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創る名無しに見る名無し:
少々前までは「これ何度目だよ」というくらい夏にはしつこく放送してた心霊写真番組。
ある日を境に突然パタリと放送がなくなってしまった。
デジタルカメラでは心霊写真が撮れないからとか本当にヤバイ写真が送られてきたからとかいろいろと
推測やオカルト話が飛び交っているが真相は未だにわかっていない。
インターネットではそういう類の話が春夏秋冬昼夜飛び交っている。創作、真実問わずだが。
オカルト話というのは万人に受けるものらしく2chでは専門の板があるほどだ。
そのような板を覗いてみれば饅頭怖いから不思議体験、陰謀説等様々なオカルトが飛び交っている。
しかしネットが普及した昨今では直接的な体験ではなく「ネットで体験した」といったオカルトも増えてきた。
赤い部屋然りここはどこの箱庭じゃ然り。もちろんこれらも前述したとおり創作か真実かはわからない。
まぁ専ら「創作であったとしても楽しみえればよしとしよう」といったスタイルが多いようだ。
前置きが長くなった。要は「ネットでのオカルト」について言いたかったのだ。
とある2chの比較的新しい板での話である。分割ではなく新設で出来る板というのは明確なテーマがないと
人が来るまで時間がかかることがあるらしい。その板もご多聞に漏れず人が来るまで少々、いや実際のところまだいないようだ。
住民たちはどうすれば人が増えるかああでもないこうでもないと頭を悩ましているらしい。
他の板に宣伝する。たくさん書き込む。方法はあれども実行は難しい。代理する板があるならなおさらだ。
人はより人の多い板に集まる。特に雑談板などはあらゆるジャンルを網羅してしまうので性質が悪い。
別にどこの板だとかは言っていないし、そんな板爆発しろとも言わない。
他の板から来た人間を嫌う板もある。贅沢な話だ。
再び話が脱線してしまったので戻そう。この話はそんな板のとある書き込みから始まったオカルトである。
まだ板数が少なく人もさほど多くはなかったころ。とある板で人不足に悩む板があった。
どういった板かは記載しないが今も昔も悩むのは同じようなジャンルの板らしい。そういうことである。
さてはてどうしたものかとその板の住人も悩んでいた。そんなある日のことである。
朝起きて、板のチェックをする。大抵の場合は比較的住民の多いスレが上にあるのが通例で他のスレは書き込みすらされていない。
しかしその日は違った。ほとんどの板で書き込みがされていた。しかも全て作品という形で。その数は千にも達したという。
驚くべきことにその投下したIDは全て同じだったのである。とは言っても一日でIDが変わるので正確には二つと言うべきだろう。
さらに言うと2chの板では設定上「連続投稿規制」と「秒数規制」があるので千の書き込みなど不可能なのである。
結果としてそのオカルトも手伝いその板は繁盛するようになった。住民達は尊敬と畏怖、そして投下時の名前欄からこう呼んでいる。
千作一夜の無間桃花と――
「長いし意味がわからない。私はそもそもいんたーねっとが何か知らない」
それを聞いた少女が口を尖らせて言う。聞かせていた男は少女を宥める。
「まぁまぁ。こう言った逸話があったほうがいいじゃないか」
「必要ない」
「いやでもさ」
「切るぞ」
「あい、すいません」
チャリという音にさすがにびびったのか男が素直に謝る。少女は鼻をフンとならすと荷物を持って
立ち上がった。
「下らない話には付き合ってやった。もう行くぞ」
「若いのに素っ気無いねぇ。どこか行くとこでも?」
少女は人間らしからぬ笑みを浮かべて男にこう言った。
「とある魔王に会いに行くだけだ」
どうしてこうなった・・・どうして・・・
この物語はフィクションです。実在するなんちゃらかんちゃらと関係ないです。