雨は夜更けすぎに雪に変わる必要などない、むしろ集中豪雨でいい。
少なくとも人目につく場所でいちゃつくのは防げる。 しかし現実は非常である。 イルミネーションに照らされて白い雪が輝く幻想的な風景が作り出されてしまっている。
「……」
うろたえる団員たちを見てライは、しっとエースの名を与えれた彼は考える、どうすればこの状況を打破できるのかを。
そして彼はひらめく、彼にしかできないやり方でホワイトクリスマスを阻止する方法を。
「皆、僕がホワイトクリスマスを阻止してみせる。 だからそのあとのことは任せた!」
そういい残して彼は走る。 特派のトレーラーへと。
(たしか、ロイドさんが作った新型のフロートユニットがあったはず、アレなら……)
そこまで考えてライは重大なことに気付く。 上空に飛んでも雪はどうにもならない、と。
雲を散らせばいいのかもしれないがその高度まで飛べるのかは不明である。
思考をめぐらせて走るうちにライの目に特派のトレーラーが見えてくる。 同時にトレーラーの入り口に立つ人影が見えた。
「セシルさん!?」
「あっ、ライ君!」
思わず口からその人物の名前が出る。 そしてライを見つけたセシルはパァっと花の咲くような笑みを浮かべた。
「ライ君、これからクリスマスパーティーをやろうと思うの」
「……初耳です」
「当然よ、サプライズパーティーなんですから。 でもね……ロイドさんもスザク君も来なくてどうしようかと思っていたのよ」
「……僕が来なかったらどうしていたんですか?」
「それは……」
困ったような表情を浮かべるセシルを見て、ライは思わず笑みを浮かべる。 ちなみに今現在彼の頭の中からホワイトクリスマスをどうにかするということは抜け落ちている。
「じゃあ、二人きりのパーティーですね」
「そうね……二人で楽しみましょう」
なんとなく雰囲気に流されるライ、しかし、次の一言で正気にもどった。
557 :
代理:2009/12/25(金) 02:18:25 ID:J0itpo07
「いつもより気合を入れて料理を作ったの」
「……」
あぁ、僕は死ぬんだな、とライは本能的に感じ取った。 そして自分が先ほどまで幸福感で忘れていたことを思い出す。
ホワイトクリスマスを何とかする、と。 なるほど、自分の欲に負けた、自分ひとりが幸せになろうとした裏切り者にふさわしい罰だ、とライは思った。
しかし、そのときライに電流が走る! 圧倒的ひらめきっ! ホワイトクリスマスをつぶすひらめき!
「セシルさん、ランスロット・クラブにフロートユニット、付いてましたよね?」
「え、えぇ、昨日ロイドさんが持久力を上げた試作型を取り付けましたけど」
「よしっ、ちょっとテスト飛行してきます!」
そしてライは走り出す。 約束を果たすために。 途中でテーブルの上にあった比較的まともではない料理をタッパに詰め、ランスロット・クラブに乗り込む。
「よし、条件はすべてクリアされた……ランスロット・クラブ、飛翔します」
そして勢いよく飛び立つ機体。 その光景を一人の女性が見守っていた。
「……よし、ここまでくれば……」
租界を一望できる絶景を目にしながらライはタッパを開く。 そして中身をスプーンで細かく刻み上空からまく。
「ハーッハッハッハッハッハ! セシルさんの愛を受け取るがいいさ! そして知れ! 悲しく苦しい愛を!」
やたらとハイテンションになった彼は高笑いしながら少しずつすっぱくて甘くて苦くて塩味が効いていて辛い料理を空中に散布する。
その日、租界では原因不明の食中毒が発生した。 深夜に町を歩いていた人間はすべて病院に運ばれる大惨事となる。
また、謎のマスクを付けた集団も大量に病院に運び込まれた。 彼らはとても満足げな表情を浮かべながら気絶していた。
558 :
代理:2009/12/25(金) 02:20:25 ID:J0itpo07
(ごめん、皆……)
「さぁ、ライ君。 クリスマスパーティーの始まりです」
無事空から帰ってきたライはセシルとともにささやかなパーティーを始めた。 ライが直感的に危険だと判断した料理はすでに空から地上へと降り注いでいったために、彼は安心して料理を食べていた。
「あ、このチキンは美味しいです」
「うん、私もお気に入りなのよ」
だいたいが既製品であるために、なんら危険はない食事。 彼は幸せに浸っていた。
好意を持っている人間と二人きりで過ごすクリスマス、殲滅した人間、ともに戦った仲間たちに謝りながらもすばらしいものだと彼は思っていた。
笑顔のセシルの持ってきたものを目にするまでは。
「ライ君のために作った特製のケーキよ」
目の前に存在するのはケーキというものの概念を覆した斬新な発想が随所に見られた。
クリームが塗られている、チョコレートでデコレーションされている、フルーツがトッピングされている。
ここまでは普通だ。 だが、土台がおかしい。 つぶつぶなのだ。 具体的に言うと米だ。 しかも青色。
「この前作ったオスシをアレンジした和風クリスマスケーキよ」
ライは自問自答する。 これは、ケーキなのだろうか、と。 否! 断じて否! これをケーキと思うのはすべてのケーキを侮辱する行為だろう。
というか何故青色なのだろう、黄色とか赤なら食べられるのに……ごめんなさい、僕は嘘をつきました。
もはや混乱してまとまらない思考、それに追い討ちをかけるようにセシルが言う。
「さぁ、めしあがれ」
この日、病院に運ばれる人間が一人増えた。
560 :
代理:2009/12/25(金) 03:15:06 ID:J0itpo07
おまけ その後のルルーシュ
「お兄様……最低です……」
「ヌァァァァァァナァァァァァァリィィィィィィィィィィ!!!」
その後、三日ほどナナリーに口を聞いてもらえなかったルルーシュはしばらく抜け殻のような日々をすごした。
おまけそのに、ボツネタ
「皆、緊急参加してくれることになったニーナだ」
「よ、よろしくお願いします」
「なんでニーナが!?」
ライが淡々と紹介するが、リヴァルは驚く。 まず、彼女が参加する理由が思いつかないからだ。
「うん、昨日リヴァルがいないときにスザクがユーフェミア様とデートするって……」
そこまで言ってライは震えだす。 ニーナが「ミレイちゃん、離して、そいつ殺せない!」とか叫んでいたのは気のせいだ。 今もなにやら紫色の薬品の入った試験管を持っているのも目の錯覚に違いない。
「嫉妬パワーが俺たちのうちの誰よりも上、だと……」
マスクを付けたリヴァルが何かつぶやいている。 でもライには聞こえない、そう、聞こえない。
ボツ理由。 レッドクリスマスになる。
561 :
代理:2009/12/25(金) 03:22:46 ID:J0itpo07
あとがき
,. ― .,.
, . ´ lヽヘュ : . ` ...
/ . /ゞ:;'ゝ. : : . . ヽ
, '. . : . . ` . . : : . . . '、 まだだ、すべてのアベックを根絶やしにするまで!
/ 丿^ゞ | へ/^ゝ . ', もてない男が救済されるまで!
i > |\丶 | ソ /ノ < :::i 一緒にケーキを食べる恋人が現れるまで!
! ) ヽ \ヽしっとノ / ,ノ (. ..::::::!
', ゝ ヽ_ゝヾ|//_ノ く......:::::/
' 、 ^ゞ-丶-‐⌒ ^ゝ-、/ゝソ^...::::::::;' しっとの炎は決して消えることはない!
ヽ : . .. . ; : ;:::::::;::::/
ヽ. : . . : : ...:.:.:::::/
` .、 . ....:::;:''''´
` ー
・・・・・・・・・・・・・・・
本文以上です。
それではー
>>562 乙でした
いや面白かった
特派ルートのライか!なら仕方ない!俺もセシルさんエンドが無いのを知らないで2、3周したものさ……そして攻略本を見て絶望した
メリークリスマス(´・ω・`)
564 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 16:01:03 ID:oJSXw+RP BE:695849663-2BP(0)
時間無いので、手っ取り早く投下。
この内容なら昨日投下すればよかったと思わんでもない。
ライカグ星天の簡単な小ネタです。
執筆時間が物凄く短く、かつ一発書きなので変なところあったらごめん。
しかもタイトル考えてなかった。今即効で付けた。
オチもよく考えてなかった。どうしようもないので放置。
あと中国でクリスマスがどんなんなのか知らんから結構適当。合衆国中華だからいいよね。
なんか色々とひどいな……
565 :
朱禁城の聖夜:2009/12/25(金) 16:01:50 ID:oJSXw+RP BE:1546332285-2BP(0)
「はぁ、温まりますわー」
ずずずー、と音をたててお茶をすすった神楽耶はほっと息をつきながらそう言った。
ライは苦笑を浮かべ、
「だから、吹き抜けのテラスで飲みたいなんて無茶な話だったんだよ」
「ぷいっ」
声つきでそっぽを向いた神楽耶を見て、向かいに座っていた天子がくすくすと笑った。
「神楽耶は、初めて来た時からあの場所がお気に入りでしたね!」
「ええ、とても。景色がとても素敵で……だからこそ、今の時期にあの場所でお茶を楽しもうと……」
「風邪ひくから駄目だよ」
ライが軽くたしなめると、神楽耶は再びぷいっと顔を背けた。天子がその様子を見てまた嬉しそうに表情を綻ばせた。
「まあ、気持ちは分からないでもない」
そう付け足しつつ、改めてライは周囲を見渡した。
朱禁城の客間、の一つだ。天子の下を訪れた時は大抵この部屋(もしくは神楽耶が好きだと言う、朱禁城内の庭園にあるテラス)を使うので馴染みあるはずなのだが――どういう訳かクリスマスイルミネーションで彩られている。
しかもイルミネーションで飾り付けられているのはこの客間だけでなく、朱禁城全体がキラキラ光り輝いているのだ。
幾ら今日がクリスマスイブとはいえ、やることがかなり派手だ。朱禁城の朱色と、イルミネーションの真っ白い輝きは、ある意味クリスマスカラーと言えるのかもしれないが。
「着いてみたら驚いたよ。朱禁城がこんな風になってるなんて」
「そうでしょう!」
その言葉を待ってましたとばかりに天子が勢いよく答えた。
「私が星刻にお願いしたら、このような素敵な催し物にしてくださって……!」
合衆国中華政府主催の、朱禁城を使ったクリスマスパーティー。しかも一部の場は一般向けに解放されるらしい。
星刻としては、新しい国家が民に開かれたものだということのアピールも兼ねているのだろう。ライと神楽耶はこのイベントに招待されてきたのだ。
そして、その企画を実行した当の本人はというと、先ほどからずっと天子の後方に控えていて、
「お褒めに頂くほどの事ではありません」
と恭しく礼をした。
その反応を見た神楽耶はあからさまなため息をつき、不満げに声を荒げた。
「ああ、堅い。堅いですわ!」
「神楽耶様、お言葉ですが私は……」
「思えば、この客間に着くまでも、色んな道を行ったり来たりで堅苦しくて息の詰まるような警備体制でしたが――黎星刻、あなたが警備の担当ですわね。」
「ぐ……」
図星なのか、星刻が押し黙る。
確かに、何度も何度も身分証の提示を求められた過剰なセキュリティーには、ライも多少辟易とさせられた。僕が来たのはクルシミマスパーティーか? と自問したくらいだ。
しかし星刻も負けじと言い返す。
「今回は朱禁城の一般解放も行われる。天子様の安全を考えれば当然の処置だ」
「はあ、それだけ天子様を想っているなら、どうしてそう堅いのです? 結婚式に乗り込んだときの勢いはいずこへ?」
「なっ……それとこれとは関係ないだろう!」
「大アリです!」
だんだん語気の荒くなっていく二人に挟まれる格好となった天子は再びおろおろし出したが、ライは落ち着いたものである。――こういう会話で神楽耶に勝てる者はいない。
「こんな厳重な警備では、サンタさんも入ってこれないでしょうし」
「ぷっ」
「は?」
「ええっ!?」
神楽耶のサンタ発言に対する反応は三者三様であった。
吹き出したのはライで、ぽかんと口を開けたのが星刻。驚愕の声を上げたのは天子だ。
始まった。ライは内心で笑みを深くした。こうなったら神楽耶のペースだ。無論、神楽耶はサンタを信じている訳ではない。だが天子はどうだろう。
何のことかさっぱりといった星刻に向かって、天子がまくし立てた。
「星刻。星刻ー! 早く、早く警備を解いて下さい!」
「は、いえ……何故?」
「サンタさんが来れない!」
「サン……」
星刻は軽く目眩がしたのか、ふらつきながら神楽耶の方を睨む。してやったり、という神楽耶の笑みがその瞳に映る。
「星刻! 星刻ってば!」
尚も懇願する天子に星刻はそっと笑い掛け、
「大丈夫です天子様。警備の者には、サンタクロースだけは見逃すように伝えておきます」
「ほんとう?」
「ええ、だから安心して下さい」
「わかったわ!」
566 :
朱禁城の聖夜:2009/12/25(金) 16:03:35 ID:oJSXw+RP BE:1546332285-2BP(0)
天子は満面の笑みで頷き、席に座り直した。
星刻は勝ち誇った表情を神楽耶に向け、神楽耶はちっと舌を打った。
神楽耶に一本取るとは流石星刻だなぁと感心していると、
「だいたい天子様も天子様です。せっかく心許せる関係になったのですから、もっと自分からアプローチしないと!」
「そ、そうなのですか……?」
「皇神楽耶、天子様に変な事を吹き込むのは――」
「貴方がヘタレなのがそもそもの原因なのです」
ぴしゃりと星刻の言葉を封じ、神楽耶は真剣な眼差しで言った。
「最近の殿方がヘタレで奥手なのはもはやしょうがない事です。こちらのライも、一緒に寝床に入ろうとも一切手を出さなかったものです」
流石にこの発言には黙っていられなかった。
「おい!」
「ライは黙っていて下さい。事実でしょう?」
「あれは君が勝手に僕のベッドに入って来たんだろう!」
「ええ、ライはヘタレでしたから夜這いを、と」
「な……もうちょっとオブラートに包めないのか君は!」
「包んでますわ」
基本スペックが低いんだな、とライは納得した。
神楽耶はこちらを無視して進める。
「しかしそういった強気のアプローチで殿方を惹きつけるのも必要な事なのですよ、天子様」
「そうなのですか?」
「ええ。ただ、最終的な主導権は譲る、というのが理想の形と言えますね。女性ならば慎ましさも併せ持たないと」
神楽耶が慎ましさ……? とライは本気で首を傾げたが、天子はふんふんと熱心に神楽耶の言葉を聞いている。
星刻は訳が分からない、とばかりに頭を抱えていた。「ヘタレ……ヘタレ……?」とぶつぶつ呟いてもいる。
「天子様はとても魅力的なのですから、そこを磨けばきっと道は開けるはずです」
「何の話だったんだ」
ぽつりと言うと、神楽耶はにっこり笑って小声で、
「今ではライの方から求めて下さいますものね。毎晩」
「わー! わー! わー! 聞こえない! というか天子様の前で何を言い出すんだ!」
「え、今神楽耶は何と言ったのですか?」
「聞き直さなくていいです! 神楽耶も言い直さない! ああもう、星刻! 何とかしてくれ!」
「ヘタレ……ヘタレ……」
色々と忙しい中書いたんで、なかなかに酷いが見逃して。
でも、このカルテットは好き。ポンポンセリフが湧いてきて楽です。
motto motto書きたいのはあれど、時間が無いのよこの無念。
とりあえず生存していることを伝えるために本スレに投下してみました。
>>567 キャーもっふー! 乙です!
>サンタさんが来れない! ヤバい、想像したらかわいすぎてヤバい。
次の投下も待っています
おっと、お二方続けて乙でした!
もっふーさんはお久しぶりですw
どっちもかわいかったー!
乙でした
面白いだけじゃなくて、上手いよね。
久々にロスカラやったらやっぱり面白いなぁ。
2出せるほど売れなかったのか・・・
13万本売れたらしいけどな…
ロスカラ自体はどの話も一応あれで完結してるし、
かといってR2の舞台で別主人公で同じシステムやられてもな・・・
難しいところだと思う
>>567 乙です。2レスでなんちゅう存在感を出す文を描くんだw
ところでもっふーさんってもしかしてだいぶ前に一時期ニコ動でもすごいギアスMAD作ってたことありません?
ずっと心のどこかに引っ掛かりがあり、でも聞けなんだが…
ピンクなあの人みたいなロリ好きとか、もふもふしたいとかコメント残してて結構被ってた人がいたんだが
違かったら本当にすまんし、ニコ厨と罵られてもいいけど
もふもふさんも全力さんも、どちらも乙でした!
また大規模規制キタぞ
まじで、またかよー。
久しぶりに規制……
避難所に代理投下待ちの作品あります。
投稿できる方いましたら頼みます。
580 :
代理投下:2009/12/31(木) 23:07:31 ID:+RV7/Wx+
次レスから代理投下します
以下、本文
ではとても短い駄文を投稿させて頂きます。
ライ×ナナリーにするつもりだったのに、ナナリーが居ない&ライの存在が殆ど意味をなしていないです。
ご了承下さい。
「ナナリーは可愛いな」
珍しく女生徒が居ない生徒会室でフラグ建築士が突然口にした言葉に、空気が硬直した。
一番早く硬直が融けたルルーシュが額を押さえる。
「色々とツッコミ所が有るが………なぁライ」
「なんだい?」
「ナナリーが可愛いのは分かっている。だが何故、いきなりそんな事を言った?」
「なんとなく………だけど?」
ライのとぼけ顔にルルーシュが言った。
「だけど?………じゃないだろ。俺はもう二人の事に口を差し挟むのは辞めた。だがイチャイチャしたりピンクの雰囲気を醸し出すのならTPOを考えろ。ここは生徒会室だから良いが、公共の場ではそんな空気を出すな」
「僕がピンクな空気を出した?」
「うん出してたよ。立派なピンクの空気だ」
ライの問いに答えたのは復活したスザクである。
ライは首をかしげて考え込む。
ルルーシュは思いついた事を尋ねる。
「ひょっとして、お前はデート中もナチュラルにピンク色を出していないか?」
「分からないよ」
その答えにルルーシュは確信した。
――こいつ………絶対ピンク色を振り撒いている。――
ライさんとデートに行くと、なぜか不良の様な人に絡まれる事が結構あるんです。
そうナナリーから聞いた事があるが、ピンクを醸し出している優男を見たら、絡まない不良は居ない。
ルルーシュは最初に話を聞いた時、最低な奴等が居るものだと憤慨したが、考えたら絡まれるのは当たり前だろう…………
――待てよ?――
ルルーシュはふと思った。
ライがピンクを纏っているのを、場の空気に対して敏感なナナリーも分からなかった様だ。
分からない理由。
それはナナリー自身もピンクを纏っているからに他ならない。
ルルーシュは苦悩する。
――俺は見落としていたのか、ナナリーを包むピンクを!?カレンとゼロ稼業にうつつを抜かした俺はナナリーを見ていなかったと言うのか!?
最愛の妹がピンク色に染まっていく間も、カレンの事を考えていたから?これはその事に対する罰か?しかしカレンの事を考えないなど、今の俺に出来るか?いや出来まい。カレンは俺の………――
悩む親友をみてスザクは思った。
――君も桃色を出しているよルルーシュ。ライもルルーシュも自覚が無いから怖いね。顔が良い人間がそんなオーラを出していると、逆にうざったいな。
………それに比べて僕はシャーリーの事を考えてばかりじゃない。仕事休みの合間に時々思い出す位だ。あ……そういえば来週の土曜日ライブに誘われてたな……何を着ていこう?
軍服で行くわけにも行かないし、かといって僕のセンスはたかが知れてるし…………まぁ為せば成る、為さねば成らぬなんとやらって言うし、適当に見繕えば良いよね?
でもシャーリーとのデートを適当にこなすなんてあり得ない。セシルさんに頼んで一緒に服を買うか?けどバレて誤解されるのも嫌だなぁ、説明するのが面倒だし、なによりシャーリーが傷付く――
スザクは真面目に考え始めた。
「なんだかんだと言いながら、結局三人ともピンクな青春を送っているんだよな………」
本当の空気になっているリヴァルが呟いた……………
585 :
代理投下:2009/12/31(木) 23:18:10 ID:+RV7/Wx+
以上です。途中、行が長すぎて書き込めなかった箇所がありましたので
適当に、改行しておきました。オリジナルは代理投下スレでご覧下さい。
明けましておめでとう
そして乙
似た者同士の三人だな
おめでとうー。
去年のラストの投稿でしたね。
おつかれさまでした。
あとリヴァル乙w
>>585 代理投下乙。
そして投下乙です。
リヴァルは何色の空気なんだろう……やはり透明かな
投下乙。
ここでスザシャリは珍しいな!
今年がロスカラに良い年になりますように。
頑張れC&M
投下乙!
だが、ライ以外の男とカプになってる場合は
注意書きがあったほうがいいな。
そだね。
ついつい忘れてしまいがちだけど、
>>2の約束事は投下前に改めて確認しておいたが良いかも。
カップリングとかは人によっては気になるだろうから。
始めまして穴熊と言います
投下しようと思いますが
書き込み自体始めてなので不手際などあるかもしれませんがご容赦ください
銀色の妖精
「あれは、まだ原住民との争いが盛んだったころの領主の城です。一度は焼け落ちたそうですが、第三皇子がエリア11に赴任する前
ここの領主だった時に復元させたそうです。一般公開もされているそうですが、見ていきますか?」
ずいぶんと長くその城を見つめていたので、そう提案したが彼は静かに首を横に振るだけだった
旅にでてはや二週間、本国北部の山間の町まできたが、いまだに彼の目的が分からない
それというのも、彼が極端に喋らないためだ。以前はそうでもなかったが、この旅に出てから口数が減っている
この町が目的地ということは聞いているが、何をするかなどはまったく聞いていない。観光をするでもなく、誰かに会うでもなく、まっ
すぐに山を目指して歩き出した
ゆいいつ足を止めたのが先ほどの旧領主の城だが、それも過ぎ去り今は獣道を歩いている
さすがにここまでくると、目印もないらしく、たびたび立ち止まっては足元を確認している。私も見てみるとわずかに車が通った跡が
残っている
(それにこれはKMF?)
なぜ兵器がこんな山奥を通り、彼がその後を追うのか。謎は深まるばかりである
やがて藪を抜け開けた岩場にでると、先ほどの跡の正体であろう車やKMFが止まっている。いや、正しくは放置されている
砂埃をかぶり、KMFの間接部からは草まで生えている
「これが目的ですか?KMFが欲しいなら騎士団から持ち出せたでしょう?」
そう聞くと、彼は微笑みながら岩場の一角を指差した
見ると岩と岩の間に人ひとりが入れるかどうかという隙間があり、そこに車からケーブル類が伸びている
彼は迷わずその隙間に入っていってしまう
私も続いて入るが、狭いのは、はじめの20Mほどで見る見る隙間は広くなり、ライトで照らすと、床は平らにならされ両側にそびえ立つ
石柱が、ここが遺跡の類であることを匂わせている
進むと広間のような空間に行き着く。道はここで途切れており、中央には祭壇のようなもの、正面の壁には見上げるほど多きな扉がある
辺りにはこの遺跡の調査に使われた資材が転がっている
「いったいここは、」
質問をしようと彼の顔を覗きこむが、悲しむような、懐かしむような、そんな彼の顔を見ると言葉がでてこない
そんな私に気づいたらしく、表情を苦笑いに変え、祭壇の中央に向かう
見るとそこの床には四角い穴が開いていて、階段が地下に進んでいる
階段を降りきると、また通路のようだが、左右に扉がいくつも並んでいる
二人でその扉を一つづつ開けていくが、上の広間と同じくすでに調査の手が入っているらしく何も残っていなかったが、部屋の様子から
寝室と何らかの作業場、さらに大昔の手術室の三種類のようだった
(祭壇、隠し通路、そして手術室。おそらくは大昔の神殿、しかも邪教の類)
私が今までの情報からここが何なのか推察していると、いよいよ最後の扉になった。彼は広間で見せた表情をするが、今度はそれも
一瞬で扉を開く
そこは今までの部屋と大きく異なり、開かれた石棺が一つあるだけだった
おそらくはこの神殿の教主か神を名乗った者の遺体が入っていたのだろうが、今は中は空だ
そこで、私はあることに気がついた
(おかしい。この遺跡の発掘ニュース、記憶にない)
元がつくが、仕事柄あらゆるジャンルのニュースに目を通しているし、自分から探してもいる。この彼と旅の様に
私が思考に没頭していると何かに気づいたらしく、彼に肩をたたかれる
振り向くと石棺の内側を指差される。そこには大昔の文体で
“カリブの海で君を待つ”
と、書かれていた
「うっ、」
遺跡の中から出るとすでに夕暮れだったが、闇に慣れきった目には光が厳しい
「さて、次はカリブ海ですか。まずは、あなたのパスポートをっ!
新たな目的地への旅支度を相談していると、遠くから爆発音が響く
見ると町の方角から黒煙が昇っている
「おそらく、原住民族のテロ行為でしょう。ナンバーズでこそありませんが、彼らも随分と差別を受けているそうですからね。」
もっともそれがテロにまで発展したのは騎士団の活躍に感化されたせいだろうが
話の続きをと思い振り返ると彼の姿なく、代わりに放置されていたKMFの起動音が響く
そこで、私は彼の性分を思い出し溜め息をつく
「行くんですね?」
諦めの入ったその問いにKMFが頭をこちらに向ける
『ああ!もちろんだ!』
ディートハルト・リート著 銀色の妖精シリーズ 第一章『妖精と故郷』より抜粋
以上です
妄想が先走った駄文ですが感想などありましたらよろしくお願いします
595 :
代理投下:2010/01/03(日) 21:22:17 ID:j1n625+a
>>594 乙です。次レスから代理投下します。
支援はいらないかと
以下、本文
新年明けまして、おめでとうございます。
新年ということで、それをネタに投下したと思います。
タイトルは「年の初めの出来事」
カップリングは、ミレイ×ライです。
まぁ、気軽に楽しんでいただければ、幸いです。
年の初めの出来事
「ねぇねぇ、ライ。日本って言う国は、新年を盛大に祝うって伝統があるらしいんだけど知ってた?」
ミレイさんが笑いながらそう言ってきた。
どうやらスザクが学園に来てからというもの、日本の伝統や文化に興味を持ったらしい。
そういえば、この前も日本の文化関係の本を読んでたっけ。
でも、あの手の本は発禁のはずなんだけど、どこから手に入れてくるのだろう。
そんなことを思いつつ、答える。
「そうなんですか。知らなかったなぁ……」
まぁ、記憶がないのだから当然の答えだったんだけど、そんな僕の反応を見て、一瞬だがミレイさんの表情が変わった気がした。
なぜ、そう思ったのかというと、ほんの一瞬ではあるが小悪魔のような微笑が見えたように思えたからだ。
そんなことを思ったものの、気にしないことにした。
いくら言っても無駄だと学習したためかもしれない。
それに、そんな部分や少々強引な性格を含めて、僕はミレイさんに好意を抱いているのだから。
「そういえば、ライは日本人の血も引いているのよね」
思い出したような言葉に僕はうなづく。
「ええ。ミレイさんが調べてくれたじゃないですか」
「うんうん。そうだった、そうだった」
確認するかのようなその声に、また僕の中で引っ掛かりを覚える。
だが、何が引っかかるのかわからない。
少し考えたほうがいいのかもしれない。
そう思ったものの、ミレイさんの言葉がそれをさせてはくれなかった。
「だったら、少しは日本の文化とか伝統を知っておくべきだと思わない?」
両肩をつかまれ、ずいっと言い寄って来られてしまい、僕は無用心にうなづいてしまう。
もちろん、勢いとかだけではない。
それ以上に僕の意識が別の部分に集中してしまい、不覚にも言われるままになってしまったのだ。
そう。その部分とは……。
ミレイさんのどう考えても規格外としか言いようのない豊満な胸の膨らみが、僕の胸に当たっているのだ。
確かに近いとはいえ、これぐらいで胸が当たるのはミレイさんぐらいではないだろうか。
後は……カレンぐらいか……。
だが、その場合、ここまで柔らかさがわかるほどではないだろう。
そう言う訳で、思考が完全にそっち方向に走ってしまい、その後のミレイさんの会話を聞きそびれてしまった。
だが、気にもならない。
それほどのものだったからだ。
まさに、魔乳というべきものだ。
そんな事が頭に浮かび、思考が真っ白になっていた。
そして、手を握られて引っ張られることで、やっと僕は我に返り慌てて聞く。
「えーっと、どこか行くんですか?」
「もう。聞いてなかったの?仕方ないなぁ……」
ミレイさんはそう言いながらも、ぐいぐいと僕を引っ張り続ける。
「日本の伝統を実践しに行くの……」
そう言い切るとミレイさんはますます強く僕を引っ張っていこうとする。
そんな彼女の顔には、決心した表情になっていた。
こうなると多分、何を言っても無駄だろう。
だから、僕は素直に従うことにした。
「わかりました。僕で出来ることなら、全面的に協力しますよ」
そう言うしかもう選択肢はない。
そして、その言葉にミレイさんはすぐ返事を返してくれた。
「うん。一生懸命、協力してね」
ミレイさんの声が喜びに震えているのがわかる。
そんなにうれしいことなのかな……。
そんなことを思いつつ、僕は聞き返す。
「で、日本の伝統の何を実施するんですか?」
そんな、僕の言葉に、ミレイさんの頬が朱に染まった。
そして、小声で答える。
「『姫始め』っていう行為よ」
うーん、知らない言葉だ。
でも、ミレイさんが実施したいなら、付き合うしかないか……。
そんなことを思いつつ、僕は彼女に従うのだった。
そして、その日、僕はミレイさんの所有物になった。
ちゃんちゃん♪
以上です。
まぁ、一気に書き上げたので、細かい突っ込みは多いと思いますが、気にしたら負けですwww
気軽に楽しんだもの勝ちという事で・・・。
以上です。
>>594 乙でした。
これだけではなんとも言いづらいですね・・・・・・
とりあえず、文章の切れ方や句読点の関係で少し読みづらいと感じました。
>>599 乙……って、ラストはR18展開かよ!
そんなライ様に嫉妬したリヴァル様がライ様を・・・アッー!
乙です。
また規制の被害者か……まあ仕方ないんだけど。
>穴熊さん
ディートハルトエンドからの話は珍しいので新鮮でした。
話の雰囲気好きです。語り手は誰だろうと考えるの楽しかった。
最後のシーンは、テロに介入して闘争を止めるのかな?
読点がなかったりは直した方がいいとは思います。
正直携帯からだとあまり気にならなかったけど
>名無しさん
乙です
18禁エンドはちょっと。
18禁エンドなの?
具体的な描写があるわけじゃないし、特に問題ないと思うけども。
うん、この位なら前にもいくつかあったし問題ないと思うな
…具体的描写がある場合は
>>1にも書いてあるスレへカモンw
投下します
前回同様とても短いですが賑やかしだと思って勘弁してください
新たな誓い
数年ぶりにある友を訪ねる
苦しく惨めだったが、充実していたあの頃をともに戦った戦友
日本を取り戻すと誓いをして別れたのだが、その誓いを果たせた後も慌ただしさから報告が遅れてしまっていた
「遅くなってすまない」
そういって座り込み持参した日本酒を開けようとして気づく
「そう言えば酒はダメだったな。まぁ、付き合ってくれ」
そういって二つの杯に酒を注ぎ、片方を口に運ぶ
静かにゆっくりと杯を傾け、酒を飲み干してから再び口を開く
「君との誓いを果たしたよ。思っても見なかった方法でだがね」
そういう口元は誓いを果たしたことを誇るよりも自嘲の色が濃い
「だけど朝比奈たちが逝ったよ、私の力が及ばなかったすまない」
下げた頭を上げないまま言葉を続ける
「それだけじゃない!私はゼロを裏切った!日本と引き換えに彼を売り払ったんだ!」
徐々に強くなる言葉には自らへの怒りがあふれている。さらに自責の言葉を続けようとしたが杯を落とした音で我に返る
柄にもなく興奮してしまったことを恥じながら杯を拾い上げ頭を上げる
「愚痴だなすまん。なにかもっといい話はなかったか・・・」
新しい酒を注ぎながら考えていると一番聞かせたかったことを思い出す
「そうだ!大切なことを忘れてた。驚かないでくれよ」
楽しむようにもったいぶりながら酒を一口飲んでから言葉を続ける
「結婚したんだ。家庭を持つなんて想像もしなかったが、なかなかいいものだよ」
そういって懐から家族の写真を取り出し小さい男の子を指差す
「子宝にも恵まれてね、君の名を貰ったよ。昔の仲間に会うたびに甘やかされていて今から将来が心配だよ」
口では心配しらがらも目元は緩み彼の親ばかぶりがうかがえる
「今度は息子も連れてこよう。あいつは君の話が大好きでね、毎晩ねだられて大変だよ」
子供の様子を思い出したのか口元がゆるみ酒のスピードが上がる
「きっと君の事をヒーローか何かだと思っているんだろう。いや、それは私たちもだな」
すでに何杯目かも分からない杯を空にする
「私たちも酒を飲めば君のことばかり話している。不思議だなあの頃は世界を変えようとしていたのに、いざ変えてみればあの頃が懐かしいんだ」
笑いながら酒を注ごうとしたがすでに一升瓶が空になっている
それに気づき惜しみながらも腰を上げる
「今日のところはもう失礼するよ」
背を向けて歩き出してから最後に言い忘れていることを思いだし振り返る
「日本は取り戻したが世界はまだ不安定だ、必ず守り通す。君ならそうするだろう?」
誓いを新たに今度こそ藤堂はライの墓前を後にした
以上です
ご指摘いただいたところは気をつけたつもりですが実力が追いつかず恥ずかしいかぎりです
避難所の投下、落としておきます。
何レス分かつなげて落とすので、元レスは避難所を参照下さい。以下本文
・・・・・
「ここか・・・」
僕が目覚めたのは、ルルーシュが結末を迎えてすぐの事だった。
同時に、彼女が行方不明であることを知った。
流れ流れてようやく捜し当てる事ができた。
風の便りに聞いた、彼女の居場所。
彼女からすれば、僕に宛てた便りを出すつもりなど無いのだろうけれど
彼女と、ルルーシュと、僕と。
悲しみと共に思い出す懐かしい日々。
祈りを込めて、僕はその扉を開いた。
岬の先の小さな教会に、私は腰を落ち着けた。
ルルーシュがいなくなった世界は、
数え切れない人の胸を軋ませながら、
再び秩序を取り戻そうとしていた。
真似事ではあるが、神父も、近づく者すらない此処は酷く静かだった。
まるで永遠であるかのように。
「それもいいかもしれんな・・・」
ぽつりと呟いた言葉に苦笑する。
魔女が教会で暮らすなど、笑い話にもならない。
彼女が苦笑を深めた時、
入口の扉が音を立てて開いた。
久方ぶりに会った彼女を見て、僕は思い知る。
自分が思っていたよりずっと、彼女が美しい事を。
「ライ、か・・・?」
信じられない物を見たと言うかのように、
彼女が問い掛けて来る。
「久しぶりだな、C.C.」
そんな彼女の様子が何よりも愛しかった。
「しかし何だ、その格好は?
似合わんな、全く」
彼女はニヤリと笑って言った。
「フン、魔女が普通の格好では面白く無いだろう」
互いに顔を見合わせて笑い合った。
あの頃、顔を合わせれば軽口を叩いていた。
別れのその時も、泣かないために。
教会の裏手にある花畑で、
ライは白い花を摘み海へ投げた。
「弔いの花だ。遅くなったけれど」
そして、私にこう言った。
「僕らは共犯だ、今もこれからも。
C.C.、僕は君と共に有りたい」
「私は死なない。お前もそれは知っているはずだ。
私の生にお前を縛りたくない・・・」
そう言って背を向け立ち去ろうとした私を、
ライは抱きしめ離さなかった。
「それでもだ。
ライが命ずる−!!」
通じないギアスに、私は・・・。
とある岬の先、白い花の咲く小さな教会がある。
長い間無人であったそこは、
今や多くの人が訪れる場所となった。
厳かな鐘の音が響くそこは、
今日も笑顔が絶えない。
その中心たる銀髪の神父と、美しいシスターの祈りと共に。
・・・・・
以上です。
駄文失礼致しました。
では、ノシ
・・・・・
↑以上、代理投下分でした。
>609
いい感じだなあ。あのエンドは喪失感が重かったけれど
かつての戦友を偲ぶ図というのは美しい。
ただ、語り手を明言しない手法は機能してるし面白いけど
投下予告で何エンドからの話なのかとか軽く前知識を撒いた方が読みはじめやすい気はする。
>611
通じないギアスをかけるってすごくいい。
CCはシスターになっていたんでしょうか。
絵画的できれいな話。
どちらもちょっと書き方がひねってあって、上手い感じ。
アプローチも面白いね。
また楽しみにしてます
代理投下いきます。
とりあえず行ける所まで……
以下本文
・・・・・
メインタイトル:名家の華と成り上がり者
メインCP:ライ×ナナリー
サブCP:ルルーシュ×カレン&スザク×シャーリー
ジャンル?:微妙に歪んだ貴族社会を舞台にしたパロディ駄文。
警告:カレンorシャーリーの相手はライだけ!または、スザクはユフィが好きなんだから、シャーリーを好きだなんて認めない!!
という方はスルーでお願いします。
名家の華と成り上がり者
第1回騎士侯
皇歴1560年、9月10日…………
私はフェネット家主催のパーティーに招待されていた。
ブリタニアの名家、フェネット家のシャーリーが婚約を発表するとあって、このパーティーには多くの貴族が参加するという。
そんな物に私ごときが参加して良いのだろうか?
物語りを進める前に、まずは私について知っていて貰いたい。
私、ラインハルト・ディザーは祖父の父が農民、祖父が兵士、父も兵士という平凡な家柄の男で、なんの因果か騎士侯に就いている。
私は兵士あがりであり、そこまで凄い人間でもない。
にも関わらず、親しい友や同僚、直属の上司は私を「騎士に、貴族に成るべくして成った者」と持ち上げてみせる。が、私自身は自らがその様な人間ではないと分かっている。
話が逸れた様だ。
私は、父から剣や弓、戟や槍の使い方を学んだ。
しかし、熱意と実力は有ったが教え方がてんで下手だった父の下である事が起因してか、私はすぐに行き詰まった。
私は熱い父が好きだったが、物足りなさを感じていたので士官学校に行かせて欲しいと頼んだ。
私の願いに驚いた様子だったが、父は快諾してくれた。
「遺憾だが、儂はそもそもお前を士官学校に入れるつもりだったよ。これをお前にやろう」そう言って父は一枚の紙を渡して来た。
それは夢への片道切符と言っても良い紙で、こう記してあった。
――皇立士官学校校長アストゥス・アッシュフォード伯爵閣下に、アルセス・ディザーが将来有望な騎士候補生を推薦致します。名はラインハルト・ディザー。歳は13。剣弓の基礎は既に学んでおります。是非とも入学を許可して頂きたい――
そう書いて有った。
――おこがましい事だが、アッシュフォード伯とは親友に近い友だったのだよ。――
父は恥ずかしそうに頭をかいていた。
裕福とはいえ兵士だった父が伯爵の親友だとは信じがたい事だったが、アッシュフォード伯は別け隔て無く人々に接する御人であると聞く。
まったくの嘘で無いのだろう。
父が本当にアッシュフォード伯の親友であると分かったのは、士官学校で名乗った時のアッシュフォード伯の反応である。
私が父と校長室に入った瞬間は教職者の顔でいたのに、父を認識した瞬間には破顔していた。
そこからの細かい出来事は省くが、私は無事に士官学校に入学出来る事になった。
推薦というよりコネで入学したという気がしないでも無かったのだがそこは、まぁ利益を得た訳でもないから、良いとしようか。
推薦でも一般でも、試験はある。
入学試験として、剣と弓をテストされた。
その日私の体調も良く、弓の張りも良かった。
剣に至っては寸分狂わずに狙いを付ける事が出来ていた。
それが良かったのか悪かったのか…………
私は一人の貴族の子弟にちょっかいをだされた。
とりあえず無視をする。
へつらい、頭をペコペコ下げていれば良かったのだろうが、私は貴族の子弟の相手をして自分の調子を崩したくは無かったのだ。
すると貴族が私の近くから去ったので、安心したのも束の間。
何故か剣の相手も弓の相手もその子弟。
間違いなく試験官に圧力をかけている。
相手は貴族の子弟。
その気は無いが、間違えで傷を負わせたら父に責が及ぶやもしれない。
本気で相手にして良いのかと悩んだら、同じく試験をうけると思われる少女が言ったのだ。
――本気でやれば良い…………問題になったら此方でなんとかしてあげる――
私はその言葉に甘える事にした。
剣を取って私は貴族と向かいあった。
取った構えは中段。
貴族は笑みを浮かべて刃を八相気味に構える。
ジリジリとした空気がまとわりつく。
真剣では無いが、それでも実戦の空気だ。
試験官の号令と共に刃が宙を舞った。
私は開始と同時に二つの突きを入れた。
それで決まるとは思っていなかったが、態勢は崩せると考える。
その程度の突き。
しかし子弟は態勢を崩すどころか、その突きを殺すのではなく弾き返してきた。
普通突きに対応するなら退くか受けるかだが、その子弟は弾き返した。
半端な技量と腕力では不可能である。
ただのボンボンでは無い。その実力は本物だ!
警告が身体中を駆け巡る。
子弟は弾いた突きの威力に驚く素振りを見せていた。
流石に技量は有っても当時は私と同じ13だった子弟には、直ぐに切り返す程の筋力足りなかったらしい。
私は外に弾かれた刃を円を描く様に引き戻し、返す一手で再び――今度は本気で――突いた。
子弟は弾き返そうとはせず、剣の平で受けた。
木剣であるために流しは出来ないが、折れやすい木剣で突きを殺したのだ。
やはり子弟の技量は水際だっている。
そこで膠着した。
下手に動いたら負ける。
負けて良い勝負だが負けたくは無い。
しかし私は子弟と眼があった事で考えを改めた。
子弟の瞳に敵意は無く、ただ犬の様な瞳だ。
――負けたら悔しいが、それはそれで良いかもしれない――
しかしそこで試験官が終了を告げた。
端からみたら僅か10秒の攻防だっただろう。
しかし私からしたらもう少し長かった。
次に行なった弓の試合は難しい物では無かった。
的に向かって矢を10本放つ。
ただそれだけ。
興奮もしない、ただ単調な試合。
私と子弟は共に10本、当然の様に当てた。
試験は無事に終わった。その時の推薦組は大変出来の良い人間ばかりで有ったらしく、全員が受かった。
私が驚いたのは、当時試験を受けた者達の殆んどがブリタニアの貴族であったというもの。
しかも大貴族も何人か居たというのだ。
私に声を掛けた少女はブリタニアの名家アールストレイムのアーニャ。
私と打ち合った子弟はヴァインベルグ家のジノ。
共にブリタニア八家の人間で、本来なら士官学校などに来る人間ではない。
二人が言うには、士官学校は社交より余程楽だから、だそうだ。
後々士官学校で、私は二人と色々な事を協力してやり遂げ、親友とも言える仲になる。
更にジノ繋がりで枢木スザクという男とも友になった。
そして、その枢木スザクが今回の婚約パーティーの主役の一人……………
「何を考えて居るんだ?」
ジノが料理を片手に話しかけて来た。
僕は……私は頭を切り替えて言った。
「いや、少し過去の事を考えていたんだ………」
「過去?」
「そうだ」
私の言葉にジノは鼻で笑った。
「私達は過去を振り返る程生きてはいないだろうに………まだ私達は18だぞ?」
「常に過去を振り返って自制と自省を心掛けているんだよ。私は弱い男だからね」
「謙虚が過ぎれば嫌味になると前にも言っただろ?」
「君に嫌味とは言われたく無い。君は事有る毎に、おぁこれが庶民の〜〜だな!なんて言うんだから」
「それは嫌味じゃないだろ」
「嫌味に聞こえると前にも言っただろう?」
ジノと私はシニカルな笑みを浮かべた。
「まぁそれはともかく、本当に私が来て良いのか?こんな凄いパーティーに…………」
私が呟くと、ジノが笑った。
「シャーリーもスザクもお前の友じゃないか。友の婚約パーティーに参加するのは当然だろう」
「スザクは友と呼べるが、シャーリーを友と呼んで良いのだろうか?本来ならシャーリー嬢とかフェネット嬢とか呼ばねばならないのに………」
「そんな他人行儀で居る理由が分からんぞ?もっと堂々としていろ!」
「成り上がりの騎士侯ごときが大きくなれる様なパーティーか!?周りは爵位クラスだらけだぞ?騎士侯なんて私くらいのものだ」
「貴様、さっきから煩いぞ」
私達―というより私は見知らぬ男から叱責を喰らった。
男は中肉中背で身体的には全く特徴が無いが、親の仇を睨む様な眼が印象的だ。
肩の紋から言って子爵だろう。
周囲はプラス方向の活気に溢れており、私達の声量では「煩い」の域に入らないはず。
此方に非は無いが、大人しく頭を下げようとする。
しかしジノに止められた。
「ジノ?」
「お前の頭はこの様な者に下げる物では無いだろ」
子爵は顔を赤くして言った。
「貴様には言っとらんぞ」
貴様という言葉にジノは眉を潜めたが、努めて冷静に言った。
「酷いことを言うが、君はたかだか子爵じゃないか。子爵が伯爵に向かって貴様とはなんだ?」
「伯爵!?」
「確かに私は社交界に出てきて間もない。だがブリタニアの貴族ならば、ヴァインベルグの顔くらい覚えておくべきだ」
「!それは失礼しました…………。ようするに子爵は騎士侯には貴様と言っても良いと言うことでしょうかな」
ジノは自らの意見をねじ曲げて代用した男の事を憎々しげに見た。
「ラインハルトは私の親友だ。それにラインハルトは、いずれ実力で伯爵や侯爵になる男だから君が貶していい人間ではない」
「失礼ながらそれは貴方の思い込みでしょうな」
「なに?」
「あなたがどう思おうと、そこの騎士侯には実力など有りはしますまい。そう思ってしまうのは贔屓があるからですよ」
正論とは言い難いが否定はしづらい言葉。
男がそう言うと、ジノの背後から小さい声が聞こえた。
「その発言は、ヴァインベルグは勿論、アールストレイムとアッシュフォード、エニアグラムやヴァルトシュタインを敵に回すのと同義だと思う………」
「なに?」
ジノが振り向くとそこにはアーニャが居た。
「ライに期待している人間は結構いる。八家や大公爵、皇族の中にも彼を認める方々は沢山いる。彼らが認めるライをこれ以上貶そうと言うのなら、それは私を含めた多くの人間を敵にまわす事になる…………」
アーニャの言葉は淡々としているが、私は少し恥ずかしくなった。
凡人たる私は、かなり重い期待を抱かれているようだ………
「…………」
「私は貴方に殺意を持ちはしないし、家の者が貴方を殺そうとしたら止める。けど貴方のために、他家の人間の動きを止める様なこともしない」
「脅しですかな?」
子爵が小さく呟く。
「脅し?私は事実を言っただけ」
「この男がそんなに凄い人間だと?」
ジノが口を挟む。
「君、貴族の端くれなら【流血の白薔薇】事件を知っているだろ?」
子爵は憎々しげに答えた。
「知っていますが………それがどうしました?」
「あの事件解決の第1功労者はラインハルトだぞ?」
ジノの言葉に子爵は驚いた様に私を見る。
「じゃあミュラーを斬ったのは………」
アーニャは感心した風に呟いた。
「意外と鋭い」
子爵は首を振った。
「しかし、ミュラーは剣で男爵から辺境伯にまでなったラウンズクラスの武人…………騎士侯が倒せるわけがない」
ジノが言う。
「アーニャが、ヴァルトシュタインやエニアグラムも敵に回すと言った理由を考えたらどうだ?」
「…………これも事実。という事ですかなアールストレイム卿」
「そう」
「しかし、事実ならなぜ………」
「公式発表で出なかったか?」
「そうです」
ここまで来ると、子爵の顔が真剣味を帯びてくる。
見ていて気付いたのだが、私に怒鳴って来たときは酔っていただけのようだ。
本来は知的と称して良い人間なのかも知れない。
突然、子爵が吟うように言葉をつむいだ。
驚いた事に、周りの人間が会話を止めて聞き惚れる程の美声である。
「……勇、並ぶ者なく、技、敢えて競う者なし。気性、猛々しくも、情、厚し。そう歌われるミュラー卿を倒すのだから、卿は………なるほど、流石はあの方…………」
私の眼を見る子爵は、最初の様子と全く違う。
しかも私の事を本当は知っていた感じだ………
ジノとアーニャも子爵の変わり様に顔を見合わせた。
子爵は笑顔を浮かべている。
アーニャが思い付いた様に子爵に言った。
「貴方、誰の回し者?」
「回し者とは?」
「クズ貴族の様に現れた癖に、私達の言葉だけでアッサリとライの事を見極める。そんなの愚鈍な人間に出来る事ではない」
ジノが納得したように呟いた。
「子爵は最初からライの事を知っていたのか!」
子爵は笑みを深めた。
何処か愛嬌のある顔である。
「えぇ。実は私、陛下直属の機密情報局の………」
子爵が声を潜めた瞬間、私は誰かに抱きつかれた。
「うわ!」
重くて倒れる。
「なにやってんだよノネット」
ジノが笑うのが聞こえた。
背中のエニアグ………ノネットさんが子爵に言っている。
「おいおいクワハラ。ばらすのが早すぎるぞ?せめて私が乗り込むまで【クズ貴族】をやってくれよ」
「それはどうも。ところでノネット様………ディザー卿が潰れてますぞ」
「ん。そうか、済まないなライ」
謝るならば早く退いて欲しいです………
ノネットさんは身長が大きいから、それに比例して重いのですし…………
ノネットさんに起こして貰ったら、ジノが代わりに乗しかかって来た。
「なぁノネット。なんでその子爵を使ってちょっかい出させたんだよ」
「そりゃ決まってるだろ。クワハラは子爵だが、ラウンズ推薦権を持っているんだ。だからライを推薦させようと思ったんだが……」
ジノが聞いた。
「さっき子爵は陛下直属の機密情報局って言ってたが………」
「嘘に決まってるだろ。これは本編じゃないんだ。情報局なんかないさ」
アーニャが呟く
「世界観を壊しかねない際どいネタは言わないほうが………」
ジノがわざとらしくゴホンと咳をする。
「ノネットも八家の人間で、しかも現役ラウンズなんだから推薦権も投票権も有るんじゃないのか?」
ノネットさんが首を振った。
「陛下が現役ラウンズの推薦権を無くしたんだよ。だから私は投票しかしない」
「へぇ………じゃあビスマルクもドロテアも?」
「ドロテアはラウンズ選考にノータッチだな。ビスマルクはほら、あいつは私と同じで八家だから」
二人の会話を聞いていて私は思った。
――やはり場違いだろ――
今までも身分が近いのはスザクだけだった。
しかし今日の発表で、スザクは一気に子爵だ。
私はこれから枕を抱き締めて眠るしかないのか…………
未来のラウンズ達と今のラウンズが楽しく話して居るなか、私は暗い気分に陥った。
この時の私には、スザクとシャーリーの婚約発表パーティーで、私自身の運命の女性に会うということは分からなかったし、分かるはずもなかった…………
第1回終了
設定みたいな物【シュナイゼルさんとカノンさんver】
突然シュナイゼルに書類を渡されたカノン。
書類をチェックしてから嫌そうに言った。
カ「本編に出てない私に設定を説明しろと?」
シ「嫌かい?」
カ「どうせ断らせないのでしょう?やりますわ」
シ「うん頼む。……………おや?この説明を励んだら、君の出番を増やすとカナリアが言っている。私もフォローするから頑張りたまえ」
カ「……イエス・ユア・ハイネス!」
――爵位について――
まずこの説明は作品内の爵位についての話です。
正式な物ではありません。
カ「爵位は、騎士侯・男爵・子爵・辺境伯・伯爵・公爵・侯爵の7つあります。順に権利と義務が増えます。騎士侯以外の爵位は、基本受け継がれて行きます。騎士侯は功績の有る市民や騎士がなれる貴族で、一代限りとなります」
シ「騎士侯とは本来、多大なる功績をあげて貴族になるに相応しい人物に、どの爵位を授けるか選定するまでの仮の地位だったんだ。まぁ補足だね、これは」
カ「ありがとうございます。作中にあるように、ブリタニアには八家という家柄が有り、それは下の通りです」
八家
ヴァインベルグ
アッシュフォード
ヴァルトシュタイン
アールストレイム
エニアグラム
シュタットフェルト
ランペルージ
ブリタニア【次男家】
カ「これが八家です。ヴァルトシュタイン・アールストレイム・エニアグラムは侯爵、シュタットフェルト・ランペルージは公爵、ヴァインベルグ・アッシュフォードは伯爵。ヴァインベルグ・アッシュフォードは伯爵ですが、
八家以外の公爵・侯爵より立場が上で、昔はそれが元で争いが起きたこともあります。シュタットフェルトは商家としても知られ、ブリタニアの財政の片翼を担っています。アールストレイムは十代前ほどに皇族から離れた家系です」
シ「まぁ貴族に関しては此処までで良いだろう。次は組織や事件を頼むよ」
カ「了解しました」
――事件・組織について――
カ「作品で流血の白薔薇という事件が有りますが、あれを説明します…………。」
カ「作中の三年前、とある貴族が殺されました。被害者は白薔薇が好きで、事件の現場にも沢山落ちていたのですが、それは被害者の血で真っ赤に染まっていたんです。警察局がそれを見て付けた事件名が流血の白薔薇事件」
シ「一人目が殺された直後、何人もの貴族が次々と殺されていった
カ「事件の事は終わりにして、そのラウンズの説明をしますね。ラウンズとは帝国最強12騎士の事で、現在はノネット卿、ドロテア卿、ビスマルク卿、ルキアーノ卿の四人が就任しています」
シ「4年程したら、ラウンズは8人になっているだろうね」
カ「そうですわね…………ところで殿下」
シ「なんだい?」
カ「私の出番は本当にあるんですか?」
シ「さぁね。私じゃなくてカナリアに聞きたまえ」
カ「………………」
・・・・・
本文以上です。
ヌケや間違いあったらごめんなさい。
長すぎるといわれた行は適当に改行しました。
オリジナルは避難所にてご確認下さい。
>652部分に不足があり追加依頼。
以下差し替えになります
・・・・・
八家
ヴァインベルグ
アッシュフォード
ヴァルトシュタイン
アールストレイム
エニアグラム
シュタットフェルト
ランペルージ
ブリタニア【次男家】
カ「これが八家です。ヴァルトシュタイン・アールストレイム・エニアグラムは侯爵、シュタットフェルト・ランペルージは公爵、ヴァインベルグ・アッシュフォードは伯爵。ヴァインベルグ・アッシュフォードは伯爵ですが、
八家以外の公爵・侯爵より立場が上で、昔はそれが元で争いが起きたこともあります。シュタットフェルトは商家としても知られ、ブリタニアの財政の片翼を担っています。アールストレイムは十代前ほどに皇族から離れた家系です」
シ「まぁ貴族に関しては此処までで良いだろう。次は組織や事件を頼むよ」
カ「了解しました」
――事件・組織について――
カ「作品で流血の白薔薇という事件が有りますが、あれを説明します…………。」
カ「作中の三年前、とある貴族が殺されました。被害者は白薔薇が好きで、事件の現場にも沢山落ちていたのですが、それは被害者の血で真っ赤に染まっていたんです。警察局がそれを見て付けた事件名が流血の白薔薇事件」
シ「一人目が殺された直後、何人もの貴族が次々と殺されていった
シ「一人目が殺された直後、何人もの貴族が次々と殺されていった。手口は同じ、巨大な刃で頭を砕かれていた」
カ「犯人の目星は三件目から付いてたのですけれど、犯人と目されるミュラー卿はその様な事をする人間ではないと…………」
シ「警察はミュラー卿に罪を押し付けようとする真犯人がいると考えていたようだね。」
カ「彼は人気でしたからね。しかし四件目の直後からは警察も認めたようで、直ぐに包囲網を築きました。しかしミュラー卿は剛力無双の武人ですから、普通の騎士や軍人では勝ち目がありません。そこで運が良かった事に…………」
シ「ラインハルト・ディザーがいたんだね」
カ「えぇ。彼は丁度士官学校を卒業したばかりで、初めての現場でした」
シ「ミュラーは薬物を服用していて暴れていた。だから凶暴さが増していたのに、彼はそれを打ち倒した。」
カ「ミュラー卿の名誉の為に捕縛後自殺という事になってはいましたが、公然の秘密と言うものです」
シ「その時の活躍で彼は騎士侯になったんだ」
カ「そうですわね…………」
シ「エニアグラム卿が新しいラウンズ候補だと喜んでいたな」
カ「事件の事は終わりにして、そのラウンズの説明をしますね。ラウンズとは帝国最強12騎士の事で、現在はノネット卿、ドロテア卿、ビスマルク卿、ルキアーノ卿の四人が就任しています」
シ「4年程したら、ラウンズは8人になっているだろうね」
カ「そうですわね…………ところで殿下」
シ「なんだい?」
カ「私の出番は本当にあるんですか?」
シ「さぁね。私じゃなくてカナリアに聞きたまえ」
カ「………………」
・・・・・
以上です
乙
続きが気になる
628 :
名無しさん:2010/01/11(月) 22:41:48 ID:0+cyJN+E
そういえばギアスさらに新シリーズらしいぞ
ニュータイプとかHPで言ってたが・・・
少年エースで連載するやつですね
メディア展開も企画されてるそうですし、ロスカラ2とかでるといいんですけどね
投下します
ある騎士団員を取り上げたものです
その男・・・?
行政特区日本が開始してから僕たち黒の騎士団の仕事は格段に増えている
しかしゲリラ上がりの僕たちにはデスクワークが出来る人間が少なく、必然的に一部の人間の負担が多くなる
その一部になってしまった僕こと“ライ”は連日の残業に追われていたが、今日は久しぶりに定時で帰れることに浮かれていた
だからか普段はまっすぐに帰るところを休憩室に立ち寄りコーヒーでも飲もうかなどと考えていた
「よお、今日はもう帰りか?」
自販機に小銭を入れたところで声をかけられ振り返る
そこには知らない人がいた
長身で体格のいい茶髪の男だが見覚えがない。ならば結論は一つしかない
「すいません人違いです」
そう言って頭を下げ自販機に向かいなおそうとしたが
「ははは、ライが冗談いうなんて明日は雪が降るな」
笑いながら肩を叩いてくる。僕の名前を知っているということは知り合いのようだ
コーヒーを買ってから男の顔を改めて見る
む、よく見ると見覚えが無いこともない、しかし名前が全然思い出せない。誰だ?しかたない聞こう
「失礼ですけどどなたでしたっけ?」
「おいおい、あんまりしつこいと笑えないぞ」
まだ冗談だと思っている男は少しだけ困った顔をする
「いえ、本当に思い出せなくて。名前を聞けば思い出せると思うんですけど」
そこまで言ってようやく僕が本気だと気づいたようだ
「そうか、たまにあるよなそんなこと。“吉田”だ、吉田透」
よしだ、ヨシダ、吉田、頭の中でその名前を何度も繰り返す
吉田?いたかそんな人?
「吉田?さん一ついいですか?」
「なんで?が入ったか知らないがなんだ」
許しが出たので基本的な疑問をぶつける
「僕たち話たことありましたっけ?」
マンガならし〜〜〜んとか、ヒュ〜〜〜とかいう擬音が流れそうな沈黙が訪れる
長いようで一瞬の沈黙が過ぎ去り吉田さんが口を開く
「そういえば無いかもな」
やはり僕の記憶に間違いは無かった
「ですよね。どうしても杉山さんと月下の話をしてたとき横にいたくらいしか思い出せなくて」
ちなみに今のがゆいいつ彼が絡んだイベントだ
そんなことはさておき、疑問が晴れた僕が一人うんうんとうなずいていると吉田さんはこれ以上無いくらい沈んでいる
「俺って杉山のおまけかよ・・・。俺だっていろいろ頑張ってるんだぞ・・・」
うなだれる彼の姿を不覚にも友人“リヴァル”と重ねてしまう。彼も散々空気扱いを受けているからな
そう思うとなんだか哀れになってきたのでそっとしておこうと思う。僕はゆっくりとその場を離れた
「なあ、俺ってそんなに影薄いか?」
裾をつかまれた!これじゃあ逃げられない
「そんなことないですよ。僕がイベントを見逃しただけかも知れないですし」
何度でも言う、彼が絡んだイベントは杉山の横に“いるだけ”のものが一度だけだ
「だけど他のやつらは強制イベントでも台詞があるじゃないか。いや、騎士団員男性にだってあるぞ」
そんなことはシナリオさんに言ってほしい。面倒くさいな、適当に喜ばして追い返すか
「そうだ!吉田さんはCGに出てるじゃないですか!」
「CG?」
その言葉に吉田さんが頭を上げる
「そうですよ!台詞なんて音声と文章だけですけど、CGはちゃんとギャラリーにも登録されて何時でも見れるんですよ!」
これだと思い一気にまくし立てる
「ほ、本当か?本当に俺が写ってるのか?」
「ええ!本当ですとも!見てください!」
PSPを取り出しギャラリーの黒の騎士団編を選ぶ
一つ目、入団イベントのCGでゼロのマントから頭だけが出ている
「・・・・・・」
「・・・・・・」
二つ目、慰安旅行ルートの宴会で一人酔いつぶれてよだれで水溜りを作っている
「・・・・・・」
「・・・・・・」
以上
「お前俺のこと嫌いだろ!」
吉田さんが僕の襟首をつかみあげる
「落ち着いてください!嫌いになるほど絡んでないじゃないですか!」
瞳孔が開いてとってもやばい感じの吉田さんをなだめつつ次の作戦を考える
そうだ!昔の人がいいこと言ってた!押してだめなら引いてみろだ!
「すみません。僕じゃあ力不足みたいです。いっそ自分でアピールしてみては?」
「自分でアピール?」
よし!食いついた!いける!
「そうですよ、残念ながら吉田さんの魅力はうまく伝わってないみたいなのでこの場を借りてアピールしましょう」
あわよくばその隙に逃げられる
「よし、じゃあいくぞ。あー、俺は吉田透。扇たちと昔からレジスタンスをしていて黒の騎士団じゃあ一応幹部ってことになってる」
乗ってきたな今のうちだ。足音を殺して吉田さんから距離をとる
「戦闘では雷光の機長として二人の部下と共に戦場を駆けている」
「雷光?」
しまった!知らない単語が出たんでついしゃべってしまった
「知らないか?グラスゴー四機を台座にリニアキャノンを装備した三人乗りの機体なんだが」
そこまで聞いてやっと思い出す
「あぁ、ありましたね。ロスカラにでて無いんで忘れてました」
言ってから気づいた。まずい
ゆっくり吉田さんの方を見ると案の定また悪いほうに入っている
「わざとだろ。ぬか喜びさせておいて、わざとだろ」
なんかもうどうしようもないな。彼を見ているとリヴァルがましに思えてきた
そうだリヴァルは空気、目に見えずともそこに存在するし感じ取れる。でも彼は違う、その存在じたい微妙だ例えるなら空間。概念では存在しているが決して感じ取ることは出来ない物
きっと今こうして会話しているのも夢か何かだろう。なら僕は目を覚まして仕事に行かなくては、そう僕は自分のベッドで寝ているんだ。これは決して現実逃避じゃない
「じゃあ明日も早いんでこれで」
そういって空間さんに背を向け走りだす
「待て!ライ!俺を一人にするきか!」
その叫びを聞きながらも振り返らず帰路に着く。早く寝て全てを忘れるために
「もっと絡んでくれぇー!」
以上です
吉田の出番もっとあったらすいません
俺、今でも吉田と杉山がどっちか分からないんだ・・・
>>632 日の当たらないキャラにスポットを当てる辺りに
ロスカラ愛というかギアス愛を感じ取りました。乙
ギアス最初のDSのゲームだと結構使ったけど
吉田は24、25話スペシャルで残念ながら爆死したしなぁ…
吉田……吉田。オールバックの人だったかな?
杉山は声がリヴァルだから喋れば区別できるんだけど
面白かったです。
ライに絡もうと物陰で待ち構えるその他大勢が見えるようだ
こんばんわ
短編を投下したいと思います。
支援は、要らないと思います。
なお、今回は、カップリングははっきりさせていません。
まぁ、読んでみてください。
そして、楽しんでいただければ、幸いです。
名前
それは些細な悪戯心からだった。
すやすやと眠る彼の側で添い寝してやろう。
それはほんの僅かな自己満足の為の行為。
そう私はわかっている。
本当に、それだけの事でしかないと……。
だけど、やってしまった。
仰向けで眠る彼の横で横になり、擦り寄っていく。
そして、身体が当たるか当たらないかのところで止める。
今の私には、それが精一杯。
でも、それだけで私の心臓はの動悸は高鳴り、とても恥ずかしく、それでいてとてもうれしい。
私は、彼の事がとても気になっている。
いや、これは……多分……好きなんだと思う。
そういえば、ここ最近はいつも彼を目で追っている気がする。
ああ、いつからこんなになってしまったんだろう。
私は、そんなことを思いつつ、気持ちよさそうに眠っている彼の眠っている横顔を見ていた。
そろそろ離れないと……。
そう思っていても、身体は動こうとしない。
いや、離れようと思うだけで、心も身体も今の状態から抜け出せなくなっていた。
このままここにいたい。
それだけで、今はいい。
そんなことさえ考えてしまう。
いけない。
これはいけないことなんだ。
そう思ってみても、動けない。
彼が目を覚ましたらどうしょうという思いと、目を覚まして私を見て欲しいという思いが、私の心の中で吹き荒れている。
ああ、駄目なのに……。
でも、駄目だと思うけど、私の思いはそれ以上に強く、歯止めが利かない。
あと5分だけ……。
あと10分だけ……。
まるで、駄々をこねるかのように時間が先延ばされていく。
このまま、ずっとこの時間が続けばいいのに……。
そう思った瞬間だった。
「んんんーっ……」
彼が寝返りをうち、身体の向きを変えた。
天井を向いていた顔が動き、私の方を向く。
私は身体中を強張らせてしまい、動けない。
そして、まるで私を見つめるかの様に顔が動き、右手が私の身体を覆いかぶさるように載せられる。
びくんっ。
身体が反応し、私は息が止まるほど驚く。
だが、それだけではなかった。
まるで私が居るのがわかっているかのように、私の身体に載せられた彼の手に力が入ると抱き寄せられていた。
一瞬、思考が真っ白になる。
そして、気が付くと、私は彼の胸の中に居た。
彼の匂いと身体から伝わる体温が私の思考を完全にトロトロに蕩かしていく。
ああ、なんでこんなことに。
ほんの悪戯心から始まったとはいえ、こんなことになるなんて……。
でも、すごくうれしい。
私、彼に抱きしめられている。
顔がまるで熱でもあるかのように熱くなっていくのがわかる。
駄目だ……。
すごく……、うれしい。
そして、幸せすぎる。
それは、偶然の出来事であっただろうが、私にとっては、とてもすばらしいことだった。
普段、神様なんて信じないのに、この瞬間だけは神様に感謝してもいいと思ったほどだ。
だけど、そんな幸せは続かなかった。
抱きしめられた私に囁かれた寝言は、別の女性の名前だったのだから。
その言葉は、蕩かされた私を正気に戻すのに十分だった。
私は、彼が目を覚ますのもかまわずに、力任せに押しやるとベッドから叩き落した。
「あいてっ……」
ベッドの下から悲鳴が聞こえたが、私はそんな彼にかまわずにさっさと部屋を出たのだった。
知らない女性の名前にショックは受けたものの、結局、それが私を決心させるきっかけとなった。
他の女に獲られたくない。
彼を私のものにしたい。
その思いだけが強く強く、私を動かしていた。
だから、私はブルームーンの夜、彼に告白した。
好きです。愛していますと……。
そして、彼も私に答えてくれた。
それはとてもうれしいことだった。
だけど、私はどうしても、あの時出た女性の名前が気になって仕方なかった。
でも聞けなかった。
すべてを壊してしまいそうな気がして、どうしても聞くことが出来なかった。
そして、月日が流れた。
その間に、辛いこと、楽しいこと、いろんなことを二人で体験し、共通の時間を過ごしてきた。
それは、二人の絆をより強くしてきた。
だからだろう。
今なら聞けると私は思った。
あの時出た女性の名前はなんだったのかと。
私の質問に、きょとんとしながらも、かれは教えてくれた。
そして、彼の口から出た答えに、私は大笑いをしてしまった。
彼の寝言に出た女性の名前。
怖くて怖くて聞けなかった名前。
それは、彼の妹の名前だった。
つまり、私は、今までずっと彼の妹に嫉妬していたのだ。
そして、それがきっかけで告白する決心をした。
なんだ、私、一人で勝手にくるくる回ってただけじゃないの。
もう、笑うしかなかった。
だけど、それは惨めな笑いではなかった。
楽しくて楽しくてしょうがない。
そして、彼の妹に感謝する笑いだった。
《おわり》
640 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/15(金) 00:16:19 ID:uwSA9xzt
あ
以上です。
今回、あえて名前を入れずに書いてみました。
皆さんは、誰だと思って読みましたか?
私は、ミレイさんだったりします。
でも、人によっては、カレンだと思う人もいるんじゃないかな。
それは、多分、読んだ人によって違うと思います。
だから、読んで最初に思いついたキャラクターのSSだと思っていただければ、幸いです。
では、今回は、これで失礼します。
乙です!
自分が思い描いたのはカレンでした。面白い試みですね
妹だったってオチは読めてはいたけど明るい終わり方でとってもよかったです
ああ、これは良い空気の作品ですね、面白かったです。
短く落としてくるのもSSらしくて良いですね。
お疲れ様でした。
乙です
添い寝してきたのがカレンで、寝言の名前がCCという嫉妬系を想像したのは私が汚れているからでしょうか
投下します
解放戦線偏亡命ルート(合衆国建国しないほう)のエンド後からの話です
生きる理由
中華連邦、ブリタニア、黒の騎士団による三つ巴のキュウシュウ戦役から一週間がたった
私の所属していた日本解放戦線も中華連邦とともに戦ったが上層部の早期撤退により指揮系統が崩壊、その隙をつかれ多くの仲間が散っていった
解放戦線の生存者は黒の騎士団に合流、これによりエリア11最大の反ブリタニア勢力の完成となった
しかし、ブリタニア軍や一般市民には知られていないが騎士団は今、内部にいくつかの問題を抱えている
その中で私が気にかけているのがこの食堂の有様である
食事が不味いわけではない、衛生面に問題もない、十分な広さもある。団員たちは今日も親しい者と肩を並べ談笑しながら午後の仕事に備え食事をとっている
では何が問題なのか?それは色だ
食堂右半分は黒、これは騎士団の制服だ。そして左半分は緑色、こちらは解放戦線で使っていた旧日本軍の軍服である
さて、なぜ食堂が左右二色に分かれているかと言うと
敵同士として戦ったキュウシュウ戦役
素性を明かさないゼロに対する解放戦線側の不信感
と、幾つかあるがそれは異なる組織を束ねていく時にどうしても生じてしまうことだ。元より私が気にかけることではない
では、なぜ私が気にしているかというと、その問題の中に元日本解放戦線少尉ライが含まれているからだ
事の発端は解放戦線を吸収した黒の騎士団の組織体制の発表のときだった
「これより黒の騎士団新組織体制を発表する。まず、総司令官に私ゼロ、副指令扇要…中略…第三特務隊玉城真一郎以上だ。細かい部隊構成は追って書面で知らせる」
トップはゼロこれは仕方ない。個人的には不満だが多くの団員は彼のカリスマに惹かれているのだから
軍事総責任者に藤堂鏡志郎、その補佐として四聖剣が要所に組み込まれている。前線はこれで磐石だろう
あとは、情報関係の長のディートハルト・リートと開発主任のラクシャータ・チャウラー、この二人については詳しく知らないが能力主義のゼロが日本人以外を抜擢するのだから適任なのだろう
概ね納得のいく采配だが、一つだけ納得がいかないことがある。そのことをゼロに問いただそうとした時、私のすぐ横から声が上がる
「ちょっといいかな?」
声の主は四聖剣の一人朝比奈省吾だった
「なんだ?」
ゼロに問われて朝比奈が言葉を続ける
「彼の、ライ少尉の名前がなかったけど、言い忘れかい?」
その質問は彼だけでなく、私や多くの解放戦線メンバーの質問でもあった。少尉の能力は四聖剣と比べても見劣りしない、その彼が役職なしはありえないだろう
「いや、彼は藤堂の直轄部隊に配属した。先ほども言ったが細かい部隊構成まで発表していたらきりが無いからな」
ゼロがそう言うと集まっていた団員たち、とりわけ元解放戦線メンバーに動揺が走る
藤堂の直轄部隊となればエリートといって差し支えないが所詮は一兵士、とても彼の能力に見合ったものではない
「馬鹿な!少尉の能力は知っているだろう!」
「たしかに、能力“だけ”は平にしておくのはもったいないですね」
ありえない人事に私がゼロに詰め寄ろうとするがそれをディートハルトが遮る
その少尉への侮蔑が含まれた言葉に皆が厳しい目を向ける
「まるで少尉に問題があるような口ぶりだな」
怒りを抑え何とか冷静に言葉を返す
「ええ、そう言ったんですよ」
その言葉に室内が殺気だつが、気にした風もなくディートハルトが言葉を続ける
「解放戦線ではどうだったか知りませんが、彼は一度KMFを奪い騎士団から脱走しています。そんな人間の合流を認めただけでも感謝すべきでは?」
それをいわれ私たちは何も言い返せなくなる。そう、理由はどうあれ彼は騎士団を脱走している。普通はKMFに乗せるどころか、合流さえ認められないだろう
ならば、この人事は感謝こそすれば文句を言うべきではない。しかし納得できないのが私たちの心情だ
「いいですよ」
なを食い下がろうと言葉を探していると、当の本人がそう声を上げる
「KMFに乗れるだけでもありがたい。それ以上は僕には分不相応です」
誰もそんなことは考えていないが本人が言うのならば周りは何もいえない
結局その日はそれでお開きとなったのだが、ライの脱走暦を気にする団員と人事に不満のある解放戦線の者が醸し出す空気が広がり自然と騎士団内は黒と緑の二色に分かれていった
そんなことを思い出しながら食事を取っていると見慣れた銀色が目に入った
少尉が食事の乗ったトレイを持ったまま食堂の中を見渡している。おそらく空席を探しているのだろう
さいわい私の隣の席は空いている
「少「お〜いライ!ここあいてるぞ!一緒に食おうぜ!」
少尉を呼ぼうと声をかけたがそれは別の声に塗りつぶされた。声の主を探すとそれは黒色のど真ん中に陣取った玉城だった
玉城は脱走など気にせず少尉に接してくれるいい人物なのだろうが、もう少し空気は読めないだろうか。見ろ、黒色の真ん中に一人緑色が混ざって回りも少尉も微妙そうだろ
その後も玉城は何かと大騒ぎしながら時折少尉の背中をバンバン叩いては笑っている。少尉も困りながらもそんな触れ合いを楽しんでいるのか笑顔だ
それを横目に見ながら食事を続ける。心なしか周りに座っていた者との距離が開いている気がする
「お、おい!大変だ!今すぐテレビをみろ!」
食事も終わりそろそろ仕事に戻ろうかと考えていると、一人の団員が駆け込んでくる
「ユーフェミアが!ユーフェミアが!」
よほど興奮しているのか、それ以上はまともに聞き出せない
結局我々がユーフェミア・リ・ブリタニアの提唱した行政特区日本構想を知ったのはその数時間後のことだ
黒の騎士団アジトのラウンジに多くの幹部が集まっていた。普段からここは会議などによく使われるし、居心地がよく特に用事がなくとも一休みに使う者も多い
しかし、いまはどちらでもない。突如発表された特区構想をどう受け止めていいかわからず、つりあえず誰かの意見を聞きたく誰からとも無く集まってきたのだ
「俺たちも参加するべきじゃないかな?」
始めに口を開いたのは副指令の扇だ。彼の性格ならそう言うだろう。だが皆の表情は芳しくない
「んなこと言ったって、ブリキの皇女様の言うことなんかうそに決まってるって」
そう言うのは玉城だ。彼の言葉には偏見が混ざっているものの、納得もいく。たしかに今更ブリタニアから歩み寄るなど考えられない
「ゼロは何て言ってるんだ?」
杉山の質問に扇に視線が集まる
「今は何も言ってこない」
騎士団が浮き足だってるこのときに何も?いったいあの男は何を考えているんだ
皆の困惑が伝わったのか扇が言葉を続ける
「ライ、君はこの特区どう思う?」
突然話を振られてはじめは戸惑っていたようだが、すぐに考えをまとめ口を開く
「そうですね、確かにブリタニアが譲歩するとは考えにくいです。かといってこれが僕たちを捕まえる罠だとも思えない」
少尉の言葉はまさにその通りだった。譲歩はありえなく、罠だとしても世論を敵に回すだけだ
「どちらにせよゼロはこれを利用する気だろう。ただ、」
続く言葉に皆が注目する
「平和になるならそれが一番だ」
微笑みながら少尉はそう言った。『平和が一番』言葉にすればこんなに安っぽい台詞も無いだろう
しかし彼の言葉に嘘はない、ただまっすぐにそう言える男なのだ
少尉に毒気を抜かれたのかその後一人また一人とラウンジを出て行った
「ユーフェミアの真意を問いただし特区への賛同か否かを決める」
そういってゼロは一機で乗り込んでしまったが、騎士団のほぼ全戦力が終結しているいま、ゼロはユーフェミアの真意にかかわらず戦いを始めるつもりだろう
少尉は同行をもとめていたがディートハルトをはじめとした彼をよく思わない者たちの反対で却下となってしまった
彼は時折ゼロに対し不信の目を向けるが、いったい少尉はなにが気になるというんだろうか?
しかし、随分たつ。どんな策があるにせよ遅くないだろうか?
いいかげん撤退を進言しようとしたとき、その通信が入った
『黒の騎士団全軍に告げる!行政特区日本は我々をおびき出すための罠だった!現在ブリタニアは日本人を虐殺している!ユーフェミアを見つけ、殺せ!』
ゼロの言葉に騎士団全体に激震が走る。罠の可能性は考えていたが、虐殺までするとは
すぐにでも出撃したかったが、藤堂中佐から号令がでない。結束にかける騎士団ではいかに中佐といえど統率できず、まごついている
すると号令も待たずに一機の蒼い月下が出撃する。少尉の機体だ
その蒼い月下の後姿に回りの者も次々と出撃していく。私も慌てて少尉の背中を追う
しばらくすると呆然と立ち尽くす少尉の月下があった。隣まで行くと彼の見ていた者が目に入った
人いや、人だったモノの山。瓦礫、粉塵、黒煙、血飛沫、そして人だったモノ
遠くにはこの惨劇の犯人であろうグロースターの後姿が見える
自分も軍人として多くの戦場を見てきたが、これはそんなものじゃない。虐殺、まさに虐殺だった
「少尉」
まだ若く、この虐殺に立ちすくんでいるであろうと声をかけるが反応がない
「少尉?」
『……ぉ…』
不信に思いもう一度声をかけるとかすかに声が聞こえる
『やめろぉー!』
通信越しに私にではない叫びを上げると少尉はグロースターに向かって走り出す
そのときになって敵は我々に気づいたようで振り向きざまにアサルトライフルを撃ってくる
私はとっさに建物の陰に隠れたが、少尉は襲い掛かる弾丸を無視して敵に迫る。左右に動きながら多少はよけているようだが、装甲を削られながら突進する
ランスで応戦しようとする敵に対しさらに踏み込む。通常ならばその距離は互いに手出しできない距離だが、彼の月下の左腕“甲壱型腕”の輻射波動はまさにその距離で真価を発揮する
左腕の爪に胸を掴まれた敵は逃げ出すことも出来ず、内側から膨れ上がり爆散する
その爆音を聞きつけたらしい敵機が向かってくる。グロースター一機とサザーランド二機
月下二機でなら遅れは取らないだろう
「少尉!私が前に出る援護を!」
そう言って月下を走らせるが、少尉は私の言葉が届いていないらしくまた敵に突っ込んでいく
輻射波動で防御しているが、それでも三機からの銃撃は激しく取りこぼした弾丸が機体にダメージを与えている。傷つきながら進む彼の姿に威圧されたのか敵機が前進を止める
そのわずかな隙に月下を跳躍させ間合いを一気に詰める。立ち上がりながら目の前のサザーランドを逆袈裟に切り上げ、その爆煙を目くらましにグロースターにスラッシュハーケンを打ち込む
一瞬にして両機を失った最後のサザーランドが威嚇射撃をしながら後退するが、彼はそれを許さずハンドガンで足を破壊すると動けない敵機に回転刃刀を突き刺した
おかしい、これは彼の戦い方じゃない。確かに無茶をすることもおおいが、それは仲間を守るときだけだった
こんな敵を“殺す”ための無茶をすることなどなかった
『うぅぅおおおぉぉーーーー!』
獣じみた叫びをあげながらさらに敵を求めて走り出す。私にはそれを見ているしか出来なかった
戦闘が終わると少尉の月下の周りに団員たちが集まってくる
皆始めは今回撃墜数が最も多かった少尉に賞賛を言いにきたのだが、機体から降りてこない彼に戸惑っているようだ
「何をしている、すぐにトウキョウ進撃が始まるぞ、今のうちに休んでおけ」
そういって団員たちを散らせていると不意に朝比奈と目が合う
「本当はどうしたんだい、彼?」
声を潜めて尋ねてくる。この男を誤魔化すのはさすがに無理か
「虐殺の光景を見てから様子がおかしい。これ以上は戦えないかもしれん」
簡素な説明だったがそれだけでおおよそ察したのか苦い顔をしながら頷く
「藤堂さんたちには俺から言っておくから、少尉を頼むよ」
そういって足早に出て行った。少尉のことは頼まれるまでもなくそのつもりだったが、報告までは頭が回っていなかった。どうやら私も落ち着いたほうが良いようだ
だいたいの者が帰ったことを確認すると月下の元に戻る
「少尉あけるぞ」
言ってから月下のハッチを外部入力で開ける
予想以上に酷い。顔は青ざめ、目は虚ろ、手は振るえ、何かに怯えるように時折体をびくりと震わせる
こんな姿を誰かに見せるわけにはいかない。彼の腕を担ぎ部屋まで運ぶ
幸い部屋まで誰にも会わずにこれたが、少尉の反応がない。せめて抵抗するなり、暴れるなりしてくれれば心は守られる
だが、それすらない今の少尉の心は決壊寸前だ、下手な言葉は追い討ちになりかねない
「いったいどうした?」
「……」
刺激しないようにやさしい口調でたずねるが、返事はなく何も写さない瞳を床に向けるだけだった
「なんでもいい、話してくれ」
「……記憶が」
ようやく少尉が口を開く
「記憶が、戻ったんです…」
確かに彼は記憶喪失だと聞いていたが、なぜ今それを言うのかわからなかった
「それは、聞いてもいいことか?」
彼の意図が分からず、慎重に質問をする。やはり顔を上げないまま答えが返ってくる
「聞かないでください、僕は、貴方に嫌われたくない」
「馬鹿を言うな、私がお前を嫌いになるなどありえん」
そういって彼の背中をなでてやろうと手を伸ばすが、それは彼の言葉に遮られる
「そんなことない、だって僕は、ここにいちゃいけない、死ぬべき人間なんだから」
それは決して大きな声ではなかったが私は動けなくなった
何が彼をここまで追い込むのかわからなかった。わからなかったが、私のすべきこと、言うべき言葉はわかった
「ライ」
初めて彼を名前で呼びそっと抱きしめてやる。戸惑いながらも抵抗しない彼の頭をやさしくなでながら言葉を続ける
「お前はここにいて良い、生きていて良いんだ。だってそうだろ?お前のおかげで私は生きているんだ」
「僕の、おかげ?」
本気で分かっていないらしい彼の様子が可笑しくつい笑みがこぼれてしまう
「ああ、ナリタのときも、初めて直接会ったときも、お前が助けてくれたおかげで私は生きている。私だけじゃない、藤堂中佐や朝比奈たちもだ、だからお前は生きていて良いんだ」
「僕は、生きていて良い?」
ここまで言ってもまだ自信がないらしく震える声で尋ねてくる。それに力強く答えてやる
「そうだ、お前は生きていて良い、いや生きなくちゃいけない。お前が自分の命を否定するということは、お前に救われた私たちの命も否定することになるんだからな。だから、」
言葉をいったん切り、彼の目を見据える。それは先ほどまでの虚ろな目ではなく、涙を我慢する子供のようだった
「生きてくれ、私のために」
「千葉、中、尉、う、うわぁ〜〜〜」
ついに我慢しきれなくなったライは私にすがりつくようにして泣きじゃくる
その背中をなでてやりながら、千葉は決意する
生きると、いつかこの少年が笑いながら生きていてよかったといえるように
以上です
冒頭の食堂の話がうまく生かせなく未熟が恥ずかしいです
>>649 人間、集団のドロドロした感情が渦巻く感じがリアルでした。
その中でのライの頑なな感じと千葉の葛藤する心境もうまく書かれているなぁ。
蛇足ですが文章そのものについて言えば、個人的には「。」があったほうが見やすいかなーと思うのと、あと最後の
>その背中をなでてやりながら、千葉は決意する
>生きると、いつかこの少年が笑いながら生きていてよかったといえるように
という部分は人称が「私」視点から第三者視点に変わっているので
行間を空けるとか前後に「─」を入れたりした方がわかりやすいかもしれない。
また着眼点が違うというか、マニアックな編の執筆乙でした。こういうのも想像力をかき立てられていいな
ところで大規模規制はいつまで続くんだろ。感想も書き辛いから早く終わって欲しい。最近は大手携帯も結構やられてるみたいだし…
千葉さんはいい女だと思う。
いや、解放戦線と騎士団との溝など新鮮で面白かったです
解放戦線は出戻り発言と、
寝床に爆弾仕掛けられないからっていう、
皮肉のやり取りが面白かった
どのキャラも本編より素直で、みんな可愛かったなあ
カレンとコーネリアのデレにあれほどの破壊力があるとは・・・
俺の中で片瀬だけ好感度下がったけどw
653 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/21(木) 09:10:56 ID:Yl/cQ0UE
ブリタニア軍人編のネリ様のデレ顔には私もやられましたw
本編での女傑振りが印象に強く残ってたので、ナリタ連山でライに信じて下さって
ありがとうございましたってお礼を言われた時に顔を紅くするネリ様を見て
・・・あ、可愛いなぁと感じましたね。
本編とのギャップもある分、あれは凄まじい破壊力でした。ロスカラやってから
ネリ様が大好きになったのは私だけではないはず!
654 :
@代理投下:2010/01/23(土) 02:13:25 ID:dmkaK31M
書き込めるかな?
代理投下です。コテハンのない方でした。
/////
初投下です。至らない部分が多いかもしれませんが……
【タイトル】夕日に照らされた月
ライカレですが、モロにシリアスです。
騎士団ED後でカレンはライの過去を知っています。
【警告】過去話では、少し残酷描写があります、ご注意ください。
655 :
@代理投下:2010/01/23(土) 02:14:59 ID:dmkaK31M
生徒会の仕事が終わり、茜色に染まりつつある空を何気なく眺めながら、赤毛の少女カレンは、やや幅の広い廊下を歩いていた。
今は私立アッシュフォード学園に通うお嬢様、カレン・シュタットフェルトを演じなければならないのだが、誰の眼も向けられていないせいか、名家貴族の令嬢にしては、やけに軽い足取りだった。
「……ライ、部屋にいるかな? 音楽の授業で居残りさせられてたけど」
いや、それは彼女の行く先が恋人の部屋だからだろうか。
カレンは廊下に数多くある窓から空を見つめながら、少年の顔を思い浮かべた。
居残りとは言っても、別に成績が悪いからではない。むしろ彼は、学年でも屈指の秀才である。
更には人を惹く整った容姿と柔和な性格を併せ持ち、教師の評判は良好だった。
だから、彼に限ってお説教は有り得ないだろうし、政庁の仕事が無い日は、自分の部屋で過ごすことが多いから、今頃はそこにいると思うのだが。
ふと、カレンの視線が空から外された。
生徒達が暮らすこのクラブハウス内では聞き慣れない、柔らかな音色――ーバイオリンの音だ。
校舎の音楽室からではない。
自分が今、行こうとしている先から聴こえる。
「珍しいわね、誰が弾いてるのかしら……」
疑問に思いながらも、カレンはその美しい調べに聞き惚れていった。
聴いたことがない曲だが、バイオリンという楽器に良く合っていて、癖になる音楽だ。
彼のもとへと近づくにつれて音は大きくなる。
音階が激しく変化して、弾むように音色が流れた。
「もしかして、ライが……?」
カレンの呟きは、もはやよく聞き取れないくらいにまで、バイオリンの音が大きくなっていた。
決して不快に感じる程ではない、丁度良い音量。
だからこそ、歩いていくと何となくわかってきた。
音源は、ライの部屋ではないかと。
目的地に辿り着いて、それが確信へと変わる。が、扉を前にして、今入ってもいいものかとカレンは迷ってしまった。
気配に敏感な彼のことだから、多分、誰かが部屋の前にいることぐらいは気付いているだろうけど。
下手に彼を促して、素晴らしい演奏を中断させるのは憚れるし、廊下で待っていれば、カレンは自宅通学という『設定』なので、妙に勘繰られるかもしれない。カレンのファンクラブである親衛隊に見つかっても厄介だ。
ライもまた、かなりモテるし、やはり、恋人宣言しておいた方が良かっただろうか、と考えかけてから、カレンは小さく溜め息をついた。
例の親衛隊は特に執念深いという噂で、カレンがちょっと朝の挨拶をしただけで、一時ではあるがライに付け回った時期があったのだ。
ついでに言えば、彼にもまたファンクラブが存在し、高等部どころか中等部、挙句には女性教師すらメンバーに入っている者がいるとか。あくまで噂だが。
このような状況で恋人宣言したら―――どうなるやら、想像がつかない。
もっとも、カレンとライの関係については、至る所で囁かれてはいる。が、状況が許さない、受け入れないと言った所で、それぞれのファンクラブは、競うように人気を伸ばしていた。
そういう訳で、こんなところにいるのを見つかると、面倒なことに巻き込まれかねないのだ。
656 :
@代理投下:2010/01/23(土) 02:16:58 ID:dmkaK31M
しばし考えて、カレンは黙って部屋に入ることにした。
彼が部屋にいる時は、いつも鍵は掛けていないことが多い。
ドアノブを捻ると、予想通りあっさりと扉が開いた。同時にバイオリンの音が飛び出してくる。
音を立てないようにドアを閉め、カレンは静かに部屋の中へと入った。
奥へ行くと、窓際にあるベッドに腰かけたライの姿が見えた。
手の中にはバイオリンがある。やはり彼が曲を奏でていたらしい。
今も尚、オクターブを変えながら、眼を閉じて弾いている。
弓を振るう度に銀髪が揺れ、夕日の光を反射して輝いた。
窓から見える朱の空と、ライとバイオリンとの光景がぴったり合っていて美しく、カレンは曲を忘れてそちらに眼を、意識を奪われてしまう。
その姿は、城の大広間で腕前を披露する皇子のようで。
今まで音の乱れ一つと無いからか、ライの顔は満足気で、安らかな表情だった。
やがてライは細かく弓を動かし、クライマックス後の余韻を残して曲を終わらせた。
完全に音が無くなると、バイオリンを膝の上に置いて、ゆっくりと瞼を開いた。
「やあ、カレン」
黙って入ってきたカレンを咎めることはせず、驚きもしないライは、何事も無かったかのような振る舞いで笑顔を向けた。
ずっと彼に魅入っていたから、気付かれていたのか、とカレンは顔を赤くする。
「え、えっとその、ごめん。勝手に入っちゃって」
「いや、別に構わないよ。君ならいつでも大歓迎さ。それより、君に気を遣わせちゃったかな。こっちこそすまない」
慌てながらも謝罪を述べたカレンへ、ライが更に謝罪を重ねた。
ライは悪くないのに。どうして私が謝られなきゃいけないの?
カレンが呆れながら眉を曇らせた。
「ライが謝ることないじゃない。ただバイオリンを弾いていただけでしょう? 私が悪いんだから、そうやって自分のせいにして抱え込む癖、直しなさいよ」
何故か叱る立場になってしまっているカレン。
そして叱られる立場のライは、困ったように頭を掻いた。二人にとっては、いつものパターンであったりする。
「そんなつもりは無いんだが」
「私にはそうとしか聞こえないけど?」
「ははは。カレンには敵わないな。わかった、努力するよ」
これまた、いつも通りの答えで軽く流される。
カレンは諦めて、大袈裟に溜め息をついて見せてから、ライの隣へと腰を下ろした。
「その返答、何回も聞いてる気がするけど。……ねえ、さっきの、何ていう曲?」
ライの眼がふっと伏せられ、膝の上のバイオリンに視線を落とした。
「『銀の月光』。大昔の曲だよ。昨日思い出して、懐かしくなったから、音楽室のバイオリンを借りて弾こうと思って、な」
「懐かしい?」
「ああ。僕の母と妹が好きだった曲だから。今の時代では多分、知らない人の方が多いだろうし、僕の音楽で一時でも聴かせてあげたかったんだ」
そう言って、ライは神妙な顔つきで弓の弦をいじった。自分の過去を思い出しているのだろうか。
カレンもまた、ライを視線から外して、以前に聞かされた彼の過去を思い返した。
657 :
@代理投下:2010/01/23(土) 02:19:05 ID:dmkaK31M
―――ライの過去。
信じ難いことだが、彼は、今の時代に生まれた訳ではない。過去からのタイムトラベラーと言っても良い、本来は存在するはずの無い少年だ。
彼は王だった。誰にでも、どんな命令だろうと従わせる絶対遵守の力、ギアスを持つ王。
少年は、家族を守るために『力』を求めた。たとえそれが、人を孤独にする王の力だったとしても、誰よりも強い『力』だったから契約した。
『力』を持った彼は、憎き父と兄達を自ら殺す大罪をも犯し、王になることができた。
しかし、その時にはもう『力』は、少年の手に負えない程の大きさに膨れ上がっていたのだ。
「北の蛮族を皆殺しにしろっ!!」
少年の体から、眼に見えぬ赤い結界が広がっていく。
国中に王の声は木霊したその瞬間、命令を聞き取った者達は一人残らず武器を手に取っていた。―――王が愛する母と妹も、例外なく。
狂っていく。少年も、国民も、『力』すらも、何もかもが。
後に残ったのは、赤く染まった人。人だったカタマリ。
刃に貫かれた娘。片腕が千切れた男。矢が胸に突き刺さった子供もいた。そして。
あれは王の母だろうか? 頭が潰れている。その下では王が最も愛した妹が、恐怖に瞳を見開き、母に抱かれながら唇をうっすらと開けていて。
たった一人、生き残った王が彼女らに近づく。呆然と、ただ目の前の光景を疑うことしかできなかった。
夢であってほしい。ギアスの暴走で、自分は幻を見ているのだ、と。
だが、どんなに彼が願おうとも、現実は絶対に変わることはない。王ではなく、少年として彼女らの名を呼んでも、応えることはあるはずがない。
母の顔が見れない。あれは母上じゃない、他の誰かだ。妹を庇って、守ってくれたんだ。お前だけは、生きていてくれるだろう……?
少年は必死に妹を抱きかかえた。何度も呼びかける。応えない。気を失っているのだろうか。
と、一筋の血が、少年の指から滴り落ちた。濡れているような感触、ああ、本当は気付きたくなかったのに。
少年は絶望する。自分の両手は真っ赤に染まっていた。敵の返り血を腐るほど浴びていた、汚れた手は、その血でまた汚されていたのだ。
その血は、誰のものなのか、と尋ねる必要も無く。妹の、血。
―――少年は叫んだ。何を言っているのか、自分でもわからない。
ただ自分を声で引き裂いてしまうかのように、紅く眼を輝かせながら。
死にたい。少年は心からそう思った。
だが、彼に死は許されない。まだ約束を果たしていないから。
少年は、死の代わりに眠りを選んだ。ギアスと共に、眠ることを。
意識が薄れていく中、命令する。
自らに「全てを忘れろ」と。
後に『一人ぼっちの皇子様』という物語のモデルとなり、後世の人々は、当時の王を『狂王』と呼ぶようになる。
658 :
@代理投下:2010/01/23(土) 02:21:04 ID:dmkaK31M
その少年こそがライであり、目覚めた後、かつてのギアスを解き放ち、全ての記憶を取り戻していた。
今はギアスすら失い、普通の少年として生きていた。
と言っても、ライにとって、過去の記憶は楽しいものであるはずがない。
恋人となって間もないカレンに打ち明けると、自分からいなくなってしまうようなことを言っていた。
罪を犯したことによって、誰よりも他人に優しく、自分に厳しい人間となったのだ。
そのことを、カレンは充分、理解していたから、何とか暗い気分から逃れたくて、明るい声を出した。
「優しいお兄さんね。久しぶりに好きな曲が聴けて、きっと妹さんも喜んでいるわよ」
「……どうだろうな。むしろ怒っているんじゃないか。ずっと放っておいてしまったから」
今だに眼を落としたまま話すライの瞳が、カレンにはふと『灰色』に見えた。
深い海の底のような蒼色のはずなのに、彼の髪よりも暗く、色としての機能が備わっていないグレー。
唐突に、バイオリンの低い音が部屋に響き渡る。
ライの指が、弦を弾いたためだ。
「僕は、家族どころか、国一つを滅ぼした愚かな王。今すぐにでも、あの世へ行って謝りたいくらいだ。だけど、僕には死ぬことができないから、罪を償えないから、こうしてのうのうと生きている」
髪をなびかせて、ライは顔を上げた。
カレンをじっと見つめる双眸は確かに蒼だけれども、憎悪と哀しみが交じり合った色でもあった。
そんな彼と眼が合わせられなくて。合わせたくなくて。
思わずカレンは顔を背けた。
「そんなに、自分が嫌い?」
「ああ。自分を自分で、何度も殺したいくらい憎い。それができないからと、自分が平凡な日常を送っていることも、全てが許せない」
カレンは恐る恐る、ライの方へと向く。
はっきりと憎しみが映された表情が、嫌でも眼に入った。灰色が濁った瞳が、怪しく光る。
それは、彼女が愛した少年が作った表情とは、信じられないもの。
何も言えないカレンを見据えて、ライは軽く鼻で笑った。
「初めて僕の過去を話したとき、君は言ってくれた。この世界は僕を受け入れたって。多くの人達が、真っ白だった僕にたくさんの色をくれて、世界はこんなにも色付いていることを教えてくれた。僕は、君達と一緒にこの世界で生きていこうと思ったよ」
ライは一呼吸して、表情を一層険しく引き締めた。
「だが、未だに僕は『ライ』を憎んでいるんだ。罪を償いたいくせに、何もしていない僕自身もまた、ね。たくさんの命を消してしまった罪は、僕がけじめをつけなければいけないと思う。僕の十字架を、君に背負わせたくない。やはり、僕は」
「やめてッ!」
突然、カレンが声を発して、ライは驚いて言葉を止めた。
「それ以上、言わないで……」
普段の彼女とは想像がつかない、か細く震えた声で懇願する。
カレンを悲しませてしまったことが、ライの憎悪の炎を急激に弱らせた。
「……ごめん。君を悲しみの色に染めたくない……」
「だったら、ここにいてよ。自分自身を否定するだけが、罪滅ぼしじゃないでしょう?」
「カレン。僕は数え切れないくらい多くの人達の生命を奪った大罪人だ。普通なら死刑だろう。
契約のせいで死ねないと言っても、僕はもうギアスを失っているし、本当にもう死ねないのかはわからない。それなのに、僕は君達に甘えた……甘えて生きてきた。
それがどうしても許せないんだ。死のうと生きようと、何の罪滅ぼしにならないかもしれないけど、万一、僕のギアスが蘇るようなことがあったら、また同じ過ちを繰り返すかもしれない。
だったら、君達の前からいなくなった方がよっぽど賢い選択だ……」
今この時、ライが何か刃物でも持っていたなら、すぐにでも自らの心臓に、首に突き立てていたのかもしれない―――
初めて過去を告白した時にも言っていた。「ここからいなくなる」と。この世界から、『ライ』という存在を否定すると。
そしてカレンの答えも、以前と全く同じだった。即座に首を横に振る。
「違う。間違っているわよ、ライ。確かに、罪人には罰が必要だけど、罰は、罪人であるあなた自身が決めることじゃない……私達が決めることよ。自分で勝手に罰を決めて、自分だけで苦しむのは、もうやめて」
「じゃあ、教えてくれカレン。僕の罪を、どうやって償えばいい? ここに生きていていい存在なのか?」
カレンは覚悟を決めて、ライの視線を正面から受け止めた。
それは苦しみ。たった一人で苦悩し、傷を癒すことすら忘れた、強く心優しい少年が見せる弱さが込められた色。
659 :
@代理投下:2010/01/23(土) 02:23:06 ID:dmkaK31M
その少年こそがライであり、目覚めた後、かつてのギアスを解き放ち、全ての記憶を取り戻していた。
今はギアスすら失い、普通の少年として生きていた。
と言っても、ライにとって、過去の記憶は楽しいものであるはずがない。
恋人となって間もないカレンに打ち明けると、自分からいなくなってしまうようなことを言っていた。
罪を犯したことによって、誰よりも他人に優しく、自分に厳しい人間となったのだ。
そのことを、カレンは充分、理解していたから、何とか暗い気分から逃れたくて、明るい声を出した。
「優しいお兄さんね。久しぶりに好きな曲が聴けて、きっと妹さんも喜んでいるわよ」
「……どうだろうな。むしろ怒っているんじゃないか。ずっと放っておいてしまったから」
今だに眼を落としたまま話すライの瞳が、カレンにはふと『灰色』に見えた。
深い海の底のような蒼色のはずなのに、彼の髪よりも暗く、色としての機能が備わっていないグレー。
唐突に、バイオリンの低い音が部屋に響き渡る。
ライの指が、弦を弾いたためだ。
「僕は、家族どころか、国一つを滅ぼした愚かな王。今すぐにでも、あの世へ行って謝りたいくらいだ。だけど、僕には死ぬことができないから、罪を償えないから、こうしてのうのうと生きている」
髪をなびかせて、ライは顔を上げた。
カレンをじっと見つめる双眸は確かに蒼だけれども、憎悪と哀しみが交じり合った色でもあった。
そんな彼と眼が合わせられなくて。合わせたくなくて。
思わずカレンは顔を背けた。
「そんなに、自分が嫌い?」
「ああ。自分を自分で、何度も殺したいくらい憎い。それができないからと、自分が平凡な日常を送っていることも、全てが許せない」
カレンは恐る恐る、ライの方へと向く。
はっきりと憎しみが映された表情が、嫌でも眼に入った。灰色が濁った瞳が、怪しく光る。
それは、彼女が愛した少年が作った表情とは、信じられないもの。
何も言えないカレンを見据えて、ライは軽く鼻で笑った。
「初めて僕の過去を話したとき、君は言ってくれた。この世界は僕を受け入れたって。多くの人達が、真っ白だった僕にたくさんの色をくれて、世界はこんなにも色付いていることを教えてくれた。僕は、君達と一緒にこの世界で生きていこうと思ったよ」
ライは一呼吸して、表情を一層険しく引き締めた。
「だが、未だに僕は『ライ』を憎んでいるんだ。罪を償いたいくせに、何もしていない僕自身もまた、ね。たくさんの命を消してしまった罪は、僕がけじめをつけなければいけないと思う。僕の十字架を、君に背負わせたくない。やはり、僕は」
「やめてッ!」
突然、カレンが声を発して、ライは驚いて言葉を止めた。
「それ以上、言わないで……」
普段の彼女とは想像がつかない、か細く震えた声で懇願する。
カレンを悲しませてしまったことが、ライの憎悪の炎を急激に弱らせた。
「……ごめん。君を悲しみの色に染めたくない……」
「だったら、ここにいてよ。自分自身を否定するだけが、罪滅ぼしじゃないでしょう?」
「カレン。僕は数え切れないくらい多くの人達の生命を奪った大罪人だ。普通なら死刑だろう。
契約のせいで死ねないと言っても、僕はもうギアスを失っているし、本当にもう死ねないのかはわからない。それなのに、僕は君達に甘えた……甘えて生きてきた。
それがどうしても許せないんだ。死のうと生きようと、何の罪滅ぼしにならないかもしれないけど、万一、僕のギアスが蘇るようなことがあったら、また同じ過ちを繰り返すかもしれない。
だったら、君達の前からいなくなった方がよっぽど賢い選択だ……」
今この時、ライが何か刃物でも持っていたなら、すぐにでも自らの心臓に、首に突き立てていたのかもしれない―――
初めて過去を告白した時にも言っていた。「ここからいなくなる」と。この世界から、『ライ』という存在を否定すると。
そしてカレンの答えも、以前と全く同じだった。即座に首を横に振る。
「違う。間違っているわよ、ライ。確かに、罪人には罰が必要だけど、罰は、罪人であるあなた自身が決めることじゃない……私達が決めることよ。自分で勝手に罰を決めて、自分だけで苦しむのは、もうやめて」
「じゃあ、教えてくれカレン。僕の罪を、どうやって償えばいい? ここに生きていていい存在なのか?」
カレンは覚悟を決めて、ライの視線を正面から受け止めた。
それは苦しみ。たった一人で苦悩し、傷を癒すことすら忘れた、強く心優しい少年が見せる弱さが込められた色。
660 :
@代理投下:2010/01/23(土) 02:25:05 ID:dmkaK31M
その色を見たとき、カレンは不意に嬉しくなった。
ライにこれほど罪悪感があるならば、何も言わずに、人知れず身を散らせていても不思議ではない。
だが、その一歩手前でカレンを頼った。いつも一人で抱えてしまう彼が弱さを見せ、助けを求めてくれたのだ。
この世界で生きていたいと、思っているから。
カレンは柔らかく微笑むと、ライの頬を両手で包み込んだ。
突然のことに戸惑ったライが、咄嗟に左手を彼女の手に重ねる。
「……『狂王ライ』は、国を壊し、多くの人々を殺してしまった。その罪は永遠に消えない。だから『ライ』は、この世界で、新しい世界を作るために働いてくれてる」
ライが困惑してカレンを見つめるが、構わずに続けた。
「あなたへの罰は、ライとして新しい世界を作ること。それで充分でしょう?」
「……『かつてのライ』が犯した罪は、『今のライ』が生きて償う、ということか」
「そう。一度、あなたは眠りという罰を受けているわ。けれど、あなたは目覚めて、新たな罰を望んだ。なら、この世界で、またやり直せばいいじゃない。今度は壊すんじゃない、作っていくのよ」
―――温かい雫が、カレンの指を濡らした。指を伝って、それがバイオリンの弦に落ちた。
前髪を垂らし、顔を隠すようにしながら、少年は泣いた。
カレンの手が、頬から首へと移り、そのままライを抱きしめる。
ライは小さく震え、声も出さずに、涙を流し続けた。
狂王の過去に捉われ、今の自分を一方的に嫌っていたライ。
そんな自分を、涙に乗せて流していた。
ライという自分の存在を認識していくことを感じながら。
そして過去の自分も、今の自分も受け入れ、愛してくれる少女、紅月カレンという存在を噛み締めながら。
「ねえ、ライ」
白銀の髪を愛しそうに撫でながら、カレンが言った。
「私はあなたと出会って、変わることができたわ。他の皆も、きっとそう思ってる。今だって、ライがいなかったら、特区日本なんて成立してなかったと思うし、これからも世界を変えてくれるって信じてるの。
当然だけど、壊すよりも、直したり、変えたりする方が凄く難しいわ。でも、私達を変えたあなたなら、きっとその力があると思う。もちろん、私も支えていくから。お願い、ずっとここにいて……」
腕にこもる力が強くなる。
それはライのものか、カレンのものか、それとも両方だったのか。
二人の距離は、限りなくゼロに近づいた。
「も、もう僕は……」
銀髪が隠していたライの顔がカレンの目前に晒された。
いつもの冷静な彼とは思えない、傷つき壊れてしまいそうな少年の顔だった。
「一人じゃ、ないのか……?」
ライは、ずっと孤独だった。王の力故に。
彼をモデルにした物語もまた『一人ぼっちの皇子様』だ。
王となって国や家族を失ったときはもちろん、今の時代に目覚めた時も、学園に迷い込んで来た時も、やはり『孤独』だったのだ。
彼は罰を求めていたのではない。居場所を求めて彷徨っていた、ごく普通の、寂しがり屋の少年にしか過ぎないのだ。
カレンもまた、家族が傍にいない孤独を知っている。レジスタンス仲間はいても、自分を支えるくらいの余裕を持つ人間はいなかった。
自分を受け入れて認めてくれる、ライというパートナーが出来て、彼女は『孤独』から救われたのだ。
同じような境遇で、彼を強く想っていたからこそ、全てを悟ることができた。ギアスの、本当の恐ろしささえも―――
離さない、と言わんばかりに、更に強くライを抱きしめた。
「ええ。もうあなたは一人ぼっちじゃないわ。自分を押し殺して、無理をしなくてもいいの。ライを一人になんかさせない、私が、ずっと一緒にいてあげる……」
カレンが言い終わると、儚げだったライは、力無く笑っていた。
その笑みが、だんだんとライに、本来の色を取り戻させていく。
ライは拳で、濡れた頬を一気に擦った。
「……また、君に色を貰ったな。ありがとう、思い出させてくれて」
特別な相手だけの、特別な笑顔を彼女に向ける。
ライの眼はもう、『灰色』ではなかった。ライだけが持つ、世界でただ一つの色。
「ふふ。もう失くさないでよ?」
こちらも、満面の笑みで返す。
戻ってきたライの色は、カレンには以前よりも誇らしげに光っているように思えた。
―――私の大好きな色。ライには二度と失ってほしくない。
そんな祈りを込めて、カレンはライに抱きついて唇を重ねた。
ライの涙が落ちたバイオリンの弦には、恋人達を祝福するように、夕日の光を反射して美しく輝いていた。
661 :
@代理投下:2010/01/23(土) 02:28:32 ID:dmkaK31M
以上で投下終了です。こんな感じでいいのでしょうか……?
「ルルーシュがピアノを弾けるなら、ライはバイオリンだ!」という妄想から生まれたSSですが、
何故か過去話が出てきてしまいました。シリアスしか書けないのは何故。
曲名は適当です。自分では、東方の上海紅茶館をイメージしています。
こんな駄文を読んでくださった方、ありがとうございました。それでは。
/////
以上です。
659でダブりを投下してしまいました。ごめんなさい。
良い話でした。初投下乙です。GJ。
>>661 代理投下の方も、執筆された方もお疲れ様でした
改めてゲーム副題の”lost colors”の意味を考えさせられたというか…いいですね
起承転結があって、ハラハラさせられたり優しい気持ちにさせてくれたり、
これぞSSって感じで良かったです。
ギアスは本編でも版権絵でも、あまり音楽的な関わりのある画や話はなかったけれど
バイオリン姿のライは何故か目に浮かぶようです。
ライは近代のピアノなんかはまだない時代の人だったのかなーとかあれこれ想像したりw
(ちなみにルルーシュはメロディーカードコレクションの絵でバイオリンも持ってましたね…なんでもできすぎ)
バイオリンもルルーシュに取られてるのか…じゃあ何だろな、オルガンとか?w
ところでライって不死ではなかったよな