学校を創りませんか?part2

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1 ◆FhLepFtlNE

創作発表板に生まれた少し変わった学校、私立仁科学園。
このスレは、そんな仁科学園の世界観をSSや設定だけに留まらず、様々な表現で盛り上げ、また創っていくスレです。
貴方が創った生徒が学校の一員として誰かのSSに登場したり、気に入った生徒を自分のSSに参加させる事が出来ます。
部活動や委員会を設置するのもいいでしょう。細かい設定として校則を考えてみたり、制服を描いてみたりなどはいかがでしょうか。

また、体育祭や文化祭などの年間行事及び、生徒達の絆を深めるイベントや
仁科学園以外の学校や、生徒たちのバイト生活等世界観は仁科学園の外にまで広がります!
皆さんの想像力で、仁科学園の世界観を幅ひろーく構築していきましょう!

・このスレはシェアードスレ(世界観を共有する)な為、自分の作ったキャラクターや他作品の作者さんが作ったキャラクターを共有する事となります。
 その事を念頭において、創作活動に励んでください。また、世界観を共有している為あまりに突飛な設定は好ましくないかも。

・クロスオーバー(他キャラクター同士を絡ませる)の為に自作のキャラクターが使われる事があります。
 予めご了承ください。 それと他作品の作者さんからキャラクターを借りる事になる為、失礼の無い様に気をつけましょう。

・投下の際には必ず投下初めと投下終了のレスを付けましょう。また、その間になるべくレスを挟まないように気をつけましょう。 
 また、新キャラ・新設定を発表する際には、投下終了後にその旨を書いたレスを投下してください。
 
・正し、作者さんが長文を投下する際には支援のレスを宜しくお願いします。作者さんは長文になる際は予めお知らせください。
 バイバイさるさん(連投規制)が発動されるのは投下始めから投下終了、また新規の場合設定紹介も含めて10レス以上です

・既存のスレのキャラクターを登場させる場合は、このスレ内だけ把握が可能な状態にしてください。
 
・参加してみたい!という方は世界観を把握しておく為、下記のまとめサイトを一読しておくことを推奨します。

・以上の事を守り、楽しく朗らかに仁科学園の世界を創っていきましょう!

初代スレ
学校を創りませんか?
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1248087645/
「創作発表板@wikiにあるこの企画のページ
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/242.html
2創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 23:45:54 ID:A7F3SvZ4
>>1
3創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 23:52:36 ID:tHIE7hNS
スレ立て乙
4創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 23:55:19 ID:IF70v5km
>>1乙愛してる
5創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:04:04 ID:Q0luQLI+
いまさらこんな事を言っても遅いけど、
他スレとのクロスは完全に禁止しておけば良かったかもしれない。
6創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:04:05 ID:DdWgM7Yr
717 :創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 19:34:05 ID:TSDKKCT2
昨日の言いだしっぺとして、改めて告知しとこう。

今日の21時から、この企画のことについていろいろ話し合い。
場所はここ。なので、書き手さんは申し訳ないですが、話し合い中の作品投下は避けてください。

【予定されている主な議題】
・いつになったら作中時間は5月になるの? てか、作中の時間の進め方はどうする?
・仁科学園以外の話はいつになったら解禁するの?
・今後のイベントはどうする?
・新キャラはいつまで出していい?
・初等部いらなくない?
・専用のwikiとしたらば、いる?
・テンプレどうしよっか?(現在のテンプレ案は>>689

他に議題にした方がいいことがあれば、できれば話し合い開始前に言っといてもらえると助かります。
7創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:04:17 ID:tHIE7hNS
前スレ>>1000
ガッ
8 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/26(日) 00:04:24 ID:a2mqxiqo
乙です
みんな移動した?
9創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:04:32 ID:1bMQ1cGJ
>>1
10 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/26(日) 00:05:05 ID:BuA9zKZz
>>5
それは言い過ぎたろ
11創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:05:11 ID:IF70v5km
937 :今日の進行役:2009/07/25(土) 23:32:28 ID:TSDKKCT2
・専用の避難所はいらない。必要なら創作発表板の避難所を使用
・この企画専用wikiを用意する(管理人さん募集中)
・仁科学園は、初等部・中等部・高等部・大学からなる、エスカレーター式の私立学園。マンモス校。
 小中高は同一敷地内だが、大学は創発市内にあるものの敷地は別

よし、じゃあ、ここまでは決定でOK
12今日の進行役:2009/07/26(日) 00:05:44 ID:QD5HRB04
【未消化の議題】
・いつになったら作中時間は5月になるの? てか、作中の時間の進め方はどうする?
・仁科学園以外の話はいつになったら解禁するの?
・今後のイベントはどうする?
・新キャラはいつまで出していい?

上の3つは今からやると朝になると予想されるので
新キャラの件だけ決めて、今日のまとめやって、申し訳ないですが残りは明日にしたいと思います。
申し訳ないとしか言いようがない……
13創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:06:56 ID:dRJ08YPz
てか、新キャラはいつまででも好きなだけ出せばいいよね?
他の書き手さんにクロスしてもらえなくても、1話きりで消えていくキャラになっても泣かないの前提で
14 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/26(日) 00:07:00 ID:BuA9zKZz
>>12
了解

キャラはいつまででも良いんじゃない?
なんで制限する?
15創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:07:33 ID:DdWgM7Yr
940 :創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 23:33:15 ID:MEjEYsxw
報告

◆LV2BMtMVK6の作品、>>77-78はそのまま破棄で
そっから出るズレは放置で


967 :創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 23:47:13 ID:MEjEYsxw

これは好都合
>>643-645を破棄しますよ
編集は自分でやるのでご心配なく
16創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:07:37 ID:1bMQ1cGJ
>>5
ちょこっと同意
17創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:09:13 ID:1bMQ1cGJ
新キャラはどんどん出しても構わないと思うよ。
18今日の進行役:2009/07/26(日) 00:09:15 ID:QD5HRB04
>>14
新キャラの件は「新しいキャラ出していいの?」って感じの質問が過去にあったから
一応議題に入れたんだ。
たしかに制限しなくていいと思う
19創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:09:29 ID:LjLKRTN4
>>12
いえいえ、お疲れ様です
新キャラの期限ですよね。
基本の「発言する」登場人物は例えば二スレ目までとか、三スレまでとかでもいいと思います。

その後、売店のおばちゃんちょっと使いたいんだけど!とかあれば追加しても問題ないだろうし
20創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:09:29 ID:SIUfe3XD
避難所にスレ立てるなら、次から議論はそっちでやるべきだと思うんだが
長時間投下出来なくなるし、作品も流れるから
21創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:09:53 ID:DdWgM7Yr
今だからいうけど、祝辞とか成績トップとかって設定はさ、
先に一言あった方がよかったんじゃねーかな・・・
そういう意味では俺も反省しなきゃならんけど
22 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/26(日) 00:10:36 ID:a2mqxiqo
色々な人が居るんだから仲良くやりましょうよ

避難所での個人攻撃とか誹謗中傷は禁止にしましょうや
23創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:11:05 ID:LjLKRTN4
>>21
まー、設定が投下作品に優先することはないですから
勝手に決まってない要素使いやがって!とかはないかと
24 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/26(日) 00:11:25 ID:a2mqxiqo
といってみたw
25今日の進行役:2009/07/26(日) 00:12:47 ID:QD5HRB04
【決定事項まとめ】
・専用の避難所はいらない。必要なら創作発表板の避難所を使用
・この企画専用wikiを用意する(管理人さん募集中)
・仁科学園は、初等部・中等部・高等部・大学からなる、エスカレーター式の私立学園。マンモス校。
 小中高は同一敷地内だが、大学は創発市内にあるものの敷地は別
・一学年何クラスかと学部と部活は……まあ、収拾つく範囲内で。
・新キャラは好きなだけ出してもいいけど、クロスしてもらえなくても泣かないこと。

さりげなく増えてる項目があるので、異議のある人は早めにお願いします
26創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:12:53 ID:DdWgM7Yr
>>23
それはそうなんだけど、ごらんの有様だよ!って感じだ。何がってわけじゃないケド
27創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:13:38 ID:DdWgM7Yr
>>25
いぎなーし
28創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:14:43 ID:1bMQ1cGJ
>>25
おk
29 ◆FhLepFtlNE :2009/07/26(日) 00:14:48 ID:rdJwKQgk
>>25
異議なし異論無し言う事は何もございませんです
30 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/26(日) 00:15:12 ID:a2mqxiqo
みんなNG設定っていうのにしてんの?

>>25
了解です

>>26
まぁでも最初の頃から居た気がするし
徹底無視しかあるまい
31創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:16:12 ID:LjLKRTN4
>>25
異議なしです
32創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:16:47 ID:Q0luQLI+
このスレで完結していてこのスレだけで把握出来るキャラが出る前に、
他スレからの移植キャラが増えすぎててわけ分からんのよね。
33 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/26(日) 00:18:55 ID:a2mqxiqo
じゃあもう黒歴史にしてリセットしちゃうか。
移植キャラは教師だけじゃないの?
34今日の進行役:2009/07/26(日) 00:19:31 ID:QD5HRB04
イベント関連は時間がかかると予想されるので申し訳ないですが明日に回したいと思います。

で、イベント関連以外で話し合わないといけないことがあれば今のうちにお願いします。
今出てるのはこのあたり?
・他スレのキャラは全面禁止のほうがいい
・新しい設定を出す場合は(設定にもよるけど)先に一言あったほうがいいんじゃないか
35創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:19:50 ID:Q0luQLI+
>>25
異論ございません
36創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:20:05 ID:LjLKRTN4
>>33
流石に無謀

とりあえず今日の決定事項はひととおり決まったのかな?
37創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:20:06 ID:DdWgM7Yr
>>33
待て待てそんな乱暴な
38創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:20:51 ID:1bMQ1cGJ
あ、他スレのキャラっつーか、スターシステムで書いてるキャラはあり?
39 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/26(日) 00:21:08 ID:a2mqxiqo
>>34
それって今居るキャラも追い出すのか?
読む楽しみを奪うのは避けたいから難しいよなぁ
40創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:23:37 ID:DdWgM7Yr
正直他スレだからというより、突飛な設定やチート設定の方が気になるんだけど
投下が優先っていっても、描写もなくそういうことになると、なんとなくその作者から距離を置きたくなってしまう

スターシステムがダメだとどれくらい減るだろうね?
41 ◆FhLepFtlNE :2009/07/26(日) 00:23:42 ID:rdJwKQgk
今居るキャラは良いんじゃないかぁ?
これからはこのスレで出てきたキャラのみで話を進めた方が良いと思うけど
42創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:24:56 ID:DdWgM7Yr
減らんのかwすまんw
43 ◆FhLepFtlNE :2009/07/26(日) 00:25:22 ID:rdJwKQgk
>>40
チート設定にしちゃって本当にごめんなさいね
距離置かないでください
44 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/26(日) 00:25:59 ID:a2mqxiqo
>>36-37
スマソ


>>38
スターシステムも基準が十人十色だよなぁ

>>40
これからに期待しましょ

>>41
生徒はこのスレで生まれたみたいだしねぇ
厄介だなぁ
45創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:26:02 ID:QD5HRB04
個人的には、これでいきたいかな

・他スレ・他企画からのキャラの流用は全面禁止。
 ただし、このルールが適用されるのは今後のことであって、既に出てるキャラに遡って適用することはしない。
・新しい設定を出す場合に事前にスレ住人の意見を聞くかどうかは、書き手さんの判断に任せる
46創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:27:53 ID:DdWgM7Yr
>>43
きさまは屋上以外に何をしでかしたw
47 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/26(日) 00:28:16 ID:a2mqxiqo
すっきりしてて宜しいかと。
設定は理由があれば大丈夫にしてあげたいけど仕方ないね
48創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:29:24 ID:QD5HRB04
流れ切って悪いけど、創作発表板の避難所って勝手にスレ立てていいのかな?
スレタイは「学校を創りませんか?スレ 避難所」でいい?
49創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:30:00 ID:LjLKRTN4
>>48
いいと思う
50 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/26(日) 00:30:25 ID:a2mqxiqo
まだいらなくない?
51創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:30:32 ID:DdWgM7Yr
>>46
うん

>>48
よろしくっ
52 ◆FhLepFtlNE :2009/07/26(日) 00:30:55 ID:rdJwKQgk
>>46
いや、天月さんをあの設定に抑え込んで良かった、本当に良かったなぁと
月からやって来た謎の美少女剣士でなおかつかぐや姫の遠い子孫で月を動かせる事が出来るなんて設定で投下しなくて本当に良かった
53創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:31:26 ID:1bMQ1cGJ
>>44
自分がやってるのは性格が同じキャラを出すって事。
突飛な能力があるわけでもないけど性格はぶっ飛んでいるキャラが多い。
54創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:33:08 ID:DdWgM7Yr
>>52
笑かすなw
妹が起きてきちまうだろw
55創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:34:00 ID:DdWgM7Yr
すみません嘘です
画面外に妹なんていませんです
56 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/26(日) 00:34:17 ID:a2mqxiqo
>>53
そういうことか。
一人を言ってるわけじゃなかったのね。
確かに似た設定みたいなのが多いって前スレも一瞬話題になったような。
57創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:35:26 ID:DdWgM7Yr
主人公格の性格が被るってやつか。
淡々とした主人公は最近の流行りだしなあ。ヒロインほど多様にはならんのかもな
58 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/26(日) 00:36:28 ID:a2mqxiqo
そこが腕の見せ所だよね
59創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:38:22 ID:QD5HRB04
>>50
他の人も言ってたけど、今日の議論みたいな時間取るヤツは投下の妨げになるから
明日はしたらば行った方がいいかと思って。

したらばは個人的に、今日みたいな企画の運営関係の議論がある場合に使う以外に
普段は2ch規制中の人の投下用にすればいいと思ってるんだけど、それでいいよね?
60創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:39:17 ID:vBE/88/N
○○がウォーミングアップを始めた様です
とか書いてあったのもあったしな
61創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:40:46 ID:1bMQ1cGJ
>>59
それで良いと思う。


ちなみに。自分がやっているスターシステムは他スレに投下した作品のキャラを焼き増しでやっていたり。
62 ◆FhLepFtlNE :2009/07/26(日) 00:40:48 ID:rdJwKQgk
じゃあ今後の議論はしたらばでやるって事ですか?
こっちは投下・感想を主にして
63創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:42:03 ID:DdWgM7Yr
・・・実は俺も流用したしのう
こういう流れになってよかったよかった
64 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/26(日) 00:42:32 ID:a2mqxiqo
もう学園裏サイトでしたらば一個作っちゃおうかな
65創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:42:56 ID:LjLKRTN4
>>62
それでいいんじゃない?
もしくは明日の分までこっちでやって、それ以前にできれば今日、明日の分の投下予約取っておくとか
66 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/26(日) 00:45:54 ID:a2mqxiqo
投下予約ってそんな前からしないと投下出来ないの?
67 ◆FhLepFtlNE :2009/07/26(日) 00:46:49 ID:rdJwKQgk
>>65
把握しましたー
取りあえず今後議論になりそうだったらしたらばに行くって事で
今日決めかねた議題はしたらばに持ってくって認識で良いんでしょうか
68創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:47:10 ID:DdWgM7Yr
投下予約っているのか?
69創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:47:25 ID:a2mqxiqo
http://jbbs.livedoor.jp/internet/5110/
作ってみたよ

みんなちゃんと住民になりきって遊んでくれ
70創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:47:53 ID:DdWgM7Yr
>>69
大変乙
71創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:48:12 ID:rdJwKQgk
>>69
乙乙です
72創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:48:23 ID:Q0luQLI+
投下直前に
「今から〜レス投下しまーす。支援よろ」
くらいで良いかと
73創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:48:30 ID:LjLKRTN4
いや議論前に投下集中するといけないかなと思って
すでに落ちてる人が何人かいるし、議論をこっちでやるならそのむね周知して、
かぶらないように投下してもらわないと。
議論が終わるタイミングは測れない訳で。
74今日の進行役:2009/07/26(日) 00:49:08 ID:QD5HRB04
とりあえず、今日は最後までここで。
明日の議論はしたらばでやろうかと思います。明日も21時からで。
それまでに創発の避難所にスレ立てときます。

今日は他に議題ってもうないですか?
75創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:49:48 ID:DdWgM7Yr
明日やるならよか
皆様お疲れ様でした
76創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:50:15 ID:QD5HRB04
てか、リロ忘れてる間に、専用したらばができてたよ! びっくりしたよ!

>>69
ありがとうございます
77創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:50:35 ID:a2mqxiqo
ウチでやりません?
せっかく作ってみたし
78 ◆FhLepFtlNE :2009/07/26(日) 00:52:32 ID:rdJwKQgk
>>77
明日やりましょうよ。もう深夜ですしw

前スレで自分のレス抽出したらあまりに中身の無いレスばっかで絶望した。議論参加してneeeeee
79創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:53:16 ID:LjLKRTN4
>>77に賛成
明日以降議論はしたらばで、今日の決定事項はこれでおひらき、
近い投下予定の人はそれなりに雑談とかでいいんじゃね?
80創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:53:59 ID:a2mqxiqo
出来れば注意書きとかも明日相談に乗ってくれい
81創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:55:00 ID:vBE/88/N
皆乙なんだぜ!
長い議論、お疲れ様だぜ!
さぁ、26時間テレビ見ようぜ!
前スレ>>722
本当は水樹奈々と悩んだんだけど、イメージ的には坂本真綾だったんだぜ!
82創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:56:33 ID:SIUfe3XD
議論乙
83今日の進行役:2009/07/26(日) 00:56:43 ID:QD5HRB04
進行が不味くて申し訳ないです。
今日はこれにて解散。続きは明日21:00から行います。
場所は新しくできたこのスレのしたらば http://jbbs.livedoor.jp/internet/5110/

【今日の決定事項まとめ】
・専用の避難所はいらない。必要なら創作発表板の避難所を使用
・この企画専用wikiを用意する(管理人さん募集中)
・仁科学園は、初等部・中等部・高等部・大学からなる、エスカレーター式の私立学園。マンモス校。
 小中高は同一敷地内だが、大学は創発市内にあるものの敷地は別
・一学年何クラスかと学部と部活は……まあ、収拾つく範囲内で。
・新キャラは好きなだけ出してもいいけど、クロスしてもらえなくても泣かないこと。
・今後は他スレ、他企画からのキャラの流用は全面禁止。
 ただし、このルールが適用されるのは今後のことであって、既に出てるキャラに遡って適用することはしない。
・新しい設定を出す場合に事前にスレ住人の意見を聞くかどうかは、書き手さんの判断に任せる

【明日の議題(予定)】
・いつになったら作中時間は5月になるの? てか、作中の時間の進め方はどうする?
・仁科学園以外の話はいつになったら解禁するの?
・今後のイベントはどうする?

…で、自分は明日の21:00に来れるけど、進行役は他の人の方が良いってことなら言ってください。
84 ◆LV2BMtMVK6 :2009/07/26(日) 00:57:12 ID:LjLKRTN4
皆さんお疲れ様でした
85創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:58:31 ID:rdJwKQgk
>>83
長時間の間お疲れさまでした。お手伝いできずに申し訳無かったです
86今日の進行役:2009/07/26(日) 01:02:45 ID:QD5HRB04
>>83の決定事項のいちばん上はミスです。すみません。忘れてください。

みなさん、乙でした。
87 ◆FhLepFtlNE :2009/07/26(日) 01:03:29 ID:rdJwKQgk
それじゃ自分も失礼します
なるたけ明日参加できるよう努めます
88創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 01:03:49 ID:QD5HRB04
あと、ここから議論とまったく関係ない話。
前スレに貼った敷地内の地図、一部修正しようかと思ってるんだけど、なんか意見ない?

これ↓なんだけど
http://loda.jp/mitemite/?id=274

・北棟 → 中等部の教室がある棟
・西棟 → 初等部の教室がある棟
・東棟 → 高等部普通科の教室がある棟
・南棟 → 高等部の普通科以外の学科の教室がある棟
・中央棟 → 1階が会議室と来客用の応接室、2階が職員室、3階より上に美術室や音楽室などの特別教室がある。
・特別棟 → 特別教室の一部や、各部の部室などがある。1階は食堂。
・体育館 → 普通の学校の体育館に当たる「体育室」が複数ある建物。
  体育科がある関係で、体操競技専用の部屋や柔道場に剣道場、最新機材完備のトレーニングルームなどもある。
・プール → 屋外プールと、屋内の温水プールがある。なので冬でも泳げる。
・大講堂 → 入学式の会場になっていた場所。
・グラウンド
・第二グラウンド → 広さこそグラウンドに劣るものの、ナイター設備があったりなど環境はグラウンドよりも上。
・テニスコート

とりあえず、前スレで言われた図書館はつくろうかと思ってる。
89創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 01:19:26 ID:XWzf5tW1
>>88
めっちゃぜいたくを言うなら、
中央棟をもっと北寄りにして、


 ――――北門――――

| 講堂  北棟  プール 

西 
門 西棟  中央  東棟


| 体育  南棟  特別

|第一    道   テニス
|グラ    道   第二
|ウンド   道   グラウンド
|       道
 ――――南門――――

みたいな感じにして、
第一グラウンドと第二グラウンド(野球用?)の間に
桜並木でも通して見てはいかがだろうか。

ちょっと分かりにくいかもしれないけど。
90 ◆G9YgWqpN7Y :2009/07/26(日) 01:43:52 ID:YVdxp2sr
ざっとログ読み終了。まずはお疲れ様でした。
見落としあるかも知れないので起きたらもう一度読んできます。
後、とりあえずWiki借りてみました。(まだ借りただけで編集していませんが)
これで良ければ使って下さい。

ttp://www15.atwiki.jp/nisina
91創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 09:06:20 ID:F0rHTUjO
質問。

中高の制服って同じ?
中学舞台で書き始めたんだけれど、制服の描写をしようとして行き詰まってしまいました。
回答貰えたら嬉しいな。
92 ◆VdWr8u/.jY :2009/07/26(日) 09:24:06 ID:kZccmgNL
>>90
乙です。
いきなり申し訳ないんですが、wikiを編集していたらかぶってしまったので、
「学園紹介」というページは削除していただけますか。
お手数をかけますがよろしくお願いします。
93創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 09:26:42 ID:YVdxp2sr
>>90
ほい了解、消しときました。
94創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 09:28:03 ID:YVdxp2sr
>>93>>92に対してです。
95創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 09:30:23 ID:YVdxp2sr
>>91
そういやそういう描写は今までのSSではなかった気がする。
個人的にはそういう細かいところは書いたもの勝ちでいいと思うけど。
96創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 09:34:12 ID:a2mqxiqo
個人的には書いたもん勝ちにしたいけど後で問題になるかもよ。
最初はそういう雰囲気だったけど、人が増えてきたら独自色を出しすぎると困るみたいだし
97創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 09:43:24 ID:a2mqxiqo
追記すると
過去に生徒会長とか祝辞とか成績TOPというのを相談せず書いたとして問題になったよ。
98創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 10:12:51 ID:YVdxp2sr
難しいですね。
とりあえず今は賛成意見が多ければ>>91さんが制服設定を作るってことになるの?
99創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 10:15:44 ID:YVdxp2sr
あ、今日のまとめの決定事項に
・新しい設定を出す場合に事前にスレ住人の意見を聞くかどうかは、書き手さんの判断に任せる。
があったや。>>91さんの判断で出してもいいし、意見を聞いてもいいってことですね。
100創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 10:19:14 ID:a2mqxiqo
そうなっちゃう。

祝辞だの成績TOPだのもその作者の発想が早かったわけだから
後からいうのはルール違反だと思うけど現状そうじゃないみたいだし。

個人的には生徒会長出したのだってそんなに悪いとは思わない。
書いたから思いついたわけだし。
10191:2009/07/26(日) 10:21:08 ID:F0rHTUjO
自分は設定に合わせて書き換えようと思うので、設定を決めるつもりはありません。
今夜の議論の際にもう一度質問したいと思います。
102創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 10:23:35 ID:a2mqxiqo
>>99
そっか。
なら書いちゃえば?
ちなみにwikiに収録って作者さんがやるの?
ボランティアだとあの作者はやるけどあの作者はやらないとか出てそれは可哀想だと思うんだが
103創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 10:25:33 ID:a2mqxiqo
>>101
答え帰ってくると良いね
色々相談するみたいだからあんまり期待しない方が良いよ
104創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 10:35:22 ID:a2mqxiqo
答えが返ってこなくてもって意味ね。
105創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 10:42:27 ID:YVdxp2sr
>>101
わかりました。いい回答があるといいと思います。

>>102
どうなんだろね? 基本作者さんの方が楽だけどw
私がボランティアする時は投下順にやってくつもりですが。

自分は今日も議論に参加できないだろうなー
106創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 10:49:06 ID:a2mqxiqo
>>105
作者さんにそこまでいうのは酷なのと。
お願いしますって放置されっぱとかありそうだ。

かくいう自分もしたらばは分かるけどwikiはわからん

今選挙の続きを書き始めたんだけど、生徒会の役職って会計と各委員の委員会くらいかなぁ?

107創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 11:07:30 ID:YVdxp2sr
>>106
実際はやってもらえるとありがたいってレベルですねw

自分が前書いてた所は自分でWiki更新してましたが、
これも過疎スレだったから自分でやらざるえないからでしたしw

生徒会か。会長、副会長、総務、書記、会計あたり+各委員会の委員長クラスはいそうかも。
よくわからないからイメージだけど。
108創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 11:16:09 ID:a2mqxiqo
>>107
出来れば選挙関連を収録しては貰えませぬか?

あーでもそうすると
ナツミ先生と野球部も収録して貰わないとわかんなくなるか
109創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 13:52:31 ID:1bMQ1cGJ
2レスほど投下する所存でいたりあん。
110adventure of dashing street ◆NN1orQGDus :2009/07/26(日) 14:01:57 ID:1bMQ1cGJ
1/2

 傷付いたリノリウムの床に細長い影が伸びる。
 夕陽に照らされた教室は朱色に染まり、掃除当番がおざなりに掃除をした教室は乱雑に机と椅子が並べられている。
 影の主は、窓辺で家路を急ぐ生徒達を見下ろしていた。
 時計は午後五時半を指している。
 バス通学である彼女は何するわけでもなく、こうやって時間の到来を待つのがいつもの日課だ。
 友達とお喋りするのもよいけれども、一人でいるのが好きな彼女は、人とは違う雰囲気を身に纏っている。
 四月にしては冷たい風が教室に入り込むと、空を見上げた。

 いつの間にか厚い雲が蓋のようにすっぽりと創発市を覆って西日を隠し、湿気た風が彼女の膝を疼かせた。

「……明日は雨かな?」

 鈍い痛みが彼女にそう告げる。

 彼女――小菅まことはかつて将来を期待されたスプリンターとして陸上部に在籍していたが、怪我で輝かしい将来を絶たれた。
 中等部、高等部と足掛け四年打ち込んだ短距離走が彼女に残したのは膝の醜い傷跡だけだ。
 スポーツをまともに出来ないのに体育科にいるのはつらい。
 二年になるときに普通科に編入したが、環境が変わっても膝の傷だけは変わらず彼女に付いて回った。
 まことはそれが嫌だった。

「なにやってんのさ、まこと。黄昏時だからって一人で黄昏ちゃって」

 聞き覚えのある声に振り替えると、顔見知りの先輩―――高畑かなめがドアの向こうにいた。

「別に? 黄昏てるってわけじゃないよ」
 幼なじみの気安さ故か、ぶっきらぼうな物言いで返すと、かなめが笑いながら歩み寄ってきた。

「昔の明るいまことも良いけれど、今のひねたまことも悪くないね」

 
「人を玩具みたいに言わないでくれない?」

「怒らない、怒らない。誉めてるんだから」

「かなめの誉め言葉って誉めてるように聞こえない」

 構わずに踏み込んでくるかなめに、まことは不機嫌そうに舌打ちをした。

「とこれでさ、考えてくれた? 部活の件」

「新しく作るって話? 第二文芸部。今ある文芸部で十分だと思うけど」

「ダメダメ。部長の霧崎は悪い奴じゃないけど、あすこは私には向かないの。私は文芸を語るんじゃなくて、文芸を作りたいのさ」

 だから独立するのさと続けて、かなめは相好を崩した。

「なんで誘うのかが解らない、私には」

 かなめの笑顔をを直視出来ずに、まことは窓の外に視線を移す。

111adventure of dashing street ◆NN1orQGDus :2009/07/26(日) 14:02:45 ID:1bMQ1cGJ
2/2

「なんでってねえ……女の勘って奴?」

「槇さんみたいなこと言うね」

 かなめの言葉に、もう一人の知り合いが浮かんだ。

 槇美玲。かなめと同じくまことの幼なじみで、スタイルの良さと作りの良い顔、穏やかなお日様みたいな暖かい雰囲気で学園内でも一寸した有名人だ。

「そりゃあ、槇とも付き合い長いしね。最近裏切られたけど」

 裏切られた。不穏な言葉にまことは眉を潜める。

「あんにゃろう、私に黙って彼氏作ってやんの。裏切りだよ、これは」

 怒りを露にするものの、おどけて肩を竦めるかなめに、少し安心した。

「あのねえ、私はかなめの漫才に付き合うほどひまじんじゃないの」

「ま、兎に角さ、考えるだけ考えておいてよ。名前だけの幽霊部員でも良いし。積極的に参加してくれるともっと良いんだけど」

「考えるだけならね」

 イエスともノーとも取れる曖昧な返事であっても、それに気を良くしたのかかなめはリズミカルな足取りで去っていった。

「……台風みたいなヤツ」

 小声の呟きは風に乗って、遠く、遠くへ。
 再び窓の外を見るとザラザラと雨が降り始めていた。
 大粒の雨が激しく窓を叩きつけている。
 雨音は教室の中でこもり、耳鳴りでもしているかのような錯覚をもたらしつつ、単調な時間を引き延ばしていく。
 物思いに耽る。
うつろな瞳はどこでもない宙の一点を見つめ、ただぼんやりと風景を写している。

 いつの間にか、膝の疼痛が消えていた。

「第二、文芸部ね」

やることもなければすることもない。
いまのまことには近道なんて消え失せて遠回りの道しかない。
 どうせだったらとことん遠回りするのも言いかもね、と嘆息する。

 そろそろ季節代わりの風が吹くだろう。 まことは立ち上がると右足を引き摺るように、かなめの影を探して歩き始めた。

――to be continued on the next time.
112adventure of dashing street ◆NN1orQGDus :2009/07/26(日) 14:03:50 ID:1bMQ1cGJ
以上、投下終了。
人物設定はおいおい作品内で語ろうと思っていたり。

ではまたそのうち。
113創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 15:11:52 ID:Q0luQLI+
引退選手の第二の人生、良いねぇ
114創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 15:43:38 ID:a2mqxiqo
人物設定は先に見せないとシェアワールドだからエラいことになりかねんよw
115創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 15:59:46 ID:1bMQ1cGJ
描写してないのに設定を語るのもアレだし。
個人的に設定は語るんじゃなくて作品に織り込んでいきたいのですよ。
116創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:03:52 ID:a2mqxiqo
それはわかるけど、今までみんな何かしら書いてきた中でどうなんだろうかと思ったわけ。
117昨日の議論の進行役だった人:2009/07/26(日) 16:05:26 ID:QD5HRB04
>・新しい設定を出す場合に事前にスレ住人の意見を聞くかどうかは、書き手さんの判断に任せる。

昨日の議論のまとめのこれ↑、書いた本人としては
全校あげての行事とか、そういう他の書き手さんにも影響が大きそうなことは事前に聞いてみるの推奨って感覚。
自分も、学校敷地内の地図とかはさすがに一存で決めちゃまずいだろうと意見聞いたりしてるし。
ただ、強制するようなことではないと思うし、どこまでが「聞いた方がいいこと」なのかの明確な線引きはできないから
こういう書き方に……今日の議論で、もう一度確認した方がいいかもって感じですかね?

ちなみに、したらばに「打ち合わせスレ」ってのがあったから、聞くならそこを使えばいいのかも
118創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:08:05 ID:1bMQ1cGJ
まあ、そうなんだけどね。
まだキャラを書ききっていないから設定だけを語ってもキャラを把握できないだろうし。
119創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:08:50 ID:a2mqxiqo
1にはわざわざ新キャラ発表時にはと明記してあるよ?
120創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:11:24 ID:a2mqxiqo
あんま言って仕切厨とか叩かれたくないのと何かいって昨日の確認は何だったとになったら嫌だから
最終的にテンプレを無視して突っ走るからは自分で決めてください。
121創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:17:32 ID:Nx+L1OOq
>>119
>また、新キャラ・新設定を発表する際には、投下終了後にその旨を書いたレスを投下してください。

このことか?

投下後に「今書いたのは新キャラor新設定ですよ」って宣言しろってだけじゃねえの
122創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:17:55 ID:Q0luQLI+
むしろ設定が曖昧なら後付けで他との帳尻合わせやすいと思うんだけど。
一人で最初に設定決めるより、全体の流れを見つつじょじょに設定を固めて行った方が良いかと。
123創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:25:13 ID:a2mqxiqo
俺は書いてあると指摘しただけなのに
すぐそうやって荒らし扱いだもんな。

124創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:26:48 ID:1bMQ1cGJ
テンプレ破りはマズイね。
これは猛省せんと。

小菅まこと
高等部普通科二年。陸上部でスプリンターとして活躍していたが、練習中の怪我がもとで選手生活を絶たれる。
進級時に普通科に転入するも、取っ付き難さから人の輪から浮いている。

高畑かなめ
高等部普通科三年。まことの幼馴染み。第二文芸部を立ち上げようと模索中。

取り敢えず今回投下した分の設定。名前だけの人は適宜書きます。

125創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:27:53 ID:1bMQ1cGJ
>>122
あれ?
世界観だけじゃなくてキャラも皆で作るの?
126創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:28:29 ID:Nx+L1OOq
キャラ設定レベルなら後で出すのは構わないと思うぞ
その設定を出すより先に、他の作者がそのキャラ使った話書いて
未公開設定と書かれた話とで設定内容に食い違いが生じた時に
キャラ作成者が泣き言を言わずに設定をボツに出来る覚悟があるならな

ただ、>>112みたいに「出してない設定が残ってる」と言われたら、
それだけで他の人が書けないキャラになるわな
手出しづらいことこの上ない
127創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:30:53 ID:QD5HRB04
>>118
気持ちはわかる。
でも、シェアする関係上、人物紹介があったほうがいいのも確かだから、
とりあえずSSで書いた範囲内のことだけ簡単に纏めて人物紹介としたらいいんじゃないかな?と思う。


テンプレにある人物紹介の件自体に異論のある人は、議題として提案すればいいと思うよ。
ルールはたくさんの人が上手くやっていくため、書き手さんが書きやすくするためにあるのに
それに縛られて書きにくくなったんじゃ本末転倒だし。
128創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:33:04 ID:QD5HRB04
とりあえず、リロードしてなかた自分は反省するべきorz

>>125
他の人のだしたキャラでも、SS内の描写とかでキャラに肉付けしていけばいいって意味だと思う。
129創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:34:07 ID:QD5HRB04
>>90
乙です。どうもありがとうございます。
贅沢なお願いしてもいいなら、右側の部分(メニューじゃない方)の横幅をもう少し広げてもらえると…

wiki編集の方法は…一度もやったこと無い人でも、とりあえず作品の収録だけならできるくらいの
手順の説明を纏めたほうがいいかな?
130創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:36:49 ID:a2mqxiqo
俺も暑さで少し苛ついてたみたいで反省
131創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:38:33 ID:1bMQ1cGJ
ごめん、皆クロスする事を目的に書いてるの?

一つの世界観を共有するのがメインだと思ってた。
132創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:39:57 ID:sKTCz20y
>>131
シェアードで共有する「世界観」には、普通はキャラクターも含まれてる
133創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:40:45 ID:sKTCz20y
全てのシェアードがキャラクターを共有しているわけじゃないが、あるキャラがある作者専用ってことはないと思うよ
134創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:42:05 ID:1bMQ1cGJ
>>132
そうだったのか。
有り難う。一つ利口になれたよ。
135創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:43:44 ID:a2mqxiqo
極端な話 保健室の先生が名医で陸上に復帰するというストーリーを書いても
誰も文句は言えないということ
136創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:45:03 ID:1bMQ1cGJ
>>135
うーん、それはちょっとやだなぁ。
137創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:45:52 ID:a2mqxiqo
たまたまドクターKにあるエピソードを思い出しただけで、フリじゃないからね。
138創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:46:58 ID:YVdxp2sr
>>129
ちょっと待っててね。今からcssの勉強しつつやってみるから。
極端にデザイン狂ってる時はなにか失敗したな管理人と笑って下さい。
139創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:47:10 ID:a2mqxiqo
嫌かもしれないけどシェアードってそんなもんだよ。
そこが面白さでもあるし。
140創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:47:22 ID:sKTCz20y
>>134
古くはダンジョンズ&ドラゴンズやクトゥルフ神話、
最近だとガンダムSEEDの外伝が代表的なシェアードかな?

例えば後者は色んな作者が同じ世界観で漫画を描いていて、
ある作者の書いたキャラが他の作者の作品にもレギュラーで登場したりしている
141創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:50:48 ID:YVdxp2sr
Wikiのメイン部分の横幅長くしてみた。
これくらいでいいかな?
142創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:56:58 ID:1bMQ1cGJ
キャラのアウトラインすら書いてないのに使われるのは嫌かも。
ニアミス程度に絡むのはありありだけど。
143創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 16:59:45 ID:a2mqxiqo
>>142
だから1にご了承くださいって書いてあるじゃないw
まだキャラつかみ切れてないし大丈夫だとは思うよ。
144創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 17:00:19 ID:QD5HRB04
>>141
対応ありがとうございます。
145創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 17:04:04 ID:1bMQ1cGJ
あ、そうだ。今日の議論でキャラ使用のリミットを提案してみよう。
146創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 17:55:14 ID:DdWgM7Yr
リミットて
147創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 17:59:59 ID:YVdxp2sr
Wiki編集のさい出てくる画像認証外したほうがいいのかな? あれ滅茶苦茶うざいよね。
後、Wikiへスレに投下された画像を保存していい?
148創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 18:27:19 ID:a2mqxiqo
そんなに人に使われるのが嫌なら単独スレ立てた方が良いのでは?
149創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 18:30:15 ID:DdWgM7Yr
「俺のキャラ使わないでくれ。同姓同名の人物がもし誰かのSSに出てもそれは別人です」って注意書きしておけばいいと思うよ
独りで楽しくやってろよ。
150創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 18:31:39 ID:LjLKRTN4
いい雰囲気だな
楽しいか?
151創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 18:33:57 ID:1bMQ1cGJ
>>148
キャラのアウトラインすら書けてない状況で使われたくはないかなって事で。
つか、個人的にはキャラの概要つら掴みにくい現状でクロスするのにはちょっと抵抗がある。
152創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 18:35:58 ID:F0rHTUjO
みんなで設定やキャラを考えたい人は楽しいと思うよ。
キャラや設定を作品の中でこつこつと描写したい人は難しいかも。
153創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 18:41:09 ID:Jg6mRQQe
>>151
例えば、自分が姉弟の会話シーンを書いたとします。

「普通科に転入してきた小菅さんって人がさ、先輩に誘われて第二文芸部を
立ちあげちゃったのよ」
「ふーん」

まではありで、

「でも驚いちゃった。その先輩を追い出して、自分が第二文芸部の部長に
収まっちゃうんだもの。あの修羅場は見ものだったわ」
「何故に――!?」

とか、キャラの根本設定を勝手に変えてしまうのは御免こうむりたい。
とそう言う事ですか?
154創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 18:49:04 ID:DdWgM7Yr
現状、みんなキャラの把握が出来なくてクロスさせられずにいるんだけどね
「そんなこと言わない」状態になるのを避けようと良識働かせて努力しているだろうが
155創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 18:51:55 ID:1bMQ1cGJ
>>153
うん、そんな感じです。
156創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 18:52:27 ID:cBE2eW18
キャラの状態を『プレ』と『リリース』の2タイプにしてみるとかどうよ?

『プレ』の時はまだ設定が出きってない状態で、他の人がクロスに使うのは自粛
『リリース』は必要な設定が全部出た、他の人が使って良い、いわゆるシェアード状態

必要な設定を出し切った段階で、そのキャラを作った人が『リリース』宣言するとか

あと、ずっと『プレ』状態にされるとシェアードの意味ないから
初登場から一定期間(たとえば1ヶ月とか)経ったら、自動的に『リリース』状態になるとか

ややこしいかね
157創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 18:54:39 ID:DdWgM7Yr
>>156
それいいかもな
158創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 18:55:21 ID:1bMQ1cGJ
>>156
個人的にはそんな感じがありがたい
159創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 19:00:11 ID:kcNFo3GT
まあ、最後に一応言っておきたいんだけど。
無駄なキャラ設定の羅列や愚にもつかないシステム設計ごっこをする前に、SS書いて投下するべきだと思うよ。
ここが「ぼくのかんがえたきゃらがだいかつやく!」を期待するスレでないというのなら。
160創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 19:03:22 ID:9bmHN+M+
>>156
絡ませるときに毎回初登場時まで遡るってのは、
ちょっと大変な気がするけど、それ良いアイデアかもしれない。
現実の時間かは相談が必要かも。

話題をぶった切ってすみません。
生徒会選挙の設定は破棄したつもりなのです。
正直自分でもやりすぎたと思っているので……。

なので生徒会長の設定も破棄してください。
勝手に人のキャラ(早川紗季)生徒会長にしちゃいかんわな。
(予定ではそういう予定でした。)

本当に申し訳ありません。
続きを書きたい方はどうぞご自由に
161創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 19:06:03 ID:DdWgM7Yr
いろいろなことがありすぎて今SSで何がどうなってんのか分からん・・・
162創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 19:06:56 ID:F0rHTUjO
色々なクロスのさせ方があると思うよ。
ある書き手の考えたキャラを他の書き手がメインキャラとしてだしたり、
控えめな感じのモブ出演でカメオ出演させてみたりとか。

個人的には他の書き手さんのキャラを上手く使うのは難しいから、
はじめは後者でやっていこうかなって思ってます。

マンモス校なんだからみんながみんな知り合いである必要は無いと思うけど
廊下ですれ違ったりとか、校舎の窓から見掛けたりとか、他のキャラを知るきっかけは色々ある筈。
自分は徐々に知り合って行く雰囲気や過程を書けたら良いな。


>>156

そのアイデア、グッドだね。
163創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 19:31:31 ID:cBE2eW18
>>160
まとめにキャラ紹介を入れる時に、ついでに隅にでも
初登場日と『リリース』宣言の有無をメモっておいてもらえたら
ログを遡る手間はなくなるんでない?

キャラ名(よみがな)
 キャラ解説
    初登場:2009/07/26 リリース宣言:○(または×)

↑こんな感じで

ただ、この案はまとめの人頼りなのが難点ではあるが……。
164創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 19:32:22 ID:SIUfe3XD
>>110
地の文での間の取り方とかうまいなあ
なんか、よく出来すぎてて適当な感想が思いつかんけど乙
165創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 20:05:08 ID:F0rHTUjO
他の書き手さんと比べるとまだまだ未熟なのですが、投下しまーす。
数レスなので支援は大丈夫です。
166アイシクル エッジ ◆FUs75gJ6A2 :2009/07/26(日) 20:06:57 ID:F0rHTUjO
足元からひんやりとした空気が伝わって来る。
巷では長かった冬は去り春が訪れているけれど、ここは違う。
創発市の街外れにあるスケートリンクは通年営業で、リンクからの冷気は四六時中変わらない。

かなみは大きく深呼吸するとフォアスケーティングで滑り出した。
スピードが乗って着たらクロススケーティングでリンクに沿ってカーブを描く。
右足はインサイドエッジ、左足はアウトサイドエッジ。
フラットにならないように、出来るだけエッジを傾けてディープエッジを心掛けて。
カーブを曲がり切ったら右足で3を描くようにターン――スリーターンでバックスケーティングに移行する。
どんどん加速して行きながら、かなみは生唾を飲み込みながら後ろを振り向いた。
進行方向には誰もいない。

――よし、今だ!

カウンターで左足のアウトサイドエッジに体重を掛けると右足トウを氷面に勢い良く突き立てた。
左足のエッジは完全に離氷するまでアウトサイドカーブを描き、右足のトウが氷面から離れる。
かなみは手を胸辺りで交差させるとぎゅっと体幹を締めた。
一回転……二回転……三回転!
かなみは幅のある放物線を描き空を舞った。
着氷時の衝撃は膝を柔らかく使いスピードへと変えつつそのまま左足インエッジで踏み切る。
今度は高さ重視の放物線。
ピークまで来たらさらに伸び上がるように……一、二、三!

エッジは一度は氷を捉えるもののトウピックに弾かれてしまい、かなみは前のめりになり両手両膝を氷面に着けてしまった。
「後少し!回転軸は綺麗に作れているし、高さも上々。後は回転速度を上げれば飛べる!」
コーチの野太い声に、かなみは溜息を吐き立ち上がった。
氷の滓を軽く払い、かなみはゆっくりと滑りはじめた。

その日は今挑戦したトリプルルッツ−トリプルループは成功しなかった。
セカンドジャンプが回り切れずに前向き着氷になってしまうのだ。
後少し、もう少し。
コーチはそう言うけれど、それが難しいのだ。
後半回転回るのがどうしても出来ない。

ロッカーで意気消沈しながら着替えていると、後ろから脇腹を擽られた。
笑いを堪えつつ振り返ると、そこには背の低い女の子が悪戯気に口角の端をぴくりと挙げて笑顔を浮かべていた。
167アイシクル エッジ ◆FUs75gJ6A2 :2009/07/26(日) 20:08:16 ID:F0rHTUjO
「元気ないじゃん、かなみん」
「んー、ジャンプのコンボなかなか出来なくて」
かなみが重いトーンで答えると少女はけたけたと大きな笑い声をあげた。
「簡単にはできないよ〜、トリプルトリプルのコンボなんて。練習あるのみだって」
「でも、きりやんは飛べるじゃん?」
きりやんと呼ばれた少女は今度はぷぷうと吹き出した。
「あたしが飛べるのはトウループ−トウループだし〜。難易度高くないもん。かなみんが飛びたいのはルッツ−ループでしょ?飛べる現役なんて一人しかいないじゃん」
きりやんはかなみの顔を覗き込んだ。
「簡単にジャンプが飛べたらみんな飛んでるよ〜。飛べる人が少ないから価値があるんじゃん」
きりやんの言葉にかなみはこくりと頷いた。
「そうだよね、明日も頑張らなきゃ」
かなみは再び着替え始めた。
スケートリンクの貸し切り営業時間は限られている。
着替え終わるとかなみはきりやんと共にリンクを後にした。

「そうそう、かなみんとこって高校に体育科ってあるじゃん。かなみん、進路はそこ?」
駅までの途中できりやんが質問をしてきた。
「まさか!体育科なんて有り得ないよ!」
「そうなの〜?ほら、うちらはさ、一応昨シーズンのJr.グランプリファイナルに出てるじゃん。体育科進学に有利なんじゃない?」
「ファイナルは選手権じゃ無いからね。それに、私達、世界Jr.に出られなかったじゃん。全日本Jr.で台に乗ったけれど、枠がひとつしか無かったからさ。
それに、高校に入ったとしても、部活でフィギュアやる訳じゃないし。ここのクラブを辞める気ないよ。それにね――」
かなみは夜空を見上げた。数多の星がキラキラと瞬いている。
かなみもきりやんもまだ中学三年生だ。
将来の可能性は星の数以上あるとかなみは思っている。
体育科を選択する事で可能性を限定してしまうかも知れないという不安があるし、まだまだモラトリアムでいたいのだ。
「綺麗だね〜、星」
いつの間にかきりやんも星を見上げている。
アルデバラン、シリウス、プロキオン。
輝く星の名前をかなみは呟いた。
「ん〜、なんか言った〜?」
きりやんは語尾を伸ばす癖があるのと背の低さから子供っぽく見られるが、かなみと同い年で良きライバルだ。
「来シーズンは負けないからね、私」
「あたしだって!」

二人は顔を見合わせて笑った。
笑い声は夜空に吸い込まれて行った。
168アイシクル エッジ ◆FUs75gJ6A2 :2009/07/26(日) 20:12:18 ID:F0rHTUjO
設定

藤川 かなみ(ふじかわ かなみ)
仁科学園中等部三年。
グランプリ創発スケートクラブ所属。幼少の頃から創発市にあるスケートリンクに通っている。
昨シーズンはJr.グランプリシリーズで二勝しJr.グランプリファイナルで四位入賞するも、
全日本Jr.では転倒してしまい二位に終わる。
得意なジャンプはエッジ系のジャンプとルッツ。スケーティングが得意で長い手足をダイナミックに使ったステップに自信あり。

桐谷 広海(きりや ひろみ)
他校の中学三年生。
背が低く語尾を伸ばす癖があり子供っぽく見られがち。
昨シーズンはJr.グランプリシリーズでは一位二位でJr.グランプリファイナルでは銀メダル。
全日本Jr.ではショートで出遅れたもののフリーで挽回し銅メダル。
得意なジャンプはトウ系のジャンプ。柔軟性を活かしたスピンとスパイラルに定評がある。


まだまだキャラが固まっていないのでプレでお願いします。

そんなこんなで投下終了です。
拙い駄文でスレ汚し失礼しました。
169 ◆VdWr8u/.jY :2009/07/26(日) 20:23:18 ID:kZccmgNL
SSが収録されてウィキが大分稼動してますね。
編集の人乙です。管理人さんも乙です、見やすくなりました。

>>110-112
言葉の選択が丁寧で描写がきれいだと思います。
やはりまことは第二文芸部に入って活動するみたいですね。
槇美玲という人も入ってくるのでしょうか。楽しみです。
僕も文芸部の話を書こうと企てているんですが、
どんな雰囲気なのか打ち合わせが出来たらいいなと思っているんですが、いいですか。
したらばの打ち合わせスレに書き込んでおきますんで、時間のあるときに見てください。
ttp://jbbs.livedoor.jp/internet/5110/
170創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 20:26:21 ID:LjLKRTN4
体育課なんてありえないよww
171創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 20:26:50 ID:SIUfe3XD
>>166
滑走の描写のテンポが良いから、専門用語が分からなくても
なんとなく動きが伝わってくるぜ
今のところ中学生の話は少ないし、今後に期待
172創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 20:28:15 ID:1bMQ1cGJ
2レスばかり投下してもよろし?不思議少女学園系の続きです
173創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 20:29:48 ID:Jg6mRQQe
>>172
良いのでは?
174不思議少女学園系 ◆NN1orQGDus :2009/07/26(日) 20:31:50 ID:1bMQ1cGJ
第二話「放課後」
1/2

 放課後ともなれば、帰宅部の生徒が足早に家路を急ぎます。
 勿論わたしもその一人です。
 いくら仁科学園が自由な校風といっても、閉鎖的で強い抑圧のせいでストレスを感じてしまう学校という施設には代わりがありません。
 ええ、そうです。
 輝かしい青春時代がストレスによって灰色に染められる前に心に潤いを与えなければならないのです。
 つまり、具体的に言えばポリス・アカデミーを見なければならないのです。
 勿論吹き替え版にかぎりますが。
 あのテーマを聞くと心が弾んでウキウキするのはわたしだけではない筈です。
 何度見ても面白いポリス・アカデミーは人類が産み出した至宝なのです。
 そんな訳で。
 今日もそそくさと下駄箱に向かう私だったりするのです。

「ちょっと待つのだわ!」

 ですが、いますね。邪魔をする人。
 見なくても声と口調で誰なのか解るのですが、聞き間違いという事に一縷の望みを託して振り替えると、やっぱり杏さんでした。

「今日という今日は付き合って貰うのだわ!」

 スタイルが良いのを自慢したいのか、杏さんは大きな胸を張ってビシィッとわたしを指差しました。

 なんか小憎たらしいので無視をしたいのですが、親友を想う気持ちがそれなりに強いわたしには出来ませんでした。
 ハッキリ言って不覚です。

「嫌ですよ。だって今日はポリス・アカデミーを見る日ですし」

「昨日もそう言ったのだわ! 友情とポリス・アカデミーのどっちが大事なのか解っているのかなのだわ!」

 そんな事決まっているじゃありませんか。ポリス・アカデミーに決まっています。
 初等部からの付き合いなのに、そんな事が解らない杏さんに涙が溢れてしまいそうです。
 ですが、泣きません。泣いたら負けなのです。

「大体ですね、杏さんに付き合っても良いことないじゃないですか」

 毅然と、優雅に、逞しく。
 わたしは堂々とない胸を張って反論したのですが、杏さんは鼻で笑いました。
 パリンと割れて粉々に砕けてしまいそうですね、友情が。
 ですが、杏さんはそんな事を夢にも思わないようです。

「今年の新入生はみんな受けっぽくて豊作なのだわ! 誘い受け遅い受け漢受けの見本市なのだわ! この喜びは友人と解りあうべきなのだわ!」

 だわだわ五月蝿い杏さんはクネクネと身体をくねらせて遠い世界に行ってしまいました。

175不思議少女学園系:2009/07/26(日) 20:32:48 ID:1bMQ1cGJ
2/2

 分かりやすく話をかいつまむと、杏さんは新入生の男子を視姦して楽しもうと私を誘ったのが一週間前。
 そんな感じです。
 顔を艶っぽく上気させて、表情に官能とか陶酔とかそこら辺をいろいろとごった煮にして悶え震えている杏さんは、端から見ると怪しい人です。
 自分の世界に入り込んでしまったのを幸いに、すたこらさっさと逃げ出すのがこの場での正義です。

 踵を返して走り出そうとしたのですが、無理でした。
 杏さんより怪しい人、具体的には血まみれの伊庭さんが、虚ろな瞳で徘徊していたからです。

「い、伊庭さん……?」

 伊庭さんは不良の巣窟と呼ばれている工業科の生徒で血まみれなのはおかしくありません。ですが、白いけど血で紅く染まっているエレキギターだかベースを持っているのに驚いてしまいました。

 記憶の糸を手繰り寄せると、試合に出れないから剣道部を出奔して、軽音楽部に駆け込んだと言うことをこの前聞いたような気がしました。
 あんまり関係ないので忘れていましたが。

「……軽音の部長がよぅ……部活でロックをヤるなんて言うからよぅ……どたまカチ割ってやった……ロックにたいするぅ……冒涜じゃねーかい……許せねえよな……」


 ブツブツと呟く伊庭くんの瞳に私は映っていませんが、取り敢えず昔取ったきねづかでベースだかエレキギターで頭をカチ割ったのは解りました。

 怖いですねえ、音楽性の違い。
 腐女子のカップリング論争と同じくらい怖いのかも知れません。

 兎に角なにより。
 今はポリス・アカデミーです。
 早く帰らなければならないのです。


 結論から言いますと。
 無事に早く帰宅出来たのですが、ポリス・アカデミーは見れませんでした。
 間違えてポリス・ストーリーを見てしまいました。
 ハマってしまいました。
 嬉しいですね、人類の至宝がポリス・アカデミーではなくてジャッキー・チェンに気づいて。
 嬉しすぎて泣いてしまいそうです、わたし。


――to be continued on the next time?

176創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 20:34:11 ID:LjLKRTN4
血まみれなのはおかしくないとかwww
177不思議少女学園系:2009/07/26(日) 20:34:48 ID:1bMQ1cGJ
以上、不思議少女学園系第二話投下終了


>>170
自分のSSには意図的な誤字があります。探してみて下さい
178創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 20:36:09 ID:Jg6mRQQe
そうかあ。工業科は血まみれがデフォなんだあ……(遠い目)
179創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 20:43:48 ID:Q0luQLI+
なんという偏見w
実際の工業科は3年間クラス替え無いから喧嘩少ないんだぞw
180創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 20:46:50 ID:LjLKRTN4
>>177
こうですか、解りません><
181 ◆NN1orQGDus :2009/07/26(日) 20:48:02 ID:1bMQ1cGJ
あ、因みに不思議少女学園系はゆるい主人公よる独断と偏見に満ちた話ですので実際に工業科は悪の巣窟でないと思います、はい。
182創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 20:52:32 ID:SIUfe3XD
ポリス・ストーリーwwwww
どう間違えたんだよwwwwww
183創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 20:55:16 ID:QD5HRB04
本来ならば感想を書くべきところなのですが、議論開始まで時間が少ないので要件のみ。すみません。

質問。議論って、したらばの「打ち合わせスレ」でいいの?
あと個人的に>>156の案はちょっとなって思うんだけど……まあ、それは議論の時に。

>>147
遅レスだけど、個人的な経験だと、あの画像認証を外したからって困ったことはない。
でも、そのかわり、何かあった時に備えて、バックアップはマメに取るようにしてる。
あと、自分が投下した>>88の学校の敷地の地図に関しては修正中だから、今はまだ収録しないでもらえると。
184創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 20:57:03 ID:kZccmgNL
>>166-168
定番のスポーツ青春物でしょうか。しかし、フィギュアスケートですよね? 
テニスとかバレーボールなら有名なのがありますが、これは新鮮ですね。
楽しみです。

>>174-175
皮肉っぽい独特の一人称がいい味です。
登場人物が不思議君すぎますね。どうも尋常の人ではない。
そして何事もなかったかのように帰宅する「わたし」もすごい。
185創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 21:03:34 ID:QD5HRB04
ごめん。
議論の場所は自己解決した。
186創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 21:12:02 ID:QD5HRB04
昨日の議論の続きはここでやってます。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/5110/1248537383/

【今日の議題(予定)】
・いつになったら作中時間は5月になるの? てか、作中の時間の進め方はどうする?
・仁科学園以外の話はいつになったら解禁するの?
・今後のイベントはどうする?
>>156で提案された「プレ」「リリース」制度について
187創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 21:59:57 ID:Q0luQLI+
もう新規の読者も筆者も参加出来無そうな空気
188創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 22:39:58 ID:LjLKRTN4
増えなかったら減る一方だよ……?
189創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 00:20:24 ID:3UlqR46L
>>147
よーさんと茶道部関係の絵を描いた者ですが、
あれらは全て破棄しますので収録しないでください。
よろしくお願いします。
190創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 00:44:24 ID:WbcNN1Ij
当方としても大変申し上げ辛いですが一部書き手氏、具体的には◆tr.t4dJfuU氏と◆31P.4mZG16氏の言動には信頼が置けず、
拙作の破棄・引き上げも視野に入れざるを得ない段階にあります。
「SSスレ」であるこということ、「シェアードワールド」であるということ、双方をもう少し勉強なさった方が宜しいかと。
191議論の進行役だった人:2009/07/27(月) 00:48:20 ID:8ZqwYCfQ
この2日間の議論のまとめです。

【土曜日の議論のまとめ】
・仁科学園は、初等部・中等部・高等部・大学からなる、エスカレーター式の私立学園。マンモス校。
 小中高は同一敷地内だが、大学は創発市内にあるものの敷地は別
・一学年何クラスかと学部と部活は……まあ、収拾つく範囲内で。
・新キャラは好きなだけ出してもいいけど、クロスしてもらえなくても泣かないこと。

【日曜日の議論のまとめ】
・自分の書いたキャラクターを何らかの理由で他の作者さんにクロスして欲しくない場合はSSの最後にその旨を明記する
・今まで、作中時間は4月という設定でしたが、時間軸は作者間でバラバラでもいいことになりました。
・世界観の設定に関しては、作品内での描写が優先されます。
 ただし、全校あげての行事など他の書き手さんにも大きく影響してくる設定を書く場合は、投下前に
 したらばの「打ち合わせスレ」で提案して他の書き手さんの意見を聞くようにするのを推奨します。
・今まで、舞台は学園内に限定していましたが、今後は学園外の描写も自由とします。
 ただ、メインはあくまでも学園であることを念頭に置いてください。

議論に参加できなかった人もいると思いますし、日曜の議論は終了時間が遅くて人が少なかったこともあるので、
異議のある人は言ってください。
192 ◆LV2BMtMVK6 :2009/07/27(月) 00:50:41 ID:wkiEWsqL
>>190
言いづらいこともないでしょ
作品の破棄を口にするのは作者にとって大変つらいことなのは自分もわかってる
193創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 01:29:48 ID:ENI5dsEE
>>147
忘れとった。書いてる人のも消しといてねー
>>189さん、ちゃんと言ってなかったけど、ありがとうノ
ではでは
194創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 01:44:39 ID:3UlqR46L
>>193
ああいやこちらこそー合作みたいなの楽しかったです。
ありがとうでした(´∀`)ノシ
195創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 02:27:56 ID:8ZqwYCfQ
昨日だったか一昨日だったかに本スレに学園内の地図を投下した者です。
一応、「図書館は?」と「桜並木がほしい」という意見があったので修正版を作りました。
他の書き手さんへの影響が大きいと思うので、したらばの「打ち合わせスレ」の方にいったん投下しました。
確認のうえ、なにか意見があれば、したらばのの方でお願いします。
196創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 05:32:31 ID:+EgqLJPy
>>190
言いにくいことをどうもありがとう。
というのも何だが、俺も同じ気持ちだな。程度の大小はあれ
197創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 07:50:13 ID:XAKwKu1Q
>>189
了解しました。

>>193
えと、本人確認のために、一応トリップ付きでもう一度お願いします。
後、消す範囲はSSとキャラの両方って意味ですか?
198 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/27(月) 09:39:24 ID:X5Ru/cgf
色々と不勉強なため申し訳ありませんでした。

今後私がスレに現れることはございませんのでそれでご勘弁ください。

スレとの関係を完全に断つためにも、現在私が管理していますしたらばに付きましては本日中に閉鎖いたします。
本当に申し訳ありませんでした。
199創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 09:43:51 ID:+EgqLJPy
おつかれさま
200 ◆tr.t4dJfuU :2009/07/27(月) 09:46:13 ID:X5Ru/cgf
>>195
現在したらばに地図を公開されておられるようなのですが
そういうわけですのでこちらに貼り直していただけると幸いです。
お手数をお掛けして申し訳ありませんでした。
201創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 10:04:33 ID:e9fIDBVK
>>198
閉鎖は止めてくれ無いか?
202創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 10:12:19 ID:9qPemjFu
裏方として頑張ってくれればいいよ
203 ◆31P.4mZG16 :2009/07/27(月) 10:33:05 ID:V3F4fQ77
不快なようですので私も今後の書き込みを控えさせていただきます。

wikiの管理人様
せっかく収録をしていただいたのですが、
私が書いたSS・キャラクター・設定を全て削除してください。

私が作った設定
総合科学体育科(学科内に特に優秀な生徒を集めた「特Aクラス」が設けられている)
芸能科・機械科の存在
野球部・柔術部・科学部の存在

お手数をお掛けして申し訳ありません。
よろしくお願いいたします。

それではお世話になりました。
204創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 16:05:50 ID:+JhZUIlP
これはまた随分とカタストロフィーな展開だのぅ。
今後はどうする?

1:依頼のあったSSを削除、何事もなかったように強引に再開。
2:抜けたSSのせいで空いた陥穽を誰かがSS書いて埋める。そして再開。
3:残存したSSや設定を活かす方向で最初からやり直す。
4:このスレは全破棄。青春シェアードをサルベージして、そっちを再開。
5:「夏だなぁ」と大人目線からしばらく静観。
205書いてる人 ◆RdKn1iQ0Xs :2009/07/27(月) 16:33:21 ID:ENI5dsEE
>>197
お手数かけまして申し訳ありません。
仰る通り、文字作品キャラクター、いづれもよろしくお願い致します。
206創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 16:49:31 ID:8ZqwYCfQ
>>190氏の意見を誰も否定しないってことは……まあ、そういうわけなんだろうけど。

>>190氏や他の人の意見はわからないけど、個人的には、
今の段階ならまだ「今後気をつけます。すみませんでした」で済むと思う。

というか、過去にこのスレ去ります宣言した人とか、
おそらくこのスレを去るつもりだからこその破棄宣言をした人とか、本当は誰にも去ってほしくなんかなかった。
所詮は2chの企画スレ、引きとめる資格はないって思ってたから今まで言わなかったけど。

2chでこんなこと言うのもアレだってのはわかってるけど、あえて言う。
みんなで創作していく企画で「何かあれば自分の作品破棄してスレを去ればそれで済む」って考えるのはやめてほしい。
今までにこのスレを去った全員がそうだとは言わないけど、スレを去ることや作品を破棄することを
すごく軽く考えている人がいるような気がして、それはすごく悲しいというか悔しいというか……うまく言えないんだけど……
207創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 16:59:49 ID:LDQT+u0O
今、破棄を希望されてる作品全部消したら全体の何割くらい減る?
208創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 17:07:37 ID:e9fIDBVK
>>206
同意しよう。
折角クロスしようとしていたのに破棄されるとがっくしするし今更感もあるし。
少なくともなんか作品に問題があった時以外は作品破棄は止めてほしいな…
209創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 18:13:25 ID:e9fIDBVK
したらば無くしやがった…
後々の事どうすんだよ。考えてくれ…
210創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 19:01:24 ID:Szbzp5dx
凄いことになったなぁ。残った人で今後の事でも考える?
211創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 19:50:15 ID:8ZqwYCfQ
いろいろ言いたいこととか思うこととかあるけど、それは置いといて。

とりあえず、このスレのまとめwikiに未収録のSSを全部収録しよう。
ページ削除は管理者からしかできないから、申し訳ないけどそれは管理人さんに任せるとして。
どの作品が残るのか整理しないことには、このまま継続できるのかどうかもよくわからない。

今からやろうと思うけど、一人じゃ大変だから、協力してくれる人がいるなら作業分担したいんだけど……
wiki編集やったことない人でも手が空いてたら協力してほしい。
収録だけなら簡単だから方法教えるし、破棄に関しては情報が混乱してる面があるから
そういうの整理してくれるだけでも助かるんで。
212創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 19:57:07 ID:LDQT+u0O
携帯でもできる?
213創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 19:59:46 ID:Szbzp5dx
携帯でも出来るなら手伝うよ。
214 ◆FhLepFtlNE :2009/07/27(月) 20:00:20 ID:v9Zn4Uq5
>>211
事情で抜けるかも知れんが、協力するよ
しっかしこんな事になるとは……したらばも閉ざされちゃったし
215創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 20:03:37 ID:8ZqwYCfQ
>>212-213
ケータイからは難しいらしい。
申し出はありがたいけど、自分がケータイからやったことないんで教えられない。
せっかく言ってくれたのにごめん。

>>214
実はまだ、どこまで収録してあって、どれが破棄されたのかの把握中だったりする。
216創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 20:04:47 ID:Szbzp5dx
話し合う環境が必要かな。
217創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 20:05:42 ID:v9Zn4Uq5
>>215
おk。取りあえず前スレで投下されたSSを作者別に集めてみる
218創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 20:12:15 ID:8ZqwYCfQ
>>216
こういうの、本スレでするようなことじゃないとは思うけど、したらば閉鎖されちゃったんで……
もうちょっと人が集まったら、そのことも話し合わないとね。


とりあえず、現時点で破棄の申請あったのってこれであってるかな?
・前スレの643-645
・よーさんと茶道部関係の絵
・生徒会選挙の設定(>>160参照) ←これ、どれのこと?
・◆tr.t4dJfuU氏の作品全部
・◆31P.4mZG16氏の作品全部
・書いてる人 ◆RdKn1iQ0Xsの作品全部

破棄と削除で抽出しただけだから漏れてる可能性高そうだけど。
219創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 20:13:36 ID:bf+4+cHc
自分も協力したいけど携帯からなんですorz
書き手の方はどの位残っているのかな?
220 ◆FhLepFtlNE :2009/07/27(月) 20:15:05 ID:v9Zn4Uq5
……やってみようとしたけど数が多すぎんな、これw
破棄願いを出した人の作品が書かれたレスだけ抽出でも良いかな?
>>219
恥ずかしながら天月と向田の作者です
221創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 20:17:09 ID:Szbzp5dx
>>218
したらばで無くても良ければ用意出来るかも知れない。
222 ◆NN1orQGDus :2009/07/27(月) 20:19:01 ID:Szbzp5dx
イチャイチャカップルとツインテール、第二文芸部関連とふわふわ思考の書き手だったり。
223219:2009/07/27(月) 20:19:42 ID:bf+4+cHc
ええと、言い忘れましたが自分はスケートの作者です。
224創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 20:24:01 ID:8ZqwYCfQ
これ、ぶっちゃけると企画継続の危機だから、今したらば借りてくるの微妙な気がしている自分がいる。
話し合いの場は、わざわざ用意しないといけないんだとしたら、もう少し人が集まって
意見聞いてからの方がいいような……

ちなみに自分はまだ地図しか出してないけど、まったく別の場所ではSS書いてる。
正直言って、この破棄騒動でプロットが大破壊されたので、ここでの投下がいつになるかは未定だけど。

で、PCからwiki編集できる人いる?
自分、普段は新ページ作成してから目次とかにリンクはるんだけど、
作業分担するなら、先に目次作ってそこから振り分けたほうがいいよね?
225 ◆FhLepFtlNE :2009/07/27(月) 20:27:47 ID:v9Zn4Uq5
>224
俺PCだけどwikiの編集方法がちょいと分からんorz
確かに目次作ってもらった方がやりやすいかも
226創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 20:30:14 ID:8ZqwYCfQ
>>225
どうするのが効率いいかな……
15分以内くらいにはレスするから、ちょっと待ってもらっていい?
227 ◆FhLepFtlNE :2009/07/27(月) 20:32:35 ID:v9Zn4Uq5
>>226
おk。大丈夫
228創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 20:35:30 ID:LDQT+u0O
棒姉の弟とハルト閣下出したのが俺
229 ◆VdWr8u/.jY :2009/07/27(月) 20:37:31 ID:xg6RHjtW
大変なことになっていますね。

◆tr.t4dJfuUさん、◆31P.4mZG16さんが去られることは残念に思います。
いろいろ確執はあったようですが、お二人の企画への貢献は大きかったものと記憶しております。
お疲れ様でした。

書いてる人 ◆RdKn1iQ0Xsさんは少し前に同様の旨を表明されていましたが、お疲れ様でした。
企画の創始者であり、初期における方針の主導役でもありました。ありがとうございました。
230創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 20:39:02 ID:8ZqwYCfQ
とりあえず、前スレにあったのコピペ。Cは創発wiki編集用の内容になってるけど
それ以外は、どんなwikiでも一緒だから。


553 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/07/23(木) 23:14:29 ID:0CUSDgeY
創発wikiに作ったページについて

人物紹介に関してはほぼコピペで収録できる形式になってるから誰か収録してくれると嬉しい。
一人じゃさすがにキツイんで。
一応、wiki収録の方法を知らない人もいるみたいなんで、基本的な手順だけ書いとく(PCの人用)

@編集したいページを表示する
A画面の上にグレーのメニューバーみたいなのがあるので[編集]をクリック
B[このページを編集]を選択
C人物紹介の文章を入れる(「***」って入れると見出し表示になるんで、キャラ名の前に入れとく)
D画像認証の文字列を入れて、[ページ保存]
231 ◆VdWr8u/.jY :2009/07/27(月) 20:40:45 ID:xg6RHjtW
wikiの「本編(投下順)」についてですが、破棄などがあると投下番号が狂ってきますので、
代わりに投下日時を示すというのはどうでしょうか。逆に分かりにくいですかね。

とりあえず僕もSSを収録します。
232創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 20:44:02 ID:v9Zn4Uq5
>>230
d。俺も自分の投下作品を収録する間際、まだ収録されてない作品を収録してみるわ
破棄された作品以外で
233創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 20:47:50 ID:8ZqwYCfQ
ちょい待って。
目次を先に作った方がいいって話だったから、新規ページだけ作って本文入れてないやつが結構あったり。
まあ、それはいいとして、編集タイミングが被ると悲惨だから、誰か仕切って分担した方がいいと思うのだけど。
234創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 20:50:35 ID:8ZqwYCfQ
てか、早速かぶったよね。主に自分の所為だと思うけど……
ページだぶったのは後で管理人さんに謝るとして……これ、どう分担しようか。
235 ◆FhLepFtlNE :2009/07/27(月) 20:56:01 ID:v9Zn4Uq5
んんっと……
自分が本文を乗せましょうか?その前に前スレから該当する作品を探さなきゃいけないけど…
236創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:03:34 ID:8ZqwYCfQ
投下順目次に、登場人物の欄があることを忘れていた自分……orz

今、wikiの目次を見ると、020「無題04」以降は、本文が入ってない状態です。
でも、タイトルとかは入ってる。具体的には、ページを見るとこんな風になってる。

-------
無題04
     548 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/07/23(木) 23:05:38
-------

なので、この下に1行あけて、本文を入れていってもらえますか?
新ページ作成が絡まないから、>>230にコピペした方法だけ把握すれば収録できるはず。
レスNo.と時間が入ってるから、PCの人なら該当レスは簡単にみつかるはず。
新ページ作成と目次の更新は、こっちで随時やっていきます。登場人物欄は……読んでる暇がないから後でやる。
収録してくれる人が複数いるなら、適当に分担してもらえると。
237 ◆FhLepFtlNE :2009/07/27(月) 21:07:15 ID:v9Zn4Uq5
>>236
わーかりました。それじゃ本文を入れていきます
238 ◆FhLepFtlNE :2009/07/27(月) 21:15:20 ID:v9Zn4Uq5
取りあえずpart2で投下された作品の本文を収録しました。抜けてたらあとで教えて下さい
ごめんなさい、夕食抜けです
239創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:23:02 ID:+EgqLJPy
無題04の本文って入ってない・・・?
240創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:23:57 ID:+EgqLJPy
というか、無題04ってまだ存在しないんじゃね?
241創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:28:36 ID:8ZqwYCfQ
とりあえず、目次はできた。
これ収録されてないとか、これは破棄されてるよってのがあったら教えてください。


>wiki管理人さんへ
申し訳ないです。編集が被って余計なページ作ってしまったので、削除してもらえると助かります。
これ→http://www15.atwiki.jp/nisina/pages/58.html

>>238
どうもありがとうございます。

>>239-240
(自分がミスってなければ)前スレに、存在はしているはず…
入れてくれると嬉しいです。
242創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:38:31 ID:v9Zn4Uq5
>>241
いえいえ、wikiの作業本当にお疲れ様です。微々たる手助けしか出来なくて申し訳ないorz
前スレ探ってみたましたが、ちょっと分からないですね…・…それらしきレスを見つけたら収録します

昨日の議論の時からちょっと不安な雰囲気でしたけど……
何はともあれお疲れさまでした>離脱された作者さん方
243創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:39:46 ID:8ZqwYCfQ
一応、本文の収録は終わったはず。キャラごとのリンクは、これからやってくる。
収録ミスは、ここで指摘してくれれば自分が修正する。

……で、ここからどうする?
244創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:41:52 ID:+EgqLJPy
タンマ。無題04の作者って先輩後輩の人じゃなくね?
245創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:44:53 ID:Szbzp5dx
wikiの編集をして下さった方々、昨日の議論に参加した方々お疲れさまでした。

>>243
どうしよう?
書き手がやるべき事は作品を書くことだとは解っているのだけど。
まずはスレの再建が先決だよね
246創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:45:12 ID:8ZqwYCfQ
てか、キャラごとのリンクは後にする。
よく考えたら、破棄で作品No.ズレるし、キャラページ大幅に変えなきゃいけないっぽいし。

>>244
……だと、どうなるんだ? 破棄じゃないよね? あれ? ←混乱中
247 ◆FhLepFtlNE :2009/07/27(月) 21:46:37 ID:v9Zn4Uq5
あ〜申し訳ない……今日はこの辺で失礼します
なるたけ議論には参加しますが、都合がつかない時はごめんなさい。では
248創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:47:23 ID:+EgqLJPy
書くしかないな。
こつこつやってりゃ人も集まるさ。

>>246
あれの作者って誰だ。トリ確認して破棄宣言があれば破棄するって方向?
249創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:50:38 ID:8ZqwYCfQ
>>245
とりあえず、現時点で残ってる設定とかキャラとかを整理しないことには、書くに書けないんじゃないかと。
100%新キャラのみなら書けるだろうけど、ちょっとでもクロス要素があるとね。
実際自分も書きかけのSS、大幅に変更しないといけないっぽいし……

>>248
前スレ見る限り、トリつけてないっぽい。
250創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:51:42 ID:Szbzp5dx
取り敢えず文芸部関連を書こうと思っている人いる?
ある程度の設定の擦り合わせが必要だと思うんだけど。
251 ◆VdWr8u/.jY :2009/07/27(月) 21:55:05 ID:xg6RHjtW
>>250
まだ何も手をつけてませんが、書こうと思ってます。
252創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:55:37 ID:XAKwKu1Q
Wiki管理人です。ちょっと手が開かなくて、
今から依頼のあったものを消していきますが、それ以外のことは今日はできません。
リンク修正等はできればお手伝いお願いします。

それにしてもさびしいですが、そんなことも言ってられませんよね。
253創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:56:25 ID:Szbzp5dx
議論前に打ち合わせたイメージでよろし?
254創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:56:52 ID:xg6RHjtW
したらばで少し話したので、参考までに張っておきます。

5 名前: ◆VdWr8u/.jY:2009/07/26(日) 20:35:08 [ ihXQWrJ2 ]
◆NN1orQGDusさんへ
現在の文芸部についてですが、どんなイメージを持っていますか。
確か破棄されましたが、ラー油とホルモンの話ばかりしているというのがありました。
そんな感じですか。
SSを拝見すると、創作活動より、意見交換とか交流とかがメインになっている感じを受けます。

僕のイメージを話します。
文芸部は結構大きくて、いくつかのグループに分かれていて、それぞれ勝手な活動をしている感じです。
雑談とか、読書会とか、創作とか、作品の感想を交換したりとかですね。
で、実際に出版とかしてる天才が何人かいるんだけれどほとんど部活にはこない、見たいな事を妄想してます。
霧崎部長も天才で意外と実力があるんだ、みたいなSSを書こうかなと思っていました。

ちょっとイメージが違うところもあると思うんで、◆NN1orQGDusの文芸部像を聞いて、
うまくすり合わせられたらいいなと思います。

6 名前: ◆NN1orQGDus:2009/07/26(日) 20:43:23 [ 22ci7Jvc ]
>>5
自分は文芸部は雑談メインだと思っていました。
ですが、貴方のイメージも面白いと思います。
高畑は創作活動をメインにするグループにいたけど、雑談グループにに嫌気がさして独立を目指した、みたいな感じにすればどうでしょうか。

ちなみに、自分の霧崎部長のイメージは鋭い切れ味の鋏みたいな切れ者です。
255創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:57:09 ID:+EgqLJPy
>>249
ああマジみたいだな・・・俺前スレはもう見られんけど
すまんが、流れ的に誰だか特定できそう?
とりあえず作者の欄だけ修正すればいいか?
256創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 21:58:49 ID:xg6RHjtW
>>253
そうです
257創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:02:47 ID:Szbzp5dx
>>256
自分は第二文芸部メインで書くことになると思うけど、第一(?)文芸部と絡むことがあると思いますが、どうですかね?
258創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:04:26 ID:8ZqwYCfQ
>>252
すみません。ページ削除の対応の方、よろしくお願いします。

>>255
特定は無理。名無し書き手扱いでいくしかないと思う。

……で、これ、どのキャラが消えてどの部と学科がなくなるんだっけ?
いったん一覧を作ってみんなで確認してからwiki編集した方がいいよね?
259創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:06:16 ID:uy96oIGD
うちの大学の文芸部は、定期的に自作の冊子を出版する一方で、
発刊時期以外は、同じ部員が部室でカードゲームやTRPGに興じているのがデフォだった
高校の文芸部では、さすがにゲームはしてなかったが、創作と下らない雑談を常日頃から両立してた

とりあえず参考までに
260創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:06:51 ID:LDQT+u0O
ごめん無題04書いたの俺
鳥付けずに混乱させて申し訳ない
261創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:07:45 ID:xg6RHjtW
>>257
そうですね。そうなるとやはり差別化を図る為に、第一文芸部は雑談メインで、
創作するにしても、ふざけて書いたト書きレベル、またはそれよりちょっとまし、という感じでどうですか。
実際に出版してる天才という設定はOKですか。
262創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:08:54 ID:XAKwKu1Q
削除終了です。
後、本編SSの目次だけいじってきました。
間違いがあれば教えて下さい。
263創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:10:15 ID:+EgqLJPy
そうだな。まかせっきりで悪い。

・設定もSSも影響も全削除
・設定は使いたいならどうぞ、でもSSは撤退

の二種類があると思うんだが。
ていうか別に体育科とかその枠組み自体は残してもいいよな。
264創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:12:09 ID:xg6RHjtW
>>262
手間のかかりそうなNoも整理されている!
お疲れ様です。大変見やすくなりました。
265創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:12:16 ID:Szbzp5dx
うちの所は月一ペースで会誌を発行してた。
書いたら皆で読み回してあーだこーだ言いながらやってたから第二はそんな感じにする予定。

取り敢えず大まかなアウトラインがわかったので、第一文芸部のそちらのイメージでお願いします。
266創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:13:41 ID:Szbzp5dx
>>261
天才おkですよ。
267創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:16:46 ID:Szbzp5dx
>>263
拙作の中で体育科と工業科、普通科は出しましたと報告。
268創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:24:38 ID:8ZqwYCfQ
とりあえず、今残っているSSと削除されたSSを精査して、この2パターンの洗い出しが必要かな。

・誰も続きを書いてないから、消滅しても問題ないキャラ・設定
・続きを書かれているけど、一話目や途中のエピソードが破棄されたことで矛盾が出てしまっているキャラ・設定

下の方に関しては書き手さんに自己申告してもらうのが確実だと思う。
ので、書き手さんたち見てたら報告を。
無視できる矛盾ならそのままでいいし、そうでないなら、修正するなり補完SSを書くなり対応を考えないといけない。

>>262
どうもありがとうございます。
>>263>>267
体育科は別にあっても構わないと思う。
269創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:29:18 ID:xg6RHjtW
>>259
なるほど。参考になります。

>>265-266
わかりました。雑談メイン、創作はおふざけ程度という感じで行きます。
270創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:33:12 ID:Szbzp5dx
うーん。こりゃ確かに打ち合わせ場所が必要だ
271創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:36:10 ID:+EgqLJPy
1.破棄されたキャラ・設定の洗い出し

2.そのうち
・消滅しても問題ないキャラ・設定(書き手離脱・他書き手も設定を使っていないなど)→そのまま削除
・他作品に影響を与えているキャラ・設定→作者申告で書き手もしくはスレで対応を練る

この手順でいくか
272創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:47:10 ID:8ZqwYCfQ
【破棄されたSSにのみ登場していたキャラクター】
佐原英明
小峰みちる
早川紗季
野球部のみなさん(マサト、マモル、タダシ、サトシ、ユウスケ、ケイコ)
芸能科のみなさん(シュンスケ、サクラ、カオリ、リョウコ)
ヒーロー学園から来た先生たち(ナツミ、シホリ、フレイア、タルタロス、ヨハネ)

【◆31P.4mZG16氏が削除を申告した設定】
総合科学体育科(学科内に特に優秀な生徒を集めた「特Aクラス」が設けられている)
芸能科・機械科の存在
野球部・柔術部・科学部の存在

キャラに関しては、wikiのSS目次とキャラ紹介ページの照らし合わせでしか確認してないから
本文にちょっとだけ出てたとかは把握してない。
登場話がなくなって、矛盾が生じてるキャラまではまだ確認してない。
間違いがあったら指摘よろしく。
273創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 23:03:23 ID:xg6RHjtW
>>272
乙です。
総合科学体育科は「adventure of dashing street 」「アイシクル エッジ」に言及がありますし、
特に矛盾もないので存続させていいと思います。

見たところ、ほかの設定・キャラは消滅しても特に問題ないように思います。
274創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 23:08:15 ID:8ZqwYCfQ
体育科は……特Aクラスは無くすと不味いんだっけ?
てか、体育科ってこんな正式名称だったんだなぁ、とか思ったりw

一晩待って指摘が無いようであれば、明日の夜には>>272の体育科の部分以外はwikiを編集しようと思います。
それでいいですか?
275創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 23:31:35 ID:+EgqLJPy
ダイヤモンドユカイのカップル◆NN1orQGDus
卓上同好会(加藤、田中)◆69qW4CN98k
人体構造研究会(俺、棒姉、高見坂)
アプローチvsスルー(先輩、後輩)◆46YdzwwxxU
ロボティクス入部希望+ゴリラ(結城京と早乙女,美術教師真田基次郎)◆i3Yio0CB.Y
テディベアツインテと柔和眼鏡◆NN1orQGDus
衝撃の鳥コンビ(小鳥遊、鷲ヶ谷)◆JOjO5CPwM2
用務員田中と猫寅◆4c4pP9RpKE 
オタ同好会廃会寸前(石塚・青木)とよーちゃん◆XUjpX.y4QM ※1
不思議少女と愉快な仲間達(わたし、伊庭、杏、さなこ、金髪不良)◆NN1orQGDus ※2
ワールドエンド‐幸せ撲滅の三人‐(台、那賀、省)◆G9YgWqpN7Y ※3
屋上は秘密の花園(向田、天月)◆FhLepFtlNE ★1
あんたは留年しすぎ(八幡申輔、魔王) ※4
幸せ撲滅ズッコケ三人組再び◆G9YgWqpN7Y ※5
感傷&超然(アキラ、ケン)◆VdWr8u/.jY ※6
第二文芸部やるし!(かなめ、まこと、槇美玲)◆NN1orQGDus  ※7
アイクルシイエッチ゛(かなみ)◆FUs75gJ6A2 ※8


※1 格闘茶道部(破棄SSより)のししおどし
※2 伊庭所属先などとして工業科に言及
※3 小鳥遊鷲ヶ谷◆JOjO5CPwM2、先輩後輩◆46YdzwwxxU、テディベアツインテ◆NN1orQGDus、美術ゴリラ教師真田基次郎◆i3Yio0CB.Y登場
※4 青木石塚◆XUjpX.y4QM登場、魔王はよーちゃん◆XUjpX.y4QMそっくり
※5 向田天月◆FhLepFtlNE登場
※6 先輩後輩◆46YdzwwxxU、結城京と早乙女◆i3Yio0CB.Y登場
※7 文芸部部長霧崎(破棄SSより)登場、文芸部活動に言及
※8 かなみ(中等部)の進路に関連して高等部体育科に言及、学外のキャラ(きりやん)登場

★1 なぜかSSページに人物紹介まで収録


こんな感じ。もしかしたら破棄SSからのキャラはもっといるかもしれんが
特に違和感ないし、いいだろ
276創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 23:36:03 ID:+EgqLJPy
すまん抜け
adventure of dashing street(第二文芸部)の話にも体育科の話が出てきているのを確認した
277創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 23:48:29 ID:8ZqwYCfQ
初期設定が終わり次第、報告するんで、書き込みはまだしないでください。

http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12930/

カテゴリどうすればいいのかわからなかったんで、二次創作とかのカテゴリになってるんだけど別にいいよね?
278創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 00:43:54 ID:DZc97C+r
したらばの初期設定できましたので、使ってもらってOKです。
279創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 01:43:08 ID:P4WfnF13
>>275
乙です! 確かに破綻などの問題はなさそうですね。
それよりもキャッチコピー(?)に吹いたwww

>>277
こちらも乙です!
これで打ち合わせ等がしやすくなるね。
280 ◆JOjO5CPwM2 :2009/07/28(火) 04:19:33 ID:xTnzu9zH
したらばに沒投下ほしいな。二話目出来たけど必要無いみたいだし。



遅筆の俺しねばいいのにね!!!
281創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 04:22:01 ID:OdxWSlsV
前したらばに貴様のSSを待ち望んでいた人がいたことを俺は覚えている!
つかなんで必要ないなんていうんだ? 矛盾発生?
282創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 04:26:30 ID:xTnzu9zH
あるぇ…あぁ、>>275は「収録」するやつなのね。外すやつかと思っちまった
283 ◆JOjO5CPwM2 :2009/07/28(火) 04:31:18 ID:xTnzu9zH
>>282は俺な
284 ◆46YdzwwxxU :2009/07/28(火) 04:47:42 ID:OdxWSlsV
俺も楽しみにしてるんすよ投下してくださいよ
今欲しいんだよね――キミのチカラ!

俺も部活見学話にいきたいんだけど、なんか各部活に関してアイデーア持ちはいるかなっ!?
そのうちしたらばで語りたいところだ
285 ◆46YdzwwxxU :2009/07/28(火) 05:35:03 ID:OdxWSlsV
ふむ。wikiって難しいな・・・
今から改題したいと思ってもページ名は変えられんからリンクが繋がらないの・・・か?
次からは真面目にタイトルつけよう
286創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 09:56:45 ID:DZc97C+r
>>285
管理人さんに頼まなくても、
目次のページとかで表示されるリンクの名前を、ページ名とは別のものにする方法ならあるよ。
ただ、あくまでもページ名は今のままだから、更新履歴とか
画面のいちばん上の「私立仁科学園まとめ@ウィキ」って書いてある横に出てくるページ名は今のままだけど。
287創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 09:59:14 ID:DZc97C+r
ついでに言っとくと、wikiに収録するときにはページ名を設定しないといけないから
書き手さんたちは、次からでいいんで自作にタイトルつけるようにお願いします。
あと、同一ページ名は設定できないんで、今までの投下作品とタイトルかぶらないように気をつけてください。
288創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 10:19:24 ID:DZc97C+r
以前投下した学園敷地内の地図を、したらばの「作者たちの集う場所」スレに投下しました。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12930/1248716198/

こちらからの回答は夜以降になりますが、意見があればよろしくお願いします。
289 ◆46YdzwwxxU :2009/07/28(火) 11:15:22 ID:OdxWSlsV
>>286
そうなのか
ちょっと勉強するかな・・・
290創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 11:21:07 ID:DZc97C+r
[[リンク表示文字列>ページ名]]

↑これでいける。
たとえば、ページ名は「あいうえお」だけど、リンクの文字は「かきくけこ」にしたい場合は
[[かきくけこ>あいうえお]]にすればOK。
>>286にも書いた通り、この方法で変わるのはリンクのところの文字だけだけど。
291創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 11:29:17 ID:fdnBDQfx
>>286の補足をしておくと、Aってタイトルの作品を間違えてBってページを作っちゃった!って場合はリンクを[[A>>B]]と表記してね。
たとえば、
[[熟れ熟れロリババア、剥く!>>熟れ熟れトマトの皮をロリババアが、剥く!]]
とやると「熟れ熟れロリババア、剥く!」という文字列で「熟れ熟れトマトの皮をロリババアが、剥く!」へリンクできる。
292創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 11:30:45 ID:fdnBDQfx
おっと、リロ忘れすまん。
293 ◆46YdzwwxxU :2009/07/28(火) 11:43:39 ID:OdxWSlsV
どこ見ればいいのか困ったから助かったぜ。
自分のだけで悪いけど、さっそく試してみた。
前後に投下された作品からのも弄ったけど、いいよね?

>>291
その例文はどうなんだw

あれ? >>にするとこういう作業の手間が省けるってことなのか・・・?
294 ◆46YdzwwxxU :2009/07/28(火) 11:51:08 ID:OdxWSlsV
ごめん。なんか勘違い
295創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 20:08:07 ID:DZc97C+r
レスくれた人がいるというのに、地図案を追加してしまった……
改めて、したらばのスレ見て意見もらえると有難いです。

あと、したらば見た人は知ってると思うけど、
名前欄に何も記入しなかった時に表示される名前を何にするかの案を募集中だったりするので
そっちもよろしくお願いします。
296 ◆FUs75gJ6A2 :2009/07/28(火) 20:24:04 ID:iK2iHSRK
中等部の書き手さんていらっしゃいますか?

高等部の書き手さんは数多くいらっしゃるのですが、中等部の書き手さんはいらっしゃらないようなので、
自分の筆力が向上して他の書き手さんが考えたキャラと自分が考えたキャラをクロスさせようと思った時に
中等部のキャラがいないと淋しいなと思い質問してみました。

よろしければ回答お願いします。
スレ汚し失礼しました。
297創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 20:33:27 ID:ZPxoi5Xe
したらばの名前欄に「通りすがりの名無し」を提案する
298創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 22:09:40 ID:DZc97C+r
>>296
中等部キャラのアイデアは持ってる。
遅筆なのもあるんで、書きあがるのがいつになるか具体的なことは言えないけど
299創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 22:36:05 ID:P4WfnF13
>>296
こっちも一応ある。女子一名だけだけど。
書きあがりはいつになるかわからないですが。
300創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 23:11:36 ID:mqFsq51J
wiki管理人さんへ
二人の友(http://www15.atwiki.jp/nisina/pages/62.html)というページですが、
入学式(http://www15.atwiki.jp/nisina/pages/61.html)と内容が同じです。
二人の友のほうは削除してくださると助かります。
301創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 23:30:21 ID:P4WfnF13
>>300
報告ありがとうございます。対応しました。
302幸せ撲滅運動 美術部編、かも ◆G9YgWqpN7Y :2009/07/29(水) 01:03:03 ID:YMdSi62K
今から投下します。
303幸せ撲滅運動 美術部編、かも ◆G9YgWqpN7Y :2009/07/29(水) 01:05:14 ID:YMdSi62K
そのキャンバスには一つの風景が描かれていた。
この学園のグラウンド。そこに様々な人物が描かれている。
トラックを今にも走り出そうとしている男子学生。
野球の練習を行っている男子生徒。それを見ている女子生徒。
遠くではランニングを行っている生徒など。
まるで写真のように、いや、それ以上の躍動感を持って描かれている。
それを見た人にはそれぞれの人物の感情まで手に取るようにわかる。
そんな油絵が描かれていた。

――しかしそれもまだ、書きかけのままで。

その油絵を描いている人物、大型 台は、いったん手を止めると全体を確認するように眺めている。

しばらく時間が経ったであろうか。美術室の扉が開き、一人の女子生徒が入ってきた。

手には彫刻に使う様々な材料を持っている。
どちらかというとおっとりとした雰囲気を持つ少女は体を屈めその材料を部屋の端に降ろす。
髪の先のところをリボンでまとめた黒色のロングヘアーが揺れ、一瞬台から顔を隠す。
再び背を伸ばし、大型台の方に振り向く。
その目の色も黒、大きめの目は若干たれ目気味、身長は160cm程度。
出るとこは出てひっこむ所は引っ込む割とグラマラスな体形だが、
全体の雰囲気から美人というよりかわいいと形容する人が多い、そんな少女だった。

その少女はつかつかと台のそばに寄ってくる。あと一歩という所まで近づき、腕組みをし、口を開けた。

「台先輩、手伝ってくださいと何度もお願いしたはずですよ。結局私一人でやることになりましたよ」
その雰囲気通り、柔らかい口調のまま、台に対し抗議する。

「俺、不良だからそんなことはやらないし、今いいところだから絵を描き続ける」
「先輩、そんな変な言葉を使わないでください。それだから留年するのですよ」
「好きで留年してるからいいじゃないか。学費も自分で稼いでるから問題ないだろ?」
「先輩……好きで留年なんてしないで下さい。それに問題はあると思います」

しみじみと言う少女に対し、台は気まずくなったのかそっぽを向く。
少女はしばらく非難の目を向けていたが、ふと目を油絵に写す。
ふっと少女の口から感嘆の吐息が漏れた。

「先輩、さすがですね」
「ほう、部長の目から見てもそう思うか?」
「ええ、人物は特に。それに比べると風景がやや弱いと思いますが」

部長、と呼ばれた少女はその描きかけの絵を端的に評した。
それに台も頷き、言う。
「そうだな、色々試してはいるがどうも風景に対するパンチが弱い。
まだまだ観察眼を鍛えないと描けないな」
304幸せ撲滅運動 美術部編、かも ◆G9YgWqpN7Y :2009/07/29(水) 01:06:58 ID:YMdSi62K
そこまでで言葉は止まり、無言の時間が流れる。いつもならそれで終わりのはず。
しかししばらくたっても少女が動かないことを確認し、台は少女へと問いかける。

「それで、この絵以外のことで何がいいたい?」

その問いを待っていたかのように少女は口を再び開いた。

「一つ。今年の新入生をどう集めるか。去年は先輩達のせいで新入部員ほとんどいませんでした。
二つ。私に油絵について教える約束はどうなっているのか? 約束したっきり全く教えてもらってません。
三つ。先輩は今年卒業するつもりがあるのか? ないといったら殴ります」

じっと見つめながらいう少女を前にして、不良はき然と答える。
実はちょっと背中に汗をかいているが悟られないようにする。

「一つ。俺たちは隠れてるから鈴絵部長がやればいい。きっと野獣のような眼をした男どもが群がってくるぞ。性的な意味で。
二つ。今はこの絵を完成させることとカップル狩りで忙しい。もう少し後にしてくれ。
三つ、それは問いですらないよな?」

その答えに鈴絵は深いため息をつく。

「結局私一人でやるしかないですか……。それに私との約束は完全にすっぽかす予定ですね?」
「まあ頑張ってくれ。もちろん新入生とカップル成立になったら全力でシメにいくからな」
「はいはい」

最後の台の言葉は軽く聞き流しながら鈴絵はもう一度溜息を吐く。

「文句をいいたそうだな」
「文句はいくらでもありますが、言っても治らないおバカさんなのでいいません」
「それがわかってるなら上等だ」
「そこは認めるところじゃありません……」

そこまでで再び言葉が止まる。
鈴絵は今度こそ若干不貞腐れたような、諦めたような態度で自身のキャンバスに向かおうとする。

その時、再び扉がひらいた。
305幸せ撲滅運動 美術部編、かも ◆G9YgWqpN7Y :2009/07/29(水) 01:08:21 ID:YMdSi62K
そこから入ってきたのは一人の中等部の少女だった。
肩まで掛かる髪を茶色に染め、顔立ちは割と整っているが、釣り目がちで、鋭い雰囲気を纏った少女。
その少女は手にビニール袋を持っていて、台にぽんと手渡した。

「兄貴、持ってきたぞ」
「おう、早かったな……ふむ、これなら上出来だ」
「そうか、じゃ、用事が済んだし行くからな」
「ああ」

それだけ言って帰る少女。
それを目だけで見送った鈴絵は台に疑問の声をあげる。

「あの子、妹さんですか?」
「ああ、見るのは初めてか? 魅紗と言う」
「へぇー。あ、今、何を持ってきてもらったんですか?」
「見るか?」

台はビニールを広げ、鈴絵はその中を覗き込む。

「……双眼鏡? それにあんぱん?」
「ああ、カップル成立間近という奴らが現れたからな。これから張り込み作業をしなければならない」

自信満々に言い切る台の前に鈴絵はつかつかと歩みよる。後一歩という所で鈴絵は再び口を開いた。

「……先輩、ひとついいですか?」
「なんだ? その笑顔が逆に怖いが」

いい笑顔を浮かべる鈴絵に対し、台は一歩後ろに下がろうとし、

「殴ります」

しかし、間髪いれず渾身の右ストレートがみぞおちに叩き込まれた。




――これでまた、ある一組のカップルは救われたようだ





おわり
306幸せ撲滅運動 美術部編、かも ◆G9YgWqpN7Y :2009/07/29(水) 01:10:28 ID:YMdSi62K
ここから新規キャラ紹介

神柚 鈴絵 (かみゆ すずえ)

高等部 普通科3年、学年は大型台と同じだが台が留年しているため台のことを先輩と呼ぶ。
身長160cm程度、グラマラス体型だがおっとりした雰囲気のため可愛いと評される。
怒るとおっとりとした口調のまま手が出るようだ。
美術部部長。油絵が得意だが台には敵わない。


大型 魅紗 (おがた みしゃ)

中等部 3年 大型台の妹。
男言葉を使い、きつい雰囲気を持つ。茶髪





大型台の割と真面目な方の日常をだらだらと。
私の場合、基本的に書いた以上のことの設定はしていません。
クロスしてもらえる時には自由に新設定など生やしてください。

投下終了です。
307創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 01:10:44 ID:GeiUMr0v
投下乙
308創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 02:33:52 ID:LbR5sPNe
やっと普通の学校シェアワっぽい雰囲気になってきたなー
つーか台、卒業しろよw
309創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 06:05:07 ID:QBze2kp3
も、萌える!
台別に女日照りってわけでもないんじゃん!
なんでカップル狩りなんかしてんだ。俺が狩りたいわ!w
310先輩、部活動見学です!(2) ◆46YdzwwxxU :2009/07/29(水) 10:42:29 ID:QBze2kp3
俺も投下しますん
311先輩、部活動見学です!(2) ◆46YdzwwxxU :2009/07/29(水) 10:44:51 ID:QBze2kp3

 ――後輩の魂胆は分かっている。
 部活動見学のついでに彼女気取りで俺を連れ回し、二人の関係を恋人同士だと周囲に誤認させること。ゆくゆく
は既成事実化させることだ。
 これまでにも幾度か、後輩の巧妙な誘導によって、俺達だけで出歩くという状況に陥ったことはあったが、そ
れが油断も隙もない。この娘ときたら、これ見よがしに腕を組もうとするわ抱き着こうとするわ、挙句の果てに
首筋や耳……いやこれは忘れたい。

(忘れさせてくれ……)

 落ちこむわー。
 まあ、あれだ。多感な時期だ。そういう関係だと印象づけるには、いっしょに歩いていたとか、喋っていたと
かいう事実だけでも充分すぎる。そこにスキンシップを織り交ぜられるともうどうしようもない。
 好き放題を許してしまう俺が間抜けともいうが、この女はとかく御し難い。
 だが、俺は今回の機会を逆に利用してやる。
 行動を共にすることで彼女お得意の裏工作を封殺し、また妄言に訂正を入れて認識を変えていく。
 どうせ、もう第二学年の間では噂になってしまっているのだ。そこそこ広まっている部類の。

『あの“先輩”、中等部(当時)の可愛い子と付き合ってるらしいよ』
『いっつもいっしょにいるもんね』
『“先輩”ってみんなの前では嫌がってるみたいだけど、実は満更でもないんじゃないの』

 こんな具合にな! ちなみにこれらは後輩が意図的に広めているもので、まったく全然これっぽっちも真実で
はないことをここに断っておこう。……この際だから愚痴るが、最近、本名よりも、“先輩”と冷やかし混じり
に呼ばれることのほうが多い気がする。
 それはとにかく。
 だからこそ、これはチャンスでもあるのだ。
 影響力の強い部長クラスから、俺達の関係についてはっきりと是正していく。「あの二人は恋人なのか」とい
う漫然とした認識に、真実の楔を打ちこむように。
 もちろん噂というのは、面白おかしく興味を引くものしか流行らないのが常で、それをもって払拭しきれるも
のではない。
 しかし、堅実に地を固めていけば、やがて功を奏することもあろう。

(なにごともあきらめず、さいごまでこつこつがんばろう!)

 小学生のころからのモットーを反芻する。
 こうなった俺を切り崩すことなど不可能だ――!
312先輩、部活動見学です!(2) ◆46YdzwwxxU :2009/07/29(水) 10:46:47 ID:QBze2kp3

「ところで後輩よ、どこを回る気だ? もうルートは決まっているのだろ?」

 彼女の性格からして、この手のイベントで行き当たりばったりということはまずない。俺を“攻略”するため
の罠が二重三重に張り巡らされているくらいに考えておいてもよい。
 後輩は「よくぞ聞いてくれました」とばかりに、候補を書き出したルーズリーフを聖剣のように掲げた。

「はい。前年度からこつこつ収集していた膨大なデータ。それを駆使して算出した、最も長い時間先輩とごいっ
しょできて、最も多くの皆様に祝福してもらえる、最高の順路をご用意いたしましたっ! こっ、これはもう、
virgin road(バージンロード)といっても過言ではないのではないでしょうか!?」
「流暢な発音のところ悪いが、過言以前の問題だっ!」

 デートどころか、いきなり結婚式なのかよ。
 つかほんとう用意周到ですねアンタ。……費用対効果は疑問な気はするけれども。

「では最初は文芸部から――」
「聞いちゃいねえな」

 それにしても、文芸部か。

(いまいちだな)

 俺は表情には出さずにそう評価を下した。
 もちろん部活動そのものがというわけではなく、あくまで、俺にとって都合が悪いという意味で。 
 部長の霧崎先輩は、聞くところによると部員の行動を制限するほど厳格ではないらしい。活動内容も、執筆な
どより他愛もない雑談がメインだという。放課後の後輩を忙殺させるには少し、いやかなり頼りない。
313先輩、部活動見学です!(2) ◆46YdzwwxxU :2009/07/29(水) 10:48:32 ID:QBze2kp3
「……せっかくの青春だ。運動部とかにしろよ」
「運動部ですか?」

 俺の打算まみれの提案に、後輩は何故だか頬を赤らめた。直視できず、俺としては目を逸らすしかない。こう
いう表情はやはり反則的に可愛かった。
 喋りさえしなければ――ではあるが。

「……せ、先輩もけっこう“まにあっく”ですね。パンチラテニスウェア、乙女の柔肌スクール水着、曲線美レ
オタード、押っ忍オラ柔道着、日本の心は袴、なんかもうスパッツ、凛々しい騎士鎧、フリフリ給仕服、清廉な
巫女装束、思わず白ブーツを舐めたくなるマーチングバンド衣装。……こ、この変態めっ! 変態っ!」
「そういう意味じゃねぇよー!?」

 なんか変なの混じってないか?

「おっしゃってくれれば、お好みのコスチュームで、いえ格好だけでなく魂までもそれとなってご奉仕させてい
ただき――あ」

 そこで、何かに気がついたように言葉を区切った。

「ひょっとして衣装ではなくて匂いフェチさんのほうでしたか? ……それもお任せください!」
「なにそれ」

 もう風紀委員に連れていかれろよお前。

「……と、そんなグダグダな無駄口を叩いている間に、着いたぞ。文芸部」
「緊張しますね。……で、ですが、ご両親に挨拶する練習だと思えば頑張れます!」
「お前それそつなくやってたじゃん! このまえ俺ん家に押し掛けて! そんでうちのオフクロとめっちゃ仲良
くなってたじゃん!」

 数ヶ月前の“悪夢”を思い出し、俺はツッコミをブチこんだ。そんなときに限って小細工せずに「私の片想い
なのですけど……」などとケナゲなふうを装って強調していやがったのが逆に恐ろしい。おかげで家族もすっか
り彼女の味方だ。

「さぁて。それでは、参りましょう」
「ほんといい性格してるなァ」

 そんな俺の指摘はきれーにスルーして、後輩は特に気負ったようすもなく立ち塞がる扉を開いた。
 つい守りたくなるほど華奢なくせに、無駄にエネルギッシュでもある彼女の背中に続きながら、これからの苦
労を思ってひとつ溜め息を吐く俺だった。



 つづく
314先輩、部活動見学です!(2) ◆46YdzwwxxU :2009/07/29(水) 10:49:40 ID:QBze2kp3
投下終了です
話進まない
315創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 19:04:17 ID:YMdSi62K
>>311
乙です!
あいからわず後輩ちゃん暴走してるなー。
先輩はすでに外堀、完全に埋められてるじゃねーかwww
もう諦めろと言いたくなるなw
316 ◆JOjO5CPwM2 :2009/07/30(木) 08:01:13 ID:8J69kJhY
ふう、出来たぜ…
投下するよー
317 ◆JOjO5CPwM2 :2009/07/30(木) 08:06:58 ID:8J69kJhY

遥か上空にある一面に広がる水色と白色の空。
それは古くから人類が見てきた物であって、時には形を変え、時には神となり、時には芸術になる。
そしてその空を見つめながら、普通科一年の俺、小鳥遊雄一郎は頬を手のひらに乗せ、肘を机につきながらも一人思考にふけっていた。

「…どうしたもんかね」

俺の思考にあったのは先程の小学…失礼。鷲ヶ谷和穂の事である。
いきなり風の様に現れ俺と握手したと思ったら、すぐ急いで何処か彼方へ行ってしまった。
そういうところが鷲に似ているかは知らんが、走り回ってよく体力が持つな、と思ってしまう。
俺なんか中学の最後のマラソン大会の3キロ地点でばてて、ビリより一個上の奴がゴールした四時間後にゴールしたくらいなのだからな。
…あの時は地獄だった。特に仲が良い訳でも無い先生や生徒に励まされ続けたからな。
無駄に頑張れ頑張れ言われても俺にだって限度はあるんだ。
俺からしたら、既にゴールした奴等が上から目線で言ってるとしか思えなかった。
俺は百回の励ましより、一回の「もういいよ」が欲しかったってのに。
…思い出すだけで腹が立ってくるからここらへんで止めておく。
話はずれたが、あいつの走ってた理由とは、ただ単に走り回りたかっただけなのか…いや、もしかしたら更に複雑な事情があったのかもしれんが、とりあえずこれで納得しよう。

キーンコーン…

「…ん?時間か」
「どうやらプリントを配るみたいだよ」
「そうだな…って、和穂ォ!?お前何時の間に!?」
「失礼だよ!ついさっきキミが考え事をしていた隣に来たっていうのに…」

…こいつの先祖は忍者なのだろうか。
いざとなったら暗殺されるのも覚悟しておかなくては。

318創る名無しに見る名無し:2009/07/30(木) 08:17:15 ID:8J69kJhY
「…なになに…」

手に取ったプリントを見ると、学校便りらしき物から注意事項、クラス便りまでが1つのセットになって来た。これは有難い事だ。俺の様な男に関しては特に助かるだろう。

「…うむぅ」
「…どうした?何か不満があったのか?」

顔を下げ、何かを悩んでいる和穂を見て、思わず話かける。

「…なんでバラバラじゃないのかなぁって思ったんだよ…」
「また唐突な…なんでだ?」
「ボクは縛られるのが嫌いなんだもんっ!」
「いや、別問題だろ?それは?」
「別問題じゃないよっ!」

ただでさえ低いその身長まるで言い張る和穂に俺ははいはい、と返事をしておく。

「皆さんプリントに目は通しましたか?それでは…貴方、挨拶を」
「はい。帰りの挨拶…」
「「「さよーならー」」」

…何処の小学校だ。

◇◆◇◆◇◆

「雄一郎!」
「和穂…なんだ?」
「一緒に帰るよ!」

…こいつに計画性は無いのか。
俺は呆れながらも返事を和穂へと返す。

「…理由は」
「多分キミは帰る相手は居ないだろうと思って☆」
「ひ、ひどっ!?」

おい、流石に心にダメージ入ったぞ?
…しかし、案外きつい事言うなコイツ…まぁ別に良いが…

「わぁったよ。帰るから来い」
「今流行りのツンデレだっけ?そういうの」
「馬鹿」

俺は自分の頭三個分程下にいる和穂のセミロングの髪を掻き回す。
和穂は「むきゅう」と何処から出したか分からない声を出した。蛙かお前は。

「…行くぞ」
「うんっ!」

…やれやれだ。この俺に安息ってのは来ないもんらしいぜ…。

◇◆◇◆◇◆
319創る名無しに見る名無し:2009/07/30(木) 08:21:50 ID:8J69kJhY

「そういえば雄一郎」
「ん?」
「うちの学園ってさ、寅とか、会ったら結ばれる不良三人とか、屋上で歌う美人とか、色々居るらしいよ?」
「おま、何処のコント集団だよ!ひょうきん族も裸足で逃げだすぞ!」

…まぁ、部活に人体研究部とかいう行ったら怪人に改造されてしまいそうな部活があるくらいだしな…
雑談部とかただの放課後ティータイムだし、文芸部とやらは北斗の拳のラオウしか語ってないらしいしな。
俺はジュウザが好きだったが…
…話はずれだが、今に始まった話じゃないか。

「良いんじゃない?ボクはオールオーケーだよ!」

俺はオールオーケーじゃないけどな。むしろオールノットだよ。

320 ◆JOjO5CPwM2 :2009/07/30(木) 08:23:34 ID:8J69kJhY

「…まぁ、どっかで聞いたが、一年にもゲームや漫画みたいな奴等が一杯居るらしいしな、去年まで別の中学だった俺には分からんが」
「…青春だよね…そう思わない?雄一郎」
「すまん。一切思わなかったぞ。そして俺の話を聞け」
「そんなぁっ!」

ショックを受ける和穂を尻目に俺が見上げた空の色は、水色と白色から橙色と灰色に変わっていた…
321 ◆JOjO5CPwM2 :2009/07/30(木) 08:25:47 ID:8J69kJhY
投下終了。クロスしたいけどまずは一旦終わらせないとな…
でも出したいキャラが増えてきた…助けて〜…
タイトルは「小鳥遊雄一郎は空を見上げ思考する」で
ここからチラシ裏

俺の遅筆を少しでもカバーする為に、日本の実際にある苗字で格好良いのを揃えてみた

若命(わかみこと)
蝶間林(ちょうまばやし)
大正水流(たいしょうつる)
刃香治(ばっこうや)
月見里(やまなし)
紅露(こうろ)
初音(はつね)
龍海(りゅうかい)
瑠璃垣(るりがき)
王家王来(おくおか)
雷電(らいでん)
斉官(さいかん)
銅(あかがね)
二瓶(にへい)
一尺八寸(かまはつ)
相月(あいつき)
天達(あまたつ)
四十沢(よそざわ)
厳島(いつくしま)
青木葉(あおきば)
葵(あおい)
神(しん)
藍(らん)
四王天(しおうでん)
四月一日(わたぬき)
※選んだ物は俺の独断です※
初音、厳島、二瓶、天達らへんは居そうで居ないよね…。
あと四十沢であいさわとも読むらしい。
ちなみに鷲ヶ谷は調べた限り居ませんでした。スキー場ならあったけど。和穂ごめん。
(鷲)<ちゃんと考えてよ!
(小鳥)<…まぁ、仕方ないな
因みに俺は一尺八寸、四十沢、四王天、瑠璃垣、紅露、刃香治、若命が好み。もしかしたら出すかも。
322創る名無しに見る名無し:2009/07/30(木) 11:17:42 ID:YVserNVs
なんか人いないね。

>>321
鳥コンビの噛み合っているようで噛み合っていない会話は微笑ましいなあ。
ことりあそびくんは意外に体力ないのか、配分が下手なのか。

ヒィィ!? それはばっこうや、伝説のばっこうや氏ではないかね! なんと恐ろしい・・・。
早く帰ってもらうかサインもらうかどっちかにしておくれ!(ガタガタ
323 ◆FhLepFtlNE :2009/07/30(木) 13:49:23 ID:zqNYuV+T
やっと出来た……orz
取りあえず投下します
324どっちが変? ◆FhLepFtlNE :2009/07/30(木) 13:50:20 ID:zqNYuV+T
<どっちが変?>

「ゴラァ大型ぁ! おとなしく罪を償えッッ!」

学校内を疾走する、大柄な体格のリーゼントが特徴的な青年、大型台。今の彼には逃げねばならない理由があった。
彼には覚えの無い疑惑が掛かっており、美術教師である真田基次郎が鼻息荒く、必死になって彼を追っかけているのである。その疑惑とは、美術室内にあった花瓶が割れた事。
窓側に飾ってあった花瓶が、彼が美術室に入った瞬間割れてしまったのだ。それも彼が美術室に忘れ物を取りに行く為、一人で教室に入った瞬間に。
全ては学校内に紛れこんだ近所の子猫が起こした惨事なのだが、台のビジュアルは、偶然見かけた生徒には即、悪事を行っていると映ってしまったことが不幸である。

「俺がやった訳じゃねーのに……ちぃっ!」

台は厄介事を増やさぬよう、廊下を激走しながら他の生徒にぶつからない様に絶妙に避けながら、真田から逃げる。
しかしだ、台は悩んでいた。逃げるのは良いが、何処まで逃げ込めばいいのか考えていなかったのだ。右往左往しながら、隠れられる場所を探す。
だがどの教室も台の大柄な体を隠せるようなスペースは見つからない。もうすぐ教職員達が追いついてくる。
気づけば屋上近くまで台は走っていた。目の前には、屋上に続く階段。どうする……台は葛藤する。だが後ろから追って。迷っている時間は無い。

ふと台の脳裏には、ある男女の事がよぎる。確か下級生の男女……風の噂で聞く、平凡な男と変わった女のカップルだ。
変わった女の方は学年内ではかなり人気が高いらしく、男はその女と釣り合いが取れるか疑問な程、秀でた所がない平凡な男らしい。
台は気に入らない。まるでどこぞのラブコメの様なカップルを認める訳にはいかない。ちょうどいい、事が収まるまで逃げ込むと共に、例のカップルを〆てやるわ!
意気悠々と階段を昇り、台は屋上へのドアを開いた。

瞬間、台の耳に爽やかなギターの音が聞こえた。清々しい晴天が彼を迎え入れる。
さぁ、噂のカップルは何処に居る? 台は鋭い眼光で周囲に目を向ける。だが、カップルはおろか人っ子一人……待て。
台が視線を正面に向ける。演奏が途絶えると共に、ギターを担いだ一人の少女が、台に気付いて静かに振り向く。

「向田……じゃないか。どちら様ですか?」
少女が抑揚の無い声で台にそう聞く。あっけに取られていた台ははっとすると自慢のリーゼントを撫でて、少女に自信満々の声で答えた。

「おいおい、この学園で俺を知らないとは……俺の名は大型台っ! 二科学園では札付きの悪として知られてい」
「ごめんなさい、聞いた事無いです」

台の自己紹介を、少女は一刀両断する。それから少女は台を気にせずギターを弄りはじめる。
台は唖然とする。他の生徒達は自分のルックスに対して怖がったり怯えたりするが、この少女は違う。
全く物怖じする事も無い。かつ、堂々ときつい台詞を返す。度胸があるのかそれとも天然なのか……と、ここで台は思い出す。

確かこの少女の名は天月音菜。スペックが高いものの、変人であるが故に他人を近づけさせない謎に満ちた少女である。
それ故に教員たちも手を焼いていると聞く。それだけ独特なのだ、天月音菜は。だからかもしれない。自分に対してさっきの様な反応を取るのは。
……やはり噂は伊達では無いな。それならば俺の名を覚えさせてやろう! 台はふんっと鼻息を鳴らすと、天月に指を指し、高らかに叫んだ。
325どっちが変? ◆FhLepFtlNE :2009/07/30(木) 13:51:29 ID:zqNYuV+T
「そうか、なら改めて覚えろ! 俺のは大型台。この二科学園を配下に置く札付きの悪って事をな!」
「先生―ここに花瓶を割った犯人がいますよー」
「ちょ、待て!」

台は慌てて天月に対して刺した人差し指を口元を立てるジェスチャーをした。
屋上に続くドアから、階段を上がってくる音はしない。台はふっと胸をなでおろし、天月に言った。

「お前……ビビらせんじゃねーよ!」
「ごめんなさい先輩。私なりのジョークです。意外と臆病ですね」
そう言って天月はふふっと笑ってみせた。その笑みは、台にとって天使の様な悪魔の笑みに見えた様な、見えなかったような。
と、台は天月は自分を先輩と呼んだ事に気がつく。

「そういやさっき。俺の事先輩って言ったな?」
「えぇ、実は知ってました。相当変わってる人だって事で学園では有名ですよ。大型台先輩」
「……知ってたのかよ。というか……自分で言うのもおかしいが、俺はお前ほど変では無いと思う」

台の言葉に天月はワザとらしく頬を膨らませ、反論する。
「変じゃないです、個性です。先輩のリーゼントと同じです」
「いやいやいや、お前の方が変だって! つか俺のリーゼントは男としての勲章だ! 個性なんてあやふやなもんじゃねえ!」
台は天月に対して自らのリーゼントを自慢げに決める。天月はその様子に口元をニヤニヤさせるだけだ。

突如ドアを勢い良く誰かが開けた。その音に驚き台が振り向くと、相当走ったのか大量の汗をかいて呼吸を整える真田が立っていた。
「真田っ……」
「やっと……やっと見つけたぞ大型! さぁ……正々堂々と白状してもらうぞ!」

その時、真田の足元を一匹の子猫が通り過ぎた。猫は台も通り過ぎて、天月の足元を嬉しそうにゴロゴロと転がった。
天月がしゃがみ、猫のお腹を撫でる。ふと、天月は猫が何かを咥えている事に気付き、ギターを背中に回した。
子猫を抱き寄せ、じりじりと迫る真田と下がる台の真ん中に乱入する。二人とも何事かと反応を示す。
326どっちが変? ◆FhLepFtlNE :2009/07/30(木) 13:52:17 ID:zqNYuV+T
「真田先生、ちょっと待って下さい。確かに大型先輩はすぐに悪事を起こしそうなルックスですが、それだけで判断するのはこれいかにと」
「天月、これは俺と大型の問題だ。お前は口を出すな」
「出します。無実の人が罪に問われるのを見てるのは気持ちの良い光景ではないので」

そう言いながら、天月は掌から何かを取り出す。真田が天月が出したそれを見ると、真田は驚きの表情を浮かべた。
「む、これは首輪と……破片?」
「えぇ、恐らく私が抱えているこの子猫は、花瓶の近くで遊んでいた所、花瓶に首輪が落ちてしまい、取ろうとしたんだと思います。
 それで花瓶の所をうろちょろしていたら花瓶が割れて、その時最悪のタイミングで大型先輩が入って来た為、他の生徒に誤解されたと」

真田は唸った。ここで認めると、自分が大型を追いかけ回したのが凄く酷い事に思える。
だが素直に間違いを認めるのも何だかな。しかし天月の掌の上には、確固たる証拠が。ここは……

「……分かった。すまなかったな、大型。だがちゃんと校則は守れよ。それと学業にも力を入れろ。以上だ」

台と天月に背を向け、真田が校内に戻っていく。その様子を見送った台は、握り拳を作ると、思いっきりガッツポーズをした。
「よっしゃー!無実の罪が晴れたぜ!」
「良かったですね、先輩。感謝なら、タイミングよく現われた子猫ちゃんに言ってください」

天月がそう言いながら、台に抱いている子猫を寄せる。台は踵を返した。
「漢は小動物には反応しない。……お前の方から後で感謝しておいてくれ」
「……変わった人ですね。やっぱり」

天月の台詞に、台は笑顔で返す。
「お前ほどじゃないさ」

台も校内に戻り、屋上には天月と子猫の一人と一匹だけだ。子猫を膝の上にのせた天月は、歌を口ずさむ。
何処までも続く青空に向かって


おわり
327 ◆FhLepFtlNE :2009/07/30(木) 13:54:58 ID:zqNYuV+T
投下終了です。sage忘れすみませんorz
お借りしたキャラクターは大型台君と真田基次郎さんです。原案者の方、キャラ狂ってないか大丈夫ですかね……
にしても子猫の下りはちょっと無いわなw
328創る名無しに見る名無し:2009/07/30(木) 16:04:41 ID:YVserNVs
名探偵天月乙。
どっちかというと金田一少年に出てくる怪人みたいな生態(?)のくせにっ。
どうでもいいがSSにおけるチンピラ(大)の出現率は異常w

そういや教師も少ないんだよね
329創る名無しに見る名無し:2009/07/30(木) 21:22:10 ID:09RLKCKi
投下乙です!
台はあんなイメージでぴったりですよー。
てか俺が書くよりいきいきしてる気がするぜ!ありがたやー。
天月も不思議ちゃんぶりがよくでて面白かったです。

確かに教師は少ないですね。狙い目かも?
330創る名無しに見る名無し:2009/07/30(木) 21:45:12 ID:QMeJ9r5x
衝撃!9.11テロは米政府の内部犯行だった!!!

■9.11検証ビデオLoose Change 2nd Edition(ルース・チェンジ 第二版)日本語版(1時間23分13秒)
http://video.google.co.jp/videoplay?docid=4377032998245988095
■ツインタワー崩壊の疑惑を追え『 9.11 疑惑 〜2007 10.15 』(世界まる見え!テレビ特捜部)
http://video.google.com/videoplay?docid=-5334843523818408771
■『911』の真実とは (ダイジェスト版30分) 〜 ConfrontingTheEvidence 〜
http://video.google.com/videoplay?docid=-8142677247936155656
■『911ボーイングを捜せ-航空機は証言する』ダイジェスト版(10分)14.5MB
http://www.harmonicslife.net/gallery/main.php?g2_itemId=3701
■見ればわかる 9・11研究 
http://doujibar.ganriki.net/00menu.html
■9/11トリック─「テロ」は起きなかった マック・レイカー (日本語まとめサイト)
http://homepage.mac.com/ehara_gen/jealous_gay/muck_raker.html
■911 の真相は?(日本語まとめサイト)
http://rose.eek.jp/911/
■9.11の真実(WTC第7ビルは爆破された、ペンタゴンに旅客機は突入していない?
などの数々の疑惑とその反論も) 911同時多発テロにおける真実を追う(日本語まとめサイト)
http://nvc.halsnet.com/jhattori/green-net/911terror/nyterror.htm
■国会で民主党が9.11捏造の証拠をみせました January 10, 2008
http://www.youtube.com/results?search_type=&search_query=%E5%9B%BD%E4%BC%9A%E3%80%809.11&aq=f
■9・11事件の米政府内部犯行説に関するリンク集
http://www4.atwiki.jp/911insidejob/
■「ロックフェラーの友は、911を事前に予告した」 アーロン・ルッソのインタビュー(その後、死亡)
9・11がアメリカ政府によって計画されたものであるという証言
http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=600415
■9.11疑惑過去ログ保管庫
http://www.geocities.jp/yhp20010911/index.html
331創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 07:48:59 ID:LJ1TOnnC
仁科学園の敷地内の地図です。
以前に投下した物からいくつか変更してあります。
あくまで書き手さんの描写優先なので、何かが増えたり減ったりしてもそれはそれで良し。
「暫定のイメージ図」と考えてもらえればと思ってます。

http://loda.jp/mitemite/?id=282

【各校舎の説明】
・北棟 → 中等部の教室がある棟
・西棟 → 初等部の教室がある棟
・東棟 → 高等部の教室がある棟
・中央棟 → 職員室や特別教室などがある棟
・特別棟 → 特別教室などがある棟。1階は食堂。
・体育館 → 普通の学校の体育館に当たる「体育室」が複数ある建物。
  体育科がある関係で、体操競技専用の部屋や柔道場に剣道場、最新機材完備のトレーニングルームなどもある。
・講堂 → 入学式の会場になっていた場所。

【地図を見る時の注意事項】
・中央棟、北棟、西棟、東棟を結んでる灰色の線は、各棟の2階にある渡り廊下。
・白い所には、道とか花壇とか木とか……まあ、何かがあります。
・各棟、特に中央棟と特別棟に関しては、中に何があるのか具体的な部分は書き手さんたちにお任せします。
・縮尺は極めてテキトーなので、各棟の大きさやグラウンドの広さなどは気にしないでください。
332創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 20:28:47 ID:8iulvFSB
おお乙。
ここを変態どもが駆け回るのかw
南がないとそれはそれでちょっと寂しいものがあるねw
333創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 21:09:15 ID:LJ1TOnnC
南棟を建てるスペースはあるから、誰かがSS内で「南棟あります」と書けばあることになる。
それくらい自由でいいと思うよ。
まだまだ始まったばかりで、世界観とかも固まりきってない段階だしね。

あと、したらばの方で、仁科学園がどんな場所にあるのかと
文芸部の設定に関して話題になってたから、書き手さんや、読み手さんでも意見のある人はチェック。
334創る名無しに見る名無し:2009/08/01(土) 06:37:46 ID:ArEOF/0M

議論が落ち着いたら名無しが死に絶えてしまったか……
これは悲しいことです
335先輩、休み時間です! ◆46YdzwwxxU :2009/08/02(日) 22:51:31 ID:xFHTHUEq

「先輩、ラブです!」
「なんのカウンター!」

 第二時限終了そうそう、俺の教室には空振りの音が二つ。
 ひとつは俺が、飛びつこうとした後輩の少女を躱したときのもの。
 もうひとつも俺のもので、反射的に繰り出してしまった掌底を彼女がすかさず自分の胸元に持っていこうとし
やがったので、それをどうにか掻い潜ったことで発生した。
 ……我がごとながら、もはや尋常の体捌きではないような気がする。この人間離れしたストーカー少女のセク
ハラ攻勢を迎撃しているうちに自然に鍛えられたものらしい。

(いやな修行だな……)

 しかしその成果で危機一髪、俺は今回も彼女にコンマ一秒すら接触させず、それなりの距離をとることに成功
した。このような攻防は、傍迷惑にもほとんど休み時間の度に繰り広げられている。

「なんだこのカップル……」

 隣席の近森ととろの呟きが、クラスメイト達の総意を代弁しているように聞こえた。どんな状況でも「カップ
ルじゃない」と釘を刺しておくことだけは忘れないのは、既に条件反射に近い。
 睨みを利かせたまま、俺は溜め息混じりの声で後輩をたしなめる。

「まったく、少しは落ち着け……。お前はもう高校生だろうが」
「はい! あと一年で結婚もできます!」

 結婚可能年齢ということなら男性は十八歳だから、俺の場合はあと二年ほど。ただし親権者の同意が必要にな
る。……などと真面目に考えてしまったのが悔しい。

「新婚生活といえばぁ……うふふっ!」
「はいはいその先は公序良俗に反しそうだから黙って喋ろうな」

 有無をいわせない語調で牽制。熱暴走状態の後輩に競り勝つ唯一の正解だ。
 果てしない妄想の連鎖、ここで断ち切る!
 ……なお、完全に話題を逸らされているが、それについてはここから修正しても無駄だ。
 じっくりと腰を据えた真剣な話し合いの場なら、これまでにも嫌になるほど設けてきたのだが、都合のいい風
に解釈されて議論が進展しない。感覚としては、「ラブレターに丁寧な返事が返ってきたら、それが交際を断る
内容であっても、少しは脈がある」という摩訶不思議な思考にも近い。否定すべきところは否定しつつ、大雑把
にあしらうのが一番だった。
336先輩、休み時間です! ◆46YdzwwxxU :2009/08/02(日) 22:53:11 ID:xFHTHUEq

「あら」

 後輩はおもむろに細腕をもたげ、手首に目をやった。彼女が愛用している、シックな腕時計が光を放つ。赤い
革の帯が鮮やかな品だった。……当然、そんなことをしなくても、黒板の上を一瞥すれば時刻くらい分かるのだ
が、これは仕草こみで俺にアピールしているつもりらしい。

「三時限目開始一分前……残念ながら、そろそろタイムリミットのようですね」
「ああ。異界にお帰り」

 彼女が中学生のころは、さすがに往復だけで精一杯らしくアプローチもヒット&アウェイだったが、今は階が
違うだけで同じ棟だ。一撃を回避したくらいでは安心できない。駆け引きもどんどん高度になっているのだ。少
しでも気を抜けば、やられる!

「では先輩、またお昼に! 勝手に学食とかいっちゃ、やーですからね!」

 上品に投げキッスを寄越して、後輩は嵐のように去っていった。
 唇から指先の動きに合わせてトマホーク巡航ミサイルのように飛来するハートマークを幻視する俺も、大概病
んできている。
 思わず顔を背けると、にやにやと笑うクラスメイトの少女と目が合った。
 仁科学園はエスカレータ式だが、規模が巨大で入れ替わりもあるので、小学二年からこの方毎年クラス替えし
てもまだ見覚えのない生徒もいる。
 俺にとって彼女、近森ととろもそのひとりだった。
 そこそこ伸びた髪を左右でひと房結わえる黒いリボンは、ピンと尖った動物の耳を思わせる。スタイルは悪く
なさそうなのだが、お腹に布地が余る白いベストを着ているせいで体型はやや寸胴に見えた。

「いやでもさ“先輩”くん達の仲、ぶっちゃけもう公認だよね?」
「いや、俺が認めてないからっ。それに先輩も何も、俺ときみは同級生だろ。念のためにもう一度だけいってお
くが、俺の名前は――」
「いいじゃない。後輩ちゃん、可愛いし」

 俺の自己紹介は、近森の無責任極まりない発言に遮られた。最近、学校中で俺の扱いがぞんざいになっている
のは、たぶん気のせいじゃない。
 時間の浪費と知りつつそのへんの事情を説明しようとしたところで、タイミング悪くチャイムが鳴る。
 あだ名が“先輩”であるところの俺は、やるせない気持ちを持て余したまま、次なる授業を迎えるのだった。



 おわり
337創る名無しに見る名無し:2009/08/02(日) 22:55:23 ID:xFHTHUEq

新キャラクター

近森ととろ(ちかもり ととろ)
普通科二年。リボンが細く尖った獣耳のように見える。サイズの大きいベストを愛用。
「先輩」のクラスメイトで隣の席。他人の色恋沙汰を生温かく見守るカップルウォッチングが趣味。




投下終了です。あ、開始宣言忘れてた。
設定が固まってないっぽいので部活動見学は一旦休止して、先輩後輩の休み時間模様。
クロスできそうなキャラがおらず即興で作ったですよ。細かいとこは、おいおい。ネーミングはギリギリっぽいケド。

・制服バリエーションにベストありってことにしたけど、いいですかね?
338創る名無しに見る名無し:2009/08/02(日) 23:07:11 ID:K7EBoCcK
彼には今後も永久に名前がつかない気配が濃厚になり始めたな
制服に関しては問題ないんじゃない?
339創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 10:19:12 ID:xVB/J+u7
傍からみるとどう考えても夫婦漫才乙w
近森ととろには何となくシンパシーを感じるなー

制服はいいと思いますよ
340創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 17:57:59 ID:A6KJgVpd
この二人の掛け合いいいなぁ〜

そして「近森ととろ」なんか気に入った
341創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 22:46:29 ID:klCuVCDE
ありがとん
スレが活気づくことを祈って

>>338
後輩の下の名前以外は決まってるんだけど、不明の方がおいしいかなとw
投下します。
学園にほど近い丘にある長い石の階段。
その階段を登りきるとそこには神社が建っている。

早朝、学園が始まるかなり前、その神社の前ではザッザッと箒で掃く音が響く。
箒で境内を掃いているのは巫女装束を着た一人の少女。

森のような生い茂る碧の木々の隙間、石畳をゆっくりと掃く紅白の少女のコントラストは、
朝特有の清々しい空気とともにある種幻想的な風景がそこにあった。

少女はふと階段の方へ振り返る。
そこから幻想的なその光景をぶち壊す怒号が聞こえた。


そこには一組のカップルが一人の男に絡まれているところだった。

「おうおう! こんな朝っぱらからいちゃついてるんじゃねーよ!!」

カップルの方はどうやらその剣幕に怯えているようでその場から動く様子がない。
モヒカン頭の不良が、そのカップルにさらに怒鳴りつけている。

「またやってる……はぁ」

巫女少女はため息を一つ吐くとその三人へと近づいて行った。

「ええっ! なんとか言えッつーんだよ!!」
「ひぃぃ」

相変わらず何か大声で言っているモヒカンが見える。
絡まれているカップルの方は完全にへたり込んでいる。
怒号だけで手は出されてないが、十分おびえている様子がわかる。

「ビビってるだけじゃ何もでねーぞ!!」
「はいはい、やめなさいね」
「げっ。 姐さん!」

とりあえずモヒカンを止めるために声を掛ける。モヒカンは巫女少女を確認すると露骨に顔を顰める。
しかし気を取り直したようにモヒカンは巫女少女を見る。

「姐さん。これは俺達のライフワークだ。 いかに姐さんでも止めることはできん!」
「それで迷惑被るのは主に美術部よ。部長として見逃すことはできません。
それに姐さんって呼び方は止めて。同学年なのにおかしいから」
「姐さんを姐さんと読んで何が悪い?! それとも巫女さんって呼んでもいいぞ」
「ん、姐さんと巫女さんならまだ巫女さんの方がいいかも」
「OK。なら姐さんのままだ。不良が素直に応じると思ったか! 馬鹿め!!」


「……なぐるよ?」

巫女少女はつかつかと近づくと箒の房の部分をモヒカンの後頭部に向けて突く。
しかし、モヒカンはその突きを右方向に回避する。

「はっはっは! 甘い! そういつもやられてばかりじゃないぜ姐さ――」

モヒカンはその言葉を言い切ることなく、くるりと縦に半回転。
石の階段へ額を強烈にぶつけ沈黙した。

巫女少女としてはよけられた瞬間、箒の軌道を変更し、
箒でモヒカンの足元を掬っただけだが、思った以上の効果が出てしまいやはり沈黙した。

カップルは状況の急激な変化に何が起きたか分からず沈黙した。
沈黙が支配する時間が結構過ぎただろうか。
巫女少女がぎこちなくカップルに向け言葉を向ける。

「ま、まあ今のうちに帰りなさいな」

その言葉に金縛りが溶けたようにカップルが動き出すと、お辞儀をしながら慌てて去って行った。
残されたのは、目を見開いたまま仰向けに転がっている不良と巫女少女のみ。


「さて、この不良部員をどうしましょうか」

巫女少女――神柚鈴絵は箒を手に持ち、頬に左手を軽く当て、不良――中型那賀を見降ろしながら一人呟く。

「この状況だと救急車ね……。あ、携帯置いてきちゃった。取りにいかない――」
「うおー! いてー!!」

鈴絵が急いで携帯を取りにいこうと動き出す瞬間と、那賀がガバッと起きる瞬間が重なった。
那賀の腕が鈴絵の袴に引っかかる。


――重力に逆らい翻る袴。


再び硬直する時間。
顔全体を真っ赤にし、体も何やらプルプル震えてる鈴絵と、なにやら神妙そうにしている那賀の沈黙が続く。
その沈黙を破ったのは那賀だった。

「……巫女さんがはいてないってのはウソだったか」
「…………」
「……姐さん。いくらなんでも高等部になって水玉模様はないで?」
「…………」
「っちょ! 待て! 無言で箒握りしまたまま振りかぶるのは反則や!
まじ怖いから! ってだからって牙突に変更はもっとやばい!
それマジ死ぬから! 剣道でも素人が突き禁止なのは知ってるか!?
ええい、今度こそ避けてやる! 全神経を研ぎ澄ませ! 俺! 気合いがあればなんでもできる!!
気合だ! 気合だ!! 気合だ!!! 気合だ!!!!
――オアァァァァアアアアアアアアアア!!!!!」




「ぶべらっ」



――今日も柚鈴天神社は平和である。


ちょっとだけ続くかも。
場所追加情報

柚鈴天神社

学園の近くにある丘に建っている神社。
神柚鈴絵はこの神社の住職の一人娘。
主に祭っているのは学業の神様。
隠れデートスポットでもある。





投下終了です。鈴絵と那賀はあんまり書いてないなと書いてみた。
不良三人組はカップルをシメルといっても基本的に手は出しません。多分(もちろん状況により例外もあります)
346創る名無しに見る名無し:2009/08/04(火) 15:50:51 ID:V7zf2FUd
いきなり巫女とか卑怯だぞお前wwwもっとやれwww
俺の分析によれば、「水玉」と「御霊」を掛けての小ニクイ呪術的設定があると見たがいかに
347創る名無しに見る名無し:2009/08/04(火) 20:00:58 ID:RX318n3o
巫女さんと聞いて
348創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 12:00:16 ID:TZ8vf8SN
GJ!!
縁結び神社が新たなフィールドに追加されました!(※ホントは学業です)
鈴の字はここからもらったのか。そう考えるとすげー命名な
でも

>おっとりした雰囲気

じゃねえw
349創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 12:15:22 ID:dYpWsMyx
創作発表板@wikiのリンク先が前スレになっていたので更新しといたぜ
350創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 17:42:22 ID:TZ8vf8SN
乙だぜ
351創作部日常風景 1の1:2009/08/08(土) 00:22:11 ID:ALey9wys
投下

「だりゃぁ!」

 思いっきり憎しみを込めた唸り声が、教室内にこだまする。
 一人の少女が発した叫びは、床にちらばっている陶器の破片がその苛立ちを表現している。

「いかん!あたしは陶芸の才能ない!」

 手で頭を押さえてウォーと低くもだえる。若干うっとおしい。

「士乃。騒ぐなら外で騒いでくれ」
「崇人どおしょー!全然仕上がらん・・・」

 俺がした注意を無視してまだもだえている。もう慣れたのか俺自身あきらめ気味だ。
 この「創作部」の部室にいるのは、今は二人だけだ。ほかの部員は殆ど出払っている。
 未だもだえている少女は、士乃という。高知からこの町に引っ越してきた方言少女だ。今は陶芸の創作に苦戦しながらも励んでいる。しかし作品が気に入らないからと言って、無闇に癇癪を起すのはやめてほしい。ほとんど騒音公害だ。

「わかった、土がいかんがや!こんな軟弱な粘土やきんあたしの才能が死滅する!」
「無茶苦茶だな」

 突っ込みをすかさず入れると、帆を膨らませて威嚇のような行動をとる。犬かお前は。

「何ー。あたしの才能がないゆうの?」
「単にスランプなだけだろ」
「芸術家にっ、スランプはっ、必要っ、ないきん!」
「テンション高いね」

 無理やり会話を曖昧にさせて終わらせる。これ以上話しても、会話が不服になるだけと悟ったからだ。灯士乃は不利になると手が出るし、人の作品に悪影響を及ぼす事もある。

「崇人はええねぇ。いっつも変なこと書きゆう」

 椅子の腰掛けに手をかけて、足をブラブラさせながらそう言う。少しだけ癇に障ったので、一応反論する。

「あのねぇ士乃。これは詩だ。変なことじゃないぞ」
「うわぁ、ぽえまーゆうがやったけ。うわぁ」

 ・・・・・・いちいち癇に障るやつだ。
 でも喧嘩は好きではないからこらえておく。大人の余裕を持ってこいつと話さないと直ぐに喧嘩になってしまう。
352創る名無しに見る名無し:2009/08/08(土) 00:23:10 ID:XAvSYZ2Q
高知って俺の地元だーっ!?
353創作部日常風景 1の2:2009/08/08(土) 00:24:03 ID:ALey9wys
・・・・・・しばし沈黙。
 普通なら異性の二人きりの沈黙は、たぶん気まずいのだろうか。しかし士乃はご機嫌そうに眼をつぶりながら椅子の背もたれの上に付して、鼻歌をうたっている。
 どこか聞いたことあるようで、リズムが癖になる。そんな空間が心地よい。

「それ」

 鼻歌をやめて、士乃が話しかけてくる。

「ん?」
「何書きゆうが、それ」

 顎で俺が手に持つ、黒いノートを指す。今にも眠りに落ちそうな眼で俺の顔を見て、士乃は回答を待っている。

「まあ、日常の風刺というか・・・・そんな感じ」

 特に隠す必要のない内容だったので、そこはかとなく答える。士乃は、関心なさそうな目で曖昧にあいずちを打った。
 
 そして、また沈黙がやってくる。ノートに目をやって執筆していると、静かな寝息が聞こえてきた。 見ると士乃が寝ていた。騒ぎ疲れた子供のように、このままずっと寝ているかのような寝顔だった。
 
 起こすのも悪いので、ゆっくりと椅子から立ち上がる。
 士乃をそのまま置いていくのも不安なので、棚の上になぜかあったタオルケット大の布切れを、そっと肩にかけておく。
 そっと扉を開けて、教室から出る。少し飲み物が恋しくなってきたので、食堂の自販機を目指す。

 
 食堂の自販機の前で、ふと、いい事を思いついた。
 缶コーヒーのホットを二つ、胸に抱えてまた教室に踵を返す。
 士乃へのちょっとしたサプライズのつもりだ。起きたら暖かいコーヒーを振る舞ってやろうと、俺は柄でもないことを考えて、そう遠くはない創作部の教室を目指す。


 本当に柄でもないのに、俺の顔はなぜか、綻んでいた。
                                       −END−
354創る名無しに見る名無し:2009/08/08(土) 00:27:08 ID:XAvSYZ2Q
トリとキャラ設定をくれっ
355創る名無しに見る名無し:2009/08/08(土) 00:27:14 ID:+upnAO2u
方言はいいもんでがす
356創作部日常風景 :2009/08/08(土) 00:38:28 ID:ALey9wys
キャラ紹介

壱羽崇人(いちばたかと)
創作部所属。特進クラスの2年。
主な活動内容は詩を書くこと。ポエムというと怒る。
士乃とは親友でもあり、同時に喧嘩する仲。「方言野郎」と
罵る時がある。しかしそう言えば物凄く怒るので封印中。
メガネをかけている。


浅野士乃(あさのしの)
創作部所属。普通科の2年。
主な活動内容は陶芸。しかし気に入らないと壊す。
崇人には喧嘩する仲ではあるが、満更でもない様だ。
方言には少しコンプレックスがあるが基本気にしない。
割と起こりやすい。


ちなみに、方言はかなり間違ってるかもしれません。
357創る名無しに見る名無し:2009/08/08(土) 00:44:55 ID:XAvSYZ2Q
あんた高知の人?
「きん」以外はだいたい違和感ないね
(高知西部はハタ弁で「〜けん」、中央は「〜き」かな。だいたい)
358創作部日常風景 :2009/08/08(土) 00:51:35 ID:ALey9wys
え、けっこう「きん」使うけど・・・・
一応高知人ですよー
続きも書いてみたいので、注意して書いてみます
359創る名無しに見る名無し:2009/08/08(土) 01:01:45 ID:XAvSYZ2Q
そうなのか。全然聞いたことないな。「きに」はたまにあるけど
まあ土地にもよるわな。いちゃもんつけて悪かった
360創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 10:32:01 ID:y+w1xuZ2
したらばが死んどるw
361創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 11:48:42 ID:NMrm2I+A
つ [>>277]
投下します。
「それで、あなたたちはどうしてこう問題行動起こすの?」

ここは柚鈴天神社の隣にある鈴絵の自宅のリビング。
負傷した那賀の手当をするため鈴絵の家へと向かい、治療した。
その後、落ち着いたところで始めの言葉が那賀へと向けられた。

テーブルを挟んで向かい合う。
鈴絵は腕を組み、それに対して那賀は背筋をぴんと伸ばし、座っている。
鈴絵の声音こそ柔らかいが、若干どすが効いている。
そう那賀は感じ、しかしき然とした態度で応じた。

「カップルといえば敵、しかもラスボスクラスの強大な敵。
すなわち立ち向かわずして何が漢か!」

「よくわからないけど、その発想はどうなのよ……」

勢いよく答えた那賀とは対照的に鈴絵は肩を落としてぼやく。
那賀はその様子を気にも留めず言葉を続ける。

「ま、台がやってる理由は俺とは異なるようだが」
「えと、そうなの?」
「ああ、台の場合は"嫉妬の心は無限大"、つまりカップルが羨ましいから立ち向かっている訳だな」
「……どっちもどっちだと思う、それ」

すでにテーブルに突っ伏しながら言う鈴絵。
おバカな理由すぎて気力を根こそぎ持っていかれたようだ。

「まったく……その時間勉強とかに割いた方がいいと思うよ。そもそもいつからそんなことやってるのよ」

「勉強のことはほっとけ。 いつからと聞かれたら……あの時からだな」

ふと、那賀は目を閉じ昔を懐かしむように話し始めた。


■    ■    ■
俺たちが中等部だったころ、ある日俺達は川の橋下で風景画を描いていた。
ん、意外か? 俺と台は小等部のころからいっしょに絵を描いてたんだよ。
あいつ、あの頃から絵だけは上手くてな。それだけは先生にも褒められてたっけな。

――おっと話がずれた。

それで、はじめは普通に描いていたんだがな……
台の奴、風景を描き終わった後、おもむろに一人の女性を川の中に描きだした。
いや、それを女性と言うには少し違うな。
その姿は、髪を5つに分け5本の角にし、全身塗料を塗られたように真っ赤だった。
さらに鉄輪を逆さに頭に載せ、その3本の脚には松明を燃やし、さらに松明を両端とも燃やし口にくわえていた。
そんな女を描いていたよ。そりゃあ恐ろしい容姿だった。
俺は流石にビビって台を止めようとしたんだが、台はちっとも止まらなくてな。
その絵を描きあげちまいやがった。

描きあげたころには辺りはすっかり夕方になり、川の水も真っ赤になっていたよ。

ああ、そして……見たんだ。
川の中に、その絵とそっくりな女がいるのをな。

さらにゆっくりとそいつがこっちを向くんだよ。
俺は情けないことに全く動けなくなっちまってな。
指一本たりとも、声すら出せねぇ。

それなのに台はそいつをじっと見つめているんだ。
俺みたいに恐怖のあまりパニックを起こしてるわけではなかったな。
すごく冷静な目でそいつを見ていたんだ。
きっと台はその女のことをずっと見えていたに違いないな。

そしてその女は一歩一歩、音もなく台の方に近づいて行って……
台と完全に重なった途端、その女がスゥっと消えていったよ。

しばらくして俺も体が動くようになって、始めは変な幻を見たと思ったんだがな……

ふと目を向けるとな……

……消えてたんだよ。


何が、なんて言わなくてもわかるだろ?

台の書いた絵の中からあの女がいなくなってたんだ。



■    ■    ■
「と、言うわけで、それからだな。台がカップル狩りを行うようになったのは」

話し終わり、那賀は目をあける。
そこには青ざめた顔をした鈴絵がいた。

那賀はその様子を見て、巫女さんなのに案外怪談話に弱いんだな、と思う。
あんまり脅かすのも不味いと思い、全部嘘であることばらすために口を開ける。
しかし、その一瞬前に鈴絵はガタッとイスを蹴り倒しながら立ち上がった。

思わず動きを止めてしまった那賀の前、鈴絵は家の奥の方へ声を掛けた。

「お父さーーん! お願いがあるんだけどー」
「なんだ?」
その声に応じてすぐに出てくる鈴絵の父。その父に鈴絵は話し始める。

「お祓いを手伝って欲しいの」
「どういうことだね」
「ちょっと先輩が鬼に取り憑かれてるみたいなの。祓いたいけど私だけだと不安だから」
「ふむ、そういうことならすぐに準備をしよう」
「ありがとう。お父さん!」

パンと手を叩き、にこりと笑う。
そしてそこまで話したあと、おもむろに鈴絵は那賀に向き直った。

「貴重な情報をありがとうね。私、これから準備があるからこれで失礼するね」

そう言ってぺこりと一礼すると、神社の方へ走って行ってしまう。

最後に残された那賀は、その場で気まずそうに一言つぶやいた。

「いや、全くの嘘だったんだが……。ま、このまま放っておいた方がおもしろそうだな」

結局そのまま那賀も学校へ向かう。始まるまで美術部で暇をつぶせばいいだろうと考えながら。




後日、

"夜、不良が出歩くと巫女さんやら神主さんが集団で追いかけまわす"

という怪談が出来上がっていたが、それはまた別の話である。





おわり。
投下終了です。
夏だから(作中じゃ春だけど)ちょっとした怪談話風。

回想部分の元ネタは宇治の橋姫?です。ググってもらえればすぐわかると思います。
私の辞書にあるおっとりは世間一般のおっとりとは違うようです。
いや、きっと馬鹿3人のせいだ、と思うことにします。
……設定からおっとり部分を削除しようかなあ。
367創る名無しに見る名無し:2009/08/16(日) 21:57:00 ID:cAFa6O0e
夏といえば怪談、神社といえば階段!
その手の話に耐性どころか抗体があったとはな・・・さすが巫女巫女アーティスト
それはそうと結局このしっと団は何なんだw
368創る名無しに見る名無し:2009/08/18(火) 06:02:18 ID:NbGJ/6KX
カップル狩りって具体的には脅すのが主なのかな?
それで彼氏が彼女を庇ったら株が上がるだけだよなw彼女をおいて逃げたらワロスだけど
369創る名無しに見る名無し:2009/08/20(木) 03:07:16 ID:uhEqb3kP
障害があった方が、恋は燃え上がるもの。
応援以外の何物でもないなあw
370創る名無しに見る名無し:2009/08/22(土) 20:03:42 ID:ojN1tPiP
住人が十人増えますように
371創る名無しに見る名無し:2009/08/25(火) 23:59:27 ID:wfMi0j/n
書いてる人いる?
372創る名無しに見る名無し:2009/08/26(水) 00:55:41 ID:B8dUYIiN
超絶人手不足だから手ぇ貸してよ
373創る名無しに見る名無し:2009/08/27(木) 15:14:33 ID:xaO7VaXz
議論終わった?
374創る名無しに見る名無し:2009/08/27(木) 16:50:11 ID:g1R2bpqQ
あれから議論とかなかったよw
逆にいい環境、過疎以外は……
375創る名無しに見る名無し:2009/08/29(土) 17:23:55 ID:OFUphtJo
ageることしか今の俺にはできないけれど
376創る名無しに見る名無し:2009/08/29(土) 17:26:01 ID:OFUphtJo
よくあることだ気にすんな
377 ◆G9YgWqpN7Y :2009/09/01(火) 11:26:36 ID:4X0g/c94
久々に投下します。

「それではこれで、失礼しましたー」
「失礼しましたー」

放課後の美術部、そこに珍しく部活動見学にきた一組の男女がいた。
その一組の男女の名は――なんだっけ?
ともかく、ごく自然に先輩、後輩と呼ばれるようになった二人が部活動見学から帰るところだ。
美術部について一通り説明した鈴絵が、見送りのためドアの近くにやってきている。
美術部には今のところ鈴絵しか部員がいない。おバカ3人組は予定通り逃げることにしたらしい。

「ええ、入部しなくてもいいからまた遊びに来て下さいね。先輩君、後輩ちゃん」

目を弓のようにし、ふわりと笑いながら、鈴絵は別れの挨拶をする。
それに対し、

「いやいや鈴絵部長の方が先輩ですから! なんで鈴絵部長まで先輩って呼ぶんですか! 」

先輩は思わず突っ込みを入れる。

「ふふふっ。いつもそう呼ばれてるから、つい……そういえばお名前なんでしたっけ」
「……おぼえて下さいよ? 俺の名前は――」
「先輩! 行きますよっ!」
「おっと甘いっ!――ととっ」
「あ……大丈夫? 部長としてはそんな無理して避けないでもいいと思いますよ」

急きょ露骨に腕を組もうとする後輩に対し、先輩は一瞬の判断で体を半歩ひねり回避。
しかし、体勢が悪かったのか僅かにバランスを崩す。
後輩は即断で先輩の肩へと手を伸ばす。狙いはそのまま抱きしめる格好になること。
しかし、先輩は反射的に避けようとしさらに上半身を逸らす。
結果、完全にバランスを崩した先輩は鈴絵に寄りかかる格好になっていた。

「あ、すいません鈴絵部長。いえこれはもう条件反射みたいなもので――」
「先輩! 行きますよっ!」
「わかったわかった。ええい、さりげなく手を引っ張るな。だからって組もうとするな!」

こうして後輩に引っ張られるような形で先輩は美術部を後にする。
その姿をにこにこと手を振りながら見送っていた鈴絵は二人が見えなくなるとふと溜息をついた。

「今回もきっとダメでしたわねぇ」
「だろうな」
「!! びっくりしますから気配消しながら近づかないでください。台先輩」

急に現れた台に対し、鈴絵は思わず半歩下がりつつ文句を言った。
それに対し、台は素直に頭を下げる。

「む、すまん。さっきまでカップルを尾行してたのでな」
「……なるほど。って、美術部放っておいてなにしていますか」
「俺たちはいないことがメリットだからな。美術部に貢献してると言える」
「……そうですか……はぁ」

鈴絵はさらに溜息を吐くと台をじと目で見上げる。
その不満げな様子を台は受け流しつつ言葉を続ける。

「それはともかく、俺の嫉妬メーターが微妙に反応したからここにやってきたわけだが、あの二人が原因か?」
「なんですか嫉妬メーターって。私にわかるわけがないじゃないですか」

呆れたようにいう鈴絵。台は何か考えるように視線を下に向けている。

「まあいいです。とりあえず中に入りましょうよ。ここに立っててもしょうがないですよ」
「ま、そうだな」

二人は中へと戻り、それぞれの椅子に着く。
しばらく二人とも絵を描く準備をしていたが、ふと鈴絵が話しかけた。

「そういえば、台先輩はあの二人を見てどう思います?」

鈴絵のどう、という抽象的な問いに台は的確に答える。

「そうだな……まだまだランクは低いな。要監視ではあるがそれ以上でもない」
「あれ? そうですか? 校内ではすでにバカップルって噂ですけど」
「将来的にはそうなるかもしれんが、まだまだ漫才コンビレベルだと見ている」
「へぇー、珍しくずいぶん辛口ですね」
「女の方がかなりの演技者、策士でな。そのせいで逆に先に進んでないような感じだ。
外堀はほぼ埋まっているからそれも時間の問題だとはいえるが……。
まったく、もっと進めば遠慮なくシメに行けるのだがな」
「それは行かなくていいですから」

つまらなそうに話す台に鈴絵はバッサリ切り捨てる。
台はしばらく無言でいたが、ふと鈴絵に尋ねた。

「そういえば部長はあの男の方をしっていたようだが?」
「先輩君ですか? どうしてそう思います?」
「なに、俺の説明をあっさり納得してたからな。
あれだけ噂されていれば、俺の言葉といえどそう簡単には信じないはずだ。
それに会話が初対面相手とも思えなかった」

その台の言葉に鈴絵は首を少しだけ傾け、軽く唸る。

「うーん。台先輩の観察眼だけは確かですから別に信用しますけどね。
ともかく何回か会ったことがありますよ」
「なるほど」

またしばらく無言の時間が過ぎる。
結局先に口を開いたのは鈴絵の方だった。

「……聞きたいですか?」
「そうだな」
「いいですよ」

鈴絵はかばんから水筒を取り出しお茶を出す。台の方は美術部に密かに置いてあるせんべいを開ける。
二人してずずっとお茶を飲みながら、鈴絵は話し始めた。

「そうですね、初めて会ったのが半年くらい前だったかな……」



■    ■    ■

朝の日課として境内の掃除をしている鈴絵は、その日も巫女装束姿で普通に掃除をしていた。
ふと人の気配を感じ階段の方へと目を向ける。
そこには一人の学生らしき人物がきょろきょろとあたりを見回しながら隠れるように歩いている。
何かに見つかってはいけないような感じで、周りを注意深く見まわしている。
なんというか、明らかに挙動不審。

「うーん」
しばらく考えてていた鈴絵だったがしばらくしてトコトコと近づくと、

「どうしました?」

声を掛ける。

「のわっ……あ、違ったか。良かった」
「? なんのことか分からないですけど挙動不審すぎですよ」
「……俺、そんなに挙動不審だったか」

バツが悪そうに顔を顰める少年。
その様子に軽い含み笑いを漏らす鈴絵。ふと少年の服装に気づく。

「あら、その制服、仁科学園のですね。登校には早いんじゃないかしら」
「ははは……ちょっと事情がありまして」

適当にごまかそうとする少年に首を傾げる鈴絵。
少年は誤魔化すためにさらに言葉を続ける。

「まあ、このまま行っても暇なんですけどね」
「なるほど。それなら神社の掃除、手伝っていきませんか」
「……そこでどうして"それなら"になりますか?」

鈴絵の唐突な提案に少年は思わずつっこむ。
それに対し、鈴絵は極真面目に答える。

「暇なら体を動かしたほうがいいですよ。ほら、健康にもいいですし」
「本当はそう言ってサボりたいだけなんじゃないですか?」
「違いますよ。あまりに挙動不審だったので、そのまま歩いてると職質されそうでしたので……」
「そこまで挙動不審でした!?」
「はい」

ずーんと微妙に落ち込んでるような少年に、鈴絵はさっさと箒を持たすと境内に戻る。
少年も迷ったようだが最後にはついてきた。
そしてついて行きながら口を開く。

「でも、時間忘れて遅刻したらまずいよな。いいわけにもならないし」
「そこは大丈夫です。私も生徒ですから」
「えっ?」
「えっ?」

なぜか微妙に凹んだ鈴絵だった。


■    ■    ■

「――そんな感じで先輩君とは会いましたね。それから何回か会ってますよ」

鈴絵は話し終えると、せんべいを一枚取りカリッと食べる。
それまで黙って聞いていた台は、ずずっとお茶を飲み干してから口を開く。

「一つ聞いていいか?」
「はい?」
「そのとき一緒に登校したか?」
「はい。そうですがなにか?」

その答えに、台は納得のいった顔になる。

「あー、なるほど。これで疑問は解決した」

その言葉に今度は鈴絵の方が不審の顔になる。

「えと、どういうことですか?」
「いや、なんでもない。部長には関係あるが関係ないことだ」
「どっちなんですか〜!」

鈴絵は疑問の声を出すが台はすでにスルー。油絵を描くために移動する。

「うむ、今日はよく寝れそうだ」
「だからなんのことですかー!」

今日も美術部は微妙に騒がしいのだった。



おわり。



鈴絵のおっとり具合を表現しようとした結果がこれだよ!?
後、横のつながり増やしたいなと先輩さん借りました。こんな感じで大丈夫でしょうか?
383創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 14:07:27 ID:LRht8lwf
なんというフラグ
カップル尾行してる場合じゃないだろ!
384創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 15:59:08 ID:G0/efb5I
おおう確かにおとっり。
台はさすが伊達にこれまでカップル観察してきてないな。

ど、どどどういうことなのどういうことなの?
385 ◆46YdzwwxxU :2009/09/01(火) 23:10:39 ID:WI5ZkYsG
乙です!
なんだか書いたのが報われた(?)気分です。
台みたいに目利きのできる理解者は、先輩にとって心強いことでしょうw
・・・後に最大の敵になるかもしれないけど。
鈴絵さんと台のやりとりは和むわぁ。なんで台はモテないんでしょうね。
386創る名無しに見る名無し:2009/09/02(水) 18:05:29 ID:0EB4ON4g
台は髪型リーゼントのふた昔前位の不良だし、日々奇怪な行動取ってるし
冷静に考えるとモテる方がおかしいかとw
387創る名無しに見る名無し:2009/09/02(水) 20:53:19 ID:rnKGK/Ll
カップル狩りを除けば結構クールでかっこいいんだけどなw
388創る名無しに見る名無し:2009/09/03(木) 06:33:38 ID:HmbwY0li
髪型は結構致命的
389創る名無しに見る名無し:2009/09/03(木) 10:54:53 ID:M2f5WI7g
だよなw
逆に男性キャラでモテそうなのは誰になるのかな?
先輩あたりか?
390創る名無しに見る名無し:2009/09/03(木) 20:14:35 ID:lsEtD+oJ
モテそうな女は多いけど、男はよく分からんw
391創る名無しに見る名無し:2009/09/03(木) 21:34:17 ID:pABuPavL
「創作発表板@wikiにあるこの企画のページ
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/242.html
こっちの設定とか概要って修正しなくて良いの?
392創る名無しに見る名無し:2009/09/03(木) 21:42:15 ID:sj43I/qb
>>391
そこまで頭が回ってなかった。ちょっと行ってくる
393創る名無しに見る名無し:2009/09/03(木) 21:54:50 ID:pABuPavL
>>392
コピペで済むところは俺も手伝いがてらやってみた。
確認たのんます
394創る名無しに見る名無し:2009/09/03(木) 22:03:52 ID:sj43I/qb
>>393
どうもありがとう。

創作発表板@wikiの方は更新忘れそうだから、最新情報はこの企画のまとめwikiの方で確認してもらうよう
各ページに注釈を加えて、まとめwikiへのリンクはっといた。
これで大丈夫……と思う
395創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 07:23:11 ID:m2Iltz0M
乙ですん
そろそろ書かないとなぁ
396創る名無しに見る名無し:2009/09/06(日) 14:17:01 ID:GXbOSr5o
煮詰まった。
難しいよ霧崎さん。
397創る名無しに見る名無し:2009/09/06(日) 18:52:48 ID:PWl+byKK
一瞬呼ばれたのかと思った
398創る名無しに見る名無し:2009/09/06(日) 21:02:23 ID:GXbOSr5o
何者w
399 ◆46YdzwwxxU :2009/09/08(火) 17:48:59 ID:HTfQE6R+
投下します
400先輩、部活動見学です!(3) ◆46YdzwwxxU :2009/09/08(火) 17:50:23 ID:HTfQE6R+

 文芸部の部室は、文化系の部室棟ではなく、図書館からほど近い場所にあった。
 書庫と役割を兼ねているようで、並立するスライド式の書棚が敷地のほとんどを占拠している。生き物のよう
に歳をとって色褪せたハードカバーの谷間に、古い紙が発する梨にも似た甘い香りが漂う。
 開かれた本棚の間。木製の脚立に腰を下ろし、少女がひとり本を眺めていた。評判に聞いた黒髪の艶やかさと
背を覆うほどの長さから、彼女が霧崎文芸部部長だと当たりをつける。

「ふむ」

 ページの合わさる乾いた音がした。
 読書を中断した少女は、入室者に切れ長の目を流し、余裕ありげに細めてみせる。

「我らが栄えある文芸部にようこそ。私が部長の霧崎さんだ」

 名乗る娘は男っぽいを通り越して時代掛かった口調。自分こそがこの書物の国の主であるかとでもいいたげな
風格だった。物怖じせずに自己紹介を返す後輩の隣で、俺は少し気圧されそうになっていた。
 仁科学園の生徒や教職員は奇人変人から怪人超人まで幅広いが、俺の知る限りでも最も敵に回したくない部類
に入りそうだ。
 後輩の名前を聞いて、霧崎先輩は瞼をぴくりと持ち上げ、口許を意地の悪い笑みの形にした。

「そうか、君達が噂の夫婦漫才コンビか」
「はいっ!」
「いやいや違うから。ただの知り合いだから」

 夫婦でもなければ漫才コンビでもない。
 元気よく答える後輩の姿を見て、「今回見学に付き添うことにしてヨカッタ……」と本気で思う俺だった。

「しかしだね、先輩くん」
「あなたもですか」
「じゃあ、シニアくん」
「……英語にされてもな」

 横文字にされるとより恥ずかしい。
 というかシニアと聞くとむしろお年寄りのイメージが先行してイヤだ。
 そういえば、『後輩の尊敬を受けながらその面倒を見る』といったようなニュアンスの“先輩”という日本語
は、特に注釈をつけなければ“senior”では通じないそうだ。
 そんなことはどうでもいいんだよ。

「では先輩くん、君は後輩ちゃんにここまで付き合っておいて、恋人じゃないなどと言い張るのかね」
「ほっとくとどんな噂をバラ撒かれるか分かりませんでね。監視ですよ」
「情報戦というわけか」

 脚立をぎしぎし鳴らし、霧崎先輩は仰け反るようにして笑った。

「それをいうなら、この見学に付き合わされた時点で、君は既に戦略レベルで負けているのだ。恋する乙女は想
い人といっしょにいられるだけでも幸福なものだよ」
「……む?」

 ややこしい言い回しとは無関係に、脳が理解を拒んだ。
 隣では後輩が顔をわずかに紅潮させて照れている。
401先輩、部活動見学です!(3) ◆46YdzwwxxU :2009/09/08(火) 17:51:32 ID:HTfQE6R+

「霧崎部長。そろそろ部活動の紹介をしていただきたいのですが」

 俺は咳払いでスイッチを切り替え、努めて澄まし顔を作った。進行など、部活の見学に関しては完全な第三者
である俺の役割ではないのだが、ここは仕方がない。
 霧崎先輩は意外にも話題を引きずるようなこともなく、本来の応対に戻った。

「ふむ。それもそうだな。といっても、取り敢えずはここで好きに雑談したり、漫画を制覇したり、ボードゲー
ムに興じたりだな。ウーパールーパーの美味しい食し方から、棒人間型改造人間の性能格付け、恋愛相談に、ロ
ボットと変態のカンケイまで、話題については多岐に渡っている」
「恋愛!」

 後輩が喜色を浮かべて食いついていた。
 あの。
 ……文芸は?

「学期刊『文藝青春』発行のため、一年に三回ほど修羅場があるが、いつもの活動はそんなものだ。ああそれか
ら、学内新聞にも寄稿していたか。そこにここ数年の現物があるから、見ていくといい」

 思わず「そっちを先に話せよ」と普段から後輩にしているようなツッコミをかましかけたが、どうにか堪えた。
危ないところだった。
 後輩が傍らの机の上に無造作に積み重ねられた冊子やバインダーを崩していくのを横目に見ながら、俺は腕組
みをして思考モードに入る。

(やっぱり、いまいちだな)

 活動時間や内容はこの際、諦めてもいい。
 しかし、霧崎部長が思ったより曲者だ。彼女に後輩を任せた場合、どんな入れ知恵をされるか想像するだに恐
ろしい。同性の積極的協力者を得たことで今より狡猾になったら、捌ききれるか自信がない。
 楽しそうにページをめくる後輩のようすとは裏腹に、俺は不安な気持ちでいっぱいになっていった。
 結局――
 今日のところは他にも回るべき部があるということで、ものの数分で俺達は退出することにした。後輩の手に
は、参考にと受け取った昨年の部誌が一冊。

「まあ、一生のことだ。よく考えて決めるといい」
「はいっ!」
「いや一生て」

 意味ありげに微笑む霧崎先輩に、俺は頬を引き攣らせた。
 それは部活動を決めるにあたってのジョークですよね? 交際相手とかそういうハナシじゃないですよね?
 
「素敵な人でしたね、霧崎部長!」
「そうかな」
「第一候補です!」
「そうか」

 なんだかいつもの二倍疲れた気がする。
 ご機嫌な後輩に生返事をやりながら、俺は次の行き先である美術部のことに思いを馳せていた。
 多忙な生徒会からの要請を受けて、新入生のための『部活動案内』の作成を手伝わされたので、ところにより
内情に通じているのだ。

(美術部の新しい部長は、確か……)

 知り合いの巫女服姿を思い浮かべながら、俺はまたややこしくなりそうなこの後の状況について、どうしたも
のかと頭を悩ませていた。



 つづく
402創る名無しに見る名無し:2009/09/08(火) 17:55:39 ID:cVHqzvTr
投下乙!
そういえば文芸部の方は、雑談がメインな活動っていう設定でしたっけ。
後輩ちゃんはいつでもあんなかんじなんですね。
403先輩、部活動見学です!(3) ◆46YdzwwxxU :2009/09/08(火) 17:58:48 ID:HTfQE6R+

新キャラクター

霧崎(きりさき)
下の名前は不明。普通科三年。文芸部部長。背を覆うほど長い黒髪に切れ長の目をした切れ味抜群のクールビューティ。
尊大な男言葉で話し、人をからかって楽しむ悪癖がある。



あとは俺よりうまく書ける人にまかせたい。難しいよコノヒト。
短い上にヤマもオチもなくてすまぬ。次は多分また部活をスルーしてととろだ!

以上!
404創る名無しに見る名無し:2009/09/08(火) 20:04:18 ID:mJC6iJ6H
投下乙ー!
おお! 霧崎さんだ! まさに霧崎さんだ!
文芸部の説明・・・。うん、これはどうみても創発ですねw
先輩、抵抗してはいるが陥落する日も意外と近そうだw
405創る名無しに見る名無し:2009/09/08(火) 22:11:17 ID:RCFS0TM1
霧崎さんが伝説のあのお方とはどうやら別人のようで安心したw
そして定着する既成事実
406創る名無しに見る名無し:2009/09/08(火) 22:46:06 ID:SQLEcf2W
また呼ばれたかと思ったら本当に呼ばれていた
407 ◆46YdzwwxxU :2009/09/09(水) 13:23:16 ID:4piTLb3I
どもす。思ったより人がいて安心しました。

>>402
あ、あんなかんじって!?
>>406
あなたまさか、はsムグ!?
408創る名無しに見る名無し:2009/09/09(水) 20:43:17 ID:eltblK3w
     |┃三        / ̄\
     |┃         |     |
     |┃          \_/
 ガラッ. |┃            |
     |┃  ノ//   ./ ̄ ̄ ̄ \    
     |┃三    /  ::\:::/:::: \
     |┃     /  <●>::::::<●>  \ 
     |┃     |    (__人__)     |
     |┃三   \    ` ⌒´    / 
     |┃三   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \
409創る名無しに見る名無し:2009/09/09(水) 21:44:05 ID:n+B2ldSk
>>407
違うよー
この板、霧崎姓は多くて困るやねw
410創る名無しに見る名無し:2009/09/12(土) 21:50:27 ID:i0AeQYSY
二人だけじゃ無理があるよな・・・
誰かタスケテ
411創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 19:51:18 ID:GDrU/MLt
どっかに宣伝してみる? 意味ないような気はするけど
412創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 22:07:36 ID:qlHPINWy
ううむ。そうね。職人募集スレとかには既に俺が行ったけど、あそこも過疎だったしなあ。
せめてもう二人くらいコンスタントに生存確認できる人材が欲しい。
議論で離れちゃったって経緯もあるんだよね。必要なことだったとはいえ。
413創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 22:48:45 ID:xC8blDIr
ちょっと興味があって参加してみたいけど、設定や登場人物のまとめが欲しいんですよね

まとめwikiは編集中みたいだし、把握せずに書き込めば「ハァ?」ってなってしまう

せっかく書くのだったら受け容れてもらいたいし、自分も世界観を十分理解してから書きたい

……まあ、大したものは書けないけどさっ
414創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 23:05:14 ID:GDrU/MLt
まとめWikiはこっちの方のことであってる?
ttp://www15.atwiki.jp/nisina/
ちなみにしたらば避難所はこっち
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/12930/

今決まってる設定は多分Wikiに出そろってると思う。
書いてないところは決まってない所だし、基本勝手に追加していいんじゃないかな?

というわけで君の参加待っている!

>>1にまとめWikiとしたらば避難所のURLは必要だよなー
どうしても埋もれてしまう。

人が増えて欲しいよね。割と切実に思う。
415創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 23:14:10 ID:GDrU/MLt
>>412
職人募集スレいってましたかー
そうなると宣伝って言っても方法が思いつかないな……
スレ内活動だとage投下するとか雑談とかも積極的に行うくらいかなあ?
416創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 23:19:03 ID:qlHPINWy
>>413
まままま待ってる!
無理にクロスオーバー狙わなくてもいいしね!

>>415
しかし紹介文が適当すぎた・・・
417創作部日常風景 ◆YUcgEgI6jo :2009/09/14(月) 22:53:56 ID:1yp8g6xO
投下します
418創作部日常風景2の1 ◆YUcgEgI6jo :2009/09/14(月) 22:57:06 ID:1yp8g6xO
放課後、教室の扉に『創作部活動中』という張り紙が貼ってある教室の中で、俺は机に向かって詩の創作に勤しんでいる。
机の上には珈琲入りの紙コップとノートのダブルコンボで、見るからに作家といった雰囲気を醸しだしている。我ながら少しナルシストだと思うが・・・・。
少し創作活動を休憩し、珈琲を飲もうとする。

瞬間、紙コップが何かに貫かれた・・・否、スプラッタされた。

最早俺の手には紙コップすらなく、制服は珈琲で濡れている。
呆然と立ち尽くす俺の横で、歓声とほくそ笑む声が聞こえた。

 「凄いやん!りっちゃん!粉々やに」
 「少し威力上げただけ・・・別に凄い事じゃない」
 「いや、それはもう兵器だな。軽くスプラッタだ」
  
 「待てコラ、オイ」
  
 珈琲まみれの服装の俺を見て、士乃が吹きかけた。殺意が湧いた。
 
 「や〜、どうしても和君がやりたいゆうたき・・・」
 「ちょっ、士乃が言い出したんだろ!」
 
 士乃は笑を堪えながら弁解する。横にいる和を睨みつける。こちらは必死に士乃との共謀論を主張しているが、前々から俺に対しての悪戯の回数は、正直目に余る。
419創作部日常風景2の2 ◆YUcgEgI6jo :2009/09/14(月) 22:58:18 ID:1yp8g6xO
「和、お前か?」

 わざと声を低くして言い放った。ビクッとしてこちらの顔に目を向けた。険しい顔に気付いたのか、顔色は若干青ざめている。もし図星だったら『サッフォーの刑』にでもしてやろうか。いや、まだ生ぬるいから新開発した『てるよバーニング』でも試してみようか。

 「ちょっ、俺じゃないから!どー考えても士乃が怪しいでしょうよ!」
 「もー、和君嘘はいかんね〜」
 「しらばっくれんな!ああ、この崇人の顔はヤバい!絶対『宮沢固め』する気だ!」
 「いや、もう少しランクは上だぞ」
 「嫌ぁぁぁ!!あれより上は駄目だー!!」

 いつか試した技をまだ引きずっていたのか。間違いは一応正しておく。
 構えをとって、ジリジリと和を教室の隅に追いやる。あまりの恐怖に和が悲鳴を上げる。
 後ろで士乃の堪えているような笑い声が聞こえる。多分こいつが主犯だろうが、もう引くに引けなくなってしまったから、気づいて無いふりをしておこう。
 
 「3つ数えろ。楽になる」
 「うわぁぁぁぁぁあぁぁあ!!!」
 
 「まって」
420創作部日常風景2の3 ◆YUcgEgI6jo :2009/09/14(月) 22:59:15 ID:1yp8g6xO

 飛び掛ろうとした瞬間に声がかかり、服を引っ張られ直前で中止を余儀なくされた。声のする自分の眼の前より少し下を見る。見れば、そこには少し小さめの女の子が立っている。

 「葎、どうした」
 「和君だけ悪いわけじゃない。士乃ちゃんと私も共犯」
 
 大体予想していた言葉が返ってきたところで士乃のほうを振り向く。ビックとして「さー、創作しよーと」と言ってそっぽを向いた。予想どうりの事だったので、溜息をついて葎の頭の上に手をポンと乗せる。

 「葎に言われちゃ仕方ないな。でもこいつらに手を貸すのは、もうやめる事」
 「・・・でも崇ちゃん、途中気づいてた」
 
 うっ、と言葉が詰まる。長い付き合いだからこちらの事も殆んど見透かされている。こんなのだから葎と正面から向き合うことが今になってつらい。
 それとも自分の思考が読みやすいのか、そんなステレオタイプな思考では物書きとしては平凡以下の作品しか創作できない。もっと精進せよ・・・・・そういう事かも知れない。
421創作部日常風景2の4 ◆YUcgEgI6jo :2009/09/14(月) 23:00:26 ID:1yp8g6xO
「まあ、そんなことより・・・・」
 
 溜息混じりに言って士乃のほうを向く。やや視線に気づいたようで、壷の出来を確かめるフリの独り言を焦ったかのように並べている。報復が来ることが分かっているのか後ずさりを始めている。
 懲らしめる道具は何にしようか、そう考えていると葎が何かを差し出した。

 「コレは?」
 「モデルガン。威力は弱めてる」

 ありがたい。そう言って拝借した。葎は昔からこの手の作りものは得意だが、少し色気というものが前々から足りないと思っていた。何せ私服がジャージな時点でどうかと思う。今度買い物を提案してやろうと、心の中で決めた。
 しかし、今は目の前の事に精一杯尽くさなければならない。再犯防止のために。
 
 「ちょっ、崇人!痛い事せんとってよ!」
 「威力は弱めらしい」
 「なら安心やね!ってちがうけん!」
 「問答無用!」

 そう言い放って、お仕置きを始めた。
422イツモノ心〜創作部日常風景 ◆YUcgEgI6jo :2009/09/14(月) 23:02:43 ID:1yp8g6xO
崇人と士乃の乱闘風景を、葎はジっと見つめている。只手を貸すわけでもなく、上の空に近い状態で目の前の騒ぎの進行を見守る。
 
 「妬いてんの?」

 上の空に限りなく近い状態の葎に、和が話しかけてきた。他人の事に干渉して、笑いものにするなんて態度が、今の自分の心情には随分居心地が良いと葎は感じた。

 「そうかも」
 「やっぱ幼馴染だもんな。少しドライな感じだけどさ」
 「崇ちゃん、今は士乃ちゃんに夢中だもの」
 「あれは友情のたぐいだと思うけど?」

 確かに、二人には男女という概念が存在しない様に感じる。
 崇人は居心地が悪いモノを嫌がる癖がある。異性という概念が有る存在にとっては、ひどく奥手になってしまうというのが崇人の性だ。
 そう考えると自分にとっての態度は異性として認められているのか、そう考えると良い事なのだろうが、葎にとってはあまり面白くない。

 「こんなに思ってるのにっ」

 妬いている気持ちを荒立てるかのように、力強いが小さく嘆いた。
 こんな思いが無ければ良かったなんて、もう考えられないのだけれど。

 「まあ、チャンスは無いかもよ?、幼馴染」

 気遣うという行為とは百倍も遠い和の言葉に、葎は少し励まされたような気がした。
 無くてもいい。只一緒にいる風景を大事にしたいと、ずっと前に決めた事。それが再確認できただけで少しでも自信になった。

 「そうかもね」

 楽しげに笑いながら、前に起こる乱闘沙汰を観戦する。
 その風景が、葎の見つけた日常風景だった。
423創作部日常風景 ◆YUcgEgI6jo :2009/09/14(月) 23:05:25 ID:1yp8g6xO
キャラ紹介

金城葎(かなぎりつ)
創作部所属。普通科2年。
主な活動内容は玩具当の工作。
崇人とは幼馴染。崇人の事が
好きだが、士乃との友情には敵わないと、
ほぼ諦めている。
身長が低いのがコンプレックス。


宇佐野和(うさのかず)
創作部所属。特進クラス2年。
活動内容は決まっていない。時々、葎の
手伝いをしたりする。
相手を思いやるこっとのできない性格だが、
創作部内ではその性格が魅力となっている。
なかなかの男前。


トリつけましたー
あと、崇人の言っていたサッフォーとかは詩人の名前を使ってます
424創る名無しに見る名無し:2009/09/14(月) 23:27:40 ID:/XAw4Maj
投下乙です!
創作部楽しそうだなー
真っ当な青春してるのがいい。ニヤニヤしてしまう
・・・てるよバーニングってなんだ!? 妙に気になるネーミングだw
425創る名無しに見る名無し:2009/09/17(木) 17:29:30 ID:wy4vWhOv
投下キテタ。方言キャラは個性的でいいな。
三角関係から外れてる和の立ち位置が気になる。
特進設定を拾ったあたりも面白い・・・かも。

これで三人か。
426創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 19:57:59 ID:+n/bRQ+H
ひといないね
連休中だから生徒がいないのも道理か
427創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 21:05:48 ID:ze3VEWT7
書いてたのを手違いで消しちゃったアル・・・
腹いせにageてやんぜー
428創る名無しに見る名無し:2009/09/25(金) 19:22:21 ID:ZKugIwa4
これが男子校だったらここまでスレは伸びなかっただろう
429創る名無しに見る名無し:2009/09/25(金) 20:33:41 ID:UHeYhxtx
カップル率高いもんなや
430創る名無しに見る名無し:2009/09/25(金) 21:05:55 ID:6HV8pZS/
生徒でWikiに書いてある31人中

先輩x後輩
小鳥遊雄一郎x鷲ヶ谷和穂
向田誠一郎x天月音菜
金城葎→壱羽崇人x浅野士乃

4組9人
……あれ? 数えてみると思ったよりも多くないかも?
431創る名無しに見る名無し:2009/09/25(金) 21:18:45 ID:UHeYhxtx
あれ?

でも大の字はもう巫女とフラグ立ててると思うw
432創る名無しに見る名無し:2009/09/25(金) 22:00:31 ID:6HV8pZS/
そういわれればそんな気もするw
しかし巫女は大の字以外にもフラグ立ててる気もするなー(折れるの前提だけどw)
433創る名無しに見る名無し:2009/09/25(金) 22:47:13 ID:oVrAN5RL
悪女め・・・!!
434 ◆Q1QEUibokM :2009/09/26(土) 14:02:25 ID:9YDwYyzP
数日前にここを知った新参ですが、投下してみます。
435恋する乙女の新生活 ◆Q1QEUibokM :2009/09/26(土) 14:04:33 ID:9YDwYyzP
 温かな風が、肩まで伸ばしたわたしの髪とスカートの裾を揺らして吹き抜ける。
 朝の爽やかな空気を撫でるようなその風はとても心地よくて、胸の奥がくすぐられるようだった。
 そっとスカートを押さえながら歩くわたしの足取りは、弾むように軽い。

「静奈っ、おはよー!」

 無数の制服の流れに交じって学園の東門を潜ったとき、肩を叩かれる。
 明るい声で挨拶してくれたのは、薄茶色の髪を両サイドで束ねた、小柄な女の子だった。
 まだ真新しい高等部の制服を着たその子は、上原梢ちゃん。
 中等部の頃からずっと仲良くしてくれていて、今も同じクラスの友達だ。

「おはよう、梢ちゃん」

 顔を綻ばせて挨拶を返すと、梢ちゃんはにっこりと笑みを浮かべてくれる。
 他愛もない話をしながら、わたしたちは並んで歩く。
 昨日見たテレビの内容、最近よく聴く音楽の話、流行のファッションについて。
 楽しい雑談に花を咲かせていたこともあり、少し前までの癖で、つい北棟に行ってしまいそうになる。
 そんなそそっかしいわたしを、梢ちゃんが慌てて引き止めてくれる。

「もう、相変わらずそそっかしいんだからー」

「うぅ、ごめんね……」

 恥ずかしさに顔を熱くしながら謝ると、頭を撫でられた。

「いいよいいよー。そこが静奈のチャームポイントだもん」

 そして梢ちゃんは胸を張り、ぱちりとウインクを投げてくる。

「大丈夫! あたしが一生面倒見てあげるからっ!」

 冗談めかした言葉だったけど、それでも嬉しくて、照れくさくて、はにかんで頷いた。
 すると梢ちゃんは微笑んで、もう一度頭を撫でてくれる。

「静奈は本っ当に可愛いねー」

「梢ちゃんほどじゃないよぉ」 

 そんなじゃれあいは、二人きりでいるときにしょっちゅうやっている。
 それでも、高等部に入ってからその回数が増えたように思うのは、梢ちゃんとの仲がより親密になったからというだけじゃない。
 明らかに最近、わたしははしゃぎ浮かれている。
 まるで春の陽気に中てられたかのように。
 それは、あながち間違っていないのかもしれないと思う。
 だって。
 だって、今のクラスには、梢ちゃんだけじゃなくて――。
 
「おはよう、河内さん、上原さん」

 澄んだ声が聞こえて、ドキリと心臓が跳ね上がった。
 鼓動が急激に速さを増していき、さっきよりもずっと強い熱が、顔中に広がっていく。今鏡を見たら、リンゴみたいな真っ赤な顔が映るに違いない。
 思わず胸に手を当てると、心臓が暴れるようにして肌を押してきた。

「おはよ牧村ー」

 片手を上げて挨拶を返す梢ちゃんを尻目に、わたしは、ゼンマイが切れかけた玩具のようなぎこちなさで振り返る。
436恋する乙女の新生活 ◆Q1QEUibokM :2009/09/26(土) 14:07:09 ID:9YDwYyzP
 柔和な顔つきに微笑みを浮かべた男の子が、そこには立っていた。
 彼の癖のない黒髪は細くてさらさらで、羨ましくなるくらいに綺麗だ。
 やや細い目は垂れ気味で、穏やかな印象を与えてくる。
 小さな顔が乗っかる体の線はとても細くて、これまた羨ましくなってしまう。
 中性的なルックスと、男の子の平均身長よりも少し小柄な身も相まって、彼は、カッコイイというより可愛いという単語の方がよく似合う。
 
 牧村拓人くん。
 同じクラスの男の子であり、そして。
 わたしを浮かれさせている、張本人だ。

「お、おは、おはようごじゃいましゅっ」

 噛んだ。
 そう気付いた瞬間、熱量が増した。
 恥ずかしさが顔だけに収まらず、全身が熱さに満ちていく。

「あぅ……」

 思わず呻き声を漏らし、俯いた。

「おはよう、河内さん」

 だから、優しく言い直してくれる牧村くんを、とても見ることはできなかった。
 ただ、

「……おはよう、ございます」

 俯き加減だったけど、今度はきちんと言えて、少しだけ安心した。
 うん、という声に反応するように、ちらっとだけ牧村くんを見上げる。
 見えたのは、目を細めて微笑んでいる顔だった。

「チャイム鳴っちゃう前に、行こう?」

 促してくれる牧村くんに、わたしはただただ頷いた。
 昇降口へと向かう牧村くんのすぐ隣は、空いている。
 歩きたいのに。すごく隣に行きたいのに。
 でも、行けなかった。
 噛んじゃって恥ずかしいし、意識しすぎて緊張しちゃうし、それに。
 油断したらすぐに、だらしなくニヤけちゃいそうだったから。
 今は無理だけど、でも、いつか。
 一緒に歩けたらいいなぁ。一緒に歩きたいなぁ。

「ほーんと、可愛いねぇ」

 そんなことを想うわたしの耳に、梢ちゃんのからかうような囁きが聞こえてきて、更に熱が増したような気がしたのだった。
437 ◆Q1QEUibokM :2009/09/26(土) 14:08:54 ID:9YDwYyzP
以上投下終了です。
続いてキャラ紹介をば。

キャラ紹介
河内 静奈(かわうち しずな)
 高等部普通科1年。中等部からの編入生。
 控えめで大人しく、照れ屋で上がり症でそそっかしいが、努力を苦と思わない頑張り屋。
 肩まで伸ばしたストレートの黒髪。女子平均身長並。
 成績は並。運動音痴。
 牧村拓人が大好き。

上原 梢(うえはら こずえ)
 高等部普通科1年。
 誰とでもすぐ仲良くなる、活発で明るいちびっ子。考えるより先に行動するタイプ。意外としっかり者。
 薄茶色の髪を両サイドで束ねている。いわゆるツインテール。
 勉強は苦手。運動得意。

牧村 拓人(まきむら たくと)
 高等部普通科1年。
 大人しく目立たないが、優しくて責任感が強い慎重派。目立つのが苦手だが、実は強いリーダーシップの持ち主。
 さらさらの黒髪に中性的な顔立ち。線も細く、女装とかしても似合いそうな外見。
 身長は男子平均身長よりやや低め。
 成績はやや優秀。運動もそれなり。
438創る名無しに見る名無し:2009/09/26(土) 19:00:52 ID:axQD2O45
く、くそう!静奈ちゃん可愛いじゃねーか!
あんまりひどいと俺抜きでの青春禁止にするぞ!
439創る名無しに見る名無し:2009/09/26(土) 19:39:58 ID:2ZJVtYrN
GJ!
やべぇ、思わずニヤニヤしてしまったw
羨ましいくらいに青春してるなコンチクショウめw
440創る名無しに見る名無し:2009/09/29(火) 09:02:35 ID:l8lABF2s
甘酸っぺえ・・・
完璧恋愛物じゃないか。よくぞ学園の方に来てくれた
441幸せ撲滅運動放送編って誰得? ◆G9YgWqpN7Y :2009/10/04(日) 23:55:07 ID:/heucr7n
久し振りに投下します。
442幸せ撲滅運動放送編って誰得? ◆G9YgWqpN7Y :2009/10/04(日) 23:57:06 ID:/heucr7n

「はい! 今日はお越しいただくのは、泣く子も黙るおバカ集団!
 その実態は、カップル狩りと称して縁結びを行っていると噂の3人組です!」

二年の女子報道部部員(B72)はそうマイクに向かって話し、手を広げる。
その先からリーゼント、モヒカン、そして丸坊主の3人組が現れた。

「大型台だ。別に縁結びを行っているわけではない。単純に失敗してるだけだ!」
「中型那賀だ。カップルとは強敵。ゆえに挑む価値がある……」
「小型省っす。台さんがいうことは間違いないっす!」

そう自己紹介し、パイプ椅子に座る3人組
女子報道部部員(B72)はその言葉をにこやかに封殺し、先に進める。

「はい、以前から多かったおバカ三人組への質問に答えてもらおうと思います!
 この報道を聞いてるみなさーん! 耳かっぽじってききやがれってんだー!!」

妙なハイテンションの女子報道部部員(B72)に台はぼそりと呟く。

「確か、本命だった二人組のインタビュー取れなかったから穴埋めって話だったはずだが?」
「あ、そうだったんっすか?」
「ああ。まぁこっちにもメリットがあるから引き受けたが」
「へぇ〜。それはどんなメリ――」
「はい! 無駄口はそれまで! 放送部が疑われるでしょうがー!!」

その実、ハイテンションの理由が単にやけくそだった女子報道部部員(B72)は
ダンっと、机を叩くと、質問状に目を向ける。

「はいっ! 質問その一! 今、彼女はいますか!
 うわっ! これはまた答えが決まっているようなひどいネタを!!
 それでは台、那賀、省の順番でどうぞ!」

「いない」
「いる」
「いないっす」

「はい、もちろん全員いな――ってぇぇぇええええ!!
 那賀さん……モチロンジョウダンデスヨネ?」

なぜか片言になる女子報道部部員(B72)に対し、台と省はそれぞれ補足する。
「驚くことにいるんだな。これが」
「ラスボスを知るには自分もそうなってみなければ分からないこともある、とか言ってたっすから」

「……なぜ驚かれるかわからんぞ」

憮然とした顔でいう那賀の前で硬直しきっている女子報道部部員(B72)。
しょっぱなから放送事故のような沈黙のなか、ようやく女子報道部部員(B72)は言葉を発する。

「その……証拠になるような写真かなにかありますか……?」
「これでいいか?」

「……何この美人さん……しかもどっか旅行行った時のツーショット写真……?
 すごく仲睦まじそうだし……お姉さんとかいう落ちないです……よね?」
443幸せ撲滅運動放送編って誰得? ◆G9YgWqpN7Y :2009/10/04(日) 23:59:52 ID:/heucr7n

すでに息も絶え絶えといった様子の女子報道部部員(B72)
しかし、馬鹿3人組はとどめを刺す。

「どれだけ疑えば気が済むんだ」
「……まぁ、気持ちはわかる」
「結局〆ようとしても無駄だったっすからね」

女子報道部部員(B72)
「あー、そのカップル狩り、一応仲間でも関係ないんですね……」

そのまま再び放送事故のような沈黙が続く。
結局、その沈黙を破ったのは台だった。

「あー、終わりなら帰っていいか?」

その声に、我に返ったように顔をあげる女子報道部部員(B72)

「いや……あまりに衝撃的で……ちょっと意識が宇宙まで飛んでました。
 ……と、ともかく、次の質問にいきます! 今、気になってる子はいますか?
 ええと、これは那賀さん答えなくていいですからね。精神的ダメージきつ過ぎます!」

かろうじてマイクで拾える程度の声で話す女子報道部部員(B72)
カラ元気で何とか気力を奮い立たせようとしているようにも聞こえる。
ともかくその質問に対し、那賀を除いた面々は頷くと口を開く。

「いる」
「いるっす」

「おっと! 今度は両方いると答えたー!これは気になります!
 ずばり、誰でしょう!」

カラ元気のまま喋る女子報道部部員(B72)
まず省が口を開く。

「内緒っす!」
「いやーさすがにいいずらいですか!? では台さんはどうですか?」

予想通りの反応に少し落ち着いたような女子報道部部員(B72)。次は台に質問する。
しかも本当に調子を取り戻そうとしているようだ。ここはプロ根性のなせる業か。

しかし、

「ふむ……ここで言うと宣戦布告になるからな……」
「……いやカップル狩り的意味ではありませんからこの質問。まあいいです。時間も押してますし」

台の発言に再びテンションが駄々下がりになる女子報道部部員(B72)。
結局スルーすることにきめ、次の質問を見る女子報道部部員(B72)。
444幸せ撲滅運動放送編って誰得? ◆G9YgWqpN7Y :2009/10/05(月) 00:04:56 ID:UcyS6v+5

「最後の質問です! 卒業したら進路は決めてますか? まずは省さんから!」

高等部で明確に答えられる学生自体が少ない世の中だ。不良にはなかなか厳しい質問のはずである。
その質問に対し、省は答える。

「俺は卒業したら家の寺を継がないといけないから、その修業っすね」
「……お寺さんの子でしたか……不良が……ですか……?」
「そのかわり今は好きにさせてもらってますっすよ」
「……意外にまともな答えが返ってきましたね。次、那賀さん」

女子報道部部員(B72)は少しの驚きをもって次を促す。

「まぁ、無難に進学かな。不動産の経営ってやつに興味あるから、そっちの方向に進むつもりだ」
「……これまたまともな。成績は大丈夫ですか?」
「まぁ、中の下は取ってるし、元々人気ない学科に行く予定だから問題ないな」
「そうですか。ちゃんと考えているんですね。最後に台さん、どうぞ」

女子報道部部員(B72)は内心、この三人組の印象が変わりそうだなと思いながら次を促す。

「来年には海外で画家としてデビューする予定だ。……というよりそうなるように努力するというのが正しいか。
 こないだのコンクールで俺の絵を気に入ってくれた人がいてな。パトロンになってくれるそうだ。
 その人たちの援助のもとしばらくはやっていくつもりだ」
「……その……また、大きくでましたね……言語とかは大丈夫ですか?」
「今は授業時間中もそっちの勉強に費やしてるからな。普通にやりとりできるくらいになったぞ。
 簡単な通訳くらいならできるしな」
「なんでそれで全教科赤点ですか!?」
「頭のキャパをすべてそっちの言語についやしてるからな」

「あーなるほど。よくわかりました! さて、時間ですし今日はこれでおしまいです。
 来て下さったおバカ3人組には感謝です。
 リスナーの皆さん! もし、また質問があれば放送部までよろしくお願いします。
 再び突撃取材を敢行しますよ!! ではまた、昼休みにお会いしましょう」

「「「「まったねー」」」」

最後に4人同時に別れの挨拶をし、放送が終わる。
放送部の不定期企画、"ドッキリ突撃インタビュー"はこうして無事に終わったのだった。





「うふふ……私に彼氏なんていないのに……なんであの不良になんか……世の中間違ってる……間違ってるわ……」




訂正。
一人の少女の心に微妙な傷がついたようだった。



おわり。



放送部の活動の一部を勝手に書いちゃいました。
なんとか報道部部員(B72)を再登場させたかっただけですけどねw
445創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 00:28:22 ID:jzI5QTEk
待てコラ那賀wwwww
あんたは一体何なんだぁーッ!!
446創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 20:30:19 ID:jnE+gpM2
こいつらリア充ばっかりじゃねえかwww
447創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 21:13:15 ID:JU9c5rZh
ふっざけんなあああああああああああああ中トトロの分際でええええええええええ!
448 ◆Q1QEUibokM :2009/10/10(土) 18:24:25 ID:9nLuYh0Q
投下します。
449恋する乙女の小さな決意 ◆Q1QEUibokM :2009/10/10(土) 18:25:41 ID:9nLuYh0Q
 お昼休みの教室には弛緩した空気が満ちていて、思わず欠伸が漏れそうになる。
 雑然とした喧騒の中で、そんな空気にわたしも浸っていた。
 今わたしが座っている席は廊下側の真ん中、梢ちゃんの隣の席だ。
 本当はわたしの席は窓際なんだけど、お昼休みということでこの席を借りている。

「これ可愛いー。静奈に似合いそうっ」
 梢ちゃんが、机の上に広げていたファッション雑誌を指差す。
 身を乗り出して覗き込むと、すごく可愛いモデルさんが微笑みかけていた。色々なヘアスタイルを紹介したページだ。
 梢ちゃんが指し示しているのは、滑らかなウェーブの掛けられたロングヘアだった。
 綺麗な茶色に染められた髪は、とても眩しく映る。
 確かに可愛いし華やかだ。でも、わたしは唸ってしまう。

「うーん、もうちょっと地味な感じの方がいいなぁ……」
「そうー? 可愛いし似合うと思うんだけどな。っていうか、静奈はもうちょっと積極的になってみていいと思うよ?」
「そういうの、ちょっと苦手だから……」
 梢ちゃんが色々勧めてくれるのは嬉しい。
 けれど、わたしは梢ちゃんが言ってくれるほど可愛くないし、煌びやかなのは苦手だ。
 目立っちゃうのは恥ずかしい。色んな人に注目されると落ち着かない。
 ちょっと女子高生っぽくない考えのような気もするけど、その臆病さは変えられそうになかった。

「そっか。ま、無理したっていいことはないもんね。それに今のままでも充分可愛いし」
 気を遣ってくれる梢ちゃんに、申し訳なさを覚えてしまう。

「ごめんね」
 だからわたしは、ほとんど反射的にそう謝っていた。そんなわたしに、やっぱり梢ちゃんは微笑んでくれた。
 そのまま一緒に雑誌を眺めていると、梢ちゃんの席の前の人が戻ってくる。
 わたしはさりげなく、そっちにちらりと目を向けた。
 座っている後姿は、牧村くんのものだ。梢ちゃんの席は、牧村くんの背中をすぐ近くで眺められる最高のポジションだ。
 ヘアスタイルについて話をしていたせいか、視線はつい髪の毛に向かっていく。
 きめ細かい髪の毛はすごく綺麗で柔らかそうで、触ってみたくなるくらい滑らかだ。

「ちょっと前から疑問に思ってたんだけどさ」
 言いながら、梢ちゃんは驚きの行動に出た。
 なんと、牧村くんの背中を人差し指で突っついたのだ。

 ……い、いいなぁー。わたしも牧村くんに触れたいー。

 思わず指をくわえてしまいそうになるわたしの前で、牧村くんが振り返る。
 軽く首を傾げる牧村くんの仕草が素敵で、胸の高鳴りが大きくなる。

「牧村って、ばっちり髪の手入れしてるの?」
「え? 髪?」
「うん。めちゃくちゃ綺麗だからさー、どうしてんのかなと思って」
「あ、わ、わたしも気になるっ! お手入れのコツとかポイントとかあったら、教えてほしいな」
 何とか会話に参加できたわたしの前で、牧村くんは首を横に振った。

「特に何もしてないよ。普通にシャンプー、リンスしてるだけだけど……」
 牧村くんは自分の髪を軽く摘むと、苦笑いを浮かべる。

「そんなに、いいものじゃないよ?」
「いやいやいや、非っ常に羨ましいんですけど!」
 梢ちゃんにつられて、わたしも頷いた。あんなに細くて柔らかそうで綺麗なのに、いいものじゃないわけがない。
450恋する乙女の小さな決意 ◆Q1QEUibokM :2009/10/10(土) 18:26:53 ID:9nLuYh0Q
「いいものだよー! そんなに綺麗な髪の子って、女の子でもなかなかいないし!」
 言うと、少しだけ牧村くんが苦笑を深くしたように見えた。
 あ、あれ? わたし、何かまずいこと言っちゃったかな……?

「悪いと思ってるわけじゃないけど、男でこんな髪っていうのもちょっとね。女の子に間違えられることもあるし」
 牧村くんはポツリと呟く。
 わたしは大好きだけど、可愛い見た目はコンプレックスなのかもしれない。

「あ、違うの。女の子みたいだって言いたかったわけじゃなくて、その、ただ、素敵だなって思っただけで」
「うん、分かってるよ。ごめんね、せっかく褒めてくれたのに」
 あぅ、牧村くんに謝らせちゃった……。何も悪くないのに。

「それじゃあ男の子な牧村に質問だ!」
 わたしがフォローの言葉を探している間に、梢ちゃんが牧村くんを指差した。
「は、はい? 何でしょう?」
 面食らった牧村くんが、改まったように背筋を正す。

「女の子の髪型でどんなのが好みですかっ?」
 梢ちゃんは指していた手を握りマイクに見立て、牧村くんに向ける。
 質問内容が聞こえてきた瞬間、わたしは胸中で親指を立てていた。
 
 ……梢ちゃん、ぐっじょぶ……っ!
 
 思わず梢ちゃんを賞賛しそうになるけど、とりあえずその感情を飲み込む。
 わたしは自然と、身を乗り出して牧村くんに視線を注ぎ込んでいた。
 もちろん、耳に意識を傾けるのも忘れない。むしろそっちが主だ。
 無性にドキドキする。
 お洒落でちょっと派手めな髪だったらどうしよう。ベリーショートって言われたら似合うかなぁ。
 髪染めるんだったら梢ちゃんに色々教えてもらわなきゃ。
 あらゆる髪型をイメージしながら、わたしは意識せず自分の髪をいじっていた。

「えっと、なんか恥ずかしいなぁ、こういう話」
 牧村くんが微かに紅潮した頬を軽く掻いている。
 照れてる様子がとっても可愛くて、またニヤけちゃいそうだ。
 いつもニヤニヤしている変な女だと思われてないか不安になるけれど、なかなか止められない。
 欲望に忠実な自分が恨めしかった。

「恥なんて捨てて、ばっちりカミングアウトしてくださいな。ほら、静奈が期待の眼差しで見てるよー?」
「え? 僕、期待されてるの?」
 不意に尋ねられて、わたしはほとんど反射的に首を縦に振った。

「う、うん。ぜひぜひ、聞かせてほしいなぁ。きょ、興味、ある。すっごく」
 髪のお手入れ法よりも、間違いなくずっとずっと気になっている。
 耳を澄ませる。
 教室中に広がるざわめきの中で、牧村くんの声を聞き逃さないように。
 そして牧村くんは、わたしの方を見てから、照れくさそうに口を開く。

「河内さんみたいな髪を、もうちょっと伸ばした感じがいいなぁ」

 わたしの名前が出るとは思わなくて、心臓が跳ね上がった。
 驚き半分、そして残りの半分は、
 
 ……牧村くんの好みに近い髪型だったなんて。嬉しい、嬉しいっ。
 
 恥ずかしさを隠すように、ひっきりなしに髪をいじりながら。
 わたしは、髪を伸ばす決意をした。
451 ◆Q1QEUibokM :2009/10/10(土) 18:29:14 ID:9nLuYh0Q
以上です。
全然クロスなしで申し訳ない。やりたいとは思っているのですがネタが…orz
452創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 13:39:34 ID:8Q0qx+pT
むーずーがーゆーいー!
たとえ三本テールでも! 髪は長いお友達!
453創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 22:24:11 ID:mC/H1en0
r'⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒ヽ ⊂゙⌒゙、∩
ヽ__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__乂__ノ  ⊂(。A。)

やべぇ、ニヤニヤしてる俺がキメェ
牧村の方にその気があるのか気になるー!
454創る名無しに見る名無し:2009/10/13(火) 19:44:02 ID:TV9zE/da
なにっ! まっとうなカップル物をやっているだとっ!?
455創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 19:03:06 ID:3QLUDNdJ
色々探したけど見つからなかったので質問。
学校の制服の設定イラストとかはどこかにありますかね?もしくは描写されている
SSなどは…
456創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 20:09:47 ID:sQo6As+S
ブレザーでベストもあり、くらいじゃなかったかな。
色も決まってなかったような。
あとは描いたもん勝ち的に。
457 ◆JOjO5CPwM2 :2009/10/18(日) 11:55:03 ID:1TB4EwMM
なんか久々な気ガス。
とりま書くまでの休憩として二作どうぞ。
458 ◆JOjO5CPwM2 :2009/10/18(日) 11:59:21 ID:1TB4EwMM
「ただいまー」

静まりかえった一室に一つ、声が響いた。
けれどもそれに返事は無く、ただ若干響いた後、すぐその音は消え去る。

「…一日目…色んな事があったよな、うん」

彼、小鳥遊総一郎という男からしたら、今日一日はとんでもない事ばかりだった。
それは鷲ヶ谷和穂という少女との出会いである。
すぐに出会い、すぐに別れ、すぐにまた会う。
それが続く、本当に鷲の様な、でも見た目は小さな少女。
小鳥遊からしたら、無論あり得ないと言える。
あんなんは漫画や小説だけのキャラだと思っていた程の強烈な個性の持ち主だからだ。

「…ってか、あんな個性強いのと居ると俺、ネームバリューだけになっちまうんじゃ…いや、別に良いか」

「考えても無駄っぽいしな」と呟きながら、小鳥遊は時計を見る。
短い針は既に六時を過ぎていた。

「…コンビニでも行くか」

そう言って小鳥遊は頭を掻きながら、財布をポケットへと突っ込むと、家の外へ出た。
459 ◆JOjO5CPwM2 :2009/10/18(日) 12:00:48 ID:1TB4EwMM

「さっみ…」

春、とはいえ夜となるとまだ寒さは残る。
時たまくる冷たい風が、小鳥遊の春服を掻い潜り、彼の肌へと襲い続ける。

「…仕方ねぇ、早く急いで行くとすっか」

そう言った小鳥遊の足が自然と早くなる。
ただ寒さから早く逃れたいが為にだ。

(…おかしいな、コンビニってこんな遠かったけか…?)

だからいつも早く着くコンビニも、そのせいか若干遠く感じる。
これが人間の性といえばそうとなるのだが。

◇◆◇◆◇◆

「はぁ〜。あれだな、生き返るってこの事だな」

なんという事でしょう!
そこには外で一人寂しくコーヒー(無糖)を飲む小鳥遊総一郎の姿が!
…ここだけ切り取ると、明らかに友達の居ない可哀想な人になってしまうのが不思議である。

「…なるべく熱は保ちたいし…このまま行くか」

夜空を若干見上げながらも、小鳥遊はまたその歩みを進め初める。

460創る名無しに見る名無し:2009/10/18(日) 12:02:07 ID:1TB4EwMM
「はぁ…」

白い息が呼吸という動作とともに生まれ、消える。
それを見ながら、小鳥遊はまたコーヒーに口をつける。

「はぁぁぁぁ」

缶コーヒーであったが、美味かった。
五臓六腑に染み渡る…という表現は今使うべきであろうか。
いや、今使わずして、いつ使うというのかとも思ってしまう。
いや、つまりそれは実生活にこういう言葉をあまり使っていない証拠であるとともに、自らの国語力を呪う。

「ま、こうしている間に…家だ」

一目見ただけで分かる豪邸を見た瞬間、ただでさえ急かした足が更に早くなる。
白い息が出る速度が早くなり、手に持った缶コーヒーの小さな水滴が、空を舞う。
そして鍵を取り出し、まるで飛び込む様に、小鳥遊は冷たい床を急いで走り、リビングへと入る。

「少し急かしすぎたか…まあ良いとして…」

時計を見ると、七時五分前。
丁度、晩御飯には良い時間帯だ。

「さぁ、早速飯でも…」

そう言って小鳥遊は本来あるレジ袋に手を取ろうとした。
…だが。

「…あ」

読み直してほしい。
彼はコンビニで何を買っただろうか。
…そう。コーヒー『のみ』である。

「あ…ああああああああああああ!!」

ただ虚しく小鳥遊の悲鳴は白い息の様に空へと消えていったのであった。
461 ◆JOjO5CPwM2 :2009/10/18(日) 12:03:44 ID:1TB4EwMM
投下終了。タイトルは「小鳥遊さんの日常-1-」で。
番外編的な扱いです。はい。
次は和穂かと期待した方すいません。次、新キャラです。しかも先生。
462敗北感という事とは。 ◆JOjO5CPwM2 :2009/10/18(日) 12:04:39 ID:1TB4EwMM

人間には必ず普通の人間とは違うところがあると言う。
どんな無個性と言われる奴でも、必ず人とは違う何かを持っている…らしい
だが、ある男は違った。
無個性どころか何もかもが他の人間に負けていて。
そして他の人間に対して常に憎む事を忘れず。
また常に自らの敗北感をも忘れず。
そんな阿呆らしい人間が居たら…と言うが。こんな人間が居たのである。
そんな彼の名前は「大里巧」といい。
自らの破壊行動の計画を今日も進めていた。
どうやったら人間が壊れるか。
どうやったらこの敗北感や憎しみが何処かに行ってくれるのか、と。
ただ、ただ。彼は求め続けていた。
何年も。何ヶ月も。何日も。何時間も。何分も。何秒も。
何時どこで、どんな場所でも。
僕のこの感情を潰してくれるのはいつなんだろうと。
ずっと、ずっと考え続けていた。
…そして彼は見つけた。それが出来る、最高の場所。「学校」という場所の、「先生」という肩書きとともに。

「じゃあ、授業をはじめようかな。これからの僕の為の…授業を」

そう言った大里の顔は、満面の笑顔であり。
そしてなおかつ、その仮面の下には狂気の表情を隠していた。
463 ◆JOjO5CPwM2 :2009/10/18(日) 12:11:13 ID:1TB4EwMM
投下終了。
こんなキャラ居たら書きやすいかなーと思い出してみたでござるの巻
キャラ紹介はもうちょいしてから。
464 ◆aW1n7IQCBWGE :2009/10/18(日) 12:36:26 ID:1TB4EwMM
大里 巧(おおさと たくみ)
全学年の理科・人体担当。今年で23歳。独身。
顔は常に笑顔で性格は穏やかで素行は良いが、実は「他人への憎悪」と「自分への敗北感」が全神経、全臓器、全身に行き届いた様な男であり、それを無くしたいが為に「破壊活動」を行う。
しかも、念入りに、誰をそうするかとか。そういう計画性がある「破壊活動」であるところを見ると、中々思慮深いのであろう。
よく漫画にはいる狂った系統のキャラ。
でも「狂った」の一言で片付けるのはなんか難しい気がするのは何故だろう。
465 ◆JOjO5CPwM2 :2009/10/18(日) 12:38:15 ID:1TB4EwMM
>>464は一応自分っす。
こんなトリップ初めて見たわ…w
あ、先生は好きにボコすなり悪役に使うなりなんなりしてドゾー。
466創る名無しに見る名無し:2009/10/18(日) 22:22:51 ID:NBddrIHp
おっと、来てたー! 乙です!

小鳥遊……大丈夫だ安心しろ。この学園には個性的すぎる奴らがかなりいるからw
しかし、さらりと豪邸に住んでるのか。このブルジョアめ!w


ダメ人間教師キター!
普段は普通に良教師っぽいけど、裏の顔が気になります。
……教師として就職できてる時点で、普通は勝利者カテゴリのような気もしますがw
まあ本人の感覚の問題ですね……この欲張りさんめ!w
467455:2009/10/19(月) 14:22:34 ID:nIV8HimQ
初投下。あとでキャラを借りて漫画を足そうかと思ったのですが、
先に自分で創ったキャラの分は紹介した方が良いのでしょうか?
ttp://loda.jp/mitemite/?id=509.jpg
468創る名無しに見る名無し:2009/10/19(月) 21:43:52 ID:kT/zc0Qw
なるほど、この学園の制服はこうなってたのかー GJ!
学園っぽいほのぼの雰囲気がすごくいい感じです。

あ、キャラ紹介はやってもらえるとありがたいです。
個人的には、Wikiにのせるときに紹介があるとやり易いです。
469創る名無しに見る名無し:2009/10/19(月) 23:32:00 ID:jBwBVVAp
>>467
画像が消えるの早いお…
出来れば漫画を見てみたいですぞ!
470創る名無しに見る名無し:2009/10/20(火) 17:48:24 ID:YSypM9zC
>>469
たまにろだの鯖が落ちてるようですなー。
キャラをお二方借りました@漫画
ttp://loda.jp/mitemite/?id=513.jpg

>>468
有難うござます、了解です。

武政千鶴
高等部二年(普通科)。アーチェリー部。151cm、貧乳、とても短いおさげをしている。
拓司や修の3人でよくつるんでいる。成績は中の下だが、運動神経だけは良い。
空気を読むことを知らず、誰にでもずけずけ物を言う。絵が壊滅的に下手である。
この苗字のおかげで、高確率で「タケ」や「マサ」のあだ名がつく事に落ち込んでいる。

山尾修
高等部二年(普通科)。アーチェリー部。153cm、ちびっこで大人しい。
お菓子作りが得意で、いつも手作りのお菓子を持ち歩いている(クラスメイトや
千鶴、拓司によくつまみ食いをされるが、美味しいと言われているので許している)
厚みのあるショートボブのせいか、髪にはヘアピンをしている。ちびっこだと
言われると、涙目になって激怒。方向音痴。

相川拓司
高等部二年(普通科)。アーチェリー部。183cm、細身だが身長だけは高い。
千鶴と修がアーチェリー部に入ったのをみて、一緒に入部。帰宅部じゃなければ
良いという考えで入部したのでほとんど幽霊部員。カラオケが得意で、一人でも
歌いに行くとか。基本面倒くさがりだが、3人組のお母さん役ポジション。
視力がかなり低く、眼鏡を外した際に目を細めたらメンチをきられたと
誤解される事も多々。
471創る名無しに見る名無し:2009/10/20(火) 17:50:27 ID:YSypM9zC
お二方どころか三人お借りしてました(ヽ'ω`)サーセン
472創る名無しに見る名無し:2009/10/20(火) 21:07:02 ID:bpvIMWB6
GJ! キャラ紹介も乙です。
やべぇありそうで……ねぇよ! って思わず突っ込みたくなったw
でも……えっ? トトロってこんな感じじゃないの? おしいと思うんだけど……?

借りたキャラは上から順に真田基次郎、近森ととろ、小型省だよね?
個人的にイメージぴったりだと思います。
473創る名無しに見る名無し:2009/10/20(火) 22:44:27 ID:bpvIMWB6
Wikiに漫画・イラストの欄を追加しました。
うpローダーで見れなかった方はそこからどーぞ。
ついでに見やすいかどうかの確認もお願いします。

後、結構生徒の数が増えてきました。
仁科学園の生徒の欄を、もっと見やすくする方法も募集中です。
474創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 20:23:30 ID:tYQ42T4g
ことりあそびはやっぱヒロインとセットで映える気がするぜ
貴重な先生キャラが来たか! でもなんか変というかデンジャラスそうな・・・

そしてついにきたイラスト・漫画職人! うまくて味があって最高だ!
今後ともヨロシク!
トトロ(どっちも)かーわいい!

wiki乙です!
475創る名無しに見る名無し:2009/10/23(金) 10:33:24 ID:OwEArsY8
おおぉ!いらっしゃいませ!
まさかこっちの学園にも来てくれるとはw

「どうしてこうなったっすか……?」

小型省は今茫然とたたずんでいる。
ここはアーチェリー部の練習場。
今、アーチェリー部の臨時部員として部活道をしていた。

そう、謎の3人組の口車に乗せられて……

「不覚を取ったっす」

まあ、頷いた以上しょうがないということで参加することになったが、
いなくなるのが3人である以上、残り2人必要と言うことで、

「うーむ、当たらん」
「だからそのフォームが悪いのよ。スタンスをもっとこう……」
「なんで部長は詳しいんだ?」
「柚鈴天神社の巫女は弓術が必須なのよ」
「……この似非退魔巫女め」
「こないだのことは悪かったわよー」

大型台と神柚鈴絵に頼んで一緒に部活動に参加している。
二人とも始めは断ろうとしていたが、
なぜか美術部顧問である真田先生も一緒に頼んだため頷いたというわけである。

「まぁ、やるっすかねぇ」

頼まれた以上やり遂げなければ男がすたる。
気持ちを切り替え、省は矢を番え、放つ。
しかし矢は的からあっさりと逸れ、全く違う所に突き刺さった。

「やっぱり駄目っすねぇ」

そう呟く省。周りからは含み笑いが聞こえる。
思わず、そっちに視線を向けると笑った奴らはそっぽを向いた。

「ま、そんなもんっすよね」

省は肩をすくめながら呟き、矢を持つために手を伸ばす。
さっきから台と省の周りには鈴絵をのぞいて誰もいない。
ただ、遠巻きに眺めている部員がいるくらいだ。
やはり不良であるからして、怖がって近づく部員はいないようだ。

それがわかっているので省は気にせず矢を放つ。

――やはりはずれ。

「ダメっすねー」

そう呟いたとき、一人の女性が練習場に入ってきた。

アッシュブロンドの長い髪をポニーテールに束ね、蒼い目をしている。
顔のつくりはフランス人形のような精緻な美しさを持っている。
体型こそはスレンダーと言えなくもない。
しかし、一部分を指してぺったん娘と言った方が納得するだろうか。

省は一瞬その姿に見とれ、固まってしまう。
省の前で、その女性は、今までの部員と違いあっさり台の方に目を向ける。
そのまま台の方へと笑いながら近づいてきた。
もっとも笑顔を向けられた台はと言うと、苦虫をつぶしたような顔だ。

「ちっ! 来たか……真田」
「そりゃアーチェリー部の部長だから来るに決まってるわよ。
それになんで苗字で呼ぶのよ! いつものようにウェルチと呼びなさい!」

その言葉にその場にいた全員が一歩下がる。
全員表情が苦悩に満ちている状態だったりするが。

「台先輩……本当はリア充だったのね……世も末ね……」
「台さん……見損なったっす! 那賀先輩に続いて……!」
「いや! 呼んでない! 俺はただ、一方的に絡まれてるだけだ!」

鈴絵と省の冷たい視線に対し、台は慌てて否定する。
と言うか脂汗まで出ている。どうやら本気で嫌がっているらしい。

「むー、そこまで嫌がらなくってもいいじゃない」

むくれたように言うウェルチ。
その表情に人形のような儚げな美しさはなく、健康的な美しさが満ちている。

「あのなぁ……真田……周りをあんまりからかうな。皆引いてるぞ」

一方の台は呆れたように言う。
どうやらからかいの対象は台ではなく周りだったらしい。
周りの反応を楽しんでいたようだ。

「ごっめんねー。でもおもしそうだったからつい……ね?」

ほくそ笑みながら言うウェルチは、一人さっさと自分用の弓の準備を始める。
未だ固まっている部員たちを置いて。
準備が終わるとウェルチは部員の方に向き直り、右手を高く掲げ、宣言する。

「さぁみんな。もうすぐ大会があるからね! 今日も練習頑張ろう!」

「「「は……はい……??」」」

なぜ部長と不良が仲よさそうなのだ?
と、アーチェリー部の部員の疑問は収まらぬまま部活道は始まったのだった。

ところで、その疑問を積極的に解消しようとする人間もいるもので、
「それで、結局真田さんと台先輩ってどんな仲なんですか?」
「いや、それを一言で言うのは難しいな」

矢を放ちながら話す鈴絵に台は準備をしながら答えを返す。

「別に一言じゃなくていいですよ」
「……長くなるぞ」
「いいですよ。じゃあ今度美術部でゆっくり聞きますからね」

続けてもう一本。再び的の真ん中に当てながら鈴絵は話す。

「うーむ。なんか今日の部長は少し違うな?」
「そうですか? いつもどおりですよ」

いや、少々どすが効いているなと思ったが、結局台は口に出すことはなかった。
藪をつついて蛇を出すことはあるまい。
もしつながりを話すとすると、ウェルチと美術部顧問が親子だと言うことまで話す必要がある。
このウェルチと美術部顧問が親子と言う事実は内緒の話だ。
そのうち適当に誤魔化すかとか考えている台だった。


そんでもって一人さびしく練習している省の方はと言うと、

「うーん、やっぱり難しいっすねー。全然当たんないっす」
「あ、それなら私が教えてあげるわよ」

いつの間にかウェルチが近くに来ていた。
その言葉に省も答える。

「あ、真田さん。いいっすか?」
「台さんにはあの娘が教えてるみたいだし……
君の事、みんな怖がって近づかないみたいだしね。本当は全然怖くないのにねー」

笑顔で言うウェルチに思わず省は感動してしまう。
知らず笑顔になり感謝の言葉を言ってしまう。

「ありがとうっす」

しかし、お礼の言葉を言う省に対し、今度はウェルチは首を捻る。

「うーん」
「どうしたんっすか?」
「そのね。……その笑顔は怖いかも?」
「……そっすか」

結局かなり落ち込んでしまった省であった。


終わり?

新キャラ紹介です。

真田 ウェルチ

普通科の三年生。アーチェリー部の部長をやっている。
アッシュブロンドの髪をポニーテールにしている。
蒼い目、フランス人形のような美貌を誇るいかにも人形のような美人。
胸だけが非常に残念である。性格は豪快、姉御肌で面倒見がいい。
思ったことをそのまま話してしまうタイプ。
内緒にしているが、実は真田基次郎の娘で双子の妹がいる。
双子揃ってかなりのファザコン。
しかし、彼女いない暦≒年齢と言われる真田基次郎になぜ娘がいるのか。
親子関係を知っている人間には、私立仁科学園の七不思議のひとつとして数えられている。





投下宣言するの忘れた。すまん。
そういや外人キャラいないなぁとちょっと増やしてみた。
真田先生に妙な設定をつけてしまったんだがいいのだろうか……
ダメだったら直すということで。

投下終了です。
480創る名無しに見る名無し:2009/10/27(火) 22:52:12 ID:WLMJm9/8
こいつらは何を撲滅したいんだw
そんなことより、真田先生もあんな顔してやることやってんだな・・・
481創る名無しに見る名無し:2009/10/28(水) 13:36:32 ID:3NFu4jlO
こいつら結局全員リア充じゃねえかwww
ふざけんなwwwww
482創る名無しに見る名無し:2009/11/01(日) 22:36:44 ID:h/uUlztv
age
483創る名無しに見る名無し:2009/11/01(日) 23:13:30 ID:IDiAyzjj
よくもageてくれやがったなこのスットコドッコイ。
次の投下はいつかしら。
484幸せ撲滅運動解散編? ◆G9YgWqpN7Y :2009/11/07(土) 10:20:58 ID:eIjF7iw6
投下します
485幸せ撲滅運動解散編? ◆G9YgWqpN7Y :2009/11/07(土) 10:22:44 ID:eIjF7iw6

夕暮れの放課後、人気のない校舎裏に一組の男女が向き合っていた。
少年の方は極めて真剣な顔をして少女に向い、
少女は手を胸元で組み合わせ、少年を見つめている。

少年はごくりと唾を飲み込み、緊張で若干震える口を開く。

「俺……君の事が好きなんだ……!
 この気持ちを言葉で伝えようと思ってもうまく言えない……
 だから、ストレートに言うよ。……俺と付き合ってください」

その言葉に少女は顔を真っ赤にし、うつむき――そして顔をあげ少年を見る。
少女の唇が動く。

「はい……私もあなたが好きで――」

「ちょっと待ったああああああああ!!」

突如、複数の足音が聞こえたと思うと、怒号とともにやってくる三人組。
そう、もう言わずともわかるかもしれないが、
大型台、中型那賀、小型省の三人組が現れた。

告白しようとしていた少年はとっさに少女を後ろに庇い、3人組と対峙する。

大型台の怒号は続く。

「オラオラッ!! 俺達の目が届く所でカップルになろうとは、
 神が許しても俺が許さん! 今ここで別れれば許してやるがな!!」

続いて中型那賀は陰湿に嗤う。
「クククッ……久々の大物だ……さて、どうやって料理してやろうか?」

最後に小型省が言う。
「さあ! 台さん! 俺に命令してください! 俺にこいつをぼこぼこにする命令を!!」

三人はじりじりと近づいていく。
その圧迫感は恐怖となり、少年と少女へと襲いかかる。
その威圧に少女は思わず少年の服を握る。
486幸せ撲滅運動解散編? ◆G9YgWqpN7Y :2009/11/07(土) 10:25:37 ID:eIjF7iw6

少女の震えを感じ、少年は自分の中にある勇気を奮い立たせた。
少年は台に対峙し、体の震えを実感する。
恐怖でこれ以上体が動かないと錯覚してしまう。
しかし、少年はその恐怖を飲み込み、引くことなく台へと吠える。

「断る! 俺は、彼女が好きなんだ!! その気持ち、お前らになど折られはしない!」

その少年の宣言に台は不敵に笑う。

「はっはっはっ! いい宣言だ! だが! おまえはこれから後悔することになるぞ!」

台は腕を振り上げる。振り下ろせば少年の顔面に当たる距離。
その巨体から繰り出される打撃は相当なものだろう。
だが、少年は微動だにしない。ただ、少女を守るため、己の体を盾にする。

台は容赦なく少年へと振り下ろす。

それでも少年は少女を守るため動かない。


――当たる


しかし、少年は崩れない。ただ、立っている。
その表情は不可解だという顔で固定されている。
台の拳は少年に当たった。ただし当たっただけだ。
そこに痛みは感じない。むしろ触れているという解釈の方があっているだろう。

その台は拳をひき、言葉を発する。
「……ちっ……その気持ち、本物か?」

その問いと内面まで見透かすような視線に少年は力をこめて頷くと、
台は踵を返して後ろの二人に告げる。

「あー。今回も失敗だ、行くぞ。こいつは殺しても気持ちは変わらん」

那賀や省もため息をつくと言う。

「やはりカップルってのは手ごわいな……まだまだ勝つのは難しい」
「これで30連敗っすね。難しいっすねー」

そう言って、3人とも踵を返し、去ろうとした。


しかしそのとき――
487幸せ撲滅運動解散編? ◆G9YgWqpN7Y :2009/11/07(土) 10:27:18 ID:eIjF7iw6

それまで少年の後ろにいた少女が三人組へと声を掛ける。

「あの……?」
「なんだ?」
その言葉に立ち止まり、台は顔だけを向けて聞く。

少女は聞く。
「なんで、こんなことをするんですか?」

その問に台は、
「いつも公言してるだろ。ついこの間の新聞部のインタビューや放送部でも答えたよな」

と言う。

しかし、少女は言葉を続ける。
「でも……放送や、新聞を色々見ていると……それは理由にならない気がします」

どうやら、この少女、その手の類の物を結構読んでいるようだ。
少女は黙っている三人組に言葉を続ける。

「正直言って……リア充ですよね。皆さん」

続けて放たれた意外すぎるその言葉に、衝撃を受けたように固まる三人組。
少女の言葉に少年の方が思い出したように言葉を続ける。

「そういえば那賀さんの方はすでに彼女もちでしたよね」
「そうそう、台さんの方も美術部の部長さんと良い中だそうですし」
「この前、省さんがアーチェーリー部の部長さんと仲良くしてたと友達がいってましたね」

固まり続ける三人に対し、少年と少女は同時に告げる。

「「これってリア充ですよね?」」


なぜか風が通り過ぎた気がした。


そのまましばらく固まっていた三人組だったが、やがて唐突に走り出した。

「「「これで勝ったと思うなよおおおおお!!!」」」

なぜか捨て台詞を残しながら。





この場に残った少年と少女は、同時に尻もちをつくかのように座り込んだ。

少年は話す。
「……ははは、腰が抜けちゃったよ。怖かったなあ」

その少年に少女は言う。
「私も怖かった……でも、ありがとう。……これからよろしくね?」
「ああ、これからよろしく」

校舎裏に清々しい笑い声が響く。
こうしてまた、一組のカップルが誕生したようだった。
488幸せ撲滅運動解散編? ◆G9YgWqpN7Y :2009/11/07(土) 10:28:54 ID:eIjF7iw6



一方そのころ、美術室では三馬鹿会議が始まっていた。
珍しく、そこには馬鹿3人組しかいない。

台は、黒板にテーマを書き込み、告げる。
「今回のテーマは、"俺たちはリア充か!?" だ。
 リア充と決まればカップル撲滅運動は解散するしかない……わかったな!」

「「はい!」」
残る二人は揃って声をあげる。

「まずは那賀からだ! ……リア充決定!!」
「異議なし!」
「ちょっと待てー!!」

さっそくリア充認定された那賀は声を張り上げるが、二人は無視。
と、いうかぶつぶつ言っている。

「あの美人をあの面でゲットしてる時点で奇跡的なリア充だろ……」
「いつもいつもいつもいつも会うたびにべったりしやがってバカップルめっす……」
「おい、まて、ちょっとは人の話を聞け!」

しかし、那賀の抗議は無視。

続けて台は言う。

「さて、次は俺だが……どうだ?」

その問いに二人は悩む。

「そうだな……確かにあの部長をよく知らない奴らから見ればそうだろうな」
「そうっすねぇ……でも、あの部長っすからねぇ」
「伊達に天然悪女じゃないよな……。あれで騙された男が何人いるか……」
「しかも本人そのつもりは全くないのがまた危険っすよねぇ」
「そうそう、誰にでも無意識にそうしてるから性質が悪い」
「そのうち、気があると思いこんじまった男に何かされそうで怖いっすよねぇ」

おおむね、三人の男たちは同意見のようだ。

「よし、俺は恋愛関係においてリア充ではない。これは決定でいいな?」
「異議なし!」
「異議なし!」

最後に台が問い、決定された。
489幸せ撲滅運動解散編? ◆G9YgWqpN7Y :2009/11/07(土) 10:31:09 ID:eIjF7iw6

続けて台は言う。
「最後に省だが……アーチェリー部の部長だっけか?」
「そう見えったっすかねぇ?」

疑問形だが、若干嬉しそうな声を出す省。
はっきりいってきもい。

だが、そんな省を尻目に台は断言する。

「……あれに限ってそれはないな」
「どどど、どうしてっすか!!」

言葉に動揺が出ている省に対し、台は諭すように話しかける。

「あれは大のファザコンでな……まったくもって目はないぞ。
 将来の夢は? と聞かれて即"お父さんのお嫁さん! むしろ今すぐなりたい!"
 とか答えるレベルだぞ! あの年齢でだぞ!! 無理だ! 諦めろ!!!」

後半やや過熱気味に話した台だったが、額に浮かんだ汗をぬぐうと、告げる。

「よって、省もリア充ではない。いいか?」
「異議はない」
「やっぱりこういう扱いっすか……異議ないっす」

台はそれぞれの名前に×○×と書き、告げる。

「これで決まった。1:2の多数決で俺たちはリア充ではないことが証明された。
 よって引き続きカップル撲滅運動を続けることにする。いいな!」

「おう!」
「了解っす!」

三人の意志は固まった。再び三人は立ち上がる。
カップル撲滅という難題に挑むために……



そう、三人の戦いはこれからだ!!



終わり。
490幸せ撲滅運動解散編? ◆G9YgWqpN7Y :2009/11/07(土) 10:31:58 ID:eIjF7iw6
投下終了です。

今回は実際行っているカップル撲滅運動の一部をちょっとだけ。
後半の理屈は書いてる本人もよく分かってませんw
491創る名無しに見る名無し:2009/11/07(土) 12:21:32 ID:l11SO6/8
ついに禁断のツッコミが入ってしまったかw
492創る名無しに見る名無し:2009/11/07(土) 17:40:09 ID:mKnVluJt
それでいいのかw
三分の一以上確実にリア充だし。那賀の処分とか。

さりげに今回の話で明らかになったこと・具体的になったことは多いと思うの。
というか、そのまま読者の反応への回答編って感じが。

ファザコンは家では母親と鞘当てしてんのかな。それは愉快・・・もとい複雑そうなご家庭だ。
493学園イベントがおこるのですか? ◆G9YgWqpN7Y :2009/11/23(月) 00:10:51 ID:8koQ+frF
投下します。短いですが。
494学園イベントがおこるのですか? ◆G9YgWqpN7Y :2009/11/23(月) 00:13:37 ID:8koQ+frF

学園の北東方向にある図書館。
その全7階を誇る広い建物には様々な書物が収められている。
小、中、高と一貫教育を行っている学園であるからして、
当然の如くその蔵書量も膨大になっていた。

その建物の1階、そこの置かれている机に一人の少女が歴史書を読んでいる。
軽くウェーブのかかったブロンドの髪は腰まで流れている。
蒼い目は黙ってその手に持った本のページをめくる。
その動作がなければ人形を置いているといわれて思わず納得してしまう。
そんなどこか人形じみた美しさを持つ少女だった。

その少女はふと、気配を感じ目を本から話す。
ちょうど図書館の入口からもう一人の少女が入ってくるところだった。
その少女はまっすぐ本を読む少女へと向かい、反対の机にどっかりと座った。
その少女は口を開く。

「やあアリス、相変わらずそんなもの読んでるな。よく飽きないな」
「部活お疲れ様、魅紗。本は面白いもの。飽きないのは当たり前よ」

先ほど図書館に入ってきた、魅紗と呼ばれた少女は男言葉で言う。
人形のような、本を読み続けていた、アリスと呼ばれた少女は薄く微笑むとそう返す。
アリスは手に持った本を閉じる。今日はこれで終わりのようだ。
魅紗はアリスに向けて話しかける。

「いきなりで悪いが、あの件はどうだった? 本当のことか?」
「パパに確認してみたけど、半々かな……。いつもの通り、学園長の思いつきだから」
「うーん、難しい所みたいだね。でも商品の学食2か月分無料券は魅力的だからやって欲しいな」

彼女達が話す"あの事"、詳細は不明だが何やら学園全体でイベントを行う予定という話だった。
この学園、学園長の思いつきで時々イベントを行う習慣がある。
参加自由であるが賞品まで用意するため、生徒の参加率は意外とよい。
たまに参加率が悪くてイベントが中止になったりすることもあるが。

魅紗はそのイベントの噂を聞き、某教師の娘であるアリスに詳細を聞きに来たというわけだった。
アリスと某教師とのつながりは秘密だったりするが、魅紗は知っている例外だったりする。
その二人の話は続く。

「それで今回のイベントってなんだっけ?」
「簡単に言うと鬼ごっこ。詳しいルールはまだ決まってないけど、
 とりあえず1時間逃げ切れば勝ちみたいよ」
「ふーん。なるほど簡単そうだ」

二人は帰り支度をしながら話し続ける。

「いつやるのか?」
「さあ……? こればかりは人が集まらないとね」
「今回はどうなるか……前回見たいに取りやめにならなければいいが」
「そうね。賞品欲しいし。食費が浮くのはうれしいわよね」

そう言って、二人は帰る。
もうすぐ、図書館も終わるようだった。

続く?
495学園イベントがおこるのですか? ◆G9YgWqpN7Y :2009/11/23(月) 00:18:14 ID:8koQ+frF
新キャラ紹介

真田アリス

普通科の三年生。
真田ウェルチの双子の妹で真田基次郎の娘でもある。親子関係は基本秘密であるが。
容姿はウェーブがかかった金髪。
蒼い目、フランス人形のような美貌を誇るいかにも人形のような美人。
双子のためか容姿はウェルチにそっくりです。ついでにファザコンなのも変わりません。


今回は投下終了です
今回は避難所でちょこっと話してた、学園全体のイベントを起こす予定ありってことの予告だけですー。
ただ今参加者募集中です。
なので今回はSS自体には特にネタがないw
新キャラの掘り下げは後にすることにします。
496創る名無しに見る名無し:2009/11/23(月) 01:10:47 ID:hvCKj13i
てめぇらそんなに金髪が! パパ大好きな娘が欲しいかァ!?
そういう腐廉恥な奴がいるからこの世界はーっ!!

それはそれとして、鬼ごっこ・・・するかい?
497 ◆46YdzwwxxU :2009/11/23(月) 18:53:55 ID:5tRdnlTs
投下するよ。
投下直後で悪いけど投下するよ。


498先輩とアルミサッシ ◆46YdzwwxxU :2009/11/23(月) 18:55:36 ID:5tRdnlTs

 あれは確か、オーストラリアの小説だっただろうか。
 憧れの田舎暮らしを始めた都会育ちの女が、結局は虫との戦いにうんざりして逃げ帰った、なんて物語を読ん
だ覚えがある。

(まあ、そうなるだろうな)

 俺は小さな手箒を操り、堆積する土と埃と昆虫の死骸を、区別なく窓枠の外に弾き飛ばした。下に誰もいない
ことは確認済みだ。さすがに風に流される分には責任を負うつもりはない。
 干からびたクモはもう糸を吐かないし、砕かれたトンボの翅はもはや空気を叩かない。甲虫らの纏う金属光沢
くらいのものだ、命あるころと変わらないのは。……そんなことはどうでもいいんだよ。それより取り敢えず何
年間掃除していないのかだけが気になった。マンモス校だけに、なかなかこういうところまでは手が回らないの
かもしれない。
 あらゆる塵が風に煽られて吹き飛んでいく。幾らかは舞い戻って、何の恨みがあるのか俺の顔面を逆襲したり
もする。マスクをせしめてくればよかった。ぺっ、ぺっ!
 気を取り直して携行武器を換装。手箒から雑巾へ。
 初めはいい塩梅に灰色だったのに、既に真っ黒もいいとこだ。これで拭いたらむしろ余計にひどくなりそうに
思える。こっちのは揉み洗い程度では薄くもならない。
 ちょうど指と同じ幅のある溝に布地を押し込み、強めに力を籠めて前後させる。一体化したような土汚れには
歯が立たない。水気が足りない。

(絞りすぎたか)

 溜め息を吐き掛けて、止めた。癖になるといかんからな。
 洗ってきたばかりで、バケツに戻すのは面倒臭い。今回は、ごり押しすることにしよう。
 馬鹿みたいに擦りまくっていると、次第にアルミ形材独特のくすんだ銀色が顔を覗かせるようになる。一時的
に手触りに取っ掛かりが増えてから、すぐに滑らかに変わった。
 隅に隅にと逃げ込んだ汚れを浚って、ここは完了。手を抜けないのは性格か。おかげで作業も遅々として進み
やしない。
 何か飲み物でも啜って一息入れたいが、それより気分が悪かった。昆虫の死骸というものは、どこか金物のよ
うな、妙に鼻につく臭いがする。

「やってらんねえ」

 これで本職の美化委員がサボっていやがるようなことがあったら、チェーンソーをブイブイいわせて覆面の殺
人鬼と化すところだが、あいにくあの潔癖症どもも今日は晴天の下で草むしりに精を出している。はずだ。俺ほ
ど孤独な作業でないところだけがムカツクが。
499先輩とアルミサッシ ◆46YdzwwxxU :2009/11/23(月) 18:57:33 ID:5tRdnlTs
 何とはなしに窓の外を見やる。そう赤くはない春の夕陽。遠く青春っぽいグラウンドから青春っぽい運動部ど
もの発する青春っぽい声や音が響く。
 放課後だった。
 いつもストーカーまがいのアプローチを仕掛けてくる後輩が家庭の事情で早退し、幽霊部員業界期待の新星で
あるところの俺は、今日は久し振りに自分だけの時間が持てるはずだったのだが。
 俺は今、特別教室を回って窓の桟を掃除している。
 もう小一時間、アルミサッシの汚れと格闘している。
 何故か? 俺が聞きたいわ。
 いいや、答えは分かっている。
 俺がノーといえる日本人であったなら、今頃は行きつけの本屋を冷かしていたかもしれないし、喫茶店で馴染
みのウエイトレスと二、三言交わしていたかもしれない。
 しかし俺は、済まなさそうな顔をして頼まれると、どうにも断れないたちらしい。損といえば損な性分。最近
になってやっと自覚が出てきた。
 今回もそうだ。尊敬しないでもない教諭からどうしてもと。

『おお、先輩くん。センセーお願いがあるんだけどー』
『その呼び方止めてください』

 ……こういうことは、実は割とよくある。
 たとえば数百部の冊子を延々と綴じ込み器で挟んでは留める作業であるとか。
 たとえば社会科資料室の最奥に隠されたというこの世に稀なる秘宝の探索であるとか。
 あるいは神社の境内における落ち葉のことごとくの一掃であるとか。

(いや、最後のは関係ない)

 全然ない。
 とにかく、これは悪さをした罰などではない。これだけは声を大にしていいたい。
 自分でいうのもナンだが、どちらかといえば俺は模範的な優等生で通っている。教職員からの覚えだって悪く
はない。……それでいい思いをしたことはないどころか、こうやって便利屋扱いされているわけだが。
 これは誇るべきなのか嫌がるべきなのか。

(まあ、引き受けておいて愚痴るのも、みっともないか)

 自分達のまなびやでもあるわけだしな、などと殊勝に考えて、俺は次の窓を開く。
 舞い上がる埃、土の膜、ギンハエの胸と腹、乾ききった鳥の糞。そういうものにも、だんだん見慣れてきた。
 俺はもう一回、Yシャツの袖を捲くる。塵まじりの風だろうが涼しいことに変わりはない。
 指定区域のひと通りを綺麗にし終えるまでには、果たして幾日ほど掛かるのだろうか。そういう途方もないこ
とは、努めて気にしないように。
 かの道路掃除夫ベッポの言葉を呟く。

「次の一歩のことだけ、次の呼吸のことだけ、次のひとはきのことだけを考えるんだ」

 せっかくのおしごと、楽しむくらいの気分でいこう。



 終わり
500 ◆46YdzwwxxU :2009/11/23(月) 19:00:08 ID:5tRdnlTs
以上。

先輩と後輩より“先輩”。
もろもろ放ってリハビリがてら書いたら、なんか変な雰囲気になっちゃったですよ・・・
実は相当な暇人なのかもしれない先輩(単体)の日常。
これではさすがにクロスさせようがなかった。
センセーは汎用ってことでひとつどうか。

>>495
おのれ真田(父)!! くそ、どいつもこいつもッ。歪んでる、この学園は歪んでるよ!
イベントはまあ、焦らず進めていくとして・・・開催にこぎつけるのは結構大変そうだ。
501創る名無しに見る名無し:2009/11/23(月) 20:57:58 ID:8koQ+frF
>>498-499
投下GJです! 

先輩、ほんと頼まれると断れない性格だなあ。辛抱強いし何だかんだで楽しんでそうだし。
割とよくあることの最後はセンセーじゃなくて巫女の仕業かw
それにしても情景描写うまいなあ。読んでて作業風景がすぐに浮かんできたよ。

イベントはあせらずゆっくり時間ができたらってことで。時間ある時に避難所で確認しつつ。
しばらくは通常営業でいっていいよね?
502Mohikan meets girl 1話目 ◆G9YgWqpN7Y :2009/12/03(木) 21:25:22 ID:g0LDeSWF
投下します。
503Mohikan meets girl 1話目 ◆G9YgWqpN7Y :2009/12/03(木) 21:26:23 ID:g0LDeSWF

これは少しだけ昔のお話。


中型那賀はもう少しで3年になる春間近のある日、学校帰りの空を見上げる。
赤く染まった空が目に入り、那賀は目を細めた。

「なに感傷的になっているんだ。俺は……」

軽く頭を振り、那賀は一人歩く。

一組のカップルを見かけたときから彼はこの調子だった。
普段の彼ならあっさり因縁をつけに行っただろう。
しかし、彼がみた女性はかつて憧れた一才年上の女性だった。
その女性が見知らぬ男性と楽しそうに歩いてる。
那賀の目から見ても、それは幸せなカップルそのものだった。

吹っ切れたはずの心に震えが走り、彼は踵を返すと方向転換し、今の道を歩いている。

――そして、冒頭に戻る。

那賀は唇の端を僅かに歪め、息を吐いた。

「っち、全く俺は……いつまでたっても女々しいよな」

その女性に初めて会ったのは幼稚園の時だった。
よくいじめられて泣いていた俺を助けてくれたのが彼女だった。
そのまま同じ小学校に通い、年上でも近所が近いということもありよく遊んだ。
その時の那賀の心にあったのは始めは純粋な尊敬だった。
しかし、時が過ぎ、中学生になる頃には尊敬の心が恋心へと変わっていた。

しかし、そのころの那賀にはその思いを告げる勇気はなく。
女性が高校に入ることによって会う回数自体が激減し、そのまま自然消滅した。

那賀にあった幼い恋のあっけない終わりだった。

それは、実によくある話。

しかし、昇華されない思いは燻り続け、那賀の中でその思いは一種の聖域と化してしまっていた。
その思いが歪んで歪んで歪み切り、那賀をカップル狩りに走らせているが、本人はそのことに気づいていない。


――その那賀の中で知らず神聖視してしまった女性が、彼氏と思われる男性と仲良く歩いている。

その光景を見て、那賀はいつものように因縁つけるのも忘れ、逃げだした。
504Mohikan meets girl 1話目 ◆G9YgWqpN7Y :2009/12/03(木) 21:27:16 ID:g0LDeSWF

那賀は再び視線を地面に落とし、たそがれるように歩いている。
寄り添う影すらも元気がなく見えるくらい陰気だった。

ふと視界に影が増えたことに気づき、顔をあげる。
そこには見知った顔が一つあった。

「なんだ、台か」
「どうした? なんだか暗いな、おい」

台は苦笑しながら那賀に近づく。那賀も苦笑し、しかし歩みは止めない。

「分かってるさ。なに、ちょっとした古傷が痛んだのさ」
「そうか」

台はそのまま何も言わず、一緒に歩いている。
その台に那賀はわずかな苛立ちを感じる。

「っち、相変わらず何でもお見通し見たいな顔しやがって」
「何、なんでもお見通しだから仕方ないだろう」
「……けっ!」

那賀は悪態を吐くが、それ以上は何も言わず歩く。
実際そうなのだろう。台の人を見る目は神がかり的な物があった。
本人は、これを鍛えたからと言っているが、実際は天性だと那賀は思う。

「まったく、お前のように人を見る目があればまた違う人生もあったかもな」

――そうすれば、あの女性の気持ちもわかったかもしれないのに。

その気持ちを込め、ぼやくように言う那賀に対し、台は再び苦笑する。

「なに、これはこれで大変だぞ。必要以上に分かってしまうのも困りものだ」

半分は独り言のような口調で呟き、台は歩く。

「? おい、それはどういう……?」
「さて、では那賀の正式な失恋記念と言うことで、ラーメンでも食いに行くか」
「……おう、お代は台が持てよ」

台の言葉に違和感を感じ、那賀は疑問の声をあげようとするが途中で台は遮るように言葉を続ける。
那賀は台の雰囲気に疑問を飲み込み、頷く。

二人は近くの 早い、安い、まずいの三拍子そろったラーメン屋に連れ立って行く。

騒ぎ、笑い、怒鳴り、怒り、殴り合い、那賀にあった、今まで引きずっていた気持ちを昇華していく。

今やっと、ようやく完全な失恋ができた。
台と別れ、一人帰る那賀はそう感じていた。
505Mohikan meets girl 1話目 ◆G9YgWqpN7Y :2009/12/03(木) 21:28:07 ID:g0LDeSWF

その帰り道、那賀は街頭の照らす道の脇にある影に一組の男女がいることに気づいた。

那賀は普段なら気にもせず通り過ぎただろう。
それは別れ話をする雰囲気を持った男女だったから。

しかし、少し感傷的になっていた那賀はふと眼を向ける。
そこには男が殴ろうとしてる瞬間だった。

男の拳が振るわれ、女が崩れ落ちる。

その男はひきつった表情のままさらに蹴りを加えようとし、

――半回転するように転がった。

状況に気づいた那賀はとっさの判断で駆け出し、
その勢いのまま男の軸足を蹴り飛ばしていた。

「な! なんだてめ――!」

怒りで我を忘れかけた男は、しかし、那賀の姿を見て凍りつくように黙り込む。

一昔前の不良の服装、髪型はモヒカン。
どう見ても悪物そのものの姿に男は言葉を飲み込む。
その男に対し、那賀は一言告げる。

「失せろ」

その低く、唸るような声色に男は震え、慌てて逃げ出す。


後には那賀と女が残された。


続く。
506Mohikan meets girl 1話目 ◆G9YgWqpN7Y :2009/12/03(木) 21:28:59 ID:g0LDeSWF

投下終了です。

ちょっといつもと違う雰囲気の話を書きたくなったので那賀編入ります。2〜4話くらいで終わる予定。
多分大里巧を借りると思うのでよろしくお願いします。
507創る名無しに見る名無し:2009/12/03(木) 22:01:33 ID:1/jMEvoo
那賀格好いいよ那賀
508創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 23:40:06 ID:zkkVJ+ME
男の友情って感じだ。
そして古き良きボーイミーツガール。切ない未来しか予想できないけど。
509 ◆JOjO5CPwM2 :2009/12/09(水) 21:21:00 ID:JkB5cM3b
投下します。
今回は牧原さん、名前だけだけど真田てんてー貸してもらいました。

510 ◆JOjO5CPwM2 :2009/12/09(水) 21:22:19 ID:JkB5cM3b
朝。
学校に来たら大体の人間が『よ〜し、今日もアタシ、頑張るわよ!』なんて思うであろう。
が、しかし。今日の俺はというと…その…
きつい。
身体中が軋む様に痛い。
寝違いとかのレベルじゃない。
そもそも、寝違いだけでこうなるだろうか?普通、ならない。なったとしても首の痛みが増すだけだよ馬鹿野郎。

「ゆーいーちろー?どーしたのよそんな暗い顔して」
「…暗いんじゃない、痛いんだよ馬鹿…」

そんな俺に話し掛けてきたのがこの鷲ヶ谷和穂である。
今まで話してきた通りの奴なので説明は省くが…元気の塊みたいな奴だ。
…おそらくこの状況ならば…間違いなく初めてパズルをする子供のピースの様に噛み合わない会話が展開されるであろう。

「何処が痛いの?」
「全身だ。昨日何かした訳じゃないし、筋肉痛とは考えられないんだが…」
「じゃあ昨日の夜、誘拐されて改造されたとかかな?」
「何処の仮面ライダー1号だ」

さぁ、早速始まりましたよ言葉のドッヂボール。
しかしこいつと会ってから俺、突っ込み増えたな。
昔はたまにボケたのに。

「そういえば仮面ライダーってさ、前楽器で戦う奴あったじゃん」
「響鬼か?」
「そう!それそれぇ!ボクさぁ!それが大好きで大好きで…」
「意外だな、お前が特撮好きなんて」

言葉通り、意外だ。こいつは子供は風の子を体で表す奴かと思ってたんだが、まさか特撮を見てるなんてな。
しかし流石にキカイダーとかライオン丸は知らんだろう。一応もう片方の。
まぁ世代的にはビーストウォーズは知ってるだろうが、別にその話は置いておこう。

511 ◆JOjO5CPwM2 :2009/12/09(水) 21:30:43 ID:JkB5cM3b
「そういや、なんでお前知ってんだ?響鬼とかそういうの」

痛い体に鞭打って俺は首を机から和穂へと移す。ああマジいてぇ。

「いやさぁ、妹が特撮好きで…ボクそれしか知らないんだけど、面白くてさ」
「それしか知らないのか…って妹ォ!?おま、妹いんのか!?」
「え、話してなかったけ?『かなえ』っていう妹が居るんだよ?実は」

…し、知らなかった。痛み吹っ飛んだぞこの野郎…
しかし、かなえか。また普通な名前だが、こいつの妹だ。瓜二つなんだろう。
…うわぁ。めんどくせぇ。

「あ、普通の名前じゃないし、瓜二つでもないよかなえは」
「心を勝手に読むんじゃねぇ!」
「ごめんごめん。んで、かなえはね…」

そう言うと和穂は『歴史』と書かれたノートを取り出し、後ろらへんのページを綺麗に破ると、何処からともなく出てきたボールペンで書き始める。

「えっと…確か、これかな?」

そこに書かれていた字は『県』。
これでかなえなんてのはあり得ない。こいつ、間違ったのか?

「あっ!違う!これじゃないよかなえの字は!」
「…」

…当たった様だ。
そうすると和穂は『県』の直角になってる所を反転させた様な直角をまた書く。
…やめろ。自信満々でこっち見るな。言いづらくなるだろう。これ、『鼎』なんだろ?な?分かるんだよ和穂。
でもこれじゃハングル文字みたいになってんぞお前。新しい文字が生まれた!わーいってなるか?ならないよ普通に考えて。
…あぁ、言えん。俺には無理だ…

キーンコーンカーンコーン…

「あ、チャイムだ…一時限目なんだっけ?雄一郎」

ゔお゙お゙お゙お゙お゙!チャイムよくやった!ナイスタイミング!これは国民栄誉賞、いやノーベルさんからの贈り物貰っても良いくらいだぞお前ェェェェ!

「え?あ、あぁ。確か美術だった気がしないでもないな」
「断言してよ!まぁ良いけど」

い、良いのか…?
けど、この高ぶった感情を早く押さえ、今すぐ準備をしなくては。

512 ◆JOjO5CPwM2 :2009/12/09(水) 21:31:53 ID:JkB5cM3b
「確か…色鉛筆がここに…」

そう言って今日課題で使う色鉛筆を、俺は机の奥から取り出したはずだったのだが。

「あれ?」

無い。机の中を眺めてみても、色鉛筆が無い。
あ、これ若干不味いかも分からんね。
いや…一応聞いてみるか…

「わ、鷲ヶ谷さーん…?あの…色鉛筆貸してくれませんかねー?」
「え、良いよ?別に」

なんかあっさりだなオイ。まぁ別に良いが。

「じゃ、じゃあ美術の時に使わせて―――」
「でもボク残念ながら赤と青と緑しか持ってきてないんだよね」
「三原色!?おま、それ無理ってレベルじゃないぞ!」

…いかん、まだ体が痛いせいで三原色とか訳分からん突っ込みしちまった…って、そういう問題じゃない訳だが…どうすっか。
…とりま(とりあえずまぁ)、こういうのが良策だろう。

「和穂、先に行っててくれ。なんとかする」
「なんとかするって…どうやって?」
「話す事より始めようって誰かが行ってたからな…そういう訳だ。和穂」
「むぅ…」

和穂は若干不服そうながらも頷くと、三本の色鉛筆を持ち、扉へと向かう。

「じゃ、そういうなら頑張ってね雄一郎。あんま無理したら…ボク怒るからね」
(漫画だったらそれ俺に死ねって言ってるもんだし、笑顔で言うな。逆にこえぇよ)

そう思う俺を尻目に、逃げる様に教室を出ていく和穂を、痛みと呆然となり、椅子から立つ事もない俺。

教室内に残ったのはおそらく俺だけであろう。
どうする。どうすれば良いんだ俺。

「助けてくれー…誰かぁ…」

神にすがる思いで、そんなのあるはず無いと分かっているのに、俺は呟いた。
神様仏様稲尾様。どうか俺に奇跡を下さい。
くれたら俺、なんでもするから。

「…まぁ、奇跡なんてそんな簡単には起こらんよなぁ…」

はぁ、と溜息をつく。
体全身の痛みが更に増した様に感じた。
精神効果って凄いんだな。

「…はは、まぁ良い…先生に謝りに行くか…」

こうなったら半ば暴挙だ。
513創る名無しに見る名無し:2009/12/09(水) 21:33:25 ID:JkB5cM3b

俺は更に痛くなった体に鞭を打ち、椅子から立ち上がると、小さい歩調で歩き始めたその時だった。

「確か…小鳥遊さんだっけ」
「?」

声が聞こえた。
そしてその声が聞こえた方を見ると、髪が曲線の様に滑らかで、顔は整っており、どちらかというと中性的、というフレーズがぴったりであろう男が立っており、にこやかな表情とともにこちらを見ていた。

「牧村…拓人だっけか、確か。何だ?」

恐らく記憶によるとこいつは牧村拓人。
普段は地味でおとなしいが、紳士的というか親切というか。そんな部分が伺える奴だ。
だからその為か、こいつと話すのはあんま無いんだが。

「なんか困ってるみたいだったからね…僕でよければ力を貸すけど」
「あー…それは嬉しいんだが、その…あの…」
「別に普段話さないから、とかそんなもの関係無いよ。困った時はお互い様っていうしね」

俺の顔はポーカーフェイスじゃないんだろうな。ギャンブル漫画とかだったら絶対すぐやられるタイプなんだろう。多分。

「えーと…じゃあ…色鉛筆って持ってないか?」
「8色ならあるけど…はい」

有り難いです牧村様。いや、冗談抜きで。
お前女だったらマジで惚れてるよ今頃。

「す、すまん。恩に着る」

俺はそう言うと、拓人から貰った8色色鉛筆を受け取る。
最近買ったらしいのか、はたまたあまり使ってないのか、少し小さくなっていた以外は普通、使いやすい部類に入るんだろう。

「つーか、お前はどうすんだ拓人?」
「あ…僕はこれがあるから大丈夫」

そう言っておそらく使い込んでいるのだろうか、紙に近い材質で出来たケースは、既にボロボロで、所々セロハンテープで補強を行っていたり、色鉛筆は全て均等に無くなり、もう子供の小指程に小さくなっていた。

「…おい、それ」

つい指を指してしまう俺。
指を指された側の拓人はあはは、と自分に呆れた様な笑いをした後に返事を返してくれた。

「え?いや、実はこれ小学…六年くらいから使ってる物なんだけどね。愛着が出来ちゃって。修理か補修か分かんない様な事してたらこうなっただけ」
「…じゃあ、これは?」

俺は指差していた人差し指を持っている新品同然の色鉛筆へと移す。
拓人はすぐに「それは母さんに言われて買っただけ」と俺に言う。
514 ◆JOjO5CPwM2 :2009/12/09(水) 21:35:20 ID:JkB5cM3b
「…あ、不味いよ小鳥遊さん。そろそろ美術が始まる!」

いきなり言われて俺は教室に目をやる。
時間が残り一分を切っている。
これは流石に行かなくちゃならんか。

「あ…拓人。すまんな。お前まで巻き添え食らわせた」

ばつの悪い顔をしながら俺は拓人に返す。
拓人は「いいよいいよ」と気を遣ってくれた。良い奴だコイツ。

「あ…そうだ、小鳥遊さん」
「さん付けやめい。呼び捨てか、それに近いのに」
「え…じゃあ、小鳥遊くん先、行くよ?」

久々に名字で呼ばれたな俺。

「あいよ。俺も行くわ」

―――まぁ良いや。
今はこの足を急かすのが先決だからな。
そう思うと俺の足は早く動き始める。
ただ、美術室に向かって、その足は向かっていた。

515 ◆48CI6tENdQ :2009/12/09(水) 21:36:24 ID:JkB5cM3b
おまけ
名字シリーズ第2弾
存在する漫画・ラノベっぽい名字読めるか否か
白龍院
豊扇花
雨ノ宮
久多良木
天瑞山
十六夜
寒郡
諸葛(しょかつ以外で)
亜厂
月見里(つきみさと以外で)
金刃
力嵐
下らへんのは多分無理。

あとキャラ書く時に名字に困ったならここを
つwww2s.biglobe.ne.jp/~suzakihp/address31.cgi
自分の好きな漢字や読み方入れるだけで出てくるから便利ですよ〜w
516創る名無しに見る名無し:2009/12/09(水) 21:46:00 ID:9OEb8ilh
拓人イケメンすぐるw
あと和穂さんは妹の名前の字くらい覚えてあげようぜw
517創る名無しに見る名無し:2009/12/09(水) 21:55:36 ID:5S4R/75Q
県ってwww
なんか異常にツッコミが上達しててフイタ
518 ◆JOjO5CPwM2 :2009/12/10(木) 16:02:30 ID:Xs+AK3cU
あ、タイトルは「実は響鬼よりも初代が好きなんだ、俺」で。
519Mohikan meets girl 2話目 ◆G9YgWqpN7Y :2009/12/13(日) 16:12:28 ID:KBcWiwB8
投下します。
520Mohikan meets girl 2話目 ◆G9YgWqpN7Y :2009/12/13(日) 16:17:22 ID:KBcWiwB8
「どうしてこうなった……」

那賀は頭を抱えつつ唸るように言う。
目の前にはあの路地裏で殴られていたはずの女が、パフェを頬張りつつ目の前に座っていた。

ここは深夜のファミレス。
そこにはモヒカン男と綺麗な女性が同じ席に座り、
同じジャンボパフェを食べるという一種異様な光景があった。

「にゃにはたまかかえへるのひょー。おれいなんひゃからたひぇなひゃいー」
「口一杯にしたまま喋るな。ていうかなんであんたはそんなに元気なんだ」

目の前の女は、ついさっき殴られて転がっていたと思えないくらい元気だった。

肩で切り揃えられたセミロングの黒髪。二重のパッチリとした目。
口元は目の前のジャンボパフェの前で満面の笑みを作っている。
制服から同じ学園の生徒、おそらく三年だろうと推測する。
あかぬけた女性で、モデルをやっているといわれても思わず納得する程の容姿だった。

そんな美女であったが、額にたんこぶを作りながらジャンボパフェをリスのように目一杯頬張ってる姿は、
なんて言うか、すべてを台無しにしている。

その女性は、口の中の物を飲み込んでから再び口を開く。

「そりゃー、額で受けたからねー。どっちかというと痛かったのあいつの方かも?」

手に持ったスプーンをヒラヒラと振りながら話す女性。
そんな女性に対し那賀は問いかける。
内心俺は何をやっているんだと自問しながらであるが、これもまた成り行きだと思うことにする。

「それよりなんであんなことになってたんだ? 何が原因だ?」
「別れ話」

その問いに女性はあっさりと簡潔に答えた。

「なるほど」

この女が別れ話を切り出して男が逆上した。そんな所か。
那賀はその一言で納得する。

しかし、女性の言葉には続きがあった。
521Mohikan meets girl 2話目 ◆G9YgWqpN7Y :2009/12/13(日) 16:21:16 ID:KBcWiwB8

「あいつから別れ話切り出されて、私が問い詰めたの。最終的には殴られちゃったけど」
「あー、そうなのか?」

どうやら切り出したのは男の方だったらしい。
那賀は適当に相槌をしつつ、続きを促す。

「やっぱり相手の女の事まで罵ったら怒るわよね。これって自業自得って奴かな?」
「そりゃそうだ」

男としては自分の事なら何を言われようとも我慢できた。
しかし、新しい彼女へと矛先が向き、我慢しきれなくなったということらしい。

「言う方も言う方だが、怒る方も怒る方だ。ま、どっちもどっちだな」
「……うん、そうよね。今は言い過ぎたと反省してるけど」

後半はほとんど呟きになって、那賀としてもかろうじて聞き取れた程度だった。
しかし、那賀には特に何をいえることなどない。慰める必要もないと判断していた。

「ふう。別に助ける必要はなかったな……」
「本人目の前にしてそんなこと言わないでよ」

那賀の軽口に女性は苦笑して答える。

「はいはい。そうか」

その様子を見て女性の心の中で整理がついていることを確認した。
もう一人にしても大丈夫だろう。
そして那賀はあっさり立ち上がると、突然の行動に驚いた女性に言った。

「じゃ、ごっそさん。俺はもう行くぞ。いい加減かえらねぇと明日がきついからな」
「そんな格好してるのに意外と規則正しいのね。わかったわよ」

那賀の言葉に女性は軽く溜息を吐くと、会計を済ますために立ち上がる。
女性は会計を済ませ、そのまま二人は一緒に外に出た。

外はまだ寒い。さっさと帰らないと風邪ひきそうだな。
那賀はそう思い、女性のことを気にすることもなくそのまま進む。
もう関わり合うこともないだろう。女性は今年三年である以上もうすぐ卒業だ。
そうなったらカップル撲滅運動の対象からも外れる。

「あ……」

女性が何か言おうとしているのはわかったが、那賀は無視してそのまま帰って行った。



「あ、そういやあの女の名前も聞かなかったな」

那賀がそのことに気づいたのは家に帰った後だった。
522Mohikan meets girl 2話目 ◆G9YgWqpN7Y :2009/12/13(日) 16:23:02 ID:KBcWiwB8

○        ○       ○




「畜生……舐めやがって……」

一人の男が電柱の陰に隠れるようにして、二人がファミレスから出てくる所を見ていた。
絞り出すように悪態を吐く。

「つまりこの俺よりあの不良を選んだってことだよなぁ」

目の前で見た光景を男はそう解釈する。
見た目はそれほど悪くない男だった。
しかし、今の表情はひどく歪んでいて、一種近寄りがたい印象を与えていた。

男は女に一度振られていた。女に彼氏ができてもまだ追っていた。
女が男と別れ、チャンスが来たと思っていた。

しかし、目の前に新たな男が女といっしょにいた。
それも見た目あまり近寄りたくないタイプの男と。
彼の歪んだ愛は、その瞬間はっきりとした憎悪に変わっていた。

「あんな、どうでもいいような男とは食事を食べて、俺を振るなんてなぁ」

端正な顔立ちの男は顔をさらに歪める。
手はブルブルと震え、足に力が入りすぎ、踏みつぶした小枝が粉々になっていた。

「ああ……もういい。この手に入らないなら……壊すだけだ……」

おもむろにポケットから紙を取り出す。
男はそこに書かれた電話番号にかけ始める。

「ああ……俺だ……」
『――――』
「いいぞ……女の方は好きにしていい。男の方は……」
『――――』
「頼んだぞ」

「地奈……俺を振った罰は……受けてもらうぞ……」

男は呟く。歪んだ表情は、陰気で、矮小で、不気味だった。





○        ○       ○
523Mohikan meets girl 2話目 ◆G9YgWqpN7Y :2009/12/13(日) 16:25:31 ID:KBcWiwB8


次の日の夕方、那賀は一人でいた。
そこは学校の屋上で、双眼鏡を持ってグラウンドを眺めている。
その表情は真剣そのもの。覗きと思われて当然の挙動をしている。
その那賀がしていることは、

「……この卒業まであと少しということで、カップル候補共の動きが活発になっているな」

那賀はメモ帳を取り出し書き始める。
結局やっていることはいつもの情報収集だった。

「あそこに二人……あれは後一週間くらいで成立するな……。
 む……あれは一級危険人物……いよいよ乗り込むべきか」

ぶつぶつ呟きながら眺め続けているその姿は、はっきり行って不気味だった。


そこへ、那賀のいる屋上に数人の影が現れる。

全員がナイフを手に持ち、呟き続ける那賀へとゆっくり近づいていく。
那賀が気づく様子は見えない。


その影は、那賀のすぐそばまでやってくる。
そのまま音もなく、ナイフを振り上げ那賀の背に向けて振り下ろす。


そして、人が倒れる音がした。
524Mohikan meets girl 2話目 ◆G9YgWqpN7Y :2009/12/13(日) 16:28:57 ID:KBcWiwB8

那賀が背後の音と異変に気づき振り返ると、数人の男たちが倒れている状況が見て取れた。
手にはナイフを持っている。
その様子から自分に危害を加えようとしていたことを察する。

「……これ、先公がやったのか?」

しかし問いかけた先は倒れる男たちではなく、その向こう。
黒い塊を両手に持った一人の教師。
その教師は柔和な笑顔を浮かべ、口を開く。

「生徒の危機とあっては、黙って見ているわけにもいかないよ」

その教師に対する印象はおおよそ平凡という表現は相応しいと思えた。
穏やかそうな雰囲気を纏い、優しい教師といってもいいだろう。

しかし、その両手にあったのは射出式のスタンガンだった。
那賀はその持ち物と教師という役職のちぐはぐさに違和感を覚える。



教師は那賀のその表情に気づいたのだろう。笑顔を苦笑に変え、言葉を続ける。

「ああ、これかい? 最近生徒指導のために夜の繁華街にも見回りしているからね。 
 念のための護身用なんだ。こんな物、使わないならそれに越したことはないんだけどね」

そう言って、倒れている男に視線を移し、那賀へと尋ねる。

「しっかし、君は何かしたのか? これまた物騒な……」
「わかんねぇ。色々悪さはしちゃいるが、ここまでされる事をした覚えもない」

那賀は、教師の言葉に続き、答える。
那賀には全く心当たりはない。
その様子に再び教師は唸ると、さらに質問する。

「そうか、それじゃあ、何か変わったことはあったかな?」
「……うーむ。柄にもなく人助けしたことぐらいか?」

変わったことといってもそれ位しかない。
脅して立ち去らせた男という可能性も考えるが、男の方から別れ話をしている以上それもないだろう。

どうやら那賀に理由がわからないようだと教師は納得し、頷く。

「……そうか。なら、この男たちに聞いた方が早いか」

そう言いながら教師は、一人の男を起こす。
その慣れた手つきに那賀は違和感をおぼえるが、
教師が呻きとともに起きた男へ質問を浴びせることで、意識は質問へと向けられすぐに忘れた。

「さて、何が目的かな?」

その時の教師の表情は那賀からは見えなかった。
しかし、男は震えと共にあっさりとしゃべり始める。

「お、俺達は依頼されただけだ! そいつを怪我させろという事と、女を連れて来いと言われただけだ!」
「女とは誰だ?」
「この学園の高等部の3年の女だ! 俺は名前聞いてねぇ。俺はこっち担当だったからな!」

その言葉に那賀は反応する。
525Mohikan meets girl 2話目 ◆G9YgWqpN7Y :2009/12/13(日) 16:32:57 ID:KBcWiwB8

「……もしかして、あの女か?」

昨日助けた女が攫われた? なぜだ?
理由不明の展開に那賀の理解は追いつかない。

しかし、教師は冷静に、男から落ち合い場所を聞き出すと、再びスタンガンで眠らせる。
さらに携帯を取り出しどこかに掛け、話し始めた。

「あ、真田先生ですか? 屋上に悪い子が4人ほど眠っているのでそっちでなんとかして下さい。
 私は、ちょっとこれから野暮用があるのでそっちの方に行きます」

それだけ言うと、教師は携帯を切る。

「さて、それでは行きましょうかね」
「……行くって、どこに?」
「当然、その女生徒を助けにですよ」

何でもないことのように言う教師に那賀は驚く。

「先公、何考えてやがる。まずは警察じゃないのか?!」

那賀の当然の指摘に、教師は穏やかに頷いた。

「ええ、そうですね。しかし、そういうのは真田先生に任せましょう。
 私たちがまず動く方が、すべてを穏便に済ますのに丁度いいのですよ」

そう言って教師は笑う。ここまで来てもそれは穏やかな笑みだった。
そして、その表情にまま、那賀に話す。

「もちろん君のことも頼らせてもらいますからね」
「……何考えてやがる?」

那賀は不審の表情を浮かべる。
しかし教師は取り合わず、さっさと出口に向かう。
その動きに対し、那賀は一瞬の逡巡の後、その教師についていく。

その途中、歩くペースを変えず、教師は口だけを動かした。

「そうそう、私の名前を憶えてますか?」
「……大里 巧」
「ええ、その通り。よく憶えてくれました。
 それと今の作戦の間は教師と生徒ではなく、戦友です。
 私のことは名前で呼んでも構いませんよ?」
「先公で十分だ」
「うーん。それは残念ですね」

そして二人は巧の車に乗り込む。
誘拐された女性を救出する、その目的のため動き出した。





続く。
526Mohikan meets girl 2話目 ◆G9YgWqpN7Y :2009/12/13(日) 16:33:45 ID:KBcWiwB8

次で終わるかなー。
こんな話はこのスレには似合わないかもしれないと考えつつ、投下はやめないのでしたw
うーん、大里 巧をこんな感じのやつにしてよかったのかな? 裏があるのが露骨すぎかもしれません。
527Mohikan meets girl 2話目 ◆G9YgWqpN7Y :2009/12/13(日) 16:34:38 ID:KBcWiwB8
投下終了宣言忘れてた。投下終了です。
528創る名無しに見る名無し:2009/12/15(火) 21:20:04 ID:XX/Y8NjN
ちょw大里先生格好いいwww
529創る名無しに見る名無し:2009/12/22(火) 22:18:37 ID:g7DoyoAV
遅ればせながら投下乙!
しばらく来られなかったのは、大里巧って奴のせいなんだ。

なぜか避難所に書けないからこっちに書くが、
鳥コンビが高/低と両極端なイメージがある以外は特に指定はなかった気がする。

それはそうと住人も増えろ!! 今なら即レギュラーだぜ!?
530創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 00:23:48 ID:1Fo3Y1hE
すっげー今さらなんだけど、>>1にここの専用したらばと専用まとめwikiへのリンクがないことに気がついた
ログの中から探すのたいへんだろうから改めてリンク


2ch規制中のときや、書き手さん同士の打ち合わせはこちら
 私立仁科学園掲示板 http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12930/

今までのおはなしや、設定を確認したいときはこちら
 私立仁科学園まとめ@ ウィキ http://www15.atwiki.jp/nisina/
531創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 01:16:50 ID:0lCZLWoj
GJ!
あと少しこのスレの簡単な歴史を教えると、
>>1が確かスレ立て

順調に進む

議論で詰まる

書き手が減り、そいつらは自分達のSS全削除を命令。決行する。

勿論過疎る

簡単に行くとこんなん。

まぁ、某創発キャラ版パロ●ワで参戦してるし、知名度はあると信じたい。
532創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 01:31:17 ID:qj37vnf2
そんなんあるのか
533創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 01:36:59 ID:QSWsKmH/
他には創発の野望にも参戦してた。こちらは完結済み。
534創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 03:39:16 ID:ovdeOTrx
何だかよく解らないけどこうですか?わかりません!
ttp://loda.jp/mitemite/?id=718.jpg
(ラフです)
535創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 21:52:51 ID:qj37vnf2
まさにっ!

……なんか高校時代の俺にそっくりで心臓が止まった。
536カップルウォッチャーととろ ◇46YdzwwxxU:2009/12/24(木) 23:13:59 ID:5EpmPXIZ
代理投下いきます
537カップルウォッチャーととろ ◇46YdzwwxxU:2009/12/24(木) 23:14:40 ID:5EpmPXIZ
さあ、一晩寝かせた昆虫採集の仕掛けを覗き込む小学生の気分で。
 まずは定番スポットから。
 中庭のベンチ。
 やっかみ混じりの視線も意に介さず、ひたすらいちゃつき倒すバカップルを確認。

(いいなぁ。羨ましいぞ、このっ、このっ!)

 芸術棟三階ベランダ。
 素直になれないばかりになかなか関係が進展しない、初々しくももどかしい恋愛初心者マーク。

(いやぁ青春だねぇ)

 正門前。
 誰彼構わず愛想を振り撒くナンパ男子と、それをすげなく袖に振る女子たちの構図。

(うん、あれは無理。……だから無理だってば身の程と引き際を弁えろさんぴん野郎がー)

 正面玄関。
 赤いはぁとで封をした便箋を手に意中の人の下駄箱をちらちら見ている二年生。……そのすぐそば、入学式か
らウン週間も経たないうちにすっかり有名になった夫婦漫才コンビのボケ役(“後輩ちゃん”)は、ツッコミ役
(“先輩くん”)の上履きに興味津々のご様子。いいのかあれ。いっか。

(もーしょうがないなぁ。……トクベツにあたしが許しちゃおうっ!)

 オペラグラス越しに少年少女たちを温かく見守る女子高生は、晴れ晴れとした笑顔で、いきすぎた愛の為せる
わざを不問とした。こういうとき、彼女は無条件に恋する乙女の味方をすることにしている。犯罪行為ギリギリ
アウト気味なところまでエスカレートしてもキレイに見逃し、ついでにグッと親指を立ててエールなんて送って
みた。向こうからじゃ見えやしないだろうケド。
 覗きに勤しむ少女のリボンはぴんと天を指し、不思議な生き物の耳を思わせた。お腹にたっぷり布地が余るサ
マーベストのために、その体型は今もって女の子の秘密だ。
 仁科学園普通科二年、近森ととろ。摩り下ろした山芋呼ばわりしてしまったうっかり屋の精神的外傷が癒える
兆しはない。
538カップルウォッチャーととろ ◇46YdzwwxxU:2009/12/24(木) 23:15:27 ID:5EpmPXIZ
 彼女は自らを“カップルウォッチャー”であるという。おしゃれにいうなら“野鳥の会の女”であるとも。
 このマンモス学園の恋愛模様について、およそ近森ととろの張り巡らす情報の網から漏れることなどない。
 それだけではない。彼女は足を動かし、目を光らせては怪しい噂の裏をとり、また新しい噂を撒くという。毎
日の昼食代をちょろまかして魔改造を繰り返した愛用のオペラグラスは、ガワこそ安っぽいが中身はカリッカリ
のモンスターだ。
 嗚呼、果たして何が彼女をそこまで駆り立てるのか――。以前、本棚の魔女を気取る三年生から、「カップル
ウォッチングは、恋愛に憶病なキミ自身の代償行為だ」というようなことを指摘されていた。そうかもと思う。

(でもでもっ、仕方ないよね! だってお年頃だもん!)

 そう。これはきっと仕方がないことなのだ。だって、どうしようもなく気になる。
 カップルがいちゃいちゃしているのを見ていると思わずニヤついてしまう。ふんにゃりと蕩けた頬はしばらく
はそのまま。どんなスイーツだって、あの甘やかな幸せを感じさせてはくれまい。
 さらにいうなら目の回るような駆け引きや、不誠実の暴露される修羅場は手に汗握る緊張感。
 また心地よいオトモダチの関係が壊れてしまうことへの恐れ、恥じらい、そして勇気――。恋愛を取り巻く心
の機微はこんなにも美しく、味わい深い。
 自分に累が及ばないだけ余計に、近森ととろにとって他人の恋愛沙汰とはこの上ない“娯楽”といえた。

(まさに恋愛は人生の縮図。壮大なドラーマ……)

 そんなこんなで怖いものなしのデバガメ少女・近森ととろは、今日も見た目オモチャっぽいオペラグラスを片
手に学園を徘徊するのだった。

「でも……」

 カップルウォッチャーは表情を引き締める。彼女の地獄耳には、不穏な情報もまた滑り込んできていた。
 愛の楽園であるべき仁科学園の抱える、いと深き闇。
 妬み。嫉み。僻み。持たざる者の怨念ともいえるか。
 幸せの撲滅を掲げ、カップルを別れさせようと示威行為に及ぶ、度し難き者達がいる。
 それは今時“巨大リーゼント”“中くらいのモヒカン”そして“ちっこいハゲ”のズッコケ三人組であるとい
う。……そんな周回時代遅れなんだか、一度核の炎に包まれた腐りきった時代を先取りしているんだか分からな
いヘアスタイルでモテようというのがそもそも甘くない?と年頃の娘としては思うのだが、それはいうまい。
 とにかく。そいつらは幸せいっぱい夢いっぱいのラブラブカップルを見るや、人のものとも思えぬ奇声を上げ
つつ跳びはね、怪しげな手つきで襲い掛かってくるという。そして獣じみた怪力で愛し合う二人を引き離し、あ
あ、これ以上はいえない……。タイミングが合わず、まだ正確な情報と確かめられたわけではないのだが、噂と
しては概ねそんな感じだった。ひどい話だ。
 愛の戦士たる“カップルウォッチャー”にとっては、まさに目の上のたんこぶ。滅ぶべき悪か。

(人の心の幸せを壊すヤンキー許せない……。見つけたら、ただじゃおかないんだからっ!)

 近森ととろは知らず拳を握り締める。
 カップルウォッチャーとカップル撲滅計画が相まみえる日は、恐らくそう遠くはない。



 つづく
539カップルウォッチャーととろ ◇46YdzwwxxU:2009/12/24(木) 23:16:33 ID:5EpmPXIZ
しゅーりょー。

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
あくまでトトロ視点ということで堪忍してぇ。
許されるなら次で何かしてバトる・・・かも・・・。


--------------------------
以上で代理投下終了です。
540創る名無しに見る名無し:2009/12/28(月) 20:24:48 ID:Q58oPQK3
投下乙です
俺は、近森ととろを応援しますぞ
541カップルウォッチャーととろvs.幸せ撲滅計画(1) ◇46YdzwwxxU:2009/12/30(水) 23:08:47 ID:fqUR6uo7
代理投下いきます
542カップルウォッチャーととろvs.幸せ撲滅計画(1) ◇46YdzwwxxU:2009/12/30(水) 23:09:28 ID:fqUR6uo7

 仁科学園中庭には、幸せが集まる。
 放課後のことである。設えられた真白いベンチや心憩う木陰には、うら若い男女が寄り添い、蜜月の時を過ご
していた。木々の枝葉や、さえずる小鳥さえも、どこか愛を育んでいるよう。
 五、六組のカップルに、表れる距離感はさまざま。座る位置に、表情に、仕草に、視線に、あるいは言葉に。
どれひとつとして同じものはない。それぞれ世界にひとつだけの恋愛模様だ。
 ただし、それらについて、こういうことはできるだろう。
 彼らは今、きっと“幸せ”であろうと――。

「けっ。どいつもこいつも色気づきやがって、ムカツクっス」

 ところで、だ。
 誰かの幸せが常に誰もに祝福されるとは限らない。
 むしろ、慣用句において蜜の味とされるのは専ら他人の不幸のほうである。それが持たざる者、満たされざる
者の抱く感情であるならば、尚更のこと。

「公共の場でいちゃいちゃべたべたと――。人目も憚らず破廉恥行為に及ぶとは許し難い。……もっとも、公共
の場でなくても許し難いがな」
「その場合、何が行われているか闇の中なだけに、より徹底的なヤキ入れが必要っスね」
「いずれにせよ、この学園すべての幸せカップル、シメてやるよ。俺が。……いや。俺達、が」

 薄桃色の空気を引き裂いて、心凍てつかせる敵意、三つ。
 口々に腹の中に渦巻く負の心を露わにする。三白眼で周囲を威圧しながら、地面を踏みにじるように大股で歩
む影は大中小。すなわち大型台、中型那賀、小型省。三人ばかりの不良グループだ。両の手をポケットに捩じ込
み、恐れるものなどないと罷り通る。
 狙い定めた三叉の槍のように、彼らは生け贄を逃がさない。ベンチ。いちゃつくことに夢中で気づくのが遅れ
た一組のカップルの前に立ちはだかる。それは険峻な山脈のように。

「おい」
「ひ……いっ!?」

 ドスの利いた声に震え上がって、見るからに気弱げなその男子生徒はようやく思い出した。
 噂があった。学園に広がる恐怖の噂。
 “幸せの撲滅”を理念として掲げ、カップルを破綻に追い込もうと日々示威活動に励む、度し難き者達。それ
は、何がスタイリッシュか判然としない現代シラケ社会に反骨と、“リーゼント”、“モヒカン”、“ハゲ”と
いったオールドファッションで個性を演出するズッコケ三人組であるという。
 彼らは恋人たちの砂を吐くほど甘いやりとりを耳にするや、擬音として表現することすらできない奇声を上げ
つつ跳びはね、生理的嫌悪感を伴う手つきで襲い掛かってくるのだとか。そして世にも不思議な力で愛し合う二
人を引き離し、ああ、これ以上はとても……。
 あくまでも噂だ。どこまで真実かは不明であることを断っておかなくてはならない。
 しかし、現実に凄まれてみれば、そんな失笑ものの風評は、むしろ生温いとさえ思えるだろう。

「……例えばの話をしよう。なぜ、電車の中で化粧をする女性は非難されるのか? 別段誰かの迷惑になるわけ
ではない、そうだろう。限られた時間を有効に活用できる、いいだろう。だがな、そんなことはするものじゃな
い。なぜなら、それはひとつには“性的”な意味を帯びることだからだ。公衆の面前で全裸になる者がいないの
と同様に、な」

 大柄な不良、大型台は、すらすらと説教じみた言葉を紡いだ。
 髪型と図体に似合わぬ理知的な物言いに、カップルは揃って目を白黒させる。いわんとしていることは、その
活動を考慮すれば何となく分かる。
 見た目は怖いけど意外と話せば分かる人なのかも、などと淡い期待を抱いた次の瞬間、しかし大型台は情け容
赦なく宣言した。

「ゆえに、シメる」

 ――殺戮が、始まる。
543カップルウォッチャーととろvs.幸せ撲滅計画(1) ◇46YdzwwxxU:2009/12/30(水) 23:10:10 ID:fqUR6uo7



 ※

「ま、まさかあいつらが……!?」

 普通科二年近森ととろはそのとき、ちょうど一階渡り廊下の煉瓦塀にひとり身を預けていた。中庭がざっと見
渡せるポイントである。
 彼女には特に付き合っている男子はいない。声も掛けられず終わった小学四年の初恋以来、誰かを好きになっ
たこともなかった。しかし、赤の他人の恋愛には大いに興味がある。
 “カップルウォッチャー”。
 彼女につけられた、もうひとつの名を知る者は決して多くない。男子生徒たちに至っては、伝説となったその
存在すら、どうか。
 それはデバガメだ。情報の網羅とオペラグラスの拡大望遠により、学園内外のあらゆる恋愛行為を観察すると
いう、恋する者の味方。より詩的に形容するのであれば、“野鳥の会の女”か。
 カップルウォッチャー近森ととろは、過度の干渉を控えながらも、他人の恋を惜しみなく応援する。そして少
しだけ幸せをお裾分けしてもらうのだ。
 であるがゆえに彼女は、突如として安寧を脅かす不良三人組に、ぎりりと白い歯を食い縛った。
 噂からではあったが、彼らについては情報を掴んでもいた。
 “幸せ撲滅計画”なる不穏な動き。その恐怖の噂の全貌については先に述べた。女にモテない不良三人組によ
る、迷惑そして無粋極まる武力制裁。誰が便乗したか“幸福殺し−カップルブレイカー−”なる文字列が掌側に
刺繍された怪しげな手袋が一時期購買部で販売されていたことはあまりに有名。
 
「ふざけんなー……」

 近森ととろの口から剣呑な言葉が漏れた。見掛けといい声といい迫力に乏しいが、怒りは本物だ。
 なるほど世の中には理不尽が溢れている。悔しいこともあるだろう、悲しいこともあるだろう。しかしだから
といって、他人の幸せを踏み躙ろうなどと到底許されることではない。
 噂を小耳に挟んだ時から、カップルウォッチャー近森ととろは戦うことを選んでいたのだ。
 しかしどうする?
 “不良”とか“ちんぴら”とかいう人種は、往々にして面子にこだわり、また執念深い。それはつまり、ひと
度でも手を出せば、報復の危険が伴うということを意味していた。おちおちカップルウォッチングもできなくな
るような事態は避けたい。自己犠牲はいつだって最後の手段だ。

(大火力で完膚なきまでにマッサツするか、下手人を特定できないように闇討ちでヤるしかないよね)

 ……どちらも難しい。
 特に三人で連れ立っているというのが厄介だ。事実上、か弱い女の子に正攻法で叩き潰すことは不可能か。乙
女限定で銃刀法改正希望。
 このような場合は何はなくとも闇討ちで各個撃破するのが理想であるのはいうまでもないが、それを検討する
のはまた後だ。今この時に欲しいのは、中庭に蔓延る悪を撃ち滅ぼすだけの力なのだ。

(センセー……ケーサツ……はダメか。ダメだよね。絶対ダメ。何よりそれじゃあ、あたしの怒りが収まらない
もん!)

 よほど腹に据えかねるのか、暴力的な解決法ばかりが思い浮かぶ過激武闘派・近森ととろだった。
544カップルウォッチャーととろvs.幸せ撲滅計画(1) ◇46YdzwwxxU:2009/12/30(水) 23:10:59 ID:fqUR6uo7

と――

(……って、あれ?)

 まごまごしているうちにも状況は変化する。
 あらかたのカップルが危機を察して足早に退散し、恋人のいない者も我関せずと目を逸らすか距離を置いて興
味深そうに顛末を見守るだけだったが――

「よせ」

 件の男子生徒が殴られる直前、見るに見かねてその場に割って入った男子生徒がひとり。制止する声は溜め息
に似て、しかし心なし上擦っても聞こえる。
 誰ぞに押しつけられた敷地の掃き掃除を、文句ひとつこぼさず遂行していた男だ。竹箒を携えた立ち姿は、精
悍ながらどこか老成したようでもある。

(おー。オトコを上げたね先輩くん。なかなかできることじゃないよ)

 それは、近森ととろにとっては、隣席に座るクラスメイトでもあった。
 後輩に当たる娘からの熱烈ラブコールのために、同級生のみならず教職員や上級生までもが、からかい半分に
彼を差して“先輩”と呼ぶ。

(本当の名前は……あれ、誰だったっけ)

 ちょっと本気で思い出せなかった。
 持ち物に刻まれていたイニシャルは確か“S.S.”だったはずだが、それならもう先輩の“S”でええやん
とも思う。

「何だァ、テメェは」
「あんたらこそ何を凄んでいる。迷惑だ」

 隣人に忘れられつつあることなど知る由もなく、S山S男(仮)は無謀という名の勇気を発揮。毅然とした態
度は男にうるさいカップルウォッチャーの目から見ても立派だったが、今回は相手が悪すぎる。

(ゲスに正論なんて通じないよ〜)

 さらりと毒を吐きつつ、近森ととろはなおも周囲を見回す。愛を囁いていた恋人達は既におおかたが避難し終
わった後だ。いくらか残る野次馬では、煽動も容易ではない。

(何か利用できそうなもの!)

 先輩の作り出した膠着状態はそう長くはもつまい。
 そして最悪の展開、いざ殴り合いになれば先輩に勝ち目はないのだ。後輩の娘が仕掛ける物理的なアプローチ
を捌く身のこなしはちょっとしたものだったが、腕っ節はお世辞にも強いとはいえない。まして、喧嘩における
三対一の数的不利を覆せるような人間は極めて少ない。
 焦燥する近森ととろの視界の端を、段ボールいっぱいの小道具を抱えた演劇部員が通り掛かったのは、ちょう
どそんな時だった。
545カップルウォッチャーととろvs.幸せ撲滅計画(1) ◇46YdzwwxxU:2009/12/30(水) 23:12:45 ID:fqUR6uo7


 ※

「どっかで見たと思ったら、お前あれだろ、可愛い後輩の女の子と付き合っ」
「付き合ってねぇよッ!!」

 中肉中背モヒカンヘアの不良、中型那賀の言葉に、いきなり先輩が激昂した。ちょっと尋常じゃない反応に、
さしもの不良も引く。

「うお、びっくりした……」
「那賀、以前にもいったが、そいつのいっていることは事実だろう。後輩の子が積極的なだけで、先輩のほうに
はその気がないようだ」
「ああ……、そういうことだ」

 平静さを取り戻した先輩が、額に手をやり深く細い息を吐く。聞くところによると、最近は後輩が調子に乗っ
ているらしく、いよいよノイローゼ気味だとか。

「分かってくれるならいいんだ。数少ない理解者がチンピラというのも、何だかやるせないが……」
「ご挨拶だな、オイ、優等生」
「モテてるくせに、それはそれでムカつくんスけど」

 挑発めいた言葉に、再び膨れ上がる緊張感。
 先輩のほうは、それなりの正義感のため常から不良の類を好ましく思っていなかったこともあり、ここで引き
下がるつもりはない。かといって喧嘩において自分から手を出すほど軽率でもなかった。……もっとも、後輩が
騒ぎを嗅ぎつけて事態を悪化させることはあるだろうが。
 不良三人組のほうは、こういった妨害じたいに慣れておらず、咄嗟に対応に迷っている節があった。憎むべき
はあくまでもカップルであり、こういうお節介な輩ではない。もちろんその気になれば実力行使で突破して目的
を果たすこともできるだろうが、それをするにも先輩はいかにも面倒臭そうな手合いだった。
 当事者のカップルを置き去りにして、その場に一触即発な空気が生まれていた。誰かが弾みででも手を出せば、
いつ殴り合いの喧嘩が始まってもおかしくない。
 周囲が固唾を飲んで見守る中――

「そこまでよ!!」

 ――そいつは空気を読まずに現れた。
 誰だ。どこだ。何者だ。
 声の主を探して観衆がきょろきょろと首を巡らせる。その中のひとりが気づいて、何事かを叫んで植え木のひ
とつを指差した。植物ならではの清浄な生気満ちた樹上に、謎の人影があった。
 横向きに分かれた大枝に白ブーツを突き刺すように立つそいつは、ひとびとの視線を一身に浴びて口元だけで
笑う。色つきリップクリームを引いたらしい瑞々しい唇が開き、苛烈な言葉を吐く。

「他人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて地獄に堕ちろ!」

 決め台詞を淀みなく口にするとともに、恥ずかしげもなくポーズ。胸元に両手を掲げ、指でハートともドクダ
ミの葉っぱともつかぬ歪んだ形をつくってみせる。

「コスプレ……か?」

 誰かが呆然と呟いた。
 なるほどそれは異様な風体をした女だった。
 とてつもなく異様な風体をした女だった。
 鼻筋から上を覆うヘルメット、ハート型に抜かれた桃色のアイシールドのためにその正体は不明。
 指定制服に羽織った丈の長い赤マント。白い手袋を嵌めた手には、豪華絢爛な装飾を施された、素敵な魔法の
ステッキを携える。
 
「コスプレイヤー? ……いいえ!」

 変質者すれすれの女は誰かの言葉を真っ向否定し、声高らかに名乗りを上げた。

「謎の美少女戦士、カップルウォッチャーここにあり!」

 

 つづく!
今回はここまでで投下終了です。
なんかもういろいろひでえw
笑って許してくれると助かる。




-----
代理投下終了です。
代理投下します
 ※

 前回のあらすじ!
 カップル狩りが好きなごく不良の高校生、大型台、中型那賀、小型省。彼らを取り巻く暗黒学園生活。だがそ
れはデバガメ少女の心に生まれた小さな歪みによって一変してしまう。
 学園を襲う突然の異変。俺達が目覚めたそこは、見知らぬ戦乱の異世界だった。

「お前嘘つけよ」



 ※

「謎の美少女戦士、カップルウォッチャーここにあり!」
「近森さんか。今は危ないから――」
「謎の美少女戦士ッ!!」

 訂正とともに足が出た。止せばいいのに余計なことを口にした先輩の脇腹を、不意打ち気味の一撃が抉る。今
更恥や外聞を思い出したらしく、照れ隠しこみのその破壊力は凶悪だった。

「げふー!?」

 冗談のように吹き飛ばされる先輩。校舎の壁に強かに後頭部を打ちつけて静止した。
 奇妙奇天烈な扮装をした怪人物のいきなりの凶行に、不良三人組も戦いの中で戦いを忘れた。

「お前、そいつに何の恨みがあるんだ……?」
「ああああ!? ご、ごめんごめんよ先輩くん!」

 我に返ったカップルウォッチャーは、うずくまって痙攣する先輩に慌てて駆け寄り、半泣きで謝りながら背中
をさすった。……そこ違う。

 ――しばらくお待ちくださいッ――

「手当てはこんなものかな!?」

 介抱もそこそこに、謎の美少女戦士・カップルウォッチャーは改めて己が真の“敵”と対峙した。ハートをか
たどったバイザー越しに、怒れる瞳が不良三人組を睨み据える。
 このあたり、律儀に待つほうも待つほうだが、どちらかというと帰るタイミングを逃した感が強い。

「き、気を取り直して! そこのリーゼント、モヒカン、そしてハゲ!!」
「ハゲぇ!?」

 カップルウォッチャーは口上を続けながら、ステッキの先端、少女趣味というかやりすぎてちょっと悪趣味な
飾りで、立ち尽くす不良達を順繰りに指し示す。全世界のシェイブンヘッドのアンちゃんをも敵に回す容赦なし
のハゲ呼ばわりに、小型省が愕然としていた。

「あんまりだろ。せめて丸刈りとかにしてやれよ……」

 ダメージが抜けきらず未だ苦しげな声でも、先輩はツッコミ先を選ばない。常識人の鑑というか、彼も大概難
儀な性格だった。
しかしもちろん、そんなものを顧みるカップルウォッチャーではない。

「一度きりしかない青春! すべての恋人達の逢瀬とあたし個人の娯楽を邪魔するとは断じて許し難いというか
ゾンダー許せない! 今、日輪の力を借りて、この愛と正義のブレザー制服美少女戦士・カップルウォッチャー
が、問答無用に大成敗しちゃうんだからっ!」
「なんかもういろいろとひどい台詞だが、そこは取り敢えず保留するとして。あんた具体的にはどうする気だ。
殴りっこでもするのか? ……勝てるわけないだろうそんなの」

 冷静な先輩の指摘に、カップルウォッチャーの挑発的な微笑が凍りついた。そのようすから彼女に何の策もな
いことを察した先輩も凍りついた。
 いうまでもないことだが説明しよう! 彼女の纏うコスチュームに、戦闘力を劇的に強化するなどといった機
能は全然まったくこれっぽっちも存在しない。
 防御面ではヘルメットとマントの分ある程度期待できても、攻撃面では魔法のステッキによる殴打が関の山で
ある。……それでも敗北以外の未来は待ち受けていないだろうが。
 何よりウガウガいいながら棍棒を振り回す原始人とやっていることが同じというのは、何ぼ何でも美少女戦士
としては致命的ではないだろうか。

「う……」
「……う?」
「“ウガウガ”じゃなくて“ぴるぴる”なら美少女戦士としても――!!」
「そんなことはどうでもいいから現実を見てくれ」

 現実を見てみた。

「ほぉう……。問答無用に大成敗、ねぇ……?」
「面白ぇ冗談」
「やる気っスか」

 不良三人組は、揃って拳をぽきぽきと鳴らしていた。さながら女子供も笑って殺せるキリングマシーン(殺戮
機械)であるかのように! 実際には彼らは、カップルをシメようとするときでも狙うのはもっぱら男子のほう
であり、女子にはかなり甘いのだが、そんなことは知る由もない。覆し難い男女間の体格差と体力差というもの
が、今になって彼女の小さな体に圧し掛かる。

(どうしよう!? ねぇこれどうすればいいの!? 教えてよ、妖精の国からやって来た気持ちムササビっぽい
マスコット・ザザビーちゃん!)

 そんなやつはいない。
 初登場話からいきなり大ピンチのカップルウォッチャー。
 現状打破の材料はないかと、周囲一帯を落ち着きなくスキャン開始。行き当たりばったりにもほどがある自称
美少女戦士の醜態に、みんなの不安が募っていく。
 いつしか、どよめきやざわめきも鳴りを潜め、何ともいえないマヌケな静寂が中庭を支配していた。

「……あ」

 しばしの時間を挟んで、カップルウォッチャーが何かに気がついた!
 今更でも精一杯に余裕たっぷりを装って不良達に向き直る。

「あ、あははは、やだなーもー。殴る蹴るの暴行なんて、そんなマッチョイズム今時流行らないんだよ? あの
ね勝負の内容はね!」
「あん?」
「こ、公平に通りすがりの卓上同好会に決めてもらうし!」

 そんなことをほざいて、カップルウォッチャーはびしっと渡り廊下を指差してみせた。
 ひどすぎる脈絡のなさに混乱に陥る面々をよそに、人員不足に悩んでいるという卓上同好会の二人は思いがけ
ない宣伝の機会に即座に食いついた。

「おお? ハイ、ハイ。俺が卓上同好会部長の加藤だが!」
「同じく副部長の田中です。“ボードゲームで生涯学習”! 卓上同好会はいつだって新入部員熱烈募集中!」
「今なら即レギュラーだぜ!?」

 レギュラーとかあるんか。つーかあんたは部長じゃなくて会長じゃね? それがどさくさまぎれの勧誘に対す
るギャラリー共通の感想だった。
 乱舞する疑問符をさらりと無視して、卓上同好会部長加藤は、あろうことか制服の懐から折り畳み式のゲーム
盤を取り出す。

「さぁて、白黒つけたいあなたにお勧めのボードゲームといえば? ……ズバリこちら!」

 ――“覚えるのに一分、極めるのに一生”とひとはいう。
 八掛ける八総じて六十四のマスが整然と並ぶ遊戯盤の色は、密林の深緑。その深き翳に息を潜める俊敏なる猛
獣の毛色は果たして白か、黒か。
 その片面ずつを白と黒に塗り分けた石を駒とし、自分の持ち色側を表にして交互に盤面に置いていく。このと
き、必ず縦・横・斜めのいずれかで相手の駒を挟むように打ち、挟んだものを裏返すことで自色に変える。最終
的には、最終的に自色の駒が多いほうを勝者とする。
 すなわち、オセロゲームである!

「オセロ……か。単純だが奥が深いゲームだ。闇のデュエルともいえるか」
「知らねぇよ帰れよ」

 突然先輩の隣に虫のように湧いた後輩が、いつもなら絶対にしない男らしい口調で囁いた。
 ごく自然に組まれた腕をうんざりと振り解きながら先輩が言い放った言葉には、慣れを通り越して飽きの響き
さえあった。

「先輩、倦怠期ですか……? 新たな刺激をご所望なら、え、SMとかどうでしょう。できれば私Sで」
「そんなことより何でお前は俺の上履きを抱き締めてるんだ」



 ※

 「興が削がれた。今日はこれくらいで勘弁してやろう」と不良達が、「そもそも不良が一方的に悪いのだろう
が。勝負する意味が分からない」と先輩がゴネたのだが、加藤と田中が口先で丸め込んであれよあれよと交渉の
テーブルに着かせてしまった。

『それでは第一回ッ! カップルウォッチャーズvs.チーム幸せ撲滅計画! オセロゲーム大会の開催をここ
に宣言します! 司会は不肖わたくし卓上同好会部長加藤と!』
『同じく副部長田中でお送りします!』
「二回目以上があってたまるかッ」

 どこからともなく用意したマイクに向かって、加藤と田中が朗々と声を張った。
見事な手際でセッティングされた会場。
 バトルフィールドとなるオセロのゲーム一式が三揃い、等間隔を置いて中庭に並べられている。人数分用意さ
れた座布団に、選手達はめいめい腰を下ろして対面の相手に敵愾心を燃やす。……なんだか不良にとってはアイ
デンティティがぶち壊れかねないシュールな光景になっているが、面子に関わる勝負にそんな些細なことはもは
や関係ない。

『加藤部長、試合形式はどのように?』
『メンバーを先鋒戦、中堅戦、大将戦に振り分け、三組同時にスタート。それぞれ時間無制限一本勝負で、二人
以上勝利したチームを勝者とします! ……引き分け? それも人生だから』
『いたってシンプルですね。というわけで、極限の盤面に挑む勇猛なる戦士(ボードゲーマー)諸君を紹介しま
しょう!』

 そこでウンウンと咳払い。

『カップルウォッチャーズ先鋒! 恋する乙女は世界の破壊を防ぎ宇宙の平和を守る! 普通科一年、後輩ちゃ
んは今日もラブリーチャーミー!』
「先輩、愛してます!」
『対するチーム幸せ撲滅計画先鋒! 寒々とした丸刈りは、カップル狩りに青春を捧げた証なのか!? 普通科
二年、小型省は別に野球少年じゃないッ!』
「いや捧げてまではないス」

 先鋒戦/後輩(黒)vs.小型省(白)。

『カップルウォッチャーズ中堅! 混迷の仁科学園に三倍速で彗星のように現れた謎の美少女戦士! あるいは
野鳥の会の女か! カップルウォッチャーに若さゆえの過ちは許されない!』
「かくいうあたしは生まれてこの方、おじいちゃんにだってオセロで負けたことはないんだから!」
『チーム幸せ撲滅計画中堅! 夏のビーチにありがちな男と女の不適切なカンケイをも切り裂く人食い鮫の背び
れがモヒカンの正体! 普通科三年、中型那賀の顎門が迫る!』
「おじいちゃんといわれてもな」

 中堅戦/謎の美少女戦士・カップルウォッチャー(白)vs.中型那賀(黒)。

『カップルウォッチャーズ大将! 後輩ちゃんとデキてないってマジなの? 変な意地張ってないでさっさと素
直になっちゃいなYO! 普通科二年から頼れる先輩が参戦だ!』
「おいなんで俺が大将なんだよ」
『そしてそして、チーム幸せ撲滅計画大将ォッ! 隆々たるリーゼントには無限大の嫉妬の力が篭るのか!? 
我が名はジェラシック! 普通科三年、大型台こそ勝利の鍵だッ!』
「さっさと終わらせてやる」

 大将戦/先輩(黒)vs.大型台(白)。

『オセロゲームにおいては、黒のほうが先攻となります。それで特に有利不利とかはないので安心めされい』
『そろそろ時間かな。……それでは皆様お待ちかね! カップルウォッチャーズvs.チーム幸せ撲滅計画、オ
セロゲーム大会――』

 加藤卓上同好会部長の溜めに緊張が走る。
 後輩、小型省、カップルウォッチャー、中型那賀、先輩、大型台。死地に赴く彼らに滾るのは、カップルや想
い人に向けるそれぞれの感情なのか。いいや、恐らくそうではない。ただ眼前に立ち塞がる難敵を撃破せんとす
る、純粋な戦意のみがそこにはあったはずだ。
 時計の針は進む。約束された時刻は、ああ、誰かの顎を汗のひと滴が伝い落ちたときと重なった!

『――戦闘開始ッ!!』

 かくして、誰も見たことのない壮絶な戦いの幕が、ここに切って落とされたのだった。
 ※
「くっ、パスっス……」
「あれ? これってもう私の勝ちですよね?」
『まさかの中押し勝ち! 後輩選手やたらめったら強い! むむ、ここから逆転することは不可能でしょう!』

 先鋒戦/後輩(黒)vs.小型省(白)の勝敗は、後輩の圧勝という形でえらいあっさりとついた。
 先輩とセットにされた後輩は、身体能力のみならず演算能力までも、容易に人類の限界を越える節がある。

「先輩先輩! どうです? 恋する乙女は無敵なのです! ばちこーん☆」

 小踊りしながら投げキッス。ついでにウインクなんぞしてみせる。すぐさま先輩にちょっかいを出しにいくあ
たりに、地味に性格の悪さが出ていた。

「イラっとくるからその謎のポーズ止めろ」
「……クる?」
「都合のいいとこだけ抜き出すなよ……」

 ――カップルウォッチャーズ 1ポイント / チーム幸せ撲滅計画 0ポイント

「小型省がやられたか」
「ククク。奴は我ら幸せ撲滅三人衆の中でも一番の小物」
「今のうちにせいぜい、束の間の勝利を喜んでおくことだな」
「何気に俺の扱いひどくないっスかねぇ……」

 晩春のそよ風がやけに目に沁みる小型省だった。

 ※ 

『大将戦、大型台選手と先輩選手のゲームは乱戦になっております! 先輩選手が仕掛けた罠を大型選手、類稀
な勝負勘で躱していくゥゥゥ! 形勢は……先輩がやや不利か!?』
「策士策に溺れるってな」

 大型台の指の間で、ばちりと小気味よい音を立てて駒の白黒が裏返される。そんな仕草が意外なほど様になる
のが、不良グループを纏めるこの男だった。

「まだまだ、これからだ……!」

 先輩が光るような一手を盤上に放つ。そこにもさり気のない“誘い”の匂いを大型台は嗅ぎとった。
 策に溺れながら、あくまでも自分の姿勢を貫くか。あるいは溺れる中にも光明を見出したか。

「いつもの先輩らしくないですね。中盤からこういう展開だと、もっと柔軟に戦術変えちゃうのに」

 それは、熱くなっていたからだろうか。平静さを失っているという意味ではない。それは胸の奥底に揺らめく
火、男の“意地”なるものとも呼べるか。
 先輩と大型台はどちらからともなく、ふたり口の端を吊り上げ、――激突した。

「先輩の愛が世界を救うと信じて! ご声援ありがとうございましたッ!」
「うるさいよこの馬鹿」

 傍から後輩が喚き散らしたせいかは定かではない。

『激烈なるかな大将戦! 僅差で勝敗を制したのは、チーム幸せ撲滅計画、大型台選手ッ!!』
「俺の勝ちだな」
「くそっ……あと一歩足りなかった……」

 ――カップルウォッチャーズ 1ポイント / チーム幸せ撲滅計画 1ポイント

「しかしいい気になるなよ。すぐに第二第三の先輩が……」
「怖ぇよ」

 強面の勝利者にも臆することなく芝居掛かった台詞を放つ後輩に、すかさず先輩がツッコむ。息ぴったりの応
酬の様子が、先輩の頑なな主張の蓋然性を著しく損なっていることに、本人は気づいていない。
 ともあれ、これで一勝一敗。未決着は残るひとつ。
 ※

 つまり中堅戦/謎の美少女戦士・カップルウォッチャーvs.中型那賀ですべてが決まる!

「……おかしいな。この番組はあたしという主役を中心に回っているはずなのに、全然活躍できてないよあたし。
ねぇなんでかな妖精の国からやってきた良き相談役、ザザビーちゃん……?」
「見えんな」
「そこに何かいるのか……?」

 ぼそぼそと呟くカップルウォッチャーを訝しむ対戦者中型那賀と観戦者達。敗色濃厚になったころからごらん
の有り様だった。アイシールドのために窺い知れないが、妖精が見えるくらいだ、さぞ虚ろな目をしているに違
いない。

『カップルウォッチャー選手が何だか輪を掛けてヤバげな感じに出来上がっております中堅戦も終盤に突入! 
俄然盛り上がってまいりましたァ! 盤面を見たところ、チーム幸せ撲滅計画中型那賀選手が優勢か!?』
『しかし、しかし! ドンデン返しこそが、このオセロなるゲームのカタルシス! ヒーローもかくやといった
一発逆転だって夢じゃな……い……んだけど……』

 威勢の良い実況がだんだん尻すぼみになっていく。
 一見すると互角のようでいて、その実まともな打ちどころがないのだ。
 もうここから勝つとか無理じゃね? そんな感じだった。

 ――カップルウォッチャーズ 1ポイント / チーム幸せ撲滅計画 2ポイ

「むきぃぃぃぃぃーッ!! もう怒った!! もう怒ったもんあたし!!」
「負けたからっていきなりキレた!?」
「子どもか!」
「落ち着け近森さ」
「謎の美少女戦士だっつってんだろぉがぁ! もぉー! もー!」
「わ、悪か――ガフッ」
『物を投げないで! 物を投げないでくださいッ!』
「ああっ、先輩、大丈夫ですか!? ……ハッ! こ、これはもしかして先輩のカラダを好きに弄くり回せる千
載一隅の乙女チャーンス!? そうと決まれば!!」
「なんのカウンタァァ!!」
「どうせ俺なんて……」
『卓上同好会部員募集中です!!』
「帰るか」
「ああ」
「そんなことより野球やろうぜ!」
「これもみんな、みーんなチンピラどものせいなんだもん! だからみんな燃えて消えちゃえばいいよ! そう
だよ、みーんな燃えて消えちゃえ! あは。あはは」
《カップルウォッチャーととろ。絡まれていたカップルは、きみが場を引っ掻き回したおかげで事なきを得たん
だザビ。それでいいじゃないかザビ》
 ………………
 …………
 ……
 ※

 果たしてこのバカ騒ぎがどう幕を下ろしたのか、それを報告せねばなるまい。
 完全下校時刻を迎えることで、グダグダなりにどうにか事態は収拾した。誰もがみな、ひと晩ぐっすり睡眠を
貪ることで悪夢の記憶は消え去った。翌日からはいつも通りの仁科学園となった。
 カップルデストラクション幸せ撲滅の三人は相変わらずカップルをシメるために目を光らせているし、それに
対するカウンターアタックとしてカップルウォッチャーは武装の充実を図っているという。先輩と後輩の仲は特
に進展していないし、卓上同好会に新たなメンバーが加わったという話も聞かない。
 かの戦いに勝者はいない。いたとしても、嗚呼、恐らく勝者であることなどには何ら意味はないのだろう。ひ
とは何のために生まれ、何のために戦うのか。答えなど当分、出せそうにもない。
 けれど。
 けれど結果論ではあるが、いえることがまだひとつだけある。
 カップルウォッチャーととろ!! 今日もまた学園の恋人達を救った!!


 おわり
■新キャラ紹介

 カップルウォッチャーととろ
 謎の美少女戦士。謎ったら謎。一般にはカップルウォッチャーとも。
 その使命は、あらゆるカップルをお邪魔虫(主に幸せ撲滅計画関係者)から守ることである。「他人の恋路を
邪魔する奴は馬に蹴られて地獄に堕ちろ」が決め台詞。
 指定制服に、赤マント・白手袋・白ブーツ、ハート型バイザーのヘルメット、魔法のステッキ(第一期)とい
うとてつもなく異様な風体で、大いに怪しまれている。
 お供のマスコットキャラクターは、妖精の国からやってきた縁ムササビ(ナニソレ)のザザビーちゃん。



どうしてこうなった・・・

ひどすぎ? ハハッ・・・ごめんなさい。
事後報告になりましたが卓上の二人をお借りしました。
性格とか思想違うとかあったらチャキチャキ修正しますので気軽に言ってください。
うん。撲滅さんも。三人は普通科でよかったんでしょうか?

パロディは先輩後輩ではあんまりやらない分こっちで。
なお、変な書き方をしましたがオセロとオセロットは別に関係ないです。



あけましておめでとうございます。以上で投下を終了。
まとめウィキ更新と代理投下に感謝を。

-------------------
代理投下終了です。
558創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 02:03:22 ID:srIpm6Ft
wikiの入り口が自分の描いたラフ絵になっていてビックリしました。
なので、ラフ絵よりは清書した美少女戦士をw

ttp://loda.jp/mitemite/?id=748.jpg
リボンの部分をヘルメットで猫耳にして勝手にツインテを横から出しちゃった
のですが大丈夫でしょうか(´`)
559創る名無しに見る名無し:2010/01/03(日) 10:48:42 ID:F0W8OYZe
ととろかわええなあ。 魔法少女物で出てきそうだw

ありがとうございます。さっそくトップページにうpさせて頂きました。
560代理:2010/01/04(月) 20:42:43 ID:XsAUrd/M
連投サーセン。
ttp://loda.jp/mitemite/?id=749.jpg

>>559
仕事速すぎふいた。有難うございます。
描いておいてアレなんですが、画像の横サイズは大丈夫だったでしょうか?
wikiのサイドメニューが狭くなってしまうと申し訳ないので、大きかった場合は
適当に縮小して下さい。
561創る名無しに見る名無し:2010/01/05(火) 20:13:47 ID:85cwe9qw
>>560 乙ですー!
や、さらりと言いすぎてどっちだか分らんなw
なんだか波乱の予感がするぜ

画像はとりあえず自分の環境だと大丈夫だからそのままです。
もしレイアウトが大きく崩れるようならまた考えます
562先輩とショウジョウバエ培養装置 ◇46YdzwwxxU:2010/01/05(火) 20:27:02 ID:85cwe9qw
代理投下します。
563先輩とショウジョウバエ培養装置 ◇46YdzwwxxU:2010/01/05(火) 20:27:46 ID:85cwe9qw
「こんにちは。おつかれさまです、先輩君」
「……先日もいいましたが、俺にとってはあなたのほうが先輩ですよ、神柚鈴絵先輩」

 無愛想にならぬ程度の淡白さで告げて、俺は手元に神経を集中させる。
 放課後の第一理科準備室は普段以上に静かで、どことなく湿った陰気に満ちていた。暗幕を下ろしているせい
か、蛍光灯の照明も空しく、雑多とした部屋の隅ずみに翳が染みついて見える。

「それ、少しお手伝いしましょうか?」
「もうすぐに終わるので。……ちょっと待っていてください」

 理科準備室なんて、数ある特別教室の中でも特に生徒に縁のない場所のはずだ。神柚先輩はそのままこちらを
見ているし、俺個人に用事と考えるのが自然か。
 教頭から請け負ったのは、理科準備室で埃を被っている実験器具の整理という珍しい依頼だった。
 フラスコ、ビーカー、プレパラートといったガラス製品の洗浄や破損状態を確認。分銅や方位磁針など、デリ
ケートな器具を簡単に検査。リストと照合して薬品類、模型、標本資料、救急用品などの不足分を割り出して報
告。その他もろもろ、シートに記された幅広い項目のチェック欄を完了の印で埋めていく。
 ……何が悲しゅうてこんな管理責任が関わってくることまで生徒に丸投げするのか不思議だったが、よく思い
出すと大里巧教諭初めマッドでディープなうちの理数系教師陣では不安を覚えるのは分からなくもない。中間管
理職も気苦労が絶えなさそうだ。
 そんなどうでもいいことに現実逃避気味に思考を飛ばしながら、残りの仕事を手早く済ませる。あとは教頭に
報告書を提出するだけで俺は晴れて自由の身だ。

「……お待たせしました」

 俺は神柚先輩に向き直り、椅子とパックのコーヒー飲料を勧める。作業の合間にがっつり休憩を入れようと三
本も買っておいたのだが、まだ一本しか空けていない。
 神柚先輩は首を振って辞退した。全男子の憧れの黒髪ロングは、乱れないようにか先端のほうをリボンで束ね
ている。おっとりとした美人なのだが、反面怒らせるとステゴロ上等の阿修羅と化すなんて恐ろしげな噂も耳に
する。

「何か用ですか?」

 真剣な話題なんだろう。安っぽい味のコーヒーで喉を潤してから、俺は臨戦態勢をとる。
 居心地の悪さは、実験用ショウジョウバエの培養装置から伝わって来る微振動のためばかりではあるまい。
 神柚先輩は勿体ぶった前置きなどしなかった。単刀直入だった。

「さっき美術室に“閑花(しずか)”ちゃんが来てくれました」

 わずかに跳ね上がった肩に動揺を自覚する。閑花。それは久しく俺の意識に上ることのなかった名前だった。
努めて失念していたといってもいい。それは俺にとって苦い記憶を呼び覚ますからだ。
 俺の後を付いて回る、彼女。
 俺の後輩であろうとする、彼女。

「私と先輩君がどういう関係なのか、どうしても知りたかったみたい」
「……あのバカ……」
564先輩とショウジョウバエ培養装置 ◇46YdzwwxxU:2010/01/05(火) 20:28:39 ID:85cwe9qw
「正直に恋人同士だって答えておきました♪」
「嘘ォ!?」
「もちろん嘘ですけど」
「あ、ああ、嘘か。びっくりした……」

 いろんな意味で心拍数が上がった。……この悪女め。茶目っ気たっぷりにくすくす笑う神柚先輩を、俺は恨め
しげな半眼で睨んだ。
 幾度か神社の仕事を手伝わされただけだしな、実際のところ。色気のある関係ではない。

「先輩君は、どうして閑花ちゃんのこと名前で呼んであげないの?」

 そろそろ来ると思っていた。
 それでも弛緩した空気を切り裂くように投げ掛けられた質問は、覚悟の鎧を貫いて俺の胸を抉るものだった。

「俺は、下の名前で呼ぶ女の子は恋人だけって決めているんです」
「そうなの。だとしても、“後輩”なんて呼び方するかしら」
「……」

 どことなく微笑ましい弟を見るような目だった。
 名字。あいつの。後輩の。
 くそ、この人、分かってていってやがるな……。

「あいつから名前まで聞いたなら分かるでしょう。後輩は名字、嫌っているから」

 後鬼、閑花。
 それが、俺が“後輩”とのみ呼ぶ、かの少女の姓名だった。
 すべてのはじまり。彼女が俺にべったりになってしまった理由も、出来事の発端もそこにある。
 後鬼なんて名字。他人の弱味を探すことに血眼になっている思春期の中学生が見逃すはずもない。あの時期の
いじめはもう理屈じゃない。なまじ容姿も能力も非の打ち所がないだけに、それはもう執拗に狙われたようだ。
 そんな陰惨な状況に正義感ひとつで首を突っ込んだお節介野郎がひとり。
 それだけの話だ。今の時代そのへんの三文小説でも見られないありがちで安っぽい筋書きの、けれど本人達に
とってはもう少しだけ切実な物語。

「何だかんだいって、やっぱり閑花ちゃんのこと大切なんだ」
「後輩として、ですけどね」

 そこは、さすがに認めないといけないようだ。
 未だに疼く小さな火傷と引き換えに手に入れた、ささやかな平穏と強い絆。

「恋人としては、見られない?」
「そうです。告白を断っているのはね先輩、別にあいつがどうこうっていうのじゃない、俺が、あいつを恋愛対
象として見られないってだけです。興味もなければ、そんな光景、想像もできない」
「それは、……しようのないことなのでしょうね」

 神柚先輩は少しだけ困った顔をした。
565先輩とショウジョウバエ培養装置 ◇46YdzwwxxU:2010/01/05(火) 20:29:21 ID:85cwe9qw
感情の問題ばっかりは、第三者どころか当事者にだってどうこうできるものじゃない。この方向で納得はして
くれそうだ。あとは一気に畳み掛けて、終わりにしよう。

「俺は後輩と、これからもずっと“ただの先輩”という距離を保つつもりです。下手に希望を抱かせるようなこ
とをするのは悪いから」

 もっとも、それが充分に実践できているかというと自信がない。
 部活動見学でも何だかんだで後輩に付き合ってしまった。
 いつか出逢った傷だらけの後鬼閑花が脳裏にちらつくから。今でも根っこのところでは人間なんか少しも信じ
ちゃいない後鬼閑花の絶望に触れてしまったから。
 最後の最後では彼女を突き放せないのだ。どうしても目を瞑り耳を塞いでしまう。本気で向き合って、本音で
ぶつかることで、後輩の心を破壊してしまうのが怖い。
 ……ぞっとする。そんなことを考えられる俺は、なんと自惚れ屋で傲慢な男なのだろう。

「そうですか」

 意味ありげな微笑みに、すべてを見透かされているような錯覚を覚える。

「でもひとつだけ。閑花ちゃんの気持ちは本物です。多分、先輩君が思っているよりも、ずっと真剣。それだけ
は、覚えておいてあげてね?」
「……はい」

 同性らしい切り口の忠告を、俺はありがたく心に仕舞うことにした。
 神柚先輩の用件はそんなところだったようだ。わざわざ伝えに来てくれるとは、よほど面倒見がいいのか、そ
れほどまでに後輩が切羽詰まった様子だったのか。何にせよ、これからも頭が上がらなさそうだ。
 挨拶もそこそこに踵を返した彼女を見送る。

「ああ、そうだ」

 神柚先輩の上履きが、モスグリーンの床と擦れて高音の一節を奏でた。
 俺達の視線は、今一度、交差していた。
 振り向いた彼女は俺の予想だにしなかった言葉を紡いだ。

「私の名前は、神柚鈴絵といいます。高等部三年だから、あなたの先輩ですね。美術部の部長で、得意なのは油
絵。柚鈴天神社で巫女もやっています」

 それらはすべて、とうに俺が知っているプロフィールだった。
 彼女と会話する機会は存外に多い。今更、自己紹介する間柄でもなかろうに。
 
「あなたのお名前は、何ですか?」

 脈絡もなく名乗ったのは、先輩で通っている俺の本名を聞き出すための前振りだったのか。……そうかもしれ
ない。しかし、それだけではないかもしれない。ただの勘だ。確信があったわけじゃない。
 けれど確かに、神柚先輩のおかげで、再認識できたことが俺にはあったのだ。
 彼女がいつまでも俺の後輩ではいられないように、俺もまたいつまでも彼女の先輩ではいられないのかもしれ
ないということ。
 まだ、全然、そのやり方なんて分からないけど。

「俺は先崎俊輔(さきざき しゅんすけ)。困ったことがあったら、何でもいってください」

 まずは自分自身あたりとでも、心から向き合ってみようと思うのだ。

 

 おわり
566先輩とショウジョウバエ培養装置 ◇46YdzwwxxU:2010/01/05(火) 20:30:13 ID:85cwe9qw
投下を終了します。

神柚鈴絵をお借りしました。むつかしいキャラだ・・・。

>先輩=先崎俊輔(さきざき しゅんすけ)&後輩=後鬼閑花(ごき しずか)
スルーネタまでやっておいて今更どうなのと随分悩みましたが、出しました。
ただ、これからもあまり多用はしないかも。
台詞系時代の二人だけで完結する世界観ならともかく、
多人数を動かす時は先輩だらけになって不便だったので・・・

今後ともよろしくお願いします。



―――――
代理投下終了です。
567創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 18:11:17 ID:5cNGqwi2
規制解けたよー
長きに渡る代理投下ありがとうございました!

私立仁科学園掲示板 http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12930/
↑作者間の打ち合わせがちょっとじれったいのでw、たまに覗いて欲しいです。
・・・了承前に書き上がってしまったよ・・・

>>558
ととろに萌える日が、まさか来ようとは・・・
この戦隊ヒーローなんだか魔法少女なんだか、はたまた全く別の何かなんだか分からない胡散臭さが最高だ!
♂♀の杖がほぼピンク一色なのがととろらしい学芸会っぽさでイイ・・・
耳は描写しながらどうしようかなーまあいっかーと諦めていたので嬉しすぎる誤算です。
ありがとうございました。大興奮の一枚でした。

>>560
投下乙!
生の学生らしいというのか、このスレでは珍しい雰囲気のやりとりだと思う。漫画というのもあるかも。千鶴が面白い。
そういえばアーチェリー部の部長ってウェルチさんじゃないか。そのうちクロスしてくんないかなー。
568創る名無しに見る名無し:2010/01/08(金) 00:18:10 ID:v0V+s7jU
ダメもとで投下します
569先輩、部活動見学です!(4) ◆46YdzwwxxU :2010/01/08(金) 00:19:12 ID:v0V+s7jU

 後輩が拗ねている。
 部活動見学で美術部を訪ねてからずっと拗ねている。
 そこの部長を務める女子生徒と俺が妙に親しげだったのが気になって仕方がないらしい。後輩とは違った魅力
の美人なものだから、尚更思うところがあるのだろう。……いや、事情はもう少し複雑だったが。
 しつこく繰り返すが、俺にとってこの後輩の少女は恋愛対象ではない。異性同士であるというだけで、あくま
でも先輩と後輩だ。彼氏彼女の間柄になるには、俺達の隔たりはいかにも遠い。
 後輩も今のところそのへんの筋を通すつもりはあるらしく、感情に任せて当たり散らすようなことはしない。

「私というものがありながら。……先輩のバカ、朴念仁、おたんこなす……」

 昨今ラブコメでもそうはお目に掛かれないような古めかしい言い回しが、聞えよがしな独白として不満げな唇
から漏れていた。
 俺が話題を振っても素っ気ない反応、そのくせ強烈な構って構ってオーラを全身から発している。
 後輩がこんな不機嫌モードになることは、実は割とよくある。まず十中八九が俺の気を引くためのポーズだ。
今回も端々のあざとさから演技と見抜く。
 そういうとき、俺は下手に宥めたりはせず、努めて普段通りの振る舞いをするようにしていた。面倒臭いし、
何よりこいつの我が侭を斟酌してやるのは癪だ。どうせしばらく放置していれば、向こうから勝手に態度を軟化
させるのだし。

 ずももももも……

 催促するように、後輩から滲み出すダークゾーンとでもいうべき翳が廊下を侵食していく。空気が重たい。対
向して歩いて来ていた男子生徒が負の感情に気圧されて、俺達と擦れ違う前に回れ右をした。
 このままでは学園が闇に呑まれてしまう! 誰か何とかしてくれ!
 まるきり他人事のようにそんな妄想を弄びながら階段を下る。

「次は創作部といったか」
「……」
「何をする部活なんだ。創作か?」

 我ながら頭の悪い発言をしてしまった。
 創作部の活動内容が創作でないのでは、それはもはや創作部ではない。
 会話が成立しないまま、俺達は歩いた。

「ほら、着いたぞ」

 扉に『創作部活動中』と貼り紙。この教室に間違いない。
 後輩がブーたれたままなので、特別サービスで俺が開いてやる。

「失礼します」
「……失礼します」

 何が起こったのか分からなかった。
 紙コップが飛んで来た。
 放物線を描いて俺の足元へ。躱す――後輩に当たりかねん。蹴っ飛ばす――被害が拡大するだけか。
570先輩、部活動見学です!(4) ◆46YdzwwxxU :2010/01/08(金) 00:20:26 ID:v0V+s7jU
 ごちゃごちゃ考えるだけ考えて何のアクションもとれないまま、落下の瞬間を迎える。棒立ちしていた俺の右
膝から下があら不思議コーヒーまみれになった。もったいねぇ。

「あちゃー。ごめんねぇ。……祟人が避けたき」
「俺のせいにするなバカ士乃」

 腕を振り切った投球フォームのまま、訛りの強い少女が謝罪の言葉を口にする。
 後輩の嫌がらせじみた求愛行動で慣れているので、さすがにこの程度では怒りは湧いてこない。ぶらぶらと手
を振ってなあなあで済ませた。面倒臭いのはごめんだ。
 ……苦労していそうな眼鏡を掛けた男子生徒には少し同情する。

「って誰かと思ったら“先輩”じゃないか。……なんだ、噂の後輩ちゃんとラブラブデートか」
「えへへ。分かります?」
「貴様と俺とは同期の桜だ。っておいコラ後輩、いきなりテンション上げて関係を捏造するんじゃない」

 その男、壱羽祟人とは、友人とまではいえないがちょっとした知り合いくらいの面識があった。さすがに忘れ
られている心配はしていないが、不本意なあだ名の広まりには戦慄を禁じえない。

「ふーん、入部希望者やったが」
「あいつがな」

 俺がもろもろの事情を説明している間に、すっかり調子を取り戻した後輩は、部屋の隅で作業をしている小柄
な女子部員に急接近していた。
 いきなり纏わりつかれて困惑している彼女は、確か金城葎といったか。
 学習机に広げられたきめ細かい布きれの上で、レンズやプリズムといったガラス製の部品が陽光に煌めいてい
る。どうやらなかなかいい性能の双眼鏡を分解したらしい。傍らに無造作に置かれた安っぽい外装は、なんだか
見覚えのあるカラーだった。

「何を創作する部なんだ。ジャンルは?」
「ひとそれぞれ。例えばこいつは土器、俺は詩、あっちの葎はオモチャなんかが得意かな。あいつ、和はいろい
ろやってる」
「どっ――焼き物ってゆうてや。陶器とか」

 陶芸をやるという浅野士乃は、俺の聞き慣れないアクセントで喋る女子だった。たぶん大阪か……いや高知あ
たり……さすがに九州ではなさそうだ。西日本の方言はよくわからんな。
 壱羽祟人が詩、浅野士乃さんが陶芸、金城葎さんがオモチャ、最後のひとり宇佐野和は手広く。これで全員な
のだろうか。

「めいめいが好き勝手に創作する部活か」
「まあね」

 なるほど。
 部員同士の関係は概ね良好と見た。
 ただ、仲良しグループの延長のような雰囲気があり、後輩が馴染めるかというと際どい。
571先輩、部活動見学です!(4) ◆46YdzwwxxU :2010/01/08(金) 00:21:52 ID:v0V+s7jU
 創作部が閉鎖的といっているわけじゃない。そういう親密なコミュニティに、後輩はなかなか後から入ってい
けないのだ。メンバー全員が初対面とか、もうひとり新入部員がいるとか、余地が大きければだいたいにおいて
問題はないんだが。

(と、いかんな)

 いくら何でも過保護すぎた。ただの後輩、ましてや高校生なのだ。
 こういうのは俺が口を出すべきことじゃない。

「ちょっと何か創作していくか? 必要なら材料も貸すが?」
「いや俺は。……後輩、お前はどうする?」
「オトナの玩具とかに、興味津々です!」
「ってことはりっちゃんやね!」
「待てい」

 壱羽のツッコミは俺より早かった。
 取り敢えず関西弁っぽい子への対処は壱羽に任せ、俺は最近付き合いで覚えた輝ける指なる技で歩く猥褻物を
黙らせに掛かる。決着はものの数秒でついた。空しい勝利だった。

「む〜。どうせならキスで塞いでくださればいいのに……」
「なんでお前が喜ぶことをせにゃならんのか」
「仲良いなお前ら」

 いらん誤解が深まりそうだった。あとできっちり訂正しておこう。
 結局、後輩の部活動体験は、愛の詩歌や川柳を詠むというところに落ち着いた。さすがに恥ずかしいのでコソ
コソ退出しようとしたら、なぜか金城さんに無言で出口を塞がれた。もっと引っ込み思案なタイプだと思ってい
たので、少々驚く。

「『いつの日か 呼んでみたいよ 俊輔さん』、後輩心の一句」
「ピンポイントすぎんだろ」
「いや、そういうのもアリかな」

 ねーよ。
 というか地味に重たいよ。
 「目新しさがない」と一蹴した宇佐野はナイスガイだと思う。

「『足りないの 後輩だけじゃ 巫女・ナース 猫耳・メイド お姉さん属性』。……字余り」
「先崎にはそんな趣味が……」
「違うから」

 列挙された好みの初っ端と最後に悪意を感じる。とんでもない女だ。
 というか『いつの日か〜』の川柳も字余りなことに気づいてないのか。

「『お姉さん属性』もいいけど、もう少し性格面に踏み込んでみるのはどうだ」
「それは充分性格っぽくないか? 包容力っていうのか。『後輩』と対比になっているかというと微妙だが」
572先輩、部活動見学です!(4) ◆46YdzwwxxU :2010/01/08(金) 00:23:21 ID:v0V+s7jU
「『年上属性』……『おっとり属性』……うん、やっぱり『お姉さん属性』がいい」
「センパイってお姉さん萌えやったが?」

 俺が知るか。
 喧々囂々たる議論は数分間も続いた。たぶん、本来はそういうことを活動内容にしてはいないんじゃないかと
思うのだが、さすがに創作には真剣だ。
 アドバイスを参考に想いをかたちにした後輩は、創作部の面々と結託してしきりに感想をねだってきたが、俺
のほうは照れ臭くて口にできたものじゃなかった。
 それでも後輩は大満足で創作部を後にした。

「創作部にするのか」
「うーん……。どうでしょうか。楽しいところでしたけど」

 尋ねてみると、気のない返事が返ってきた。

(脈なしか)

 まあ、そう焦って決めることもないだろう。まだまだ部活動は多い。マンモス学園といわれる割りにひとつの
部あたりの人数が少ないのは、それだけ細分化しているからだ。
 やっていることは大して変わらなくても人間関係の事情で別に創部したとか、大所帯の部活でも少人数の派閥
で固まって他のグループとは活動を共にしないなんて例も、実は大挙にいとまがなかったりする。
 以前は学園側も、部活動と認定する最低人数を上げるといった対策を講じたことがあったが、それはそれで軋
轢を生んでしまったらしい。ままならんものだな。

「思わぬ時間を食ったな。計画通り回れるのか?」
「回れなかったら、このラブラブデートの日数が延びるだけです」

 廊下の窓から射しこむ光を浴びながら、後輩は花が咲くように笑う。

「誰がそうそう付き合うかッ。最悪、どこかの幽霊部員でもやればいい」
「そしたら放課後もずーっと付き纏っちゃいますよ?」

 む。そうだった。いつの間にか後輩の部活動探しを親身に手伝っていたが、俺の目的は噂の払拭とこいつを忙
殺することにあったのだ。忘れるなよ、俺。
 ……最近、何だか後輩に対して負けがこんでいる。
 こいつのお守を安心して押しつけられるスパルタンな部長なり顧問なりはいないものだろうか。
 俺は密かに運動部の検討をも視野に入れながら、まだまだ先の長くなりそうな自由気ままの薔薇色学園生活に
思いを馳せるのだった。



 つづく
573先輩、部活動見学です!(4) ◆46YdzwwxxU :2010/01/08(金) 00:25:55 ID:v0V+s7jU
以上。

壱羽祟人、浅野士乃、金城葎、宇佐野和をお借りしました。
見切りで投下して申し訳ないです。問題があれば修正します。

つづくとしましたが、ひとまず二人の部活動巡りの話は一段落ということにしたいと思います。
新たな文化部が現れたらまた再開するかもしれませんが。
次は何を書こうかな・・・。
574創る名無しに見る名無し:2010/01/08(金) 18:38:15 ID:WIx0cuVL
先輩と後輩のコンビはいつ見てもいいな。
575創る名無しに見る名無し:2010/01/08(金) 20:26:29 ID:FM+oSbuR
乙ー
こいつら相変わらずだなw
創作部の面々も和気あいあいしてていい雰囲気だ
576わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2010/01/09(土) 04:36:59 ID:axdLsaRw
初めまして。近森ととろをお借りして、一つ書いてみました。
577ととろと若葉 ◆TC02kfS2Q2 :2010/01/09(土) 04:37:41 ID:axdLsaRw
近森ととろは普通科の小柄な少女が、仁科学園・中庭の植え込みに頭から突き刺さっているのを目撃した。
文字通り『蔭ながら』男女の色恋を観察しつつ、幸せを祈り、そしてちょっぴりお裾分けを頂く近森ととろ。
きょうもオペラグラス片手に、青くて淡い春を謳歌する若人たちが集まる学園の中庭に、一人でひっそりと潜んで
いつものように校内のカップルをときめきながら、楽しくウォッチングしているときの出来事であった。
「だ、大丈夫?……ああ!ベンチの二人がいないっ!!こんな良いカップル、滅多にいやしないのに!ちくしょー」
ととろが地団駄踏んで悔しがる側では、少女は植え込みに刺さったまま、足をじたばたと動かしていた。
小さな枝を折りながら少女を救い出すと、ととろはその場から駆け出した学園の男女を惜しそうに見つめる。

『カップルウォッチング』に夢中になっているところに、通りかかった小柄な少女が植え込みに気付かず、
そのまま突っ込んでしまった。その結果、ととろが観察していたカップルは、植え込みから聞こえてきた不審な物音に驚き、
ととろの夢や希望は、どこぞかへと消え去ってしまったのだった。
「ご、ごめんね!ごめんなさい!!びっくりさせてしまって……」
「だい、大丈夫よ。あなたは?」
「はい……。わたし、夢中になると前が見えなくて」
少女は手にしていたノートを庇うように抱きしめると、何度も何度もととろに謝っていた。

(でも、あの二人は長続きしてくれるといいよね……。わたしが応援してるから!!)

「二人に幸多かれっ」と祈りつつ、ぶかぶかのベストに少女を救い出すときに付いてしまった葉っぱを振り払い、
100万ドルたらずの笑顔でぶつかってしまった少女に「心配ナッシング!!」と手を振っていた。
ケモノの耳のようなリボンが情けないことにへたっているのと同じように、カップルに逃げられたととろも悲しい気持ちであった。
578ととろと若葉 ◆TC02kfS2Q2 :2010/01/09(土) 04:38:26 ID:axdLsaRw
―――別の日、ととろがいつものように植え込みに隠れてターゲットを探していると、ととろには新顔の女子生徒と男子生徒が一緒にベンチに並び、
楽しげに会話している姿を発見した。カップルまでの距離は、ととろが小石をふわりと投げればどちらかに確実に当るほど。
二人の後姿だけでなく、頑張って近づけば、もしかして二人の会話が聞こえることが出来るかもしれない近さ。

(あーっ!あの子は??そっかあ、恋愛若葉の子ネコちゃんはいつ見ても初々しいぞお!)

よくよく見ると、きのうととろの横で植え込みに突っ込んだ、小柄な少女ではないか。
短くそろえた髪形とすこしぶかぶかのブレザーが、ととろのカップルウォッチスピリッツに火をつけた。ドジっ子補正もポイントが高い。
桜の咲く季節なら、花の香りと重なって、きっと乙女の想いが高鳴ることなのだろう。
紅葉の美しい季節なら、すこしずつ冷たくなる空気を吹き飛ばして、きっと寒さを忘れてしまうのだろう。
ふと、ととろに向かって風が二人のほうから吹き、香ることの無い甘ずっぱい香りがととろに届いた気になる。
恋をしなければ、女の子はダメになる。しかし、恋をしすぎても、女の子はダメになる。

(何を話してるんだろうね。あと30センチ近づければはっきりと……)

何かを疑い始めたカップルのように、ぎこちなく足を進めるととろは、物音を立てないように細心の注意を払う。
男子の方のお見立てをしてみると、真面目な文学少年を彷彿とさせるたたずまい。理知的なメガネがきらりと光る。
これはととろの想像の域を過ぎないことだが、きっと彼の恋模様も誠実なのだろう。冬空に咲いた二輪の向日葵と言ったところか。
それを見て、きっと人々はそっと優しく育ててあげたくなるだろう。ととろは、二人をそう受け止める。
が、残念なことに男子の方が急に立ち上がり、女の子に手を振るとベンチから立ち去ってしまった。

(あー!いいところだったのに……。でも、『若葉』ちゃんが幸せそうだからいいっか!)

女の子の小柄な後姿からは、季節外れの桜の花が咲いて見えたと、ととろは言う。
彼女に桜の時間がいつまでも続くことを祈りつつ……。
579ととろと若葉 ◆TC02kfS2Q2 :2010/01/09(土) 04:39:09 ID:axdLsaRw
翌日も、同じように『若葉』ちゃんときのうの男子生徒がベンチに座っていた。
ととろもまた同じように、中庭の植え込みに隠れて、冬の空に咲いたコスモスのような二人をそっと見守る。
お持ち帰りはいけません。野に咲く花は見つめるだけで、そっと心に刻みましょう。近森ととろの信念である。

(『若葉』ちゃんの笑顔はきょうも眩しいなあ!!この!この!!)

手にした図書館の文庫本を胸の前で握り締めて、ととろはオペラグラスを持ったままブンブンと手を振る。
人から勧められてちょっとした甘い明治の恋物語を借りてみた。フィクションのカップルウォッチングもいいかな、と。

翌日も、翌日もととろはこの二人を同じ場所で見守りながら、幸せをちょっとばかしつまみ食いするのであった。
そして、図書館の文庫本を帰す2週間後のある日。
甘い花もいつかは枯れる。燃えるような紅葉もいつかは落ちる。と、ととろの胸に突き刺さる言葉が浮かぶ。
ととろにとっては、けっして考えたくも無い光景が、澄み切った青空の下に、ととろのオペラグラスのレンズに写っていた。

(ちょ、ちょ……?あの男子、きのうの『若葉』ちゃんと話してたヤツじゃないの!!!!)

植え込みに隠れて、ベンチに男子生徒が座って、女の子と会話をしているところまでは同じだった。
何かが違う。どこかが違う。詳しく知りたくはない、でも……。ととろにはそれが許せなかった。

(きのうまでの『若葉ちゃん』はどこへ行った??)

きのうとは明らかに違う女子生徒。『若葉』ちゃんとは正反対の流れるような黒髪の『クールビューティ』。
それに男子も楽しそうに話している?ひょっとして、もしかして、『若葉』ちゃんはこの男子に……。
580ととろと若葉 ◆TC02kfS2Q2 :2010/01/09(土) 04:39:53 ID:axdLsaRw
(ぜったい!ぜったい!ぜったい!ぜったい!『若葉』ちゃんをこんな目に合わせるなんて許せない!!)

男子生徒のメガネはきのうまでの日光の輝きから、邪にぎらついた銀の光にととろには見える。
この恋が破綻すれば繰り広げられる修羅場が予想されるのは、ととろの想定の範囲内である。それはとびっきりのハバネロだ。
辛口の恋が好きなヤツは、それを好んで口にすればよい。甘口の恋が好きなヤツは、それを選んで味わえばよい。
しかし、ととろにはとって『若葉』ちゃんが修羅場に巻き込まれることが、どうしても想像できなかった。
ショートケーキにハバネロを練りこむヤツがどこにいるんだ。返せ。わたしのきのうまで胸いっぱい吸い込んだ甘い香りを返せ。
いくら時間がかかってもいいから、いくらお金を使ってもいいから、きのうの青空に咲いた桜が香る時間をわたしに返せ。

どうしてだろう。ただ、人さまの色恋沙汰をちょっと拝見させていただいているだけなのに、どうしてこう腹が立ってしまったのだろう。
これまで感じたことの無い感情ゆえにふたりの会話弾む途中、ととろはオペラグラスを仕舞った。

わたしは『月』だ。誰もが安らぎを覚える夜空に浮かぶ『月』なんだ。
人は恋をすると人生でいちばん輝くという。その輝きの光を受けてはちょっと輝く『月』なんだ。
なのにどうしてときめいたり、憤ったりするんだろう。人さまが二股だろうが、三股だろうが掛けやがっても『月』は冷静だ。
『月』のように、優しく地上の恋するものたちを照らして、そっと遠くから見守るだけなのに……わたしは……。
ととろは悩む。

「もっと、いい恋……見たいな。この小説みたいな物語を映しておくれ、わたしのオペラグラスよ」
自慢のケモノ耳のようなリボンを立て直そうと、手鏡で顔を映すといつもの近森ととろが写っていた。
小石でも蹴っ飛ばしたい気分なのに、どうして鏡はわたしをいつもと同じように写すのだろう。ととろは納得がいかなかった。
ベンチではまだまだ二人だけの時間を過ごしているというのに、ととろはその場から去ってしまった。
「そう言えばあの子『わたし、夢中になると前が見えなくて』って、言っていたな」
581ととろと若葉 ◆TC02kfS2Q2 :2010/01/09(土) 04:40:35 ID:axdLsaRw
その日の放課後、文庫本を返しに立ち寄った図書館の帰り道のこと。ととろは昼間に目撃した『若葉』ちゃんを目撃する。
いつものベンチではない。所は、とある使われなくなった教室。少し開いた扉から微かに見える二人。
人気もなく、彼女と男子生徒だけがその部屋の住人であった。カップルウォッチャーの性か、ととろは二人をそっと見つめる。

一緒に並んで座っているのは、ととろが初めて『若葉』ちゃんの甘い時間を目撃したときのメガネの男子であった。
ととろが驚いたことに、『若葉』ちゃんの様子がおかしい。扉からでは気付かれる。廊下側からすりガラスにととろが持参していたセロテープを貼り、
急遽カップルウォッチングを始めた。遠くから見れば十分怪しい。しかし、好奇心及び老婆心がととろを動かす。

(ほらほら!やっぱり恋の神さまの逆鱗に触れちゃったのね……)

彼女は昼間までのはつらつとした笑顔は消えうせ、男子生徒の言葉に耐えているようだった。よくよくみると、目に光るもの。
あの野郎は『若葉』ちゃんをこんな思いをさせてまで……。いっそのこと乗り込んで行きたい気持ちだが、ぐっと心に押し込める。
ととろはいつもと違うように、無言でその光景を見守る。ノートのようなものが彼女の手にあることを発見した。

しばらくして、男子生徒の方は彼女の頭を撫でると、立ち上がり教室を後にした。『若葉』ちゃんは男子にお辞儀をしているようにも見える。
ととろは何食わぬ顔をして、その男子生徒をやり過ごすと何故か『若葉』ちゃんのもとに駆け寄る。
582ととろと若葉 ◆TC02kfS2Q2 :2010/01/09(土) 04:41:16 ID:axdLsaRw
どうしてだろう。頭で考えるより、体で答える方が正しいと思ったのだろうか。
女の子はこうべを垂れて、椅子に座ったまま手にしているノートを握り締めている。
そう。ととろはこのノートの存在を初めて知ったのだ。中庭ではずっと後姿だったため、手元が見えなかったのだ。

「あの……、ちょっといいかな」
ととろがウォッチ対象の子に話しかけることは滅多に無い。しかし、どうしても話したいことがあったのだ。
魔法の杖があるのなら、彼女の傷をそれで癒してあげたい。しかし、ととろが出来ることは話を聞いてあげることだけ。
『若葉』ちゃんは潤んだ瞳を堪えて、ととろのケモノのような耳を不思議そうに見つめていた。
「恋するって、楽しいよね。でも、楽しいことばかりじゃないって……」
「ん?なんですか、先輩」
リボンの色できっとととろのことを先輩だと判断したのだろう。『若葉』ちゃんは不思議そうに、ととろの話を聞いた。

「ほら、あのさぁ。男の子って、単純な上にけっこう脆いヤツなんだよねー。わたし何を言ってるんだ?」
「はあ」
「だ、だからね。恋で痛い思いをすればするほど、きっと優しくなれるんじゃないのかな……って?」
『若葉』ちゃんは、手をバタつかせてしどろもどろで説明するととろを笑いながら、手元のノートを開いた。

「何だか先輩の言ってることって、この間、わたしが迫先輩に見てもらったセリフに似てますね!」
「セリフ?迫先輩?何?もしかして……小説とか書いてるの?」
ノートをととろの方に向けて広げた『若葉』ちゃんは、自慢げに赤ペンで採点されたページを見せた。
細かく、そして丁寧に修正箇所が書き込まれており、何度も何度もセリフやト書きが描き直されている箇所が多々とある。
何度も捲っていたせいか、ノートは新品のものよりかなり分厚くなっている。しかし『若葉』ちゃんにはそれが自慢だったのだ。
そして、閉じられたノートの表紙には『演劇部・脚本案ノート/久遠荵』のマジックで書かれた文字。
583ととろと若葉 ◆TC02kfS2Q2 :2010/01/09(土) 04:41:58 ID:axdLsaRw
「迫先輩の批評って厳しいから、ついつい泣きそうになるんですよね。でも、きちんと的確にダメ出ししてくれるから身になります」
「ということは、さっきの男子は?もしかして、さこ……」
「そーです!迫先輩です。先輩って実は恥ずかしがり屋さんだから、ここで見てもらったんですよねー。
今回本を書くときに、いちばん難しかったのは、カップルがベンチで会話するシーンを書くときだったかなあ。
先輩と実際に座って、本物の彼氏彼女みたいに話しながらイメージ膨らませて、本を書いて、先輩に批評してもらって。
でも、この間迫先輩ったら『ああいうの、オレ苦手なんだよな。頼むから人目に付かない所でやってくれないか』って。あはは」
「久遠っ。迫先輩からどうだって?」
春風が吹いたように、昼休み『迫先輩』とベンチに並んでいた『クールビューティ』な女子生徒がやって来た。
黒いタイツの脚がカモシカのようにすらりと美しく、短いスカートが上品に廊下の風を受けてはためく。小脇の大学ノートが凛々しい。
久遠荵が言うには同じ演劇部の仲間らしい。興味深げに久遠荵が抱えていたノートを捲ると、じっと凝視していた。

「そうそう!!聞いてよ、あかねちゃん!さっき迫先輩に誉めて頂いたんだよっ」
「そうなんだ……」
「なんで笑うのよ!あ・か・ね・ちゃん!!」
ととろには分からなかったが、久遠荵曰く、あかねは『笑っている』らしい。
「そうそう!今度、演劇部がお芝居をするから先輩も見に来てくださいね!とっても楽しいラブストーリーですよ!
わたしとあかねちゃんの共同脚本で……ね。あかねちゃん!きょうも万年筆が冴えるなぁ!!」
「……頼むから、下の名前で呼ぶのはやめてくれないか」
あかねは、頬を赤らめて自分の脚本案ノートをぎゅっとぬいぐるみのように抱きしめた。
いままでカップルからお裾分けしてもらった『幸せ』以上に、プライスレスな『幸せ』を手にした気がした。
作り話でもいいから、舞台の色恋沙汰を見てみるのもいいかな、と思うととろは久遠荵に見つからないように
図書館で借りてきた文庫本をそっと隠して、最高の照れ隠しの笑顔を見せていた。


おしまい。
584ととろと若葉 ◆TC02kfS2Q2 :2010/01/09(土) 04:45:01 ID:axdLsaRw
人物紹介。

久遠荵…普通科の1年生。演劇部所属。小柄でウサギのように跳ね回り、そしてドジもかます元気者。
脚本も書くが迫先輩言うには「まだまだあらびき」らしい。しかし、光るものがあるとか。

あかね…普通科の1年生。演劇部所属。スレンダーで長いみどりの黒髪を持つ。普段はおっとりさん。
脚本も書くが迫先輩言うには「いい線行っている」らしい。しかし、舞台の外では恥ずかしがり屋さん。


ととろをこんな風に動かしましたが……?また、書いたら投下します。
投下おしまい。
585創る名無しに見る名無し:2010/01/09(土) 10:40:41 ID:u61fCik7
投下乙ー!
演劇部きたな。かわいい&綺麗な後輩が二人だと・・・?
ちくしょう! 迫が羨ましいぜw
586創る名無しに見る名無し:2010/01/09(土) 12:34:07 ID:DshD6hND
投下乙ー。
演劇部かー。出そうと思ってたが先を越されたーw
587 ◆46YdzwwxxU :2010/01/09(土) 15:57:18 ID:zP17fNNY
>>584
投下乙!
定番の勘違いネタかぁ。いかにも学生恋愛っぽいSSで好印象。
黒タイツは人類の夢なりよ!

不意に言葉遣いが荒れたり、「ウォッチ対象の子に話しかけることは〜」とか、ととろのメンタリティ完璧に把握されてるw
こっちもいろいろ勉強になったというか、リボンがへたったり、「恋をしすぎても〜」あたり、
こう来たかと逆輸入したくなった要素も結構あったり。次以降で何かパクるかも。

迫先輩が紹介からハブられてるのが可哀想なので、何とかしてあげてくださいw

>>586
きみも演劇部を頼んだ! 私事ながら(5)のためにも・・・
588アリスと魅紗の隠し事 ◆G9YgWqpN7Y :2010/01/09(土) 21:54:52 ID:u61fCik7
投下します。初めに謝っておきます。ごめんなさい。
589アリスと魅紗の隠し事 ◆G9YgWqpN7Y :2010/01/09(土) 21:55:46 ID:u61fCik7

「あ、今日は帰りに豚肉買ってこなくちゃいけないわね。冷蔵庫が空っぽだった」

真田アリスは実に庶民的な言葉を呟きながら図書館を出た。
雲ひとつない空は淡い赤に染まっていた。建物の影は長く伸び、夜が近いことを示している。
運動場では運動部が集まってなにやらミーティングをしている。
真面目に練習している様子を見ながらアリスは微笑んだ。

(そういえばアーチェリー部も試合が近いとか言ってウェルチ張りきってたっけ)

そんな、なんでもないことを思いながら、ごく普通な風景を眺めながらアリスはゆっくりと歩く。

アリスという少女は、そんな普通な少女だった。
密かに本棚の魔女やら 本を読む生人形やら 図書館の影の女帝やら言われているが、れっきとした普通の高校生である。
図書館にある本はほとんど読みきっていて、今読んでるのは普通に本屋で買ってきた歴史の本だったりするけれど、
普通の女子高生である。

下校時刻になれば普通に帰るし、帰りには買物だってする。

真田家には母はいない。
アリスとウェルチの父である真田基次郎は、大抵家に帰るのが遅い。
そのため炊事洗濯等の家事一般は、ウェルチとアリスが交代で行っていた。

今日はアリスが食事当番の日。
軽く鼻歌を歌いながら今日の献立を考える。

「今日はパパの好きなものにしようかな? 肉じゃがに、ホウレンソウのおひたしに……
 あ、今日は鮭が安かったはず。塩焼きにしようかな?」

わざと声に出しながら献立を考える。
アリスはこの時間が密かに好きだった。
なんでもないことを普通に過ごせるこの時間が好きだった。
腰まであるブロンドの髪をゆっくり揺らしながら商店街へと歩いて行く。

商店街に入りかけた一角で、ふと見知った顔が目に入る。
まるで隠れるように本屋から出てきた一人の少女を発見すると、
少し思案し、声を掛けるために小走りに追っていった。
590アリスと魅紗の隠し事 ◆G9YgWqpN7Y :2010/01/09(土) 21:58:59 ID:u61fCik7

「こんばんは、魅紗?」
「ひゃあ?! ……あ……なんだ……アリス……か……こ、こんばんは」

ちょうど人がほとんど通らない路地。そこで追いついた少女は茶髪のキツイ雰囲気を与える少女。
最近髪形を変え、ショートカットにしていた。顔立ち自体はまだ中学生の持つ可愛らしさを残しているが、
よくいえば気が強い、悪く言えば短期っぽい雰囲気を持つ少女だった。

その少女にアリスは追いつくと声を掛ける。
その声になぜか魅紗は過剰に驚くと、手に持った本を隠しながらアリスの方を振り向いた。

その様子にアリスは一瞬不審な目を向け、次に本屋と手元を隠したという行為から理由を察する。

「まったくもう……一見ただの本なら隠す必要ないじゃない?
 そんなことすると余計に気になると思うわよ」

そんなアリスの言葉に魅紗は照れた表情を浮かべた。
もともとキツメな表情をすることが多い少女であるが、この時は年相応の雰囲気を纏っていた。

「そんなこと言われてもねぇ。さすがにこの手の本は隠すのが普通だろ。
 それにあたしはアリスみたいな乱読家じゃないし、普段のイメージってものもあるからな」
「確かにそうね。スピードスケートやっているのよね? 部活」
「そうそう、こう見えても結構速いんだぜ。あたし」

魅紗はそう言って胸を張る。
その中学生にしては豊かな胸回りに内心少し羨ましく思いながら、顔は笑みの表情を作った。

「私、運動苦手だからそういうのは羨ましいな」
「えー、アリスだってやればできそうなのになー」
「無理だって。この前お姉ちゃんに渡されたアーチェリー。すぐ落っことして壊しちゃったし」
「あいかわらずドジだなぁ。アリスは」

軽く二人で笑った。
そして魅紗は「話を戻して」、と前置きしてから続けて言う。

「アリスみたいになんでも読むってイメージが定着してればこんなコソコソ買う必要ないんだがなー」
「どうして?」
「どんな本を読んでるかなんて気にされないだろ?」
「うーん。そうかも」
「だから大変なんだぜ。こういう趣味を隠すってことは」

魅紗は今度は肩を落として苦笑する。
趣味を隠す。それはもし知られたら、きっと引かれ、友人が離れてしまうと思っているがための行動。
アリスはそんな魅紗の人に言えない隠れた趣味を知っている、数少ない理解者だった。

アリスは肩を落とす魅紗に元気づけようと話題をずらす。

「ねぇ。それで、今度は何の本を買ったの?」

その言葉に、魅紗は照れくさそうに話し始めた。
591アリスと魅紗の隠し事 ◆G9YgWqpN7Y :2010/01/09(土) 22:00:29 ID:u61fCik7


「魔法少年ホーモズ リバース。前作は神作だったから今回も期待してるんだ」
「ああ、魔法少年ライル×敵ライバル少年シェーダスとか言ってたあれ?」
「逆よ逆! シェーダス×ライル! あのいじめてオーラ全開のライルがそっちはないから!」
「よくわからないけど、そうなんだ?」
「当たり前! アリスも読んだでしょ」
「魅紗に渡されてね。でも私にそっちの趣味はないから……」
「うう、やっぱりアリスもわかってくれない……」

そのアリスの一言に魅紗は今まで以上に落ち込んでしまった。
その様子に慌てたアリスは少し早口で話す。
とりあえず記憶に新しい本の題名を挙げた。

「そ、そういえば、前読んでたグレートサラマンダーZはどうだった?」
「あれは最高! うぱ太郎と警察官真田の種族を超えた友情! あれは感動する!」
「なるほどね。そういう種族を超えた友情っていいわよね」
「今度はアリスもわかってくれる? わかってくれるのね!」

一瞬にしてテンションが上がる魅紗。
アリスは魅紗の言葉に頷こうとしたが、次の瞬間固まる。
魅紗の普段の凛々しい表情が、なんて言っていいのか、歪んでいた。
あれは笑みのはず。はずなのだが……『うへへ』という擬音が相応しい表情だった。
今の魅紗の頭の中ではきっと映像化禁止なことになっているだろう。

「……えーと、前言撤回していいかな? 多分私と魅紗じゃ考えてることが違うと思う」
「アリスの意地悪……」

非常に申し訳なさそうに言うアリス。
そのアリスの雰囲気に魅紗は頬を軽く膨らませながら愚痴をこぼした。

しかし、今度はすぐに気を取り直したのか何かスイッチが入ってしまったのか、
魅紗はえいやっとばかりにアリスへと語り始めた。
592アリスと魅紗の隠し事 ◆G9YgWqpN7Y :2010/01/09(土) 22:03:46 ID:u61fCik7

「ふっふっふ。今度こそ、今度こそアリスをこっちの世界に立たせてみせる!」
「え……ちょっと急に何?」

そこに取り出すは一冊の本。一見何の変哲もない物に見える。

「さあこの本は一見ハーレム物! しかし本当はそんなところに意味などない!
 真面目な色無×変態馬鹿の男なんてのが新境地であり真理なの!」
「ちょっと待って! それ意味がわからないから!?」

しかし、そんなアリスの言葉をあっさり聞き流し、次に別の本を取り出す。
だんだん魅紗のテンションが上がっていっている。
アリスの本能が告げる。これは危険。しかし逃げられない、と。

「これはロリババァ布教本といわれて久しい一冊! 確かに師弟愛とは美しいもの!
 しかし見るべき所はそこじゃない。弟子同士の繋がり。共同作業を通して芽生える愛!
 絶対倉刀×裏刀です! 反対意見は要りません!」
「やめて!」

今度は本をしまったと思ったら一冊のノートを取り出す。
ああ、これはまずいかもとアリスは冷や汗を流す。

「そして現実世界にも溢れている! 今のホットは先輩君×台! あのオセロは名勝負だった!」
「……自分の兄でも平気で餌食にするのはもうやめて!?」

アリスの音量を落とした叫び声すら気にも留めず、魅紗は言葉を続ける。
なんだか恍惚としてきたような。半分トリップしてしまったようだ。
アリスは急いで周りを気にしたが、幸いなことに誰もいない。
一瞬ほっと胸をなで下ろしたが、その気配りごと次の言葉で心が折れた。

「教師で気になるのは真田先生×大里先生! いえ、これはすでに鉄板よね」
「……しまいには泣くわよ。主に私が」

私の親すら例外なしですか、と心で思い、完全に思考停止を起すアリス。
こうして延々と続く魅紗の講釈と、完全に動きを止めたアリスという、異様な光景がそこに生まれていた。

かなりの時間が経った後、魅紗が我に返り、真っ赤な顔をして走り去った。
しかし当然のごとく、アリスは反応できずに棒立ちのまま見送った。

落ち着くのにかなりの時間が必要だったアリスは、家に帰るのが遅れに遅れた。
帰ってみると基次郎とウェルチは夕飯を作り終わってアリスの事を待っていた。
ついでに買物のことなど頭からすっかり忘れていた。
どうやらこれから一週間はアリスが家事をやることになりそうだった。



次の日――
593アリスと魅紗の隠し事 ◆G9YgWqpN7Y :2010/01/09(土) 22:05:23 ID:u61fCik7


「ごめん! 暴走した!」

図書館にアリスと魅紗の姿があった。いつものように付近には誰もいない。
魅紗は図書館の主に手をパンッと合わせ、頭を下げる。

「……大丈夫よ。私は別に気にしてないから。それに魅紗が暴走するのはいつものことじゃない」
「いつもはしてないって! アリスの前だからできるの!」

アリスは笑みを浮かべながら言い、魅紗はその言葉に唇を尖らせ文句を言う。

「はいはい」
そんな魅紗に対し、アリスは軽くあしらうように言う。

あんなことがあっても一日経てば元通り。
この二人は結局のところ友達なのだ。
昨日の程度のことなど大したことではなかった。
そのアリスの様子に魅紗は安堵のため息を吐き、鞄から取り出した一冊の本をアリスに渡す。

「? これは?」
「昨日の魔法少年ホーモズ リバース。 特典のために二冊かったものだから持ってていいよ」
「……ありがとう」

素直に受け取るアリスに対し、魅紗はサムズアップして笑いながら言う。

「ふっふっふ。これでアリスもシェーダス×ライルに目覚めるはずだから!」
「うん。それはないわよ……」

でも、勧誘は止めてほしい。
そう思いながら、アリスは深いため息を吐くのだった。




おわれ!
594アリスと魅紗の隠し事 ◆G9YgWqpN7Y :2010/01/09(土) 22:07:15 ID:u61fCik7
追加設定

真田アリス

乱読家。図書館の本はほぼ読み終えているらしい。
家事一般普通にできます。運動音痴らしい。

大型魅紗

スピードスケートの部活をしていて結構速いらしい。
隠れ腐女子。アリス以外でその趣味を知っているのは、今の所兄である大型台他数人だけです。



えーと。まずは色々な人にごめんなさい。
投下終了です。今回はクロスなし。
……いや、この話にクロスはさせられなかった。大惨事になる。

どーも、今書いてる話のシリアスさに息が詰まってきたので単発物を書いてみた。
こういう話はつきぬけないといけないのに突き抜けきれなかったなー。反省。
うん、書いてて自分にダメージが来たんだw
595創る名無しに見る名無し:2010/01/09(土) 23:23:32 ID:zP17fNNY
アリスになごんでいたところで思わぬ不意を突かれた・・・。
腐ってやがる・・・! 創発板さえ奴らの遊び場なのかっ!
先輩が攻めというあたりが生々しくて嫌だなw本とかあったら後輩が独占欲そっちのけで飛びつきそう。
本棚の魔女はふたりいたのか。そのうちクロスさせたいものだ。

CWととろの続きを書いていたら学園物じゃなくなってた。さあ修正だ。
596 ◆Q1QEUibokM :2010/01/10(日) 01:21:17 ID:5N5t9EIe
投下乙
なんだこの完璧な腐女子はwww
>「……自分の兄でも平気で餌食にするのはもうやめて!?」
で吹いた。
アリス、そこはかとなく苦労人だね。頑張れ。
でも洗脳される気がしないでもないがw

さて、当方も久々に投下。
597恋する乙女の第一歩 ◆Q1QEUibokM :2010/01/10(日) 01:22:36 ID:5N5t9EIe
 春らしい温かな日差しが、透き通った窓から廊下へと降り注いでいる。
 爽やかな空気の中、擦れ違う人たちの雰囲気は、とても弾んでいるように見えた。
 それはきっと、窮屈な授業が終わってようやくの放課後が訪れたからだと思う。

 もちろんわたしだって、解放感でいっぱいだ。授業中常に襲ってきた睡魔も、もうどこにもいない。
 ただ、わたしは寂しいことに、一人廊下を歩いている。
 梢ちゃんを始めとする友達は、みんな用事――部活とかデートとかで忙しいのだから仕方ない。
 羨ましいなぁ。わたしも牧村くんとデート、したいなぁ。
 牧村くんは放課後、何をしてるんだろう。
 わたしが教室を出たときはもういなかったし、何か部活やってるのかなぁ。

 それとも、まさか――デート!?。
 嫌なことを考えそうになって、思わず首を振ってしまった。
 牧村くんとデートするのはわたし!
 二人で一緒にお買い物行ったり、美味しいもの食べに行ったりするのはわたしなの!
 ううん、どこかに行かなくったって、お話してるだけでもいいし、牧村くんとだったら勉強だってはかどるよね。
 とにかく、牧村くんと一緒の時間を過ごしたい。それもできれば、二人っきりで。 

 でも、誘える度胸なんて雀の涙ほどもない。そもそもまともに会話をする自信もない。
 臆病な自分が垣間見えてしまう。
 その途端に、心弾む放課後が、不意に面白くなくなってしまう。

 ネガティブなのは、わたしの悪い癖だ。
 梢ちゃんはよくわたしを褒めてくれるし、『自信を持って』って言ってくれるけど、すぐに後ろ向きになってしまう。
 牧村くんと仲良くなって、彼女になりたいって思うのに。
 嫌われたり、迷惑がられてしまうんじゃないかって、ついつい考えてしまう。
 だから声を掛けられないし、牧村くんを前にすると緊張して、言葉が出なくなっちゃう。

 溜息が落ちた。
 どうしたら、牧村くんの前でも普段どおりでいられるのかな。
 鬱々としながら考え始めたとき、暗い気分を吹き飛ばすような、一際元気な声が廊下に響き渡った。
 呼ばれたわけじゃないって分かってるのに、わたしは声の主へと目を向けていた。
598恋する乙女の第一歩 ◆Q1QEUibokM :2010/01/10(日) 01:23:35 ID:5N5t9EIe
「先輩! 今日もあなたの後輩がラブをお届けです!」
「注文した覚えはないんだけどな!」

 廊下の端、階段の手前で、おかっぱがよく似合っている女の子が、半ばぶつかるような勢いで、精悍な男の子に抱きつこうとする。
 その女の子に対し、男の子は、迷わずにあっさりと女の子の抱擁をかわしてみせた。
 両手にプリントの束を抱えているのに、階段の下へ誰も落ちないように避ける身のこなしは鮮やかで、わたしは思わず足を止めてしまった。
 二人はわたしを知らないだろうけど、わたしは知っている。
 というより、この学園の生徒の半数くらいは、その二人を知っていると思う。
 それくらいに、彼らは有名人だった。
 男の子は、“先輩”さんで、女の子は、“後輩”ちゃん。
 後輩ちゃんのアグレッシブな愛情表現と、先輩さんの手馴れた返しは、仁科学園の名物に近いものがある。
 でも、それを実際に見るのは初めてだった。

「廊下を走るな。小学生の頃から言われてるだろ」
「愛のエンジンは止められません! いつだって先輩に向けて全速力です!」
「そいつは地球に優しくないな!」
「代わりに少子化対策を推し進めましょう!」
「何が代わりなのかさっぱり分からないんだが」

 夫婦漫才という単語を体現しているかのような二人の側を、下校中の人たちがニヤニヤしながら通り過ぎていく。
 そんな中、わたしは立ち止まったまま、二人の様子を眺めていた。
 面白いからじゃない。冷やかしたいからじゃない。好奇心に従ったわけじゃない。
 
「それでは早速帰りましょう! 愛の巣が私たちを待っています!」
「先生に頼まれてることあるから駄目」
「では二人で障害を乗り越えましょう! 真実の愛に近づくために!」
「飛躍しすぎだッ!」

 先輩さんは、後輩ちゃんの言葉を簡単に受け入れようとはしてない。
 でも、心底から迷惑がったりしているわけじゃないと思う。
 もしも本当に迷惑なら、毎日毎日付きまとわれているのに、こうやって相手をしたりしないはずだ。
 先輩さんを見ていると、期待してしまう。

 結構滅茶苦茶なことを言っても、心配するほど嫌われたりはしないんじゃないか、って。

 後輩ちゃんは、熱烈な愛情表現を繰り返している。受け流されても諦めずに繰り返している。
 ストレートで暴走気味なラブコール。
 それを伝え続けられるのは、本当に先輩さんを大好きだからなんだろう。
 後輩ちゃんを見ていると、期待してしまう。
 
 わたしも、後輩ちゃんみたいに素直に気持ちを伝えられるのかな、って。
599恋する乙女の第一歩 ◆Q1QEUibokM :2010/01/10(日) 01:25:39 ID:5N5t9EIe
 先輩さんが後輩ちゃんのことをどう思っているかは分からない。
 けれどわたしは、後輩ちゃんを応援したい。
 だって、後輩ちゃんとわたしは、きっと同じだから。 

 気付けばわたしは、歩き始めていた。
 真っ直ぐ行けば、すぐに後輩ちゃんたちとの距離は縮まっていく。
 
 わたしは、人見知りをするし上がり症だ。
 初対面の人に声をかけるなんて、苦手で仕方ないと思ってる。
 こんなのだから、牧村くんとも未だにまともに話せてない。
 けれど、だからこそ、頑張りたいから。
 自分の気持ちを伝えられるようになりたいから。
 だからわたしは、早足で歩いていく。
 心臓がドキドキする。掌に汗が滲む。
 その全部を感じながらも、わたしは、先輩さんと後輩ちゃんに近づいていく。

「とにかく、俺はやることあるから。じゃあな」
「あーん、待ってくださいよ先輩ー。置いてかないでくださいー」

 言い合い――っていうかじゃれ合いを切り上げ、階段を上がっていく先輩さんと、追いかける後輩ちゃん。
 その二人の背中に、階段の下から、声を掛けるべく。
 必死で顔を上げ、わたしは、喉を振り絞る。

「あの……っ」

 出たのは、届くかどうか不安になるような小声だった。
 囁きによく似た声は、でも、聞こえてくれたみたいだった。
 先輩さんも後輩ちゃんも立ち止まり、わたしの方を振り返ってくれる。
 わたしは先輩さんを見て、後輩ちゃんを見て、もう一度先輩さんを見て、言う。
600恋する乙女の第一歩 ◆Q1QEUibokM :2010/01/10(日) 01:26:25 ID:5N5t9EIe
「あの、その。あ、ありがとう、ございますっ」
「え? 何が?」
「え、えと。そ、その。そう、色々、いろいろですっ!」

 衝動的なお礼だった。
 だから首を傾げた先輩さんに、答えられるだけの言葉を、わたしは用意していなかった。 
 ますます不思議そうにする先輩さんを見ていると、顔中が熱くなってくる。
 だから、わたしは後輩ちゃんに視線を移す。先輩さんには申し訳ないけど、正直もう余裕がない。
 
「が、がんばって! その、わたし、気持ち、わかるから!」

 言葉足らずの、拙い応援メッセージ。悪い滑舌で紡がれた、聞き取りづらい単語の羅列。
 自分が嫌になるような言葉の先で。 
 後輩ちゃんは、嬉しそうに目を細め、にっこりと笑ってくれた。
 
「うん、ありがとう!」

 その愛らしい素敵な笑顔を前ができるんだから、先輩さんに想いが届いて欲しい。
 そう思う傍らで、わたしはもう一つ望んだ。
 
 ――後輩ちゃんと、仲良くなりたいなぁ。 
601 ◆Q1QEUibokM :2010/01/10(日) 01:27:36 ID:5N5t9EIe
以上、投下終了ですー。
先輩と後輩をお借りしました。キャラとか変だったら指摘ください。
602 ◆46YdzwwxxU :2010/01/10(日) 17:19:45 ID:OM0lMkqR
>>601
私なの!っていう下りがすごい可愛いと思った。心の中だけでっていうのがまた。

先輩後輩については文句などあろうはずもない。
というか会話のキレが自分よりずっとイイ感じで悔しい。
特に先輩の気の利いた返し方に、なんだか初心を思い出した気分です。
ありがとうございました。


もうちょっと待とうと思っていたのですが諸事情で投下していきます。
二連発。
603文藝青春 ◆46YdzwwxxU :2010/01/10(日) 17:21:46 ID:OM0lMkqR

 機械科三年松戸白秋(まつど はくしゅう)は、マッドサイエンティストを目指して日夜研鑽する奇人として
知られる。
 裾が床を撫でるほど丈の長い実験用白衣を殊更に愛用し、水泳着の上にそれだけ羽織ってプールサイドに出現
したりする。平時には割と黙認されがちだったが、さすがに正装たるべき式典ともなるとそうもいかず、教員数
人掛かりでひん剥かれるのが恒例となっていた。
 もちろんそんなことで懲りる松戸白秋ではない。攻撃火器を搭載した“惚れるとヤケドする白衣”、装甲や筋
力補助機構が特徴の“ゾウが踏んでも壊れない白衣”、光学迷彩実装の“バカには見えない白衣”などの奇作怪
作意欲作を続々と世に送り出し、そのすべてを悲惨な爆発オチで締めくくっていた。
 かれこれ八回病院送りになって二回留年している。ベッドに横たわりながら、ぐるぐる巻きの包帯の上にも白
衣を着ていたという、その偏執はいっそ清々しい。
 さて、松戸白秋が異常な愛情を注ぐものが、機械類と白衣の他にもうひとつある。

「うおおーっ! 霧崎くん結婚してくれ! そしてぼくとお揃いの白衣を着てくれー!」
「乙女どん引きのプロポーズをありがとう。超断る」
「ななな何故!? 白衣はこんなにもウェディングドレスだというのに!」
「よく分からないけど、オレは出て行ったほうがいいですか?」

 図書館にほど近い書庫。本棚に整列する書物達を住人とする異世界まいた空間にて。
 文芸部部長たる霧崎と、抵抗空しく蔵書整理に駆り出された幽霊部員村上健は、突然の乱入者にそろって白い
目を向けた。
 松葉杖を突いた長身には当たり前のように白衣。溶接工ご用達の保護面を今は押し上げ、精気漲る男の顔を露
わにしている。

「というか、何だね。退院おめでとう、松戸。白痴までは治療してもらえなかったようで残念だ」
「うむ。いつぞやの見舞いには感激した。そうそう、入院中に閃いたことがあったのだった。白衣の天使に白衣
を重ね着したら……いいね」
「合わん」
「どんな料理にでもマヨネーズを掛けるマヨラーみたいなひとなのか」
「いいのに……」

 賛同者がいないことを残念がる素振りも一瞬のこと、松戸白秋は見慣れぬ人物を視界の真ん中に捉えた。する
すると歩み寄り、そつなく名刺を差し出す。

『私立仁科学園機械科三年 マッドサイエンティスト見習 松戸白秋』

 意味不明な肩書が混じっていた。

「機械科三年、松戸白秋ですよろしく。きみは?」
「一年、村上健です。よろしくお願いします」

 正直なところを白状すれば、村上健にとってはあまりよろしくしたくない手合いではあった。
 白衣の怪人は無表情のまま視点を平行移動、首だけで美貌の文芸部部長を向く。

「ところで霧崎くん。この村上くんとはどういう関係なんだい? 二人っきりでこんな薄暗い部屋に籠ってまさ
か! ……いやらしい!」
604文藝青春 ◆46YdzwwxxU :2010/01/10(日) 17:23:41 ID:OM0lMkqR
「彼は私の奴隷だ」
「オレはいちおう文芸部の部員……そこ出鱈目いわないでください」
「肉体労働をさせているから、肉奴隷といったほうがいいか」
「おのれこのぼくを差し置いて……! 覚悟しな、日本伝統の死に装束といえば白衣だぜ!?」
「ツッコミが追いつかないから、ひとりずつ喋ってくれませんかね」

 松戸白秋先輩(19)のあまりの落ち着きのなさに、村上健の心のなけなしの敬意も底をついたようだった。
口調が北風ていどに冷たい。

「きみはそんなことをいうためだけにわざわざここに来たのか。少し手伝っていけ」
「いいとも! お役立ちなところを見せようではないか。ぼくの意志を忠実にトレースするロボットアームを有
する、この新開発“猫の手も借りたい白衣”が火を噴くゼ!」
「ふつうにやりたまえ。さもなくばきみが九回目の入院をすることになる」
(……帰りたくなってくるな)

 背後のすったもんだをどこか遠くに聞きながら、一年生だけが黙々と作業をしていた。話によれば、名ばかり
の部員を動員しなくてはならないほど忙しい時期らしいのだが、部室に限ってはそんな雰囲気でもない。
 ちなみに十人足らずの部員は空き教室を借りて製本作業に追われている最中だという。
 村上健はペースを上げる。いざそうしてみると、作業量はさして多くもなかった。

「部長。こっちは終わりました」
「ふむ。よくやってくれた。有能な部員がいてくれて助かるよ」
「これくらい、誰にだってできますよ」

 それは村上健の偽らざる本音だった。あまり簡単なことで褒められると、嬉しさどころかむしろ居心地の悪さ
を覚える。

「ご苦労様、今日はもういいぞ。また、今度は暇で暇で仕方なくなったときにでも来るといい」
「はぁ、どうも……」
「ちょっと待ったぁ! お近づきの印にぼくの春の新作白衣を進呈しよう! この“爽やかマイナスイオンビー
ム白衣”をな!」
「(爆発しそうだから)結構です」
「賢明だ」

 あまりのいわれように、松戸白秋は部屋の隅で床に『の』の字を書いた。絨毯が痛みそうだった。
 村上健が部室を辞すのを見届けてから、霧崎は湯気の立つカップを片手に、全自動『の』の字筆記装置筆記速
度増強型に近づいていった。

「……松戸」
「……どうせぼくなんて……」
「せっかく来たんだ。ほら、コーヒーでも一杯、ど――」
「任せろ!」

 松戸白秋はよく分からない返事とともにすっくと背筋を伸ばした。とんでもない立ち直りの早さだった。
 勢い余ってコーヒーを受け取り損ね、宣言通りか床に撒かした。

「NOOOOOOOOOO!?」
「やれやれ……」

 霧崎の松戸白秋に対する好感度がちょっと下がった。
605文藝青春 ◆46YdzwwxxU :2010/01/10(日) 17:26:28 ID:OM0lMkqR


 ※

 村上健は幽霊部員だ。
 部誌『文藝青春』に寄稿する気もさらさらないし、他愛ない雑談をしに部室を訪れたこともない。
 だから、自ら進んで文芸部に貢献しようなどという考えは、特に持っていなかった。今回もわざわざ校内放送
で呼び出されなければ、親友の藤田亮と駄弁るなり何なりしていたはずだ。
 だが、カムフラージュだとしても文芸部に所属していることには変わりない。また、“話が分かる”霧崎部長
を蔑ろにするほど不義理でもなかった。

(神を畏れる人は、畏れるからこそ幸福になり、悪人は神を畏れないから、長生きできず、影のようなもので、
決して幸福にはなれない)

 愛読書『コヘレトの言葉』の一節である。
 村上健は神を信仰する身ではないが、そういった思想を自分なりに解釈して血肉とすれば、人生を今よりずっ
と実りあるものにできると考えていた。
 全くの無価値と思えてならない人生。だからといって、何もかも台無しにしなくてはならない法はない。

『コーヒーでも用意して待っているよ』

 ふと霧崎部長が去り際に投げ掛けた言葉を思い出す。
 村上健は、彼女にどこか同類めいたものを感じることがあった。少女呼ばわりすることに抵抗があるほど大人
びていて、世の中を冷徹に俯瞰しているような雰囲気を常に纏っている。
 本棚に囲まれてどんなことを考えているのか、少しは興味がなくもない。

「……たまには、自分から顔を出してみてもいいか」

 口にまでしておきながら、実はそれほど真面目に検討したわけではない。しかし、気まぐれにしてはなかなか
悪くない思いつきのようにも感じられた。



 おわり



新キャラクター

■松戸白秋(まつど はくしゅう)
 機械科三年。何度も病院送りになって二回留年している。
 白衣と溶接用保護面を常用し、マッドサイエンティストを目指して研鑽の身。
 文芸部部長の霧崎に求愛中だが、なかなか想いは実らないようす。
 実験用白衣に偏執狂的なこだわりがあり、肌身離さず着用しているばかりか、変な機械を仕込んだものを次々
に製造する。ちなみにそういった白衣は例外なく爆発して悲惨な結末を迎えている。
 ときどきテンション任せのおかしな言い回しをする。



村上健をお借りしました。なんかキャラ違ったかも。

意外に男性側からアプローチするキャラがいないのでバランスを取ってみた、
んだけど俺がやってもゲテモノになるだけだった・・・。
機械科だしよかったら便利に使ってやってください。

続けてもう一話いきます。

「おうおうそこのバカップルよォ!」
「黙って見てりゃあイチャイチャベタベタ! ムカつくぜェ! ああムッカつくんだよォ! ブッ殺してやっか
ら歯ァ食い縛れや! ああんッ!?」
「ナンとかいえやコラ!」
「た、たーくん……こ、この人達は……」
「まさか、……噂の不良なのか!?」

 噂がある。仁科学園を震撼させる恐怖の噂。
 幸せの撲滅を野望に抱き、カップルの仲を裂こうと示威行為に及ぶ、度し難き者達がいる。
 それは懐かしのバンカラスタイル、“リーゼント”、“モヒカン”、そして“ハゲ”をリスペクトしてやまな
いズッコケ三人組であるらしい。
 嘘か真か、そいつらは幸せ絶頂のカップルを発見するや、秘境マダガスカルに棲息するある種のキツネザルを
思わせる奇声を上げつつ跳びはね、身の毛もよだつ手つきで襲い掛かってくるという。そして人類の限界を優に
超える怪力で愛し合う二人を引き離し、ああ、その先を口にすることは……。

「ち、違う! 僕達は幼馴染みで、ちょっと恋愛の相談に乗っていただけなんだ! 付き合っているとか、そん
なんじゃない!」
「……え、あ。ほ、ほんとうだよ! たーくんは……その……」
「たーくん、たーくんと……その親しげな感じがトサカに来るんだっつうの!」
「ブッ! あンまぁい展開にツバが出るぜ」
「殺されてーか」

 昼休みに連れ立って屋上にやって来た男女にその三人は牙を剥いた。噂の通りに。
 しかし見よ。
 その男はリーゼントか。――いいや?
 その男はモヒカンか。――いいや。
 ならばその男はハゲか。――いいや!
 その男達は、ああ、天を突く三角形の被り物をしている。目許だけが視界を確保するために開いた覆面。額に
はバツによってその価値を否定されるハートマークがある。
 威嚇的なヘアスタイルを誇示しないということは、そう、有り得ない。噂の彼らはコソコソと立ち回らない。
だから違う。かの不良達ではない。
 この何者かは、幸せ撲滅計画を装い、凶行の罪を擦りつけようとしている! まさに外道。
 だが、噂以上の情報を知らぬ二人は真実に気づけない。この場で行われる悪魔の所業も、いずれ噂の一部とな
るだけだ。

「いいぜバカップル!」
「お前らがどんなところでも思い通りにイチャつけるっていうんなら!」
「まずはその幸福をぶち殺す!」

 訴えられても文句はいえなさそうな決め台詞は、彼らの魂の叫びにも聞こえた。
 『幸福殺し(カップルブレイカー)』。黒いグローブの手の平に刺繍された謎の文字列には、ご丁寧にカタカ
ナでルビまで振ってある。かつて購買部から限定発売された、ネタとしても需要なさげな伝説のグッズだ。

「たーくん……」
「安心しろ。お前が好きだっていうそいつと付き合い出すまでは、僕が守ってやるから!」

 怯える女子生徒を勇ましくも背後に庇う男子生徒に、怪人“幸福殺し”達の魔手が伸ばされる。
 ああ―― 
 幸福が――
 殺されてしまう――

「そこまでよ! 卑劣な模倣犯集団、“幸福殺し”!」

 ――そんなときだった。
 どこからともなく、声が。毅然としながら甘さの抜けない、それは少女のもの。
 給水塔の上に、謎の人影があった。
 学園の最高峰に白ブーツを突き刺すように立つそいつは、その場の者達の視線を集めて微笑む。艶やかな唇が
蠢き、断罪の言葉を吐く。

「他人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて地獄に堕ちろ!」

 羞恥心をドブに捨ててきたような決め台詞と大胆なポーズ。両手の人差し指と親指で、ハートとも毒の矢じり
ともつかぬ歪んだ形をつくってみせる。
 それは奇天烈な風体をした女だった。
 とてつもなく奇天烈な風体をした女だった。
 頭の上半分に被さったヘルメット、ハートを己がトレードマークとして強調するアイシールドのためにその正
体は不明。ブレザー制服に毒々しい赤マント。白い手袋に包まれた手には、ショッキングピンクに彩られた魔法
のステッキを携える。
 “幸福殺し”に勝るとも劣らない不審な女は、太陽かっらの逆光の中で声を張った。

「女の子はね、みんな恋に恋したいって夢見てるの! その夢を奪い去るものはどんな奴も許さない! 恋の悩
みにズバッと参上、恋の悩みをズバッと解決! このリンゴと蜂蜜のブレザー制服美少女戦士、カップルウォッ
チャーが、問答無用に大成敗しちゃうんだから!」

 幸せ撲滅計画とともに語られる、それはもうひとつの噂。
 謎の美少女戦士、カップルウォッチャー。
 あらゆる“カップルの敵”を駆逐する謎の存在だ。

「ゲゲッ! テメーは噂のデバガメ女!?」
「そんなカッコで恥ずかしくねえのか!?」
「カッコのことだけはあんた達にどうこういわれる筋合いはないっ!」

 すっかり蚊帳の外に追いやられている感のある一般生徒二人がうんうんと肯いた。

「……知っているぞ、謎の美少女戦士カップルウォッチャー。お前の弱点それは……物理的な抑止力がないとい
うことだ!」

 “幸福殺し”の中心人物の指摘に、カップルウォッチャーの挑発的な微笑がまたもや凍りついた。
 彼女もデビュー戦以降いろいろと対策を練っていたというが、まだ万全ではないらしい。

「と、通りすが……」
「俺達がゲームなんぞに騙されるかっての。舐めてんのかよお前」
《力づくで来られるとなると……もう打つ手なしザビ!》

 魔法の国からやって来たマスコットキャラ・ザザビーちゃんの幻覚も、カップルウォッチャーの視界の隅で頭
を抱える。クソの役にも立たない動物だった。

「せんぱ……」
「あいつなら今ごろ、文芸部の霧崎に奴隷のようにこき使われているだろうさ」

 肝心なときに。いや、もともと彼に頼るのは筋違いなのだが。
 観衆がいない分、これは前回の幸せ撲滅計画戦よりはるかにまずい状況だった。

(後ろの彼に期待できるとしても、二対三の不利! しかもあたし、か弱い女の子だよ!)

 さしものカップルウォッチャーも、負け戦を覚悟した。
 けれど。
 もしかしたら“恋の神様”なるものは実在するのかもしれない。
 階下より屋上を隔絶する扉が開かれた。誰かがやって来る。
 果たして運命の門を潜り抜けたのは、背の低い少女がひとりだけ。
 カップルウォッチャーは彼女を知っている。
 その名は、金城葎。創作部に所属し、主として玩具を手掛ける少女だ。
 類稀な手先の器用さに中学時代から惚れこんでいたカップルウォッチャーは先日、意を決して“あるお願い”
をしたのだった。

「完成、したの?」

 期待の通りに、金城葎は何かをその繊手に握っていた。

「近森さん」
「謎の美少女戦士ね」
「謎の美少女戦士さん、これ。頼まれていたもの」

 金城葎はぽつりぽつりと言葉を発して、謎の物体を差し出す。
 ショッピングピンクの輪の中に♂と♀の意匠がひとつずつ、鎖のように連なっている。その外側には羽の生え
たハートの飾り。
 あれは――何だ?

「ありがとう! これなら……」
《カップルウォッチャーととろ! それを魔法のステッキに装着するんだザビ!》
「――換装!」

 今!
 カップルウォッチャー携える魔法のステッキのヘッドが付け替えられる。
 間髪入れず、ポケットに用意していた単三電池二本を石突から装填。
 ステッキ先端部で天使の羽の生えた赤いハートが強烈に発光、恋のときめきを思わせる電子音が高らかに響き
渡った。


 ※

 “先輩”先崎俊輔は、学生食堂でぼそぼそと坦々麺を啜っていた。
 遅めの昼食である。文芸部部長霧崎からの頼まれ事を鬼の速攻で片づけはしたものの、既に昼休みも後半だ。
この時間になると、出遅れ組や混雑を嫌ってピークを避けた層が疎らに席を埋めているだけだった。

『以上、やもり先生によるウナギの捌き方の実演でした! これでオトコのコに精をつけてもらって、あわよく
ば既成事実を作っちゃおうという先生のメッセージ、肉食系女子はちゃんと受け取ったかなー!』
『やだっ、ち、違いますよぉっ! も〜何てこというのB72ちゃんってばぁ!』
『いた、あ痛っ! し、CMの後は、定番の蒲焼を料理(つく)ってもらうよ!』

 顔を真っ赤にした家庭科の白壁やもり教諭が、二年の女子報道部部員(B72)の背中をばしばし叩く。
 学生食堂据え付けのテレビでは、放送委員会を介して、生徒会や教師からの事務連絡、あるいは報道部の真偽
の疑わしいニュース番組や教師のミニ授業などが流れている。
 購買部の送るCMも人気の番組のひとつだった。
 幸福殺しグローブや、恋を叶える伝説の樹盆栽、家庭で楽しめるショウジョウバエ培養セットなど、心底しょ
うもない商品を売り出すことで話題の購買部である。
 すわまた何をトチ狂ったかと、食堂にいる生徒のうち七割くらいは画面に注目した。
 そして彼らは、見た。


 吹き荒べ恋の嵐!
 カップルウォッチャーよ、今こそ愛のかたちを見せてくれ!

『あたしにまかせて!』
《カップルウォッチャーに変身だザビ!》

 ♂(おとこのこ)と♀(おんなのこ)を、マッチ・メイキング!
 運命の赤いレーザーポインターで、ハートに照準!

『問答無用に大成敗しちゃうんだから!』

 決めろ必殺のハッピネスハートブレイク!
 光る! 鳴る! 単三電池二本は別売り!

『その恋に、幸多かれっ!』

 これがそうなのかッ――マジカルステッキ“レッドストリンガー”ァァッ!


「何コレ?」
「正気か」
「購買部にもほどがある」
「俺ちょっと購買部に行ってくるわ。可愛い妹のために、な!」

 それは嘘だろ。
 先輩は心の中だけで呟いて、何事もなかったかのようにゴマダレのからまった麺を味わうのだった。


 ※

 戦いは終わった。
 CM一本終わる時間のうちに悪は滅びていた。
 超高校級マジカルステッキ“レッドストリンガー”、その第二形態ドングリスナイパーライフルモードは、岩
をも砕く破壊力。男女の体力差にのぼせた“幸福殺し”など敵ではなかった。

「つ、強え……」
「なんでドングリなんだよ」
「……がくっ」
「え? なんかおかしいかな」

 最期に胡乱げな眼差しを送って倒れ伏した“幸福殺し”に、ターゲット層不明のスーパーヒロインは小首を傾
げてみせる。

《ザビビ! 見事なお手並みだザビ!》
「そこのお二人さん、怪我はない?」

 荒事の最中には校舎に身を寄せていた男女に、カップルウォッチャーは近づいていった。
 “彼氏”がちゃんと“彼女”の楯となっていたことを嬉しく思う。彼らなら、きっと苦難に耐えて幸せを掴む
ことができるだろう。

「そっか。その恋に、幸多かれっ!」

 エールを送ってからカップルに背を向け、カップルウォッチャーは颯爽と歩み去った。

「あ、あのね。たーくん!」
「何?」
「恋の相談のことなんだけど……その、あれ、何ていおうとしたんだっけ……。ええと、あの……」
「う、うん」
「わた、私が、好きなのは。私の好きな人はね! ほんとは――」

 昼休みの終わりを告げるチャイムが、祝福の鐘のように鳴り響く。
 後にはドングリとお昼寝する怪しげな男子高校生が三人だけ残された。


 ※

「お、おのれ、おのれ、カップルウォッチャーめ!」
「次はただじゃおかねぇ」
「まずはあのチビ女から血祭りに上げてやる」

 “幸福殺し”達は憎悪を滾らせていた。口からは聞く者の心胆を寒からしめる怨嗟の声が迸る。
 その直後だった。

「――俺達を騙ってずいぶん好き勝手にやってくれたらしいな」

 中心人物の怒り肩に無骨な掌の感触が現れたのは。
 噂がある。学園に知らぬものなきといわれる恐怖の噂。
 幸せの撲滅を叫び、カップルを解消させようと示威行為に及ぶ、度し難き者達がいる。

「ムカつくんスよ。カップルを見抜く気もない奴にデカイ顔されると」

 それは昨今絶滅が危惧される“リーゼント”、“モヒカン”、そして“ハゲ”の正統後継者と目されるズッコ
ケ三人組であるらしい。

「二度とふざけた真似が出来ないように、その腐った性根を叩き潰してやる」
「「「ひえええー!?」」」

 かくして、幸せ撲滅計画の模倣犯“幸福殺し(カップルブレイカー)”事件は幕を閉じた。
 カップルウォッチャーととろ!! 今日もまた学園のカップルを救った!!



 おわり




報道部部員(B72)、金城葎、幸せ撲滅計画の三人組をお借りしました。修正は覚悟の上。
白壁やもり教諭はまた後日、エピソードを用意したいと思います。
たーくんと幼馴染み、幸福殺しの三人はモブ扱いで、新キャラとしては申請しません。

改変コピペといわないで。いつになく文章が荒れた・・・。
以上。今回はここまで。スレ汚しすみませなんだ。
612創る名無しに見る名無し:2010/01/10(日) 23:44:24 ID:Y26wzEcj
なんだこの量は!? みんな投下乙です!

>>597-601
おおぅ。あいかわらずゴロゴロ悶えたくなる可愛らしさ。
あの二人にいきなり声を掛けられるってすごい勇気だ。
恋は人を強くするな

>>603-605
すごい新キャラだ・・・また濃いのが文芸部に来たなw
霧崎さん松戸白秋に対する好感度残ってたんだ。3年間の間でよく0にならなかったなぁw

>>606-611
幸福殺し乙w 超高校級マジカルステッキ強すぎるな!
ああ……ととろがどんどん魔法少女っぽい別の何かになっていくwww
新しい先生来た! どんな先生か気になります。
そういえばB72も着々とレギュラー化していってるなー。名前ないのにw
613創る名無しに見る名無し:2010/01/12(火) 18:34:14 ID:9Xpb/znr
作者様方とwiki更新超乙です!
にぎやかになるといいな
614創る名無しに見る名無し:2010/01/12(火) 19:11:57 ID:9Xpb/znr
>>584
恋愛沙汰にはこと欠かんなここはw
こうして見ると近森って実は結構ヤバゲな人なのでは
一瞬葱(ねぎ)かと思ったが荵(しのぶ)か。でも若葉で刷り込みされてしまったのは俺だけじゃないはず
ほかの演劇部も気になる所
>>594
まさか腐女子だったとはな。次のブームは誰×誰だろう
魔法少年とか元ネタ分からんけど、オリジナルか?
読書ネタ絡みだけでも色々出来そうだ
>>601
違和感全くないw
ここの皆の中でも心理描写が突出して上手いと思う
果たして後輩とのクロスオーバーはあるのか
>>611
B72って名前なのか?wバストサイズだと思ってた
だんだん学園関係ない方に暴走していってる気も


ところで提案なんだけどさ、まずはSS抜きで教師陣の設定案だけ試しに作ってみない?
何か設定作ってSSで動かさなくちゃいけないってやり辛すぎる気がする。焦る事もないんだろうけど一向に増えないのもなと。
マンモス規模だけに、教科被っても後から追加してもいいし。
615 ◆akuta/cdbA :2010/01/13(水) 00:26:52 ID:R95Zm9tk
なんという投下量。白米で100杯いける!

wikiの表示名がいつまでも450だと悲しいので、とりあえず鳥つけました。
右だけ「あずま○が大王」ぱろ。ウェルチ部長借りました。
ttp://loda.jp/mitemite/?id=765.jpg
616創る名無しに見る名無し:2010/01/13(水) 01:09:23 ID:c2QL5fe5
ここって、一種のシェアードワールドってこと?
617創る名無しに見る名無し:2010/01/13(水) 12:52:19 ID:d/R7ltvC
>>616
うん、そう
ひとつの学園を舞台にしたSSとか絵とかをみんなで書こうって感じ。
キャラに関しては書き手ごとの占有じゃなくて、みんなで共有。
基本的には、とある書き手さんが作ったキャラを他の書き手さんが自分のSSに出すのは自由ってことになってる。
(書き手さんから「自分のキャラは使わないで」っていうことはできる)

まとめwiki http://www15.atwiki.jp/nisina/
618創る名無しに見る名無し:2010/01/13(水) 20:52:44 ID:ydGstTe3
>>615 乙ですー!
いよっしゃー! ウェルチ来た!! イメージに合っててすごく嬉しい!
修をしれっと煽ってるのも非常にらしいな。
言われて本当に聞きに行く修も修だがww
そりゃ台も怒るわw

>>614
教師陣の設定案かあ。やってもいいんじゃないかな?
自分の場合、話を作りながらじゃないと設定固められないんであんまり役に立たないかもですが。
魔法少年だけは創発関係ないオリジナル……のつもりです。

>>616
>>617さんが書いてる通りですね。
うーん、次スレからスレタイを変えた方がいいのかなあ。
今以上に一見さんが覗きたくなってスレ内容に合っているスレタイ案があればだけど。

ちなみに避難所はここ。読み手ならあんまり意味ないかもだけどね。
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12930/
619創る名無しに見る名無し:2010/01/14(木) 15:24:48 ID:dRysf+gb
俺の名前は重利 挙(おもりあげる)
二科学重量挙げ部二年だ。

今日はトレーニーにとって一種の到達点であるベンチプレス100kgに挑戦する。
100kg‥‥なんていい響きだ。ようやく人に自慢出来る重量にたどり着いた。なんつっても言葉でも重さが解りやすいのがいい。うん。いい。

「お、ついにやるのかアゲル?」
「あ、上糸部長。お疲れ様です」

今話し掛けてきたのは重量挙げ部部長の上糸 命(うえいと みこと)。クリーン&ジャークでは全国レベルの実力を誇る。

「あんま無理すんなよ。ていうか失敗しろケケケ」
‥‥この口の悪いのは同じく二年の中部伸「なかべしん)
チューブトレーニングの達人にしてアゲルのライバル。

かくして、仲間達に見守られながら俺のベンチプレス100kgへの挑戦が始まった。
620創る名無しに見る名無し:2010/01/15(金) 10:18:05 ID:jW+qX0O1
「よし、アップはこれくらいでいいか」
ウォームアップセットを終え、アゲルはベンチから降りた。

「俺らがプレートつけてやるよ」
そういうと上糸部長と中部がシャフトへプレートを取り付ける。

先程までのアップ重量とは違う、重厚な気配が辺りを包む。
今、アゲルの目の前にあるバーベルは100kgの怪物へと変貌しようとしている。

「よし、終わったぜ。」

上糸部長の言葉に軽く頷き、アゲルはベンチへ寝そべった。アゲルの頭上には鋼鉄の魔物が鎮座している。

「思ったより‥‥重そうだぜ」

アゲルは呟いた。
ウエサカブランドのシャフトに取り付けられた、同じくウエサカブランドの青い20kgプレート四枚は予想以上の威圧感を放つ。

アゲルは深呼吸し、ゆっくりとバーベルの81センチラインに手をかけた‥‥‥
621 ◆46YdzwwxxU :2010/01/15(金) 18:21:55 ID:HYmx9vHm
教師の設定か。何なら俺がSSのほう書くよ?
あんまりムチャ振りされたら逃げるけど。

>>617
台にけしかけるとか鬼より鬼か
俺そんなうぇるちんと結婚したから。悪いけど、そういうことだから

>>620
思うんだけど、投下乙だって思うの。
玄人好みのスポーツチョイスと直球なネーミングセンスがいい。
でもせっかくだから一段落つけてからまとめて投下して、投下宣言終了宣言と人物紹介つけて欲しかった。

割り込むようで申し訳ないんだけど投下する。
622創る名無しに見る名無し:2010/01/15(金) 18:30:53 ID:jW+qX0O1
>>621
ああゴメン。仕事の合間に隙みて投下してるもんだから。
今日の夜には全弾投下するつもり。

ちなみに登場人物はウエイト板で出た奴らだよ。
623先輩、土曜日の午後です! ◆46YdzwwxxU :2010/01/15(金) 18:34:20 ID:HYmx9vHm

「先輩、うなぎ食べに行きましょうようなぎ!」
「いきなり何だお前」

 ボクらのクラスに小さな台風がやって来た!
 心の中だけでもそんなふうにおどけてみないと気力がもたない土曜日の午後だった。今週は何だかやたら忙し
く、木曜日あたりから精も根も枯れ果てている。
 やっと休めると思ったら、この後輩だ。

「思うに、先輩はもっと精をつけるべきです! そしてケダモノへと先祖返りして私を襲うべきなのです!」
「思うに、お前こそもっと学生らしい節度を身につけるべきだろ」

 後輩はサタデーアフタヌーンフィーバーとでもいおうか、テンション最高潮だ。うなぎの食いすぎじゃないの
かと思う。
 というか、そもそも何故このタイミングでうなぎなのか。
 などと考えてみると、そういえばと思い当たる節がある。
 昨日の昼休みに校内放送された番外授業は、あろうことかうなぎの捌き方と調理の実演だった。包丁をとった
のは家庭科の白壁やもり教諭で、お世辞にも危なげないとはいえない手つきで視聴者をハラハラさせていた。

「……あれの影響か」
「ご安心を! 何に影響を受けようとも、先輩への愛だけは不変です!」
「愛はいいから、傍若無人なところ変えろよ」
「傍に人無きが若し? ……いいえ! 傍に先輩以外無きが若しです!」

 傍迷惑な女だった。
 ……今更か。でも監督不行き届きといわれても、俺にもどうしようもないんだ。だからそんな目で見ないでく
れよ学友諸君。あと隣の近森さんは涎拭け?
 やかましくなって来たので移動する。スピーカー搭載の選挙カーじゃあるまいし、高校生の身で騒音公害を気
にしなければならんとは嘆かわしい。
 踊り場の掲示板をざっとお浚いしながら昇降口まで下る。『悪漢退散 デートのピンチにCウォッチャーダイ
ヤル』『卓上同好会部員募集中だっつってんだろ!』『スクープ!! 学園イベント企画中!? “逃げ足自慢
ども、足を磨いて待っていろ”と学園長』……今日も今日とてロクな貼り紙がない。

「ねーうなぎ食べに行きましょうよー。イクシオトキシンたっぷりですよー」
「それ、アピールポイントじゃないからな」

 毒だし。
 予定調和気味だが、後輩との会話は不思議と飽きない。口にすると調子に乗るからいわないけど。

「……いよいよ、うなぎの気分じゃなくなった。今日はアップルパイでも摘もう」

 校門を出て市街へと足を向ける。
 俺は味覚に執着はないほうだが、問われればリンゴだけは好物として挙げる。特に、適度に火が通って独特の
歯ごたえが生まれたリンゴほど美味しいものはこの世にないと思う。
624先輩、土曜日の午後です! ◆46YdzwwxxU :2010/01/15(金) 18:35:29 ID:HYmx9vHm

「また、あの喫茶店ですか」

 後輩はあからさまにイヤそうな顔をした。拗ねる兆候だ。

「あそこの何をそんなにお気に入りなんですか、和風給仕服フェチなんですか、あの意地っ張りの給仕さんが可
愛いからですか、私をやきもきさせてほくそ笑んでいるんですか!?」
「アップルパイがうまいからだよ!」
「いっ、いつぞやの私のフェ○モンパイは一蹴しておきながら〜!!」

 ……そんなこともあったな。
 ホンキでしでかしたのかタチの悪い冗談だったのか今もって真相は闇の中なのだが、この俺をして「こんなも
んが食えるかァァッ!」といわしめた食べ物は、後にも先にもあれだけだ。
 フェ○モンパイが何なのか分からない人はそのままのピュアーなきみでいて欲しい。

「というか、何で俺が茶々森堂(ささもりどう)の常連だって知ってるんだよ。お前と茶をしばきに行った覚え
はないんだが?」
「え? それは乙女センサーで……」

 ……尾けたな。

「じゃあな、へっぽこストーカー」
「まっ、ちょ、お待ちください! たったひとつの冴えたやり方! 妥協案として『うなぎ料理もやっている喫
茶店』にごいっしょしましょう!」
「ああもう面倒臭い女だな。うなぎはまた今度にしろ……」

 とっちらかった不毛な会話に疲れた俺は、先延ばしの方向でめでたく交渉を成立させ、一路行きつけの喫茶店
を目指すのだった。

(……うん?)

 ……しかしよく考えたら、あれよあれよと今日の昼食をいっしょにすることになっているし、そのうち食事に
行く約束までさせられているのだが、これって実は後輩の目論見通りなんじゃないだろうか。
 というようなことについて後になって臍を噛むばかりの俺は、一生この子には勝てない気がする。


 ※

 喫茶・茶々森堂は、仁科学園から徒歩数分ていどの距離にある。
 煉瓦造りを装った建物は、小ぢんまりとしながら上品な佇まい。飾り気のない金属製の看板を出してある。
 外側から見る分にはアピールが足りないためかいつも千客万来というふうではないが、かといって客足が途絶
えるようすもなかった。来る度に誰かいる気がする。

「いらっしゃいませー。――あ……っ」

 来る者拒まずの扉を引くと、ベルの軽やかな音と、ウェイトレスの明るい声が俺達を出迎えた。
625先輩、土曜日の午後です! ◆46YdzwwxxU :2010/01/15(金) 18:37:14 ID:HYmx9vHm
 見知った娘である。こちらから名乗ったことはないが、マスターが頻繁に口にするので、向こうの名字だけは
分かる。
 『あまもと』さん。たぶん、天本。名前で呼ぶ機会など訪れそうにもないが。
 猫のような吊り目が印象的な少女で、黒い髪をいわゆるツインテールにしている。そういえば以前、聞かれて
もいないのにこの店のマスターが『あの“ついんて”は私が奨めたのだよどうだいGJだろう』などと肩を組ん
できたことがある。馴れ馴れしい人なのだった。
 あまもとさんを仁科学園で見掛けたことはないので、近隣の学校の生徒かもしれない。こんな時間からアルバ
イトしていることから、子どもっぽい大学生という可能性もある。
 この店の制服で、濃紺の袴に編み上げブーツを履いている。桜色の着物は無地だ。清楚な白のエプロンドレス
が眩しい。
 店長である佐々森笹男推定五十代後半既婚者が、大正浪漫への情熱をフルに動員して選んだというコスチュー
ムは静かな人気だ。大きな声ではいわないが、俺もちょっと憧れだったりする。……そんなことはどうでもいい
んだよ。
 カウンターの奥から、寝ぼけた熊のような男が野太い声を発した。

「おう先崎くんか。……おや? この前連れていたコと違うね」
「こんにちは。割と深刻に命に関わりそうだから、そういう冗談は止めてください」

 首筋にちくちくした刺激を感じた。痛い。後輩さん痛いです。

「二名様ですねこちらへどうぞー」

 何故か四人掛けの席に案内される。
 ……この場合の相手との位置関係は、確か心理学の題材にもなっていたはずだ。対面であれば対立、隣であれ
ば同調だったか。いかにも心理学らしい曖昧さだ。
 微妙に意識して、向かい合うように席に着いた。近くの壁にアルバイト募集のチラシ、時給はまあまあ。
 離れていくのを見計らったように、後輩が口元に手を添えて囁いた。

「さっきの、まるで蕾がほころぶような『あ……っ』がめちゃんこアヤシイです。背後の私を見てから笑顔が引
き攣ってましたし」
「ないからそういうの」

 自慢じゃないが、俺は生まれてこの方、この変わった趣味の後輩を除けば異性にモテた試しがない。……うわ
ほんとに自慢じゃない。
 中等部時代も彼女をつくるどころではなく、むしろあの件この件でほとんど総スカンを食らっていた。いやは
や女の悪意ってのは恐ろしいな。おかげで甘い幻想が吹き飛んだ。

「……ほら、何でもない素振りを装って、ちらちらこっち見てます」
「ウェイトレスがお客に気を配るのは当然だ。いいからとっとと注文を決めろ」

 疑心暗鬼で枯れ尾花が幽霊に見えているだけだ。
626先輩、土曜日の午後です! ◆46YdzwwxxU :2010/01/15(金) 18:39:08 ID:HYmx9vHm
 視界の端では、マスターが楽しそうにあまもとさんに何やら吹き込んでいた。あんたはこっち見んな。

「先輩は何になさるんですか?」
「アップルパイと、ストレートの紅茶だ」
「ならば私はうなぎパイと――」
「ねーよ」

 うなぎに未練たらたらの後輩だった。
 それでも宥めつすかしつ選ばせ、手を挙げてウェイトレスを呼ぶ。
 伝票を片手に袴姿が近づいて来る。

「いつもの。アップルパイとストレートティーですね。……そちらのかたは?」
「俺はアップ……って、あの、ウェイトレスさん……?」
「このひとと同じもので」
「へーえ」

 待って? なんか空気がおかしいよこの喫茶店……。
 後輩がいらん対抗心を燃やすのはまだ分かるが、あまもとさんまで接客の心得を失念したかのようなウェイト
レスにあるまじき暴挙。
 まさか、ほんとうに後輩のいう通りだとでもいうのだろうか?
 いやでも二人の間に飛び散っている火花を自分を巡っての恋の鞘当てなどと考えるのは、思春期にありがちな
恥ずかしい自意識過剰というものだ。
 「私がこうして汗水垂らして働いているっていうのに何このバカップル死んじゃえば」的な誤解と八つ当たり
の可能性なんかも残っている。……ちょっと無理があるか?
 実際のところ、確かにいつもの彼女とは確かにマニュアルにないような世間話めいた会話もするが、そこまで
親密なわけでもない。常連客とウェイトレスの分を越えるような気配は微塵もない。
 ……正直に白状すると、淡い期待をしてしまわないでもないがな。我ながらキモいと思うけどほら、俺だって
男の子なんだ。ほっといてくれ。
 のっぴきならない状況に助け舟を出してもらおうと経営者を見やるが、髭面でにやにや見物気分だ。

(……どうしろってんだよ)

 その日は変な緊張感のせいで、せっかくのアップルパイも大味に思えた。
 ここに後輩と来るのは止そうと心に誓う俺だった。



 おわり
627先輩、土曜日の午後です! ◆46YdzwwxxU :2010/01/15(金) 18:40:39 ID:HYmx9vHm
投下終了です。
さらに学園とは関係ない風味になってしまった……
まあ、たまにはこういうのも。


学園外施設

■喫茶・茶々森堂(きっさ ささもりどう)
仁科学園から徒歩数分のところにある、煉瓦造りを装った小さな喫茶店。
マスターは佐々森笹男推定五十代後半既婚者。字が違うのは仕様らしい。
大正浪漫な制服が静かな人気。アルバイト募集中。
628創る名無しに見る名無し:2010/01/15(金) 22:48:51 ID:l3kRP1Q7
>>619-620
感想は一区切りついた後にしますねー

>>623
先輩! 前々から思っていたが貴様リア充だろ!?
年上(?) の和服美少女まで恋の鞘当てだと・・・
チクショウ!? 羨ましいぜ!

喫茶店はこれから色々利用できそうですね
使ってみたい場所だ
629先輩、月曜日の午前です! ◆46YdzwwxxU :2010/01/17(日) 00:33:15 ID:6Nz7pFCW
ども。
なんとなく書きあがったので投下します。
630先輩、月曜日の午前です! ◆46YdzwwxxU :2010/01/17(日) 00:34:42 ID:6Nz7pFCW

「先輩、すっぽん食べに行きましょうよすっぽん!」
「そういやお前ってすっぽんに似てるよなァ」

 噛みついたら離さないところとか。
 これまでずっと何かに似ていると思っていたのだ。そうか、すっぽんだったか。長らくの論争にようやく決着
がついたわけだが、思っていたほどスッキリもしない。
 休み明けの月曜日だった。既に二時限を消化し、二十分という長めの休憩時間だ。俺は自分の椅子に座ったま
ま、いそいそと次の家庭科の準備をしていた。
 巷じゃ“ブルーマンデー”なんていう人もいるが、これといって趣味のない俺は、休日にも受験勉強くらいし
かやることがなく、週明けも憂鬱というほどのものではない。
 つい昨年度までは後輩がいなかった分日曜日に寝て体力を回復できたが、最近は通い妻を気取って自宅にまで
押し掛けて来やがるので気の休まる時間がないというのもある。

(というか、またこのパターンかよ……)

 つい昨日うなぎに付き合ってやったと思ったら、今度はすっぽんか。
 またも「精をつけて私を襲って」などとムチャクチャなことをのたまうつもりだろうが、なんと芸のない。

「だいたい、すっぽんってお前な、それは背伸びしたって高校生の食い物じゃないだろ。まる鍋がいくらすると
思ってるんだ」
「ご安心を。私、先輩好みの経済観念です!」

 そんなアピールはどうでもいい。

「私がお洋服を脱いで産まれたままの姿になるので、あとはアナタが美味しくいただ痛いです先輩ごめんなさい
もういいませんんっ!」

 あんまりといえばあんまりなオヤジギャグに、拳骨で後輩のこめかみをぐーりぐり抉っておく。こういうツッ
コミは俺のキャラじゃないが、人間、どうしたって許しておけないもののひとつやふたつあるンだ。

「うう〜……靴下だけでも残すべきでしたか」
「そういうことじゃなくてだな」

 涙目で頭を押さえる後輩だが、絶対に懲りてない。
 教育的指導のやり甲斐のなさに、ぐだーっと机に突っ伏したくなった。

「すっぽんは、まず首ちょんぱするのが難しいよね。お腹を上にして、こう、親の仇のように思いきって首根っ
こを押さえて……」
「うわびっくりした!? なっ、し、白壁教諭?」

 背後から顎を襲った柔らかい感触に、跳び上がるほど驚いた。
 泡を食って振り向くと、ブラウス姿の綺麗な女性がガサついた指を俺の首筋に伸ばしていた。
 いきなり生徒の体をモデルにすっぽんの捌き方を講釈してくれた彼女は、家庭科の白壁やもり教諭。二十ウン
歳独身。ショートの髪は癖が強く、頭のそこかしこで渦を巻く。
 痛々しいまでの手肌の荒れは、不器用なくせに変なところでこだわって炊事洗濯をしてしまうからだと、恥ず
かしそうに語っていた覚えがある。
631先輩、月曜日の午前です! ◆46YdzwwxxU :2010/01/17(日) 00:36:10 ID:6Nz7pFCW
 まともにすっぽん料理の話をしているということは、少なくとも経済観念がどうこうのあたりから聞いていた
のか。まったく気がつかなかった。

「やっほー、先輩くんと閑花ちゃん。相変わらず仲良いのね」

 訂正するところは訂正しつつ、俺は挨拶を返す。
 白壁教諭はデフォルトで下の名前か、本人が嫌がらなければニックネームで生徒を呼ぶ。俺の“先輩”はどっ
ちでもないので不可解極まる。といって“俊輔くん”呼ばわりも具合が悪いが。

「でね、首を切り落としたら、そこから血を――」
「……白壁教諭、すっぽんの話はまた機会があったらということで」
「そう? 残念」

 ここだけ聞いていると何だか猟奇的だった。
 こういう殺伐とした言葉は、俺のスクールデイズには似つかわしくないと思う。

「あ、そうそう」

 白壁教諭はぽんと掌を合わせた。ふわふわした口調で続ける。

「先輩くん、この前はありがとうね。おかげさまで助かっちゃいました」
「いえ」
「……先輩、今度は何に駆り出されたんですか?」

 口数の少なくなっていた後輩が、俺でなければ気づかないていどにぴくりと鼻筋を歪めた。近頃はとみに情緒
不安定気味だ。

「先週、三年が調理実習しただろう? あれの食材の準備を少し手伝っただけだ」
「浮気者はみんなそういうです」
「お前って基本的に俺の話どうでもいいと思ってるよな」

 野菜がちゃんとグループごとに個数ずつあるか、サラダ油の量は充分かとか、そんな確認をしただけだ。ちな
みにぽろぽろ不足があり、白壁教諭は半泣きで車を出していた。そういうことは前日にやっとけよ。

「調理実習をやってると先生思うんだけど。最近の子は家事ができない!なんて人もいるけど、じょうずな子は
すごくじょうずよね。閑花ちゃんとか三年のアリスちゃんとか、私より手際がいいくらいだもん」

 アーチェリー部の美人部長にそんな特技が。
 ……ただし、いわせてもらうと、白壁やもり教諭の調理の手際じたいは『私より』などといえるほど大層なも
のでもない。さすがに経験値が多いことは見ていても分かるが、いつ人間の血が隠し味になっていてもおかしく
ない不安定さだ。
 それとは全然関係ないが、うちきっての地雷源である購買部では昨年、『白壁教諭の白壁しょうゆ』なる調味
料を限定販売していた。後先考えずに飛びついたアホに舐めさせてもらったら、心底しょうもないネーミングの
割りに旨味の深い逸品だったのがまたムカつく。……今年も売らないかな。

「――ところで、先輩くんが今一番食べたい物って何?」

 女性二人が料理についてのお喋りに花を咲かせている横で取り留めなくそんなことを考えていると、白壁教諭
がまたも意図せず後輩を刺激するようなことを口にした。
632先輩、月曜日の午前です! ◆46YdzwwxxU :2010/01/17(日) 00:37:36 ID:6Nz7pFCW
 話題から取り残されていた俺に気を遣ってくれたのだろうが、その内容はいかにもよくない。

「はっ、破廉恥ですっ!」
「え!? ど、どうしたの閑花ちゃん?」

 ……案の定というか、後輩は『手伝ってくれたお礼に、先生が“個人的に”先輩くんの好きな物を料理ってき
てあ・げ・る(はぁと)』的な桃色妄想をしていた。もちろんそんなことは有り得ない。白壁やもり教諭はこう
見えてそういうところはきっちりとするタイプだ。
 俺は溜め息を我慢して説明する。

「……勘違いするな後輩。いつものアンケートだ」
「うん。……ごめんね、何か紛らわしいこといったかも。先生ね、たまにこういう質問、みんなにしてるの」

 調理にせよ裁縫にせよ、家庭科の実習で何を作るかは白壁教諭にとって結構な悩みどころらしく、参考にする
ためにと、こうして生徒に尋ねている光景は珍しくない。
 仁科学園関係者の食べ物の嗜好やアレルギーなどについて恐らく学園で最も情報を持っているのが白壁やもり
教諭だろう。たまに女子生徒が恋愛成就のために相談に行くというから本物だ。

「むむ。……失礼しました……」

 どこか釈然としない表情だったが、後輩は落ち着いたようすだった。
 白壁教諭は居心地の悪くなった空気を下手くそなジョークで掻き混ぜてから、他の生徒の意見を聞きにいくと
いって、俺の席を離れていった。

「っと。そろそろ二十分休みも終わるころだ。教室に戻れ」
「……さよならのちゅーは……?」
「俺達の間にそんな習慣はない」

 せつなげなおねだりを一刀両断。不意打ちを警戒しつつ、教室を退出するまで見送る。
 ほんとうに、手の掛かる後輩だった。

「いつまで」

 思わず呟きが漏れる。
 これだけ邪険に扱っているのに、後輩はむしろ毒々しいまでに好意を強くしている。霧崎文芸部部長が「きみ
はいつか彼女に刺されるな」と嗤っていたが、あながち冗談でもないかもしれない。
 原因の一端が俺の甘さにあるのは間違いないが、居場所がないまま完全に突き放しきるような荒療治には、今
の後鬼閑花は耐えられまい。そこには絶望しかない。
 かといってお見合い結婚のように、俺が彼女を好きになろうと努力するわけにはいかない。少なくとも、今は
まだ。それは後鬼閑花という人間をますます危ういものにするだけだ。
 取り敢えず、今の俺に出来ることは、せめて仮初めの宿となりつつ、後鬼閑花に仲の良い友達ができるように
見守ってやることくらいだろうか。
 あとは俺に想い人や恋人でもいれば後輩を遠ざける正当な理由になるが、これも生憎と見つからない。

(……後輩の場合、それでも付き纏ってきそうで恐ろしいが)

 こんな宙ぶらりんな関係は、もうしばらく続くことになりそうだった。



 おわり(※先輩がウェルチとアリスを間違っているのは仕様です)
633先輩、月曜日の午前です! ◆46YdzwwxxU :2010/01/17(日) 00:38:37 ID:6Nz7pFCW

投下終了。
最近は文章がとっちらかる傾向が・・・精進しないとなー
あんまりシリアスな方向に行きたくないのに何故こんなことに・・・

■白壁やもり(しらかべ‐)
仁科学園高等部家庭科教諭。女性。二十歳後半独身。
手肌は家事のために荒れ気味。
かなり癖っ毛のショートヘア。渦巻け限りなくサイクロンブレード。
知識も経験も豊富なのだが、手つきや段取りがかなり危なっかしい。
634創る名無しに見る名無し:2010/01/17(日) 17:54:19 ID:yJ4lt+rV
投下乙!
いよっしゃー!女性教諭のプロフィールが来た! これでレギュラー化が決定した!
年も若いから生徒と友達のような付き合いをされそうだw
本人はちゃんと分けて考えてると思うけどね。

後輩ちゃんにヤンデレの気配が・・・w
なんか、先輩くんがnice boat.になりそうな気配が漂ってきましたよw
なんで先輩がウェルチとアリスの名前を間違っているか気になります。
635創る名無しに見る名無し:2010/01/17(日) 21:34:00 ID:0Dj3/ohp
ちょいと遅れたが>>619-620の続き投下します。


アゲルは渾身の力を込め、バーベルへ力を伝えた。
100kgの怪物はゆっくりとその身体をラックから浮かせ、その重量がアゲルの手の平へと、肩へと、大胸筋へとのしかかる。
そして肘間接をロックポジションまで伸ばし、アゲルは静止した。

ーーラックアップ成功。

第一関門は無事突破した。だが本番はここからなのだ。アゲルはこのバーベルを胸まで降ろし、再び挙げねばならない。一発挙げのそれは極限の集中力を要する。

(ここからだぜ!)

アゲルは心の中で叫んだ。そして、ゆっくりとバーベルを降ろし、再び力を込めた。

「ぁぁぁああ!」

アゲルの叫び声が部室にこだまする。その声は廊下にいた生徒が何事かと歩みを止め、体育館裏の仁科学ラブコメ担当が告白シーンのムードが台なしだと激怒するほどだった。


「頑張れアゲル!あと少しだ!」

上糸部長がアゲルへ声援を送る。
アゲルの普段のトレーニングから計算すれば、すでにアゲルはベンチ100を挙げる能力は持っていた。
だが始めての1MRでの挙上は身体にとって未知の世界である。挙げる能力は有していても、筋肉が、そして神経系が慣れていないのだ。

上糸部長はその意味を知っていた。最悪の場合アゲルは失敗するだろう。
一発挙げはそれほど難しいのである。

ましてやアゲルはパワーリフティングのルールに準じてベンチプレスをしている。アゲルの体格では胸ではなく力の小さい肩に負荷が多くかかり、それは挙上重量にも影響する。

「ぬあああああぁあ!」

アゲルはスティッキングポイントの手前で苦戦していた。
「ここだ…ここさえ越えれば‥‥!」

アゲルは焦っていた。このままでは潰れてしまう。100kgものバーベルが胸や首、頭に落下すれば、それは死を意味する。

アゲルは最後の力を振り絞り、バーベルを挙げるべく胸や肩に力を込めた。
次の瞬間、バーベルはスティッキングポイントを越え、最後のロックポジションへと移動しはじめたのだ。
だがそこまでだった。

アゲルの目の前は真っ白になり、アゲルはそのまま意識を失ってしまったのだーーー
636創る名無しに見る名無し:2010/01/17(日) 21:35:44 ID:0Dj3/ohp
ーーー真っ白だった。

何も見えない世界。アゲルはそこにいた。
そこは驚くほど静かで、驚くほど穏やかな空気が流れていた。そこに満ちていたのは安らぎだった。
アゲルは自分がなぜそこにいるのか理解出来ずにいたが、やがてその場所が気に入り始めた。
「……ル、起きろ!」

そこは自分の身体すら認識出来ず、感覚も無い。そのまま自分自身を構成する全てが消え去りそうだった。

「しっかりしろ!ア…ル!」

ゆっくりと、穏やかで真っ白な世界へと同化してしまいそうな雰囲気だった。

「目を覚ませアゲル!」

突然、真っ白な世界は音を立てて崩れ始めた。
一瞬にして白は黒へと変わり、誰かがアゲルを呼んでいる。
「起きろアゲル!」


アゲルは失神状態から回復し、同時に全身に感覚が蘇る。
頭痛がする。寝そべるゴムマットの冷たさが皮膚に伝わる。
アゲルは目を覚ましたのだ。

「よかった。このまま病院送りかと思ったぜ。」

「あれ…中部‥‥?」


アゲルはベンチプレス中に酸素欠乏により失神してしまったのだ。
潰れた直後に上糸部長と中部が補助に入り、そのままアゲルをベンチの横へ寝かせていたのだ。

「惜しかったなアゲル。もうちょいだったが‥」

「上糸部長‥‥すみません‥‥」

「気にすんな。一発挙げじゃよくある事だ。スクワットじゃなくベンチで失神する奴は始めて見たけどな。
普段から低レップのトレしてれば次は大丈夫だろ」

「上糸部長‥‥俺‥‥」

「どうした?

「俺‥‥重量挙げ部辞めます‥」

「なっ‥‥いきなり何言ってんだお前‥‥!?」

「辞めて‥‥パワーリフティングに専念します!!」

この瞬間、パワーリフターアゲルが誕生したのだ。

「ちょっとまてアゲル」
中部が叫んだ。

「お前ら、このスレ見てる連中が重量挙げとパワーリフティングの違い解ると思うのか?

アゲル・上糸
「えっ?」

637創る名無しに見る名無し:2010/01/17(日) 21:51:29 ID:0Dj3/ohp
投下終了。
ついでにキャラ等の補足。

重利挙(オモリアゲル)
重量挙げ部二年。パワーリフティングに目覚める。
189cm96kg

上糸命(ウエイトミコト)
重量挙げ部部長にして無類の筋トレ馬鹿。
オリンピックスクワット200kgをこなす実力者。あらゆる種目を極めており、和製アーノルドというあだ名で呼ばれる。

中部伸(ナカベシン)
アゲルと同学年。チューブトレによる強烈なパンプ感に心酔している。
アゲルや部長と異なりボディビル思考であり、その節制生活は苦行そのもの。

※重量挙とパワーリフティングの違い※
重量挙げはオリンピックの種目であり、クリーン&ジャークとスナッチの合計重量を競う。
パワーリフティングはウエイトトレの基本種目であるベンチプレス、スクワット、デッドリフトを行い、三つの合計重量を競う。
重量挙げはテクニックを要するが、パワーリフティングは絶対的な筋力が物を言う競技。

つづく‥‥‥かもしれない。
638創る名無しに見る名無し:2010/01/18(月) 20:05:10 ID:rUwLMDRd
なんつうか、濃いなこのメンツw
しかし説明されてもやっぱり違いが分らないなw
639創る名無しに見る名無し:2010/01/19(火) 02:33:35 ID:3JQjxlDu
もう何が何だか分からんwが、我が道をいくって感じで潔い。
このまま突っ走って欲しい。
640パワーリフターアゲル:2010/01/21(木) 13:59:14 ID:hlKk4vLe
重量挙げ部の続き投下します。

「そんな‥‥‥ホントに辞めちゃうんですか先輩!?」

「ロニコ‥‥聞いてたのか?」

重量挙げ部マネージャーのロニコ・ブラックマンが慌てた様子で話し掛けて来た。
アメリカ人とのハーフである彼女はまだ16歳でありながら身体はすでに成熟しており、容姿は美しい。性格も素直で明るく、誰とでもすぐ仲良くなれるような女の子だった。
しかし、ある理由により言い寄る男はほとんどいない。

「先輩いなかったら重量級の枠が空いちゃいます‥‥せっかく県大会でも優勝してこれからだって時なのに‥‥」

「すまんな。もう決めた事なんだ。上糸部長には申し訳ながパワー一本で行く事にするよ」

アゲルの実力は県内ではほとんど敵無しであり、日本人離れした体格のアゲルは重量級としてはスマートだった。
アゲルを上回るレベルの選手は階級が違えど上糸部長しかいない。

「‥‥そうですか‥‥残念です‥‥でも、そっちに行っても頑張って下さいね‥‥?

「ああ、約束するよ」
641創る名無しに見る名無し:2010/01/21(木) 14:00:17 ID:hlKk4vLe
「約束ですよ‥‥?」

 ロニコがうっすら涙を浮かべているのをアゲルは見た。
彼女がマネージャーになってまだ一年も経っていないが、彼女もアゲルと同じ立派な重量挙げ部の仲間なのだ。仲間の離脱に彼女は泣いていた。
その涙は彼女の根心の優しさの現れであり、アゲルの心にも彼女の優しさが深く響いていた。
しかし一言でそのムードは一変した。

「ふう‥‥泣いてばかりじゃダメですよね!よし、ダイエットついでに少しバーベル使わせて下さい!」

「‥‥えっ?」

 アゲルは思わず言葉を失った。
その言葉に中部はプロテインを吹き出し、上糸部長がプレートを脱落させ、たまたま機材を利用していた野球部の連中の顔が青ざめた。

「いや〜‥‥今はいいんじゃない?ホラ、部長スクワットでラック使ってるし、野球部の人ベンチ使ってるし中部も‥‥」

 しかし、中部は既に逃走していた。

「大丈夫ですよ!デッドリフトならラックもベンチも使いませんから!」
642創る名無しに見る名無し:2010/01/21(木) 14:01:34 ID:hlKk4vLe
最悪だ。まだラック使わせたほうがよかった。
ロニコにデッドリフトをやらせたらアメリカ人の血が騒ぎだす。 そしてそれこそが、ロニコに男が言い寄らない理由だった。

「(もう止められない‥‥)」

彼女はただトレーニングしようとしているだけだ。無下に止める理由は無い。ただ見たくないという理由では止めさせられないだろう。

そうこうしている内にロニコは手際よくバーベルを転がし、プレートをセットした。

「無駄に慣れてやがんな‥‥」

セットしたバーベルは150kg。人類が行う種目で最大重量を扱うデッドリフトとはいえ女性としては結構な設定重量だ。
ロニコはマイベルトを身体に巻き、ヨーロピアンスタイルでバーベルを握った。
そして腹圧を高め、「変身」した。

「イエェェェェーーーーベイベーーーー!!!!!」
643創る名無しに見る名無し:2010/01/21(木) 14:03:00 ID:hlKk4vLe
「LightWeight! LightWeight!baby!」

ロニコの目は野獣に変わっていた。
挙上前にテンションを高める事よく知られたテクニックだが、ロニコのそれは異常だった。

「LightWeight!yehhhhhhh!!!!」

「ライウェーライウェーうるせぇな!」

 アゲルは思わず悪態をつく。しかしロニコには聞こえた様子は全くない。いまの彼女にはバーベルしか見えていない。

「Ahhhhhhhh!!!」

ロニコは気合いと共にゆっくりとバーベルを引き上げ、顔面は鬼の形相。
あの綺麗な顔立ちが限界まで歪んでいる光景はもはや滑稽の域であり、普段のロニコを知っているアゲル達はもちろん、そうでない人でも僅かでも彼女に興味を持つ男性であれば、一瞬で淡い幻想を打ち砕く威力を誇っていた。

ロニコはデッドを3レップ終えるとバーベルを床に落下させ、乱れた呼吸で言い放つ。

「No Sweat! HAHAHA!(楽勝だぜ!)」

「(これさえ無きゃモテそうなんだがな‥‥)」
アゲルは遠くを見つめた。
644創る名無しに見る名無し:2010/01/21(木) 14:15:06 ID:hlKk4vLe
投下終了。
キャラと種目等の補足。


ロニコ・ブラックマン
アメリカ人の父(黒人)と日本人の母のハーフ。父親の影響で身体を鍛える事には積極的。
かなりのエロい身体をしている。
モデルはロニー・コールマン。(見た目はビヨンセ)
父はジョージ・ワシントンに搭乗中の為、滅多に会えない。

※デッドリフトとは
トレーニングのビッグ3の一角。背中や足腰に対して非常に高いトレーニング効果がある。
これをやると全身のパワー強化に繋がるため、スポーツ選手等は積極的に行う者も多い。
姿勢を維持する筋肉を鍛えるのでダイエットにも効果的。

ほぼ全身を利用したトレなので一気に疲労する。フォームも難しいので誤ったフォームだとケガもしやすい。
故にデッドリフト(死の挙上)とよばれる。
645避難所より代理:2010/01/23(土) 08:31:27 ID:KxkmhNnH
>>644
楽勝だぜ!フイタwまた変なやつが増えたw微妙に外人多めな仁科学園。
こういうリアル経験のエッセンスが活きてる感じのSSはいいな。

俺も投下さしてもらいます。
646先輩、ペットボトルロケットです!(1) ◇46YdzwwxxU:2010/01/23(土) 08:36:51 ID:KxkmhNnH
「先輩先輩っ、どちらにお出掛けですかいっしょにお菓子食べましょうよなんで無視するんですかー!?」
「あーもーうっさいなっ」

 俺達の放課後はまだ始まったばかりだッ!
 エンカウントのあまりのクソ仕様に、お気に入りの漫画がいきなり根こそぎ打ち切りの憂き目に遭ったかのよ
うな、絶望的な気分にさせられた。
 今日は帰りのホームルームが滞りなく終わり、後輩に出くわさず安全圏まで抜け出せると思ったのだが、幸運
の女神はいつも恋する乙女の味方をするらしい。

「ほらほらぁ、先輩、あーん」

 甘い声を出しながら、俺へと手を差し伸べる。
 見れば彼女は小さな赤いパッケージの箱を、片腕で胸に押しつけるように抱いていた。ポッキリと小気味よく
折れる食感が大人気の、細長い棒状のスナック菓子。チョコレートでコーティングされたその一端が口元に突き
つけられる。

「……そんなお前にノーサンキュー」
「なんてつれないひと。よよよよ」

 わざとらしい泣き真似はスルーした。
 視線を外してひとり歩き出すと、けろりとした声が追い掛けて来る。
 隣にさらさらの黒髪をそよがせて小さな頭が出現する。

「それで、どちらへ?」
「初等部の学童保育だよ。クソガキどものお守にな」

 親の帰りが遅い子どもがしばらく時間を潰す、放課後児童クラブなんていったりもするアレだ。
 俺はごくごくたまにそこに立ち寄って、宿題を見たり、いっしょに遊んだり、もろもろの雑用をしたりして過
ごすことがあった。
 これについては、「いてくれたら楽だけど」といったていどで、そこまで切実な需要があるわけでもなく、ど
ちらかというと俺自身の気晴らしに近いものがあった。
 そういえば、これまで後輩に語ったことはなかった。

「っ、はいっ! 私も参ります!」
「……お前のお守まではしきれないぞ」

 それこそはしゃいだ小学生のように手を挙げる後輩を、俺は半眼で睨んだ。子どもの相手というのはあれで体
力を食う。小学校教諭は体力、中学校教諭は精神力が資本だというが真理だろう。

「ご安心を! 必ずや先輩のお役に立ってみせます!」

 自信満々に胸を張ってみせるが、俺達のせいで仁科学園の児童が不純異性交遊に走ったらとか思うと、夜もお
ちおち寝ていられないほど恐ろしい。
647先輩、ペットボトルロケットです!(1) ◇46YdzwwxxU:2010/01/23(土) 08:40:43 ID:KxkmhNnH
「お前って子ども好きだっけ?」
「嫌いではありませんね」

 意外、でもないか。
 かつて悪意を一身に受けて人格を破壊され、他人との距離感が狂ってしまった彼女。この手合いは、同年代よ
りも世代の離れた相手とのほうがうまくいくのかもしれない。

「『ひゅー。あのべっぴんさん、兄ちゃんのコレかい?』とか冷やかされてみたいです!」
「おやじじゃん!?」

 小指立てんな。
 というか子どもをダシにする気まんまんだった。そういう意味での好き嫌いじゃねーよ!
 ここしばらくは我慢できていた溜め息が、思わず漏れた。


 ※

 初等部の校庭に到着した。
 学童保育に身を寄せている児童のみならず、一度は帰路につきながら広い遊び場を求めてとんぼ返りしてきた
鍵っ子達も入り乱れて、現在、巴戦の真っ最中。
 隅っこのほうでがやがやドッジボールに興じているのが十数人あまり。男子禁制で固まって密談している小グ
ループもある。
 何よりも目を引いたのが、グラウンドのド真ん中の人だかり。明らかに小学生ではない長身がにょきにょきと
聳え立っている。あれはもしやと目を凝らせば案の定。

「いざッ! 我が夢我が愛あの娘に届けッ! 読書の似合うあの娘に届けッ!」

 白衣の怪人が足元のポンプを猛然と踏みつけまくり、ひたすらペットボトルロケットの内圧を上げていた。

「見よ! この“天翔龍箭”、そんじょそこらのペットボトルロケットとは格というものが違うのだよ! ミク
ロン単位で成形を施した空力学的エロボディ! 新開発マツド式内部圧力一挙解放弁は規格外の内圧を蓄えて超
絶の爆発力を発生するのだッ!」

 いずれエロボディが破裂して大惨事になるのが目に見えるようだ。

「何者……? つ、通報したほうがいいのでは……」

 不審人物の毒気に中てられた後輩が、青ざめた顔で携帯電話を掴み出す。俺のとは同機種の色違い、今となっ
てはいくらか型落ちの品だった。ひとつきりのストラップは彼女の手作り、ひと目見てそれと分かる俺のデフォ
ルメ人形。……どうでもいいが胸あたりに釘を刺したら俺の心臓まで止まりそうだ。
648先輩、ペットボトルロケットです!(1) ◇46YdzwwxxU:2010/01/23(土) 08:42:48 ID:KxkmhNnH
 後輩の反応は良識に照らして当然だろうが、あいにくと俺はその白衣の男と面識があった。怪しい者だが悪者
ではない多分。……実はあまり自信ないから多分だ。

「松戸先輩? お久し振りです。退院なさっていたんですか」

 呼び掛けを耳にして、鋼の板に窓の開いた溶接保護面が俺達に向けられる。どこか愛嬌のある所作はひょうき
ん者の道化を思わせた。

「おお、サッキーか。しばらく見ない間に、変わり果てた姿になって……」
「ねーです」

 俺の背後に隠れていた人見知りな後輩と、白衣の怪人や子ども達とを引き合わせる。自己紹介は人間関係の基
本だと恩師がいってた。
 松戸白秋さん。“マッドサイエンティスト見習”を自ら称する高等部機械科三年、ただし留年二回。その原因
は、発明品の爆発による負傷、口さがない連中のいうところのアホの所業だった。
 何でまた俺のまわりには、こうも変な人間ばかりが集まるのだろうか。
 ……類は友を呼ぶ? ……フッ。まさかな。

「あーしゅんすけだー」
「こんにちは、しゅんにーちゃん」
「このお姉ちゃん、兄ちゃんのカノジョ?」
「うん、そうだよーっ」
「嘘吐けボケ後輩ッ!!」

 零れた飴玉に集った蟻たちのような子どもの群れから、いくらかの視線を奪う。
 
「おにーさん、おねーさんのことアイしてるんだー」
「いや、そんなんじゃないから……」
「すなおになれないんでしょ」

 双子の山尾兄妹が、互い違いに冷やかすような言葉を投げた。
 いつもいっしょにいる彼らは顔立ちもそっくりだ。俺は何はなくとも制服つまり性別から見分けているが、よ
り細かくは、オレンジのヘアピンで伸びた前髪を分けて左眼を見せているのが兄の恵(けい)、ピンクのヘアピ
ンで右眼を露わにしているのが妹の優(ゆう)だ。
 彼らの紡ぐ言葉には、子どもらしく遠慮や容赦ってものがない。

「あれだよね、こうは?のフリしてるの。ほんとは女の子にキョーミシンシンなのに」
「むっつりすけべ」
「すけべー」
「むっつりー」
「先輩はむっつりすけべ」
「さもなくば、ろりこん……」
「ちがっ、違うわ! ああっ、もう、こいつらはっ!」

 珍しいことに、蓮ちゃんまで参戦して手がつけられなくなった。
649先輩、ペットボトルロケットです!(1) ◇46YdzwwxxU:2010/01/23(土) 08:44:14 ID:KxkmhNnH
 通りすがりに俺をロリコン予備軍呼ばわりしていった彼女は、三年生の瀬川蓮(せがわ れん)ちゃん。
 俺から話し掛けてもまともに会話にならないのに、一撃離脱で人の心を抉っていく。いつも下を向いていて、
まともに目を合わしたこともない。
 長い髪に黒いリボンを巻いた綺麗な子だったが、栄養失調でもあるまいに、その儚げな立ち姿にはどこか痛々
しげな印象が付き纏う。
 根っこの部分で後輩と似たところがあるような気がする。とそんな割りかししょうもない思考にかまけている
うちに小さな影を見失う。
 なおもしつこく食い下がる双子の追及を言葉巧みに躱そうとしたが、ちょっと無理があった。からかいモード
の子どもには、懇々と論理を説いても効果がない。話を逸らす。

「ところで松戸先輩、今回は、ペットボトルロケットなんですね」
「ああ! こいつには水とガスと少年少女の夢が詰まっているんだ」

 松戸白秋先輩は、子どもに人気がある。
 フィクション世界の怪しい科学者さながらの珍妙な出で立ちに、何だかよく分からないがスゴそうな大仰な言
動。それでいて子ども相手にマジになる大人げなさ。
 実験と称して次から次へと変てこな物を取り出すおもちゃ箱のような男。
 「未来の日本を背負って立つ子ども達に、科学についての興味関心を持ってもらいたい」という建前で、たま
にこうして初等部の校庭を占拠して好き勝手にゲリラ実験を行っている。

「またバクハツするね」
「バクハツ楽しみ」
「なーに、爆発は文化だっ!」

 山尾兄妹の不吉すぎる予言にも胸を張る松戸先輩だが、俺は気が気じゃなかった。本人だけでもどうかと思う
のに、さすがに子どもまで危険に晒すわけにはいかない。

「安心しろサッキー。いざとなれば、この最新作“乾いた物・湿った物・木・石・鉄の武器によっても傷つかぬ
白衣”の無敵バリアが発動し、あらゆる脅威から我々のココロとカラダを守るであろう!」
「いや、その。何とかっていう白衣のが爆発しそうなんですが……」

 俺がおずおずと口にした指摘に、場の空気が凍結。

「盲点だったーッ!!」

 白衣の怪人が頭を抱えてのたうち回る。滑稽なようすに子どもがどっと沸いた。
 ……もう、肩書きにオマケみたいにくっついた“見習”、抜いてもいいんじゃないかと思う。あんた一人前だ
よ。一人前のマッドなひとだよ。
 結局。
 安全性の見直しが必要であるとして、ペットボトルロケット“天翔龍箭”の打ち上げはちょっとばかり延期の
運びとなった。



 つづく
650先輩、ペットボトルロケットです!(1) ◇46YdzwwxxU:2010/01/23(土) 08:45:56 ID:KxkmhNnH
投下終了。
うん、まだつづくんだ、すまない。
半分くらいは仕方ない?けど小学生が舞台装置化してしまうな……
蓮ちゃんは……このエピソードだけではとてもやりきれないので顔見せ程度でもご勘弁。

まだいちおうキャラ募集中。
避難所だけじゃそうそう集まらないか。
651:Mohikan meets girl 3話目 ◇G9YgWqpN7Y 代理投下:2010/01/25(月) 19:18:39 ID:e4mm+f/V
だいりとーかする
652:Mohikan meets girl 3話目 ◇G9YgWqpN7Y 代理投下:2010/01/25(月) 19:19:32 ID:e4mm+f/V

目を覚ますとそこは倉庫だった。


まだ頭に靄がかかったように意識がはっきりしない。
ぼうっとした頭でその女性は何が起こったかを考える。

学校が終わって帰り際に数人の男に突然囲まれて殴られた。
たったそれだけのことしか記憶にない。

「……今度は誘拐でもされたっぽい……ついてない……
 彼氏に振られた後にこれはないでしょう……」

誘拐された女性である地奈は、誰にも聞こえない程度の声で呟く。
周りに誘拐した男たちがいることは分かってる。
体を縛られ床に転がされていて、身動きの取りようがない。
猿轡はされてないのがせめてもの救いだろう。

「……不幸ね。でも……なんでこんなことに……。
 私、これからどうなっちゃうのだろう?」

つい最悪の事態を想像し、血の気が引く。
今の所、何もされてはいないようだが、だからと言って安心はできない。
相手は誘拐犯なのだから。目的が見えない。

身動き一つせずに思考を巡らせる地奈。
その地奈の周りにいる誘拐犯達は、地奈が目を覚ました事に気付かず動いている。
号令と怒号。まるで何か予想外のことが起きたかのような慌ただしさ。
そこで初めて何かがおかしいと思い、地奈は耳を澄ませる。
誘拐犯達の声が容易に耳に入ってくる。

「あの男がここに来ているだと? 尻尾連中はしくじったか」
「ああ、別の男と二人でだ。もう一人の男と二手に分かれたようだ」

誰かがここに向かっている?

「一人はまっすぐこっちに来るぞ。どうする?」
「馬鹿野郎! 一人で来るような馬鹿はいない。これは警察に通報されてる可能性が高いな。撤収だ!」

警察?

「女はどうします?」
「置いてけ! どうせ顔は見られてない。移動の邪魔になる!」
「依頼の件に違反しませんか?」
「契約内容は誘拐までだ。そっからは好きにしていいってこと。このまま置いていこうがかまわんだろう」
「了解した。撤収準備完了しました!」

誘拐犯達の足音があっという間に遠ざかり、辺りに人がいなくなった。
どうやら助けが来たらしい。
地奈は心の底から安堵し、息を吐いた。

「でも誰が? 警察じゃないとしたら誰なの?」

その疑問を言葉に出したとき、一人分の足音が聞こえてきた。
653:Mohikan meets girl 3話目 ◇G9YgWqpN7Y 代理投下:2010/01/25(月) 19:21:18 ID:e4mm+f/V

地奈はそこでようやく目を開け顔を向ける。
がらんとした廃棄倉庫。その中央部分にモヒカンが立っていた。
余りにも予想外の顔に思わず声が漏れる。

「あれ? 君は?」

その声が聞こえたのだろう。那賀は地奈に気付くと向かってくる

「あいつらに襲われてな。あんたを誘拐したと聞いたから一応助けに来た。
 すでに誘拐犯はいないようだな」

肩を竦めて話す那賀に対し、地奈は予想外な人物の登場に茫然とする。
那賀はあっさり縄を外すと一人つぶやく。

「しっかし誰もいないとはなあ。ちっ 先公のいう通りか……
 俺を襲ったことを後悔させてやりたかったんだがなあ」

心底悔しそうに呟いている那賀。
地奈はゆっくりと体を動かし調子を確かめ、まだ悔しそうにしている那賀に呆れたように話しかける。

「結構な人数がいたから一人で戦うのは無謀だと思うなあ」
「……何を言っている。正面から戦うなんてことは正義の味方がやることだ」
「つまり、罠を張っていたってこと?」

その言葉に頷くと「無駄になったがな」と呟きにたりと笑みを浮かべる。
地奈はそのチンピラそのもの表情に思わず吹き出した。

「あはは、その表情はないわよ。まるで雑魚チンピラよ」
「いーんだよ! 気にするな」

悪態を吐く那賀を見て、地奈は不思議と不安感が消えていることを感じた。
ようやく、助かったという実感がわいてくる。
その地奈の様子を確認すると、那賀は「さて」と前置きを言い、話し始める。

「こりゃ先公の言った通り警察に連絡しても面倒なだけだな。誘拐があったことすら分らない状態だ。
 へたすりゃ狂言誘拐する疑われる……お前、歩けるか?」
「うん。大丈夫……ありがと」

その地奈の礼の言葉に那賀はさっさと後ろを向くと歩き始める。
そのままいい加減に手を振りながら話した。

「ま、ついでだついで。さ、こんなしけたとこからおさらばするぞ。
 もうひとつ行くところがあるとか言ってここに連れてきた先公も行っちまったしな。
 あの先公、何を考えてやがる」
「……先生? いたの?」
「ああ、まあ、あれが考えてることはわからんしな。台ならわかるかもしれんが。
 ともかく帰るぞ。こんな埃っぽいとこ長居するもんじゃねぇ」
「うん。そうだね」

二人はそのまま倉庫から出た。
地奈は黙って那賀の後ろを歩いて行く。
その表情は那賀には見えない。
そのまま普通に日常へと帰って行った。


――数ヵ月後、この二人が恋人関係になったのは別の話。


654:Mohikan meets girl 3話目 ◇G9YgWqpN7Y 代理投下:2010/01/25(月) 19:22:40 ID:e4mm+f/V

「無事、逃げられたようですね?」

誘拐犯たちが逃走し、たどり着いたアジト。
そこには一人の男性が待ち構えるように立ち、声を掛けてくる。
誘拐犯は一瞬身構えるが、その姿を確認すると警戒を解いた。
それはこの国の裏稼業のプロのならば、一度は目にする人間だった。

俗に情報屋と呼ばれる人種だった。
そのなかでも特に異彩を放つ男だった。――余りにも普通すぎる男だという意味で。
その男は柔和な笑みを浮かべてただ立っている。

「よう……あんたか。根回し助かった。今回は警察に捕まる所だった」
「いやー、これもサービスの一つですから」

誘拐犯が謝意を示すと、男、大里巧は柔和な笑みのまま答える。
その笑みには一遍の不自然さがなく、故に今の殺伐としたアジトとは一線を画している。
余りにも自然体故に不自然な男に対し、誘拐犯は視線を鋭くする。

「はっ! そもそもあんたが介入してこなければ全てはつつがなく終わったんだがなぁ」

その仕事の邪魔をされた事に対する苛立ちを含んだ挑発の言葉に、しかし巧の笑みは変わらない。

「仕事の邪魔をしたのは謝りますよ。
 しかしですね、そもそもあなたみたいなプロが、この町で仕事をするのがルール違反ですからね。
 今回だけは大目に見ることにしますけどね」

その言葉に誘拐犯は舌打ちをし、それ以上の追及を止める。
代わりに別の疑問をぶつけることにする。

「しかし、あんたが人助けね。信じられんな」

この男は裏の人間でもある。ただ、正義感で動くわけがない。
そう推測し、誘拐犯はあえて疑問として口にだした。
その言葉に巧は軽く肩を竦ませる。

「なに、あの場を荒らして欲しくなかっただけですよ。
 変な噂が立ってしまうと、壊しがいのある生徒が入ってこなくなるじゃないですか。 
 ……あの町で人を壊していいのは私だけなんですよ?」

表情は笑みのまま。しかし、その言葉を聞いた瞬間、誘拐犯は身震いをする。
全てが変わらないはずなのに、目の前にいる人間が別の怪物に見えた。
巧の内側を、見てはならない物を見たときの感覚。
震える体を宥めつつ、誘拐犯は言葉をやっとのことで吐きだす。
655:Mohikan meets girl 3話目 ◇G9YgWqpN7Y 代理投下:2010/01/25(月) 19:24:04 ID:e4mm+f/V

「……まったく、あんたが敵じゃなくてよかったよ」
「ご謙遜を。全てに劣る私が君たちに敵うわけないですよ」
「それを臆面もなく言えるような奴は怖いものさ」
「はて、そうですかね? まあそう思ってもらえるならありがたいですよ」

そして、話は終わりだとばかりに巧は、背を向ける。
一歩だけ踏み出した所で、立ち止り、言葉だけを誘拐犯に向けた。

「ああ、一つ依頼を。これで今回の貸し借りはなしということで」
「借りなんてあったか? ……まあいい。それで何をさせたい?」
「今回の件の依頼人をそちらで処理しておいて下さい。手段は問いません」
「おいおい、依頼主を裏切れってか? こちとら信用で成り立ってんだぞ」

断ろうとする誘拐犯に巧は一言。

「私の依頼ですよ。その辺は大丈夫です」

そう言うと、巧は再び歩き出す。答えを聞こうともせずに巧はアジトから姿を消した。

「……まったく。情報屋ってのは怖えなぁ。分った。引き受ける。
だから、あんたもミスんなよ。あんたとは末長く付き合っていきたいのでな」

誘拐犯は一人ごち、次の"依頼"をこなすために動き始める。

そして闇から闇へ葬り去られた話が一つ。
この話が表に出ることはない。


終わり。
656:Mohikan meets girl 3話目 ◇G9YgWqpN7Y 代理投下:2010/01/25(月) 19:43:45 ID:e4mm+f/V


大里巧の追加設定。

裏世界の情報屋。その手綱裁きは絶妙である。
その手腕により、私立仁科学園のある町ではプロによる犯罪は禁止されている。


優陸 地奈 (うりく ちな)

過去の話のため高3になってますが、現在では大学一年です。
中型那賀の彼女。えらい美人だが、ざっくばらんな性格をしている。
なんであいつが彼氏なんだと嘆かれる率は150%
一度振られた後、彼氏の写真を見せられ惚気られさらに嘆かれるという意味。



投下終了です。今回は難産だった。慣れない話は書くもんじゃないね。
変な方向に話が暴走してしまった……。
次回から通常営業に戻りますです。



※※※

だいりとーかしゅーりょー。

本当、何でこの三バカはカップル狩りなんかしてんだろう。カップルとモテない男(主に俺)に謝るべき!
何となく気になったんだけど優陸地奈って名前には何か由来が? ・・・陸地?
大里巧の設定辺りは正直な所初登場から良く分からん感じだったが、>>1の言う幅ひろーくと思えばこういうのもアリか。
投下します
「諸君。由々しき問題が発生した」

 ここは4〜5人が入ると一杯になってしまうような小会議室。
 そこには部屋を無断借用した3人の怪しい影が蠢いていた。
 その中の一人、肘をつき、腕を組んだポーズで冒頭の発言をした那賀は言葉を続ける。

「俺達の、究極な目的であるカップル撲滅を邪魔する敵が遂に現れたのだ!!」

気分が高揚したのか、突然くわっと目を見開き那賀は立ち上がる。

「その名は謎の美少女戦士カップルウォッチャー!!
諸君! 我々の敵をどうにかしようではないか!! 」

握り拳を振り上げて演説する那賀。その意気、熱意は肌で感じられるほどだ。
そして、そんな那賀と一緒にいる残りの二人はと言うと、

「どー考えても謎じゃないっすから。二年の近森ととろっすよ。あれ」
「省、諦めろ。那賀はこういう正義と悪みたいなシチュエーションが大好きなんだ。
あいつが3年間カップル撲滅運動を続けてやっと現れたライバル役だぞ。
喜ぶにきまってるだろ」
「そうっすねぇ。でも俺としてはどうでもいいんっすけど」
「ま、出てこられると対処に困るのは確かだがな。カップルでもなしに力づくってわけにはいかないからな」
「こないだは卓上同好会がいて助かったっすよね」

意外と冷めた状態で会議に参加していた。

そんな冷めた二人の前で、那賀は鼻息荒く白のチョークで黒板へと書き始める。
その文字は大きく"謎の美少女戦士対策会議"と書かれていた。

「さて、そういうわけだ。まずは謎の美少女戦士を罠に嵌めるために誘い込まなければならない」
「近森ととろを呼び出すのか? ラブレターのふりして下駄箱に置いておけばほいほい来るだろ」
「俺なら行くっすね。絶対罠だと分っててもいくっす!」
「台、お前は間違っている! 呼び出す相手は近森ととろじゃない! "謎の美少女戦士"だ!
 大事なことだからもう一度言うぞ!"謎の美少女戦士"だ!」

繰り返し念を押す那賀。
その情熱はどこから来るのか台と省にはわからないが、どうやら那賀のツボに入ったようだ。

「あーそれは分ったから。で、どうするんだ実際」
「あ、それはこんな感じで釣って……」
「あー、その役なら嬉々として乗ってくれそうな奴が一人いるな。当たってみるか?」
「相手役は?」
「……多分、被害者になるだろうな。今の内に菓子の一つでも買っておくか」
「俺だったら絶望するっすね」


こうして、カップル撲滅運動一世一代の大作戦が始まった――



校舎裏。普段はほとんど人がいない場所。
綺麗に整えられた芝生で覆われ。入学式近くになると桜が咲き乱れる。そんな場所。
そこは恋人たちがひと時の語らいをする場所でもある。

しかし今日は様子がちょっとだけ違っていた。
真剣な表情で立っているのは一人の男子。
風貌は普通、優しそうな風貌、や中性的だが、大体の人間が上の下と評する容姿の高校生だった。

相対するは、人形のような儚げな美しさを持つ少女。
少し俯きながら、しかし目は青年を見つめ続けている。
少女のアッシュブロンドの髪が風で流れる。
それを右手で軽く押さえ、少女の方が口を開いた。

「それで、話って……なにかな?」
その口調は緊張のためかたどたどしい。高校生はその問いに口を開けかけ、また閉じるを繰り返している。
やはりその高校生も緊張のためか中々声が出ないようだ。

そのまま、時間だけが過ぎていく。
何もない二人だけの空間がそこには作られつつあった。

――ただし、それを見守る一対の目があることを除けばだが。




(あ〜。もうじれったいなぁ! いけっ! いけっ!! ひと思いに言ってしまえ!!)

ちょっとした草むらの陰、そこにはオペラグラス越しに凝視し、片手に固く拳を握りながら応援する一人の少女がいた。
手に汗を握るとはまさにこの事、とばかりに固唾を飲んで凝視している。

いまさら説明するまでもあるまい。
近森ととろは真田ウェルチに告白しようとしている高校生がいるとの情報を手にいれると、
一目散に最上の観覧場所を脳内検索。そこに張り込むことにした。
はたしてその結果は大成功。今、こうして目の前で大勝負の状況が展開されていた。

告白の瞬間とはまさに一世一代の大勝負。それを見逃す手はあり得ない。
そう、今、この空気は最高の甘味と言える。

目の前で青年が動く。一度空気を吸い込み、次に深く吐きだすと視線をウェルチの目にまっすぐ向けた。

(よし! そこだよっ! 一気に行くんだよ!!)

近森ととろの陰ながらの応援に力がこもる。

――そして



「ほう、まさかこんな影でこそこそ何をしようとしてるのかな? 全く、学校の風紀の乱れは嘆かわしいな」
「まったくだ。こんな所でいちゃいちゃしやがって……けっ!!」
「そうっす! 俺達の目の黒いうちはてめえらに好き勝手させねえっす!」

三人の影がそこに現れる。
青年は慌ててウェルチを背後に隠すように立ち向き合う。

「あんたたちは……まさか……」

青年の言葉に三人は口の端を釣り上げ、嗤った。

「くくく……そう、俺達は世のカップル達を撲滅するために現れた悪魔だ」
「カップルとは最強の敵。故に相手に不足はない」
「俺達に見られたが最後っす。お前たちのような奴らを倒すため俺たちは現れたっす」

その口上はカップルに畏怖を与えるためか。ゆらりと近づき後、5歩というところで止まる。

リーダーだろう台が嗤い宣告する。

「判決、死刑」

その言葉に反応するように那賀と省が取り囲むように回り込む。

そして、3人同時に口を開いた

「「「即時、執行開始だ!!!」」」


「待ちなさい!!」


突然の制止の声に不良達は振り向いた。


そこには――

――颯爽と現れた一人の少女の姿があった。

「やはり現れたわね! カップル撲滅運動!! 」

びしっという擬音がぴったりくるような直立不動の姿勢で人さし指を不良に真っすぐ向ける。
トレードマークのハート型アイシールドから見える視線は戦う意思に燃え、
左手に構えたショッキングピンクに彩られた魔法のステッキを不良に向けた。
そう、物理攻撃力を得た彼女にもはや恐れるものはない。

その戦意に燃えるカップルウォッチャーと対照的に不良達は薄く嗤う。

「くくく……謎の美少女戦士カップルウォッチャー!! 我がライバルよ! ついに決着をつけるときが来たようだな!!」

那賀が嗤い、 言い放つ。

「これが罠とも知らずのこのこ現れるとは……バカめ!!」

その言葉に一瞬ととろは動揺するが、それを戯言と切り捨て、再びステッキを構える。

「動揺を誘うなんてしけた作戦ね……CMが終わる前に勝負を決めるよ!!」

しかしその言葉に不良は答えず、黙って下がる。
そして前に来たのはあの告白をしようとしていた高校生だった。

意味が分らず硬直するカップルウォッチャーに那賀は宣告した。

「我が最終兵器を……喰らえ!!」

その言葉に押されたかのように、最終兵器は高校生の口から飛び出した。

「カップルウォッチャーさん……僕と……付き合って下さい!!」

カップルウォッチャーの思考が完全に停止した。
不良達はにやにや笑っている。ついでにウェエルチは興味深々に見守っている。

……5分……10分……時間だけが過ぎていく。

「あ……あの……?」

硬直した時間を打ち破るかのように、ようやく掛けた高校生の言葉。
カップルウォッチャーはその言葉にビクンと震える。
ようやく硬直から解除された彼女は酷く慌てたように手を振り回し、落ち着きなく体と揺らす。

そして、

「え……あの……? そ、その恋に、幸多かひゃれ!!」

結局、思いっきり動揺したカップルウォッチャーは決め台詞を噛みながら口走り、走り去っていた。

「……あ……」

そして、残された高校生は追いかけることもできず、ただ茫然と見送っていたのだった。





とぼとぼと帰る高校生。その姿はまるでくたびれたサラリーマンのようだった。
しかし、その高校生はそのまま放っておいて、不良達(+ウェルチ)は話し込む。

「うーむ。作戦は失敗か」

台が残念そうに声を出す。

「そうだな……"男の一人でもできればカップルウォッチャーなぞしなくなるだろ作戦"は失敗だな」

那賀は余り残念そうではない。ライバルが戦いに勝ったのだ。むしろ那賀にとって燃える展開だった。

「しょうがないっすよ。これで"カップルだから正式に攻撃OK"作戦も駄目になったっすね。
せっかくウェルチさんにあの男を見つけてもらったすのにね」

省はちらちらとウェルチを見ている。
言葉とは裏腹に今までの展開に余り興味がないらしい。

「あの子も結構いい男だと思ったけどねー。ま、今回は縁がなかったということなんでしょう」

ウェルチも肩をすくめながら言った。
「まったく、臆病なんだから」と呟いた声は、不良どもには聞こえない。
そして、ふと、ウェルチは台の方へと振り向き話しかける。

「あ、台。報酬の映画のチケット3人分。ちゃんと用意してね」
「ちっ、憶えてたか。残念だ。何のチケットだったか?」
「"映画版だよややえちゃん!"。ホラーラブストーリーで面白いって評判の」
「ああ、そうだった。今度買ってくる」

どうやら今回、ウェルチは台に買収されていたようだ。
その横では那賀が相変わらず邪悪な笑みを浮かべている。

「カップルウォッチャー……さすが我がライバル。今度はどう料理してやろうか……」

その呟きはウェルチにも聞こえたのだろう。那賀の方に振り返る。
そして、さも今思い出したかのように問いかけた。

「あ、那賀君。そういえばあの映画見にいったのよね」
「ああ、地奈といっしょにな。あの映画は面白かったぞ。
 その後、喫茶・茶々森堂で飯を喰ったな。あそこ意外とうまいんだぜ」

その言葉に反応したのはウェルチではなく台と省。
どうやら那賀は地雷に足を突っ込んでしまったらしい。
二人はあっさり戦闘態勢に入ると那賀に向けて宣告する。

「「よし、わかった、殺す」」
「ちっ! こんな所で殺やれるかよ! ってちょっと待て! それは卑怯だぞ!!」

突如始まった殺戮の光景。しかしウェルチはそんな様子を見て微笑んだ。

「ホント、あなた達って見てて飽きないわねー」

日暮れはもうすぐ。
ウェルチは喧嘩を始めた3人を置いて一人帰路についたのだった。



終わり。
663カップル撲滅運動宿命のライバル編 ◆G9YgWqpN7Y :2010/02/03(水) 19:39:44 ID:4IhsmcmJ

投下終了です。美少女戦士カップルウォッチャーをお借りしました。変な所あったらごめんなさい。
……もっといっぱいクロスさせるつもりができませんでした。
いままでプロット通りに書けた試しがないなあ。
あ、新キャラの高校生の紹介がないって? まあモブですから。
664 ◆wJvuapx/Bc :2010/02/05(金) 17:26:33 ID:MN1lqRh7
那賀に意外な趣味が!? 口調もまるきり悪の怪人(もしくは幹部)調になってるし! ポーズはゲンドウか。
にしても謎のフラグがこつこつと。こういう小競り合いは今後も続きそうな感じ。俺もまた書く、かも?

ウェルチの三人って、……おとんか。

「待ちなさい!!」 のテンポがすごい好き。
自分の恋愛には臆病なととろもそれっぽい反応で違和感なかったです。
投下乙。&ありがとー
665 ◆46YdzwwxxU :2010/02/05(金) 17:28:50 ID:MN1lqRh7
あれ。トリ変わってる……?
666わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2010/02/05(金) 23:23:09 ID:nO7ZO5wS
ヤター!規制解除きたお!
演劇部の続きが出来たので、投下します。
近森ととろと創作部のみなさんをお借りいたします。
667あかねと百合 ◆TC02kfS2Q2 :2010/02/05(金) 23:23:55 ID:nO7ZO5wS
図書館の勉強机にて、演劇部所属の1年生・黒咲あかねは真っ白なノートを目の前にして、自分の才能に疑問を感じていた。
「久遠はどうしてあんなにきれいな脚本が書けるんだろう」
机の端に重ねられた資料は未だ乱れることなくきっちりと並び、買ったばかりの消しゴムも角を保ったまま、ノートと同じように眩しかった。
プロットを迫先輩から任された。こんなに嬉しいことはない。迫先輩のためなら、部員みんなのためなら、劇を見てくれる人のためなら、
誰もが劇を見た後にちょっと幸せになれるような、ささやかなストーリーが書きたい。だけど、幸せの糸を紡ぐことは苦しいこと。
言葉の糸車の針があかねの指にずきりと突き刺さる。痛いと言っていても、無情にも糸は何も織り成すことはない。
あかねの前の真っ白なノートにみんなの笑顔が浮かんでは消えてゆく。『期待』という言葉から耳を塞ぎたくなる。
放課後の時間だけが時計の音ともに削られてゆき、締め切りに徐々に近づいてゆくことに、大人しいあかねは焦りを隠せなかった。
髪の毛を摘む回数が増えてきた。

「久遠がここにいたらなぁ」
あかねは同じ演劇部1年生・久遠荵と共に、演劇部の先輩から次に発表する劇のプロットを練ってくるように宿題を出されていた。
ゼロから物を作り出す苦しみに耐えて、魅力あるプロットを組み立てることは一日二日で出来るものではないということ。
1年生ながら文才を買われたあかねと荵は、始めはノリノリで書きはじめたものの、ふとしたことで全く筆が動かなくなってしまった。
演劇に携わる者でなくても何となくお分かりであろう。さらに残念なことに、相方である荵はあかねがきょうの作業へと誘う前に
どこかへと消えてしまったのだ。子リスのような荵を捕まえるのは、文章を書くより骨が折れると、あかねは悩む。

長いみどりの黒髪が窓から通り抜ける冬の日差しで照らされ、学園を去る生徒たちの歓声が外から楽しそうに聞こえてくる。
静かな図書館の中では、あかねが物語をあれやこれやとひねっては消してと、苦悶していた。
校庭では太陽のような暖かい明るさが輝き、図書館では星のような冷たい光があかねを凍てつかせる。
「どうしたら、部員のみんなが引き立つ本が書けるんだろう」
いつの間にかシャープペンでノートを叩く音が、秒針の音と重なっていたことにあかねは気付かない。
あかねが時計を見ようと顔を上げると、一つ先の机で描いては消して、描いては消してとノートと格闘する女子学生の姿があかねの瞳に映った。

「あたしの才能はこんなもんじゃない!やに、イメージ通りのデッサンができんきぃ!」
静かな図書館に聞きなれない訛りを響かせ、彼女は消しゴムをノートの上で擦り付けていると、
勢い余って消しゴムを床に落とした。我に返ったその少女は今の言動を少し後悔していたようにあかねに見えた。
図書委員から口にチャックのジェスチャーをされた彼女は、しゅんと縮こまる。

あかねはイスから立ち上がり、少女が落とした消しゴムを拾い上げると、殆ど球状になり黒くすすけた消しゴムを見て自分を恥じる。
(こんなになるまで使ってたんだ。わたしも頑張ってプロット書かなきゃ)
丸い消しゴムは頑張りに正直者だ、とあかねが消しゴムを摘んで見つめていると、聞き慣れない訛りの少女の声があかねに飛び込む。
「ありがと!たすかるきぃ!」
「は、はいっ」
彼女を避けるようにあかねは返事だけを返し、そそくさと自分の席へと戻ったのだが、消しゴムを落とした少女は
あかねに興味が湧いたのか、そっと側に立って机の上の本を見つめていた。
「ね、ちょっと!あなた。その詩集って?」
「これですか。わたしの本ですが」
「そうそう!これって崇人が探しちょったのと同じやん」
668あかねと百合 ◆TC02kfS2Q2 :2010/02/05(金) 23:24:38 ID:nO7ZO5wS
あかねが「創作の参考に」と自分の家から持ち込んだとある詩集。
自分が好きな詩集を学園のどこかの誰かが探すほど好きでいてくれる人がいるなんて、ちょっと嬉しいじゃないか。
少女のいう『崇人』という人物とは、誰なのだろう。あかねは少し見知らぬ『崇人』という人物に興味が湧いた。
訛りの少女は、あかねの詩集を手にして瞳を輝かせていた。
「出来ればでいがやけど、お手すきになったら崇人に見せに行きたいんがや」
「今、とてもお手すきですっ」
用事はある。だけど、書こうとするから書けないのだ。だったら少し手を離してお話に乗ればいい。あかねの決断は早かった。
未だに文字が書かれることの無いノートを閉じると、あかねは目の前の少女の後を付いて行くことにした。
胸に詩集と未知なる興奮を抱えて。

人前に出る部活の癖に、恥ずかしがり屋というところを突っ込まれやしないか、とあかねは手に汗を握っていたが杞憂に終わる。
素朴な香り漂う垢抜けない訛りで士乃は、妹のような先輩振りであかねの気持ちを和らげる。
「ちょっと、あたしたちの部室に寄っていかん?創作部っち言ってなあ」
「創作。そうさく。……何かを作るんですか?」
「そうな。そうそう、自己紹介まだじゃったね。あたしは浅野士乃。よろしゅう」
「……わ、わ、わたしは。黒咲あかねですっ。演劇部の1年生ですっ」
「それじゃあ、あたしはあかねちゃんの先輩やん」
士乃の横顔を見るだけで精一杯のあかねは、見せるのが恥かしいくらい頬が赤くなっていた。

―――「先輩!あそこにも初々しいカップルが並んでます!なんと一人は頬が真っ赤です!」
「ほんとだね!男の子の方は、女の子の横顔を見るだけで精一杯なんだ!この!恋愛仮免講習受講者め!」
演劇部部室では、久遠荵と近森ととろが窓から仁科学園から帰り行く『恋愛若葉』を観察していた。
カップルの幸せを見せていただきながら、幸せをご相伴にあずかるととろは「下校する生徒がよく見えるから」と言って、
演劇部部室に放課後から入り浸っている。この日は先輩たちが部室に来る予定はないので、勝手気ままに部屋を使えるわけだ。
「人物観察は演技の練習の基本のキ!勉強になります!!迫先輩も熱弁していたことですの!」と、
荵は小さな身体をめい一杯使って、ととろの訪問を歓迎していたが、迫先輩からのプロットの宿題のことなどすっかり忘れていたのだった。

「ととろ先輩!いつでもここを使っていいから、これからもわたしにも金平糖のような甘くて刺々しい恋の蜜を味あわせてくらさい!」
「そ、そうね。荵ちゃんって……やっぱり演劇部向きだね」
「でも、わたしが芸事の道を選んだのは、あかねちゃんの姿を見たからですよ。わたしはあかねちゃんになりたい!
大人びた性格に、すらりと伸びた長身!何故、芸能の神・アメノウズメは、わたしにこんな試練を与えたのか!」
子どもっぽい容姿に、ちっこい背丈の荵は、声を大にして叫んだ。
中庭で先輩たちとエチュード(即興の演劇練習)をしているあかねの演技に惚れたからだと、荵は語る。
芝生だらけの中庭に茜の花が咲き誇っていたと、荵は語る。

「でも、負けないもん!わたしは先輩の後ろにある棚の百合の花でさえ、笑顔にしてみせるよ!!百合の花よ、咲き誇れ!」
花瓶に生けられた百合の花は、荵に呆れたように静かに二人を見つめていた。
669あかねと百合 ◆TC02kfS2Q2 :2010/02/05(金) 23:25:21 ID:nO7ZO5wS
「ところで、ととろ先輩。ソレ、何の格好です?」
荵が気にするのも無理は無い。ケモノ耳のようなものが付いたヘルメットにハート型のアイシールド。
制服の上には勇者のようなマント、そして純白の手袋。おまけに魔法のステッキを手にしたととろは、瞳を輝かせ腕を振り上げる。
「良くぞ聞いてくれた!他人の恋路を邪魔するものは、ウマに蹴られて地獄に落ちろ!謎の美少女戦士カップルウォッチャー、ここにあり!」
決め台詞のようなものを一通り叫ぶと、ととろはひょいとマントをなびかせてイスに飛び乗る。
そして、ここには居もしないカップルを探すように、きょろきょろと心躍らせた様子で周りを見渡したのだった。
「しあわせゲージMAXなカップルはどこだ!?」

―――「ここやち。ここやきん」
士乃があかねを連れて仁科学園創作部の部室を紹介すると、あかねはきょろきょろと落ち着かない様子で周りを見渡した。
通い慣れたいつもの校舎の中だというのに、行ったこともない土地に放り出されたような気持ちに包まれるあかねの頬は赤い。
「まあ、お茶でも飲んでいってん」
人懐っこい士乃の笑顔があかねにとっての救い。薄っぺらい扉を開くと、物の数だけの匂いがふんわりと二人を包んだ。

「りっちゃん、こんちはー」
「士乃ちゃん、お客さん?」
「うん。初々しいお嬢ちゃんじゃの!なのに、崇人が居らんき!どこに行ったー」
ぐっと両手を握った士乃は、部屋一杯に声を響かせながら崇人という男子生徒の名を叫んでいた。
同輩に呆れている『りっちゃん』と呼ばれた少女は、士乃に隠れるように立つあかねに気が付くと、手にしていた雑誌を静かに閉じた。
初めての場所に戸惑うあかねは、右手で左の腕を握り締めて肩をすぼめて自分を落ち着けと言い聞かせる。
脚をぶらぶらとさせながら、軋む木のイスに座る『りっちゃん』は創作部の部員。士乃は彼女の両肩にぽんと手をかける。
「ま、ちっちゃいけどお気楽に。この子がりっちゃん、あたしと同じ2年」
「金城葎です。よろしくねー、って誰がちっちゃいねん!!」
葎が士乃の言葉に反応してイスから飛び上げる。事実、葎が立ち上がっても彼女の目線は、あかねの胸ほどの高さしかない。
士乃は「ちっちゃいのは、部室ち言ったんやん」と士乃のブレザーを引っ張る葎をなだめるが、
あかねの目にはどうしても士乃が葎のことを『ちっちゃい』と言ったようにしか見えなかった。

「はいはい、りっちゃんは席に戻って。新しいお友達が自己紹介するきい」
あかねは舞台に立ったつもりで黒タイツの脚をそろえお辞儀をする。長く伸ばした黒髪が一緒に揺れる。
ここが舞台なら怖いものは無い。舞台はみんなで作るもの。先輩たちも一緒だから怖くない。
先輩たちは舞台を見に来たお客さんと思えばいいじゃないか。舞台仕込みのよく通った声で自分の名前を伝える。
色白の頬を牡丹のように赤く染めながら、堂々と自己紹介を終えたあかねは立派な『役者』だった。
挨拶を終えると、演劇部に居ながら恥ずかしがり屋であるあかねは、創作部の二人に目を合わせようとすることはなかった。
670あかねと百合 ◆TC02kfS2Q2 :2010/02/05(金) 23:26:03 ID:nO7ZO5wS
「……よろしくね。あかねちゃん」
「まさか、ここで『あーちゃん』と会うとは思わんかったけんなあ」
葎の雑誌をちらりと覗き込んだ士乃の言葉は、あかねをますます赤くさせてゆく。
自分のことを知っている人がいる。しかも、かなり前から……。

「読者モデルを辞めてから、どうしちょるのかなあって思っとったら、奇跡の巡り合いやん。あたし高知で毎月読んでたき!」
「そうね!もしかして、どこかで見たことあると思ったら『プチ・ポップ』に出てた『あーちゃん』?」

××××××××××××××××××

小学生時代、黒咲あかねは『あーちゃん』と呼ばれていた。
実際に呼ばれていたのは、雑誌の上でのこと。『あーちゃん』は毎月きれいな服を着て、大人びたメイクを体験して、
そして日本中の読者から羨望の眼差しを受けながら、限られた紙面を華やかに飾っていた。
そう。黒咲あかねは、小中学生向けのファッション雑誌『プチ・ポップ』の読者モデルであったのだ。
ファッション誌に出ることになったのは、クラスメイトの推薦からであった。「あかねはきっと人気出るよ」と。
その言葉はうそではなかった。人気も出た。誰もがちやほやしてくれた。クラスメイトも一目置いてくれた。
でも、それは『あーちゃん』に向けてだ。『あーちゃん』は『黒咲あかね』なんて子は知りません。何処の誰ですか。
『あーちゃん』は『あーちゃん』の場所でしか生きることができない、花壇の花のような存在だったのだ。

「あーちゃん、こんなに読者からのハガキが来てるよ」
「う、うん。ありがとう」
「いいなあ、あーちゃん。わたしにはこんなに来ないんだもん。超羨ましいなあ」
「カラーページ独り占めだもんね」
「はは……。やめてよ」
うそばっかり。他の子は自分がもっと目立ちたいんだ、って思っているんだ。
読者モデル仲間からの言葉を薄っすらと鋭い瞳で見抜く『黒咲あかね』は『あーちゃん』ではない。
仲間が太陽のような笑顔になればなるほど、分かり易いウソをかばう氷がゆっくり雫をたらす。

「人気いちばんだからね。『あーちゃん』は」
「わたしも『あーちゃん』みたいに、カラーページを独り占めしたいな。あ!このバッグかわいい」
出来ることなら何もかも砕く金槌で、あかねの手を冷やす氷を砕きたい。あかねは氷を持ち続けながら、
『あーちゃん』にしか出来ない、妙に大人びたウソ笑いを一緒に読モ仲間と分け合うだけだった。
お遊びの仲間だなんて、誰に何の得になる。たまたま同じ雑誌に載っているだけじゃないか。

わたし『黒咲あかね』は『あーちゃん』なんて子は知りません。何処の誰ですか。いっそのこと、無視してくださいな。
『黒咲あかね』は『あーちゃん』を一人ぼっちにしたかった。

××××××××××××××××××

創作部の部室では、雑誌を読み飽きた葎が何やら図面を真っ白いケント紙に起していた。
「おっ。りっちゃん、きょうもペンの調子がいいやん」
「思い付いたときに図面を起さないと、すぐに忘れちゃう」
「おお、そうや。あたしも新作のデザインをしちょるところやった」
ぽんと手を鳴らした士乃は、くるりと周りスカートを揺らす。
あかねは部屋の中にはたくさんの本、焼き物、そして玩具に視線を奪われていた。
671あかねと百合 ◆TC02kfS2Q2 :2010/02/05(金) 23:26:46 ID:nO7ZO5wS
「あかねちゃん!ここはね『創作部』だから、何でも作るのよ」
「そうなんですね。あの……金城さんは……」
「りっちゃんはね、玩具ばっかり作りよるよ。鉄砲とか鉄砲とか……」
葎の目の前の紙に、士乃は手にしていたシャープペンでうずまき落書きの攻撃をする。
「し、士乃ちゃん!わたしの傑作が渦に巻き込まれたよ!」
あはは、と笑う士乃に対して葎は困ったような、笑っているような顔をしていた。
どうしたらいいのか分からず立ちすくむあかねは、とりあえずエチュードで学んだ「何でもいいから、話を途中で切らすな」の教えを思い出し、
思い切って士乃に話を振ってみる。士乃なら何か答えを返してくれると微かな期待を抱いたからだ。
「あの、士乃さんは……何を作っているんですかっ」
「あたしは焼き物をやってるよ。でも」
士乃の背後に並んだ作品たちが、光に照らされて誇らしげに見えた。自己主張もせず、ただたたずむだけの花瓶に皿たちは、
どれもこれも美しい。しかし、急に真面目な顔になった士乃は、ダンボールに乱雑に入れられた花瓶を手にする。
「……やっぱり、これ」
花瓶には『審議中』の付箋紙が付けられていた。

「女の子と焼き物は同じやきん。みんなに見られれば見られるほど綺麗になってゆく。でも、そればかりがやない。
ダメなものはダメじゃったりする。いちばんタチが悪りいのは、自分がダメなことに気付かんこと。
もっとダメなもんはダメなもんでも、周りからおだてられて自分がダメなことに気付かんこと。
いちばん大事なのはそれが分かっちょる人が、いつも側にいちあげることやと思うの。大切なことやけん」
手にしていた一枚の陶製の花瓶を士乃が天に向かって持ち上げる。
「この子もこうしてダメっち気付かせちゃる方が、幸せじゃったりするがかも。って、なーんちね」
誰だって、自分が作ったものは愛しい。だけど士乃はそれを見切ることも一つの愛情だと、静かに自分を抑えながら語り、
テラスへの扉を静かに開いた。コンクリートの床はあかねには冷徹に見えた。温厚な空は裏腹に青い。
士乃の振り上げられた腕には士乃が作った白い花瓶。「やけに青空に映える白さやん」と士乃は花瓶を見つめていた。
己の行く末を悟った花瓶は、生みの親の教えに逆らうことなく地面に飛び込む覚悟であった。

―――陶器の割れる音が部室に響く。居合わせたものの視線をひきつける。粉々に散った破片が力なく横たわる。
そして静寂だけが二人を包み込む。
「……どうするの」
「わたし?ちょ、ちょっと!ととろせんぱーい!」
ちょっとはしゃいだつもりだった。ちょっと調子に乗ったつもりだった。荵のちょっとが騒ぎになるとはととろも思っていなかった。
荵はととろから『カップルウォッチャー』の衣装をちょっと借りて、自分もととろになった気になっていた。
ととろがイスから飛び降りたなら、わたしは机から飛んでやる。上靴を脱ぎ、小柄な身体で机に飛び乗る。
「カップルウォッチャーしのぶ、ここにありー!」
「ちょ、ちょ?易々とカップルウォッチャーの座を渡してたまるものかあ!」

ととろを真似て、机から飛ぶ降りる。荵には長すぎる長いマントがゆっくりと捲り上げる。
が、荵が机から飛び降りるものの、着地に失敗。紺色ハイソの足で床を滑る。両手をぶんぶんと振りながら
足をふらつかせて壁に向かって体勢を立て直すものの、運悪く棚の上の百合の花が生けられた花瓶をピンク色のステッキでジャストミート。
魔法のステッキで一撃された花瓶と百合の花は、床を目掛けてまっ逆さまに床に吸い込まれた。そして、大きな音を立てて百合の花は黙り込む。
百合の花を拾い上げようと荵は床にしゃがむが「役者が手を怪我したら危ないよ!」と、ととろから手を掴まれた。
672あかねと百合 ◆TC02kfS2Q2 :2010/02/05(金) 23:27:28 ID:nO7ZO5wS
―――あかねは士乃の振り上げた花瓶を持った手を掴んでいた。抱えていた詩集が花瓶の代わりにテラスに落ちた。
「この子だって、どこか光る場所があるはずです!」
「……」
「みんなで作る……、みんなで育てる…。そして、みんなで気付いてあげる、ってわたし、生意気すぎましたね。ごめんなさい」
静かに士乃の腕から手を離し、いつもの恥かしがり屋さんに戻ったあかねの背中をポンと叩くのは葎だった。
葎の小さな体は、あかねには自分を包み込む『アネキ』に見えた。

「ははは!あかねちゃん!よく言ったね。士乃にはいいクスリだよ。いっつもガッチャンガッチャン割ってこっちはうるさくて」
「りっちゃん!あたしは芸術家としてこだわりを通したきぃ!!でも……」
「でも?」
「何て言えばいいんだろう。あかねちゃん、ありがとう。よかったらいいんやけど、この花瓶、演劇部で使ってくれる……かえ」
士乃の言葉にこれまで以上にあかねが頬を赤らめていると、メガネを光らせる男子生徒が部室に入ってきた。
「士乃ー?聞いたぞ、聞いたぞ。何時になくお姉さん振っているな!後輩を見るとすぐこれだ」
「崇人!!あたしは、この仁科学園の先輩としてあかねちゃんに……崇人!!崇人が『このデザインがいい』っち言うたけん、
あたしは全身全霊をかけて仕上げたんやに!それに、なんじゃ?崇人の作った詩は、みんなが喜んでもわたしは響かんきい!」
「士乃ったら。きのうさ、こっそりと崇人の詩を何度も口ずさんでたくせにね」
「う、うるさいっ。りっちゃんは、早く自分の玩具を仕上げる!やないと、また『ぐるぐる攻撃』しちゃるきん!」
あかねは創作部のみんなで作品を作ってみんなで語り合うという、創作マインドに心打たれ、
先輩たちの持つ作品への愛情に自分の創作意欲を沸き立たせていたのであった。だが、あかねの脳裏に蘇ったのは、迫先輩からの宿題だった。

「そうだ!プロット!!」
あかねは、白紙のノートを抱えて恥かしそうに廊下側の扉に向い、創作部の面々に深々とお辞儀をする。
「創作部にまた遊びに来てね」と、葎から見送られたあかねは、再びこの部屋へ来ることを誓い、演劇部の部室に戻る。
士乃が一度は投げようとした花瓶を大事そうに抱えて……。

あかねが演劇部部室に入ると、人影は全くなかった。
魔法少女の衣装のようなマントにヘルメットが残されていたが、あかねは「初等部向けの劇でもするのかな」程度に思っていた。
そして、他にあるのもと言えば、暇を持て余した机とイス。そして、水の張ったバケツに生けられた百合の花。
折角の百合の花がこのままではかわいそうと哀れんだあかねは、バケツから士乃から譲り受けた花瓶に水を差し、
百合の花を生けることにした。士乃は始め気に入らなかったものの、やはり花瓶は花をいけると、
水を得た魚のようにいきいきと見えてくるのは、花瓶に感情があるからなのだろうか。
673あかねと百合 ◆TC02kfS2Q2 :2010/02/05(金) 23:28:09 ID:nO7ZO5wS
「……よしっ」
部室の棚に、一輪の花を置く。たったそれだけなのに、まるで美しいクラシック音楽に浸るような贅沢な気分になる。
じっくり百合の花を観賞しようとあかねは、一歩一歩後ずさり。開けっ放しの窓からの風は冷たかったが、美しい花を見ていると心地よく感じる。
しかし、静かに花を愛でていたあかねの時間は、荵の声で閉ざされた。あかねは同時に頬を赤らめる。
何故なら、荵と共に部屋にやって来たのはととろと、そして迫だったのだから。
迫の腕にコアラのようにしがみ付きながら、わめきたてる荵はどう見てもお子ちゃまであった。

「さこせんぱぁーい!わたし、花瓶を割っちゃったんですぅ!!わたしはなんて愚かな子羊なんでしょう!」
「荵ちゃん!泣かないで!!荵が泣くならわたしも泣くよ!恋に破れた乙女を癒すのは、同じく恋に破れた乙女だけだからね!」
荵の後から付いて来るととろを気恥ずかしそうに眺めるあかねは、右手で左の腕を握り締めて肩をすぼめていた。
ところが、と言うより当然なのだが、あかねが生けた百合の花をじっと見つめた迫は、メガネを光らせて目を細める。
「久遠、子羊に謝れ。ウソをつくのもいい加減にしろよ」
「もしかして、奇跡が起こった?!天上界の神々はわたしたち子羊を見捨ててなかったのですの!ねえ!あかねちゃん……っていない!」
百合の花が生けられた花瓶を目にした荵は、あかねが生けたことを知らずに目を輝かせていた。

―――その頃、創作部部室にて。
崇人が詩を書き連ねていると、横で士乃の焼き物を光に当てて眺めていた葎が呟く。
「あかねちゃん、また来てくれるかなあ」
葎と背中合わせの士乃が、自分の作品を我が子のように抱きしめながら質問に答える。

「来るよ、きっと。今度はあたしの最高傑作をあかねちゃんに見せちゃるき!」
「はいはい。それじゃ、今度あかねちゃんが来るまでに、幾つ焼き物が割られるか……崇人、ジュース賭けない?わたしは8個!」
「おれ、10個」
「ななな?あたしの才能を見くびっちゃいかんちや!一発で……」
士乃が両手を握って部室一杯に声を上げると、扉を叩く音がする。訪ねた者の声を聞いて瞳を輝かせたのは士乃だった。
「あのー、演劇部の黒咲あかねです。確か、詩集を……」


おしまい。
674わんこ ◆TC02kfS2Q2 :2010/02/05(金) 23:32:58 ID:nO7ZO5wS
土佐弁は「土佐弁ジェネレーター」を使ったので、自然な言葉と比べて怪しいかもしれません……。あしからず。

人物紹介
迫先輩…荵、あかねの演劇部の先輩。普通科3年。演劇にはちょっとこだわりがある、メガネが光る文系人間。

投下はおしまいです。
675創る名無しに見る名無し:2010/02/07(日) 14:23:37 ID:qmJhEqco
投下乙。
土佐弁は難しいよな……おーい竜馬あたりで何となくお勉強さ。
荵とととろテンション高えー。

「今、とてもお手すきですっ」 が萌えた。

あーちゃん関連にはまだエピソードがありそうだ……。
ひそかに待ってる。

こう、他作者の何気ないところ(失敗作を割るとか)を掘り下げつつ自然にクロスできるのはすごいな。
676創る名無しに見る名無し:2010/02/07(日) 21:13:56 ID:SqVQbD8U
投下乙です!

あかねと士乃のこれから友人になる感じがほのぼのしてていい感じ
荵とととろがいい対比になってるきがする。ってかこいつらは騒々しいなぁw
677真っ暗な帰り道 ◆G9YgWqpN7Y :2010/02/18(木) 21:51:23 ID:zIk4kq4m
投下します。
678真っ暗な帰り道 ◆G9YgWqpN7Y :2010/02/18(木) 21:52:10 ID:zIk4kq4m

「うわぁ。もう真っ暗……」
「かなり集中して描いてたからな。気付かなかった」

外を窓越しに見ながらぼやくようにいう鈴絵に対し、台も頷きながら答える。

部員はすでに全員帰っており、残るは二人だけだった。
さきほど真田先生から帰るようにと告げられ、そのことに気付いた二人は帰る準備を始める。
鞄を開けながら、鈴絵は台に問いかけた。

「台先輩はこれからどうします?」
「今日はバイトが休みだからな。普通に帰るだけだな」

鈴絵の質問に台は半分聞き流しながら答える。
その答えに、鈴絵は鞄を置いて両手を組み直し、笑って言った。

「あ、それなら家まで送ってもらえませんか? こう見えても一応女性なのですよ。夜道で一人は怖いのですよ」
「めんどいな。却下」
「あっさり断わられた……。いーですよ。わかりました。一人で帰ります。
帰りに誘拐なんかされちゃったりしたら台先輩のせいですからね」

鈴絵は鞄を乱暴に持ち、頬を膨らませたまま扉に向かう。
そんな鈴絵に対し、台は苦笑した。

「そんな那賀の彼女じゃあるまいし。ありえんだろ」
「そんな女心が分らないから那賀君みたいに彼女ができないのですよ」
「それは言うな、ええい睨むな。……わかったわかった。送ればいいのだろう?」
「よかった。ありがとう。助かります」

台の承諾にころっと態度を変える鈴絵。
その豹変ぶりに台は諦めたように顔を伏せ、自分の鞄を持つ。

「ほれ、さっさと行くぞ」
「あー!ちょっと待って下さいよ」

歩き始めた台を追い掛けるため、鈴絵も慌てて、台の後をついて行った。
679真っ暗な帰り道 ◆G9YgWqpN7Y :2010/02/18(木) 21:53:56 ID:zIk4kq4m
星が瞬く暗い夜道。
その中を二人は歩く。
横に並び、人ひとり分の距離を開けながら、ただ無言で歩く。

その静寂を破ったのは台だった。

「それで、今回の相談はなんだ?」
「あ、やっぱりばれましたか?」
「部長の行動は分り易い。で、こんどはなんだ?」

その言葉を待っていたかの様に鈴絵は口を開ける。
ただ、一瞬、躊躇したかのように声はださず、一呼吸だけおいて音をだした。

「……閑花ちゃんのこと。どうにかなりませんか?」

それは俗に後輩と呼ばれる少女のことだった。
今日、その少女に詰め寄られた時のことを思い出す。
そのこと自体は懇切丁寧に説明して、多分納得してもらえたはず。
しかし、その少女の様子が鈴絵の心に引っかかっていた。
ひどい焦りのような物を感じた気がする。

――なんとなく、危うい。

何とは言えない、その雰囲気を鈴絵は気にしていた。

「どうにもならんな」

しかし台の言葉はたった一言。あっさり無理と断定する。
その否定の言葉に、しかし鈴絵は言葉を続ける。

「でも、やっぱり……ね。台先輩はあの二人の関係をどう思います?」

今度は別の質問という形で。
その質問に台は軽く唸ると、答えた。

「あれは恋愛感情というよりも依存だな。少なくとも俺にはそう見える。
 先崎しか信頼していないあまり、それを失うことに極端におびえていると見た。
 ずいぶんとまあ不健康な関係だ。俺としては取るに足らん相手だ」

最後の言葉は撲滅運動としての言葉だろう。台は再びバッサリ切り捨てる。
その言葉に納得したのか鈴絵は頷き、再び呟く。

「……やっぱりどうにかしたいなぁ」

それは心配の意思。鈴絵はただ、純粋に後輩の事を心配していた。
その危うい心のありようが心配だった。

その様子に台はため息を一つ吐く

「やれやれ、またおせっかいか? まぁ確かに人を信じない状態は不健康だ。
 世界は思った以上に汚い世界だが、思っている以上に綺麗な世界だ。
 そのことに目を向けれるかは、結局その人間個人個人の意思次第。
 あの後輩が汚い世界しか目を向けれないなら、それをどうこうできるのは結局そいつ自身だけなんだ」

鈴絵に台はそう諭すように言う。
それでも鈴絵は口をとがらすようにして話す。

「でも、それじゃ寂しいと思う。信用できる人もいればできない人もいる。
 でも彼女にとっての信用できる人が先輩君だけじゃ……やっぱり寂しいと思う。
 だからね、台先輩、どうにかならないかな?」
680真っ暗な帰り道 ◆G9YgWqpN7Y :2010/02/18(木) 21:55:37 ID:zIk4kq4m

鈴絵の言葉は、再び始めの問いに戻る。
その言葉に台は今度は別の言葉を持って答えた。。

「それならもう答えが出ているのだろう? 部長が友達になってやればいい。
年上なんだから、引っ張ってやれ。そして世界が意外に綺麗だということを教えてやれ」

鈴絵は台の言葉を聞き、しばらくすると頷いた。

「やっぱり、それだね。でも私で大丈夫かな……
 ずいぶん睨まれちゃったけど」

その言葉に台は軽く吹き出す。
鈴絵はその行動に疑問符をつけた表情で見ているが台は無視し、軽く笑った。
そして、笑いの後に言葉をつなげた。

「くくく……いやまあ、少しは自覚あるんだな。ま、部長なら大丈夫だ。
時間はかかるかも知れないが、彼女に世界の広さを教えることができるだろう」

それは明確な信頼の言葉。
その言葉に鈴絵は軽く目を見開き、台の顔を改めて見上げた。
その相変わらずしかめっ面のままの台を見て話す。

「……台先輩からそんな言葉聞けるなんて、ちょっと意外かも。もっと否定されると思った」
「ふん、言ってろ」

台は鈴絵から顔を逸らし、不機嫌そうに舌打ちをする。
そして、進行方向だけに顔を向け、言葉を続けた。

「たまにはいいだろ。……部長に救われた俺の言葉だ。信じてみるのも悪くないと思うぞ」

そのまま鈴絵を見ずに歩き続ける台。
そして鈴絵はその言葉に一瞬きょとんとして台を見続ける。
そして、いまだ前しかみない台を凝視した後、ふにゃりと相好を崩した。

「……うん。やって見る。ありがとう、台先輩」
「……おう。やるだけやってみろ」

そのまま二人は静かに歩き続ける。
その静かな空間、星が照らす暗くはないその道を、
二人は鈴絵の家に着くまで、ただ静かに歩いていった。



終わり。
681真っ暗な帰り道 ◆G9YgWqpN7Y :2010/02/18(木) 21:56:20 ID:zIk4kq4m
投下終了です。
今回もやまなし、おちなし。いみなしなお話です。バレンタイン? なにそれおいしいの?
時系列は先輩とショウジョウバエ培養装置の直後っぽい感じです。
二人の雰囲気がうまく描ければいいけど腕が足りない……。もどかしい。
先輩と後輩の関係に言及してますが、あくまで彼らにはこう見えている、というだけです。
それ以上でも以下でもありませんです。
682創る名無しに見る名無し:2010/02/19(金) 17:34:32 ID:2Z/ChR7j
投下乙。
いかん俺鈴絵さんみたいなタイプ好きかも。
台とはまだ何か過去にあるのか。台みたいなタフネスが救われるってよほどのことのような・・・。

後輩→先輩の関係は依存でズバリです。
多少、先を越された気分w(ロケットの次あたりで関連話をやろうかなと思ってた)

しかし静奈ちゃんといい鈴絵さんといい、後輩に救いの手が差し伸べられるのは何だか感動だ。
683 ◆akuta/cdbA :2010/02/20(土) 16:03:11 ID:ClViY2WP
出遅れバレンタイン。
ちょい役で士乃ちゃんと崇人くんお借りしました。キャラのイメージと違う
絵になっていたらごめんなさい。
ttp://loda.jp/mitemite/?id=866.jpg

そして亀レスになってしまったのですが、>>650で双子キャラ
拾ってくれて有難うございます(゚∀゚)
684創る名無しに見る名無し:2010/02/20(土) 21:03:25 ID:zbPveg6E
>>683
「女子は禁止!!!(くわっ」に素直にフイタ。
あまり関係ないがヤマのヘアピンは魔性だな。まったく危険な男よ・・・。

魅力的なキャラで俺様大助かり。別に毒舌になってないけど。


投下します


 ※

 廃倉庫の窓枠に切り取られた、薄っぺらな青。うつろで、うそっぽい、霞の溜まったような空。薄暗がりに射
しこむ光が、宙を舞う土埃を煌めく帯として浮かび上がらせていた。
 心凍てつかせる静寂に、手負いの獣の息遣い。私立仁科学園中等部の制服に身を包んだ誰か。
 傷だらけの少年。先崎俊輔。体。打ち捨てられたガラクタの山の中佇み。
 傷だらけの少女。後鬼閑花。心。金属を剥き出しにした支柱にもたれて。
 そこにいた。たったふたりで。
 数刻前には悪意と暴力に支配されていた空間には、しかし今は何も残ってはいない。先崎というその男が駆逐
したからだ。三人の女、ひとりの男。残らず殴り飛ばして。

「この世界は、怪物だらけじゃないですか」

 傷だらけの少女は、後鬼閑花は、堰を切らしたように思いをぶちまけた。狂おしいまでの激情は、それでも声
の震えとしてしか表れなかった。人形めいた貌のままで紡がれる叫びは、ひどくか細い。

「ひとの気持ちなんて、ひとにも感情があるなんて想像もできない。怪物。でもそんな怪物のほうがまっとうな
人間で、たくさんのお友達といっしょに笑って、平気な顔してひどいことして、でもふつうだからいつだって正
しくて、少しだって自分が悪いなんて思わないんですよね」
「ああ」

 要領を得ない主張だった。綺麗に整理して組み立てることも出来ないままの。いつか誰かに糺したくてたまら
なくて、けれど誰にもいえなかっただろう。
 たったひとりここにいて、彼女の心を聴いた先崎は冷たく、

「諦めろ。そういうものだから」

 そういった。
 喉から走り出す言葉は瓦礫。やるせなさと、それでも先に行くしかないという決意。
 すべての人間に優しさや甘さを期待するな、それは文字通り“有り難い”ものだ。口にはしなかったが、人並
に辛酸を舐めてきた先崎俊輔の人生訓でもあった。
 「そんなことはない」と、「人間はそんな怪物ばかりじゃない」と、いってやるべきだったのか、どうか。先
崎は“今”でも悩む。
 けれど、結果論からいえばそれで良かったのだろう。そうでなければ、とても、後鬼閑花の荒んだ心には届か
なかっただろうから。もしも彼女の絶望を否定できる者がいるとすれば、それは自ら体を張って最後まで彼女の
味方でいられた者だけだ。先崎ですら、まだ早い。

「それとも、怪物は閑花ですか? みんなを理解できないから。閑花はあたまの壊れたいらない子ですか」

 まるで他人事のような口調。先ほどの返答を聴いていたのか、いないのか。
 構わず、先崎俊輔は彼女に付き合う。

「そんなことがあるものか」

 それは、きっと、彼女の一番欲しがった言葉だった。

「やめておけ。そんなものは道端の糞のような考えだ。自分で自分を卑しくするだけだ」
「……」
「“後輩”」

 先崎はそこで言葉を止めなかった。
 もとより、ひとの心に特効薬などない。破壊された人格はもう元には戻らない。“言霊”なんて魔法は、いつ
だって攻撃偏重で、守りや癒しには全然向いてない。

「そう、お前だよ、後輩。俺は、お前みたいなやつは嫌いじゃない」

 それを分かっているから、先崎俊輔はしばらく後鬼閑花の傍にいようと覚悟を決めたのだ。
 どのみち、今回の暴力沙汰の責任で、しばらくは暇になりそうだった。問答無用で女子に手を上げた最低な男
だ、学園側も容赦などするまい。

「世渡り上手は信用できない。天然は腹が立つ。笑い方の汚らしい下衆に用はない。そこへいくと、後輩、お前
とは同じ空気を吸っていられる」

 骨張った手が差し伸べられた。皮が剥がれて、赤く錆びた、全てを根こそぎ解決していった手だ。
 傷だらけの少女は、後鬼閑花は、

「どうして、あなたは泣いているんですか……」
「泣いているのは、お前だろう」
「そんなわけないですもん。わたし、これまでだって、泣いたことなんて」

 だったら、泣くべきだ。たくさん。
 そう思いながら、やはり先崎は何もいわなかった。


 ※

 それが、二年前のことだ。ふたりだけが刻んだ、奇跡の時間。
 今の時代そのへんの三文小説でも見られないありがちで安っぽい筋書きの、けれど本人達にとってももう少し
だけ切実な物語。

『成績優秀、品行方正な生徒だった。まさかあんなことを仕出かすとは……』
『同情の余地はある。しかし正当ならば何をしてもいいというわけではない。暴力は……』
『訊けばそのグループも一度は話し合おうとしたそうじゃないですか。それを無視して……』

 積み上げてきたおよそ全てを失ったとして。先崎俊輔に後悔などなかったはずだ。それが先崎がかくありたい
と願った“良き人間”だったろうから。
 停学、退部、奉仕活動、下らない人間との断絶。いっそ清々しいと、彼はペナルティを指折り数えていた。
 その一件を“汚点”とされながら、先崎は二年代表として高等部の入学式の祝辞を読み上げたのだ。それまで
にどれだけ学園を走り回ってきたか。ずっと背中を追い掛けた後輩だけは知っている。

「……何を笑っているんだ。気色の悪い子だな」
「私達の馴れ初めを思い出していました」
「馴れ初めじゃないッ!」

 高等部棟屋上のまた上に広がる、澄み渡る青。純粋で、鮮烈で、流れゆく雲さえ白く眩しい空。中天に座す太
陽から伸ばされた手が、ひと筋の光の連環として視界に表れていた。
 心地よい応酬の内に、相手の息遣いを感じる。私立仁科学園高等部の制服に身を包んだ彼ら。
 先輩という少年。先崎俊輔。体。吹き荒ぶ風の中でコーヒー飲料を啜る。
 後輩という少女。後鬼閑花。心。紅茶を片手にフェンスに寄り掛かって。
 そこにいた。今なおふたりで。

「きりりとした先輩のお言葉、今でも一言一句覚えていますよ?」
「……若気の至りだ」

 “先輩”先崎俊輔は、厳めしい顔をしてそっぽを向いた。不機嫌さを装うのはいつもの照れ隠しだ。
 “後輩”後鬼閑花は、そう、覚えている。先輩の思うよりずっと確かに。あのときの何もかもを。
 今ではそうそう手も繋がせてくれないが、忘れられるはずもない。差し伸べられた手の熱さを。
 ああ、願わくば。
 もう一度。
 永遠に。


 ※

 自動販売機とは、商店の“ロボット”である。
 そのへんにばかすか立っているあの筐体をロボットと呼ぶことには違和感を覚えるかもしれないが、実は原義
的にも妥当なところなのだという。ある科学漫画で読んだ。

『いらっしゃいませ』
「は、はい!?」

 “後輩”後鬼閑花は、突然の電子音声に反射的に返事をしてから思い出した。知識はあった。そうだ。最近の
自動販売機は物をいうのだ。ハイテクだ。
 ここは学生食堂の一面を埋める自動販売機コーナーだ。メーカーに統一感はなく、幅広く好みの銘柄を選べる
とあって人気を博している。
 後輩は、憧れの先輩がつい先刻の昼休みに飲んでいたものと同じコーヒー飲料を購入した。あまり頻繁に“お
揃い”にすると、先輩は「自分の好きなものにしろ」と嫌そうな顔をするので、最近はこうして後から補完する
ことにしていた。歯止めの利かなくなった妄想は、余裕で間接キスからその先まで広がる。

(これぞ、まごうことなき、約束のスピリチア・クリエイション!)

 パックがごとりと落ちてくる。ふと思う。
 SFの題材にもある、“ロボットは心を持ち得るか”という命題。
 「人間と同じ入出力がなされようとも、しょせんは人為的なプログラム」、頑なで宗教にかぶれた(閑花には
そう見える)否定意見。
 「心とは電気信号と化学物質にすぎない、つまり完全再現が可能なのだ」、読者の反感を見越した(閑花には
そう見える)肯定意見。

(あんなこと考えて楽しいのかな……)

 人間の心なんて、そんないちいち議論しなくてはならないほど、神聖不可侵で上等なものだっただろうか。
 しずかちゃんは私の大事なトモダチ。巻き込まれるのが怖くて虐める側に回ったあの子。
 あたしだけは、しずのトモダチだよ。味方のふりをして裏でみんなと嗤っていた敵。
 あなたの気のせいなんじゃないかな。物分かりのいい教諭。
 閑花、また授業をサボったらしいな。話など聞いてくれない親。
 それが、人間ではないか。そんなものは、閑花はとうに見限ったつもりでいる。
 悲劇のヒロインぶっている? 今更になって「力こそパワー」とそんなことをいうくらいなら、“最後まで”
ほうっておいて欲しい。

『ありがとうございました』
「はい、どうもです」

 うやうやしく礼を述べる自動販売機に、後鬼閑花は頭を下げた。
 みんなこうなら、ちょっといいかもしれない。
 きっと寂しいだろうけど、傷つけたり傷つけられるよりは、よほどいいように思われた。

『先崎俊輔。そいつの、“先輩”だ』

 ああ。
 たったひとりだけ、そうじゃなかった人間もいたけれど。
 たったひとりしか、あそこにはいなかったから。
 だから後鬼閑花はみんなを否定する。



 おわり




おわり・・・にしたくはないけどおわり。
あれこれで不快な思いをした方はごめんなさい。後味悪。
静奈or鈴絵のどっちかとクロスさせようと思ったけど無理でしたーッ!
後輩はまるで成長していない・・・この二人はやっぱ誰かが間に入らんとどうしようもないな・・・。
そしてかつてないサブタイの長さ。
689創る名無しに見る名無し:2010/02/20(土) 22:20:12 ID:FBnhYjiU
みなさま投下乙です!

>>683
修www いい顔するなあw
どれくらい旨いか一度食べてみたくなるわ

>>685
やはり後輩の傷は深いな。少しでも癒すのは並大抵じゃないだろうなあ
幸せにはなってほしいがどうなるかな?
先輩も男前だ。
690 ◆Q1QEUibokM :2010/02/23(火) 00:36:24 ID:EKP4/juN
短いの投下します。
691牧村拓人の放課後 ◆Q1QEUibokM :2010/02/23(火) 00:38:46 ID:EKP4/juN
 放課後の学食は、僕の学内お気に入りスポットだ。
 昼休みには通勤ラッシュを思わせるくらいの人でごった返すこの場所も、放課後となれば落ち着いた空気で満ちている。
 体育館に次ぐスペースを有するであろう学食の利用者はまばらで、日当たり抜群の窓際の席を独占したって構わない。
 この時間の学食は、緩やかな時間が流れているように感じられる。
 何人かの女の子たちが雑談に花を咲かせている。別の席では、携帯ゲームをやっている集団がある。
 読書をしている人もいれば、コーヒーを飲んでいる先生だっている。
 騒々しすぎず、静かすぎないこの場所は窮屈さがなくて、とてもリラックスできる。

 だから、放課後の学食が好きだ。特に予定がなければ、こうやって過ごしていることが多い。
 机の上で湯気を立てているカップを手に取り、一口すする。
 温かくて甘めのカフェオレが、全身に染み渡る。
 思わず溜息を吐いてしまうほど、美味しい。
 遠くから聞こえる大きな声は、演劇部の発声練習だろう。
 内心で応援しながら、僕は窓の外に目を向ける。
 雲ひとつない青空はとても爽やかで、僕の心を潤してくれた。
 何をするでもなく、何か考えるわけでもない。
 流れるプールに浮かんで、水流に身を委ねるみたいにぼんやりする。
 非生産的な時間の過ごし方だけど、僕はこんな時間の使い方が好きだった。

「拓ちゃん見ーっけ。やっぱここにいたのね」

 リラックスしすぎてあくびが出そうになったとき、耳に馴染んだ呼び声が聞こえてきた。
 あくびのせいで遅れた僕の返事より先に、その人は正面に座る。
 ボブカットがよく似合っている小顔のその人は、秋月京先輩。
 黒真珠のように綺麗で丸い瞳と、見るからに滑らかな肌が魅力的な、一つ年上の先輩だ。
 気さくで人当たりも面倒見もよくて可愛くて、話をしていても楽しい人だ。
 
 ……ただ僕は、この人にちょっとした恐怖心を抱いている。

「このユルい温もりはヤバい。徹夜明けの脳には優しすぎるわ……ッ」
 その何気ない一言に、僕の意識に侵食し始めていた眠気は吹き飛んだ。
 秋月先輩が徹夜をする理由は、恐らく一つしかない。
「また、徹夜してたんですか?」
「うん。“カップルウォッチャー”って知ってる?」
 僕は嫌な予感を感じながら、首を縦に振る。
 ちょうど今日、ヘルメットを被りマントを纏い、ステッキを携えた自称美少女戦士の噂話を耳にしたところだった。
 その話を聞いたとき、僕が真っ先に連想したのは、今目の前に座っている人物だ。
 何故なら、秋月京先輩は。
692牧村拓人の放課後 ◆Q1QEUibokM :2010/02/23(火) 00:41:30 ID:EKP4/juN
『コスプレ部』というなんとも風変わりな部活に所属しているからだ。
「噂で聞いたくらいですけど。先輩の部の人じゃないんですか?」
「ううん、うちは全く関与してないわ。スカウトしたいところではあるけどね」
 その意外な返答に、僕は驚いてしまう。
 コスプレ部の人じゃないんだったら、演劇部の人なのかもしれない。
 部活とかじゃない限り、そんな格好をしたりはしないだろう。
「で、そのカップルウォッチャーに触発されてさ。一着仕立て上げたのよ。部室に置いてあるわ」
「はぁ。それはお疲れさまです」
「と、いうわけで」
 満面の笑みを浮かべ、身を乗り出してくる秋月先輩から逃れるように、僕は椅子を後ろに下げる。
 先輩の笑顔はすごく可愛いんだけど、妙な圧迫感を孕んでいる。
 そう感じる人は、きっと僕くらいだろう。

「拓ちゃん、着てみて」

 余りにも予想通りの言葉、だけど聞きたくはなかった言葉から逃れるように、僕は目を逸らさずにはいられなかった。

 ……これさえなければ、本当にいい先輩なんだけどなぁ。

 僕が秋月京先輩に抱く恐怖心は、彼女の性癖じみた趣味に根差している。
 秋月先輩は、自分がコスプレをするだけでは飽き足らず、『可愛いものに自分の作った衣装を着せたい』という性癖を持っているのだ。
 犬や猫に衣装を作ったこともあるらしいし、三年生の真田姉妹に着せるためのレースたっぷりなドレスの構想を練っているって聞いたこともある。
 
 そしてその『可愛いもの』には、僕も含まれてしまっていた。
 せめて男物の服をこしらえてくれるならいいんだけど、決まって女の子の衣装だから問題だ。
 
「それだったら、カップルウォッチャーさんに着てもらうべきだと思うんですけど」
 言ってみても、太陽のような笑顔は翳らない。
「きっかけはカップルウォッチャーだけど、脳内モデルは拓ちゃんだから」
 まさかの大抜擢に、僕は肩を落とさずにはいられなかった。できれば脳内で完結して欲しかったなぁ。
 ……いや、脳内で着せ替え女装ショーをさせられるのも結構辛いかもしれない。
「いや、その。毎度のことですけど勘弁してください」
「まぁまぁ。とりあえず見に来るだけでも、ね? 代わりに、まだ何処にも発表してない秘蔵のコスプレ写真見せたげるからさー」
 立ち上がると同時に、先輩は僕の手を握る。温かくて柔らかい肌の感触にドキリとするけど、そんな僕の様子なんて気にも留めずに引っ張ろうとする。
 きっと先輩は、部室に着くと睡眠を犠牲にした成果物を見せ、苦労した箇所や自慢したいところを語るだろう。
 今よりももっとキラキラした顔で、すごく弾んだ声で、とてもとても楽しそうに話す先輩の姿が目に浮かぶ。
 そんな先輩を眺めながら、丁寧に作りこまれた衣装の解説を聴くのは、決して悪くない放課後の過ごし方だ。
 僕がモデルになった服らしいから、見るだけなら興味はある。

 それに。
 それに、うん。着るのは無理だけど、僕のことを考えて作ってくれたことは、嬉しかったりする。
 
 そんなことなど、言えるはずもない。
 言ったら間違いなく着せられるだろうし、何より照れくさくて仕方ない。
 だから代わりに、席を立つ。
 緩やかな場所から、騒がしい場所へ行くために。

 楽しい放課後を過ごしに、僕は引っ張られていく。


 おわり

キャラ紹介
秋月 京(あきづき みやこ)
 高等部普通科2年。コスプレ部所属。
 明るく気さくで面倒見がいい。でも割と強情で人の話を聞かないことがある。
 ショートボブがよく似合う美少女。女子平均身長よりやや高め。
 裁縫が得意なだけあって手先が器用。
 趣味のためなら無類の集中力を発揮し、平気で睡眠時間や勉強時間を削る。
693 ◆Q1QEUibokM :2010/02/23(火) 00:44:19 ID:EKP4/juN
以上投下終了です。
694創る名無しに見る名無し:2010/02/23(火) 17:24:57 ID:cTzyRnmd
コスプレ部だと!?
本人的にはその気はなさそうだが、恋する乙女に強力ライバルって感じだ。
さりげに拓ちゃんが秘蔵のコスプレ写真目当てに見えてしまうw

あと女装が見たい
695代理:2010/02/24(水) 16:54:08 ID:Clq1rjGD
>>693 投下乙!

牧村拓人ってこんなキャラだったんだ。
妄想が広がるなw(女装的な意味で)
京ちゃんは拓人の好みに(一部を除いて)ヒットしてるっぽいし色々大変だー
696創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 19:43:42 ID:kftKTrNo
ここは静かすぎる!
SSではだんだんキャラ同士の絡みも増えて来ているというのに。
というわけで、シェアについて思うところを。

撲滅とかCWとか他に関わる動機をもつキャラは強いなという印象。当たり前か。
逆に一作者内で関係が固まっていたり明確な行動方針がないとシェア的な意味での出現率は下がる。
報道部や教師陣などは、チョイ役としても今後もちょこちょこ現れるだろう。
あとはおのおのの積極性に掛かっている。白衣フェチとかコスプレ部とか特殊技能が暴走したら面白そうなんだけどな。

あとは作者が、コンスタントにとはいわないが、一定数SSを投下しているキャラ。
たまにやたら出来のいい交流SSがあったりするから怖い。
作者同士が作品を通じて「……と、ウチのキャラはそちらのキャラにこんなことを思っているんだけど、どうかなヨロシク?」
みたいな探り合いをしている節もある。そういうことを考えながら見ていると楽しい。

ところで、一見何でもありそうな、アホなキャラや隙の多いキャラが意外に苦戦している。
まあ、その先駆けである三馬鹿もカッコよくなっていく一方で、あんまりヨソで弄られたりもしないんだが(台とか一番男前な部類にw)
要するにヨソ様のキャラをひどい目に合わせるのもちょっとな……的なひじょーに良心的な作者が多いわけだが。
こればっかりは原作者が「どんな扱いにしてもOKよ」といっても、なかなかそうはいかんのだろう。それはそれでいいことだ。

そんなところを参考にしてほしいと思いながら、訪れる春に新しい風を待つ俺だった。
697創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 20:34:27 ID:Gv/SS/RH
大体同意だにゃー
見てはいるけど書きこむ内容が思いつかなかったし・・・規制で書けんかったりしたからなー。

とか言ってもやっぱりネタはないやw
適当にだべってたら人がくるかにゃー?
698創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 20:53:31 ID:kftKTrNo
どうかねー?

雑談は振りにくいスレだと思う
俺自身作者のひとりだし余計にね

個人的にはこの「どんな扱いでも」ってところが鍵を握っているような気がするんだけど
ヨソのキャラ使うのってほんとう神経にクる。醍醐味だけどな!
699創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 21:01:11 ID:Gv/SS/RH
確かに雑談は振りにくいかもね。

『どんな扱いでも』は確かにそうかも。どこまで踏み込んでいいのかとか考えると四苦八苦してしまうw
それが楽しみでやってるわけだがw

三馬鹿なんかは、全校生徒に嫌われるくらいにしても、全然OKなキャラだったんだけどねー
……どうしてああなったw
700創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 21:11:55 ID:Gv/SS/RH
そうそう、次スレのスレタイ名って

学校を創りませんか?part3

でいいのかな? シェアードスレって分るように。

【シェアード】学園を創りませんか?part3
仁科学園を創りませんか?【シェアード】part3

見たいにシェアードの文字を入れたいけれどどうだろう?
701創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 21:12:23 ID:kftKTrNo
あれは本家からして渋くしすぎな気もするがw

ヨソの子をコマ扱いしてしまって申し訳ない気分になったりもするがねー
702創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 21:15:50 ID:kftKTrNo
>>700
そうだった! もう新スレも視野に入れないとな

【シェアード】学園を創りませんか?part3
仁科学園を創りませんか?part3【シェアード】

どっちかでいいんじゃないかな!
「part」を「時限」にしたりするとゆー手も
703創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 21:24:00 ID:Gv/SS/RH
はっはっはっ……ごめんなさい。こいつらの内面ってなんだろうと思って書いてたらああなってたw
今一番初期の原型とどめてるのは省のはずw

まぁ初期構想と一番大きく変わったのは大型魅紗なんだけどにゃーw

そうなるとスレタイは、

【シェアード】学園を創りませんか?3時限目

が無難かな?
ちなみに今480Kb。今日中に新スレ立ててここは埋め立ててもいい状態だったりするw
704創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 21:26:08 ID:Gv/SS/RH
とりあえず一日待って問題なければ新スレ立てるって方向でいいかな?

の文が抜けてた
705創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 21:32:26 ID:kftKTrNo
>>703
いい話だ・・・
しかし魅紗の趣味にあまり違和感はなかったw

【シェアード】学園を創りませんか? 3時限目
【シェアード】学園を創りませんか? 三時限目
【シェアード】学園を創りませんか? 3時限目

スペースを空けてみた。
どうするかはスレ立てる人にまかせる(俺がやるかもしれんけど)
そういう方向で。暇なら埋めネタでも考えてみるかも。
706創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 21:44:58 ID:Gv/SS/RH
>>705
了解ー。その中のどれかでいいと思います

魅紗違和感なくって良かった。結構な変更点だったから実は不安だったんです。
今だからいえることだけどねw
707創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 22:00:14 ID:mwE4XlGO
そもそも人がいそうにないからなぁ。
雑談しようにも確かにネタがない。よく覗いてはいるんだけど。
そんでこの流れから、クロスさせづらいものばかり書いてて申し訳ない某作者。
だからこそ、クロスしてもらえたときは非常に嬉しいんだがー。
708創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 22:06:11 ID:Gv/SS/RH
人についてはもう半分諦めてるw
このスレが楽しいから書くの止める気さらさらないけどね。

プロットだけならほぼ全員がクロスするようなネタあるけど、書いちゃっていい物か悩んでるな。
自分の今の腕的にもね。
709創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 23:08:07 ID:kftKTrNo
>>707
だ、だれだ・・・? 全然わかんねえ

>>708
た、たのむやってくれー! もしくは一枚噛ませてくれ
710創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 23:18:59 ID:S2xsa6EN
>>708
IDにSS!!
711創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 23:25:23 ID:S3tm/yaZ
テンプレも見直しといたほうがいいんじゃね?
とりあえず、ここのまとめwikiとしたらばのURLは入れないといけないと思われ
712創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 23:27:00 ID:kftKTrNo
>>711
そうだった。
避難所で一回話題に上がったことがあるんだw
それ以外に何か付け加えることあるかな?
713創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 23:29:25 ID:Gv/SS/RH
あ、本当にSSが。これは書けってことなのか?w

よし、プロローグから書いてみよう。
でも月末月初は相変わらず忙しいので来週以降になるかも。
……あ、ID検索はしないようにねw





一応雑談ルームに張ってあったテンプレ転載しとくね。
意見あればよろしくお願いします。


創作発表板に生まれた少し変わった学校、私立仁科学園。
このスレは、そんな仁科学園の世界観をSSや設定だけに留まらず、様々な表現で盛り上げ、また創っていくスレです。
貴方が創った生徒が学校の一員として誰かのSSに登場したり、気に入った生徒を自分のSSに参加させる事が出来ます。
部活動や委員会を設置するのもいいでしょう。細かい設定として校則を考えてみたり、制服を描いてみたりなどはいかがでしょうか。

また、体育祭や文化祭などの年間行事及び、生徒達の絆を深めるイベントや
仁科学園以外の学校や、生徒たちのバイト生活等世界観は仁科学園の外にまで広がります!
皆さんの想像力で、仁科学園の世界観を幅ひろーく構築していきましょう!

このスレはシェアードスレ(世界観を共有する)です。
ちょっとでも興味をもったらまとめWlikiをみれば幸せになれるはず

まとめWiki
http://www15.atwiki.jp/nisina/

避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12930/

前スレ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1248533055/

初代スレ 学校を創りませんか?
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1248087645/
714創る名無しに見る名無し:2010/02/27(土) 23:56:22 ID:kftKTrNo
>>713
いよっしゃあああー!

準テンプレ・・・といっていいのかはわからんが、
「掲示板」を書いてみようかと思うんだ
715創る名無しに見る名無し:2010/02/28(日) 16:35:30 ID:VRzvYh05
「掲示板」にはならなかったが、ようやく推敲まで終わった。
全員とはいかんが、ざっと40人くらいは紹介できる。
新スレできたら2レスほど借りるぜ。

怒られたら4までに直すってことでw
716創る名無しに見る名無し:2010/02/28(日) 16:58:26 ID:psueb/db
>>715
おk 楽しみにしてるぜっ!

ちょっと早い気もするけどぼちぼちスレ立て挑戦しに行ってくるよー
明日早いから夜来れないから
717創る名無しに見る名無し:2010/02/28(日) 17:05:34 ID:psueb/db
【シェアード】学園を創りませんか? 3時限目
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1267344255/

次スレです。
それでは私はこれで。お休みなさい
718創る名無しに見る名無し:2010/02/28(日) 17:32:55 ID:VRzvYh05
>>717
スレ立て乙といわざるえない。

ただ、まだ結構容量残ってるんだよな・・・
どうやって埋めようかな
719創る名無しに見る名無し:2010/02/28(日) 17:42:05 ID:VRzvYh05
いっけね!

仁科学園の愉快な仲間たち(2/2)

が抜けちゃってるよ! いっけね!
次があれば忘れないようにしないとな。

こちらで言っておく!
作家陣に「ごめんなさい」とな!
720創る名無しに見る名無し:2010/02/28(日) 18:25:56 ID:RclMfGuU
ちゃんと重量挙げ部入ってて感動した。
721創る名無しに見る名無し:2010/02/28(日) 19:29:37 ID:psueb/db
>>718
乙乙
楽しく読ませて頂きました。
だよなぁ、悪女属性多すぎだよねw

ついでに梅ネタいきます。完全には埋まらないけど
722深夜ラジオの時間だよ!:2010/02/28(日) 19:32:52 ID:psueb/db
一発書きの台詞系なので注意です。




台「さあやってきましたこの時間!」

B72「夜の放送コーナーはっじまるよー!!」

台「で、なんだこれは! それ以前に夜じゃだれも聞いてないだろが!」

B72「はっ! なにを言っているのです! 夜じゃないとできない放送をするのです!! 文句ありますか!?」

台「おーい。お前キャラ変わってるぞ?」

B72「私だって……たまには嵌めを外したいときも……ある……」

台「さいですか、それで今日は何を始めるんだ?」

B72「今日の話題はこれっ! B/W/H!!」

台「前に雑談であった話題だな」

B72「ええ、そうです。その通りです! 皆私の事をB72と呼ぶのです。酷いじゃないですか?!」

台「しゃーないだろ、登場話で名前なかったんだから」

B72「なら責任持ってつけて下さいよ」

台「この作者が登場話書いたわけじゃないから無理」

B72「鬼!、悪魔!、不良!」

台「……気が済んだか?」

B72「……はい。少しすっきりしました。それで話を戻すと尺なんで皆のも暴露しようかと」

台「それはなかなかの根性だ。で、調べてあるのか?」

B72「ないです」

台「……ない?」

B72「台さんカップル撲滅運動なんてしてる連中でしょう? その手の情報も握ってませんか?」

台「おいおい……まああるが」

B72「変態! ここに変態がいるわよ!!」

台「誰が変態だ! あくまで間違っている可能性がある情報だがいいのか? 所詮省からの情報だ」

B72「ええ、それで構いません」

台「分った。では順番に行くぞ」
723深夜ラジオの時間だよ!:2010/02/28(日) 19:35:30 ID:psueb/db


あかね… 167cm 42kg B81/W56/H84


B72「うわぁ、何このモデル体型」

台「いわゆるスレンダー美人というものらしいぞ」

B72「いえっ十分すぎるほどありますから!」

台「そうなのか?」

B72「だって80超えてるじゃないですか?!」

台「まーそうだな。そこはやはり読モということだ」」

B72「うう……気を取り直して次!」


上原梢… 146cm 38 kg B75/W56/H77


台「いわゆるちびっこって奴だな。元気印はいいことだ」

B72「……ええ、そうですね」

台「どうした?顔色が悪いぞ」

B72「……気にしないで下さい。さっ、次行きましょう」


浅野士乃… 156cm 43kg B83/W57/H84


台「方言娘だな。まったく自分の作品を壊すとは嘆かわしい。作品とは自分の子供も同然なのにな」

B72「この娘も……って台さん。自分の作品とっているんですか?」

台「当然だ。それにたまに過去の作品をみると新鮮な驚きがあるぞ」

B72「へぇーそうなんですか?」

台「そのときに駄目だと思った理由がはっきりしたり、
  逆に前のいいところを見失っていることに気付いたりする」

B72「なるほど、思わずなんかいい話になってますが次行きましょう」


霧崎…161cm42kg 40kg B77/W55/H82


台「クールビューティだ。クールだからなぜかBが小さいと思った系の話らしい」

B72「でもおそらく大元のネタと思われる絵だと結構あったような……?」

台「手元にないから確認できない。よってこうなった。……さて次だ」
724深夜ラジオの時間だよ!:2010/02/28(日) 19:37:00 ID:psueb/db


河内静奈…160cm、46kg B84/W57/H82


台「控えめで大人しく、照れ屋で上がり症でそそっかしい。その上努力家。ヒロイン力高すぎだろjk」

B72「実際ヒロインですから。所でなんでそんな数値になったんです?」

台「ヒロインだから」

B72「え?」

台「これを書いてる奴のヒロインのベスト数値がこれらしい」

B72「なにそれ怖い。 さ、次々ー」


久遠荵…151cm 40kg B76/W55/H80


台「葱じゃないぞ! 大事なことだからもう一度いう。葱じゃないぞ!!」

B72「わかってますって。なるほど、小柄って表現されると皆70台になるんですね」

台「そういうことだ。別にトランジスタグラマーでもいいと思うのだが」

B72「? トランジスタグラマーってどんな意味ですか?」

台「おいぃ……ま、世代的に知らなくても仕方ないか。さて次だ」


金城葎…148cm 38 kg B80/W58/H79


台「身長が低いのがコンプレックス。そのため一番小さくなったのが彼女だ」

B72「そのわりにはBあるんですね」

台「まあそれもまた男のロマンだ」

B72「身の危険を感じる。……そろそろ通報するべきかしら」

台「ふっ お前など歯牙にもかからん」

B72「は……鼻で笑われた……これはこれで屈辱……」

台「さて次だ」
725深夜ラジオの時間だよ!:2010/02/28(日) 19:38:33 ID:psueb/db


後鬼閑華…159cm、44kg B84/W54/H80


台「それなりにあるし、痩せすぎの気はあるが、健康体っぽい感じだな」

B72「一説によるとこれもまた先輩君を振り向かせるための努力の結果らしいですが」

台「真相はわからん。が、それ自体はどうでもいい」

B72「意外ですね。カップルならなんでもいいのかと」

台「俺達が狩るのはあくまで幸せなカップルだ。幸せじゃなければどうでもいい」

B72「厳しいですね……さて次です」


神柚鈴絵…162cm 47kg B88/W60/H87


B72「……うわぁ。なぁにこれぇ」

台「天然悪女の面目躍如だな。これで自然に相手の心に入り込むから性質が悪い」

B72「なんですか!? これ贔屓ですか!? おかしいですよね。こんな完璧超人!?」

台「……ひいきなんだろな。きっと」

B72「えっ? 何か言いました?」

台「いや? さぁ次だ!」


真田アリス… 164cm 49kg B79/W56/H80
真田ウェルチ…164cm 48kg B79/W55/H80


台「双子だから同時でいいよな」

B72「ああ、これもペッタン娘だから70台と」

台「そうだ」

B72「アリスさんの方が体重あるのは?」

台「本の虫だからなあいつは。それがWにも反映されてるぞ」

B72「なるほど……それで、ウェルチさんを苦手に思ってる理由はなんですか?」

台「……ちょっと耳を貸せ」

B72「ふんふん……え、その程度の理由で?」

台「なに、俺にとって深刻なだけだ」

B72「……ま、いいでしょう。次々ー」
726深夜ラジオの時間だよ!:2010/02/28(日) 19:40:19 ID:psueb/db


近森ととろ…157cm 45kg B83/W59/H80


台「正直外見だとよくわからんが省が言っていたのでとりあえずこうしてる」

B72「普段体のラインが分る服じゃないですものね」

台「最近走りまわっているようだから、この数値より体重が減っているかもな」

B72「主にあなたたちのせいですよね」

台「はっはっは。なんのことだかわからんなー。次だ次」


武政千鶴… 151cm 42kg B81/W58/H79


B72「絵から受けた印象で書きましたね」

台「それ以上でも以下でもないな。もうちょっとあってもいい気がするが」

B72「そうですか……それにしてもまた80台」

台「ん? なんかいったか?」

B72「いいえ、なんでもありません。次々いきますよ!」


ロニコ・ブラックマン… 178cm 56kg B90/W62/H90


B72「これはまた……すごいことに……」

台「筋肉が多そうだから体重は重目になっている。実際はグラマーもいいところだな」

B72「これで性格があれじゃなければ」

台「きっともててただろうな。もったいない」

B72「数値を見てると気分が落ち込むのでさっさと次に行きましょう」


鷲ヶ谷和穂…152cm、37kg B75/W57/H79


台「元祖ちびっこだな。その割には背がある気もするが……」

B72「元祖なんてそういうものです。それに比較対象が小鳥遊雄一郎さんだからこれでいいのです」

台「そうか? ……そうだな。それに僕っ娘だしな」

B72「? 何かいいました?」

台「さ、次だ次」
727深夜ラジオの時間だよ!:2010/02/28(日) 19:42:27 ID:psueb/db


大型魅紗 …149cm 40kg B72/W57/H79


台「恥ずかしながら我が義妹だ」

B72「やっと同じBが来たわっ!? って中学三年と同じ……? うわぁ」

台「落ち込むな。きっとそういう需要もどこかにあるさ」

B72「そうですね……私負けないっ!? ところであなたの妹さん。どうにかならないですか?」

台「隠れてるから大丈夫だろう。あれにはひっじょうに困っているが」

B72「兄として矯正してあげてくださいよ」

台「あれも趣味の一つではある、TPOさえわきまえていればいいだろう?」

B72「でもアリスさんが……」

台「……」

B72「そこ、無言にならない!…… 所でさきほど誤字が一つあるようですが。義?」

台「ああ、そこは誤字じゃないからな」

B72「……えっ?」

台「ま、それもどうでもいいだろう? さて、とりあえず終わったぞ。帰っていいか?」



B72「まだ何人かいないみたいですが。先生とか天月さんとか秋月さんとか」

台「……俺たちにだって……わからないことぐらい……ある……」

B72「まーそうですね。それでは本日の夜のラジオ。終わりの時間だよ!」

台「リスナーの皆! ありがとう!? では

B72、台「まったねー!?」



ブツッ
728深夜ラジオの後なんだよ!:2010/02/28(日) 19:46:24 ID:psueb/db



B72「でも、なんでこんなに皆スタイルいいのよ……理不尽だ……差別だ……」

台「しゃーないだろ。主人公格ってのはそんなもんだ。不細工な男女を誰が望むか」

B72「それはそうですけど……」

台「まーとりあえず飯でも喰って落ち着け」

B72「それなら何か奢ってくれますか!?」

台「わかったわかった。近くのラーメン屋にでもいくぞ。俺の奢りだ。やけ食い可だぞ!」

B72「わかりました! 今夜はやけ食いよー! ただ飯食べまくるわよー!」

台「……いや、ほどほどにな?」

B72「え、何かいいました?」

台「……いや、何も?」

B72「そうですか、じゃ、いきますよ! やけぐいの歌がー♪聞こえてくるよー♪」

台「それどんな歌だよ!?」




終わり。
性格が異なる気もするが梅ネタなのでこれで勘弁願います。
それなりに埋まったかな?
729創る名無しに見る名無し:2010/02/28(日) 20:21:49 ID:VRzvYh05

まさかの大ボリュームにワロタ
いい感じにゴボッと減ったな。もう1、2作品くらいいけそうだが……あいにくネタがない……

発端は避難所からかな。
スリーサイズってあんまり実感が湧かない俺。どっからが貧しいの〜?
省「パワー計測! 72……76……77……81……84…… 馬鹿な、まだ上昇していくだと! バ……バスト88……だとぉ?」

絵画と陶芸の違いか……
トランジスタグラマーって……もう日本史の教科書でもないと見ないだろw(それでも微妙か)

無粋と分かっているが、一点だけ。
後輩の最後の字は「華」ではなく「花」です。そこんとこヨロシク。
730創る名無しに見る名無し:2010/02/28(日) 22:03:53 ID:VRzvYh05
んじゃ俺も埋めネタを。即興だけどな
うそこメーカーのひとつ、「四字熟語メーカー」にぶちこんでみた
右は俺からのコメント。つまんないけど


【加藤&田中】……………配送下手  何を運んでんのこいつら

【先崎俊輔】………………詐称美人  ええー! あの爽やかさ(?)の裏で何考えてんだよ!?
【後鬼閑花】………………計画美人  確かにw 美人はお揃い

【大型台】…………………延滞宣言  ツタヤ……か?  
【中型那賀】………………長袖泥棒  いらんもん盗むな
【小型省】…………………情事不足  まさに!

【大型魅紗】………………下着王子  趣味のお話でしょうか
【優陸地奈】………………小心伝説  どうかな

【近森ととろ】……………助平宣言  これは納得w
【ザザビーちゃん】………妖艶美人  でもこれは嘘だろ

【小鳥遊雄一郎】…………清潔重視  意外とそんな感じもするが、だから何なんだ
【鷲ヶ谷和穂】……………敏感一筋  俺もそう思ってた

【河内静奈】………………我慢下手  ガス抜きも大事ですね
【上原梢】…………………虚弱一筋  全然だめだな
【牧村拓人】………………一日美人  短い天下だ

【わたし】…………………元気泥棒  電波だけに
【霧崎】……………………能力不足  足りないのは下の名前とゆー気も
【松戸白秋】………………肌着泥棒  白衣はどうした

【天月音菜】………………挨拶不足  まあ、そういわれれば
【向田誠一郎】……………乱交美人  四字熟語メーカーって実は語彙少ないんじゃあ……
731創る名無しに見る名無し:2010/02/28(日) 22:05:45 ID:VRzvYh05


【神柚鈴絵】………………健康美人  当たらずとも遠からず

【壱羽祟人】………………性豪先輩  何の話
【浅野士乃】………………器用美人  うーん
【金城葎】…………………家族計画  そこまで考えてたのか。偉いな
【宇佐野和】………………単純構造  ある意味そうなのかも

【真田ウェルチ】…………猫背星人  弓道部にあるまじき。というか地球人ですらないのかよ
【武政千鶴】………………敏感急行  意味が分からないよ
【山尾修】…………………授乳下手  性別の怪しいキャラだけに
【相川拓司】………………駅前美人  カラオケボックスって駅前にあんのか

【真田アリス】……………日々全裸  大賛成。でも半脱ぎのがエロイ

【久遠荵】…………………長袖泥棒  中型那賀といっしょ
【黒咲あかね】……………夕焼泥棒  泥棒だらけの仁科学園
【迫先輩】…………………愛嬌十段  コメントに困りますね

【重利挙】…………………言訳下手  トレーニングに妥協なし
【上糸命】…………………純愛初段  もう段位とかどうでもいいよっ!
【中部伸】…………………天然美人  ボディビル志向としては微妙だ
【ロニコ・ブラックマン】………案内下手  楽勝だぜ!

【秋月京】…………………挨拶不足  二字熟語を繋げりゃあ、いいってもんじゃねえんだ!

【報道部員(B72)】……節約一筋  胸がな

【真田基次郎】……………恋人重視  何となくそんな気も
【大里巧】…………………水着王子  大里先生なら! 大里先生ならきっと何とかしてくれる!
【白壁やもり】……………珍々満々  これ最低だろ……



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