ニコニコ動画バトルロワイアルβ sm11

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1創る名無しに見る名無し
鬱です。

本日はニコニコ動画バトルロワイアルに 御アクセス頂き、 ありがとうございます。

ここはニコニコ動画の人気キャラを用いてバトルロワイヤルをするというリレー小説のスレッドです。
大変申し訳ありませんが、 この企画はフィクションであり実在の団体・人物等とはまったく関係ありません。
ルールさえ守っていただければ誰でも参加可能です。

またの御アクセスをお待ちしております。

前スレ:http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1238153729/

Wiki:http://www19.atwiki.jp/niconico2nd/
したらば:http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12373/
2創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 00:33:45 ID:HwvdEbDe
【基本ルール】

全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
生き残った一人だけが、元の世界に帰ること及び望んだ願いを叶えることができる。

ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる

【スタート時の持ち物】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
但し義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
支給品として地図、コンパス、筆記用具、水、食料、時計、懐中電灯、
及び各作品や現実からランダムに選ばれたもの1〜3個が渡される。

【主催者】
・進行役
右上@ニコニコ動画
左上@ニコニコ動画
・黒幕
運営長@ニコニコ動画
3創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 00:34:39 ID:HwvdEbDe
【ステータス】
投下の最後に、その話に登場したキャラクターの状態・持ち物・行動指針などを表すステータスを書いてください。
テンプレはこちら。
【地名/○○日目・時間(深夜・早朝・昼間など)】
【キャラクター名@出典作品】
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(武器・あるいは防具として扱えるものはここ)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なものはここ)
[思考・状況](ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。
      複数可、書くときは優先順位の高い順に)

【予約について】
キャラの予約は基本的には3日。申請があれば2日程度延長します。

【作中での時間表記】
深夜:0〜2  
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
日中:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
真夜中:22〜24

【地図】ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/free_uploader/src/up0144.png
    ttp://www11.atpages.jp/nico2nd/(現在位置表)
4創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 00:39:26 ID:qL3yGOk3
スレ立て乙
5創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 01:01:14 ID:Fa9+/xNj
>>1乙
6 ◆wgfucd.0Rw :2009/04/09(木) 23:33:05 ID:qh1YxgW/
続き投下します。
7矛と盾の話――PRIDE―― ◆wgfucd.0Rw :2009/04/09(木) 23:34:25 ID:qh1YxgW/
「ア イ テ ム な ぞ 使 う 訳 が ね え !」

 明後日の方向へと放り投げた。
 バルバトスの突然の意味不明な行動を前に動きの止まるブロントさんをよそに、バルバトスは狂喜に染まった笑みを浮かべる。
 生存かプライドか、バルバトスの取った行動は後者であった。この場で生き残ったとしても、彼が軟弱者と同じ行動を取った事は消せない。
 何より自分はここで死ぬつもりなど毛頭ないのだ。同じ生きるのであればどうして屈辱的な方法を取るであろうか。
より獰猛な笑みを浮かべながらバルバトスはブロントさんを見据えた。

「そんな壊れたキーボードで戦うその浅はかさは愚かしい」
「くく、もう勝ったつもりかぁ? 灼熱のバーンストライク!!」

 突如上から降り注ぐ炎を纏った隕石群をバックステッポでカカッと避けた刹那、緋想の剣を持った手に鋭い痛みが走り思わず緋想の剣を取り落とす。
 何が起ったのか、視界に壊れたキーボードが映る。
 バーンストライクは囮であり、本命はキーボードを投函し緋想の剣を手放させる事にあったと気付くより速く、バルバトスの拳がブロントさんの顔面へと突き刺さった。

「これでぇ、条件は五分と五分だなぁ。オラ、立てよブロントぉ」

 緋想の剣を蹴り飛ばし、ヨロヨロと立ち上がるブロントさんをバルバトスは見下ろす。
 対するブロントさんは血の混じった唾を地面に吐き捨て、挑戦的な目でバルバトスを睨みながら拳を固めた。

「リアルでの俺はモンクタイプ
俺の雷属性の左がお前を捕らえる事になる
おまえ調子ぶっこき過ぎてた結果だよ?」
「面白い。見せてもらうぞ、貴様のもがきとやらを!」

 二人の拳が互いの顔に突き刺さる。
 パンチングマシーンで100を出し、不良として学校の生徒に一目置かれているブロントさんではあるが、如何せん相手が悪すぎた。
 重い一撃によろめくブロントさんの腹部に膝蹴りが入り、くの字に曲がった背中に拳が叩き込まれ地に叩き付けられる。

「いつまで寝てんだぁ!!」

 倒れ伏すブロントさんに浴びせられる踏みつけの嵐。ブロントさんの身を包む防具がべこべこに変形していく。
 トドメに勢い良く蹴り飛ばされてブロントさんは地を転がった。
 全身から痛みにより悲鳴が上がる。しかしそれでも尚、ブロントさんは立ち上がる。

「ほう、あれだけやられてまだ立ち上がるか。その根性だけは認めてやろう」
「ナイトはPTの盾だからこの程度で倒れないのは確定的に明らか
しぶとく立ち上がるのがナイトではにい、しぶとく立ち上がってしまうのがナイト」

 燃える闘志の両の目に灯しながら拳を構えるブロントさんを見て、バルバトスは今までに屠ってきた英雄達を思い出す。
 絶望的な状況でも諦めずに立ち向かって来る英雄達。そしてそういう者達を無慈悲に、残酷に叩き潰す行為は何よりも彼の渇きを癒してくれた。
8創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 23:34:37 ID:KSj5NwlD
我が支援、お見せしようか!
9矛と盾の話――PRIDE―― ◆wgfucd.0Rw :2009/04/09(木) 23:35:08 ID:qh1YxgW/
「ほぉう、盾か。貴様が盾なら俺は貴様の様な盾など容易く突き破る矛だ。行くぜぇ、とっとと貫いてやるよぉぉぉぉぉぉ!!!」

 ブロントさんの顔面へと照準を定めたバルバトスのストレートをブロントさんはバックステッポでカカッと回避する。
 その瞬間、バルバトスの魔力が迸った。

「男に後退の二文字はねぇ! 絶望のシリングフォールゥ!!!」

 ブロントさんの着地と同じタイミングで落下する岩石。逃げようとする弱者を絶望と共に押しつぶす岩石はブロントさんへと落下し、彼の鎧を粉砕しながら後方へと弾き飛ばした。
 土煙の晴れた先、そこには鎧の残骸を纏い、土にまみれて転がるブロントさんの姿があった。

「お、おいィ……」
「どぉしたぁ? もう動けないのか? ん?」

 鎧が守ったとはいえ大質量の岩石の直撃を受け、まともに動けないブロントさんへとトドメを刺す為に歩み寄るバルバトス。
 ホーリーを唱えようとするが吹き飛ばされたショックで脳震盪を起こし、うまく頭が回らない。
 万事休す。バルバトスは更に一歩前に進もうとし、視界の片隅に眩い光を捉えた。
 何事かと視線を向けた先には逃げ出した筈の小娘、渚が光源であろう何かを掲げた姿。
 そしてその掲げた何かから、オレンジ色の軌跡を描きかながら影が飛び出した。
 まずい。そう思い後ろへと下がった瞬間、先程までバルバトスの顔があった場所に刃が閃く。
 中央部煌煌と光るモノアイの付いた仮面を纏い、刀を携えた筋肉質の人間とよべるかどうかも怪しい人形の物体。

「俺に生きる実感をくれ!!」

 改めて刀を構え、人間大のサイズとなったサイボーグ忍者のフィギュアが咆哮と共にバルバトスへと斬り掛かる。

(まったく、何が遅れをとる筈がないよ。遅れっぱなしじゃない)

 心の中で悪態をつきながら渚は転がっていた緋想の剣を片手にブロントさんへと駆け寄っていた
 ブロントさんに逃げる様促された渚であったが、彼女は逃走せずに、二人の戦いを見ていた。
 理由の一つはブロントさんをここで失う事が彼女にとって痛手だった事。
 ブロントさんを置いて一人で逃げた先で文や文に情報を聞いた者達と遭遇したとして、殺し合いに乗ってないと言っても信用される確率は限りなく低い。
 文達に遭遇した時に彼女が乗っていない事えお証明してくれる相手が現状ブロントさんしかおらず、また、それなりの実力者である。彼の有用性はまだまだあるのだ。
 もう一つの理由はいざという時に彼を助けるための支給品、サイボーグ忍者のアシストフィギュアを手に入れていた事。
 それが無ければ苦渋の選択であったがブロントさんを見捨てて逃げるしかなかっただろう。
 そして、ブロントさんがシリングフォールにより吹き飛ばされた時、説明書に書いてある使用方通りにアシストフィギュアを掲げたのであった。
10矛と盾の話――PRIDE―― ◆wgfucd.0Rw :2009/04/09(木) 23:36:39 ID:qh1YxgW/
「ブロントさん!」
「お、おいィ? 下がっていろと言っているサル!
何勝手に戻って来てるわけ? やめてくれませんかねぇ・・?」
「そんな事言ってる場合じゃないでしょ! やられそうになってるのに何言ってるのよ!」
「それは……」
「私の事守ってくれるんでしょ!? ならこんなとこで倒れてないでしっかり守りなさいよ!」
「すいまえんでした;;」

 説教を受けよろよろと立ち上がるブロントさんを見て、渚はとりあえず安堵の溜め息をつく。
 しかし、その後ろで轟音が響き音の発信源を見て渚は言葉を失った。
 吹き飛ばされたサイボーグ忍者が塔の壁にめり込みただのフィギュアへと姿を戻る、そして怒気の籠った目で渚を睨むバルバトスの姿。
 渚は知らなかった、バルバトスが戦闘の最中にアイテムを使われる事を極端に嫌う事、そしてアイテムを使う相手には容赦しない事を。
 サイボーグ忍者召還の一部始終を見ていたバルバトスは、渚がアイテムを使ったとみなし、獣の様に歯をむき出しながら最後の魔力を体から迸らせた。

「軟弱者は消え失せろぉぉぉぉぉ!!! 断罪のエグゼキューション!!」

 渚の前方に魔力が収束する。渚は逃げようとするがそれよりも早く、収束した魔力が解き放たれた。
 誰かの絶叫を耳にしながら渚の目前で極光が瞬き、衝撃が彼女を襲い吹き飛ばされた

「……あれ?」

 吹き飛ばされただけで襲ってこない痛みを不思議に思い渚は目を開けた。
 
「ほう、まだそんな力を隠していたのか」

 驚きと歓喜の表情が混じった顔でバルバトスが声を向けた先。
 そこにいたのは先程とどこか雰囲気の異なるブロントさんの姿だった。

 必死だった。
 我武者らだった。
 夢中だった。
 ただ、これ以上仲間を失いたくなった。一縷の望みをかけて痛む体を無理にでも引きずり魔力をこめる。
 彼は憤った。盾と言っておきながら助けられ、仲間を危機に晒した無力な自分を。
 仲間を守る。ナイトとしてのプライドか無意識のうちに怒声があがる。
 その怒りは限界を越え、有頂天へと達した。
 咄嗟に放ったホーリーは何とか相手の魔法を相殺し、渚を助ける事には成功した。
 仲間を守る事に成功し、安堵の溜め息をついたブロントさんは、バルバトスを睨みながら口を開いた。
11創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 23:37:03 ID:KSj5NwlD
ニコロワで支援してみた
12矛と盾の話――PRIDE―― ◆wgfucd.0Rw :2009/04/09(木) 23:37:43 ID:qh1YxgW/
「一級廃人のおれに対してPTを攻撃するというナメタ行為をする事でおれの怒りは有頂天になった
この怒りはしばらくおさまる事を知らない」
「ならどうする? 俺にいい様にされていた貴様に何ができる」
「さっきとかわらにい
お前みたいな危険な奴はバラバラに引き裂くだけ」

 緋想の剣を構えたブロントさんに対し、強く拳を握りるバルバトス。
 互いが感じ取った。これが最後の一撃になると。

「テメェみたいな貧弱な盾なんぞ、微塵に砕いてやるよぉぉぉぉ!!!」

 先に飛びかかったのはバルバトス、頭を砕けといわんばかりの渾身の一撃を叩き込む。
 矢の様な速さで放たれる必殺の一撃は、正確にブロントさんの頭部を捉え、血の華が咲く。
 というバルバトスの予想はブロントさんが左手を使い拳をいなした事により覆った。バルバトスの顔が驚愕に歪む。
 ブロントさんとバルバトス、魔法も肉弾戦もこなすこの二人の戦闘スタイルの一番の相違点。それはバルバトスが相手を倒す事に特化し、ブロントさんは守る事に特化しているという事。
 ただ相手を倒すだけのバルバトスとは違い、ブロントさんの仕事は相手の攻撃を一身に受ける事であり、自然と攻撃のいなし方も身に付いてくる。
 互いに攻撃を放つのであれば攻めを主体とするバルバトスに軍杯が上がる。だが、攻撃を耐える、又はいなすのであればブロントさんにも勝機は充分にあるのだ。
 有頂天状態により身体能力が若干上昇していた事も功を奏し、バルバトスの一撃を避ける事に成功したブロントさんはそのまま緋想の剣をバルバトスの胸へと突き立てた。
 バルバトスの胸と口から鮮血が迸り、ブロントさんの頬を濡らす。

「最初にも言ったが黄金の鉄の塊でできたナイトがキーボ−ド装備のジョブに遅れをとる筈がない
お前調子ぶっこき過ぎてた結果だよ?」

 ブロントさんは剣を引き抜くと、即座にその剣を一閃させ、バルバトスの首を跳ね飛ばした。
 宙を舞うバルバトスの首は血を吹きながら地面に転がる。彼の渇きは癒える事ができたのか、それはもう永久に解らない。
 バルバトスの死亡を確認したブロントさんは一息つき渚をへと声をかけようとする。
 その瞬間、極度の疲労感と激痛が彼に襲いかかった。
13創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 23:39:09 ID:KSj5NwlD
支援
14矛と盾の話――PRIDE―― ◆wgfucd.0Rw :2009/04/09(木) 23:39:25 ID:qh1YxgW/
「ブロントさん!?」

 駆け寄る渚を視界に収めながらブロントさんは倒れ込む。
 バルバトスの戦闘による傷、そして有頂天状態になった事による疲労のせいで今にも意識が途絶えようとしていた。

(ちょと……これsYレならん……しょ)

 それを最後にブロントさんの意識は闇に沈んだ。

「結局ここで足止めか」

 塔の中で気絶しているブロントさんを見て渚は溜め息を吐いた。
 引きずりながらもブロントさんを塔の中まで運んだせいで体力を消耗した渚は地べたに座り込む。
 一瞬、渚の脳裏にブロントさんを殺害し先に進む考えも浮かんだが、それは彼女にとってリスクが大きいので即座に却下した。
 放送後、名簿を見た時は彼女の兄らしき人物はいなかった。最初は覚えてないから誰か分からないだけだと思っていたが、野々原の名字がない以上自分しかいないのだろう。
 これは彼女にとって喜ばしい事実であった、どちらか一方が生き残るかの選択肢を迫られもせず、しかも兄に自らの悪評が広まる事もない。
後はどうやってこの殺し合いから抜け出すかだ。
 優勝にしろ主催者をどうにかするにしろ積極的に殺して回るのが愚策な以上、彼女が今頼れるのは、彼女としては不本意な事にブロントさんしかいないのだ。
 動くとすれば殺し合いの終盤。それまではブロントさんを利用し続けるしかない。信用されているブロントさんのそばにいるのが彼女にとって一番都合がいいのだ。

「まあ使えそうなアイテムが手に入ったのは良かったけど」

 そう言って彼女は塔の近くに転がっていたタミフルを思い出す。
 バルバトスのデイパックに入っていた説明書を読み、何にせよいずれ役に立つだろうと渚は考えていた。
 
「はぁ、お兄ちゃんに会うのはもう少し先になりそう。それまでに変な虫がついてなきゃいいけど」

 本日何度目かの溜め息を着きながら、渚はペットボトルの水を流し込んだ。

【バルバトス・ゲーティア@テイルズシリーズ 死亡】
15矛と盾の話――PRIDE―― ◆wgfucd.0Rw :2009/04/09(木) 23:40:21 ID:qh1YxgW/
【C-2 塔内部/1日目 午前】
【ブロントさん@ネ実】
[状態]: 全身強打、左頬に痣、極度の疲労、気絶、鎧大破、左篭手が大破
[装備]:緋想の剣@東方project
[道具]:支給品一式×2
[思考・状況]基本思考:右上と左上を倒し真のエンディングを迎えひっそりとリアルより充実したヴァナ生活を送る。
1:……。
2:渚と渚の兄を守る。
3:あの二人を見つけ渚を謝らせる。
4:出会ったやつに話しかけ出来れば仲間にして敵対するようならばカカッと対処する。

【備考】
※メタ知識に関しては不明だがそんなものはなくてもブロントさんはうろたえない
※ナイトの防具一式はもはやブロントさんの普段着であるので奪われるわけがない
※流石に人が死んだので自分の行動に関してどちらかというと大反省したようです。

【野々原渚@ヤンデレの妹に愛されて夜も眠れないCDシリーズ】
[状態]:ヤンデレ、全身に軽い切り傷、腹部にダメージ(小)、 軽い精神的ダメージ、小程度の疲労
[装備]:チャイナ服@現実 ピョン太君@私立東方学園 アシストフィギュア(サイボーグ忍者)@大乱闘スマッシュブラザーズX
[道具]:支給品一式×3、タバコ一箱@メタルギアシリーズ、タミフル@現実、北条鉄平の首、北条鉄平の首輪、不明支給品0〜4
[思考・状況]
1:ブロントさんが起きるまで休憩。
2:ブロントさんを利用して自分を守ってもらう。
3:あの二人を見つけて、自分の風評が流れるのを防ぐ。
4:表立っての殺しはしない。
5:最終的に意地汚い虫はみんな殺すが強い奴は潰し合わせる。
6:料理の材料を調達する?
16矛と盾の話――PRIDE―― ◆wgfucd.0Rw :2009/04/09(木) 23:43:32 ID:qh1YxgW/
【共通備考】
※塔の外に首を切断されたバルバトスの死体が放置されています。
17矛と盾の話――PRIDE―― ◆wgfucd.0Rw :2009/04/09(木) 23:45:42 ID:qh1YxgW/
「あーあ、やられちゃったよ」

 一人しかいないモニター室の中。
 バルバトスの首輪の反応が消えた事を確認し、右上はつまらなそう溜め息を吐いた。

「折角アイテムに対する忌避感を和らげてやったってーのに、そんなにプライドなんてのが大事かねぇ?」
「なるほど、やはり貴方が犯人でしたか」

 扉が開く音と共に後ろから響く左上の声。
 犯人と言われてなお、右上はへらへらとした笑顔を左上に向けた。

「盗み聞きとは趣味が悪いね」
「北斗の拳から呼び出したトキが積極的に戦う姿勢を見せた時からおかしいと思っていましたが、どういうつもりです?」
「単なるてこ入れだよ」
「てこ入れ?」
「そ、だって殺し合いの割にはそれに適した支給品とか少ないしさ。二人、三人くらいならいいかなって思うじゃない?
基から大幅な剥離をしない程度に思考をちょちょいとね。
マーダーは多けりゃ多い程いいしさ。ま、どっちも失敗したけど」

 怪訝な表情を浮かべる左上に説明した後、右上は大袈裟に方をすくめる。

「……上の方々の中にはいい顔をしない者もいました。今後余計な事はしないように」
「へいへい」

 手をひらひらと振る右上を見て、溜め息を着きながら左上は席に着く。

(ま、そりゃ無理な相談だけどね。だってほら、無駄な事するのが俺の仕事だし)

 右上は心の中で舌を出して笑う。
 無駄という存在意義を持つ男はモニターを見ながら、次はどう動くかを考え始める。
18矛と盾の話――PRIDE―― ◆wgfucd.0Rw :2009/04/09(木) 23:46:39 ID:qh1YxgW/
支給品紹介
【アシストフィギュア(サイボーグ忍者)】
メタルギアソリッドのサイボーグ忍者のアシストフィギュア。フィギュアを掲げる事によりフィギュアから実体化し、使用者が敵とみなした相手へ手に持った刀で斬り掛かる。
あくまでフィギュアである為思考能力はない。戦闘不能になるか一定時間経過、目標の殺害を達成するとフィギュアに戻る。連続使用は不可能。

19矛と盾の話――PRIDE―― ◆wgfucd.0Rw :2009/04/09(木) 23:49:06 ID:qh1YxgW/
以上で投下終了します。
ご意見ご感想の前にうっかりやってしまった脱字を。

ただ、これ以上仲間を失いたくなった。一縷の望みをかけて痛む体を無理にでも引きずり魔力をこめる。
↑を
ただ、これ以上仲間を失いたくなかった。一縷の望みをかけて痛む体を無理にでも引きずり魔力をこめる。
に差し替えます。
20 ◆wgfucd.0Rw :2009/04/09(木) 23:50:07 ID:qh1YxgW/
間違えてタイトルつけたままだったorz
申し訳ありません。
本当にもう駄目だ自分
21創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 01:19:56 ID:y4po3BrM
投下乙
ただ、前回の話で使う気満々だったタミフルを捨てるのに少し違和感があるかなと
22創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 01:46:56 ID:OExkW2tz
投下乙
ブロリーと唯一真っ向勝負できそうなキャラだったのに……

>>21
その矛盾も含め色々出てた矛盾を今回の話で解説したんじゃないの?
23創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 02:05:53 ID:MJEA14YO
投下モツっす
さすがブロントさんバルバトスに勝つとかsYレならんしょこれは
24創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 02:35:48 ID:XYkiOZbS
投下乙
ブロンドさんの勝利、いやバルバトスの死は今後どうつながるだろうか
25創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 09:09:47 ID:fmBk5e0O
ブロントさんのかっこよさが活躍でマッハなんだが…
26創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 09:12:22 ID:u/4nKRQ0
緋想剣すごいですね
27創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 18:01:13 ID:zVYGu8a3
あの闘神に防具無しで勝つなんて、さすがナイトは格が違った
28創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 18:28:01 ID:SbtIfV4e
アシストフィギュア(サイボーグ忍者)の出展元ってスマブラXだっけ?
29創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 20:02:50 ID:bDaNzeFY
投下乙
ただヤンデレの妹って出展から考えるに名字で兄を判断しない気がする・・
まだ兄が居ないって判断は早すぎる気がする
30創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 20:12:17 ID:pkxXOnl+
キャーブロントサーン

ブロントさんの盾という職が生かされたな
実はブロントさんご自慢のグラットンソードって相手から受ける攻撃ダメが減る代わりに
攻撃力やらスピードやらいろんな能力がごっそり減る盾になるためにある剣なんだぜ
31創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 20:59:31 ID:OExkW2tz
>>29
調べてみたがよく分からん
実は義理の兄妹だったとか言う設定でもあんの?
32創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 21:20:38 ID:8Rhjxwjz
MADを考えると名簿の中のだいたいの人物があいつの兄だからなあw
33創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 23:10:20 ID:1gxAAeMW
>>22
ということはゲーム中に脳みそ弄れんの?
34創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 23:41:10 ID:kYxNT70M
>>33
いや、ゲーム前に弄ったんだろ
35創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 23:45:01 ID:1gxAAeMW
>>34
じゃあ矛盾なんじゃね?
使う気満々だったタミフルを放棄するのは。
意図を汲み違えてたらスマンが
36創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 00:10:11 ID:3iE0jZov
その辺の心境も含めて描写されてたからもう一度ss読んできたら?
37創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 00:44:41 ID:hCVsZOKZ
使う気だったけどいざ使うとなったらプライドの方が上回ったってとこじゃないかな
38 ◆F.EmGSxYug :2009/04/11(土) 07:42:11 ID:utMDBTKv
仮投下スレに作品を投下しました。
39 ◆/4zBz3jiVQ :2009/04/11(土) 11:43:16 ID:PF6BWMSk
遅れてしまいましたが投下します。
40 ◆/4zBz3jiVQ :2009/04/11(土) 11:44:50 ID:PF6BWMSk
大河が塔を出てからしばらくしたあと。
「おい、大丈夫か?」
 急にむっくり起き上がり何かを探し始めた文を気遣いながらグラハムは声をかける。
 文は自分のデイバックから取り出したコッペパン見つめていた。


 究極のコッペパン。
 究極の名を冠するだけはある。
 舌に踊るうま味は体中の痛みを取り去っていくかのようだ。
「大丈夫ですか?」
 覗き込むキョン子にも目もくれずパンにむしゃぶりつく。
 長く生きてきた文にとってもこれほどの美味は感じたことがなかった。
 食べてみたくてしょうがなかったこのパンを留まらせていたのは究極のコッペパンの持つ効果、体力完全回復、この殺し合いの中では使いどころさえ誤らなければ相当当たりの部類のアイテムだった。
 バルバトスとの戦いで相応に傷ついていたので今が使いどころであるのは確かであろう。
「いい顔をしているな」
 グラハムがパンをいかにも美味そうと言った感じで顔をほころばせている文を見つめて呟く。
「あなたも相変わらず鬱陶しいですねえ」
 ほころばせた顔を少し不快そうに歪め文はため息をついた。
「何、元気そうで安心しているだけだ」
「ところで、大河っていう女の子は?」
「じっとしていられなかったみたいでな」
 グラハムは一瞬の沈黙の後答える。
「なんて無鉄砲な」
 文は再びため息をつくことになった。
 文としては大河がどうなろうと知ったことではなかったが、余計な面倒に巻き込まれる可能性が高くなるようなことはやめてもらいたかった。
「まあ、逃げる手段を持たしてやったから何とかなるだろう」
 その文の様子を大河の身を心配していると解釈したグラハムはそう付け加えた。


41 ◆/4zBz3jiVQ :2009/04/11(土) 11:46:29 ID:PF6BWMSk
「フラッグ、これを動かせばいい」
 映写室。
 情報を求めてそこに入りこんだ三人は機械をいじくっていた。
「文さん、無理しなくてもいいんですよ?」
 キョン子が声をかける。
 さっきまで気を失うほどの怪我をしていたのだ。
「いえいえ、平気ですよ。さっきのコッペパンには回復効果がついていたんですよ。まあ、さすがに疲労までは取れませんでしたが」
 文は喜々としてグラハムの説明に耳を傾けていた。
「動く写真ですか、それは素晴らしいですね。帰ったら河童たちに教えてあげましょう」
 文は自分を新聞記者だと言っていた。
 だから、おそらくこういうものに関心があるんだろうけど……
 異世界の新聞記者ってのはあんなに戦闘力がなきゃいけないものだろうか。
 キョン子は一人考えていた。


「むかしむかしあるところに子供達にいじめられていたカメを助けた浦島太郎がいて、お礼に竜宮城で乙姫らにおもてなしをうけましたが、帰って玉手箱をあけたらおじいさんになりました めでたしめでたし」
 映画館のスピーカーから流れる昔話の要約。
 上演時間というものも書いてあったが映画館の機器をいじってみるとその時間以外でも普通に映画は上演することができた。
「間違っちゃいないんだけどね」
 悪意の見え隠れする要約に苦笑しながらキョン子が呟く。
「だめだ、次を頼む」
 グラハムはこの映像は役に立たないと判断し映写室の中にいる文に声をかける。
 映像と音声は止まりしばらくして別の映像が流れだす。
 次に流れ出したのは実写のドキュメンタリーのようなもの、大改造劇的ビフォーアフターというらしい。
 しばらく眺めてこれも無意味だと判断する。
 グラハム達が映画の内容を確認しだしてから大分経つ。
 映画はどうやらコンピュータが勝手に選ぶらしくさらにその数は尽きることがなかった。
 無駄だったかな。
 グラハムはそう考え始めていた。
 次に流れ出す映像、『底辺ちゃん』という少女が出てくる物語。
「ん?ニコニコ動画?」
映像の中の一つのワードに目を止める。
 インターネットの動画サイト。
 一般人が動画を作りそれをみんなに見せる、そういう場所らしい。
 それはこの映画館に通じるものがあった。
 今まで見てきた映像は映画と呼べるものではないものが多かった。
 時間も十分を超えないものも多々あり少なくとも個人製作とおぼしきものが多い。
 少なくともこの映画館との関わりがあるのではないだろうか。
「ニコニコ動画か、覚えておこう」
 グラハムはそう呟きと文に次の映像に切り替えるように合図を送った。
 
 
42 ◆/4zBz3jiVQ :2009/04/11(土) 11:48:12 ID:PF6BWMSk
【D-2 映画館中/一日目・昼】
【キョン子@涼宮ハルヒコの憂鬱】
[状態]:健康
[装備]:DMカード【ユベル】@遊戯王デュエルモンスターズ (使用可能まで6時間)、
    言葉のノコギリ(レザーソー)@school days
[道具]:支給品一式、長門有希のギター、Ipod(少佐の演説の音声入り)@HELLSING
[思考・状況]
1:殺し合いには乗らない
2:とりあえず文さんたちと一緒にいる
3:町へ行きたいけど贅沢は言わない。
4:異世界という確信を得るため情報を得る。
5:生きて帰りたい
6:ユベルはなんで放送のこと知ってるの?
※グラハム、大河と情報交換しました。
【ユベルの思考・状況】
1:大好きだよ、十代……
2:十代に会うためこの世界を『愛』(苦しみと悲しみ)で満たす。
3:そのために女(キョン子)を利用し、痛みと苦しみを味あわせる。
4:彼女も誰かを愛しているのかな……?フフフ……
[備考]
※ 制限によりユベルは参加者の体を乗っ取ることができません。
※ 参加者との会話はできますが、自分からの実体化はできません。
※ バトルロワイアルの会場を異世界の一つだと思っています。
※ 自身の効果以外で破壊された時、第2形態、第3形態に進化できるかは不明


【グラハム・エーカー@機動戦士ガンダム00】
[状態]:ほっぺたにビンタ痕
[装備]:養由基の弓@三国志\(矢残り8本)
[道具]:支給品一式(一食分食糧と水消費)、ホイールオブフォーチュン@遊戯王5D's
[思考・状況]
1.フラッグ(文)に惚れた
2.フラッグを守る
3.ニコニコ動画か……
※参戦時期は一期終了後(刹那のエクシアと相討ちになった後)。
※キョン子、大河と情報交換しました。
※ニコニコ動画に関して断片的な情報を得ました。
※映画館ではニコニコ動画にある動画がランダムで流れますが参加者や主催に関わる動画は流れません。しかし基準がタグなので絶対にという訳ではありません。

【射命丸文@東方project】
[状態]:睡眠中、疲労(中)、服がボロボロ
[装備]:七星宝剣@三国志\
[道具]:支給品一式(一食分食糧と水消費)
[思考・状況]基本:一番大事なのは自分の命、次がチルノさん。後はどうでもいい。
1.情報収集。自己保身を優先する。映像を撮れるカメラに興味。
2.主催者の方が強そうだったら優勝狙い、脱出できそうなら脱出狙い。それまでは1に徹する。
  少なくとも人数が半分以下になるまでは立場を確定させない。
3.優勝狙いが確定しない限りグラハムと一緒にいてやる(ただし優勝狙いに決めたら速攻で殺す)。
4.ブロリーと出会ったら何を犠牲にしても全力で逃げる。
5.呂布、バルバトスを警戒。
43 ◆/4zBz3jiVQ :2009/04/11(土) 11:52:56 ID:PF6BWMSk
短かいですが以上です。
タイトルは『昔々あるところにニコニコ動画がありました、めでたしめでたし』です。
44創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 12:43:20 ID:pJ/EoIaV
投下乙です
なるほど、ランダムで動画を上映するのか。
文のウマウマが出たら映画館が壊されるんですね、分かります
45創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 14:44:48 ID:TViDqB92
投下乙です
文って前に「コッペパンを使ってすぐ回復しなきゃいけない傷でもない」って言ってなかったっけ?
あと機械いじくったとはいえ、映画館の上映時間無視はどうかと…
46創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 15:02:38 ID:utMDBTKv
投下乙ですが、起きたのに文の状態表が睡眠中になってますよ。
47 ◆4LgZV6zKDw :2009/04/12(日) 00:29:15 ID:MhEj+2KK
遅れて申し訳ありません。
メタナイト、美鈴、志々雄を投下したいのですが、
誰か支援してくださる方は居ますでしょうか。
48創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:29:43 ID:FjRtHe/B
いるよ
49創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:34:10 ID:qNfmpdHX
はい
50 ◆4LgZV6zKDw :2009/04/12(日) 00:34:40 ID:MhEj+2KK
では投下いきます

「よし…これならもう問題ねえ」

志々雄は医療品を取り出し、つい先刻負わされた傷の処置を済ませる。
自身が拠所とする、徹底した"自然"の象徴とも言える信条―『弱肉強食』に従い、
当初は参加者を見つけ次第、すぐに殺しにかかるつもりでいた志々雄であったが、
そんな彼も行動指針を変える必要性を薄々感じ始めていた。

「さて、どうするか…どうやらこの殺し合い、簡単に勝ち残れるという訳でもねェみてえだからな…」

DIOと名乗る男との戦いを経て、志々雄にはある一つの懸念が生まれていた。
それは、DIOのような未知の能力―もしくはそれに準じる支給品を持った参加者が何人存在しているのか、という事である。

病院での一戦において志々雄が体験した、数々の信じ難い出来事――
DIOが何も無い所から突如スタンドと呼ばれた人型の物体を出したかと思うと、
いつの間にか投げつけられていた凶器がほぼ零距離まで迫っており、志々雄は避ける事が出来なかった。

通常、物を投げつける際には明らかな予備動作が発生するものだし、
これまで幾多もの死線を潜り抜けてきた自分がその程度見逃すはずが無い、そう思っていた。
しかし、あの一瞬で得られた感覚は――気がついたら凶器が目の前まで迫っていたという事、
ただそれだけだった。

奇妙な能力を持っていたのはDIOだけではない。
あの時、DIOと共に攻撃してきた生きた人形――彼女も何も無い所から自在に蔓を出し、操っていた。
尤も、DIOの策に嵌ったことで既に事切れている故、それについて深く考える必要は無くなったのだが。
いずれにせよ、このような未知の能力を携えた参加者とこれからも出くわす可能性は高いだろう。
当然そんな相手に、何の対策も無しに挑むのはあまり利口なやり方とは言えない。
52創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:36:19 ID:FjRtHe/B
支援

考慮すべき点はもう一つある。志々雄自身が抱える、戦闘における制限時間だ。
志々雄は明治政府の裏切りによって全身を焼かれて以後、身体の汗をかく組織を完全に失い、
発汗による体温調節が一切出来ない体となっている。反面、これによって体内で無尽蔵に高まり続ける熱こそが、
志々雄がその人間離れした力を引き出す為の重要な源でもあった。

しかし――それでも身体の限界というものは存在し、15分以上の戦闘は命に関わってくる。
今は主催者達の手によって体温上昇の速度がある程度制御されている状態にある為に
15分以上の戦闘も不可能では無くなっているかもしれないが――、
いずれにしても志々雄にとってはこれが致命的な弱点である事に変わりは無い。
元より、長時間の激しい活動が出来ないというこの弱みがあったからこそ
志々雄は十本刀を始めとする大規模な軍勢を組織し、慎重かつ堅実に国家転覆を狙っていたのである。

自身が抱えるこの弱点と併せ、常識の枠を超えた方法で攻撃を仕掛けてくる相手と
連戦を行うと仮定した場合、優勝まで辿りつくのは困難を極めるだろう。
況してや複数で挑んでこられようものなら更に勝率は落ちる。

ならばこの殺し合いを勝ち残る為に、単純な戦闘能力以外に要となるもの――それは『情報』と『手駒』。

予め危険性の低い参加者との間でしばらく同盟を組み、
各参加者の支給品、能力、戦術、弱点などの情報が得られれば、それら各々に応じた対策も立て易くなる。
運が良ければ、首輪に関する有益な情報も手に入るかもしれない。

更に一度集団に潜り込みさえすれば、
高い戦闘能力を有する参加者の襲撃を受けた際もある程度有利な状況に立てる。
いざという時は、同行する参加者を囮に使って攻勢に出る、一時撤退するといった手段を取る事も可能だ。
同盟は利用価値が無くなった時に破棄し、その後はまた他の参加者に接触して同じ事を繰り返していけばいい。
54創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:37:46 ID:LB0H5Dtz
支援
55創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:37:59 ID:FjRtHe/B
支援

(互いに利用し利用される関係――、俺に勝てるという確信が持てる奴や余程自尊心が強い奴以外は
 この交渉に応じざるを得ないだろうさ。例え信念が違えど、少しでも長く生き残ろうとするなら
 その意志に見合った戦力ってヤツが不可欠だからな…)

あれこれ思案を続ける志々雄は、やがて前方から二つの人影が迫ってくるのを認識する。

――同盟を組むなら、それなりの実力があってかつ少人数で動いている奴が理想。
殺し合いに乗っていようがいまいが、利用する以上は同じ事だ。どちら側であろうと問題は無い。
早速、奴等に交渉を持ちかけるとしよう。

志々雄は全く怯む事無く、そのまま歩を進めた。



"二人"は、医療品を回収すべく病院を目指していた。
絶え間ない緊張状態の故か、例によって二人の間には殆ど会話が見られない。
その理由は緊張だけではなく、美鈴が一人苦悩していた事にもあった。

「………」

――結局どうする事も出来なかった。
図書館から離れた今となっては、もう既に藤崎の命がバクラの手に掛かっていてもおかしくは無い。
彼が死ねば、誰にも事実を伝えずに見て見ぬふりを続けていた私も共犯には違いないのだ。
そう考えると、果てしない罪悪感に襲われる。

会って間も無いとはいえ、共に生きて脱出したいと願う仲間を裏切るような真似はしたくなかった。
もっと正確に言うなら、ゲームに乗っている、乗っていないにかかわらず
故意に人を殺めるような残虐な行為に走りたくはなかった。

だが、脱出を成功させる為にもある程度の犠牲という物はやはり付き物なのかもしれない。
今は義に溢れる愚策よりも非情に徹した最善策を選ばなければ活路は見出せないのかもしれない――。

(でも…そしたら私自身の意志は―――)

57創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:39:59 ID:FjRtHe/B
支援

「美鈴!」

足元から大きく響いた渋い声で、私は我に返る。
視線を下ろすと、ゲーム開始直後からずっと行動を共にしていた
一頭身の騎士――メタさんがこちらを鋭く見据えていた。

「図書館を出てから随分と考え込んでいるようだが……何か私に隠し事をしていないか?」

私は思わず動揺する。確かに図書館を出てからは
殆どメタさんに意識を向けていなかったが、勘付かれていたとは。

「正直に話せ。内容しだいではあるが、極力お前にとって不利益な行動は取りたくない」

「…別に、私は何も…」

「言え」

「………」

今になって思えば――メタさんは鋭い。図書館に戻った時に藤崎が死んでいれば、
図書館で待機していた人達を疑うという事も十分考えられる。
今更私達に医療品を取りに向かわせたバクラの真意を明かした所でどうにもならないだろうが、
下手に真相を隠し続けてメタさんの信頼を失うような事だけはしたくない。
せめて彼には、今ここで真実だけでも伝えておくか――。

私は葛藤の末、白状する事に踏み切った。

「……ドナルドに、藤崎は足を引っ張る恐れがあるから始末してくれと頼まれたんです」

「なに……?」

メタさんは少し驚いた様子を見せた。予想通りの反応だ。
私はメタさんの反応を伺いつつも、力の無い口調で言葉を紡ぐ。
59創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:41:58 ID:FjRtHe/B
支援
60創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:42:02 ID:LB0H5Dtz
支援

「バクラにも同じ事が頼まれたんですが、彼は何の躊躇いも無くその仕事を引き受けました…。
 あのトキって人を助ける為の医療品を私達に取りに行かせたのはただの口実で、
 本当はバクラが安全に藤崎を殺せる時間を作る為の策略なんです」

「………」

メタさんは暫く何も言わなかった。
仮面で顔を隠している為に表情は全く読めないのだが、
私にはその時、仮面の穴から見える目の色が微妙に変わったかのように思えた。

「…成る程。自分には藤崎を殺す事は出来ない。かと言って計画を阻止したりすれば、
 首輪解除の為の頼みの綱であるドナルド達との間で歪が生じる。
 だからその場を黙ってやり過ごすしか無かったという訳か」

「…はい」

一応メタさんは理解を示したが、声の調子が普段と違っている。
やはり怒っているのだろうか。私が不安に思っていると、メタさんは再び口を開いた。
 
「…自分を責める必要は無い。このような自分の命が懸かった状況に立ち会えば、
 第一に何を優先すべきかという迷いが生まれるのは至極当然の事だ」

「………」

メタさんの口から出てきた言葉は、私に対する非難でもなく藤崎に対する哀れみでもなく。
私情や驕りといったものを一切感じさせない、妙な説得力のある言葉だった。
62創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:42:21 ID:qNfmpdHX
支援支援
63創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:42:57 ID:FjRtHe/B
しえん

「メタさん…怒ってないんですか?」

「別に怒ってなどいない。私としてはこれで藤崎が死ぬのは全くもって不本意だが、
 美鈴が悩んだ末に取った行動である以上は仕方が無いというものだ」

やはり彼もこんな不確かな要素だけを理由に藤崎を殺すのは良しとしなかったようだ。
勿論私にとってもそれが本心だった――にも関わらず、最終的には自らの保身を考える余り
罪の無い人を見殺しにする道を選んでいた。
メタさんの怒りを買わなかったのは良かったが、未だ罪悪感は消える事無く私の心に重く圧し掛かる。

「メタさん、私は…」

「美鈴」

私の心境を知ってか知らずか、メタさんは私に言い始める。

「お前が元の主やフランの為だけに戦うというのなら、それでも構わない。
 恩に報いるべく最後まで忠義を貫く、それもまた武人としての一つの道というものだ」

メタさんの言葉を聞いて私は思い出す。
そう、今私がすべき事はフランドール様をこの危険なゲームから護り通す事。それが最優先だ。
が、それ以外にも私個人が掲げる意志――果たすべき目的はあったはず。

「だが、私は出来る限り多くの参加者を救いたいと考えている。
 その為ならゲームに乗った者を殺す事も自分の命を投げ出す事も厭わない。
 例え途中で足手纏いとなる者がいようとも、その者を切り捨てるような真似は絶対にせん。
 この目に映る人々は最後まで護り通す――これが私の果たすべき士道だ」
65創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:44:50 ID:FjRtHe/B
支援
66創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:44:53 ID:NfhRwYAl
さすがナイトは度量が違った

思わず私は絶句する。何て強い騎士道精神を持つ人なんだろう。
私欲や邪念といった普遍的な感情に一切とらわれず、ここまで一つの正義や信念に忠実な人は見た事が無い。
私はメタさんを改めて尊敬し、同時にこの武人らしい生き方をもっと見習いたいと思った。
参加者を救いたいという意志の強さは私とて変わらない。
迷いをほぼ完全に断ち切った私は決意した。

「…私も考えている事はメタさんと一緒です。
 これからは絶対に、誰一人として殺させはしません」

例え自分が死ぬ結果になろうとも、最後までレミリア様とフランドール様――
そして他の力無き参加者の為に戦う。もう二度とこんな道は選ばない。絶対に。

「…そうか。ならば私はこの先何があろうともお前の味方でいる事を誓おう」

「こちらこそ。私も最後までメタさんに付いていきます」

色鮮やかに虹色な門番と、一頭身の仮面の騎士。
一見奇妙な間柄ではあるが、こうして二人の間には決して断ち切れる事の無い信頼関係が築かれた。

談義を終えた二人は再び歩き出し、やがて病院と思わしき建物がはっきりと見え始める。

「…あれが病院ですね。誰かいるでしょうか?」

美鈴が何気なくメタナイトに言葉を掛けるが、彼は返答を返す代わりにネギを構える。

「…構えろ、美鈴」

メタナイトの言葉に反応して視線を戻した美鈴は目を見張る。
そこに居たのは、嫌でも目を引かせるような一種異様な姿をした男。
全身に隈なく巻かれた包帯、それを覆う青い着流しと黒いブーツ、
そして包帯の隙間から覗かせる、凶暴な野獣の如き赤い眼。
68創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:46:35 ID:FjRtHe/B
支援
69創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:46:43 ID:NfhRwYAl
しえんしえん

「全身包帯の男…まさかあれが…」

「ああ、ドナルドやレンが言っていた特徴と寸分違わず合致している。
 間違いなく――あの男が志々雄だろう。」

ドナルドやレンによると殺し合いに乗っている側――即ち、即刻で排除すべき危険人物である。
メタナイトと美鈴は志々雄に向かって鋭い視線を投げかけながら、相手の出方を伺った。

対する志々雄はじっと身構えている二人の方へゆっくりと歩み寄りつつ思考を働かせる。
一対二という、あちら側にとって優位な戦局でありながら一向に襲ってこない所を見ると
殺し合いに乗っている訳では無さそうだ。「しめた」と思った志々雄は即座に両手を挙げ、二人を制止する。

「まあ待て。俺はお前らに危害を加える気は無い。だからここはひとまず、情報交換と行こうぜ」

志々雄は攻撃を仕掛けることなく話を持ち掛けるが、二人は戦闘体勢を解こうとはしなかった。
事前に目の前に居る相手がゲームに乗っていると聞かされているのだから当然と言うべきだろう。
しかし、それ以上にこの志々雄真実という男が、そのあまりにも異質な風貌もあってか
直接肌で感じ取れる程の危険な気配を醸し出していたからである。

メタナイトは、志々雄がいつ攻撃して来てもいいように万全な体勢を保ったまま口を開いた。

「…貴様が志々雄真実だな。」

「あん?何故俺の名を………ああ、成る程。あの道化師と小僧の二人組に接触したって訳か」

志々雄は冷笑を浮かべながら納得した様子を見せた。
血肉を貪る獣をそのまま生き写したかのようなその目はとてつもない殺気を放っている。

「俺の事を知ってるなら話は早い。いかにも、俺が志々雄真実だ。
 そっちも名乗りぐらいは上げてくれてもいいんじゃねえか」

「…紅美鈴、です」

「…メタナイトだ」

二人は警戒を緩める事なく、淡々と質問に答える。
71創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:48:00 ID:FjRtHe/B
しえん
72創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:48:17 ID:NfhRwYAl
しえんしえん

「フ、礼儀を弁えてるじゃねえか。
 しかし、こんな一頭身の化け物まで参加させられていたとはな。正直驚いたぜ」

「! …化け物……」

辺境の星、ポップスターで生きるメタナイト自身、これまで人間と呼ばれる種族と関わった事は殆ど無い。
だがそれでも、人間相手に化け物等と形容されたのは初めてだ。
屈辱的な言葉を浴びせられ、ゼロの仮面の下に隠されたその顔に薄っすらと青筋が浮かぶ。

そんなメタナイトの心情を悟った美鈴が慌てて彼に普段の平静さを取り戻させようとする。

「た、ただの挑発ですよ!落ち着いてくださいメタさん!」

「ム……」

確かに彼女の言う通りだ。
戦いの場において、一時の感情に振り回されるようでは後々それが死に繋がる。
メタナイトは込み上げてくる怒りを何とか抑えた。

その様子を眺めていた志々雄はくつくつと笑いながら、また嘲笑うかのような口調で言い始める。

「おっと、気に障ったか?まあ口さえ利けるんならどうだっていいぜ。
 ところでよ、お前ら俺と同盟を組む気はねえか?」

「「!?」」

志々雄の発言は二人にとって予想だにしないものであった。
美鈴はしばらく動揺していたが、一方でメタナイトは志々雄の狙いを悟ったらしく、咄嗟に言葉を返す。
74創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:49:45 ID:FjRtHe/B
支援

「…私達を利用するつもりか」

即座に自身の思惑を言い当てられた志々雄は、
逆に「思い通り」と言わんばかりの不敵な笑みを溢し、説明を始める。

「察しがいいな……そう、お前らが知っての通り、俺はこの殺し合いに乗ってる。
 だが、そう簡単には生き残れそうにもねぇって事が分かってきたんでな。
 そこで一時的な協力者って奴が欲しい所なのさ」

「………」

二人はただ無言でそれを聞く。

「同盟を組む事に賛成するってんなら、俺が持つ支給品の一部や情報は全てお前らに提供しよう。
 そしてお前らと同行している間でなら、俺が許す限りそっちの行動指針に従って動いてやる。
 大方お前らも殺し合いに乗ってる連中は容赦なく殺っちまおうってクチだろ?
 それくらいはお前らの目を見りゃ分かるぜ」

――読まれている。やはりドナルドやレンの言ったように只者では無いらしい。
志々雄の洞察力を見せ付けられた二人は心の中でそう確信する。

「どうだ、お前らにとっても悪くねぇ条件だと思うんだが?
 この医療品一式も必要とあらば、いつでも使わせてやるぜ。」

志々雄は傍に置かれた救急箱のような容れ物を指差した。
医療品の回収が目的であった二人は当然それを聞いて驚かざるを得なかった。

「医療品だと?」

メタナイトがあからさまな反応を示したことで、志々雄は二人の目的をすぐに悟る。
76創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:50:25 ID:qNfmpdHX
支援のキワミアーww
77創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:50:31 ID:NfhRwYAl
アドは人にしては背が小さすぎるからな支援
78創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:50:34 ID:+GYskKmJ
しえんしえーん
79創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:51:19 ID:+GYskKmJ
世界一抱かれたい一頭身支援

「フフフ…そうかそうか。進行方向からして、病院に行って医療品を回収する気だったんだろ?
 だったら悪い事は言わねぇ、病院に行くのは止めにして素直に俺の交渉に応じな。
 あそこは今殺し合いに乗ってるもう一人の奴が占拠してる。
 行った所で無駄な戦闘に巻き込まれるだけだぜ」

今の病院は危険――体の数箇所に傷を負っている志々雄はそう証言するが、
志々雄に対する二人の疑念は全く晴れる事は無い。医療品を持っているという事は
一度病院に行った事は確実だろうが、今負っている傷も病院ではなく
他の場所で誰かに付けられたものだという事も十分考えられる。
こんな男など信用出来たものではないのだから。

「お前の言葉を信じろと言うのか?」

「フ、まあ信じる信じないはお前らの勝手だ。
 だがこの交渉を断った所でお前らには何の得も無いと思うぜ。」

「………」

――どうするか。志々雄の主要武器は恐らくあの腰に提げた刀。
殺傷力が高くそれでいて間合いを生かした戦闘が可能な厄介な武器――。
そして私には分かる。あれは違う事無き『剣客』の目だ。少なくとも相当の実力者である事は間違いない。
二対一とはいえ、武器がネギしか無い私と近接戦闘でしか決定打を与えられない美鈴では
この男相手に勝ちを収めるのは難しいだろう。よしんば勝てたとしてもかなりの痛手を負う事は必至――。

メタナイトが思考を巡らせる一方で、美鈴は念を入れて志々雄に問い質す。

「…拒否すれば…私達を殺すつもり?」

「さあ、どうだろうな」

志々雄はわざとらしく曖昧に答える。その表情は依然として余裕であった。
まるでこの交渉の場の主導権は完全に握っていると主張するかのように。
81創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:52:44 ID:FjRtHe/B
支援
82創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:53:17 ID:TOw/xD1m
CCOがなんかカッコイイ
83創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:53:21 ID:+GYskKmJ
支援
84創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:53:38 ID:w10TqBGV
支援
85創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:53:47 ID:FjRtHe/B
逆襲の支援

――やはり、この場はあえて志々雄の言う通りにしておくのが得策か。
こいつは何時どのように動くか分かったものではないが、
何も無い内から私達を殺しにかかるような無意味な行動にはまず出ないはず。
志々雄は常に注意深く監視しておけばいいし、こちら側の戦力が磐石なものとなった時に倒せばいい。
首輪解除班の保護という重要な役割を担っている私達にとっては、こちらが正しい選択のはずだ。

メタナイトはやがて結論を出した。

「…いいだろう。その話に乗ってやる」

「!? メタさん、いいんですか!?」

「同盟…成立だな」

慌てふためく美鈴を尻目に、メタナイトは今も尚、志々雄を鋭く睨みつけていた。
志々雄はそれにも動じず、相変わらず不敵な笑みを絶やさない。

かくして一時的な戦線協定を結んだ三人は図書館へ戻るべく歩き始める。
ただ――この一件で二人、特にメタナイトの志々雄に対する敵意は一層強まったようである。
メタナイトはやや離れた後方を歩く志々雄に対して心中で言い放つ。

――お前が私達を利用し、このゲームを優勝するつもりなのであれば…
私もお前を存分に利用してやろう。望む所だ。
こうなった以上、もう誰一人としてその私欲に満ちた思想の下に振るわれる剣の餌食にさせはしない。
志々雄真実――お前の野望はいずれ私が必ず打ち砕いてやる。

仁義を貫く仮面の騎士と幕末の炎から出でし修羅。
この二人の間にまた一つ、新たな因縁が生まれようとしていた。
87創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:53:58 ID:NfhRwYAl
支援板に吊るしてギリギリ太るカレーセット、アーッ!
88創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:54:39 ID:TOw/xD1m
キャーメタ様ステキー
89創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:54:58 ID:FjRtHe/B
シークレット支援U
90創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:56:35 ID:+GYskKmJ
キャーCCOサーン
91創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:56:37 ID:NfhRwYAl
創作発表版であった怖い支援
92創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:56:57 ID:EZf4bcVj
たかい
さむい
支援ダス
93創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:58:11 ID:MSpBkvsY
おい、支援しろよ
94 ◆4LgZV6zKDw :2009/04/12(日) 00:58:27 ID:MhEj+2KK
とりあえず話の方は終了です
状態表もすぐに投下しますのでお待ちください
95創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:58:53 ID:qNfmpdHX
投下乙です
96創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 01:01:23 ID:w10TqBGV
待てねえ!投下乙だ!

【D-4 草原/1日目・昼】
【志々雄真実@るろうに剣心(フタエノキワミ、アッー!)】
[状態]:数箇所軽い刺傷、右足に傷。いずれも処置済み
[装備]:日本刀@現実
[道具]:支給品一式、医療品一式、禁止エリア解除装置@オリジナル、スタポカード刺しクリップ@
Ragnarok Online、リボン@FFシリーズ、
[思考・状況]
基本思考:弱肉強食の理念の元、全員殺害し元の世界に戻って国盗りの再開をする。
1:メタナイトと美鈴、それに追随する参加者を利用する
2:出来るだけ多くの参加者と接触し、情報を得る
3:余裕があれば禁止エリア解除装置を使った盛大な罠を張る
4:小僧(鏡音レン)を利用する。ドナルドがどう動くか気になる
5:次会ったらDIOを殺す
6:無限刃が欲しい
7:機会があれば首輪を調べる、その為の人材なら生かしてもいい
8:鳥頭(相楽左之助)は優先的に殺す

[備考]参戦時期は剣心が宗次郎戦を終えた時期からです。


【メタナイト@星のカービィ(メタナイトの逆襲)】
[状態]顔面打撲、ゼロマスクメタナイト
[装備] ネギ@初音ミク(お前ら全員みっくみくにしてやるよ)、ゼロの仮面(顔が入るサイズに改造)@コードギアス
[道具]支給品一式、バトルドーム@バトルドーム 、割れた仮面@星のカービィSDX
[思考・状況]
基本思考:参加者の救出及びゲームからの脱出
1:図書館へ戻る
2:志々雄真実を警戒
3:美鈴の知り合いの情報集め
4:殺し合いに反対する者を集める
5:脱出方法を確立する
6:触覚の男との決着

※呂布との戦いでネギが2cmほど短くなりました。
※北に目撃した参加者は誠、南に目撃した参加者はキョン子とアカギです。
※E−2付近の川底で何か見たようです(気のせいという可能性もあります)
※フランドールと情報交換をしました。また、東方project出展のキャラについてそれなりの情報を得ました
98創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 01:11:43 ID:f6dBA0MY
投下乙です

【紅 美鈴@東方project】
[状態]健康、フランドールへの絶対的な忠誠
[装備]無し
[道具]支給品一式
[[思考・状況]
基本思考:参加者の救出及びゲームからの脱出
1:図書館へ戻る
2:志々雄真実を警戒
3:日没までに映画館へ戻りフランドールと合流する。フランドールの意思を最優先
4:十六夜咲夜を警戒
5:知り合いの情報集め
6:殺し合いに反対する者を集める
7:ちゃんとした剣をメタさんに持たせたい
8:脱出方法を確立する
9:テトを探す

※主催が簡単に約束を守ってくれる、とは考えていないようです。
※フランドールと情報交換をしました。
100 ◆4LgZV6zKDw :2009/04/12(日) 01:13:45 ID:MhEj+2KK
以上で投下終了です
予約日から長らく時間を取ってしまい申し訳ありません
101創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 01:13:47 ID:FjRtHe/B
投下乙です
102創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 01:14:42 ID:NfhRwYAl
おつおつ

なかなか複雑になってまいりましたな
103創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 01:17:23 ID:qNfmpdHX
ccoも半ばステルス化かな
もとから優勝狙いで方針をかえる気にない相手は対主催にとってやっかいだな
104 ◆F.EmGSxYug :2009/04/12(日) 02:46:11 ID:13KC+iap
投下乙。
図書館組みには危険人物が多すぎだぜ……

というわけでこっちも投下します。
105違う自分 -ADVENT- ◆F.EmGSxYug :2009/04/12(日) 02:46:59 ID:13KC+iap

ドナルドは不満だった。表情は依然として、笑みのままだが。
ビリーが話しかけてきている以上、注意をそちらに向けるしかなかった。
それでもなんとか耳をそばだて、チルノとレンの会話もしっかりと聞いておく。

「よーするに。
 スペルカードルールってのは死なないような戦いを前提にしてるのよ」
「へぇ……」

チルノが話している内容もまた、ドナルドにとっては頭が痛い。
主催者を気に食わないとは思っているドナルドであるが、
「殺し合いを見るのは楽しい」ということに関しては同意見だ。
チルノの意見などケンタッキーのチキン並みに唾棄すべき事象でしかない。
しかもあのバカはそれをせっかく洗脳したレンに語っている。
(ドナルドにとっての)悪影響を防ぐためにもさっさとチルノを洗脳すべきなのだが、
下手にチルノへと執着して、余計な猜疑心を持たれては困る。
こうなった以上はしょうがない。大人しくビリーと話すしかない。
ただし、どうせ話すなら有益なものを。切り出していた話題は、死者について。
今二人が話しているのは、パンツレスラー達。
既にこの世の者ではない、赤さんとカズヤについてである。

「……要するに、その二人はビリーの知り合いだったってことだね。
 ビリーはなんで平気なのかな?」
「死は覆せない。過去を振り返ってる暇があったら、前に進んだ方がいい。
 二人とも、最期まで歪みねぇ生き方を貫いたはずさ」

そう言うビリーの表情に、影は無い。後ろを向かず、ただ前を向いて歩く漢の顔。
それを聞きながら、笑顔でドナルドは結論を出した。

――こいつは駄目だ。使えない。

ビリーはこの殺し合いの中でも、確固たる自分を保っている。
恐らく、簡単に洗脳される存在ではあるまい。
それどころか、ドナルドの真意を知ればすぐに妨害工作に走るだろう。
人が死のうとも、その死を乗り越えた上で自分の意志を貫き通す。
歪みねぇ在り方を求め、だらしねぇことを嫌う兄貴であるがこそだが……
ドナルドにとっては、そんなものはこれ以上なく邪魔だ。
道化とは外から滑稽に、変化球で相手を茶化すもの。歪んだ形で表現する存在である。

(こうなると、わざわざ付き纏ってくるのも怪しいなぁ。
 天然かな? それとも、ドナルドの狙いに気付いたのかな?)

笑顔の裏で、策謀を巡らせるドナルド。
正解は前者であるが、これに関してドナルドは正解がどちらかを調べる気はなかった。
どちらにせよ、自分が妨害されているという事実は変わらないのだから。
害をなすものにぶつけるのが妥当だと思ったが、誤りだったらしい。

(早く手を打たないとね……)

わざわざ悠長に待ってやる暇はない。
片付ける機会が来たら、さっさと処分するべき。
それが、ドナルドの出した答えだった。

106違う自分 -ADVENT- ◆F.EmGSxYug :2009/04/12(日) 02:47:42 ID:13KC+iap

「それで、あたいはちゃんとやったんだけど。ルナの奴がうっかり手を滑らせてさー」

あたいは歩きながら、レンとかいう奴と話してた。
今は自分のさいきょーっぷりを証明するために、
サニーたちの悪戯に付き合ってやった話をしてやってるとこ。

「……なあ、一つだけ聞いていいか?」
「言ってみなさい、さいきょーのあたいがちゃんと答えてあげるわ!」
「いつの間にか話逸れてるような……」
「え? そうかな」

外側だけ凍らせて中は水のままにしておく、
なんてあたいにしかできないと思うんだけどなー。
ま、レンがこの話を聞き飽きたって言うなら仕方ない。

「他の話が聞きたいって言うんならいいけどさ。
 そーねー……ミスティアの焼き鳥撲滅作戦に付き合って、
 クリスマスに人里へ七面鳥を解放しに行った話とか」
「…………」

あたいの言葉を聞いて嫌そうにするレン。なんでよ。ノリが悪いなぁ。
最初はノリノリであたいの話を聞いてた癖に。

「なら新しく妖怪の山の上に来た蛙に勝負を挑んだ話に……」
「……いや、俺が聞きたいのはそういうのじゃなくて」
「ちょっと待った。誰かこっちに来てないかな☆」

あたいの話にドナルドが割り込んできた。少しむかついた。
とりあえずドナルドが指差している方を眺めると……
確かに誰かこっちに歩いてきているような気がしなくもない。

「これでもドナルドは視力には自信があるんだ☆」
「ふーん」

ドナルドの言葉を適当に流す。
文とたまに一緒にいるい……いな……いに……いぬなんとかより目がいいのかなぁ。
しばらくすると、あたいの目にも歩いてきた奴の姿がはっきり見え始めてきた……

107違う自分 -ADVENT- ◆F.EmGSxYug :2009/04/12(日) 02:48:22 ID:13KC+iap

遠くを眺めながらも、ドナルドはほくそ笑む。
放送前に、ドナルドはつい自分の能力の一端を見せてしまった。
聞いたのはレンとタケモトだけ。しかし、後々あの事が話題にならないとも限らない。
列車の中に誰が乗っていたか、それについて話し合うことは有りうる。
ならばあらかじめ先手を打っておき、「自分は異様に目がいい」という事にしておく。
幸いチルノの住む幻想郷――ビリーと話しながらも盗み聞きした――では、
多種多様な能力を持つ生物がいるようだ。特に問題はないだろう。

(……さて、と)

注意をこちらへ歩いてくる相手へと戻すドナルド。
時刻は真昼間で、曇ってもいない。
視界はこれ以上なく万全、もう常人の肉眼でも見える距離だ。
歩いてきているのは、恐らく女性……いや女子。
歩くペースにせよ構えにせよ、何か特異なものは無い。
寧ろ、無防備だと言ってもいいだろう。

(となると、恐らくは一般人だね)

ドナルドにとってはその方がありがたい。
実力が無いものは、得てして精神もまた成熟していないのが常。子供がいい例だ。
洗脳する上では、当然精神的に発達していないほうがやりやすいのだが……

(……あれ?)

そこで、ドナルドは後ろから放たれた気配の変化に気付いた。
視線を動かさないまま、注意を後ろへと向ける。
その段階で、だいたい情勢は理解した。そして、この後起こるだろう事も。
それを予測しながら、敢えて道化師は止めず。

(なるほどね。使えるかもねぇ、彼女☆)

ただ、ほくそ笑んだ。

108違う自分 -ADVENT- ◆F.EmGSxYug :2009/04/12(日) 02:49:03 ID:13KC+iap

「……女の子……かな」

向こうから歩いてくる誰かを見ながら、レンが呟いている。
けど、なぜかあたいは歩いてくる相手そのものを見る気になれなかった。
理由は単純、他に注意を引くものがあるから。
あいつが持っている剣が、なんか気になる。
あの色合いやカタチ。
もし自分が剣を作ってもらうとしたら、きっとあれと同じ物を頼むと思う。
別に氷のように綺麗な刀身を持ってるわけじゃない。
そういった綺麗さなら、妖夢の剣の方がよっぽど綺麗だ。
ごちゃごちゃにした色んなお菓子を一本に組み合わせたようなカラフルな剣。
案外バラバラに分解できたりするのかもしれない――いやまぁ五本も六本も持ってても、
手は二つしかないんだから意味無いけど、それでもなんとなくその方がかっこいいし。
あいつがなんとか構えられているところを見ると、あたいでもなんとか扱えそうだし。
それに、上手く扱える剣があれば、りょほーせんと接近戦でもちゃんと戦えるかも……

……要するに、あたいはあの剣がなんか気に入っている。
いや、気に入っているどころの話じゃなくて。
そう、まるで……以前実際に、あたいはあの剣を作ってもらったと思えるくらい、
なんかあれはしっくりと来ていて……

そんなことを考えていると、突然すごい音が後ろから響いた。

「……ちょ、ちょっと!?」

歩いてきたやつも、驚いたように剣を構えている。
その目が向けられている先は、やっぱりあたいの後ろ。
慌てて後ろを見ると、ビリーがことのはの銃を掴んでるのが見えた。
その下の地面には、まるで何かが撃ち込まれたように穴が開いている。
歩いてきたやつを撃とうとしたことのはを、
武器を無理やり下に向けさせることでビリーが止めたみたい。

「こんな場だし過敏になるのは仕方ないね。
 でも、話も聞かずに殺そうとするのはだらしねぇな」
「……すみません」

ビリーの言葉に、大人しくことのはが頭を下げる。
まあ、それにおかしいところはないと思う。けど。

「…………?」

今なんか、ドナルドが変な表情をしてたような。
まぁ、あいつは普通に変な顔だし、いっつも変な表情だけど……気のせいかな?
そんなことを思うあたいを余所に、ドナルドが歩いてきたやつに話しかける。

「言葉ちゃんが先走ってすまないね。彼女、臆病な性格かもしれないから☆
 少なくとも、ドナルド達は君を殺そうと思ってるワケじゃないよ」
「……そ、そう。変な真似はやめてよ全く」

とりあえず、歩いてきたやつは剣を下ろした。と言ってもまだびくびくしてるけど。
特にことのはに対しては撃たれても当たらないようにしたいのか、
微妙に他のやつの影に隠れた位置にうごいてる。
弾を一つ撃たれそうになったくらいで、臆病なやつだなぁ。
109違う自分 -ADVENT- ◆F.EmGSxYug :2009/04/12(日) 02:50:00 ID:13KC+iap

「それよりあんた、俺の兄妹を見なかったか?
 まず緑色の髪をしてて……」
「レン、まず自己紹介しないとわけが分からないとドナルドは思うんだ。
 みんなも自己紹介しようよ☆」
「え……あ、ごめん。俺は鏡音レン。兄妹を探してる」
「……逢坂大河」
「ビリー・ヘリントン。パンツレスラーをやらせてもらってるね」
「今まで言った通り、ドナルドはドナルドだよ☆」
「……桂言葉です」
「あたいはチルノ。さいきょーの妖精よ!」

あたいとその部下のさいきょーな自己紹介を聞いて、タイガは。

「……お前ら、変なのばっかり」

そんなことを言った。

「変なのってゆー……」
「まあ変な集団に見えることもあるかもしれないけど、仕方ないね」
「幻想郷さいきょーのあたいが変なのなわけないでしょ!?」

あたいの言葉をビリーが遮る。手下の癖に。しかも変なのだって認める始末。
思わず言い返そうとしたところで、

「……ちょっと待って。今、幻想郷って言った?」

大河から、予想外の言葉が返ってきた。その言葉に一番早く反応したのは、レン。

「大河はチルノと知り合いなのか?」
「あ……そうじゃなくて、グラハムってやつからの又聞きだけど、
 キョン子を助けてくれた文って天狗が幻想郷とか言うところから来たとか……」
「えー……あの新聞ガラス?」

思わずテンションが下がる。声の調子も下がる。
あいつとの思い出で思い浮かぶのはでたらめな記事書かれたりとか、
池を飛んでたらストーカーされたりとか、変な写真集作られたりとか、そんなの。
負かしてもニヤニヤしてるから始末に終えない。
絶対あたいの部下になんかならないと思う、あいつ。
というか部下にしたら変なことされそうな……
そんなあたいを余所に、勝手にレンは話を進める。

「それで、そのアヤとかいう奴はどこにいるんだ?」
「あいつなら映画館で寝てるわよ」
「じゃあチルノは今すぐ映画館に行った方がいいんじゃないか?」
「あのブン屋なら放っておいても死なないわよ、きっと」

レンの言葉にそう返す。
しょーじきあいつが大人しくやられるところが思い浮かばないというか。
そういう意味では、信頼してるのかもしれない。
さいきょーのあたいは、やられることさえしないけどね。
110違う自分 -ADVENT- ◆F.EmGSxYug :2009/04/12(日) 02:50:50 ID:13KC+iap

「そんな事を言ってる場合じゃないだろ! そいつが誰かに殺される前に……」
「チルノにはチルノの事情がある。
 レンが兄妹に一刻も早く会いたいのは分かるけど、
 自分の感情を他人に押し付けるのはよくないね」
「だ、だけどさ!」

しつこく食い下がってくるレンを、ビリーが止めてくれた。
さすがあたいの部下、レンも見習ってほしいなぁ。
そんなことを考えていると、ぽんぽんとあたいの肩を大河が叩いた。
相変わらずことのはと真正面から向き合わないように隠れてる。

「あんた、あいつと知り合いなの?」
「……一応」

からかわれたり悪戯されたり盗撮されるのを知り合いというなら、
そうなんじゃないかなぁ。まあいたずらならあたいもよくやるけど。

「聞きたいんだけど……文って怒ると怖い?」
「あんた、なんかしたの?」
「……ちょっと」

そういう大河の顔は微妙に暗い。何か負い目でもあるんだろうか。
でもそんなこと言われても、あいつはいつもニヤニヤ余裕ぶってて、
本気で怒った所なんて見たことない……
どう答えようか考え込むと、ふと大河の持っている剣が再び目に入ってきた。
そこで思わずひらめいた言葉が一つ。あたいったら天才ね!

「教えてもいいけど、じゃあその剣貸してよ」
「え?」

目に入ってくる、きょとんとした表情。
それを無視して、言葉を続ける。

「だってなんかかっこいいじゃん、それ。
 それ貸してくれたら教えてあげる!」
「……かっこいい……ねぇ。でもこれ、おもちゃみたいな装丁……」
「ハッピーセットが子供達に売れるのと同じだよ☆」

ドナルドにはこの剣のかっこよさが分かるらしい。さすがだ。
ハッピーセットとか言っている意味は全然分からないけど、
きっと「この剣はかっこいい」って意味なんだろう。たぶん。

「……まぁ、いいけど。ほら」

ともかく、大河は剣を差し出してくれた。
ひとまずその剣に、手を伸ばす。
握ってみると、やっぱりしっくりと来た。
ちょっとまだおっきいけど、あたいがもう少し成長すればいい感じに――

「……あれ?」

なんか、頭が、くらっとした。

111違う自分 -ADVENT- ◆F.EmGSxYug :2009/04/12(日) 02:52:00 ID:13KC+iap

「…………じゃない?」
「……方ない……」

いつの間にか閉じていた目を開けると、周りの風景が変わっていた。
背中には変な感覚。何か建物に背もたれているみたい。
と、レンの言葉が耳に入ってきた。

「あ。あいつ、目を開けたみたいけど」
「……何があったの?」
「剣を握った瞬間、突然君が倒れてね」
「といっても、二十分くらいしか経ってないけど☆」

ビリーとドナルドの言葉に、とんとんと頭を叩く。
なんか、あの剣を握ってからいきなり時間が飛んだような気がする。
いや、気絶したみたいだから実際トンだみたいなもんだろうけど。
とりあえず起き上がる。別に動きに支障はなさそう。
どうやら、ホテル……だっけ?ここはその庭みたいだ。
噴水があるし、明らかに人の手が入っている木が植えられてる。

「チルノちゃんには起きたばっかりで悪いけど、
 君は大河ちゃんと一緒に図書館に行ってくれるかな?
 彼女に護衛が必要だし、疲れてる君は戦わずに休んだ方がよさそうだからね☆」
「……あたいは別に疲れてなんかないわよ」
「あのな、倒れた奴が言っても説得力ないだろ」

レンの言葉にむっとする。あれは剣のせいかもしれないのに。
でも、口には出さない。なんとなく、あの剣を悪く言うのは嫌だ。

――仮にも、アタイの名前が入っている剣なんだから。

そんなことを考えていると、ビリーが近づいてきて耳打ちした。

「言葉と大河を一緒にいさせるわけにはいかないから、仕方ないね」

どうやら、二人はまだピリピリしているらしい。
視線を移すと、相変わらず言葉は少し離れた位置で黙っている。
まぁ……二人を引き離す口実を兼ねているなら、しょうがないのかな。
そこまで考えたところで、ふと思った。

「……そういえばあの剣は?」
「あれなら普通に私が持ってるけど」

あたいの声に、大河が答える。
どこにあるか分かったなら、話は早い。

「出発する前に、もっかいあの剣を貸してくれない?」

あの剣を握ったときの、変な感覚。
あれはあの時あたいがたまたま倒れたのか、それともやっぱりあの剣のせいなのか。
少なくともそれを確かめておきたい、んだけど。
112違う自分 -ADVENT- ◆F.EmGSxYug :2009/04/12(日) 02:52:52 ID:13KC+iap

「……なんかやたらこの剣に拘ってみたいけど、あげないよ。
 私、これしか武器が無いんだし」

一回ちらりと言葉を見た後、そう大河は返事を返してきた。
つくづく言葉を信用してないみたいだ。
……ちょっと困った。確かめたいのはもちろんだけど、できれば、この剣欲しいし。

「でも、武器は一番上手く扱いやつの手元にあるべきよね!」
「……よーするに、あんたの方がこの剣を上手く使えるって言いたいの? 
 私よりチビなのに?」
「そりゃもちろん。
 あそこにある木を、切り倒せるくらいには」

口からでまかせ。
ただ木が目に入ったから、思いつきで適当に言ってみただけ。
それなりに歴史がある木なのか、結構太い。だから目に付いたんだろうけど。
妖精の隠れ家としても成り立ちそうな、そうそう折れそうにない大きな木。
――それでも。
なんか今のアタイには、なんとなくそれが出来るような気がするのも事実だった。

「……じゃあ、やってみせてよ」

案の定、大河はそんなことを言いながら剣を渡してきた。疑問げな表情もセットで。
まぁ、斬れなかったらそれはそれでいい。
剣を握って、さっき起きたのがたまたまなのかどうか確かめられるだけでもいいし……
頭の中に浮かぶ、よくわかんないイメージを実践して確かめたいし。
渡された剣の柄をもう一度、警戒しながら握って――

「……づっ!?」

慌てて握力を緩める。気のせいでも、偶然でも、たまたまでもなかった。
今回は気絶しなかったけど、それでも意識が揺らぐ。
身体は少しも傷ついていないのに、頭が雪崩に押しつぶされたような圧迫感。
あるいは頭が湖の氷みたいに、上に乗った重さに耐え切れず砕けるような錯覚。
まるで雪が解けるように、一瞬握っただけで意識が消えかけた。
けれど、感じたのは熱さじゃなくて、眼を痺れさせるような鋭い寒さ。
あたいは寒いなんて思ったことはあんまりないのに、
まるで、身体の中に尖った吹雪が凝縮されて押し込まれたように。

「は……あ……ぅ」

なんとか吐息を漏らして、気分を落ち着ける。
今だって、呂布にやられたとこが少し痛い。
だけど、さっき流れ込んできた辛さに比べればそんなの痛みとさえ呼べない。
剣を握るとよくわかんない痛みと……なんか知らないけど、
やっぱりよくわかんない変な何かが流れ込んでくる。
……いや、水とかみたいな、実際にあるものが流れ込むんじゃなくて。
何か、変なものが……見えるというか、感じると言うか。
あたいには、上手く表現できないけど。

「やっぱお前、疲れてるんじゃないか?」
「平気よこれくらい。ちょっと待って……」

レンの言葉を適当に流して、剣の柄をとんと叩く。直接持たなきゃ大丈夫だと思う、多分。
それで、柄の周りが凍った。凍ったのは周りだけで、柄自身は少しも凍ってない。
サニー達に頼まれてカープボールを作った時と似たような感じだ。
氷越しに、剣を握り直す。予想通り、今度は何も流れ込まず意識が飛ばない。
113違う自分 -ADVENT- ◆F.EmGSxYug :2009/04/12(日) 02:53:38 ID:13KC+iap

「えっと、何やってんの?」
「こっちの方が握りやすいの。あたいなら氷はすぐ消せるし文句言わない」

てきとーに言葉を返して、バスタードチルノソードをバラした。
ウエハースが二つ、チョコエッジが二つ、スイカソードが一つ。
あたり剣を軸として組み合わさっていた一つから、五つになって外れる。
といっても完全に外したわけじゃなくて、ブラブラしながらくっついてる。
もちろん、わざと。そのまま構えようとすると、剣の持ち主が変な声を上げた。

「……その剣、そんなことできたの?」
「なんだ、あんた知らなかったの?
 ま、アタイに掛かればこれくらい簡単さね。
 ……ところで、あんたなんて名前だっけ」
「……大河。忘れるの早すぎ」
「そりゃゴメン。それじゃ――行くよ」

大河の言葉を適当にスルーして、木から数mほどのところで構える。
――どんな風に構える?そんなの、『いつも通り』構えるに決まってる。

「ブレイク! 奥義……」

魔力を全開にして、五剣の止め具を完全に外しながらあたり剣を振った。
剣を振った勢いで、五剣はあたり剣から完全に外れて飛んでいく。
魔力による制御も合わせて、飛んだ五剣は綺麗に木の幹に撃ち込まれる。
同時に、地を蹴る。撃ち込まれたのは五つの剣。舞い散るは氷の華。
そして、手元に残るは一つの大剣!

 ヒョウカキョウショウ
「氷華H咲!」

そのまま突進するような勢いで、手元に残したあたり剣を振り抜いて……

「あだっ!?」

勢いを殺しきれずに、転んだ。
おっかしいなぁ。普通に出来ると思ったんだけど。
けれど、周りはずっこけたあたいを見ていない。

「――うわ」
「……大当たり……じゃないか。ちぇ」

鈍い音を立てて切り倒された木を、見ているから。
起き上がりながら、ぱんぱんと埃を払う。
……でも、アタイとしては不満だ。
森羅仕込みの剣技ならこれくらい簡単に両断できると思ったのに、
あたり剣は木の幹の途中で止まっていた。
半分以上は切れたから結果として木は倒れたけど、普段の50%も成果を出せていない。
転んだときといい、どうも身体の動きが中途半端にしか思い出せていないような……

「……あれ?」
114創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 02:53:42 ID:KFLFewPR
ドナルドは嬉しくなると、つい支援しちゃうんだ
115違う自分 -ADVENT- ◆F.EmGSxYug :2009/04/12(日) 03:00:04 ID:13KC+iap

ふと疑問が浮かぶ。
森羅って、なんだっけ。というか幻想郷にそんなのあったっけ?
また指でとんとんと頭を叩く。分からない。ただ、知らない名前を知っている。
なんであたいはそんな言葉を思い浮かべたんだろう?
いや、そもそもなんでこの剣の名前が分かるんだろう?
いつも通りって、普段っていつ?
思い出すって、こんな戦い方をいつどこでしたの?
分からない。分からない。分からない。
……こういう時に霊夢がいたら、
『いよいよバカを通り過ぎてボケでも始まったの? この嫌われ者』
とかニヤニヤしながら言うんだろうなぁ。
なんか想像するだけでムカついてきた。帰ったらぶった切ってやる。

「ともかく、この剣はちゃんと使いこなせるアタイが使うってことで」
「……図書館にいる奴は私が使えそうな代わりの武器、持ってるの?」
「うん、それなりにあったと思う」
「じゃ、我慢するけど……」

相変わらず言葉を警戒しながらむくれた表情で答える大河に、そう返した。
この異常は、どう考えたってこの剣を握ったときから。
……つまり、氷越しにじゃなく直に握って我慢すれば、
完璧に剣が使いこなせるようになるんだろうか?
おぼろげに頭に浮かぶ、変な記憶がはっきりするんだろうか?

「…………」

握ったときのことを思い返して、少し震える。
流石に、あたいでもあれを繰り返すのは、ちょっと怖い。
と、ここで突然思い出したように大河が口を開いた。

「あ、そういえば。
 文って怒ると怖いかどうか、まだ答えてもらってないんだけど」
「そういえばそんなのもあったっけ。
 でもあたい、文が怒ったところ見たこと無いからわかんないや」
「ふ、ふざけんなあああああああああ!」


【C-3 ホテルの東側/一日目・昼】
【逢坂大河@とらドラ!】
[状態]:健康、死への恐怖
[装備]:ハネクリボー@遊戯王GX(使用可能まで2時間)
[道具]:支給品一式×2、しじみ@松岡修造、ハロー大豆3パック@かんなぎ、
 もやし3パック@THE IDOLM@STER、ケフィア(瓶)@現実、ランダム支給品(0〜1)
 マイリスト機能@ニコニコ動画、オリジナル
[思考・状況]
0:殺し合いをせずに脱出する。
1:塩だって頑張れたんだから、きっと私だって何かできるはず。
2:図書館に行った後、三時までに映画館に戻る
※塩の言葉により死への恐怖を克服したわけではありませんが、だいぶ感じなくなりました。 また、吐き気はおさまりました。
※グラハム、キョン子、ドナルド達と情報交換しました。
※マイリストに映画館を記録しました。
116違う自分 -ADVENT- ◆F.EmGSxYug :2009/04/12(日) 03:00:48 ID:13KC+iap

【チルノ@東方project】
[状態]全身強打、右肩甲骨、左肋骨に若干のヒビ(怪我は60%程度回復)
[装備]バスタードチルノソード@東方project派生
[道具]支給品一式
[思考・状況]
基本思考:殺し合いには乗らないが手当たり次第倒して部下にして回る、主催を倒す
1:なんで知らないことが頭にあるのか知らないけど、ま、いーや。
2:図書館に戻る。
3:さいきょーを証明する。
4:さいきょーのあたいがさいきょーのチルノ軍団を結成して主催者を倒す。
5:呂布を倒して部下にする。
【備考】
※空は飛べますが体力を余計に消費します
※ビリー・レン・タケモト・ドナルドを勝手に部下にしました。
※スプーを妖怪だと思っています。
※氷符 アイシクルフォールは制限対象に入っていないようです。
弱体化してはいますが、支障なく使えます。
但しイージーモード限定です。自機狙い5way弾は出せません
※バスタードチルノソード越しに並行世界の情報を得ることで、
その世界の自分の能力を使えます。
ただし並行世界の自分の情報と混濁するため記憶障害などの負担が掛かります。
※並行世界の知識を得ましたが、一瞬触っただけのため断片的にしか得られておらず、
習得した剣技もまだ不完全です。
※少し漢字が読めるようになりました。




こうして、ドナルド達四人とチルノ・大河の二人は別れることになった。
ギャーギャー口喧嘩しながら歩いていく二人を、呆れながら見送る四人。
その中で、チルノの異常に気付いたものはいない……いや、一人だけいた。
唯一異変に気付いたのは、ドナルドだけ。
そして、チルノが意識を失っている間に、
「彼女は疲れているんじゃないかな?」と真っ先に発言したのもドナルドである。
もちろん、本心からの発言ではない。

(何があるのか少し気になるねぇ。ドナルドが持ったときは普通だったし……)

チルノを見送りながら、ドナルドはそう思考する。
実際、大河に頼んでドナルド自身も持たせてもらったが何も異常は起こらなかった。
となると……あれは、チルノが持った場合限定の異常だと見るべきか。
数分前に聞いたばかりの大河の名前を忘れていたのも、恐らく異常のうちだろう。

(惜しかったなぁ、そうだって知ってればドナルドの組に入れたのに)

心中で舌打ちする。
組分けと方針の決定は、チルノが気絶している間にドナルドが決めたものだ。
恐らくあの剣が齎したのは、精神への影響であろうとドナルドは推測していた。
それならば尚更洗脳は容易くなり、絶好の機会だったのだが……
そう推測を立てたのは、チルノが大河の名前を聞き直した時、
つまりチルノと大河を図書館に戻すように決めた後である。

(ま、いいさ。それでも十分、ベターな組分けをしたからね)
117違う自分 -ADVENT- ◆F.EmGSxYug :2009/04/12(日) 03:01:28 ID:13KC+iap

分けた面子は四人と二人。
四人は、ドナルドとビリーと言葉、レン。最初に決めていた通り、殺人者の排除を行う。
二人は、チルノと大河。図書館へ戻る大河の護衛。
ドナルドとしては、チルノを戻らせたくは無かった。
タイミング次第では、バクラが藤崎を殺す場面に出くわすこともないとは限らない。
だがレンはどうもチルノに妙な憧れを抱いているようだ。
正確には、「自分の望んだヒーロー像」の押し付けか。
やたら自分の聞きたい話だけをチルノに聞きたがったのもそれに起因する。
つまり、レンは「殺さずに相手を止める」ということに憧れている可能性があるのだ。
普通ならば、発信源のチルノを洗脳すればそれで終わり。
レンへの(ドナルドにとっての)悪影響どころか、
むしろ良い影響を与えるようになるだろう。
しかし、現在それを行うにはビリーという壁がある。
理由を付けて引き離すしかなかった。
今ドナルドがすべきことは、目の上のたんこぶを排除することだ。

(ねぇ、そうだろう……桂言葉ちゃん?)

にやりと笑う。
彼女は大河が現れたときに、明らかな過剰反応を示していた。
殺し合いの空気に精神不安定になっているのか、とドナルドは推測している。
それなら黙り込んでいるのも説明が付くからだ。
他人を信じていないのかもしれない彼女なら、あっさり彼を殺してくれるかもしれない。
それがドナルドの考えである。
もっとも実際のところ、精神不安定なのは当たっていてもその理由は違うのだが。

狙うはただ一人。
自分に付き纏い妨害する、洗脳できそうにない存在――ビリー・ヘリントン。
118違う自分 -ADVENT- ◆F.EmGSxYug :2009/04/12(日) 03:02:48 ID:13KC+iap

【C-3 ホテルの西側/一日目・昼】
【ドナルド組殺人者駆除班基本思考】
1:西に向かい、ブロリー、呂布、てゐ、志々雄、黄色い怪物(スプー)の討伐。
2:役立たずは……
※大河と情報交換しました。
 文、グラハム、キョン子はとりあえず信頼できると認識しました。

【ドナルド・マクドナルド@ドナルド動画】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 不明支給品0〜1 1outキノコ@奴が来る
[思考・状況]
基本思考:教祖として信者を沢山作りつつ、信者を指揮してバトルロワイアルを盛り上げ主催者になりかわる
1:隙を突いて言葉を洗脳或いは共謀し、ビリーを殺す
2:レンとチルノを殺し合い向きな人材に育てていく
3:タケモトの首輪解除及び無力化のための手伝いをする。利用した後は……
※僧侶のネガキャンを聞きました。

【ビリー・ヘリントン@ガチムチパンツレスリング】
[状態]:小ダメージ、股間が少し痛む。 
[装備]:敗れかけの半袖ジーパン(二試合目の最初の姿)
[道具]:支給品一式,万葉丸(15/30)@零シリーズ、強姦パウダー@ニコニコRPG(4/9)、不明支給品0〜1個
[思考・状況]
基本思考:強者を求める。
1:ドナルドが気に入った。
2:強者と戦う。
3:トキともう一度戦いたい。
4:リョホーセンやあの怪物(スプー)と戦いたい。
【備考】
※チルノから呂布の簡単な姿と行き先を教えてもらいました。

【桂言葉@SchoolDays】
[状態]:疲労(小)、病み具合微上昇中
[装備]:ランサーアサルトライフル(349/350)@Gears of War2
[道具]:支給品一式、ののワさん@ののワさん、魔法の石(ののワさん使用中)@Heart Of Darkness
[思考・状況]
0:月、バクラと協力し、3人で優勝を目指す。(所謂ステルスマーダーとして行動)
1:バクラに対する不信感、でもとりあえずドナルドたちについていく。
2:どんな方法でも誠くんを生き返らせる。生き返るなら自分は死んでもいい。
3:ベジータやブロリーのように圧倒的に強い相手には無理を避けたい。
※アニメ最終話後からの参戦です。
※希望を見出したため、ヤンデレ分は沈静化し、目のハイライトも戻っています。

【鏡音レン@VOCALOID】
[状態]:肉体的・精神的に疲れ ドナルド信者状態
[装備]:朝倉さんのナイフ@涼宮ハルヒの憂鬱
[道具]:支給品一式×2 不明支給品0〜1 ダイヤの結婚指輪のネックレス@ネ実板(ブロントさん) スタンドマイク@VOCALOID
[思考・状況]
基本思考:弱い悪党から殺していき、出来る限り早く強くなる。(悪気はないが足を引っ張る参加者=悪党)
1:拡声器でミクの悪口を言っていた悪党(僧侶)を殺しに行く
2:強くなって、いつか志々雄にリベンジする
3:兄弟たちに会いたい
4:ドナルドを尊敬、信頼
5:不安だったがタケモトも見直した
6:チルノの言う『最強』に興味
※僧侶のネガキャンを聞きました。


突然の話ではあるが――並行世界、という概念がある。
ある現実と少しだけ違う、別の現実。
あるいは違う選択肢を選んでしまった、他の世界。
……そう。
チルノが妖精ではなく人間として暮らし、
バスタードチルノソードを振り回している世界もあるわけだし、
御札を解いたルーミアがストームブリンガーを振り回している世界もあるわけだ。
本来、そういった世界どうしが干渉することはない。
出来るのはそういった能力或いは道具を持つ者のみであり、そういった者は極めて希少。
だがその極めて希少な例に当てはまるのが、こういった殺し合いを開催する者達である。

「報告は見た。
 支給品を通して、複数世界から情報の異常流入が発生したと……」

チルノたちが別れて約一時間後。
豪奢に彩られた私室の中、この殺し合いを開催した者の長……運営長は、
電子情報で送られてきた報告の一つを見て興味深そうに呟いた。
本来ならば、この殺し合いに使われている世界と他の世界――
即ち、参加者が元いた世界や支給品を調達した世界の繋がりは、
無用な干渉を避けるために「非公開システム」などにより断たれている。
しかし、実際には支給品を調達した世界から情報が流れ込んだ。
数多の世界の情報を持ち、移動できるが故にこの殺し合いを開いた彼らではあるが、
想定外のことまで防げるわけではない……否、防げないからこそ想定外だ。
上げられてきた報告によると、以下のようなことが言われている。
支給品の調達すら行っていない世界を含む複数の世界から情報の流入が起こったこと。
その中に、「この殺し合いに参加している」チルノ達がいた世界は含まれないこと。
その時刻は、チルノがバスタードチルノソードを握ったであろう時刻と一致すること。
情報流入があった世界のうちの一つにその剣を調達した世界があり、
また情報流入があった世界は全て違いはあれど『チルノ』という存在がいる並行世界である可能性があること。
可能性としては、この会場は多数の世界の無数の情報が集まる場所であるため、
そこで並行世界の自分が持つ武器をチルノが持ったことで予期せぬ繋がりが生まれ、
それが非公開システムの持つ網を潜り抜けて情報を流し込んだのであろうこと。
情報流入は、彼女に並行世界の記憶や能力を与えると推測されること……

報告はまだまだ続く。
運営長を始めとする彼らが知っているかどうかは定かではないが、
こういった事象――殺し合いにせよ並行世界の情報流入にせよ――は他にも存在する。
以前行われたとある殺し合いにおいても、桃色の地球外生命体に同じ事象が起こった。
とある支給品のショックによる、並行世界の記憶や能力の予定外の流入。
それは、この殺し合いの場が完全に完全に密閉できていないことを意味するのだが……

「フム。
 どう思うかね、右上?」

モニタから目を離しながら、運営長は脇に立つ人影――右上へと視線を移す。
左上はここにはいない。呼び出されたのは、右上だけだ。

「繋がりが生まれたことが人為的な、何者かによるものだと判断するには、
 受けている当人へのリスクが大きすぎます。
 恐らく、偶発的なものだと判断してよいでしょう。
 これは恐らく殺し合いにおいて何らかの成果を出すことが期待されますし……
 繋がりを断たず、残しておくべきかと」

右上はそう発言する。言うまでもなく、これは私的感情によるものだ。
無駄を愛する彼にとって、これほど面白いことは無い。
支給品をいじくり、他の参加者にも同じことをやってみようかと思うくらいである。
――彼自身が仕上げた報告の最後には、こう記されていた。
根本的な人格への影響こそないもののこの流入はあまりに不安定かつ侵食的であり、
軽く少しの間握っただけでの一時的な記憶の欠損や意識障害などが起こりうる。
戦闘で剣を使うように長期の間剣を強く握る――即ち、
流入を継続的に行った場合チルノの戦闘能力や知性は大幅に強化されるだろうが、
強化されればされるほど複数の世界の知識や能力が収まりきらなくなり、
様々な形で精神や身体に悪影響が出始め――最悪、死に至ると。

そう。例え、人格そのものへの影響がなくとも。
数多の世界の知識や能力を全て使いこなせるか……
無事に入りきるかどうかは、別問題である。

「……剣を握れば強く賢くなるが、あまりにあの剣を使えば死ぬ。
 確かにそれは面白い。目の前に毒が置いてあるようなものだ……
 しかも、追い込まれれば使わざるを得ない毒――」

その言葉に酔いしれるように、僅かに笑みを漏らす運営長。
理由は単純、それがこの殺し合いを行うにあたり面白くなるものであるからだ。
無駄なことばかり行うというある種の職務放棄に近い右上が処罰されず、
それどころか重宝されるのも運営長のこの気質に由来する。
自分が面白ければそれでよいという、狂った考え。
そもそも、そんな男だからこそこの殺し合いを開いたのだから。
しかしながら――運営長と右上には断崖絶壁のような相違点が存在する。

「だが、その回答だけでは合格点とは言えん……!」
「は?」

運営長の笑みが消える。空気が一気に張り詰め、霜を帯びる。
それに気付き、右上も慌てて気を引き締めた。

「右上。お前はこのケースが他の参加者に起きる可能性について述べておらんな?」
「……は、はい、それはありえません。
 加工されていない『並行世界の自分が愛用する物』が存在するのは、
 参加者の中ではチルノだけです」

余談ではあるが、一部の支給品には制限などを加えるための加工が加えられている。
顕著な例がDMカードだ。特にユベルには相応の拘束が成されている。

「つまり……加工した物ならばあるということか。それはどうかね?」
「城乃内が天使のサイコロを持っても何の変化も示さなかったことから、
 それが今回のようなケースを引き起こすことはないとの結論です。
 加工する過程で入念な検査や使用テストが行われていますし、それに……」

右上の言葉は無駄がない。命じられている通り、事実だけを述べている。
今回のケースは、何の加工もされていない並行世界の自分の武器を取ったから起こった。
逆に言えば、それが会場にない他の参加者には起こりはしない。
例えばクリムゾンは、越前がいた世界と同じ世界から調達されている。
それに限らず、ほぼ全ての愛用武器は参加者がいた世界から調達したものだ。
理由は単純で、その方が効率がいいからだが……
計らずも、今回のようなバグが発生してこなかった一助となっていた。

「恐らく、加工した事で支給品が変化しているために繋がりが生まれないのでしょう」

カラカラになった喉で、無駄口を叩かずに右上は喋り続ける。
彼が急に自分の感情を……無駄と言う存在意義を潜めさせたのは単純だ。
本能的に感じたのだ、運営長という男の闇を。
先ほどまでと同じように無駄を言えば、それだけで首を刎ねられるような錯覚。
無駄を愛するという「本能」と繊細かつ確実に物事を進める「理性」。
一見、背反するであろう二つのベクトルを併せ持つのが、運営長という男。
言うなれば、左上と右上の特徴が混沌の中で混じり合っているようなものだ。
自分の悦楽を第一としながら、その悦楽を無駄なく楽しみたいという極端な二面性。
だからこそ彼はここまでのし上がってきたのであり……故に、彼は狂っている。
右上の言葉を聞き終わった後――ゆっくりと、
舐めるようにその顔を運営長は眺めながら話し始めた。

「繋がりが一つならばまだ偶然として処理できるし、愉しめようが……
 二つ繋がったならば流石に警戒せねばならん。それでは愉しめぬ。
 一と二では、外部からの介入が行われている可能性があまりにも違う。
 偶然だとしても、偶然が二つ起こるということはそれほど脆いということだ。
 ――ワシはこの殺し合いを愉しみたい。
 そして、その愉しみを邪魔されることほど不愉快なことはない。
 もし外からそういった輩が来るのならば、それを未然に防ぐのが当然と言うもの。
 わざわざ招きよせる余地を残すなど言語道断。
 ……その意味は分かるな、右上?」
「……ハ、ハッ」
「わしはお前のことをそれなりに――あくまでそれなりには買っておる。
 今回に関しては、お前の意見を尊重しよう。面白くなるのは確か……
 だが――」
「も、問題ありません。
 万一他の参加者に情報流入が発生した場合は見逃さず、すぐに対処致します」

運営長の言葉に、右上は何とか声の震えを抑える。
他の参加者にも同じことをやってみようなどという考えは完全に吹き飛んでいた。
心中にあるのは、見抜かれていたことへの恐怖と運営長への完全な忠誠のみ。
ようやく、右上は左上がこの場に呼ばれなかった理由を理解した。
運営長の目が何よりも雄弁に語っているのだ。
トキやバルバトスに行ったようなことを再び行えば……
即ち、同じような情報流入を右上が興味本位から意図的に発生させたり、
無駄を愉しむためにわざと情報流入を見逃したりしようとすればすぐに処分すると。

――彼の独断専行に対する、実質的な警告である。

しばらく後、右上は運営長の私室から退出した。
生きた心地がしない。
その心中には未だ……部屋に満ちていたドス黒い狂気がこびり付いていた。
122 ◆F.EmGSxYug :2009/04/12(日) 03:07:34 ID:13KC+iap
投下終了。
修正のために加筆したら容量が増えたので、
例のごとく題名が変わってるところで前後編に分けてください。
123創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 03:09:13 ID:NfhRwYAl
おつおつ
アドベントチルノきたねー
兄貴が何気にやばいな…
124創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 03:11:48 ID:WVyypNjQ
こんばんわー! 支援君、いますかー?
125創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 06:06:08 ID:qNfmpdHX
わ、私はSSになんかに興味ないんだからっ・・・!
といっても遅すぎたか
126 ◆/4zBz3jiVQ :2009/04/12(日) 12:01:37 ID:kPY8JtEP
>>40
大河が塔を出てからしばらくしたあと。
「おい、大丈夫か?」
 急にむっくり起き上がり何かを探し始めた文を気遣いながらグラハムは声をかける。
 文は自分のデイバックから取り出したコッペパン見つめていた。


 究極のコッペパン。
 究極の名を冠するだけはある。
 舌に踊るうま味は体中の痛みを取り去っていくかのようだ。
「大丈夫ですか?」
 覗き込むキョン子にも目もくれずパンにむしゃぶりつく。
 長く生きてきた文にとってもこれほどの美味は感じたことがなかった。
 食べてみたくてしょうがなかったこのパンを留まらせていたのは究極のコッペパンの持つ効果、体力完全回復、この殺し合いの中では使いどころさえ誤らなければ相当当たりの部類のアイテムだった。
 バルバトスとの戦い直後は使わなくても済むかなと考えていたが、その後気絶したことを考えるとその考えは甘かったのだろう。
「いい顔をしているな」
 グラハムがパンをいかにも美味そうと言った感じで顔をほころばせている文を見つめて呟く。
「あなたも相変わらず鬱陶しいですねえ」
 ほころばせた顔を少し不快そうに歪め文はため息をついた。
「何、元気そうで安心しているだけだ」
「ところで、大河っていう女の子は?」
「じっとしていられなかったみたいでな」
 グラハムは一瞬の沈黙の後答える。
「なんて無鉄砲な」
 文は再びため息をつくことになった。
 文としては大河がどうなろうと知ったことではなかったが、余計な面倒に巻き込まれる可能性が高くなるようなことはやめてもらいたかった。
「まあ、逃げる手段を持たしてやったから何とかなるだろう」
 その文の様子を大河の身を心配していると解釈したグラハムはそう付け加えた。

に修正します。
127 ◆/4zBz3jiVQ :2009/04/12(日) 12:02:40 ID:kPY8JtEP
あと文の状態表をこっちに修正します

【射命丸文@東方project】
[状態]:疲労(中)、服がボロボロ
[装備]:七星宝剣@三国志\
[道具]:支給品一式(一食分食糧と水消費)
[思考・状況]基本:一番大事なのは自分の命、次がチルノさん。後はどうでもいい。
1.情報収集。自己保身を優先する。映像を撮れるカメラに興味。
2.主催者の方が強そうだったら優勝狙い、脱出できそうなら脱出狙い。それまでは1に徹する。
  少なくとも人数が半分以下になるまでは立場を確定させない。
3.優勝狙いが確定しない限りグラハムと一緒にいてやる(ただし優勝狙いに決めたら速攻で殺す)。
4.ブロリーと出会ったら何を犠牲にしても全力で逃げる。
5.呂布、バルバトスを警戒。
128創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 20:03:31 ID:+GYskKmJ
えーとすみません、映画館の上映時間って決まってたよね?
機械いじって見れるようにするってのはどうかと思うんだけど…
129創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 17:18:40 ID:SOCJQg47
そういや美鈴って最初は殺し合いに乗るかもしれないって言ってた気がするん
だけど、今では心から殺し合いに反対なのか?
130創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 18:08:49 ID:Y1cMh/ll
その乗るかもってのはれみりゃがいればの場合だった訳で。
今だとフランちゃんが危なくない・望まない限りは殺し合いには乗らないんじゃない?

ほんま美鈴は従者の鑑やでぇ・・・
131創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 23:33:22 ID:qm4N98AH
まーフランが死ねば生き返らせるために乗ったりするかもしれないけど。
逆も然り。
132創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 00:40:40 ID:b9nfWg25
一応主催が約束を守るかどうかについては疑ってるという事になってるから
フランが死んだ所で優勝狙いに走るかどうかは微妙だと思う

フランが完全にゲームに乗ったとしても、最初はまずそれを止めようとするはずだし
今の美鈴がゲームに乗るのは本当にどうしようも無くなった時だけだろう
133創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 00:46:24 ID:Q7EUncKO
「どうしようも無くなった時」がアップを始めたようです
134創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 09:59:52 ID:Y6jgwaMi
美鈴はフランが死んでもゲームには乗らないってはっきり明言してなかった?
どこの話だったかは覚えてないけど
135創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 13:12:06 ID:/s8VcqcB
ここまで期待されている美鈴も珍しい(ニコニコ的な意味で)
136創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 20:57:10 ID:W7sYoFTi
「ちくしょおおお!! もっと絶望要素を撒かせろぉぉぉ!!」
「もうやめて! 現状で十分じゃないの!」
137創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 21:05:37 ID:Q7EUncKO
「倍プッシュだ」
138創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 21:28:35 ID:DdQ+MMko
そういえば今回あまり欝展開って無いよね。どちらかと言えば熱血展開。
ま、まだ分かんないけどね。
唐突にやる。
ニコロワβカワイソス四天王(現段階)
・秋月律子
・初音ミク
・賀斉
・海原雄山or北☆条☆鉄☆平or囲炉裏orスプー
リッチャンハコテイデスヨ

139創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 21:46:51 ID:coj1Lwlm
熱血多いかなあ?鬱展ばかりな気がするんだが…
140創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 21:50:26 ID:PZdkmY01
熱血……カズヤ死亡話位しか思いつかん
141創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 22:03:12 ID:shBj02h0
>>138
どちらかというと、そこはミクよりハクかなぁ
142創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 22:04:20 ID:/s8VcqcB
美鈴とフランの話も熱血だったけど、直後のSSで一気に欝になったしな。
ハクとアレクさんもKAITOのせいで欝展開になったし。

テイルズ並の欝とは言わないけど、前作に比べればかなり欝傾向に傾いてると思う。
143創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 22:27:34 ID:SLA7W9Xl
今までで熱血らしい熱血展開は殆ど無かったように思う
144創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 22:28:29 ID:coj1Lwlm
だいたい、マーダーが全体的に強いんだよな
ニコロワ1stって全体的に見るとかなり熱血傾向だから、なんというか、ギャップがね…
145創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 22:30:16 ID:Q7EUncKO
バトロワに熱血なんかいらねぇんだよ!血みどろ血みどろ!

なんて言えれば楽だけどな
146創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 22:54:30 ID:SLA7W9Xl
会場の中心辺りって危険人物は充分過ぎる程いるけど
ほぼ皆徒党組んでるし、積極的な無差別マーダーがあまりいないんだよなぁ

まあ逆に言えばその拮抗状態が何かの拍子に崩れれば
その瞬間からバンバン死んでいくという事だが
147創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 22:58:48 ID:YwS+mqE3
実際のところ無差別で戦果上げてるのはブロリーだけで、
他はあっさり殺されてるからな。もったいない。
148創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 23:46:46 ID:coj1Lwlm
無差別マーダーってそんなにいいかな
やっぱバトロワってキャラの葛藤が面白いと思うから、マーダーにも色々と考えてほしいな
原作バトロワのように、ただの殺人マシーンってのは少数であるからこそ映えると思うけど
149創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 23:47:32 ID:vIDGcT5q
>>147
死者は()で挟んでます。
・完全無差別(後先考えません。体力温存?ナニソレおいしいの?)
ブロリー、ミク、アカギ、(七夜)、(バルバトス)、(スプー)、
・強者狙い(弱者と分かれば基本放置)
呂布、馬岱
・優勝狙い(無差別と違いペース配分を考えし、場合によっては仲間も作る)
十六夜咲夜、キークラ、CCO、リン
・ステルス(消極的優勝狙い、獅子身中の虫。対主催を内側から切り崩す)
兎詐欺、バクラ、DIO、(セクハライト)
・扇動(俺が主催者だ!)
ドナルド
・人形(どう考えても騙されてます、本当にry)
ゆきぽ
・特殊(気に入らない奴氏ね。生殺与奪はまさに気分次第)
フラン
・精神不安定(気持ちがまとまらないゆえに動かないが、どう転ぶか分からない)
言葉様
・逆恨み(私怨乙)
(僧侶)

バルバトスは迷ったけど、相手が弱者なら「俺の前に立つんじゃねえ」と切って捨てるので無差別ゆき。
さて、評価だが……個々の質が高いぞ……
が、無差別からガンガン死んでる。
どちらかといえば知略、頭脳よりも腕力、戦闘能力が優秀な輩が多い。
完全に策略に依存してるのはアカギとライトのみというオチ。
三国武将はマーダーなのになんか清々しいよな。
150創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 23:48:56 ID:e1gXB+3j
二代目神(笑)「・・・」
151創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 23:49:19 ID:vIDGcT5q
完全に策略に依存してるの他にもいるな。
下から二行目はわすれてくだしあばばばばば
152創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 23:50:12 ID:vIDGcT5q
すんません、ステルスにヤンデレ妹追加で。
ガチで忘れてたorz
153創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 23:52:41 ID:2Py97qwV
新堂さんは対主催のまま散ったという判断か
さすが冒険野郎は心意気が違った
154創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 23:53:30 ID:YwS+mqE3
>>148
安穏としてるグループに事件を起こすきっかけとして一番簡単なのが無差別。
ステルスとかが策を巡らせる好機も作りやすい。話を作る際、状況を膠着させない上で重要。
155創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 23:59:44 ID:vIDGcT5q
>>153
あれは対主催にもマーダーにもなれなかった半端者。
アカギがアクセルもブレーキも踏み込めない愚か者と評してたけど、事実その通りだと思う。
半端者ってわけじゃないけど、ときちくとあややややがまだスタンスを決めてないな。

>>154
優勝狙いは一番多くなりがちなスタンスだけど勝算が低ければ低いほど萎縮するからなぁ……
強者狙いもグループが弱者ばかりだと襲ってくれない。
ステルスはグループの規模が大きいほど光る。
2人や3人だと少なすぎて殺しの発覚を恐れてやっぱ動かない。
完全な無差別が確かに便利だ。
156創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:01:10 ID:4mEDGRFw
スプーは手当たり次第何も考えずに襲うスタンスだったし
特に戦闘向きな能力を持ってる訳でも無かったから
比較的すぐに死ぬのはある程度予想出来てたが、七夜とバルバトスは…
運が無かったとしか言いようが無いな
157創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:02:53 ID:nDlnNCrT
まあ、話を作る上では確かに便利だ
でも個人的に書いてても見ててもあまり面白くないというか…
無差別でも無差別なりの葛藤や思考がある場合なら面白いんだけど
158創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:09:51 ID:8w5FQVs8
>>157
言いたいことはわかるっちゃ、わかるんだがなかなか難しいと思う。
完全な無差別は合理の輪から言えば逸脱してるどころか投げ捨ててるようなスタンスだからピーキーな奴しかなり手がいない。
殺人に悩むような理性があるキャラは優勝狙い・ステルスにたいてい流れる。
159創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:14:11 ID:YpbvZS7d
おまけに完全無差別でも、アカギは頭脳をフル回転しないと勝てないという特殊な位置だからな。
一人で場をかき回すには状況が揃わないと難しいから、尚更他の無差別が貴重になる。
160創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:17:32 ID:QwRLLhfP
それに暴走ミクもフランに接近中でもしかしたら・・・だし
こうなるとやっぱりブロリー無双しか残らないっていう
161創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:20:12 ID:8w5FQVs8
>>160
そのブロリー無双、ガチでフラグが立ってるんだよな。
制限が全参加者中最もきつくて「伝説の(ry」になれないが、今まさに枷が一つ外れかかってる。
162創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:24:02 ID:5hRCECdh
正直、ブロリー一人に頼るような状況はあまり好ましくないがな…
163創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:24:13 ID:nDlnNCrT
そこまで厳密な無差別マーダーって他ロワ含めても少ししか思いつかない。やっぱり貴重なのかな
ちなみにニコ1stの無差別マーダーって誰がいた?
164創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:25:24 ID:WMnoOweE
165創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:29:39 ID:8w5FQVs8
一番は対主催が大型化しないよう誤解とかすれ違いを適度に撒くことだと思う。
1stのレナグループが大型かつ結束しててまさに理想の対主催でこれをいかに避けるかがキモかと。
勝ち目やつけいる隙があるなら優勝狙いもステルスも動きやすい。

1st無差別は前半がトミー・YOKODUNAで後半がHALだったな。
166創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:30:49 ID:YpbvZS7d
>>163
エアーマンとかTASさんとか
167創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:37:07 ID:zpVUxiJF
言葉以外の打算的なマーダーは、日和って方針を変えそうに無い分救いはあるか?
168創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:38:15 ID:8w5FQVs8
>>166
TASさんは無茶はしないスタンスだったと思う。優勝狙いと言うべきかと。
序盤は街を避けたり、襲撃計画は綿密だったり。
ただ、優勝と同じくらい最速を重視してたからハイリスクハイリターンを進んでやってのける点は無差別に通じるものがある。
慎重かつ大胆。相反する二つの要素を併せ持ってたから面白かったな。
169創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:44:29 ID:5hRCECdh
wikiだと無差別に分類されてるけどね
170創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:47:46 ID:8w5FQVs8
>>169
優勝狙いなども無差別にカウントしてたからね。
細分化させるとキリがない。
ステルス以外だとよっぽど特殊でない限り(どこぞのガチホモとか)明記されない。
171創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:52:50 ID:nDlnNCrT
様々な思惑や制約を上手くブレンドさせて話を作り、その上でキャラを殺してバトロワを進行させるのが書き手の仕事
優勝狙いとかを含めるとマーダーは大量にいるんだから全然悲観する事はないと思うんだがなあ
便利なのは分かるが、無差別マーダーにそこまで頼ろうとするのは、話を練る事を放棄しているように見えなくもないぞ
172創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 00:58:00 ID:YpbvZS7d
我に艱難辛苦を与えたまえが合言葉でもあるまいし、
わざわざ辛い道を歩むような真似を要求してどうする。
173創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 01:00:18 ID:5hRCECdh
個人的にとか前置きしながら
自分以外の考えは思考放棄だとか言うのはどうかと思うが
174創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 01:06:20 ID:4mEDGRFw
しばらくはブロリーと相対する奴以外はほぼ膠着状態といった感じだからなぁ
第2放送後の図書館組のグループの分かれ方が後々重要になってくるだろうな

175創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 01:09:24 ID:5hRCECdh
>>172
そもそも変に捻れば必ず面白くなるってわけでもないからな
176創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 01:09:30 ID:09Pts3zx
>>172
尼子再興の人か
177創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 01:10:01 ID:wYYCp0IT
首輪の問題がどうにかなれば対主催もマーダーも大きな動きが起きそうだが
終盤以外で首輪を外すのはタブーかな
178創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 01:12:07 ID:nDlnNCrT
ごめん。色々と熱くなってた
無差別マーダーがブロリー一人しかいない事に悲観している人が多いけど、今のドロドロした状況で無差別マーダーってそこまで大事かな、って思ったんだ
マーダーや危険人物は大量にいるし、無差別マーダーに転向しそうなキャラも何人か思い当たるから
179創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 01:20:07 ID:4mEDGRFw
よく考えればてゐも放送毎に誰か一人は殺さないと生きられないから
状況しだいでは一時的に無差別マーダーになるって事も有り得るんだよな
180創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 02:23:54 ID:OOHX3Qn7
対主催集団を壊すには何もマーダーじゃなくてもできるぜ。
疑心暗鬼な一般人というな。
カイトとかカイトとかカイトとかカイトとか。
181創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 09:57:06 ID:OpTanPDW
>>178
読んでる側の都合で必要なんですねわかりmry
182創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 11:54:13 ID:l+Z4UIqc
ブロリー負傷しても、制限が外れていけば怪我してる分カバーできるよな
183創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 14:11:54 ID:SWTa/OfU
ところでミクはどうなるの?
修正したのが仮投下スレに来てるけど?
184創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 06:54:56 ID:zoM69Hue
まだこれといったガチバトルシーン見せてない戦える対主催って誰か居るっけ?
思い浮かぶのでスネークとか?
185創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 13:24:15 ID:KwPR5EO8
コンバット越前「武器が・・・・武器が・・・」
ベジータ「ブロリーにやられてしまう・・・みんなブロリーにやられてしまうんだ・・・」

二代目神(笑)「・・・」


あとサンレッドもDIO相手に全力かと言われたらまだまだ余力がありそうだったよな
186創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 13:27:35 ID:+oanoYl8
DBキャラには流石に劣るとは思うが
化け物を上回る化け物を赤子扱いしてるからな
原作のサンレッド
187創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 18:32:43 ID:VTCrMXkG
アポロもまだまだ戦闘してないよな
まぁ、弓矢ナシの現状だとそんな期待はできんだろうけど…
188創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 20:08:24 ID:ZgNKz2qq
>>186
サンレッドは本気を出した事が無いから困る。
攻撃力は知らんが、耐久性はブロリーより上かも試練。
大抵の相手はチョップ一発で倒しちゃうからな。
189創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 21:01:15 ID:nnjkXbhr
仮投下スレに溜まってるSSを代理投下します
190創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 21:01:56 ID:nnjkXbhr
940 名前:藤崎瑞希の復活 ◆YQd.ZULUTA[sage] 投稿日:2009/04/16(木) 20:21:55 ID:50/OmdTo0
・・・ここはどこや?・・・真っ暗や・・・体の感覚もない・・・
もしかして死んでもうたんか?情けない・・・エイリアンだろうが倒すとか言うといて結局逃げてるだけやったな・・・

「歪みあるな」

だれや?
そう思うと暗闇の中から人が現れた。あれは・・・まさか

カズヤ!!!

「久しぶりだな。といっても別れてから数時間しか経ってないけどね」

なんでお前が・・・ってやっぱり俺死んだんか

「いや、お前はまだ死んでない。俺はあのブロリーにやられて死んじゃったけどね」

微笑みながらそういう事いう・・・
俺はあの時の事を思い出して余計に気分が重くなった。
なんで、お前みたいな奴が死なへんとあかんのや・・・

「そんな事より一体どうした?俺を救った時のお前は、ここにいる誰よりも歪みなかったぞ」

あの時の俺はなんも分かってへんかっただけや。
それにあの時の俺は別に正義感からみんなを救おうとしてたんやない!
ただあの腐れ主催共を心の底から打ちのめすにはそれが一番やと思っただけや。俺はお前みたいな善人やなかった


「そんな事分かってたよ」

!?

「たとえ動機が正義感による物ではなくても、このような状況で主催に屈指ず人々を救おうとする、それは歪みない事だ」

カズヤ・・・

「それに今のお前は目的のための手段なんかではなく本気でトキ達を救ってやりたいと思っている。そうだろ?」

ああ・・・そうや。今はみんなの事を助けてやりたいと思ってる、それは嘘やない
俺はお前やトキのおかげで少しは変われたん・・・・かな?
でも俺はあかん、意志を継いだとか救うとか、思うだけじゃあかんねん
実際これまで逃げてばっかりや。俺は、もう逃げたくない!

俺がそう言うとカズヤはまた優しく微笑んだ
191創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 21:02:37 ID:nnjkXbhr
「やっぱりお前は歪みねぇ奴だよ。もっとお前と話したい、でもそろそろ時間みたいだ仕方ないね」

なんやて?もっとお前と話しさせてくれや!
そんな俺の言葉にカズヤは首を横に振るだけや
なら、どうしても無理なら、最後に聞かせくれ

カズヤ・・・俺もお前みたいな戦士になれるかな?

「パンツレスラーに必要なのは腕力じゃない。歪みない心、ただそれだけだ!」

▼ ▼ ▼

ソファーの上で目が覚めた。どうやらどこかの家の中らしい

「あれは夢・・・やったんか?」

だがたとえ夢だったとしても死んだカズヤと語り合えた事に藤崎は喜んだ
っと、そこで自分はなぜここにいるのか?という疑問が頭をよぎる

「・・・あの男が助けてくれたんか」

辺りを見回して見ると男が一人、自分と同じようにソファに寝そべっているのを見つけた。

「Zzz… 」
「寝とんのか」

自分を助けてくれたぐらいだから少なくとも悪い奴ではないだろう。という事で男は寝かせておいてやることにして
藤崎もまたソファに横になった

「・・・ところで俺を襲った奴は誰なんや」

みんなの目を盗んで図書館に入ってきて自分を襲った?ならまだいい。だがもしあのメンバーの中の誰かが裏切ったのだとしたら?
わざわざ二階にいる自分を襲ったのはなぜだ?自分だけが狙いならまだいいがトキは重傷の身、いかん危ない危ない危ない・・・

「なんにせよはよ戻らんとあかんな・・・っとその前に」

藤崎はまだ痛みとしびれの残る片足を引きずりながら家中を物色していく
たいした物はなかったが目当ての物は見つけることができた。
衣服を脱ぎ去り見つけたマスクを装着しタオルを頭に覆い被せる
その姿は「藤崎瑞希の復活」をうpした時の姿そのもの。だが今の藤崎はあの時のような卑劣な男ではない、ズボンもはいていない

「まずは形からっていうからな」
192創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 21:03:38 ID:nnjkXbhr

【B-2/住宅街/1日目・昼】

【藤崎瑞希@現実】
[状態]更なる決意、パンツレスラー、脛に軽い刺し傷(鱗粉付き)、足に痺れ、罪悪感、
[装備]なし
[道具]支給品一式、金属バット@現実、ショートカッター(残り0枚)@ドラえもん
[思考・状況]
基本思考:主催者の目論見を粉砕し跪かせる
1:受け継がれた意思を持って、戦う。
2:参加者を救う 。
3:もう逃げない
4:俺を襲ったの奴は誰なん?反省さしたる。
5:自分だけ逃げ出した罪悪感。
6:男が起きたら一緒に図書館に向かいたい

【馬岱@呂布の復讐】
[状態]:頭にたんこぶ 幻術と戦闘による疲労(中)、睡眠中
[装備]:鍬@吉幾三、三国志大戦カード(群雄SR馬超)@三国志大戦
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
1:Zzz…
2:起きたら男(藤崎瑞希)から強い奴の情報を聞く。
3:殺し合いに乗って、自分の力を試す
4:弱い奴からは情報を聞く。
5:呂布……記憶障害とは大変だな……
6:もうちょいまともな武器が欲しい
7:ブロリーとは遭遇したくない
※参加者の多くの名前を見た覚えがあることに気が付きました。ニコ動関連の知識の制限は実況者達等に比べて緩いようです
193創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 21:08:02 ID:nnjkXbhr
950 名前: ◆aeG9btpil.[sage] 投稿日:2009/04/17(金) 17:10:38 ID:pNJKJjaA0
間違ったのを投下しました、こっちです

私が男の道具を文字通り身ぐるみ剥いでバッグに詰めていると、ブロントさんから呻き声が聞こえ始める。
食べるかどうか迷っていたメロン(1/2)を脇に置いてから顔を近づける。
ちなみに寝ているブロントさんに毒見させたので大丈夫だと分かっている。
渚はメロンとにらめっこをしながら兄について思い出そうとしていた。
食事が兄の記憶を連想させたのだが、どうしても詳しく思い出せない。
それでも無理に思い出そうとすると自分が兄と幸せになったような気もすれば
自分が兄をひどい目に合わせたような気もするという奇妙な感覚に陥ってしまった。
そういえばブロントさんもリアルがよく分からないとか言っていた、
自分と同じように記憶がおかしくなっているのでわないかと思ったのでそれを確認したかったのだ。
瀕死の人間にいきなり質問をぶつけるのはよくないことだが、
兄との絆が確認できない状況が渚の精神を不安定なものにするのだ。

「ブロントさん、目は覚めました?さっそく何だけど聞きたいことがあるの」

「おいぃ、おまえいきrないそれはないでsy?まずは俺がどれくらい寝てたかを教えるべき」

心で舌打ちしつつも一応それに答える。
なるべく良好な関係でありたい。

「カレーができるくらいの時間だから、20分ってところかな?。特に何もなかったよ。あの男の支給品は全部回収しけど、メロンくらいしかなかったし。それより質問に答えよ?」

早口でまくし立てるとブロントさんが少し嫌そうな顔をした。
しまった、とも思ったがブロントさんが続きを促したのでほっとしながら質問をする。
こんな状況でも優しさを忘れないブロントさん、すごいなー憧れちゃうな〜。

「私の記憶が曖昧なのはお話したよね?ブロントさんが眠ってる間に色々考えなおしてみたんだけど、忘れてるっていうか…なんだかおかしいの」

「何を言っているかわからないけど、何が言いたいかはわかる。俺も記憶がおかしすぎてストレスでマッハでウメハラ語録とブロント語録が混ざってしまう。簡単にいうと俺が誰だか分からにぃ」

「…ブロントさんが何を言ってるか分からないけど、私も私が誰か分からないの。たくさんの人の記憶が混ざってる感じっていうか」

「まさしくそれ。俺はブロントだがそれは仮名、ゲームの話。俺のリアルは普通の高校生で、ヴァナ生活はリアルより充実してたけどリアルではにぃ。
 俺は不良なんだけどよ、どうしても家族の名前が出てこない。チームのメンバーも思い出せない。まるでブロントがリアルでリアルがヴァナ」

「え?リアル、って現実?現実では高校生?」

「そう、俺はリアルでは不良で北海道最強の喧嘩チームのヘッド。でもそうでない俺もいる。小学生だったり社会人だったりするたくさんの俺がいる」

「……分かりません」

「ブロントになりたくてなるんじゃないなってしまう者がブロント」

意味不明過ぎて固まっている私を余所に、ブロントさんはメロンを食べ始めた。
すでに半分だったので私はもう食べたと思ったのかもしれないけど、すごい速さで食べきられてストレスでマッハになった。
むっとする私を無視して立ち上がったブロントさんは体を確認するように動き、憮然とした顔でつぶやく。

「MP回復するかと思ったがHPも少し回復した。結果として予想外。後痺れなかった」

心なしか顔に元気が出たブロントさんは私を立たせると男の死体を埋葬するべく穴を掘ろうとしているのか剣を地面に突き刺そうとする。

「そんなやつどうでもいいじゃない。それより酒場に行きたいの。食材が欲しくって」

「おまえどうでもいいとかマジでかなぐり捨てんぞ?ナイトは余裕を失わない、この余裕がナイト。コイツがどうでもいいならお前もどうでもいいことになるさる」


194創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 21:08:48 ID:nnjkXbhr
あんまりな物言いにまたもムッとするが、他人から見ればこの男と私は大差ないのかもと考えなおし、素直に従うべきかと腰を上げる。
同時に、ブロントさんの剣が地面に突き刺さり、

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

地面がうごめいたかと思うと唐突に深さ一メートル程の埋葬に丁度いい穴が空いたので呆気に取られた。
当のブロントさんも呆然としているところを見ると意図してのことではないらしい。

「な、なんなんですか?これ?」

「俺に聞かれても分からにぃ。推測するならこの剣のアビリティ(能力)であることは確定的に明らか」

二人が見つめる剣は、見る人が見れば何か紅いもやのようなものを纏っていると分かっただろう。

※緋想の剣の説明
1:天人という天界に住む仙人以上にすごい人の持ち物だった
2:生物の気質(オーラ)を吸収し蓄える。弱い霊魂などは消滅してしまう
3:吸い上げた気質が大気に蔓延すると気候が変化することもある。底抜けに明るい人の気質が蔓延するとその人の周りだけ雲一つない晴天になったりする
4:気質が一定量たまると地震を起こしたりできる。今回は変則的な発動をした

【C-2 塔内部/1日目 午前】
【ブロントさん@ネ実】
[状態]: 全身強打、しんどい程度の疲労、鎧大破(バルバトスの服の丈夫な部分などで縛って補強)、左篭手が大破しすぎたので外す。
[装備]:緋想の剣(気質が十分集まった状態で小規模な地震を起こせる。天候変化の有無は後の書き手さん次第)@東方project
[道具]:支給品一式×2
[思考・状況]基本思考:右上と左上を倒し真のエンディングを迎えひっそりとリアルより充実したヴァナ生活を送る。
1:……。
2:渚と渚の兄を守る。
3:あの二人を見つけ渚を謝らせる。
4:出会ったやつに話しかけ出来れば仲間にして敵対するようならばカカッと対処する。



【備考】
メタ知識に関して色々思い出したが「我ナイトになってしまう、故にナイト」の精神の元軸がぶれたりはしない
※ナイトの防具一式はもはやブロントさんの普段着であるので奪われるわけがない
※流石に人が死んだので自分の行動に関してどちらかというと大反省したようです。
※渚が記憶喪失ではなく自分と同じような状況と判断
※緋想の剣を装備すると土系スキルを習得できると解釈(MPとは別のものが必要だと知らない)


【野々原渚@ヤンデレの妹に愛されて夜も眠れないCDシリーズ】
[状態]:ヤンデレ、全身に軽い切り傷、腹部にダメージ(小)、 軽い精神的ダメージ、
[装備]:チャイナ服@現実 ピョン太君@私立東方学園 アシストフィギュア(サイボーグ忍者)@大乱闘スマッシュブラザーズX
[道具]:支給品一式×3、タバコ一箱@メタルギアシリーズ、タミフル@現実、北条鉄平の首、北条鉄平の首輪、不明支給品0〜4
[思考・状況]
1:記憶がめちゃくちゃなのは全員なのかなど確認したい。記憶が不安定で精神的につらい
2:ブロントさんを利用して自分を守ってもらう。
3:あの二人を見つけて、自分の風評が流れるのを防ぐ。
4:表立っての殺しはしない。
5:最終的に意地汚い虫はみんな殺すが強い奴は潰し合わせる。
6:料理の材料を調達する為酒場に行きたい

【共通備考】
※地面に掘り返されたような跡があります
195創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 21:09:47 ID:nnjkXbhr
本投下終了。
196創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 21:15:40 ID:nnjkXbhr
追記。
◆/4zBz3jiVQ氏は>>45一行目及び>>128のレスへ何らかのリアクションをする必要があるかと思われます。
197創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 21:16:20 ID:nnjkXbhr
>>45三行目のミスです。
198創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 21:26:23 ID:zoM69Hue
〜藤崎の復活
藤崎の生存フラグですね。分かります。
一般人だから頑張ってほしいなぁ…
あと見てて思ったのは「、」や「。」がほぼ無かったり、一人称視点なのに台詞の様なのが分からなかったところですかね。
台詞をそのまま説明文にしてもあまりにもアレだと思うなぁ。
あと・でやるよりか…が文字数的にも楽になると思います。
ブロントさんと渚
緋想の剣SUGEEEEEE
東方の世界って、どういうことなの…?
そしてブロントさんは相変わらず。

199創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 22:22:12 ID:aMPRseRW
投下乙ですが、緋想の剣の能力は「気質を見極める程度」であって地震は起こせないのでは?
(地震は天子の「大地を操る程度の能力」)
200 ◆TEF4Xfcvis :2009/04/17(金) 22:28:42 ID:N8+Xk/DQ
自分も投下したいと思いますが……
もう一度聞きますがあれでどこも問題なかったでしょうか?
問題なければ今から投下したいと思います。
201 ◆TEF4Xfcvis :2009/04/17(金) 22:30:06 ID:N8+Xk/DQ
あー、誤爆。
202創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 22:39:04 ID:ulHfXkie
投下乙
なんかブロントさんの口調に違和感が…
と思ったら半角カナとか使ってないからか
話はよかったから口調を少し修正してほしい…
203創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 23:16:16 ID:3NkongcJ
お前ら仮投下の時点で言えよ
204創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 23:19:25 ID:v86gDiSS
ブロント語を忠実に再現するのは一級ブロンティストじゃないと無理だべさ。全ての書き手にそれを要求するのは少々酷というものですぜ。
205創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 23:20:59 ID:SBmSYt1B
確かに今言っても時既に時間切れ
次からはもっと早く言っテ!
206創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 23:30:09 ID:8t5RNWKP
別に直さなくてもいい方向で
207創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 23:46:22 ID:YvU0Q6pz
投下乙
謙虚なナイトが緋想の剣を操ると最強に見える

あ、でもちょいと指摘が多いのは簡便してくれ。仮投下時にやりたかったが、忙しかったんだ。

緋想の剣の説明だけど、これは初出時にあるからいらんかと。
あと地震起こすのは天子の能力だから、そこのとこは蛇足かな。
実際気質を集めて地震を起こしてるみたいだけど、天子の能力が「大地を操る程度」の能力だしね。
まあ、気質放出で穴ができた、とかなら、あとあと発展させられそうで面白そうだけど。
208創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 23:54:43 ID:nnjkXbhr
代理投下した者の意見としては、ちょっとしたキャラの違いなどならともかく、
大きなミスが指摘されているならば本投下されたものでも対応か修正が必要だと考えています。
私が代理投下するのが早すぎたというだけかもしれませんので。
少なくとも私が調べた限りでは設定との違いが有るようなので、修正すべきだと思われます。
209 ◆YQd.ZULUTA :2009/04/18(土) 00:10:12 ID:QsGunsIf
私のSSも指摘があるようなので修正しようと思うのですがよろしいでしょうか?
210創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 00:13:41 ID:PH7B7wdy
>>209
>>198のことでしょうか?
私がレスしたわけではないので真意は分かりかねますが、
このレスはどちらかというと指摘というよりアドバイスに見えますが……
とはいえ、書き手さん本人が読みやすいよう書き直ししたい、
と感じたならば修正しても問題はないのではないでしょうか。
少なくともあなたの作品は内容は問題ないと感じますし。
211 ◆WWhm8QVzK6 :2009/04/18(土) 01:01:35 ID:7tkvsycn
一応これ以上指摘がないようなので投下しますが今日は遅いので
今日の22時以降に投下させてもらいたいと思います。
212 ◆/4zBz3jiVQ :2009/04/18(土) 01:28:57 ID:MI6S8yeI
>>196
最近忙しくて手が回らないので
あの設定が駄目というなら破棄してかまいません
213 ◆KX.Hw4puWg :2009/04/18(土) 01:51:07 ID:kexgrctg
うむぅ…遅れてしまった…
今日の内に仮投下or投下します。
214創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 17:48:46 ID:QQ/SU32L
◆/4zBz3jiVQ氏の話はどうなるの?
215 ◆KX.Hw4puWg :2009/04/19(日) 00:35:00 ID:nNvwtFWf
書けた…書けたぞぉ!うわああああい!
と、いう事で長くなりましたが、投下します。
216 ◆KX.Hw4puWg :2009/04/19(日) 00:36:45 ID:nNvwtFWf
先程の出来事から早数分ほど。
俺とてゐ、そしててつはまた同じ様に歩みを進めていた。
そして目の前にふと入った白き建物。…いわゆる病院だった。
あまり歩いた実感は無い。つまりそこまで距離は無いかったのであろう。
だが放送が近づいてきている今、尚更慎重に向かわなくてはならない。

「…」

潜入する時の歩き方でてゐより先に病院へと入る。
二階建ての小さな病院。
良く見ると辺りが散乱しているが、戦闘か何かが起きたのだろう。

「…人が居るか居ないかは分からないか」

そう俺は呟き、一階の廊下の奥へと向かい、ロビーらしき部屋の前にコルトパイソンを構えつつ、てゐに話す。

「…てゐ、少し遠くに居ろ」


俺はそう言い、少してゐを遠くへとやる。
そして持ったままのてつを地面に下ろし、ドアを少し開ける。
内容はあの女の時と同じだ。

「アソバンカー?」

武器は所持しているか。厄介だが、一度話を聞く必要があるな。
だからといってあのサクヤの時の様にするのもアレだから、という為か、俺は直接中に入る事にした。
俺の心臓の音が昂ぶる。
心臓の鼓動も徐々に早くなるが、既に今まで何回も経験済みだ。
一回呼吸をついて、俺は扉に蜘蛛の様に張りつく。

217 ◆KX.Hw4puWg :2009/04/19(日) 00:38:09 ID:nNvwtFWf
ミスった。
先程の出来事から早数分ほど。
俺とてゐ、そしててつはまた同じ様に歩みを進めていた。
そして目の前にふと入った白き建物。…いわゆる病院だった。
あまり歩いた実感は無い。つまりそこまで距離は無いかったのであろう。
だが放送が近づいてきている今、尚更慎重に向かわなくてはならない。

「…」

潜入する時の歩き方でてゐより先に病院へと入る。
二階建ての小さな病院。
良く見ると辺りが散乱しているが、戦闘か何かが起きたのだろう。

「…人が居るか居ないかは分からないか」

そう俺は呟き、一階の廊下の奥へと向かい、ロビーらしき部屋の前にコルトパイソンを構えつつ、てゐに話す。

「…てゐ、少し遠くに居ろ」


俺はそう言い、少してゐを遠くへとやる。
そして持ったままのてつを地面に下ろし、ドアを少し開ける。
内容はあの女の時と同じだ。

「アソバンカー?」

武器は所持しているか。厄介だが、一度話を聞く必要があるな。
だからといってあの咲夜の時の様にするのもアレだが、仕方ないか。
俺の心臓の音が昂ぶる。
心臓の鼓動も徐々に早くなるが、既に今まで何回も経験済みだ。
一回呼吸をついて、俺は扉に蜘蛛の様に張りつく。
218 ◆KX.Hw4puWg :2009/04/19(日) 00:39:20 ID:nNvwtFWf

「…突然驚かせてすまん。俺はソリッド・スネーク。お前達は?」
「お、俺は越前康介。コードネームはコンバット越前だぁ」
「私の名前はDIO。吸血鬼だが危害を加えるつもりは無いから安心してくれ」
「吸血鬼ですって?」

てゐが扉に近づき、そう言う。

「…?お前は誰だぁ?」
「失礼した。俺の同行者、因幡てゐだ」
「よろしくウサ!」

頭だけでは無く、全身を出し、てゐはぴょこんと飛び出す。
まさにここだけ見ると何処にでも居るような少女なのだが。

「ところでてゐ君、私が吸血鬼というに何か関係があるのか?」

扉越しにDIOが俺達に訪ねる。
てゐは先程DIOが吸血鬼の事に疑問を持っていた。…正直俺だって信じられないが、共に行動してきた奴等が奴等だけに、もう慣れた。

「いや、私の元の世界に居たところ、つまり私の同郷で物凄く強くて狂ってる吸血鬼が居るウサ。
少なくとも…私以外の人物は全員が強いウサ。気を付けて欲しいウサ」

…吸血鬼、といえばあの三人の誰かなのか?詳しくは分からないが、そういえばそうだ。
かなり強い、となると俺でも戦える自信が無い。
ロケットランチャーやRPG-7があればまだしもだ。
コルトパイソンじゃまず無理だな。

「…じゃあ、このまま五里霧中の中の話をするよりか、情報を交換するとしないかぁ?
俺はそれが良いと思うんだがぁ」

粘っこい、それでこそ独特の声で越前が言う。
無論それは俺も賛成だ。
どうやらDIOもてゐもそれを承諾し、俺とてゐは扉を開けた。

◇◇◇
219 ◆KX.Hw4puWg :2009/04/19(日) 00:40:02 ID:nNvwtFWf
DIOと越前の話の内容はこうだ。
DIOはサンレッドという男に襲われた後、命からがらここに逃げ込んだらしい。
吸血鬼もそう楽じゃないと俺は自覚した。
越前という傭兵兼医者は剣崎という仮面ライダーとかいうヒーローと共に行動し、ここに来たらしい。
ヒーロー…英雄か。戦いにおいてそんなのは存在しないんだろうが、奴は頼りにされてるんだろうな。
そしてこの越前が傭兵というのも驚いた。
まさか同業者が居るとは思わなかった。本当に主催は何の基準で俺達を呼んだんだろうか…
後は翠星石とかいう今ソファーに横たわっている自立する人形と…賀斉とかいう何千年前の中国から来た男など、まさに耳を疑う内容であった。
そして越前に俺が持っていたボウガンをやると、俺の格好を察してか、上に着ていた軍服を渡してくれた。これで少しは変態扱いされるのは止まるだろう。
それとてゐの頭の治療もしてくれた。いいセンスだ。

「…ところで、二人とも今からどうするのかな?」

DIOが俺とてゐに向かい、話す。

「今から私達は図書館に行くんだけど、出来たら医療品とかを譲って欲しいウサ。
ほら、怪我をそのままにしておくと、流石に嫌だし」
「下手してそのままにしておくとその怪我したり撃たれたした部分が腐ったりして使い物にならなくなって大変だからなぁ」

越前がてゐの言葉に同意しつつ返す。
医者という事もあってか、妙に説得感がある。

「DIO、こいつらにも医療品をやっていいか?俺は良いと思うんだがぁ」

越前はDIOの方へと振り向き、問いかけた。
DIOはこくん、と頷く。つまり、承諾したという事なのだろう。

「オーケー。少し待っててくれぇ」

そう言うと越前は一人、部屋の隅にあった小さい小棚からこのディパックよりもやや小さい袋を取り出し、俺達に渡した。

「同じゲームを破滅へとミチ☆ビクッ!仲間として、少し多めにしておいたぞぉ。図書館へ行くんだろぉ?気を付けてくれぇ」

越前がニヒルな笑顔を俺達に向け、また独特の口調で話す。
出来たら戦場では相手したくない奴だな…

「それじゃあここらへんでもう行くウサ。二人とも、ありがとうウサ!」

てゐが頭をぺこんと下げ、そう言う。
俺も少し頭を下げ、てゐとてつをつれ、病院を出た。
俺が空を見上げると、既に昼に近づきつつあった。 そして太陽がこの殺し合いの中途報告の一つに近い。
太陽というのがすべてを照らすかのように、この殺し合いでまたすべてを照らしていた。
220 ◆KX.Hw4puWg :2009/04/19(日) 00:41:27 ID:nNvwtFWf
【C-4 病院/1日目・昼】
【DIO@MUGEN、ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]軽傷(自然治癒力によって少しマシになった)、去勢
[装備]ライトセイバー@外人が想像したとてつもない日本が出てくるゲーム(RedAlart3)、阿倍さんのツナギ@くそみそテクニック 、メス50本、痛PSP@現実
[道具]支給品一式(水抜き)、マスクザ斉藤のマスク@ニコニコRPG、便座カバー@現実
[思考・状況]
基本思考:殺し合いの参加者はもちろん、あの主催者どもも全て殺す。
1:越前を利用し、更に他の参加者の信用を得る。
2:サンレッドを殺す、そのためなら手段は問わない。
[備考]
※自身の能力が制限されている可能性を理解しました。
※剣崎達にはザ・ワールドの存在を教えていません。ザ・ワールドの時止め能力が、時間を空けないと使用できないことを理解しました。
【コンバット越前(越前康介)@デスクリムゾン】 [状態]:精神的疲労(弱)
[装備]:市販傷薬(医療品一式)、アポロのクロスボウと矢筒(16/20)
[道具]:支給品一式、川田のバンダナ@バトルロワイアル、医療品一式(包帯、消毒液など)、メス10本
[思考・状況]
基本思考:このゲームを破滅へとミチ☆ビクッ!
1:翠星石の傷を出来る限り治してやる。人形だけど、大体は人と同じだろうし。
2:賀斉や剣崎…なんて言うだろうなぁ…
3:剣崎ブレイドと協力する。
4:民間人の保護。
5:夕方まで病院で待機
6:クリムゾンを回収する。
7:主催者及び統制者に関係するものに注意。
8:この茶番にデスゾルトスは関わっているのかぁ?
[補足]
※あくまで原作準拠です。
【因幡てゐ@東方project】
【状態】頭に包帯
【装備】プレミアム会員専用首輪、てゐの木槌@東方project、防弾チョッキ@現実
【持物】支給品一式
【思考・行動】
基本思考:スネークを利用し、スネークの『特等席』となり、生き残る。
1、図書館へ行き、バクラ、言葉を殺害する。特にバクラには強い憎悪。
2、首輪が白くなれば、弱マーダーを殺害。隠れて殺人をする場合、『確実に殺せて、なおかつ事実を隠蔽出来る場合』に限定する。3、ベジータ、サンレッドを警戒。
※言葉に誠死…もとい伊藤誠を蘇生させてと頼まされました。
※スネーク他二名に千年以上生きているのと、自らの知り合い達の事を教えました。
【ソリッド・スネーク@メタルギアソリッド】
【状態】肉体疲労(小)
【装備】コルトパイソン(2/6、予備弾36/36)@現実TDNスーツ@ガチムチパンツレスリング、越前の軍服
馬鹿の世界地図@【バカ日本地図】〜全世界のバカが考えた脳内ワールドマップ〜愛犬ロボット「てつ」@日本郵販テレホンショッピング
【持物】やる夫の首輪、ハイポーション@ハイポーション作ってみた、咲夜のナイフ@東方project、さのすけ@さよなら絶望先生、基本医療品
【思考・行動】
基本思考:情報を集める。また、首輪を専門の奴に見てもらう。
1、オフィスビルに向かう途中に図書館へ向かい、バクラ、言葉が危険人物か確認した上で、危険人物なら排除する。
2、自分から攻撃はしない。見つかった場合も出来れば攻撃したくない。
3、十六夜咲夜のような奴が居れば、仲間に誘った後、情報を聞き出した後倒す。
4、てつを使用し、偵察、囮に使う。
5、てゐが邪魔か否かを判断し、首輪が白くなったら延命させる。
6、十六夜咲夜、紅美鈴、フランドール・スカーレット、サンレッドを警戒。
※馬鹿の日本地図の裏に何か書いてあります。
※ミクが危険人物という情報を得ましたが、完璧に信用はしていません。
※盗聴されている可能性に気付きました。また首輪に電波が送られているか何かがあると思っています。
※電波を妨害するチャフグレネード等の武器を使えば、どうにかなると考察しています。
※てゐからは千年以上生きている、知り合いの事を話してもらいました。
※四人とも情報交換しました。
221 ◆KX.Hw4puWg :2009/04/19(日) 00:43:15 ID:nNvwtFWf
書けた…タイトルは「イエスタデイをうたって」で。特にタイトルに深い意味はありません。
222創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 03:01:52 ID:+4Dw3CtM
投下乙です
DIOはちゃくちゃくとサンレッドの悪評を振りまいてるな
スネークは信用はしてないがいたずらに疑ってないか
越前は剣崎が死んだことを知ったらどうなるか・・・・
223創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 03:34:51 ID:01Y+1bk2
おつおつ
そういえば先代のスネークはドラキュラ嫌いだったな……
あと一つ

>吸血鬼もそう楽じゃないと俺は自覚した。

これはスネークの台詞ですよね?
ミスではないですか?
224創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 09:08:07 ID:nNvwtFWf
>>223
アッー!しまった…

(吸血鬼も楽じゃないものだな)

持っていたコルトパイソンをチェックしながらそう俺は思った。

これに変更お願いします。
225創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 10:05:30 ID:UlhUIrxt
代理投下いきます
226創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 10:07:29 ID:UlhUIrxt
951 :藤崎瑞希の復活 ◆YQd.ZULUTA:2009/04/18(土) 19:03:54 ID:mII9t1yc0
藤崎はたった一人、真っ暗な暗闇の中を当てもなくぶらぶらと歩き回っていた。
図書館での一件の後、ワープ先のA-1から痛む足を引きずりながらどこか休める場所を求め歩いていたのだが、ついに激痛に屈し気を失ってしまった。
そして気がつけば藤崎は一人この空間にいた。
最初は一切の音も光もないこの場所に恐怖し、必死に助けを求める声を上げていたが誰もこない事はすぐに悟った。
そして冷静になった頃に押し寄せたのは仲間を殺人者から見捨てたという罪悪感。もうみんな殺されてしまっているかもしれない。そんな暗い予感が頭を過ぎる

(俺が…みんなを見殺しにしたんや。)

実際は襲撃者であるバクラ の狙いは藤崎ただ一人だったのであるから、トキ達はまだ無事なのだが…藤崎にそれを知るすべはない。
藤崎はおぼつかない足取りで歩き続ける。
だが歩いても歩いてもずっと同じ光景が続くだけだ、ついに歩くのにも疲れてその場に座り込む。
あの時の誓いもすでに疲労と罪悪感の前に薄れ、消えかけている。もう自分はこのまま闇に取り込まれ消えてしまうのではないのか。

「結構速攻脱衣」

「もう無理」という諦めの域に達し始めていた時、もう二度と聞けないはずの懐かしい声が聞こえてくる。
その声に藤崎はハッと反応し顔を上げる。
藤崎の目の前に立っている人物は…

「お前…なんで…」

ブロリーと闘い散った、しかし圧倒的力量の差があるにも関わらず怪物の足を破壊した歪み無き男、木吉カズヤ。
カズヤは微笑を浮かべ藤崎へと歩み寄る。

「久しぶりだな。といっても別れてから数時間程度しか経ってないか。」

あっけに取られている藤崎を見つめ、カズヤは言葉を続ける。

「あれから色々あったみたいだな。よかったらこれまでの事を聞かせてくれないか?」

しばらくして、ようやく落ち着きを取り戻した藤崎はどういうわけか分からないがカズヤと再会できた事を理解し、顔をほころばせる。がすぐにまた表情を戻す。
もしこんな精神状態でなければ大喜びしていたであろう。しかしともかく藤崎はカズヤにこれまでの経緯を話しておく事にした。

「あ、ああ、まずトキとは無事合流できてな…」

227創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 10:08:18 ID:UlhUIrxt

全てを話した。

「事情は分かった。だが、だからといってお前は諦めるつもりか?俺を救った時のお前は―」
その台詞を最期まで言わせる事無く藤崎は口を挟む。

「あの時の俺は虚勢はってただけや。」

「たしかにお前は実力を弁えていない所があった。
だがお前の参加者を救いたいという歪みない気持ちは本当だったはずだ。」

「その参加者を救うっていう方針もお前みたいな正義の心からきたわけやない。
あれは俺を侮辱した連中に対する仕返しのための手段であって、別に命の尊さとかを考えてたわけやない。」

そう藤崎は吐き捨てるように言った、そんな友の姿を目の当たりにしてもカズヤは表情を崩そうとはしない。
逆に微笑を浮かべ語りかける。

「たしかにお前に正義の心はなかったかもしれない、だがいかなる理由にせよ、
この殺し合いの場で人々を救おうとしたお前はやっぱり歪みねぇと思う。」

予想外の言葉に藤崎は顔を背ける。

「しかし今のお前にはたしかに正義の心が芽生えているはずだ。だから皆を見捨てた罪悪感に苦しめられているんだろ?
大事なのはお前の過ちを反省し、次に生かす事だ。後悔だけでは前にはすすめない。」

藤崎は相変わらず顔を背けたまま動かない。


228創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 10:09:48 ID:UlhUIrxt
952 :藤崎瑞希の復活 ◆YQd.ZULUTA:2009/04/18(土) 19:06:07 ID:mII9t1yc0
「俺の信条、覚えているか?」

カズヤは藤崎の肩をポンっと叩き、叫ぶ

『全てはチャンス!!!』

ようやく藤崎は顔を上げた。その顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっていたが、その代わりに先ほどまでの陰鬱な雰囲気は消えている。
本当にうれしかったのだ。藤崎自身今まで気付いていなかったが、藤崎は心の奥底で誰よりもこの男に本音をぶつけ励まして貰いたかった。

再初期の藤崎にとって、木吉カズヤという男は単なる哀れな参加者の一人に過ぎなかったはずだ。それがなぜこれほどまで友情を感じるようになったのだろうか。
コメント欄を荒らすニコ厨たちと日夜煽り合い、他の配信者達や自分を敬うチルドレン達とすらつぶし合う。
そんな殺伐とした日々を過ごしてきた自分を命をかけて守ってくれた、仲間と呼べる初めての人間だったからか。
それは本人にもよく分からない。分からないが藤崎にとってカズヤは、
これを最後にもう二度と会うことのない、かけがえのない戦友である事は確かだ。

「おい、この俺を誰やと思ってるんや?この俺がこんな所で立ち止まるわけがあるはずがない!
お前の意志は俺が継いでやったんや、お前の代わりにみんな俺が助け出してあの腐れオタク共をぶちのめしたる!よう見とけよ。」

みっともなく鼻水を垂らしながら、しかし力強い藤崎の言葉に満足したのか。満面の笑みを浮かべながらカズヤは薄くなり消えていく…

「あぁ、歪みねぇ…」

辺りを包んでいた闇が光へと変わっていく―



藤崎は目覚めた。ゆっくりとソファーから起きあがる。
刺された片足を動かすと傷が痛む、足の痺れもまだ取れていない。
だがそんな事はどうでもいい。立ち上がり片足を引きずりながら、しかし力強い足取りで家中を物色して回る。
目当ての物を見つけると洗面所へと入っていく。

数分後。
洗面所から現れたのは上半身裸にパンツ一丁、マスク着用、頭に純白のタオルを巻いた男、パンツレスラー。
決意を新たに復活した藤崎は歩く。
自分が救い、そして自分を救った男のためにも。

229創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 10:10:45 ID:UlhUIrxt
【B-2/住宅街/1日目・昼】
【藤崎瑞希@現実】
[状態]さらなる決意、パンツレスラー、疲労(小)、脛に軽い刺し傷(鱗粉付き)、足に痺れ、罪悪感
[装備]なし
[道具]支給品一式、金属バット@現実、ショートカッター(残り0枚)@ドラえもん
[思考・状況]
基本思考:主催者の目論見を粉砕し跪かせる
1:全てはチャンス
2:参加者を救う
3:受け継がれた意志を持って、闘う
4:俺を襲ったのは誰なん?
5:あそこで寝てる奴が俺を運んでくれたんか?

【馬岱@呂布の復讐】
[状態]:頭にたんこぶ 幻術と戦闘による疲労(中)、睡眠中
[装備]:鍬@吉幾三、三国志大戦カード(群雄SR馬超)@三国志大戦
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
1:Zzz…
2:起きたら男(藤崎瑞希)から強い奴の情報を聞く。
3:殺し合いに乗って、自分の力を試す
4:弱い奴からは情報を聞く。
5:呂布……記憶障害とは大変だな……
6:もうちょいまともな武器が欲しい
7:ブロリーとは遭遇したくない
※参加者の多くの名前を見た覚えがあることに気が付きました。ニコ動関連の知識の制限は実況者達等に比べて緩いようです


230創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 10:11:55 ID:UlhUIrxt
代理投下は以上です
231創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 15:57:14 ID:V0HHiJaP
そういえばDIOってMUGEN出典でもあるんだな
ってことはアレクとか社長と面識あるんだろうか?
それともスタンドの制限だけ?
232創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 21:01:05 ID:UlhUIrxt
◆/4zBz3jiVQ氏の話は結局どうなるんだ?
はっきり決めたほうがいいと思うんだけど。
233創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 21:03:47 ID:tpkbndJ6
本人が破棄でいいって言ってるなら破棄でしょ
234創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 21:17:22 ID:nNvwtFWf
早いとこwikiも追加しないといけないしな
235 ◆WWhm8QVzK6 :2009/04/19(日) 21:26:00 ID:id6e3aGz
やむをえない事情があって昨日は投下できませんでした。すみません
今から投下したいと思います。
236 ◆WWhm8QVzK6 :2009/04/19(日) 21:30:42 ID:id6e3aGz



「とにかく……このままじゃ、ね」

さんさんと爽やかな朝日が窓を通り抜けて漏れている。
現状、もはやマントが仮面以外敗れた以上迂闊に外に出ることはできない。
おまけに自身の体の状況を顧みれば誰かと出会うことも出来ないだろう。
お人好しならまだしも、殺人者である場合の対処は面倒の域を超えている。
故に彼女がとるべき選択肢はかなり狭められることになる。

(と言ってもやることもないしなぁ……隠れてるだけなのもつまんないし)

左手はなんとか再生しつつあるが、新たに傷を付けられた箇所はまだ治らない。
再生できるだけの栄養は足りている。
だが、今彼女にかけられている枷が再生力を遅延させているのだ。

じゅくじゅくと元の状態を取り戻していく傷跡を見つめながら、フランは思う。
ただ、痛い。傷が痛い。
普段の状態ならこれほどまでに長く痛みを感じることはない。
長い痛みが、フランを苛立たせる。

斬られた右手が痛い。
足を穿たれたのが痛い。
撃ち抜かれた左肩が痛い。
斬り千切られた両翼が痛い。
アイツにやられた体中が痛い。

けど、痛みをぶつけるべき相手は、いない。

フランは二階へと続く階段を上る。
もしかしたらマントの代わりになるモノが見つかるかもしれないと思ってのことだった。
いつもより時間をかけて階段を上りきり、何気なく外を見た。

鉄の塊のような獣が外を闊歩している。

(あれは……)

とてもよく見覚えのある物体。
確かあれはテトが乗って行った魔導アーマーではないだろうか。
彼女はせわしなく動いてるソレを凝視するとそれの上に乗っている少女の姿を見咎めた。
237創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 21:34:42 ID:nNvwtFWf
N.R.βは本当に支援なのか?最終鬼畜バトロワN.R
238 ◆WWhm8QVzK6 :2009/04/19(日) 21:35:16 ID:id6e3aGz

「誰?」

だが、彼女の眼に映ったのは別れた時に乗っていたテトではなかった。
若干似てる気もしなくはないが少なくとも、知っている人間ではない。
知っていたからと言って、特にどうということはないのだが。

「まさか……ここに来るの?」

出来れば今はまだ誰とも遭遇したくない。
誰かと会うのは傷が完全に治癒してからの方が望ましい。
左手が治った以上戦えないことはないが、なるべく戦闘は避けたいというのがフランの意見だった。

(お話……してみようかな)

何気なく思いついたことだったが、すぐに出くわすのは危険だということは重々承知している。
フランは、隠れて様子を見ることにした。


     ※     ※     ※     ※     ※


デパートの一部損壊により電気システムは半分が破綻していた。
店内の電灯は4割ほどごっそり消え、エレベーターやエスカレーターなども大方が本来の機能を失っている。
無論、自動ドアも例外ではない。

「何で動かないのかなあ」

そのドアを、魔導アーマーは問答無用で破壊した。
ドアの破片がばらばらと飛び散り、扉の枠を押し曲げて初音ミクの乗る機獣はデパート内に侵入した。
あまりにも大胆で派手な行動なのだが、精神恐慌状態により正常な判断力を失った彼女にとってそんなものはお構いなしだった。
大きな音を立ててエントランスの床に罅を入れながらホールに辿り着く。
目の前には、1Fの食品売り場があった。

「流石に通れないかもね」

そう言うと、ミクは魔導アーマーから降りて辺りを見回した。
その後を植物がうねうねとついてくる。

「誰かいませんかぁー?誰もいないのかなぁ?
 嘘吐きじゃなかったら出てこれるはずだよね?」

ふらふらと、はっきりとしない足取りで少女は食品売り場の奥へ向かっていく。
その様子を見届けている人影が、一つ。

(お話がしたいのかな?)

しかし、そういう様子はあるようでないような気がする。
フランには彼女がなにやらおだやかでないように見えた。
体が元通りになれば話してもいいだろうが、今は関わりたくない。
だが、それとは別に。フランは魔導アーマーを調べようと思い至った。
239 ◆WWhm8QVzK6 :2009/04/19(日) 21:36:38 ID:id6e3aGz

食品売り場を一回り。
得られるものは何もなかった。
シゲルを引き連れて、少女は歩く。

「二階にも上ってみようかなー」

フランは、ミクの知らぬところで魔導アーマーの操縦席に乗り込んでいた。
必要はないが、何かないか調べてみたかったのだ。
中を見る限り誰もいないし、何もいない。
しばらくしているうちに、足音が近づいてくるのがわかり、思わず隠れてしまった。

(しまった……どうしよう)

当然、これを回収し損ねている以上打つ手は逃走か戦闘くらいのものだ。
面倒は避けたかったが仕方あるまい。少しの間思案して、フランは一つの方法を思いついた。

ミクは魔導アーマーに対して真正面から一直線に歩いてくる。
フランが小さいためか屈んでいるためか、それに気づいた様子はない。
そのまま歩くミクの足が、突如遮られる。

「どうしたの?シゲル」

意思疎通の方法を持たないシゲルが真実を伝えることは敵わない。
だからこそ、こうしてミクの前に立ち危険を知らせようとしているのだ。
彼が魔導アーマーの上に感じた何者かの気配。
それを感じ取れたのはほんの偶然でしかなかったのだが、ここで気づけたことはある意味幸運だったか。
だが、もしあれを操作された場合――――――

ドンという音が、ホールに響いた。
誰も乗っていなかった筈の魔導アーマーが、突如として動き出した。
もちろんそれはあくまでもミクからの視点であり、フランが操縦席にいることはなんら変わりない。

(これで逃げてくれるよね……)

これは、フランの考えがあってのことだ。
確かに目の前の相手と話をしてみたいという気持ちはある。
だが、自身が万全でない以上もし相手が危険人物だとしたら自身に危険が迫るかもしれない。
だからとりあえずここは、相手に逃げてもらうことにしたのだ。
自分が逃げるのもひとつの選択肢かもしれないが、羽が無く、飛行能力を失い、片足には銃撃を負っている状態で
果たして逃げ切れるだろうか?もし、相手がその気でなかったとしても逃走の行為を咎められては困る。
故に、フランは魔導アーマーで威嚇して、相手に逃走を促そうとした。魔導アーマーを使ったのは、自身の姿を隠すためだ。
いったん姿を出して威嚇した場合、成功したとしても次に取り合ってくれるかは怪しいと感じたからである。

あおばシゲルも、感情を表に表せないものの内心焦っていた。
あれを奪われてしまったら、少なくとも取り返す手段は無い。
ミクを守るため、ここは逃げようとしたのだが、
240 ◆WWhm8QVzK6 :2009/04/19(日) 21:38:18 ID:id6e3aGz

「行って!」

ミクの口から出た言葉は、予想外のものだった。
今の彼女には、目の前のものへの恐怖よりも、魔導アーマーを奪われた怒りが圧倒的に上回っていた。
色々判断力がおかしくなったミクはその場を動く気は毛頭も無いようだ。

シゲルは戸惑いながらも、魔導アーマーをなんとかミクに近づけさせまいと種マシンガンを放つ。
アーマーにあまり傷こそつけられないものの、凄まじい弾丸の衝撃によりフランは驚いてしばしたじろいだ。
しかし、そのシゲルの選択が逆に仇となった。

(え?そんな!)

てっきり逃げてくれると思い込んでいた為に、フランは普通に驚いてしまった。
だが、そうであるなら仕方ない。
ちらりと、相手の姿を見るために、こちらからは姿を見せないように顔をのぞかせる。

髪の長い少女と、得体の知れない妖怪植物が一匹。
攻撃をしているのは植物だけ。命令をしたのは少女のようだが……。
ふと、フランは植物に首輪がどこにもついていないことがわかった。
ゆっくりやディムロスのような前例を見ていたため、その植物が支給品だという考えに容易に至った。

(悪いけど……)

目の前の少女を退かせるにはあの植物をどうにかするしかない。
殺すまではしなくとも、魔導アーマーで殴れば動けなくなるだろう。
それできっとあの少女も諦めて逃げてくれるに違いない。
そう考えたフランは、更に機械を前進させ

突如、強烈な疲労感に襲われた。

普通に疲労したいうより自身の体力がまるで奪われたかのような感覚に、フランは瞠目する。
どういう原理かはわからないが、きっとあの植物がやったに違いないと判断した。
その証拠に、目の前の植物に元からあった傷が、みるみるうちに修復していっているのだ。
あの植物の仕業であることは、間違いない。

そして、それは事実だった。
シゲルの所有技、「ドレイン」によりフランの体力は奪われ、シゲルはその分回復することとなった。
相手が魔導アーマーに乗っている以上決定的なダメージは与えることはむずかしい。
ならば、相手を直接的に攻撃するような技を使えばいい。
そういう結論に達し、シゲルは「ドレイン」を実行したのだ。
だが、自身の体力がそれなりに回復した以上、次にドレインで与えられるダメージはかなり少なくなるだろう。
それでも、相手の動きは鈍くなるはず。そこでダメージを追加で与えられなくともとにかくミクに及ぶ危険は少なくなるだろう。
そう考えたのだ。
241創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 21:38:44 ID:nNvwtFWf
支援の
242 ◆WWhm8QVzK6 :2009/04/19(日) 21:39:00 ID:id6e3aGz




それは正しい選択で、そして、最大のミスだった。


「え?」

驚きの声はミクのものだった。
魔導アーマーから真っ直ぐに、タイル張り床が熱されて煙を発しており、その先のドア枠は若干融解して湾曲している。
シゲルに突き飛ばされたかと思いきや、目の前にこのような状況が広がっていたのだから驚愕は当然だろう。
魔導アーマーのビーム発射口の前には炭の塊がぶすぶすと燻っている。
それが何なのか、彼女には分らなかった。
ミクを庇うために光線をまともに浴びて炭化したあおばシゲルの姿だということを。


「あれ?……シゲル、どこ行ったの?」

地面にへたり込んだまま、ミクは呟いた。
応えはない。
ともかく、シゲルの姿はどこにも確認できない。
辺りを見回すうちに、彼女は魔導アーマーの操縦席にいる何かに気づいた。

自身より小さな少女が、こちらと目が合い、驚いたような、そして若干諦めが入った表情をした。

「あなたがシゲルをどこかにやったの?」

(それは……)

シゲルというのは、たぶんあの植物のことだろう。
目の前の少女には申し訳ないとは思うが、フランにはああするしかなかったのだ。
シゲルによる謎の攻撃。次にあれを喰らえば自身の命が危ういと即座に判断した。
もちろん同じだけダメージが来ることはもう無かっただろうが、そんなことをフランが知るわけがない。
死んでは元も子もない。死ぬのは嫌だった。何も出来ないまま死んでいくのだけは、願い下げだった。
今すぐにあの植物を排除する。少々パニックに陥ったフランにはそれしか念頭になかった。

そして、ボタンを押したのだ。


ボタンを押してビームが発射された瞬間、フランは焦った。
少女の存在をすっかり忘れていたのだ。
もし、あのビームに巻き込まれて死んでしまっていたら、また同じことの繰り返しとなってしまう。
もう話もせずに人を殺すことはしないと考えていたのに、これじゃダメだ。
そう思って、おずおずと確認したのだが、少女の姿はあった。しかも無傷だ。
フランはほっとして、自身の姿が相手に丸見えになっているのも忘れていた。
243創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 21:39:03 ID:po7QKLxl
支援
244 ◆WWhm8QVzK6 :2009/04/19(日) 21:40:03 ID:id6e3aGz
      ・・・
確かに少女の支給品を殺したのは悪いとは思うが、うまい弁明が思いつかない。
というより、姿を見られるとは思っていなかったので言い訳など最初から考えていなかったのだ。
まごまごしているうちに、少女が歩み寄ってきた。
その眼は、フランに降りて来いと促しているようだ。

応じなければいいものを、フランはあっさりと従ってしまった。
最善の注意を払って然るべきなのだが、相手が植物を倒されても何も攻撃をしなかったこと。
それと、相手を見る限り武器を持っていないということ。
デイパックは、その少女の後方に落ちてある。おそらく彼女がこけた時に落としたのか。
それらの事から少女に戦闘の意思がないと判断したためである。
その明らかな油断が、命取りとなるとも知らずに。

「ああ、そう。あなたも嘘吐きなのね」

アーマーから降りたフランに向かって、彼女は言い放った。
当然、フランは首を傾げる。

「何を言っ」


行為は一瞬だった。
ミクはおぼつかない足取りでフランに走り寄り、隠し持っていたナイフを彼女の胸に目掛けて突き刺した。
フランは動かない。
ミクの顔が狂喜に歪む。

が、その表情はすぐに別のものへと変化した。

ぽた、と。
血が滴となって床に落ちる。
その血はフランの体から出ている。
しかし、ナイフは彼女の急所には達していない。
未だ元通りになっていない右腕により、刃物の侵攻は阻まれた。

「痛い」

その言葉を聞き終えたか否かと言う時に、ミクは尻もちをついた。
無論、何かに躓いたわけではない。
フランが左手から放った弾幕により、彼女は簡単に倒されたのだ。

ミクは起き上がろうとする。

「!?」

上手く起き上がれない。
立とうとしても、バランスが取れない。
二度、三度試行するうちに彼女はようやくその理由に気づき、

245創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 22:10:58 ID:Sf5ttrUb
遅延
246創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 22:30:40 ID:ScEAEoME
支援
247 ◆WWhm8QVzK6 :2009/04/19(日) 22:46:07 ID:id6e3aGz






「あ、あああぁあぁぁアア嗚ァああアアアアッ!!!?」



彼女のココロは、完全に崩壊した。


「嫌っ!嫌アアアアアアアア!!!」

何が嫌なのか、自身の発する言葉の意味もわからぬまま、彼女は叫び、必死に這いずり逃げようとする。
彼女の左脚部は原形をとどめていない。
内側の機械構造に至るまでがほぼすべて潰されている。
彼女が予期してもいなかったただの一撃で、左足は何の意味も為さなくなった。

フランが右腕からナイフを引き抜き、それがカランと床に落ちる音がした。

なぜ逃げているのかもわからない。
何から逃げているのかもわからない。
何もワカラナイまま、ただ、彼女は逃げていた。

「ねぇ、聞きたいんだけど」

応えはない。
フランはそれをつまらなそうに見ると、また一つ光弾を放った。
それにより、ミクの右足は破壊された。
だが、ミクは止まろうとはしない。

動きが全く衰えることがないのは、単に痛覚がないことが挙げられるだろう。
初音ミクはロボットであるが故に痛覚を持ち合わせてはいない。
痛覚がない以上、痛みに苦しんで行動が鈍ることもない。
だから、こうして両足による推進力がなくなっても気絶することなく手だけで動こうとするのだ。

未だに続く耳をつんざくような叫び声を無視して、フランはさらに2発撃ちこんだ。
衝撃がミクの体に伝わる。
それでも動くことを止めようとはしなかったが、とうとう動けなかった。
ダルマになっては、もはや移動することもかなわない。
人間ならば致死に至る傷だが、四肢の損壊程度でロボットは完全に機能停止はしない。
ただ、以前のように動けなくなるだけだ。

それでも、彼女は叫ぶことを止めようとはしなかった。
過度の発声により声帯機能はボロボロになり、もはや紡ぎだされる声は雑音になり果てている。
そして、それすらも遮られることとなった。

「ガッ……あ?……っヅ」

芋虫のように蠢いている胴体を仰向けにして、フランはミクの首を絞めたのだ。

「ねぇ、聞きたいんだけど」

再度、彼女は目の前のコワれた人形に声をかける。

「どうして私が嘘吐きなの?」
248 ◆WWhm8QVzK6 :2009/04/19(日) 22:46:51 ID:id6e3aGz
ミクは答えない。

「ウ……嘘……はギッ……」

代わりに出たのは、ただの反復だった。

構わず、フランは一言を告げた。


「私、何も喋ってないのに」


壊れていたはずのココロが、僅かに収束した。

目の前の女の子の言っていることは、紛れもない真実で。
彼女は、嘘をついていないということになる。
じゃあ、彼女を嘘吐き呼ばわりした自分は?



――――――ああ、なんだ。

壊れかけの彼女はそこでようやく理解して。

『君は実に馬鹿だな、私の嘘を乗り越えさせてくれたミクちゃんは嘘をきっと乗り越えてくれるんだから』

そして、それが遅すぎたことを理解して。

――――――嘘吐きは、私の方だったんだ。

今度こそ、初音ミクは完全に崩壊した。


す、とフランの左手がミクの頭に据えられた。
反応はない。
構わず、フランは弾幕を放つ。

鉄が割れるような音がして、初音ミクはこのゲームから消滅した。



――――――――――ごめんね、皆。



【あおばシゲル@MF2死ぬ気シリーズ 死亡】
【初音ミク@VOCALOID 死亡】
249 ◆WWhm8QVzK6 :2009/04/19(日) 22:47:56 ID:id6e3aGz

フランは、目の前の存在が完全に停止したのを確認すると、その場を立ち去った。
魔導アーマーはとりあえず、廊下の奥にまで動かし、放置しておいた。
目立つことを避けたいという今のフランにとっては必要のないものだ。
この魔導アーマーは確かテトと別れた時に彼女が乗っていたはずだが、いないということは彼女は死んだのか。
それを次の放送で知らされるのだろうか。そう思うと、フランは少し悲しくなった。
(隠れないと……)

デパートに来てから短時間で色々なことがあった。
肉体的な疲労はまだなんとか大丈夫だが、精神的に疲れるものがあった。
思い切って話しかけてみたものの、結局殺してしまうことになったからだ。
けど、自分を殺そうとしたのだ。自分の命を狙うやつがいい奴なわけがない。フランはそう思っていた。
フランには分かっていなかったが、ミクが狂っていたとはいえ凶行に及んだ理由は少なからず彼女にある。
魔導アーマーに近づき、そして存在がばれた時点でミクとの会話という選択肢は削がれていた。
シゲルを殺さなければよかったのかもしれないが、フランにとってシゲルはただの言葉を介さない妖怪にしか思えなかったし
それほど重要とも考えなかった。というより、戦闘になった時点で会話が叶いそうにないということは彼女には分らなかった。
彼女が隠れ通しておけばこのような事態に陥ることも無かっただろう。
いずれにせよ、出会って話をしたとしてもそれが成立せず、逆にミクに殺されていたかもしれない。
それを考えれば、フランの意には沿わなかったとはいえ彼女にとって適切な展開ではあっただろう。

結局として、フランの考えはあらゆる面において甘すぎた。
まあ、出会った相手が悪かったとも言えるのだが……。

ふと、ホールの時計が彼女の目に入った。

「もうこんな時間なんだ」

12を指している短針に、長針が重なろうとしている。
ゲームが開始されてから、既に半日が経とうとしていた。





F-3 デパート内/一日目・昼】
【フランドール・スカーレット@東方project】
【状態】:体力全快、全身に拷問痕、翼喪失、左肩に銃痕、右手喪失、、足に刺し傷(いずれも微々に回復中)
【装備】:ショッピングカート
【持物】:基本支給品一式*2、クリムゾン(弾数0/6、予備弾12/36)@デスクリムゾン、セーブに使って良い帽子@キャプテン翼
ゼロの仮面@コードギアス、射影機(07式フィルム:28/30)@零〜zero〜、予備07式フィルム30枚、フランの翼と指、ショッピングカート
【思考】歪みない生き方=今まで通りの自分の生き方をする。
0、一旦隠れる。
1、外に出れる服を探す。
2、嫌な奴を殺す(アカギ(名前は知らない)、ブロリー)
3、嫌な奴かは話して決める。襲ってくる奴は殺す。
4、本屋にあるDMの本を読みたい。
5、手が再生しないと何もできないよ。
6、映画館どうしよう。
※「ゼロの衣装セット」は仮面以外破れました。太陽に晒されれば死に至ります。
※美鈴達と情報交換をしました。
※再生はできますが、速度は遅いです。
※くず鉄のかかしの使用制限を知りました。
※フランは羽入の名前を知らず、オヤシロ様とだけしか知りません。
※クリムゾンの進化ゲージは初期値に戻りました。
※本来より速く、二、三人の殺害(もしくは死体撃ち)でゲージは最大に溜まるようです。
※自分の所為であおばシゲルが死んだことがわかっていません。

※魔導アーマーがデパート内に放置されています。
 ミクの荷物はデパートホール内に放置されています。
250 ◆WWhm8QVzK6 :2009/04/19(日) 22:49:06 ID:id6e3aGz
投下終了です。
タイトルは『嘘と現実の境界』です。
感想などあればどうぞ
251創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 22:54:05 ID:nNvwtFWf
投下乙。
ミク…ひどい死に方したなぁ…
そしてボカロ勢は半分切ったか…東方も思った程以上まだ死亡者出てないし、戦闘能力の差なのかなぁ…
252創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 22:59:15 ID:jWgesmm0
>>251
戦闘能力だよなぁ……でも今回は東方より上がいるんだぜ。
ドラゴンボール勢なんてまだまだ元気でやる気満々なんだが。
253創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 23:01:43 ID:nNvwtFWf
前回は核鉄やデバイスが豊富で一般人強化は安易に出来たんだが、今回少ないからなぁ…だから一般人が死んでると思う。
254創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 23:15:36 ID:onUUM6uZ
強化した一般人はもう一般人じゃないだろ
255創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 23:15:44 ID:Oo/oriGI
そういや機械としてのボカロってミクだけだったのかな?
リンは出展違うからもちろんだけどハクが出血してたりKAITOが泣いてたりするし
256 ◆F.EmGSxYug :2009/04/19(日) 23:21:02 ID:9aCd8/iO
SSが揃ってきたので、放送を仮投下スレに投下しました。
257創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 23:39:57 ID:id6e3aGz
>>255
ミクはOPでロボットと明言されてたけど……他はどうなんだろ

>>256
問題はないと思います。
258創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 00:01:35 ID:GXO5rFPk
ドラゴンボールでいう人造人間17号・18号みたいなもんじゃないの?
259 ◆uv1Jg5Qw7Q :2009/04/20(月) 00:02:40 ID:ULCR95PJ
本投下します
260 ◆uv1Jg5Qw7Q :2009/04/20(月) 00:04:01 ID:ULCR95PJ

「ゆっ!」
デイパックを担いだ二匹のゆっくりは、周りが明るくなった事に気付いた。
森から抜けたらしく目の前には大きな平原が広がり、その先には家やテト達と歩いた道が…

「…ゆっ…」
ゆっくり霊夢はテトの事を思い出し、目頭が熱くなるのを感じた。
だが、必死に首を振り涙をこらえる。これでは駄目だ、と。
自分たちが泣いてばかりいては、きっとテトは怒るはずだ。
そして弱い自分を叱ってくれた相棒、ゆっくり魔理沙も。
ゆっくり霊夢は横を見る。あの嫌らしい笑みを見れば悲しみなんて吹き飛ぶはず―――


「ゆゆゆっ!?」


呂布は、小さな生首に突き立てた剣を抜くと、騒いでいるもう一つと一緒に蹴り飛ばした。
そしてその場に残された足下のデイパックを見る。

「支給品が二つ…と言うことはあの死体の物か」

まさかあの生首がやったのだろうか?いや、それなら刺される前に反応出来るはずだ。
まったく気付かなかったところを見ると、力を持っていないんだろう。
…そういえばあの生首、首輪をつけてないが…まぁいい。
呂布は二つのデイパックを持ち上げると、逆さにして中身を出した。

「む…これは包丁で…この二つも形状は違うが包丁の一種だろう。
あとは…厚紙と団扇か。これも武器にはならんな…後は…」

呂布は用途の分からない三つの物に目を向けた。
カメラ、銃、リモコン。どれも、三国志の時代には存在していない物である。

「術師専用の武器…という訳か?俺には使えそうもないな」

そう呟くと、呂布はそれを含めた支給品を一つのデイパックに詰め込む。
そして最後の一つを入れようとしたとき、ゆっくりが飛び跳ねてきた。

「ゆっ!!」
「…なんだ?」

呂布が覇気を持った声で問うが、ゆっくりは答えない。
その代わりに、目には闘志の籠もった炎が燃え上がっていた。
そう、まるで呂布が最初に出会った少女、チルノのように。

「…まぁいい、俺も使えない武器を持っていても仕方ないからな。くれてやる」
「ゆゆっ…」

ゆっくりは呂布からその物を受け取ると、それを頭に乗せゆっくり魔理沙の方へ跳ねていった。

「いくら弱い者とはいえ…俺も甘いな」

呂布は小さく苦笑すると、ゆっくりに背を向ける。
そして、先ほどまでと同じ方向に歩を進めた。

261 ◆uv1Jg5Qw7Q :2009/04/20(月) 00:05:21 ID:V0HHiJaP

【B-3西南/一日目・昼】
【呂布@iM@S演義】
[状態]腹部に打撲 、全身謎の液体まみれ、疲労(小)
[装備]折れた斬馬刀@るろうに剣心、イージス@FF11
[道具]基本支給品×2(食料・水-1) 三国志大戦カード(UC董白)@三国志大戦、 葉団扇@東方project 包丁@現実 射命丸文のカメラ@東方project
サバイバルナイフ@現実 果物ナイフ@現実 拳銃(0/6予備弾24)@デスノート
[思考・状況] 基本思考:強そうな奴には片っ端から喧嘩を売る。優勝狙い
1:支給品を確保できて安心。
2:罠を張った奴はここには既にいないようだな……
3:術師には負けない。
4:チルノとはまた会ったら決着を着ける。
5:メタナイトと全力の決闘をしたい。
6:ブロリーとも決着をつけたい。
7:主催者も殺す。
8:術者(馬岱)との決着もつける。
※イージスは意思を持っていますが、封印されているのか本来の持ち主でないためか言葉を発しません。
※デイパックは馬岱に奪われました。
※本人は気付いてませんが、斬馬刀には餡がついています。



「ゆっ…ゆっ…」

ゆっくり霊夢は、留めていた涙がこぼれるのを押さえてられなかった。
さっきまで笑っていたのに、今では凝視できない恐ろしい顔をしている。
これはもう駄目だな、とゆっくり霊夢は後ろを向き、立ち去ろうとした。

次の瞬間、なんと後ろには元気に飛び跳ねるゆっくり魔理沙の姿が!

「ゆっくりした結果がこれだよ!!!」

ゆっくり霊夢は驚きで目を丸くした。
死んだはずのゆっくり魔理沙は、人を馬鹿にしたような顔で笑っている。
なんとなくムカついたゆっくり霊夢は喜びから―――

呂布に返してもらった支給品、偽起爆リモコンを穴の開いたゆっくり魔理沙の頭に突き刺した。


【ゆっくり霊夢、ゆっくり魔理沙@ゆっくりしていってね】
[装備?] 偽起爆リモコン(4-5時間使用不可)@オリジナル
[道具]
※ゆっくり魔理沙の頭に偽起爆リモコンが刺さっています。命に別状はありません。
262 ◆uv1Jg5Qw7Q :2009/04/20(月) 00:07:55 ID:ULCR95PJ
投下完了です。
タイトルは「呂布綺想曲 〜double Yukkuri」です。
263創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 00:11:22 ID:mCENChNh
Wikiの収録ってもうしても大丈夫かな?
264創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 00:12:37 ID:OWUcsp/7
大丈夫でしょう
265創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 16:33:04 ID:Q1VfFl4+
まだ投下残ってますか?
266創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 19:13:16 ID:mCENChNh
◆aeG9btpil氏の修正が残ってなかった?
267創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 22:55:06 ID:MAlpzWS1
え?ゆっくりは不死なの?
268創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 22:58:22 ID:Bk50vVno
あれじゃね?二人同時に殺さないとダメなタイプ
なんかそういうボスがいたよね、FFに
269創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 22:59:19 ID:GKAFO+U0
ゆっくりならしょうがないな。
270創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 23:06:31 ID:e1z5n7Df
まあこの様子だと、同時じゃなくても片方が復活する前にもう片方倒せばいいって感じだがw
271創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 01:10:57 ID:JluK0eoc
ゆっくりがいつの間にか同時に倒さないと死なないキャラになってるw
面白いからその設定採用
272創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 01:28:58 ID:gFvUV1z0
倒すのにゆっくりしてると復活って事かw
ゆっくりした結果がこれだよ!
273創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 21:32:36 ID:SvsK4Xlg
MUGENのちびゆっくりだな
でも、あれは魔理沙のほうが本体だった気が
274創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 20:13:45 ID:6tCP2n+0
ちびゆっくりか、納得
275創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 21:33:17 ID:O5zw+cvp
放送遅いなぁ
276創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 21:52:51 ID:rbU2zDfC
メンテナンス中なんだよきっと
277 ◆F.EmGSxYug :2009/04/22(水) 21:54:01 ID:NSCtugJW
まだ修正が投下されていない作品があるため本投下できません。
278創る名無しに見る名無し:2009/04/22(水) 23:43:36 ID:2uZYa7CV
避難所に投下きたよー
279創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 20:39:04 ID:Bgans/Zy
代理投下いきます
280創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 20:40:47 ID:Bgans/Zy
362 :『キャーブロントサーン』 ◆aeG9btpil.:2009/04/23(木) 18:25:22 ID:zTc4VDa60
私が男の道具を文字通り身ぐるみ剥いでバッグに詰めていると、ブロントさんから呻き声が聞こえ始める。
食べるかどうか迷っていたメロン(1/2)を脇に置いてから顔を近づける。
ちなみに寝ているブロントさんに毒見させたので大丈夫だと分かっている。
渚はメロンとにらめっこをしながら兄について思い出そうとしていた。
食事が兄の記憶を連想させたのだが、どうしても詳しく思い出せない。
それでも無理に思い出そうとすると自分が兄と幸せになったような気もすれば自分が兄をひどい目に合わせたような気もするという奇妙な感覚に陥ってしまった。
そういえばブロントさんもリアルがよく分からないとか言っていた、自分と同じように記憶がおかしくなっているのでわないかと思ったのでそれを確認したかったのだ。
瀕死の人間にいきなり質問をぶつけるのはよくないことだが、兄との絆が確認できない状況が渚の精神を不安定なものにするのだ。

「ブロントさん、目は覚めました?さっそく何だけど聞きたいことがあるの」

「おいィ、おまえいきrないそれはないでsy?まずは俺がどれくらい寝てたかを教えるべき」

心で舌打ちしつつも一応それに答える。
なるべく良好な関係でありたい。

「カレーができるくらいの時間だから、20分ってところかな?。特に何もなかったよ。あの男の支給品は全部回収しけど、メロンくらいしかなかったし。それより質問に答えよ?」

早口でまくし立てるとブロントさんが少し嫌そうな顔をした。
しまった、とも思ったがブロントさんが続きを促したのでほっとしながら質問をする。
こんな状況でも優しさを忘れないブロントさん、すごいなー憧れちゃうな〜。
281創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 20:42:40 ID:Bgans/Zy
「私の記憶が曖昧なのはお話したよね?ブロントさんが眠ってる間に色々考えなおしてみたんだけど、忘れてるっていうか…なんだかおかしいの」

「何を言っているかわからないけど、何が言いたいかはわかる。俺も記憶がおかしすぎてストレスでマッハでウメハラ語録とブロント語録が混ざってしまう。簡単にいうと俺が誰だか分からにぃ」

「…ブロントさんが何を言ってるか分からないけど、私も私が誰か分からないの。たくさんの人の記憶が混ざってる感じっていうか」

「まさしくそれ。俺はブロントだがそれは仮名、ゲームの話。俺のリアルは普通の高校生で、ヴァナ生活はリアルより充実してたけどリアルではにぃ。
俺は不良なんだけどよ、どうしても家族の名前が出てこない。チームのメンバーも思い出せない。まるでブロントがリアルでリアルがヴァナ」

「え?リアル、って現実?現実では高校生?」

「そう、俺はリアルでは不良で北海道最強の喧嘩チームのヘッド。でもそうでない俺もいる。小学生だったり社会人だったりするたくさんの俺がいる」

「……分かりません」

「ブロントになりたくてなるんじゃないなってしまう者がブロント」

意味不明過ぎて固まっている私を余所に、ブロントさんはメロンを食べ始めた。
すでに半分だったので私はもう食べたと思ったのかもしれないけど、すごい速さで食べきられてストレスでマッハになった。
むっとする私を無視して立ち上がったブロントさんは体を確認するように動き、憮然とした顔でつぶやく。
282創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 20:43:31 ID:Bgans/Zy
363 :『キャーブロントサーン』 ◆aeG9btpil.:2009/04/23(木) 18:25:59 ID:zTc4VDa60
「MP回復するかと思ったがHPも少し回復した。結果として予想外。後痺れなかった」

心なしか顔に元気が出たブロントさんは私を立たせると男の死体を埋葬するべく穴を掘ろうとしているのか剣を地面に突き刺そうとする。

「そんなやつどうでもいいじゃない。それより酒場に行きたいの。食材が欲しくって」

「おまえどうでもいいとかマジでかなぐり捨てンぞ?ナイトは余裕を失わない、この余裕がナイト。コイツがどうでもいいならお前もどうでもいいことになるさる」

あんまりな物言いにまたもムッとするが、他人から見ればこの男と私は大差ないのかもと考えなおし、素直に従うべきかと腰を上げる。
ブロントさんが不用意にも地面に突き刺そうとしている緋想の剣は近くの生物から気質を吸い上げ続けた為にもはや許容量を超えた気質を貯め込んでいる。
そんな剣が地面に突き刺さされば、暴発することは確定的に明らか。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

地面が蠢いたかと思うと水の入ったコップにストローで息を吹き込んだかのように地面が動きだし、その異様さにブロントさんはカカッっと手を離すと華麗なバックステッポで距離を取る。
途端地下の地雷が爆発したかのように土が舞い上がり、土の雨が降る。
距離を取ったために土まみれにはならなかったが、顔の少し前を剣が通り過ぎ突き刺さり、ブロントさんは血の気が引いた。
呆然と剣を手に取ると混乱した風に渚が話しかける。

「な、なんなんですか?これ?」

「俺に聞かれても分からにぃ。俺が思うにこの剣のアビリティ(能力)であることは確定的に明らか」

二人が見つめる剣は、見る人が見れば何か紅いもやのようなものを纏っていると分かっただろう。


283創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 20:44:25 ID:Bgans/Zy
【C-2 塔の外/1日目 午前】
【ブロントさん@ネ実】
[状態]: 全身強打、しんどい程度の疲労、鎧大破(バルバトスの服の丈夫な部分などで縛って補強)、左篭手が大破しすぎたので外す。
[装備]:緋想の剣(気質が十分集まった状態で小規模な地震を起こせる。天候変化の有無は後の書き手さん次第)@東方project
[道具]:支給品一式×2
[思考・状況]基本思考:右上と左上を倒し真のエンディングを迎えひっそりとリアルより充実したヴァナ生活を送る。
1:……。
2:渚と渚の兄を守る。
3:あの二人を見つけ渚を謝らせる。
4:出会ったやつに話しかけ出来れば仲間にして敵対するようならばカカッと対処する。



【備考】
メタ知識に関して色々思い出したが「我ナイトになってしまう、故にナイト」の精神の元軸がぶれたりはしない
※ナイトの防具一式はもはやブロントさんの普段着であるので奪われるわけがない
※流石に人が死んだので自分の行動に関してどちらかというと大反省したようです。
※渚が記憶喪失ではなく自分と同じような状況と判断
※緋想の剣を装備すると何かスキルを習得できると解釈(MPとは別のものが必要だと知らない)


【野々原渚@ヤンデレの妹に愛されて夜も眠れないCDシリーズ】
[状態]:ヤンデレ、全身に軽い切り傷、腹部にダメージ(小)、 軽い精神的ダメージ、
[装備]:チャイナ服@現実 ピョン太君@私立東方学園 アシストフィギュア(サイボーグ忍者)@大乱闘スマッシュブラザーズX
[道具]:支給品一式×3、タバコ一箱@メタルギアシリーズ、タミフル@現実、北条鉄平の首、北条鉄平の首輪、不明支給品0〜4
[思考・状況]
1:記憶がめちゃくちゃなのは全員なのかなど確認したい。記憶が不安定で精神的につらい
2:ブロントさんを利用して自分を守ってもらう。
3:あの二人を見つけて、自分の風評が流れるのを防ぐ。
4:表立っての殺しはしない。
5:最終的に意地汚い虫はみんな殺すが強い奴は潰し合わせる。
6:料理の材料を調達する為酒場に行きたい



【共通備考】
※地面に掘り返されたような跡があります
284創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 20:45:13 ID:Bgans/Zy
代理投下は以上です。
長すぎる行があったので分割しました。
285創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 20:50:02 ID:Q2n5h+4H
やっと第二回放送か。長かったなぁ
286創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 21:16:50 ID:aByw8VqY
気のせいか最近代理投下多いな
規制されている人多すぎじゃね
なんとかできないのか
287創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 21:25:44 ID:5YV0TfKa
1人ぐらいなら手持ち余力の森タポでどうにでもなるが流石にこれだけの数になるとどうしようもない
288創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 22:15:03 ID:cR7/4SBI
予約合戦どうするよ?
これだけ規制されてるとなればしたらばでやるしかないかも
289創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 22:32:59 ID:Ki3qUHtq
専用スレあるしそこでいいんじゃない
290創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 22:36:07 ID:Ki3qUHtq
それともう投下がないようなので第二回放送代理投下します


960 名前:第二回定時放送 ◆F.EmGSxYug[sage] 投稿日:2009/04/19(日) 23:17:25 ID:V5lMw4/60
様々な建設物が破壊され、殺し合いは続く。太陽は天頂に昇り、雲は流れていく。
だが、左上はその一切に興味を覚えない。
放送席の前に座り込み、機材を操作。そして、機械のごとく自分の仕事を開始した。

「第二回放送の時間です。
 禁止エリアは十四時からC−1、十六時からD−3。
 脱落者は以下の十五名。

 僧侶。
 伯方の塩。
 スプー。
 重音テト。
 糸色望。
 新堂誠。
 七夜志貴。
 夜神月。
 バルバトス・ゲーティア。
 秋山森乃進。
 城之内克也。
 ルガール・バーンシュタイン。
 剣崎一真。
 弱音ハク。
 初音ミク。

 以上です。第三回放送は六時間後となります」

それで、左上はマイクを切った。
右上ならば「もっと面白いことを言えよな」などと言うのだろうが、ここにいない。
上から呼び出されて退室している。
そして、その理由について左上が興味を覚えることはない。
彼女はただ、自分の使命を無駄なく果たすのみである。
まるで、機械のように。
291創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 22:43:15 ID:Q2n5h+4H
おぉ!放送来た!
やったね妙ちゃん!
で予約は専用でおk?
292創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 23:13:08 ID:cR7/4SBI
専用スレってのは避難所の事?
293創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 00:29:25 ID:jvzJ3Oui
じゃ、予約は日曜0:00からしたらばでって事でいいのかい?
294創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 00:39:25 ID:uN7EjnGs
そのぐらいが妥当かと
295創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 00:52:58 ID:VXxwnJAz
おk
296創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 22:43:11 ID:kyKDnFlv
つまり……今日の24時と言うことだな
297創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 23:03:37 ID:5z3qjVmD
そーですね
298創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 23:52:37 ID:kyKDnFlv
第二放送以降の予約
4/26 0:00 したらばの避難所にて

一応確認と報告
299創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 23:54:26 ID:5z3qjVmD
それであってると思うよ
300創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 00:46:08 ID:bV6BBO8C
いろんな意味で意思が噛みあってないな
避難所ってどこさという迷走具合が……
でも予約スレって書いてるんだから諦めることだな
301創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 01:09:00 ID:jXzdtv7m
>>301
誰に言ってんだ
対象によっては挑発と取られるぞ
302創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 15:48:58 ID:gn1yy2Rx
>>301
何なんだこれは・・・いったい・・・
303創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 19:44:59 ID:viepVipK
>>301
誰に言ってんだ
304創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 19:48:57 ID:6BQQaWU/
>>301
これが脱出の鍵になるとこの時誰が予想できたであろうか・・・
305創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 20:15:16 ID:m3rOzree
>>301
最終回フラグたったな
306創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 23:13:40 ID:1p6Kg1Pa
>>301
これは……まさか…
307創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 01:52:44 ID:y8mztqc0
何が始まるんです?
308創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 10:17:43 ID:iDBktKkY
ニコニコ動画バトルロワイアルγだ
309創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 15:00:52 ID:wC+yg8DE
>>308
Ω ΩΩ<な,なんだってー
310 ◆wgfucd.0Rw :2009/04/29(水) 00:44:00 ID:DrxDsxJ8
遅れてすいません、賀斉投下します。
「むぅ、これはまた面妖な……」

 某の眼前に転がる鉄の塊。
 車輪が付いている事などからも恐らく剣崎殿の言うロードローラーなる物と同じ様な物なのであろう。
 だが、地を駆けるにしては横に突っ張った羽の様な物は邪魔以外の何物でもなく、また鳥の様な姿は本当に同じ種類の物なのかと疑いたくなる。

「こうなるのであれば剣崎殿や越前殿の世界の産物の話でも聞いておくべきだったな」

 銃とやらの武器しかり、剣崎殿の腰巻きしかり、某には見当もつかぬ、端から見れば妖術かと疑う様な物がこの殺し合いの場には多数支給されている。
 某や呂布、馬岱という古の人間は恐らく少数。大概の参加者はこの場に支給されている物がどういった物か理解しているのであろう。
 それがわからぬというのは余りにも不利。よもやこんな場所で己が迂闊さを嘆く羽目になろうとは。

「……かと言って、悔いているだけでは始まらぬか」

 今も尚、剣崎殿が奮闘しているというのに某がここで嘆いている訳にもいかん。わからぬ物はわからぬ以上、剣崎殿なり越前殿なりDIO殿なりに聞くしかあるまい。
 辺りを見回すが他にはこれといって目に留まる様な物はない。
 さてどうするかと、考えようとした矢先。放送が始まった。

「第二回の放送の時間です。禁止エリアは十四時から……」

 禁止エリアはこの二つか。脱落者は……十五名!? 先と会わせて既に二十人以上もこの殺し合いの犠牲になっているというのか。
 今のところ知った名はでていないが……。
「……シュタイン、剣崎一真、弱音……」
「なん……だと……?」

 思考が止まった。他にも左上とかいう女は何か言っていたが耳に入らない。
 剣崎殿が死んだ。
 先程まで話していた仲間が死ぬ事など何度も経験してきたが馴れる事はない。
 戦場に身を置く人間としては、剣崎殿は優しすぎるとは感じていた。
 誰かを守る為ならば算段も無く駆け出す、愚直で甘い男。この様な場に向いていない人柄であった。だが、死してよい人間ではなかったのは確かだ。
 何故、何故、剣崎殿が死なねばならなかったのか。
 ふと、下手人は誰かという考えが浮かんだ。
 可能性としては、リン殿達を守って殺されたか、それとも、

「……リン殿達に殺されたか」

 リン殿の供をしていた少年は某達を殺す気でいた。リン殿の目的は人探しであったが、その為に殺人を厭わぬのかどうか。某は争う気を見せなかったリン殿にその事を聞きそびれてしまった。
 仮に、リン殿が殺人を厭わぬ人間であれば剣崎殿はどうするであろうか?
 おそらく止めようとするだろう。それをあの二人が快く思わなかったら……。
 いや、やめよう。全てが仮定の基に成り立っている話だ、疑いだしたらきりがない。真相は彼女らに会った時に聞くべきで、某は今自分が成さねばならぬ事を成す以外に道はない。
 ……仲間一人救えぬとは、神が聞いて呆れるな。
 剣崎殿、貴殿の事だ、最後まで己が志を貫いたのであろう。貴殿の遺志は潰える事なきよう某が受け継ぐ。
 そして剣崎殿を殺した者よ、覚悟しておくがいい。仲間の仇を討たぬは義に非ず。この賀斉、貴様を地の果てまで追いかけてでも、その首貰い受けるぞ。
思考を切り替え、これからどうするかを考える。
 まずサンレッドはどこへ行ったのか。追おうにもまるっきり手がかりのないこの現状。戻るにしてもあの険しい山を越える程の体力は生憎と残っていない。
 しかし、一旦一休みしてとなると完全に見失ってしまう事になる。
 
「ならば、とりあえず北に向かって歩くか」

 サンレッド達は北東へと向かった以上、北へ向かう以外に道はない。
 せめて彼奴らの真意くらいは知っておきたいものだしな。
 とりあえずこのまままっすぐ……。
 
『禁止エリアに侵入しています。あと三十秒以内にこのエリアから脱出しなかった場合、この首輪を爆破します』

 なに……?
 響く警告音。二度目の思考停止。
 首輪を爆破されてはたまらない。某は咄嗟に後ろへと飛び退ると警告音は消えた。
 どういう事だ?
 ここがF−5より先、地図に無い地だとすれば目の前が禁止エリアでここが安全なエリアと区分けする理由は無い。
 という事は、ここは地図に描いてある場所のどこかだというのか?
 慌てて地図を広げると、該当する場所があった。
 同じ5の列、西に山、そしてすぐ北にある禁止エリア。その地の名はA-5。
 ならば某は東に向かった先に西に来たというのか?
 俄にはありえん、妖術を受けたかのようなこの事態。
 未来の技術を使えば可能なのかもしれないが確証は無い。
 いや、一つだけそれを証明する方法がある。
 この理論が正しい場合、このまま北東に歩いて行けば病院や塚モールといった建築物と遭遇する事になる。
 この状況ではサンレッドを追う事は絶望的だろう。ならば情報を整理する為にも一度戻る必要がある。
 べ、別に翠星石が心配だとかそういった事は無い。
 やらなければならぬ事がたくさんできた。だが、とりあえずは北東へ。後の事はそれから考えよう。
【A-5 北部 草原/一日目 日中】
【賀斉@101匹阿斗ちゃん】
【状態】肉体疲労(中)
【装備】MEIKOの剣@人柱アリス
【持物】基本医療品、基本食糧、包丁@現実
【思考・行動】
基本思考:仲間を増やして、ゲームを倒し、脱出する。
1、北東に向かって進み、塚モールか病院があるかを調べる 。
2、あの二人が悪人かを知りたい。
3、リン殿達から剣崎殿の死の真相を聞き、剣崎殿の仇を討つ。
4、翡翠石のような娘が欲しい。
5、DIO殿…貴殿を信じて良いのですな?

【備考】
※剣の花びらは視界を遮る恐れがあるようです。
※賀斉はどこかの明治時代の人と違って普通に日本語が読めます。でも最近の物(携帯電話等)は分からないと思います。
※F-5からA-5に来たのではと気付きました。

315 ◆wgfucd.0Rw :2009/04/29(水) 00:53:37 ID:DrxDsxJ8
以上で投下を終わります。
質問等ありましたらお願いします
316創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 01:13:10 ID:mUv8gjo3
投下乙!
賀斉神が…(笑)じゃ無い…だと…!?
つーかツンデレマジで自重してくれwww吹くwww
317創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 01:17:59 ID:q7aUUMXb
まさかのツンデレ
318創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 01:41:39 ID:DrxDsxJ8
uv氏のPAD長代理投下します
319咲夜、匙を全力でぶん投げる:2009/04/29(水) 01:42:58 ID:DrxDsxJ8
――第二回放送の時間です。


その声を聞くと同時に、咲夜はデイパックから果物ナイフを一本取り出した。
もちろん他の参加者からの奇襲を防ぐためである。
放送を聞いているときは少なからず他への意識が疎かになる。
その間に攻撃されては対処が遅れるので、それを考慮しての行動だった。

――禁止エリアは十四時からC−1、十六時からD−3。

今回の禁止エリアは気にする必要はなさそうね。
にしても、地図の端が多いわね…まあ真ん中に追い込む作戦でしょう。
そう考えるとこの辺りも拙いかもしれないけれど…次の放送は6時間後なら気にすることもないわ。
とりあえず目的地はは変えず温泉でいいでしょう。

――脱落者は――― 七夜志貴。――

「へぇ…あの少年は死んだのね」
意外にあっけない、と思った。
制限の所為とはいえ、この私に蹴りをいれた唯一の男。
…あのナイフを投げた奴に殺された…訳はないか。12時間も戦っているはずはない。
ならば戦って傷を負ったところを誰かに襲われたとか―――。

咲夜はそこで思考を止めた。
まったく、一度あっただけの男に頭を使ってどうする。
どちらにせよ彼は彼よりも強い誰かに殺された。…それだけの話だ。

「しかし…スネークもしぶといわね」
あの男もさっさと死んでくれないだろうか…?
彼の性格だ、隠れているなんてことはしないはず。
きっと誰かと会って私の悪評を広めているに違いない。

悪評と言えば因幡てゐだが…
彼女も私の悪評を振りまいているだろう…誰かを利用しながら。
きっと正義感が強く、力を持っていて…しかし自分には劣る、人間。

……例えば、スネークとか。


「おっと、あれかしら」

どうやら考え事をしていたら温泉に着いたらしい。
というよりは旅館か?
まあ温泉があればどちらでもいいのだが。

「でも結構古いわね…折角来たのに温泉に入れなかったら地図から消すわよ?」

そう言うと、咲夜は誰もいない事を確認して中に入った。
320代理投下 咲夜、匙を全力でぶん投げる:2009/04/29(水) 01:45:40 ID:DrxDsxJ8
◇ ◇ ◇

風呂からあがった咲夜は、素早くメイド服に着替え直し、食堂に立っていた。
正直なところ温泉が機能しているか不安だったが、杞憂だったようだ。

「にしても、武器となる物がこれしかないとはね…」

咲夜は手に持った武器―――計量匙を見つめた。
いや、武器ではない。私もそれは分かっているつもりだ。
しかし…何故か、持っているとしっくり来るのだ。

「…これは持って行きましょう、(頭の中の)お嬢様が『それで戦え』と言っているわ」

咲夜は小さく呟き、立ち上がる。
そして何故だか分からないが、壁に掛かっていた鏡に目がいった。
強いて理由をつけるなら安全確認、だろうか。

しかし、咲夜は異変に気付く。
鏡に映っているのは、自分だけのはずだ。ならば―――

――何なんだこの筋肉質の男は?

「ッッ!!!」

咲夜は、瞬時に後ろを向き手に持っていた"武器"を投げつけた。
その先にいるのが自分のスタンドだと知らずに。

321代理投下 咲夜、匙を全力でぶん投げる:2009/04/29(水) 01:46:28 ID:DrxDsxJ8
【十六夜咲夜@東方project】
[状態]:健康、???
[装備]:時計型麻酔銃@名探偵コナン、計量匙×3@東方バトルロワイアル
[道具]:基本支給品、果物ナイフ×2、石礫×6@現実(会場内)、時計型麻酔銃の予備針(残り2発)@名探偵コナン、
サーセンw@自作の改造ポケモンを友人にやってもらった、フジキ@ゆっくり村×6
[思考・状況]基本思考:優勝し、死亡者含め全ての参加者を元の所に戻すと主催に望む 
0:男(スタープラチナ)の排除。
1:なるべく戦闘したくない……なかった。
2:どうしようもない場合は即座に暗殺。
3:参加者が減ってきたら慎重に本格的に行動する。
4:まともな投擲武器が欲しい
5:連合は組まない。単独行動。
6:首輪解除の技術はわりとどうでもいい
【備考】
※七夜志貴の名前を知りました。
※ときちくは姿しか知りません。
※時間操作は2秒が限度です。
※飛行が可能かどうかはわかりません。
※主催者側が参加者を施設を中心として割り振ったと推理しました。
※高い能力を持つ参加者は多くが妖怪と思い、あえて昼間挑む方が得策と判断しました。
※僧侶のネガキャンを聞きましたが、その情報を完全には信用はしていません。
※やる夫のデイパックは列車内に放置してあります。
※サムネホイホイ(出だしはパンツレスリングだが、その後別の映像は不明)は、A-5の平原に投げ捨てられました
※カミーユ・ビダンの死体を確認。首輪を解除しようとしてる人がいると推測しました
※一度幻想の法則から外れた者ももう一度幻想の法則の中にもどせば幻想の法則が適用されると推理しました。
※ヤバいDISCがINしました。スタープラチナが使えますが、自覚していません。
※E-5橋付近にフジキが計14本あります


【計量匙@東方バトルロワイアル(動画)】
別世界のバトルロワイアルでの咲夜の支給品。
咲夜はこれを使って妖夢を倒したので実は使えるのかもしれない。
ちなみに外見はどう見てもただの匙。
322創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 01:48:11 ID:DrxDsxJ8
代理投下終了。
323創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 02:08:09 ID:V0oXObWx
投下乙
そりゃあそうなるわなw
でもスタンドは傷付くと自分もダメージ喰らうぞw
324創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 02:16:09 ID:9p+lkovi
でも、スタンドはスタンドでしか触れられないはず……
いや、魔法とか、その類なら効くのかな?
325創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 07:07:18 ID:UPIdl9ID
投下乙。
サービスシーンが無い…だと…?
326 ◆KX.Hw4puWg :2009/04/30(木) 00:25:28 ID:jNU90Ka1
遅れましたが投下します。
327夢からさめても ◆KX.Hw4puWg :2009/04/30(木) 00:26:10 ID:jNU90Ka1

「結構寝たみたいだな…」

ふわぁ、と大きな欠伸をし、馬岱は浅い眠りから覚めた。
首を左右に動かしながら立ち上がると、何か異変に気付く。

(あいつが居ないな、一体どうしたんだろうか…)

先程助けたあの若い男が居ない。
危険を察知して、逃げ出したのだろうか―――いや、流石に足を怪我している男がそう簡単に動けるのだろうか。
答えはNOだ。自分の様に、呂布達と一緒にカオスな戦場を駆けてきた馬岱が一番知っている。
弩兵を率いた時にする敵将に対しての狙撃をした事もあるし、された事もある。
その時狙撃された側は自らの能力が弱体化し、そのせいでろくに戦えたもんじゃ無かったのは覚えがある。
つまり、だ。そんな事をただでさえ鍛えられてる将でそうなるのに一般人らしきあの男が早く動けるのは無理なのだ。

「少し探しに行くか」

そう呟き、馬岱は扉の取っ手を引くと、涼風が吹く空へと飛び出した。

◇◇◇◇◇
328夢からさめても ◆KX.Hw4puWg :2009/04/30(木) 00:26:56 ID:jNU90Ka1

「あれ?なんでおらんのやろ…」

決意を決めたパンツレスラー、藤崎は一見変わった風貌で先程まで馬岱が居た部屋に戻ったのだが、何故か馬岱はその場を切り抜いたかのように居なくなっていた。
無論、それが自らを探しに行ったのかを藤崎は知るよしも無いのだが、悲しいかな、藤崎は彼が既に出かけたのだろうと推測し、その部屋の中心に置かれた椅子に座り、近くにある机に肘をつく。

「…確か、今昼すぎたんやっけか…あ、そういえば…!」

彼は忘れていた放送の存在に気づくと、書き記す為の紙とペンを取り出す。
ふぅ、と溜め池を一回つき、藤崎は腕の関節や筋肉を伸ばす様に、腕を天井に向かい、伸ばす。

「…死んどらんやろうな、トキ、糸色、みんな…」

かなり離れてしまった見えぬ仲間達の無事を祈る。
…そんな最悪の事態は考えたくないが。

『―――第二回放送の時間です』
「…!来たみたいやな」

何処からか分からないが、やけに機械の様な女性の声が響く。

『禁止エリアは禁止エリアは十四時からC−1、十六時からD−3…』

少し汚い字で紙に書き記していく。
地図にも○をつけ、分かりやすい様にしておいた。
こうした方が初めて見た人が見易いからだ。…と、いっても放送を無視してる参加者はそこまで居ないだろうという意見は受けつけない。

『脱落者は以下の十五名。僧侶、伯方の塩…』

遂に来てしまった散ってしまった命の発表。
十五名という数の多さにおもわず藤崎は歯を食い縛る。

『…糸色望、新堂誠、七夜志貴、夜神月…』
「い、糸色、月…」

あの場で別れたあの二人が両方放送で呼ばれた。
あのブロリーにやられたのだろうか…。いや、今は知るよしも彼には無い。

『剣崎一真、弱音ハク、初音ミク…以上です。第三回放送は六時間後となります』

藤崎は今日何度目かも分からない溜め息をつく。
正直、死にすぎだ。
それほどまで殺し合いに乗った人物が居るとなると、やはり寒気が出る。

「い、いや!縮こまったら駄目やろ!俺!」

顔を平手で何回もはたき、自らの体を奮いあげる。

「…そうやったら、今は帰ってくるのを待つ事にすっか…あぁ、今日は疲れる事ばっかや…」

そして足の痛みに耐えながら、藤崎は倒れる様にベッドに倒れた。

329夢からさめても ◆KX.Hw4puWg :2009/04/30(木) 00:29:21 ID:jNU90Ka1
【B-2/住宅街/1日目・日中】
【藤崎瑞希@現実】
[状態]さらなる決意、パンツレスラー、疲労(小)、脛に軽い刺し傷(鱗粉付き)、足に痺れ、罪悪感
[装備]なし
[道具]支給品一式、金属バット@現実、ショートカッター(残り0枚)@ドラえもん
[思考・状況]
基本思考:主催者の目論見を粉砕し跪かせる
1:全てはチャンス
2:参加者を救う
3:受け継がれた意志を持って、闘う
4:俺を襲ったのは誰なん?
5:あそこで寝てた奴が俺を運んでくれたんか?

◇◇◇◇◇

そんな藤崎の現在位置を知るよしも無い馬岱はというと。

「おーい、俺はここにいるぞ!何処に居るんだよまったく…」

かの有名な名言を言いながら居ないもしない藤崎を探していたとさ。

【B-3/森/一日目・日中】
【馬岱@呂布の復讐】
[状態]:頭にたんこぶ 幻術と戦闘による疲労(小)、
[装備]:鍬@吉幾三、三国志大戦カード(群雄SR馬超)@三国志大戦
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
1:ここにいるぞ!
2:男(藤崎瑞希)から強い奴の情報を聞く。つーかマジでどこだよ…?
3:殺し合いに乗って、自分の力を試す
4:弱い奴からは情報を聞きたい。断ったら…
5:呂布……記憶障害とは大変だな……
6:もうちょいまともな武器が欲しい
7:ブロリーとは遭遇したくない
※参加者の多くの名前を見た覚えがあることに気が付きました。ニコ動関連の知識の制限は実況者達等に比べて緩いようです
※放送は焦っていた為、聞いていません。
330 ◆KX.Hw4puWg :2009/04/30(木) 00:31:21 ID:jNU90Ka1
投下終了
331創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 23:46:00 ID:sC1tduSS
投下乙。
なんというすれ違い
332 ◆WWhm8QVzK6 :2009/04/30(木) 23:55:10 ID:aE/Nh0ru
投下したいと思います。
よろしければ支援お願いします
333 ◆WWhm8QVzK6 :2009/05/01(金) 00:01:45 ID:V4WW+3+R



 ―――――――以上です。第三回放送は六時間後となります』






「……増えましたね」

「増えたな」

時刻は現在午前12時2分。
お天道様がちょうど天辺に昇って間もない頃で、当の太陽と云えば暑くも涼しくもない程度に
光線と熱線をそこら中にばら撒いている。まあ、俺たちは直射日光が遮断された現代社会の象徴でもある
オフィスビルで快適な休憩を営んでいるわけだが。そんな中でのあの定時放送は否が応にも精神を現実へと
引き戻されるのだから堪ったものではない。重要であることには変わりないけど。

何処彼処から集められた70人で殺し合いをするゲーム。
正直言って突拍子が無さ過ぎの、まるで空想小説みたいな出来事に本当に参加させられている。
誰が?俺が。
それで理不尽だと嘆く暇も無くこうやって見たくもない現実に目を向けているのだ。
これが本当に現実なのか?と、考え突き詰めていくとそれはもう哲学や精神論に突入してしまうので考えないことにする。
今まで以上に頭痛の種を増やすのもどうかと思うからな。

ちなみに今さっき「……増えましたね」とか言ったのはまだ二十代にも達していない少女、萩原雪歩だ。
このゲームで3番目に出会った人間であるが……きっとただの人間である。
くれぐれも瞬間移動したり刃物を扱う類の人種ではない。
斯く言う俺もその人種に当てはまるのだろうがその話はどうだっていい。
出会った時に成り行きで俺の傍につくことになり、駒になって貰った。
下心は無い。そんな気は断じて無い。いやまあこういう状況に置かれたらタガが外れて行為に及ぶ奴もいるんだろうけど
俺にしてみれば知ったこっちゃないな。そういう奴は生き残れないだろうから。フラグとかの話をしてるんじゃなくて、状況的に
周りへの集中力を欠いているだろうし、要するに隙だらけって事だ。下手したら相手にも殺されるんではないだろうか。

話を戻そう。
多分本人も知らないうちに駒になってしまった萩原雪歩なのだが、これがどうして、やけに従順に働いてくれる。
ホントびっくりしたんだよ?緑のヒゲを殺せって言ったらマジで殺してくれたんだから。何か裏があると勘繰ったね。
だってそうだろう?何の力もない(俺の主観で)少女がアカの他人の言うことにホイホイ従って人を殺すんだぞ?
多分裏はない、と思うんだが……その後も普通に従ってくれている。限りなく淡い幻想を抱いて、な。
ご褒美にあいつ等の言ってることが本当だったら生き返らせてやるのも悪くない。きちんと付いてきてくれるわけだし。
でもくれぐれも後ろからブッスリとかズキュンとかデュクシは止めてください。止めてくださいってもその時は既に遅し、なんだが。
いずれにせよコイツにも常に気を張って置かないとな。睡眠はしないからいいとしてとりあえず歩行時も休憩時も戦闘時もその後も
警戒しておくようにしよう。道半ばで死にたくはない。まだまだ知らなければならないことが俺にはあるんだ。

さて、他の参加者は近くにいないようだし幾つか考えてみようか。
まずは奴等の目的について。

 ・
 ・
 ・
 ・
334少し頭冷やそうか(考察編) ◆WWhm8QVzK6 :2009/05/01(金) 00:02:43 ID:V4WW+3+R

奴等が誰なのかは考えるに値しないことだ。
大事なのは、何の為にこの殺し合いを企画したのか、という事。
即座に思いつくことといえば、『娯楽』か。
こんな馬鹿みたいに広い敷地と、やけに金をかけてそうな設備。
そこらの大金持ちの見世物になっている可能性は高い。二度言うが、誰だろうと関係はないんだ。
貴族趣味には退廃と残酷が付き物だからな。

問題は、連中の目的がそれだけではないような気がするところだ。
ちらりと名簿を見やり、考える。
俺は確かに、この名簿の名前を殆ど知っている。正しくは、見た瞬間に思い出したのだが。
但し、あの少女は逆に殆ど知らないらしい。これが意味するところは何か。
              
何故、知っている記憶を思い出させる程度に消したのか?

一時的にでも隠さねばならなかった理由。
だが、隠す必要はないはずだ。知っていようがいまいが、そんなのは関係ない。
もしくは、そもそも隠す必要がなかった?
ある事をしようとした結果にこの記憶障害が発生したとすれば――――――

  ズキン

「っつ……」

それは、何だ。
仮説は立てられる。だが材料が足りない。確証は得られない。
これ以上の思考は無駄と判断し、次の懸案に移るとしよう。


15人。
何の数字かといえば、そう。
第二放送で呼ばれた死者の名前の数だ。   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 
ゲームスタートから第二放送まで、ではない。第一放送から第二放送までの死者数なのだ。
異常だ。異常すぎる。
最初の死者数が多いなら分かる。
あらかじめ数人単位で配置しておき、そこで殺し合いをさせようと目論んでいるなら当然の事だ。
現にこの糞広い敷地で館の中に3人もいたんだからな。正直言うと第一放送の死者が少ないと感じたくらいだ。
意図的に配置したにも関わらず、あの程度の死者しか出なかった。
それに関しては殺し合いに積極的な者が少ない、と考えれば筋が通る。

だが、今回はどうだ。
殺し合いに乗っている者がいると判断し、便乗した者がいるのか?
それとも規格外の存在が偶然にもグループで行動している所に遭遇したか。
考えられるが、それはないだろう。
奴等の言っていることが真実ならば規格外の存在はこの『殺し合い』にとっては必要無いものだ。
そんな奴がいればそれはただの『一方的な蹂躙』に成り下がる。
ゲームバランスとしてはクソゲーもいいところだ。
娯楽を主としているならばそんな真似はしないだろう。

結論として、偶然が重なったと考えるしかないのか。
残り54人。次の放送にこれ以上の名前が呼ばれたら……泣くよ?
335少し頭冷やそうか(考察編) ◆WWhm8QVzK6 :2009/05/01(金) 00:03:24 ID:aE/Nh0ru

「あの……これ、どうぞ」

「あ?」

目の前には雪歩がいる。
こっちに向かって来たのは分かっているのだが、差し出された物は何かが入ったビニール袋だった。

「何これ」

「こ、氷です。頭痛そうにしてたから冷やしたほうがいいんじゃないかと思いまして……」

ああ、成程。
さっきこの部屋から出て行ったのはそのためだったのか。そういや製氷機があったな。
それにしても隠せないレベルまで痛んでくるとはな……戦闘に支障をきたさなきゃいいんだが。
断る気もないのでありがたく頂戴しておくことにする。

「どうも」

そう告げると、それ以上は彼女に何も言わない。
ねぎらいの言葉を下手に掛けるつもりはない。ある一定以上の関係を築く必要は感じられないからだ。
反逆されるのは厭だが、親密にもなりたくない。
いや、というより、自分が関係をどうこうできると考えていることがおこがましいのか。
まあいいや。

手に持った鍵束を適当に弄くる。
この鍵は管理室にあったものだ。ビルを保護する管理室も人がいなければただの部屋でしかなく、易々と進入できた。
二階に位置するこの部屋は、このオフィスビル15階総てを監視するモニターが備わっておりセキュリティシステムが完備されている。
しかも水道、換気、配電のシステムすらもここで自動的に行われているのだ。
ちなみにシステムにつながってるパソコンを調べてみれば各階のシャッターを下ろすことも可能らしい。どうなってんだ。
システムの一極集中はどうかと思うんだが、それより各階にシャッターがあるとか意味がわからない。
どれだけの機密情報保持してるんだ此処は。その割に操作が楽だし。

と、自分がパソコンを扱えてることに何の疑問も持たず今度はパソコンを弄っていた。
パソコンのデスクトップに様々なアイコンが並んでいるが、どういうわけかインターネットのアイコンが見当たらない。
色々探ってみたが、どうもアプリケーションそのものが消去されているようだ。
しかし、ネットケーブルには接続されている。理解不能。

しかし、パソコンに向かっているとどうも懐かしいものを感じる。
そうだ。以前もこうやってキーボードを打ち込んで動画を編集して――――――

「づ……っ!」

猛烈な既視感に眩暈と吐き気がやってきた。
頭がぐらぐらする。視界が安定しない。光が点滅する。
なんとかそれを堪えた。先ほどのような無様な真似はもうしない。
そう、思った筈なのに

ザザッ
336少し頭冷やそうか(考察編) ◆WWhm8QVzK6 :2009/05/01(金) 00:05:13 ID:V4WW+3+R

そう広くはない部屋。

明るい蛍光灯。

部屋に置かれた一台のパソコン。

その前に座っている人間。

見覚えの有る姿。

ただキーボードを叩き続け、画面に向かう誰か。

それは本当に何気ない、現代のとある青年の生活風景。



その姿を、自分はよく知っている。

だって、それは……

「俺、は――――――」


     ※     ※     ※     ※     ※


「―――――くさん!ときちくさん!」

意識が反転する。
何時の間に床に寝転んでいたのだろうか。
少女は何をそんなに必死に叫んでいるのだろう。死んでないのだからいちいち騒がれても困る。

「いい、構うな。大丈夫だ」

手であしらう。

「本当に大丈夫なんですか!?どう考えても普通じゃないですよ?」

わざわざ気遣ってくれるとは有難いが俺にそんなのはいらない。

「大丈夫だ」

再び紡ぎ返し、ようやく雪歩は退いてくれた。
心配そうな顔をしているが知ったこっちゃない。

椅子に座りなおし、ふうと溜息をついた。
頭痛は治まった。さっきの言葉も虚勢ではない。
337少し頭冷やそうか(考察編) ◆WWhm8QVzK6 :2009/05/01(金) 00:05:53 ID:V4WW+3+R

けれど、確かめなければならないことが増えた。

今見えた記憶は確かに自分の物だった。
それははっきりと確信できる。

ならば何故、記憶の自分と今の自分の姿は違うのだろうか?
そして、この俺の暗殺者としての記憶、青年の記憶。

        ・ ・ ・ ・ ・
一体どちらが本物の記憶なんだ?


確かめる必要が、ある。
そうと決まればいずれ此処から動かなくてはなるまい。
だが、今はまだその時ではない。
無闇に動いても死を早めるだけだ。自身の力を考慮しても十全な戦闘力とは言えない。

ならば自分はどうすべきか。
決まっている。
石橋は叩き過ぎるに越したことはないだろう?

なるべくここに居座り、参加者が減るまで表立った行動はしない。
そうだな。残り20人未満になったら行動してもいいだろう。
もしこのビルに入られるようなことがあれば?
相手の行動を観察しつつ、情報が得られそうなら話し合う。出来なさそうなら逃走か戦闘だ。
これだけの設備があればどちらの算段もつく。

(そうだ、そういや……)

「なあ、一階を水浸しにしてくれ。足場残すくらいにな」

「また、何かやるんですか……?」

「何もやらないわけないだろ?ほら行った行った。今なら他の奴誰もいないから大丈夫だ」

それもそうですね、と納得したような表情で管理室を出て行った。
本当に聞き分けのいい奴で、助かる。

さあて、ここからが正念場だ。
中途半端で息絶えるか、それとも真実に辿り着くか。
知る権利はあるはずだ。問答無用で俺たちをこんな所に連れ込んでいるんだからな。
そのくらいの見返りを貰わないと割に合わないしな。





なあ、そうだろ?
338少し頭冷やそうか(考察編) ◆WWhm8QVzK6 :2009/05/01(金) 00:06:50 ID:V4WW+3+R

【A-1 オフィスビル2階 管理室/一日目・日中】
【ときちく@時々鬼畜なゲームプレイシリーズ】
[状態]:健康、精神疲労(小)記憶の混乱(思考は正常)
[装備]: ナイフ×3、包丁×3、ブレード@サイべリア フライパン
[道具]:基本支給品*3、フライパン、フォーク、張遼の書@ニコニコ歴史戦略ゲー 、
首輪探知機(残り48分) 銃(14/15)@現実、モンスターボール(ネイティオ)@ポケットモンスター
【思考・状況】 基本思考:生き残り、真実を知る。
1: 参加者が20人を切るまで基本的に動かない。
2:誰か着た場合には十全に対処する。
3:囲炉裏……麻生太郎……?
4:雪歩を利用するが、念のため警戒しておく。
5:自分からは殺さない。
6:自衛のための殺害は已む無し。
7:頭痛が治まってよかった。

【備考】
※七夜志貴と十六夜咲夜の姿を確認しました。名前は知りません。
※元世界の知識はかなり封印されていましたが、2割程度解けたようです。
※囲炉裏に関しては今は『知っている』という程度だけです。
※ローゼン閣下(麻生太郎)に関することがフラッシュバックしました。
※自身の記憶に関してのフラッシュバックがありました。
※元々の能力などのせいで他の参加者に比べ疲労が激しいようです。
※自分の記憶がおかしいと自覚しています。


     ※     ※     ※     ※     ※



ときちくさん、大丈夫だったんでしょうか?
頭痛はなくなったみたいだけれども……やっぱり心配です。
ときちくさんには感謝してます。あそこで声を掛けてもらえなかったら、きっと私もう死んでたかもしれません。
私じゃあきっと一人になったら生き残れない。それじゃあ願いも叶えられない。

だから、ときちくさん。
私、頑張りますから、あなたも頑張ってください。
きっと――――――




【萩原雪歩@THE IDOLM@STER】
【状態】:健康、精神疲労(小) 、決意
【装備】: コアドリル@天元突破グレンラガン
【道具】:ナイフ、支給品一式×2(水少量消費)ジャージ@へんたい東方 
     デスノート(鉛筆付き)@デスノート

【思考・状況】 基本思考:優勝して全てを元通りにする。
1:一階を水浸しにする。
2:ときちくについていく。
3:死にたくない。
4:殺すのは辛いけど、頑張らなきゃ……。
※ルイージのデイパックは雪歩が持っています
339少し頭冷やそうか(考察編) ◆WWhm8QVzK6 :2009/05/01(金) 00:09:28 ID:V4WW+3+R


【オフィスビルの構造について】

15階建て。屋上有り。
エレベーター、階段有り(非常階段含む)。電気、水道の供給有り。
各階に監視カメラ、スピーカー、シャッター付き。
2階の管理室でビル内のシステムの操作が可能(パソコンが普通に使えるなら誰でも出来る)。
1階はホールのようになっており、広々としている。
340少し頭冷やそうか(考察編) ◆WWhm8QVzK6 :2009/05/01(金) 00:10:34 ID:V4WW+3+R
投下終了です。
まあ、元ネタは見ての通りです。
指摘点、感想あればどうぞ
341 ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 01:08:58 ID:5dB/+koz
投下乙。
石橋を叩きすぎることに越したことは無いか、この調子だと叩きすぎてへし折りそうだな。
あと>>334は残り54人じゃなくて44だと思います。

自分の作品はあと推敲だけなので、1時50分から投下を開始します。
342 ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 01:50:23 ID:5dB/+koz
投下します。
343「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 01:51:04 ID:5dB/+koz

放送は終わった。
道具屋で食事を取っていたアポロ達にも、それはしっかりと届いている。
アポロは正直なところ、放送の前から落ち着かなかった。
確実に新堂の名前が呼ばれるだろうし……実際、呼ばれた。
だが、放送後終了後……気をつけながらみさおを見ると、意外に落ち込んでいない。
いや、むしろ呆けていると言った方が近かった。

「みさおさん、平気……なのですか?」
「……平気っていうか……うーん、実感が無いって方が正しいかなぁ。
 知り合った奴が死んだっていきなり口だけで言われても、
 正直、なんか信じられないってヴぁ……」 
「……そうですね。確かにそうかもしれません」

みさおの言葉に、アポロは一応頷いた。しかしながら心は揺れ動いている。
何度も命の危機に晒されてきたアポロには、死はよく理解できている。
だが、みさおは違う。平和な社会で暮らす普通の女子学生でしかない。
何より、みさおはこの会場ですら首輪以外で生命の危機に晒されたことがない。
彼女が死を身近なものとして理解できないのは当然だと言えた。

――だが。それを実感させる機会を奪ったのは、紛れもないアポロ自身である。

新堂の遺体を見れば、嫌でもみさおは死を実感する羽目になっただろう。
それを隠した。だからみさおは悲しまなかったが、
その代わりに新堂の死を実感できなかった。
それが正しかったのかどうか、今のアポロには判断が付かない。
しかし……アポロの悩みも、羽入のそれに比べれば軽いものだ。
344「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 01:51:45 ID:5dB/+koz
(死んでしまっていたのですか……ルガール……)

彼女には、ルガールがブロリーに追撃されたことなど知る由も無い。
自分を庇って受けたあの銃撃でルガールは死んだのだと、そう思いこんでいた。

(ボクは……間違っていた……?)

だから、そう思ってしまう。彼女の頭にあるのは、フランとの一戦。
……自分は、甘かったのではないか。
フランが自分の思い通りになったのか、羽入には確認する術がない。
死亡した参加者の数は、減るどころか増えていた。
恐らく……第一放送の時点で生存していた危険人物は相当な数だったのだ。
こうしている間にも、犠牲者が増えているのかもしれない。
そもそもフランの攻撃を受けたのも、油断の占める割合が大きい。
出会ったのが平穏無事に済む相手ばかりで気が抜けていた。それが間違いだった。
ルガールは生きていたと思っていたのが、思い込みに過ぎなかったように。
危険な賭けに出るより、体力が残っているうちに■しておくべきだったのではないか。
そんな思考が、羽入の頭に渦巻く。

「……ヴぁ! ……ヴぁ!」

思考に沈む羽入に、声は届かない。
「ヤられる前にヤれ」。
実際自分はここに呼び出されたときそう思っていたし、だから頭突きをかました。
少なくとも、自分が最低限の警戒心を抱いていればあんなことには……

「羽入ってヴぁ!!!」
「は、はいなのです!」

みさおの言葉に、慌てて意識を現実に引き戻す羽入。
その様子を見て、心配そうにみさおは口を開く。

「まだ体調悪いのかぁ?」
「大丈夫なのです……なにか……?」
「ひとまずみさおさんと話し合って映画館に行ってみようということになったのです。
 ただし、羽入さんが動けるようになってから、ですが……
 羽入さんは他に行きたいと考えている場所はありますか?」

話し合ったとは言っているものの、決めたのはほとんどアポロである。
みさおを新堂の死体と出会わせまいというのが隠された理由だ。
新堂の死を放送越しに聞き軽い混乱状態にあるみさおは、
ろくに聞くこともなくアポロの提案をあっさり呑んでいた。

「……ボクなら大丈夫なのです。すぐ動けます。
 行くなら……」

羽入はとっさにデパートに戻りたいと口走りかけて、止めた。
今の状態で戻っても何の益もない。今更ルガールのことを確認しようとしても無意味。
フランがどうなっているか確認しようとするには危険すぎる。
それなのに、未練と自責からそんなことを言いかけた。つくづく警戒心が足りない。
そう彼女は自戒して、言葉を紡ぎ直す。

「……映画館で、構わないのです」

345「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 01:52:25 ID:5dB/+koz

一方、その頃……映画館では。

「チルノさん……くぁいいよぉ……お持ち帰りぃ……」
「……文さんはどんな夢を見ているんですか?」
「知らないな。だが分かったことがある」
「?」
「塔で射命丸と情報交換したとき、彼女はチルノについて悪く言っていなかった。
 どうやら私の恋敵のようだな……!」
「…………」

依然のんびりと惰眠を貪る文を脇に寝かせて、
放送を聞き終えたキョン子とグラハムはぐだぐだな様子で映画を鑑賞していた。
その画像の中では、西洋人とおぼしき男が何かを語っている。
放送終了と共に、しばらくして映画が始まっていたのだ。

『やあオレだうp主だよ。
 この八雲藍奮闘記を最期の最後まで見てくれて本当にありがとう』
「……いきなり最終回?」

映画の内容にまで律儀に突っ込みを入れるキョン子は、ツッコミ役の鑑。

『今回はこの八雲藍奮闘記と一緒に歩み続けるうp主を、
 ダイジェストでお送りしようと思う。
 今回のこのうp主の行動のダイジェストを見ることで、
 私をもっともっと好きになってくれると嬉しいな♪って関 羽が言ってた』
「なんか嫌な予感が……」

思わず震えるキョン子。彼女の勘は当たっていた。

『あと無いと思うけど、絶対に引くなよ?』

そんな警告めいた言葉と共に、映画は本編へと移り変わり始め。


346創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 01:52:39 ID:YVgv9NJU
支援
347「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 01:53:06 ID:5dB/+koz
〜動画製作前(←字幕)〜
教授「また君は課題を提出しないつもりですか」
うp主「すまんこ(と書いてジャック・バウアーと読む)」

〜教授との無謀なケンカ THEY CAN ATTACK HIM〜
教授「なぁ君は何のために大学に来ているんだ?」

〜まさに正論な教授 THEY CAN JUGDE HIM〜
うp主「それは幻想郷に行く前に外の世界の知識をたくさん覚えていけば、
 幻想郷のみんなのためになれると思ったからです」
教授「あまり馬鹿を言っていると留年させるぞ」

〜教授も俺もツンデレ同士 BUT THEY CAN NEVER BREAK HIM〜
うp主「教授の方こそ私を留年にしたら藍さまが黙っていませんよ」
教授(うんざりとした表情)
うp主「藍さまなら――アンタなんか1秒でピチューンだ」


「な……なんですかこれ? いったいなんのために流してるんですか?」

あまりの電波っぷりに、キョン子は朝比奈と化した。
もっとも、当然の反応と言えばそうだと言える。
あんな尻アス動画のネタをいきなり見させられれば誰だって混乱する。普通なら。

「射命丸が住むという幻想郷に行く方法を、彼は知っているというのか……?」
「駄目だこのストーカー! 早く何とかしないと!」

普通じゃない男は、キョン子のすぐ脇にいた。
そんな状況でも、映画は続いていく……


348「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 01:53:47 ID:5dB/+koz

埋葬を終わらせた後、すぐに渚とブロントさんは酒場へと出発していた。
出発したのは時間にして午前9時半と言ったところ。
そのため、放送前には既に酒場に到着していた。もっとも。

「……食料があんまり無い」
「先に誰かが来て色々と持っていったのは確定的に明らか」

食べられそうな食料は、大河があらかた持っていった後だったのだが。

残った食料で食事を取ったりしながら過ごすこと数十分。
酒場にいた二人にも、放送が届いた。
どちらも、特別な反応を見せない。ただ、黙り込んで考え込む。
考えていることは、正反対だったが。

(……本能的に短命タイプなやつが多すぎうr
 おれが思うにバルばトスのような奴がまだたくさんいるのではないか?
 だとしたらこんなところでグズぐズしているのは愚かしさ)

ソフトドリンクを喉に流し込みながらも、ブロントさんは現状をそう考えていた。
超一級のナイトである彼にとって、弱い参加者とは守るべき者である。
こうしている間にも参加者が減っているというなら、動かない理由はない。
だが。

(よかった、ゴミ蟲どもがさっさと殺しあってくれて。
 どいつもこいつも早く死ねば私ががんばらなくてもなんとかなるもん。
 この気色悪いコスプレクズに頼る必要もなくなるし。
 早くゴミ蟲がお掃除されてどんどん死んでいかないかな……)

その脇で渚はただ、参加者が減っていくことを願っていた。
二人の考えはどこまでも、噛み合わない。

349「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 01:54:38 ID:5dB/+koz

相変わらず、電波な内容の映画は続く。
八雲藍奮闘記予告編とかいうのが終わっても、次に流されたのは意味不明な電波ソング。
しかもメドレー。

『かっぱ巻き♪ かっぱ巻き♪ きゅ〜う・りを巻〜いて♪』
『あしな〜め〜な〜さい〜!』

正直、頭痛がする。
これならまだ朝比奈さんが歌わされた曲のほうがマシだった。
……ちなみに、グラハムさんはたじろくこともなく平然と画面を眺めている。
どんな精神構造してるんだろこの人?

『どうしたんだい? 顔色が悪いよ?』
「…………」

ユベル、お前もか。まあ人間じゃないから平気なのかもしれないけど。
訳わかんないものばっかり見せられてため息を吐いていると、
いきなり後ろのほうで鈴が鳴る音がした。
振り返るといつの間に取り付けてあったのか、入場口の手前に鈴が落ちている。
同時に、グラハムさんがやれやれと言った様子で立ち上がった。

「誰か来たようだ」
「……え?」
「映画館の売店に、たこ糸と鈴があったのでね。
 大河が出立した後、仕掛けさせて貰った。
 映画館の入り口である自動ドアが動けば糸が切れ、鈴が落ちる仕組みだ」
『意外と単純な罠だね』
「ま、そう言えばそうだな……さて」

冷静に話すグラハムさん。
こういう所を見ると確かにこの人、頭がいいんだろうなとは思う。
いやまぁ、根本的な性格に問題あると思うけど。
ともかく、映画の上映はまだ続いてる。今流れてるのは曲と変な画像だけど。
入場用の扉が防音仕様だとは言え、外に映画音声が漏れてないとは限らない。
その音に引かれて、入ってきた人たちが真っ先にここを目指すかも……

「……文さん、起こしますか?」
「いや、その前にまず隠れる。
 普通の頭なら、糸が切れた時点で何らかの意図を感じ取るだろう。
 頭を巡らす殺人者なら、奇襲の不可能を知りその場で退く。
 その上でここへ向かってくるものは仲間を求めるものか、
 ただ本能のままで戦う狂戦士、この二つだ。
 後者なら私達が姿を晒していることは危険極まりない」
「はあ……」

わかったような、わからないような。
とりあえず、ここに古泉がいたら嬉々としてグラハムさんの言葉を解説しそう。
こうしている間にもグラハムさんは文さんを持ち上げて周りを見渡している。
……文さんを抱きしめたかっただけなんじゃないかと思ったけど言わないことにする。
ともかく一緒にカーテンの後ろに潜り込むと、同時に入場口の扉が開いた。
そこにいたのは……

「……なんとも奇抜な組み合わせだな」
「…………」
350「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 01:55:19 ID:5dB/+koz

今回ばかりは、グラハムさんに同意。
視界に入ってきたのが、普通の女の子に角を生やした女の子に虎男という、
よくわかんない組み合わせだったからだ。特に虎男。
自称天狗の文さんの方がよっぽど人間っぽい。ユベルといい勝負だ。
三人(二人と一匹?)は首を動かして周りを見渡している。
私達はまだ見つかってないだけど、時間の問題のはずだ。

『モンスターかな。
 個人的には、むしろ角が生えた小娘のほうが危険な感じがするんだけどね』
「危険な感じって?」
『勘だよ。
 ただ、少なくとも何か特異な能力があるのは間違いない』
「……グラハムさん、どうしますか?」
「徒党を組んでいるということは、少なくとも無差別な殺戮者ではない。接触を図る。
 君はここに隠れ、いざとなったら君の判断で射命丸を起こしてくれ。
 彼女の戦闘能力は現状では切り札だ。できるだけ隠しておきたい」

てきぱきと告げて、グラハムさんは身を乗り出して懐中電灯を付けた。
三人の視線が集まる。けど、それは私には向けられてない。
堂々と歩いていくグラハムさんの姿は、しっかり注目を集めていた。
映画が上映中で真っ暗なのも、功を奏していると思う。

「私の名はグラハム・エーカー。
 少なくとも、現状ではそちらと争うつもりはない。
 そちらも似たような状況にあると判断するが?」
「アポロと言います。少なくとも、私はこのゲームを潰そうと考えています。
 羽入さんやみさおさんも、無闇に人を害そうという気はありません」

豹男がものすごい礼儀正しく返してきた……見かけによらないなぁ。
ハルヒコがハッスルしそうだ。

「私は日下部みさお。
 ま、ただの高校生だからいまいち役に立てないと思うけどさ。
 グラハムは何かやってそうだけど……」
「これでも一端の軍人でね。誇りあるフラッグファイターの一人だった……
 いや、こういっても君にはわからない可能性があるんだったな」
「え? どういうことだってヴぁ?」
「みさおさん、羽入さんの自己紹介を先に」
「あ、わり」
「……古手羽入なのです」

みさおとかいう普通の女子学生が一歩引くとともに、角が生えた子が挨拶する。
なんか、微妙に暗い。

ともかく私が隠れた状態のまま、グラハムさんは話を進めていく。
この三人は信用できると私は思うんだけど……いまいち出る機会がない。
ただでさえ真っ暗で、光は上映されてる映画と四つの懐中電灯だけだから尚更。
会話の内容は、情報交換へと移っていた。

「現在残っている危険人物としては、
 白いワイシャツを着た白髪の青年と桃色の髪をした少女。
 この二人は殺しに躊躇が無い。特に後者は、恐らく既に人を殺している。
 見つけたら先手を打つかさっさと退くかのどちらかだろう。
 それと、全身を黄金の鎧で身を包んだ騎士にも気をつけたほうがいいかもしれないな。
 信頼できるのは逢坂大河という薄茶色の髪をした小さな少女と、
 キョン子というポニーテールの少女、そして射命丸文という美少女。
 伝聞ではあるがチルノという水色一色の妖精。こんなところか」
351「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 01:55:59 ID:5dB/+koz

私が教えたことと文さんから聞いたらしいことを、
グラハムさんは分かりやすくかいつまんで喋る。
私と文さんはここにいないということになっているので、私たちについても述べてる。
……文さんだけやたら表現方法が違うのは気のせいだろうか。
とはいえそれに突っ込みを入れることなく、羽入が口を開いた。

「現状で私たちが知っているのは、フランドール・スカーレットという吸血鬼だけです。
 たぶん、もしかしたら無闇に人を殺すことはなくなってるかもしれないのですけど、
 危険なことには変わりないからあまり僕たちとは会わないほうがいいのです」
「……言葉が不明瞭だな。
 ところで、会ったのは一人だけ、ということか?」
「いえ。
 ……その他の人は、みんな死んじゃったのです」
「失礼。気遣いが足りなかったようだ。
 それで、そちら側は今後どう動くつもりか、計画を聞きたいのだが」
「特に決まっていないですね。グラハムさんは?」
「仲間との待ち合わせがある。ここからは動けん」

言うまでもなく、仲間とは大河のこと。
グラハムさんの答えに、アポロは手で頭を撫で付けた。悩んでいるみたいだ。

「そうですね……二人はどう思っていますか?」
「うーん、私に聞かれてもよくわかんね〜な〜……
 アポロや羽入に任せるぜ」
「ここはグラハムに任せて、違う施設を見に行きたいのです。
 近くが禁止エリアになった以上、ここにはあまり人が来ないと思うのです」
「了解した。ただ今後ここから動く可能性がある。
 その場合は塔に向かうつもりだ。ここにいなかった場合はそちらへ頼む」

羽入の言葉にグラハムさんは返事をした後、支給品の交換などを行った。
聞く限りでは、アポロは弓の扱いが得意らしく弓を欲しがっているみたいで、
短剣と交換に彼(?)が弓を受け取るのが見えて。

更に新たな二人がその場に現れたのは、その時だった。

352創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 01:56:40 ID:YVgv9NJU
支援
353「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 02:00:07 ID:5dB/+koz

「なぁ、あれってさっき言ってた……」
「……この状況下で姿を現すとはな。
 仲間が殺されているというのにあの少女の味方をするとは思わなかったが」

みさおの言葉に、グラハムは肯定の意を示した。
その意識は、既に警戒レベルまで現状把握を引き上げている。
それに倣うかのように、他の全員も警戒態勢に移った。
現れたのは、ブロントと渚の二人。
言うまでもなく、危険人物として説明したばかりの相手である。
だが、それに驚くことも無くブロントはあっさり手を上げて攻撃の意志がないことを示した。
……ここで銃を持っている者が一人もいなかったことは、
間違いなくブロントにとって幸いだったと言える。
特にグラハムが持っていれば、手を上げる間さえなく脳漿を撃ち抜かれていただろう。

「おrたちは襲いに来たわけじゃにぃ」
「……ならばまず後ろを向いて壁に手を置け。当然荷物も全て捨てた上で、だ」
「はぁ?」
「分あkった」

グラハムの命令に渚が反感丸出しの声を上げたが、
ブロントが大人しく従うのであればそれに倣うしかない。
まるで犯罪者のような(実際に殺人犯だが)ポーズを取ったのを確認するとともに、
グラハムが油断なく歩み寄ろうとして……それを羽入が止めた。

「ちょっと待つのです。ここまで大人しく従うなんておかしいのです。
 さっき聞いた話と違うような……」
「ああ、おかしいと私も思う。だからしっかりと検査しておきたい。
 女性のボディーチェックはさすがに気まずい。
 できれば君がやってくれるとありがたいのだが」
「……その前に、僕から二人に少し聞いてみたいことがあるのです」

そう返して、羽入は壁に手をついた二人へと歩み寄る。
闇の中に、未だ放映中の映画の音が雑音として響いている。
そのまま、探るような目で呟くように口を開いた。

「名前は……えっと」
「……渚」
「渚が人を殺したのは本当なのですか?」
「それは……その……」
「おれはブロント。渚が人を殺したのは確定的に明らか」

言いよどむ渚に対し、ブロントの言葉には何の躊躇いも無い。
少し驚きながらも、なんとか羽入は言葉を続ける。

「……なぜ二人は僕たちの前に現れたのですか?」
「渚を襲い掛かった相手に謝らせることが必要になった。
 責任を持って渚を更正させるのがかんpえきなナイトの勤め」

色々とおかしな日本語に少し混乱したものの、
要するに人を殺した渚を反省させたいのだ、というのは羽入にも読み取れた。

(どうやら、グラハムが嘘を吐いたというわけではないようなのです……)

……羽入がブロントたちからも話を聞く、ということにしたのはこれが理由でもある。
グラハムが言ったことが真実かどうか確かめたかったのだ。
少なくともグラハムは信頼に足るということだろう、だが。
354「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 02:00:48 ID:5dB/+koz

(なのです、けど……)

そして、再び彼女の頭は疑念に染まる。
この場で自分から人を殺した、などということを自白する意味がわからない。
確かにかつて罪を犯した者がそれを悔いて、新たな道へ走り出すということもあるだろう。
ある経過の中で殺人を行った人物が、繰り返しの中で違う道を取った例も羽入は知っている。
だが、普段は普通に暮らしている人物が暴走して後戻りできなくなる例も知っている。
人間が自分の真意を隠して嘘を吐く例も知っている。
そんな生き物だと皆分かっているから人は惑い、疑ってしまうのだから。

「言葉だけならばなんとでも言えるな」
「だから態度で示しれにきた」

グラハムの正論に、ブロントは迷わずに言い返す。
だが、グラハムも羽入も、そしてアポロもそれを信じるほどお人よしではない。
彼は先ほどから、油断無く弓矢を二人へ向けて構えていた。
元々アポロ達兄弟の行動原理には、母を殺されたことへの復讐という一面がある。
仮にDrモービスが同じ行動を取った時信用できるかといえば、はいとは言い切れない。
母を殺したけど謝るから許してください、と言われてもすぐに納得は出来ないだろう。

(そして渚という少女に殺された者の遺族も、私と同じことを考えるはず)

そう思うからこそ、アポロは羽入以上に渚を警戒している。
正当防衛や生きるための狩りとは違う。無闇に他者を殺しに掛かる者は、悪だ。
あからさまな敵意と疑惑の目を向けられる中で、渚は正直イライラしていた。

(何よ、どいつもこいつも……
 コスプレ男は全然役に立たないし。何言いなりになってるのよ!)

元々コミュニケーション能力に問題がある彼女には、
反省している態度の示し方というのがよく理解できていない。
言うまでもなく正しいリアクションはブロントの方であり、この事態は渚の責任である。
意地でも自分が悪いと思わないのは彼女が心底歪んでいるからだが、
それでも、そんな彼女にようやく援護射撃が来てくれた。

「な、なぁ、やりすぎじゃね〜?
 なんか襲い掛かってくるふうには見えないってヴぁ」

ただならぬ事態に耐え切れず漏れた、みさおの声。
ただでさえ心底に自分の暗い感情を隠している渚にとって、
みさおの言葉はようやく見えてきた糸口だと言っていい。
振り向いてみさおに何か声を掛けようとした瞬間、

「後ろを向いていろと言った筈なのだがな。
 少なくとも、動くことは君達のためにならない」

冷静なグラハムの声が、それに冷や水を掛けた。
唇を噛む渚の脇で、静かにブロントが質問する。

「……おれと戦った女がいにぃ」
「射命丸のことか? 彼女はここにはいない。
 現在逢坂大河という少女と別行動している」
「わかっあt。あとであやまいrにいく。渚もはやくあやまっテ」

グラハムがまったく動じずに吐いた嘘を、ブロントは信じた。
……ブロントは、だ。先ほどからずっと思っていたことを、羽入はとうとう口にした。

「さっきから喋っているのはブロントばかりです。
 ――渚自身は本当に反省しているのですか?」
355「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 02:02:27 ID:5dB/+koz

「と、当然じゃない。
 こんな所にいきなり呼び出されて、お兄ちゃんがいなくなって混乱してたけど、
 今はブロントさんのお陰で落ち着いて、反省してます」

そう返してきた渚に、羽入は冷ややかな目を向けた。
立ち直るならいい。圭一のように、罪を乗り越えていくならいい。
けれど、そうじゃないのなら、自分の不注意でまた人を死なせるわけにはいかない。
ルガールの時の様な失敗を、繰り返すわけには行かない。
だから、救えない悪でないかどうか、見極めないといけない。

そんな思いが、焦りとなりつつあった。

「渚、こっちを向いて欲しいのです」
「羽、羽入……?」

羽入の声にどこか只ならぬものを感じたみさおが、どこか怯えた声を漏らす。
壁から手を離して振り向いた渚に、羽入はわざわざ横に回りこんでから、
こちらへ来るようにと手招きした。
――ブロントから引き離して、彼女だけの反応を見るために。

「渚が殺した人は、どんなところを傷つけられて死んだのですか?」
「え……えっと……興奮してて覚えてないんだけど、
 手の骨を折られて、首を切られて……」

囲碁裏の死に様をできるだけマイルドに語る渚。
実際ははっきりと覚えていてもっと凄惨な死に様なのだが、
それをそのまま語ったらろくな事にならないと彼女は思っていた。
その返事に対し、羽入は静かに、威厳に満ちた声で返した。

「謝罪するからにはそれがどういう痛みか、分かっているな?
 罰として受け止める覚悟はあるな?」
「え……はい、私が悪かったと思います」

渚の言葉を聞くと共に、ゆっくりと羽入はその側へと歩み寄り。
その右手の人差し指の爪に手を掛け、剥いだ。

「きゃあああああああああああ!?」
「おmあえ、何してんの!?」

突然の痛みに渚は転倒し、悲鳴を上げながら転げまわる。
誰よりも先にブロントが慌てたが、羽入が静かに制止した。
彼女の考えは単純だ。自分が傷つけられてどんな反応をするのか、それを見る。
自分が恨まれるのは承知の上。それでも、渚がどう受け止めるのかを、見たかった。
――だから。床が突然光ったのは、予想外だった。

……結論から言うと、命令に大人しく従うほど渚は善人ではない。
保険に、武器を服に一つ隠し持っていたのだ。それも極めて小さいものを。
その武器の名をモーションセンサー爆弾。簡単に言えば、地雷である。
一応弁護しておけば、彼女はまだ使う気はなかった。
しつこく食い下がってくる羽入を鬱陶しく思っていたし、殺したいとも思ったが、
それでもなんとか理性でそれを抑えていた。
だが、羽入に指を指され、後ろに転んだときに、それを落としてしまっていたのだ。
とっさにチャイナドレスと肩の間に滑り込ませたのだから、不安定で当然だが。
しかし、グラハムも、ブロントも、アポロも、羽入も、それに気付いていなかった。
現在も映画が放映されているから、聴覚はある程度阻害される。
そして放映のためライトが落ちているから、依然として光源は懐中電灯だけ。
故に、地面に落ち、張り付いて機能を発揮し始めたそれに、気付けなかった。
落ちた場所はいうまでもなく、転んだ渚と転ばせた羽入の中間地点。
羽入が転んだ渚に歩み寄ろうとした瞬間――爆弾は、起動した。
356「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 02:03:08 ID:5dB/+koz

「――え?」

閃光が走る。
目の前がいきなり爆発した渚自身も相当驚いたが、羽入はそれどころではない。
驚く余裕さえない。今までの怪我と地雷のダメージで、一瞬にして意識を飛ばされた。
時を止める余裕さえなかった、完全な奇襲。当然だ。
原因となった張本人さえ意図していなかったのだから、読みようが無い。
遠目で見ていた者達も、ほとんどが状況を理解できていない。
理解できていたのは、二人だけ。
そのうちの一人、ブロントが走り出した。渚へ向かって。

(渚自身が驚いていることからしても、これが予想外なのは確定的に明らか)

彼女が偶然行ってしまったことなのか、それとも第三者の行動か。
そこまでは彼にもわからないが、どちらにせよ渚の側に駆け寄り、
止めるか防ぐかする必要があると判断したのだ。
不安を封じ込めながら、彼は渚へと走りより、

「な……このバカ!」

風の音を、聞いた。

「がッ……!?」

ブロントの身体が、吹き飛ばされる。
その口と胸から、血が零れる。まるで、不意打ちを喰らったかのごとく。
理由は簡単だ。とうの昔に起きていた文が、風の弾丸を渚目掛けて撃ち込み。
図らずもブロントは走りよったことで、その軸線上に入っていた。それだけ。

「あーもう、余計な真似を……!」

隠れていた文が、慌てて姿を現して軸線をずらす。今度はしっかり渚に当てるために。
文はこの事態についてしっかり把握している。
ブロント達が壁に手を置いたときには目が覚め、キョン子から事情を聞いていた。
起きた後も隠れたままでいたのは、渚を信頼せず、注意深く観察していたから。
基本的に上辺でこそ相手に合わせて会話しているが、
実際はその裏で相手の何倍も考えを巡らせるのが射命丸文という存在だ。
落ちる際に僅かに光を反射したモーションセンサー爆弾も確認したがために、
武器を隠し持っていたことにも唯一気付いていた。
それでも、一応故意ではないとはわかっていた。その上で、渚を撃った。
理由は単純、どの道渚が武器を隠していたことには変わらないからだ。
やはり彼女には更正する気はない、そう見抜いてさっさと殺しておこうと思った。
そういう意味では彼女はこの場で誰よりも冷静で、正しい。
ただ、ブロントの行動だけが予測できなかっただけで。

(本っ当にうざいわね。あっさり騙されたり邪魔したり。かわいげもないし!)

心中でブロントの行動に毒吐きながらも、文は宙を飛んで構える。
グラハムとアポロも二人に遅れて混乱から回復し、動き出した。
だがそれは、文とブロントに比べれば一手の差で遅れている。
そしてグラハムたちと同じタイミングで回復した渚は、文がもたついた隙に刀を拾った。
自分の荷物を拾いなおすのは距離的に間に合わない。
だから吹き飛ばされた羽入が落としてしまった逆刃刀を拾い、飛びついて手を伸ばす。
ともかく今の自分が危機的な状況にあるのは彼女でも分かる。だから、

「う、動かないで!」

倒れ意識を失った羽入を引っ張り、逆刃刀を突きつけ盾にした。
しっかりと、逆刃ではないほうを首へと向けて。
357「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 02:04:12 ID:5dB/+koz

「羽入さん!」

アポロが悲鳴を上げる。脇では舌打ちをしながら文が床に降り立った。
文にとっては見知らぬ相手の命なんてどうでもいいが、
人質ごと渚をぶった切れば反感を買うのは自分だろうと考えるだけの頭がある。
それでようやく、みさおとキョン子も状況を把握できた。
遅れて姿を現したキョン子に、振り向くアポロ。

「グラハムさん、その二人は……」
「すまないが、こういう事態に備えて隠れるように指示しておいた。
 ……結果から言えば正解だったようだな」
「あんまり正解だったとは言えませんけどね……」

グラハムの返事に、苦い顔で文は呟いた。現状を把握するのは極めて困難だ。
グラハムやアポロと違って、今まで隠れていた文はかなりの遠くにいる。
いくら文でも、この距離では近づくより人質が殺されるのが早い。
だからこそ割り込んできたブロントに誤射する羽目になったのだが……
アポロにせよグラハムにせよ、なんとかできる超常能力は持ち合わせていない。
キョン子とみさおは論外だ。むてきまるも、持っていたのは羽入。
そして、彼女の荷物があるのは渚の足元。
しかも更に運の悪いことに、映画は休憩時間に入り電灯が点いてしまっていた。
闇に紛れて渚を不意打ちするというのはこれで不可能。
事態が膠着する。だが、漫然と待っているわけにもいかない。
羽入は確認するまでもなく重体だった。意識はなく、顔色は悪い。
長引けば長引くほど羽入が助かる可能性は下がる。

「お、おい、お前、よめとけよこんなバカなこと……」
「うるさい! あんたらは黙って私を逃がしてくれればいいの!」

恐る恐る呟いたみさおの言葉を、渚は噛み付くような表情で斬り捨てた。
元々彼女は思い込みで暴走する性質である。もうこうなったら止まらない。
アポロがどうするか必死に頭を巡らせ、
文がもう諦めて人質ごと殺そうかと思い始めた瞬間。

「仏の顔を三度まで、という名ゼリフがあrう
 もう少し、待つべき」

残った鎧を血で紅く染めながら、ブロントが立ち上がった。
素早くグラハムとアポロが、彼に向けて構える。
この状況では、彼らにはブロントと渚が共謀していたようにしか見えない。

「動くな。なんのつもりだ」
「渚の……命も守っtえ、更に罪も、犯させにぃ、それが、ナいトの務め」

荒い呼吸で途切れ途切れに返して、素手でブロントは歩き出した。
その位置取りは、渚から文やアポロ、グラハムを庇うような位置取り。
文が冷ややかな視線で見つめたが、ブロントは意に介さず歩を進める。
渚を説得しようとするために。

「あまり調子に乗ってると、裏世界で、ひっそり幕を閉じることになrう。
 充実した生活が認可されるには、まわりへのメンバーへの気遣いが必要……」
「…………来ないで」

血を口から流しながら手を上げて接近してくるブロントに、逆に何か感じたのか。
これみよがしに逆刃刀をちらつかしながら渚は後退する。
それでも、ブロントは諦めない。

「バカな真似は、早くyあめて……みんなに謝るべき」
358「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 02:05:12 ID:5dB/+koz

どこまでも本気で、どこまでも多くの人を守ろうと。
ブロントが心の底から、真剣に呟いた言葉に渚は。

(……バカはそっちじゃないの?)

内心で、そう呟いていた。
兄でもないウジ蟲が、こうまで自分に尽くそうとする理由は彼女には分からない。
彼女にとっては兄への愛が全てであって、仁だの義だのといったものは知ったことではない。
とはいえ、正直渚にとってはブロントの行動はありがたかった。
ブロントから逃げているように見せかけて、渚はある目的地へ向けて歩を進めていた。
そこまでいけばとりあえずこの場は凌げる。羽入の首を掻っ切って逃げればいい。
そう思った、矢先だった。

「……え?」

声が、漏れる。
血が吹き出て、逆刃刀を持っていた右手の指がぽろぽろと落ちる。
発生源は、ブロントの後ろから。
渚の目論見程度、見抜けない文ではない。
他に気を向けた隙を突き、ブロントの影に隠れてモーションを隠しながら、
風の刃で正確に渚の指だけを斬り落としたのだ。
間にいるブロントの身体で威力が減衰することまで、しっかり計算して。

「な……おm……」
「う、うそ、いた、いたい、よ!?」

悲鳴が上がる。
ブロントが崩れ落ち、支えをなくした逆刃刀もまた落ちる。
人質が解放されたと同時に、文は一気に飛んだ。
さっきまでは下手に撃つと羽入まで殺しかねないから渚の命は狙えなかったが、
もうその縛りは無い。今度こそ逃げる余裕も与えずにその命を断つ。
それでも渚がとっさに走ろうとした瞬間、アポロの放った矢が右肩に命中した。
痛みとショックで、渚は無様に転んで。
それでも、羽入の荷物の一つをとっさに左手で掴んで、投げた。

「っ、新手の妖怪……!?」

文が急停止する。
モンスターボールから解き放たれたむてきまるが、宙に浮かぶ。
ただし、今度は渚を庇うように。

「馬鹿な、先ほどは羽入さんを守っていたはず!?」

アポロが驚愕したのは当然だろう。
彼の支給品にDMカードやアシストフィギュアのような自立型の支給品は無かったため、
その仕組み……あくまで「使用者」に絶対服従ということも知らない。
その隙に渚は目的地――捨てさせられた自分の荷物が落ちた場所へと走る。しかし。

「……悪いけど、今は新種の妖怪を取材してる場合じゃないんですよ!」

文が風より速く切り返した剣に、むてきまるは右腕を両断されていた。
トレーナーの命令が無くては、ポケモンは攻撃できはしない。
それでも腕を断たれた苦痛か、それとも不利を悟ったか、後退するむてきまる。
だがアポロがとっさに放った弓矢がその眼球に突き刺さり、動きが止まる。
その隙に再度接近した文が、むてきまるの四肢と羽根を剣で切り裂いた。
更に返す刀で首を跳ねる。これでもう、障害は無い。
だが、その時にはもう渚が目的を達成していた。
359「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 02:05:53 ID:5dB/+koz

「許さない……私にこんなことして、絶対許さないんだから……!」

憎憎しげに文を睨みつけながら、取り出したキメラの翼を左手で掲げ……
同時に、彼女の姿は消え……残ったのは倒れている羽入と、ブロントの死体だけだった。

「また逃げられたか。武器の所持を見逃すとは、我ながらなんという醜態だ……!」
「……あなたの責任ではないでしょう。それより早く羽入さんの治療を」

歯をかみ締めるグラハムに、アポロは声を掛けた。
言う通り、彼に責任は無い。ボディーチェックをしようとした彼を止めたのは羽入本人だ。
そして、渚のボディーチェックを怠ったのも彼女である。
それでも、部隊長を務めていた人間としてグラハムは責任を感じずにはいられない。
……だが、その意識の中にブロントを悼む気持ちは無かった。
当然だ。彼にとって、ブロントは実質敵だったのだから。
アポロも同行していた羽入を傷つけられたことから、
ブロントと渚ははじめから共謀していたのだと誤認していた。
だから、迷わずに矢を放っていた。
下手人である文にいたっては、ブロントへの興味すら既に無い。
それでも、そんな空気をおかしいと思っていた人物が一人だけいた。

『ひどいと言いたそうだね?』
「え……あ……」

カーテンの側で呆然としていたキョン子に、ユベルが声を掛ける。
その言葉に、思わず本音を漏らそうと思って。

『あんなのは愛じゃないよ。
 あの男の都合を押し付けているだけ。そんな偽りの愛が届くはずも無い』

理解してくれそうだと思った相手すら、あっさり否定してきた。

「でも……」
『少しばかり、危機感が足りないんじゃないのかい?
 この殺し合いの場を痛みもなく切り抜けるなんて無理なのさ。
 だとしたらせめて、痛みを一緒に分かち合うしかないじゃないか』

ユベルの言葉は本音でもあり、誘導でもある。
ユベルとしては、キョン子が心の闇に囚われてくれたほうが都合がいいし……
それにそもそも、ブロントの行動はユベルにとって下らないにも程があることだった。
反論できずにキョン子が言いよどんでいた、瞬間。

「……危ない!」

いきなり、文の声が響いていた。

360「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 02:07:28 ID:5dB/+koz

「よくも、よくも、よくも、あの鴉女……!
 これじゃ、ちゃんとおにいちゃんに料理作ってあげられなくなるじゃないっ!」

B−2、かつて渚がシャワーを浴びた家の中。
キメラの翼でそこへ飛んだ渚は、傷を水ですすぎながらも涙も流さず吐き捨てていた。
怒りが痛みを凌駕しているのか、うずくまることもなく動けているが。
そこにブロントへの気遣いやその死を悼む気持ちなど、欠片も有りはしない。

「殺してやる、絶対に殺してやる!」

言うまでもなく、この言葉にブロントの敵討ちなどという考えは欠片も無い。
イライラしながら動いているから、自分の荷物をぶちまけてしまった。
――先ほどの戦いで、彼女はしっかりとモンスターボールを扱うことが出来た。
理由は単純。それは、彼女の手元にもモンスターボールがあるからだ。
もっとも、その有用性は段違いだが。

「こいつも、あの蜂くらい役に立てばいいのに……この役立たず」

そう呟きながら、自分が持つモンスターボールを見やる。
その中にいるのは、ただのコイキング。そう、ただはねるだけのポケモン。
やつあたりするように睨みつけながらも、再び渚はモンスタボールを仕舞う。

「ふん、こうなったらもう、最後に仕掛けたのでいっぱい死ねばいいのに。
 あの鴉女はもちろん、薄汚いチーター頭も一緒に死んでくれるといいんだけど」

暗い感情を瞳に乗せて、渚は遠くを睨みつけた。

361「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 02:08:15 ID:5dB/+koz

みさおは呆然としていた。目の前で繰り広げられた惨劇に。
見せしめの首が吹き飛んで以来、彼女は危険に出会わず安穏と過ごしていた。
新堂の遺体とも結局出会わなかったし、彼女は元々ただの女子学生。
熱で黒焦げ、血が撒き散らされるような惨状に彼女の意識はついていけなかった。
だから、彼女が自失状態にあったのは責められることではないだろう。
それをなんとか現実に引き戻したのは、一つの声だった。

「……う……僕は……」

ぼろぼろになった体で、羽入が意識を取り戻す。
声も呼吸も弱弱しいけれど、それでもその声はなんとかその場にいた人間に届く。
その声を聞いて、ようやくみさおは現状を意識の上で理解した。

「は、羽入、大丈夫かぁ!?」

走る。ただ、傷ついている羽入を助けないと思って走る。
彼女はまだパニックから回復しきっていない。ただ反射的に走り出しただけだ。
そこに理性的な考えはないし、そんな余裕もない。
だから。

「……危ない!」

羽入に近づいた彼女に、文が警告した理由にも気付かない。

「え?」

それでも、みさおはかろうじて速度を緩める。
だが、それは既に遅く。
その瞬間、再び……いや、先ほどより大きな爆発が、起こった。

「な……!?」

アポロが突然の事態に呆然とする。その脇で、グラハムが歯を噛み締めた。
原因は単純で、明らかだ。最初に羽入が吹き飛ばされたのと同じ。
支給されたモーションセンサー爆弾は一つではなく、三つ。
だから残り二つを、むてきまるにもたついていた隙に羽入のすぐそばに設置していた。
言ってしまえば単純なトラップは、だが、羽入を焼き、みさおを吹き飛ばし、
ブロントの遺体をバラバラにした。

「ひ……!?」

目に入ったものと異臭に、キョン子が声を漏らす。いや、漏らすしかなかった。
爆発に巻き込まれた者に、生存者はいない。
ただ、焼き焦げた遺体が残っているのみ。
平和だった映画館は、一瞬にして凄惨な焼死体置き場と化し、音は消え。

「……あの人間」

残ったのはただ、文が漏らした言葉だけだった。



綺麗に理想を求め、少女を導こうとした想いは通じず。
ただ、犠牲者を増やしただけですれ違う。
怜悧な頭脳が導き出した「正解」は「理想」に遮られ。
惨禍を生み出す歪みは――今もなお、正されずに残っている。


362「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 02:08:56 ID:5dB/+koz

【B-2 屋内/1日目 日中】
【野々原渚@ヤンデレの妹に愛されて夜も眠れないCDシリーズ】
[状態]:ヤンデレ、全身に軽い切り傷、腹部にダメージ(小)、 軽い精神的ダメージ、
 親指以外の右手の指喪失、右肩に矢傷
[装備]:チャイナ服@現実 ピョン太君@私立東方学園 アシストフィギュア(サイボーグ忍者)@大乱闘スマッシュブラザーズX
[道具]:支給品一式×3(一食分消費)、タバコ一箱@メタルギアシリーズ、タミフル@現実、北条鉄平の首、北条鉄平の首輪、不明支給品0〜1
[思考・状況]
1:記憶がめちゃくちゃなのは全員なのかなど確認したい。記憶が不安定で精神的につらい
2:???

【D-2 映画館中/一日目・日中】
【キョン子@涼宮ハルヒコの憂鬱】
[状態]:健康
[装備]:DMカード【ユベル】@遊戯王デュエルモンスターズ (使用可能まで2時間)、
    言葉のノコギリ(レザーソー)@school days
[道具]:支給品一式、長門有希のギター、Ipod(少佐の演説の音声入り)@HELLSING
[思考・状況]
0:ひ、ひどい……
1:殺し合いには乗らない
2:とりあえず文さんたちと一緒にいる
3:町へ行きたいけど贅沢は言わない。
4:異世界という確信を得るため情報を得る。
5:生きて帰りたい
6:ユベルはなんで放送のこと知ってるの?
※グラハム、大河と情報交換しました。
【ユベルの思考・状況】
1:大好きだよ、十代……
2:十代に会うためこの世界を『愛』(苦しみと悲しみ)で満たす。
3:そのために女(キョン子)を利用し、痛みと苦しみを味あわせる。
4:彼女も誰かを愛しているのかな……?フフフ……
[備考]
※ 制限によりユベルは参加者の体を乗っ取ることができません。
※ 参加者との会話はできますが、自分からの実体化はできません。
※ バトルロワイアルの会場を異世界の一つだと思っています。
※ 自身の効果以外で破壊された時、第2形態、第3形態に進化できるかは不明

【アポロ@チーターマン2】
[状態]:健康、悲しみ
[装備]:養由基の弓@三国志\(矢残り6本)
[道具]:カレーセット@るろうに剣心、共通支給品、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本思考:ゲームの転覆
1:そんな……
2:首輪の解除についても考えるべきですね…人材を探しましょう
※羽入と蜂はDr.モービスの生物兵器だと思っています。
※新堂の死体を発見しました。みさおには伝えていません。
※羽入と軽く情報交換をしました。

【グラハム・エーカー@機動戦士ガンダム00】
[状態]:ほっぺたにビンタ痕
[装備]:ガリィ@FF11 FFW
[道具]:支給品一式(一食分食糧と水消費)、ホイールオブフォーチュン@遊戯王5D's
[思考・状況]
1.フラッグ(文)に惚れた
2.フラッグを守る
※参戦時期は一期終了後(刹那のエクシアと相討ちになった後)。
※キョン子、大河、羽入、アポロ、みさおと情報交換しました。
363「正解」と「理想」 -Killer Queen- ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 02:09:45 ID:5dB/+koz

【射命丸文@東方project】
[状態]:疲労(小)、脇腹に中程度のダメージ、服がボロボロ
[装備]:七星宝剣@三国志\
[道具]:支給品一式(一食分食糧と水消費)、究極のコッペパン@ニコニコRPG
[思考・状況]基本:一番大事なのは自分の命、次がチルノさん。後はどうでもいい。
1.情報収集。自己保身を優先する。特に究極のコッペパンは絶対に自分で食べる。
2.主催者の方が強そうだったら優勝狙い、脱出できそうなら脱出狙い。それまでは1に徹する。
  少なくとも人数が半分以下になるまでは立場を確定させない。
3.優勝狙いが確定しない限りグラハムと一緒にいてやる(ただし優勝狙いに決めたら速攻で殺す)。
4.ブロリーと出会ったら何を犠牲にしても全力で逃げる。
5.呂布を警戒。

【古手羽入@ひぐらしのなく頃に 死亡】
【日下部みさお@らき☆すた 死亡】
【ブロントさん@ネ実 死亡】

※羽入とブロント・みさおの支給品が映画館に放置されています。
 ただしむてきまるは死亡しています。

【モーションセンサー爆弾×3@大乱闘スマッシュブラザーズ】
動きを感知して爆発する地雷のような爆弾。小さいのでわかりづらい上無差別。
ちなみに出展元であるゴールデンアイではかなりの威力であり、
スマブラシリーズでも踏むと一気に吹っ飛ばされてトドメとなるケースが多い。

【キメラの翼@ドラゴンクエストシリーズ】
今まで行った町に飛べるアイテム。

【コイキング@コイキングを守れ!ディフェンスに定評の(ryトーナメント】
ご存知コイキング。攻撃手段は無い。はねるだけ。更に一撃で死ぬ。
ギャラドスに進化したりもしない。
364創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 02:16:42 ID:YVgv9NJU
投下乙
まさか第2放送の直後に3人も一緒に死ぬとは・・・
365創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 10:05:38 ID:5AH9Ur1e
投下乙…渚ー!何をやってるー!?
ブロントさんは後ろから味方に切られてるしマジ救われねぇ…
>>340
こちらも乙。実際娯楽が目的だから困る。
366創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 14:48:12 ID:Fcxws3FV
両者とも投下乙!

ときちくが記憶取り戻し始めたがどうなるか…

ハム組の方はブロントさんがマジ報われねぇ…これがバトルロワイアルと言う物か。
羽入にみさおも焦りからくる不運な事故だったなぁ。渚もこれからやりづらそうだ。
367創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 15:04:02 ID:GyIqu0Mu
投下乙。

どういう訳か把握してるキャラばかり死んでいく
これsYレにならんしょ・・
368創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 15:30:38 ID:8LjoAGkc
投下乙!
うわあい欝来た!にしても強対主催が二人も…
あと戦える対主催が美鈴、メタ様、兄貴、スネーク、武器ゲットの越前、レッドさん、アポロ、アレックス、賀斉神(笑)
くらいか?やばいな…ん?見ている映画が八雲藍奮闘記…関…☆…羽…だと…?
…ぎゃあああああああああああ!
あと個人的には君主は陶濬の顔芸を出してほしかったり。
369創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 16:41:49 ID:wjQJ9Dnt
投下乙
ブロントさん……マジで救われねえ……
そして最後の一撃で二人も死ぬとは何という欝
渚の(悪い意味での)頑なさを見て某酢飯を思い出したぜ

>>368
ジョインジョイントキィとMっパゲ
370創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 17:13:40 ID:aLtocHXc
変態記が上映される傍でこの惨劇・・・
371創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 20:06:52 ID:A62ZJxGR
なんかこの報われなさがバトルロワイアルって感じだなぁ
乙!
372創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 20:18:58 ID:9wUMM9Ri
乙っした
これは悲しみが鬼なるしかない
373創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 21:10:31 ID:YqAasR19
っはは!見ろ!対主催がゴミのようだ!っはは!
374創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 21:17:53 ID:q1V2CDhv

・上
サンレッド、ベジータ

・上〜中
美鈴、メタナイト、ビリー、チルノ、アレックス、スネーク、左之助
トキ、アポロ、越前、賀斉

・中〜下
藤崎、修造、美希、グラハム、キョン子、大河、雄山

若干憶測だけど、現時点での対主催を単純な戦闘能力の高さから
分類するとすればこんな感じか

それにしても雄山は一体何時になったら人に会えるんだろうか
375創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 22:06:16 ID:Rdn8H8MA
ユーザンはこのまま誰にも会えずアニロワの某母親のような死に方を・・・
376 ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 22:51:27 ID:5dB/+koz
コイキング追加するの忘れてたので、状態票を以下のように修正。

【B-2 屋内/1日目 日中】
【野々原渚@ヤンデレの妹に愛されて夜も眠れないCDシリーズ】
[状態]:ヤンデレ、全身に軽い切り傷、腹部にダメージ(小)、 軽い精神的ダメージ、
 親指以外の右手の指喪失、右肩に矢傷
[装備]:チャイナ服@現実 ピョン太君@私立東方学園 アシストフィギュア(サイボーグ忍者)@大乱闘スマッシュブラザーズX
[道具]:支給品一式×3(一食分消費)、タバコ一箱@メタルギアシリーズ、タミフル@現実、北条鉄平の首、北条鉄平の首輪、不明支給品0〜1
[思考・状況]
1:記憶がめちゃくちゃなのは全員なのかなど確認したい。記憶が不安定で精神的につらい
2:???

あと問題なさそうなので仮投下された奴を代理投下します。
377 ◆F.EmGSxYug :2009/05/01(金) 22:52:16 ID:5dB/+koz
修正できてねぇよ俺……代理投下は次から。

【B-2 屋内/1日目 日中】
【野々原渚@ヤンデレの妹に愛されて夜も眠れないCDシリーズ】
[状態]:ヤンデレ、全身に軽い切り傷、腹部にダメージ(小)、 軽い精神的ダメージ、
 親指以外の右手の指喪失、右肩に矢傷
[装備]:チャイナ服@現実 ピョン太君@私立東方学園 アシストフィギュア(サイボーグ忍者)@大乱闘スマッシュブラザーズX
[道具]:支給品一式×3(一食分消費)、タバコ一箱@メタルギアシリーズ、タミフル@現実、北条鉄平の首、
 北条鉄平の首輪、コイキング@コイキングを守れ!ディフェンスに定評の(ryトーナメント不明支給品0〜1
[思考・状況]
1:記憶がめちゃくちゃなのは全員なのかなど確認したい。記憶が不安定で精神的につらい
2:???
378とてつもない日本の修造◇/mnV9HOTlc:2009/05/01(金) 22:53:47 ID:5dB/+koz
ここはエリアの端にある寒村。
寒い村…ではなくこのさびれた村に入った男が一人いた。
彼の名は松岡修造。
炎の妖精である。

「第二回放送の時間です。」

ちょうどその頃、放送が始まっていたのだった。
松岡は前回の放送を聞き逃してしまったので、今回はちゃんと聞くことにした。

「美希は無事だったか…」

さすがにサンレッドとベジータはさっき別れたばかりだから死んだとは思わなかったが、それよりも心配だったのは美希のことであった。
一応彼女にはおにぽんという幽霊みたいなものがいたから多少は大丈夫だけど、それでも彼女は普通のアイドルなのだ。

「でもあせらないあせらない…
あそこの屋敷で一休み、一休み…。」

だが、美希が向かった先にはサンレッドやベジータも向かっている。
彼らはすごく強いということは松岡自身も感じている。
だから、とりあえず自分は目の前の屋敷で一休みをしてから、これからの事を考える事にした。

目の前にある屋敷は本当に立派で、この寒村には似合わないくらいである。
隣にはちょっとした駐車場があって、バイクやら車が置かれていたが、それ以外は特に何にもなさそうだったので、行くのはやめておいた。

扉を開け、中におそるおそる入ると、目の前には長い廊下が続いていた。

「誰もいないのにこんな立派な絵画。
本当に何の意味も無いよね〜。」

廊下を歩いていくと、一部屋だけ扉が全開の部屋があった。
その部屋に入ると、そこには部屋いっぱいの服が置いてあった。
丁度何も着てなかったので、適当に選んだTシャツを着ることにした。
さらに、一応予備として、同じような服をもう1枚デイパックの中に詰め込んだ。

「しかし…俺はいいのか?
美希のところへ向かわなくていいのか?」

きっと彼女は素直な子だから、山に向かっているに違いないと思う。
だからと言って、俺はどこへ行こうかなとか言ってる場合なのかよ!?

そして彼はふと立ち止まり、顔をあげる。
そこには自分の絵画があった。

その絵画には自分がプロテニスプレイヤーだった時にウィンブルドンでベスト8に残った時のが映っていた。
下には「あきらめんなよ! どうしてあきらめるんだそこで!」と書いてあった。

「そうだよ…なんで俺はあんなところで諦めたんだろ…。」

きっとそれは無理だと思っていたからだろう。
たとえ、あの二人と行動をしても、自分が足手まといになるという事を想像していたからだろう。

でもそれは違う。
そんな事が違うということは松岡自身もわかっているはずだ。
379とてつもない日本の修造◇/mnV9HOTlc:2009/05/01(金) 22:55:01 ID:5dB/+koz
だって、彼はその答えを美希に言っていたのだから。

「一所懸命! 一つの所に命を懸ける!!
 誰に言われても、何を言われても、自分の一つの所だけは守るんだッ!!!」

大事なのは「一つのところを守る」事。
彼は「未来の事を思った」ために、二人と一緒に行くことを諦めたのだった。

ふと気がつくと、彼が持っていた剣は真っ赤な光を放っていた。

「そうか…お前もその気なんだな。」

そして彼は立ち上がる。
人を殺さずゲームを終わらせる為に、首輪を外す方法を探すために。
あの眼鏡の少年と一度腰を据えて話し合うために。
そして、最初に出会った少女、美希と再会するために。

「松岡ァァァァァァッッッッッ!!! シューーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!! ゾウッッッ!!!!
今行くじょおっ!!!!」

炎の妖精、松岡修造は走り出した。

【F-5 寒村はずれの屋敷/一日目・昼】
【松岡修造@現実】
[状態]:頭部に怪我(止血は終了)
[装備]:宝剣ギャラクシア@星のカービィ、ほぼイキかけましたTシャツ@現実
[道具]:支給品一式(おにぎり1個(食料)消費)、鏡@ドナルド、裸だったら何が悪いTシャツ@現実
[思考・状況]
基本思考:出来るだけ早いゲームの中断
1. サンレッドやベジータ、美希などと再開をする。
2.ゲームに乗らず、人を殺さずゲームを終わらせる為に、首輪を外す方法を探す。
3.クラッシャーと一度腰を据えて話し合いたい。もしかして説得できるんじゃないか?
4.目指すのは富ッ士山だ!

※修造は、クラッシャーはリンに対して好意を抱いていると思い込んでいます
※ギャラクシアが修造の熱い想いに反応して発熱効果を得ました。修造自身はそれに気が付いたようです。
※修造がギャラクシアでメタナイトが実際に使っている技を繰り出せるかどうかは不明です。

【Tシャツ2枚(ほぼイキかけました、裸だったら何が悪いTシャツ)@現実】
屋敷のとある一部屋に置いてあった。
それぞれの言葉がちゃんとプリントされています。

ほぼイキかけましたはイチローがWBCのインタビューで言った言葉。
裸だったら何が悪いTシャツは草なぎ剛が逮捕される時に言った言葉。

両方実際に売っています。
380創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 22:55:45 ID:5dB/+koz
代理投下終了。
381 ◆CqqH18E08c :2009/05/02(土) 10:50:59 ID:CcAs6Zgg
遅れて申し訳ない、投下行きます
382創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 10:51:44 ID:CcAs6Zgg
『第二回放送の時間です。』

 俺が目を覚ましてすぐスクリーンが現れる。
 室内にも関わらず最初の放送と同じように突如とし上方に。
 別に空でなくともどこにでもこのスクリーンは映し出されるらしい。どのような原理になっているのか気にかかるところだ。
 もしかするとこれはなんらかの手段を用いて投影しているのではなく俺達の脳に直接働きかけ見せているのかもしれない。
 断定するのにはまだ早いし断定するための材料もないが候補に入れておくのは良いだろう。
 とりあえずメモして置くことにする。


”スクリーンは脳に直接働きかけ?”

 
「早かったな。まだ一時間も寝ていないぜ?もう少し休んでいいだろうに」 
「起きちまったものは仕方ないさ」

 獏良が壁に背を預けながら話しかけてきた。
 しかしあれだけ疲れている状態で寝たのに1時間も寝ていないのか。
 俺は別に眠りが浅いわけじゃないしこんなにすぐ起きたのは何かの偶然か?
 それとも主催者側から放送を聞き逃してほしくない理由でもあったのか・・・・・・?
 とりあえずこれもメモしておくか、寝起きでまったく思考がまとまらないがメモする分にはなんの損もない
 どんな発想でも落ち着いた時に見直せばそれが思わぬ突破口になるかもしれないしな


”放送を聞き逃してほしくない理由が主催者側に有?”


『禁止エリアは十四時からC−1、十六時からD−3。』

 一番上のエリアとこの上のエリアか……
 まだ4時間余裕があるし美鈴とメタナイトが病院から戻ってくるのを待っても禁止エリアを通っても映画館に行けるはずだ。
 ここで時間を美鈴達を待つついでに潰して行けば禁止エリアから抜け出そうとする他の参加者と会わずに映画館まで行ける可能性も出てくる。
 今すぐ行くと禁止エリアから抜け出そうとする参加者と遭遇する可能性が高いだろうしな。
 だがあまりにも美鈴達が遅れるようなら俺達だけで映画館に向かわざるを得ないか、しかし美鈴達が遅れたとして今現在の戦力で安全に映画館まで行けるだろうか?
 チルノのような術を使う参加者や規格外の戦闘力を持った奴がいない限り大丈夫だろう。
 だがそんな得体のしれない奴らが多くいるのがこの場、美鈴やメタナイトのような超人級の戦力がいないとやはりきつそうだな。


『 脱落者は以下の十五名。

 僧侶。 伯方の塩。 スプー。 重音テト。 糸色望。 新堂誠。 七夜志貴。 夜神月。』

「ふぅん・・・・・・」


『バルバトス・ゲーティア。 秋山森乃進。 城之内克也。
 ルガール・バーンシュタイン。 剣崎一真。 弱音ハク。 初音ミク。

 以上です。第三回放送は六時間後となります』
383 ◆CqqH18E08c :2009/05/02(土) 10:52:38 ID:CcAs6Zgg
 うん……?初音ミク、弱音ハク、重音テト?
 たしかこいつらはリンの知り合いだったか。これじゃドナルドも苦労しそうだな。
 あいつのことだろうから知り合いのカタキを取るんだとか言ってまた変な風に暴走するだろうからな。
 この場にあいつがいなくてよかった。
 真っ直ぐなのは子供らしくていいがまっすぐすぎるのも考えものだ。

 他には夜神月、城之内克也の名前を聞いたことがあるな。
 城之内克也は獏良曰くどうでもよいレベルの奴らしいが本当にどうにでも良いレベルの奴だったのだろう。
 だが夜神月は違う。聞いた話では相当頭が切れるらしい。暴力がものをいうこの状況下とはいえそう簡単に死ぬとは思えない。
 相手が殺し合いに乗っているなら口八丁で相手に合わせ仲間に取り入り
 相手が殺し合いに乗っていないなら無力なふりをして仲間に取り入り最終的に完全に勝ちにいくタイプの奴だろう。聞いた話を総合した憶測だが。
 そんな奴が簡単に死ぬとなるならばありえるのは二つのパターン。
 一つは単純に殺し合いしか能がない脳筋にやられた可能性。
 これならばどれだけ頭が切れようと関係ない。その頭脳を生かす前にその自慢の頭を砕かれるのが落ちだ。
 もう一つは単純に頭脳戦に敗れなんらかの嘘を見抜かれるか嘘に踊らされ殺された場合。

 そのなんらかの嘘が気になるところだが嘘を付いているとするならば人殺し云々だろう。
 夜神月が殺し合いに乗っているか否か。
 獏良の話を聞くだけならば殺し合いには乗っていない……だがここでそんな情報をうのみにするほど俺は馬鹿じゃない。
 獏良達が殺し合いに乗っていて嘘を付いているという可能性も十分にあり得る。
 獏良も十分すぎるほどに頭が切れるし嘘を付いていてもおかしくない。
 むしろ俺が獏良の立場なら情報を正しく与えたりは絶対にしない。
 正しい情報を与えるとしても一部のみ、切り札となる情報は絶対に渡さない。
 そしてある程度人数が減るまでは仲間として取り入りある一定の人数を切った時に一気に攻勢をかけるだろうな。
 そのくらいになれば規格外のやつらも潰し合い疲れ切っている公算が高い。

 少なくとも今は獏良も協力の態勢をとっている。これは俺が首輪解除という現状最強のカードを持っているからだ。
 このカードを持っている限りは少なくも参加者が15人・・・・・・いや20人を切るまでは俺と一度でも共闘することを選んだ奴は俺を殺すことはできないだろう。
 それ以降は首輪解除を待つよりも皆殺しの方が早いと判断し俺を用済みとみなす可能性があるがな。

 そろそろ頭が冴えてきたな。
 メモを見直し考えてみるか。

”スクリーンは脳に直接働きかけ?”

 これが真である場合は主催側に集団に幻覚を見せるという能力があるとみていいだろう。
 だがこれは違う。わざわざ幻覚を見せるなんて言う面倒なことをする必要はない。首輪にあれだけ多くの機能を入れた精密なものを作る技術があるのだ。
 俺が知らない技術がこの場にあったとしてもなんの不思議もない。
 むしろ首輪にこれを投影する機能があると考えた方が自然だ。
 そうしたほうがコストも少なくなるはずだしな。
 下手に幻覚を見せて参加者の脳に影響が出てこのゲームが遂行できませんでしたなんていうのも主催側からしたら簡便な筈だ。

 ともかくこれをなんとしても分解して情報を手に入れなければな。

”スクリーンは脳に直接働きかけ?
       ↓
 スクリーン投影機能は首輪に有?”


 んでこっちのメモだ。



”放送を聞き逃してほしくない理由が主催者側に有?”
384 ◆CqqH18E08c :2009/05/02(土) 10:53:45 ID:CcAs6Zgg
 よく考えればこっちのメモは考える必要もなかった。
 放送を聞き逃してほしくない理由は主催側には間違いなくあるし最初に断言しているじゃないか
 わざわざこんな場を開いているのに放送を聞き逃して禁止エリアでズガンは止めてくれってな。
 至って普通だ。だいたい俺が起きるのになんらかの機能が働く必要もない。
 この環境のせいで疲れていたのだからこの環境のせいで眠りが浅くなっていた、そう考えれば十分に説明が付く。
 むしろわざわざ寝ている参加者を起こす目覚まし機能の付いた首輪なんて何の意味もない。

「思考はまとまったかい?」
「さっきまで寝ぼけてたが今じゃすっきりだ」

 後ろでニヤニヤしている獏良に言葉を返す。
 知り合いが死んだと言うのにニヤニヤしてられるとなるとなかなかなこいつららしい。
 もっとも首を切り落として置いて首って切りにくいんだなとか思った俺も俺だがな。

「そういえば藤崎はどうした?」
「あぁ、藤崎なら薬が遅いとか言って美鈴達の後を追っていったぜ
 よっぽどあのトキの奴に恩義を感じてるんだろうな」
「嘘付け、その血はなんだ?」

 そんなことを言ってくる獏良を半眼で見ながら俺は獏良の足元を指さす。
 獏良は顔色一つ変えなかったが視線が一瞬だけ足元へと向いた。
 俺はそれをしっかりと確認し苦笑を見せる。
 やっぱやってたか。

「一瞬視線が動いたな、本当はどうしたんだ?」
「役立たずを排除しようとしただけさ、そしたらもしもの時のショートカッターを使ってA-1逃げ出したがね」

 これ以上の嘘は無駄だと悟ったか獏良は言葉を出す。
 その顔は嘘が見破られて悔しいというよりもやっぱり見破りやがったかという表情だった。
 もし俺がこの嘘を見抜けなかったらこいつがどんな表情をしていたのか微妙に気になる。
 落胆か、それても苦笑か。はたまた悪いことを考える表情か。
 こいつなら黒い笑いをしているのが一番合いそうだが。
 とにかく俺はそんな思考を振り切りながらその時の状況を詳しく聞くために続ける。

「ちゃんとばれないようにやったんだろうな?」
「姿は間違いなく見られていないし現場は完全とは言わないがごまかせる程度には直しておいた。
 唯一心配があるとするならばしとめそこなったことで特徴的な傷口を残してしまったことかな」
「傷口……ねぇ、A-1に逃げたならしばらくは関係ないだろうな。このまま死んでくれるのを祈っておくか」

 特徴的な傷口ってのは気になるがA‐1なら問題はないだろう。
 また俺達と出会う前に死んでくれるのを祈るのみだ。
 幸運なことにA‐1から映画館へ向かうためにはC−2を通るしかない。
 次にC−2を禁止エリアに指定されたならば進路は限られてしまうためわざわざこちらへ進んでくる可能性は少ないだろう。
 もし映画館方面に進んできたとしても出会ったならであったならで口八丁で誤魔化せば済む話だ。
 獏良がバレバレな証拠を残しているとは思えないことだが。

「しかし仲間を殺そうとしたのにまったく俺に対して怒らないんだな」

 そんなことを黒い笑みを浮かべながら言ってくる獏良。
 仲間といけしゃあしゃあと言ってのけるあたりにこいつの図太さを感じる。
 お前が仲間とか信頼とか絆とかを本来の意味で使えるならこの世の中はもっと平和だろうよ。
 お前にに合いそうな言葉は支配とか洗脳とか鎖とかそういうものだ。

385 ◆CqqH18E08c :2009/05/02(土) 10:54:30 ID:CcAs6Zgg
「どうせドナルドの入れ知恵だろう?俺もあいつが邪魔という点ではどちらかと言うと同意見だ
 さて、言い分けは考えてあるんだろう?口裏を合わせるから教えてくれ」
「敵わないねぇ」

 どこがだ。
 口先だけでもこれだけ言えるのは尊敬に値する。
 だがもしかして俺も周りから見たらこんな風に見られてんのか?
 キバに今度聞いてみるとするか。

 あとお前も俺と同じように創造する側の存在だろう?
 なんとなくだがわかるぜ、俺とお前からは似た匂いがする。


◆◆◆


 時間はたいしてたっていない。
 やったことと言えば藤崎に関して獏良と合わせるための打ちあわせぐらいである。
 あのトキという男はまだ寝ている。
 やはりあの首輪に目覚まし機能が付いているというのは俺の寝ぼけた思考が生んだものだったのだろう。
 そんな機能が付いているならば俺だけではなくトキも目を覚ましていたはずだ。
 我ながらそんな意味の分からない考えに至ってしまった意味が分からない。

 さて、ここで一つ問題が発生している。
 チルノが何やら少女を連れてきて戻ってきているのを見つけたのだ。
 見かけは普通のこがらな女の子でどうみても戦闘の役に立つとは思えない。
 ドナルドがわざわざ送ってきたのだから何らかの目的があるのは間違いない。
 いったいドナルドは俺に何をさせようとしているのか……?
 ドナルドのことだろうから俺たちならば言わなくてもわかると思っているのだろう。

「一体あいつは何を考えているんだ……?」

 あいつとはおそらくドナルドのことだろう。獏良もあの少女をわざわざこちらへ送ってきた意味を測りかねているように見える。
 俺達は戦力外の仲間は取らず役立たずは容赦なく切り捨てるという方針だ。
 わざわざ送ってきたからにはなんらかの役割があの少女にもあるということだろう。
 しかしとてもじゃないがあの少女に戦力としての役割があるとは思えない。
 ならば首輪解除やここからの脱出の力があるということだろうか?
 こういう能力であれば見た目が少女であろうとも持っている可能性はある。
 もしそうならば予想外のスピードでチャンスが巡ってきたのだ。

「新しい仲間を連れて来たわ!あたいったら最強ね!」

 いつもの如く最強と言っているがここはスルー。
 チルノと無駄に関わっても会話につかれるだけ。
 今はこの少女との情報交換に努めるのが肝要。

 ただチルノは無視しておくと寂しがる寂しがり屋であるということはなんとなく分かっているの獏良に相手を頼んでおく。
 獏良は無茶苦茶嫌そうな顔をしたが何も言わずに頷いた。
 流石のこいつでもHの相手をするのはかなり疲れることのようだ。
 もしかすると城之内とか言う奴もこんなHだったのかもしれない。
 キバがHでなくて本当によかった。


・・・・・・少女説明中
386 ◆CqqH18E08c :2009/05/02(土) 10:55:17 ID:CcAs6Zgg
・・・・・・少年呆れ中


「で、その仲間と別れてここに来たってわけか」
「そうよ、引き籠ってても何の解決にもならないじゃない」

 正直言って俺と獏良の期待はもともと薄かったとはいえ粉々に完膚なきまでに打ち砕かれた。
 わざわざドナルドがこっちに送ってくるぐらいだから戦闘の役に立たなくても頭脳は優れているのではないかとは思ったのだがそれもとんだ期待外れ。
 引き籠っていても何の解決にもならいというだけで仲間から離れ単独行動を行う。
 まだ危険に遭遇していない状態でそんな行動に出るのならばまだ正義感に駆られたと解釈することもできるのだが聞いた話だと例の黄色い怪物や
 バルバトスとかいう男に襲われ危険な目に会った後だという。
 自分には武術に多少の心得があるからある程度は大丈夫だと言うが実際にチルノのような特殊な能力を持ったものが多くいるこの状況。
 そんな状況で一般的な武術がどの程度役に立つというのだろうか。
 だがドナルドの意志が少しだけ呑み込めた気がする。

 あと映画館には戦力になりそうな人が何人かいることが分かった。
 文という奴はチルノから聞いたのとは印象が違ったが恐らくこの大河のほうが本来の人物像に近いのだろう。
 Hの文に対する説明は蝦蟇に喰われたところを写真に撮られたなどと主観的な部分が入っていたことでもあるし。
 そんなことを思いながら俺は思わず呟いた。

「お前馬鹿だろ」
「ば……馬鹿って何よ!勇気を出してなにかしようって決めたのに」

 その呟きに大河は反応を示す。
 馬鹿というのが癇に障ったのだろうか?
 はっきり言ってこの状況で一人歩きまわることを馬鹿と言わずしてなんという。
 勇気ではなく蛮勇。無謀。
 俺のように規格外の参加者と張り合うことができないレベルならば素直になんらかの集団に紛れるのが普通の考えだ。


「まず一つ言わせてもらうと勇気と無謀は違う。決意と無謀も違う」
「・・・・・・?」

 俺の言葉の意味が呑み込めていない様子の大河。
 自分の行動がただの無謀な自殺志願者と同じようなものだと気が付いていないようだ。
 自分の力も知識も及ばぬ化け物と戦っておいて尚その無謀な行動を続ける力。
 ある意味ではそれは尊敬する行為だが俺はそんな行為を尊敬しようとは思わない。馬鹿にしようとは思えども。

「お前は死を見て死への恐怖を持ったと言っているがそれは間違いだ」
「どういうことよ」

 俺は多少見下すようにしながら大河へ言葉を発する。
 俺の態度を不快に思ったのか大河もまた態度を硬化させる。
 もっともこういう態度を取らせるのが俺の目的なのだが。
 こういう態度を取らせてしまえば多少なりとも頭に血が上りまともな判断ができなくなる。
 相手を怒らせることがこのような場では最も有効なのだ。
 自分の方が相手よりも強いという自信がある場合限定だが。

「お前は心のどこかで自分は死なないだろうという根拠のない自信を持っている」
「ふざけないで、私は恩人……恩塩に助けられたのよ、そしてそのせいでその塩は死んでしまった。
 それに私は見たわ、ばらばらに刻まれた死体を。そんなのを見て死への恐怖を持たないとでもいうの?」

 俺は淡々と言葉を吐きだす。
 それに対し”塩”という所にやや詰まりながらも大河も言葉を吐く。
 だが俺はその様子を見てまた人う確信を強める。
 大河は多少その死とやらの光景を思い出したのか涙目になっているが俺はここで辞めるつもりはない。
 ここで引くと全部がご破算である。

「あぁ、持ってないな。お前が持っているのは自分が死にそうになってもその”塩”のような奴が現れて助けてくれるだろうそんな根拠のない安心感さ」
「違うって言ってるでしょ、分からないの?」
387創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 10:56:00 ID:uQP0iCNc
俺は殺し合いなんかには興味ねぇんだよ…二度と来んじゃねえYO!
388 ◆CqqH18E08c :2009/05/02(土) 10:56:06 ID:CcAs6Zgg
 自分がとてもかなわないような奴がうようよいるこの場で一人うろつきまわるなんてよほどの自殺志願者か
 自分が死なないとでも思っているH。
 そしてこいつは後者。
 おそらく自分の仲間に助けられ励まされ自分が危機に陥った時にはどこからともなくヒーローが現れて自分を助けてくれるとでも思っているのだろう。
 今のこいつの状態は恐らく依存。ヒーローという不明確なものにはっきりとした、自分を守ってくれるという形をあたえた塩に無意識に依存している。
 俺はそう強めた確信を完全なものとした。
 自分の近くで死を見てしまったが故に死の恐怖を感じた。
 だがその自分に迫った死を英雄が助けてくれたが故に自分は死なない、ヒーロ―が助けてくれると勘違いしてしまったのだろう。


「分かってないのはお前だよ、分からせてやろうか?」

 俺はその根拠のない安心感を叩き潰すために無造作に半透明の青いナイフを取り出す。
 そして構えることなくただ大河の方を見る。
 ヒーローは現れてくれないということを見を持って大河に教えるために。
 手の中でナイフをくるくると回し大河の方へ一歩歩く。

「それでどうやって分からせるっ・・・・・・なに……」
「こうするんだよ」

 ナイフを持ち近づく大河は一瞬ひるんだが身構えることもなく軽口を叩こうとする。
 だが俺はその軽口を最後まで言うことを許さない。
 俺が言葉を出し終わった時には大河の背後に回り込み首にナイフを突き付けていた。
 無造作にとはいえナイフをいきなり目の前の相手が取り出しているというのに、身構えることなく軽口を叩こうとするなんて愚かにもほどがある。
 まだあって時間もたっていない奴がナイフを持って警戒しないなんてありえないだろう?
 やはりこいつは自分は死なないという根拠のない安心感を持っていると考えて間違いない。

「ちょっとタケモト!なにしてるのよ!」

 チルノが声を出すが華麗なスルースキルを発揮。
 すぐに獏良が動きチルノを他の部屋に宥めながら誘導する。
 獏良がチルノを他の部屋に誘導するまでの間俺は大河の首にナイフを突きつけ続けている。
 大河は言葉一つ発せない。言葉を発すれば喉が切れる。その近さまで俺はナイフの刃をつけているのだ。
 普通ならこんな状況で他の部屋に誘導するなんて言うことはできないだろう、だが相手はあのチルノ。
 明らかなる馬鹿である。普通じゃないのだ。
 こんな状況下であんな行動をとるなんてばかばかしいと何度思えばよいのだろうか


「で、こんな状況になった時お前はいったい何ができる?
 武術の心得があると言ったが今それがどれほど役に立っている?」

 聞くが当然答えを言えるはずがないが一応言っておく。
 多少説教臭くなっているがまぁそれは仕方がない。
 大河には俺に対して強い恐怖心を持ってもらわなければ困るのだ。
 俺は僅かに刃を首につける。赤い血の球が浮かぶ。

「ここで俺がナイフを一気に引けばお前は死なないまでも重傷を負うだろうな」

 僅かではあるが大河の体が震えた。
 その震えのせいでわずかではあるがまた首に刃が食い込む。
 血の球が大きさを増す。
 大河唯一の頼りであるチルノは獏良が他の部屋に連れて行っている。
 仲間から一人離れたこいつを助けてくれる奴は誰もいない。
 こいつの盾になってくれる謙虚な騎士はいないのだ。
389 ◆CqqH18E08c :2009/05/02(土) 10:56:59 ID:CcAs6Zgg
「お前の命は今風前の灯だ。お前に今ここで助けてくれる人がいるか?」

 今度は明らかに大河の体が震えた。
 仲間がいま周りにいないという事実をようやく理解したらしい。
 ここでナイフあんまり近づけ過ぎて傷が大きくなりすぎるのも困る。
 僅かにではあるが傷が大きくならない様に刃を離す
 こいつには元気な状態で生きていてもらわねければならない。
 少なくとも俺達から離れるまでは。

「お前はここで死ぬ」

 俺は一瞬だけ腕に力をこめナイフを引いた。
 当然であるがここで本当に殺したりはしない。あくまで脅すだけ。
 俺が読み取ったドナルドの意志――あっているかどうかは別としてを実行する。
 これで実はドナルドは何も考えないで気まぐれでこいつをこっちに送りましたなんて言うことがあったら俺涙目だな。
 ……いや、むしろそれも十分あり得そうだ。
 俺と獏良が困っているのを想像して笑っているとか……。
 もしそうだったらこいつには悪いことをしたな。そうなら普通に武器だけ与えて適当に追い返せば良かった。

「・・・・・・ヒッ」

 そんなことを俺が思っているとも知らずに大河は崩れ落ちる。付いている傷は首の小さな切り傷のみ。
 だがそれだけでもナイフの刃を突き付け脅すということだけで死への恐怖を分からせることできた。
 でもドナルドの考えだと思ってやったがただきまぐれだったならこれただのイジメじゃね?
 こんなこと獏良に話したらあいつから笑われそうだな。うん。これは黙っておこう。

「お前は誰かに依存すれば守ってもらえると思っているだけだ。誰にも助けて貰えない死への恐怖が今体験した奴だよ」

 自分の何かネガティブな思考を振り切りながらとにかく最初の目的通りに俺は言葉を出す。
 自分の死を身近に感じさせ誰も助けて貰えないことを教える。
 だが、そこで殺したりはしない。死の恐怖だけ与え、仲間を求めさせるだけ求めさせておき自分はどんなに危ない場であろうと死なないという根拠ないものを植え付ける。
 そうだろ?出会った奴にいきなりナイフを突き付けられ脅される。
 でもそこで脅されたのはいいが結局自分は説教されただけで生き残った。
 こいつの話を聞く限りだとこれで2度目の絶体絶命の死地からの生還。
 自分はなにがあっても死なないと勘違いするのには十分な筈だ。
 少なくともそんな勘違いをすることがなくても最低限俺に恐怖を抱くのには十分。

「あんたって……最低に外道ね」
「俺はどこまでも鬼畜なだけさ」
 外道などと俺に言ってくるが俺は軽口で返す。
 俺は外道じゃない、鬼畜に計算してtktkさせるのが本分だ。
 ぶっちゃけ外道と鬼畜が具体的にどうちがうのかと言われたら困るが。

「こ……これはどういうことだ・・・・・・?」

 そんなことを考えている内にタイミングを見計らったかのように――
 というか見計らったのだろうが獏良がマッチョな男――トキを連れてくる。
 わざわざ言葉に出さなくても熱程度意志の疎通ができる。俺と獏良はいいコンビなのかもしれないな。
 これで信頼が置ける奴ならば文句はないのだが。
 獏良は信用できそうにないのが困りものだ、あの黒い笑みとか黒い笑みとか黒い笑みとかな。
 あんなものを見せられて信用しろなんて俺には無理だ。

 さて、ドナルド。お前が俺達に求めているのはこういうことだろう?
 あとできまぐれでした。らんらんるー☆とか言ったら俺は怒るぞ


◆◆◆
390 ◆CqqH18E08c :2009/05/02(土) 10:57:53 ID:CcAs6Zgg
 事情の説明は既に終わり大河の無謀な行動を諌める為に俺があんなことをしたということにして一応の決着はついた。
 藤崎の行方についてはトキから聞かれることはなかった。
 最初に現れた時に半死半生だったのもありおそらく気が付かなかったのか忘れてしまったのだろう。
 しかし短時間で未だ明らかに万全ではない状態とはいえよくここまで体力を回復させたものだ。驚異的な回復力と言える。

 まぁそんな風に決着をつけたところで俺達と大河が分かれることは早くも決定した。
 獏良がトキにある程度俺達一行の目的を話していたことでトキの方から私は君たちとは別れた方が良いだろうと言ってくれた。
 自分は弱者を見捨てることはできないので一緒にいることはできないというのが理由。
 流石に怪我をしているとはいえ実力者を俺の方から追い出すなんて言うことは憚られた為嬉しい言葉。
 むしろ俺が求めていた言葉そのものである。

 当然であるがチルノも役立たずは部下にいらないと言っており俺と獏良も足手まという勘弁という考えである。
 トキと一緒に行くことはできない。
 トキと一緒に行くことを望んだのは大河。俺から離れたいし自分も弱い人を助けたいというらしい。
 正直俺にすら負けるお前がどうやって人を助けるのかと聞きたい。
 励ますことぐらいはできるだろうが。

 そうして大河とトキは話し合っている。
 これからどうすかについてだ。

「むむむ……」
「なにがむむむよ!」


 大河は武器さえあれば俺達――正確には俺からだがすぐにでも離れたいと主張している。
 つまり逆を言えば武器が無ければ俺から離れないといことだが
 武器はトキの手持ちに洞爺湖という銘のついた木刀が幸運にもあった。
 トキは拳法を軸とした高いをするということでその木刀は不要とのこと。
 なので大河がその木刀を持つことで武器の件については解決した。
 この状況で木刀が一本あったところでなんだという話ではあるが。
 骨を折った時の添え木にするのぐらいが精いっぱいではないだろうか?

 後大河が現在行いたいことは俺達から離れるだけなわけだが
 問題が二つ。一つ目はトキの体力が回復し切っていないということ。
 これは俺が形式的にまだ回復していないからもう少し休んだらどうだろうか?と引きとめたのだが
 大河が一刻も早く離れたというのでトキは大河の意志を尊重するとのことだった。
 亀の甲より年の功とはよく言ったもので年相応にできた人間らしい。
391創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 10:58:45 ID:xgF0rvxL
支援
392 ◆CqqH18E08c :2009/05/02(土) 10:58:49 ID:CcAs6Zgg
 二つ目の問題はトキがマップ右側――つまりオアシスの方角へ行くのに難色を示したこと。
 俺もわざわざオアシスに向かうのは下作だとしか思わないし砂漠地帯と思われる場所を越えるのは無駄だと思う。
 砂漠にはオアシスしかないため人が集まる可能性も情報を集められる可能背も最も薄い。
 隠れておくのにも背後が河であるためあまり向かない。
 つまりオアシスは恐らくこのフィールドの中でもっとも行く価値が薄い場所と言えるのだ。

 そもそもオアシスの方角にいくと大河が主張する理由は俺と離れたいことにある。

 俺達はやがて映画館で合流するという約束をしているということからマップ上は駄目
 マップ下は俺達が美鈴達を迎えに行こうとする可能性があると言うとそれで駄目
 マップ左はドナルド達と合流するために向かう可能性があるため駄目
 でもオアシスの方ならば俺とすぐにまた出会うことはないだろうというのが理由のようだ。

 トキの意見は目指すものがオアシスとは言っても周囲は砂漠なので移動しにくく
 いざ戦闘にった時に動きが阻害され大河を守ることできないので行くべきではないということだ。
 向かうのならば病院へ向い医療品を整えるべきと。
 当然トキの意見が理にかなっており採用されるべきなのだ俺が説教まがいの脅しをおこなったことで大河は俺にトラウマのようなものを持ってしまったらしい。
 頑としてオアシスの方い行きたいという自分の意見を曲げようとはしない。
 これで本当にドナルドの気まぐれでしたという落ちならば俺は本当に泣くぞ。

 なので俺達はこのトキに大河を押しつける……もとい守ってもらうということで落ち着いたはずなのだが
 実際は大河が私情で行先先を決めようとしているのでトキも困っているという次第だ。
 もっともトキと大河の進路がマップ右にしかないように説明し誘導したのは俺と獏良であるが。
 説教まがいの脅しをメタナイトや他の参加者に知られてしまうと多少面倒なことになる。
 いずれ知られてしまうとしても少しでも時間は稼いでおくべきなのだ。
 メタナイトには大河のために少し説教をしたのだと言えば不満げにではあるが納得してくれるだろうし
 他の参加者にも事情を説明すれば恐らく納得してもらえるだろう。

「そこまで言うのなら仕方ない。だが先ほど説明したとおり私が大河を守れるとは限らぬ。それでもよいか?」
「えぇ、覚悟の上よ」

 ようやく話がまとまったらしい。
 それじゃこいつらを見送るとするか。

◆◆◆

「だが美鈴達の行動が無駄足になっちまったなぁ」
「無駄ということはないさ、医療品はあって困ることはない
 それにあんな人を超えたような回復力を持っているなんて誰も予想できんさ」

 部屋の奥にチルノをほったらかしにしたまま俺と獏良はマップ右へと進む大河とトキを見送りながら言葉を交わす。
 藤崎と関係があったらしいトキに藤崎のことについて不審がられることもなかった。
 もしトキが藤崎がここにいたことに気が付いていれば不審がられたのかもしれないがここに来た時満身創痍だったのもあってかまった気が付いていないようだ。

「しかしドナルドの意志の解釈はこれであっていたのだろうか?」
「さぁねぇ、意志の解釈はあっているだろうが本来の目的とは少しずれたんじゃねーの?」
「まぁ恐らく本来の対象はメタナイトだっただろうからな」
「これでただのきまぐれだったら俺は泣く」

 俺達のドナルドの意志の解釈はこうだ。
 無力な存在にメタナイトのような護衛をつけ擬似的に別動隊のようなものを作るということ。
 無力な存在は殺し合いに乗っているものを呼び寄せる。
 その殺し合いにっている存在を力の無力な存在につけた護衛で狩るというものだ。
 ちなみにここで無力な存在の護衛としてメタナイトのような奴をつけると言うのがポイントである。
 護衛につけるのはチルノやドナルドのような存在では行けない。

 俺達一行の行動方針はやがて正義感の強い奴と対立することが目に見えている。
 明らかな弱者の切り捨て、そして役立たずの排除。
 そんな行動方針に正義感の強い猛者が従うわけがない。やがて対立するだろう。
 だがわざわざ俺達は対立する必要はない。対立する前に分かれてしまえばよいのだ。
393代理:2009/05/02(土) 11:23:45 ID:5mEo6cKX
 別れてしまえば俺達が何をしようとそいつに止められる心配はなくなる。
 後で何と言われようともその弱者がいるせいで俺達が壊滅したらどうする。
 その弱者を守ってやれなかったお前が悪いとでもいてっておけばよい。

 やがて分かれた後にやがて戦闘が起きるだろう。殺し合いに乗るものと乗っていないものとの。
 護衛につけるものは実力者だが誰かを守りながら戦う以上勝ったとしても傷つく可能性は高い。
 むしろ負ける可能性のほうが高いかもしれない。

 だがそこでどちらかが傷ついてくれれば無駄に正義感の強い存在か殺し合いに乗る存在か。
 あるいはその両方が弱体化、あるいはリタイアしてしまうだろう。
 つまり、それを狙うのがドナルドの意志だと俺達は判断したのだ。

 この狙いについて俺達はなんの異論もない。
 下からくる敵からは北へ向かうことで戦闘を回避し
 左からくる敵はドナルド達が排除する
 右からくる敵がもしいるならば大河につけた護衛が排除する。
 そしてこれから向かう映画館方面いる敵はには抜けた者の分を埋めるチルノと美鈴で排除する

 これに俺達が賛成することはあれ反対する理由はないのだ。
 だがおそらくドナルドにとって唯一誤算だったのはトキの存在。

 トキがドナルドと別れた後に突如現れたことでドナルドはトキの存在を知らないのだ。
 そのせいで図らずもメタナイトというあるいみ一番厄介で一番頼りになる奴が残ることとなってしまった。

 しかし少なくとも今現在メタナイトが俺達の邪魔になるということはないだろう。
 藤崎はA‐1に獏良が飛ばしたしトキと大河はマップ右へと向かった。
 今ここにいるのは俺、チルノ、獏良の3人

 この面子であれば弱者に気を使う必要もないのだから。
 危ないのは藤崎に関する嘘が露見してしまった時か……俺が大河にした行為がばれた場合だろう。
 もっともばれたとしても俺達グループの行動方針との矛盾はないのだから問題はないが。

「ねぇタケモト?」
「ん?」
「ちょっとこの剣持ってくれない?」

 多少チルノの印象が違うがとりあえず持ってみようか。
 ふざけた形のアイスが寄せあつまったような形の剣。
 持ったところでなにも起きない。ただそこにあるだけである。
 チルノが多少緊張したような顔をしているのはこの剣が原因なのだろうか?
 大河から貰ったと言っていたがまた余計なものを押しつけられたのではないだろうか?

「別になにも変なところはないがどうかしたのか?」
「タケモトもさいきょーのあたいぐらい頭いいんでしょ?だったらなにかわかるかなと思って二里集まれば文殊の家っていうでしょ」
「それを言うなら3人集まれば文殊の知恵だ。しかし2里の家ってでかいな・・・・・・っと
 なにかわかるかな?ってなにかあったのか?」

 チルノの素(?)のぼけにのりながら聞いてみる。
 チルノの様子はどこか不安そうで多少心配になる。
 こいつが不安そうで緊張しているなんて絶対におかしい。

「えぇと……なんていうかこの剣を持つとなんか変な記憶が混じるというか・・・・・・
 ”森羅”とか”ブレイク”とか・・・・・・あたいの知り合いにそんな奴いなければスペカを使う奴もいないのよ……」
「変な記憶……ねぇ……別に俺が持っても何も起こらないし気のせいってことはないのか?」
「あたいを疑ってるの?」
394代理:2009/05/02(土) 11:24:58 ID:5mEo6cKX
 ふーむ……変な記憶・・・・・・ねぇ……とてもチルノが嘘をついてるように見えないしむしろ嘘をつけるとは思えない。
 ならそれは真実なのだろう。この剣を持つと変な記憶が混じる理由というのはどういうことだ?
 持ち主の記憶がこの剣に内包されていて持った奴その記憶を読みとるとそんな非科学的なことがあるとして……
 ないか、俺が持っても別に何も起きなかったしな。
 記憶を自動で読み取るなら俺も変な記憶がフラッシュバックしていたころだろう。
 しかしチルノが微妙に様子が違う。
 どこか知的だ。知的とは言っても最初に会ったときと比べてではあるが。
 それはこの剣のを持って出てきたその変な記憶という奴のせいなのだろうか?

「悪いが俺にもよくわからんな、なにか新しい情報があれば別なんだが変な記憶が混じるってだけじゃどうしようもない」
「うーん……さいきょーが2人でも駄目か……なら今は諦めるしかないわね」

 おかしい。絶対どこかおかしい。
 こんなの俺が知っているチルノじゃない。
 出会ってほんとうに極短時間してあっていないが明らかにおかしい。
 こんなどこか知的な雰囲気を僅かではあれまとうなんて多分このチルノに限ってありえない。
 知り合いが見たらどんな反応をするのか非常に気になる。


【D-4 図書館/一日目・昼】
【ドナルド組首輪解除班共通思考】
1:美鈴達の帰還を待つ、遅くなるようなら映画館へ出発
2:第二放送の後映画館を調査。フランを待つ。
3:それと平行して首輪の解析。



【バクラ@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ 】
[状態]:服に軽い汚れ、
[装備]:千年リング@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ 毒蛾のナイフ@ドラゴンクエスト DMカードセット(翻弄するエルフの剣士、鉄の騎士ギア・フリード、ガーゴイル・パワード)@遊☆戯☆王
[道具]:共通支給品、 光学迷彩スーツ@東方project(機能に支障あり)、コメント一覧@ニコニコ動画
[思考・状況]
1:ドナルド組首輪解除班として行動する。
2:脱出フラグをへし折り、参加者の心の闇を急速に増大させる。
3:タケモトが話のわかる奴でよかった。
4:誤情報を流し争いを促進する。てゐの情報、藤崎の情報など 。
5:最終的には優勝狙い。
※原作終了後(アテムが冥界に帰った後)から登場
※光学迷彩スーツが故障しました。使用者の透明化に支障はありませんが手に持った道具は消えません。(メタルギアのステルス迷彩使用時と同じ状況で、武器だけが宙に浮く状態)
※秋月律子の潰れた頭を発見しました。
※毒蛾のナイフは特徴的な傷跡を残す事に気が付きました。
※トキから情報を得ました
395代理:2009/05/02(土) 11:28:24 ID:5mEo6cKX
【タケモト@自作の改造マリオを友人にプレイさせるシリーズ】
[状態]:健康、休眠
[装備]:アイスソード@ちっこい咲夜さん
[道具]:支給品一式、精密ドライバー@現実 野菜ジュース@ぽっぴっぽー カミーユの首輪(一部破損) ドアラの首輪 シルバーウルフ(12/12)(予備弾188本)@フルメタル輪ゴム鉄砲 万葉丸(11/30)@零シリーズ 強姦パウダー@ニコニコRPG(4/9)
[思考・状況]
1:生き残り脱出する,そのためには……な……
2:大連合は組まない、最低限の人数で行動
3:施設を回って情報を集め、その真偽を見抜く
4:首輪を外せはしないと判断。無力化するための協力者を少人数集める
5:規格外の者に対抗出来るように、ある程度の戦力が欲しい
6:人の首って切りにくいんだな。落ち着けて設備のある場所で実験するか
7:誰が創造者なのか教えてやんよ
8:チルノの変な記憶とやらが気になる
9:獏良を警戒
※僧侶のネガキャンを間接的に聞きました
※ドナルドが強力な支給品を持っていると判断。持っているとは限りません。
※首輪についての情報(盗聴器、死者の首輪は爆発しにくい)を知りました。
※寝ている間の情報は獏良から得ました
※チルノの異変について気が付きました
※トキから情報を得ました

【チルノ@東方project】
[状態]全身強打、右肩甲骨、左肋骨に若干のヒビ(怪我は70%程度回復)
[装備]バスタードチルノソード@東方project派生
[道具]支給品一式
[思考・状況]
基本思考:殺し合いには乗らないが手当たり次第倒して部下にして回る、主催を倒す
1:さいきょー二里の文殊の家でもわからないなんて・・・・・・
2:さいきょーを証明する。
3:さいきょーのあたいがさいきょーのチルノ軍団を結成して主催者を倒す。
4:呂布を倒して部下にする。
【備考】
※空は飛べますが体力を余計に消費します
※ビリー・レン・タケモト・ドナルドを勝手に部下にしました。
※スプーを妖怪だと思っています。
※氷符 アイシクルフォールは制限対象に入っていないようです。
弱体化してはいますが、支障なく使えます。
但しイージーモード限定です。自機狙い5way弾は出せません
※バスタードチルノソード越しに並行世界の情報を得ることで、
その世界の自分の能力を使えます。
ただし並行世界の自分の情報と混濁するため記憶障害などの負担が掛かります。
※並行世界の知識を得ましたが、一瞬触っただけのため断片的にしか得られておらず、
習得した剣技もまだ不完全です。
※少し漢字が読めるようになりました。
※微妙に知的になりました
396代理:2009/05/02(土) 11:29:36 ID:5mEo6cKX

【オアシス組】
1:オアシスへ行く
2:情報を得る

【トキ@北斗の拳】
【状態】肉体疲労(中)、罪悪感
【装備】なし
【持物】支給品一式×2、エリアジャンプスプリクト機能(現在使用不可能)@ニコニコ動画、
【思考・状況】
[基本思考]
死ぬまでの間に多くの人を救う。
1:とりあえずオアシスへ向かう
2:大河を守る
3:強者と戦うが殺害はしない。
4:ビリーともう一度戦う。
※刹活孔の効果時間は切れました。
※獏良とタケモトから情報を得ました


【逢坂大河@とらドラ!】
[状態]:健康、死への恐怖
[装備]:ハネクリボー@遊戯王GX(使用可能まで2時間)洞爺湖@銀玉
[道具]:支給品一式×2、しじみ@松岡修造、ハロー大豆3パック@かんなぎ、
 もやし3パック@THE IDOLM@STER、ケフィア(瓶)@現実、ランダム支給品(0〜1)
 マイリスト機能@ニコニコ動画、オリジナル
[思考・状況]
0:殺し合いをせずに脱出する。
1:塩だって頑張れたんだから、きっと私だって何かできるはず。
2:オアシス経由でタケモトより早く映画館へ向かう
3:タケモトがムカつく。会いたくない
※塩の言葉により死への恐怖を克服したわけではありませんが、だいぶ感じなくなりました。 また、吐き気はおさまりました。
※グラハム、キョン子、ドナルド達と情報交換しました。
※マイリストに映画館を記録しました。
※獏良とタケモトから情報を得ました
※マイリスト機能についてはまだ図書館組に話していません

※洞爺湖
銀玉にでてくるあの木刀
なんか色々曰くつきで通販で買えるらしい
397創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 11:32:12 ID:5mEo6cKX
代理投下終了。
398創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 11:55:07 ID:iF+BBM1X
投下乙。
なんというドス黒い集団……危険人物ばっかりいるから困る。
ドナルドと微妙に意思疎通できてない辺り内部崩壊しそうだが。
399 ◆CqqH18E08c :2009/05/02(土) 11:56:32 ID:CcAs6Zgg
代理投下ありがとうございます
最初に一人称で書いちゃったせいで大河の思考とかがかけなかったお・・・

タイトル:道化の考えは人には分からぬる
400創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 14:26:01 ID:th2GwCwL
相変わらずタケモトは良いキャラしてるな
401創る名無しに見る名無し:2009/05/03(日) 00:06:55 ID:ZG4GjbO5
978 名前: ◆BRxsUzTn5A[sage] 投稿日:2009/05/02(土) 02:19:55 ID:2FFfEdpk0
仮投下します。
繋ぎなのにこんな時間をかけて申し訳ありません

979 名前:少女休息中.... ◆BRxsUzTn5A[sage] 投稿日:2009/05/02(土) 02:20:30 ID:2FFfEdpk0


『脱落者は僧侶。伯方の塩。スプー。重音テト……』

フランはショッピングカートをころころと動かしながら、2回目の放送を聞いていた。

『……以上です。第三放送は六時間後となります』

「テト……やっぱり死んじゃったんだ」

放送を聞いたフランはつぶやく。
しかし、テトの死の報せを聞いても深い悲しみにふけることはできなかった。
彼女とはそれほど仲を深めあうほどの交流はしていなかったし
それに、あの先ほどの頓末でうすうす彼女の死は予想できた。

「テトは歪みない方、歪みある方どっちを選んだのかな?」

ぽつりとフランは疑問を口にする。

彼女は歪みない生き方を選んだのにも関わらず、死んでしまったのだろうか。
だったら、歪みある生き方がいいのか……

「いいや……考えても仕方ないし」

フランは首を横に回し、窓の方を見る。
吸血鬼の天敵である太陽はまだまだ沈んではいない。
先ほどの頓末に気が滅入ってしまったフランは一端体勢を整えることを選んだ。

「"あれ"はここにあるのかなぁ?」

フランはデパートのあるフロアに足を運ぶ。
そこは家具量販のフロア。中には食器棚やデスクがところせましと並んでいた。
幸い、フロアの電灯はストップしており薄暗い室内はフランにとってちょうどいい状態だった。

フランは家具の間をフラフラとさまよう。
家具は結構な数があり、目的な場所に行くまでに結構な時間を要した。

980 名前:少女休息中.... ◆BRxsUzTn5A[sage] 投稿日:2009/05/02(土) 02:21:01 ID:2FFfEdpk0
しばらく歩いた末、ようやくフランは目的の家具を見つけた。
それは自分の元いた場所のように紅い色をして、どことなくクラシカル的な雰囲気をかもちだすベッドであった。

フランはベッドにゆっくりと腰を下ろす。
柔らかいベッドの感触が返ってきた。

「そういえば、昔もあんな感じだったなぁ……」

暗く光もささない館の地下。フランは幽閉されたも当然のように
地下の一室で495年間を過ごしてきた。
今更、独りでいるのに何ら退屈はしない。

「そう、私はいつもひとりぼっち……」

フランの言葉は
自分が寂しくないと言い聞かせるためのように感じた。
402創る名無しに見る名無し:2009/05/03(日) 00:07:59 ID:u4jQ7dSF
フランはおろしていた上半身を横にし、猫のように丸く縮こまった。
瞼がだんだんと重くなり、うとうとし始めた。
体力は万全でも、精神面においては相当な疲労がたまっていた。
この殺し合いの中で様々なことがあり、フランを睡魔に誘うのには十分だった。

やがてフランは瞼を閉じ、すやすやと眠り始める。
この様を見ると今まで3人もの犠牲者を出した危険な人物とは思えない可愛らしい寝顔だった。


おやすみなさい、フランドール・スカーレット。
暗がりのベッドは今は一人。
次の獲物を狩るために。しばしの長い夢の時を……。
今はゆっくりと……。

981 名前:少女休息中.... ◆BRxsUzTn5A[sage] 投稿日:2009/05/02(土) 02:21:52 ID:2FFfEdpk0
【F-3 デパート内/一日目・日中】
【フランドール・スカーレット@東方project】
【状態】:体力全快、全身に拷問痕、翼喪失、左肩に銃痕、右手喪失、、足に刺し傷(いずれも微々に回復中)
【装備】:ショッピングカート
【持物】:基本支給品一式*2、クリムゾン(弾数0/6、予備弾12/36)@デスクリムゾン、セーブに使って良い帽子@キャプテン翼
ゼロの仮面@コードギアス、射影機(07式フィルム:28/30)@零〜zero〜、予備07式フィルム30枚、フランの翼と指、ショッピングカート
【思考】歪みない生き方=今まで通りの自分の生き方をする。
0、……………。
1、外に出れる服を探す。
2、嫌な奴を殺す(アカギ(名前は知らない)、ブロリー)
3、嫌な奴かは話して決める。襲ってくる奴は殺す。
4、本屋にあるDMの本を読みたい。
5、手が再生しないと何もできないよ。
6、映画館どうしよう。
※「ゼロの衣装セット」は仮面以外破れました。太陽に晒されれば死に至ります。
※美鈴達と情報交換をしました。
※再生はできますが、速度は遅いです。
※くず鉄のかかしの使用制限を知りました。
※フランは羽入の名前を知らず、オヤシロ様とだけしか知りません。
※クリムゾンの進化ゲージは初期値に戻りました。
※本来より速く、二、三人の殺害(もしくは死体撃ち)でゲージは最大に溜まるようです。
※自分の所為であおばシゲルが死んだことがわかっていません。


※魔導アーマーがデパート内に放置されています。
 ミクの荷物はデパートホール内に放置されています。

982 名前: ◆BRxsUzTn5A[sage] 投稿日:2009/05/02(土) 02:22:26 ID:2FFfEdpk0
仮投下終了です
403創る名無しに見る名無し:2009/05/03(日) 00:09:09 ID:u4jQ7dSF
以上で代理投下終了です
404創る名無しに見る名無し:2009/05/03(日) 10:12:12 ID:jkQNlxg7
投下乙。
やっぱりフランってアレなんだよなぁ…カワイソスだが、現実は仕方ないね


昔あった声優勝手にキャスト(声優が居ない限定)

馬岱…保志総一郎
呂布…小杉十郎太
賀斉…藤原啓治
アポロ…子安武人
キョン子…沢城みゆき

声優には詳しく無いからこれが限界…
405創る名無しに見る名無し:2009/05/03(日) 10:44:13 ID:iyJzzwUk
>>この様を見ると今まで3人もの犠牲者を出した危険な人物とは思えない可愛らしい寝顔だった。

犠牲者は4人じゃ?
406創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 01:23:50 ID:8HDVb+go
ちょい質問なんだがベジータってスーパーサイヤ人になれるのか?
それともやっぱ制限対象?
407創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 01:31:53 ID:VMEGf1fM
まだ描かれてないから後の書き手次第でしょ
408Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 01:21:01 ID:gaonONw3
期限を越えてしまいましたが、30分ごろから投下したいと思います。
皆さんご支援の程よろしくお願いします。
409Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 01:30:36 ID:gaonONw3
放送が終わって暫しの後、ドナルド達は西へ向かうという当初の方針を変更せざるを得なくなっていた。

「向こうの組も、チルノちゃん達も無事みたいだね☆」

「何の問題もないよね」

「ええ……」

浮かない返事をする言葉に、ドナルドが声を掛ける。

「言葉ちゃんは、途中まで合流してた人が放送で流れてたよね?」

「そうですね。月さん達の事は残念だと思います。でも、それ以上に……」

ブロリーの足止めを買って出たトキが放送で名を呼ばれなかったというのは彼らにとって喜ぶべきことだろう。
だが、月と糸色のことも、藤崎が皆に話していたために周知の事実となっている。
あの場で分かれた月・糸色組がそろって名前を呼ばれたことで、言葉が落ち込んでいると察したその発言に、言葉はそう返す。

放送によって判明した情報を元に、現状の把握に努めるドナルド達。
この輪に加わっているのは、3人だけだ。
ここにはいない欠けた一名に、言葉の意識が向かう。
それを見て、ドナルドも彼の話題を出す。

「うん。レンにとってはつらい内容だったね」


放送で呼ばれた、レンの知り合いという三名の名前。
その中でも、一番最後に出た名、初音ミクには特に大きく反応し、レンは顔を歪めながらホテル内部へ駆け入ってしまった。
遠ざかる嗚咽は連れ戻すことをためらわせ、結局ドナルド達もレンの後を追ってホテルに入り、レンが入り込んだ場所の近くで待機することになった。
レンの気が静まるまでしばらくこの場に留まることを決めたドナルド達は、とりとめもない話を続けながらもレンの様子を推し量っていた。

「そろそろ落ち着いたかな?」

そう漏らしたドナルドの言葉は、あくまで当初と比べたらという意味であって、いまだにレンの嗚咽はドナルド達の耳を打つ。
だが、状況的にもこの場に長く留まることは望ましくない。誰かがレンに声をかけるべき場面だった。

輪から一人が抜け、レンの元へ進み行く。
レンを慰めに向かったのは、企みを抱く道化師、ドナルド――ではなく、歪みねぇパンツレスラー、ビリーだった。

レンへの洗脳を強固にする格好の場面でありながら、その役をビリーに譲ったドナルド。
その真意は、レンのことを推し量った結果ではない。

(うーん。レンの方にも行きたかったけど、優先順位があるからね。この機会を逃さないようにしないと。
 さあ、ここからがドナルドのターンさっ☆)

口の端をいつもの笑みより僅かに吊り上げながら、計略を胸に、ドナルドは自分と共にこの場に残った少女――言葉に向き直った。
410Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 01:31:43 ID:gaonONw3

「結構ショック大きいんだね。仕方ないね」

部屋から漏れる嗚咽にレンの心の内を推し量り、同情を込めた口調でそう呟く。
ビリーのように死を乗り越えることは、レンには難しいだろう。
だが、沈むレンを元気付け、立ち直らせなければ兄貴の名が泣く。
レンの閉じ篭る部屋を前にして、ビリーは仲間のことを想う。

兄弟のことを気にかけ、放送でその死が流れた事を心の底から嘆くレン。
殺し合いの場に巻き込まれたためか、若干精神が不安定ながらも、悲嘆に暮れるレンを気遣うような眼差しを見せた言葉。
そして、常に冷静な判断を下し、皆の気を和らげるためか会話を絶やさず、レンを慰めるよう頼んできたドナルド。

彼らの思いを無碍にするわけにはいかないと、ビリーは決意を固める。
かなり色眼鏡の掛かった見方、というか、本人達が聞いたら気恥ずかしくなりそうな評価ではあるが、それを信じるビリーに迷いはない。
レンを気遣うような表情を真剣な物に変え、ビリーは部屋の中へと入っていった。

背後で行われている会話には、気付くことなく。


ビリーがレンの元へ向かって暫く後。
残った二人の会話……もといドナルドの説得/洗脳は、着実に進んでいた。

(……アッサリ行きすぎかな?
 殺人者を駆除する上で貴重な戦力になるビリーを、何故排除しなければならないのか。
 これが最大の難点だと思ってたんだけどなぁ)

その論点は、ビリーが戦いの場で、たとえ殺人者であれ情けをかけてしまうだろうと吹き込み、近い将来自分達の足を引っ張るだろうと断定することによって論破しようと企んでいた。
後からビリーたちと合流し、それほどビリーと接していない言葉なら、この誤情報を鵜呑みにするだろうとドナルドは予想していた。
だが、正直これだけでは殺人を犯す理由たり得ないとも想定しており、それを補強する材料がないかと、言葉に語りかけながらも次の一手を模索していた。

しかし言葉は、ドナルドの話を聞き終えると、少し諮詢した後肯定の意を示した。
いくら精神的に不安定だからとはいえ、こうも素直にこちらの話に乗るとは予想だにしなかったが、言葉の話を全て聞き終え、ドナルドは認識を少し改めた。
言葉がためらう理由は、相手に勝つことができないから戦わないという消極的な思考にあったと理解したのだ。

(なるほど。言葉ちゃんは自分に自信が無いんだね。
 以前になにかつらい事でもあったのかな?
 でもドナルドに任せれば大丈夫☆ ばっちり自信をつけてあげるよ。
 ビリーを殺す、自信をね☆)

笑顔の裏に黒い思惑を隠して、ドナルドは再び話を紡ぎだす。
この説得にはかなりの勝算がある。
なにせ、言葉の持つ武器はかなりのアタリ武器の部類に入る物。
世界有数の銃普及率を誇る米の国でも、一部の人間しか所持していない種類に区分されるソレを用いれば、かなりの善戦が見込めるだろう。

言葉の持つ突撃銃――ランサーアサルトライフルを目にやりながら、ドナルドの思考は留まることを見せなかった。

411創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:32:41 ID:OqOHNTBv
412創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:32:52 ID:OqOHNTBv
413Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 01:34:06 ID:gaonONw3
ミク達の死に悲嘆に暮れるレンへの、ビリーの説得は長きに及んだ。
昂るレンの気を鎮めるところから始まり、邪険に扱われようと決して諦めずにレンに語りかけ、ようやくレンと向かい合って話をできるまでに持ってきたのだった。

ポツリポツリと後悔の念を漏らすレンの話を聞くに、どうやら初音ミクという少女の死に責任を感じているようだとビリーは判断した。
その少女のことについては、大まかな話は聞いていた。
誰かがその少女の悪意ある噂を広めてまわっている。
その話には耳を貸さず、逆にその噂を流している者に制裁を与えてほしいと。

「お……俺が…………もっとしっかりしてたら……。
 早く見付けてさえ……いれば……」

つっかえながら語るその内容に、罪悪感の原因を掴んだとビリーは感じた。

レンが聞いたというその噂。
内容は定かではないが、それによってその少女が危険視されると判断したレンは、おそらく――その少女と合流して、襲い来る悪意から守ろうとしたのだろう。
だがそれは叶わず、少女は命を落としてしまった。
少女の立場が非常に危うくなっていると気付きながら、そこから救う事ができなかったと後悔し、その少女を見付けられなかった事に深い自己嫌悪を抱いた。
それが罪悪感の源だろうとビリーはあたりをつけた。
落ち込む原因を見付けたことにより、説得の方向性が見えた。そう感じたビリーは、レンを立ち上がらせるべく口を開いた。

414創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:34:27 ID:OqOHNTBv
415創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:34:39 ID:OqOHNTBv
416Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 01:35:01 ID:gaonONw3

「レン。他にこの場に守りたい人はいないの?」

「え……?
 あ、ああ。いるよ。
 KAITO兄さんと妹のリンも、ここに連れてこられたみたいなんだ。
 くそっ。なんでこんな事に……」

「大切な人が死んだ事を悲しむのは仕方ないね。
 だがやるべき事を見失ってはいけねぇな」

問いに答え、再び感情の波に浸るレンに、厳しい言葉をかけるビリー。

「やるべき……事?」

「助けられなかった事を嘆くより、助けられる者を救う。
 死者の事を想うよりも、これ以上生者を亡くさないように行動を起こすべきだね」

その言葉に、レンは顔をうつむかせる。
やはりそう簡単に気持ちを切り替える事はできないのだろう。
だが、立ち止まる猶予は残されていない。

「厳しい事を言うようだが、後悔を重ねないためにもここは悲しみをこらえなければならないね。
 助けたい人は、まだ残っているんだろう? だったら、できる事があるはずだね。
 今受けている悲しみを、再び繰り返さないためにも」

続くビリーの言葉に、はじかれたように顔を上げるレン。
最悪の光景を想像したのだろう。その表情には先ほどまでの悔やむような感情が吹き飛んでいた。
それを見て、ビリーは確かな手ごたえを感じた。

「今すぐでなくてもいい。気持ちの整理は簡単にはつかないよね。
 でも、皆を助けるためには、嘆いてばかりでは駄目なんだ。
 気持ちが落ち着くまで、待っているからね」

その言葉と共に、ビリーはその場を離れる。
言えるだけのことは言った。
後はレン自身が解決すべき問題だ。
大丈夫。あんなに少女の事を想う心があるのだから、きっと解決できるはずだ。
レンが立ち直る事を信じて、ビリーはドナルド達の元へと向かう。
彼らにレンの事を伝えるために。


――だが、強制的な中断によって、それを果たす事はできなかった。

417Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 01:36:07 ID:gaonONw3


「帰ってきたみたいだね。
 レンの様子はどうなのかな?」

「……そうですね」

ビリーの帰還にいち早く気付き、会話を切り上げるドナルド。
その声に、言葉もビリーの入っていった廊下の方を向く。

やがてビリーの姿が言葉にも確認できるようになり――
下げていた銃口を上に向けながら、躊躇なく引金を引き絞った。

ランサーアサルトライフルから放たれた鉛の塊が、廊下に――その先にいるビリーに向かって殺到する。
下から上に掃射された銃弾は、廊下の中央を嵐のように飛び去って行った。
直前で気付いたビリーはその場から飛び退いたが、遮蔽物のない廊下という逃げ場のない状況で全てを回避する事は叶わなかったようだ。
起き上がる様子を見せないビリーを前に、ドナルドは言葉に近付き声を掛ける。

「さすがだね。100点満点の出来だよ。
 やっぱり言葉ちゃんはやればできる子なんだね☆」

説得の成果を発揮した言葉に、ドナルドが声を掛ける。
炎の妖精張りの熱い説得に自信を取り戻した言葉の行動に、満足げにドナルドが笑う。
他の者にはマーダーに殺された事にすればいいと、後のフォローもバッチリだ。

だが、ドナルドの言葉にもなんら反応を見せず、言葉はただ硝煙の立ち昇る銃の先を見つめる。
一向に動こうとしない言葉に、ドナルドはさらに語りかける。

「どうしたのかな?
 止めは刺さないのかな? それとも、怖くなっちゃったのかな?」

心配そうに声を掛けるドナルドに、言葉が向き直った。
その動作に、ドナルドは地を蹴って後ろに下がる。

「どうしたんですか? いきなり飛びのいたりなんかして。
 ただ振り向いただけじゃないですか」

警戒の様子を露にするドナルドだが、言葉の台詞に誤りは無い。
言葉の言うとおり、彼女はただその身をドナルドの方に向ける事しかしていない。
――そう。手に持ったランサーアサルトライフルを、腰だめに構えた体勢のままで。

418創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:37:54 ID:OqOHNTBv
419Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 01:37:59 ID:gaonONw3


「嘘……ですよね。
 ビリーさんが邪魔になるのは、ドナルドさんだけ。
 後々邪魔をされそうだから、私に殺させようとそんな噂を吹き込んだ……そうですよね?」

「ひどいなぁ。何でそんな事を言うのかな?
 ドナルドのうわさ、そんなに信じられなかったのかな?」

軽い口調で疑問を発するドナルドだが、その目は本気だ。
言葉に語った話は、一部の隙もない完璧なものだったと自負していた。
それゆえに、何故言葉が虚構に気付いたのかが、ドナルドには納得いかなかった。

「ドナルドさんの話は、私も完全に信じてしまいました。
 私が疑ったのは、ドナルドさんの本性です。

 いくら邪魔になるからといって、この中では一番強いビリーさんを排除してしまうのは本末転倒です。
 実際に戦闘になった際、情けをかける暇もなく負けてしまったら結局変わらないじゃないですか。

 ドナルドさんはビリーさんの事を殺したいと思っている。
 それは何故か。
 ビリーさんがいると都合が悪くなる何かがあった。
 ビリーさんが邪魔になったから、殺そうと思った。
 殺す理由が見つからなかったから、嘘をついて私に殺させようとした。
 そうじゃないんですか?」

「そうだとしても、ビリーの事が嘘かどうかは判らないんじゃないかな?
 それに、嘘だと思ったのなら何故ビリーを撃ったのかな?」

暗にビリーを殺したかったと認める答えを返すドナルド。
その問いに、言葉はなんでもない事のように語る。

「私も、ビリーさんが邪魔でしたから。
 聞きたい事があるので殺すつもりはそれほどありませんけど」

「邪魔?」

「ええ。
 ――ドナルドさんを殺す、邪魔に」
420創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:38:15 ID:OqOHNTBv
421Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 01:39:54 ID:gaonONw3

それを聞いて、僅かに驚きの表情を顔に出すドナルド。
その表情はすぐに消え、代わりに得心のいったという仕草を見せる。

「アハハッ☆
 そうか。言葉ちゃんは、最初から殺し合いに乗っていたんだね」

「……ええ。
 私は、優勝したかった。
 ですが、私の力では出来そうにないと思ってました。
 ドナルドさんが背中を押してくれなければ、ずっと思い続けたままだったでしょう」

「ん〜。余計な事をしちゃったかな?
 ……でも、何故ドナルドを狙うのかな?
 ひょっとして、ドナルドの方がビリーよりも強そうだと思ってくれたのかな?」

相変わらず笑みを絶やさないドナルドを不気味に思うでもなく、淡々と答える言葉。

「いいえ。
 優勝したいとさっき言いましたけど、本当は優勝できなくてもいいんです。
 誰か勝ち残った人が、私の願いを叶えてくれたら……。
 誠くんが生き返ってくれるなら、私は死んでもいいんです。

 ドナルドさんは、他人を利用して企みを進めようとする人ですよね?
 それ自体はいいんです。私も……人の事は言えませんし。
 ですけど、もしドナルドさんが優勝しても、利用した私たちの事は気にもかけないでしょう。
 それでは駄目なんです。誠くんを生き返らせてくれない人に優勝してもらっては、困るんです。
 だから……死んでください」

言い終えると同時に突撃銃を構え、狙いをドナルドに定める。
しかしドナルドは動じない。ただ悠然と立ち尽くす。
この状況に、さすがに不信を抱いた言葉は、疑問を口にする。

「怖く、ないんですか?
 まさかあなたも普通の人にはない力を持っているんですか?」

言葉の頭に浮かんだのは、この場につれてこられてから最初に合った男、手から謎の光弾を撃ち出したサイヤ人――ベジータ。
目の前の道化師にもそのような力があるのかと疑う。
だが、ドナルドの返答はその予想を裏切った。

「ん〜。確かに特殊な力を持ってると言えなくもないかな?
 けどドナルドだって、その銃から放たれる銃弾の雨を浴びたらただじゃすまないよ。

 ――銃弾が、発射されたら、ね」
422Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 01:41:11 ID:gaonONw3

含みを持たせたその発言に、言葉は警戒の色を強める。

「……どういう意味ですか?」

いぶかしむ言葉に、ドナルドは後ろ手に隠し持ったそれを良く見えるようにかざす。

「これが何かわかるかな?」

「……いえ」

言葉の反応に気を良くしたドナルドは、手に持った箱形の金属性の物体をもてあそびながら、その名称を発する。

「やっぱりだね。
 普通の女子高生がこれを知ってるなんて、まずありえないからね。

 この箱、どこかで見覚えはないかな?
 これはマガジン――弾倉って言うんだ。
 弾の倉っていう字なんだけど――あっ、クラは倉庫の倉だね。
 とにかく、字面からどんなものか想像できるんじゃないかな?

 アーッ☆
 気付いたみたいだね。そう。それが正解。
 銃弾を溜めておく為の部品さ。
 ――言葉ちゃん。君が持っている銃のね」

とっさに銃中央の下部を見やる言葉。
ドナルドの言うとおり、そこには本来あるはずのものがスッポリ抜け落ちていた。

「その表情は、いつの間にって思ってるね?
 ついさっきさ。
 ビリーを撃った後、近付いたときに掏り取っておいたのさ!

 ん〜。何故そのタイミングで抜き取ったのかって顔をしてるね?
 簡単さ。相手を信用していなかったのは、お互い様だって事だよ。
 人を殺した事でためらいがなくなり、ドナルドに銃を向ける――なんて事があったら困るからね。
 発砲後の言葉ちゃんからは、ビリーに向ける物とは違う殺気が漏れていたからね。
 念のために、これを預からせてもらったんだ。

 でも、さすがのドナルドも、言葉ちゃんが最初から殺し合いに乗ってるとは見抜けなかったなぁ。
 今度からはこんな事がないようにしないと」

どう見ても残念そうには見受けられないその表情を見て、言葉は思わず銃を構える手に力が入る。
だが、ドナルドは平然と自然体でその場に留まっている。
言葉をどのように扱うべきかを悠然と考えながら。

明確な殺気を感じたドナルドだが、殺気だけで人は殺せない。
言葉がこちらに襲い掛かってくるまでは、言葉の攻撃圏内に入るまでは余裕を崩さない。

「アーッ☆
 嘘だと思ってるのかな? 撃とうとしても無駄だよ。
 これは正真正銘、その銃の弾倉なんだから――」

423Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 01:42:37 ID:gaonONw3


ドナルドのミスは、三つあった。

一つ目は、言葉がステルスマーダーだと見抜けなかった事。

直接話をする機会が少なかったとはいえ、その見極めがつかなかったばかりに言葉の背中を押し、消極的ステルスをやめるきっかけを作ってしまった影響は大きい。
殺し合いに乗る理由があると気付いていたら、本性を現しての説得を行う事はなかったに違いない。

二つ目は、言葉に殺人の経験があると気付けなかった事。

この場に来てからの言葉は基本的には大人しく、一人も殺していない。
だが元の世界では、最愛の人――誠を殺した犯人、西園寺世界を鋸で斬り殺していた。

この事に気付けというのは酷かもしれないが、もし気付いていたら、殺人に対する禁忌が少ないと想像する事ができただろう。
初めての殺人でショックを受けている間に洗脳を強固にするという目論みも、抱かなかったに違いない。

そして三つ目は――――


424創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:43:54 ID:OqOHNTBv
   
425創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:44:05 ID:OqOHNTBv
 
426創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:44:25 ID:OqOHNTBv
 
427創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:44:47 ID:OqOHNTBv
 
428創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:45:30 ID:B14+7ODZ
ほい身代わりさるさん完了
これで書き込めるはずです
429助かりました。 ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 01:46:42 ID:gaonONw3
唐突だが、皆さんは銃の構造についてどのくらいの知識があるだろうか。
リボルバーとオートマチックの違いくらいは判るかもしれない。
だがまずは、判らない者のために解説しよう。

リボルバーとは、銃にくっついている輪胴型の弾倉に一発づつ弾を込め、発射後は弾倉が回転する事によって次弾が発射可能になるタイプの銃を指す。
リボルバーオセロットが使用していた銃。西部劇で使われる銃。あるいは日本の警官の持つ銃で有名な型。松田が月に向かって発砲した銃のタイプだといえば理解していただけるだろうか。

オートマチックとは、銃弾を込めてある弾倉を銃の下部から差し込み、装填することによって発射可能になる銃であり、発射後は次弾が自動的に弾倉から薬室に装填されるタイプの銃を指す。
ヤクザ映画で手に持っているのを見かける共産圏からの密輸銃であり、一般的にピストルと呼ばれる類のタイプであるといって、理解していただけるだろうか?

さて、先ほどの説明で、自分は薬室という単語を使った。
これは何かというと、平たく言うと銃弾が発射されるスタート地点。薬莢の中の火薬を発火させる場所だ。

リボルバーでは弾倉の弾を込める箇所、レンコン状に開いている穴が薬室に相当する。
オートマチックでは銃内部にそれがあり、弾倉に込められた銃弾を、スライドを引いて前後させ装填する事によって初めて銃弾が発射可能になる。
銃の性能欄に書かれている装弾数××発+1発というのは、薬室内の銃弾が1発分としてカウントされているのだ。


さて、ここまで銃についての解説をしてきたのだが、何を言いたいかを察していただけただろうか。
冒頭で察して下さった賢明な諸氏には心苦しいのだが、もう暫く説明は続くのでどうかお付き合いいただきたい。

スライドを引く事によって薬室に装填されるタイプの銃は、オートマチックピストル――自動拳銃――に限った事ではない。
ポンプアクション式ショットガン――散弾銃――や、ボルトアクション式ライフル――連発式ライフル――でも同様の事が言える。
いずれも弾倉に装填できる弾数に、1発プラスされた物が最大装填数となるのだ。

それは単語の頭に自動と名のつく、自動小銃と名される物も同様だ。
自動小銃、つまりアサルトライフル――突撃銃――だ。


ここまでくれば、殆どの方が言いたいことを察していただけたのではないだろうか。
そう。言葉の持つランサーアサルトライフルについてだ。

ここで、最後の説明と共に要点を言ってしまおう。
説明を飛ばした方は、ここだけ読んでいただければ大よその事が分かるだろう。

さて、これまで説明した内容によって、アサルトライフルは弾倉から薬室に弾を送り込む事で発砲が可能になるとお分かりいただけただろう。
ここで重要なのは、銃の暴発の一因にもなる構造上の性質だ。

薬室に送り込まれた薬莢は、発砲の際の反動または手動によりスライドが後退する事によって排出される。
それ以外の手段で薬室に装填された弾が排出される事は通常ありえない。
弾倉を引き抜いたとしても、それは然りだ。

つまり、射撃の最中に弾倉を弾が残った状態で外した場合、薬室内に弾が1発残る事になる。
これに気付かずに不用意に引金を引いてしまい、暴発するという事例も過去に確認されている。

そう。言葉のランサーアサルトライフルには、薬室に銃弾が1発残っている。
430創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:47:07 ID:OqOHNTBv
   
431Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 01:47:50 ID:gaonONw3


一発の銃声が鳴り響き、ドナルドの体は地に倒れ付した。

薬室内の最後の一発は、動く事のなかったドナルドには狙いを定める時間が十分すぎるほどあったために、しっかりとドナルドに命中していた。
その様子を見つめる言葉の口から呟きが漏れる。

「やっぱり……。
 嘘だったじゃないですか。

 中に弾がありましたよ」

1人が脱落したこの戦いの場で、僅かに脱力する言葉。
直後、背後の物音に、言葉は振り返った。


部屋に一人残されたレンは、先ほどの会話を思い返しながらビリーに言われた事を頭の中で反芻する。

ミクの死を嘆き、後悔に浸るレンは、思わずこんな言葉を漏らした。

「お……俺が…………もっとしっかりしてたら……。
 早く見付けてさえ……いれば……」

そう。もっとしっかり拡声器の男を捜していたら。
早くその男を見付けて――殺していたら。
もしかしたら、ミクは死ぬ事がなかったのかもしれない。

そう考え、沈むレンに、ビリーは守りたい者が他にいないのかと尋ねた。
そして、やるべき事がまだ残っているとも。

現時点で生き残っている二人。
彼らがミクと同じような事ににならないようにするために、行動を起こさないといけない。
ビリーの発言は、レンが予想もしなかった事態、最悪の結末が起こりうる事を教えてくれた。
もう二度とこのような思いをする事がないように、行動を起こさなければならない。
まだ落ち着かない感情の中で、レンは一つの決意を固めた。

――二人を守るために、殺人者を殺さなければ。

その思考を頭の中に満たし、顔をぬぐったレンの耳に、一繋がりの銃声が入ったのはその直後であった。

殺人者が近くにいる。
そう短絡的に判断したレンは、即座に部屋を出て、銃声のした方へ向かう。
――どこか間違った思考を抱きながら。

432Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 01:48:52 ID:gaonONw3


物音に振り返った言葉が見たのは、ナイフを構える少年――レンの姿だった。

「お前が……やったのか?」

「……ええ」

この場に新たに加わったレンの短い問いに、言葉も短く返す。

「そうか……。
 だったら……お前を殺す!」

そう叫び、手に持ったナイフを構え直して真っ直ぐ突進する。
言葉の手は引金から離れている。ならば今のうちに攻撃を仕掛け、撃たれる前に言葉を殺す。
一瞬の内にそこまで考えが行き届いたかは定かではないが、レンの意思に迷いはない。

狙いはカミーユを殺害したときと同じ。
言葉の頭にナイフを向けて、思いっきり突き出す。

その攻撃を、右足を斜め前に出し、半歩体軸をずらす事で回避する言葉。
同時に腰を捻り、突撃銃の後部を掴んだ右手を押し上げる。
軸となった左腕を中心に突撃銃が半回転し、突き上げられた銃床部がレンの腹部にめり込む。

踏み込み、腰の捻り、右手の突き上げ、左手の引き。
全てが合わさった一撃は、突進するレンの勢いが加わった事により強烈な打撃となる。

激痛に思わず腹を押さえ、前かがみになるレンに、言葉は更なる攻撃をかける。

振り上げた突撃銃を後ろに引き、勢いをつけて銃床部をレンの頭に叩きつける。
腹部と頭部に攻撃を受けたレンは、決意とは裏腹な結果を残したまま、耐え切れず意識を手放した。

「……誠くんを生き返らせてくれるか聞きたかったんですけど、仕方ないですね。
 きっと、私の願いを叶えてくれる事はないでしょう……」

どのような意味合いで言ったのかは定かではないが、答える相手のいない呟きを発した言葉は両手を握り直す。
そして、ランサーアサルトライフルの銃身下部に取り付けられた物――チェーンソーを起動する。
異星の異形の者――ローカストを一撃の下に斬り捨てる、合金製の強固なブレードをレンに振り下ろそうとして――言葉は再び構えを取る。

言葉が臨戦態勢となった理由。
それは、この場で唯一言葉と対峙出来る人物――ビリーが立ち上がり、レスリングスタイルを取ったからだった。

433創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:50:52 ID:OqOHNTBv
434創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:51:03 ID:OqOHNTBv
435創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:51:49 ID:OqOHNTBv
436創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:52:25 ID:OqOHNTBv
437Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 01:54:07 ID:gaonONw3


ビリーと言葉。
対峙する二人は片や歴戦のパンツレスラー。片や居合いを習っていたとはいえ、普通の女子高生。
簡単につくはずの決着はいまだつかず、お互いに拮抗していた。

その理由はビリーの負傷。
銃弾の雨を受けた時、射線に最後まで残っていた片足を一発の銃弾が貫通し、ビリーの機動力を削いだ。
これによってビリーは本来の力を出し切る事ができず、膠着状態に陥っていた。

居合いなどの経験により、レンの突撃を見切り、負傷しているとはいえビリーと互角の勝負を繰り広げる言葉。
彼女の構えは、真剣を用いた居合いのそれではなく、むしろ薙刀の構えに近い。
いや、言葉の扱う突撃銃の名称にしたがって、こう呼ぶべきだろうか。
槍の使い手――ランサーと。

ビリーへの警戒を解かぬまま、言葉は語りかける。

「ビリーさんは、優勝した時に叶えたい願いはありますか?」

「ないね。
 優勝してどうこうしようとは考えなかったよ。
 相手を殺すつもりは、少なくとも殺し合いに乗っていない者にはなかったからね」

当然の如く即答するビリーに、言葉は続けて話を切り出す。

「……もしビリーさんが優勝したら、私の願いを叶えてもらえませんか?
 虫のいい願いかもしれませんが……」

「それが、殺し合いに乗った動機か。
 その望みは、そこまでして叶えたい物なの?」

「ええ。
 月さんは放送で名前が呼ばれました。放送を聴く限り、バクラさんは行動を起こしていないみたいです。脱出できるのなら、きっとするつもりでしょう。
 でも、それじゃ駄目なんです。
 誠くんを生き返らせる事が出来なければ、意味がないんです。

 強い相手はあの人に任せます。ですから私は私のできる事をします。
 誠くんが生き返ってくれるのなら、私は死んでも構いません」

迷いなく言い切る言葉を、苦虫を噛み潰したような表情で見やるビリー。

「……その決意、歪みねぇな。
 だが、そこに至る考えは歪みあるな」

「なんと思われようと構いません。
 誠君の、為ですから……」

そう言い放つと共に、突撃銃を頭上に振りかぶる言葉。
この一撃で決めようとするかのように、その手に力を込める。

それを見て取ったビリーは、ガードの空いた下半身を狙い、傷ついた足でタックルを繰り出す。

――この攻撃は、明らかに言葉の失策だった。
438創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:55:49 ID:OqOHNTBv
439創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:56:03 ID:OqOHNTBv
440再度のさるさん支援感謝します ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 01:56:06 ID:gaonONw3

これまでは槍のように突撃銃を突き出す攻撃と、籠手撃のように腕の返しで叩き切ろうとする攻撃しか繰り出さなかった言葉の、初めての大振りな攻撃。
大きく振りかぶって、強烈な一撃を繰り出そうとした言葉は、無意識の内に居合いの経験を重ねていた。

だが、居合いの刀とは異なり、突撃銃の平均重量は弾倉抜きで3.5〜4.5kg。
300余発もの銃弾が込められた弾倉が抜き取られたために若干軽くなってはいるものの、銃身下部にマウントされたチェーンソーは確実に腕への負担となっていた。

それを頭上に振り上げてしまったのだから、当然動きが鈍くなる。
それに加え、両手が頭上にあるのだからガードはがら空きになる。

突撃銃を振り下ろしてその隙を埋めるには、僅かに時間が掛かる。
それを見逃すほど、ビリーは甘くなかった。

足に走る痛みに、気勢をあげて力を振り絞る。

「……だらしねぇな。
 レンを、そしてドナルドを助けるために、言葉を止めるために、傷み如きに構っている暇はねぇ!」

ビリー渾身のタックルは、突撃銃が振り下ろされるよりも僅かに早く言葉に到達し、その華奢な体を弾き飛ばす。
ビリーに振り下ろされる筈だった突撃銃は言葉の手を離れ――柱に突き刺さり、鉄筋コンクリート製の柱を易々と切り裂き蹂躙する。

僅かに遅れて、言葉を弾き飛ばしたビリーのタックルが壁にぶち当たる。
そのころには使用者の手を離れたランサーアサルトライフルのチェーンソーは動きを止めていたが、既に遅かった。

その衝撃は、度重なる戦闘で痛んでいたホテルの、支えとなる柱を切り裂かれたこの地区一体に行き渡り――天井が崩落を始めた。



気絶から覚めたレンは、目の前の惨状に絶句する。
目の前の廊下が、瓦礫で塞がっているのだ。

周りを見回し誰もいないと見て取ったレンは、瓦礫の向こうに皆がいると判断し、声を掛ける。

1人が銃弾に倒れ、2人が瓦礫の向こうに消えた。
VOCALOIDの呼びかけに答える者は果たして……。

441創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:56:17 ID:OqOHNTBv
442創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 01:56:48 ID:OqOHNTBv
443Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 02:02:10 ID:gaonONw3
以上で本編投下完了です。
状況表はどう弄るべきか考え中ですので、後ほど投下させていただきます。


プロの実況動画をBGMにしていたらこんな感じになりました。

正直対主催苛めになってしまったかなと思っていたら、さらに上がいた。
ニコロワβでは常識にとらわれては(ry

そして夜分遅くに支援していただき大変助かりました。
ご支援感謝します。
444創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 02:02:34 ID:OqOHNTBv
445創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 02:02:49 ID:OqOHNTBv
446創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 02:30:37 ID:s+V3k/L6
投下乙。
ドナルド組は崩壊か…。
流石の教祖様も手下がレンだけじゃ分が悪かったかな。
そして、中に弾がありましたよに吹いたw
447Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 02:46:21 ID:gaonONw3
感想下さってありがとうございます。
これがあるから書き手はやめられねぇ……!

そして、状況表投下します。

【C-3 ホテル内部/一日目・日中】
【ドナルド組殺人者駆除班基本思考】
1:西に向かい、ブロリー、呂布、てゐ、志々雄、黄色い怪物(スプー)の討伐。
2:役立たずは……
※大河と情報交換しました。
 文、グラハム、キョン子はとりあえず信頼できると認識しました。



【ドナルド・マクドナルド@ドナルド動画】
[状態]:ライフル弾一発被弾。???
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 不明支給品0〜1 1outキノコ@奴が来る ランサーアサルトライフルの弾倉(335/350)@Gears of War2
[思考・状況]
基本思考:教祖として信者を沢山作りつつ、信者を指揮してバトルロワイアルを盛り上げ主催者になりかわる
0:???
1:隙を突いて言葉を洗脳或いは共謀し、ビリーを殺す
2:レンとチルノを殺し合い向きな人材に育てていく
3:タケモトの首輪解除及び無力化のための手伝いをする。利用した後は……
※僧侶のネガキャンを聞きました。



【ビリー・ヘリントン@ガチムチパンツレスリング】
[状態]:??? 
[装備]:敗れかけの半袖ジーパン(二試合目の最初の姿)
[道具]:支給品一式,万葉丸(15/30)@零シリーズ、強姦パウダー@ニコニコRPG(4/9)、不明支給品0〜1個
[思考・状況]
基本思考:強者を求める。
0:???
1:殺し合いは止めたい。仲間を救う。
2:強者と戦う。
3:トキともう一度戦いたい。
4:リョホーセンやあの怪物(スプー)と戦いたい。
【備考】
※チルノから呂布の簡単な姿と行き先を教えてもらいました。
448Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 02:47:10 ID:gaonONw3
【桂言葉@SchoolDays】
[状態]:???
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ののワさん@ののワさん、魔法の石(ののワさん使用中)@Heart Of Darkness
[思考・状況]
基本思考:一人ででも優勝を目指す。無理なら優勝した者に自分の望みを叶えてもらうよう働きかける。
0:???
1:バクラに対する不信感。
2:どんな方法でも誠くんを生き返らせる。生き返るなら自分は死んでもいい。
3:ベジータやブロリーのように圧倒的に強い相手には無理を避けたい。
※アニメ最終話後からの参戦です。
※希望を見出したため、目のハイライトが戻っています。




【鏡音レン@VOCALOID】
[状態]:肉体的・精神的に疲れ 腹部・頭部強打(中ダメージ) ドナルド信者状態
[装備]:朝倉さんのナイフ@涼宮ハルヒの憂鬱
[道具]:支給品一式×2 不明支給品0〜1 ダイヤの結婚指輪のネックレス@ネ実板(ブロントさん) スタンドマイク@VOCALOID
[思考・状況]
基本思考:弱い悪党から殺していき、出来る限り早く強くなる。(悪気はないが足を引っ張る参加者=悪党)
0:皆は何処に……?
1:二度と後悔しないように、マーダーを見かけたら積極的に殺す。
2:拡声器でミクの悪口を言っていた悪党(僧侶)を殺しに行く
3:強くなって、いつか志々雄にリベンジする
4:兄弟たちに会いたい
5:ドナルドを尊敬、信頼。不安だったがタケモトも見直した
6:チルノの言う『最強』に興味
※僧侶のネガキャンを聞きました。


【共通備考】

※ホテル内部の崩落によって、ドナルド達とレンが分断されました。
 ドナルド達の生死その他は他の書き手さんにお任せします。
※ランサーアサルトライフル(0/350)@Gears of War2が、C-3 ホテル内部に落ちています。

以上です。

予約延長の末の時間オーバーという失態をしてしまい、申し訳ありませんでした。
449Q 3人−1人+0.5人−2人=? ◆xHiHmARgxY :2009/05/05(火) 02:48:33 ID:gaonONw3
最後に、説明の不備、不明な点、誤字脱字等指摘ありましたらお願いします。
450創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 03:29:02 ID:ykGLAmEx
着々と鬱エンドへ向かっている感じがするw 俺はそれでも良いけど
なんか今回は「対主催であり断固たる決意」みたいなのを持ったキャラがあんまりいないんだよなぁ
451創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 14:41:33 ID:C37b2v5Y
代理投下行きます。
452創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 14:43:30 ID:C37b2v5Y
984 名前:Legendary Crisis!! ◆T0ldTcn6/s[sage] 投稿日:2009/05/03(日) 12:11:26 ID:2K9AHTzM0
 鬱蒼と茂る木々の中を美希は走っていた。
 別れ際に見たルガールの表情はいかなゆとりでもただ事ではないと思わせるには十分。
 しゅーぞーさんでも誰でもいい。早く誰かと合流してルガールを助けないといけない。
 いや、それだけでない。
 よくわからないけど胸騒ぎがするのだ。ブロリーと名乗ったあの男はマズイと。
 何がどうマズイのかは分からないが、漠然とした焦燥感が体のうちに残っている。ただ、美希の頭の中で警鐘が鳴っている。
 だからこそ、動悸の収まらぬ体に鞭を打つ。
 きっと、誰かが見つかると信じて。だが誰一人として現れる気配すらない。
 何故、美希は天に見放されているのか。それはF-5というエリアに原因があった。
 かのエリアは大部分が森林で構成されているため、視界は劣悪。足場も不良で美希からじわじわと体力を奪い去る。
 探索効率も悪くなろう。
 だが。だとしても不運としかいいようがなかった。
 ちょうど北へと向かう2人組と示し合わせたように入れ違いになるなど。
 ――この上ない幸運であった。



『――以上です。第三回放送は六時間後となります』
「オイオイ、殺し合いがむしろ加速してんじゃねえか」
「ブロリーだ、ブロリーの仕業だ……」

 死者は15人。第1回放送までの脱落者は11人。
 たった4人の違いは誤差の範疇に見えるが、そもそも全体数が減っているということをふまえて欲しい。
 70人中の15人と60人中の15人では意味が違ってくる。
 なお横のMッパゲが嘆くのはいつものことなので気にしないでもらいたい。

『1回目の放送を契機に殺し合いに乗った者がいるんでしょうね』
「勘弁してくれ、全く……」

 ルカの冷静な分析に思わず悪態をつく。
 なぜ自ら修羅の道を歩もうとするのか俺には理解しかねる。
 ぶっちゃけると救いも何もねーぞ。
 誰も守っちゃくれねえし、支えてもくれねえ。
 信じられるのは自分の力だけという孤独街道。

 それにしても放送を境に宗旨を変える奴ってどういう了見だ。
 DIOみてーな悪人は無関係に殺し合いに乗りそうなものだが。

『おそらく知人の死で冷静な判断が出来なくなったのでしょう。ほら、主催者は”願いを叶える”と最初に発言しています』
「……どういうことだよ」
『単刀直入にいえば死者蘇生です』
「……」

 ……なるほどな。ゼロパーセントに縋っちまうわけか。
 んー、どうしたもんかね。

「そんなものドラゴンボールに頼めば一発ではないか」

 先ほどまでヘタレてたベジータが会話に割り込んだ。
 本当にテンションの上下が激しい奴だな……ってちょっと待て。

「おい、本当か……?」
「当たり前だ」
「本当に死者が生き返るというのか?」
「何度も言わせるな。俺が生き証人だ」

 サンレッドは知らないことだが、ベジータはフリーザとの戦いにおいて死亡している。
 そんな彼に二度目の生を与えたのは他ならぬドラゴンボールの力だ。
453創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 14:44:21 ID:C37b2v5Y
 ……なるほど、死者の復活も可能なのかもしれない。
 ところが、それでも優勝を狙うのは非現実的に思える。
 主催者がドラゴンボールを持っていると仮定しよう。
 そんなにもスゲーものをわざわざ他人のために使うか?
 約束を反故にされるのがいいオチか。悪ければ用済みとばかりに殺される。

「どっちにしろ俺たちのやることは変わんねーな」
『ま、そうですね。ん、謎の飛行物体』
「今度はな「あ、あれはブロリー!」なんだとっ!」

 空を見やれば金髪の男がこちらに向かってきているではないか。
 なるほど、あれがブロリーか……あの殺気は尋常じゃねーな。
 戦闘を予感したかルカは俺の頭から飛び降り退避。……そっか、戦えないもんな。

「ダメだ……奴は伝説の超サイヤ人……殺さr」
「なに戦う前からビビってんだ! 修造に言われたことをもう忘れたか!」
「そうだ、俺はサイヤ人の王子ベジータ!」

 案の定ヘタレはじめたベジータを一喝し立ち直らせる。
 最初よりは大分マシになってきてるな。嬉しい限りだ。
 ベジータ曰くブロリーはこの世で最も恐ろしい化け物だそうだ。
 ……拍子抜けだな。もう少し凶悪そうなイメージがあったんだが。
 ああ、勘違いしないよう断っておくがあれでも十分やばそう……てか危険な存在だ。
 その威圧感たるやDIOのカマ野郎など比べものにならん。
 でも想像してたよりはどうにもなぁ。
 うだうだ言ってたけど結局は取り越し苦労だったんじゃないか、そう思うと同時に上空から大量の気弾が降り注いだ。

 ブロリーの進路変更には理由がある。
 彼は美希を捜し出すため余計な体力消費を覚悟してでも飛んだ。
 しかし、破壊すべき対象は一向に見つからない。
 先も述べたとおりF-5はほとんどが森に覆われている。
 上空から俯瞰したのでは茂る葉に遮られ地上の大部分が見えない。
 木の傘を差して美希が走ったのだから視認できない。視力の問題ではないのだ。
 いい加減、目障りな森林ごと破壊し尽くしてやろうかとブロリーが考え、スーパーサイヤ人に姿を変えたそのときに平原を歩く2人が目に入った。
 うち1人は惑星ベジータの王子。見逃す理由はない。
 かくして破壊衝動の矛先は美希から逸れた。


「そんな……ルガールさん」

 所変わってこちらは美希。こちらにも放送が届いていた。
 死者は先の放送より増え15名。しゅーぞーさんの名前はなかったが、自分を逃がしてくれた紳士の名前が呼ばれてしまった。
 遅かったのだ、何もかも遅かった。
 いったいルガールは誰に殺されたのか。それは自明だ。
 ……逃げずに立ち向かえば死なせずにすんだのかもしれないという後悔が渦巻く。
 しかし、同時に。その死は不可避だったのかもしれないと否定する自分が情けなかった。
 美希は嵌ってしまった。
 答えの出ぬ命題に自問するという負のスパイラルへと。
 無意味に、無慈悲に。ただ時間だけが過ぎていく――
454創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 14:45:02 ID:C37b2v5Y




 エネルギー弾はサンレッドとベジータの2人を包むように散撒かれた。
 無論、初撃を躱せぬほど未熟ではない――しかし、ここで誤算があった。
 彼の者が放つ気弾はその全てに民家程度なら崩壊させられるだけの威力を有している。
 サイヤ人たるベジータは本能的にそれを理解している。では、脅威を伝聞でしか知らぬサンレッドはどうか。
 着弾、炸裂。そして予想を遙かに超える爆風に煽られる。
 畏怖すべき、力の奔流。短すぎるタメとはあまりに不釣り合いで。
 体勢は致命的なまでに崩れた。
 すかさずブロリーはサンレッドの懐へ飛び込んだ。
 回避は間に合わない、受け流すのも不可――彼に出来るのはただ腕をクロスさせこれからたたき込まれるであろう攻撃に耐えるのみ。
 かつてない衝撃がサンレッドを襲った。まるでパチンコのように後方へと吹き飛ばされる。
 衝撃で痺れた両手では受け身すら取れず無様に地を転がる。
 しかし追撃はない。

「もらったぞ、ブロリー!!」

 右手に爆破ヅラを持ちベジータが後ろ上空からの強襲を試みる。
 これは主催者が用意した支給品。いかに実力差があろうと被せてしまえばそれで決着だ。
 奇しくもサンレッドを囮にする形にはなったがベジータには関係ないし、痛む心も持ち合わせてなどいない。
 ブロリーを倒す、今の彼にはそれしかない。
 まさしく”一点を除いて”完璧な奇襲だった。

 凶器が頭に吸い込まれる数瞬の前にブロリーの裏拳がベジータの右手首にめり込んだ。
 スペックの差は歴然としており、手から握力が失われる。
 爆破ヅラはブロリーの頭に覆い被さらぬどころか足下へ転がることになり。
 間髪を入れずブロリーの左足が爆破ヅラに乗った。ぺしゃり、と音を立てて必殺の武器が潰れる。

 何故ブロリーが後ろからの攻撃に反応できたのか。理由は簡単だ、ベジータが声を上げてしまったから。
 奇襲の基本は相手に察知される前に必殺すること。反撃などさせてはいけない。
 己から攻撃宣言するなど愚の骨頂。だが、それも致し方ならぬこと。
 ……ベジータにとってこれは奇襲ではなかったのだから。

 驚愕と絶望に目を見開くベジータにすかさずブロリーの痛烈な回し蹴りがたたき込まれた。
 防ぐことも避けることもままならず、それは腹へと綺麗に吸い込まれる。
455創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 14:45:45 ID:C37b2v5Y
「かはっ……」

 悶絶し横たわるベジータを見て満足げにブロリーは口を吊り上げた。
 抵抗の出来ぬ間に距離をとり、左手に力を集束させる。

「お前だけは簡単に死なさんぞ……」

 カカロットには劣るとはいえ、彼にとってベジータ王は憎悪の対象だ。当然その息子も。
 即死では生ぬるい。そしてサイヤ人ならこの程度のパワーで死ぬこともない。
 ありったけの苦痛と絶望を刻み込んでからゆっくりと送ってやろうと――

 ――刹那、空気が震えた。
 後ろからの攻撃を察知し、神速を持って振り返ったブロリーだが既に視界一杯に広がる拳があった。

「さっきの仕返しだ! 受け取りな!!」

 サンレッドは怒りを鉄拳に乗せブロリーの顔面へ思いっきり叩き付けた。
 教科書のような不意打ち。ベジータと違い、これは狙ってやったことだ。
 ブロリーはなまじパワーがあるがゆえに皮肉にも技術が伸びていない。
 2対1にもかかわらず注意の向け方がおかしいとサンレッドは気づいた。
 奇襲は成功した。常人ならざる拳と僅かとはいえ首にまで伝わった衝撃にブロリーは顔を歪ませる。
 だが、それだけだ。

「大人しく殺されていれば痛い目に遭わずにすんだものを!」

 ブロリーを止めるには足りなかった。
 すかさず溜めておいた光球をカウンターで投げつける。
 邪魔する要素も防がれる要素もなく、サンレッドの足は大地より離れる。
 その様子は飛ばされる、というよりは押し上げられるいう表現がふさわしかった。
 術なく宙を流れる赤き正義を蹂躙せんとブロリーは追う。

「はああああああああああああああああ!」

 半ば自棄になったのか、ベジータがエネルギー弾を連射し始めたのだ。
 その標的はいうまでもなくブロリー。
 ペース配分もなく、ただ己の力が続く限り撃ち続ける。
 ブロリーならば防ぐほどでもないが、これを無視するわけにはいかない。
 ベジータは1度ならず2度もサンレッドを救ったのだ。
 しかし、ブロリーは全身に気弾を浴びながらもゆっくりと近づいていく。
 射手を破壊するために。
456創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 14:46:33 ID:C37b2v5Y
 ――10メートル

 ベジータとの距離が着実に縮まってゆく。
 だが、弾幕は薄まるでもなくむしろ濃くなっていく。

 ――9メートル

 ブロリーもベジータも顔色は変わってはいない。
 前者が余裕で後者が恐怖という違いはあるのだけれども。

 ――8メートル

 ブロリーの体が僅かに血で滲む。
 幾重にもかけられた制限によるモノだ。実力の上下関係こそ変わらぬもののその差は小さくなっているのだ。
 一方的な殺戮ではなく、弱者にも一矢報いるチャンスを与えるという主催者の思惑。彼らは面白いのを見たい。
 強者が弱者を踏みつぶす展開と弱者が強者を屠る展開。
 この両方があるからこそ、バトルロワイアルは飽きることのない娯楽となる。ワンサイドゲームは望まない。
 ……無駄ではない、効いている。ベジータにはこの事実だけで十分だった。恐怖から希望へと遷移する。

 ――7メートル

 だが、それでもブロリーから余裕は消えない。
 一切の乱れがない。希望の中に焦りが混じり始める。

 ――6メートル
 
 ベジータは見た。ブロリーの遙か後方でサンレッドが業火球を生成しているのを。
 着地したサンレッドはすぐにブロリーを『殺す』べく動いていたのだ。
 もう生半可な攻撃では通らないことはわかった。
 ならば、今出せる最大火力を叩き込むまで!

 ――5メートル

 ようやく異常に気づいたのかブロリーの足が止まった。
 とはいえ、全てはもう事足りている。
 このままブロリーを縛り付けんとベジータの弾幕は厚みが増していく。
 逃げる余地を与えればもう二度とチャンスは訪れないかも知れない。
 ただ、連射すること、そして気弾1発1発を重くすることだけに神経を注ぐ。
 ついに創世の炎は放たれた。後方から迫るはかめはめ波など可愛く思えるエネルギーの塊。ブロリーの余裕が崩れた。
 それを見てとったベジータはこれから起こるであろう出来事を予想し、連射を続けつつ一気に後退!
 
 ――ドオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォ

 轟音とともに太陽が爆ぜた。
 ブロリーが視界から消え、周囲の緑も失われていく。
457創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 14:47:38 ID:C37b2v5Y





「なんなの!?」

 北方から重たい爆発音が響き、耳を震わせる。
 それと時を同じくして昼間にもかかわらず明るさが急速に失われていく。
 天を見上げれば暗雲が現在進行形で広がっている。
 不規則に雷鳴が轟き、それに呼応して上空が不気味に発光する。

『……どうやら最悪の事態を迎えつつあるようだ』

 不意に荷物の中から声が聞こえた。
 ほんの一瞬だけ訝しむも、すぐに納得する。
 ルガールの遺品には喋る剣があったのだから。
 つまり声の主は。

「ディムロスさん、いったいどういうことなの!?」
『風に乗ってブロリーの気配が漂っている。あやつめ、よもやこれほどとは……!」
「えっと、それってつまり?」
『……』

 これだからゆとりは……などと責めないでほしい。
 非日常とは無縁だった彼女に気配だけで察せよなど土台無理なのだ。

 ――さて、どこから説明したものか。

 ディムロスが悩み始めたところで視点はサンレッドへと移る――――

【F-5南部・森林 /1日目・日中】
[状態]:ゴムゆとり、全身に擦り傷、疲労により熱血沈静化
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×3、モンスターボール(おにぽん)@いかなるバグにも動じずポケモン赤を実況、
新型萌えもんパッチ@ポケットモンスターで擬人化してみた、ねるねるね3種セット@ねるねるね、
 ディムロス@テイルズオブデスティニー、不明支給品*0〜2(武器はない)
[思考・状況]
1.人は殺したくないの。
2.雪歩を探すの。
3.ゲームに乗らず、人を殺さずゲームを終わらせるために、首輪を外すの。
4.レッドさんの言うこともわかるの。悪い人とあったら説得できるの?
5.しゅーぞーさんが絶対に来てくれる事を信じるの。
6.でぃおさんに謝ってもらうの。もし襲ってきたら……
7.ルガールさんは良い人なの。ディムロスさんは剣なの。
8.水は怖かったの。
※ゴムゴムの実@ワンピースを食べました。能力者になったことに少し気がつきました。
※サンレッドをヒーロー役の俳優だと思っています
※ルガール、ディムロスと情報交換しました。
458創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 14:48:28 ID:C37b2v5Y




「ダメだったんだ……勝てるわけがなかったんだ……おしまいだ、何もかも……」

 弱音という次元を通り越した言葉がベジータの口から紡がれる。
 ……先ほど起こったことをありのまま話そう。
 サンレッドの業火球が直撃しブロリーは紅蓮の中へ包まれたと思ったら、なんとブロリーは全身からエネルギーを放出することで烈火を振り払ったではないか。
 それだけではない。首輪は消滅、挙げ句に筋肉が隆起し、先よりも明らかに精悍な肉体と化している。
 際限なく溢れ出るパワーなど現実逃避したくなるレベルだ。
 もはや化け物だとか悪魔だとかそんなチャチなものじゃあ、断じてねぇ。
 もっと恐ろしい絶望の鱗片を味わったぜ……

 浄化の炎はブロリーの身を焼いた。
 ところが、その存在が消滅するよりも先に戒めを焼き払ってしまったのだ。
 真実をいえばサンレッドの業火球は『制限下』のブロリーを死に至らしめるには十分だった。
 これは揺るぎない事実。主催者が制限という形で調整したのだから。
 だが、それは数多の参加者にかけた通常の制限だけでは成せなかった。
 ゆえにブロリーのみ特別措置として肉体に直接リミッターが取り付けられている。
 それほどまでに伝説の超サイヤ人は強大だった。
 現に何重の制限をかけられたにもかかわらず一重の枷しかない者たちに勝っている。

 ――幻想郷最速と称された射命丸をスピードで上回り

 ――ありあらゆるものを破壊する程度の能力を持つ悪魔の妹を超える破壊の力を行使し

 ――格闘を極め、不安定ながら強力なパワーを内包する運送会社の社長を暴力のみで圧倒する

 例えるなら両手両足、そして首に枷を取り付けられた獣。それでいてなお捕食者であり続ける。
 ブロリーこそサイヤ人そのものだ。束縛からひとたび解き放たれれば……その先にあるのは破壊と虐殺だ。
 ベジータのいうとおり殺し合いどころではなくなってしまう。

 そう、首のリミッターが損傷していたが故の悲劇。

 だが、サンレッドはそんなことを知るわけがないし、分かるわけもない。
 彼にとって確かな事実は2つ。
 渾身の一撃が『お手伝い』にすぎなかったということ。
 ブロリーが主催者の鎖から解放されたようにしか見えないのだから。
 そして、ブロリーが先ほど戦ったときより強くなったということ。
 たとえ地獄でも比肩しうる怪物はおるまい。
459創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 14:49:09 ID:C37b2v5Y
「なぜ死なねぇ……!」

 ありったけの呪詛を込めて。
 無意味と分かっていても問わずにはいられなかった。

「この俺が星の爆発ぐらいで死ぬと思っているのか!」
『いや、死んでくださいよ。いくらなんでもチート過ぎます……』

 ぼやくルカに全力で同意したい。
 隣で慄然としているベジータにも心の底から同情する。
 そりゃトラウマになるわ、あんな規格外。

「だから何だ……それがどうしたっていうんだよ!」

 だが、それでもサンレッドは踏みとどまった。
 確かにこの心は絶望でとうに折れかけてる。
 ベジータのように矜恃を放棄してしまえばどんなにも楽か。
 しかし、それは破滅への直行便。選ぶわけにはいかない、選んではいけない。
 俺はサンレッド。天体戦士サンレッド。曲がりなりにもヒーローだ。
 目の前にある明確な『悪』の前に屈するわけには、いかない。

「てめぇは、俺が倒す!!」

 両の手を握りしめ宣言する。
 これほどまでに死を身近に感じたことはなかったなぁと今更に思う。
 悪いな、かよ子。けど俺は正義なんだ。
 修造にも約束しちまったしな。護るために戦うと。
 さて、当のブロリーは俺の決意を聞いてなかったのか高らかに笑っている。いや、聞いたからこそなのか。
 それは誰の目にも明らかな慢心――とはいえ隙としてはあまりにも弱い。ブロリーの前では俺などちっぽけだ。
 もっと、もっと決定的な突破口が欲しい。何かないのか。本当に何もないのか。

「ククククク……ハハハハハハハ」

 大空は徐々に晴れていき碧さを取り戻してゆく。

 第2ラウンド――――開始
460創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 14:50:08 ID:C37b2v5Y
【F-5北部・平原(焼け野原) /1日目・日中】
【サンレッド@天体戦士サンレッド】
[状態]:脇腹に怪我(応急処置済み)、上半身に打撲、やや失血、
疲労(中)、ダメージ(小)、死を覚悟
[装備]:DIOの上着、たこルカ@VOCALOID
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考:主催者の打倒
1:ブロリーを殺す。
2:DIOを見つけ出して殺す。
4:ゲームに乗っている参加者の排除
5:たこルカを信頼。
6:誤解されてるが・・・どうすっかな
※制限について気がつきました。

【ブロリー@ドラゴンボールZ】
【状態】伝説の超サイヤ人形態、慢心、疲労(小)、ダメージ(中)、全身に軽い怪我、
右足首骨折、腹に深刻なダメージ、首にダメージ(中)、所々に火傷
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品1〜3
【思考・状況】
[基本思考]全てを破壊しつくすだけだぁ!
1:とりあえず目の前の赤マスク(サンレッド)を破壊する。
2:ベジータは苦痛を味合わせてから殺す。
3:終わったら美希を破壊する。
4:腹の攻撃を極力避ける。
※腹への攻撃に対して対処出来る様になりました。
※首のリミッターが消滅しました。
※伝説の超サイヤ人形態になったため会場全体が暗雲に覆われましたが、少しすれば晴れます。




 なぜだ、なぜ戦うんだ……
 カカロットといいどうしてブロリーに立ち向うんだ……
 奴は伝説の超サイヤ人……
 殺されるぞ……
 サンレッドには分からないのか……
 勝てるわけないのに、なぜ……

【F-5北部・平原(焼け野原) /1日目・日中】
【ベジータ@ドラゴンボールZ】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(小)、戦意喪失
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、パッチンロケット@つくってワクワク
[思考・状況]
基本思考:勝てるわけない……なのにどうして……
※爆破ヅラは壊れました。
461創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 15:49:20 ID:6FIZgxna
投下&代理投下乙!
リミッター解除キターーー!
……て、何だこの絶望感……これはベジータじゃなくてもヘタレるわw
462創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 16:59:27 ID:LSnn0UG5
これは悟空とか呼んでこないと勝てる気がしないw
463創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 19:03:25 ID:nJjl/BWS
逆に俺は制限が解けたおかげで確実に倒す手段を思いついたぜ!

とか、煽ってみる、いや、本当は結構前から考えていたんだ、うん。
464創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 19:56:34 ID:HLDWKWwe
投下乙。
久しぶりにかなりアツいSSがきたような。
サンレッドがかっこいい。
465創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 20:41:49 ID:zRLQSaoG
もう自爆を狙うか、主催者自ら手を下すしかないよな…
サンレッド頑張れ、そしてベジータw
466 ◆F.EmGSxYug :2009/05/05(火) 21:32:43 ID:C37b2v5Y
投下します。
467アカギーポッターと誰得の部屋U ◆F.EmGSxYug :2009/05/05(火) 21:33:33 ID:C37b2v5Y
ここは誰得の部屋。明らかに隠されていた存在と言える、地図にも無い謎の場所。
小一時間ほど睡眠を摂った俺は、12時前には目を覚まし座り込んでいた。
言うまでもなく、放送を聞き逃さないためだ。
幸いなことにこの部屋には目覚まし時計があったから、寝過ごすことは無い。
だが。

「ここには、放送が届いていない……か」

現在、12時3分。放送が流れる様子は無い。
聞き逃したということはありえない。11時50分から耳をすましていたのだから。
時計のズレも、支給品の時計と置いてあった時計の時刻が一致している以上はない。
ありえるのは、この部屋には放送が届かないということだ。
もちろん、何らかの事故により放送が行われなかったという可能性もある。
だが、それはこの殺し合い自体が既に破綻しかかっているということになる。
そのような状態ならばどの道、外に出て情報収集する必要が出てくるだろう。
つまりこの部屋に閉じこもるというのは悪手中の悪手。

「ここへ通じる洞窟でも放送が聞こえるどうかは未確定……
 つまり、18時までには確実に外にいなくてはならない」

思い返す限り、洞窟は意外と長い。
からくりが既に分かった以上、出るのは入る時ほど時間は掛からないだろうが、
それでも俺が歩いた場合は最低数十分の時間を必要とするくらいの距離はある。
少なくとも17時になったら、部屋の外を目指す必要があるだろう。
……それまでに、この部屋に関する調査や考察をしておく必要がありそうだ。
立ち上がり、部屋のところどころに置いてある棚へと向けて歩を進める。

「俺がここに来たのは、間違いなくイレギュラーな事象。
 それだけは確実だ……」

放送が届かないということは、主催からするとここは殺し合いの場ではないという事。
奴らは禁止エリアに入って死ぬのは面白くないと言っていた。
ならば、禁止エリアを伝えられないのは恐らく奴らにとって望ましくない出来事。
あの会場で殺し合いをしていれば、どこにいても放送が届くようにしているはず。
……無論、ちょっとしたミスという可能性もありえないでもないが。
考えを巡らせながら棚を適当に漁っていると、ふと見知ったものが出てきた。
カードゲーム用のカード。明らかに魔法の筒などと装丁を同じくする物。
しかし、それはあまり有用な道具であると言えなかった。
468アカギーポッターと誰得の部屋U ◆F.EmGSxYug :2009/05/05(火) 21:34:15 ID:C37b2v5Y

「……スピード・ウォリアーや魔法の筒とは違う。
 これはあくまでただのカードらしいな……」

見た目は確かに、俺が使ったカードと同じ種類のカード。
だがこちらはカード名を宣言しても、何も出てこないし何も起こらない。
なるほど、まさに誰得。誰も求めていないものだ。一応、数枚ほど貰っておく。
支給品としてのカードの存在を知っている者には、ブラフとして使えるかもしれない。
次に出てきたのは乾パン。保存は利くが支給品にコッペパンがある以上、意味はない。
折りたたみ自転車。便利ではあるが、映画館に当然のごとく自転車が置いてあり、
支給品にバイクがあるような状況では見劣りする。

「なるほど、な……」

自転車を元の場所に戻し、コッペパンの代わりに乾パンを食べながら、呟く。
……恐らく、ここは言わば重要度の低い倉庫に近いものではないかと言える。
言うなれば鶏肋。特に有用性はないが捨てるには惜しい物が収められているのだろう。
案外、支給品の一部は「外れ」としてここから持ち出されたのかもしれない。
俺がここにいるのに主催者が動きを見せないのも、
この部屋が重要な場所ではないということを裏付けている。

「となると、やはりここに留まるのは無意味……」

乾パンを完食して頭を巡らしていると、満腹になったからか再び眠気が襲い始めた。
30分程度の仮眠では、あまり回復しないのも当然か。
見つけた寝袋を引っ張り出し、包まる。
469アカギーポッターと誰得の部屋U ◆F.EmGSxYug :2009/05/05(火) 21:34:59 ID:C37b2v5Y

……この部屋に興味がないと言えば、嘘になる。
いくら重要度が低いとはいえ、ここが主催にとって想像の範疇外であることは確か。
何かと組み合わせれば、その綻びを大きくするのは可能だろう。
ルールを壊せるという点では、この部屋は非常に興味深い。
だが、今の俺は大した道具を使えない上に、俺自身もただの人間。
何より、放送と言う情報源を失うのはあまりにも痛すぎる。
目覚ましを16時にセットし、再び俺は眠りについた。



【?-? 洞窟最奥(?)誰得の部屋/一日目・日中】
【赤木しげる@闘牌伝説アカギ 闇に舞い下りた天才】
[状態]:右肩にダメージ(小)、ユベルに興味、疲労中(睡眠をとり回復中)
[装備]:レイガン(12/16)@スマブラX、寝袋@現実
[道具]:支給品一式(水一食分消費)、DMカードセット(スピード・ウォリアー、魔法の筒)@遊戯王シリーズ
   写真(残り数枚)@心霊写真にドナルドらしきものが
   ヤンデレ妹の包丁@ヤンデレの妹に愛されて夜も眠れないCDシリーズ
   普通のDMカード数枚@現実
[思考・状況]
1:ともかく今は休憩する。
2:愛……そういう賭けも悪くない。
3:キョン子(名前は知らない)ハク(名前は知らない)アレックス(名前は知らない)も
  いずれ…
4:殺し合いに乗り、狂気の沙汰を楽しむ
5:主催者と命を賭けた勝負をする
6:誰得の部屋……ククク……
[備考]
※スピード・ウォリアーが再使用出来るのは4時間後。
※魔法の筒が使用できるのは8時間後。
※アカギが進んだ道には途中から心霊写真が置かれています。
※誰得の部屋には誰が得するのか分からないような道具が多く存在するかもしれません。
※ルールを壊せるかもしれないという点で、誰得の部屋に興味を示しました。
※第二回放送を聞き逃しました。

【普通のDMカード数枚@現実】
見た目は支給品のDMカードと同じだが、こちらは何の効果も示さないただのカード。
何のDMカードか、何枚あるかは後の書き手さんに任せます。
470アカギーポッターと誰得の部屋U ◆F.EmGSxYug :2009/05/05(火) 21:35:50 ID:C37b2v5Y
投下終了。
471創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 22:00:01 ID:TZzo6phB
「ロワで引きこもったニート アカギ」
というのを思いついた。
472創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 22:03:54 ID:HLDWKWwe
投下乙。
予約して10分ちょいで投下ってどういう事なの…
夕方頃まで動かないなら、アカギ、空気になりそうだ…
473創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 23:28:43 ID:a9CdqhLc
明日チャットするらしい

なぜか今日も少し集まってるがw
474創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 00:31:03 ID:n8AI4FSv
別のロワでも開始早々から朝っぱらまでひきこもってたってのに、
ここでもひきこもるおつもりかwww
475創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 05:41:10 ID:JoqOCWzV
雄山が参加してた事を完全に忘れていた
476創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 08:45:33 ID:3jD3RHA2
◆CqqH18E08c氏へ
容量オーバーでWikiへの収録ができないので、分割する場所の指定をお願いします。
477創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 10:42:07 ID:8powOpTy
雄山はオタクの妄想
478 ◆CqqH18E08c :2009/05/06(水) 14:23:45 ID:NpARf3Zk
まだかの容量オーバー・・・だと・・・?

えぇと・・・>>390からが後半でお願いします
容量オーバーとかまったく想定してなかった/(^o^)\
479創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 15:40:05 ID:5ceTKhVT
投下乙!
対主催はアカギまで相手にしなきゃならないんだよないずれ……勝てるのか?
480創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 16:20:10 ID:JoqOCWzV
いや、アカギは大して強く無いんじゃないか?
それよりも貴重な無差別のブロリーに呂布、強いのにステルスしてるDIO、CCO、咲夜さん

対主催涙目だな
481創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 16:48:28 ID:LF5HwhAy
ふと対主催全滅後にマーダー同士が「とりあえず先に主催倒してそれから決着つけようか♪」なんて展開もあるんじゃないかと思えてきた
482 ◆WWhm8QVzK6 :2009/05/06(水) 18:36:51 ID:ddoXQq3O
投下します。
483フォービドゥンエリア ◆WWhm8QVzK6 :2009/05/06(水) 18:37:39 ID:ddoXQq3O




「剣崎……」

呼ばれてしまった。
またしても、命は知らないところで消えてしまった。

「これだけの死者だ。仕方あるまいよ」

「……仕方なかったで済まされるものじゃないぜ」

越前の顔には明らかに苦悩の念が刻まれている。
それを窘めるようにDIOは口を開いた。

「だが、君にどうにかできたと思うか?共にいれば殺されてたのは
 君の方かもしれないんだぞ。それより考えるのは自身のことだ。
 自分のことが間に合わないのに他人の事を気に病むのはいささか無謀でしかないぞ」

「ああ、わかってるさぁ……」

それでも、越前は一度知り合った人間が死ぬというのは辛いものだと感じた。
人が死ぬという事実。
戦場にいた彼でも、それだけは慣れることがなかった。

「それより、先の放送で何か思うところはないか?」

DIOは相変わらず悠然とソファに腰掛けている。
暗がりにいるせいでどんな表情をしているのか判りづらい。

「あ、ああ……やっぱり、死人が多すぎるってことだな」

「まあ、だろうな」

DIOはつまらなさ気に返答する。
予想していた返答だったのだろう。
その雰囲気を感じ取ったのか、越前はさらに付け加えた。

「いや、まだあるぜぇ」

「ほう?言ってみてくれないか」

唐突に切り返された言葉に少し驚きながら、DIOは耳を傾ける。

「禁止エリアの配置の仕方だぜぇ。ランダムっぽく見えるが重要そうな施設は悉く外してる。
 おまけに意図的にそれぞれの施設に集めようとしてる感じだ。だから結論として言えば……」
484創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 18:38:04 ID:rNFsI0J3
早いなw
485フォービドゥンエリア ◆WWhm8QVzK6 :2009/05/06(水) 18:38:18 ID:ddoXQq3O

「施設に関しては禁止エリアにされることは殆どないだろう、と言うことだね?」

「そんなところだなぁ。意図的に殺し合いの勢いを落とさないようにしてるように感じるぜ」

ふむ、とDIOは頭をカリカリと掻いた。
血が出るほどではない。

「しかし、死者が多いのはそれだけでは説明がつくまい。
 だとすれば……あくまでも推察だが、ヤツらはキリングマシーンを用意しているのではないかな」

「キリングマシーン?」
 
「うむ、もしくはそれに準ずるものだ。このゲームを円滑に進めるためにヤツらが殺戮兵器を
 この敷地に寄こしている可能性はある。尤も、他の参加者にそれがばれないようにはしているだろうがな」

「……参加者に偽装してるってことかぁ?」

「もしくは無理矢理動かされている、とか。脅しをかけられてな。
 だがもしそうだったとしてもどうにかなるわけではない。くれぐれも我々がそいつに出会わないように祈るしかない」

「……」

(まあ、ここから動かなくてもいいというのは助かるがな。当分は奥に籠っておくとしよう)

「でもさ……倒せないってことはないんじゃないかな」

「うん?」

「そいつもあくまでもこの殺し合いの参加者なんだろ?だったら絶対に方法はある筈だ」

「そう思うのは勝手だが……何度も言うが、現状の我々では何ともし難いぞ」

「……俺、ちょっと外を見てくるぜぇ……」

DIOは静かに頷き、それを肯定として越前は階段を降りて行った。

「力を持たぬ者ほど現状以上の物を求めようとする……全く以て愚かしいな」

(だが、それでも奴は有用だ)

力はないが越前は存在するだけでDIOにとっての利益となるのだ。
まず、この状況に置いて「仲間がいる」というアドバンテージは非常に活用できる。
数の上では大体の相手に有利に運べるし、交渉決裂となっても囮にして逃げることができる。
何より、仲間を作っているということでマーダーと怪しまれにくいのが最もいい所だ。

「せいぜい利用させてもらうよ、越前……」

DIOの思惑は恙無く運ぼうとしている。
勿論、障害もあることは理解している。だがその程度で屈する男ではない。
今までよりも猶したたかに、DIOはこれからの策を弄していた。
486フォービドゥンエリア ◆WWhm8QVzK6 :2009/05/06(水) 18:39:43 ID:ddoXQq3O

【C-4 病院/1日目・日中】
【DIO@MUGEN、ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]軽傷(自然治癒力によって少しマシになった)、去勢
[装備]ライトセイバー@外人が想像したとてつもない日本が出てくるゲーム(RedAlart3)、阿倍さんのツナギ@くそみそテクニック 、メス50本、痛PSP@現実
[道具]支給品一式(水抜き)、マスクザ斉藤のマスク@ニコニコRPG、便座カバー@現実
[思考・状況] 基本思考:殺し合いの参加者はもちろん、あの主催者どもも全て殺す。
1:越前を利用し、更に他の参加者の信用を得る。
2:サンレッドを殺す、そのためなら手段は問わない。
3:日が暮れる(第三放送)まで病院で待機する。
[備考]
※自身の能力が制限されている可能性を理解しました。
※剣崎達にはザ・ワールドの存在を教えていません。ザ・ワールドの時止め能力が、時間を空けないと使用できないことを理解しました。
※禁止エリアが重要そうな施設にかかることは殆どないだろうと判断しました。
※殺し合いを円滑に進めるために強力な参加者がいると考えました。


【コンバット越前(越前康介)@デスクリムゾン】
[状態]:精神的疲労(弱)
[装備]:市販傷薬(医療品一式)、アポロのクロスボウと矢筒(16/20)
[道具]:支給品一式、川田のバンダナ@バトルロワイアル、医療品一式(包帯、消毒液など)、メス10本
[思考・状況]
基本思考:このゲームを破滅へとミチ☆ビクッ!
1:翠星石の傷を出来る限り治してやる。人形だけど、大体は人と同じだろうし。
2:賀斉や剣崎…なんて言うだろうなぁ…
3:剣崎ブレイドと協力する。
4:民間人の保護。
5:夕方まで病院で待機
6:クリムゾンを回収する。
7:主催者及び統制者に関係するものに注意。
8:この茶番にデスゾルトスは関わっているのかぁ?
[補足]
※あくまで原作準拠です。
487 ◆WWhm8QVzK6 :2009/05/06(水) 18:42:05 ID:ddoXQq3O
以上で終了です。
短いから早かったです。
タイトル元ネタは東方文花帖のフランドール・スカーレットのスペルカード
『フォービドゥンフルーツ』です。
488創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 19:19:30 ID:qEEkJEr5
投下乙です。
こっちの引きこもり組も安定してるな。
行動を起こす予定の時間までほぼ同じとは……。

そして、投下早っ!
その速度が羨ましいです。
489創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 19:28:37 ID:n8AI4FSv
>>480
戦闘力だけで判断するのはどうかとね。
490創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 19:31:57 ID:Jh6kRXZI
>>480
知恵を使って倒した例今まで何回あったと思う?
491 ◆WWhm8QVzK6 :2009/05/06(水) 19:35:22 ID:ddoXQq3O
越前の状態表修正です。

【コンバット越前(越前康介)@デスクリムゾン】
[状態]:精神的疲労(弱)
[装備]:市販傷薬(医療品一式)、アポロのクロスボウと矢筒(16/20)
[道具]:支給品一式、川田のバンダナ@バトルロワイアル、医療品一式(包帯、消毒液など)、メス10本
[思考・状況]
基本思考:このゲームを破滅へとミチ☆ビクッ!
1:翠星石の傷を出来る限り治してやる。人形だけど、大体は人と同じだろうし。
2 :賀斉…なんて言うだろうなぁ…
3:剣崎が死んだことへの悲しみ
4:民間人の保護。
5:夕方まで病院で待機
6:クリムゾンを回収する。
7:主催者及び統制者に関係するものに注意。
8:この茶番にデスゾルトスは関わっているのかぁ?
[補足]
※あくまで原作準拠です。
492480:2009/05/06(水) 20:10:53 ID:JoqOCWzV
>>489-490
いざとなれば力押しで倒せそうだから深く考えず書き込んだんだが……
気に障ったんならスマンかったスルーしてくれ
493創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 20:17:14 ID:qEEkJEr5
>>490
ニコに限った話ならそんなになくね?

某ロワの支援伝説は凄まじかったけど。
494創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 20:56:15 ID:8powOpTy
全部のマーダーが死んでる状況だったらアカギはそんなに脅威じゃないだろ
495創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 21:38:32 ID:8YRFbdDg
>>483
乙ですー
496創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 00:23:16 ID:j2LCdT6l
正直アカギはそこまで怖くないと思ってるんだがなぁ。
フランちゃんは耳を貸しちゃったからああなったけど、
聞く耳持たない(それこそブロリーみたいなの)奴がいればすぐに屠られそうだ
所詮一般人だし
497創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 02:18:09 ID:9YVSgBpb
超人級には為す術無いが、準超人までなら知略で何とかなるかもしれん程度か
どちらかと言うと精神に揺さぶりをかける方に期待してる
498創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 23:30:07 ID:I+SUEWn5
ニコロワVSニコロワβというのを考えた
KASVS美鈴、レナVSメタ様、つかさVSミク、友人VSときちく、社長VSバクラ、神(笑)VSブロリー、TASVSCCO、えーりんVS越前、長門VS渚、咲夜VS霊夢、阿部さんVS呂布、春香VS雪歩、彦麻呂、アリスVSグラハム、文、キョンVSキョン子、魔王アナゴVSバルバトス
因みに少しながら共通点が全員あったりする。
因みに雄山はただ単に思いつかなかった。
賀斉とかはとりあえず紫とでも闘えば良いよ!
499創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 23:31:34 ID:I+SUEWn5
すまん、KASVSブロントさんだ。美鈴は…そうだな、カービィとかでいっか
500創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 00:02:05 ID:oS4j+2bC
キョンVSキョン子てwまさに自分との戦いw
雄山はグルメつながりでカービィーとか
なにげに武将二人がひどい目に遭いそうだww
501創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 00:19:16 ID:qZ0j5IgH
レナとメタ様の接点がわからん…カービィとメタ様じゃないの?
塔組VSドナルド&タケモト組とか面白そうだな
502創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 00:49:51 ID:o6XJ4snD
呂布オワタww
503創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 01:07:36 ID:IEZVM9GF
ちょっち変える+追加すると、
魅音VS美鈴、カービィVSメタ様、空気男VS厨二、
VS囲炉裏、VS主人公(笑)が思いつかないぜ…
504創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 02:51:57 ID:HvlTALm+
永井兄弟vs囲炉裏 実況繋がりで
古泉vs藤崎 TASvsカズヤ YOKODUNAvsビリー
505創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 05:21:11 ID:ZxBrrLQj
阿部さんの相手は兄貴じゃあないの?
呂布との共通点は…強マーダーに吹っ飛ばされた事くらいかな
506創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 12:43:01 ID:DpoF3t9c
どっちかっつーとマルクvsメタナイトが見たいな
507創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 14:36:41 ID:KWMUlEi0
天気繋がりでエアーマンVSサンレッド
508創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 14:46:34 ID:nC9ugFhu
wiki編集してて気付いたんだけど、sm112からの賀斉の思考欄に誤字が入ってたんだ。

書き手さん、直してもいいでしょうか?
509創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 15:11:37 ID:qZ0j5IgH
>>504
永井兄弟は実況者じゃねえええええええええええええ!!
510創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 15:25:52 ID:HvlTALm+
>>509
うん分かってるよ
ゲームやりながら雑談してる人繋がりって事で
511創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 15:55:38 ID:qZ0j5IgH
あー、ニコニコ的にはゲームやりながら雑談してる人の認識で間違ってないのか
512創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 16:28:22 ID:mQ9khkCa
実際に消える直前の永井はゲーム実況多かったしな
513創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 19:25:17 ID:uDyP4lq1
KASとブロントさんの会話は興味あるな
514創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 19:43:11 ID:C9Ij2kmY
なんかブロントさんの身体をよじ登ってYahoo!!してるKASが思い浮かんだ
ローゼンの雛苺のジュン登りみたいな感じが
515創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 19:45:11 ID:grtJtqfb
神(笑)じゃブロリーには勝てねぇww
516創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 20:37:04 ID:01vZGw1t
修造はテニミュ組か日本を代表するアスリートってことでイチローかな
517508:2009/05/08(金) 23:58:30 ID:nC9ugFhu
レスないな……。

直しちゃってもいいよね?




翠星石が翡翠石になってんだけど。
518 ◆KX.Hw4puWg :2009/05/09(土) 00:13:58 ID:6pieszP6
>>517
返答遅れましたが、直してもらったら幸いです。
519508:2009/05/09(土) 00:20:57 ID:TvfgVyi0
おお、返答感謝します。

ついでにそこから最新話まで、全部直しちゃいます。
強引ですが、他の書き手さん方もご容赦願います。
520創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 00:49:06 ID:nWRq4TKo
今更ながら、銀様VS文、お覇王VSアレク、HA☆GA VS 新堂さん、
外山氏VS藤崎、とかちVSリン・レン、とか
521創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 01:17:42 ID:kgp+CuEW
書き手は参加者を意図的に他ロワとは違う行動を取らせようとする傾向があるのかな?
同一キャラでもマーダーが別ロワで対主催だったり、長生きだったのが即死亡だったりするのがよく見かけるが
522創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 01:19:50 ID:wpGZpUkm
しかし顎はやっていることは大体一緒だった!!
523創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 01:20:43 ID:ykTOKNcJ
他ロワとかぶっていると、言い方悪いけど所謂二番煎じになっちゃうじゃない
かぶってても面白い場合とかも多々あるけどさ
524創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 20:13:06 ID:lSAGWvoZ
保守
525創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 20:25:00 ID:AoZGq8XT
確かに他ロワで役割が被ってるからという理由で真逆にさせてる
参加者を見たことあるけど、適当な設定でマーダーになりそうもない
キャラをマーダー化させるのは見ていて不快だった

テラカオスはそれに含まないが
526創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 12:33:02 ID:u+R6ggLd
DIO様とかアカギあたりはかなり出てるしな
食傷を避けるために方針変えないとやっていけないのかもしらん

そのうち危険対主催なDIOくらいはどこかで出るかもね
527創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 12:52:20 ID:w0Y1f8Qx
DIOの場合は凶悪非道のマーダーになるのが先決だろう
528創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 13:45:14 ID:Gh3l24X0
ジョナサンとかが一緒に出場してればひょっとしたらベジータ並みのツンデレキャラになってくれるかもしれんがな。
ジョナサンってDIOが唯一JOJOと呼んでるキャラなんだよな。他のジョースターはDIO様的にJOJOとは認めないらしい。
529創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 14:15:30 ID:N1s2rDZD
>>528
つジョジョロワ
530創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 14:52:50 ID:sAXUhL95
MUGEN出展だと影DIOなら対主催になりそうだ
531創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 14:57:46 ID:izHZWobe
>>526
ジョジョ2ndに一般人なDIO様が出てる
532創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 15:06:50 ID:W8xE4Aho
一般人でツンデレで時代を超えた親子対面を果たしてるよな

でも一番の役得はプッチ神父。まさにヘブン状態
533創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 15:40:09 ID:KpTjPF2u
女は大きな危害は許すが、小さい侮辱は決して忘れない。
534創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 15:52:52 ID:VTwVnxvN
色々と代理投下します。
535図書館ツアーへようこそ ◇T0ldTcn6/s:2009/05/10(日) 15:53:43 ID:VTwVnxvN
予定に変更はなく一路図書館へ。
ただし、その道のりは見渡す限りの平原である。
急がばなんとやらのことわざどおりに回り道してもさほど変わらない。
草が目立つか否かの違いである。
見通しがよいということは敵襲の察知はやりやすいが逆に逃走は困難になる。
さらに相手が銃器を所持していた場合、射線が簡単に通ってしまう。
まあ、それに関してはお互い様だが……敵さんの腕次第では無傷では済まない。
下手をすれば相討ちである。
さらにスナイパーライフルならばアウトレンジの狙撃も可能。
実行に移すなら図書館の屋根は絶好のポイントか。
既にF-4に入ったため距離は1kmを優に切っている。
プロなら撃てるな……だが、考え過ぎか。
バクラと言葉がまだ危険人物と決まったわけではなく、またてゐの言動から察するに2人が狙撃銃を持っている可能性は極めて低い。
されど用心にやりすぎはないのだ。
葦原の中に身を潜めながら動くのはどうか。

(いや、無理だな)

冷静に否定する。
まずてゐの服は明るい色を基調としており緑にはとけ込まない。
次に自分だが、いくら迷彩色の軍服を着ているからといって大柄であるため芝から体がはみ出る。
さらにこの時間帯だ。
うっかり者でない限りと注釈は付くが、まず見落とさないだろう。
夜ならまた違ったのかもしれないが……

結論から言ってしまえば今いる場所は危険なのだ。
ゆえに早めに通り過ぎてしまいたいところだったが……

――見つかったな

現実は甘くないわけだ。
いつもの癖で銃口を向けかけるが何とか抑える。
そもそも相手は丸腰だ。
いきなり武器を向けてしまえば余計な警戒心を与えてしまう。
危険人物か否かも分からない時点で情報交換の機会すら捨て去るのはやや下策。

「こちらに戦意はない。お前はどうだ?」

懐に入れた手には冷たい感触。
一挙一動を見逃さぬよう細心の注意を払い、相手がその気ならそれを即座に引き抜く。

「私はたわけたゲームには乗っていない!」

遮蔽物がないとはいえその声はいい感じに響いた。
思わず耳を塞ぎたくなったのは内緒だ。
536創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 15:54:23 ID:VTwVnxvN




キンコーン。
目指す食料品のフロア、到着の合図。
エレベーターの扉が開き、雄山は固まった。

ひゅうー。

虚しい幻聴が聞こえた。
棚という棚は底が剥き出しになっている。
水槽を見やれば寂しく気泡だけが立ち上っている。
当然ながらレジにも誰一人として立っていない。
伽藍としているせいかやたらとフロアが広く見える。

単刀直入に言おう。
雄山の求める食料なんて一切なかった。
実のところスナック菓子やインスタント麺の類はぽつぽつとあったのだが、彼がそんなものを食料と認めるわけがない。
むしろ、怒りを増幅させただけだ。

「ハハハハハハハ……アハハハハハハハハ」

憤りが一周してしまったのか、なんか笑いがこみ上げてきた。
支給された食料の不味さといい、もう主催者はありえん(苦笑)レベルだ。
フライドチキンやハンバーグのようなジャンクフードよりも劣る。

「もはや美味いも不味いもない! 主催者どもは事の本質を忘れておる!!」

ずかずかと大地を暴力的に踏みながら、雄山はモールを後にした。
後にしつつ地図とペンを取り出し二重線を引く。
こうして雄山の地図から塚モールが消失したのであった、まる。
537創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 15:55:05 ID:VTwVnxvN

未だに頭が冷めぬまま東へと驀進した。
歩いても歩いても緑一色だったがゆえか少し落ち着きを取り戻したところ、待ち望んでいたものが見えた。
軍人と幼女という組み合わせは少々以上だったが、まあ誰にも会わないよりはマシ。
彼は孤独に毒されていたのだから。

雄山は今まで真の意味で単独だった。
これの意味するところは果たして何か。
そう、雄山は死体こそ見たものの誰とも会ってはいない。
誰かと行動をともにしたこともない。
誰かと志を共有したこともない。
ゲームに乗っているに襲われたこともない。
危険人物も見たことがない。

「私はたわけたゲームには乗っていない!」

このときの雄山には一切の警戒心がなかった。
傭兵であるスネークが呆れ返るほどの不用心さで。
それが結果的にうち解ける要因となったのは言うまでもない。

放送は直後だった。
反応は三者三様。
雄山は夜神月の名前にもしやと目を丸くし、
スネークは減るどころか増えた死亡者数に黙って腕を組み、
てゐは同郷の人妖が呼ばれなかったことに静かに舌打ちする。
共通してやや淡泊。
姉を失ったボーカロイドや同僚を失ったアイドルに比べれば安い受け取り方だ。
そして、情報交換が始まった。
まずは3人がそれぞれ名乗る。
最初に情報を提供したのは雄山だ。
向かった駅のトイレが爆破されていたこと、そして「ライト」とダイイングメッセージを残した男の死体を発見したことを細やかに告げていく。
スネークにとって心が痛むものであった。
発言を受け、スネークは駅での惨劇、自分のミスで死んでしまったドアラとやる夫こと、そして十六夜咲夜という危険人物を伝える。
雄山はその全てを黙って受け止めた。
気性こそ荒いもののKYというわけではない、後悔するスネークを目にしてここはそっとしておくべきと判断したのだ。
ひととおり、独白が終わったところでスネークは「ライト」の正しい意味を伝える。
夜神月との間で起こった一部始終を全て打ち明けた。
僅かな会話で雄山が間違いなく殺人を許容しないことを見て取った。
とはいえ、てゐの事情もあり未来永劫隠し通すのは難しい。
ならばいっそと踏み切ったわけだが、ほぼ予想したとおり雄山はスネークの胸倉を掴み岩をも砕く勢いで怒鳴り散らした。
次々と叩き付けられる罵倒を受け流し、スネークはただ冷静に現実を突きつける。
538創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 15:55:53 ID:VTwVnxvN

――説得できる者もいるだろう。しかし、確かな悪意をもって殺し合いに臨む者もいる。

雄山は押し黙るしかなかった。なるほど、そんな奴は捨ておけば悲劇を振りまくだろう。
だが、理解はできても感情が認めない。
雄山は眉を寄せてただスネークをじっと睨んでいた。

ここにきてそういえばと雄山は戦闘機のことを今更に切り出したのだ。
何でもゲーム開始直後のことだったらしい。
マニュアルも支給されていたことから、作為を疑う余地はない。
スネークはすぐさま傭兵であることを明かし、譲って貰おうと試みた。
経験者とは言い難いが自分ならある程度マトモに操作できると考えたためだ。
越前の施しのおかげで身分こそあっさり信じてくれた。
だが、そのマニュアルを頑なに手放そうとしなかった。
というか読ませてすらくれそうにない剣幕。
先ほどの悪感情が尾を引いているのは確定的に明らか。
引き下がるより他なかった。

次はスネークの番だった。
ただし、駅での顛末は既に話したため必然的に後の経緯が焦点となる。
まずてゐに出会ったことを話し、この件については本人に口を開いて貰うのが一番だと振る。
受けたてゐは涙ながらに言葉とバクラ、月という参加者にプレミアム会員専用首輪を無理矢理取り付けられ仕方なしにスネークを襲撃したことから語り始める。
かの特殊首輪の性能を余すところなく伝え、3人は自分を人殺しに仕立て上げたと咽びながら地面を叩く。
端々に憎悪と無念が乗っており、特にバクラに対する負の感情は雄山が気圧されるほど。
最後に、月を殺し何とか第2放送を乗り切ったこと、誰かを殺さねば自分は第3放送で死ぬ運命にあると強調した。
相も変わらず雄山の視線は痛い。まあ、怒りの矛先はほとんどバクラと言葉に向いているためてゐが罵られることはなかったが。
ここまで進めたところで、その後はとスネークが遮る形で引き継いだ。
病院で同じ傭兵であるコンバット越前と吸血鬼のDIOが待機しており、彼らはゲームに乗っておらず安全であると告げる。
空想の生物の存在に雄山が持ち前の大声で「あり得るはずがない!」などと叫ぶも、てゐのうさみみを交えて敷衍し「あり得ないことがあり得る」と無理矢理納得させた。
おかげで話が逸れたが、2人に医療品を分けて貰い図書館に向かおうとして現在に至る……と、何とかこぎ着けた。
どういうわけかもの凄く疲れた、スネークの偽りなき所感である。
越前には感謝しても足りないな、もしあの服装のままだったらもっと事態が拗れたに違いない。
ふぅ、とため息が漏れた。
539創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 15:56:37 ID:VTwVnxvN

後はほとんど予定調和か。
スネークが同行しないかと誘い、雄山は含むところこそあれ承諾するという形になった。
スネークとしてはマニュアルはそれなりに魅力があり。
雄山自身も単独行動の弊害は承知している。
加えて両者ともにゲームの打破が目的。
考え方に相違あれど、あえて別行動をとる理由はなかった。

こうしてある邂逅は終わりを迎え、2つの道が1つに交わることとなる。
スムーズとはいかなかったが、誤解もなくなんとも平和なものだった。
あとは、てゐが心の内に留めた『本音』を公開することで締めよう。




――使えない

それがてゐの雄山に対する評価だった。
彼は隙だらけの立ち振る舞いに終始していた。
もう戦えないことは一目瞭然。
はっきり言ってさくっと殺してやりたいところだが……スネークが許さないだろう。
となるとスネークに隠れて殺るしかないわけだが、

(この首輪がねぇ……)

忌々しげに視線を落とす。
一見すれば雄山の殺害は自らの延命と足手まといの排除を同時に行える、一石二鳥の好手。
しかしながら殺した瞬間に首輪の色が白から黒へと変わってしまう。
件の首輪がいかなるものか、それぞれの色が持つ意味とは何か――スネークは知っている。というか私が教えた。
都合良く見逃してくれるなんてありはしない。
つまり、今この場において殺人へと踏み切るのは悪手。

全く邪魔くさい首輪だ。他者を利用して生き残ろうと考えている自分には無用の長物。
誰かと行動をともにする関係上、禁止エリアに進入できるというメリットが生かせず、こうしてデメリットばかりが目立ってしまう。
そうだ、己の行動が著しく制限されている。あいつらのせいで……あいつらのせいで!
無意識のうちに両手に力が入るが――

突然の異常がてゐを沈静化した。

「急に天気が悪くなったな……おい、てゐ。大丈夫か?」

労うスネークの言葉も左から右へ通り過ぎた。
実はこのとき遙か彼方でブロリーが伝説の超サイヤ人へと変貌していたのだ。
てゐもスネークも、そして雄山も知る由はない。
だが、てゐだけは天候の変化と同時に圧倒的な力の流れを敏感に感じ取る。

(なによこれ。ヤバイってもんじゃないよ!)

下手人は間違いなく大妖怪クラス。
私自身ただの人間よりは強い。
とはいえ、スキマ妖怪やら四季のフラワーマスターやらとは次元がそもそも違うのだ。
幻想郷のチート妖怪どもは揃ってやる気がないが……本気を出されたら逆立ちしたところで勝てっこない。
蹂躙されるのが目に見えてる。身の程ぐらいは弁えてるつもりだ。

もしも、ばったりと出会ってしまえばどうなるだろう。
540創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 15:57:36 ID:VTwVnxvN

――死ぬ

――首の骨を折られて死ぬ

――ただ一方的に嬲られて死ぬ

――肉体を四散させられて死ぬ

――死ぬ死ぬ死ぬ

――死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ

――死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ

――死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ

浮かび上がるは臨死のビジョン。
それは悉く無惨で、苛虐で、惨憺で。
それで改めて認識させられる。

――自分は狩られる側の生き物なんだ

兎だ。兎は弱い。兎は――捕食される。

ああ、そうだ。だから私は正面から戦ってはいけない。
生き残るなら、他人を巧く利用してやらないと。
541創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 15:58:17 ID:VTwVnxvN
【因幡てゐ@東方project】
【状態】頭に包帯
【装備】プレミアム会員専用首輪(白)、てゐの木槌@東方project、防弾チョッキ@現実
【持物】支給品一式
【思考・行動】
基本思考:スネークを利用し、スネークに取り入って、生き残る。
1,図書館へ行き、バクラ、言葉を殺害する。特にバクラには強い憎悪。
2,首輪が白くなれば、弱マーダーを殺害。隠れて殺人をする場合、『確実に殺せて、なおかつ事実を隠蔽出来る場合』に限定する。
3,ベジータ、サンレッドを警戒。
4,雄山が邪魔。切り捨てたいが……
※言葉に誠死…もとい伊藤誠を蘇生させてと頼まされました。
※スネーク、DIO、越前、雄山に千年以上生きているのと、自らの知り合い達の事を教えました。

【ソリッド・スネーク@メタルギアソリッド】
【状態】肉体疲労(小)
【装備】コルトパイソン(2/6、予備弾36/36)@現実、TDNスーツ@ガチムチパンツレスリング、越前の軍服
馬鹿の世界地図@【バカ日本地図】〜全世界のバカが考えた脳内ワールドマップ〜愛犬ロボット「てつ」@日本郵販テレホンショッピング
【持物】やる夫の首輪、ハイポーション@ハイポーション作ってみた、咲夜のナイフ@東方project、さのすけ@さよなら絶望先生、基本医療品
【思考・行動】
基本思考:情報を集める。また、首輪を専門の奴に見てもらう。
1、オフィスビルに向かう途中に図書館へ向かい、バクラ、言葉が危険人物か確認した上で、危険人物なら排除する。
2、自分から攻撃はしない。見つかった場合も出来れば攻撃したくない。
3、十六夜咲夜のような奴が居れば、仲間に誘った後、情報を聞き出した後倒す。
4、てつを使用し、偵察、囮に使う。
5、てゐが邪魔か否かを判断し、首輪が白くなったら延命させる。
6、十六夜咲夜、紅美鈴、フランドール・スカーレット、サンレッドを警戒。
※馬鹿の日本地図の裏に何か書いてあります。
※ミクが危険人物という情報を得ましたが、完璧に信用はしていません。
※盗聴されている可能性に気付きました。また首輪に電波が送られているか何かがあると思っています。
※電波を妨害するチャフグレネード等の武器を使えば、どうにかなると考察しています。
※てゐからは千年以上生きている、知り合いの事を話してもらいました。

【海原雄山@美味しんぼ】
[状態]:主催者に対しとてつもない激しい怒り
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、桑の実(10/10)@現実、至高のコッペパン×10@ニコニコRPG
ニコニコ列車のダイヤ表、佐賀⇔ソウル間の往復航空チケット@塚☆モール、A-10のマニュアル(英語)@現実?(おじいちゃんのエースコンバット6)
[思考・行動]
基本思考:主催者に文句を付け、真の至高のメニューを味あわせてやる。
1:スネークとともに行動する。とりあえず。
2:A-10のマニュアルを渡すつもりは今のところない
3:初音ミクという少女の事を言っていた男に対しての疑い
※糸色のダイングメッセージである「ライト」を確認し、その意味を正確に理解しました。
※塚モール入り口に置いてある朝鮮車は何らかの方法を使わなければ動かせません。
※地図上の塚モールの文字に二重線が引かれています。
542俺より強い奴に遭いに行く! ◇WWhm8QVzK6:2009/05/10(日) 15:59:03 ID:VTwVnxvN



「あ!お前いつのま…………何だその格好は」

「お前の方こそどうなんや?」

「お前よりはマシだ!」

放送より都合小一時間掛けてようやく出会えた二人であった。
もしかしてと思いつつ退き返してみた馬岱であったが、案の定そこには少年の姿がある。
安堵したというか呆れかえったというか複雑な気分になりながらも少年から情報を聞き出すことにした。
当然、藤崎は馬岱に保護してもらった借りがあるので拒むわけにもいかない。
それを知ってか知らずか、藤崎はすんなりと今まであった事を話しだした。

「ふぅん……成程な」

「ああ、そうや。だから今から図書館に戻らなあかん」

すっと藤崎は立ち上がろうとしたが、馬岱はそれを右手で制した。

「?」

「俺の話を聞いてからでもいいだろう?」

「いや、流石にもう戻らな……」

「聞け」

「………」

有無を言わさぬ迫力に、諦めざるを得なかった。
藤崎には知る筈もないが、馬岱は曲がりなりにも武人である。
史実と多少は……多少は違っても彼の潜った修羅場は常人の物を遥かに凌駕する。
常人である藤崎がその威圧に閉口するしかなかったのは有る意味普通の事なのだ。

「俺はこの殺し合いに呼ばれて……正直迷惑だと思っている」

ふう、と息を吐いたのは馬岱だった。

「だがな。ここが戦場であることに変わりはない。喩え生存できる可能性が限りなく低くとも、な。
 だからこそ、俺はこの戦場で自分の力が何処まで通用するのか確かめてみたいんだ。
 おそらく俺は生きて帰る事は敵わないだろう。でも、それなら一度きりしかない人生を思うままに使ってもいい筈だ。
 俺はこのまま図書館の方へと向かう。俺より強い奴に会いにな」

「……なんでそんなこと言うんや!?もしかしたら脱出できるかもしれへんのやで?」

「その幻想を捨てろ、少年。不確定で限りなく可能性の低い事象に付き合うつもりはない。
 見えもしない餌に喰らいつくなど、生簀の金魚以下だぞ」

「っつ……!それでも!!」

「それでも、なんだ?別に俺は命を投げ捨てている訳ではない。あくまでも、戦い続け生き残るつもりだ。
 それはお前も変わらないに違いない。おそらくこの場にいる人間の殆どが『生きたい』と願っている。
 その方法が、お前の言うような脱出の模索であったり殺人であったりするワケだ。『結果』に辿り着くための
 『手段』が違うだけだ。根本的なところは何も変わらない。間違ってるか?」

正しい。確かに正しいのだ。
だけど、藤崎は納得できない。
543創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 15:59:45 ID:VTwVnxvN

「わかっとるわ!そんなこと……けどなあ!人を殺すってのはやったらあかん事なんや。
 どんな理由があってもそれだけは許されへんで!」

「なら、お前は自分の命を守るために死に物狂いで、それこそ他人を殺して生きてきた奴に出会ったときもそう言うのか?
 必死で生きてきて、それしか生きる術がなかった人間を愚かだと嘲笑うのか?」

「……」

「勿論、そんなことはないだろう。だが、お前の言う脱出の方法を信じない者もいる。そんな時、そいつとは戦わねば
 ならないだろうな……。その覚悟は、必要だ」

沈黙。
そう、これは避けては通れない道だ。
成人にもなっておらず、何の力もない藤崎にはこの殺し合いはあまりにも重すぎた。

「お前は弱い。だからこのままここで隠れてても誰もお前を責めないだろう。
 だが、おまえ自身はそうではないだろう?だから誰もお前に強要はしない。
 自分で考え、自分で決めろ。俺が言えるのは、それだけだ」

少年にはいささか難しい判断だろう。
彼の意志を反映することはまず不可能と言っていい。

「覚悟は……足りんかもしれんけどなぁ。俺がすることはもう決まっとんのや!ふざけた主催者に泡吹かせたる。
 その意志は変われへん。例えどうなろうとな……」
 
少年は、知らない。
この殺し合いが彼の考えている以上に熾烈なものであるということを。
だから、砕けない。
自分が、もしかしたら生きられないという絶望に陥らないから。

「そうか……その決意を認めよう。但し、俺はお前を守らない」

「!?」

「当たり前だ。おそらくこれからにおいて俺自身は自分を守ることで精一杯だろう。
 自分の身は自分で守ることが当然だとは思うが?」

「いや、まあそうやけど……ちょっとぐらい庇ってくれても「甘い!」えぇ!?」
544創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 16:00:28 ID:VTwVnxvN

「お前わかっているのか?俺も『参加者の一人』なんだぞ?」

「あ……」

そう。
例え保護されたとしても。
情報を聞き出すために生かされているという場合も有る。
少年はそれを全く考慮せずに、目の前の男と話をしていたのだ。

「ま、まさかお前……」

「安心しろ、貴様など眼中にない。それよりも、だ」

馬岱は一旦言葉を切り、再び話し出した。


「これから真っ直ぐ突っ切ってそのまま図書館に向かうことになるだろう。
 そこでもし、お前を襲った奴に出くわした場合……俺はそいつを『討つ』つもりでいるが」


何を言ったのか。
数秒ほど藤崎は言葉の意味を理解できず、

「あかん!それだけはあかん!それは俺の問題や!お前が手出しして、しかも殺すなんてことは許さへんぞ!!
 それは俺だけで決着をつける!!俺が直々にそいつに謝らせるんや!」

思わず馬岱の胸ぐらを掴み激しく言い放った。
馬岱は藤崎の瞳を見つめ、静かに応えた。

「……わかった。手出しはしない。謝らせるだけだな……」

「……あ、す、すまん。つい熱くなって……」

「もう出よう。いつまでもそいつらが図書館にいるとは限らない」


(人の怒りは増幅する……。『誤らせる』だけ?そんな事で簡単に済めばいいがな……)





「ところで……ズボンくらい穿いたらどうだ?」

「放送禁止にはならへんからええやろ」

「……―――――いや、なんかもう、いいや」
545創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 16:01:14 ID:VTwVnxvN



【B-2/住宅街/1日目・午後】
【藤崎瑞希@現実】
[状態]さらなる決意、パンツレスラー、、脛に軽い刺し傷(鱗粉付き)、足に痺れ、罪悪感
[装備]なし
[道具]支給品一式、金属バット@現実、ショートカッター(残り0枚)@ドラえもん
[思考・状況]
基本思考:主催者の目論見を粉砕し跪かせる
0:図書館に戻り、自分を襲ったやつを懲らしめる。
1:全てはチャンス
2:参加者を救う
3:受け継がれた意志を持って、闘う
4:俺を襲ったのは誰なん?
5:あそこで寝てた奴が俺を運んでくれたんか?


【馬岱@呂布の復讐】
[状態]:頭にたんこぶ 幻術と戦闘による疲労(小)、
[装備]:鍬@吉幾三、三国志大戦カード(群雄SR馬超)@三国志大戦
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
0:図書館に向かい、強敵と戦う。
1:藤崎を襲ったやつは相手にしない……?
2: 藤崎を守る気はない。
3:殺し合いに乗って、自分の力を試す
4:弱い奴からは情報を聞きたい。断ったら…
5:呂布……記憶障害とは大変だな……
6:もうちょいまともな武器が欲しい
7:ブロリーとは遭遇したくない
※参加者の多くの名前を見た覚えがあることに気が付きました。ニコ動関連の知識の制限は実況者達等に比べて緩いようです
※藤崎と情報交換しました。
546創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 16:02:03 ID:VTwVnxvN

     ※     ※     ※     ※     ※


嗚呼、痛い。


痛みは怒りへと変わり、怒りは憎しみへと変わり、憎しみはじわじわと彼女の精神を侵食する。
実を言うともはや痛みは殆ど感じてはいない。あまりの憎しみにそのようなものは打ち消されているのだ。
代わりに際限なく湧き出るのは負の感情。圧倒的なその量は彼女を狂わせる。

否。

彼女はとっくに狂っていたのだろう。
兄を慕った時から、兄を想った時から、兄と過ごした時から、いや、それよりももっと前。
彼女は在り方其の物―――――根源から破綻している。
自らの目的の為ならば他人がどうなろうと構わない。自分以外の人間は全て自分の駒。
彼女はそうやって生き、成り立っていた。
誰も彼女を責めることはできない。誰も彼女の本質に気づいていなかったのだから。
彼女を止める者は、今までいなかった。
これからも、彼女は止まらない。
初めからレールに乗っていない電車は、障害物を蹴散らし暴走を続ける。



窓の外に見える人影。
男が二人。

「放っておいても、いいよね。勝手に死ねばいいし」

此処ならば見つかることはまずあり得ない。
そうだ。全員いなくなるまで殺し合えばいい。
そして最後に残った一人を見つける。


――――――必ず、殺してあげるから






【B-2 住宅街 屋内/1日目 午後】
【野々原渚@ヤンデレの妹に愛されて夜も眠れないCDシリーズ】
[状態]:ヤンデレ、全身に軽い切り傷、腹部にダメージ(小)、 軽い精神的ダメージ、
 親指以外の右手の指喪失、右肩に矢傷  
[装備]:チャイナ服@現実 ピョン太君@私立東方学園 アシストフィギュア(サイボーグ忍者)@大乱闘スマッシュブラザーズX
[道具]:支給品一式×3(一食分消費)、タバコ一箱@メタルギアシリーズ、タミフル@現実、北条鉄平の首、北条鉄平の首輪、不明支給品0〜1 、モンスターボール(コイキング)
@コイキングを守れ!ディフェンスに定評の(ryトーナメント
[思考・状況]
1:記憶がめちゃくちゃなのは全員なのかなど確認したい。記憶が不安定で精神的につらい
2:隠れてやり過ごす。
547創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 16:02:45 ID:VTwVnxvN
>>541修正
【D-4草原/1日目・日中】
【因幡てゐ@東方project】
【状態】頭に包帯
【装備】プレミアム会員専用首輪(白)、てゐの木槌@東方project、防弾チョッキ@現実
【持物】支給品一式
【思考・行動】
基本思考:スネークを利用し、スネークに取り入って、生き残る。
1,図書館へ行き、バクラ、言葉を殺害する。特にバクラには強い憎悪。
2,首輪が白くなれば、弱マーダーを殺害。隠れて殺人をする場合、『確実に殺せて、なおかつ事実を隠蔽出来る場合』に限定する。
3,ベジータ、サンレッドを警戒。
4,雄山が邪魔。切り捨てたいが……
※言葉に誠死…もとい伊藤誠を蘇生させてと頼まされました。
※スネーク、DIO、越前、雄山に千年以上生きているのと、自らの知り合い達の事を教えました。

【ソリッド・スネーク@メタルギアソリッド】
【状態】肉体疲労(小)
【装備】コルトパイソン(2/6、予備弾36/36)@現実、TDNスーツ@ガチムチパンツレスリング、越前の軍服
馬鹿の世界地図@【バカ日本地図】〜全世界のバカが考えた脳内ワールドマップ〜愛犬ロボット「てつ」@日本郵販テレホンショッピング
【持物】やる夫の首輪、ハイポーション@ハイポーション作ってみた、咲夜のナイフ@東方project、さのすけ@さよなら絶望先生、基本医療品
【思考・行動】
基本思考:情報を集める。また、首輪を専門の奴に見てもらう。
1、オフィスビルに向かう途中に図書館へ向かい、バクラ、言葉が危険人物か確認した上で、危険人物なら排除する。
2、自分から攻撃はしない。見つかった場合も出来れば攻撃したくない。
3、十六夜咲夜のような奴が居れば、仲間に誘った後、情報を聞き出した後倒す。
4、てつを使用し、偵察、囮に使う。
5、てゐが邪魔か否かを判断し、首輪が白くなったら延命させる。
6、十六夜咲夜、紅美鈴、フランドール・スカーレット、サンレッドを警戒。
※馬鹿の日本地図の裏に何か書いてあります。
※ミクが危険人物という情報を得ましたが、完璧に信用はしていません。
※盗聴されている可能性に気付きました。また首輪に電波が送られているか何かがあると思っています。
※電波を妨害するチャフグレネード等の武器を使えば、どうにかなると考察しています。
※てゐからは千年以上生きている、知り合いの事を話してもらいました。

【海原雄山@美味しんぼ】
[状態]:主催者に対しとてつもない激しい怒り
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、桑の実(10/10)@現実、至高のコッペパン×10@ニコニコRPG
ニコニコ列車のダイヤ表、佐賀⇔ソウル間の往復航空チケット@塚☆モール、A-10のマニュアル(英語)@現実?(おじいちゃんのエースコンバット6)
[思考・行動]
基本思考:主催者に文句を付け、真の至高のメニューを味あわせてやる。
1:スネークとともに行動する。とりあえず。
2:A-10のマニュアルを渡すつもりは今のところない
3:初音ミクという少女の事を言っていた男に対しての疑い
※糸色のダイングメッセージである「ライト」を確認し、その意味を正確に理解しました。
※塚モール入り口に置いてある朝鮮車は何らかの方法を使わなければ動かせません。
※地図上の塚モールの文字に二重線が引かれています。
548創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 16:03:30 ID:VTwVnxvN
今回はここまで。
549創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 16:14:33 ID:VTwVnxvN
投下し忘れを発見したので急遽補正。
550奴が行く◇5RtyfADmTk:2009/05/10(日) 16:15:44 ID:VTwVnxvN
太陽がほぼ真上に位置する時、静まり返る駅の構内にアレクは殺し合いにのった
金髪の眼鏡をかけたクラッシャーと呼ばれた少年と、リンと呼ばれた少女、
その二名について考えをめぐらせていた。
あのクラッシャーという少年はどうやら積極的に殺し合いに乗っており、既に二人も殺した。
そしてKAITOが言うにはリンがああなってしまったのもクラッシャーのせいらしい。
もしKAITOの言うことが本当ならば、早急に手を打たなければならない。
(問題はKAITO自身が賛同してくれるかどうかだな。)
自分の隣にいるKAITOを一瞥してみると、
自分の命を断とうとした銃を今度はお守りのように膝元に抱えて座り
ガタガタと震えていた。
顔色からは生気が感じ取れず、俯いたままではあるが、
その顔からは何度も確かめるようにアレクに視線を向けていた。
その様子にアレクは聞こえぬよう小さくため息をついた。
丁度その時、アレクが放ったため息が合図となるよう、放送が始まった。



「そ、んな……」
思わず声が出る。
「どうしたんだ?」
アレクが俺に問いかける。
「ミクとテトが……、ボーカロイドの仲間が死んだ……」
放送が始まって、アレクが言ってた危険人物が死に
ハクが本当に死んだことを改めて実感させられ、そしてテトと、ミクも死んだことを聞いた。
予想以上に震えが止まらずに、
口は少し開きガクガク震えながら手で体を抱きしめて、
顔をうずくまって枯れたと思っていた涙を流していた。
多分、テトと、ミクの死を契機に先ほどの恐怖も蘇ってきたらしい。
恐怖と同時に、憎悪も蘇り、俺の中にクラッシャー同様に
二人を殺した犯人を殺したいという気持ちが浮かび上がる。
だけど、そいつが俺より強い奴だったら?
そいつが俺たちよりも仲間がいたら?
そう考えるだけでも俺は気持ちに歯止めをかけてしまった。
―――ああ、そうだ、俺はそうまでされても殺されたくない、死にたくない。
プライドとかそういう問題じゃない、至って普通の感情だ。
ただ……、それが愚直なまでに行動に出やすいだけなんだっ……!
551創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 16:16:25 ID:VTwVnxvN

「KAITO」
急に掛けられた声により、俺は思わず身体を震わせた。
そういえばアレクが何か言っていたようだった。
顔をあげると俺に声をかけたアレクが、
どことなく申し訳なさそうにしてたのを感じ取る。
そういえば、二人が死んだのを聞いた時、俺はずっと泣いていたままだった。
心なしか、アレクの表情に俺が殴った頬がやけに強調されているようだった。
「……、あ、ああ、さっきは殴ってほんとごめん……」
俺は涙を拭いながら、逆恨みでアレクの頬を殴ったことを思い出し
急に申し訳なくなり謝罪をした。
「い、いや、こ、これはアレクに見捨てられたくなくて謝ってるわけじゃないんだ。
 俺だって、謝らなきゃいけないということはちゃんと……」
「……お前はどうする?」
唐突にアレクが俺に問いかける。
「……俺は……死にたくない…………だから……」
言葉に詰まる。死にたくないからどうしたいというんだ俺は。
死にたくないからこのままガタガタ震えるのか?
死にたくないから人気がない場所で隠れているのか?
死にたくないから――――人を殺すのか?
違う!俺は殺したくない……!、自分で殺したくはない、でも、でも
結局答えが出ず、俺は顔を下に向けて黙っていた。
「……俺はあの二人を放ってはおけない。いずれまた人を殺すだろう」
「……で、でも危険すぎる!あ、あのクラッシャーという奴は身体能力が凄いじゃないかっ…………!」
自分が発した憎む相手を謙遜する言葉に自己嫌悪が蠢く。
クラッシャーは確かにぶち殺したい。
けど、クラッシャーと一緒にいるリンに会いたくはなかった。
色艶やかでどこか魔性を感じさせ、上品でどこか残酷さを垣間見せる。
あれを健気で悪戯っぽいリンと言っていいのかと疑問を浮かび上がらせる。
あれは本当にリンなのか?いや、リンの皮をかぶった何かなんじゃないのか?
と自問自答している内にまたしてもアレクが言葉を放つ。
「だけど、俺はあの二人をこのまま野放しにはしたくない」
「……、このまま会ったって……、余計な混乱や誤解を招くだけじゃないか!」
アレクの絶対に譲らぬ態度に思わずイラつき、激しい口調で申し立てた。
「リン自身も……洗脳されているせいか戸惑っているだろうし……俺自身もリンを殴ってしまったし……
 こういうのは改めてお互い整理をつけたほうがいいんだ!!」
喋っていく内にこれまでの出来事が欝憤となって溢れ出し、思わず語尾を強める。
今ぬけぬけと会いに行くと余計な事態を招く可能性がある。
何にせよ2人も殺したクラッシャーが再度激昂し、
手違いでリンが殺されるかも知れない、最悪アレクも、俺も。
そうなってしまうのは絶対御免だ。
そう思うとますます焦りや不安が俺を駆り立てて、言葉を紡ぎだす。
「決して怖いとか、逃げたいとかそんなんじゃないんだ!
 わかるだろ!?俺はあんなことをしてしまったんだ!そしてあんな言い訳をしてしまったんだ!
 許してくれるはずがないんだ!だから、だからっ……!」
552創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 16:17:10 ID:VTwVnxvN
「KAITO」

言葉の途中を遮られ、思わず黙る。
その声色が普段通りなのか、とても冷たいものだったかはわからなかった。
だけど、その眼からは何かを悟ったような眼差しが感じられた。
「一旦、図書館に行って休もう」
俺はアレクの突然の提案に思わず驚いた。
「お前は先ほどの件と今の放送で頭が混乱している。
 他の参加者が降りてきそうな駅では気持ちが落ち着かず
 整理もつけられないだろ。
 ……あの二人のことは、その後でいい。」
「で、でも図書館に人がいたら」
「このままでは何も出来ない……、ボヤボヤしているとより強い武器を持った奴や
 先ほど以上の徒党を組んだ連中に見つかるかも知れない」
「…………」
俺は押し黙る、そして俺にはわかってる。
それは最善とは言えないが凶とも取れない選択肢なことも。
「ここから図書館に行く距離は短くて誰にも遭遇せず行けるだろう。
 それに図書館はここより広くて、情報が多い筈だ。
 もしかしたら友好的で知的な人物がいるかもしれない。
 なぁ、KAITO……少しでいいんだ、少しだけ勇気を振り絞ってくれないか?」
俺がここで頷くことも。

結局俺は、図書館に行って今後の為に整理をつけようということになった。
だけど決してリンを見捨てたわけじゃない、アレクの言うように放送があって多少混乱しているだけだ。
一旦ちゃんとした施設で休めば気持ちの整理もつくはずだ。
何も……何もやらしいことではないんだ。俺みたいな臆病ものには時間が必要なんだ。
そう思いながら駅から遠ざかろうとしている俺に
テト、ミク、ハクの視線が俺の背中につき刺さっているようだった。


――――これで良かったのだろうか?
ふと、アレックスの脳裏に若干後悔の念が過った。
確かに図書館はこの駅の構内より広いはずだ。
しかし、広いこと以外は「そうなって欲しい」という希望で語った。
図書館に人がいないことも、
人がいてもそれが善良で友好的な者であるかどうかはわからない。
それに、今の状態のKAITOを、比較的隠れやすいであろう図書館に連れていくことは
ある意味、カイトに隠れさせることを促せているものだ。
あるいは籠りたがるかも知れない。
それは、リンや弟分のレンを助けたがっていて、
ハクやミクやテトの死を悲しむようなら、あまり良い手段とは思えない。
KAITOが自殺をやめた時、本当にこいつはもう駄目だと考えた後に、
「いや、もしかすると」と改めて再度考えてみようとしたが、すぐにやめた。
例え洗脳されてたとは言え妹分のリンを盾にし、ハクを見捨て、
俺自身も望んで無かったとはいえ自殺も未遂に終わらせた奴が
こんな短時間に変われる筈がない。
生半可な希望の種は絶望の花を咲かせる。
少なくとも、現時点では「こいつはこういう奴だ」と納得しなければいけない。
そう思いながら、KAITOの方に振りかえると視線が地面に寄りがちなせいでもあるのか、
表情が黒く塗りつぶされているようではっきりと見えない。

(それに、あの二人の事もこれ以上放っておけない)
クラッシャーとリンはどんな事情にあるにせよ、マスターと慕ってくれたハクを殺した。
だから絶対に探さなければいけない。
先ほどの放送で、バルバトスという危険人物が死んだことに若干の安堵をおぼえたが、
とある館の執事をしていて、かつ殺人鬼と噂のある七夜志貴、そして相当手腕だったと聞く、運送業者社長のルガールが死んだ事に驚いた。
だが、誰が殺したのか、どうやって殺したのかは、今考えても仕方がないことだ。

なんにせよ、俺はここで挫けちゃいけない……、俺には勇気と力があるみたいだからな。
553創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 16:17:55 ID:VTwVnxvN
【D-4 駅の外/1日目・午後】

【アレックス@MUGEN】
[状態]:極度の疲労、全身に打撲。左腕に刺し傷。悲しみ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、九条ネギ@現実、伯方の塩(瓶)@現実、魔王(芋焼酎)@現実、福沢玲子のシャーペン@学校であった怖い話
[思考・状況]
1:KAITOと共に一旦図書館へ向かう。
2:自殺しなかったのは良かったが……駄目だこいつ……
3:バルバトスが死んだことに安堵
4:クラッシャーとリンを警戒
5:殺し合いを止める為、仲間を集める。知人や、首輪が解除できそうな人物を優先。
6:あのピエロに出あったらどうしよう……
7:温泉にはいつか行きたい……
※F-3のデパート内に、床に大きく穴が空き、壁が一部粉々になっている部屋が一つあります。
※トキ、DIO、十六夜咲夜をMUGEN出展の彼等と誤解しています。
 また、MUGEN内の扱われ方からDIOと咲夜が親子だと思っています。
※名簿が最初白紙だったのには、何か理由があると考えています。
※弱音ハクの支給品を拾いました。



【KAITO@VOCALOID】
[状態]:健康、精神的疲労(小)、苦悩、少し混乱
[装備]:ベレッタM96(残弾数11/10)@現実
[道具]:支給品一式、ハンバーガー4個@マクドナルド、クレイモア地雷×5@メタル
ギアソリッド、必須アモト酸@必須アモト酸、2025円が入った財布(ニコニコ印)@???、ハーゲンダッツ(ミニカップ)×3@現実 ]

1:アレックスと共に一旦図書館へ向かう。
2:それでも俺は死 に た く な い
3:リンを洗脳してハクを殺させたクラッシャーを憎悪。殺してやりたい。
4:生きるためなら例え卑怯な事をしても仕方がないだろ。正当防衛の一種だ
5:リン、レンが心配。特に洗脳されているリンが心配
554創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 21:55:32 ID:2pUctLf5
一気に投下乙。
そういえば、雄山とスネークって中の人が親子だったよね。
555創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 22:23:22 ID:6Y/Jwisp
一気に投下乙
これから図書館どうなるんだ…w
556創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 23:00:56 ID:sAXUhL95
たしか雄山の中の人はジョセフ・ジョースターも演じてたよな
557創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 23:36:15 ID:quijd9GU
図書館が大変になりそうで何よりです(え

というか中心部人集まりすぎだろ……20人近くいるぞ
558創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 23:46:04 ID:UXti3byB
まずいんだろうか
559恋独の追跡者(チェイサー) ◆1SKekTLbsk :2009/05/11(月) 01:13:19 ID:vMtdAZnL
仮投下スレで何も言われなかったので投下します。
560恋独の追跡者(チェイサー) ◆1SKekTLbsk :2009/05/11(月) 01:15:29 ID:vMtdAZnL
むかしむかしあるところに
悪逆非道の王国の
頂点に君臨してた
齢十四の王女様

もうすぐ時間は正午どき
普段はお昼を召す時間
王女と呼ばれたその人は
腕を折られて何を思う

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「昼ごはんソーセージだけ……。
 いっぱいのソーセージ焚き増し嫌ァァァァァッ!!
 はっ、夢かよ……。
 …………ん、こいつぁ……。」

ガバッ。
クラッシャーがその体を跳ね上げたのは放送直前。
跳ね上げたはいいが激痛が走り、再び寝転ぶ形となったクラッシャーの目には、自らにかけられた毛布が目に止まっていた。
それは、本来彼がリンに渡したものだが、彼の所に戻ってきていると言うことは、考えられる事は一つ。
561恋独の追跡者(チェイサー) ◆1SKekTLbsk :2009/05/11(月) 01:16:43 ID:vMtdAZnL
「わざわざ俺にかけてくれたのか?
 ホホッ、どうやらまだ俺は見捨てられてねぇんだな。
 けど、現実は非常だぜ……、やっとアイツにどう向き合おうか決心したってのに……。
 ホホホホッホ……、ゲホッゲホッ…………。」

だが、それをしてくれたであろうリンの姿は周りには見当たらない。
直ぐにでも彼女を探しに行こうとするクラッシャーだが、その体を幾度も痛みが阻害した。
それは先の戦いで、もはや時間ではどうにもならない後遺症が残ってしまった証拠であった。
ドーピングの上にドーピングを重ね、その上で自分の体を破壊するような攻撃を仕掛けたのだ、当然の結果とも言える。
それに、剣崎を倒した時に得た高揚感を失った今となっては、もはや体を動かせる原動力は無い。
だから結局、彼は"その時"まで、寝転んだままでいるしかなかった……。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

『……以上です。第三回放送は六時間後となります。』

淡々とした声で告げられたこのゲームの進展。
自分の手で殺した剣崎の名や、かつて見知った仲だったミクの名前も呼ばれていた。
だが、全身が弛緩したクラッシャーには、それらは遠い対岸の出来事の様に聞こえ、何とか禁止エリアだけ覚えるので精一杯。
それにそんなことよりも、彼には優先するべきことがあったのだ。
562恋独の追跡者(チェイサー) ◆1SKekTLbsk :2009/05/11(月) 01:18:13 ID:vMtdAZnL
「何やってんだっ、いつ礼を言いに行く?
 スタートから諦めてたらスピィィン!! …………ゲホッ。
 ……、落ち着け、俺、落ち着け。
 俺はやればできるんだ、あの剣崎だって、ついに俺は倒したじゃないか。
 ホホホホホッ……。」

そういって彼は、剣崎から奪い取った荷物の中のブレイバックルを見る。
最初はチートかと思った奴も、結局はただの人間でしかなかったのだ。
自分を三度も追い詰めたあの力……。
説明書を読んだ限りでは、自分も変身できるのかもしれないが、動かぬ体では無理な相談であった。
それは当然、無限刃も振るえないということでもあるし、あのドーピング技なんて論外である。
つまりは、もう、クラッシャーは戦えない――リンを守ることはできない――のだ。
それどころかこの体では、一人で満足に動くこともできず、わざわざ手を煩わせてしまうだろう。
それでも……、それでも彼には気づいてしまった思いがあった…………。
だが、その思いで必死に体をずらしロードローラーの運転席を見るも、鍵はすでにそこにはなく、代わりにあったのは一枚の紙。
その紙をおもむろに掴み広げるクラッシャー、そして、書かれていた内容読んだ彼の体は震えだした。

「"レンを探してくるわ。"
 "そう遠くまでは行かないから、何かあったらすぐ戻って起こすわ。"
 "だからゆっくり休んでなさい。"だと……。
 何考えてるんだあいつは!
 俺ですらこの様なのに、いまさら一人で探せるとでも思っているのかよ!
 クソッ。」
563恋独の追跡者(チェイサー) ◆1SKekTLbsk :2009/05/11(月) 01:19:04 ID:vMtdAZnL
悪態をつくと同時に悲鳴をあげる体を叱咤し、必死に動こうとする。
だが、そんな彼の思惑通りに体は動かず、荷物を巻き込みロードローラーから転落してしまう。
幸い、着地による怪我の悪化はなかったが荷物は地面に散開し、それらを拾い集める羽目となってしまった。
その撒き散らされた荷物――剣崎のデイバッグ――から一つの道具がこぼれているのがクラッシャーの目に止まる。
それこそ、今の彼に必要な物、そして、彼にとっての大きな希望だった。

「これは……、ホホッ、なんとかこいつならリンに追いつけるかもしれねぇ!
 …………、待ってろよリン、お前は俺が守ってやる。
 こんな俺じゃ王子様は無理でも、馬くらいにはなってもいいだろ?」

何とか荷物をかき集めたクラッシャーは"それ"に体をうつぶせにする。
そして、その場で使い方を調べつつ、何とか起動させることに成功した。
途端にキィンという機械音が鳴り、クラッシャーの体は前進、加速、突き進む。
そう、剣崎のデイバッグからこぼれたのはターボエンジン付きスケボー。
おそらく、今まで単独行動をしていなかったので使う機会がなかったのであろう。

「『ゲームは優勝する』『リンも守る』。
 "両方"やらなくっちゃあならないってのが、男"アレマン・ポセイド"のつらいところだな……。」
覚悟はできているのか、それはクラッシャーにしかわからない。
それでもクラッシャーは進む、心に宿った思いに従って、進む。
564恋独の追跡者(チェイサー) ◆1SKekTLbsk :2009/05/11(月) 01:20:04 ID:vMtdAZnL
「ホホホッホ、ゲホッゲホッ……。」

たとえ傷ついて力尽きても…………。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【D-5/一日目・日中/詳細位置不明】
【鏡音リン@VOCALOID2(悪ノ娘仕様)】
【状態】健康、軽度の疲労、右腕骨折(応急手当済み)、悲しみ
【装備】本物のKAITOのマフラー@VOCALOID
【持物】基本支給品、レナの鉈@ひぐらしの鳴く頃に、KAITOのマフラー@VOCALOID、ロードローラーの鍵、不明支給品0〜1
【思考・行動】
基本思考:?????
1、レンに会いたいのはわがままだけど、だからこそ自分で……。
2、クラッシャーと協力する。誰かが来たらクラッシャーの所に戻り起こす。
3、カイト様は……。
4、ロードローラーに一目惚れ。
※初めて痛みを知って、色々と価値観が変化したようです。
※放送内容は理解しています。
565恋独の追跡者(チェイサー) ◆1SKekTLbsk :2009/05/11(月) 01:21:03 ID:vMtdAZnL
【キーボードクラッシャー@キーボードクラッシャー】
【状態】全身打撲(ある程度治りました)、顔の痛み(ある程度治りました)、極度の後遺症
【装備】ターボエンジン付きスケボー@名探偵コナン
【持物】支給品一式×2、ブレイバックル@仮面ライダー剣、Rホウ統(使用済)
ブレイバックルの説明書、医療品一式(簡易な物のみ)、無限刃@るろうに剣心 、はてなようせいがプリントされた毛布
【思考・行動】
基本思考:リンを守り抜いた上で優勝もして日本国籍を手に入れる、矛盾しているのはわかっている。
1、リンを探し出して守る。リンの事が好き。
2、カイトの情けなさに呆れた。
3、殺し合い打倒しようとか現実から逃げてんじゃねえええええええ!
4、リンの知り合いもできれば生還させたい。
※後遺症は、なんとか立ち上がることはできても歩くことは厳しいレベルです。
※飛び出したはいいがリンの向かった方向を知りません。
※スケボーの速度はあまり出ていません、せいぜい自転車程度です。

※D-5の林にロードローラー@ぶっちぎりにしてあげる♪が放置されています。
 鍵はないので、動かすことはできないでしょう。

【ターボエンジン付きスケボー@名探偵コナン】
太陽電池で動く電動スケボー、夜間でも充電してあれば30分くらいは動く。
子供2、3人程度なら一緒に乗って動くこともできる。
最高時速は不明だが、外国製バイクと張り合えることから、100km/h以上と推測されている。
ちなみに、登場すると大抵壊れるため、あまり頑丈ではない。
566 ◆1SKekTLbsk :2009/05/11(月) 01:22:09 ID:vMtdAZnL
以上です、タイトル元ネタはバーローの映画です。
短くなってしまってすみませんです。
567創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 01:24:00 ID:Vy9T4tgQ
投下乙です。
メガネと少年でスケートボード。これはバーローだなあw
王女様は召使にターゲットを替えたか。どうなるかなぁ?楽しみだね
568創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 02:21:05 ID:NO5m7NBt
クラッシャーは危険なドーピング技重ねて使って死闘を演じた後だからなぁ…
戦えないのも無理ないわ
569りょふの しゃかいかけんがく ◆CqqH18E08c :2009/05/11(月) 19:19:41 ID:h5z0bLHe
特に仮投下で指摘されなかったので投下しますです
570りょふの しゃかいかけんがく ◆CqqH18E08c :2009/05/11(月) 19:20:27 ID:h5z0bLHe
「15人か……予想よりは多い……」

 呂布は放送を内容について考えていた。
 全参加者が70名、そして第一放送の死者が11名。
 全体としての参加者が減っているのにもかかわらず逆に死者は増えている。
 これが意味する符号は一つ……

「弱者が淘汰され猛者が残る」

 この事実に呂布の心は猛る。
 猛者との戦闘を求める呂布心は高ぶる、溢れる。
 チルノも、メタナイトも、美鈴もいまだ死んでおらず
 ディパックを彼から奪った術者も恐らく生きている。
 それはよろこばしことなのだが……?

「しかし。ここはどこだ?」

 そうだね、呂布だね。



◆◆◆


 呂布はまた方向を間違えていた。
 呂布は本来A-3上部からB-3下部まで。
 つまり進路を右下に取っていたのだがこの先に彼の望むものは存在しなかった。
 館の両側には森がありその森を抜けると草原という同じような道を通ったからこそ今まで気が付かなかったのだが……
 呂布は本来塔へ向かうつもりだったのだ。
 なぜ塔に向かうかに特に意味などなかっただろう、ただの気分という奴だ。

 呂布は戦略は苦手だ。皆無といってよい。
 もっともこれも多少は三国志演義補正がかかっているだろうが戦略は苦手といってよいだろう。
 戦術規模での作戦はならば天下一品とも言える能力あるが。
 ”戦闘前後”での立ち回りは一級品であるがその”戦闘”に至るまでの作戦は考えていないのだ。
 つまり呂布は次に起こる戦闘について何も考えず「塔でも目指すか」というノリで塔を目指していた……のだが
 また方角を間違えていたらしい。
 
 ここまで方角を間違えるなんて言うボケをやらかすともはや萌え要素である。
 新ジャンル「萌え呂布」なんてのができてもおかしくない

「はわわ。部隊を指揮する方向間違えちゃいました><」

 この台詞をあの姿の呂布が……
 誰得の部屋に放り込んでおくべきだ。
 そんな姿を見せるだけでチルノもビックリの力が発揮されるだろう。

 さて、話がずれまくったのでもとにもどそう。
 なら今現在呂布がいる場所はどこなのかについて説明しよう。

 結論から言うと呂布の現在位置はC-3とC4の境界である。
 呂布は塔へ向かう際にマップ方向外側に建物の集合体が見えるように進めば良いとして進んでいた。
 しかしそもそも進む方向が間違えていたらどうなるだろうか?
 塔へ向かう時にマップ外側の建物と言ったら街であるが
 その逆方向、つまり温泉へ向かうような進路をとった場合マップ外側に存在するのは塚モールとなる。
 まぁとにかくそんなおとぼけを連発しながら呂布は塚モールの傍まで来てしまったのだ。
571りょふの しゃかいかけんがく ◆CqqH18E08c :2009/05/11(月) 19:21:16 ID:h5z0bLHe
「まぁ来てしまったものはしかたない、これだけの大きさならばなにか使えるものもあるだろう」



……武将探索中          カサカサカサカサカサカサカサ



「むぅ?この箱は何だ?1とか2とか書かれている丸いものがあるが……
 押してみればよいのか……?   !!??!?」




……武将探索中          カサカサカサカサカサカサカサ




「いきなり動く箱とは面妖な……罠にでもかかったかと思ったぞ……
 む、この階段で上に行けるのか?   !?!?!? こんどは動く階段か!?面妖な!!」




……武将探索中          カサカサカサカサカサカサカサ





「これは鉄の塊か?一応中に入れるようで中々丈夫らしいが……中に入って……『ガチャッ』むっ!!
 でれん!そとにでれんぞ!!これは孔明の罠だ!!」



……武将探索中          カサカサカサカサカサカサカサ



 まぁそんな風にエレベーターにびびったりエスカレーターにびびったり、車の中に閉じ込められかけたり(ガラスを粉砕して脱出)
 しながらも呂布は楽しみながら塚モールを探索していた。
 その姿はさながら新しいものに好奇心を示す少年のようなものであった。
 呂布が現在いるのは食品エリア。
 ついさっきまで雄山が怒っていた場所である。
 スナック菓子やインスタント麺の類がぽつぽつと置いてあるだけである。

「むむむ……もう俺は驚かんぞ、なにが起きようと」

 さきほど紹介したこと以外にも呂布は多くのボケをかましている。
 たとえばゲームコーナで突如流れ出したBGMにびびりその音の発信源であるPS3を粉砕したり
 手に取った笑い袋から流れ出した笑い声に驚きそれを投げ捨てたりなどと。
 まぁ三国志の時代ではこのようなことは考えられないから仕方ないのだが。

 とにかくそんなことをいいながら呂布は警戒しつつポテトチップスの袋に刀でつついたのだ。
 刀とポテチの袋がなんどか触れ合う。当然だが別に音もならなければ動きだしたりもしない。
 それに安心したのか呂布はポテチの袋を頭上で一気に破る。
 ポテチの袋を一気に頭上で破るとどうなるか、皆さんわかるだろうか?
572りょふの しゃかいかけんがく ◆CqqH18E08c :2009/05/11(月) 19:22:17 ID:h5z0bLHe

「!?!?!?」

 当然であるがポテチが呂布の頭の上に降り注ぐ。
 それに動揺する呂布。さっきの言葉はどこへやら普通に驚いている。
 まぁそんな動揺も短い間。ただポテチが降り注いだだけである。
 呂布は降り注いだポテチを見つめる。
 そしてとりあえずそのポテチを口に入れた。

「携帯食料としてはかなり有用なものらしいな」

 1枚。2枚。受験勉強をする子供のおやつとして大人気のそれを拾い喰う。
 その味に満足したのかまた新しい袋を用意する。
 今度は降り注がない様に慎重に袋を開ける。

「先ほどのとは味が違うがこれまた美味い……む?今までのとはまた違う袋だが……
 これも食べてみようか」

 呂布は呟き、こんどは飴の入った袋を開く。
 そして1個。口に含む。

「旨いな。そして甘い」

 呂布はその味をかみしめるようにして飴をなめる。
 呂布の時代にはなかった味。
 もしかしたらあったのかもしれないがとにかく呂布にとっては初めてのその味。


「チョウセンにも食べさせてやりたいな」


 呂布はスナック菓子と飴の袋をいくつかディパックの中に入れ。
 塚モールを出るべくその場を後にした。

【B-3西南/一日目・日中】
【呂布@iM@S演義】
[状態]腹部に打撲 、全身謎の液体まみれ
[装備]折れた斬馬刀@るろうに剣心、イージス@FF11
[道具]基本支給品×2(食料・水-1) 三国志大戦カード(UC董白)@三国志大戦、 葉団扇@東方project 包丁@現実 射命丸文のカメラ@東方project
サバイバルナイフ@現実 果物ナイフ@現実 拳銃(0/6予備弾24)@デスノート スナック菓子×3 飴×3袋
[思考・状況] 基本思考:強そうな奴には片っ端から喧嘩を売る。優勝狙い
1:チョウセン……
2:罠を張った奴はここには既にいないようだな……
3:術師には負けない。
4:チルノとはまた会ったら決着を着ける。
5:メタナイトと全力の決闘をしたい。
6:ブロリーとも決着をつけたい。
7:主催者も殺す。
8:術者(馬岱)との決着もつける。
※イージスは意思を持っていますが、封印されているのか本来の持ち主でないためか言葉を発しません。
※本人は気付いてませんが、斬馬刀には餡がついています。
※塚モールで呂布がわずかに破壊活動を行いました
※塚モールのなかに笑い袋が放置されています。触れると大音量で笑いだします


〜その少し後〜

「うをっ!!えぇえ!俺は下に降りたいのだ!下に降りさせろ!!」

 呂布はのぼりのエスカレーターで必死に降りようとしていた。
573りょふの しゃかいかけんがく ◆CqqH18E08c :2009/05/11(月) 19:23:03 ID:h5z0bLHe
以上

呂布のキャラを恐しすぎた気がしないでもない
574創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 19:32:35 ID:QXP3f2l0
何か呂布が可愛く見える不思議
575創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 19:35:55 ID:c2eYTzlK
投下乙
呂布可愛いよ呂布
賀斉神(笑)といい馬岱といいどうして三国志勢はこんな大体の時にギャグ方面な奴ばっかりなんだろう…武将なら仕方ないがね
ところで貂蝉がカタカナなのは仕様なの?
576 ◆CqqH18E08c :2009/05/11(月) 19:47:42 ID:h5z0bLHe
最初手抜きで一発変換で出てこなかったのをカタカナで書いてたのをなおし忘れてました/(^o^)\

チョウセン→貂蝉 です

こんなことも忘れるから病人は(ry
寒くなったり熱くなったりするのはやめて欲しいのぜ・・・愚痴っても意味無いけど・・・
577創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 22:54:24 ID:eYgoWrYA
そういえば今更だけど
スネークと雄山の中の人って親子か…
578創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 23:27:22 ID:c2eYTzlK
ブラックジャックのアニメで「明夫!」って周夫氏が言う台詞があるんだぜ
かといってBJに言った訳じゃないが、周夫氏が決めたんだってよ。
579創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 01:07:42 ID:LaTrOAdj
ギャグに突っ込みを入れるのは無粋なんだが…。
呂布は孔明知らないんじゃね?
580創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 01:55:10 ID:EKSggmWR
噂程度には聞いてるんじゃね…?それとももっと根本的に知らないの?時系列的にとか作品的にとかの理由で
581創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 11:18:09 ID:pYovtKct
史実では呂布が殺されたのが198年、当時孔明17歳…
たぶんまだ田舎でだらだらしてる時代だな。
582創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 13:23:32 ID:LaTrOAdj
要するに多分、噂にすらなってないはず
まだまだ歴史の表舞台に出てきてないから
583創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 13:44:01 ID:MixSr2wn
iM@S演義からの呂布だしアイドルたちから未来を先取りして聞かされたかもしれないじゃない。
というかニコニコ三国志動画出展だしこまけぇこたぁいいんだよ!
584創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 13:54:04 ID:Q4o9gxgu
そうだ!あの世界は東方が魏国をもっこもこにしたり、何故かペリーが中国に来たり、劉禅が101匹になったり、反町隆史がアッーだったりするんだぞ!
585創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 14:37:59 ID:LaTrOAdj
iM@S演義はカオス路線の動画じゃなかったから何でもありとは違うと思ったんだがなぁ…。
あと、>>584
それはなんか違う気がするぞ。
586創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 15:03:38 ID:4gbGAdwD
呂布の現在位置おかしくね?
587創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 16:53:31 ID:Q4o9gxgu
>>585
おっとすまんすまん。歴史戦略ゲーと勘違いしてしまった。
言い直すなら、三国志だけじゃなくて、戦国時代にも大貿易時代にもアイドル達が何故か登場する。フラグが立つのは当たり前の世界…で良い?
最近アイマスの方を見始めたからさ、分かんなくて
588創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 17:18:24 ID:LaTrOAdj
>>587
? 言ってる意味がよくわからん。
フラグがどうこうとか、呂布が孔明知ってる事に関係あるんかい?
589創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 17:34:19 ID:Q4o9gxgu
あぁ、また誤解を与えてしまった。いや、てっきり俺は言ってる世界観が違うって思ってたから。
確かに諸葛亮はあの時はまだ登場してない…で、良いよな?im@s演義は通常の三国志をベースにアイマスを絡めたやつだし…
590創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 17:43:04 ID:EKSggmWR
1・呂布が孔明を知っているのはおかしい、でもネタだしいいんじゃね?
2・呂布が孔明を知っているのはおかしい、大したことでも無いから簡単な修正しておくだけでいいのでは?
3・呂布が孔明を知っているのはおかしい、このスレは終わりだ!

この3つから選ぶっていう簡単な話じゃぁないか
591創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 21:19:12 ID:QivmfL/S
4・ここはニコニコ動画バトルロワイアルである。
これでOK

別に展開に大きな支障が出るわけでもないし
592創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 22:51:56 ID:tkHLy4Wt
ちょっと思うんだが、したらばに仮投下した書き手さんは、仮投下したって事を本スレで告知しといた方がいいんじゃね?
今更になって指摘が出たって事は、したらば見てない、仮投下に気づいていない人が多いんだろうし。
勿論規制されて本スレに書き込めない人は仕方がないが…
593創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 23:25:31 ID:agngHD20
動画の内容的に孔明を賀斉と馬岱は知っている
が、呂布はまず知らないだろうな
それぞれの参加者は出典元の情報や性格を
ニコニコ的な二次要素を追加されたりはしているが守ってはいる
なのにニコロワだから細かい事はいいんだよってのは違うだろ

要するに何が言いたいかというと3が良いと思います。という話
594創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 23:27:52 ID:SHw3XgrE
真面目に、2で。
595創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 23:29:56 ID:agngHD20
長々書いといて選択肢間違えてた
本当に支持したかったのは2ね
596創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 23:33:16 ID:7nJiDzYZ
同じ三国志動画でもシリアスかカオスなのか把握しておくのは、
少なくとも出展作品把握の上で当たり前だと思うな。普通は2。
597創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 23:55:48 ID:6X0r9pEX
まあ、ちょこっと修正すればいいだけじゃね?
598創る名無しに見る名無し:2009/05/13(水) 19:05:59 ID:yRpKI6s4
>>592
そういうのは気付いた人が本スレに通知してくれると助かる。by規制経験者
599創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 21:56:28 ID:c/KxYkz3
保守
600創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 22:02:22 ID:FN4EyDNd
代理投下します。
―――以上です。第三回放送は六時間後となります


「…遅かったか」

目の前にあった映像が消えたのと同時に、美鈴は溜め息を吐いた。

『重音テト』

頭の中でその名前が反響している。
自分の主人…即ち、フランドールに探せと言われた名前。
まさか、こんな早くに命を散らしてしまうとは…。

「おい、紅」
「…美鈴でいいです」
「へっ、どっちでもいいがよ…悲しんでる暇はねぇみたいだぜ」

急に口を開いた志々雄は、後方に目を遣った。
何事か、と美鈴もゆっくりと振り向く。

「よぉ、鳥頭。こんなに早く会えるとはな」
「何ィ?…そうか、てめぇが志々雄真実か」
「…志々雄さんの、知り合いですか?」

美鈴が尋ねる。
左之助はその質問には答えず、志々雄に質問した。

「その二人は…お前の手下か?」
「…そいつぁ違うぜ。俺の仲間だ」
「仲間だと?」

左之助はその言葉に顔を顰めた。
そして、今度は視線を移すと美鈴に問う。

「本当か?」
「…ええ、まぁ一応。でも…」
「何?本当なのか!?」

左之助は驚き、声を上げた。
本当は『一時的に』なのだが、美鈴は苛立ちを感じて言うのを止めた。

そんな美鈴の気持ちもお構いなしに、左之助は思案する。

どうする…勘を頼りに志々雄を探し当てたはいいが、仲間がいるだと?
3人相手に勝てるのか?…いや、殺し合いに乗ってる奴を放っておく訳にはいかねえ!

「…マッハキャリバー、あいつらどう思う?」
『あの二人に関してはまだ分かりませんが、志々雄と言う男…
 口ではああ言っていますが、目を見る限り殺し合いに乗っているかと』
「俺もそう思うぜ。じゃ、止めなくちゃならねぇな!」
602創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 22:04:23 ID:FN4EyDNd

左之助は駆け出した。
繰り出すのは二重の極み。
マッハキャリバーで加速されている今なら、制限を無視した力が出せるはずだ。

「こちらの話も聞かないとは…敵と見ていいようだな」
「ちッ!!」

が、その攻撃は不発に終わった。
瞬時に飛び出したメタナイトは、突き出した腕を上から叩き落とした。
さらに、右手に構えたネギを左之助の頭めがけて振り下ろす。

「ちょ、ちょっと待って下さい!!」

――刹那、二人は後方へ飛んだ。
いや、正確には飛ばされたと言うべきか。
左之助が訳も分からず前を見ると、そこに立っているのは一人の女。

「えーと…私は紅美鈴です。
 名前を教えてもらえますか?」
「相楽左之助だ。今のは…お前がやったのか?」
「はい…怪我をしたなら謝ります。
 でも私たち、ゲームには乗ってないんです。
 志々雄さんとは一時的に行動を共にしているだけで…」
「一時的?そりゃどういうことだ?」

「同盟を組んでんだよ」

唐突に志々雄が口を開き、こちらへと近づいてくる。

「同盟?」
「ああ、どうやら体の調子が悪いみたいでな。今のところ殺し合いには乗ってねぇ。
 だからお前と戦う気はねぇ。って事でよ、ここは停戦にしねぇか?」
「…ふうん、悪くはねぇな」

「じゃあ交渉成立ってことで「だが断る」…あ?」

志々雄の表情が凍る。
それを見た左之助は勝利の笑みを浮かべて、言い放った。

「確かに…俺も調子が悪いんでな、全力じゃ戦えねぇよ。
 だけどよ、ここで退いたら"喧嘩"を売った俺の負けになっちまうだろ?
 それにお前が殺し合いに乗る可能性がある以上、放っておけねぇ」

「…成る程、確かに間違ってはいねぇ」

志々雄が刀を抜く。
その瞳は血が連想できるかの如く、紅い。
さらに全身から漏れる殺気は、ほんの数秒で周りの空間を覆い尽く――
603創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 22:05:31 ID:FN4EyDNd

――さなかった。

「だから俺は、お前達と一時的に同行する」

志々雄は、もう一度表情を凍らせた。
例えるなら…アイシクルフォールをEASYしかやったことがない人が、NORMALを初めて見たときのような。

(それは停戦を受け入れるって事じゃないのか?)

全員がそう思った。ただし、左之助を除いて。

「…俺が決めるわけにはいかねぇな。どうするんだ?」
「私は構わん」

志々雄の問いに、メタナイトは淡泊な返事を返した。
その許可を聞くと、左之助が我先に、と前に出た。

その様子を見ながら、志々雄は考えを巡らす。

メタナイトが俺を厄介に思ってることは知ってたが…
どうやら左之助が現れたことで本格的に考え始めたようだな。
ま、行動するにしても図書館についてから、か――?

志々雄の頭に、ある言葉が過ぎる。
無表情で、無個性で、何事にも無関心そうな女の声。

「…クク、主催者は俺の味方らしい」

太陽は、既に頂に昇っている。
つまり何れ落ちるという事だが―――

―――さて、先に落ちるのは日か、首か。
604創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 22:06:20 ID:FN4EyDNd
【D-4 草原/1日目・昼】
【志々雄真実@るろうに剣心(フタエノキワミ、アッー!)】
[状態]:数箇所軽い刺傷、右足に傷。いずれも処置済み
[装備]:日本刀@現実
[道具]:支給品一式、医療品一式、禁止エリア解除装置@オリジナル、スタポカード刺しクリップ@
Ragnarok Online、リボン@FFシリーズ、
[思考・状況]
基本思考:弱肉強食の理念の元、全員殺害し元の世界に戻って国盗りの再開をする。
1:メタナイトと美鈴、それに追随する参加者を利用する
2:出来るだけ多くの参加者と接触し、情報を得る
3:鳥頭(左之助)は殺せる状況が来たら殺す
4:余裕があれば禁止エリア解除装置を使った盛大な罠を張る
5:小僧(鏡音レン)を利用する。ドナルドがどう動くか気になる
6:次会ったらDIOを殺す
7:無限刃が欲しい
8:機会があれば首輪を調べる、その為の人材なら生かしてもいい

[備考]参戦時期は剣心が宗次郎戦を終えた時期からです。
※メタナイトが何かしてくると推測しています。


【メタナイト@星のカービィ(メタナイトの逆襲)】
[状態]顔面打撲、ゼロマスクメタナイト
[装備] ネギ@初音ミク(お前ら全員みっくみくにしてやるよ)、ゼロの仮面(顔が入るサイズに改造)@コードギアス
[道具]支給品一式、バトルドーム@バトルドーム 、割れた仮面@星のカービィSDX
[思考・状況]
基本思考:参加者の救出及びゲームからの脱出
1:図書館へ戻る
2:志々雄真実を強く警戒
3:美鈴の知り合いの情報集め
4:殺し合いに反対する者を集める
5:脱出方法を確立する
6:触覚の男との決着

※呂布との戦いでネギが2cmほど短くなりました。
※北に目撃した参加者は誠、南に目撃した参加者はキョン子とアカギです。
※E−2付近の川底で何か見たようです(気のせいという可能性もあります)
※フランドールと情報交換をしました。また、東方project出展のキャラについてそれなりの情報を得ました


【紅 美鈴@東方project】
[状態]健康、フランドールへの絶対的な忠誠
[装備]無し
[道具]支給品一式
[[思考・状況]
基本思考:参加者の救出及びゲームからの脱出
1:図書館へ戻る
2:志々雄真実を警戒
3:日没までに映画館へ戻りフランドールと合流する。フランドールの意思を最優先
4:十六夜咲夜を警戒
5:知り合いの情報集め
6:殺し合いに反対する者を集める
7:ちゃんとした剣をメタさんに持たせたい
8:脱出方法を確立する


※主催が簡単に約束を守ってくれる、とは考えていないようです。
※フランドールと情報交換をしました。
605創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 22:07:01 ID:FN4EyDNd

【相楽左之助@るろうに剣心〜明治剣客浪漫譚〜】
[状態]:健康
[装備]:マッハキャリバー(ローラースケート状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS リボルバーナックル@魔法少女リリカルなのはStrikerS 
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:これが俺だ。全部守って闘う。
2:三人と共に図書館へ
3:志々雄を警戒
4:二重の極みが打てない……だと……?
5:主催者相手に『喧嘩』する。
6:弱い奴は放って置けねぇ。
7:主催者になんとかたどり着く方法を模索する。
8:最悪の場合は殺す。でもそんな最悪の場合には絶対持ち込ませねぇ



【マッハキャリバー(ローラースケート状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 】
[思考・状況]
1:サノスケに同行する。
2:可能な限りの参加者を救助したい
3:志々雄真実を警戒
4:相棒……無事ですよね?



※マッハキャリバーの不調もサノスケの不調も制限によるものです。
※佐之助はマッハキャリバーを結構使いこなせていますが”完全”には使いこなせていません。
※佐之助の機動力はかなり強化されています。
※E-5の橋を通過した者のおおよその行き先を知りました。
※支給品について、マッハキャリバーから説明を受けましたが、若干事実とは異なっています。
※PDA(長)(携帯電話)を落としました。
※マッハキャリバーが意思を持っていることは気付かれていません。
606創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 22:07:55 ID:FN4EyDNd
代理投下終了。
607創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 23:16:53 ID:jFYxry2i
投下乙です。
うーん、冷戦状態で逆に危険度が増していく市街地……
爆弾一つ放り込めば大変なことになるな

ところでブロリーの件なんだけどいつまでも停滞させるのはアレだしどうしようか
608創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 23:20:56 ID:PEOh+YzZ
普通に予約解禁で良いと思う。
もちろん他の書き手が予約するより先に投下されるのが早い可能性もあるけど、一週間経ったしさすがにこれ以上は拘束できないと思う。
609創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 23:42:41 ID:g5fzakt6
EH氏の回答もあったし予約解禁で良いんじゃん?
もちろん、リアルの事情が片付いた後にEH氏が予約するのも良いと思うけど。
でも完成自体はしてるらしいんだよなぁ……投下する時間が取れないって事は相当な長編なんだろうか
610創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 23:46:52 ID:jFYxry2i
txtうpしてくれたら貼ってもいいんだが……
611 ◆CqqH18E08c :2009/05/15(金) 00:44:29 ID:M+LdTZnG
しゅうせいです
PCがいかれて涙目です
多分以下の通りでいいはずです


修正@

「これは鉄の塊か?一応中に入れるようで中々丈夫らしいが……中に入って……『ガチャッ』むっ!!
 でれん!そとにでれんぞ!!これは孔明の罠だ!!」



「これは鉄の塊か?一応中に入れるようで中々丈夫らしいが……中に入って……『ガチャッ』むっ!!
 でれん!そとにでれんぞ!!これはなにごとだ!罠か!?」


修正A
【B-3西南/一日目・日中】
【呂布@iM@S演義】



【C-4塚モール/一日目・日中】
【呂布@iM@S演義】
612創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 07:50:31 ID:zYpAXaC8
Fuck Jap【韓国ヒットチャートNO1!!!】
http://www.youtube.com/watch?v=eQck6z4q3_A
韓国で一時期ヒットチャートNO1になった曲です。
日本にはこの情報の事は隠蔽されています。
韓国の捏造された歴史と反日教育の賜物ですね。
流石、戦争で日本が負けた時に裏切った国のする事は違います。
613創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 19:53:55 ID:F1y8g7wK
ホテルって出入り口一つだけだった?
後、ドナルドがどこ撃たれたかは確認した限り
明確な描写ないから書き手任せでおkかな
614 ◆xHiHmARgxY :2009/05/15(金) 23:39:56 ID:syhHJLh+
ホテルの出入口については、一般的なホテルであれば本来の出入口に加え非常口・裏口・搬入口等の通用口が存在するのではないかと思います。
……執筆時にそこまで考えていた訳ではないのですが、タケモト・ドナルド・レンがホテルから出た際は東側に出たのに対し、レンがホテルに入っていった時点で彼らは西側にいたのですから、最低でも東西に出入口がある……筈です。

ドナルドの描写は暈しました。
撃たれて倒れた。以外の描写は次の書き手さん次第です。
ビリーと言葉も崩落した瓦礫に巻き込まれたかどうかは不明です。それも書き手さんにおまかせします。
615創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 06:48:50 ID:loH38ixd
わかりました
お答ありがとうございます
616創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 11:40:58 ID:K2+b6l0e
保守
617 ◆CqqH18E08c :2009/05/18(月) 08:28:53 ID:hX1yklJD
最近GENOウイルスってのがはやってるらしいから皆注意しとこうな

同人関連の被害もでかいし対策も遅れてるっぽいから安全と思ってても結構危ないかもしれないのぜ?
対策してなかったりするとどうやらその感染したサイトを見るだけで自分のPCに感染するらしいのぜ

再起動して青画面\(^o^)/ってなったら詰みでクリーンインストールしかなくなるから気を付けような!
618創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 08:29:41 ID:hX1yklJD
わーい、酉つけっぱだったよー
619創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 09:38:51 ID:Z3UAi9hn
Cqq氏になら、お尻……あげでも、いいんだよ?
620 ◆vXe1ViVgVI :2009/05/18(月) 19:35:14 ID:WI62jWHp
松岡修造、星井美希、ブロリー、サンレッド、ベジータを投下します
621創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 19:35:54 ID:FYqHFRMW
なあ……。

ここに投下があるという話なんだが、予定するサイズとこのスレの残り容量を考えるに、早急に次スレを立てた方がいいんじゃないか?
622 ◆vXe1ViVgVI :2009/05/18(月) 19:37:40 ID:WI62jWHp
修造はただ全力で駆けていた。
数時間前の諦めてしまった自分を振り切るように、ただ前へ前へ足を動かす。
自分より遥かに強い力を持ったベジータとサンレッド。
併走しただけでその圧倒的な身体能力が理解できた。
自分だってトップテニスプレーヤーとして、そしてテニスコーチとして身体を虐め抜いて来た男だ。
だからこそ分かる根本から違う二人の実力。
修練で身に付くものではない。生まれ持っての才能という奴なのだろう。
だから一度は諦めた。彼等の足手まといにならないよう、身を引いた。
その選択は確かに間違いではなかった筈だ。
格闘技など習った事のない自分がついて行った所で出来る事など限られている。
ならばせめて彼等の足を引っ張らないよう別れて行動した方がマシだ。

(でも、でもな……それじゃあ駄目なんだよ!)

そう、それではいけないのだ。
自分が自分である為にも、自分の信条を守る為にも、ここで諦めたらいけない。
ここで諦めたら、自分は一生あの言葉を叫ぶ事ができなくなる。
テニススクールの門下生やテレビを通して視聴者に語り続けた言葉―――「諦めんなよ」。
ここで諦めたら自分はこの言葉を吐く資格がなくなる。
だからこそ、走るのだ。一度諦めた自分を乗り越える為に、自分の生き方を証明する為に―――走るのだ!

「熱くなれ……熱くなれよ、松岡修造ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!」

その熱すぎる魂に金色の剣もまた呼応し、埋め込まれた宝石が眩い真紅を放つ。
 修造は走りつづける。その先に待つ未来を知らずに、ただ全力で走りつづける。



□ ■ □ ■



『あなたは何時までそうしているつもりですか?』

 もはや何度目か分からない言葉を私は、眼前のヘタレへと投げかけていた。
 森の奥深くからはいまだ響き渡るサンレッドとブロリーの戦闘音。
 それとは対照的に私の傍らで聞こえるものは、恐怖に身体を震わせ、覇気の欠片もない表情で地面を見詰めるヘタレの泣き言。
 このヘタレは戦闘が始まる寸前、戦いに巻き込まれないようサンレッドにより森の中へ蹴り飛ばされた。
 私――たこルカも同じくだ。サンレッドの手によりヘタレの元に投げ込まれた。
 サンレッド曰わく「お前達を守りながらじゃ戦えない」との事。
 確かにそうだろう。
 あのブロリーという男は余りに強すぎる。
 何故あのようなチート野郎を参加させたのか理解しかねる程に強い。
 誰かを守りながら奴と戦うなど、どんなヒーローであろうと出来る訳がない。

623 ◆vXe1ViVgVI :2009/05/18(月) 19:39:44 ID:WI62jWHp
「殺される、みんな殺される……奴は……奴こそが伝説のスーパーサイヤ人なんだぁ……」

 ヘタレは分かりきった事を、未だに呟き続けている。
 リピート機能でも備わっているかのように何度も何度も飽きもせず……この態度には流石の私も憤りを感じる。
 そんな化け物を相手にサンレッドは現在進行形で戦っているんだぞ?
 彼だって戦闘力の差は感じ取っている筈なのに、それでも諦めずヒーローとして戦っている。
 なのにお前はヘタレているだけか?

『ベジータ……ブロリーが強いのは分かります。ですが、ここでヘタレていても何時かは殺されてしまうんですよ?サンレッドという仲間がいる今が唯一の勝機だと思うのですが』
「馬鹿なことを言うな! 今の俺はスーパーサイヤ人にすらなれないんだぞ! むざむざ殺されにいくようなものだ!」
『……サンレッドはそのサイヤ人ですら無いんですよ?』
「知るか! 奴が勝手に戦っているだけだろう! それにあの時だって四人掛かりで戦っていた! なのに奴には傷一つ与える事が出来なかったんだぞ!
……勝てる訳がない。奴は強すぎる……みんな……みんな、殺されるんだぁ……」

 ……ヘタレとは思っていたがここまでクズだとは思わなかった。
 もし私に人間の身体があったらこの男をボコボコにしているだろう。
 本当にウザい。こんな奴が誇り高きサイヤ人とやらの王子とは、ギャグにすらなっていない。
 ……サンレッド、申し訳ありませんが、あなたには最も辛い役割を担ってもらう事になりそうです……。
 本当に申し訳ありません。頑張って下さい、サンレッド……!




□ ■ □ ■



 今まで色々な怪物と戦い、勝利してきた。
 苦戦をした記憶なんて殆どない。どんな怪物だろうとワンパンチで倒せたし、仮に攻撃を喰らった所でちょっと痛いだけだった。
 怪物の打倒よりも恋人の機嫌直しの方が、何倍も何十倍も難しいし、何倍も何十倍も気を使う。
 そもそも俺の街にいる悪の組織はやる気があるのか、ないのか分からない集団である。
 世界征服よりも近所付き合いを尊重し、ただそのクセ立ち向かってくる事は止めない。
 だから、俺も奴等をボコボコにする。
 しっかりと実力差を見せ付け、反抗する気が起きないように完膚無きまでボコる。
 ほっといたところで街の住民に危害をもたらす事は絶対にないが、取り敢えずボコる。
 機嫌が悪い時などはやりすぎてしまい、結構な怪我を負わせる事もあった。
 寧ろコッチからいちゃもんを付けてボコボコにした事もあった。
 その度に奴等は敬語で謝りながら帰っていく。
 だが、何時まで経っても奴等は俺に挑む事を止めない。

 俺には理解できない行為だった。
 万が一にも勝ち目の無い相手に突っ込んでいき、その度にボコボコにされて、それでもまた挑んでくる。
 バカとしか思えない行動だったし、俺には一生理解できない事だと思っていた。
 でも、今なら奴等の気持ちがほんの少し分かる気がする。
 勝ち目の無い敵に挑み続ける奴等の気持ちが―――。



624創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 19:43:18 ID:wUEBIrfI
こんばんはー!
支援くん、いますかー?
625創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 19:43:47 ID:QFj7qF2O
\支援するぞ!/
626創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 19:43:52 ID:FYqHFRMW
おおぅ……。

始まってたか!

宜しい。ならば支援だ!
627 ◆vXe1ViVgVI :2009/05/18(月) 19:44:39 ID:WI62jWHp
>>621
確かにそうですね・・・では容量がギリギリになったら仮投下スレに投下したいと思います


 ドスン、という地面との激突音が遥か遠くに漂っていた意識を現実へと引き戻した。
 覚醒と同時に騒ぎ立てるのは痛覚。身体中から鈍い痛みを感じる。

「……ハー……ホントに化けもんかよ、奴は……」

 だが、このままお寝んねという訳にはいかなかった。
 痛めに痛めつけられた身体に鞭打ち、必死の思いで立ち上がる。
 ……あー、しんどい。立ち上がるって行為も存外体力使うんだな。
 身体はフラフラと揺れ、視界はボンヤリとぼやけている。だが、そんな状態でも、あの筋肉ダルマは簡単に発見する事ができた。
 相変わらずの筋肉に相変わらずの笑顔を携え、こちらを見詰めている。
 ……見れば、見るほどムカつく顔してんなコイツ。あーぶっ飛ばしてえ。

「おとなしく殺されていれば痛い目にあわずにすんだものを……」
「うっせえ、黙れ。ウザいんだよ、声がよ」
「チッ……クズが…!」

 悪態を吐くと同時に、筋肉ダルマがその見た目からは想像も出来ない程のスピードで疾走を始める。
 しかも、惚れ惚れするくらいに綺麗な走行姿勢だ。陸上選手か何かかコイツは?
 俺も両脚に渾身の力を込め、筋肉ダルマのドテッ腹目掛けて疾走する。
 タックルとタックルのぶつかり合い―――スピードとパワー両方の要素を組み合わせた力比べだ。
 こう見えても、どんな怪物相手にも力負けもスピード負けをした事はない。
 例え相手が俺よりもずっと体格の良いマッチョであっても、本気を出さずにぶっ飛ばす事ができる。
 だから今回も突っ込んだ。手加減無しの本気で。
 俺と奴のスピードも相成ってか、互いの身体が接触するのに一秒も掛からなかった。
 ドゴッと鈍い重低音が周囲に響き渡る。

「なんなんだぁ、今のは」

 その言葉が耳に届いた時には、既に身体は紙切れのように空中を舞っていた。
 この世から重力が消失したんじゃないか、と思わせる程の勢いで、俺の身体は後方に飛んでいく。
 衝突による力の均衡など刹那ほどの時もなかった。
 触れると同時に、逆バンジーをしたかのように重力の支配下から抜け出していた。
 戦闘が始まってから何度目かの地面との激突。
 一瞬、視界が漆黒に染まり、続いて内臓を揺さぶられた事により吐き気が込み上げてくる。

「どうした、終わりかぁ?」

 頭上から聞こえてくる奴の言葉からは寸分のダメージも感じられない。
 コッチは身体中痛えっつーのに、どういう身体してやがんだ奴は?
 ハー……マジでキツい……てかコイツ優勝で良いだろ、もう……誰が勝てんだよ、こんな化け物……。
 そんな諦めの気持ちさえ心の中では芽生え始めている。

「ほぅ、まだ立ち上がるか……」

 だが、そんな思考内容に反して身体は動いていた。
 馬鹿みたいに痛む身体を無理矢理に動かし、立ち上がる。
 こんなキツい目に合うくらいならサッサと気絶した方がずっと楽なのになぁ。
 勝機の欠片も見えない相手に何をするつもりなんだよ、俺は。
 このまんまお寝んね決めちまっても良いじゃねぇか。
 勝てっこねえ化け物相手に良く頑張ったって。

628 ◆vXe1ViVgVI :2009/05/18(月) 19:45:58 ID:WI62jWHp
「へぇあ!」

 顔を上げると同時に視界が肌色の何かで埋め尽くされる。
 同時に衝撃。そしてブラックアウト。
 またもや身体が不快な浮遊感に包まれ、地面に墜落する。

「ハーッハッハッハッハッハ! その程度のパワーで俺を倒せると思っているのか? お前バカですかァ!」

 真っ暗闇の中、もはや聞き慣れた奴の高笑いだけが響き渡る。
 ……確かにバカとしか思えねぇよな……ただ殴られる為だけに立ち上がって……
 んでやっぱり殴られて……もう充分だろ……ヒーローとして勇敢に戦ったって……。

「クズが……まだやる気か……!」

 ――でも何でだろうな。
 立ち上がっちまう。戦意なんてとうの昔にへし折られてんのに、身体は動きを止めねえ。
 立ち上がり、奴を睨んでいる。

「―――俺は……ヒーローだ……」

 遂には口までもが俺の意志から脱却し、勝手気ままに動いている。
 そんな分かりきったことを、今更、しかもこんな化け物に伝えてどうすんだよ。
 そんな無意味な事するくらいなら寝かせてくれよ、頼むから。

「分かるか……? 俺はヒーローなんだ……プー太郎のヒモ野郎でも……近所付き合いもできねぇチンピラ同然の男だとしても……俺はヒーローなんだよ……!
だから……負けられねぇ! どんな絶望的な状況だろうと、諦めちまったら……諦めちまったらヒーローじゃなくなるんだよ!」

 ……カッコ良いじゃねぇかよ、おい。
 ……そうだよ、俺はヒーローだ。
 平和を守るために悪と戦い続けてきた、これからも戦い続けていくヒーローなんだ。
 だから俺は立ち向かうんだ。どんな化け物が相手でもそいつが悪ならば俺は戦わなくちゃいけない。
 それがヒーロー、それが天体戦士・サンレッドだ。

「行くぜ、化け物……」

 ようやく俺にも理解できた。奴等が負けても負けても俺に挑んでくる理由が。
 奴等は「悪の組織」なんだ。
 どんなにお人好しでも、どんなに弱くても、世界征服と同じくらい近所付き合いを大切にするようなバカだとしても―――奴等は「悪の組織」だ。
 だから「ヒーロー」を倒す為に挑み続ける。
 だから勝ち目の無い勝負を何回も持ち掛けてくる。
 それが「悪の組織」だから……「ヒーロー」を倒す事、それが「悪の組織」の役割だから―――奴等は俺に挑んでくるのだ。
 奴等は何度ボコボコにされても「悪の組織」を止めなかった。
 それこそ、今の俺以上にボコボコにされたとしても「悪の組織」を続けている。

 ―――なら、俺は?

 自分より強い「悪」に出会い、ボコボコに痛めつけられ殺されかけている「ヒーロー」はどうするんだ?
 ……答えは決まっている―――戦うんだ。
 何度殴られようとも、何度吹き飛ばされようとも、何度死にかけようとも―――「ヒーロー」として戦い抜く。
 身体が動く限り、意識が保つ限り、「ヒーロー」として立ち上がるんだ!
629 ◆vXe1ViVgVI :2009/05/18(月) 19:47:02 ID:WI62jWHp
「……ふん、いくら粋がろうとクズは所詮クズなのだ!!」

 ぼやけた視界の中では「悪」が依然変わらぬ笑みを浮かべている。
 ならば、戦う。「悪」を滅ぼす為、罪無き人々を守る為、「ヒーロー」は立ち向かう。

「正義の光で闇を消し去る! 天体戦士・サンレッドがてめえを討ち滅ぼす!」
「来い、虫けらがァ!」

 さっきまでは砂袋でも背負ってたかのように重かった身体が、気付けば嘘のように軽くなっていた。
 これで「ヒーロー」としていられる時間がほんの少し伸びた。嬉しい限りだ。
 両の脚で地を蹴り、一瞬でトップスピードに加速する。
 振りかぶるは全身全霊を込めた右腕。
 助走で得たスピードに渾身の力を掛け合わせて、あの化け物に一発ぶち込む。
 奴もまたこちらに合わせるように右腕を振りかぶり、力を溜めていた。
 良いぜ、全力と全力のぶつかり合いだ。さっきは一方的に殴られちまったが、今回は違う。
 力負けしたとしても、意地で俺の拳を奴の顔面に押し込んでやる。
 相打ちという名のカウンターだ。
 てめー自身の力が上乗せされた一撃なら、流石にダメージあるだろ。

 一秒にも満たない僅かな時間の筈なのに、その光景は面白いほどゆっくりに見えた。
 もちろん俺自身の動きもゆっくりだ。
 一歩、一歩距離を詰め、遂に互いの拳が届く間合いに入る。
 奴の丸太のような腕がゆっくりと伸びてくる。
 俺もまた腕をゆっくりと伸ばしていく。
 全てがコマ送りのように流れていき―――そして、拳が交差する。



□ ■ □ ■



 いまだ走り続けている修造の耳に、ズドン―――という異常な音が遠方から届いた。
 音の大きさが異常なのではない。その音の種類が異常だったのだ。
 この音が、爆発音や建物が崩れる際に生じる破砕音ならまだ分かる。
 ここまで届く程に規模の大きい爆発や破砕が発生したという事だからだ。
 だが、先ほど響いた音は違う。
 それは人を殴った際に生まれる鈍い音……それを何倍も何十倍も大きくしたかのような音。
 それなりに遠い地点から修造が走っていた地点まで届く打撃音―――まず有り得ない音であった。
 そんな威力の打撃を放てる者など存在する訳がない。少なくとも常人には到底不可能な事だ。

「……ちょっと待てよ。確かに俺や美希には無理かもしれないよ? でもベジータやサンレッドならどうかな〜」

 そう、常人離れした身体能力を持つサンレッド達ならどうだろうか。
 彼等が全力で戦えばこれだけの打撃音を起こせるのかもしれない。
 ……裏を返せば、全力で戦わなければならないほど彼等が苦戦しているとも言えるのだが。

「よし、行ってみるか!」

 思考時間も僅かに修造は進むべき道を決断する。
 彼が選択したのは音の発生方向の探索。
 何の手掛かりもなしに走り続けるよりは、少しでも二人のいる可能性が高い場所を探した方が良い。
 そう考えた修造は、身体の向きを変えそしてまた直ぐに走り始める――その時だった。
630創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 19:48:00 ID:wUEBIrfI
規制が怖いって言われた時にぃ、じゃあ支援活動できるじゃない!
631創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 19:48:39 ID:FYqHFRMW
>>627

了解なんだぜ!

投下頑張ってなんだぜ!

でも、携帯からだからそっちの方の支援は出来ないんだぜ!

ごめんねだぜ!
632 ◆vXe1ViVgVI :2009/05/18(月) 19:48:51 ID:WI62jWHp
「見つけたのーーーーー!!」

 ――腰まで伸びた鮮やかな金髪を左右に振りながら、一人の少女が現れたのは。

「美希!」
「しゅーぞーさん、しゅーぞーさんなの! 良かった、良かったのぉ!」

 全力疾走の勢いそのままに、森林から現れた少女――星井美希は修造に抱き付いた。
 唐突の抱擁に修造は驚いたように目を見開き、困ったように美希の両肩に手を置く。

「ううっ……しゅーぞーさん……しゅーぞーさん……」
「落ち着いて、落ち着いて……焦らない、焦らない」

 あれからずっと美希は、当ても無く森林を歩き続けていた。
 ルガールは死に仲間は誰も居ない状況で、後方から聞こえる地響きにビクつきながら此処まで歩き、そしてようやく再会を果たしたのだ。
美希は、修造の懐の中で泣いていた。
 それを見た修造は優しげな表情を浮かべ、美希の頭に右手を移動させる。
 その傷だらけの身体を見れば、自分と別れた後に美希がどのような目に会ったのかが分かる。
 辛いことがあったんだろう。怖いことがあったんだろう。
 だが、それでも美希は諦めずに生き抜いてくれた。
 心の底から修造は安堵を覚え、また罪悪感も覚えていた。

「美希は頑張ったよ。本当……よく頑張った!」

 安心させるように頭を撫でながら、修造は悔しさに唇を噛む。
 あの時、気絶せずに美希に付いていてやれれば……そう思わずにはいられなかった。

「ごめんな、本当……」
「……ううん、大丈夫なの……いきなりゴメンナサイなの、しゅーぞーさん」

 気付けば美希は泣き止んでいた。
 このような感情の起伏の激しさもまたゆとりらし―――いや、今回は違う。
 泣いてばかりはいられない……それが彼女の意志。それは彼女なりの成長の証であった。
 そして、美希は修造と別れた後、どのように行動してきたかを語った。
 オアシスで休憩したこと、身体がゴムのようになってしまったこと、川に流れていたルガールを助けたこと、ブロリーとの出会い、逃走、ルガールの死……全てを語った。

「ブロリー……」

 それは修造にとって記憶に新しい名前であった。
 ベジータがビビりまくってた、その名前。
 あれだけの身体能力と自尊心を誇るベジータが恐怖を抱く相手だ。やはり相当に凶悪な敵なのだろう。

「……多分さっきの変な音もブロリーがやったの……」

 修造は思考する。そして確信する。
 戦っている。サンレッドとベジータがブロリーと戦っている。
 根拠はないが修造は確信した。

「……美希、ここを真っ直ぐ行ったところに大きなお屋敷がある。そこで待ち合わせしよう」
「へ? 待ち合わせ……ってしゅーぞーさんは?」
「俺は行くよ……いや、行かなくちゃいけない。サンレッドの元に、ベジータの元に」
「ダ、ダメなの、しゅーぞーさん! ルガールさんだって殺されちゃったの! しゅーぞーさんじゃ勝てる訳ないの!」

633 ◆vXe1ViVgVI :2009/05/18(月) 19:50:04 ID:WI62jWHp
 修造が何処に向かおうとしているのか、美希にも何となく理解できた。
 だからこそ必死に止める。
 このままでは死んでしまう。
 自分を逃がすためブロリーに立ち向かったルガールのように……修造が死んでしまう。
 それが分かっているからこそ、悲痛なまでの叫びを挙げて修造を制止する。

「―――諦めんなよぉぉぉおおおおおおおお!」

 だが、当然の如く炎の妖精には届かない。

「何でそこで諦めんだよ! ダメ? 勝てる訳ない? 殺される? でもそんな奴に立ち向かってる人もいるんだよ! ホントのことを言えば俺だって怖い。
でも、戦ってるんだよ! 彼等だって怖い筈なのに、それでも戦ってるんだよ!」
「でも……それでもダメなの! しゅーぞーさんが死んじゃうくらいなら、私は熱くならなくても良い!!」

 だが、対する美希も負けてはいない。
 美希はブロリーの強さを身を持って体験している。
 だから分かる。修造ではブロリーに手も足もでない事を。
 このまま修造を向かわせたら、死んでしまう。それだけは絶対に嫌だった。
 地球温暖化の原因とされる修造の熱血をぶつけられても、それだけは揺らがない。
 揺らぐ訳にはいかなかった。

「……分かった。凄い気持ちのこもった言葉だった……美希の気持ちは本当に良く分かった」
「……なら」
「でも、俺は行かなくちゃいけないんだ。だから――」

 修造は優しげな微笑みを浮かべたまま、言葉を区切り、そして同時に美希へとデイバックを放り投げた。
 一瞬、美希の脳内に『?』マークが浮かぶが、美希はそれを難なくキャッチする。
 そして修造に対し疑問の声を上げようとしたところで―――修造の行動の真意に気付く。

「しゅーぞーさん!」

 美希の意識が、デイバックに集中したほんの一瞬の内に、修造は走り出していたのだ。
 元世界トップレベルのテニスプレーヤーであり、現在は英才テニススクールのコーチをしている修造。
 二十年以上に渡るテニス人生により鍛えられた走りは、少なくとも美希よりはずっとずっと早い。
 一度距離を離してしまえば追い付く事は難しい。

「駄目なの、しゅーぞーさん!」

 美希の右手が勢い良く修造へと伸びていき、その肩を掴む。が、直ぐに引き剥がされる。
 ゴムゴムの実、本来の能力者なら修造を引き寄せる事も容易であろうが、美希はただのアイドルだ。
 純粋な腕力で元トッププロテニスプレーヤーに勝てる訳がない。

634創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 19:51:23 ID:FYqHFRMW
支援入り☆パスタライス!
635創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 19:53:55 ID:68P0mIfA
支援ーーーーー!
636創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 19:57:20 ID:dxCmK5QA
支援
637創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 20:10:45 ID:FYqHFRMW
仮投下スレに移ったか……。

誰か次スレ立てれる人います?
638創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 20:23:49 ID:QFj7qF2O
次スレ立ててみる
639創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 20:29:39 ID:QFj7qF2O
次スレ立てた
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1242645916/

代理投下もしてみる
640代理投下:2009/05/18(月) 20:30:53 ID:QFj7qF2O
58 : ◆vXe1ViVgVI:2009/05/18(月) 19:54:59 ID:3QzXyS960
「しゅーぞーさん!」
「美希! 待ち合わせ場所はお屋敷だからな! 忘れるなよ!」

 どんどんと離れていくその背中を美希は見詰める事しかできない。
 念願の再会を果たした二人は十分も満たない間に再び別れ離れになっていく。
 その一部始終を黙して見ていたモノは一振りの剣。
 修造の姿が深淵の森に消えていった事を確認した後、彼は沈黙を破る。

『……屋敷に向かうぞ。奴が無事に帰ってくるのを待つしかあるまい』

 邂逅の中、沈黙を守り通してきたのはディムロスなりに空気を読んだ結果であった。
 人間性を計れた時間は僅かであったが、彼も修造には好感を持っていた。
 その修造を早々に死地へ向かわせてしまったのだ、彼もまた後悔の念を感じているのだ。

「はい……なの……」

 消沈しきった表情を張り付かせ、美希は歩き始める。
 その歩みが向かう先は、修造が言っていたお屋敷がある方角。
 思いがけない再度の離別にショックを隠そうともせず、美希は進む。
 修造とは真逆の方向へポツリポツリと進んでいく。



□ ■ □ ■
641代理投下:2009/05/18(月) 20:33:01 ID:QFj7qF2O
『なんでしょう、今の音は……』

 人が殴打される音は先程から何回も何十回も聞こえていた。
 だが、今回の音は一際大きい。超人同士がぶつかり合っているにしても、あまりに異常すぎる音であった。
 何か決定的な時が訪れてしまったかのような――異常な音。
 幾ら身体を動かしたところで所詮私はたこ。
 鬱蒼と茂る植物に遮られその激闘を見る事すら出来ない。
 隣の男に運んでもらえば事は簡単なのだが、頼んだところでこのヘタレは動かないだろうし、そもそもこんなヘタレに物を頼むなどこちらから願い下げだ。

「ダメだ……殺される……俺たちはもう終わりなんだぁ……」

 流石の私も堪忍袋の尾が切れ掛けていた。
 何時までヘタレれば気がすむのだ、コイツは。
 気付けば私は怒声を吐こうと口を開いていた。
 もう、限界であった。このヘタレは見るに耐えない。

『ベジータ! 良い加減に―――』

 だが、私は内に貯まった怒りの全てを吐く事ができなかった。
 何故か、身体が空を飛んでいたからだ。
 いや、身体が一人でに飛んでいる訳ではない。遠くから何かが飛んできて私にぶつかったのだ。それに押される形で私は宙に浮いている。
 相当な勢いで飛んできたのだろう、もう五秒は滑空しているが勢いは弱まる気配を見せない。
 そして更に五秒後、もの凄い衝撃と共に私と謎の飛行体は滑空を止める……というか、止めさせられた。
 どうやら樹木の一本に激突したみたいだ。
 上に飛んできた何かが乗っ掛かっているらしく、視界は全てが黒に染まっている。
 ここは何処……っていうか何が飛んできたんだろうか?

「な、何が起きたんだ……? まさかブロリー!?」

 ヘタレの恐怖に震える声が何処からともなく聞こえた。
 ……どうやらヘタレも巻き込まれたようだ。別にどうでも良いけど。
 気を取り直し、私は現状からの脱出を試みる。
 これでも私は軟体動物。重圧から逃れるのにそう時間は掛からなかった。
 ようやく光を取り戻した私が、まず最初に確認したのは謎の飛来物の正体。
 地面を這い進み、謎の飛来物が一望できる位置に移動する。
 そこで私が見た光景は信じられない、いや信じたくない光景であった。

『サ、サンレッド……』

 そこにはボロボロの黄色い服を羽織った覆面の男――サンレッドがいた。
 気を失っているのか、サンレッドは脱力しきっている。
 よくよく見ると真紅の覆面は土埃にまみれており、短パンやTシャツから伸びた両手足も傷だらけ。
 一目で満身創痍だと分かるその風貌に私は言葉を失ってしまう。

「……お……ルカじゃねーか……何してんだよ、此処で……」

 そんな私の目の前で、サンレッドは唐突に意識を取り戻した。
 上半身をムクリと起こし、疲れ切った笑顔を見せながら私に声を掛けてくる。

『サンレッド……あなたは……』
「……あーいてー……何とか一発ぶち込んだ筈なんだけどな……奴はどーなった……」

 何を……何を言っているのだ。
 そんなボロボロな身体で何故そんな笑っていられる、何故戦うことを考える。
 あの化け物を相手にあなたがどれだけ頑張ったのか、その姿を見れば直ぐに分かる。
 もう寝ていて良いんだ。私達など放置して逃げ出しても良い。
 もう、あなたは充分すぎるほど頑張った……。

「あの程度の一撃で俺を殺せると思っていたのかァ?」
642代理投下:2009/05/18(月) 20:34:22 ID:QFj7qF2O
59 : ◆vXe1ViVgVI:2009/05/18(月) 19:55:59 ID:3QzXyS960
「……ノーダメかよ……流石にキツいぜ、おい……」

 ふと私の後方から聞き覚えのある低い声がした。
 私の後方……つまり、私と向かい合う形で座するサンレッドからすれば正面。
 サンレッドは呆れたような表情と共に緩慢な動作で立ち上がる。
 私もゆっくりと後ろに振り返る。
 人間の限界点を遥かに超越した、気味が悪い程に膨れた筋肉を携え、奴はいた。
 金髪白目の筋肉ダルマ――ブロリーが立っていた。

「そこに隠れていたのか、クズが」

 悪魔のような笑顔を浮かべ、ブロリーが口を開く。
 その視線はサンレッドではなく、その下敷きにされているヘタレ、もといベジータへと向けられていた。

「……あ、ベジータいたのか……わりい、気付かなかったわ……」

 今更気付いたのか、サンレッドも慌ててベジータから足をどかし、地面に下りる。
 ヘラヘラと軽い調子で笑ってはいるが動きは遅い。ダメージが深刻な域に達している事が傍目にも分かる。

「お前はこのクズを殺した後にゆっくりと時間を掛けて血祭りに上げてやる。残り短い人生をそこで震えて過ごしているが良い」
「……安心しろ、ベジータ……俺の目が黒い内は……奴に手を出させねーよ……」

 虚勢に塗り固められた台詞と共にサンレッドが動き出す。
 それは、これまでの緩慢な動作が嘘であったかのような信じられないスピードであった。
 少なくとも私には、サンレッドが消えたようにしか見えなかった。
 私が気付いた時には、サンレッドはブロリーの直ぐ近くに接近しており、彼が放った正拳突きがブロリーの顎に食い込んでいた。
 私の知覚を越えた超速の攻撃。これだけのスピードなら重さも相当なものになる筈だ。
 常人なら即死、人外の化け物だとしても大きなダメージを受けるだろう。
 痛みに顔を歪めるのか、僅かに後退を見せるのか……私は多少の期待を持ちながら、ブロリーの反応を伺っていた。

 だが、その期待も一秒後には絶望に移り変わる。

643代理投下:2009/05/18(月) 20:35:34 ID:QFj7qF2O
ブロリーは寸分も動かない。笑ったまま、ただ立ち尽くすのみ。
 後退は愚か、表情一つ眉一本たりとも動かそうとしない。
 これが圧倒的な実力差……このヘタレにほんの少しだけ共感を覚える自分がいた。

「……ヘラヘラヘラヘラと……笑ってんじゃ……ねぇ!」

 それでもヒーローは手を止めない、諦めない。
 両手両足を用いての目にも止まらぬラッシュ、ラッシュ、ラッシュ。
 何十発もの拳と蹴りが暴風雨のようにブロリーへ襲いかかる……が、ブロリーはその全てをことごとく回避する。
 スウェーやダッキングを駆使し、その場から一歩たりとも動く事なく、避ける。
 そして数秒間の回避の後、ハエを振り払うかのように軽く右腕を横に振った。
 サンレッドの顔面に吸い込むように命中するブロリーの拳。
 たったそれだけの軽い動作で、サンレッドの身体が易々と吹き飛ぶ。

 ……奴は遊んでいた。

 ……あのサンレッドが死力を尽くして戦っているというのに……あのサンレッドがボロボロの身体で立ち向かっているというのに……奴は遊んでいるのだ。
 奴がほんの少し本気を出せば、サンレッドの命の灯は儚く消えてしまうだろう……それ程までにサンレッドとブロリーとは実力差がある。
 このままではサンレッドは散々にいたぶられた後、確実に殺される。
 悔しかった。一介のたこである私が言うのも可笑しな話であるが、ただただ悔しかった。
 自分にも力があれば……いや、力でなくても良い。
 奴に立ち向かえる五体があれば、殺されるとしても少なくともサンレッドに全てを背負わせずにすむ。

『サンレッド……』

 地面をゴロゴロと転がったサンレッドは、それでもまたゆっくりと立ち上がる。
 この男は……このヒーローには何が見えているのか?
 勝ち目が無いことは彼自身が最も理解している筈なのに、何故このヒーローは戦うのだ……。

『……っく……! ベジータ! 彼に、サンレッドに力を貸してあげて下さい! このままでは彼が殺されてしまう!』

 ヘタレは四つん這いの体勢で地面を見詰めたまま、死んでしまったかのようにピクリとも動かない
 この期に及んでヘタレようと言うのか、この男は。
644代理投下:2009/05/18(月) 20:36:29 ID:QFj7qF2O
60 : ◆vXe1ViVgVI:2009/05/18(月) 19:56:53 ID:3QzXyS960
『あなたにはあのサンレッドの姿があなたには見えないんですか!? 彼は私達の為に戦っているんですよ! 私のような弱者を、あなたのようなヘタレを守る為、ボロボロの身体で戦っている!
そんなヒーローを見殺しにするんですか!? 誇り高きサイヤ人の王子とはそんなヘタレ野郎なんですか!!』

 渾身の叫びであった。
 しかしそれでもこのヘタレは動かない。
 虚ろな瞳で地面を見詰め、ブツブツと何かを呟いているだけ。
 遂には怒りすら通り越し、呆れすら覚える。この男はもうダメだ。
 こんな奴に望みを掛けていた事自体がそもそもの間違いだったのだ。
 私は未だ続く虐殺ショーへと顔を向け、思い切り身体を膨らませる。
 視界の中では、サンレッドの猛攻をブロリーが笑いながら避け続けていた。
 ベジータはともかく、一介のたこである私などは完全に意識の外だ。
 これなら……いける。私は口を窄め、全力で『それ』を吐き出した。

「へぇあ!?」

 『それ』―――タコ墨を頭から掛かったブロリーが驚いたような声を上げる。
 完璧であった。ブロリーは頭から顔面、胴体に掛けてまで墨で真っ黒になっている。
 視界も墨に塗りつぶされている筈だ。

『今の内です、サンレッド!』
「なっ……お前なにやってんだよ!」
『答えてる暇はありません! 早く、今の内に逃げ――― 』



―――デデーン♪



□ ■ □ ■



645代理投下:2009/05/18(月) 20:37:38 ID:QFj7qF2O
当たらない。何度拳を振り回しても何度蹴りを放っても、奴は最小限の動きで全てを回避する。
 全く話にならねえ。
 奴が手を抜いているのが、俺を相手にして遊んでいるのが、痛い程に分かる。
 無い頭で考えた渾身の相討ち作戦も、俺がものの見事に吹っ飛ばされて終わった。
 しかも、何やらたこルカやベジータまで巻き込んでしまったらしい。
 笑えもしねえ、絶望的な力の差。
 だが、引かねえ。そこで見ているたこルカやベジータを殺させない為にも、身体が動く限り戦い続けてやる。
 俺は全力を持ってブロリーへとラッシュを仕掛けた。
 その巨体からは考えられない程の身軽さ、敏捷性で、ブロリーはその悉くを避ける。
 身体中の所々に小さな傷をあるが、あの筋肉ダルマ形態になってからは――つまり俺との戦闘では――傷一つ負っていない。
 爆弾が埋め込まれてる筈の首輪もない。
 パワー、スピード、タフネス……全てに於いて次元が違う完全無欠の化け物。
 しかし、そんな奴にも弱点があるらしい。
 それは腹部のある一点と右足首。
 何十回も何百回も攻撃をしている内に気付いた。確信はないが、奴は明らかにその二カ所を優先的に守っている。
 とはいえ、それが勝利に繋がるかというとそうでも無い。
 顔面などの攻撃はたまに当たってくれるが、弱点への攻撃は全て防がれる。
 そもそもの実力差があり過ぎて、弱点に触る事さえ難しい。
 ……何とか……何とか奴の弱点に全力の拳を叩き込めれば……!
 だが、そんな思いも虚しく、奴は俺の攻撃の全てを回避し続ける。

 ―――しかしチャンスは唐突に訪れた。

「へぇあ!?」

 唐突に、奴の頭上から真っ黒な液体が落ちてきたのだ。
 奴はふざけたような声を上げ、慌てた様子で顔を拭う。
 だが、拭えば拭うほど液体は奴の顔に塗り込まれていき、奴の視界を奪う。
 何が起きた?
 少なくとも俺が何かをした訳じゃあない。
 俺は愚直に攻撃を続けていただけだし、俺のパンチやキックにこんなの特殊能力はない。
 混乱を覚えたまま、俺はその謎の液体が飛来してきた方に顔を向ける。
 そこには、「計画通り!」という顔でこっちを見るタコがいた。

『今の内です、サンレッド!』
「なっ……お前なにやってんだよ!」

 どんだけの化け物に、どんだけの事したか分かってんのか、コイツは!?
 見ているだけなら、少なくとも俺が殺されるまでの間は無事でいれたんだぞ!?
 なんでわざわざそんな喧嘩を売るような真似を!?

『答えてる暇はありません! 早く、今の内に逃げ――― 』

 ―――ルカが取った行動は最悪の行動だった。
 墨を掛けた事もそうだが、それ以上にマズい事をコイツはした。
 ……声を上げてしまったのだ。
 今現在ブロリーは視界が塞がっている。
 黙っていれば誰がこの不意打ちをしたのか、気付く事はなかった筈だ。
 だが、たこルカは声を上げた。
 俺に逃げろと伝える為、大きな声を上げてしまった。
 舌打ちと共に奴の右手から放たれたのは、緑色の光弾だった。
 俺が気付いた時にはそれはたこルカへと一直線に向かっていて……届かない事を理解しつつも俺は必死に腕を伸ばし……ルカは光弾の存在に気付く事すらできずに、
646代理投下:2009/05/18(月) 20:38:42 ID:QFj7qF2O
61 : ◆vXe1ViVgVI:2009/05/18(月) 19:57:36 ID:3QzXyS960
 ―――デデーン♪



 ―――気の抜けた不思議な音と共に、たこルカは緑色の爆風の中へ消えていった。

 一瞬で膨張した爆風は一瞬で収縮し、そして消えた。
 後に残るは見るも無残な破壊痕だけ。
 鬱蒼と生い茂ていた雑草も、天に向かい高々と伸びていた木々の数々も、―――あの紫色の足を持つ奇妙なタコも、―――その死体さえ、ない。
 残されたのは綺麗な円形のクレーターだけ。






 俺の中で、何かが切れた音がした。






「ブゥゥゥゥゥゥゥゥロォォォォォォォォリィィイイイイイイイイイイイイーーーーーーー!!!」

 型も何もあったものではない。
 がむしゃらに、怒りに全てを任せて放った一撃。
 それがブロリーの腹部へと一直線に伸びていく。
 奴の視界は回復していない。

 ―――会心の一撃が奴の腹に命中した。

 傷口から腕を無理矢理にねじ込み、その鋼鉄のような筋肉の中へ侵入させる。
 そして、その筋肉に守られる形で存在する内臓へ拳を振り抜く。
 拳から伝わるぶよぶよとした気持ちの悪い触感。
 傷口から噴出する気味の悪い緑色の血液。
 まだ終わらせない。終わらせてたまるか。
 泣き喚いても、泣き叫んでも、命乞いをしたとしても、この拳は止めない。
 てめえの命を奪うまで、絶対に拳は引き抜かない。
 てめえは俺を怒らせた。

「うぅぅぅぅぅぅおおおぉぉぉぉぉおおおおおお!!?」

 だが、この化け物の強さに比べだら、俺の決意はあまりにちっぽけなものでしかなかった。
 腹を引き裂かれる痛みに悶え苦しみながら、奴は右手を振るう。
 それは今までの『なぶる』事を主としたものではなく、痛みから逃れる為に繰り出された渾身の一撃。
 今までとは比にならない衝撃が顔面から伝わり、今までとは比にならない速度で空に飛ばされる。
 結果的に、俺は奴が命を賭けて作ってくれたチャンスを生かせなかった。

「……俺みたいなヒーローじゃあ……守る事も……敵を討つ事も……できねーのかよ……笑えねー……な……」

 もう……限界だった。
 体から力が抜けていき……視界が急速に狭まっていく。
 ……結局……俺は誰も守れなかった。
 ……守るべき存在であったたこルカを……むざむざと死なせ……ベジータを残したまま俺も……死ぬ。
 誰一人として救えないまま……「ヒーロー」として使命を何も果たせないまま……死ぬ……。
 ……ヒーローが……聞いて……呆れ……る……ぜ……ハハッ…………―――
647代理投下:2009/05/18(月) 20:39:42 ID:QFj7qF2O
62 : ◆vXe1ViVgVI:2009/05/18(月) 19:59:28 ID:3QzXyS960
□ ■ □ ■



「クズが……大人しくしていれば楽に死ねたものを……!」

 サンレッドを吹き飛ばした後、ブロリーは腹部を襲う深刻なダメージに顔を歪めていた。
 サンレッドの最後の一撃はブロリーに大きなダメージを与えた。これは本来の実力差からすれば奇跡とも言える所行。
 驚異的な粘りにより弱点に気付いたサンレッド、命と引き換えにブロリーの視界を奪ったたこルカ、そしてサンレッドが放った怒りの一撃……それら全てが組み合わさった事によりようやく与えられたダメージ。
 もし、ブロリーが伝説のスーパーサイヤ人ではなく、通常のスーパーサイヤ人状態であれば、殺害すら出来ていたかもしれない。
 それ程までに大きいダメージをサンレッドはブロリーへ与えていた。

 だが、それは飽くまでも『もし』の話だ。

 通常のスーパーサイヤ人状態であれば死に至る傷も、伝説のスーパーサイヤ人と化している今のブロリーにはそこまで大きな問題ではない。
 少なくとも戦闘の中断には至らず、ブロリーは腰布で顔のタコ墨を拭った後、キュピキュピと音を立てて歩き始める。

「次はお前を血祭りに上げてやる……!」

 その視線の先にいるのはベジータ。
 たこルカを殺害した際の爆発に巻き込まれたのか、土埃にまみれた身体を震わせベジータはブロリーを見上げる。
 ベジータは完全に萎縮しきっていた。

「クソったれ……」

 彼には分からない。
 何故、サンレッドがこの化け物に立ち向かえたのか。
 何故、たこルカがこの化け物に刃向かったのか。
 ベジータには未だ理解できない。
 ……だが、ベジータの中にも畏怖や絶望以外の感情も生まれてきてはいる。
 下級戦士……いや、サイヤ人ですらない男と人間ですらないタコが立ち向かっていったのだ。
 人一倍プライドの高いベジータが何も感じない訳がない。
 ただ、ある一つの制限が影響して、彼は絶望と恐怖の渦から抜け出せずにいた。
 その制限とは『スーパーサイヤ人化の不可』と言ったもの。
 ブロリーが伝説のスーパーサイヤ人への変身が制限されていたように、ベジータもスーパーサイヤ人への変身を制限されているのだ。
 実を言うとベジータ自身、この事実に関しては気にも止めていなかった。
 スーパーサイヤ人にならずとも大抵の敵は倒せる自信があったし、ブロリーも同様に制限が掛けられていると考えていたからだ。
 確かにベジータの考えは間違いではない。
 ブロリーの変身について主催者側は、特別なリミッターを用意してまで、しっかりと制限を設けていた。
 だが、そのリミッターは破壊され、何の因果かベジータの目の前でブロリーは伝説のスーパーサイヤ人に変身した。
 元々、スーパーサイヤ人状態での一撃ですらブロリーにダメージを与えられなかったのだ。
 普通の状態で戦ったところで、嬲り殺されるだけ。

 ベジータは結局立ち上がる事が出来なかった。
 ボロボロの身体で戦い続けたサンレッドを見ても、仲間を救う為に命を落としたたこルカの姿を見ても、『スーパーサイヤ人になれない』という足枷がベジータを蝕み続けていた。

「……クソったれーーー!!」

 結果、ベジータが取った行動はお決まりの戦法であった。
 眼前に具現化された「恐怖」へがむしゃらに気弾を連射し、逃亡を試みる。
 立ち向かう気の欠片もない消極的な戦法。
 だが、そんな命乞いのような攻撃が通じる訳もなく、キュピキュピという足音が止まる事なくベジータへと近付いていく。
648代理投下:2009/05/18(月) 20:47:47 ID:7M3VQAHL
63 名前: ◆vXe1ViVgVI[sage] 投稿日:2009/05/18(月) 20:00:29 ID:3QzXyS960
「何なんだ、今のはぁ?」
「あ……あ……」

 爆煙を切り裂き現れるは、傷一つ負った様子のない伝説の悪魔。
 もはや抵抗する気力すらへし折られていた。ベジータは接近してくる悪魔の姿をただ震えて見ているだけ。
 幾度となくサンレッドを吹き飛ばしたブロリーの拳が、ベジータの鳩尾へ無造作に振るわれる。

「か……かか……」

 衝撃に呼吸が止まり、言葉すら出ない。
 目と口を全開まで開き、ベジータは悶絶する。

「貴様は楽に殺さないと言ったよなぁ?」

 続いて首を根から引き抜くかのような強烈なアッパー。
 ベジータの口から鮮血が飛び散り、地面に滴る。更にもう一度ボディブロー。
 身体が「く」の字に折れ曲がり、口が酸素を求めてパクパクと動く。
 再びアッパー。
 先程よりもほんの少し強く振るわれた一撃に、ベジータの足が地から離れる。
 そしてそのまま頭を掴まれ、地面へと盛大に叩き付けられる。
 ブロリーとベジータを中心に、地面が円形に陥没し広がっていき、俗に言うクレーターが出来上がる。
 クレーターの完成と同時に意識を手放したベジータを、ブロリーは何度も何度も踏みつけた。
 そして数十回の踏みつけの後、もはや地面に埋もれきったベジータを引き抜き、再び腹に一撃を入れる。

「ゴっ……!」

 大きすぎる鈍痛にベジータの意識が深淵の中から引き戻される。

「まだまだ……お楽しみはこれからだァ」

 視界に移るは凄惨な笑みを浮かべる悪魔。ベジータの心が絶望に塗りつぶされていく。
 ベジータはただひたすらに願っていた。
 この地獄から早く解放されるよう、この地獄が早く終わるよう、この悪魔が自分を早く殺してくれるよう……ひたすらに願い続けた。
 もう彼の心は再起不能なまでに傷を負ってしまった。
 サイヤ人の王であるプライドも、心の奥底に眠る家族に対する愛も、生涯のライバルへの敵対心も、全てがどうでも良く感じる程に、彼の心と身体は衰弱していた。
 死んで、この苦痛と絶望から解放されたい。そう考え込んでいた。






「―――諦めんなよぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!」





 ―――その時、恐怖と絶望だけが支配していた心に一陣の熱風が吹き抜けた。
649代理投下:2009/05/18(月) 20:49:11 ID:7M3VQAHL
64 名前: ◆vXe1ViVgVI[sage] 投稿日:2009/05/18(月) 20:02:14 ID:3QzXyS960
□ ■ □ ■



 その場に辿り着いた時、修造の眼前にはこれ以上ない程に凄惨な光景が広がっていた。
 抉れた地面、無惨に倒された木々、そしてボロボロの状態で尚いたぶられ続けるベジータ……それらを認識したと同時に、修造は駆け出していた。
 右手に持った黄金の剣を、テニスのスマッシュを打つかのように掲げ、ベジータをいたぶる悪魔へと思い切り振り下ろす。
 何時も教え子達に言った言葉を叫びながら、何度も自分自身へ放った言葉を叫びながら、修造はブロリー目掛けてギャラクティカを振り下ろした。

「またクズが一匹死ににきたか……!」

 その一撃は、当然の如くブロリーには届かない。
 ベジータを掴んでいる手とは逆の腕を持ち上げ、ブロリーはギャラクティカの刃を防ぎ、そして修造の胴体を指先で弾く。
 たったそれだけの動作で修造は口から血を吐き出し、後ろに吹き飛んでいった。

「ふん……良かったな。僅かだが死ぬまでの時間が伸びたぞ」

 そう言うとブロリーはベジータに背を向け、地に転がる修造へと近付いていく。
 あくまでベジータはメインディッシュ。
 邪魔になる者を全て排除した後で、ゆっくりとゆっくりと嬲り殺す……それがブロリーの考えであった。
 一時の解放を受けたベジータは地面に這い蹲り、修造に歩み寄るブロリーを見詰める事しか出来ない。
 修造を死なせたくないという気持ちもあるにはあるが、巨大な恐怖心の前には余りに矮小な感情でしかなかった。
 サンレッドやたこルカを見殺しにした時同様に、ベジータは身を縮こませ恐怖と絶望に震え続ける。




 ―――勝てる訳がない……あんな化け物を相手にして、勝てる訳がないんだぁ……



 ―――諦めんなよ。



 ―――殺される……みんな殺される……修造も、言葉も、主催者達も……全員奴に殺されるんだぁ……。



 ―――諦めんなよ!



 ―――奴は……奴こそが伝説のスーパーサイヤ人なんだぁ……。



 ―――諦めんなよぉぉおおおおお!



 だが、その脳裏には今までと違い、ある言葉が執拗に流れ続けていた。
 自分の弱音に重なるように流れるワンフレーズの言葉。
 それは、ある男から伝えられた熱い言葉。
 一度は自分に立ち向かう勇気をくれた、熱すぎる言葉。
 そして、自分を助けるため剣を振るいながら、男が叫んでいた言葉。
 ヒーローでもサイヤ人でもない人間が、伝説のスーパーサイヤ人に立ち向かいながら、叫んだ言葉。

「諦めんなよ……諦めんなよ、お前!! どうしてそこで止めるんだよ、そこで!」
650代理投下:2009/05/18(月) 20:50:01 ID:7M3VQAHL

 ふとベジータが顔を上げると、そこには口から血反吐をこぼしながらも立ち上がる修造の姿があった。
 デコピンとは言えあのブロリーの攻撃を喰らったのだ、常人である修造にダメージが無い訳がない。
 骨は砕け、ダメージは内臓にまで伝わっている筈だ。
 なのに修造は立ち上がり、ベジータに向け声を出し続けている。
 今までの人生で何百、何千と唱え続けてきた励ましの言葉を、眼前に迫る伝説の男すら無視し、
 完膚無きまでに心をへし折られた男へと叩き付ける。

「 ダメダメダメダメ、諦めたら! 周りのこと思えよ!! お前を支えてくれた人のこと考えてみろよ!!
元の世界の仲間、サンレッド、たこルカ……皆お前を支えてくれたんだぞ!! ずっとずっとヘタレていたお前を見捨てずに、ずっとずっと支えてくれてたんだぞ!!!
何でお前だけ諦めんだよ!! ブロリーを倒すって言ってただろ? 諦めんなよ、諦めんなよ、ベジータァァァァアアアアアアアアアアアア!!!」

 あのブロリーの攻撃を喰ったというのに、修造は普段と変わらぬ声量で叫び続ける。
 口から鮮血を撒き散らし、苦しそうに脇腹を抑えながらも、声を張り上げる。
 ベジータはそれを呆然と眺めながらも、動かない。
 だが、その心にはジワリと何か不思議な感情が滲んできていた。
 今までに感じた事のない感情。心の奥底から叫び出したくなるような熱い感情。
 これは、この感情は―――。
65 名前: ◆vXe1ViVgVI[sage] 投稿日:2009/05/18(月) 20:03:22 ID:3QzXyS960
「満足したかぁ?」

 だが、そこでベジータの思考を遮るように悪魔が声を上げた。
 悪魔は修造の直ぐ前方に接近している。咆哮に全てを使い尽くしたのか、修造は抵抗する気配を見せない。
 抵抗したところで何が変わる訳でもないのだが。

「君は、本当に、強いんだね……化け物みたいな強さだ……」
「化け物? 違う、俺は悪魔だ」

 修造の言葉にブロリーは笑顔で見せ、修造はブロリーの答えに困ったような笑顔を見せる。
 たったこれだけのやり取りでも、目の前の男が話の通じるような相手でないと、
 修造は理解できた。
 しかし此処で口を閉じてしまったら、それは諦めたと同意義。
 だから、修造は言葉を紡ぐ。
 殺し合いを止める為、伝説のスーパーサイヤ人を前にしても、説得を止めない。

「どうして……どうしてその力を他の事に役立てないんだよ! その力を使えば殺し合いなんて簡単に止められる! やってみろって! 君にはそれだけの力があるんだから!」

 周囲の気温が上がったかと錯覚すら覚える修造の熱い言葉。
 それを平然と聞き流しつつ、ブロリーは修造へと近付いていく。
 如何に熱い言葉であっても生まれつきの戦闘狂には届かない。
 全てを破壊し尽くす……それがブロリーの生きがいであり、アイデンティティ。
 それは誰にも変える事が出来ない。彼を止めるにはその命を絶つしか方法はない。

「この一撃で楽にしてやる」

 ブロリーの右手に気が集中していく。
 現れるは掌大の気弾。
 全力からは程遠い手加減された一撃だが、修造を消し去るには充分すぎる威力を秘めている。


「死ねィ!」

 窮地に追い詰められながらも、修造は諦める事なく声を張り上げる。
 だが、やはりその言葉はブロリーへと届かなかった。
 その命を摘み取らんと、緑色の気弾が弧を描きながら修造へと迫っていく。
 一般人である修造にはどうしようもない攻撃。
 普段打ち返しているテニスボールとは何もかもが違う球体。
 風を切りながら進む気弾を修造は見ている事しか出来ない。
 そして、緑色の死神は修造の目の前にまで迫り、
651代理投下:2009/05/18(月) 20:50:50 ID:7M3VQAHL
「何ぃ!?」

 横から割り込んできた青色の光弾に弾き飛ばされた。
 青と緑が混ざり合いながら空の彼方へと飛んでいく。
 ブロリーは驚愕に目を見開きながら、青色の光弾が飛来した方に視線を移す。
 そこには両腕を掲げ不敵な笑みを浮かべるヘタレ―――いや、誇り高きサイヤ人の王子がいた。




 分からなかった。
 何故、奴らがあの悪魔に立ち向かうのか。
 何故、殺されると分かっていて戦おうとするのか。
 俺には分からなかった。
 サイヤ人ではないが相当な実力を有していたサンレッド、紫色の足を生やした気に食わないタコ、ただの人間のくせにやたら迫力のある言葉を吐く松岡……誰もがブロリーへと立ち向かっていく。
 その瞳に絶望を映しながらも勇敢に戦い、そして敗れていく。
 カカロットやカカロットの息子、ナメック星人にトランクスもそうだった。
 勝ち目の無い相手に何度も何度も立ち上がり挑み続けた。

66 名前: ◆vXe1ViVgVI[sage] 投稿日:2009/05/18(月) 20:04:03 ID:3QzXyS960
 情けなかった。

 ただの人間やタコが命を賭して戦っているというのに、誇り高きサイヤ人の王が恐怖に震えている。
 それはとんでもなく滑稽て情けのない姿だったであろう。
 だが、どうしても身体は恐怖に竦み動けなかった。
 あまりに圧倒的すぎる奴の力に俺は震えることしか出来なかった。
 サンレッド達の戦う姿を見て、サンレッド達の散っていく姿を見て、修造の言葉を聞いて……それでも俺は立ち上がれなかった。
 そんな俺を前にして修造は立ち上がる。
 ただの人間が、ブロリーの一撃を食らい血反吐を吐きながらも、立ち上がった。
 立ち上がれない俺を前に、奴は立ち上がった。
 そして奴は叫んだ。
 ブロリーを前にしてブロリーを無視し、俺だけを見詰めて奴は叫んだ。

 諦めんなよ、と。
 周りのことを考えてみろ、と。
 元の世界の仲間やサンレッドやタコのことを考えてみろ、と。
 奴らは俺を見捨てずに支えてくれていた、と。
 それなのに何故お前だけ諦めるのか、と。
 瞬間、ボロボロの身体で叫ぶ修造に、サンレッドやタコの姿が被った。
 サンレッドは戦い続けた。
 タコは俺を説得し続けた。
 修造は俺に叫び続けた。
 カカロットもトランクスもナメック星人もカカロットの息子も……戦い続けた。
 その誰もが俺を見捨てようとせず、戦い続けた。
 なのに俺だけが震えていた。
 下級戦士達が戦っているというのに、恐怖と絶望に立ち向かおうとせず、俺だけがガタガタと情けなく震え続けていたのだ。
 ふざけるな。俺はサイヤ人の王子ベジータ様だ。
 俺が……俺がやらずに誰がやるというのだ!





 ―――気付けば身体が動いていた。




 修造に迫っていた気弾を気弾で相殺させ、ゆっくりとブロリーの方へ身体を向ける。
652代理投下:2009/05/18(月) 20:51:37 ID:7M3VQAHL
 圧倒的な威圧感が奴の身体からは放たれている。だが、不思議と恐怖は覚えなかった。
 代わりに脳裏を占めるものは、満身創痍の身体で戦うサンレッドの姿、ブロリーへと墨を吐いたタコの姿、口から血を流しながら俺に言葉を投げつける松岡の姿。
 身体中を占めていた痛みが消えて、力が湧き上がる。
 相変わらずスーパーサイヤ人に変身できる気配はなく、勝てる気もしないが、それでも恐怖は欠片も湧かない。
 気を高めながら、ブロリーへと一歩一歩近付いていく。

「俺は……俺はサイヤ人の王子、ベジータだ!!!」

 俺がその言葉を言うと同時に松岡が気を失った。
 それ程のダメージを受けていながら、やせ我慢をし、俺に激励を送ったのだろう。
 その根性だけはカカロットにも引けを取らないかもな……礼を言うぞ、松岡。

「クズが……今更俺に挑むつもりか?」
「ハッ……良い気になってられるのも今の内だけだぜ、ブロリー!!」

 そう、これがベジータ様だ。
 勝機が微塵も無かろうと勇敢と立ち向かう。それが誇り高きサイヤ人の王の有るべき姿だ。

「行くぞ、ブロリー。俺を本気にさせたことを後悔するんじゃねぇぞ!!」

 ―――地獄が終わり、俺の戦いが始まった。

67 名前: ◆vXe1ViVgVI[sage] 投稿日:2009/05/18(月) 20:05:36 ID:3QzXyS960
□ ■ □ ■



 これはベジータがヘタレ脱却を果たす十数分前……ベジータはブロリーに甚振られており、修造は戦いの場に向かい走り続けている時のこと。
 この時、もう一人の登場人物・星井美希は俯きながら寒村を歩いていた。
 その胸中には修造を止められなかった事への後悔が渦巻いており、美希にしては珍しく落ち込んだ様子を見せている。

「しゅーぞーさん……」
『過ぎた事を考えても仕方あるまい。……今は無事に屋敷に辿り着くことを考えるべきだ』

 励ますようにそう呟くは炎の剣・ディムロス。
 彼は、この殺し合いの中で二人の主を失っている。
 一介の剣に過ぎないとは言え、それは決して気持ちの良いことではない。
 ディムロスもまた修造のように、何とか美希に生き延びて欲しいと考えていた。

「でも美希がちゃんと止めてれば……」
『……あの男も言っていただろう、諦めるなと。なら今は諦めずに修造の無事を信じろ。何、ああいう男はそう簡単には死なないもの―――ムッ?』

 不意にディムロスが言葉を切り、不可解な疑問符を上げた。
 その声に美希も顔を上げ、首を傾けながら剣の方へと向く。

『避けろ!』

 だが、美希が言葉を紡ぐよりも早く、ディムロスの焦り声が彼女の鼓膜を叩いた。
 とはいえ唐突に避けろと言われて、回避行動に移れる人間など滅多に居ない。
 少なくとも美希には不可能な事象。
 当然ながら、美希はディムロスの放った言葉に対して首を捻り、そして質問をしようと口を開く。
 しかしながら、開いた口から飛び出したのは疑問の言葉ではなく、

「ぷぎゃ」

 悲鳴と言うにも情けのない、良く分からない擬音であった。
 その光景を客観的に言うならば、『上空から落下してきた何かに美希が潰された』。
 美希視点から言うと『いきなり目の前が真っ暗になった』。
 兎にも角にも彼女は、突然の落下物に真上から潰されてしまった。
 それはまるで車に踏み潰されたカエルのような、ファンにはとても見せられない姿であったが、幸いにも周囲に人は居ない。
653代理投下
 ……人は、だが。

『……大丈夫か?』

 押し潰された拍子に美希の手から零れ落ち、難を逃れたディムロスが声を上げる。
 そう、美希にとっては不幸なことに、ディムロスはその一部始終を見ていた。
 落ちてくる謎の物体、締まりの無い顔のまま押し潰されていく美希の姿、ペッタンコになり地面と密着する美希の姿……全てを見てしまった。
 その悲惨とも言える美希の姿にさしものディムロスも憐れみを覚えるのか、その声には同情の色が含まれていた。

「むぐぐ……ぐむっむむむむー」

 返答は霰もないくぐもった声。
 ゴムゆとりとなった事が幸をそうし、美希自体にダメージは無い……が、身体全体を潰されたお陰でまともな発声が出来ていない。
 これまたファンには聞かせられない声であった。

『無事なようだな。それにしても何が落ちてきたのだ―――なッ!?』

 安堵の感情と共に紡がれていたディムロスの言葉が再度、驚愕へと変化する。
 ペッタンコ状態の美希にはその驚愕の示す事態が分からない。
 取り敢えず、潰れた四肢を精一杯に動かし、謎の落下物からの脱出を試みる美希。
 地面と落下物の間から何とか這い出ると共に、美希の姿が元の人間体へと戻っていく。

「何とか助かったの。それでディムロスさん、何でそんなに驚いてたの――って、えぇ!?」

 その落下物を見て美希もまた驚愕の声を上げる。
 地面に出来た小規模なクレーター。その中心にいる落下物は厳密に言うと物ではなかった。
 胴体から生える手足と頭、まとわりついた布の間から見える肌色の皮膚……そう、落下物は「物」ではなく「人間」だったのだ。
 これだけでも充分驚愕に至る事実。だが、美希はそれ以外の要素に驚きを見せていた。

68 名前: ◆vXe1ViVgVI[sage] 投稿日:2009/05/18(月) 20:07:07 ID:3QzXyS960
「サ……サンレッドさん!?」

 美希はその落下してきた人間に見覚えがあったのだ。
 Tシャツ短パンに黄色い上着を纏った覆面の男、サンレッド。
 その姿は以前出会った時と違い、素人目にも分かるほど傷だらけ。
 どういう経緯をへてヒーロー役の俳優さんが空から落ちてきたのか、当たり前だが美希には分からない。
 ただその傷だらけの身体に流石の美希も危機感を覚え、治療する方法を模索する。

「ディムロスさん! な、何かヒューンと傷を治せる魔法とか使えないの!?」
『馬鹿言うな! 我は炎の魔剣、我自身に魔法など使えない!』

 ディムロスは口にこそ出さないが、サンレッドの怪我が相当にマズいものだと感じていた。
 直ぐにでも治療しなければ確実に死ぬ。というか生きているのが不思議な程の重傷。
 しかも、美希のゴムの身体が緩和材になったとは言え、あれだけの勢いで地面に落下したのだ。
 普通の人間なら落下の衝撃だけでも充分死に至る。

『支給だ! 何か使えそうな支給品は無いのか!』
「そ、そうなの! 支給品を使うの!」

 ディムロスの言葉を受け、美希は弾かれるようにデイバックを漁り出す。
 先ずは手を入れたのは先程修造から渡されたデイバック。
 出て来たのはおにぎりに、巨大な鏡、そして一枚のTシャツ。
 Tシャツは止血用として包帯代わりに使用できるが、残りの二つは現状では何の意味もない。
 美希は一枚のTシャツを地面に置き、もう一つのデイバックに手を掛ける。
 此方はルガールから受け渡されたデイバックだ。
 美希自身のデイバックにはモンスターボールと変なチップとお菓子しか入っていない。ルガールのデイバックが最後の希望であった。

(お願い……お願いなの……!)