ヤンジャンで連載しているGANTZの西くんの話を書きます。
時期は、玄野や加藤が黒い玉の部屋に来る以前のお話。
以前、別スレで書いてた事ありましたが、途中で書けなくなってしまったんですが、
今度こそ最後まで書き切りたいと思います。
リライトしてまたイチからスタートしますので読んだ事ある人もない人も感想大歓迎。
よろしくお願いします。
0000 嵐の前の静けさ
「ジョーちゃん!ジョーちゃんッたら!」
1階から聞こえる母親の自分を呼ぶ声を、彼は無視した。
時計は午前7時半を指している。
まだ学校に間に合う時間だったが、行く気はしなかった。
ただ、目の前のテレビ画面の中で悶え苦しむゾンビにしか興味は無かった。
手にしているコントローラを巧みに動かし、操作しているキャラクターの視点映像を進めていく。
「ちょッとッ!ジョーちゃん!起きてるのッ!?もう7時半よ!学校に遅刻しちゃうじゃないの!」
「………ッせーな、ババァ……」
2階の自分の居る部屋の前まで上がりこんで来たのが気配で分かった。
ドア越しの母親に聞こえない様に小声で呟く。
ガンガンッ
強くドアを叩く母親が更に強く急かし続ける。
仕方なく、ゲーム機の電源を切る。
「ジョーちゃん!起きてるのッ!早く支度しなさいよッ!!」
「………分かッてるッて、ママ、起きてるよ」
既に身支度は済んでいた。深くため息をついて鞄を手に取る。
ドアを開けると、そこには眉を顰めた母親の顔があった。
「起きてるんなら、さッさとなさいよ!
ホント、要領の悪い子なんだから、アンタッて子は!」
「しょーがないだろ…ベンキョーしてたんだよ、ベ・ン・キョー!」
「あら、お勉強?」
その言葉で、母親の表情は一気に緩んだ。
母親は自分には良い高校に進学する事を望んでいる。
今通っている城傘中学校は何人もの難関高進学者を出した名門校だった。
父親が有名な市議の補佐として活躍しているだけあって、息子にも同じ道を歩ませたいらしい。
「でも、何もギリギリまでする事ないでしょ?
肝心な事が疎かになったら、行ける高校も行けなくなってしまうじゃないの」
「分かッたッてば……もう行かなきゃ……」
「ところで…ねェ、その目の横の」と、母親は今一番突かれたくない問題を突いてきた。
「痣は何なの?母さん、気になッて仕方がないわ」
「だから昨日言ッただろ……転んだんだよ」
「ウソをおっしゃいよ!何処で転べば、そんな痣が出来るのよ!」
「学校で転んだんだよ!階段歩いてたら、滑ッたんだッて!」
母親というものは何故子供の嘘を見抜くのだけは巧いのだろうか。
それが彼がいつも思う疑問のひとつだった。
どんな言い訳をしても、母親を完璧に納得させる事は至難だった。
「ひとりで歩いててじゃないでしょ!?
誰かに押されたとかじゃないの!!?
正直に言いなさいよ!」
「うるッさいなッ!学校に遅れるだろッ!!」
「ちょッ……ねェッ!ジョーちゃん!待ちなさいッ!」
母親の制止を振り切って、彼は急いで玄関で靴を履いてそのまま家を出た。
「……ハァ……ッたく、ウゼー」
歩く速度を少し速めたところで、小学生の登校グループに出くわす。
その中に見知った顔があったが、今は誰とも口を利く気分ではなかった。
しかし、そんな彼の願いを嘲笑するかのように相手は彼に笑顔を向けた。
「あ……お兄ちゃん!西のお兄ちゃん!」
それに呼応してグループの他の子供までが、「お兄ちゃん」と馴れ馴れしく声を掛けてきた。
邪険に扱う訳にもいかず、かといって愛想を振舞う気分でもなかった。
仕方なく、手を振って、適当に応対してみせる。
だが、それで終わらせたい彼のところまで小学生たちは無邪気に走ってくる。
「お兄ちゃん、またウチに来てよ!レンジャーごっこ、やろ!」
「ボクもごっこやるー!」
彼が中学生になる以前、よく子供等とレンジャーごっこをしてやったものだった。
しかし、中学生になり、周りの自分に対する圧迫感が増してから、付き合いは激減した。
寧ろ、それは彼にとって良かったのかもしれない。
「わりー……俺、ガッコ行くから」
そう言って、そのまま歩いた。後ろは振り向かなかった。
通学に利用する最寄の電車駅のホームが見えた。
『西丈一郎』の一日が今日も始まった。
0001に続く
来ました^^支持します
スレタイでネタバレ……
0001 日常の悪夢
腕時計に目をやると、8時25分ちょうどだった。
遅刻せずには済みそうだと分かったが、それでも彼の心は晴れなかった。
下駄箱で靴を履き替えようとしたところに、何かが頭に当たった。
「………ッてェッ………!?」
「しゃーッ!!大当たりーッ!」
「イェーッ!生卵イェーッ!」
同じクラスの村田と山岡の声がした。
ぶつかった左側頭部を手で探ると、割れた卵の殻とその中から飛び出した黄身と白身がこびり付いていた。
二人が居るであろう方向を睨んだが、既に二人は居なかった。
笑い声が遠くから聞こえて来た。
(クッソ………ざッけんなよ………こんなんで教室入れるかよ…)
一階の男子トイレに入って、卵の殻と中身が付いた頭を水で洗った。
その間に、チャイムが鳴った。
「……あーあ……んだよ、これ……もう帰るか……」
だが、家には五月蝿い母親が居る。そして、学校には自分に集る蠅が居る・
何処にも逃げ場は無い。彼は本日二度目の深い溜息をつく。
「西!おまえ、また遅刻しやがッて!何をやッてるんだッ!!!」
教室に入るや否や、担任の吉元の唾が顔に掛かった。
昨夜の自棄酒のせいか、担任の顔は少し浮腫んでいた。口臭も酷い。
「何だ、その顔は!何か文句があるのか!」
「……いや、別に……」
大勢のクラスメートの眼前で、晒し者にされている自分が惨めだった。
怒られる自分を見て肩を揺らす者が何人か居た。
遅刻した原因を作った当人たちはお互いを見やって、Vサインを作っている。
怒りをぶつけたい思いでいっぱいになった。
一時間目が始まる前に用を足そうと席を立った。
が、男子トイレの前にいきなりクラスメートの数人が立ち塞がった。
その一人は、リーダー格の桝谷だった。
暴力団員の息子であるという噂が実しやかに囁かれている。
それが本当かどうか判らないが、少なくとも西のクラスの男子は誰も桝谷には逆らえない。
「……んだよ………」
「おめェ、今日トイレ禁止」
「ハァ?」
「どうしてもしたきゃ、教室でやれ」
「……んなことできッか、バカ」
「バカはおめーだろが」
「……クッソッ…」
拳を作ったものの、桝谷の強さは本物だった。
已む無く引き下がった。何とかして用を足す機を見つけるしかない。
だが、1時間目が終わった後も2時間目が終わった後にもトイレに入る事が出来なかった。
桝谷の妨害が必ず入った。何が何でもトイレで用をさせないつもりらしい。
3時間目が終わると、西は勢い良く立ち上がって走った。
「おいッ!!捕まえろッ!絶対に捕まえろッ!」
「待て、コラァッ!!」
桝谷の命を受けて追走してくる者の中には陸上部に所属する島貫も居た。
男子トイレの入り口の前に辿り着いたが、惜しくもそこで捕まって教室に引き摺り戻された。
4時間目が終わった頃には、とうとう堪え切れずにその場で小便が漏れてしまった。
「うわッ、こいつ、マジでもらしたッ!」
「うわーッ、ちょッ、ヤダーッ」
「マジでーッ、チョーチタネーッ!!」
西はズボンを濡らしたまま、自分の小便が垂れた床を拭こうと雑巾を探した。
そんな彼に、一人の眼鏡を掛けた女子が雑巾を差し出してきた。
「おおー、大山デブ子、優しーじゃん」
「よーッし、俺が綺麗に洗ッてやるよ」
桝谷はそう言うと、一度教室を出た。戻って来た彼の手には水がいっぱい入ったバケツがあった。
察したクラスメートは西から距離をとる。
「オーッラ!!」
桝谷は躊躇無く、バケツの水を西に掛けた。
「わーッ、やだ、顔についたーッ!」
「おーッ、西、いい感じじゃん」
「アッハッハ、見ろ、あの顔!」
ずぶ濡れになった西はただ桝谷を睨むだけしか出来なかった。
抵抗すれば、桝谷は必ず暴行を加えてくるだろう。
西にはそれに対応する力は無い。耐えるしかなかった。
それが判っている桝谷は調子付いて言った。
「西、洗ってくれてありがとうッて言えよ…
人としてお礼を言うのは大事だろ?」
「……んだ…」
「ありがとうッて言いな、オラ」
「……と……う」
「あ?聞こえねんだけど?」
西は雑巾をぎゅっと握り締めた。
「ありが……とう……」
0002に続く
>>5 どうもです。
お互い頑張りましょう。
感想とかありましたら、いつでも書いてネ。
>>6 どうもです。
漫画読んでくれれば判ると思いますが、
別にスレタイはネタバレでも何でもないですよ。
少なくともDQNの描写は原作並に上手いね
ゾンビ星人はまた出るかな?
いや、面白い。
続きお願いします。
>>11 どうもです。
前のスレで書いてたのを覚えてるんですね
原作並みになって言ってくれるなんて、恐縮です。
なるべく前作で書いたミッションはそのまま出すつもりですよ。
>>12 どうもです。
今続きを少し書いている最中なんで、
しばらくしたら「0002」をのっけます。
0002 転落
桝谷の執拗な苛めは、終わりを知らない様だった。
西の小便事件は4時間目の終了直後に起こったにも関わらず、
昼休みを過ぎた後にはあっという間に学年中に知れ渡っていた。
桝谷が自分の仲間からその親友、そのまた親友に伝わる様に命令したのだろう。
そして、その親友の彼女やら女友達やらに噂が飛び散っていったという訳だ。
5時間目が始まる頃には、『小便小僧の西』というニックネームまでついた。
何故か担任の教師にまでその事が伝わっており、授業が始まると開口一番で吉元は言ったのだ。
「西!今度からオムツしてこい!バンパースがオススメだぞ!」
言うまでもなく、教室に爆笑の嵐が起こった。
ただ一人の女子を除いて、クラスメート全員が西を嘲笑った。
(クソ……んだよ、カスどもが……。
てめェら、人間なのかよ………人間のする事か…?)
嘲笑を耳にしながら、西は拳を強く握り締めた。
もし、自分の手に凶器があればクラスメートに対して躊躇う事なくそれを使うだろう。
だが、その後が怖かった。警察やら裁判やらとややこしい事が起こるのは間違いない。
そして、それは市議の補佐を勤めている父親や、
自分に薄っぺらい理想しか求めない母親には想像を絶する苦痛になるだろう。
自分にはそれを無視してまで、日常を破壊する度胸などまるで持ち合わせていない。
しかして、その日常が今の自分を壊しかねないのもまた事実だった。
(こんなクソみてーな世の中………いッその事、滅んじまえばな………)
放課後、西は携帯のメールを確認した。学校から直接学習塾に行くのが彼の日課だった。
そして、それは別の中学に通っている3人の知り合いと一緒に行く事になっている。
武内信生(ノブ)、木内瑤子、須藤愛実の3人。
ノブとは互いにゲーム好きで趣味が合う事から良く喋る様になった。
あとの女子とは特に深い付き合いがある訳でもない。
ただ、塾のクラスの中で席が近いというだけの事である。
そして、彼ら3人は西の学校での扱いを知らない。
西にとって、唯一の安息の場所が彼らとの付き合いにあるといってもいい。
「お、来た来た」
西が下校してくるのを正門で待っていたノブが手を振ってきた。
「西君、バイオハザードの新作、全クリした?」
「いや……まだ……」
「へッへッへ、西君ともあろう者が………俺なんか昨日のうちにやれたッてのに」
「西君、どうかしたの。顔色がよくないね」と瑤子が言った。
「あ…いや、別に………」
今日一日だけでも随分散々な目にあった。その疲れが顔に出たのだろう。
しかし、彼らには自分の学校での姿は知られたくなかった。
何事もなかった様に振舞うしかない。
だが、そんな願いも自分の直ぐ背後から聞こえた声に打ち砕かれる事になった。
「おいおいー、んだよ、西ー、いッちょ前に女連れかァー?」
振り向くと桝谷、村田、山岡、雨宮の4人が並んでいた。
「へェー、後ろのふたり、可愛いじゃん」
「ウォッ、右の子、超タイプ!」
「あれに似てるよなー、んだッけ、モームスの……あれ……ゴマキ?どッちだ?なッちだッけ?」
「なッちだよ、なッち、なッちに似てるッて」
西は体温が急激に上がるのが分かった。
早くノブたち3人を桝谷から遠ざけねば、何を言うか分かったものではない。
しかし、自分にはこの窮地をどうにかする程の器用さも無かった。
それが西には歯がゆくてならなかった。
もっと自分に力があれば、そう思った。
「ねーねー、名前なんてーの、俺は桝谷、よろしくネ」
「ああ、木内です……コンニチハ」
「ふーん、木内サンか…」意味深な目で桝谷は西に寄ってくる。
「学校以外じゃ結構好かれてんだな……
しょーがないなァ、俺がホントのこと教えてやんねーとなァ」
「そーそ、隠し事はよくないよねー、ニーシくんッ」
「……んな…」西は桝谷の胸倉を掴みたくなった。
何が何でも、そんな事は阻止せねばならない。
「………や、やめて……くれよ」
「ハァ?何か言ッたかァ?俺、耳が遠くて聞こえねー」
「…やめ……て…欲しいんだッて………カンベンしてよ………」
「人に頼む時は、もッと言い方ッてモンがあるだろー?」
桝谷はそう言うと、ねちっこい笑顔を見せた。
「や……めて下さい……お願いします…」
「へッへッへッ、そこまで言われちゃしょーがねェなァ…
俺、優しいからさ…よし、じゃあチャンスをあげちゃおッか」
「ハ?」
「俺さー、今ものッすごく柿ピーが食いてェんだよなァ……でも金がねェからさ」
「……わァーッたよ………買えば…いいんだろ?」
「それじゃ面白くねェだろ?盗ッてこいよ」
「……んなッ!!!!………こと………できるワケ…」
「やれねーんなら、これ、木内サンに見せちゃおッかなァ」
と、桝谷が自分の携帯の画像を見せてきた。
それは4時間目終了直後に教室で小便を漏らした西の姿を撮ったものだった。
こんなものが見られたら、確実に軽蔑されてしまう。
西は自分の足場がどんどん崩れていくかの様に視界がゆれるのを感じていた。
「……やれば……いいんだろ………」
「よーッし、雨宮と山岡、一緒に行ッてやれよ…
木内サン、須藤サン、よかッたら途中まで一緒に行こうよ」
「…西君、どーかしたの?」ノブが心配そうに言うが、それを桝谷が止める。
「んでもねェーの!西はちょッと買い物があんだよな!」
「……ああ……先、行ッてていいよ……」
(マジかッ…クッソッ……万引きなんて……やれるワケねーだろーがッ)
学校と学習塾の直線上にあたるコンビニエンスストアに入る。
店員は60代と思われる年老いた女性だった。
その気になれば、柿の種の1つや2つは盗めるかもしれない。
やらなければ、全てがバレてしまう。
「おい、今のうちだぜ…早くやれよ…」と、山岡が急かす。
「せェーな……わァーッてるッつの!」
レジに居る店員は呑気にも常連であろう同世代の女性客と世間話をしている。
やるなら今しかなかった。西は菓子コーナーの柿の種を勢い良く鞄の中に入れた。
「あー!!万引き!!」
どういう訳か、山岡と雨宮が突然大声を出して、西を指差した。
「店員サーンッ!今、あの人、万引きしましたーッ!!」
「ええッ、ちょッ、どッどこ…きみ………ちょッと何をとったのか見せなさい!」
「柿の種だッたよなー」
「ウンウン、見えた見えた」
「直ぐそこに交番あるから一緒に来なさいッ!」
と、60代の女性店員は西の腕を強く引っ張った。
その視界の隅に、山岡たちが別の菓子を素早く自分の鞄に放り込むのが見えた。
自分は囮だったのだ。謀られた事を悟ったが既に遅かった。
(………まさか………ウソだろ…俺、捕まるのかよ………
ヤバイ……ヤバイヤバイ………もうお終いだ…ママにもパパにも……バレる……)
そこから先は本当に本能で動いていたに過ぎなかった。
西は店員の手をふりほどいて、その場から逃げた。
店員は大声を上げた。それを聞きつけて、交番から警官が2名出てきた。
(冗談じゃねェよ…なんで俺がこんな目にばッか遭うんだよ……)
警官の制止の声を無視して、行き当たりばったりで近くのマンションの階段をかけあがる。
(不公平だ………桝谷みてェなクズがおいしい汁ばッか啜ッてるッてェのに…)
気がつくと、マンションの屋上に立っていた。
警官が階段をあがってくる音が直ぐ背後で聞こえた。
隣の建物の屋上に飛び移ろうという考えが浮かんだ。
(普通に生きてる俺が何で……世の中、マジで………狂ッてんよ……)
「おいッ、君ッ、そこで止まれッ!!」
「バカな真似はやめろッ!死にたいのかッ!!」
(るせーよッ……バカな真似してるのはおめーら全員じゃねェかよ!!
俺は……俺は何もしてねェッ………俺は被害者だッ!!!)
そこに突風がぶつかった。
飛び移ろうとした足が滑った。
あ…。
体勢を立て直す暇もなかった。そのまま西の身体は宙を舞い、落下した。
警官たちは呆然とその落ちる光景を目の当たりにした。
「……落ちた……ホントに…落ちた……」
「いや…でも、俺らのせいじゃねェよな…」
「ウン……注意したのに聞かないアイツが悪いんだよ…」
「そーだよ……な…悪くない……よな…俺ら」
ドガッ
頭に衝撃音がした。スイカが割れる様な嫌な音だった。
直後、女性の悲鳴がした。
「うわッ、落ちたッ落ちたッ!」
「飛び降り自殺かよ……」
「おいおい、マジでー?」
「まだ子供じゃん!」
「やッべ…おい、写メ撮ろーぜッ!!」
(うるッせェな……んだよ…ああ〜あ、なんかもォ………ど〜でもいいッて感じ…)
視界が徐々にぼやけて来た。
まるでぬるいお湯に浸かっているかの様なけだるい感覚が身体を支配した。
(やッべ……オナニーより気持ちいいじゃん、これ…
あ〜……すッげ……ねみィ…………
あ…そういやァ……
バイオハザード……全クリしてねェや………
ま………いッか……
ハハ………
ママ………パパ…………もう……
さよ…おなりィ……
ッてか……)
「…ん?」
視界が突然変わると共に先程までぼやけていた意識も鮮明なものになった。
身体を起こすと、そこは何処かのマンションの一室の様に思えた。
「…ハァ?」
「おい、また来たぞ」
「新しい顔だな」
「子供じゃん、中学生かな?」
ぶつぶつと何かを言い合っている声を耳にした。
それは見た事もない、奇妙な黒いスーツを身にまとっている人間たちだった。
そして、更に奇妙な事があった。
部屋の中央には、黒い玉が鎮座しているのである。
「……んだ…これ?」
西には何がどうなっているのかさっぱり判らなかった。
0003に続く
>>14〜
>>20までが「0002」です。
「0003」は来週の土曜日か日曜日に掲載予定です。
3回くらいまではミッションを考えていますのですが、
頑張って全部書きたいと思います。
12です。
西の死因が繋がりましたね。
どうやって非情な(?)西になるのか楽しみです。
頑張って下さいノシ
>>22 どうも。
頑張って面白くしたいと思います。
24 :
ネズッキー:2009/07/28(火) 20:00:12 ID:FlZLezgu
楽しみが一つ増えたね。AHA!!
楽しみに待っています
26 :
往来◇vvFngsdf:2009/07/30(木) 02:21:14 ID:uszn+TMD
楽しみですがんばってください
あぼーん
ksk
やっと規制解除…
土日が楽しみですね
和泉なんかも出てくるとうれしいです
頑張ってくださいませ
これ昔よんでました!!!!
途中でなくなっちゃっててショックでしたよ!!!
これからも読みます
0003 来訪者たち
一体、何がどうなっているのか、西には分からなかった。
クラスメートから万引きの罪を背負わされ、警官に追われた挙句にビルの屋上から転落した。
そこまでは確かに覚えている。だが、その先は全く分からない。
気がついた時には、このマンションの一室に居た。
その間の記憶は無い。誰がどういう方法で自分をここに連れて来たのか。
西には見当がつかなかった。
更に分からないのが、部屋の中央にある黒い玉(何で出来ているのか?)。
そして、その奥に立っている3人の黒いスーツを着た人間たちだ。
茶色のロングヘアーの男、やや太り気味の体格の良い男、そしてボブカットの女。
(……んだ、こいつ等…いい歳こいて、コスプレかよ……)
自分の直ぐ後ろには、困った顔の10代後半と思われる女性が座り込んでいた。
「なにー、ここ、どうなッてんの、何なの」
言動から察するに、女性は自分と同じく初めてこの部屋に来た人間らしい。
しかし、西は彼女と馴れ合う気など毛頭なかった。
窓から東京タワーが見える。と言う事は、少なくともここは東京であるという事だ。
西は窓を開けようと試みるが、それが全く出来ない。
それどころか、窓そのものに手が触れる事が出来ず、その直前で滑ってしまう。
(クッソ……!!!!どーなッてんだッ!!!?
……んで開かねェーんだッ!!!!ンなろッ!!!!)
「キミ、キミ、無駄だッて、全然開かないんだから、その窓」
と、後ろから女の声。振り向くと、黒いスーツを着た3人のうちの一人である女だった。
自分と違い、明らかに女性は冷静だった。
まるでこの部屋の事を全て知っているかのような口ぶりに、西は少しイラついた。
「……何で?どーして開かねェの?」
「さァ…そこまでは…」
(んだよ、知らねーのかよ…)
「…そこまではッて…ここ、何処?アンタの部屋?」
「ちがうけど…ッてかさ、キミ、何歳?」
「ハァ?」
「アンタとか言わないでくんない?
これでも大学行ッてるんだからさー、お姉さんッて呼びなよ」
「……今、そんなこと、どうだッていいだろ」
「おい、また来た」と、同じくスーツを着た茶色のロンゲの男が言った。
「えッ、イズミくん?」
ボブカットの女は嬉々とした表情で振り向く。
黒い玉からレーザー光線みたいなものが出てきて、何かを描き始めたのだ。
(……ンだ……アレ………なに…してんだ!?)
ジジジジジジジジジジッ
奇妙な音を立てて、光線が描き出していくものは、次第にそれが人間である事が判別出来た。
見るや否や、ボブカットの女は残念そうに呟く。
「あ…なーんだ、イズミくんじゃないじゃんッ」
出てきた人間は、金髪で化粧の濃い女性だった。香水の匂いが強烈で、こちらにまで漂ってくる。
「……ハ?なに?なに、ここ?」
女は周囲を見回し、戸惑っていた。
どうやら、西や部屋の隅で縮こまっている10代後半の女性と同様、部屋に初めて来た人間らしい。
「また、新人か…」
「今回、多くね?」と、太り気味の男が茶色のロンゲに応える。
「話し掛けるなよ、クセーよ、デブ」
「ンだッ、コラッ!!!」
「ねェ、ちょッ……なんなの……ここ、どこ?あんたら、なに?」
「なにッて……あたしたち、何だろ?」
「さァ、知らね」と、ボブカットと茶色のロンゲは肩を竦める。
「いい加減にしろよ」
堪らずに西が口を出した。
黒いスーツを着用している3人は、明らかに何かを知っている人間たちだ。
今居る場所が何処なのか、そしてこの部屋の主は誰なのか。
自分たちを連れてきたのは誰なのか、何故自分たちをこの部屋に連れてきたのか。
その黒い玉は何なのか、黒い玉から出てくるレーザー光線は何なのか。
全てを知っていなければ、冷静で居られる訳がない。
そして、西をイラつかせたのは、事の詳細を知っていながらも、おちょくる3人の態度だった。
「おめーら、何か知ッてんだろ?だッたら、教えろッ」
「ンだ、コイツ、生意気なガキだな、おい」
「大人の怖さ、教えてやるか…ぶふッ」
「まーまー、いいじゃん…」とボブカットの女がふたりを抑える。
「あたしたちも全部知ッてるワケじゃないんだけどね…この部屋に何回か来た事があるッてだけで……」
だが、そこで化粧の濃い女が騒ぎ出し、ボブカットの女の言葉が遮られた。
「ねェ、ちょッと!!あたしの質問は無視なワケ!?
ここは何なの!?誰の部屋!?あたしをこんなトコに連れて来て何しよーッてのさ!!!!」
「うるッせーよ、黙れ、ブス!!」と、茶色のロンゲ。
「ンだと、てめー、誰に向かッて口利いてんだよッ!!!!」
「知らねーよッ、キンキンキンキンやかましいッてんだよ」
「あたしはね!!!これでも歌舞伎町でナンバーワンの……うわッ」
「あ、また…」
ジジジジジジジジジジッ
黒い玉が再びレーザーで人間を描き出した。
それはTシャツがだらしなく皺が寄っている中年の男だった。
無精髭が酷く目立ち、顔色がやや悪く、明らかに健康的ではない。
「……あ、あれ……ここ…何処……」
言動から初めて来た人間である事は直ぐに分かった。
男はいきなり連れてこられた事に対して、矢張り困惑を感じずには居られない様だった。
しかし、男の顔を見ると、化粧の濃い女は再び絶叫した。
「あーッ、おまえ!!!!」
「…あ………あれ……アカネ……ちゃん!?」
どうやら、二人は顔見知りらしい。しかも、会話の内容から察するに、あまり良くない関係の様だ。
アカネと呼ばれた化粧の濃い女は、立ち上がると男の背中にトゥキックをかました。
男はそのまま黒い玉のところまで吹っ飛ばされた。
「ッてェーッ!!!!!!」
「てんめッ!!!!よくもッ!!!!!よくもアタシを刺しやがッたなッ!!!!!」
さらに化粧の濃い女は履いていた靴の踵の部分で男の頭を思い切り叩き始めた。
「痛ッ!!!!痛ッ!!!!!
ちょッ、アッ、アッ、アカッネッ、ちゃんッ!!!!!
痛ッ!痛いッ!!!!痛いッてばッ!!!!!」
「なんで!!てめェッ!!生きてんだよッ!!!
あんだけ!!刺し返して!!やッ!!!たッ!!!のッ!!!!にッ!!!!!!」
「アハハ、元気な人たちだねー」
ボブカットの女は苦笑いしながら、揉み合う二人を見ていた。
何が面白いのか、西にはよく分からなかった。
化粧の濃い女と中年の無精髭の男のせいで、話がたびたび中断されてしまった。
結局、この部屋は何なのか。何がこれから始まるのかは訊けないままだ。
「……あのさー、何度も訊くけど…」
「…ん?ああ、そッか…えーと……何?」
「何ッて……まァいいや……。おまえら、何者?」
「あたしたち?あたしたちは……キミと同じだよ」
「同じ?何が?」
「ここに連れて来られた人間……ッて事かな……」
「……ここッてさ…誰の部屋なワケ?」
西は一番気になる質問をした。だが、その答えは女の反応から予想出来たことだった。
ボブカットの女もその他の茶色のロンゲも太り気味の男も自分と同じ様にこの部屋に連れて来られた人間。
そうなると、一番この場所に居なくてはおかしい者が居ないという事になるのだ。
それはすなわち、この部屋の主である者…。
「…あたしたちにも分かんないんだよね…悪いけど…」
「……窓が開かないッてことは……まさか、ドアもか?」
「うん…出られないよ」
「俺たち…ずッと閉じ込められたままなの?」
ボブカットの女は首を振る。「…ずッとじゃないよ……少ししたら、移動が始まるから」
「移動?移動ッて、なにそれ?」
「うーんとね…」
「…あ……来た…イズミさんだ」
「えッ、イズミくん!?」
(…ッたく、また中断かよ……)
西が毒づくのを他所に、ボブカットの女は黒い玉が再び描き出す人間を見て飛び跳ねた。
「うわーい、イズミくーん、待ッてたよーん」
イズミと呼ばれたその人間は、ボブカットの女たちと同様に黒いスーツを着ていた。
黒い長髪、そして全てを見据えているかの様な目が印象的だった。
そこに突然、音楽が流れ出す。
あーたーらしーいー♪
あーさがきたっ♪
きーぼーうのーあーさーがっ♪
(…ハァ?なに、これ?ラジオ体操?)
次々と起こる不可解の連鎖に、西の頭は理解不能の4文字を示した。
0004に続く
おー丁度きた!!!!!
「0003」書かせていただきました。
なんか読んでくれる人たちが結構居るんで、
ますますやる気が出ます。
前のスレで書いたのも読んでくれた人もいるみたいで…。
今回は最後まで完結したいと思います。
頑張ります。
38 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/01(土) 15:08:30 ID:KcIJtLaI
前にどっかのスレで西くんの話書いてる人がいるって聞いて
見てみたいと思ってました
応援してますので頑張ってください
sage・・・ミスorz
40 :
往来:2009/08/01(土) 17:33:54 ID:/i5s+hb0
まってました^^おつかれさまです
書く前にお詫びしておかなくてはならないんですが、
実はこれまで書いた話の中にミスがありました。
どうってことないんですが、黒いスーツを着た人間が一人欠けてました。
前のスレで読んだ事のある人には分かったかと思いますが、
実はスポーツガリこと河内武士がいませんでした。
よって、「0004」からスポーツガリが出てきますが河内の事です。
突然で申し訳ないです。
0004 非日常への入り口
よーろこーびにっ♪
むねをひーらっけっ♪
そーれっ♪
いーちっ♪にーっ♪さんっ♪
音楽が鳴り止むと同時に黒い玉に文字が表示された。
初めて来た人間は何が表示されているのかと気になって黒い玉の直ぐ傍まで歩み寄る。
西は、少し離れたところからその文字を流し読みした。
「てめえ等の…ハ?ンだ、これ?命は…?なく…なりまし…た…?」
てめえ等の命は
無くなりました
新しい命をどう使おうと
私の勝手です
という理屈なわけだす
食い入る様に文字を見つめて、化粧の濃い女は素っ頓狂な声をあげる。
「…何、これ…何なの……全然意味が分かんないんだけどッ」
「やッ、やッぱり…」と10代後半の女性が震えながら言った。
「ハ?何、やッぱりッて…」
「やッぱり、あたし……あの時、死んだんだ…ッ…
ッてことは……ここは…じッ…じッじッじごッ……」
「ぷぷっ」
茶色のロンゲが肩を揺らす。「何言ッてんだ、あの女ッ、超笑える」
「よせ、ミナミ…相手は新顔だ」
「ハイハイ、スンマセンッ、ククッ」
スポーツガリに諭されても矢張り堪え切れないのか、ミナミと呼ばれた茶色のロンゲは腹を抱えていた。
「あ…画面が……変わッてくッ…!!!!」
10代の女性の言葉に、全員の目が黒い玉の画面に移った。
そこに表示されたのは、更に全く持って不可解な画面だった。
てめえ等は今からこの方をヤッつけに行ってくだちい
ジーンズ星人
特徴 つおい ごつい
好きなもの デニム
口ぐせ ゴーマリィソン
「……え…なに、これ………ジーンズ…星人ッてなに?」
「……さ、さァ……」
「何か……ゲームみたい…だね…アカネちゃん」
「話し掛けてくんな、クズ!キメーんだよ!」
「ゲーム、か…これ、ゲームか?」
と、西が言った。ボブカットの女は肩を竦める。
「……それに近いけど……命が懸かってるゲームッてトコ…かなァ……」
「くッだらないッて!こんなん、やッてらんないッ!!
誰でもいいから、タクシー呼んでよッ。あたし、もう帰るからさー」
「帰れないよー、もうすぐ移動が始まるから」
「さッきもそれ言ッてたけど、移動ッてどうなるんだよ、こッから出れるのか?」
「まァ、そうだけどね…あ……そうだ……キミ、移動する前にさ、服着替えた方がよくない?」
「服?服なんて、何処に着替えがあんだよ?」
その答えを聞く前に、黒い玉の両端がスライドされていった。
その中から風変わりな銃器が陳列されており、さらに奥の棚には奇妙な白いケースが複数置かれていた。
あれよあれよと言う間に不可解な事ばかりが起こる。
西には、もう頭の中を整理する気すら失せて来た。
「あの白いケース……キミの分もあるから…」とボブカットの女が指差す。
「…ケースに……何が入ッてんだよ」
「何ッて…このスーツ……」
「マジ…かよ…そんなん着ろッての!?カンベンしてくれッての!!」
西は頭を抱えたくなった。
「これは……ッと、ああ、あの怖いお姉さんのかな?」
と、ボブカットの女が手に取った白いケースには、名前が書いてあった。
まるで幼稚園児が書いたかの様な文字で、【ほすてす】とある。
そう言えば、化粧の濃い女は先程歌舞伎町の何とかと口にしていた。
どうやら、彼女の職業はホステスらしかった。
しかし、当人は「早くタクシーを呼べ」の一点張りで聞く耳を持たない。
「…で、これは…あのオジサンのかァ」
次に取り出したケースには【中年ストーカー】とある。
「……あのオジサン、気持ち悪いから、まァいッか…で、これはッと」
その次に取り出したケースには【腐女子】とある。どうやら、10代後半の女性の事らしい。
しかし、彼女は事態に全く頭がついてゆかず、ただただ怯える事しか出来なかった。
ボブカットの女がスーツを着る様に勧めても、うんともスンとも言わない。
しかし、ボブカットの女もあまり拘っていない様で強制させはしなかった。
最後に取り出されたケースには、【西くん】とあった。
「これ……キミの?キミが西くん?」
「……そう……だけど…マジィ?
えー?それ、俺のか?何であんの?」
「何でッて…さァ…」
「キャッ……ちょッ、なにッ、なになになに、これェェッ……」
化粧の濃い女が絶叫を上げる。中年の男性を除く全員が鬱陶しそうに見やる。
「アッ、アカッネッ、ちゃんッ、アカネッちゃんがッ!!!!!!」
化粧の濃い女の頭が徐々に消えていくではないか。
そして、次第に彼女の身体そのものまで丸々消えていってしまった。
「……ハ?今の何だ?消えた?」
「転送が始まったみたいね…」
「おー、いよいよだなッ」
「ぶふッ、今回のボスは俺がやるぜッ、ぶふッ」
「おめーには無理だよ、豚野郎」
「ああ!?」
西の台詞を他所に、黒いスーツを着た5人の面々は武器を構えて、張り切っていた。
特にイズミとかいう黒い長髪の男は無言ながらもその気合が漲っているのが分かった。
「……ンだ、これ…ワッケ分かんね……
まさか、ここは……キチガイ病院かァ?」
ジジジジジジジジッ
急に視界が変わった。
黒い玉の鎮座する部屋から一転して、外に出た様だった。
「……あれ?さッきの部屋……じゃねェ……あ、ここ……新宿…か?」
0005に続く
第1回ミッション(ジーンズ星人編)
参加者(計9名)
●常連
イズミ・ミナミ(茶色のロンゲ)・太り気味の男・スポーツガリ・ボブカットの女
●新人
化粧の濃い女(ほすてす)・中年男性(中年ストーカー)
10代後半の女性(腐女子)・西
>>42〜
>>45までが「0004」です。
続きは早ければ明日にでも書こうかと思います。
気長に待ってて下さい。
ガンツほとんど知らないけど面白いな
登場人物は多いけどキャラがたってて読みやすい
続き期待
0005 拭えない不安
視界に飛び込んだのは、JR新宿駅とLUMINEの看板だった。
間違いなく、自分が居る現在地は新宿の様だ。
しかし、奇妙な部屋から新宿への移動は腑に落ちない事だらけで、逆に西を不安にさせる。
第一、移動の方法にしても、人間の技術とはとても思えなかった。
SF映画ばりの特殊技術でも使っているのだろうか。
ジジジジジジジジジッ
西の真横から、あのボブカットの女が頭から徐々に姿を現した。
部屋では頭が最初に消えるが、それと同時にこの場所に消えた頭が出現するというわけか。
「お……今回は……新宿かァ…」
ボブカットの女は呑気に言った。
「……ここ、本当に外か…?」
「……ん?そうだけど?」
「ウーッソだろ……どうやッて移動したんだ…?
誰かが幻覚とかトリック使ッてて……実はまだあの部屋に居るッてオチじゃねェの?」
「キミも疑い深いねー……まァ、気持ちは分かるけど……」
それだけ言うと、ボブカットの女は何やら腕時計程の大きさの機械を取り出した。
女が巧みに操作すると、小さい機械の表示画面に大雑把だが地図が出た。
ジジジジジジジジッ
今度は化粧の濃い女が移動してきた。
目の前に急に飛び込んできた光景に少し驚いた様だが、直ぐに安堵していた。
「…なーんだ……やッぱドッキリじゃん……!
ビックリさせんなッつーのよ……どこの局だか知んねェけど……」
「…今回、星人の数が結構多い……」
ボブカットの女が、小さい機械の表示を見ながら呟いた。
「ハァ?何?星人?何だよ、それ?」
「……あの黒い玉の画面に出てたでしょ…あれ、あれ」
「あの……ジーンズ……星人とかゆーの?マジ、あれが出てくんの?」
「うん……キミ、早くそれに着替えた方がいいよ」
ボブカットの女が、西が手にしている白いケースを指差した。
別に彼女の言う事を信じたワケではないが、ついケースの取っ手を握ったままだった。
どうやら、自分が手にしているものも一緒に移動する事が出来るらしい。
「あれ…そーいや、鞄がねェぞ」
思い出してみると、鞄はあの部屋に居た時点で手放していた。
西の背後では、化粧の濃い女が「携帯が無い」と騒いでいた。
「あの部屋だ……あの部屋…!!
ねェ、アンタ!!プロデューサーに言ッてさ、取ッてきてもらッてよッ!!!!」
「ハ?アタシに言ッてんの?」ボブカットの女も流石に戸惑う。
「アンタ以外に誰がいんだよッ!!!もう全部分かッてるんだよッ!!!!」
「全部分かッたァ?」
「アカネちゃん……僕のでよければ……使ッて…」
「ッせェな!!ダニに用はねェ!!首吊って死ねよッ!!!!」
中年男性は、貶されても卑屈な笑みを見せるだけだった。
それがやや不気味だった。何を考えているか分からない男である。
「……あッちの方角に星人が結構集まッてるぜッ、行こう!!!!」
ミナミの一声で、黒スーツの面々はボブカットを除いて別の場所へと行ってしまった。
「オバサン…悪いけど、あたし、もう行くから……」
「オバサンッて何だよ!!!!これでも26なんだからなッ!!!!」
「……ハイハイ、もういいッて…」
そう言って、ボブカットの女も仲間の歩いて行った方角に進む。
が、途中で何かを思い出したのか、引き返して言った。
「そうだそうだ……一応、教えとくけど………エリアから外には出ない方がいいよ…」
「エリア?」
「うん……エリアの外に出ちゃうと……」
「しつッけーなァ、もォッ!!!!
絶対、あんたら、訴えてやッかんなッ!!」
ボブカットの女は辟易して、その続きを言うのを止めた。
西はボブカットの言う事を頭の中で吟味した。
(エリアの外ッて何だ……何か……引っ掛かる……。
どーも………よく分かんねェけど………先ず、簡単に外に出れたのがおかしい……。
部屋の中に閉じ込めておいて、しばらくしたら、外に出れるッてトコに何かが……)
「…キミ、よかッたら、一緒に来る?」
ボブカットの女は西に言った。
「……うーん……どうすッかな……」
「やめなッて」化粧の濃い女が割り込む。
「演技じゃないとしたら、クスリやッてんだよ!
ッたく、これだから、最近の二流タレントッてヤなんだよね」
「もし来るなら、着替えたらおいでよ……向こうに居るから…」
ボブカットの女は西にそう言って、そのまま歩いて行った。
宙ぶらりんの状態に置かれた西はどうすべきか迷った。
現実的に考えれば、ボブカットの女の言う事はかなりおかしい。
しかし、これまで起こった事がそもそも現実からあまりにも掛け離れている。
だが、全てをトリックだとか幻覚だとかで片付けるには手が込んでいるのもまた事実だ。
誰が何の為に自分をこんな目に遭わせるのか?
その回答を得たいという欲求が西の中で強くなっていった。
「ねェ……ねェ、そこのキミさー」
「…ハァ?俺?」
「キミ、キミ」と化粧の濃い女は言う。
「さッさとタクシー停めてよ、あたし、帰るから」
(……ンだ、この女…
歌舞伎町ナンバーワンだかなんだか知らねェけど、調子こいてんな……)
「タクシーぐれェ自分でつかまえろよ、ウッゼェな」
「アカネちゃん……僕が停めてあげるから待っててね」
「さッきから消えろッて言ッてんのに何で居るんだよッ!!!!
頭の中身が脳味噌じゃなくて、ウンコになッちまッてんのかよッ!!!!!」
「あ…あの……」
と、今まで黙っていた10代後半の女性(腐女子)がおずおずと口を開いた。
「……電車……使えば……帰れます……よね?」
「あ……そッか…
電車なんて、しばらく乗ったトキねーけど……しょーがないかァ」
「じゃあ、一緒に帰ろッか、アカネちゃん」
「シンナー臭ェ口で喋ってくんじゃねェよッ!!!!どッか行けッての!!!!」
(………帰って……いいのか…?
つーか……本当に帰れんのか……?何か……やッぱ……変だ……)
西は白いケースをじっと見た。
この中には自分用の黒いスーツがあるという。
スーツを着た方が良い、とボブカットの女は忠告していた。
そして、ジーンズ星人というを倒しに行けと指令したあの奇妙な黒い玉。
信じられない事だが、若し全てが本当に起こっている事だとしたら…。
「アカネちゃん、駅の購買で何か買ってくるよ…何が良い?」
「いらねェ〜から、とッとと行け。もう来んなよ」
考え込む西を他所に、10代後半の女性と中年男性は駅の構内へと向かっていった。
「あー、ヤダヤダ、アイツが居るんじゃ、電車も使えねーじゃん」
西と共に残っているのは、化粧の濃い女だけだった。
考えた挙句、西は着替える事にした。
何かがおかしいという不安を拭い去れない。
スーツを着れば、きっと何かが分かるだろう。
そう思っての事だった。
何処か着替えるのに適した場所はないかと探し回る。
仕方が無いので、直ぐ近くの建物と建物の間の路地に入り込む。
「あれ…キミ、まさか…それ、着るの?
やめなッて……あんな連中の言う事信じると痛い目に遭うよ…」
「…ッせーな……別にいいだろ……俺の勝手だし……」
「つか、ここで着替えるのー、まァ、目の保養になるからいいけどさ」
と、化粧の濃い女は西の着替える様子を楽しそうに眺めていた。
(………ンだ、この女……)
「……ッて、え……ナニ、ちょッ……」
「ハ?」
化粧の濃い女が後ずさるを不審に思った西の肩を誰かが叩いた。
振り向くと、そこには背の高いアメリカ人が立っていた。
「……あ?」
「……ゴー……マリィソン?」
「ハ?なに?何だッて?」
「ゴーマリィソン?」
西は深く溜息をついた。本当に今日はついてない日である。
クラスメートの執拗ないじめが起こった日に訳の分からない部屋に連れて来られる。
挙句の果てに新宿に徘徊するおかしな外人に同情される始末だ。
「あのさー……何言ッて分かんねェから……」
「ゴッ…ゴゴゴゴッ」
外人はいきなり身体を震わせた。
みるみるうちに外人の顔が変容していく。
「え…ちょッ、おい!!!」
「ゴゴゴゴッママママママママママママッ…リィィィィィィィィィッッ………」
そして、その姿はまさに黒い玉の画面に表示されたジーンズ星人の顔そのものになった。
振り向くと、化粧の濃い女は既に何処かに消えていた。
「マジッ…かよッ………やべッ…まだスーツ……」
0006に続く
>>48〜
>>52までが「0005」です。
「0006」は多分来週くらいになるかなと思います。
>>47 ガンツを知らない人にもそう言ってもらえるというのは嬉しいです。
こんなスレでよければまた読みに来て下さい。
うおおおお
こんな素晴らしいものがあったなんて!
頑張ってくれ!
かなり面白い
ただ小便の所
他の階のトイレに行ったり、恥ずかしいだろうけど、授業中にトイレに行くって事の方が自然な気がした
万引きまでの展開はかなり上手いと思った
55 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/02(日) 23:12:40 ID:sfLlVOJq
これ前にもあったな
56 :
往来:2009/08/03(月) 22:10:42 ID:g/gNf9Ek
目の保養www
ふぅん
58 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 00:40:29 ID:eJOcAtQB
かなりおもしろいな、がんばってくれ!
今ヤンジャンで連載してる小説より全然うまいな
つかヤンジャンの小説って西君出す気ないの?
>>59 同じこと書き込もうとしてたわ
こっち連載したほうがいいよな
0006 警告
「ゴォォォォォォォォォッ!!!!!!!」
雄叫びと共に、黒い玉の画面に表示された「ジーンズ星人」はその姿を見せた。
1分もしない内に、人間だった筈のものが異様な外観をした化け物に変貌した。
呆気にとられた西は、スーツを着る事を忘れてしまっていた。
思考回路が正常に働いた時には、既に星人は変身の完了を終えた後だった。
「………何なんだよ、コレ……
ハハ……マジで宇宙人かよ…………夢……じゃ……ねェ……よな」
ジーンズ星人は、眼前の西を睨むと、不敵な笑みを浮かべた。
滑稽だと思った。宇宙人にも人間と同じ感情があるのだろうか。
そもそも、宇宙人なんてものが本当に実在するものなのだろうか。
そういうのは、映画や小説の中だけの話だと思っていた。
しかし、現実に宇宙人と思われる生物が目の前にいる。
これだけは厳然たる事実だった。抜き差しなら無い悪夢。
「ゴォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」
星人が咆えると同時に、西の身体は反射的に動いていた。
中年男性や『腐女子』と命名された10代後半の女性が向かったであろうJR新宿駅構内に足は向かった。
最早、本能といってもいいだろう西の動きは逃走の体勢だった。
(……ちッくしょうッ……
何なんだよ……一体……!!!!マジワッケわかんねェ!!!!!!!
今日は朝ッから最ッ低ーな事ばッかりだッつーのにッ!!!!!!)
直ぐ背後から、星人が追いかけて来るのが判った。
物凄い地響きが繰り返し聞こえてくる。
恐らく、星人が足を踏み鳴らす度に聞こえる音なのだろう。
「ゴォォォォォォォォォォッ!!!!!」
(やッべェッ!!!!マジやッべェェェェェェェッ!!!!!
殺されるッ!!!!捕まッたら、コロサレルッ!!!!!!!
ママッ!!!ママッ!!!!!死ッ!!!!にッ!!!!たッ!!!!くッ!!!なッ!!!いッ!!!!!!)
うっすらと目尻に涙が溜まっているのも気づかなかった。
必死に走った。脳裏には何時も憎んでいる母親の顔が映る。
陰では「ババァ」と罵っていて、面と向かうと「ママ」と呼んでしまう。
憎しみと愛おしさ。それが表裏一体となって、西の中で混雑化した。
(家に戻りたい!!!!ママに会いたい!!!!
ママッ!!!!ママッ!!!!ママッ!!!!!助けに来てよォォォォォッ!!!!!)
遮二無二と走った先には、さっき立ち去った中年男性と10代後半の女性が居た。
男性は売店で何やら店員に話しかけている。
10代後半の女性は構内の通行人に声をかけては、また別の通行人に声を掛けるの繰り返し。
「おいッ!!!!おいッ!!!!やッべェェェッ!!!!バッケモンだッ!!!!」
「…あ、さッきの部屋の…」と中年男性は西の姿を認めた。
「ちょうどいい…キミからも言ッてやッてくんないかな…
この店員…私のことをシカトしてるんだ…まるで存在してないかの様な素振りをしやがる…
ねェ…さッきも言ったけど……この雑誌とジュースが欲しいんだけどね…」
「そッそんな事言ッてる場合じゃねェッてッ!!!!!
宇宙人だよッ!!!!マジで宇宙人が追ッ掛けてきたッ!!!!!!」
中年男性は呆れた目を向けてきた。
妙に腹が立ってくる。
(なンでッ!!!こんな中年オヤジにおかしな目で見られてンだ、俺…ッ!!!!)
「……ゲームのやり過ぎだよ…キミ…。多分、夢でも見たんだろうね……。
分かるよ…僕もアカネちゃんのことをいつも夢で見てるんだ…。
好きなモノッてのは夢の中にまで出てきてしまうんだね…。
お嬢ちゃんもそう思わない……?」
「ごめんなさい、私に話し掛けないで下さい」と10代後半の女性は言い返した。
中年男性は卑屈な笑みを浮かべて、肩を揺らす。
「ククッ……女性にはいつもこうなんだ……。
この前だッてさ……同じ会社に居る若い女の子なんだけどね……。
僕に書類を渡す前に……わざわざ手袋をはめるんだ……
ククッ……信じられるかい……ククククッ」
「…ンなこと、どうだッていいッて!!!!
ほら!!!!直ぐそこッ!!!!宇宙人が居るンだッてッ!!!!!」
西は自分が走ってきた方角を指差した。
中年男性はそちらに目を向けて、直ぐに西に言った。
「…何も居ないよ……」
「ハァ?」
「……あれ……あッれーッ…ンだ…オイ…」
「やッぱ気の所為だッたんだよ…目が覚めただろ……」
(気の……所為……?あれ…マジで夢だッたのかよ…?)
中年男性は売店の店員に再度言った。
「店員サン、もういッかい言うよ…この雑誌とジュ…………え!!!!!?」
「……ア?」
中年男性の驚きの声に、西は売店の店員の方に目を向けた。
店員は身体を小刻みに震わせながら、徐々にその姿形を変えていくではないか。
それはさっき、西が遭遇したジーンズ星人そのものであった。
「ゴォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!!!!!!!」
「うわッ!!!!!
わわわッ!!!!!!!!
わァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!!!!!!」
「えッ…!!ちょッ、なッ、これ…ウッソッ!!!!!!」と、10代後半の女性も事の異変に気づく。
ゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキッ
「ゴォォォォォォォォォォッ!!!!!!!」
星人は売店を破壊して、その巨大な身体を前進させた。
西、中年男性、10代後半の女性は思わずその反対方向へと走った。
ふと、西は奇妙な電子音が聞こえる事に気づいた。
ピンポロパンポンッ♪
ピンポロパンポンッ♪
ピンポロパンポンッ♪
(アアッ!!!!?ンだよッ!!!!!こんな時にッ!!!!!
ダッセー音楽鳴らしてるバカはッ!!!!!!!?)
ピンポロパンポンッ♪
ピンポロパンポンッ♪
音はどんどん大きくなっていった。
西が前に進めば進む程、音はでかくなっていく。
「……ンだ…この音ッ!!!!」
「……うるッさ……誰ェ……このケータイ…」
前を走っている中年男性と10代後半の女性にも聞こえていた。
が、奇妙な事にその他の人間たちはまるで反応していない。
そう、全然聞こえていないかの様だった。
(………聞こえてンのは……俺たちだけ……?
何で他の奴らには聞こえてねーんだよ……こんなバカでけェ音………)
余りに音が五月蝿くなってきたので、耳を両手で塞いだ。
だが、音はまだ聞こえていた。両耳を塞いだのに聞こえていた。
つまり、自分の頭の中から聞こえるという事になる。
(……どー……なッて…ン……おッかしーぞ、これ……
頭に何か………入ッて…………ンの…か?)
ピンポロパンポンッ♪
ピンポロパンポンッ♪
ピンポロパンポンッ♪
ピンポロパンポンッ♪
(………ッせェッ……ンだよ、これ…
なんかどんどんおッきくなッてきてやが…るッ………
まるで何かに反応してるみてェッ…………だッ………?)
西はそこで少し動きを止めた。何かを掴み掛けているのが分かった。
が、それが何なのか分からず、その答えを得られない自分がもどかしかった。
ボブカットの女が立ち去る前に言った事の中に何か重大な内容があった。
そして、その重大な内容は記憶の奥底にどんどん逃げ込んでいく。
(確か…あのオンナ…
なンて言ッてた……ッけ………立ち去る前………確か…
そうだ………スーツを着ろッて言ッて……それから…それから……あ……)
ピンポロパンポンッ♪
ピンポロパンポンッ♪
ピンポロパンポンッ♪
ピンッ……♪♪♪
「もォッ………いい加減にしてよッ…
家には帰れないし……漫画も読めないし……あたしもうしぶぶぶぶごぺっ」
ババンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
10代後半の女性の頭が吹っ飛んだ。
その肉片が西の顔に付着した。
「うわッ!!!!!!!!!!」
「……ひッ……ひェェェぇぇぇぇぇあああああああぁぁぁぁああッ!!!」
(……エリアの外には……とか言ッてやがッ……!!!
この事………だッたのかよッ!!!!!
あのオンナッ!!!何で全部説明しねェンだよッ!!!!!!!!!!!!!)
ピンポロパンポンッ♪
ピンポロパンポンッ♪
ピンポロパンポンッ♪
(……進めばでかくなる……ッてことは……)
西は一歩二歩と後ろに下がった。
同時に音が小さくなった様な気がした。
(そ……そッか……
こッから先に……行かなけりゃ……ハハ…ンだよ……どーッてこと……)
後ろを振り向いた。
そこには、ジーンズ星人が2匹立ち塞がっていた。
(……オイオイオイオイオイオイ!!!!)
0007に続く
>>61から
>>65が「0006」です。
お待たせしてすいません。暑さで死にそうになっていたんで遅くなりました。
>>54 お褒めの言葉どうもありがとうございます。
言われてみると確かに小便のくだりはもう少し煮詰めた方がよかったですね。
なるべく細かいところにも気をつけたいと思います。
>>55 そうです。去年ぐらいにも書いてました。
新しい内容も書き込んでの再スタートです。
>>56 気に入っていただけましたか?
>>57 どうもです。
>>58 ありがとうございます!頑張って最後まで書きます。
>>59 そこまで言っていただけて光栄です。
実は西の話をまた書こうと思ったのはヤンジャンで連載中の小説に
西が出なかった事が不満だったからというのが理由の一つなんですよね。
皆さんに気に入っていただければ嬉しいです。
>>60 どうもありがとうございます。
最ッ高の褒め言葉です。
そんな風に言っていただけると、書いてて良かったと思います。
ええでええでー
面白いから頑張れ
大阪編まだぁ〜?
ちょwここで切るか!
続きが気になるじゃないか
71 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/10(月) 00:59:40 ID:J315jBJx
>>1 文才だな!!緊迫感がこっちにも伝わってくる!
がんばって最後までやってくれ!応援してるからな!!
ボブカットの女はあれか?
前回の小説で、チアキ?とかそんな感じの名前だった奴?
チアキじゃなくてチナツだった
そういう事書かなくていいじゃん
そのうちネタバレ来そうで嫌なんだが
すまんすまん
0007 赤ッ恥
2匹のジーンズ星人を前にして、西は死の恐怖を実感していた。
『腐女子』と命名された10代後半の女性の頭を吹っ飛ばされた事も手伝い、
これはゲームではなく、命を掛けた戦いである事を本能で理解した。
だが、何者がどういう理由で自分にこの様な戦場に連れて来たのか。
そこがまるで分からなかった。分からないからこそ、更に恐怖は倍増した。
「ハァッ……ハァッ……くッそッ…!!!!
……ンでオレがこんな目にッ…………」
白いケースの取っ手を掴む腕が震えているのが分かった。
一歩間違った行動に出れば、確実に自分は死ぬ。
(……あのオンナが………スーツを着た方が良いッつッてたよな………。
きッと、あいつらが着ていたスーツ………なら……身が守れるッてことか……!?)
「クンクンッ、クンクンッ、クンクンッ」
2匹のジーンズ星人が、鼻息を荒くしながら近付いて来た。
涎を垂らしながら、ゆっくりとゆっくりと西との距離を縮めてくる。
気がつくと、直ぐ背後に居た筈の中年男性は何処かに逃げていた。
(……ざッけんなよッ、あのオヤジッ……!!!!
オレを見捨てやがッてッ…………どいつもこいつも………ッ!!!!)
何とかジーンズ星人2匹の目の見えない場所に逃げて、スーツを着るしかない。
そう考えた西はじりじりと右方向に移動する。
「ゴォォォォォォォォォォッ!!!!」
西が逃げようとするのを察したのか、
ジーンズ星人たちはいきなり突進してきた。
余りに突然の事で、西は再びパニックになった。
「おッわァァァァァァッ!!!!!!」
「ゴォァッ!!!!」
大きく跳躍したジーンズ星人たちは、
そのまま10代後半の女性の死体の直ぐ目の前に着地した。
鼻を鳴らしながら、死体をじっと凝視している。
どうやら血の匂いに惹かれているらしい。
暫くすると、ジーンズ星人たちはお互いを見やると下卑た笑みを見せて、死体にかぶりついた。
そのまま、2匹が反対方向に死体を引っ張ったので、あっさりと死体は引きちぎられた。
(………ンだよ、これッ………ウソだろッ……
どッかのホラー映画じゃあるまいしよォッ!!!!!)
「グビッビビビビビビビッ」
だが、今が好機である事は間違いなかった。
星人たちが10代後半の女性の死体に構っている間に、
何処かに隠れてスーツに着替えるしか、生き延びる方法は無い。
スーツがどんな効力を持っているのかは知らないが、
恐らく星人たちの強さを知っていたであろう黒いスーツを纏った人間たちの様子から、
スーツには何らかの効力があるのは、確かな事だと思えたのだ。
西は震えながら何とか立ち上がって、隠れられる場所を探した。
(どッかねェかッ………何処でもいいッ……
スーツを着られる時間さえあればッ………どッかッ……どッかッ………!!!!!)
必死に動き回る西の目に、自動証明写真撮影機が飛び込んだ。
カーテンを敷けば、数秒かもしれないが、時間は稼げる。
躊躇う事なく、西は自動証明写真撮影機の中に駆け込んで、カーテンを敷いた。
白いケースを開けると、自分の身体のサイズに合った黒いスーツが畳まれていた。
誰がどうやってこんなスーツを仕上げたのか。
西には疑問だったが、しかし今はそんな問題に拘っている場合ではなかった。
制服の上着とYシャツとズボンを脱いで、スーツを着ようと試みる。
が、その寸法は自分の身体にギリギリに合う様に出来ているらしく、Tシャツとブリーフが邪魔だった。
「ンだよ、これッ……マジきッちィッ……!!
全裸になんなきゃ着れねーのかよ………!!!!」
仕方なく、Tシャツとブリーフも脱いだ。鏡にはあられもない自分の姿が映っている。
恥ずかしさを堪えて、スーツを着ようと試みる。
「クンックンックンックンックンッ」
スーツを着るのに掛かりきりだったので、
カーテン越しの直ぐそこに星人が迫っている事に気づくのが遅かった。
何かを嗅ぎ付けたのか、異常に荒い鼻息が直ぐ傍で聞こえる。
「あ…!?何だよッ、おいッ!!何でこッちにッ………ッ!!!!?」
下を見ると、自分の靴の裏には10代後半の女性の血がべっとりと付いていた。
そのまま、この自動証明写真撮影機に駆け込んだので、血の足跡がついてしまったのだろう。
それを道標として、ジーンズ星人たちは西の居場所を突き止めたのだ。
星人の巨大な手が、カーテンを突き破って、中に居る西を掴んだ。
着替える途中だったが、星人に引きずり出された勢いから、スーツを手放してしまう。
全裸のまま、西は撮影機の外に引っ張り出された。
そこには、口を真っ赤に染めた星人2匹が立っていた。
「ぐふッぐッぐッふふふふッ」
「あッ………ああッ…………やッ……め……ッッ……」
「ゴォォォォォォォッ!!!!!!!!!!!!!」
「わァァァァァァァッ!!
いッやッだァァァァァァァッ!!!!!!!」
ババンッ!!!!
突然、2匹の星人のうちの1匹の頭が爆発した。
西は勿論、残った星人も仲間の突然死に戸惑いを隠せない。
タッ タッ タタタタタッ
何かが床を蹴っている音が聞こえた。
だが、何も見えなかった。西にもジーンズ星人にもそれは視認できない。
ダンッ
大きな音がしたかと思った次の瞬間、ジーンズ星人の頭に切れ目が入る。
「……ガッ!?」
ズバッ!!!!!!!!!!!!!!!
そのまま、ジーンズ星人は頭部から股にかけて真っ二つに切り裂かれた。
何がどうなっているのか、西にはサッパリ分からなかった。
そんな西の目の前に、いきなり電流の様な光が空中に出現した。
バチッバチバチバチバチッ
光と共に、今まで見えていなかったものが西に見えた。
それは黒い玉のある部屋で出会った、あの長い黒髪の若い男だった。
ボブカットの女に「イズミくん」と呼ばれていた男。
両手にはそれぞれ手には黒い玉の中に用意されていた奇妙な銃器と黒い刀がある。
何らかの手段で透明になり、ジーンズ星人2匹を攻撃したという事か。
しかし、どうやって透明になったのか、不思議だった。
現代の科学でも透明になる技術が創れるとは到底思えなかった。
「………おまえ……確か部屋に居たヤツだよな……」
イズミは、無表情のまま、全裸の西を見下ろして言った。
「ンだ、そのカッコ……」
「あッ、いやッ、こッこれッはッ」
「イズミくーんッ、イズミくーんッ、ああ、居た居たッ」
イズミの約数メートル後ろの方向から、ボブカットの女の声がした。
呆然としていた西は、うっかり彼女に自分の姿を晒す事になってしまった。
「え…ちょッ、いやッ、キミ、なにそれッ!!!」
「……うわッ、ちッちげーッ、これはちげーんだよッ!!!!」
「なになに、どッたの?」
その後ろには、どうやって合流したのか、
『ほすてす』と命名された化粧の濃い女まで居た。
彼女は西の姿を認めると、口笛を吹いた。
「わァ〜お、なんてカッコしてんのさ、アンタッ!!!!」
「うッ、るッせェェッ!!!!見てんじゃねェーッてんだよッ!!!!」
「可愛い顔して、いいモン持ッてんじゃん」
嬉々として化粧の濃い女、顔を真っ赤にして目を背けるボブカットの女を尻目に、
「イズミ」と呼ばれる男は小さい機械を淡々と操作した。
(ちッくしょうッ……ンでこんな赤ッ恥かかなきゃなんねーんだよッ!!!!
こんな事させやがッてッ……絶対ェェッ、許さねェッ!!!!)
西は手放したスーツを掴んで、急いでひと目のつかないところに隠れた。
「おッ、居た居た、イズミさんッ」
そこに、ミナミと呼ばれた茶色のロンゲ、眼鏡をかけた太った男もやってきた。
「今回、数は多いけど、たいして強くないスよ…」
「ぶふッ、楽勝だッたぜ、ぶふッ」
「だから喋るなッて、ブタくせー」
「てめェ、いい加減にしろよッ!!!!」
そんな二人に構うことなく、イズミは機械の画面をじっと見つめた。
「……あッちの方角にまだ何匹かいやがるな…」
「そん中にボスがいるかもしんねェスね」
「ボスはオレがやるからな…出しゃばるなよ、イズミ、ぶふッ」
「なーに、ライバル意識感じてんだ、人間とブタじゃ比較できねーのに」
「ンだと、コラァッ!!!!」
「……よし、行くか」
0008につづく
>>76から
>>80にかけて「0007」を書きました。
遅れてすいません。暑さのせいでペースがだれてます。
>>67〜
>>75 感想どうもありがとうございます。
前回は途中でストップしちゃいましたが、
今回は最期まで書き切れる様に頑張ります。
いやーおもしろいですねー
前回のも面白かったですが、さらに描写がうまくなっている気がします
素人がこんなこというのもあれですがね。。。
頑張ってください!
西君巨根かよw
GANTZと西くん好きなので幸せです!無理しないでくださいねー
>>83 待て
ただのショタコンという可能性もある
危機は脱したが、これは恥かしいw
ガンバレ西君w
ブリーフかっこいいっすw
まさかのブリーフ派ww
ママに買ってもらったんだろうなwww
>>1がんばってくれ応援してるから
0008 混戦
西がスーツを着るのに悪戦苦闘している間、
さらにスポーツガリの男が合流してきていた。
着替え終わった西は、星人が居るという方角に向かおうとする面々についていく。
「今んトコ、誰もやられてないよネ」と、ボブカットの女。
「………一人死んじまッたけど……」
「そーいやさ、あのバカ、居ねェけど、死んだのッてアイツ?」
化粧の濃い女(ホステス)は辺りを見回した。
思い出してみると、あの中年男性はいつの間にか姿を消していた。
しかし、死んだのかどうか定かではないので、肩を竦めるだけにしておいた。
「時間、まだ大丈夫か?」と、スポーツガリの問いにボブカットが小さい機械を見やる。
「……うん、まだ30分くらいは残ッてるよ」
「残り時間?そんなのあんのか?」
「あ〜、そッか、まだ言ッてなかッたッけ……
制限時間ッてのがあッてさ、1時間以内にエリア内の星人を全部やッつけなきゃいけないんだよ……」
そう言って、ボブカットは自分の手にある小さい機械の画面を西に見せた。
そこには、『00:31:52』という数字が表示されていた。しばらくすると、下2桁がどんどん減っていく。
どうやらカウントダウンの役割を担っているらしい。
「……これは、つまり、残り31分と……何秒ッて意味?」
「そーゆーこと」
「……時間内に星人ッてのを全部倒せなかッたら……どーなんの?」
その質問に、ボブカットは唸るだけだった。
どうやら、これは彼女も知らないらしい。
スポーツガリを見ても、同じ反応だった。
「……イズミなら知ッてそうだけどな……」
西は先頭を歩くイズミを見やる。
無言のまま、レーダーと正面を交互に確認している。
相当慣れているのが分かった。他の面々とも、かなり経験の差があるのが分かる。
「あのイズミッてヤツ……何モンなの?」
「さァ……俺が来たときにはもう居たけどね」と、スポーツガリ。
「イズミくんッてさァ、超クールだよね〜、なんかストイックな感じもするしさ〜」
「……ハァ」
「……止まれッ」と、ミナミが言った。
「おッかしーな……レーダーじゃあ、もう星人が目の前に見えててもいい筈なんだけどな」
「……また、さッきみてェに人間に化けてるのかもしんねェぞ」
西は、ミナミたちの言葉を耳にしながら、辺りを見回す。
イズミたちなどまるで目の入っていない、通行人たち。
だが、その中によく見るとTシャツにジーンズという格好の人間が何人か散見される。
思い返してみると、西が遭遇した背の高いアメリカ人の星人もジーンズを着ていた。
駅の売店に居た店員も、ジーンズを着ていた様な気がする。
「………ねェ……」
「ン?」
「あそこ……あいつ……あれ、星人じゃねェ?」
「……ン、あそこ…あの女の人?あ、あの人、ジーンズはいてる」
「レーダーで確認してみろよ」と、スポーツガリ。
ボブカットの女がレーダーを見ようとした次の瞬間、
指摘されたジーンズを履いた女はイズミたちを指差して、言葉に表しがたい雄叫びを上げた。
「ヴッォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ハ!?なに、なに、ちょッ、なに、あいつッ」
「おいッ、後ろッ」
背後に居る通行人たちの中のジーンズを着用した人間たちが、次々と変身していく。
振り返ると、指摘されたジーンズの女もその正体を現し始めていた。
「うッわッ、マジかよッ、こんなに居やがッたァッ!!!!!」
「何匹、居るんだよッ」
「くッそッ、囲まれたッ!!!!」
慌てるミナミたちを他所に、イズミはそのまま前進した。
「おいッ、イズミッ、よせッ」
スポーツガリの呼び掛けにも応じず、
イズミは手にある刀を構えて、星人たちに突進した。
ダンッ!!!!!!!!!
跳躍し、その勢いに任せて、ジーンズ星人の1体の頭めがけて刀をふりおろす。
星人がイズミを視認する前に、イズミの刀は星人を切り裂いていた。
「……うッわ……イズミさん、すッげ」
「ボサッとすんなよ、ミナミッ!!!」と、スポーツガリが大きな声を上げる。
ミナミの右方向から星人が1匹突進してきたのが分かったからだ。
「ヘイヘイ、分かッてるッて!!!」
軽々と跳躍すると、ミナミは銃器を構えて、引き金を引いた。
ギョーン!!!
そのまま、着地する。だが、星人には何の効果もなかった。
西はそれを見て、首を傾げる。
「……ンだよ、あの銃、オモチャじゃん……何ともなッてねェ」
「まァ……ね……タイムラグがあるから」
「ハ?なに?タイム、何だッて?」
バババンッ
その答えを聞こうと思った次の瞬間、
星人の頭が先程のイズミが割り込んできた時の様に爆発した。
「ッしゃあッ、大当たりィッ!!!!」
「ンだ、今のッ………どーなッてん……だ」
「さァ……」
一方、太り気味の男も同様に銃を構えるものの、
素早く動く1匹になかなか撃てずにいた。
「くッそッ、ちょこまか動きやがッてッ、ぶふぁッ!!!!」
已む無くといった感じに、別の種類の銃器を手に取る。
それは頭を吹き飛ばす方の銃器とは、銃口の形が違っていた。
太り気味の男が新しく取り出したのは、銃口がアルファベットの『Y』の形をしている。
星人の頭を吹き飛ばす銃器は、撃った時に『X』の形になる様に見受けられた。
「ンなら、これでどうだッ!!」
太り気味の男は、『Y』の形をした銃を星人に構えて引き金を引いた。
すると、銃口から光のロープが飛び出した。
星人が避ける間もなく、光のロープは星人の身体にしっかりと絡みつき、その先端は地面に打ち付けられた。
「ガッ、グァッ、ゴォォォォアッ!!!!!」
「おいおい、ンな相手になーに手こずッてンだよ、クソデブ!!」
「うるッせェ!!てめェも縛ッたろかッ!!」
そう言って、太り気味の男は再び『Y』の形をした銃の引き金を引いた。
すると、光のロープで縛られた星人の姿が、頭から徐々に消えていく。
「…あれ、何だ?何してんだ?」
「さぁ?アタシにもよく分かんないけど………」
「……さッきから、おめー、そればッかじゃん」
「だッてホントに分かんないンだもん!!」
「さて……オレも行くわ……モタモタしてッとイズミたちに点数とられちまう」
そう言って、スポーツガリは銃口の長いタイプの銃を手に構える。
それに倣って、ボブカットも小型の銃を構えて、振り返った。
「ねェ、オバサンはどッか隠れた方がいいよ……スーツ着てないし」
「だから、アタシはオバサンじゃねッつの…」
「おい、点数ッて何だよ」
「ああ……えーと……うわッ、こッち来たッ!!!!」
西の問いに答えようとしたボブカットの右斜め後ろに星人が一体迫っていた。
ボブカットは慌てて銃を構えるが、タイミングが間に合わずに星人のタックルを受け、後方に吹っ飛んでいった。
「わッ、たァッ!!!!」
「ゴォォォォォォァァァァァァアアッ!!!!」
ギョーンッ
尻餅をついたボブカットだったが、そのまま向かい来る星人に対して銃撃。
ババンッ!!!
「ふゥッ、あッぶなッ」
一方、星人の殲滅を続けるイズミの前にジーンズをはいた老人と犬が現れた。
どう見ても、普通の人間にしか見えないが、イズミはレーダーらしき機械を見やる。
「……こいつ等も星人か……」
「おッ、ンだ、あいつ等ッ」
「ぶふッ、ボスだッたらオレがやるぜッ」
「息切れしてる癖にスカすな、正日」
「てン……めッ……ぶハッ」
西は、どうしていいか分からぬまま、
ただ、黒いスーツを着た人間たちと異星人との戦いを傍観するしかなかった。
何故、自分がこんな状況下にあるのか、改めて考えさせられる。
限定された空間にいきなり移動させられ、訳も分からぬまま、奇妙な怪物と戦わせられている。
おまけに、指令を出しているものの正体は不明瞭である。
「ッたく、どーなッ……てんだ……オレ、気が変になッちまッたかな……」
視線を感じたので、振り向いてみると、化粧の濃い女がじっと自分を見ている。
「……ンだよ、なに見てんだ、気味悪ィなァ」
「ンフフ、別にィ」
(ッたく、星人もわかんねーけど、この女も何なのかよく分かんね……)
「あんた、混ざんないの?」と、彼女の方から話を振ってくる。
「……よく分かんね……まだ」
ドシュッ ドシュッ
状況を良く飲み込めずにただ傍観している二人に向かって、
いきなり光のロープが絡み付いてきた。
「あ!?」
「えッ、ちょッ、ンなッ、にッ、これェッ!!!」
「くッそッ、ンだよッ、おいッ!!!!
どーなッ………んだッ、くッそ……硬ッテェッ!!!!!」
黒いスーツを着た連中が間違って自分たちに向かって、「Y」の銃を撃ってきたのか。
ガチガチに縛られている為に簡単には解けなかった。
ボブカットの女の姿を捜すが、直ぐ目に映る場所には居なかった。
バチバチバチバチッ
必死に光のロープを解こうともがく西と化粧の濃い女の前で、火花が散った。
そして、今まで何処かに消えていた中年男性が姿を現してきたので、ふたりは目を剥いた。
「…おまッ………なにやッ…てん……」
「びっくりした?」中年男性は嬉しそうに言って、黒いスーツの人間たちに顎で示した。
「あいつ等の見てて、使い方覚えたんだ……へへへ、結構便利だよね、これ」
「じゃ……これもおまえが……ッ」
「ウン、そう……人間にも使えるみたいだね…」と、いつの間にか手にしている『Y』の銃を見せてきた。
「てめェ、なにしくさッてんだッ!!!!
脳味噌に蛆が湧いて、クソだらけになッちまッたのかよッ!!!!」
「アカネちゃんッ、ンククッ……!!
とうとう……とうとうぼくらがひとつになるトキがきたよぉ〜」
肩を揺らしながら、中年男性はズボンを脱いだ。
パンツを履いていても、中年男性の一物が屹立しているのが見て分かった。
「……マッ、マジかよ……クッソッ、誰かッ……ねェッ、キミッ、これほどけないの!!?」
「うるッせッ……こッちだッて……全然……ッ!!!!」
(ンで、オレまで縛られてんだッ………ちッくッ……しょォッ……!!!!)
どんなに頑張っても、光のロープは解けない。
そうこうしている間に、中年男性はパンツも脱いでいた。
黒く茂った中から、フランクフルトと間違えるかの様な大きなものが顔を覗かせている。
西は薄気味が悪くなり、ロープを解こうと懸命になる。
「きひひっ、これでッ、これでッ、アカネちゃんはぼくのものだッ!!!!!
あはははははははははははははははははッ!!!!!!!!!!!!!!!
あッははははははははははははははははははははははははははははッ!!!!
あーッッッはッはッはははははははははははははははははははははッ!!!!
はッ…………」
「ヌンッ!!!!!!!!!!!!!!!」
ブヂュッ!!!!!
いつの間にか、中年男性の背後にはジーンズ星人が一体迫っていた。
それに気づかないまま、中年男性はジーンズ星人の足に踏み潰されてしまった。
星人が足を上げると、もうそこには人間の形は影も形も残っていない。
まるでスパゲティにかけるミートソースである。
「ぐふッ、ぶぶっ、ぶふふふふふふふふふふふッ」
星人は肩を揺らし、光のロープで縛られたままの西と化粧の濃い女を見やる。
「……マッ…ジッかッ……ンで、また………」
ズンッ ズンッ ズンッ
一歩一歩、ふたりに近付く星人、その目は獲物を欲する野獣のそれでしかなかった。
西はこのままだと食い殺されるという恐怖に囚われた。
0009につづく
>>89〜
>>95までが最新話「0008」です。
まだ西がガンツのこととか知らない時期なので、
少々説明的になっているかもしれませんがすいません。
>>82〜
>>88 感想ありがとうございます。
これだけ反応があるとやはり書いている手ごたえを感じて嬉しいです。
頑張ります。
乙です
今回も楽しませて頂きました
今までこういうスレにレス付けたことはないんですが、かなり更新楽しみにしてるので付けました
負担にならない程度に頑張って下さい
頑張れー
フランクフルトw
ところでこのフランクフルトを見てくれ
すごく…ミートソースです…
何でミートソースなんだよこの野郎
103 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/21(金) 22:28:27 ID:evI81oEC
期待
すんません。
今、書いてる最中です。
ベタベタかもしれませんが、しばしお待ちを。
休みなのに直ぐに書けないのは、
暑さで脳味噌が死にそうだからですw
暑いけど、冷たいもの食べ過ぎて風邪引かないようになw
自分のペースで頑張ってくれい
続き待ってるぜーw
頑張れ
108 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/22(土) 23:38:40 ID:gT7vTl1h
とにかくがんばれ!!
頼むから消えるようなまねだけはやめてくれw
心からたのしみにしているぜw
0009 使用不能
ズンッ ズンッ ズンッ
星人の近付く音を耳にし、
西は自分の心臓の鼓動のリズムが急激に速まっていくのが分かった。
「ゲビッ、ゲビッ、ゲビッヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ」
と薄気味悪い声をあげながら、星人は西と化粧の濃い女(ホステス)に歩み寄る。
(………ざッけんなッ…………!!!!!!!
あんなんに食われてッ……………!!!!!!!)
光のロープを断ち切ろうと、必死にもがく。
その意思に呼応するかの様に、スーツに変化が起きた。
西当人は、恐怖と焦りに気持ちが囚われていて、その変化には気付かなかった。
キュィィィィィィィィィィィイイイイイイイイン
(………食わッ……れッてッ……………!!!!!!!!!!)
ムキムキムキムキムキッ
スーツの両腕の部分が、西の高揚する意思に応じて、ぶくぶくと膨れ上がっていく。
中学生のか細い腕は、まるでレスラーと見間違えるかの様な太い腕に変化した。
(たまッるッかッ…………ァァァァァァァァァァァァアアッ!!!!!!!!!!!!!!!!!)
バッチンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
頑なに西の身体を緊縛していた光のロープはあっさりと切れた。
ボロボロと崩れ落ちていくロープを目にしながら、西はぜいぜいと荒い息を吐く。
何がどうなっているのか、自分でもよく分からなかった。
「ハァッ……ハァッ………
あれ………どーなッ…てんだ………
オレが……切ッ………た………のか?」
身体の自由を取り戻したのが自分でも信じられなかった。
巨体のジーンズ星人をも雁字搦めにしてしまうロープをどうして自分が切れるのだろうか。
光のロープを切った自分の両腕を見やる。
ぶくぶくと膨れ上がっていた腕は、次第に元通りの状態に戻っていった。
どうやらスーツには普通の人間に超人的なパワーを与える仕組みがあるらしい。
「ちょッ………やッ………やァァァァァッ…!!!!」
化粧の濃い女の悲鳴で、ハッと西は自分の置かれている状況を思い出した。
まだ事態は好転してはいない。ただ、緊縛の状態から脱する事が出来ただけだ。
星人は西と、未だに縛られたままの化粧の濃い女に近寄ってきている。
(………どーする………どーすりゃ……いいんだ…ッ……
このスーツがありゃ…………あのバケモンに勝てッかも……)
手をグッと強く握り締める。
(………殴る………のか……直接?オレが?コイツを?)
「ゴォォォォォォアッ!!!!!」
星人が雄叫びをあげた。
その衝撃に、西の決意は揺らいだ。
(………ダメッ………だッ……こんなヤツにッ…………出来ッこ…ねェ…!!!!
………そう…だッ……あれだ……あの…ババンッてなる銃!!!!
あれさえ……ありゃ………どこだ………どこにッ…………!!!!!?)
依然、近付いてくる星人との一定の距離を保つべく、西は後ろにジリジリと下がる。
そして、視線を床に向けて、自分の求める黒い玉の部屋に置いてあった銃を捜す。
すると、グチャグチャのミートソースと化した中年男性の直ぐ横にあの「Y」の銃があった。
西と化粧の濃い女をロープで縛った後直ぐに中年男性は星人の犠牲となった事を思い出した。
(………あれかよ……いや、あれでもいッか…………
一度動きを止めて………そんでババンッてなるのを探してもいい……な……
でも…………結構、距離あんなァ………ジャンプするッきゃねェ………ぞ……)
西は星人と床にある「Y」の銃を交互に見やる。
頭の中で素早く自分がすべき事を思い描く。
「Y」の銃のある位置まで野球選手のスライディングの様に低くジャンプ。
銃を手に1回転して、着地。そのまま星人に銃を構えて、引き金を引く。
まるでハリウッド映画の主人公の様に勇ましい姿が目に浮かんだ。
(………くッそッ………ンでオレが……
気づくなよ………そのまま……アホみてェにオレを食う事考えてろッ………)
「ちょッ!!!!ねェッ!!!!!アンタッ!!!!!なんとかッ!!!!してッよッ!!!!!」
「うッ!!!るッせッ!!!!」
(……あんのバカ………余計なこと………
クッソッ……もうダメッだッ……やるしか……
モタモタして……らんねェ…………よし………よし……)
深く息を吸いながら、腰を低くする。
星人は西の動きをやや不審には思ったのか、目をぎょろりをさせた。
だが、自分より小さい西が何をしようとどうと言う事はないと考えて、また接近を始める。
息を止めて、西は床にもぐりこむ様に跳んだ。
そのまま、「Y」の形をした銃までスライディングし、キャッチ。
「……ッしゃぁぁッ!!!!!」
床に腹這いになったまま、西は星人に向けて、「Y」の銃を構える。
かなり不恰好だが、銃口はしっかりと星人に向けられている。
そして、引き金を引く。
カチッ
「…………あ?」
時間が止まった様な気がした。
何も出なかったのだ。何も出ない事が一瞬理解出来なかった。
もう一度引き金を引く。やはり何も出ない。
カチッ カチッ カチッ カチッ
「…ンだよ、これ!!!!!
ンでだよッ!!!!!!!どーッ!!!!!なッ……てんだッ!!!!!!!!!
出ねッ!!!クソッ!!!!!!クソッ!!!!!!!クソッ!!!!!!!!!」
何度、引き金を引いても、何も出なかった。
中年男性が使っていた時には出たのに、自分が手にしている今は何も出ない。
若しかして使う人間が決まっていて、その他の人間には使えない仕組みになっているのか。
いや、他の者が使っている「Y」の銃との違いは特に見受けられない。
考えられるとしたら……。
(……安全装置………安全装置が掛かッてンだッ……
そーだ……ッ……きッと……いや…でも……おッかしーぞ……
だッて……あのオヤジは………使ッた直ぐ後に………やられてんのに……
安全装置をどー…やッ………て………でも、他には……思い浮かばねェ………)
そして、仮に安全装置が掛かっているとしても、
それを解除する方法を知らない事にも思い当たった。
星人は涎を垂らしながら、肩を揺する。
(………やッべッ………もうッ………ダメッだッ……
オレは……ここで……食われ………ちま………ッ……)
ババンッ!!!!!!!!!!!
西を手で捕まえようとした星人の頭が破裂した。
呆然とそれを眺める西。
自分がやったのかと思ったが、しかし、使用したのは「Y」の銃だった。
しかも、「Y」の銃はうんともすんとも言わない。
「なーに、ボーッとしてんの、君」
「…あ」
よく見ると、星人の直ぐ背後には、ボブカットの女が立っていた。
その手には「X」の形をした銃がある。撃ったのは彼女だった。
「おめェ、遅ェよッ!!!!!
助けるなら、すぐ助けろッ!!!!!!」
「だから、おめェッてなに!?
お姉さんッて言えッて言ッたでしょッ!!!!!!」
「ッせェッ!!!!!ンなン、どーでもいいッて!!!!」
「ウォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
仲間がやられたのを見て、ジーンズ星人の集団が西とボブカットの女の周囲に出来上がった。
いつの間にか、人数も増えている。
「うわッ、こんなに来たッ」
「クッソッ……これッさえ……使えりゃッ……」
カチッ カチッ カチッ カチッ
相変わらず、「Y」の銃は引き金を引いても何も反応は無い。
「それ、下のトリガーも引かなきゃダメだよ」
「……ハ?」
「キミ、上のトリガーしか引いてないでしょ」
よく見ると、トリガーは二つあった。
ボブカットの女の言う通り、西は上のトリガーだけを引いていた。
「……下のも?同時にか?」
「そ、同時に」
「……ンだよ、それ……ワッケわかんねーな……」
星人たちの中の一体に向けて、再度「Y」の銃を構える。
そして、引き金を引く。
ドシュッ!!!!!!!!!!!!!
「ウォッ、マジでッ出たッ!!!!!」
しかし、それはあっさりとかわされてしまった。
もう一度、発射するが、それもかわされた。
「クッソッ、当たんねーぞ、これェッ!!!!!」
「ちょッ、うわッ、どんどん来たじゃんッ!!!!!」
ギョーンッ ギョーンッ ギョーンッ
ボブカットの女が何発か撃って、星人の数を減らす。
が、それは2〜3体程度で、焼け石に水も同然だった。
「ゴォォォォォォォォッ!!!!!!!!!!!」
星人は勢いよくパンチを繰り出す。
「きゃあッ!!!!!!!!!!!!!」
ボブカットの女は寸でのところでかわすが、その突風に銃を手放してしまった。
それが西のところに転がり込んでくる。
西はそれを掴んで、一度、星人の見えない建物の陰に隠れた。
「……ふゥッ……ふゥッ………
よッし………今度こそッ……やッてやる……」
「X」の銃を構える。
ドドドンッ ドンッ ドドドドドンッ
激しい音がしたかと思った矢先に、突然静寂が訪れた。
「………よッし……いくぞ……みてろ……みてろ……今だッ!!!!!!!!」
サッと建物の陰から出て、構える。
が、星人は一体も居なかった。
よく見ると、今まで囲んでいた星人は全員倒されていた。
「…………あれ………なンだ?」
「あー、カワチさんが来てくれて助かッたよー!
さすがにこの人数はアタシにも無理だもん」
「……あれ、アイツ」
いつの間にか、ボブカットの女の横にスポーツガリの男が居た。
どうやら星人を一網打尽にしたのは彼らしい。
「結構、やッつけたよね…もう終わりかな?」
「いや……まだだ……イズミたちがまだ……」
スポーツガリが指を指す方向、
道路の中央にイズミたち3人とそれに相対しているジーンズを履いた老人と犬が居た。
「…なに、あのおじーさん……」
「あれがボスかもしれん」
イズミは剣を構えた。
「来い……」
老人は肩を揺らす。
全く恐れていない様だった。
勢いよく、イズミは剣を振り下ろす。
「ほほッ」
老人はあっさりと剣を片手で止めた。
0010につづく
>>109〜
>>115までが「0009」です。
お待たせしてしまって、本当にすいません!!!
「0010」は早ければ午後あたりにでもと思ってますが、
ゆっくり待ってて下さい。
117 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/23(日) 09:59:35 ID:3wuW0TpY
おおぉぉぉw続編きたぁっぁ!!
めttっちゃ面白いと思うのでがんばってください!!
>>104 急かすなって
このクオリティなら週一でも我慢出来るし
119 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/23(日) 17:47:37 ID:3wuW0TpY
来たか!待ってたぜ
今回も面白いな、まあ気長にがんばってくれb
0010 強者たちの宴
ジーンズを履いた老人の体形の星人が、イズミの攻撃を受け止めたのを見て、
やや後ろに下がっていたミナミや太り気味の男は口笛を吹いた。
イズミは動じる事なく、剣を手元に引き寄せる。
「マージかよッ、あのジジィ、結構やるじゃねェか…」
「ぶふッ……!久々に手ごたえありそーなヤツが出たな……!!
イズミ、さッさと死んで、オレに代われッ!ぶふッ!」
「アホか、オメーは豚と交尾してろ」
「ンだとッ、クソッ!!!」
二人の会話にはお構い無しに、イズミは再び剣を構える。
老人のジーンズ星人は、にこにこと爽やかな笑顔を向けて、イズミを手招きする。
お前など相手にならないと言いたげなアクションだった。
イズミは冷静に距離をジリジリと縮める。
老人の急所に的確に剣を切り込むタイミングを計っているのだろう。
西たちは、ミナミや太り気味の男よりもやや遠くから戦いを見守っていた。
「……アイツ、強いぞ……ヤツがボスか?」
「…だいじょうぶだよ……イズミくんなら……きッと」
「ねェッ、ちょッ、あんた等ッ、ねェッたらッ!!!!」
後ろを見ると、まだ化粧の濃い女(ホステス)が光のロープで縛られたままだった。
「……あ……」
「なーにが、あ、だよッ!!!!これ、さッさとほどいてくんないかなァ、もォッ!!!!」
「ゴメン、ゴメン」と、ボブカットの女が化粧の濃い女のロープを切りに歩み寄る。
「……時間は……あと15分か……いい感じだな」
「……ねェ…」
西は、スポーツガリの男(ボブカットからカワチと呼ばれていたが)に言った。
「あの…ジーサンみてェなのも………星人、なんだよね」
「…まァな」
「あんた等、星人の数とか知ッてるみてーだけど……その変な機械で……」
「……で?」
「あのジーサンみてーなのと……あと犬か……あれ、倒したら、どーなんの?」
「帰れるよ」
「帰れ……るのか?」
スポーツガリは頷いて、視線を西からイズミに戻した。
イズミは深く息を吐いて、2度目の攻撃を開始。
しかし、老人は短い時間でイズミの攻撃のタイミングを見切っていた。
イズミの攻撃をさらりとかわし、イズミにパンチをお見舞いした。
「ほほォッ!!!!」
そのまま、イズミは吹っ飛ばされて、尻餅をついた。「……チッ」
「おいおいおいおい、ジジィ、マジで強ェ〜じゃん!!!!」
「いいぞッ、ジジィッ!!!!イズミをやッちまえッ!!!!!!」
「…おまえ、よく言うよ、ッたく」
「ほッほッほッほッほッほッ」
老人のジーンズ星人とイズミが戦っている横で、
ジーンズを履いた犬は素早く左の方角へと走っていく。
それを認めたスポーツガリが言った。
「おいッ、犬が逃げるぞッ、誰か追えッ」
「……え〜……オレが行くんスかァ?」と、ミナミは嫌そうな顔をする。
「犬、だしなァ…点数も低そうだし……おめェ、行けよ、デブ」
「ッせェぞッ、オレはあのジジィをやるんだよッ」
「動物同士、お似合いじゃん」
「……なにやッてやがんだ、あのバカども」
スポーツガリは呆れて『X』の銃を構える。「……オレが行くか」
「ああ、いいよ、いいよ、カワチさん……アタシが行く」
と、ボブカットの女が名乗り出た。
その後ろには光のロープの緊縛から解かれた化粧の濃い女。
「キミも来る?」
「……あ、オレ?」
西は少し考えた。
「………ま……いッか…ついてくわ」
(……コイツが居なくなると、危険になるパターンばッか続いてるし……)
「あ、ねェねェ、待ッてよ、アタシを置いてかないでくんない?」
「…オバサンはジッとしてた方がいいと思うけど?」
「おいッ、何度も言わせんなよッ、アタシはオバサンじゃねェッてのッ!!!!」
「ハイハイ……じゃあ、危なくなッたらどッか隠れてね…」
西、ボブカットの女、化粧の濃い女は逃げ去った犬を追跡した。
一方で、イズミは老人に攻撃をかわされながらも、老人の動きの特徴を既に掴んでいた。
徐々に、自分が劣勢にまわっている事に気づいた老人からは余裕の笑みは消えていた。
ドシュッ!!!!!!
老人の動きの隙を見つけ、剣を心臓の部分に切り込む。
うっと呻いて、老人はその場に崩折れた。
「……ふゥッ………」
「ほッほォ〜、イズミさん、さッすがァ〜!圧勝じゃないッスかァッ!!!」
「運が良いだけだろ……オレなら最初の突きで勝ッてたぜ、ぶふッ」
「もういいから吉野家にでも行けよ、豚肉」
「…て……めッ……!!!!!」
「……転送はまだか?」と、イズミは振り返らずに言った。
「あ……そーいや………」
「まだ逃げた犬がいるぜ」スポーツガリが答えた。
「……あの犬………」
一方、西とボブカットと化粧の濃い女の3人は犬のジーンズ星人を追い詰めていた。
犬は、「くゥ〜ん」とか弱い声を出して、3人を見上げてきていた。
「あー……なんか、ヤだな……
あたし、ワンちゃん大好きだし……
でも………しょーがないよね〜……」
そう言って、ボブカットは『X』の銃を構える。
「ゴメンねェ、ワンちゃん、痛くない様にするから………」
「うわ〜、ちょ、マジでやんのォ、アタシ、見たくないんだけど」
化粧の濃い女はそのまま目を背ける。
構わずに、ボブカットは『X』の銃の引き金を引いた。
ギョーンッ
発射と同時に、犬は勢いよくジャンプした。
ババンッ!!!!!!!!!!
タイミングよく避けた為、犬の尻尾だけが破裂した。
「キャィィィィィイイン」
悲痛な声を上げて、犬はのた打ち回った。
ボブカットの女は、しまったという顔をして、もう一度銃を構える。
「今度こそ……お願い、ワンちゃん、じッとしててッ!!!」
「あ〜あ、あんなに血が出て……痛ェな、ありゃ」
「うるッさいなァ、もうッ!!!!」
「……ン?」
「……え?」
西とボブカットは同時に声を上げた。
犬が身体を小刻みよく、震わせ始めたからだ。
そして、まるで地震が発生したかと思わせる唸り声を出した。
「ヴッ、ヴッ、ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ、ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ」
「………おッ、おいッ、コイツ……」
「え、え、なに、なに?ちょ、え、なに、何で、ウソッ、ウソッ、ウソーッ!!!!」
ゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキッ
先程までは犬だったものが、次第に狼と見紛う様な形態に変化し、
更にその大きさは西やボブカットが顔を見上げなければならない程にまでなっていった。
「わッ!!わッ!!ちょ!!なにこれェッ!!!!
どーなッッッてんのッ、これッ!!!!!!」と、化粧の濃い女が素っ頓狂な声をあげる。
「ヴヴヴヴヴォォォォォォッ!!!!!!!!!!!!!」
巨大化した犬のジーンズ星人は、4足歩行から2足歩行に切り替わり、
自分を追い詰めた人間を睨み付けた。
「おッ、おいおいおいおいッ、マジかよッ、コイツッ!!!!!」
「……さッ、さがッ……後ろにッ………」
ズンッ ズンッ ズンッ ズンッ
「こッ……こッこッ……こんなの倒せ……るワケ……」
「………あッぶなッ!!!!!!!!!!!!!!!」
犬は大きく振り上げた腕を思い切り降ろした。
ドドドンッ!!!!!!!!!!!!!!!
「おッわァァァァッ!!!」
「きゃあああああッ!!!!!」
圧倒的なパワーを秘めた犬のパンチは、地面に大きな穴を開けた。
直接命中しなかったものの、犬がパンチを繰り出した際の衝撃波が、
西とボブカットと化粧の濃い女を後方まで吹き飛ばした。
3人はそのまま地面に転がされる形になった。
「ハァッ……ハァッ……ッてッ………」
「……うッ……う〜んッ……」
ズンッ ズンッ ズンッ ズンッ
犬のジーンズ星人は吹き飛ばされた3人に歩み寄ってきた。
「ヴッ、ヴヴヴヴヴッ、ヴヴヴヴヴヴッ、ヴヴッ、ブッフッフッフッ、ヴヴヴヴッ」
「………おッ、おい……やッ………やッばッ……」
「ひッ、ひィッ」
化粧の濃い女は犬の接近を認めると、
立ち上がって、そのまま回れ右をして走った。
犬はそれを見るや否や、再び腕を振り下ろした。
ドヒュッ!!!!!!!!!!!
「あッ!!!!!ああああああああああああああッ!!!!」
その衝撃の爆風を食らい、化粧の濃い女はそのまま宙に吹っ飛ばされ、
やがてその姿は見えなくなってしまった。
「ヴヴヴッ、ヴヴヴッ、ヴッヴッヴッ」
ボブカットの女は尻餅をついたまま、『X』の銃を構えた。
だが、その手は震えていて、とても頼りない。
「……ハァッ………ハァッ……イッ………
イズミ……くん……はやく………はやく……きて……」
引き金を引こうとした瞬間、
犬のジーンズ星人はまた大きく腕を振り下ろした。
ドシュッ!!!!!!!!!
その衝撃で、ボブカットの女はまた更に後方へと吹き飛ばされた。
(………こんなのッ……反則だろッ………
かッ……勝てッこ……ねーじゃん………!!!!)
犬のジーンズ星人に気づかれない様に、
西はゆっくりとゆっくりと距離を離していった。
それに気づいたのか、犬のジーンズ星人は西を睨んだ。
「………ッ……」
西は動きを止めた。
すると、犬の身体から引き離されて破壊された尻尾が西に絡みこんできた。
さっきとはうってかわって、巨大な尻尾に変化している。
「ッわッ、わッわッ、わわわわわァァァァッ!!!!」
雁字搦めにされた西は、全く動けなくなってしまった。
犬のジーンズ星人は吹き飛ばされたボブカットに狙いを定めた。
衝撃波のせいで、彼女は『X』の銃を何処かに落としていた。
素早い動きで、星人はボブカットの女を掴んだ。
「きゃッ、あああああッ!!!!!」
「ヴヴッ、ヴヴヴヴヴヴッ、ヴヴヴヴヴヴァァァァァァッ!!!!」
犬のジーンズ星人は両手を使って、
ボブカットの女の身体を強く握り締めた。
あの肉体を強化してくれるスーツならば、耐えられる筈だ。
西はそう思いながら、自分に絡み込んでくる犬の尻尾を何とかしようともがいた。
しかし、握り締められるボブカットの女のスーツが異常な音を発し始める。
「あッ、あッ、ああッ、ヤァァァァッッ!!!!!
イズミくゥゥゥゥゥゥゥゥゥん!!!!!!!!!!!!」
キュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
ドロッ ドロッ
風船が萎む様な音と共に、
ボブカットの女のスーツから奇妙な液体が流れ出てきた。
(……ンだ、あれ………スーツ……どーなッ……)
「あッあッあああああッ」
「ヴヴヴヴヴヴッ、ヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ、ヴッヴッヴッ」
ゴキッゴキッボキッゴキッゴキッパキッ
「ああああああああああああッ」
0011につづく
>>122〜
>>129までが「0010」です。
皆さん、励ましのお言葉ありがとうございます。
自分のペースで無理なく書いていきたいと思います。
131 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/23(日) 20:30:33 ID:3wuW0TpY
ボブカットオォォォォォォォォォ!!!!!
まさか俺の鬼畜珍子が反応するとは思わなかった
主GJ
楽しみに待ってるよ
嫌だよころさないでよおおおおお!!!!!!
_, --―- ,,,,
, "',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`' 、
, ' /:.:.:.:.:\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
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\:::::::::::::::::k/ :::ヾソ~`_ヽ、:::::::``;,;,;,,、:::::::::::::::::`':.....、
`' 、:::/ ..::::::,' ̄"::::::::ヽ:::::::ヽ;,;,;`;::、::::::::::::::::::::::::゙:....、
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!/, `''":! ..:::::::::::"ヾ-、゙ヽ::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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.!,´\ l :::::::::::::::::::::::: r;;,,__ ノ /:::::::::::::::::::::::::::::::_ノ
l|:::::::ヽ ::::::::::::::::::::l ,...:::'";:,‐ー ''''''''''''''" ´
,'i_ -=,' ! ::::::::::::::::::::;;`"":::::::,';:/
iヽ`"ノ .i i:::::::::::::::::::::,::::::::::::::::::,';ノ 気に入った 家に来て妹をファックしていい
| " ,':::::::::::::::,:::'"::::::::::::::, '!
! _,,, '" ...:::::::,:::'"::::::::::::::::::::/:.:.!
` 、::;;;__:::'"::::::::"::::::::::::::::::::::::::/:.:.:.i
ボブカット・・・お前のことは忘れない・・・
ボブ…
期待age
うわああああ、ぼ、ボブカットォオオオオオ!!!
まてまて
鬼星人時のレイカとか、かっぺ星人時のレイカとか、天狗に捕まったのぶやんとかも文章にすればきっとこんな感じさ!!
おつ
うーんこないすね!
0011 激突
ボブカットの女の身体は、犬のジーンズ星人が強く力を込める度に、甲高い音を鳴らした。
次第に悲鳴は小さくなり、その代わり、彼女の身体は小刻みに痙攣を起こし始めた。
口から血の泡が吹き出し、息を吐くと、それが赤い霧状となって空中に散る。
犬のジーンズ星人はそれを面白がっているのか、喉をゴロゴロと鳴らし、
力をこめたり、弱めたりと緩急をつけ出した。
その一方で、西は犬の身体からちぎり飛ばされた尻尾を解こうと苦闘していた。
まるで意思でもあるかの様に、尻尾は西を動かせまいと確りと頑張っている。
もがけばもがくほど、尻尾のパワーは上がっていく様に感じた。
(ちッ……きッしょッ………!!!!!!!!!
ンだよ、このッ…………強ェッ……このスーツでもッ………!!!!!!!!!
何かねェかッ………これ……切断できるモンッがッ………!!!!!!!!!!!!)
ゴキャッ ゴキャッ パキパキパキッ ゴキャッ パキョッ
骨が折れる音が鳴り止むとほど同時に、ボブカットの女の身体の痙攣が止まった。
いくら力をこめても、もう反応はなかった。
犬は残念とでもいいたげに、喉を鳴らして、ボブカットの女を握る両手をそのまま捻った。
ギュッ!!!!!!
ボブカットの女を握ったまま、両手を広げた。
ブチブチブチブチッ!!!!!!!!!
ボロ雑巾のごとく、彼女の身体は引き裂かれた。そして投げ捨てられた。
それはまるで玩具に興味を失った赤子の様だった。
(やべェッ!!!!!!!……やべェッ!!!!!!!
次はッ……オレがッ…………ン……なろォッ……!!!!!!!)
犬のジーンズ星人は、尻尾に絡まれている西を見下ろして、
どうしようか考えているのか、動きを止めた。
その頭上から突然火花が散った。
バチバチバチバチバチッ
「ヴヴヴッ」
犬が頭上を見上げると同時に、空中からスーツを着た人間が3人出現した。
スポーツガリ、ミナミ、太り気味の男だ。
3人の手には何れも剣があった。
犬に向かって、勢いよく、3人の剣が振り下ろされた。
ガッキィィィィィィィィィィンッ!!!!!!!!!!!!!
「ンなッ!?」
「うおッ!!!!!?」
「ンだよッ、こいつッ!!!!!!
硬ッテェェェェェェェェェェェェェェッ!!!!!!!!!!!!」
犬は剣が振り下ろされると同時に、自分の体毛を鉄の様に硬くした。
3人の剣は犬の身体に傷一つ付ける事なく弾き返されてしまった。
「クッソッ!!!!もう1回だッ!!!!!!」
「ミナミッ、よせッ、そッから離れろッ!!!!!!!!!」
「あ!?」
スポーツガリは犬の身体が小刻みに震えるのを認めた。
犬の硬化した体毛は、
そのままロケット弾の様に360度全体に放たれた。
ドシュッ!!!!!!!!!!!!!!!!!
第2次攻撃のチャンスを逸し、3人は犬の身体から発射された体毛のロケット弾を食らい、
それぞれ後方に吹っ飛ばされた。
「……ッソッ、あのワン公がッ!!!!
これで一気にカタを付けてやらァッ!!!!」
そう言って、ミナミは『X』の銃を手に取った。
が、気づいた時には、犬は既にミナミに向かって突進をしている最中だった。
「うッおッ!!!?」
慌てて攻撃の態勢に入ろうとするミナミだったが、
犬の動きの方が勝っていた。
犬は左腕を大きくスイングさせて、ミナミにぶつけた。
ミナミは更に後方に吹き飛ばされた。
その際に『X』の銃も何処かに叩き落とされていた。
「ヤッロッ!!!!!」と、腰を上げるミナミ。
だが、彼のスーツがあの異常な音を発した。
キュゥゥゥゥゥゥゥゥウン
ドロッ ドロッ
「うッわッ、やッべッ!!スーツがッ!!!!」
ミナミはスーツの変化に戸惑い、後ずさった。
「おいッ!!誰かッ!!
このクソ犬、殺ッてくれッ!!!!」
犬は相変わらず、ミナミにターゲットを絞っている様だった。
が、その間にも背後に居るスポーツガリや太り気味の男に対する警戒も怠っては居なかった。
要するに、全く隙がないという事だ。
「なんてヤローだ……強すぎる……」とスポーツガリはぼやく。
「おいッ、デブッ!!!
ボーッと突ッ立ッてねーで、さッさとコイツを殺れよッ!!!!」
「ッせーな、ぶふ…ッ…。
オレがいつ殺るかはオレが決める……ま…おめーが死んだ後でもいいけど……」
「てめェッ!!!!!スカしてんじゃねーよッ!!!!
さッきはあれほどラスボスをやるッて張り切ッてたろーがよ!!!!!」
「だからよ……やるのは、もうちょい様子見てもいいかなッて思ッただけだ…ぶふッ」
ミナミと太り気味の男がいがみ合っている間に、
西はミナミの手から振り落とされた剣を手に取っていた。
「よッしッ………これがありゃ……」
「ヴヴッ!?」
「……あ?」
バチバチバチバチッ
ミナミの一歩手前で、突然火花が散った。
そして、そこからひとりの男が出現した。
イズミだった。
「……イズミッ!」
「イズミさん!」
イズミは右手に剣を持って、犬の前に立ちはだかっていた。
「気をつけろ、イズミッ!!!!
そいつの身体、金属みてーに硬ェぞッ!!!
オレたちの持ッてる刀じゃ、そいつは切れねー!!!!」
「……そーみてーだな……さッき見てて分かッた」
「……見てた…のか?」
犬のジーンズ星人の身体が鋼鉄のごとく硬いのを知っていて、
尚且つ、イズミは剣を構えていた。
何か勝算があるのだろうか。
「おい、カワチ、その刀、こッちによこせ」
「あ?」
「いいから、よこせ」
何が何だか分からないまま、
カワチと呼ばれたスポーツガリは自分の持っている剣をイズミに向かって放り投げた。
受け取ったイズミは、二刀の剣を両手に、犬に突進した。
その場に居た全員が目を剥いた。
「ウッソッ、正面から!?」
「正気かよッ、おいッ!!!!!」
「ヴヴオォッ!!!!!」
向かい来るイズミに、犬も体勢を整えた。
ダンッ!!!!!
勢いよく跳躍したイズミ、
そしてそれに応じて巨大な両手を大きく振り上げる犬。
双方、己の力すべてを持ってぶつかった。
0012につづく
GJだけど、ぐわぁあぁあぁあぁ
149 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/29(土) 20:42:38 ID:/genT0SV
うわぁあぁああ、ボ、ボブカット…!
犬強いけど、イズミがどうたちむかうのか…!?
先が気になる
>>150 まとめGJ!
ミナミと豚の会話が好き
面白い
0012 狂気の目覚め
イズミは跳躍したその勢いに乗って、
それに応じて向かって来る犬のジーンズ星人の両目に二刀の剣を刺し込んだ。
「ヴォッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
犬は思わぬ攻撃に動きを止めたが、
イズミはそれに構わずに、剣に力をこめる。
「ヴッ、ヴッ、ヴォォォォォォォォォッ!!!!!!」
苦痛にもがきながら、犬はイズミをその大きな両手で掴んだ。
その場に居る全員が、目を見張った。
犬の凄まじい力でボブカットの女が捻じ切られたのを全員が想起していた。
イズミを除いて、だが。
掴まれたイズミの顔には、恐怖は無かった。
その逆、彼は笑っていた。
「オラ……どーした………そんだけかよ?」
イズミは犬に掴まれても、自身の両手にあるそれぞれの剣を手放さなかった。
そのまま、剣を前に推し進める。
「ヴォッ!!!!オッ!!!オッ!!!オオオオオオオオッ!!!!」
犬は何とかイズミの攻撃を止めさせようと、力をこめる。
バキッ バキッ バキッ バキッ
「おッ、おいッ、やばいんじゃねー、これ!?」と、ミナミ。
「イズミッ……」
うろたえるスポーツガリたちだが、
肝心のイズミはまるで動揺していなかった。
キュゥゥゥゥゥゥン
ドロッ ドロッ
イズミのスーツが異常な音を発した。
全員が息を呑んだ。
「やッ、ばッ………!!!!!」
「ハッ……ハハハッ」イズミは笑っていた。
「おもしれー……勝負といくか……どッちが先におちるか………ッ……」
「ヴヴヴヴヴヴヴヴォォォォォォォォッ」
バキバキバキバキバキッ
凄まじい音を身体から発しながらも、
イズミは剣を前に押し込み続けた。
ようやく尻尾を切断した西だったが、
イズミの無謀ともいえる行動に呆気にとられて、その場に立ち尽くした。
バキッバキッバキッバキッ
「ハハハハッ!!!!!
こりゃ、やべーッ!!!!マジでやべーぜッ!!!!
アッハハハハハハッ!!!!!!」
(……なんだよ……あの……イズミッてヤツ……
………なんで、あんな状況で………おかしーのかよ……どッか……)
「……カワチさん………加勢した方がよくね?」
ミナミは『X』の銃を構えていた。
が、それをスポーツガリが止める。
「……まッ……待ッ……待て……下手したら……イズミにあたる」
「…じゃあ………このままじゃ……」
ズズズズズンッ!!!!!
激しい地響きに、一同はイズミと犬の方に振り向いた。
先に崩折れたのは、犬の方だった。
「………マッ……マジ?」
「……お……わッた……のか……」
だが、勝ったイズミも流石にただでは済まなかった様だった。
犬の物凄い力によって、イズミの両腕の骨は砕かれていた。
その証拠に、イズミの両腕はぶらぶらと重力に任せて揺れ動いているだけだったのが分かる。
イズミが勝った事を確信したスポーツガリたちはほっと深い息をついた。
「……ふーッ………無茶しやがるヤローだな……」
「イズミさん、カンベンしてくださいよ〜!!マジあせッたッスよ!!!!」
「チ……余計なことしやがッて……ぶふッ……」
イズミは両腕を伸ばしたまま、腰を下ろす。
「……誰か、レーダー確認しろ……まだいるかもしれねェ」
「え〜、もう終わりッしょ?
ボスはイズミさんが殺ッちまッたしよ」
「いや……終わりなら転送が始まッてるはずだぞ」
スポーツガリはそう言って自身の手にある小型の機械を取り出した。
その間、西は恐る恐るイズミに歩み寄って、言った。
「………なァ……」
「あ?」と、イズミは気だるそうに顔をあげる。
「……あんたさァ………怖く………ない……ワケ?」
「……何が?」
「何がッて………こういう目に……遭う事が………さ……」
「別に……」
どうとでもないといいたげにイズミは首をかしげた。
「……あんたの……カノジョがあんな風になッてもかよ」
「カノジョ?」
「……アイツ……」と、西は犬に捻じ切られて捨て去られたボブカットの女の惨殺死体を指差す。
イズミはチラッと見るだけで、また視線を西に戻す。
「カノジョじゃねーけど?」
「……だからさ……ヒトがあんな風に……殺されちまッてんのに……
なんとも……思わねーのかな………ッて……」
イズミは肩を竦めてみせた。
分かり切ってる事を聞くなとでも言いたげだった。
「ヒトはいつか死ぬんだ………そーなッたトキはしょーがねーんじゃねーか……」
「しょうがない……のか?」
「おい……反応あるぞ…」と、スポーツガリが西とイズミの会話を遮る。
「………まだ2匹……近いな……直ぐそこ…」
スポーツガリが指を指す方角に、何か人影が見えた。
目を凝らすと、そこには2匹の小さいジーンズ星人がお互いしっかりくっついてうずくまっていた。
「あれ………かよ」と、南は拍子抜けした様子だった。
「子供の星人みてーだな」
「ッしゃッ、オレが殺るぜッ、ぶふァッ!!!」
「さッきと違ッて、威勢がいいじゃねーか、チキンヤローが」
「ッだとッ!!!」
「……おまえさ……」と、イズミが西に言った。「まだ1匹も殺してねーよな」
「…ハ?」
「あれ、おまえにやるわ」
「……何を?」
イズミはその質問を無視した。「カワチ、おめーの銃、貸してやれよ」
スポーツガリに『X』の銃を手渡された西だったが、まだ何の事だかよく分からなかった。
「……ボーッとしてねーで、早く殺してこい」
「オレが……やんのか……?」
「この先、おんなじことをずーッと繰り返していかなきゃなんねーんだ…
今のうちに慣れといた方がいいだろ………」
西は、怯える2匹の小さい星人を見やった。
恐らく、今までイズミたちが殺してきた中に親や仲間もいたのだろう。
その全てを失い、その敵が今度は自分たちをも襲おうとしている。
その恐怖からか、2匹の星人はただ震えているだけで、何もしてこなかった。
西はどうすればいいのか戸惑った。
「早くしろよー、もうタイムリミットきちまうじゃねーか」と、ミナミが急かす。
「……やれねーなら、オレがやろうか」
「カワチ、おめーは黙って見てろ」
イズミは重い腰を上げて、
2匹のジーンズ星人と向かい合う西の横に立った。
「………考えるこたねー……
こいつら、人間じゃないんだ……
殺したッて、別に罪には問われない……寧ろ、殺しとくのが得策だ……」
「……得策……」
「そう……こいつら、死んだッて誰がどうなるッてワケじゃねェんだ……」
西は、イズミの言葉を頭の中で反芻した。
(……殺したッて構わねェ………のか………
確かに生きてたッて……誰かの得にも損にも………ならねーのかも……
そーだ……そー……なんだ…よな……ゲームでもそーだ……
ゲームでも、色んなバケモン殺したけど……誰かが困ッたことなんかない……
それと……同じ………なんだ……)
2匹の小さいジーンズ星人は抱き合って、叫んだ。
それと同時に、西は『X』の銃の引き金を引いた。
ギョーンッ ギョーンッ
「パギーッ!!!!!」
ババンッ
バババンッ
ついさっきまで生きていたものは、あっさりと亡き者となった。
西は銃を構えたまま、自分が殺めた生物の亡骸を見下ろした。
「……終わッたな……念のために、レーダー確認しとけよ」
イズミは何事もなかったかの様に振る舞いつつも西にそっと耳打ちした。
「……どーだ……」
「……あ?」
「気分いいだろ」
「………ハァ?」
「スカッとしただろ。
生き物を殺して………なんか……わいてこねーか?」
「…ンなわけ……ねーじゃん……」
イズミはフッと笑った。
「まァ、いッか……そのうち、分かる…おまえはオレと似てる」
「…アンタと?オレが?」
返事が返ってくる事はなかった。
その前に、スポーツガリの頭が徐々に消え始めたからだ。
「転送が始まったか…」
「あー、なんか、今回はちょッと苦戦しちまッたなー…ダッセ」
ミナミはボリボリと頭を掻いた。
次にミナミ、イズミ、太り気味の男の姿が消えた。
西は自分の移動が始まるまで、
自分が殺した2匹のジーンズ星人の亡骸をずっと見つめていた。
0013につづく
>>154〜
>>159までが「0012」です。
やっとここまでこれました……
それからまとめてくれた方、
どうもありがとうございます。
タイトルまでわざわざ書いていただいて。
振り返ってみると、もっといいタイトルつければよかったと思います。
面白いなー
公式の方もやっと面白くなってきて、
GANTZファンにはうれしい限りです
最後まで頑張ってくだちい!
大好きです乙です
熱い!!
>>160 乙!
いやサブタイも結構本家っぽいと思うよwwww
また貯まったらまとめるわ
まとめあげ
>>150
いつも楽しみにしてるお( ^ω^)
面白い
0013 長い長い一日
ジジジジジジジジジジッ
自らの手で殺めた星人2匹の死体を見下ろしている最中、視界が変わった。
徐々に目に飛び込んできたのは、約1時間ほど前に連れて来られた黒い玉が鎮座する部屋だった。
そこには、既に移動を終了させたイズミ、スポーツガリ、ミナミ、太り気味の男が居た。
「………戻ッ……てきた……のか?」
イズミは西が戻るのを確認するや否や、黒い玉に向かって言った。
「よし、全員戻った。ガンツ、とッとと採点始めろ」
その黒い玉は、カウントダウンの数字を表示していた。
『00:02:18』とある。残り2分18秒ということらしい。
下2桁が17となり、16となり、15となっていく。
もし、時間内に戻って来なかったら、一体どうなっていたのだろう。
頭の中に仕掛けが施されているくらいだから、何らかの制裁があるかもしれない。
そんな事を考える西を他所に、他の面々はそれぞれに身支度をし出した。
「…ッたく、マジで今日は危なかッたなァ……」
「ぶふッ、情けねーヤツ……オレがいなきゃヤバかッたんじゃね」
「猫の手も借りたいッてゆーがよ……豚の手は借りても意味ねー」
「てめェ、マジでそれウゼーよ!」
「おまえら、やめとけ!」と、スポーツガリが諌めて、西の方に顔を向ける。
「……新入りで生き残ッたのは、ずいぶん久し振りだな……」
「そうだよな、帰ッて来なくていい関取が帰ッて来てるけどよ」
「ぶふッ、死にかけたクセしやがッて」
スポーツガリは肩を竦めた。
「……いつものこッたな……」と言って、ミナミの方を指差す。
「あの茶色のロンゲは、ミナミ……南隼人(みなみ はやと)……。
で、南と言い合ッてるデブが茨木進(いばらき すすむ)………」
「オレはデブじゃねェ、筋肉質なだけだ、ぶふぁッ」
「オレはカワチ…河内武士(かわち たけし)……」
「おいッ、ガンツッ、早く採点しろッ!!!!」
「で……あそこに居ンのがイズミ………和泉紫音(いずみ しおん)」
「いずみ…しおん……本名?」
「そーらしいぜ」
「ガンツ!シカトしてんじゃねェ!早く採点しろ!」
「……あいつ、さッきからひとりで何言ッてんの?ガンツ……ッて何だ?」
河内は和泉に視線をやって、また西に戻した。
「よく分かんねーけど……あの玉のことらしい」
「……あの玉?玉がガンツッてゆーの?どーゆー意味だ?」
「さァ……」
「ッてか、何で採点しねーんだよ、コイツ」と、南が言った。
カウントダウンが残り1分を切った時、黒い玉からレーザー光線が発射された。
全員が目を見張る。
ジジジジジジジジジジジジジジジッ
「あれ?誰か、まだ生きてたのか?」
「だッて、オレたち以外、みんな死んだだろ?」
レーザー光線は最後の生還者を描き出した。
それは、金髪で化粧の濃い女(ホステス)だった。
「あら……?部屋……?なに、ちょッとォ……またここなのォ?」
「新顔が二人か……」
「たまーにあるよな、こーゆーコト」
河内やミナミが感心しているところに、
黒い玉が「ちーん」と音を鳴らした。
カウントダウンがゼロとなり、それが消えると、文字が表示された。
それぢわ ちいてんを はじぬる
「……あァ?ちいてん……?」
西は眉を吊り上げた。
採点の事なのだろうか。
最初に部屋に連れて来られた時も、画面表示の文字には誤りが多かった。
日本人が書いているのだろうか、それとも外国人なのだろうか。
もしくはわざとやっているのだろうか。
いずれにせよ、ふざけている様にも思える文字にはある種の不気味さが感じられた。
画面が切り替わり、今度は画像と文字が同時に表示された。
「……ンだ、オイ、これ」
でぶ 12てん
TOTAL 52てん
あと48てんでおわり
文字の横にある画像は、茨木進そっくりの顔が描かれている。
茨木の顔を見た誰かが漫画風に描いてみせたかの様な似顔絵だった。
「チッ、12点かよ……もッといッてるだろ、ぶふッ」
茨木は画面を見て、残念そうに言った。
(……12点ッてなんだ、これ……)
西が画面を睨んでいるにも構わず、玉は画面を切り替えた。
次に表示された画像は、南そっくりの顔だった。
「あ……オレだ」
北斗と… 16てん
TOTAL 55てん
あと45てんでおわり
「…ハ?北斗?なに、これ?」
「オレにもよく分かんね」
また画面が変わり、今度は河内の採点結果が表示された。
タケちゃん 14てん
TOTAL 59てん
あと41てんでおわり
「タケちゃんッ…て」
「オレのこと………らしいな…」と、河内はいいにくそうな顔をした。
次に表示された画面を見て、西は心臓が飛び跳ねた。
映し出された画像は、まさに西そっくりとしか言いようがない似顔絵だったからだ。
「はァあ?これ、オレ!?」
フルチン 2てん
TOTAL 2てん
あと98てんでおわり
「……ンだよ、これ………」
南と茨木が口を押さえて、肩を揺すった。
「思い出した……そーいや、こいつ……」
「ぶふッ………恥ずかしいヤツ……」
次に表示されたのを見て、化粧の濃い女(ホステス)が素っ頓狂な声をあげた。
「あれ……ちょ、なに、これ……あたし!?」
ほすてす 0てん
言葉づかい悪過ぎ フルチン見てはしゃぎ過ぎ
TOTAL 0てん
あと100てんでおわり
「やッだ、もう!なに言ッてんの、この玉!」
と、化粧の濃い女は両手を頬に当てた。
そして、次に表示された採点結果に、南たちは声を上げた。
和泉くん 26てん
TOTAL 63てん
あと37てんでおわり
「おおー、さすが和泉サン!」
「……まぐれだ、まぐれ、ぶふッ」
部屋に帰って来た面々の採点を終えると、黒い玉は何も表示しなくなった。
それを機に、和泉たちは帰る支度を始めた。
初めて来た西と化粧の濃い女(ホステス)はただ呆然とそれを見ている事しか出来なかった。
それに気づいた河内が声を掛ける。「もう終わりだぜ……ドア開いてッから」
「え……あの……もう………帰れるの?」
おずおずとホステスが言った。河内は頷く。
「ウソだろ……」そこに西が割り込んだ。
「今の玉の画面に『あと何点で終わり』とかあッたぜ………」
それはつまり続きがある事を意味するのではないか。
西はそう考えていた。
「なかなか鋭いじゃねーか………。
その通り、続きはある……が、取り敢えず今回は終わりだ」
「……今回はッて………」
「いずれ、また呼ばれるよ……その時までは何事もない」
「えー!マジでー!
またあんなことしなきゃなんないワケー!?カンベンしてよー!」
ホステスは頭を抱えた。
(また……呼ばれる………今回みてーに宇宙人と何度も戦わなきゃなんねーのか……)
西は、だんまりを決め込んだ黒い玉を見やった。
無機質なその黒い玉を作った者は一体何を考えているのか。
全く読めなかった。読めないだけに余計に気味が悪かった。
黒い玉の部屋があるマンションから出て、約1時間半、西は家に向かって歩いた。
凄まじい事を経験したにも関わらず、今の西の心には何も出てこない。
寧ろ、何かを考えない様に頭の機能がシャットアウトしているかの様だった。
考えなければいけないことは山ほどある。しかし、今は敢えて何も考えない様にした。
家に到着した西だったが、家に入ってもいいものかどうか迷った。
自宅の前に1台のパトカーが停車していたからだ。
恐らく万引きの事件のことで来たに違いない。
何故、自分のところにきたのかも容易に想像がつく。
雨宮と山岡。あの二人のことだから、自分のことを喋っただろう。
当然、学校に問い合わせて、自宅を突き止める事になる。
(ちッくしょう………どーなッてんだよ!!)
西は深く息を吐いた。
全ては桝谷たちに唆されてやったことだと主張するしかないのか。
だが、桝谷たちは口裏を合わせて、しらばっくれるだろう。
何を考えても行き止まり。完全に袋小路だった。
家の前で立ち止まって考え込んでいたところへ、玄関のドアがいきなり開いた。
そこには恐らく警官と思われる男性が2名とその間に母親が居た。
「ジョーちゃん!」
母親は、西を見るなり、泣きながら抱きついてきた。
「ジョーちゃん!今まで何してたのよ!
ママ、とッてもとッても心配だッたんだから!!!!」
「……いや……あの……」
「いやー、奥さん、息子サンが見つかッてよかッたですなァ」
警官の片方、白髪の警官が言った。
話を聞くと、警察は西の万引きについてはまるで何も知らなかった。
母親が、いつまでも息子が帰ってこない事を心配して警察に通報したのだという。
それと同時に、西に似た男子学生がビルの屋上から飛び降りたのを何人もの人間が目撃する騒ぎも起きた。
そこで、警察が駆けつけたという次第であった。
好都合とばかりに、西は色々な出鱈目を言った。
コンビニエンスストアの一件は一切口にしなかった。
桝谷たちの事を考えると腹立たしいが、今は事を明るみに出すべきではないと判断した。
特に母親が目の前にいるのではそうするしかなかった。
警察が引き上げた後、気まずい沈黙が流れた。
その沈黙に耐え切れず、西は2階の自室に戻ろうと決めた。
「……もう寝るの?お腹すいてない?」と、母親が言う。
「うん……もう寝る……疲れた………」
そのまま自室に上がりこんだ。振り向きはしなかった。
「………ハァ〜………」
制服のまま、ベッドに倒れこんだ。急激に疲れに襲われた。
今日一日だけで色んな事が起こった。人知を超える体験までした。
これは夢なのだろうか。今日一日の出来事は全て夢なのだろうか。
しかし、西は制服の下にそのまま着用しているあの黒いスーツを見やった。
黒い玉の部屋から出てきても、このスーツは消えていない。
スーツを着ている感触はしっかりとある。これは現実なのだ。
不可解だが、黒い玉の部屋で体験したことは全て現実。
ベッドに横たわったまま、そう思う西の耳に携帯電話が鳴る音が入る。
自身のズボンのポケットからケータイを取り出す。メールの着信音だった。
「……あれ……」
発信先は、同じ学習塾に通っている木内瑤子だった。
彼女に学校で起こった小便の事件をばらされたくない為に、西は万引きをする羽目になった。
嫌な予感がして、メールを開封してみる。
『いい歳しておしっこもらすヒトッてサイテー』
ただ、これだけの一文だった。
が、西は深いどん底に突き落とされた気分だった。
「…………これも現実だな」
こうして、西の長い長い一日は終わった。
0014につづく
175 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/05(土) 18:18:01 ID:pSNyNH2t
174>>乙です
毎回楽しみにしています。
これからも頑張ってください。
176 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/06(日) 10:58:20 ID:U02otPLX
面白い
177 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/06(日) 11:43:38 ID:PwUSRWmJ
乙!早く続きがみたいなぁ・・・
178 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/08(火) 22:59:31 ID:Ej5XoHVC
すごく面白くて毎回楽しみにしてます!!
続き書くのがんばってください
乙
続き楽しみにしてます
0014 検索
翌日、西は学校を休んだ。
母親も気遣ってか、何も言わずに承諾してくれた。
兎に角、今は気持ちを整理したかった。
訳の分からない出来事に巻き込まれ、混乱していた。
しかし、迷宮入りしている訳でもない。
黒い玉は何なのか、そしてその部屋に人間を連れて来て何をしようとしているのか。
西は、それを自分なりに回答を見つけたいと僅かながら思い始めていた。
朝食のトーストを食べながら、『めざましテレビ』を観る。
軽部のくだらないジョークにうんざりし、チャンネルを変える。
今度は大嫌いなみのもんたが掲示されている新聞に乱暴に赤ペンで丸をつけている。
結局はNHKのニュースが一番無難だと感じる。
「東京都世田谷区に住む会社員・向井雅文さんの長女、向井花蓮ちゃん6歳が先月から行方不明になっています。
捜査は難航し、警察は花蓮ちゃんの行方不明になる直前の服装及び花蓮ちゃんの特徴の公開に踏み切りました。
現在、警察は花蓮ちゃんの目撃情報等を求めており………」
西がパンをかじろうとした矢先、次のニュースが始まった。
それを見て、西は手を止めた。
見出しは、『新宿で謎の爆発、テロの可能性ありか?』と出た。
「昨夜、新宿で建物の窓ガラスや陳列物、及び車やバイクが爆発するという事件が起きました。
目撃者の証言によると……」
アナウンサーのナレーションと共に、昨夜の事件の一般人によるビデオ撮影が映った。
誰も居ないのに、車が突然揺れたり、転倒したりしている映像だ。
間違いなく、これは黒い玉に連れて来られた自分たちが引き起こした事件だった。
一般人の誰にも自分たちの姿ははっきりと目撃されていない。
分かっているのは、誰も居ない場所で勝手に爆発したりしているという事だけ。
黒い玉の指令を受けて新宿に行っている間は、自分たちは透明人間と化されていた。
だから、誰も黒いスーツを来た奇妙な人間の存在には気付かない。
しかし、爆発に関しては、まるで注意が行き届いていない好い加減さがよく分からない。
何が良くて、何がダメなのか。その基準はあやふやの様に思えた。
「お天気予報の後は、スポーツニュースです。
いよいよ来週木曜、WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ!亀田興毅対ファン・ランダエダが実現します!」
CMに切り替わったところで、西の興味はテレビから離れた。
昨夜の出来事が再び頭の中に浮かび上がってくる。
母親がそこにコーヒーミルクのお代わりが要るか訊いてきた。
「ねェ、ママ……」
そこで言いよどんだが、母親が何なのか気になる表情をしたので続ける。
「………宇宙人ッて……ホントーに居ンの?」
その質問に、母親は一瞬だけきょとんとしたが、直ぐに眉間に皺を寄せた。
「ジョーちゃん、あなた、また夜中にこっそりSF映画観たんでしょう?」
「観てないッて」
「エイリアンなんか観ちゃダメッて言ッたでしょう!
あんなくだらない映画、精神衛生上良くないんだから!」
「だから、観てないッてば!もういいよ!」
母親は西の言う事をまるで取り合わなかった。
埒が明かないので、その場を離れ、自室に戻った。
パソコンの電源を入れて、インターネットに接続する。
ネットなら、自分が体験した出来事の謎に対する糸口が少しはつかめるかもしれないと思った。
少し考えて、『がんつ』という文字を入力して、検索した。
『居酒屋がんつ』
『がんつ-UO人解析装置』
『おきらくせいかつ@ばなでぃーる えれがんつシールド』
『飛び入りがんつさん!ダバダバルウ!』
『8/30 がんつさんを探せ!』
等等、どう見ても黒い玉の部屋とは関係があるとは思えない結果が飛び込んでくる。
深く溜め息をつきながら、次の検索結果を見てみる。
次のページに、興味深いタイトルがあった。
『連載小説 世界の終わりを見る時は、きっとこんな気分なんだろう』
クリックしてみたが、内容は矢張り黒い玉とは無関係だった。
小説の主人公の名前が雁津(がんつ)なので、検索にヒットしてしまったのだと判った。
次に『がんつとは』という項目があったので、何の期待もなしにクリックしてみる。
がんつとは……
GANZ
・ドイツ語で「とても」「全部」を意味する形容詞。
・ドイツ系の苗字のひとつ
ブルーノ・ガンツ
ガンツ・アーブラハム
・ガンツ・アーブラハムが創設したハンガリーの企業の総称。ガンツ(企業)。
GANTZ
・アニメ『アニメ宇宙戦艦ヤマト』の登場人物。⇒ガンツ(宇宙戦艦ヤマト)
・『がんばれ!!ロボコン』『燃えろ!!ロボコン』の登場人物。⇒ガンツ先生
・松本大洋著作、『GOGOモンスター』の登場人物。⇒ガンツ
想していた通り、表示された内容は殆どが黒い玉とは無関係に思えた。
しかし、一番最初の行に書かれている一文が妙に頭にこびりついた。
「とても……全部……を意味する……形容詞………」
暫くして、自分がしている事がバカバカしく思えてきた。
肩を竦めて、パソコンの電源を切る。
「ハ……なにやッてんだ……オレ……」
翌日は土曜だったので、学校は休みだった。
結果的に事件以来、西が登校するのは月曜日になった。
クラスメートの反応は様々だった。
「あれ……西だ」
「生きてたのかよ」
「誰だよ、西死んだとか言ッてたの」
それを無視して、自分の席につこうとするが、そこで変なものが目に入った。
自分の机の上に、ダンボールが置いてあるのだ。汚い字で「西の墓」と書いてあった。
西が立ち止まると同時に、周囲のクラスメートから笑いが漏れた。
ぐっと唇を噛み、西はダンボールを退かした。
ホームルームのチャイムが鳴る。担任の吉元が西の姿を認めるが、何も言わずに出席をとる。
「佐藤健次郎」
「はい」
「清水孝信」
「はーい」
「高田哲」
「高田は休みでーす」
「おお、そうか……知久和重」
「はい」
「中澤肇」
「はーい」
しばらく間を空けて、「広瀬真樹夫」
そこで、またクラスメートの笑いが漏れた。
西が何も言わないので、やれやれと吉元は苦笑いした。
「おいおい、西、居るんなら返事しろ。
まさか本当に死んでるんじゃないだろーな、ええ?」
「………ハイ」
「よかッたな、息はしてるみたいだな」
「アッハッハッハ」
ホームルームが終わると、いきなり後ろから誰かが肩を掴んだ。
振り向くと、目の前に桝谷の顔があった。
「よォ、ずいぶん久し振りじゃん」
「……ウン………」
「学校終わッたらよ、俺らと遊びに行こうや……おまえも仲間に入れてやる」
「いや……僕、塾あるから」
「おいおい、友達の誘いを断んのかよー、オレ、すッげーショックだよ」
「……分かッたよ…行くよ」
帰って来たのだ。現実に。
西は肩を落とした。
0015につづく
>>180〜
>>183までが「0014」です。
お待たせしました。
日常編を書くのって思った以上にしんどいですね。
でもここをちゃんと描かないと、ミッションが引き立たないので
押さえておかなくてはいけない部分だと思ってます。
ああ、早く次のミッション入りたい…
頑張って書きます。
お疲れ様!
興味本位で覗いたら面白かった!
頑張って下さいね!
前回途中で終わっちゃって続きが気になってたんだよね。楽しみにしてます。
お疲れ様!!
大変だろうけど頑張って!
ゆっくりでも大丈夫だよ
0015日常の中の非日常
いつもの様に学校の授業を終えたが、憂鬱な気分だった。
桝谷たちがしっかりと自分の後ろについている。
学校の外までも桝谷たちの悪意が付き纏う事を考えると寒気がした。
何処かに遊びに行くという事らしいが、言葉とは裏腹のものには違いなかった。
ふと校門を見ると、そこには西と同じ学習塾に通うノブの顔があった。
若しかすると桝谷から逃れる口実が出来たかもしれない。
西はホッとしたが、それを桝谷に悟られまいと直ぐに表情を隠した。
よく見ると、木内瑤子や須藤愛実の姿も見受けられる。
瑤子には、西の小便事件が知られているので気まずかった。
が、この際、気にしている余裕は無い。
兎に角、桝谷たちと離れる理由を作るにはノブたち3人は必要だった。
だが、その期待も桝谷の次の一言で打ち砕かれた。
「よォ、みんな、待ッたァ?」
「ああ、桝谷くーん」と、瑤子が手を振った。
自分が休んでいる間に何が起こったのか、想像するだけでも腹が立った。
「うーッし、じゃあみんな行くかァ」
「桝谷くん、カバン持つよ」
「おおォ、ノブ、いつもわりーな!」
西は呆れてものも言えなかった。
ノブはいつの間にか、桝谷の舎弟の一人の様な感じになっていた。
しかし、ノブは桝谷の様な人間を街中で見かけるといつも怖がっていた。
自分が攻撃されない為の防衛手段をとっているのだと、西は解釈した。
が、それが分かっていても、ノブの行動にはある種のしつぼうを感じていた。
「なァ、瑤子ちゃんさ」と、急に桝谷が声を小さくする。
「なんか急にヤリたくなッちッた、ホテル行かね?」
「ええー!」
瑤子は眉を顰めたが、決して嫌そうな顔ではなかった。
「な……いいだろ?」
「……んー………いいけどさー……ちゃんとゴムつけてよ?」
そう言いながら、桝谷は西の方に視線を向けて、唇を歪めた。
「みんな、悪ィ!オレ、瑤子ちゃんと遊ぶからさー、先帰ッててくれよ!」
この後、桝谷と瑤子が何をするかと思うと、西は気分が悪かった。
だが、桝谷が目の前から消えてくれるのは有り難かった。
村田と山岡だけならば、何とか耐えられるだろう。
いくら桝谷の下についたとはいえ、ノブが自分の手出しをするとはあまり考え難い。
そんな事を考えている自分の横で、村田と山岡がキャッチボールを始めた。
何処で拾ったのか、二人がキャッチボールに使用しているのは古びたテニスボールだった。
西は、それが自分に当たるのではないかと思って、なるべく離れていた。
「ノブ!おまえもまざれよ!」
「あ……う、うん」
「オラッ!」と、村田が勢いよく投げる。
が、それはノブの頭上を通過していった。
「あ……」
「やべッ!!!!!!」
ドゴッ!!!!!
テニスボールは、西たちから見て正面の道路の脇に寄せられていたセルシオのボンネットの部分を見事にへこませていた。
運転席側のドアが開くと、そこから明らかにその筋の人間と分かる風貌の男が出てきた。
黄色のサングラスをはずしながら、男は怒りを露にした目で西たちを睨んだ。
「……オレの車にボールぶつけたのは、どいつだ、ああ?」
「あ……あの」と、村田は言いよどんだが、ハッと思いついた顔をして答えた。
「コイツです!」
村田は、西を指差した。
「…てめー……どーなるか、分かッてんだろーな……
オレの車、傷つけやがッて…………」
(おいおいおいおいおい、冗談じゃねーよ!!
ふッざけんなッ!!!!!!!!オレ、全然関係ねーし!!!!!!)
気づくと、村田たちはその場から逃げていた。ノブの姿も消えていた。
男は西の胸倉を掴んだ。
「歯ァ食いしばれよ、坊主」
「……ちょッ、まッまッ!!!!!」
男は西の顔面目掛けてパンチを繰り出した。
バゴッ!!!!!!
ものすごい音がした。
が、西の顔にはまったく傷はない。
鼻のあたりを狙ったにも関わらず、鼻血も出てない。
男は「おや」と眉を吊り上げた。
西の顔に傷が付かないのが気に入らないのか、男は何度かパンチを繰り返す。
だが、西の顔には矢張り傷がつかない。
まるで壁にパンチしているかの様な頑丈さで、逆に男の拳の方が傷がついてきた。
「……ハァ……ハァ……てッ、てめー………ンなンだよッ」
西はそれに答えずに後ずさりした。
男は西が逃げようとするのを察知した。
「待て……コラ……」
「おい、マサル!」
「……あ、兄貴」
男は、助手席から出てきた連れの顔を見て、萎縮した。
「そんなガキ、ほッとけ」
「で、でも、コイツ、オレの車……」
「ボールぶつかッたぐれーでギャーギャー騒ぐんじゃねーよ」
そう言って、助手席の男は西の方に目を向けて、「もう行ッていいぜ、次からは気をつけな」
「チッ、クソッ!!!!」
西は自分を殴った男の舌打ちを聞きながら、すぐにその場を離れた。
早足で歩きながら、自分の制服の下にある黒いスーツを見やった。
(……スッゲェ………使える………このスーツ!!!!)
0016につづく
乙!
結構原作の雰囲気出てる気がする
195 :
EDP:2009/09/15(火) 02:08:41 ID:5q5yLvOL
GANTZ大好き、西クン大好きな僕。
この物語、一気に読んじゃいました。とっても楽しませてもらいました。
僕もちょくちょくバイオハザードやGTAの小説を書くんですけど、原作の雰囲気をここまで損なわずに書けるのは凄いと思います。
応援してますよ
>>1さん。
和泉と西君の絡みが、とっても興味深かったです。
196 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/18(金) 09:48:24 ID:ajUFJORL
更新してたか
相変わらず面白いな 頑張ってくれ
ここの西君のお話大好きです!
正直、MinusよりもGANTZの雰囲気が出てるとおもいます(笑
小説書くのは大変でしょうけど、頑張って下さいね!
応援してま〜すp(^^)q
198 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/18(金) 22:33:56 ID:ABukxWHe
「やりたくなっちった」とかw
5連休での更新に期待
皆さん、どうも。
こんだけ応援してくれると書いてて良かったと思います。
マイペースに最後までいきたいと思うんでよろしく。
5連休だから更新しまくれるってワケじゃないんで、
そこんとこは申し訳ないけどご容赦下さい。
ずっと書いてたら死んでまう。
死なない程度に頑張ってくれ
マイペースでいいから、やめないでくだちい
0016 実験
西の目の前には、ファンタのグレープ味の空き缶が3個並んでいた。
そのうちの一つに目掛けて黒い玉の部屋から持ってきた『X』の銃を向ける。
上トリガーと下トリガーの両方を引く。
ギョーン!
奇妙な音がした数秒後、狙いを定めた空き缶が爆発した。
どういう仕組みになっているのかは分からないが、
『X』の銃は引き金を引いた後に一定時間の遅れがある。
撃たれた的にその効果が出るのは引き金を引いた数秒後。
そして、この銃器の弾丸(といってもいいのか不可解だが)は、
標的の内部から外部に向けて爆裂する様になっている。
試し撃ちした空き缶の残骸を見やると、それは明らかだった。
空き缶の中に小さい爆弾を入れて爆発させたかと思える様に、
内部から爆発した形跡がハッキリと見て取れる。
標的の内部に入ってその中で着弾するという事なのだろう。
弾丸そのものが見えないのも、時間の遅れがあるのも、
この内部から爆破するという仕組みゆえのものかもしれない。
しかし、こんなものが現在の人間の科学で作れるものだろうか。
西にとっては、そんなことはあまり問題ではなかったが。
誰が作ったにせよ、これは西にとっては天からの啓示に等しかった。
神様なんてものが本当にいるのかどうか、西にはどうでもいいことだ。
しかし、もし本当に神がいて、西のことを天から見ていたのだとすれば、
これは神からの贈り物と解釈してもいいのだろう。
ムチャクチャな世の中に対する制裁を自分に課している。
西は嬉しさのあまり、笑いが口から漏れた。
そして、次の空き缶に銃口を向ける。
だが、引き金は引かなかった。
(………こんなモン撃ッたッて、全然面白くねーよなァ………
折角だし…………人間でも撃ッてみるか…………なーんてな………)
西は、ふと思いついた事を直ぐに頭から消した。
こんな楽しい玩具を与えてもらったのだから、もう少し楽しもう。
騒ぎを多くすればするだけ、それは自由を奪われる事を意味するに他ならない。
西は、自身の日々の暮らしから、それをよく分かっていた。
(………まだ試してみてーことは………たくさんあるしよ)
手首につけている小型の機械を見やる。
これも黒い玉の部屋からもって来たものだった。
意図的ではないが、知らず知らずのうちに持ってきたもののひとつだった。
スーツも銃も黒い玉の部屋以外でも充分に使える事が分かった。
西は機械を適当に操作してみる。
バチバチバチバチッ
翌日、西は担任の吉元に職員室に来るように言い渡された。
先日の暴力団員の車にボールをぶつけた事が学校にも伝わったらしい。
そして犯人は西ひとりのものだという結論も出ている。
西が誰かの罠に嵌められたという考えは、教師たちの間にはこれっぽっちもない様だ。
今更だったので、西自身も特に何も言わなかった。
「西ぃ……おまえ、こんなことやッてたら、進学できねーぞ………。
くだらねーことばッかやッてねーで、何か打ち込んでみろ………青春だよ、青春!」
(うるッせーな、クソ教師が……)
吉元の小言が頭に入らない様に意識的にシャットアウトした西は、
ふと吉元の向いの席に座っている世界史の担当である中谷を見た。
パソコンが日常生活に密着しているこのご時勢に鉛筆を使っている。
本人曰く、どうしてもパソコンを使う気にはならないのだそうだ。
中谷は58歳という教員の中では、校長の次に年齢が上なのだが、
生徒の間では評判は悪くない。
西も、中谷にだけは小言を言われたことはなかった。
だが、接点が無いだけで、中谷に良い印象があるワケでもなかったが。
「おい、西!聞いてるのか!
校長先生がわざわざ謝罪に出向かなかったら、おまえ、やばかッたんだぞ!」
吉元の声で、はっと目が覚めた様に西は意識を吉元に戻す。
吉元の言う事にうなずきながらも、西の目は澤本に向いていた。
「……じゃあ明日までにノート1枚分の反省文書いてこい……」
と言い捨てると、吉元は見切りを付けたように背を向けた。
西が直ぐには動かなかったのを気配で察して、吉元はまた振り向くと、
「おい!もう行ッていいぞ!」
バチバチバチッ
「ン?なんだ?」
「じゃあ失礼しまーす」と言って、西は職員室から出た。
4時限目終了のチャイムが鳴ると同時に桝谷は席を立った。
「西ー、オレの分のパン牛取ッてきてくんねー?」
「……オレ、用事あるし……」
「あァ?」と、桝谷は凄んで西に近寄る。「おめー、なんだか知んねェけど、近頃生意気だな」
周囲のクラスメートの間に張り詰めた空気が漂う。
しかし、本心は桝谷が西を殴る所を見たいという欲望しかなかった。
退屈な学生生活の鬱憤を晴らすには、それもいいという考えがあった。
「ションベンもらすだけじゃ物足りねーのかよ?」
「………ハイハイ、わッかりました……取ッてくればいいんでしょ」
「帰り、覚えとけ。気合い入れてやるからよ」
桝谷は教室を出て男子トイレに向かった。
携帯を取り出しながら、個室トイレに入って、ドアを閉じる。
「あー、瑤子ちゃーん、うーん、今終わッたー、あはは、オレも会いたいよー」
カツッ
何かが床にあたる音がした。
意識がそっちにいったものの、何の異常もないのでまた携帯に耳を傾ける。
「週末さー、遊園地行かねー?うん、うん、でさー」
ズボンとボクサーパンツをおろして、便器の上に腰を下ろそうとした次の瞬間、
尻に強烈な痛みを感じた。
「痛ッてッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
思わず声が漏れた。
『え?なに、なに?どーしたのォ?』
「……ッ……ンだッ、今の………」
何かが尻にぶつかったのだと分かり、桝谷はそっと自分の尻に手をやった。
奇妙な事に細くて硬い棒みたいな物が尻にくっついているのが感触で分かった。
いや、くっついているというのは正しい表現ではなかった。
自分の足元を見やると、赤い液体がポタポタと垂れて、赤い水溜りを作っていた。
その赤い液体は自分の尻から出ているのが分かると、桝谷の顔が青くなった。
堪らず、自分の尻を見やる。
1本の鉛筆が尻の穴に刺さっていた。
救急車のサイレンに、生徒たちは興味を惹かれて外に目を向けた。
しばらくすると、城傘中学校の正門から救急車がやってきた。
同時に、教師数名に担がれた桝谷が救急隊員の担架に乗せられ、救急車に運ばれる。
何があったのだろうと周囲の生徒は級友と顔を合わせた。
それを横目に、西は深く息を吐いた。
(…………鉛筆じゃ生温かッたかなー………ホントーなら包丁とかでも良かッたんだけど)
肩を竦めて、手首にある小型の機械を見やる。
(………これがありゃ、もう怖いモンなしだぜ……完全犯罪でも何でもアリだ!)
ゾクゾクゾクゾクッ
いきなり、首筋に奇妙なものを感じた。
思わず、手で首を摩る。
「………なん……だ…………寒気……が」
0017につづく
>>202〜
>>206までが「0016」です。
で、訂正なんですけど
>>204のところで「澤本」って名前が出てきますが、
「中谷」の間違いです。ごめんなさい。
次のミッションも楽しみだな
更新されてないか毎日除いてしまう。
自分のマメさにびっくり。
更新きたと思ったらただの独り言だった時の虚しさ
それ、まさに私orz
212 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/26(土) 18:38:12 ID:Fg8qFE2q
もうすぐ日曜ワクワク
続き楽しみワクワクワクワク
hosi
すいません。書く予定でしたが、うまく書けません。
頭の中に描いてみようと思うことは浮かぶんだけどいざ文章にしようとすると
何も出来なくなってしまうんです。
同じ文章を繰り返したくないんで、何かうまい言い回しはないかと考えると
ますます何も書けなくなってしまう。
書ける文章が浮かぶまで、ちょっと待って下さい。
待たせてる人には申し訳ないんですけど………
良い話にしたいという気持ちもあるんで、安易な描き方したくないだけなんですけど、
止めるつもりはないんで、ご安心下さい。
でも更新がここまで辛いとは思ってもみなかった…。
>>210 >>211 ごめんよ…。
って、この書き込みしたら、また誰かががっかりしちゃうんだろうな。
wktkしてみた人…。ごめん。
連投スマン。
>>215 無理しないようにね。
待ってる人は沢山居るけど、待たされるだけの
価値はあるって思ってるから。
がんばって☆
大丈夫です。待っていますので、頑張って下さい
ルダボウさん
お疲れ様です!
私も趣味で小説を書くのですが、そうゆう時って一行書くのもしんどいんですよね(;*_*)
…なんて、稚拙な小説しか書けない私が言う台詞じゃありませんがf^_^;
とにもかくにも、素敵な小説が出来上がるまで、いくらでも待ってますね♪
頑張って下さい!
>>215 >>211だけども、気にしないで下さい(´・ω・`)
カキコした私も共犯者ですからW
>>214 そういうのはあるある
文章書くのって難しいよね
しかも不特定多数の人に読まれると思うと余計に…ね
俺の個人的な意見だけど、ゆっくりで大丈夫だから、是非最後までやって欲しい
>>210だけど
>>215どまww
俺も共犯w
220 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/28(月) 23:26:21 ID:0xN9cofN
みんないつでも待ってるから気楽にね〜
221 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/29(火) 15:35:35 ID:t3cL5Yr2
ここには良いヤツしかいねえwwwwうぇww
西「なんだよこのノリは」
西「俺は今からワクワクしてるよ」
ほ
225 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/02(金) 20:33:00 ID:ZdMh8CA4
おもしろすぎるwしかし犬ジーンズ星人強すぎだろ。
刀きかないんだったら20点以上あってもいいだろ
ほしゅ
つつつづききききよよよよよみみみみててててええええええええええええ
ヤンジャンの小説より格段に面白いな
規制でも食らったか
手こずってるんでしょ
どんな漫画も日常編は苦労するだろうし
小説なら尚更
231 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 05:37:09 ID:lC4zYZ4f
「やれるもんならやってみろやッ!!!オゥ!!コラァッ!!!」
ギョーンギョーン
バチンッ
「・・・ふウ・・」
返り血を浴びた和泉は
目の前にある飛び散った肉の塊を見て
深くため息ををついた。そのまま和泉はおもむろに殺した相手のポケットをまさぐり財布と車のキーを取り出した。
「22・・・23万か・・」和泉は抜き取ったお金を数え終わると
先ほど奪った車のキーを使い
車に乗り何事もなかったようにその場を立ち去った。
「つまんねェ・・・」
和泉は何に追われる事もなくただ平凡に生活をしていた。
誰よりも恐怖やスリルを欲する和泉はそんなごくふつうな生活にうんざりしていた。
ただこうやって人を殺す事によって、なにかと区別をつけているように感じていた。
「ただいま」
「おかえりーしー君!」和泉は今1つ下の彼女と同棲している。
といっても和泉はただ素泊まりするだけのようなものでほとんど家にはいなかった。
「もーおッそいよーなにしてたのー?」
「ごめん・・・ちょっと友達とトラブルがあって・・・」
「そうなんだ・・・とりあえず・・ご飯たべる?」
「ごめん・・今はいい・・」
「そっか・・・」
和泉は少しうつむいた後、ポケットから携帯をとりだした。
「ごめんちょっと電話してくる・・・」
そう言残すと和泉はどこかに向かうようにまた家をでた。
232 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 06:38:46 ID:lC4zYZ4f
「そうだよ・・今日帰る・・」
「もう心配しなくていいから・・・」
「ああ・・そうか・・・それはよかった・・・また連絡」
ゴンッ!!!!!
車に乗りながら電話をしていると
後ろから車が煽るようにいきなりおかまを掘ってきた。
「・・・!?」
するとおかまを掘ってきた車が和泉の乗っている車に併走するように横につけた。
「オイ兄ちゃん!その車兄ちゃんの車かッ!?コラッ?」
窓から明らかにヤクザとわかるような男が和泉に向かって叫んでいる。
「
「きたきた・・・ッ」
和泉は
少し悪いことを思いついたかのようにニヤリとと笑いアクセルをおもいきり踏み込む。
「ちょっとまた後でかけるッ!」
そう言い電話を切ると和泉はハンドルを強く握りしめた。
「こいよッ!ハハハハハハッ」
和泉は今までのテンションをひっくり返すように笑いあげた。
「オイッ!コラァァッ!!」
怒声と車の排気音が夜に響きわたる。
233 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 06:57:44 ID:lC4zYZ4f
和泉はこういう事態が起きている事を恐怖と感じず
楽しみとさえ感じていた。
なぜこうなるのか、自分でも説明がつかない。
ただただ本能的なものが和泉を駆り立てていた。「待てやコラァァァァ!」
「誰が待つんだよバーカ」
和泉は冷めた顔で前を見つめながら呟いた。
すると和泉の背中に突然水のしずくが落ちたように寒気が走った。
「あッ・・・・」
234 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 10:08:11 ID:VIWt5lwV
ジジジジジジジ
「オッ・・・」
「おっ和泉さんきたッ」スポーツガリの男がそういうと
場の空気が少し安堵につつまれた。
ジジジジジジジ
「あッ・・・」
続いて西と思われる人物が転送されてきた。
「コンバンワー」
ほすてすの女が西に向かって挨拶をした。
「・・・」
西は少し睨みつけるようにほすてすの顔を見た。
235 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 10:08:39 ID:VIWt5lwV
「なッなによー」
ほすてすは続けて言った。
「まあいいけど」
「てかやっぱり今回もまた前みたいなことをやンの?」
ほすてすの女は皆に問いかけるように聞いた。
「ああ・・・たぶんこれからずっと続くよ」
河内がつぶやいた。
「フーン」
ジジジジジジジッ
また誰かが転送されてきたようだ。
236 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 10:08:57 ID:VIWt5lwV
「カワイイコだといいなァ・・・」
デブの男がそういうと皆が転送されてきた人物に目をやる。
転送されてきたのはガッチリした自衛隊にでも入っていそうな
丸坊主の男だった。
【本文4】
「なんだ男かよ・・・ッ」
「うッせーよデブ」
「デブじゃねぇッつッてんだろうがッ!筋肉だッ」
そんな中丸坊主の男が言葉を発した。
「なんやァおまえらァ?」
その言葉使いに少し皆が違和感を覚えた。
続けて丸坊主の男が喋る。
237 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 10:09:28 ID:VIWt5lwV
「ッてかいつもの場所じゃないし」
「ッてかほんまにあんたら誰?」
丸坊主の男は笑いながら皆に聞いた。
「誰ってあんたこそ誰って話だけどまぁ・・・」河内が丸坊主に首を傾げながら言った。
そのあいだも西と和泉だけは何も言葉にせずただ黙ってみていた。
「ッていうか、喋り方が関西だよね!大阪の人?」
なんだこれ
ルダボウさんじゃないような…希ガス。
本人ならトリつけるでしょ。
>>1じゃないです。
>>1さんいないからスピンオフ的な感覚で書いてみただけです・・・
もしいらなかったら書かないし
もし読んでもらえるんだったら続きを投下するよ。
あと規制で書き込めないからメールくれると助かる。
GANTZのSS載せるスレじゃなくてルタボウさんのSS載せるスレだから、書くなら別スレに
ルダボウさんがんばれー!
保守
0017 再訪
「止めろ!止めろッ!」
「和泉にボール運ばせんなッ!!!」
サッカー部の練習場には、部員の叫び声がしきりに飛び交っていた。
それを他所に和泉は素早い動きでもって、ボールを相手チームのゴールまで運んでいく。
ひとりやふたりでは和泉は止められない事を部員たちはよく承知していた。
だから、3人がかりで攻めざるを得なかったのだが、あくまでも和泉は一人で動く。
但し、ワンマンになるわけでもなく、和泉はここぞという時には味方にパスをする。
決して和泉は自分だけで得点しようとか自分だけが得点できると自惚れている訳ではないのだろう。
味方チームの個性を生かしつつも、自分に対する相手チームの警戒を分散させるのが巧い。
味方にパスをして、ゴール近くまで行くと、和泉自身がボールを決めた。
相手チーム、味方チームともに静かだった。
何故かと言うと、和泉がゴールを決めたと同時にフィールドの外から女性陣の歓声が飛んできたからだ。
悔しい事に和泉以外の人間がゴールを決めても女性陣の反応は薄い。
しかし、さらにもって悔しいのは、それだけではない。
そもそも、女性陣がこんなところに居るのがおかしいのだ。
それはというと、自分たちが居る学校が男子校。
つまり、教員及び事務員の女性を除けば、男子校に女性が居るという事はめったにない。
あるとすれば、年に一度行われる文化祭に他校の女子生徒が来るくらいだろう。
だが、サッカー部の練習が行われる時には、必ず他校の女子生徒が和泉を見にやってくる。
それが、サッカー部のほかの部員には悔しくてたまらないのだった。
が、だからといって、それが理由で和泉が他の部員から苛められたりする事はない。
和泉は自分のゴールを防ごうとして転倒したキーパーに歩み寄った。
「だいじょーぶか?」
「……あ、ああ、悪ィ、平気平気」
この様な細かい気配りを決して忘れない。
スポーツだけでなく、勉学でも突出しているにも関わらず。
ここに和泉が女子生徒だけでなく男子生徒にも好かれている理由があるのだ。
練習が終わると、部員は世間話をしながら更衣室に向かう。
「なァ、今日さー、亀田の試合行く?」
「ハァ?行けるワケねーじゃん、チケット持ッてねーよ」
「オレ、知り合いにコネあるからさー、顔パスで行けるぜ」
「ウッソッ、マジ!?」
「スッゲッ、生で観れんの!サイコー!」
「和泉、どーする?」
「……ン、どーしよッかな」
答えようとした和泉の前に女子生徒の大群が押し寄せてきた。
和泉は苦笑いしながら、それを迎え入れる。
「ねェ、和泉クンッ、今日さ、映画観に行かない?」
「あー、抜け駆けズルイッ」
「………いいなー、オレも言われてみてーよ、映画観に行かないッ?」
「しょうがないよな、和泉はモテるし」
「オレらだけで行くか」
だが、和泉は申し訳無さそうに言った。
「悪ィ、オレ……今日、用事あるから」
部員たちは「おや」という顔をした。
和泉は女性は苦手らしいが、女性が嫌いというワケでもない。
だから、女性の誘いは余程の事がない限りは断らない。
同級生の不思議そうな反応、女子の残念そうな反応を他所に和泉は小声で呟いた。
「…………今夜……か」
『ニュースをお知らせします。東京都世田谷区で起きた向井花蓮ちゃん誘拐事件について新たな進展がありました。
警察の発表によりますと、行方不明になる1時間前の花蓮ちゃんを目撃したという情報が入ったとの事です』
南はテレビのニュースを他所に、『X』の銃を確認した。
「あーあ、ついてねーな……よりによッて今日かよ」
今日の午後7時から亀田興毅とフアン・ランダエダの試合をテレビで観戦するつもりだった。
しかし、若しかすると、それも叶わないかもしれない。
数分前に独特の寒気を感じてから、試合観戦を断念せざるを得ないと覚悟を決めた。
黒い玉の部屋に呼ばれる様になってからというもの、必ず感じるこの独特の寒気には毎度ウンザリさせられる。
黒い玉の部屋に呼ばれる時間はその時その時によって違うので、若しかすると試合の冒頭は観れるだろう。
そう考えている南の後ろから人の気配がしたので、慌てて銃を隠す。
振り向くと、彼が同棲している中国人女性の顔があった。
「ネェネェ、ハヤト、今日ノ夕飯、何ニスル?」
「悪いけど、鈴(りん)、今日は夕飯はいらねーや」
「何デヨ?」
鈴は眉間に皺を寄せた。
「ちょッと用事があんだよ」
「女デショ」
「ハァ?」
「女ガデキタンデショ!!最近、ハヤト、ソレバッカリ!!!!」
鈴は台所から包丁を持ってきて、南の前に立ちはだかった。
「殺シテヤル!!!!」
「おいおい、やめろよ、オレが鈴以外の女を作るワケねーだろが」
「ウルサイッ!!鈴ノ事、愛シテナインデショ!!!!殺シテヤルッ!!!!」
「やーめろッての!」
「ホントに鈴ノ事ガ好キナラ抱イテヨッ!!!!」
「今かよ……」
時計を見やる。まだ6時前だ。時間は充分にあるだろう。
南はズボンを脱いだ。鈴は嬉しそうな表情で南に抱きつく。
「早クチンチン挿レテヨ!!!」
「わーッた、わーッた」
「どんくらい経った?」
竜也はバイト先の『松屋』で一緒に勤務している尚美に訊いた。
尚美は壁の時計を見やる。
「もう1時間くらい……」
「マジかよ、なんなんだよ、あのデブ」
ここ最近、よく顔を見せる様になった常連の男のことである。
眼鏡をかけていて、やや太った体格をしている事も相俟って、竜也や他の仲間も覚えてしまった程だ。
豚メシを注文しながら、「ぶふッ」と息を吐くので、『豚男』とあだ名されている。
その『豚男』がトイレに入ってから1時間が経過していた。
「竜也くん、ちょッと見てきてよ」
「ンだよ……ンでオレが………」
「だッて……キモイし……」
「オレだッてヤだよ………ッたくよ、くッそッ」
渋々、トイレの個室のドアの前まで出向く。
耳を澄ましてみるが、まるで気配が感じられない。
まさか死んでいるのではないだろうな。
恐る恐るドアを叩いてみる。
「お客様?お客様?大丈夫ですか?」
反応は無い。
「誰もいねェよ」
「うッそ……だッてあのデブが出てくの見てないよ」
「………開けた方がいいかな?」
「もし死んでたら、あたしたち、罪に問われちゃうよ」
「ッたく………鍵持ッてきてよ」
尚美が持ってきた鍵でトイレのドアを開ける。
しかし、そこには誰も居なかった。
「……あれ?」
「ただいま……」
誰も居ない家の中で西はひとり呟いた。
木曜日は学習塾は休みだったので学校が終わると本屋で漫画を立ち読みしてから直ぐに家に戻った。
桝谷が担架に載せられている姿を思い返すだけで笑いがこみ上げてくる。
当分の間、桝谷は学校には来れないだろう。気分がスッキリした。
しかし、学校で感じた不可解な寒気の事がまだ頭に残っている。
今まで寒気は何度か感じた事はあった。
いずれもただ単に自分が居る場所が寒いだけだったりする程度だった。
だが、学校で感じた寒気は何かを予感させる様な不気味なものの様に感じ取れた。
あまりそういう迷信じみたものは信じないタチなので、頭の隅に疑問は追いやられたが。
自室に戻り、時計を見やると、午後7時を指していた。
テレビの電源をつけるや否や、物凄い大勢の人間の歓声が耳に飛び込んできた。
『おーッと!亀田!渾身の右フック!決まッたァァァッ!!!!』
亀田興毅の攻撃がフアン・ランダエダの顔面にあたる光景が画面に映し出された。
西は制服を着たまま、その場に腰を下ろす。
「……そーいや、今日だッたッけ………あんま興味ねーけど…」
『ここで試合終了です!勝敗はジャッジの判定によって決定されることになりました!
一体、勝利の女神はどちらに微笑んだのか!亀田興毅か!ランダエダか!
おッと!おーッと!勝者は亀田!亀田です!亀田が勝ちましたァァァァァァッッ!!!!』
判定結果がくだされたと同時に、ランダエダ側のセコンドからブーイングの嵐。
それに応じて、亀田興毅の父親と弟二人の罵詈雑言がリング内を飛び交った。
ついには亀田の父親がランダエダ側のセコンドに突ッかかッて、蹴りを入れ出す始末。
『これはとんでもない事になッてきました!乱闘です!乱闘が始まりました!
判定結果に納得のいかないランダエダ側のセコンドに亀田父が飛びかかりました!
おッと!顔面にパンチ!これは痛い!痛いです!亀田父、容赦ありません!』
「……ハハハ、ンだ、こいつら、おもしれー!」
『あーッと!亀田興毅、倒れた!倒れました!一体どうしたんでしょうか!」
画面にリングに突っ伏した亀田興毅の姿が映し出される。
頭から血を流していて、目は空ろだ。
『どうやらランダエダ側のセコンドの誰かが椅子を振り回して、それが当たッてしまッた様です!
これはかなり危ないんじゃないでしょうか!立てません!亀田、立てません!おッと担架が……!!!』
ピッキィィィィン
突然、西の体が硬直した。
金縛りにでもあったかの様だ。
体が全く動けなくなっていた。
「…ッてッ!!!!!ンだッ!!!!!!」
テレビは未だに立てない亀田が担架に載せられている光景を映している。
必死にあがいてみるが、指一本動かせない。
(………ッごッかねェ!!!どー…ッなッてんだ…………誰か………!!!!)
1階の玄関から声がした。母親が帰って来たのだ。
西は助けを求めようと試みるが、声すらも出せない。
口から漏れるのは掠れた息だけだった。
「………ッ………ァッ……!!!!!!!」
「ジョーちゃん?ジョーちゃん、帰ってるのー………
あなた、帰ってきたら、靴はちゃんとそろえなさ
ジジジジジジジジジジジジッ
ッぱりわかんねー……」
「……また来た」
西の視界は自室のテレビ画面から黒い球の鎮座する部屋に変わった。
(ンだよ……またかよ、おい!!!!!)
河内とか呼ばれた男から聞いていたものの、また宇宙人との戦いが始まると思うと嫌気が差した。
部屋には和泉、南、茨木、河内の他にも前回には居なかった者が何名かいた。
「どーなッてんだよ、ここ、どこだよッ!!」
「さッきのアイツ、どーなッたの?死んだの?」
「おいッ!誰か早く警察呼べ!」
数えてみると、前回居なかった人間は今のところ3人。
そして、自分、和泉、河内、南、茨木。合計で8人。
そこで前回、自分と同様に生き残ったホステスが居ない事に気づいた。
西にはどうでもいいことだったので、気にはしなかったが。
「ちぇ………またかよ……せッかく亀田の試合観てたのに」
「あ…それ、オレも観てたわ…」と南。
「判定結果が出る前に転送されちまッてよ……どッちが勝ッたよ?」
「さァね」
「ケチるなよ、教えろ」
「自分で調べれば?」
「クッソッ!!ムカつくな、このガキッ!!」
「おい、誰か来た」と、河内。
黒い球がレーザー光線を発射して、何かを描き出した。
その場に居る全員の目線が集中する。
ジジジジジジジジジッ
「あ………」
南は腑抜けた声をあげた。
レーザー光線で描き出された人間は意外な人物だった。
「…なんや、ここ?」
それは西が先程テレビ画面を通して見た亀田興毅だった。
亀田は何が何だか分からないとばかりに眉間に皺を寄せた。
「どーなッとんねん……試合は?」
「亀田だ……」
「マジでー!すッげーッ!!リアル亀田じゃん!」
0018につづく
>>246〜
>>253まで「0017」書きました。
みなさん、お待たせしてしまって大変申し訳ないです。
この1話書くだけでも苦労しましたw
ルダボウさんキターヽ(゚∪゚)ノ
いつもお疲れ様です♪
待っていただけあって、とても楽しく読ませてもらいました!
そして"豚男"に笑ってしまいました(笑
256 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 15:15:41 ID:k+z2eylK
まさかの亀田出陣wwすぐ死ぬか、結構がんばるかきになるww
でも、亀田のことだから
「ンなダサいもん着てられっかよ」見たいな感じで即死しそうww
キタキタキターーーー\(^O^)/
亀田ワロタw
今回のも楽しめそうだ。
0018 緊急避難
「想像してみてください」と、山村茂は言った。その年齢の割にはハスキーな声は、大学の教室内に心地よく響く。
「あなたが豪華客船に乗っているとしましょう。そうですね。映画で観た事あるでしょう。タイタニックみたいな。
それに乗ってたら、その船が氷山にぶつかッてしまッて、どんどん沈んでいく。当然、あなたは避難を試みるワケだ」
犯罪学の講義に参加している学生の人数はざっと150名ほど。
その半分以上はサボっているが、今日の講義に来ている人数はそれほど少なくない。
山村(学生の間では山さんと呼ばれているらしい)は出席はとらない主義だった。
それをいい事に、サボり放題と言わんばかりに喜んで山村の講義を選択する学生が多いのだろう。
しかし、それはテストの時に過ちだったと分かる。
山村は悪戯が大好きだったし、その悪戯を巧くかわせるかどうかという遊びも好きだ。
テストに出す問題は講義にキチンと出席している学生にだけ理解できるもので、
なおかつサボっている学生には難解としか感じられないものを出すことにしている。
つまり、講義の中で山村がさりげなく切り出す世間話から出題している。
その世間話をする際には、ノートをとる必要はないと言っておく。
テスト前の最後の講義の際に、いつもサボっている学生は必ず出席する。
そして、ちゃんと出席してそうな学生を見つけてはノートのコピーをせがむ。
それを念頭に置いての事だった。
ノートをとらずとも真面目に出席している学生なら、テストの時にも山村の世間話に記憶ぐらいは頭にあるだろう。
テストの時に眉間に皺が寄っている学生を見ると、嬉しくてたまらなくなる。
今回の話も、もちろんテストに出題するつもりでいた。山村の大好きな話だ。
「船にある救命ボートにはあなたの他に5人の乗客が乗っています。
その救命ボートは6人乗りです。つまり、あなたが乗れば、満員になるわけです。
が、そこに船から一人の乗客がやってきました。男でもいいです。女でもいいです。
そうですね。具体的に頭に思い浮かべるように設定すると、渋い中年男性がいいかな。僕みたいな、ね」
そこで、どっと学生の間で笑いが起こる。
「その人が乗れば、6人乗りの救命ボートはたちまち沈んでしまいます。
その人だって助かりたいという必死の思いでボートに乗ろうとします。
けれども、助かりたいという思いは、ボートに乗っているあなたにだッてあります」
そこで間を空ける。
学生は続きを聞こうと静かに待っている。
この瞬間が山村は好きだった。
全員の視線が自分に集まっているこの瞬間。
すぅ、と息を吸って話を続ける。
「あなたは、まァ、あなただけでなく、私でもいいんですけどね……。
これ以上の人間が乗れば、まちがいなく救命ボートが沈んでしまう。
しかし、それでいて、そのボートに乗ろうとする者がいる…………。
あなたなら、どうしますか………自分の命を守るために…その人をボートから突き落としてしまうとか考えませんか」
そこでまた話を止める。
学生は固唾を呑んで山村の表情を見守っている。
「……これは正当防衛と同じでね……法律上は全く罪にならない……。
自分の命が危険に晒されそうになる状況下の場合、その危険になる原因を取り除く事は罪にはならないのです。
その最後のひとりがボートに乗れば、間違いなくあなたが死んでしまう。
そういう場合は、そのボートに乗ろうとした人間を突き落として殺してしまっても罰せられない…。
これを『緊急避難』というんですがね………」
話はここで終わりだ。
だが、学生は固まったままだった。
これが山村が犯罪学の講義の中で一番たまらないと思える瞬間だ。
「ま………僕だったらね、そんなの無視して、最後のひとりも乗っけたいですけどね」と締め括る。
そこで学生たちは安堵の表情を見せる。
タイミングよく、講義終了のチャイムが鳴る。
また教室内にざわざわとした雰囲気が戻った。
「先生、お疲れ様でした」
最前列の席に座っていた女学生が言った。確か、以前に彼女の名は内田であると聞いた。
いつも最前列に座っているので彼女の顔は覚えてしまった。
どう見ても年齢が離れ過ぎているにも関わらず、彼女の爽やかな笑みにはドキリとさせられる。
山村は軽く手を振って応えるだけにしておいた。
大学教授と教え子の恋愛。自分にはとても上手くやれる自信はない。
「あら………千円札一枚だけしかない」
財布の中身を確認して手持ちが少ない事に気づいたのは、大学の正門の前で停めたタクシーに乗ってからだった。
これでは自宅までの距離間の支払いが出来ない。考えに考え、途中でコンビニに寄ってもらう様に運転手に頼む。
「そういや今日あれですねーお客さん」
「ン?ハ?なんです?」
「あれですよ、あれ、亀田の試合!」
「ああ、亀田ね…」
亀田興毅のことはテレビで見た程度でよくは知らない。
ボクシングについてはあまり興味はなかった。
思い返してみれば、講義が始まる直前に、教室内の学生の何人かが亀田の事を口にしていた。
運転手の言う事に適当に頷いている間に、タクシーはコンビニの前に到着した。
コンビニに入って、ATMの前に立ったところで、見知った顔に出くわした。
「あ……先生」
パンコーナーに立っていたその顔は、ついさっき自分の講義に参加していた内田という女学生だった。
「やァ、奇遇な」
「お金おろしにきたんですか?」
「うん、まァね、うん、これはどういう風にやるんだ?」
銀行のATM以外は滅多に使わないので、山村は戸惑った。
内田がクスクスと笑いながら、操作を教えてくれる。
そこにいきなり怒号が響く。
「動くなッ!全員、動くなッ!!!!」
振り向くと、ホッケーマスクを被った身長170センチほどの男がライフルをレジの店員に向けて構えていた。
奥に居る中年の女性客が悲鳴をあげる。
男は銃口を奥に向けて、さらに大きな声をあげた。
「騒ぐんじゃねェッ!!!!
妙なマネしやがッたら、ぶッ殺すからなッ!!!!
オレのいうとおりにしろッ!!!!」
男の指示で山村や内田を含む客は、本棚の傍に集められた。
客は山村、内田、奥に居た中年女性、若い母親と2〜3歳と思われる娘の5人。
レジには20代の男の店員が立っていた。
「おい、おまえ、今何したッ!?」
男は店員の不審な動きを目敏く見つけた。ライフルをすかさず店員の額に目掛ける。
「え……ッ………」
「警報装置、押したろ!!!!!」
「おッ、おッ、押してま………」
ぱんっ
店員が最後まで言う前に、ライフルは銃弾を発射した。
あっという間に店員の額に小さい穴があいた。
山村たちが息を吸う暇もなく、店員はその場に崩折れる。
「きゃァァァアッ!!!!!」
「うるッせェぞッ、ばばァッ!!!!!口閉じねェと、ホントにぶち殺すぞッ!!!!!」
「………やッ、やッ、やめなさいッ!!!!」
「あ?」
強盗の目線が中年女性から内田に向いた。
内田は膝を震わせながらも、険しい目を強盗に向けていた。
「てめェ、誰に向かッて言ッてやがるんだよ」
「ら、らッ、乱暴な真似はやめなさいッて言ッてるんですよッ」
「ちょッ、内田君!」
山村が止めようとするが、内田がそれを聞かずに、果敢に挑んだ。
「そッ、そッ、その人を撃つんならッ、代わりにあたしを撃てばいいでしょッ」
「ああ!?」
「みッ、みんなに乱暴しないでッ!!!!」
「てめェ、いい度胸してるじゃねェか」
そこにサイレンが鳴った。
外を見やるとパトカーが数台、コンビニから数メートル離れた所で停車していた。
「クソッ、もう来やがッたのかよッ」
「たッ、たすけ………」
「ばばァッ!!!!何度も言わせんじゃねェ!!!!」
強盗は舌打ちして、外の様子を見た。
「オレもただじゃやられねェからな!おまえら全員道連れだぜ!」
強盗の言葉が山村の胸中にズシリと響いた。
こうして膠着状態が続いた。時刻は午後8時を回った。
「……あの………」
「あ?」
居ても立ってもいられないと思ったのか、内田が恐る恐る挙手した。
「提案……があるんです……」
「ンだよ…うッぜェな、死にてェのか」
「………あたしが人質になりますから………他の人は解放してあげてくれませんか……」
「ハァ?」
「何人か解放すれば、警察にも悪い印象は与えないと思うんです………」
内田は山村を一瞥すると、ふぅっと息を吸い込んだ。
「で、おめェひとりが人質になるッてか?」
「………そうです………」
「おめェ、勇気あるなァ」
強盗は感心したといわんばかりに首を横に振る。
そして、ライフルを内田に向けて、引き金を引いた。
ぱんっ ぱんっ
次の瞬間、内田は奇妙な踊りを見せて、その場に倒れた。
額に2つ小さな穴が開いた。
「エラソーにオレに指図しやがッて、正義のヒーローにでもなッたつもりかよ、バカが」
山村は既に生気を失った表情をした内田を凝視した。
犯罪学を教えているものの、当たり前だが人が殺されるのを目の前で見るのは初めてだった。
それも自分の講義に参加していた学生が殺されたのだ。
『死』という二文字が生々しく山村の前に突き付けれた。
自分の教え子の死体という形をもって。
自分以外に生き残っているのは中年女性と若い母親とその子供の4人だ。
果たして、自分が生還する確率はどれくらいだろう。
山村は心臓の鼓動が速くなるのを実感した。
どうすればいい。どうやれば生き残れる。
考えている山村が視線を横に動かすと、中年女性がじりじりと後退しているのに気づいた。
コンビニの奥の事務所に逃げ込もうとしているのだろう。
強盗からはちょうど死角になっていて、中年女性の動きは気づかれていない。
だが、もし中年女性がいなくなれば、強盗の怒りを買う事は間違いない。
しかも買わされるのは残った自分や若い母親とその子供である。
冗談じゃない。中年女性の代わりになるなど真っ平ゴメンだった。
「………あッ………」と、山村が声をあげる。
「あ?」
「に…………逃げ……る……」
「何?」
山村の言葉に、後退していた中年女性が硬直した。
中年女性は信じられないとでもいいたげな目を山村に向けていた。
彼女だけでなく、子供を連れた若い母親もだった。
「逃げる……逃げるぞッ!!!!」と、中年女性の居る方角を指差す。
強盗は慌ててライフルを構えて、中年女性のところに駆け込んだ。
265 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 14:20:56 ID:PLig0Kqh
「ばばァ…………おとなしくしろッてあれほど言ッたろーが!!!!」
「ひィッ、お願いッ、こッこッ殺さないでェッ!!!!!」
「うるせェッ!!!もう頭きたッ!!!くたばれッ!!!!!!!!」
ぱんっ ぱんっ ぱんっ
ライフルの銃撃音と共に、中年女性の体が跳ねたり飛んだりした。
バタリと音がして、中年女性は動かなくなった。
胸部からじわじわと血が滲み出てきている。
強盗は山村の方を振り向いた。
「よく教えてくれたな、オヤジ」
山村は何も答えなかった。
子供連れの若い母親の冷ややかな目が視界に入る。
そんな目で見るな。山村は思った。
しょうがない……しょうがなかったんだ。
あの中年女性がいなくなれば、オレもあんたも死ぬ確率が高くなっていた。
オレがそれを減らしたんだ。自分を守るためだ。緊急避難だったんだ!!!!!
数分が経った。いきなり窓ガラスが割れて、何かが転がり込んできた。
石かと思ったが、警察がそんな幼稚なマネはするまい。
シューッと音がした。催涙弾だ。
「クッソッ、ポリ公どもがァッ!!!!!」
山村の視界が真っ白になった。
ぱんっ ぱんっ ぱんっ
どんっ どんっ どんっ
乾いた銃撃音が耳に飛び込む。
強盗の声がした。
「う…………ッ………」
ドサッと何かが床に落ちる音がした。
恐る恐る閉じていた瞼を開ける。
正面、少し離れたレジの前に強盗が仰向けに倒れていた。
胸には撃たれたのか、血溜まりができている。
強盗は虫の息だった。
助かった。山村は深く息をついた。助かったんだ。
今気づいたが、山村のシャツは汗がびっしょりだった。
あまりの恐怖に今までその事に気付かなかった。
「ハハ…………ハ………おわ……ッたぁぁ…………」
よろよろと立ち上がる。
まるで1年間にも感じた地獄の時間だった。
しかし、それももう終わった。
山村は弱い足取りで出口に向かう。
仰向けに倒れた強盗が手にしていたライフルはちょうど山村の方に向いていた。
「がふッ………」
強盗が霧の様な血を吐いた瞬間、ライフルの引き金にかけている指に力がこもった。
ぱんっ
「…………ッ……???」
視界が揺れて、すぐさま額にちょっとした痛みが走った。
何が起こったのか、自分でもよく分からなかった。
額に手を掛けると、温かい液体が手に触れた。
それを見ようと思ったが、叶わなかった。
もう立っていられなかった。急激に意識が遠のいていく。
どうした!どうしたんだ!オレはどうなったんだ!?
どんどん視界が真っ暗になっていく。
思考能力も次第に消えていくのを実感した。
まさか!まさかまさかまさかまさか!!!!!!
イヤだ!死ぬのか!オレは死ぬのか!そんなのイヤだ!
オレはまだ死にたくない!死にたくない死にたくない死にたくない死にた
ジジジジジジジジジジジジジッ
い何人来るんだ?」と男の声がした。
「………あ………先生!」
視界が突然鮮明になった。
何が起こったのだろうかと山村は思った。
新しいのktkr
待ってました!お疲れ様です。
信じられない事についさっき撃たれて死んだ筈の内田という女学生が目の前に居た。
彼女だけではない。強盗に撃たれたレジの店員、中年女性もそこに居た。
「…………これは………一体……?」
よく見ると、そこは何処かのマンションの一室の様だった。
部屋の中央には奇妙な黒い球がどんと鎮座している。
しかも、山村たちの他にも見覚えのない顔が並んでいた。
そのうちの何人かは奇妙な黒いスーツを身に纏っている。
「おいおいおいおい、どーなッとんねん、なんやねん、今の!」
険しい関西弁が耳に入った。その声の主の方を見やる。
テレビで見たことのある顔だった。紛れもない亀田だった。
「………なん………なんだ?」
「先生……アイツは……アイツはどーなッたんですか?」
「え……な、なにが?」
「アイツですよ!さッきの強盗!」
「ああ………」
強盗は間違いなく撃たれた。そして、その直後に自分が不運にも撃たれた。
しかし、その後が全く覚えていない。
どうやって部屋に移動してきたのだろうか。
山村の思考能力ですらもこの事態の解明は出来そうにもなかった。
ジジジジジジジジジッ
そこに黒い球がレーザー光線を発射した。
何かを描き出しているのが分かった。
一体、何がどうなっているのかさっぱりだった。
「………うう……ッ……」
山村や内田は目を見張った。
中年女性がまたもや悲鳴を上げた。
黒い球が描き出したのは、ホッケーマスクの強盗だった。
「…お、おい……な……ンだ、ここは?」
0019につづく
>>258〜
>>267、間を挟んで
>>269 「0018」を投下しました。
連投しまくって「投稿しすぎです。ばいばいおさるさん」ってなっちゃったんで
間が空いちゃいました。すいません。
271 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 20:51:30 ID:fBiptpHo
きたww
内田さんに萌えた
269です。話途中で割り込んで申し訳ない。
半年ROMってますorz
↑だあー268でした。マジで申し訳ない!
>>273 間に見事すべりこんだなw
逆にうらやましいぜ
これはいい修羅場が見られそうだ
和泉の描かれ方が自分の中の和泉のイメージとピッタリだ。
278 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/13(火) 22:34:29 ID:whKlStaM
西って最初は殺すことに興奮を感じなかったんだっけ?
>>278 本家で過去編やってないから不明
俺はこの書き方上手いと思った
正直いまのGANTZよりこっちの方が続きが気になる
今のガンツもいいが、初期のノリには戻れないからな。
亀田とかいかにもって感じでニヤニヤする。
>>279 小説版がある意味過去編じゃないの?
一応奥公認だし
>>282 キャラの性格が不自然だったり、内容も決して良いと言えるものじゃなかったから私は別モノと考えてるよ。
まぁ、考え方は人それぞれだろうけどさ(´・ω・)
そんなことより、ルダボウさんの小説が好きすぎるVv
>>282 ごめん評判悪すぎて読んでないwwww
内容教えて貰えると有り難い
GANTZって女率高いのな
一回目ミッション
・大樹という男が主人公で死因は事故死
・西的な立場にいる女に初ミッションで少しヒントをもらう
・一応スーツきてミッション開始
・初参加者はほとんど死亡
・ミッション終了
・主人公は玄野の練習みたいな感じで銃の使い方などを女に教わる
二回目ミッション
・西の父親は不倫ばっかしてて、そのせいで西の母親が自殺
・そのまま西は母が死んだショックで自殺
・和泉は道端のベンツを盗もうとして運転ミスで事故死
・二人は同時時期にガンツに参加される
・初ミッションは西がちびりまくりで、和泉はちょっとガクガクブルブル
・星人倒しておしまい。
三回目ミッション
・和泉はさっそくなれる刀をブンブンふりまわして星人を殺しまくり
・西も少しはなれる。けど相変わらずビビリまくり
・和泉が星人ごと西を撃つ、運良く西は助かる、西激怒
・そんなこんなでミッション終了
・女が100点をとる。自分の恋人(?)を再生
4回目ミッション
・頭がいい星人が相手で、自分をレーダに移さない機械をもっている
・人の皮をかぶって移動するらく、本体も相当強い
・女、女の恋人が死亡
・和泉は、星人をやや苦戦しながらも倒しまくり
・西もがんばる
・主人公のスーツがおしゃかになって、絶対絶命
・その時星人が「私は貴様らの皮をかぶってこれから来るクロノケイ
という人物を抹殺する」的な言葉を言う
・そのまま主人公はその星人をうまい具合いにやっつける
・ミッション終了、主人公は100点を取りガンツを離脱
>>286 ここはルダボウさんのスレです。オレサマ設定は他で願います。
一応ガンツ公式小説の設定ね
まぁここに書くことじゃないのには変わりないけど
>>286 ありがとう
設定めちゃくちゃ過ぎワロタww
本当に奥認めたのよこれwwww
0019 和服の少女
『彼女』が自分以外の人間の目に映ってない事に気付いたのは小学生の時だった。
幼稚園に通っている頃から『彼女』の存在を両親に話してはいた。
が、両親の表情は何処かしら自分の子供の話を信じてない風にも思えたのが子供心に不満だった。
今から思えば、子供それぞれが作る『見えないお友達』だと思ったのかもしれない。
だが、間違いなく、自分の目には『彼女』が実在の人物である様に見えたのだ。
初めて『彼女』に出遭ったのは父方の実家に遊びに行っている時だった。
大好きな祖母と一緒に昼食をとっているところに『彼女』は出現した。
年齢は恐らく当時の自分と同じ位だったろうか。4歳か5歳程度だろうと思われた。
四角いテーブルで真向かいには祖母が座っていた。
そして、自分から見て左側のスペースに、いつの間にか『彼女』が座り込んでいた。
和服を着ていて、前髪は綺麗に横にカットされて揃っている。
後ろ髪は背中まであるのではと思わせる程に長かった。
『彼女』が誰なのか、当時の自分には気にもならなかった。
一番最初に思った事は、『彼女』の分のご飯がない事が可哀相だという事だった。
それを言うと、祖母は面食らった顔で、自分が指差す方向と自分を交互に見やった。
戸惑いながらも優しい祖母は文句を言わなかった。
祖母自身にも身に覚えのある事なのかもしれない。
可愛い孫の頼みを聞き入れ、『彼女』の目の前に自分と同じ分量の昼食を並べた。
しかし、『彼女』の目は昼食には向けられていなかった。
『彼女』の目は何故か祖母に向けられていたのだ。
「食べないの?」と訊いても、『彼女』の目は祖母から動かない。
その目には怒りも悲しみも喜びも感じられなかった。
ただ、ただ、『彼女』は祖母を見ているだけだった。
無表情で。それが当時の自分には怖かった。
そして、その日の夜、祖母は死んだ。心臓発作だった。
小学校3年生の頃、友達の家に遊びに行った時に『彼女』は再び出現した。
その時に友達には『彼女』が見えていなかった事が分かり、漸く自分は理解した。
『彼女』は自分以外には見えないのだ、と。
さらにそれを裏付ける不可解な事があった。
祖母が亡くなった日から『彼女』の外見は全く変わっていなかったのだ。
『彼女』は人間に見えるが、恐らく人間ではない。だから成長しない。
しかし、『彼女』の正体は皆目見当も付かなかった。
『彼女』の目は、自分の友達に向けられていた。
祖母の時と同じ様に、一切の感情を排した目だった。
友達は自分を見送りに外に出た。
そこへ大型トラックが突っ込んできて、小さい友達の体を宙に吹き飛ばした。
即死だった。
以降も同じ様な事が度々起こった。
何らかの事故あるいは病気で死ぬであろう人間の前に必ず『彼女』は現れた。
そして、『彼女』の姿は自分にしか見えなかった。
それ以来、人の目を見るのを避ける様になった。
そのせいで、周囲の人間は自分の事を「おどおどしている女子」という印象を持つ。
だが、人の目を見ない理由は『彼女』にあった。
小学校、中学校、高校とあわせて12年間の中で『彼女』は数回出現した。
そして、自分のクラスメートか、あるいは教師の中の誰かをじっと見ている事があった。
その度に、苦しい思いをするのが厭になったのだ。
親しい人間の死が分かっている事がこれほど辛く、そして手出しできないものとは思わなかった。
「あなたは今日死ぬかもしれない」などと助言しても、冷たい目を向けられるだけだった。
そのうち、何も言わなくなり、ついには人との目を避ける様になった。
高校になると、誰も親友を作らなくなり、独りで本を読む時間が増えた。
不穏な空気を感じて顔を上げると、『彼女』が教室の中の誰かを見ていたりする。
急いで頭の中から『彼女』の事を追いやろうと、また本に目を戻す。
誰とも話さない。誰とも関わらない。そんな事の繰り返し。
いつしか、周囲も自分を空気と同じ様な感覚で捉える様になっていった。
そして、現在に至る。
ガシャーン!!!!
甲高い音に驚いて振り向く。
仕事仲間がまたへまをしたらしい。
この前も検査用器具を落っことして弁償したというのに。
主任がやってきて、呆れた顔でいた。
仕事仲間は頭を下げて、床に散らばった器具を拾い集める。
誰か手伝ってを主任はまわりに声を掛ける。
名乗り出る者はいない。
皆、もうすぐ12時であることが頭にある。
チャイムを耳にしながらも、仕事仲間を手伝うのは御免被るという事らしい。
主任の目がこちらに向いた。
「渡辺さん!手があいてるんでしょ?」
「え……あたし、ですか」
「そうそう、あなたよ!ボーッとしてないで、手伝ッてあげてよ」
自分の仕事の片づけを止めて、仕事仲間を手伝う。
ドジを踏んでいる仲間の手は切り傷でいっぱいだった。
もともと、精密機器用の部品のエッチングをする会社だ。
厚みが薄い金属も使うが、紙と同じで、指を切る可能性がある。
怪我を防ぐ指サックなるものもあるが、決して怪我をしないワケでもない。
しかし、仕事仲間の怪我をする回数は常軌を逸している。
そのうち、大怪我をしかねないと周りが噂をするくらいだ。
「すいません……」と仕事仲間がか細い声で言った。
何も答えない。目も合わせなかった。
別に仕事仲間を嫌っている訳ではなく、それが自分の習性だった。
しかし、仕事仲間はそうは思わなかったらしく、気まずい顔でまた顔を下げる。
ふと奇妙な感覚がした。仕事仲間の背後に目をやる。
「ひっ」
思わず声を漏らした。仕事仲間が顔を上げる。
「どうしたんですか?」
「え……あ、い、いや、何でもないんです……」
仕事仲間はまだ顔をしかめていたが、それ以上の詮索はなかった。
深く息を吐くと、また仕事仲間の背後を見やる。
『彼女』がいた。
真っ直ぐこちらを見ている。
と言う事は、『彼女』が見ているこの仕事仲間が死ぬということだ。
気分が悪くなった。吐きそうだった。
仕事仲間の顔、目、声。
それが頭に焼き付いてしまった。
もうすぐこの人は死ぬんだ。少なくとも今日中には。
これまでもそうだった。
『彼女』が出てきてから、『彼女』が見つめている人間が死ぬまでの時間はそれぞれバラバラだ。
しかし、全てに共通しているのは、『彼女』が出てきた日に必ずその人間は死ぬという事。
仕事仲間はいつ死ぬのだろう。
この後直ぐか。それとも午後か。会社の帰りか。
考えるだけで、胃液が逆流して、喉の辺りまで迫ってきた。
「………ちょッ、ごめんなさい」
「え?」と仕事仲間が言った。
「気持ち悪くなって…………ごめんなさい……トイレ」
「ホント?だいじょうぶですか?」
「え、ええ、だいじょうぶ、もうそッちはだいじょうぶ、ですよね」
「ああ、すいません、だいじょうぶです、いいですよ、行ッて、誰か呼びましょうか?」
「いえ、いえ、いいんです、ちょッと気分が悪いだけ」
そう言って、その場を離れた。
具合はあまり良いとはいえなかった。
結局、定時で切り上げて、会社を離れた。
仕事仲間にまだ異変はない。
騒ぎが起こる前に、会社から遠くに離れたかった。
玄関までの通路の途中にテレビが設置されている。
男性のパート社員の何名かが、集まっていた。
今日は亀田興毅とフアン・ランダエダの試合がやるのだという。
だが、自分はそんなことに興味はなかった。
小声で挨拶をするが、誰も反応しなかった。
そんな事には慣れていたので、すぐに玄関に向かった。
会社を出て、数メートル先にあるバス停からバスに乗る。
窓際の席に座ると、一息ついた。
目の前を横切る外の景色を見やる。
その目に留まったものが信じられなかった。
『彼女』が立っていた。
今までこんな事はなかった。1日に2度も『彼女』が出てくるなんて事は。
いや、正確にはそれは正しくはない。
『彼女』は見つめている人間が死ぬまではずっと出ている。
例えば、一度自分がその場を離れてまた戻ってきたとしよう。
見つめられている人間が死んでいない限り、『彼女』がずっと姿を見せている。
1日に2回、3回『彼女』を目撃するというのは、それ以外にはあり得ない。
そして、まさか、と思い至る。急に背筋に鳥肌が立った。
「すいません!降ります!」
「え?」運転手が訊き返す。
「降ります!お願い!降ろして下さい!」
怪訝な顔をするが、運転手は云われたとおりにしてくれた。
同乗している他の乗客は何の騒ぎだと不思議そうな顔を向けてくる。
まずい!まずい!
バスを降りて、早足で離れた。
しかし、『彼女』の目線が自分を追っている。
冗談でしょう?そんな!今日、死ぬのは……あたし!!!!!
しかし、バスからは降りた。車の数も少ない。
一体、どうやったら自分は死ぬというのだ。
キキキキキキキキッ
タイヤが道路を激しく擦る音。
そちらを見やると、軽自動車が真っ直ぐこっちに突っ込んでくるのが目に入った。
どういう訳か、対向車線側からきた車だった。
声を上げる間もなく、衝撃が体を走った。
目の前が暗くなった。
ジジジジジジジジジジジジジジジッ
「………え?」
一体、何が起こったのだろうか。
車が突っ込んできたと思った瞬間、目の前が暗くなった。
そこまでは覚えていた。だが、その次が分からない。
今、自分は何処に居るのだろう。
体を起こすと、なにやら喧騒が耳に入った。
「おい!オレをバカにするのもいい加減にしろッ!!
どーなッてんだッ!!ここは何処だッ!!!!!誰か説明しやがれッ!!!!」
そこは、何処か知らないが、マンションの一室らしい。
家具等は何も置かれていない。
ただ、奇妙なのは黒い球が部屋の中央を陣取っている事だった。
「おまえら、オレをどうしよーッてんだッ!!!とッとと答えろォッ!!!!」
男の声がもっと大きくなった。
男はホッケーマスクをしている。手にはライフル。
その銃口は黒いスーツを来た人間たちに向けられていた。
自分と同じ様に私服姿の者もいた。
堪らずに男は自分を見やる。
「誰も答えねェつもりか!なら、これならどうだ?」
と、ライフルが自分に向けられる。
「白状しねェと、この女の頭、吹ッ飛ばすぞ!!!!」
冗談だろう。きっと玩具に違いない。
だが、男の声からすると、とても玩具とは思えなかった。
ライフルよりも最も怖いものが自分の真正面にあった。
『彼女』が部屋の隅にいる。
そして、その目はまた自分に向けられていた。
0020につづく
>>290〜
>>295まで「0019」を投下しました。
↓以降、あとがき
本編の田中星人の時もそうでしたけど、
初参加者の描写をしとこうと思って、こうしてます。
早くミッションに入ってほしいと思う人には申し訳ないです。
「0019」の女性は、本編で言うと桜井みたいな人物ですね。
特異体質をもってますが、まぁ、個性を与えたいというだけです。
あくまで西が主役の話なんで、話がそれないようにします。
>>278で指摘がありましたけど、
僕もそれは描いておかなくてはいけないなと思ってます。
でも、いきなり殺しに目覚めるというのも唐突なんで、
徐々に徐々に変化していく様にしていこうと考えてます。
今の段階ではまだ沼に浸かる一歩手前ってとこでしょうか。
297 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/18(日) 11:33:41 ID:BT9mqc2g
ルダボウ可愛いよルダボウ
キャラの作り込みが丁寧で素晴らしいッッ!!
キャラ設定がしっかりしてるとそれだけ感情移入して作品に入り込めるし、
なんといっても緊迫感が別物ですもんね。
いや〜楽しいですホントに(-^〇^-)ホゲ
299 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/18(日) 19:43:40 ID:QwR7mGpH
これすごいよね!
なんか吸い寄せられる感じ…
300 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/19(月) 00:00:20 ID:QwR7mGpH
300ゲットww
ルタボウさんの才能すごい!西くんの登場待ってます←
301 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/19(月) 00:01:56 ID:QwR7mGpH
ルタボウさん!あんた最高だよ!!
豚インフルエンザ中ずっと続き読みたくてうずうずしてた!
西や和泉が空気w
やっぱり玄野の前で終わるのかな
保守
hsyu
ほす
308 :
創る名無しに見る名無し:2009/10/31(土) 18:08:07 ID:YGc7+YyI
保守
まさか奥さんじゃないだろうなぁ
奥さんの奥さんかもね
奥さんの奥さんの奥・・・ゴクリ
やべえ、すっげえ続き気になるwww
是非とも頑張ってください
313 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/07(土) 18:47:46 ID:uUxVcLYr
ルタボウさん----------------------------!!(泣)
0020 混沌
「なんや、ここ?」
亀田興毅は素っ頓狂な声を出した。
本人からすれば、実に奇怪な体験に違いない。
リングの上で殴り殺された挙句に、
得体の知れないマンションの一室に連れて来られたのだ。
「どーなッとんねん、試合は?」
彼の質問の答える者は居なかった。
寧ろ、恐らくテレビでしか観られない機会が多い者たちにとって、
亀田の参入は驚くべきサプライズだった。
「亀田だ………」
「マジでー!!すッげーッ!!!!リアル亀田じゃん!」
南と茨木は無遠慮に亀田の顔をじろじろと眺めた。
亀田は戸惑いを全く隠せずに居た。
「おいおいおい、ちょお待てや、なんやねん、おまえら!!」
「オレ、あんたの大ファンなんだよねー、あとでサインくれよ」
「ヒトの話訊けや、コラッ!!おまえら、なんや!ここ、何処やねん!」
「そんなん知らねーッての!
うおッ!すッげーッ!やッぱプロだけあッて筋肉はあるんだなーオイ」
「なにさわッとんねん、キショイんじゃ、コラッ!!!!やめッ、やめえ言うとるやろーがッ!!!!!」
南と茨木に両腕を摩られながら、亀田は自分の居る場所を見回す。
それを他所に和泉と河内は今回の戦闘の準備を開始する。
西はふーっと深く息を吐いた。
前回は和泉に譲ってもらってしか星人を仕留める機会は得られなかった。
それに加え、初参加という事もあってか、武器の使い方や部屋のルールを知らなかった事もある。
しかし、今回はそれらは全てクリアしている。
前回と同様の宇宙人が出てくるとは限らないだろうが、それなりに点数を得られるだろう。
前回の様にルールを知らぬが故に招いた大恥をかくこともない。
(かる〜く1億点ぐれーかせぐか…………なんつッたりして)
ふと目を動かすと、和泉がこちらを見ている事に気付いた。
何を考えているのだろうか、その真意は表情からは汲み取れない。
西には、和泉が笑っている様に見受けられた。
「………ンだよ……」
和泉は肩を竦めるだけだった。
(ッたく、何なんだ、コイツ………気持ち悪いッつーか……
冷静に見てみると…………結構、イカれてんなー…………)
「ええ加減にせえよ、おまえら、ド突くぞッ!!!!」
亀田の咆哮が部屋に響く。
しかし、南と茨木はうろたえない。
「よッく見ると、鼻の穴でかいなー、亀田」
「やかましいわッ、ほッとけ!!!!」
亀田はキッと部屋に居る面々を睨んだ。
誰に訊けば、マトモな回答が得られるのか、思案しているらしい。
その目は和泉に止まった。
「おい、ロンゲ、おまえ、おまえじゃ、コラ」
和泉は亀田の言葉遣いを意に介しもしていない。
ただ黙って球が今回倒すべき星人を紹介するのを待っている。
「おまえ、ここのリーダーかなんかやろ?」
「知らねーよ……俺に話しかけるな」
「あァあ?」
和泉は腕を組んで、亀田から目を逸らす。
亀田は和泉の視界に入ろうと、首を伸ばす。
「オレが誰だか知ッとんのか、コラァッ」
「息くせェーんだよ、バーッカ」
亀田はいきり立って、右拳を勢いよく、和泉の顔面にぶち込んだ。
南がひゅうと口笛を吹く。
「うおッ、亀田の生パンチだッ、かッけーッ!!!!」
当然ながら、和泉には何のダメージもない。
亀田はまるでコンクリートでも殴ったかのような感触に苦悶の表情を浮かべていた。
「痛ッてェェェェッ!!!!クソッ!!!!!痛いんじゃぁああああッ!!!!」
「あッはッはッはッ、関西弁マジかッけーッ、痛いんじゃあ、だッてよ!」
「さッきからじゃあかしいぞッ、おのれはッ、少し黙らんかい!!!!」
南と茨木はニヤニヤと薄気味悪い笑みを亀田に向けた。
亀田は和泉を諦めて、次の獲物を求めた。
それは隣に居る西に止まった。
「そこのキツネッ!!説明しぃや」
「ハ?」
何でオレなんだよ。西は心の中で毒づいた。
「ハ、やないねん!!学校で教えてもらわなかッたんかい!!
ヒトに質問されたら、ちゃんと答えろや」
「ッせーな、何でオレがそんなことしなくちゃなんねーんだよ」
「……どいつもこいつも口の利き方ッてモンを知らんのかッ!!!!」
亀田は激昂のあまり、唾が口の端から垂れているのにも気付かない様だった。
それを指摘してやろうかと思ったが面倒なので止めておいた。
「そうか、そうや、きッとそうや、これテレビやッ!!!」
ついに分かったと亀田は明るい表情になった。
何処かで訊いたような台詞に一同はまたも笑いそうになる。
亀田は部屋の隅から隅にまで目を走らせる。
「どッかに隠しカメラあんねやろ!!!!
TBSでもおんなじことされたことあるから、知ッとるんや!!!!
オレの目はごまかせへんぞッ!!!!
何処や!何処にカメラ仕込んでんねん!!!!クソッ!!!!」
「ねーよ、バカ」と、南。
亀田はキッと南の方を睨む。
「おまえ、顔覚えたからなッ、事務所に文句言ったるぞ」
そう言って、玄関の方に向かう。
肩を竦める南を他所に、黒い球がレーザー光線を発射した。
出てきたのは、20代前半と思われる若い男だった。
服装から察するに、コンビニの店員らしかった。
男はきょろきょろと部屋を見回した。何か探している様だった。
そんな男の背後に、再び黒い球のレーザー光線で誰かが現れた。
セミロングのヘアスタイルの若い女性だった。
年齢は10代後半か、20代前半か。
西から見ると、社会人にも見えるし、大学生にも見えた。
「……あ、あれ…………ここは?」
女性はいきなり連れて来られた事で動揺していた。
来た事もない場所。見ず知らずの人間たち。そして部屋の中央にある黒い球。
初めて来た人間には訳の分からない事ばかりだろう。
西は、自分が初めて来た時の事を思い出す。
またレーザー光線が人間を描き出した。
今度は40台半ばといった感じの女性が出てきた。
「あァァァァァァア!!!!!!」
突然の絶叫に、部屋に居た一同は驚いた。
但し、和泉だけは全く表情を変えなかったが。
「なんや、なんや!!!!おい!!!!!」と玄関に居た亀田も慌てて部屋に入ってくる。
「なんや、このババァ、誰や!!!!」
「な、な、なに、これ、ここ、どこ!!!!!!」と、中年女性は血相を変えて周囲を見回す。
「やかましいねん!!!!おまえ、誰や、ババァ!!!!
どこのテレビ局から来たんやッ!!!!!白状せんと、承知せえへんぞッ!!!!」
「あ、あ、あ、ああ、あんた、誰よッ!!!!
わけがわかんないッ!!!!やめてッ!!!!触んないでッ!!!!!」
中年女性は、掴みかかろうとする亀田の手を引っぱたいた。
それが亀田の気に障ったらしい。ますます怒りを倍増させた。
「なにしよんじゃ、コラァッ!!!!!!
テレビやからッてやッていい事と悪い事ッちゅーもんがあるやろがッ!!!!!
ええ加減にせんと、ぶち殺すぞ!!!!!」
「ちょッと!!やめなさいよッ!!怯えてるじゃないのッ!!」
と、中年女性の前に部屋に転送されてきた若い女性が割り込んだ。
亀田はキッと女性の方をにらむ。
「なんや、姉ちゃん、おどれが代わりに説明してくれるんか?あ?」
「な、何のことだかわかんないけど……」
「トボけんなや!!さッきからなんやねん、こいつらッ、クソッ!!!!」
(このハゲ、見てるだけでおもしれーな、オイ)
西は笑いを堪えた。
ジジジジジジジジジジジッ
レーザー光線でまた人間が描き出される。出てきたのは男だった。
「あ、先生!」
「これは………一体………?」
どうやら若い女性と今来た男は知り合いの様だった。
若い女性の言葉から察するに、学校の教師と生徒という関係らしい。
ジジジジジジジジジジッ
(おいおい、またかよ……何人来ンだよ………今回は)
次に出てきた人間の顔に、西は一瞬目を見張った。
どういう訳か、その人間はホッケーマスクを顔につけていて、手にはライフルがある。
ホッケーマスクは周りをきょろきょろ見回した。
「……お、おい………なンだ、ここは……」
ホッケーマスクが出てきた途端に中年女性がまたもや悲鳴を上げた。
それだけでなく、ホッケーマスクの前に部屋に来たコンビニの店員と若い女性と教師の表情も強張った。
それに気付かない亀田は、甲高い悲鳴を上げる中年女性に突っかかった。
「じゃあかあしいぞ、ババァッ、
黙らんと口ン中にクソつめこんだるぞ!!!!!」
しかし、そんな亀田の怒号も耳には入ってない様だ。
それほどまでに中年女性はホッケーマスクの出現に驚いている。
コンビニの店員と若い女性とその教師も同様だ。
連続して出てきたところを見ると、この5人は部屋に来る直前も一緒だったのかもしれない。
そして、それはホッケーマスクの言葉で裏付けられた。
「………ンだよッ、おいッ!!!!どーなッ……てん……おまえ………」
ホッケーマスクは中年女性を指差した。「………オレが殺したハズだ………何で……あ!」
彼は、中年女性を守る様にして立ちはだかる若い女性とその隣にいる教師を見た。
「ウソだろ、おい………なンなンだ、これ………なにがどーなッてんだよ!」
「ひ、ひ、人殺しッ、人殺しよッ!!!!」中年女性が絶叫した。
「じゃあかしいゆーてんのが分からんのか、ババァ!!!!!」と、亀田が割り込む。
「おまえもなんやねん、そのマスク!リアリティのかけらもないやんけ!
ドッキリならなにしてもええんかい、コラッ!マスクはずして顔見せろやッ!!!」
「うるせェ!!!!」
ホッケーマスクはライフルの銃身を逆さにして、突っかかってきた亀田の顔面に勢い良くたたきつけた。
「ぶがッ!!!!」
「おまえら、なンなンだ!ここはどこだッ!!誰か説明しやがれッ!!!」
(あ〜あ、またややこしくなりがッた)
ホッケーマスクの怒号は、和泉たちには犬の鳴き声と同じで、ただ五月蝿いだけでしかなかった。
早くミッションが始まらないかと黒いスーツを着ている者たちは思った。
ジジジジジジジジジジジジッ
今度は弱弱しそうな女が出てきた。
ホッケーマスクは好機とばかりに女にライフルの銃口を突き付ける。
「白状しねェと、この女の頭、吹ッ飛ばすぞッ!!!」
「ちょ………ッと、やめ………」と、若い女性(内田というらしい)が言った。
が、ホッケーマスクが今にもライフルの引き金を引きそうだったので、彼女は思い止まった。
「だ、誰か………」
内田という女性は黒いスーツを着ている人間たちを見やる。
だが、和泉たちは誰も騒ぎは気にも留めていなかった。
「………せ…………せんせ………」
彼女の目は、自分の後に部屋に来た教師で止まる。
だが、その教師は彼女と目を合わせないように床に顔を下げていた。
まるで、オレに救いを求めるなとでも言いたげだった。
結局、内田という女性は誰に助けを求めればいいか分からず、宙ぶらりんの状態に陥った。
「さッさとオレの質問に答えろッ!!この女、マジで殺すぞッ!!」
ジジジジジジジジジジジジジッ
そこに現れた女とおぼしき人間の頭。
それに西は見覚えがあった。
(あ………あの化粧の濃い…………生きてたんかよ)
だが、徐々に描かれていく彼女の顔はまるで別人だった。
一瞬、また新しい参加者かと思ったが、違った。
「あれ?」
その声は、間違いなく、前回で西と同様に部屋に来た化粧の濃い女(ホステス)だった。
眉毛が完全にないために、全くの別人にしか見えていなかったのだ。
「……うッわ!!ちょッ、ウソッ、ウソッ、ウソーッ!!!」
それに気付いた彼女は顔を手で覆い隠し、慌てて玄関の方へ走っていった。
部屋に居る一同はホッケーマスクを含め、全員が唖然としていた。
そこへ音楽が鳴った。
あーたーらしーいーあーさがきたっ♪
きーぼーうのーあーさーがっ♪
「あ…?なンだ、これ?」ホッケーマスクがぎょっと後ろを振り向いた。
そこには相変わらず黒い球が鎮座していた。
そして、その球にはお決まりの文句がしっかりと表示されていた。
「てめえ……らの?なンだ、おい、これ!ふざけてんのかよ!」
てめえ等は今からこの方をヤッつけに行ってくだちい
ふぁいあー星人
好きなもの 火 剣
嫌いなもの 水 サメ
口ぐせ 死して屍拾う者なし
0021につづく
お待たせしました。
>>315〜
>>321まで「0020」を投下しました。
やっと書けたので投下しようと思ったら
規制に巻き込まれたのでこの有様です。
待っててくれた方、どうもすいません。
乙!スーパー待ってたぜ
お、俺なんかウルトラ待ってたんだぞっ><///
ルタボウさん----------------------------wwwwwwwww!!
326 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/22(日) 11:20:38 ID:ihKBl/Xb
ルタボウさーん(>_<)
ほ
しゅ
329 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 11:14:00 ID:Ngjc4seY
ほす
330 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 15:08:33 ID:IPrNlaj7
おれは気長にまつぜぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!111
331 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 22:29:19 ID:LZXRTyGj
ルダボウ今までありがとう(ノ△T)
楽しみに待ってます。
ルダボウは…俺が再生する
スゴイ人だ・・・
変わったやつ…
336 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/11(金) 11:53:57 ID:FHqA35wt
偽善者が…
ルタボウさんッ守って下さい!
神…さ…ま 願わく…ば… ルタボウが…
一人で…強く…生きて 幸…せになります…ように…
ルタボウさんは何処に・・・・・
ルダ兄!!またかよ、嘘だろ!?
もう1人は嫌だ!!
保守ッ
おいッ!!誰だよルダボウ通報したヤツッ!!
てめえ達は今からこの方に小説を書かせて下ちい
ルダボウ星人
特徴 つよい いそがしい
好きなもの G∀NTZ 小説 西
口ぐせ 最後まで書き切ります
毎日書き込んでる奴同一人物?
そんな流れ早い板じゃないんだから毎日書き込まなくて良いだろ
偽善者が
>>344 ルダボウ氏に対する愛が足りないようだな…
去れっ!!!!!!!!
>>346 おまえがウザがられてる=このスレを覗くと不快になる人がいる→スレから人が離れる→ルダボウのためにならない
348 :
創る名無しに見る名無し:2009/12/18(金) 21:37:57 ID:yVttGAO6
ルダボウ一本だけで十分です
>>346 お前の個スレじゃねぇんだよ
無駄なレスばっかりしてんのはお前
お前が消えろ
>>350 ちょっと待てよ!!
連カキしてないぞ俺は。
個スレ化になんかしてねw言いがかりだな。
>>349 でした…ミスった…
まぁとにかく真に受けんなよッッ。ネタだろどうみても。
おもしろかった。しばらく来てないみたいだけど、続きを期待したい
はいはいメリクリメリクリ、ルダボウルダボウ
ほしゅ
頼む!ルタボウッ帰ってきてくれ!
356 :
バービー:2010/01/03(日) 14:42:02 ID:qosdru8N
ていうか、ルタボウの小説そンな面白かッたか?
保守
358 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/10(日) 21:04:16 ID:2xTWHmUe
居なくなったか??
また書けなくなったのか
スレもたしとけばそのうち戻ってきてくれるだろ。たぶん。
361 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/17(日) 13:25:50 ID:W+nzo4us
ルダボウ氏帰ってきてくれ!!!
362 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/17(日) 14:29:02 ID:dLva1U20
GANTZ311 排他的強襲
【絶望の淵は深く 漆黒の巨躯は轟く】
レイカ、クロノの周囲に数体のカタス兵。
「ハアッ・・・やるしか・・・ない・・・」
「うん・・・」
レイカがXガンを、クロノがZガンとソードを構える
カタス兵が撃ち込んできたカッターをソードで真っ二つにし、Zガンを連射するクロノ
一体を倒すが残りは転がり回避した
レイカもXガンを連射するがカタス兵のカッターを避けるので精一杯
そのうちに追い詰められ、カタス兵に囲まれるクロノとレイカ
「くッそ・・・タエ・・・ちゃん・・・タエちゃんッ」
カタス兵がスーツの下でモニター越しに何か会話している
モニターにクロノの顔が転送されて来る(前々回の金髪カタス兵からのやつっぽい
そしてカタス兵がクロノに砲口を向ける
そのとき爆発音と共に少し離れていたところのカタス兵が爆破される
画面にミサイル(ガンツっぽい)が映り他のカタス兵にも次々直撃
場面変わり外国(アメリカ?)になる
同じようにカタス兵がミサイルによって爆撃を受けている
場面変わり潜水艦の船内のような場所
スーツを着た外人二人が会話していて最後にアップになって終わり
363 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/24(日) 19:49:43 ID:QIB6w/3z
保守
規制も解除されたし、そろそろ…
365 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/28(木) 23:46:51 ID:MC4Nlh1O
俺の名は斎藤佑樹(さいとうゆうき)
恥ずかしい話しだが俺はひきこもりだ
都内の高校に通っている
イジメられているわけでもない
だが俺は居ても居なくても何も変わらない
「空気」のような存在だ
学校なんて行く意味がない
このまま辞めてしまおうか…
俺なんかどうせ留年だ
生きる意味さえわからない
人生に退屈する毎日だったが
俺はGANTZという漫画が好きだ
現実にはありえない話しだが
どこか現実味のある
この漫画には他の漫画にはない面白さがある
だが今はGANTZの連載は2週間に1度だ
俺は暇を持て余している
そして真っ暗な自分の部屋からパソコンを起動させた
そしてあるスレを見つけた
今思えばこれが俺の運命を変えたのだろう
あの非現実への第一歩だった
【俺は】GANTZの西君のお話し【宇宙人だ】
佑樹「なんだこのスレ…」
俺はそのスレを開いた
どうやら一般の人がGANTZの小説を書いてるみたいだ
ルダボウさんという人が書いている
佑樹「……おもしろい…」
俺は夢中になって読んだ
時間が経つのも忘れて…
気付けば全て読んでいた
しかし更新が途中で止まっていた
みんなこの小説の更新を楽しみにしているのに…
もう二ヶ月以上も更新がない
佑樹「ルダボウさんに何かあったのか?」
366 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/31(日) 03:08:03 ID:FB5Z1WS9
このスレのレス…「ルダボウは俺が再生する」
まさかとは思うが…いや、ありえない話しではない
この人はGANTZの住人なのかもしれない
そしてルダボウはミッションで死んでしまって…このレスの人が残したメッセージなのかもしれない…
だがしかしGANTZの世界にどう行く?
選ばれた人間しかいけない、俺が行けるとは限らない
結局俺にはどうする事もできない
俺は喉が渇いたので自動販売機にジュースを買いに行った
自動販売機のすぐ近くの上には線路があった、そこを電車が通る
佑樹がジュースを買い帰ろうとした時だった
電車が脱線しこっちへ突っ込んで落ちてきた
367 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/31(日) 03:09:34 ID:FB5Z1WS9
佑樹「………ここは…?」
俺はマンションの一室にいた
部屋には6人ほど人がいた、部屋の真ん中には黒い玉がある
佑樹「こ、これたのか!?よッしゃ〜!つかなんで死んだんだッけ」
すると近くで体育座りしていたデブが話しかけてきた
「なぁに喜んでんだよ?バカか?帰れねえんだぞ」
佑樹「ふふッ、ははははは!」
黒いスーツの茶髪でツンツン頭が話し掛けてきた
「俺は宮城翔太郎、お前、なぜ動揺しない?」
佑樹「俺はここがどこか知ッてるから」
宮城「なぜだ?」
佑樹「だって漫画あるだろ?wそれに俺はネットの掲示板でこれと同じ感じの小説を読んでたんだ」
宮城「…もしかして2ちゃんだろ?作者の名前を言ッてみろ」
佑樹「作者は確かルダボウ」
宮城「お前もあのスレを見ていたのか…俺も見ていた、そしてルダボウは今、戦死者リストにいる…」
佑樹「やッぱりそうだッたのか、俺もGANTZがあるような気がしてならなくて、そしたら電車が落ちてきたんだよ、運が良いのか悪いのか」
宮城「今、存続メンバーは二人しかいない、ルダボウは俺が来た時にはまだ生きていた、あのスレにルダボウは俺が再生する。ッて書いたのも俺だ」
佑樹「ああ、見たよ!俺も再生したいと思ってた、続きが気になるんだよ」
宮城「ふッ、同志だな、今俺は22点だ、予想以上に点数とるのは難しいぜ?」
佑樹「望むところだ…」
するとヨボヨボの老人が話し掛けてきた
「なにがなにやらさッぱりなんじゃがの…わしは病院で入院してたはずなんじゃが…」
ギャル系の女もきた
「そうよッ!ここなによ帰りたい〜!」
デブ「あきらか撮影だよな?おまえらなんか知ッてんなら言えよ」
宮城「撮影じゃねえよ、そんな考えじゃ死ぬぜ?状況はさっき説明しただろうに」
残りの黒いスーツを来た長身の男、眼鏡の男、黒人の女はただ黙ってこの状況を見ていた
するとラジオ体操の音楽が流れた
あ〜た〜らしい朝がきた
希望の朝だ〜
てめえらの命はなくなりました
新しい命をどう使おうが勝手です
てめえらは今からこいつをヤッつけにいッてくだちい
正直期待してる
369 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/01(月) 10:46:55 ID:qJzYYBpD
お魚星人
特徴 つよい くさい
好きなもの 肉
口癖 ギョギョギョギョ〜!
祐樹「つよいだってさ」
宮城「当てにならん、どうせ強いのはボスだけだろうさ」
祐樹「ンな事言ってて強かったら最悪だなw」
宮城「和哉…どう思う?」
すると今まで黙ってた長身のGANTZスーツを着た男が話しだした
和哉「前回みたいに雑魚が弱すぎてボスが強すぎるみたいになんなきゃいいが」
祐樹「えッなにそれ」
宮城「前回のミッションな…全部で10人いたンだ…、誰も死なないはずだった…だがボスに8人殺された、みんなちゃンとスーツも着てたンだ」
祐樹「マジかよッやべえなッ…」
宮城「転送始まっちまうぜ、スーツ着なッ」
宮城はアタッシェケースを祐樹に渡した
結局、スーツを着てるのは祐樹、宮城、和哉だけだ
他のギャルとじいさんとデブと眼鏡はいまだに軽い混乱状態で騒いでいた
宮城「しッかし今回は7人か…少ないな」
ジジジジジ…
祐樹「あッ…」
転送が始まった
祐樹「お先に…」
宮城「オウ!あっちでなw」
ジジジジジ…
370 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/01(月) 10:52:08 ID:qJzYYBpD
祐樹「……ここは…」
転送された場所は潮風が覆い、臭いですぐに場所が特定できた
祐樹「海か……」
倉庫があちらこちらに見え
すぐ近くには海がある
どうやら海沿いの工場地みたいだ
そして次々に参加者が転送されてきた
宮城「今回はここか〜」
デブ「や、やッと帰れるッ!」
祐樹「あっ、おい待てッて…」
宮城「ほッとけよあンなデブ」
祐樹「でも…」
宮城「人の話しを聞かない、状況に適応しない、しようともしない…ああいうのは生き残れねえよ…恐怖に怯えて死ぬより、いきなり頭爆発した方があいつの為だろ?」
バンッ!ビチャ…
ギャル「ギャアアアアアア!!!人が死んだァァァァ!!!」
宮城「おめえもどうせ死ぬぜ?人の話しくらいちゃンと聞けよな」
和哉「おい、いたぞ」
ペタペタ……
海の中から頭が魚、体が人間の生物が陸に上がってきた
ペタペタ…
祐樹「おい…こッちくンぞ!!」
ペタペタ…ペタタタタタ!!
ギャル「変なのが走ッてきたあああ!!!!」
ギョーン…ババンッ!
魚星人の頭が破裂した
和哉「大丈夫、弱いぞ」
宮城「しッかし気持ち悪いやつだな…」
祐樹「近くにまだいるかも」
祐樹は大きい倉庫の中へ入っていった
祐樹「……あ!?」
371 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/01(月) 11:27:53 ID:qJzYYBpD
倉庫にはなにやらお魚星人が6匹、四つん這いになりなにかを食べていた
祐樹「………ゴクリ」
宮城「こいつら…仲間喰ってやがる…」
そしてお魚星人たちのすぐ近くには同じ部屋にいた陰の薄い眼鏡が無惨にもバラバラになって死んでいた
祐樹「眼鏡が…死ンでる…」
宮城「勝手に行動して勝手に死ンで、ほんとバカばッかりだな」
ギョーンギョーンギョーン!
ババンッババンッババンッ!
宮城がお魚星人にXガンを撃った
残りのお魚星人がこちらに気付いた
タッタッタッタッ
バキィッ!
宮城は走ってお魚星人を殴った
宮城「オラオラオラァ!死ねやッ!」
祐樹「まッ、まずいッ!」
お魚星人がどこからともなく集まってきた
ギョギョギョギョ〜!!!
1匹の星人が宮城に抱き着いた
宮城「なンッだよコイツ!」
宮城に抱き着いた星人の体が光りだした
宮城「!?」
ドンッ!
ヒューン…ドロドロ…
宮城「やべえ…スーツが…」
祐樹「コイツら自爆すんのかよッ!」
372 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/01(月) 11:36:56 ID:qJzYYBpD
ペタタタタタ!
宮城「祐樹ッ!自爆されたらヤバいぞッ!ぜッてえ抱き着かれンなッ!!!」
祐樹「わかッてるッ!」
祐樹は逃げながらXガンを撃った
ギョーンギョーンギョーンギョーン!
ババンッババンッババンッババンッ!
祐樹「はあッ…はあッ…」
宮城「チクショ、スーツがダメになッちまッた…」
すると和哉が走ってきた
和哉「おまえらッ!逃げろッ!死ぬぞッ!」
すると倉庫の壁が突然崩れた
ギョギョギョギョ〜!!!
祐樹「なンだよコイツ…」
そこには巨大なお魚星人が壁を壊してきた
体長20mくらいはありそうだ
すると突然、巨大なお魚星人の体が光りだした
宮城「まずいッ!自爆だッ!逃げろオッ!」
カッ…ドドドーン!!!!
祐樹「うわッ!」
爆風がすごい
祐樹「!!!宮城ッ!!!」
スーツが壊れた宮城は爆風に飛ばされ海に落ちた
ドボーン
宮城「クソッ…」
右足に激痛が走った
宮城「クッ……ッあああ!!」
海の中でうまく動けない宮城の右足にお魚星人が噛み付いていた
宮城「あああああああ!!!!」
文章力が足りない
まあなんだルタボウが帰ってくるまでの暇つぶしにはなるだろう
ルダボウはもう帰ってこないんじゃないか?
発想は面白かったけど、、
どうしても文章力が足りなくて。。。
でも頑張ってルタボウ以上を目指していただきたい
応援します
新しく書いてた奴はここまで書いてミッションに呼び出されたんだろう
んで後の結果はそういうこと
つまり西君みたいにまた誰かに生き返らせて貰わないとダメなのか
待ってるのは俺だけか
381 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/22(月) 20:49:48 ID:J4Iw7BDF
て
382 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/22(月) 21:00:34 ID:J4Iw7BDF
ザクッ!!!!!
「宮城…大丈夫か?」
和哉はガンツソードで魚星人を突き刺し宮城を助けだした
宮城「はあッはあッ…いッてェ…」
和哉「ちょっと待ってろ」
右足が血だらけな宮城に和哉が応急処置をする
宮城「わりィ…動けそうにねェわ…」
宮城は悔しそうに言う
「点数稼げねェじゃねェかよ…」
和哉「安静にしてろ後は俺らでどうにかする」
祐樹「ボスが見当たらないな…」
和哉はレーダーを取り出してボスの居所を調べる
383 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/22(月) 21:20:58 ID:J4Iw7BDF
「反応があンのは海からだ」
祐樹「海ン中にいンのかよ…どうしようもねェじゃねェか…」
和哉「…!!!!おい!!!海上のあンなとこにあンなでかい岩なンかあッたか!?」
3人はその場所を見やる
宮城「なンかいるぞ…」
祐樹「人魚……」
さっきまでの星人とは違う下半身が魚 上半身が人間の神話に出てくる人魚が岩の上にいた
しかし明らかに奇形だった
顔面には大きな目が1つ 腹は裂け腸がでていた
祐樹「うッ…気持ち悪いな…」
和哉「なンか喰ッてねェか…?」
宮城「あれ…じいさんと女じゃねェか!!?」
部屋にいたじいさんと女が人魚に喰われていた
ガツガツガツガツガツガツッ!!!!!!!!
宮城「喰ってやがる…」
和哉「とッとと終わらすぞ」
和哉はYガンを構え撃った
バシュッ…ヒュンヒュン…ガシ
弾は人魚に絡みつき拘束した
「ふふふふふふふふふふふふふ」
人魚を捕獲した
和哉がもう一度トリガーを引こうとした瞬間だった
「ギョオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」
人魚は自分の下半身を鋭い爪で切断し魚の部分の下半身を捨て
上半身だけで海に落下した
和哉「くるぞッ!!!!」
384 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/22(月) 21:55:10 ID:J4Iw7BDF
その瞬間人魚は巨大化していた
その巨大化した上半身だけの姿で陸に上がってきた
「ふふふふふふふふふふ」
突如人魚の大きな眼球から赤い光線がでた
和哉「……ッ!?」
光線はうまく身動きがとれない宮城に直撃した
「うわッなンだこれッ!!!」
宮城の体が除々石化した
和哉「宮城ッ畜生ッ!!!」
今 星人に隙を見せたらまずい
どうすることもできずに
宮城はみるみる全身が石化した
和哉「祐樹ッ!!!宮城を担いで逃げろッ!!!後は俺がやるッ!!!」
祐樹「生きてンのか!?」
和哉「まだわかンねェだろッ!!!早くッ!!!」
すると人魚の巨大な拳が石化した宮城に向かって伸びてきた
和哉「させねェェ!!!!!!!」
和哉はガンツソードでそれを受け止めた
「ふふふふふふふふふ」
和哉「おらァァァァァッ!!!!」
和哉は受け止めた星人の拳ごとガンツソードで切り裂いた
ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!
「ギャァァァァァァァァァァ!!!!」
和哉は人魚の腕を切り落とした
祐樹「クッ!!!」
祐樹は石化した宮城を担ぎ逃げ出した
385 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/22(月) 22:01:16 ID:J4Iw7BDF
「逃がすかァァァァ!!!」
星人は素早い動きで祐樹に突進していった
和哉「だからさせねェッつッてンだろがッ!!!!」
和哉は背を向けた星人をスーツの協力な腕力で星人を掴み投げ飛ばした
ガッシャァァァァン!!!!!!
ガラガラガラガラ!!!!
星人は倉庫の近くのドラム缶の山に突っ込んだ
和哉「お前の相手は俺だろ……」
祐樹「はあッはあッはあッ…宮城…生きててくれよッ…」
祐樹は石化した宮城を安全な場所に隠し和哉の元へ向かう
祐樹「早くしねェとッ!!!」
祐樹は倉庫の影に隠れ見つからないように戦況を確認した
祐樹「…ッ!!!」
和哉「はあッ…はあッ…クッ!!!」
和哉は右腕がなくなり星人の手に拘束されていた
386 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/22(月) 22:27:49 ID:J4Iw7BDF
「ふふふふふふふふふふ…そンなンじゃ私を殺せてもこの先生き残れないわよ」
和哉「やッてみなきゃわかンねェだろ…」
「マズイ…早くどうにかしねェと…」
祐樹は持っていた大きなXガンを構え遠くから星人を狙う
小さな声でつぶやいた
祐樹「…くらェ…」
ギョーンッ!!!!!!
バンッ!!!!!!
「ギャァァァァァァ!!!!」
それは見事に和哉を掴んでいた星人の腕の根元を直撃し星人の腕が吹飛ぶ
387 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/22(月) 22:53:51 ID:J4Iw7BDF
ギョーンッ!!!!!!!!
祐樹はすぐさま次は胸元を撃った
「ガハッッッ!!!!!!」
星人の胸が割れ吐血した
祐樹「よッしゃァァァァ!!!!」
「貴様ッ…まだいたのかァァァ!!!」
祐樹は2発目を撃った瞬間にガンツソードを手に走り出す
スーツの力で強靭な威力を誇るガンツソードを突き立て星人に突進した
タタタタッ…!!!!!!!!!
「うオオオオオオオッ!!!!」
タッ…!!!!
ブシュゥゥゥゥッ!!!!!
ソードは星人の顔面に突き刺さった
星人は声もあげずに沈黙した
祐樹「はあッ…はあッ…ふうッ…」
和哉「祐樹…よくやッたなッ!!!」
「次の奴は強い…さッさと殺されろォォォォ!!!!!」
ギョーン
祐樹「うるせェな…さッさとくたばれよ」
祐樹はさらに顔面にXガンを撃った
ババンッッ!!!!!!!
顔が弾けとび星人は完全に死亡した
ジジジジジジジジジジ…
祐樹「終わッた…」
和哉「祐樹助かッたサンキューな…」
祐樹「無事みたいで良かッたよ」
ジジジジジジジジ…
388 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/22(月) 23:02:22 ID:J4Iw7BDF
文章力ないのは自分でもわかってます
次の話しからはできるだけ死亡して転送されてくるまでの描写など
よく伝わるように努力します
るだぼうさんが帰ってくるまでの暇潰しで読んでいただければ幸いです
いままで携帯だったので規制されてて書き込みができませんでした
389 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/22(月) 23:31:57 ID:J4Iw7BDF
ジジジジジジ……
祐樹「帰ッてこれたッ…」
祐樹はその場で膝をついた
身体がまだ小刻みに震えている
祐樹「まだ心臓の鼓動が収まらねェ…」
ジジジジジジ…
和哉「………」
和哉は厳しい表情を崩さない
「宮城……」
シーーーーーーーン……
宮城はまだ帰ってこない
祐樹「死ンじまッたのかな…」
和哉「宮城ッ!!!帰ッてこいッ!!!!」
ジジジジジジ…
宮城「…あッ……」
和哉「宮城ッ!!!!」
宮城「あれッ俺どうしてたッけ…
祐樹「石化して動けなくなッてたぞ…」
宮城「まじかよッ!!!よく生きてたな…」
和哉「マジで良かった…」
和哉は喜びを噛み締めながらガンツを見て言った
和哉「採点が始まるぞ…」
採点
ギャル男 6点
total 28点
あと72点でおわり
宮城「ちッ…全然ダメだなァ…」
イケメン 14点
total 52点
あと48点でおわり
和哉「ふむ…」
宮城「ボス倒したのは和哉か??」
和哉「いや」
390 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/22(月) 23:39:42 ID:J4Iw7BDF
ひきこもり
祐樹「あッ…引きこもりッて俺かッ…」
20点
total20点
あと80点でおわり
祐樹「20点か…」
宮城「祐樹がボス倒したのか??よくやるなーッ」
チーーーン……
宮城「ン…??」
特別ぼーナス
祐樹「は??」
宮城「特別ボーナス??」
和哉「こンなの初めてだ…」
戦死シャリすトから一人再生してくだちい
宮城「はあッ!?なンだよそれッ!!!」
和哉「わけわかンねェな…」
祐樹「でも100点とらなくても再生できるンだからありがたく再生させてもらおうぜ」
宮城「そうだなッ」
だが和哉はこの時嫌な予感がしていた
あの星人が最後に言ったこと…
そしてこの特別ボーナス…なにかありそうだ…
391 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/22(月) 23:46:42 ID:J4Iw7BDF
宮城「ガンツ!!!ルダボウを再生してくれッ!!!」
和哉「待てッ…」
宮城「和哉どうした??」
和哉「今はダメだ…戦力になる奴を再生させる」
宮城は少し納得いかない様子で和哉に言った
宮城「そうかもしンねェけどよ…」
祐樹「あの星人の言ッてた事が気になるのか???」
和哉「ああ…」
宮城「どういうことだ??」
和哉は宮城にあのミッションでボスに言われた事を教えた
次の星人がとてつもなく強いであろう事を
392 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/23(火) 00:00:46 ID:sWYEhCEX
宮城「なるほどな…」
和哉「今ルダボウを再生するのはダメだ…なら強い奴を再生してミッションの成功率をあげるんだ…そうすればいつかはルダボウを再生できるはずだ」
宮城「その通りだな…」
祐樹「ところで誰を再生すンだ??」
宮城「玉置だろ??」
和哉「ああ…今はあいつを再生するのが懸命だと思う」
宮城「俺もそう思うわ」
和哉「ガンツッ!!!玉置を再生してくれッ!!!」
ジジジジジジジジ…
玉置「……あ??」
茶髪でピアスの男が再生された
玉置「ボス倒したンかッ!!!よくやッたわーあれ??メンバー減ッてね」
宮城「いや…お前死ンだンだよ…」
玉置「はあー!!?マジかいな…俺死ンだンか…」
和哉「次の戦いは厳しくなると思う…覚悟しておいてくれ」
玉置「なンかあるみたいやな」
玉置は奥の部屋へ歩き出す
ガチャ…キィィッ
393 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/23(火) 00:08:28 ID:sWYEhCEX
玉置「あッたあッた」
玉置は奥の部屋からHガンを持ってきたのだった
祐樹「ああッ!!!それッ」
玉置「死ンでもなくなるわけやないンやなッなかッたらショックでかかッたわ」
玉置はホッとした様子で言った
宮城「こいつはな100点取ッた事あンだぜ」
玉置「もう死なンから安心せェ」
宮城「とりあえず終わッたし帰るか」
それぞれ帰路につく
戦いは一時的だが終わった
次のミッションでさらなる地獄を見る事も知らずに
394 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/23(火) 05:32:53 ID:sWYEhCEX
ここは東京都 某刑務所
「なに見てんだよてめェ!!!!!」とこの男の声で刑務所の朝が始まる
「おとなしく作業をしてろッ!!!飯抜きにされたいかッ!!!」と教官が怒鳴る
「できるもんならしてみろや」 男は教官の脅しに怯まない
男は教官の胸倉を掴みあげる 男の図体はかなり大きく力もありそうだ
教官など軽々と持ち上げてしまった
「グッ…やめろ…」
男はやめる様子がない すると他の教官がこちらに気づいた
「安田ッ!!!貴様なにをやッてンだ!!!」そう言うと男を警棒で殴る
「いてェなこの野郎!!!!」
「仕事に戻れ」
男は言う事を無視し暴れようとした その瞬間だった
チャッ…
「仕事に戻れ聞こえないのか??」教官はピストルを突きつけてきた
「くそッ…」
男の名前は安田大紀(やすだだいき)
この男は殺人の罪で今この刑務所で生活している
刑務所での問題男だ
こうして日々問題を起こしている
安田は脱獄を企てていた 就寝時間になると教官の目を盗み
知り合いに仕込んで送ってもらったナイフで柵の棒を切断しようとしていた
同じ部屋には最近捕まったあの凶悪犯 市橋達哉がいた
「やめるンだ…ここから逃げるなンて無謀すぎる」と市橋は安田に言う
安田はその言葉に対し反論する
「散々逃げ回って整形までした奴に言われたくねェな」
それを聞いて市橋は更に言う
「捕まッてまで逃げようとは思わない…そのうちその行動が無駄だッて事に気付くさ」
「ふふんッ」安田は鼻で嘲笑いながら言った
「そうかよッでもお前は後何十年だ??気が遠くなるだろうッまあこんな薄暗くて汚ェ場所でずっと反省してな!!!アッハッハ」
そう言うと安田はこそこそと作業を進めた
安田がこの作業を始めてもう半年そろそろ棒がとれそうだった
安田「もう少しだ…」
下調べなども済んでいる 夜中にここから出る事ができれば
もう脱獄など簡単だ もうすぐ脱獄できる喜びを胸に作業を頑張った
395 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/23(火) 05:53:52 ID:sWYEhCEX
するといきなり市橋が立ち上がり扉にしがみつき叫んだ
「ここに脱獄しようとしてる奴がいますッ!!!!!!!!」
「なンだと!!?」教官はすぐにこちらに駆け付けてきた
「てめェ市橋ィ!!!!!」安田は驚きを隠せない
市橋の一言で半年の苦労が水の泡だ しかも脱獄をしようとしてバレれば懲役が増えるのはまず間違いない
安田は激昂して言った
「てめェ!!!!!ふざけんなッ!!!なにしてくれてンだよッ!!!」
教官が駆け付けた もう終わりだ そう思ったが市橋に対する怒りは収まる様子がない
「安田ッ!!!動くな!!!!」
教官は安田に命令するが命令など安田の耳に入らない
「てめェ市橋ッ!!!!ぜッてェゆるさねェ!!!」
安田はそう言うと隠し持っていたナイフで市橋の首を刺した
首の頚動脈が切れ部屋が赤い血で染まる
「おいッなにしてるンだ!!!動くなッ!!!」
教官が言い放つがもちろん安田の耳には届いてない
もう後戻りはできない 安田は更に教官に飛びかかる
「うオオオオオオッッ!!!!!!!!!」
ザクッ!!!!
教官の首を切り教官は首から血を噴出しながら倒れる そして部屋は更に血で滲む
「はァ…はァ…こンな筈じゃなかッたのによ…」
パンパンパンパンッ!!!!!!!!!!!!!!!
「ぐはァッ…」
安田は倒れた 自分の腹に手を当てると血が出ている
「俺も…ここで終わり……か………」
396 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/23(火) 06:20:48 ID:sWYEhCEX
市橋は気がつくと部屋の一室にいた
自分は安田という男に刑務所で殺された筈だ
一命をとりとめ刑務所じゃない場所にいるのか??
そう思ったがどうもつじつまが合わない
部屋には黒いスーツを着た男達 部屋中央に置いてある黒い玉
まったくもって意味がわからない市橋だったが男が喋りだした
「誰かきたぜ」 宮城は新しいメンバーが来て少しハシャいでいる
「女こいやァ…」と玉置が毒付く
「この人どッかで見た事あるような…」と祐樹は市橋を見て言った
「ああァッ!!!こいつあれじゃね!!?殺人で最近捕まッた市橋ッ!!!」
宮城がびっくりしながら言うと皆して納得した顔をした
和哉「間違いねェな…」
すると玉置が言った
「ンじゃこいつ今始末しとくか??変な事されても困るしよ」
そういいながらXガンを構える
「だめだ…今メンバーが減るのは痛い」と和哉は玉置をなだめる
「どうなッてもしらねェからな」玉置は市橋を睨みながら言った
ジジジジジジジジジジジジ…
玉置「また誰かきたみたいやな」
安田「……???」
気が付くと安田は部屋にいた
「なンだよここは…助かッたのか??」
「やたら戦力になりそうな奴がきたなッ」宮城は笑いながら言った
安田は不思議な光景に戸惑いながら辺りを見渡す すると市橋の姿が目に入る
「あァッ!!!市橋ッ!!!てめェ!!!」そう言いながら安田は市橋に殴りかかった
バキィッッ!!!!!!!!
「おいッ!!!やめろッ!!!」 和哉が安田を抑え込む
「ああー痛そー」 宮城は緊張感の欠片もない
「離せッ!!!こいつのせいで俺はなァ!!!」
チャッ…
「やめろや…これ以上騒いだら殺すで」
玉置は安田にガンを向けて言う 目が本気だ
「わかッたよクソッ」 安田は少し冷静さを取り戻した
397 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/23(火) 06:47:06 ID:sWYEhCEX
ここは遊園地 日差しが眩しい
こんな日は異常に人が多く この遊園地の大人気アトラクションを目当てに来ている客も少なくない
そこに二人の大学生カップルが来ていた
雄介「早く乗りたいなァ」
彼は桂雄介(かつらゆうすけ) 雄介は彼女である川西由美(かわにしゆみ)と久々のデートに来ていた
ここ数ヶ月なかなか予定が合わなかったため二人は今回のデートを楽しみにしていた
今まさに大人気アトラクションに並んでいるところだ
「すごい人…人気だねー」由美は後ろの列を見ながら言った
「ああーッ早く乗りてェ」と我慢できない様子の雄介に
「もうすぐだよッ」と由美が言う
「フリーパスを見せてくださいー」
「きたぜェ!!!俺らの番ッ!!!」
とうとう由美と雄介の順番がきた 二人はわくわくしながらシートベルトを装着した
「楽しみだね」 と由美が言った瞬間だった
ガキィンッ
「ん???」雄介は何か金属の変な音が一瞬した事に気が付いた
「どうしたの??まさか…怖くなッた??」雄介をちゃかす由美
「ち ちげーよッ!!!なンでもねェ」雄介はさっきの音など気にする事もなく由美に言った
ゴトゴトゴトゴト… ジェットコースターが発進した
機体は坂のコースを少しずつ上がっていく まさにこれから恐怖のアトラクションの醍醐味が味わえる瞬間だ
二人はドキドキしながら その瞬間を待っている そしててっぺんまで到達した
二人の心臓の鼓動が最高潮に達した瞬間 ジェットコースターは物凄い勢いで加速し落ちていく
「ひゃっほー!!!!」
「きゃあああああああ!!!楽しーいッ!!!」
その時だった
ガキィン!!!!!!!!!!!!!!!
398 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/23(火) 07:15:43 ID:sWYEhCEX
ジェットコースターの車輪の部分から鈍い音がした
「ああァ!!!??」 雄介はその音に気付いた 雄介だけじゃない
かなりの大きい音だ 乗客は皆気付いてる様子だった
「いやァァァァァァ!!!!!!!!!」
「ギャアアァァァァァァァァ!!!!!!」
「のおおおおおおおおおおお!!!」
乗客の悲痛な叫び声が聞こえる 恐怖心でただただ無事を祈る事しかできなかった
ジェットコースターは不安定に進みながら急降下し脱線して物凄い勢いで豪快に地面に突っ込んだ
ドガガガガガガ!!!!!ガッシャーンッ!!!!!!!!!!
(なンだよ…せッかく由美との久々のデートだッたのによ…ついてねェな……)
少しずつ意識がなくなる もはや痛いなどの感覚はない
(はあ…こンな終わり方かよ…てかもう何も考えらンねェ…)
そして雄介は意識を失った
「………ン??」段々意識がハッキリしてきた
由美「…ここは??」
雄介は由美の無事な姿にビックリした
「由美ッ!!!?」そう言うと由美も雄介を見てビックリした
「雄介ェ!!!」
そして次々と同じジェットコースターに乗っていた人達が転送されてきた
「ここはどこなンだ!!!」
「なになにィ!!!どこ!!?」乗客達は皆この状況に戸惑っていた
新しく来た者達が騒いでいると和哉が叫んだ
「落ち着いてくれッ!!!あンた達は死ンだンだ!!!覚えがあるだろう…ここは死ンだ者が集まる場所だ!!!だがまだ帰れる方法があるッ!!!生き残りたかッたら俺の言う事を聞いてくれッ!!!」
「確かに…僕らは死ンだ筈なのにここにいる…」眼鏡の男がそう言うと次々みんな納得していった
そして和哉は新しい参加者にこの部屋の事を一通り説明した
「というわけだ…わかッたか??」
「信じにくい話しだけど…確かにつじつまが合うし…この部屋からはでられない…現実を受け止めるしかないンだな…」
399 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/23(火) 07:38:46 ID:sWYEhCEX
「俺の名前は桂雄介(かつらゆうすけ)19歳 大学生 死因はジェットコースターの脱線事故」
「まじかよッ!!!どこのジェットコースターが事故ッたンだ??」宮城は興味津々で雄介に聞いた
「富士急のドドンパだよ ほンとついてない…」
「ひゃー…あれ乗ッた事あンだけどッ」
「私は川西由美(かわにしゆみ)18歳 私も大学生です死因は雄介と同じ」
「俺は安田大紀(やすだだいき)死因は刑務所で銃で撃たれた」
「えッ!!?犯罪者がいるの!!?こ…こないで…」 由美は安田にびっくりして後ずさりながら言った
「あッはッは」 宮城は由美の反応に笑う
「おい…和哉やッぱコイツ始末した方がよくね??」玉置が再度和哉に言った
「なンだと!!?」それを聞いて安田がキレる
「あの…すみません良いですか??」眼鏡の男が話しだした
「私は岩永一男(いわながかずお)私も同じジェットコースターに乗ッていました…そしてそこの子は私の娘で岩永洋子…その隣りの子は…」
「洋子の友達の木下ゆり(きのしたゆり)16歳 高校生です」
宮城「あとはお前だけだけどみンな知ッてたからいいか」 宮城は市橋の自己紹介を適当に流した
すると黒い玉からラジオ体操の曲が流れ出した
あ〜た〜らしい朝がきた〜
希望の朝〜だ〜
それいちッ!にッ!さんッ!
てめえらの命はなくなりました
新しい命をどう使おうと
わたしの勝手です
という理屈なわけです
てめえらは今からこいつを
やッつけに行ッてくだちい
ほ
し
がいこつ星人
模型星人
特徴
つよい、こわい
口癖
バーーカ、ちょーだい
好きなもの
にんげん
宮城「は?人体模型とガイコツ?」
祐樹「理科室かッ!」
宮城「あッはッは…ッてつまんねェ…」宮城はいきなり笑いを止め真顔で言う
祐樹「ッせェなァ」祐樹は少し拗ねる
和哉「………」和哉は映ってる星人をただ見つめる
雄介「なんだよこれ…こんなの倒せるのかよ…」雄介は映ってる星人を見ながら言った
宮城「倒すしかねーんだ、やらなきゃやられる…」
安田「な、なンだよッ!!!こンなのがでてくるのかッ!?」安田は混乱しながら言う
ジャキッ
玉木「うし、久々だから腕がなるわ」玉木はやる気満々だ
新しい参加者は戸惑いながらもスーツをはく
ジジジジジジ…
安田「おわッ!なんだ!?」
和哉「安心しろ、転送だ、着いたらその場から動くなよ!」
安田「わ、わかッた!」
岩永「はいッ!」
洋子「怖いッゆりー私達大丈夫かな?」
ゆり「大丈夫…落ち着いて?」
玉木「安田ァ!そンくらいでぎゃあぎゃあ騒ぐンじゃねえよw」
安田「ああ!?うるせえッ!」
ジジジジジジ…
玉木「じゃ、先行ッてんぜ」
ジジジジジジ…
ジジジジジジ…………
403 :
創る名無しに見る名無し:2010/03/04(木) 22:08:58 ID:dHlmuYan
祐樹「ここは…」
転送が終わった、真っ暗で何も見えない、室内のようだ
宮城「Xガンにレントゲンのように見えるスコープがあるだろ?」
祐樹「あ、ホントだ、ここは教室か?」祐樹はXガンに付いてるスコープを覗いて言う
宮城「みたいだな、とりあえず電気付けるわ」
パチッ
宮城が教室の明かりのスイッチを押した、部屋は明るくなる
宮城「ずいぶんぼろいな…廃校舎かなンかか?」
祐樹「てか…他の奴らがいなくね?」宮城と祐樹以外の他のメンバーが見当たらない
宮城「いねえな…今回のミッションは初期配置がバラバラみてえだ」
祐樹「みンなが心配だ…新しいメンバーばかりだし…」
宮城「だな…そこらへん探してみッか」
宮城と祐樹は廊下に出た
祐樹「真っ暗だ…」
辺りは真っ暗で、何も見えない
洋子「きゃあああああああッ!!!」
真っ暗闇の中から新メンバー、岩永洋子の叫ぶ声がした
宮城、祐樹「ッ!?」
宮城「祐樹ッ!行くぞッ!」
祐樹「ああッ!!」
ダッ!!!
……………………
タッタッタッタッタッタッ…
随分走った、しかしどこかにたどり着く様子がない
宮城「なンだ…この廊下やけに長いな…」
祐樹の反応はしない
宮城「あ?祐樹ッ!?……いねェ…」
―――――――――
祐樹「ハアッハアッ…」祐樹が足を止めると扉があった
祐樹「ここか……あれ、宮城?」
宮城の反応がない
祐樹「はあッ!?一緒に走ッてたよな…どーなッてンだよ…」
祐樹は愚痴りながら教室の扉を開けた
ガラガラガラッ…
祐樹「洋子ちゃんッ!」
洋子は腰が抜けて地べたに座り込んでいた
洋子「あッ…ゆ、祐樹くんッ…」
祐樹「一人か?」
洋子「う、うん…ねェ…アレ…」
洋子が指差す方向を見ると、教室のド真ん中で血だらけの二足で立ち、赤ちゃんの人形の様な物を抱いているウサギがいた
祐樹「なンだあれ…」
祐樹はXガンを構えた
カチャッ…
祐樹「………ッ」
狙いを定め、ガンを発射した
ギョーン
数秒後、ウサギの向こう側の壁が爆発した
祐樹「は!?ちゃンと狙ッたのに…」
どうやらウサギは実態がないみたいだった
するとウサギは抱いていた赤ちゃんの人形を床に置いた
するとウサギはスウッと消えていなくなった
ゾクゾクッ…
祐樹は肩に物凄い悪寒を感じた
祐樹「まずいッ…くるッ…!」
床に置かれた赤ちゃんの人形からいきなり雄叫びが放たれた
オオオオオオオッ…!!!
祐樹「……ッ!?」祐樹は最大限に警戒していたのだが気付くと赤ちゃんの人形は祐樹の足元にいる
不気味な顔で人形は笑った
その瞬間、人形の目から針が飛び出した
ブシュシュッッ…!!!
祐樹「グァァァァッ!!!!」飛び出した針は祐樹の太ももに突き刺さる
祐樹「クソッ…ざけンなよッ!!!」祐樹はガンツソードを取り出し、床ごと人形に突き刺した
グサッ!!!
祐樹「チッキショッ…」人形は動かなくなった、どうやら倒したみたいだ
祐樹の太ももからは血が流れる、激しい痛みが襲う
祐樹「クソッ…ハアハアッ…洋子ちゃん、針…抜いてくれねェか?」
洋子「う、うんッ!」
洋子は落ち着きを取り戻した様だったが、祐樹の怪我に少し戸惑う
突き刺さった2本の針は結構太くて長かった、針を抜くのは激痛を伴いそうだ
洋子「抜くよ…」
祐樹「ああ…頼むッ…」
ズブズブッ…
祐樹「ぐあッあああああッ!!!」
カランカランッ…
洋子「大丈夫?」
祐樹「あ、ああ…平気だ…」
(チクショウ…まともに走れねェかもしンねェ…)
ジジジジジジ………
「着いたか…みンないるか?」和哉が周りに言う
「いますよッ」「いますッ…」「います…」その場にいる全員が返事をする
和哉「今回はバラバラか…」和哉は少ないメンバーを確認し言った
「ここは…男子トイレ?」由美が辺りを見回しながら言う
雄介「狭いな…」
4人が転送されたのは明かりは付いているが狭い、個室トイレが4室、小便用が6つ着いてる男子トイレだった
「ここは…どッかの学校か?」和哉は警戒しながら辺りを見渡す
雄介「やけに古いですね…」
和哉はレーダーを確認するが、レーダーが使えない
「どうなッてンだ、レーダーが使えない…」和哉は何度もボタンを押すがレーダーは反応しない
すると突如、個室トイレの中から奇妙な音が飛ぶ
ガチガチガチガチッ!!!
「キャッ!!!」
「なンだッ!?なンかいるッ!気をつけろッ…!」和哉は音のした大便の個室にXガンを向けて言った
シーーン…………
音は止んだが、メンバー達の間に不気味な空気が流れる
和哉は音がしたトイレのドアノブを握った
「開けるぞ…」
ガチャッ、キィィッ…
和哉はXガンを構えながらドアを開け、中を覗いた
「何もいない…」
和哉は警戒しながら、便器の中を覗く、すると便器の中から大きな腕が延び、和哉の足を掴んだ
「うわッなンだッ!?」和哉は慌ててその場から離れようとするが腕はがっしりと和哉の足を掴み離さない
大きな腕は和哉を便器の中に引きずり込もうとする
ズルズル…
「クソッ!」和哉の身体は少しずつ便器の方にひきづられる
和哉はとっさにガンツソードを取り出し、大きな腕を斬った
ブシュウッ!!!
ギャアアアアアアア!!!!!!
悲痛な叫び声が響き渡る、大きな腕は和哉の足を離し便器の中へと戻っていった
和哉「あッぶねェ…」
雄介「な、なンだいまのッ!」
ギョロッ!!!
すると便器の中から巨大な目玉がこちらを覗いた
由美「きゃあああああッ!!!」
「みンなッ!!!一旦逃げるぞッ!!!」
「は、はは、はいッ!!!」「きゃあああッ!!!」「いやああああ!!!」
和哉の合図とともに全員は一目散に逃げ出す
406 :
創る名無しに見る名無し:2010/03/05(金) 06:59:15 ID:bUgOxVyA
バンッ!
和哉「こッちだッ!!!」
4人は和哉の言う方向に走り出す
タッタッタッタッ!!!
ハアッハアッハアッハアッ…
雄介「うわッ!!!」
和哉「どうしたッ!!!」
雄介「ま、前ッ!なンかいるッ!!!」
ミシッ…ミシッ…
和哉「チッ…」
前からは身体中から変なミシミシ音を立てながらゆっくり歩いてくる人体模型がいた
「なッ、なにあれッ!ああいうのほんと無理なンだッてば!!!」由美は本気でビビりながら言った
「きゃあああッ助けてェェ!!!」ゆりはもはや混乱して騒いでいる
「落ち着けッ!そこの部屋に入れッ!!!」
すぐ横には扉があり、4人はそこに逃げ込む
バタンッ、カチャッ
和哉はすぐに扉を閉め、鍵をかけた、すると扉の向こうから声がする
「おーーい、ちょーだい」
ドンドンドンドンッ!!!
ドンドンドンドンッ!!!
人体模型の星人は扉を叩きながら何か言っている
「ちょーだい〜」
ドンドンドンドンッ!!!
ドンドンドンドンッ!!!
ドンドンドンドンッ!!!
ドンドンドンドンッ!!!
シーーン……
扉を叩く音が収まった
ゆり「なによアレ!?もう帰りたいよッ!!!お母さ〜ん!」
雄介「今の奴ッ!あの黒い玉に映ってた奴ですよね!?」
和哉「ああ…映ってたな…」
雄介「て事はあいつを倒さなきゃいけないンですよね!?」
和哉「そうだ…」
雄介「倒せるンですかッ!?」
和哉「わかンねェ…でもやるしかねえンだ…みンなで協力すれば…イケるはずだ、今までもそうやッて乗り越えてきたッ!!!」
その場でみんな沈黙し喋らなくなった
ゆりは泣いている
和哉「とりあえず…他のメンバーが心配だが、しばらくここで様子を見よう…」
ジジジジジジジジジジ…
「あ?真っ暗だな…」玉木は辺りを見渡す
「ど、どこだここッ!」安田はまだ挙動不審で騒ぐ
「ちょッと黙れッ、みンないッか?」玉木は冷静にそう言う
岩永「はい、います」
カチッ
玉木は部屋の明かりを付けた
玉木「ンだよここ…理科室か?」
部屋は薄暗く、理科室独特の雰囲気をかもしだしている、ピチョンと水滴の垂れる様な音も聞こえる
理科室には玉木、安田、岩永さん、市橋の4人がいた
玉木「なンだよ…バラバラかよッ」「だ、大丈夫なンですか!?」岩永はいきなりの展開に必死で玉木に問い掛ける
「あ?大丈夫ッつーか…星人いるかもだから注意しろよ」玉木は岩永の言葉に適当に返事する
岩永「…はいッ!」
「ま、おめェら頑張れよッ!」
スゥッ……
玉木は一人でステルスに入り、理科室から姿を消す
「ええッ!?玉木さんッ!!!」
「置いてくなよてめェッ!」
しかし玉木の声はもうしない
「勝手な野郎だなァ、あの部屋にいる時からあいつは気にくわねェ」安田は自分勝手な玉木の行動に愚痴をこぼす
バンッッ!
安田は椅子を蹴飛ばした
カサカサカサ
「…ん?何か変な音しません?」岩永は微かに聞こえた音に反応する
安田「そうか?」
すると明るい理科室に何か巨大な黒い物が動いていた
岩永「うわッ!!!!!!」
そこには長い触角、黒くて体長1mもあるゴキブリだった
カサカサカサカサカサカサ
ゴキブリは物凄いスピードで理科室内を動き回る
すると理科準備室から次々と巨大化した昆虫が飛び出してくる
安田「ム、ムカデッ!!!」
岩永「わああああああ!!!」
安田「チキショウッ!!!」
ギョーンギョーーン
安田は驚きながらも冷静さを保ち、虫にXガンを撃つ
ババンッッ!!!
ピギャァァァァアア!!!
虫は奇声をあげる
「岩永のオッサン!!!銃で撃てェ!!!」
「ハッ、ハイッ!!!」岩永もすかさずXガンを撃った
ギョーーンギョーーン
バババンッ!!!
ギョーーンギョーーン
「ハアハアハアハアッ…俺らでも結構やれるなッ!」
「やればできますねッ!」
「よくやッたなァ、俺らの勝ちだッ!ガッハッハ」安田と岩永は昆虫の怪物をなんとか全滅させた
「そういえば…市橋さんがいませんね…」
「あの野郎、逃げやがッたな、みッともない野郎だ」
「それにしてもなンで虫があンなに…」
「理科準備室からだな…入ッてみるか…」
二人は虫が沢山出てきた理科準備室に恐る恐る入る
「なンだよこりゃ……」
理科準備室には大きな繭があった、体長3mはある
二人はア然として繭を見ていた
すると繭にヒビが入り、中から巨大な黒い蝶が姿を現す
「羽化まで待つほどお人よしじゃないぜ…」そう言い、安田が銃を構えようとした瞬間だった
岩永「か、体が動きませんッ!」
安田「なにィ!?ッてクソッ!俺もだッ!」
巨大な黒い蝶はよく見ると顔だけ人間に似た様な姿をしていた、とてつもなく不気味な姿をしている
安田達の周りにはキラキラした粉が舞っていた
安田「…クッ!この粉が動けない原因かッ!?」
星人「ふふふふふふふふふ」
蝶の星人は不気味な笑いを浮かべると岩永の体に止まる
そして、口から長い管を出し、岩永の首に刺した
岩永「うわああァァァァッ!!!やめてくれェェ!!!」
じゅるじゅるじゅるじゅるじゅるじゅるじゅるじゅるじゅるじゅる
安田「あ……あああッ……」
岩永の体は見る見る痩せ細っていった
バリボリバリボリ!!!
星人は血を吸いきって痩せた岩永の体をそのままバリボリと喰い散らかした
星人「ふふふふふふふふふ」
岩永は死んだ、そして次は安田に近付いてくる星人
安田「や、やめてくれェェェ!!!」
タッタッタッ…ザンッ!!!
ブシュゥゥゥゥゥッ!!!
突如、星人の胴体から血が吹き出る、星人はそのまま床に落ちた
バチバチバチバチッ!!!
突如、何もない場所から音がし、ガンツソードを持った祐樹が姿を現した
「大丈夫かッ?」
「た、助かッた…!!!」
「あンた…一人か?」祐樹は安田に問い掛ける
「玉木とか言う奴と岩永のオッサンと市橋がいたンだが…玉木の野郎と市橋は勝手にどッかいッちまうし、岩永のオッサンはこの星人に喰われちまッた…」
「……えッ?」すると洋子は涙を流しながら安田に詰めかかる
「お父さんはッ!?ねェッ!!!死ンだッてなによッ!?」
「………」
洋子は何も言わずに下を向いている安田を見て、全てがわかった様だった
泣きながら祐樹に抱き着く
「お父さんッ!お父さァァァんッ!!!」
祐樹は号泣する洋子を何も言わずにそっと抱きしめる
「俺が…もう少し早く助けにきていれば…」
思う存分泣き喚いた洋子は少し落ち着きを取り戻した
「グスッ…」
「洋子ちゃん、辛いのはわかるけど、今は星人を倒さなきゃなンねェ…わかるな?」
「制限時間があるンでしょ?」
祐樹「ああ」
「わかッた…」
「祐樹、おめェ…怪我してるじゃねェか…」安田は祐樹の足を見て心配して言う
「ああ、これか…応急処置したし少し休ンだからもう大丈夫だ」
「そうか…助けてくれてありがとなッ」
「礼なンかいいッて…それより他のメンバーともなンとか合流しねェと…みンな無事でいてくれッ…」
410 :
創る名無しに見る名無し:2010/03/07(日) 10:40:04 ID:uaT3DQ3b
セリフにカタカナがあるのは何か意味あるの?見にくいんだけど
411 :
創る名無しに見る名無し:2010/03/13(土) 17:37:55 ID:VJrr/2Ci
まだかルタボウ
絶対規制解除されてるはずなのに一言も書きにこないとかないわ
まだ待ってる俺も俺だが
413 :
創る名無しに見る名無し:2010/03/17(水) 03:44:56 ID:eRGQaAFJ
代役買ってる人ありがとね
414 :
創る名無しに見る名無し:2010/03/17(水) 20:13:42 ID:Ij4mgiKB
ルタボウは最悪の裏切り者
間違えてる人もいるけど「ルタボウ」じゃなくて「ルダボウ」だよ
416 :
創る名無しに見る名無し:2010/03/18(木) 23:16:11 ID:H0CJPtsS
続けないなら続けないでいいから
やめる、その一言がほしい
もう待つことに疲れた
417 :
創る名無しに見る名無し:2010/03/20(土) 22:06:11 ID:AoA1+2PY
かえってこいルダボウ!!!!
みなさん、大変お待たせしてすいませんでした。
みなさんに言わなくてはならない事を言う前に
まず最新話を投下します。
0021 不発
黒い玉に表示された奇天烈な画像と文章。
初めて部屋に来た者たちはそれぞれの反応を見せた。
ある者は戸惑い、ある者は怒り狂った。
「ざけてンのか、おい!!!!これ、動かしてンの誰だ!殺すぞ!!!!」
ホッケーマスクはライフルを振り回しながら答えを求めた。
だが、それに対して、誰も答えないので、ホッケーマスクの苛立ちは更に募った様だった。
黒い玉はまるで目の前の人間たちをあざ笑うかの様に新しい画像を表示した。
「あ………画像、変わッたぞ」と南が言う。
フッ
てめえ等は今からこの方もヤッつけに行ってくだちい
すちーる星人
好きなもの パンダ
嫌いなもの 青空あきお
口ぐせ ふにょふにょふにょ
「ンだよ、今回、星人2匹居ンのか?」
「前にもこんなトキあッたよな」
「………ふぁいやー星人とすちーる星人………どッかで聞いた事ねェ?」
「ねェよ」
「おい、てめェ等!シカトすンじゃねェ!!!!」
ホッケーマスクが南たちの会話を遮った。
「一体、何がどーなッてんのか、説明しやがれッ!!!!」
「……何がどーなッてんだ?」と、南が隣に居る茨木に言った。
「オレも知らね、ぶぶッ」
「何がどーなッてンんの?」今度は河内に。
「………さァね」
「だッてよ」
「てめェ等、マジ死にてェらしいな」ホッケーマスクはライフルを南の頭に向けて構えた。
「頭ぶち抜かれたくねェなら、洗いざらい喋れッ!!!!」
「だから言ッたッしょ〜。知らねェものは知らねェのッ!」
ホッケーマスクは引き金を引いた。
だが、何も起こらなかった。ただ、カチカチと音が鳴るだけだった。
「…あ!?なンだ、これ!?」
「どーかした?撃たねェの?」と、南は爆笑するのを堪えながら言った。
「クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!!クソッ!!!」
ホッケーマスクは何度も引き金を引いたが、ライフルからは何も発射されない。
南はホッケーマスクの慌しい動作が可笑しくて仕方が無いのか、とうとう笑いが零れた。
「ハッハッハッ、こいつ、おもしれー!」
「てンめ…………ッて、おい、そこのお前!!!!!」
ホッケーマスクはコンビニの若い店員が黒い玉の陰に隠れて、携帯電話を弄くっているのを
目敏く見つけて、ライフルを構えた。
「何、勝手に電話しよーとしてんだ、クソがッ!!!!」
「あッ、あッ、いや、でもッ」
「あッあッじゃねェッ、警察呼ぼーッてんだろッ!!!!」
「でもでもでもッ、あッ、はッ、これッ、電話ッ、通じませんッ!!!!!」
「そんなん言い訳になると思ッてんのかよッ!!!!てめェッ、マジでッ、てッうおッ!?」
黒い玉の両端がスライドされた。
この前と全く同じだった。
この黒い玉の部屋で行われる事は殆ど前回と同じ。
前回と違う事は、当たり前だが、前回の時には居なかったメンバーが居るという事。
そして、その新しいメンバーの分のスーツケースが用意されているという事だった。
西は、ホッケーマスクと他の人間のやりとりを他所に、その事を頭の中に留めていた。
点数を稼ぎたいという目的はあるが、それとはまた別に黒い玉の正体も知りたかった。
誰が何の意図を持って黒い玉を作り、そして死んだ人間を収集して、こんな事をさせているのか。
これまで誰もそれを突き止めていないならば、自分が最初に突き止めればいい。
西には、自分にはそれが出来るという根拠の無い自信があった。
他のメンバーが黒い玉に踊らされている中、自分はそうではないという思いがあった。
その自信が何処から湧いてくるのか、西本人にも定かではなかった。
中学生特有の一般社会を斜めに構えて見てしまう生意気な思考回路のゆえか。
「ねー、ねー、西くん!西くん!」
玄関の方から、ホステスのアカネの自分を呼ぶ声がした。
「西くんッ!!ちょッとッ!!聞いてる!?」
「あァ?ンだよ………ンでオレ?」西は呆れた様に言った。
「今、あの玉、開いたでしょ!あたしの分のスーツ、取ッてきてよ!」
「ンなン、自分で取ればいいだろ」
「あたし、今、メイク中なんだよッ!!!いいから取ッてこいッつーの!!!!」
「おまえの事情なんか知らねーし」
「クソッ、ンだよッ、使えねェガキだな!」
「わぁあああぁぁぁあああッ」と、部屋の方で悲鳴があがった。
視線を部屋に移す。コンビニの店員が大騒ぎしていた。
彼の頭が徐々に消え始めているのが、彼自身認識できたからだった。
他の新参者もそれを呆然と見やっていた。
「………移動始まッたぜ」
「マジかよッ、クッソッ、やべッ!!!!」とホステスのアカネは舌打ちした。
「なンだ、おい……どーなッてんだ、これ!!!!」
ホッケーマスクも何が何だか分からない様だった。
コンビニの店員が消えていく様に呆気に取られていた。
ジジジジジジジジジジジッ
「あーッ、もーッ、ダメだッ、間に合わないじゃんッ!!」
アカネは化粧を中断し、部屋の方に駆け込んだ。
西の横を通る時、顔を見たが、左側の眉しか描けていなかった。
アカネが黒い玉に近寄るところで自分の頭が消え始めるのが分かった。
「お………次はオレか……」
ジジジジジジジジジジジジッ
視界が部屋から別の場所に変わった。
目に映ったのは、電車の駅構内らしかった。
「何処だ……ここ……」
駅構内を見回す。『多摩川駅』という表示が目に入った。
東急東横線の『多摩川駅』らしい事が分かった。
ジジジジジジジジッ
他のメンバーの移動も始まった様だった。
先を越されまいと西は星人を探す事にした。
他のメンバー、特に和泉に点数を取られたくない。
(よし………やるか………)
ガシャコッ
西は銃を手にした。
(この前の様にはいかねェぞ……さァ、来やがれ!)
0023に続く
第2回ミッション(ふぁいやー星人・すちーる星人編)
ステージ:東急東横線多摩川駅〜新丸子駅間
参加メンバー
●常連(6名)
和泉、河内、南、茨木、西、アカネ
●初参加’(7名)
亀田興毅、山村茂(大学教授)、内田(大学生)
中年女性(コンビニの客)、若い男性(コンビニの店員)、ホッケーマスク(コンビニ強盗)、渡辺
計13名
先ずは今日までお待たせしてしまった事をお詫び致します。
本当に本当に申し訳ありませんでした。
信じてもらえるかどうか分かりませんが、僕は逃げるつもりはありませんでした。
勤務先の会社で色んな事が重なって、僕自身心身ともにボロボロだったんです。
その色んな事をここで書いても仕方が無いので省略してしまいますが、
その色んな事の積み重ねから、僕は鬱に近い状態になってたんです。
自分で鬱って言えるなら鬱じゃないかもしれませんけど、
それに近い位にしんどくなってたという事です。
それが間の悪い事に、ここの小説を書いている時だったのですが、
そういう事情があったにせよ、みなさんをお待たせしてしまった事に変わりは無いです。
みなさんのお怒りはごもっともですし、僕はそれをちゃんと受け止めます。
その償いとしては、この小説を続けて、出来るだけ出来るだけ面白いストーリーを提供する以外にないと考えます。
みなさんに今日までお待たせさせてしまって本当にすいませんでした!
そして、僕の代わりにお話を書いてくれた人たちにもお礼とお詫びを申し上げます。
それと
>>424で「0023に続く」と書いてしまいましたが、
正しくは「0022に続く」でした。すいません。
待ってたぜ!
こんにちは。
早速ですけども最新話(0022)を投下します。
0022 うっち〜
一方、黒い玉の部屋にいる新参者はただ呆然と立ち尽くしていた。
ホッケーマスクにド突かれて床で転げ回っている亀田を除いて。
そこに顔半分だけしかメイクしていない金髪の女が駆け込んできた。
「クッソ………マジかよ………もうこんだけしか残ッてねーじゃん!」
と、意味の分からない言葉を吐きながら、黒い玉の両端からスライドされた棚に駆け寄る。
そして、幼稚園児が書いたと思しき落書きがついている白いケースを手に取る。
「……あれ、これ、違ェや……」と言い、そのケースを放り投げる。
そのケースには平仮名で文字が記されていた。『しっくすせんす…』と読めた。
何を意味するのか、分からなかった。
内田は山村の方を見やるが、山村も何が何だか分からない様子だった。
コンビニの若い男性店員にしても、中年女性にしても同様だと悟った。
そして、先ほど、ホッケーマスクにライフルを突き付けられた女性は部屋の隅で縮こまっていた。
「………あの……」
内田が声を掛けると、女性はビクッと肩を動かした。
「…………だいじょうぶですか?」
女性は内田を得体の知らないものを見る目で見上げてきた。
いきなりコンビニ強盗にライフルを向けられればそれも仕方が無いだろう。
女性の名前も分からないが、この様子ではそれも聞き出すのは難しい。
内田は女性から今度は金髪の女に視線を移す。
金髪の女は白いケースを幾つか放り投げて、やっと目当てのケースに辿り着いたらしかった。
「あー、あッたあッた!!!!」
そう言って、『ほすてす』と書かれたケースを手に取る。
彼女なら何かを知っているのかもしれない。内田はそう直感した。
少なくとも、金髪の女は今の状態に恐れを感じていない。
この事態の何かを知っているからに他ならない。
「あ、あの……」
内田が声を掛けようとしたが、そこでホッケーマスクが咆えた。
「てめェ、コラ、ちょッと待て!!!!」
「あ?」金髪の女は険しい目つきをホッケーマスクに向けた。
「何なんだ、おめェらは!!今、どーなッてんだ、説明しろ!!!」
「おまえこそ何だよ!!ヒトにモノ訊く時は口の利き方考えな、このボケ!!」
「てめ………死にてェのか、この………あ!?」
ジジジジジジジジジジジジッ
ホッケーマスクはそこで異変に気づいた。
自分の頭が消え始めている事が分かったのだろう。
「うわッ、ンだよ、これッ!!!!」
「あ〜あ、スーツなしだよ、知〜らねッと♪」
金髪の女は半ば嬉しそうに、ホッケーマスクが消えていく様を見て言った。
「あッと、こンなことしてる場合じゃないや」
金髪の女はそそくさと玄関の方に歩いて行った。内田は後を追った。
金髪の女は何を思ったのか、服を脱ぎ始めた。
少し躊躇ったが、内田は声を掛けた。
「あ………あの……」
「ん?あんた、誰だッけ?」
「……あ、あたし………」
「あれ、前回、あんた居たッけ?」
「………前回?」
「んッと……ここ来たの初めてなんだよね」
「ああ…………はい……あの……」
「んじゃあさ、あの黒い玉……そこにあんたの分のケースあるから」
「……あたしの分?ケース?何のことですか?」
金髪の女はボリボリと頭を掻いた。
「説明すンのメンドくせェから、とにかくケース取ッてきなよ」
「あの………ここ、何処………ですか?」
「さァ………東京のどッかでしょ…東京タワー見えるし」
「…………何であたしたち、ここに?」
「あたしだッて知らないよ、そンなこと!」
そう言うと、金髪の女はケースを開いた。
そこには、妙な黒いスーツがしまってあった。
「マジ、これ着なきゃなんねーのかよ……ダッセーなァ」
そういえば、居なくなったメンバーの中に黒いスーツを着ていた人間が数名居た。
あのスーツを着て、何処に行くというのだろうか。
金髪の女は、自分のスーツケースを取って来いと言った。
何故、この初めて来た場所に自分のスーツケースがあるのだろう。
内田はそう思いながら、部屋に戻って、黒い玉の棚を見やる。
自分の分のケースなんてあるわけがない。そう思いながら視線を動かす。
……あった。フルネームではなく、何故かニックネームが書かれたケース。
『うっち〜』と幼い子供がクレヨンで書いた様な文字が目に映った。
「……なンなの、これ……」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
中年女性が悲鳴を上げた。振り返ると、彼女の頭が徐々に消え始めていく。
「………なに、これ……どこ、ここ!!?」
「……どーなッてんの…これ、一体何が……」
スーツを着て、何かをしにいく。
金髪の女がさっきホッケーマスクに放った言葉を思い出す。
(あ〜あ、スーツなしだよ、知〜らねッと♪)
スーツが無いと危険なんだろうか。
そのスーツはケースの中に入っている様だが。
黒い玉に表示された文章の中に気掛かりになるものはあった。
(てめェ等は今からこの方をやッつけに行ッてくだちい)
……やッつけに行く?ホントに?これ、映画じゃないの?
内田の中で何かがカチッと鳴った様な気がした。
目の前にとてつもない危険が迫った事を知らせる音。
この直感を信じるべきなのだろうかと迷う。
だが、決断を下す前に体が動いた。ケースを取って玄関に向かう。
金髪の女は既に消えていた。
信じられない事ばかりが続く。だからこそ信じなければならない事がある。
多分、金髪の女が言っていた事を信じなければ………。
その先のことは敢えて考えまいとした。
「えーと………このケースを………あッ!あッ!?あれッ!!?」
目の前のケースが消えた。いや、正確には消えたのではなかった。
先程までは黒い玉のマンションの玄関に居たのに、今は何処かの電車の駅構内に居た。
ジジジジジジジジジジッ
「……な、なに、これ…………!?」
下を見やると、まだ自分の身体全てがその場所に出現していなかった。
しかし、徐々に徐々に身体が描かれていく。
一体、どういう技術を持てばこんな事が出来るのだろう。
「………ここ……何処なんだろう……」
そう思う間もなく、電車が到着した。
『多摩川駅、多摩川駅、ご乗車ありがとうございます』
「………多摩川?東京?」
一瞬にして、黒い玉の部屋から多摩川駅に移動してきたという事か。
誰が何の目的でこんな事をしているのか、内田には見当も付かなかった。
0023に続く
432 :
創る名無しに見る名無し:2010/03/22(月) 11:10:38 ID:BKd0krD+
最高!ルダボウは神!!
続き(0023)は日曜に投下する予定です。
第2回ミッション、頑張って面白くします。
>>432 ありがとうございます。
でも、僕は普通の人間なんで、神じゃないです。
いやっほう待ってた甲斐があった
そちらの事情を知らずにいろいろ言ってすまんかったね
半年ぐらいなら待てるから完走頑張ってね
おかえりルダボウ
あまり無理はするなよ
(・∀・)わくわく 無理はするなよ。 何日でも待つ
0023 大接近
西は多摩川駅のホームを見回した。星人らしき姿は見られない。
残業を終えて疲れた顔をしているサラリーマン、いつまでも駄弁っている女子高生、
これから痴態を繰り広げようと意気込んでいる頭の悪そうなカップル等等。
ホームには今日という一日を過ごしてきた人間の顔が行き交っている。
このまま立ち止まっていては見つからないだろうと思い、改札口に繋がる階段に向かう。
最中、手にしているレーダーを見やったが、星人の位置を捉える事は出来ない。
(どーなッてやがんだよ…………何処だ?何処に居やがんだ?)
前回のジーンズ星人の時の事を頭に思い浮かべる。
ジーンズ星人は、人間の中に溶け込み、その正体を隠していた。
今回も同じであるのかもしれないと踏んだ西は目の前の人間たちを睨む。
星人と即断できるものは何も目に映らない。変わらない駅のホームの光景。
ある疑問が西の頭を過ぎる。
星人は黒い玉の部屋から送られた人間たちをどうやって見つけているのか。
黒いスーツを着ていればそれは明らかだが、スーツを着ない者も居る。
仮にスーツを着ない者しか送られてこなかった場合、星人は見つけられるのか。
答えはイエス。前回、スーツを着ていなかった時点で、星人に発見されたからだ。
では、どうやって星人は黒い玉の部屋の人間を発見しているのか。
臭いをかぎ分けるのか、音を聴きつけるのか、目で探すのか。
(……音……か……)
前回、危うくエリアの外に出そうになった時に、頭の中から音がした。
頭の中に埋め込まれている爆弾が果たしてただ爆発するだけのものでしかないのか。
否。何か目には直接見えないものを発信しているのだとしたら。
それが何なのかは定かではないが、星人はそれをキャッチしているとすれば話は簡単だ。
星人が敵意を持つ様な電気信号であれば、星人がいきなり攻撃してくる説明もつく。
全くの推論でしかないが、的外れであるとは思わなかった。
つまり、今こうして立っているのは非常にまずいという事だ。
ただ、突っ立っているだけだが、頭の中から信号が発信されている。
星人にむざむざ自分の位置を晒している。それ、狙ってくれといわんばかりに。
しかも自分には何処から星人が襲撃してくるのかを正確に知る術はない。
今、手にしているレーダーも、大雑把にしか星人の位置を捉えられないときている。
遅かれ早かれ星人は必ず自分の目の前に姿を現すだろう。
だが、星人の方から来るのか、自分の方が星人の方へ行くのか。
それだけでも、随分と違ってくる。星人に発見されるつもりはない。
小型の機械を操作する。
バチバチバチバチバチッ
火花と共に、自分の全身が周囲に溶け込んでいく。
星人は頭の中の何かから発信されている信号をキャッチする。
だが、正確な位置が判るとも思えなかった。これだけの人がいる。
星人が自分を探す時間に隙が生まれる。そこを突く。
和泉。もう星人と出くわしただろうか。
何度、あの部屋に呼ばれているのか判らないが、和泉は相当の経験を積んでいる。
和泉の薄気味悪い笑みが頭に浮かぶ。和泉の上から目線がどうも気に入らなかった。
おまえの上に立つのはオレだ。
それを証明するには、和泉よりも点を稼ぐ事だ。
銃をぎゅっと握り締める。何か音がする。
駅のホームの中で、決して聞こえる筈の無い音。
(ンだ……この音………?)
パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ
直感で星人が来たと思った。
銃を構えた。音が次第に大きくなっていく。
(来い……来い………オレが……おまえをやる!!!!!)
パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ
音が止まった。
ジジジジジジジジジジジッ
「………あァ?なんや、ここ?」
亀田は呆けた顔で周囲を見やる。
さっきまで、可笑しな黒い玉の部屋に居た筈だ。
どういう事か、今は電車の駅のホームに居る。
「……どーなッとんねん、やッぱテレビか、これ?」
激しい痛みを感じた。まだ鼻がズキズキする。
ホッケーマスクにド突かれた痛みは消えていない。
テレビ番組の企画だとしたら、もう少し手加減する筈だ。
オレがプロボクサーだからといって、そこまでする必要ながあるのか。
「……………鼻血が止まらんわ………クッソッ………あのボケ、覚えとれよ」
止血するものが無いか、ポケットを探る。
何も無かった。よく考えると、ここに連れてこられたのは試合終了直後だった。
近くに駅員が居たので、歩み寄る。
「オッサン、すまんけど、ティッシュ持ッてへんか?このとーり、鼻血がダラダラやねん」
しかし、駅員は答えなかった。亀田の方をちらりとも見ない。
「コラ、オッサン!オレを誰だと思ッとるんじゃ!!!!」
全く反応なし。どうなっているのか、サッパリ判らなかった。
殴りたかったが、思考が上手く働かなかった。
鼻血のせいで、呼吸が上手くいかないせいだろうか。
何とかして止めたかった。駅員を殴るのはその後でもいい。
「今日はほんまついてへんわ……」
そう呟きながら、歩く。誰も亀田には目もくれない。
まるで見えてないかの様だった。
見えていない。自分は死んだのだろうか。
そう考えて、ゾクッとした。
ランダエダ側のセコンドの誰かに頭をかち割られたのは覚えている。
正直、自分は死んだと思った。
その次の瞬間には黒い玉の部屋に居たのだ。
(オレ……マジで死んだんか?)
可笑しな事ばかりが続く。しかし、これが死後の世界だとすれば…。
直ぐに亀田はくだらない考えを打ち消そうと首を振る。
(アホらし………オレが死ぬわけないやん……まだ童貞やし)
亀田には目標があった。芸能人の女とセックスする事。
プロボクサーを目指したのも、それがひとつの理由だった。
出来れば、新垣結衣としたかった。
(へへ……ガッキーとヤるまでは絶対死なへんで……死んでたまるかい……)
鼻血で喉が詰まりそうになった。堪らずに吐いた。
(あ〜……誰かマジティッシュ持ッてへんのかい!!!!!)
そこでトイレに行く事を思いついた。
この際、トイレットペーパーでも構わない。
そう思った矢先に、見知った女が目に入る。
確かあの黒い玉の部屋に居た女だった。
女は戸惑い気味に白いケースを手に、周囲を見回している。
白いケースには、幼稚園児が書いた様な文字で『うっち〜』とあった。
パカラッ………
音が止まった。
西は手にしているレーダーを見た。
1体……いや、2体の星人が直ぐ近くに居る。
視線を左右に素早く動かす。
右端に妙なものを捉えた。
ゆっくりと顔をそっちに向ける。
「……ンだ、あれ……?」
思わず声に出た。
ヒヒヒィーン!!!!
やってきたのは、馬だった。そして、その馬に侍が跨っている。
侍の顔は、黒い玉の画面に映ったものと同じだった。ふぁいやー星人。
黒々とした髪、歌舞伎役者かと見紛う様な白い顔。目と唇の周りは赤く染まっている。
ふぁいやー星人は馬から降りて、何かを探していた。
西は直ぐに自分を探しているのだと思った。
矢張り、星人も大雑把な位置しか捉えられないのだろう。
まさか、直ぐ目の前にいるとは思うまい。
ふぁいやー星人は腰に刀を据えている。だが、まだ刀そのものは鞘に収まったままだ。
(使わせる前に………奇襲してやるぜ)
ゆっくりと足を動かす。
同時に銃身の長いXの銃を胸元に寄せる。
気のせいか、心臓の鼓動が少し速くなったと思った。
星人はまだ気づかない。
西は星人の直ぐ後ろで立ち止まった。
星人は背後に自分が居る事とは思いも寄らないのか、
間抜けにも敵に背中を向けたままだった。
西は笑うのを堪えた。
銃を構える。侍を先に撃つか、馬を先に撃つか。
少し考える。銃口を侍に向ける。
馬は知能が低そうだし、侍が先にやられても、馬がどうにかするとは考え難い。
逆に侍は人間と同等の知能があるのかもしれなかった。
馬が撃たれた瞬間、西の位置を見極めるかもしれない。
先に撃つのは侍だ。この決断に迷いは無かった。
照準を侍に合わせる。まだ気づいている様子はない。
視界の端に、何かが映った。
星人に銃口を向けたまま、そちらを見る。
和泉が階段をあがってくるのが分かった。
(クソ………和泉の野郎だ……)
西は舌打ちしたくなったが、止めた。
和泉に掛かれば、星人はあっさりと倒されるだろう。
その前に、自分がこの侍の星人を仕留めてやる。馬もだ。
和泉はまだ侍にも馬にも気づいていない。
レーダーを見ながら、星人を探している。
西は決心した。撃つ。星人を撃つ。仕留める。
キュィィィィィィィィン
(やれる………やれるぞ………オレが仕留める!!!!)
引き金に指をかける。
グッと力を込めた。
0024につづく
最新話(0023)を投下しました。
次回は次の土曜か日曜の予定です。
>>434 >>435 >>436 どうもありがとうございます!
お待たせしてしまった事は謝っても謝り切れませんが、
少しでもみなさんに面白いと思ってもらえる様に頑張ります。
読んでてワクワクした
やっぱりルダボウはすごいな
このまま西が失敗して、和泉が仕留めるって展回かな?
しかしおもしれーなー
比べたら悪いけど、公式の小説よりもよっぽど
こっちのほうが面白くて好きだな
447 :
ルダボウ:2010/04/03(土) 20:00:18 ID:4YwIgL7N
すいません。
最新話投下しようと思ったら、アクセス規制されて書けません。
せっかく再開したのに申し訳ないです。
早めに規制解除されるのを望んでいますが、それが長引く様であれば、
別の方法で発表できないか考えてみます。
感想レスしてくれた方々、どうもありがとうございます。
嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!
449 :
創る名無しに見る名無し:2010/04/09(金) 20:30:36 ID:WRipnVBk
ルダボウ待ってるぜ
450 :
創る名無しに見る名無し:2010/04/16(金) 20:08:11 ID:KV+mSer3
オイオイ…
追いついたと思ったら…
テストです。
0024 不動の策
グッと力を込めた。
(いける!!いける!!今だッ!!)
探していた星人を先に仕留められたら、和泉はどう思うだろう。
その時の和泉の反応が楽しみだった。それしか頭に無かった。
だから、馬の姿をした星人の奇妙な動作に気付くのが数秒遅れた。
クンッ クンッ クンッ クンッ
馬は長い首を垂らして、地面を丁寧に嗅ぎ回っていた。
馬の鼻は西が侍の星人に接近した軌跡をなぞっている。
心臓の鼓動が急激に速まっていく。
(………ンだッ、コイツッ、なにやッてン…………まさか…)
馬が西の現在位置から3歩ほど離れたところで動きを止めた。
軽く唸り声をあげる。
「ヒヒヒヒッ!!!」
馬の声に、西はビクッと肩を震わせた。声は出さなかった。
だが、無意識のうちに、馬から離れようと後退した。
カンッ
何かが足に当たる。
何時からそこにあるのか気付かなかった。
見やると、コーラの空き缶。
僅か。ほんの僅かな音。
だが、侍の星人はこれを聞き逃さなかった。
侍は勢い良く振り向く。
同時に既に鞘から刀を引き抜いていた。
「曲者ッ!!!!!!!!!」
西は、風を切る音を聞いた。
直ぐ目の前で何かが横切る。見えない。
何かが横切ると同時に、身体に衝撃が伝わる。
思わず、銃を手放す。
予想だにしなかった事態に足がつんのめる。
そのまま、尻餅をつく。
視界に黒いものが映る。
黒いものは、宙を舞い、床に落ちた。
バチバチバチバチッ
ガラッ ガラッ ガガッ
重量感のある音をたてて、黒いものはその場に落ち着く。
西が持っていた銃身の長いXの銃の「銃口」だった。
「え……あ……あ!?」
その瞬間を西は捉える事が出来ていなかった。
だから、手にしているXの銃の銃身がぶった切られている事が信じられなかった。
落ちた銃口は、西から離れたので、透明化は解除されていた。
銃口だけでなく、手にしていた銃そのものまでも手放していた。
侍は、自分が切断したものを睨み付ける。
「ヒヒヒッ!!!」馬が軽く声を出す。
侍は馬を見やり、唇に人差し指を立てる。静かにしろ。
敵が自分を狙っていた事は当然分かっている筈だ。
どうにかして姿を消している事も、無論察している。
侍は自分の周囲に神経を集中させている。
このまま、じっとしていては必ずバレる。
だが、今動いても、僅かな音を立てるかもしれない。
矢張り、バレる。どちらにしても。
(………ちッきしょ…………もう一丁……銃があれば……)
今さら悔やんでいても始まらなかったが、
悔やまずにはいられなかった。
思い出してみると、和泉たちは銃やら刀やらと色々持っていた。
自分もそうすべきだったのだ。西は唇を噛んだ。
目の前の侍の次の行動を予測しなければならない。
予測し、自分がさらにその上を行かなくてはならない。
どうにしかして、侍の裏をかけないものだろうか。
ドッドッドッドッドッドッドッドッドッ
心臓の鼓動音がまるでマシンガンに思える。
音を立てずに動くしかないのか。
それとも、このまま動かずに耐えるべきなのか。
侍が諦めるのを待つしかない。
敵は透明のまま、この場を去ったと思わせるしかない。
その瞬間が、侍を攻撃できる最大のチャンスだ。
しかし、しくじれば、それは侍からの反撃を受ける事を意味する。
今はじっとしているしかない。
そう思った矢先、ひゅっと風を切る音がした。
「はァッ!!!!!!」
侍の怒号。同時に刀が振り落とされる。
その先は西が侍を狙っていた時の立ち位置だった。
銃が落ちた場所から、大体の予測をつけて、攻撃したのだろう。
だが、手ごたえはない。
侍は手を休めない。再び風を切る。
「えィやぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!」
ビュッ!!!!!
今度は、一撃目よりも1歩右にずれた位置だった。
また手ごたえなし。風を切る音。また1歩ずれた位置。
風を切る。手ごたえなし。風を切る。手ごたえなし。
西の現在位置に徐々に距離をつめる。
「はッ!!!!はッ!!!!!はッ!!!!!はッ!!!!」
風を切る音。西の2歩手前だった。
次の次、恐らく自分に命中する。
スーツは耐えられるか。分からない。
ジーンズ星人のボスにやられた女の姿がよぎる。
ボロ雑巾の様な無残な死に様。
(やばいやばいやばいやばいやばい!!!!!!)
もうじっとしているのは危ない。
動くしかなかった。気付かれるかもしれない。
それでも動かなければ、侍の攻撃を受ける。
それが早いか遅いかの違いかもしれない。
だが、何とかするしかなかった。
動け。身体に命じる。震えている。動けない。
妙に下半身が温かかった。
視線を下に動かす。股間の辺りが濡れていた。
汗ではなかった。失禁していた。
バチバチバチバチッ
星人の目が動いた。
思わず漏らした小便。床を流れる。自分の位置から飛び出る。
透明化している自分から漏れれば、それは星人に見える。位置がバレる。
星人の目が何かを認めた。バレた。
(もう駄目だ………動け!!動け!!動くしかねェ!!!!)
腰を上げようとした。星人の方が速かった。
シュッ!!!!!!!!!
真っ先で風を切る音。
手首に衝撃、火花が散る。
バチバチバチバチバチバチッ
思わず後方に吹っ飛んだ。
切られた!!!!!
そう思ったが、痛みはなかった。
切られたのは、手にしていた小型の機械だった。
機械をやられたので、透明化が解除されたのだ。
(あッぶ……ねェェェッ…………!!!!!!!)
だが、ほんの少しだけツキがあっただけだ。
星人から逃れた訳ではなかった。
星人は、姿を見せた西を睨み付ける。
「ヒヒヒヒッ!!!」
馬の鳴き声。笑っている様に聞こえた。
小便を漏らして逃げ回る西を嘲っているかの様だ。
(やべえ、やべえ………なんとかしねェと……!!!!)
和泉が傍にいるのを思い出した。
視線を階段の方に移す。和泉は居なかった。
動転しそうになる。何で和泉は居ない?
ダッ!!!!
跳躍する音。西も侍もそれを耳にした。
侍は素早く自分の背後に刀を振った。
風を切る音。衝撃音。何かが刀に当たる。
バッキィィィィィィン!!!!!!!!!
金属音。何かが壊れた。
バチバチバチバチバチバチッ
火花が散る。
黒い玉の部屋にあった剣の切っ先。
そして、それを手にしている和泉。
和泉は透明化して、侍に迫っていた。
だが、失敗した。侍を狙って振り下ろした剣は折れた。
侍の方が強かった。西はそう思った。
だが、和泉は笑みを崩さなかった。
侍の顔が強張った。
ズッ
侍の腹には剣が突き刺さっていた。
その剣は折れていなかった。
和泉は両手にそれぞれ剣を持っていたのだ。
「二刀流だ」
和泉は冷たく、且つ強く言い放った。
和泉の背後に南と茨木の顔。
たった今、追いついた様子だった。
「あ〜あ、和泉サンに先越されちッたよ」
「くッそッ、ラッキーな野郎だ、ぶふッ」
「おめーは重たいからな、デブが」
「そろそろてめェ、それやめろ!!!」
和泉は侍の腹から剣を引き抜く。
侍はその場にしゃがみこむ。
窮地に落ちた鼠。だが、その顔には余裕があった。
和泉は止めを刺そうと剣を構える。
侍は笑みを浮かべたまま、和泉を見上げる。
「ものどもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!!!!」
侍の雄叫びとも思える声が響く。
和泉は手を止める。南も茨木も口争いをやめる。
「ものどもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!
出あえッ出あえッ出あえ出あえッ出あえッ
出あえェェぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええッ!!!!」
バカラッ バカラッ バカラッ バカラッ
バラッ バカラッ バカラッ バカラッ
馬の蹄の音。激しい音。複数の音。接近している。
和泉が舌打ちする。その視線は目の前の侍ではなく、侍の後ろに向けられた。
「………援軍か」
0025につづく
規制解除された様なので、
火曜ですが
>>452〜
>>458まで投下しました。
最新話は今週末にしようと思います。
規制が無い限りは投下する様にします。
おもしろいwwしかしルダボウはガンツの設定イジくるの好きだな。
Yガンのレーザーアンカーをスーツの力で破ったり、Xガンをソードで切ったり…
原作をあんまり気にしない所もこの小説の面白いところだよな。
0025 信じる者と信じない者
亀田は鼻を押さえながら、部屋で見知った女性の様子を少し離れて見ていた。
『うっち〜』と書いてある白いケースを持っている女性は戸惑いを隠せないでいた。
そら、そーやろ。オレと同じや。
こんなトコつれてこられて……
しッかし、よく見ると、ええ女やなァ……。
女性は駅ホームの階段を見上げた。
その途中には奇妙な黒いスーツを着ている金髪の女がいた。
『うっち〜』の女性は金髪の女に歩み寄り、何かを訊いていた。
何を話しているのか、興味が湧き、近くまで寄ってみる。
「だいじょーぶだッて」と、金髪の女の声。
「でも、ヒトがこんなに………」
「なんでか知んないけど、見えてないから………」
「……見えてない……ンですか?」
「だッて、ほら……誰もあたし見てないじゃん」
会話の内容からは意味がいまいちよく分からなかった。
『うっち〜』の女性が何かを心配していて、金髪の女がその不安を消している。
金髪の女の言う通り、駅ホームの人間たちは誰も金髪の女の恰好を見向きもしない。
そして、有名人である自分にも誰も声も掛けてこないし、目もくれない。
全く姿が見えてないからとしか、説明がつかなかった。
どーゆーことやねん………やッぱ、オレ……死んだンか…。
だとしたら、今のこの状況、なんやねん………ここが天国かいな…。
これからこの多摩川駅に停車する電車に乗って天国にでも行くというのだろうか。
チープなSF映画に出てくる設定みたいで、馬鹿馬鹿しくなってきた。
「だからさ……そこらへんで着替えなよ」
金髪の女の一言に、亀田の中で少し期待感が出て来る。
若しかすると、『うっち〜』の女性の生着替えが見れるかもしれない。
天国か……ほんまに天国かもしれへんなァ〜……
だッたら、思う存分、楽しませてもらおーやんけ………くくッ!!
『うっち〜』はしばらくその場で考え込んでいたが、
どうにもならないと悟ったのか、着替える適当な場所を探し出した。
亀田は自分が見つめている事がバレない様に隠れた。
『うっち〜』は人目を気にしながら、衣服を脱ぎ始めた。
おお………おッおおおおッ!!!!!!
なんやねん、マジかァァァァア!
あのネーちゃん、全部脱ぎよ………あ?
直ぐ隣に気配がしたので、視線をやると、そこにも見知った顔があった。
自分と同じく部屋にいた20代のコンビニの店員の男だった。
「自分、なにしとんねん」
「……あ、あんたこそ、なに覗いてんスか」
「だッ、だッ、だまらんかい!!
オレは覗いてたワケちゃうわ!あのネーちゃんが勝手にやな…」
「さッきからずーッと見てたんでしょう」
「じ、じ、じぶんこそ見てたんとちゃうんか、コラ!」
痛いところを突かれたのか、コンビニの店員は目線を逸らした。
「オ……オレは……ただ観察………してたんス」
「観察と覗きは一緒や」
「い、一緒じゃないッスよ!オレは参考にと思ッて……」
「参考ッて何の参考やねん、
頭に焼き付けてウチ帰ッてチンポしこるんやろ、どーせ」
コンビニの店員はそれ以上言い返してこなかったので、
視線を『うっち〜』に戻す。
AVでしか見た事のない女性の乳房が視界に飛び込んできた。
「ほッはーッ!あかんわ!もうギンギンやッ!」
「ハァ?」とコンビニの店員の呆れた声。
亀田は、まだ上半身しかスーツを着ていない『うっち〜』の直ぐ傍まで近付いた。
流石の『うっち〜』も背後に気配を感じて振り向いた。
亀田を見て、ぎょっとする。
「ネーちゃん、そんなにしたいんか?」
「……は?な、なんですか!?」
「ンなら、ここでしよーや、なァ!」と、亀田は己の下半身を晒し出す。
「や………やめ………」
「カンベンしてやぁ、今更!
オレのチンチン、こんなんなってもーたやんか!」
そう言って、『うっち〜』の尻を掴む。
『うっち〜』は必死にもがくが、亀田の方が強かった。
一物を彼女の尻に押し付けようとしたところに、誰かが亀田の肩を叩いた。
「あぁ?なんやねん?今、ええとこなんや、ジャマすんなや」
すると、肩に掛かる力がいきなり急激に強くなった。
痛みが走り、思わずその場に膝をついた。
「痛ててててててててッ!!!!!!!」
「なにしてんだ、このハゲ」
振り向くと、肩を掴んでいたのは、スーツを着た金髪の女だった。
「痛いわ、ちょッ、やめてーな!」
金髪の女は有無を言わさず、亀田を突き飛ばした。
「痛ッてッ………き、今日何回目やねん、これ」
「あ……あの…ありがとう……」
『うっち〜』は金髪の女(ホステス)に言った。
「別にいいッて、とッとと着替えちゃいな」
ホステスは、もう亀田の事には興味もないのか、目もくれなかった。
「……ん、あんたら、なにやッてんの?」
と、部屋で見知った中年女性や中年男性(山村)を見て、ホステスは言った。
二人は電車が来るのを待っている様子だった。
「まさか帰る気?」
「当たり前でしょ!こんなバカバカしい事に付き合ってられないわよ」
「……まァね、そりゃそうだよね……でも」
「あんた、いい歳してそんなカッコして恥ずかしくないの?
大人になりなさいよ、大人に」
「ンなンどーでもいいじゃん!とにかくさ、今帰るのはやめといたら」
「なんであんたにそんなこと言われなきゃなんないのよ」
「あ………電車来た」
『2番線に電車がまいります。白線の内側でお待ち下さい』とアナウンス。
その少し後に、電車の来る音がする。
「帰れる………やッと」と、中年男性(山村)はほっと息をついていた。
「いや、帰れねーッて!電車乗ッちゃダメだから!」
「何でダメなわけ?あんたにそんな事言う権利あんの!?」
中年女性は食って掛かった。
「権利もクソもねェよ、ババァ!電車乗るなッつッたら、乗るなよ!」
「バッ………な…ンて失礼な子」
「ホント、帰れるンスか、これ?」
20代のコンビニの店員が言った。
「あ〜、もうウゼェ!あ、ちょ、あんた、そこ、ゴリラ!」
ホステスは、レーダーを見やりながら星人を探している河内を見つけた。
「なんとかしてやッてよ、こいつら」
河内は視線を金髪の女によこした。
だが、顔はレーダーに向けたままだ。
「信じねェヤツはほッとけよ」
そう言って、河内はレーダーに視線を戻す。
ホステスは舌打ちした。「ッたく、どいつもこいつも…」
だが、ひとりだけ電車に乗ろうとせずにうずくまっている者がいた。
それは今回部屋に初めて来た女性だった。
部屋に来てから、ずっと何かに怯えている女性。
だが、中年女性、中年男性(山村)、コンビニの店員はすっかり帰る気でいる。
もしこのまま電車に乗ってしまったら、エリアの外に出てしまう。
直接見てはいないが、前回のジーンズ星人の時に出会ったボブカットの女に、
エリアの外に出ると死んでしまうという事を教わっていた。
ホステスは別に連中を助ける義理などないと思っているが、
ボブカットの女に色々教わっている事を考えると、このまま放っておくのもどうかと思った。
だが、そうこうしているうちに遂に電車が到着してしまった。
どうやって説得しようかと迷っているホステスの視界に何かが入った。
「あれ……あいつ………」
ホームの中央部に設置されている椅子に座っている男。
男は何処かで見た風貌だった。何処だったかと思い出す。
黒い玉の画面に出た『すちーる星人』の顔。
「あッ、あッ、あれッ、星人!」
ホステスは仰天するが、中年女性たちはそれを無視して、
電車に乗り込んだ。
「うッわッ、くッそッ、マジかよ!」
ホステスは片手に持っていた小型のXの銃を握った。
だが、どうやって、操作するのか、まだよく分からなかったので戸惑った。
「こッ、これッ、どうやん………あッ!?」
「ふにょふにょふにょふにょふにょッ」
不気味な声を出しながら、すちーる星人は椅子から飛び上がった。
「うッわァッ!!!!」
出あえッ出あえッ出あえッ出あえーーーーーーーーーーッ!!!!!
侍姿のふぁいやー星人の一声で仲間がやってきた。
同じく侍の恰好をした星人は5体、そして5体がそれぞれ馬に乗っている。計10体。
「うわァ、メンドくせーな、こいつら全部相手すんのかよ…」
南はうんざりした顔で言った。
「まァいッか、和泉サンもいるし……オレら3人なら余裕だろ」
「ふん……あンなンオレひとりでもいけるぜ、ぶふッ」
「ッて言いながら、なに後ずさッてんだよ、デブ!」
「おまえら、うるせーよ」
和泉はそう言い放ちながら、剣を構える。
向かい合う和泉とふぁいやー星人たち。
どちらかが先に動くかを、互いに沈黙の中で探り合う。
一番最初に出現した馬のふぁいやー星人が「ヒヒンッ」と鳴く。
それが合図となった。10体のふぁいやー星人たちが一斉に動いた。
「おおおおおおおおおおおおおッ」
「うッわッ、一気にきやがったッ!!!!」と南。
「おい……和泉にやられたのが逃げるぞ」
和泉の攻撃で腹をやられたふぁいやー星人が膝をついたまま逃げようとしていた。
「ンだよ、メンドいなー、とどめ刺すか……」
「はァッ!!!!」
Xガンを構える南の背後から、10体の星人のうちの1体が攻撃を仕掛けてきた。
「おわッ!!!!」
南が振り向くと同時に、星人の刀が振り下ろされた。
0026につづく
遅れましたが
>>461〜
>>466まで
最新話(0025)を投下しました。
>>460 どうもありがとうございます。
特別、原作の設定をいじくってるつもりはないんですけど、
確かに思い返してみると、YガンとXガンの件については
原作に直接そういう描写がないので目立ってますね。
自分も書く前に「これ大丈夫かな」と思って原作を読み返して、
大阪編で天狗がレーザーアンカーを切ってたりするし、
ぬらりひょんが京の銃を破壊してたりするしで、
「決して破壊できないものではない」と思ったんでやってみたんですけど。
基本的に原作の雰囲気とか設定は壊さないようにしてます。
でも、変なとこもあるかもしれません、すいません。
おんもしれー
奥の絵で脳内再生できるのがすげーわ
・∀・ さてさて明日は日曜日 GWでもルダボウは書いてくれるのか!?真相は明日!
471 :
ルダボウ:2010/05/02(日) 16:42:51 ID:+7Dipilv
代行レスより
お待たせして大変すいません。また規制されてしまっています。
政治関連とかホモとかコピペ荒らしが多いみたいなんですが、
わずか1週間足らずで規制されて、こっちもまいってます。
この板以外で発表する方法を考えたんですが、
イチからサイト作るとか出来そうもないんで、
Yahooの掲示板とかブログとかその辺を使ってやろうかと思うんですが、
いかがでしょうか。
(Yahooよく使ってるんでそれしか知らなくて申し訳ないですが)
大雑把に以降のミッションの展開は考えてますけど、
読みたいって思ってくれる人がいれば僕もやりたいです。
ルダボウが書いてくれるんなら2ちゃんじゃなくても見る
ふぐぅぅ…
ルダボウ今度書く所は2chか?YHooか?続きが気になってしょうがないんだけど…
475 :
ルダボウ:2010/05/13(木) 20:53:56 ID:gBX66x2s
代行レスより
お待たせしてホントすいません。
まだ規制は解除されない様ですので、
本格的に別に書く場所を作る予定です。
多分、Yahooになるかと思います。
こんな小説を読んでくれる人の為にも
なるべく面白いものを見せたいと思います。
こんな小説なんて…なんて謙虚な奴だルダボウ…
うおーーー!!
久々にみたらルダボウ復活してるし!!!
yahooでもなんでもいいから早くみたいですよ!!
478 :
ルダボウ:2010/05/15(土) 18:44:29 ID:rUgtLNCH
イヤッホーィwwww!!ていうかこのスレの文章が落ちるのもなんかやだから保守する?
Yahooの方に最新話投下した直後に、規制解除されてた事が分かりました。
なんか随分と間が悪い。
>>479さん仰った様にこのスレをこのままにするのも何なんで、
Yahooの方はまた規制された時のための保険に同時に使用したいと思います。
とりあえず、こちらにまず「0026」いれます。
0026 サムライ・ドライブ
ガッキィィン!!!!
「あッぶね……」と、南は呟いた。
寸でのところで、星人の刀を、自身が手にしているソードで何とか防いだ。
今回の相手は少しでも気を抜いたら不味いかもしれないと察した。
だが、和泉の一撃を食らって瀕死のふぁいやー星人は依然動いている。
「デブ!そいつ、殺れ!」
「ふざけんな、こんな弱えヤツ、自分でやれ、ぶふッ」
「ガタガタうるせェッ!囲まれてんだぞッ!!早く殺れッ!!」
「ちッ」
渋々、茨木は瀕死のふぁいやー星人に向けてXの銃を構える。
ヒュッ!!!!
いきなりそこに何かが飛んできた。
思わず、茨木は後ろにジャンプした。
飛んできたのは、矢だった。
「……ンだよ、くッそッ、流鏑馬(やぶさめ)かッ!?」
援軍のうちの一体の侍が、馬に乗ったまま、茨木に目掛けて矢を発射したのだ。
すかさず、2射目の矢をセットし始めたので、茨木はその場から移動した。
南は、自分に攻撃を仕掛けてくる星人に向かい合ったまま、視線を動かす。
侍5人、そしてその5人がそれぞれ馬に乗っている。
10人の星人がいる、それプラス和泉に腹をやられたのが1人、そいつが乗っていた馬。
合計12体の星人を倒さなくてはならない。
和泉にやられたのは問題はない、が油断は出来ない。
援軍の侍のうち、矢を射る侍は茨木を狙ったヤツだけの様だ。その他のヤツは矢を持っていない。
1人は茨木を、3人は和泉を、そして残り1人を自分が相手している。
馬は匂いを嗅ぐ以外に特別自分から攻撃してはこない。
注意を払うべきは侍だけと見ていいだろう。勿論、馬は後で始末するが。
南は、向かい合う侍を見やる。そして、自分が手にしているソードに可笑しなものがあるのに気付いた。
「な……んだ、これ……ヒビか?ヒビが入ッてやがる!」
ほんのわずかだが、侍の刀の一撃でソードにヒビが入った。
南の注意がそれたのを侍は逃さなかった。
遠慮なく、侍の刀が風を切った。
「うォッ!!!!」
反射的に、手が動いた。
ガッキィィィィィン!!!!!!
両手に強烈な衝撃が走る。だが、切られてはいない。
またも侍の刀は、ソードで防げたのだ。
「くッそッ、てめェ、来るなら来るッて言えよ!!!!」
侍に、そんな事が通じるとは思えなかったが、思わず口走った。
そして、また可笑しな事に気付く。ソードのヒビがさっきよりひどくなった。
「………こいつ……同じトコ狙いやがッた………あの速さで……」
ヒュンッ!!!!
またも侍の刀が来た。ソードで受ける。
衝撃が走る。手がジーンと痺れそうだった。
ソードには1箇所しかヒビが入っていない。
が、そのヒビもどんどん大きくなっている。
「クソ………なんなんだよ、このヤロー……手練れじゃねーか!」
「ほッ!!!!」
風を切る音。刀が来た。ソードを構える。
金属音と共に、南の視界からソードの切っ先が消えた。
カランカランカラーンッ
ソードの先が床を転がっていく。
「はッはッはッはッ」
侍の耳障りな笑い声。
南は、信じられないという顔をした。
「……ウッソだろ、コイツ……!
こんなヤツ、今まで居なかったぜ………!」
侍は嬉しそうに刀を構える。
もう南には防御できないと決めているのか、隙があった。
南はソードを握る手を捻った。
ドシュッ!!!!!
ソードが伸びて、侍の腹部を貫いた。
「がァァァァァァッ!!!!?」
「でも、剣が伸びるとは思わなかッたろ」
和泉は両手にそれぞれソードを構える。
片方は折れているが、機能的にはまだ使える。
侍2人は馬に乗ったまま、和泉に向かって来た。
「おおおおおおおおッ!!!!」
雄叫びと共に、侍2人の刀が空を切った。
和泉は両手に持つソードをクロスさせる形で構える。
ガッキィィィィンッ!!!!
ソードは、侍の攻撃を防御した。
「………ち……ヒビが………」
和泉、南、茨木が侍たちを相手にしているのを他所に、
西は切り離された小型レーダーを手にして、距離をとった。
(……よし……レーダーは使える……接合部がやられただけか………)
油断はしたが、まだ点数を稼ぐチャンスはある。
侍の星人たちはあれが全部ではないだろう。
それに、まだ『すちーる星人』を見ていない。
恐らく、今目の前にいる侍たちは和泉たちが倒してしまうだろう。
だからこそ、発見されていない『すちーる星人』を一刻も見つけ出さなくてはならない。
レーダーを操作すると、直ぐ近くに1体の星人がいる。
視線をその方角にやると、明らかに星人と思しき者がいた。
侍の仲間らしいが、着物の色が微妙に赤っぽい。
何故だか分からないが、刀は持っていなかった。
(んだ、こいつ、こいつなら楽勝じゃん)
どうやって攻撃しようかと考えた。
持っていたXの銃は侍に切られてしまった。
和泉たちが持っている様なソードは持ってきていない。
何か手ごろな武器はないか、視線を床にやる。
(お………あの刀!)
西のXの銃を切った侍が落とした刀があった。
それを手にとる。自分でも使えそうだった。
(よし……あいつは刀持ッてねーし………今度はいけるだろ)
西が歩み寄る。赤い侍は気付いた。
だが、逃げようとはせずに、逆に西に近寄ってくる。
(おいおい、なんだよ、こいつ!)
「はい、それでは問題です」
「……ハァ?」
「ふにょふにょふにょふにょふにょ!」
ホステスは、すちーる星人の不気味な跳躍に思わずしゃがみこんだ。
すちーる星人はホステスをまたいで、その直ぐ後ろに着地した。
ホステスはXの銃を手にしたまま、振り向く。
「ふにょふにょふにょふにょ」
黒い帽子、黒いマント、ぎょろりとした大きな目。
すちーる星人の風貌に、ぎょっとした。
「なにコイツ、キモッ!!」
「ふにょふにょふにょふにょふにょ」
「ちッくしょうッ、この銃、どうやッたら弾が出んだよッ!!」
「ふにょッ」
「きゃあッ!!!」
またもすちーる星人は跳躍して、ホステスに接近してきた。
ホステスはさっと避けた。体はすちーる星人から離れようと必死だった。
無意識のうちに、停車したばかりの電車の中に飛び込んでいた。
『2番線、ドアが閉まります、ご注意下さい』
機械的なアナウンスと共にベルが鳴る。
「ふにょふにょふにょふにょふにょッ」
ホステスを追って、すちーる星人も電車に乗り込んだ。
ドアが閉まった。
「………あ、やべ……」ホステスは呟いた。
「なによ、あんたも結局乗るんじゃないの」
中年女性が呆れた顔で言った。
それを無視して、小型のレーダーを見やる。
まだ助かるチャンスはありそうだった。
今回のミッションのエリア内には、多摩川駅の次の新丸子駅もちゃんと入っている。
新丸子駅で停車した時に降りれば問題は無い。
そう考えたホステスの耳に、アナウンスが飛び込む。
『ご乗車ありがとうございます。この電車は、東急東横線、横浜行き、快速電車です』
「……は?なに?快速!?」
ホステスは耳を疑った。快速電車は新丸子駅には停車しない。
つまり、このままだと、電車はエリア内から出てしまうという事だ。
しかも、目の前にはすちーる星人もいる。
頭を抱えたくなった。
0027につづく
0027 電車でGO
ホステスはどうすればこの場を脱出できるか、視線を周囲に動かした。
ドアの直ぐ横にある文字が目に飛び込んできた。
「そうだッ………非常時の停止ボタンとか………そういうのあッたよな!電車ッて!」
ホステスの仕事を始めて人気が出てから、電車は全く使わなくなっていた。
だが、電車に非常時に乗客が使用する機能がついている事くらいは記憶にある。
それを探そうとしたところへ、すちーる星人は動き出した。
「ふにょふにょふにょふにょ」
「ッそッ、ンだよ、おまえ!」
すちーる星人は、自身が身に纏っているマントを両手で大きく広げた。
何処かで見た事があるポーズだと思ったが、それが何処だったかは直ぐには思い出せなかった。
確か同じキャバクラに勤めているホステスから薦められた映画の中に出てくる化け物。
あまりに長過ぎる映画だったので、途中で観るのを止めてしまったのだが。
他愛の無い事を考えているところへ、すちーる星人が前進してきた。
少しでも距離を置こうと、後退するが、乗客のひとりにぶつかって動きが止まってしまう。
「ッそッ、ジャマだッて!!!!」
「ふにょふにょふにょ」
「……ハ?」
ホステスは目を疑った。
ぶつかった乗客が、すちーる星人と同じ鳴き声を発したからだ。
振り向くと、乗客はすちーる星人と同じ顔をしていた。
サラリーマン風のスーツを着てはいるが、すちーる星人の仲間だった。
よく周囲を見やると、座席に座っているOLや中高生、お年寄りもすちーる星人だった。
「ウソッ、ウソッ、
うわッ、うわッ、うわッ!!なに、これッ!!!!」
「ちょ、ちょッと、なんなの、この人たち!?」
中年女性たちは、ようやく異変を察した様だった。
だが、もう後の祭りである。
快速電車はエリアの外に向かって、突っ走り始めた。
しかも、乗客は全員すちーる星人ときている。
「ちッくしょうッ!!星人だらけじゃん!!」
ガタンッ ガタンッ ガタンッ ガタンッ
「あ……あッれッ、みんな、何処?」
黒いスーツに着替え終えた『うっち〜』は、ホステスやその他の面々の顔を捜した。
が、発車し始めた快速電車の中に、ホステスたちの顔を見た。
「あ………あら、あらら?みんな、帰ッ……ちゃッた?」
呆然と電車が去っていくのを見ていた彼女の横から、スーツを来たスポーツガリが顔を出した。
「ちッ、何で動いてるのかと思ッたら、電車に乗ッてンのかよ……」
レーダーと電車を交互に見ながら、スポーツガリの男は舌打ちした。
何が何だか分からなかったが、ホステスたちは帰った訳ではなさそうだった。
「あ……の………他の人たち、電車に乗ッちゃったン……ですけど」
「なに?」スポーツガリは眉を顰めた。「まずいな………エリアから出ちまうぜ」
「エリア……エリアッて何ですか?」
「………いや……何でもねェ………忘れろ…」
「忘れろッて……電車にはあたしの先生も……居るんですよ!」
「………これ」と、スポーツガリは小型のレーダーらしき機械の表示画面を見せてきた。
「ここ、分かるか、ここだ」
スポーツガリが指し示したのは、一定の場所を囲む四角の線だった。
「………これ、なんですか、これ……ッて、ここの事?」
「……そうだ、こッから出たら………死ぬ…」
「死ぬ………ウソ…」
「まァ、信じないならいい……電車に乗ッた奴等は放ッとけ……」
「ま、まッ、まッ、待ッて!!それが本当なら、なんとかしないと!!」
「どうする気だ?追い掛けンのか?」
「みんな、エリアの事知らないんですよ!なんとかしてあげて!」
「俺がそんな事する義理ねェ、俺は俺で点数を稼がなきゃならないんだよ」
「電車の中には……先生も……あの女の人も乗ッてる!
あの女の人、同じスーツ着てたわ、あの人の仲間なんでしょう!?」
「仲間……ね……仲間……くだらん」スポーツガリは溜め息をついた。
『うっち〜』は、歯噛みしながら、電車が去っていった方角を見やった。
そして、フェンスの向こう側、駅の入り口近くにバイクが駐車してあるのが見えた。
自分の足だけではとてもじゃないが追いつきそうもない。
でも、あれなら、もしかしたら、と『うっち〜』は思った。
躊躇っている時間などない。モタモタしていたら、その間に電車はエリアの外に出てしまう。
『うっち〜』は線路を直接降りた。
「本気か、おまえ、やめとけ」
「助けてくれないなら、放っといてください」
「……バカが………おまえもエリアの外に出ちまうかもしれねーぞ」
「……それでも……あたしは行きます」
『うっち〜』はバイクにまたがった。
「えッと………キーなしなんだよね……どうしよ……」
勢いにのってみたのはいいもの、キーなしでバイクを動かした事などなかった。
映画ではよく器用にバイクを動かしてるのを観たが、実際になど出来そうもない。
「こうやんだよ」と、横からスポーツガリの手が伸びる。
器用にバイクをいじくって、エンジンをかけてしまった。
スポーツガリは別のバイクをいじくって、それに跨った。
「ち……これなら部屋からバイク持ってくりゃ良かったぜ」
『うっち〜』はスポーツガリの心境の変化に戸惑っていた。
そんな事などお構いナシにスポーツガリは振り向いて言った。「行くぞ、時間ないぜ」
「……あの……なンで……」
「俺は点数を稼ぐ、おまえは奴等を助ける、何かおかしいのか?」
「………いえ……ない…です」
ホステスは未だに使い方がよく分からない銃を不恰好に構えながら、
傍にいるコンビニの若い男に向かって言った。
「ちょッ、あんた!この電車止めてッ!!」
「え、オレッスか!?」
「てめェ以外に誰がいンだよ、童貞!早く電車止めろッつの!」
「ンなムチャクチャな……」
「この状況だッてムチャクチャなんだよ、止めろッつッたら止めろよ!」
ホステスがコンビニの店員に視線をやった瞬間、
サラリーマン風の星人がホステスに飛び掛ってきた。
「ふにょふにょふにょふにょ」
「うッわァァァァァッ!!!」
カチッカチッカチッカチッ
Xの銃の引き金を引くが、弾は出ない。
「うわ、うわ、うわわ」と、コンビニの店員は逃げ腰になった。
大学教授の山村や中年女性も、それに倣って、ホステスと星人の取っ組み合いから距離をとろうと動いた。
カチッカチッカチッカチッ
「やッめッろッ、このッ……変態ッ!!!!」
ギョーンッ
奇妙な音と共に、Xの銃口が光った。
パニックのあまり、上トリガーと下トリガーを同時に引いたのだ。
少し間が開いた。強烈な破裂音。
ババンッ!!!!
「ぎぇぇぇぇぇぇえぇぇぇッ!!!!!!」
すちーる星人の右腕が派手に吹き飛んだ。
撃ったホステス自身も、その威力に目が点になった。
「すッげッ、これ、すッげ!!!」
撃たれた星人に銃を構えて、ホステスは叫んだ。
「こいつッ、こいつ撃つぞッ、近寄ッたら撃つぞッ!!!!」
「ふにょふにょふにょふにょふにょ」
ホステスを囲う他のすちーる星人は訳の分からない言葉を吐きながら、なおも寄ってくる。
「てめェら、日本語喋れねーのかよッ!!
こッち来たら撃つッつッてんだ、ボケッ!!!!」
とても言葉が通じているとは思えなかった。
星人たちはホステスにじりじりと接近してくる。それも前後左右とだ。
「ざッけんな、なんなんだよ、おまえら!!」
完全に膠着状態だった。
そんなホステスの耳に、バイクの爆音が飛び込んできた。
「あれ……あれ?」
外を見やると、見知った顔がバイクに乗っていた。
「……ちッ、みんな、同じ車両かよ」スポーツガリ(河内)は舌打ちした。
「どッ、どッ、どうするんですか、これからァァァァッ!!!!」
河内の直ぐ後ろからついてきている『うっち〜』が叫んだ。
「……考えはあンだけどな……ん?」
「な、なんですかッ?」
「おい、後ろ見ろッ!!」
言われて、『うっち〜』は後ろを振り向く。
何かがついてきていた。目を凝らすと、馬だった。
「え……あれ、なんですか、何で馬!?」
「馬だけじゃねーな、なんか乗ってる、サムライか、あれ」
パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ
物凄いスピードで馬が『うっち〜』と河内の方に近付いてきていた。
馬には、侍が跨っていて、その手には刀があった。
「おまえ、あいつ何とかしろ!」と、河内。
「え?え!?えェ!?あたし!?!」
「オレはやることあんだよ!その間、あいつ、止めてろッ!!」
「そ、そンなァ!!!!!」
『うっち〜』は悲壮な表情をしたが、反論しても無駄だった。
振り向くと、更に更に馬はスピードを出していた。
0028につづく
>>480でも書きましたが、
Yahoo作って投下した後に規制解除されていたので、
Yahooはまた規制された時のための保険として同時使用します。
最新話投下しましたのでお知らせします。
0026
>>481-485 0027
>>486-491
493 :
創る名無しに見る名無し:2010/05/21(金) 18:52:23 ID:RJkRL/Go
河内とか南とかジーンズ星人とかの
名前ってルタボウが考えたの?
それとも前から公式設定として存在してたの?
GANTZ MINUS 見て普通に名前出てたんで
びっくりしたんだけど。
>>493 河内、南、茨木、ジーンズ星人といったキャラクター名は
ガンツマニュアルの中で紹介されてました。
だから、公式設定です。
GANTZ MINUSの作者サンも多分同じ様に資料として
ガンツマニュアルを見たんだと思いますよ。
和泉や西が出てくるんだったら、やっぱり
和泉が解放された時にいた3人とか新宿でのジーンズ星人戦とか
必然的に出す事になるでしょうし。
僕もGANTZ MINUS買いましたが、まだちゃんと読んでないんです。
どんな内容なのかドキドキ。
495 :
創る名無しに見る名無し:2010/05/22(土) 12:00:02 ID:Noa3Y5+S
496 :
創る名無しに見る名無し:2010/05/22(土) 14:04:20 ID:u3mks/N+
>>494 正直お前の小説のほうが面白いからwwwwww
昨日小説読み終わったけど、、、
完全にこっちのの方が面白い
MINUSよりこっちのが好きだ…
続き楽しみにしてます
499 :
創る名無しに見る名無し:2010/05/29(土) 21:32:04 ID:CjwVJalK
楽しみだぜルダボウ
0028 ウルトラクイズ
西は、一瞬、きょとんとしてしまった。向かい合う1体の侍の星人の言っている事がおかしかったのだ。
星人はそんな西を意に介さず、勝手に話を続ける。
「4択問題です」
「………なン…だ、こいつ、なに………言ッて……」
「今から歌を歌います。
いんとぅ〜ざ♪ふぁいあっ♪あいむふぉぉぉぉぉぉぉぉりんっ♪
いんとぅざふぁいやっ♪あいむふぉぉぉぉりぃぃぃぃぃぃぃぃぃんっ♪」
(………なんなんだ、こいつ、隙だらけだ……)
西は、侍の星人が落とした刀を構えた。
それでも、相対する侍は微動だにせず歌を続けた。
待てよ。西はそこで動きを止めた。
若しかすると、敢えて接近させる様に誘っているのかもしれない。
だとすれば、このまま近付くのは阿呆のする事だ。
この離れた距離を保ったまま、攻撃出来ないだろうか。
西は握り締めた刀を見やった。
この刀をこのまま侍に目掛けて投げるというのはどうだろうか。
不恰好ではあるが、距離を保ったまま攻撃できる事は確かだろう。
それに、侍の星人たちのこれまでの動きから、接近しなければ攻撃は受けないと見ていい。
今、西が出来る最善の策はこれしか思いつかなかった。
(やッてみるか…………まだ点数はゼロの筈だし………
このままじゃ……0点だし……)
西は刀を侍に目掛けて狙いをつけた。
そこで、侍は歌うのを止めた。
感づかれたか。西も動きを止めた。
「この歌を歌っているのは次のうちどれでしょう」
「ハァ?」
「1、マイケル・ジャクソン。
2、RUN=DMC。
3、スティーヴィー・ワンダー。
4、ドッケン」
(………ンなン、オレが知るか、なに言ッてんだよ、このバカ)
「さぁ、正解はどれでしょうか?3、2、1、キューッ!」
西は、それを無視して、刀を構え直した。
しかし、侍は思わぬ行動に出た。
「ファイヤァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
侍は口をパカッと開けた。
口の中がカッと赤色の光を放ったかと思った次の瞬間、炎が放射された。
ボッ!!!!!!!
「おわッ!!!!!!」
『うっち〜』は自分の背後にどんどん近付いてくる馬とそれに乗る馬に視線を向けた。
そして、自分が今片手にしている銃らしき武器を見やった。
バイクに乗りながら、背後に迫る侍を撃たなければならない。
考えるだけで、とても出来そうにないと思った。
だが、自分の前方を走る河内と名乗る男は構わずに電車の追走を続けた。
自分が後ろの敵を倒すしかないのだ。『うっち〜』は舌打ちしたくなった。
冗談じゃないわ。何であたしが。
そもそも、一体、ここは何だっていうの。
何であたし、こんな事をさせられているんだろう。
当然ながらその問い掛けに対する答えは得られない。
それが余計に『うっち〜』を苛立たせた。
考えていてもしょうがない、と頭を振る。
今は電車に乗り込んでしまった山村先生を助けなきゃ。
このまま電車がエリアの外に出れば、先生は死ぬらしい。
だったら、電車を止めるべきだ。どうにかして。
そして、それをやるのは自分だ。自分をジャマしようとする敵は倒さなくてはいけない。
『うっち〜』は深く深く息を吐いた。腹を決めた。
振り向いて、背後にいる侍に銃を向ける。
途端に視界が揺れる。やはり片手でバイクを動かすのはまだ自分には難しい。
カチッ カチッ カチッ
「あれ……?」
引き金を引いたが、何も出ない。そこで河内の言った事を思い出した。
上トリガーと下トリガーを同時に引かなくては何も出ない。
確かそう言っていた様な気がする。
同時に引き金を引いた。
ギョーン!!!!!!
「うわッ、出たッ!!!!」
だが、目の前に迫った侍はすかさず横にずれた。
しばらくして、視界を横切った電柱の一部分が破裂した。
ドドドンッ!!!!!!!
「どうしよ………当たんない!」
河内に応援を求めようと思ったが、だいぶ距離が離れている。
声を張り上げたところで河内に届くとは思えなかった。
もう一度引き金を引こうとしたところで体が揺れた。
バイクが走っているのは線路上なので、あまりにも不安定だった。
何か硬いものにぶつかったのだろう。その衝撃に気をとられた。
「あッ!!!!」
気付いた時には、もう銃を手放してしまっていた。
銃を落としてしまった。他に武器は持っていない。
どうすればいいのだろうか。河内には、侍を何とかしろと言われている。
このまま逃げるしか、今の自分には手立てはない。
けれど、逃げ続ければ、後ろの侍はずっと自分を追跡するだろう。
だから、侍を倒す以外に自分がすべき事は今はない。
振り向くと、いつの間にか馬には誰も乗っていなかった。
馬に跨っている筈の侍の姿は消えていた。
「あ…あれ、あれッ!?」
「きぇぇぇぇぇぇえぇッ!!!!!」
奇声が耳に飛び込んできた。
咄嗟に視線を上にやる。
侍が刀を構えて、飛び掛ってくるところだった。
一瞬、ほんの一瞬だった。最早、考える余裕すらなかった。
『うっち〜』はバイクから飛び降りた。
その直後に侍の刀がバイクを真っ二つに切り裂いた。
ズバッ!!!!!
「ヒヒヒィーン!!!!」
馬の鳴き声。侍は、ハッと前方を見やった。
対向車線から電車が向かってきた。
侍がそれに気付いた時には、もう電車は目の前だった。
バギャッ!!!!!!!!!!!!!!!!!
電車が侍を跳ね飛ばした。
「ハァッ…………ハァッ…………ハァッ………」
バイクから飛び降りた『うっち〜』はそのまま転げまわった。
だが、怪我ひとつすらしなかった。それが自分自身でも不思議に思えた。
「……あ…………あたし…………生きてる?」
ホステスの言った事は本当だったのか。
ホステスは黒いスーツを着る様に薦めた。
スーツを着た人間はスーパーマンの様な力を得られる。
デタラメだと思っていたが、今の自分の様子を見ると、そうではなかったらしい。
「バイク………壊れちゃった……どうしよう……」
既に、自分と河内が追っている電車も、河内も見えなくなっていた。
もうすぐエリアの外に出てしまうかもしれない。
河内一人でどうにかなるのだろうか。
一応、侍は何とか食い止めたが、電車の中にも星人はうよいよいた。
「ヒヒッ」
馬の鳴き声。振り向くと、飼い主を失った馬がその場に立ち尽くしていた。
「…………そうだ、あれだ」
ホステスは今自分が居る車両をざっと見回した。
両隣の車両への通路も星人に塞がれている。
これでは電車を止めるのはとても無理だ。
「ふにょふにょふにょふにょふにょ」
ホステスが銃を構えているにも関わらず、
すちーる星人の群れはホステスとの距離を詰めていく。
「…………駄目だッ、もう…………」
ホステスは銃を構えながら、片手で窓を開けた。
途端に強い風が彼女の顔に当たった。
前回のジーンズ星人の時に、スーツの性能については少し学んだ。
このスーツさえ着ていれば、電車から飛び降りても耐えられるだろう。
中年女性や大学教授らしい男を見やった。
とてもじゃないが、自分ではもう彼等を助けられない。
ホステスは意を決して、窓枠に足を載せた。
「ちょ、ちょッと、あんた!」
中年女性がホステスに飛び掛ってきた。
「どこ行こうッてのよ!あたし達、おいてく気!?」
「………あたしはやれるだけの事はやッたけど……」
「ハァ!?何したッての?何にもしてないじゃないの!何とかしてよ!」
「うるせーなッ!こんな時だけ頼るんじゃねェよ!そのまま死ね!」
「……あんた、正気なの、この人でなし!」
中年女性はこのままホステスを逃がすものかとホステスの体を強く引っ張った。
「おいッ!コラッ!ふざけんなッ!!放せよ、ババァ!!!!」
ホステスは中年女性を引き離そうともがいた。
だが、それに気をとられて、すちーる星人の群れに囲まれている事に気付くのが遅れた。
「うわッ、うわッ、うわーッ!!!!」
ギギギギギギッ
急ブレーキが掛かった。
思わず、衝撃で体がつんのめる。
「あ………あれ?」
ホステスは何が起こったのかと周囲を見回した。
外の風景の動きがスローになっていく。
「電車………止まッた?」
「………運転士も星人かよ……どーなッてんだ」
河内はメチャクチャにした運転席で
既にボロ雑巾のごとくグチャグチャになった星人の死体を見て言った。
「………ふゥ………あとは……車内の星人どもか」
ズンッ
大きな衝撃音が聞こえた。
「……ンだ?今の?」
ズンッ
また衝撃音。今度は近い。体が少し揺れた。
ズンッ
「………なんか…来る………のか?」
ズンッ ズンッ ズンッ ズンッ ズンッ
音が次第に大きくなっていく。それと共に揺れもどんどん激しくなっていった。
河内は銃を構えながら、周囲を見回した。
何処からやってくるのか。河内の目はそれを捉えた。
今居る運転席の前方から大きなものがやってくる。
ズンッズンッズンッズンッズンッ
「…………なンだ、あいつ!!!!」
どう見ても身長が5メートルはありそうな巨人だった。
不気味に感じたのは、その顔についているたった一つの目だった。
ズンッズンッズンッズンッズンッ
「……………でけェ…………あいつ……ラスボスか?」
0029につづく
>>500-506 ↑最新話「0028」を投下しました。
遅くなってすいません。
>>495-499 どうもありがとうございます。
MINUSよりも面白いなんて言っていただけるなんて
書いた甲斐がありましたw嬉しいです。
MINUSちょこっと読んだんですけど、細かいかもしれませんが、
黒い玉の画面に表示される文字が少し違ってるのは、個人的には×ですね。
自分なりのアレンジをしたかったかもしれませんけど、僕はこういうトコで
違うことをされるっていうのは駄目だと思うんです。
これをやりたいんだったら、東京以外の部屋にしてほしかったですね。
全部読んだらもしかしたら感想書くかもしれません。
GANTZと関係ないんですが、最近タランティーノ監督の映画で
「イングロリアス・バスターズ」という映画を観ました。
これはとても面白い映画でした。このスレを楽しんでくれている人も
きっと楽しめるんじゃないかと思うので、暇があれば鑑賞してみて下さい。
うんうん俺もそう思ってた
ルダボウ…今更だが戻ってきてくれてありがとう…
ルダウボさん、あんたぁ最高だっ
>>507 俺も見てみたけどコメディだと思ってたからバッド殺しの所で青くなった。
でも確かにおもしろかった。
0029 一つ目の強襲
「おわッ!!!!!」
西は、侍の星人の吐いたを避けようと、思わず後ろに飛び退いた。
侍の星人は、そのまま前進してきた。
また火を吐かれると思い、西は更に後退する。
手にしていた刀を投げる事も頭の中から吹っ飛んでいた。
どうすれば、星人から逃れられるかしか考えられなかった。
星人が口を大きく開けた。
火を吐く構えだ。西は、左手にある小型の機械を操作する。
カチッ カチッ カチッ カチッ
「クソッ、クソッ、消えろッ、おいッ、消えろッ!!!!」
パニックの余り、機械の操作も上手くいかなかった。
そうこうしている間にも、侍の星人は距離を詰めてくる。
(やべェッ!!やべェッ!!!!ちッくしょうッッッ!!!!!!)
「おまえ………なにやッてンだ」と聞き覚えのある男の声がした。
振り向くと、ホッケーマスクがライフルを構えて立っていた。
すっかりホッケーマスクの事を忘れていたが、どうやらまだ星人に出くわしていなかったらしい。
「………あ………いや…」西はどう答えようか迷った。
後ろには、侍がいるし、目の前にはホッケーマスクがいる。
「…………コイツ………コイツが犯人」
咄嗟に思いついた言葉だった。
「ンだ?犯人?コイツが?」ホッケーマスクは首をかしげた。
「……そう、コイツ」
西は、背後に迫る侍の星人を指差す。
「コイツが………オレたちをあの部屋に集めた犯人…………」
「マジかよ……コイツが…?オレを?何モンだ、コイツ?」
「さァ…………」
ホッケーマスクは、ライフルの銃口を侍に向けた。
「てめェ!!そこで止まれ!!」
侍は、ホッケーマスクの威嚇を無視して、前進してきた。
ホッケーマスクは引き金に指をあてた。
「脅しじゃねーぞ、おいッ!!そこで止まれッ!!止まれッて言ッてンだぞッ!!!!」
ホッケーマスクが星人を相手にしている隙に、西は小型のレーダーに再度取り組んだ。
今度は慎重に操作した。火花が散った。
バチバチバチバチバチッ
「あッ!?」
西が消えたのが目に入ったホッケーマスクは素っ頓狂な声を出した。
「ガキッ!!コラッ!!どこ行きやがッたッ!?」
「ファイヤァァァァァァァァァッ」
侍の星人はホッケーマスクに向けて火を吐いた。
ホッケーマスクはもろに火を顔に食らった。
マスクを被っているお陰で、ひどい怪我にはならなかった。
が、あまりの熱さに、思わずライフルの引き金を引いた。
バンッ!!!!!!!
弾丸が侍の星人の肩に命中。
星人はそのまま後方に吹っ飛んだ。
「くッそッ、熱ッッぢぃぃぃッ!!!!!くそッ!!くそッ!!くそッ!!!!!」
ホッケーマスクは火を消そうともがいた。
(……今ならやれるな…………あのマスク野郎が撃ッたから………動きも鈍いし……)
西は、ゆっくりと刀を構えた。
そこに大きな衝撃音が耳に入る。
ズンッ ズンッ ズンッ
(…………なンだ?あの音?)
ババンッ
南の一撃で侍の星人の最後の一人の頭が破裂した。
「ふゥ………これで全部……か?」と、周囲を見回す。
侍の星人たち、そして侍たちが乗っていた馬たちの死体が床に転がっていた。
銃による攻撃、剣による攻撃での損傷が死体には見られた。
南は何体倒したか、頭の中で思い出そうとするが、出来なかった。
心臓の鼓動が速かった。それ位、必死だった。面倒臭いと感じ、思い出すのはやめた。
星人たちの死体が散乱した中、和泉は涼しい顔でレーダーを見ていた。
「今回も何とかクリアできそうッスね、ラスボスみてーなヤツはまだッぽいけど」
「……ぶふッ………終わッたか………」
バチバチバチッ
今まで透明化していた茨木が姿を見せた。
南は、汗だくの茨木の顔に冷たい視線を向けた。
「おまえ、ずッと隠れてたのかよ、ビビり過ぎ」
「敵の能力を観察してたんだ……でもたいしたことなかッたな……ぶふッ……」
「何もしてねーだろ、バカ」
ズンッ ズンッ
大きな地響き。音がするたびに身体が揺れた。
「うォッ、ンだ、これ!?」
「………あれ、見ろ」と和泉が指差す。やや離れたところに、でかい生物がいた。
「ンだ、あれ!でけェ!!!!」
「あれがボスか………」
和泉は嬉しそうに呟いた。
ズンッ ズンッ ズンッ ズンッ
運転席にいる河内は、巨大な一つ目の星人がどんどん接近するのを見て、
このままここに居るのはまずいと感じた。
「どたまかちわるどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!!!!」
星人の咆哮が耳に響いた。
何処かで聞いた様な台詞を吐きながら、星人はどんどん近付いてくる。
運転席を出ようと、ドアに手をのばしたところで、
運転士になりすましていた星人の死体がズルズルッと椅子から転げ落ちた。
一つ目の星人の起こす振動で動いたのだろう。
だが、神経過敏になっていた河内は、まだ生きているのだと思い、死体に銃を向けた。
「どたまかちわるどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
ハッと一つ目が来る方角を見やった。
もう一つ目は、自分の目の前だった。
それに気付いた時には、もう一つ目の右腕が大きく動いていた。
ドゴッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
一つ目の右パンチが、車両の横ッ腹にぶち当たった。
そのまま、河内のいる車両は丸々吹っ飛んでいった。
一つ目は構わずに2両車目に左パンチをぶち込んだ。
ドゴッ!!!!!!!!ドゴッ!!!!!!!!ドゴッ!!!!!!!!!
ホステスは、妙な振動を感じた。
電車が止まったのは良かったが、
すちーる星人の群れに囲まれている状況下に変わりはなかった。
この八方塞の窮地をどうすればいいのかと考えているところに衝撃音、そして振動。
「………は?なに、この音?」
ドゴッ!!!!!!!ドゴッ!!!!!!!ドゴッ!!!!!!!
衝撃音、そして振動はどんどん大きくなっていった。
何か大きなものが近付いてくる。
「…………うわ、うわ、うわ、なにあれッ!!なにあれッ!!!!!!」
窓を見ると、電車が1両丸々吹っ飛んでいくのが見えた。
車両はそのまま多摩川駅と新丸子駅の中間の位置にある大きな河に落ちていった。
「な……なンスか、この音……」
20代のコンビニの男は言った。それを無視して、ホステスは言った。
「……ドア開けて………」
「は?」
「は、じゃねェよ!早くドア開けろッ!!!やばいッつーの!!!!!」
コンビニの男の動きは非常に鈍かった。
衝撃音と同時に、隣の車両がそのまま姿を消した。
「どけッ!!あたしがやるッ!!!!」と、閉まっているドアの戸袋に手を突っ込んだ。
「どたまかちわるどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
でかい声が耳に響いたと思った瞬間、身体に大きな衝撃が走った。
ホステスたちのいる車両は一つ目の星人のパンチで宙を舞った。
0030につづく
最新話「0029」
>>512-516まで
投下しました。
>>508-516 どうもありがとうございます。
>>516 面白いと思う人がいて嬉しいです。
バット殺しのシーンから結構残酷描写が多くなっていくんで、
確かに青くなりそうですよね。
予想外の展開が多かったし、なかなか優れた映画だったと思います。
今週も乙
西くんらしくなってきたな
ホッケーマスク戦闘不能www
乙。今回も楽しかった
るーるーるーだぼおおおおおおおおおうっ!
ぐはっ!…
すいません。体調不良で寝てました。
近日中に最新話投下します。
524 :
創る名無しに見る名無し:2010/06/15(火) 07:10:59 ID:A73QPqby
>>523 自分のペースでごゆっくり!
ルダボウ!毎回楽しみにしてる!頑張れッ!!!
1っヶ月ぐらいなら待つ。
526 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/03(土) 08:13:05 ID:S19j98e1
できれば玄野と加藤がくる直前まで頑張って書いてほしいな
ルダボウさん大丈夫?
体調悪いときはゆっくり休めよ
ッダボウ!
529 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/24(土) 17:44:56 ID:zKbda9gC
ほほ
530 :
創る名無しに見る名無し:
ルタボウの近日って言うのは一体いつなのかな(°□°;)?