4 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/05/28(木) 15:49:33 ID:V68Ilde/
スレ発祥連載作品紹介!(※紹介文には多少の誇張表現も含まれています)
【荒野に生きる(仮)◆8XPVCvJbvQ】
再生暦164年、コンクリートの荒野が広がる未来――。
獣の耳と尻尾を持つ「ヒューアニマル」の少女達はひたすらに戦う。対鋼獣用人型兵器・ヴァドルを駆って――!!
怪獣VS獣耳っ娘!? 話題騒然のデスマッチ!!
【CR ―Code Revegeon― ◆klsLRI0upQ】
これは、悪夢に立ち向かうちっぽけなひとりの人間と、「怨嗟の魔王」と呼ばれた機神の物語。
アンノウンの襲撃で家族を失った潤也は、漆黒の鋼機・リベジオンの玉座に身を沈める。反逆と復讐を遂げるために……!
人類震撼! 暗黒のレコードオブウォー!
【瞬転のスプリガン◆46YdzwwxxU】
スーパーカーから伸びる鋼の腕――神速の挙動と極微の制動を可能とする、エーテル圧式打撃マニピュレータがその正体!
異世界の侵略者・魔族により廃墟と化した街角で、幼いことねは機械仕掛けの拳法家を目撃した。
変形ロボットならではの技が炸裂する、極超音速機動武闘伝!
【パラベラム!◆1m8GVnU0JM】
Si Vis Pacem, Para Bellum――汝、平和を欲さば、戦への備えをせよ
意思ある機械人形(オートマタ)・リヒターと、彼のマスターとなった少女・遥(19)の戦いが始まった!
なんだかおかしなキャラ達による軽妙な会話と、動きを魅せるアクションに定評あり。ファンタジックロボット冒険活劇!
【ザ・シスターズ◆klsLRI0upQ】
平凡な大学生、大野啓介の元に届いた大きなダンボール箱
その中に入っていたのは妹を自称するヒューマノイドで―――
超展開を超展開でねじ伏せる、お気楽ドタバタロボットコメディ!
【電光石火ゼノライファー◆.dMD1axI32】
「俺、戦うよ。兄さんの代わりに」
正体不明の敵「アンノウン」来襲! 柊頼斗は兄の遺志を継ぎ、巨大ロボット・ゼノライファーに搭乗する!
少年少女の思いが交錯する超王道スーパーロボットの活躍に、キミのハートもブレイズアップ!
【Tueun◆n41r8f8dTs】
全てを無くしたこの世界で――青年と人形は明日を咲かす
荒廃の大地に安住の地を求めるショウイチ。彼と旅する巨大トラクター・タウエルンには、とんでもない秘密が隠されていた!?
「家業継ぐわ…」「農業ロボ!?」 そんなスレ内の小さな種(ネタ)から◆n41r8f8dTsが丹精こめて育てた、痛快娯楽開墾劇!
【海上都市姫路守備隊戦記◆gD1i1Jw3kk】
「鉄の鎧を纏いし日出ずる国の兵」。帝国に虐げられる民が希望を見出した救世主伝説。
兵士として生きる男・清水静が愛に目覚めた時、戦乱の異世界に重装甲強化服のローラーダッシュの唸り声が響き渡る!
止められるものなら止めてみよ! 熱と硝煙! 剣と魔法! 凄絶無比のヘビーアーミー!
【最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ◆46YdzwwxxU】
ドゥビドゥビッドゥ! ドゥビドゥビッドゥ! ドゥビドゥビドゥビドゥビッドゥドゥビドゥビ!
今日も今日とてロボヶ丘市で激突するのは、変な正義と変な悪!
ハイテンション! 歌うスーパーロボットバトルアクション!
・読者側は、積極的にエールや感想を送ってあげよう! 亀レスでも大感激! 作者はいつまでだって待ってるもんだぞ!
・作者側は、取り敢えずは作品で語れ! 自分のペースでも完結まで誠実に奮励努力せよ!
・我らスレ住人は、熱意に溢れた新作をいつも待ち望んでいる! 次スレの紹介文には、キミのロボットも追加させてみないか!?
乙です!
言い忘れてた「ヒューマニマル」の修正いいい!
そういやWikiの紹介ではもう二作品追加されているんだよね?
ステイシス……ランク
>>1、乙ダルヴァか。どうやら企業連も本気のようだな。
ロボスレはもう4機目かい? 早い、早いよ!
しかし500までいく前に容量が470を越えるとは……
早速でナンですが投下させてもらいます
ショウイチ・マーチマンが、土埃の匂う辺境の村を訪れてかれこれ三日になる。
つてもなくふらりとやって来て、就農したいと申し出る青年を怪しむ者は多かったが、持ち前の太陽のような
笑顔のためか、はたまた誠実に畑仕事に従事する姿からか、今では概ね好意的に受け入れられつつある。
(だが、ここでもタウは厳しいかもしれない。いいとこ見せても、どうかな)
ショウイチは、スプリガンが自動人形と分かってからの村民達の豹変を思い出す。迂闊に顔に出すようなこと
はしないが、砂利石を蹴り飛ばしながら坂道を下る足取りは重い。
(とはいえ妙といえば、妙だ……)
自動人形そのものに負の感情が向けられることじたいは珍しくない。
しかし繰り返すようだが、周知の事実として、自動人形に並の携行兵器など無力なのだ。どんな酷薄な犯罪者
の所有物とも分からないのに、男衆総出で迎撃するという発想は、ふつうしない。ロボット三原則を心得たスプ
リガンとはわけが違う。不用意に怒りに触れれば、一帯が火の海になることも有り得るのだ。
(集団ヒステリーの不合理行動か? それにしてもな……)
土地柄を骨身に染みて知っているが故に分かる微妙な違和感が、ショウイチの中で膨らんでいく。この一件に
は、何か裏があるのかもしれない。
物思いに耽るショウイチが、村の大通りの入口を飾るアーチに差し掛かったとき、この三日で顔見知りとなっ
たエレンが息せききって駆け寄ってきた。もうすぐ二十歳になるという背の高い娘で、ショウイチが働き口とし
て紹介された村の共同農地で雑用を引き受けている。
「しょ、ショウイチくん!」
「どうかしたんですか、エレンさん?」
走り易いようにたくし上げていた丈長のスカートから手を離し、彼女は呼吸が整うまでの時間も惜しげに嗄れ
た声を発した。
「あのね、お父さん達が……!」
エレンは石ころでも呑むように渇いた喉に唾を送った。尋常ならざる事態であることは明白だった。
「今日こそ、“赤髭”を、とっちめてやるって、息巻いて……ッ!」
「あかひげ」
そのあざ名には、ショウイチも覚えがある。
「ああ、このあたりを牛耳っているっていう……」
「山賊よ」
娘は吐き捨てるように言って、農作業で日焼けした鼻筋を憎々しげに歪めた。
“赤髭四世”。噂に聞くところによると、最低でも四十人の手勢と十機近い自動人形を擁するマフィア“蠍の
尾”の首領であるという。
これと決めた集落の近くに数ヶ月に渡って居座り、暴力をちらつかせては、生かさず殺さず搾取を繰り返す。
組織じたいは小規模もいいところだがその分フットワークが軽く、幾度となく討伐に乗り出した政府軍にもなか
なか尻尾を掴ませない。
この周辺地域で既に数世代に渡って猛威を振るっており、長らく被害に遭ってきた一般市民は彼らをそれこそ
蛇蠍のごとく忌み嫌っていた。
これまで泣き寝入りしてきたものが、青い自動人形を思いのほか楽に撃退できてしまったことで勢いづいてし
まったのだろうか。村の男達は武器を手に、勇んでアジトに向かったとエレンは言った。
「……大丈夫なんですか?」
「まずいよね」
村娘は焦りの表情で爪を噛む。
猟銃以下の武装だけで自動人形を敵に回して勝てる道理はない。赤髭という男のやり口によっては、最悪、他
の集落への見せしめとして、皆殺しの憂き目に遭うかもしれない。エレンは血気盛んな男達よりも冷静だった。
「みんな殺されちゃうよ! どうしようショウイチくん! どうしたらいいと思う?」
「みなさんはどこに?」
ショウイチの決断は早かった。
「……止めに行ってくれるの?」
「僕も、今は、この村の男ですから」
エレンを安心させるように微笑む。
自動人形に滅法強いタウエルンという戦友がいないことが不安要素だが、この状況で見て見ぬ振りなどできよ
うはずもない。
先刻知り合ったスプリガンに協力を呼び掛けてもいいが、去り際にエンジンの掛かる音がしたから、恐らく既
にあの岩陰にはいまい。タイムロスになる。
北に裾を広げた丘陵の中腹。蠍の尾のアジトがあると目される洞窟をエレンから聞き出して、ショウイチは矢
のように駆け出した。
「連中の言い分をまとめるとだ」
赤髭四世は、蟇(ひきがえる)のように横幅の広い口の端を吊り上げた。面白がっているのだと、付き合いの
長い手下は察する。
「おれを舐めてると、そういうことだな」
中年男は目を細めて獰猛に笑った。荒野の砂礫が人のかたちを成したかのような怪傑だ。ぎらぎらと光る眼は
毒蛇にも禿鷲にも似て、でっぷりとした腹は駱駝の瘤を思わせる。上唇と顎先には、手入れも杜撰に、赤銅色の
髭が生い茂っていた。肩で風切る荒くれ者も、その口許を見れば慌てふためいて道を譲るという。
『にしても、青い自動って誰のなんですかね』
「知るか」
手下のハイヤンに素っ気なく答え、赤髭は通信機越しのノイズ混じりの声を聞く作業に戻った。彼は狭隘な部
屋にひとり。眼前には升目状に細分化されたモニタがあり、山道まわりに配置した自動人形群が拾った映像や音
声が、赤髭のもとに転送されてくる仕掛けになっていた。ねぐらの奥にいながら、赤髭は村人達の動向を手に取
るように知ることができる。
(しかし、おれのテリトリーに自動人形を持ち込む間抜けがまだいるとはな……)
徒党を組んで近づいてくる男達が口ぐちに話す内容を統合すると、村を襲った青い自動人形を追い返したとい
う事実が今回の発端らしい。
向こうはどうも赤髭が差し向けたものだと思っているようだが、それについてはとんと記憶にない。だいいち、
泣く子も黙る蠍の尾の一員がおめおめ逃げ帰るなど、有り得ないことと分かろうものだ。
『二度とこの村に近づくな!』
『赤髭は四代で終わりだ!』
『お前ら今まで、鋼獣や魔族に悪党どもから守ってやった恩を忘れやがって!』
『悪党はお前らだろ!』
『……親分、こいつらウザイんで、自動に踏み潰させていいですか?』
がやがやと村の男達が喚き立てる中、蠍の尾でも古参の日系人、スコーピ男・ハリ山の抑揚のない声がする。
「まあ、待てや」
『あい』
「最近、おれも退屈していてな。豚どもの泣き叫ぶ声を聴くのも悪くない」
『するってえと、じきじきに?』
赤髭は獰猛に笑った。
殺戮と破壊と略奪を是とするマフィア“蠍の尾”だが、そのうちの殺戮とは随分と長い間ご無沙汰だった。そ
れというのも、このあたりでは誰も彼もが飼い慣らされた羊のように従順だったからだ。大人しくしていれば命
まではとらないと周知を徹底させることが、四世代に渡る支配の秘訣だった。
しかし幾年振りか、正面きって蠍の尾に反抗する者達が現れた。それは赤髭には喜ばしいことだ。家畜の世話
ばかりではなく、たまには狩猟も楽しみたいのだ。
「反逆者は血祭りに上げないとなぁ」
赤髭は聞えよがしに舌舐めずりをした。こういうときのこの男は恐ろしい。長年苦楽をともにした手下達も、
しばらくは声を掛けるのを躊躇うほど。
『――あーあーテステス。ミスター赤髭? ああ、そこにいますね。お久し振りです』
しかし見よ。沙漠の怪傑にも怖じることなく、癇に障る声で囁いた男がいる。木乃伊のような痩身に黒いスー
ツ。眼鏡を掛けることで視力ではなく悪の力を高めた、それは危険なかほりの男。
「……相変わらずいい度胸だな、へぼエージェント」
赤髭が一瞬だけ無表情になり、すぐに憤怒の相となる。
通信に割り込みを掛けた彼は、コードネームをイッツァ・ミラクル、地球上に蔓延る巨悪のひとつ“ワルサシ
ンジケート”に属する魔人である。赤髭にとっては、対等に話ができる数少ない人物でもあった。もっとも、そ
の間柄は、友人というよりは宿敵に近い。
「まさか青い自動とやらは、てめぇの差し金か?」
『とんでもない。むしろ一部の村人を買収してパニックを演出したのがワタクシです。ハーメルンの笛吹きよろ
しく暴走したのは予想外でしたが。』
「あん?」
『いろいろと確かめたいことがありましてね。人類に祝福されるべくして生まれ変わったHWS‐03の士気は、
民衆の罵声にどのような影響を受けるのか、とかね。くだらないと思われることでしょうが、これがなかなか重
要なことなのです』
「何をほざいているのかさっぱり分からんが、ようは青い自動は“おれ達”の敵なんだな」
『本来は魔族の敵ですが、少なくとも非道を見逃したりはしないでしょうね』
イッツァ・ミラクルは冗談めかして嘆息した。
『青いのだけではありません。それなりに強い外来種の害虫が二匹、そしてタウエルンとかいう常識外れの自動
人形もいます。そこは今、ちょっとした火薬庫ですよ? さらにいえば、ワタクシの送り込んだ私兵もそろそろ
到着するかと!』
「ああそうかよ。ご苦労なことだ」
『それはもう。欲しい情報は幾らでもありますとも。あのトラクターの自動人形が隠すという門外不出の特殊機
能。アル・ハーカーンの設計図に対する第一の回答である対魔族兵器の実力。そして何より、スーパーロボット
二機の戦力の相乗効果』
「スーパーロボットだ?」
死の商人が唐突に口にした単語の現実味のなさに、赤髭は唇をひん曲げた。
『そう! 新世紀それはスーパーロボットの時代!』
イッツァ・ミラクルはそこで調子づき、舞台役者のように声を高くする。
『次々に出現する地球人類の敵対者達! 例えば、金属を食らい尽くす異形の怪獣“鋼獣”! 見境なく人間を
襲うというマナの巨怪“はぐれオートマタ”! あるいは所属不明の獣型兵器“メタルビースト”! 動物相を
根絶やしにして土地を我が物とする怪物頭足類“ワーム”! 地上の獣禽鱗甲に似て非なる異世界の知的巨大生
物“魔族”! そして、種々雑多とした幻想世界の住人達の混在する“ジャーク魔法帝国軍”!』
乗っ取られたモニタの中で、怪物達の映像が踊る。踊る。踊る。
『それらへのカウンターアタックとしてか、彼らは生まれ、もしくは目覚め、もしかしたらやって来た!』
興奮に甲高い声を上擦らせて、イッツァ・ミラクルは大いに語る。
赤髭の視界を埋め尽くす画面に、それぞれ別の色が混じる。
『わずか一機で戦局を激変させる巨大人型兵器の出現!』
赫光を帯びた長槍を操り、ジャーク魔法帝国軍のワイバーンに執拗な攻勢を掛ける機械仕掛けの魔王。光の粒
子を撒き散らし、はぐれオートマタを土に還す緑の自動人形。目許から光線を放ち、夥しいワームの群れを薙ぎ
払うくろがねの巨人。
『目まぐるしく発展していく技術と戦術!』
白銀の甲冑で武装した女戦士の巨体を、矮躯をもって翻弄する黒騎士はオートマタか。自動人形まで持ち出し
て軍の物資を狙った賊を、ぎこちない連携で切り崩しに掛かる機甲部隊。土中から奇襲を掛けるもぐらの鋼獣を
超反応で迎撃する、腕の生えたスーパーカー。
『人類の肉体や精神すらも、そのままではいられない!』
空飛ぶ狼のメタルビーストに長距離砲の照準を合わせる青い肩当ての強化服は、全身武器の塊。巨象に似た魔
族に対してフォーメーションを組むのは、人工的に創られた獣人によって操縦されるという10メートル級人型
兵器四機だ。
そして――この世界のどこかに存在するであろう、まだ見ぬスーパーロボット達も。
『スーパーロボット同士が接触したとき、果たしてこの世界に何が起こるのか。我々のビジネスにミラクルチャ
ンスは訪れるのか、この一件が未来を予測するための材料になるでしょう』
「たかだか二機の自動人形が、何になるってんだ」
赤髭は呆れ果てたように鼻息を飛ばした。
『あなたほどの男ならば相対しただけでも分かるはずだ、彼らの常軌を逸したポテンシャルが。このワタクシも、
どちらか片方だってまともに相手したくありませんね。ブルーのほうは最速、グリーンのほうは最凶です。極超
音速の陸戦兵器や、“無生物に対する細菌兵器”など、逆ミラクルにもほどがある』
「フン」
赤髭はつまらなそうな顔をした。
「いいか奇跡坊や。どんなに馬鹿っ速いランナーも、土を蹴らなきゃ走れねぇんだよ」
人型であるが故の限界。物質であるが故の制約。エーテルだのマナだので多少法則を捻じ曲げられようとも、
攻略法は必ず存在する。それが、沙漠の怪傑の持論だった。
「思い知らせてやる。この究極の自動人形“赤髭スペシャル”で」
背後の巨影を思いながら、男は笑う。
赤、青、そして緑の運命が交錯する時は近い。
つづく
今回はここまで。
いちおうスパロボ企画につながるSSということで、ちょっと遊んでみました。許してください。
いろいろ説明不足というかメッチャ強引ですが、今は話を進めます。
地の文とかは気が向いたら調整したいな。村人の扱いとかあんまりだし。
……それにしても、意外に空飛べるのはリベジオンくらいなのか。
スプリガンとタウエルンだけのクロスかと思ったら、まさかのイッツァ・ミラクル登場!
しかも既に他の作品世界が融合した世界だったとは、意表を突かれました。
赤髭スペシャルはどれだけの性能を持つのか、村人の運命はどうなるのか。
スプリガンとタウエルンの共闘が楽しみです。
>……それにしても、意外に空飛べるのはリベジオンくらいなのか。
ロボット物だと空飛べるのが多いので、確かに少ないですね。
うちの重装甲強化服は地球上のどんな場所でも戦えるのが前提で開発されてるけど、所詮陸上兵器でしかない。
輸送機を使わず単独で目的の場所へ高速で送り込む飛行装備もあるけど、移動専用の使い捨てだから戦闘で使える代物ではない。
( ゚Д゚)
(゚Д゚ )
m9( ゚Д゚ )<イッツァ・ミラクル!!
まさかのイッツァ・ミラクル登場……と思いきや他の世界の勇士達の名前まで挙がるとは、なんという嬉しいサプライズ!
「そう! 新世紀それは〜」のあたりは鳥肌が立ちましたw
次回も楽しみにしています!
13 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 17:58:47 ID:CEJU8Il5
>>10 ここまで凝ったクロスオーバーが見れるとは…・…まさかのミラクルさんに前言撤回、驚きました!
悪役である赤髭が悪役然としてて気持ちいいです。赤髭スペシャル・・・…どんな実力をもっているのか……
続きが楽しみです!展開がマジで気になります
さて、だいぶ遅れましたが、本編をやっと投下できます
かなり話が進むと書きながら、全然進んでないというorzその代わりに中身をすっごく濃くしたつもりです
今回ショウイチの過去を暈し(多分)ながらも明かそうと思い書きましたが、分量が凄く長く……・
それと重要な事を所々さらっと流してますが、こまけえ事はの精神で宜しくお願いします、では
15 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 23:00:25 ID:AhL68VUG
<7,共同戦線(後編)>
研究員より渡された明細な資料を読みながら、シュワルツはダルナスを見上げている。
多少の不都合はあったものの、どうやら無事に起動まで持っていけそうだ。起動条件であるエネルギーの充填率は、すでに95%を切っている。
どうやら先程までに薄々感じていた不安は杞憂の様だ。後はダルナスを起動し、今までの戯れを消し去れば良い。
シュワルツは含み笑いすると、資料を研究員に渡し、改めてダルナスを見上げる。その時だ。
「シュワルツ様」
研究員に呼ばれ、シュワルツはハンガーから降りる。モニターを見張る研究員の表情には陰りがある。
「先程、例の自動人形の探索で出動した黒騎士の反応ですが、全て途絶えました」
「……レフトからの連絡は?」
「こちらから何度も応答する様に呼びかけていますが、全く……」
一方酒場というと。険しい目つきを浮かべ、ショウイチと対峙するギーシュと、どう説明するべきかが纏まらず、視線をウロウロさせるトニー。
そして、そんな二人と違ってどこ吹く風といった感じで飄々としているショウイチの三人のせいで何とも言えない奇妙な空気感が漂っていた。
誰か一人でも口火を切れば爆発しそうな、ひりひりする様な緊張感もその空気に拍車を掛けている。
周囲の村人達は、とりあえず危機が去った事は分かったものの、三人の会話に耳を傾ける為に動かずにその場で留まっている。
やがて、待ちかねたようにギーシュが話を切り出した。
「取りあえずあんたって呼び方は失礼だったな。すまない。まず聞きたい事がある。君は、俺達の敵か、味方かどっちだ?」
誰かが唾を飲み込む音がする。それほど場は静まっているのだ。ショウイチの返答を聞く為に。
ショウイチはくるくるとライフルを回しながらあくびをして、ギーシュに向き合い、答えた。
「はっきり言えば、僕は貴方達の敵でも味方でもない。ただ単に働き口を探す愚かな旅人です」
「……困る返答だな。はっきりしてくれないと敵と判断するぞ」
空気に痺れたのか、ショウイチの返答に拍子抜けしたのか、ギーシュは苦笑した。苦笑いを浮かべたまま、ギーシュは語りだす。
「この村に来てまもない君に理解しろというのも酷な話だが、この村は自動人形に何もかも支配されててな。
悪いが俺達は、自動人形に対して良いイメージは持てないのさ。むしろ……憎んでいる」
ギーシュはあくまで明るく語っているが、言葉の節々にははっきりとした怒気が滲んでいた。
ショウイチは黙ってギーシュの言葉を黙って聞いている。トニーはショウイチを庇おうとするが、上手く言葉が出てこない。
「だが、不思議なんだ。君の、いや、正確には君が連れてる、あの自動人形を見てると憎むというか、なんつうか……。
憎むべき対象に見えないんだ。教えてくれ。君は何なんだ? ヒーローかなんかか?」
自分の緊張を解く為か、ギーシュはワザとおどけた感じで、ショウイチに問いた。
ショウイチは髪を掻きながら数秒、悩む動作を見せると明快な口調で答えた。
「さっきも言ったとおり、無一文の旅人ですよ。ちょっと厄介な荷物を抱えた……ね」
空気が、凍った。ショウイチの気取った言葉にか、それとも期待していた答えでは無かった事に対する村人達の失望か。
トニーは何故だが自分が猛烈に恥をかいた様な感覚に囚われる。トニー自身は何も言っていないのだが。、
ショウイチが空気を察したのか、あ、あれ? とキョロキョロと視線を漂わせた。皆、ショウイチに目が合わぬように視線を伏せる。
とはいえ、ショウイチの発言がきっかけなのか、さっきまでの滞っていた空気が不思議に緩和されていく。
ショウイチの答えに、ギーシュの口元が次第に緩み、やがて大声で笑い始めた。
しばらく笑うと、ギーシュは涙目を掌で拭いてショウイチに話しかける。
「すまない、笑うつもりはなかったんだ。ただ、予想してた答えと全く違ったからさ。
いやはや、こんな状況でそんなちゃらんぽらんな台詞を言うとは思わなかったよ」
「僕自身はいたって真面目なんですけどね……」
ギーシュに対して、ショウイチは納得いかないといった口調で返す。つぼに入ったのか、ギーシュはまたも笑いだした。
数秒笑うと、ギーシュは呼吸を沈めながら、言葉を続ける。
「なんとなく分かった。君は悪い人間じゃない。むしろちょっと抜けてるが正義の味方に見えるよ。
だが言ったよな。君に関する全てを話してもらうって。まぁ……敵じゃないと知った以上、無理にとは言わないがな」
「その前に」
ライフルを回して肩に掲げると、ショウイチはおどけた表情から一転、真剣な表情になり、凛とした芯の通った声で言った。
「この村で何が起こってるのかを教えて頂けますか? さっきから悪党に聞いてるんだが教えて貰えなくてね」
シュワルツは理解する。この村やって来た例の自動人形が、自らの想像を遥かに凌ぐ存在だという事に。
数分前、研究員の一人が青ざめながら走って来た。黒騎士の残骸から取り出した記憶装置を映像に変換したディスクを、シュワルツに見せたいという。
ダルナス起動前という事で、モチベーションを高めたいシュワルツは煙たく感じたが余興程度に見てみる事にした。
圧倒された。映像に映し出された、異邦者である緑色の自動人形は、黒騎士達を圧倒的な力でなぎ倒していく。
自動人形に仕込まれた見た事も無い内臓兵器が、屈強な黒騎士が原形も無いほどに破壊されていく様は、シュワルツにとって言いしれぬ感情を抱かせた。
レフトとライトが黒騎士を連れても勝てなかった理由が分かる。レベルが違うのだ。黒騎士と、緑色の自動人形では。
自然に、シュワルツの口元から笑みが零れる。これは私に対する運命だ。神が与えた、越えるべき試練……。
笑っているシュワルツに、研究員は鳥肌が立つのを感じた。するとシュワルツは、研究員を見、笑顔を浮かべながら言った。
「由々しき事態ですね。予定より早めにダルナスを起動する事にしましょう」
酒場。ギーシュはショウイチに全ての事を話した。シュワルツが突如村にやってきた事、そして自動人形――――黒騎士で村人達を支配しだした事。
圧政を行い、村人達の経済状況を異常なほどに圧迫した事。村長を殺害し、この村を使って実験と称して巨大な自動人形を動かすという事を。
ショウイチはギーシュの語りに時折頷きながら、自分の中で散らばっていた考えが纏まっていくのを感じる。
農作物の不作、黒騎士、そしてライトとレフトという二人の男。シュワルツという男は……。
「俺が伝えるべき事はこれだけだ。で、トニー。お前は俺に言いたい事があるんじゃないか?」
語りを止めたギーシュが、ニヤリとしながらトニーの方を向いた。
黙ってギーシュの話を聞いていた為、トニーはハッとすると、慌てて話し始めた。
「あっと、そうだった……俺がショウイチ君の事を把握したのは正確には今日の朝なんだ。
クレフがウチの前でショウイチ君が倒れてた所を助けたみたいでさ。その時には正直変な人だなぁと思ってたよ。
けど、ここに来る前に話した時と、今ので確信した。彼は信用に値する人間だ。俺が保証する」
そう言ってトニーは力強く唸って見せた。……だが、ギーシュはニヤニヤしたまま、皮肉っぽく返す。
「何か色々言葉が足りない気がするが、親友のお前の言葉だ。俺もショウイチ……」
言いかけて、ギーシュはショウイチに視線を向けた。ショウイチも気づいたのか、視線を返す。ギーシュが視線を向けながら言った。
「そろそろ君の事も話してもらいたい……と、言いたいがここに何時までもいる訳にも行かんな」
ギーシュは手でメガホンの形を作ると、村人達に向けて大声を上げた。
「今から一時間後に全員炭坑場に集合してくれ! 出来るだけ最低限必要な荷物でな! そこで避難ルートを教える!
良いか、本当に必要な物だけ持ってくんだぞ! 一時間後だ!」
ギーシュの言葉に村人達は少しざわついたが、理解したのか一人二人と酒場から足早に出ていく。
ギーシュは自分と共にシュワルツに立ち向かう11人に対して、村人達をサポートするよう指示を出す。承諾した11人は言うが早く酒場から出て行った。
トニーがメルティに手を絡ませ、額を付けると優しい声で伝える。
「後で必ず合流する。指示に従って、速やかに炭坑場に向かってくれ」
「うん。あっちで待ってる」
そう言って、メルティはトニーと口づけを交わした。一方、クレフはギーシュに有無を言わさず抱きついた。
「死んだら、絶対に許さないから」
「あぁ、約束だ」
メルティとクレフを最後に、酒場に集まった村人達は避難の為に酒場を後をした。
しんと静まった酒場には、ギーシュとショウイチ、其れにトニーだけが残っている。
「さっきの発言、どういう真意で言ったんだ? 俺達が君を糾弾しないとも限らないんだぞ」
若干の疑念も込め、ギーシュがショウイチに問い、トニーは無言でショウイチに顔を向ける、ショウイチは首筋を指で掻きながら、あくび交じりで返答する。
「ヒーローって言われるがむず痒いんですよ。そういう人種じゃないんですよね、僕」
「それで、僕の事を知りたいって言ってましたよね。……参っちゃうな」
ライフルのカートリッジを取り出し、弾数を確認する。それほどレフトは使っていなかったのか状態がそれほど悪くなく、十分実用に耐える事ができそうだ。
ショウイチのライフルを弄る手つきは非常にこなれている。まるで日常的な習慣をこなしているように。
カートリッジを再装填し、引き金を引く。天井に開いた穴から夜空へと、ライフルの銃弾が吸い込まれていく。
「正直、僕は過去についてあまり思い出すことはしたくないんです。どう言えばいいのか……」
銃口から流れる煙が、ショウイチにまとわりつく。ショウイチは嫌がる動作はしない。
「昔、自動人形に入れ込んでいた設計者がいましてね。その設計者はただひたすら、馬鹿みたいに自動人形に入れ込んでいました」
18 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 23:04:36 ID:AhL68VUG
ショウイチはギーシュ達に自らの過去を語りはじめる。ある一点だけには触れない様に。
ショウイチが語る設計者――――彼は世界がこの状態になる前は、自動人形の開発に人生を懸けていた。
愚直なまでに自動人形に入れ込んでおり、彼にとって自動人形とは生きる術であり、存在意義である。
彼の能力は抜きんでており、まさに自動人形に関しては天武の才と言っても過言ではなく、周囲から羨望されていた。
何時頃だったか――――彼の元に、軍から依頼が飛び込んできた。彼の能力の高さを耳に挟んだ為、新型自動人形の設計、開発を依頼したいと。
彼は自らの才能を最高に活かせるチャンスだと思い、勿論軍の依頼を呑みこんだ。
それが全ての終わりを告げるとは、彼は思いもしなかった。いや、知る事など出来る筈がない。何故なら軍も――――。
軍が彼に見せたのは、ブラックキューブと呼ばれる新機軸のエネルギーだ。
宇宙の隕石より採取したというそれは、いかなる実験でも傷つく事の無い非常に頑丈な資源だった。
また、汎用性に富んでおりこれが搭載された乗り物は車だろうが、飛行機だろうが、船だろうがほぼ半永久的に稼働し続ける事が出来る、夢の様なエネルギーだ。
軍が依頼したのは、このブラックキューブを搭載した、軍事用の自動人形の設計、及び開発。彼はその為に、軍に呼ばれたのだ。
彼はあまりにも若すぎた。軍事用の自動人形を作らされるとは想像もしなかったのだろう、軍が出したその要求を突っぱねた。
だが、彼はある科学者である女性によって説得される。その女性に、彼は一目惚れした事もあり嫌々ながらもその要求を飲む事になる。
彼は世界中の有能な科学者や技術者と共に、若干不本意ではあるが、新型自動人形の開発を始める事になる。と……。
「……すまない、ブラックキューブって何だ? 聞いた事無いぞ、そんなの」
ギーシュがショウイチの語りを一旦止める。その顔には驚嘆とも呆然ともとれる表情が浮かんでいる。
「それはそうですよ。公には、自動人形同士の戦争で世界が衰退したと言われてますからね。この事は二人だけの秘密ですよ」
軍用の自動人形という事が気に食わない彼だが、それでも新型自動人形の開発に携われるというのは魅力的である事は確かだった。
彼はチームと共に、日夜真剣に、また着実に新型自動人形を作り出していく。また同時に彼は、女性に対して思いを募らしていった。
そんな日、彼は女性に対して自らの思いを告白、すると彼女も、彼に好意がある事を告げた。彼と女性はめでたく相思相愛となったのだ。
どれほどの月日が流れただろう。長年の苦労の末、遂にブラックキューブを搭載した新型自動人形が完成する。
ブラックキューブの能力をフルに生かしたこの機体は、想像以上の能力を発揮した。如何なる兵器さえも歯が立たない、最強の武装能力。
おそらくこの機体で、世界中の軍事的なパワーバランスが一変する事になる。彼は次第に、自らの行為がどれほどの行為かに気付き、恐怖を抱いていく。
そんな彼を、女性は聖母の様に包み込んだ。精神的に沈みきっていた彼は、女性に対してこれ以上無いほどに溺れていき――――。
事件が、起こる。女性は彼を、軍を裏切り、潜伏していた一派と共に新型自動人形のデータを奪取、そしてブラックキューブの居所を他国、いや世界中にリークした。
彼女は科学者では無かった。世界に破滅をもたらす、過激で残虐なテロリストの一員だったのだ。
世界中に降り注いだブラックキューブの情報が、世界を戦争の炎に巻き込むのに時間はそう掛からなかった。
表向きは自動人形による戦争だが、本来はブラックキューブを独占する為の、あまりにも醜く凄惨な戦争は、一度世界の滅びという結末で終息する。
彼はどうしたかと言えば、その新型自動人形の設計者としての責任を取る為に、自ら新型自動人形を引き取り、彼女の所属するテロリストを――――。
全ての事が終わり、満身創痍になった彼は闇に潜み、その新型自動人形を改修し、更に言えば今度こそ人の為に自らの人生を捧げる事を誓った。
やがて彼は、自らの名前を捨て、かつて少年の頃、自分が描いていた空想小説の主人公の名前で生きていくことを決めた。それが……。
「……あっと、すまない、どう言っていいのかが全く浮かばねえ。……ウソ、じゃないよな?」
「正直、俺も信じられないよ……君がそんな……」
各々戸惑いながら、トニーとギーシュはショウイチの過去について感想を述べた。
「というか、ブラックキューブなんて資源があったなんてホントに聞いた事無いよ。ニュースでも新聞でも」
「新しい資源が原因で戦争なんて、市民に知られたら各国の威厳がガタ落ちしますからね。はっきり言ってしまえば……」
トニーの台詞に対して、ショウイチははっきりとした声でそう言いながらライフルを振りおろした。
「貴方達が教えられている情報は、全てフェイクストーリー、つまり作られた情報と言ってもおかしくないですよ。それほど奴らは真実を隠したがる」
瞬間、ゾクリと空気が変わった……様な気がして、二人は体を震わせた。何故だか鳥肌が立っている。無論寒さではない。
「何はともあれ、君の事は分かった。話してくれて本当にありがとう」
「いえ、僕こそ強引な手段で協力を煽いでしまって……本当にごめんなさい」
そう言いながら、ショウイチは二人に対して頭を下げた。
(……本当に別人みたいだ)
ショウイチの様子に、トニーは心の中でそう思った。目の前の青年の過去がこれほど凄惨だとは思いもしなかったのだ。
だが考えてみれば可笑しくないとは思う。ライトに対する戦い方にしろ、先程のレフトへの先制攻撃にしろ。
なにしろ、タウエルンという自動人形がその過去を裏付ける何よりの証拠だと思う。
「それじゃ、俺は先に炭坑場に行くよ。それじゃあギーシュ、ショウイチ君。また後で」
互いに拳を合わせた後、トニーはそう言って、酒場を後にする。酒場にショウイチとギーシュだけが残る。
「さっき聞けなかったんですが、兵力はどれくらいあるんですか?」
ショウイチの疑問にギーシュはすこし考える素振りを見せると、返答した。
「俺を合わせて、元軍隊所属の12人だ。昔、この村は軍隊の駐屯地になってて僅かながら銃器が残ってる。それと」
「それと?」
「俺達は仕事柄、爆発物を扱ってるからな。ダイナマイト諸々がある」
「……間違っても特攻とかしないでくださいね」
ショウイチの言葉にギーシュはさりげなく視線を逸らした。ショウイチはため息をつく。
「ギーシュさんには申し訳ありませんが、僕の考える作戦でシュワルツに対抗したいと思います。いいですか?」
「逆らえる訳無いだろ。君の方がずっと経験豊かだ。色んな意味で」
「任して下さい。僕は誰も死なす気はありませんから。……亡くなった村長さんの為にも」
ショウイチはそう言って、ギーシュに右手を差し出した。ギーシュは頷くと、力強く左手でショウイチの右手を組んだ。
「取り戻しましょう。シュワルツに奪われた平穏と誇りを」
「あぁ。追い詰められた窮鼠の怒り、奴に教えてやろう」
続く
投下終了です。あ〜……いろいろやっちまったなーです
次の話でダルナスが遂に起動……出来ると良いな
夜分失礼しました
それと一々ageてしまいすみませんでした
連レスすみません
遅れましたが纏めの方、乙です&自作を纏めていただき、有難うございます
>>10 乙です
クロスオーバーの醍醐味やられてて凄いなー面白いなーと思うと同時に
そういうの書くのも楽しそうで羨ましいなぁーと思いましたw
リベジオン世界でもまともな空中戦ができるのは今登場してるのではリベジオンと鋼獣ぐらいです
普通の鋼機は外付けのフライトユニットがありますが
あれは基本的に使い捨ての移動用ブースターですので空中戦闘の機動はそんなにできないという設定だったりします
>>21 もうここまで熱の入ったが設定が出てくると感動して、凄いとしか言えませんw
語られなかった部分の内容が凄く気になりますw
>>21 ここ最近ショウイチが物凄く格好いいですね!
きっかけがネタレスだとは思えないですw
ブラックキューブ……永久機関……ああ! クロスオーバーのネタが! ネタが!
でも、まずは本編を一段落させねば……ッ!
>>21 自らの名を捨て、正義と平和、そして贖罪の為に戦い続ける男。まさにヒーローな感じです。
>>24 同じように隕石から発見されたネクソンクロガネのネクソニウムとブラックキューブの設定を絡ませたりするんですね、分かります。
クロスオーバーは妄想するだけでも楽しいものだなぁ。
おぉ、結構評判が良くて良かったwちょっと無理があったんじゃないかなーとハラハラしてたんでw
タウエルンのトンデモさの理由付けと、ショウイチの過去を絡ませたかったんです。何時かは裏を取んなきゃと思ってたので
今は本編に力を注いでいますが、無事に完結して余裕が出来たらショウイチが昔の名前だった頃についても触れようかなと
とはいってもショウイチに関わりがあるキャラ(ライバルや仲間)がまだいないから、そっちもどうにかしないとなーとも
蛾の魔族が墜ちた。
スプリガンは、そのとき初めて“異変”に気がついた。
HWS‐03という型式を持つ彼に搭載された多次元センサは、超高速戦闘のための時間分解能に特化してお
り、遠距離探知能力を持たない。天農の権限があれば、人工衛星などとのデータリンクによって地球の裏側の魔
族を察知もできるが、今は当然使用不可能だ。
天農とタウエルンを捜索するにも、ひたすら足を使うしかなかった。とはいえ、さして逼迫した状況とも思え
ないため、ロボットフォルム時をはるかに凌ぐ走行速度を発揮することもなく、青色のスーパーカーは広大な沙
漠をのんびりと滑走していた。
芋虫じみた巨体が重力に引かれて落下していくのを見たのは、唐突な着弾音の後だった。
上空を我が物顔で舞っていた甲属魔族は、何者かの攻撃によって翅を毟られ、小さな雲をなすように鱗粉を四
散させた。ギリシア神話のイカロスになぞらえるには醜悪だが、空を飛ぶ力の喪失がもたらす言いようのない虚
しさに変わりはない。
尾を引く飛行機雲のように、オレンジ色の残像が空に焼きついている。蛾の羽に爛々と輝いて天敵を脅かす目
玉模様の瞳に、風穴が穿たれていた。
地表からの超長距離狙撃がなされたことを確認、スプリガンの人工知能が想定外の事実に揺らぐ。方角と仰角
は、ここから十数キロメートル離れた地点、彼が放逐されたあの村のさらに向こう側に魔弾の射手がいることを
示していた。
『魔族に対抗できる地対空兵器か』
スプリガンは感情の篭らぬ声で呟いた。そういったものは寡聞にして知らない。
最近は情報の更新を怠っていたから日進月歩の技術発展に取り残されているのかもしれないが、それにしても
対魔族戦術に新たな可能性を示すような快挙だった。
特にあの種の甲属魔族は、飛翔速度こそ禽属などに大きく劣るとはいえ、気流などの影響を強く受けるために
動きを読み難いと聞く。どんなに兵器の命中精度を上げようとも、そうそう中るものではない。
そのはずだ。しかしスプリガンには、それが偶然ではないという奇妙な確信があった。人類という種の中には、
しばしば魔族などよりも恐ろしい“怪物”がいる。そのためにスプリガンは、インプットされた三原則などとは
全く別次元のところで人類に畏敬の念を抱くのだ。
思考を切り替え、スプリガンは真っ先に天農に連絡をとることにした。鱗粉によって通信を妨害していた蛾の
魔族が行動不能となった今がチャンスだ。
(……応答なしか)
だが、数十秒間待てども、雑音がするだけで一向に回線が繋がるようすはなかった。依然として鱗粉による障
害の影響下にあるのかもしれないが、もとが急拵えの天農の通信機にはそもそも不具合が多い。
スプリガンはしばし逡巡。
おもむろに方向転換し、元来た道を引き返すことに決めた。
天農の図太さは折り紙つきだし、タウエルンは自動人形だ。今は優先順位を落としても問題ないと判断する。
蛾の魔族を射ち落とした謎の狙撃手。自動人形の存在に向かう激烈な負の感情。まだ遭遇してはいないが、蝉
の魔族もこのあたりを徘徊しているという情報がある。
あの集落のまわりで、きな臭い何かが起ころうとしている。
(どうも、胸騒ぎがしてならない)
珍しく情緒的に行動を裏づけ、意思ある人型兵器は荒野を急いだ。
つづく
今回はここまで。短っ
話進まない。というか自分のばかりでクロスの意味が・・・
次はようやっと変形までいけそうです
>>21 やっぱ本家のショウイチは男が違うなぁ・・・
ブラックキューブを搭載していない自動人形もあるんでしょうね
村人とは理解が深まっているように見えるのだけど、ここで旅は終わらないのかとか考えると切ない
……やっぱり休日は人、いませんねぇ。
>>28 乙であります!
魔族を落としたスナイパーは、まさか四t(ry
前回の予想外の展開のせいで、もう私ドキワクね!
よし、自分も今日中に7話を投下するぞ!
あ、wikiの管理人さん……いらっしゃいますかね?
いくつかお願いしたい事があるのですが
>>30 こんばんは!
wikiの『パラベラム!』がプロローグと3話以外UPされていないのですが……
あと、6.5話を消し、さらにできれば話数を修正していただけると嬉しいです
……すみません、お手数をおかけします
最近思うだが、前みたいにロボットアニメとかの設定についてとかで雑談しても良いんじゃないかと
結構コンスタントに作品は投下されてるし、その合間に盛り上げたいぜ
単純に人がいないだけかもしれんがなw
百合ん百合んでもいいかい?
まだ設定段階なんだけど。
>>30 乙であります! すみません、手間かけちゃって
>>32 投下ばかりだと半分でスレ消滅しちゃいますしねw
>>33 よっしゃあ! ドンと来い!
さーて、お昼頃には正式な6話を投下できそ……ってもう昼やんけ
大体1時くらいには投下できそうです!
東の空が明るくなり始めた頃。神子、まどか・ブラウニングはベッドから緩慢な動作でもぞりと起き上がった。長い黒髪が肩から零れ落ちる。
−−−−今日は休日だ、学校は無い。
少女は寝ぼけ眼をさすりながら、危なっかしい足取りで部屋を出た。
パラベラム!
Episode 06:なんでも屋“やおよろず”へようこそ! (接触篇)
廊下に出ると、ベーコンの焼ける香ばしい匂いがまどかの鼻腔を刺激した。それに誘われてふらふらと階段を降りる。
「やあ、おはようまどかちゃん」
人の良さそうな微笑みを浮かべるのはルガー・ベルグマン。まどかの所属するなんでも屋“やおよろず”のマネージャーだ。
2メートル近くはあるだろう長身は筋骨隆々、鍛え抜かれた美しい逆三角形。そしてきちんとそろえられた長い金髪と知的な青い目、整った顔立ちはまさにイケてるメンズの体言者。……身につけた猫さんエプロンについてはコメントは控えるべきか。
「あいー、おあようごあいあふ」
まどか、夢現の状態で返答。少女は朝に弱かった。
「おーい、まどかちゃんしっかりー」
ルガーがまどかの肩を掴んでゆさゆさと揺する。
「あい?」
「ほら、コーヒー」
ルガーが煎れたてのホットコーヒーを差し出した。少女はそれをホットコーヒーと認識する前に口に運び、
「うわー、ありあとうごらい……熱い!」
まどか、夢の世界から帰還。少女は猫舌であった。
「はっはっは。改めて……おはよう、まどかちゃん」
「お、おはようございます。びっくりした……」
舌をチロリと出す。どうやら火傷したようだ。
「……水、いるかい?」
「はい、いただきます」
水をとくとくとコップに注いで渡すと、まどかはそれをぐいっと飲み干した。どうやら相当喉が渇いていたようだ。
「あ、コーヒー」
「これは僕が責任を取って飲み干すよ」
「すみません」
しゅんとするまどかを見て、素直な娘だ、とルガーがくつくつと笑った。
「それよりも、朝食が出来たから二人を呼んできてくれないかな」
「どこにいるんです?」
「ガレージ。シロちゃんのフレームを修理中。外装も内装もボロボロだって」
正式名称はヴァイス・ヘーシェン。昨日の朝、昼と間髪入れずに出撃し、夕方にボロボロの状態で帰ってきた、ヘーシェンタイプのオートマタだ。
「何かあったんでしょうか、リヒトさんも、シロちゃんも……。朝の出撃は任務だってわかるんですけど、お昼の出撃は……」
そのへんの野良に襲われたにしては損傷が大き過ぎる。騎士団か傭兵団、他の神子とトラブルでもあったのだろうか。
「……主従揃って性格に難有りだからね。正直何をやらかしても不思議じゃない」
「根はいい人達なんですけどね、根は……」
「そもそもヘーシェンタイプは生産数が少ないから手荒に扱うなって言ってるんだけどね……。まあ、回復力が高いからまだいいけど、これがもしもフリューゲルタイプだったら……」
二人揃ってはぁ、と深い溜め息。同時にチン、とパンの焼けた音。
「おっと、パンが焼けたみたいだ。……まあ、その話は置いといて、今は」
「はい、二人を呼んできますね」
♪ ♪ ♪
“やおよろず”のガレージは別棟となっていて、家を出てすぐ前にある。いつもは仕事が来ないせいで閑散としているが、今日は珍しくメカニック達が右に左に大忙し、
「ライディーンさんライディーンさん! 見てください! 天井に穴が!」
……というわけでもないようだ。
「あー、どうりで雨漏りが……って、僕はライディーンじゃねーよ! ライディースだよ!」
名前を間違えられた茶髪とフレームレスの眼鏡が特徴の男はライディース・グリセンティ、通称ライ。二人のメカニックの内の片割れだ。二年前に突然転がり込んできた少年で、軽薄そうな外見とノリで経験も浅いが、手先の器用さには定評がある。
そしてツナギを腰まで下ろして黒いタンクトップを露出させるというセクシーな出で立ちの少女はリタ・ベレッタ。身長142センチ、童顔、無乳。サラサラのプラチナブロンドと舌っ足らずな声がその幼さに拍車をかけている。
まどかやライと違い“やおよろず”創設時から所属しているリタは、創設前に傭兵をやっていたリヒトの下で長年メカニックを務めており“やおよろず”でも−−−−こんなナリだが−−−−その経験を買われてチーフメカニックを任されている。
「リタさーん、ライディースさーん」
そんなリタとは対象的な大人びた顔立ちにくまさんパジャマを纏ったまどかが大きく手を振って二人を呼んだ。
「あ、おは」
「おはようございますまどかさん!」
……間が悪い。
「ちょっと、なんで割り込むんスか!?」
「あら、すみません。しかし私は謝らない!」
右手を腰に当て、左手をライに向かって突き出す。その勢いたるや、まどかには、ビシィッ! という効果音が聞こえた程だ。
「いや今謝った! 今謝ったよアンタ!」
ライも上司(一応)に対するツッコミに余念が無い。
「で、何かありましたか、まどかさん!」
「無視かよ!」
「はい、朝ごはんです。今日の当番は」
「ルガーさんですね!」
「はい、ルガーおじさまです!」
女子二人がきゃっきゃと喜んだ。
「だから無視かよ!!」
取り残される男子一名。
なんでも屋“やおよろず”では食事等の家事は当番制となっていて、昨日の食事当番はまどか(それなり)、今日の当番はルガー(奥様顔負け)だ。ちなみにライが当番の日は手抜きが目立ち、リヒトが当番の日は味がやたら濃く、リタが当番の日なんかは断食確定だ。
「でさ、ルガーは何作ってたの?」
ツナギのジッパーを腰まで下ろしながら、ライ。
「トーストと……あの匂いはベーコンでした」
「それ以外は?」
「すみません、確認していません」
ライが「そっか」と肩を落とす。
「まあ、たかが朝飯だし、期待するほうが馬鹿ってね。勝負は昼と夜だよ、昼とよ……うわっと!?」
「たかが朝飯とは何ですか!」
へっ、と自嘲気味に笑うライにズビシャアッ! とモンキーレンチ−−−−彼女は工具を常に携帯している−−−−を向けて声を張り上げる上司。
「朝ごはんは、今日一日の活力と、明るく楽しい明日のための、重要な」
くどくど、くどくど。
「あはは……馬鹿がいた」
呆れ返る部下・ライをよそに、上司・リタの説教は勢いを増していく。
「−−−−つまり! パンよりごはんのほうが、私は好きだと、そういう事です!」
そう高らかに宣言(いつの間にパン派・ごはん派の話になったんだ)し、リタは手の中でマイナスドライバー(いつの間に持ち替えたんだ)をくるくると回しながら大腿部にあるポケットにしまった。
「あ、私もごはんのほうが好きですよ」
「参加すな!」
<お前達、何をしている>
響くハスキーボイス。その数秒後、金色のオーブをあしらった一本の杖が現れた。
「あ、たまちゃんだ」
「起きてたんですか、たまちゃんさん!」
「おはようございます、たまちゃん教官」
空中に浮く杖の正体は“教官”“たまちゃん”こと玉藻・ヴァルパイン。まどか・ブラウニングと契約を交わしたオートマタだ。
稼働年数が長く、経験豊富で博識な彼女はなんでも屋の知恵袋であり、切り札でもある。マスターが未熟なのと本人が引きこもり体質のため、あまり前線には出ないのが弱点だが。
<お前らなぁ……>
ドスの効いた声からは苛立ちが垣間見える……というか苛立ちが丸見えだ。
<朝、顔を合わせたら、まずは挨拶だろう……?>
「しかし教官! 自分達はまだ顔は合わせていません!」
<口答えするな!>
「はいぃっ!」
物凄い剣幕で怒鳴られ、ライが裏返った悲鳴を上げて気をつけの姿勢をとった。
<……なんてな。冗談だよ、冗談だ。それより早くルガーのところに行ってやれ。飯が冷めるぞ>
たまが呆れ調子で溜め息をついたと同時、リタが叫び声を上げる。「はっ、ごはん!」
「このリタ・ベレッタ、空腹の中で朝食を忘れていました……っ」
<いいからっ、早く行けっ!>
「はっはっは! 言われなくてもスタコラサッサですよ!」
「あっ、先を越された! じゃ、たまちゃん教官、また後で!」
メカニック二名、光の早さでごはんへダッシュ。あっという間に視界から消え去る。
<……まったく、朝っぱらから騒がしい奴らだ>
言葉とは裏腹に楽しそうなたま。
<どうした、まどか。お前も早く……>
「たまちゃんも行きましょう。ずっと倉庫の中じゃ、キノコが生えちゃいます」
<リタが喜びそうだな>
「はい、とっても……って、そうじゃなくて。たまには陽の光を浴びないと駄目ですよ。シロちゃんの事だって話し合わないといけませんし。だから……ね?」
まどかの上目遣いに、たまは一瞬ドキっとする。
ああ、来た、これだ、これだよ。
−−−−この捨てられた仔犬のような瞳に、たまは弱いのだ。ついつい保護欲をかきたてられてしまう。母性本能をくすぐられてしまう。
<まあ、奴らの心配はしていないが……。お前がそこまで言うなら従うよ、マイマスター>
そういうと杖−−−−たま−−−−はふわりと宙に浮いて、まどかの手にすっぽりと収まった。
<しかし、とんだ馬鹿だな、お前は>
「なんでです?」
<どうせ今の私は杖だぞ? 無理矢理持って行けばいいじゃないか>
「あら」と一言。どうやらまどかはその考えには至らなかったらしい。
<……まったく、とんだ馬鹿だよ、お前は>
♪ ♪ ♪
母屋に着くと、一足お先に光の早さで明日へダッシュ−−−−もとい、朝食へダッシュしていったメカニック二人が
「遅かったじゃないか、まどかちゃ……おお、たまちゃんじゃないか、おはよう。君が外に出るなんて珍しいね」
ハッハッハ、ルガーが快活に笑う。
<たまには外に出ないとキノコが生えちまうからな>
クックック、たまが陰気に笑う。
「キノコですか! いいですね、秋の味覚!」
「いや、今春……って喰うのかよ!?」
キレのいいボケとツッコミ。
「手を合わせて、いただきます」
さらにマイペースにトーストを頬張る黒髪美少女。ダイニングはまさにカオスの様相を呈していた。
「ヘーシェン……シロちゃんの損傷の度合いは?」
ルガーがトーストの上にベーコンと目玉焼きを乗せながらリタに尋ねる。既に二枚目のトーストを半分程平らげていたリタは片手を上げて「待った」をして残った半分を丸め、無理矢理口に押し込んだ。
もっしゃもっしゃもっしゃもっしゃ……ごくり。
「わかりやすく言うと、長期休暇が必要なレベルですね。あ、おかわりお願いします!」
「……長期休暇? あ、リタちゃんお皿出して」
「了解です!」
ルガーが差し出された皿の上にトーストを一枚乗せる。
「長期休暇ってのはまあ、言葉の意味そのまんまなんですが、それはつまり」
リタは大量のバターを丹念にトーストに塗りたくり、
「自然回復を待つって事ですね」
それに勢い良く噛り付いた。
−−−−オートマタには自己修復機能が搭載されており、完全にメンテナンスフリーとはいかないまでも、ある程度の損傷ならパーツの交換無しで対応する事ができるのだ。
「自然回復って、全治どれくらいなんで……あちゃい!」
手元を確認せずにルガーのマグカップを口元に運んでいき……まどか、本日二度目のドジ。
「あ、まどかちゃん、それ僕のホットコーヒー」
<馬・鹿・か、お前は>
「うぅ……あんまりです」
小さく背中を丸め、ちびちびと冷水に舌をつける。
「まあ、アバウトに全治一ヶ月半くらいですね」
気付けばトーストを平らげているリタ。手元を確認せずにライのマグカップを口元に運んでいき……グイっと一気に飲み干した。
「ああっ、それ僕のミルクティー! なに飲んでんだよ! 返せ! 返せよ!」
「おっと失礼。お詫びに私の牛乳を差し上げましょう!」
デフォルメされた牛が描かれたマグカップを「どうぞ!」と差し渡す。
「む、わかったよ……ってなんだこれ!? 甘っ!?」
<おい待て、その間仕事はどうするんだ>
ゲホゲホとむせ返るライを尻目にたまが尋ねた。
「それは」
<まどかは学校だぞ>
「大丈夫ですよ、たまちゃん。私頑張りますから!」
<むぅ……>
めどいな……と胸中で呟くたま。
「まあ、休日に簡単な依頼を請ければ大丈夫だと思うよ。しばらくおかずは一品だけになると思うけど。それよりも、リヒト達の安否のほうが−−−−」
「やあやあ! なんでも屋“やおよろず”がエース、リヒト・エンフィールド、ただ今帰還!」
<同じくヴァイス・ヘーシェン、ただ今帰宅いたしました>
突然バコン! と扉が開け放たれ、現れたのはリヒトとヴァイスと、そして−−−−
「えーっと、い、一条 遥です」
<M-12、リヒター・ペネトレイターです>
見知らぬ少女と、機械人形。
「……あ」
「い!?」
「うわぁ」
「え?」
<おい>
場の空気が凍り付いた。
<……間が悪いぞ、馬鹿野郎が>
さて−−−−たまの言う通りいささか間が悪いが−−−−ここで時は数刻前に遡る。
ヒャッハ−−−−! 次回へ続くゥゥゥ!
今日はここまで……と思いきや設定の一部も公開ダァーッ!
■リヒター・ペネトレイター
一条 遥と契約を結んだオートマタ。
全高は4.5メートル。オールラウンダーだが、どちらかというと近距離戦を得意とする中型機。カラーリングは光沢のある黒。こらそこ、ゴキブリとか言うな。
通常のオートマタとは一線を画すコンデンサ容量を誇り、装甲の回復力も桁違い。おそらくワンオフの高級機なのだろう。
性格はいたって真面目だが、どこか抜けているところがある。現在過去のメモリーを失っている。
ちなみに『リヒター』とは独語で騎士という意味。
■ヴァイス・ヘーシェン
リヒト・エンフィールドと契約を結んだオートマタ。
全高3.6メートル。運動性、機動性と索敵性能に優れた小型機。通称はシロだが、マスターであるリヒトからはヘーシェンと呼ばれる。カラーリングは名前の通り純白。
特徴的な形状の脚部が生み出す跳躍力は平均的なオートマタのそれを遥かに上回る、言わばこのヘーシェンタイプのアイデンティティ。
たま程ではないが稼動年数が長く、経験は豊富。
つかみどころの無い性格で、あまり他人に本心を明かそうとはしない。必殺技はセクシーコマンドー。
『ヴァイス』は独語で白、『ヘーシェン』は独語で子ウサギの意。ちなみに中型のハーゼタイプも存在する。
■玉藻(たまも)・ヴァルパイン
まどか・ブラウニングと契約を結んだ金色のオートマタ。全高4.2メートル。オールマイティな万能機だが、専ら後方からの支援を好む。カラーリングはつや消しのシャンパンゴールド。
臀部に最高9つのテールスタビライザーを装備できるのがこの機体の最大特徴である。このテールスタビライザーはウェポンラックとしても使用する事が出来る。
凶暴だが、茶目っ気があり、引きこもり体質で、不器用な性格。ことごとく人を馬鹿扱いするが、それは彼女なりの愛情表現……なのだろう、多分。
『玉藻』とは白面金毛九尾の狐が化けた絶世の美女の名。『ヴァルパイン』とはラテン語で狐の意である。
ちなみにオートマタの名前は
○○(個体名)・○○(機種名)
という構成になってます。どっちの名前で呼ぶのも個人の自由。
え? なんでたまだけ機種名がラテン語なのかって? こまけぇことはいいんだよっ
『−−−−それでは諸君、慎ましくいこう。』で登場した虎徹だって機種名さ! うん、日本語だね、節操無いね!
ちなみに元ネタの日本刀・虎徹は偽物が多くて『虎徹を見たら偽物と思え』と言われていたんだってね! うわぁ、これは設定に使えそうだね!
では改めて−−−−今日はここまで!
っと、冷静に考えたら
投下した後に修正等をお願いすれば色々と手間が省けたんじゃ……
そんな事に気付けなかった僕は、人でなしだぁ……っ
>>32 そうですね〜つっても何か話題があるかと言われれば無いんですがw
振っていただけると幸いですw
>>33 構わん!いつでもおk!
>>40 朝のドタバタ劇とはこれまた風流なw
この愉快なメンツに遥とリヒターはどう関わっていくのか楽しみです。次も待ってますよ〜
>>28 魔族を撃墜したのは赤髭スペシャルなのか、それとも……
敵は一筋縄ではいかないようですね。スプリガンとタウエルンの共闘が待ち遠しい。
>>33 私は一向に構わんッ!
>>41 登場人物が増えて賑やかになってきました。続きが楽しみです。
敵の五式重装甲強化服登場まで書こうと思ったら、全然進まない。
時間がかかりそうなので、途中で投下します。
正確な状況判断及び如何なる事態にも臨機応変、柔軟な対応を行うのは戦いの基本である。重歩兵同士の戦いでも変わらない。狙っていたのか、予測か。ビルの間から出た瞬間、左方から正確無比に容赦無く25mm機関砲弾を浴びせられる。
さっきと違い体を動かして避けるのは不可能な射撃であるが、黙って食らう間抜けではない。回避が不可能ならば迎撃すればいいだけだ。当たる前に敵弾を破壊、又は別の手段で直撃は何としても防ぐ。
飛んでくる砲弾全ての速度、形状、方向、重量、威力などあらゆる情報をコンピュータが瞬時に計算、解析し着用者の脳に送信。送られた情報を元にして、神業の神業の域にまで鍛えに鍛え上げた技量を駆使して左手に持った刀を振るう。
攻撃を防ぐのを困難にする為に砲弾の発射速度と攻撃位置を微調整するのは、重歩兵にとって呼吸をする、歩くといった程度の常識であり当然の行為。
全く同じ場所に攻撃し続けるなら受けるのは簡単だから最大限にずらすのだ。しかし、まだまだ甘い。
一発、二発、三発。流れる水の如き無駄の無い滑らか且つ正確な剣捌きで砲弾を斬る。戦車の装甲をも斬り裂く凄まじい振動熱を発生させられる150cm振動熱斬刀の刀身に触れた砲弾は跡形も無く消滅、塵すら残らない。
傍から見れば大昔のアニメ、ルパン三世の登場人物である石川五右衛門が斬鉄剣で銃弾を弾くお馴染みの場面と酷似していた。刀で防ぎきれない分は左腕の装着式軽装甲盾で受ける。
同じ軽装甲盾という名称でも「折り畳み傘」とは比べ物にならない防御力を持つ装着式軽装甲盾は、25mm機関砲弾数発の直撃に十分耐えた。
とはいえ、手に直接持つ型の大重量重装甲の盾と比較すれば話にならず、攻撃を受ければ受ける程性能が低下、防御力が永続する訳ではないので油断はしない。
昔、人型兵器は役に立たないという説が当然のように語られていたという。その理由の一つに前方投影面積の大きさがあるが、これは覆せない真実であり、間違いでもある。常に棒のように突っ立っているだけの阿呆はいない。
車両等と違い人型は前方投影面積が大きく変化する事と、間接防御兵器の存在が思考から抜け落ちている。
最大出力のローラーダッシュで道路に飛び出し、急加減速、方向転換、道路に射ち込んだ伸縮可変鋼線の牽引による緊急回避。手足、体全体を使った細かな素早い動作など人型最大の長所、機動力を最大限に発揮して機関砲弾を回避する。
刀と盾、機動力による回避でも避けられないなら、間接防御専用兵器である頭部側面右側の長針弾発射機、左側の短針弾発射機、腹部左脇の五連装6.25mm機関銃で迎撃。
敵弾撃破の威力は低いが弾数が多い短針弾、威力は高いが弾数が少ない長針弾、銃身がそれぞれバラバラに動き最大五目標への同時迎撃が可能な五連装6.25mm機関銃から放たれる6.25mm振動熱徹甲弾を、
敵弾一発につき一発又は二、三発を撃ち込み、100%の命中率で撃墜する。
残弾が尽きたのか、敵の射撃が止む。相手は遮蔽で隠れているので正確ではないが、真正面、1000m先の道路にいる。一気に懐へ。機動靴の自在車輪が最速の回転で機体を前進させ、圧縮噴射推進器が更に加速させる。
弾倉の再装填が完了したのだろう。再び敵の25mm機関砲弾が放たれる。先程と同じように機動力を最大限に生かして避け、刀と盾で防ぎ、緊急回避と加速を兼ねた伸縮可変鋼線の牽引で時速200km以上を保ちながら前進する。
以上。
攻撃ばっかりに使っていた関節防御兵器をやっと本来の目的に使用出来た。
読んでみて思ったことを少し
一つ一つの文章が長い気がする。
文章量が多いのではなくて、切ることができる・・・というよりは切って分けるべき文章をつなげてしまって冗長になってる感じ。
短く流す部分と、読み手に印象付けたい強調したい部分のメリハリをつけると良い文章になると思う。
それと、改行ももう少し使って読みやすい文章を心がけてはどうか?
それだけでかなり良くなると思いました。
確かに俺もそう思う。もう少し文章を区切ってくれると読みやすくて助かるかな
良いねぇ、一閃斬り!その瞬間の緊張感がビリビリ伝わってくるよ
機動力が利点という説明があるくらいだし、普通によけたりしたほうがそれっぽい気もするが、さすがに無粋か。かっこいいから満足
でもこういう微妙にリアル志向の超兵器同士の戦闘って、だいたいどっちかを間抜けにしないと始まらないし、書くの難しそうだなー。
人稲おぱんつ。
前スレか前々スレで海上都市作者がSRC設定やってたが、他のもちょっと見てみたい。
と話題を探していて思いついた。
精神コマンド妄想とか。
あー会話文ばっかでなかなか地の文が書けない…参ったなw
>>50 精神コマンドですかー
ショウイチはステータスで言うとほぼ完成されてますね。悪く言えば突出した所はないです
精神コマンドは何となくネタばれになるので初期だけw集中とひらめきですね。若干使いにくい…
タウの方はテッカマンブレードのぺガスみたいに加速要因っすね
>>46 乙であります!
剣で銃弾を弾くのは浪漫ですよね!
>>50 神子連中には補給が必須ですねw
他は……風呂に入って考えよう。
でーきたぞー。
え? バランス? こまけえことはいいんだよっ
■一条 遥
・努力 ・不屈 ・集中 ・信頼 ・ド根性 ・気合
■リヒター・ペネトレイター
・必中 ・直撃 ・鉄壁 ・熱血 ・覚醒 ・魂
おうふ。遥の精神コマンドが王道少年漫画の主人公っぽくなってしまったぞ! やはりディケイドは悪魔だ!
ステータスはアルトアイゼン(高い装甲値とそこそこの運動性)みたいな感じ。バリアとHP回復(中)があるから堅いぞ。最大HP少ないけど!
つまりある程度の被弾は気にせず、前線に突っ込ませて暴れるタイプですね。ボスキラーにもどうぞ……うわあ、おもいっきりスーパー系じゃないか。
初期でこれじゃあ後期にパワーアップするとチートの一角になりそうな気が。
■リヒト・エンフィールド
・直感 ・集中 ・不屈 ・熱血 ・加速 ・魂
■ヴァイス・ヘーシェン
・偵察 ・脱力 ・幸運 ・気合 ・撹乱 ・愛
支援系のコマンドが揃ったオートマタと超攻撃型のマスターという不思議な組み合わせ。
ヴァイスが“幸運”を覚えてる理由は兎の足が幸運のお守りって事で。
こっちも前線に突っ込むタイプですね。一時期のオーラバトラーみたいな運用がベストかも。撹乱があるのが心強い。
戦場でも、二人の空気読めないコントをお楽しみください。
■まどか・ブラウニング
・応援 ・分析 ・信頼 ・祝福 ・激励 ・絆
■玉藻・ヴァルパイン
・直感 ・狙撃 ・集中 ・直撃 ・熱血 ・愛
射撃寄りの万能機(νガンダムみたいな感じ)です、援護にどうぞ。
ちなみにたまちゃんの精神コマンドは最後にデレる仕様でs(ry
一方のまどかはどこまでも献身的なコマンド。
分析、熱血、直感、直撃、狙撃で遠距離からズドン! は一度やってみたい。あと祝福かけてMAPW。
……なんだかリアル系の主人公機みたいな運用法だなー。
神子の“補給”はハイパーデンドー電池みたいな特殊能力のほうがしっくりくるかな?
それにしても、必ず二人でひとつのユニットっていうのは強みですね。
たまちゃんのところのコメントの例えはνガンダムよりもケルディムガンダムのほうがしっくりくる事に気付いた月曜日
前スレ
>>454 まとめ乙です。
恥ずかしながら、ノリと勢いに任せた例のブツを(余りに読みにくい部分を修正して)うpしました。
あと、まとめの人って認識でよろしいのかな?
>>10 空を飛ぶ構想はあるにはあるけど、まだずいぶんと先ですなぁ。
>>33 好物です。
>>50 個人的には人様のキャラの精神コマンド妄想が面白いw 逆もまた然り。
他人からどんな風に見られているのか参考になりそう。
他には、武器の射程や威力設定とか……。
ああ、書き忘れてた。
旧:◆8XPVCvJbvQ
新: ◆9MC6FR8UMj7S
て、修正してくれるとうれしいかも。
プレビューでは変わってないのに、書き込むとトリが化けてしまってどうしようもないのさー。
>>47 >>48 どうも。なるべく文章を区切るようにしてみます。
>>49 そんなに超兵器に見えますかね。自分としてはそんなつもりは全く無いんですが……
主人公が使ってるのは旧式だし、重装甲強化服自体が既存技術のみで造られた、ネクソニウムやブラックキューブといった特殊な部品や素材を全く使っていない代物。
むしろ超兵器と呼ぶべきは仮想戦闘記録の最後で出す予定の機体です。
「アレ」はスプリガンやタウエルンなど、他の作者さんの主役スーパーロボットと互角に戦える性能がありますから。
>>56 続きが読みたいです。激しく希望!
つかこのスレで一番ぶっ飛んでるロボットって何だろうなw
一番デカいのはネクソン・クロガネだけど、結構苦戦してるんだよな
>>55 そんなこといって妄想を独り占めにしているからー!
神子はEN回復(中)あたりで再現するのが一番いいと思うな。でも通常の補給が使えないとか。
荒野勢は当然龍也が指揮持ち、ヒューマニマルは分身あたりで野生の勘を演出? 地味にサイズが10m級
空はリベジオンの独壇場! 精神コマンド一覧を見るのが怖い・・・
スプリガンは射程は短くて対空もないけど技量に連動する回避系能力で凶悪?
タウエルンはマップ屋
静はまとめにもあるけど、養成抜きだと強すぎだしもっとシンプルにした方が個性が出る。
少女機甲録は荒野勢と似てる感じがするな。支援精神と合体攻撃で何でもできる!
ネクソンは単純明快なスーパー系
でもSRCつくるわけじゃないからバランス度外視で尖がってた方が面白いか
>>59 “神子”は回数制限ありのS2機関(サルファ仕様:EN50%回復)みたいなのもいいかな、と。
ただし遥には“賢者の石”があるから回数無制限、とかw
>>58 敵も大きいですしねー。ただ、シロガネ四天王相手に善戦したのはイッツァミラクル!
自分はある意味ミナが一番ブッ飛んでると思いますw
他作品と比べてみると、拙作のオートマタはなんか地味だなー
62 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 17:38:13 ID:yw9MZRA/
>>59 荒野勢と合体攻撃が良さそうな少女勢、あと神子設定でパラベラム勢が使いやすいな
タウエルンは強化パーツ付けないとヤバイwwガス欠的な意味で
神子が使いやすいかどうかは燃費も関わってくると思うな。
やっぱデンドーデンチ形式がいいかも。
一番使いやすいのは俺も荒野だと思うな。あとタウエルンと静あたりが次ぐ?
使いどころが難しそうなのはスプリガンか。尖がりすぎw
こんばんは〜
しょうこりもなくまた来ちゃいました
拙作に続きが気になるなどと言ってもらえて感謝感激雨あられ
つたない文章ですが、どうぞ読んでくださいませ
最初に聞こえたのは轟音。
次に感じたのは熱風。
そして目にしたものは──
ARTIFACT LEGACIAM 第二話 猫とマシン
「なんでこんなことになっちゃったんだろうな」
夜が明けて朝になり……けれど千歳は部屋に閉じこもったまま出てこようとはしなかった。
閉じこもって泣いて過ごしたいとはユウとて思わないでもなかったが、その誘惑に身を任せるつもりはなかった彼だ。
『わたしは、わたしはお兄ちゃんの妹じゃないッ! ホントは……ホントは兄妹じゃないって知っているんだからァッッ!!』
千歳、ずっと一緒に育ち、暮らしてきた家族──たった一人の妹。
彼女は確かに本当の妹ではないと、家族ではないと言ったのだ。そして、自分だけがそれを知らないでいたかの様に告げた。
なんのことだかさっぱりわからなかった。頭の中で言葉が渦を巻き続けている。ただただ同じ言葉ばかりが繰り返し響いてくる。
「なんでこんなことになっちゃったんだろうな」
慰めるかのようにカイアがユウの頬を舐めた。
『あぁ、あの時のようだ』
あの時もカイアがユウの頬を舐めていた。
半年前の──あの夏の日も。
「だからさ、夏祭りにはぜひに千歳ちゃん様にもおでまし願いたいわけよ!」
「結局お目当ては千歳だったか」
あったりまえだろ、と妙に偉そうに言う山彦に僕は呆れ顔で答える。
「俺はさぁ、千歳ちゃんのラブリー浴衣姿が見たくて見たくて見たくて気が狂いそうになるほどなんだよ! 髪をアップにまとめてくれていたらもはや神! その目的のためならばどんな手段だって総て正当化される!」
「その千歳の兄貴である僕に聞かせるようなセリフじゃあないよな」
「わかってるよ義兄さん」
とりあえず手にしたほうきでぶん殴る。
「ひどぅい」
「黙れ山彦。お前は今死んでいい」
「くそっ、やられはせん。やられはせんぞー!」
と、じゃれあってれば怒られるのは当然の道理だ。
「ちょっと! 文月山彦! きちんと掃除しなさいよっ!!」
心底嫌そうに声を荒げるのは委員長の伊吹。山彦も負けずに嫌そうな顔で返す。
「なあんで俺ばっかり怒鳴られるんだよう。優作だって一緒にさぼってんのにさ」
「あんたがきちんと掃除を始めれば、不破君だってきちんとしてくれるわよ。……でしょ?」
無言で頷くと山彦がほうきの柄でつっついた。「この裏切り者メ」知ったことじゃないとは言わないでおこう。
ちゃんとしてよねと念を押して伊吹志摩子は廊下の方へ歩いていく。イーッっとその背中に舌をだす山彦に僕はため息をつく。
「小学生か、お前は」
「いくら美人で、いくらナイスバデーで、いくら巨乳ちゃんでもあいつはねーわ。そう思うだろ?」
はいはいと流して僕は床を掃きはじめた。これじゃいつまでたっても終わりはしない。
「さっさと終らせて帰ろうよ山彦。夏祭りの話はその後だ」
「で、どうよ?」
うん? と振り返る。
「千歳ちゃんだよ、千歳ちゃん!」
あぁ、と僕は気の抜けた返事。
「あいつは夏休み中は特別講義を受けに行くとか言ってたな。城南大学の緑川教授のとこにお世話になるって」
「おまえんとこの親の知り合いだっけ?」
「そ。あいつ本気で父さん達の後を継ぐつもりらしくってさ」
「第五次宇宙開発かァ……夢のある話だねェ」
「あいつにとっちゃもう夢ってわけでもないみたいだよ」
ほうきを手放して手近の机に腰掛ける。
「夢じゃなくてさ、手にしつつある未来? なんだろな。少なくとも夢じゃない」
「迷うようなこともなく、押し付けられることもなく、進路は自分で決めちゃって、実現しつつあるってことか。天才少女はちがうねぇ」
山彦が僕を突っつく。
「んで、その千歳ちゃんのお兄様なお前はどうなのよ。お・ま・え・は」
僕は……言いかけて口ごもってしまった。
「あっ……と、悪ィ」
珍しく神妙な顔をする山彦に、僕はわざと大きく「別にィ」と答えてその背中を叩いた。
第五次宇宙開発の中核は恒久的居住実現を目的とした火星開発計画。
三年前、地球連邦評議会は18年前の失敗を理由に滞っていた計画を再開することを決定した。
主導するのは連邦内で最大の発言権をもつNOA(ニュー・オーガニゼーション・オブ・アメリカンコンフィネント)。
そしてAPC(アジアーパシフィック・コミュニティ)の一員でありながらNOAと同調する日本。
僕の両親はその計画の中核に位置する技術者だった。
もう、何年も会っていない。
僕はあえて会いにいこうとしたことはなかった。
そんな両親に会うために、妹は努力を重ねている。
僕は、千歳が羨ましいのかもしれなかった。
「実際凄いと思うよ。この間の全国模試もダントツの全国一位だったって言うし。でもそれはあいつの目標なんかじゃない、通過点なんだ」
「兄ちゃまとしては色々と思う所があるってわけね」
暗くなりかけた雰囲気を茶化して変えようとする気遣いが嬉しかった。
「可愛くて、頭がよくって、可愛くて、天才少女で、可愛くて、しかも妹だなんてな。お前それは天が二物も三物も与えたってもんだぞ。この世の神様に感謝しなきゃならん」
「与えられたのは僕じゃなくて千歳なんだけど」
ちがあぁぁぁうぅぅぅっ! 耳元で、大声で叫ぶのはかんべんしてほしい。
「そんな妹がいるって時点でお前は二物、三物当たり前なんだよおぉぉぉッ!!」
「って言われても、僕は妹属性なんてないし」
やれやれと肩をすくめた。これじゃいつまでたっても掃除なんか終わりゃしないな。
そう思った時だった。
最初に聞こえたのは轟音だった。窓が異様な振動に震える。
次に感じたのは吹き寄せる熱風。
それは窓から飛び込んできて、せっかく掃き寄せた埃やゴミを一瞬で撒き散らせた。
どこからか女生徒の悲鳴が聞こえる。どこからか窓ガラスの割れる音がした。一拍遅れでたくさんの騒々しさが辺りに満ち溢れてくる。
「な、なんだってんだよ!?」
山彦の声が、なぜか遠くから聞こえてきているように感じた。
僕の目は、耳は──総ての感覚は空に向けられていたからだ。
──ボンッ
ごま粒のような小さな黒い点だったものが、オレンジの光点になった瞬間、黒煙が膨れ上がる。一呼吸置いてから大きな音が耳に届く。
「マジかよ……」
山彦がつぶやく。
「間違いないよ……あれ、戦闘だ」
かすれたような声っていうやつだ。僕は僕の喉から出てきたその声が、あまりにも自分の声質と違っていて不快さを感じていた。
「戦争、やっている──!」
「日本政府はSARFの介入は不要と繰り返すばかりです!」
長門の返答はもはや憤りの色を隠そうとはしないものだった。
「自衛軍は自前の戦力で止められるつもりなのだろうが……あれは装備と人命の無駄遣いというものだな」
どこか他人事のように言う信濃に大和は付き合っていられるわけもない。
「磯風君、安全保障会議への働きかけはどうなっている。指揮権委譲までかかる時間は」
「召集から現在7分。承認へはまだ20分はかかるものかと」
磯風参謀の返答はいつも明確なことこのうえない。それだけにその20分という数字は大和には絶望的なものに思えた。
『彼がはっきりと答えた以上、その数字は覆ることのない数字なのだろうから』
つまりそれは、承認が降りるこれから20分の間、自分達がただ見ていることしかできないということだ。
「ユニット01と“彼”に準備だけは促しておいてくれたまえ。SARFのお宝と言えば彼らだけなのだからな」
大和の指示を受けて磯崎がコンソールに向かう。同時に長門が柔らかな声を上げた。
「航空自衛軍のJF11戦闘機が目標にエンカウント。ラウンドを開始します」
「百里の305航空隊か。他の基地はどうなっている」
「入間を始め、他の基地も出撃を準備している模様です。完了次第出撃するとのことです……待ってください、たった今練馬駐屯地特機第一大隊所属のセンチネルが出撃したとのことです!」
司令室にどよめきが溢れる。
「虎の子の人型特機を投入するか。一応自衛軍にも敵の脅威レベルがどれだけのものか理解できる人物はいるようだな」
あぁと信濃に言葉だけで返事をする大和。
その目は正面の大型モニターから寸分も移ることはなかった。
「18年ぶりか」
またしても「あぁ」としか大和は返答しない。
そこに写し出された“モノ”は金色の輝きを纏った、生物とも機械とも判別しかねる浮遊物体たち。
それは、彼ら二人にとって郷愁さえ感じさせる、仇敵との再会だった。
「春日、浅間、遅れるな。戦闘飛行に移る」
そのように冷静に指示を飛ばすものの、すでに霧島中尉のセンチネル『九六式“撫子”』は跳躍して戦闘飛行に入っていた。
「中尉殿、首都市街地でのセンチネルの戦闘飛行は──」
生真面目な部下の提言を最後まで聞いてやるような呑気さを彼女は持ち合わせていない。
「緊急事態はその限りではない。現在は緊急事態である!」
了解の返事と共に春日機、浅間機の撫子も上昇して霧島機に続く。
霧島は不満だった。
『何が起こっているのか把握もできず、テレビに噛り付いているしかないようでは軍人になった甲斐がないというものだ』
情報が入ってこないからと手をこまねいているような上司など、毒にも薬にもならないどころの話ではない。事態に即応できない軍人など絵に描いた餅以下だと思う彼女だ。
そんな筋金入りの現場主義者である彼女であるから、部隊長の八島大佐の緊急出動の命令がなければ独自の行動を取っていたかもしれない。
八島大佐自身も市ヶ谷からの正式な命令をもっての指示ではないのだが、彼女がそれを知ることはなかった。
「前方……爆光を確認? 友軍機が市街地上空で撃破されています!!」
言われるまでもなく霧島もその爆発光を確認していた。上空1500mにも満たない高度。
春日准尉のひきつった声を耳にする前にはすでに撫子の右腕部にマウントされたガンポッド、左肩部のミサイルポッドの安全装置を解除していたから、僚機の二人にもそれを促す。
「春日、浅間、安全装置を外せ。有視界戦闘も有りうる、現場指揮官権限において搭載兵装の自由使用を許可する」
「そんな?! こんな所で」
「中尉殿、ここは市街地です!」
それぞれ違う言葉で驚きの言葉を訴えるが、霧島はそれを意に介さない。
「両名とも状況を再確認しろ。戦場では躊躇する者から先に撃墜されることになる。我々はAWACSの援護なしに敵性戦力に対応しなければならんのだ」
霧島にしてみれば、「なぜそんなことが言われなければわからんのだ」ということだ。
どうやら先行して迎撃に出たJF11戦闘機“綺羅星”の編隊は壊滅的な状態であるように思える。
最大望遠でモニターに写し出された敵性戦力は黄色っぽいオブジェにように霧島の目には見えた。学生の頃にむりやりつれていかれた現代美術のなんとかというソレに似ているように見えたのだ。
「あれが、敵でありますか」
浅間准尉が間の抜けた声をあげている間にまた一機、綺羅星が黒煙を噴いて落下していった。
『市街地に墜落する!』
そう思った時には霧島はフットペダルを踏み込んでいた。
急加速で戦闘空域に向かう。これ以上戦闘を続けては市街地の損害がどれだけのことになるのかといった事もあったが、それ以上に許せなかったのだ。
その理屈は「自分の縄張りを侵された」という腹立ちと同質のものだった。
加速にしたがってグングンと近付くオブジェが何者かなどといったことに関心はない。
「敵は潰す」
モニター上のレティクルが“敵”に重なり、赤く変わった瞬間、霧島は対空ミサイルを発射していた。
ようやく避難を始めて、僕達は高台の緑地帯公園にまで歩いていた。
「ていうかさ、軍の飛行機やられてね?」
十機くらいいた戦闘機がもう二つか三つしか残っていないように見える。
「うわ、また落ちたぜ……あれって駅前のあたりじゃん!」「やだ……、家に帰れないよ」「つーかどこと戦争してるわけ?」
緊張感のない会話をしながら歩く同級生や上級生、下級生たち混在の行列。僕達は遊歩道を歩き、延々と歩き続けているのだ。
「あーあ、あれ百里の第305航空隊の綺羅星じゃんよ。貴重な機体がやられてく……。くぅー、もったいない!」
「おめー、ツッコミ所そこかよ」
山彦が高雄の双眼鏡を奪ってツッコミを入れる。
「高雄は山彦がツッコミ役になれる唯一の友達だもんな」
「そうそう、大事にしてくれないと銃殺刑だゾ☆」
山彦がオーバーアクション気味に高雄の頭を叩いた。「うるせー、この軍オタ」いつものことだけど山彦は高雄にだけは強い。
「でもさぁー」
山彦にヘッドロックをかけられながら高雄。意外と打たれ強い。
「あの金色のペンギンみたいなの、なんなんだろね」
振り返ってもういちど戦場になってる辺りを見返す。
「ペンギンか? どっちかって言うと金色の……地蔵…さま? だろ」
山彦もどことなくズレている気がしないでもないのだけど……なんだろう。
「どうした優作?」
山彦が僕の顔を覗き込む。
「なんかさ、どっかで見たことがあるような気がするんだよな、あの変な花瓶みたいなやつ」
既視感というのだろうか、見たことがあるような気がする──でも思い出せない。思い出そうと考えて込んでいるうちに段々不安になってくるアレだ。
また爆発の光が瞬いた。そして立ち上る黒煙。
あの光と煙の中で誰かが死んだんだろうか。
落ちていく残骸のその下で誰かが命を落とすかもしれない。
そう思えば怖くなってしかるべきなのかもしれないのに、なんで僕はこんなにも懐かしさで胸が一杯なんだろう。
「ほらっ、そこの三人! 立ち止まらないで先に進んでよ!」
山彦が顔をしかめる。高雄がずれた眼鏡を直す。そして僕はとりあえず謝る。
「ごめん、伊吹さん」
伊吹は整った顔を少し紅潮させていた。坂の上のほうから走ってきたようだった。
「あ、うん。それは……まぁ、いいんだけど」
いいのかよ、と山彦が小声でツッコミを入れる。本人には聞こえないようにだけど。
「ねぇ、優作君は……妹さんとは会っていないわよね」
嫌な予感がした。
「上の避難所にいなかったのならさ、まだ下の方の行列の中にいるんじゃない?」
高雄が後ろの方を見下ろす。確かにまだ列は後ろにまだけっこう残っている。
「そうなんだけど、妹さんのクラスって一番最初にまとまって避難を開始したって言うから……優作君?!」
伊吹の言葉が終るよりも早く僕は駆け出していた。
その時、より大きな爆音と共に金色の物体に何かが襲い掛かっていく映像が目に飛び込んでくる!
それは着弾とともにそれなりに距離の離れたこの場所まで大きな衝撃を届かせた。それは小柄な生徒なら簡単にひっくり返すような衝撃波だった。
悲鳴とうめき声の二重奏に爆音が重なる。
「陸自のセンチネルだ!」
そんな中、高雄の声が理解できる程度に僕の耳に届いたのは奇跡だったのかもしれない。見上げるといつか高雄に見せられたセンチネルとかいう巨大なロボットが飛ぶ姿がそこにあった。
『あれが撃ったのか?!』
なぜだか僕にはそれがわかった。
下に避難する都民がまだいるとわかっていながら、あのセンチネルのパイロットは“敵”にミサイルを発射した。
こんな低高度で飛行すればまわりに環境に被害が出るとわかっていながら飛んでいる!
「音速で飛んでるわけじゃないって言っても、こんな低い所で飛べば被害は出るだろうに!」
躓いて止まった足を奮い立たせて、僕はもう一度走り始めた。
僕の頭の上を通り過ぎた陸自のセンチネルがまたミサイルを発射する!
ブシャアッ、って音が頭の上から降ってきて、僕はまた足を止める。何もかもがどうしようもないくらい最低だ。
「ふぅざけぇんなああぁぁぁ」
妙にビブラートのかかった変な調子の叫び声を誰かがあげた以外に非難の言葉はあがらなかった。
うめき声と、うめき声、そして教師の避難を促す小さな声。それだけだ。
金色のヤツが少し大きくなったように見えたのは見間違いだろうか。
違う。
大きくなったんじゃない。こちらに近付いたんだ!
ガクガクと震える足を叩いてもう一度奮い立たせる。背中の方から僕を呼ぶ伊吹の声が聞こえた。
「ごめん」
もう一度走りだす。千歳を探さないと。
教師の怒鳴り声も聞こえた。だけど今度こそ止まらない。爆音がまた聞こえた。でも止まるもんか。
──千歳、無事でいてくれ!
結局行列の中にさえ千歳はいなかった。校舎内はガランとしていて人の気配はどこにもない。
「もう、避難できていたのか?」
誰もいない一年五組の教室に答える者はいない。もしかしたら自分の教室にいるのかとも思ったのだけど。
ホッとすると同時に気が抜けた。まったくあいつはいつもいつもを心配かけて。
だけど──
ふと思った。
僕がこうすることに意味は、あるのか?
千歳が心配になって行列を逆行し、学校まで戻ってきた。けど、千歳はいない。つまり意味なんてなかったってことだ。
千歳は──才能を努力で伸ばし、その力を認められて、世界に必要とされている。緑川教授なんてまるでベタ惚れのように彼女の才能を愛している。
きっと父さんと母さんもそうだ。
天才少女、不破千歳は誰からも愛されている。必要とされている。
だけど、僕はどうだ?
僕は誰かに必要とされているか?
妹は…家族は、世界は、僕が思っているほど、僕を必要としてくれているのだろうか。
違う!
そんなこと考えちゃいけない。僕は兄貴で、息子で、家族なんじゃないか!
多分行列の中にいたのを見落としていたんだ。それか、上の避難所にいたのに伊吹が勘違いしたに違いない。
そう自分を納得させて、何気なく、本当に何気なく窓の外を見上げた僕は、金色の光が教室の窓一面を埋め尽くしているのを目撃した。
・
・
・
ザラザラとしたものが顔に触れている。
悪くない。イヤじゃない。
だけど、これはなんなんだろう?
僕は──何をしていたんだっけ。
体の節々が痛い……痛いな。なんでこんな。
目が中々開かない。なんでだろう。なんか眩しいものを直視したみたいに、痛くて──
──金色の光!!
飛び起きた僕は瓦礫の中にいた。そう、瓦礫だ。崩れたコンクリートと突き出た鉄筋、散らばった机やと椅子に、ぽっかりと空いた壁の穴と──
ここは一年の教室……五組か? 空はまだ青い。気を失ってから、時間はたいして経っていないようだ。
でも、金色の光はどこへ?
「もう、いきなり起き上がるから転んじゃったじゃないか」
声は足元からした。
「感謝してよね、あと少し僕らが来るのが遅かったら君、死んじゃってたんだからさ」
外から爆音がまた一つ。遠い。
足元に小さな黒猫が一匹、いた。
ドサンという音がした。僕が尻餅をついた音だ。後ずさりしようとして躓いたんだ。
頭がおかしくなったんだろうか、僕には目の前のこの黒猫が喋ったように聞こえた。
「頭がおかしくなった訳じゃないし、確かに僕が喋っているよ」
黒猫はクククと笑った。
おかしいな、猫は笑ったりしない。笑う猫もいるにはいるけど、そいつはニヤニヤ笑うと姿を消すんじゃなかったっけ。
「動揺してるのか、冷静なのか、よくわからない奴だね、君は」
黒猫は、まぁそんなことはどうでもいいけどなんてぬかした。
大体、こいつはなんで喋ってもいない僕が頭の中に思い浮かべただけの事を聞いたかのように言っているんだ!
「まぁ、そんなことはどうでもいいじゃないか」
またクククと笑う。
そして、ズンという地響きと共に黒猫の背後、ぽっかりと開いた校舎の壁の穴の向こうに何かが落ちてきた。
違う、降り立ったんだ。
『久しぶり』
そんな言葉が胸に浮かんだ。
「喜んでいるよ、レガシアムも」
引き寄せられるように立ち上がる。
それは、白いマシンだった。黒猫が僕を呼ぶ。
「迎えに来たんだよ。僕らには君が必要だから」
そして、僕にも彼らが必要だから。
だから──
それが、僕の日常が変わった、運命の日だった。
■次回予告■
白いマシンに乗り込んだユウはそこに安らぎを感じた
しかし、それは同時に戦闘空域を飛ぶということを意味するのだ
せまる金色のオブジェ──E&Eにユウは恐怖を感じる
だけど──
自分の後ろには街が、学校が、友達がいる
だから──
次回 アーティファクト・レガシアム
ファーストステップ
続きが気になると言ってもらえたので調子に乗って続きを書いてしまいました。
あんまりロボット出てきませんがorz
やっぱ好きなのと上手くやれるってのは別の話なんですよねぇ・・・と軽く鬱
ちょっと話の説明を
部隊は西暦2104の地球。
第四次宇宙開発までで軌道エレベーターや月面都市、十数基のスペースコロニーが実現している世界です。
日本はアジア太平洋区域の国家共同体APCに参加していますが、どっちかというと南北アメリカ大陸を統合した政治・経済共同体であるNOAよりの立ち位置
NOAは地球連邦評議会の成立によりかつてのアメリカのような世界の警察みたいなことはしていません。どちらかというと第二次大戦前のような相互不干渉政策をとってます。
国家間の安全保障・平和維持・紛争解決には地球連邦内に設けられた平和維持軍がその役割を担っています。
センチネルというのはいわゆるロボット兵器。日本製センチネルは基本的に花の名前が愛称としてつけられています。
JF11というのは、心神以来の純国産航空機の系譜を継ぐ日本製主力戦闘機という設定です。こちらは基本的に天体・星の名前が愛称としてつけられているという設定。
もし良かったらまた投下させてください。それでは、また。
>>72 まさかの2話投下ktkr!
センチネルという名称についニヤリとしてしまいましたw
スペースコロニーがあるのか……。宇宙も戦場になりそうですね。
そういえば宇宙が舞台の作品ってこれまでで投下されましたっけ?
レスどうもですの
過去スレは見たことないんでわからないですが、初宇宙だったらヤリィ! みたいなw
センチネルは・・・全領域なんたらうんたらってロボの名称考えるのに頭が働かなくて、安易に決めちゃったという驚愕の真実がw
また続き書いてきますんで、どうぞよろしくです
おまけ
■不破優作 ユウ
・必中 ・加速 ・不屈 ・熱血 ・? ・愛
バリバリのスーパー系ですが、ナイーブ(?)なので鉄壁はなし
?に入るのはどうにも決めかねてしまって迷うところです
候補は ・自爆 か ・献身
うわ、先の展開がばれてしまうw
では、またです
>>72 なんつ−王道な・・・
迫りくる謎の敵!覚えの無い巨大ロボット!ヤバイな、少年心に響きまくるw
次も楽しみにしてるぜ
>>73 初期の頃に投下されてたけど、どれも短編だったな
つかここに投下されてるロボットってレガシアム以外宇宙に行ける気がしないww
>>74 自分も“オートマタ”なんて安直な名前だし、無問題ですヨ
……ファンタジーなんだし、“リーゼンゲシュレヒト(巨人族)”とか、もうちょっと捻ったほうがよかったような気がしなくもないw
>>75 皆地球の重力に魂を引かれているのだよ
なんつてー
77 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 09:49:37 ID:9KxOvY62
大丈夫
きっとアストナージとウリバタケならなんとかしてくれる
そして文字通り宇宙を駆けるASやエヴァンゲリオン、そしてゾイド
……って、そういえば拙作、オートマタは宇宙で活動できたとしても、神子が宇宙行けないじゃないか……
>>78 宇宙空間なのにロボにくっ付いて命令してた人もいますし
ああ、そういえばジャイアントロボがありましたねw
続編出ないかなぁ……無理だろうなぁ……
そういえば戦艦に限らず、移動する拠点って登場しましたっけ?
本編にまともな描写があるものとしては存在しなかったと思う
誰かがガイキングかマクロスみたいなロボネタやればいいんでないの?
もしくはゲッターエンペラー
おいおい虚無る虚無るw
最後だけ規模が異常w
あーっとタウエルン作者様に業務連絡でございます
自動人形って一般にどの程度の操作が利くものですか?
スタンドみたいな扱いなのか、アバウトな命令を一度下せば遠隔でもそれを遂行していられるのか、音声以外でも操縦できるのか
操縦者は剥き出しなわけだから、例えばショウイチひとりでも戦いようはあったり?
>>72 連載は絶望かと思っていた先のサプラーイズに歓喜
EEにフェストゥムのかほりを感じる夏
微妙にあちこち小ネタが入っているんですね
>>74 張られた伏線とか、続きが気になる展開ですね。次も楽しみにしてます。
>>75 宇宙用の装備を装着しなければならないけど、重装甲強化服は宇宙でも戦えます。
>>81 一応、海上都市姫路が自走可能です。縦10km、横5kmもあるデカブツなので、最大速度は1ノットですが。
地球の裏側まで20000km、1kt=1852m/hのところ鯖を読んで2km/hとすると、
10000時間、つまり416と2/3日掛かる計算になるのか……
ついでに20000kmは赤道の長さの半分なので、島や大陸を迂回しなくてはならない場合更に日数を要するはず
拠点としてはともかく、移動拠点としては現実的とは言い難いんじゃないかな・・・
あれひょっとしてこういう話じゃない?
戦艦メインのロボをやるとして
・強力な戦艦と、そいつに艦載されたロボが戦う(ナデシコなど)
・戦艦のパーツが分離してロボになる(ガイキングなど)
・戦艦が超巨大なロボに変形する(マクロスなど)
の、ドレが一番ウケがいいんだろうかね?
某SF小説読んだおかげで、「女性が制御ユニットやってる戦艦」的なネタを書いてみたいとは思ってるのだが
>>72 これは…・…!うーむ面白いw
とんでもない状況下に巻き込まれながら、力を手に入れる主人公……こりゃあ続きを所望せざるおえない
自分もE&Eにフェストゥムもとい今流行りの使徒が浮かびました
>>85 一応設定話になりますが
自動人形には三つの種類がありまして
タウエルンの様に自分で動き、また命令通り……スタンドの様に使えるタイプと
自分で動けないが命令通りに動くタイプ
そして自分で乗って動くタイプがあります。タウエルンは自分で行動して動きますが、武器の使用はショウイチに委ねられます
だから武器の設定をしない場合でも、タウエルンは己の拳で戦えるし、ショウイチ一人でも戦えますね。武器が使えないだけで
逆に言えば、もし相手が自動人形を操るタイプでも、先にそう十社を倒す事で勝利を得る事も無い事は無いです。
てか操縦者自身が弱点だったり
タイプミスorz
そう十社→操縦者です
それと操作ですが、音声でも内蔵されたタッチパネルでも行動・武器を設定する事で操作できます
>◆gD1i1Jw3kk
申し訳ない。無意識に「スパロボで使うには」っていう基準で見てました。
撤回します。大変失礼しました。
>>88 個人的にはガイキング形式が好きですねー。ヴァイタルガーダーとか。
>>89 よく分かりました。ありがとうございます
黒騎士は自分で動けないが命令通りに動くタイプなんですね
>>88 個人的には3番目が好みですね。
ダイダロスアタックとか大好きですw
>>89 >武器の使用はショウイチに委ねられます
ええと、
ゴルディオンハンマー! 発 動! 承 認!
みたいな認識でよかですか?
>>88 どれも迷いますが、ここら辺であまり無い真ん中はどうでしょうかw
艦隊側とロボット側のコミュケーションが取れて面白そうだし
>>92 お役に立ててなにより
>>93 そのライオンロボの様な熱い物じゃないですww
タウエルンは改修前が改修前なので、ショウイチが武器を管理しないと非常に危険なんです
それに武器の管理は同時に、改修前を隠す為でもあります。人に見られたら……まぁトニーに見られてるんですが
悪魔の兵器が農業に転向できたのは素直に凄いと思うのでしたw
その辺りは∀思い出すよね
世界を滅ぼした悪魔の兵器、が洗濯機になったり、牛運んだりと
ホワイトドーr……って先に言われたっ!
タウエルンは元からトラクターにトランスフォームできたんでしょうか
違ったのなら凄い魔改造w
遅くなったけどいちおう
●田所カッコマン
精神/努力,必中,熱血,鉄壁,ひらめき,ド根性
別に愛に目覚めてない。激励役の相方募集中。
能力値はやや格闘寄り、技量低め。
だけど必殺技完成まで最強武器が射撃属性のビームになるのか・・・パイロット能力込みだとパンチの方が強いかも。
天才という触れ込みだけど、特殊能力に天才つけるほどではないし、なんとも面白味のない。
ユニット・ネクソンクロガネは耐えながらデカイ一撃をぶちこむ典型的なスーパー系。燃費はまあまあ。
最大のミスは「最強無敵ロボ・」まで入れると字数制限に引っ掛かることか。
アニヒレイターに+気力ダウンで特徴を出したいところだが、バランス壊す?
●スプリガン
精神/集中,加速,直撃,分析,魂,直感
「激闘(1ターン1.5倍)」を入れたかったんですが、さすがに欲張りか。
後期になるとロボらしからぬ精神が。不屈がないので序盤はまともに一撃もらうと墜ちてそうw
格闘と技量は高く、命中は意外に大雑把。
特殊能力に切り払い、分身系とかカウンターがあると拳法家っぽい。サイズ補正無視とかはない。
ユニットとしては避けて当てる系。でも踏み込みで稼がない限り、射程が短いという欠点が。
空適応は武器も含めてほぼ軒並み「−」。リベジオンあたりに丸投げ!
本編では最終的には飛べるようになり、EN回復もする予定だけど、そこまでやるとつまんないユニットになるし・・・。
技についてはやたらたくさん設定があっても、差別化は無理か。おお難しい。
おまけ
●悪山悪男
精神/ひらめき,不屈,熱血,脱力,気迫,愛
あからさまに優遇。年寄り自重。なんか自爆が似合う人だけど入れない。
特殊能力・天才って戦闘に限定しての話なのだろうか。だとしたら爺さんアンタも・・・
能力値的には大したことない。
ユニット・ワルレックスは改以降バリア持ちでみんなに自慢できる。
あれでもそういえば本編でまともに戦ったこと、なかったような・・・
・・・。
ダイノスワルイドにご期待ください。
戦闘用はこんな感じでしょうか?
四天王とか魔族とかは、まあアレだし。脱力爺以外サポート精神がほとんどない自己完結型
>>96-97 ああなるほど。その発想はなかった
さて、夜も更けて参りましたがどうもです
やっと話の終盤が書けたので、潔く投下します。
話が能動的な為、途中で切るのもアレかなーと思い今回限り二話連続で投下します。
最後にさらりと重大発表したり。ではどうぞ
<8,思惑>
村人達の名前が載ったリストを睨みながら、ギーシュは村人達が炭坑場に集合しているかを確かめる。
多少の誤差はあるものの、全員無事に炭坑場に集まる事が出来そうだ。村人達の避難が終わったら、遂にあの作戦を実行する事になる。
良く良く考えると……いや、考えなくても無謀だ。こっちには重火器があるとしても、あくまで生身の人間であり、もちろん自動人形と戦った事など無い。
それに比べ、シュワルツには凶悪な自動人形がある。それも巨大だと聞く。これほど恐ろしい相手と戦おうなんて、無謀にも程がある。自ら死に行く様なものだ。
だがやらねばならない。村が消えるかもしれないし、何より本当に死んでしまうかもしれない。
それでも、シュワルツを倒されば俺達がぐっすりと眠れる日が来ないのだ。奴には平穏も誇りも、尊厳も何もかも奪われた。
傍から見れば馬鹿げた自殺行為と嘲笑れたとしても、俺達には絶対に引き下がれない理由がある。
「ギーシュ、ほぼ全員揃ったよ。それにそろそろ1時間が経つ」
トニーから呼びかけられ、ギーシュはふっと我に帰る。周囲を見ると、各々の荷物を背負う村人達が見えた。
皆、これからどうなるのか不安で仕方ないという表情で俯いている。ギーシュは村人達の様子に、視線を明日の方向に向けた。
「トニー、俺達……いや、俺は間違ってるのかな」
「……俺は少なくとも、お前の事を間違ってるとは思わないさ」
「……そうか」
「死ぬなよ、ギーシュ。お前にも、待ってる人はいるんだからな」
研究員の説明を聞きながら、シュワルツは恍惚といった表情でダルナスが村を焼き払い、更に戦場を業火に変える未来を想像していた。
二人がいるのはダルナスのコックピット部分。いわゆる「顔」の部分である。「顔」は二つの機構に別れており、どちらもダルナスには欠かす事が出来ない。
下部、言うなれば口には、ブラックキューブを動力源に発射されるレーザー砲が内蔵されており、ダルナスの武装の要となっている。
レーザー砲はコックピット部の背部にあるブラックキューブに直結している為、連続しては撃てないものの、非常に強力な武装と言える。
上部、口から上の鼻と目の部分が、今シュワルツと研究員がいる場所である。
正確には目と鼻の後部、だだっ広い操縦室にだ。前面には全方位を囲む巨大なモニターが設置されており天井から床下までくまなく映している。
モニターに映る映像は目を通して映し出されている。鼻の部分は用途不明。おそらく開発者の悪趣味なオブジェだろう。
シュワルツの前には、緊急時用に取り付けられた操縦桿が備え付けられている。杖を模したそれは非常にシンプルで、杖の先に着いた球体で操作を行う。
「この操縦桿は基本的に使う事はありません。ダルナスが自然に判断し、行動しますので」
研究員がそう説明するが、シュワルツはおそらくこの操縦桿を使う事になるだろうと確信している。
あの緑色の自動人形の実力は、恐らくこちらの想像を超える事になる。シュワルツはそのような時に、機械の考えなど全く当てにならないと思っている。
それは腐ってもシュワルツが元軍人である事と、その頃の長い長い経験からくる一種の矜持の様なものだ。
「それでは予定通り、1時間後に起動を開始します。宜しいですね?」
「構いません」
シュワルツがそう研究員に返答すると、研究員は敬礼をしてダルナスから降りるとハンガーへと向かった。
改めて、シュワルツは必ず使う事になるであろう操縦桿に掌をのせた。冷たい感触にゾクリとする感覚が奔る。
「さぁ、私に禍々しい未来を見せてくれ、ダルナス」
歪んだ微笑を浮かべながら、シュワルツはそう呟く。ダルナスの目が、妖しく紫色に光り出した。
「よし、全員集まったな。これから避難ルートを教える。絶対に聞き逃さない様にしてくれよ」
炭坑場。ギーシュにより集められた村人達は、これから巨大自動人形――――ダルナスによって戦場と化す村から避難する。
ギーシュはそう言いながら、地面を靴で掃いはじめた。大量の土埃が掃けていき、やがて無機質な鉄製の扉が現われた。
巨大な丸型のそれを見て、村人達が驚きの声を上げる。ギーシュはトニーを呼ぶと、一緒に取っ手を引き上げる。するとぽっかりと暗い闇が見えた。
「知ってる人も……いや、皆知ってると思うがこの村は軍の元駐屯地であり、また過疎地でもあった。
でだ、何が言いたいかと言えば、敵の襲来に備えて、こういう隠し経路が存在する。最近調査して分かったんだが、この隠し経路はそのまま町近くの山まで繋がってる」
説明しながら、ギーシュは仲間達を使って、村人達にマスクを配りはじめる。そのマスクは非常に皮が厚く、口から鼻に掛けて保護する事が出来る。
怪訝そうな顔をしながらも、マスクを付ける村人達に、ギーシュは頷きながら説明を再開する。
「そう、それでいい。これから通ってもらう隠し経路は長年整備……しなかったのは悪い。先に謝る。とにかく空気が悪いからそのマスクで凌いでくれ」
村人達が全員マスクを付けたのを確認して、ギーシュは咳払いをするとここからが大事だと強調して、説明を再開した。
「今から通る経路を30分ほど歩けばその山に辿りつく。いいか、絶対に振り向かないでくれ。
ダイレクトに言えば、絶対に村には戻ってこないでくれ。正直に言えば、もうこの村でまともに生活できるか……分からない」
ギーシュの言葉に村人達がざわめく。それはそうだ、今まで慣れ親しんできた土地に住めなくなるというのだから。
やがて村人達は堪え切れなくなった為か、ギーシュに対して感情をぶつける。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ、幾らなんでもオーバーじゃないか?」
「今までこの村で暮らしてきたんだ、今から他の場所になんて暮らせん……治安も悪いし」
「村を離れたって平穏に生活できる可能性なんて無いじゃない! いったいどうしろっていうのよ!」
「もう畑を耕す気力も無いわい……この村で余生を暮らしたかったのじゃが……」
口々に感情を吐露する村人達に、ギーシュは無言で目を瞑っている。その様子に気づいたトニーが心配そうに駆け寄った。
「ギーシュ……」
ギーシュはトニーに大丈夫だと手をかざして小さくほほ笑むと、一歩出て、村人達に向けて土下座した。
「頼む。俺の話を聞いてくれ。確かに今まで住んできた場所が住めなくなると考えるのは辛い。積み上げてきた思い出を置き去りにするみたいで。
だがな。俺達には今がある。住む場所は失っても、大事な思い出も、人間としての誇りもまだ失っちゃいないだろ?
俺達は再びやりなおす事が出来る。今は真っ暗闇でも必ず光を掴む事が出来る。だから今は生きる事を考えてくれ。それが俺達に出来るシュワルツへの反旗となるんだ」
頭を下げながらそう語るギーシュに、ざわめいていた村人達は次第に静まっていく。
トニーがギーシュの肩に手を置くと、ギーシュはその手を握りゆっくりと立ち上がった。村人達の目には先程の様な淀みは見えない、
遠目からその様子を見ながら、ショウイチは傍らで少しでもエネルギーの消耗を防ぐためトラクターに変形しているタウエルンに話しかけた。
「光か……掴もうとすると消えるんだよな、俺達には」
「駄目だよ、そんな事言っちゃ。村の人たちの為にも、必ずシュワルツを倒そう、ショウイチ」
「お前は何年俺と組んでんだ? さっさと終わらして耕すぞ、畑」
ところで、村人達の中で一人、皆とは違う事を考えている少年がいた。彼の名はマイル。今年で16になる少年だ。
彼は日頃物静かな少年として知られているが、実はマイル自身は内心、今の村の状態に怒り心頭だった。
それは無論シュワルツの暴挙でもあり、またそのシュワルツに対して何も出来ない自分自身に腹が立っていた。
だが、そんな彼を奮い立出せた存在が現われた。その存在はショウイチとタウエルンだ。
悪党に屈せず、逆に叩きのめした彼に、マイルは頭を殴られたような衝撃を受けたのだ。だがそれゆえに彼は燻っている。
自分は無力で、ギーシュ達のように立ち向かえる力も頭も無い。だけど……だけどこのままでいいのか? 俺にも……俺にも出来る事が……。
「まずは男が先に入って女子供を先導してくれ。その後に残った男が後ろを固める。トニー、お前が一番先に入って先導してくれ」
トニーは頷いて扉まで駆け寄り中に入る。続くように女性と子供達が。設置された階段を降りていくと、山へと通じる通路が見えた。
ギーシュは環境が悪いと言ったものの、じめじめと暗いだけで閉塞感を感じないほど広々としている。円形に広がっている経路は地下鉄のチューブを連想させた。
ぞろぞろと村人達が避難経路へと入っていくのを一瞥し、ギーシュは遠方で事態を見守っているショウイチに近づき、話しかけた。
「もう一回、君の作戦を聞かせてくれないか? どうもいざって時になって緊張してきてさ」
ショウイチはいいですよと言いながら、タウに触れてタッチパネルを引き出し、ホログラムを作動させた。
大小様々な円柱のオブジェクトが浮き出て、同時に巨大な黒い球体のオブジェクトが、円柱に向かってゆっくりと前進し始める。
「この黒い球体が僕達の敵となる巨大自動人形です」
すると球体から緑色の細い光が出てきて、円柱をなぞる様に消滅させていく。
「これが大型自動人形に標準装備されているレーザー砲です。恐らく、地球上にある武器の中では上位に入るであろう恐ろしい武器ですね」
あくまで例えのレベルだが、ギーシュはその威力を想像して鳥肌が立つのを感じた。こんな物とこれから戦おうというのだ。
「また、大型自動人形には他にも多数の武装が施されていると思います。ですがそんな大型自動人形にも弱点があるんです。いわば人間でいう急所ですね」
ゴクリとギーシュは唾を呑んだ。ショウイチがタッチパネルを操作すると、球体の動きが止まり、中に白く輝く立方体が姿を現した。
ショウイチがその立方体に対して赤いサインを刻む。
「この部分が動力源であり、レーザー砲を撃つ為に必要なブラックキューブです。この部分を破壊する事が出来れば、大型自動人形を倒す事が出来ます」
「そのブラックキューブってのは、大型自動人形の中に入ってるんだよな……? どうやって壊すんだ?」
「そこですよ、僕達の、いや正確にはタウエルンがやるべき事は」
と、球体の外装がブラックキューブに連ねる様に分離していく。同じタイミングで、簡素的な人型のオブジェクトが、ブラックキューブに向かってゆっくりと飛んでいく。
人型は外装を次々と取り払い、最終的にブラックキューブを貫いた。ブラックキューブは弾け飛ぶが、瞬時にも元に戻る。
「この様に、ブラックキューブは厚い装甲に守られていますが、その装甲さえ突破する事で露出されます。そこまでに至る経緯ですが」
次は鎧型のオブジェクトが6体浮かんできた。鎧の腰元には、小さくオレンジ色の円柱がくっついている。
「こいつらはさっき、酒場で鹵獲した黒騎士です。こいつらを使って、大型自動人形の外装を削ります。ちょっと残酷ですがね」
鎧達は何処からか、細長の棒で出来た槍を構えると球体に向かって飛んで行き、球体を突き刺す。
「これだけでは外装を剥がすまでにはいきませんから……えいっ」
ショウイチがパネルを人差し指で押すと、鎧の腰元についている円柱がパチパチと弾け、やがて球体を抉りながら鎧が消滅した。
「この様に、ダイナマイトを黒騎士に巻きつけ、槍で貫くと共に爆破し、巨大自動人形の外壁を弱めてタウエルンで攻撃。
ブラックキューブまで達したのち、撃破という流れです。それでここからが……」
「……ここからが、俺達がするべき仕事だよな」
どこか心許ない口調でそう聞くギーシュに、ショウイチは笑顔を浮かべながら頷いた。
「はい。ギーシュさん達にしてもらいたい事は……」
「……そして十分なダメージを与えた所を、タウエルンで叩く。これが僕の考えた作戦の全容です。だいぶ早足で説明しちゃいましたが、もう一度説明しますか?」
ショウイチの説明を静かに聞き終えたギーシュは、小さく俯いて何か考えをまとめる様なそぶりを見せると、ゆっくり顔を上げて言った。
「……純粋に教えてくれ。この作戦の成功度は?」
「僕は成功度とか考えないんですよ。一寸先なんて分かりませんから」
極めて明るく、あっけらかんと語るショウイチに、ギーシュは目の前が暗くなっていく様な気がした。だが分からなくはない。
ここで成功率が高いと言われようと低いと言われてようと、勝たねばならないのだ。確率を気にした所でどうにもならない。
「ギーシュさん、経験者として一つだけ教えておきます。もし何か失敗したとしても、必ず成功すると願って諦めないでください。それが奇跡を呼ぶんです」
「何か胡散臭いな……ま、せいぜい頑張ってみるさ。頼んだぜ、ショウイチ君」
苦笑交じりに、ギーシュはショウイチと互いの拳を合わせた。一時的な共闘だが、確かな信頼感がそこにはある。
「村人全員の避難が完了したぞ。そろそろ行くのか?」
仲間の一人が村人達の避難が終わった事をギーシュとショウイチに伝えに来た。二人は互いに頷き合い、ギーシュが返答する。
「あぁ。他の皆にも例の位置に着く様伝えてくれ。俺もすぐ行く」
そう言って、ギーシュは仲間と共にショウイチの作戦を実行する為にその場から離れた。ひらひらと手を振って。
ギーシュが見えなくなった所で、ショウイチは髪の毛を掻くと、タウエルンを変形させた。
ふと、ショウイチは口元に手を当てると、変形が終了し、バッファローモードへの移行を完了させたタウエルンに話しかける。
「なぁ、タウ。お前のあの機能、もしかしたら使えるかもしれん」
「それではご健闘を。と言ってもただの実験ですが」
通信から入ってくる研究員の台詞を無言で受け流し、シュワルツは操縦桿に掌を重ねた。
全方位のモニターが作動し、周囲には数値や方位、ロックオンマーカーが飛び交う。シュワルツは目を数秒閉じると、ゆっくりと開けた。
「……ダルナス、発進」
所変わり、山へと避難中の村人一行。その先頭を歩くトニーは、やはりギーシュとショウイチの事が気掛かりだった。
本当に大型自動人形に、いや、シュワルツに彼らは勝てるのだろうか。アレほど人の命を踏み躙る事に何ら感情も無い男に。
もし勝てたとしてもまた彼らに会えるのか、トニーの心には言いしれぬ感情が渦巻いていた。その時。
「トニーさん! 大変、大変なの!」
息を荒げながら、クレフがそう叫んでトニーの方へと走ってくる。トニーは驚き、クレフの方へ振り向き声をかけた。
「どうした!?」
「マイル君が……マイル君が村に……」
トニーは今、マイルという少年を連れ戻すため、全力疾走で村へと向かっている。まさか誰かが村に戻るとは予想し得なかった。
事情はこうだ。避難している最中、マイルは突如、何を思ったか村へと直行したらしい。突然の事で皆驚き、マイルを止められなかったらしい。
マイルを探しに行くと伝えた時の、今にも泣き出しそうになっていたメルティを思い出すと心が凄く痛む。
だが、ギーシュ、そしてショウイチと約束した手前、全ての村人を無事に避難させねばならない。
なるべく早く見つかってくれよ……とトニーは心の中で強く念じた。今の所、まだ村は静かだ。
「こちらショウイチ・マーチマン。応答願います」
「ファースト、定位置に着いた。どうぞ」
「セカンドも同じく」
「サード、準備万端だ」
「フォース、いつでも……つっても奴が来ないとしょうがないが」
「すまないショウイチ君、ちょっと良いかな」
「どうしました? ギーシュさん」
「リールがどうしても戦えないって、腹痛が止まらないっていうんだ。悪いがリールをあっちに行かせていいか?」
「ん〜・・・・・・ギーシュさんは一人で大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫! だってこいつは命令どおりに動くんだろ? 確かに火を入れるのは一人じゃ大変だが、ま、何とかなるぜ。じゃ、互いの健闘を祈る」
<9,決戦>
通信機を切り、ショウイチは改めて自らが組み立てた作戦を思い起こす。
大型自動人形をタウエルンを使い、ギリギリまで寄せ付ける。そしてブラックキューブの搭載箇所に黒騎士にぶつけ、搭乗しているであろうシュワルツを疲弊させる。
そして一気にコックピット部分まで押し切り、シュワルツを捕らえると共にブラックキューブを破壊する。これで一先ず・・・・・・。
・・・・・・どうなのだろう。ギーシュの意向を組んで考えてみたが、どことなく不安要素が多い。しかしそれはタウエルンさえうまく動けばカバーできる。
一番危惧していることは・・・・・・あぁ、くそっ。ショウイチは思わず髪の毛をばさばさと思いっきり掻いた。人に助言しておいてこの様かと情けなくなる。
「ショウイチ、見えたよ。例のが」
タウエルンに呼ばれ、ショウイチは持っていた双眼鏡を覗き込む。ずっと先にこちらに向かってゆっくりと前進していく大きな影が見えた。
そのシルエットは巨大な蛇、いや、アナコンダだ。排気口だろうか、両端に巨大なエラを広げながら前進していく様は異様な威圧感を感じさせる。
ショウイチは双眼鏡を下ろすと、タウエルンに力強く飛び乗った。タウエルンが粒子を焚きつけ、蛇――――ダルナスへと飛んでいく。
モニター上に反応が奔る。シュワルツはその反応に気づき、無意識に操縦桿を握った。
見られる反応は1機。複数のロックオンサイトが捕らえたそれは、まさかの緑の自動人形だった。ダルナスに向かって全速力で低空飛行してくる。
思わずシュワルツの口元から笑みがこぼれる。自ら死にに来たのかそれとも命乞いか・・・・・・。
明らかに前者だ。緑の自動人形――――タウエルンはダルナスに向かって右腕を掲げると、収納状態のウエハース状小型ソーラーキャノンを取り出す。
牽制として一発、二発と打ち込むが、やはり大型自動人形の装甲は伊達ではない。放たれたビームはいとも簡単に弾かれる。
タウエルンは回り込みながら、ブラックキューブ、およびシュワルツがいるであろうコックピット部分を詮索する。
「遊んでいるのなら心外だな。こっちは本気なのでね」
シュワルツがタウエルンの動きに若干呆れた口調でそう言う。同時にダルナスから頂点の蛇の頭を象ったパーツから、舌を思わせる極太のチェーンが数本飛び出す。
先に鋭利な高周波ブレードが具わったチェーンは、伸縮自在にタウエルンを右へ左へと攻撃する。ブレードの刃は空気中で震え、常にタウエルンを寸で斬ろうと伸びる。
その攻撃は熾烈であり、タウエルンに隙を与えない。その合間にも、ダルナスは村へと移動する。
「どうしよう、ショウイチ。結構きついよ」
「タウ、こういう時はどう行動するか、教えたはずだぞ」
背中にいるショウイチにアドバイスを乞いたタウエルンは、ショウイチの返答に呼応するかの如くダルナスの真正面へと全速で滑り込む。
チェーンが一度、蛇の頭まで縮むと一斉にタウエルンに向かって伸びてきた。集束された高周波ブレードが今にも突き刺さんと迫る。
瞬間、タウエルンは全身の力を使って空中へと飛んだ。チェーンが勢いのあまり、そのまま地面に突き刺さる。
突き刺さったチェーン目掛け、タウエルンはそのまま着地した。野太い音を出してチェーンが分断される。
ついでに、分断されたことで引き剥がされた高周波ブレードを思いっきり?ぎ取る。もはや高周波としての機能は無いが、十分切れ味は鋭い。
ブレードを脇に収納し、ショウイチの掛け声と共にタウエルンは瞬間的にトラクターに変形してまっすぐ疾走する。
「ふむ、さすがにこの程度ではね」
小さく拍手しながら、シュワルツはそう呟いた。ロックオンサイトはタウエルンを逃さず捕捉し続ける。
「少し早い気もしますが、どうせなら楽に死なせてあげましょう」
タウエルンを目標に入れたまま、ダルナスの「顔」が大きく口を開ける。口には黒く眩い光が集束し、そして。
「タウ! トランスだ!」
ショウイチが叫びながらタウエルンから急いで側方へと飛び降りる。同時にタウエルンが人型へと変形し、ショウイチを守るように受身を取る。
ほとんど紙一重、タウエルンの横を、光速で黒色の太いレーザーがよぎる。レーザーは地面に深々と深い溝を作っていた。
「やっぱいつでも慣れないな、こりゃ・・・・・・いくぞ、タウ!」
再びトラクターに変形し、ショウイチとタウエルンは村の中を疾走する。傍目から見ると、ダルナスから逃げているようだ。
実際、シュワルツにはそう見える。しかし不思議ではない。どんな強力な自動人形でも、威力・防御能力・そしてサイズにおいてに大型自動人形とはダンチだ。
「何をしているんです。第二弾を発射しなさい」
数分後、エネルギーを再充填したダルナスはタウエルンに向けて、レーザー砲を発射する。
タウエルンに向けて放たれたそれは、人々の家を、自然を無慈悲に破壊しつくす。まるで波に掻き消される砂の城の様に。
迫りくるレーザーから、必死にタウエルンとショウイチは駆け巡る。レーザーは甚振るようにゆっくりとしたスピードでタウエルンに迫る。
「・・・・・・ショウイチ」
「今は耐えろ、タウ。奴をあの場所まで誘い込むんだ」
やがて発射しすぎたのか、次第にレーザーの勢いが弱まっていき、煙のように消えていった。
タウエルンは村の路地へと変形しながら滑り込む。無論今の行動も、ダルナスは捉え続けている。
「む、逃げ込みましたか。まぁ、普通に考えて勝てるわけがありませんからね」
路地に逃げ込まれた事と、既に日が落ち、真っ暗闇な為、先ほどの様にタウエルンの姿が見えない。
しかし問題は無い。自然に「顔」の目がライトを作動させる。反映されるまで数秒掛かったが、モニターにその様子が映し出された。
路地には壁に背を着けているタウエルンと、その横で肩を上下するショウイチが見える。
「んっふ・・・・・・」
シュワルツがその光景に厭らしく舌なめずりする。このままレーザーで殺してしまえば早いが、それでは興が無い。
ダルナスをゆっくりと動かし、シュワルツは路地裏まで近づいていく。その途中で家など人々の居住区を踏み潰していくが、シュワルツは気にも留めない。
「あの時は期待しましたが、所詮はただのネズミですね。ガッカリです」
そう言いながら、シュワルツはタウエルンに向かって「目」を使いモニターをズームさせる。確かにタウエルンが・・・・・・。
だが、ここでシュワルツは妙な違和感を覚える。確かにモニターにはタウエルンが映っているが、どこか妙だ。
違和感は次第に膨らんできて、やがて確信として固まる。先ほどからタウエルンとショウイチの動きがまったく揺るがないのだ。
「・・・・・・くそっ!ホログラムか!」
「今だ!」
ショウイチが叫んだ瞬間、ダルナスの「顔」に向けて黒騎士が槍を構えて特攻する。そのまま槍は顔に突き刺さり、黒騎士は爆散する。
「次!」
続くように、潜伏していたギーシュの仲間――――セカンドが行動に移る。一人が黒騎士に巻かれたダイナマイトに火を点け、もう一人がダルナスの「顔」に向けて指を指す。
ダルナスに向けて特攻した二体の黒騎士は、ダルナスの「顔」に向けて攻撃した。左右より加えられた攻撃で、「顔」の目と鼻の外装がガタガタと揺らいでいる。
間髪入れず、サードとフォースが黒騎士をダルナスに向けて放つ。「顔」の口の外装に槍と爆発による攻撃が与えられ、今にも落ちそうなほど外装に深いダメージが入る。
ショウイチはタウエルンにある命令を下してその場から離れると、先ほどタウエルンに被せた、路地に入る黒騎士へと奔った。
「ふ、ふふ・・・・・・慢心か。私自身の」
突然の奇襲に、完全に裏を掻かれたシュワルツが自虐気味に嘲笑する。「顔」には予想外のダメージが下ったらしく、モニターが白黒となりまともに動かない。
操縦席の周囲から火花が散る。しかしまだ重要な機能は死んでいない。ブラックキューブもレーザー砲も。
シュワルツはメガネをはずしてモニターを自らの手で停止すると、赤外線スコープを目に装備し、操縦桿を操作して手動モードへと切り替えた。
その時、突如として天井に凄ましい勢いで揺れていた外装が弧を描くように切り刻まれ、その合間から無機質な機会の手がギリギリと入り込む。
シュワルツが驚き見上げるが、既にその手は中まで入り込み、渾身の力で外装ごと弾け飛ばした。目と鼻の部分が完全に露出し、コックピット部が露になる。
粒子を排気口より噴出しながら外装を剥ぎ取ったタウエルンは、その粒子で目と鼻の部分の機能をナノマシンにより停止させる。
ナノマシンが降りかかった機械部分は、錆のように赤く侵食されていく。タウエルンが着地すると、機械部分は簡単に粉砕した。
ゆっくりと粒子を収束させながら、タウエルンは操縦桿を握るシュワルツに向かう。
「見つけたぞ、シュワルツ・デイト。お前を倒す。トニーさんと、村人の為に」
「すげぇ……」
遠方で起こっているダルナスとタウエルン、そしてギーシュ達の戦いを呆然とマイルは見つめている。
意気込んで町に戻ってきたものの、ダルナスの迫力に完全に腰が抜けてしまった。おまけにダルナスから放たれた光線が町を破壊するのを見て動けなくなった。
やはり自分は無力だった。マイルは心の底から実感する。もしかしたら自分はあの人に――――ショウイチに憧れているだけだったんだ。
ギーシュの言葉が頭の中で反芻する。生きることを考える……それだけで良いんだ。俺に出来ることは……。
「マイル君!」
誰かに呼びかけられ、マイルは声が聞こえた方向に顔を向けた。必死な形相でマイルの元へと走ってくるトニーが見えた。
息を整えながら、トニーはしゃがんでいるマイルに手をさしのばす。マイルの涙腺に何かが込み上げてくる。
「……トニー、さん」
「……帰ろう。君の家族が心配してる」
じりじりとシュワルツに近寄るタウエルンに、シュワルツはなぜだか大声で笑い出した。その声には不気味なほどの自信がある。
笑いながらシュワルツはタウエルンに話しかける。
「思い出した……思い出したぞ、緑の自動人形、いや……タウエルン!」
「……なんで僕の名前を知っている?」
「何故? 何故だと思う? 私は元帝国軍人だ。ちょっとした役職に就いていてね。君がその姿になる前の事を知っているんだ。確か……アルタイルだったかな」
その時、タウエルンは無意識に小型ソーラーキャノンをシュワルツに向けていた。何故だかは、タウエルン自身も分からない。分からないが……。
「……違う。僕はアルタイルなんかじゃない。僕はタウエルンだ。ショウイチと旅をする農業型マシン、タウエルンだ」
「ははっ、世界を混乱に陥れた殺戮兵器が世界を救う? 下らないな、実にナンセンスだ」
「貴様!」
爆発音がして、コックピットが大きく揺れる。地上に巨大な物体が落ちる音が響く。恐らく口の部分の外装だろう。
軽快なフットワークで何者かが目と口の部分まで昇ってくる。やがてコックピット部に到着し、赤シャツにライフルを肩に掲げたその青年はシュワルツを見るとにっと笑った。
「タウ、そいつを倒すのは俺の役目だ。良く頑張ったな」
「ショウイチ!」
ショウイチに気づき振り向いた途端、タウエルンはその場にガクンと膝から落ちた。ショウイチはあせって駆け寄る。
「おい、お前まさか粒子……」
「ごめん、ショウイチ、さっきので力、ちょっと使い切っちゃったみたい……」
「ほう、君がショウイチ・マーチマンか。思ったよりずっと若いんだな」
意外そうにシュワルツがショウイチに声を掛ける。ショウイチはタウエルンを気遣いながら、シュワルツに顔を向けて皮肉そうな笑みを浮かべて言う。
「俺も思ったより悪人面でよかったと思うよ。ぶっ飛ばすのにまったく遠慮がなさそうだ」
ショウイチの言葉にシュワルツは掌で目を覆い苦笑すると、操縦桿の上で手を浮かしている。
「悪態を附くのは構わないが、私にはまだダルナスがあることを忘れてもらっては困るな。今だって操縦桿に掌を乗せればを押せばすぐにレーザーを撃てる」
ショウイチは即座にライフルを構えるが、シュワルツは笑みを浮かべたままだ。
「ちなみに目標は……あぁ、あれは確かトニーとか言う男だ。それと名前が浮かばない子供だ。どっちにしろ取るに足らない命だ」
「トニー……だと?」
ショウイチは自分が感じていた不安が的中してしまったことに舌を打つ。薄々感じてはいたが、何も対策を打たなかった。明らかに自分のミスだ。
「そうだ。言っておくが私のどこを撃っても私は手を乗せるぞ? さぁ、どうする? ヒーロー君」
続く
次回最終回「夜明け」
投下終了ですー
一気にスレの容量を削ってしまい申し訳ない
最後に書いた通り次回最終回です。結構長い期間やってたんですね、気付けばw
修正…orz
今だって操縦桿に掌を乗せればを押せばすぐにレーザーを撃てる」
↓
今だって操縦桿に掌を載せればすぐにレーザーを撃てる」
の間違いです
タウエルン、次回で最終回ですか……。短いようで長く、長いようで短かった……。
ダルナスのコックピットを破壊して侵入するタウエルンに、かつての面影を垣間見ました。
しかし、アルタイル……つまりベガとかオカンもといデネブとかもあったりするんでしょうか。だとしたらオラ、ワクワクが止まらねぇぞ!
今回のはわかりづらい
>>110 電王ネタですねwぶっちゃけそこまで深く考えて…いや何でも無いです
>>111 確かにもう少し理知整然とした方が良かったかもしれませんね……・orz
ショウイチは何気に名言が多い気がする。
遂にクライマックスjump!
意外に村人が勝利の鍵だったりするのかも?
アルタイルといえば牽牛か。改修前はめっちゃ空飛んでそうな。
タウエルンもひとまず終わりか−
まぁちょっと詰め込みすぎて分かりにくかったなw
終盤に差し掛かってるのは
ネクソンクロガネ
スプリガン
タウエルン
かな?
スプリガンはあと一回か二回戦闘があり、エピローグで終わります
ネクソンは6話後半と最終章がまるまる三話残ってますね
筋はほとんど出来ているのであとは書くだけなんですが、ちょっと手を広げすぎたかw
ちょっとした話題の種
もし、自分の書いているお話にOP・EDをつけられるとしたら誰のなんて曲を使いたい?
挿入歌でもいいや
作者さんがいないから名無しの俺が考えてみる
特定のOPとかは浮かばないからテーマな
荒野に生きる:作品の荒々しいカラーと登場人物から考えると、ガン・ソードみたいなインストゥメタルかな
CR:崩壊する世界と聳え立つ巨大ロボット…アリプロらへんはどうよ
瞬転のスプリガン:天農とスプリガンのイメージから疾走感あふれるロック。全部英語の
パラべラム;群像劇とテンポの良い会話からバリバリアニソンだなw
ザ・シスターズ:これもベタなアニソン。あまーい感じの
電光石火ゼノライファー:正統派なアニソン。それもロボットアニメらしい奴
Tueun:ぶっちゃけ何が合うか浮かばなくて困るwターンAターンみたいなのw
海上都市姫路守備隊戦記:炎のさだ(ry渋い男のシャウトみたいな曲が好いな
最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ:もうこれは作者さんの劇中歌で決まりでしょ
少女機甲録:一見明るいようで切ないみたいなのがいいな
アーティファクト・レガシアム :ファフナーみたいな静かな戦いを思わせる曲が合うかも
あくまで俺の独断だからなwたぶん各作者さんのほうがセンスいいよ
タウエルンはやっぱり小林旭の『赤いトラクター』が(ry
や、タウ赤くないけどw
自分のは……風呂に入って考えよう
これは面白いけど難しいお題ですね。
執筆中BGMにイメージ被せてみたりすることはあるんですが、歌詞まで合うことはほとんどない・・・
>>118 おおおー
スプリガンとかその発想はなかったけどそういわれてみれば合うかも・・・
一応、あるといえばあるんだけれど軽く先のネタがばれるから明かしていいものかw
しかしこのまま引き下がるのもなんとなく癪なので、強引に。
スプリガンOP
「sora-no-sizuku@Antistar」 / あやかしびとOP「虚空のシズク」の英語ver.
「NEXT LEVEL@YU-KI」 / 仮面ライダーカブトOP
どちらも歌自体というより、作品の戦闘シーンがスプリガンのイメージソースなもので、どうも頭から離れない。
EDは特に思いつかないですね。
ネクソンクロガネは、そのまんま。脳内曲も口ずさめる程度にあるけど、ありきたりです。
「悪の天才・悪山悪男」と「無題」はEDとして作詞したような覚えがある・・・。
>>121 正体を現せ!?
×sizuku
○shizuku
失敬。
自分は今のハガレンのOPですかねー
まだ見ぬ世界ってのがショウイチとタウエルンに重なります
カブトの殺陣ってカッコイイですからねー。平成ライダーの中でも好きな部類ですw
さて、風呂に入って考えた結果……。
・パラベラム! OP
「旅人@LOOSELY」/ PAPUWA OP
・パラベラム! ED
「歩いて帰ろう@斉藤和義」/ ポンキッキーズ OP
・挿入歌その1
「プラチナ@坂本真綾」/ カードキャプターさくら3期OP
・挿入歌その2
「Thinker @ Kota Hoshino」/ ARMORED CORE 4 ED
こんな感じになりましたー。
OPは元気になる曲、EDは癒される曲って事で。
挿入歌その1は遥のテーマみたいなものです、ハイ。
そして挿入歌その2はリヒター、あるいはフラガラッハのテーマ……ってとこでしょうか。
挿入歌その2だけ歌の雰囲気が違うのはご愛嬌。
こんばんはー
わたしもちょっくら考えてきました>OP/ED
・アーティファクト・レガシアム/OP
「STRENGTH」/abingdon boys school
・アーティファクト・レガシアム/ED
「Now Youre Not Here」/Swing out sister
わたしンとこはこんな感じです。
ファフナー見たことないんでとりあえずレンタルビデオでも借りてきて見てみますよ、うん
イメージにあってる? あってない?
あってるねって言われるようなお話を書けるようにがんばりますですよ、はい
それでは、またです
OP、EDネタを前スレに書き込んでしまったw
まあ、気になる人はそっちを見てきてください
ハガレンと聞いて水島版の2期OP『Ready,Steady,Go!』を思い出した……この曲もいいなぁ、疾走感あって。
>>126 むしろイメージが構築されていきます、この後の展開とかの
海上都市姫路守備隊戦記/OP
「鉄のララバイ」/装甲騎兵ボトムズ ペールゼンファイルズOP
海上都市姫路守備隊戦記/ED
「バイバイブラザー」/装甲騎兵ボトムズ ペールゼンファイルズED
炎のさだめもいいけど、あえて鉄のララバイで。
人がいないので各作者さんにひっそり質問
自作の進行状況はどうですー?自分は詰らなければ明日か明後日にでも―
イメージOP/ED知らない歌ばっかりだったので、出来る範囲で当たってみた
どれもいい感じで得した気分
俺の持ってたイメージと近かったOPは・・・タウエルン、レガシアム、姫路守備隊かな?
でもほとんどは新たな一面が見えた思いだw
うお何このタイミングw
俺全然順調じゃないですよパンクしちゃいますですよ
>>130 リベジオン書いてる人です
4000字ぐらいかな、予定の内容の4割程度終了
んで現在全部消して書き直そうか、話の内容削って次のシナリオへと早くいけるようにするか俺の中で相談中(´・ω・`)
このまま行くと今回の話はよくてもなんか本筋はいるのに時間かかりそうだの
長くなりそうだなの、周りからつめてくってSS向きじゃないんだなーと痛感してます
2章からはもっとシンプルに行こう…と決心硬くしてたりー
>>130 地の文が書けなくて見事に難航しとります……。
展開的に、しばらく大規模な戦闘は無い……かな? 1〜2話ぐらい、修業になると思います。
皆さん苦労なさってますね(´・ω・`)
自分も中々難航してますね……一応話の区切りなのに文章が短くないかとか
けど前回の様に無駄に長くて無駄が増えるのもなーとか……あ―どうしようw
まぁ自分は一読者として皆さんの作品を楽しみに待ってます。皆さん頑張りましょー!無理をしない範囲で
意外と人がいてびっくり
はい、頑張りましょー!
繋ぎ用の弾はあるのでネタが切れてたら投下すると思います
既出ネタというと既出ネタなんですが><
全然進まない……。
1時間に10KBはスラスラ書ける文才が欲しい。
ええい! 何か楽しい話題はないのか!
ということで、たまには 敵 にも目を向けてみようと思ったわけだが・・・
このスレに限ると、謎の生物系が多いな?
謎の生物、宇宙人、地底人とかの地球先住民族、悪の組織
敵国など人類の敵対勢力、ライバル的存在の個人、近所のおばちゃん
ちょっと考えてみただけでこんだけ出てくる。
人は敵にことかかないということなんだねぇ
やったー取りあえず一段落ついた
後は細かい所を仕上げて後日談だ
>>140 確かに生物系が多くてvs人ってのは少ないですねー
自分の敵は正直それらに比べると……スケール……
人じゃないほうが徹底的にやれる、っていうのはあるんじゃないでしょうかねー。
人をボコボコにするというのは、やっぱり書いてて精神的によろしくない……。
>>142 封印されていた巨大兵器って、けっこうなスケールだと思いますよ!
自分のなんか……放っときゃ止まる……。
>>143 確かに……と考えてみりゃ俺人ばっかボコボコにしてる……
パラべラムさんのオートマタも良い敵だと思いますよ!
>>144 2828
遠慮せずにど―ぞどーぞw
やっと仕上げオワタ。12時前には投下できそうです
>>144 姿をあらわせぇ!
>>145 ありがとうございますw
そういえばオートマタって日本語で自動人形なんですねー
>12時前には投下できそう
うおおー!
み な ぎ っ て き た ー !
人間が敵だと問答無用で・・・とはやりにくいからね・・・。
思想?みたいなものがないと説得力に欠けるというか。みんな苦労してそうな感じ。
実は少女機甲録は人間同士の戦争でやる案もあったけど
「胴体装甲を貫通した機関砲弾が中の人をミンチに」とか
「ミサイルのHEAT弾頭の高温メタルジェットが同じく中の人を消し炭に」とか
「超振動ナイフが装甲を切断ついでに中の人を言葉で表現しにくい形状になます切り」
とか、リアルに考えたらエグすぎる事になるんで
敵は人間じゃないタコの化け物という事になったんだ
人間じゃないからナパームで焼き尽くしてもクラスター爆弾で微塵にしても全然かまわないしね
まあ触手で捕まって、先端に生えてる爪に引き裂かれるか
カラス口で噛み砕かれるかってのも相当エグいが
あと、「ワーム」の外見イメージは「メガスクイド」って生物を検索すると、多分一番近いのが出てくる
「スレイプニル」でも出てくる生物も好み
あれかw
火星人の次くらいに連想したよw
人間が相手のが戦闘を考えるのは楽しいかな
台詞の応酬しつつ、戦闘なんて、妄想してるだけで脳汁が…
ただ、ものすごーく労力いるけど…
あーゲフン、ゲフンの内容はその内、作中ででも
敵の大体の大まかな設定は決めてたんだけど、しっかりとした設定にしたのは、実は一昨日の話だったりー
我ながら面白い設定になったなーと思うと同時に、力量的にこれ書けるのかなとあせってたり…
流れをZ・Oソードして…・・
やっと……出来た―!
てな訳で、タウエルン最終回です。やっぱりというか、分量が多くなってしまいましたorz
一応これでタウエルンの物語はひとまず終わります。ですが終わるだけで完結する訳ではありません
と、意味深なセリフを言ってみたりして。ではどぞー
152 :
tueun ◆n41r8f8dTs :2009/07/18(土) 21:01:21 ID:IIDKs2Kf
黒騎士の背中に乗り、ギーシュは攻撃する時期を見計らっている。ショウイチの声が聞こえたと同時に、仲間達が黒騎士をダルナスにぶつけた様だ。
不気味な顔の様な部分が次々と地面に落ちてくる。落ちてきた装甲の衝撃音に耳を塞ぎながら、ギーシュはひっそりと息を潜めてその機会を待つ。
顔は既に元の姿をしておらず、複雑怪奇な機械群と武骨なレーザー砲を露わにしていた。黒騎士を使い、ギーシュはレーザー砲の付近まで登る。
顔が剥がれてから、ダルナスの動きが止まった。おそらくタウエルンとショウイチがシュワルツのいる場所にたどり着いたのだろう。
なら、俺が今からやるべき事は一つ……。
<最終話,夜明け>
操縦桿の上に掌を浮かしながら、シュワルツは冷淡な笑みを浮かべて、ショウイチに語りかける。
「ふむ。感情的に私に攻撃を加えない所を見るとやはり君は馬鹿では無い様だ。まぁ、当り前か」
ショウイチはライフルを構えながら、タウエルンを気遣う。エネルギーを消費しすぎたのか、タウエルンはその場でじっと静止したままだ。
「一度君に会ってみたかったんだ。世界で最初のブラックキューブを搭載した自動人形……アルタイルの設計者がどんな頭をしているかを知りたくてね」
シュワルツが悪意と好奇心を異り交ぜた嘲笑的な口調でショウイチにそう聞く。
「俺はお前と話す事は無いんだ。悪い事は言わない。今すぐ投降すりゃ俺はお前に何もしないぞ」
シュワルツに対抗してか。ショウイチは口元に小さく笑みを作ると余裕たっぷりと言った感じで返答した。
「……君は頭がおかしいのか? 立場と言うものを理解していないと見える」
眉を吊り上げ、シュワルツがあくまで冷淡な調子で話す。だがその口調には明らかに今まで見せた事が無い怒りが滲んでいた。
「良いかい? 君は確か軍を抜けたそうだが、軍はいまだに君を探しているぞ。私はこう見えても、まだ軍に所属していてね」
「へぇ、そりゃあ参ったな。俺はもう軍には興味ないんだが。で、お前は何なんだ? 軍人ならなぜこんな事をする?」
全く遠慮せずにずけずけと質問し返すショウイチに、シュワルツは一瞬めまいに襲われるものの、あくまで自信に満ちた態度で返答した。
「君と言う人間は……まぁいいだろう。私は元軍人だ。あくまで表舞台では、な。この様な任務では軍人という肩書は色々と困るのでね。
軍は今すぐ大型自動人形を回収したがっている。それも実践に耐えれる物だけをだ」
その瞬間、ショウイチの顔つきがはっきりと変わった。ライフルの矛先が、シュワルツの顔に向けられている。
ショウイチの変化に気付いたシュワルツが、再び冷淡な笑みを浮かべると煽る様に話す。
「そうか。君も軍人の肩書を捨てたんだったな。で、君は何故そんな事をしているんだ?」
「質問しているのは俺だ。軍は大型自動人形で何をしようとしている? 知っているなら包み隠さず話せ」
シュワルツの額にはっきりと青筋が走る。掛けていた眼鏡を取ると、地面に叩きつけ。思いっきり力を込めて踏みつぶした
「ここまで君が慇懃無礼な人間だとは思わなかった。もっとアカデミックな話が出来ると期待したのに……非常に残念だよ。
君が私を殺した所で、もう君には大事な人間を守る事は出来ない」
153 :
tueun ◆n41r8f8dTs :2009/07/18(土) 21:02:27 ID:IIDKs2Kf
そこまで言い切り、シュワルツはゆっくりと両手を操縦桿に振り下ろした。終わりだ、せいぜい悔やむがいい。
――――突如として浮かぶ疑問。それはショウイチがこの瞬間まで、一切手を出してこない事だ。
シュワルツはショウイチが何時、感情的に反撃してもいい様に考えながら動いている。もしショウイチが激怒して手を出した時点で、例え死すとも自分の勝ちになる。
それはショウイチがシュワルツに対して精神的に屈した事になるからだ。その時を待っていたが、ショウイチは殺意を向けていれど、全く引き金を引こうとしない。奇妙だ。
まぁ良い。あの二人を殺せば、この男は私に負けた事になる。この生意気な男の顔に、永遠に拭えない泥を塗りつけてやろう。
自然にこぼれる笑顔。シュワルツは操縦桿の球体に、掌を乗せた。青白く発光する球体。
下部のレーザー砲に、ブラックキューブより供給されるエネルギーが光となって集束する。
「さようなら、愚かな弱者よ」
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!! 行っけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
レーザー砲の砲口が光った瞬間、ギーシュはそう叫びながら、黒騎士をレーザー砲に向けて放った。同時に上部に向かって限界までジャンプする。
黒騎士は吸い込まれるようにレーザー砲まで飛んでいく。構えた槍が発射寸前の砲口に突き刺さると共に、点火されたダイナマイトが――――爆発する。
ほぼギリギリで、ギーシュは上部の縁にしがみ付いた。全身の力をフルに使い、必死な形相になりながらも這い上がる。
荒げる呼吸を抑え、目の前を見据える。そこに映るは、シュワルツ、デイト。
シュワルツは首を捻った。何秒経ってもレーザー砲が発射されない。まさかここにきて不調か?
いや、整備に抜かりは無いと研究者は言っていた。動力系統も武器系統も順調に作動していたが……。
その時、視界に見覚えのある男が映った。確か炭坑場で働いている男だ。それにトニーと友人関係を築いているとも聞いた。
シュワルツとその男の目が合う。その男、ギーシュはシュワルツに対し凄ましい怒気を浮かべながら歩いて来る。シュワルツは全てを悟り、ショウイチに怒号を上げた。
「……貴様、最初からこれを!」
「これでもマジで撃ちそうな5秒前だったぜ。ホント嫌な奴だな、お前」
その瞬間、耳をつんざく様な爆発音と共に、コックピット部が激しく揺れた。シュワルツとギーシュが同時にその場で屈む。
外では黒騎士の爆発によりレーザー砲が暴発し、発射するはずだったレーザーが拡散した事で背部に巨大な穴を開けたダルナスが上下にのたうち回っている。
しばらくダルナスはそのダメージの大きさゆえに暴れると、ゆっくりと動きを止めた。
ブラックキューブ自体は破壊できていないが、機体の大部分を占める装甲が破壊された事で、ほぼダルナスは機能を停止したと言ってもいい。
「くっ、まだだ! まだ動ける!」
シュウワルツは急いで立ち上がり、操縦桿でダルナスを動かす為に走りだした。目前に操縦桿が聳えている。
「おおっと。そうはいかないんだ」
いつの間にか、シュワルツより早く操縦桿の前に佇んだショウイチが一閃、操縦桿がボトッと音を立てて上下に切れた。
ショウイチの右腕には、タウエルンがもぎ取った高周波ナイフが握られている。「顔」の上部を切り刻んだその切れ味は綺麗に操縦桿を切断した。
「ば、馬鹿な……それは人間が持てる重量じゃないんだぞ。貴様……」
「そんな事はどうでもいい。さぁ、ここからが本番だ。軍が何を企んでるか、洗いざらい吐いて貰うぞ」
ナイフを投げ捨てると、ショウイチは後ずさりするシュワルツに肩に掲げたライフルを下ろし、銃口を向ける。
シュワルツは何故ショウイチが自分を即座に殺さなかったのかがようやく理解できた。自分が知りたい情報を聞き出したかった為だ。
異様に殺意だけを滾らせて直接行動に出なかった事は、ギーシュがレーザー砲を破壊するまでの……。
突如、シュワルツが堪えていたように笑いだす。ショウイチはライフルを向けたまま、眉一つ動かさない。
「いや、失礼。ようやく実感したよ。その自動人形にしてその持ち主か。素晴らしいよ、本当に」
「そうか」
そう言いながら、ショウイチはシュワルツの股間から数o離れた所を撃ち抜いた。黒々と穴が開く。
「次に余計な事をしゃべったら、お前の男の部分を容赦無く撃ち抜く。俺の言っている意味が脅しじゃない事は分かるよな」
するとシュワルツは懐から銀色に輝くボールペンの様な筒を取り出し先端のスイッチを押した。
ショウイチがそれに気付き、シュワルツの胸ぐらを掴んだ。ドスの利いた低い声で問いただす。
「何のスイッチを入れた」
シュワルツは笑顔で返答する。その表情には最後まで勝利を確信する傲慢な自信が浮かんでいた。
「こいつの自爆スイッチだよ。この村が軽く消滅する程度には威力がある。ブラックキューブも健在だしな」
反射的にショウイチがバックステップする。シュワルツがもう片方の手に拳銃を握り、ショウイチに向ける。
「一応聞いておく。そいつはいつ爆発する?」
「せいぜい3分程度だ。それまでその男と最後の時を迎えるがいい」
今にも食って掛かろうとするギーシュをショウイチは止めた。ふらつきながら立ち上がったシュワルツが、拳銃をこめかみに押しつける。
「最後に言っておく。世界に火種を撒いた貴様を世界は決して許しはしない。地獄で待っているよ」
振り向き、ショウイチにそう告げたシュワルツは笑顔のまま、拳銃の引き金を引いた。鈍い音が響き、シュワルツが絶命した。
モニター部分に自爆するまでタイムリミットが映し出され、コックピット部が緊急事態を知らせるアラームによって赤く点滅する。
呆然とシュワルツの亡骸を見降ろしていたギーシュが、ハッとしてショウイチに叫んだ。
「ど、どうする!? ショウイチ君! あと3分しかないって!」
「参りましたね。自爆装置まで考慮してなかったです」
ライフルをその場で落とし、ショウイチは苦笑しながら両手で髪の毛を掻いた。モニターのタイムは残り2分30秒。
と、今まで静止していたタウエルンが、のっそりと立ち上がった。今までの疲れを取るように、首の駆動系を撫でる仕草は人間臭くどこかユーモラスだ。
起き上がったタウエルンに気付き、ショウイチが右手を上げた。
「タウ! 大丈夫か?」
「すこし休んだから……ってギーシュさん、何でこんな所に」
ギーシュを見、タウエルンが軽く驚く。ショウイチは構わずタウエルンに近づいた。
「タウ、寝起き直後に本当に申し訳ないんだがアレを使うぞ。何分緊急事態だ。シュワルツが自爆装置を作動させやがった」
「自爆装……自爆装置!? ど、どうしようショウイチ!」
「お前が慌ててどうする。確かにちょいと今のお前にはしんどいが、もう時間が無い。幸運にもブラックキューブがまだ動いてるからな」
タウエルンの装甲をこつんと叩いて、ショウイチがタッチパネルを引き出した。素早い手順でパネルを弾く。
「でもアレって今からやって大丈夫なの? ギーシュさん達がまだ……」
「それなら心配すんな。俺はギーシュさんと一緒に脱出するから、お前は全力でこいつを送ってやれ」
そう言い切り、ショウイチがタッチパネルを戻した。タウエルンのデュエルアイが赤から青に変わる。背部の排気口が開き、微弱な粒子が放出される。
「頼んだぞ、タウ」
そう言って、ショウイチはギーシュに脱出する様に呼びかけた。ギーシュは無言で頷き返す。
タウエルンは何も答えず、ダルナスの原動力であるコックピット部の背後の巨大なブラックキューブに一歩、二歩と歩みよる。
厳重なシェルターを無理やりこじ開け、沢山のチューブによって接続されたブラックキューブが警戒する様に激しく光り輝く。
タウエルンは動じずに足を進め、遂にブラックキューブを両手で触れた。
「大丈夫なのか? タウエルンに任せて」
緊急脱出用のポールを降りながら、ギーシュが不安げにショウイチに聞いた。ショウイチはニッといつもの笑顔で振り向いた。
「あいつには、他の自動人形には無い、あいつだけの特技がありますから。吸収と解放っていうね」
ブラックキューブに両手を触れた瞬間、タウエルンの脚部と胸部の装甲の排気口、腕部の小型ソーラキャノン、背部のブースターが一斉に展開する。
タウエルンの内部にあるブラックキューブが共鳴する様に青く輝きだすと、触れているダルナスのブラックキューブが次第に輝きを失っていく。
ダルナスのブラックキューブの輝きが無くなっていくと、タウエルンのボディが青く発光し出す。否、違う。
展開した部分から、蒼い粒子がタウエルンを纏うが如く放出されているのだ。その粒子は腕部・脚部・胸部には鎧、背部には巨大な翼の形を成形した。
やがて、完全にダルナスのブラックキューブがその輝きを失う。ただの骸になったそれは、タウエルンの鉄拳でガラガラと音を立てて崩れ去った。
タウエルンは粒子によって成形された翼を羽ばたかせると、右腕を掲げ、ダルナスの装甲を突き抜け外部へと飛びだした。
モニターのタイムリミットは残り1分。ダルナスの象徴的な部分である、蛇の頭までタウエルンは翼を羽ばたかせて上昇する。
外ではダルナスから脱出したショウイチとギーシュが、大きく姿を変えたタウエルンを真摯な眼差しで見つめていた。
「あれがタウエルン、なのか……?」
「ええ。他の自動人形からエネルギーを得る事で、通常より数倍の能力を解放する。あくまで一時的ですが」
解説しながらショウイチは思う。すまない、タウ。その機能は、お前が「アルタイル」の頃を払拭しきれない枷、なんだ……。
蛇の頭に到達し、タウエルンは腕部と脚部の鎧を消滅させる。同時に右腕部に長く巨大な両刃の剣を作りだした。
「許してくれ」
タウエルンはそう呟き、蛇の顎を腕ごと貫いた。胸部の粒子を背部に回し、翼を一層大きくしたタウエルンはそのままダルナスを引き上げる。
タウエルンの駆動系が悲鳴を上げる。だがそれは悲鳴というより、タウエルンが発する獅子の様な咆哮に聞こえた。
今まで動かなかったダルナスが、少しずつ空中へと浮上していく。
ショウイチとタウエルンの視線が重なり合う。ショウイチが頷くと、タウエルンは空中を見上げて空中へと飛翔した。
ダルナスの装甲の一部がガタガタと揺れ、地上に落ちていく。タウエルンはダルナスを掲げながら、天へと上昇し続ける。
残り時間30秒。内部では時限装置の影響か小さな爆発が起こっている。
どれ程の時間戦っていたのだろうか、すでに朝日が昇っていた。しかし雲が空を覆っている為、地上からは見えなそうだ。
背部の翼と右腕部の剣が次第に形が削れて小さくなっていく。タウエルンは充填していた粒子を全て剣と翼に回す。
ひたすら上昇し続け、朝日を真正面に捉えた瞬間、タウエルンは振りかぶる様に朝日に向かってダルナスを放り投げた。瞬間、タウエルンを支えていた粒子が全て消滅する。
タウエルンは空中で支えを失い一回転すると、地上へと落ちていく。
残り20秒か……」
腕時計を見、ショウイチは呟く。飛んでいったタウエルンとダルナスの姿は雲に隠れて見えない。
あの量を見るにダルナスのエネルギーは相当な物だとは思う。しかしそれはあくまで上昇するまでの話。もしも太陽が出ていなかったら……
「神に祈るか……久々にな」
ダルナスから吸収したエネルギーも使い切ったのか、タウエルンの腕部も脚部も動く様子が無い。
駆動部に限界が来たのか、所々に火花が散っている。しかしタウエルンのデュアルアイは停止してはいない。
その視界には、朝日の影により奇妙なシルエットを作っているダルナスが見えた。しっかりとタウエルンはその姿をデュアルアイに焼きつける。
「ソーラーキャノン……展開」
先程展開していた部分が全て収納され、入れ替わるように胸部がスライドし、ソーラーキャノンが展開する。
その目標はもうすぐ爆発するダルナスに向けてだ。ちょうど朝日が輝ける位置に。
「還るんだ……元いた場所……に……」
ギーシュとショウイチが上空を見上げる。既にダルナスの爆発から数十秒は経っている。
すると雲の隙間から、大きなパラシュートに吊られて降りてくる物体が見えた。緑色のその物体は間違いない。タウエルンだ。
その瞬間、空に眩い閃光が走り、雲を晴らすような爆発が起きる。その爆発音にギーシュとショウイチがその場にしゃがみこんだ。
二人が起き上がると、覆っていた雲が晴れて、眩しい朝日が顔を覗かせた。清々しいほどの青空が広がっている。
フラフラと風に煽られながら、タウエルンが落ちてくる。ギーシュとショウイチが急いでタウエルンの方へと駆ける。
パラシュートが被っていて蒲団が引かれている様に見れるのがシュールだ。ショウイチがパラシュートを引き上げると、タウエルンの頭が見えた。
ショウイチは屈託のない笑顔で、タウエルンに声を掛けた。
「タウ、良くやったな。やっぱすごいぜ、お前」
「僕はショウイチに言われた事をしただけだよ。……この勝利はギーシュさんやトニーさん達が掴んだ勝利さ」
「おーい! ショウイチ君! ギーシュ!」
遠方から呼びかける声がして、二人はそちらを振り向いた。トニーとマイルがこちらに駆けてくる。
「トニー!? お前、何でここに!」
「ちょっと色々あって、な」
トニーがマイルに目配りする。マイルは泣き濡らした顔を俯かせると、ギーシュに深く頭を下げた。
「お、おい。コイツはどういう事だよ」
「まぁ色々あって、な」
ギーシュ達が互いの無事に安堵しているのを横目に、ショウイチはタウエルンに備え付けられたパラシュートを取り外す。
「たく、洗うのが大変なんだぜ、これ」
「いきなりアレを使うなんて思わなかったんだもん。ホントに危なかったんだよ?」
お互い軽口を叩きながら、ショウイチとタウエルンは口に言わずとも同じ事を考えている。
眩い朝日を見上げて、ショウイチは呟いた。
「明けない夜は無い……か」
支援
「やはりあの男では無理だったか。まぁ、結果は見えていたよ」
しがわれた、しかし威圧感に満ちた声でその老人は呟いた。
汚れ一つ無い、白い軍服に身を包んだその老人は、深紅色が鮮やかなワインを一口つける。
ここはかつてシュワルツが搭乗し、トニー達の村の丘を占領していた飛行船だ。しかし今はトニーはおろかその彼が雇っていた用心棒もいない。
老人が真正面の6面にも及ぶ巨大なモニターに向けて手を振ると、モニター内の映像が一斉に消える。何を見ていたかは分からない。
「どうなさいますか?」
傍らで、髪の毛を束ねた鋭い眼光のスーツを着た女性が、老人に尋ねる。老人は再びワインを飲むと、静かに返答した。
「しばらく大型自動人形は放っておく。どちらにしろ計画は進むのだからな。それより……」
「アルタイルと誠人の行方はまだ明らかにならんのか?」
ショウイチとタウエルンがダルナス、およびシュワルツ一味を倒して1週間が経った。
あれから村に戻って来た村人達は、ショウイチとタウエルンの協力もあり、完全とは言わないまでもかつての生活を取り戻している。
その過程で認め合い、衝突しあい、そして協力し合う中で村人達と彼らは確かな絆を紡いでいった。
しかし、時は無情ながら別れの時を連れてきてしまう。今、村人達は総出で彼らに別れを告げる。
「……本当に行っちまうんだな。ずっとこの村に居てもいいんだぞ」
「そうそう、お前さえ良けりゃ今すぐ嫁さんでも」
トニーの後に続くギーシュの言葉を、クリフが頬を抓る事で食い止める。ショウイチは小さく首を振った。
「ありがとうございます、トニーさん、ギーシュさん。けど、僕の旅はまだ終われないんです。まだ僕達には、やらなきゃいけない事があるんです」
ショウイチの凛とした言葉に、トニーとギーシュは切ない表情を浮かべるものの、ショウイチを村に留める様な事は言わない。
ふと、メルティがショウイチに何かを差し出した。小さく切った封筒に、ふわふわとした物が入っている
「ちょっとした御守り。ショウイチ君がこれからも健康に旅を続けられますように」
ショウイチが封筒を開けると、可愛らしい小さな天使のぬいぐるみが付いたアクセサリーが入っていた。
ショウイチは目を瞑り、それを胸の前で握るとメルティに感謝した。メルティは柔らかな笑顔でどうもと返す。
「まぁ何だ、いつでもこの村に帰って来てくれ。どんな時でもな」
トニーがウインクしてそう言って拳を突き出した。ショウイチは照れ隠しか、少し俯くと、ゆっくりと拳を合わせる。
「ええ。また何時か、この場所で会いましょう。さよならではなく、また、何時か」
ふと妙な音が聞こえ、ショウイチはタウエルンに目を向けた。何故か背を向けている。
「……何してんだよ、お前」
「ごめん、涙が出てきて……」
「お前涙腺無いだろ」
ショウイチとタウエルンのやり取りに、村人達の間で笑いが起こる。トニーとギーシュも笑い合う。
その笑いには不思議な温かさが宿っていた。ショウイチとタウエルンも一緒に笑い合う。この一瞬を共有し合うように。
村人達に手を振りながら、トラクター形態に変形したショウイチはタウエルンに話しかける。
「結構苦戦したな。でもたまには良いだろ? こういうのも」
「苦戦ってレベルじゃなかったよ。本気でギーシュさん達が一緒に戦ってくれなかったら、多分僕達は負けてた」
「まぁ、それはそれ。上手くいったからハッピーエンドさ。細かいこたぁ……寝りゃ忘れる」
そう言い切り、ショウイチはタウエルンに寝そべった。心地良い風がショウイチの頬を撫でる。
「なぁ、タウ。お前……」
「ん?」
「いや、何でも無い」
ショウイチの心中には、シュワルツ達の事が浮かんでいた。
レフトもライトも軍に追われたと言っていた。そしてシュワルツ。奴は俺達の事を知っていた。
それだけじゃない。奴は軍部が何か企んでいることを示唆していた。最後まで、その何かについての情報を最後まで奴は吐かなかった。
それほどの事なのか? それを口外する事自体が死に繋がるほどの……。
ショウイチは起き上がると、片手で髪を掻いた。駄目だ、考える事が多すぎる。
ここは寝よう。一回頭の中をリセットしなきゃならない。次はどんな事が起きるのか、一寸先は真っ暗闇だ。
だからこそ、人生は面白い。
「タウ、次はどこに行く? 砂漠か、ジャングルか?」
「決まってるだろ、ショウイチ。畑を耕せる場所さ」
「そりゃあそうだ」
ダルナス編・終
>>148 ワームと聞くと真っ先にクロックアップとか出てくるあたり、自分はニチアサキッズタイムに毒されている……。
>メガスクイド
こんなのに襲われたら失神する自信あります
>>150 逆襲のシャアとかの戦闘シーンって脳汁出まくりますよねw
投下終了です―
支援の程、ありがとうございます。
最初の2レス、ageてしまってごめんなさいorz
ひとまず終わってみると……マイルはいら(ry
トニーを絡ませたくて出してみましたが、必要無かったですね……ホントごめんなさい
それとタウエルンの機能が自分で書いていて流石にぶっ飛びすぎてないかな…・・と今更ながら気づきました。やりすぎたかな……
愚痴っぽくなってしまいましたが、ここまでタウエルンの物語を書ききれたのは皆さんの感想があったからです。
タウエルンの変形に驚かれたり、応援して下さり本当にありがとうございました。凄く作品を書く上のモチベーションが上がりました。
最後に今このスレを見てくれているか分かりませんが、2スレ目でタウエルンを発案してくれた
>>704さん、
>>708さん、
>>711さん
最高のアイディアを提供していただき、マジで感謝します
こう書いてると終わるみたいだけど、次の構想を練ってあったりして
うわ、ミスった……
>村人達に手を振りながら、トラクター形態に変形したショウイチはタウエルンに話しかける。
は
村人達に手を振りながら、トラクター形態に変形したタウエルンにショウイチは話しかける。
の間違いです
>>159 つああああ! リロードしたらタウエルン最終回がうわああああああ!?
すみません、あやうくご迷惑をおかけしてしまうところでした……。
>ダルナス編・終
つまり続編があるかもしれなヒャッホォォォォォウ! (落ち着け)
朝日に照らされるロボっていいですよね、幻想的で。
それにしても、何の変哲もないネタレスからここまでのものが出来上がるとは……感服すると同時に、惚れてしまいます。
乙!楽しかったぜ!
さあまとめwikiに載せる作業に入るんだ
>>161 お疲れ様でしたー
一つの節目を作るって非常に大変な事だと思いますので、それだけでもまず凄いと思います
そしてその中身は自分の想像なんか遥かに超えるもので非常に楽しく読ませてもらいましたー
タウエルンの真の機能は言うなれば吸収したエネルギーの排出が翼に見えるみたいな感じでいいのかな
本当はあんまり名乗りあげしない方がいいのかなーと思って今まで言おうか迷っていたのですが
自分の思いつきで考えた設定をここまで濃いものにしていただいて本当にありがとうございました
タウエルンは間違いなく◆n41r8f8dTsさんのモノです
次の話も超楽しみにしてます、無理の無い程度に頑張ってくださいねー
さて、俺も早く書き上げないとw
明後日から忙しくなるのでそれまでには書き上げたい
フェイスオープン!
タウエルンどこまで強くなるのか・・・! ここまでトンデモだといっそ清々しい。
軍がらみで色々な新事実や今後への伏線があるようで。
どうでもいいけど旅の目的をなんか誤解してた。。。
続編にも期待してまス
>>165 名を名乗れい!
ちなみにツッコミを入れて煽った
>>705と
>>707は自ぶn(PAM!
そういえばタウエルンはこのスレで完結した作品二号(ちなみに一号は◆klsLRI0upQ氏氏の『シャドウミラージュ』です。リベジオンのほうも頑張ってください!)ですね、おめでとうございます!
果たしてV3になるのはネクソンクロガネか、スプリガンか、海上都市姫路守備隊戦記か……。
>>167 俺の名などレス抽出すればry
ちなみにシャドウミラージュ、完結してないんですよ
一話は区切りよく終わってますがあれ、いわゆるプロローグでしてw
なので完結という意味ではタウエルンが最初だと思います
そもそもあれは8章構成で全26話ぐらいの無謀な構想がありまして…(´・ω・`)
区切り付けるのにも5話ぐらい使うのが仕様だったり…ストックで既に3話までは出来てたりします
その内書こうとは思ってはいるものの現在はお蔵入り状態
まー去年の末まで書いててそれ以降、あんまり手を付けてないのですが…
設定と物語をつくるのに半年かけたりもしてるんで、愛着はあって、その内また書こうかなと思ってるのですが
今はまあ、リベジオン一区切りつけようと思います
うおぉ……皆さんレスの方、有難うございます!
やべぇ、2chやっててこれほど感動した事無かったかも知れんw
一先ずタウエルンを終わらせる事が出来て(物語上だと序章に過ぎないけど)今はホッとしてます
ただ、しばらくは構想を練って、実際に物語に起こすのはちょいちょい先にしようかなw
余裕が出来たら、名無しとして投稿したハルと○○○でも書こうかなぁ
>>168 >俺の名などレス抽出すればry
それを思いつかないのが私だ!
>8章構成で全26話
なるほど、2クールですか! 自分なんかところどころで謎の反動勢力アンサラーなんかを絡ませつつ、延々と短編を続ける予定だったりしm(ry
そういえばシャドウミラージュにも鋼機が出てますが、リベジオンと何か関係が?
>>170 混乱を招きそうなので
関係はまったく無いです
リベジオンの物語には量産機がほしいなーというのがありまして
ただ、当時新たに量産機の設定を0から考えるのは流石に辛くて
昔の設定の多くを頂いてアレンジして、転用してます(半分愛着もあり)
実はwikiにちょこっとだけ設定乗ってますがあれはほんの一部だったりも…
シャドウミラージュの世界には鋼獣も存在してたりもします
なので、シャドウミラージュとリベジオン関連性は今のところまったくありません
>>169 『ハルとデイブ』はあなたの作品だったんですか!
……『タウとショウイチ』とかあったら面白そうだなぁ、なんて思ったのは秘密です。
>>171 ナルホド了解合点承知。てっきりクウガとアギトみたいなパラレルワールド的設定だとばかり思ってました。
自分も昔書いてた作品からけっこう設定流用してますねー。てか人物の設定はほとんど流用……っていうと聞こえが悪いな……こういうのなんて言うんでしたっけ。
えーと……スターシステム?
まあいいや。
一度キャラや設定を作って、それで話を動かすと愛着湧きますもんね。それ、すごくよくわかります。
>>172 スターシステムというとスターシステムです
実際はまたあれだけの設定考えてたら年越しちゃいそうでめんどくなってというのがry
174 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/19(日) 17:37:57 ID:dln9gJOu
毎度ながら静かだな−
休日効果か−
埋めネタで面白いのが投下されてるだーよ
短いけど
多脚戦車ってロボでいい?
むしろ作者がロボだって思ってるんならOKだと思う
せっかく昨日の夜中に結構な量を書いたのに、保存する前に消えちまっただ……
……………どんまい
書き直したらまた消えましたよ……
泣いていい……
あんたは今、泣いていい……!!
そして、気が済んで、泣き止んで、落ち着いたら!
また立ち上がって書き始めるんだぜ……
同じ展開書くの辛かったら差し支えない範囲で展開かえてみるといいかもね
俺今、そうしてる
まだアイデアをまとめてる段階なんですが、ここのスレで
インフレしまくりのセカイ系厨二スーパーロボットやっても大丈夫ですか?
>>185 むしろバッチコイ
厨二病分が足りてないし
俺はそういうのを待っていた!!
188 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 15:52:51 ID:Sschd8oZ
>>185 さぁ、このスレに新たなロボットを生み出すんだ!!
>>186 厨二分・・・確かに足りてないなw
189 :
185:2009/07/20(月) 15:53:55 ID:ZP1GTqbr
おう、それじゃあ書き始めることにします。完成まで時間はかかりそうですが。
んん? 厨二ってそんなに足りてないかな?
>>189 あんまり待たせちゃ嫌だぜw
俺、物凄い厨二作品書いてるつもりで書いてたのは秘密だw
まー設定ほとんど明らかになってないから厨二成分まだ見えてないのかなー
まぁ設定はともかく、いかにもバリバリ厨二な作品はまだないと思う
姫路の人は文章が独特だけど厨二とは違うし
>>191 きさま!
ひょっとしてリベジオンだな!
このスレにまた、新しい風が吹く……
なんとか遅れを取り戻しました。
>>183-184さん、ありがとうございましたw
ぶっちゃけ自分も厨二のつもりで書いていた……
>>193 そ、そんなわけないよ!!
ぜ、絶対に違うんだからね!!
>>194 パラベラムは厨二とは違うような…
まあこれから何かあるのかもしれんが
設定が厨二なのは結構ある気がするぜ
通り越してもはやギャグになってるのもあるけど。いや、あれは狙ってるのか?
タウ・・・とかかw
まあ設定が厨二でも、魅せる事ができれば問題ないさ
今はみんな誉めてるんだぜw
>>198 そう考えると特殊な立ち位置にいるなw
立ち位置としては髭……じゃなかった、∀が一番近いのかな?>タウ
いかんな、厨二というと悪いイメージのほうが先に浮かんでしまうw
>>198 ターンエーみたいな印象が
そもそもロボットという要素自体が厨二なんだから
ロボで厨二否定したらロボモノが終わるw
>>203 最近は現実でロボットプロレスとかやれるようになってるから
厨二要素抜きにした、超リアルってか体験談?みたいなロボモノをやる事も不可能ではない
そこで雑談スレで話が上がっていた宇宙開発ストーリーをですな
宇宙開発用ロボット開発物語とか
こんばうあ
日付のかわるこのタイミングで投下しまふ
アーティファクト・レガシアム第三話
それではミュージックスタート(OP的な意味で)
・
・
・
では投下開始しまふ
運命だとか、宿命だとか、そんなものなのかもしれないね。
でも、
だから──
ARTIFACT LEGACIAM 第三話 ファーストステップ
人型の戦闘機械というものは一世紀前にはアニメーション等のフィクションの世界の住人だった。
それが宇宙時代を迎えて月面や宇宙空間での汎用作業用重機の必要性が議論され始めた時、そのフィクション世界の住人を実現させようなどと技術者たちが考えたのは当然の流れだったのかもしれない。
それをまず最初に、大真面目にプロジェクトとして立ち上げたのが日本人だったのは言うまでもないことだ。
全高7mサイズの月面作業用歩行重機から始まった人型機械の系譜、今地球の大気の中を飛ぶ戦闘用マシンは全高20m近い威容を誇る。
日本製のそれらは“センチネル”と呼ばれた。
歩哨──警戒・監視を行う番兵の意味である。
それを兵器のカテゴリーとしての名前に使ったのは欺瞞であった。
かつての自衛隊が歩兵科を普通科などと呼んだことと同じなのだ。
警戒・自衛のための、兵器ではない兵器だとアピールしたところで、それらが放つ砲弾は破壊を生み、死者を生産する。
だが、いま、その機械の兵士は課せられた任務を果たせないでいた。
「なぜ、なぜ落ちない!?」
五度目ともなれば、その言葉は悲鳴のような色を見せ始めていた霧島中尉だ。
生え抜きと呼ばれ、センチネル乗りになる為に生まれてきたと自称し、連邦平和維持軍に出向したキャリアの持ち主でもある。自衛軍でも飛び抜けた戦歴の持ち主である彼女なのだ。
その彼女が悲鳴にも似た叫び声をあげているということに、ベースのオペレーターは事態の異常さを感じとっていた。
あの男勝りの鬼中尉が、悲鳴をあげている!
もちろん彼らは戦場に身を晒しているわけではない、晒している霧島中尉の恐慌は彼らの比ではなかった。
「ミサイルもガトリングも、キャノンだって全弾命中のはずだ! はずなのに!」
それなのに目の前の金色のオブジェたちは風に吹かれた程度もダメージを受けていない。少なくともそのように彼女には見えていた。
朝鮮半島や中国東北部において地球連邦の平和維持軍として戦場に立った時はどうだったか?
少なくとも弾が当たれば敵機は損壊したし、ミサイルが当たれば大破炎上したものだ。
なのに、こいつは傷一つ付いていないように見える!
それは恐怖以外の何物でもない。
バウッ!!
本当にそんな音がしたかどうかはわからない。敵機の発砲をマシンが感知すれば、コンピューターがそのような合成音を流すのだ。
オブジェがやや弾速の遅い光弾を連続発射してきていた。
それらはセンチネルと比較すれば紙のような装甲とはいえ、JF11戦闘機を一発で粉々にする威力である。直撃はできない。
脚部のホバーを吹かし、バックパックのメインブースターから閃光を吐き出させて撫子の機体をクルリクルリと運動させ、回避していく。
三度目の回転の合間に左脇に抱える形で構えた大口径のキャノンを放つ!
命中!
しかし、着弾の煙の大きさに比べてオブジェは相変わらず悠然としたままだ。
その時、霧島はオブジェの片方が地表すれすれの所まで降下していることに気が付いた。
『何をするつもりだ』
霧島がその異常に注意を向けかけたその時、
音もなく、それが現れた。
「連邦評議会安全保障会議よりE&E迎撃指揮権限の委譲が発令されました。日本政府の承認も込みです!」
長門が声を上げたのは、磯風の宣言からジャスト20分のことだった。
「よし、これより我がSARFが状況を統括する。ユニット01と“彼”は?」
「はい! ユニット01と彼は……彼……。あっれ?」
専任オペレーターの名は吾妻と言う。通信オペレーターの長門と対になる席に座る彼女は、突然場の空気と真逆の素っ頓狂な声を上げた。
どうしたと声をかける大和に、吾妻は引きつった顔で答えるのだ。
「ユニット01、出撃……しちゃってます」
「ミサイル残弾0、キャノン残弾0、ガンポッド──残り三斉射のみ!」
「中尉殿、自分もガンポッドに残り僅かのみであります!」
部下の報告に歯噛みをしつつ、ガンポッドの斉射をかける霧島だった。しかし、それもあくまで牽制以外の用をたしてはいないのだ。
それはいい。
そう思ってから『よくはない』と思いなおす。だが、それ以上に気になるのは事実なのだ。
「あれは、一体なんなんだ」
突然音もなく飛来して、学校施設に近付いていったオブジェの片割れを蹴り飛ばした白いマシン。
校舎脇に立ったまま微動だにしないその白いマシンに、
「一体なんなんだ」
霧島は々言葉をくりかえした。
避難所となった高台の公園からもその白いマシンは見えた。
「なんだよ、あれ。またセンチネルか?」
いや…と高雄は山彦の言葉を否定する。
「あんな形のセンチネル見たことないよ。中華連邦でもPEUでもない、NOAの物でもない。全然知らないタイプだ」
「じゃあ、なんでこんなところに飛び込んできたんだよ!」
「僕にわかるわけないじゃない。それより、あれ校舎の辺りだよね……ユウちん大丈夫かな」
飛び出していったユウを追いかけようとして教師に捕まった彼らは教師達の前で正座をさせられている。
「でもよ、なんで俺達は正座で伊吹は普通に立たされてるだけなんだよ」
「マコちゃんはセンセたちに信用あるからね、やっぱ」
「納得できねェ……」
愚痴る彼は、それでもどうにかここから抜け出して、ユウを探しにいけないかと考えている。
ヒーローなんていない。
そんなことは考えるまでもないことで、当然のことのはずだ。そもそもヒーローがいるかいないかなんて議論がまずありえない。
──諦めているんだ。
そうじゃない。困った時に駆けつけてくれるヒーローなんて都合のいいものがこの世にあるわけがないという、これは“理解”だ。
──やっぱり諦めているってことなんじゃないかな。現実の前にヒーローなんていないってさ。
わざとらしくため息つくんじゃないよ。
──君も思うのかな。この世はままならぬことばかり。正直者がバカを見る。正義なんて汚い言葉、さ……だなんて。
その言い方は気に入らないな。まるでバカにしているみたいじゃないか。
──あはは、こりゃまた失敬。
……だから笑うな、余計バカにされてる気分になる。
──んで? どうなんだい?
僕だってそこまで斜に構えているつもりはないさ。正しいことは正しいことだと思ってる。間違ってるのはそういう言葉を免罪符にする人間であって、言葉が、理念が汚れてるってるわけじゃない。
──そうともさ!
大きい声を出すなよ。
──正しいことは正しいことなんだよ。それが正しいことだと信じられるのならそれを行えばいい。偽善だなんだって陰口叩かれたって、そんなもの気にすることなんてない。
そうだな、そうだけど。
──だけど?
僕は……結局どこまでいったってただの人間、ただの子供なんだ。自分の考えが絶対に正しい、絶対に間違ってない、なんて言い切れない。
自分が正しいことをやれているなんてさ、そんなに傲慢にはなれないよ。
──じゃあ……、
じゃあ?
──このまま、ずっとこのままかい? ヒーローなんていない、自分は子供だ、大人じゃない。こんな自分を必要としてくれる人なんているだろうか……そんな思いのままでいるのかい?
…………。
──君たちは不思議だね。内包する根拠のない自信と根拠のない劣等感。用意された未来を嫌悪しながら、自ら道を拓いていくことに怯えてる。ヒーローを求めていながら、ヒーローなんていないと諦めている。
悪いかよ。
──いいや。だからこそ、素晴らしい。
素晴らしい? こんなものが? こんな僕が?
──あぁ、とても素晴らしいよ。それは僕らが持ち得ないものなんだもの。
なんだろう、眩しくなってきたな。
光が、広がっていく?!
──これは君たちの言うところの運命だとか、宿命だとか、そんなものなのかもしれないね。そういう敷設されたレールの上を走らされることは君にとって、とても屈辱的で、とても不本意なことなのかもしれない。
なんだろう、世界が広がっていく。
これは、な、ん、な、ん、だ──!?
──でも、ね。
と、て、も、あ、た、た、か、い、ヒ、カ、リ ?
ソ ラ が こ ん な に も 、 近 い ! ?
──これはファーストステップに過ぎないんだ。定められた運命はこの最初の一歩だけでおしまい。引き寄せた足の二歩目が降りるその場所は、どんな預言書にも書いてなんてない。
こ わ い よ 、 こ ん な の は こ わ い !
──大丈夫、僕たちがいるよ。君には僕たちがいる。君が決める二歩目からのその先を……、
ずっと一緒に歩いていく──
「ユニット01再起動しました! ……そんな、アーティファクトエンジンの起動も確認、補機ではなく主機が動いています!」
吾妻の報告に大和と信濃が顔を見合わせる。
「おい、大和──」
「見つかったのか、継承者が?!」
吾妻の報告は続く。
「56000、58000……61000! エンジンの出力はまだ上昇してています! 信じられません、今までは試験場ででさえ主機関を完璧に制御できたことなんてなかったのに!」
軽くそれまでの五倍をこえるエネルギー量に吾妻・長門といったオペレーターは驚きを隠せないようだったが、それらは大和たちも同様というわけではない。
かれらの驚きは“それ”が意味することの方により多くを割いていたのだ。
「すごい──!」
僕は空を飛んでいた。
黒猫との邂逅、白いマシンの出現、若干の意識の空白の後に僕の目の前に広がっているのは──空!
しばしの感動の後、僕は咳払いに我にかえった。
見たことのない座席、計器。空を飛んでいるように感じたのは取り囲む壁面が総てモニター画面であったからのようだ。
「うわっ、なんだよこれっ」
「わざとらしいよ」
バレバレのようだ。振り返るとさっきの黒猫が僕が座る座席の後ろにチョコンと座っている。
猫用の座席なんだろうか? スフィンクスのような座り方でカプセルのような座席に座っているんだ。
人間と猫で乗り込む複座式の乗り物……ロボットか、これ、あの白いマシンの操縦席か?!
「ご名答」
また思考を読まれたらしい。
「君と僕とが乗り込むことで、レガシアムはその力を発揮できるんだ。喜んでいるよ、レガシアムは」
コンソールで隠れて見えない所や背後の状況は手元の小さなモニターや、正面にウインドウを開いて投射されるらしい。
らしいっていうのは『見たい』と考えた瞬間そのようになったからだ。
「神経電位接続。君の動きたいって思考や見たいっていう思考がダイレクトに伝わる。基本動作はそれだけで十分なんだよ」
なるほど。じゃ基本じゃない動作はどうするんだ?
黒猫がため息をついた。
「ちゃんと喋りなよ。その口は何の為についているんだい?」
「しゃべらなくても考えたことを読めるんだろ? じゃあわざわざ口に出さなくたっていいじゃないか」
黒猫はムーとうなった。
あぁ、あれなら僕にもわかる。「あー言えばこう言う」とでも思っているんだろう。
「ご明察」
ほぉら見ろ。
「なんなんだろね。君って順応性高すぎだよ」
「そうかな?」
そうともさと黒猫。
「普通さ、いきなり猫が喋って、見知らぬロボットが現れて、あれよあれよの内に乗り込まされたら──何で僕が! 化け物! 助けて! ここから出して!──とかなるもんじゃないかな」
僕はゆっくり返事をすることにした。
「君が喋ったことにならもう驚いたじゃん。さっき」
「…………一回驚き終わったんだから、もう驚く必要はないってのかい?」
「そりゃあまだ驚いているけどさ。でも驚こうが、慌てようが喋っているものは喋っているわけだし、乗っているもんは乗っているんだからしょうがないんじゃないかな」
心底呆れたように黒猫はため息をついた。
だけど、そのため息に少しだけ嬉しそうな色が忍んでいるように聞こえたのは気のせいだろうか。
その時、操縦席にけたたましい音が響き始めた。
「何だこれ?!」
「うぉっとおっ!!」
急な動きに頭をヘッドレストにぶつける。ロボットが急な方向転換をしたようだ。
これに比べればジェットコースターの方がまだましだ!
「当たり前だろ!」
黒猫が叫ぶ。
「下手をうてば死んじまうジェットコースターさ、ただ走るだけじゃなくってゴキゲンなお友達が襲ってくるんだからね!」
全天周のモニターには金色の花瓶が二つ、左右から迫ってくるのが写っている。
両方とも黄色い枠線で囲まれていた。危険だか敵だかを示す表示なんだろう。
「呑気にかまえてる場合じゃないだろっ!」
「それはそうだけどさっ!」
操縦桿を握り、足元のペダルに足を置く。
「操縦方法なんてわかんないんだよ、僕はッ!」
まずは何とか上昇して距離をとらなきゃ──!
そう考えた時、モニターの向こう側の風景が一変したのを僕は見た。
コンソールの計器表示が激しく動く、正面モニターの高度計らしい表示が一気に数百上昇していく!
モニターに写る流れていく風景と高度計の表示がとてつもない加速がかかっていることを示している。だけど、
「ほとんどGを感じない!!」
感動を口にしながらあらためてコンソールを見回していく。
速度計、高度計、方角表示、機外環境、バランスチェック……わかる、理解できる。
「基本動作は考えるだけでいいんだよね? 飛んだり跳ねたり走ったりするのも…」
「できる。細かい所は僕が補助していくから思うようにしていけばいい!」
目でモニターの中の黄色い点を追う。高度4000、花瓶たちとの距離は2800。速度はこっちの方が優勢なのか?
このまま逃げちゃってもいいだろうか。ふと思いつく。この速度なら振り切れる。
だけど、
「片方が離脱したね」
花瓶の片割れの予測進路から大きく離れた。片割れに僕を任せて自分は別方向へと向かっていく。
その向かう先は学校?
「いや、進路…速度…これは──」
学校の裏の緑地帯、丘の上の公園? みんなのいる避難所?!
「あいつら、なにをしようっていうんだよ」
「わからない。僕にだってアレが何者なのか、何を目的としているのか、そのほとんどが」
「わかっていることは?」
「アレが世界に、人々に、僕たちにとって災厄そのものだっていうこと」
「それはつまり」
「“敵”だっていうことさ」
頭の中で念じる。オートバランサー、マシンコントロール、チェック。
水平面に対してロボットが機体姿勢を平行に整えてくれた。
「大丈夫だ。これ、マンマシーンインターフェイスが特殊なだけで基本概念はEVA(船外活動)と同じなんだ。操縦系だって母さんのパソコンで見た宙間作業用ロボットマニピュレーターとそうは変わらない」
フフンと黒猫が笑う。
「やれるかい? 怖くないかい? コンピューターゲームやシュミレーションとは違うんだよ?」
乗せておいてよく言うよって言葉は喉の奥に飲み込んで──どうせ伝わっているにしてもだ──僕は改めて操縦桿を握り締める。
「怖いよ、怖いに決まってるだろ。こんなわけのわからないことに付き合わされてさ」
黒猫の奴は、じゃあどうして? なんて白々しいことを言う。
「怖くたってさ、怖いからってさ、だからってじっとしているのはもっと怖いんだよ!」
上昇する機体に制動をかける。若干の体が浮く感触──感じた時にはもうベルト上の物体が僕の体をシートに固定していた。
「細かい補助は君がやってくれるんだよね。回避運動頼む!」
機体の姿勢を前傾気味に傾けて念じる。僕はロボット──レガシアムを一気に急降下させる!
「おほっ!」
笑い声なのか悲鳴なのか、わからないような声があがったけれど、知らんぷりだ。
装備の一覧を展開しろ……いや、即可動可能な装備の一覧を前面モニターに展開しろ!
コマンドはすぐに実行される。モニターに浮かんだウインドウに表示が現れた。
その横ではみるみるうちに点が丸になり、細長い花瓶の形が視認できるようになってくる。
同時にオレンジの光の弾丸も次々と飛んでくるようになってきた。
「グラビティフォースフィールドと射出式ワイヤーアンカー……だけ?」
ワイヤーアンカーってのはわかるけど、グラビティフォースフィールドってのはなんだ?
「アーティファクトエンジンが生み出す時空の歪み──重力波で力場を形成して防護フィールドとする装備のことだよ」
そういう便利なものがあるなら先に教えてもらいたいもんだ。
口には出さない。出すよりも出さない方が嫌味っぽいだろう。どうせ出さなくても伝わるし。
「ぶう」
どんなもんだ!
などと得意気になってるヒマはない。相対距離が800を切ったところで減速をかけ、300を表示した瞬間に僕は右腕のワイヤーアンカーを花瓶に向けて打った。
ガチン、などと音がしたかどうかはわからない。だけど命中したアンカーはまさにそんな音を響かせたように跳ね返されてしまった。
突き刺さりもしないで跳ね返されるって、なんだあれ?!
「向こうも防護フィールドを持っているんだよ。こっちとは違って外皮にあたる部分の──」
返事を待たずにもう一回加速をかける。
「君?!」
至近距離でも黒猫は花瓶の撃った弾を避けてくれた。初撃はかわし、二射目はそのなんたらフィールドで受け止め、三発目を避ける。
バランスコントロールをもう一度、頭を上にして足を地上に向けて、さらにブースト。
衝撃は次の瞬間に来た。ズシンという衝撃がコクピットを揺らす。同時に僕はロボットに命令を発していた。
「踏み台にしてジャンプだ!」
作戦は成功だ。一気に飛び掛って蹴り飛ばし、踏み台にしてさらに加速をつけて公園に向かう花瓶の方へ取り付く。狙いは完璧。
「次はどうしたらいい?」
今度はちゃんと口にして聞いてやる。
武器はワイヤーアンカーだけ。それはバリアー付きの皮に阻まれて役に立たない。ならどうやって戦えばいい?
「戦うつもりだったんだ」
あたりまえだと言っておこう。
「怖いって言っただろ」
「怖いのに逃げないんだ?」
そうさ。
「もし逃げ出したら、その後ろには何がある。僕は何を背にして逃げ出すことになってしまう?」
街を、学校を、家を、、
友達を、家族を、大事なものを、
「僕は置いていくことになっちゃうんだよ」
だから──
追ってきた花瓶を踏み台代わりに蹴飛ばした反動にブーストをかけることで更に加速をつける。離脱した方の花瓶に追いつくのはあっという間だった。
振り返る隙など与えない!
その勢いのまま、僕は花瓶をおもいっきり蹴り飛ばした。
「くそ……」
黒猫が悪態をつく。思ったほど花瓶は吹き飛びはしなかった。ブレーキをかけたようにギッと400m程の距離で急停止する。
背後からはもう一方の方がゆっくりと降下してきていた。
「どうすればいい?」
「手持ちの武装じゃあいつらのバリアは抜けない。あっちの武器だってこちらのバリアは抜けないだろうけど」
そうなの? と聞くとそうだよと黒猫。
でも避けられる分は避けないとね。バリアだってタダじゃないんだしだなんて貧乏臭いことをつぶやく。
しえんなんてしてやらない
「手持ちの武器でダメだったならどうすんのさ」
「そりゃあもちろん」
あぁこいつ、今……笑っているな。前を向いてる僕に後ろの黒猫の表情はわからない。だけどそれがわかる。
「必殺技を、使うのさ」
気が付いた時、一番最初に目に映ったのは白い天井だった。
続いて目に入ってきたのは……、
「お兄ちゃん!」
千歳の泣き顔だった。
「優作が目をさましたぞぉーッ!!」
あぁ、あれは山彦の声だ。
周りが急に騒がしくなってくる。足音と声とそれらが部屋を満たしていく。
「ユウちん、このまま目を覚まさないかと思ったよう」
「ハッ、ユウだったら放っておいたってくたばりゃしねぇよ」
高雄と山彦がじゃれている、声。
高雄が僕の顔をのぞきこんでいる。
「こんなこと言ってるけどさ、山彦ってばユウちんを探してくるってセンセぶん殴って校舎まで走っていったんだよ!」
「バッカ! 言うなって言っただろ!!」
「だから三日間の停学け・っ・て・い☆」
ドタバタと相変わらず騒がしい二人に僕も笑う。そうか、僕は帰ってきたのか。
「ちょっと貴方達、静かにしなさいよ」
伊吹もいる。
バタンと音がして扉が開くと、
「ここは病院です。他に入院されてる患者さんもいるのだから静かにしてください!」
看護婦さんに叱られた。
「すいません」ってみんなで謝る。扉がしまる。そしてみんなでもう一度笑った。
「千歳ちゃんってばさ、学校抜け出して大学の講義を受けに行ってたんだってよ」
「うん。東北大の内村教授がいらっしゃってて……。あそこのロボティクスは日本じゃ随一だからどうしても聞いておきたくって」
よかった──心の底から言葉がこぼれた。その言葉に千歳はまた涙を流している。
「ごめんね、ごめんね。お兄ちゃん、ごめんね」
僕は自然に千歳の頭を撫でる。本当によかった。千歳が無事で本当によかった。
「不破君も後先考えずに突っ込んでいくから、みんなに心配かけたんだからね」
少しキツイ調子の伊吹の声。
「でも、ケガもなくって……本当に良かった」
うん、と素直に頷けた。
「山彦も高雄も、伊吹さんも心配かけてごめん」
──自分が必要とされてるかどうか不安だなんてさ、必要とされてるじゃん。しっかりとさ。
不意に頭の中に響いた言葉にあたりを見回す。
“彼”は枕元のすぐそばに、いた。
「あぁ、そいつさ、倒れてたユウのすぐ側にいてよ」
「何しようとどうしようとユウちんから離れようとしなかったんだよね」
「で、しょうがないから連れてきたの。手がつけられなくて看護婦さんもしょうがないねって許可してくれて」
「お兄ちゃんを守ってくれてるつもりなのかな」
それは白いカーテンに映える、ビロードの艶をまとった──黒猫。
夢じゃなかったのか?!
絶句する僕に、“彼”は──
──今後とも、ヨロシクね、ユウ。
僕にだけわかるように、涼やかに、笑った。
■次回予告■
病院のベッドでユウは思う
初めての体験なのに、懐かしさを感じたあの戦いを
黒猫のいざないは彼を何処に連れて行くのか?
自分をとりまく状況を咀嚼して理解する時間さえ与えられず、
ユウは再びレガシアムへと導かれる
運命なのか、それともこれはユウ自身の選択か?
次回 アーティファクト・レガシアム
バタフライ・ドリーム
第三回です。あまり時間をかけられなかったもので完成度低いかも?
人物設定を少し
・不破優作
主人公。16歳の高校二年生。
宇宙開発におけるテラフォーミングの専門家である父と、ロボティクス技術の第一人者である母を持つ。本人自身は秀でた技能を持つわけではない普通の学生。
性格は穏やかで人当たりもいい。普通科だが、両親の影響かロボット工学に詳しい──が、あくまで興味のない人と比べてちょっと詳しい程度。
冷静で、おかれた環境にすぐ適応できるリーダータイプだが、興味のあること以外にはものぐさで自分から動くことは少ない。
妹の不破千歳に兄としての義務感を強く持つと同時にある種の劣等感を持ってる。
・文月山彦
優作の親友。調子のいい性格でなによりも女の子好きでナンパ好き──めったに成功しないが。
天才少女として知られている不破千歳とも普通に接することができるいい奴。
ノリは軽いが熱血漢。
・高雄道行
優作の親友。軍事マニアでなによりもメカを愛する眼鏡。仲良し三人組み。
大体は高雄がイタズラなりを計画し、山彦が率先して行動しようとし、優作が指揮を執るか止めるかする。
基本的にボケの山彦が唯一ツッコミにまわれる存在。
さて次回はどうなることでしょう(自分で言うな
一期全26話完結を目指してがんばります(予定
>>215 いやん、ツ・ン・デ・レ☆
ていうか、トリップ間違えて使ってますが、第一話・二話を落としたのと同じモンです
いくつも使うもんじゃないだわさ。反省反省
では、また
>>217 5倍のエネルギーにニヤリときてしまった第三話
主人公の友人達の設定を見たら、なんだかエヴァを思い出しましたw
……それにしても、引き込まれるなぁ、実にいい。
220 :
tueun:2009/07/21(火) 10:56:55 ID:nGBROLY+
御事情で酉無し。まさか規制とは……orz
>>218 相変わらず面白くて困る
主人公機の覚醒ってシチュエーションはストレートに燃えますね!どんな必殺技が出たのか気になる…
ぬこと一緒に戦うってのでサイバスターを思い出しました
221 :
tueun:2009/07/21(火) 11:00:06 ID:nGBROLY+
あ、それとまとめサイトを更新していただいた方、ありがとうございます
よし、前スレがやっと埋まったな
あ、本当だ。
wikiの人、毎回ご苦労様です。
そういえばwikiの人は酉付けないんで?
さて、ようやく前スレが埋まったぞ!
まー無理に酉つける必要もないでしょ
俺も投稿時以外は付けない様にしてますし
>前スレのCRの声優の奴
潤也に櫻井は結構ぴったりかもしれない
ハセヲ的要素は結構ある予定なので
猫なんかに騙される俺じゃないぜ!!
あー妹可愛いな妹出番増えないかな妹
金田伊功死亡って……マジかよ……orz
一瞬何処の誤爆かと思ったぞw
ふと各作者さんがいるか点呼取りたい気分
>>226 日本の名アニメーターがまた1人……
お悔やみ申し上げます
>>227 いますです
タウエルンが一段落ついたんで、今は全く別の話書いてます。取りあえず1話が出来たら投下しようかな
タウエルンって全部で何文字くらいになったん?
>>230 3の動き出す・前篇のデータが紛失してしまったので、それを抜かすと…
スペース込みだと68657文字
スペース無しだと64636文字ですね
軽く見返すと設定忘れや誤字脱字が酷い事酷い事
>>226 なんと、知らなかった……
ご冥福を、お祈りいたします
>>227 ここにいるぞー!
さて……他の方の声のイメージが気になったり
声かーせっかくのネた振りだけれども、こればっかりは分かんないなー
ご想像にお任せしますっ
スプリガンだけはまあ、勇者シリーズの主役格ロボみたいな感じ?くらいは言えるけど
>>227 いますよー。
>>229 遅れましたが、タウエルン完結おめでとうございます。次の話も楽しみにしてます。
いますた
面白いとか言ってもらえると元気がわいてくるよね!
続き書こうって気になるよね!!
ありがたいことでごぜぇます(´;ω;)
>>234 ありがとうございます。まぁ、しばらくタウエルンはお休みでw
さて、次の話ですがちょっと趣向を変えて
一昔前のアナログな人形劇を思わせるアニメを、彼女は瞬き一つせず見続けている。何が面白いかは分からないが、彼女にとっては愉快なのだろう。
私のトレードマークである黒いコートを羽織る。台所に向かって指を鳴らすと、私が帰ってくるまで一通り料理を作っておいてくれる。
それにしても……なんて良い時代だろう。簡単な動作でありとあらゆる事が労なくこなせる。
一部の学者がこのままでは人間は退化すると唱えていたが、私はそうは思わない。結構な事じゃないか。
つまらない事に時間を掛けず、人生やら家族やら哲学的な事に頭を使う事が出来る。むしろ進化しているのではないかと。
おっと、出かける前に彼女に声を掛けるのを忘れていた。玄関から出る間際に、私は未だに無表情のまま、ホログラムテレビを見つめる彼女に告げる。
「行ってくるよ、ティマ」
LOST GORL
今日も無事に仕事を終わらした。一息吐いて、私はナビゲーションに自宅を設定し、決定ボタンを押す。愛車は私の指示を理解し、自宅に向けて自動運転で走り出す。
ゆったりと運転席を90度まで下ろして、仰向けになり依頼人の情報を保存したデータフォンを起動させた。
モニターを触ると、淡く発光して企業名のロゴが出てきた後、依頼人のデータが一斉に羅列する。
モニターを指で下ろし今回の依頼人についての詳細を読みながら、帰る間際のちょっとした物思いに耽る。
何時頃からか……社会は、人々は心の充足を、ロボットに埋めてもらうようになった。それは家族のいない老人からペットが欲しい子供、無論性的欲求をも含めて。
しかしそれで人々が常に幸福かと言えば、そうではない。未だに殺人事件は新聞欄を賑わらせ、心の拠り所の無い人々が多いからか風俗店が消える事も無い。
ロボットとは何か。それはあくまで代用品だ。心という空き箱を埋める為の寂しい空箱。そこには重さも温かみも無い、スペースを埋める為だけの空箱。
私の職業はその空箱を補修、修理する、言わば修理士だ。依頼があれば千差万別、ロボットであれば種類は問わず、何時でも駆けつけて修理する。
数十年丁寧にこなしてきたのが実を結んだのか。私の元には常に途切れなく依頼が舞い込んでくる。自慢であるが、同業者の中ではかなりの上位に入る。
だが、私自身それが功績だとは思っていない。正直に言うと、この仕事は好きでやっている訳ではないのだ。
若い頃に子供の頃の夢であるカメラマンを目指していたが、病気により体を壊した両親を経済的に支える為に嫌々、この仕事を選んだのである。
理由は簡単。この仕事は多かれ少なかれ、修理という目的さえ果たせれば報酬を得る事が出来る。言うなれば。着実に仕事をこなせていけば、安定した収入が望める為だ。
無論同業者同士で争いは起こるのだが、私は運が良いのか先ほど言った通り、毎回仕事にありつく事が出来る。
需要が激しいのか毎年毎年、大量の新型ロボットが企業から売り出され、利用者が故障させる。それも一日に一人ないし二人三人……。
かつてこの技術を学んだ師の言葉が、長年働いている今ようやく理解できる。
――――この仕事に終わりはない。人々がロボットを求める限り、我々は仕事を得る事が出来る。
さっきの空箱の例えからして、私はロボットが嫌いまではいかずとも好きにもなれない。
ロボットという存在が小さい頃からどうにも苦手なのだ。心が通っていないのに、どうして皆ロボット何かを必要とするんだろうと子供心に疑問符を浮かべていた。
多分両親がバリバリの自然主義……というか極端なアナログ思考なのが遺伝したからだと思う。二人とも潔癖なほどロボットが嫌いだからだ。
だがその子供がよりによってロボットを修理する仕事に就くとは皮肉というかなんというか。
だけど私自身、この仕事に長く勤めていても、介護用を除いて、ロボットに愛着を持ったり、心の支えにしたい等という考えを理解する事が無いのに変わりはなかった。
いや、無かったはずなのだ。――――彼女、ティマに出会うまでは。
愛車が停車し、自宅に着いた事を知らせてくれる。背伸びをして運転席を起こす。
今日の依頼人は確か可愛がっていたロボペット……確かゴールデンレトリバーか。
その犬が突如動かなくなったという、一人暮らしの老人だった。性別は男。なかなか高級な住宅街に住んでいた。原因は単純な電子回路のショート。すぐに終わった。
あーいう所に住んでる人って大抵如何にもな上流家庭とかが多くて、老人が一人で住んでいるってのは珍しい。まぁ依頼人の事情は踏み込むなかれ。得てして知らぬだ。
ナビゲーションでいつもの駐車場を検索し、自動運転でその場所まで向かわせる。自宅から数分程度の場所に駐車場があってよかった。
さて、我が家に帰りましょうか。愛車から取り出した、仕事道具が詰まったトランクケースを引き上げて歩き出す。
ふと、鼻にぽつぽつと冷たい水の感触が奔る。空を見上げると、いつの間にか灰色の雲が一面に広がってきて、そして……。
あぁ、参った。かなり強い雨が降り出してきてしまった。トランクケースから折りたたみ傘を出して広げる。
一層強くなる雨に心で舌を打ちながら、私は自宅へ帰る間、自宅で待つ正体不明のアンドロイド、ティマについてぼんやりと思いだす。
二週間前くらいか、私が彼女を見つけたのは。傘が微妙に必要なくらいの小雨が降っている夜。
家路に向かう間際の路地裏のゴミ捨て場で、ぐったりと裸の彼女は他のゴミ袋に紛れて倒れていた。その時の光景は今思い返しても酷い物だった。
彼女の部位の内、右腕と両足は形を成しておらず、内部の電子回路と人間で例えるなら骨となる補助用マニピュレーターが痛々しいほどに露出していたのだ。
しかし奇跡的に動体と頭、それに左腕は全くと言っていいほど損傷が見受けられい。欠損した部分さえ取り換えればすぐに動く事が出来るだろう。
私はこの時点では、目の前の彼女に対し、特に何の感情も抱いてはいなかった。
正直この手のジャンク寸前のアンドロイドなど、珍しくも何ともない。少し物騒な繁華街を歩けば、幾らでも転がっているものだ。
ロボット三原則を好きなだけ曲解した連中が、裏で仕入れたアンドロイドを好き勝手に利用する。新聞が社会問題と囃し立てているのを私は一笑する。
ロボットと人間の関係を壊す禍々しい事件! だの ロボット三原則を踏み躙る最低な行為! だの。人を食い物にする連中が何をぬかすか。
そんな訳で嫌な物を見た、早く帰ってシャワーを浴びようと私は家路へと向かおうとした。だが。
私は妙に彼女の事が気になった。家路に向かう足を止め、もう一度彼女の姿を見つめてみる。
彼女はじっと目を瞑っていた。その肌はアンドロイドらしく病的なまでに白くて、セールスポイントであろう鮮やかな金髪がべったりと濡れている。
胴体部分は利用者のニーズに合わせてか、お世辞にも豊かとはいえない胸と肋骨が若干見えるほどガリガリなお腹。
間違いない、この子を求めてるのは変態だ。それもドが付く。
残っている左腕の細さと、各々の特徴から考えて愛玩用か……正直考えたくない。何にせよ、不幸なアンドロイドって事だけは確かだ。
思えば、仕事で繁華街というか、危ない所を行けばこういうのってしょっちゅう見るけどウチの近くで見るのは初めてな気がする。治安が良い場所に住んでるとは思ってないけど、堂々とゴミ捨て場でアンドロイドを捨てる無神経な奴が近くにいると思うと吐き気がする。
だけどなんとなく、このアンドロイドをここに放置しておくのが気が引けるというか。一応このままにしとけば市の人が勝手に片付けてくれる。
でも……どうしようかな。なんか腑に落ちない。捨てるにしても、こんな場所にわざわざゴミと一緒に捨てるなんて馬鹿としか思えない。
殆どザル法だが、アンドロイド及びロボットを不法投棄すると、法で罰せられるからだ。このゴミ捨て場にはロボットを捨てていいなんて一言も書いちゃいない。
さっきの社会問題にはこの件も入っていて、人里つかない場所にアンドロイドも含めたロボットが不法投棄されている事が問題となっている。
だがまぁ、裏で入手するような輩には法なんて関係ない訳で。しかしこんなあからさまな場所で捨てるかぁ? 幾らなんでも。
考えれば考えるほど、このアンドロイドが分からなくなってきた。君子危うきに近よらずって言うしこのまま帰るか……。
しかしまじまじと見つめていると、私は不思議にこのアンドロイドが気になってきた。
今までの長い経験上、この様なタイプを見た覚えが無い。単に私が若くして物覚えが悪いだけかもしれないが。
それにしても綺麗だ。猟奇的な光景ではあるけど、本物の女の子が眠っているかのようだ。当り前の事だが、アンドロイドは人間と寸分無く出来ている。
一応直ぐに人と見分けるポイントはあるのだが、一見すると私の様な職業柄でも無い限り、コロリと騙されてしまうと思う。それも社会問題になっているのだが、またの別の話。
気づけばアンドロイドに気を取られて早や30分経っていた。既に小雨が止んでいて、全くと言っていいほど星空が見えない。
……どうせ一人身だし、ワーカーホリックな為趣味と言える物も無し。特に面白みのないTVプログラムを酒を煽りながら過ごす日々。
近所は都会らしく個人主義。関わろうとする人もいないし、私も煩わしいから関わる気も無い。
かといってロボットを生活のパートナーにしようなどと考え……考え……。
気づけば私はデータフォンで愛車を呼び出し、アンドロイドを連れ込んで自宅に帰っていた。
他人のゴミを持ちかえる事は法的にも人間的にも許容されるとは思えないが、持ち主不明のアンドロイドなど誰も気に留めはしないだろう。
愛車が自宅に着き、私は一応人目を気にしながらアンドロイドを連れ込む。向かうは自宅地下のガレージだ。
しかし今思い返しても、なぜ私がこの様な行為に思い切ったかは思い出せない。それほど興味が湧いたのかもしれない。
基本は出張だが、一応遠方からの依頼も引き受けている為このガレージを使う事がある。それほど使用頻度は多くない。
コートをそこらへんに脱ぎ捨てる。ボタンを押すと、収納された人型アンドロイドを修理する為の専用台を起き上がった。
台にアンドロイドを乗せ、特別製の作業用ゴーグルを掛けてどんな状態なのか、既存のパーツで間に合うかを確かめる。損傷個所にズームするとどれだけ酷い状態なのかが分かる。
乱暴に引きちぎられたのか、補助用マニュピレーターが荒々しい切断されており、足の動きを制御する電子回路がショートしきっている。
これだけの事をしてなおかつゴミ捨て場に捨てるとは、前の持ち主はよっぽどの異常者だったと見える。良心の呵責の欠片も無いんだろう。
幸いにも目新しいパーツは無く、私の知っている範囲で欠損した部位を直す事が出来そうだ。
もしも欠損した部分が新規パーツだった場合、直す事は出来ても作る事が出来ない私にはもうお手上げだからね。
流石にこれから修理する気力も、パーツを取り寄せる事も出来ない。明日、仕事の間際に馴染みの業者にパーツを注文しよう。
その前にしておかねばならない事がある。このアンドロイドのデータチップから情報を取りださねばならない。
アンドロイドの頭部にはデータチップと呼ばれる開発者・製造工場のライセンス情報が事細やかに刻まれた部品がある。
修理士は依頼を受ける前に、データチップを依頼主から受け取らなければいけない。それが正規の商品かを知るためだ。
依頼主が拒否したり、少しでも怪しい所があれば直に警察沙汰となる。一見理不尽な様だがそれが法律だから仕方ない。
頭部の額に触れながら、チップを引き出す為のスイッチに触れる。前髪を上げると、若干凸凹を感じ、その部分を軽く押しだす。
すると額から縦横5センチ程度の小さなチップが自動的に出てきた。これがデータチップだ。懐からデータフォンを取り出し、チップを専用の接続口に挿入する。
これでこの正体不明のアンドロイドの素性が分かるはずだ。どこかの悪趣味な道楽者が利用した愛玩用のアンドロイドか、それとも……。
ところが何時まで経ってもモニターに情報が羅列されない。やはり、か。正規の、というか企業以外が作った違法のアンドロイドな場合、こういう事態に陥る。
しかしだ。そういったデータチップの場合、私のデータフォンは認識不能という警告メッセージを出して直ぐにチップを吐きだすのだが全く反応が無い。
モニターは真っ暗なまま。不思議だ。まさかデータフォンが不調なのか? 試しにリセットし、チップを強制的に取り出そうとした手前。
突如、モニターに奇妙な文字が浮き出てきた。私は驚き、目を丸くする。
文字は日本語だったり英語だったり、また見た事のない言語であったり良く分からない。
するとだ、その文字は点滅したり、上下に跳ねたりとまるで生物のようにモニター上で動き出した。
こんな事象は初めてだ。データチップはあくまで情報を記す為の部分であり、ウイルスやバグが発生するなんて聞いた事が無い。
何秒くらいしただろうか、その文字は次第に中央に集まっていくと、わらわらと群がりだし、やがてある言葉となった。
その言葉は、Teima。それだけを表示すると、言葉、いや文字は波が引く様にサーッと消えていった。
データフォンがチップを吐きだす。私は恐る恐るチップを取り出し、じっと眺めてみた。特に変わった所は見えないが……何なのだろう、このアンドロイドは。
あるべき情報が何も無く、かといって違法に作られた訳でもない。しかしだ。その代わり、通常では考えられない事象を引き起こした。
私は思う。これはとんでもない物を拾ってしまったのではないかと。こいつはめんどくさい事になるんじゃないかと。
そうだ、一つだけ分かっている事がある。このアンドロイドの名前だ。
Teimaだから……ティマとでも名付ける事にしよう。
続く
投下終了です
何気にタイトルが分かりにくいけど、LOST GORLです
これはちょっとだけ新境地って感じやね
タイトルと名前が何かの伏線になっていると見た
そういえばタイトルスペルミスじゃないよね?
244 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/24(金) 08:37:06 ID:nKBPyoo7
>>232-233 ガ−ルの綴りがミスってるのは一応今後の展開を示唆してます。結構重要かも?
(言えない・・・素でスペルミスして慌て設定を変えたなんて・・・)
ふぅ、MGエクシアを作って弄んでいたらこんな時間に……
>>241 これがタウさんの新作か。新しい……惹かれるな……
まさかアンドロイドものとは思いませんでした
今後の展開にドキワクですw
……企業名のロゴで真っ先にトーラスが出てきたあたり、私は汚染されている
>>225 そんなに妹が好きか−−−−っ!!
あなたがSSを書く力を守ってこられたのは、可愛い妹を書くという誇りがあったからでしょう!
その誇りをくれたのが妹なら、 奪ったのも妹なのだ!
労いの言葉一つ無く嫁にいったんだよ!
そんな妹の為に戦う貴様などに、 この私は倒せん!
妹かぁ……あぁ、可愛い妹型アンドロイドが織りなすどたばたコメディってのを書けばよかった。シスターズさんとダブるけど
プロット書いてみると異様に重くてタウエルン以上に書ける気がしないw
アンドロイドモノ・・・・だと・・・gkbr
重い、だと……!?
鬱ですか! 鬱々真っ盛りなんですか!?
あ、ちなみに自分は姉h(ry
なんだかんだでロボットが絡めば結構どんな話でもおkな感じだよなw
誰か、誰か生存者はいますかーっ!?
リベジオン大変遅れて申し訳ない
現在シナリオ大幅修正して、8割書き上げた所ぐらいです
最後の締めをどういう文章にしようか考え中
大体、6000字いくかいかないかぐらいの内容になると思う
今part2書いてるんだけど頓挫しててワロタww悪いのは俺じゃない……夏の暑さが悪いんだ!
>>248 重いのも鬱なのも結構。こういう話は大好きですよ。
絶望的に話が全然進まない。フロントミッション5を四周して現在五周目に突入してるのが最大の原因なんだけど……
ネクソンクロガネとのクロスは必ずやるとして、書くかどうか未定ですが少女機甲録との短編クロスオーバーを妄想してます。
初の実戦となる第四中隊。戦闘が始まる直前、清水静を隊長とする海上都市姫路守備隊重歩兵小隊10人が召喚。
協力してワームと戦う話。
海を渡り侵攻してきたワームの大軍勢。主力艦隊が迎撃に向かうが間に合わない。
上陸されれば日本は滅びる。その時、ワームの進路に立ちはだかるように北海道沖に姿を現した海上都市「姫路」。
正統日本の海上都市の中で最も貧弱な防衛力しかない「姫路」はワームの大軍勢相手にどこまで戦えるのか、という話。
いつものように現実と全く変わらない仮想空間で実戦同然の訓練を始めた清水静。
だが、その日の仮想空間は妙であった。それは相手である第四中隊にとっても同じだった。
仮想空間で交差する二つの世界。違和感を感じながらも戦う男と少女達。
勝利するのは静か、第四中隊か。「異 仮想戦闘記録」の三つ。
自分のとこも駄目駄目ですね……なんで自分の部屋にだけクーラーが無いんだ!
妹のとこにも弟のとこにもあるのにorz
257 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 21:44:36 ID:3uJk9DFA
そういえば、皆イラストとか描くん?
全然書けないですよw
書けたら楽しいんだろうな
画才皆無な俺が通ります
そういや中学の美術の時間とかは風景画だけ点数とれてたなー
>>259 上手いw
そこでF91とスモーを選ぶセンスw
>>259 F91とスモ―より右上の女の子?に目がいっちゃう俺は駄目な子
もしや遥さん?w
>>260-261 ありがとうございますm(__)m
>>262 笑いたければ笑うがいい!
いやあ、スモーはマヒロー無双が大好きだから、F91は1番好きなガンダムだからって事でw
>>263 男の子だもんね、仕方ないね
いえ、遥はもっと幼い感じで髪型が三つ編みなので違いますw
最初はまどかのつもりで描いたんですが、なーんか大人っぽくなってしまった……つまるところが失敗作ですねー
>>265 首から下を描けるのが羨ましい……
着てるのはパイスーかな? なんだかセクシーですねw
御二方とも絵がうまくて嫉妬しますww絵心ってのはなかなか身に着かないもんですね…・・
手わけで日曜の午後にひっそり第二話投下。やべぇ、何か後半に連れて描写が変態じみててきた(^q^)
タウエルン見たくなかなか話が進まないで申し訳ない
268 :
◆n41r8f8dTs :2009/07/26(日) 12:39:11 ID:rdJwKQgk
そろそろ雨が止んできたようだ。家に着いた頃に止むとはタイミングが良いというか何というか。
折りたたみ傘を閉めて、トランクケースにしまう。懐からカードキーを取り出して照合させる。。
カードを認識し、玄関のドアが開く。この時代では家のカギは家主、基その家に住む人間の指紋認証が一般的だが、私はあえてカードキーを使用している。
昔の様な鍵らしいカギはもう殆どその姿を消した。それこそ老人達が古き良き時代の名残として持っているくらい。私がカードキーを使用しているのは理由がある。
私は形ある物が無いと安心できないのだ。指紋認証とかいう、どこかふわふわした確証が取れない物より、無くす危険性があろうと確固とした形のある物の方が好きだ。
作業の自動化を憂いた学者を笑っておきながら、私もアナログな人間だな。と苦笑しながら家に入る。パタパタと音を立てて、彼女がこちらに走ってくる。
私が帰って来た事を察したティマが迎えに来てくれた。相変わらず表情は乏しいが、それが彼女の特徴でもある。
「只今、ティマ。TVは飽きたのか?」
「うん。欲しい知識が無かったし。ご飯出来てる」
靴を脱ぎ、私を見上げるティマの頭を撫でる。リビングから既に出上がった料理の香りが鼻をくすぐる。
ふとティマが不思議そうな表情を浮かべている事に気付いた。
「どうした? ティマ」
「前から不思議だと思う。人は食事を何故取るのかが。私の様にエネルギーを充填すれば時間を節約できるのに」
私はティマの疑問に視線を宙に向けて考える素振りを見せる。困る疑問だ。根本的に説明するのは簡単だが、それでは味気が無い。
私を見上げるティマの姿は、まるで本物の子供の様だ。それも知識を得ようと目を輝かせる。
彼女とはかれこれ二週間ほど(厳密に一週間ほどだが)過ごしているが、アンドロイド、いやロボットに入れ込む人の気持ちが何となく分かった気がする。
「ティマ。人には二つ、エネルギーを必要とする部分があるんだ。
胃と心っていうね。人は胃だけでなく、心も満たさないと生きていけない不自由な生物でね。食事はその二つを満たしてくれる、重要な行為なんだ」
「胃と心……? 私にはその部分は無いからどれだけ不自由なのかが分からない。羨ましい」
「あっても嬉しい物ではないさ。人生における負担になるだけでね。……さ、あっちで一緒にニュースでも見よう」
時折、ティマの疑問に私は心が痛くなる。それが何故だかは分からないが、私の心境が何らかの変化を萌している事は分かる。
そして思い出す。ティマがあの日――――起動した日から、着実に成長している事にも。
ROST GORL ep2
例のアンドロイドをティマと名付けた翌日、私はティマを本来の姿に戻す為、欠損した部分の修復を行っている。
破壊されたマニュピレーターとショートした電子回路を馴染みの業者に頼んだパーツが来るまで修復しているのだ。
いざパーツが来た所で、スグに接合出来る筈がない。マニュピレーター……いわゆる人間の骨の部分を直さなければ、正常にパーツ同士を組み合わせる事が出来ない。
また筋肉の部分、つまり電子回路も直しておかなくてはならない。例え骨同士がくっついたとしても、それを動かす為の筋肉が無ければ何の意味も無い。
この作業には丸二日程掛かった。仕事が終わった後に取り掛かる為、毎日睡魔との闘いだった。
しかし不思議とこの作業には疲れを感じる事はない。初めて他人……というより仕事ではなく、自分自身の為にロボットを修理しているからだろう。
そう言えば電子回路がショートしていたとはいえ、完全に破壊されていた訳ではないのが助かった。手間と費用が馬鹿にならないからな。
熱中していると忘れそうになるが、ティマの修理費は私自身のポケットマネーで行っている。自分の為とは言え、懐を痛めたくないのでね。
ふと気になったが、欠損部分の痛ましい傷跡が、妙に生易しい様に感じる。いや、生易しいと言うと可笑しいのだが、どこか妙なのだ。
まるでティマを壊す事にどこか躊躇して、迷っている様な。だが堂々とゴミ捨て場に捨てるような輩がそんな事を考えるのだろうか。
そう言えば、何故その輩はティマの頭と左腕を、いやむしろ胴体部分を破壊しなかったのだろう。邪魔になって破壊するならそういった部分を率先して壊すはずだ。
修復作業をしている間、私の頭の中にそんな疑問が幾度となく過っていた。
ティマを私の家で修理して三日後。遂に馴染みである業者が、パーツを届けに来た。中型のトラックに乗って来たその男は、玄関前で待つ私に運転席から手を振った。
男はトラックを玄関前に止め、コンテナを開くと素早くキャスターに乗せた積み荷を下ろす。
トラックの荷台にいた武骨なフォルムのアンドロイドがコンテナから降りると、キャスターに置かれた両足のパーツを持ち、男が右腕のパーツを担ぐ。
男が私に向き合い、ニッと笑う。
「予定より遅れて悪かったなぁ、マキ。で、今回の修理ってのはそんなに大変なのか?」
「他人の用件じゃなくて私用なんだ。ま、立ち話も何だ。運んでくれるか、ゲンブ」
立派な口髭を蓄え、オレンジ色の丸いサングラスを掛けたその男――――ゲンブは私が唯一、お得意としている同業者だ。
親の代からロボットのスペアパーツを扱っており、家族とともに会社を切磋琢磨営業している。規模は大きくないが、それゆえに対応が丁寧でアフターケアも充実している。
彼とは若い頃に様々な苦楽を共にしている為、ビジネス上の関係を超えて心を許しあえる友人だと、私は思っている。
彼と彼の助手であるアンドロイドにパーツを運んでもらう為、ティマが眠るガレージへと足を早める。
「確か私用といったな。初めてじゃないか、仕事以外で俺の所にパーツを取り寄せるなんて」
「ちょっと色々あってな。今説明するよ」
ガレージに着き、私はティマに被せたシートを取る。ティマの姿に、ゲンブは感嘆の息を漏らした。
「ほぉ、少女型か。傷が酷いな……どれだけ酷い扱いを受けたんだか。で、これが?」
「ちょっと拾って来たんだ。酷い状態で放棄されてるのを見て、居た堪れなくなってね」
私の言葉にゲンブが眉をしかめた。理由は言わずとも分かるが、拾ってきた以上しょうがない。
「本気か、マキ? 放棄されているからといって勝手に持って帰っちゃ……」
「何、問題無いさ。それよりもこれを見てくれるか?」
私はそう言いながら、ゲンブにティマのデータチップを渡した。ゲンブは怪訝な表情を浮かべながらも、データフォンを取り出し挿入する。
数秒後、ゲンブはデータフォンのモニター画面を驚きの表情で見つめると、私に顔を向けた。
「これは……どういう事だ?」
驚嘆するゲンブからデータフォンを受け取る。モニター画面を見、私も驚いて目を丸くした。
モニター画面には、昨日のTeimaの様に、不思議な文字が群がって言葉を成型していた。その言葉はWho are you?
つまり、我々は誰かと問いていたのだ。データチップが意思を持っている? そんな馬鹿な話があるか。しばらくすると、文字が散り、言葉が消えた。
ゲンブから断り、ティマのデータチップを取り出す。ゲンブは俯き難しい顔をすると、私に言った。
「マキ、このアンドロイドにはもう関わるな。これは明らかに普通じゃない。遅かれ早かれ、厄介事になるぞ」
「既にそういった覚悟は出来てるよ。だが何とかなるさ。私は見たいんだ。このアンドロイドが立つ姿を」
ゲンブの目を見据え、しっかりとした声で答える。今の私の言葉に嘘偽りはない。
ティマの正体が何であろうと、私は彼女の本来の姿を見てみたい。それが馬鹿げた好奇心であり、危険に足を突っ込む事になろうと。
私の態度に、ゲンブはしばらく目を合わせると、ふっと俯き、天を仰いで苦笑した。
「俺はこの件にはノータッチだ、マキ。取りあえず仕事だけはこなすがな」
「悪いな、ゲンブ」
その後、ゲンブは私が取り寄せたパーツの説明を簡単に行い、自店へと帰っていった。改めて取り寄せたパーツを観察する。
これで接合し、後は細かい部分を補修すれば取りあえずティマは元のアンドロイドとしての形を取り戻す事が出来る。
しかし……私は掌のティマのデータチップを見つめる。これがティマを、いやアンドロイドの命といっても過言ではない。
データチップはアンドロイドのライセンス情報を刻んでいるだけではなく、アンドロイドを起動させる為のキーとなる。
というのも、データチップとはライセンス情報とは別に、アンドロイドがどう行動するかを定められた情報がセットで刻まれているのだ。
これを入れる事で、アンドロイドが指示された命令……つまりプログラムを理解し動く事が出来る。
ゲンブの助手であるアンドロイドは、ゲンブの手伝いをする様プログラムされている。それが普通なのだ。普通なのだが……。
ティマのデータチップには、そんなプログラムが組み込まれているかが分からない。
私の記憶上、ライセンス名が登録されてないデータチップでも、プログラムの詳細を知る事が出来る。
だがティマのデータチップは幾らやってもライセンス情報もプラグラムの詳細も知る事が出来なかった。
代わりにデータチップが映したのは不気味な文字と言葉。厳密に言えばこんなデータチップ、否、もはやデータチップと呼べるかどうかも疑問だ。
……面白い。面白いじゃないか。得体の知れない謎のアンドロイド。誰が作り、誰が捨てたかも分からない。
まるでSF映画の世界にでも入り込んだようだ。生憎私は秘密探偵でも、世界の命運を握る科学者でもないただの修理士だが。
今まで両親を気遣う為に仕事にめり込んできたが、その両親は今、私の稼ぎの甲斐もあり遠方で元気に畑を耕している。
そろそろ私自身の人生を私が決めても良いのではないだろうか。そう思うと、何故だか無性に興奮してくる。
一先ず取り寄せたパーツをティマに接合しよう。全てはそれからだ。私は早速作業に取り掛かる。
あらかじめ処理を終えていた為、何の苦労も無く欠損した部分にパーツを取り付ける事が出来た。
後は二〜三日かけて接合した部分を滑らかに施す。そう、人間の手足と見分けがつかない程に。この作業をするかしないかで全く完成度が違うのだ。
仕事が終わる深夜、私は一心不乱にティマの接合部分の粗を削り、滑らかにしていく。次第にティマの手足が人間の少女のように美しくなっていく。
傍から見るとアンドロイドに夢中な気持ちの悪い男に見られるだろうが、今の私はそんな客観性を放棄する程、ティマに入れ込んでいた。
普通の食事を取らなくなり、簡素な固形栄養食品をほおばりながら作業に打ち込む。もっと、もっと人間らしくする事だけを頭に入れて。
ティマが来て5日が経った。気づけば風呂に4日も入っていない。今日は遠方からの依頼は日日を見送ってもらい、当日の仕事はすべてキャンセルした。
久々に洗面台を覗くと、目の下に濃いクマを創った実に不健康な男の顔が映った。私だ。認めたくないが、私だ。
上部に手をかざし、数回回して勢い良く水道を出して顔を洗う。クマは取れないが、幾分気分はすっきりした。ガレージに戻る。
朝日が照らし出す埃が、ティマが被ったシートを照らしている。何故だかとても誇らしい気分だ。只の自己満足だが。
ゆっくりとシートを取ると、そこには裸体で仰向けになった一人の少女がいた。朝日が照らしているからか、その肢体は美しく浮かび上がっている。
後は……私は握っているティマのデータチップを広げた。これを入れれば、ティマは起動する。
何故だか掌が軽く震えていた。仕事の時には全くそんな事無かったのに、何故かは自分自身分からない。
額の凹凸部分に触れ、挿入口にデータチップを軽く差し込む。
「起きてくれ、ティマ」
私はそう言って、データチップを強く差し込んだ。するすると、データチップがティマの中へと入っていく。
しばらくの静寂。現在ティマの中でデータチップに備われた命令(……あるのか?)が全身の電子回路に行き渡っているのだろう。
数分後、ティマの体から駆動音が鳴りだす。よし、順調だ。このまま行けばティマは目を覚ます……筈だ。
……何故だ? ティマ、何故目覚めない? 私の動悸が自然と速くなる。嘘だ。
私の行為が、全て無駄だとでも言うのか? 頼む、ティマ。少しでも、少しでも私に夢を……夢を、見せてくれ。
瞬間、ティマの体を幾つもの鮮やかな青いラインが奔った。その眩しさに私は思わず両腕で目を覆う。
そのラインは静かに消えていく。ゆっくりと私は両腕を離し、ティマの姿を見る。……ん?
ティマは……ティマは上半身を起こし、無表情で私を見つめていた。私の目とティマの目が合う。西洋人形の様に静謐な、吸い込まれそう程透き通った青い目だ。
初めて見た時には汚れていた事と目を瞑っていた事もあり、ティマに対するイメージが湧かなかった。今は違う。
私は茫然と、ティマを見つめていた。今、目の前にいるのはアンドロイドとは思えないほどに美しく、そして儚げな一人の少女だ。
今の状況は冷静に考えると非常にアンモラルな気がする。今、私が見惚れているのは少女型の、それも裸体のアンドロイドだ。世間体は真っ先に否定するであろう状況。
しかし、だ。それでも私の目は、ティマから逸らす事が出来ない。それほどティマの姿に私は釘づけになっている。
「ティ……ティマ、大丈夫か?」
我ながら自分の頭に大丈夫かと問いたい。何か言おうとしたが、そういうふざけた台詞から出なかったのだ。
ティマはしばらく私の目を見つめると、ボソッと言葉を発した。
「名前」
「……ん?」
「名前、教えて」
ティマの言葉の意味が分からず、私はきょとんとしてしまった。
名前……そうか、名前か。そうだ、名前を教えないとな、うむ。
「マキ。マキ・シゲルだ。君は、ティマで良いんだよな?」
「服」
「え?」
「服が欲しい。服」
ええっと……私は独身だから、その手の服は持っていないんだが。どう答えればいいのだろう。
「すまない、今は持ち合わせていないんだ。少し待ってくれないか?」
私の返答に、ティマは何か思い出す様に、視線を宙に向けると私に再び顔を向け、言った。
「そういう、趣味なの?」
この時点で私は何も知らなかった。彼女に潜む能力に。そして、彼女の抱える秘密に。
続く
投下終わり
本当は昨日投下して、今日3話投下するはずだったんですが……おのれ猛暑!
スレが過疎り気味なのも夏の暑さと湿気のせいなんだ。やはり日本の夏は地獄だ! 許せん!
>>273 シゲルが着実にこちら側への階段を登り始めてますね!
>「そういう、趣味なの?」
彼女に……惚れ申した
絵を上手くなるにはひたすら描きまくるのが1番です
まずは好きな絵師さんの絵を写すところから始めるといいですよ!
>>255 風呂敷を広げるのもいいけど、責任持って畳む事も考えとけよ。
広げ過ぎると大変な事になるぞー。
>>265 想像より意外と胸が大きいw
>>273 乙です。
何故ティマが捨てられたのか気になるな。
そして俺の脳が悪の組織しか思い浮かべられないのは暑さのせいに違いない。
>>274 色々混ざってるぞw
書いてる作品のせいか、アンタの発言はついつい元ネタを探しちまうな。
しかしこのスレも随分雰囲気変わったよなぁw
最初の頃は設定中心だったのに、今じゃ割とコンスタントに作品が投下されて、さらにイラストまで投下され始めた。
いい時代になったもんだ……。
小学生にも劣る絵しか描けないので、描ける人は本当に羨ましい。
各作品の登場人物やロボの絵を描いてくれる絵師がくればもっと活気が増えそうだけど……。
ふと気になったけど、ここって全員男しかいないんだろうか。
ロボット物が主だし、時々妹の事とかで盛り上がるし。
心には純愛を求める乙女はいますが、残念ながら性別はO☆TO☆KOです
確かに絵師さんは欲しい所。作品に対するイメージが広がりそうだし
個人的な偏見だが
巨大ロボがガッツンガッツンぶつかる話そのものが好きなのって
男の子だけだと思う
うちの姉および妹は最近のガンダムとかコードギアスとかグレンラガンとかEVAとか揃って見てるけど、
そういえば機体の話してるの聞いたことないや
俺(男)は最近の作品見てない以前に八分にされてるんで正確なところはわからんが
でもロボとかバトルとか人物ドラマとか、魅力がたくさんあるのもロボ作品のいいところだよね
カミーユが男の名前で何が悪い! 俺は俺だぁッ!!
リクエストがあれば描きますが、悲しい事に現在スキャナとパソが\(^o^)/なので、前みたいに見にくい携帯になると思います
それでよろしければ……
ティマ……いや何でも無いw
>>281 了解しました!
身体的特徴を挙げていただけると幸いです
283 :
185:2009/07/27(月) 00:46:34 ID:Ss0PFald
書くって言っておいてまったく筆が進んでないですぅ。
ごめんなさい。いつになったら投下できるやら。
あとロボっていうよりはウルトラマン的な何かになってしまいそうですが大丈夫でしょうか。
見た目は一応メカっぽいですが。
>>283 はっはっは! 大丈夫大丈夫。ヱヴァだってある意味ウルトラマン的な何かさ!(効果音的な意味で)
285 :
185:2009/07/27(月) 01:02:22 ID:Ss0PFald
そう言ってもらえると勇気がでます。むしろ調子にのる勢いで。
デウス・エクス・マキナとか空間転移とか古代遺跡とか物理法則無視とか
ありったけの厨ニ要素を詰め込んで自滅してやるお!
>>284 そもそもウルトラマン等の特撮パロディとして始まった作品みたいなモンだからな、エヴァは
スパロボ的に
「生物兵器と戦う宇宙用改造人間」って作品も「変身装置兼足場担当がロボ」で参戦したし
「タイトルになってる奴は怪獣に変身するだけ」って作品も「科特隊ポジがロボ使ってるから」だし
もし「ウルトラマンみたいなヒーローが怪獣と戦う」って作品になったとしても
「お茶を出す係のロボが一体いる」ってだけで
このスレなら許されると思う
>>285 フハハハハ! 貴公にそれができるかな!?
>>286 それに、庵野監督が特撮大好きですもんねぇw
>>282 良いんですか!?それじゃあお言葉に甘えてw
劇中で書いてある
青い瞳
金髪の髪
華奢な体
を書いててくれればおkですよ。というかパラべラムさんのイメージにお任せしますw
wikiの人、更新乙であります!
>>288 了解いたしました! よし、用事を片付けたら描き始めよう。
あ、多分モノクロになると……思います
いいなーあ
俺もリクしたいけどまた今度にしておこう
構いませんよー。むしろ早いほうが助かります
出来は保証しかねますがぁ!
orz
俺もリクしたいけどとりあえずもうちょっと立ってからかな
まだ描写不足(´・ω・`)
どうせお前ら今筆が進まずガンダム見てるだろ!!
>>293 ウマー
ふ、ふん。なかなかカワイイじゃねーか。
でもまだまだだッ!
もっとッもっと見せてくれワタシに! あなたの主観に満ちた世界をウヒャフヒャヒャヒャ!!
>>295 0時半まで暇だから執筆はじめて
0時半からまた筆が止まるんですね!!
PCからは見えねえってよ!
ひどい差別だ!
閲覧! 承認ッ!
301 :
創る名無しに見る名無し:2009/07/28(火) 00:17:47 ID:NR2eJRyo
なんでこんなにハイなんだ今日はw
アレか、ガンダム見てるからかw
>>298 ざまあみやがれ!(冒険王版アムロ)
まさかここでレイテルパラッシュが見れるとは思わなかったぞ
つかシンちゃんウメェw
やべ、ageちまった。撤退する
そろそろガンダム終わったか?
しかし突然誰もいなくなるなここは
見てるのに終わったか?ってどういうことなのw
ガンダムのラストシーンは本当に良いなー
ああいう物語かいてみたい
いや、我が家はBS映らないんだこれが
>>301 ありがとうございます
いやあ、ラトーナってかっこいいじゃないですかw
>>305 アムロが皆に呼び掛けるところや、カツ、レツ、キッカのカウントダウン、最後のナレーションとか、なんかジーンときますよね
……ええ、自分は明日見るんですが
あー、そうだったのか……
>>308 ま、お盆休みにCCAまで一気見するさw
wikiの更新、お疲れ様です。作品紹介までして下さり、有難うございます。良いセンスです
さて……・
>>293 ティ、ティア―!ティア―!(落ち着け)
ヤバいヤバい、やばいですよこれはー!自分の想像力を遥かに凌駕するほど可愛いじゃないですか!
イメージではロングでしたが、こっちで正解ですよ。むしろ二重丸。こりゃマキも惚れるわ。
自分の勝手な要望を聞いていただき有難うございます。マジでうれしいです
ティアじゃねえ、ティマだよ……orz自分のキャラ間違えてどうすんだよ…
自分はよくティナと間違えてしまいます
>イメージではロング
なんてこった!
最初は自分もロングを描いてたんですが思いの外難航して、暑かったのでついショートに……
『最初はロングだったが、毛先が痛んでいたのでバッサリやった』とか妄想してすみません
>>312 リクしてもいいですか?
姫路守備隊戦記の主人公、清水静をお願いします。
外見は黒髪黒目、キリコ・キュービィと相良宗介を足して二で割った様な(?)感じですが、パラべラムさんのイメージにお任せします。
>>313 了解しました!
男性を描くのは久方ぶりだが、果たして……
おお思っていたより若い! 髪が豊かなせいかw
髪をソウスキー・セガールっぽく、顔をキリコっぽくしようとしたんですが失敗しましたね……ガンマ団特戦部隊のマーカーみたいになってしまいましたorz
>>316 目が大きいから、ってのもあると思います
318 :
◆n41r8f8dTs :2009/07/29(水) 14:36:00 ID:wFi2W1S9
>>315 おぉう男前……・カッコいいっすなー
何となく脳内で櫻井ボイスがw
て訳で三話です。コンパクトにまとめる筈が、気付けば異常に長く……
今日もニュースが終わりを告げる、明日の仕事に備えて寝る事にしよう。隣を見ると、ティマが小さく首を傾げている。
「何か聞きたい事があるのか? ティマ」
「……特に無い。無いけど、一つ」
そう言いながら、何故かティマはソファーから立ちあがり、私の真正面に立った。何をする気だろう。
私に近寄って、両手を肩に寄せると額に自分の額を合わせてきた。……つまりどういう事だ? 私は苦笑しながら聞く。
「ティマ?」
「この前の本で読んだ。夫婦は寝る前にこうやって互いの体温を確かめ合う」
何処で学んできたのか……あぁ、あの本だな。というか私達は夫婦ではないのだが。が、悪くは無い。
ティマは時折、こうやって自らが得た知識を私に試してくる。私はそれを正したり、たまに面白がってわざと間違えさせたままにしておく。
しかし私が正そうとしなくても、彼女自身が自らその間違いに気付き修正する。実に優秀だ。
彼女は知識を得、成長する。間違いを修正し、そしてまた知識を得を繰り返し、彼女は自分の中の知識を確固たる物にしていく。人間が失敗から学ぶように。
……はっきり言ってティマは不可解だ。アンドロイドが知識を得て成長するなんて事はあり得ない筈だ。聞いた事が無い。
アンドロイドはあくまでロボットだ。自我など持たず、設定されたプログラムだけを遂行する利口な操り人形。
だがティマは違う。自ら知識を欲し、その知識を利用する。まるで人間の様に。
彼女と付き合っているとあり得ない事ばかりで自分の常識を疑いたくなる。しかしこれは現実だ。
「ティマ、有難う。ぐっすり寝られそうだよ」
ゆっくりとティマの体を離す。ティマは自分の知識が間違っている事を私の表情から察したのか、どこか不満げだ。
「そうだ、明日、仕事を早めに切り上げて動物園にでも行ってみようか。図鑑を見てるだけでは、動物がどういう物なのか実感が沸かないだろ?」
私がそう言うと、ティマは若干口元を上げて笑ってみせた。他人から見ると無表情に見えるだろうが、私には何故だか分かる。
「それじゃあティマ、お休み。明日は家で待っててくれ」
「うん。図書館で借りた物理学の本を読もうと思う。お休みなさい」
ティマはそう言ってソファーの上で体を丸めた。私は髪を撫でて彼女の体温を感じる。冷たい感触が掌に響く。
こうしないと、私はティマをアンドロイドと忘れてしまうからな。ティマの横顔を見ながら、私は再び、あの日を思い出す。
ROST GORL<ep,3>
裸体の少女と良い年の男が向きあう。……このままではモラル的にも男として非常にまずいので、取りあえず家に戻り、ティマに自分の所持しているYシャツを着させた。
ぶかぶかな為裸体は隠れたが、何故か逆に危ない気がするのは気のせいだろう。気のせいにしておく。
一先ずティマをリビングまで運んでおこう。その気になれば作業道具の片づけはすぐに終わる。
一応処理は済んだ為、ティマはこのまま台を降りて歩けるとは思うが、起動してすぐなので動く事に慣れていないのかもしれない。
ティマをお姫様だっこして家へと戻る。ティマの体は外見上華奢であるが、アンドロイドである為ずっしりと重い。
ふと、ティマがボソッと私の耳元で何か呟いた。私は聞き返す。
「ごめん、マキ」
「何がだい?」
「さっき、マキに酷い事言ったから。データを探ったけど、適当な言葉が出てこなかった。気分を悪くしたならごめんなさい」
おそらく、いきなり私が目の前に現れた事に対してティマの処理能力が働かなかったのだろう。
人間でいえば事態が把握できなかった故に空気の読めない発言を発してしまった。といった所だ。……何か微妙に違う気がする。
ティマをリビングのソファーまで運び、ゆっくりと寝かす。ティマは体を猫の様に丸めた。これは……元からプログラムされた動作か?
まぁ良い。僅かな希望に賭けて、ティマにティマ自身の事を聞いてみよう。何か教えてくれるかもしれない。
「ティマ、何か思い出せる事は無いか? 昔一緒に住んでた人とか、作ってくれた人とか」
ティマは無表情のまま首を小さく横に振った。
「分からない。ティマって名前しか」
「そうか……」
やはり分からない、か。それはそうだ、データチップが出所不明なのに、ティマ自身が自分の過去を答えられる訳が無い。
しかし、私に対して受け答えが出来るとなると、最低限の会話プログラムは施されているという事。
手足の部位が破壊された際に、一緒にそれ以外のメモリーを殆ど失ったのかもしれない。あるいは前の持ち主によって意図的にそのメモリーのみを抜かれたか。どちらにしろ気分が悪い。
「目覚めて早々ごめんな、ティマ。補ったパーツに不具合は無いか?」
「うん、私が思うように動かせる。ありがとう、マキ」
感謝の言葉を伝えられる……思えばアンドロイド、いやロボットに感謝されるなんて初めてな気がする。
ティマはそう言うと、ゆっくりと目を閉じた。恐らくバッテリーを使い果たしたため、自動的にスリープモード、分かりやすくいえば休止状態になっている。
しかしスリープモードではあくまで予備程度の動力しかエネルギーが溜まらず、数分活動しただけで機能が停止してしまう。
そこでアンドロイド用の充電器が必要となるのだが、果たしてティマにそんな物を挿す挿入口があるのだろうか。
データチップがアレなだけに体の方もおかしいのではないかと疑ってしまう。取り寄せたパーツが接合出来たから、他のアンドロイドと変わらないはずだが……
首のあたりを触ると、充電器のプラグを挿しこむための二つの挿入口に触れた。
良かった。他のアンドロイドと同じ規格の様だ。データチップが異常なだけで、体自身は他と変わらないらしい。ホッと胸をなでおろす。
しかしますます不思議だ。昔の持ち主は何を思ってティマを作ったのだろう。こんな少女型アンドロイドに規格外のデータチップなんか入れて……。
ゲンブの言葉が反芻する。このアンドロイドにかかれば、遅かれ早かれ厄介事になる……。
すっとティマの髪を撫でる。この小さな体に、どんな凄惨な運命が刻まれているのだろう。想像するに耐えない。
アンドロイドに肩入れするなんて、私も年を取って色々と衰えたのかもしれない。だが、私は思う。この少女の悲しいメモリーを書き替えてやりたい。
急いでガレージに戻り、アンドロイド用の充填機を持ってきて挿入口に挿す。今日一日充填すれば、一週間は動けるだろう。
私も寝る事にする。ティマと再び会うのは明後日だ。その日には彼女用の服と、出かける為の靴を買ってやらねばならない。
そういえば……作業する為に愛車からトランクケースを持ってきたまんまだ。それにガレージに作業道具が散らかしっぱなし。
億劫だがやらねば仕事に支障が出る。ガレージに降り、一通りの事を済ましてトランクケース片手に外に出る。月が綺麗だし、このまま駐車場まで歩いていこう。運動不足だしな。
と、ティマが捨ててあったゴミ捨て場で、うろついている人物を見かける。
暗くてよく分からないが、茶色系統の薄汚れたロングコートを着ていて、何かを探しているのか忙しなくゴミ捨て場を漁っている。……一体こんな夜に何をしているんだ?
と、その人物は私に気付いたのか、こちらに顔を向けた。一瞬心臓が止まりそうになるが、その人物は私に見られた事がまずいのか、走って逃げだした。
ここら辺をふらついている異常者か何かか……やはり夜は出歩かないようにしよう。しかしゴミ捨て場に何の目的があるのか。まぁ、良いか。
2日後、私は起床した途端に驚いた。ソファーからティマがいなくなっているのである。代わりに伸びたプラグが。
まさか、一日で記憶を取り戻したのか? 昨日とは別の意味で心臓の動悸が早まる。まさか、いやまさかな。
まだ着替えていないが、ティマの事が心配になり家中を駆け回る。……だが数分後、ティマの行方は割とあっさり知れた。
「……ティマ?」
「あ、えっと……おはよう、マキ」
彼女は書斎にいた。私が普段めったに使わず、若い頃に溜め込み毒にも薬にもならなかった書物が無造作に置かれている場所に。
ペタンと座りこんで、ティマは本を自分の背丈ほどに積み上げて膝の上に本を置いている。つまり……信じられない。ティマが自ら知識を欲したという事か?
「……もうエネルギーが貯まったから、暇になってうろついてた。勝手に動いてごめん……なさい」
ティマはそう言って俯くと、積み上げていた本を丁寧に本棚に戻し始めた。私は慌ててティマの行為を止める。
「いや、良いんだティマ。私の本でよければ幾らでも読んでくれて構わない。……ここは掃除してなくて環境が悪いんだ。リビングに行こう」
私がそう言いながら、ティマが積み上げた本を持ちあげる。私を見上げるティマの瞳孔が少し大きくなった。嬉しいのだろうか。
リビングへと移動する最中、私はティマに質問する。彼女の事が知りたい。少しでも。
「にしても本を読んでいると思わなかったよ。好きなのかい? 本が」
私の質問に、ティマは小さく頷いた。この動作も元から設定されたプログラムかな。
「良く分からないけど何だか本を読まなきゃいけないって思って。あの……やっぱり勝手に読んだりしちゃだめだよね。ごめんなさ」
「ティマ、ごめんなさいは一度で良いんだ。というか謝らないでくれ」
ティマに謝られると妙に心地が悪いというか、申し訳無い気分になる。それから私達は言葉を交わさずリビングまで歩く。
ソファーに本を置いて、台所から少し冷めている朝食を持ってきてテーブルに置く。ティマがソファーに座り、置いた本を上から取って読みはじめる。
ティマは黙々と本を読み続ける。しかし、正直少女が読む様な本では無いと思うんだが……。殆ど学術本だぞ?
と、ティマが顔を上げた。何か言いたそうだが迷っているようだ。私は声を掛ける。
「ティマ?」
「マキ、良かったら教えてくれる? ここの計算なんだけど、私の考えと合わないの。出版社側のミスじゃないよね?」
予想だにしないティマの台詞に、私は一瞬ポカンとした。良く見るとティマは、私が若い頃参考にしたロボット工学に関する分厚い書物を読んでいる。
……とりま疑問には答えないとな。朝食を中断し、どれどれと間違いを指摘された箇所を読んでみる。うむ……。
「確かにこの部分は若干計算がおかしいな。しかしこの手の間違いは他の本でもけっこうしているんだよ。皆気付かないものなんだろうね」
「そっか、良かった。間違ったまま覚えても、何の意味が無いから……」
ティマはそう言って再び本を読みはじめる。気づけば彼女が異様に早いペースで本を読んでいる事に気付いた。
速読というには早すぎる。一秒間に一ページ、読んでいるとは思えない速さで。
ティマは300ページほどあった本を読み終わると、次の本を読みはじめる。
その集中力には何人たりとも寄せ付かない、奇妙な迫力がある。私は彼女の読書に対して口を挟む事が出来ない。朝食に戻るか……。
幾分冷めた朝食を食べ終わりティマに顔を向けると、驚くべき事に彼女は書斎から持ってきた本を全て読みきってた。
食べ終わった皿を台所に片づけ、ボーっとしているティマに話しかける。
「ティマ、もっと本読むかい?」
私の問いに、ティマは今度大きく頷いた。初めてティマ自身の意思を感じた気がする。
「その前に、その格好のままじゃ色々と困る。君用の服と靴を買おう。ちょっとした気晴らしにでもさ」
今日の仕事は臨時休業だ。ティマが新しい生活を送れるために準備しないといけない。
その前に……私は頼れる友人である彼に電話を掛ける。一時的にだが彼の力を借りなくてはいけない。データフォンを取り出し、ボタンを押す。
「ゲンブ、私だ。ちょっと良いかな?」
「本当に一時的にだからな。すぐに帰してくれよ。女房に黙って持って来たんだ」
パーツ配達の間際、私はゲンブに頼んで、彼の娘が小学生の頃に来ていた服と履いていた靴を一着と一足づつ借りた。
一応メジャーで測ったからサイズは合っている筈だ。それと靴も。私はゲンブにお礼をして、彼が配達先に行くのを見送った。
早速ティマに着させてみる。少なくともYシャツよりかはマシになるはずだ。……ってワンピースか。ゲンブ、少し配慮が欲しかったな。言える立場じゃないが
ゲンブが持ってきてくれた服はティマにピッタリと嵌った。いやぁ良かった。まぁこうなる事を予想してなかった私が一番悪いのだが。
しかしこうしてみると、本当に人間の女の子の様だな。……いかん、あくまで可愛らしいと思ったまでだ。
ぶっちゃけ買うだけなら通販で事足りるが、せっかくだからティマを外の世界に連れ出してやりたいのだ。気持ちいい程の晴天だし。
「それじゃあティマ、服と靴を買いに行こうか。大丈夫……だよな?」
私の問いかけに、ティマは表情を変えないまま、何故か右手を上げた。
「マキの本に書いてあった。女の子をエスコートする時は、手を繋ぐって」
……どんな本に書いてあったが覚えてないが、ティマがそう言うならそうなんだろう。私は彼女の手を握ってドアを開ける。
ナビゲーションに近くの服屋と靴屋を設定し、愛車を走らせる。ティマを助手席に乗せて。
それにしても清々しい青空だ。ティマは無表情のまま、周囲の風景に目を向ける。彼女は何を考えているんだろう。
そう言えば……なんとなく彼女の姿を撮っておきたいとカメラを持ってきていたんだ。使う機会があれば良いが。
数十分後、探していた服屋に車が停車する。私が先に降りて、ドアを開ける。ゆっくりとティマが確かめるように降りる。
中に入ると、早速店員が私達に気付き声を掛けてきた。私がその旨を伝えると、定員はニコニコしながらティマに着衣室まで来る様に言った。ティマは素直に応じる。
しばらく時間が掛かりそうだ。私は店内を適当にブラブラしながら、ティマの用事が終わるまで待つ。
何分くらい経っただろうか、ティマを担当していた店員が私に声を掛けてきた。
「お子さん、すっごく可愛いですね。どんな服を着ても似合いますよ」
少しお世辞が入っているのだろうが、なんだか無性に嬉しい気分になる。……やはり父親とその子供に見えるのだろうか。
ティマに合う服を数着買って服屋を後にした。次の靴屋に向かう間、ティマに服を買った気分を聞いてみる。
「新しい服の着心地はどうだった? ティマ」
「……普通」
そうだな、特に感慨は無いだろう。変な事を聞いてすまなかった。
そう言えば自動運転だったな。私は後部座席からカメラを取り出し、彼女に声を掛ける。
「ティマ」
彼女が振り向いた所を一枚。自分ではうまく撮れていると思うが、家に帰ってデータを見てみない事には分からない。
ティマはカメラをじっと見つめると、手を伸ばしてきた。興味が沸いたのだろう。私は彼女の手にカメラを手渡す。
「適当に風景を撮ってみな。ブレは修正されるから、ちゃんとした写真が撮れると思う」
私が言うが早く、ティマは風景を撮りはじめる。表情には表れないが、楽しいのだろう、多分。
そういえば私が自分のカメラを他人の渡すのは初めてだな。それに自分の車に他人を乗せるのも。
……気づけば私は人生の殆どを知らない間に費やしていたのかもしれない。上手く言えないが、何か必要な物を。
と、ティマがカメラから遠ざかった。その目には何かを見つけたように一点に留まっている。不思議に思い、私は質問する。
「ティマ、どうした?」
「図書館」
「図書館? あぁ、あそこか。帰りに通り過ぎるが……」
何となく、ティマが言いたい事が分かった。私はティマに頷いて答える。
「よし、図書館に行こう。すぐに靴買ってな」
宣言通り、10分も掛からず靴を買ってあげて、私はティマを図書館に連れていく。というのも晴天は良いのだが冗談じゃなく暑いのだ。
丁度休めるスポットが欲しかった為、ティマの提案はナイスだ。早速ロビーのソファーに腰掛ける。
「ティマ、好きなだけ本を読んできたまえ。私はここで休んでるから」
ティマはこくんと頷いて、すぐに本棚へと消えた。よっぽど来たかったんだな。仕事の合間、彼女をここに連れてきても良いかもしれない。
……いつの間にか眠ってしまったようだ。図書館内の涼しさが心地よい為だろう。そういえばティマは……。
……ん? 何故だかティマの唇が近く……っておいっ! 私は思わず仰け反った。私の大声に、周囲に居た人たちが一斉に視線を向けた。
目の前ではティマが首を傾げている。私は猛烈に恥ずかしい気分になり、ティマの手を握って図書館から出る。
「ティマ、どういうつもりだ?」
「読んだ本に書いてあったから。寝てる人はえっと……接吻で起こすって」
「待て、それは違う。君は一体何の本を読んだんだ?」
ゆっくりと、ティマが背中に回した本を私に見せた。……倦怠期を直す為の夫婦マニュアル? まさか君はこんなのに影響されたのか?
しかし何だ、得た知識をとにかく試してみたかったのかもしれない。そう思うと怒るのは少し気の毒な気がする。
ティマは俯いて目を伏せている。私が怒ると思っているのだろうか。そんな事はしないさ。優しくティマの頭を撫でてあげる。
ティマは私を見上げると、小さな声で言った。
「ごめんなさい……」
「咎める気はないよ。それよりティマ、もし君が良ければ、仕事に出る前に図書館に連れて行ってあげようか」
私の言葉に、ティマは小さく口を開けた。そして。
「……ホント?」
「あぁ、私は嘘をつかないさ。君が満足するまで知識を得れば良い。君にはそれが許されるんだ」
それから私はティマ用にカードを作り、ティマが何時でも本を借りられるようにした。
帰り間際、ティマは規定数を達するまで色々なジャンルの本を借りた。小説に学術本、落語に図鑑にetc……それらからどんな知識を得るのかは分からない。
しかしティマはとにかく本が好き……いや知識を得たいのだ。それがおそらく彼女の根底にあるプログラムなのだろうか、それも分からない
だが一つだけ分かっている事がある。彼女が本を読みたいという事だ。それならば、私は彼女が望む事をしよう。それで彼女が幸せになるのなら。
そうだ、この時をカメラに撮ろう。愛車からカメラを持ってきて、図書館をバックにティマを撮る。レンズの中の彼女は、小さくほほ笑んでいた。
――――――――――――――それから日日が経ち、私とティマが暮らし始めてから2週間が経つ。
今日は仕事を早めに切り上げて、ティマを動物園に連れていく約束をした。
本物の動物を見て、ティマがどんな反応をするのか、非常に楽しみだ。新しい表情を見せてくれる事を願って。
続く
投下終了〜
描写が長くてくどいww4話はもう少し短くなるようにしよう…
>>324 ああ! ティマ可愛いよティマ!(危ない奴)
純粋な娘っていいですよね。
シゲルはきっと親馬鹿になる、賭けてもいいぜ
まだ途中というか3分の1もできて無いままいろんな事への準備で中断してましたが
数日ネットから離れる用があるので、出来た分だけ投下しておきます
少女機甲録(仮) 3…途中
OP 「Little Busters!(リトルバスターズ!)」
>一見明るいようで切ないみたいなのがいいな
ED 「Don’t say ”lazy”(けいおん!)」
前回までの粗筋
・…麗美がいじけた
「どうせっ! 適当に言われただけだもんっ! 司令部からの命令でっ!
別にわた、私でなくても良かったんだし! みんなに教えたり、訓練でなにするのかっ決めてるの、玲だしっ!
ほんとは、玲とか由香里が中隊長で、私は、いらないんだ! 適当に決まっただけだから居ても居なくても同じなんでしょ!」
戻って来たはいいものの、膝を抱えてべそをかいている麗美を前にして、玲はこめかみに皺を寄せ
由香里は玲に「どうするの? あなたの責任でしょ?」と言いたげな視線を送っている。
玲は玲で「どうするっていうの、幼稚園じゃないんだから…放っとけば泣き止むでしょ」と目で言い訳して早くも匙を投げた態度。
それでも一言二言、麗美を宥めすかせるためにできるだけ優しい調子で励ますような言葉をかけてやったのだが…。
麗美は一応とはいえ中隊長だ。 本来なら1尉とか3佐くらいの軍人が担当する、それなりに偉い役職である。
が、麗美は中隊長らしい仕事をした覚えは無い。 玲も、仕事を任せた覚えは無い。
麗美たち新平学生兵士たちが配属された来たときに「麗美が中隊長でやれ」と連隊司令部から申し送りされているから
書類上そうなっているだけだけで、他の学生兵士と同程度の能力や訓練経験しか無い麗美に中隊長としての実務能力は無い。
だから玲も、麗美を中隊長ではなく学生兵士と同様に扱った。
別にそれ自体は間違ってない。
玲は麗美たちより先任だから、新米よりも発言力があるし、時には指揮官役を代行する事も求められる。
問題があるとするなら、麗美の方である。
兵卒としての訓練どころか士官教育も受けてないんだから、中隊長なんて麗美には出来っこないのは自分が一番わかるだろう。
そして、隊員たちに「中隊長に向いていない」「らしくない」のを指摘されるのも、麗美にその能力が足りてないからだ。
ひとえに自分の能力不足であり、それを「正当に評価されていない」と不満を垂れるのは筋が違う。
実際、麗美は誰かに期待されてるわけでも求められてるわけでも無い。
中隊長としての仕事をまっとうできない、部下を掌握できないからと言って、責められる筋合いも無い。
繰り返すが、麗美個人は単なる訓練途中の学生兵士。 別に完璧であることなんか誰も麗美に要求して無い。
ただ麗美が勝手にいじけて、勝手に泣いてるだけなのだ。
…と考えている玲は麗美を突き放し、「なんでこいつ泣いてるの? わけわかんない」的な態度で無言で見下ろしている。
由香里はそんな玲に逆に呆れ顔を向けた。
麗美は両手の甲で涙を拭いながら座り込んだままで聞かず、てこでも動きそうに無い。
乗り捨てた機士も校門の側に放置しっぱなしだし、別の誰かが取りに行ってもいいのだが、それは規律上好ましくない。
自分の機体なのだから、自分で取ってこさせてちゃんとハンガーに戻すまでさせるべきである。
それよりなにより、高校生にまでなった子が何時までも人前で泣いてるのはみっともない。
咲也と初李も麗美の様子を窺うようにこっちに視線を向けている。
仕方が無い、と由香里はため息をつきたい気持ちを我慢して自分が口を出す事に決めた。
「麗美、別にあなたは適当に決められて中隊長になったわけじゃないのよ?
あなたが中隊長に最適だから、そういう配置になったんだもの」
由香里が屈んで麗美にそう語りかけると、麗美は泣きはらした赤い目を由香里に向けた。
小さい子みたいな弱弱しい目をまっすぐ、優しく見つめながら由香里は続ける。
「考えても見て、今は玲が中隊を取り仕切っているけど、玲は中隊長ってガラじゃないでしょ?
玲みたいな厳しい中隊長に居て欲しいと思う?」
「…思わない。 鬼みたいだし、みんな玲の悪口言う」
その返答に由香里はクス、と苦笑いし玲はグサ、と何かに刺されたみたいに渋い表情を見せる。
確かに玲は中隊長というより鬼軍曹である。 厳しいし言ってる事は正しいけど、尊敬はしたくない。
それよりなにより、玲は麗美に対する態度でもそうだが、気配りという物が出来ないのだ。
由香里という例外を除けば誰に対しても一歩突き放した態度で接するし、「軍隊の正論」しか言わない。
「じゃあ他の子はどう? 麗美は自分が、中隊長にしたいって思う人は今のこの中隊の中にいる?
例えば早苗や美鈴は誰にも優しいし気配りは出来るけど?」
「…美鈴は無理。 自分の裁量でやっていい範囲では独創性を出せるけど、他人にこうやればいいって言うのが出来ない。
早苗は、人を見てこうしたらいいってアドバイスはできるけど、強制はしない。 お願いするだけだから。
二人とも気配りできる分、遠慮が邪魔で命令する立場になれないと思う」
「じゃあ有理や初李や翠たちは? 頭はいいし、作戦に関する理解力もある」
「…あの子たちはエンジニア。 分析するのは得意だけど、それは自分の専門分野だけ。
参謀には向いているかもしれない。 でも、指揮官としては単能に特化しすぎている。
中隊長は戦いやメンテナンスだけが仕事じゃない。
やらせればできるかもい知れないけど、あの子たちは専門職の方が向いている」
「真璃や散乃は? 勇敢だしリーダーシップを発揮するかもしれないって思う?」
「…問題外。 真璃も散乃も、言われた事より自分のしたい事を優先する。
散乃はしていい事と悪い事、前に出るべき時と出ない時の違いがわからない。
真璃は作戦や装備に様式美を求めすぎる。 手段を選んでたら指揮官としては二流。
二人とも勇敢というより、蛮勇というのよ」
由香里は中隊員をタイプ別に挙げながら、麗美自身に分析と評価をさせる。
次第に麗美の目からいじけた部分が消え、力と熱が篭り輝きを灯し始めていた。
何かに熱中している時、それも自分の得意分野の時には人は誰でもこうなる。
「そうね、後は…理玖瑠や留美、言われた事はするけど率先したり積極的に自分から仕事をする子じゃないし。
大ちゃんは気が優しすぎて、他人に命令できないからやっぱり中隊長に向いてない。
咲也は生真面目すぎて、玲と同じだし」
「そうなると、他に中隊長を任せられる子って限られてるでしょ?」
ニッコリ微笑みながら問いかける由香里に、麗美は一瞬納得しそうになったが、ふと気が付いてさらに言葉を続けた。
「由香里はどうなの? 玲と同じくらい訓練経験はあるし、整備班を統率してるのは由香里でしょう?
だいたい、私が中隊長に向いてるとしても、それって他に居ないからって消去法でそうなっただけじゃないの?
それなら由香里も同じじゃないの?」
「私はサボり癖があるし、面倒な事はやりたくないって考える人だからダメ。
責任感の無い人は要職に就いたら大変な事になる。
適度な怠け者は確かに、指揮官に向いている。 それでいて、真面目で責任感のある人が最上。
能力も必要だけど、万能である必要は無い。 むしろ、足りないくらいがいい。
そうすれば、自分に出来ない事は、できる部下に分担させる事が出来る。
何でも自分でやってしまって、ワンマンで引っ張っていく様な人は、小隊長くらいにはいいかもしれないけど中隊長には向かないの。部下の能力を把握して、適材を適所に配置できる事も、中隊長には必要な資質。
麗美は中隊長としての仕事や役職に責任を持ちたいのでしょ? だから、皆に言う事を聞かせられないのが悔しいのでしょ?
部下を命令で従わせられるくらいの能力が欲しいって思うこと、そして自分がその能力が足りないって事も自覚できてる。
あなたには責任感も向上心も、自分の限界を把握する力もある。 中隊のメンバーそれぞれの資質を分析も出来る。
じゃあ、あと足りないのは何かしら?」
いつの間にか麗美の涙は乾いていた。
代わりにその瞳には何かの意思と力強さが宿っていた。
自身を取り戻した我らが中隊長様は、「…機士を戻してくる」と言って、駆け足で放置中の自分の89式へと向かって行った。
「…ご苦労様」
「フォローやアフターケアも自分でちゃんとこなしてくれると、私が面倒でなくていいのだけれどね。 教官役の鬼軍曹さん?」
宥め役を完全に由香里に明け渡していた玲に窘めるように由香里が一言二言漏らす。
厳しく突き放す役割が玲、それをフォローする役が由香里という構図は別に悪い事ではないのだが、厳しすぎて玲が恨みを買ったり
反感から支持を失ったりするのはあんまり良い状態とは言えない。
教官役を買って出るのなら、一人で厳しく鍛え、かつフォローを入れるという事もやって欲しい所だが、難しい。
「別に麗美が私に言う事聞かせてやろう、そんくらい強くなってやろうって思うならいくらでも憎まれていい。
私の役職は「先任陸曹」だもの「中隊長」より下。 指揮系統上では、麗美は形の上だけとは言え私に命令できる立場なんだから。
麗美が私に、差し出がましい事はするな、自分が中隊を統率するって自分から言い出すようになれば、それはいい事だもの。
あの子に足りないのは自覚。 色々な事への自覚ね」
「…あなたも色々と自覚して欲しい事はあるけれどね?」
由香里は玲のそんな言い草にため息を漏らす。
玲も完璧ではないが、由香里もそうだ。
由香里自身はあくまでも、実質的な中隊長代行としての玲の責任や負担をカバーする役割は果たしたいが、
中退全員分のメンタル面にも気を回さないといけないとなれば、今度は由香里の負担が大きい。
麗美に言った様に、由香里は真面目でも無いし責任感が強いわけでも無い。
玲が親友であり戦友だから、そうしているだけなのだ。
「わかってる。 今の中隊の状態はあんまり良いって言えない。
みんな遊び半分だし。 真面目にやる気があるのって、少しかいないし。
中隊を動かすために、命令して言う事を聞かせられる人は私と由香里ぐらいしかいない。
私たちには中隊長や参謀や、その他の中隊を仕切れる人員が足りないの。
だからもう少し、負担を分散できるように能力のある人間を育てて、せめて、分隊か小隊としてぐらいは機能できるようにしないと…」
「何をそんなに焦っているの?
定数を満たしてない中隊、お荷物でみそっかすで、戦力にならない私たちが戦う事なんて無いでしょう?」
由香里は玲が何かに取り付かれたかの用に、訓練の進行に執着しているのに疑問を持った。
連隊のほかの中隊が戦闘していても、自分たち第4中隊には命令は来ない。
補給品が来るとき以外は、自衛軍の誰も連絡さえ無い。 時々、忘れさられた?と思ったりするくらい放置状態が続いている。
定期的な報告のために書類を駐屯地に持っていくときも、忙しげな司令部の詰め所では邪魔っけにされるだけだ。
何もしなくてサボって遊んでいても、文句は言われないだろう。
解散命令が来て他の中隊に編入される時でも来ない限り、そういう日々が続くんだろうと由香里は思っている。
だから、玲のやっている事も、中隊の全員が繰り返している毎日も、「軍隊ごっこ」に過ぎない。
しかし、玲は由香里に厳しげな視線を向けて、そして周囲に居る他の中隊員には聞こえないような抑えた声で言った。
「他の中隊の現状がどうなってるか、知ってる?」
由香里は一瞬聞かれたことがよくわからなかった。
(今回ここまで)
…以後の続きは帰ってきてから投下したいと思います
まあ帰ってきてまた3週間ほどしたら、また行ってこなければならないんですが…
(そしてまた次のは長いし)
>>176 ロボでしょう
というか、ガンヘッド的なものもロボでいいでしょう!
ガンヘッドは自分の永遠の相棒ですとも
>>259 充分上手いよとか突っ込んだらダメなのかー?
うーん、自分のの登場人物は名前(+性格)のネタ元の方から想像した方が早いから
絵を描いたり描いて貰う必要性が薄いなあ…
>>325 どうでしょうwこれからキナ臭い展開にしていくのが何かティマに悪い気がしたり
>>334 投下乙です!
由香里の姉貴っぷりに惚れます。何気に心の奥底では認め合ってるのが素敵。
にしても他の中隊の現状……気になる所ですね
>>315 自分のイメージ通りで、もう最高です。
次の投下はいつになるか未定ですが、確実に早くなります。本当にありがとうございました。
>>324 ティマさん、時計じかけのシズクのシズク同様、フラクタル回路搭載型みたいですね。今後の展開が楽しみです。
>>334 他の中隊の現状……。厳しい状態になっているんだろうな。
>>334 >3週間ほどしたら、また行ってこなければならない
お仕事かな? お疲れ様であります!
他の部隊と聞いて全滅とか壊滅とか物騒な単語が脳内で飛び交ってますが、まさかそんな事はありますまい……
他の部隊の件に触れる時は、新しい展開を迎えそうでドキワクね!
次回も楽しみにしてますw
>>335 ま、まさかあんな修羅場やこんな修羅場が!?(ぁゃιぃ意味ではなく)
>>336 ご期待に応えられたようでなによりです
まだまだ自分も未熟ですなぁ……当然ですが
自分もSRWOP風、楽しみに待ってますぜ!
>>337 ああ、リボンはいい……実にいい……
そしてネクソンクロガネがかっこよすぎる。
錬久尊黒鉄って書くんですねー。
パラベラム、AC3P買うまでに書き上げようと思ったけど、ちょっち無理っぽいですね……。
とりあえず主要キャラクターも揃い、波に乗ってきた(と思います)ので、近い内に投下できると思います。
期待しないで待っててね!
おっと、見落としていた。
>>334 こちらへぶちこめぇ!
>>340 うおぉぉぉぉかっけぇ!!
グレンラガンを思い出しますwスーパーロボットっぽくてカッコいいな
>>340 カトキ立ち……だと……!?
わぁ、凄く上手い……かっこいいです、尊敬します。
>>341 グレンラガン大好きですw
>>342 ありがとうございます
でもフォトショとかないんで着色は(´・ω・)ショボーン
>>343 自分でよければ喜んで
かなりの遅筆ですが
>>342 GIMPというものが世の中にはあってだな
ちょっと重いことは重いが…使えるよ
というか線画を描いてるソフトがちょっと気になるw
>>344 自分も着色は\(^o^)/なので……てか、絵自体が\(^o^)/なので大丈夫ですよ!(何がだ)
デザインのクリンナップとかって、お願いできますかね? ……もう少し後になると思いますけど
>>344 いや、こちらこそ喜んで!
一日動きが無いなーと思ってたらこんな嬉しい出来事が……!
>>346 紙に鉛筆です('A`;
スキャナでスキャンしてます、環境を少しづつ作っているんですが…
フォトショップの殺人的価格に(涙
フリーソフトの方も時間を見つけて試させて頂きます
>>348 クリンナップというと…纏めるってことで良いんでしょうか
>>349 よろしくお願いしますm(_ _)m
>>349 まさに嬉しいサプライズですねw
テンション上がってきました!
>>350 『ラフに描かれた下絵をきれいに清書する』という物だと自分は認識しております
要するに……『纏める』で正解だと思います
あ、遅れましたが
よろしくおねがいします!
なんだか自分と同じような絵描き環境の方で親近感が湧いたw
自分も鉛筆画、ペン画なので…画力が全然違うけどw
どうしても必要な時はSAIとマウス使いますけど
アナログ白黒は奥が深いので当分浮気なしです><
人型メカとか難すぎて描けねえ……
>>351 理解しました、今回のものは作者さんの同意を得ていないので
清書まではしないつもりですが、これ以降はラフ→清書もやって行こうと思います
よろしくお願いしますm(_ _)m
>>352 フォトショを買うと飯にありつけなくなる貧民です('A`
やっぱりPCで絵描くならペンタブとか買ったほうがいいのかしら…
自分は逆に人型メカが一番楽です、異型とか無理ッス
おお、また絵師が増えたぞ!?
>>352 君のイラストも見たいな、興味がある
そういえば描きまくれば上手くなるってパ(ryの人が言ってた
フォトショかぁ……授業で一回使ったっきりだなぁ。
欲しいと思ったけど、やっぱり高いのか……。
>>353 異型というと……四脚とか逆関節とかですかね?
自分はガンダムみたいな顔が1番苦手です。
>>354 こら、略すな!w
>>355 最新のは9万くらいだった気がします('A`;
四脚とか逆関節なんかはバランスが難しくて描いてて\(^o^)/となります
しかも人型より時間かかる割に出来が…\(^o^)/
>355
こまけぇことはいいんだよ!
>>356 じゃあシンプルにボルジャーノンでいかがかな?
>>356 よ〜し、パパネタになるようなSS投下しちゃうぞ〜
前に言ってた戦艦モノの作品がそろそろ出来あがりそうなので
日曜辺りには投下しようとか思ってます
>>359 わ〜いじゃあ僕も〜
色々やんなきゃいけないことが山積みだけど〜
というか突然盛り上がるよねこのスレw
スレが活気づいてきたぞ!
>>357 ひゃあ、高い……。
とても手が出せねぇです、そんな金額……。
>人型より時間かかる割に出来が…\(^o^)/
異型だと慣れませんよね、なかなか。あまりモデルになるものも無いですし。
>>358さんがターンエー好きなのはわかりましたw
>>359 ついにこのスレにも戦艦がktkr
>>361 ですねw
まさに熱しやすく冷めやすいというか何というかw
うおー! テンション上がってきたから自分も何か描くぞー!
うpする時は相変わらず画質の悪い写メですが……。
一応名前と鳥を決めときますね
>>364 す、すごい選択肢の量だ……やってみます
>>366 これは、ゾイドの……何だろう、見た事あるような気がするのに出てこないorz
>>366 かっこええなあ
シャドーって、オーガノイドの?
>>369 延びたインクがむしろいい味出してるような気が。なんか哀愁漂ってる
ところで皆さん人も描く人?
少なくともロボットは描かない人だなw
本来は人とか風景を描くお
s1とかには投下してる
というか、このスレに投下したことはないけど文章が本業ww
>>369 こっち見んなw
ザクUもといボルジャーノン、可愛いなあ。
伸びたインクは飛び散ったオイルと解釈すればみんな幸せ。
自分もできましたー
ttp://p.pita.st/?m=wph1pcao あはーはー、今更ですが携帯のカメラが傷だらけになってますね。どうりで写メがぼやけるわけだこんちくしょー。
……というわけで画質は最悪ですが、ご容赦ください。
ちなみに最後の娘達、パラベラムに登場予定だったりしますw
あれは結構大事なところの油圧系統な希ガスww
>>372 おまけがかわいいw
うう頭痛い・・・
>>340 わっはー!
全身像はこんなになってたんだ!? 初めて知ったぜ!
>>373 ほら、きっと脚部にトラブルが発生して撤退の真っ最中に敵に発見されたんですよ!
>おまけがかわいいw
娘達をお褒めに預かり光栄の極み。
ちなみにどちらも昔描いていた小説の登場キャラクターだったりします。遥も出てました。
……ええ、黒歴史です。
>>374 ……大丈夫ですか?
ってネクソンクロガネはあなたの作品でしょう!w
>>371 風景かー。俺にとっては手をつけたこともない未知の領域だぜ
>>372 巫女さんかわいいのう、双子(?)かわいいのう、ACかっこいいのう
>ちなみに最後の娘達、パラベラムに登場予定だったりしますw
マジ……かよ……!?
>>374 突っ込んだら負けだ、突っ込んだら駄目だ!
>>375 今起きたのでありまする・・・。
いっつも意匠までは考えずに動かしておりましたーッ!
>>340はちょっとスマートでカッコよすぎるような気もして恐縮ですが、
よく見ると表現してきたイメージ(鎧とか)が反映されているようで、絵師ってすげーなあと感心することしきり。
つまり何が言いたいのかっていうと、「着地はやわらかい。しかし……!」ってことさ!
>>369 風景付きとは渋いですなあ。小説の挿絵みたいだ
>>372 セェラァ服イッツァミラクル!
>>377 はい、出ますw
殺陣を書く前に書かなくなっちゃいましたけど。
……もしかすると、そのうちここに投下するかも?
>>378 それは自分もでありますッ!
巫女服もイッツァミラクル! 三つ編みはグゥレイトォ!!
>>230 ほえーかっけぇ……いえいえ、充分カッコいいですよw
腰の部分がグレンらガンのサングラスに見えるw各所の先端がシャープで痺れます
遅筆さんは結構ロボ書くの慣れてるんですか?
何かそんな感じがw
>>380 これ……イイっ……。
やっぱり上手いなぁ。たくましくなってさらにかっこよくなりましたね。
ゾイドはベタですがジェノザウラーが好きですw
>>381 自分はキングキタンに見えましたw
>>381 描く割合的には
人型ロボ6:その他メカ2:人1
くらいの感じです
なので一番苦手なのは人ですね、描いて2日置いて見直すと( ;´Д`)うわあぁぁぁぁ!!
ってなりますw
>>382 当時、荷電粒子砲の反則さに絶句した記憶がありますw
>描いて2日置いて見直すと( ;´Д`)うわあぁぁぁぁ!!
黒歴史ノートを見た時なんか心臓がFreeeeeeeeeeeeeeeze!!!!! しますよね、すごくわかりますw
荷電粒子砲の発射体勢がもうかっこよくてかっこよくてたまらんですよ。
……そんなジェノザウラーもバーサークフューラーの噛ませに……まあフューラーも好きなんですけどw
>>383 さすが経験者っすなぁ。書けない自分としては尊敬しますよw
遅筆が好きなロボットって何です?自分は特にカッコいいと思うなら何でも好きなんですね
>>384 現在進行形で黒歴史を構築してる俺に隙はなかった
>>380 光栄のきわみ。これはエロいですね!
本編以上に強そうだw これなら四天王だって・・・
正面から見た鼻筋(?)は一本ではなく二本を想定していましたが、こっちでもいいかもっ
>>384 フューラーは反則過ぎるww
>>385 人の絵は黒歴史過ぎて自分は保管していません('A`b
>>385 ある意味ここにいる人みんな現在進行形で黒歴史を刻んでいると思うんだ
>>380 やっぱうめぇ、うめぇよあんた……
>>379 期待してるぜw
>>386 >正面から見た鼻筋(?)は一本ではなく二本
ぬぉ…っ!マジですか('A`;
ちょっと試行錯誤してみます
あ
なんかすまぬ
>>387 一方私は今、黒歴史ノートと黒歴史フォルダを引っ張り出した。
>>388 期待しないで待っててね!
>>392 確かに分かりづらいwwあーでも何となくこっちの方も良いかも
まあホラ、それくらい些細な事だった、って事でw
時に、というか今更なんですが、絵師って何をすればいいんでしょう
魔女宅は流石のクオリティw
遅筆さんが書きたい!と思ったメカを書いて下されば僕達は喜びますw
リクエストなどを受け取ってもらえるとさらに喜びます。あ、でも無理しない範囲で良いですよ
>>395 その名の通り絵を描けばいいんじゃないでしょうか。
ロボ物総合だからロボは何を描いてもいいはず……多分。
こっちは逆シャアですw
ああ、凄い販促力だ。プラモ欲しくなっちゃうなァ。
ギラ・ドーガやジェガンを小隊買いしたくなってきた。
>>396 >>397 了解です。ではリクエスト制でお願いします('A`)ゞ
でも名の通り遅筆なので一日で終わらないこともあります。ご容赦を。
それと、超簡単でいいのでイーメジ図でもあれば描きやすいです。
ねんがんの えしがやってきたぞ!
これからのこのスレの行く末が楽しみです。
そう かんけいないね
ニア殺してでも うばいとる
ゆずってくれ たのむ!!
>>399 スレの革新が始まった……
>>398 こちらこそ宜しくです(`・ω・´)>
遅筆さん、及びこのスレの絵師さんに向けて軽い短編でも書こうと思いますが、ROSTGORLが案の定難航してて…・w
何時か完成したら、ぜひともよろしくお願いしますね>絵師の皆さま
リベジオン、ほぼ書き上げて(今日で終わるかな)あとは引き書いて寝かせて校正しての状態なんだけど
なんというか色々詰め込んだせいか長い(´・ω・`)
現状で8千だし、引き入れたら9千〜1万ぐらいになりそうだ
これは投稿の仕方ちょっと考えるべきかなぁ・・・orz
>>403 単純ですが、前・後編に分けるとかどうでしょう?
>>404 もう既に前編としてやってるから、やるなら中編、後編になるけど
今回切ること考えずに書いてたから
キリの良い切り所がない(´・ω・`)
説明台詞だけ乗っけても読んでて面白くないだろうし
まあ、前6000字が6レスに収まったから10レスぐらいにがんばれば収まるかな…
というか今、前の掲載から1月以上たってることに気づいた
諸事情あるとはいえ、ごめんね・・・orz
実は説明台詞が好きな私。
>>405 なーに、書いてた分が消えちまったってんなら仕方あるめぇよ!
投下する時ゃ支援しますぜ!
自分は今……7500文字くらいかしら、アバウトに。
パラベラム! もそろそろ投下したほうがよさげですね。
書きあがったー
一応、すぐ出すと誤字脱字とか文章ミス見逃しそうだからちょっと時間おいて
明日か明後日に出します〜
おお、待ってます
>>407 wktkしておりますよ〜いつでもどうぞ
何気に自分も4話の大筋が完成して校正するだけだったり。深夜くらいに投下予定です
新キャラが出るとか出ないとか
>>392 手間とらせて申し訳ないです。
もう文句のつけようもない。ありがとうございました。
「そろそろまた本編……書こうかな」という気になりましたよ。
他の作者さんのロボも見てみたいぞう!
予想よりずっと早く校正が済んだので投下します
最初のパーティーの描写は自分がそういう世界とは完全に縁が無いのであくまで想像です……
あれれ〜?と思ったら突っ込んで下さいw
ここで物語の視点を彼から少し変える。ティマについての背景を知る上で。
各国の豪華な料理を、煌びやかなシャンデリアが彩る。フォーマルなタキシードやドレスで身を包む紳士淑女達が、ワイン片手に談笑する。
ここはとある高級ホテルの大きなパーティーホール。紳士淑女の職業は各国のプレジデントや元軍人、また政治家等。
一貫しているのは皆何かしら、国に対して影響を与えている大物という事だ。
と、場内の空気のざわめきが収まる。皆の視線が、場内に入って来た白スーツの一人の男に注がれている。
オールバックの黒髪に、理知的な切れた瞳、白スーツの男は優しげな笑みを浮かべ、悠々と真正面のステージまで歩く。
白スーツの男がステージに立ち、紳士淑女達を真正面に見据える。司会の男が襟を正し、マイクのスイッチを入れた。
「それではこれより、我がアールスティック社の新型自動人形完成を祝っての祝賀パーティーを開催いたします。
その前に、社長のタカダ・コウイチロウより祝杯の辞を述べさせていただきます」
司会の男が言い終わると共に、白スーツの男――――タカダが紳士織女達を一瞥し、高らかに声を張る。
「皆さま、この度は我が社の祝賀パーティーに集まっていただき、誠に有難うございます。
此処までの道のりは決して平坦な物ではありませんでしたが、皆様の助力もあり無事に、完成に漕ぎ付く事が出来ました。
この場を借りて、皆様に多大なる感謝の意を示すと共に、この功績が我が社、ひいては自動人形の歴史の発展に貢献する事を願って」
白スーツの男が持ったワインを掲げる。正面の紳士淑女達も持っているワインを掲げた。白スーツの男が冷静なトーンで言った。
「乾杯」
再び談笑が始まる。ステージから降りたタカダに、早速紳士淑女達が話しかける。と、その時。
タカダのスーツの胸ポケットに入った小型のデータフォンが震えた。タカダは紳士淑女達にに失礼と言いながら会釈し、場内から速やかに出ていく。
データフォンのボタンを押し、口元を押さえる。先程の声とは一転、タカダはドスの利いた低い声でデータフォンの向こうの相手に応じた。
「俺だ。奴の居所は掴めたか? ……いい加減俺をイラつかせるのはよせ。奴を見つけるのにいくらかかっていると思う?
良いか? 何のために警察共を買収してるのかをよく考えろ。調べられる所は徹底的に探せ。お前の首を叩き斬られたくなきゃな」
タカダは通話を終え、データフォンをしまう。再び優しげな表情を作る間際、タカダは思う。
――――早く奴を捕まえろ。アレを完成させるには奴と、奴が開発した……データチップが必要なんだ。
<ROST GORL ep.4>
午前中の仕事が終わり、軽食を取り私はティマを動物園に連れていく為、服を着替えている。
しかし動物園に行くなんて何年振りだろう……近くにあるとは聞いてたが、興味も無ければ行く理由も無いからな。
ティマは静かに図書館から借りた本を私の着替えが済むまで読んでいる。彼女の読む本は何というか、外見年齢からは到底思いつかない様な本ばかりだ。
何処の世界にニーチェとアインシュタインとアリストテレスに関する本を一緒に読む少女がいるだろうか。いや、世界は広いからいるとは思うが。
「待たせたね、ティマ。それじゃあ行こうか」
着替え終わりティマに声を掛けた。ティマは本を閉じ、小さく頷いてソファーから降りる。
気のせいだろうか、ティマが成長しているように感じる。全く背丈も顔立ちも変わらないが、妙に心構えというか精神的な部分が初めて会った時に比べて。
早速外に出てティマと共に愛車に乗る。勿論目的地はこの近くの動物園だ。時間にして30分程度。平日な為渋滞の心配は無し。良いねぇ。
「ティマ、最初にどんな動物が見たい? 君の見たい動物から順に回ろう」
愛車を出発させ、私はティマに質問する。ティマは考える素振りをするとハッと思いついた様に答えた。
「……マキ、私、犬見たい。それか猫」
「……ティマ、犬や猫は動物園じゃなくても見れるんだよ。むしろ動物園じゃ見れ……いや、一部を除いて見れないと思う」
苦笑しながら私がそう答えると、ティマが首を傾げた。
「マキ……動物園ってどんな動物でも見れるんじゃないの……?」
「ティマ?」
「私、柴犬やペルシャ猫やニホンオオカミやニッポ二アニッポンが見られると思ってたんだけど……」
ティマ……ここ数日たくさん本を読んでた様だけど、動物園に関する本は読んで無かったのかい?
後半に至っちゃ色々と訳ありだし……けれど彼女の期待を裏切ってしまった事には素直に申し訳ないと思う。
前もって説明しておくべきだったな。私は俯くティマの髪の毛を優しく撫でてあげる。ティマが私に顔を向けた。
「すまないな、ティマ。君の期待に答える事が出来なくて」
私がそう言うと、ティマは目を閉じて首を振った。……初めて見る動作だ。ティマが私を見上げて、囁くようにしゃべる。
「ううん。マキ、私こそごめんね。ちゃんと調べるべきだった……変な事言ってごめんなさい」
そう言ってまたティマは俯く。前から疑問に思っていたがどうしてティマはすぐに謝ろうとするのだろう。
かつての持ち主にそう行動するようにプログラムされたのか? 私は憤りを感じる。前の持ち主に対して何故ティマをこんな目にあわすのか問いたい。あくまで仮定だが。
静かにティマから手を離し、彼女の頬に触れる。眉を下げて目を伏せるティマを見て、無性に悲しい気分になる。
「ティマ、今度からごめんなさいはなるべく言わないようにしよう。その代わり、ありがとう、だ。」
私の言葉にティマが顔を上げた。興味を持ったようだ。
「ありがとう?」
「そう。何か人に良い事をされたら、その度にありがとうと返すんだ。そうするとな、皆笑顔になる。感謝されて嬉しくない人なんていないからな」
いや、感謝されて突っぱねる奴もいる事に入るが、そういう事をティマに教えるのはまだ早い。今この子に必要なのは……。
「分かった。私、ごめんなさいじゃなくてありがとうって言える様に努力する。えっと……」
ティマはそう言って、私に小指を付きだした。あーあれか……私も小指を突き出し、ティマの小指に絡ませる。どこか用途が間違っている気がしないでもない。
まぁ良い。ティマは真面目な顔で例の呪文を唱える。それにしても細くて白い指だ……。
「嘘付いたら針千本のーます」
タイミング良く愛車が動物園の駐車場に着いた。私はティマと同時に、最後の呪文を唱える。
「指切った」
愛車から降り、動物園の入場口を通り動物園に入る。独特の匂いが鼻をくすぐるが、ティマは特に気にならない様だ。まぁアンドロイドだしな。
しかしこんな未来になっても動物園はずっと昔に見たまんまなんだな。檻の中に動物がいて、その周りを入園客が眺める。
何だか無機質な機械に慣れた体には妙に新鮮だ。この動物園の光景が。檻というアナログな物体も、その中の動物も。
そうだ、カメラを持ってきてたんだった。動物と触れ合ってるティマを撮りたくてね。
カメラを通してティマを探す。ティマは……おっと、虎のいる檻に行っているのか。ぽーっとティマは虎を見つめている。
虎はというと、ティマの事などお構い無しに、あくびをしてねぐらを掻いている。まぁ今日は陽気が良いからな……。
取りあえず一枚。にしてもティマは動かない虎を見て面白いのかな? こっそりと近づいてみる。
「ティマ?」
「マキ……虎って実際見てみるとぐうたらな動物なんだね。図鑑だと凶暴って書いてあったけど」
……私は頭を抱えた。そうか、ティマは図鑑とホログラムTVでしか虎を見た事が無かった。
ここ数日を思い出すと、野生で生きる虎を見た事はあっても、動物園に居る方の虎の事をティマは何も知らないのだ。
ティマはきっと、そういう資料で見た凶暴な虎が見たかった筈。決して動物園で職務怠慢なグータラとしてる虎を見たいとは思わないだろう。
二重の意味で私はティマを失望させてしまった。とはいえ、ティマはアンドロイドだ。普通の子供の様に食べ物やおもちゃで懐柔出来ない。
何だか無駄に悲観的な気がするが、とにかく申し訳ない気分だ。ティマ……。
「……可愛い」
「え?」
「マキ、虎ってかわいいね。凶暴そうに見えて、普段は寝ぼけてるなんて。これが俗に言う……癒し、なのかな」
何だかよく分からんが、ティマはこのグータラ虎に意を示したらしい。いやぁ良かった。虎君……ありがとう。
虎から離れると、どの動物も平日で働くのが嫌なのかどいつもこいつもグータラしきっていた。だが逆にそれがティマの目には斬新に映ったようだ。
ティマは動物達を見ると私に嬉しそうに語る。その時の目が輝いている事。
「マキ、サルって手足を伸ばして活発に動くと思ったんだけど、疲れるからじっと座ってるんだね。意外となまけ者なんだぁ」
「ワニって何時も獲物を探して動いてるってイメージだったけど、実際は水の中でぷかぷかしてるだけなんだね。……可愛い」
「見て見てマキ―。オウムオウム。何も言わないね。喋ると疲れるから体力を温存してるんだね。賢いなぁ」
色々と間違っていると思うが、ティマが楽しそうなので問題ない。
実際、動物達を見ている時のティマの表情は、今までで一番明るかった。私はその表情を逃さぬよう、カメラで撮る。
彼女の表情にはアンドロイド特有の固さはあるが、動物達を見つめる目には興味がある物に対して純粋な輝きが見える。
それにしても思う。今私の目の前に居るのはロボットじゃない。少女、だ。好奇心旺盛な、一人の。
大方の動物は見て回り、ティマの表情を満足なくらいに撮れた。そろそろ帰ろうかとティマに声を掛ける。
ティマは頷いた。ティマの要望で、手を繋ぎながら入場口から出て駐車場に向かう。
その間際、今回の動物園についての感想をティマに聞いてみる。結構楽しんでいたと思うが、どうかな。
「楽しめたかな、ティマ」
「うん。マキ、私、分かった事がある。やっぱり実際に見てみるのと本で読むとじゃ全然違うんだね。感動したよ」
「感動……か」
ロボットが感動と口にするのは妙な感覚に陥る。まるでそう、心を宿している様な。
今までお前はティマの何を見てきたのかと自分自身を問うが、いまだにティマの存在に対して距離を取っている自分がいる。
上手く言えないが、まだどこかでティマに対してボーダーラインを引いているのだ。……厭らしい。私は厭らしい人間だ。
ティマの為だと言っても所詮自分の為なのかもしれない。自分の中にある空箱を、ティマで埋めようとしているだけで。
愛車に乗り込み、自宅へと設定する。帰ったらシャワーしてひと眠りでもしよう。
いや……自宅に帰る前に、図書館に寄ろう。ティマは既に借りた本を読みきったから、新しい本を読みたいと言ってたしな。
「マキ?」
ふと、ティマが私に対して心配そうな表情を浮かべるのに気付く。
「ん? どうした、ティマ」
「何か難しそうな顔してたから、何か心配ごとでもあるのかなって……」
ティマの表情に、私は苦笑してしてしまった。私がティマの心配をするならともかく、ティマが私の心配をするとは。
「いや。……ちょっと物思いに耽っていてね。ティマ、私は嬉しいんだ。ティマの喜んでる姿が見れて」
その感情だけは嘘じゃない。ティマの喜ぶ姿を見るのは嬉しい。
普段の彼女が物静かなだけに、感情を露わにしている時のティマは私にとって新鮮であり、俗的に言えば可愛らしいのだ。
だが、それ故にカメラを撮りながら私はふっと困惑する。私の目の前に居るのは、アンドロイドなのか、人間なのかが分からなくて。
これだ。私がボーダーラインを、引いている理由は。……ティマの両手を優しく握る。不思議に冷たさを感じない。そういう気がするだけだが。
「ティマ、ありがとう。久々に仕事の疲れが取れるほど楽しめたよ」
「ううん。私こそマキにありがとうって言いたい。動物の可愛らしさについて知る事が出来て良かった」
「……何か照れくさいな、ありがとうって」
私がそう言うとティマは、笑った。私ははっとする。笑った……ティマが?
ここ数日過ごしていて、ティマが微笑みでは無く笑顔を見せるのは初めてだ。気づけばティマの笑顔に釘付けになっている自分がいた。
そっちの気は無い、そっちの気は無いが……。……ティマの中で知識だけでなく、感情も成長しているのだろうか?
とにかくこのままだと色々とまずい気がするので、さっとティマから正面に視線を逸らし、話題を変える。
「……図書館に寄ろうか。読みたい本があるだろ?」
「あ、待ってマキ。私……私、公園にも行ってみたい。確か近くに合ったよね?」
ティマが自分から行きたい所を頼むなんて初めてだ。公園か……ナビゲーションを見ると確かに示している。
どうせ近くだしいいか。天気も悪くないしな。
図書館の駐車場に愛車を停め、ティマとその公園まで歩いていく。日差しが眩しいが不愉快ってほどでもない。
公園は小さくて、遊具といれば錆びれていて痛々しい滑り台とブランコ、それに何時頃からか設置されたか分からない程、古びたベンチだ。
なんだか動物園といい、こういう所は時代から取り残されているのかと思う。あるいはシステム化する必要が無いのだろうなと。
と、ティマが私の服の袖を引っ張る。ティマに目を向けると、妙にもじもじしている。何か言いたそうだ。
その様子がおかしくて、私は無言でティマを見つめる。と、ティマは私の事を察したのか、無言でブランコを指差した。
「それじゃあ押すぞ。心配するな、ティマ。馴れると面白いぞ」
「う、うん。お願い、マキ」
ブランコに乗ったティマを、私は押す。ティマは最初は目を瞑って体を強張らしていたが、次第に慣れてきたのか、足をぶらぶらして楽しんでいる。
にしても結構体力使うんだな、ブランコって。最近酷い運動不足なせいで、腕を押すだけで偉く疲れる。
しかしティマの笑顔を見ると、何か止める気にならない。いや、だが体は素直だ。関節がボキボキとなっている。いや、疲れるな、これ……
そういや外見だと分からないが、ティマはアンドロイドだった……そりゃあ重い筈だ。
「ティマ、ブランコの漕ぎ方は分かったかな?」
「うん。結構楽しい……」
「そうか、良かった。私はちょっとベンチで休むから、自分で漕いでくれてるかな。ティマ」
私がそう言うと、ティマは頷いた。物分かりがいい子で助かる。私はふらふらとベンチに寝そべった。
しかし何だろう、この感覚。不思議な気分だ。体は疲れ切っているが、心は疲れていない。むしろ清々しい気分だ。
人の為に自分の休日を使うのも何年振りだろう。今はただ、ティマと一緒に居る時間を噛みしめていたい。そんな、気分だ。
……どれほど寝たのだろうか。体中の疲れがすっかり取れている……様な気がする。
そう言えばティマはまだブランコに乗っているのな? まだ寝ぼけている眼を少し開いて、ブランコを見る。
……ん? ティマの前に、知らない人が立っている。茶色いコートの……確かこの前近くのゴミ捨て場で見かけた……。
……何だ? そいつはティマに対して、無遠慮に右腕を伸ばすと、ティマのおでこに触れた。
おい、やめろ! 私は反射的に立ち上がり、そいつがティマに触れるのを止める様に叫んで走りだす。
間に合ってくれ、ティマ!
続く
投下終了
何気にあっちと世界が繋がってたり?
>>417 うおー、相変わらずティマが可愛すぎるぞこんちくしょー!
>何気にあっちと世界が繋がってたり
Σ(゚Д゚;)なんですとーっ!?
アレと繋がってるという事は、あれがあーなって、これがこーなって……
なるほど、読めたぞ……!
>>410 いえ、自分こそまだまだ実力不足でw
なるべく妥協はしたくないので、他の方もイメージと違う場合はガンガン言ってくれた方が
自分にとってもためになるのでお願いしますm(_ _)m
リクエストお待ちしてます
でも近々1月くらい帰省しちゃうので写メになります('A`
>>385 亀レスですが一番好きなのはデザイン的にアーバレストです
>>420 自分はアーバレストのヒロイック性も良いですが、悪役らしいヴェノムも好きですねw
乗ってる人がド外道なのも魅力的ですw
俺はM9が好きだなフルメタだとw
ベタですが
僕は、エリゴールちゃん!
乗り遅れた!?
ASはファルケが1番好きですw
クルーゾー可愛いよクルーゾー
「ククク、ハハハ、ハーハッハッハ!!!」
シャーリー・時峰の言葉に対しブラックファントムから漏れたそれは…堪えられない、そう堪えようの無い笑い声だった。
「よければ、このまま抵抗しないで投降していただけるとありがたい。当たり前の話なんだが、君のその機体は国の認可を取っていない機体でね。
知っているかどうかは知らないが認可をとっていない機体を政府指定の領域外で動かす事は法を犯していることなんだよ。
つまり、君の乗っている機体の存在自体が許されないという事なんだ。君は犯罪者であるという事なんだ。よって、君は我々に捕まるだけの理由がある。だがな、君の上げている多大な戦果に我々が救われている事も事実でもある。
だから、君が無抵抗に我々に投降をしてくれるのならば、我々からも出来うる限りの待遇を保障しよう。だから、ブラックファントム、私達に――」
「冗談も休み休み言え。」
口調を変えず淡々と説明を続けるシャーリーの言葉を遮るようにブラックファントムは告げる。
「言葉が間違っているだろう、時峰?捕獲じゃなくて同行がお前らが求めるべきものだ。
まあ、それでも面子を大事にしたいんだろうからそういう物言いをしているんだろうな。今、この世界で奴らを倒す事が出来るのはこいつだけだからな。
だがな、お前らじゃ…無理だ、お前らではこの力を使いこなす事は出来ない。それにだ――」
ブラックファントムはその右腕に携えている黒槍の矛先で足元に倒れている半壊したアインツヴァインをつつく。
「こいつを見ればわかるだろう?俺とお前らじゃ、力の差が歴然としすぎている、例え、お前らと同じ機体がいくらあっても結末は変わらないだろうよ?
そんな奴がたかだか三機でリベジオンごと投降しろなどとほざいてやがる、弱者が強者に対して行うものだろう?
なのにお前らがやっているのは何だ?弱者が強者に対して投降を求めている…ふざけているのか?」
「だから、こうしてお願いしているのだよ、ブラックファ――」
その瞬間、シャーリーの乗るアインツヴァインの頭部の横をかすめるように紅の閃光が走っていき、後方にあった山にぶつかり爆発した。
ブラックファントムの持つ黒槍の矛先が展開し、中の空洞が光輝いているのが見える。今の光が、ブラックファントムの持つ黒槍から放たれたのだ。
「馬鹿も休み休みに言え……次は当てるぞ。」
「この野郎!!」
α5が自身のアインツヴァインにアサルトライフルの引き金を振り絞ろうとさせる。
それを――
「待て!」
とシャーリーは諌めるように静止させた。
「不快だったのならば、謝罪しよう。だが、これは我々からの切な願いでもある。どうか、我々と一緒に来てくれないかね?」
「――嫌だと言ったら。」
不適にブラックファントムは言い放つ。
「ならば、仕方ない、大変不本意だが、世界政府第七機関の名の下に君を…強制的に連行させてもらうことになる。」
α5、α6の鋼機がトリガーに指をかける。
「出来ると思っているのか?」
「さあ、どうだろうね。」
かたや天狼一機に全力を持って、自らの身を犠牲にしても惨敗した鋼機の集団、かたやその天狼を赤子の手を捻るかのように一撃で消滅させた鋼機。
勝負の結末は誰が見ても明らかだった。
「なるほど、何か策でもあるのか?だがな―――」
ブラックファントムはその大きな黒翼にあるブースターを可動させる。
「――お前らに付きあう義理も無い。」
ブラックファントムはそう言い放ち、飛翔の体勢に入った。
「あれだけほざいて逃げる気か!!」
α5そう叫びながら即座にアサルトライフルのトリガーを引いた。
無数の弾丸がブラックファントムを襲う。
だがその弾丸に向けてブラックファントムは掌を向け、紅の光を放出する。
光は軌跡を描き、掌から拡散し、その弾丸全てに浸食し、消滅させた。
紅の光は幾つもの線となって、ブラックファントムの周囲を徘徊する。
「逃げる?まさかこの展開を想定していなかったとでも言うんじゃないだろうな。
この戦いは俺にお前らに利があっても俺にはまったく無いものだ。そんなものに構う奴が馬鹿だというものだろう?
こいつと俺を捕獲するなんて言ってるんだから、これぐらいの事態は想定してるよなぁ?」
まるでブラックファントムの纏う紅の光は絶対領域だ。
螺旋上の紅の光がブラックファントムの周囲を徘徊し、光の主である王に襲い掛かる害悪を消滅させる。
全方位にてあらゆる弾丸を通さぬ螺旋の壁。
両翼に搭載されたブースターの噴射と共にブラックファントムは飛翔を始める。
ブラックファントムとアインツヴァインのスペック差は歴然たるものだ。
飛翔したブラックファントムの速度はフライトユニットを装備した鋼機の飛行速度など、兎と亀ほどの開きがある。
つまりはブラックファントムに飛翔を許したら、イーグルの面々にはブラックファントム捕獲など不可能の事象と化してしまう。
だが、それに対して、こうなることをシャーリーは機体内でかすかに微笑んで、
「α4……やれ……。」
そう命令を出した。
その瞬間、大きな風きり音が鳴り響き、ブラックファントムの機体が飛行体勢入っていた揺らぎ倒れた。
火の入っていたブースターはそのまま噴射を続け、大地に擦るようにして倒れた機体を山部の腹部に向けて突撃させる。
正体不明の攻撃にブラックファントムの絶対防御が打破されたのだ。
その結果を見てシャーリーは自分たちの考えが間違っていなかったのだと確信する。
そして理解している、二度目は無いのだと…。
何せこれは連発できない代物だ、そして種さえ割れてしまえば、あの機体には通じないのは明白。
ならば、この瞬間、この刹那こそが唯一にして無二の機会。
「投擲せよ!」
その掛け声と共に三機の鋼機が腰部にある連鎖式手榴弾(チェーングレネード)をブラックファントムに向けて投げつける。
爆発、そして大地を構成する数多の土が天に上がる。
これこそが、絶対防御を破る為の秘策。
「各員、特殊弾頭に切り替えよ。」
シャーリーの掛け声と共にアサルトライフルのマガジンを取り外し、腰から黄色のマーカーの入ったマガジンを装填する。
「全ては作戦通りに…だ。分かっているな?」
「私は当然ながら、それにそこのガキに言ってやった方がいいんじゃないでしょうかね。」
「誰がガキだ!お前こそ、そんな風に格好つけてミスったら大恥ものだぜ!」
「なら――撃て。」
その号令と共に三機の鋼機の銃口が、山腹に横たわったブラックファントムに向けて撃ち放った。
鋼機の持ったアサルトライフルから放たれた弾丸が倒れたブラックファントムに襲い掛かる。
第七機関が人口衛星から確認した鋼獣とブラックファントムの12度の戦い。
その中でブラックファントムは何度か今回のような防護を行い敵の攻撃を無効化した。
主に対象になったのは長距離もしくは中距離攻撃を行う鋼獣だ。
射撃攻撃に対する絶対的な防御。
これを崩さなければそもそもブラックファントムを捕獲することなど、不可能である。
近距離戦を挑めばその強大な力の前には勝機は無いのだから。
世界政府第七機関直属組織『イーグル』はこの絶対防御を破る為にブラックファントムの戦闘をあらゆる方向から研究した。
その中で、この光を越える突破口になると思われたのが第7度目の戦い、通称、乙姫との戦いだ。
この戦いのみが遠距離型の敵に唯一絶対防御を使わなかった例外だった。
何故、この時だけ使わなかったのか?
『イーグル』は様々な推論を立てる。
42も出された仮説の中で最も有力視されたのが、この乙姫の攻撃の性質であった。
その他の鋼獣とこの乙姫の違いは攻撃が実体を伴っているか否か、つまりは乙姫は音を衝撃として相手を攻撃する鋼獣であったという点だ。
つまりブラックファントムの纏う光は実体を持つものしか消滅させる事できない可能性が高い。
光の原理は不明だが、性質は実体あるものをそのエネルギーで消滅させているといったものだろうと推測されている。
ならばこれを通過するためには実体を伴わない攻撃を行えば、通じる可能性が高かった。
第七機関にある武装でそのような攻撃を行える兵装は一つしかなかった。
圧縮した空気を砲弾として撃ち出し、対象に衝撃を与える、通称:空圧砲(ブラストキャノン)。
銃弾を使わず大気という無限の弾を放出するというコンセプトを元に開発された大型ライフルであるそれは、まさに今回の作戦に打ってつけのものだったといえるだろう。
だが、所詮はまだ実験段階もので、サンプルに一つできただけであり、
一発撃ったら弾丸である大気の圧縮にかかる時間が1分であるという事。
照準の悪さ故に動いている敵に命中させることは非常に困難であるという事。
命中した所で相手に致命的な衝撃を与える事が出来ないという事。
これらからこの兵装はとてもではないが実戦で扱えるものでは無かった。
だが、今回の捕獲作戦、世界政府からの勅命でもあり、なんとしても成功させなければならない。
空圧砲は当てた所でブラックファントムを戦闘不能に追い込むことは適わず、その一撃でこちらの全ての目論見が悟られてしまう。
空圧砲はそれだけで全長30mという超大型兵器だ。
約束通り支援!
それに光学迷彩処理を行い姿を隠した所で発射して外しでもしたら、すぐさま位置が割り出され打破されてしまうだろう。
故に『イーグル』が行なわなければならなかった最初の行動は、ブラックファントムの注意を別の所に引きつける事だった。
そのために囲うようにブラックファントムの前に三機で降下したのだ。
オープンチャンネルで会話を行ったのも、ブラックファントムの思考に雑音を混ぜ真実から遠ざける為だ。
これが空圧砲を直撃させる為に『イーグル』がとった策であった。
そしてその策は成功する、ブラックファントムの注意を引くことに成功し、空圧砲を対象に命中させる事に成功した。
この際に、作戦を遂行したαチームはいくらかの想定があったサイコロの目の中でもブラックファントムの飛翔間際を打ちバランスを崩させるという最もいい目を得た。
そうして『イーグル』はブラックファントムに向けて銃撃を開始する。
倒れた際に三機の鋼機が投擲したチェーングレネードによって発生した大きな土煙ゆえにブラックファントムの纏った光が分散していた。
一時的なブラックファントムの行動の抑制、チェーングレネードによる絶対防御破りの結界、そして、そのアサルトライフルに装填された特殊弾、作戦遂行に必要な要因は全て揃った。
この瞬間、この刹那ならば、あの防御を突破することも出来る。
ブラックファントムを囲んでいた三機の鋼機は弾丸を雨嵐のようにブラックファントムに浴びせかける。
舞い上がった砂煙ゆえに対象を明確に補足することは出来ないが、ブラックファントムの背後に山腹を構えた上での三方向からの射撃。
下手な鉄砲も数撃てば当たるなどという言葉もあるがここまで徹底しているともはやこれは、弾丸の豪雨だ。
天から降り注ぐ雨という雫を傘を持たずに、回避する事が出来ないように、紅い光という絶対防御の傘を失ったブラックファントムにはその雨を回避する事は出来ない。
三機はマガジンの弾を撃ちつくすと、すぐさま新しいマガジンに装填する。
そして発砲を繰り返した。
土煙が晴れてゆき、煙の中でゆらりとひとつの影が蠢く。
煙ゆえに薄っすらとしかまだ視認できないが禍々しいシルエットがすぐにそれが何かと教えてくれる。
悪夢の体現、人類の守護者にして破壊者、相反する力の担い手、怨嗟の魔王はそこにただ、立っていた。
土煙が晴れ、ブラックファントムが立ち尽くしている。
さきほど弾丸の豪雨に晒されたなどとは思わせぬ風体だった。
そう、その装甲にはまるでダメージが無いのだ。
「こいつを倒壊させた所までは面白かったんだがな…。」
ブラックファントムは告げる。
だが、先ほどまでとは違いその声には覇気が無かった。
撃たれていたにも関わらず、相手に怒りを眼を向けるのではなく、まるで落胆したとでもいうような…そんな響きがあった。
「確かにあんたらの目の付け所は面白かった、こいつが離陸しようとするその瞬間を狙い、この機体のバランスを崩させる攻撃、そこからの呪層破り、ここまではやられた俺も感心したんだ。
そこまではな…だが、あれだけの機会を得ておいて肝心の攻撃がこの体たらく、所詮はこれがあんたらの限界なんだ。だからあいつらにあんたらは――」
「――いいや、違う。」
ブラックファントムの言に割ってはいるようにシャーリーはブラックファントムの言葉を否定する。
「何がだ…。」
その言葉の意味を求めるようとするブラックファントムより早く、
「違うんだ、ブラックファントム、これで……これで私たちの勝ちだ。」
シャーリーは勝利宣言を行った。
「何を馬鹿な事を…。」
ブラックファントムは黒槍を時峰の乗る鋼機に向けた。
矛先が展開し、紅い光が収束して矛先に集まっていく。
「これを撃てばお前が―――――」
その時だった、ブラックファントムが右手に持っていた黒槍を落としたのだ。
「なんだ、これは…。」
ブラックファントムから発せられる声に驚きと動揺が出る。
そのままブラックファントムは糸の切れた人形のようにぐったりと両腕を落とす。
「こちらでも確認しているよ、ブラックファントム。」
「貴様ら、一体、こいつに何をした…。」
シャーリーはくすりと笑う。
「動かないんだろう?機体が…。」
「貴様ら、一体、こいつに何をした!!!」
ブラックファントムから発せられる声に震えが入る。
「なに、ちょっと毒を盛ったんだよ。」
「毒!?」
α6が割って入るようにいってくる。
「説明が欲しいのなら、僕が説明してあげるよ。S‐15以降の鋼機には例外無くブラックボックスとでもいうようなものがひとつ搭載されていてね。」
「ブラックボックスだと…?」
「うん、そうさ、そしてこのブラックボックスの正体は機体の緊急停止システムなんだよ。
軍から強奪された鋼機のOSを遠隔操作によって内臓したブラックボックス内のシステムを起動、そして機体の全システムをフリーズさせてしまうシステムだ。
まあ、このシステムの起動には機体のシリアルナンバー必要でね、アクセスできるようになっている。ま、そのシリアルナンバーがわからなかったわけだよ、外見からも判断できないしね。」
「……。」
「そこで、僕達は、ブラックファントム、つまり君の機体をハッキングする事にしたんだ。
君の機体はS−16をベースとして大きく改造を加えられた機体の可能性が高かった、
ブラックボックスはS−15以降の鋼機には例外なく搭載されていて取り外すことは不可能のものだ。
そもそも、我々が相手にしようとしているのは通常相手にしている鋼獣のさらに上をいく性能の持ち主だ、
そんな奴と正面からやって勝ち目なんて、無いのがわからないのはそこにいる馬鹿ぐらいだ。
だが、このブラックボックスを利用した仕掛けをやるだけならば、賭けてみる価値はあると思わないか?」
嘲笑するような響きを込めてそう言った後、α6は機体の頭部のカメラをα5の方に向けた。
「ん?馬鹿ってのは俺の事か?」
α5は素っ頓狂に言う。
それに対し、
「むしろお前以外に誰がいる?それにだ、そもそもお前この話、理解できてる?」
α6はα5を小馬鹿にするように言った。
「てめぇ!!!」
「――見苦しいのはやめろ、それにだ、事実を言われて怒るのは本物の馬鹿だ。」
「そんな、隊長までぇ〜。」
「だそうだ。」
諌められたα5を見て得意気α6は言う。
シャーリーそれを見てあきれたようなため息をついた。
「お前もだ、α6。お前らはさっさとそこに寝ている馬鹿の回収をしろ。さて続きの話をしようかブラックファントム。
実際の所、シリアルナンバー不明の機体のブラックボックスを起動するために我々はどのように君の機体をハッキングするかを考えたんだ、それが・・・。」
「それが、そのアサルトライフルに内臓された弾丸か!!」
「ご明察だ、ブラックファントム、この弾丸は着弾と同時に大量のナノマシンをばら撒く特別性の弾丸だ、
そしてばら撒かれたナノマシンは君の機体の各所に侵入し、接続し、君の機体のデータを奪わせてもらったというわけだね。そして得たデータからシリアルナンバーを洗いだし、
本部側からアクセスしブラックボックスを起動させてもらったというわけだ。これでチェックメイトという奴だ。」
ブラックファントムから笑い声が漏れる。
「どうしたんだい?ブラックファントム、何か面白いことでもあったかね、君にも我々は色々聞きたい事があるんだ、君には正常でいてもらわないと困る。」
「ククク、いや、何、俺はちょっと感心したんだ、見直したんだよ。」
ブラックファントムから発せられる言葉は窮地に追い込まれているモノのそれでは無かった。
00リセットしかし支援
「何にだ。」
「お前らだってやれば出来るんだなって…しかしだなぁ、しかしだ。そんな知恵があるお前らがなんであいつらにまったく勝てないんだ。」
「それはそもそも情報が…。」
「いや、違うな、貴様らは持っている筈だ、奴らの情報なんて、それこそ俺の比じゃないぐらいに・・・。」
「何…?」
シャーリーは自分の耳を疑った。
こいつは一体、何を言っている。
我々があの正体不明のアンノウンの情報を知っている?
何を馬鹿な、奴らの情報があれば、まだ少しはこの劣勢を跳ね返せるような作戦を立てられた筈だ。
被害を最小限に抑えられるように行動することぐらいは出来た筈だ。
奴らの強さはその機体の超常的な能力に加え、その正体の不明さにある。
神出鬼没で、一機一機がまったく違う形態、まったく違う性能を誇り、それを前提した作戦がまったく立てられないのだ。
我々が確認した鋼獣は数十種いるが、その中でその機体の特性を判明するにいたったのは乙姫、嵐蟲、天狼、雷牛の4機ぐらいだ。
といってもまだ彼らがどのような隠し手をもっているかもわからず、判明したされる特性も仮説の域を出ていない。
自身の実力より上とするものと戦う場合に勝利を得るには、徹底的な分析と対策を取ることを必要とする。
『イーグル』がブラックファントムの捕獲を了解したのも鋼獣と違いそれを取りやすかったからに他ならない。
だが、こいつは今、一体何を言った?
「知らされてないのか、まあ、そうならば説明はつくな。」
そういって、ブラックファントムの中の声は一人納得するような言葉を発する。
「待て!ブラックファントム、まさか、我々の上層部は奴らが何者か知っているということなのか?そして彼らの使う機体の正体も!?」
元々、この鋼獣との戦いは、正体不明のアンノウンが鋼獣を用いて、無差別な殺戮を行った所から始まった。
だが、もし、政府が最初から彼らが何者であるかを知っていたとするのならば、この事態を事前に察知していたのだとするならば…。
この戦いには、自分が考える以上の色々な思惑が潜んでいるのでは…?
そんな思考がシャーリーの中で巡る。
だが、追求しようとするシャーリーに対して、
「どうでもいいよ、UHの奴らがどうかだなんて俺には興味の無い事だ、俺は奴らをこの世から消せればそれで良い。」
もう語る気も無いとブラックファントムはその話を打ち切った。
「そうか、ならば、我々艦で色々聞けばいいだけのことだ。」
そうだ、焦る必要は無いとシャーリーは自分に言い聞かせる。
「ところでだ、色々ヒントを与えてやったんだから、このフリーズを解く気は無いか?」
一瞬の硬直の後、その発言に対してα5とα6は笑った。
「君は立場を理解していないようだな。それにだ、そのフリーズは我々の手で解除することは出来ないのだよ、
少なくとも高官クラスの認証が無ければ解除できない仕組みになっている。
つまりだ、これから何が起ころうと君の機体はそのままだということだ。」
「なるほどな―――後悔はするなよ。」
少し悲しげにブラックファントムはそう発する。
その様にシャーリーは違和感を感じた。
今まで、激怒したように見せてもある程度の余裕を持っていたように思えるブラックファントムから初めてその声に焦りの色が浮かんだのだ。
捕獲されたという事実に今更直面し、焦ったのだろうか…いや、それは明らかに別の――
その時、上空で大きな爆発音が鳴り、司令部からシャーリーに向けて通信が入った。
『イーグル』本部内司令部。
そこは世界政府第七機関直属組織『イーグル』のブレインとも呼べる場所だった。
今、ここでは遂行中である、ブラックファントム捕獲作戦を人工衛星でモニターし、指示支援を行っている。
そしてその中央にある司令席に、イーグルの総司令である、秋常貞夫は腰掛けていた。
先ほど、ブラックファントムの捕獲成功の報告を聞き、成功率が低い中で何度もシミュレーションを重ねた作戦が成功に近づいた事で安堵の息をついた所だった。
だが、まだ気を抜けないのも事実である。
ぬか喜びはいけない、それは冷静な判断を鈍らせるものだ。
現場の人間が決死の覚悟で作戦を遂行しているのに対し、こちらがそれを的確な判断をもって支えるそれが自分達の役目なのだから。
秋常は腰からシュガースティックの入った小箱を取り出し、一つを小箱から出して咥えた。
本当ならば煙草を咥えたいのだが、残念ながら司令部は禁煙である。
それでもこれを咥えるという行為をするだけでもある程度、落ち着くものだった。
「柳瀬くん、αチームの現在の状況の報告を頼む。」
「はい、現在、イーグルが送りこんだαチームは輸送機からフライトユニットを受け取り、コードBPに運送用の特殊ネットを取り付けている所です。
BPは先ほどと同じく緊急停止システムの作動により、現在行動不能のままです。
システムが解除されるなどと言った兆候も今のところは見られません。
5分後には輸送機内にBPの収容を完了する予定です。」
柳瀬と呼ばれた、女性オペレーターが秋常に報告する。
「そうか、一番の難関を脱したとは言え、まだ作戦は終わっていない、最後まで気を抜かないようにモニターしていてくれ。」
柳瀬は秋常のその発言に了解の旨を伝える。
「しかし、BPは色々気になる事を発言していましたね。」
秋常の横にいる、眼鏡をかけた長髪の女性が言った。
「まあ、思い当たる節が無かったわけでもなかったが、やはりなぁと言った所かな、琴峰くん。」
秋常の直属の部下であり、『イーグル』の副官である琴峰雫はそれに是と答える。
「引渡しの前に出来る限りの情報は拾っておきたい所です。それと、ご子息も無事であったようでなによりです。」
「からかうのはよしてくれ、私はあいつを勘当した身だよ、だから私とあいつの中には血以外の繋がりはもう無いんだ。」
「それでも、あなたを見返したくて、彼はこの『イーグル』に入ってきたのでしょう?普通にあのまま機関軍にいる事出来たでしょうに…。」
「知らんよ、それにその話は今する話でもない。」
秋常は不快そうにその話を打ち切った。
そうして少しの沈黙があった後、秋常はわざとらしい咳払いをして言った。
「ところで琴峰くん、第七機関は何か言ってきているかね?」
「第一機関と第四機関から、作戦遂行の経過の報告を急かされたようで、さきほどから何度も作戦の遂行状況を説明しろというコールが入っています。」
「まったく、世界政府などといってもこれでは名前が変わっただけで統一前と何も変わらんのではないか?」
「ノーコメントです、そんな事を言っているのが機関の上層部の耳に入ったら、司令の首が飛びますよ。」
そういった、琴峰の発言に秋常は少し苦笑いして
「肝に命じておくよ。」
と答えた。
('A`b
そもそも、今回の作戦は他の機関から第七機関がやらざるおえなくなって『イーグル』に行わせたモノだ。
最初の鋼獣の出現が第七機関の統治下である極東の旧名日本であった為、第七機関が作り上げ世界政府を乗っ取る新しい兵器なのではないのかと他の機関から疑いをかけられたのだ。
勿論、それは噂程度の推論にすぎず確固たる証拠があったわけでは無いが、第七機関を見る他の機関の目は日に日に厳しくなっていった。
その上で、あのブラックファントムの登場である、何の因縁か、ブラックファントムが最初に出現したのもまた、日本だった。
当時、世界各地が鋼獣に荒らされており、その最大の被害を被っていたのが第七機関の統治下であった為に、疑いに薄れてきたところで、なんともタイミング悪く現れたのだ。
それからまたこういう噂がいかにも真実のように語られる事になる、第七機関は極東の地を利用して世界政府乗っ取りの為の兵器の開発の実験を行っている。
我々が被っている被害はその実験の余波であると…。
無論、鋼獣にはまったく未知のテクノロジーが使われている事は明白であり、これが今、この世界に存在するテクノロジーで作れるものでは無いというのは技術者の目から見れば火を見るより明らかな事ではあったが、
それ以降、前にも増して、第七機関を見る他の機関の目は厳しいものになった。
言ってしまえば、今、『イーグル』が行っているこの作戦はブラックファントムを捕獲し、世界共通の場に提供することで身の潔白を証明しよう行ったものだ。
まったく他の機関の証拠もない言いがかりなど無視すればいいのにと秋常は常々思う。
だが、他機関からそれを口実にした様々な脅しを第七機関が押し付けられた等という噂を聞いてもいた為、仕方がなかったのかもしれないなという考えも頭の片隅にはあった。
「司令、BPへの外付けのブースターの装着作業が終了しました。今から輸送機の方へと向かうとの時峰隊長からの報告がありました。」
柳瀬が秋常に対して、報告をする。
「そうか。」
なんにせよ、今はこの作戦に集中しなければならない。
この作戦の成功は確実に人類にあのアンノウンと戦う為の力をもたらすのだから…。
そんな事を秋常が考えていた時だった…
「えっ!?」
と柳瀬が素っ頓狂な声を上げたのは…。
「柳瀬、何があった!」
琴峰は声を大きくして柳瀬に状況の報告を求める。
秋常は琴峰を見て、自分と同じく柳瀬の言葉に嫌な悪寒を感じたのだと理解する。
「は、はい!αチームを回収中の輸送機が…あ、あの、げ、撃墜…されました…。」
何を、今何を言った?
「どういうことだ!BPが輸送機を撃墜したのか!?」
激するように琴峰が柳瀬に解答を求める。
「BPの緊急停止システムは作動したままですので、BPが輸送機を破壊した可能性は限りなく低いと思われます。それに――」
秋常の脳裏に最悪のシナリオが思い浮かぶ。
「――正体不明の機影が、時速300kmでαチームの方に向かっています、各機関とのデータベースに照合―――データベースに無い機体です、ですが…ですが…」
もはや司令部にいる数十名の人間、全てが柳瀬がその先に何を言おうとしているのか察知している。
最悪だ、なんと運が悪い、なんとタイミングが悪い、まるで神が我々に滅ぶべしと審判を下したようじゃないか。
「機影からして、鋼獣と見てまず…間違いないかと思います。」
その柳瀬の言葉は司令部の人間にまるで罪人への死刑宣告を送るような響きを持って放たれた。
CR capter1 SIDE C END
To be continued
ありゃ。出遅れたか
投下乙ー
というわけでCR SIDE C 後編です
実は長台詞が毎回一行が長いですと文句言われてたのが遅かった最大の理由なのですが(おいっ!)
今回の話は実は前に言ったとおり一回途中で消えてしまっていまして
あーもうアレはダメだったんだなと自分の中で区切りつけて結構展開を変えたりしました
元々、初期プロットのままだと、SSの領域でやるのは無理なレベルな話でしたので
良い機会だと思って思い切って結構いじってます、そのせいでかき始めるのが送れて申し訳ないとも思っているのですが…
その為、ちょっと展開が強引に感じられるかなーとビクビクしてたりー、というか今回で世界観設定がほんのり出てきたので
どう受け取られるかビクビクものです(またかよ)
登場人物が増えて、覚えるの大変かもしれませんが、まーなんかそんな人いたなー程度ぐらいに覚えてもらえたら幸いです
一章は次の話でラストになるかと思います
個人的にはやっと書ける(苦笑)といった感じですので
生暖かい目で見守ってくれたらなーと思います
最後に支援ありがとうございましたー
>>448 投下お疲れさまでした(`・ω・´)b
これからゆっくり読ましていただきますねー。まぁ展開が強引ってのは大体上手くいきますよw
自分のは正直展開が殆ど行き当たりばったりですしw
>>448 相変わらず主人公のダークっぷりがいいですな('A`b
ブラックファントムとアインツヴァイン…いつか描きたいものです
個人的にはヤラレ役のアインツヴァインが好きですw
>>449 ティマの設定とかないでしょうか
>>448 お疲れ様です!
>支援ありがとうございましたー
いえ、私はできる事をしたまでですよ(キリッ
動けないリベジオンは迫る鋼獣にどう対応するのか……実に気になります。
赤い粒子はバリヤーにもなるんですね。攻防一体、まさに万能!
>世界設定
自分はイエスだと思いますよ!
>>448 読んでて掌に汗を掻いてきました。これは…・…良い!
一見不利な状況に見せかけて、巧みにブラックファントムを嵌めていたシャーリーさんに痺れます
不敵なブラックファントムもまた良い。で、この後一体どうなるんでしょうか、彼は……・次第に明るみになってくるイーグルにも期待して次回を待ってます
>>450 設定らしい設定は教えられないんですよ。物語中に明かそうと思うので
ただ外見は依然パラべラムさんに教えた通り
・金髪で短髪
・西洋人の子供の様な蒼い瞳
・ロリータ体系で真っ白い肌
ってくらいで
>>453 フヒヒ、サーセン(^q^)
いや、書いてると自然にイメージが浮かんでくるんですよ。パラべラムさんのイメージイラストのお陰で
……もしかして引かれてんのかなorz
※1.このスレの8割はロリコンで構成されています
※2.ちなみに自分はどちらもイケる口です
※3.ついでに言うと田舎臭い感じが好きです
ロボット物って妹分多いですよねー
>>452 了解です
バラベラムさんのイラストはどこじゃぁぁい!Σ三(*´・ω・)
>>454 ソーレハトテモシィーズカニィー
ダーレニモキズカーレズニィー
ボクノーイーバショー ソノスーベーテヲー
・CR ・シスターズ ・劇場版NK ・レガシアム
このスレでは多いような少ないような微妙な妹出現率w
ロリはもうちょっと多いか
俺のお気に入りはもちろんレガ妹さっ
>>456 >>293ですね。今見ても可愛いぜ……
って書いて下さるんですか!?Σ(゜Д゜ )やばい、コイツはwktkしてきたぜ―!
>>457 オズワルド乙。オーディアンは後半の似非エヴァ臭が無ければ…・・
>>459 (*´・ω・)ウマー
そして俺の脳内イメージとガッチリ過ぎワロタw
身体描ける人うらやましい…自分はロボカケルケドヒトカケナイ王国の人なので
なんで人型ロボ描けるのに人の身体描けないんだと小一時間ね…('A`
マジンガーおもしれぇ
>>460 顔しか描けないんだぜwwww
筋肉マンなら描けるのにねwww
ヽ(`Д´)ノ ウワーン!!
てめえらがそんな事いってると俺、即興でシスターズの3話書いちゃうぞ!!!
>>450 書いてもらってもOKですよ
むしろ書いてもらうとジャンプして大喜びしますw
CRの機体は結構トゲトゲしいというかシャープで鋭利なイメージの機体のイメージが大きいです
>>451 リベジオンの光の正体の半分ぐらいはこの次で明らかになると思います
路線変更とか変な事しなければの話ですがw
>世界設定
ようは世界政府の下に第○機関というのがあって
それが地域ごとに統治しているシステムなんですよねー
他にも今回は結構キーワードをぶん投げたので噛み砕いてもらえると嬉しいかも
>>452 掌に汗を掻いていただけたのならニヤリと言った所です
次回は頑張って盛り上げたいなー、やっと○○○の○○になるのでw
>>462 あぁ、早とちりしてました、ごめんなさいorz
いえいえ、絵が書けるって時点で尊敬しますよw自分全く駄目な分野ですからw
つか他の方がどんなイメージでティマを想像してたのかが気になる様な
>>463 構わん!三話いこ!……てのは冗談でw
おぉー次は○○○の○○ですか……全く想像つかないorz
>>463 おっしゃぁ、大将の許可出たぜ!兄貴ィ!(誰
ということで、今回はリベジオンとティマを描かせてもらおうかと思います('A`;
ティマはバラベラムさんのを丸パk(ry ゲフンゲフン
イメージそのままで描くだけなので明日の朝までにはできるかと
リベジオンの方は、時間がかかるかもしれませんm(_ _)m
テンション変なのは深夜なのとマジンガーのせいです
今だから言うけど、遅筆さーん
バラベラムじゃなくてパラベラムですよーう
早とちりじゃなかった―!ヒャッハー!コイツはwktkだー!
つっても体力が限界なのでwktkしながら就寝
>>466 うわぁぁぁぁ('A`;
全力ですみませんでしたぁぁぁ
ふぅ、さっぱりしt……薔薇ベラムですって!?
次回予告
遅筆氏によりティマが、リベジオンが我々の前に姿を現す。
次回、ロボスレ
『このスレ始まったな』
土曜の零時、願うはただひとつ。
ああ、身体が描けるようになりたい。
>>461 今回のマジンガーはゼウス神ノリノリ過ぎて噴きましたw
自分も身体描けませんよヒャッハー!
そういえば遅筆氏、ロボのデザインをする時に1番気をつけてる点ってどこですか?
>>468 細けェ事はいいんだよっ
大丈夫、気にしてませんw
現実では名前を間違えられるどころか、苗字が普段使わない字のせいで読まれませんから……。
濁点と半濁点って間違えますよね。
発音できない名前だという事に気付かずにクリアしてしまったAC2……。
>>469 すまない戦友よ、ずっと…ずっと薔薇だと思ってたんだ!
男なら百合だよな!!(違っ
冗談はさて置き
気をつけることですか('A`
う〜ん…あまり趣味を入れないことでしょうか
前述の通り、自分はアーバレストの様なロボが好きです、スマートかつディティールの細かい
でも、その趣味を描く時に入れちゃうと、それは作者さんの作品に似合わないロボになっちゃうので…
当たり前のことですが、作品を読んで、世界観に浸かって描くこと
それが一番大事なことかと思ってます
ネクソンクロガネをマッシブかつ荒めのディティールで描いてるのもそのためだったり…
まぁ、半人前なので何が正解かはまるでわからないんですがww
ゼウスロケットパンチwwグロいww
あ、AC2じゃなかった4だ
>>471 CRの機体に関しては質問あったらいくらでも言ってねー
出来る限りは答えるよー
>>471 パロディ的な感じで書いてみようかしらw>薔薇ベラム
なるほど……やっぱり世界観に合ったものじゃないといけませんものね。
マジンガーの世界にACみたいなデザインの機械獣が出たらブーイングの嵐でしょうしw
そういう意味でガンダムは凄いですよね。いともたやすく固定観念をブチ壊してくれる。特に00のデザイナー勢や、彼等を採用したスタッフの英断は素晴らしいと思います。
自分はデザインする時は――――プラモを作ってるせいでしょうか――――可動範囲を気にします。
HGの00ガンダムの可動範囲に衝撃を受けて、それ以来ですね。つい最近ですが。
ttp://p.pita.st/?kitp8ebg こういうバカげた事ができるのって、素敵だと思うんですよ。
>>474 ありがとうございます、製作開始時に、質問等を纏めてさせていただきますm(_ _)m
>>475 深夜なのにクソワロタwww
>>475 ちょww
ジョジョ5部のボートの上思いだしたww
>>475 返してください、俺の崩壊した腹筋を返してくださいw
>>476-478 どうでぇ! これがプラモの楽しみの一つよぉ!
……正直これ撮ってる時自分も爆笑してましたw
ちなみにM9はちょっと改造(と言えるほどのもんでもないですが)を施して可動域を広げてます。
ちなみにこれが塗装後ー。
ttp://p.pita.st/?m=vbzfgqls さて、そろそろ自分も続きを投下しようかしら……30分くらいに。
ふがいない私に付き合ってくれるかなーっ?
ん…あれ?
もっかして俺ってロリ描けない人か?
>479
何やってんだアンタwww
>ふがいない私に付き合ってくれるかなーっ?
いいともー
>>480 自分は何描いてもロリに見られますが……。
逆に考えるんだ。お姉さんは描けるって、考えるんだ。
>>479 深夜に人を笑わせちゃいけないってじっちゃが言ってたww
>>484 おうふ。
上手い。上手いけど……なるほど、確かにちょっと大人っぽいですね。
成長したらこんな感じ、みたいな。
てか上手いですよ本当に。自分の立つ瀬がありませんorz
東の空がまだ明るくなり始める前、一条 遥はリヒターの背中で目を醒ました。無理をしたせいか、首を回すとポキポキと音がする。だが身体の調子は良好だ。
<おはようございます、マスター>
遥が起きた事に気付いたリヒターが備え付けてあるライトで遥の辺りを照らした。
赤いカメラ・アイがこちらを覗き込む。
――――何故だろう。遥には、心なしか彼が微笑んでいるように思えた。
だから遥も、同じように微笑んで、
「おはよう、リヒター」
■Episode 07:なんでも屋“やおよろず”へようこそ! (発動篇あなざー)
遥達一行は、ひとまずリヒトが所属するというなんでも屋“やおよろず”に向かう事になった。遥は『一端どこかで宿を取ってはどうか』と提案したが、なんでも屋は遥が襲撃された場所の近くの村にあるらしく、その案は却下となった。が、
「結局夜通し歩く事になっちゃったね……よっと」
リヒターの背中から飛び降りる。
<疲れは取れましたか、マスター>
「うん、この通り元気いっぱい!」
ぐっ、力こぶを作って見せる。一見華奢に見える腕は、しかしよく見ると思いの外肉付き――――もちろん筋肉のほうだ――――が良く、逞しかった。
<それはよかった>
「ありがと、リヒター」
<……どういたしまして>
リヒター、ぼそぼそと返礼――――あれ? もしかして照れてる?
無口で無愛想な子かと思ったけど、結構可愛いところもあるんだなぁ。
「あ、そういえばリヒトさん達は?」
<私の通行許可をいただきに、先に町のほうへ向かいました>
「なるほど」と遥、バックパックから地図を取り出す。
ここから一番近い町は――――レイチェル。ブラウニング領、レイチェル。
♪ ♪ ♪
「帰ってきたぞマイホームタウン!」
<近所迷惑です>
村のゲートの前に立つなり、ロッドを高々と掲げて叫んだリヒトにヘーシェンが即ツッコミ。主従、ある意味息ピッタリ。
そんなリヒトの大声に、ゲートの横に建てられた小屋から――――サボタージュしていたのだろうか――――屈強な男が出てきた。見張りのトビーだ。
見張りのトビーは、いかにも眠そうにあくびをして、
「誰だよこんな朝っぱらから……お、リヒトにシロちゃんじゃないか!」
「よっ」
<よっ>
主従、やっぱり息ピッタリ。
「やっぱり無事だったんだな。“やおよろず”の連中が心配してたぜ!」
朝の肌寒さも吹っ飛んでしまいそうなくらい暑苦しいスマイル。
「ナニイテンダ、俺がそう簡単にくたばってたまるかよ」
クックック、と暗黒微笑を浮かべるリヒト。
<むしろくたばればよかったのに>
ケッ、と忌ま忌ましげに吐き捨てるヘーシェン。
「だぁーっはっはっは! 相変わらずだな、お前さん達!」
「クックック、アンタも相変わらず暑苦しいな。……と、それよりも。オートマタの通行許可が欲しい」
それを聞いたトビーが目を丸くし、リヒトに耳打ちする。
投下キター支援
「まさかリヒト……鞍替えかい?」
「ああ……やはりあいつは俺の手に負えない。もう一緒にいるのが嫌になっちまったよ」
<ならコンビは解消ですね>
「ありゃ、聞こえてたのか」
ばつの悪そうな顔をして、目線で謝る男。
<そりゃ聞こえますよ。だってウサギの耳は長いんだもん>
「まったく、シロちゃんには敵わねぇなぁ」
<そう褒めないでください、惚れてしまいます、ぽっ>
口で「ぽっ」とか言ってるあたり、あからさまにわざとらしい。が、その口調はどこか艶があって、なんというか、そそられる。
「さすがウサギ、性欲の象徴」
<献身の象徴でもありますよ>
「性欲と献身……エロいな、ウサギって」
<えっちいですね、ウサギって。でも私、子ウサギですから>
「俺にとっちゃむしろそっちのほうがそそられるな」
リヒトは俗に言うロリコン――――ローリング・コンバット・ピッチ……ではなく、ロリータ・コンプレックス――――というやつだった。もちろん常識はある程度わきまえているので、犯罪行為に走ったりはしない、とヘーシェンは信じている。
「さて、話が脱線したな。……なんでまた通行許可が必要なんだ?」
<家族が増えるよ! やったねたえちゃん!>
「やめい、鬱になるわ」
ロッドの宝玉部分をぺちんと叩くと、リヒトはトビーのほうを向き直り、
「……ま、大体そんなカンジだな、ヘーシェンの言った通り。ちょっと素敵な拾い物をしたわけさ」
「ほう、素敵な拾い物ねぇ……野良でも手なずけたか」
<まあそんなところですね>
手なずけたのはリヒトではないが。
「あいわかった。町のお偉いさん方には後で俺から説明しておくよ」
「サンキューいい男!」
<サンキューいい男>
リヒトが礼を言いながら踵を返すと、トビー、返礼として無言でサムズアップ。やはり笑顔が暑苦しいが、今はその笑顔がやたら輝いて見えた。暑苦しさ30パーセント増しだ。横目で見たからよかったものの、直視していたら、リヒトはきっと目を焼かれていただろう。
「さて、三つ編みのお嬢様を迎えに参りますかね」
<参りましょー>
ヘーシェンの気の無い返事は馬耳東風。赤髪のリヒト、軽やかに走りだす。頭の中はこの後の展開でいっぱいだ。
なんとかあいつらをやりくるめて、修業と称してあんな事やこんな事を……ああ、もうドキワクが止まらん!
――――ヘーシェンの信頼はマッハで打ち砕かれていた。
「みぃぃなぎってきたぁぁぁぁぁ――――っ!」
<近所迷惑です>
天に向かって勢い良くロッドを突き上げて咆哮するリヒトへ、ヘーシェンが即座にツッコミを入れる。なんだかんだ言って、やっぱり主従、息ピッタリ。
♪ ♪ ♪
「ぐふふ、ぐふふふふふふ」
下卑た笑いを浮かべながら歩を進めていくリヒト。正直気色悪いが、ヘーシェンは黙っておく事にした。今のマスターにはぶっちゃけ何を言っても無駄だ。
「あ、リヒトさーん」
「遥ちゃん、許可を貰ってきたよ、ハハッ」
遥を発見と同時によそ行きフェイスにトランスフォーム。
何が「ハハッ」ですか、気色悪い。
なんて思っても、やはり口には出さないヘーシェン……どうせ近い内に化けの皮は剥がれるだろうが。
「ありとうございます、リヒトさん!」
<感謝します、リヒト・エンフィールド>
「はっはっは、当然の事をしたまでさ!」
<ケッ、なーにが『当然の事をしたまで』ですか>
「はっはっは、当然の事をしたまでさ!」
どうやらトビーの暑苦しさが伝染したようだ。感染拡大。拳があったら殴りたいと思うヘーシェンであった。
「じゃ、行こうか……我が家へ!」
「はい!」
昇り始めた太陽に向かって走り出すリヒトについて走り出す遥。それにしてもこの師弟、ノリノリである。
<ま、あっちは逆方向なんですけどね>
取り残されたヘーシェンは、動けなかった。
<確認しました。……数時間前に通って来た道です>
取り残されたリヒターは、ヘーシェンを抱えて立ち上がった。
<どこまで行くんでしょうね>
二人の視線の先には石に躓く遥。
<……あ、前回り受け身>
一条 遥――――ドジだが、存外身のこなしは軽いようだ。
<……そろそろ止めに行きましょうか>
<はい、ヴァイス・ヘーシェン>
白と黒、短く苦笑して、歩き始める。
接触まで、あと――――
♪ ♪ ♪
「わあ、結構都会なんだ」
石畳が綺麗に整備されたメインストリートを見回し、遥が感嘆の声を漏らした。
ここ、レイチェルは城塞都市ブラウニングから程近い場所にある町だ。元々は名前も無い小さな集落だったが、町の中心に学園ができた事によって人が集まり現在の姿にまで発展したという。
<ま、中心街から少し離れたら何もないですけどね>
ヘーシェンの言う通り、メインストリート外れ、門をくぐった先は土に草木に獣道、見渡す限りの麦畑、緑の海。
「わあ、ほんとだ!」
突如として眼前に広がった緑に目を輝かせる遥。
<遥さんは人生を楽しめるタイプですね>
「だって楽しまなきゃ、損じゃない?」
振り返る遥の顔にいっぱいの笑み。
<なるほど、つまり奴隷になったり死にかけたりしてもポジティブ・シンキング>
「ごめん、それは無理」
苦笑い。
<目的地まで、あとどれくらいでしょうか。リヒト・エンフィールド>
「あと十分ぐらいだな。リヒター・ペネトレイター」
あぜ道をゆっくり歩く、巨人と一緒に。
流れていく景色は緑。ぽつりぽつりと点在する家がどこか寂しい。
ノスタルジックな光景だ、と遥は思った。それと同時に、少しだけホームシック。故郷の父や母、妹達は元気にやっているだろうか。
――――今度、手紙でも出そうかな。
昇り始めた太陽を見る。あの向こうに、故郷がある。
<マスター、どうかいたしましたか>
遥を見下ろすリヒター。表情に変化はないが、心配してくれている。それが遥にはなんとなく理解できた。
「なんでもないよ、ちょっとおセンチになっちゃっただけ」
照れ隠しに微笑む。
<そうですか。……マスター>
「何?」
<マスターをお守りするのが私の使命です。それは肉体的な面だけでなく、精神的な面でも適応されます。つまり>
「よし、もう着くぞ!」
リヒターの言葉を遮るリヒト。ああ、間が悪い。
「うん、つまり?」
<……それだけです>
――――三つ編みのお姫様を守る黒い騎士は、どうやら想像以上に口下手で、不器用のようだ。
♪ ♪ ♪
「さて、ここが我らの城。なんでも屋“やおよろず”だ」
リヒトの視線の先に広がる場所、なんでも屋“やおよろず”。広大なそこは、イメージとしては牧場が一番近い。
まず一番手前側にある建物。――――おそらくオートマタの格納庫だろうか――――これが一番大きい。鉄骨剥き出しの無骨な外見が、なんだか威圧的だ。
次に左手側に広がるだだっ広い運動場。――――所々に障害物が設置されているところから、恐らくは演習場というほうが正しいか――――これが一番スペースを取っている。
最後に、正面奥にある、ツタが這っている二階建ての建物。レンガ造りのそれに、リヒト達は住んでいるのだろう。
「どうだい、我が家は?」
「すごく……大きいです」
ゴクリと生唾を飲む。
――――ひょっとしてとんでもないお金持ちだったりするのだろうか。こんな貧乏人の小娘を受け入れてくれるのだろうか。遥の脳裏に、今更ながら一抹の不安が浮かび上がる。
一方のリヒトとヘーシェンは、
<皆、心配してますかね>
「だとしたら、劇的に参上せざるを得ないな」
<『降臨、満を持して!』ですね>
「おう、派手にいこうぜ」
ククク、ケケケと内緒話の真っ最中。それを見た遥が怪訝顔で二人に尋ねる。
「何かあったんですか?」
「いんや、何も」
ポーカーフェイスが逆に怪しい。
「それより早速突入しようか」
そう言いながら、何故かクラウチングスタートの姿勢を取る赤い髪のリヒト。
「え!?」
突然言われても、まだ心の準備が。
「いいか、遥隊員。静かに、しかし速やかに移動する事を心掛けろ。決して中の連中に悟られるな、気取られるな」
何だろう、プロの気迫とでも言うのだろうか。走る緊張、漂うシリアスな雰囲気。
「は、はい!」
それに気圧されて、まだ覚悟完了していないというのに、つい返事をしてしまう。そして何故かクラウチングスタートの体勢。
紫煙
<大丈夫ですか、マスター>
「大丈夫、大丈夫。全っ然、大丈夫」
抑え気味の語気で、自分に言い聞かせる。
大丈夫、きっと上手くいく。今までだってそうだったのだ、これからだって、きっと――――
「では、ミッション開始だ。行くぞ、野郎共!」
リヒト、声を殺して叫ぶと同時に走り出す。ちなみに、実にどうでもいい事だが、メンバーの半分は女性である。
一呼吸遅れてそれに追従する遥とリヒター。
リヒトが扉を音も無く開け、忍び足で侵入。続いて遥が突入。
中に入ると、正面の扉からトーストの焼ける匂いに気付く。時折声も聞こえるし、もしかして食事中だろうか。
リヒトがその扉の前に立ち、ドアノブに手を掛けた。急がねば。
二階建てで吹き抜けになっている玄関は広すぎず狭すぎず、こざっぱりとしていた。しかし、そこに一つだけ、異質な存在。
「あ、靴、脱ぐんだ」
この辺りでは珍しい、半畳程の土間。無理矢理改築したのだろう、なんだか不自然だ。それ故に目を引く。
「お邪魔しまーす……」
急いで靴を脱いで並べ、家へ上がる。
ふと、リヒターが動きを止めている事に気付いた。
「どうしたの、リヒター」
振り返ると、四つん這いになってこちらを覗き込むリヒター。
<……マスター、私では家に入れません>
「おうふ」
――――しまった、何故こんな事に気付かなかったのだろう。
リヒターの大きさに対して扉の大きさが明らかに不足している。
「え、あ、えーと……首突っ込んで!」
はるか は さくらんしている!
<イエス・マイマスター>
律儀に首を突っ込むリヒター。実に怪しい。
そうこうしている間にリヒトが扉を開け放ち――――
「やあやあ! なんでも屋“やおよろず”がエース、リヒト・エンフィールド、ただ今帰還!」
中で食事をしていた人々の視線が一斉に見慣れない人物である遥とリヒターに集中した。
「えーっと、い、一条 遥です」
<M-12、リヒター・ペネトレイターです>
――――そして、今に至る。
次回へ続クンッ
乙〜ん
乙です
師匠ロリコンかよww遥逃げてぇぇ!
今日はここまでー。
支援して下すった方、ありがとう、愛してます。
本当はもうちょっと長くなる予定だったんですが、キリがいいのでぶった切りましたw
いきあたりばったりでアレな作品ですが
、絵師の皆様も生暖かく見守ってくださると嬉しいです。
>>487 身体が描ける事に嫉妬の炎を燃やさざるを得ない。
身体が描ける事に嫉妬の炎を燃やさざるを得ない。
※大事な事なので二回言いました。
>>491 小学生時代の自由帳はカービィばっか描いてありますw
あと世代がバレますがデジモンとか。
「すごく……大きいです」がツボったww
やべえwww
>>487 下に同じく嫉妬の炎を燃やさざるを得ない
※大事なことだけど既に二回言われてるので省略
>>499 トイレに行ってる間に投下されてた……
相変わらずのテンションがグッドw
>性欲と献身の象徴
ウサギって、エロいな……
Σ(゚Д゚;)ってサブタイ間違ってるー!?
すみません、発動篇じゃなくて接触篇でしたorz
wikiの方に載せる時は修正、お願いします……orz
>>498 はっはっは、実はプロローグの時点でサラッと言及されてるんだぜ!
二ヶ月後には見違える程逞しくなってる(というか素の遥になる)ので大丈夫ですよw>遥
>>500 自分の作品全部、基本こういう感じのテンションですw
同時にパロディだらけになるのが悩みの種。
>>501 悪戯っ子でもあります。さらに迂闊で残念でもあります(かちかち山、兎と亀など)。
わあ、ウサギって魅力的ね!
顔が描けりゃなんだって書けるお……
ロボをうまく書けるようになりたいなー
パラベラムさんのプラモのポージングで描こうかと思ったことは秘密
>>504 世界観が作者の脳内に確立されてる様子が伝わってくる文章なんだぜ…
面白いし
>>491 線が綺麗ですよね
これはペンですか?
>>505 >プラモのポージングで描こうかと思ったことは秘密
orz
orz
Σ(゚Д゚;)いやー! orzはらめぇー!!
>世界観が作者の脳内に確立されてる様子が伝わってくる文章
実は街の情景を描写したのは今回の話が初めてなんだぜ!
きちんと伝わったようでホッとしてますw
>これはペンですか?
いいえ、これはマークです。
だがMKUと聞くとバイクの方を先に思い出す俺に隙はなかった
No! It's Mark2! Robot!
乙〜なんとも読みやすいなー
俺がシスターズで目指したいんだけど、たどり着けない所みたいな領域がそこにあるみたいなw
>>510 身体描けてるじゃないですか( ,_ノ` )
嫉妬の炎がこちらにも飛び火せざるを得ない
世間一般にそれは描けないって言わないんだぜ…
ロリコンの神よ降って来い!!
>>509 ヘーシェンについては自分自身のリミッターを外してるのでw
00でいうとこのミスター・ブシドーみたいな存在ですヨ。黒田リミッター解除。
ただ、シスターズと違って積極的なツッコミ分が足りないんですよね……。
そのせいでビシッ! て感じがないような。
>>511 あちっ、あちちっ! これが地獄の業火か……!
身体が描けたのは遥か昔(大体2年くらい前)の話……今ではまったく描けませんッ!
ロリコンになればきっと降りてくるよ! よ!
>>510 うめぇw
なんかのキャラ?それともオリジナル?
>>511 その嫉妬を情熱に変えるんだ!
>>512 ヘーシェンがビシッと突っ込んでるジャマイカン
>>513 みんなオリジナルですヨー。
名前もありますw
>ヘーシェンがビシッと突っ込んでるジャマイカン
彼女はどっちかというとボケ担当ダニンガン。
今はトリオ漫才で大ボケと小ボケがいて、ツッコミ不在……みたいな状況、って感じです。
目が大きくなったw
>>515 おお! だいぶロリータ!
やっぱり目の大きさで大分印象変わりますね。実にグッドです!
自分は寝ようかしら、どうしようかしら。
寝たらリアルタイムでスーパーヒーロータイム見れないし……BLACK RX回なんだよなー、ディケイド。
なにやら濃厚なロリ絵スレにw
しかし、俺もティマは読んでて描いてみたくなった
人口系ローテンション幼女はいいよね
ロボとロリは切っても切れない関係なのだよワトソン君。
>読んでて描いてみたくなった
君も か か な い か
>>519 いいのかい、ホイホイそんなこと言っちまって
俺は幼女だってかまわないで描いちまう人間なんだぜ
まぁ、描けたらうpしてみることにするw
寝れねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!('A`
驚くほど眠さがこない…
>>520 リクエストとお捉えして宜しいですかな、殿
◆klsLRI0upQさんの次になりますが
>>521 「面白い絵師だと聞いている」
「刺激的にやろうぜ」
「実戦のつもりで、真剣に取り組んでくれ」
「いくぞ」
パラベラム! 改めて確認したら思いの外書いてあった件。
もしかすると来週中には8話が投下できるかもw
>>522 是非お願いします!
今まで作中で一度も描写していませんが、25mm重機関砲は長方形の箱みたいな簡素な形状なので描くのは楽かなぁ、と思います。
弾倉も長方形な形で、機関砲の下部に、機関砲と一体化するような感じ(?)で装填して……
文だと分かりにくいな。かくいって絵は描けないし……。
とりあえず、25mm重機関砲は長方形な形で描いてもらえると。
絵師たちがアップを始めたようです
遅れましたがティマのイラストを書いて頂いた方、有難う御座います!ヤバい、皆可愛いww
こうなったらやる気バリバリですよー!一字も進んでないですが出来るだけ早く本編を投下したい所
つかもう何気に中盤なんだよなー……どうすべ
>>499 投下乙です!テンポもパロディも何時にも増してパワーアップしてますな!
まさかのたえちゃんネタ……いや凹んでない、凹んでないよorz
何にせよ新たな仲間たちとの触れ合いがから展開していくか、楽しみな所ですね
何か言葉が変だったorz
>何にせよ新たな仲間たちとの触れ合いがから展開していくか、楽しみな所ですね
は
何にせよ新たな仲間たちとの触れ合いから、どう話が展開していくか、楽しみな所ですね
に修正
うおぉぉ…寝すぎたぁ…
では、そろそろリベジオンをば
取り合えず、読ませていただいた感じでは
・黒い鎧の様な機体
・紅いエナジーラインと閃光
・大きさは10メートル超
・全体的に鋭角的
という事でOKでしょうか
この場合の鎧は西洋甲冑のことですよね、イメージ的に
質問としてはまず単純なイメージ、ガンダムとかASとかナイトメアとか、近い感じのロボが知りたいです
それとフライトユニット、黒槍なども大体のイメージが欲しいです
『ドラグナーみたいなの』くらい適当でOKなので
最後に顔、ガンダム顔か、エヴァ顔か、それ以外かで教えていただけると助かります
>>528 大体OKです
イメージに近いのは大張風味のロボットにOFのエネルギーラインを入れたようなモノです
黒槍にかんしては武装錬金のサンライトハート(ver1)に近いイメージで書いています
あれの矛先が展開して近接戦闘モードと遠距離射撃モードに分かれてる感じです
顔に関しては二つ目のマスク顔、これも上のイメージであげたのが近いですね
後、肩と腕、膝に展開ギミックがあります、展開したところから赤い光を吸収したり放出したりします
>>448 擬人化乙姫たんハァハァ・・・!(妄想しました)
リベンジオンにはまだ隠し玉があるのかしら。
色々な人間が動き出して今後の期待が高まります。
アドバイスというとアレだけど、もっと地の文の力を信じるんだ・・・!
>>499 ヘーシェンはいいキャラだなぁ。
異世界物のはずなのに有無を言わせないパロディが笑えるやら、はらはらするやら。
>>530 乙姫はエロい機体なんていう脳内設定がry
アドバイスありです
頑張って自信もって書きますw
キャラ書く上で簡単にでも繋がりが作ってあると色々
対話も練れて面白いなーと思う昨今
明日と明後日はちょっと忙しくて絵を描けないのでリベジオンは5日以降になりそうっす('A`;
好きな食べ物が同じ、とか、そういうのがあるだけでもかなり書きやすくなりますよねw
ロリコンとロリータ……
おかずがおなじだね!
絵は描くけど、
ロボットに詳しくないから一度誰かが絵を投下したものしか描けなさそうなのが辛い
人物は関係ないけどね!
こんなスレにしたのも私だ。だが私は謝らない
Σ(゚Д゚;)って死傷じゃ大変な事になるじゃねーか!?
スミマセンプラズマチョチョン!
>>536 こまけぇこたぁいいんだよ!
自分も詳しいわけじゃないですし、描いてて楽しけりゃそれでいいのだ!
>>532 あーむしろゆっくりやって全然構わないよw
俺も速筆な人間じゃないしw
>>538 黒い服の人達に怖い目に合わされるので無理です><
もう少し早い段階からティマに関する背景を書いとくべきだったなーと後悔
>>539 むしろ貴方を師匠と言わせて下さい
ちょっとチャレンジしてみたけど、おれの筆力じゃへのへのもへじが限界です…
>>540 ふ・・・・・なかなか、やる、じゃないか……ゲフッ
流れぶった切ってすまない
>>◆n41r8f8dTsさん
ROST GORLとLOST GORLは、どっちが正しいタイトルなんだい?
>>241によればLなんだが、その後のep2以降は全部Rになってるんだが……
それ以前からロリ分はあったとはいえ、ROST GORLでついに爆発したなw
そこにパラベラム氏のイラストがダイナマイト投げ込んだ感じ
>>545 ……これはお恥ずかしいorz正式なタイトルはLOST GORLです
なんかずっとRの方で書いてたみたいで……ごめんなさい
>>547 いやいや、こんな重箱の隅的質問にまで
答えてくれてありがとう
>>544 やった
ハラショー!(オイルに塗れたとっつきを掲げながら)
>>546 そして遅筆氏らニュージェネレーションが核のスイッチを押したんですね、わかります
>>544 誰だって最初はへのへのもへじから始まるのです、師匠
へのへのもへじをロリや巨乳に変えるのはエロn(ry ゲフンゲフンッ…愛の力です!
認めよう!ロリ絵においてパラベラム氏に勝てないことを!!
それは俺も認めなくてはならないw
>>549 そして、スレッドは核の炎に包まれたんですね、わかります
あーん、俺もロリキャラ書きたいよ〜
>>550-551 むしろロリしか描けない私を笑うがいい!
プリミティブな衝動に従い過ぎて、描き終わってから自己嫌悪に陥るのもいとおかし
>>552 テーレッテー
>>553 5頭身くらいが描きやすいすよ
自分的にはむしろ7〜8頭身が難しい
で、ロボットが難しいw
>>554 フフフフフ……フハハハハハハハ……ハハハハハハハハハハハハ!
アーッハハハハハハハハハッハッハッハハハッハハ!!
>>555 2〜3闘神が一番描き易い自分みたいなのもいますぜ!
>>556 今、誰か俺を笑ったか……?
前々から思ってたんですが、人に比べたらロボットの方が随分描き易いと思ってるのは私だけですか
ロボットは最悪ブロックの組み合わせで描けるのに対し人間の曲線の難しさと来たら…と思ってたんですが
>>557 >2〜3闘神
魔神、鬼神、女神ですねw
>>558 自分的にロボットはシステム理解しないとただの「ロボットに見える」落書きになってしまうのがつらいです
もちろん人間もシステム理解しないと描けませんが、そもそもロボットを知らないので……
>>559 それなんてFF6w
FF6といえば魔導アーマーが懐かしいな
>>558 自分も最近そういう思考になってきました。
でもガンダム系の頭は苦手w
>>559 ミネルバビスチェなんかはちゃんと盗んでおくのよ
>>560 なるほど…言われて見れば自分も思い当たる節が…
というか自分もロボ理解して描いてる訳じゃないですからね…ロボットに見える落書き
確かにそうかもしれません('A`;
>>561 魔導アーマーやガーディアンなんかは好きでしたねー。
カイエンの夢のなかで再び乗れた時は歓喜しましたw
今考えていることの逆が正解だ。
でもそれは大きなミステイク
飛空艇は男の浪漫。
飛空艇いいなー
無限航路も欲しいぜーw
いかんまた脱線(ぉ
>>560 >>563 こういう時は馬鹿になるんですよ。
ロボに見えるんだ、良しとしようぜ。
>>565 ファルコン号の出撃シーンは鳥肌モノですよねー。
でもブラックジャック号のほうが好きな私。移動拠点って感じがなんとも。
DSは妹と弟しか持っていないので、スパロボ以外手を出していない……。
>>566 まぁ、趣味の範疇でやってることですからね、割り切ります(*´・ω・)
さすがにこの歳からロボット工学する気にはなれませんしw
知ってるかい?SFって、「すごく不思議」の略なんだぜ
あんまり難しく考える必要はないってこった
そっすよ!このスレはロボットならどんな物でも受け入れるんですよ!こまけぇ理屈は描写と愛と勇気で補えば良いんです!
だってそうしないとタウが無茶苦茶すぎてどうしようもないです
ぶっちゃけ、模型化して、自立できれば十分だと思(ry
※宙間戦闘用の機体は除く。ドラッツェに自立しろってそんな無茶な。
ターンエーガンダムだって中身すっからかんなんだから!
>>568 間違ってるけど凄まじい説得力だから困る
昔のロボアニメを見てご覧なさい、ゲッターロボとか
いい意味で滅茶苦茶なんだぜ
てかすごく不思議よりもすこし不思議のがよくネタになっているようなw
スペースファンタジーとかもあったなー
スレの勢いが凄いなー。生命のガソリンを入れられたみたいに皆生き生きしてる。
ロリを得る事は最上である。ロリを失う事は、その次に良い。
ツンデレ金髪ロリ幼女と人の姿をした生きた人形の話とか考えてるけど、内容が完全にファンタジーで流石にスレ違いだし。
そもそも書かなければならないのが山積み。
よし、俺これからも模型化したときに自立できる程度のいい意味で無茶苦茶な凄い不思議ロボを描き続けるよ!
まぁ、要するに今まで通りですね(*´・ω・)
中身すっからかんでも愛と勇気で動けばそれでいいのさ!
>中身すっからかんでも愛と勇気で動く
アンパンマンはーきみっさー
>>577 頭なんて飾りです、偉い人にはそれがわからんのです!
>>578 ジャム
あ、あなたは弾詰まりおじさん!
話に花が咲いている所悪いけんどー容量ってまだ大丈夫なのかね
いや、今日は投下しないしあんまレスの数も取らないけど
>>581 今391kb⇔残り109kb
一応余裕はあるよ
>>581 あと109KBありますよ。あと10年は戦えます。
本当に10年以上戦っちゃったんだよなぁジオン……。
全く関係ないけどティマかわいいわ、ティマ
>>583-584 ありがとうございます。あぁ、それなら大丈夫かな
なるべくコンパクトに文章を抑えようとするけど難しい―
NOOOOOOO!
投下はバッチこいだけど大事に使っておくれ!
次スレから頑張るって軽い気持ちでいっちゃったんよ!?
どどどどうすれバインダーはヴァーダント@鉄のラインバレル!
ヘーシェン可愛いよヘーシェン
へーシェンは俺の嫁になってくれるかもしれない女性なんだ!
>>587 はい、大事に使わせていただきます
次スレ期待していますよ!
>>587 口は災いの元って言うじゃなーい
まあ災い転じて福となる可能性も無きにしもあらず
>>588 ありがたやありがたや
>>593 や、やんのかー
やんのかー・・・?
こ、怖かねぇぞ掛かってこい!
>>595 ふざけるな!こんな石ころひとつ、筋肉で押し返してやる!
アクシズなんかにあ、屈しず!!
・・・ちょっと無理があった。
あれ
俺これ今めっちゃ導火線縮めてる・・・?
>>595 おいィ?そんなもの落としたら地球に核の冬が来て人々が病院で栄養食を食べるハメになるでしょう?
核の冬が来て一番困るのはワルレックス系列だしっ!
ノリ良すぎ吹いた。流石ノリの良さはこのスレ住人のお家芸だな!
MSみたいな王道的ロボットが主役の話が書きたいけど難しそうだなー。まぁやんなきゃいけない事が沢山あるんだけど
>>596 ちょ、無理ゲーw
>>597 もはや語るまい……!
>>598 地球に住むものどもはノミの足元にも及ばない貧弱一般人
その一般人どもがニュータイプのわたしに対してナメタ言葉を使うことでわたしの怒りが有頂天になった
この怒りはしばらくおさまる事を知らない
>>599 冬眠するんかい!
>>602 ふざけるなたかが石っころひとつνガンダムでバラバラに引き裂いてやろうか?追撃の破壊力ばつ牛ンのフィンファンネルでダメージはさらに加速するでしょう
ちなみにネクソンクロガネを秘密裏に改造し続けてるのは地味に秘密
あぁ〜ティマとかヘーシェンとか一日中描き続けたいわ
ロリって描いても妄想しても飽きないよねキャッ゚+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚.:。+゚キャッ!
>>605 いやあ嬉しいなあ。
参考までに、イメージソースはガドガードの鉄鋼人メッサーシュミットだったりしますです。
まああくまでイメージソースですけど。
>>605が「ティマとかへ―シェンを一日中改造し続けてるのは秘密」に見えた俺を踏んでください
>>605 このロリコンめ。バックベアード様がお怒りになられるぞ
>>607 どうせ踏むってきみにとってはご褒美なんだろぉーがー!
>>604 おい、やめろ馬鹿
この作戦は早くも終了ですね
>>605 しかしヘーシェンの姿はオートマタあるいは玉だった……
僕の玉が!
ふむ。勢いこんで書き込んだが、玉ってなんだ?
>>607 至って正常ですので処方箋はありません
>>608 バックベアードが怖くてロリコンやってられるかよ!
描かないロリコンはただのペドさ
>>605 白兎かわいいよ白兎
メッサーシュミットかっこよす('A`
地味に改造し続けよう…そしていつか、大空に飛び出すんだ(ぇ
>>613 ソルディオス・オービットですね、汚染されます
※むしろこいつがおせんされている!
メッサーかっこいいよねー
でも飛ばしちゃらめぇええw
620 :
521:2009/08/03(月) 00:09:45 ID:CzKNIjoa
>>620 完成度すげー!!!!
手間かかってるなあ…
>>620 イッツァミラクル!以外に私はこれを言い表す術を知らない
>>620 な、なんだこの完成度は……!
素晴らしい……
レベル高杉ワロタww
SUGEEEEEEEEEEEEE!!
おれは今このスレをの絵をほんのちょっぴりだが描いた
い…いや…描いたというよりはまったく理解を超えていたのだが……
,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
(.___,,,... -ァァフ| あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
|i i| }! }} //|
|l、{ j} /,,ィ//| 『おれは
>>323を描いていたと
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ 思ったらいつのまにか
>>238を描いていた』
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ |
/´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
/' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ おれも何をしたのかわからなかった…
,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉
|/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ 頭がどうにかなりそうだった…
// 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
/'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \ 催眠術だとか超スピードだとか
/ // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ 間違いない、この絵を描いたのは変態だ。それもドが付く
>>625 よかった、君がドがつく変態で、本当によかったつД`)・゚・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚ 。
ああ。今週分の生きる希望がわいてきた
>>620 ・・・・・・(゜Д゜ )
煤i゜Д゜;)
sugeeeeeee
うわぁ、すげぇwww俺のイメージを遥かに凌駕してるwwwうわっすげぇwww
あまりの上手さに嫉妬の炎がバーミヤァァァァァァン!
>>625 くそう、ド変態め! 結婚してくれぇ!
>>629 一万年と二千年前から愛してる!ティマさんを僕に下さい!!
>>625 もうなんつうか言葉が出ないです
あぁ、本編が霞む……いや、これはマジで気合入れて書かないとヤバいな、マジで
>>632 あくまで支援なんで、あんまり難しく捉えんでもいいですぜw
リキみすぎないようにしつつも、ぜひ頑張って下さいましw
なんか最近いい事が起こりまくっているような気がしますクーポンマガジンのhotpepper
>>631 うん、それ無理だってマキさんが
私を超えていけってマキさんが
>>633 いやぁ、凄い励みになりますよ。こりゃ本編が負ける訳にはいかんなと
ティマを書いていただき本当にありがとうございます。皆さんの想像力にただただ脱帽します>絵師さんALL
ティマの絵師人気は異常www
>>635 滅相も無い、ただただパラベラムさんと部屋の片隅で震えるばかりです
人間ここまで実力が違うと嫉妬の炎も燃えないんだぜ
>>635 マキさんの壁厚過ぎる……なんてディフェンスなんだ!
どういたしまして。自分も楽しかったですw
自分も描いてもらいたいけど、まだピースが揃っていない……!
クロスオーバーもやりたいし、オラワクワクしてきたぞ!
そこ暗そうだな
俺も行っていいかい
>>636 ある意味このスレの看板ですねw
>>637 ((((゚Д゚;))))
ば、馬鹿野郎! これは武者震いだよ! 本当だよ!
>>641 ( ,_ノ` )y━・~~~ 泣きたいときに泣ける強さも男にゃ必要さ
ふぅ…しかしどうにも嫉妬はともかくやる気の炎にゃ火がつきました
ちょっと1月くらい真剣に絵の実力向上に費やしてみるとします('A`)ゞ
神々が刺激しあっているこの光景を何よりも尊いと思うよ・・・
>>642 俺が絵でも描いてみようかなと思ったのが一ヶ月ちょい前
>>642 自分も絵の練習……の前に作品を進めねば。
明日には公開できるように頑張ります!
〜ちょっと予告〜
次回はリヒターvsたまちゃんだ!
>>644 それであのボルジャーノンならセンスは十分ですね('A`b
自分は高校以来このスレに会うまで空白がありますので実力は高校止まりです
しかし、どうやら進化せねばなるまいて…成人男性の意地ってもんを
>>620 今更ながらSUGEEEEEEEE
そして嫉妬したくなるぐらいうらやますぃぃぃぃwww
>>646 「
>>620…
大袈裟な伝説も、今日で終わりだ
進化の現実って奴を教えてやる」
と言えるくらいになるまで頑張りましょうぞ!
※馬鹿めそれは水没フラグだ
>>648 涙で部屋のドアが開かないぜ!ラフメイカーマダー?(*´・ω・)
明日の夜からレヴォリューションですね、わかります
ラフメイカーはいないけど、ECMメーカーならバラ撒くよ!
フハハ、これでロックできまい!
バタ子「ふっ…甘い、甘すぎるぞ!」
昨日は色々とありがとうございますー。未だに興奮が収まらないですw
さて、どうにか5話が出来たのでこれから校正しますー。その作業が済み次第投下しますね
多分今日中に投下できると思いますが、もしも間に合わず明日になったらごめんなさい
やっと校正出来ましたので深夜にひっそり投下
……ヤバい、想像より長く……
待ってたぜ
ベンチから立ち上がり、私はティマに触れようとする輩を止める為に、急いでブランコに向けて走り出す。
ティマは突然目の前に現れた輩に驚いているのか、動く事が出来ずブランコに座ったままだ。くそ、このままじゃティマに危険が……。
私はティマを輩から引き剥がす為に、大声を出して威嚇した。
「止めろ! ティマに触れるな!」
私の大声に、輩はビクッと体を強張らせると、ティマから腕を引き、ゆっくりと後ずさった。
ティマを守る為に、輩を威嚇しながらティマをブランコから離して抱き抱える。
「何が目的か知らんが、この子に触れるんじゃない。警察を呼ぶぞ」
私はそう言いながら、ズボンのポケットからデータフォンを取り出す。専用のボタンを押せばすぐにでも警察がここまで駆けつけてくる。
ここでこの輩が逃げればそれ以上は何もしない。だが、もし何かしようとすれば……。だが、輩は意外な行動に出た。
輩は頭を掻くと、両手を私の目の前に上げた。そして待て、落ち着いてくれと言うと二言を発した。……男の、声?
「警察は呼ばないでくれ。厄介な事になる」
何を言い出すかと思えば……私はボタンを押そうとモニターに指を触れた。すると男は慌てて待ってくれと声を上げた。
「だから待ってくれ。厄介事になるのは私だけじゃない。これは貴方自身の問題でもあるんだ」
確かに問題だな。警察が来れば私も職務質問を受けるだろう。だがそれが何だ? 一体この男は何を言っているのだろう。
早い所家に帰ろう。警察さえ呼べばこの厄介な状況もすぐに終わらせる事が出来る。
そうだ、そう言えばティマ……ティマ?
ティマはじっと目を閉じ、腕をだらりと下ろしていた。これは……機能を停止しているのか?
私に対して反応が無いという事は、やはりそう言う事……なのだろうか。ティマを抱えている腕が、無意識に震えている事に気付く。
「ティマに……ティマに何をした?」
私は目の男を睨みつけながら、あくまで冷静な声でそう聞いた。この男が……この男がティマに何かしたのなら、私は恐らく怒りを抑える事が出来ない。
「……恐らく私と出会った事により、一時的に失っていたメモリーがティマの中でフラッシュバックを起こしたんだ。
その情報量を処理できずに、ティマは強制的にスリープモードにならざる負えなかった。
今は彼女の中で情報を整理している所だ。心配はいらない。時間が経てば自然に目覚める……」
……何故この男はティマの名前を馴れ馴れしく呼ぶんだ? いや、それ以前にこの男は何者なんだ?
様々な疑問が渦巻く上に、どうしようもない程の怒りでパンクしそうな頭をどうにか沈めて、私は静かに目の男に問う。
「……もう一度聞く。ティマに何をした? いや、何が目的でティマに近づいた?」
男は私から目を伏せ、何か考えている様な素振りを見せると、私に目を合わせながら冷静な口調で返答した。
「……突然ティマに近づいた事については申し訳ないと思う。しかし、今の状態の貴方に、私の事を教える事は出来ない。納得してもらえないと思うから」
……血管が切れる音がした。納得してもらえない? 手を出したのはどっちだ? 駄目だ、どうしても怒りが湧いてくる。
しかしどうにかこの男の事を聞き出さねば、私の怒りが収まる気がしない。はっきりと怒気を孕んだ口調で、私は男にもう一度問う。
「……聞こえなかったのか? ティマに一体何をしたかと聞いているんだ。そして、ティマに近づいた理由は何だ」
男は天を仰ぎ、息を吐くと私の目を見据えた。そして、全く予期していなかった言葉を吐いた。
「一つ、教えるとしたら私はティマの開発者だ。正確には、ティマを成型している……データチップのね」
私は耳を疑った。この男が、ティマの根底であるデータチップの開発者……だと?
<LOST GORL ep.5>
正直理解が出来ない。目の男が何を言っているかが。もしも冗談ならば、次に私は手が出ると思う。
だが、男は私に対して目を見据えたままだ。逃げようと思えばすぐにでも逃げられるし、手を出そうと思えば手を出せるはずだが……まさか?
……いや、正直目の前の男はどうでもいい、取りあえずティマを早く自宅に家に連れて帰りたい。だが、このまま帰って良いのか?
ティマをこんな状態にさせた輩から何も聞き出せないままで……。私は意を決し、男に聞く。
「……取りあえず、アンタがティマの開発者だと証明する物があるのか? そうでもないと信用出来んな」
私がそう聞くと、男はコートの袖から何かを取りだした。透明な薄いケースに入った何かを、ブランコに置く。
ケースの中に入っているのは、一枚のデータチップだ。それも変哲の無い、一般的なタイプの。
「そのチップは私が昔、ティマに取り入れたデータチップだ。後で見てみてくれ」
男がそう説明する。私は恐る恐る、男が置いたデータチップを拾い上げる。
「まさかウイルスとかそういった奴は入ってないだろうな?」
私が男にそう聞くと、男は首を振って否定する。
「正真正銘のデータチップだ。私は絶対に嘘をつかない」
一々癪に障る……だがもしこのデータチップが違反な物ならば、データチップは認識できない。
男の事を信用した訳ではないが、何も得られずに帰るより危険であろうが何かを得た方がいい。そうすれば後々役に立つからな、色々と。
男はキョロキョロと周囲に目を向けると、再び私の目を見据え、はっきりと通る声で言った。
「明日、午後からどの時間帯でも良い。もう一度この公園に来てくれ。そこでティマに関する全てを話そう。
……ティマを混乱させて、本当にすまなかった」
男はそう言い残し、足早に公園から去っていった。……本当に何なんだ。
……取りあえず、ティマを自宅に連れていこう。私は早急に愛車をデータフォンで公園前に呼び出した。助手席を倒してティマを寝かせる。
出来るだけ早いルートで自宅へと設定する。ティマ、待っててくれ。すぐ……すぐ家に着くからな。
自宅に帰る合間、私は男から受け取ったケースを開けて、データチップをデータフォンに入れた。瞬間、データフォンのモニターにデータチップに記された情報が映し出される。
……男が私に渡したデータチップは正規の物だった。そこには、ティマに関する情報がくまなく記されている。
どうやらティマが出来たのは1年ほど前らしい。腕部や足部等のパーツはすべてアールスティック社製。……どうりでパーツがすんなり接合出来たはずだ。
アールスティック社とは、アンドロイドのみならず今私が使っているデータフォン等、私達の生活に欠かせない電子機器では最も高いシェア率を誇る会社だ。
それ故にアンドロイドのパーツやデータチップの製造・開発では右に出る者はいない。殆どのアンドロイドはアールスティック社のパーツで修復できる。
……と、少し興味が逸れた。そうだ、重要なのはティマを作りだした開発者だ。私は開発者と記された部分をダブルクリックする。
すると開発に携わった人間の一覧表が羅列された。その中でもティマの開発を先導したと思われる開発責任者の名前をダブルクリック。
名前は……モリベ・タクヤか。数秒後、モリベに関わるデータがモニターに次々と映し出される。
その中でも、私はモリベの顔写真に触れ、拡大する為にモニター中央にドラッグする。
……間違いない。先程、ティマに触れようとし、私にこのデータチップを受け渡した人物の顔は、間違いなくモリベ・タクヤその人だった。
薄々感じていた気持ちの悪い何かが、ぼんやりと形になろうとしている。悪い予感ほど当たってしまうのは子供の頃からだ。
無意識に私はデータチップをデータフォンから取り出していた。何故だろう、知りたくない事を知ってしまったような、奇妙な嫌悪感。
私は意識を切り替える。今はティマが目覚めるのを待とう。考えなきゃいけない事はひとまず置いておく。
愛車が自宅前に着く。対向車が来ないことを確認し、急いで降り、助手席で眠ったままのティマを自宅へと運び出す。
……掌に汗が滲んでいる事に気付く。焦っているのか、私は。ティマが目覚めない事に。
リビング……いや、違う。もしかしたら手足のパーツに何らかの危害を加えられたかもしれない。
ティマを抱えたままガレージに降り、アンドロイド用の専用台を起き上げる。ティマを台に寝かし、ゴーグルを嵌めてパーツに損傷が無いかを確かめる。
損傷らしい損傷は見えない。見えないが、ティマは未だに目を覚まさない。分からない。ティマが何時目を覚ますかが、全く分からない。
モリベは時間が経てば自然に目覚めると言ったが、それが何時かという事は言っていなかった。
私に……私に出来る事は……何も無いのか? 私はあくまで一介のロボットの修理士にすぎない。
ティマの中にある、ブラックボックスの様な訳の分からないデータチップを調べられる様な知識も無ければ経験もない。
……私は今日まで生きてきて何をやっているんだ? ただただティマの目覚めを待つ事しか出来ないなんて無力だ。無力すぎる。
私は椅子を置き、ティマの掌を握った。当り前の冷たい感触が、今は非情に感じる。許してくれ、ティマ。何も出来ない、非力な私を。
目覚めないティマの掌を握り続けていると、次第に時間の感覚が分からなくなってくる。このままティマが目を覚まさないという考えが過る自分を殺したくなる。
ティマ、ティマ……。
……いつの間にか眠っていたようだ。私は両手で目をこする。何時頃からか眠ってしまったのか……。
ん、待て。私はティマの掌を握っていたはずの両手が自由になっている事に気付く。 目を上げると専用台にいる筈のティマがいない。椅子から起き上がる。
いないと言う事は……良かった、ティマは起きた……という事か? にしても私に何も声を掛けないのは……。
もしかしたら私の事など露知らず、リビングのソファーで図書館の本を呼んでいるのかもしれない。
私は思うが早く、上のリビングへと向かう。モリベの言葉は嘘ではなかったようだ。いや、モリベを信頼する訳ではもちろんないが。
にしても良かった。どうやら私はティマが目覚めない事に対して慌ててしまい、過度の心配症になっていたようだ。
本当にティマが目覚めてくれてよかった。自然にリビングに向かう足が速くなる。私は一息吐いて、リビングのドアを開けた。
ティマは確かにリビングに居た。だが……どこか変だ。ティマの様子が妙におかしい。何時ものティマはソファーの上で本を呼んでいるのだが……
今私の目の前に居るティマはテーブルの上にどこからか持ち出したノート……確か私がアイディアを書き留めているノートを置き、一心不乱にボールペンで言葉を書いている。
その様子は一心不乱……いや、違う。まるで制御の利かなくなった機械の様に、ティマはノートにボールペンを走らせる。
私はそっと、ティマの後ろに寄り添い、ティマが書いているノートを覗き見た。
瞬間、私の肌を一瞬にして鳥肌が襲う。ティマが書いているノートには一切の空白が無くびっしりと、GORLという文字が書いてある。
ティマは文字の上に文字を書く。ノート一面が汚れている事に全く気付かないように。
耳を澄ますと、ティマは小さな声で呟いている。
「ガール……ガール……書けない……書けないよ……」
……今のティマに何が起こっているんだ? 私は息を飲み、静かにティマの両肩に手を置き、ティマに話しかけた。
「ティマ?」
だがティマは私の事など気にも留めず、奇妙な言葉を呟きながらノートにGORLを書き続ける。私はもう一度、ティマに話しかける。
「ティマ、しっかりしてくれ、ティマ」
しかし、ティマはその動作を全く止めようとしない。まるで何かに憑かれているようだ。
私は何度かティマの名前を呼ぶが、ティマは私に対して何も反応しない。やがて、ティマは私の方をキッと振り向き、そして。
「――――うるさい! 邪魔すんな!」
ティマは今まで発した事の無い大声で、私の手を跳ね除けた。ティマの行動に私の頭が一瞬真っ白になる。
どうする? どうすれば、どうすればいい? 私はぐっと目を閉じ、頭の中を空にする。
――――そして私はティマを無理やり振り返らせ、怒鳴った。
「ティマ!」
その時の私を見るティマの目に、光は無かった。何時もの好奇心旺盛な目ではなく、灰色の無機質な機械を感じさせる目。
……違う。今のティマは、私の知っているティマじゃない。頼む、ティマ……私の知っているティマに、戻ってくれ。
私はティマの体を――――強く抱きしめる。その時、ティマの手からボールペンが落ちた。構わず私はティマを抱き続ける。
「マ……キ……」
ティマがか細い声でそう言ったのが聞こえ、私はティマを自分の体から離した。
そこには、さっきの生気を感じさせない目から何時もの蒼い目のティマがいた。だがその表情にははっきりと戸惑いの色が浮かんでいた。
ティマはテーブルの上のノートに気付くと、GORLと書いてあるページを切り取り、くしゃくしゃに丸めた。だがその丸めたページが、力なくティマの手から落ちる。
「私……私……」
ティマは今にも泣き出しそうな顔をして、両手を着いて肩を震わせている。私は静かに、ティマを抱き寄せた。
「怖い……怖いよ……マキ……」
ティマは細い体をガタガタと震わしていた。私は静かにティマを抱きしめる。
今のティマには、自分に起こっている状況を冷静に話す事なんて出来ないだろう。今は……今はティマを落ち着かせる方が先だ。
しばらくティマを抱きしめ続け、次第にティマの震えが収まっていくのを待つ。……良いだろう。
私はティマの顔を寄せて、静かに言った。
「ティマ、前から本当の海を見たいって言ってただろ。今から見に行こう。朝日が綺麗だぞ」
ティマを愛車に乗せ、私はこの近くの海まで走らせる。既に眩い朝日が窓から照らしている。
ティマは終始言葉を発さず、時折私の顔をちらっと見ると申し訳無さそうに俯く。私も今はティマに話しかけず、愛車を海へと走らせる。
そろそろ見えてきた。海近くの適当な駐車場に愛車を止め、海へと歩いていく。
数十分ほど歩いて行くと、海と砂浜が見えた。ちょくちょくサーファーの姿が見えるが、あまり人がいない静かな海だ。
海は朝日の光に照らされており、水面がキラキラと光っている様に見える。そういえば海に来るのも何年振りだろう……
ティマは海をしばらく見つめていると、静かに口を開けた。
「綺麗……」
ティマの言葉に、私は頷いて少しおどけながら言う。
「綺麗だろ? いつも本やTVだけじゃどれだけ綺麗なのかが分からないからな。一回連れてみたかったんだ。」
私はそう言いながら、靴を脱いで砂浜に足を踏み入れる。ティマが心配そうな表情を浮かべているのを苦笑する。
「ティマ、靴を脱いでこっちにおいで」
私がそういうと、ティマは小さく頷いて、靴を脱いで私の方へと歩いて来る。
最初はおっかなびっくりな感じで歩いていたが、馴れてきたのか普通に歩きだす。
「何か……不思議な感じ。ざらざらしてるけど、不思議に心地が良い」
ティマはそう言って、砂浜を掌ですくいあげた。掌から砂がこぼれおちる。
興味を持ったみたいだな……。
「ティマ、砂浜にはな、海から色んな物が上がってくるんだ。魚とか貝とかな」
「あ、マキ、私知ってる。確か瓶の中には必ず手紙が入ってるんだよね。恋人とか家族に向けたメッセージが」
「……まぁ、そうだな。凄く大事なメッセージだから、あんまり瓶って見つからないんだよな」
それから私達は落ちている貝を拾って音を聞いたり、波の引き潮で濡れないように走ってみたりと好きな様に遊んだ。
ティマは初めて見る海に興味深々と言った所で、私が薦める事には楽しそうに取り組む。だが、時折思いつめたような暗い顔をする。
それから1時間くらいだろうか。私は持ってきた新聞紙を引き、ボーと座って海を眺めている。
「……マキ、ちょっと良いかな」
体育座りで俯いたティマが、私に話しかけてきた。私は静かにティマに顔を向ける。
その口調には、どう話せばいいか迷っている。そんな感じがした。私は何も言わず、静かにティマの話に耳を傾ける。
「……さっき、あんな酷い事をしてごめんなさい。私自身、自分が何をやってるのかが分からないの。
私自身はやめたいのに、体が勝手に動いて……本当にごめんなさい」
私は静かにティマの言葉を聞く。ティマは必死に、自分の言葉で説明する。
「あのおじさんに触れられた途端ね……突然、私の頭の中に凄い情報が流れ込んできて……
けど、その情報は全部、私が以前覚えている……いや、覚えていた事だった。……私が作られた理由も、私を作った人も、……私が壊された理由も」
ティマはそう言って、震えている自分の肩を抑えた。僅かに体を震えさせている。今、モリベが言っていた意味を私は少しづつ理解してきている。
「それでね、マキ。私、その情報の中で知ったの。私が……私が、悪い人たちに利用される為に、作られたんだって事に。
それで……」
ティマの言葉が止まる。どう言葉を切り出せば良いのか、ティマは迷っている。私に対して目を伏せたり、見上げたりして。
だがティマはじっと目を閉じると、私を見上げて再び口を開けた。
「……私を壊された理由が、私を、その悪い人たちに利用させないようにする為だって分かったの。
だからね、私は……私は本来、生きていちゃいけない存在だって……だから、だから私ね……」
「何時も……何時も考えてた。何で自分自身の事を何で思い出せないんだろうって、今まで考えてたけど、やっと分かった。
私は……私はあそこで処分されるべきだったの。悪い人達の思い道理にさせない為に。だから記憶も何もかも……」
「……だからね、マキ」
ティマは一度言葉を止めた。
「私を……壊して。私がいたら……マキに迷惑が掛かる」
「……ティマ」
「……今までお世話になったのに突然こんな事言ってホントに最低だよね……私。でも、私のせいでマキが酷い目に合う方が……私には、辛い」
ティマはそう言い、空を見上げた。少しだけ曇った空が見えた。
「……アンドロイドって悲しいね。人なら悲しい時に涙を流せるけど、私は流せないから」
ティマはそう言って海を見つめた。今まで見た中で一番人間らしく、一番悲しい表情だった。
私はジャケットを脱ぎ、ティマの体に着させる。アンドロイドにこんな事をしても意味が無い事は分かっている。
だが、それでも今のティマにはそうするしかない。何故かと言えば、私はティマをアンドロイドでは無く……。
「ティマ」
私はティマの方を振り向き、自分の額をティマにくっつけた。ティマはキョトンとした表情を浮かべる。
私は構わず、ティマに語りかける。
「ティマ、人はな、辛い記憶だけで生きている訳じゃないんだ。人は、楽しい記憶や、美しい物を見た時の感動した記憶
それに、大事な人と過ごした、掛け替えの無い記憶のお陰で、毎日を生きていけるんだ。辛い記憶だけじゃ生きていきれないからな」
「マキ、私は……」
「だからさ、ティマ」
「ティマ、その辛い記憶を、今から塗り替えよう。楽しい記憶や感動した記憶、それに私と過ごした掛け替えの無い記憶で。
だからもう、そういう悲しい顔をするのは止めてくれ、ティマ。君の記憶はリセットされる。今ここからが、君の記憶の新しい始まりだ」
私はそう言って、ティマを抱きしめた。冷たさは感じない。今のティマの体には、温かな熱が感じられる。
ティマは私の行動にポカンとしていたが、ぎこちなく、ティマの手が、私の背中に触れる。
「……マキ、私……マキのそばに居たい。そういう……そういう記憶を作りたい。これから」
ティマがしっかりと、けれど泣き出しそうな声で私にそう言った。
「ティマ、君はもうアンドロイドじゃない。私の……私の妻だ」
「……妻で良いの? 私みたいなので」
「充分だ。ティマ、これからは私の事をシゲルと呼んでいいぞ」
「……マキの方が呼びやすいから、マキが良い」
例の時間帯となった。ティマを家に待たせ、私はモリベが待っている図書館近くの公園へと向かう。
ナビゲーションに図書館近くのあの公園にセットする。愛車が静かに目的地に向けて走り出す。
もう一度、モリベが私に渡したデータチップを読んでみる。幾ら探っても、それ以上の情報は出てこない。
まぁ良い。どちらにせよ、モリベに直接聞けば分かる話だ。どんな内容になろうと、私は受け入れる。今後、ティマと生きていく為にも。
続く
投下終了です。支援してくれた方、有難うございます
書いてて良く分かんなくなってきましたorzついでにタイトルをやっと物語に絡ませられて良かったなと
ティマ可愛いなぁ
これからどういった結末にたどり着くのか凄い気になります><
普通に考えるとビターな別れなEDだけど
裏書いて、大円団なハッピーエンドに持っていくのか
それともふふふ、と真っ黒なバッドEDに持っていくのか
まあ、最後のは無いだろうけれどw
にしてもこのクオリティでこの筆の速さはうらやましいですw
大団円が大円団になってる(´・ω・`)
酒なんていれるから・・・orz
>>664 パラベラム! を今日中に書き上げられなかった上に支援すらできなかったとは、不覚を取った……!
Σ(゚Д゚;)親ではなく妻だと!? くそっ、上級者過ぎるぜマッキー! これじゃあティマを嫁に貰えないじゃないか!!
なんだかバッドエンドの香りがしますが、果たして二人の運命は。
でもアレと繋がっているなら結局世界h(ry
……きっと新世界でラブラブな生活を送ってるんだ、そう考えよう。
物語が転がりだしたなぁ
主人公2人の腹は決まったようだが、しかし、2人を取り巻く世界がどうなっていくか……
続きが気になる
そしてまさかの嫁宣言
マキ・シゲル、只者ではない
まとめサイトの更新、乙です.。毎度纏めていただきマジで助かります
それと感想レスの程、有難うございます。ちょっと最後らへんの流れがどうかなー……と思ってたので一安心
良く良く考えると凄い事になってますね、マキ。ロリアンドロイドを嫁に迎え入れるか……
おお、本当だ! 絵まで載せてある!
管理人さん、お疲れ様でした!
>>669 >ロリアンドロイドを嫁に迎え入れる
そのネタで話を作ろうと思ってたんですが、完全に先を越されましたw
娘にするかと思っていたのにw
かなーり後のほうでやるけど、別にパクったわけじゃないんだからね!
最初から構想に入ってたんだからね!
……と、見苦しい言い訳は置いといて。
冷静に見るとHENTAIの階段を走るどころかクロックアップして目にも留まらぬピードで駆け上がってるようにも見えますねー、確かに。
でも細けェ事はいいんだよっ。
ふう、久々の殺陣は疲れるなぁ。
おぉ、乙です('A`)ゞ
確かに皆さん言ってるようにほのかなバッドエンドの香りが…
ティマには幸せになって欲しいですが
そしてマキは真性ロr(ry
おや、こんな時間に誰か来たようだ…
用事終わりましたんで今日から復活です('A`
>>671 遅筆氏も乙であります!
イラスト、楽しみにしてますヨ!
雑談ネタに、
>>117で出てたイメージ曲の話でもしてみる
俺、作者じゃないけどw
LOST GORLは読む時に
スザンナ・ホフスのUnconditional Loveという曲をかけてた
(原曲はシンディ・ローパーだけど、あえて歌詞が少し違うカバーverで)
この曲、椎名林檎もカバーしていて、その時に意訳を歌詞カードに載せてるんだけど
ホフス版歌詞→ティマ、意訳歌詞→マキ
みたいなイメージがしていたりするのです
自分は作業中はJAMprojectです。定番ですが('A`
やっぱロボはJAMが一番浮かびやすいです
定番、言いかえれば王道が似合うのもまた、ロボット物の良いところだと思うのです
JAMは鉄板だねぇ。ロボ、特にバトル物によく合う
自分は『LOST GORL』読む時は『シェリーに口づけ』ですねー。とぅーとぅーとぅましぇりーまーしぇーりー。
俺のお勧めは「ああエキセントリック少年」だな。
なんかこう、暗い気持ちになれる。
俺は戦闘時にRPGの戦闘曲テキトーに流すなー
逆に普通の解説シーンとか書く時や会話シーン書く時はかけないようにしている
あの辺り勢いで書くとわけわかめになるし
気が散ってると逆にダメだ(´・ω・`)
オーケストラとかをスピーカーで静かに流したりすることはあるけどw
書く時はひたすらサントラかけまくってますねー、場面に合わせた曲を。
AC、ガンダム、フルメタ、モンハン、スパロボ、マクロス……
>>676 ミッシェル・ポルナレフは予想外w
でも歌詞見てみたら結構あってる気がしてきた
>>677 聞いてみた
何とも言えない気分になるな、これはw
みんな、書く時となると、サントラとかインストが多いっぽいのかな
歌詞あると頭に歌詞が入ってきてかけなくなるのは俺だけかなw
>>677 おうふ、ちょっと凹む程度には歌詞が鬱w
>>680 >でも歌詞見てみたら結構あってる気がしてきた
むしろそういう展開になってきたというかw
>>681 歌詞のおかげで助かる場合がが
俺は歌詞あっても平気なタイプだなー
書いてる時は、声も音にの一つ変換されてる模様
自分は寧ろ歌詞が欲しい人です、テンション上がれば上がるほど筆が走ります('A`
>>673>>676 聴いてみましたがどちらも作品に合ってて良い曲だと思いますー
特にLOSTGORLは特にこういう曲のイメージでってのは無いんですよ。だから新鮮です
自分は適当にipodで曲を聴き流しながら書いてますね。その時その時のイメージで
坂本龍一辺りのインストゥメタルとかは情景が浮かぶので好きです。何故か盛り上がる所で鉄道員が流れてますね
そうなのかー結構意外だ
俺、集中力が散漫なせいか、ついつい曲に聞き入っちゃうんだよね(´・ω・`)
洋楽だと音として聞けるんだけど日本の歌だと口も動いちゃうというかw
>>686 ってか歌いながら描くこともしばしばww
なので人前では一切描きません
別に誰も歌いながら描いちゃ駄目って言ってないし(*´・ω・)
>>688 あるよねぇ〜
ヘッドホンして、トレス台の上で紙に絵を書きながら「熱風〜疾風〜サイバス〜タ〜♪」
みたいな感じで
傍から見ると狂気あふれる光景だねヽ(o´ω`o)ノ
>>687 俺も独り言がアレだとか言われることはありますw
なんかほけーとしてたらフレーズが思い浮かんで噛み締めてたら独り言になってたとか
むしろそっちのが書けるんなら全然OKだと思いますw
>>689 そうそう、鉛筆でカリカリしながら「あいむしんかーあいくどぶれいきんだう♪」
>傍から見ると狂気あふれる光景
なので部屋は締め切ってますw
だから暑いんだ……すごく………。
文の時はさすがに歌わないけど、
絵は歌いながら描くこと結構あるw
ここはとても生活習慣のしっかりしたスレッドですね
歌いながら書くと流石に歌詞が文章に混ざるから無理だw
>>693 そんな事はない! 私は部屋に篭ってパラベラムを書いているのだぞ!
>>694 むしろ何書こうとしてたのかわからなくなりますw
……と思ったらそんな事はなかったぜ!
皆は好きなBGMってある?
好きなBGM。
正直多過ぎて困るが、選ぶならAIRの夏影。
日によって変わるので正直これといったものは無いです
とりあえず下村陽子女史最高です、みたいな人なので
聖剣LOMとかLALとかKHから好きな曲引っ張ってくる事が多いかな
あとはイトケンとか植松さんとか光田さんとか浜渦さんとかベタ所からも多数、MGSとかZOE系も大好き
まあ、スクウェア率は高いかな、ファルコム系とかも大好きだけど、あとry
キリが無いのでこの辺で…
今日はサガフロ2のサントラぶっぱしてました
おかげで曲に聞き惚れて筆がすすまry
>>696 自分も挙げたらキリが無いw
Gripとか9、Shining、Artificial sky、ンマイハー、Thinker……って全部ACじゃねーか!
00 GUNDAMとか覚醒、シン・アスカも好き。
疾走や勝利なんかも好きだし……本当にキリがありませんな。とりあえず逆シャア最高や!
ガオガイガーの勇気ある戦いとかどうよ
絵上手くなるにはどうすればいいの?教えてドラえもん!
ドザえもん「迷わず描けよ描けばわかるさ」
ってなワケで、妥協せず行こうじゃないかと色々考えた末結論が出ました('A`
えぇ、ツッコミは敢えて入れません
取り合えず、一枚の絵を納得するまで描き続ければ上手くなるよって誰かが言ってたんで従おうと
なので物事は順序が肝心、◆46YdzwwxxUさん、ネクソンクロガネの具体的イメージがあれば教えてください
1からデザインし直します
はいな。
また描いていただけるんですかー俺は幸せ者だなぁ。
以前にも申し上げましたとおり、イメージソースは鉄鋼人メッサーシュミット(『ガドガード』)。
メジャーなところではビッグオー(『THEビッグオー』)あたりも参考になるかと思います。
とにかく鉄臭く、シャープというよりはずんぐりむっくりした感じ(特に首が太い)。武器でいえば金砕棒みたいな?
図形でいえば三角形とかではなくプリン型・・・というのか、そんなつもりで書いてはいました(かえってわかりづらいか)が、
曲面主体なのかというと、正直、そこは決めてないです。それこそ以前いただいたような感じでも違和感なかったですし。
肩と腰背面に内蔵兵器があるので、そのあたりにある程度嵩があるとそれっぽい?
顔は説明不要でしょうが、虹彩と縦長の瞳孔があり、目の下にはビーム撃つための溝があります。
俺が描いたのは幕末のペリーの黒船サスケハナ号の艦首を頭っぽくしたもので、鉢金の装飾とかファンはそこから。
あくまでお遊びだったので無視してくだすってもいいです。
だめだ全然具体的じゃないよ・・・
大丈夫です、これだけ教えていただければ恐らく行けます('A`b
言われて見れば前に描いたやつ肩とかの展開機構完全オミットですねw我ながら酷いw
今回はパーツパーツで細かく書き起こして最後にくっつけるという作業で行きます
というか今回から全部それで行こうかと
なので時間は今までの数倍かかるけど、ゆっくりしていってね!!(銃声
>>704 ちょww
今日中には出来ませんよ!早く服を着るんだー!!
>パーツパーツで細かく書き起こして最後にくっつける
おお、各部の摺合わせなんかに時間かかりそうだけど、面白そうな描き方だ。
リベジオン、ネクソン、三式……やる事はたくさんあるけど頑張って!
さて、自分はそろそろ……今日中には投下できそうですが、夢中で書いてたら10000文字になっていた……。
お手数ですが、投下の際は支援よろしくお願いしますm(_ _)m
>>704 Σ(゚Д゚;)ってネクソン擬人化だとぅ!?
>全裸に首輪
首輪よりもネクタイオヌヌメ
>>704 ストイックな表情がカッコイイです>クロガネ
擬人化版は無口系っぽいww
>>706 了承です。まぁ出来たらの話ですが……orz
ふと容量の心配してみたり。まだ出来ませんが、LOSTGORLって一話が馬鹿みたいに長くなっちゃうんで
何この変態という名の紳士達…
>>704 おぅ、これネクソンだったのか('A` !!
てっきりネクソンはダンディな兄貴になるもんだと思ってたがそうでもなかったぜ!
擬人化は女体化が基本なんだね
ここはへんたいのすくつだったんですね、最低です
>>704 そうか、ネクソンクロガネアニヒレイターの上位版か……
>>708 確認してみたところ、現在19KBですね。その分だけ◆46YdzwwxxU氏の寿命が縮みますw
>>710 全く嘆かわしい。プンプン
>>711 あーじゃあ厳しいかもしれない(´・ω・`)途中で切れるのもアレなんで次スレに回します
◆46YdzwwxxUさんの寿命はじっくり……w
ふーっ。死ぬかと思ったぜ・・・
>>709 暑いのダメなんです。でも喉痛くてきつくてどきどきする。
一回バンダナ巻いたガタいのいい兄貴で描いたけど、ロボとなんにも変わらないような気がしたw
そこで「ゴッツイの→可愛いの」のギャップ狙いでいこうかなぁと
あれ?
よく考えると別に状況がよくなっているというわけでは全然ない・・・?
リアル系書いてるけど、職業上の経験を活かすと物凄い地味にしかならない。
つかロボよりもそれを支援する裏方の描写に力が入ってしまう。
ロボ一機をまともに稼働させるのにどれだけの人員が必要で、ロボと共同連携する
歩兵は「あんな鉄屑に乗りやがって畜生」とか思ったりしてるんだろうなぁって。
あと訓練の度に空薬莢を回収したり、延々と整備したり、部品ひとつを無くして
中隊総出で探し回ったり…誰が読んで得するのかこのSS。
得とか! 損とか! そんなことはいい
読ーまーせーろー
独り占めとかずるいぞ!
超リアルw
戦闘せずに農場とか経営したらいいんじゃねw
>>716 自分も好きですよ裏方描写
少女機甲録も裏方というか駐屯地お留守番の役割の話ですし
でも実際には第4中隊みたいに放置状態で好きにやらせてくれないからねえ
朝礼とか基本教練とか絶対真面目にやって無いよあの子ら
油圧系の整備で顔の汚れたオッサンは大好物です、レンチを持ってるともっと好きです
超リアル系ロボ
「二脚歩行だと安定性が悪いから、無限軌道に変えましょう」
「ついでに前面投影面積も減らしたいから、もっと全長を低くしようか」
「腕部も人型に近付け過ぎると脆くなりますし、出来るだけ簡略化して頑丈にしましょう」
「武器も手に持たせるより機体に固定した方が命中精度が上がるな」
〜完成〜
「え〜っとコレは……」
「戦車とパワーショベルを組み合わせた、まったく新しい兵器だな!」
「いや、当初の目的からズレてませんか」
超リアル系ロボ
「分かってもらえましたかな。いかなる猛暑も極寒も敵ではないのです。
日本で最も普及しているロボット、この“ベンディングマシン”の前にはね!」
「ベンディングマシン……だと!?」
※広義には自動販売機は商売のロボット(人に代わって働く機械)らしいです
自動車系の知識を持ってる人がロボットもの書くと、やたらメカメカしてて面白いんだよねwww ここでじゃないけど、前に見たことがある。
でも、実際に機械弄って仕事してる人間の文って、見たことないからかなーり興味ある。
実際工場とかだと、針やらネジの一本なくしただけでライン全部止まるって聞いたことあるわ
>>716 新しい……惹かれるな
自分も読みたいです!
>>722 >「戦車とパワーショベルを組み合わせた、まったく新しい兵器だな!」
エアロボット!
エアロボットじゃないか!
車バイクヲタです
嗜好は競技車系です
でもロボット書けません><
油圧系の整備で顔の汚れたオッサン……いいですねー。
裏方描写は大好きですが、真面目に考えると整備が必要という事そのものが非効率的かなぁ、と思います。
前か前々のスレで書いた気がしますが、姫路の世界の物は基本的に壊れない上に整備不要なので一機辺り最小限のコストと人員で、簡単に運用可能です。
そのせいか、姫路守備隊は元々小規模な事もあって、ほぼ正面戦力と人員しか存在しない、凄まじく偏った編成になっています。
重歩兵一個小隊(10人) 軽歩兵二個小隊(20人) 小型戦闘艇10隻(10人) 大型輸送ヘリ2機(2人)
の計42人が姫路守備隊の全人員です。
何かリアルロボットの設定とか描写が書ける人って尊敬します
自分そういうの好きなんですけど、少しでも小難しい単語とか見ると敬遠しちゃうすんよねw
整備が必要で壊れるから、いいんじゃないか
ベアリング、ダンパー、バルブ、スプロケット、ガス圧、油圧……整備の必要のない機体なんて考えられない!
車でもバイクでも自分でできるところをきっちり管理するから楽しいのであって、ロボットがその例に漏れるとは思えないw
機械だけではただの鉄くず
人間だけではただのひ弱な生き物
二つが揃ってひとつの新しい生物が生まれ、神の領域へ足を踏み入れる…そんな浪漫、ないですか…?
ただ整備に手間がかかりすぎると運用が難しい
稼動効率の低い機械は兵器としても、また乗り物としても優秀とはいえない
エンジンから煙を吹いた状態で300キロ先の整備工場まで自走できるくらいの
頑丈さと保守性は欲しいですよ
あとどこぞの戦車変形ロボみたいにお酒が燃料代わりになるとか
あると思います
しかしエンジンから煙を噴くってどういう状況ですかw
そもそもロボットの動力源でだいぶ変わりますな('A`
そこで木製の巨大カラクリですよ
ヒヲウの炎とか大好きやわぁ
むしろ今こそ最終兵器先行者をですね。
さて、ようやく8話が完成しました。何をトチ狂ったのか、今までに無いボリュームです。
盛り上がっているところすみませんが、これから投下を始めようと思うので、支援よろしくお願いしますm(_ _)m
支援準備!!
イエッサー('A`
<やれやれ……おい、これは一体どういう事だ、貴様>
元々冷めているせいか、液体窒素をぶちまけられたみたいに冷凍された場の空気に影響される事の無いたまが苛立ちを通り越して呆れた声で問うた。バンカーバスターよろしく鋭く重い言葉がリヒトめがけて――――
「ヘーシェンのボディは大破、連絡は無し、その上見知らぬ女の子とオートマタを連れて帰還、か……。何があったんだい? 事と次第によっては流石の僕も容赦はできないよ」
「連れて来たのが小さい女の子……さすがリヒト、ロリコンなだけはあるね」
「私達の知らないところでどんなラッヴロマンスがあったんですか!」
「らっぶろまんすがあったんですか!?」
――――殺到する。まさに一斉射撃だ。
突然姦しくなった“やおよろず”の面々に、遥とリヒターは顔を見合わせた。
「……ひょっとして私達、歓迎されてない?」
<……そのようです>
まあ、さもありなん。結局のところ、旅人というのは“余所者”なのだ。警戒されないわけがない。遥も実際のところ何度かそういう目に合っている。安定を求める住人達と旅人とではやはり相入れない部分があるのだろう。
「あー、諸君、静粛に。お前ら、聞け」
リヒトがパン! と手を叩くと、一瞬で静まる“やおよろず”の面々。
「……リヒトって、凄い人なのかな」
<……そのようです>
軽薄眼鏡に金髪ロリータ、黒髪美少女に金の宝玉、大男――――見た目からしてクセのありそうなメンバーだ。そんな彼ら、彼女らを一瞬で黙らせるリヒト、やはり彼は高名な神子なのかもしれない。
「俺は昨日、白馬の王子様だったんだよ!」
「なんじゃそりゃぁ!?」
ずべし! あまりにも恥ずかしい台詞に勢い余ってついつい叫んでしまった。
<助けたのは白いウサギですが何か>
「細けえ事はいいんだよ。それに、俺とおまえは一心同体じゃないか」
<やだこの人気持ち悪い>
一心同体なはずのパートナーが一番辛辣なのはどうなんだろう、いいんだろうか、これは。
<どうやらリヒトに聞いても無駄なようだな。……おい、そこの貴様ら>
乾いた声。杖に付いた玉が発しているらしい。
「は、はい」
<はい>
<何があったか、ピンからキリまで教えてもらうぞ>
それにしても攻撃的な口調だ。謝ってとんずらしたくなってきた。
「駄目ですよ、たまちゃん。そんな脅すような事言っちゃ」
それを諭す、凶暴な機械人形――――どうやらたまというらしい――――とは逆にたおやかな印象を受ける黒い髪の少女は同郷の士だろうか。
「すみませんでした。口調は乱暴ですけど、根は優しくていい子なので、どうかたまちゃんの事、許してあげてください」
「大丈夫ですよ、怒ってませんから」
遥がそう言うと、少女は嬉しそうに少し垂れ目気味の瞳を細めた。凜とした雰囲気と可愛らしさが同居していて、なんとも不思議な子だ、と遥は感じた。……パジャマのせいだろうか。
「それで……何があったのか、私達に教えていただけませんでしょうか」
「はい、喜んで」
「その前に場所を移そう。着替えなきゃいけないメンバーもいるし、そこの彼の話も聞かなきゃいけないしね」
<はい、喜んで>
紫煙('A`
♪ ♪ ♪
「つまり、オートマタに襲われたところを彼――――リヒター・ペネトレイターとリヒト・エンフィールド、ヴァイス・ヘーシェンに助けてもらった、という事でいいのかな……一条 遥ちゃん」
ルガーがデスクの上にコーヒーの入ったマグカップとサンドイッチを置いた。
「ありがとうございます。……一言で表せば、そうなりますね」
<なんだ、よくある話じゃないか>たまがつまらなさそうにひとりごちた。
別段驚く必要もない――――いくつかの点を除けば、だが。
「本当に、野良共が連携を?」
「はい、一機目が陽動、二機目が本命、三機目が大本命でした」
「いただきます」二房の三つ編みを前に垂らした少女、一条 遥がサンドイッチを頬張る。「んー、おいしい」
「三機目……フェーレスっつったか。あいつは他のとは違ったな。ただの野良じゃあないぜ、確実に」
<はい。マナ不足に陥っておらず、中型の荷電粒子砲を二丁、装備していました>
と、リタとライに身体をいじられながら、リヒター。
<荷電粒子砲? ……解せんな、キナ臭い。共食いにはオーバーキルだよそれは>
マナ不足に陥っていない、それだけならまだ不自然とは言い難い。共食いでマナを補給できるからだ。
たま自信も野良の時はそうやって生きてきた。手当たり次第、片っ端から破壊して、コンデンサを奪う――――文字通り、オートマタ同士の共食いで、だ。もうずっと前の話だが。
だが、荷電粒子砲を持っているなら話は別だ。あれはマナの消費量が多い上に威力があり過ぎてコンデンサまで破壊しかねない。
まともな判断力がある野良ならば装備するはずがないのだ。
<……何らかのパトロンがいるのは確実ですね、生意気な>
「だとすれば、バックについてるのは犯罪組織が妥当かな。――――人身売買か、物騒だね」
<需要は、ありそうだしな>
ほくそ笑み、美味しそうにサンドイッチをパクついている遥とハナクソをほじっているリヒトを見比べた。……リヒト・エンフィールド、下品な奴。
「あ? 何だよ、たま」
<需要は、ありそうだしな>
「ああ、上等モンだ!」
<おまえ一回死んでこい>
そんな事を聞いているわけではないというのに、この馬鹿野郎が。
支援なんて柄じゃないけど
<……さて、解せない事、その二だ。リヒター・ペネトレイター、率直に聞こう。何者だ、貴様>
たまの視線の先には、リヒター・ペネトレイターが鎮座していた。長い間戦ってきたたまも知らないタイプのオートマタだ。
一条 遥の話によると、彼は突然現れて彼女を襲ったオートマタを撃破し、そのままついてきたという。
もしも一条 遥が神子なのなら、彼は契約を結ぶために恩を売ったのだと納得はできる。が、生憎遥は神子ではない。助ける理由が無いのだ。
――――もしかするとこいつ、単なるお人よしか……? いや、そんなはずはあるまい。
何か裏があるはずだ、きっと。
たまがあれこれ思案している内に、リヒターが喋りだす。
<――――私が何者かは、私自信にもわかりません>
<なんだと……!?>
たま、絶句。何を言ってるんだこいつは。
「なんと、メモリーが無いんですか!」
<はい>
リヒターはリタの問い掛けを静かに肯定した。つまり記憶喪失だという事だ。だとしたら、
<何故彼女を助けた、何の目的で>
するとリヒターは信じられない事を口にした。
<私の目的は彼女を、ひいては彼女が宿す賢者の石を護衛する事です>
<なんだと……?>
このオートマタ、随分バカげた事を言う。賢者の石など、所詮は風化したお伽話の中に登場するアイテムに過ぎない。過ぎないはずなのだ。だが――――
その存在を、信じてみたい自分がいた。
マナの呪縛からの解放は、須らくオートマタの望みなのだから。
<その根拠はどこから来る>
<私に、そうプログラミングされているからです>
胡散臭い。胡散臭過ぎる。普通ならとても信用できない。
しかし不思議な事に、たまには彼が嘘をついているようには見えなかった。理由? そんなものは無い。
<――――まったく、なんてものを拾ってきたんだ、馬鹿野郎が>
呟いた、その言葉とは、裏腹に。
<――――賢者の石、か……>
確かに感じる、胸の高鳴り。
こんなの別に支援でもなんでもないんだから
投下が滞るのがイヤなだけなんだから
♪ ♪ ♪
「そういえば、遥ちゃんは何故リヒトなんかについてきたんだい?」
と、先程までサンドイッチが乗っていた皿を片付けながら、ルガー。
その質問に、待ってましたとばかりに遥が食いついた。
「私を助けてくれたあの子のために、マナについて学ばなきゃ、と思って……そのためには、神子様に師事するのが一番かな、って思ったんです」
「と、いう事は?」
「ここで、働かせていただけないでしょうか」
するとルガーは優しく目を細め、ゆっくりと頷くと、
「だそうです、オーナー」
上品な仕草で紅茶を飲んでいる黒髪の少女のほうを見た。……え? オーナー?
彼女はそれを見るなり立ち上がり、
「えー、皆さん!」
ロングスカートに着替え、黒いジャケットを羽織った少女がその透き通った声を張り上げる。どこから取り出したのか、手にはメガホン。
「皆さん、準備をお願いします! そしてたまちゃん!」
<ああ、わかっているよ。……駄目なようなら、落とせばいい>
遥、リヒターを除く、その場にいた全員が立ち上がる。
「突然ですみませんが、一条 遥さん、リヒター・ペネトレイターさん」
ポケットからゴムを取り出し、長い黒髪をポニーテールに結わう。その刹那、少女の可愛いらしさを、凜とした雰囲気が上回った。
「あなたがたには、入社試験を受けていただきます」
「入社試験……何をするんですか?」
何らかのテストがある事は想像はしていたが……何をするのかは見当がつかない。筆記試験とか?
<模擬戦闘だ>
「模擬……戦闘!?」
「はい。遥さんと、そこにいるリヒター・ペネトレイターさんのチーム、私と玉藻・ヴァルパインのチームで模擬戦闘を行います。お金がかかるので銃器の類は使いません」
大丈夫だろうか。昨日の戦闘でリヒターの強さは十分わかったとはいえ、彼は補給無しで稼動し続けている。マナの残量は大丈夫だろうか。
<大丈夫だ、手加減はしてやる。本気を出したら、すぐに倒しちまうからな>
「むっ」
見透かされた。
皮肉混じりにフッと挑発する、たまちゃんこと玉藻・ヴァルパイン。その挑発に、
「いいですよ、やってやりますとも。模擬のほう、今すぐにでも。……いい? リヒター」
一条 遥、乗っかった。
<イエス・マイマスター>
黒いナイトも、ついてった。
「では、13時に模擬戦闘を開始します。リタさんとライディースさんは、各オートマタの整備をお願いします……いじらせていただいて構いませんね? リヒターさん」
<はい、構いません>
「あいよ!」
「了解しました!」
二人のメカニックがリヒターに駆け寄る。
「じゃあ俺達は」
<この事を皆に言いふらしてきますね>
「はい、お願いします!」
町のほうへ走っていくリヒトとヘーシェン。そのスピード、まさに脱兎の如し。
「……って、ええ!?」
気付いた時には、止めようとした時には既に、遅かった。
(*´・ω・)しえん
♪ ♪ ♪
ローブを椅子に掛け、準備運動をする遥。やる気は十分だ。
あと少しで13時、勝負の時間がやってくる。……なんだか外が騒がしいような気がするのは気のせいだろうか。
ふと傍らに鎮座するリヒターを見上げた。肩の損傷はほぼ完全に修復されている。どうやらここのメカニック達はかなり優秀らしい。
「後でお礼を言わなきゃね」
「……いいや、その前に『よろしく』じゃないかな」
声がした扉のほうを見る。壁に寄り掛かって腕を組む金髪眼鏡がいた。歳の頃は17、8くらいか。
「ああ、あなたは」
「よう、遥ちゃん。僕はここでメカニックやってるライディース・グリセンティってんだ、ライって呼んでよ」
人差し指と中指を立ててご挨拶。ノリの軽いタイプのようだ。
「よろしくお願いします」
「ああ、そう堅くならなくていいよ。僕そういうの苦手だからさ」
口調は斜めに構えたニヒルな感じ。しかしどことなく感じるのは三枚目の匂い。
「えーと……じゃあ、ライ。何かご用?」
ローブを掛けた椅子にちょこんと座る。同時にライディースもどさりと腰掛けた。
「うん、ご用。……今回の模擬戦闘なんだけど、なるべくモノホンのアリーナに近付けたいんだよね」
アリーナ。オートマタ同士を戦わせ、その勝敗を競うスポーツだ。巨大な機体同士が激しくぶつかり合う、血湧き肉躍るその競技はこれまで数々の伝説を、英雄を生み出してきた。老若問わず圧倒的人気を誇り、チケットは即座に売り切れてしまう。
「ふむ。モノホンのアリーナ、か……」
しかし遥は実際のアリーナを見た事が無い。……いや、一度だけ、ある。ただその時はスタッフとして働いていたので、しっかりと試合を見る事はできなかったのだが。
「そう、モノホンのアリーナ!」
ライが勢い余って席から身を乗り出す。どうやら結構なアリーナフリークらしい。
「うーん……具体的にはどうすればいいの?」
するとライ、今度は席から立ち上がる。かなり熱くなっているようだ。
「入、場、シーン!」
「なるほど、入場シーン!」
とりあえずその熱に乗っかってみる。
「そう、入場シーン! アレをやってもらいたいんだよ! チャンピオン対チャレンジャーみたいな奴!」
チャンピオン対チャレンジャー……わかりやすい例えだ。してほしい事が頭ではなく心で理解できた。
「大体わかった、やってみる!」
誰もいないところでかっこよく登場しても虚しいだけなのでは……いや、これから一緒に働くかもしれないのだ、仲良くなっておいて損は無い。
「ありがとう遥ちゃん!」
いきなりがっしりと手を握られ、少し顔が熱くなる。
「ど、どういたしまして」
「じゃあ、頼んだよ!」
誰が支援なんかするか!
俺は好きにやらせてもらうぞ!
そう言ってガレージを出ようとして、その寸前に振り返るライ。
「君には期待してるよ。僕は君に賭けたんだからね」
……賭けた? なんだかあまりいいニュアンスに聞こえなかったのは何故だろう。
「それに、君達が加わってくれれば、あいつらなんか……!」
……あいつら? はて、何の事だろう。尋ねる前にライは出ていってしまった。
「なんかよくわかんないけど、複雑なんだなァ」
それっきり遥は考えるのをやめた。なんだか色々変だが、今は集中だ、集中。
<……マスター>
「ん? どうしたの? リヒター」
起きてたんだ。
<つかぬ事をお聞きしますが……入場シーンとは、どうすればいいのでしょうか>
ぷっ。
「真面目なんだね、リヒターって。なんだかワンちゃんみたい」
そう、まるで一生懸命な子犬のようだ。リヒター・ペネトレイター、可愛い奴め。
「入場シーンっていうのはね、堂々と歩けばいいんだよ」
……多分。自分もよくわかっていないので、心の中でそう付け加える。
<イエス・マイマスター>
素直にお返事。偉い偉い。
「さーて、もうそろそろ時間かな。調子はどう?」
<至って良好です、マスター。後でリタ・ベレッタらに礼をしなければいけません>
「そうだね。でもそれは勝ってから!」
椅子からローブを引ったくって羽織り、フードを目深に被る。傍から見ればまるで魔術師のような格好だ。
「……じゃ、行こっか!」
<イエス・マイマスター>
そして外に出た遥達を迎えた……いや、襲ったのは――――
♪ ♪ ♪
『えー、今回はこの場にお集まりいただき、誠にありがとうございます。実況はこの僕、ライディース・グリセンティが!』
『解説はこの私、リタ・ベレッタと!』
<ヴァイス・ヘーシェンがお送りするでござるの巻>
……え?
『さあ、挑戦者がやってまいりました! 三つ編み娘、一条 遥とその従者、リヒター・ペネトレイタァァァァァァァァァァッ!!』
ワァァァァァァァァ!!
歓声と、熱気だった。おそらく町中の人という人が集まっている。
内心「何事か!?」と戸惑いながらも、遥はあくまでも悠々と歩を進めた。
『迎え撃つは、なんでも屋“やおよろず”がオーナー、まどか・ブラウニングと、我らが教官、玉藻・ヴァルパイィィィィィィィン!!』
ワァァァァァァァァ!!
一方壇上には黒髪のまどか。毅然としているようで、よく見るとうろたえている。どうやら彼女にとってもイレギュラーな事態らしい……傍らのパートナーはどうか知らないが。
遥とリヒターが指定の位置に辿り着くと、あれほど賑わっていた歓声がピタリと止んだ。
見上げる視線の先、箱のようなパーツで構成されたオリーブ色の重量級、大型オートマタ。あれが玉藻・ヴァルパインの本体か。イメージと随分違うが……。
<来たか。一条 遥、リヒター・ペネトレイター>
ククク、と笑うさまはまるでヒールのようで。
「ええ、来ました。玉藻・ヴァルパイン」
被っていたフードを派手な動作で取っ払った。会場に歓声が戻ってくる。それっぽく言ってみたが、どうやらハズレではなかったようだ。
『お互い準備はオーケーですね? ……では、3、2、1』
「たまちゃん!」
「リヒター!」
『レディー・ゴー!!』
GO Ahead! 重なった二つの声を、巨大な声達が掻き消した。
(*´・ω・)まてぇ〜ルパ〜ン
支援なんて、してやらないんだからね!!
心弱き者どもよ我が支援を授けようぞ・・・
♪ ♪ ♪
激突。興奮と熱狂の中、鋼の身体がぶつかり合って、耳障りな音を立てた。
<……正面からか>
<違うな、リヒター・ペネトレイター>
たまが上半身を落とし、足払い。リヒターがバランスを崩す。が、着地寸前でブースタを使って無理矢理体勢を元に戻し、なんとか距離を離した。……やはり、できる。
♪ ♪ ♪
『いやー、今のは際どかったですね、リタさん、ヴァイスさん』
『はい、高出力ブースタが無ければ即死でしたね!』
<リヒターさん、思ったより強引なんですね、惚れてしまいます>
♪ ♪ ♪
今度はたまがブースターに点火。それと同時に足の裏に装備されたローラーが回転し、摩擦を軽減する。
――――突っ込んでくるか、真っ直ぐ。
接触寸前、サイドのブースタ全開。超高速移動でそれを躱す。
<いい性能だ。だが、ブースタ便りの戦い方で勝てると思うなよ?>
たまの腕からワイヤーアンカー。それがリヒターの腕の付け根に絡み付く。
――――しまった。
ワイヤーを巻き戻し、リヒターを引き寄せ、顔面を力いっぱい……ブン殴る!
<しかし、捕まえたのは、こちらも>
リヒターも負けじと腹に膝蹴りを喰らわせた。
<同じ……!>
わたしにこんなに支援させて
つまんなかったらただじゃおかないんだから・・・!
♪ ♪ ♪
『おおっと、両名本格的絡み合ったー! 殴る蹴るの大接戦ですね!』
『ちょっとチーフ、実況は僕の役目なんスけど!?』
<単純な殴り合いなら重量級のたま姉様に分がありますね。ここからどう有利なポジションに持っていくのか注目です>
『シロちゃんがちゃんと解説している、だと……!?』
♪ ♪ ♪
<だがこれで自由に身動きは取れまい?>
たまが執拗に顔面を殴る。目を潰す算段か。
<それは>
リヒター、貫手にマナを集中させる。野良を葬った、あの一撃だ。
<貴女も同じはずだ>
弓を引くように拳を引き、瞬速の突きが炸裂する。
「決まった!?」
いや、決まっていない。当たる直前にマナが拡散してしまった。
「まさか……」
懸念していた事が現実となってしまった。
マナが、もう無い……!?
<どうやらマナが尽きたようだな。……まあ昨日から……いや、ひょっとするとそれ以前から補給をしていなかったのなら仕方ない。最大出力でドンパチをしたなら、なおさらな>
口ではそう言うが、行動には全く容赦が無い。顔面、密着状態から立て続けに一発、二発、三発。
<……まあ、よくやったよ貴様は>
蹴り倒し、踏み付ける。
だが、戦いはまだ終わっていなかった。リヒターがたまの足首を掴んだのだ。
黒騎士、最後の力を振り絞って叫ぶ。
<……マスター、マナを、今こそ……!>
そうしたい、そうしたいけど……どうすればいいのかがわからない。
<私と、接触したの、なら……フラグは、既に……。あなたの、意思に……応えてくれる……はずです……!>
ああ、賢者の石だけに!? などとツッコんでる場合ではない。
――――賢者の石が、リヒターが言う通り、私の想いに応えるなら……、
「マナを、ちょうだいっ!」
支援する
支援するほど、お人よしじゃないから
刹那、胸の奥底から何かが沸き上がる。温かく、満たされるような感覚。優しくて、心地のいい感情。これが、これがマナというモノなのか。
扱い方はなんとなく理解できる。マナが、教えてくれる。
ならば、沸き上がるマナよ!
「リヒターに……届けぇぇぇぇ!!」
地面に思いっきり手を押し付けた。マナが大地に吸収され、そのマナは地脈を通って彼へと流れ込む。
そして――――
♪ ♪ ♪
<こいつは、まさか>
距離を離す。ここで攻撃を加えるのはどちらにとっても面白くない。
<……まどか、管理者へのアクセスは?>
まどか・ブラウニング、その問いに震える声で、短く「されていません」とだけ答える。魅入っているのだ、この光景に。
しかし、これで八割方確定した。
<一条 遥は賢者の石を宿している、か……。それにしても、この土壇場で発動するとは>
全てのオートマタが目指すものがそこにある――――興奮が駆け巡り、手の震えが止まらない。
今にも笑い出したい衝動を必死で堪える。柄にも無く子供のように跳び跳ねたくてウズウズする。
<――――ああ、そうだな。夢見る乙女になってしまいそうだよ>
マナが充填されてゆっくりと起き上がる黒騎士を見て、柄にも無い、本当に柄にも無い事を口走った。
<面白いじゃないか。管理者も把握していない存在……イレギュラーめ>
♪ ♪ ♪
「出来た、私にも……」
半ば呆けたように、つい今しがたリヒターにマナを注いだその手を見る。まだ少しだけ残る、マナの温もり。
そして少女は、見た目相応の笑顔を浮かべてこう言った。
「私にも出来たよ! リヒター!」
覚醒した賢者の石をの効果か、それとも精神的なものなのか、とても身体が軽い。どこまでも飛んで行けそうな気がするくらい。今の自分なら、何だって出来そうな……こういう気持ちを、何ていうんだっけ。
<イエス・マイマスター。……感謝します>
――――M-12“リヒター・ペネトレイター”再起動、完了――――
<これでまた……戦える>
ああ、そうだ、全能感だ。全能感っていうんだ、この感覚。
「戦えるよ、勝てるよ。今なら、きっと」
なんとなくだけど、わかる。
<ならば、マスター>
リヒター、一度こちらを窺うと、すぐにたまのほうへ向き直る。
<ご指示を>
マナの防壁、発動。やる気は満々のようだ。
「なら、がむしゃらに接近して」
一歩踏み込む、二歩踏み込む、三歩踏み込む、四歩、五歩、六歩。走り出して、加速、加速、加速。
「真正面から、とっつけ!」
<イエス・マイマスター!>
♪ ♪ ♪
<イエス・マイマスター!>
リヒター・ペネトレイター、敵機を正面に捉え、ブースト! 防壁をさらに集束させた両腕には、主人から送られたマナと、一撃必殺の攻撃力。
迎え撃つは齢千を越えし妖狐、玉藻・ヴァルパイン。何を考えたか、そこから動かない。
<正面から……愚直だな、リヒター!>
<それは貴女も同じだ!>
エンゲージ。防壁同士がぶつかり合って、火花を散らす。動きが止まった、今なら――――!
右手のパイルの尖端がたまの防壁を貫いた。
<甘いな! ……まどか!>
「はい、たまちゃん!」
まどかが杖を突き刺し、叫ぶ。
「マナ……ブースト!」
管理者にアクセスし、たまへとマナを送り込む。それによって強化された防壁が光のパイルを押し返す。
<マナが足りてないんだよ。完全じゃない、だから>
ブーストされた出力に加え、各部に展開されていた防壁が集中し、やがてリヒターを弾き飛ばした。
<こうなる!>
全体重を乗せた一撃が迫る、迫る、迫る!
<させるか……!>
右前部ブースタで勢いを増して、横方向へ一回転。身を屈めて、回避と同時に足を狙う!
<くそっ、ぬかった! 防壁を一ヶ所に集め過ぎたか!>
大腿部へとパイルが吸い込まれる、その直前。
ぶっちゃけ支援多すぎない?
ち、ちがうわよ。別にわたしだけがいいなんていってない・・・
「そこまで!」
金髪の偉丈夫の一声で、戦闘は停止した。両者共にピタリと止まる。それは彼、彼女らのマスター、観客も例外ではなかった。まるで時が止まったように、静寂が辺りを支配する。
だが、それも数瞬。
「勝者……リヒター・ペネトレイター!」
ジャッジが下った。今まで以上の圧倒的な声が空を、大地を震わせる。
「私達、勝ったんだ!」
<イエス・マイマスター。我々の勝利です>
「やったね、やったねリヒター!」
<……イ、イエス・マイマスター>
喜びの余り足に抱き着いてくる遥にたじろぐリヒター。そこにまどかを肩に乗せたたまが歩いてきた。
「遥さんも、リヒターさんも、本当に凄いです。昨日が初対面だとは思えないくらい。ね? たまちゃん」
<ああ。楽しかったよ、リヒター・ペネトレイター。柄にも無くに熱くなっちまった>
対戦相手からのきらびやかな賛辞。そし差し出された手。無言でそれをがしりと握る。
<認めよう、お前達の力を。そして――――>
■Episode 08:『なんでも屋“やおよろず”へようこそ!』(発動篇)
興奮冷めやらぬ喝采の中、遥とリヒターの入社試験は終わりを告げた。ぞろぞろと帰っていく町の人々。その中には二人を励ます人達もいた。つかみは上々のようだ。
「町村特有の排他的な雰囲気を払拭したぞ、ヘーシェン」
<流石だよな俺ら>
計画成功でご満悦のリヒトとヘーシェンの背後に忍び寄る巨体。
<何が流石だ、貴様ら。無駄な労力を使わせやがって>
「緊張したんですよ、すっごく!」
たまとまどかの平仮名コンビである。
<オーケーオーケー。姉者もオーナーもマテ! ときに落ち着けって!>
「そうそう、賭けに勝ってがっぽり儲けたしね、僕が!」
「楽しかったですしね!」
そう言いながら椅子を片付けるメカニック二人。
「試験だという事を忘れるくらいね。それに模擬店のおかげ小遣いも手に入ったし、万々歳じゃないか」
と、エプロン姿のルガー。手に持つ缶の中にはお金。
「ルガーさんまで……もうっ」
「まあまあ。僕らが責任を持って片付けるから、二人は休んでおくといいよ」
「それよりも」と言葉を続ける。
「今日は遥ちゃん達の歓迎パーティーをしようと思うんだけど、どうかな? お金ならある事だし」
その案に反対する者はいなかった。
「じゃあ、とっとと片付けちゃいましょう!」
各々返事をして、散らばっていく。
最後に残ったヘーシェンが、人垣の中で引っ張り凧になっている遥とリヒターを見、呟いた。
<本当に忙しいのは、これからですけどね>
遥を襲ったオートマタのが、まだはっきりしていない。リヒターの事もだ。もしもあのフェーレスが賢者の石を狙っていたのなら、面倒な事になるだろう。が、
<……ま、いっか>
今は考えるのはやめにしよう。この状況を楽しむべきだ。それに、
――――ルガーさんの料理……一度は食べてみたいですね、興味があります。
<あーあ、人間になりたいなー>
何気なく呟いた小さな彼女の独り言は、二人を取り巻くざわめきに掻き消された。
――――次回へ続きますの。
投下乙。
支援でごちゃごちゃいうのってマナー違反なのでは・・・と今更思った
すみませんでした。
投下乙!
>>790 お疲れ様です( `・ω・´)つ目
これからゆっくり読ませていただきますねー。感想はのちほど
お……容量もちょうど良いくらい。GJでし
「町村特有の排他的な雰囲気を払拭したぞ、ヘーシェン」
<流石だよな俺ら>
∧_∧
∧_∧ (´<_`)
(´_ゝ`)/ ⌒i
/ \ | |
`/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
(_ニつ/ FMV /| |_
\/____/ (u ⊃
さて、なんか勢いに任せて馬鹿やったような気がしますが、結果オーライ。
支援していただいた方、ありがとうございました。存外、甘い男なのだな、お前達は。まあ、そんなスレッドも悪くないがな。
さて、今回の投下で要領が470越えちゃいましたね。スレ立て、どうしましょう?
自分は他の板で今日スレ立てしちゃったんで規制はいっちゃってますね……
どなたか宜しくお願いします
ならば私が
まとめからなら別ですが、
>>2をコピペするときはヒューマニマルの修正をよろしく!
>>795 流石兄弟ネタはAAが脳内で浮かぶから卑怯だww
賢者の石が今後のストーリーに大きく関わってくるんですね、わかります('A`
しかし相変わらず読みやすい文章で尊敬します
続きをお椀チンチン鳴らしながら待ってますね、全裸にネクタイで
しかしあの紹介、ゼノライの作者さんはいいのかな・・・?
>>799 へ、へんたいだー
立ったか。
大変に乙です!!
俺も年貢の納め時か・・・
立ちましたねー。お疲れ様です
遂に5スレ目ですか……こんなに長く続くとは思いませんでした、素直に凄いです
どうにかティマの過去の骨組みが出来たけど大丈夫かな……何か色んな意味で引っかかりそう
5スレ目だけど失速とか一切見受けられませんしね
>>807 過疎ってましたねーw
自分はぶっちゃけ初代の頃に参加してたんですが、1日に二つ三つレスがあると嬉しかったですw
今みたいに活発に雑談したり支援とか無かったですよねw
今の特撮スレみたいな感じだったっけ?
じゃぁ、今のペースは凄まじいんだねぇ(=゚ω゚)
自分新参なんで、1号機のことは知らないんですが
1スレ目は最初ROMってて、後半から話に参加し始めた俺、参上!
そうか、もう5スレ目かなんだ。2スレ目を立てたのが昨日の事みたいだ……。
……最初はあまり盛んではなかったですね、確かにw
次スレおめ。
ところでこのスレ埋め必要ですか? 必要ならイロモノ投下しますが。
>>811 まとめwikiにあるから、一度見てみたらどうかな
初代 08/08/29〜09/02/23
2号機 09/02/21〜09/05/27
3号機 09/05/28〜09/07/22
4号機 09/07/09〜
5号機 09/08/06〜
初代スレが半年近く使ってたのに対して
二号機スレから一気に2ヶ月で消費してるなーw
3〜4は実質1月で消費だから
最近はもう1月1スレのペースだね
>>815 その中で無事に1000を迎えられたのは初代だけというのが恐ろしいw
>>813 バッチコーイ!
>>799 はい、そうなりますねー。
>しかし相変わらず読みやすい文章で尊敬します
いえいえそんな、単純なだけですよw
>続きをお椀チンチン鳴らしながら待ってますね、全裸にネクタイで
サングラスもあげよう
>>815 最初の頃は設定と単発モノが主流で連載無かったしな。あってもすぐに終わってた
1スレ目から続いてるのは
荒野
パラベラム
ゼノライファー
設定の話が出てるのは
スプリガン
かな?
で、次スレの最初にリベジオン。以降続々とお馴染みの作品が誕生……wikiが出来たのもこの頃だし、今の形のロボスレは2号機から始まったといっても過言じゃないな
ゼノライファーの人、生きてるかね?
なんてこった。Gジェネの発売日だってのに、こんな時間に目が醒めちまったい。
>>817 1スレ目から連載してるのに全然進んでない拙作って一体……。
逆に◆n41r8f8dTs氏やのスピードと完成度は何じゃらほい。さてはあなた、赤くて角付いてますね?
タウエルンの完結、レガシアム、我らがティマの誕生、そして絵師降臨……この4スレ目もかなり濃いめの展開でしたぜw
……まさかスレ番が偶数だと展開が濃くなるとかそういうジンクスがあるんじゃなかろーな。
さて、
>>813氏に先駆けて埋めネタでも投下しようかしら。
荒野や少女機甲録と被ってるけど気にしない気にしない。
タイトルは『躍動装甲ヒトガタ』
メールの下書きを漁ってたら発見したモノです、はい。
三倍速い投下かよっw
埋めネタ期待
朽ちたビルの影に、四足の獣が一匹。
それを追う、武器を持った、人型ひとつ。
しばらくして、人型がその武器の引き金を引いた。
マズルフラッシュと、曳光弾。
炸薬によって吐き出される鋼の塊。
それらは一直線に四足の獣に殺到し、その躯をズタズタに引き裂く。
鮮血が飛び散る。儚い鳴き声を発して、四足の獣は事切れた。
しかしそんな事には見向きもせずに、そね人型は跳躍し、その場を去る。
「アルファ・スリーよりアルファ・ワンへ。“小型犬”を一匹仕留めました」
『了解。アルファ・フォウが小型犬三匹と交戦中です。アルファ・スリーはアルファ・フォウの援護に向かってください』
スピーカーから優しげな女性の声が指令を出す。
「アルファ・スリー、了解」
『アルファ・ワンは大型犬の陽動を開始します。非常時にはアルファ・ツーに指示を煽ってくださいね』
『うふふ』という声が聞こえてきた。……よくもまあ、戦闘中に笑えるものだ。それだけ場慣れしている、という事だろうか。
「了解」
回線を閉じる。
アルファ・スリー――――中村孝一は深呼吸をひとつすると、操縦桿を握り直した。
彼の搭乗するヒトガタ、“壱式”が跳躍する。
ヒトガタ――――所謂人の形をした機動兵器の事だ。
小型で運動性が高く、様々な地形を走破する事のできる二足歩行を可能にするバランサーにGキャンセラー、高度な人工知能や駆動系に採用された人工筋肉など、最新の技術が惜し気もなく投入された最新兵器であったのは既に半世紀以上前までの話である。
現在の地球には、おそらく以前ほど世界全体に影響を及ぼす事のできる国家は存在しないだろう。
全ては、“新生物”の出現により変わってしまった。
――――数十年前の話。
世界各地に複数の正体不明の物体が飛来したという。そして、そこから現れた未知の生物は街を、村を、ヒトを襲い、駆逐していった。
そして開かれた戦端。
辛うじて人類はそれに勝利したものの、それは世界に大きな傷を与えた。
人類の敵――――“新生物”
何の捻りも無い名前だが、これはこれでいいんじゃないかと孝一は思う。
わかりやすいのが一番いい。
……さて、その戦争が残したもの――――ヒトガタの解説に戻るとしよう。
――――ヒトガタは人間の骨格を模した基本フレームの上に装甲を張り付けるタイプの機動兵器だ。基本フレームにはヒトの細胞を模倣したナノマシンで構成された人工筋肉が使われており、柔軟な動作が可能。
ナノマシンにより基本フレームはほぼメンテナンスフリーであり、装甲を付け変える事によってあらゆる状況に対応できる。
当時、対新生物戦においてもっとも戦果を上げた兵器であり、もっとも生産された兵器でもある。
それ故に戦後も大量のヒトガタが残され、それらは各集落の防衛に使われていた。孝一の乗る壱式もそのひとつだ。
しばらく広い道路を進んでいると、脇道から壱式が一機、こちらに飛び込んできた。――――アルファ・フォウだ。
「中村か! 助かった!」
アルファ・フォウ――――坂口が安堵の叫びを上げる。
「坂口、状況はどうなってる」
物影に隠れ、現状の把握。
「状況つってもねぇ……。さっきまでワン公三匹に追い掛けられてて、応戦しつつ後退して、一匹仕留めた。左腕に若干の損傷。そんだけだよ」
やや投げやりな口調で坂口が言う。
「動けるか?」
「当たり前だろ! 俺を何だと思ってんだ!」
自信過剰で、ムードメーカー。簡単に言い表すならば、坂口祐介はそんな男だった。
「よし、なら一人でいけるな!」
「いや援護に来たんだろ!?」
「いや、それはお前の思い込みだ」
「いや助けろよ!?」
……と、こんな馬鹿げた会話を繰り広げている場合ではない。
レーダーを確認。確かにすぐ近くに二匹、いる。
「……弾はあといくつ残ってる」
「アサルトの弾がマガジン一個分」
「なら十分だ。行くぞ」
身を屈めながら、孝一と坂口の壱式が敵の眼前にその姿を曝した。
ヒトガタよりは小さいものの、その四肢を活かした機動力。
最高速度時速一七○キロメートルにも及ぶ犬型の新生物は当時の人類に脅威をもたらした。
人間とは膝を中心としたバネで方向転換をする。しかし犬は背骨を始めとした全身のバネを使い、人間とは比べ物にならない速度の切り返しをみせる。
−−−−しかし、たとえ機動性、運動性に富んでいたとしても、所詮は生物。非常事態には弱いのだ。ましてや、奴らは人間と違い単純な思考しか持ち合わせていない。つまり、この瞬間がチャンスであった。
二人は身を屈めたまま、全力で走る。
坂口の壱式が、ナイフを逆手に持ち、一匹に飛び掛かった。
不意を突かれた小型犬−−−−犬型新生物の脇腹にその刃が深々と突き刺さった。
そのまま火花と肉片、金属と肉が擦れる音を撒き散らしながら数メートルを滑っていき、坂口機は小型犬と近くのビルに激突する。
まったく、無茶なマニューバかましやがって。
孝一の脳裏にぷりぷり怒る小さな整備員の少女の顔が浮かんだ。
溜息をつきつつも、しかしその銃口は倒れた坂口機に向かう残りの一匹を捕える。
引き金に指を掛け、そして、
ボグチャッ。
それを引く前に、小型犬が臓物を撒き散らしながら吹き飛んだ。おそらく――――いや、考えるまでも無くあれは即死だろう。というか、
「オーバーキルだろ、今のは……」
『わざわざ弾を撒いて無駄にするより、一発で仕留めたほうがスマートだろう?』
スピーカーからは、凜とした女性の声。
「……聞こえてたんスか、副隊長」
『通信を切っていないお前が迂闊だっただけだろうに』
『うふふっ』と笑う。
「まあ、そうっスけど」
『……さて、会話など交わしている場合では無いな』
足音が近付いてくる。
数秒後、それは孝一の目前に荒々しく着地した。
衝撃で大地が揺れ、巻き上げられたコンクリート片がパラパラと音を立て、砂埃が舞う。
そして現れたのは孝一達の“壱式”の灰色とは違う、純白のボディ。顔の中心に備えられた赤い単眼が光る。そしてその肩には、巨大なライフル――――彼女用のカスタム機だ。
「アルファ・フォウ……坂口、立て!」
白い壱式が顔を上げ、坂口の壱式に向かって声を張り上げた。
「りょ、了解ッス!」
素早い動作で立ち上がる。
「……よし。アルファ・ワンが陽動に成功。犬の駆逐に成功したという報告が先程入った」
「じゃあ……」
「今日の仕事は終わりだ」
機嫌の良さそうな声。満面の笑みが目に見えるようだ。
「よっしゃあ! お仕事終りょ」
「調子に乗るな! アルファ・フォウ!」
「はいいっ!」
坂口機の背筋がぴんと伸びる。
「家に帰るまでが作戦だからな?」
「遠足かよ!」
激しく食いつく坂口。ハイエナかお前は。
――――次回へ続くといいなぁ。
埋めネタ投下しゅーりょー。
うん、やっぱり壮大に被っているw
wikiのほうには載せちゃって構いません、っていうか載せたって下さいお願いします。
パラベラムと合わせて感想マッテルヨー
>>823 タイトルがかっこいいのう
そしてパラベラムと同じくリーダー格が女性なのは好みかいw
読んでて感じたけど、そういえばパラベラム氏の書くキャラクターってよく笑うような気がする
イイヨーこのツッコミイイヨー
>>795 拝見しましたー。読んでると自然に2828してしまうww
相変わらずたまちゃんのどSっぷりが素敵です。罵られたい
つかACネタの密度が濃いですねwwたまちゃんの台詞が勝手に伊藤美紀ボイスに変換されるw
今後の展開が楽しみです〜乙でした
>>823 確かに少女の人と被ってますねwwノリがパラべラムと同じで妙な安心感がw
坂口のキャラが良いわぁ。……で、続きはありますかね?ww
さて、このスレも埋まる事だし俺も本気出さなきゃな……
出来るだけ今日中にLOST GORLの6話を投下予定
ふう、なんとか寝れたお……。
「しかし開店まで5分を切っている。いい時間が経っているぞ」
……さすがにAC3PやMGイグニッションエクシアみたいに「全滅…? 半日足らずでか」とはならないと思いたいが、果たして。
>>824 >タイトルがかっこいいのう
ありがとうございます! 長い事悩んだ甲斐がありますw
>そしてパラベラムと同じくリーダー格が女性なのは好みかいw
これからは女性が支配s(ここからいなくなれ!
ええ、どうやらかなり前から好みだったようですねw
>パラベラム氏の書くキャラクターってよく笑うような気がする
なんか無意識の内に笑わせちゃってます。……自分自身がいつも馬鹿みたいに笑ってるせいでしょうかw
>>825 パラベラムでもこういうツッコミが欲しいでござるの巻。
素の遥カムバック!
>>826 >読んでると自然に2828してしまうww
重要なのはそこさ。
いやあ、楽しんでくれたのなら幸いですw
>相変わらずたまちゃんのどSっぷりが素敵です。罵られたい
さては貴様M(ry
>つかACネタの密度が濃いですねwwたまちゃんの台詞が勝手に伊藤美紀ボイスに変換されるw
改めて読み返すとACの影響受けまくりですね、管理者とかw
たまちゃんはどうやっても勝手にセレン嬢になってしまう罠。コジマ汚染だけでなく『なにかされて』しまったようです私。
相変わらず人を選ぶ内容ですが、何とぞよろしくお願いしますm(_ _)m
>ノリがパラべラムと同じで妙な安心感が
逆に言うとこのノリでしか描けないという(ry
>続きはありますかね?ww
どうでしょうw
やりたい事はそれこそ某ガンダムのプラモ並に山積みですから、続きを書くとしたら、その合間合間にちょくちょく……って感じになると思います。
>出来るだけ今日中にLOST GORLの6話を投下予定
\ \丶 i| / /
うぉぉぉ、ティマうぉぉぉ!!
\ 丶 | / /
_ /|
 ̄ rλノ 丶ノし― ̄
_ ) ハ_ハ ( _
― ̄( (゚ω゚ ) /―_
) c/ つ(
y | | <
> Lノヽ) ノ
そういえば、ここってトラウマ全開超内気な少年がなんか超スゴイバケモノロボットで戦う類の作品ないよね。
そうそう、まさしくエヴァっぽい作品。一つくらい、あってもいいかなぁって思ってるんだけど
構想はあるが、なかなか進まないんだよなあ、俺
自分にエキセントリック少年シンジは書けそうにないw
エヴァっぽい作品か……設定だけでも考えてみるかな
まず、敵は既存の軍隊ではまともにダメージが与えられず
逆に一撃で部隊を壊滅させるくらいの超パワーを持った存在
で、主人公のロボはソレに唯一勝てる存在で
高い攻撃力、防御力だけでなく、物語のカギとなる謎の機能が秘められている
主人公は普通の学生として生活していた10代前半の少年で
無理矢理パイロットとしてロボに乗せられ、敵と戦う羽目になる
いきなり出撃し、敵の前に放り出されたロボ(主人公搭乗)
敵の強力な攻撃にまともに反撃できず追い詰められていくが
突如、顔つきが変わり、まるで手足のようにロボを動かし
圧倒的なパワーで反撃を開始する!
主人公「ククク……冥王の力の前に、消え去るが良い!」
……あ、違う作品になった
あーいっすねー!エヴァっぽいロボ物
俺も書きたいなぁ……!
俺も文才があればねぇ…('A`
>>835 まさか鬱路線を強化ですかァーッ!?
>>836 一度試しに書いてみてはどうです?
男は度胸! 何でも試してみるもんさ!
ちょっと考えてみようかしら
>>837 鬱っつーか巨大ロボ戦を書きたい訳です。パイロットが乗って怪獣なり敵機なりと血沸き肉躍るガシャーンガシャーンって奴をw
ほら、自分のってどれも……ねぇ
あ、それと埋めネタとしてちょっちぶっちゃけると、今書いてるあれは最初、ドタバタコメディとして書くつもりでした
けど気づいたらそんなの書けるほど俺の性格って明るくないなと思いだんだん・・…どうしてこうなった♪
>>836 一回チャレンジと書いてみると意外と書けるようになりますよ
自分はこのスレのずっと前からSS書いててぼこぼこにされながら書けるようになりましたw
>>839 なるほど、重量感のある戦闘が書きたいわけですな!
次回「新たなるスレッド」へ続く!
次回もサービスサービスぅ!
設定とかはたまに考えたりするんですけどね('A`
動力源に貯蔵率の高い水素吸蔵合金を使った水素燃料エンジンで量産性をアップ〜とか
ブレイン・マシン・インタフェースとアームスレイブシステムの併用で操作→実行までのタイムラグを解消、同時に2つのシステムの占有率の変動で操作性をシビアにしたり〜とか
駆動系に小型化した超伝導モーターを主軸としてパワーアシストに油圧シリンダーを併用して動作の反応速度と出力の両方を実現〜とか
超伝導モーターを駆動系に使うことでロストエネルギーを減らして稼働時間を長時間に〜みたいな
まぁ、考え付いても文章が浮かばないんで諦めましたが