新漫画バトルロワイアル 第5巻

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534 ◆UjRqenNurc :2009/10/14(水) 23:00:20 ID:IWWDyJ6R
時間なので高町亮子、竹内理緒、胡喜媚、志村妙、ブラックジャック、ガッツ投下します
535運命の螺旋乗り越えて(前編) ◆UjRqenNurc :2009/10/14(水) 23:01:34 ID:IWWDyJ6R
銃声を残して、放送は終わった。
競技場は再び、物音ひとつない静寂な空間に戻る。
たぶん、放送してたヒト、殺されちゃったんだ……

「主催側も、一枚岩じゃないって事か……」

それならつけいる隙もあるかもしれない。
あたしは広げていた名簿と地図をデイパックに戻すと、今の放送について考える。

思っていた以上に死者が多く出た。
16人……始まってからたったの6時間で16人もの死者が出たのだ。
名簿によると、参加者は総勢70名。
そのうち2割以上がこれだけの時間で死ぬなんて、尋常じゃない。
もちろん、主催者の発表をそのまま鵜呑みにはできないけれど……

それだけ、この首輪が恐ろしいって事なんだ……

当然だ。
これがある限り、あたしたちの命はあの主催者たちにいつ消されてもおかしくない。
あの弟さんを知っていた男の子のように。

死の恐怖から逃れるには、主催の言うとおり最後の一人になるしかない。
だから誰が殺し合いに乗っていてもおかしくはないんだ。
その事実こそが参加者たちに疑心暗鬼を生み、更に殺し合いを加速させるだろう。

殺されるかもしれない恐怖というものは、相手を殺す動機を簡単に与えてくれる。
どんなに怖い人でも、殺してしまえばもう怖くないからだ。
あたしが敵に回りそうだった、元ハンター・今里先生を殺した時みたいに。
そして、喜媚ちゃんを手に掛けそうになった時のように。
でもそれは、あたしたちブレード・チルドレンにとって自分の中の血に負けるということ。



ブレード・チルドレン計画。
ミズシロ・ヤイバの精子を使った人工受精により造られた子供たち。
80人造られた子供たちは、その全てが人並み外れた才覚の持ち主。
それは遺伝学上あり得ない遺伝。
旧来の人類より優れた新たなる種とすら言える、神の血の為せる技。

これからの人類社会を担う優れた人間を作り出そうというこの計画は当時、神の計画と
呼ばれたそうだ。
でもそれは悪魔の計画だった。
あたしたちの血は、社会に適応出来る年齢――成人になると目覚めると予言されている。
その年齢に達したブレード・チルドレンは、血の命ずる本能を上手くオブラードに包みながら
古き人間種を駆逐するようになると言うのだ。

新たな種が旧き種を駆逐するこの計画は、しかし鳴海清隆という一人の男性によって防がれる。
もはや新たなるブレード・チルドレンは生み出されず、残ったあたしたちにも保護という名の監視の目が付いた。
これは執行猶予期間だ。
あたしたちが人類を滅ぼす猛毒だと証明されてしまえば、逆に人類はあたしたちを生かしてはおかないだろう。
滅ぼされる前に滅ぼす。
種としての、当然の防衛本能だ。

だからあたしたちは証明しなければならない。
あたしたちが、血の宿命なんかに負けない事を。

あたしたちは信じなければならない。
あたしたちにも、希望の光が残されている事を。
536運命の螺旋乗り越えて(前編) ◆UjRqenNurc :2009/10/14(水) 23:02:20 ID:IWWDyJ6R

「だから、恐怖に負けてちゃ駄目なんだ……
 こっちから攻めていかなきゃ、運命には立ち向かえない」

――運命の螺旋に屈するのも立ち向かうのも、あなた達それぞれの意思ひとつ。

放送の女性の言葉が、妙に頭に残る。
まるで自分たちの事を言われているようだった。
この殺し合いに参加させられたブレチルは多い。
こーすけ君、亮子ちゃん、カノン君、そしてあたし。
そしてブレチルではないけれど、盤面の重要な駒にしてあたしたちの希望の弟さん。
部外者ながら弟さんといつも一緒に居る結崎ひよのさん。
そして……

「あの男の子……何があっても歩以外には殺されないって言ってた……
 やっぱりそういう事なのかな……」

ミズシロ・ヤイバに対して清隆様が存在するように。
鳴海歩に対応する駒もまた存在していたのかも知れない。

盤面にぽつりと存在していた清隆様に匹敵するかもしれない駒。
何事も定められていない、その存在はあたしたちを救うかもしれないと思っていた。
でも、もしそれに対応する駒があるのだとしたらどこまでいっても盤面に乱れなどなく。
運命は定められた通りにしかならないのかもしれない。

「仮定に仮定を重ねてもしょうがないか……
 歩って名前二人いたし……もしかしたらそっちの関係者なのかもしれないし」

ともかく、これだけの人数が死んでいるというのに自分の知り合いが誰も死ななかったというのはラッキーだった。
カノン君には注意しなきゃだけど、亮子ちゃんや弟さんは殺し合いには乗っていないはずだ。
こーすけ君はバカだから乗っているかもしれないけど、その時はあたしが止めればいい。
彼らと合流して協力体制を取れば、きっと今より格段に状況はよくなるはず。

blogの管理人からの連絡はまだこない。
出来れば急いで欲しいところだ。
10:30を持ってB-4が封鎖されるのは痛い。
ここが封鎖されると島の北西にある市街地への出入りがかなり制限されることになる。
もし「彼」もしくは「彼女」が、市街地にいるなら時間が経つほど合流は難しくなるかもしれない。
南の市街地付近で指定されている禁止エリアでもそれは言える。

 7:30よりI-6。
 9:00よりF-7。
 10:30よりB-4。

この配置を見れば、誰でも市街地を取り囲むように禁止エリアが指定されていくものだと思うだろう。
次の放送でE-1あたりが指定されれば北の市街地はほとんど封殺。
出る事も、入る事も難しくなる。

だから今、市街地で籠城を決め込んでいた人は禁止エリアに取り囲まれる前に脱出を。
市街地に用のある人は、禁止エリアに囲まれて入れなくなる前に用を済ませようと考えるはず。
そしてそれこそが主催者たちの狙い。
狭い範囲に限定された移動経路で、そんな焦りを抱えた人たちが出会えばどうなるか……
考えるまでもないよね。

喜媚ちゃんみたいに飛べるなら話は別だけど、いくらなんでもそんな参加者ばかりじゃないと思う。
それならこんな交通の要衝ばかりを禁止エリアにするはずがない。

幸いあたしたちは喜媚ちゃんの能力で飛んで移動することだって出来るんだから、もし市街地に
入らざるを得ない状況になっても橋以外の場所から侵入する事が可能。
今は焦らず連絡を待つべきなのだ。
537運命の螺旋乗り越えて(前編) ◆UjRqenNurc :2009/10/14(水) 23:03:04 ID:IWWDyJ6R
だからあたしのこれからの方針はこれまでと同じ、「待ち」だ。
……さっき攻めなきゃ駄目って言っておきながらそれはどうなんだって思うけど、それも一つの
戦術として有りだと思う。


それにあたしは禁止エリアがどういうことになるのか、一度見ておきたい。
禁止エリアに入ると首輪が作動すると言う。
それはたぶん、首輪に付けられたセンサーが禁止エリアに指定された区画に張り巡らされる
「何か」に反応して作動するんだろう。
あの沢山の参加者の中からたった一人の首輪を遠隔爆破したように。
それはたぶん極めて指向性の強い、例えれば電波のような波長だと思う。
もし、その波長を解析する事が出来れば首輪の解体しなくても対策が可能だ。
波長の妨害をしたり、首輪の回りに波長を反射するような物で覆ってしまえばいいのだ。

もちろん問題はある。
マップ上ではB-4は判り易く格子で区切られているが、実際にはどこからがB-4だなんて標識はない。
うかつには近づけない以上、波長を受信するアンテナを予め禁止エリア予定地に立てておく必要がある。
今回は到底間に合わないだろうから、本当に見るだけだ。
測定器具も自作する必要がある。
アンテナと解析用のソフト……コンピューターはここにあるものを使えばいいとして、最低限
これらは自前の物を用意しなければならないだろう。
そして最大の問題はその波長が、あたしの知る科学知識にない場合だ。
あの宝貝のように、あたしの知らない法則に基づいたものであったらお手上げだ。

「でも……首輪の解体よりは目があるはず……だよね」

あたしは一人うなずくと、これからの方針を纏める。
1.“螺旋楽譜”の管理人からの連絡を待つ
2.禁止エリアの観察
3.測定器具の用意

少し考えて4を付け足す。
4.未知の知識を持つ人材の確保

とりあえずの候補としては、喜媚ちゃんの信頼する妲己という女性だろうが、
籠城を選んだ以上、これは“探偵日記”の管理人に任せるほかはないかもしれない。
あるいはこの計画自体を“探偵日記”の管理人に伝え、協力を仰ぐべきなのかもしれないが……
今はまだ、成功するかどうかもわからないあやふやな計画だ。
せめて禁止エリアを実際に見てみるまではやめておこう。


考えを纏め終えると、あたしは椅子の背もたれに寄りかかる。
……そういえば喜媚ちゃん、遅いな……
まだあの子を信じたわけじゃない。
あの得体の知れない力があたしを不安にさせる。
でもそれはブレチルを不安視するハンターたちと同じ考えだ。
まだ何もしていないのに、ただ力を持っているから怖いだなんて……

うん、いきなり信頼は出来ないけど、信頼するための努力はしよう。
あたしも勇気を持たなくちゃ。
あの時、首輪が爆発する直前まで微笑んでいた弟さんのように。



あたしは喜媚ちゃんを探す為に競技場を出る。
……あんな事が起こるだなんて思っていなかったんだ。
遠くから聞こえる女の子の泣き声。
その方角に向かって走り出した、この時はまだ。
538創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 23:04:01 ID:ED7GwbXi
支援
539運命の螺旋乗り越えて(前編) ◆UjRqenNurc :2009/10/14(水) 23:04:12 ID:IWWDyJ6R
       ◇       ◇       ◇


ボタリ、ボタリ
ずぶ濡れの身体から水滴が落ちる。
意識はさっきから覚醒したり、途切れたりを繰り返している。
寝起きはいい方なんだけど、どうにもだるくて目蓋が開かない。
どうしてこんなにだるいんだろ。
どうしてあたしはずぶ濡れなんだっけ?

ズンチャラッカホーイホーイホヒッホヒッ♪
ズンチャラッカホーイホーイホヒッホヒッ♪

ああ、さっきからうるさいなぁ。
あたしゃ疲れてるんだ。静かにしてくれ……

悪徳ロリータ
ロリッ☆ロリッ☆

耳元で、気色の悪い歌を延々と繰り返される。
何がロリだ。
男ってのはそんなにロリ好きなのか?
そりゃあたしはおっきくて可愛げがないかもしれないけど……

「う、うぅ……」

あまりの気色悪さに一言だけ文句を言ってやろうと、あたしは重たい目蓋をこじ開ける。
ぼんやりする視界に映るのは、誰かの背中。
どうやらあたしは、誰かに背負われているらしい。
いったい、誰が……
あたしは顔を持ち上げる。

すると男はこちらを振り返り、ニィィ……と顔を笑みの形に歪ませて

「あ、お姉ちゃん、目を覚ましっ☆」

あたしに、話しかけてきた。

「う、うわああああああああっ!?」

くっつきそうなほどの至近距離に、あの男の顔があった。
さっきまで、戦っていた相手。
人間の命を、あたしの目の前で刈り取った男。

あたしが武器を奪って、奪い返されて、川の中に叩き込まれて……
それから後の事はよく思い出せない。
驚きと混乱の中、あたしは男の背中を両手で叩き、身体を離す。

――どうなってんの!?
……わからない

――どうして!?
……わからない

――どうする!?
1 ハンサムな高町亮子は突如として反撃のアイディアを思いつく
2 仲間が来て助けてくれる
3 助からない。現実は非情である

「あ……」
540運命の螺旋乗り越えて(前編) ◆UjRqenNurc :2009/10/14(水) 23:05:07 ID:IWWDyJ6R
頭の中はぐちゃぐちゃだ。冴えたアイディアなんて、閃きそうもない。
エド、聞仲。この地で知り合った同行者たち。
あいつらが無事かどうかもわからない。
では、残された答えは一つしかない。

諦めよう。
あたしは頑張った。
頑張って、これならしょうがない。

「ああ……」

疲労は甚大。
身体はまるで鉛で出来ているように重い。
意識も朦朧としている。
武器も、道具もなにもない。
相手は4人がかりでも叶わなかった化け物。
どうしようもないじゃないか。
呪われた血を持つあたしが、誰も殺さずにここまでこれたんだ。
もう、楽になろう。

「あああああああああああっ!!」

朦朧とする脳幹を叩き起こすように雄たけびを上げる。
胡乱だった眼差しに力が戻る。
萎えた身体に気合が入った。

嫌だ、諦めるなんて嫌だ。
そんなのは高町亮子じゃない。
最後まで負けたくない。
運命にも。
自分にも。


ドロップキック。
軽く助走をつけて放ったあたしの十八番は、意外とたやすく男に決まった。
吹っ飛ぶ男。

「……て、あれ?」

吹っ飛ばされて、ゴロンゴロンと回転。
目を回して延びていたのは、あの男ではなく……
理緒くらいの小さな女の子だった。

「……あれ?」

きょろきょろと、あたりを見回す。
あの男はどこにもいない。
いるのはあたしと、あたしの攻撃で倒れた女の子だけ。

「えーと、……見間違えた?」

あたしは、慌てて女の子を抱き起こす。

「ね、ねぇ、大丈夫?」

背中にでっかい羽根のオブジェ。
あたしには絶対似合わなそうな、ひらひらの服。
なんでこんな子を、あの男と間違えたんだろう。
女の子は目を開けると、その瞳がうるうると潤みだす。
あ、ヤバい。
541運命の螺旋乗り越えて(前編) ◆UjRqenNurc :2009/10/14(水) 23:05:50 ID:IWWDyJ6R

「ひ、ひどい! 喜媚、何にもしてないのに〜〜〜!!」

ロリィィィィィ☆と妙な泣き声を上げながら号泣する女の子。
滝のような涙が途切れることなく溢れだす。

「ご、ごめんね〜、あたし寝ぼけちゃってたみたいで〜」

女の子の頭を撫でながら、あたしは困り果てていた。
本気で体調が悪い。
熱っぽい。
それなのに寒気がする。
あ〜、マジヤバい。
目の前を羽根が舞っているような、おとめちっくな幻まで見えてきた……

「……びちゃーん!! 喜媚ちゃーん!!」

お、誰かきた。
この声は……理緒?

「おーい! 理緒ーー!!」

こっちにやってくる、ちっこい人影。
特徴的なツインテールが揺れる。
ああ、理緒、あんたもここに連れてこられたのか。

泣いていた女の子は、理緒が来るとピタリと泣きやんで理緒に抱きつく。
やれやれ、助かったよ。
でも、この状況はちょっと誤解されるかも。

「理緒。この子、あんたの連れだったのかい? 
 あたしのはやとちりで、けっとばしちゃったんだ。悪かった。ごめんよ。
 ……でも、あんたにとっちゃ不運だったろうけど、いてくれて助かったよー。
 ほら、この首輪。あんたなら解除できるだろ?」

「……あなた、誰ですか?」

は?
理緒は、まるで敵でも見るような冷たい眼差しであたしを見る。

「何言ってんだい!? ふざけてるの? 亮子だよ、高町亮子!」

「あなたが……亮子ちゃん?」

「そーだよ、見りゃわかるだろ!?」

あたしは本気で憤慨する。
いつも変な所でおふざけモードに入る子だけど、ちょっとそれはないんじゃないの?
そりゃ、あたしも悪かったと思ってるけど……

「……あたしの知ってる亮子ちゃんはもっと背が高くて、かっこいいよ
 あなた、あたしよりちっちゃいじゃない」

はぁ? 何ふざけてるの?
あたしが理緒よりちっちゃいだって!?
そんなことあるわけが……
542運命の螺旋乗り越えて(前編) ◆UjRqenNurc :2009/10/14(水) 23:06:33 ID:IWWDyJ6R
あたしは背筋を伸ばして理緒を見据える。
……あれ。
いやいやいや、ちょっと待って。
なんで視線の高さが一緒なの?

手を見る。
ぶかぶかな袖が、水で濡れて張り付いている。

下を見る。
制服のスカートが、今にもずり落ちそう。

恐る恐る、胸に手をあててみる。
ささやかながらも確かに存在していたふくらみが、今はぺたんこだ。

「な、な、な、なんじゃこりゃーーーーーー!!!!」

――今まで育ててくれた、お父さん、お母さん、ごめんなさい。
あたし、高町亮子は……ろりぺたな子供に、戻ってしまいました……




――もし、この場に亮子の同行者、聞仲がいればこの現象を説明する事が出来ただろう。
妲己三姉妹の次女、胡喜媚。
妖怪仙人である彼女の正体は、雉鶏精という未来過去へと時間を自由に行き来出来る極めて珍しい
鳥の妖怪なのだ。
言い伝えではその羽根に触れたものは時間的な退行を起こすという。

しかし、齢70を超える太公望を一瞬で胎児にまで戻したその力も、この場では制限されていたようだ。
下手をすれば知らぬ間に死んでいたであろうその能力を受けて、この程度で済んだのは幸運だったとも
言えるだろう。


だが果たして彼女が元の姿に戻る事が出来るのか否か。
それは聞仲の知識を持ってしてもわからない。





       ◇       ◇       ◇
543運命の螺旋乗り越えて(前編) ◆UjRqenNurc :2009/10/14(水) 23:08:25 ID:IWWDyJ6R
後ろ手にベレッタを構え、あたしは高町亮子を名乗る女の子を注意深く見つめる。

着ている服は、ぶかぶかのサイズ違いながらも月臣学園の女子制服。
ずぶ濡れなのは、川にでも落ちたのか。
あたしの名前や、爆薬に詳しい事を知っていた事。
口調やリアクションなども確かに亮子ちゃんを思わせる。

でも、なんで子供になってるの?
亮子ちゃんまで知らない間に魔法少女にでもなっちゃったの?
あたしは、高町亮子しか知り得ないであろう質問をいくつかしてみる。
結論は……

「確かに亮子ちゃんみたい、だね……なんでそんな格好になってるの?」

「そんなの、あたしのほうが聞きたいよ……」

二人して、大きな溜息。
ちょいちょいと、服を引っ張られる。

「この子、理緒ちゃんのお友だちっ?☆」

さっきまでべそをかいていた喜媚ちゃんが、にぱっと笑いながら問いかけてくる。

「ええ、どうやらそうみたいです……
 この子があたしの友達の高町亮子ちゃんです。仲良くしてあげてね、喜媚ちゃん」

「子供扱いすんなよ……。えっと、さっきは悪かった……ね。
 高町亮子。よろ……しく」

「うんっ☆ 理緒ちゃんのお友だちなら、喜媚ともお友だちっ☆ 仲良くしっ☆」

だが二人が握手しかけた所で、亮子ちゃんの姿勢が崩れる。
危うく喜媚ちゃんが抱きとめてくれたが、亮子ちゃんの様子がおかしい。

息が荒い。額を触ってみると酷い熱だった。

「亮子ちゃん?」

返事はない。
……亮子ちゃんは意識を失っていた。
病気……かな?破壊専門のあたしの知識じゃ判断出来ないけど……
水に濡れて風邪をひいちゃったとか?
それなら寝かせておけば治ると思うけど、こんな場所で治るまで悠長に寝かせてなんていられるわけがない。
それにもし、子供返り病とかそんな変な病気だったらどうすればいいの?

「亮子ちゃん、しっかりして! 亮子ちゃん!」

「喜媚、こんな時どうすればいいのか知ってりっ☆
 亮子ちゃんをお医者さんに見せに行きっ☆」

お医者さん……そんな人が、この場に居合わせているかどうか。
協力してくれるかどうかはわからない。
でも亮子ちゃんを、このままにはしておけない。

そう、せめて病院に行って、医学書と薬でも手に入れば……
危険かもしれなかったが、亮子ちゃんを見捨てられるはずがない。
そんなことしたらこーすけ君に殺されちゃうよ。

「喜媚ちゃん、病院に行こう。亮子ちゃんにお薬を飲ませてあげなきゃ。
 亮子ちゃんを乗せられるような姿に変身してくれる?」
544創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 23:08:28 ID:nLyeQW0A
支援します。
545運命の螺旋乗り越えて(前編) ◆UjRqenNurc :2009/10/14(水) 23:09:14 ID:IWWDyJ6R
「はーいっ☆、ロリロリロリったロリロリリン☆
 スープーちゃんになーりっ☆」

ぴろぱろぴろぱろ どろろんっ☆

煙の中から現れたのは、なんともファンシーな空飛ぶカバ。
これが噂のスープーちゃんですか……

「理緒ちゃんも喜媚に乗りっ☆
 喜媚、スープーちゃんみたいに病院までひとっ飛びしっ☆」

「あんまり目立たないようにお願いしますね……」


       ◇       ◇       ◇
546創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 23:10:08 ID:nLyeQW0A
支援。
547創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 23:11:59 ID:nLyeQW0A

548創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 23:14:57 ID:NhRp2zD0
嫌な予感しかしない
支援
549創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 23:21:58 ID:nLyeQW0A

550代理:2009/10/14(水) 23:32:52 ID:NhRp2zD0

変身した喜媚ちゃんは速かった。
翼もないというのに、その身体は風を切り宙を舞う。
あたしたちは、あっというまに市街地に入ると病院を目指して突き進む。
あまり高く飛ぶと発見されてしまうかもしれなかったので、高度は5M程度に抑え
民家の隙間を縫うように飛んでいた。

ここに来て、初めて見る競技場以外の世界。
夜のうちにどれだけの戦いが起きたのだろう。
街のあちこちに残された戦いの爪痕が、戦いの激しさを物語る。

やはり、あそこにいたのは正解だった。
受動的ではあったが、何の脅威もなくこの夜を過ごせた事がどれだけ幸運な事だったか。
亮子ちゃんは、どんな夜を超えてきたんだろう。
あの亮子ちゃんがこんなに消耗して、こんな姿になって。

「絶対、守るから」

あたしは亮子ちゃんの湿った髪の毛を撫でる。
そう、あたしたちは同じ血を分けた姉妹。
運命を共にするもの。
こんなところで死なせないよ。
絶対、みんな揃って未来を掴むんだ。

ビルを、商店街を、民家を飛び越える。
そして遠くに見えるのは病院の赤十字。
でもそのとき、あたしの視界の端に黒い影が映った。


振り向く。
あたしたちを追走するように、屋根の上を走る黒い影。
その手にあるのは冗談じみた大きな剣。
喜媚ちゃんは、ソレに気付く様子もなく楽しげに飛んでいる。

「喜媚ちゃん、避けてぇ〜〜〜〜!!!」

失礼を承知で、スープーちゃんに変身した彼女の角を握りしめ、飛行機を操縦するように
大きく捻りこむ。
急速旋回。
だが、そうはさせじとばかりに黒い影も宙を駆ける。
振り下ろされる大剣。

間に合えっ!

「ガッツ!!」

誰かの叫び声。
剣の勢いが緩む。
これならっ!

避け……きれたっ!

でも、その代償は地面との熱いキス。
目前に迫る大地、あたしは意識のない亮子ちゃんを庇うように抱きしめる。
無茶な回避の結果、すっかり体勢を崩し切ったあたしたちは地面に叩きつけ

ボヨン

られなかった。
551代理:2009/10/14(水) 23:34:24 ID:NhRp2zD0
一瞬早く、地面に投げつけられたクッションが、あたしたちを救ってくれたのだ。
それは子供が使うような、ビニール製のプール。
十分に空気の入ったそれがあたしたちの身体を柔らかく受け止める。

「あなたたち、怪我はなかった? ごめんなさいね。あの人、あの放送で少し気が立っているみたいなの」
「いえ、大丈夫です……このプールはあなたが?」
「ええ、支給品の中にあったから、咄嗟にね。間に合ってよかったわ」

声をかけてきたのは優しそうな着物の女性。
さっきの黒い影……黒い鎧の男の人は、同じく黒いコートを着た男の人と激しく言い争っている。
使徒がどうとか、グリフィスがどうとか言ってるけど、どうやらすぐ襲われる事はなさそうだ。
あたしは現状確認に努めることにする。

まず喜媚ちゃんに、人前で変身をしないよう耳打ちしようとしたが、それは遅かった。
彼女は既に元のロリータな姿に戻り、プールをトランポリンのように使って遊んでいた。

着物の女性は少し驚いているようだったが、おびえる様子は特にない。
彼女もまた、こういう不可思議な体験になれているのだろうか。
どこか憂いを秘めた笑顔で、遊ぶ喜媚ちゃんを眺めている。

男の人たちが戻ってくる。
どうやら話し合いは終わった様子。

鎧の人が凄い眼で喜媚ちゃんを睨んでいるけど、喜媚ちゃんは素知らぬ様子だ。
思わず笑いがこみ上げるが我慢。
コートの人があたしに話しかけてきた。

「突然すまなかったな。
 私はブラック・ジャックという。あの男はガッツ、彼女は志村妙さんだ。」

向こうの自己紹介に対し、話を受け入れるという意思を示すように軽く頷いておく。
とりあえず、先方の話を聞いてみよう。

「突然襲いかかった非礼は詫びるが、我々も先ほど空を飛ぶ化け物の襲撃で仲間を一人失ったところでね。
 彼も気が立っていたのだ。
 君たちのような少女が乗っていることは知らなかったしな」

そこで言葉を切ると、ブラック・ジャックさんは喜媚ちゃんをちらりと見る。

「もっとも、彼女の能力を見るに、君らも普通の人間かどうか私にはうかがい知れんが……」

やっぱり、あれは見逃しては貰えなかったか。
どうしよう、この状況で戦闘になるのは回避したい。
さっきの男の剣は凄かった。
この間合いで次は避けられないだろう。

「だが、君たちに特殊な力があるとしても、それだけの事で殺し合いに乗っているとは私は思わない。
 もし殺し合いに乗っているのであれば、そのように動けない仲間をかばったりはしないだろう。
 だから、君たちが殺し合いに乗っていないのであれば、この手を握り返して欲しい。
 私たちは仲間を欲している。
 このふざけた殺し合いを企画した、あの主催に反旗を翻す仲間をな」

あたしに向かってさし出される右手。
……これは同盟の申し出と受け取っていいのかな?
どうしよう。
確かに突然襲われはしたけど、この人の制止の声と、あの女性の助け船に救われたのは事実だ。
ガッツと呼ばれた男の人もどうやらブラック・ジャックさんたちの制止を押し切ってまで戦う気は
ないみたいだし、信用してもいいかもしれない。
552創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 23:35:40 ID:nLyeQW0A
あ、仮投下スレに来てたのか。支援。
553代理:2009/10/14(水) 23:37:19 ID:NhRp2zD0
もちろん、この一連の流れが彼らの仕組んだ狂言ということも考えられる。
簡単に気を許す事は出来ないが、すぐに襲ってこないなら仲間に入って様子を伺うのも得策だろう。
何しろこちらには自力で動けない病人がいるのだから。
あたしが握り返した手は清隆様みたいに大きくて、温かかった。

「ところでそちらの女の子は大丈夫かね?
 よければ、少し診せてくれ。これでも医者のはしくれでね」



       ◇       ◇       ◇


ブラック・ジャック先生の指示で亮子ちゃんの濡れた服を脱がして、近所の家から持ってきた毛布で包む。
先生の診断は軽度の低体温症と細菌性肺炎との事だった。
とりあえずの応急処置を済ませると、再び喜媚ちゃんがスープーちゃんに変身して亮子ちゃんを乗せてくれる。

「……首の太さの変化に応じて、首輪も大きさを変えているな。
 継ぎ目がない事といい、私たちの知る金属物質とは違うようだ」

「たぶん、いったん輪を広げて頭を通して首に掛けたんでしょうね。
 その制御用の信号が判れば、首輪も外せるんでしょうが……」

先生たちが仲間の犠牲の上、手に入れたという首輪を見せて貰いあたしも自分の知る情報を提供する。
先生は病院でこれをX線にかけたり、聴診器で調べてみるという。
いいアイディアだと思う。
解体が出来ない以上、信管を抜くなどの手段は取れないと思うが内部の様子を
調べておくのは無駄ではないだろう。

「でも一体どんな素材で出来てるんでしょうね……」

誰に問うでもなく発せられたあたしの独り言に、意外な人物が解をくれる。

「そんなの、宝貝合金に決まってりっ☆」

スープーちゃんに変化した喜媚ちゃんが、当然のように答えたのだ。

「!?
 宝貝合金って、この首輪もあの宝貝っていうものの一種なんですか!?
 じゃあ、喜媚ちゃんはこれをなんとか出来るの?」

思いもかけぬところから判明した首輪の情報に色めき立つ面々。
喜媚ちゃんに7つの視線が集中する。
だが、そんな視線をものともしない満面の笑み。
元の姿であれば可愛らしかったであろうそれも、珍獣の顔ではただただ間抜けなだけで……

「喜媚、わかんないっ☆」

この瞬間、皆が一斉に心中で「駄目な子……」と呟いた。


       ◇       ◇       ◇
554代理:2009/10/14(水) 23:39:05 ID:NhRp2zD0
辿り着いた病院もまた、酷い有り様だった。
赤十字。
非戦闘区域として有名な聖域も、このゲームの中にあってはたった数時間でこのありさま。
だが見回りの結果、とりあえずここには誰もいない事がわかりあたしたちは一時の安息を得る。

だがここで一つの別れがあった。
ガッツさんがここでの別れを宣言したのだ。

「やはり行くのか、ガッツ……」

「ま、元々病院までって約束だったしな。後は勝手にやりな。
 俺は俺で好きにやらせてもらうぜ」

「復讐か……」

「……」

「復讐を否定はせんよ。そうしなければ、前に進めないという事もある。
 だが、それ以外の方法でも過去は精算出来る。
 おまえさんの目の前には、常に別の道もあるということだけは忘れずにいてくれ」

「……」

黒い医師の言葉をどう受け止めたのか。
黒い剣士は外套を翻し、あたしたちの元を去る。

だけど、すれ違いざまに彼が呟いた一言は、

「おい、あの化け物女とは早いとこ別れといたほうがいいぜ。
 人間と、化け物じゃ所詮生きる世界が違うんだからな」

あたしの心に呪いじみた楔を打ち込んだのだった……



       ◇       ◇       ◇


仲間たちと別れ、黒い剣士は一人仇敵を探す。
名簿を見た瞬間、ガッツの心を満たした感情。
それは歓喜。
状況を正しく把握してみれば、これはチャンス以外の何物でもなかった。
忌々しくも鷹の団を名乗る新たなるグリフィスの軍団も、この地ではゾッドを始め数人いるかどうか。
そして主催の言葉を信じるのであれば、強者の力には制限がかかっているという。
更には守らなければならない女もこの地にはおらず、後顧の憂いもない。

これ以上は考えられないほどの好条件。
この機を見過ごす手はなかった。

病院に残してきたつかの間の仲間たちの事を、最後に少しだけ思う。
どこか自分と同じ匂いがした黒い医師。
連れを亡くしても毅然としていた女。
そして新たに仲間となった三人の少女たち。
らしくもなく忠告などとは、少しだけ仲間というものに慣れすぎたか。
だがここから先にそんな甘さは必要ない。
結局のところ、極限の場では自分の事は自分でやってもらうしかないのだ。
力が足りなければ、望みを果たす事も出来ずに死ぬしかない。
それがガッツの経験から得られた人生観であった。
555創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 23:40:03 ID:nLyeQW0A

556代理:2009/10/14(水) 23:41:10 ID:NhRp2zD0

まぁ、せいぜい上手くやるんだな。
あばよ。

病院に残してきた仲間に手を振ると、黒い剣士は街角に消えていった。


【E-2/道路/1日目 朝】

【ガッツ@ベルセルク】
[状態]:健康
[装備]:キリバチ@ワンピース
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1個(未確認)
[思考]
基本:グリフィスに鉄塊をぶち込む
0:グリフィスを殺す
1:グリフィスの部下の使徒どもも殺す
[備考]
※原作32巻、ゾッドと共にガニシュカを撃退した後からの参戦です。
※左手の義手に仕込まれた火砲と矢、身に着けていた狂戦士の甲冑は没収されています。
※紅煉を使徒ではないかと思っています。
※妙と、簡単な情報交換をしました。


       ◇       ◇       ◇
557創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 23:41:19 ID:nLyeQW0A

558創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 23:42:49 ID:nLyeQW0A

559代理:2009/10/14(水) 23:43:27 ID:NhRp2zD0
ガッツさんを見送った後、病院の一室で亮子ちゃんの治療を施すと、あたしとブラック・ジャック先生、妙さんは首輪の解析を試みるべくレントゲン室へと赴く。

ナース役を買って出た喜媚ちゃんだけを亮子ちゃんの傍に残していくのは少し不安だったが、この期に及んで
喜媚ちゃんを疑うのは、あたしの臆病な心の発露でしかないだろう。
状況的に考えて、喜媚ちゃんが亮子ちゃんを手に掛ける必要性など微塵もないのだ。
むしろ爆発物を扱う現場に連れて来て、彼女の持ち前の無遠慮さでデリケートな作業を邪魔される可能性のほうが
ずっと高かった。

宝貝合金についてのノウハウも聞き出したかったが、本当に知らないみたいで彼女にとっては身近な金属であるという事だけしかわからなかった。
彼女の姉である妲己さんと接触出来たら、この事もわかるのだろうか?


そういうわけでしばらく三人であーでもない、こーでもないと首輪をいじってみたのだが……
医療機材による測定は全滅。
あとはブラック・ジャック先生の聴診器での調査を残すのみとなったが、その前に腹ごしらえをすることを
先生が提案する。

なにせ、根のいる作業だから作業中に腹の虫がならないように……
とのことだった。
確かにここに来てから何も食べておらず、もしおなかが鳴ったりすると非常に恥ずかしい。

というわけで支給された食糧を取りだすが出てきた物は三者三様。
あたしの支給された食糧はすぐに食べられるサンドイッチ
妙さんのはおむすび。
だが、ブラック・ジャック先生の食糧だけは、なぜかレトルトのボン・カレーだった。

ボン・カレーはどう食べてもうまいのだと言いながら、温めもせずに食べようとする先生を
妙さんが止め、温めに厨房に行く。

その隙にあたしは少しデリケートな問題をブラック・ジャック先生に相談することにした。
亮子ちゃんの身体の問題である。

「ふむ、若返りの奇病……か」

「はい……そんな事が本当にあるんでしょうか……」

「ない……とは言い切れん、私は何十年も老化しなかったクランケを知っている。
 もっとも、失っていた意識を取り戻した瞬間、それまで止まっていた老化現象が一気に襲ってきて亡くなられたが」

「じゃあ、亮子ちゃんも意識を取り戻せば元に戻る可能性が……」

「どうかな、私が診た所、意識を失ったのは肺炎と疲労が原因だ。
 若返り現象との間に因果関係はないように思えるが……
 まぁ、気長に見てみようじゃないか。
 命にかかわる奇病というほどのものでもあるまい」

「はぁ……まぁそれもそうかもしれませんが……」

先生はどうやら頭の柔らかいお医者のようで、あたしの荒唐無稽な相談を笑いもせずに聞いてくれた。
でも老化しない病気だなんて、そんな症例も世の中にはあったんだ。
あたしをあんまり心配させないためのジョークかもしれないけど。

「……でも、妙さん遅いですね。あたし、少し見てきましょうか?」

レトルトカレーを温めるにしては、少し遅い。
ちょっと神経質になっているのかもしれないけど、こんな場所ではふとしたことで不安の種が育つものだ。
椅子から腰を浮かすあたしを、先生は止める。

「いや、もう少し、一人にしておいてあげよう。
 ……さっきの放送で、彼女の弟さんの名が呼ばれているのだ」
560代理:2009/10/14(水) 23:44:14 ID:NhRp2zD0
      ◇       ◇       ◇

コトコトと、沸き立つ鍋の音だけが厨房を支配する。
湯せんすればいいだけのレトルトカレーを直接火にかけているため、あたりにはカレーの香りが漂っていた。
ゆらめくガスの炎を、椅子に座った妙が呆と見つめている。

一人になれば思いっきり泣けるかと思ったが、長年培ったこの鉄仮面は存外に剥がれないものだ。
ほろりと、申し訳程度に流れる一粒の涙が精いっぱいだった。

「新ちゃん……」

放送で呼ばれた、たった一人の家族。
増田さんの名前も同じ放送で呼ばれた為、信憑性は高いだろう。

侍が不要とされる時代。
それでも侍を志し、真の侍と見込んだ銀さんの元で真の侍道を模索していた自慢の弟。
どんな苦労を買ってでも一人前の侍にしてあげたかった。

その彼が、こんな場所で自分より先に死んだ。
じゃあ、自分はこれからどうすればいい?
復讐?
婿を取り、道場を再興する?

だが、何をどうしたところでこの空白はもはや埋まる事はないだろう。
それが死というものがもたらす永別。
あの優しい弟は……新八は、もういないのだ。

「あなたは……あなたの思う道を貫けましたか……?」

虚空に呟いた声は誰に聞かれることもなく立ち消えた。


       ◇       ◇       ◇


それからしばらくして、妙さんがカレー皿を持って戻ってきた。
その表情は笑顔だが、目の周りが少し赤い。
……同情はしない。
この環境では、いつだれが同じ境遇に置かれるかわからないのだ。

「ほう、スープカレーにしてくれたのか。妙さんは料理が上手いんだな。
 ピノコの奴もこれくらいできるようになってくれればいいんだが……」

――もし、妙の知り合いがこの料理を見たら驚愕するだろう。
いつもの彼女であれば、作る料理全てはブラック・マターと呼ばれる暗黒物質と化すのだが
何の奇跡か、机に置かれた皿からは食欲をそそる香りが漂っている。

「まぁ、先生ったら、お上手なんですから。厨房にあったお野菜も入れてみたんですよ。
 ピノコさんって先生の恋人さん? もしかしたら奥様かしら?」

「とんでもない、まぁ娘みたいなものかな。こまっしゃくれた娘だが、いないと妙にさびしくてね……
 天涯孤独の私だが、それでも支えてくれるような人間はどこかにいるものさ」

「先生……」

「そんな人たちのためにも、私たちはこんなところで死ぬわけにはいかんのだ。
 この首輪を我々に残してくれた、あの勇敢な青年に報いるためにもな……
 さぁ、飯を食ったら首輪の解析を続けよう。」

「……はいっ!」
561創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 23:44:20 ID:nLyeQW0A

562代理:2009/10/14(水) 23:45:27 ID:NhRp2zD0

ブラック・ジャック先生の不器用な励ましに、少しだけ妙さんの顔に生気が戻る。
妙さんにもまだいるのだろう。
支えになってくれるような誰かが。

やっぱりお医者さんって凄いな。
心身共に傷付いた人を救う事の出来る癒し手たる職業。
あたしも、あたしに出来る事でそんなお仕事が出来たなら……


ドッ! ガシャッッアアアアアアッ!!


それまでの平穏をぶち壊すような、金属のひしゃげる轟音。
音の出所は、レントゲン室の重い金属扉。
その扉が、まるで事故にあった自動車のようにひしゃげていた。

それをしたのは一目瞭然。
扉の前に立つ男が握るもの。
それは剣というにはあまりにも大きすぎた。
大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに鉄塊だった。

隻眼の黒い剣士。
さきほど別れたガッツさんがそこにいた。


       ◇       ◇       ◇

声をかける暇もなかった。
竜巻のように振るわれたガッツさんの大剣が、扉の一番近くにいた妙さんの頭に撃ち込まれる。

爆ぜた。

仲間を、弟を失いながらも、尚強くあろうとした女性の綺麗なかんばせが西瓜のように砕かれる。
ピンク色の綺麗な何かが、カレー皿の中にポチャポチャと落ちる。

わぁ、おいしそう。

場違いな感想が頭を埋め尽くす。
でも半生を危機とともに生きてきたあたしの身体は、脳が命じなくても適切な行動をしてくれた。

機械の隙間に身を隠し、ベレッタを抜く。
だが、撃つところがない。
異常に巨大な大剣は、盾のように身体を隠す。

「ガッツ!」

それでも牽制するように先生はナイフをガッツさんに投げつける。
キィンと、金属同士が弾きあう音。
翻る黒い外套。
横薙ぎに振るわれる鉄の塊。
室内に破壊の騒音が響きわたる。
バラバラに打ち砕かれる医療機械。
あぶり出されるあたしたち。

騒音をかき消すように狂戦士が叫ぶ。

「LOOOoooッッッ!! ッliイイイイイ!!!!」
563創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 23:45:45 ID:nLyeQW0A

564代理:2009/10/14(水) 23:46:45 ID:NhRp2zD0

振り回す。
ブラック・ジャック先生を刀身で貫いたまま。
室内にあった機材を力任せに鉄の塊が叩き壊す。

部品が飛び散る。
それと引き換えのように、むき出しの機械の破片に肉の破片がコーティングされる。
室内は、一瞬にして地獄絵図。
酷すぎる。
狂気のような光景と、悪臭で思わず吐きそうになるのをあたしは必死にこらえる。


身体のあちこちを削り取られた先生は、まだ息があった。
ぴくぴくと痙攣する肉体が最後に机に置かれていた首輪に叩きつけられる。

目と耳を塞ぐ。
爆発。

時計の長針がわずか一回りする間の出来ごと。
あたしが眼を開けると、そこにはもう誰もいなかった……


       ◇       ◇       ◇
あたしは廊下を走る。
なぜ、あたしを見逃したのかわからないが、亮子ちゃんや喜媚ちゃんをも彼が見逃すかはわからない。

ボテっと転ぶ。
演技ではない。

まるで悪夢の中を走っているかのように、身体が上手く動かないのだ。


這うように、病室の前までたどり着く。

祈るように扉を開けると、そこには平穏があった。
薬が効いたのか、健やかな寝息を立てる亮子ちゃん。
そして、その布団にもたれかかるように眠る喜媚ちゃん。



その光景に、なぜか涙腺が緩んであたしは泣いていた。
565創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 23:46:59 ID:nLyeQW0A
うええ急展開……、支援。
566運命の螺旋乗り越えて(後編) ◆UjRqenNurc :2009/10/15(木) 00:05:41 ID:c+v97v5p
【ブラック・ジャック@ブラック・ジャック 死亡】
【志村妙@銀魂 死亡】

【D-2/病院/一日目 午前】

【竹内理緒@スパイラル 〜推理の絆〜】
[状態]:健康 精神的にかなりの疲弊
[服装]:月臣学園女子制服
[装備]:ベレッタM92F(15/15)@ゴルゴ13、携帯電話(競技場で調達)
[道具]:デイパック、基本支給品、ベレッタM92Fのマガジン(9mmパラベラム弾)x3
[思考]
基本方針:生存を第一に考え、仲間との合流を果たす。
1:ガッツに対し恐怖
2:異能力に恐怖。
3:恐怖に負けず喜媚を信じてみる。
4:申公豹の名前を餌に、“探偵日記”を通じて妲己を捜索。
5:“螺旋楽譜”の管理人が電話連絡してくるのを待ち、直接会話してみる。
[備考]
※原作7巻36話「闇よ落ちるなかれ」、対カノン戦開始直後。
※首輪の特異性を知りました。
※早朝時点での探偵日記と螺旋楽譜の内容を確認しました。
※螺旋楽譜の管理人は、鳴海歩、結崎ひよの、カノン・ヒルベルトの誰かが有力と考えています。
 ただし、鳴海歩だと仮定した場合、言動の違和感とそこから来る不信感を抱えています。

【胡喜媚@封神演義】
[状態]:健康、いねむり
[服装]:疲労(中)
[装備]:如意羽衣@封神演義
[道具]:デイパック、基本支給品
[思考]
基本方針:???
1:妲己姉様やスープーちゃん達、ついでにたいこーぼーを探しに行きっ☆
2:理緒ちゃんと亮子ちゃんは喜媚が守りっ☆
[備考]
※原作21巻、完全版17巻、184話「歴史の道標 十三-マジカル変身美少女胡喜媚七変化☆-」より参戦。
※首輪の特異性については気づいてません。
※或のFAXの内容を見ました。
※如意羽衣の素粒子や風など物や人物以外(首輪として拘束出来ないもの)への変化の制限に関しては不明です。
※『弟さん』を理緒自身の弟だと思っています。
※第一回放送をまったく聞いていませんでした。
※原型の力が制限されているようです
567運命の螺旋乗り越えて(後編) ◆UjRqenNurc :2009/10/15(木) 00:06:24 ID:c+v97v5p
【高町亮子@スパイラル 〜推理の絆〜】
[状態]:疲労(特大)、打撲&背中に打ち身(処置済み)、肺炎(処置済み)、睡眠中、若返り
[服装]:裸
[装備]:毛布
[道具]:月臣学園女子制服 (乾かし中)
[思考]
基本:この殺し合いを止め、主催者達をぶっ飛ばす。
0:…………。
1:なんで子供に……
2:理緒や喜媚と協力してこの殺し合いを止める
3:ヒズミ(=火澄)って誰だ? 鳴海の弟とカノンは、あたし達に何を隠しているんだ?
4:できれば香介は巻き込まれていないといいんだけど……
5:あのおさげの娘(結崎ひよの)なら、パソコンから情報を引き出せるかも。
6:そういや、傷が治ってる……?
7:勝手に身体が動いた?
8:エドの力に興味。
9:エドや流、うしお、知らない女の子(咲夜)は助かったのだろうか。
10:流の行動に疑問。
[備考]
※第57話から第64話の間のどこかからの参戦です。身体の傷は完治しています。
※火澄のことは、ブレード・チルドレンの1人だと思っています。
 また、火澄が死んだ時の状況から、歩とカノンが参加していることに気付いています。
※秋瀬 或の残したメモを見つけました。4thとは秋瀬とその関係者にしか分からない暗号と推測しています。
※聞仲とエドの世界や人間関係の情報を得ました。半信半疑ですが、どちらかと言えば信じる方向性です。
※竹内理緒より若干小さくなっています。中1くらい? 元に戻るかどうかは後続の書き手さんに任せます。


※ブラック・ジャックと妙の荷物がレントゲンルームに放置されています。

【ビニールプール@ひだまりスケッチ】
宮子の持っていたビニールプール。
お風呂にも使える?
568運命の螺旋乗り越えて(後編) ◆UjRqenNurc :2009/10/15(木) 00:08:24 ID:c+v97v5p
以上です。

ちゃんと舞台裏も書かないと不味いでしょうか?
問題あるようなら話を削るか、足すかします。
ご意見お待ちしております。


代理投下ありがとうございました
569創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 00:15:02 ID:v2cRvIRy
ちょwww何事wwwww

きっちり読めば舞台裏は読める……と見せかけて本物のガッツという展開もアリか。
これは続き書きてえw

個人的にはこれで問題は無いです。
570創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 00:17:37 ID:F7e4OL1G
投下お疲れ様です。

最初の一連の流れに笑い、亮子の若返りに意表を突かれ、BJ達とのやりとりや考察に感心し、最後の最後に驚きの一言。
盛り沢山の展開、楽しませていただきました。
ただ、リレーであるだけにやっぱりどうしてこうなったのかの説明が少々不親切かなと。
最後の展開は非常に面白かっただけに、削るよりも説明をつけて欲しいかな、と思います。
571創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 00:18:37 ID:FiXxadts
投下乙
どうしてこうなった
572代理:2009/10/15(木) 00:24:14 ID:b+51HaLv
投下乙です

最初の波乱の亮子と喜媚との邂逅やガッツが切りそうになったのはひやひやしたがまだ予想範囲内だった
妙さんが落ち込みつつもそれを見せない強さやブラック・ジャックの前向きさと理緒の想い
このまま前向きに終わると思ったら……なん……だと……
これは先が気になる。舞台裏とかいったい何故なんだ?

俺も問題ないです。
ところでこれは新スレかな?
573創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 00:30:09 ID:tX+9Y8na
ヒント:いねむり

だよな?
574創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 00:41:16 ID:v2cRvIRy
>>573
素直に解釈すればそれ

どうでもいいですが、
>[服装]:疲労(中)
↑おいw
575 ◆UjRqenNurc :2009/10/15(木) 00:49:11 ID:c+v97v5p
おんや
>>564
×時計の長針
○時計の秒針

[状態]:疲労(中)、いねむり
[服装]:ナース服

こうか。
今のところ
問題なし:2
書き足し:1
かな
これ舞台裏まで書いちゃうと非常に重要なところまで一人でつっこんじゃいそうなんだよなぁ
誰かにバトンしたいところ。
576創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 01:02:38 ID:b+51HaLv
書き手同士で茶で話し合うのもありだと思う
577創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 01:06:44 ID:qrQZxGiW
把握作品が少ないからか過程が良く分からない……
どの作品の何巻読むといいのかだけ教えてほしい
578創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 01:26:52 ID:v2cRvIRy
ロワ内だけで必要な情報は出揃ってる。

次スレ立てられないので誰か頼む。
579創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 03:00:55 ID:0qlkqrak
立ててきたよ

新漫画バトルロワイアル 第6巻
ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1255542773/
580創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 01:00:14 ID:4CyhrPJX
こっちは埋めるか
581創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 15:07:16 ID:hV1TtSQZ
そうだね、埋めようか
582創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 15:57:23 ID:7fJiLich
ksk                                   
                                             
                                                
                                             
                                             
                                     
                                             
                                                
                                             
                                             
                                     
                                             
                                                
                                             
                                             
                                     
                                             
                                                
                                             
                                             
                                     
                                             
                                                
                                             
                                             
                                     
                                             
                                                
                                             
                                             
                                     
                                             
                                                
                                             
                                             
                                     
                                             
                                                
                                             
                                             
                                     
                                             
                                                
                             
583創る名無しに見る名無し
次スレです

新漫画バトルロワイアル 第6巻
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1255542773/

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\                           / ̄ ̄
 お  届  オ   'l                          . |  そ
 い  .く  .レ   .'|     ヽ,,.;, ...ii;;..,,.ヽ|ヽ|∨ノl∧ ,, ,,,/;     |  .れ
 て  .と  の    .|   ;;; ;,.,. ヾヾ||:::i;;ヽiyリlll;;ii.;ヽli;,,/;;/ハ /;,   .|  な
 お  こ  剣    ヽ_,,ヽlllゞ"l;,,,ll〆ヾl;lll"::: ii;i;;i::/ハ:llハ;ii;;/ハ    .|  ら
 き  ろ  が   _ミミヽllミ"';;;''lll i;;,ミ》lll l l>;;ゝl;,,ii,,ll;iii.ヽl/;;;;,/l /l/\  _
 て  に     .ヽーヽllミミミミii;;; i;;;巛l lヽ∨lllllll/ハll;iii;ハ:ii; ヾl/ii;i|||li  //
 .ぇ       >=ll"ll;;,,,l,,ソミミll》》iiii::ii:llll/"l/l lll;;,ヽハヾlll":::ヽl//llllレ'';"
____  / .-;;ヽミllll;;ミミミll《<ミiiiii iii l;ヽii:::::iiii:::lllllllllll::i ii/ii::iii iiii lllll彡i/
     \l  ._,,:ll;,,;;,ミiiミミlll;;; ヽlllll>》ll》llll::lll"i iii"lllハ,;iii;;;iii;iii,,i,ii;;iii"lll;;iレ;
         \ii\;;;,,,,,ヾヽllll; "### ;;iii;;ll; ヾ;;;;; ; ii lllll i lll/ノl 'ii/l;ii/ノ"/
         ∠lllミミllミ"ヽi;;..;.ヽlヽlllll;, ;;llllll ii 'illl;.;lll ;llll i lll ノl;;ノ /l/i..ノr/''"
         <;;;...ゝlミミミ,,;;;lll;;;...ミlllillillillゝ:ヾll;;lヽliili ll.,.ilill; ;ll ;lllll";;ii"//;iノ7
         巛ミ;;ヾllミミミiiミミミ;:"''"'''"/ll/iiiiiiiiヽll::iiヽiiiレ"llll'';;llll::ノii彡ミ
         」ミミミ巛ミiii;;;;::,::    //i////;::;::i/iiiii:ii:::::lllll;;;iii::ヽ"'ミ彡
         丶ミ,;、ミミミミミミiiiミ>   / ||/ ./ii///iiハ,ヽii|ヽiiYiiii|,ヽゞ ヘ
         <ミ|'トヽ:::,,,ミミi:i:i;     |レ l/l |//|  | |iil liil i .iiii  l|iYヽ
ヽ         .>.Kニヽヽミiiiミ      i|  ll リl .l : | ll/ |リ  |i| . |ll
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