457 :
創る名無しに見る名無し:
どうもです。今回はまなみ外伝の続きを投下します。
炎術剣士まなみ外伝 新堂悠美物語2 秘密
今でこそ、優しく、娘を愛でる母親となった悠美であるが、若い頃は剣士の修行が
嫌になり、親には汚い言葉を使い、ましてや暴走族をやって周囲に迷惑ばかりかけていた。
しかしある日、警察官の青年・誠一と出会い、直に魑魅魍魎の類と戦ったことにより
その心境の変化が訪れた…。
「はぁぁぁ!!せいやっー!!」
気合を込めた斬撃は周りの木々を一瞬にして切り落とした。
前回の事件から半年後、悠美は剣士の修行にも真面目に取り組んでいる。
その姿には、悠美の母も驚かずにはいられなかった。
「悠美、あなた最近はどうしたの?」
「どうしたって何が?」
「だって、あなたちょっと前までは荒れ放題だったっていうのに…」
悠美は苦笑を浮かべながら母を見る。
「ま、まあ、あれは若気の至りってことにしといてよ。じゃ、あたしちょっと出かけてくるから!」
そういって、悠美はバイクに跨ってどこかへ行ってしまった。
「でも、帰りは相変わらず遅いのよね…もう暴走族は止めたみたいだけど、
いったい、どこで何をしてるのやら…」
小さくなっていく悠美の姿を見ながら、小さく呟いた。
悠美は街の喫茶店に入り、オレンジジュースとサンドイッチを購入し、適当な席へと座る。
そして、しばらくすると、新たな客が入店してくる。
悠美は、その客に向かって手を振る。それに気づき、その客は悠美の方へとやってくる。
「悠美ちゃん、待たせてごめんね」
「いいよ、別に。誠一は警察官だからな。おおっぴらには来れないだろ?」
先日、出会ってからというもの、二人は少しでも時間が合えばこうやって、
食事をしたり、出かけたりしていた。
「でな誠一、あたし…大学に行くことにしたんだ」
悠美の言葉を聞き、誠一は関心したように。
「おっ、この前までやんちゃしてたとは思えないほど、随分熱心だね」
「うっせ!こちとら毎日勉強で頭がいてぇんだ」
ちょっと怒った顔を見せる悠美に、苦笑する誠一。
「まあ、頑張ってるのはいいことさ。あとは、もっと女の子らしくなれればねぇ」
誠一の一言に、ため息をついて俯く悠美。
「はぁ…ダメなんだよなぁ、あたし言葉使いは意識してもなかなか治らなくて…」
落ち込み気味な悠美に、慌てて誠一は取り纏う。
「ご、ごめん悠美ちゃん、そんなつもりじゃなかったんだ」
それに首を振る悠美。
「別にいいよ。でもな、いつか誠一を見返すほどに、物腰穏やかな大和撫子ってのに
なっていせっからな!見てろよ!」
「あはは、その意気意気…でも、もう言葉使いが…」
「あ…くそぉ、癖になってる…」
赤くなって、頭をかく悠美。そしてその様子を微笑んでみてる誠一。
その後は、適当な話題を話して、誠一は仕事があるからと別れることに。
「それじゃあね、悠美ちゃん」
「ああ、今日は楽しかったよ。また今度な」
そういって悠美が去ろうとすると、誠一は何かを思い出したかのように
彼女の方に向き直る。
「あっ、悠美ちゃん!」
「ん?なんだよ?」
振り返る悠美に、何か考え込んだ感じの表情の誠一。
「う〜ん、僕たちが出会った時にさ…怪物に襲われたじゃないか」
「あ、ああ…そ、それがどうした?怪物野郎はどっかに行っちまったみたいだけど」
自分の秘密を話せるわけはなく、適当にお茶を濁そうとする。
だが、誠一が言いたいのは悠美のことがどうこうではなかった。
「最近、署内でも怪物騒ぎが多くなっててね…もちろん、本当かどうかはわからないし
そんなお伽話って具合に署内では切り捨てられてるんだけど、でも僕はこれは本当の
ことだと思って調査してる。どうも廃工場とかに入った人とかが襲われてるとか…
悠美ちゃんもくれぐれも気をつけてね」
そう言い残すと、誠一は軽く手を振って、悠美と別れた。
「怪物か…やっぱ、あの時倒した奴だけじゃないんだな…それにしても
誠一の奴、ビビってた癖に調査なんかするのか…?」
少し心配になるが、一先ず家へ帰ることにしてバイクを走らせる。
「あら、おかえりなさい。今日は早かったじゃない」
「ただいま…なあ、母さん、話があんだけど…」
「あら、珍しいじゃない、あなたが自分から何か話そうとするなんて」
意外そうにしつつも、どこか嬉しそうな表情の悠美の母。
二人は居間で話をすることにした。
テーブルを挟んで二人は向かい合わせに座る。
「それで話なんだけど、あの…魑魅魍魎って奴らの話なんだ」
「あら、最近は修行も真面目にやってると思ったら、戦う相手にも興味が沸いてきた?」
「沸いてきたも何も、この前、一回戦ったいうか…」
悠美の言葉に思わず、彼女の母は身を乗り出す。
「なんですって!?悠美、どうして言わなかったの?」
「だって、その時の状況説明したら、絶対なんか言われると思って…」
「まあいいわ。で、あなたが無事ということはちゃんと退治出来たのよね?」
「それはバッチリよ。完全に消滅するとこまで見たしね」
それには力強く頷いて答える。
それに安心して…いや、すぐに何か不安そうな表情の母。
「…で、悠美、あなた誰かに変身は見られてないわよね?」
コクコクと頷く悠美。
「あ、ああ…変身は見られてないよ…近くに気絶してた奴ならいたけど」
「そう、ならいいわ…って、本当にその人気絶してたんでしょうね?」
疑う母に、困惑気味な悠美。
「だ、大丈夫だって。本当にそいつは気絶してたって。次に目を覚ました時には
あたしも変身を解いてたって。それよりも、ああいう怪物に襲われた奴って
また襲われたりする可能性はあるの?」
「え?そうねぇ、そういう可能性はほとんどないと思うわ」
その言葉に胸を撫で下ろす悠美。しかし、続けて聞いた言葉でまた表情は変わる。
「だけど、魑魅魍魎の怪物どもも、知性はあるのよ。ただ暴れるだけじゃなくて
自分たちのことを調べようとしてる者がいたら、手を打ってくるかも」
そのことを聞いて、すぐに立ち上がると、外へと駆け出す。
「悠美!どこへ行くの!?もう晩いのよ!」
「ちょ、ちょっと用事思い出したの!それじゃ!」
母の制止も聞かず、悠美は慌てて外に出て、バイクに乗り込み、走り出していった。
その頃、誠一は最近怪物騒ぎが多いところへとその足を運んでいた。
そこは、すっかり寂れた廃工場。見た目からしておどろおどろしい。
到着すると、辺りを見回し、何か怪しいものはないか確認する。
「特に、様子がおかしいものはないな…でも、絶対に何か…」
そう呟くと、工場の中へと入っていく。
入ってしばらくは使い古された機械が並んでいるだけだったが、奥に進むにつれ
蔓がひしめき、工場内というより、まるで森林のようになっていく。
「なんだここは…やはり怪物かなにか出てきてもおかしくは…!?」
突然、横から、蔓が飛び、彼を捕まえようとするが、誠一は寸でのとこで避ける。
「やっぱりだ…!ようし、食らえ!」
持ってきていた銃を蔓に向けて発砲、命中すると蔓は死んだかのように
その場に落ちていき、地面に転がる。
「とりあえず、署に報告しなければ…」
周りを警戒しながら、彼はその場を後にしようとする…だが、新たな蔓が彼を襲った!
「うおぉ!?しまった…」
悔しそうに歯軋りをする誠一。そして間もなく、さらに奥からズシンズシンと
大きな足音が響いてくる。
一方、バイクを飛ばし誠一の行方を追う悠美。
「確か、誠一は廃工場とか言ってたな…何も無けりゃあいいけど…」
大急ぎで駆けつけ、バイクに乗ったまま工場の扉を突き破り、中に突っ込む悠美。
道は誠一が進んでいたのと同じだ。
支援
先へ進むと、そこには蔓に巻きつかれて身動きできないでいる誠一と
巨大な花のようなものを背負った4足歩行の怪物の姿が。
「誠一!!」
「ゆ、悠美ちゃん!?くっ、こっちに来ちゃダメだ!」
悠美の姿に驚くものの、彼女を巻き添えにしないために叫びをあげる。
「そ、そんなことできるかよ!でも…」
誠一を助けるには方法は一つ。剣士に変身することだ。だが、それは彼に自分の正体を
ばらしてしまうということ。しかし、迷っている時間はない。
「しょうがないか…!誠一!ちょっとすごいことするけど、ビックリすんなよ!」
すると、彼女の周りから火の気が迸り、辺りに広がっていく。
「な、何が起きるっていうんだ…!?」
「炎心変幻!!」
悠美を中心に火柱が上がり、それの余波で、誠一を縛り上げていた蔓は焼き切れ
怪物も、吹っ飛ばされる。誠一はその光景をただ見つめることしか出来なかった。
そして炎が止む。
「炎術剣士、新堂悠美ここに見参!!大事な人を傷つける魑魅魍魎!成敗する!」
勇ましく名乗りをあげ、怪物へと斬りかかる。
「あ、あれは…悠美ちゃん、なのか…!?」
何が起きたのかまだ飲み込めない。目の前で怪物相手に戦っている少女は
ついさっきまで知り合いだった少女が変わったもの。そう理解するのに時間を費やした。
「火炎閃光キィィィック!!」
炎を纏った脚で、飛び蹴りをかまし、怪物を大きく吹き飛ばす悠美。
それに負けじと、巨大な花を回転させ、花びらをカッターのように飛ばしてくる。
「なんの!てやああ!!」
すべての花びらを目にも留まらぬ速さで斬り払い、続いてその左腕が真紅に発光する。
「炎流波!!」
火炎光線が敵の周りを焼き払い、完全に逃げ場を封鎖する。
「とどめだ!暁一文字!!」
叫ぶと同時に刀に炎が纏わりつき、燃え盛っていく。
「火炎!大破斬!!」
その巨大な花から、胴体まで一気に一刀両断!怪物は断末魔をあげ、
もがき苦しみながら、消滅していった。
魑魅魍魎退治が終わり、悠美は変身を解こうとするが、誠一が、彼女に声をかける。
「悠美ちゃん…君は本当にあの悠美ちゃんなのか?」
いまだにこんなことが起きたことに信じられないでいる誠一。目の前でアニメや
漫画のように少女が変身し、怪物を退治したのだから。いや、怪物の存在そのものだって
非現実的ではあるが、誠一としては知り合いにこんな力があることの方が驚きは強かった。
悠美は暗い表情で、語りだす。
「…そりゃ信じられないだろうね…でも、目の前で起こったことが真実なんだ。
そして…あたしはあんたの思うような人間じゃないんだ…ごめん…!
誠一、あたしもう、あんたに会うことは出来ないよ…」
変身を解き、バイクに跨る悠美。その表情はどこか寂しそうだ。
「待ってくれ、悠美ちゃん!この前の化け物も、君が倒したんだろ!?
だったら…ありがとう。僕は二回も助けてもらっちゃったね」
笑顔で、彼女にお礼を述べる誠一。だが、悠美は…。
「誠一、あたしのことはもう忘れてくれ…」
「悠美ちゃん!君の秘密なんてどうでもいいんだよ!僕は君が…」
「ありがとう、誠一…あたし、そう言ってくれるだけで嬉しいよ。
でも、あんたにあたしの秘密がこんな形で知られた以上、もう会うことは出来ない…!
さようなら、誠一…!」
振り返らずにそう告げて、そのまま、バイクを走らせ、その場から去っていく。
「悠美ちゃん!!」
夜の街を突っ走る悠美。その瞳からは涙が零れ落ちていた。
「ごめん、ごめん…誠一…!うぅ…えぐ……!」
人気の無い河川敷で停車すると、嗚咽をあげながら、涙する。
空には月が浮かぶも、雲によってすっかり覆われていた。
まるで、二人の心境を表してるかのように。
465 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/17(木) 23:37:16 ID:S+PTUd7W
容量は大丈夫そうかな
投下完了。規制されてるので、代理人様に代行してもらいました。
凛の続きはまた次回に。
代理投下乙
469 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/18(金) 17:51:03 ID:39OVAPwh
投下乙でした。
いきなり正体バレで次回の展開が気になるとこ
470 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/18(金) 18:19:56 ID:7mAwFRMV
投下乙
炎術剣士は他人に変身を見られるとまずいのかな
471 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/18(金) 19:54:43 ID:7mAwFRMV
>>465 あと18KB
まなみ外伝をもう一つ書いても大丈夫なくらいだ
まなみ来てたのか
外伝は内容が濃くて良いなぁ
そしてまだ20KBもあるとかw
やっぱりスレ立て早すぎたな
473 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/19(土) 20:06:04 ID:slJGIqa8
このスレのキャラたちで格ゲーとか作られないかな〜
それにはまずイラストに起こさないと…
容姿がはっきり描写されていないキャラが多いし
このスレで格ゲーでるなら絶対ゆゆるちゃん使いになるわ俺
476 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/20(日) 14:26:46 ID:kYpVXUK2
○新堂まなみ
スピードとパワーのバランスが取れた万能タイプ。
二刀による攻撃や火炎弾で牽制しつつ、
隙を見て火炎大破斬を狙え!
○ゆゆるちゃん
隙は多いが、強力な技をたくさん持っている一発逆転タイプ。
蛸棒、中華鍋ガード、拡声器ビームなどは比較的使いやすいが、
スリッパ飛行は真上にしか飛べないので注意が必要だ!
○樋口佳奈美
パワー型だがディフェンシブな技が多いので、上級者向け。
とりあえずブロッキングで敵の攻撃をしのぎつつ、
相手の隙を見つけてコンボを決めるのだ!
○天神はづき
杖術をメインに戦う中距離タイプ。
イッタンモメンやカマイタチの力を借りた技も使えるぞ。
霊力を込めた精霊棍での一撃は強力無比!
○ジュジュ
数々の強力な飛び道具を持つ、掟破りの常時飛行キャラ。
ロッドなどの近接技もあるが、やはり遠距離主体で戦うのがお勧め。
誘導するマジックアローや機銃で敵を蜂の巣にしてやれ!
○陽凛明
多彩な打撃技を持つスピードタイプ。
天翔拳や雷刃拳で休む間を与えず攻め立てるべし
シャニーを呼び出しての合体必殺の威力は絶大だぞ!
○ろここ
少々扱いが難しいトリッキーなタイプ。
ハートフル・ボコーダー、かりかりベーコンなど、特殊な技が多い。
女子高生の自作小説はエターナルフォースブリザードと同等の威力を持っている!
○ウメ子
数々の外道魔法を使う隠しキャラ。
本体はメウたんと揶揄されるぐらいにメウたん技が強力だ。
戦うのはメウたんに任せて自分は適当に寝っ転がっていよう!
うむ、いいのう〜
自作小説がエターナルフォースブリザードと同等の威力には吹いたw
まなみは確かにスタンダードなイメージだな
479 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 21:35:03 ID:NW+IIH+/
格ゲーもいいが、カードゲームなんかも悪くないかな
個性的な作品が多いからな、このスレは
ところでウメコ来ないなあ…規制されてるのかな?
だとしたら代行レスしてもらえばいいんだろうけど
まあ単純に作品が出来てないだけかもわからんが
ウメ子は魔法少女である。
使命は今はどうでもいい。
「ウッメー、五ヶ月ぶり! とうとうみんながお待ち焦がれの誰もが認めるスレのアイドルの登場よ!!」
「待ち焦がれはともかく、スレのアイドルなんて誰も言ってない言ってない」
水着姿で天に人差し指を突き立てるウメ子と、前足の片方を器用にナイナイと振るメウたん。
「本当は残り一桁に突入してから始動したかった所だけども、今回は大人気に応えて大増量でお送りするわね!」
「無駄に書き溜めてあるストックを放出しときたかったなんて言えないもんな」
☆埋め魔女の秘密・その1☆
ウメ子のSSはあまりにも内容が無いので、数時間もあれば一本書きあがってしまうのだ!
「まぁそれはともかく……メウたん、海行くわよ海っ! ガッチリ泳ぎに行くのよ!」
「海に泳ぎに? なんでこんな涼しくなってきた時期に今更?」
「うっさいわね、夏休み中にはスレが埋まると思ってたのよ!!」
「まーたぶっちゃけてるなぁ……」
「ぶっちゃけでもなんでも行くったら行くのよっ! 設定は真夏のイブよ!」
以下、夏真っ盛りという設定を前提にお楽しみ頂きたい。
「ま、まぁ、まだまだ熱いしな! ウメ子が海に行きたくなる設tt……気持ちも分からんでもないな!」
「そうそう、膳は急げよ! 早いうちに場所取りしなくっちゃ!」
「急ぐのは善な。まぁ腹減ってきたから膳も急いでほしいけども」
普段はgdgdなウメ子だが、遊びに関する行動力は無駄に高く、
既に海へ行くための準備は完全に整っている。
セパレート水着を着こんで、浮き輪を腰に巻き、シュノーケルを被り、
その肩にはウメ子の体躯ほどもある大きな生ビールサーバーが……。
「ちょっと待てえええっっ!! なんでそんなモン担いでるんだよ!!
おまえまだ未成年だろうが、魔法少女が倫理を踏み外してどうする!?」
「なーに勘違いしてやが……してるのよ!」
「へっ?」
「これは熱い砂浜で喉をカラカラにさせたオジサマ達から小金をせしめ……。
もとい、ぱぁーっと振舞って楽しんでもらおうと思って用意したものなのよ」
ウメ子はキラリン、とメガネを光らせる。
「そ、そうだったのか……。すまないウメ子、
俺はてっきりいつも通りに非行に走ったのかと……」
「気にしないでメウたん、誰にだって勘違いはあるわ」
ちょっとションボリするメウたんに対し、
メガネを光らせて笑いかけるウメ子。
(ウメ子……とうとう魔法少女としての自覚に目覚めてくれたのか!)
メウたんは、目がうるうるしそうになるのを必死で堪える。
「よ、よーし……そうと決まれば早く海に行こうぜ!」
「ウッメー! 早いトコ一杯やりた……泳ぎたいしね!」
かくして一人と一匹は、電車に乗って遊泳地へと向かった。
「……ぬわあんでこうなるのよ……」
遊泳地に到着したウメ子だったが、
よりにもよってタイミング悪く台風による高波警報が発令されており、
今は雨こそ降っていないが、強風が吹き荒れており、
この荒れ狂う海ではとてもじゃないが海水浴など出来たものではない。
当然ながら人影も無いため、客にビールを売りつけることも出来ない。
「あーもう、やってらんないわ!」
腹いせに、背負ったサーバーから伸びた給水ホースから、
直接ビーr(強制終了:サーバーの中身は泡立ち麦茶です)をゴクゴク飲み始めるウメ子。
「雨降らないうちに帰ろうぜ。羊は濡れるとプリティー強度が20%減なんだよ」
「ヒック……雨や風なんかであたひを止められるわけらいれしょー?」
麦茶を浴びるように飲んだかいがあり、ウメ子はろれつが回らなくなってきた。
「あらひは埋め魔女ウヘ子! 魔法のひからで全部解決ひょーっ!!」
「お、おい! 何するつもりだよ!?」
ウヘ子……じゃなかった、ウメ子はビ……麦茶臭い梅の小枝を振り上げる!
「ショーチクバイショーチクバイ! カジツシュハワインヨリウメシュハッ!」
「おおっ!? 雲が割れて隙間から太陽が!?」
なんと、魔法で天候を変えてしまった!
今まではしょぼい魔法ばっかりだったが、実はやれば出来る子なのかもしれない。
「……よく考えたら、太陽出したってしょうがなくね?
別に雨が降ってたわけでもなく、問題なのは強風なわけだし」
「よっひゃあーーーー!! おひょぐわよぉーーーー!!」
メウたんのツッコミは耳に入らなかったのか、
未だ大荒れの海に向かって千鳥足で走っていくウメ子。
「お、おい待てよ! こんな荒れてる海に入ったら――」
「ひぎゃあああああああああーーー!! だずげでえええええええええーーー!!」
「バッカ野郎、だから言っただろうに!!」
案の定、波にさらわれてゴボモガと必死にもがいているウメ子。
メウたんも助けたいのはヤマヤマだが、迂闊に飛び込んでもミイラ取りがミイラになるだけである。
「くっ……プリティさしか取り得がないこの俺じゃどうすることもできない……!」
「ぼがぼがぁーーーーーーっ!!! ひんじゃううううううううーーー!!!」
ウメ子の身体は、荒れ狂う波に飲まれて沈んでいった。
埋め魔女ウメ子の大冒険 〜 完 〜
「とうっ!!」
その時、勇敢にも荒れ狂う海に飛び込む人物がっ!!
「あ、あんたはいつものオッサン!?」
突如として現れた救世主、オッサンの手により、
溺れたウメ子は救出された。
「オッサンすげぇ! よくこんな状態の海からウメ子を助けられたな!」
「ふっふっふ、私はライフセーバーの資格も持っているのだよ」
*とても危険です! 良い子は真似しないでね!
ともあれ、倒れて動かないウメ子に駆け寄って揺すってみるメウたん。
「おい、ウメ子! ……ダメだ、目を覚まさない!」
「水を飲んだのかもしれない。私に任せなさい」
ウメ子を寝かせ、人工呼吸をしようと顔を近づけるオッサンだが……。
「……ぎゃ嗚呼あああああああああああああああああ!!! 寄るな痴漢っ!!!」
「へぶっ!?」
寸前で目を覚ましたウメ子の起き上がりアッパーカットにより、
哀れ、オッサンは吹っ飛んで海に落ちる。
「いやあああああああ、ちょっと唇ついたああああああ!!!
消毒っ、汚物は消毒!! アルコールで消毒よおおぉっ!!!」
「お、おい、落ち着けよウメ子!!」
メウたんの静止も聞かず、ヤケクソで浴びるようにアルコール入り麦茶を飲み始めるウメ子。
「ごぶっ、ごぶっ……。……うっ……おええっ!!」
「ほーら言わんこっちゃない……」
当然の帰結として、胃袋の中の物を戻し始めるウメ子を、
呆れた表情で眺めるメウたん。
「あいてて、これだけ元気があれば大丈夫そうだな」
顎をさすりながら海から上がってくるオッサン。
「オッサンこそ大丈夫か? めっちゃ直撃したじゃん」
「ははは、この程度は日常茶飯事だから慣れっこさ!」
「そ、そうか。ならいいんだけど」
言いながら、メウたんはウメ子に振り返る。
砂浜に倒れ付したウメ子は、ぴくぴくしながら胃袋の中身を垂れ流している。
羊の身体でなかったら頭を抱えていたところだろう。
「私が送っていこうか?」
「いや、いいよ。そこまで迷惑かけられねぇし」
「そうか……。気をつけたまえよ」
オッサンと別れ、メウたんはウメ子と共に家路に付いた。
「ひっくしょー……ほれもこれも全部メウはんのせいらよ!!」
「黙れ酔っ払い!! 勝手に人のせいにすんな!!」
海水よりもアルコールを大量に飲んでぐでんぐでんのウメ子を背中に乗せ、
頭を小突かれながらも健気に家路を歩き続ける我らがメウたん。
「あらひが溺れはほわ止めなかったメウはんのせいらんらから!!」
「止めただろ!! その上でおまえが勝手に海に突っ込んだんだろ!!」
「与党が惨敗して政権交替しらろもメウはんのせいひょ!!」
「そんな国政を動かすような力が俺にあったら、おめぇの使い魔なんてやってねぇよ!!」
「○ンスターハンターの無料期間が切れはのもメウはんのへいよ!!」
「ケチらずに課金しろ!!」
こうして言い争い続ける二人の声は、いつまでも、いつまでも……。
否、二人が家に到着するまで続いたそうな。
*未成年の飲酒、および飲酒水泳は硬く禁じられています。
良い子は絶対に真似をしないでください!
「スレのアイドル、メウたんとの約束だぜ♪」
「こらああああああ!! メウたん、勝手に何ほざいて――ぐひぃっ!?」
ウメ子の脳みそにズキィンと鈍痛が走る。
飲みすぎで二日酔いなのである。
「ウメ子みたいになりたくなければ、みんなはルールを守ろうな♪」
「メウた(ズキィン) ……ぐうう、覚えてなさいよぉぉ……」
頭を抱えてのた打ち回るウメ子だが、
まだこのスレの埋め立ては終わっていない。
立て、立つんだウメ子!
「も……ダメ……」
あ、昏倒してしまった。
まぁ次回にはきっと何事も無かったかのようにピンピンしてることだろう。
というわけでまた来週!
埋め魔女の秘密その2以降は俺も知らない
それではまた来週
485 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 22:50:09 ID:btxcFR+X
ウメコktkr
リバースした魔法少女は初めて見たぜw
そしてオッサン良いキャラすぎるw
リバースされたビールは俺がおいしくいただきました
言おうと思ってすっかり忘れてましたが、
小田原のウメ子さんのご冥福をお祈りいたします
そしてこちらのウメ子は今週も埋めウメ!
ウメ子は魔法少女である。
使命はやっと思いついた。
「正義の魔法少女の使命は、悪の魔法少女を倒すこと! そうに決まってるわ!」
「いつウメ子が正義の魔法少女になったんだよ」
「あぁん? 何か言った?」
「い、いいえ、なんでもありません」
ウメ子がバリカンをぶるるん言わせると、子羊のメウたんは大人しく&礼儀正しくなった。
良い子のみんな、これが魔法の力だよ!
「それで、肝心の悪の魔法少女はどこにいるんだ?」
「ふっふっふ、それならアテがあるわ」
ウメ子はまん丸メガネをキラリと光らせた。
ウメ子がやってきたのは、魔法少女協会事務所だ。
魔法少女に関する情報なら、大抵はここで手に入る。
「なるほど、ここでお尋ね者の魔法少女を調べるんだな」
「そういうこと! さぁとっとと情報をよこしなさい!」
てなわけで、受付のおねーさんに食らいつくウメ子。
「いらっしゃいませ、どんなご用件ですか?」
「悪い奴! 悪の魔法少女の情報を探しているの!」
「悪の魔法少女……恐喝、無銭飲食、器物破損、
その他モロモロの罪に問われている魔法少女の報告が入っていますね」
「そいつよ! そいつの名前を教えなさい!」
「ええと、名前は……埋め魔女ウメ子って――」
ガシャァン!
「メウたん、逃げるわよ!」
いきなりテーブルをひっくり返され、受付のおねーさんが状況を理解できないうちに、
ウメ子はメウたんを抱えて光の速度で魔法少女協会事務所から逃走完了していた。
「埋め魔女ウメ子……やっと見つけたわ!」
その様子を何故か事務所の屋根のてっぺんから見ていた謎の魔法少女は、
箒に乗ってウメ子の後を追うのであった。
事務所から逃げ出したウメ子は追っ手が来ないことを確認し、自然公園のベンチで一息つく。
ぜぇぜぇ言って息を切らせながら、何故かメウたんに食ってかかるウメ子。
「馬鹿メウたん!! 何で私が指名手配されてるのよ!?」
「何で俺に言うんだよ!? つーか今までの悪行からすれば当ぜ――」
(ぶるるん、ぶるるるぅーん!)
「い、いえ……ど、どうしてでしょーねぇ、おっかしいなぁ」
「きっとこの私の活躍に嫉妬して、嘘の報告をした悪の魔法少女がいるに違いないわ!」
ウメ子は目を怒らせ、髪を振り乱し、自分を陥れた悪の魔法少女を探す。
「どこなのっ!? 隠れたって無駄なんだから、早く出てきなさい!!!」
「また適当ぶっこきやがって……別に誰も隠れてねぇ―――」
「はははははは!! よく私が隠れていることに気付いたわね、埋め魔女ウメ子!!」
「えぇっ!!?」
ペンチの背後の草むらから、勝気そうな魔法少女が箒に乗って飛び上がる。
「埋め魔女ウメ子、あなたの命運もこれまでよ!」
「サラサラの青髪に長身の魔法少女!? モコモコ赤毛で小柄なウメ子とは対象的だ!」
「ああっ!? 今まで完全にスルーされていた身体的特徴にさり気に触れないでよっ!
あんたの地肌が土紫色の気色悪い色だってことをバラすわよ!?」
「だから適当ぶっこくな!! 俺はメ○ープと違って普通の羊カラーだ!!」
「ばっ……!! 迂闊にそれ系の名前を出すんじゃないわよ!! 消されるわよバカ羊!!」
「ちょ、ちょっと私を無視しないで!! そろそろ本題に入るわよ!!」
登場早々忘れ去られそうになったNew魔女っ子が、強引に一人と一匹の会話に割って入る。
「とにかく、あんた誰なのッ!? 名前を名乗りなさい!!」
「ふふふ……私の名は、掘り魔女ホリ子! 次スレが立った後のスレを埋めるという、あなたの使命を邪魔するためにやってきたのよ!」
「な、なんですってぇ!?」
驚愕に目を見開くウメ子。
「そっか……このスレを埋めるのが私に課せられた使命だったのね!!」
「……は?」
「なんだなんだ、そんなことなら早く言ってくれれば良かったのにー!」
「まさかあなた、自分の使命も知らなかったとでも!?」
「そんなの知らなかったに決まってるじゃない!」
「胸を張って言うことじゃないでしょうが!」
「自分に自信を持つのは良いことよ!」
「反省する心も無いとただの自己中だけどな」
またまた収拾つかなくなりそうなので、ホリ子は咳払いをして一旦仕切りなおす。
「……コホン。とにかく、私の使命はスレが埋まるのを防いで、名作SSがdatの腐海に沈むのを防ぐこと!
なんたって私の視力は1.2! どんな些細なSSも見逃さないわ!」
「微妙すぎるだろ! せめて学校測定最高値の2.0行けよ!」
「私はメガネでキャラ付けして売り込むような姑息な真似はしないのよ!
とにかく、私の素晴らしき魔法の力をあなた達にとくと見せてあげるわっ!!」
ホリ子は、ヒノキを彫り上げて作った魔法の杖を振り上げる。
「ホリディサンディバケーション……ミミズンニクチャンダトオチミラー!!」
どばばぁーーーん!!
http://mimizun.com/log/2ch/mitemite/namidame.2ch.net/mitemite/kako/1224/12245/1224577849.html http://mimizun.com/log/2ch/mitemite/namidame.2ch.net/mitemite/kako/1234/12349/1234927968.html 「…………なに、コレ?」
「どう!? 私の力があれば、ゆゆるもまなみも読み放題よっ!!
そして直に、この3スレ目も私のコレクションに加えてあげるわ!!」
「……いや、その……」
ウメ子は困ったようにポリポリと頬をかいている。
「その……言いにくいんだけど……」
「何よ!? 言いたいことがあるならハッキリ言いなさい!!」
「いや……わざわざ過去スレ掘り起こさなくても、今はまとめサイトあるから過去作ぐらいいつでも読めるし……」
「なっ、まとめサイトですってぇ!? いつの間にそんなものが!?」
「
>>1も読めねーのかあんたは」
「き、帰国したばっかりで知らなかったんですのよ!」
どこの国から帰国したのかはあえて突っ込まないでおいてあげて欲しい。
そしてウメ子のターンはまだ終わらない。
「それともう一つだけ言っておくと……」
「な、なによ!?」
「あんたが来てウダウダ言ってくれたおかげで……このスレ、ますます埋まっちゃったよ?」
「……はっ!?」
ホリ子は慌てて髪を振り乱して周囲を確認する。
……いや、確認しようがしまいがスレは埋まっていくのだが……。
「……いっ、今のナシ! 最初からやり直しするわよ!」
「もう遅いってば。時間もスレも逆方向に流れることはありえないのよ。
それにそうこう言ってる間にもどんどんスレは埋まって行くし、時計の針は進んでいくし、
あめんぼが別に赤くないように時間という砂が刻々と流れ落ちていくのは止められないというか止めようがないわけで、
無駄な抵抗は止めたほうが身のためだわよんという忠告をしつつ、
人生諦めが肝心だから諦めさえすれば楽しく生きられるわよーなんて大人の意見を言ってみたり、
でもでもって、やっぱりみんな誰でも楽しく生きたいわよねー、
そんな人生を楽しく生きたい人にお勧めなのが、この魔女っ子&変身ヒロイン創作スレだったりするのよん。
沢山の書き手が集まっていて名作もより取り見取り、
中でもこの私、埋め魔女ウメ子直筆の超人気大作である、埋め魔女ウメ子の大冒険などは―――」
あからさまにわざと無駄に長い科白をべらべらと語り続ける埋め魔女ウメ子に対し、
血相を変えた掘り魔女ホリ子は、慌てて光り輝く魔法で作ったエネルギー弾を思いっきり振りかぶって埋め魔女ウメ子に向かって撃ち放ったのであったが、
当の埋め魔女ウメ子は、その程度のたわいもないお子様じみた安っぽい攻撃は、
てんで楽勝おちゃのこさいさいと言った様子でひらりと身軽にかわしてしまい、
余裕綽々で反撃に移ろうとするも、愛用の梅の枝をどこかに落としてしまったことに気付いてしまい、
慌てて―――いや、別に動じたりするようなことは全く無く、悠々と梅の枝を捜して辺りをキョロキョロするも、
生憎ながら近くに梅の木は植林されて無いようであり、仕方ないので掘り魔女ホリ子を放って置いて梅の木を探しに向かおうとしたものの、
そうはさせじと掘り魔女ホリ子が埋め魔女ウメ子の行く末を素早く回りこんで通行止めを行いながらその杖を再び振り上げてまいりまして、
その強烈な魔法の力を炸裂させようと試みるが、当の埋め魔女ウメ子は余裕を持った表情でニヤニヤと笑っており、その顔は非常に不気味な物を感じさせ―――。
「ちょ、何で説明文までいきなり長大化してるのよ!?」
「それはもちろんこの由緒ある創作発表板の人気スレである魔女っ子&変身ヒロイン創作スレの
看板(?)娘である埋め魔女ウメ子の知性あふれる語り口はこのくらい長くなってしまうのは必然であって、
短くまとめるのが作家の腕の見せ所とおっしゃる人もおらっしゃるけれども、やはり名作と呼ばれる作品には、
それなりの文章量という物理的な重みが必要不可欠であると、魔女っ子&変身スレのアイドル、埋め魔女ウメ子としては考えるわけであり―――」
「だああああああああああああああああああああああっ!!!
だからやめなさいってばあああああああああああああああああああ!!!
今すぐやめないと、絶対にぜったいにぜったいにぜぇぇぇぇったいに、
ずぅぇええええええええええええええええええええええええええええっっったいに、
許さないわよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
などと掘り魔女ホリ子が抗議するために声を張り上げることでも、スレはどんどん埋まってしまうわけであり、
このままではスレが埋まってしまうのも時間の問題でしかあらず、
掘り魔女ホリ子は必死になって埋め魔女ウメ子を倒そうとしているようだが、
仮に掘り魔女ホリ子が埋め魔女ウメ子を倒すのに成功したとしても、スレは埋まるものであり、
スレが埋まっていくのは自然現象でしかありえないために、埋め魔女ウメ子が存在しなかったとしても、
スレが埋まってしまうのは止められない時代の流れと言わざるを得ないわけであり―――。
「と、止めてっ! お願い、今すぐ止まってぇ!! スレが……スレが埋まっちゃう!!!」