THE IDOLM@STER アイドルマスター part3

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255とりあえず何か食べよう(1/4) ◆DqcSfilCKg

だから違うって言ってるじゃない。
もう時計の針が頂点を過ぎそうなことにも気づいてないのか、目の前の千早ちゃんは私に厳しい目を送っていた。
レッスンルームに入ってかれこれ五時間超。そんな見つめられましてもぉ、なんて言おうものならどうなるか。
講師の先生も戸惑うぐらいの剣幕を浮かべる千早ちゃんに、私は力なく笑って誤魔化そうとする。
まあその、ダメでした。
事務所に戻り、ソファに突っ伏しているプロデューサーさんを起こさないように着替えを済ませると千早ちゃんが謝ってきた。
最終電車を逃すことはとうに分かっていたし、こういう仕事をしている以上これぐらい慣れっこだし。
「なにより明日は休みだしね」
私としては自然に言えたつもりなんだけど、千早ちゃんの顔はどうにも暗いまま。
いくら時間を押そうが気にしない以前に比べたらマシなんだろうけど、これはこれで春香さんは困っちゃうなー、なんて。
ふむ、と一呼吸置いて千早ちゃんの手を取る。さっきまで青かった顔が一気に赤信号に変わっていくのが面白い。
こういう慣れてないというか、擦れてないところがきっと千早ちゃんの魅力なんだろうな、と自分の中で完結させると事務所の外まで彼女を引っ張った。
プロデューサーさんを置いていってしまったのは、明日謝るとしよう。
繁華街を抜けてタクシーをつかまえる。
そのまま千早ちゃんのマンションまで行っても良かったけど、マンション近くのコンビニまで、と運ちゃんに言おうとする千早ちゃんの口をおもむろに掌で塞いだ。
もう赤やら緑やらよく分からない千早ちゃんを置いといて、私は近くのファミレスを伝える。
どうして、と目で訴えてくる千早ちゃん。
私はイタズラが上手くいった子供みたいに、笑いながら言った。

とりあえず何か食べよう