THE IDOLM@STER アイドルマスター part3

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132おひさま1/2 ◆DqcSfilCKg

席替えで天海の後ろになれたのは結構嬉しかった。
よろしくっ、と俺への挨拶もそこそこにまた他の女子とくっちゃべる。
その横顔を、俺はツッコミが入るまでずっと見ていた。

クラスのどの女子が良いか、という話題でいつも天海の名前が出ることに気づいたのはここ最近のことだった。
誰が言い出したのかは今更もうどうでもいいことだけれど、実はスタイルが良い、さっぱりした性格が、と好き勝手に言い合う。
ただ、そのどうでもいい話に変化が起きたのも天海が原因だった。
アイツ、なんかスカウトされたって聞いたんだけど。
その時はまさか、という気持ちが強くてそんな根も葉もない噂を否定したかったのか、周囲の奴らも冗談だろ、と口を揃える。
それが本当のことで、俺たちはおろか学校中の話題になるにはそう時間もかからなかったけれど、まだデビュー前だしと春香に押しかける奴らの相手に忙しい天海を俺はまたじっと見ていた。
大変だな、と話しかけるとうへへ、なんて能天気に笑う天海が少しだけ羨ましかった。
しばらくすると学校を休む日が多くなった。
テレビや雑誌に出られるようになった訳でもなく、たまに顔を見せると少しずつ可愛くなっていく(ように見える)天海をやっぱり俺はじっと見ていた。
どうせ男とヤリまくってんだろ? アイドルなんだし。
天海の変化を境に俺たちの話題にアイツが上ることも少なくなり、あまつさえそんなことを言い出す奴が出てきた。
仕方ないと思う。芸能界なんて雲の上の話だし、実際になんで天海が、なんてくだらない嫉妬をする奴もいる。
それでも天海は学校に来ると眩しい位の笑顔を向ける。
気づいたらそんなことを言い出した奴と殴り合いの喧嘩になっていて、その時になってやっと俺は天海が好きな事を自覚した。