コードギアス反逆のルルーシュLOST COLORS SSスレ40
■全般
・支援はあくまで規制を回避するシステムなので必要以上の支援は控えましょう
(連投などに伴う規制について参考
>>3-あたり)
・次スレ建設について
950レスもしくは460kB近くなったらスレを立てるか訊くこと。立てる人は宣言してから
重複などを防ぐために、次スレ建設宣言から建設完了まで投稿(SS・レス共に)は控えてください。
※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例 940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など
・誤字修正依頼など
保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は次のアドレス(
[email protected])に
※修正依頼の際には、作品のマスターコード
(マスターコード:その作品の投稿が始まる、スレ番号-レス番号。保管庫の最優先識別コード)
を必ず記述して下さい
例:0003-0342 のタイトルを○○に カップリングを○○に
(↑この部分が必須!)
マスターコードを記述されず○スレ目の○番目の……などという指定だと処理ができなくなる場合があります
■SSを投下される方へ
1.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
2.前書き・後書き含めて10レス以上の連投になると同一IDからの投稿が規制されます。(←「さる」状態)
間に他IDからの「支援」が入ることで規制は回避できますので、規制にかかりそうな長文投稿の際は
投下前に支援を要請して下さい。逆に、必要ない場合は支援の要らない旨を書いてください。
前レス投稿から30秒ほどで次レスを投稿することができます。(投稿に関する規制については
>>4- あたり参考)
3.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。尚、直前の投下完了宣言から15分程度の時間を置いてください
4.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
5.なるべくタイトル・カップリング・分類の表記をして下さい。(特にタイトルはある意味、後述の作者名よりも重要です)
・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
6.作者名(固定ハンドルとトリップ)について
・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
(トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で)
・トリップがあってもコテハンがないと領地が作れず、??????自治区に格納されます
前書きの中に、以下のテンプレを含むことが推奨されます。(強制ではありません)
【メインタイトル】
【サブタイトル】
【CP・または主な人物】
【ジャンル】
【警告】
【背景色】
【基本フォント色】
■創作発表板での投稿規制について 参考(暫定)
1レスで投稿可能な容量
・X:1行の最大 / 255byte
・Y:最大行数 / 60(改行×59)
・Byte :最大容量 / 4095Byte
但し、改行に6Byte使うので注意。例えば60行の文なら59回改行するので
6Byte×59=354Byte これだけの容量を改行のみで消費する
さるさん( 過剰数の投稿に対する規制 )
・1時間に投稿できる数は10レスまで。それを超えると規制対象に
・毎時00分ごとにリセット。00分をはさめば最長20レスの連投が可能
連投規制( 連続の投稿に対する規制。短い間隔で連続の投稿ができない )
・30秒以上の間隔をあければ投稿可
おしりくさい虫など( 携帯のみ?同一内容の投稿に対するマルチポスト規制 )
・「支援」などの同じ言葉を繰り返し投稿することでも受ける規制。
違う内容を投稿すれば解除される。スペースを挟むだけでも効果あり
■画像投稿報告ガイドライン
ロスカラSSスレ派生画像掲示板
PC用
http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic 携帯用(閲覧・コメントのみ)
http://bbs1.aimix-z.com/mobile.cgi?room=lcsspic 1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。
尚、コテハン&トリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメ他公式媒体などにインスパイアされた場合は、それを書く(例:R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)
2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
(SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。)
例:「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。 画像板の(タイトル)です。
〜(内容・注意点などを明記)〜 よかったら見てください。」
・内容:挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど
・注意点:女装/ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)/微エロ(キス、半裸など)
/ゲテモノ(爬虫類・昆虫など) など(絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮をお願いします。)
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。
3.気になった方は画像掲示板を見に行く。
画像の感想は、原則として画像掲示板に書き、SSスレの投稿報告レスには感想レスをつけないこと。
画像に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したものとします。
・SSスレに投稿報告した時点で、美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
(ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)
----以上、テンプレ終了----
おつかれさまです!
ありがとうございます!
では、続きをよろしいのでしょうか?
支援は幸せ
重い非常扉を閉め、ルルーシュは肩で息をしていた。
先ほどの飾り立てられた室内の雰囲気とはうって異なる、物寂しいコンクリートがむき出しの空間に、ルルーシュとロロはいた。
ルルーシュは困惑していた。
(……何で、あの赤いナイトメアは俺に手を差し出したんだ?あれじゃ、まるで…)
「兄さん!」
「ああ、大丈夫だ。それよりもロロ、怪我は無いか?」
「…うん。でも、ここからどうすれば」
「安心しろ。ロロ。お前は必ず、俺が何とかしてみせる」
弟の肩を抱きながら歩いていると、上から足音が聞こえた。彼らが見上げると、そこには黒のジャケットを羽織り、アサルトライフルを構えている人間がいた。
刹那、数発の銃弾が彼らに襲い掛かる。
「危ない!兄さん!」
ロロは身を挺して、ルルーシュと共に床に倒れこんだ。
息つく暇もなく、爆発音が響き渡り、建物が揺れた。その反動で、ルルーシュが足場の無い場所へと転がり込んだ。
ルルーシュは気が飛ぶような浮遊感に襲われる。
「ロロ!」
だが、ルルーシュは自分の身よりも、弟のことを気遣っていた。
「兄さん!」
二人が手は伸ばしたが、指だけが重なり、ルルーシュは暗闇に落ちていった。
大きく目を見開いて叫ぶロロの姿が遠くに離れていく。
ルルーシュは、遠ざかる弟を掴むように手を伸ばしていた。
支援
ルルーシュは運よくビニール製のマットに倒れこみ、無傷で助かった。しかし、何階も下に落ちたために、ロロと大きく離れてしまった。
黒の騎士団がこのバベルタワーにいる。
そう考えただけでも、焦燥感がルルーシュの全身を襲う。
自分の安全など省みず、一目散に階段を走り出した。
(…俺にだって力はあるはずだ。世界で、たった一人の弟を守れる力はっ!)
階段を上りきると、大きな暗い空間がある場所にでた。四方八方を見回しながら、上へと登る階段を探していた。
足に、何か柔らかい感触があった。ルルーシュはふと足元を見る。
「!?」
そこでブリタニア人やイレブンの無残な死体を目の当たりにした。それも一人、二人ではない。中には『黒のキング』の死体もあった。
強烈な吐き気を催し、押さえ切れず、地面に零す。
全身が凍りつくような不安に襲われながらも、心は弟の安否だけで埋め尽くされていた。
イレブンのバニーガールが手にしていた一枚の写真が目に入る。
血で濡れたゼロの写真がそこにあった。
(馬鹿だ!こんな奴をいまだに信じてるなんて…だからお前たちは!)
死体が連なる先には、サザーランドではない青いナイトメアが静かに佇んでいた。
ルルーシュは目を見開いた。
片腕に大きな鉤爪がある青いナイトメアが、ゆっくりとルルーシュの方に向いた。
その機体も見覚えがあった。
先ほどの目にした赤いナイトメアの対となる青いナイトメア、黒の騎士団の最高戦力として名を馳せた機体だった。
「ぜ、ゼロの双璧!」
ルルーシュの声に反応したように、ナイトメアのコクピットのハッチが開き、一人の少女が現れた。
緑色の髪をした少女だった。
白を貴重としたパイロットスーツを身に纏い、整った女の体躯が暗闇でも分かる。
一筋の光が彼女を照らす。
「ルルーシュ」
酷く綺麗な声が耳に届く。
「・・・な、なぜ、俺の名を」
彼女は美しかった。
ルルーシュが見てきたどんな女よりも美しく、そして全ての男を虜にするような魔性を放っていた。
彼女はナイトメアのワイヤーを使って、ルルーシュと同じ目線に降り立つ。
魔女の誘惑に魅入られたように、彼は足を進めた。
目には彼女しか映っていない。
その時、彼に近づいてくる足音が木霊した。
ルルーシュは、それに気付き、すぐさま振り向いた。
支援
そして、凍りついた。
「ゼロ!?」
忘れるはずが無い。
黒いマントをなびかせ、黒い服で全身を覆いつくす仮面の反逆者が眼前にいた。
全身が黒い服で覆われ、性別、素顔、経歴、全てが謎の人物。
このエリア11に新たな波を引き起こしたテロリストの首領が、単調な歩行でルルーシュに近づいていた。
コツコツと、仮面の人物がコンクリートを踏みしめる音がルルーシュを怯えさせた。
眼前にはゼロ。
後ずさるも、背後には得体の知れない魔女がいる。
ルルーシュはどうすることも出来ず、足がすくんで尻餅をついた。
喉が冷えあがる。
このエリア11に戦争を巻き起こした張本人が目の前にいる。
震える声と手で、ルルーシュはゼロを指差した。
「お前は、死んだはずじゃ…」
仮面の人間はルルーシュの問いには答えず、副生音の言葉でつづった。
『お忘れですよ。プリンス様』
ゼロは足を止めると、ルルーシュに『あるもの』を投げつけた。
『それ』を受け取ったルルーシュはさらに驚愕した。
「なっ!?なぜこれをっ…!」
それは茶色のチェスボードだった。混乱の最中、ルルーシュが置いていったものだった。
仮面の人間から、彼の耳に届いた。
『だから、言ったではありませんか。貴方に素敵な『真実』を見せてやると…』
「…まさか、お前はっ!」
支援
支援
ルルーシュの言葉は、コンクリートの壁がナイトメアの銃弾によって破壊される轟音によって塗りつぶされた。
彼が振り返った目の先には、アサルトライフルを構えたサザーランドが立ちふさがっていた。
床を蹴る多数の足音と共に、完全武装したブリタニア兵が姿を現した。
ライフルの金属音が木霊し、銃口がゼロを狙っている。
ブリタニア兵の姿を見た途端、ルルーシュの心は安堵と恐怖に締め付けられた。
(…助かったが、まずい!これでは、俺が黒の騎士団の一員だと誤解されてしまう!)
「へ、兵隊さん!ゼロです!ゼロが!」
『まあ、慌てるな』
低い男の声がナイトメアのオープンチャンネルと通して、ルルーシュの耳に届いた。
サザーランドのハッチが開き、パープルを基調とした軍服を纏った中年の男がワイヤーを使って降下する。
その右手には拳銃を構えたまま、ルルーシュを見据えた。
「まさか、魔女と一緒に『ゼロ』までエサに引っかかってくれるとは…私にもツキが回ってきたということかな」
「え、エサ?」
「そうだよ。ルルーシュ・ランペルージ君。君は魔女を捕まえるためのエサなのだよ」
「魔女?…エサ?…何を言ってるんですか!?俺はただの…」
「君と話す気は無いね。ごくろうだった。君は役目を十分に果たした。だから、もう…」
ゼロの仮面の一部がスライドし、琥珀色の瞳が晒された。
その瞳に、赤い紋章が宿る。
鳥のような形をした悪魔の刻印が、妖しく輝いた。
司令官の男の目が、赤い光に彩られた。
「……かっ、か…」
その男は驚愕の顔を浮かべ、両手で首を押さえた。
喋ろうとするが、口が動かず、命令を下すことが出来ない。
途中で声が途切れたことに疑問を思った数人の兵士が、司令官の方を向いた。
彼はなんでもない、と手を振ると言葉を紡いだ。
「まだ撃つな。殺すのはゼロの最後の声を聞いてからにしよう」
(…口が、勝手に、動いた…!?)
誰も彼が苦悶の表情で声を発していることに気付かなかった。
魔女は、目が赤く縁取られた司令官の表情を見て、くすりと笑うとルルーシュに口付けた。
「本当の自分を思い出せ―――――――――ルル―シュ」
支援
支援
支援
何だ。これは?
見知らぬ光景が映し出される。
いや、知っているはずの光景が映し出された。
母の死から転落した過去、
魔女の出会い。
鉄と血にまみれた日々、
嘘で固めた日常、
親友との再会、裏切り。
そして、出会うはずの無い人間との遭遇。
境遇を知り、苦しみと喜びを分かち合い、手を取り合った日々。
俺たちが手にした本当の平和。
だが、それは一瞬で砕け散った。
力が欲しいか?
――――力ならお前はもう持っている。
――――忘却の檻から、お前を解き放つ。
魔女が彼に近づいてくる。
眩い光が彼の視界を白一色に染め上げた。
――彼が過ごしていた嘘の日常は、全ては壊れた。
俺の日常にとげのように突き刺さっていた苛立ち…
――ああ、思い出した。
俺は――――――――――
俺が――――――――――
『魔神』は目覚める。
「――――――礼を言う。C.C.」
魔女から唇を離した『魔神』は、ブリタニア兵のほうへと向けた。
黒髪が揺れ、紫色の瞳が妖しく光りだした。
「残念だったな、ブリタニア。本当のエサは誰だったか、それを俺が教えてやろう」
『魔神』は大きく腕を仰ぐ。
彼を縛り付けていた虚無の呪縛を振り払うように。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる」
「――――――――――――――――死ね」
『魔神』の左目に赤い紋章が輝いた。
不死鳥をかたどった刻印がブリタニア兵士を襲った。
抗うこともできずに、赤い光が宿った兵士たちは微笑みながら、互いに銃口を向けた。
司令官である男は、拳銃を首筋に押し当てた。
彼らの最期の言葉が、狂喜に満ちた声で紡がれる。
『Yes! your highness!』
銃撃が鳴り響き、多くの兵士たちの命は散った。
凍てついた瞳で、ルルーシュは亡骸を見下ろしていた。
「そう、俺はゼロ。ブリタニアに反逆し、世界を変える男…」
突然、天井の一部が崩れ落ちた。
瓦礫を散らせながら、地響きと共に一機のナイトメアフレームが降り立った。
銀色の鉤爪を持った、左右非対称の腕を持つ紅いナイトメアだった。
蒼の月下と紅蓮弐式。
黒の騎士団の最高戦力、『ゼロの双璧』が立ち並ぶ。
2機のナイトメアフレームの間には、彼らの守るべき主君、『ゼロ』が佇んでいた。
ゼロはC.C.の肩をたたいて、横を悠然と通り過ぎる。
黒いマントを靡かせながら、仮面を被った主君は『魔神』の元へ足を進めた。
ゼロは静かに『魔神』に告げる。
『お待ちしておりました―――――――――ゼロ様』
支援
支援
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN01 「2人のゼロ」
投下終了です。
次は、
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN02 「合衆国 日本」
です。
サルに気をつけます。
先ほどは「改行が多すぎます!」と「長い行があります!」に手間取っていました。
すいません。
では、よろしいでようか?
どうぞ〜
数人の兵士が持っていた火炎放射器のタンクに銃弾が当たり、ブリタニアの兵士や民間人の死体に火は燃え移っていった。
業火の炎が、深い闇を背負う『彼ら』を彩っていた。
まるで『魔神』の復活を讃えるかのごとく、幾多の命が生贄のように捧げられている。
仮面の被った人間は眼前にいる『魔神』に話しかけた。副音声が周囲に鳴り響き、ゼロは『魔神』に手を差し出した。
『お目覚めですね。ゼロ様。早速ですが、ここは危険なので場所を…』
「待て」
強い口調で、『魔神』はゼロの言葉をさえぎった。
『魔神』の整った表情が険しくなった。
「誰だ?お前は」
『魔神』は左目に赤い紋章を宿らせたまま、仮面を被った人物を睨みつけた。
自分に強い警戒心を抱いていることを察したゼロは、差し出した手を引き戻し、何かを諦めた様に仮面に左手を当てる。
『……学園では何度かお会いしているんですが…』
仮面の後頭部が展開し、長い髪が晒された。右手で首筋から髪を振り払った。
黒に限りなく近い青色で、腰まである髪が宙に舞った。
『魔神』の目が見開かれる。
仮面の下には、透き通るような白い肌の美少女がいた。
背丈は『魔神』と差ほど変わらない。整っている容姿に、強い意思が宿っている琥珀色の瞳。
年端もいかない一人の少女が、ゼロの衣装を纏っていた。
彼女の口が薄く開いた。
「改めて、はじめまして。ルルーシュ先輩」
彼女は首をかしげ、『魔神』に優しく微笑んだ。
ベールの下に隠されている容姿は、彼が想像していた容姿よりさらに美しく、あらゆる男を惹きつけるような魔性の美貌を持っていた。
もう一人の『魔神』が告げる。
「2代目『ゼロ』、リリーシャ・ゴットバルトです」
遅かったか…
すいません、当方もちょっと席を外さないといけないので、暫し失礼します。
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN02 「合衆国 日本」
ルルーシュの頭に急激に血が上る。彼の整った顔が憤怒に歪んだ。
「っ!お前はッ!!」
射殺しかねないほどの殺気を込めた視線で、左目のギアスをリリーシャに向けた。
赤い紋章が羽ばたく。
「やめろ。ルルーシュ」
緑髪の女は左手を突き出し、ルルーシュの視線からリリーシャの顔を隠した。
「何故庇う!C.C.!お前は知ってるだろう!こいつが何をしたか!こいつが俺たちをっ…!」
ルルーシュはC.C.の腕を振り切るが、その隙に彼女はゼロの仮面を被りなおしていた。目が見えない相手には、ルルーシュのギアスは効力を失う。
「知っている。だが、ここでリリーシャを殺しても何のメリットも無い。少しは冷静になれ」
「これが冷静でいられるか!一体どうなっている!?こいつは、俺たちを陥れた張本人だぞ!」
「話を聞け!ルルーシュ!リリーシャは私たちを…」
『…いいわ。C.C.話は私のほうでするから』
今にも飛び掛かりそうなルルーシュを止めていたC.C.に、リリーシャは声をかけた。
ゼロの仮面で反射している青白い光の炎が、ゆらゆらと揺れていた。
「…何が2代目ゼロだ。ふざけるな!」
『それが普通の反応ですよ……でも、頭で分かっていても、言われると堪えますね』
ゼロは、心の苦しみを押さえつけるように、マントの上から胸元の服を握り締めていた。
彼らの間に沈黙が漂う暇なく、唐突に紅蓮弐式からオープンチャンネルで紅月カレンの声が聞こえた。
『話し合いは後にして。それよりもリリーシャ。7時方向からサザーランドが一機!』
『…始末して。ナイトメアはもう必要ないわ』
『了解!』
ランドスピナーが急回転し、ルルーシュたちの頭上を一気に飛び越えた。丁度、ルルーシュたちの視界に現れたサザーランドは、禍々しい鉤爪に頭部を捕らえられた。サザーランドは態勢を崩し、壁に叩きつけらた。
強烈な光と音共に、右腕から輻射波動が放たれた。
赤い光に彩られたサザーランドは、機体全体がぶくぶくと膨れ上がり、瞬く間に爆散した。
爆風がルルーシュたちに吹きつけ、ゼロのマントが揺れる。
『じゃあ、19階に上り、ヴァルハラの残存勢力を叩いて。ポイントは…』
『D−37、でしょ?』
『あら?大正解。有能な部下を持つと嬉しいわ』
『…あー、はいはい』
穴が開いている天井に紅蓮弐式の胸部から2本のスラッシュハーケンが発射された。紅蓮弐式は高く舞い上がると、瞬く間に姿を消した。
白い通信機を外すと、ゼロは懐からナイトメアのキーらしきものを取り出し、ルルーシュに手渡した。
「…何だこれは?」
『奥に強化型の月下が用意されています。それに乗ってください。私はそのサザーランドに乗りますので』
ルルーシュに背を向けたゼロに、C.C.が声をかけた。
「リリーシャ。忘れてるぞ」
C.C.はクリアケースに入ったディスクを、ゼロに手渡した。
それを取ったリリーシャは、ゼロの仮面の下から呟いた。
『トランスファープログラムを忘れるなんて…結構動揺してるみたいね。私……』
支援
支援
31 :
POPPO:2009/05/07(木) 22:02:05 ID:wHr8DJhJ
26さんへ
え?どうすればいいんでしょう?
>>31 とりあえず支援はできますので
続けていただいて大丈夫だと思います
規制なりくらって投下が困難になるまではいけるところまでPOPPOさんが、
その後代理スレに投下して代理投下してもらう
ってことでいいんじゃないですか?
代理投下のことわかるかな。
>>31 引き続き投下お願いします。
猿に引っかかったら
>>26のリンク先に続きを落としてください。
いづれかの人が本スレへの投下を引き継ぎます
2・3人いれば猿にはならないと思うのでとりあえず頑張って支援
分かりました。それではいきます
神聖ブリタニア帝国。
王都ペンドラゴン。
華やかな衣装を身に纏った貴族や皇族が、赤い絨毯が敷かれた道を歩いていた。巨大なホールから、オーケストラが奏でる音色が響いていた。
石柱が立ち並ぶ講堂の一角で、軍の大幹部が華やかなパーティをしている中で、青いマントを羽織った騎士、枢木スザクと、彼の足元で跪いている黒尽くめの兵士がいた。
「ゼロがエリア11に?」
「未確認情報ですが、エリア11の機密情報局から、ナイトオブセブン様に至急伝えるようにと…」
「分かった。黒の騎士団討伐の全権は皇帝陛下から預かっている。その情報の真偽が確認され次第、準備を整えてくれ」
「Yes, my lord」
スザクに一礼し、彼は音も無く立ち去っていく兵士の後姿を見ていた。
唐突に、スザクの背中に重荷がのしかかった。
「スーザクゥー」
スザクより一回り大きく、人懐っこい陽気な性格をしているが、ナイトメアの腕はナイトオブラウンズに名を連ねるほどの実力を持つ騎士、ジノ・ヴァインベルグがスザクに寄りかかっていた。
「……重いんだけど」
「何でマントなんて羽織ってるんだ?まだ時間はあるだろ?」
「ジノ、ちょっと飲んでる?」
「まーまー、仕事の話は無しによーぜ」
ジノは片手にシャンパンを持ったまま、もう片方の手でスザクの頬をつついていた。
「いいじゃん。今日くらいはさ。アーニャなんて、『…ドレス着てくる』とか言って、聞かなかったからな」
ジノの話を聞いていたスザクは、緊張の糸を解いた。徐々に表情が柔らかくなる。
スザクは賑やかな周囲を見回し、笑顔で答えた。
「うん…それもそうだね」
支援
支援
バベルタワーの14階にあるモニタールームに二人の男女がいた。
「D1、南南東上部30度に一斉射撃。D3、D4、17階のポイントK−04から突破口を作れ。IFFの番号変更を伝える。通信はKURに切り替えろ、Y6TTKF9…」
ゼロの格好をした少女は、途中で指示をやめた。
背中に銃を突き付ける学生に目を向けることなく、言葉をつむぐ。
「質問はありませんか?」
「…ありすぎて、何から聞くか迷うほどな」
「…質問にはお答えします。もちろん、嘘偽りなくですよ」
「お前の目的は何だ?」
「…いきなり核心をつきますか」
「振り向くな」
少女は振り向こうとするが、拳銃の金属音と共に強い言葉で制された。
ルルーシュは拳銃をリリーシャに突き付けたまま、視界内に入ったリリーシャの左目に疑問を持った。
「……なぜギアスを持っている?報告では…」
「貴方を助けること、そしてゼロとなることを条件に、C.C.と再契約しました」
「なに?」
「本当は煩わしい交渉云々を簡単するために『絶対遵守』のギアスが欲しかったんですけど、発現した能力は以前と同じ『絶対操作』の能力で…
この能力は『戦術』的には向いているんですが『戦略』的には不向きなんです。
黒の騎士団の再建と支援者との交渉に手間取ってしまって、ここまでこぎつけるのに約1年かかってしまいました…」
「…そして、目的は」
「この地に新たな国家をつくります」
ルルーシュは言葉に詰まった。
銃を向けられたまま、リリーシャは話し続けていた。彼女の顔を見ることは出来ないが、これは冗談ではない。彼女が本気であることを悟った。
「……お前は、ユフィの命を奪った。それだけじゃない。スザクだって、あんなことには…」
リリーシャは強い口調で話を塗りつぶした。
「貴方は、私の兄を奪った。兄の人生を、命までも踏み躙った」
「お前は特区日本を潰した!俺たちの世界を!争いの無い世界の礎を、壊した!」
その言葉を聞いた瞬間、彼女は鼻でルルーシュを笑った。
「…それがなにか?」
ルルーシュの頭に血が上る。
手に力がこもり、トリガーを引きそうになった。口を歪ませ、大声を張り上げた。
「なんだとっ!」
「正しいことに価値など無いのですよ」
リリーシャはルルーシュの心情を理解しながらも、彼に言葉をつづる。
「この世は強いものが勝ち残ります。それこそが、弱者が目を背けようとする現実、強者だけが知っている真理、いや、自然の摂理です」
「ふん、お前も皇帝と同じ、弱者を蹂躙することを是とする、ただの…」
「でも、それは先輩も理解していることでしょう?」
彼は言葉を噤み、リリーシャは言葉を続けた。
「力がなければ、何も出来ない。ただ、憎み続けることしか出来ない。遠くからただ、睨みつけることしか出来ない。
だから貴方は力を欲した。
そしてギアスという力を得た貴方は行動した。
黒の騎士団という武力を使い、その頭脳を使い、ギアスという王の力を使い、人々を動かし、ブリタニアに反逆した」
彼女のダークブルーの長髪が揺れる。
リリーシャの瞳にはモニターの光だけが映っていた。
「自分たちの居場所を作るためだけに、ブリタニアの秩序を壊し、私のような人間を巻き添えにして、悲劇をもたらし、多くの血を流した。
『自分たちが幸せに暮らすことができれば、それでいい』
聞こえはいいが、それは単なるエゴだ。
ブリタニア人と、行動原理は何ら変わりは無い。
自分たちの居場所が欲しい。そんなエゴを押し通すために、多くの人間を手にかけてきた男、それが貴方です。
貴方の言う『正義』はただの…」
支援
支援
リリーシャの言葉はそこで止まった。
ガンッと、デスクにリリーシャの顔が叩きつけられ、ゼロの漆黒のマントが揺れる。
「うぐっ…!」
銃口が後頭部に押し当てられ、彼女の綺麗な長髪が乱れた。
彼の整った容姿は怒りで歪み、紫色の瞳が鋭い眼光を放っていた。
ルルーシュは体を震わせながら、吼えた。
「お前に何が分かる!!貴族として、ぬくぬくと生きてきたお前なんかに、俺の何が!俺の何が分かるっていうんだ!」
ルルーシュの脳裏には、様々な記憶が蘇ってきた。
皇族として誕生し、厳しい教育と皇族の競争の中でも、妹と母を支えに生きてきた。
だがそんな日々も、母の死によって唐突に終わった。
皇位継承権を失い、小国に身柄を売り飛ばされ、彼の世界は一変した。
ブリタニア人だからという理由で蔑まされ、いじめられ、居場所を無くし、手足が不自由になった妹を守り続けた。
そして、影でひっそりと暮らす日々を、たった一人の妹と共に生きてきたのだ。
戦争という悲劇に飲み込まれ、想像を絶する人生を歩んできた彼は、孤独だった。
誰にも打ち明けることなく、誰からも理解されず、誰よりも賢いからこそ、彼は一人だった。
リリーシャは抵抗することなく、押さえつけられた状態でルルーシュに言葉を投げかけた。
髪が散乱し、リリーシャの目元が隠れていた。
「…かつての貴方も、そしてかつての私もそうだった」
「ただ、自分のエゴを、最悪のやり方で押し通して、そして、潰れただけ…」
「ルルーシュ先輩…私たちは、負けたんですよ。だから、私たちは『悪』なんです…」
ルルーシュは黙ってしまった。
彼女は、分かっていたのだ。そして、自分も気付いていた。
世界の摂理は、どんな言葉で飾り立てても変わらないことを。
だから彼も、武力でブリタニアを潰そうとした。
それが正しい。
だが、認めたくなかった。
自分は正義だと、巨悪を成してでも悪を討つ正義であると、信じていたかった。
それを彼女は否定した。
ルルーシュに、現実を突き付けたのだ。
目的が何であれ、自分のやってきたことは人殺しに代わりは無いのだと…
いつの間にか、ルルーシュの肩から力が抜けていた。銃を持った手が下ろされた。
ゆっくりと上半身を起こしたリリーシャは、乱れた髪を抑えながらルルーシュの方向を向いた。
左頬が赤くなっていたが、気にする素振りも見せずにルルーシュに笑顔でこたえた。
「引き金を引いても構いません。作戦の70%は既に完了しているんで、後は先輩が指揮を取ってくれれば問題ありませんから」
それを見た彼は一瞬、目を見開いた後、瞼を深く閉じた。
ルルーシュは彼女の態度の意図することに気付いた。
罰を受けたい、ということを。
「そうか…」
そして、瞳を開けた。
彼は左手をゆっくりと突き出した。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる――――――――――――」
『魔神』は少女に命令した。
左目に輝く『絶対遵守』のギアスが羽ばたいた。
『Yes, your highness…』
それを見たリリーシャは表情を消し、彼女の両目が赤く縁取られる。
リリーシャはマントの下から拳銃を取り出した。
支援
支援
アッシュフォード学園。
高等部女子寮の一室。
淡い紫色の長髪の美少女、ヘンリエット・T・イーズデイルは眼鏡をかけて、赤いシャーペンをノートに黙々と走らせていた。
ノックもなしに、部屋のブラウン色のドアが開いた。
真っ白なランニングシャツに黒の短パン、左腕には黒のリストバンド、首にタオルをかけ、ランニングを終えたような格好をした少女が入ってきた。
茶色の短髪に赤い瞳、ランニングシャツの首周りは、日焼けした後がくっきりと残っている。
体育会系特有の活発な雰囲気がある少女、ノエル・パッフェンバウアーが2本のスポーツドリンクを持ってきた。
ヘンリエットの机にスポーツドリンクを置くと、ヘンリエットはペンの動きをとめて紫色の瞳を動かし、ノエルの顔を見た。
「…紅茶を頼んだのに」
「あれ?そうだっけ?なはは、まあいいじゃん!一本余ってたからさ。今日の自主練も終わったし、休憩、休憩!」
ノエルは頭をかいて、スポーツドリンクのストローに口を付け、ヘンリエットのベッドに座った。
「あっ!シーツを綺麗に敷いたばかりなのに!どうせなら向かい側のリリーシャのベッドで寝そべって!」
「…リリーシャのベッド、何か仕掛けてありそうで怖いもん」
「そんなものはないわ。大丈夫よ。いつも私が掃除してるから」
ヘンリエットはノエルと視線を合わせず、ストローから一口ジュースを運ぶと、再び勉強に戻った。
その姿を見たノエルは、小さなため息をついた。
「…がんばるねぇ。ヘンリー。私、尊敬するよ」
「…あの貧乳女、学校は全然来ないくせに、成績はいつも私より上で……」
「前回はついにトップだったもんね」
ボキッ、とペン先が音を立てて折れた。
「あの『ガリ勉ゴールズ』を抜いて、ぶっちぎりの一位ですわよ!悔しくてなりません!でも、それでこそ私が認めた永遠のライバル!」
「……で、今回こそリリーシャを追い越してやると…」
「ええ!打倒リリーシャですわ!」
左手でガッツポーズを取り、ヘンリエットの紫色の瞳は競争心でメラメラと燃えていた。
スポーツドリンクを飲み干したノエルは、大きなため息をついた。
「…で、ノエル。どうだった?」
その声を聞いたノエルが顔を上げると、目の前にヘンリエットの顔が視界一杯に広がっていた。
驚く暇もなく、ノエルの肩がヘンリエットの両腕に掴まれた。
眼鏡の端がキラリと光り、ノエルはさらに恐怖を感じた。
「…リリーシャの勉強のやり方でしょ?」
「ええ。私の言うとおり、さりげなく話を振って、聞いてくれたのね」
「うん。でも…」
「いいから言いなさい。まあ、大体予想はつきますわ。勉学に裏技なんてありませんもの。
リリーシャは人前では努力する姿を見せないタイプ…そして、最近は私が日々追い詰めているから、取り繕う余裕が無いのですわ。
うふふっ、リリーシャったら意外に可愛いところが…」
「『そんなの、一回見たら分かるでしょ?』だって……」
その瞬間、ヘンリエットの腕に尋常ではない握力がこもった。ゴキッ、と鈍い音が彼女たちの耳に届いた。
曇り一つ無い晴天の下、アッシュフォード学園の一室で、女の悲鳴が響き渡った。
支援
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「……え。私、今何を」
呆然と立っていたリリーシャが目にしたのは、椅子に座って、デスクに2丁の拳銃を置き、彼女のノートパソコンを見ているルルーシュの姿だった。
「…ほう、なるほど……よく考えたな」
あごに手を当てながら、ルルーシュはギアスが解かれたリリーシャの方に向き直った。
「…あの、一体、私に」
ルルーシュはUSBメモリをパソコンから引き抜き、閉じたノートパソコンをリリーシャに渡した。
「俺は『作戦内容を教えろ』と命令しただけだ」
ルルーシュは、瞳はまだ鋭いものの、顔には微笑を浮かべた。
その言葉を聞いた彼女は、すぐさまルルーシュにギアスをかけた。
ルルーシュは金縛りにあい、自分の意思とは無関係に腕が動いた。両手で自分自身の首を絞め、ルルーシュの顔に驚愕の表情が浮かんだ。
「!おいっ、何をする!?」
デスクに置かれた拳銃をルルーシュに突き付ける。
今度はリリーシャの顔に大きな笑みが浮かんだ。
「あははっ、言っていたことは本当のようですね」
目元をこすりながら、もう一方の片腕は腹を押さえて、笑っていた。ひとしきり笑うと、リリーシャは言葉を続けた。
「私はてっきり『私に逆らうな』、『私に刃向かう意志を抱いた場合、自害しろ』というギアスをかけたと思ってました」
突き付けている拳銃を再びマントの中に隠し、彼女の左目からギアスが消えた。
「この場で私を殺さないのは分かってましたけど、万一に備えて今までのデータだけはまとめておいたんですよ。作戦完了後に確認してください」
そう言って、携帯電話から小さなメモリーカードを取り出し、ルルーシュに手渡す。ルルーシュの顔は歪んでいたが、リリーシャは気にせず、彼にとびきりの笑顔を見せた。
リリーシャの年相応の笑顔に気を取られながらも、ルルーシュは言葉を続けた。
「こんな言い方は嫌いだが、
「では、協力してくれるんですね…」
「何を言っている。もともと、黒の騎士団は俺のものだ」
特区日本を創った男。
特区日本を壊した女。
二人は手を取り合った。
「それに、お前は殺すには惜しい人材だ」
右手を口に当てながら、リリーシャは苦笑気味の表情で答えた。
「うふふ、物騒な口説き文句ですね」
「口説いたつもりは微塵も無い」
手を握ったまま、リリーシャは取り繕いのない微笑を浮かべた。ルルーシュは彼女の真剣な表情とのギャップに、内心では何かもやもやしたものを感じていた。
「ライ先輩に感謝してください。こうやってルルーシュ先輩と手を組めたのは、ライ先輩のおかげなんですから」
「…そうか」
手を離したルルーシュは、モニターのほうに顔を向けた。
背中越しに彼は、言った。
「ライは、どこにいる?」
ルルーシュの表情は分からない。
だが、リリーシャは彼の顔を見ようと思わなかった。
制服の後姿から、彼の心情を感じ取ったからだ。
「…申し訳ありません。でも、生きているのは確かです。C.C.がそう言っていますから、間違いないです」
「ふん、魔女の言葉は、どうも納得がいかないな」
「一つだけ心当たりはあるのですが…」
「だが…なんだ?」
「もしそうだったら、最悪のケースです」
ルルーシュが問いかけようとした時、デスクに置いてあったリリーシャの銀色の携帯が鳴った。
彼女は表示されている文字、『Q2』を見るなり、すぐさま電話に出た。
『ゼロ様、こちらの任務は完了いたしました』
「予定よりも早いな…レナード。感謝するよ」
『…勿体無いお言葉です。では、作戦終了後にお会いしましょう』
通信を終えると、リリーシャは二つ折りの携帯電話を両手でパタンと閉じた。
琥珀色の瞳を細め、ルルーシュに微笑みながら彼女は言った。
「フェーズ4完了です。では、そろそろ私たちも行きましょうか。ゼロ様♪」
支援
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sien
中華連邦の大宦官との食事を欠席したカラレス総督は、指令用のトレーラーの中でバベルタワーの状況が刻々と伝えられていた。
「敵性ナイトメアを確認しました。総数は確認されているだけでも7機。しかし、どれも旧型ばかりで・・・」
連絡員からの報告を聞いたカラレス総督
「ふん。黒の騎士団がEUに見限られたというのは本当だったようだな」
「では、いかかがなされますか?」
「奴らの逃走ルートを塞げ。悪あがきのテロリスト共は一匹たりとも逃すな!」
「Yes, my lord!」
支援
sien
支援
バベルタワーの20階層に3機のナイトメアがランドスピナーを走らせていた。
リリーシャはサザーランドのアサルトライフルの残弾数を確認し、操縦桿を握る。
「サザーランドは使いづらいわね。こんなことだったら専用機を持ってくるんだった…」
『…バベルタワーを灰にしたいの?リリーシャ』
カレンのため息交じりの声が、サザーランドのコクピットに伝わる。
扉を越えて、薄暗い大きな空間に出た。
目的地に着いた紅蓮弐式、月下がサザーランドを守るように陣形を取る。
リリーシャの通信機に、部下の緊急連絡が入った。
『ゼロ様!一機のナイトメアが…うわあ!』
『消えた!?いつの間に!?』
リリーシャは即座に反応する。
「…消えた?どういうことだ?」
だが、部下はその返事をすることもなく、通信は途切れた。
彼女の額にいやな汗が流れる。
眼前が爆発と共に、粉塵を巻き上げた。
金色のヴィンセントが空中で一回転し、地面に降り立つ。
敵を視認したヴィンセントは背中からニードルブレイザーを取り出した。
『ルルーシュ!輻射障壁をオンにして!』
『だから命令するなと!』
月下は回天刃刀を構えた。
紅蓮弐式と月下はランドスピナーを起動して、ヴィンセントに襲い掛かった。
だが、
『なっ…!?』
『消えた!本当に…』
彼らの眼前から忽然と消え、
リリーシャが騎乗するサザーランドの前に、ヴィンセントが一本に組み合わさったニードルブレイザーを構えた。
『リリーシャ!』
それを見たカレンが叫ぶ。
ルルーシュは、目の前で起こった現象に驚愕していた。
(……バカな。物理的にありえない)
リリーシャ眼前で起こった現象に目を見開いていたが、ルルーシュとは正反対に、思考がフル回転する。
(ランドスピナーの初速度…
タイヤの痕跡・・・
ここからの距離・・・
ニードルブレイザーの接続のライムラグ・・・
そして、この武装からして私を殺すのではなく、拿捕が目的・・・
私をなぜ背後から斬らない?
いや、背後に回れなかった・・・
すなわち・・・)
「25,7メートル…」
物理的な要因を無視するナイトメアの動きに驚くことなく、リリーシャは呟いた。
突如、サザーランドのランドスピナーが後方に急回転し、スラッシュハーケンと共に、後方の天井に舞い上がった。
「カレンさん!先輩!距離をとって!」
その言葉に、二人は反応した。
『…俺に命令するな!』
ルルーシュは悪態をつきながらも操縦桿を握り、金色のヴィンセントと距離をとった。
回天刃刀を捨て、コイルガンを発射した。
巧みな動きでヴィンセントは銃弾を避けていく。
『Q1!先ほどの動きを読み取ってUDDを逆算!
R2!同じくUDDを用いて、コイルガンの発射時間を2,3秒後に設定!』
『R2!?俺のことか!』
三機のナイトメアは、ヴィンセントを中心に、三角形の布陣を引いた。
壁に張り付いた紅蓮弐式は、そのままヴィンセントに襲い掛かった。
「10メートル手前で輻射波動を放出!」
『は!?当たるわけないじゃない!』
『いいから!』
半信半疑にもカレンはボタンを押した。
『え?』
カレンは声を上げた。
カレンが次に目にしたのは、鉤爪の掌にある輻射波動の影響で変形したナイトメアの腕だった。
金色の腕から煙が上がり、すぐさま爆発した。
リリーシャは見上げた。
「4,9秒……範囲と時間は若干操作できるみたいね」
右腕を失った金色のヴィンセントがいた。
爆発音が木霊し、バベルタワーが傾き始めた。
「時間切れか……でも、結構面白かったわ」
轟音と共に、床が崩れ、金色のヴィンセントが灰色の粉塵に包まれていった。
「じゃあまた会いましょ。坊や♪」
リリーシャはモニター越しに投げキッスをはなつと、スラッシュハーケンを近くの壁に撃ち付けた。
バベルタワーが音を立てて崩壊していく。
カラレス総督を乗せていた軍用車は抗うすべもなく、バベルタワーの下敷きになった。
支援
支援
政庁の中央モニタールームでは、その光景がリアルタイムで映し出されていた。
目の当たりにしたグラストンナイツとギルフォードは驚愕に染まる。
「なっ…」
それと同時に、一人のオペレーターから声が上がった。
「ギルフォード卿!トウキョウ租界に向かってくる3機の未確認飛空挺が!」
「なに?モニターに出せ!」
画面が切り替わり、トウキョウ租界沿岸部上空にいる3機の白い飛空挺が映った。
アヴァロンと同程度の大きさを持つ3機の機体であり、中心に円形のコクピットがあり、その端に回転式の大型砲が装備された船だった。
翼は機体に比べて小さいことが特徴的なEUの最新式の戦闘機である。
グラストンナイツの一人、アルフレッド・G・ダールトンが声を上げる。
「EUの飛空艇『パルテノン』?なぜエリア11に…」
だが、隣にいたエドガー・G・ダールトンが叫んだ。
「違う!船尾のマークを見ろ!」
その指摘に従い、モニターには右下に船尾の拡大図が表示された。
司令室にいた人々は息を呑む。
黒い鳥を象った、有名なテロリストである『彼ら』を象徴とするマークがそこに描かれていた。
「あれは、黒の騎士団!?」
「バカな…EUとは手を切ったはずでは…」
「ギ、ギルフォード卿!」
またもや、オペレーターの一人から声がかかる。
ギルフォードは普段の冷静さを失い、少し声を震わせながら叫んだ。
「今度はなんだ!」
気圧された中年のオペレーターはギルフォードの声に気圧されつつも、報告した。
「先ほど、トウキョウ監獄から緊急連絡がありまして……ナイトメアの強襲があり、黒の騎士団の幹部、251名全てが奪還されたという知らせが…」
「なんだと!?」
司令室が再び揺れた。
次々と報告される情報に対応が追いつかず、司令室は混乱の窮みに陥っていた。武官を支持するカラレス総督が死に、文官の人間がこの騒乱に乗じて介入を果たしていた。
指揮系統が乱れ、ギルフォードは唇を強くかみ締める。
(黒の騎士団は健在だったのか…!
組織の弱体化を装い、注意をバベルタワーに引き付けた。
多数の軍隊をおびき寄せた上で、中華領事館へと渡るラインを造ると同時にバベルタワーの構造を利用して殺害…
そして主力部隊は人員が少なくなった刑務所に送り、最小限の被害で仲間を救出した…
この大胆さと策略……これはっ…)
「ゼロだ!奴は本物のゼロだ!」
そして、『魔神』は現れる。
『私は、ゼロ』
エリア11にある電波は全て掌握され、あらゆる場所にあるモニター画面に『ゼロ』の映像が映し出された。
『日本人よ!私は帰ってきた!』
背後に日本の国旗を掲げ、仮面の人間は言葉を紡いだ。
『私は愚かだった…』
仮面に手を添え、副生音の声が響く。
『血が流れることなく、ブリタニアと調和する国家が実現することを、私は信じていたのだ』
『だが、特区日本は終わった。偽りの希望は潰えた!日本の独立を拒んだユーフェミアによって!』
『だから、私は彼女に天誅を下した!そして、この日本を苦しめるカラレスも、我が手で葬ったのだ!』
『仮初めの平和を謳うユーフェミアはもういない!欺瞞に満ちた国家も無い!』
『私は、ここに日本の独立を宣言する…』
『人種を問わず、あらゆる主義、主張を受け入れる国家!』
ゼロは両手を仰ぐ。
漆黒のマントが大きく羽ばたいた。
『その名も――――』
『合衆国日本!!』
『うおおおおおおおおおおおおおっ!!!』
エリア11のあらゆる場所で、歓声が上がった。
ゼロの姿に涙を流す者もいれば、狂喜の声を上げ、握りこぶしを空高く上げる者もいた。
全ての日本人が奮い立った。
テロリストたちは、機関銃やナイトメアのアサルトライフルを掲げて『ゼロ』の帰還を称えた。
戦闘艦『パルテノン』の船内では、多くの囚人服が宙を舞った。
ゼロの帰還と、自分たちの救出を心の底から喜びあっていた。抱きしめあい、涙を流す幹部たちが大半だった。
幹部たちの無事な姿に、井上は涙を堪えきれなかった。オペレーターの水無瀬むつきと日向いちじくは手を叩きあった。
双葉綾芽は十字架のシルバーネックレスを両手で握り締め、頬を紅く染めながら、円満の笑顔を見せる。
扇と杉山は肩を組みながら、笑いあっていた。
瞳から流れる涙と鼻水をぬぐい、玉城は歓喜の声を上げる。
「ゼロォ…俺は、お前を信じてたぜぇ…やっぱりすげぇよ!俺のゼロはよぉ!!」
『ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!…』
『彼ら』は叫ぶ。
やがて、ゼロを称える声は日本全土に広がっていた。
支援
支援
支援
02が
>>23含めて13レス、前スレでの予告は14レス
もう支援なくてもいけるとは思うけど……終わったのかな
どうだろう…あれか、親御さん乱入か
PC使用時間に制限があるとして、12時過ぎはまず無理そうだなあ
時間のない人の長編投下、
ろだ利用を本気で考えたほうがいいかも。
中華連邦総領事館。
放送を終えたゼロは、星刻の前を通りすぎていった。
長い黒髪を揺らす星刻は、黒の騎士団の部下と共に部屋に戻る『ゼロ』の後姿を見守っていた。
(いつの間に高亥様と取引を…いや、括目すべきものは彼の策略…噂以上の腕前だ)
ゼロは自動ドアを跨ぎ、中華連邦の国旗の下にある、広いテーブルにつくと仮面を取り外した。
リリーシャは眼前のソファに座っているカレン、C.C.そしてルルーシュに声をかけた。
「皆、お疲れ様」
カレンは身を乗り出し、リリーシャに話しかけた。
「大成功よ!リリーシャ!皆も無事に帰ってこれたし、『パルテノン』が停泊している大広場に皆がいるわ。後で顔を見せに行きましょうよ!」
「…分かったわ」
リリーシャは深く椅子に座り、ルルーシュに声をかけた。彼女の表情から疲労の様子が伺えた。
「先輩は心配しなくてもいいです。後で私たちと共に地下通路から、表に出ますので…」
「…分かったが、これからどうするつもりだ?」
リリーシャが答えようとしたとき、彼女の携帯電話が震えた。
彼女が電話を取ると、電話の向こう側から男の大声が聞こえた。
『ゼロ!!』
『何事だ。ディートハルト』
『た、大変です!ブリタニアの中継をご覧ください!』
普段のディートハルトから想像できない声に、その声を聞いたルルーシュたちは首をかしげた。
C.C.はリモコンを操作し、部屋にあるテレビに電源を入れた。
大広場で酒盛りをやっていた幹部たちは、大広場にある巨大スクリーンが突然映ったことに興味を示し、全員の視線がそそがれた。
「ほへ?」
すでに出来上がっていた玉城は、とろんとした瞳でそのスクリーンに目をやった。
そして『彼ら』は目にした。
『ここで番組を一時中断し、ブリタニア本国からの中継をお送りします』
女性アナウンサーの声と共に、王都ペンドラゴンの謁見室の映像が映った。
大きな音と共に、ブリタニアの国歌が響き渡る。
名だたる貴族が並び、皇帝陛下が座る王座への道には、赤い絨毯が敷かれていた。
そして、貴族、皇族が並ぶその先に、帝国最強の騎士たちが並んでいた。
ルルーシュはその内の一人の顔を見て、怒りがこみ上げた。
「…スザク!」
一人の近衛兵が大声を張り上げた。
「ナイトオブラウンズ様!ご入来!」
大声と共に、オーケストラの音が奏でられ、重厚な扉が開かれた。
一人の騎士が、姿を現した。
その姿を見た皇族、貴族たちから割れんばかりの拍手が巻き起こった。
皆は驚愕に震えた。
それは真紅のマントを羽織った騎士であった。
未だ史上最強といわれた騎士、『閃光のマリアンヌ』のみが許された『真紅』。それを羽織ることは何を意味しているのか。誰もがわかることだった。
『彼』が一歩一歩、皇帝陛下に近づく度に拍手の音は増していった。
一人の騎士は悠然と赤い絨毯の上を踏みしめていた。
銀色の髪。
深遠な青い瞳。
誰もが目を惹く、端麗な容姿。
『彼』は壇上を登り、シャルル皇帝陛下の眼前で膝を折った。
金色の大剣が、『彼』の肩にかかる。
そして、シャルル皇帝陛下は告げた。
「我が剣となり、盾となることを誓うか?」
「誓います」
「ここに騎士の誓約を立て我が力として戦う事を誓うか?」
「誓います」
「我欲、夢、野望、その全てを抱き我が剣となり戦うことを誓うか?」
「誓います」
皇帝陛下は大剣を地面に突き刺した。
覇者たる豪快な笑みの先に、一人の男が映っていた。
「よかろう!では、そなたにラウンズの称号を授ける!」
両手を広げ、皇帝は一人の騎士の誕生をここに宣言した。
「ナイトオブツー、ライ・アッシュフォードよ!!」
「―――――――Yes, your majesty」
歓声は頂点を迎える。誰もが『彼』を称える。
ナイトオブラウンズの騎士たちも『彼』を心から祝い、拍手を送っていた。
支援
「ええ!?ウソっ!ライ!?」
アッシュフォード学園で一部始終を見ていたミレイは驚愕の声を上げた。
他の生徒会のメンバーも同様だった。
「…マジで?」
「ライくんが・・・」
「う、そ・・・」
赤い髪のカレンは呆然と呟いた。
「――――っ!?」
ルルーシュは衝撃に目を見開き、絶句した。
ライ・アッシュフォードと呼ばれた騎士は大剣を引き抜き、皇族や貴族たちの方に振り返った。
黄金の剣を、優雅な振る舞いで、『彼』は鞘に戻す。
『彼』は瞼をゆっくりと開く。
両目には、不死鳥を象った赤い紋章が宿っていた。
この瞬間から、世界は、
一人の男の『反逆』と――――――
彼の『覇道』を―――――――――
認識した。
申し訳ありません。
一時間以内に10つも投下していないのに、サルになってしまいました。
この原因が分からず、いろいろしていたら
refferが変です?
みたいなことになって…
支援してくださった皆さん、大変申し訳ありません!
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN02 「合衆国 日本」
投下終了です。
今回と、次回のTURN03 「ナイト オブ ラウンズ」で、この世界観とキャラの配置が大体つかめると思います。
もうすでに本筋と異なってきてますが、さらに本編を逸脱していきます。
(これがリリーシャとライが世界に及ぼす影響力と思っていただければ幸いです)
また、TURN03 「ナイト オブ ラウンズ」の投下終了後、登場人物と機械の設定資料を合わせて5つ追加する予定です。
オリジナル要素が強すぎると、皆さんが楽しめなくなるので、本編を逸脱しつつも逸脱しない(?)ように注意して話を展開していこうと思います。
批判、中傷、なんでもいいので皆さんの感想の書き込み、お願いします!
それでは。
>>73 乙でした。
前回の話のライは如何にも王といった様子で、一見皇帝の下に就くようなキャラには見えなかったです
が、そんなライが何故ブリタニア側に居るのか謎は残りますが、追々明かさていくのだろうと楽しみにしてます
最後に一つ
改行が多すぎる気がします
見せ方としては有りなんでしょうけど、仮にそれが投下の妨げとなっているのなら
改行を減らす事を考えてみるべきだと思います
何にしても、次回投下をお待ちしてます
>>73 乙です。
ここでリリーシャが絡むとは思いませんでした
てっきりライが女装したものかと思ってましたw
ライがまさかのラウンズ入り。
彼の覇道が如何なる物か楽しみです
>>73 POPPO卿、乙でした。
……再契約したリリーシャか。 ……深読みし過ぎた。
ラウンズ入りのライ、その真意は……
後、目の縁が赤くなるのは演出効果で実際は赤くなっていないらしいですよ、と言っておきます。
貴公の次の投下をお待ちしております。
乙でした。
やはりリリーシャでしたか。
ゼロがライじゃないのは瞳の色が違ってたので分かってましたけどね。
ただいろいろ気になったのは、今回の話だけではないですが、シーンが飛び飛びになってることが多いですね。
前回の引きと続きの冒頭が繋がってないとかね。
読んでて「あれ?間の1話読み逃した?」とか思うこともしばしばですので。
>>43 乙でした。
冷静に戦局、相手の能力を分析するリリーシャ、いいですね。
ルルーシュが万能選手をするのとは違う新鮮さがある。
CCにカレン、シャーリーにリリーシャと周辺に女性陣が充実していますが
どのようにリリーシャを生かしてルルーシュと関係を築かせるのか。
便利なだけではない、彼女の魅力を見せていただけるのを楽しみにしています。
投下について一点。途中さるにつかまったようですが、
>>26以降で提案されていた代理投下の内容は把握していらっしゃるでしょうか。
わからないときは尋ねるかあちこち検索するなどして
次回以降に役立ててもらえればと思います。
*
代理投下もだけど、うpろだも選択肢に加えていいんじゃないかなー。
マスターコードやらは投下報告のレス番使う画像掲示板方式で問題ないだろうし
ろだ利用だと感想減りそう?かな
修正版だけでも投下以外の方法でやったら全然違うと思う。
他の人はメールとかで修正お願いしている場合もあるし、わざわざここに投下する必要はないと思うんだけど。
感想書くにしても、修正版は書きにくいし、書く気もおきない。
それこそ、蒼姐さんのように大きく書き直してあるならともかく・・・。
夜分遅くにこんばんわ。前作の続きを投下します。13レス程度使用します。
支援は大丈夫だと思います。まあ、何とかなるでしょう!
【メインタイトル】コードギアス 反逆のルルーシュ L2
【サブタイトル】〜 TURN03 ナイトオブラウンズ(前編)〜
【 CP 】無し
【 警告 】●根幹は黒騎士ルートを準拠してのR2本編介入ものですが、オリジナルな設定と話も多々あります。
●王様ライの性格は自分の考えに依存してます。苦手な方はご注意下さい。
●オリジナルの名称が出ます。同じく苦手な方はご注意下さい。
それでは、投下行きます。
しえん
――――――――――――――――――――――
コードギアス 反逆のルルーシュ L2
〜 TURN03 ナイトオブラウンズ(前編)〜
――――――――――――――――――――――
薄暗い嚮団の地下施設。
その場所をライは黒衣の男を道標に悠々と歩みを進めていた。
やがてその歩みが止まると、二人の正面には巨大な壁が立ちはだかっていた。
ライが「行き止まりか?」と首を傾げていると、男は壁に手を添えた。
すると、掌程の凹みが出来ると同時に、カチンという短い音が鳴り目の前の壁がゆっくりと開いていく。
その仕掛けを見た時、嚮団を隅々まで歩き回り全ての施設を把握したと自負していたライは、一年近くも気付けなかった事に「失態だ」と内心舌打ちしつつも歩みを進めた。
部屋の中には、V.V.を筆頭に此所までライを案内して来た男とは別に4人の黒衣の男達が、ストレッチャーに横たわる大柄な男を取り囲むように居た。
また、彼等の奥にはその部屋よりも遙かに大きなガラス張りの空間が有り、そこには今までライが見た事も無い重武装と重装甲が施された巨大なナイトメアらしき機体が、その部屋の主よろしく鎮座している。
ライはまだ知る由も無いが、その機体の名はジークフリートと言う。一年前、C.C.の乗るガウェイン諸共海底に沈んだ筈の機体だ。
二人が部屋に入ると男達は皆驚いたようで一斉に視線を向けるが、ライが目を細めると男達は今度は一斉に視線を逸らした。
そんな中、たった一人視線を逸らさなかった存在、V.V.は残念そうに呟いた。
「あ〜あ。見つかっちゃた」
しかし、ライが我関せずといった様子で周囲を観察していると、V.V.は彼を連れてきた男を見据え瞳に批難の色を滲ませた。
「言いつけを守れないなんて悪い子だね」
「も、申し訳ございません」
咎められた男がやや畏縮しながら謝罪の言葉を口にすると、V.V.は軽く溜息を吐いた。
「まぁいいよ。どうせ脅されたんでしょ?それに、何れ彼には見てもらおうと思ってたし」
そう言ってV.V.は再びライに向き直る。
「それで、ここに来た要件は?……ひょっとして――」
「推察通りだ。C.C.を確認した」
「そう…やっぱり領事館に居たんだね」
目元を緩ませるV.V.を尻目に、ライは軽く相槌を打った。
「ああ」
「それなら――」
「残念だが、これ以上は無理だ」
言葉の続きを予測したライが口を挟むと、V.V.は一転して怪訝な表情を浮かべた。
「どうして?」
「皇帝が禁じている」
「…そう、だったね」
僅かな間をおいて、V.V.が心底残念そうに呟くとそれを認めたライが問う。
「あの男は本当に目的を果たす気があるのか?」
「彼を疑うの?」
V.V.は再び瞳に批難の色を滲ませるが、相変わらずライは気にもしない。
「私は当初、領事館の直接占拠を提案したがあの男はそれを却下した。揉め事は避けろと言ってな」
「でも、彼が契約を蔑ろにする事は無いよ」
「何故そう言い切れる?」
「彼とは長い付き合いだからね」
「長い付き合い、か……だが、人の心は移ろい易い。心変わりをしたとしても不思議では無いだろう?」
――心変わり――
その言葉を聞いた時、V.V.の表情が僅かに曇った。それを見逃すライでは無い。
「どうやら思い当たる節があるようだな?」
ライの問いは当たっていた。だが、V.V.は答える事無くライから視線を逸らすと一人思慮に耽る。以前はどうしたか、と。
そして、直ぐにその結論に至ると徐に口を開いた。
「仮にそうだったとしても、それならそれで彼の心を変えた理由。それを消せばいいだけだよ。でも、やっぱり杞憂だよ」
V.V.はそう前置きした後、今度はどこか懐かしむかのような瞳を虚空に向けた。
「あの日、僕達は地獄で誓ったんだ。僕達だけは絶対に裏切らないって」
本来、その言葉の後には続きがあるのだが、V.V.がそこまで語る事は無かった。既に破ってしまっているからだ。
「ライ、君も裏切らないと誓ってくれない?」
「馬鹿馬鹿しい。そもそも、私には心変わりする理由やお前達を裏切るべき理由が無い」
その言葉にV.V.は僅かに顔を顰めた。
支援
この一年、ライを見続けて来たV.V.にとって、確かにその言葉は一定の説得力が有るには有った。
今はゼロに並々ならぬ関心を懐いているとはいえ、それが元でライが裏切るという要素は垣間見えない。しかし、唯一の気掛かりも有ったのだ。
ライの左手の手袋の下。その薬指に填められている指輪。その送り主。
それが誰であったかと言う事だけだが、下手に問い詰めた結果、年代記に語られていないだけで過去にそういう存在が居たとなったら目も当てられない。
皇帝のギアスによって自分を契約者だと信じているライに、「何故知らないのだ?」と問われかねないと考えていたからだ。
その時、言葉を濁す事は可能であっても問うたが最後、ライの鋭すぎる洞察力がV.V.に嫌疑を掛けて来る事は想像に難く無い。
さすれば、ライは契約を果たす事。それ即ち母と妹の仇に繋がると言った皇帝の言葉さえも疑い出すだろう。
そうなれば、今まで契約によって縛ってきたこの狂える王。その強大な牙を抑えきる事は自分であっても不可能だと、下手をすれば弟にまで危害が及ぶ可能性があるとV.V.は懸念してたのだ。
ライが呆れた口調で答えた時、V.V.には見えた事だろう。
今にも引き千切られそうな程にか細い鎖がライの首に巻き付いているのが……。
だが、そこは年の功とでも言うべきなのだろうか。V.V.は直ぐに気を取り直すと、心情を気取られぬよう嬉しそうに笑みを浮かべてみせた。
「それもそうだね」
その笑みの裏にそんな想いが隠されているとは露知らず、ライはV.V.の真横まで歩み寄る。
因みにV.V.も一つ、夢にも思っていなかった事がある。
自分がライに見張られているという事。
そして、それを頼んだのが他ならぬ弟、皇帝だと言う事を。
しかし、この場合それを裏切りと言えるかと言えば答えは否だ。
V.V.が弟との約束を違えなければ良いだけの話なのだから――
ライは、ストレッチャーに横たわっている男。顔半分を仮面に覆われ固く瞳を閉じている大柄な男に視線を落とす。
「この者は死んでいるのか?」
「眠ってるだけだよ」
先程の笑みそのままに答えるV.V.を見て、ライは再び疑問を口にする。
「新しい駒か?」
「似たようなものかな。彼は僕の騎士にしようと思ってね」
ライは再び視線を落とす。男が身につけている装束は確かに騎士と呼ぶに相応しい物だった。が、一箇所だけどうにも解せない所があったライは、神妙な面持ちで呟いた。
「妙な男だな。これでは仮面の意味が無い」
「其処に突っ込むの?」
真剣な眼差しで何とも間の抜けた事を言ってのけるライ。最も本人にその自覚は全く無く、ごく自然な感想を口にしたつもりだったのだが、それが余程可笑しかったのかV.V.は愉快そうに笑った。
その態度がカンに障ったライは思わず睨み付ける。
「使えるのだろうな?」
「さぁ?まだ何とも言えないよ」
自身の眼光に全く臆する事無く、相も変わらずヒラリと受け流すV.V.を見てこれ以上は無駄だと悟ったライは、続いて奥にあるガラス張りの空間を指差しながら問うた。
「あれはナイトメアか?」
「正しくは、ナイトギガフォートレスって言うんだけどね」
「何だ、それは……」
怪訝な表情を浮かべるライに対して、V.V.はそれまで二人の会話の邪魔にならないよう無言で佇んでいた黒衣の男達に命じた。
「説明してあげて」
「畏まりました」
男達は優雅に腰を折ると口々に説明を行った。
やがて、彼等から一通り機体の設計思想を聞かされたライは端的に思いを述べる。
「乗せろ」
「無理だよ」
余りにも明瞭な言葉にV.V.が思わず苦笑すると、ライはその笑みを侮辱と受け取った。
「私では操れないと?」
ライの眉が危険な角度を描く。
すると、突然周囲に居た黒衣の男達がV.V.を庇うかのように二人の間に割って入ると、その内の一人が口を開く。
「お、恐れながら申し上げます。あれは機体とパイロットを接続することで神経回路と直接連動させる、神経電位接続という特殊な操縦法を用います。今の陛下のお体では……」
男が震える声で何とか言葉を紡ぐと、それを聞いたライは瞳を細めた後、さも残念そうに呟いた。
「無理と言う事か」
「そんなにナイトメアが欲しいの?」
ライの呟きを聞いたV.V.が不思議そうな表情で問うと、彼は思わず心情を吐露した。
「私は一日の大半をこの薄暗い地下施設で過ごしているのだぞ?それ以外は黄昏の間だが、彼処には何故か常にあの男が居る。
だからと言って外に出たところで、其処は一面既に見飽きた砂の海。お前の様に千年以上も生き続ければ退屈という思いさえ忘れてしまえるのだろうが、生憎と私はそうでは無い」
珍しいライの愚痴を聞いたV.V.は顎に手を置くと暫しの間考え込む素振りを見せるが、やがて何かを思いついたらしく徐に口を開いた。
「分かったよ。じゃあ、僕がプレゼントしてあげる」
「何だと?」
予想外の言葉だったのか、瞳を見開くと驚いた様子でいるライを余所にV.V.は更に語る。
「そうなると、君のデータを取らないといけないね。丁度此所にはシュミレーターもあるし、今から乗ってみる?」
「それを早く言え」
ニンマリと笑みを浮かべるV.V.に対して棘のある口調で言ったライだったが、目元は僅かに緩んでいた。
そんなライを横目で捉えながらV.V.が男達に視線を送ると、主の意図を察した彼等は恭しく頭を垂れる。
「では、陛下。こちらへ……」
「じゃあ、僕は彼の調整を見てくるよ。終わったら言ってね」
V.V.はそう言ってストレッチャーを押す2人の男を従えると、隣の部屋に消えて行った。
ライもまた、男達に促されるままその部屋を後にした。
〜そして、30分後〜
V.V.は、両腕を後ろに回すとベッドに横たわり無数の管に繋がれている半面の男を物思いに耽った表情で眺めていた。すると、不意に入口の扉が開いた。
その音を聞いたV.V.は振り返る事無く問い掛ける。
「どうだった?」
だが、返事は無い。不思議に思ったV.V.が向き直ると、そこには怪訝な表情を浮かべたライの姿があった。
「妙な体験だった。ナイトメアなど乗った覚えが無い筈なのだが、不思議と操縦方法が分かるうえに自然と体が動いた」
「ああ、それかぁ……」
「V.V.。お前まさか――」
納得した様子でいるV.V.を見たライの表情が強張る。
「寝ている間に私の体に何かしたのか!?」
「まあ、それもあるかな」
「貴様っ!!」
「僕じゃ無いよ」
右手を突き出し激昂しかけたライを制すると、V.V.は陰惨な笑みを浮かべながら問い掛ける。
「でも、そのお陰で君はいとも簡単にナイトメアを乗りこなしたんでしょ?寧ろ感謝するべきなんじゃない?」
「私の体は母が与えてくれたものだ!それを――」
「そんな大事な体にギアスを宿したのは何処の誰?」
「っ!!…それは……」
ライは珍しく口籠もった。何故か?
V.V.の問いは正に正鵠を得ていたからだ。
――ギアスの力は王の力――
聴覚を媒介にあらゆる者を従わせる事が出来るライのギアス。正に王の力と呼ぶに相応しく、ライもそれについて異論は無かった。
だが、それが表向きの表現なのだと言う事を彼はあの日、嫌という程思い知った。
ギアスは彼にとって全てとも言える二人の命をいとも簡単に奪い去ったのだから。
誰かが言った。表があれば裏がある、と。
V.V.が言った言葉は、正にその裏の意味を暗に示していたのだ。「呪われた力を宿したクセに何を言っているの?」と。
契約の際にそれを知らせなかったとは言え、ライにV.V.を責める事は出来なかった。
押し付けられた力では無く、自ら望んで手にした力。それを御する事が出来なかったのは他ならぬ自分自身なのだ。
何よりも己の過ちを他者に擦り付ける等、彼のプライドが許さなかった。まぁ、そもそもV.V.はライの契約者でも何でもないのだが……。
「……二度と、するな……」
ライは眉間に皺を寄せると、これまた彼にしては珍しく辿々しい口調で呟いた。
その時、V.V.には見えた。
か細い鎖とは別に、遙かに太く強靱な二本の鎖がライの体に巻き付いているのを。
その瞬間、V.V.は理解した。ライは絶対に裏切れない、と。
先程の憂いが消えていくのを感じたV.V.が今度こそ心よりの笑みを浮かべていると、再び扉が開き黒衣の男が入って来た。
しぇん
「陛下、こちらに記入を」
男はそう言って手に持ったバインダーを差し出した。
受け取ったライは、それに綴られた数枚の用紙を捲りながら怪訝に思う。
「これは何だ?」
「はい。どういったタイプの機体をご所望されるか聞き取りを――」
「タイプは指揮官機でいい。だが、個別戦闘にも遅れを取る事が無いようにしろ」
ライはバインダーを突き返してサラリと言ってのけると、受け取った男は恭しく頭を垂れた。
「畏まりました。……後は、カラーリングですが――」
「不要だ」
「さ、左様で……」
男が少々驚きを隠せない様子でいると、ライは一瞥をくれた後に持論を展開した。
「どれだけ着飾ろうとナイトメアも所詮は戦いの道具。私は武器を下手に着飾るのはどうしても好きになれない」
「では、機体保護の為の塗装は施すとして、それ以外は行わないとなりますと機体カラーは銀色になりますが?」
「それでいい」
「畏まりました。では」
男は腰を折ると踵を返して部屋を後にした。
やがて、二人の会話が終わったのを見計らったV.V.が再び問い掛ける。
「彼への報告はもう済んだ?」
「そう言えばまだだったな」
「なら、先に行っててよ。僕も直ぐに行くからさ」
「全く――」
「小間使いのような事をさせてごめんね」
ライの言葉を予測したV.V.が三日月を浮かべて言葉だけの謝罪を口にすると、虚を突かれる形となったライは思わず目を見張る。
だが、直ぐに剣呑な表情を貼り付けると事も無げに言い放った。
「……今後の方針を決める必要がある。さっさと来る事だな」
そう言って、ライは立ち去るべく扉に向けて歩き出す。
すると、入れ違いに今度は二人の黒衣の男達が入って来た。見た目からは判断し辛いが、一人は先程部屋を後にした筈の男だ。
鉢合わせになった事に驚いた男達は、慌てて道を譲ると頭を垂れる。
が、ライは当然とも言いたげに彼等の脇をまるで無視するかのように通り過ぎて行った。
やがて、扉が閉まるのを確認するした男達は、しどろもどろといった様子で口を開く。
「嚮主V.V.。一つ申し上げにくい事が……」
「どうしたの?」
「はい、先程の陛下のシュミレーター結果なのですが。その、何と申し上げたら良いか………」
「報告は簡潔にね」
煮え切らない態度でいる男達を見て、V.V.は内心首を傾げながらも目敏く指摘すると、咎められた男達は簡潔に思いを述べる。
「はっきり申し上げて異常です。我々の手では、陛下に満足して頂ける性能を持ったナイトメアは……」
「造れない?」
「お、畏れながら……」
「それを聞いたら彼は怒るだろうね」
V.V.の呟きにライの怒れる様をありありと脳裏に描いてしまったのか、二人の顔がみるみる蒼褪めていく。
他の男達も、哀れむかのような瞳で同僚達の身に起こった不幸を嘆いていた。
すると、V.V.は余りにも不憫に思ったのだろうか?いや、違う。プレゼントすると言ったのはV.V.自身だ。
それが無理になるという事は怒りの矛先はまず自分に向くと考えた彼は、果たして誰に向けて言ったのか、助け船を出した。
「仕方ないね。僕からシャルルに頼んでおくよ」
「も、申し訳ありません」
「有り難うございます」
男達は頭を垂れて口々に感謝の意を述べた後、再び口を開く。
「ですが、このような数値。果たして身体調整だけで出せるものなのでしょうか?」
V.V.は何を今更といった様子で僅かに鼻を鳴らす。
「彼の天賦の才も一因だろうね。でも、彼が記憶を改竄されるまで何をしていたのか知ってるでしょ?」
男達はハッと何かを思い出した様子で瞳を見開いた。
「彼は騎士団に居たんだよ?嘗てのゼロ、ルルーシュの左腕としてね。ナイトメアの操縦に関しても、シャルルが弄ったのは彼の記憶であって知識じゃないし」
V.V.の言葉を聞きながら男達は再び手に持ったシュミレーター結果に視線を落とした。
そこに記された数値は正に異常の一言だった。ラウンズのデータと見比べても何ら遜色は無い。
いや、知らない者ならラウンズの物だと勘違いを犯しても可笑しくない程だ。
だが、これは男達のみならずV.V.も知らない事ではあるが、そこに記されているデータは騎士団に居た頃のライの戦い方とは全く違うものだった。
以前の彼の戦闘スタイルは紅蓮のサポートに重きを置いた戦い方だった。
個別戦闘に関して言えば、紅蓮の討ち洩らした敵を仕留める。主にナイトメアの頭部や動力部を狙うと言ったような活動停止を目的とした戦い方だった。
最も、それは相手との力量差がある場合だけだ。拮抗していた場合は流石にそんな戦い方は出来ない。が、そもそも当時のエリア11でそんな相手はスザクを除けばまず居なかった。
直ぐに機体が爆散する事も無く、脱出の猶予が与えられている事からも分かるように、どちらかと言えばそれは敵にも幾分か優しいものだった。
しかし、弓矢が飛び交う嘗ての戦場の記憶を思い出した今のライの戦い方はそれとは正反対なのだ。
敵が死のうがどうなろうが知った事では無いというような、端から殺す気で相対する戦い方。
頭部を狙うだとか、脚を撃って活動停止にするだとか、そんな事は一切考えていない。立ち塞がるものは全てねじ伏せる。情け容赦無いものだった。戦場に立てば、味方さえも駒として使い捨てるだろう。
それは、嘗て数多の戦場を勝ち続けて来たライ本来の戦い方。
個別戦闘に関しては帝国最強と言われるナイトオブラウンズの一角に食い込む程であり、まだ明確なデータは無いが今なお伝わる過去の戦績と照らし合わせれば、指揮能力についても比類無き者という事が容易に想像出来る事だろう。
しかし、それ程のデータだと言う事を彼等はまだ知らない。
やがて、V.V.はデータを見ながら何やら囁き合っている男達から視線を移すと、再びストレッチャーの主に向き直った。
「で、こっちの彼の調整は?」
「既に8割方終了しております」
「そう、ここまで来るのに1年近く掛かったけど、あと少しか。早く見たいよね」
「畏まりました」
主の要請に対して、男達は一斉に頭を垂れる。
V.V.はそんな彼等を尻目に、ストレッチャーの上で未だ眠り続けている男に対して酷く陰惨な笑みを浮かべた。
「光栄に思うといいよ。君は今まで誰も持ち得なかった力を得るんだから。ねぇ?ジェレミア・ゴットバルト……」
嘗てゼロによって全てを失った男、ジェレミア・ゴットバルト。
彼の存在はルルーシュのみならずライの運命さえも大きく揺さぶる事となる。正に分水嶺とも言える立ち位置に居るのだが、当の本人は未だ深い夢の中。
だが、目覚めの時は近い。そして、目覚めた後に彼の取る行動。それは確実に運命の歯車に組み込まれているという事を、この時はまだ誰も知る由も無かった。
―――――――――――――――――
救出劇より数時間後。
同胞を奪い返したルルーシュは、領事館の一室に居を構えていた。
部屋の中には、彼の他にゼロの素顔を知る者としてC.C.とカレン。そして新たに加わった卜部の姿が見受けられる。
彼等の中で最初に声を発したのはカレンだった。
「ゼロを助けたパイロットは?」
「星刻のルートで外に出した」
カレンの問いに対して、端的に返すC.C.。すると、その聞き慣れない名前にルルーシュが口を開いた。
「星刻?」
「中華連邦の人。今の此処の責任者よ」
「そうか。では、私も使わせて貰おう」
C.C.の代わりにカレンが答える。
それを聞いたルルーシュが納得した様子でいると、それまで一度も語る事の無かった卜部が動いた。
「少しいいか?ゼロ」
「何だ?」
卜部の突然の問い掛けに、ルルーシュは怪訝に思うと同時にある決意を胸に懐いた。
自分の正体について納得が出来ないのなら、他の者達に打ち明ける気なら、残念だが使うしか無い、と。
ルルーシュは、ライが大切に想った仲間に対して出来る事なら使う事は極力避けたかったのだ。
注意深く探るかのような瞳で見つめるルルーシュ。対して、卜部もまた普段よりも些か真剣な眼差しで見つめ返すと徐に口を開く。
「改めて見ると…本当に若いな。それに、まさか学生とはな」
「不満かな?」
自身の思惑が外れた事に安堵しつつ、ルルーシュが不敵に笑うと卜部は首を横に振る。
「いいや、驚いているだけだ」
「卜部さん。この事は――」
「分かっている。話す気はない」
「藤堂達にもだぞ?」
「っ!……ああ。俺はゼロ、君に懸けたんだ」
心配そうに問うカレンには力強く答えたが、C.C.の問いには少々口籠もった。
だが、それでも卜部の決意は堅いようで、その瞳に宿る強い光を認めたルルーシュは又しても不敵に笑った。
「フッ、では今後とも宜しく頼む」
「ああ、こちらこそ」
そんな願いにも似たルルーシュの言葉に卜部が力強く頷くと、二人の会話を聞いていたカレンは内心胸を撫で下ろしながら話題を変えた。
「それで、あのパイロットの事は?まさか秘密にする気?」
「お前達とアイツの間には、バベルタワーでの一件があるからな」
「やっぱり、同一人物なのね」
「やはり、か」
納得した様子でいるカレンと、寡黙な態度を崩さないでいる卜部。
C.C.はそんな二人をチラリと見た後、ルルーシュに視線を移すと僅かに口元を緩めながら問うた。
「知れば殴りに行くからか?」
「ちょっと!失礼な事言わないでよ」
「それ位は弁えている」
二人は思わず非難の声を上げたが、案の定、魔女に効果は無い。
逆に冷やかな視線を浴びせられる事となり、それを見透かされていると勘違いしたカレンはばつが悪そうな顔で言うのだが、その言葉は魔女にとっては恰好の餌だった。
「その…少しとっちめるぐらいよ」
「おい、紅月?」
「フッ、やはりな。しかし、それぐらいで済むのか?」
得意気に語るC.C.。その時になって誘導された事に気付いたカレンは、お返しとばかりに冷やかな視線を送る。
「騙したわね。それに、一体どういう意味かしら?」
「加減を知らない女だろう?」
「あんたねぇ――」
一触即発の空気が辺りを漂い始めると、卜部は思わず肩を落とした。こうなってしまってはどうしようも無いのだ。
律義な彼は当初何とか止めようと割って入ったが、その結果一度語るも恐ろしい程酷い目にあっており、経験から学んでいた。
それに、彼女達は数日も立てば何事も無かったかのように普段通りの仲に戻るのだから。
しかし、今回ばかりは少し勝手が違った。
卜部が触らぬ神に祟りなしとでも言わんばかりに無関心を決め込んでいると、突如としてルルーシュが割って入ったのだ。
「二人ともそれぐらいにしておけ」
「でもっ!――」
「カレン。今は言い争いをしている場合では無い」
「それは…そうだけど……」
「C.C.お前もだ。あまりカレンで遊んでやるな」
「……分かったよ、坊や」
ルルーシュが窘めると、口論は一応の集結をみた。互いに不祥不精といった様子ではあったが……。
一方で、卜部は先程の無関心さも何処へやら。一転して安堵したかのような表情を浮かべると、それを不思議に思ったルルーシュが問う。
「どうした?」
「……いや、君が戻って来てくれて本当に肩の荷が降りたと思っただけだ」
「その様子だと苦労したようだな」
同情するかのような視線を送られた卜部は、珍しく愚痴を溢そうとする。
理由は簡単だ。
一年もの逃亡生活の中で、これまで騎士団には彼の上に当たる人物や同僚は居なかった。
かといって部下に愚痴を溢すなど彼の美学が許さない。そういった事を言える相手が居なかったのだ。
「ああ、それはもう……」
そこまで言って、卜部は自身に浴びせられる強烈な怒気と冷気に気付くと、はたりと言葉に詰まる。
彼は恐る恐るといった様子でそれらが漂って来る方向に視線を向けると、そこには案の定、カレンとC.C.の姿があった。
卜部は慌てて話題を変える。
「と、兎に角。俺はこれからも君の事はゼロと呼ばせてもらう」
「そうしてくれると助かる」
「ああ、それじゃあ俺は中佐の所に行っている」
卜部はそう言うと足早に部屋を後にする。
そんな彼の後ろ姿に容赦無く視線を浴びせ続ける二人。
「逃げたな」
「逃げたわね」
すると、互いの意見が一致した事に驚いたのか。視線を交わらせた彼女達は、今度は一転して微笑を浮かべあった。
ルルーシュはそんな二人の様子を見ながら思う。仲が良いのか悪いのか良く分からないな、と。
どうやら彼の明晰な頭脳を以てしても答えは出なかったらしい。いや、そもそもルルーシュに女心が分かるのか甚だ疑問だ。
やがて、卜部が部屋から逃げ去ったのを確認したカレンは、徐にルルーシュの真向かいに歩み寄ると手に持った小型のレコーダーを机に置いた。
「ルルーシュ。約束の物よ」
カレンが告げたのはたったそれだけ。しかし、ルルーシュにはそれだけで十分だった。
徐にレコーダーを手に取ったルルーシュは僅かに瞳を細める。二人はそんなルルーシュの様子を無言で見守っている。
が、次の瞬間、ルルーシュは二人にとって予想だにしない行動に出た。
支援
「必要無くなった」
そう言うとあろう事かカレンに突き返してみせたのだ。突き返されたカレンは驚きに瞳を見開くと、怒りを孕んだ口調で問う。
「どういう意味?」
「言葉の通りだ」
カレンが怒っている事など容易に理解出来る筈だったが、ルルーシュは敢えて短く返した。当然、それは火に油を注ぐ結果となる。
「何よそれ!死んだ人間に用は無いって言いたいのっ!?」
激昂したカレンが詰め寄るが、ルルーシュに動じた様子は見られない。それどころか、彼は彼女達にとって信じられない言葉を言ってのけた。
「生きている」
「えっ?」
「ライは生きている」
自身に言い聞かせるかのように反芻するルルーシュを見て、カレンのみならずC.C.さえも驚いたかのような表情を浮かべた。
依然としてC.C.が口を挟む事は無かったが、ライの事でカレンが黙っている筈も無い。
カレンは、なまじ先程の怒りに染まっていた方がまだ優しい。そう思わせるに十分な冷え切った瞳を向けながら詰め寄った。
「本気で…言ってるの?」
「愚問だな」
「気休めは止めてよっ!ルルーシュ、あなたはこの一年私達がどれだけ探したか分かってない!!」
「気休めじゃない。俺には確信がある」
「何よそれ!」
「それは言えない。だが、生きていると信じている」
息をする事さえも忘れて矢継ぎ早に言葉を紡ぐカレンだったが、ルルーシュは真っ向から受けて立って見せた。
そんな彼の態度に、本当に信じているのだと理解したカレンはゆっくりと落ち着きを取り戻して行った。
やがて、完全に落ち着いたカレンは顔を伏せると肩で息をしながら震える声で呟いた。
「……本当、に?」
「ああ」
短くも力強いルルーシュの言葉にカレンは思わず顔を上げると、彼女の瞳に飛び込んで来たのは何処までも真っ直ぐなルルーシュの瞳。
それを見たカレンは、拳を固く握り締めると机の上にあるレコーダーとルルーシュ。双方に視線を行き来させる。
やがて、意を決した彼女は左腕を高々と掲げると次の瞬間、あらん限りの力で降り下ろした。
机が割れたかのような音とともに砕け散るレコーダー。
その様子にルルーシュのみならずC.C.までもが呆気に取られいると、カレンは再び顔を伏せて辿々しい口調で語り始めた。
「これで、もうライの声は聞けない。私がこれをずっと持っていたのは、これがライの最後の声だったから。でも――」
「聞かせてやる」
遮るかのように告げられたルルーシュの言葉に、カレンは思わず肩を震わせるとルルーシュは今一度告げた。
「聞かせてやるさ」
「……なら、お願い。ライを、探し…て……」
普段の彼女を知る者達からすれば信じられないだろう。
蚊の鳴くようなか細い声で願うかのようにカレンが呟くと、ルルーシュは優しげな声で応じた。
「その願い聞き届けた。だからカレン。君も二度とライが死んだ等と思うな。必ず、必ず見つけてやる」
カレンは顔を伏せたままルルーシュに背を向けると、先程より幾何か明るい声で答えた。
「ありがとう、ルルーシュ」
突然の感謝の言葉にルルーシュは一瞬目を見張る。が、彼は直ぐに申し訳なさそうに唇を噛み締めると謝辞を述べた。
「いや、礼を言うのはこっちの方だ。信じてくれて感謝する。だが、こうなってしまったのは元はと言えば俺のせいなんだからな。カレン、済まなかった」
「あの時はあなたなりの理由があったんでしょ?それに、あなたがライの事で嘘を吐かないって事は信じてるから」
「そうか…」
ルルーシュはバベルタワーで自身が言った言葉を思い出すと、少々気恥ずかしそうに呟いた。
それが可笑しかったのか、カレンは天井を見上げると一転して明るい口調になる。
「皆の所に行ってるわ」
そう告げるとカレンは幾分か軽い足取りで部屋を後にした。
しえん
―――――――――――――――――
カレンも部屋を去り、一人残された形となったC.C.。
「全く、あの女は」
彼女は微苦笑を唇に湛えながらカレンを見送った後、ルルーシュに向き直ると少々棘のある口調で問い正す。
「で?どういうつもりだ?」
しかして、ルルーシュはあっけらかんとした口調で問い返す。
「何がだ?」
「ライが生きているということさ。一体、何を根拠に――」
「無いんだ」
「何?」
C.C.が疑問の声を上げると、ルルーシュは机に両肘を付き手を組む。そしてその手に額を押し当てると俯いた。
「生徒会の皆から、ナナリーとライ。二人の記憶が……」
「……」
その仕草から彼の表情を伺い知る事は出来ない。
だが、C.C.は察していたのだろう。彼女は何も言わずにただ無言で続きを促すと、ルルーシュは自身の考えを告げた。
「ナナリーに関する記憶を奪ったという事は、学園に現れないと知っているからだ。だが、ライはどうだ?本当に死んだのなら何故奪った?奪う必要など無いだろう?」
「ルルーシュ。あいつはギアスを、王の力を持っているんだぞ?」
C.C.の指摘にルルーシュは面を上げる。彼女の予想通りだったのか定かでは無いが、彼の顔は憎しみに歪んでいた。
「そう、ギアスだ。だからこそ皇帝がライを押さえている可能性は十分にある。相手は実の子供でさえも道具として使う男だ。ライの存在は……大層魅力的に映るだろうな!」
そこまで言うと遂に耐えきれなくなったのかルルーシュは拳を机に叩き付けた。そんな彼を余所にC.C.は諭すかのように続ける。
「なぁ、ルルーシュ。私はギアスと繋がりのある者の事なら分かる」
その言葉にルルーシュはC.C.の瞳を無言で見据えた。
「お前が生きていると分かったのもそのお陰だ。ギアス能力者が持つ特有の波長…とでも言うか。それを感じ取ったからなのだぞ?だが、この一年ライの波長は一度も感じていない」
だが、相変わらずルルーシュは鰾膠(にべ)も無い。
「魔女のレーダーも錆びたな。それとも、何処からECMでも出ているんじゃないか?」
ルルーシュの軽口にC.C.が眉を曇らせると、それを批難と受け取ったルルーシュは鼻を鳴らすとソッポを向いた。
C.C.は内心「ガキめ」と小馬鹿にしながらも再び問う。
「本気で信じているんだな?」
「ああ」
「まさか、信じたくないという想いからでは無いだろうな?」
「くどいぞ」
話は終わりだとでも言わんばかりに吐き捨てたルルーシュは、今一度決意を述べる。
「ナナリーもライも必ず見つけてやる」
「分かったよ。私も、もう一度探りを入れておく」
最早、何を言っても無駄だと悟ったC.C.は溜息混じりに答えるとルルーシュは驚いた様子で振り向いた。
「まさか、心当たりがあるのか!?」
「……当てにはするな。それと、ルルーシュ。これだけは頭に入れておけよ?」
C.C.はそう前置きした後、紫色の瞳に疑問の色を浮かべているルルーシュに向けて何時になく真剣な眼差しで告げた。
「生きているのなら、皇帝がライを従えているのなら、間違いなくライは敵になっているぞ。それも、最悪の敵にな」
C.C.が何を言わんとしているか瞬時に理解したルルーシュは、剣呑な瞳を浮かべながら口を開く。
今日のブリタニアの覇権主義。それを決定付けたのは、現皇帝シャルルの「力こそ絶対」との国是。その源となった存在。伝説に謳われた古の王の名を。
「ライゼル、か……」
C.C.は静かに頷く。だが、ルルーシュは一層の決意を露わにした。
「良いだろう。俺はこれから世界を手にしようと言うんだ。親友一人取り戻せずして何が世界だ!!ナナリーもライも絶対に取り返してみせる!」
ルルーシュのそれが揺るぎないものであると認めたC.C.ではあったが、彼女は依然として思慮していた。
本当にライが生きているとして、ライゼルに戻ってしまっていた場合、ルルーシュは果たして勝てるのか?と。
何よりも、仮に取り返せたとしてもライに対してはルルーシュのように記憶を取り戻す術は無いのだ。
試しにC.C.はルルーシュと同じ方法を取る事を考えてはみたが、直ぐに却下した。
しぇん
あれは彼女が持つルルーシュの記憶を流し込んだだけであり、ライにしようものならルルーシュの記憶を持ったライが誕生しかねない。
そこまで考えた時、C.C.は考えるのを止めた。そして、これ以降、彼女は密かに自身の懸念が事実で無い事を祈るようになった。
しかし、残念ながらその祈りは長くは続かない。ライを想う者達の中で、彼の生存とその変貌。それらを真っ先に知るのは彼女となるのだから。
―――――――――――――――――
「おおっ!懐かしの団員服!」
「やっぱりこれじゃないとなぁ。拘束服なんて二度とごめんだぜ」
領事館の中庭では、一年ぶりの団員服に袖を通し肌触りを懐かしむ面々の姿があった。
だが、そんな彼等とは一線を画すかのように相も変わらず剣呑な表情を浮かべる一団の姿も見受けられる。藤堂達だ。
「そうか、桐原翁は……」
「はい、キョウト六家の方々は神楽耶様を除き皆様……」
藤堂の呟きに卜部もまた無念といった様子でいると、そこに仙波が割って入る。
「その神楽耶様は?」
「ラクシャータ達と共に中華連邦へ難を逃れられたと」
「一先ずは安心という事か」
仙波は腕を組むと安堵したかのように溜め息を一つ溢す。一方で、今後の事を思案していた藤堂は思わず愚痴る。
「何れにしても、これからの戦いは更に厳しいものになるな」
それを聞いた二人は一様に口を噤んだ。それもその筈。嘗てのような、キョウト六家の支援はもう望めないのだ。。
周囲を敵に囲まれた、まさに陸の孤島とも言えるこの領事館から全てを始めなければならないのだから。
三人は皆一様に渋い顔を浮かべるとそれっきり押し黙ってしまった。
所変わって少し離れた場所では、そんな壮年の男達の姿を心此処に有らずといった様子で見つめる一人の女性の姿が…千葉だ。
すると、不意に彼女の側に居た朝比奈が悪戯っぽい笑みを浮かべながら背中を押す。
「告白しちゃえばいいのに…」
「な、何を告白しろとっ!」
慌てて否定する千葉。そんな時、周囲に声が響いた。
「ゼロだ!」
隊員の誰かが言った言葉に二人の目付きが鋭くなる。
千葉は我先にとゼロの元へ集まる隊員達へ向けて、牽制の言葉を発した。
「待て待て!ゼロ、助けてくれた事には感謝しよう。だが、お前の裏切りがなければ私達は捕まっていない」
「一言あってもいいんじゃない?」
遅れ馳せながら朝比奈も援護射撃を行う。
だが、ゼロには彼等の口撃は予測済みだった。
「全てはブリタニアに勝つ為だ」
ゼロが切って返すと、言葉の続きが気になる隊員達を代表して玉城が尋ねる。
「ああ、それで?」
「それだけだ」
何の謝罪も無かったゼロの言葉に隊員達の間でどよめきが起きると、千葉は更に食って掛かる。
「そんな言葉で死んでいった者達が納得するとでも?」
「その者達には心より哀悼の意を表する。だが、戦いに犠牲はつきものだ」
「戦場から真っ先に逃げ出したお前が何を言う!」
燐とした千葉の声が辺りに響くと隊員達はただ無言でゼロの言葉を待つが、ゼロは何も答えない。その事に千葉の怒りが増す。
「見下げ果てた奴だ!お前より彼の方が余程リーダーに相応しかった!」
「彼?」
「惚ける気か!?ライの事だ!お前は知らないだろうから教えてやる!彼は…彼は最後まで仲間を護ろうと戦った!!!」
その言葉に殆どの隊員達は顔を伏せた。すると、彼等の仕草を見たカレンは左手を胸に懐き一人思う。
――ライ。今でもあなたを想ってくれてる人達が……こんなにも居るわよ。
一方で、そんなカレンの様子を勘違いした扇が慌てて口を開こうとしたが、それはゼロに遮られる事となった。
「生憎、ライについては詫びる気は無い」
「何だと……?」
俄にざわめき出す隊員達。すると、呆れて物も言えないといった様子でいる千葉の代わりに朝比奈が噛み付いた。
「どういう意味だい?場合によってはゼロ。君はここに居る全員を敵に回す事になるよ?」
だが、半ば脅しに近い台詞にも関わらずゼロは事も無げに言い放つ。
支援
「簡単だ。ライは生きているからな」
「はぁっ!?」
朝比奈が素っ頓狂な声を上げると隊員達は俄然騒ぎ出した。
「マジかよ……」
「でも、幹部の人達は生きてる筈が無いって……」
「いや、ゼロはああ言ってるんだし……」
「でもっ!……」
各々、混乱しつつも思い思いの言葉を口にする。
そんな中、いち早く立ち直った朝比奈はゼロを睨み付けた。
「君はあの爆発を見ていないからそんな事を言えるんだよ!良いかい!?あの爆発の中で――」
「やめろっっっっ!!」
「っ!!…藤堂…さん?」
「中佐?」
突然声を荒げた藤堂に驚いた様子でいる二人を余所に、彼は一人壇上に上がる。
「ゼロ、彼は生きているんだな?」
「私はライの事で嘘は吐かないと誓っている」
それを聞いた朝比奈の瞳が鋭さを増す。
「何それ。俺達には吐くって言ってるような物だよね?」
「敵を騙すには、まず味方からという言葉もある」
「そんな言葉――」
「朝比奈っ!」
二度目の叱責。
朝比奈は、怒りに染まっていたとはいえ藤堂が話している最中に割って入ってしまった事を恥じたようで押し黙った。
「もう一つ聞きたい。あの時も勝つための策を練ろうとしたんだな?」
「私は常に結果を目指す」
「分かった」
短く答えた後、振り向いた藤堂は眼下に居並ぶ隊員達に向けて言った。
「作戦内容は伏せねばならない時もある。それに今は争いごとをしている場合では無い。我々には彼の力が必要だ。私は、彼以上の才覚を――」
そこまで言った時、藤堂の脳裏に灰銀色の青年の姿が過った。
藤堂は、一瞬だけゼロに視線を移すと直ぐに向き直る。そして、軽く咳払いをした後、言った。
「彼以上の才覚を持つ者はこの場には居ないだろう!」
隊員達は互いに顔を見合わせる。そんな最中、後に続くように壇上に上った扇は一人気を吐く。
「そうだ、みんな!ゼロを信じよう!」
だが、以前のような盲信は危険だと思った南が苦言を呈する。
「でも、ゼロはお前を駒扱いして……」
それでも、扇はめげなかった。彼は一人の旧友に狙いを定めた。
「彼の他に誰が出来る?ブリタニアと戦争するなんて中華連邦でも無理だ。EUもシュナイゼル皇子の前に負け続けてるらしいじゃないか。俺達は全ての植民エリアにとって希望なんだ。
独立戦争に勝つ為にも、俺達のリーダーはゼロしか居ない!」
「そうだぁ!ゼロッ!ゼロッ!ゼロッ!」
扇の狙い通りに、玉城が音頭を取ると疎らながらも半数近くの隊員達が後に続いた。響き渡るゼロコール。
そんな中、壇上より降りた藤堂は未だ納得出来ない様子でいる二人の元へ歩み寄る。
「千葉…」
「中佐の仰る事は分かります。ですが、ゼロは彼の事を山車に使っているように思えてなりません」
申し訳なさそうに答える千葉。藤堂は視線を移す。
「朝比奈」
「俺の居場所は藤堂さんの側であって、ゼロの側じゃありませんから。その考えを変えるつもりはありません」
朝比奈は強い決意を秘めた瞳を藤堂に向けた後、再びゼロに向けて言い放った。
「ゼロ!俺が従うのは藤堂さんだけだ。俺は君の事を信じた訳じゃない。特に彼の事についてはね。この中にも俺と同じ気持ちでいる隊員は多いよ。皆を信じさせたいなら――」
「ライを捜し出せばいいんだな?」
千葉と朝比奈。二人のゼロに対する不信感は、さも簡単に言ってのけるゼロを見て更に深まって行く。
が、そんな事はお構いなしとでも言いたげにゼロは言葉を続ける。
「彼奴を大切に想うのは私も同じだ。ライは私の大切な左腕だからな」
「協力は出来ないよ?」
「構わない」
ゼロが言い切ると、朝比奈は「見つけれるなら見つけてみろ」とでも言いたげな視線を送った後、踵を返すとその場を後にした。
やがて、朝比奈の後ろ姿を見送りながら渋い表情を浮かべていた仙波が藤堂に歩み寄る。
「難しいですな」
「ああ、今は団結せねばならないというのに溝は深いようだ」
「朝比奈は戦闘隊長殿の事を評価しておりましたからな。居なくなってしまった今、それが下がる事は無いでしょう」
そう、生きている筈が無いと信じている朝比奈にとって、ライの評価が下がる事は無い。いや、むしろ上昇して行くだろう。思い出とは美化されるものなのだから。
一方、朝比奈と同じスタンスでいたがその場を立ち去るまでには至らなかった千葉は思わず尋ねた。
「中佐はゼロの言葉を信じるのですか?」
「信じると言うよりは、信じたい、だな。卜部、お前もそうでは無いか?」
「……はい」
藤堂は、いつの間にか背後に控えていた卜部に向けて振り返る事無く問い掛けると、卜部は短く頷いた。
そして、藤堂は未だ熱心にゼロコールを送る隊員達とそうでない隊員達に視線を向ける。
「何れにしても、今の我々は彼の捜索にさえ人員を割けないのが現状だ。ライ君の事はゼロに任せて吉報を待つしかない」
「「「はい」」」
三人は力強く頷いた。
一方、藤堂が彼等と会話していた頃、壇上では別の会話が行われていた。
「ゼロ、信じていいんだな?」
扇の縋るかのような視線をその身に浴びながらも、ゼロはハッキリと言い切る。
「結構だ」
頼もしい言葉を聞いた扇は、思わず呟いた。
「変わった…よな…」
「変わった?私がか?」
意外な言葉にゼロが思わず反芻すると、扇は気恥ずかしそうに言った。
「ライの事だけじゃ無い。救出の時もそうだ。俺達を……同胞と呼んでくれた」
「覚えていないな」
ゼロは夜空に浮かぶ月を眺めながら惚けてみせた。だが、ゼロが自身の言った事を忘れるような男では無い事を承知していた扇は、その仕草を見て微苦笑を浮かべると次に疑問を口にした。
「分かった。けど、何故そこまでライの事を?」
扇としては嬉しかった。自分にとっても仲間にとっても。何よりもカレンにとってライが生きているという言葉は他ならぬゼロが言った言葉だ。
扇は彼が何の根拠も無しに言うとは思えず、それは希望が持てる言葉だった。
だが、一方で千葉や朝比奈のような感情を抱く者も中には居るという事を、扇は囚われの身であった時に重々承知していた。
「彼奴は……いや、止めておこう」
一瞬、扇の前で「親友だ」と言いかけたゼロは、咄嗟に思い留まった。これ以上の特別扱いは出来なかったのだ。
「お、おい。ゼロ?」
扇の言葉を聞き流し、未だ鳴り止まぬゼロコールの中、必ず見つけるという決意を胸に一人その場を後にするゼロ。
だが、彼にはそれ以前に対峙しなければならない存在が居る。
嘗ての親友、スザク。
ゼロを、ルルーシュを未だ憎む彼がこの地に舞い戻っている事を彼が知るのは翌日の事だった。
―――――――――――――――――
その翌日の事。
何の前触れも無く突然学園に復学して来たスザク。彼は素知らぬ顔でルルーシュに笑みを送りながら手を差し延べた。
その時のルルーシュの怒りは如何程のものであっただろうか。今更推し量る必要も無いだろう。だが、それを顔に出す程ルルーシュは愚かでは無い。
彼もまたスザクと同じように何食わぬ顔で再開の握手に応じた。
丁度その頃、何処とも知れぬ場所ではルルーシュとは対照的に一人の青年が怒りを顕にしていた。
しえん
「お前は一体何を考えている!?」
黄昏の間にライの怒号が響く。
「何故あの男、枢木を日本に送った!?」
しかして、怒りの矢面に立たされている皇帝、シャルルは臆面無く言い放つ。
「新しい総督の警護の為に一足早くエリア11入りさせたまで。枢木の件はその者たっての願いでもある」
「願いだと?実の息子を餌にするような輩が、何時からそれ程寛容になった?」
「不服か?」
「当たり前だ!枢木は仮にもラウンズ。機情と対極の存在だ。あの男の事だ。必ず駒共に協力を命じるだろう。そうなれば、あの者達は立場上断る事が出来ない。このままでは命令系統が二つ存在する事になるだろうが!」
「ならば、互いに協力せよ」
譲る気は無いとでも言いたげに不遜な態度を崩さぬシャルルに、ライは軽い目眩を覚えた。
「いいか?あの男はルルーシュを憎んでいるのだぞ?引っ掻き回されるのは目に見えている」
ライは溜め息を一つ吐くと、声のトーンを幾分か落として懇切丁寧に説明したが、結果としてそれが仇となった。
「引っ掻き回す?既にしている御主が何を言う」
「何の事だ?」
意味深な発言にライは風向きが変わったのを肌で感じ取ると思わず眉を曇らせる。が、シャルルは尚も語る。
「御主はゼロに要らぬ力を与えたではないか」
「奪われる可能性があるとは言った筈だが?」
シャルルの言わんとしている事を理解したライは、せめてもの抵抗か。咄嗟に嘯いて見せたが、所詮は無駄な足掻き。シャルルは全てお見通しだった。
「奪われる事が分かっておったであろう?いや、御主はあの者達の忠誠心を利用した。ゼロが奪い易いよう仕向けた。違うか?」
「………………やれやれ、V.V.か」
ライはたっぷりと間を置くと、やがて観念したかのように呟いたが、同時にその右手は左腰に据えた剣、その柄尻を弄り始めていた。
それを見咎めたシャルルが釘を刺す。
「あの者は不死。斬り伏せた所で死にはせぬぞ?」
だが、今のライに効く筈も無い。
「分かっている。だが、首と胴が泣き別れになったら、どのように生き続けるのか。興味が湧かないか?」
陰惨な笑みを浮かべるライ。
これ以上は危ういと判断したシャルルが再び口を開こうとした時、不意に二人の背後より疑問の声が浴びせられた。
「何に興味があるって?」
「来たか。告げ口魔め」
ライは待ち侘びたかのような声色で呟き蒼い炎をその身に纏うと、白い外套を翻しながらゆっくりと振り向いた。
背後より差し込む夕陽のせいでV.V.はライの表情を伺い知る事は出来なかった。
だが、一年近くも行動を共にしたのだ。ライがどのような表情をしているのか十分理解していたV.V.。その瞳に剣呑の色が揺蕩う。
「同志に牙を向けるの?」
V.V.は自分達の関係を再認識させるべく問うたが、シャルルと同じく無駄だった。
「必要とあらばな」
ライは依然として陰惨な笑みを崩す事無く瞳を見開き凍えるような声で応じると、V.V.は不意に感慨深げに呟いた。
「君は、壊れてるね」
しかし、そんな皮肉めいた言葉も今のライには意味を成さない。
「そうだろうな、私はあの日に壊れてしまった」
ライは少し自嘲気味に笑った後、柄を握り締めると今にも切り掛からんとする。が、結果としてその剣が振るわれる事は無かった。
「止めよ!!!奪われた事を責めてはおらぬ。結果としてC.C.の居場所を突き止めた。その功績に免じてな。だが、斬り伏せた所であの者に対する命を撤回する気は無い!」
怒号にも似たシャルルの言葉。
そこに含まれる並々ならぬ決意にライの纏う炎が陰ると、それは徐々に小さくなってゆき遂には消え失せた。
柄より剥がすように手を離したライはシャルルに向き直る。
「どうしても連携を取れというか……」
「如何にも」
「だが断る。私の邪魔をするのなら例えラウンズであっても許しはしない」
検討するに値しないとでも言いたげにライはシャルルの言葉を切り捨てた。
だが、シャルルも「はい、そうですか」と簡単に引き下がるような男では無い。
「あの者達の生殺与奪は儂が握っておる」
「なら、精々肝に命じさせておけ」
シャルルの再びの忠告に、ライは苛立ちを隠さず吐き捨てると会話は途切れた。
身の安全を確認したV.V.がその小柄な体を利用して二人の間に割って入ると、シャルルのみが僅かに間を譲った。
すると、その時なってやっとV.V.は柔和な笑みを浮かべた。
シャルルもまた口元を僅かに緩めた後、再びライに視線を向けた。
し・え・ん
「希望は確信へと変わったか?」
その問いにライはやや苦笑した。
「いや、少し薄れた。当日は私の駒がルルーシュに付いていたからな」
「思い違いか?」
「その結論に至ってしまうのは簡単だ。しかし、それでは楽しみが減る」
――楽しみ――
先程の会話から、遂にシャルルにも自身の思惑を把握された事を知ったライが遂に心情を吐露すると、呆れた様子でV.V.が忠告する。
「精々ゼロに足元を救われないようにね」
「分かっている。ところで、先程言った新しい総督の件だが、その者は皇族か?」
「何故そう思う?」
予期せぬ言葉だったのかシャルルは眉間に皺を寄せ、V.V.もやや驚いた様子で瞳を見開くと二人の様子を見たライは鼻で笑った。
「当たりだな」
「何故分かったの?まだ教えて無い筈だけど?」
一人納得しているライを余所に未だ驚いたままのV.V.が問うと、ライは自身の考え。その根拠を告げた。
「ラウンズの警護を上奏し、然もそれを認めさせた。とてもでは無いが、矮小な貴族共に出来る事とは思えなかっただけだ。まぁ、ただの推測だったがな」
「君には本当に畏れ入るね」
たったそれだけの理由で見事に正解を言い当てたライをV.V.は賞賛した。
しかし、ライが予測出来たのはそこまで。当然と言えば当然だが、新総督の名前までは言い当てる事が出来なかった。
「一体誰を送る気だ?」
今のエリア11、ライに言わせれば日本だがそこは再び甦った魔人、ゼロが巣食う地。
例え皇族であろうとも余程のやり手でなければ、ライはカラレスの末路を辿るだけだという認識でいた。
問われたシャルルは端的に答える。
「ナナリーを送る」
「ナナリー?」
シュナイゼル辺りを予想していたライにとって、その名は全くの想定外だったようで彼は思わず反芻した。
だが、直ぐに誰であるかを思い出したライは驚愕の表情そのままに叫んだ。
「ルルーシュの妹か!!」
「如何にも」
微笑を湛えるシャルルを見て、ライは冷静さを取り戻した。
「成る程、お前はお前でルルーシュがゼロか見極めるつもりか。しかし……悪趣味だな」
そう言って愉快げに唇を歪ませた瞬間、ライの脳裏に一つの疑問が浮かんだ。
「そう言えば、何故ナナリーはこちら側に居る?報告書には――」
顔を上げたライはシャルルに向けて問うたが、意外にもその答えは下から聞こえた。
「僕が連れて来たんだよ」
ライが足下に視線を落とすと、そこにはV.V.の笑みがあった。
「拐ったのか?」
「人聞きの悪い事言わないでよ。まぁ、そうなんだけどね」
ほんの少し口をへの字に曲げて抗議するV.V.。すると、シャルルが口を開く。
「出立は一週間後。事前に会っておくか?」
「良い子だよ、ナナリーは」
「興味が湧かない」
二人に断りを入れたライは踵を返してその場を後にしようと歩き始める。すると、V.V.は突然思い出したかのように尋ねた。
「そう言えば、もうすぐ"あの日"だよね?」
ライは脚を止めると些かゲンナリした様子で独り言のように呟いた。
「"あの日"か……」
「それでね、今回僕はちょっと行けないんだ」
「何だと?」
慌ててライが振り向くと、シャルルはV.V.に向かって心底残念そうに呟いた。
「それは残念ですな」
「ごめんね、シャルル。この埋め合わせはするからさ」
緩やかな雰囲気で会話する二人。
その様子をライが両腕を組んで憮然とした態度で眺めていると、V.V.は再びライに視線を向けた。
しぇん
「という訳で、よろしくね。ライ」
「断るという選択肢は?」
「無いよ」
先程のお返しとばかりに満面の笑みで答えるV.V.。
「だろうな」
我ながら馬鹿げた事を聞いたと思ったライは、そう呟くと足早にその場を後にした。
やがて、シャルルが視線を落とすとライの気配が空間より消え去ったのを確認したV.V.は小さく頷いた。
それを認めたシャルルは口を開く。
「兄さん。余り挑発はなさらぬ様にして下さい」
「心配性だね、シャルルは」
V.V.は破顔したが、シャルルが険しい表情を崩す事は無かった。不思議に思ったV.V.が首を傾げると、シャルルは言葉を続ける。
「あの者の持つ剣。あれで斬られれば例え兄さんであっても――」
「どういう事?」
「あれは、あらゆるモノを打ち砕く剣です」
意味深な発言にV.V.が瞳を細めた。
「僕の定めも?」
「恐らくは……」
短く肯定するシャルルに対して、V.V.の瞳が益々鋭さを増す。
「単なる剣だと思ってたよ。そんな物が存在してるだけでも驚きだけど…シャルル、彼の気性は知ってるよね?何故そんな危険な物を与えたの?、僕にはこっちの方が驚きだよ」
「お忘れですか?兄さん。あの剣は元々彼奴の所有物です」
「ああ、そうだった。年は取るものじゃないね」
V.V.が短く声を零して気恥かしそうに頬を軽く掻くと、シャルルはV.V.の容姿と仕草。そして言葉のギャップに少々苦笑しながらも言葉を続けた。
「与えたのでは無く返したのですよ。彼奴を確実に取り込む為には刀のみを返せば良かったのでしょうが、それでは"剣はどうした?"と言い出しかねないので。それに、確認の意味もあったのですよ」
「確認?本当にライの契約者が与えた物かどうかを探る為だね?」
「ええ。当初は剣と刀。果たしてどちらが…と悩みましたが、年代測定を行った結果、答えは直ぐに出ましたよ」
そこまで話してシャルルは一旦会話を切ったが、V.V.は興味津々といった様子で続きを促す。
「それで?」
「刀については作られた年代は特定出来ました。ですが、剣については――」
「何も出なかった?」
「それどころか何で作られているのかと言う事さえも……」
シャルルは頭を振った。
一般的に剣の構成物質ならば鉄である筈。だが、そうでは無いどころか、何で出来ているのか分からないという答えにV.V.は驚嘆した。
「一体、何なの?」
「あれは聖剣、エクスカリバー」
呟くように答えたシャルル。それを聞いたV.V.は剣呑な表情を浮かべると夕日を見つめながら暫しの間無言となる。が、やがてゆっくりと口を開いた。
「…シャルル。前から思ってたけど、君はライの事で…僕に話してない事が沢山あるよね?幾ら昔憧れたと言っても、君がここまで一個人に執着するのは珍しいもの」
V.V.からの追求にシャルルは僅かに頬を緩めると、あっさりと認めた。
「何時から気付いておられましたか?」
「記憶を僅かな改竄だけで済ました時から、かな?」
V.V.の答えは、殆ど最初からと言えた。が、シャルルは何も言わずにただ無言で兄の言葉を待つ。
「あそこまで強烈な自我を持たす必要があったの?」
「彼奴には自らの意思で動いてもらう必要があったのですよ。さすれば、何かの切欠で記憶が戻ったとしても、最早逃げられません。機情の長として、彼奴が如何程の血に染まっているか。御存知でしょう?兄さん」
「成る程、罪の意識に苛まれて逃げ出れなくなる、か。……でも、これ以上の隠し事は無しだよ?僕達は、この世界でたった二人の兄弟なんだからさ」
そこまで言ってV.V.は再び向き直る。すると、シャルルは遂に重い腰を上げた。
「では、話すとしましょうか」
そして語り出した。今まで誰にも話すことの無かったライの存在理由について……。
以上で投下終了です。携帯支援でも何とかなるなぁ。
けど、怖かった。二度とやらね。
ここまで読んで下さった皆様、ありがとうございました。
>>105 乙
>>98 >>彼もまたスザクと同じように何食わぬ顔で再開の握手に応じた。→再会
>>105 ライカレ厨卿、GJでした!
今回も面白かった!
卿の次回の投下を楽しみにお待ちしております!
>>105 ライカレ厨卿、GJでした!
エクスカリバーパネェ。 流石伝説の武器。
増える鎖、たとえ記憶が蘇ろうとも自らの意思でおかした諸行という事実は残る。
ゼロ/ルルーシュは本当にライを取り戻すことができるのか……
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>>105 やっぱり面白い。
しかし、どうなるんだろう。
気になるなぁ。
何よりいいところで終わっているし。
期待して続きを待ってます。
そして、時間かかってもいいので、完結までがんばってください。
ライカレさんの次の投下を全力でお待ちしております。
PS*時間がかかってもと言いましたが、早いと嬉しいですwww
ライカレ厨卿をGJです!
この独自路線がたまらない!
本当に続きが楽しみで仕方ないです
夜分遅くにどうも、こんばんわです。二分後に作品投下を行います。
この作品は前スレで投下された酸性雨さんとの合作「告白」のその後のお話です。
34kbありますので、支援をよろしくお願いします
メインタイトル:告白Distraction
CP:ライ×ミレイ
支援
“今宵の月はいかに美しいものか、私はその美しさに溜め息をつく
月よ美しく輝け しかし、お前の美しさに魅せられ、人はお前を奪い合う”――ミザレ
頬を撫でる風が心地よい夜には、静けさが目立っていた。
しかし、そんな中でも草が風で流れる事で奏でられる小さな自然の音楽が鼓膜を震わせる。
腹が減っていたとは言えども、さすがに今夜は食べ過ぎたようだ。
このように歩いて、胃の中に溜まったものを少しでも減らさなければ、残りが入らない。
そう考えて、歩き出してから幾らか時間は経ったか、ぐるりと敷地内を歩き終わると部屋に戻ろうと足を進めると
「ん?」
何かが目に入った。それは夜という空間の中でも最も映える白い色を持った物体であった。
それは、住処である建物の外に植えられた植木に引っかかっていた。その正体を確かめようと、その物体に向かって歩
を進める。
植木の前に立ち、顔を見上げさせ、自分の身長より少し高く引っかかっている物体を目に映す。
背伸びをし、細い腕を伸ばした。高めに引っかかっているが取れなくはない位置にあった。
指先が触れると同時に力を込めて、その物体を手の中に収めてゆっくりと下ろした。
木に引っかかっていたのは紙だった。風で飛ばされてきたのか土埃が付いている。
土埃を払い、その紙を裏返してみると、口の端が微かに動いた。その顔には微笑が浮かんでいたのだ。
「使えるな」
天使のような悪魔の笑顔。恐らくこの表現が一番合っているのであろう。
丁寧にその紙を折ると、上機嫌という言葉を確実に表現した微笑を浮かべながら、部屋へ帰っていった。
■□■□■□■□
「あ〜あ…」
夜も更けてきた頃合に自分の部屋へと続く廊下で僕は溜め息をついた。
溜息の原因は、数日前の放課後にあった。
僕はその時にある人に自分の想いを告げた。そう、生徒会長であるミレイ・アッシュフォードにだ。
想い人である彼女にどのように告白するべきか悩んでいた時に生徒会メンバーであるリヴァルからの助言を得た僕は必
要な物を準備し、意を決して、彼女に告白をした。
支援!
支援
『僕は、ミレイさんのこと……が……』
あの時は、緊張が随分と大きくなっていたようでうまく言葉を紡げなかったのをよく覚えている。
そうだ、あの時は深呼吸をして気持ちを何とか落ち着かせて抱いている想いを一気に言葉に紡いだのだ。
そして、それと同時に準備をしていたモノ――リヴァルに言われて準備しといた封筒をすかさず彼女の前に差し出した
。
ミレイさんが封筒を受け取り、中身を確認しようとしている間。告白が終わっても、激しく動き心臓を落ち着かせるに
はかなりの時間を要した。
『にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ』
女性が上げる声にしてはかなり変わっている声が僕の耳に入った。静まりかけた心臓が再び跳ね上がる。
どこか、おかしな部分があったのであろうか?とりあえずはリヴァルの言われた通りに行っていたので、責任はリヴァ
ル持ちということになるがそれでも不安が頭の中を次々と横切っていた。
ミレイさんは封筒の中身と僕の顔を何度も見ている。そして、
『この告白の方法は、誰から聞いたの?』
その言葉に僕は正直にリヴァルから聞いたと答えた。その答えを聞くと、ミレイさんは突然笑い出した。
ミレイさんが突然笑い出した事は僕の頭に確実に混乱を招き寄せた。そして、その答えはミレイさんの次の言葉で明ら
かとなった。
『ライっ。貴方、リヴァルにからかわれているのよ。交際お願いするのに婚姻届なんて普通はいらないって……』
そう。僕が用意した封筒の中に入っていたのは、自分の部分を記入し終えた婚姻届だった。思わず、僕はその婚姻届け
をまじまじと目を見張る。
『確実じゃないけど、この国のすごく好感度を与える告白の方法を教えるよ。それでやってみたらいいよ』
リヴァルもミレイさんには好意を抱いている、嘘をつく可能性も、と一度はリヴァルの言葉を払おうとしたのだが、さ
すがのリヴァルでもこの状況で嘘をついて得るメリットはない。それに僕は記憶喪失だ。女性と付き合った覚えはない
し、告白した記憶など以ての外だ。この国に詳しいことはその土地にいる住人がよく知っていることだ。信じても良い
だろう……
そう考えていたのだが……どうにも僕は人を疑うことに関してはいまいち抜けている部分があるようだ。
封筒に入れる前に見たら、名前を記入する欄があり、その部分について聞けばリヴァルは嬉々として自分の名前を書く
ように言った。あぁ、馬鹿正直に記入した自分が憎い………だが、そんなことを今更後悔しても仕方がなかった。
『大体、交際する前にプロポーズしてどうするのよっ』
まさに生兵法は怪我の元と言った所か……
ミレイさんの言葉に僕は一瞬で顔を赤く染め上げた。リヴァルにからかわれた恥ずかしさから来るモノではなく、ただ
、自分がそこにいることに対する場の雰囲気に耐えられなくなった。気が付いた時には、そこから逃げるように走り去
り、リヴァルを探し出していた。
そして廊下で機嫌が良さそうにバイクのキーを指で回しているリヴァルの背中に飛び蹴りを炸裂させてからまた走り出
し、僕はクラブ棟の裏に行き着いた。荒れる息を整えて、壁にもたれ掛かった。そして、暫くの間はそこから動こうと
しなかった。
■□■□■□■□
支援
sienn
我ながら何とも女々しいものだ。
思い出し終わると同時に僕は自嘲気味にそう思った。
それからというものも、ミレイさんの姿を遠くから見ると僕は彼女に見つからないように姿を消すことを何度もやった
。彼女と目を合わせるとあの日の事が鮮明に思い出され、顔が熱を帯びてどうしようもなくなってしまうのだ。
事実、そのおかげで生徒会の仕事を何度サボったことか。
放課後は記憶探しと言って、黒の騎士団のアジトに居座るようになり、それが何日も続き、
ますます、彼女と顔を合わせることが困難となった。
「はぁ〜」
僕はまた溜め息を吐き出す。今まで数々の危機的状況を打開してきた僕でもさすがにこの状況を打開する策が見つから
ないのだ。
「とにかく……寝よう」
眠りは偉大なものだ。疲れも悩みもその時だけ頭の中から払ってくれる、平等をもたらしてくれる。
ドアを開けて、部屋の中に入ると同時に明かりをつけようと入り口の壁に設置されているスイッチを押す。押すと同時
に乳白色の明かりが部屋全体を――覆わなかった。
「あれ?」
不審に思い、何度もスイッチを押す。だが、何度押しても反応は無かった。
おかしいな…蛍光灯が切れたか?普段だったらもう少し原因を究明しようとするところであったが、残念ながら今の僕
にそこまでやる気はなかった。どうせ、寝るだけだ。電気を消す手間が省けたと考えながら、団服を脱いでそのままベ
ッドに倒れこみ、毛布の下に潜り込んで、睡魔の導きを待った。
「あん」
「………?」
この部屋には自分以外誰も居ないはずだ。勿論、そんな声を僕が出すわけがない。しかも、それは若い女性の声だ。
微睡みで下りかかった瞼を開けて、暗がりの部屋を見渡すが誰も居ないことは明白だ。しかし、その考えを払拭するよ
うに下半身に異変が起きていた。
「!?」
腰の部分に何かがいるっ。即座にそう判断すると僕は思い切り毛布を捲った。そこには……
「もう!ひどくない?」
そこには、団服をはだけさせて胸元を露出した井上さんがむくれた顔で僕を見ていた。
「え、すみません……じゃなくて!なんで、井上さんがこんな所にいるんですか!?」
混乱を抑えるために紡いだ僕の問い掛けに井上さんは少し、何かを考える素振りを見せてから得意げに答えた。
「何言っているの?愛しい夫のお布団を暖めておくのは……」
そう言いながら、井上さんは僕の身体の上に乗っかってくる。あまりにも自然にやってきたので、止められなかった。
「妻のや・く・めでしょ♪」
「へ?」
支援!
しえん
指で唇をチョンッと小突いた井上さんは微笑みを浮かべる。
思わず、僕は間抜けな声を上げてしまった。今、彼女は妻と言ったか?
混乱を払拭させるために問い掛けたはずなのに、混乱が益々頭の中を駆け巡った。
おかしい、僕の頭が昨日の夕飯のレシピを一言一句漏らさずに言えるようであれば、まだ頭は大丈夫な方だ。
だったら、井上さんと夫婦になった覚えなどない。そんな記憶もない。
「あの、井上さん。これは何の冗談で」
「冗談に聞こえる?」
どこか黒そうな笑みを浮かべる井上さん。多くの疑問符を思い浮かべる僕の眼前に何かが突き出される。
思わず手に取って、それが何かを確認しようとするが部屋が暗いことに気付き、机の電気を着けた。
「え?えええええええええええええ!!」
またもや、間抜けな声が出てしまった。比喩表現でもなく、本気で目が飛び出しそうなモノであった。
それは、婚姻届だった。妻の欄には井上さんの名前が書かれている。そして、夫の欄には僕の名前があった。
もちろん僕はその婚姻届に名前など一切記入していない。だが、その婚姻届に対して否定できないことが一つだけあっ
た。
「どう?これ、貴方の字じゃないの?」
後ろか抱きつく井上さんは肩越しに婚姻届を見て、得意げな笑顔を浮かべる。
夫の欄に書かれている僕の名前の筆跡には覚えがある………そう、僕の文字だ。
「もういいでしょ、ほら」
「え?おわっ」
井上さんが僕の手の中にあった婚姻届をネコのような素早さで奪い取った。そのあまりの素早さに僕は思わず驚いてし
まい、彼女に押し倒される要因を作りだしてしまった。
火照った顔で愛おしそうに僕を見下ろす井上さん。銀色の髪を梳くように撫でて、柔らかそうな唇が言葉を紡ぎ出す。
「子供は二人は欲しいかな。可愛い男の子と女の子でさ……頑張ってね、あ・な・た」
そう言って、井上さんは顔をゆっくりと下ろしてくる。
「え、え?ちょ、ちょっと」
「ちょっと、待ったーーー!!」
唇と唇が触れそうになる数センチのところで、その行為は部屋のドアを開ける音と先程まで点かなかった部屋の明かり
によって中断された。
「カ、カレン?」
僕はドアを開けた人物の名前を呼んだ。赤い髪を振り回す少女は大股でズカズカとベッドの傍まで歩み寄り、僕を押し
倒している井上さんを睨んでいる。一方の井上さんもカレンの登場が気に食わないらしく、カレンを睨み返している。
「井上さん…彼に何をしようとしていたんですか?」
「あら、別にぃ〜?夫婦が同じベッドの中にいるって事は答えは一つでしょう?」
「だぁれが、夫婦ですか!まったく……ライ、こっちに来て」
俗に言う修羅場に遭遇してしまった気分を味わっている僕にカレンは先程とは違って優しい声で僕を手招きする。
出来るのであれば、すぐにこの部屋から離れたかったが、贅沢は言っていられないと体を捻らせてベッドから脱出をし
た。
「……ちょっと、カレン。彼と私は正式に婚姻届に記入して夫婦となったのよ?邪魔しないでくれる?」
「いや、僕は書いた覚えが無いんですけど……」
僕はカレンの後ろに一時的に避難すると、井上さんに対して言った。
「あら、じゃあこれは何なの?」
僕の言ったことに反応すると、井上さんは犯人に犯行の証拠品を見せつけるように婚姻届を突きだした。
「うっ…」
名前を書いた覚えはないのだが、その紙を出されてしまうと僕は弱くなってしまう。
すると、カレンがすかさず声を出す。
支援
「本人が書いた覚えのないって言うものなんて無効です!!」
あぁ、ありがとうカレン…
カレンの言葉に僕は感謝した。
「それに……」
カレンのここまで強い口調であれば、井上さんも退いてくれるかもしれ
「私の方が先に婚姻届にサインをしたんですからね!!」
…………え?サインをした?
カレンの口から出てきた言葉と団服のポケットから取り出した一枚の紙に対して僕は口をあんぐりと開けて、今ある現
実を呆然と受け入れるしかなかった。
「ライ」
呆然とする僕の肩を掴んで、カレンが声を掛けてきたところで僕は現実に呼び戻された。
「ごめんね…結婚とかは日本を取り戻してからって考えてたんだけど、でもライがそんな気持ちだって知らなくて私…
…」
目を若干潤ませて紡ぐ言葉にどんどんと混乱の渦に巻き込まれていく。そんな中で僕が言葉を発せたのはある種の奇跡
かもしれない。
「あの、カレン……ちなみにこの婚姻届は一体どこから……?」
「……ごめんね、こればかりは言えないの…でも大丈夫よ!役所に提出すればそんなこと気にならなくなるから」
「待ちなさい、カレン………」
熱の篭もった喋りをするカレンの後ろから怒りを多分に含んだ井上さんの声が静かに響いた。
「どさくさに紛れて、彼を横取りしないでもらえる?」
「横取りじゃありません。それにライは井上さんの“夫”ではありませんから、文句を言われる筋合いはありません」
「知ってる?今、同世代で結婚してもね気が合わないやら何やらで離婚するってケースが多いって」
「へぇ、そうなんですか。でも、私と“夫”の間にはそんなことはないと思いますけどね、見て分かるように彼と過ご
す時間が一番長いですから私」
「そういえばあなた、黒の騎士団結成から、ずっとゼロにくっついてたじゃないの。いいの?悪い虫が付いちゃうわよ
?」
「ご心配なく。ゼロは尊敬できる人物ですけど、恋愛対象としては見ることは絶・対にありませんので…よろしければ
、どうぞ」
「絶・対・嫌♪」
何故か夫の部分を強調し、カレンは対峙する井上さんと静かなタイマンを繰り広げている。
カレンの言葉に微笑んでいながらもどこか恐ろしいモノを含ませた喋り方で僕は恐怖を感じずにはいられなかった。
婚姻届一枚でもとんでもないことになっているのに、それが二枚もあれば一体誰がこんな事になると思うのだろうか?
二人には悪いが、僕は一度その場から離れようと決意して忍び足で離れようとするが、
「ライ」
静かすぎて、冷気を孕んでいるかのような錯覚を覚える重なった声に振り向く。
「こんなことしても、ラチが明かないわ」
「そう、だから……」
カレンと井上さんがそれぞれ婚姻届を持って僕に詰め寄った。
「「ライが選んで」」
二人の声がピッタリと重なる。その声に僕は疑問符を浮かべた声を出す。
「あ、あの二人とも…落ち着いて」
宥めるような手の動きと声で二人を制しようとするがあっさりと切り捨てられてしまった。
「言っとくけど、考える時間は無いわよ」
読まれてた。背中に嫌な汗が流れ落ちる。
「さぁ、選んで」
「どっちがライの妻なの?」
心臓の音が多きく動く。
頭の中には、いくつかの選択肢が浮かび上がる。
支援
支援
A.逃げる
B.走って逃げる
C.一目散に逃げる
D.逃げる!逃亡!逃走!
同時に頭の中はミキサーのようにぐるぐると回り続け、目の前が真っ白になりそうな時に僕の体は二人に対して踵を返
して走り出していた。
カレンの「逃げた!」という声が後方で聞こえた気がするが、気にする余裕など無かった。
二人には悪いが今はともかく、その場から離れたいという気持ちが大きかったからだ。
もちろん、脱兎する僕を見逃してくれる二人ではない。
「待ちなさい!」
カレンの声が耳に入る。だがそこで足を止める愚行は犯さなかった。
とりあえず、このまま逃げよう。逃げ回れば、諦めてくれるかもしれない。
一途な希望を胸に秘める僕は逃げる足に更に力を込めた。
どんどんと距離が開いて行くのを感じながら走って格納庫に続く道への曲がり角を見つける。
格納庫には大量のKMFが多くある。そのおかげで死角も多いそこに隠れれば、うまく逃げおおせるかもしれない。
子供のような考えかもしれないが、今はとにかく藁に縋りたい気持ちだ。そう考えて、角を曲がり格納庫に続く通路に
出た。
「えっ…わわっ!?」
刹那、短い悲鳴と共に僕は引っ張られる感覚と視界が真っ黒になるのを感じた。
■□■□■□■□
「行ったね……出てきてもいいわよ」
荒々しく廊下を走る二人の女性が格納庫に続くドアの向こうに消えると同時に部屋のドアを煙管の先で軽く叩いたラク
シャータはドアに、正確にはドアの向こう側にいるモノに話しかけた。
少しの間を空けて、ドアがゆっくりと開いた。
ほんの少し開けたドアの隙間から銀色に近い髪を持つ頭が出た。髪の下で輝く瑠璃色の双眸が辺りを見回す。
周りにラクシャータしかいないのを確認して安堵したのか銀髪の主は彼女に声を掛ける。
「ありがとう、ラクシャータ」
「大した事はしてないわよ。で、何で追われてたの?」
当然ともいえる疑問をラクシャータは訊いてくる。
できれば言いたくない。だが、それでは匿ってくれた彼女に対して失礼だ。僕は決心して言葉を紡ごうとする。
「えっと」
「待った。とりあえず、中で話さない?」
確かにこんなところで話していたら、いつあの二人に見つかるか分からない。ラクシャータに促され、僕は隠れていた
部屋の中に戻った。
ラクシャータも中に入り、僕はベッドの縁に座った。ラクシャータは僕の前に椅子を置いて座った。
僕は丁度、そのタイミングで話を切り出した。
「ふ〜ん…成る程ね」
銜えた煙管を唇で上下に動かしながら頭を数度頷かせる。ラクシャータは僕の話の大部分を理解してくれたようだ。
「でも助かったよ。あの時、ラクシャータと偶然居合わせて…」
格納庫に隠れようと向かった時にラクシャータと鉢合わせになり、僕の息を切らした顔と更に聞こえてくる足音の状況
で察してくれたらしく、僕を部屋の中に放り込んで二人から隠してくれた。
もし、あの二人に捕まったりでもしたら、と思うと背筋に鳥肌が立つ。
「……でも、何で僕の名前が入った婚姻届なんかあの二人が持っていたんだろう」
僕はずっと感じていた疑問を口にした。僕自身が婚姻届に名前を書いた事実はある。
だが、それはカレンと井上さんの持っていた婚姻届にではなく数日前の告白に使用した、リヴァルに騙されて書いた婚
姻届にだ。
支援
あの時は恥ずかしさのあまりにそれの行方に関しては考えていなかった。
ミレイさんが捨てたというのは考えにくい。だが、カレンと井上さんの持っていた二枚に書かれている僕の名前の筆跡
は告白の時に書いたものと酷似していた。
これはどう言う事だ?
「…そういえばさ、こんな話知ってる?」
「こんなって、どんな話?」
考え込む僕の耳にラクシャータの声が入った。僕は思考を中断させて彼女の言葉を聞く。
「騎士団の中であなたの名前が入った婚姻届が女性団員に売られてるって話」
口の端を上げて微笑むラクシャータ。
「な!だ、誰がそんな事を!」
思わぬ所で疑問を解く鍵が見つけた僕は思わず立ち上がってやや興奮気味に彼女に尋ねた。
「さぁねぇ……結構な枚数が出回ってるらしいわよ?あなたを狙ってる女の子って結構多いから」
「………」
僕はラクシャータの言葉に思わず沈黙してしまった。犯人が分からなかったからではない、彼女の言ったことが事実で
あるならば、これはまさにピンチである。
カレン達でもかなり大変だったのにそれ以上の数の女性が僕の妻と言って現れる。そう考えると顔が青くなってしまう
。
「あら、大丈夫よ。ここに居れば少なくとも見つからないだろうし」
青くなった僕に声を掛けるラクシャータに僕は少なからずの安心感を覚えた。
「ねぇ」
すると、ラクシャータが猫撫で声と共に急に顔を近づけてきた。僕は突然のことに驚きの表情を浮かべる。
蠱惑的な香水の香りが鼻腔の奥に入り込んで脳をくすぐる。
「あの、ラクシャータ?何を」
「あの時私があそこに居たのって偶然だと思う?」
「はい?」
彼女の言葉が理解できずに僕は間抜けな声で返す。艶やかな笑みを浮かべ、腰を屈めるポーズは豊かな双丘と黒い下着
を半ばも覗かせているだらしなくはだけられたシャツの胸元を強調し、目のやり場に困らせて自然と目を逸らせる。
初心とも言えるその反応を楽しみながら見るラクシャータは僕の肩を思いっきり掴んでベッドに押し倒す。ぼふん、と
いう音が部屋の中に浸透する。
「あの、ラクシャータそれはどういう事で?」
それでも、僕は先程の彼女の言葉に疑問を持って問い掛ける。すると、彼女は僕のシャツの後ろ襟に手をやって何かを
探っている。やがて、後ろ襟を探っていた手は何かを抓んだ形で目の前に佇んでいた。それは、十ミリにも満たない
丸型の小さな機械であった。
親指と人差し指に抓まれたそれに対して僕は恐る恐ると声を出す。
「まさか…それって、盗聴器?」
あまり考えたくないものであるが、頭が意思とは裏腹に答えを導き出す。そう、彼女は偶然あそこに居たのではない。
僕が格納庫に隠れようとしていたことを見通してあそこに居たのだ!
「正解♪」
クイズの出題者よろしく彼女は嬉しそうに声を出す。そんな表情に対して恐怖を覚える僕はシャツとズボンを脱がしに
かかるラクシャータの手に抗うだけで精一杯だった。
「ラ、ラクシャータさん!こ、こういう事はですね!まずは相手側の意思を尊重し…てもらわないと……!」
「ダぁメよ。こうでもしないと、アタシのものにならないじゃないの」
「はい?!」
「ホラ」
支援
僕の両手に脚を乗せたラクシャータは体重を掛けることで簡易の拘束具を完成させた。
しかも、確実にマウントポジションを取られているので、余程のことがなければ逃げられまい。そんな事を考えている
僕の眼前に最早、見慣れたと言ってもいい紙が突きつけられていた。
「紙の上で二人の名前を書いたって完全に夫婦になったわけじゃないわ。だったら……」
言葉を紡ぎながら、突きつけていた婚姻届とシャツを一緒に放り、自分のシャツのボタンを外すラクシャータ。全ての
ボタンを外し終えると半ば覗いていた下着と豊かな双丘が完全に姿を表した。
「既成事実を作っちゃえば、あなたも他の女も文句が言えないわよねぇ?」
己の唇をチロリと舌で舐めて妖艶な笑みを浮かべて言うラクシャータの姿はどこか、御伽話に出てくる夢魔を髣髴とさ
せる。
思いっきり彼女の体から目を逸らせようとするが、褐色の肌を持つ細い指がそれをさせてくれなかった。
「ラクシャータ……今なら、まだ間に合うから」
「無理よ。あなたが、欲しいの、今スグに」
顔を体を火照らせた褐色の美女は獣が如く己の欲望を区切りながら力強く言う。
舌なめずりしながら彼女の唇が僕の唇と重なろうとした時、僕はこの世に神は居ないのかと真剣に虚空へ問い掛けた。
■□■□■□■□
「し、死ぬかと思った」
あの後、何とか隙を見て逃げ出すことはできたのだが、その際にかなりの体力を消費した僕はふらふらと歩きながらラ
ウンジに向かっていた。
顔の至るところに付いたルージュの唇跡を落とし、乱れるシャツを直しながら足に鞭を打ってラウンジに続く廊下を歩
いてく。
恐らくは今日の僕には、災難を司る神様が二桁以上憑り付いていると思ってもいいかもしれない。でなければ、一体な
んだと言うんだろうか?
だが、今の目的はラウンジに向かうことだ。とにかく今はゆっくりと休める場所で休みたいのだ。壁に手をつきながら
、ようやくラウンジのドアの前に着いた。
どうか、誰も、できれば女の人がいませんように……
言葉に出さず、小さな希望を胸に秘めてラウンジのドアを開ける。
「………」
ドアを開けてまず目に入ったのは、ピザの箱だった。それも、かなり大量のだ。
突然、鼻腔に侵入してきた部屋に充満するチーズの匂いに僕は思わず手で鼻を覆う。
「ん?何だ、お前か」
ソファに寝そべりながら、ピザを喰らう緑の髪の少女はチーズを垂らしながら来訪者に視線を向けた。
その周りには空となったピザの箱が乱雑に散っている。一体、何処にそんな数のピザが入るのだろうか、と疑問を覚え
ざるを得ない。多く食べているのは明らかなハズなのに外見上その細い体には何の変化は見られないのも不思議なもの
である。世の女性からすれば、羨ましいの一言であろう。
「C.C.」
僕は呆れ顔で行儀の良くない食べ方をする彼女の名前を呼んだ。だがそれと同時に安心をした。目の前にいる彼女が結
婚という女性が抱く理想と憧れなど持たず、そんなのよりも頬張るピザに熱意を向けている方が得と考えているからだ
。
「ここでピザを食べるなってゼロに言われてたんじゃなかったっけ?」
部屋の中を歩み、散らばっている空のピザ箱を拾い集めながら言った。
そう、ラウンジは作戦会議などにも使われ、それに対する集中力が損なわれるからという理由でゼロからC.C.にピザ購
入禁止令が出されたはずだ。
胃炎
「それはゼロのカードで買ったものに限りだ」
「じゃあ、自分の金で買ったのか?」
「そうだ、私が自分の金で買ったものだ。カードを止められたんでな。自分で稼いで買ったピザを私がどこで食おうが
勝手だ。奴も私が自分で買ったという想定では何も言わなかったからな」
ゼロに対して、してやったりという表情だろうか、C.C.ニヤリと口の端を上げる。
それは屁理屈だろう、と言いたかったが敢えてそれを口に出すのはやめた。彼女にそんな事を言ったとしても素直に聞
いてくれる訳でもないし、それを言う体力も今は惜しいのだ。
「それはそうと……どうした?妙にやつれているように見えるぞ」
「……別に何でもないよ」
C.C.が他の人物の心配をすることには驚いた。だが、先程から考えている通りそれに対して驚くことや自分の身に降り
かかった事を話す体力も無いのだ。
僕は素っ気無くC.C.に返す。C.C.もそれ以上のことを聞いてくることも無く残りのピザを食べ始める。
「そういえば、よくこれだけのピザを買えたな」
改めてラウンジの中を見回してピザの箱を改めて数えながら僕は言った。
かなりの量だ。一つや二つという単純な数ではない。十や二十……それ以上はあるかもしれない。
それに比例して料金もかなりのものになるはずだ。C.C.はゼロのカードでピザを購入していたのだから、それらの金を
稼ぐことは容易ではないはずだ。だが、C.C.が自分でバイトでもして金を稼ぐということは考えにくい。
「お前の婚姻届を売ってかなりの金ができたからな。心配は無用だ」
「あぁ、僕の婚姻届を売って…成る程」
…………あれ?
ピザの箱を片付けながらC.C.の紡いだ言葉に対して答えると、僕は自分の発言に対して疑問を覚えた。
婚姻届?本日聞くのは何度目となるこの単語が頭の中を駆け巡り、その単語に続く言葉をもう一度思い出させる。
婚姻届を、売った?
「C.C.……今、なんて言った?」
「ん?“心配は無用だ”と言ったが?」
「違うッその前だ!婚姻届を売ったって聞いたけど!?君が僕の名前が入っていた婚姻届を売っていたのか??!」
「何だ、そのことかそれがどうした?」
C.C.のこの発言は天然なのかそれとも本気で言っているのか?思わず、彼女の頭の中を調べたいと考える僕であったが
と、とりあえず真相を追究することを優先させた。
「どうしたもこうしたもないよ!君のせいでどれだけの目に遭ったか……」
「安心しろ。婚姻届自体は複製品だからな、役所に届けても正式に受理はされん」
「そういうことを言ってるんじゃないの!」
「カリカリするな、減るモンでもあるまいし…それと眉間の皺が固定するぞ?」
「誰のせいだ!そして危うく僕は貞操を奪われかけましたが?!!……それで?その婚姻届はどこから手に入れたん
だ?」
さすがに怒ったままでは話が進まないと考えると僕は気持ちを抑えてC.C.に訊ねる。カレンや井上さん、ラクシャータ
が持っていた婚姻届を複製品と思われる中でそれらの元となった“あの日の放課後”に使用したと思われる婚姻届を持
っているのは彼女しかいない。C.C.の手にあるのはおかしいからだ。
「ちょうど、学園を散歩していたら見つけた。丁度、その日はルルーシュからはカードの使用を止められていてな」
「それで君は僕の婚姻届の複製を売ってピザ代にしてたって事か……」
ということは、何らかの拍子で落としてしまったということであろうか?
「フフッそれに関しては、非常に感謝しているぞ。おかげで餓死寸前であった私の胃袋は満たされた」
本人は感謝しているつもりかもしれないが、微笑みながらの口調と態度から感謝の気持ちが伝わってこないのは何故だ
ろうか。今日の出来事を思い出すたびに痛くなる頭に手を添えながら僕は言葉を紡いだ。
「で?出回った複製品の元になった婚姻届はどこにある?」
「何故お前に教えなければならん。アレを拾ったのは私だ、どうしようと私の勝手だ」
「な…っ!?あの婚姻届は元々は僕のものだ、君には関係の無い代物だ!返してもらわないと困るんだ!」
「それはお前の都合だ、アレは暫くの食料の生命線だ。誰が渡すか」
支援
「そ、それこそ君の都合だろうが!」
「ほう……お前はこのか弱い少女から食料を奪い取るのか……ヒドイ奴だ、私は生きる為にやっているというのに」
そう言うと、C.C.は芝居がかった動きでヨヨヨっと嘘泣きを始める。今更ながら、彼女と対等に口喧嘩ができるゼロを
尊敬する。だが、さすがにここで退くわけにはいかない。
ここは騒動が収束に向かうかどうかの分岐点だ。僕としては、何としてでも収束の道を選びたい。
しかし、それはC.C.も同じ事だ。生半可な説得では折れてくれないだろう。
先程以上に僕の頭はこの状況に対する改善策を見出そうと回転を始める。そして、すぐにある単語が浮かび上がる。だ
がそれは、諸刃の剣であったが今は四の五の言っていられなかった。
「…なぁ、C.C.知っているか?」
「何をだ」
「拾得物を落とし主に教えるか届けた場合は拾得物の価値の十分の一を取得できるってことだ」
一瞬、C.C.がピクリと反応した。この話に興味を示した、或いは何かを計算しているのだろうか。
「ほう……それは初耳だな。それで、この場合はどうなるんだ?」
「君の暫くの間の……一ヶ月いや、二か月分のピザ代を持つ。どうだ?」
C.C.は一日に何枚もののピザを食べる。それが月単位は続くとなると金もかなりのものになるはずだ。
「足りんな、三ヶ月だ。アレの価値を考えてみればこれぐらいが妥当だろ?」
「……わかった、それで飲もう」
「成立だな」
口の端を上げて微笑む様はまさに魔女と言ってもいいかもしれない。いや、言ってもいい。
三ヶ月のピザ代はさすがにキツイものがあるかもしれないが、これで平穏が戻るのであれば安いものだ。
「それで僕の婚姻届はどこにあるんだ?」
「あぁ、無い」
C.C.の言葉に僕は一瞬、自分が耳の中に入れた情報が間違っているのではないかと疑った。思わず、その言葉に対して
間抜けな声が大きく出てしまうぐらいに。
「な、無いって。どういうことだよ!!」
「実は数日前に是非とも原本を買い取りたいという上客がいてな、なかなかにいい値段が付いたぞ」
こちらに対して顔を向けずピザを頬張るC.C.はとんでもないことを言ってのけた。
平穏が戻ると思われた真っ先に地獄に落とされたのだ。僕は暫くの間、開いた口を閉じることができなくなった。
「そうだ。言っておくが婚姻届の行方は“教えて”やったんだ。三ヶ月分のピザは予定通り貰うからな、反故は許さん
ぞ。まぁ、複製品の販売はやめてやるから安心しろ」
恐らくこのときの僕の耳にはC.C.の言葉が入っていなかったかもしれない。いるかどうかわからない神様に目の前でピ
ザを頬張る魔女を退治して欲しいと一心に願っていたからだ。
支援
支援
しえん
■□■□■□■□
その次の日、僕は誰も居ない生徒会室の椅子に座っていた。
何日も休んでいたので正直どのようにして生徒会に顔を出せばいいのかと悩みながら生徒会室に入ったのだが、誰もい
なく、暖かそうな日差しが部屋の中を照らしていた。早く来すぎてしまったと考えると近くにあった椅子に腰を下ろし
ていた。
実に何日振りとなる感触だろうか、数日座っていないだけだが何週間も座っていなかったという気分にさせてくれる。
だが、どうしてか嬉しい気分にはなれなかった。
ここに来てしまうと連想ゲームのようにミレイさんの事が頭に思い浮かんでくるからだ。リヴァルに教えられた嘘の告
白方法を実施したあの日のことを、その時のミレイさんの反応と表情が今も鮮明に思い出されここに来るべきではなか
ったと何度も考えさせられる。
『大体、交際する前にプロポーズしてどうするのよっ』
あの日の言葉を思い出して、僕は本日何度目となる紅潮を果たした。
あぁ、何度思い出しても恥ずかしい……
ここから離れたいと思う気持ちが強くなってきている。だが、それでは何の解決にもならない。それに日が空けば空く
ほど顔を合わせづらくなってしまう。
そして彼女の顔が浮かび上がる。
あの時、僕の告白を彼女はどう思っていたのであろうか?告白の仕方が知らなかったとはいえ、あの行動は常識のある
人間からすればやはり、変わっていると思われても仕方が無い。
「ヘンだと思われたのかな……やっぱり」
誰に聞かせるわけでもなく一言呟くと、僕の耳は後方から発せられた小さな音に反応した。
「会長チョップ!」
「アガッ!?」
誰かが来たと考えて頭を振り向かせようとした。だが、その行為は顔を振り向かせようとした時に、聞き覚えのある声
と共に頭頂部に衝撃が走ったことで虚しく終わった。
衝撃の走った脳天を手で押さえて涙目になりながらも僕は半身を振り向かせた。すると、そこには予想通りの人物がそ
こにいた。
「はぁ〜い。久しぶりね♪」
ただ一つ予想と違っていたのは、その人物が笑顔で額に四つ角の青筋を浮かべていたことだ。
「ミ、ミレイさん」
「お久しぶりね〜ライ?ルルーシュの影響で貴方もサボり魔になったと思ったわよ?」
あまりにもミスマッチな表情で詰め寄るミレイさんに僕は苦笑を浮かべることしかできなかった。
「あの、これにはちょっとした理由があるようで、無いような……その」
恐怖とミレイさんの顔が近くにあることで発生する照れが絡み合って僕はしどろもどろに言葉を紡ぐ。
「どっちなの?」
「ご、ごめんなさい……」
更に詰め寄られると僕の口は自然に謝罪の言葉を紡いでいた。頭をしゅんと項垂れさせると、ミレイさんが吐いたと思
われる溜め息が聞こえた。刹那、僕の心臓に何かが刺さるような音が聞こえたような気がした。
「で、どうしたの?理由は訊かせてくれるんでしょう?」
ミレイさんが椅子の前に回りこんで僕の顔を覗き込むように屈み、まるで、小さな子供をあやすように僕の頭を優しく
撫でる。その感触に押され僕は言葉を紡ぎ始める。
支援
しえん
「なるほど…あの時のこと、まだ引きずってたのね」
ミレイさんは指先で頬を掻きながら、僕の言葉に理解を示してくれた。僕はミレイさんに生徒会の活動に参加しなかっ
た理由をあらいざらい吐き出すと、ほんの少しだけスッキリした気分になっていた。
「でも、顔を合わせるのが恥ずかしかったって言ってもねぇ、記憶探しなんて嘘をつくのはどうなの?」
真剣な瞳で見つめられながら、ミレイさんの言葉を聞くと心が重くなると共に僕は頭をしゅんとさせる。
確かにその通りだった。いかなる理由があったとしても僕は人を欺いた、好きな人に嘘をついた。これは簡単に許され
ることではない。
嘘をつくことはとても簡単なことだ。だが、嘘をついて落ちた信頼を取り戻すことは簡単なことではない。そして、嘘
は人を傷つけ自分をも傷つけるのだ。
その時、僕の目尻には何故か涙が浮かび、再び謝罪の言葉を口にしていた。
「ごめん……なさい、ミレイさん。ごめん、な…ざい」
「ちょっと、どうしたの!何で泣いてるのよ」
嫌われたくない、嫌わないでほしい。
“好きな人に嫌われてほしくない”ただその一心で言葉を紡いでいた。それを見ていたミレイさんは始めこそは驚いて
いたが、冷静に今の状況に対処を始めていた。
「……ほら、男の子でしょ?泣かないの」
ミレイさんの柔らかい親指の腹が流れ出る涙を拭っていた。それが終わりを見せたのはどれほどの時間が経った頃であ
ろうか時間が経つと共に僕は徐々に落ち着きを見せ始める。すると、両頬に鈍い痛みが走った。彼女の手が僕の両頬を
抓んでいるのだ。
「…もう嘘つかない?」
「……ふぁい」
「ん!ならば、許そうか♪」
パッと抓っていた両手を離すとそのまま頭の方に移動させて頭を軽く撫でた。
「……まぁ、偉そうに言ってなんだけど、私にも半分は責任があるわね。ごめんね」
そう言うと、ミレイさんは微笑んだ。それが、彼女がよく見せていた微笑であると知ると僕は心臓が一度だけ跳ね上が
る感覚を覚えた。
そして、いきなりミレイさんは両手を合わせて叩いた。乾いた音が鼓膜を震わせる。
「さてと!お説教はこれでおしまいよ。そろそろ本題に移りましょうか」
「本題……?」
抓られた頬を擦りながら、椅子から立ち上がったミレイさんに対して僕は問い掛けた。
すると、突然両膝の上に重さを感じた。それは、ミレイさんが僕の両膝に座ったからであった。僕の心臓の鼓動はまた
一度跳ね上がった。視線を下げれば、すぐ傍にはミレイさんの顔が視界に入り込む。
「あ、あのミレイさん……?」
「ん〜いい座り心地ね」
僕の心臓の動きを知ってか知らずかニコニコしながら彼女は機嫌よく僕の膝の感想を述べた。
僕の問い掛けには全く応じようとしてくれなさそうだ。
「ねぇ、ライ?」
「は、はい?」
先程とは違った声に戸惑いを覚えつつも僕はその声に応えた。
「少し前の放課後の事なんだけど……覚えてるよね?」
ミレイさんの言葉は確実にあの時のことを指していることは明らかであった。
支援
「え?あ……はい」
「じゃあ、これも覚えているわよね」
片手を首の後ろに回し、空いた手でポケットを探るとミレイさんは四つに折られた紙を取り出して開いた。
「え……?」
思わず、素っ頓狂な声を出してしまったのは昨日、騎士団アジトで一生分の体力を使い果たしたと思われる騒ぎの発端
となった婚姻届を持っていたからだ。だが、今彼女に手にあるのは説明が付かない。それはC.C.が学園内で拾って、複
製して売っていた。しかも、C.C.はその元となった婚姻届は別の人物に売り払ってしまった、と……
「苦労したのよ?あの後、どっかに落としちゃってね。でも、拾った人がいたみたいなの。それでね……色々と交渉し
て返してもらったのよ、お金が掛かったけどね……」
なんとはなしに僕の頭の中には、一つの答えが浮かび上がっていた。あの時、C.C.が言っていた『上客』とはミレイさ
んのことだったのだ。
そうと分かっていれば、わざわざC.C.に三ヶ月分のピザ代を奢るなど言わなければ良かったと今更ながらに後悔する。
だが、それよりも優先させるべき考えがあった。それは、僕の名前の他に今、膝の上に座っている彼女の名前がフルネ
ームで書かれていたことだ。
「ちょっと、聞いてるの?」
思考の海に潜り込んでいた僕を吊り上げたのは、少々の怒りを含んだ彼女の声であった。
婚姻届から視線を動かすと子供のように頬を膨らませたミレイさんの顔が数センチの間を空けてそこにあった。
「もう!……それにしても、あの時のことは驚いたわ。貴方ったら、いきなり婚姻届なんかを差し出すんだもん、ちょ
っと考え付かなかった」
あの時のことを思い出しながら話しているためかミレイの顔を微笑んでいた。だが、僕としては微笑んではいられなか
った。自分でも分かるように今にも、顔が沸騰しそうなくらいに赤くなっていたからだ。これ以上聞いていると、どう
にかなりそうだ。
「あ、あの……ミレイさん聞いてもいいですか?」
「なぁに?」
「その…あの時、僕がしたことで…えっと…」
話題を反らせる為とはいえ、今からする質問は少し無謀だったか?しどろもどろな言葉使いから逡巡して僕は覚悟を決
めた。
「僕…を変な奴だと、思いましたか…?」
僕は一番不安と思っていたことを口に出す。すると
支援!
「会長デコピン!!」
ほんの少しの静寂の後に軽快な音共に痛みが額を走った。突然の痛みに対処できなかった僕は数秒間痛みに悶える。そ
れと同時に首に衝撃が加わった。
「か、会長…?!」
首の衝撃は腕が巻きついてきた為だった。自分の首に巻きついている腕の正体は確かめるまでもなかった。それから、
彼女が自分の首に抱きついていると分かるまで時間を要さなかった。
「……おバカ」
驚きの最中に鼓膜を叩いたのは柔らかい呆れ声だった。
「さっきも言ったでしょ、ちょっと驚いたの。だって、好きな子にいきなりあんなことされたら…驚くに決まってるじ
ゃない」
続いて聞こえる声に僕は何かが湧き上がるのを感じずに入られなかった。
「でもね…とても嬉しかったの。それにね」
力を緩めて、首から顔を離すとミレイさんは僕の額に唇を落とした。
「……私、ずっと前から貴方にこんな事をしたいと思っていたのよ?」
恥ずかしそうに頬を掻きながらミレイさんは言った。
その時、僕の視界は真っ赤になった。恥ずかしさによる熱のせいか、それとも嬉しかった為の紅潮か原因は定かではな
かった。僕は静かに両腕を彼女の背中に回した。
「きゃん!ちょっと、ライ……?」
可愛らしい悲鳴を一言上げる同時に僕はミレイさんの細い体を抱き締めていた。力強く、しかし優しく。
「そんなコトしちゃうのね?おりゃ!」
お返しと言わんばかりに頭を抱きしめられると僕は彼女の腕の中の感触を心地よくを覚えはじめた。
そんな僕も抱く腕にまた力をこめて優しく温かく抱きしめる。
「大好きよ、ライ」
「僕もです。ミレイさんのことが大好きですよ」
すると、ミレイさんは嬉しそうに僕の首に抱きついて囁いた。
「ずっとずっとず〜〜〜〜っと一緒だからね!」
その言葉に応えるように僕はミレイさんの金髪を掻き上げて額を晒すと今度は自分から額に口づけをした。
しえん
投下終了です。支援してくださった方々誠に感謝致します。
ミレイさんの部分が他の人の部分と比べて少ないと気になりましたが(全体で34kbなのに
まぁ、いいか(いいのかよ
GJです。このミレイさんはかわいいなあ、だがこのC.C.はマジで悪女だぜww
騎士団内でさんざん振り回されるライが哀れ、つーかラクシャータの描写がエロい。
楽しませてもらいました、またの投下をお待ちしています。
乙です。
…さて、見事なハッピーエンドですが…続きと言うか後日談的なものを期待せずにはいられませんね。
だってあの面子でこのまま済むとは思えないものw
>>148 とても面白かったです。
続編希望していいですか?
これで終わるのはもったいないと思います。
よかったらよろしくお願いしたいです。
あ、いい遅れましたけどGJでした。
またの投下を全力を持ってお待ちしております。
乙でした。
女性キャラの描写が結構というか、かなり好きです
頬緩みっぱなしで読ませて頂きました
またの投下お待ちしてます
>>148 蒼い鴉卿、GJでした!
婚姻届けで巻き起こされた騒動。
複製品はどうなったのか、それが問題だ。
会長チョップ、会長デコピン、ならばあとは会長シッペか……
そんなよく分からないことを言いつつ、貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
GJッ!
ただひたすらにGJッ!!!
かわいいいいなあああああ
なんかもうコロコロ転がって転がされていくライが
かわいくてかわいくて。
にこにこというかニヤニヤしすぎて頬筋疲れました。
ミレイさんと元のさやにおさまる幸せエンド。
面白かったです。GJでした!
>>148
GJとしか言いようがない
人が居たら投下したいけどどうすか?
やっぱ居ないか
出直して来るぜ
>>157 投下しようと思ったけど、お先にどうぞ!
>>161 2000を過ぎて何も無かったら貴方が投下しては如何でしょうか?
163 :
風太郎:2009/05/12(火) 20:15:37 ID:tIXM5Xfg
では、お言葉に甘えて
初めまして、風太郎と申します。
今まではただ読む側でしたが、とあるADVゲームをクリアした事を機に自分も書いてみようと
筆をとりました。
なので、僕はSSを書くのがまったくの未経験です。
これまで投下されてきた先達に比べれば本当に未熟で、投下に関しては何某かの不手際もある
かと思います。
それでも宜しければ2025辺りに投下させて頂きます。
楽しみに待ってるよ!
165 :
風太郎:2009/05/12(火) 20:33:49 ID:tIXM5Xfg
有難う御座います。
【タイトル】コードギアスLOST COLORS R2『裂かれた双璧、交わされる魂(いろ)』
CPはライ×カレン
設定はR2、TURN7辺りです。
騎士団編(特区未成立)を経てラウンズという超展開ですが、
前後の脈絡がないうえに、ちょっぴりカレンの性格というか思想が原作と違うかもしれません。
あと、ナイトメアオブナナリーからもキャラが名前だけ登場します。
それでもよろしければ、どうかご覧ください。
スレはおそらく4〜5スレ程度になると思います。
166 :
風太郎:2009/05/12(火) 20:41:03 ID:tIXM5Xfg
誰一人いない礼拝堂の中、座席に腰掛けてただ静かにその時を待つ。
ここには沢山の思い出が残っている。そして、彼女なら僕がここにいる事が分かるだろう。
何故ならここは僕たちがもっとも幸せで、満たされていた時間の思い出が残る場所なのだから。
彼女が現れるまで僅かな時間。
有りしに日々の思い出に身を委ね振り返っていたが、背後の扉が開く気配によって追憶は遮られた。
「……やっぱり、来ていたのね」
「ああ、ここにいれば君に会えると思った」
開いた扉の前に立っていたのはやはり彼女――カレン一人だけだった。
服装こそ初めて見るものだったものの、その姿は僕の記憶と何も変わらない。
だけど、その目はまるで違い、かつて僕に向けてくれた思慕や温もりなど欠片も残ってはいなかった。
「ナイトオブイレブンって……ブリタニアの騎士ってどういうこと?」
「言い訳はしないさ。皆を……僕が大切なものを守るにはこうするしかなかった。だから裏切り者と罵られても構わな
いし、報いを受ける覚悟もできている」
そう、僕が大切だったのは日本解放という理想などではなかった。
ただ色が分からない僕に居場所と世界を教えてくれた生徒会の皆、ルルーシュ、ナナリー、そしてカレンだけだった。
結局僕はかつて王だったころと何も変わっていなかったんだ。
そのために再び全てを裏切った僕はもう赦されない。
……だからこそ裁かれるならば、僕を終わらせてくれるなら、彼女にそれを委ねたかった。
167 :
風太郎:2009/05/12(火) 20:47:04 ID:tIXM5Xfg
「抵抗、しない心算?」
そんな僕の姿をカレンは震える声で問いかける。
たとえ怒りに支配されていても、だからこそこの最低な裏切り者の真意が分からない。
かつては誰よりも想いを交わし合ったからこそ、その思いは誰よりも理解できた。
「ああ。特区の準備は終わっているし、幸いにも僕の意志を継いでくれる人は居る。ここで君に殺されるなら本望だ」
その言葉を最後に瞼を閉じる。
僕が今できることは全てはもう終わらせた。
ナナリーが提唱した行政特区計画の具体案は既に完成し、サンチアに預けている。後はジノやローマイアさん、
スザクが実現してくれるだろう。
皇帝と交わした契約を半ば反故にすることには不安は残るものの、後はアリスが受け継いでくれる。
全てを押し付けることには申し訳なく思うが、彼女ならばきっとナナリーを、ナナリーが大切に思うものを全て守るはずだ。
だから、ここで終わっても悔いはない。
……そう思いながらその時を待つも、カレンは何も行動を起こさない。
やがて漏れたのは、彼女の弱々しい否定の言葉だった。
「……嫌よ」
168 :
風太郎:2009/05/12(火) 20:52:00 ID:tIXM5Xfg
「え?」
「貴方を殺すなんて嫌!!貴方が消えた時、それでもまだ生きていると信じたから私は立てた!貴方が今でも強く、
変わらずに戦っていると思えたから、それを支えに生きてこれた!!」
「…………」
「私がここに居るのは貴方が護ってくれたからよ!それなのに、貴方を殺すなんてできるわけがない!!」
「カレン……」
「日本解放なんてもうどうでも良い。私も騎士団を辞めて貴方の傍に居るわ!」
「……カレン」
「ううん、それだけじゃない。貴方のためならブリタニアも騎士団も、邪魔なものは全部潰す。そのためならどんな事もするわ。
そうすれば、また――」
「カレン!!」
彼女にそれ以上は言わせないために強く抱きしめる。
カレンにはそれを言ってほしくなかった。
どんなに苦しくても、どんなに悲しくても強くひた向きだった彼女だからこそ、僕は惹かれたのだから。
そんな彼女が僕なんかのために穢れてしまうなんて、あって良い筈がない。
「――ッ」
「それ以上、言っては駄目だ。そうなれば君は僕と同じになってしまう。僕と同じ所まで墜ちてしまう……」
「……それが駄目なの?」
「え……?」
「そこでなら、ライと一緒に居られるんでしょ?だったら…私は……」
彼女の言葉は最後まで紡がれることなく、嗚咽の中に掻き消される。
僕はそれに何も答えることはできなかった。
「……どうすれば良いの?…どうすれば、貴方と一緒に居られるの?」
彼女は震える声でそう問い続ける。
彼女が今、望むことはただ互いが傍にいたいだけだ。そして、その想いが押し殺していた本当の願いを曝け出す。
本当はそうしたかった。
今ある全てを捨てて、ただの男と女として共に生きていければ、他に何も望みはしなかった。
人並みの幸せなど必要ない。ただ互いが傍にいれば、それが僕たちにとって何よりも代えがたい幸福なのだから。
……だけど、世界が…運命がそれさえも許さない。
傍に互いを感じられても、僕たちの想いは届かないほど遠く引き離されたのだから。
たとえ今、二人で共に居てもその先には破滅しか残されていない。
それほどまでに『この世界』から与えられた運命は残酷だった。
169 :
風太郎:2009/05/12(火) 20:57:04 ID:tIXM5Xfg
だけど……それでも、誰であってもこの想いだけは引き裂くことはできない。
「カレン……結婚しよう」
「え?」
「立会人も居ないし、形になるものは何もない。……だけど、僕たちだけの誓いを結べばどこにいても、例え互いに
どんな最後を迎えても、魂だけはいつも共にいられる」
「ライ!!」
僕の言葉に彼女は涙で濡れた、それでも輝くような笑顔で笑ってくれた。
その笑顔に胸の中が暖かいものに満たされていくのが分かる。
この想いがあれば、僕はこの先に待つ運命に臆することなく立ち向かえる。……そう信じられた。
「汝、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、死が二人を分かつまで
――分かった先にも、愛を誓いますか?」
「誓います」
「……誓います」
僕が口にしたうろ覚えな聖句に、しかしカレンはしっかりと答えてくれた。
だからこそ、僕も躊躇うことなく誓いの言葉を口にできた。
互いに胸に分かち合う想いのままに抱きあう僕とカレン。
たとえ残るものが何もなくても、この先に待つのが別れであっても、これで僕たちが恐れるものは何もない。
「これで、僕たちは……僕たちの魂は一つだ」
「うん」
「愛してるカレン」
「私もよ、ライ」
そう言って互いの唇を重ねる。
これ以上の言葉は必要ない。後は互いの存在を互いに刻みつけるだけだ。
――言葉なく重なり合う影と影。
その姿を、ただ月夜に照らさる聖人の像だけが見守っていた。
170 :
風太郎:2009/05/12(火) 21:01:54 ID:tIXM5Xfg
以上です。
何だか色んな意味でゴメンなさい。
っていうか、投下し終わった後に自分でも分かりにくいうえに、やりすぎたという気がします。
一応、コレに続く中編か長編辺りの話も考えているのですが、やっても良いのかな?
こんな駄作を読んでくださった方々、有難うございました。
>>170 乙でした。
とりあえず、ライカレはいいね。
次の投下も待っています。
面白かったです!既に続編を考えてるとのことですがそちらも期待します。お疲れ様でした!
乙でした
乙です。
ライカレは敵でも味方でもいいですね
初めてにしてはよくできてると思うので次回また待ってます
投下したいけど流石に誰もいないかな?
待ってます
まだ間に合うかな?1時くらいまでは居ます
178 :
萌は文化:2009/05/13(水) 00:50:26 ID:wvYyETu5
感謝です
では投下します
みんな覚えているかな?
お久しぶりです
長い合間を置いてせめて連載中だったものは完結させようと思い恥ずかしながら帰ってまいりました
もう覚えてる人がいなさそう気がしますけど魔法少女ライマーユニーシリーズでタイトル『魔法少女ライマーユニーR2 〜 世界崩壊編 フレイヤの悲劇 〜』です
約19レスです
注意点
・ぶっ壊れギャグです
・このシリーズは何故か映画製作に熱を燃やし行政特区日本まで設立してしまった黒の騎士団というキャラ、話ともに大変ぶっ壊れています
・初見の方はたぶん意味不明だと思うので保管庫をご利用ください
では投下
支援
皆で叫ぼう!
せーの、ライマーユニ〜!!
というわけで支援
181 :
萌は文化:2009/05/13(水) 00:53:31 ID:wvYyETu5
「はーい、いいよ。じゃあ休憩ね」
監督(朝比奈)からのOKが出るとジノはすぐ様控えの座るテーブルに走り大量のハガキを取り出した。
同じように別の机ではモニカやアーニャ、星刻達が大量のハガキにせっせと書き込んでいた。
「ライマーユニーとのデート出演権、私がもっらたぁぁぁ!!」
自身に言い聞かせるように叫び、ジノはすごい勢いでハガキを書いた。
ちなみにライマーユニーとのデート出演権の件については前回のおまけ参照。
「お前の大切なものはなんだ?」
ジノと同じ机でこれまた同じように大量のハガキを書いていたルキアーノがジノに陰険に笑いかけた。
「そうだ、ライマーユニーだ!」
そのままルキアーノはジノの山済みになったハガキを思いっきり蹴り飛ばした。
「うわぁぁ!! 何しやがるルキアーノ!!」
いつもの穏やかさは皆無なジノ。
普段の彼ならばルキアーノを呼び捨てなんかにはしないだろうに…。
怒りで錯乱していたジノはルキアーノの胸倉を掴んだ。
「残念だけど、君にライマーユニーとのデートは渡さないよ。だからライバルは早めに消さないとねぇ」
「ふざけるなぁぁぁ!!」
支援
183 :
萌は文化:2009/05/13(水) 00:54:33 ID:wvYyETu5
怒鳴りながらジノは出演者の休憩中に飲んでもらうように準備されていたペットボトルのジュースの蓋を開け、机の上にあったルキアーノのハガキ達にぶちまけた。
「なぁ!!」
「おや、すみませんねブラッドリー卿。ジュース飲もうとしたら手が滑っちゃいました」
わざとらしく笑うジノ。
「フフフ、そうか、ついドジったのか君は………」
「ええ、すみませんね本当……」
互いに見つめ合い笑う2人。
もちろんその目は笑っていなかった。
「あ、もう駄目……」
背後で壮絶な喧嘩が繰り広げられている中、儚げな瞳で苦しそうにアーニャは倒れた。
「アーニャ、しっかりしてアーニャ!」
この緊急事態に急ぎ駆け寄るモニカ。
「モニカ……私、もう……駄目みたい……ボールペン………もう持てないの」
「ふざけないで! 一緒にライ様のために頑張りましょうよ!! 私は認めないわ! 番組で当選発表がおこなわれるその日まで一緒に頑張りましょうよ!!」
「モニカ……」
倒れたアーニャを支えながらモニカは涙ぐみながらアーニャに訴えるように言った。
支援
185 :
萌は文化:2009/05/13(水) 00:56:11 ID:wvYyETu5
「ありがとうモニカ………でも、後はあなた1人で………」
「!! 駄目よ目を閉じちゃ! ここ1週間まともに寝てないんでしょ! 寝たらハガキを書けないわ!!」
アーニャはつらそうに微笑み首を横に振った。
「もう、私はいいの………だからあなたは……諦めないで……そしたらきっと…ライ様と」
「駄目、アーニャ! ダメェェェ!!」
モニカの叫び虚しく、力尽きたアーニャはそっと(眠気で)目を閉じた。
「うう……馬鹿よアーニャ。いくら今日の収録が終わったからって」
アーニャの亡骸、もとい、爆睡するアーニャを抱きしめ、モニカは涙を零した。
「どうして、どうしてなの……アーニャはあんなに頑張ったのに! この1週間1日2時間しか寝ないでハガキを書いていたのに……どうしてなの!?」
号泣しながら答えを求め、空に向かい叫ぶモニカ。
どう考えても1日2時間しか睡眠を取っていないのが原因だと思う。
ちなみに、ジノやルキアーノ達の睡眠時間も似たようなもんである。
「うう、アーニャ……私、書くわ。志し半ばで倒れたあなたに代わり、私はハガキを書き続けてみせるわ」
気持ち良さそうに眠るアーニャの寝顔を見ながらモニカは固く誓った。
支援
187 :
萌は文化:2009/05/13(水) 00:57:11 ID:wvYyETu5
「はい、それじゃあ今日は撤収。明日はスタジオね」
「お疲れ様でした」
そんなモニカを無視して朝比奈はスタッフに撤収を命じていた。
支援
189 :
萌は文化:2009/05/13(水) 00:58:24 ID:wvYyETu5
『魔法少女ライマーユニーR2 〜 世界崩壊編 フレイヤの悲劇 〜』
ナレーション(カレン)『ちょっと、私ヒロインなのに何でナレーションの仕事を…………え、ヒロインはC.C? ふざけないで!! わ・た・し・が・ヒ・ロ・イ・ン・よ。………うるさいわよ玉城! 降格なんかしてない!!
ああ、もう、えっと………コホン、前回までのあらすじ、ゼロと真・月下マンが原因で暴走した月下マンは世界中の月下マンを富士山に集結させ、合体させる。
次々に合体する月下マン達。すると謎の強大な月下マン、月下マン・インセクトが姿を表す。果たして月下マン・インセクトとは? ライマーユニー達は月下マンの暴走を止めることが出来るのか!?』
「無理。だってタイトルに世界崩壊編って書いてあるしな」
大人の事実でナレーションになったカレンのあらすじ説明が終わるとゼロのアップで本編が始まった。
「だから開始早々にネタバレ発言は止めろって!」
それにすかさずツッコミを入れるライ。
「それよりもどうするよあれ」
渋い表情でライが指差す先には富士山と肩を並べるほど巨大な虫人型の巨人こと、月下マン・インセクトの姿があった。
支援
191 :
萌は文化:2009/05/13(水) 00:59:35 ID:wvYyETu5
「むう、まさか月下マン・インセクトを起動させるとは」
「まずい……まずいぞ!」
ついて行けないライマーユニーを尻目に、真・月下マンとC.Cは真面目な表情で月下マン・インセクトを見上げていた。
「わかっている藤堂。だが、あれは……」
「ああ、その通りだ」
「起動キーはすでに失われている以上、緊急停止させるわけにもいかんしな」
「やはり………破壊するしかないのか?」
「まさか、そんなことをしてみろ!」
「だが破壊しなければ月下マン・インセクトによって地上は!」
「おーい、少しは説明してよ3人とも」
完全にライマーユニーを無視してやたらシリアスに会話をする3人。
「さあ、逆襲の時間だ!」
そんなライマーユニー達のやりとりを月下マン・インセクトの肩の上から見ていた卜部は右手をそっと上げた。
すると月下マン・インセクトから富士山を包めるほどの黒くてカサカサした虫の大群が現れた。
「ご、ご、ごごご、ゴキブリ!?」
「何匹居るんだよ!」
途端に顔色が変わるライとC.C。
C.Cに至っては普段のクールさが微塵のかけらもなくなるほど恐怖に怯えた表情をしていた。
「えっと、確か万は超えてたな」
何故か冷静に話すゼロ。
支援
193 :
萌は文化:2009/05/13(水) 01:00:30 ID:wvYyETu5
「お、おい、ふざけるな! 普通はこういうのCGじゃないのか!?」
真っ青な顔でゼロを睨むC.C。
「安心しろ。完成品はこれ+CGだ」
「ああ、これで迫力倍増だな」
いつの間にやら自分達だけガラスケースに入りゼロと藤堂は安全を確保していた。
「な、おい、自分達だけ卑怯だぞ!」
自分も入れろとC.Cが必死にガラスケースを叩くがゼロと藤堂はまったく他人事のような顔をして嫌だと首を振った。
「ちょ、C.C来たよ!」
「え、あ、嫌ぁぁぁ!」
暗転。
画面には埋め尽くすほどのCGのゴキブリが……。
「何、月下マン・インセクトが消えた!」
「馬鹿な、あの巨体で一体どこへ!」
場面が切り替わるとガラスケースからでた藤堂とゼロが何も居なくなった富士山を見ながら言った。
「トラウマだ…………一生のトラウマになるぞ……」
「ヒック………嫌………もう………嫌だ……」
その後ろで放心状態のライと、そのライにしがみついて泣きじゃくるC.Cの姿があった。
普段の姿からは想像も出来ない状態である。
支援
195 :
萌は文化:2009/05/13(水) 01:01:25 ID:wvYyETu5
「ちょっとテレビでも見てみるか。ワンセグで」
どう考えても不自然なタイミングで藤堂が携帯を開くと
「む、大変だ! これを見てくれ」
慌てた様子で藤堂が画面を向ける。
『見てください! なんかよくわからないキモイ虫みたいなものが行政特区日本で暴れています』
画面には女子アナ役の神楽耶の後ろに月下マン・インセクトが街で暴れている映像が流れていた。
『一体何が起こっているのでしょう? え、キャー虫が! え、本物ですの? 嫌ァァァ!!』
どうやら神楽耶の撮影にも本物の虫を使ったらしい。
泣き崩れた神楽耶の顔を最後に画面は砂嵐になってしまった。
「こうしてはおれん。行くぞライマーユニー、行政特区日本に!」
「っていうかこの世界観に行政特区日本あったんだ」
画面は切り替わって行政特区日本。
月下マン・インセクトに破壊された街中にゼロと藤堂とライマーユニーそして何故か亀甲縛りにされたC.Cが立っていた。
「離せ! もう嫌だ! 虫は嫌だ! 私は撮影を降りる!」
「無理だよC.C。それが出来たら僕もとっくにこの役降りてるよ」
つい素に戻って本音が零れたライマーユニーであった。
支援
197 :
萌は文化:2009/05/13(水) 01:02:34 ID:wvYyETu5
いきなりライマーユニーの携帯が鳴り出した。
かけて来たのはライの姉(井上)であった。
「はい、もしもし」
『もしもし、大変よライ! たった今政府のお偉いさんがフレイヤのスイッチを押したわ。このままじゃあの化け物ごと日本が吹っ飛ぶわ』
「な、何だって!」
脚本通りに驚くライマーユニー。
本心ではエリア11じゃなくて日本なのかよ。ならなんで行政特区日本があるんだよ、と内心ツッコミを入れてたりする。
「っていうかなんで姉さんがそんなこと知ってるの?」
『姉だからよ』
「ちょっと朝比奈さん! もう少し真面目な理由付けしてくださいよ!」
思わず脚本(朝比奈)に文句を言うライマーユニーだった。
「む、馬鹿な。そんなことをしたら月下マン・インセクトに火を入れるだけだぞ。世界を滅ぼす気か!」
グッと拳を握る藤堂。
「すいません。前回から説明ゼロで全くついて行けないんでいい加減説明してよ」
「む、呼んだか?」
「黙れヘタレ仮面」
「ああ、虫が入って来た! ライ、とって! とって!…早く……お願い…」
支援
199 :
萌は文化:2009/05/13(水) 01:03:23 ID:wvYyETu5
結局、ライマーユニーに説明はなく、最早完全に演技放棄して何故か色っぽい口調で助けを求めるC.Cを引きずりながら月下マン・インセクトの近くまで移動。
「フハハハ、滅びろ。こんな世界なんか壊れてしまえ。この世界は虫が支配するのだ! 風の谷になるのだ!」
「止めろ月下マン(卜部)!こんなことやっても何にもならないぞ!」
何故風の谷なのかは置いといて、ライマーユニーが月下マンの説得にかかる。
「ゼロの復讐になる!」
「ならゼロだけを生かさず殺さず永遠の苦痛を与えればいいじゃないか! 関係ない人を巻き込むな!」
「おい、今なんて言ったそこの魔法少女」
後ろからプレッシャーをかけてくるゼロを無視してライマーユニーは杖を振るった。
「とにかく、これ以上暴れるのなら僕が相手だ!」
「フッ、止められるか? この月下マンを!」
「止める! それが大事な人を守ることになるなら!」
いい感じのクライマックス。
いざ戦おうとしたその時。
「え、なんだこれは?」
突然月下マン・インセクトから触手が生え月下マンの体にしがみついた。
支援
C.Cが可愛いので支援
202 :
萌は文化:2009/05/13(水) 01:08:28 ID:wvYyETu5
「触手……マニアにはたまらんだろうな」
「おっさんに絡みつく触手を見て喜ぶマニアがいるのか?」
何故か感心するゼロにライマーユニーは突っ込んだ。
「それよりゼロ」
「ああ、あれは間違いなく覚醒が始まったんだ」
ライマユーニーを置いてけぼりで深刻な話をする真・月下マンとゼロ。
どうせ聞いても教えてくれないのでライマーユニーはとりあえずC.Cの縄を解いてあげた。
「ぬぅ………そうか……そういうことだったのか。宇宙とは、月下マンとは、月下マン・インセクトとは………」
何やら悟ったように呟きながら、月下マンは月下マン・インセクトの中に取り込まれて行った。
「まずい、ついに核を取り込んだか」
「早くしないと本当に取り返しがつかなくなる。ライマーユニーよ、今すぐ月下マン・インセクトを破壊するのだ」
ビシッと命令するゼロ。
「破壊ってどうやって?」
「あれは虫の集合体みたいなものだ。マジカル殺虫剤を使え!」
「なら、私はマジカルバル○ンで援護しよう」
仕方なくいつの間にか復活したC.Cと共にライマーユニーは月下マン・インセクトの破壊に向かった。
支援
204 :
萌は文化:2009/05/13(水) 01:09:45 ID:wvYyETu5
当然魔法少女なので空を飛んでの接近です。
「よーし、マジカル〜♪ 殺虫剤〜♪」
呪文を唱えると約2メートルのスプレー缶が現れた。
ライマーユニーがそのスプレー缶のノズルに手を触れた。
瞬間、
「おいたはいけませんよ魔法少女君」
火の玉がスプレー缶を貫いた。
「熱ジジジ!!」
当然のごとくスプレー缶は爆発。
殺虫剤を使う時は火の気に気をつけましょう。
「ま、まさか!」
C.Cの表情が氷結した。
「お前が出て来るとは……」
藤堂もまた同じであった。
「暗黒ブリタニア皇帝……」
え、と火を消したライマーユニーが月下マン・インセクトの上を見た。
支援
206 :
萌は文化:2009/05/13(水) 01:11:49 ID:wvYyETu5
何故か神父の格好に赤いコートと赤い帽子。
首には十字架の代わりに某赤いカエルの侵略宇宙人の首飾りをしていた。
「暗黒ブリタニア皇帝ディートハルト・ジョージ・中田・名前自重!!!」
「本当に自重しろ!!」
高らかに絶叫するゼロにライマーユニーは全力で叫んだ。
ちなみに名前自重までが名前である。
「予定は大きく狂ったがこうなってしまっては仕方がない。このまま月下マン・インセクトを使い地上を征服してしまおう」
「そうはさせん!」
真・月下マンは刀を抜くとハヤブサのごとく勢いでディートハルト・ジョージ・中田・名前自重を斬りつける。
見事に頭がケーキのように切断された。
「悲鳴をあげろ」
口を開いたのは真・月下マンではなかった。
真っ二つになった顔を左右対照に歪めながら皇帝は笑う。
もちろんCGである。
皇帝は真・月下マンのマスクを鷲掴みにして
「豚のような!」
まるでそれが呪文であったような、真・月下マンのマスクにひびが入った。
マスクだけじゃない。
刀も朽ち、身に纏う和風なスーツまでも何年もかけて風化したようにボロボロになっていく。
「藤堂さん!」
果たしてライマーユニーの声は届いているのか?
支援
208 :
萌は文化:2009/05/13(水) 01:12:51 ID:wvYyETu5
意識どころか生きているのすら疑わしいほど真・月下マンはぐったりとしていた。
「悲鳴をあげろと言ったはずだが」
悲鳴すらあげずに敗れたことが許せなかったのか皇帝は苛立ったように
その腕で真・月下マンの腹を貫いた。
「藤堂さん!」
「真・月下マン!」
真・月下マンからは悲鳴はおろか呼吸すら聞こえなかった。
皇帝は心底つまらなそうに
「悲鳴もあげんか。つまらん」
玩具に飽きた子どものように真・月下マンを投げ捨てた。
「貴様!」
激怒したライマーユニーが皇帝目掛け突撃する。
「何! うわっ!」
だが何者かの妨害によりライマーユニーは弾き飛ばされる。
「フフフ、邪魔はさせんぞ」
全身をマントで隠した姿で新手が登場。
謎の人物はライマーユニーに立ちはだかるように空の上に立っていた。
支援
さるか何かなら代理投下スレ
>>26に落としてもらえれば貼りますよう
「お前は!」
「フッ、私か? 私は暗黒ブリタニア四天王最後の一人。その名も……」
謎の人物がマントを脱ぎ捨てた。
「セクシー千葉だ! キュンキュン〜♪」
刹那、世界が凍った。
演出でも演技でもない。
出演者達の表情が真面目に凍りついたのだ。
まず最初に見えたのはウサミミ、次は大胆な胸元と切れ込みのハイレグ、最後に滑らかな美脚。
何故かバニーガールスタイルの千葉がそこに立っていた。
「………私だって、仕事じゃなきゃこんな格好したくなかった」
場の空気に素に戻った千葉は泣きそうになった。
「えっと………似合ってますよ」
とりあえず気休めしかライには言えなかった。
「ほ、本当か……?」
「は、はい。でもちょっとばかり目のやり場に困りますけど……」
互いに赤面する2人。
「その魔法少女の足止めを頼むぞセクシー千葉よ」
そんな2人を無視して普通に演技を続けるディートハルト。
その辺は流石テレビ局関係者である。
念のため携帯から支援
「チッ、仕方ないか」
こうなったら自分しかいないか、とC.Cが動き出そうとしたその時、
「そうはさせませんよ!」
無数のクナイが飛んで来た。
C.CはそれをバリバリのCGで描写する魔障壁でガードする。
「メイド・in・咲世子! 見参!」
「チィ、厄介な!」
色々とシリアスモード全開で戦う各人。
そんな中、上空から月下マン・インセクトの背の高さと同じくらい巨大なミサイルが飛来して来た。
「来たか。核を吸収した今、月下マン・インセクトは飽和状態にある。この光もまた滅びの光」
細笑みながら皇帝は言った。
「まずい! このままでは!」
ゼロはライマーユニーとC.Cを見るが2人とも目の前の敵だけで手一杯、誰も黙示録のカウントダウンを止められなかった。
ミサイルが月下マン・インセクトに突き刺さった。
瞬間、世界が白い光に包まれた。
続く。
次回予告
ナレーション(カレン)『フレイヤの爆発により地上は崩壊してしまった。地上は? 月下マン・インセクトは? ライマーユニーは? いきなりすぎるハードな展開、これ魔法少女よね? 次回、魔法少女ライマーユニーR2 世界崩壊編 〜 それは魔法少女 〜 お楽しみに』
214 :
萌は文化:2009/05/13(水) 01:32:48 ID:wvYyETu5
今日も行政特区日本は平和だった。
ユーフェミアが行政特区日本を作ったことにより黒の騎士団(っていうかライ)とパイプが繋がり、それが評価されてかなんだかスザクも自分でもよくわからない内にナイトオブラウンズになってしまったわけだがライマーユニーブーム以来これと言って出撃はない。
やることといえばランスロットの調整とユーフェミアの仕事の補佐くらい。
ちなみに何万回も見た狂王のDVDを一緒に見るのも仕事に含まれていたりする。
今日はランスロットの調整だ。
久々にライ関係ではない仕事だと内心ほっとしながらスザクはドアを開けた。
「すみません。遅れまし……」
「あら、スザク君」
何故かライマーユニーのコスプレをしたセシルがいた。
スザクは一旦ドアを閉める。
きっとライマーユニーの見すぎで疲れているんだ。
職業病かな、とスザクは深呼吸をしてもう一度開けてみた。
「どうしたのスザク君?」
夢じゃなかった。
「何してんですかセシル」
「あら、これね」
とセシルは嬉しそうにクルっと回った。
支援
216 :
萌は文化:2009/05/13(水) 01:34:01 ID:wvYyETu5
「実は近々ライ様とライマーユニーの握手会があってそれに着ていこうと思っているのよ」
とセシルは無駄に完全度の高い服を嬉しそうにヒラヒラさせた。
ならば何故今着てる?
セシルさんは良識派だと思っていましたとスザクの心がズーンと重くなった。
「それでそれで、それが黒の騎士団の人の目に止まって私もライ様と共演なんか………キャッ」
完全にトリップしているセシルにスザクは頭が痛くなってきた。
「うう……なんだかロイドさんの方がまともに見えてきた」
「ん〜♪ 僕がどうかしたのかな?」
「あ、ロイドさ………」
絶句。
スザクが振り向くとそこにはセシルと同じくライマーユニーのコスプレをしたロイドが立っていた。
「フフン、どう? セシル君に作ってもらったんだ。僕もファンなんだよねライマーユニー」
「う、うわぁぁぁ!!」
スザクの叫びは行政特区日本どころかブリタニア本国まで届きそうな勢いでしたとさ。
217 :
萌は文化:2009/05/13(水) 01:35:40 ID:wvYyETu5
おまけ
皇帝「ヌァッハハハハあやつめ、やりおったな」
V.V「どうしたのシャルル………ん?」
テレビ『ライマーユニーとはにかみデートを出来るハッピーな人は抽選の結果………なんと! シュナイゼル殿下です。信じられません。ちくしょー! 僕のライマーユニーを!!』
皇帝「ヌァッハハハハ」
V.V「む、息子に取られたんだね」
皇帝「オォォォルハィィル! ブリタァァァニアァ!!」
V.V「お、怒ってる! シャルルが本気で怒ってる!」
テレビ『なんとライ様とデート出来る女性は………ナイトオブシックスのアーニャ・アールストロイムさんです! キッー! 私のライ様が!』
皇帝「オォォォルハィィル! ブリタァァァニアァ!!」
V.V「お、オォォォルハィィル! ブリタァァァニアァ!!」
支援
219 :
萌は文化:2009/05/13(水) 01:38:41 ID:wvYyETu5
以上で終了
代理投下してくださったかたありがとうございました
久しぶりの投下でギャグのノリ、キャラの口調、書き方とか変わってしまって読みずらい、つまらなくなったかもしれませんがまたしばらくお付き合いください
以前ほどのペースはないですが少しずつまた投下を開始する予定なので長い目でお付き合い願います
ではこんな夜中に代理投下、支援ありがとうございました
おつかれさまでした!>219
よくぞまあここまでネタをてんこもりに盛り込めるものだなあと。
映像的にリアルさを追求するためには実物も使わなきゃですね。でも……Gが、Gが襲ってくるよ!
涙目のCCやバニーの千葉さん、中の人を髣髴とさせるセシルさん、咲世子さんetc.……
充実っぷりが半端ないです。
いくら突っ込んでも突っ込みきれない素敵作品、ありがとうございました!
>>219 萌は文化卿、GJでした!
たくさんの月下マンの集まり、「そうか……宇宙とは……(略」のセリフ、テラ真ゲ○ターwww
万を超えるG、完成品は+CG、おぞましい……
ロイドさん、女装しとるんか!
シャルルとV.V.のやりとりもまた相も変わらず面白い。
本編もカオス、本編から少し離れてもカオス、おまけもカオス。
―――我のツッコミが追い付かんだと……!?
貴公の次の投下も全力を挙げて待たせていただきます!
なんか保管庫が完全に止まってない?
毎日投下あるわけでもなく、ましてや日に何本もとうかがあるわけでもない。
だから毎日交信する必要ないじゃないか。
のんびり待てよ。
むしろ今までの更新頻度が異常
もちろん、今までの投下頻度や投下数もね
227 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 00:03:43 ID:xiPzHrqC
青さんついに引退か
仕事のことから仕方ないこととはいえ残念なことになってしまった
青の運命さんに限らずだけれど。
創作って精魂注ぎ込む作業だから、入り込んじゃうとほんとに
仕事や学業、諸々の日常に支障をきたしかねないことにもなると思うのですよ。
読み手は、いつでも待ってます。
でも勝手になんとなくよそ見しながら待ってるだけでもあります。
どうか、無理せず。でもいつか。
作品を拝見できるのを心から楽しみにしています。
投下します。
「タイトル」――Cの世界――
注意事項は一つだけ。
これはCの世界の本編予告を見た自分が、ライを出すならここしか無いだろうと勝手に妄想を炸裂させた話です。
よって、展開は無茶苦茶です。正直、読み返すと有り得ない話ですが自分はあんまり気にしてません。
ですので気にしないで頂けると大変助かります。
実際の所、本編放送までに投下したかったのですが、生来の遅筆さ故投下する機会を逃した為と、放送を見て結局完成させる事無くお蔵入りとした話です。
まあ、景気づけという事でお一つどうぞ。お口に合うか分かりませんがw
では、投下行きます。
――Cの世界――
そこは不思議な世界だった。
『ここは一体……彼奴はあいつは何処に行った……?』
ルルーシュは仮面越しに呟きながら怨敵である皇帝の姿を探るべく辺りを見回した。
すると、ふと遠くの方に黒い"何か"が見えた。それは陽炎の様に虚ろいで見える。
『何だ?あれは……』
当初、それをしげしげと見つめていたが、ゆっくりとではあるが確実に自分の方に近付いて来るのを認めたルルーシュ。その背筋が凍った。
(拙い。あれに近付いては駄目だ!!)
本能的に危険を察知したルルーシュは、咄嗟に距離を置こうと身体を動かすが、
『なっ!?』
その身体はまるで押さえつけられているようにピクリとも動かなかった。
それでも、必死に動かそうとするルルーシュ。
そうしている間にも黒い"何か"はゆっくりと、しかし確実に距離を縮めて来る。
一つではない無数の"何か"。そしてそれが視認できる程まで迫った時、
『っ!!』
ルルーシュは言葉を失った。一体どれだけの数がいるのか分からない。大小様々な人の形をした"何か"。
しかし、その全てに共通するものがあった。
その全身はドス黒く、顔には苦痛・苦悶・憎悪・絶望。あらゆる負の表情を張り付かせていた。
『来るな!来るなっ!!!』
ルルーシュは必死になって逃げようとするが、やはり体は動かない。すると不意に彼の耳元に声が響いた。
「何を怖がっているの?」
◇
(何だこいつは?)
それは突然現れた。子供の背丈に異様な仮面を被った"ソレ"は、幼さの残る声色で語る。
「始めまして、ゼロ。いや、ルルーシュと言った方がいいかな?怖がる事はないよ。ここはギアスに縁のあった存在が最後に来る場所だからね。
予定よりちょっと早いけど、皆君が来るのを待ってたんだよ?ほら、見覚えのある顔も居ると思うけど分からないかな?」
黒い人の形をした多くの"何か"を指差し、酷く冷たい声色を響かせ笑みを浮かべながらも"ソレ"は語る。
「"アレ"は、ギアスを受けて死んでいった者達の末路さ。まあ、中には使い手も混じってるけどね。皆言ってるよ。ギアスが憎いって。君も憎んでるんでしょ?」
『っ!?』
「面白いよね。自ら望んで手にした力を憎むなんてさ。君達のような存在を見るのは……本当に楽しいよ」
目の前にいる"ソレ"は、その幼い顔を歪めてさも愉しそう笑った。まるで全てを見通しているかのように。
『"オマエ"は一体……』
ルルーシュが問い掛けるが、"ソレ"は無視して話続ける。
「おっと、話が逸れちゃったね。本題に入ろうか。君には、彼らの"王"になってあげて欲しいんだ。"彼"には及ばないけど、君もギアスを使って大勢殺したからね。資格は十分にあるよ」
そう一方的に告げると、"ソレ"は、ゆっくりと手を伸ばしゼロの仮面を外そうとする。その時――。
「お止めなさいっ!!」
ルルーシュの耳元に懐かしい声が響いた。ルルーシュがよく知る人物の声。
その声を聞いた瞬間、それまで彼を押さえつけていた何かが消えた。咄嗟にルルーシュは"ソレ"から距離を取り、声がした方を振り向く。
「あなたにルルーシュは渡しません!!去りなさい!!」
「馬鹿な……」
彼の目に飛び込んできたのは、銀色の仮面を付けた屈強な体格をした騎士を従えた彼女、ユーフェミア・リ・ブリタニアの姿だった。
「ユフィ……?何故だ……?」
そこまで言ってルルーシュは思い直した。
先程聞いた事が事実なら、ここにユフィが居るのは納得がいく、と。
暴走したせいとはいえ彼女にギアスを掛けた結果、殺してしまったのは自分自身なのだから。
だが、そこで一つの疑問が残った。その身にギアスを受けて死んだのに、何故ユフィは"アレ"のように黒く染まっていないのか。何故、生前と変わらぬ眩しいまでの姿で自分の前に立っているのか、と。
ルルーシュが仮面の下で思考を回転させていると、"ソレ"は心底ウンザリとした声色で頭を振った。
「ああ、皇女様か。君がここに居るということは…やれやれ"彼"も……」
心底ウンザリとした声色で呟く"ソレ"を見て、ユーフェミアは口元に手を当てるとさも誇らしげに言った。
「ええ、直に参られますわ。私は逃げた方が良いのではないかと思うのですが?」
そんなユーフェミアを尻目に、顎に手を当てた"ソレ"は何かを考えるように押し黙る。
すると突然、控えていた騎士が剣先を"ソレ"に向けると言い放った。
「ユーフェミア様!お下がり下さい!」
「私なら大丈夫ですわ、"将軍"。それよりもルルーシュを」
「ハッ。殿下、私の後ろに」
将軍と呼ばれた騎士はルルーシュを庇うように"ソレ"の前に立ち身構える。
「ルルーシュ、大丈夫ですか?」
『本当にユフィ……なのか?』
「あら、失礼ですね。ですが、詳しい話は後です。今は"アレ"から離れないと……」
そう彼女が言いかけた時、突如として黒い"何か"がルルーシュ達を囲むように動き出した。
「ハァ。どうやら、そう簡単には逃がしてくれないみたいですね」
「いえ、姫様。これは……」
不満そうに語るユーフェミアに対して、いち早く状況を理解した騎士が言葉を紡ぎかけた時、幾分か冷静さを取り戻したルルーシュが遮った。
『陣形を取っている?…この形は…方円か?』
「お気づきになりましたか、殿下。…流石は――」
騎士が言葉を続けようとしたその時、突然空間に地鳴りのような音が鳴り響いた。
「どうやら間に合ったようですな」
騎士は心底安堵したかのような声色で呟くと視線を彼方に向ける。
「あら?私は信じていましたよ?」
ユーフェミアはあっけらかんとした口調で言い騎士と同じく視線を彼方に向けると、ルルーシュもつられるように二人の視線を追った。
彼等の視線の先に居たのは、光り輝く騎兵の一団だった。
凄まじい速度で真っ直ぐルルーシュ達の元に向かって来る。
先頭を駆けるのはその身に銀色の鎧と具足を纏い蒼い外套を翻す騎士の姿だった。
不意にその騎士が剣を掲げる。
すると、それに呼応するかのように後に続く騎士達も各々が持つ武器を掲げると、掲げられた武器達が一層の光を放つ。
『…っ!』
その光景にルルーシュは思わず息を飲んだ。光を背に受けた蒼い騎士の姿が、余りにも幻想的で壮麗な姿だったからだ。
やがて、数多の雄叫びと共に一団の形が変わっていく。彼らは行く手を阻む黒い"何か"に対抗するかのように陣形を組み立てていく。
ルルーシュは心の内で呟いた。
(あの陣形は…偃月?ということは、やはりあいつが指揮官か)
【偃月】
それは指揮官が自ら先陣を切り、敵部隊を精鋭でもって切り裂く。一点突破の陣形。
故に先頭を駆ける者には多大な危険が伴う事となるが、見返りとして配下の士気はこれ以上無い程に高まる。
ルルーシュは咄嗟に思った。
(凡庸な者が組める陣形では無いな。何よりも、俺と同じ考えを遥かに危険な状態で実践するとは)
――王が動かねば、部下は付いて来ない――
それはルルーシュの持論。それを実践するために、彼自身、自ら先陣を切った事など幾らでもある。
ナリタで、埠頭で、キュウシュウで。総領事館では自らの姿を晒し敵を挑発もした。
しかし、それが出来たのは自身を守る強固な鎧、NMFがあったからだ。
挑発にしても、その時の状況や相手の性格、行動パターンなどをその天才的な頭脳を駆使し導き出した結果の上での行為。絶対的な自信があった上での事。
対するあの蒼騎士はどうか。彼を護るのはナイトメアと比べると余りにもお粗末な…紙に等しき鎧一つ。
それでも、蒼騎士が他者に先頭を譲る気など微塵も無い様子だった。
ルルーシュが心よりの賞賛を騎士に送っていた時、不意に"ソレ"が呟いた。
「やれやれ、随分と早かったね。まあ、いいか。ルルーシュ、近い未来に君とはまた会う事になる。どうせ手に入れるなら肉体ごと。完璧な状態が良いからね」
『何?どういう意味だ!?』
ルルーシュは問い詰めるようと身を乗り出すが、銀色の騎士が背を向けたまま行く手を阻むかのように立ち塞がった。
「殿下、この者の言葉に耳を傾けてはなりません!」
「ルルーシュ、落ち着いて下さいね」
厳しい口調で依然として警戒の念を解く事の無い将軍。しかし、一方でこの状況に対して落ち着き過ぎているユーフェミアを見てルルーシュは苦言を呈す。
『ユフィ!お前は落ち着き過ぎだっ!』
が、生来マイペースだった彼女にそれは無茶だと言うものだ。
「あらあら、慌てん坊な所は変わってないですね」
嬉しそうに微笑むユーフェミア見たルルーシュは、主導権を握られてしまっている事に気付くと思わず肩を落とした。
◇
そんなルルーシュ達の後ろでは戦いが始まっていた。
騎士達はまるで黒い壁のようになった"何か"を打ち破る為に武器を振るい、切り裂いていく。それは圧倒的な突破力だった。
黒い"何か"は打ち崩される度に、この世のモノとは思えぬ声を上げながら倒れていく。
ついに、一人の騎士が壁を打ち破った。蒼いマントを纏った、先頭を駆けていたあの騎士だ。
騎士はルルーシュ達には目もくれず"ソレ"に対して斬撃を繰り出すと、避ける間もなく"ソレ"は首を撥ね飛ばされた。
だが撥ね飛ばされたにも関わらず、"ソレ"は無邪気な子供のような声色で言った。
「時間だね、ルルーシュ。今度は君の世界で会おうよ」
そして、言い終えると唐突に消えた。すると、同じくして黒い"何か"も姿を消した。
後に残ったのは、馬の嘶きと勝ち鬨を上げる騎士達の姿だった。
「やれやれ、無事で何よりでしたな。」
ルルーシュ達を護っていた屈強な騎士はそう言うと、顔を覆っていた仮面を外す。
その素顔を認めたルルーシュは思わず叫んだ。
『っ!ダールトン!?』
アンドレアス・ダールトン。コーネリアの側近中の側近だった男。
『何故、俺を助けた?』
ルルーシュが震える声を抑えながら問うと、問われたダールトンは豪快に笑いながら言った。
「ハッハハハハ!理由など知れた事です。あなた様が、姫様の異母弟であらせられるからに決まっております」
その言葉にさしたる驚きもなくルルーシュは言った。
『知った…のか……』
「はい、全て。しかし驚きましたぞ。姫様と我々を幾度となく窮地に追いやったあのゼロが、まさかルルーシュ殿下でしたとは。いや、今となっては納得出来る事ではありますな。
まあ、武力ではなく智力に秀でておいでのようですが。流石は閃光のマリアンヌと呼ばれたマリアンヌ皇妃の血を引く御方」
言い終わるとダールトンは満足げな表情を浮かべた。だが、それも一瞬の事。すぐに真剣な顔つきに戻すとユーフェミアに向き直った。
ルルーシュが震える声を抑えながら問うと、問われたダールトンは豪快に笑いながら言った。
「ハッハハハハ!理由など知れた事です。あなた様が、姫様の異母弟であらせられるからに決まっております」
その言葉にさしたる驚きもなくルルーシュは言った。
『知った…のか……』
「はい、全て。しかし驚きましたぞ。姫様と我々を幾度となく窮地に追いやったあのゼロが、まさかルルーシュ殿下でしたとは。いや、今となっては納得出来る事ではありますな。
まあ、武力ではなく智力に秀でておいでのようですが。流石は閃光のマリアンヌと呼ばれたマリアンヌ皇妃の血を引く御方」
言い終わるとダールトンは満足げな表情を浮かべた。だが、それも一瞬の事。すぐに真剣な顔つきに戻すとユーフェミアに向き直った。
「しかし、ユーフェミア様。王が間に合ったから良かったようなものの、このような無茶はこれっきりにして頂きたいものですな」
幼子を咎めるような口調。だが、ユーフェミアは特に気にした様子もなく逆に惚けたような表情で聞き返した。
「あら、将軍はあの方が間に合わないと思っていたのかしら?」
「そ、そのような事は決して!」
思わぬユーフェミアの反撃に、歴戦の猛将は大層慌てた様子でいると、ユーフェミアは屈託の無い笑顔で微笑んだ。
「ユーフェミア様!このダールトン、姫様の名に懸けて誓います。ですから、そのような事は王には……」
二人のやり取りを見ながらルルーシュは思った。
(変わっていない。あの頃のユフィのままだ。だが、だからこそ、どうしても聞かなければならない事がある)
ルルーシュは、意を決すると恐る恐るその言葉を口にした。
『ユフィ、君は何故変わっていない?ダールトン、お前もだ。俺は"アレ"からこの場所の事を少しだが聞いた。あの黒い人の形をした存在についても。何故お前達は昔のままなんだっ!?』
歴戦の猛将は大層慌てた様子でいると、ユーフェミアは屈託の無い笑顔で微笑んだ。
「ユーフェミア様!このダールトン、姫様の名に懸けて誓います。ですから、そのような事は王には……」
二人のやり取りを見ながらルルーシュは思った。
(変わっていない。あの頃のユフィのままだ。だが、だからこそ、どうしても聞かなければならない事がある)
ルルーシュは、意を決すると恐る恐るその言葉を口にした。
『ユフィ、君は何故変わっていない?ダールトン、お前もだ。俺は"アレ"からこの場所の事を少しだが聞いた。あの黒い人の形をした存在についても。何故お前達は昔のままなんだっ!?』
すると、ルルーシュの問いを聞いたユーフェミアは少し困った様な顔をした後、言った。
「その仮面を取ったら答えてあげます。これから話す事は、ゼロではなく、ルルーシュ。貴方に向ける言葉なのですから」
ユーフェミアの交換条件とも取れる言葉に、ルルーシュは悩んだ。
(今の俺の顔は、ギアスに対する憎しみで歪んでいる。そんな顔を、ユフィに見せる事が許されるのか?)
仮面の下で歪んだルルーシュの顔に苦悩の色が浮かぶが、それを知ってか知らずかユーフェミアは続ける。
「けれど、もう貴方はその言葉を聞いているはずですよ?何でしたら、もう一度聞いてもらいましょうか。ええ、それがいいですね」
何やら一人結論を出しているユーフェミア。ルルーシュが何か言おうとしたその時、
「ルル……」
声が聞こえた。二度と聞く事が出来ないと思った声が。
その声を聞いた瞬間、ルルーシュの身体はこれ以上ない程に震えた。
ゆっくりと声がした方を振り向くと、そこに居たのは彼が想像した通りの人物の姿だった。
「シャーリー、なのか……?」
「うん」
その答えを聞くや否やルルーシュは駆け寄ると抱き締める。
シャーリーもまた、ルルーシュの背中に手を回す。
『済まない…済まない…シャーリー……』
「もうっ……そんなに謝らなくてもいいのに…」
シャーリーは少し困った表情を浮かべながらも、ルルーシュの仮面に手を添えてゆっくりと外していった。
露わになるルルーシュの顔。
それは憎しみに歪みながらも、彼女に再び会えた事への喜びか。あるいは申し訳なさから来るものか。大粒の涙を零していた。
「酷い顔だね」
そうは言いつつも、シャーリーの表情は慈愛に満ちていた。
その後、二人が何を話したのか。それは他の者達には分からなかった。
だが、話終わった後のルルーシュの表情はとても落ち着いたものだった。
◇
「仲睦まじいですね」
コロコロと笑いながら告げるユーフェミアに対して、それまで抱き合っていたルルーシュとシャーリーはパッと離れた。
「ユ、ユーフェミア様!」
顔を真っ赤にしながら抗議の声を上げるシャーリー。ルルーシュも後に続こうとした時、ユーフェミアの後ろに居た騎士団から歓声が揚がった。
同時に、彼等が左右に分かれると出来上がった道を軍馬に跨ったあの蒼騎士が悠々と歩みを進めると、騎士達は鐙を外して最大限の敬意を示す。
やがて、蒼騎士はルルーシュ達の眼前まで来ると手綱を引いて歩みを止めた。
ルルーシュは呟くように問う。
「お前が指揮官か……」
だが、蒼騎士は何も答えない。
騎士はダールトンや他の騎士達と同じく銀色の仮面被っておりその素顔を伺い知る事は出来なかった。
だが、仮面より覗く蒼い瞳は物言いたげにルルーシュを見つめていた。
「助けてくれた事に感謝する。だが、お前は一体何者だ?」
だが、相変わらず蒼騎士は何も答えない。
「何とか言ったらどうだ?」
「ちょ、ちょっとルル!」
苛立ちを隠し切れない態度を見せるルルーシュに焦ったシャーリーが宥めようとすると、直ぐ傍に控えていたダールトンが些か慌てながら告げた。
「殿下。陛下はお言葉をお持ちにはなりません」
「言葉を持たない?」
ルルーシュは大層驚いた様子で瞳を見開くと、再び蒼騎士に向き直る。
すると、ルルーシュの瞳に映ったのは剣先を彼方へ向けた蒼騎士の姿だった。
怪訝に思いながらもルルーシュが視線を向けると、その先には天上より差し込む一筋の光がある一点を照らしていた。
シャーリーが背中を押す。
「行って。ルルにはやる事があるんでしょ?」
「しかしっ!」
「私なら大丈夫だよ、ね?」
微笑みながら告げる彼女を見たルルーシュは暫しの間押し黙る。
が、遂に意を決した彼は再び蒼騎士に向き直った。
「……シャーリーを、皆を……頼む」
ルルーシュの願いにも王は相変わらず何かを語る事は無かったが、瞳を僅かに緩ませると小さく頷いた。
その時、ルルーシュの胸中に湧いたのは、安堵。
何故かは分からなかった。だが、その仕種は何故かルルーシュを安堵させた。信頼出来ると。
やがて、後ろ髪引かれる思いを懐きながらもルルーシュは光差す場所へ歩き出す。
光の中まで進むと、ルルーシュは最後に一度だけ振り返った。
すると、その視線の先にあったのは笑みを浮かべて見送るシャーリーとユーフェミアの姿。
その姿は次第に朧気になり…遂には消えた。
◇
ルルーシュを見送った後、ユーフェミアは意気揚々と告げた。
「それでは私たちも参りましょう!」
すると、回りに居た騎士達から一斉に笑い声が起こる。
「これではどっちが王か分からんな」
「ハハハッ!全くだ」
「この場合は女王とお呼びするべきか?」
各々、何とも勝手な事を言い合っているが、当の蒼騎士は気にした様子も無く、変わりに物言いたげに瞳を細めるがユーフェミアが笑みを崩す事は無かった。
「あら、私は誰かさんとは違って貴方が来て下さると信じてましたから」
「ユ、ユーフェミア様!」
慌てふためくダールトンを尻目に、ユーフェミアは首を傾げた。
「いけませんか?」
悪びれた様子を見せないユーフェミアを見た蒼騎士は諦めたのか、瞳を閉じるとやれやれといった様子で頭を振った。
再び問うユーフェミア。
「貴方から見て、現世の王はどう映りました?」
その問いに、蒼騎士は僅かに瞳を緩めるのみであったがユーフェミアにはそれだけで十分だった。
やがて、蒼騎士は手綱を取り背後に控える騎士達に向けて剣を高々と掲げると、
「「「Yes, Your Majesty!!!」」」
騎士達は頼もしい声で応じた。
それを聞いた蒼騎士は軍馬の腹を軽く蹴り駆け出す。
銀色の髪を靡かせて、仮面の下で言葉を紡ぎながら。
――また会おう。ルルーシュ――
以上、投下終了!
……あれ?何か文章が重なってる……すいません……。
変だな?色々とお目汚ししましたorz
楽しんで頂ければ幸いです
それではノシ
言い忘れてた。
ライという名称は出てないですがご勘弁を。
あくまで本編に出るならって事で書いたので。
それと、黒い"何か"はスザクのショックイメージの際に出たアレを想像して頂けると助かります。
で、"ソレ"は本編予告時に一瞬だけ出た変な仮面です。
当時はアレがラスボスなのだと本気で信じてました……。
こうして注意書きしないといけない点を考慮しても、やはり没ネタだなぁとしみじみ思ったりする今日この頃……。
乙です
なんと言いますか。摩訶不思議な感じで、読んでて楽しい、面白い
というよりは奇妙で、でも引き付けられる。という感覚に陥りました
とにかく、GJ以外は言えないです
ユフィが出て来たあたりから早々に泣けて来ました。
そうか、ダールトンか……彼にも理解してもらえたら、いいなあ。
蒼い騎士との遭遇、涼やかで、ささやかなさまが美しくて。
最後の呼び掛けがなんだか響きました。
GJでした。面白かったー
俺も最初Cの世界でユフィとシャーリー、マリアンヌとルルーシュ、スザクが邂逅するシーンがある(そしてあわよくばユフィとシャーリーが生き返る)と信じてた。
それをライを交えてかたちにした卿には敬意と賛同とGJを送りたいです。
>>241 GJです!
何も言わず、それでいてかなりの存在感をかもしだす蒼い騎士王。
読んでいて言葉では言い表せない感情を覚えました。 無論、いい意味で。
なるほど、これは面白い。
映像としても見てみたいなぁ、と思える作品でした。
246 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 23:02:38 ID:aXD4F0cA
アニメをまた見ているのですが、ロスカラやSSを見てからだと、どうしてもライを探し、いてくれたらと想像してしまいます。
お久しぶりです。KOUSEIです。
すでに、過去の産物すぎてお忘れの方が多いと思いますが、前回の続きを投下させていただきたいと思います。
シーン11『シャーリー』Aパート
実を言うとね、私には好きな人が二人いたの。
一人はもちろんルル。そしてもう一人は……銀の髪がよく似合う、とても神秘的な人。
でも……、やっぱり私はルルの方が好きかな。
だって、こんなに彼を救ってあげたいと思えるから。
自分の事より他人の方が大切だと思えるのは、やっぱりルルだけだから。
だから、最後にルルに会えてよかった。満足だった。本当だよ。
でも、許されるなら。ほんのちょっぴり、わがままを言ってもいいなら。
もう一度だけ、どこかにいってしまった神秘的な彼に会いたかった。
会って、せめてさよならって言いたかった。
だって、彼は本当に優しくしてくれたから。私にも、そしてルルにも、みんなにも。
だから最後ぐらいは、ありがとう、って言いたかった。
未練があると言えば、それぐらいかな。
○
視界に映る現実を否定しながらも、ロイはある予感をもって歩を進めていた。
アーニャとのお詫びデート。その最中の出来事だった。商店街を私服で歩いていたロイとアーニャは、突如発生した大量の煙に四方を囲まれた。
民衆より幾分かは冷静に状況を判断できたロイは、混乱する人々を先導しながらも、素早く煙の幕を抜け出した。安全地帯と思える商店街の外に避難すると、その先には、消防隊や警察の指揮を執っている私服姿のスザクがいた。
スザクは軍服ではなく私服姿だったので、任務で呼び出されたというよりは、たまたま近くにいて、騒ぎを聞きつけて、駆けつけてきたのだろう。
ロイは迷わず、スザクに近寄っていった。
最初、スザクは冷静に指示を出しているようだった。だが、ある警備員風の男が近寄ってきて、スザクになにやら耳打ちすると、
「!? なぜちゃんと見ていてくれなかった!」
と、急に大声を出して、それから、目に見えて狼狽し始めた。
「スザク」
ロイが声を掛けると、スザクはすぐにこちらの姿を見つけた。
「ロイ、それにアーニャ!? 何でここに? ……いや、ちょうどよかった」
スザクは、ロイの両肩を掴むと、すがりつくように懇願した。
「シャーリーを探してくれ!」
話を聞くと、スザクはこの商店街でシャーリーと会っていたらしい。白い煙が商店街を包んだとき、スザクはシャーリーを安全な場所に避難させ、そして彼女を、近くにいた警官に預け、警察と消防の指揮を執るために別れたらしいのだが、
なぜか、そのシャーリーは、警官を振り切って商店街の方に戻ってしまったらしい。
事情を聞いたロイは、アーニャと共にすぐに商店街へ引き返し、シャーリー・フェネットの捜索を開始した。
アーニャと別行動をとり始めてから五分もしないうちに、ロイは商店街に響く銃声を耳にした。
嫌な予感がした。
銃声が響いたビルに見当を付けて、ロイはコンクリートの階段を駆け上がった。そのビルにはサクラダイトを動力源とした最新のエレベーターが設置されていたが、なぜか起動していなかった。
息も切らさず、ロイは飛ぶような速さでビル中をかけずりまわる。
一階、二階、三階、
銃声を聞いてから五分後。ロイはその場――四階の踊り場にたどり着いた。そこから二十メートル程離れた場所に、赤い絨毯とその上に置かれた“何かが”見えた。
ロイは怪訝に思って目を細めた。そして、大きく息を飲んだ。“何かが”ではなく“誰かが”、という言葉の方が正しいと気づいたのだ。
あたりを警戒しつつも、ロイは吸い寄せられるようにその“誰か”に近づいた。悪い予感は、先ほどよりも心の中で大きく広がっていた。
一メートル、二メートル、三メートル、
近づいて、近づいて、やがて、
心臓が凍りついた。
「シャーリー、シャーリー・フェネット……」
呟くと同時にロイは認識した。赤い絨毯に見えたものは、湖のように広がった血液。そして……その上で眠り姫のように安らかな顔を浮かべているのは、自分の友達だった。
数秒の思考停止の後、ロイは跳ねるような動作でシャーリーの傍に膝をついた。その時、買ったばかりのジーンズが床の血で汚れたが、そんな事は一向にかまわなかった。
ロイの行動は素早かった。慣れた手つきで、変わり果てた友達の細い首と、腕の脈を確認する。
「ッ」
小さく呻き、次にロイは安らかに眠っているような彼女の顔に手をやって、まぶたをグイッと強制的に開かせ、眼球を覗き込んだ。
「……」
“確認”を終える。ロイは唇を噛み、こぶしを小さくふるわせた。そして、床に――血の池にその拳を叩きつけた。同時にネットリとした液体が鈍重に跳ねて、拳を赤く染めた。
その時、ロイの懐からリズムの良い音楽が鳴った。
しばらく、ロイは反応しなかった。だが、携帯はしつこく鳴り続ける。やがて彼は血まみれになった手で懐を探り、携帯電話を取り出した。
携帯は小刻みに震えていた。それは自分の手が震えているのか、バイブの機能によって揺れているのか、ロイにはよく分からなかった。
『ロイ。今、どこ?』
電話の相手はアーニャだった。珍しく呼吸が乱れているのと、電話越しに足が地面を叩く音が聞こえてくる。どうやら、彼女は今も全力で走り回っているようだった。
ロイはアーニャの質問には答えなかった。ただ、こう伝えた。
「アーニャ、シャーリーを見つけた」
『本当?』
電話越しの足音が無くなった。どうやら、アーニャは足を止めたようだった。
『なら、スザクに連絡』
「それは僕がする。君はすぐにスザクの所に戻るんだ」
『えっ』
アーニャの返答を待たずに、ロイは電話を切った。次いで、携帯を持った手と腕を地面に向けて、だらんと垂らした。
「……」
ロイはシャーリーを―ーシャーリーだったものを見た。
血の池に浮かぶその表情は、どこまでも安らかだった。しかし、もうその顔は動かない。ロイが、そして他の友人達がどれだけ望もうとも、
シャーリーの笑顔は、泣き顔は、怒り顔は、そのほかの彼女の魅力的な表情は、
もう、見れない。
「シャーリー……」
いつの間にかロイは泣いていた。歯をくいしばって泣いていた。
自分でも驚く程の悲しみが体の奥から――底から溢れてくる。今のロイの弱々しい理性では止めようがなかった。
「シャーリー……」
それから何度も、ロイは帰らぬ友人の名を呟いた。
○
十字架が規則的に並ぶ静かな墓場で、葬儀はおごそかに行われた。
「……」
全てを済ませ、政庁に帰る車の中。式に出席したラウンズの四人は終始無言だった。
「くそったれ」
政庁に帰ってくるなり、第一声を発したのはジノだった。自販機が並ぶ休憩室、その壁に拳をぶつけて、彼は悔しそうに歯を鳴らした。
「……」
ロイはそんな同僚の憤りを横目に、冷たい缶コーヒーを握りしめていた。その瞳から、もう涙は出ていない。
「あんな良い子が、何で死ななきゃならない。何で……」
ジノは答える相手のいない問いかけを続けていた。その他の三人は皆一様に、視線を落としていた。
だれだって、なぜ彼女は死ななければいけなかったのか、なんて分からないのだ。いや、ロイだけは違った。ロイだけはある答えにいきついていた。
(僕のせいだ……)
ロイは缶コーヒーを握る手を強めた。スチール製の缶が軋みをあげて不格好な形になる。幸い、中身はもうほとんど残っていなかったので、コーヒーがあたりに飛び散る事はなかった。
(僕がもっと早く彼女のもとに駆けつけていれば、こんな事には)
あの日から、ロイはその事ばかり考えていた。
銃声を聞いてからロイがシャーリーの場所に辿り着くまでに要した時間は約五分。距離と現場の条件を考えてみても、この五分というのはむしろ、素早く駆け付けた、と言える時間である。
しかし、それでもロイは自分を責めた。
もっと早く駆けつけられたら、
銃声を聞く前にシャーリーを発見できていたら、
それは、ほとんどゼロに近い可能性だった。しかし、ロイはそれをどうしてもゼロだと思うことができなかった。
(僕が……僕がもっと早くに……)
「悪い顔してる」
不意に、傍に座っていたアーニャが言った。彼女は体半分だけロイに近寄ると、強く握りしめられたロイの両手に自分の手を重ねた。
「シャーリーが死んだのは自分のせい。そう思ってる悪い顔」
「……」
ロイは黙って唇を噛んだ。アーニャは少しだけ顔を傾けて、俯くロイの顔を覗き込んだ。
「責任があると言うのなら、それはあの場にいた全員に言える事。ロイだけのせいじゃない」
「その場にいなくたって、責任はあるさ」
ジノが言った。
「俺達の任務の中には、エリア11の治安維持も含まれている。あんな事件を起こされた時点で、俺はナイトオブスリーとして責任を感じずにはいられない」
ジノはうっとうしそうに前髪をかきあげ、その髪をギュッと握りしめた。青い瞳が様々な感情に染まって揺れていた。
「油断していた。黒の騎士団が去ったから、もう大した事件なんて起きないと思っていた。それが、この結果だ……畜生」
この時、黒の騎士団の国外退去にしたがって、エリア11の警戒ランク下げる事が三日前に採択されたばかりだった。
これが議題に出されたとき、その会議に出席していたラウンズの四人はだれも反対しなかった。
ゼロがエリア11にいなくなって、もうかなりの日数が経っていたし、それに何より、今のエリア11にはゼロに警戒する以外にも、力を注がなければならない事はいくらでもあったからだ。
「そうは言っても、過ぎた事は仕方がない」
アーニャが小さいながらも、よく通る声で言った。
「……」
ロイとジノは、アーニャに複雑な視線を向けた。男二人のまなざしが悲しげなのは、別にアーニャの発言に不満を持ったわけではない。誰かが言わなければいけない事を、この場にいる最年少の少女に言わせてしまった、その後ろめたさがあったからだった。
それを感じてか知らずか、アーニャは言葉をつづけた。
「今回の事件。まだ、犯人か分かってない。その目的も分かってない」
間をおいて、銀髪と金髪が持ち主の頷きにしたがって微細に揺れた。二人に応えるように、アーニャも頷いた。
「私たちがシャーリーのためにできること、それは事件を解明し、犯人を捕まえる事。それだけ」
「そうだね」
「ああ、アーニャの言う通りだ」
三人が新たな決意を胸に、視線を交わらせた。その時、
「犯人は黒の騎士団だ」
そう断定したのは、今まで黙っていたスザクだった。彼は普段の青ではなく、黒のマントを揺らしてゆったりとした動作で立ち上がった。
同僚三人は、そろってスザクに顔を向けた。
「犯人は黒の騎士団だ。間違いない」
再度のスザクの言葉に、本人以外の三人は顔を見合わせた。代表して、ロイが一歩前に出た。
「その根拠は?」
「根拠だって?」
スザクの言葉には明らかな苛立ちがあった。
「それは、君がよく知ってるんじゃないのか」
言われて、ロイは眉間に軽いしわを寄せた。
「それは、どういう意味だい?」
「今まで黙ってたけど……シャーリーの死因は自殺なんだ」
『!』
ロイとジノが目を見開き、アーニャは片眉を上げた。
「それは……、それは本当なのかい?」
「信じられない」
ロイとジノは驚きを隠せなかった。二人とも、シャーリーとは生徒会つながりで面識があるぐらいで、そんなに長い付き合いをしてきたわけではない。だが、それでもシャーリーが自殺などする子ではないという認識は共通して強く持っていた。
「本当だよ。シャーリーは自分で銃口を腹に押し付け、そして自ら命を絶った」
スザクは暗い表情で言ってから、ロイに近づいた。
「信じられない事だ。シャーリーは――彼女は自ら命を絶つような子じゃない。しかし、司法解剖の結果は……」
ギリッとスザクの歯が鳴り、肩が微細に震えていた。それらの仕草全てが、シャーリーの司法解剖の結果を物語っていた。
スザクは、ロイの目の前で足を止めた。
「ロイ、君なら分かるんじゃないのか」
グッと近寄られて、ロイは思わず背をのけ反らせた。
「分かる? 何が?」
「自殺でないシャーリーを、自殺に見せかける。そのカラクリをだ」
そんなの分かるわけがなかった。そもそも、シャーリーの死因が自殺だというのも、初耳だったのだ。
戸惑うロイに、スザクは容赦なく質問を続けた。
「嘘をついてるんじゃないのか、君は」
「ちょっと待ってくれ。カラクリなんて僕には分からないし、それに……嘘、って何? どういう――」
バッ、と急にスザクの腕が伸びてきた。突然の事で反応できなかったロイは、あっさりと胸ぐらを掴まれた。
「おいおいっ!」
スザクの行為を咎めるようにジノが声を荒げた。スザクはそんなジノを無視した。
「答えろロイ。今回の事に君は関与しているんじゃないのか」
ロイはハッとしてスザクを見た。くせ毛のある栗色の髪の下には、敵意の表情があった。
まさか、とロイはとある予想に思い当たって愕然とした。
「も、もしかして、僕を疑っているのか!?」
「……」
スザクは答えなかった。ただ刺すような眼でロイを見ていた。
同僚からのあんまりな疑惑に、ロイは言葉を失った。なぜそんな事を疑われなければならないのか、ロイには理解できなかった。
「どうして、そうなるの」
ロイの気持ちを代弁するように、アーニャが前に出た。
「そもそも私たちにシャーリーの捜索を頼んだのはスザク、あなた」
「そうだぞスザク」
当然、ジノもロイを擁護する。
「大体、何でロイがシャーリーを殺す必要があるんだ。いくらロイが第一発見者だからって、その疑いはあんまりだ」
そう二人に言われても、スザクはロイの襟を握る力を緩めなかった。
ジノの声が更に荒くなる。
「スザク! お前いい加減に――」
「……答えてくれ、ロイ」
ジノの怒声に、スザクの呟きが重なった。声量でいえば明らかに前者の方が大きいのだが、なぜかロイの耳によくとどいたのは後者の方だった。
「あの日、シャーリーの死を目撃したあの日。君はずっとロイ・キャンベルだったと言えるか?」
ロイは意味が分からなかった。何かの冗談かとも取れる質問だが、スザクの顔はどこまでも真剣だった。
「答えろ!」
襟の締め付けが厳しくなる。ロイは呻き声を混じらせながら答えた。
「そ、その日だけじゃなく、皇帝陛下からキャンベルの性をいただいた日から今日まで、僕はロイ・キャンベルだ。例外は無い」
「……その言葉、シャーリーの墓前に誓って嘘偽り無いと言えるか」
頷こうとしたが、スザクが襟を掴む力が強すぎてできなかった。仕方ないので、ロイは声だけで答えた。
「もちろんだ」
それでも数秒間、スザクはロイを開放しなかった。彼は吟味するようにロイの顔を見つめ、ほどなくして、
「分かった」
と言って、手の力をゆるめた。
ロイの体が数センチ落下した。着地すると同時に、数歩後ろにふらつき、ついでに何度かせき込んだ。
アーニャは、そんなロイに駆け寄って背中を支えた。
ジノは、スザクに厳しい顔を向けた。
「お前なぁ」
「……」
スザクは黙って背を向けると、そのまま喪服のマントを揺らして歩きだした。
「話は終わってないぞ!」
ジノはスザクの肩に向けて手を伸ばした。しかし、意外にスザクの歩くスピードが速く、ジノは目測を誤って、その長い手を腕は空振りさせてしまった。
「おい! 待てって」
再度、ジノはスザクに腕を伸ばした。だが、
「ジノ」
とロイに言われて、ジノは手を止めた。
その間に、スザクは早足で廊下の角を曲がり、姿を消してしまった。
「なに、あれ」
アーニャが、スザクの消えた曲がり角のあたりを睨みながら言った。
「アーニャ、そう言ってあげないでくれ」
ロイが言うと、アーニャは不思議そうな表情で見返してきた。実際に疑われたのはロイなんだよ、とでも言いたそうな顔だった。
ロイは乱れた襟を整えながら、
「きっと、スザクは混乱してるんだ。無理も無いよ。この四人の中では、スザクが一番シャーリーと仲がよかったから……」
そう言われてしまうと、ジノとアーニャは何も言えなかった。
ただ、ロイのこの言葉には、自分にそう言い聞かせる、という意味合いも含まれていた。まともに受け止めるには、親友の疑いはあまりに悲しすぎた。
疑う、というのは可能性があると思われたという事だ。
つまり、スザクにとって、ロイ・キャンベルというのはシャーリーを殺す可能性がある男、というわけである。
正直、ロイはかなりショックを受けていた。そんな疑惑など入る余地のない友情を、ロイはスザクと築いてきたと思っていた。
「僕は大丈夫だから」
ロイは笑顔で二人に言う。
ただ、ロイ自身だけが、その笑顔が嘘であると知っていた。
○
自室に戻る、というロイと別れて、ジノとアーニャも自室に戻るために並んで廊下を歩いていた。
「なぁ、どう思う?」
ジノがふいに尋ねた。
「何が?」
アーニャは携帯電話に視線を落としながら応じた。
ジノは前から感じていた心配事を打ち明けた。
「以前から……というかこのエリアに来る時期に前後して、どうもロイとスザクの関係がギスギスしてきたと思わないか?」
「……そうかも」
アーニャも素直に同意した。考えていることはどうやら一緒だったらしい。
ロイ・キャンベルと枢木スザク。兄弟機と言える“クラブ”と“ランスロット”をそれぞれ操り、ブリタニアの敵国であるEUからは“ブリタニアの二本槍”とまで恐れられたコンビである。
その連携は親密にして緻密、豪快であり繊細、最強のナイトオブラウンズであるナイトオブワンに、あのコンビは敵に回したくない、とまで言わしめた。
二人は仲も良かった。大抵ジノもそこに混ざったが、ロイとスザクはよく遊びにもいったし、二人のコミュニケーションをとる雰囲気には、出会って一年も経っていない時期でも、昔からの知り合いだったかのように思える程、温かみがあった。
しかし……、どういうわけか、今はそれがない。
特にこのエリアに来てからロイとスザクは意見の相違が多く、会話にもささくれが生じてきたように、ジノは感じていた。
挙句にさきほどの一件である。
「なぁアーニャ。ロイとスザクの仲がああなった理由みたいなのを知らないか?」
とりあえず支援
アーニャはしばし指の動きを止めて考えていたが、結局は首を横に振った。
「そっか……」
ジノは頭の後ろに腕を回した。
「昔は普通に仲がよかったんだが、ここ最近は、さ」
ジノは天井に視線を移した。
以前から――このエリアに来る前でもロイとスザクのケンカ、というか口論は、大小あれどあるにはあった。殴り合いに発展しかけた事も何回かある。
しかし、それらはお互いの発展を願うような、いたわりからくる延長上のようなものだった。大切な相手のためにあえて口論になったり、殴り合いになったりする。そんな喧嘩は放っておいてもいつの間にか仲直りするので、ジノも今まで大して気にした事はなかった。
でも、さっきのは違う。
敵。
信じたくはないが、スザクはロイの事をそのような目でみていた。
「以前のように、みんなで仲良くできたらいいんだけどな」
「みんな仲良く、なんていうのは不可能」
アーニャが意外な反論をした。ジノが驚いて顔を向けると、アーニャは携帯に視線を向けていた。
「特に、自分の苛立ちを他人にぶつけるような奴とは」
つまり、スザクの事か。と理解して、ジノは深いため息をついた。
今さらだが、アーニャはロイの事が好きだ。おそらく、愛してもいる。
アーニャは自分の事以上にロイが大切なのだ。だから、ロイに危害を加えるものには無条件で敵意を抱く。
ただ、それはとてもマズイ事なんじゃないか、とジノは以前から抱いていた不安を、改めて強く感じ始めていた。
ジノは、アーニャの横顔を見つめる。
アーニャは、ここ最近、本当に可愛くなった。
以前と比べて、アーニャは笑うようになった。怒るようになったし、喜ぶようにもなった。照れたりするようにもなった。
ジノにとって、そんな同僚の変化はとても喜ばしいことだった。何も、アーニャを妹のように思っているのはロイ一人ではないのだ。
しかし、その変化はたった一人の人間――ロイによって引き起こされたものだ。
それだけに、ジノはとても恐ろしかった。
例えば、アーニャ・アールストレイムはロイ・キャンベルがいなくなったらどうなってしまうのだろうか。
シャーリーの死を――人の死を目の当たりにして、ジノはこの不安の影が、心の中で大きく揺らめきはじめていた。
人は死ぬ時には死ぬ。それは当然のことだ。ロイだって例外ではないし、職業柄いつでもありえることである。
通常、人は他人の死を乗り越えられるように作られている。しかし、アーニャの場合、その通常から外れているのではないか? そんな心配をしてしまうほど、アーニャの中のロイの存在は大きいように見えた。
ロイ・キャンベルは世界でただ一人、初めてアーニャ・アールストレイムに心を開かせた人間だった。
いわば、アーニャの心が開いた後の世界には必ず、ロイ・キャンベルという人間がどこかに存在していたことになる。その存在がもし消えたとき彼女はどうなるのか。心が閉ざされた世界に戻る、というのはまだ良い方かもしれない。最悪……。
そんなのは嫌だな、と思い、だれにも気付かれない程度にジノは首を振った。
そうならないためにも、誰も死なさないし、誰も悲しませない。そういう事ができる人間でありたい。
そんな人間であり続ける事が不可能だというのをジノはよく知っているし、今回のシャーリーの死で強く実感もした。それでも、
自分のできる限り、自分の大切な人たちを守る。
その決意だけはゆらぐ事の無いよう。ジノは喪服に包まれた自分に何度も強く言い聞かせた。
○
ロイは喪服用の軍服から通常の軍服に着替えて、とある場所に向かっていた。その途中、偶然顔を合わせた人物がいた。
「紅月カレンに会う? いきなりどうして?」
支援
紅月カレンに会う、そう告げると、肩を並ばせてきたアーニャは露骨に嫌な顔をした。
どうやら、いつかの大アヴァロン空中戦での出来事が、まだ尾を引いているらしい。
「先日の商店街の一件。あれが、黒の騎士団の仕業なのか、それとも違うのか。これだけでもはっきりさせておきたくてね。それに、彼女は黒の騎士団の幹部だ。黒の騎士団が犯人じゃなかったとしても、もしかしたら何かを知っているかもしれない」
「知ってても、何か喋るとは思わない。テロリスト同士で庇い合うのがオチ」
アーニャの言葉はどこまでも辛辣だ。しかし、ロイは
「喋るさ」
と確信を持って言った。
「黒の騎士団は自称正義の味方だ。もし、今回の事件の犯人が黒の騎士団ではなく、他の組織の仕業なら、一般人の被害者が出てる以上。彼らは――黒の騎士団は僕たちに協力、とまではいかなくとも、その組織の肩を持つ事は無い」
「それは、そうだろうけど」
アーニャはロイの言葉に納得しつつも、まだ不満そうだった。
ロイは数秒天井を見上げてみて、音も無く溜息をついた後、
「ねぇ、アーニャ。紅月カレンに会うのが嫌なら、別に付いてこなくてもいいんだよ?」
「……」
アーニャの返事は無かった。だだ、黙って後を付いてくる所を見ると、どうやら一緒に行くつもりらしかった。
ロイはそれ以上は何も言わなかった。二人は黙って廊下歩き、政庁内で唯一地下に繋がっているエレベーターを使って地下に下りた。
エレベーターが目的の場所に到着し、二人が両側に開く扉をくぐると、若い看守が二人に近寄ってきて敬礼した。
「ナイトオブシックス様、ナイトオブゼロ様。このような場所になにか用でしょうか?」
ロイは軽く答礼した。アーニャも義理でロイと同じ動作を行う。
「ここにいる紅月カレンと面会したい」
「えっ、紅月カレンとですか?」
若い看守の声は、なぜか裏返った。
「? 何か問題でも?」
ロイが尋ねると、若い看守は、
「いえいえ!」
と大げさな手振りで否定した。
「そんな事はありません。ただ……今、紅月カレンにはナイトオブセブン様が会っておられますので」
「スザクが?」
ロイとアーニャは顔を見合わせた。
「いかがいたしますか?」
若い看守は、身長の違うナイトオブラウンズを交互に見た。
シーン11 「シャーリー」Aパート 終わり。
投下終了です。
支援感謝です。
小説を書くのが久々だったので、とても緊張しました。
ご意見、ご指摘等ございましたら、どうぞよろしくお願いします。
KOUSE卿超GJでした
相変わらずイフの展開でありながら本筋とのすり合わせが上手で面白いです
さてシャーリーの死からスザクとそれ以外のラウンズメンバーの中の亀裂が表面化してきました
一方でアーニャの内面の問題も出てきて今後の展開への伏線になっているのでしょうか
次回はいよいよカレンとの再会か?今後の展開が楽しみです
卿の次回の投下をお待ち申し上げております
>>257 お久しぶりです、KOUSEI卿! そして貴公にGJを!
スザクの疑いの理由を理解できるのはスザク当人ぐらいというのがすれ違いの原因となっていますね。
親しかった者の死が与えた影響はかなり大きいですね……
ロイ+アーニャがカレンと会う……そこには既にスザクがいる―――またスザクの疑念が深まってしまうのか!?
次回の展開も気になります!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
GJ過ぎる!!しかもこんないいところで終わってしまっていて次が気になりまくりです!!貴公の次の投下を全力でお待ちしています!!
お待ちしてましたっ!!
スザクとの関係に暗雲立ち込めてきましたねぇ
次回はいよいよカレンとのシーンですか。しかし其処には既にスザクが居るw
楽しみでなりません
しかし、まさか本編の展開通りシャーリーが退場するとは思ってもみなかったですよ
次回の投下を楽しみにお待ちしてます
>>257KOUSEI卿
忘れられてるとか言ってるけどそんな事ないよ!
俺はあなたの作品が一番楽しみなんだ!!
とにかくgj! 次の展開がめちゃくちゃ気になる…
GJです!
シャーリーの死による深い悲しみからくる親友スザクとのすれ違い…切ないやらもどかしいやらでやきもきします。
そして次はカレンとの再会。アーニャの動向も気になります。
次回を楽しみにお待ちしてます!
冒頭のシャーリーの独白がなんかもう、きました。
あのスザクなら……やるだろうと思える展開。
どつぼにはまっていく彼がもどかしい。
カレンとスザクのあのシーンにジノとアーニャがどう絡むのか。
楽しみに、お待ちしています。
KOUSEI卿GJです!
久しぶりの投下、本当に嬉しいです!
シャーリーが亡くなったのは悲しいですがあの男がゼロの下に行ったということ
眼鏡は壊れ、そしてロイはカレンに会いに行く
全ての条件は揃いましたね!
次回の投下が楽しみです!!
他の職人とは一線を画すこのクオリティ。KOUSEI卿、あなたの作品には最後まで付いていきます!
次の投下を心からお待ちしております。
待ちに待ったカレンとの再会がありそうですしね!w
〉〉266
わからんでもないが、それは他の職人は不要って聞こえるぞ。
少なくとも俺は、「もう書くもんか」て思った。さよなら。
268 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/21(木) 11:02:17 ID:rHV6Wmel
KOUSEI卿、貴方は過去の産物と言ってますがそんなことは決してありません。
貴方の作品をいつも全力で待っていました。
スザクがカレンに面会しているということは、あのシーンにロイとアーニャが
居合わせるということに!!!
ライを愛しているカレンは、ロイを愛しているアーニャは今後どうなるのか!!
私はまた全力で応援し待つことにします。
オォォル・ハィィィール・KOUSEI!!!!!!
>>266 褒めるのはかまわんが、言い方考えて褒めた方がいいよ。
はっきり言って貴方の言い方は、不愉快だ。
投下しない方針にした職人がいてもおかしくない。
実際、なら別に私も投下しなくてもいいやと思った。
270 :
長文スマン:2009/05/21(木) 20:13:51 ID:3N8qvxqF
>>267、
>>269 スランプや時間がなくて、中々思うようにSSが書けない。
そんな状態の時に、KOUSEI卿の作品とそれを絶賛する感想・・・
つい、イラッときてしまい「もう書くもんか」という感じでしょうか?
以前なら「よし! 俺も」と発奮していたのに、あの時の情熱も薄れてしまってどこへやら。
元々SSを書くのは、義務や仕事じゃなくて自由ですから書かない自由もあるのです。
わざわざ「書かない」宣言は、大人げないのでは?
それこそ「堅苦しいのがいるから、感想書くのやめた」って思った人もいるんじゃないかな?
情熱を取り戻したら、また来てください。それまで「おやすみ」
>>270氏に同意。
他のスレに比べれば、このスレはまだマシな方だと思う。
不快に思ったとしてもわざわざ書き込まずにスルーしたが良かったかと。
>>270 貴方の考えや想像を押し付け、情熱がなければ来るなという風にしか取れませんが。
そんな言い方されたら、もう帰ってくるとは思えないんですけど。
まぁ、それが狙いだったら、成功していますね。
それで少なくとも私を含めて2人は投下することはなくなりましたから。
まぁ、書き込んだのは、大人げないと思いましたがね。
ただ、そう思ってしまう人もいるんですよ、一部の人気職人さん以外にはね。
悪気は微塵もない些細な言い方に対して
ネガティブになりすぎって
はいはい
さよならさよなら
二度と会えないことを祈ってるよ
投下止める云々って言う人って自分の名前を名乗らないよね。
書けなくなった言い訳に266の発言を使ってる気がするなあ。それに名乗らないのは
ける様になった時に何事も無かったかの様に平気で投稿するんだろうなあ。
無自覚の悪意もあるという事を忘れてはいけない。
大体この手の話は各個自由にすればいいだけの話だ。
最終的には本人が決める事なんだから。
それに去ろうと思ったのなら去ればいい。
今まで投下していた人たちもそうしてきたはずだろうから。
誉める時に他のもの(他職人・原作・派生作品etc.)を引き合いに出すのも職人のもう書かね宣言も
色んな場所で愚痴られてる避けた方が無難な書き込みなのは間違いない
取り合えず、もう書かね宣言がしたいなら、誤爆スレあたりをすすめとく
何か言っとかないとおさまらない気持ちは判らないでもないが、
このスレ内でやったら痛い行為になっちゃうよ
他のものと比べた感想は「控えてね」としか言えないが、誉められた人自身が
ひいたり、困る場合もあるよとは言っておく
職人系スレ見てると、そういうの困るっつー話はたまに出る
>>270も、もうちょっと表現は気をつけた方がいいよ
それじゃあ単なる嫌味で、
>>266乙とかいいたくなる
嫌味が書きたかったんなら、それも誤爆かチラ裏すすめとく
同意、あと
>>270の最初の四行は正直他の職人さんにも失礼だと思う。もちろん最後の一行も嫌味ったらしくて良くないし
あまりに邪推し過ぎ、わざとらしい丁寧な口調も余計に不快感を煽るよ
端で見てても気持ちいいもんじゃないから、とりあえず丁寧な口調で茶化すようなことを言うのは止めような
嫌味や茶化したつもりはないんですが、表現の仕方が悪かったようです。
>>267氏、
>>269氏、他のみなさん、不愉快な気分にしてしまいすいませんでした。
266を書き込んだ者です。
この度は、軽はずみな書き込みをしてしまい、大変申し訳ありませんでした。
不快に思われた方はもちろん、書き込みを読んだ全ての方達に深くお詫び致します。
KOUSEI卿の作品が面白かったこと、他の職人さんのことを比較評価するつもりではなかったこと、いつも全ての投下を楽しみにしていること、は嘘偽りない本心です。
色々リアクションがあるのは承知でまた書き込みさせて頂きました。
改めてお詫び申し上げます。すみませんでした。
気にするな、我は気にしない。
画像掲示板に投下報告です。
>>4より見に行くことができます。
えーっと、なんとなく降りてきた電波を絵にしてみました。
タイトルは「蝶・おしゃれなライ」です。
どういう状況かは一応あっちに書いてるんで。
……絵のネタはなあ。折角投下があってもスレで触れちゃいけない、
でもスルーもなあってことでなんとなくスレストになっちゃうのが気の毒
投下準備中につき書き込みテスト
もふっもっもふん
もふっもっもふん
何か違うな。『ダダッダッダダン』っていうイメージで登場してみたかったんだけどな……。
物凄くかつ果てしなく余談だけど、『風の又三郎』ってターミネーターっぽいよね。
どっどど どどうど どどうど ダダッダッダダン
ほら。っていうか汎用性高いな。
漱石のとかどうよ。
吾輩は猫ダダッダッダダン
うわーっ、今回完璧過ぎる。まえがきなのにSSと全く関係ない内容を書いているという点を除けば、かなりレベルの高いまえがきだと思った。
じゃあ投下します。タイトルは『ナイトオブライアニャ新大作戦:序』で。これで大体どういうSSかは分かってもらえるかと。分からないなら避けた方が無難です。なんか夏にやる映画とタイトルが被っていますがこれは偶然。むしろパクられた。
あ、因みに大作戦シリーズ本編とは別に繋がってないです。あっち終わってないし。全然関係ないSSとリンクしていますが。
それではどうぞ。10レスくらい。支援はいりません。する暇も与えないぜ!
皇歴うんたら年ばつ月さんかく日、僕はナイトオブラウンズになった。
「と、いう訳でー! ライがラウンズに相応しいか見極めよう大会開催ー!」
ジノが高らかに宣言して、大部屋に集まったラウンズ達が思い思いの拍手をする。
「何がという訳なんだ説明しろ!」
僕がそう叫ぶと、一気に場が白けてしまった。僕? 僕が悪いのか?
アーニャだけがおろおろと周囲を見渡し、やがて空気を読んで皆と一緒にしゅんとなった。たぶん、彼女だけは何も聞いていないのだろう。不憫だ。
最初アーニャに「ジノ達が呼んでる」とエンジェリックボイス付きで連れてこられた時は部屋にラウンズ全員が集まっていて「これが噂の先輩からによる新人いじりだったりして。あはは」などと勘違いしたと思いきや全然勘違いではなかった。間違いなく新人いじりだ。
ジノはスピーカーに繋がれていないマイクを持ちながら、「ゴホンゲホンガハッ」と空港でやったら新型インフルエンザの疑いで隔離措置を取られるほど大きく咳払いして、
「ライ、これは新入りラウンズの伝統なんだ。私達ラウンズがお互いの力を認め合い、この国の未来を守っていくための必要な儀式なんだ」
こちらの信頼は限りなく低くなったが、どうやら僕は“お互い”に含まれてないらしい。早くもこの国の未来に暗雲が立ち込めた。
「でも僕、ラウンズ同士のナイトメア戦、僕ヴァルトシュタイン卿とやったんだけど。あれが伝統じゃないのか?」
「あれは周囲の者を納得させるための形式的な物に過ぎない。あれで力を見せたつもりか?」
ジノがくいっと顎を引いてヴァルトシュタイン卿の方へと促した。彼はうやうやしく頷いて、
「あの時の私は全く本気を出していなかったからな。今回は君の力を存分に確かめたい」
そうでしたか、と僕はとりあえず納得して、努めて冷静を装って「因みに、あの時は何割程度の力だったんですか?」と聞いてみた。できれば常識的な返答を期待したい。
「二割だ。因みに私はまだあと三回も変身を残している」
何になる気ですかあなたは。
たぶん左目から光線とか出すんだろうな、と妙な方向に想像が行き届いた辺りで話を打ち切った。
最も硬派だと信じた人物の理想がこれ以上砕けないよう注意する。「私のナイトメアは百八機まであるぞ!」とか何とか叫んでいるノネットさんは無視した。あなたは最初から等身大過ぎる。というかどうやって一度に動かすんだ。
「では、ルールの説明をするぞー」
マイペースにジノが話を進めつつ、僕の前にホワイトボードを持ってきた。びっしりと油性ペンで(何で水性じゃないんだ……)書き込まれている。
「えー……『ラウンズに必要な能力テスト』?」
一、身体能力。担当:スザク
二、ナイトメア操縦技術力。担当:ビスマルク
三、雑務処理能力。担当:ノネット
四、状況判断能力。担当:ジノ
五、精神力。担当:ドロテア
六、知力。担当:モニカ
七、貴族力。担当:ルキアーノ&アーニャ
「…………これが?」
何やらよく分からない物が入っている気がする。特に貴族力というのは初耳だ。現代のゲームにはステータスに「すばやさ」「かしこさ」「きぞくさ」とでも並んでいるのだろうか。あり得なくもないから困る。
「甘く見るなよライ! ラウンズは強さが絶対。だが強さとは必ずしも一つではない! これはその強さを一つ一つ確かめるためのテストだ!」
ジノの言いたい事は分かるが、やっぱりどこか違うと思……いいか、もうツッコミ入れるのも面倒だし疲れた。流れに身を任せるのも時には必要だ。
今日僕は、一つ大人になった。
こういう小さな積み重ねが、人を強くしていくんだろう。
「続けていいよ」
「おっライもノリノリだな! じゃあ早速第一のお題、身体能力だー!」
わーっと拍手が湧き起こる。というかお題ってもはや僕が若手芸人の如き扱いなのは何でだろう。僕、帝国の最強騎士の一人になったんだよね。いや、こういう変わった意味で最強っていうのはいたたまれない。
『レディースアンドジェントルメーン! これより、お待ちかねのライ(中略)大会が始まるぞー!』
再びジノが宣言する。いちいちうるさいので彼の発言は『』で括る事にした。マイクは別に繋がれていない。気分だ。
『では今大会の出場者を紹介しよう! 「フラグ建築力なら耐震性もばっちりラウンズナンバーワン! 生粋のモテ男!」ライーー!』
周囲のラウンズの拍手に加え、政庁にお勤めの皆さんから野次が飛ぶ。彼女返せって何だ。というか、
「なんかギャラリー増えてないか!?」
『んーんー気にしない気にしない。それよりライ。君は、名字がないようだけど?』
「腰に手をあてて人差し指つきで小首をかしげる仕草は激しく似合ってないから今後はやめた方がいいな。……だが、まあ質問の答えなら、確かに今の僕には名字は無い」
あったようななかったような。というか今まで名字無しでよく何も問題なかったなと我ながら感心する。
もしかしたら、大事なのは名前ではなく、その人間性だということをこの国は理解しているのではないかと思う。
『無いのも変だから適当に付けとこう。ライ・アールストレイムー!』
「僕の感動ぶち壊しだね。っていうか何故アーニャのなんだ」
『ん、なら他のがいいか? 誰のがいい?』
ジノの一言で場内がしんと静まり返った。……え、どういうことだ?
ギャラリーの主に女性陣がそわそわとプレートに名字を書き出して提示していく。そこから選べというのか。
ちらりとアーニャの方を見ると、困ったような恥ずかしいような何だかよく分からない表情で縮こまっていた。ごめんね、巻き込んで。でも僕も被害者だ。分かって欲しい。たぶんここで弁明しても中世の魔女裁判の如き当てつけが行われるだろうが。
『さあさあライ。誰の名字がいいんだ?』
ジノがしつこく促す。女性陣がじりじりと近づいてくる。名字ってそんな決め方でいいのだろうか?
平行世界の僕(SS『さあ、民主主義を始めようか』参照)は「民主主義で全てが計れると思うなよ! 数の暴力に頼りきった人類は、いつしかその正義という名の欺瞞に自身を喰い尽くされるぞ!」と全くどうでもいい助言を寄越してきた。彼も色々大変だったのだろう。
「もういいよ、アールストレイムのまま続けてくれ」
たぶんここでどう足掻いてもアールストレイムに落ち着くような気がしたので諦めた。主に作者的な力が働くと思う。平行世界の僕も同意見だった。
ジノ達は『大胆にもアーニャを宣言だー!』とかひとしきり騒いだ後で、ようやく進行を再開した。
その間散々からかわれていたアーニャは、茹でダコのように真っ赤になっていた。これが終わったら何か奢るなりで謝罪しなければなるまい。
『では第一試験! 身体能力を担当するのは「体力バカというのは、体力がバカみたいに高いという意味じゃなくて、体力が高くて頭はバカという意味だ!」枢木スザーク!』
こいつはいちいち人をけなさないと紹介できない性格らしい。
スザクもスザクで気にしないで周囲の拍手に照れた笑みを返している。彼は慣れという能力を手に入れたのか、諦めという限界を知ったのか……。
「じゃあ始めようか」
言いつつスザクは前に出る。
身体能力と言われれば頭に思い浮かぶのは間違いなくスザクだが、ラウンズ内の常識でもそれは通用するみたいだ。嬉しいやら悲しいやら。
「でもどうやって身体能力をテストするんだ?」
至極当然の質問をしてみる。するとスザクはどうしようか、と悩み始めた。今決めようとしているみたいだ。おい、ラウンズの伝統じゃないのか。
「じゃあ壁走りで」
「『じゃあ』で始める気軽な競技とは思えないな」
僕ができるはずがない。スザク以外にもだ。
「え、意外と簡単だよ。ラウンズなら皆できるさ」
スザクは振り向いてギャラリーラウンズの方を見る。
彼らは皆「壁走りくらいなんだ。シベリアの寒さに比べれば」とか何とか言いながら頷いた。比べる対象が酷い。
唯一アーニャだけは「え? 私は出来ないよぅ」と言いたげな困った表情を浮かべていたが、やがて周囲の空気に圧されて小さく頷いた。頑張れ。
「それじゃあやってみて。十メートル以上が合格で」
スザクはスザクでそれで納得したのか、人類は地球の重力に魂を縛られているから壁走りができないんだと言わんばかりの法外な合格ラインを提示してきた。
『いきなり第一試験は高レベル、壁走り十メートル自由形だー!』
また増えてきたギャラリーの熱気が凄まじい物になる。意外と暇人が多いな、ブリタニア帝国。
「仕方ない……」
黒のマントをばさりと脱ぎ捨て、それっぽい演出をしてみる。こういうのは意外と、嫌いではない。
それに、理由はどうあれ(大半が暇つぶしとかだろうけど)僕のために集まって企画されたものだ。無理だろうけど、誠意を持って応えねばなるまい。……無理だろうけど。無理だろうけど!
結論から言えば、やっぱり無理だった。分かってたよ、僕はまだ地球の重力から抜け出せていない古い人間だ。
だがまあ、何とか第一試験は合格した。喜んでいい……よね?
というのも、壁走りのコツというか仕組みを理解してない僕は全速力で壁にハイキックをぶち込んでしまったのだ。
すると部屋の壁が粉砕し、隣の部屋まで突き破るというハプニングが起こった。
本国の宮殿全てを管理している通称「管理人さん」がやって来る前に皆は退散。百人に達しようとしていたギャラリーは、逃げている途中でその半数以上が屈強なお婆さん一人に捕まってしまった。彼女こそラウンズに相応しいのでは。
試験の結果は、結局「壁をぶち破る脚力」ということで身体能力を示せた。後で壁の修復代が請求されないことを祈る。
――と、いう訳で。僕達は第二試験会場である練兵場へとやって来た。
『はいはい、こちらジノ・ヴァインベルグ! これより第二試験を開始するぜイヤッホーゥ!!』
ジノは水を得たマグロの如く司会を続ける。たぶん、彼にとっての生きがいなのかもしれない。マグロは泳ぐのを止めると死ぬらしい。
『第二試験はラウンズの基本能力! ナイトメア操縦技術力を試すテストだ。担当するのは勿論この人! 「片目でも遠近感は心眼でバッチリ」ビスマルク・ヴァルトシュタインだーー!』
一応目上の人なので直接罵倒する事はしていないが、明らかに小馬鹿にしている。
だけど、あの左目が一体何なのかは僕も気になるところだ。まさか本当に光線が出る訳はあるまい。
それとなく聞いてみると、
「私の左目は未来を予測する」
「あの、もうそういうのいいです。ヴァルトシュタイン卿はもっと堅実な方だと思ってたのに……」
「む、むぅ。そうか……すまなかった」
ヴァルトシュタイン卿は見るからに意気消沈した。本気で騙せると思っていたのだろうか? まぁ、反省してくれるならそれでいい。
本気でこんな遊びにナイトメアを使うのか半疑半疑、つまりは完全に疑っていたわけだが、改めてランスロット・クラブの起動準備を行っていると、実感が伴ってきて気分がこう、逃げ出したくなる。色々と現実から。
携行してよい武器は一つなので迷わずMVSのランスタイプを選ぶ。柄の部分を連結させ一本の槍に。
これで戦闘開始時に分裂させれば、いとも簡単に武器が二つというお得使用だ。
卑怯だが相手はヴァルトシュタイン卿が騎乗するギャラハッド。携行武器エクスカリバーでいつも通りの出で立ちだろう。これくらいしなければまともに太刀打ちできない。……どうせまともな試合にはならないだろうけど。
確信めいた予感に思わずため息がでる。本当に逃げ出したい。
「ん?」
OSを立ち上げ、クラブのセッティングを行っていると、奇妙な物を目にした。
「これは――」
僕は整備班に頼んで急遽武器を変えてもらう事にした。
どうやら勝機が見えてきたみたいだ。あまり嬉しくはないが。
まともな試合には、やはりなりそうにはなかった。
†
ナイトメア戦が行え、かつ見学用の席まで用意された室内練兵場はあまり数が多くない。故に、一ヶ月前から予約がいっぱいのはずだ。いったいどれほど前から計画していたのだろう? 私は全然聞いてないのに……。
と、悩んでいる間に一キロメートル四方の練兵場に二機のナイトメアが入場した。ヴァルトシュタイン卿のギャラハッドと、ライのランスロット・クラブだ。
第二試験のナイトメア戦のルールは一対一の特別決闘形式で、携帯武器は互いに一つだけしか認められてないけど……ギャラハッドは元々武器はエクスカリバーしか持っていない。つまりは今、フル装備の状態にある。
「あれっていいの?」と隣に座っているモニカに聞いてみたが、彼女は「はいはい一口二千からだよー!」と賭けにいそしんでいる。賭け率を見ると、ヴァルトシュタイン卿が優勢だ。むぅ……私も賭けてみようか、ライの方に。
そのライはといえば既にランスロット・クラブに乗って準備を進めている。携帯武器は可変式のヴァリスだ。弾は勿論衝撃性のペイント弾だろうけど、それにしては意外な選択だ。いつもならMVSなのに。
少しわくわくした。ヴァルトシュタイン卿の優位は変わらないが、ライならば何かやってくれそうな気がする。何かとは、まあ、たぶん私の考えつかない事だろう。私は決闘苦手だし。モルドレッドは一対一に向かないから。
『それじゃあお互い準備はいいかなー?』
見学席の先頭に設けた審判兼司会席からジノが言った。練兵場に響き渡る声からすると、どうやらマイクを場内のスピーカーに繋いだらしい。俄然、うるさくなった。
『では今回の戦闘の特別ルールを説明するぞ!』
特別ルール? 障害物も取り除かれたこの場所で、これ以上何をしようというのだろう。
ジノはポケットから取り出したコインを、皆に見せびらかすように掲げ、練兵場に向かって親指で弾き飛ばした。
コインは綺麗な放物線を描いて地面に落下し――た瞬間爆発した。
「え!?」
思わず声を上げると、横からノネットが「ありゃ対人地雷だなー」とのほほんと教えてくれた。なるほど、コインが地雷に触れただけか……って何で練兵場に地雷が?
場内が唖然とする中、ジノは得意気に、
『これが特別ルールだ! フィールド内にはこれ以外にも色んなトラップが仕掛けられているぞ!』
一瞬ぽかんとしていたギャラリーがわっと盛り上がった。みんなハデ好きだ。特別ルールというよりルール無用な気がする。
ともあれ事はライに有利に運んだようだ。
このトラップではギャラハッドは思うように近づけまい。ライの用意した武器はライフルだから、その場から動かず狙い撃ちしていればいいだけだ。モルドレッドでも楽に勝てるかもしれない。
私はポップコーンを注文する程度に余裕を持った。流石にブリタニア軍内で作られた食糧だけあって映画館のように無駄に空気を詰め込んで体積を稼ぐような真似はしない。どうして戦闘糧食にポップコーンがあるかは謎だけど。
その旨をモニカに説明すると、彼女はふふんと鼻を鳴らした。
「安心するのはまだ早いわよ、アーニャ。――ところで、あなたってライ君の味方なのね」
「べ、別に味方って訳じゃ……!」
モニカに思ってもみなかった事を指摘され、私の心はひどく動揺した。うう、ポップコーンも少し落としちゃった。
……でも、実際どうなんだろう。私は彼を、どう思っているんだろうか。ライの事を考えると体中がもやもやした感じになる。
いずれにしても、
「私は、勝って欲しいって思ってる……」
「それは、ライがってこと?」
「うん。たぶん」
「へぇ」
モニカは目をぱちくりさせて驚いた後、私を見ながら納得したように何度か頷いた。何となく居心地が悪い。
「私、なんか変?」
「そんな事ないわ。でもね、えーっと…………ライ君ともっといっぱい話してみれば、分かると思うわ」
「モニカは分かるの?」
私のことなのに。
「ま、あなたよりはお姉さんだからね」
「ふうん」
そんな物だろうか。落ち着きの無さから言えば私よりジノやモニカの方がよっぽど子供みたいだが。
「ほら、とりあえず始まるわよ」
「あ、うん」
とりあえずこの問題を考えるのは後にした。これはライを認めるためのイベントだから、新しい仲間になる彼には是非頑張って欲しいという私の優しさ、ということにしておく。要検討。
二機のナイトメアは互いに練兵場の端と端に位置して、試合開始の合図を待つ。ギャラハッドの方がクラブより三メートル近く高いから、ちょっと不釣り合いに見えた。
開始を告げるゴングが響く。
「え?」
そして次の瞬間、事態は思わぬ方向に走り出した。
『あーっとぉ! ギャラハッドが宙に舞い上がったーーー!』
ジノが興奮した様子で解説した事で、ようやく状況を把握する。
ギャラハッドが飛んだのだ。勿論、フロートシステムを使って。
「そんな!」
私は思わず叫んでしまった。特別ルールはこのためにあったのだ。エクスカリバーの鞘にはフロートシステムが一体化されているから、ルール上付けていても問題ない。一方クラブのフロートシステムは後付けなので、当然今は携行していない。
「ふふ、これで勝負は決まったわね」
ゆうゆうと宙を漂うギャラハッドを見てモニカが不敵に笑う。どちらが勝っても賭けの親として儲かる仕組みにしているくせに。
「ヴァルトシュタイン卿は知ってたの?」
「というより、ヴァルトシュタイン卿がジノと一緒に仕組んだのよ」
その言い方はつまり、モニカも知っていたんだろう。さっきの余裕の笑みはこれが理由だったのか。
「ずるい」という子供じみた感想しか私は言えなかった。「大人の勝負ってそんなものよ」と返されると余計に腹が立つ。
「騎士としての誇りとか無いの?」
「それはあなたに言われたくないわね」
……もっともだ。反論できない。だからといって、私はこんな卑怯な真似は絶対しないが。
私達がそんな会話をしている間にも、戦況は刻一刻と変化していた。
クラブは可変式ライフルを狙撃モードに移行。大型のファクトスフィアを展開してギャラハッドに向けて射撃した。でも外れ。
如何に室内といえどライフルをかわす程度、フロートシステムがあればモルドレッドでも可能だ。中距離だとちょっとキツいけど。
それに相手は卑怯極まりない手法を使おうがラウンズ最強のナイトオブワンである事に変わりない。ライの正確な射撃をことごとく見切って回避する。
ライフルの弾が切れ、補充する一瞬の隙を突いてギャラハッドが前進。再び射撃と回避の攻防が始まり、弾切れすると距離が縮まるの繰り返し。……このままじゃライが負けるかも。
ライはフェイントを入れたりと色々工夫してはいるが、ギャラハッドの前進を止められない。
やがてギャラハッドのスラッシュハーケンの射程圏にクラブが入ってしまった。五指のハーケンがクラブに襲いかかる。即座にクラブが横にジャンプしてかわす。でもトラップがあるから危険じゃ……と思ったけど何とか大丈夫みたい。
その後もギャラハッドの猛攻を全てかわして、ぴょんぴょんとフィールドを飛び跳ねるクラブを見て、さっきまで意気揚々と賭け金のまとめに入っていたモニカも「あれ?」という顔をした。
罠を仕掛けたジノも何やらスタッフらしき人物に慌てて話しかけている。
「トラップが……発動してない?」
誰かの呟いた言葉が、私達の総意を表していた。
トラップが不発なのかと思いきや、ライの動きはトラップを警戒したものであることに変わらない。
もしかしたら、ライにはトラップの位置が掴めているのかも――
そんな私の予想を裏付けたのは、クラブがかわしたハーケンが地面に突き刺さると、その場所から電撃が流れ出したことだ。
「トラップだ!」
「回避はフェイントで、相手のハーケンを罠にかけるのが狙いだったのか!?」
「そんなまさか、狙って出来ることじゃない!」
誰かが次々に叫んだ。こういう時に必ず状況を説明しながら驚く人がいるけど、どうなんだろう。
電撃はハーケンを伝ってギャラハッドに襲いかかる。動きが鈍った。クラブの動きに迷いはない。ヴァリスの連続射撃でギャラハッドを狙い撃ち。
でもギャラハッドも速い。ハーケンを切り離す。ヴァリスをかわす。クラブが撃つ。ギャラハッドがかわす。回避しつつ、もう片方のハーケンでクラブに攻撃する。クラブが跳ぶ。突き刺さったハーケンが爆発する。またトラップだ。
やっぱりライはトラップの場所を知っている。でも、どうやって……?
中距離での攻撃手段を失ったギャラハッドは距離を詰めていたことが災いして回避と防御しか手はない。エクスカリバーでペイント弾を弾き、すんでのところでまたかわす。
決まるか? でもギャラハッドの動きを捉えきれていない。
私が見るに、後何か一手が欲しい。
と、クラブが突然ヴァリスをギャラハッドではなく、ギャラハッドのやや後方下の地面に撃ち込んだ。
どうっと砂ぼこりが巻き起こると同時、その中から長さ五十センチほどの筒が飛び出した。
「あれはケイオス爆雷だ!」
またご丁寧にも観客の説明が入る。
飛び出したケイオス爆雷は空中五メートルほどの地点で静止する。
丁度、ギャラハッドの真後ろだった。
「あ……」
私はぽかんと口を開け、その一瞬の出来事を見た。
今にもペイント弾を辺り構わず撒き散らそうとしているケイオス爆雷を、ギャラハッドは反射的に振り返り、エクスカリバーの一閃で寸断する。
見事な一撃。流れるような斬線は、ヴァルトシュタイン卿がやはりナイトオブワンだということを思い起こす。
しかし、それが決定的な隙だった。
ヴァリスのペイント弾でギャラハッドが青く染まる。
私は小さくガッツポーズをした。横にいるモニカを見る。あちゃー、と額に手をあてて困った表情が、もうざまあみろとしか言いようがない。
『決まっちゃったー! 第二試験、合格だーー!』
わあっと練兵場が歓声で溢れかえった。騒がしい場内で、モニカが私の視線に気づく。
「なによ」
「何でもない」
「嘘よ、何か言いたくないの」
「別に」
そうだ、何てことはない。私は最初から、ライが勝つって信じてたから。
「ライ」
格納庫に戻って来て、機体をチェックしているライに私は話し掛けた。
「アーニャ、どうしたんだい?」
いつものように柔和で温かい笑顔で迎えてくれる。良かった、私を怒ってはいないみたいだ。
でもジノの言うことをほいほい聞いて、ライを連れて来たのは私だ。だから謝らないと。
「ん……えと…………ごめん」
言葉が上手く出せない自分が嫌になる。いっそテレパシーでも使えれば……ああやっぱりそれは駄目。
でもライは私の頭にぽんと手を乗せて、
「アーニャは悪くないって分かってるよ。謝らなくていい」
「う、うん……」
胸がじーんとあったまる。何て優しいんだろうか。この感動はジノ達に必ず伝えようと決意する。勿論、制裁という形で。
「あ、その、ライ」
「ん?」
もう一つ聞きたかった事を思い出す。
「何で、トラップの場所が分かったの?」
「ああそれはね、こっちに来てごらん」
言われ、クラブのコクピットに案内された。
ライは何やらコンソールを操作した後、体を横にずらして私を入れてくれた。
「見てごらん」
モニターに映っていたのは、練兵場をファクトスフィアで観測した際のデータ群だった。それだけなら大して珍しくもない。モルドレッドでもよく見る。けれど、様子がちょっとおかしい。
レーダーには赤い点がぽつぽつと至る所に表示されている。でも、練兵場には何もないはずなのに。
「これって……」
「そう、トラップの位置だよ」
何て量だと思ったのと同時に何で観測できたのだろうとも思った。普通、地面の下のトラップまでは見えない。大抵はバレないよう電波障害とかの処置もしてあるはずだし。
「クラブのファクトスフィアは特別製でね。狙撃用にかなり探査能力が上げられてるんだ」
「じゃあ、それで罠の場所が分かったの?」
「そう、流石に種類を把握するには接近する必要があったからね。最初に跳ね回っていたのは近づいてトラップの種類を解析するためだったんだ」
「すごい……」
全てが計算づくの行動だったなんて。ジノとヴァルトシュタイン卿は策に溺れたわけだ。まともに戦えば勝ってただろうに。
「せっかくだからトラップ解析のデータも見る?」
言いつつライがコンソールを操作する。
その瞬間、気づいた。開いているとはいえ、ナイトメアのコクピットは狭い。私はそこで、ライの隣でぴったりくっつい――
「いいいぃぃっ!」
私はとっさにライから離れた。できるだけさり気なく。限りなく不自然でないように。
「どうしたの?」
駄目だバレた。
「な、何でもない! つつ、次も、頑張って……!」
私はそれだけは何とか絞り出して、コクピットから飛び降りて駆け出した。ライが何か言っていたけどとても聞いていられる状況じゃない。
胸が熱い。顔も熱い。心臓がドキドキしてる。
いったい私は、どうしてしまったんだろう。
モニカは、わかると言っていたけれど。
でも、何となく、聞くのはためらわれた。
以上、投下終了です。
読んで下さった方どうもありがとうございます。読んでない方もありがとうございます。この世の全てにありがとう、ピンクもふもふです。
一人称で通したの今回が初めてかなー、たぶん。普段は三人称だから、書いてるこっちは新鮮でした。斬新とも言う。
今回視点を持たせたライとアーニャは共に口数が少ないので会話文の分量に苦労しました。しかも地文が一行255byte制限に引っかかって引っかかって……。
そして相変わらずのアーニャ至上主義。でも前に誰かが書いてたけど、ロスカラにアーニャ出てないんですよねそうですよね……。
ロスカラからSSの時系列への流れを書けば問題無いのでしょうが、一つ一つのSSに書いていると面倒でしょうがありません。
色々解決策を模索した結果――
――気に入らないならライカレでも読んでればいいじゃなーい! みんなあのおっぱいに騙されればいいのよ!
はい、そんな人は今すぐ名前とトリップをNGワードに登録ー。ただもっふーはSSにはどちらも使わないから回避できないけどねわははははー。
という訳で見逃して下さい! ほら、職人の多様性というか、アーニャばっかり書く変な奴が二、三十人はスレにいてもいいと思いませんか!?
そんでもって私は今までどおり、数は少ないが確実にいるであろう「純愛ちまーじょ好き・馬鹿話好き」という稀有な層を狙いたいと思います。咲か和か選べと言われたら衣を選ぶのがもっふーです。すみません話が逸れました。はいていらおゆえー。
・次回予告
第一、第二の試練を突破したライ。
彼は納得できないまま流されてしまう自分を情けなく感じながらも、結局第三試練を受け、順調に先に進んでしまう。
一方、ライに対する複雑な感情を持て余していたアーニャは、運命の第四の試験で己の感情に何を見出すか。
次回『ナイトオブライアニャ新大作戦:破』
この次も、ライアニャライアニャ♪
もふもふ卿GJでした〜
なんというスピード投下。
GJでした。
逸品のギャグ展開ににやにやが止まりません。ナイトオブワンにときめく日が来ようとは。
その都度あわあわしつつしゅんとするアーニャが可愛かったです。
また作品を拝見できる日を楽しみに。乙でした!
>>294 ピンクもふもふ卿、GJでした!
まえがきがある意味秀逸すぎるwww
三回の変身を残すビスマルク、あんたは宇宙の帝王かwww
テスト内容、確かに最後がよくわからん……そうか! 「かっこよさ」の派生系か!
あまりにもネタがちりばめられすぎていて、一々つっこんでいたらきりがないぜ!
だから纏めて言う、バカすぎるwww 無論、いい意味で。
あとがきもまえがき同様ぶっ飛びすぎだwww
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
チクショーいつになったら規制解けるんだよ!
こんばんは。普段は絵を落とす方が多いエノコロ草です。
ノネットさんの懐の広さが好きすぎて、話を書き始め、ました。
変に長くなりましたが、読んでいただけることがあれば、幸いです。
・・・・・・・
12:45くらいから投下予定です。
1レスの容量をまちがえていなければ本文18レス(前後レス含めて20)の予定です。
00分をはさんでギリギリ猿回避できそうな気もするのですが、もしご支援いただければ幸いです。
(何か間違えてさるになるようだったら、次の00分解除を待って残りを落としておきます。すみません。)
・・・・・・・
タイトル: 「帰るまでのはなし」
親衛隊編その後の物語です。多分シリアス。
(注意点)
・オリジナルキャラが登場します。それほど重要な位置にはいないつもりですが
・ノネットの爵位や領地、語感だけで選んだ彼女の専用機など、その他捏造の設定が無数に出てきます。
小説版のみで登場した設定や人物名なども使用しています。
一方で小説その他公式の既出設定と齟齬もあるかもしれません。単純に間違いです。
・なんちゃって経済は自分でもよくわかっていません。すみません。
301 :
えのころ:2009/05/23(土) 00:48:48 ID:4+td+Kfh
ごめんなさい、1レス分の設定が長かったみたいです
55分くらいから投下します
「 ――、―…っ!!」
声に出して叫んだのだろうか。おそらくはその自身の声に、ライは目を見開いた。
気付けば、白い天井。低く、かすかな機械音が響いている。
息が上がり、動悸が激しく打っていた。急に覚醒したせいで感覚が混乱している。
そろり、とライは自分を覆っている寝具からじっとりと湿った腕を引き出した。
ひやりとした空気に触れる。発熱しているのだろう、頭痛がひどく、体の感覚が重い。
ライは視界に、ゆっくりと手をかざした。汗に、濡れているだけだ。血では、ない。
(……血、夢。だが、今のは)
今まで眼前に見ていた光景がひどく生々しく自分の感覚を覆っている。
……たった今、この手の中にあったはずの重み。逃げていく体温、その、愛しい、体
(僕は……私は、)
「大丈夫ですか」
ひょい、とのぞきこんだ顔に、ライはびくりと体をふるわせた。
「うなされていらっしゃるようだったので……起こしてさしあげるべきか迷ったのですけれど」
見知らぬ顔だった。ほんの少女の年頃にも見えるが、青い軍服を身につけている。ちらりと肩口にある階級章が目に入った。
「おわかりですか。あなたは今、ブリタニアオークランドに向かう船……飛空挺の中です。
エニアグラム卿に運ばれていらしたとき意識を無くしておいでだったので、そのまま医務室に入られたんですよ。」
「……あなたは」
かすれた声で問いかけると、少女は略式敬礼の姿勢を取って答えた。切りそろえられた前髪が揺れる。
「カタリナ・サイラス少尉です。この高速艇ケレウスにオペレーターとして乗艦しています。
今は……あなたの付き添いが仕事ですが」
そう言うと、サイラス少尉はにこりと微笑んだ。
「起きられますか?大分汗をかかれたようですから、水分を取らないと。」
支えられて、ライはぎこちなく体を起こした。少尉に要領よく背中にクッションを押し込まれる。
涼しげな音を立てる水差しを傾け、サイラス少尉は中を満たしたホーロー引きのコップをライに差し出した。
「今、船医を呼びます。……エニアグラム卿にも、あなたがお目覚めになったことをお知らせしないと。
今少し席を外されていますが……とても心配されていたんですよ。そうだ、先に熱を測っておきましょうか。
服も着替えた方がいいでしょうね。お手伝いします」
ライがコップを受け取ると、少尉はくるくると表情を変えながら働き始めた。
のどは渇いていた。ライは、結露の浮き始めた器に唇を寄せた。
胸の内を落ちていく水のひんやりとした感触が、ライをようやく現実に引き戻し始めていた。
(そうだ、僕は式典会場で)
鈍い回転をはじめた頭が、ここに来てようやく重要なことに思い至る。
(……式典は、どうなった!?)
思わず顔を上げたライの元に、サイラス少尉が着替えを手に戻ってくる。ライの手の中のコップに水を注ぎ足し、言葉をかけた。
「特区日本の式典は、多少段取りに変更はあったものの、無事に行われたそうです。
……エニアグラム卿が、あなたは知りたがるだろうからすぐに教えてやれ、とおっしゃっていました。」
ライがあからさまに安堵するのを見て、少尉はおかしそうに笑うと、少し口元を引き締めてから続けた。
「ただ、その際にユーフェミア殿下の皇籍奉還が発表されて……あちこち騒ぎにはなっているようです。」
皇籍奉還。思いがけない言葉に、ライは息を呑んだ。皇族の持つ皇位継承権の放棄と引き換えに、一度だけ許される免罪特権。
それをここでユーフェミアが使うとすれば、代償はゼロの免罪に他ならないだろう。
……なぜ、そこまで? 式典会場でも感じた違和感。ユーフェミア殿下はゼロを「知っている」……
まとまりのない、泡沫のような思考がいくつも浮かび上がってくる。ふと、その中のひとつに他愛ないものを見つけ、ライは心が緩むのを感じた。
野に下る姫。その背中を押したかもしれない、彼女の騎士の存在。
……元皇族とは言え、正式に民間人ともなれば、意中の騎士と結ばれることは不可能ではあるまい?
その少女らしい思いつきに我知らず微笑みながらも、ライの思考は根幹へ立ち返っていった。
(ゼロの真意は、どこにあった。)
あのとき、ユーフェミアは確かにギアスの制御下にあった。
(どこまでが計算で、どこからが)
……間断なくやってくる頭痛の波がノイズになる。考えがまとまらない。体が熱い。
無意識に水を煽ろうとコップを持ち上げ、そのゆらぎに気をとられた。自分の影が落ちる水面……
((ドクン))
刹那、臓腑をえぐられるような嫌な感触とともに、心臓が大きく跳ねた。
「 嘘だ、」
思わず声に出してつぶやく。揺り返しやってきた、吐き気を催すような頭痛に思わず身を折る。体が、熱い
(まだ、あのときには)
ライが食い入るように見つめる暗い水面に、血走ったように赤く光を放つ瞳が彼を見返していた。
*
「服を替えましょう。ご自分でできますか?」
サイラス少尉は清拭用のタオルを用意しながら少年に尋ねた。
カフスをはずした軍服の袖をまくりあげ、湯を満たした洗面器からタオルを引きあげ硬く絞り上げる。
ほかほかと湯気を上げるタオルを一旦広げ、ぱん!と空気を含ませると、畳みなおして温度を確かめた。
「 嘘だ、」
「えっ」
少年の小さなつぶやきが聞こえ、少尉は反射的に問い返した。
見れば、ベッドの上の少年は、愕然とした表情でそれとわかるほど肩を震わせている。
と、彼の持っていたコップがその手から転がり落ちた。
「あっ」
わずかな水音とともに一瞬広がった水溜りが、間もおかず掛布の中へと吸い込まれていく。
そのまま床へ落ちたコップが、金属の高い音を立てた。
「どうしました、大丈夫ですか」
サイラス少尉は、手を伸ばし彼の腕に触れた。
「駄目だ」
「?」
思いがけず激しい動作で、かけた手を振り払われる。その力の強さに彼女は驚いた。
「駄目だ、離れて」
少年は繰り返した。腕で顔を覆うような仕草で体を縮め、彼女から離れようと敷布の上をにじる。
「どうしたんです、掛布を、替えないと」
「駄目なんだ、僕に……僕を、放って、おいて」
不自然に言葉を区切りながら、なおも意固地に遠ざかろうとする少年に、少尉は思わずその肩を掴み、顔を覆う腕を取った。
反射的に抵抗する少年と一瞬のもみ合いになる。衝撃でサイドテーブルの上の洗面器が転げ落ち、派手な音を立てて床に水を散らした。
少女は一喝した。
「放っておけるわけがないでしょう、あなたは、病人なんですよ!!」
呆然と見開かれた少年の目を真正面から見返した、数瞬。彼女はその瞳に見入った。
……ああ、なんと深い青だろう。ずっと閉じていたから、わからなかった……
「放せ」
その時ひらめいたのは、確かな怒りの、憎しみの気配。
「私に……近寄るな!ここから、出て行け!!」
……羽ばたく赤い鳥を見たと思ったのは、幻だったのか。
次の瞬間、少女の意思は消え去った。
*
ブリタニアはオークランドのはずれ。
ゆるやかな丘陵地帯が続いている。オレンジ農園の新緑が鮮やかな初夏である。
この広大な荘園の一画に、さっぱりとした外観のカントリーハウスが建っている。
その一室から、闊達な笑い声が漏れてきていた。
「――ユーフェミア様のご様子をお聞きできて良かった。枢木も元気だと伝えれば彼も喜ぶでしょう。
しかし随分しっかりとやっていらっしゃるようだ。あのお小さかった姫君が……おさびしいのではないですか、殿下」
部屋の主は、からかいを含んだ口調でモニタの中の人物に問いかけた。
『ご冗談はよしてください、エニアグラム卿。まだまだですよ。危なっかしくて見ていられない。』
モニタの中の人物が返す。そう言ったものの、口元が微笑んでいるように見えるのは気のせいではあるまい。
『……それで、どのように過ごしていますか、あの者は。』
「ええ。」
この部屋の、ひいてはこの屋敷の主であるノネット・エニアグラムは答えた。
「最近では、表にも出て働いていますよ。……それはもう、こまごまと」
『ほう?』
「本人が、ただ食客に甘んじることはできないと言うので……まあ、日常の感覚を取り戻すのにもよかろうと。
体が落ち着いてからは、とりあえず掃除でも手伝わせようと家人に預けたのですがね、」
ノネットは、少し決まり悪げに視線を逸らしながら続けた。
「殿下もご存知のように、人好きがする、飲み込みのよい奴なものですから……家内ばかりでなく、
何か使いに出すと、その先で気に入られては何か仕込まれて帰ってくる。手土産も一緒に持たされて」
『……それは、まあ』
「先日なぞ、妙に夕食の出来がいいので尋ねてみれば、いたずらを見つかったような顔で厨房から出てくるのですよ、奴が。
農園で、良いオレンジをもらったのだとか、エプロンまで付けて……そう呆れたような顔をせんでください、コーネリア殿下」
『 …… 』
モニタの中の人物、エリア11総督たるコーネリア皇女の表情を、呆れた、と表現するのは少々間違っている。
渋い顔、あるいは苦虫をかみつぶしたような、とでも言うべきだろう。
確かに、騎士たるもの、それらしく威厳と誇りを持って振る舞うべきだと考えるこの方の眼鏡にかなう過ごし方ではあるまい。
……エプロンは、伏せておくべきだったか?ノネットは可笑しくなって笑った。
「まあ、最近は、体力も戻ってきたようなので、私の組み手の相手をさせていますよ。いい鍛錬になる」
『エニアグラム卿、お手柔らかにお願いしますよ。奴はまだ病み上がりなのでしょう?あなたの対術訓練は洒落にならない』
「とんでもない、手加減など!最近はひやりとさせられることも多いのですよ」
ノネットは、くつろいだ様子で伸ばしていた足を組み替えた。
「やはり、不思議なところのある若者ですね。身体能力が高いのは勿論なのですが、妙に古い型に則った動きをする。
最近ではこちらから吸収したものを併せて意外な手を出してきますが。全く油断がならない。」
『ほう。』
「勝率は10割ですがね。まあ、1割とは行かないまでも5分くらい獲っていく日も遠くはないでしょう」
ノネットはそこまで言うと、からからと気持ちよく笑った。モニタのコーネリアは、困った人だ、と言うようにため息をひとつ。
そのとき、ノネットの居室に、屋外で犬の吼える声が届いた。彼女が他所に注意を引かれたのを見て、コーネリアが問うた。
『どうかされましたか?』
「ええ、誰か訪う者があったようです……いえ、問題ありませんよ、きっとグローサリーかどこかの娘です」
『娘、』
ノネットのちょっとした含みを、コーネリアは耳敏くとらえた。
「ええ、最近とみに……屋敷の訪問者が増えましてね。まあ、これは私にも責任のあることなんですが……」
『責任?』
「あの者が、度々あちこちで世話を焼かれて戻ってくるので、私が言ったのです。
人に親切にされて、礼に困ったら、とにかくきちんと態度で示せ。……笑顔を返せ。と」
『……なるほど。』
「そんな訳で、向こう2マイルは隣家もないような私の屋敷にはるばる通ってくる娘がいるわけです。
口コミというのは侮れない。付いたとおり名が『微笑み皇子』だそうですよ。まったく」
こらえきれない様子で、ノネットはくつくつと笑いをこぼした。
ノネットの話に苦笑していたコーネリアだったが、ふと表情を陰らせると、つぶやいた。
『……では、奴は変わらず』
ノネットは笑いを収めた。かすかに頷くと目を細め、モニタの中の皇女に向かって言葉を返す。
「ええ、あれから。言葉を話しません、ひとことも」
「勝手な想像を申し上げるならば……恐れているのでしょうか。」
『恐れて?一体、何を』
コーネリアは聞き返す。
「……さあ?」
ノネットは、はぐらかすような調子で、モニタに向かって肩をすくめて見せた。
「何か、のっぴきならない事情があるのは間違いないのでしょうが。」
一旦言葉を切ると、考えをめぐらすように視線を上げる。
「一通り検査は受けさせましたが、体の状態に問題はありません。頭の方もね。ただ、言葉を発さないのです。」
コーネリアがわずかに顔をしかめる。
「声帯にも外的な問題はない。ただ、話さない。おそらくは……自らの意思で」
『 …… 』
「時間がかかる、ということです。」
『 ……ええ。わかっています。あの者の身柄は卿にお任せしたのですから』
「ありがとう、殿下」
ノネット・エニアグラムは、一国の皇女でもある自分の後輩に、いささか率直な礼を述べた。
『 ……それでは、エニアグラム卿、私はそろそろ。所用がありますので。』
「お忙しい中を、感謝します。お話できて良かった……ごきげんよう」
『ごきげんよう。』
通信を切ると、ノネットはひとつ、ため息をついた。卓上の時計を確認する。お忙しいことだ、あちらは朝の8時過ぎだろうか。
特区日本が成立し、表立っての叛乱行為は減ってきてはいるものの、いまだエリア11は不安定なところも多い……
「 ……ふむ。」
ノネットは、通信機のスイッチに添えていた手を滑らせ、デスクの端に出したままの書類に触れた。
「体の状態に問題はない……」
納得はしていらっしゃらない様子だった、とノネットは先ほどのコーネリアの様子を思い出し苦笑する。
手元に引き寄せた薄い紙の綴りを、確認するでもなくぱらり、と開いた。
身長体重諸々の基本的なデータに加え、血液検査の詳細な分析結果。
『ライ・スラトナム』
行頭に、このデータの帰属する人物の名前が記されている。
生年2000年、ブリタニアカークランド出身。両親、縁者の記録は無し。
2017年5月、大病を患い、記憶障害が残る。
同年6月、アッシュフォード学園エリア11校編入。
同年7月、ブリタニア軍特別派遣嚮導技術部に所属。KMFテストパイロットとして勤務。
同年9月、ブリタニア第二皇女コーネリア直属親衛隊に転属。
同年11月、行政特区日本発足記念式典の警備任務に就くが、作戦行動中行方不明。
最終的な階級は少尉。
これがこの男の、公的な記録。なんともざっくりとした経歴である。
2017年以前は、生年の記録があるほかは空白。真っ白だ。
――スラトナム?悪い冗談だ。韻らしい韻も踏んでいない、「失った者(LOSTMAN)」のいいかげんなアナグラム。
子供の思いつきで付けたような名。ノネットはそんな悪ふざけを好みそうな人物に心当たりがあった。
特別派遣嚮導技術部、通称「特派」の頓狂な主任研究員、ロイド・アスプルンド伯爵……
コーネリア皇女の内々の了解を得ているとは言え、表向き行方不明になっている男の調査である。
ナイトオブナイン本来の任務とは関わりのないことでもあり、調査に当たって血液検体の出所は伏せてあった。
しかし分析を進めさせるうち、ノネットはそこに奇妙な痕跡を見ることになる。
ほぼ「同じ検体」の分析がほんの数ヶ月前に行われている……それも、今回同様、出所を伏せる形で。
改めてこの男の経歴を見直してみれば、ひととおりIDの体裁は整っているものの、呆れるほどさっぱりしたものだ。
……まるで、必要に駆られ、あわててでっち上げたかのような。
(時期から見て、検査は特派への入隊時。IDは……親衛隊への転属がらみか?それならば)
記録の捏造、あるいは改ざん。まあ、それ自体はいい。
元々、特派は第二皇子シュナイゼルの肝入りだ。人間ひとりの記録を操作するなど造作も無い。
問題は、検体分析が示す「意味」の方だ。そしてもう一点……
(彼らは、何を知っている?どこまで)
ノネット・エニアグラムは、状況を量りかねていた。
*
あの日。
ナイトオブナインとして特区発足式典に参列するべく、エリア11を訪れたノネット・エニアグラムは、思わぬ拾い物をした。
定刻に大きく遅れながらも、別段あわてることも無く式典会場に向かっていた彼女だったが
偶然行き当たった突発事象に対処する形で、取り急ぎ、ひとりの少年将校を担ぎ戻ることになったのである。
『まあ、硬いことを言うな。急用ができたんだ』
エリア11に到着して二時間足らずでのとんぼ返りを命じられて渋る船長に、ノネットは言った。
結局のところ、皇帝直属「円卓の騎士」に敵うものなどいない。最後には、あっけらかんとした彼女の「説得」に折れることとなった。
(当て身が、効き過ぎただろうか)
船に運び込んだとき、少年は発熱し始めているようだった。
(……咄嗟のことで、加減がな。)
少年がなかなか意識を取り戻さないことに多少の不安を覚えつつも、医務室のベッドをあてがわせると、ノネットは自分もその部屋に陣取った。
船長任せの航海中は別段することもないので、眠る少年を飽きるまで眺めつつ、適当に時間を過ごしていたのだった。
あわただしくエリア11を出港してから6時間。航行も終わりに差し掛かった太平洋上空で、それは起きた。
そろそろ本土の土も見える頃か、と狭い窓から外を眺めていたノネットの元に、使いがやってくる。
船長が、航路について相談したいから艦橋に来て欲しいと言うのだった。ノネットは、眠ったままの少年の様子をうかがうと
通路を通りかかった気の利きそうな少女将校を見繕い、自分が戻るまでの看病を任せたのだった。
艦橋で航行図を指しながらの説明を受けていたノネットの元に、医務室の少年が目を覚ましたと連絡が入った。
ひとときの安堵のあと、ノネットは船長を残して椅子を蹴り、後も見ず医務室へと歩き出した、その矢先
『――!!』
『――、―…!』
何かの転がり落ちる音や、言い争う人の声を聞いた気がした。ノネットは反射的に駆け出した。胸の内の警鐘が鳴る。
このケレウス号は、大きな船ではない。乗員10名ほどで回せる、小型の飛空挺である。
何か騒ぎが起これば、それは船の多くの場所に届き、非番の船員が駆けつける……
――その光景を、理解するのは難しかった。飛空挺の狭い通路に、4,5人の船員がひしめいている。
その中に、少年の看病を任せた少女将校が、医務室から射す光に背を向ける格好で立っていた。
「サイラス少尉。何があった」
「 …… 」
ノネットの問いかけに、少女はぼんやりとした視線を向けた。
「私、……」
ノネットは、他の船員を見渡す。戸惑ったような表情でこちらを見返すが、何か言ってくる者はいない。
埒が明かない。ノネットは、通路の船員たちを押しのけると、そのまま医務室へと体をねじ込んだ。
少年が、立ち尽くしていた。
床に飛び散った水、思い思いの方向に転がり落ちた器具たち。
ノネットの姿に反応して少年が身じろぎをする。その素足の下で、氷の破片がパキリ、と小さな音を立てた。
「……どうした、お前」
本人から答えが得られると思って尋ねたのかどうか、ノネット自身にもわからなかった。
「ごめんなさい」
ささやくような声が届く。
「僕は彼女に、ひどいことを」
「彼女?少尉のことか」
「あなたにも」
「?」
「ひどい十字架を、背負わせようとした。あなたの意思を踏みにじって……僕のエゴで、でも」
少年の膝が落ちた。ノネットは慌ててその体が床に崩れる前に受け止めに入る。
衣服越しに触れる体が異常に熱い。ノネットは、少年の体をきつく抱きながら耳元で言った。
「言っただろう!死ななくていいと。私はお前を殺さない。殺さないからな」
「……思い出したんです。全部」
その言葉を最後に、少年は眠りに落ちたようだった。
ひどく浅く、でも規則正しい呼吸を聞きながら、ノネットは呆然と今の言葉の意味を考えていた。
*
少年は、その居をエニアグラムの屋敷に移すまで昏々と眠り続けた。
少女将校に事のあらましを尋ねたものの、妙に口述があいまいで要領を得ない。しかし、ひとつだけはっきりとした異変があった。
改めて少年をベッドに寝かしつけたあと、ノネットは、荒れた室内を落ち着けるべく集まっていた船員に指示を出した。
『……駄目です』
サイラス少尉は答えた。
『私は、そこに入れないのです。その方には、近付けない』
彼女だけではなかった。騒ぎを聞きつけて集まっていたクルーたち、廊下に居合わせた船医でさえもが医務室へ「入れない」のだった。
(「殺してください」か)
ノネットは、ぼんやりと事の輪郭を捉えた気がしていた。
結局のところ、部屋の後片付けは、事件に居合わせなかった船員に手伝わせて済ませたが、
サイラス少尉はじめ、集まっていたクルーが医務室に「入れない」状態は航行が終わっても変わらなかった。
(「入れない」……入るな、出て行け。「近付けない」……近寄るな、あるいは離れろ、か?)
――彼が、自ら言葉を封じる理由。ノネットの中で、ゆるゆるとピースがつながっていく。
(「意思を踏みにじる」とはな。……確かに、これは)
我知らず、詰めていた息を吐き出し、苦笑する。
(私も、危なかったわけだ。)
正直、もう一歩踏み込めるアテがないわけではなかった。
(ファランクス卿)
ベアトリス・ファランクス。ノネットの仕官学校時代の後輩であり、現在の事実上の上司でもある女性である。
――特務総監を務める彼女ならば、あるいは。
(いや、逆だな。近すぎる)
ノネットの中の何かが、それを押しとどめた。血液の詳細な分析結果から判明した、遺伝に関するいくつかの「事実」。これが本当なら……
それぞれの仮定は、冗談のように突拍子ないものである。
だが、それ故に、大げさな推論とは互いが揃えば奇妙な信憑性を帯びるものだ。
「役満だな。まったく、とんでもない業を背負っているようだ、彼は」
ノネットは、髪をかき上げ天を仰ぐと、嘆息した。
『お館さま。』
そのとき、ノックの音とともに廊下からの声が届いた。
「……オランドか。」
ノネットが答えると、扉が開き、初老の男が顔をのぞかせる。
「そろそろ、お支度を。」
三十年以上この家に付き、家内を切り盛りしている男である。遠く首都ペンドラゴンにも私宅を構え、
屋敷を空けることも多い主に代わって、決して小さくはない土地建物を荒らすことなく維持している。
「そんな時間か、」
ノネットが窓の外に目をやると、空は白みを帯びた薄桃色に変わり始めていた。
離れて見えるバラ園に、銀髪の人影がちらりと見えた。……今日は園丁仕事か。全く小器用な奴だ……
「ナイトオブラウンズの正装でよろしいかとは存じますが」
「そうだな……」
そのときふと、ひとつの思い付きがノネットの頭をよぎった。
「ドレスに、なさいますか?」
言葉を途切らせた主に、オランドは尋ねる。
(……いやいや。)
その思いつきに、反射的に首を振るものの、はたと考え直す。
わずかな逡巡のあと、うむ、とノネットは小さく頷いた。
「……それでは、ドレスで。」
オランドは、そう確認すると、部屋を辞するべくきびすを返した。扉を閉めかけた執事を、ノネットは呼び止めた。
「……オランド!」
(突拍子もない事態には、それに見合う力、か。)
「あいつにも、支度をさせろ。連れて行く」
ノネットは、思案顔から一転、なんとなく愉快な気分になっていた。
*
……しばしば、物理的な距離は、精神的な求心力にも影響を及ぼす。
エニアグラム伯爵家がその領地を保有するオークランドは、首都ペンドラゴンから遠く離れた、大陸西海岸に位置する。
気候は温暖、農・酪農業に適し、食料自給率も高い。ブリタニアが今ほどの覇権主義に染まる以前から、
移民が人口に高い割合を占め、大規模農場や食品加工工場の労働力として機能していた。
現皇帝シャルル・ジ・ブリタニアは、極端な自国至上主義を唱えながらも、こと経済においては実際的な感覚を持ち、
この地域において、適度な規制を設けつつも従来の性質を伸ばす形で、外資をいれた合弁企業などを庇護する政策を採っていた。
一方で、移民や植民地由来の「名誉ブリタニア人」に国粋主義的な心情が薄いのも事実であり、
この地域は、ブリタニアが世界版図において隆盛を誇るこの時代にあっても、独立独歩の気風が根強かった。
……このような土地柄において、人種を問わず信望を集め、広く領地を治めるエニアグラム家は、この国の貴族体制にとって西の要といえた。
また、その現エニアグラム伯が皇帝に忠誠を誓う直参騎士、ナイトオブラウンズであることもまた、大きな意味を持っていたのである。
「――珍しいな、ノネットのドレス姿とは。麗しいじゃないか」
「ん?ああ、たまにはな。」
華やかな人波が行き交うパーティー会場である。ちらりと自分の服装を見やり、ノネットは答えた。
考え事をしながら出立の用意をしていたら、気付けばそういうことになっていた。執事が用意したらしい。
彼女の豊かな胸元を強調した薄紫のドレス。ラウンズのパーソナルカラーに合わせたものだ。金糸の刺繍を散らしてある。
多少足回りが悪いのが難と言えば難だが、彼女は外見に頓着しない性質なだけで、別段女性らしい格好を忌避しているわけではないのである。
「すまなかったな、急に招きたてて」
「まったくだよ。パーティーなら、着たい服もあったのに」
「……いいじゃないか、騎士服で。ジノ、この際だから言うけど、お前の私服はいただけないと思ってたんだ」
ノネットは、長く燕尾の伸びた白い騎士服に身を包んだジノ・ヴァインベルグに言った。
皇帝直参のナイトオブスリー。つい先ほど、戦地から舞い戻ったばかりである。騎士としての力量は折り紙つきだ。
「……アーニャはなんて言うか、うん。可憐だな」
よしよし、と言うようにノネットは小柄な少女の頭を撫でた。淡い紅を基調にした華やかなドレス。
こちらはノネットが急遽用意させたものだったが、「薄紅の天使」とでも形容できそうにしっくりと似合っていた。
この少女、アーニャ・アルストレイムも、ナイトオブシックスを勤める最年少のラウンズである。
「……その子、だれ。」
アーニャが、いささか抑揚にかける声で問うた。ノネットは、そばに控えていた少年に目をやって答える。
「ああ、しばらく前からうちに居付いている、まあ居候だ」
背の高さこそ及ばないが、年の頃はジノと同じくらいだろう。黒のお仕着せが妙に板に付いた、なかなか見目の良い少年である。
薄く茶色がかった銀の髪がノネットとよく似て、並ぶと姉弟のようにも見えた。
少年は、ノネットに促されて一歩前に出たが、困ったような表情になった。
『 …… 』
わずかに微笑んで会釈をしてみせる。挨拶ということだろうか。
「 ……?」
「名前は?」
「まあなんだ、口が利けないんだよ」
いぶかしげに少年を伺うふたりに、ノネットが言った。
「名前は、ライと言う。姓は……スラトナム、だったか」
確認するようにノネットが顔を振り向けると、ライは頷いた。
「今日は、お前たちが来ることになったからな。引き合わせようと思って」
「ふうん?」
無遠慮に探るようなジノと、淡々と見据えるアーニャ双方の視線に晒されて、ライは決まり悪げに身じろぎをした。
「……使えるのか、こいつ」
「試してみるか?」
ノネットは、にやりと人の悪そうな笑みを浮かべた。
「最近ではこいつの組み手の相手をするのもしんどくなってきてな。適当な相手をあてがわなきゃと思っていたんだ」
「 ……へえ?」
ジノとアーニャは、改めて興味深げにライを見た。
本人はと言うと、ノネットの言葉の雲行きが怪しいと見るや顔色を変え、とんでもないというよう手を突き出す。
「……ホントに?」
アーニャが少年をのぞき込み、改めて問う。ライは、困った人だ、というようにノネットに視線を送った。ノネットは、おかしそうに笑うばかりだ。
わずかな逡巡のあと、ライは右手首のカフスボタンを外すと、袖をひじまで捲り上げて見せた。見事な青タンが姿を表す。
ついでに、と言うようにかがみこんで左足のズボンも捲り上げて見せた。こちらの脛にも、見事な青タン。
「……まあ、そりゃあそうだ」
「私、ノネットに白兵戦で勝ったことない……」
あと、太腿と、二の腕と……と順番に指差してみせるライに、一緒にかがみこんだ二人は同情的に応じた。
フォーマルな男女の集うパーティー会場での青アザ自慢、というシュールな光景に
周囲の客たちも、ちらちらと興味を引かれているようだった。
ナイトオブラウンズの知名度もさることながら、単純に、非常に目を引く容姿を持った人々なのである。
「……なあライ、これ、触っていいか?」
しばらく黙っていたジノが、辛抱できないと言った様子で人差し指を突き出し、じりじりとライの向こう脛に近付けた。
『 !―…!!』
ライは、慌ててむき出しになった脛を隠そうとする。
……パシャリ。小さな電子音とともに、アーニャは携帯のカメラに、ライの脛に見事に咲いた痛々しい花を収めた。
「しかし、ちょっと変わったパーティーだな?」
ジノは、ライの青アザをかまうのに飽きると、立ち上がりながらノネットに言った。
「そうか?」
ノネットが返す。この会場は、郊外の草原地帯をぐるり囲む形で設けられていた。普段は収穫した農作物の集積場として使われている、
ゆるい勾配の付いたくぼ地である。無料で料理を供する屋台がずらりと並び、むしろ祭のような賑やかさだった。
仮設の高い足場が組まれ、ともされた無数の灯火の向こうにもまた、星がきらめき、明るい音楽とともに、夜風が葉ずれの音を運んでくる。
眼下に広がるゆるやかな丘陵地帯の先には、きらめく町の灯火が固まっているのが見えた。
「……違う。ペンドラゴンの方とは」
アーニャが、ひとしきり撮影を済ませた画像を保存しながら言った。
「なんていうか、風通しの良さもそうだが……出席者に庶民?ぽいのが多いな?あと、ナンバーズも」
「ああ、そうか」
ノネットは、笑った。
「皆、着付けない一張羅を着てきているしな」
「一張羅?」
「主催のIACは、エリア8由来の合弁企業だからな。あちらから入っている幹部も多い。
それ以外にも、こちらで雇っている一般の社員やその家族、生産担当者……このあたり一帯の、うちの小作人なんかも招かれている。
……新製品の発表会を兼ねた、地域をあげての慰労会みたいなものなんだよ、これは」
「へえ。」
ジノは、驚くでもなく相槌を打った。
「――お館さま!」
ジノがその声に顔を振り向けると、ひとりの少女がノネットの元に駆け寄って来るところだった。
年のころは十二ほどだろうか。利発そうな表情で、真新しい紺の制服に身を包んでいる。ジノはその制服に見覚えがあった。
少女は、ノネットの数歩手前でぴたりと止まると、ややぎこちない敬礼の姿勢をとった。
「ナイトオブナイン、エニアグラム卿。お会いできて光栄です。……お久しぶりです!お館さま」
「お前、エリナか!」
ノネットは顔をほころばせて少女に向き合った。
「大きくなったな、いくつになった」
「十三です。春から、ペンドラゴンの士官学校に進みました。今は、短期の休暇で」
「そうか、よくやったなあ。お前なら出来ると思っていたんだ!……コルバートの調子はどうだ?」
「父も、おかげさまで、仕事に復帰できる目処が立ちました。まだ自由に歩き回ることはできませんが……
お館さまにお会いできるチャンスがあるのだから、私に行ってきちんとお礼を申し上げてこいと。」
はきはきと答える瞳が輝いている。
「そうか。よく勉強するんだぞ。そして、いい友達を作れ。一生の宝になる。」
「はい!!」
元気の良い返答に、ノネットはしみじみと笑顔になり、少女の頭を力強く撫でた。
少女は、ノネットに少々乱暴に髪を漉かれながら、喜びで頬を紅潮させていた。
ひとしきり、礼の言葉を述べたあとでノネットの前を辞去した少女を、ジノは、興味深いものを見た、という表情で見送っていた。
「うちの小作人の娘なんだ。よくできた利発な子でな。もったいないからエニアグラムで援助していたんだ」
ノネットが言った。
何とはなしに少女の背中を見送っていたジノは、顔を上げると、改めて周囲を見渡した。
小さな子どもの姿も見える。談笑する大人たち。皆一様に、よく飲み、よく笑う。和やかな笑顔だ。
「……悪くないな?こういうのも」
「そうだろ。」
ノネットは、愉快そうに応じた。
「……うちの上を通るなら、寄ってお茶でも飲んで行け、なんて言うから。何かと思ったんだよ」
ジノが言った。
ほんの24時間前。ジノとアーニャ、ふたりのナイトオブラウンズは、ユーラシア大陸国境付近での戦線に駆り出されていた。
二人の出撃により、早々に一方的な殲滅戦の様相を呈した制圧が完了、帰国の途に着こうというとき、
補給のために寄港の連絡を入れた西部基地との通信に割り込みが入ったのである。
『早摘みのオレンジがいい季節だしな』
ノネットはそう言って二人を招いた。
『ちょうどパーティーがあるんだ。美味い料理をご馳走するよ』
「確かに、美味しいけどね」
自由に試食できるようになっている新商品のチーズをつまみながら、ジノは言った。
海沿いの地域だけあって、オードブルなどにも海鮮が豊富に使われている。
新鮮な食材にシンプルに手を加えただけの料理は、それでもとても美味だった。
西海岸特有ののおおらかさに満ちたパーティーは、中央育ちのジノの身にも心地よく馴染みつつあった。
「―――ところで、ノネット」
ジノは、視線をデザートを供している屋台の方に向けたまま言った。
「要件はなんだ?」
ジノは問うた。
「……ただチーズをご馳走してくれるために、ベアトリスに小言を言われるとわかってる寄り道をさせたわけじゃないだろ」
ノネットは、視線を麓の町灯りに向けたまま答えない。
「あいつか。」
ジノの視線の先で、アーニャに言われるままに次々と、ライが盆にデザートを乗せていた。
合間合間に、アーニャが携帯を操作し写真をとっている。何か知らないが、妙に息が合っているようだ。
口数の少ない者同士、波長の合うところでもあるのだろうか。
「なんなんだ、あいつは。」
「……正直、私にもよくわからないんだよ。」
ノネットは答えた。
手ぶらのアーニャを先導に、両手にデザートを満載した盆を持ったライが戻ってきた。
なぜか彼の隣に、ドレス姿の年頃の少女が付いて、緊張した様子で一緒に飲み物の盆を運んでいる。
ライは、ノネットの脇のテーブルに自分の手の盆を置くと、少女から飲み物を受け取り、にっこり笑うと会釈をした。
「……いえっ、そんな、あのっ。」
少女は急にうろたえたように頬を染めると、あわただしくノネットやジノたちに向かって礼をすると駆け去っていった。
「……またやったな」
ノネットが発泡酒のグラスを受け取りながら呆れ顔で言う。
「お前、無節操にフラグを立てていると、そのうち血を見るぞ?」
『?』
ライが、無自覚な表情でノネットを見返した。
「やり手なのか。お前」
ジノがライをつついて言った。
「言葉が話せないというのも、乙女に夢を見せる原因のようだな。……無口な男は持てるらしいぞ、ジノ」
「何だよ、それ」
ノネットの含みに反応したジノが言い返そうとすると、ふかふかとしたババロアをつついていたアーニャが、口を挟んだ。
「……ジノは、喋りすぎ。……あと、服のセンス」
「もう、何が悪いんだよ。カッコイイだろうが、あれ」
そういうジノに、アーニャはもの問いたげな視線を送るだけでもう何も言わなかった。
「……そうは言っても、な。和やかなばかりではないんだよ、ここも」
「?」
くい、とグラスを煽ったノネットが言った。ジノが顔を上げる。先ほどの話の続きらしい。
「近頃では、植民地由来の資本すら駆逐するべきだ、と言う国粋主義派閥の動きが活発でな」
会話にきなくさいにおいを感じたのか、アーニャがちら、と視線をよこす。
「――私がこちらを空けがちなのも、原因ではあるんだが。合弁企業標的のテロも増えている」
無爵位のナンバーズでありながら、その産業を国から庇護され、鄙の下級貴族よりもよほど貴族らしい生活を享受する。
そういった彼らに、下級貴族や、純血のブリタニア人でありながら裕福とは言えない生活に甘んじる層からの反発は根強いのだった。
「そんなものかねえ」
名家ヴァインベルグの出とは言っても四男坊、政治の世界にはもう一歩踏み込んでこなかったジノにはピンとこない話ではあった。
「そんなもの、みたいだな。」
ノネットは言うと、すい、と手にしたグラスをライに預けた。
「――エニアグラム卿、そろそろよろしいですか。」
さくさくと草を踏み、近付いてきたのは年の頃四十前後の男だった。ジノとアーニャに丁寧に礼をする。
肌と目の色が濃い。おそらくはナンバーズである。
派手なところはないものの、落ち着いた物腰がこの男が責任ある立場にあることを知らせていた。
「わかった。行こうか、エリオット」
ノネットは、男の手を取ると進み出た。
「それじゃあ、ちょっとお仕事だ。行ってくるよ」
ノネットはそう言うと、空いた方の手をひらひらと振りながら、丘を背にした位置に設けられた演台へ向かって歩き出した。
一旦止まった音楽が、セレモニーの開始を告げる華々しいものに変わった。
先ほどノネットをエスコートして行った男が壇上で挨拶をしている。
エリオット・シュナイザー、IAC・国際農業開発機構社長。この催しの主催者であったらしい。
舞台袖で出番を待つノネットの姿を眺めながら、ジノは隣り合ったライを突付いた。
「ところでお前さ、」
『?』
「ここに来る前は何をしていたんだ? ……って、そうか言葉が」
ジノが頭をかいていると、ライが、隠しから小さな巻き取り式のリールにつけた手帳を引き出して見せた。
「ああ、筆談か。なるほど」
「……ノート?」
見せて、とアーニャが手を差し出した
「ちょっと待て。私が先に質問していたんだぞ」
ジノが遮る。ライは少し困ったように首を傾げてから、手帳のリングに挿したペンを引くと、開いたページに筆記し始めた。
さらさらと紙が鳴る。差し出された頁を、ジノとアーニャは覗き込んだ。
『(ここに来る前は、エリア11に)』
「……へえ?」
「特区、日本の。」
文字とライの顔を見比べながら、ジノは重ねて尋ねた。
「何をしてたんだ?学生か? ……軍人だったのか、お前は」
「 …… 」
何かを答えようとするように、息を吸い込む気配があった。手帳を持った手が、ためらいがちにペンを構える。
『 ……(僕は、)』
手元を注視されながら、ライが迷いながらその一語を綴ったとき――会場の空気が変わった。音楽が止まる。三人は舞台を振り返った。
「――それでは、我らがIACに多大なるご支援をいただき、また栄えある皇帝陛下ご直参、ナイトオブナインでもあらせられる
ノネット・エニアグラム卿よりお言葉をたまわりたいと思います。……エニアグラム卿、どうぞ!」
さっ、とエリオット・シュナイザーの腕が舞台袖へと差し伸べられた。
スポットを浴びて、ノネットが壇上へと進み出る。音楽が鳴り始めた。同時に会場中から大きな拍手と歓声が湧き起こった。
ノネットが微笑みながら手を上げてそれに答えると、さらに歓声は大きくなった。
「……これはこれは。」
「すごい、人気。」
ジノとアーニャが、あたりを見回し、熱狂する人々を見て感心したように言った。
「さすがはブリタニアは西の要、と言ったところか。」
誰にともなく、ジノがつぶやく。ライは、まぶしいものを見るように、舞台に立つノネットを見つめていた。
「……難しいことは言わない。今日は、思い切り羽目を外して楽しんで欲しい。そして明日からまた、元気で働けるように。」
舞台上での、ノネットの挨拶は簡潔だった。笑いさざめく聴衆から、いくつもの同意の声があがった。
「皆の健康と、幸福を祈って。……乾杯!」
ノネットの発声に、会場の人々が調子を合わせグラスを掲げた。舞台の両袖と背後でドン・ドンと音を立てて花火が打ち上がる。
パリパリとはじける音とともに、天に極彩色の花が咲いた。降り注ぐ光に、会場の人々が夜空を見上げて歓声を上げた。
舞台上のノネットも、手をかざして空を見上げた。そのとき、
((ドンッ))
タイミングを外したように、もう一度爆発音が響いた。再度歓声が沸きかけるが、花火は上がらない。
「……?」
人々はいぶかしげにあたりを見回した。奇妙な沈黙。次の瞬間、舞台を組んだやぐらが足元から火を吹いた。
((ドン!))((ドン!))((ドン!!))
連続した爆発音とともに、足場が崩れ始める。ライトが吹き飛び、ガラスの破片が降り注ぐ。
バチン、という音とともに会場中の明かりが落ちた。
「!?」
「……!!!」
人々が声もない驚きに立ちすくんだのは一瞬だった。間を置かず、悲鳴が噴出する。
吹き出した炎が舞台を舐め上げ、聴衆の髪を焦がした。恐怖に駆られた人々が無軌道に駆け出すのは同時だった。
「――テロかッ」
ジノは反射的に身を伏せ、降り注ぐ破片から身を守って言った。
「アーニャ?」
「……平気。」
(ノネットは?)
ジノは舞台に目を向けた。もうもうと巻き起こる土ぼこりの向こうに、ちらりと薄紫のドレスが動くのが見えた。
脇に、人を抱えているようだ。――あれは、IAC社長か?
「よし、とりあえず動いてるな。お前は」
ジノはライを振り返った。ライが視線を合わせて小さく頷く。……一瞬、気を飲まれた。戦士の顔。そうか、こいつは、やっぱり。
爆発物から引火したのか、会場の周縁に配置された屋台が燃え始めていた。足場に張られた幔幕が炎のカーテンとなる。
間を置かず、非常時の火災に備えて会場外に待機していた消防車からの放水が始まったようだった。
炎に照らされた会場に雨粒が降り注いでいたが、断続的な爆発が続き、炎の勢いは衰えを見せなかった。
「まずいな、会場中に燃え移ったら蒸し焼きになるぞ。客たちを避難させないと」
「出口が、少ない」
「アーニャ、設営用の重機ナイトメア、使えるな。足場押しつぶして出口を開けよ」
「起動キー。」
「なければ探せ」
「……命令しないで。とりあえず行く」
ふわり、桃色のドレスが鮮やかに翻る。アーニャは目星をつけた方角へ風のように駆け去って行った。
耳にとりつけたインカムを操作しながら、ジノが言った。
「ライ、私は避難誘導と消火の指示に回る。お前は……」
そのとき、新たな爆発が起こった。はじけた鉄パイプが落下してくる。逃げ惑う人々。咄嗟に、ライは地面を蹴って飛び出した。
銀色の風が駆け抜ける。パイプの落下地点をすり抜けて現れたライの腕には、若い女性が抱きかかえられていた。
着地点で女性をそっと地面に降ろすと、ライは大丈夫、と安心させるように彼女に微笑んで見せた。
……ひと呼吸ののちに飛び出していった彼を見送る彼女の目が、恋するそれになっていたのは仕方のないことだろう。
「 ……なるほど。やるな、お前(フラグ的な意味で)」
『 ……? 』
ジノの言葉にちらりと視線を向けると、ライは肯定するでもなく謝辞のように、かすかに頷いてみせた。
「ライ、お前はノネットに合流しろ」
ジノはライに言った。
「狙いはおそらく、IAC社長、あるいはノネット自身だ。どさくさにまぎれて狙われる。」
『 ……っ 』
ライの瞳が鋭くなる。
「任せていいな?」
ライは真剣な瞳をジノに向けると、力を込めて頷いた。
*
(参ったな、)
ノネットは火にまかれた舞台袖を逃れて、共同使用の耕作機械を収める倉庫の影に身を潜めていた。
背後に丘がそびえているせいで外に逃れることはできないが、会場からは木々にはばまれた上に草が刈ってあり、当面燃えるものがないのが救いだ。
彼女の隣には、IAC社長が寝かされていた。最初の爆発の際に飛んだ破片が、彼を傷つけていた。
どうにか外に救援要請と火災消火の指示を発したあと、彼は意識を失ったのである。
浅い息をつく彼の頭部から血が流れ続けていた。ドレスを裂いた布で傷口を締めてあったが、止血には至らないようだった。
(怪我の程度はそれほどでもないようだが……手当ては必要だ)
エリオットから外した通信機を耳に当てるが、雑音が入るばかりで役に立たない。今は妨害電波が出ているようだった。
舞台周縁を崩す爆発。炎から逃れて来たものの、その実誘い込まれていたのではないか。ノネットはかすかな焦りを覚えた。
(来ているな)
ノネットは、インカムを捨てると耳に神経を集中した。
(混乱は、囮か。狙いは――)
ノネットの耳に爆発音、悲鳴や怒号が届く。ノネットは、ともすれば浮き足立ちそうになる自分を押さえつけた。
(大丈夫だ、あちらにはジノとアーニャが居る)
ノネットは、エリオットに足を曲げた姿勢をとらせると、垂木の上に伏せて乾燥させられていた仕分け用の大きな樽桶の下へ押し込んだ。
桶を元通り伏せてから、ひとつ、深く息をつく。裂いたドレスの下から、身につけていた銃を抜き出して弾倉を確認した。
ノネットは目を閉じて、闇の中に気配を探った。確かに居る。3人?もっとか。
ノネットは、倉庫の影からわずかに身を乗り出した。
((ヒュッ))
頭上を鋭く切っていく風。ノネットはすぐに首を引っ込めた。なかなか正確な腕だ。タイミングも良い。
自分も夜目は利くほうだが、暗視スコープに比べれば分が悪い……
そのとき、暗闇の中で衝突音が響いた。ぐぅっ、といううめき声とともに体勢が崩れ落ちる音。
続いて、タ・タと数発の銃声。同時に葉を鳴らし、木の幹をえぐる乾いた音。
「 ――…ッ!?」
虚を突かれたような声がし、一拍遅れてまた衝突音。
かすかなうめき声と前後して、ドサリ、と重いものが崩れ落ちる音が闇に響いた。
(……!?)
ノネットは、陰から身を乗り出した。
(!! お前、)
木立の陰に、ライの姿があった。ノネットは思わぬ安堵にかられて声を出しそうになった。
ライが、しっ、と唇の前で人差し指を立てた。続いて、ライの手が、何か意図的な動きをする。
軍用のハンドシグナルかとも思ったが、そうではないらしい。
「……?」
一瞬いぶかしんだノネットだが、すぐに思い当たった。
……言葉を話さなくなった少年に、ノネットは最初、手話での会話を勧めようとしたことがあった。
しかし、それを使っての意思の疎通には、自分もその言語を知っていなければならない―――
そのことに気付き、ノネットは手話での意思疎通は諦めたのだった。……必要な情報伝達は、筆談でできるからな!
早々に手話学習を放棄したノネットだったが、ライ自身は地道に勉強を続けていたらしかった。
(ええと、なんだったか)
ノネットは、眉間にしわを寄せながら一週間で投げ出した初心者向けの教本を頭に思い浮かべた。
脳内でたどたどしくそのページをめくる。手を動かしながら、記憶にある綴りを辿った。
(?……「ね」、「の」、「う」、「え」、「か」……?)
続いて、上を指差す仕草。
(……屋根の上)
ノネットは、壁面に張り付いた。横目でライの様子を探る。……当たりか。丘の上から回り込んできたのだとノネットは見当をつけた。
(単純に上を指差せばそれでいいものを)
ノネットは、少年の妙な要領の悪さに呆れながら気配を探る。頭上に、かすかに人のにじる砂音を捕らえた。
ひさしから、ふいに銃を構えた男の頭が覗いた、その瞬間。ノネットの銃が過たずそれを打ち抜く。力なく垂れ下がる腕と銃器。
((タ!))
続いてもう一発の銃声が響いた。一拍を置いて、ドサリ、と音がした。もうひとりの男がノネットの背後に降る。
思わずノネットが振り向くと、ライが木立から身を乗り出し、緊張した面持ちで銃を構えていた。
*
「馬鹿、お前、どうして数を教えない」
ライと合流したノネットは、そう言うと、ぱかん、とライの頭を叩いた。
叩かれた箇所を抑えながら目顔で謝るライの姿に、緊張が解けたノネットは思わず吹き出した。
「 ……だが、助かった。ありがとう」
ふたりは、木立で昏倒させた刺客たちをリールワイヤーで拘束すると、武装を奪った。桶の下からIAC社長を引き出し
代わりに暗殺者を詰め込むと、ライが社長を背負い上げた。辺りをうかがいつつノネットを先導して歩き出す。
短い木立を抜ける。火災は消し止められつつあるようだった。
時折、屋台の燃料に引火するのか、小規模な爆発が起こる他は、人影もないくぼ地の広場は音をなくしつつあった。
水浸しになった広場には、焦げ臭い匂いが充満している。空気は放水の細かな水滴を含んで重たくまとわりついた。
筋となった水が足元を蛇行しながら進んでいく。ライが一瞬、ぎくりとしたように踏み出した足を引き戻した。
濡れた足元がぐにゃり、と歪むような感覚があった。と、姿勢が前のめりになる。ぐるりに燃え残ったやぐらが明らかに傾いた。
「――っ!」
意識のない男の体を持て余した一瞬が、回避のチャンスを奪った。ふたりは足元のなだれ落ちるまま地面に呑まれる。
ノネットは、頭部を守りながら幾度か硬いものにぶつかって落ち続け、やがて体が止まるのを感じた。
――闇。ノネットは、パラパラと細かな土が降り注ぐのが止まるまで、目を閉じて待った。
慎重に体を動かしてみる。崩落は落ち着いたようだ。手足にひどく傷めた箇所もないらしい。
「ライ、無事か。」
やや離れて、ふう、と息をつく気配があった。ノネットは、かすかな光を頼りに気配の元へたどり着いた。
だんだんと闇に目が慣れてくる。ライは、抱えたまま落ちてきたらしいエリオットの体を看ているところだった。
ひととおり脈や呼吸を調べたあと、ライがノネットに向かってほっとした表情を見せる。最初の怪我の出血も止まっているようだった。
「――地下水脈かな。放水で急に抜きすぎて陥没したのか……いや、その前の爆発か、きっかけは。」
ノネットは、穴の底から上を見上げて言った。落差は5メートルはあるだろうか。生き埋めにならなかったのは不幸中の幸いと言ったところだ。
遠くわずかに開いて見える穴の口に、やぐらの燃え残りが格子模様の影絵になって見えた。
水を吸ってもろい土壁や勾配を思えば、自力で登れる高さではなさそうだ。
「仕方ない、発見されるまで待つしか……」
ノネットが言いさしたその時、穴の口に人影が差した。
「――ナイトオブナイン!エニアグラム卿!ご無事ですか!!」
男の声が降ってきた。ノネットははっと顔を上げる。ライが一瞬、険しい顔でノネットの顔を見た。
「そうだ!ここにいる」
ノネットが間髪をいれず答えた。
「他にも、ふたり……」
次の瞬間、ノネットの体は突き飛ばされるように位置を変えていた。何か鋭いものが、ノネットの居た場所の空を切る。
ライが、ノネットの体を抱え込むようにして土の壁に押し付けていた。
「 ――間違いない。ナイトオブナインとエリオット・シュナイザーだ」
たった今、銃を撃ち込んだ男が冷ややかに確認するのが聞こえた。
「まあ、いい。」
一旦言葉を切ると、男はむしろ愉快そうな口調で続けた。
「埋めろ、このまま。」
ノネットはその言葉に戦慄した。自分の迂闊さにぎりりと唇をかむ。
「……それでは、ごきげんよう。ナイトオブナイン」
冷ややかな声を聞いたとき、ノネットは、背中ごしに自分を壁に押し付けていたライの体が離れたのを感じた。
振り返ると、ライは真剣な表情で穴を見上げていた。やがて視線を降ろすと、ノネットを見る。
……にこり、とライはノネットに微笑んだ。ふわりとした感触。ライの両手がノネットの顔を包み、胸元へと引き寄せる。
ノネットが混乱した次の刹那、その手に力が入った。隙間なくふさがれたのは、耳。
ノネットの頬に押し当てられたライの胸が、深く息をはらむのがわかった。
『 ――、―――!』
凛、とその胸が震える。ノネットには何も、聞こえなかった。しかし、耳で聞こえずとも、肌で、髪で感じることのできる音はある。
その響きが、その場の空気を、彼女の肌を震わせて去ったあと、ノネットは、自分の耳が開放されるのを感じた。
「「……イエス・マイロード!!」」
頭上から、いかめしい男たちの声が響いた。整然と駆け去る足音。
――あとには、沈黙と、闇が残された。
*
男たちが駆け去ったあと、ノネットはしばらく外の様子をうかがっていたが、やがてライを振り返った。
「 お前、今――――。いや 」
わずかな迷いはあった。しかし、ノネットは続けた。
「 ……やはりお前、声は出るんだな」
問いかけではない。確認だった。ライは、そのまなざしから顔を背けた。口元はかたく引き締められている。
ノネットは、わずかに瞳をゆがめ、そのかたくなな表情を見つめていた。
ノネットは小さくため息をついた。視線を落とすと、土を踏み固めながら、地面にのべられたままのエリオットの元へと進む。
――少し、冷えてきた。濡れた体が重かった。ノネットは、彼の体温が下がらないように土との設置面を少ない姿勢を取らせた。
「……こんな暗闇の中にいるとな、思い出すよ」
ふと、半分埋まった木の根に腰を落ち着け、ノネットは言った。
「私は子どもの頃、幽霊が恐かったんだ、……ものすごく。信じられるか?」
わずかな含み笑いが混じる。ライは静かに、ノネットを見た。
「お前に、兄弟はいるのか?」
ライの表情がかすかに動いた。答えはなかった。ノネットは続ける。
「私には、たくさんいたんだ。聞いて驚くな―――八人だ。
しかも母のひとつ腹。けれどな、私はその兄弟たちと過ごしたことはないんだ。」
「上に生まれた八人は――男も女もいたが――全て亡くなった。病気や事故や、色々な理由で。
最後の兄が事故で死んだあと、父はもういちどだけと母に無理を強いた。それで、母の命と引き換えに生まれたのが、私だ。」
ノネットは、言葉を紡ぐ。
「……私は。上の兄や姉のひとりでもまともに育っていれば、存在しない人間だったんだよ。」
・・・・
――ライ、お前は聞いたことがあるか?「ナイトオブナインは九つの死地を越えてきた」という話。
面白いものだと思ったよ。噂はときどき、意外な形で真実を映す。
私は確かに、八人の兄姉と母の命、九つの命を越えて生まれてきたのだから。
私はしごく健康に育ったんだがね。まあ、八人も育たないのが続けばいい加減、呪いの域だ。
それはもう、過保護にされたよ。父は気苦労が絶えなかったろうな。なんと言っても、筋金入りのお転婆だ!
危なっかしいと思うことは進んでやった。全部やった。やってやった!――生きた心地がしなかったんじゃないかな、父は。
……正直、たまらなかったんだ。
ふとしたときに感じる、この子もいつ死ぬのだろう、と、腫れ物にさわるような怯えた眼差しが。
長い間、背負った命は私にとっても呪いだったんだ。……兄たちのことを知ってからは、闇が怖くなった。
どうしてお前が生きている、と夜具のすそから私の足を引く兄の手を見る気がしたんだ。
――でも、あるとき、ある人に言われた。それは、呪いではないと。
たくさんの命の乗り越えて今のあなたがあるのなら、あなたはその命を納得させるほど強く、輝いてあるべきだと。
世界が裏返ったような気分だった。……お察しの通り、お前もご存知のあの方だよ。らしい物言いだろう?
気付いたんだ。私が背負っていた命は、九つでは足りなかった。
母を、殺して……生まれてきた私を愛してくれた父や、エニアグラムの領民、町の人々。
気付けば、私には大切なものが抱えきれないほどあった。そして、それを脅かすものも。
……だから私は、力を求めたんだ。私には、それが出来た。
……だから。
・・・・
ノネットはライに目をやった。
「お前にも、背負う命があるのだろう、ライ。」
ライは、ノネットの瞳を見返した。
「お前を脅かす脅威は、どこにある? お前が恐れているのは、お前自身だけなのか?」
「……私はな。お前を一生隠れ住まわせる気はないんだ。」
ライがかすかに表情を陰らせた。
「それで、考えたんだが」
ライは、言葉の続きを待った。静かに判決を待つように。
「お前、ラウンズになれ」
「 ……っ 」
「 ――は!」
ノネットは思わず歓喜の声を上げた。してやったりという表情になる。
「今お前、ちょっと声出そうになっただろ」
ライは、いかにも不本意だ、という様子でぐっ、と口をつぐむ仕草をする。ひどい冗談だ、とその目が言っている。
ノネットは口元がほころぶのを止められなかった。けれど、すぐに表情を改め、真剣なまなざしでライに向き合う。
「すべて思い出した、とあの時お前は言ったな。」
ノネットは続けた。
「私は、その全ては知らない。理解できる自信もない。でも、自分がどれだけ危うい立場に居るのか。お前にはわかるんだろう?」
「 …… 」
ライは何も言えず――何か話す事が出来たとしてもきっと同じだっただろう――ノネットを見返していた。
「私はお前を守りたい。だが、一生を隠れ住んで欲しいとは思わない。それでは駄目なんだ。」
「……おまえ自身が、お前にとってのあらゆる脅威が手を出せないだけの力を持て。お前には、それができる」
ノネットは、少し声を低めると、真剣な表情のまま続けた。
「あるいは、皇帝陛下が、お前の最後の脅威になるのかもしれない。……それでも」
ノネットは言葉を途切らせた。
「来ないか。私とともに」
ノネットは、それきり口をつぐんだ。
沈黙が降りた。呼吸の音ですら場違いなほどの緊張が辺りを満たした。ライが身じろぎをする。
……やがて、さらさらと紙を走るペンの音が聞こえはじめた。ライがノネットに手帳を差し出した。
「読めないな。」
ノネットは目を向けることもせずに言った。
「私は、夜目が利かないんだ。こんな闇の中では見えないさ」
そう言いながら、その瞳は挑むようにきらめきながら、確かにまっすぐライを見ていた。
かすかな星の光をなめらかに反射する、ふたつの貴石。
――迷っている。息を詰めた彼の唇がわずかに震える。ノネットは待った。
苦しげな逡巡の表情。やがて、す、とライが目を逸らした。
思わず、ノネットは失望とともに、身の内でふるえるほどに満ちていた何かが失せていくのを感じた。そのとき
支援
「――ありがとう。」
かすかな声が、ノネットの耳朶を打った。
「ありがとう、あなたは何度も、僕に未来を……踏み出す勇気を与えてくれる、」
一瞬の、開け放しの驚き。見る見るうちに、喜びがその顔色を満たしていく。
「お前の声。」
ノネットは、ぽかんと開いた唇に、ようやく言葉を乗せた。
「その声。思い出した。……忘れるところだったぞ」
ノネットは、言いながら腕を差し伸べ、ライを抱き寄せた。
「……随分、待たせたものだな?」
いたわるように背中をさするその声は、わずかに震えていた。ノネットは、ライを抱いた腕をほどいた。
両の手でそっとライのほほを挟み、引き寄せると額と額とを触れあわせる。
「おかえり。」
ノネットが言う。
ライは、瞳を閉じ、されるままに抱擁を受けていたが、やがてゆっくり身を引き、目を開いた。
「ありがとう。……ただいま、ノネットさん」
そう言うと、ライはわずかに伸びをしてノネットの髪に手をそえると、額にそっとキスを落とした。
*
*
*
陥没した穴から、ノネットたちを解放したのはアーニャだった。
『こちらから、開ける。下がっていて、』
重機ナイトメアの外部スピーカーからアーニャが告げる。わずかに見えていた狭い空が遮られた。
地すべりの起きかねない不安定な地盤の上で、起用にナイトメアを操り、アーニャは瓦礫と土くれを取り除けていく。
「……アーニャ!そこまででいい!」
聞こえてきたのはジノの声だった。大きくなった穴から、ロープと担架が降ろされる。
やがて、ナイトメアによって全員が穴から引きあげられると、一堂はようやく息をついた。
星はその名残りを残しながら、空は、薄明るい桃色に明けかけていた。
「――ジノ、どうして、あの場所がわかった?」
毛布にくるまりながら、温められたワインを吹いて、ノネットが尋ねた。
避難所として設けられた仮設テントでは、避難してきた人間の手当てや問診が行われていた。
幸いなことに、今のところ死者は出ていなかった。一番重傷だと思われたエリオット・シュナイザー社長にしても命に関わる怪我ではない。
爆発が主に観客から隔てられた舞台を狙ったものであったこと、現場が周囲に家屋などのない郊外だったことなどに加え、
迅速な避難誘導が功を奏したのだった。
ジノとアーニャは、指揮系統などの諸々を地元警察に引き継いだ後、自分たちも仮設テントへやってきて、ノネットたちに付き添っていた。
「ん?ああ、あれは」
自分も温かな飲み物に口をつけ、人心地付いたジノが、ノネットの問いに答えた。
「救助要請があった。テロリストから」
「 何?」
「助けを呼びに来た、と言ってね。場所も告げた。
……で、見るからに怪しい武装をしていたから、その場で逮捕。……なんだったんだ、あれ。」
腑に落ちない、といった表情でジノがぼやいた。
ノネットは、ライを振り返った
「 …… 」
ライはちらり、とその視線を受け止めると、困ったように微笑んだ。黙ったまま、首を振ってみせる。
ノネットは思った。……まあ、それもいい。お前がそうすると決めたなら。
「ふたりとも、ペンドラゴンに戻ったら、頼みがあるんだ」
ノネットは、ジノとアーニャに向き直って言った。
支援
*
*
*
――エリア11、行政特区日本。その行政庁舎の一画に設けられた、特別派遣嚮導技術部駐在所、通称「特派室」内。
「……そォんなの!」
半開きの扉から突然聞こえてきた叫び声に、忙しく立ち働いていた職員たちは思わず手を止めた。
「駄目ですよ。あれはね、ボクのなんですから。いじっていいのは、ボクだけなんです」
職員たちが顔を見合わせていると、ひとりの女性職員が、決然とした表情で扉へ歩み始めた。
それを見て、他の職員は自分たちの仕事へと戻っていく。……あの主任の諸々は、彼女に任せておけば間違いないのだ。
「わかりました。勿論、ボクも行きます。こちらのことならね、ラクシャ……、あー、
さしあたってのメンテナンスは、あっちのチャウラー博士のチームに任せる事だってできるんですから。」
『 ……、……。』
「当然です。楽しみに待っててねって、伝えておいてください。はいはい。それじゃあ〜」
通信は、終わったようだった。話の終わらぬうちに入室を果たしていた先ほどの女性職員が、後ろ手に扉を閉めて言った。
「――ロイドさん!いつも部屋の扉は閉めて下さいって言っているじゃないですか。
人に聞かれるべきじゃない話だってあるんですから、気を配っていただかないと!」
たしなめる声に、特別派遣嚮導技術部主任、ロイド・アスプルンドは顔を上げた。その顔がにんまりと笑っている。
「セシル君。」
「……はい?」
なんだか雲行きの怪しい様子に、セシル・クルーミーはやや及び腰になって答えた。
「さっそく、準備を始めようか。忙しくなるねえ!」
ロイドは席を立つと、意気揚々と歩き出した。
「えっ、準備って、何の。……ロ、ロイドさん!?ちょっと、今の通信は一体……!」
セシルは、訳のわからぬまま、慌ててロイドの後を追った。
*
――通信を切ったシュナイゼル・エル・ブリタニアは、おかしそうに笑った。
「どうされました?殿下」
書類を手に現れた補佐官、カノン・マルディーニが尋ねる。ブリタニア本土はテキサス、ダラス研究所にてのことである。
「――ロイドに、叱られてしまったよ。枢木の機体こともあるし、パラミティーズのチームに預けたらどうかと言ったのだがね」
「パラミティーズ……ナイトオブナイン、エニアグラム卿ですか。」
「ああ、ナイトメアを一騎、くれと言ってきた」
シュナイゼルは、わずかに天井を仰ぐと、優雅な仕草で手を組んだ。
「まあ、ここで多少の恩を売っておくのも悪くはない。――あれはちょっと、面白い子供だったのだがね――」
シュナイゼルは半ば独り言のようにつぶやいた。
「――新たな騎士がひとり、か。」
シュナイゼルは、言葉を途切らせた。
「父上は――、当然、ご存知なのだろうな。 ……これは、却って面白いことになるかもしれないね?」
問いかけるでもないシュナイゼルの言葉を、カノンは静かに聞いていた。
支援
*
*
*
皇暦2018年、8月。
その年における、現皇帝シャルル・ジ・ブリタニアの誕生月である。
この季節のブリタニアは、国を挙げて、ひとりの男の誕生を、その存在を祝う。
その催しのひとつに、名のある騎士同士がナイトメア・フレームで戦い雌雄を決する「御前試合」があった。
――ペンドラゴン郊外に設けられた闘技場は、試合開始を待つ人々でざわめいている。
用意された主なカードは、すでに消化されていた。
残された最後の立ち合いを、人々はいまや遅しと好奇心と期待を持って待ち構えているのだった。
入場口からさす光の奥に、ナイトメア搭乗を控えたひとりの少年騎士が立っている。
「――そうだ、スザク君から伝言。『君は帰ってくるって信じてた。健闘を祈る』だってさ」
白衣の男が、少年に告げた。その言葉に、騎士の口元がふわりとほころぶ。
「コーネリア殿下もいらしてるしねえ。ここは良いところみせるしかないねーえ?」
へらり、とした笑顔を浮かべながら、男は少年の背中を叩いた。
少年は、にこりと微笑んだ。やがてその顔が、横に控えたナイトメアを見上げて引き締まる。
「さあ、出番だ。行っておいで。あちらもお待ちかねだよ」
闘技場に、騎士の入場を間近に知らせるファンファーレが響き渡った。
「神聖ブリタニア帝国第九十八代皇帝 シャルル・ジ・ブリタニア陛下に、礼!」
朗と響き渡る肉声で、審判が告げた。闘技場の中央に向かい合った二機のナイトメア・フレーム。
それぞれのコクピットに立った騎士が、貴賓席、その中央の男へ敬礼の姿勢を取る。
「両者、互いに、礼!」
騎士たちは、自らの駆る馬上から向かい合った。
「東!パラミティーズ騎乗、ナイトオブナイン、ノネット・エニアグラム卿!」
さっ、と伸びた腕の示す先には、淡い紫を基調とした機体が、太陽を照り返す。その姿は、優美で、力強い。
名を呼ばれた騎士――ノネット・エニアグラム――は、誇らしげにその胸をそらした。
続いて、審判の逆の腕が差し伸べられる。
「―――――西!ランスロット・クラブ騎乗、ナイトオブイレブン、―――ライ・エニアグラム卿!」
その先には、白と青に塗り分けられた、清廉な機体。少年の騎士への憧れをそのまま形にしたような。
そのコクピットに立つ少年騎士、――ライ・エニアグラム――はまっすぐに、相手のパイロットへと視線を投げかけていた。
二人の騎士のまなざしが交叉する。
盤上の二機、そしてその騎士に、割れんばかりの拍手と歓声が降り注ぐ。
「それではこれより――――『卓上の相克』を執り行う。」
審判が、力強く宣言した。
ふたりのまなざしはほどけた。コクピットは閉じる。二機は対峙した。
「――はじめ!」
その一声とともに、二機のナイトメアは弾かれたように地を蹴る。
『――さあ、行こうか!!』
期待に満ちた楽しげな声が、高らかに響いた。
(おわり)
支援
以上です。途中から携帯で行けました。緊張したー!
ご支援いただき、本当にありがとうございました!
人を傷つけたくないと願って引きこもるライを、
ノネットさんはきっと何とか社会復帰させたいと願うんだろうなあ、という思いから。
(ごめんなさい、最後、ライがエニアグラムを名乗るのは
ノネットが後見に立った、あるいは遠縁に養子に入ったから、と言う程度で。結婚ではないつもりです)
自分で書くものは客観視ができなくて不安になります。めっさ恐い
まとまりもなく妙に長い文章、目を通していただけることがあったなら、心より感謝します。
それではまた。失礼します。
エノコロ草卿、乙です。
最後の方少しだけですが支援できてよかった。
本編じっくり読ませていただきました。
ノネットさんのかっこよさに惚れ惚れしました。
彼女とライの絆に拍手させていただきます。
そして途中から、ライがいくつフラグを建てるか数えだしたのは小生だけではないはず!
貴公の次なる作品にも幸あれ!
>>326 乙です。
公式小説は読んでないので、どこまで参考にされたのか分かりませんが
設定とか良く練られているな〜と、感じました。
おもしろかったです。GJ!
乙でした。
ノネットさんはやっぱり素敵な女性だなあと再認識。スザクの帰ってくるって信じてた、の言葉に地味に感動。
やっぱり帰ってこれる暖かい場所、連れ出してくれる人がいるというのは良いですね。
一日の始まりにとても爽やかで幸せな気分になれました、ありがとう。GJ!
>>326 エノコロ草卿、GJでした!
見事な本編アフターですね。
ノネットさんのサバサバしたかんじと姉御肌なかんじが伝わって来ますね。
ロイドさんも相変わらずといったかんじで……ちょっと和んだ。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
乙でした!
面白かったです
332 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/24(日) 00:27:37 ID:tM7hDtbI
変なスレの直リン貼ってんじゃねえよボケが
334 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/24(日) 04:09:29 ID:tM7hDtbI
>>333 ロスカラのライの受け攻め専用スレだよ。
>>334 スレタイはライだが、そこはロスカラのライとは無関係だ
ここってロスカラ舞台なら何でも有り?
主人公視点のルルカレとか
ちゃんと主人公が話に絡むならありだと思うな。
読んでみたい。
ほぼ傍観者なら素直にギアス二次でやったほうがいいと思う。
ただの便利な作者の視点がわりになるのはちょっと、と思う
>>337 詳しくは知らんが、以前ルルカレを書いて苦言を貰った職人が居るらしいから、あまり反応は良く無いかもしれん
ライナナ(他キャラ可)話内でのルルカレならまだOKだろう
>>339 ルルハーレムの本編放送中だったからそういう展開に敏感だったってのもある気がする
ライ視点とはいえ内容がルルカレ中心とかして2人とも良かったねでは駄目だろうし、かなり境界線難しいからある程度の覚悟がいると思うよ
最悪の場合、投下後、スレが殺伐or荒れる恐れもある。
私も、ギアス二次でやった方がいい気がする。
ライが主人公ならまだいいんだけど、それ以外なら、間違いなく文句が出るだろう。
なぜなら、別にライ視点じゃなくてもルルカレは書けると思うから。
だって、その言い方だと、ライがいないと絶対駄目ってわけではない感じするんだよね。
極端な話、オリキャラでも出来そうだし・・・。
補足すると、ロスカラ好きにはライカレ派が相当数いると思われる。つまり、それだけ拒絶反応も大きいかも。
ルルカレで書きたいなら、ロスカラスレでは絶対やめといた方がいいよ。
後、肝心なのは人によって違うって事か
例えばシャーリーなんかはよくルルーシュと幸せになって欲しいとかとりあえず幸せにってセーフ的な人もかなりいるけど
カレンだけは危険、これは断言出来る
そうなんですか
ライが好きでルルカレが好きなんですが、普通のギアス二次だとライやロスカラ関連は叩かれ要因なんで…
ここだったら大丈夫かと思ったんですが、こっちだと今度はルルカレが叩かれる対象なんですねw
難しいですね。でもまあ、荒らされる前に相談しといて良かったと思うことにしますわw
>>345 ここでは場違いかもしれないが、これだけは言わせてくれ
カレンもルルと幸せになって欲しい、想いを遂げて欲しいと思ってる人も大勢いるんで、それこそ他カプ以上に大多数いる
シャーリーこそライとくっついた方が幸せになれたんじゃないですかねw
ヒロインを区別して一方を蔑むようなことは止めてくれ
>>346 蔑ろにしてるつもりは無いけどとりあえず謝るよ、スマン
けど変な話何故かロスカラ関連ではぶっちゃけカレンは別格感あるから一番扱いが難しいのは確かだよ
おい酸性雨さんが引退ってどういうことだよ
誰か説明してくれ
みんなが真面目にアドバイスしてくれてるのに場を乱して捨て台詞残して去るってどうなの?
少なくとも文末に「w」を普通に使うやつは少しの批判的意見でブチ切れる輩が多いのであまり絡みたくない
>>346 さんは自分でブログなり立ち上げて自分の書きたいものを好きなように書いていけばいいと思うよ
否定的なコメントは除去できるから自分中心の世界が作れるよ
>>349 場を乱す余計な一言を書き込んでいるのは、あなたも同じだと思います
自分のレスを見返してみてください。少なくとも、私にはあなたのレスの方が、ずっと印象悪いです
別に去ってはいないんだが…アドバイスもありがたいと思ってるし、前向きに考えていきたいと思ってる
こういう場所に投下するなら批判レスも上等だと思ってるからいいんだが、荒らすつもりもないから一応訊いてみた次第なんだ
ただ
>>347のような一人のヒロインだけ挙げて別格だとかぬかしているような奴に少し腹が立って
やや暴言じみた言い方になってしまったのは謝る、すまない
本スレもこういう奴に荒らされてるしな
>>351 切ないEDが多い中で比較的綺麗に収まったヒロインだから、ファンの中でも
筆頭ヒロインみたいに捉えてる人がいるのかも
まぁなんだ、人様の見解は余裕で受け止めるくらいじゃないとね
改めて自分で読み返してみても荒らしてるつもりはないんだけど不快にさせたってことは荒らしてるんだろうな…
不快に感じた方には悪かったけど、場が荒れそうな気がしたから発言しただけで後悔してないし、このスレでカレンは別格だというのは事実だと思う
それに、
>>351が被害者面して、俺だけ荒らし扱い受けるのは納得いかない
お前らカプ前提でしかSS見れんのかい。
カプなんざ物語の結果でしか無かろうよ。
>>352 そうだよな、抱く感覚は人それぞれなんだよな。本当にすまなかった
それをまだ押しつけながら後悔してないだの注意したら被害者面してるだの言うような奴は
ロスカラファンにはいないと思ってるよ
>>348 詳しくは知らないが、一部住人の反応に嫌気差して自サイトに活動の場を移したんじゃなかったか?
357 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/24(日) 18:14:03 ID:tM7hDtbI
>>357 スレタイ勝手に変えといて、「コピペされてる」とかないわー
>>356 そうなんか、まーしゃーないけど
しかし保管庫もそろそろ限界だな。責めるわけじゃないけど負担がトーマスさんに集中してるせいか
更新も遅れてるし、SS消してくれってときも今の管理方法じゃ大変だし
真剣にWiki化を検討してみないか?
>>359 検討の余地は充分あるな
ただトーマスさんに聞いてみない事には何とも言えないな…
ウィキ化、移転のとき使った議論スレで検討やったらどうだろ
多分わからないことも多いし
362 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/25(月) 01:59:56 ID:sheC9GbX
>>356 あしっど・れいんさんの自サイトってどこ?
知ってるなら教えて?
>>362 自分で検索するなりして探す事をお勧めします。
2ちゃんでのアド晒しは、相手に迷惑かかるから。
ヒント
「閃光の魔○少女○リアンヌ」「蒼の○鬼」
○の中を埋めて検索
ヒントもどうかと思うんだけど…
ってかageな時点でもしかしてこいつは・・・・・・
善意で教えたんだろうけど下手したら相当ヤバいよ
今回のあしっど・れいん卿の撤退の件で、連日連夜私個人に対して「抗議」をしてくださってる方々へ。
個々に返答するのも耐えられなくなってきたので、この場をお借りしてご本人からの声明をお伝えします。
以下、メール本文そのまま転載(了承済み)
今回の件に関しては、私事での投下中止と倉庫の削除であり、トーマスさんには
まったく関係ありませんので、その点をまず報告します。
実は、以前から何度も投下中止と削除は考えていたことであり、一度はトーマス
さんにメールで削除依頼をしていて、引き止められたことがあったんですよ。
だから、なるべくがんばろうとは思ってたんだけど、スレッドに投下しなきゃっ
て感じのプレッシャーって一時期すごくあってすごく疲れたのと、スレッド見て
て冷めてしまった部分があって。
なんか、初期の気楽にやってたころに戻りたくなって、今回、こういう削除依頼
をお願いしたわけです。
だから、感想書き込んでくれたり、読んでくれた皆さんには、大変申し訳ないと
思っています。
本当に、すみません。
ただ、SSに関しては、以前のようなスピードでは更新できないけれど、完結はさ
せたいなと思っています。
もし見かけましたら、またよろしくお願いします。
あしっど・れいん
以上終了。
本当にそろそろいい加減にしていただきたい。
あ〜蚊帳の外にいたROM専の俺が言うのもなんですが
あっしどさんもトーマスさんもキチンとした対応をしてくれているのが凄い
本来逃げてしまわれても仕方ない様な状況だったようですからね
なんていうか、世の中色んな人がいます
アイドルのプログに中傷を病的なまでに貼り付けた上
そのアイドルが自殺すると「よく死んだ!」なんてコメントする様な人もいます
嫌な物から目を逸らすのは余り良くはありませんが
全ての物に目を向けようとするといずれパンクしてしまいます
他のSS作者さんやトーマスさん
貴方達の偉業(個人的には決して誇張ではなく)には本当に感謝しています
そんな住人は、きっと俺以外にも沢山いると思います
心が壊れてしまう程無理をなさらず、いつでもほんの少し【余裕】を持って生きましょう
なんというかもう、本当にお疲れ様です。
毎度の事ながら、頭が下がる思いでいっぱい。
クレーマーは声が大きいので目立ちますが、
住民の大半は普通に感謝してるはずです。
といったところで、あまり慰めにはならないでしょうが……
とにかく、あまり無理をなさらずに。
世の中、何を言っても無駄な類の人間が残念ながら実在しますし、
善意で始めた事で心と身体痛めては元も子もありません。
ある程度、放り出すことが必要なこともありますよ。
ああもう、何の力にもなれんのがもどかしいですが。
あしっど・れいん氏も長い間お疲れ様でした。
人によってはなんでなんでと言い募るかもしれませんが、
楽しんで書くのが一番ですからね。
モチベーションの問題は二次創作やってるとよく直面することですし、
自分が楽にやれる方法でやっていけば良いかと思います。
今まで随分と楽しませて頂きました、改めておつかれさまです。
トーマスさんいつもお疲れ様です。たまに感想書くだけの俺がこう言うのも生意気ですが本当によくやってくださってると思います。
これからもいわれのない誹謗があるかもしれませんがいつも応援しているのでマイペースにやってください
あしっど・れいん卿も長い間ありがとうございました。
あなたの小説は本当に多彩でおもしろかったです。
ここに投下されないのは残念ですがほとぼりが冷めた頃に捜しに行きます
やっぱりあなたの小説読みたいもん
また投下しにくい雰囲気になりつつある
実際にこんな状況で投下するのは気を使うし
皆の言いたい事はほとんど全員感じてる事だしな
どんなssを投下するのでも
注意書きをしっかり書けば読みたくないものはスルーできる
読みたくない奴は読まなくていい
読みたい奴が読めば済む話だし
ss読みたい奴がここに来るんだから
ssを投下しにくい雰囲気だけは回避すべき
だと思ったのでここに書いておく
トーマスさん、いつもありがとう
あしっどさん
お疲れ様
また会える日を楽しみにしてます
職人の方々
何時までも投下待ってます
投下したい時に投下してください。
長文スマン
373 :
羽付き羊:2009/05/26(火) 11:16:29 ID:ieyCb1Co
投下してこの空気を変えてみたいと思います。
二度目まして、羽付き羊です。
ご意見をくれた方ありがとうございました。
設定を練り直しましたものがある程度まとまりましたのでプロローグを投下しようと思います。
支援は不要です
【反逆者達の願い】
プロローグ
・ジャンル<シリアス?>
・カップリングなし
※ほぼオリキャラとライの二人の主人公(ルルーシュとスザクのそれに近い)
ブリタニア軍人編と黒の騎士団編の同時進行の再構築
暇潰し程度にも読んでもらえたら嬉しいです。
オリキャラ嫌いな人はスルーで
では11:30頃にに投下します。
374 :
羽付き羊:2009/05/26(火) 11:29:12 ID:ieyCb1Co
Prologue
「追え…追えぇぇ!!!」
とある研究室に怒鳴り声が響いている。
「実験体が2人とも逃げ出した!すみやかに追え!!絶対に連れ戻せぇぇ!!!」
研究所内の全てのサイレンが鳴り響いていた…
「「ハァ…ハァ…」」
息を切らしながら男が2人走っている。1人は銀髪の髪を揺らしながら、もう1人は全身を包帯で巻きつけており、顔まで覆っている包帯が自らつくる風によってなびく。まるで透明人間のような格好で。
「おい。」
銀髪の男が話しかける。
「ここからは、2手に別れよう。」
「お前…大丈夫なのか?」
包帯の男はその提案を受け入れようとはしなかった。銀髪の男の脚は痙攣を起こし、顔色も青く、2手に別れて銀髪の男が生き残る可能性はほぼ0であった。それをわかっている状態で2手に別れる提案を受け入れる程、男はバカでも非道でもなかった。
「僕は大丈夫だ。アレがある。」
男の顔は青いままであった。
「お前…俺だけ逃がすつもりだろ…」
「…分かるか?やっぱり…」
「分かるさ、お前と俺は似ているからな。色々と…」
「ははは、バレたか……そうだよ…僕より君に生きて欲しいからね。」
その言葉に嘘はなかった、銀髪の青年の蒼い瞳がそれを物語っている。
2人が2人とも片方だけの心配をしていし、自分よりも相手の方に生きて欲しいと思っており、それがそのまま2人の信頼関係を表している。できるなら2人で一緒に逃げだしたい。しかし銀髪の少年は逃げる前に投薬された薬の副作用で動きがいつもより数段鈍い。
その状態で追手から2人とも逃げ出せる可能性は限りなく0に近かった。
「はぁ…本当に良かったよ、俺にはアレが効かないしな。」
軽く溜息を吐きながら話を続ける。
「お前は無理するから心配だしな。」
「それは君もだろ?ホントに似ているな、僕達は。」
両方とも笑いがこぼれる。しかしそれは一瞬にして消え去った。
375 :
羽付き羊:2009/05/26(火) 11:30:54 ID:ieyCb1Co
「おい、居たぞ!あそこに2人とも居るぞ!!!」
「ちっ…もう来たか…おいライ。」
包帯の男が銀髪の男に向かって喋りかける。
「何だ?早く2手に別れて…」
ライの言葉を遮って包帯の男は話す。
「ここは俺が引き受ける。暴走するかもしれないアレは今は使うな。俺が追手とやりあう間にお前は逃げろ。この辺に学園があったはずだ。そこに逃げたら何とかなるかもしれない。」
「!!!何言ってるんだ!?お前も後1度しか…」
面を喰らって目に見えて目を丸くしている。
「いいから、俺に任せろ。さぁ早く!」
ライは返答せずに迷っていた。しかし、もう追手は目の前まで来ている。
「ちっ、仕方ねぇ。本当はお前には使いたくないんだがな…」
男は舌打ちをするとライと目を合わせた。
「お前は学園へ行く途中の人間、すみやかに1人で学園へ行け!」
包帯の男の両目から赤い鳥の模様が浮かびそれがライへと羽ばたいた。
「…学園へ行かなきゃ…」
ライは学園の方向へと走りだした。
「おい!もう1人の方がどこかへ行くぞ!?追えぇ逃がすな!!!」
10数人の追手の内4,5人がライを捕まえようと包帯の男の前を通った。
その刹那
ドカ、ボゴ、バキ、と鈍い音がしたあと彼らは男の前で眠りについた。
「ここから先は俺を捕まえてからだぜ…追手さん達よぉ…」
包帯の男は追手達に向かって走り出す。
目では視認しにくいほどの速さでみぞおちや首の後ろ等、人体の急所を正確についていく。
追手達も麻酔銃を所持していたが、彼があまりに速く、近い為に銃弾はかすることなく空になる。
さらに追手達は仲間を盾にされ撃ちようがなく彼らは眠りにつく。
「さぁ最後はお前だ。」
盾にしていた男を放りなげ最後の追手に向かって近づいていく。
「く…R2!!もう許さん!!!実験体はもう1人で充分だ!」
そう叫ぶと別のコイルガンを放った。
376 :
羽付き羊:2009/05/26(火) 11:33:20 ID:ieyCb1Co
バーン
破裂音が消えると同時に最後の追手も眠りについた。
「ははは…実弾入りかよ…モロ腹にいったか…」
言葉に反応し、避けようとしたがその先には黒い猫がおり、避けずにそのまま銃弾を腹で受け止めた。黒猫は音に驚き一目散に逃げていった。
風穴の開いた腹を押さえながらその場を後にした。
顔を隠していた包帯を撃たれたところを縛るために使う。
が、あまり意味がなく真っ白な包帯は赤黒く染まっていき、赤い液体が滴り落ちる。
満月の夜に包帯で隠れていた彼の白色の髪が星のように光り輝いていた。
男の通った道の後には点々と赤い染みがつくられていく…
何分、何十分歩いたのだろうか?ひょっとしたらほんの数十秒だったのかもしれない。男はそれほど長い時間に感じていたが、気のせいかもしれない。視界が段々と赤く狭くなっていく。赤い点が男の後ろにどこまでも続いている。
どこからか00:00を告げる鐘の音が男の耳に入ってくる。
「はぁ…はぁ…」
男はその場で立ち止まった。
「…いま死ねたらどれだけ楽なんだろうなぁ……」
ふとこぼれた本音、立ち止まっている訳にはいかず体を引きずりながらまた歩きだす。
「…ライ、うまく逃げたかな?そうだといいな…」
眠りそうになると銃弾の傷を自ら抉りなんとか痛みで気を保っていた。
しばらくすると声が聞こえてきた。
「こちらA−23ポイントにて目標を発見した。…ちっ無線が壊れてやがる。なんだよさっきまで繋がってたのに…」
車の無線が壊れているらしく使えないらしい。
「携帯も置いてきたしな…まぁ良いだろう。こちらは2人だ。いくら実験体でも手負いだしな。」
どうやら彼らは血の跡を追ってきたようだ。
「ははは…獣は手負いの方が怖いんだぜ?どうする?」
強気に出るが、覇気がまるでない。
「ふん、お前の能力は知っている。俺達には効かない。」
「バイザーも装着済みだ。」
追手達は明らかに油断している。普段なら一瞬にして倒せる程度の相手だ。しかし、傷が邪魔し思うように動けない。どうするか判断に迷っていると
「もう1人には完全に逃げられたからな。お前は絶対連れ戻す。」
追手の1人がそう言った。その言葉を聞いた男は
「そうか…なら、もういい…」
白い髪を縦に揺らしてそう言った。
「やっと諦めたか…」
追手の1人が男に近づく。
この時、追手達は知らなかった。この男がどれだけの奥の手を持っているかを…
この男の言葉の本当の意味を…
だが追手達はそれを知る機会はもう得ることができなかった。
そこに居たはずの手負いの男は、赤い点をつけずにどこかへ消えてしまっていた…
377 :
羽付き羊:2009/05/26(火) 11:34:59 ID:ieyCb1Co
「ここは一体?」
学園へたどりついた銀髪の青年は記憶を失っていた
しかしそれは彼の物語の始まりを告げるサインでしかなかった
「会長チョーップッ!」
「オスシは、オスシだけは…」
次回 コードギアス LC 〜反逆者達の願い〜 Action01 失った 者達
物語の扉がいま開かれる…
378 :
羽付き羊:2009/05/26(火) 11:37:14 ID:ieyCb1Co
Prologue終了です。どちらもギアスを持っていることを書きたかったので、良かったなぁと思います。
しかし我ながら表現力も構成力も全然だなあ…ss初製作というか文章自体、初めてにしてもこれはなぁ…
まぁ下手なりに頑張りますよ。
オリ主なのにはどちらの設定も生かす為とお考えください。それに完全なオリキャラという訳でもないです。
皆さんに気に入ってもらえるように頑張ります
次回予告は適度に楽しんでもらえたら幸いです。次回予告はその次回分の構想を執筆し終えた後に書くので、カッコ内の言葉はほぼ必ず出ます。
正直、何のこっちゃねん?とお思いになられると思います。まぁその辺も楽しんで頂けたらと…
駄文に付き合ってもらいありがとうございました。
感想や批判などあればどんどん行ってくださって結構です。
>>378 羽付き羊卿、乙でした。
ライと同じく実験体?なオリ主、ギアス持ちでおそらくは絶対遵守。
持っていた奥の手とは? 彼は無事なのか?
そして、名前はなんなのか……
貴公の次の投下をお待ちしています。
>>378 羽付き羊卿、乙でした
絶対遵守のギアスにしては回りくどい表現のような気がしますが、それには何か意味があるのでしょうか?
ライに似ているという事でフラグをこのキャラも建てまくるのか?w
そういった事も含めて楽しみに待っています
貴卿の次の投下を全力で待ってます!
包帯でぐるぐる巻き、どんな外見なのか、髪以外の外見も謎に包まれている。
スザクとルルーシュに対応するならば、ふたりは敵対陣営に入るのでしょうか。
あ、それで同時進k……面白いアイディアだなあ!
次回以降、どう話が転じるのか、楽しみにお待ちしています。
359あたりで話にあがっていた保管庫wiki化等について意見出しました。
(避難所・議論スレ)
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12122/
又移転の時みたいに勝手に話進めて議論とは名ばかりの是か非かの投票で決めるだけの
話ですか?
其れとも此れは381の独断?
トーマスさんだけに負担がかかっている上に粘着荒らしが常駐している現状
今の保管庫以外にwiki形式で作ってはどうかなって話でしょ
前レスも読まずに最初から食って掛かる物言いはいかがなもんでしょ?
>382
保管庫wikiをするならどんな形になるのが現実的かなあと
それについての一意見です
トーマスさんのところがきつくなる理由を考えていったときの
それを避けるやりかたとか。
ひとりの意見出すのに独断もなんもないかと
385 :
382:2009/05/26(火) 22:46:30 ID:FU+Ko7pc
いきなり避難板に誘導してる時点で避難板の方で話がある程度出来てるものかと思った
もので。そういうときには最初に避難板で話し合いをと書き込みしてから書いたほうが
良かったと思います。
上に書いた様に又勝手に話進めてと思ったもですから。非礼はお詫びします。
>385
以前にwikiについて「避難所で続きを」という話が出ていたものの(
>>359-361あたり)
それ以来向こうに反映される様子がなかったので、自分で口火を切ったつもりでした。
なんとなくではあったけれど、ずっと頭でっかちに考えていたことだったので、
向こうの書き込みが変に勢いづいた語調の文章になってしまったことは恥ずかしいと思っています。
恥ずかしい。ごめんなさい。
トーマスさんに対する負担が重くなっているのは確かのようなので
そのあたり分散する目的でいい形が見つけられたらいいね、と思います。
理想も何も普通にwikiも立てて使ったらいいじゃない。
wikiはトーマスさんに甘えずに住人が独自に管理してけばいいし、保管庫は保管庫でトーマスさんが活動すればいいさ。
リスク分配でwiki立てるつもりなら、荒らしなんざ関係無しに住人がメンタル的強くならにゃあ、堂々巡りして結局トーマスさんにしわ寄せが行くだけさね。
保管庫不要と言ってるんじゃなくて、それとは関係無しにある意味自立してスレ使っていかなあかんのちゃう?
他にも進めていらっしゃる方がいるかもしれないと思いつつ
wikiの話が上がったころに、どんなものかと思って取得していた
wikiページを突貫してみました。見られるでしょうか
(現在現スレ投下分のPOPPOさん、ライカレ厨さんのみ収納済み)
lcss保管庫 @wiki
http://www36.atwiki.jp/lcss/ 編集は管理者のみ。とりあえず40スレから保管始めてみます。
全保管はとてもじゃないけど無理なのでざっくり割り切ります。
とりあえずトーマスさんとは別途の「私設」保管庫という体で。
当面フリー編集への移行は考えずにひとりでぼちぼち編集していく予定です。
多分メール等もらっても対応できません。返信もしません。
(削除依頼等のために掲示板等は作るかもしれません。トリップ使えるシンプルなのが見つかれば。)
細かなケアは期待できない、大雑把な保管事とお考えください。全く無理する気はないので。
作っておいてもらってなんだけど、管理者だけしか編集できないんじゃあWikiでやる意味が全くないのでは?
>>389 ええとまず、編集作業がものすごい楽です。
次に、オンラインで直接アップロードするのでうちのみたいなしょぼいマシンでも苦労しません。
また、編集に必要なのがパスだけなので、諸々の理由で自分が編集離脱することになっても、
名乗り出てくれる方がいればパスを知らせるだけで管理の引継ぎが簡単にできます。
wiki移行が俎上に上がったときに意見出せるといいなと思って試しに取得してみたページでしたが
「編集がものすごく楽」とは言え、実感としては誰にでもオープンにするのを躊躇する程度には面倒でした。
過去ログ分のSSはどこまで上げていいかわからないですし
(トーマスさんと領地の扱いについて直接メールでやり取りされてる作家さんも多いはず)
特に人海戦術が必要とされない今のスピードなら、
編集かぶりなどのことも考えると共同編集にするメリットもあまりないかな、と。
39スレ以前のSS保管をトーマスさんに依存している分、完全な保管庫とはなり得ませんが、
無料でできる範囲でやっている場所なので、
よほどのことがない限りページごと消えることはないのはひとつのメリットかと思います。
wiki設置お疲れ様です
保管庫は複数あっても困る事はないですし、使いやすいと思う方を使っていけばいいと思います。編集権限も現状ではベターな処置かと思います。
392 :
羽付き羊:2009/05/28(木) 11:26:08 ID:HHgYbX7Y
三度目まして、羽付き羊です。
前回、感想くださった方ありがとうございます。あれだけじゃ感想も難しいのに…
〜反逆者達の願い〜
Action01 失った 者達
・ジャンル<シリアスですが一部ギャグあり>
・カップリングなし
※注意点
ほぼオリキャラとライの二人の主人公(ルルーシュとスザクのそれに近い)
ブリタニア軍人編と黒の騎士団編の同時進行の再構築
オリジナル要素含みます(できるだけ、コードギアスの世界観を大切にしていますが)
独自の解釈もあります
コードギアス本編とロスカラの設定です。(小説や漫画は含まない)
TV本編しか知らないので…
11:40頃に投下します
支援は要りません
393 :
羽付き羊:2009/05/28(木) 11:40:43 ID:HHgYbX7Y
彼らは得ることを欲した
得れば得るだけ何かを失っていった
そして彼らは失った 記憶という存在を…
Action01 失った 者達
白い天井、白い壁、光の差し込む窓。彼は見覚えのない物だらけの部屋で意識をとりもどした。なぜこんな場所に自分がいるのか分からない。いやそれ以前に…
「あら、やっとお目覚めみたいね。」
ふと聞こえた女性の声の方向を見ると金髪の女性を筆頭に何人か並んでおり彼の方向を見ている。
「ここは一体?」
彼は疑問に思った事を言った。
「ここはアッシュフォード学園よ。私はここの理事長の孫のミレイ、貴方が学園内で倒れていたから看病していたわけ。」
「そうなのか…すまない恩に着る。」
「ところで貴方の名前は?」
「確か…ライ…だったと思う。」
ライがそう答えると
「『だったと思う』とはどういう事だ?」
1人の黒髪の男が話に割り込んできた。
「そのままの意味だ。自分についてよく分からないんだ。」
「その話を信じろと?」
黒髪の男はライを睨む。
「ルルーシュ、そんな言い方しないの。」
「む。」
母親が子供を諭すような口調でミレイは黒髪の男に言った。
「でも、身分を証明するようなもの一切身につけていなかったし、行方不明者のリストも捜索依頼もなかったから貴方の証言待ちだったのに、困ったわねぇ。」
ミレイの困った顔を見ていたライはこう告げた。
「もうこれ以上迷惑をかける訳にはいかない。僕はもう出る、世話になった礼を言う。」
ヨロヨロな体を起こし、立とうするが足が崩れ思うように立てない。それでもライはなんとか立ちあがり、おぼつかない足どりで外へ出ようとする。
その刹那、
「会長チョーップッ!」
「ぐふ」
その掛声と共にライの頭上に衝撃が走った。思わずベットに座り込む。
「「「「会長!?」」」」 「ミレイちゃん?」
その場にいた全員が声をあげた。
「そんな体で無理しないの、今のチョップぐらいで座り込む貴方をほっておけません。」
そういうミレイの目は真剣そのものだったが
「いや、今のは相当強いぜ…」
「あぁ、オレなら確実に座り込むな…」
と男2人のヒソヒソ声が聞こえた。
「そこ、ウルサイ。貴方、自分の関する事も分からないのにどこへ行くつもりなのよ?」
「とりあえず野宿かな?」
「自分の事も分からない、体の調子も悪い。そんな人間を見捨てるようなミレイさんではありません。」
1拍置いた。
「彼をここアッシュフォード学園に住ませます。こんなこともあろうかと、おじいさまにOKもらってるのよねぇ〜」
1拍、いや2拍置いて
「「「「「「えええぇぇぇ!!!?」」」」」」
学園中に驚きの声が鳴り響いた…
394 :
羽付き羊:2009/05/28(木) 11:42:35 ID:HHgYbX7Y
〇
「ここは一体?」
見覚えのない部屋で彼は眠りから覚めた。部屋は何らかの資料でゴチャゴチャになっており足の踏み場もない。茶色の封筒、ブリタニア語以外の資料、データの総計…色々な物があった。その内の1枚を拾ってみるとサザーランドというKMFの資料だった。
「第5世代のKMFか…量産性を重視してコストを最小限にしている。それにサクラダイトの量も少ない。それでこの機動力に機敏性、火力、戦略性…戦車よりコッチを使うわけだ。」
つい口から出た言葉、それを聞いていた人物がいた。
「あはは、君はやっぱり面白いねぇ。」
眼鏡をかけた変態?
彼の第一印象はそんな感じだった。
やたらニタニタしているし体をクネクネさせているし、不気味としか表現できない。変態としか言いようがなかったのだ
「そんな、変な生き物を見るように僕を見ないでくれる?せっかく助けてあげたのにさ。」
「『助けた』とはどういう事だ?」
そのフレーズが気になったので問いかけた。
「この大学前で倒れていたところを僕が見つけて、手当てとかしたんだよ?君、病院に行っても困るだけだしね」
「俺が?何故そんな事が判るんだ?」
疑問に思う事をそのまま尋ねた。
「あはは、それはね君を見ればね。色々とわかるんだよ。」
「俺を?」
「そう君。」
そう言った男は話を続ける。
「腹部を銃で貫かれて負傷して、しかも腹部以外にも銃痕が数ヶ所ある。それなのに病院にも行かず応急処置で済ましている。まぁこの事から君は一般人ではなく銃が日常で使われる場所にいるということがわかる。」
それでも普通はどっかの闇医者にでも行くんだけどね〜、と言う変態眼鏡はただ者ではなかった事が分かった。
「…でここに逃げ込んできた、そういう訳だ。身元調査も当然したんだろ?」
「したよ。でも君のような人物は検索の結果では出てこなかった。」
眼鏡はうなずいた。
「やはり…となると俺は何者なんだ?」
「え?君自分の事分からないの?」
ここにきて初めて眼鏡の方から問いかけられた。
「あぁ、自分に関する事全てが分からない。記憶喪失ってやつだ。」
「KMFに関する記憶はあるのにかい?」
「そうだ…自分が何者か検討もつかない。」
男は顔しかめた。自分がケガをした理由や、銃痕が何時、何所で、どんな状況でできたのかそんな事は分からないのに、KMFに関する知識や世界情勢などは最近のことでも理解できる。
その事が自分を何者か分からなくしている大きな原因の一つであった。
395 :
羽付き羊:2009/05/28(木) 11:44:46 ID:HHgYbX7Y
「じゃあ名前も分からない?」
名前すら正直いうと覚えていない。
だが何となくだがこう呼ばれていた名前を言った。そう最近まで銀髪の青年にはそう呼ばれていた名を。
「確か…ライツだったような気がする。」
「ライツ…ねぇ…」
「なぁ、アンタの名前は?」
ライツは眼鏡の男の名前が気になっていた、というよりは彼が何者かを知りたかった。ここまでの事が分かるのは只者じゃないからだと思ったからだ。
「僕?僕の名前はロイド、ロイド=アスプルンド。ここの大学を貸してもらって働いている軍のKMF技術者さ。」
その答えで大体は理解した。が、彼のある一言が頭にひっかかっていた。
「『やっぱり』って最初に言っていたがどういう事だ?」
今までの会話の流れから、ロイドという男は只者ではないという事が分かった。しかし彼が身元不明で、病院にも行けず、
腹部を貫通しているような人間を警察にも軍にも知らさずに看病してくれるような人間には到底思えない。となると、その言葉が謎を解くカギであるとライツは考えたのだ。
「どういう事って?」
ライツは先程の考えを述べた。
「あはは、君やっぱり面白いねぇ〜、実に興味深い。」
ニタニタし体をまたクネクネさせた。
「それもね、君が原因だよ。」
「俺が?」
ますます理解できない。ロイドはそんなライツの様子を無視し話を続けた。
「君はKMFの操縦をしたことがある。しかもかなりの長時間。」
「なぜそんな事がわかるんだ?アンタの事だ理由があるんだろ?」
ロイドはまたニヤニヤして、
「KMFの操縦者には体に特徴があるんだ。ペダルを踏む筋肉、Gに耐える筋肉、操縦桿を引いたり押したりする筋肉、まぁ他にも色々あるんだけどね。」
技術者というだけあり、見ただけそういう事が分かるらしい。
「それでか…アンタの考え大体分ったよ。」
大学、軍、技術者、そしてライツ自身。パズルのピースのようにロイドの考えがあてはまった。
つまり軍という組織にいながら大学で研究しているのは、資金不足か軍内の立場が悪いかあるいは両方だ。普通に研究所を貸してもらっていると考えると、
ライツのような不審者を匿う必要は一切ない。そこで答えは絞られた。
「俺がここでKMFの操縦したら良いのか?それとも整備か?」
ロイドはニタニタの顔をもっとニタニタさせて言った。
「あはは、話が速くて助かるよ。」
「仮にもロイドは命の恩人だ、俺ができる範囲の事はやろう。まぁ今は無理だがな…せめて3日間は休養をもらいたい。傷であまり動けないんだ。」
「3日といわず完治してからで良いよ。」
普段のこの男を知る者なら予想外の言葉を言い放った。
「それと君の身体検査を兼ねて血液を鑑定中だよ。」
「それは助かるが………いいのか?」
ロイドはうなずきながら、
「さすがにねぇ…そんな重傷者をKMFに乗せたりしたらセシル君が…」
なにか恐ろしい事でも思い出したのだろうか、「オスシは、オスシだけは…」
とこの世の終わりのような顔をして謎の単語を言った。オスシとはどんな拷問の道具なんだろうか?そんな事をライツは頬を掻きながら考えていた。
396 :
羽付き羊:2009/05/28(木) 11:45:26 ID:HHgYbX7Y
お・ま・け
「オスシだけは……お米にそれだけは…」
「なぁ、ルルーシュ。スザクが何かにうなされてるぞ?」
「うん?あぁ、それはなリヴァル。上司にライスにシッロプをかけ、その上に生チョコレートをサンドしたものを食わされたらしいぞ。」
「ライスにシロップゥ?生チョコォ?そりゃぁ不味いだろ…」
「あぁ。不味いという表現では語りきれないと言っていたからな…『食べ物を食べるだけなのに死の恐怖を味わったよ』とも言っていたしな…」
「うぅ……その上に乗るネタは、魚にして…お米にはお酢だってば…それじゃあ『シャリ』じゃなくて『ジャリ』ですよ…」
「…寝汗が半端じゃない。」
「まぁ、その上司が普段は凄く良い人らしいから、マズいと言えずに困っているらしい。」
「技術局も大変なんだなぁー。」
「…僕は間違いを間違えといえない人間なんだ…」
「まぁ、起きたら忘れるだろうからこのままにしておこう。」
「起こしたら逆に可哀想な気もするしな…会長も待ってるし生徒会室に行こうぜ。」
「…父さん、今アナタのもとまで…」
お・ま・けのお・ま・け
「へっ、くちゅん」
「あれシャーリー風邪でも引いたの?」
「別にそういう訳じゃないんですけど…へんだな?」
「風邪は万病の元っていうし今日は早めに帰ったら?仕事はルルーシュとリヴァルに任せたらいいし。」
「いえ、いいです。(今日はルルと久しぶりに一緒にいられるし…)」
「そう?…へ、へ、へっくしゅん、バカルル!」
「…会長?」
「あははは……誰か噂してるわね(まずい…おっさんクシャミをしてしまった…)」
「「…あははは…」」
お・ま・けのお・ま・けのお・ま・け
「…バッチリ録画しましたわ。これでミレイ様に何を買ってもらおうかしら♪」
397 :
羽付き羊:2009/05/28(木) 11:46:31 ID:HHgYbX7Y
「くっ…こんな奴らに負ける訳にはいかないんだ!」
きっかけはいつも唐突である 出会いは偶然なのか 必然なのか 運命の歯車がゆっくりと動きだす 終わりへと向かって
次回 コードギアス LC 〜反逆者達の願い〜
Action02 動きだす 歯車
「これでも男だからね。」
『えー、ボクお外で遊びたいのに』
動き出す運命を止めることなど誰にもできない。
398 :
羽付き羊:2009/05/28(木) 11:48:14 ID:HHgYbX7Y
1話終了です。まぁ今回はギアスのギャグ要素を取り込んだりしてみましたが、どうでしょう?
ライツの正体は無理やりな設定ではなくなぜここまでチートなのかは皆さんが納得できるのではないかと考えている限りでございます。
強引な感じはありますし、好き放題やりますのが
その辺は大目にみてほしいです。
話は変わりますが「おまけ」はいるでしょうか?いらないなら書きませんし、いるとしてもシリアスな部分をブチ壊す場合は書かない…かもしれません。
プロローグの出来事はライツの記憶が戻ってからということで
もう考えてるので来年?まで待ってください…
長くなりますが終わらせるまで書こうと思います。
感想も批判もお待ちしております。
駄文に付き合ってもらいありがとうございました。
399 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/28(木) 19:41:14 ID:AgKiKi3v
誰かいますか?
401 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/28(木) 20:14:01 ID:AgKiKi3v
まだいますか?もしよろしければ聞きたいことがあるので返事をください
>>
私でよければお聞きします
あとsageて下さい
403 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/28(木) 20:16:50 ID:AgKiKi3v
すいません初心者なものでsageがよくわからないんです
どうすればいいんですか?
>>403 E-mail (省略可)という場所に小文字でsageです
>>398 羽付き羊卿、乙でした。
ライツ……ライツー……まさかライのク○ーンか!? ダブルゼ○タ的な意味で。
という冗談はさておき。
ダブルで記憶喪失というこの現状 深まる謎が二倍にマッハだ・・
会長、チョップは自重してください……
貴公の次の投下を待っています。
>>403 メール欄に半角英数でsageと入力すれば良いですよ。
こんな感じですか?
間違ってたらすいません
>>406 OKです…まさか聞きたい事ってsageじゃ無いですよね?
>>398 乙。
ライとライツの関係やこれからの絡みが楽しみです。
ありがとうございます。
では質問させてもらいます、今SSを書いているんですがライ×オリキャラ
というのはいいんですか?
注意書きの上で大丈夫じゃないかな?
許容範囲は一人一人違うので読んでみないことにはわからない。
というわけでカモンです。
ありがとうございます
でも今日中は無理かもしれません。
期待していた人には申し訳ありません。
誰かいますか?
いますよ
おるで
いますが
418 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/29(金) 01:41:05 ID:/Nm6vKoX
いるにょ
初めましてコードダブルXと言います。
投下させてもらいます。
上のほうで今日は無理かな言っているものですなんとできたので
投下しようと思いました
初めて書いたのでクダクダかもしれませんがそこは許してください
今回のカップルリングは薄いですがライ×カレンです
感想も含めてたぶん5か6だと思います
すいません時間を言っていませんでした55分くらいから投下しようと思います
では投下させてもらいます
さっそくオリキャラがでます
タイトル
序章 ブッラクルベリオン撤退戦
ゼロが起こしたこの戦いのちにブラックリベリオンといわれる最初はゼロの奇策で黒の騎士団の方が
優勢をだったが途中で予想外のことが起こった、ゼロの戦線離脱これにより優勢だったこちらの士気
が低下し、逆にブリタニア軍の士気が向上した、もともと戦力が違いすぎるため短期決戦が目的だった
だが指揮官を失った軍が崩れるのは時間の問題、藤堂さんがゼロに変わり指揮をとっていたがやはり
ゼロの離脱は大きすぎた、すでにほどんどの部隊が壊滅状態で現在は撤退戦になっている。
僕は愛機である蒼い月下で味方の撤退のサポートしていたその時通信がきた。通信は四聖剣の卜部さんからだった
「ライお前も無事だったか。」
「卜部さんも無事何よりです、藤堂さんや他の四聖剣にひとたちは?」
「中佐達は殿のために前線に残った・・・」
「そうですか・・・」
「ライ、この先の埠頭に脱出艇がある、お前がどうやら最後のようだ早く合流しろだがよく聞けこの地区へ行くには
3つの橋をどれかを通る以外道はない今から5分後に2つの橋を落とすまだ追撃部隊はいないみたいだが相手は
あのコーネリアの親衛隊だ油断は禁物だおまえも気を付けておけよ。・・・また後で会おう」
「はい!」
「見えたあれだ」
前方にまだ破壊されていない残り1つの橋があった、その時また卜部さんから通信がきた
「ライ、俺達は埠頭に到着した後はお前だけだ、今どこにいる」
「残った最後の橋のすぐ前です」
「そうか、その橋の近くに銃の弾とエナジーフィラーが隠してある、使ってくれ」
卜部さんの言葉のとうり橋の近くに月下のハンドガンの弾とエナジーフィラーが隠してあったそれらを装填し橋を
渡ろうとしたときレーダーに敵機の反応があらわれた、追撃部隊だ。
後ろを見ると9騎のサザーランドが追撃してきた。恐らくこれだけでない、このままでは埠頭まできてしまう。
僕は卜部さんに通信をした
「卜部さん聞こえますか」
「どうしたんだライ」
「橋の近くに追撃部隊が来ました応戦します」
「なに!わかったいまから俺もそっちに行く待っていろ」
「駄目です卜部さんはそこ居てください、もしかしたらポートマンがそっちに来るかもしれません」
「だが!」
「ここは僕に任せてください!!」
「・・・わかっただがやばくなったらすぐに撤退しろ」
「わかりました」
「敵ナイトメアを発見、蒼い月下?おそらく双璧の一人です。」
「こいつは強い単騎で挑むな集団でいくぞ、我々は"あのお方"の到着までもたせればいいのだ、いくぞ攻撃開始だ!」
「「「Yes My Lord!!」」」」
9騎のサザーランドがそれぞれ小隊を組みランドスピナーを響かせながら前進してくる。
前方からくるサザーランドの小隊が同時にライフルを連射してくる、弾丸の雨が月下に迫る
「これ位ならー!!」
最小限の動きで弾丸の雨を回避する。
「馬鹿な、あれを避けただと!」
「くっ! こいつ人間か?」
「まるで亡霊だ、弾が通り抜けたみたいだ」
3騎のサザーランドが僕の回避を見て動揺し動きが鈍ったのを僕は見逃さなかった。
「そこだー!!」
月下の廻転刃刀を使い1騎のサザーランドに切りつける。
「くそ、やられた脱出する」
パイロットが脱出すると同時にザサーランドが爆煙をあげた
「ドミノ2がやられた!」
「あいつは無事ださっき脱出するのが見え・・ッなに!」
味方が脱出したのを見て安心したのが2騎のサザーランドは爆煙の中からでてきた月下に気付かなかった、月下は片方の
サザーランドを甲壱型腕でつかみもう片方を廻転刃刀できりつけた。
「容赦はしない!!」
「バン!」という音とともに輻射波動により片方のサザーランドは爆発しもう片方は腰から下を一刀両断された。
「うそだろ・・・?ドミノリーダーとドミノ3が同時にやられた!」
「くそー!双璧の名は伊達じゃ無いとでも言いたいのか!」
「まだ負けたわけではない、フォーメーションを立て直せ!」
「「Yes My Lord!」」
「ここは、通さない・・・」
「ッ!これは?・・・まさか!!」
「隊長どうしました?」
追撃部隊の隊長はこの感じをかつて感じたことがあった。一部隊の隊長であったがコーネリア様と共に世界中の戦場をで
戦った身だ、そこらの兵よりは戦場を知っている。そこはこれはあの月下のパイロットの「覇気」だ。
戦場ではたまにいるのだこう言うパイロットが、自分のように特に死地を生き抜いたパイロットはこういうものには敏感になる。
「ここは、絶対!通さないーーーーーーーーー!」
追撃部隊の隊長は冷汗すらかいていた、やばい、このパイロットはやばすぎる自分達はおそらく一瞬でやられてしまう。
いや、やられたことすら気付かないまま死んでしまうかもしれない。
その時!
「隊長、後方から味方の増援部隊、マティウス卿です!!」
「そうか!!、"あのお方"がやっと来られたか」
後方から5騎のサザーランドと1騎のグロースターが来たその色はコーネリアの騎士であるギルフォードや将軍であるダールトンとおなじ赤紫であった。
「マティウス卿!!」
「すまん、待たせたなクロウリーダー」
「いえ自分は2人も部下を死なせてしまいました」
「いや、お主のせいではないおそらく私でも同じことにいたであろう・・・しかし中々の者だな」
「はいマティウス卿、私はあの者の覇気はコーネリア様と同等いえ、もしかするとラウンズをも上回る物かと」
「ほう・・・お主も感じるのか?」
「はい恥ずかしながら、まだ震えが止まりません・・・」
「さて、一つ話でもしてみるか」
月下のモニターその姿が現れた時僕は小さく舌打ちをした
「ッ!ここに来て敵の増援部隊かしかもあれの色は、ギルフォードやダールトンと並ぶコーネリア親衛隊の猛者の一人まずいな」
その時オープンチャンネルで通信が来た、それは敵のグロースターからだった
「蒼い機体のパイロット君聞こえるかい私はコーネリア様の親衛隊の一人マティウス・メッシュだ」
「・・・ああ聞こえているよ」
「ほう思っていたよりも若いな、いきなりだが投降する気はないか?残念だが君の仲間はほとんど捕まったか死んだよ、あの四聖剣と藤堂だったかな彼らも捕縛されたよ。あきらめたまえ。」
「残念ですがその気はありません」
「ほうなかなか肝がすわっているな、なぜだ?聞かせてくれないか?」
「僕には・・・守りたいものがあるから!!」
「クックックッ・・・ハハハハハーーーーーーーーそうか守りたいか・・・」
「そうだ!おかしいか!!」
「気に入ったぞパイロット君、このマティウス・メッシュ君に一騎討ちを申し込む!!」
「なに!!」
「なにを驚いているパイロット君、結構じゃないか守りたい物のために戦うそれこそ真の騎士だ・・・、良ければ君の名前を聞かせてはくれないか?」
「ライだ・・・」
「良い名だ・・・お前たちは手を出すな!!」
「「Yes My Lord!」」
マティウス卿の後ろにいたサザーランドが下がっていく。
「さあ・・・いくぞライ君、マティウス・メッシュいざ・・・参る!」
「こい、マティウス・メッシュ!!」
「フハハハハハーーーー良い返事だ!!」
月下の廻転刃刀とグロースターの大型ランスがぶつかり火花がでる
「良い腕だなライ君」
「あなたこそ!」
ランドスピナーを響かせ同時に後退する2騎
「頭の回転も速いもよいますます気に入ったぞー!」
「くぅ〜!、この人これまで戦ってきたどの敵よりも強い」
「嬉しことを言ってくれではないかーー!」
この人は強い、でもなんだろう僕の名にはこの人と戦っているこの対してワクワクしている一歩間違えれば死んでしまうでも嬉しい、こんな強い人
と戦えてとても嬉しいと思っている自分に驚いた。
グロースターがライフルを乱射してくる
それを間一髪でかわす
「ライ君、楽しませてもっらているぞ!」
「人殺しがそんなに楽しいのか!」
「違うさ!君のような強敵と戦えることが楽しいのさ!」
「えっ!!」
「君もそうではないのか!!」
再びグロースターがランスを掲げて突っ込んでくる
それを廻転刃刀で受け止める
「ど、どうして分かるんです?」
「それは君が"エース"だからだよ!」
「"エース"だから?」
「そうさ、"エース"は自分と同等またはそれ以上の敵とあった時それを倒したいという欲が出るのだよ!」
「欲?」
「そうさ、礼を言わせてもらうよライ君!」
「えっ!」
グロースターが一気に後退するそしてランスを再び構え直す。
「そうさ、久しく忘れていたこの高揚感、この血のたぎり、懐かしいよ」
そう言われてみると僕も純粋彼に勝ちたいという欲が出てきた。
「僕は・・・あなたを倒すそして前に進む!!」
「よくぞ言った!、それでこそ一騎討ちを申し込んだかいがあったというものだー!!」
この人に勝つには"あの方法"しかない。
「いくぞーーー!ライ君!!」
「うおおおおおおお!!」
グロースターランスを構え、ランドスピナーきしませて突っ込んでくるまるで大地を切り裂くほどの気迫だ。
「うおおおおおおおーーーーーー!」
「はあああああああーーーーーー!」
バッキン!!という音がした
「なに!」
それはグロースターのランスが月下の"右腕を破壊した音だった"
「肉をきらせて、骨を断つ!!」
突っ込んでんきたグロースターを"左腕の甲壱型腕"でつかむ。
「これでーーーーーーーー!!」
「見事だーーーーー!ライ君!!生きていたら再戦しよーーーーーーーーーーーぞ!」
輻射波動がグロースターにくらう寸前にコックピットが外れた、あの人は死んでいない半分嬉しいのは僕が彼との
再戦を望んでいるからだろうか?。
糸の切れた操り人形のように月下は"片手を地面に着いた"。
「エナジーはもう無い・・・か」
そう言いながら卜部に通信をした
「卜部さん聞こえますか?」
「どうしたライ追撃部隊はどうした?」
「卜部さんゼロに伝えてくださいともに進めなくてすまないと、あとカレンにゴメンと・・・」
「おまえまさ・・・」
ライはそう言うと一方的に通信を切った。
「ここは、遠さないといっただろ・・・」
脱出コックピトの中でマティウスは笑っていた。
「わはははははは、負けた負けた久しぶりに負けた完敗だ、あれがヤマトダマシイと言うものかな?」
そう言いながら橋から少し離れたとこに落ちたコックピットから橋の上の月下を見た、サザーランドが月下に近付いていた。
「さて、顔を見せてもらおうかなライ君」
マティウスはまたニヤリと笑ったが次の瞬間に無線に叫びこんだ
「まて!戻れーサベージチーム、クロウチーム!」
「どうかなされましたか?マティウス卿」
「そいつは橋を落とす気だーーー!」
ライは月下の中で輻射波動のぼだんをおした
「みんなごめん」
そう言ったと同時にバァンという音と共に輻射波動が橋に注がれ追撃部隊のサザーランドともに月下も漆黒の海に消えた。
それをコックピットから出て見ていたマティウスは相手がテロリストであることも忘れ敬礼をしていた
「なんという覚悟、なんという行動だ」
「マティウス卿ご無事ですか」
後ろから声がした、そこにはパイロットスーツを着た兵士がいた、おそらく最初に撃破された機体のパイロットであろう。
「おお、お主無事もであったか、して貴公あれを見たか?」
「!!ッ、はい・・・」
「そうか・・・して貴公は機体のあのパイロットどう見る」
「あのパイロット自分の命を捨ててまで味方を救いました」
「ああそのとうりよ」
「私はあのパイロットのことはよく知りませんですがこれだけは言えます」
「うん?」
「彼はまるで蒼き守護神のようでした」
「うむ、私もその意見には同感だ」
そう言った時後ろの方から数機のトレーラーが来た、マティウスは最初は救援か?と思ったがどうも様子がおかしいしばらく
するとトレーラーから1人の男が出てきた。その男はマティウスを見ると静かにこういった
「蒼いナイトメアをみなかったか?」
「先ほど私と戦っておったわ」
男はまた静かにいった
「そのナイトメアはどこに行きましたか」
「さきほど橋を破壊して今は海の中よ」
「そうですか、ありがとうございますあとは我々にお任せください」
「そうはいか・・」と言いかけた時男はまた静かにこういった
「我々は皇帝陛下直属の機密情報局です、この命令は陛下の命令です、あなたは陛下に逆らうおつもりですか?」
「なに!ふむではあのパイロット生死ぐらいは教えてくれ。」
「ええ良いですよ、後日書類を送ります」
数日後マティウスの下に書類が届いたそのなかにはあのパイロットの報告書だった。
報告書には簡単な説明ととてもに残酷にとても残酷にこう書かれていった。
死亡と・・・
ブッラクリベリオン撤退戦
End
投下終了です
ううグダグダだ初めてだから緊張した、間違いもたくさんあった。
いろいろすみませんでした。 もしよろしければ感想をください。
そうっすね、撤退戦ってシチュは萌える・・・もとい燃えるものがありますな
題材は面白いと思います。オリキャラもいいんじゃないかなと思います。
いくつかツッコミさせてもらうとすると
ライの一人称と他視点がごっちゃになってるので、ここら辺は分割するべきかなぁとか
後半セリフだけの構成になってしまっており、描写説明がなかったりするのが残念とか
とりあげた題材とシチュは本当に良いと思います。今後に期待、みたいな。
ではまた次回作お待ちしています。
感想ありがとうございます。この感想や自分で読み返したりして
問題点が分かりました。次回作は頭の中でおおよそ固まっているので
速くて土日遅くて来週中にはできると思います。
新人さん、初投下お疲れ様でした。
誤字が多い、簡単な漢字がひらがな、文章の区切り方や句読点の使い方がおかしい・・・
と、あなたにとって本作はデビュー作になるのですから焦らずじっくり仕上げて欲しかったです。
後、
>>2-3をよく読んで分からない所は聞いてください。
>>398 乙でした!
会長チョップの容赦のなさに思うところはあれど、
やっぱり気になるのは「ライツ」の方ですね。
ロイドさんとのやり取りも色々盛り込まれていて面白かったです。
おまけは、好きに付ければいいと思いますよ。今回の分、面白かったです。
>>426 初投下乙でした!
オリキャラ特に違和感なく読めました。
もう少し本人を特徴付ける描写があればもっとイメージしやすいのかもしれませんが……
意図的に隠してるのかな。
ゆっくりでいいので続き楽しみにお待ちしています。
……羽つき羊さんもコードダブルXさんも、
描写がイメージに追いついていない印象もあったりするんですが
書きたいものがあるんだ!って熱気が出てていいなあ、と思います。面白いです。
最初に言っておく! ……ごめん。
タイトル見て大笑いした >ブッラクルベリオン撤退戦 このあまりにも秀逸すぎる誤字には逆に戦慄すら覚えた。
>>426 コードダブルX卿、初投下乙でした。
被害を最小限にとどめねばならない撤退戦。 敵の増援を予測した上で一人で足止めというのは利にはかなっていると思いました。
しかし、
>>429さんが書き込まれている通り「誤字」「句読点(特に『。』の少なさ)」が文章を読みづらくしていると思います。
こう、燃えるに燃えられないかんじが……
貴公の次の投下をお待ちしています。
>>398 乙でした。ライもですが、やはりライツが気になりますね。皆さんの予想と被りますが、やっぱりクローンとか…?
おまけも面白かったですよ。スザクの死の恐怖はひょっとして中の人ネタ?wむしろセシルさんの恐怖だw
次回の投下も楽しみにお待ちしています!
>>426 乙でした。撤退戦は燃えますね。ゼロに見捨てられた騎士団の動向は今でもやはり気になります
ブラックがことごとくブッラクになっていたりするのもアクセントとして楽しめましたw
…すみません、フォローになってないですね。でも、次回の投下も楽しみにお待ちしています!
5分後くらいから投下します
まえがき
我(オレ)、参上!
投下するよ、いい? 答えは聞いてない!
タイトルは「オレンジ畑の日記帳」
以下注意点
・ジャンルはギャグ
・カップリング? ……ジェレミア今日×ヴィレッた教?
・誤字が多いんだが…… → 仕様です
・表現おかしくない? → 仕様です
・「謙虚なナイトで人気者」この言葉に拒否反応を骨髄反応で示すならば読まないべき!
・まえがき〜あとがきまでたぶん5レッスくらい
・支援は【いりません】
広大に広がるオレンジ畑、その傍に建つ大きな屋敷。 その窓から一人の男の姿が見える。
男の名は「ジェレミア・ゴットバルト」 辺境伯の爵位をもつ彼は自ら育て上げた木を見ながら満足げな表情を浮かべていた。
「いろいろあったものだが今ここでこうしてゆっくりとした生活を送るなどかつての私は想像すらしていなかっただろうな……」
懐かしそうに過去を思い返しながら彼はノートパソコンを開く。 日課となっている日記を書くために。
「……たまには読み返してみるのもいいかもしれんな」
そう呟きながら彼はファイルを開く。 そこに記されている彼の半生に思いをはせながら……
○月×日 ゼロと名乗る輩が私をオレンジ呼ばわりしてきた 意識が遠くなって気付いたら私はやつを見逃していたらしい
あいつぜったいイレブンだろ汚いなさすがイレブン汚い あもりにも卑怯すぎるでしょう?私の意識が失われている間逃げるとか・・
○月△日 なんかキューエル教がだましうちをいてきた
ゼロを発見したという報告で「もう見つけたのか!」「はやい!」「きた!ゼロきた!」「メイン敵きた!」「これで勝つる!」と私の脳内は大歓迎状態だった
がまさかの汚いだましうちで私の命が裏切りでマッハだった・・
○月□日 アワレにも拘束されていた私はギルフォード卿に選択を迫られた一パイロットとしてやり直すかオレンジ畑を耕すか
どちかというとぜんしゃを選ぼうとしたかったが私は突如としてあることを閃いた
一パイロットとしてやり直す → 余裕がなく顔にまで出てくる →仕事を回してもらえない → 結局ゼロに出会えず怒りが有頂天 → いくえ不明
オレンジ畑を耕す → 食料自給率に貢献 → 間接的とはいえ皇族を助けられる → 彼女ができる
おもわず「耕すます」と言ってしまった私に隙はなかった
☆月○日 オレンジ畑へとやってきた私はさっそく農作業を始めてみることになったしかしどう考えてもオレンジ畑は耕すものではないでしょう?
すこしギルフォ0度京のいい加減さに思わずあきれが鬼なったがとりあえず農作業を始めることにした 英語で言うとニューライフ
☆月◎日 今日もせっせと農作業を精を出していると銀おあつの青年ば倒れていたアワレにもボロぼロの青年を家に連れ帰って開放してみることとした
しかしながらオレンジを育てるのは難しいでした
☆月▽日 青年が目を覚めたのでどうして倒れているのか聞いてみることとした
どうも青年はライというらしかった見事名前だと感心するがどこもおかしくはないな
しかしながらライは名前以外覚えていない俗にいえば記憶喪失らしい(リアル話)
謙虚なナイトである私はそんな彼の面倒をみるという寛大な心を思わず見せてあげることとなったのだがおもわずいさぎよい騎士の心がでてしまった結果だった
☆月■日 ライは素晴らしい才能を持っていたオレンジの育成方法を1から知っていたのだ
彼曰く何故か知っていたとのことでほめても「それほどでもない」と言ってきた
彼は本能的に謙虚でいいナイトになるに違いないと関心が鬼なった
☆月×日 ライがきてしばらく経った頃キューエルが穿刺したという知らせが届いた裏切られたことがあったとはいえかつれ同士であった男の死を聞きさすがに胸が居たんだ
悲しみが顔にまで出てしまっていたらしくライが心配そうにたずねてきたがあまり心肺はかけたくないとおもわず無言となってしまって言った
そして何も聞かずにいてくれた彼は深い悲しみに包まれた渡井の信条を分かってくれたと思いたかった
△月●日 今日はヴィれちゃが尋ねてきたなんでも「ジェレミア卿がいない純血派に未来はにい」とのことだった思わず協力しようとの思いは芽生えたものの今はオレンジの世話の一大事な時期で温めに
苦汁の選択でことわった一応彼女には「あまり無理えおせずに行く方がいい無利子すごいると裏江界でひっそりと幕を閉じることになる」といっておいた
ライに「それでいいのですか?」ときかれはしたもののおそらくは未練がないはずだったもしあkしたらこの生活は私の喜びとなっているのかもしれない
△月◇日 結構育ってきたミカン畑を満足げに見ていたライは「少し何か思い出してきたような……」と言っていたので「あせらずに一歩一歩進むことが重要で大事一瞬の油断が命取り」というアドヴァイスをしてみた
そうしたら尊敬のまなざしで三回連続見つめられたので「頑張れよ」と言っておいた
□月○日 汚い嵐が巻き起こった収穫マジ化のオレンジたちの寿命が強風でマッハとあわやなりかけてなんとか初期型のサザーランド(農耕用)を持ってきて
風からオレンジを守ろうとしたが必死の決死さもむないく一機では限界があったことを思い知るはめないなっただがライがどからかカカッと持て来たグラスゴーと協力することでマンがまぬがrてた
「ライはナイトメアフレーmの操縦ができたのかすごいですね」というと「それほどでもない体がなんとなく動いただけ」と謙虚に返されたあまりにも謙虚なその姿勢は私から見ても見習うものがあると思った(この辺の謙虚さがナイトのゆえん)
□月×日 ビれッ太が久しぶりに訪ねてきたなんでもゼロの正体を探るから悦だって欲しいとの話だった
ゼロの正体探る → 招待判明 → 純血派の信頼度アッピル → 人気者
と言っていたが私が思うに
ゼロの正体探る → なんかよくわからない力のパワーがおそてくる → 記憶喪失 →もじゃもじゃの嫁
と思っていたらライも同じようなことを考えていたらしく説得で止めようとしたヴィrdったも何かしら吹きつんあ予感はあったらしくなかなか説得に扇てくれた
オレンジ畑を耕すことにより得られる利益で純血派を盛り返す私の考えに同意してくれることとなったやはりもじゃもじゃとナイトでは信頼度が違い過ぎた!
□ガチュ△日 ヴイれッ太とライと私三人の共同作業によるナイトメアでの作業ははかどりい湯も異常の仕事量をこなせた >>ヴィれッ太・アリ感謝
もうすぐ収穫の時期を迎えようとしているオレンジ畑のテンションは馬儀上りろなってしまっていたが私は「一瞬の油断が命取り最後まできちんと育てようと」ゲッキを入れた
×月◎日 収穫マジ化に盗賊まがいの山賊っぴいやつ等が襲いかかってきたしかしこちらは黄金の鉄の塊で出来ている三期のナイトメアフレームやつ等は皮装備の貧弱ナイトメアひれーむ結果は非を見るように明らかとなった
ライはKMF用シャベルでヴィレッタはスタントンファーで私はスラッシュハーケンで奴らをバラバラに引き裂いてやった
そしたらなんか奴等は弾の出てくる銃を使いだした銃が球を出すのはずるいと思ったが我慢するのが大人の醍醐味下段ガードを固めて逆に破壊力ばつ牛ンのキックで撃退
必死に乱射をしてきたが時既に時間切れブリタニアポリスに連行されていった
●月○日 町に待った収穫の日たわわと実ったオレンジの果実に我々一同喜びが鬼なったおいしいおrンジはみんなを笑顔にするの名セリフのようにまさに実際にみんなが笑顔となったのだ
最高の出来であったオレンジは皇帝陛下のお褒めの言葉をもらった
「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅまいぞ!!!」の一言には万感の思いが達成されて今までの苦労が有頂天になった
「……誤字がひどいな」
そう呟くものの彼の表情はやわらかなものだった。 かつてあった喜びを再び思い返し自然と浮かんだ笑みがそうさせているのだ。
誤字も一つの思い出となる、と受け入れているのか修正しようとはしない。 続きを読むか、それとも今日の出来事を記すか少し迷っているとその迷いを消す一言が耳に入った。
「ジェミー、そろそろ夕飯ができますよ」
その呼びかけに彼はノートパソコンを閉じた。 日記はいつでも書けるが温かいディナーには時間制限がある。
すでに席について待っているであろう妹や銀髪の青年、そして夕飯を作ってくれた妻の待つ階下へと向かうことにした。
あとがき
楽しんで書いた、微塵も後悔していない。
乙でした
誤字は演出ですか
ギャグだと分かってはいるのですが、それでも誤字は読み辛いです
ゼロ絡みだと、途端に冴えなくなるジェレミアらしいとは思いましたが、
それ以外でも…となると、少し勿体無いかなと思いました
生意気言ってすいません
またの投下をお待ちしてます
>>438 お疲れ様です。
さすが、狙いどころが違うなぁと思いました。
こういうのは、全力さんしか出せない味だと思います。
まぁ、癖が強いので、向き、不向きはあると思いますが。
私は、たっぷり笑わせてもらいました。
そして、日記の頃と現在のジェレミアの対比がいい。
ああ、今、ジェレミアは、幸せなんだなという事がすごく感じられますね。
そして、全力さんのジェレミアへの愛も……www
GJでした。
次回の投下を全力でお待ちしております。
>>438 乙!
見事なブロント語だと感心はするもののどこもおかしくはないな
絶対一級ブロンティストだろ・・オレンジ語の時も思ったが「」良く書けるなと思わず感心が鬼なってしまった
>>438 おいィ?俺の感想がGJでマッハなんだが!?
>>388で貼ったwiki保管庫、40スレ以降のSSを収納、稼動はじめました。
各作家さんなど(作品数の少ないうちに)本文ダブりや抜け、
リンク不備がないかご確認いただければと思います。
削除依頼などの連絡用と感想用に掲示板を用意しましたので適宜ご利用いただければ幸いです。
それほど勤勉なたちではないですが、特に無理のないうちはやって行こうと思います。
それでは。
>>170 ファントムのまんますぎ感が否めない
読んでニヤニヤした
キャルとの決闘の前のシーンだろう
エレン好きなんだな?
俺もノネットさんと同じくらい好きだよ
>>444 一瞬誤爆かと思ったが、なるほど納得。
トーマスさんも笑ってた
夜分遅くにこんばんわ。前作の続きを投下します。9レス程度使用しますので
支援は大丈夫かと思います。
【メインタイトル】コードギアス 反逆のルルーシュ L2
【サブタイトル】〜 TURN03 ナイトオブラウンズ(中編)〜
【 CP 】無し
【 警告 】●根幹は黒騎士ルートを準拠してのR2本編介入ものですが、展開の所々にオリジナルな設定と話が混ぜ込んであります。
●王様ライの性格は自分の考えに依存してます。苦手な方はご注意下さい。
●今話は、スザクの扱いがちょっと惨いのとライが三倍増しでダークです。スザクの自責の念を出したかったのですが、スザク好きの方は特にご注意下さい。
それでは、投下行きます。
ある所に、一人の少年が居た。
その少年には親が居なかった。いや、それだけでは無い。少年には名前も無かったのだ。
有ったのは名前と呼ぶには余りにも限定的なもの。任務の時にだけ与えられる仮初めの名、コードネーム。それだけしか無かった。
しかし、少年はその名で呼ばれる事に至上の悦びを感じていた。
一方で、普段はその名を呼ばれる事は決して無い。当然だ。それは名では無いのだから。
だからこそ、日に日に想いは募る。名前が欲しいと……。
決して口には出せないその想い。
少年は分かっていたのだ。
少年を拾った存在、主にとって自分はただの駒なのだと。
主に命じられるがままに人を殺す。
普通の人生を歩む者にとっては異質なそれも少年から見れば普通の日々。いや、普通の者が歩む人生こそ少年にとっては異質に映る事だろう。
その日も、普段と変わらず少年は主より任務を授かった。
しかし、その任務は今までとは少しだけ違っていた。
命じられたのは殺害では無く監視。そして対象は嘗ての魔人、ゼロ。その抜け殻とはいえ期限は不明のオマケ付き。
それでも命じられた当初、少年の心に波風は立たなかった。だが、後にそれは揺らぐ事となる。
翌日、少年は一人の若き王に出会う。それは少年にとって運命の出逢いと言えた。
その王は少年がどれだけ渇望しようとも、決して与えられる事が無かった名前をいとも簡単に、当然のように与えたのだから。
その時からだ。
少年の空虚な心に、自身を拾ってくれた主よりも大きな楔が打ち込まれたのは。
それは、名前と言う名の楔。
王と過ごした僅かな日々。だが、それは少年にとっては幸せな日々だった。
王が微笑む度に、少年の心に暖かい何かが広がる。
やがて、少年は次第に任務に付く日が近づくのを疎ましく思うようになっていった。
任務に就くという事。
それ即ち王の袂を離れる事を意味するものであり、オマケにそれは何時終わるとも知れないものなのだから。
少年は悩んだ。だが、拒む事は出来なかった。
主だけでは無く、王もそれを望んでいたのだから。
後ろ髪引かれる思いで王と別れ、任務に就いた少年。
当初は苦痛でしか無かった。だが、そんな少年の心に次第に変化が訪れるようになる。
初めて送る普通の人生。初めて出来た甘えられる存在。その存在より与えられる無償の愛情。
自分でも気付かぬ内に、少年は任務を楽しむようになっていった。
そして、運命のその日。
少年はささいな事から王の怒りを買ってしまう。
王はそれ程に怒った覚えは無い。自分を裏切れる筈がないとの絶対の自信があったからだ。
そして、それはその通りなのだが少年の心は痛く傷ついた。
が、ここで王は一つミスを犯した。
王は知らなかったのだ。魔人が目覚めてる事に……。
同じ頃、目覚めた魔人は少年を籠絡するべく情報を集めていた。
その時、偶然にも見たのだ。画像の中に映る少年の笑みを。
決して演技には見えなかったその笑み。魔人は少年自身もまだ気付いていない内なる想いにいち早く気付いた。
仮に王もその画像を見ていれば気付いただろう。だが、ここでも王はミスを犯した。
王にとって少年個人の学園での生活態度等どうでも良かった。元々、王はこう考えていたのだ。
「少年は生来の暗殺者。そう簡単にその心に変化が起きる訳が無い」と。
――慢心――
それはこの王の唯一の弱点と言えた。
一方で、見限られたと思い絶望し疲弊していた少年。その心の隙を魔人が見逃す筈もない。
魔人は言葉巧みに王が打ち込んだ楔をへし折ると、王以上に大きな楔を打ち込んだ。
誕生日と家族という二つの楔を。
その王、ライに名を与えられ、魔人、ルルーシュには誕生日と家族を与えられた少年、ロロは遂にライの意に反する事を決意する。
だが、ロロの心の奥底には未だライに打ち込まれた楔。その切っ先が残っていた。
それが、ロロの心を引き留めた。
優先順位はルルーシュとなったものの、ロロにとってはライもまた大切な存在だという事は変わらなかった。それ程にライが与えたインパクトは大きかったのだ。
一方で、ロロがライに嘘を吐いている事に変わりは無い。
ロロの心を引き留めたその切っ先は、同時に彼の心に鈍い痛みも覚えさせた。
その痛みに必死に耐えながらもロロは考えた。自分に名を与えてくれた名も知らぬ王の為に。
考えた結果、裏切った事が自分を拾った存在、V.V.に知られれば王にも危険が及ぶとの結論に至った。ロロはV.V.の非情さをよく知っていたからだ。
しかし、そこでふと思う。
このままシラを切り続ければ、少なくともV.V.が王に危害を加える事は無いのでは無いか?と。
痛みに後押しされながらも悩み抜いた結果、ロロは「王を護りつつ自分の居場所も護る」そんな端から見れば出来る筈も無い道を選択した。
だが、ロロは知らない。
名も知らぬ王、ライの存在理由を知ったV.V.が、彼には決して危害を加えまいと心に誓っているという事を……。
――――――――――――――――――――――
コードギアス 反逆のルルーシュ L2
〜 TURN03 ナイトオブラウンズ(中編)〜
――――――――――――――――――――――
「先生。俺とロロに関する全てのイレギュラーを見逃してもらえますか?」
ルルーシュが命じると、紅い鳥に心を蝕まれた監視員は頷いた。
「分かった。そうしよう。二人とも、余り外を出歩くなよ?」
「「はい」」
そうして、何事も無かったかのように立ち去っていった。
「残るメンバーは、ヴィレッタ先生だけだな?」
最後の監視員にギアスを掛け終えたルルーシュが問うと、ロロは小さく頷きながら言った。
「はい。しかし、枢木スザクが居ます。殺しますか?」
「そういう事はもうやめろ。あぁ、それと……」
「はい」
「変な言葉使いは無しにしないか?俺達…兄弟だろ?」
その言葉にロロの心の内に暖かい何か広がる。そして、それが後押しする。
物言いたげな瞳で見つめるロロ。気付いたルルーシュが問う。
「どうした?」
「実は……もう一人居るんだ」
「もう一人?二人以外にか?」
思わぬ言葉にルルーシュが驚いた様子で尋ねると、ロロはそれ以上の言葉を告げた。
「うん……でも、あいつにギアスは効かない」
「なっ!?ギアスが効かない?どういう事だ?」
「学園…というか、エリア11には居ないんだ」
エリア11に居ないという答えに平静を取り戻したルルーシュは再び尋ねる。
「そいつの名前は?」
しかし、返事は無い。
「ロロ。教えてくれないか?」
怒る事無く柔和な笑みを向けるルルーシュ。その笑みに後押しされたロロは、一瞬躊躇したかのように言葉に詰まったが遂には告げた。
ルルーシュが機情を掌握するに当たって最大の障害に成りうる男の名を。
「……機密情報局長官、カリグラ。機情のトップに居る男だよ」
「カリグラ…暴君の名前だな。どんな男だ?」
「……」
「ロロ?」
再び黙り込んだロロに対して、ルルーシュは少々訝しみながら問うた。
すると、ロロは視線を逸らすかのように俯くと言った。
「そっくりなんだ。兄さ…ゼロに……」
「何だと?」
それはルルーシュでさえも全く予期していない答えだった。
ルルーシュは詳しく尋ねるべく歩み寄る。すると、ロロは突然顔を上げると必死な形相で懇願した。
「で、でも、心配しないで。彼奴は僕が抑えるからっ!!」
ロロ自身、カリグラをどうにか出来るという明確な自信は現時点では無かった。
そもそも、ロロは嚮団から派遣されて機情に席を置いているに過ぎない。
その上、これまでのカリグラとの関係はお世辞にも円満とは言い難く、早急な関係の改善を図る必要があった。
当然、それを知っていた訳では無いが、ロロの必死な形相を見たルルーシュは、果たして任せられるのか?と疑問を懐いた。
そしてルルーシュが何事か語ろうと口を開きかけた時、不意に明るい女性の声が周囲に響いた。
「あーっ!!二人ともこんな所に居た!会長、こんな所に居ましたよーっ!」
「やぁ。シャーリー」
声の主、シャーリーの姿を認めたルルーシュは咄嗟に普段の笑みを貼り付けるが、シャーリーは「今日は許さないっ!」といった様子で膨れっ面をしたまま詰め寄った。
だが、その頬が少し紅潮してるのはお約束。
「もうっ!最近は授業にも真面目に出るようになったと思ってたのに、こんな所で油売って!スザク君の歓迎会が近いんだよ?」
「済まない。ちょっと用事があってさ。なぁ、ロロ?」
突然話を振られた事に、ロロが「えっ?」と少々驚いた表情を浮かべると、それを見たシャーリーは勘違いした。
「ロロのせいにしないの!ロロも無理に付き合う必要無いんだよ?」
「そ、それは誤解――」
ロロは慌てて否定しようとするが、生来、思い込んだら一直線な彼女に通じる筈もなく……。
「いいから、いいから。駄目でしょ?ルル」
最早、ルルーシュは苦笑するしかなかった。既にこの場はシャーリーが支配しており、撤退は容易では無い。
それを理解していたルルーシュは、何とか上手く逃れられないかと話題を逸らす。
「それにしても、良く俺達が此所に居るって分かったな」
だが、ルルーシュには見えていなかった。絶対支配者が近づいている事に……。
「そりゃあ、ねぇ?シャーリーはルルーシュの事になったらぁ……」
突然響いたシャーリーとは別の女性の声。
その声を聞いたルルーシュは、内心天を仰ぎたい気分になった。
声の主は言わずもがな。この学園の首魁にしてルルーシュがコントロール出来ない唯一の存在、ミレイ・アッシュフォード。
ニンマリと笑みを浮かべながら、その豊かな胸を強調するかのように腕を組んで仁王立ちしている彼女の姿を見たルルーシュは、瞬間、心の内で諸手を挙げて降参した。
「な、何言ってるんですか!会長っ!!」
慌ててミレイの元に走り寄ると顔を真っ赤にして抗議の声を上げるシャーリー。対するミレイは悪戯っぽい笑みを浮かべてみせる。
「照れない、照れない」
「べ、別に照れてなんか……」
そんなキャアキャアと騒ぐ二人を余所に、最早全てを諦めていたルルーシュはロロにだけ聞こえる声で呟いた。
「ロロ。その男の事を詳しく話してくれないか?」
「う、うん。でも、目と耳は至る所にあるから……僕の部屋でなら……」
「ああ、それじゃあ夕方にでも――」
「何話してるの?行くよー?」
遮るかのように告げられた声。
先程までの照れていた姿は何処へ行ったのか。ルルーシュ並の切り替えの早さを見せるシャーリーに、ルルーシュは軽く相槌を打つ。
「ああ、今行く」
そう言って二人は彼女達の元まで歩み寄ると、不意にミレイが言った。
「そうそう、ロロ。さっきヴィレッタ先生が探してたわよ?」
「先生が…ですか?」
「ええ、何でも"相談"したい事があるって言ってたわね」
その言伝にロロは一瞬だけ眉を顰めると、何を意味しているのか瞬時に思い至ったルルーシュが背中を押す。
「行って来い。こっちは俺達でやっておく」
「ありがとう。兄さん」
ロロは一言礼を言うと彼女達に会釈した後走り去って行った。
ミレイはロロを見送ると残った二人に号令を掛ける。
「それじゃあ、私達は準備に戻るわよっ!」
「はーいっ!」
「はいはい」
元気一杯に返すシャーリーと、苦笑しながら返すルルーシュ。
最後にルルーシュはロロが立ち去った方向に一瞬だけ視線を移した後、何事も無かったかのように彼女達の後を追った。
――――――――――――――――――――――
機情の地下施設に入ったロロは、そこでヴィレッタと会話している人物を見て少々驚いた。
――枢木…スザク……。
「ロロ、遅いぞ」
ヴィレッタの指摘を聞き流しつつロロは椅子に腰掛けると、ヴィレッタは再びスザクに向き直る。
「それで、接触されてみて何か気付かれた点は?」
「いえ、特に……」
「ではやはり、対象の記憶は戻っていないと判断して――」
「待って下さい。もう暫く調査が必要です」
慎重な姿勢を崩さないスザクに、ロロは僅かに身を乗り出すと抗議の声を上げる。
「僕達の監視が信用出来ないと?」
「C.C.の件もあるだろう?君は今まで通り弟役を頼む」
「…Yes, My Lord」
ロロは面倒な相手だと思いつつも下手に勘繰られるのを避けるべく短く返すと、ヴィレッタが今後の予定を告げた。
「生徒会主催で枢木卿の歓迎会を行うようです。そこで再度確認を」
「分かりました」
そこまで言った後、スザクは考え込むかのように瞳を閉じる。が、次の瞬間、意を決したかのように瞳を見開いた。
「一つ、お願いしておきたい事があります」
「何でしょうか?」
不思議そうに問うヴィレッタと、無言で続きを待つロロ。
スザクは一拍間を空けた後、重々しい口調で告げた。
「今後、自分にも報告を上げて頂きたいんです」
「それは……」
予期していなかった頼み事にロロは内心舌打ちし、ヴィレッタは露骨に眉を寄せる。と、彼女の仕草をスザクは不思議に思った。
「何か、問題でも?」
問われたヴィレッタは背筋を正すと自身の考えを告げた。
「貴卿は私共よりもルルーシュと接触出来る機会は多いかと思います。その上更に報告せよ、とは……失礼ですが、そこまでの必要性は無いのでは?」
「自分には軍務もあります。毎日のように学園に出席する事は出来ないんです。ヴィレッタ卿、お願い出来ますか?」
「……どれ程の精度をお求めなのでしょうか?」
「委細洩らさずにお願いします」
スザクの注文にヴィレッタは少々困ったような表情を浮かべた。理由は簡単だ。
機情の監視対象者には、確かにルルーシュも含まれているのだが第一目標はあくまでもC.C.なのだ。
そのC.C.は、彼女の上司から直々に総領事館に居る旨の一報が画像と共に送られて来ていた。これはどうやって撮られたのか、ヴィレッタ自身未だに謎の部分なのだが……。
故に、今重きを置くのはC.C.の動向であり、機情の戦力はほぼ総領事館周辺に傾注されていた。
今のような多少緩めの監視報告ならば問題は無い。緩めと言っても、C.C.接触に対処するだけの人員は揃っていた。しかし、スザクは精密な報告を希望した。
それを行うには今の人数では足らなかった。かといって、C.C.に充てている人員を順位の低いルルーシュに割り振る事は、余り好ましいとは言えなかったからだ。
一方で、二人の会話を無言で聞いていたロロは内心苛立っていた。
ロロも機情の実情は把握していた。
スザクの願いを聞く事になれば手が足りなくなる。そして、その希望を叶える為には増員は必要不可欠だという事も重々承知していた。
だからこそ苛立っているのだ。折角、ルルーシュが監視員にギアスを掛けて回ったばかりなのだから。
要求を受け入れさせるのは避けさせたかったロロは行動を起こした。
「それは僕達だけで判断出来る事じゃないですね」
それだけ告げて、ロロは絶対に断るであろう男に連絡を取らせるべくヴィレッタを見やる。
ヴィレッタは直ぐにロロの言わんとしている事に気付いた。
そもそも。彼女も当初よりそのつもりだった。そういった裁量権は与えられて無かったのだから。
「……少々、お待ち頂けますか」
ヴィレッタは一言断りを入れてスザクに背を向けると、コンソールパネルに指を走らせ始めた。
すると、それを再び不思議に思ったスザクが尋ねる。
「何を?」
だが、その頃には彼女の指は止まっていた。ヴィレッタは再びスザクに向き直る。
「ロロも言ったように私共には決めかねますので、上の許可を――」
「必要無い!!」
突然の怒号。
ヴィレッタは思わず後退り、ロロでさえも思わず目を見張る。
先程までの平静さも何処へやら。「上の許可」という言葉に過剰反応したスザクは声を荒げた。
「どうしてもと言うのなら、ナイトオブセブンとして命じる!ヴィレッタ・ヌウ!」
「Y、Yes, My Lord!!」
直立不動の姿勢で答礼するヴィレッタを見て、落ち着きを取り戻したのかスザクは軽く頭を垂れた。
「すいません。声を荒げてしまって……」
「く、枢木卿。どうか面を上げて下さい」
よもやラウンズから謝罪されるとは思ってもいなかったヴィレッタは心底慌てた。
だが、彼女がどれだけ頼み込んでもスザクが顔を上げる事は無かった。
「お願いします」
ただひたすらに頼み込む姿勢を崩さないスザクに、どうするべきか悩み続けるヴィレッタ。
そんな二人の姿をロロが興味深げに見つめていると、ヴィレッタはとうとう根負けした。
「分かりました。ラウンズである貴卿のご命令となると、私個人は拒否出来る立場には御座いません」
ロロは思わず目を見張るが、その言葉にスザクは面を上げると謝辞を述べる。
「有り難うございます」
「い、いえ」
そんな二人のやり取りを聞いていたロロは、文句の一つでも言ってやろうとヴィレッタを睨む。が、その時、部屋の中に聞き慣れた着信音が響いた。
ヴィレッタは反射的に身体を震わせてスイッチに視線を落とすと、彼女の態度に相手を悟ったスザク。その瞳が薄暗い色を帯びる。
「どうぞ、出て下さい。彼には俺から話を付けます」
「た、助かります」
ヴィレッタは安堵した表情を浮かべてスイッチを押すと、程なくしてその男は現れた。
「何ガアッタ?」
モニターに映る銀色の仮面。スザクは怨敵に瓜二つの仮面を被る男、カリグラをジッと睨み付ける。
同時にカリグラもスザクの存在に気付いた。
「ヴィレッタ、何故コノ男ガ其処ニ居ル?」
「枢木卿は学園に復学されたとご報告――」
「知ッテイル。私ガ言イタイノハ、何故コノ男ヲソノ部屋ニ入レタカトイウ事ダ」
頬杖を付いて不機嫌極まりないといった様子で語るカリグラを尻目に、ロロは内心ほくそ笑む。
その時、スザクが動いた。
「入ってはいけなかったのか?」
「無論ダ、私ハ貴様ノ入室ヲ許可シタ覚エハ無イカラナ」
「君の許可が必要とは知らなかった」
「デハ、二度ト其処ニハ入ルナ」
「それは出来ない相談だ。それに、俺は君に命令される謂われは無い」
「……ダロウナ。私モ"ラウンズ"ニ命令サレル謂ワレハ無イノダカラ」
機情の長とナイトオブラウンズ。互いに皇帝直属である彼等に命を下せるのは文字通り皇帝以外存在しない。
静寂が部屋を支配する。
このまま牽制し合うだけの時間が流れるかと思われたが、それを無駄な時間だと理解していたカリグラは相手を変えた。
「ヴィレッタ、用件ヲ」
「はい。実は枢木卿がルルーシュの監視報告を要望されてまして、つきましては卿のご裁可を頂きたく通信致したのですが……」
彼女は丁寧に説明するが、そこまで言って言葉に詰まる。すると、続きを請け負うかのようにスザクが告げた。
「けれど、それはもう必要無くなった。そうですね?」
「は、はい」
念のためしえん
短く同意するヴィレッタを見て、カリグラはスザクが言わんとしている事を理解した。それは、ある程度は予想していた事でもあったからだ。
「………"ラウンズ"トシテ命ジタカ……」
「そうだ」
簡潔な肯定の言葉に仮面の下でライはスザクを睨み付ける。
同時に、自身の懸案事項が現実の物となろうとしている事に歯噛みした。
「勝手ナ真似ヲ……」
「断るなら断るで構わない。だがその場合、俺は勝手にやらせてもらう」
「………」
頑として譲る素振りを見せないスザクの瞳。
その大切な何かを失ったかのように暗く光る瞳を仮面越しに認めたライは思慮に耽る。
勝手に動かれる事はライにとって好ましい状況では無かった。しかし、認めなければ面倒な事になることは請け合い。
十分理解してはいたものの、簡単に認めてしまうのは何となく不愉快だった。
ライは咄嗟にどうするべきか模索する。最も簡単な方法は直ぐに思い付いたのだが、生憎と手も声も届く距離には居ない。
結果として、スザクの行動をある程度コントロール出来る方法等、一つしか無かった。
だが、答えが出ているにも関わらずプライドが邪魔をするのか。彼にしては珍しく長考していると、この殺伐とした空気に耐えれなくなったのかヴィレッタが動いた。
「あ、あの…カリグラ卿?」
それが切っ掛けとなった。ライはカリグラの仮面を力無く左右に振って見せると結論を出した。
「要望ハ"ルルーシュ"ノ監視報告ノ提供。ソレダケダナ?」
「それと自分が軍務で居ない時、ルルーシュに何か変化があれば直ぐに知らせて欲しい」
「……"ヴィレッタ"。要望通リニシテヤレ」
「よ、よろしいのですか?」
ヴィレッタは驚いた。よもやカリグラが許可するとは思ってもいなかったからだ。だが、それ以上に驚いたのはロロだった。
――不味いことになった。
ロロが何と言うべきか言葉に悩んでいると、彼女の驚きを目の当たりにしたカリグラは軽口を叩く。
「断ッテモイイゾ?」
が、彼女にそのような事が出来る筈も無い。
「い、いえ!その通りに」
ヴィレッタが慌てて断りを入れると、スザクが謝辞を述べた。
「協力感謝する」
「貴様ガ私ニ礼ヲ言ウトハナ」
「それぐらいは辨えてる」
少々意外だったといった様子で語るカリグラにスザクは釘を刺すが、蒼い瞳は全てを見透かしていた。
「本音ハ?」
「……君の存在は不愉快だ」
一瞬、間が空いたが、さして悪びれた様子も無く吐き捨てるスザク。対して、今度はカリグラが釘を刺しに掛かる。
「ダロウナ。ダガ、コノ私ガ譲歩シタノダ。呉々モ言ッテオクガ、私ノ邪魔ダケハスルナ。邪魔ヲスレバ"ラウンズ"デアッテモ許シハシナイ」
それは脅し以外の何物でも無い言葉だったが、スザクは怯まなかった。
「その言葉、そっくりそのまま返す」
再び睨み付けるスザクに対して、仮面の下ではライが妖艶な笑みを浮かべていた。
「……貴様ヲ殺シテヤリタクナッタ」
「でも、それは出来ない。違うかい?」
「本当ニソウ思ッテイルナラ、愚カノ極ミダナ……」
「君命に逆らう気か?」
スザクが目敏く問い詰めるが、カリグラは無視して続ける。
「……一ツ答エロ。貴様ノ目ニ"ルルーシュ"ハドウ映ッタ?」
「どう、とは?」
「何カ気付イタ点ハ無カッタカ?」
「いや、今の所は何も無い。だが、三日後の歓迎会で全てを明らかにするつもりだ」
薄暗い瞳に決意の光を宿すスザク。それを仮面越しに探るかのような瞳で見つめていたライ。不意にその心に嗜虐心が湧いた。
「歓迎会ノ中心メンバーハ、"ミレイ・アッシュフォード"、"シャーリー・フェネット"、"リヴァル・カルデモンド"、ダッタカ?"ロロ"」
ロロは突然話を振られた事に内心驚きつつも無言で頷く。
「何が言いたいんだ?」
一方で、カリグラの意図を理解しかねたスザクが問うと、仮面の下でライは今度こそ壮絶な笑みを浮かべながら口を開いた。
スザクにとって、決して聞き流す事が出来ない言葉を……。
「純粋ニ貴様ノ復学ヲ祝ウ仲間達ヲ欺キナガラ、嘗テノ友ヲ監視スル。今ノ気分ハドウダ?」
「っっっ!!!」
バンッ!!とスザクは両手を勢いよく机に叩き付けて立ち上がると、鬼のような形相で睨み付けた。
その表情に背筋が凍るヴィレッタと一貫して無表情のままのロロ。
一方、今のライにとってスザクのそれは愉快な見せ物でしか無かった。
「精々、偽リノ友情トヤラヲ楽シムガ良イ」
「カリグラァァッ!!」
刃のように辛辣なその一言は、スザクの緒を容易く断ち切った。
スザクは床に固定されている筈の椅子を力任せに引き抜くと、次の瞬間、モニター目掛けて投げ付けた。
「く、枢木卿っっっ!?」
ヴィレッタは慌てふためきながら、ロロは相変わらずの無表情でそれぞれ咄嗟に机の下に身を隠す。ロロはギアスは使わなかった。ヴィレッタと二人だけの極秘事項と思っていたからだ。
ガシャァァァン!!という凄まじい音と共にモニターは破壊された。
火花を散らすモニター画面。だが、通信機器は健在なようでスピーカーからはカリグラの哄笑が響く。
「クハハハハッ!!ソレガ貴様ノ選ンダ道ダ。耐エラレナイノナラバ去ルガイイ……ソレト"ヴィレッタ"。早々ニ復旧サセロ」
「Y、Yes, My Lord!!」
ヴィレッタが机の下から這い出ながら応じる一方で、スザクは何も言い返さなかった。いや、言い返せなかったのだ。スザクは、拳を固く握りしめると怒りに肩を震わせる事しか出来なかった。
「当日、私ハ所用デ席ヲ外ス。タダ、何カアレバ一報ハ入レルヨウニシロ。報告ヲ楽シミニシテイル。デハ――」
と、カリグラはそう言って通話を切ろうとする。
だが、その時ヴィレッタよりも早く机の下から這い出したロロが呼び止めた。
「待って下さい!」
普段なら聞く筈もない。だが、強い口調で懇願するロロを怪訝に思ったカリグラは手を止めた。
「……何ダ?」
「監視員はどうするつもりですか?ルルーシュの監視を強化するのなら今のままでは人数が足りません」
ロロは制服に付いた埃を叩きながら問うた。増員を決定する気なら直ぐにでもルルーシュに伝えなければと思っていたからだ。
しかし、カリグラにその気は無かった。
「ソレニツイテハ現状維持デ良イ」
その言葉に拍子抜けしつつも、増員しないに越したことは無いと思ったロロはそれ以上何も言わなかった。
だが、それは又してもスザクには聞き流す事が出来ない言葉だった。
「どういうつもりだ?」
批難の色を隠すこと無く問うスザクの声を聞きながら、カリグラは語る。
「C.C.捕縛ハ陛下ヨリ賜ッタ至上命題。居場所ガ明ラカトナッタ今、餌ニ対シテ増員スル理由ハ見受ケラレナイ」
「だが――」
「ソレニ言ッタ筈ダゾ?私ハ"ラウンズ"ニ命令サレル謂ワレハ無イ、ト。ソレトモ何カ?貴様ハ私ノ裁量権ニマデ踏ミ込ンデ来ル気カ?」
「君はルルーシュを…ゼロを甘く見ている」
「甘ク見テイレバ、貴様ノ要望ヲ受ケ入レタリハシナイ」
「…………」
スザクは思わず押し黙った。再び沈黙が辺りを漂う。すると、カリグラはそれを終了の合図と判断した。
「話ハ終ワリノヨウダナ。デハ――」
カリグラはそう告げると通信を切った。
だが、言い返せなかったとはいえ納得出来なかったスザクはヴィレッタを問い詰める。
「出来るんですか?今の人数で……」
「それは…何とも……」
出来ない等と言える筈も無い。
ヴィレッタが言葉に詰まっていると、代わりにロロが口を開く。
「出来ますよ」
驚いた様子で振り向いたスザクに対して、ロロは少し言葉を変えて重ねるかのように言う。
「やります」
すると、ロロの瞳から滲み出る力強い光。それを決意と受け取ったスザクは小さく頷いた。
「……分かった。君の言葉を信じる。それとヴィレッタ卿――」
「何でしょうか?」
「モニターの件申し訳ありません。修理に掛かった費用は自分に回して下さい」
最後にそれだけ告げたスザクは踵を返すと部屋を後にした。
そんなスザクの後ろ姿をヴィレッタと同じく無言で見送るロロ。その瞳が怪しく光る。
――残念ですけど、僕はあなたの期待に応える気は無いですよ?
――――――――――――――――――――――
その日の夕方。
歓迎会の準備からやっとの思いで解放されたルルーシュは、ロロから様々な情報を聞きだそうとロロの部屋に来ていた。
だが、生憎ロロはミレイに捕まっており、まだこの部屋には戻っていない。
今、ルルーシュはロロが来るまでの間、携帯片手にC.C.と連絡を取っていた。
『そうか、学園は支配下に置いたか。流石だな、坊や』
「詰めの部分が残ってはいるがな。ところで、そこに卜部は居るか?」
『生憎、今は席を外している。藤堂達とトレーニング中だ』
「そうか……なら詳細は後で伝えるとして、卜部にはニイガタでの物資受け取りに出向くよう準備を進めておけと伝えておいてくれ」
1年近く拘束されていた他のメンバー達は今のニイガタ、いや、エリア11の現状を詳しくは知らない。
方や卜部は1年間ブリタ二アの追跡から逃げ続けた実績がある。ルルーシュはこの任務に彼以上の適役は居ないと考えていたのだ。
ルルーシュがそこまで考えている事を知っていたのか。または、さして興味が無かったのか。
C.C.は『分かった』とだけ返した。
話が一段落したところで、ルルーシュは問う。自分にとって、目下最重要課題となっている二人の行方を……。
「何か分かったか?」
だが、帰って来たのは落胆する結果だった。
『いいや、何も。相変わらずお前の妹に関しても、ライの事に関しても。何も分からず仕舞いだ』
「そう…か……」
C.C.が一拍の間も置かずに返した事にルルーシュは、本当に探しているのか?と思いながらも、それを口に出す事無く少し暗めの口調で返した。
すると、C.C.は何故か自分が悪いかのように思えてきた。
『そういうお前はどうなんだ?』
咄嗟に問い返すと、ルルーシュは慎重に言葉を選びながら言った。
「一人、気になる男が居る…らしい」
『らしい?』
C.C.は何とも煮え切らない発言をするルルーシュを珍しく思った。
「ゼロと同じ仮面を被った男。機情のトップに居る男だそうだ」
『ギアスを使えば早かろう?』
何を手を拱いているのかと思ったC.C.が一番手っ取り早い方法を提示したが、ルルーシュはあっさりと否定した。
「このエリアには居ない。まだ俺も見た事は無いが、普段はモニター越しに報告を行うそうだ。ギアスは使えない」
『……その男が学園に監視網を敷いたのだな?』
言葉尻に不快な色を滲ませるC.C.をルルーシュは不思議に思った。
「恐らくそうだろうな。だが、それがどうかしたか?」
『いや、あの監視網には随分と苦労させられたと思っただけだ』
「愚痴か?魔女らしくないな」
『それ程に付け入る隙が無かったんだよ。だが、話を聞いているとその監視網も最早ザルに近いな』
冒頭にルルーシュより今の学園の状況を聞いていたC.C.は素直な感想を口にしたが、ルルーシュは慎重な姿勢を崩さなかった。
「表向きはそうだが、恐らくは……俺の変化を窺っている」
『疑われているのか?』
まるで他人事のように問うC.C.。ルルーシュは思わず眉を顰めた。
「その可能性は否定出来ないが、忘れたのか?」
『何をだ?』
「機情の標的はお前だぞ!?お前が喰い付くのを待ってるという可能性もある!!」
思わず声を荒げてしまったルルーシュだったが、C.C.はあくまでもC.Cだった。
『やれやれ、モテる女は辛いな』
彼女の軽口を聞いたルルーシュは、先程まで歓迎会の準備に追われていた事も影響したのか一気に虚脱感に襲われた。
最早、文句を言う気力も失せてしまったルルーシュは、盛大に肩を落としてみせると話題を変えた。
「兎に角、今は好機なのは間違いない。奴らに隙を見せたのが仇になった事を教えてやろう。この学園は、もうすぐ俺の自由の城になる」
ルルーシュは自分を元気付けるかのように、口角を吊り上げて陰惨な笑みを浮かべると、不意にC.C.が呟いた。
『そうか。それは…………頼もしいな』
「……おい、今の間は何だ?何を考えている?」
気になったルルーシュが追及するが、C.C.は何事も無かったかのように惚けて見せる。
「ん?何も。あぁ……物資受け渡しの件は卜部に伝えておく。それじゃあな、おやすみ、ルルーシュ」
「おい!まだ話は――」
ルルーシュの引き留めも空しく、C.C.は通話を切ってしまった。
「何なんだ?あの魔女は……」
先程のC.C.の含みを持たせる態度を疑問に思うルルーシュだったが、答えは出なかった。
ルルーシュは携帯から視線を移すと部屋の窓を見やる。外は茜色に染まっていた。
「あいつはこんな時間から寝る気なのか?」
そう呟いた後、ルルーシュはロロが戻るまでの間、ただ無言で夕陽を眺めていた。
――――――――――――――――――――――
C.C.とルルーシュが話していた頃、政庁ではちょっとした騒ぎがあった。
それを止めに入った同僚の姿を認めた騒ぎの元凶、ジノ・ヴァインベルグ。
「おぉ!スザク」
彼は自身の駆るナイトメア、トリスタンのコックピットから身を乗り出すと嬉しそうな声で名を呼んだ。
そして、コックピットから降りたジノは破顔しながらスザクの元に駆け寄ると、対するスザクは少々呆れたように言う。
「ジノ。ランスロットを持って来て欲しいと頼んだのに……」
「あぁ、来週ロイド伯爵と一緒に来るよ。それより何だい?この服――」
「学校帰りだからね、制服」
「へぇ、これが……」
興味津々といった様子でいるジノにスザクは苦言を呈する。
「ジノ。幾ら名門貴族とは言え少しは普通の――」
だが、ジノはそれを聞き流しながら背後に回るとスザクを抱き締めるかのように体を預けた。
それはジノなりのスキンシップだった。
それを理解していたスザクはその行為を拒否する事は無かった。いや、何度言っても聞かない事から半ば諦めに近い感情を持っていたと言う方が正しいかもしれない。
しかし、自分よりも大きな相手に凭れ込まれては堪らない。
「あの…重いんだけど――」
スザクが抗議の声を上げた時、一帯に一人の女の声が響いた。
『お仕舞い?』
同時に一機のナイトメアが二人の前に降り立つと、その姿を認めたスザクは思わず呟いた。
「モルドレッド…アーニャまで来ていたのか」
『お仕舞い?』
声の主はアーニャ・アールストレイム。
彼女は、先程の自分の問いに対して答えが返って来なかった事からか今一度問うた。するとスザクの代わりに彼から身体を離したジノが答える。
「終わりだってさ、スザクが」
『ふーん………………つまんない』
心底残念そうに呟いたアーニャはコックピット内で携帯を弄り始めた。
ジノとアーニャ。
二人の実力を良く知っているスザクにとって、軍事面でこれ程頼りになる援軍は無いだろう。
スザクは、モルドレッドを見つめながら一人思う。
――これで、戦力は十分過ぎる程揃った。ルルーシュ、3日後の歓迎会で全てを明らかにしよう。
◇
スザクが一人決意を懐いていた頃、通路の天上に巧妙に隠匿されていたカメラが三人の姿を捉えていた。
それから送られて来る映像をモニター越しに眺めながら、彼等の会話に聞き耳を立てている人物が二人。
その内の一人が言う。
「盗撮と盗聴。共に感度は良好みたいだね」
すると、もう一人はその言葉を少々不快に思ったようだ。
「何となく嫌な響きだな……諜報活動と言え。V.V.」
だが、指摘されたV.V.は愉快そうに笑みを溢すのみで反省の色を見せないかった。
「ライ、君は妙な所に拘るよね。でも、政庁の至る所に取り付けるなんてさ……よく気付かれなかったね」
「設置した者達は皆、元は優秀な鼠だったからな」
関心した様子でいるV.V.を尻目にライはさも当然のように返した後、手に持ったティーカップに視線を落とすと感慨深げに言った。
「しかし、便利な時代になったものだ」
「それ、何だか古くさい台詞だよ?」
軽口を叩きながらクスクスと笑うV.V.を余所にライは語る。
「今も昔も、情報というのは鮮度が命だ。あの頃は早馬を出しても手元に届くにはそれなりの時間が掛かったからな」
「人の歴史は戦いの歴史。戦争が通信技術を進歩させたんだよ」
V.V.の指摘にライは成る程な、と思うと同時にその元凶の名を口にしようとする。が、V.V.の言葉がそれを遮った。
「それをさせているのが神。でも、僕は思うんだ。人々を争わせる神なんて必要無い。そんな神様なら……殺してしまおうって」
「それがお前の願いだったな」
陰惨な響きを持ったその言葉に、思い出したかのように呟くライ。そんな彼の言葉をV.V.が補足する。
「それだけじゃないよ。これは君の母親と妹の仇にもなるんだから」
「ああ、だからこそ私はお前達と共に歩んでいる。その為ならば、どれ程汚れた事であっても行うまで。これもその一環だ」
モニターに映る彼等の姿を眺めながら、ライは平然と告げた。
今のライの行為は所属が違うとはいえ仲間を監視している事に他ならない。
いや、ライ自身は仲間だとは思ってはいないが、それでも盗み見ているという事実に代わりは無い。
端から見れば良心の欠片も無いと思われるに足る行為。
だが、V.V.はそう思ってはいなかった。
「諜報機材を設置したのは公の場所だけだよね?」
「公室にも有る。だが、それがどうした?」
「つまり私室には設置していないという事だね……僕はそこに君の最後の良心を感じるよ」
良く分かってるでしょ?とでも言いたげに満面の笑みを浮かべるV.V.。
だが、ライが真面目な表情を崩す事は無かった。
「私は必要と認めれば私室であっても行うが?」
「折角褒めてあげたのに……」
呆れたように告げるV.V.を見て、ライは僅かに口元をつり上げた。
「それは気付かなかった」
「……嘘吐き」
V.V.が軽く溜息を吐いてモニターに視線を戻すと、ライも同じように視線を戻す。
「しかし、枢木一人でも億劫なのだが……よもやラウンズが増員されるとはな……」
「君ならどうとでも出来るでしょ?頑張ってね。ライ」
先程の事を引き摺っているのか、他人事のように語るV.V.。
ライは、少々やり過ぎたと思いつつ、微苦笑を浮かべたその口元にゆっくりと紅茶を運んでいった。
以上で投下終了です。
前書きと終了宣言数をカウントしてなくて猿食らいました。すいません。
今までは前後篇で進めていたんですが、今回は展開速すぎて眩暈したので切りの良いところで止めました。
それでは、読んで下さった皆様、支援して下さった方、有難うございました。
>>458 投下乙でした!
……CC、良からぬことを考えてますね。
記憶の封じられたライの悪役ぶりが非常にカッコイイです。スザクと互いを持て余すふたりの緊張感もいい。
VVとの会話にかすかに出るプライベートな様子に何かほっとしたりもします。
面白いなあ。
次回、プライスレスなルルーシュ驚愕顔の回でしょうか。
ライがどう絡むのか、楽しみにお待ちしてます。
GJでした!!
オリジナルの雰囲気を残しつついい感じにアレンジされてて面白かったです。
貴公の次の投下を全力でお待ちしています!!
>>458 ライカレ厨卿、GJでした!
王であるが故に存在する弱点「慢心」 本人が直接関与しない場所でそれが仇となるとは……
ロロが限界をこえて無理をしそうなかんじ、立ってるね俗に言う死亡フラグが!
しかしカリグライが生き生きしてるなぁ……特に話には関係無い友情を持ち出してスザクの神経を逆撫でするとは。 というかまっすぐな反応を楽しんでいる感も滲み出ている気がします。
ライの「便利な時代」発言、正しく「昔の人間」それも時代が違う彼には万感の思いも込められていそうですね。
V.V.の指摘、私室には仕掛けなかった、に必要ならばやると明言するライ。
でも、V.V.の『嘘つき』発言を加味すると、もしかしたら今の性格は……
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
ライカレ厨卿GJでした!
前回ロロがライではなくルルーシュを選択した理由が不可解だったのですがよく納得いたしました
次の舞台、アッシュフォード学園で 何が起きるかとても楽しみです
>>458 やばいなぁ。
無茶苦茶面白いや。
本当に、ライカレさんだけにしか出来ない、R2の世界って感じがビンビンしています。
しかし、読み終わる度に思うのは、早く続き読みてぇって事でしょうかwww
なんか、中毒症状みたいwww
ともかく、GJでした。
次の投下を全力をもってお待ちしておりますとも、ええ。
首を長くして……www
>>458 GJです!!
こりゃあ面白い!
次の展開が全く予想出来なくてドキドキしますw
続きを心よりお待ちしてます!
>>458 卿の作品を待っていました。
スザクとカリグラ(ライ)のやり取りは実にいいですね。
特に
「純粋ニ貴様ノ復学ヲ祝ウ仲間達ヲ欺キナガラ、嘗テノ友ヲ監視スル。今ノ気分ハドウダ?」
「精々、偽リノ友情トヤラヲ楽シムガ良イ」
ここを読んだときは、背筋がゾクッとしました。
次の投下を全力で待っています。
>>458 GJです!
卿の独自路線な鬼畜ドSライが好きで好きでたまりませんw
今回もスザクの隠しきれないまっすぐな反応を内心でニヤニヤと楽しんでる感が伝わってきましたね。
互いの存在や感情を持て余しつつもその姿勢、ただただ格好いい突き抜けた悪役っぷりには脱帽です。
この先の展開にも期待して、次の投下も楽しみにしています!
>>458 更新、拝読しました。
今回の目玉はロロの心変わりと、スザクVSカリグラ(ライ)ですが、やはり
スザクにはカリグラを相手にするには少々荷が重かったですねw
っつーか、スザクをあそこまで激昂させるとはある意味スゲーよww
>>467さん同様、スザクへと向けた内面を抉るような言葉は確かにいつの間にか
読者自身を抉り、背筋が冷たくなりました。
時にライ専用機は何時登場するのでしょう?
っというか、そんな代物まで用意されたら、ギアス狩りのときは逆に返り討ちにあうような気が……
次回も楽しみにしております。
執筆ガンバってください!
P.S
読み返すと、今回カレンの出番がねぇ〜〜〜!!
誰かいますか?
いますが、支援ですか?
投下しようと思ったので誰か他にする人がいるか確認しようと思いました
>472
その場合は投下宣言をしてから投下始めてしまってOKだと思いますよ。
今のところ先に宣言された方はないようですので投下どうぞ。
ありがとうございます、次レスから投下させてもらいます
コードダブルXです、前作の続きを投下させてもらいます
タイトルとあとがきを合わせて6レスになると思います。
規制を食らったすみません。
タイトル
第1話 蒼い戦神
注意点
オリキャラが出ます。
ここは、EUのある海沿いの町、エメラルドブルーの海、白い砂浜、歴史を感じさせる家々、ぱっと聞けばリゾート地などを思い浮かべるであろう。
しかし、ここはそんな良いとこではない、砂浜のあちらこちらには黒煙をあげ鉄屑となった、鋼鉄の巨人たちがいる、
ブリタニア軍の主力ナイトメアであるサザーランドや量産型のグロースターである。
この地域一体をかけて、ブリタニア軍とEU軍による戦闘がおこなわれているのだ。
現在はEU軍のほうが圧倒的に優勢である、EU軍は丘の上に陣取り高低差を利用した攻撃により主力ナイトメアである
パンツァーフンメルで上陸しようとしてくるブリアニア軍に弾丸の雨を注いでいた。
「ブリタニア軍の残存部隊、残り40%です」
EU軍の司令官はオペレーターからの報告を聞き心の中で「勝ったな!」と思い隣の参謀に話しかけた。
「今夜の晩餐は勝利の美酒になりそうだな」
それ対して参謀はニヤリと笑いながら。
「まったくですな、そういれば当たり年の 良いワインが手に入りました、いかがですかな?」
「ほう、それは楽しみだ」
司令官もまたニヤリと笑った、しかしその笑いも長くは続かなかった。
上陸部隊の隊員たちはあっせていた。
「くっそ!、エリオール2、グルト5もやられた」
現在なんとか砂浜までは来てはいるが、この先の斜面を登ろうとした機体はことごとくEU軍の攻撃をくらいすでに上陸部隊の半分以上が撃破されてしまっている。
隊員が悲痛に叫ぶ。
「くそー、援軍はまだなのか」
「本国は俺達にここで死ねというのか?」
兵士達の悲痛な叫びが響く。
その時だった。レーダに味方の反応が現れた。
「援軍だ!援軍が来たぞ!」
「どこの隊だ!数は!」
援軍が来たその一言でわずかだが士気が上がった。
「機数は………1騎!?」
「なんだとたったの1騎だと、本国はふざけているのか!」
隊の隊長は思わず怒りをあらわにした。ここでむざむざ部下を死なせたくはないという彼の思いが爆発したのだ。
しかし、次の言葉を聞いた時に怒りは消えた。
「識別信号は、クラブ?、援軍はランスロット・クラブ!、ナイト・オブ・ツーのレイナス・アルヴィン・イクス卿です!!」
「イクス卿だと、ラウンズのナンバー2か!」
ラウンズが前線にきた、これよってブリタニア軍上陸部隊の士気と戦意があがった。そして上陸部隊の上空に白と青のカラーリングをしたナイトメア、クラブがきた。
クラブのコックピットにいる銀髪で額から鼻までを隠す銀色の仮面をつけた少年、レイナスは上陸部隊全機に通信をした。
「私は、ナイト・オブ・ツーのレイナス・アルヴィン・イクスだ、上陸部隊の皆よく持ちこたえてくれた。感謝する、
この前線を落とすことができれば後ろでふんぞり返っているEUのお偉いさんの喉に刃を突き付けることができる、
あとひと踏ん張りだ!、私が突破口を開く………皆の者!、私に続けー!」
レイナスがそう叫ぶと同時に。
「「「Yes My Lord!!」」」
全上陸部隊の隊員がそれに対して勇ましく答えた。
このレイナスの通信によって上陸部隊の士気はさらに上がった。
一方EU軍の司令室は。
「ランスロット・クラブ?、ナイト・オブ・ツーだと!」
「蒼い戦神!!」
「ラウンズが前線に?」
司令官は顔から笑いが消え、あせりをふくんだ声で叫んだ。。
「くっ!後方の基地に打電、援軍を要請をしろ、いかにラウンズであろうがたった一騎、数の前には無力だ!」
「りょ、了解であります」
そうだ、援軍され来れば勝ち目はある、それにここであいつを倒せば自分の出世は約束されたも同じ。司令官は自分の中の
恐怖を無理やり押し殺した。
前線で上陸部隊を攻撃しているパンツァーフンメルのパイロット達にもラウンズが前線来たと情報はすぐに届いた。
「ここでラウンズを討ち取ったものには一生遊んで暮らせるだけのボーナスをやる」と司令官が言ってきた。
この言葉に最初はラウンズと聞き恐れたが、相手はたったの1騎でこちらは皆我先にクラブに銃口をむけた。
「やつを討ちとれー!」
「金は俺の者だー!」
一斉にクラブに向けて弾丸の雨が襲う、しかしクラブはその弾丸には一発も当たらずにライフルを構えて突っ込んでくる。
雨のような弾丸をすべて回避しながら来るクラブを見てEUの兵士たちは叫んだ。
「なんで、あたらねーんだよ!うああああ!」
「ウソだろー、敵はたった一騎だぞ!ぎゃあああああ!」
「ありえん、ありえんぞ!」
ライフルを連射してクラブは敵陣の中心に着陸した。
「ひるむなー、囲んで討ちとれー」
パンツァーフンメルは一斉にクラブ銃口をむけた、しかしそれよりも圧倒的に早くクラブは腰につけた日本刀タイプのMVS
「夜照光」を掴み抜刀した、ガキン!、ベキン!、バキン!という音が戦場に響き渡った、クラブの周りにいた10騎近いEUのナイトメアは
ただの鉄屑へと姿を変えていった。
クラブはランドスピナーを軋ませながら敵陣に突っ込んでいった、斬る、撃つ、斬る、撃つ、又斬る、そして又撃つという行動をクラブは
繰り返し、さらに後方からはクラブの開けた突破口を使いグロースターやサザーランドが迫ってきた、EU軍は総崩れになっていった。
EU軍の司令室の司令官は青ざめていた、いかにラウンズであろうがたった1騎だとしかしそのたった1騎は戦場を縦横無尽に駆け抜けて確実にこちらの戦力を奪っている
さらに、クラブによって引き裂かれた陣形の隙に上陸部隊が的確に攻撃をしている、おそらくクラブのパイロットが指揮をとっているのだ。
「防衛部隊の損害率70%をこえました」
「馬鹿な、そんな馬鹿な!、たった1騎に戦況がくつがえされているというのか、ありえんぞ!」
軽くパニック状態になっている参謀を横に司令官は絶望した。
不味い、本当に不味い。どんな手を打ってもすぐにそれに対して上陸部隊は対応してきている、
奴のレイナスの指揮と戦況眼は、まさに鬼才。司令官は、もはや打つ手なしということが頭の中に浮かんだ。
さらに追い打ちをかけるようにオペレーターから言葉が飛んだ。
「し、司令、援軍を要請していた基地から通信です」
「なんだこんな時に」
「それが、わが基地は4騎の敵ナイトメアにより壊滅状態、援軍は不可能」
「ば、そんな馬鹿な、まさか、あいつらか!」
司令官のこの言葉に参謀は信じられないという顔をして口を開いた。
「司令あいつらとは?」
「貴様も名前くらいは聞いたことがるだろう、4大騎士だ、レイナスの側近たちだ!」
上陸部隊の隊員達はレイナスの指揮に従いながら斜面を登ってきながら敵騎を破壊していった。
隊員たちは口々にしゃべり始めた。
「すごい!、イクス卿が前線をくつがえした」
「このまま行けば勝てるぞー!行くぞ、行くぞ!」
「まさに敵にとってはまさに戦神だな」
「敵はもう風前の灯火だ、このまま一気に倒すぞー」
ブリタニア軍の兵士たちは猛攻撃を開始していった、勝利は時間の問題となった。
戦場から少し離れた海に浮かぶ戦艦の司令官席に座っているシュナイゼルは静かに微笑んだ。
「すごい者だね、彼は」
それに対して横にいた参謀のカノンは。
「はい、事前情報が違い戦力差がありましたが、ここまでとは」
と驚きながらも答えた。
その直後、通信が入ってきてオペレータが叫んだ。
「イクス卿、及びディーテ卿から打電、両基地に白旗を確認、敵さらなる戦闘意思無しとのことです」
それを聞いたシュナイゼルは満足そうな顔して椅子から立ち上がり言った。
「カノン、全軍に戦闘中止命令をあと敵の基地に歩兵部隊を送り込んでくれたまえ」
それに対してカノンは片手を自分の胸の前に置き静かに答えた。
「Yes Your highness」
カノンに指示を出したシュナイゼルは再び椅子に座り静かにしゃべった。
「蒼い戦神、いやこちらでは仮面の騎士かな、君は一体何者だ?」
クラブのコックピットの中で通信を終えたレイナスは「フゥ!」と息を吐きながら自分の銀髪の髪をポリポリとかいた。
そうしていると通信が入ってきた、レイナスは通信ボタンを押した。
通信用のモニターに整った顔、肩まで届く藤色の髪をした少女が映し出され少女が凛とした声でしゃべり始めた。
「お疲れ様です主、シュナイゼル殿下から戦闘中止命令が出されました、さすが私の愛する主ですな♪」
いきなりの爆弾発言、それに対してレイナスは、銀色の仮面を外してその下の蒼い眼の目つきをすこし強くして返事をした。
「了解した。あとリーラいつも言っているけど、任務中は主とは呼ばないでくれ」
それに対しリーラと呼ばれた少女は、泣きそうな表情をし、瞳をウルウルさせながら。
「主は、私のことがお嫌いなのですか?」
と言った。
「はあ〜、騙されないよその作り泣きには!」
リーラは、元の表情に戻りしゃべり始めた。
「おや、ばれてしまいましたか♪」
レイナスはため息まじりにしゃべった。
「最初のころは騙されたけど、だんだん君のことがわかってきたよ」
「おや、嬉しいことを言ってくれますな。それにこれは専用通信ですぞ、私と主の二人きりですぞ♪」
とリーラは頬を染めながら「二人きり」という所を強調して言った。
「もういい………引き上げるよ」
「了解ですぞ、ある…ブチッ」
レイナスは一方的に通信を切り大きなため息をつき、顔に仮面をつけて帰還していった。
リーラ・ディーテは愛機であるアスタルナの中で独り言を言っていた。
「まったく、いきなり通信を切るなんて主はひどい」
そう言いながらリーラはオートパイロットを作動させ自分の胸の前につるしたペンダントを開いた。
その中には先ほどのレイナスの素顔の写真があった。
「主、愛していますよ、誰よりも誰よりも」
レイナスの素顔の写真を見ながら彼女は静かにそう言った。
第1話 「蒼い戦神」
End
あとがき
投下終了です、なんと書けたけどうまく書けない、まだまだへたですみません。あと戦闘描写は難しい。
すいません、オリナイトメアを注意に書き忘れていました。
感想待っています。あと次回作に登場人物や兵器など書きたいのですが良いですかね?。
>>480 乙でした。
ライかと思えばオリキャラ……こやつめ、やりおったわ!
あとまだ句読点いらないんじゃ……というところに句読点(例:鉄屑となった、鋼鉄の巨人)があるかんじがします。
逆にいるべき所にない、みたいな。 こればかりは投下前に自分で一度読んでみるしかないですね。
オリキャラの多さに混乱は更に加速した……
次の投下も待ってます。
ライ=レイナス??
乙でした。
確かにオリキャラの多さは混乱するかも。
一方でどこか展開やアイテムに既視感を感じるところもあるので、
今後他の書き手さんとどう差別化していくのかを楽しみにしています。
兵器やキャラクター注釈については、好きに書いていいと思いますよ。
484 :
代理投下:2009/06/03(水) 22:15:11 ID:eKeQkvhV
えー、テリーさんのSSを代理投下いたします。
もし、よろしければ、念のため途中、1〜2回の支援をお願いいたします。
ここから、テリーさんの文になります。
↓
「鉄の道 三章 」
8レス位です
カップは・・・・ハーレムでしょうか
完全オリジナルです、キャラの性格も大きく違うかもしれません
なお、人間関係もオリジナルです注意して下さい。
「鉄の道 三章 」
ストラスブールと言えば有名なノートルダム大聖堂が有り、アルザスの伝統家屋が密集
したプチット=フランス地区がユネスコの世界遺産に登録され、またストラスブールの
イメージキャラクターとして至るところで登場するコウノトリでも有名なここにライ達は到着した。
「定刻どうりに到着、何事も無くて良かった」
4番線に停車したオリエントエクスプレスの機関車「クラブ」は額の汗をほっとした
表情でぬぐい息を吐くライと同じようにシューーーと蒸気をはき停車した。
列車が停車するとカメラを片手に持つ家族やガイドマップを持つ夫婦など乗客は観光の為に下車をする、その様子を何故だか
「ぶーーーーーー」
膨れっ面で片膝をつくミレイがうらめしく下車する乗客達を見送っていた。
「何でこんな日に私が居残り当番なのよ?」
「まあまあミレイさん、仕方ないじゃないですか。ミレイさんの分まで私が“ライさんと”
一緒に楽しんできますから」
ライさんとの部分を強調してウキウキしながらナナリーは5号車の車掌室からライのいる
機関車へと向かっていった。それを――
「ナナリーめーーーー、覚えてらっしゃーーーい」
地獄の底から聞こえてくる様な呻き声をあげてナナリーの方を拳を握りしめピクピクと
震えるミレイが有りましたとさ。
「・・・・私も休むかな」
車掌室の仮眠ベットに横になると日頃の激務からかすぐに寝息をたてたミレイ、それほどまでに真剣に仕事に取り組んだ結果なのだ。
そのころ機関車では
「じゃあ・・・・ジェレミアさん、点検の方頼みます」
ここに到着するまで前方にずっと気を張り巡らせていたライはその緊張感から抜けだしたからか今どっと疲れが出でしまい、もの凄く眠い目をしている。
「うむ、しっかりと整備しておく!ゆっくりと休んでおけ」
社内で一番の元気印ジェレミア、昨日アーニャの強烈な殺気にあてられたにも関わらず
決まった時間にはもうグッスリと眠ったのでもう元気はつらつのニッコニコ。
「はい、そうさせてもらいます」
目を擦りながらライは乗務員専用の1号車に向かった、所に
「ライ!!お茶に行くぞ、付き合え」
ライと一緒に仕事をして疲れているはずのノネットだが停車してから4分位でシャワー
を浴びて着替えまで済ませ元気にライを誘いにウキウキと来た。
「ノネットさん元気ですよねぇ、僕まだシャワーも何も浴びてないですけど」
大きい欠伸をして向きあうライとノネットの間にものすごい勢いで割って入り
ノネットを睨みつけるアーニャがいた。
「抜け駆けは許さないよノネット、ライは疲れてるんだから休ませてあげないと」
「そう言うがアーニャ、お前そう言ってライを独り占めするつもりだろうがそうは
とんやがおろさないぞ?」
アーニャを見下ろすノネットも同じく睨み返す、両者共一歩も譲る気など毛頭ないし
それを欠伸をしながら見守ってしまうライは眠いのか頭がよく回らない。
「じゃあアーニャもノネットさんも一緒にお茶しに行きましょう、シャワー浴びて
着替えて来ますから待っててください」
と全然二人の気持ちを考えずに?言いシャワーを浴びて目を覚ます為に客車へ欠伸を
さっきから連発しながら向かって行った。
「「・・・・・ライらしい・・・か」」
と苦笑いの二人でした。
ライ達が町にお茶をしに行った頃、車掌室でミレイはお昼寝中だった・・・・所を
無線のアラームでたたき起こされてしまった。
「うん?何よ・・せっかく人が気持ち良く寝てたのに、こちらオリエントエクスプレス
車掌のミレイですが?」
(ずいぶん眠たそうだなミレイ)
「それはそうですよ千葉さん、1時間しか寝てないんですから」
総合司令室のオペレーターの千葉、ブリタニアは日本人だろうが優秀と見込めば雇用する
のが社の基本。
(十分に思うがまぁいいか。それより連絡だ、昨日アルプス山脈でまた猛吹雪が起こった)
「アルプスで?確かあそこには―――――」
その連絡を聞いて一気に仕事人の顔にミレイは変わる。
(そうだ、「サンタマリア大鉄橋」の補強工事が吹雪で大幅に遅れる。そのせいで全列車
に速度制限70kmが継続されることになった)
その声は呆れにも似ていた。
オリエントなどイタリアに向かう特急や急行、貨物はローマに行くためにアルプス山脈を越える事になっている、その中では数多くの鉄橋やトンネルを通らなければならない。
その中でも1、2を争う長い鉄橋が「サンタマリア大鉄橋」なのだ。
「あの橋は建ってから80年近いからなぁ、結構古いしボロなのよねぇ」
(その為の補強工事が今回の吹雪でまた遅れたからな、おまけに積雪の多さから雪崩の可能性も出てきてる始末だ)
「雪崩が?厄介ねぇ、もし爆発級の大揺れでも起こったらサンタマリアの柱に激突するかもしれないじゃない」
ここにきてミレイは少しではあるが冷や汗をかいた、サンタマリア大鉄橋の橋げたは雪崩の勢いを止めるだけの強度が今無いのだ。
(仕方ないだろう、そんな事はないと思うがな・・・・注意してくれよ)
「了解です!」
無線が終わるとミレイは速記したメモを持って大急ぎで機関車に向かった。
ストラスブール駅のすぐ近くにはフランスでも有名なカフェ「ブルーアイ」の紅茶と
サンドイッチのセットはお手頃の価格でかなり美味と大評判で注文が絶えない。
「「・・・・・・・・・」」
そのとあるテーブルでそのセットを注文したアーニャとノネットは不機嫌だ、アーニャは
紅茶を飲みながら向かいの車掌を冷やかな目で見、ノネットはテーブルを指でたたきながら料理長を睨む。
そして
「うん、皆で食べると美味しいかな」
いまだ寝ぼけている機関士はこんな時でものほほんとサンドイッチをほおばっている。
「そうでしょう、ライさんもきっと気に入ってもらえると思ってました!」
と笑顔でナナリーは嬉しそうに言うものの、目は笑ってはいなかった。
「私がかつて修行を積んだ所だ、当たり前だろう?しかし・・・・4人で食事か」
明らかに不満たらたらのC.Cはノネットを睨み返す、本当ならライと2人だけで来るはずだったのにアーニャ、ノネットには出かける前にもう捕まっていたし駅のプラットホーム
ではナナリーまでも加わる始末。
「それはこっちのセリフだ、本当なら私と二人きりのはずだったんだぞ?」
と紅茶を飲みながらノネットが
「それはお門違いよノネット、ライは私の男」
とアーニャがノネットを睨みながら
「でもまだ結婚はしてませんよね?でしたらまだチャンスは有ります!」
サンドイッチを頬張りながらナナリーは言う、この事はナナリーに限らずノネットも
C.Cも思っている事ではある。
「ナナリーめ・・・・けどライは誰にも渡さない」
と対抗心丸出しでナナリーだけでなく全員に言い返すアーニャだが
「ふっ、せいぜい吠えているがいい――――」
とC.Cが警告をアーニャに発し
「隙あらば何時でも寝とるからな?」
とノネットも続くこの空気、こんな中にも拘らずライはコックリ、コックリと全く蚊帳の外だった、所だが
「この服、なかなか良いな」
C.Cが何気に見たファッション雑誌の服を見てボソリと呟くと
「これか・・・・私はジーンズ位しか買った事がないからこういうのは苦手だな」
難しい顔をしてC.Cのみる雑誌を覗き見るノネットにナナリーが
「勿体ないですよノネットさん、そのルックスですし少しオシャレも良いと思いますよ?」
「ナナリーの言う通りだと思う、私よりも良いんだからドレスアップも良いと思う」
アーニャもナナリーに賛成する
「そ、そうか?」
「そうだ、お前自覚ないのか?まぁ、ライがこの状態だから次のベルンででも洋服選びを手伝おう。ま、貸しは高いがな」
ニンマリとするC.Cだがアーニャもナナリーも笑顔にいつの間にかなっていた、なんだかんだ言っても仲良しなようです。(これって有りかな?)
ジェレミアが「クラブ」の点検中だったその途中で
「ふむ・・・・異常はほとんど見当たらないが・・・・ローマに付いたらブレーキパイプ
を取り換えなくてはな、老朽しすぎだ」
ひととうり点検を終えたジェレミアは少し顔をしかめ結果をメモに取っていた所へ
「ジェレミアさーーーーん!!」
運転席から顔を覗かせ息を少し切らせながら来たミレイに呼び止められた。
「ミレイよ、どうした?」
「総合司令室から警告が」
とミレイから渡されたメモを見たジェレミアは少し深刻な顔をし
「注意・・・・だな、しかし玉城の列車が心配だな」
「そうねぇ、あいつ結構雑運転多いのよねぇ」
「雑で悪かったな」
ジェレミアとミレイの後ろから何の前触れもない玉城の声に
「うおおお!?た、玉城!!」
「びっくりさせるんじゃないわよ!!危うく魂抜けかかったじゃない」
飛び上がる2人。
「うるせえ、言いたい放題言いやがって!!」
玉城もライやジェレミアと同じ機関士なのだがもっぱら入社してからと言うもの引っ張ってきた列車は全部
「今日も貨物列車の運転御苦労さま!」
と超がつく皮肉をミレイがとびきりの笑顔で言うとジェレミアはくくくくと笑う
「てめーーーら、馬鹿にしやがってーーーーーーっ」
ぷるぷると震える怒れる玉城、元は客車や特急志望だったが運転が雑なため貨車と言う
玉城的には窓際に追いやられてしまったのだ。
「今日は1500mの長いタンクローリーを引くそうだな?6重連結の大編成とは壮観だな」
「そうは言うけどジェレミアの旦那、貨車だから花がねぇんだぜ?ゼロみたいな高速列車
だったら少しは花も――――」
途中で玉城はしまったと思い言葉を急いで止めた、その視線の先には険しい顔をする2人がいた。
「す、すまんつい」
「良い玉城」
「・・・・あれには何時か必ず天罰か下るから」
発車時間の2時間前にライはとうとう睡魔に負けてしまい今ノネットにおんぶされ列車に向かっている。
「まったく、途中で寝るだなんて子供だなぁライは」
「それにしても可愛い寝顔ですね・・・・なんか食べたいです」
美味しそうな物を目の前にして舌舐めずりをするナナリーに
「こらナナリー、それは私のセリフだぞ」
「C.Cもナナリーも勝手言って、私が一番そうしたいのに」
ノネット、ナナリー、C.C、アーニャの和気あいあい?の会話は不純極まりないこと。
「おやおや、またフラグを立てているのかい?」
「シュナイゼル兄様!?なぜここに?」
ストラスブール駅の構内で数人を率いて来たシュナイゼルは「ブリタニア」社長でかつては総合司令室の室長として広大な路線全線を指揮した事がある。
「うむ、ブリタニアの看板列車を見に来たんだ」
と笑顔で言うシュナイゼルだが
「それだけでは無かろうシュナイゼル」
「おやおや、やけに冷たく毒つくねC.C」
「私もC.Cの言葉に賛成だ、あれの為に来たのだろう?今日がお披露目の処女運転
だからな」
ノネットの言い放つ言葉にさすがにシュナイゼルも軽く眼をつむり
「さすがだね、その通りだよ」
「お兄様・・・・」
「解ってくれナナリー、社長である以上やむを得ないのだ」
辛い顔をするシュナイゼルはそっとではあるが彼女達から眼を逸らす。
「でも気に食わない、あれじゃあ全部の運転士を馬鹿にしてるし・・・・」
「・・・・・・・・・」
アーニャとナナリーはノネット達とは対照的に悲しい表情を見せる、それにシュナイゼルはただただ、黙るしかなかった。
出発の45分前には、観光を終えた乗客やここから乗車するお客さんや積み込む荷物で
ホームはごったがえしていた、静まっていた「クラブ」も蒸気を吐きながらその時を待つ
「ノネット、ライはぐっすりか?」
「ああ、静かに寝息をたててる。可愛い寝顔だよ本当に」
1号車のドアでジェレミアが帰って来たライ達を出迎えたあとノネットはライを部屋に
運び寝かしつけたところだった。
「疲れているのか?やけに暗い表情だが」
「今日この後に来るあいつらの事を聞かされればそうもなる」
その口調は荒々しく表情もまた一段と険しいものになる、対するジェレミアも同じく・・・
「そうだな・・・・ライが寝てしまっただけでも良しとするか」
「ジェレミア・・・・あそこ」
アーニャが指さす方向の5番線には大勢の報道陣や見物客がいる、それを見るジェレミア
とノネット、アーニャはさらに嫌な気分になる。
「かっこいいなぁ・・・・僕も乗りたい・・・・」
クラブを見上げる少年が寂しそうに呟く声が聞こえ、ジェレミアが寄って行く
「少年、かっこいいか?この機関車が」
「うん、僕一回でいいから乗ってみたいんだ」
微笑む少年だがその微笑みもどことなく作り笑顔の様にも見えた。
「なぜ寂しそうなのだ?心から笑っていないように思えるが」
「・・・・・・」
気になったノネットが少年の目線までしゃがみ尋ねると少年は俯いてしまった。
「お兄ちゃん!!」
「ウイル、ここに居たのね」
「母さん、セフィ・・・・」
家族がウイルを迎えに来たがそれでも何故か晴れない表情。
「この子のお母さん?」
「はい、この子は心臓が弱くて・・・・これからイタリアへ手術に」
そこで3人は納得がいった、クラブが牽引するオリエントは他の列車よりも発車の衝撃が大きいいためそのショックで発作が起きる可能性は極めて高い。
「ではこれから空港へ?」
「いえ、この子は汽車が大好きでして汽車で行く事に。本当はこのオリエントが良かったんですが・・・・」
母親も残念そうにそう呟く、そんな状況を見かねてジェレミアがウイルの肩を掴み
「ウイルよ、しっかりと病気を治してまたここに来い!!その時には最高の席を用意して
君をこの世界1の急行に乗せようじゃないか!!」
その豪快な約束にノネットもアーニャも頷いて答える
「しっかりと治してまたこのホームで会おうじゃないか!!」
「待ってるからね、約束」
ノネットはいつもの様に、アーニャはウイルと指きりをする。
「うん、絶対に乗りに来るね」
「それじゃあ、おまじないをこめてこれあげるね」
アーニャはウイルの胸に黄金に光るライオンのバッチをつける。
「これはブリタニアの象徴であるこのオリエントエクスプレスの乗務員にしか付ける事を
許されていない栄光のバッチ」
「これを付けたその瞬間からその者はオリエントエクスプレスの一員となる、ウイルよ
お前もこれで私達の仲間だ、仲間は約束を破ってはいけないのが鉄則!約束だぞ?」
ノネットの言葉は厳しいと取られるだろう、だがその厳しさに耐えてこそ真の栄光が得られることが有るのだ。
「はい、約束します!」
ウイルはそう元気に約束すると母と妹と一緒に離れていく、その後姿を見つめる3人の心はさっきまでの暗さが嘘の様に晴れて行くのを熱く感じた。
ストラスブール駅4番線 14:37
オリエントは次の停車駅「ベルン」へと発車した、次なる町ではどんな出会いが待っているのだろうか?
そんな期待を乗せて滑るように走って行く、そのオリエントが切る風に乗りアーニャの
ピンク色をした髪が優雅に流れていく。
(今頃ライはぐっすり寝てる・・・・またあの夢を見てなければいいけど)
その事を思い出したアーニャの頬を一筋の涙が風に乗り流れていく、
(あんな事が無ければ今頃ライはこんな所で働いていないと言うのに)
石炭をくべながらジェレミアはシンミリとライを思い
(あいつに私達がたてつかなければ良かったのか?いや、それでもライは行ってただろう
だがそれでも・・・・)
唇を噛みしめるC.Cは7号車の通路にたたずみ
(私達を路頭に迷わせないために自分を犠牲にした・・・・あんな事がなければここで
眠っていなかっただろう)
目の前で眠るライを悲しい目で見守るノネット
そんな皆の想いを乗せて、アーニャは汽笛を鳴らす・・・・雪の中を
TO BE CONTEBYU
以上で終了ですが、どうでしたでしょうか?なかなか仕草を表現するのは
難しく模索中です。
特にラブラブしている場面や片想い的な心境や表情はどう表現すればいいか解らないでいます・・キャラで言うところのC.C、ノネットあたりが思いつかないのが苦しい所です
職人の皆様、何か参考になるようなSSをお願いできませんでしょうか?
他、何かアドバイスあれば嬉しいです。
と言うかERROR:アクセス規制中です!!(\.bbtec.net)
にものすごく腹立ちます!
追伸
トーマス卿、お身体だけは大切にしてください、これからも応援していきます!!
では失礼します。
ご迷惑をおかけしました、代理投下をしてくださった方心から感謝いたします。
↑
ここまでがテリーさんの文です。
規制大変でしょうが、がんばってください。
>>493 代理投下お疲れ様です。
そしてテリー郷、乙でした。
……五角関係(ヘキサグラム)か!
このライは一歩間違えれば刺される可能性があるな、うん。
「あんな事」「ゼロみたいな高速列車」
気になるキーワードがちらほら出てきましたね。
過去に何があったのか……
次の投下も待っています。
>>493 投下お疲れ様でした。
以前に比べ、誰が誰の台詞かわかりやすくなったことと各キャラクターの細かい仕草なんかがいい感じだと思います。
ただ、文が変に途中で切れて次の段落に行ってみたり、1レスの文節の切り方がおかしかったりといった点を気をつけるともっとよくなる思います。
これは、読むテンポや読者をひきつけるのにマイナスになっている感じがしますね。
文節は、倉庫に入ったら、繋がるのでまぁいいんでしょうが、途中で変に切れて段落が変わってしまうのは、勿体無い。
(文節も、倉庫で読む前提ではなく、ここで読んでもおかしくないような感じがいいと思います。まぁ、投下の関係もあるのでしょうが、あと1文で文節終わるのに、次のレスへというのもなんかおかしい気がします)
なんかいろいろ言ってますけど、こういう細かいところを気をつけるだけで、かなり完成度は上がると思うし、読まれやすくなると思いますよ。
内容は、テリーさんらしさがすごい出ています。
着眼点のすごさ、キーワードをうまい感じに配置する事で、オリジナル要素が覆いながらも、引き付けるものがあると思います。
がんばって、磨けば、もっともっと光り輝くと思います。
ああ、すみません。
こんな事ばかりで、失礼しました。
でも、GJです。
次回の投下を全力でお待ちしております。
496 :
羽付き羊:2009/06/04(木) 08:49:03 ID:euRZiBia
どうも携帯を落としてしまい泣きそうな羽付き羊です…
現実逃避の為にも投下したいと思います
55分頃に投下します。支援不要です
497 :
羽付き羊:2009/06/04(木) 08:55:09 ID:euRZiBia
コードギアス LC 〜反逆者達の願い〜
Action02 動きだす 歯車
ジャンル<シリアス>
カップリング<今回はライカレ>
一部過激でグロテスクな表現があります。
苦手な方はスルーしてください
では行きます。
498 :
羽付き羊:2009/06/04(木) 08:57:43 ID:euRZiBia
拳銃が人を殺すのか? ナイフが人を殺すのか?
否 武器は人を殺さない 殺すのはそれを使う人だから…
Action02 動きだす 歯車
「会長も何を考えているんだか…」
ルルーシュは先日の件について納得していなかった。
ライという得体のしれない人物をこの学園で看病していたこともそうだし、
結局彼が場所は違うにしても自分やナナリーと同じクラブハウスで生活をするになり自分達の秘密を知られてしまうかもしれないからだ。
(ギアスがあってもそういう芽は潰しておきたいしな。)
ルルーシュはライという青年が目を覚ます前に彼についてある程度調べていた。
しかし、彼のような人物は捜索依頼、行方不明者のリスト、軍人関係やレジスタンス関係の全てを調べてもでてこなかった。
そのような人物は存在しないとデータは物語っている。
(まぁ、いざとなればあの力を使うだけだしな…)
ルルーシュがそんな事を思っていると携帯が震え着信が入ったことを告げる。
「私だ。何の用だ?連絡は定時に行えと言ったはずだが…」
さき程と同じ人物だとは思えない口調。
「ああ、その件はすでにクリアしてある。」
威圧感。
「緊急以外でもう連絡はとるな。こちらから用があれば掛ける、切るぞ。」
相手の了承の言葉を待たずに電話を切った。まるで王のように…
「もっといい駒が欲しいものだが…」
切実な声でルルーシュが呟くと、下から聞き覚えのある声が耳に入ってきた。
「今日はゲットーに行ってみたいんだけど…」
最近の悩みの種の一つである彼の声だった。
「いいわよ、行ってみましょうか。」
それに返事したのは彼のお世話係である、カレン・シュタットフェルトであった。病弱である為、学校を休みがちにしているという事になっている。
なぜ彼女がライのお世話係なのかというと
『カレンも最近学校に来るようになったし、ライの面倒みてあげたら?』
『えぇ?私がですか?』
『そうよ、お願いできないかしら?』
『……』
『カレンが嫌がっているなら僕は独りでも構わない』
『……分かりましたよ。』
といった具合で、決まった。
その場の勢いというのは凄まじく善くも悪くも止めることができないものである。
「ゲットーか…嫌な予感がするな、扇に連絡を取るか…」
ルルーシュは携帯に番号を打ち込んだ。この時のルルーシュの判断が彼の悩みを解決する遠因になるのだがそれは少し先のお話。
499 :
羽付き羊:2009/06/04(木) 08:59:48 ID:euRZiBia
〇
「しかし、本当に化け物じみてるねぇ。普通、完治に1ヵ月ぐらいかかるのにたった三日でほとんど完治するなんてねぇ。」
研究室の前の廊下でロイドはライツに向かって感心したのか、呆れたのか、溜息まじりにそう言った。
「治ったんだから日数なんて別にどうでもいいだろ?……それよりアレ誰だ?」
ドアを開いて、ライツが指を指した先にはシュミレーターがあった。
「見る限り、相当の腕前だが?」
モニターに映し出されるシュミレーションの映像を数秒見ただけであるが、ライツはそのパイロットがタダ者ではないことを瞬時に嗅ぎ取った。
敵KMFは8機、種類は無頼・改。シュミレーターの方の味方は0。
それにも関わらず敵を撃破していく姿は芸術のようにも感じられる。
(荒削りなところもあるが、反射速度が並じゃねぇ、相当な猛者だぞ…)
「あ、ロイドさん遅いですよ。スザク君はもうシュミレー…あら?」
技術局員であろう若い女の人がライツに気付いた。
「ロイドさん、その人が?」
「うん。彼がライツ君、顔に火傷して包帯を巻いているけどね。彼自身の希望で見学してるんだ。」
ライツは顔に包帯を巻いていた。これは、彼が追われている立場の人間だから素顔を見せない方が良いとロイドが提案したからである。
自分の知り合いを探すには顔を見せた方が良いが、それが追手だった場合のリスクもある。それにライツ自身が顔を見られるのは落ち着かないのでちょうど良かったのだ
「ライツだ。よろしく頼む。」
ライツが手を差し出す。
「私はセシル・クルーミーです、セシルって呼んでね。」
セシルはその手を握り握手する。
「セシルさん。シュミレート終わりましたよ…」
シュミレータから出て来たのはライツの想像とは違うイメージの男だった。
茶色でパーマがかった髪、優しそうな顔、ライツのイメージとはかけ離れた青年がシュミレータから降りて来た。
「あれ?その人ってもしかして…」
スザクがライツに気付いた。
「今度ここで働くことになったライツだ。よろしく頼む。」
「僕は枢木スザク。こちらこそよろしくね。」
二人は握手をした。するとライツはロイドの方へ顔を向けて
「なぁ、ロイド俺もシュミレータに乗ってもいいか?」
と言った。もちろんロイドは
「あはぁ、面白そうだね。」
と返答した。
ライツの思いがけない言葉にスザクとセシルは少し驚き、ロイドは喜んだ。
「そんな体で大丈夫なの?」
スザクが心配そうに聞いてくる。体中に包帯巻いていて、顔にまで包帯が巻かれていたらそう聞くのはごく自然のことなのだ。
500 :
羽付き羊:2009/06/04(木) 09:00:48 ID:euRZiBia
「そうよ、病み上がりなんでしょう?そんなに無理したらまた風邪をひいてしまうわよ。」
「風邪?」
不思議に思いロイドの方を向くと、違う方向を見ているふりしてこちらの様子をチラチラ見ている彼の姿があった。
(なるほどねぇ…もう少しマシな嘘なかったのか?まぁ仕方ないか)
「あぁ、それならすっかり治ったよ。心配しなくていい。」
そうライツは言うが、
「今日のセッティングはランスロット用だから、サザーランド仕様にするのは明日になるの。」
「そうなのか?」
ロイドに確認すると、
「うん、今日はランスロット用だから、サザーランドと違って癖が強いんだ。だから君の正確なデータはサザーランドで計らないと分からないんだ。けど…」
「『けど』?」
ロイドは顔をニタニタさせた。
「試しに乗ってみるかい?」
「願ってもない、恩に着る。」
ロイドの問いに即座に答えた。
「ロイドさん!?本当に良いんですか?」
セシルは驚き、慌てて上司に聞いた。
「うん。彼なら大丈夫でしょう、これシュミレータだしね、それに…」
「それに何ですか?」
「スザク君のデータとも比べてみたいしね。」
セシルはため息がでた。この上司はKMF開発では超一流なのだが、困ったことにそれが日常に影響が出るのだ。やりたいと思ったらその日の内にほば絶対やってしまう人間なのだ。
もちろんセシルも技術者なのでそんな事をするときもある。
しかし、このロイドという男は別格なのだ。人との会話中でも、会議中でも、おそらく地球がなくなる瞬間でも、研究を優先させる男なのだ。
「分かりました…スザク君、今日はこの辺で帰っていいわよ、今日はもう仕事はお終いよ。」
「いえ、僕も彼に興味があるので残ります。だって、特派の局員になるかもしれないんですから。」
そんなやりとりをしていると
「…でね、この赤いボタンを押してシュミレートできるんだ。」
「なるほど、お〜い、もう準備できたぞ。」
スザクとセシルが話している間にロイドとライツはシュミレートの準備を終わらせていた。
「ははは、やる気満々だ。」
スザクは2人をみて思わず笑ってしまった。
「…はぁ」
セシルはため息を深くつくと、敵KMFのデータをシュミレータに送った。
501 :
羽付き羊:2009/06/04(木) 09:02:04 ID:euRZiBia
〇
ゲットー
それはブリタニアが支配する日本の真実の姿、ここでは法律で守られるはずの人権なんてものは無く治安が乱れている。
良識のブリタニア人は決して近づかない、人が人をゴミとして扱い、強制的な力で支配されている事が分かる場所だと知っているからだ。この場所に住む子供は大人からこう教えられる。
『ブリタニア人には近づくな。もし逢ったらどんな事をされても何もするな。命が惜しいのなら』と……
ライは租界からチラッと見た程度だったが、知識とは違う「なつかしさ」がそこに見たので、ゲットーに行ってみたかった。
しかし、「なつかしさ」を感じる前に違う感情が彼に生まれていた。
租界とはまるで別世界、天と地の差ほどあるこんな場所で生活をしなければならない人達も、かつては平和に暮らしていたのだ。
そんな日常を簡単に壊されたのだ、ブリタニアによる宣戦布告によって
戦争という殺し合いで…
近くに花が供えられていた。その花には少量だが、血が付着していた。そこらじゅうに血が飛び散っている。
灰色の壁、コンクリートの道路、そして片方だけ残っていた赤黒い革靴。
誰かが死んで花を供えられ、すぐに虐殺でも行われたのだろう。
「これが……これが同じ人間のする事なのか?」
ライは供えてあった花を見ながら呟いた。カレンからは表情が見えないが、彼が握りこぶしを震わせているのが分かった。
「そうよ……これがブリタニアのやり方よ。日本人なんて道具ぐらいにしか思ってないわ。」
カレンは悲しみとも怒りともとれる複雑な口調で述べた。
その時だった。
「我々は黒の騎士団、日本人よ今こそ立ち上がる時だ!ブリタニア人を皆殺しにするんだ!」
どこかにスピーカーをつけているのだろうか?何機か数を確認することはできないが無頼がゲットーの廃墟を駆け巡る。それを知ったのか警察や軍やらが出てきた。
それに気付いたテロリスト達はKMFを使って逃げる。逃げ惑うゲットーの住民を引きずりながら…
「酷い、一体誰なの!?」
「黒の騎士団じゃないのか?」
「違う!黒の騎士団じゃない!黒の騎士団は弱い者の味方だ!」
ライの言葉にカレンが咆哮する。
「…それじゃあ、アレは黒の騎士団を語る仲間外れのテロリストという事になるな。」
「大方、キョウトに支援してもらえないから、黒の騎士団の振りをして人員の確保でもしてるんでしょうね。」
「ずいぶんと詳しいんだな…カレンは…」
ライのその言葉に激情に任せた先程の勢いはなくなった。
「まぁね…学園のウワサ話でも聞いていたら中々詳しくなるものなのよ…」
「そうなのか…」
こんな会話をしていると、軍からサザーランドまで出てきた。
これでもう安心だろうと思っていると、
「ここにいるのはテロリストだけだ…そうだな?」
サザーランドは音声を外部に聞こえるように会話をしている。
「そうです中尉、ここにいるのはテロリストだけです。」
そんなはずはない、明らかに子供、女、老人までいるのだ。一般人も残っているのは誰でもわかること。しかし、
「なら、ここにいる全てを殺せ。もうブリタニアに逆らえる気を失くしてしまえ!」
「Yes , my load. イレブン全てを殺します!」
その言葉通りとなった。
502 :
羽付き羊:2009/06/04(木) 09:03:01 ID:euRZiBia
素足のまま逃げる5歳児ぐらいの少女をサザーランドは踏みつぶす。
骨の軋む音、鈍い骨の折れる音、内蔵が潰れる音、それら全ての音が一度の踏みつけで聞こえてくる。軋み、折れ、破裂する音が…
内蔵が潰れて肝が出る瞬間は、戦争をやってる人間でも見るに見れない光景で、残酷以外の何物でもない。
しかし、それらの行為は道端の蟻を踏みつぶした時のように、何事も無かったかのようにブリタニア軍は前に進む。
泣く赤ん坊を抱き抱えて逃げまわる母親をマシンガンで打ち抜く。
母親は盾となり赤ん坊を庇っていたが、銃弾はそれすらも突き破り、赤ん坊は泣かなくなり、母親は血の海の中を赤ん坊の名をか細い声で何度か呟くと動かなくなった。
「イレブンが子供を産むな、汚らわしい!その赤ん坊も同罪だ。」
操縦士はそう吐き捨てた。
このあまりに酷い惨劇をライは握り拳を自分の血で汚しながら見ていた。
「酷い…酷過ぎる……」
あまりの惨劇にカレンは下を向いていた。あまりの怒りで体を震わせながら、涙を堪えながら…
ドカーン
急に爆発音がしたと思うと、何かがカレンに向かって倒れてきた。
「カレン!」
ライはとっさにカレンを庇った。幸いにもその何かはライ達にぶつかる前に止まった。
「ライ!大丈夫なの!?」
カレンがライを心配する声、それと同時に中年男性が悲鳴と共に逃げ出した。どうやらテロリストのようである。
ライ達に向かって倒れてきたのは無頼だった。どうやらさっきの爆発に驚いてパイロットが操縦ミスをし、こけてそのまま逃げたのだろう。
「ああ大丈夫だ。それよりカレン。」
「何?」
カレンは心配そうに聞いた。
「カレンはKMFの操縦は?」
「え?できる…できるわけないじゃない!」
戸惑いながらも否定する。
「そうか…なら僕がこの無頼を操縦するよ。」
「え!?できるの?」
「できる、できないは関係ない…やらなきゃ死ぬんだ!」
「………」
カレンは黙り、二人は無頼に乗り込んだ
ライは不思議な気分だった。ペダル、メーター、操縦桿、全ての装置が何を意味するのかを理解できるからだ。しかし今はそんな事は言ってられない、それに…
「それに、意地があるんだよ。女の子は護らないといけないし」
「えっ?」
予想外の言葉にカレンは驚きの声をあげる、ライは無頼のキーがつけっぱなしである事を確認し微笑みながらこう言った。
「これでも男だからね。」
心配させまいと彼なりのフォローであるが、カレンはそう言ったライの顔を何故かますっぐ見れずに、俯いてしまった。
503 :
羽付き羊:2009/06/04(木) 09:03:44 ID:euRZiBia
ライは無頼を起動させる、これからが問題だ。とにかくカレンを死なす訳にはいかないそれに、記憶が失ったまま死ぬのもゴメンだ。
ガレキの脇から3体のサザーランドが出てきて、こちらにマシンガンを撃ってきた。
「くっ…こんな奴らに負ける訳にはいかないんだ!」
操縦桿を前に倒した、その間にペダルを20回弱踏み込む、力加減もバラバラで緩急をつけて、敵KMFに突っ込んでいく。銃弾の嵐の中をすり抜けるかのように…
ライの操る無頼はマシンガンの弾を一つも浴びる事なく、スタントンファンで相手サザーランドを1体破壊した。
「す、凄い…」
カレンが横で何かを言っていたがそんな事を気にする余裕などライにはない。
残りの2体が動揺している間に破壊しなければ、こちらが死ぬことになるからだ。ライはスタントンファンをもう一度使い破壊しようとするがそれはさすがに読まれてしまい避けられた。
「ならっ!」
ライはまたスタントンファンを使った。それは、当然のように避けられる。しかしサザーランドの避けた先には壁があった。
「これで終わりだ!」
ライはスラッシュハーケンをサザーランドに打ち込み見事に沈めた。
「残りは1体だ…」
無頼を最後のサザーランドの方へ向ける。サザーランドも無頼の方に向けている。しばしの静寂……
時間にすれば数秒であるが、命のやり取りを行う戦闘の場合は何分にも感じられる。それ程、空気は張り詰めていた。
痺れを切らし先に静寂を打ち破ったのはサザーランド。マシンガンで弾幕を張り、撃ち尽くす勢いで無頼に向かっていく。
しかし無頼に銃弾が当たるどころか、カスリもしない。
「これでチェックメイトだ。」
サザーランドの視界から無頼が消えたと思った瞬間、無頼はサザーランドの後ろでスタントンファンを振り上げ、強打し大破させた。
(何て腕なの?無頼でこれだけ動きをするなんて見たことないわ…)
「これで少しは安心でき…ないか…」
ライの目の前に現れたのは無頼である。テロリストの識別番号とは違っているし、逃げ惑う人達を守りながら、サザーランドも破壊している。
「正義のヒーロー登場ってね。」
「玉城、あんまり調子にのるなよ。」
「分かってるって扇。」
オープンチャンネルを開きっぱなしあちらの会話を聞く、どうやらまた違う組織のようだ。こちらに気づき4機の無頼に囲まれる。
こちらの無頼はテロリストのものであり、彼らから見たら唯の敵だ。
「次から次へとピンチが続くな…(残りのエナジーは約29%、マシンガンの残量は元々0だ。銃で威嚇もできない。ここで戦ったらエナジーが空っぽになる…)」
数も武器も負けている、圧倒的不利な状況だった。しかし絶対に生き残なければならない。
その時、両目が熱くなるのを感じた。焼けるような感覚であるが痛みはない不思議な感覚が彼に刻まれていくのと同時に彼に何かが宿りついたのを感じた。
(不思議な気分だ。この力ならこの戦況を抜けれることができる!)
ライがハッチから出ようとすると、
「彼らが黒の騎士団よ!」
と言って無頼のハッチから出て手を振った。カレンは学生服のままここにいるので、民間人だとわかってくれれば、助けてくれると思ったのだろう。しかしライは操縦桿を握りしめた。向こうがどんな対応をしてもいいように。
しかし、無頼はライ達に道をゆずった。
「私達が敵じゃないって分かってくれたみたい。」
はたして本当にそうなのかどうかは分からないが、今はカレンの言葉を信じた方が良いようである。
「これで、終わりならいいんだけど…」
ライはペダルを踏み込み無頼を前進させた。
504 :
羽付き羊:2009/06/04(木) 09:04:36 ID:euRZiBia
〇
「やっぱり全然だったかぁ…スザクのようにうまく扱えないな。」
「そんな事ないよ充分凄いよ!」
ライツはシュミレータから降りてそう言った。しかしその事についてロイドとスザク以外の人間は返答ができない。なぜなら…
「あはは、君最高だねぇ。適合率91%だよ?普通そんな数字出ないよ。65%あれば合格ラインなのにさ。しかもそのシュミレータはスザク君用にカスタマイズしてるのに…」
そうなのだ。スザクが一番適合率が高く、さらに所属が緩かった為もうこれ以上のデヴァイサーはいないとロイドが判断し、徹底的にスザクにあわせたKMFそれこそが現在の嚮導兵器z−01 ランスロット。
黒の騎士団からは「白兜」と恐れられている特派最高のKMFだ。
それを扱えるパイロットなどスザク以外では帝国最強の12騎士、ラウンズくらいのはずだった…
「そうか?スザクに比べるとまだランドスピナーを充分に使えていないぞ?」
この男は自分が何をやらかしたのか分かっていない。
ロイドが急ぎすぎたのでスザク用完全カスタマイズの操縦席のままであったのに、この適合率はありえない。
スザクは今では適合率98%以上でランスロットを扱えるようになった。最初の搭乗時も94%でありライツより上ではある。しかしスザクとて他人に徹底的に合わせセッティングされたランスロットを91%以上扱えるかは分からない。
適合率はすなわちランスロットの相性。ランスロットはその性能の高さから人を選ぶ機体、座席の高さ一つにとっても数%は誤差が生じてしまう。
それをスザクに徹底的に合わせた機体でしかもシュミレートとはいえ初運転でランスロットをこうもあっさり扱える存在の人間にロイド以外の人物は口が開くことができないほど驚いたのだ。
専門家ならそうなるのは当然と言えるだろう、それ程の事なのだ。
「いやー、でも嬉しい限りだよ。優秀なデヴァイサーが二人もいるなんて。ぐふ…ぐふふふ…」
ロイドは頬を赤らめながらニタニタ笑う、傍目からみたら変態としか思えない程とてつもなく嬉しいらしく子供のように騒いでいる。
「これからもよろしくね、ライツ。」
スザクは改めて握手を求めた。
「あぁ、こちらこそよろしくスザク。」
二人は固く握手した。これから作ろうとする絆の為に…
505 :
羽付き羊:2009/06/04(木) 09:05:46 ID:euRZiBia
〇
「はぁー、助かった。」
ここは、もうアッシュフォード学園の近くであり、危機を脱したのは言うまでもない。
ライは危険を脱した事に喜びでいっぱいだったが、赤髪の少女は複雑な気持ちで満たされていた。
(なぜ記憶喪失の彼がKMFを扱えるの?それに腕も良い…もしかしたら私と同じぐらいかもしれない…)
的確に敵を撃ち落とし、相手を自らの罠にかけそれを実行する。それは彼女が尊敬するゼロと被る程だった。
「色々とすまないカレン…無理に連れてきてしまって…」
カレンがその言葉に気付きライの方へ振り向くとライは申し訳なさそうな表情でカレンを見ていた。それはそうであろう、病弱でありお嬢様である彼女を恐ろしい目に遭わせたのだ。そうなるのは当然と言えるだろう。
「いいわよ、もう済んだことだしね。」
カレンは頬笑みながらそう言った。しかし、ライにとってはこんな目に遭わせてしまった負い目があるので、
「今度この埋め合わせとして、僕ができる範囲なら君の願いを叶えるよ。」
と言った。
「分かったわ、約束ね。」
カレンは小指を出した。ライも小指を出した
「「指きりげんまん、ウソついたら針千本のーます、指きった」」
歌い終わり、カレンは疑問が頭に浮かんだ。
「あれ?ライ何でこの歌知ってるの?」
カレンは頸を傾げた。明らかにライはブリタニア系の顔をしているし、記憶も無いはずの彼がこの歌を知っている事を不思議に思ったのだ。
「そういえばなんでだろう?昔から知ってた気がする。」
『お兄ちゃんなんだから の面倒見てあげてね。』
『えー、ボクお外で遊びたいのに。』
『あのね、お外で遊んでる時に自分だけが仲間外れにされたら嫌でしょ?』
『うん、嫌だよ。』
『それは も同じ気持ちなの、自分がされて嫌なことは人にしないって約束だよね?』
『うん…』
『じゃあ もお外で一緒に遊んであげる?』
『うん!約束する!』
『じゃあ小指出して。』
『『指きりげんまん、ウソついたら針千本のーます、指きった』』
『約束よ。』
『うん、分かった!』
(何だ?これは…小さい頃の僕?隣にいるのは誰だ?うっ…頭が…)
「ライ?大丈夫なの?」
カレンはライを心配そうに見ている、ライは頭を抱えておりとても苦しそうだった。
「はぁ…はぁ…もう大丈夫だよ、ごめん心配させて…急に頭が…痛くなってさ…」
息も絶え絶えにライは言った。しかしライの顔は蒼い。
「今日は色々あって疲れてるのよ、もう帰りましょう。」
そのカレンの言葉にライはうなづき、別れの挨拶をすると学園の方向へ歩いて行った。
「…ゼロに報告しよう。」
カレンはそう呟くともと来た道へ歩きだした。
506 :
羽付き羊:2009/06/04(木) 09:06:31 ID:euRZiBia
某所 黒の騎士団基地
「ブリキ野郎の他にもあんなくだらねぇ事するなんてよぉ。」
「全くだ。同じ日本人として恥ずかしい。」
乱暴そうな男は酒を飲みながら背の高い男が話し合っていた。
「ったくよー、カレンも何で学生服であんなとこにいたんだ?」
「さぁな?俺から聞いてみるよ。」
「頼むぞぉ、扇ぃー、カレンに何かあったらナオトに何言っていいかわかんねぇぞ?」
「あぁ、そうだな玉城。ナオトの分もカレンを守らないとな。」
「ナオトぉー、早く帰ってこいよ…カレンが可哀想だろぉーが!」
「玉城その辺にしておけ、ナオトはいつか帰ってくるよ。皆そう信じてる。」
「うぅーー、ナモチョォー。」
玉城は酒を飲みすぎ呂律が回っていない。顔は真っ赤である。
「ったく、酒を飲むといつもこれだ…」
「ぐがぁ〜むにゃむにゃ…」
扇は文句を言いながらも眠った玉城を担ぎ、ソファーに寝かせた。
「…ナオト…生きてるよな?」
扇は独り呟いた。ナオトというのは扇の親友であり、黒の騎士団の元となったレジスタンスのリーダーだった男であり、カレンの兄でもある人物だ。
とあるレジスタンスの活動の最中に爆発に巻き込まれ生死不明となった。
扇達は懸命に捜索していたが、彼の手がかりとなる物は発見できず、見つけたのは中にカレンと母が写っているロケットのみだった。
カレンや母親にその事を告げたときは胸が痛かった。
カレンは泣き崩れ、母は何も言わなかったが、カレンの話では夜な夜な泣いていたらしい。そしてカレンは兄の意志を受け継ぎ、
そして兄を探す為にレジスタンスに入ったのだ。
「それにしてもやっぱり兄妹だよな、KMFの運転にしたってカレンは上手いし、今日だって無頼であんな動きができるなんて…」
玉城を部屋で寝かしたあと扇は家と帰ろうとすると見慣れた赤髪の少女に逢った。
「あっ、扇さん。もう帰りですか?」
「あぁ、今日は家に帰っていいとゼロが言ってたからな。」
「そうですか。じゃあ私、今日の事報告しなきゃいけないいで失礼します。お疲れさまでした。」
「カレン」
カレンが立ち去ろうとするのを扇は呼び止めた。
「はい?」
不思議そうな顔をして扇を見ている。
「あんまり、無理しすぎるなよ…お前は俺達のエースでもあるが、親友の妹でもあるんだ。お前に何かあったら、ナオトにあわす顔がないんだ。」
「扇さん…」
「こんな事を言うのも変な話だがな、いつ死ぬか分からないレジスタンスにお前を入れているのに…」
「………」
「言いたい事はそれだけだ。悪かったな止めてしまって…」
無言のカレンを見るに見兼ねた扇はその場を離れようとする。
「扇さん」
カレンは立ち去ろうとした扇を呼び止めた。
「ん?何だ?」
「私は、死ぬわけにはいかないんです。それがナオトお兄ちゃんとの約束ですから…」
そう言って扇に一礼をして司令官室に向かって歩き出した。
「ナオト…俺はどうすればいいんだ?」
誰もいない廊下にその悩みだけが響いていた。
支援
508 :
羽付き羊:2009/06/04(木) 09:09:59 ID:euRZiBia
「失礼しますゼロ。」
ノックをした後「入れ」という短い許可をもらいカレンはドアを開けた。
「今回はとんだ災難だったようだが…君が無事で何よりだ。」
仮面を被り、マントをした人物、傍から見ても怪しい格好の人物が黒の騎士団総司令官ゼロであり、カレンが尊敬してやまない人物。
何やら資料を見ていたらしく、机の上にキチンと並べてあった。
「お邪魔でしたか?」
「いや、かまわない。で何の用だ?」
「ゼロ今回の件で一つお話があります。」
「その場にいた青年のことか?」
「ご存知でしたか?」
「あぁ、中々に面白い人物であると報告を受けたが…その人物にKMFを操縦した事がバレタという事だろう。」
ゼロはそういう事だろうと思い手回しをしている最中であったのだが、
「いえ、操縦していたのは私ではありません、その彼です。」
「何だと?」
予想外のカレンの返答に驚きを隠せないゼロ。
「どういうことだ?報告では記憶喪失だという事であるが…」
「詳しくは分かりませんが…あのKMFの操縦技術は黒の騎士団に必要かと…」
「うむ…カレン君はその青年の観察を頼む。私も独自に調べてみよう。」
カレンはこれ以上報告することはなかったが、先ほどの扇の事を思い出した。
「あの…ゼロ、私事ですがお願いがあります…」
「何だ?(カレンが私にお願いとは珍しいな…)」
いつも従順な部下として働いてくれるカレンがゼロにお願い事をする事はなかった。なぜなら彼女の一番の願いは日本の解放であり、その為にゼロの元に集まったのだから。
それ以上をゼロに求めていないと思っていたからだ。
「…紅月ナオト、私の兄について分かった事があったら教えてください。」
「…君の兄か……分かった。調べておこう。」
「あ、ありがとうございます。」
「では、もう下がっていいぞ。」
「はい、失礼しました。」
扉が閉まり、足音が遠ざかっていき聞こえなくなり、誰もいない事を確認するとゼロは机に置いてあった資料の一つを手に取り視線を落とした。
シエん
510 :
代理投下:2009/06/04(木) 09:53:17 ID:uY4mgxaX
「プロジェクトR2…」
先日、ブリタニア軍の研究施設にハッキングをした時“プロジェクトR2”なるものを発見し、その資料をゼロは見ている。
「これが本当に行われているという事か?…」
その計画はあまりに単純でもっとも得難いもの。人材の換わりがいくらでもきくような、人を人と思わない計画内容であった。
「……クローンか………」
(確かにクローンならIDはない。人権問題で貴族や皇族の間でも騒がれているから、表向きには公表できないからな…)
内容は単純なもの。ラウンズクラスの身体能力を持っているものを効率良く増やす為に考えられた計画であり、それ自体は3年前に考えられたものである。
可にはなっているが、表向きにバレタ時の保険とも考えられる。計画の正式名称は
“Rounds 2nd Project”(二世代目のラウンズ計画)という事らしい。
ラウンズクラスの人間が捨て身の覚悟で任務を遂行する。替え玉はいくらでもいるから、何人死んでも構わないというもの。
計画の情報は少ない。元々のデータはプロジェクト案のみで、実際に実行されたかどうかも分からないからだ。
(ライは誰かのクローン?整形などすれば、分からなくなるしな…いや、血液検査をしてみなければわからない。可能性はある。が…確証に至るデータはない。)
クローンが誕生したかどうかは不明。しかも現在の自分の知っている限りの技術で言えば、再生医療で幹細胞を利用する体細胞クローンの方が合理的である。
何故なら臓器を複製し機能の損なわれた臓器と取り換える事ができ、戦争の医療技術においてそれは魔法とも言える技術であるからだ。
(まぁ、情報は真実のみとは限らないしな…)
この事に関してはライの血液検査をしてから考えることにし、机の上においてあったもう一つの資料を手に取った。
そこに書かれている資料を見る事はゼロ以外禁止している。何故なら…
「カレンの兄の件か……おしい人材だったな。優秀な人材だったんだが…」
2つ目の資料にはブリタニア軍が調べた死亡者リストその中には、はっきりと彼女の兄の名が刻まれていたから………
511 :
代理投下:2009/06/04(木) 09:55:28 ID:uY4mgxaX
お・ま・け
「うー、ナオトォー。」
「この酔っぱらいの相手をしないとはね。」
「ナオトーー!」
「ったく何でこの私が玉城の面倒みなきゃいけないのかしら」
「そりゃぁ扇に頼まれたからだろ?俺たち今日何もしてないしな。」
「うっさい、少し黙りなさい!玉城も起起きる!」
「うーん。」
「おっ?起きたぞ井上。」
「見たらわかるわよ」
「ナオト生きてたのか?心配したんだぞー」
「ダメだこりゃ完全に寝ぼけてるわ…」
「ナオトー!」
「コラ!玉城アンタ抱きついてくんな!」
「ナオトー良かった、良かった。」
「コラ、髭をなすりつけるな!杉山も手伝いなさいよ!」
「お〜、あんなに殴られても止めようとしないとは…」
「あ、ちょっと玉城!そこは触るな!あん…耳に息をふきかけるな! ふんっ!」
ボゴっ、メシメシ
「ぐひゃ…お、おえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「おぉ、女のボディブローは初めて見たぜ…しかもモロ入った。」
「あぁ〜ん、私、玉城に汚された〜〜」
「玉城、可哀想に…ゲ○吐いて、泡吹いてる。」
「井上…無茶しないといいけど…」
512 :
代理投下:2009/06/04(木) 09:56:41 ID:uY4mgxaX
「模擬戦ですか?」
涙を流すのは 悲しみ 怒り 喜び 何らかの感情が許容範囲を超えた時におこる
彼は涙を流さない 許容範囲を超えることがないから……
次回 コードギアス LC 〜反逆者達の願い〜 Action03 帝国 最強の 騎士
「男が涙を流す時は、全てを終えたときだけだぜ。」
「危なかった…ギリギリだよ…」
動きだした運命はさらに加速する
513 :
代理投下:2009/06/04(木) 10:03:36 ID:uY4mgxaX
2話終了です。いやー書いていて楽しかったなぁ。特に井上と玉城の絡みがwww
本編に離れすぎず、近すぎず、独自の視点でssを書いていますので細かいところは大目に見てください。
英語に関しては合ってるかどうか怪しいです。そこは間違っていたらどうにかして直します。とりあえずR2になれば何とかなるので。
皆さんはクローンだと思うのは予想の範囲内ですが、ここからがいかに読み手の裏をかき、驚かせ飽きさせないものを作るのかを握っていると思っています。
まぁ、頑張りますとだけ言っておきます。
今回代理投下して頂いた方有難うございます。そしてスイマセン。こんな事が二度とないように頑張ります
駄文にお付き合いしてもらい、ありがとうございました。
ではでは…
以上です。
今度からひっかからないようにして下さいね。
514 :
代理投下:2009/06/04(木) 10:29:09 ID:uY4mgxaX
>>510 可にはなっているが、表向きにバレタ時の保険とも考えられる。
不可です。
すいません
羽付き羊卿、GJ! 続きを期待して待ってます。
代理投下の方もお疲れ様でした。
さて、スレの容量も489kB。夕べから一気に、スレの進行速度が加速しましたね?
次スレを建ててみます。
最初に言っておく! スタントンファンじゃないスタントンファだ!
>>514 代理投下乙&羽付き羊卿、乙でした。
ライ、ライツともにKMFに搭乗。 実戦、シミュレータの違いはありますがどちらも初めてとは思えない操縦は原作(ロスカラ)通りといったところ。
とくにライツ、スザク用のカスタマイズに適応って……お前はカ○ル君か!
クローン計画……実行されたのか否か、さらに実行されたとして成否がわからぬ状況。
更に断片的なライの記憶、その記憶での空白部分に入るのは誰なのか……
The・ヨッパライな玉城、ある意味絶好調である!
貴公の次の投下をお待ちしています。
>>516 乙です!
執筆、投下、乙でした!
面白かったです。双方を平行して見せていくの上手いなー。
ここでナオトが出てくるのは今後に絡みがあるのかな?
クローン計画、面白いアプローチだなあと。色々な要素が気になります。
次回を楽しみにお待ちしています。
>>514 お疲れ様です
代理投下してたものですが
楽しく読めました
そういえばライはランスロットを操縦したりしてなかったですね
操縦できたらライツ並みに操縦できるのでしょうけど
クローン計画にナオトの死、ライの記憶やライツの記憶
気になる事がてんこ盛りだ!
貴公の次の投下をお待ちしています
あと
そろそろ埋めませんか?
>>514 乙です!面白かったです。
ライとカレンの邂逅、そしてナオトの件。クローン計画といろいろ想像が膨らみます。
かたやライツはスザク仕様のランスにもついていけるということで、これはナイスなコンビプレイが期待できそうですね。
では、次回の投下も楽しみにお待ちしています!
週刊少年ラウンズ
豪華12人の連載陣が贈る夢と希望の世界!
ナイトオブワン 小説「武神装甲ギャラハッド」 ビスマルク・ヴァルトシュタイン著
現代に生きる騎士・ヴァルトシュタイン卿とそのKMFがあらゆる不条理を切り裂く痛快な小説
ナイトオブスリー 漫画「ザ・自由人」 ジノ・ヴァインベルグ原作 モニカ・クルシェフスキー・絵
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ナイトオブトゥエルブ 漫画「刹那瞬く恋心」 モニカ・クルシェフスキー作
一瞬で芽生え、そして消えていく恋 その切なさを余すところなく表現しているであろう短編連作の傑作!
特別読みきり漫画 「ライがゆく」 ライ著
ラウンズ候補とうわさされる青年、ライ その軌跡を追ったノンフィクション小説
なお、ナイトオブツー、ファイブ、エイト、イレブンは作者不在のため休載です by編集長シャルル・ジ・ブリタニア
モニカ、頑張り杉
羽付き羊卿GJ!
ところで些細な突っ込みですが、無頼の武装にスタントンファーはなかったり。
無頼はグラスゴーのデッドコピーの改修機ですから。
格闘武器はナックルガードですね。
>522
言われて気付いた
しかも週刊w
ちょっと気を抜いてる間に次スレいってた・・・orz
42スレが立つ頃にまた書き込もうとは思ってるけど、またタイミングのがすといかんので
一応こっちにチラッと書いとくんだが、エロパロと801スレの直リンはやめた方がいいと思うんだ
h抜きにしても専ブラ入れてりゃ同じ事なんだけど、一応全年齢板での18禁スレ直リンは
慎んだ方がいいと思う
>>523 >>無頼の武装にスタントンファーはなかったり。
……そうなのか? ゲーム中で、バンバン叩き込んでいたようだが……
某ベディアにも
スタントンファって書いてあったぞ?
なんかややこしいな…
無頼は、設定ではないよ。
追加装備したのか、それとも製作がそれを忘れたのか。
それとも攻撃のシーンの使い回しをしているだけなのか。
多分、使いまわしのような気がするな。
べディアも細かなミスは多いからねぇ。
なんとも言えん。
ただ、きちんとした設定資料とかには、無頼はトンファーないし、トンファではなく、トンファーになっているという事だけ。
まあ細かいところは分からん奴もたくさんいるだろうな
アニメとロスカラしか知らない奴も多いと思うしな
まあその場その場で訂正していったら良いんじゃないか?
と提案してみる
にしても埋めにもこないとは……
皆よっぽど忙しいんだなw
>>529 忙しいというか、次スレで起きた言い争いに飽々してんじゃね?
俺は雰囲気が凄く悪くなったと思う
他人の感想読んで目くじら立てなんて・・・
そういう言い方も良くないだろ
俺にはよくある軽いマナー注意に逆ギレして食ってかかったように見えたがね
大体そう思うならわざわざ蒸し返そうとするなよ、荒らしか?
そっちは一応治まって雑談にシフトしたんだが、別の所でまた別件で揉めたからだと思う
533 :
埋めネタ:2009/06/08(月) 10:12:17 ID:uqXMPTMR
黒の騎士団のアジトの片隅でライは考えこんでいた。
C.C.に言われた事が頭から離れなかったためだ。
「むっ、どうしたんだ? ライ」
その様子を見て騎士団のトップであるゼロが声をかける。
「あぁ、実はC.C.に『そういえばお前に声ネタは使えないな。 内輪ネタと言われることも多いがギャグの手法としては手軽なネタが使えないのは痛いな』と言われて……」
大真面目な顔をしてそんな事を言うライを見ながらゼロの中の人はとりあえずしばらくC.C.にピザを与えないことに決めた。
そんな決意を固めつつ彼は付いた事を並べたてることとした。
ウソのアドリブは得意なのだ、普通のセリフは時々まれによく噛むが。
「違うな、間違っているぞライ!」
「え?」
ライはいきなり大声を出し始めたゼロを少し驚いた様子で見た。
「声ネタが無いなら出来ない? 逆だ、決まっていないからこそ様々な台詞ネタを使うことが出来るのだ!」
堂々と馬鹿らしいことを言うゼロだが、そのカッコイイポーズとあいまって妙な説得力がある。
少し圧倒されるライを仮面ごしに見ながら彼は更に言葉を続けた。
「確かに分からないならば構築は難しい、いや、だからこそ好きにできる事があるのだ……」
「じゃあ『絶好調である!』とか『戦うと元気になるなぁ!』とか『我が世の春が来たぁ!』とか言ってもいいのかい?」
「……何故その人物を選ぶ」
どこかズレたライの質問にしばしゼロは即座にツッコミを入れた。
「じゃあ……『俺は不可能を可能に……』とか『まだ私は自分を弱者と認めたわけではない!』とか『にいさぁぁぁぁぁぁぁん!』とか……」
「そこから離れろ! そして何故負けゼリフ的なものを選ぶ!?」
子○ネタから離れないライによりゼロのツッコミは更に加速した。
「じゃあ藤堂さん達と『僕が! 僕たちが! 月下だ!』……」
「……好きにしろ」
色々な台詞を連呼するライを残してゼロは書類仕事の続きをすることにした。
>>530 悪い雰囲気になるのはどこのスレもある事だろう?
結局はスルーしかない
マナーの悪い奴は相手にするとつけあがるからな
まあ過疎る方がまだマシだよな
雰囲気悪いままよりは
いや、過疎るよりはああでもないこうでもないと言い合ってる方が盛り上がっててまだいいと思うが
それだけ真剣に考えてる奴が多いってことだしな
あからさまな荒らしに構うのは無意味だが
まあカプ厨やキャラアンチ蔓延の原作本スレみたいなことになるよりは、そりゃ断然過疎の方がマシだけどな
普段は感想を書かないのに、注意とか批判でハッスルされてもな。
悪気のない感想(配慮には欠けていたかもしれないが)に注意して
雰囲気悪くするくらいなら、感想書くかスルーしててくれと思う。
注意した本人もその後も、感想どころじゃなくなってるじゃないか。
>>533 そういえば、ライには中の人が居ないんだよなw
SSを読んでいると、自分の理想の声で再生されてるんだけどw
保管庫トップより転載
管理人多忙につき、8月後半まで更新が滞り気味になることが確実になっております
もうさ、なんつーか
バカか?いやバカそのもの。愚か者。クズ。どれだけ言ってもあきたりないや。
一週間以上サボっといてやっと変化があったと思ったらこれか。
平日の朝晩やるとか言ってるけどどうなったんかなあ?いやー不思議だわ。
立派な立派なトーマス様のことだ。さぞかし素晴らしいいいわけを聞かせてくれるんですよねえ!!?
>18禁と801を優先
優先もなにもどっちも更新してないですよねえ。
ほんとどーなってんでしょうねえ。
しゃーない、激励してやるか。
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