コードギアス反逆のルルーシュLOST COLORS SSスレ39
■全般
・支援はあくまで規制を回避するシステムなので必要以上の支援は控えましょう
(連投などに伴う規制について参考
>>3-あたり)
・次スレ建設について
950レスもしくは460kB近くなったらスレを立てるか訊くこと。立てる人は宣言してから
重複などを防ぐために、次スレ建設宣言から建設完了まで投稿(SS・レス共に)は控えてください。
※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例 940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など
・誤字修正依頼など
保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は次のアドレス(
[email protected])に
※修正依頼の際には、作品のマスターコード
(マスターコード:その作品の投稿が始まる、スレ番号-レス番号。保管庫の最優先識別コード)
を必ず記述して下さい
例:0003-0342 のタイトルを○○に カップリングを○○に
(↑この部分が必須!)
マスターコードを記述されず○スレ目の○番目の……などという指定だと処理ができなくなる場合があります
■SSを投下される方へ
1.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
2.前書き・後書き含めて10レス以上の連投になると同一IDからの投稿が規制されます。(←「さる」状態)
間に他IDからの「支援」が入ることで規制は回避できますので、規制にかかりそうな長文投稿の際は
投下前に支援を要請して下さい。逆に、必要ない場合は支援の要らない旨を書いてください。
前レス投稿から30秒ほどで次レスを投稿することができます。(投稿に関する規制については
>>4- あたり参考)
3.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。尚、直前の投下完了宣言から15分程度の時間を置いてください
4.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
5.なるべくタイトル・カップリング・分類の表記をして下さい。(特にタイトルはある意味、後述の作者名よりも重要です)
・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
6.作者名(固定ハンドルとトリップ)について
・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
(トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で)
・トリップがあってもコテハンがないと領地が作れず、??????自治区に格納されます
前書きの中に、以下のテンプレを含むことが推奨されます。(強制ではありません)
【メインタイトル】
【サブタイトル】
【CP・または主な人物】
【ジャンル】
【警告】
【背景色】
【基本フォント色】
■創作発表板での投稿規制について 参考(暫定)
1レスで投稿可能な容量
・X:1行の最大 / 255byte
・Y:最大行数 / 60(改行×59)
・Byte :最大容量 / 4095Byte
但し、改行に6Byte使うので注意。例えば60行の文なら59回改行するので
6Byte×59=354Byte これだけの容量を改行のみで消費する
さるさん( 過剰数の投稿に対する規制 )
・1時間に投稿できる数は10レスまで。それを超えると規制対象に
・毎時00分ごとにリセット。00分をはさめば最長20レスの連投が可能
連投規制( 連続の投稿に対する規制。短い間隔で連続の投稿ができない )
・30秒以上の間隔をあければ投稿可
おしりくさい虫など( 携帯のみ?同一内容の投稿に対するマルチポスト規制 )
・「支援」などの同じ言葉を繰り返し投稿することでも受ける規制。
違う内容を投稿すれば解除される。スペースを挟むだけでも効果あり
■画像投稿報告ガイドライン
ロスカラSSスレ派生画像掲示板
PC用
http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic 携帯用(閲覧・コメントのみ)
http://bbs1.aimix-z.com/mobile.cgi?room=lcsspic 1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。
尚、コテハン&トリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメ他公式媒体などにインスパイアされた場合は、それを書く(例:R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)
2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
(SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。)
例:「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。 画像板の(タイトル)です。
〜(内容・注意点などを明記)〜 よかったら見てください。」
・内容:挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど
・注意点:女装/ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)/微エロ(キス、半裸など)
/ゲテモノ(爬虫類・昆虫など) など(絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮をお願いします。)
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。
3.気になった方は画像掲示板を見に行く。
画像の感想は、原則として画像掲示板に書き、SSスレの投稿報告レスには感想レスをつけないこと。
画像に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したものとします。
・SSスレに投稿報告した時点で、美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
(ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)
----以上、テンプレ終了----
『質問したい。あなたはダモクレスで世界を握りたかったのか?』
「違うよ。私はただ、皆が望む事を、SSを作りたいだけだ」
『職人の本質を無視してでも?』
「見解の相違だね」
THREAD 24『ダモクレス で 執筆』
『あなたはBLの畏怖をもって、スレッドで世界を固定しようと考えた。しかし、変化なきスレッドを、人は読みたがらない。それはただの過疎だ』
「しかし、その僅かなレスの連なりを保守と呼ぶが?」
『やはりあなたは優秀だよ。が、優秀過ぎるが故に見えていない。
そう、皇帝シャルルは過去ログを求めていた。自分が失ったSSを。そして、あなたは現スレッドを。だが、俺は次スレが欲しい』
「次スレは今のスレッドより過疎るかもしれない」
『いいや、よくなる。たとえどれだけ時間が経とうと、人はSSを求め続けるから』
「それが過疎に繋がるというのに。ははは、愚かしさも極まったな。それは感情に過ぎないよ、ルルーシュ。過去ログや保管庫という名の過去の産物」
『そして、それが皇族というコテハンでスレッドを見下してきたあなたの限界だ。
俺は何度も読んできた。規制に抗う人を。支援し続ける人を。みんなが芳醇なSSを願い、レスし続けてきた……』
「矛盾だよ。ギアスによって他人のSSを否定し続けた君が、ここに来て人のSSを、存在を肯定するのは。
……いや、もういい。どの道、この場でレス掛け論にしかならない議論などに意味はないだろう。早く執筆作業に戻りたまえ。ただし、私もBLを投下する」
『……』
「君が投下して、私も投下する。スレッドは振り出しに戻り、あるいは次のSSがそこから生まれるかもしれないな。しかし、もはや私には無関係な事だ」
『その空虚な内側――だからこそ、あなたに……」
「っ!」
「俺は、ライナナを書けと言葉をプレゼントしよう」
「君は最初から、SSを投下する気はなく……」
・・・・・・
「最近、僕の知らない所で世界が大変な事になっている気がするんだ」
「気にするな、ライ。お前はいつだってこのスレッドの中心にいるのだから。……おいシュナイゼル。このSSは駄目だ。書き直せ」
「イエマジェ」
「シュナイゼル殿下……BLにしか執着のなかった方が……これがギアスの呪い」
>>5 GJでした!
シュナイゼルはどれだけBL好きなんだw
そして、イエマジェwww
面白さが卑怯だwww
次のスレッドSSも全力を挙げてお待ちしております!
>>1 お疲れ様です。
>>5 勘弁してください。
ツボに入って吹き出しましたwww
この調子で次のスレッドSSもお待ちしております。
GJでした。
BLにハマッてるシュナイゼルクソワロタww
同じくBL大好き人間のトーマス卿とものすごくうまい酒が飲めるに違いない!
GJ!
えー、規制がやっと解除されたみたいですので
投下を一つ行きます!
「鉄の道 第二章 」
完全100%オリジナルにつき注意してください
ライ×ノネットかな?
8レス位です、念のために支援お願いします
ミレイ「本日はご乗車下さいましてまことにありがとうございます!この列車はパリ発
ローマ行き寝台特急「オリエンタルエクスプレス」です。これから終点ローマまで
8日間の旅、ご一緒します車掌の私ミレイと――――」
「ナナリーがお供いたします!よろしくお願いします」
ミレイ「この列車は先頭1号車から後ろ14号車全車寝台指定となっています
お持ちのキップの部屋番号と照らし合わせお間違えの無いようお気お付け下さい
列車の編成をご案内いたします、2〜6号車及び10〜13号車はA寝台となっており
14号車は電源車となっています。7号車はキッチン専用車となっており皆様に料理長
C.C、料理人一同が最高のお食事をご提供いたします」
ナナリー「8号車は食堂車「グレートブリタニア」、9号車バー、ロビー車「カラーズ」
バーではマスター、ルキアーノが皆様に合ったオリジナルカクテルをお作りいたします。
準備まで今しばらくお待ちください、準備が出来次第放送にてご連絡いたします。
これより先、ストラスブール翌日9:35、ベルン3日目10:45、ミラノ5日目9:16
ボローニャ6日目8:58、フィレンツェ7日目10:24、終点ローマ8日目9:35
を予定しております。長い旅となりますが思い出の一つとして刻んでいただければと
思います」
ミレイ「これより私達車掌が切符の確認に参りますのでご用意の上今しばらく
お待ちください、オリエントエクスプレスの旅をどうぞ心ゆくまでご満喫ください
本日はご乗車まことにありがとうございます」
長い車内放送の終了からミレイとナナリーは切符の点検のために車内を歩き始める
「「失礼します、切符の拝見です!」」
「鉄の道 二章 」
外はすっかり日が沈み夜の中をオリエントは爆走している。
「フッ、トリャ!!ンッ、ハッ!!」
機関助手のノネットは罐に石炭をくべていた、今季節は冬の真っただ中の12月
外は真白い雪景色でかなり寒い。
にも拘らずノネットの額からは汗が滴り落ちる、炎のまじかでの重労働はかなりの
運動量にも匹敵するし何よりも暑いのだ。
「まったく、女の私が石炭を放る役割でライがなんで運転なんだ?」
「そうは言っても仕方ないじゃないですか、行きは僕で帰りはノネットさん
って決めたのは他ならぬノネットさん自身ですよ?」
ライが機関士になったのが3年前、ノネットさんが2年前の事でその際の
話し合いの結果行きはライが、帰りはノネットが運転する事に決めたのだ。
「それでもなぁ、けどいいか。こういう事も出来るし」
「ノ、ノネットさん!!運転中ですよ今」
「良いじゃないか、いつもはアーニャが抱きつているんだぞ?こういう時位
ライを独り占めしたいんだ」
運転中のライに後ろから抱きつくノネットは意地悪くわざと耳に息が掛かるよう
話す。
「も、もう・・・・」
クラブが切る冷たい風のせいか、ノネットの意地悪のせいかは解らないが
とにかくライは顔を真っ赤にさせるも決して振りほどこうとはしない。
「お、前方信号青!!」
「あとと、確認!!速度80km良好」
「邪魔しちゃ悪いかな?名残惜しいのが癪だ」
ライから離れ本来の仕事に戻るノネットに対して平静を装ってはいるも
ドキドキしっぱなしのライ君
(アーニャに知れたらどうしよう)
そのころ
「何をいらだっている?アーニャ」
「今機関車にはライとノネットの二人だけ、それが気に入らないの」
「ノネットなら何も心配はいらないと思うが?」
オリエントエクスプレスの機関士は交代制でジェレミアとアーニャは1号車の
乗務員専用の寝台車で休息を取っている。
「ジェレミア甘い、泥棒猫はこういった時こそ何をしでかすか解らないもの」
「そ、そう言う物なのか」
話が進むにつれてアーニャから出ている殺気が段々と大きくなっていくのを
ジェレミアは肌でピリピリと感じている。
「ライに何かしたら・・・・」
「わ、解ったからその殺気をしまえ」
列車は順調にストラスブールへ向かっていた、時々ライが鳴らす汽笛の音は
走る列車が切る風に乗り流れていく。
C.C「食堂車「グレートブリタニア」よりお知らせいたします、お食事のご用意が
出来ましたので8号車「グレートブリタニア」にどうぞご利用くださいませ。
皆様のおこしを心よりお待ち申し上げております」
ルキアーノ「続きまして9号車カクテルバー「カラーズ」よりのお知らせです。
「カラーズ」ではワインを初め、オリジナルカクテルや日本酒、ソフトドリンク
など世界のお酒が勢ぞろいし皆様のおこしをお待ちしております」
「あら、食堂車の準備が出来たみたいね」
「そうらしいな、参ろうかマリアンヌよ!!」
10号車の部屋1003号にいるシャルルとマリアンヌはディナーを楽しみに食堂車へ
向う。
8号車「グレートブリタニア」、世界でも有名な豪華列車の食堂車の豪華さはまさに
“走る豪華レストラン”と呼ばれているだけあり素晴らしいもの。
「いらっしゃいませ、お二人様ですね?こちらへどうぞ」
シャルルとマリアンヌが着いた時にはたくさんの乗客が食事を楽しみながら
外の夜景を楽しんだり、他愛もない話で盛り上がっていた。
「フランス料理のフルコースをいただくわ、2人分お願いね」
「かしこまりました」
「結婚記念旅行か、たいそうな御身分だなマリアンヌ、シャルルよ」
コック姿のC.Cが二人に挨拶を交わしに来た、マリアンヌとC.Cは会社で同期であり
大学からの親友でシャルルにマリアンヌを紹介したのもC.Cなのだった。
「ハァイC.C!元気そうで何よりね」
「相変わらずだなC.C、どうだこの列車のコックは?」
「満足だ、私にこそ合っている職場と言ってもいいだろう」
誇らしく言うC.Cに満足気のシャルルの二人を見てマリアンヌも微笑む
「あのぉ、すみません!」
「はい只今!ゆっくりと食事を楽しんでいってくれ」
乗客のオーダーをとりにC.Cは席を離れ、シャルルはテーブルに置かれていた
情報誌に目をやる。
「・・・・何と」
「あら?どうなされたのですあなた」
急に切ない表情になるシャルル
「これを見てみろマリアンヌ」
「・・・・まぁ、これは」
記事をみたマリアンヌも切なくなる、記事にはこう書かれてあった・・・・
“東京発のブルートレイン、ラストラン”
「覚えているか?新婚旅行の時の事を」
「勿論ですわ、初めて乗った寝台列車がこの「はやぶさ」だったのを」
まだ2人が若い頃に行った新婚旅行で訪れた日本で乗った列車が熊本―東京の
はやぶさだった。
「それまでの私の常識を根底から覆した列車だった、それが見納めになるとは」
「寂しいですか?」
話の中にシャルルの右側に座っている老夫婦が話しかけた
「御老体は御存じなのですか?これを」
「ええもちろん、私は10年前まで「はやぶさ」の機関士をしていた者です」
「まぁ、それはそれは」
この老夫婦は日本人、海外旅行でイタリアに向かうためこの列車を利用している
「古き物は何時かは廃れゆくものです、ですがそれが歩んで来た軌跡、魂は永遠に
残るものだと私は信じています、このはやぶさが運んだ数多くの気持ち、夢、それは
無くならんものです。」
優しい笑顔で話す夫はどこか寂しげだがその瞳は強い光を放ち、今まで歩んできた
軌跡の多さを物語っているようだった。
「そうですな・・・」
「形ある物はいつかは廃れる・・・・でもその魂は永遠に残るか」
「そうですとも、永久に」
老夫婦とのその後いろんな会話をし、シャルルとマリアンヌはまた一つの思い出を
作っていった。
9号車バー「カラーズ」ではピアノの奏でる鮮やかな音色が乗客の心を癒し、落ち着かせ
静かな時を過ごさせてくれる。
「いらっしゃいませ!」
「オリジナルカクテルを全員にお願いします」
旅行の一団6人の注文を受けるとルキアーノは
「それでは皆様のご職業は何でしょう?」
「職業ですか?全員レスキュー隊の隊員ですが」
「かしこまりました、少々お待ちを」
ルキアーノはカクテル作りにかかる、カクテルを作る時に聞かれるリズミカル
な響きは出来上がりを楽しみにさせてくれる
「お待たせいたしました、オリジナルカクテル「ファイヤーエクスプレス」です」
赤ワインをベースにしたルキアーノオリジナルで注文した人の特徴、例えば
職業、着ている服などで今回はレスキュー隊員と言う事で“赤く燃える炎”
をイメージして造り上げたのだ。
「ありがとう」
「さすが美味いカクテルだ」
「そのお言葉大変うれしく思います、ごゆっくり」
お酒一つをとっても満足させる、思い出を作ってもらう、それがルキアーノの
信念である。
「おじちゃん、ジュース一つ!!」
「お、元気な子像だな!何がいいのかな?」
ニコニコ顔で尋ねるルキアーノ、しかしおじちゃんねぇ。
「うんと・・・・オレンジジュース!」
「よしきた!!」
「あたしにもりんごジュース!!」
「僕にも!!」
人気列車のせいか結構子供が多い
「落ち付いて、皆の分はちゃーんとあるからな。並んで!」
「あらあら、子供に大人気ですねぇルキアーノさん?」
「羨ましいのかミレイ、また何か思いついたな?」
そこには楽器を持ったオリエントエクスプレス専用楽団「アッシュフォード」を
率つれてミレイとナナリーが準備をしているところだ。
「もっちろん!!こういうのは楽しくなくちゃねーー、ナナちゃんお願い!!」
「はい!!ご乗車の皆様、只今より9号車「カラーズ」で音楽祭を開催いたします!
皆様是非とも9号車「カラーズ」までおこしください!!」
ナナリーは楽団の方を向き指揮をし始める、序曲はミレイが歌う歌「What's The Worry?」
(『ルパン三世 アルカトラズコネクション』エンディングテーマ、大野雄二氏作)
その歌声は力強く心をウキウキさせる、社内のみならず芸能界も歌手デビューしないか
とスカウトされたほどだとか、でもライと一緒じゃないと嫌だと言い断ったそうな。
それから数時間後の深夜、列車内はシンと静まり返っている。聞こえてくるのは
機関車と列車特有のリズミカルな音だけ。
「ルキアーノ、一杯頼む」
「お疲れ様だなC.C、いつものでいいか?」
「あたりまえな事を聞くな」
従業員は全ての営業が終わった深夜に自由行動が許されている、長時間厨房で立ち続けていたから足はパンパン腕はあまり力が入らない状態だが
「仕事の後の一杯が最高なんだ」
「てめー俺がなかなか酒飲めないの知ってて言ってんのか?」
「当たり前だろう、これでも不満なんだぞ。相手がいないからな」
溜息を吐くルキアーノ、ライの人気はどんな時でもうなぎ上りで殆どアイドルと
言ってもおかしくはない。
「あいつには彼女がいるだろうに」
「だがまだ結婚はしていない、奪い取る事は十分に可能だ」
「アーニャも落ち着かない日々が続くな、こりゃ」
その間にルキアーノはC.Cお気に入りのカクテル「カーディナル」をC.Cの
前に置く、C.C的にはこれでライがいてくれたら大満足なのだが生憎その彼は
機関車で運転中プラス
「ふぅ、コーヒーはいつ飲んでも美味しい!特にノネットさんの淹れるのは」
「褒めるな、そうしたら」
チュッ!
「こうしたくなるじゃないか」
「ノ、ノネットさん!?」
頬にキスをされまたしても真っ赤になるライだがノネットはシメシメと思いニヤッと
不気味に笑う、何しろあのライを独り占めしているのだから。
バキッ!!
「な、なんだC.Cいきなり!?」
「いや、今もの凄くムカつく事を誰かがしたような気がしてな」
「・・・・それはいいがグラスは弁償しろよ?」
車掌室
「どうしたのナナちゃん?そんなに顔をひきつって」
「そう言うミレイさんこそ黒いオーラが出てませんか?」
「あら、勘違いじゃなくて?」
「そうでしょうか?」
「「おほほほおほほほほほ」」
1号車101号室
「だからその殺気を何とかしろアーニャ、おちおち休めん」
「ノネットめ・・・・」
ビクビクしてしまうほどの殺気をかもし出すアーニャ、ジェレミアも大変ですなぁ。
翌日の朝9:12
朝日がまぶしく乗客たちに注ぎ目を覚まさせる頃、食堂車はコーヒーの香り
焼きたてのパンのいい匂い、ほかほかのご飯と昨日の夕飯とはまた違う
落ち着いた雰囲気が漂う、と車内放送が入ってきた。
ナナリー「まもなく最初の停車駅、「ストラスブール」に到着いたします。
停車時間は5時間25分、降り口は左、4番ホームです。
下車するお客様は貴重品とを身につけておおり下さい、また発車時刻には
遅れないようお気をつけくださいませ!」
コック「ふむ、久しぶりにのんびり出来るな。ライでも誘って・・・・ふふふふ」
機関士「やっとライと一緒に過ごせる。この機会、絶対に逃さない」
車掌「ライさんと町にお出かけしましょうか・・・・でも誘うの恥ずかしいです」
機関助士(ライとお茶でもするか、すごく眠いだろうから寝たその隙に・・・・)
以上です、最初の車内放送を自分なりに表現してみましたが
読みずらかったでしょうか?ところどころもですが、それが心配です。
他ご指摘あれば嬉しいです。
この保管庫の軌跡も皆様の心に残ってゆくことでしょう!では失礼します。
>>20 いわゆるパラレルワールドものとでも言うべきかな。楽しめました、乙。
>>21 なんか、ちょっと誰の台詞かわからなくなった部分がありました。
こう、台詞だけでなく、そのキャラクターの仕草とか入れるともっと読みやすく、またわかりやすくなるんじゃないかと思いました。
それにその分、情景が浮かびやすいかなと。
でも、面白かったですよ。
ある意味、こういうのもありかなと思いました。
>>21 テリー卿、乙でした。
パラレルは難しいね。
作者のさじ加減が作品を大きく左右するから。
キャラの性格等が異なっている分、
>>23さんの言っているような仕草等を入れると分かりやすくなると思います。
あと、地の文の改行を少し少なめにした方が読みやすいとも思いました。
貴公の次の投下をお待ちしております。
>>20 なんとも味のある作品ですな。乙です。連載決定なのかな?
>>21 いい作品だ。職人は常に進化を続けている。その最中のSSを見るのはとても楽しみです。
これからも頑張って下さい。テリー卿、いいセンスです。
28 :
toto:2009/04/07(火) 01:29:18 ID:wNCeuu2i
POPPOです。
今から、
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編4)
を投下します。
今回は容量が82KBの大容量であり、その上、設定資料は2つもあります。
(長くてすいません…)
支援お願いします。
保管者トーマスさんへ。
ゲイボルグの突っ込みコメント、本当にありがとうございます!
私は銃の口径のことはWIKIでかじった程度の知識しかないので、トーマスさんが貼っていた銃を備えたランスの図を見たときは、
自分の未熟な文章のSSをよく読んでくださっていたことが分かって思わず目元が熱くなりました。
文字だけの感謝では足りないくらいの思いでいっぱいでした。本当にありがとうございます。
口径のことですが50mmでも大きいということでしたので、ここは深い知識を持っているトーマスさんの意見を参考にして、20mmより小さい18mmに設定変更をお願いします。
…あと、保管庫のほうなんですが、後編2のラストあたりが途中で切れていたので修正お願いします。
再度、感謝の言葉を述べます。
本当にありがとうございました。
これからもSSを最後まで書き続けていく所存なので、どうかよろしくお願いします。
支援
30 :
toto:2009/04/07(火) 01:31:50 ID:wNCeuu2i
時刻は午前0時を回った。
轟音と共に崩れ去るトウキョウ租界の外壁。
瓦礫に巻き込まれるナイトメア部隊や航空戦力。地響きと大地を覆う黒煙は団員たちを奮起させるどころか、ゼロの策略に恐怖を覚えるほどだった。
黒の騎士団の軍勢の上空で5機のナイトメアがその光景を目の当たりにしていた。
ガウェイン・ラグネルの前方にはフロートシステムを搭載した『斬月』と『暁』が陣形を取っていた。
黒の騎士団の眼前に聳え立っていた障壁が一瞬にして消え去る光景を、モニターごしに見つめるルルーシュは邪悪な笑みと共に頬に手を添える。
「半年前に用意していた作戦だ。加えて、12の柱に爆弾を備え付けておいた。空中戦力もナイトメアに代行される時期では、戦闘機は不要の産物となったな…」
電子音と共にモニターに生き残った戦闘機がロックオンされる。それを視認したルルーシュは無慈悲な一撃を彼らに与えた。
ガウェイン・ラグネルの両肩からハドロン砲が放たれる。
黒く萎縮した数十機の機体は爆炎と共に消え去った。
航空戦力が全滅したことを確認した後、『斬月』のオープンチャンネルで藤堂鏡士郎の号令が響き渡った。
『弐番隊は私に続け!卜部、地上から前線部隊の指揮を頼む。では、四聖剣、散開!!』
『『『『承知!!』』』』
上空を舞う『斬月』と『暁』は四方に飛び散る。
「では、奏でるとするか。ブリタニア崩壊の序曲を…」
ルルーシュは黒のキングの駒を掌で転がした。
紫色の瞳には、暗い大地と燃え広がる戦火が映っていた。
しえん
32 :
toto:2009/04/07(火) 01:32:57 ID:wNCeuu2i
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編4)
シズオカ沿岸部。
暗闇に鬱葱と茂っている森で、絶え間ない銃撃とKMF特有の機械音が響き渡っていた。
小部隊のサザーランドは一機のナイトメアに標準を合わせ、空に無数の弾丸を降り注いだ。
だが、銃弾の雨の中、青いナイトメアはサザーランド部隊に速度を落とさず直進する。
ロックオンされたナイトメアはモニターでは被弾している―――――『はずだった』。
『お、おい!何で当たらないんだ!?』
『弾がすり抜けていく!』
回避行動が肉眼では捉えられない脅威のナイトメアフレーム、『蒼天』は両腕からスラッシュハーケンを発射し、2機のサザーランドを拿捕した。
『蒼天』は地上に降り立つとそのまま捕らえたサザーランドを大きく翻弄し、他のサザーランドに体当たりさせた。
衝突を恐れたサザーランドは振り回されているサザーランドに発砲し、同士討ちが起こる。遠心力を利用し、2機のサザーランドを他のナイトメアに向けて投げ飛ばした。
ランスを持って接近してくるナイトメアは両腕のコイルガンで次々と沈黙させていく。
ここまでで既に10機以上のナイトメアが戦闘不能に陥っていた。
『蒼天』の背後に取り、バズーカを向けている最後のサザーランドがいた。
『死ねええ!化け物をおおお!』
次の瞬間、短刀がサザーランドの胸部に突き刺さった。
サザーランドの体勢が大きく傾く。
青いナイトメアは右腕のスラッシュハーケンで短刀を引き抜いて手元に戻す。サザーランドはバズーカを空に向けたまま、黒煙を吐いて沈黙した。
『蒼天』の周囲にはサザーランドの残骸が散乱し、炎上していた。
夜の森が、赤い炎で彩られる。
動いているナイトメアは青いナイトメアを除いては皆無だった。
コクピットにいるライは通信を入れる。
「こっちの部隊は全滅した。十八番隊は引き続き前進を。十九番隊と二十三番隊はルート6からプランCを展開しろ。今のところ作戦に支障はない。予定通り作戦を実行せよ。繰り返す。予定通り作戦を続行せよ」
大きく息を吐いて深呼吸をし終わると、紅蓮可翔式から通信が入った。
ライはキーボードを叩く。
「どうした?カレン」
『こっちも左翼に展開していた部隊は全滅させたわ。防壁を作り始めた部隊もいるけど、どうしたらいい?指示を仰ぐわ』
「部隊の侵攻の障害になるなら防壁ごとナイトメア部隊を潰して構わない。ミッションセカンド終了後、予定を繰り上げてカレンはポイントT-34に向かってくれ」
『了解!』
「あっ、カレン!」
『何?』
「くれぐれも油断しないでくれ。作戦が上手くいきすぎてる。何かキナ臭い感じもするんだ」
『分かったわ。気をつける。でも、このままいけば完全勝利よ!少しは誇りなさいよ。指揮官として』
「皆のおかげだよ」
『うふふっ、相変わらず謙虚ね。じゃあ、次の定期連絡で』
「ああ、分かった」
しえん
34 :
toto:2009/04/07(火) 01:35:26 ID:wNCeuu2i
カレンの通信を終えた後、僕は熱源反応から敵の総数や陣形を確認しながらブリタニア軍の策略を何百通りもシミュレートしていた。
(おかしい、あまりにも未熟すぎる…)
サザーランド一個体の戦術は優れているが、地形を無視した配置であり、戦争の要である戦略は明らかな失策だった。
日本という土地は多くの山々や川に囲まれていて、起伏の激しい土地だ。特にこの富士周辺のシズオカはサクラダイトの磁場の影響もあり、それが特に顕著だ。
(有能な指揮官に恵まれなかったのか、それとも功績を先急いだブリタニア内部のもつれか…いずれにしても僕たちに有利に進んでいることには変わりは無い)
僕は操縦桿を前に倒し、『蒼天』を浮上させた。
そして、侵攻方向に向きを変えた時だった。
二つのハドロン砲が視界を過ぎった。
「―――――――――――――――っ!!」
機体を急速に回転させ、回避行動を取る。
瞬時にキーボードに打ち込み、熱源反応感知領域の広範囲に展開させた。
熱源反応が確認できない。
しかし、電子モニターには捉えられていた。
上空に浮かぶ、フロートシステムを装備したナイトメアフレームの群れ。
(ヴィンセント・プロトが10機!?それに、あれは…)
先ほど、ハドロン砲を撃ってきたと思われるナイトメアが中心に浮かんでいた。
見たことの無いナイトメアフレームだった。
深紅のサザーランド。
所々に金色のラインが入っており、量産型のサザーランドより一回り大きい。体型はガウェインのような重厚感があり、両肩にはハドロン砲が覗いている。
両手には対KMF用ハンドガン。
ランスロットのように背中には2本の大剣が装備されている。
そして、フロートユニットの黄緑色の発光色が夜空を輝かせていた。
頭部はサザーランドと同様だが、2本の金の角のようなものが付いている。
その姿はまさしく…
「デーモン、鬼か…」
一目で分かった。
あの機体こそが、僕の計画を揺るがしかねない『イレギュラー』だと。
しえん
36 :
toto:2009/04/07(火) 01:36:26 ID:wNCeuu2i
ナイトオブツー専用機のコクピットのモニターで『蒼天』を視認したセルゲイ・サザーランドは呟いた。
「資料には無い機体だな。フロートシステムを搭載した機体を持っているとは、黒の騎士団の資金はよほど潤沢と見える」
モニターに『SOUND ONLY』の文字が表示された。セルゲイの小部隊に参加した特派の第7世代型ナイトメアフレーム、ランスロットからの通信だった。
『お気を付けください!ナイトオブツー様。あれは『ゼロの双璧』の一翼です!KMFの腕が立つだけではなく、ゼロに匹敵する指揮官の腕もあります!』
「ミスター枢木がそこまで危険視するか。確かに、『パロミデス』のハドロン砲を回避する技量は並ではないな」
『ナイトオブツー様、私は奴と戦闘経験があります!どうか私にッ…!』
「それは譲れんな。ミスター枢木。見ただけで分かる。奴は強い。私に格好を付けようと、先急いだ愚か者たちを弔うためにも、な!!」
通信を切ると、パロミデスに大口径のバズーカを構えている月下に向けて、単発の銃弾を浴びせた。
そして、フロートシステムを展開させて、一気に『蒼天』と距離をつめる。
パロミデスに撃たれた5機の月下は目立った損傷は無いが、完全に沈黙していた。パイロットたちが操縦桿を何度も動かすが、月下が動き出す気配は無い。
サザーランド敵機と交戦中のこともあり、団員たちはパニックに陥っていた。
『なんで動かない!たった一発被弾しただけだぞ!?』
『くそっ!メインの動力回路だけが撃ち抜かれてる!』
『俺の機体もだ。まさか、狙って撃ったんじゃあ…』
『んな神業、人間ができるわけ無ぇだろ!早く脱出するぞ!!』
煙と音を立てて、5機の月下の脱出ポットが空に舞った。シズオカの防衛戦が始まって以来、初のナイトメアの損害だった。
しえん
38 :
toto:2009/04/07(火) 01:40:01 ID:wNCeuu2i
バガンッ!!
『蒼天』の蹴りを紅いサザーランドは右腕に展開したブレイズルミナスで受け止めた。
その瞬間、蒼天は両腕両足からブレイズルミナスを付加した4つのスラッシュハーケンを発射させる。
2本のスラッシュハーケンがハンドガンで撃たれて弾かれるが、1本のスラッシュハーケンが左手のハンドガンを破壊した。
腰部に帯刀していた回天刃刀を引き抜いて斬り込もうとしたが、
バオオオオ!!
赤黒い光線が回天刃刀を黒く染め上げ、脆く砕け散った。
咄嗟に回避行動に出たが、真下にいた地上部隊の月下がハドロン砲の直撃を受け、爆散した。
「―――ちぃっ!!」
一部始終をモニターで見た僕は思わず舌打ちをする。一瞬で3人の団員を死なせてしまった。
強化されたブレイズルミナスを装備しているとはいえ、ハドロン砲の直撃は防ぎきれない。
僕は殺気を込めた視線で上空を見上げる。
そこには蒼天に標準を合わせるハドロンブラスターを構える純白のナイトメアフレームがいた。
かつて僕たち黒の騎士団を何度も追い詰めた、驚異的な機動力と攻撃力を持つ、ブリタニアが誇る第7世代型ナイトメアフレーム、ランスロット。
『…ライッ!』
「スザァァアク!!」
咆哮した僕は操縦桿を強く握った。心に強い激情が押し寄せながらも、冷静さを失わないために冷たい感情が流れ込んでくる。一瞬でこの小部隊を全滅させる方法を何十通りも脳内で弾き出した。
その中で最善の手段を選択する。
ヴィンセントの銃撃の雨をくぐり向けていると、距離をとった紅いサザーランドが両肩からガウェイン同様の2発のハドロン砲が放たれた。完全な回避は出来ないために、左腕のブレイズルミナスで防御しつつ、機体の方向を曲げた。
蒼天はスラッシュハーケンを発射して、紅いサザーランドの胸部を直撃した。だが、損傷は浅い。
目の先にはハドロンブラスターの第2射を放とうとするランスロットが見える。
その標準から逃れるために、ランスロットの直線上に紅いサザーランドを挟んで蒼天を滑り込ませた。
しかし、スラッシュハーケンによって引き寄せられた紅いサザーランドは攻撃を回避するどころか、思い切り『蒼天』の左肩を殴りつけた。
ドガッ!!
重い衝撃がコクピットにも伝わる。
『ナイトメアのことなら知り尽くしておるわ!おなごの体よりもなぁ!!』
蒼天のコクピットにアラームが鳴った。
一撃の殴打で左腕が使えなくなった。
ライは目を見開く。
(…こいつ、ナイトメアの関節部位を的確に!あの機体のパイロット…まさか、スザクより上か!?)
突き飛ばされた蒼天はそのまま地面に落下していった。
ランスロットにロックオンされたことで再度、コクピット内にアラームが鳴り響いた。
近くには紅いサザーランドがハンドガンの銃口を向けて接近している。
危機的な状況を目の前にしながらも、
僕は、
不適に笑って見せた。
しえん
40 :
toto:2009/04/07(火) 01:42:32 ID:wNCeuu2i
バオオオオォォォ!!
紅い一閃がランスロットの装甲を掠めた。それを見たスザクは声を上げる。
「っ!!この光はっ!」
赤い光を発しているエネルギー弾は逃げ遅れた1機のヴィンセント・プロトを仕留めた。機体が膨張し、爆発する。
それを見た僕は、操作パネルの中央に現れたグリップを握り締め、親指でボタンを押した。
蒼天の胸部が展開し、眩い光を放ち始める。
「凝縮型輻射波動砲―――――――――発射!!」
ドオオオオオオ!!!
轟音と共に、夜空を彩る赤い光線が蒼天から放たれた。直線上にいた紅いナイトメアは巨体に似合わない素早い動きで、輻射波動砲の有効範囲内から逃れた。
(これを避けるか!…でも、僕の狙っているのはそこじゃないんだよ!)
蒼天の凝縮型輻射波動砲は、ランスロットの背後で、先ほど放たれた紅い光線と交わった。その交点から眩い赤い光と共に、輻射波動砲の軌道が四方に散らばった。
赤い稲妻のような線が後方に広がり、その無縦横な光線を受けた2機のヴィンセント・プロトは回避できずに爆破した。
「まさか、これを狙って!?」
それを見たスザクは『蒼天』をロックオンし、ハドロンブラスターの引き金を引いた。
しかし、ハドロン砲が発射されない。
モニターではハドロンブラスターに異常が起きたらしく、アラームが鳴り響いた。ハドロンブラスターを視認して、スザクは言葉を噤んだ。
「なっ…!」
ハドロンブラスターの機構部に『蒼天』の短刀が突き刺さっていた。
誘爆を避けるために、ランスロットは素早くハドロンブラスターをパージした。
一瞬送れて、自由落下したハドロンブラスターが爆発する。
2本のMVSに持ち替えたランスロットの眼前に一機のナイトメアフレームが現れた。
ドグゥウウウウ!!!
高出力の輻射波動の響音と共に、赤い稲妻のような電撃が周囲に撒き散らせる。禍々しい鉤爪を装備している紅いナイトメアフレーム、紅蓮可翔式がランスロットに襲い掛かってきた。
『面白いことになってるじゃない!私も混ぜてよ!!』
「カレンかっ!!」
しえん
42 :
toto:2009/04/07(火) 01:45:25 ID:wNCeuu2i
『ぬっ!?』
蒼天を掴もうとしたパロミデスの腕が、投擲された『紅蓮』の短刀によって弾かれる。
宙に舞った紅蓮の短刀を『蒼天』のスラッシュハーケンが捕まえた。
体勢を整えて急浮上した蒼天は、体勢を崩したパロミデスの頭部を蹴り飛ばし、さらに上空へと舞い上がった。
もう片方の腕にあるスラッシュハーケンはランスロットに直撃し、『蒼天』の短刀を捕らえる。
蒼天のスラッシュハーケンが捕まえた2本の短刀はそれぞれの機体の手元に戻る。
『蒼天』の短刀は蒼天の手元に。
『紅蓮』の短刀は紅蓮の手元に。
ガンッ!という金属がぶつかる音と共に蒼天のスラッシュハーケンが両手に収納された。蒼天はパロミデスとランスロットに向き合った。
4機のフロートシステムを装備した専用機のKMFは次の攻撃を仕掛けるべく、距離をとった。
『一度ならず二度までも私に攻撃を当てるとは…一瞬で3機も…』
「いや、6機だ」
ドンッ!ドッ、ドドンッ!!
背後でライフルを構えていたヴィンセント・プロト3機のフロートシステムが同時に爆発し、身動きがとれずに落下していった。
『っ!?』
セルゲイ・サザーランドは声を上げた。
「なんてことは無い。輻射波動と同時に放った『スティンガー』が着弾しただけだよ」
小型といっても大きさから3つしか装備できなかったが、威力、性能は申し分ない。
何故ならこのミサイルは電子モニターにも熱源反応に反応しない奇襲用の武装。通常のレーダーでは察知できない。奇襲でも乱戦でも十分に活用できる。
そう、ラクシャータの研究チームが開発した追尾型ミサイル『スティンガー』がその有効性を発揮した。
夜空を舞う赤と蒼のナイトメアフレーム。
ライが駆る蒼い機体、『蒼天』。
紅月カレンが駆る赤い機体、『紅蓮』。
歴戦のブリタニアの騎士すら恐れた凄腕のパイロット。
スザクたちに一矢報いた2機の機体は左右対称に並び立ち、短剣を『彼ら』に向けた。
コーネリアの部隊すら凌ぐ黒の騎士団の最高戦力にして、エリア11では誰もが知る戦士。
優雅に戦場を舞い、ゼロと共に敵を翻弄する姿はまるで一枚の絵のよう。
彼らのその姿を見た人々は、口を揃えて言った。
『ゼロの双璧』と――――――
しえん
44 :
toto:2009/04/07(火) 01:50:56 ID:wNCeuu2i
『大丈夫!?ライ!!』
「…ああ、左腕の駆動系が故障した程度だ」
『…ライを傷つけるなんて、只者じゃないわね。あの紅いナイトメアのパイロット』
音声のみの通信で僕の安否を確認するカレン。
僕は彼女に感謝の意を述べようとしたが、その前に敵機の音声に遮られた。
蒼天と紅蓮の姿を見たセルゲイ・サザーランドは突然、オープンチャンネルで大声を上げた。
怒り狂うどころか、思わぬ強敵に心を躍らせた。
『がぁっはっはっはっはっはっはあー!!まさか、一介のテロリストがここまでやるとはなぁ!!ゼロの双璧か!中々の腕だ。これほど骨のある奴は本国でもそうはいまい!』
『…サザーランド卿?』
パロミデスは太股に備え付けられたホルスターにハンドガンを戻すと、背後にぶら下がっている2本の大剣が鞘から引き抜かれた。
ランスロットのMVSよりも長く、幅が広い。カットラスのような激しい反りを持った形をした双剣だった。甲高い音と共に刀身が赤く染め上げられる。
僕とカレンはスザクの声に驚愕した。
「サザーランド卿だって!?」
『ちょっと待って。サザーランドって、まさかセルゲイ・サザーランド!?』
「崇高な騎士道を持つが故に、ナイトオブワンに選ばれなかった真の騎士。…その実力はナイトオブワンすら凌ぐと言われる…」
『ブリタニア最強の騎士!!』
「っ!?カレンッ!来るぞ!!」
大剣を構えたパロミデスは、僕たちの驚きを余所に先制攻撃を仕掛けてきた。
しえん
46 :
toto:2009/04/07(火) 02:03:07 ID:wNCeuu2i
同時刻。
闇が炎と明かりに彩られるトウキョウ租界上空では、4機のナイトメアが一機のナイトメアが火花を散らせていた。
ナイトオブナインの専用機、『ベディヴィエール』は『斬月』と3機の『暁』を相手に互角以上にやり合っていた。
『おらおらおらぁ!!『奇跡の藤堂』ってのは、この程度なのか!?』
『ぐ、ぐぅ!!』
『くそっ!これがラウンズか!?』
『なんか、遊ばれる感じがするんだけど、ねぇ!!』
朝比奈が乗っている暁が回天刃刀で斬りかかり、『ゲイボルグ』のブレイズルミナスと衝突した。ベディヴィエールの背後に仙波が駆る暁が迫っていた。
突然、ベディヴィエールの背中からスラッシュハーケンが発射される。
ベディヴィエールは後ろに見向きもしないで、スラッシュハーケンは的確に暁の回天刃刀を弾き飛ばした。
『なんとっ!?』
回天刃刀を拾ったベディヴィエールは、千葉が乗る暁に投げつけた。
火花を散らせて、胸部から黒煙が上がった。
『きゃあああっ!』
『っ!千葉!』
墜落する暁は脱出ポットが自動作動し、損傷した機体は地に落ちていった。瓦礫の山に叩き付けられ、フロートシステムと共に機体が大破した。
ハドロン砲が一機のヴィンセント・プロトを屠った。
しかし、上空には8機のヴィンセントがガウェイン・ラグネルに迫っていた。幾重の銃弾がビルに当たり、穴だらけになっていった。
高性能の自動回避プログラムが備え付けられているとはいえ、相手は一流の訓練を受けた精鋭のパイロットたち、徐々にガウェイン・ラグネルは追い詰められていた。
「ナイトオブラウンズ…イレギュラーにもほどがある!」
「ぼやいている暇があったら手を動かせ!」
ガウェイン・ラグネルはハドロン砲を撃った。ヴィンセント・プロトには当たらなかったが、橋を支えている石柱に当たり、もう1機のヴィンセント・プロトが瓦礫に巻き込まれて戦闘不能となる。
大きな水飛沫が舞い上がった。その中をガウェイン・ラグネルは潜り抜けた。その後をヴィンセント・プロトが黒い機体の後を追い続ける。
ガウェイン・ラグネルのコクピット内に通信が入った。
『総司令!シズオカから緊急入電です!』
「後にしろっ!今は…」
『シズオカで副指令がナイトオブラウンズと交戦中とのこと!また、ランスロットもシズオカに出向いているそうです!』
その報告にルルーシュは驚愕した。
またもや彼の計画に支障をきたすイレギュラーの存在がいたのだ。
「何だと!?一人だけでは無かったのか!?」
『は、はい!相手はあの、ナイトオブツー、セルゲイ・サザーランド率いる小隊だそうです!!』
『!!セルゲイだと!?』
(母さんの師匠だった、あの男が!?)
「…流石のライでも危ないんじゃないのか?カレンが一緒とはいえ、ランスロットもいるとなると」
「ちっ!イレギュラーが多すぎる!通信はこれで切る!300秒後の定時連絡の際に詳細を!以上だ!」
一機のヴィンセント・プロトが大口径のバズーカを撃ち、ガウェイン・ラグネルの脚部に被弾した。機体に損傷は軽度であるものの、機体には大きな衝撃が走った。
地に足を突き、足底にあるランドスピナーで衝撃を殺していた。断続的に続く銃撃にガウェイン・ラグネルはブレイズルミナスを展開させ、煙を巻き上げながら後退していった。
『終わりだ!テロリストの親玉ぁ!!』
上空から接近する数機のヴィンセント・プロト。
囲まれて撃たれれば、いくら防御力が強化されたナイトメアフレームとは無傷で済むはずが無い。ゼロとC.C.は危機に陥った、
はずだった。
しえん
48 :
toto:2009/04/07(火) 02:05:37 ID:wNCeuu2i
ヴィンセント・プロトが空中で立ち止まった。
一機だけは無い。ビルの間を通過しようとしたヴィンセント・プロトは全てそこで動きを止められた。
『な、何だ!?これは!』
機体を動かそうとするが、何かに捕らえられていて上手く動かない。
機体がもがいていると、白い糸のようなものが浮かび上がり、機体全身がそれに絡めとられていた。
まるでクモの巣に引っかかった蝶のようにナイトメアは宙にぶら下がっていた。
「ふはははははっ!空を飛ぶナイトメアの対策を俺が講じていないわけが無いだろう!」
ビルの瓦礫の隙間から多数のナイトメアフレームが出現した。旧日本軍のKMF、無頼がアサルトライフルを構えている。
「B小隊、C小隊、一斉射撃!」
バババババババババババッ!
倍の数の無頼から銃撃を浴びるヴィンセント・プロトは次々に爆散していく。
ルルーシュは地上から、残ったヴィンセント・プロトに向けてハドロン砲を何度も放った。
生き残ったフロートシステムを持つナイトメア部隊は政庁へと撤収していった。
その後姿をモニターで見たルルーシュは鼻息を鳴らす。
「シアノアクリレートを加工した化学物質の網。まあ、瞬間接着剤といったほうが分かりやすいかな」
「なんとか巻いたな。随分とエナジーフィラーを消費してしまったようだが…」
「ああ、ポイントR5で補給を受けた後、政庁に向かう。俺はコーネリアに用がある」
「ナイトオブナインは藤堂たちが足止めをしている。…ただ、時間の問題だそうだ」
「こっちは心配ない。だが…」
ルルーシュは口を濁して、下をうつむいた。
その姿をC.C.は前部座席から見上げる。
「ライ、か?」
「相手はあの男。母さんの師匠だった、現ブリタニア最強のナイトメアパイロット…ライとはいえ、勝てる見込みは…」
「しかし、ここからではライたちに協力できることは何も無いぞ」
「分かっている!そんなことはっ…」
「なら、信じるしかあるまい。ライを」
「……」
「どうした?ルルーシュ」
「…変わったな。C.C.」
「フン、お前が平和ボケしただけなんじゃないのか?」
「……そうだな。そうかもな」
ルルーシュは自嘲気味に笑った。
だが、その表情に憂いは無い。
その表情をC.C.は複雑な表情で見ていた。
ドドドドドドン!!
機体と共にコクピットが揺れた。
突然、周囲にいた無頼が炎上した。
「敵襲だと!?」
敵機接近のアラームがコクピットに鳴り響いた。レーダーには上空から急接近するナイトメアフレームの熱源反応を捉えた。
『そこにいたかぁああ!ゼロッ!!』
「ラウンズか!!」
10メートルほどの高さで2機のナイトメアフレームは激突した。ガウェイン・ラグネルはブレイズルミナスを展開し、その赤い障壁にゲイボルグは高音を上げて、じりじりとブレイズルミナスを破壊していく。
ベディヴィエールの横から『斬月』の攻撃が繰り出される。それを巧みに交わし、緑色のナイトメアは上空に舞い上がった。
『無事か!?ゼロ!』
「藤堂と四聖剣ですら歯が立たないか…」
『仙波さんの月下もやられちゃったからね。空を飛べるナイトメアは僕と藤堂さん、そしてゼロの機体しか残ってないよ』
ゲイボルグの銃口が火を噴き、ガウェインたちに銃弾の雨を注いだ。
ハドロン砲やコイルガンで距離をとり、ベディヴィエールとガウェイン・ラグネル、斬月、月下は夜空で再び対峙した。
『…さぁって、コーネリア様の手見上げにゼロの首を持っていくとするか』
ノネットは女には似つかわしくない、濛々しい獣の瞳で口を歪ませた。
ベディヴィエールのゲイボルグが、再び轟音を上げてガウェイン・ラグネルに向けられた。
しえん
50 :
toto:2009/04/07(火) 02:06:55 ID:wNCeuu2i
その光景は、アッシュフォード学園の生徒会室では中継でテレビに映し出されていた。
生徒会室にはミレイ、リヴァル、シャーリー、ナナリーが固唾を呑んでテレビを見ていた。
「おいおいおい!映ってる場所って結構近くじゃないの!?」
「でも、すぐ決着はつくわ。なんたってこのエリアにはラウンズ様が二人もいるんですもの。アッシュフォードは警備も固いし、租界では一番安全な場所ね」
「…………」
「…あの、どうされたんですか?シャーリーさん」
「…え?あ、何でもないのよ。ナナリー」
「ちょっと、シャーリー大丈夫?顔色悪いわよ」
「あったり前でしょう。だってこんな時にルルーシュがいないんですよぉ。ニーナは篭って何かしてるし…」
「リヴァル!!」
ミレイは鋭い口調でリヴァルを咎めた。
それを聞いたリヴァルは肩を震わせて口を噤んでしまった。
「…いえ、大丈夫です。会長」
「シャーリー、無理しなくてもいいのよ?」
「ルルは必ず帰ってきます。それにライ君だって……だから」
シャーリーは決意に満ちた瞳でミレイを見つめた。
ミレイはシャーリーの真剣な目つきに軽く驚いた。ミレイには彼女をそこまでさせる動機が分からなかったからだ。
「その間、ナナリーは私が守ります」
力強い言葉が生徒会室に響いた。皆の視線がシャーリーに集まる。
ナナリーもシャーリーの顔色を伺った。
その張り詰めた空気を一人の少年が茶化した。
「だよなー。だって将来、義妹になるかもしれない大事な女の子だもんなぁ」
「うん……って!!ち、違う!違うの!そういうのじゃ!…い、いや、違わなくもな、いけど…」
「あはは〜。シャーリーったらそんな下心があったんだぁ」
「ち、違います!会長!本当に違うんです!」
「分かってる分かってるぅ〜」
「!!その顔、分かってるって顔じゃありません!」
いつものようにじゃれあう生徒会のメンバー。こんな時でも、和やかな雰囲気を作り出す声を聞いたナナリーはくすっ、と笑った。
さりげなく爆弾を落として。
「…うふふっ。ありがとうございます。お義姉様」
その言葉にピタリと体を硬直させる3名。
恐る恐るシャーリーはナナリーに話しかけた。
「……ナナリー?今、なんて?」
51 :
toto:2009/04/07(火) 02:07:34 ID:wNCeuu2i
保健室にノエルとヘンリエットが訪れた。ノエルの両手にはお盆に載せた食事。おかゆに
コーンポタージュ。そして、コップ一杯の水。
ヘンリエットの両手にはリリーシャの着替え一式。
「何で私がこんなことを…」
「いいのいいの。リリーシャは気遣いの出来る人には優しいから」
「…どういう意味かしら。ノエル?」
「まあまあ」
ヘンリエットを適当にあしらったノエルはカーテンを開けた。
「リリィー。着替えと食事を…って、あれ?」
「ん?どうかしたの?」
二人はカーテンを開けてリリーシャが寝ている『はず』のベッドを見た。
いない。
ベッドのシーツはくしゃくしゃになったまま、布団も肌蹴たままだった。
窓が開いて、冷たい風が部屋に流れ込んでいた。白いカーテンがゆらゆらと踊っている。
ヘンリエットは持っているものを床に落とした。
「……リリィ?」
ノエルはそこにいるべき彼女の名を呼んだ。
しえん
53 :
toto:2009/04/07(火) 02:09:37 ID:wNCeuu2i
『皆、馬鹿だ!!あんな男の口車に乗せられて!』
『お前に何が分かる!この裏切り者がぁ!!上から目線でうざいんだよ!!』
激しくぶつかり合うランスロット・コンクエスターと紅蓮可翔式。彼らが激突するたびに轟音と眩い光が生み出される。
ドグゥウウウウウ!!
輻射波動を帯びた紅蓮の鉤爪がランスロットのMVSを掴んで、爆散させた。
だが、その隙に紅蓮の胸部をランスロットが蹴り飛ばした。ガツンッ!という金属がぶつかり合う音が鳴る。
『はぁっ!!』
『ぐぅ!』
急下降する紅蓮にランスロットは腰部から取り出した予備のヴァリスを向けた。それと同時に両側から襲ってくるヴィンセント・プロト。
それを視認したカレンは思わず舌打ちをすると、紅蓮の胸部から2本のスラッシュハーケンを発射した。
一つはヴィンセント・プロトのライフルで撃ち落とされたが、もう一つは右方にいたヴィンセント・プロトを掴んで、ヴァリスの盾に使った。
ヴァリスのエネルギー弾をまともに受けたヴィンセント・プロトは爆散した。その爆煙を突っ切って、紅蓮はランスロットへ直進した。
紅蓮可翔式は最大出力で輻射波動をランスロットに撃ち込んだ。
ドバァアアアア!!
赤い光線がその爆煙を消し去って、反応が遅れたランスロットに直撃する。
『やった!?』
周囲に黒煙が撒き散らされる中、ブレイズルミナスの緑色の光が眩いた。その中からランスロットが現れる。
全身にブレイズルミナスに展開していたランスロットは戦闘不能に陥ってはいなかった。しかし、ブレイズルミナスを発現する部位からは煙が上がり、両足の足首から下は無くなっていた。勿論、ヴァリスもMVSも持っていない。
その姿を見たカレンは思わず口元を歪ませる。
『へぇ、ラウンズに勝ったって言う割には手ごたえが無かったわね』
紅蓮は右手をランスロットに構えた。
『バイバイ。裏切り皇女の騎士さん』
スザクは冷たい視線と共に彼女に告げた。
『終わるのは君だよ、カレン』
『なにっ!?』
紅蓮は背後から銃撃を受けた。半壊したヴィンセント・プロトがアサルトライフルで狙っていたのだ。フロートシステムが損傷し、機体のバランスが不安定になる。
『う、うわぁあっ!!』
地面に落下する最中にヴィンセント・プロトからの銃撃を受け、所々装甲が剥がれ落ちていった。
不時着して、木々を折りながらも地上に降り立った。それでもなお、ヴィンセントからの攻撃が止まない。
ランドスピナーを起動させ、必死に攻撃を回避しながら上空にコイルガンを撃ち続けた。だが、相手にはまったく当たらない。
弾が切れ、ヴィンセントの銃弾が紅蓮のランドスピナーに着弾した。足を止められた紅蓮は空中から集中砲火を浴び、完全に足止めされた。
紅蓮の周囲を、3機のフロートシステムを積んだナイトメアフレームが囲む。
コイルガンの散弾数がゼロになった。状況を察したカレンは喉が冷えあがる。
『カレン。ライが背後を守ってくれることが当たり前のように思っている君では、僕に勝てないよ』
ヴァリスを拾い上げたランスロットは銃口を紅蓮に向けた。
紅蓮の周囲には味方もライの『蒼天』もいない。
咄嗟に右手を構えてエナジーフィラーが切れるまで輻射波動を撃とうと思ったが、輻射波動が作動しなかった。
カチッ、カチッ、カチッ…
「あ、あれ?まさか、さっきの衝撃で故障したの!?嘘でしょ!」
『安心しなよ。カレン。ライもすぐにそっちに行くから…』
スザクの声が響き渡った。
その言葉にカレンがキレる。
『…ふっざけんなああ!!ライは!ライだけはああ!!』
しえん
55 :
toto:2009/04/07(火) 02:15:11 ID:wNCeuu2i
ランスロットのコクピット内にアラームが鳴り響く。
『ロックオンされた!?』
ドドドゥアアアアアアアアア!!!
ランスロットはすぐに回避行動に出るが、巨大な赤い閃光がランスロットの右足を消し飛ばし、2機のヴィンセント・プロトを呑み込んだ。
高速で通り過ぎる敵機に右腕を蹴り飛ばされた。ヴァリスが手元から離れ、即座に奪われる。
カレンの眼前には眩い光が広がった。
そして突如、黒い影に覆われた。
いや、黒ではない。
澄み渡る空のような青。『ゼロの双璧』のもう一翼たるナイトメアフレームの後姿だった。
『蒼天』。
いつも彼女の後姿を見守っていた。
いつも彼女の背中を守り続けていた。
いつも彼女を救ってくれる、
彼女だけの騎士。
それを確認したカレンは思わず涙が零れる。
愛しい彼の名を力いっぱい呼んだ。
『ら…ライ――――――ッ!!!』
奪ったヴァリスをランスロットに向けて、僕は吼えた。
『スザクゥ!!!よくもカレンを!』
『ッ!ライかっ!!』
蒼天が脚部からスラッシュハーケンをランスロットに向けて発射した。
ドンッ!
しかし、途中で攻撃を受け、撃ち落とされた。
蒼天と紅蓮のコクピットに警報が鳴る。
蒼天は左腕のブレイズルミナスを展開させ、紅蓮と自身の機体を守った。音を立てて、赤色の障壁に無数の火花が散る。
蒼天の左方向から右手にハンドガンを持った赤いナイトメアフレームが接近してくる。左手にはMVS搭載の大剣を持っている。
『くそっ!!』
僕はヴァリスの全弾をパロミデスとランスロットに撃ち尽した。2機ともブレイズルミナスでヴァリスのエネルギー弾を防いだが、ブレイズルミナスが耐え切れずに、ブレイズルミナスデバイスの破壊には成功した。
使い切ったヴァリスをパロミデスに投げつけるが、大型MVSで銃身を一刀両断される。
56 :
toto:2009/04/07(火) 02:16:07 ID:wNCeuu2i
空中で手負いのランスロットとパロミデスが並ぶ。
セルゲイ・サザーランドはモニターで全身の損傷の激しい『蒼天』を見据えた。
パロミデスの機体は手足を失ってはいないものの、各部のメカは既に悲鳴を上げていた。
パロミデスの両肩にあるハドロン砲は破壊され、使用できない。
一本のMVSと一丁のハンドガンも壊され、残ったハンドガンの弾倉は底を尽きた。6つの内の4つのスラッシュハーケンは既に使い物にならない。
一機のナイトメアフレームにここまで追い詰められるのは、セルゲイ・サザーランドにとって初めてだった。
セルゲイの機体はビスマルクやノネット、ジノのように特定の武器に特化した機体ではない。
汎用性の高い量産型『サザーランド』のように、ライフルや剣、スラッシュハーケンといった多種多様な武器を駆使し、状況や相手によって戦いのスタイルを変えるのがセルゲイの戦術なのだ。
幾多の戦争と死線をくぐり向けて抜けて到達した『柔』の戦術。
ラウンズの頂点に立つビスマルクですら、『剛』の戦術を持つ騎士だからこそ、セルゲイには後一歩及ばない。
しかし、眼前にいる『奴』はどうだ?
セルゲイと同様、多彩な武器を用いて、状況に応じて最良の手を打ってくる『柔』の戦術の持ち主。
そして、それを可能にする柔軟な思考力と大胆な行動力。
セルゲイが50年の年月をかけて到達した領域に、彼はいる。
加えて、声や太刀筋からして随分と若い。おそらく枢木スザクと然程変わらない年頃だとセルゲイは推測した。
年端もいかぬ青年が、自身と同じ領域に立っている。そして、聡明な頭脳を兼ね備えた潜在能力は自分よりも上。
セルゲイはライに対して、賞賛を超えて恐怖すら覚えた。
彼が持つ、尋常ならざる力に。
彼が潜り抜けてきた修羅に。
彼が持つ稀代の大器に。
(成長すれば、竜に化けるか、獅子に化けるか…はたまた、王の器か)
「仕える相手を間違えたな、少年。……惜しい。実に惜しいな」
セルゲイ・サザーランドは悲哀の声で、そう呟いた。
58 :
toto:2009/04/07(火) 02:17:10 ID:wNCeuu2i
『ライ!私に構わないで!貴方に死なれたら、私…!』
『なに言ってるんだ!カレン!君がいてこその僕の世界なんだ!カレンがいない世界なんて、絶対にいやだ!!』
もう一度、凝縮型輻射波動砲を放った。ランスロットとパロミデスには当たらなかったが、最後に残った一機のヴィンセント・プロトを仕留めた。
ランスロットが左足で『蒼天』の胸部に強烈な蹴りを入れる。砲撃の展開時だったため、輻射波動機関に大きなダメージを受けた。
もう、凝縮型輻射波動砲は使えない。
機体は衝撃に揺らしながらも、両手でランスロットの足を掴んだ。
『それに!』
メキメキと音を立てて、ランスロットの足が砕けていく。それを見たスザクは即座に脚部をパージした。
『喜びを分かち合う時も!』
パロミデスの大剣が蒼天を襲う。しかし、それをランスロットの足で防ぎ、隙からパロミデスの胸部にありったけのコイルガンを撃ち込んだ。
『苦しみを背負うときも!』
スラッシュハーケンで引き寄せられたランスロットを蒼天は思いっきり蹴り飛ばした。
ブレイズルミナスが展開しないため、反作用で蒼天の脚部も相応のダメージを受け、装甲が剥がれ落ちてしまう。
『生きるときも!死ぬときも!』
蒼天の短刀を持ち直して、2機のナイトメアフレームと対峙する。紅蓮に背を向けて立ちはだかった。
『僕は、ずっとカレンと一緒にいたいんだっ!!』
ライの叫びが、カレンの心に響いた。
カレンは息を呑む。
大粒の涙が彼女の頬を伝う。
そのとき、カレンには蒼天の背中が誰よりも頼もしく見えた。
もはや、彼女の心に『ゼロ』はいない。
『ゼロ』と『ライ』を選べといわれたら、迷わず『ライ』をとる。
一人の男を心から愛する女。
そんな女に、カレンは成り果てていた。
しえん
64 :
toto:2009/04/07(火) 02:20:29 ID:wNCeuu2i
コクピットの中で、僕は苦笑した。
カレンに啖呵を切ったのはいいけど、状況は絶望的だ。
エナジーフィラーも残り少ない。機体は五体満足であるものの、各機能はボロボロだ。メンテナンスを受けたら、オーバーホールか、スクラップ行きなのは間違いないだろう。
輻射波動もブレイズルミナスも満足に機能しない。
武器は短刀と左足のスラッシュハーケン一つのみ。
援軍を呼んでもフロートユニットを装備したナイトメアフレームには歯が立たない。犠牲が増えるだけだ。
各部隊は出現したヴィンセント・プロトに苦戦しているらしい。
地上部隊のサザーランドの総数が黒の騎士団より多く、武器の供給が滞り始めた。
被害がまだ、5パーセント以下というのが唯一の救いだ。
パロミデスがMVSの剣を構えて、再び蒼天に接近してきた。パロミデスの巨体から繰り出されるパワーを受け止める力も無ければ、受け流す術も無い。
いくら強化された装甲といえど、MVSの前には何の意味も無い。このままだと斬り裂かれるだろう。
数秒後にあるのは『死』。
アラームがコクピット内に鳴り響き、画面一杯にパロミデスが映った。
大剣を振りかぶった『赤鬼』が目の前に迫る。
その時だった。
蒼天に通信が入った。
『ライ!準備が整った!』
その言葉を聴いたライは頭をうなだれた。
前髪がライの目元を隠し、思わず口元を緩める。
『……まったく、遅いですよ。杉山さん』
迫り来る紅いサザーランドをモニターで捕らえながら、
ライは手元にある装飾されたスイッチを、叩き潰すように押した。
しえん
70 :
toto:2009/04/07(火) 02:32:18 ID:wNCeuu2i
ギュイイイイイイイイイイイイイイ――――――――!!!
突然、戦闘領域一帯にある、待機している月下や、柱のような特殊な機器が光を放ち始めた。
対照的にブリタニア軍のKMF収納トレーラーや指令軍用車が全機能を停止し、明かりを失っていく。
『?』
セルゲイも異変を感じ取った。
パロミデスの各機能が低下し、MVSの剣先が蒼天の首筋で止まった。
それだけではない。地上にいたサザーランドは各部から電気を放ち、ヴィンセント・プロトは沈黙して地面に落下していった。
動かくなったブリタニアのナイトメアに、月下が一方的な攻撃を加え始めた。
完全にブリタニアが劣勢になった。
「ゲフィオン・ディスターバー・フィールド…」
シズオカ一帯に取り付けた磁場干渉装置。直径100キロにわたる広範囲に設置した。急を要する代物だったために準備が遅れてしまった。壱番隊を総動員して用意した切り札。
シズオカに上陸したKMFは既に本陣に流れ込んでいた。しかし、相手は第5世代型サザーランド。量産型までに対策が施されているわけが無い。
効果は絶大だった。
全てのサザーランドの機体が沈黙した。
『…貴方の時代は終わったんですよ。サザーランド卿。…降伏していただけますか?』
パロミデスの間接部分からパチパチと電気が乱流している。対策はしていたらしいが、各機構がむき出しになっているのでは効果は薄いようだった。
無論、蒼天も無傷ではない。軽度だが、装甲が剥がれ落ちた部分がゲフィオン・ディスターバーの影響を受けていた。
『降伏すれば、命は取りません。剣を収めた者は国際法に則って身柄を拘束します』
『敵の命を奪わず、勝利を得る。テロリストが騎士を語るか…』
『この部隊の最高権力を持っているのはラウンズである貴方だ。貴方の命令はコーネリア総督ですら捻じ曲げられない。ですから……っ!!』
突然、パロミデスが起動し始めた。
それを見たライは青ざめたが、斬りかかる気配は無かった。武器を失ったランスロットは宙に浮いたまま干渉してこない。
『一つ、条件がある』
パロミデスは剣先を引くと、蒼天と距離をとった。
『予備電源が作動しているだけだ。そう長くは保たん』
『…一体、何を?』
僕がサザーランド卿にオープンチャンネルで問いかけるが、返事は無かった。
『ミスター枢木。ランスロットはフロートユニットを作動させるだけで精一杯だろう?』
『は、はい。輻射波動の影響で、各ユニットが不安定に…エナジーフィラーも底を突きかけています…』
『そうか。……ミスター枢木。ここでの戦闘行為の継続を禁ずる。これはラウンズとしての命令だ』
『な、何故です!?』
スザクとの通信を切ったセルゲイは、パロミデスを蒼天の方へ向きを変えた。
剣先を蒼天に突きつけた。
『セルゲイ・サザーランドの名において、そなたに決闘を申し込む!!』
しえん
猿かな・・・・
74 :
toto:2009/04/07(火) 03:03:06 ID:wNCeuu2i
「……」
『…はぁ!?』
彼の性格を考えると、予想範囲内の行動だった。
ブリタニアの国是よりも、騎士道を重んじる屈強の戦士。
そして、戦争の悲惨さを受け止め、ナイトメアを開発した。しかし、平和のための努力がさらなる血を流すというジレンマを知る男。
人の命の重さを知る、崇高の騎士だ。
この展開を僕は想定していた。
『…18時間後、ここに10万を超える援軍が到着する』
『!!10万ですって!?』
カレンが声を上げた。
…つい一分前に情報部から同様の報告があった。
そんな大軍が押し寄せれば、シズオカの戦場はさらに熾烈を極めるだろう。勝利を収めても、黒の騎士団の被害も甚大だ。
このシズオカ防衛線はそれを食い止めるために沿岸部まで侵攻するつもりだった。しかし、フロートユニットを搭載するヴィンセント・プロトの参加によって侵攻を阻められた。
日本にはまだフロートユニットを搭載したナイトメアフレームは配備されていないからだ。ラウンズの参加は完全な想定外だった。
『…だが、私はその間、ここにいる6万の兵に死ねと命じなければならない』
『だから、自身の命の代わりに、部下を見逃してほしいとおっしゃるのですね?シズオカ戦線の停戦を『条件』として…』
『違うな。私が勝っても負けても部下の命を見逃してやってほしいのだ』
『……』
『私が勝った場合、無条件でこちらの軍を撤退させてもらう。
しかし、お主が私を斃した場合は、救ってもらうのは部下の命だけでいい。KMFや兵器は置いていく。好きに使うが良い。停戦と共に約束しよう』
(…さて、どうする?)
僕は思考を巡らせた。
ここでセルゲイとスザクを捕虜としてしまうのが得策だ。撤退してしまえば、態勢を整えてここを再び攻めてくるだろう。10万の軍を迎え撃つ準備もある。
しかし、『停戦』の条件は願っても無い好条件だ。
10万の軍を相手にしたときの被害想定は40%を超えていた。これから国家を成立させようという時期に、兵力の損失は出来るだけ避けたい。
だが、僕が負けた場合、被害はさらに拡大する。もしかすると敗北の可能性も出てくる。僕たちが負ければ、黒の騎士団は終わりだ。それだけは絶対に避けなければならない。
セルゲイ・サザーランドの手の内は完全には読めない。
機体の損傷から見て、ナイトメアの性能の条件はほぼ同じだが、KMFの操作技術は彼のほうが上だ。
決闘は不安定の要素は多いが…
僕も『奥の手』はある。
堅実な辛勝を取るか、綱渡りの完勝を取るか…
決断には、もう一押しする何かが欠けていた。
思考している時間はほんの数秒の間だったが、セルゲイ・サザーランドは唐突に口を開いた。
『…私は戦争の『悲劇』を繰り返したくは無いのだ』
『?いったいの何の話ですか?』
『ブリタニアの古の王、ラインヴァルト王が起こしたような悲劇をな…』
僕の思考は凍りついた。
体が無意識に震えだす。
(――――――――今、なんて言った?)
75 :
toto:2009/04/07(火) 03:04:36 ID:wNCeuu2i
『国とは民あってこそのもの。多くの民を犠牲にした勝利に、価値など無い』
『はん!『狂王』を殉教者と讃えるブリタニアが言えたセリフか!!』
『…ラインヴァルト王……ブリタニア史上、最悪の暴君……そして……』
スザクは複雑な表情で、モニターごしに蒼天を見据えていた。
皆の声が遠くに聞こえた。
…こんなところで、僕の話を聞くなんて……
頭の中に、かつての惨劇が蘇ってきた。
妹を、母を死なせ、民を失った。
残ったのは、僕と、火の海と化した変わり果てた国土だけ。
あの時に味わった喪失感と絶望感が体を突き抜けた。
…そうだ。
僕は…
あの悲劇を…
あんな悲劇を…
二度と…
繰り返さないっ!!!
僕は操縦桿を強く握り締めた。
(誓ったんだ!!僕は!ルルーシュとっ!カレンと!僕自身に!!優しい世界を作るって!!あんな悲劇を繰り返さないって!!失った人々のためにも!僕はっ…!!!)
唇を強く噛んだ。一筋の血が皮膚を伝ってパイロットスーツに落ちた。
キーボードに即座に撃ち込んだ。
黒の騎士団の本部、『イザナミ』から、夜空に黄色の花火が上がる。
『一時停戦』を意味する合図だ。
『…決闘を受けましょう。サザーランド卿』
『え!ライ!?』
『………感謝する』
僕は『蒼天』を浮上させた。
短剣を構え、紅いナイトメア、『パロミデス』を見据える。
紅蓮から緊急通信が入る。
『ライ!相手はKMFの腕だけならブリタニア最強の騎士よ!いくらライが強くても、セルゲイには…』
『カレン』
僕の声を聞いた彼女は口を塞いだ。底冷えするような低い声に驚いているようだった。カレンの顔を見た僕は、出来るだけ笑顔でカレンに答える。
『カレンは、自分の恋人も信じられないのかい?』
『…え』
『勝つよ。絶対に。だから、待っててくれ』
そう言って、僕は通信を切った。
76 :
toto:2009/04/07(火) 03:05:51 ID:wNCeuu2i
エナジーフィラーの残量が少ない。エナジーを戦闘だけに回した。
キーボードに打ち込み、パロミデスをロックオンする。
眼前のモニターには、夜空を背景に浮かんでいる紅いナイトメアフレームが映っているだけ。
『…初めて見るぞ。お主ほどの聡明な騎士は』
『…僕は、貴方以上に素晴らしい騎士を知りません』
『この出会い、神に感謝すべきか、それとも憎むべきか…』
夜空に浮かぶ機械仕掛けの騎士。その間には張り詰めた空気が漂っていた。
MVSの赤い刃が再び姿を現す。
姿勢を低くして、短刀を構えた。
『名を名乗れ。若き獅子よ』
『…黒の騎士団、『ゼロの双璧』の一翼、ライ』
『ライ、か。その名前、しかと胸に刻んでおこう』
口を不敵な微笑を浮かべたセルゲイは、パロミデスと共に牙を向く。
『私は皇帝直属の騎士、ナイトオブラウンズの一角、ナイトオブツー。名をセルゲイ・サザーランド』
『いざ―――――――――――――――――――』
『――――――――――――――――参る!!!』
瞬間、2機のナイトメアフレームが激突した。
77 :
toto:2009/04/07(火) 03:07:59 ID:wNCeuu2i
アッシュフォード学園の生徒会室。
異変が起きていた。
「ううっ……」
呻き声を上げて、崩れ落ちるシャーリー。
彼女だけではなかった。ミレイも、リヴァルも気を失ってしまった。
ナナリーの声だけが生徒会室に響きわたる。
「…お義姉様?お義姉様!!皆さん、どうされたのですか!?」
「大丈夫だよ。ナナリー」
唐突に後ろから声が聞こえた。
ナナリーが聞いたことも無い、少年の声を。
「だっ、誰!?」
盲目の彼女には見えない。しかし、異質な雰囲気が漂っていることを彼女は感じ取った。
「ナナリー。迎えに来たよ」
幼い声が、彼女の耳を震わせた。
場にそぐわない平坦すぎる声が、彼女の心を震わせた。
煌びやかな服を身に纏ったV.V.がそこにいた。
78 :
toto:2009/04/07(火) 03:09:04 ID:wNCeuu2i
同時刻。
シズオカにある、とある森林の中。
焚き火を炊いていた『黒の騎士団』の団員の一人がいた。
中年の男が携帯食品を食べていたら、背後から足音が聞こえた。
「っ!誰だ!?」
食べているものを吐き出して、携帯している自動小銃を構える。
突然、月下の背後から一人の少年が現れた。
赤い色を基調とした舞踏用の服装。老人のような白髪に、女の子のような整った容姿をした少年だった。
「あ?…なんだぁ?ブリキのガキが何でこんなとこにいんだよ?」
銃を突き付けているのに、少年の歩調は変わらなかった。
「っ!!おいっ!止まれ!それ以上動くとガキでも撃つぞ!!」
焚き火の光で、少年の瞳が見えた。
右目は金色。左目は銀色の、左右非対称の瞳が。
少年の唇が歪む。
その顔を見た団員の背筋に言い知れぬ悪寒が走った。
「ねえ…」
少年の金色の瞳が突然輝き始めた。
『金』色の紋章が羽ばたいた。
「おじさんのナイトメア、ちょうだい」
その『声』を聞いた中年の団員は、銃を下ろしてキーを少年に渡す。
「…ああ。分かった。そこにある月下に乗るといい。認証番号は必要ない。このキーを使えば動かせるぞ」
そして、今度は左目から『銀』色の紋章が輝いた。
パンッ!
即座に団員は拳銃で頭を撃ち抜いた。
焚き火に体を突っ込ませて、徐々に服に火が燃え移っていった。
身を焦がす人間を見て、クスリと少年は微笑を浮かべた。
キーを右手の人差し指に引っ掛けて、くるくると回して遊ぶ少年。
少年の顔は邪悪な笑顔で歪んだ。
両目には『金』色のギアスと『銀』色のギアスが宿っていた。
「あははっ。待っててね。ラインヴァルト…」
X.X.が呟いた声は、誰にも聞かれることなく、闇夜に溶けていった。
焚き火に照らされる一機のナイトメアフレームは森の中にただ佇んでいるだけだった。
少年は微笑を浮かべたまま、空を見上げる。
夜空には青い月が輝いていた。
79 :
toto:2009/04/07(火) 03:10:10 ID:wNCeuu2i
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編4)
投下終了です。
TURN00も次の後編5で終わりです。
そして、設定資料を2つ投下して今日は終わりです。
一週間以内には後編5を投下するつもりなので、感想よろしくお願いします。
80 :
toto:2009/04/07(火) 03:12:10 ID:wNCeuu2i
《パロミデス》
ナイトオブツー、セルゲイ・サザーランドの第8世代型相当の専用ナイトメアフレーム。
サザーランドを紅くカラーリングしたような機体であるが、全長がガウェインに匹敵する大きさである。
また、頭部にはファクトスフィアと共に、レーダーの役割を果たすクワガタの様な金色の角があり、一見すると『赤鬼』のような印象を受ける。
また、ガウェイン同様、ドルイドシステムを搭載したハドロン砲が搭載させており、出力やパワーはモルドレッドすら凌駕するほどである。
武装は両肩にあるハドロン砲、貫通性が高いスパイラル弾を装填したハンドガン2丁、カットラスのような反りがある大型MVSが2本、ブレイズルミナスによる打撃などと、多種多様な武器を備えており、繰り出される戦術は実に多彩である。
パイロットであり、開発者でもあるセルゲイ・サザーランドは、ナイトメアの操作技術だけならビスマルクすら凌ぐ実力を持っている。
武器の汎用性に富んだこの機体こそ、KMFの代名詞となった量産型『サザーランド』の原型となった機体。
81 :
toto:2009/04/07(火) 03:12:55 ID:wNCeuu2i
《ヴィンセント・プロト》
ランスロットをベースに量産された次世代型ナイトメアフレーム。
外形や武装は一緒だが、白と黒のコントラストのカラーリングが施されており、生産ラインに乗せる前の100機だけ造られた試作機である。枢木スザクの戦闘データは一般化に適していなかったので、ラウンズの親衛隊などでテストパイロット目的で造られた。
フロートユニットを備えた初の量産型KMF。
すいません。totoじゃなくてPOPPOです。
申し訳ありません。
>>79 POPPO卿お疲れ様です!いやあ朝からすごいものを見せてもらいました。
>>79 質、量ともにまさに怪物級。しかも一週間以内に続編だと!?
凄まじく、そして素晴らしい。脱帽ものです。
次回も楽しみにしております
>>79 V.V.にX.X.。二人のショタキャラ大活躍でトーマス卿の狂喜乱舞する姿が目に浮かぶようですw
続きを首を長くしてお待ちしております!
>>79 POPPO卿、GJでした!
いいねぇ、心が躍るよ……ワクワクしたってことさ。
パロミデス、早い話がダイサザーランドですね。
それにしてもこのボリュームは、ディモールト良し! だぜ!
ギアス二つに不老不死のV.V.……何このチート、勝てる要素がないな。
しかし、ギアスが使えるということは、不老不死の理由は『コードを持っているから』では無いのか。
赤い鳥のような紋様ではなく『金』と『銀』だし。
―――謎は深まっていくなぁ。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
13時から投下予定です。
もし誰かおられるのでしたら、途中1.2回でもいいので支援をお願いできないでしょうか?
念のためなんですけど、どうもお猿さんとは仲がいいようなので……。
すみませんけどもお願いします。
まだいるかな支援
どうも、予告どおり投下いたします。
今回は「蒼天の騎士」です。
さすがに、ヴィレッタさんのお話3連投は無理でしたww
そちらを待っておられる方は、もう少しお待ちくださいませ。
あと昼ドロシリーズの方ももうしばらくお待ちください。
どういう風にニーナが狂気に駆られてミレイをいびるか思案している最中ですので。(ぇ?)
ともかく、がんばって考え、がんばって書いております。
(ああ、がんばってのバーゲンセールみたいになっちゃったけど…)
支援表明ありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
さて……
では、始めます。
タイトル 蒼天の騎士(20) 攻防
カップリング ライ行方不明の為、なし
ジャンル シリアス
では、次からスタートです。
「先発隊、そ、総崩れです」
震える声で報告する副官。
それを詰まらなさそうに聞いているのは、討伐隊総司令官であるナイトオブテン、ルキアーノ・ブラッドリー。
「おいおい、俺の分も残しとけっていうのは言ったが、総崩れとはどういうわけだ? ん〜」
ぎろりと副官を睨みつける。
だが、副官は黙ったままだ。
経験上、ここは黙っていた方がいいと判断したのだろう。
そんな反応に気をそがれたのか視線をモニターに移すルキアーノ。
そこには、奮戦する紅いナイトメアが映っている。
「ふん。まぁいい。そんだけ生きがいいっていうんなら殺しがいがあるってもんだ。くっくくくくく…」
蒼天の騎士(20) 攻防
ブリタニア本国から派遣された討伐隊との戦闘は、太平洋上で開始された。
実質、あの会談から2日後である。
そのあまりにも早いその動きに各陣営は傍観するしか術はなく、孤立無援の中、ナナリー達は自らの力だけで戦うしか方法はなかった。
そして、圧倒的な戦力のブリタニア軍に対し、エリア11側は、その戦力のすべてをかき集めても実に5分の1程度にしかならず、誰もがあっという間のエリア11の敗退を予想していた。
だが、戦いが始まるとそれは間違いである事を知らされる事となる。
緒戦、戦力的に劣りながらもナナリーの騎士団と黒の騎士団の残存兵力で構成された行政特区防衛隊は、ゼロ番隊を中心とした切り込み隊による波状攻撃と敵部隊の切り崩しを敢行。
そして、統率を乱れさせた後の戦力集中投入によって完全にブリタニア軍の先発隊を圧倒し、敗走させたのだ。
特に、戦場で舞う紅き死神『紅蓮』と彼女に率いられる黒の『暁』で構成されたゼロ番隊は、まさに鬼神の様な動きを見せていた。
紅き死神。
かってブラックリベリオンでブリタニアの騎士達を恐怖のどん底に落とした悪夢が再び訪れたのだ。
「ゼロ番隊っ、各自補給は済んでる?」
カレンは、紅蓮のチェックをしながら、部隊の確認をする為、声をかける。
「壱分隊、問題ありません」
「弐分隊、Okです」
「参分隊、いつでもどうぞ」
「四分隊、オールグリーン」
すぐに無線から各分隊の答えが返ってくる。
「紅月隊長、ゼロ番隊、すべて問題ありません。ご命令を……」
そして、副隊長からの声が最後に響く。
「他の部隊の方は?」
「そうですね、8割程度でしょうか……」
その報告にしばし沈黙し考える。
さて、どうする……。
彼女が率いるゼロ番隊を中心とした切りこみ隊は、独自の判断で動く許可を頂いている。
「よし。副隊長は、他の切りこみ隊の部隊をまとめて後から続いて…。残りのゼロ番隊は、私についてきて。先行するわよ」
「「「了解」」」
「紅月隊長のゼロ番隊、先行するそうです」
オペレーターの報告に、ジェレミア副団長は頷く。
さすがは、黒の騎士団のトップエース。
見事なまでの統率力と判断力だ。
先の戦闘でも、彼女と彼女の率いるゼロ番隊がいなければ、どうなっていただろう。
思わず、そう考えてゾッとした。
多分、圧倒的な戦力差で押し切られてしまったのではないだろうか。
そうとしか考えられなかった。
だが、彼女は、今ここにいて共に戦ってくれる。
おかげで、勝利という予想が少しは考えられるというものだ。
そこまで考えると、頭を振った。
いかん、いかん。
我々は、勝たねばならぬ。
エリア11に住む人々の為。
今は亡き、マリアンヌ様の為。
そして、なにより我が主、ナナリー様の為に……。
ゆっくりと大部隊が迫ってくる。
先発隊とは比べものにならないほどの数だ。
ふふっ……。
思わず笑いが漏れ、汗がにじみ出る。
いいじゃないっ。
やってやろうじゃないっ……。
グリップを握りなおす。
すーっ……。
息を整える。
「本隊へ報告。1400に切り込み隊は敵主力部隊に攻撃を開始します」
そう本隊に連絡を入れると素早く無線を部隊連絡用に切り替える。
「各機、予定通り1400より突撃を開始します。いい、各機ノルマは10機だからね。それまで落とされるんじゃないわよ」
かなりの被害が出るのは判っている。
もしかしたら、殆どの部下を失うかもしれない。
だが、少しでも多くの部下に生き残って欲しい。
その思いが言葉からにじみ出ていた。
しばしの沈黙の後、ぽつりと誰かが言った。
「10機程度でいいんですか?」
「え?!」
思いもよらない返事に一瞬言葉を失う。
そして、その言葉を合図に次々と言葉が飛び出す。
「そうですよ、隊長。10機と言わず、15機にしましようよ」
「おおっ、それなら俺は20機だな」
「何言ってやがる。お前はせいぜい10機ギリギリだな」
「なにお〜っ、じゃあ、勝負だ」
次々と楽しそうな言葉が流れてくる。
それは、決してふざけているわけではない。
彼女に対しての部下達の思いやりと、そしてこの一戦にかける決意がそうさせているのだ。
「そろそろ、時間です。紅月隊長」
副官の声が最後に場を締める。
私は、いい部下に恵まれたわね。
そんな事を思う。
死なせたくない。
だが、今は心を鬼にする。
「ええ、行きましょう。我々の未来の為に……」
そう言うと私はゆっくりと紅蓮を前進させた。
激しい戦闘が開始された。
切り込み隊が鋭利な刃物のような突撃を繰り返す。
しかし、それ以上に厚い敵の壁によって、まるで食い込むことさえ出来ていない。
元々数の差が圧倒的に違うのだ。
ジリジリと後退を余儀なくされる切り込み隊。
そして、それをカバーすべく本隊は突撃を開始する。
戦場は、乱戦へとなだれ込んでいった。
支援
「くっ……、ここを突破しないとっ……」
私は、夢中で群がる敵ナイトメアを破壊していく。
輻射派動の加熱ゲージが赤く点滅し、警戒音が響く。
補給だけで整備点検もなく乱発しているのだ。
無理も無いだろう。
だが、今、輻射波動を失う事は、大きな戦力ダウンになる。
「もってよっ……紅蓮っ」
願うような気持ちで、私は戦い続ける。
そして、群がる敵の一群を粉砕した時だ。
そいつは私の前に現れた。
「見つけたよ。黒の騎士団のエース、紅き死神」
紫がかった白色をベースにした見たことも無いタイプのナイトメア。
コンピューターが、自動的に検索する。
ナイトオブテン専用機、パーシヴァル。
「ふふっ、総司令官自ら戦場に来るとはね……」
ビリビリと殺気を感じ、すーっと脂汗が浮かぶ。
こいつ……強い。
「司令官なんて、そんなものに興味はないさ。私はね……」
ニタリ……。
見えてないはずなのに、そう笑っているのが判る。
「相手の一番に大事なもの……。そう、命を狩れればいいんだよ。くっくっくっくっ……」
狂気じみた笑いが響く。
「さすが……ブリタニアの吸血鬼ね」
「その言葉はね、最高の賛辞なんだなぁ」
対峙する紅蓮とパーシヴァル。
めまぐるしく動く戦場で、まるでそこだけ切り取ったような止まった空間だった。
それは互いに相手の動きを読みあうかのような達人同士の戦い。
「紅月隊長っ……」
割って入ろうかとする部下の暁を征する。
彼らでは勝てない。
「ごめん……。部隊の指揮は、副隊長に従って……」
私は、相手を睨みつけたまま、そう命令する。
「いい判断だ……。彼らは、私のヴァルキリエ隊がお相手しょう。お前達、殿方たちの相手にしてやれ。暇にさせるんじゃないぞ。くっくっくっ……」
「「イエス、マイロード」」
その言葉と同時にその背後に控えていたパーシヴァルと同じ色で塗装されたビンセントが散開する。
そして、私たちの周りで激しい戦いが開始された。
「本隊の損耗率40%を超えました」
「紅月隊長は、現在、ナイトオブテンと交戦中の為、指揮は木下副隊長が行っていますが、いまだに切り崩しに成功していません」
悲鳴にも似た声で報告が続く。
くっ……。
やはり、数が違いすぎたかっ。
突破し、かく乱せねばこっちに勝ちは無い。
ここはいったん引くか?
いや、今ここで引いても予備の戦力がない我々に勝ち目は無い。
どうするっ。
その時だった。
「お困りのようだな…。オレンジ君」
映像末端の一つに、そいつは現れた。
「き、貴様はっ……」
自然と語尾が震える。
「ゆっくりとここは昔話でも語り合いたいところだが、時間がないようだな。
戦線をあと5分間持たせろ。プレゼントが届くはずだ」
そして映像は切れ、オペレーター達の視線が私に集まる。
くそっ。
だが、今の現状ではやつに頼るしかない。
そう、今まで何度となく逆転を起こしたやつの手腕に……。
先端を切ったのは紅蓮からだった。
すでに何度も戦闘を潜り抜けてきた状態であり、長期戦は不利だという判断だと思いたいが、そうではなかった。
すべて悪い方へと流れつつある現状に平常心でいられなかったというのが正しいのかもしれない。
牽制に左腕の固定式武装であるハンドキャノンを打ちながら、接近戦に持ち込もうとする。
紅蓮が接近戦に特化した機体であり、駆け引きをしている時間もない現状を考えれば、この選択は間違っていない。
特に一気にけりをつけたいときなら、なおさらだ。
だが、それは相手も望んだならという要素が必要になる。
「ふんっ……」
ルキアーノは、その牽制を軽くかわすと右手についている刃を回転させ、ドリル状の槍に変化させる。
そして、それを巧みに操って攻撃を仕掛けては牽制し、シールドに付けられたミサイルで一定の距離をおく。
あくまで、紅蓮の得意の距離では戦わない。
そういうスタンスだ。
確かに、ロングレンジの輻射波動も打てるが、精密的な射撃には向いていない。
なぜなら、あの武器は、長距離、或いは一対多数で効果を発揮するものだ。
さらに、今は無駄な輻射波動を使い、負担をかけたくないという事もある。
「へぇ〜、私のダンスの誘いを断るんだ……」
心理戦ではないが、憎まれ口が自然と漏れる。
「ふふん。残念ながら、女性とダンスよりも狩りの方が好みでね」
律儀にもルキアーノが答える。
そして、距離を置いての攻撃が続く。
くそっ。
こうなったら、粘ってミサイルが尽きた時に接近戦に持ち込むしかないかっ。
そう、カレンが考えていた時だった。
いきなり、パーシヴァルが距離を詰める。
その動きに慌てて紅蓮を突っ込ませようとしたが、再び牽制されて距離を開けられる。
くっ、なんて無様なのっ。
これじゃ、相手に好きなようにからかわれているだけじゃないっ。
イライラが大きくなっていく。
周りの戦況の悪化もそれに拍車をかける。
私がっ。
私が何とかしないとっ。
日本を……。
ナナリーを……。
皆を守らないとっ……。
焦りが焦りを呼ぶ。
頭ではわかっていても、そのプレッシャーとイライラに私は気が狂いそうだった。
そして、それは大きなミスを生む。
ガクッ…。
一瞬ではあるが、機体がブレる。
そして、それを逃すはずもなくパーシヴァルの攻撃が紅蓮に迫る。
ドリル状の槍の一撃。
だが、それは、紅蓮にとってもっとも得意とする戦闘距離だ。
「ちぃっ……」
私はとっさに輻射波動のスイッチを押した。
そして、輻射波動によって槍は粉砕され、パーシヴァルは大ダメージを食らう。
そのはずだった。
しえん
だが、ピーッという警告音と共に輻射波動関係の計器が一気に紅く染まる。
「オーバーヒート?!」
そう、輻射波動は不発に終わったのだ。
そして、パーシヴァルの槍が紅蓮の右腕を粉砕し、その衝撃は紅蓮本体にも伝わってくる。
私は、墜落しそうになる紅蓮の姿勢をなんとか押さえ込み、落ち着かせるので精一杯だ。
そんな紅蓮をパーシヴァルは、静止してゆっくりと見下ろす。
倒そうと思えば、続けての一撃で堕とすことも可能だったはず。
だが、奴はそうはしなかった。
「残念だったね……くっくくくく……」
余裕のある声が響き、そして、それは笑い声へと変わっていった。
怒りと屈辱の炎が私の心を焦がしつくほど焼いていく。
ギリギリとかみ締めた歯が鳴る。
舐められたものね。
私は、怒りに駆られて冷静な判断を失いかけていた。
「紅月隊長っ……」
だが、悲鳴のような部下達の声が無線から響き、私は我を取り戻す。
その声が私の怒り狂った炎を沈めていく。
落ち着け。
落ち着くんだ。
私は、自分に言い聞かせると素早く機体のダメージチェックプログラムを走らせた。
右手を失ったものの、まだ何とか戦える。
だが、輻射波動を失い、どう戦う……。
ましてや、確実に自分達が追い詰められている現状をどう打破できるのか……。
何も思いつかない。
悔しいが、今の私には勝てる方法が浮かばない。
だけどっ……。
「残念だけどっ、生きる望みを捨てるわけにはいかないのよっ!!」
私は、悲鳴を上げる紅蓮を操り、再び攻撃を開始した。
だが、そんなカレンの決意をあざ笑うかのように戦いは一方的になっていた。
パーシヴァルは、紅蓮の攻撃をかわしつつ、確実にダメージを与えていく。
満身創痍……。
まさにその言葉どおりになっていく紅蓮。
だが、諦めない。
諦めてなるものですかっ。
カレンは必死になって戦い続ける。
わずかな勝機を得る為に。
たが、食い下がるように攻撃するカレンを嘲笑するルキアーノの声が響く。
「くくくくっ、いいそ。いいっ。すばらしい魂の輝きだっ。そして、それを狩る。ふはははははっ。最高の瞬間だ」
そして、ついに残った左手も破壊さる紅蓮。
すでに計器類の半分が紅く点滅し、いつ脱出ポッドが作動してもおかしくない状態だ。
そして、残る武装は、スラッシュハーケン1基のみ。
「くっ……」
だが、カレンは、諦めない。
パーシヴァルの前に立ちふさがる。
今、ここを突破されれば、間違いなく戦線は崩壊して敗北は間違いないだろう。
そして、ここで逃げるわけにはいかないのだ。
彼女の背中には、多くの仲間達がいて、祖国日本がある。
そして、彼女に託された多くの人達の思いを背負っているのだから……。
「ふふん。逃げ出さないのは残念だけど、まぁ、たまにはこういうのもいいか……」
ルキアーノにしてみれば、弱りきって逃亡を図る相手をねちねちといたぶって叩き潰す事に悦びを感じるのだ。
だから、あくまで戦い続ける紅蓮に興味は薄れ始めていた。
ドリル状の槍がかかげられる。
「終わりだよ、紅き死神。お前の伝説も、そしてお前の命も……ね」
駄目だ……。
ごめん……ライ。
私、やっぱり貴方がいないと……。
お出かけ前に1回だけ支援
まさにそうカレンが諦めかけた時、パーシヴァルを一条の光の矢が襲った。
とっさに何とか攻撃を回避するパーシヴァル。
「なにっ…。何だ今のはっ……」
ルキアーノがセンサーレンジを拡大させる。
すると、まるでいきなり湧き出したかのような反応が、後方の本隊近くの空域にいくつも現れた。
敵増援の奇襲だとっ……。
やつらにそれだけの兵力はないはず。
そして、一番の問題点。
それは、レーダーにも視界の中にもそれらしい機影は見えなかった事だ。
だが、ルキアーノがそう思った瞬間、ブリタニア本隊のいる後方で次々と爆発が起こった。
「ル、ルキアーノ様っ、ほ、本隊がっ、敵ナイトメアのき、奇襲をっ……」
副官の悲鳴が無線から流れ、一際大きな爆発音と共に途切れる。
「ど、どういう事だっ……」
現状が完全に把握できない上に、予想外の戦力による奇襲で慌てるルキアーノ。
それは、後方にいた本隊も同じなのだろう。
あっという間に、本隊の戦力が削られていく。
そして、その光景に呆然となっていたパーシヴァルを再び一条の光の矢が襲う。
「くそっ、そこかっ」
その攻撃をかわすと、牽制にシールドのミサイルを発射して光の矢の発射地点へと一気に距離を詰めていく。
もう紅蓮は彼の眼中にはない。
あるのは、姿の見えぬ襲撃者だけだ。
今、攻撃すれば……。
一瞬だが、その考えがカレンの頭の中に浮かぶ。
だが無線から入ってきた言葉にそれは止められた。
「そこの赤いのっ。さっさと後退しな。ここは私が何とかする」
それは、ぶっきらぼうだが思いやりのある女性の声だった。
それと同時に、パーシヴァルの向かう先の空間が歪む。
その様子は、まるで幻影でも解けるかのような感じだった。
そして、そこに現れたのは、ネービーブルーに塗り上げられたナイトメア。
形は、蒼天とよく似ている。
多分、同系タイプなのではないだろうか。
違いと言えば、ハドロン砲が付けられた肩とセンサーやカメラ関係で大型化した頭部だろう。
それに腕の形も違っており、どうやら輻射波動は実装されていないタイプのようだ。
支援
「ちいっ。俺の狩りの楽しみを邪魔しゃがってっ」
パーシヴァルが弾かれたように攻撃を仕掛ける。
ドリル状のランスが、絶妙の角度で突き放たれた。
だがその攻撃を右手のランスで軽々と受け流す未確認のナイトメア。
「ふんっ。あんたは前々から気に食わなかったんだよ」
その声と共に未確認のナイトメアの左手が大きく動く。
すると左手に持っていた棒状のものがまるでその動きに合わせるかのように伸びた。
いや、内蔵されたワイヤーが伸びたのだろう。
そして、それは腕の動きに合わせてまるで蛇のように動く。
そう、それはまさに鞭だ。
そして、その一撃が攻撃を受け流され体勢を崩したパーシヴァルの左手の盾に絡みつく。
「イッちまいな」
短いその言葉と共に電流が走った。
それがただの盾ならば問題はないのだろう。
だが、パーシヴァルのシールドにはミサイルが仕込まれている。
電流でショートし爆発するミサイル。
慌ててルキアーノは盾を手放すが、すでに遅い。
爆発がいくつも起こり、パーシヴァルに壊滅的なダメージを与えていた。
「くっ……。まさか……てめぇ……」
破片がコックピット内を跳ねたのだろうか……。
血みどろになったルキアーノがひび割れたモニター越しに相手を睨みつける。
「ふんっ。それはあの世で考えるんだね」
大ダメージを受け、なんとか漂うだけで精一杯のパーシヴァル。
そして、トドメを刺そうと未確認のナイトメアが右手のランスを構えた。
その瞬間だった。
いくつもの火線が2機の間に走る。
慌ててパーシヴァルから離れて距離を置く未確認のナイトメア。
その瞬間を狙ったのだろう。
突っ込んできた白と蒼で塗り分けられたランスロット似のナイトメアが2機の間に入り込む。
「そこまでにしていただこう……」
感情の感じられない声が流れる。
だが、ビリビリという殺気がそのナイトメアから発せられていた。
こいつ……只者じゃない……な。
長年培った経験と本能が警報を鳴らす。
「今回の戦いは、君らの勝ちだが、彼まで失うわけにはいかないのでね」
そのナイトメアの後ろでは、友軍のナイトメアに助けられながら戦線を離れるパーシヴァルの姿。
「ちっ……」
思わず舌打ちが漏れた。
だが、動けない。
確かに戦っても負けないだろう。
それだけの自信も腕も持っている。
だが、勝てもしない……。
そんな感覚だ。
そして、パーシヴァルが戦線を離れたのを確認し、そのナイトメアは信号弾を打ち上げた。
赤と赤……。
総撤退の合図だ。
そして、残ったブリタニアの討伐軍がある程度戦線を離れるとランスロット似のナイトメアは背中を見せる。
そう、後ろから攻撃されないと確信しているのだろう。
そして、それはそのとおりだった。
悔しいが、私には出来ない。
もしかしたら、こいつ、私の正体に気が付いているのか?
私の頭の中で一瞬湧き上がる考え。
そして、その考えは的中する。
「ではまた会いましょう……。ノネット・エニアグラム」
そう捨て台詞を残してランスロット似のナイトメアは後退していった。
「シュナイゼル様、討伐軍が敗退したそうです」
カノンの報告にもシュナイゼルの表情は変わらなかった。
「ゼロの仕業かな……」
「はい。間違いないかと……。戦闘中にゼロからと思しき無線連絡が敵側にあった事をこちらもキャッチしております」
「ふむ……」
しばらく考え込むシュナイゼル。
その視線は、目の前のチェス盤を捕らえていた。
「……」
無言のままチェス盤にゆっくりと手を伸ばす。
そして、自らの陣営のキングを手に掴むとそれをゆっくりと手の上で弄ぶ。
「では、我々もキングを動かすとするか……」
その言葉を受け、無言で敬礼して部屋を出て行くカノン。
そう、戦いはまだ始まったばかりなのだ。
シュナイゼルの口が醜く狂気に歪む。
「楽しそうだね……」
ゆっくりと小柄な影がシュナイゼルに近づく。
「ええ、楽しいですよ。これも貴方のおかげだ」
その言葉に小柄の影が揺れる。
そう、笑っているのだ。
声を殺して……。
第20話 終了
次回 21話「ゼロ 対 ゼロ」に続く
以上で20話終了です。
支援していただいた方、本当にありがとうございます。
しかし…またお猿さんとダンスしてしまいました。
支援もらったのに……。
もう、勘弁してください。
もちっと間隔あけるべきなのかな……投下時間の…。
ふう、
長かった。
本当に長かった。
これで、これでやっと書きたかったエピソードが書ける。
もう書きたくて、書きたくてずーっと暖めていましたから……21話「ゼロ対ゼロ」は……。
まぁ、構想だけは頭の中でばっちし形になっていますから、後は、僕の文章力がどれだけ再現できるかにかかっていたりします。
えーっと……
………
……
がんばらせていただきますwwww
それしか今は言えない……。
まぁ、ともかく、このSSで少しでも皆さんが楽しんでいただければ幸いであります。
次は「わんこカレンシリーズ」か「マリアンヌシリーズ」あたりでお会いしましょう。
では〜♪
乙です
>>105 あしっど・れいん卿、GJでした!
流石ナイトオブテン!
本編じゃあ瞬殺されていたけど、KMFの能力差が戦力の決定的差だっただけなんだね。
カレンの指揮のもと、士気の高い団員達。
しかし、援軍がありやっとこさ勝った―――いや、引き分けたといった方が良いのかな? これは。
次回の展開も気になります。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>>105 あしっどれいん卿GJです。いよいよクライマックス突入という感じですね。
それぞれはどこに向かうのか…続きがとても気になるです。
>>105 今最も楽しみな連載の一つです。いつもおつかれさまです。
酸性雨さんGJ!いつもいつもありがとうございます!
114 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 00:30:53 ID:a3xowFu9
>>79 POPPO卿GJ乙です!重厚なストーリーとオリジナルを違和感なく取り入れる筆力に
読んでいて震えが来そうです。これからも頑張ってください!
誤字発見
>>48 誤 なんとか巻いた
正 なんとか撒いた
117 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 12:13:21 ID:YVta+Lb6
便乗w
>>48 『…さぁって、コーネリア様の手見上げにゼロの首を持っていくとするか』
↓
手土産
えーっと、誰もいないようですので投下いたします。
どうも遅くなりました。
やっとこさ完成したので投下いたします。
まぁ、好き勝手に暴走しちゃってますけど、まぁ、気軽に楽しんでくだされば幸いです。
●タイトル 「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第5話 ゼロの命令とあらば…
●カップリング 今のところ…マリアンヌ← ライ ←アーニャ (両思いが一つもない……
●ジャンル ラブコメ魔女っ子バトルストーリー(予)
●注意
パラレルワールドの為、キャラクターの設定等が大きく変わっています。ご注意ください。
・アーニャ・ 普通の人として今まで生活してきた為、あくまで普通の中学生。
マリアンヌに寄生されてからは気苦労が耐えない日々を送っている。
ついに、ライに恋している事を自覚する。アーニャの恋の行方はどうなる?
・マリアンヌ・ ブリタニアから"異形のもの"を封印する為にこの世界に来た魔法使い。
だが、単身ではこの世界に実体化出来ず、契約を交わしたものの身体を借りている。(寄生しているとも言う)
契約したばかりという事もあり、力を出し切れていないようだ。また、回復者がいないという事も彼女の力を引き出せない原因になっている。
現在、敗北感で引きこもり中。ニート・マリアンヌ状態。
・ライ・ ふとしたことからアーニャやマリアンヌと関わるようになった高校生。
記憶喪失の為、3年以上前のことは覚えていない。マリアンヌの美しさに一目ぼれ中である。
ついにC.Cと呼ばれる意識体の導きで、ギアスの力を取り戻す。
どうやら、三年前の出来事に深く関わっているらしいのだが、その部分は思い出してはいない。
・ルルーシュ・ ライの親友でナナリーの兄。
・ナナリー・ ルルーシュの妹でアーニャの友達。
最近、アーニャの行動がおかしい事に疑問を抱いており、何も相談してくれない事に寂しさを感じている。
・ゼロ・ 黒尽くめの謎の仮面の男。秘密結社「黒の騎士団」を率いて何やら暗躍している様子。
何やら計画を進めているようだが、その計画とは……。
・紅蓮・ ゼロの右腕として暗躍する黒の騎士団幹部の一人。本名はカレン。
・ラクシャータ・黒の騎士団の幹部の一人。騎士団随一の科学者で、科学・技術部門のトップ。
では、スタートします。
ここは秘密結社『黒の騎士団』の司令室。
その暗がりの部屋の中には2つの影があった。
一つはゼロ。
そしてもう一つは、彼の右腕である紅蓮。
「それは命令ですか?」
大抵の命令ならばゼロから言われれば彼女は躊躇することなく頷くだけだろう。
だが、今言われた事は、彼女を迷わせた。
「いや、命令とは思わないでくれ。あくまで提案だ。君が嫌だと思うのなら、はっきり言ってくれ。この話は無かった事にする」
「ですが……」
「カレンに無理はさせたくないからな」
ゼロの言葉はとても優しい。
だが優しすぎるがゆえに、かえって彼女は迷っているのかもしれない。
そして、しばし沈黙の後に彼女は決心する。
臣下の礼をとり、はっきりと言った。
「いえ、構いません。それがゼロの命令とあらば…」
その言葉に、ゼロは何も言えなかった。
「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第5話 ゼロの命令とあらば…
「ねぇ…、マリアンヌ、聞こえてるでしょ?」
いくら呼びかけても駄目だった。
あの戦いでの屈辱的な敗北から、マリアンヌは表に出てこない。
しかし、まだ間違いなく私の中にいる。
でも…どうすれば……。
何も思いつかなかったが、このままでいいはずも無い。
そうだっ、ライさんに相談してみょう。
そう思って、高等学部の中庭に行く。
この時間なら、いつもそこで食事をしているはずだから。
ついでに一緒にご飯もしちゃおうっと……。
不謹慎ながら、そう思ってしまうのは、自分のライさんへの気持ちに気付いたからかもしれない。
少しワクワクした気持ちでお弁当を持って目的の場所に向かう。
そこにはいつもどおりのライさんの姿。
「ライさーーーんっ…」
思わず声をかけて走り寄ろうとした。
だけどその足が自然と止まる。
なぜなら、ライさんの傍に見知らぬ女性の姿があったから……。
「やぁ、アーニャ」
笑顔でライさんが私に微笑む。
私もになんとか笑顔を返そうとするが、なかなか思ったように表情は変わらなかった。
そんな私の思いに気が付いたのか、ライさんは苦笑して私に彼女を紹介してくれた。
「彼女は、カレン・シュタットフェルト。僕のクラスメートなんだ。今日は、お弁当を作ってきてくれたって言うんで、御馳走になろうとしてたとこだよ」
彼女に微笑みながらの紹介。
それは、まるで私に見せ付けるような感じさえ受ける。
「あ、ライから話は聞いてます。アーニャちゃんでしょ? 私の事は、カレンって呼んでね」
優しそうな笑顔。
だけど、それが今はとても辛くて苦しいと感じるのは何故だろう。
だが、そんな事を表立って言うわけにも、表情に出すわけにはいかない。
「あ、はい。よろしくお願いします」
今の私は、なんとかそう言うだけで精一杯だった。
そして始まった3人での食事。
はたからみればとても仲がいいように見えるかもしれない。
だが、楽しそうに喋りながら食べる二人に対して、私はイラついていた。
そして、心にキリキリと痛みが走り続ける。
嫌だ。
こんなの嫌だよ。
ライさん……。
なんで……。
どうして……。
心が段々と靄に包まれていくような感覚に襲われる。
そして、その霧は私の心をより惑わせ、不安にさせていく。
もうやだっ……。
もう、ここには居たくない。
私は、ついに我慢できずに、立ち上がった。
「ご、ごめんなさい。ライさん」
私は短くそう言うと走ってこの場を立ち去った。
驚いた顔のライさんとカレンさんを残して……。
「あいつね、マリアンヌが憑依しているのは……」
私は一人駆け出していく少女を目で追った。
「ああそうだ。さらに、ギアス能力者の仲間がいるらしい」
私の後ろに立っている妖魔が呟く。
いや、この世界では"異形のもの"と呼ばれていたっけ。
まぁ、どっちにしてもこいつらの本質が変わるわけではないけど……。
そんな事を思いながら返事をする。
「ふーん。そうなんだ……」
ギアス能力者なんて興味はない。
私が興味があるのは、マリアンヌ只一人。
「じゃあ、ギアス能力者は任せるよ」
私はそう言って呪文を唱えた。
右手の腕輪から闇が発生し、その闇がロッドへと変わる。
そして、ロッドを握り締めて振ると戦闘用ジャケット姿へと変身した。
目標の少女は、うまく結界内に入ったようだ。
「ああ、それとね、一応言っておくけど……」
そこで言葉を区切り、ニヤリと後ろにいる異形のものに微笑んでやる。
「邪魔すると殺しちゃうから……」
私は、そう言うと結界の罠の張ってある場所に向かって飛翔した。
ど、どういう事?
私は、状況がわからずおろおろとするだけだった。
角を曲がり、校舎裏に入った瞬間、ゾクっという寒気が背中を走り、風景がまったく違うものに変わった。
まさか……これって……。
「そう、結界の中よ。さぁ、出てきなさい、マリアンヌ」
その声が響き、私の前に立ちふさがったのは、一人の少女。
まだ幼い感じのするその姿は、多分、私とそれほど歳は変わらないのかもしれない。
私は思わず身構える。
マリアンヌが出てこれない以上、私が何とかするしかない。
でも…どうすれば……。
そう思った瞬間、私は衝撃波で吹き飛ばされていた。
「きゃーっ……」
転がるように地面を跳ね、壁に叩きつけられる。
全身に痛みが走り、一瞬息が止まりそうになった。
「くうっ……」
それでもなんとか立ち上がろうとする。
「さぁ、出てきて戦いなさい、マリアンヌ。私、アリス・ザ・スピードが、殺してあげるから……」
どうやら彼女は、アリスという名前らしい。
アリスは、そう言うと呪文を唱え再びロッドを振るった。
衝撃波が放たれ、私の身体が再び吹き飛ばされる。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁーーーっ……」
再び、激痛が身体を走る。
あ…もしかしたら……、私死ぬのかな……。
ふと、頭に浮かんだ考え。
それがどんどんと大きくなっていく。
そして、私はその考えに飲み込まれていくように意識を失った。
どうやら少女は、気を失ったらしい。
ふんっ。つまんない……。
実につまらない結果になった。
ため息が漏れる。
閃光のマリアンヌ。
あのマリアンヌと戦えると思って楽しみにしていた自分が馬鹿らしくなった。
期待していたのに、その結果がこれか……。
でも、まぁいいや……。
戦いにもならなかったけど、その名声だけでも利用させてもらおうかな。
私は止めを刺そうとロッドが構える。
最後ぐらいは、少しはマシな呪文で殺してあげるわ。
そして、私はゆっくりと呪文を詠唱し始めた。
「エデンバイタルの風よ、私の力の源よ…」
あのアリスとかいう魔法少女の詠唱が始まる。
どうやら止めを刺すつもりのようだ。
本来ならば、ゼロの命令ではない事はしたくないんだけどね。
そう思ったが、今、彼女を失ってしまう事はゼロにとっても大きな痛手に違いない。
そう考えると私は、監視をやめて戦場に飛び込んだ。
これもゼロの為なのだからと自分に言い聞かせて……。
殺気が私に襲いかかってくる。
私は、詠唱を中断し、魔法壁を展開する。
紅い閃光が当たって魔法壁の表面がギャリギャリリリッっと悲鳴を上げる。
なかなかの攻撃力だ。
私は襲撃者の方に視線を向け、身構えた。
そこには、赤毛でサングラスをかけた黒ずくめの女がいた。
「ふんっ。ゼロの犬か……」
そう言葉を吐き捨てるように私は言った。
「そうね。私は、ゼロの犬よ。それで十分だもの……」
無表情で、そう答える紅蓮。
やだ、やだっ。
こういうタイプ、私、大嫌いなのよね。
私はうんざりしたが、叶えられなかった行為をこいつで解消しようと思いついた。
そう、私の戦いの欲求を……。
「ふふっ。犬が相手だけど、楽しめそうだからね。いいわ。殺してあげるっ」
こうして、エデンバイタルの魔法少女と紅き死神の死闘が始まった。
第伍話 終了
次回予告(アーニャ)
エデンバイタルの魔法少女と紅き死神の死闘の中、私はついに心の中心でマリアンヌと再会する。
互いに溶け合う心と想い。
そして、覚醒する力。
それは、希望へ導く光なのか……。
或いは、修羅地獄への道しるべなのか……。
それは私にはわからない。
だが、これだけはわかる。
再び閃光がこの地に舞い降りたという事だけは……。。
次回「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第6話 ブリタニアの名の下に… にご期待ください。
以上で第五話終了です。
如何せん、アイデアが次々と浮かんでしまい、なかなか話が進みません。
でも、気長にお付き合いくださいませ。
では、近々、またお会いしましょう。
>>123 GJです!
タイトルからギャグものを想像してたんですが、どシリアス!胸が熱くなります!
続きも楽しみにしております!
>>123 GJでした!
キャラ説明www >ニート・マリアンヌ状態
今回はアーニャの味方となった紅蓮。
ゼロの目的は一体何なのか、まだ明かされず気になる所です。
ライはアーニャの危機に気付くのか?
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>>123 お疲れ様です。保管庫に行って最初から読みました。最初の方こそ違和感がありましたが、
今では楽しめてます。慣れってこわいですね><
続きをお待ちしてますね。
ちょっと貼らせていただきます。興味の無い人はスルーしてくださいね。
掲示板の運営とか初めてですが頑張りますのでよろしくお願いします。
コードギアス LOSTCOLORS 801専用板
http://jbbs.livedoor.jp/anime/7725/
>>123 GJです。テンポが良くて、小気味よく読めますね。マリアンヌとアーニャの、掛け合いも面白いです。
頑張ってください。応援してます。
こんにちわ。
今回は、連載ものではなく、読み切りを投下します。
タイトル 想い
カップリング ライ×カレン
ジャンル ?
注意)
舞台は、キュウシュウ戦役で黒の騎士団が勝利し、九州を拠点に合衆国日本宣言した後の話。。
一部、細かい設定がゲームと違っていますが、スルーをお願いします。(笑
では、始めます。
九州を奪還し、合衆国日本宣言をした我々黒の騎士団だったが、それで戦いが終わったわけではなかった。
そう、まだ日本を完全に取り戻せてはいないのだ。
本来なら九州だけしか手に入れていない合衆国日本が、ブリタニアに勝てるはずも無く、あっという間に壊滅してもおかしくなかった。
だが、世界最大のサクラダイト産出国という条件がそれを覆す。
EUにしても、中華連邦にしても、サクラダイトをブリタニアだけに牛耳られていて面白いはずもなく、水面下ではかなりの妨害が行われていた。
それに、世界各地で戦い続けるブリタニアという国のシステムが、戦力の集中を妨げている。
その結果、戦いは、互角以上の状態になっていたのだ。
各地に散らばるゲリラとも連携を取りながら、戦線は北上していく。
そして、後の歴史が日本開放戦争の一大決戦と記した富士山周辺での戦いが開始された。
「なんて数だよっ……」
いくら制限されているとはいえ、まさにこの戦いはブリタニア側としても正念場とわかっているのだろう。
かなりの戦力がかき集められていた。
だが、それでも我々は負けられないのだ。
「ふむ……。少尉、紅蓮に先に補給に戻るように連絡しろ。ここはわしと少尉で抑える」
仙波大尉の言葉に僕は合意し、カレンに連絡を入れる。
「カレン。先に戻って補給してくれ。ここは、僕と大尉で防ぐから……」
僕の連絡にすぐにカレンの言葉が返ってきた。
「わかったわ。すぐ戻ってくるから……。それと、念のために言っておきますけど死んだら許さないんだからね」
その言葉に、僕は思わず笑いながら返事をする。
「当たり前だよ。カレンと結婚するまでは死ぬつもりもない」
笑いながらの言葉だが、これは僕の本音だった。
「……馬鹿っ……」
照れたような罵倒の言葉で無線は切れる。
真っ赤になっているカレンの姿が目に浮かぶ。
「ははははは。相変わらず仲がいいようで、わしとしては嬉しい限りだ」
無線を聞いていたんだろう。
仙波大尉が笑いながら言う。
「あ、すいません。戦闘中に……」
謝る僕に仙波大尉の笑い声がより大きくなる。
「かまうものか。ピリピリしているだけでは、身体がもたんからな。よい余興だ。あっはははは」
そして、笑いがおさまると仙波大尉は噛み締める様に言った。
「生き残れ。そして、今言った事を必ずやってみせろ」と。
僕は、大きな声で返事をする。
「はいっ。絶対に……」
そして、僕と大尉は、迫ってくる敵ナイトメアに向かって突撃を開始した。
想い
僕は、ゆっくりとドアの鍵を開けた。
そこは士官用の部屋だったが、大きさの割りに荷物は少なそうだった。
そう、ここはかって仙波大尉の部屋だった場所だ。
先の戦いで、彼は僕を庇い……。
ガンッ……。
鉄製のドアに拳を叩きつける。
激しい痛みが走ったが、今、心を締めつける痛みよりもはるかに軽いものだった。
あの時、僕がもう少しうまくやっていれば……。
後悔だけが心の中で大きくなっていく。
「……ライ……」
隣にいたカレンが僕を気遣っているのがわかる。
「ご、ごめん……」
僕はそう言うとゆっくりと部屋の中に入っていった。
部屋は、見た目どおり、あまり荷物はなかった。
いくつかの着替えと最低限の生活用品、それに本が数冊。
そして、僕は見つける。
1つの封筒を……。
封筒には、達筆な字で僕の名前が書かれていた。
僕は震える手で封を切り、中身を出す。
中には1つの指輪と1通の手紙が入っていた。
僕は、ゆっくりと手紙に目を通す。
拝啓、ライ殿
貴殿がこの手紙を読んでいるという事は、わしはもうこの世にいないだろう。
本当なら、生き抜いて渡したかったが、いつ死んでもおかしくない命だ。
だから、ここに書きとめておく。
わしは、ひとつやらねばならぬ事があった。
それは、先祖から仙波家に伝わる指輪を譲り渡す事。
そして、この指輪を仙波家の跡取りが、結婚相手に求婚するときに送るのを見守る事だ。
これは、わしの曾爺さんから続いてきた慣わしだ。
だが、残念な事に、わしの子供は先の戦争で死んでしまい、仙波家はわし一人になってしまった。
だから、この慣わしも終わりかと思っていた。
だが、そんな時だった。
貴殿と会ったのは。
最初は、少々腕のいい少年程度としか思っていなかった。
だが、貴殿は、実に優秀だった。
だが、それだけではない。
かっての息子の若い頃に良く似ていたのだ。
いや、姿形のことではない。
雰囲気や物腰がだ。
そして、気が付くと、わしは貴殿の姿にかっての息子を重ねてみるようになっていた。
それは、貴殿にとっては、迷惑でしかない事だったかもしれん。
だが、わしにとっては、貴殿は、私の息子同然だった。
共に戦場を駆け抜け、共に笑い、共に苦労をしてきてよりそう思った。
だから、わしは、この指輪を貴殿に譲ろうと思う。
仙波家の事とか考えなくともよい。
ただ、この指輪を託せると思えるものが貴殿しかいなかったのだよ。
だから、ライ殿、迷惑でなければこの指輪を貰っていただけないだろうか。
そして、どうするかは、貴殿に任せる。
そこで手紙は切れている。
そして、気が付くと、手紙に黒い染みがいくつも出来ていた。
そう、僕は泣いていたのだ。
また一つ、涙が手紙に黒いしみを付けていく。
多分、後ろから手紙を読んだのだろう。
カレンが僕の背中にぎゅっと抱きつく。
「ライ……」
呟くような声。
だが、その声は、震えるような涙声だった。
「仙波……大尉……」
僕の声も悲しみに震えていた。
そういえば、大尉は、いつも僕の事を気にかけていてくれたっけ……。
訓練の時も、戦闘の時も……。
そして、いつも豪快に笑って口癖のように話していた。
「これからは、少尉のような若者が引っ張っていかねばならぬ。だから、わしより先に死ぬんじゃないぞ」と……。
大尉の気持ちは良くわかりました。
でも、どうせなら……。
僕は、大尉が生き残って、直接僕に手渡してくれる方がずっとずっとよかった。
その方が、何倍も何十倍も嬉しかったのに……。
涙が止まらなかった。
そして、それはカレンも同じだった。
僕らは、そのまま涙が枯れるまで泣き続けたかった。
だが、そういうわけにはわけにはいかない。
まだ、すべてが終わった訳ではないのだから。
だが、それでも僕に出来ることが一つある。
だから、僕は指輪を手に取って振り返った。
そしてまだ泣いているカレンにそっと言う。
「紅月カレン。まだすべてが終わったわけじゃないけど、君に言いたいことがあるんだ」
ゆっくりとカレンが僕の顔を見つめる。
その顔は、涙でぐちゃぐちゃだったが、それでも愛しく綺麗だと思った。
「僕は、君が好きだ。この戦いが終わってからでも構わない。僕と……」
そこで言葉を切って深く深呼吸をする。
そして、はっきりと言った。
「僕と結婚して欲しい」
一瞬、驚いた表情で止まったカレンの顔。
だがすぐに真っ赤になり、再び目から涙が溢れ出した。
彼女が俯き、しばしの間が空く。
だが、彼女は俯いたまま答えなかった。
駄目なのだろうか……。
僕の心が不安という感情に染められていく。
急な事だし、仙波大尉の手紙を読んだから言われたのだと思ったのかもしれない。
でも、これはきっかけに過ぎない。
僕は、いつかは言うつもりだったのだ。
カレンと結婚し、共に歩みたいと……。
そんな事を考えていたら、ぶつぶつと聞き取れないような声でカレンが呟く。
「えっ?!」
彼女の呟きはよく聞こえず、僕は思わず聞き返す。
すると、じーっと僕を見つめた後、拗ねるような表情になってカレンが再び口を開いた。
「ずるい…。ずるいよ、ライ」
僕は、その言葉に唖然として何も言い返せない。
「こんな状況なら、イエスしか言えないじゃないの」
カレンが僕を責めるように言う。
僕は、慌てて言いつくろうとしたが、その口は塞がれた。
カレンの唇で……。
そして、唇を離して文句を続ける。
「馬鹿っ。これじゃ、本当に私がライの事が大好きで返事したと思われないじゃない。
勘違いしたらいけないから言うけどね……、私は貴方が大好きで、本当にとても大好きで、私も一緒になりたいからOKするんだからね」
そして、そこまで一気に言うとぷーと頬を膨らませ、そっぽを向いた。
「ご、ごめん……」
思わず反射的に謝りながら、僕は彼女の言った言葉を反芻する。
そして、気が付く。
彼女の返事がOKだという事に……。
僕は、慌てて俯きかけた顔を上げて彼女を見る。
そこには、少し呆れて、それでいて嬉しそうな表情の彼女がいた。
「本当に、気が付くのが遅いんだから……」
彼女は、そう言うと、再び僕にキスをする。
僕もそのキスを喜んで受け止めた。
キスが終わり、僕は、手で掴んでいる指輪を思い出す。
返事がOKなら、彼女に渡そうと思っていたのだ。
たが、それは彼女からの突然のキスですっかり忘れかけていた。
「カレン……」
僕はすーっと指輪を見せる。
「んっ」
カレンも頷き、僕の前に左手の指を広げて見せた。
貴方の手で付けてほしいという意思表示。
僕は、やさしく指輪をカレンの薬指に入れようとする。
だが、どうやらサイズが合わないらしく入りそうにない。
そして、互いに顔を見合わせる。
目と目が合い、私たちは同時に笑い出していた。
どうやら仙波さんは、まだ許可してくれないらしい。
「もう仕方ないな」
カレンは、そう言うといつも身に着けているロケットのチェーンを外して、それに指輪を通す。
そして、僕の顔を覗き込む。
「戦争が終わったら、サイズ調整してもらおうよ」
「そうだね」
僕も素直に頷く。
そして、微笑みながらカレンは言う。
「結婚して指にはめてもらわなきゃならないんだから、死んじゃ駄目だからね」
僕も笑いながら答える。
「もちろんさ。大切な僕の嫁さんを一人にするものか……」
そして、再び笑いあった。
仙波大尉、いや、仙波さん。
僕は、貴方の想いとこの指輪を受け入れ、絶対に生き残ってカレンと添い遂げて見せます。
だから見ていてください。
僕はそう誓った。
《おわり》
以上です。
今回のSSは、蒼い鴉さんのSS「LOVE VIRUS」に刺激されて書き始め、また全力さんからいろいろとアドパイスを頂きました。
お二方、どうもありがとうございました。
いかがだったでしょうか?
蒼い鴉さんのSSの仙波さんとプリンという組み合わせに刺激され、では私も仙波さんのSSでも書くかと思って書き始めたんですけどね。
気が付くと…ライカレになっていました。(爆笑
いやぁ、何でだろう……。
そのうち、また仙波さんのでリベンジしたいと思います。
まぁ、皆さんがこれで少しでも楽しんでいただけたら幸いなのですが……。
では、また別の作品でお会いいたしましょう。
手紙の部分を読んだ時点で泣きそうになった…涙腺ゆるくなったのかな
>>134 GッJッ!
あしっど・れいん卿GJッッ!
仙波さん……俺、もうごっつ感動したわ。
涙ポロポロ出たわ……
残された手紙とか……辛いなぁ。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>>134 グッジョブです酸性雨卿!仙波さんが…ライはまさに息子同然の存在だったんでしょうね。
泣けてきます。
GJでした。
>>134 あしっどれいん卿GJです。
…いつもながら素晴らしい作品、しかし今回は特にグっときました。
うちのモニタも寿命が来たか。画面がにじんでしょうがない。
俺こういう話弱いんだわ…
あしっどさんは心を突くのがうまいなあ
俺こういう話弱いんだわ…
あしっどさんは心を突くのがうまいなあ
間違えて押してしもたorz
シリアス、ギャグ、ラブコメ、そして今回のような涙モノ。卿は本当に多才だなあ。
もう一生ついて行っちゃいますよ。
キャラが死ぬ描写は色々見てきたが…これは…この手紙は…
ううっ…
こういう手紙って古典的だが読む人の心に訴えるものがありますね。
あしっどれいんさんの速筆と引き出しの多さには驚愕するばかりです。
>>137 しかしこれってライだからこれぐらいで済んでるんでしょうね
俺だったら恥も何もかも捨ててみっともなく大泣きしそうだ
>>137 乙です酸性雨卿。男の中の男として逝った仙波大尉に総員敬礼!
<(д)ビシッ!
>>137 このSSの仙波さんのように年を取るのが俺の理想です
>>150 俺も続くぜ! <(д)ビシッ!
……なぜみんな137にレスしてるんだ?
>>134 GJでした!
>>155は
>>153の補足です。今回のもそうですが卿の話は全て楽しみにしているので。
本当にお疲れ様です!
>>131 最初に謝っておこう。あしっど・れいん卿すいません!ライカレよりも手紙の方がずっとインパクト強かったです!
あしっど卿お疲れ様です。仙波大意の遺した手紙、指輪。このくだりは涙腺崩壊ものでした…
>>131 あしっど。れいん卿GJ!
しかし本当に凄い人だ。クオリティと速度をこのレベルで維持し続けるとは。
貫禄と言うか風格すら感じられます。
かつてこのスレの一番のキワモノもといツワモノは他でもないトーマス卿と思っていましたが、世の中にはまだまだ凄い人がたくさんいるものだと実感します。
>>134 お疲れ様です。158卿と同じく、手紙で他が全て霞んでしまいました…涙で…
>>134 いつも楽しく読ませて貰ってます。応援してます。
164 :
BLUEDESTINY ◆tr.t4dJfuU :2009/04/12(日) 00:15:47 ID:UJPSqVR0
すいませんSS描くのもうやめます
腐女子の分際でいままで迷惑ばかりかけてすいませんでした
おわびしますもうしまえん
>>165 本物 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
偽物 BLUEDESTINY ◆tr.t4dJfuU
以後、完全スルーでお願いします。
>>134 投下お疲れ様でした酸性雨さん。次回作を楽しみにしています。
職人そしてこれを読んでいる皆様に質問なのですが、他の漫画やアニメの
キャラクター等をコラボさせるのは有りなのでしょうか?
酸性雨卿、あしっと・れいん卿の作品は本当にいつも脱帽するほどの素晴らし
さです!
>>169 コラボ関係は、ここではやらない方がいいと思いますよ。
クロスSSもしかり。
あくまでコードギアスロストカラーズのゲームのSSスレですので。
171 :
POPPO:2009/04/12(日) 22:39:44 ID:hpyCqAUX
POPPOです。
今から
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編5)
を投下します。
毎度すいませんが、後編5を書いている内に文章があまりにも長くなってきたので、
予定していた後編5を二つに切って、後編6を「終わる日常」の最終話にしようと思います。
当初は、最高に長い文章でTURN00「終わる日常」を完結するつもりだったですが、皆さんが読みやすいようにするために分割することにしました。
それではどうぞ。
支援は要りません。
設定資料の追加もありません。
172 :
POPPO:2009/04/12(日) 22:41:30 ID:hpyCqAUX
ゲイボルグのブレイズルミナスコーンが斬月を捕らえた。
甲高い回転音が、斬月のコクピット内にも伝わる。
「…ぐっ!」
藤堂は歯を食いしばり、迫り来るゲイボルグを睨み付けていた。
大破した藤堂のナイトメアフレームに抗う術は無い。睨み付けることしか、彼には出来なかった。
地べたで仰向けになっている斬月は翼を失い、両腕をもがれている。
ガウェイン・ラグネルだけはベディヴィエールを突破し、政庁へ向かったが、四聖剣と藤堂ですら歯が立たなかったべディヴィエールに、2機だけで太刀打ちできるはずも無い。
狙いを定めたノネットは何の躊躇いも無く、ゲイボルグを斬月の胸部へと直進させた。
(…ここまで、か)
死を悟った藤堂は、額を血で濡らしながら瞳を閉じた。
志半ばで散る自分を許してくれ、と四聖剣に心中で呟いた。そして、同志たるゼロと、自分を越える器を持った若き名将、ライに対しても同様の謝罪を述べる。
(日本の、君たちの行く末を、見てみたかったものだ…)
しかし、それは身に余る贅沢と言えよう、と藤堂は思った。
7年前の戦争で、そして今までのテロ活動で散っていた多くの仲間と日本人がいる。将来を期待された若き芽が、戦火に飲み込まれる光景を、藤堂は幾多も見てきた。
(―――――?)
しかし、いくら待っても天に召されない。
疑問に思い、まぶたを開けた藤堂鏡士郎が目にしたのは、遠ざかるベディヴィエールの後姿だった。
ベディヴィエールのコクピットに低い声が響く。怒気と殺気を孕んだ声だった。
騎士としては当然だろう。腕のある戦士を死の淵まで追い詰めておきながら、命をとらずに身を引かなければならないのだから。
「…おォい。何の冗談だこれはぁ…」
モニターに映し出されているオペレーターは身を震わせた。
ノネットの歪んだ形相をまともに受け止められる人間はそういない。
怯えた口調で中年男のオペレーターは告げた。
『「即時撤退せよ」と…こ、皇帝陛下のご命令です…』
173 :
POPPO:2009/04/12(日) 22:49:52 ID:hpyCqAUX
『ナナリーが攫われた!』
コーネリアから情報を聞き終えたルルーシュの耳にC.C.の声が聞こえた。
庭園がナイトメアの戦闘によって荒らされていた。彼女のグロースターは大破し、アンドレアス・ダールトンはギアスによって操られ、ハドロン砲で葬られた。
結局、真相を掴めなかった苛立ちからルルーシュはC.C.を一蹴する。
「そんな冗談を聞いている暇は無い」
ガウェイン・ラグネルのオープンチャンネルからC.C.が叫んだ。
『冗談ではない!ナナリーは、お前が生きる理由なのだろう!?』
彼女の声色から真実味を感じ取ったルルーシュの心に、暗雲が立ち込めた。
ナナリーが攫われただと?
いったい誰が?何の目的で?ナナリーの側には生徒会の皆がついているはず…
トウキョウ租界陥落作戦の思考は停止し、ナナリーの安否のことで脳内が一色になる。
その時、ルルーシュの通信機に連絡が入った。
『総司令!』
「何だ?」
『5時方向からフロートシステムを装備したナイトメアが多数接近!数は100を超えています!』
「ブリタニアの援軍か…所属は何処だ?」
『い、いえ…それがブリタニアのデータから照合しても該当がありません。正規のブリタニア軍では無いようで…』
「なんだと?」
ガウェイン・ラグネルはゼロを右腕に乗せると、接近してくる多数のナイトメアを暗闇の上空で捕捉した。
黒いナイトメアフレームが群れる中、中心に一際異彩の放った巨大なナイトメアフレームがあった。それを見たC.C.は目を細める。
「何だ?あれは…」
政庁から10キロ離れた上空で光学カメラからゼロとガウェイン・ラグネルを捉えた男、ジェレミア・ゴットバルトはナイトギガフォートレスのコクピット内で狂喜した。
改造された肉体、物々しい機械で体を纏ったその姿はもはや人間ではなかった。緑色に輝く左目が、爛々と光を放ち始める。
「おおおおっ!ゼロ!ゼロォ!我が宿敵、ゼロが眼前に!…ああっ、感謝いたします!V.V.様!」
芝居ががった仕草で両手を合わせた。
ナイトギガフォートレスのコクピット内のモニターに通信が入った。口元を白い仮面で覆った兵士がジェレミアに声をかける。
『ジェレミア卿、本当に良かったのですか?陛下の勅命だとおっしゃって…』
「心配ない!団の命令は皇帝陛下の命令も同然!そんなことより、任務遂行こそ真の忠義と思わないかね!同志諸君!」
『…イエス、マイロード』
ジェレミア・ゴットバルトは高らかと腕を振り上げた。
「では、ガレス隊!攻撃態勢を入れ!勝利は我らブリタニアにあり!オールハイル・ブリタァーニア!!」
ガレスに乗っている黒服のパイロットたちの瞳には、赤い光が宿っていた。
まるで何かに操られているように、その表情は狂気に彩られていた。張り裂けそうな大声がスピーカーを通して夜空に響き渡っていく。
ガレスの両腕からハドロン砲の赤黒い光が輝き始めた。
『オールハイル・ブリタニア!』
『オールハイル・ブリタニア!』
『オールハイル・ブリタニア!』
『オールハイル・ブリタニア!』
174 :
POPPO:2009/04/12(日) 22:51:30 ID:hpyCqAUX
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編5)
ギギギギッ!!
MVSの大剣と蒼天の短刀が火花を散らし、大気を揺らす超音波が周囲に響き渡った。
パロミデスの力に押され、徐々に蒼天が体を仰け反らせる。
しかし、その体勢を利用して蒼天は、MVSを持っているパロミデスの右腕を蹴り上げた。
『ふんぬっ!』
パロミデスの巨体は上半身を急回転させ、MVSの一線の太刀筋が迸る。
蒼天の膝から下の右足が斬り落とされた。
『ちッ!』
蒼天は上部から、パロミデスの頭部を殴り潰した。
蒼天の指が飛び散ると共に、パロミデスの顔面が鈍い音を立てて歪む。赤い巨体が吹き飛ばされ、2機のナイトメアフレームは距離をとった。
だが一瞬で2機は距離をつめ、鋼鉄をぶつけ合う肉弾戦を繰り広げた。
空中での蒼天とパロミデスの戦いを、カレンは呆然と見上げていた。
周囲には多数の月下が大破した紅蓮を取り囲んでいた。紅蓮可翔式のコクピット内に通信が入る。
『無事か!カレン!』
「あ…杉山さん。…ええ。大丈夫。でも、紅蓮はもう駄目みたい…」
『紅蓮は置いていく!早く腕に乗れ!補給地に戻るぞ!』
「……わ、分かったわ!」
カレンはライの戦いを最後まで見届けたかった。
いや、世界最高とも言えるナイトメアフレームのパイロット同士の死闘を見たいという、一人の騎士としての感情もあった。
しかし、何も出来ない自分がただ佇んでいるだけなどライの足枷にしか無い。それだけは許せなかった。
彼のパートナーとして、恋人として。
カレンは咄嗟にマニュアルレバーを引いた。
紅蓮の背部がスライドし、ハッチが開く。
そのままカレンは月下の掌に跳び乗った。それを確認した杉山は、月下のランドスピナーを一気に回転させた。
杉山が乗る月下が動き出すと同時に、他の月下もランドスピナーを走らせた。
その周りを10機近くの月下が取り囲んでいた。
遠ざかるナイトメアフレームの激戦を見ながら、カレンは叫んだ。
「ライッ…絶対に、絶対に死なないで!」
『心配するな。カレン。あいつは勝つさ。なんたって、ゼロより凄い奴だからな!』
杉山の声がオープンチャンネルでカレンの元へ届いた。
吹き付ける風がカレンの髪を揺らす。その髪を押さえながら、カレンは月下を見据え、微笑んだ。
「……うんっ!」
175 :
POPPO:2009/04/12(日) 22:54:31 ID:hpyCqAUX
カレンが無事に救出されたことを確認できた僕は安堵した。
けれど、息をつく暇は無い。モニター前面にパロミデスが接近してくる。
ペダルを交互に踏み、操縦桿を前に倒した。蒼天の機体は小刻みに揺れ、パロミデスが振りかぶる大剣を紙一重で回避した。
飛び道具がスラッシュハーケンしか残されていない今、これを使う機会が勝敗を分ける。それは敵側も同じだ。
だからといって、接近戦でダメージを被ればそこで終わりだ。距離を離しすぎると戦いにはならず、かといって距離が近ければ剣が交差する激戦となる。
リーチが長い剣をパロミデスは所持しているので、武器に関してはセルゲイが優位にあった。
しかし、小回りが利く短刀を持っている蒼天も、機敏な機動力を考えれば引けを取らない。
まさに、拮抗していた。
テロリストの騎士と、ブリタニア最強と畏怖される騎士が。
その姿を周囲にいる月下はモニターを通して見ていた。機能が停止したサザーランドから降り、拘束されたブリタニアの兵士たちも目を奪われていた。
2機のナイトメアフレームの一挙一動の攻防に、どれほど洗練された戦術が練りこまれているのか、ナイトメアフレームを乗る者には、その片鱗だけでも感じ取れた。
自分たちが演じていた死闘がどれほど幼稚なものであったかを感じさせるほど、2人の決闘は熾烈を極めた。
そして、決闘は最終局面を迎える。
パロミデスが大きく振りかぶった大型MVSを、蒼天は正面から短剣で受け止めた。
パロミデスの出力が急激に上がった。
大型MVSの刃が蒼天の短刀を斬り裂き始めた。
蒼天の機体も徐々にパロミデスのパワーに圧されていった。そして、遂に蒼天の短刀は折れ、再び振り上げる剣先に当たり、柄まで粉々に砕け散った。
それを見たセルゲイは勝利を見出した。
彼は、サブバッテリーである予備電源を先ほどまで使っていなかったのだ。メインバッテリーを最後まで使い切り、そしてサブバッテリーの最大出力と共に一気に決着をつける。これがセルゲイの編み出した策だった。
互いの戦術が拮抗している。このままでは両者ともエナジーフィラーを使い切って終わってしまう。だから、相手も時期を見計らって勝負に出るはずだ。
そして、相手が勝負を仕掛ける前に手を打つ。蒼天のパイロット、ライは自分よりも頭が切れる人間、それを肌で感じ取っていたセルゲイは心を殺意に染め上げた。
(終わりだっ!若き獅子よっ!)
大型MVSは蒼天のコクピットを完全に捉えた。
両手に武器を持っていない。そして、左足に残っているスラッシュハーケンも動いていない。
振り切れば、コクピットごと斬り裂き、確実に少年の息を止めることが出来る。避けきれたとしても、右腕は斬り落とされ、胸部のダメージは免れない。
セルゲイは躊躇いも無く、操縦桿を横に振った。
大剣は空回った。
『なっ!?』
セルゲイが驚くのも無理はない。
なぜなら、眼前から『蒼天』の姿が消えたのだ。
刹那、パロミデスのコクピット内にアラームが鳴った。
『背後だと!?』
ガンッ!!
パロミデスに強い衝撃が走る。即座に背後に回るがまたもや衝撃がコクピット内に伝わる。
ガッ!ガッ、ガガン!
一撃、二撃、三撃、次々と機体の全身が衝撃に襲われる。
パロミデスのモニターは縦横無尽に動き回るナイトメアを捉えているが、機体の捕捉が追いついていなかった。
『なっ、何だ!この速さは!?』
セルゲイの表情が驚愕に染まった。
176 :
POPPO:2009/04/12(日) 22:55:34 ID:hpyCqAUX
『君ってやつは本当に、幸運の女神だよっ!…シャーリー!』
僕は操縦桿を強く握りながら、止まっているように見えるパロミデスに猛攻を加えていった。コクピット内には、Gの過負荷とAランクの機体損傷、そしてエナジーフィラーの限界時間を知らせるアラームが鳴り響いていた。
コクピットの機構内に、シャーリーから受けとったUSBメモリが、プラチナスターのストラップを付けたまま刺さっていた。
パロミデスは蒼天の四方八方から来る攻撃を防ぎきれず、損傷箇所を表示するモニターに次々とダメージが表示され、さらにはパネルの表示が歪み始めた。
ドルイドシステムにもダメージが及んでいる。
セルゲイの額に汗が滲んだ。
中央モニターに、青白いフォトンラインが輝く蒼天のナイトメアフレームが映った。
そして、そのまま蒼天は突進してきた。
その姿を見たセルゲイは咄嗟に剣を下から振り上げる。
パロミデスの大型MVSが、蒼天の右腕を肩から斬り落とした。
それから、ライはセルゲイの予想を超えた行動に出た。
セルゲイは目を見開く。
蒼天は斬り落とされた右腕を左手で掴むと、それをパロミデスの右腕にたたきつけた。
鈍い金属音と共に、肘の部分からパロミデスの右腕が捻じ曲がった。
左足のスラッシュハーケンをパロミデスの胸部に打ちつけ、MVSごと右腕をパロミデスから引きちぎった。
大型MVSを奪った蒼天はパロミデスに斬りかかる!
「貴方は人の身体(からだ)をよく知っている…」
バシュ!と、パロミデスの胸部から2本のスラッシュハーケンが発射された。
ライは超絶的なスピードでペダルや操縦桿に入力する。
近距離で発射されたにも関わらず、スラッシュハーケンを『蒼天』は紙一重で避け、スラッシュハーケンの鉄線をぶった斬った。
一瞬の内にセルゲイは操縦桿を縦に振った。パロミデスは身を翻す。
MVSの直撃を免れたが、右肩と一緒にフロートシステムの右翼を斬り裂かれた。
「僕はただ、人の性(さが)をよく知っているだけです…」
翼を失ったパロミデスは徐々に高度を下げ、轟音と共に地面に倒れこんだ。
辺りには粉塵が舞い上がった。
『蒼天』は左手に大型MVSを携えたまま、パロミデスを見下ろしていた。
勝敗は決した。
177 :
POPPO:2009/04/12(日) 22:56:48 ID:hpyCqAUX
『うっ、うおおおおおおおおおおおおおっ!!!』
突然、地上から歓声が聞こえた。
決闘を見守っていた黒の騎士団の団員たちが、月下から身を乗り出して叫びだした。
『す、すげぇ!!副指令が、ラウンズに勝った!』
『さすが、隊長ぉ!ブリタニア最強の騎士に、勝ったぞおお!!』
『万歳!副指令!!…副指令!万歳!!』
拘束されたブリタニア兵もその光景を見ていた。絶句して声を発することが出来ない兵士たちも多くいた。
「馬鹿な!…ナイトオブツー様が、負けるなんて…」
「…何者だ?あの青いナイトメアのパイロットは……」
178 :
POPPO:2009/04/12(日) 22:57:49 ID:hpyCqAUX
皆が歓喜する光景を、僕はモニターで見ていた。
額から垂れた汗が目に落ち、視界が滲む。安心した瞬間、胸からこみ上げてくるものがあった。
「ふぅ、ふぅ……か、勝った、のか?……うっ、ごぼっ、ごはっ!」
大量の真っ赤な血を吐き出した。
手で口元をこするが、手が震えて満足に拭うことも出来なかった。
蒼天の『オーバードライブモード』。
通常、僕は蒼天の出力は40%程度しか出していない。なぜなら、その出力で十分に他のナイトメアを圧倒するし、紅蓮をサポートするには適した出力だからだ。
では、『出力100%(オーバードライブ)』であればどうなるか?
蒼天は、この機体のベースとなった『神虎(シェンフー)』というナイトメアの改良型であり、コンセプトは「最強のナイトメア」だ。
それも人が扱える範囲内での最強ではなく、ナイトメアフレームという人型ロボットの規格の範囲内での究極を目指したものだった。
パイロットを考慮しない最強のナイトメア。常軌を逸した性能ゆえに、『神虎(シェンフー)』と呼ばれるナイトメアは未だに乗り手がいないという。
並みのパイロットなら20%が限界だ。カレンですら、僕と同じ40%に体がついていけなかった。
一度、模擬戦で蒼天を100%の出力をだしたところ、紅蓮可翔式を瞬殺したのはいいが、それと同時に体が悲鳴を上げ、一分も持たずに気を失ってしまった。
それを知ったルルーシュは、蒼天の出力を最大60%までしか出せないようにロックした。
僕を気遣ってのことで、小規模の活動なら蒼天をフルに使うことなど無かったので気にしていなかったが、『大戦』の前にはルルーシュを説得して、万が一の場合のために受け取った。
本当は気休め程度の代物だったが、まさか本当に使用する場面が来ようとは思ってもいなかった。
僕は徐々に息を整えながら、出力を30%に落とした。
蒼天の機体の隅々まで輝いていたフォトンラインが光を失う。蒼天のモニターに表示されたエナジーフィラーの残量は底をつき、フロートユニットに付けられている予備のミニバッテリーが作動した。
周囲からは悲鳴に近い歓声が沸き起こり、大型MVSを持ったまま蒼天が降下している最中に、パロミデスのオープンチャンネルでセルゲイ・サザーランドの声が聞こえた。
『……止めを刺せ』
『…僕は……』
『騎士の誇りまで奪う気か?……若き獅子、ライよ』
決闘とは騎士の誇りをかけて戦う命の奪い合い。
世界の頂点に立つブリタニアで、最も野蛮で崇高と言われる儀式。
決闘は貴族や平民を問わず、ブリタニア人であれば誰もが出来る勝負。それゆえに、敗者には生殺与奪すら勝者の思い通りになる。
彼は決闘に負けた。
それに殉じようとしているのだ。
その声から、僕は悟った。
彼は騎士に生き、騎士に死ぬ覚悟なのだと。
僕は、決闘が終わった今では、殺すつもりなど無かった。
しかし、生かすことは彼にとって死より重い拷問だった。
『生きていれば、必ず良いことがある』
そう言った人がいるが、僕はそうは思わない。
生き恥を晒して生き延びるよりも、人生の絶頂が覚めないまま終わったほうが結果的に最良である時もある。
死というものは、後世に残る人々に強い衝撃を与える。
そのタイミングを見計らい、自分の死をコントロールできる人間は、すでに人としての感情や理性といったものを凌駕している。
そのような人々を、我々は『英雄』、または『狂人』と呼ぶ。
『…分かりました。セルゲイ・サザーランド卿』
サブバッテリーで動いているものの、左腕を動かし、MVSでパロミデスの胸部を貫くことはできる。
僕は蒼天をパロミデスにゆっくり近づいていった。
ブリタニア軍の兵士から怒号が聞こえた。しかし、僕はそれを無視する。
179 :
POPPO:2009/04/12(日) 23:00:17 ID:hpyCqAUX
モニターには接近する蒼天の姿が映っていた。エナジーフィラーはすでに尽きている。パロミデスは完全に沈黙する。オープンチャンネルと映像のみに電力を絞った。幾度と無く入電してくる部下の声を遮った。
セルゲイは深く目をつぶる。
脳裏に様々な出来事が蘇った。
軍人としての青春時代。第一世代型ナイトメアに乗り込み、心躍らせた日々。度重なる戦争での仲間の死。前線から身を引き、ナイトメア開発に没頭した日々。
サザーランドが完成した記念すべき日。
妻との出会い。
我が娘の誕生。父としての日々。
そして、ビスマルクからの推薦を受け、ラウンズとして過ごした今の日常。
「辺境で果てるこの身をお許しください。シャルル皇帝陛下……そして…」
心の中で、妻と娘に謝罪した。
(…すまない。お前たちには、いつも泣かせてばかりだな……)
スピーカーから、蒼天のパイロットの声が聞こえた。
『サザーランド卿。僕は、貴方を殺したくはありません…』
セルゲイは一瞬、呆気に取られた。
自分を負かすほどの腕前と、ブリタニア軍を出し抜くほどの知略を兼ね備えた少年は、やはり少年だった。
年相応の『甘さ』がある。
まるでミスター枢木のようだ、とセルゲイは心中で述べた。
セルゲイは目を開く。彼はライの言葉には答えなかった。それが、すべてを物語るのだから。
眼前に、パロミデスの大剣が迫っていた。
その時だった。
頭に激痛が走った。
『蒼天』が空中で唐突に止まる。
頭が割れるような痛みが、脳を刺激する。
思考が停止した。
「うぐっ…うああああああっ!!」
僕の脳裏に見覚えの無い光景が蘇った。
僕の視界じゃない。
視線が低い。
焚き火の近くにいた黒の騎士団の団員がナイトメアのキーを手渡し、突然、目の前で頭を撃ちぬいた。
崩れ落ちた体は焚き火に倒れ込み、徐々に火は体に燃え移っていった。
(な、何だ。この記憶は…?)
僕は無意識に頭を押さえた。
モニターが霞んで、視界が眩んでいる。
(こ、この痛みは…オーバードライブの反動じゃないっ。…これは)
意識が朦朧としていて、操縦桿を握ったときだった。
『蒼天』のコクピット内に衝撃が伝わる。
ドンッ!!
蒼天の頭部が爆発した。
『ぐあああっ!!?』
セルゲイは驚愕する。
「!?」
蒼天は銃撃を受けていた。それも黒の騎士団のナイトメア、『月下』のコイルガンを浴びていたのだ。
MVSはパロミデスを貫く事なく地面に落ち、蒼天は黒煙を上げながら再び空に舞った。そのまま、夜空に消えて後退していく。
パロミデスの周囲に3機の月下が囲った。突然、緊急通信が入った。モニターにブリタニア軍の制服を着た一人の青年の顔が映った。
青年の勇んだ声が、静寂なパロミデスのコクピット内に響いた。
『ご無事ですか!ナイトオブツー様!イレブンの兵士からナイトメアを強奪してきました!お助けします!』
『ラウンズ様!後は私たちが…』
「……が」
『はっ?今なん…ブツッ』
セルゲイは怒りに身を任せ、モニターを殴り壊した。
「騎士の決闘に水を差すな!この大馬鹿者があああああっ!!!」
180 :
POPPO:2009/04/12(日) 23:04:01 ID:hpyCqAUX
シズオカ前線から遠く離れた上空で、武器と両足を失ったランスロットはフロートユニットを最大展開し、撤退していた。
エナジーフィラーの残量を確認しながら、コクピット内でスザクは戦況を確認し、モニターの先にいるロイド・アスプルントとやり取りをしていた。
『だーかーらー、非常にマズい状態なんだよぉ〜。ニーナ君がガニメデに積んだ兵器が今にも起動しそうでさぁ〜!』
「ニーナが?学園はどうなったんです?」
『黒の騎士団に占拠されちゃってたんだけど、民間人はアヴァロンに収容したから大丈夫。でも、今はそれどころじゃないんだよ〜』
「……分かりました。補給を終えて、直ぐにそちらに向かいます。少なくとも1時間は…」
唐突に、ロイドとの交信が切れた。
「えっ?」
何度もキーボードを押すが一向に画面が表れない。
灰色の画面の右下に、小さく文字が表示された。
その文字に、スザクは少し目を見開いた。
「…ロイヤルプライベート通信?」
スザクは直ぐに通信をつないだ。
『…枢木か?』
そこには額から血を流したコーネリア総督の姿が映し出されていた。
コーネリア・リ・ブリタニア総督の負傷に、スザクは驚いた。
「こ、コーネリア様!?ご無事ですか!?」
『私は、大丈夫だ……それよりも、枢木よ。貴殿に…話さなければならないことがある』
「…お話、ですか?」
『……ユフィのことだ。こんな形で、お前に伝えるとは…思ってもみなかったな…』
「お話というのは、一体…?」
そして、コーネリア総督は告げた。
話を聞き終えたスザクは、頭が真っ白になった。
181 :
POPPO:2009/04/12(日) 23:05:06 ID:hpyCqAUX
トウキョウ租界外部東北部。
遠くからナイトメアのランドスピナーと銃声が絶え間なく鳴り響いていた。
戦争は既に始まっている。
私は痛む体を押さえながら、隠れ家に向かっていた。
擦り傷を覆っていた包帯は、汗で濡れて気持ち悪い。
体中湿布を貼った状態で、制服の下は誰にも見られたくない。太ももにも包帯が巻かれてて、今の外見でも痛々しいのに…
私は頭に巻かれている包帯に手を当てた。羽織っている桃色のカーディガンを片手で押さえる。
パンパンに張った足を引きずりながら、私は歩いた。
あともう少しで着く。
もうアパートは目の前に迫っていた。痛みを堪えながら、裸足で小走りに走っていた。
そして、角を曲がった時だった。
私は息を呑んだ。
目の前に、薄汚い服を着た四人の男がいた。
私の足音に気づいて、四人とも振り返った。その男たちの手には何かしらの武器らしきものを持っていた。
曲がった鉄パイプや木刀、切れ味が悪そうなナイフ…
彼らの目つきが下品に歪む。
その目つきがとても不快だった。
「あはっ♪女の子か。それも上玉だなぁ」
「ブリキ野郎っ!…見てるだけでも腹が立つ…」
「怪我してるみたいだけど…さっさとやっちまおうぜ」
よく見ると、鉄パイプに血がこびりついていた。
私の背筋に怖気が走った。
(―――――――――っ!!)
無意識に左目を押さえて、再び気付いた。
私は『王の力(ギアス)』を失った――――――
体と共に頭が急激に冷めた。
思考力を停止させないために場を逃れる方法を考えるが、策が思いつかない。
後ずさるが、体中に痛みが走り、思うように動かなかった。
今の私では、逃げ切ることも…
こんな奴ら、ギアスがあれば何も恐れることは無いのにっ!
…なんで、何でこんなことばっかりなの?
私が抵抗する素振りを見せない為か、男たちの表情がさらに歪んだ。
私は地面にへたり込んだ。
「へぇ…結構可愛いじゃん。ただ殺すだけにはもったいないなぁ」
「…俺は、ブリキ野郎は好かん。勝手にやってろ」
「オッケイ。んじゃ…」
欲情した男たちの目つきが酷く勘に触る。
泥に汚れた手が、私の手を掴んだ。
振り払おうとすると、強い力が私の腕にこもった。そして、もう一人の男が私の肩を掴んだときだった。
その時、私の脳裏に悪夢がフラッシュバックした。
『盤上の騎士』様が私の手を掴み、首筋に舌を這いずった悪夢を――――
「…ひっ!!」
全身が凍りつくような拒絶反応が起こった。
手が無意識に震えだす
男たちの吐息が聞こえると共に、強烈な口臭が鼻につく。
支援
猿か?
しえん
185 :
POPPO:2009/04/12(日) 23:52:47 ID:hpyCqAUX
血と泥で汚れた手…
それは――――――――私も、同じ…
ゼロを殺すためにイレブンを騙し、陥れ、殺した。
一人、二人ではない。何百、何千の命がこの両手に染み付いていた。
そして、私のたいせつな親友の命も、この手を赤く染める血に混じっている。
私の白い肌に泥を血がこびりついた。
それを死人のような目つきで、私は見ていた。
私は、彼らを『汚らわしい』と、言えるの――――――――――?
全身から力が抜ける。
男たちの生暖かい手の温度が、私の肌に直に伝わってきた。
氷のナイフが心臓を突き刺したような怖気は止まらないが、私はなすがままに男たちの行為を受け入れていた。
(私の罪が、こんなことで少しでも償えるなら…私は)
ふいに、涙がこぼれる。
こんなところで、私の貞操が散らされることではない。
罪の意識に心を殺されていて、一歩も前に踏み出せない自分の弱さにだ。
それでも、もう一人の冷徹な自分がささやく。
男たちを余計に刺激して、怪我を負ってしまってはいけない。
時間は押しているが、私が犯された後でも、怪我が無ければ自分の目的は達することは出来る。
私は、自分の部屋にある目的物の場所を立体的にシュミレートしていた。
(私の部屋には、ゼロの仮面が……)
186 :
POPPO:2009/04/12(日) 23:55:16 ID:hpyCqAUX
パンッ!
地面に一発の銃弾が飛んだ。
「何をやってるんですか!貴方たちは!」
女性の声が暗闇に響いた。
その声が、私の耳に鋭く突き刺さる。
男たちは私の服に触れていた手を止め、銃声に驚きながら、その声の元に目を向けた。
そこには、一見、少女にも見える黒いジャケットを羽織った小柄な女性がいた。
耳には通信機のような機械を取り付けていて、右手には拳銃が握られていた。
一人の男が声を発する。
「く、黒の騎士団?」
「そんな少女に襲い掛かるなんて…日本人として恥ずかしくないんですか!」
「こ、こいつはブリタニア人だぞ!」
「やめなさい!あなた達は野蛮なブリタニア人と一緒ですか!?民間人への危害は、黒の騎士団が許しません!」
黒の騎士団の女性団員は大声で警告し、ピストルを彼らに突き付けた。
男たちは大きく舌打ちをした。
「……ちッ!」
そして、私の襟元を強引に掴むと、
「いだっ!」
私を地面に叩きつけ、私の顔につばを吐いて去っていった。
耳元に砂利を踏みしめる音が小走りに近づいてきた。
頬に付いた、透明な液を私は右手で触った。
手をかざして見るが、暗くてよく見えない。ただ、生温かい粘着性だけが手に残っている。
(……気持ち悪い)
そして明かりと共に、視界いっぱいに少女の顔が広がった。
「大丈夫ですか!?」
大きな声が鼓膜を震わせる。
少しうるさかった。
「………ええ」
私は無表情で返事をした。
背中に手がまわされ、ゆっくりと上半身を起こしてくれた。
ブリタニア人であるにもかかわらず、このイレブンは私を守ってくれた。
(…私は、たくさんのイレブンを殺したのに……)
彼女の行為に感謝しながらも、私は心の中で呟いた。
複雑な感情が、私のこころに渦巻く。
そんな私の心情も知らず、イレブンの女の声は私の耳にとどいていた。
「ここ一帯は戦闘区域です。あなた、ブリタニア人でしょ?なら早くトウキョウ租界に戻りなさい。黒の騎士団が……あれ?」
ふと、彼女の言葉が止まる。
その後、今度は私の顔をじろじろと見てきた。
彼女の視線に心地悪さを感じた私は、恐る恐る口をひらいた。
「………あの、私の顔に、何かついてます?」
わたしの言葉を無視して彼女は私の顔を見続けた。そして、目を見開いたと思ったら、素っ頓狂な声を上げた。
「あっ!…貴女、もしかして!」
「!貴女は、あの時の…」
小柄な体に青に近い黒髪、そして幼さを残す容姿と黄色の瞳。
オペレート用の小型通信機と、黒の騎士団の服を身に纏っているが、私は見覚えがあった。
幼い容姿に合った声が私の耳に届いた。
「エルネスタ・ラウディス様?」
そう、かつてあのカジノで私とやりとりをしたイレブンのバニーガール――――――――――双葉綾芽が、リリーシャ・ゴットバルトの顔を覗き込んでいた。
187 :
POPPO:2009/04/12(日) 23:58:53 ID:hpyCqAUX
申し訳ありません。
185、186を少し修正したものを投下します。
ダブり、すいません。
188 :
POPPO:2009/04/12(日) 23:59:58 ID:hpyCqAUX
だが、彼らの薄汚い手を見た瞬間、私の思考は逆転した。
血と泥で汚れた手…
それは――――――――私も、同じ…
ゼロを殺すためにイレブンを騙し、陥れ、殺した。
一人、二人ではない。何百、何千の命がこの両手に染み付いていた。
そして、私のたいせつな親友の命も、この手を赤く染める血に混じっている。
私の白い肌に泥を血がこびりついた。
それを死人のような目つきで、私は見ていた。
私は、彼らを『汚らわしい』と、言えるの――――――――――?
全身から力が抜ける。
男たちの生暖かい手の温度が、私の肌に直に伝わってきた。
氷のナイフが心臓を突き刺したような怖気は止まらないが、私はなすがままに男たちの行為を受け入れていた。
(私の罪が、こんなことで少しでも償えるなら…私は)
ふいに、涙がこぼれる。
こんなところで、私の貞操が散らされることではない。
罪の意識に心を殺されていて、一歩も前に踏み出せない自分の弱さにだ。
それでも、もう一人の冷徹な自分がささやく。
男たちを余計に刺激して、怪我を負ってしまってはいけない。
時間は押しているが、私が犯された後でも、怪我が無ければ自分の目的は達することは出来る。
私は、自分の部屋にある目的物の場所を立体的にシュミレートしていた。
(私の部屋には、ゼロの仮面が……)
189 :
POPPO:2009/04/13(月) 00:01:03 ID:hpyCqAUX
パンッ!
地面に一発の銃弾が飛んだ。
「何をやってるんですか!貴方たちは!」
女性の声が暗闇に響いた。
その声が、私の耳に鋭く突き刺さる。
男たちは私の服に触れていた手を止め、銃声に驚きながら、その声の元に目を向けた。
そこには、一見、少女にも見える黒いジャケットを羽織った小柄な女性がいた。
耳には通信機のような機械を取り付けていて、右手には拳銃が握られていた。
一人の男が声を発する。
「く、黒の騎士団?」
「そんな少女に襲い掛かるなんて…日本人として恥ずかしくないんですか!」
「こ、こいつはブリタニア人だぞ!」
「やめなさい!あなた達は野蛮なブリタニア人と一緒ですか!?民間人への危害は、黒の騎士団が許しません!」
黒の騎士団の女性団員は大声で警告し、ピストルを彼らに突き付けた。
男たちは大きく舌打ちをした。
「……ちッ!」
そして、私の襟元を強引に掴むと、
「いだっ!」
私を地面に叩きつけ、私の顔につばを吐いて去っていった。
耳元に砂利を踏みしめる音が小走りに近づいてきた。
頬に付いた、透明な液を私は右手で触った。
手をかざして見るが、暗くてよく見えない。ただ、生温かい粘着性だけが手に残っている。
(……気持ち悪い)
そして明かりと共に、視界いっぱいに少女の顔が広がった。
「大丈夫ですか!?」
大きな声が鼓膜を震わせる。
少しうるさかった。
「………ええ」
私は無表情で返事をした。
背中に手がまわされ、ゆっくりと上半身を起こしてくれた。
ブリタニア人であるにもかかわらず、このイレブンは私を守ってくれた。
(…私は、たくさんのイレブンを殺したのに……)
彼女の行為に感謝しながらも、私は心の中で呟いた。
複雑な感情が、私のこころに渦巻く。
そんな私の心情も知らず、イレブンの女の声は私の耳にとどいていた。
「ここ一帯は戦闘区域です。あなた、ブリタニア人でしょ?なら早くトウキョウ租界に戻りなさい。黒の騎士団が……あれ?」
ふと、彼女の言葉が止まる。
その後、今度は私の顔をじろじろと見てきた。
彼女の視線に心地悪さを感じた私は、恐る恐る口をひらいた。
「………あの、私の顔に、何かついてます?」
わたしの言葉を無視して彼女は私の顔を見続けた。そして、目を見開いたと思ったら、素っ頓狂な声を上げた。
「あっ!…貴女、もしかして!」
「!貴女は、あの時の…」
小柄な体に青に近い黒髪、そして幼さを残す容姿と黄色の瞳。
オペレート用の小型通信機と、黒の騎士団の服を身に纏っているが、私は見覚えがあった。
幼い容姿に合った声が私の耳に届いた。
「……エルネスタ・ラウディス様?」
そう、かつてあのカジノで私とやりとりをしたイレブンのバニーガール――――――――――双葉綾芽が、リリーシャ・ゴットバルトの顔を覗き込んでいた。
支援、猿か?
猿かな?支援
192 :
POPPO:2009/04/13(月) 01:03:39 ID:dJcPdQ9e
申し訳ありません。猿を食らってしまいました。その上、致命的なストーリーのミスを発見してまったので修正していました。
支援をしてくださった皆さん、ありがとうございます。
ご迷惑をかけて申し訳ありません。
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編5)
投下終了です。
173のジェレミアのセリフ。
攻撃態勢を入れ!→攻撃態勢に入れ!
ID:msyLJnwEさん。
ありがとうございます!
誤 なんとか巻いた
正 なんとか撒いた
ID:YVta+Lb6さん。
ありがとうございます!
48の『…さぁって、コーネリア様の手見上げにゼロの首を持っていくとするか』
↓
手土産
誤字修正お願いします…
「終わる日常」最終話は3日以内に投下します。
GJ!朝からフルコースを食べた気分だ!
POPPO卿乙です。次回で最終回!?
>>192 POPPO卿、GJでした!
息つく暇もない怒濤の展開、読んでいてドキワクでした。
蒼天が斬られる!? と思ったら消えて敵を後ろから攻撃。
量子化!? いや、トラン○ム!?
と、普通に別作品の設定が頭を過りました。
出力100%、聖天八極とかアルビオンを考えると結構妥当かな、と思いました。
それにしても、ライの頭に浮かんだ記憶は……
リリーシャの今後にも期待です。
長い時間をかけて調整されたであろうジェレミア卿、言語はキチンとしていました。
その思考、目的ははたして……
TURN00終わる日常、は次回で完結。
しかし00ということは―――期待しています。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
ただこの言葉を送らせてください。
POPPO卿、GJ!
>>192 GJ!…しかし次で終わりか。感慨深いものものがありますね。
ラストがどんな展開になるのかwktkしつつ、全力でお待ちいたします!
GJです!
戦闘描写がカッコイイですね
次で最終回ですか
落とし所が楽しみです
次回投下お待ちしてます
後、投下間隔は均一にされた方が良いと思います
こんにちわ。
今回も読みきりです。
気軽に読んでいただければ幸いです。
タイトル 告白
カップリング ライ×ミレイ
ジャンル ラブコメ?
では始めます。
告白
「はぁ〜……」
思わず大きな溜息が出てしまう。
無意識なだけに自分自身が少し驚く。
だからだろうか。
さっきからリヴァルがこっちをちょろちょろと気にして見ていた。
「ん? どうしたんだい、リヴァル……」
さすがに声をかけるべきだろう。
そう思ってこっちから声をかける。
「あ…、あはははは……。いやぁ、さっきから溜息ばかりだし、どうしたんだろうって思ってさ」
リヴァルが苦笑しながら答えた。
「えっ? そんなに溜息してたか?」
思わずそういうと、今度は思いっきりリヴァルが呆れた表情で溜息をついた。
「無自覚すぎるのも駄目だと思うぜ、ライ」
うーーーん。
さっきの大きいのは、自覚したけど、そんなに溜息ばかりだったろうか。
少し考えてみると……ああ、多いな。
納得してしまう。
「どうしたんだよ…。俺でよければ相談に乗るぜ」
僕の顔を覗き込むようにリヴァルが言う。
それは多分、友人して心配してくれたからに違いない。
だが、その浮かぶ笑顔の中に邪気が混じっているような気がするのは気のせいだろうか……。
いかん、いかん……。
最近は、ミレイさんにいいように遊ばれてしまっているから、ついつい被害妄想的な考えが浮かび上がってくる。
友人を信用しないと駄目じゃないか。
そう思いなおし、リヴァルに笑顔を向けた。
「いや…、気にしないでくれ……。大した事……」
そこまで言いかけて、リヴァルの言葉がその先を言わせない。
「そんなわけあるかよ……。ここ最近、ずっとじゃないかっ」
真剣な表情になったリヴァルの顔が間近にある。
その表情に圧倒された。
「俺じゃ…たいした事出来ないと思うけどさ。相談ぐらいなら乗ってやれるぜ。俺ら友達じゃないかっ」
その言葉に胸が少し熱くなった。
いいもんだな……、友達って。
だからだったのかもしれない。
僕は、今、心の大半を占める悩みを彼に話してしまっていた。
「告白したいだってっ?」
リヴァルの大きな声に思わず唇に指を立てて、静かにというゼスチャー。
それで慌てて自らの口に手を当ててまわりを見回すリヴァル。
もちろん、僕もきょろきょろと周りを見回している。
「で……誰だよっ」
表情が完全に興味津々モードになっている。
うううっ。
言うんじゃなかったかな。
ちと後悔が頭をもたげる。
それに気が付いたのだろうか。
「まぁ、いいや……。誰にも言いにくい事ってあるからなぁ」
リヴァルが慌てて無関心を装う。
多分、聞きたいんだろうけど、その変は空気を読んだのだろうか。
リヴァルににしてはとても、いや本当に珍しいと思う。
「で…、何に悩んでいるんだ?」
その言葉に、僕はおずおずと話す。
「実は、どうすればより確実にOKがもらえるかと思って……」
その言葉にリヴァルも考え込む。
「うむー……」
納得できるのだろう。
ちなみに、確実にOkをもらえるというそんな方法があれば、彼にだって彼女の一人か二人は出来ているに違いない。
「どんな方法でも、ミレイさんだったら冗談で流されそうなんだよなぁ……」
無意識のうちに言葉が漏れる。
「なにーっ……。会長相手なのかっ」
驚愕の表情でリヴァルが固まった。
しまったーっ。
だから、言わないようにしていたのに。
彼だってミレイさんを狙っているライバルなのだ。
なんで言ったんだよ。
自分自身がなさけなくなくなってしまう。
そして、心の中で後悔が大きくなっていく。
だが、そんな僕を気にしたのだろう。
リヴァルがポンポンと肩を叩く。
「確かに、そうなってくると問題だよな」
その言葉がますます僕の中の後悔を大きくさせていく。
「でもさ、恋はライバルだけど、ライとは友人でもあるからな」
少し無理したような明るい声。
すまなくなって謝罪の言葉が口から漏れた。
「ご、ごめん……」
「なぁに気にするなって」
そういうと大きく笑う。
少し悔しそうな笑いだと僕は思った。
そして、言葉を続ける。
「正々堂々と勝負だからな、恋に関してはっ。でも……、今はライの友人の一人として相談に乗るぜ」
思わず、その言葉に泣きそうになる。
リヴァル、君って奴は。
感動して言葉にならない
そんな僕を気にせず、リヴァルは話し続ける。
「確実じゃないけど、この国のすごく好感度を与える告白の方法を教えるよ。それでやってみたらいいよ」
その言葉に、僕はますます感動してしまう。
リヴァル、今、僕の中では、君は親友に格上げされたよ。
ありがとう。
本当に、ありがとう。
僕は、そんなリヴァルに最大限の感謝を感じながら、彼の話をしっかりと聞いたのだった。
そして、それから2日後……。
すべての準備が揃い、僕はついに決心する。
告白しょう……。
リヴァルには申し訳ないけど、彼の言うとおり恋は戦いなのだ。
ごめん……。
心の中で何回もリヴァルに謝った後、僕は彼女の元に向かった。
そして、運良く屋上で一人佇むミレイさんを見つける。
よしっ、チャンスだ。
僕は、彼女に近づいた。
ギクシャクした動きになってしまうのは、緊張しているためだろうか。
いかん、いかんっ……。
落ち着くように自分自身に言い聞かせるが、なかなか難しい。
今度、自己暗示でも練習しようかなと思ってしまう。
いやいや、今はそれどころではない。
僕は、本気なのだ、
そして、今こそ正念場。
よしっ。
やるぞっ。
そう決心したのはいいのだが、怪訝そうなミレイさんの顔が、僕を見ている。
いかん。
ともかく話して雰囲気を作るなり、流れを作らなければ。
「や、やぁ……。いい天気だね」
まずは、きっかけを作らないと。
そう思って、軽く挨拶をする。
「そうね……って、この天気が?」
ますます怪訝そうな顔になるミレイさん。
よく考えたら、今日は、曇っている。
いかんっ……。
別の話題をっ……。
慌ててそう考えるものの、パニックになった僕の頭でいい考えが浮かぶはずもない。
ただ、告白しなきゃ…という思いだけが空回りを続けている。
だからだろうか、思わず口走ってしまっていた。
「ミレイさんに告白しなきゃいけないんだっ」
その言葉に、ドキリとなったのだろう。
驚いた表情のミレイさんが目に入る。
しまったっ。
なんてストレートな事を口走ってしまったんだよ、僕はっ。
馬鹿っ。
大馬鹿じゃないかっ。
こう、すーっと何気ない感じで話に持っていくはずだったのに。
だが、焦っても慌てても仕方ない。
僕は考え直す事にした。
そう、現状は、刻一刻と変化しているのだ。
臨機応変。
現状をうまく利用しなければ。
だが、そうは思っても、うまくいかないのが人生だったりする。
言わなきゃと思う心と迷う心がごちゃごちゃになって、心臓がパクパク言っている。
えーいっ。どうすればいいんだよ。
僕は、混乱の極致だった。
だが、助け舟は、ミレイさんの口から出た。
「告白って……」
そう、僕がテンパっている間に、ミレイさんの方が先に落ち着いたのだろう。
恐る恐るといった感じだが、聞いてきてくれる。
ううっ……。
ありがとう、神様。
思わず、拝みたい心境になった。
これでもう言うしかない。
こうなったら、開き直りという訳ではないのだが、心が落ち着いてくる。
「実は、ミレイさんに言わなきゃいけない事があるんだ」
ドキリとするミレイさん。
「もしかして……来週の買い物につき合わせて、荷物持ちさせてやろうとか考えていたの、バレた?」
「へ?」
「それとも、今度、女装させてルルーシュとどっちが色っぽいか競わせようと計画しているの知っているとか……」
「はぁ?」
僕のリアクションにしまったという表情のミレイさん。
多分、今、彼女の中ではすごく後悔しているに違いない。
「そうですか……。そんな事考えていたんですかっ。大変いい情報、ありがとうございます」
思わず皮肉っぽく礼の一つも言ってしまう。
また、いろいろ考えていたんですねっ。
本当に、貴方って人はっ。
そうは思ったが、それでも好きになってしまったんだよなぁ。
そんな事を考えている僕を余所にあちゃーという表情で苦笑して誤魔化そうとするミレイさん。
「じ、じゃあ、何?……」
そう言われ、僕は本来の目的を思い出す。
そうだ。
僕は、ミレイさんに告白しょうと思ったんだった。
すっかり、忘れかけていた。
何やってんだよ、僕は。
深呼吸をして、心を落ち着ける。
さっきのミレイさんの告白で、なんかすっかり緊張が抜けていい感じだ。
一瞬、もしかしたら、ガチガチの僕の事を思って言ってくれたのかもしれないって思ってしまいそうになる。
まず、絶対にありえないと思うのだが……。
だが、今はそれよりも大事な事がある。
「ミレイさんっ」
声が普段より一段と大きくなってしまうのは、仕方ないのかもしれない。
どうしてもそうなってしまうのだ。
「は、はいっ」
思わず返事をしてしまうミレイさん。
普段の姿から想像できないほど、彼女も実は緊張しているようだ。
「僕は、ミレイさんのこと……が……」
深呼吸を入れる。
落ち着け、落ち着けっ。
そして一気に言ってしまう。
「……好きなんだっ……。だから、僕と交際して欲しい」
よしっ。
言えた。
言ったぞ。
そして、すかさず用意したものを彼女の目の前に差し出す。
それは1つの封筒だった。
いきなりの告白に、私はドキドキしながら封筒を受け取った。
まさか、彼から告白されるなんて……。
心が激しく動悸を繰り返す。
だが、疑問があった。
告白はいいとして、この封筒は何?
ラブレターとは違うだろうし……。
疑問に思いながら、私は封筒の中身を確認した。
「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
無自覚で出たとはいえ、我ながら変な声だとは思う。
だが、それほど封筒の中身は、予想外のものだった。
封筒の中にあったもの。
それは、自分の記入分はしっかり書き終わった婚姻届だった。
えーっと……これって……。
告白じゃなくてプロポーズ?
そう考えたが、彼は「付き合ってくれ」とはっきり言っていた。
だとすると……。
もしかして……。
ライの表情をすばやく観察する。
彼は、私のへんな声に驚いてきょとんとしている。
いや、唖然としているのかもしれない。
それに、まったく今の状況を把握しきれていないようだ。
それで納得した。
ああ、そういう事か……。
「この告白の方法は、誰から聞いたの?」
私は、自然を装って聞いてみる。
私の質問に、ますますきょとんとなる彼。
ああ、なんて可愛いんだろう。
ふとそんな思いが胸の奥から沸き起こる。
「えっ、リヴァルからだけど……」
そんな私の思いを知らず、母性本能をくすぐるかのような表情のまま答えるライ。
あーんっ。やっぱりかわいいっ。
でも、今は我慢だ、我慢っ。
それにしても、本当に予想通りの相手の名前が出てくるとはねぇ。
だから、私は笑いながら真実を告げる事にした。
「ライっ。貴方、リヴァルにからかわれているのよ。交際お願いするのに婚姻届なんて普通はいらないって……」
まぁ、この方法のほうが確実にゲット出来る場合もあるけど、多分、それはほんの少数だし。
リヴァルもそこまでは考えていないだろう。
「大体、交際する前にプロポーズしてどうするのよっ」
その言葉に真っ赤になるライ。
多分、やっと彼も自分が何をやったのか理解したのだろう。
「まんまと引っかかったわね。本当にしょうがないんだからっ」
私がそう言うと、ますます真っ赤になる。
それも可愛いと思ってしまう私。
「くそっ、リヴァルに文句言ってくるっ」
ついに場の雰囲気に耐えられなくなったのだろう。
そう言って彼は逃げる様に駆け出していった。
本当にもう……。
苦笑が漏れたが、それは決して嫌なものではなかった。
いや、どちらかというとほんわりとした心地よい気分だ。
そして、ますます彼のことが好きになっている自分に気が付く。
なんか、こういうのもいいかな。
そんな気持ちだった。
そして、彼が去った後に気が付く。
私の手元には、しっかりとライの記入済みの婚姻届が残される事に。
しばらくそれを呆然と見ていたが、いつの間にか私の頭の中にある考えが浮かんでいた。
これがあれば……合法的に、ライはあたしのもの。
そうだわ。
そうなのよね。
ふふふふっ……。
頭に浮かぶその考えに、私はゾクゾクした。
実際、彼を狙っている女性は、とても多い。
だが、これさえあれば……。
いつの間にか、私は笑い出していた。
そして、初めてリヴァルに感謝した。
リヴァル、ありがとね。
こんなにいいものが手に入るようにしてくれて。
だが、そう思ったのはほんの少しの間だけだった。
なぜなら、すぐにこれをどううまく活用するかを考え始めていたからだ。
そして、ライの受難な日々が始まった。
《おわり》
以上で終了です。
書いてて、だんだん某シリーズのミレイさんに変わりそうなのを抑えて書きました。
でも、少しは染まっているかも……ww
まぁ、それでも楽しく書けたことは変わりがありませんがね。
後は、皆様も楽しめればいいのですが……。
では、また別のSSでお会いしましょう。
GJ!リヴァル、哀れだ……。そして、ラストのミレイさんがどうしても黒く見えてしまうw
ライに待ち構える受難、どんなんだろう。
次回投下をお待ちしています。
>>206 あしっど・れいん卿、GJでした!
リヴァル涙目w
策士、策に溺れる……いや、生兵法は怪我の元。
ライが記入済みの婚姻届……
いや、読み切りなんだ、気にするほどではない。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
209 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 01:12:17 ID:ebMJk44w
>205
さわやかだなーとほこほこしていたら
最後の1レスで突き落とされました。うわあん恐いよ!
>209
いきなり他社が参入できるものでもないだろうし
普通にバンナムとかクラフト&マイスターに
要望や応援のメール送る方がいいんじゃないか?
無い物ねだりをしても無駄だ
与えられているカードを駆使して勝利を掴むしかない
ロスカラ2が実現出来る可能性があるのなら、考えるより即行動!
プロ○○ートの兄貴も言っていただろう?
まあ、行動を起こした所為でライはミレイ会長に捕まってしまったな……
酸性雨さんGJです
>>206 ライの署名入りの婚姻届 + あしっど・れいん卿
どう見ても血みどろデスマッチ確定です。本当にありがとうございました。
>血みどろデスマッチ確定です
…この人の場合はマジでシャレにならん展開がありそうだから油断ならないw
こんばんわ。
血みどろデスマッチはお任せ&大好きなSS職人でございますwww
ただ、今回は、残念ながら、そっち系ではありません。
もうしわけございません。
そっちはそっちで、じっくりと煮込んでおりますので、お楽しみに……。
今回は、2〜3回で完結予定の短編のお話です。
タイトル 逃避行 上
カップリング 咲世子×ライ
ジャンル シリアス
では、始めます。
逃避行 上
僕は、一人、瓦礫の影で蹲っていた。
血が止まらず、頭がくらくらする。
だが、止血する暇はない。
この場所もすぐに連中に見つかるだろう。
くっ。
ガクガクと震える足を何度も叩き、ふらつきながらも移動する。
僕は、こんなところで死ぬことも捕まるわけにも行かないんだ。
その思いだけが今の僕の支えだった。
しかし、出血によって意識が朦朧となっていく。
やばい…。
そう思った瞬間、身体の力が抜けてその場に崩れるように倒れた。
あははは…。
こんなところで死ぬのかっ、僕は…。
走馬灯なのだろうか。
遠くから人の声がするような気がする。
そして、ぼんやりとした目が咲世子さんの顔を映し出す。
ああ、咲世子さんっ…。
それは虚像ともつかないものではあったが、それでも構わなかった。
ただ、僕の思いを伝えたかった。
なぜなら、最後に悔いは残したくなかったから。
「あ、愛してます、咲世子さんっ」
たどたどしい言葉で何とかそれだけを言葉として吐き出す。
そして、僕の意識は暗闇の中に沈みこんでいった。
「はっ…」
僕は目が覚め、跳ね起きる。
身体中に激痛が走るものの、それは僕が生きている証だった。
「僕は……生きているのかっ」
「ええ、生きていますよ、ライ様」
僕を覗き込む咲世子さんのほっとした表情。
「そっか……」
安堵と共に身体中の力が抜けた。
だが、それと同時に現状を知りたいという欲求が湧いてくる。
本当に、現金なものだ。
さっきまで死にかけていたのに……。
「どうなってます?」
それだけで何を聞きたいのかわかったのだろう。
普段見せないような悔しそうな表情が咲世子さんの顔に一瞬浮かぶ。
それだけで判ってしまった。
「そっか……」
沈黙で答える咲世子さん。
そう、それが答えなのだ。
そして、ゆっくりと意識が遠くなっていく。
「ゆっくりおやすみください、ライ様」
そんな中、僕をいたわる咲世子さんの声が聞こえていた。
あれからどれくらいたったのだろうか……。
ふと気が付くと周りには誰もいなかった。
だが、隣の部屋からだろうか、声がするのがわかる。
小さな声だが静まり返った中では聞こうとしなくても聞こえてしまう。
どうやら、電話か無線の類のようだ。
「復唱できません。彼を見捨てるなんて……」
荒々しいまでに興奮した咲世子さんの声が聞こえる。
「わかっています。ですが、彼はこれからの騎士団に必要な方なんです。ですから、あと2日待ってください」
何度も相手を説得しょうと咲世子さんは言い続けている。
こんな咲世子さんは、初めてだ……。
ぼんやりとした思考の中で、その声を聞きながら考えていた。
僕がいると彼女に迷惑がかかる。
いくらなんでもそれだけは嫌だった。
好きな相手だからこそ、重荷になりたくなかった。
「っ……」
まだ痛みの走る身体を無理やり布団から起こすと部屋を出ようとした。
ずりっずりっ……。
足を引きずりながらもなんとかドアのところまでたどり着く。
そして、ドアに手をかけた瞬間だった。
バランスを失って、僕の身体は簡単にひっくり返った。
ドタンっ……。
派手な音が響き、僕の身体中に激痛が走った。
「ぐっ……」
それをなんとか歯を食いしばって耐え、立ち上がろうとした瞬間にドアが開いて咲世子さんが飛び込んできた。
「駄目ですっ、ライ様っ。まだ動いていい身体じゃありません」
彼女は、必死になって僕を布団に戻そうとする。
だが、僕がいたら足手まといになる。
その思いが僕を突き動かす。
「僕はっ……」
力が入らない身体を何とか動かし、無理やりにでも出ようとした。
だが、そんな僕の目に入ったのは、泣いてしがみ付く咲世子さんの姿だった。
「お願いです……ライ様。お願いしますっ……」
その泣き顔と言葉が、僕の心に突き刺さる。
身体中から力が抜けていく。
泣かせてしまった。
その事実だけで僕は愕然として何も出来なくなっていた。
再び僕を布団に寝かしつけると、まだ目元が赤いまま彼女は聞いてきた。
「なんで、あんな事をなさったのですか?」
僕は顔を背けた。
彼女の顔が見れなかった。
好きな相手を泣かしてしまったという事実から逃げたかった。
沈黙が周りを包み込んでいく。
その沈黙があまりにも重い。
だが、今の僕には何も出来ない。
そのジレンマがますます僕を苦しめていく。
その時だった。
咲世子さんの細い指が僕の髪を撫でたのは……。
ふわりっ……。
まさにそんな感じだ。
そして、僕の髪を撫でながら咲世子さんは話し始めた。
「ライ様、私は、ライ様がどういう考えであんな行動を取ったのかはわかりませんし、深く追求するつもりもございません。ただ……」
そこで咲世子さんの言葉が途切れる。
言うべきか言わざるべきか。
迷っているという感じだった。
でも、彼女は決意したのだろう。
ゆっくりと続けた。
「ライ様が…死んでもらっては……こ、困るのです。だって…、だって……」
咲世子さんの声が段々と落ち着きがなくなり、小さくなっていく。
僕は我慢し切れなくて、背けていた顔を彼女に向ける。
そして、目に入ったものは、涙を流しながら喋る咲世子さんの姿だった。
目と目が合い、彼女の表情がかすかに動く。
そう微笑みの形に……。
そして、はっきりと言葉を紡ぎ出す。
自分のありったけの思いをのせて……。
「私も、ライ様の事……好きですもの」
その言葉に、僕の心の中のわだかまりが解けていくような感じだった。
その夜、彼は熱を出した。
看病はしているものの、2日経った今でも熱が下がる気配はない。
無理がたたったのだろうか。
ともかく、何とかしなくてはいけない。
だが、逃走中の我々にちゃんとした医療品があるわけがない。
また、安全地帯ではない以上、暖をとるわけにもいかない。
どうすれば……。
私は、ガタガタと震える彼を見つめているしか方法がないのだろうか。
その時、混濁した意識の彼の瞳が私を捉える。
一瞬ではあったが、ほっとした表情になる彼。
それは、傍にいるだけで安らげるという彼の優しい心が見せたものだろうか。
それで決心がついた。
私は、彼の服を脱がせると、自分の服も脱ぎ捨てる。
そして、震える彼を抱き寄せると二人一緒に布団に包まった。
冷え切った彼の身体が無意識のうちに私の身体をしっかりと抱きしめる。
それは、温かさを求める無意識の行為とわかってはいた。
だが、私は、女としての幸福感に包まれている。
好きな殿方に抱きしめられるというのは、ここまで嬉しいものなのか……。
ふとそんな考えが頭に浮かぶ。
いけない。
何を考えているの。
これは看病なんだから。
そう自分に一生懸命言い聞かせた。
だが、ドキドキが止まらない。
幸福感と興奮が身体中を駆け巡っている。
だんだんと私自身の身体が熱を帯びていく。
多分、今の私は、真っ赤になっているだろう。
そして、私は気付いてしまう。
彼の唇が目の前にある事に。
心臓の動悸がより激しくなる。
意識しだすと、ますます唇から目が離せなった。
苦しそうな荒い息。
時折、唇を舐める舌の色っぽさ。
「……咲世子さん……」
彼の唇が、私の名前を呼ぶ。
その微かな声。
ゾクゾクしたものが背中を走った。
そして、気が付くとその唇に自分の唇を重ね合わせている私がそこにいた。
支援
僕は身体に押し付けられる温かさと柔らかな臭いに包まれて目が覚めた。
焦点のあっていない目が機能を取り戻し、ぼんやりとした意識がはっきりとしていく。
それでも、僕は現状を理解できなかった。
なぜなら、僕は裸で、その僕に抱きつくような感じで咲世子さんも眠っていたからだ。
それも裸で……。
「うーんっ……」
咲世子さんの身体が少し動く。
布団がめくれ、咲世子さんのお椀型の胸が露になる。
ドキンっ。
いけないと思いつつ、それから目が離せない。
大きすぎす、それでいて小さすぎない。
ちようど手に収まるような感じ。
そんな事を考えてしまう。
これは、男の悲しい性なのだろうか。
そして、気が付くと、僕は男として目覚めていた。
ごくりっ……。
唾を飲み込む音が部屋に響くように感じる。
僕の気配の変化に気が付いたのだろうか。
あるいはたまたま目が覚めたのか。
うっすらと咲世子さんの目が開き、僕を捕らえた。
しばしの沈黙がその場を支配する。
どれだけ時間がたったのだろう。
何時間も止まっていたかのように感じる。
だが、もしかしたらほんの数秒なのかもしれない。
どちらにしても、僕にとってはとても長く、そして短い時間だった。
だが、その時間も終わりを告げる。
微笑みながら咲世子さんが囁く事によって。
その声は、とても小さかったが、はっきりと聞こえた。
「ライ様の好きなようになさってください」
一瞬、思考が停止したかのような衝撃を受け、そして、その言葉に、僕は理性を捨て去った。
支援
行為が終わり、互いに脱ぎ捨てていた服を身につける。
ただ、布ずれの音だけが響く。
「ごめん……」
僕はそれだけしか言えなかった。
よく考えれば、あの行為は熱を出した僕を暖める為にした事だとわかる。
だが、それなのに僕は……。
「いいえ。誘ったのは私ですから……」
「でもっ……」
言いかけた言葉は、僕の唇に重ねあわされた咲世子さんの唇で途切れた。
「私も、ライ様が欲しくなってしまっていましたから……」
真っ赤になってそう告白する咲世子さんはとても可愛かった。
思わず手を伸ばして、彼女の手を強く握り締めた。
その瞬間、身体に痛みが走る。
「つっ……」
そうだ。
そうだった。
愛しい人との行為に夢中になっていたため、自分の身体の状態を忘れかけていた。
それだけ、興奮し、夢中だったのだろうか。
「だ、大丈夫ですか?ライ様」
慌てた様子の咲世子さん。
多分、彼女も僕と同じで忘れていたのかもしれなかった。
でも、それはそれで嬉しいものだ。
それだけ、夢中で僕を求めてくれたのだから……。
だから、僕は微笑んだ。
ほっとしたような表情の咲世子さん。
彼女のその顔を見ながら、僕は気が付いた。
僕は手に入れることが出来たのだ。
絶対に守りたいものを……。
そして、もっとも大切なものを……。
それがすごく嬉しかった。
《続く》
以上で 上 終了です。
さて、実は、まだラスト決めかねていたりします。
最初は、この手の話によくある結末を考えていたんだけどなぁ……。
書いていると気分変わってきたんですよ。
だから迷ってたりします。
もし、よかったら、皆さんの意見とかもあったりすると助かります。
まぁ、気軽にでもいいんで書き込んでいただくとうれしいです。
では、また別のSSで会いましょう。
>>224 あしっど・れいん卿、GJでした!
キングクリムゾン! ベットシーンを吹っ飛ばす!
こう、想い合って結ばれるっていいよね。
……だが、あしっど卿の作品という不安要素がある。
ハッピーエンドか、バッドエンドか、はたまた……
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
GJ!
>>224 乙でした!
続くんですか。ひっくり返されるのが恐いような期待してしまうような。
あしっどさんの書く女性は手で触れられそうでどきどきします。
続編、咲世子さんエンドがあるといいなあ。
というか続編があるといいなあ。
画像掲示板投下報告です。
・・・・・・・
「ライとノネット」
ドレス姿のノネットさんをエスコートするライ、
が描きたかったはずなのですが
少し違ったものが出来てしまったような気もします。
>>4の画像掲示板よりご覧いただければ幸いです。
・・・・・・・
>行為が終わり、互いに脱ぎ捨てていた服を身につける。
咲世子さんが魅力的なのは同意だが、ますます傷に障るんじゃあ…w
230 :
POPPO:2009/04/15(水) 20:07:47 ID:dk1bxdlD
POPPOです。
今から
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編6)
を投下します。
支援は必要ありません。
231 :
POPPO:2009/04/15(水) 20:10:43 ID:dk1bxdlD
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編6)
シズオカ第1基地。黒の騎士団総司令部『イザナミ』。
ナイトメアフレームの整備専門の格納庫が複数あり、最も南方にある格納庫に前線で故障したナイトメアが集められていた。
そこにガラクタ同然となった『蒼天』を着陸させた僕は、周囲に集まってきた団員たちの声援を聞きながら、格納庫と繋がった多目的ルームに足を運んだ。
僕が多目的ルームに入った瞬間、カレンに抱きつかれた。
同時にわぁっ、と拍手が巻き起こった。
僕がナイトオブツーに勝ったという朗報は、瞬く間に広がっていたらしい。
カレンの笑顔がすぐ側にあって、僕を褒め称える声を聞いているうちに、何かくすぐったい気持ちになった。
雰囲気に乗って、僕はカレンにキスをした。
カレンは顔を赤くなって、唇を手で押さえていた。
その瞬間、黄色い声が上がったのは言うまでも無いだろう。
だが、複雑な表情で、肩を叩く黒髪の女性団員を見て、僕の気持ちはすぐに冷めた。
その場をすぐに立ち去った僕は奥にある情報室へと案内された。
部屋中に張り巡らされたモニターの光だけが僕たちを照らすような、薄暗い空間だった。
僕はそこで予想外の知らせを聞いた。
「ゼロが消えた!?」
「はい。指揮権を藤堂弐番隊長に譲渡したのですが、ブリタニア軍に拿捕されたらしく、指揮系統に乱れが生じています」
声を震わせながら、戦況を報告する連絡員は僕に告げていた。
僕は連絡員の声が遠くに聞こえた。
ゼロが戦線離脱?
ルルーシュ、君は何をやってるんだ!?
よほどのことが無い限り、彼はそのような行動に出ない。それは僕が良く知っている。
それほど重大なことなら、僕に連絡してくれてもよかったはずだ。
…僕に伝える暇も無いほどのことが起こったのか?
それは一体……
一旦思考を停止して、僕は連絡員を見た。
僕が考え込んでいるのを見て、報告を止めていたみたいだ。
「…戦況はどうなっている?」
「〇二三七、突如として100機以上の新型ナイトメアフレームが参戦し、状況は劣勢。損耗率は35%を超えていると報告が…」
35パーセント。
撤退してもおかしくない損耗率だ。
事実、半数の部隊は撤退を開始しているらしい。それに四聖剣の拿捕、加えて総司令ゼロの戦線離脱。
その報告が示すことに気付き、僕は凍りついた。
「…トウキョウ租界陥落作戦は、失敗したのか?」
232 :
POPPO:2009/04/15(水) 20:12:33 ID:dk1bxdlD
「………」
彼女は何も言わなかった。他の連絡員も拳を固く握り締め、口を噤んでいる。
痛いほど、彼らの気持ちが理解できた。
壁一枚向こう側では、シズオカ防衛作戦の成功で団員たちは浮き足立っていた。
国家建国を目指して四苦八苦を共にしてきた仲間たちに、このような報告を口にするのは辛かった。
つかの間の勝利でも、皆の笑顔を曇らせたくはない。
何故なら、トウキョウ租界陥落作戦の失敗は、黒の騎士団の終わりを意味しているのだから。
「…なぜ、紅月隊長には伝えなかった?」
「それは…」
「支持したのは私です。副指令」
黒髪の女性を制したのは、目つきが鋭い20代後半の男だった。
僕を見て、深く頭を下げる。
「お初にお目にかかります。情報部担当の的場と申します」
手短に挨拶を終えた後、彼はすぐに言葉を続けた。
幹部の僕に媚びる素振りすら見せずに、はきはきと物事を述べ、任務に忠実な姿勢に僕は好印象を受けた。
「紅月隊長は総司令ゼロを崇拝に近い忠誠を誓っているとお聞きしています。そのことを鑑みれば、この報告に衝撃を受けた紅月隊長に、適切な判断は困難だと断定しました」
…ぐぅの字も出なかった。
僕が彼と同じ立場なら、同様の判断を下していたと思う。
「…このことを知っているのは?」
「この基地では副指令と我々だけです。他の支部の情報部も情報を得ていますが、副指令の判断を待つという結論に達しました」
「つまり、実質上のトップは僕になったからか?」
「…そうです。ゼロ無き今、黒の騎士団の全指揮権は貴方にあります」
この瞬間、僕の肩に200万人を超える団員の命がのしかかった。
…ルルーシュ。
君は、いつもこんな重みを背負っていたのか?
僕は君の力になれればと思っていたけど……僕は、君の十分の一も肩代わりしてやれなかったんだね。
砂漠の大地にただ一人取り残されたような気持ちになった。
でも、同時になつかしい気持ちにもなった。
かつて王だった頃に味わった孤独感が、僕の心に染み渡る。
自分の一挙一動が人々の命を左右する、重圧の王冠を戴いていた日々が思い起こされた。
兄を殺し、父を殺した。
血塗れた王冠を手にした僕は、愛する妹と母の幸せだけを願って、杖を振るった。
短い間だったが、幸せな日々だった。
だが、血塗られた運命は、血塗られた結末を迎えるだけだった。
そんなことは、かつての僕も分かっていたはずなのに…
ゆっくりと目を開けた。
団員の視線が僕に集まっている。
皆が僕の指示を待っていた。
その光景が、かつての家臣たちの姿と被った。
深呼吸を繰り返して、僕は告げた。
「…ゼロは帰ってくる。これは僕が断言しよう……その間は僕が指揮を取る。総司令代行として命じる。プラン甲を――」
233 :
POPPO:2009/04/15(水) 20:14:12 ID:dk1bxdlD
タァーン…
一発の銃声が鳴り響いた。
「!?」
僕が振り返ると、この情報部の部屋に連れてきた女性の団員がいた。
目を見開き、口から血を流し始めた。
黒髪を揺らせながら、体が崩れ落ちる。
ドアの小さな穴から光が差し込んでいた。
タタタッ、タタタタタタン!
団員たちの悲鳴と共に、無数の銃撃が鳴った。
(――――――ッ!!)
一瞬で思考が停止した。
デスクに置いてあったアサルトライフルを手に取って、ドアを蹴り飛ばした。
僕は、彼女のことで頭が一杯になる。
ありったけの声を張り上げた。
「カレンッ!!」
銃弾でコンピュータや書類が音を立てて、吹き飛んでいく。
団員たちは次々に倒れていった。
そして、その奥には銃を構えたブリタニアの兵士がいた。
(あ、あいつらっ!決闘を無視して、刃向かってきたのかッ!?)
全身が怒りで染まった。
デスクを盾にして、トリガーを引く。
ババババババッ!
アサルトライフルが火を噴き、撃たれた兵士たちは体を仰け反らせた。
一瞬で敵を視認する。
(中央に3人!ドアの左右に2人ずつ!武器は団員から奪ったノルトーダR-16!)
僕に気付いたブリタニア軍たちは銃口を向けた。
バババババババババッ!
銃弾が僕に襲い掛かる。
(―――――遅いんだよっ!!)
僕は常人を超えた脚力で、地面を蹴り上げた。
抜群の瞬発力は、ブリタニア兵の視界を翻弄した。
銀髪を揺せながら、もの凄いスピードで壁を走り去った。
対応が遅れたブリタニア兵に、僕は容赦なく11.7×99mmブレッドを撃ち込んだ。
鼓膜をたたく銃弾を聞きながら、アサルトライフルの反動で手が震える。
ヘルメットの下で、トマトのようにブリタニア兵の頭が弾けた。
それを目の端で捉えた僕は体を反転させ、最後の一人のブリタニア兵にアサルトライフルを向けた。
ドンッ!
僕がトリガーを引く前に、一発の弾丸がブリタニア兵の眉間をつらぬいた。
鈍い音を立てて、コンクリートの壁に体が叩きつけられる。飛び散った血と共にブリタニア兵の体は力を失った。
振り向くと、両手に大口径の拳銃を手にしたカレンがいた。
赤いパイロットスーツを着たカレンに目立った外傷は無い。
その姿を見て安堵した瞬間、
僕はトリガーを引いた。
234 :
POPPO:2009/04/15(水) 20:15:31 ID:dk1bxdlD
ドドン!
2発の銃声が重なり、僕の背中にあるドアに二つの穴が開いた。
僕とカレンは同時にドアの方向に撃った。
すると、ゆっくりと扉がひらき、一人のブリタニア兵が崩れ落ちてきた。
地面に赤い血がじわじわと広がっていく。
カレンに目線で合図を送り、この部屋にいる団員たちの安否を確認させる。
ブリタニア兵の死体を盾に、廊下に体を素早く乗り出した。
そこで見たものは、幾多に転がる団員たちの死体だった。
こみ上げる怒りを抑えながら、即座に目の届く範囲を見回した。
人の気配が無い。
同時に、生きている人間の気配も皆無だった。
「…くそっ!」
盾に使っていたブリタニア兵を、乱暴に叩き付けた。
怒りまぎれにもう一度その死体に撃ち込もうとしたとき、後ろからカレンの声がした。
「ライ!」
「どうだった?」
カレンは首を振る。
…さっきまで笑い合っていた団員たちは死んだ。
僕は強く歯軋りをする。
「なんでブリタニア兵が『イザナミ』に!?」
「拘束を解いて、反撃してきたみたいだ。……こいつらは、セルゲイとの約束を、無視して…」
カレンは歯を食いしばって、拳を壁に叩きつけた。
鈍い音が、真っ赤に染まった廊下に反響する。
「くそったれがああ!!ブリタニアは……腐ってる!!」
怒りで身を震わせたカレンは大声を上げた。
僕も同じ気持ちだった。
カレンがいなかったら、僕はブリタニア兵士の死体に弾が無くなるまで撃ち続けていただろう。
しかし…
「カレン。ここは危ない。早く安全な場所へ退避しよう…」
銃声と悲鳴、そしてランドスピナーとKMF用のアサルトライフルの銃撃の音が聞こえている。
再びブリタニア兵がやってくるに違いない。
カレンは僕の言葉に、さらに眉間に皺を寄せた。
「何言ってんのよ!ライ!こっちも反撃するわよ!」
「そういうことじゃない!中央情報室に行かないと現状が把握できないんだ!それに武器だって…」
だが、中央情報室までの距離はかなりある。その間にナイトメアの襲撃でも遭えば、生き残る自信は無い。
カレンは、いきなり予備のマガジンを僕の胸に押し付けてきた。
衝撃を吸収するパイロットスーツの上からなのに、結構痛い。
彼女は拳銃のマガジンを交換しながら、僕に言った。
「大丈夫よ。あの防壁を潜り抜けられる敵はいないわ…でも、ナイトメアの攻撃を受けたら一巻の終わりよ!」
「でも、僕たちのナイトメアは…」
「第3格納庫に紅蓮弐式とランスロットがあるの。どさくさに紛れて式典から持ってきたらしくて……」
「…ランスロットは動かせるのか?」
「うん。蒼天のキーで解除できるように、プログラムを書き換えたって技術員が…」
「なら、急ごう!」
第3格納庫までの最短ルートを、即座に頭の中に描き出した。
マガジンを取り外すと、新たな弾を装填する。
僕が先行し、カレンが後方に守りながら、急いで廊下を走り抜けた。
大きな爆音が基地全体を揺らしていた。
235 :
POPPO:2009/04/15(水) 20:19:05 ID:dk1bxdlD
運良くブリタニア兵士を遭遇しなかった僕たちは、予想以上に早く、第3格納庫に到着することが出来た。
第3格納庫には2機の専用ナイトメアフレームと、調整中で腕が外された月下が数機鎮座しており、当たりは眩いほどの明かりが照らされている。
所々には整備士やブリタニア兵の死体が転がっている。銃撃戦を繰り広げた痕跡が壁に生々しく残っている。静寂に包まれ、広々とした空間が広がっていた。
僕の視線の先には2機のナイトメアフレームがあった。
2機の背中には、運搬用のブースターウイングが取り付けてあった。
ランスロットと紅蓮弐式。
ふいに目元が熱くなる。
ほんの少しまで、この2機はブリタニアとの友好を表す象徴だった。
しかし、再び剣を交えてしまった。
また、多くの血が流れる。
(僕たちは手を取り合えてたのに…どうして、どうしてこんなことにっ!)
それは、一人の少女が起こした事件がきっかけだった。
兄の無念を晴らすために…
ゼロを殺すために…
彼女が付けた戦火は、今や日本中に燃え広がっている。
でも…
原因を作ったのは…
彼女の運命を捻じ曲げたのは、他でもないゼロ自身だ。
『悲劇は連鎖する』
言葉が、僕の心を埋め尽くしていた。
236 :
POPPO:2009/04/15(水) 20:24:36 ID:dk1bxdlD
そして、僕らの『悲劇』が幕を開けた。
「武器を捨てろ!」
ランスロットと紅蓮弐式が目の前に迫っているときに、唐突に後ろから声が聞こえた。
僕とカレンは足を止める。
背筋が凍りつく。
本来なら、身を翻して敵を射殺するべきだろう。
だが、足音は一つではない。
視認していないが、音から察するに15,6人の人間が僕たちの背後にいる。
それと共に、KMFのランドスピナーが近づき、近距離でブレーキをかける音が耳に届いた。
(反撃は、不可能だ…)
そう悟った僕たちは、アサルトライフルと拳銃を手放した。
「…ゆっくりだ。ゆっくりとこっちを向け」
ドスの利いた低い女性の声が聞こえた。僕たちはそれに従った。
両手を挙げて、体を反転させる。
そこには16人の黒の騎士団の制服を着たブリタニア人がアサルトライフルを向け、大口径のバズーカを構える月下がいた。
中央にリーダーらしき女性が立っている。金髪のショートカットに顔に大きな火傷を負った30代の軍人だった。
その女は、蛇のように丸く見開いた目で僕らの顔を見た。
「赤と青のパイロットスーツだと?……まさか、お前ら…」
歪んだ笑みが顔に宿った。
耳に障る笑い声が響き渡る。
「はははっ!まさか、年端もいかぬガキ共が『ゼロの双璧』だったとは!」
237 :
POPPO:2009/04/15(水) 20:26:10 ID:dk1bxdlD
女兵士のリーダーは銃を構えながら、僕とカレンと睨みつけていた。
この状況を脱する策に思考を巡らせるが、一向に思いつかなかい。
多数の武装した兵士に加え、ナイトメアまでこっちを狙っている。
最悪の状況だ…
「しかも…お前たち、ブリタニア人じゃないか」
その言葉にカレンが吼えた。
「違う!私たちは日本人だ!」
っ!カレンッ!駄目だ!
僕は咄嗟にカレンの口を塞ごうとしたが間に合わなかった。
ドゥン!バガンッ!ドンッ!
KMFのバズーカが火を噴いた。
調整中だった月下に直撃し、次々に爆発する。周囲に火が点った。
「っ!きゃああ!」
「黙れ!反逆者が!!」
軍人がカレンに銃を向けた。
とっさに僕はカレンを前に立ちはだかった。
手を引いて、カレンを僕の胸に引き寄せる。
ありったけの殺気を込めて、銃を構える兵士を睨みつけた。
冷たい視線を見て、少し身震いした兵士は、表情を引き締めると銃を深く構えた。
僕とカレンを交互に見て、口元がいびつに歪む。
「へぇ…もしかして、お前ら、デキてるのか?」
だから、どうしたっていうんだ!
歯を食いしばりながら、僕は心の中で叫んだ。
ピピピ…
女のリーダーの右耳に装着している通信機から連絡が入った。
銃を構えたまま、その女は言葉を発した。
邪悪な笑顔が僕らを見つめる。
「…残念なお知らせだ。トウキョウ租界での戦闘は、我がブリタニアの勝利だ」
「……う、そ」
カレンの体が震えたのを感じとった。
彼女の声が絶望に染まっていた。
支援いらないって言ってましたが、一応……。
猿かな?
○時00分で、規制解除されるはずですが・・・
241 :
POPPO:2009/04/15(水) 21:34:00 ID:dk1bxdlD
「…決闘の約束はどうなった?」
「知らんな…そんなものは」
その女は吐き捨てるように言った。
今度は僕が絶望に染まった。
「ただ、ナイトオブツー様は戦死したそうだ」
「「!!」」
何だって!?セルゲイが戦死!?
「残念だったなぁ……貴様がナイトオブツー様と死闘を演じたのは知っているぞ」
「だ、だが彼はっ!」
「それ以外は何も聞いていないな。連絡員もやられたらしいから、少々、情報伝達が遅れているかもしれないなぁ」
僕は絶句した。
…約束を、握りつぶしたのだ。
撤退した兵士は生き残っても、本国では笑いものになるだけだ。
でも、このまま続けていたら、僕たちの圧勝でブリタニア兵は全滅していただろう。
それを避けるために、
名誉を捨ててでも、彼らの命を助けるために、
セルゲイは戦ったというのに…
僕は悲しかった。
彼ほど崇高な騎士を、ブリタニアが失ってしまったことに…
彼との約束が、こんな形で破れてしまったことに…
ブリタニア人が晒している、欲に塗れた姿に…
セルゲイさん!
貴方が命を賭けて守ったものは、こんなにも醜いものなんですか!?
貴方こそ、仕えるべき主君を、守るべき国家を間違えた!!
女兵士の声が響いた。
「黒の騎士団は終わりだな。さて、『ゼロの双璧』を捕らえるとするか。でも、暴れられても困るしな。死体であったとしても別に問題はなかろう」
「「!!?」」
その軍人はハンマーをゆっくりと下ろした。
鉄槌の音が、強く耳に届いた。
他の兵士が一斉にアサルトライフルのトリガーに指を触れた。
カレンの体が震え、腕に力がこもる。
一瞬で、全身の血の気が引く。
1時間過ぎたね
243 :
POPPO:2009/04/15(水) 21:35:38 ID:dk1bxdlD
すいません。
昔の友達から電話があって話し込んでました。
今から、投下します
電話か……仕方ないな、うん
支援
245 :
POPPO:2009/04/15(水) 21:37:44 ID:dk1bxdlD
僕は、こんなところで終わるのか?
大切な人も、愛する者も守れず、僕は、僕はっ、またっ…!
―――――――失うのか?
――――――――――――――――ドクンッ
頭痛が走った。
「うぐっ!」
「ら、ライ!?」
――――――――――――――――ドクンッ
体全体が鼓動するような感覚が僕を襲う。
――――――――――――――――ドクンッ
目が眩む。
――――――――――――――――ドクンッ
カレンの顔が、よく見えない。
――――――――――――――――ドクンッ
カレンの声が、聞こえない。
――――――――――――――――ドクンッ
苦しい…
――――――――――――――――ドクンッ
熱い…
ドクンッ―――――――――――――――――――――――――ドクッ、ドクンッ!
意識が、闇に落ちた。
246 :
POPPO:2009/04/15(水) 21:40:28 ID:dk1bxdlD
妹が北の蛮族に嫁ぐことになった。
恋も知らない妹には、あまりにも酷なことだった。
私に心配をかけまいと、無理に取り繕った妹の笑顔が何より辛かった。
父上に何度も進言したが、まともに取り合ってくれない。
私は無力だ。
庭園の泉のほとりで、私は泣いていた。
涙を流すときは、いつもこの場所に来ていた。
暗闇の中、青い月が、水面に明々と照らされていた夜だったのを覚えている。
そこで私は、『彼』と出会った。
「力が欲しいか?」
澄んだ声だった。
そして、青い満月を背に、彼は立っていた。
背丈も年齢も自分とほぼ変わらない。
漆黒のマントを風に揺れ、その下には煌びやかな衣装を纏っていた。
身長と同じくらいの、透き通るような白い髪をなびかせて、じっと私をエメラルドのような緑色の瞳が見つめていた。
「だ、誰だ!?」
私は背中にある短剣を取り出し、刃を向ける。
「君が王になり、妹君を救えばいい」
人形のように整った容姿の口から、恐ろしい言葉が返ってきた。
「なっ!?お、お前、何てことを…」
「力が――――欲しいのだろう?」
なぜ妹の縁談を知っているのか、という疑問を聞く気にもなれかった。
こいつは全てを知っている。
そんな気がしたのだ。
賊とは到底思えない。
彼が持つ神秘的な雰囲気は、経験したことのない魅惑的な魔力を放っていた。
「…本当に、できるのか?」
無意識に、私はそう問いかけていた。
「できる。だが、その力は強大すぎるがゆえに、君を孤独にする」
「もう一度、問おう」
力が―――――――――欲しいか?
そう、僕は…
私は…
契約した…
そして
X.X.から、
この、『王の力』を――――――
247 :
POPPO:2009/04/15(水) 21:42:29 ID:dk1bxdlD
突然、格納庫の電気が消えた。
「停電か?」
女のリーダーは命令を止め、辺りを見回した。
眼前には暗闇が広がり、ナイトメアの残骸から燃え移った炎が照らしている。
黒の騎士団の終焉を表す、絶景だった。
彼らを見据えて、彼女は邪悪な笑みを浮かべた。
「…何か言い残すことはあるか?反逆者ども」
ライとカレンが、ブリタニア人の血を引いていることが分かった彼女は、皮肉な言葉を投げかけた。
コーネリアの親衛隊ですら退けた凄腕のパイロット、『ゼロの双璧』。
敵といえど、一人のナイトメアの騎士として興味を持っていた彼女は、彼らの最後の声を聞いておきたかったのだ。
しかし、それが命取りとなった。
『魔神』は蘇る。
「黙れ。下郎」
「は?今、なんて言った?」
女は小ばかにした態度で、大げさに耳に手を当てる。
「聞こえなかったか?黙れ、と言ったのだ。愚か者が」
「……おい。テロリストの分際で何言ってんだ。てめぇ」
痛烈な言葉が浴びせられ、女の声に殺気がこもった。
カレンは、ライの異変に気付いた。
痛みで頭を押さえたと思ったら、視線をブリタニア兵に向け、歩み始めた。
彼女がライを止めようと手を掴んだ瞬間、
パンッ…
手を振り払われた。
ライの明確な拒絶にカレンは呆然とした。
銀髪が揺れ、ライは悠然と足を進めた。
「おい、止まれ」
女は躊躇なくトリガーを引いた。
鉄槌が下ろされる。
ガキンッ!
「?」
引き金が途中で止まった。
銃を確認するが、目立った異常は見当たらない。
(銃が、故障したのか?)
その間、『魔神』は歩み続け、全員のブリタニア兵に『魔神』の顔が見える位置に立つと、その場で足を止めた。
248 :
POPPO:2009/04/15(水) 21:46:00 ID:dk1bxdlD
『魔神』は言葉を放つ。
「堕ちたものだな。我がブリタニアの民は……誇りを捨て、力と欲望のみを求める…ただの獣に成り果てたか」
『魔神』は言葉を紡ぐ。
「醜い…実に醜く、嘆かわしいことだ。幾年の月日が経とうとも、人は同じ過ちを繰り返す」
『魔神』は語る。
「だが、ブリタニアは正しい」
『魔神』は述べる。
「誇りも、正義も、国家も、力の上で成り立つものだ」
『魔神』は話す。
「だからこそ私も、我が国是に則ることにしよう」
『魔神』は言う。
「貴様らが『力』で私を阻むのであれば……さらなる『力』で、貴様らを踏み越えるだけだ!」
そして、『魔神』は告げた。
「ラインヴァルト・エス・ブリタニアが命じる――――――――――――――――」
「私に牙を向ける者共よ――――――――――――――――――――――――死ね」
ライの透き通るような青い瞳に、赤い紋章が宿る。
見開いた両目に浮かんだ、悪魔の刻印。
妖しい光を放ち、
――――――――大きく羽ばたいた!
249 :
POPPO:2009/04/15(水) 21:50:26 ID:dk1bxdlD
『声』を聞いた人々は、立ち止まった。
眼前にいる女は『魔神』にゆっくり微笑むと、首筋に銃口を当てた。
兵士たちも互いにアサルトライフルを向け合った。
後ろにいた月下はバズーカを捨て、回天刃刀を胸部に押し付けた。
赤い光に目を縁取られた兵士たちは、声を揃えて叫んだ。
『『『『『『『『イエス・ザ・キング!!!』』』』』』』
そして、声と共に…
パパパパパパパパパンッ!!
乾いた銃撃音と共に、命が散っていった。
直後、月下は回天刃刀で胸部を貫いた。
ドガァァアアアン!!
『魔神』の眼前に、巨大な爆発が生まれた。
爆風は、眩い光と共に爆風が吹き荒れた。
風が『魔神』の銀髪を揺らせる。
目の前には、炎に照らされた夜空が広がっていた。
その一部始終を見ていたカレンは立ち尽くした。
「ラ…ライ?一体……何を…したの?」
だが、彼はその問いに答えない。
彼女はライの背中に、身震いをするような『何か』を感じ取った。
彼はゆっくりと振り向いた。
カレンは、彼の両目に宿る赤い紋章を見てしまった。
鳥のような紋章が羽ばたいた。
「カレン。ゼロの元に行け」
250 :
POPPO:2009/04/15(水) 21:51:53 ID:dk1bxdlD
彼女の目は赤く縁取られた。
しかし…
「!うっ!い、いやっ。今、ライから離れたら…」
カレンは両手で肩を抱き、その場にうずくまった。
(……ギアスに、抗うだと?)
「ライが…ライがっ、どこかに行っちゃう!」
悲痛な叫びと共に、彼女の瞳から涙がこぼれ始めた。
(―――――――…)
ライはカレンの肩をそっと抱いた。
そして…
口付けを交わした。
数秒たって唇をはなした。
呆然とした表情をするカレンに、告げる。
いつもの笑顔で、彼女に言った。
「お願いだ。カレン」
カレンの抵抗がピタリと止み、『魔神』は彼女の肩から手を離す。
一度、彼女は目を閉じて、『魔神』に言った。
「……分かったわ。ゼロは私に任せて」
赤い目で『魔神』に微笑んだ。
「…………!」
胸に鋭い棘が突き刺さる。
「…ああ、頼んだよ」
『イザナミ』の基地内でも、同様のことが起きていた。
敵対していたブリタニア兵が、突然自らの命を絶ったのだ。
ナイトメアフレームに乗っていた連中も爆死して、一人残らず死んでいる。
団員たちはブリタニア兵の死体を見ながらも、目の前で起きたことが信じられなかった。
「な……何が、起こったんだ?一体…」
だが、その問いに答えられる人間は、誰一人としていなかった。
251 :
POPPO:2009/04/15(水) 21:54:23 ID:dk1bxdlD
トウキョウ租界。
赤黒いハドロン砲の光が、地上にいる月下を容赦なく襲った。
コンクリートの地面が弾け跳び、着弾したナイトメアは爆炎を上げて、散った。
夜空にはガレスの軍勢が舞っていた。
彼らの加勢で、戦局が一気に塗り換わった。
ガレスの圧倒的な火力に加え、指揮官である藤堂はブリタニアに拿捕され、指揮系統が乱れた団員たちは混乱の境地にあった。
次々に放たれる死の閃光を逃れるため、団員たちは必死になっていた。
一機、二機と音を立てて、霧散していく。
玉城はモニターに映る『LOST』の文字が表示されるたびに、泣きそうになっていた。
そして、隣にいた月下が爆散した。
部下の一人が、死んだ。
「荒川!!」
口元がワナワナと震えだす。
死の恐怖が身を焦がし、その緊張の糸は切れてしまった。
「畜生!ゼロは、俺のゼロはどこにいったんだよぉ!ちっくしょうーーーーー!!!」
252 :
POPPO:2009/04/15(水) 21:57:21 ID:dk1bxdlD
紅蓮が飛び立ったのを確認した『魔神』はそのまま、夜空を見上げていた。
両目のギアスは以前、輝いたままだった。
「……?」
ふいに、『魔神』は人の気配を感じた。
(――――新手か?)
それを察知し、振り向いた瞬間、
ドンッ…
後ろから衝撃がくる。
「ラァーイっ!」
『魔神』はいきなり少年に抱きつかれて、体をよろめかせた。
身を一回転させ、少年の体は宙を舞った。
『魔神』は驚く。
胸に飛び込んできた白髪の少年は顔を埋め、ぐりぐりと押し付けてきた。
力いっぱい腕を腰に回して、そう簡単に放してくれそうもない。
「…だ、誰だ!お前!」
その言葉に、少年の動きは止まった。
そして、ゆっくりと顔を上げた。
少年の顔を見た途端、『魔神』は表情は驚愕に染まった。
陶器のように透き通る肌に、肩まである白髪、まるで女の子のように整った容姿の少年だった。
右目は金色、左目は銀色の、左右非対称の瞳の色。
貴族のような赤い煌びやかな服を身に纏い、人懐っこそうな顔がそこにあった。
彼の瞳が涙で揺れていた。
「僕だよ。ライ………170年ぶりだね」
「X.X.…なのか?……髪を切ったのか?それに瞳だって…」
「…そうだよ。僕だよ……会いたかった」
『魔神』は警戒を問いた。
しかし、思わぬ再会に、『魔神』は戸惑っていた。
彼が抱いていたイメージとは若干ズレがある。
何から話せばよいのか、いろいろと考えを巡らせていたところ…
突然、X.X.が声を上げた。
「……あれ?」
「どうした?X.X.」
253 :
POPPO:2009/04/15(水) 22:03:03 ID:dk1bxdlD
「『コードR』と契約したの?」
『魔神』は身を震わせた。
X.X.から視線を逸らし、『魔神』は口を濁す。
「…分かるんだな。そういうのは」
「ねぇねぇ…どうしてだよぉ、ライ。僕のギアスじゃ満足できなかったのぉ?」
「…違うよ」
『魔神』は首を振って否定した。
「…これは保険のつもりだったんだ。万が一の場合に備えて、C.C.と契約したんだ」
ルルーシュが撃たれた翌日、私はC.C.と契約した。
もし、彼に何かあった場合、どうしても『絶対遵守』の力が必要だった。
最初、C.C.は反対した。
でも、私の懇願に折れて、契約したのだ。
…だが、結果は予想外だった。
『絶対遵守』の力は現れず、それどころか何をしても力が発動せず、どのような力を授かったのかも分からなかった。
C.C.が言うには、契約は無事に成功し、ギアスも与えたはずらしいのだが…
「ふむふむ…そういう能力か。でも、安心していいよ。ライは一生使うことは無いから♪」
「…分かるのか?」
「うんっ♪でも教えてあげなーい。浮気した罰だよ〜」
「浮気って……X.X.がそんな冗談を言うなんて…本当に変わったな……まるで別人みたいだ」
「……僕も変わったけど、もっと変わったのはライの方だよ」
「…そんなに変わったか?」
「うん。昔と比べて、格好良くなったよ。ライ」
「…それは嬉しいな」
『魔神』はX.X.を優しく抱きしめた。
華奢な体が胸に当たる。
なつかしい思いが胸いっぱいにこみ上げてきた。
柔らかい白髪を撫でていると、
視界が揺れた。
「……あ、あれ?」
「あらら…ギアスを思いっきり使っちゃったから、疲れたみたいだね」
「…あ」
『魔神』の両目からギアスが消えると、体から力を失って、少年の体に倒れこんだ。
それを、X.X.は受け止める。
ゆっくりとライの体を地面に横たえさせ、頭を膝の上に置いた。
X.X.は、瞳を閉じたライの表情を見ると、柔らかく微笑む。その表情は恋する乙女のようなものだった。
「会いたかった…ライ。僕は…『私』は……」
X.X.はライの銀髪を愛おしい手つきで、優しく撫でる。
両目に、金と、銀の紋章が浮かんだ。
X.X.の目が見開かれると、目つきが鋭くなり、整った口元が薄く開いた。
そして、彼はライにそっと呟いた。
「行こうか……君と、私が歩むべき…『覇道』を…」
格納庫内は火が燃え盛り、音を立てて物が崩れていく。彼らの周りは既に炎に取りかこまれていた。
彼らの背にある白くナイトメアフレームとの間に、燃え上がった巨大な柱が落ちる
二人の姿は、炎の中に包まれていった。
254 :
POPPO:2009/04/15(水) 22:06:28 ID:dk1bxdlD
(――――――――――何が、どうなってるの?)
気付いたら、私は紅蓮で飛び立ち、神根島の洞窟にいた。
目の前では…
スザクと、
ゼロの格好をした…
「………………ルルーシュ?…」
ルルーシュは額から血を流し、歪んだ表情で私を見ていた。
スザクは銃を構えたまま、視線をルルーシュから外さない。
これが冗談ではないことは明白だった。
尊敬する上司が、
ゼロが…
「……どうしてっ………」
頭が真っ白になり、全身から力が抜けた。
銃を落として、その場にへたり込んだ。
ルルーシュとスザクがやりとりが洞窟に響く。
ナナリーが何者かに攫われたという話が聞こえきたが、どうでもよかった。
私は呆けていた。
もたらされた事実があまりにも強烈で…
私はただただ見ていることしか出来なかった。
唐突に、スザクが私に矛先を向く。
「カレン!君は俺以上に矛盾している!」
「!?」
その声に、私は体を震わせる。
普段のスザクからは想像も出来ないくらい…スザクの声は怒りに満ちていた。
「君はブリタニア人でありながら、日本人を名乗り、ブリタニアに刃向かった!」
「でも、君が忠誠を誓っている男はブリタニアの皇子でっ!
君が愛している男は…ブリタニアの王様だった男なんだからな!」
私はさらに目を見開いた。
「!?」
「やめろ!スザク!それ以上は言うな!」
「ラインヴァルト・エス・ブリタニア!
ブリタニア史上最悪の暴君、『狂王』と言われた男に、君は身の心も捧げていたんだよッ!!」
255 :
POPPO:2009/04/15(水) 22:08:58 ID:dk1bxdlD
「やめろぉ!!スザァァアク!」
ルルーシュは懐に隠していた銃をスザクに向けた。
毅然たる態度を取っていたルルーシュの動揺ぶりを見て、スザクは声を潜めた。
そして、
私は分かってしまった。
それが『真実』であることを…
ライが狂王?
ほんの先ほどまでなら、鼻で笑っていただろう?
でも、心の隅で私はそれが真実だと訴えていた。
あの口調、
あの態度、
あの瞳…
そして、あの惨劇…
(やめて…)
ライの声が響いてきた。
「ここは…どこだ?」
「僕は…ライ。よろしく」
「しっかりと掴まってくれ。――行くぞ」
「カレン。ありがとう」
「今日もいい天気だな。カレン」
ライと出会って、何気なく過ごしていた日々。
黒の騎士団に加わって、彼と過ごす時間は多くなった。
そして、いつの間にか私の中で芽生えた気持ち。
彼の背中を見ていると、月日が経つごとに、どんどん膨らんで…気付いたら、もう手遅れだった。
いつもライのことを考えていた。
ライが、好きになっていた。
そして、あの日、私たちは思いを通じ合った。
ライも私のことを好きだって言ってくれた。
嬉しかった。
とても嬉しかった。
256 :
POPPO:2009/04/15(水) 22:10:23 ID:dk1bxdlD
そして、恋人として…戦場のパートナーとしてライと過ごした日々、
全てが輝いていた。
苦しいことも、辛いこともあったけど、
ライと一緒なら何でも出来た。
ライと一緒なら何も怖くなかった。
彼と過ごした、蕩けるようなあの夜…
どこまでも私を気遣ってくれる優しさと、私だけを見つめてくれる愛を感じて、胸が一杯になって涙が出た。
ライを、もっと好きになった。
その後も暇を見つけては、いっぱいいっぱい愛し合った。
朝も昼も夜も、ずっとライの側にいたかった。
ライをもっと知って、抱きしめて、そして愛したかった。
「好きだよ」
「大好きだ」
「愛してる。カレン」
「カレン…愛してる。誰よりも、僕は君を愛してる」
「君を守りたいんだ」
「…大好きだよ。カレン」
257 :
POPPO:2009/04/15(水) 22:11:53 ID:dk1bxdlD
(やめてよ……)
ライの表情が浮かぶ。
困った顔…
笑った顔…
恥ずかしがった顔…
照れた顔…
驚いた顔…
私を見つめる顔…
キスするときの顔…
愛し合っているときの顔…
そして、時折見せる、どこか寂しそうな顔…
全て愛おしかった。
彼の全てが、大好きだった。
ライの笑顔が浮かんだ。
私だけに見せてくれる、私の大好きな笑顔が…
突如、景色が暗くなり、ライの笑顔が仮面に変わった。
それが音を立てて落ちた。
そして、その仮面の下にある素顔は…
「……あああ…ああ、ああああああああー…」
カレンは両手で頭を押さえるが、動悸が、震える唇が治まらない。
そうしているうちに、彼女は思考を放棄し、意識は暗闇に落ちた。
少女はコワれてしまった。
258 :
POPPO:2009/04/15(水) 22:16:14 ID:dk1bxdlD
その場にへたり込み、戦意を喪失したカレンを見て、スザクは再びルルーシュに目をやった。
「俺も最初に聞いた時は、信じられなかった……あのライが、『狂王』だなんて…」
「スザク、それを教えた奴は誰だ!?いったい、だ―――――」
「お前には関係ないっ!!」
ルルーシュの声を遮るようにスザクは吼えた。
普段の柔和な表情はなく、ルルーシュを見据える瞳は、何処までも冷たかった。
この瞳を見たルルーシュは、背筋に怖気を感じた。
そして、スザクの瞳がもう一度鋭くなると、ありったけの殺意を彼に向けた。
「お前は、ユフィを奪った!……ユフィだけじゃない…ユ、ユフィには…」
ルルーシュは凍りついた。
「待て…まさか……ユフィは…」
スザクの顔が歪み、大粒の涙を零しながら、
咆哮した。
「ユフィのお腹には、…俺とユフィの…子供がいたんだよおおぉ!!!」
「!なっ…!!」
スザクの絶叫が響き渡った。
ルルーシュは絶句する。
「お、お前は…奪った。俺は絶対に許さない…許すものかっ!!」
「お前は…10年前のあの日に、死ぬべきだったんだ!お前の居場所など、この世界に何処にも無い!」
「世界に見放された皇子と、国を滅ぼした王が作る国家などっ…壊れてしまえばいい!!」
否定した。
スザクは、ライとルルーシュを真っ向から否定した。
彼らの意思も、希望も、存在すらも。
(―――――――――――ッ!!!)
ルルーシュの頭から全ての思考が飛び、怒りで我を忘れた。
怒りに身を任せ、二人は銃口を突き付ける。
「スザァァアアク!!」.
「ルルーゥウシュ!!」
バァン!!
彼らの絶叫と共に、二発の銃声は洞窟に木霊した。
259 :
POPPO:2009/04/15(水) 22:19:43 ID:dk1bxdlD
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編6)
投下終了です。
いきなり誤字報告。
254のセリフ。
君は身の心も捧げていたんだよッ!!→君は身も心も捧げていたんだよッ!!
TURN00「終わる日常」はついに完結しました。
リリーシャ、X.X.、アンジェリナ、ノエル、ヘンリエット、セルゲイ。
そして、ナイトメアと、オリジナル満載で書き上げたストーリーでしたが、皆さんはどうでしたか?
文章力の乏しさに加え、誤字脱字のオンパレード、投下時にトラブルの続出、アクセス規制…と、
読者の皆さんには、迷惑この上ない作品をご覧になっていただけたどころか、賞賛のコメントと耳の痛い的確なアドバイス、
そして、管理者トーマスさんのご好意を受けてここまで書き上げることが出来ました。
皆さん、本当にありがとうございます。
さて、話しはうって変わりますが、
皆さん、まずは驚いてください。
これで
『序章』
が終わりました。
実は『終わる日常』は当初、前編と後編の2章で終わるはずでしたが、女のギアス使いを一人入れたかったのでリリーシャを登場させました。
そして、中心人物となるオリジナルキャラクターを生かすには、ギアス本編のイメージを壊さないキャラクター作りとそれなりの強い印象付けがいります。
ライたちと上手く絡み合わせるために、人物背景とその土台を描いているうちにどんどん話が長引き、予定されていたストーリーの約『8倍』の長さのプロローグになってしまいました…orz
本当なら今頃、本編TURN14『コード「G」』まで進んでいるはずなのですが…
出来るのなら学校の休み時間にでも書き続けたいのですが、今年は大学受験が控えているので、更新は遅くなりそうです。
一応、第一志望校はA判定が出ているのでそんな心配しなくてもいいと思うのですが、ナメてかかるとロクなことが無いので(センター失敗が怖いです…国立大狙いなんで)、もし成績が下がるようでしたら一時休止という形を取ります。
予告としてTURN01の題名を公表したいのですが、ネタバレになるので言いません。
(TURN02からは公表します)
シナリオは本編と同じく25話編成で、なるべく本編を逸脱しない(?)シナリオになっていて話の大まかな流れはすでに決めています。
そして、終盤のストーリー展開は皆さんのいい意味(かどうかは不明ですが)で裏切れると自負しています。
もし、それをばっちり当ててくれた方がいた場合は、年内に書き上げることを誓います。
批判、中傷、どんなものでも構いません。読者の皆さんの生の声が聞きたい(見たい)です。
ご感想お願いします。
260 :
POPPO:2009/04/15(水) 22:23:06 ID:dk1bxdlD
追伸
コメントの語尾に「貴公の次の投下を全力でお待ちしています!」と書かれている方へ。
いつも細部まで読んでくださっている上に、詳細なコメントと突っ込み、本当にありがとうございます。
実は貴公のコメントの評価を、話の出来栄えを知る基準にしています。
これからも勇気を与えてもらえるコメントをお願いします!
管理者トーマス様へ。
再度になりますが、ゲイボルグの件は本当にありがとうございました。
設定資料がこれからもどんどん加えていくつもりなので、協力お願いいたします。
この際に言わせていただきますが、保管庫の編集が(中編6)で止まっているので更新をお願いします。
あと、出すぎたマネかもしれませんが、領地一欄に「POPPO」を加えていただけないでしょうか?
(トーマス様の事情や移転の関係でご迷惑がかかるようでしたら、この意見を却下してもらっても構いません)
261 :
POPPO:2009/04/15(水) 22:25:05 ID:dk1bxdlD
それと、思い切って今までの誤字修正をお願いします!
(ウザく感じたら、スルーしてください)
前編1
シャーリーの初登場のシーン。
フィネット→フェネット
前編3
3分の1くらいの前半。
ライの心中でのスザクへのメッセージ。
スザク。そのぎこちない笑顔。よく分かるよ。→そのぎこちない笑顔、よく分かるよ。
(「スザク。」は消してください)
中盤。
スザクとライの話。
「黒の騎士団は軍備拡大を続けているだろ」→「黒の騎士団は軍備拡張を続けているだろ」
君たちは光の当たる場所を歩んでくれ→君たちは光の当たる道を歩んでくれ
後半。
ルルーシュとユフィの会話。
「…それは言うな」→「…それを言うな」
で、ライについてどうしてなの?→で、ライについてはどうして?
俺の知ったときは自分の目を疑った。→俺も知ったときは驚いたさ。
中編1
中盤。
トウキョウ疎界→トウキョウ租界
リリーシャとタクシー運転の会話と、『盤上の騎士』に連れ去れられる時のリリーシャの独白。あと、中編2のリリーシャとX.X.の会話の初めにもあります。
中編3
題名の文字の拡大をお願いします。
後半。
リリーシャがサザーランドに乗り込み、発進するところ。
久しぶりに感覚に私は少し緊張した。→久しぶりの感覚に私は少し緊張した。
中編4
リリーシャがX.X.に「新日本党」の利用価値について説明する場面。
「ようするにスパイ退治ね。それは組織の中で一番重要な職種でありながら、内部の人間からは1番忌み嫌われる職種。テロリスト内部のネズミ狩りなんて熾烈を極めるわ」
職種→役職
中編5
前半。
リリーシャとX.X.の会話。
「それに、美味しいものをたくさん食べて病気になれるなんて、とっても贅沢じゃないか」
「…私は遠慮するわ。そんな贅沢は」
↓
「それに、美味しいものをたくさん食べて病気になれるなんて、とっても幸せじゃないか」
「…私は遠慮するわ。そんな幸福は」
…できたら、お願いします。
ではでは、TURN01でお会いしましょう。
>>260 POPPO卿、GJでした!
感想の前にとりあえず投下方法に関して言わせていただきます。
基本的に支援なしだと10レス投下で猿となります。
猿は00分になればとけるので、時間の変わる前あたりに10レス投下し終わるようにするとだいたい20レス投下出来ます。
今回の場合、貴公が必要としたレス数は26、十分支援が必要な量だと思います。
あと、成り済まし(他者の語り)を防ぐためにトリップをつけた方がよろしいかと。
半角で#の後に好きな文字列でつけることが出来ます。
#○○○○○ といった具合です。
それでは感想を……
騎士団に帰還したライ。
前回の決闘の決着からここまでシーンが飛ばされているのが気になりますね。
ナイトオブツー死去……何があったんだろうか?
かのライのギアス……相手を限定して、そして効果範囲もかなりの広さ……絶対遵守、なのか?
しかし、X.X.との会話では……
大事なものが、信じていたものが崩れ去るカレン。
原作より衝撃が大きいカレン。 ユフィも……
悲劇は遥かに大きくなり、加速していっていますね。
まぁ、無理をせず頑張ってください。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
POPPO卿、お疲れ様でした。
今回はいつもに増して気合いが入っているように思いました!
魔神として蘇ったライや心の支えを失ってしまったカレン。
そして、対立するルルーシュとスザク。
原作をなぞりつつも、オリジナル要素などから原作とはまた別の魅力を感じられます。
今ここで『序章』が終わり、物語がまた新しく変わっていくことが楽しみです!
ではでは。
>>260 POPPO卿、投下乙&GJでした!
構想の八倍の長さのプロローグというとんでもない発言が飛び出しましたが
プロローグからこれで本編は一体どのくらいの物になるのか期待が止まりません
原作を追いながらも微妙にオリジナル要素を加えて変化していく物語
いっそう憎しみ会うルルーシュとスザク、魔神となったライ、ギアスの二重契約という隠しネタまで出てきて
続きが想像できません、いったい変わってしまった物語の上で彼らはどのように動いていくのでしょうか
貴公の次回の投下を全力全霊でお待ちします!
あと受験頑張ってください。
POPPO卿GJです!なんと、今までの大作が序章に過ぎないと!?今からワクワクしてきます!
POPPO卿GJです!
まさかこれが序章とは!
スザクとルルーシュの憎しみは原作以上に深くカレンのショックもまた原作以上に深い
そして何より王の時の非情さとこの世界で手にした優しさが絡み合ったライがたまりません!
それにしても貴公がまだ高校生だというのが何よりの驚きです
あんたどんだけ文才あるんだよ!
以前、ライ×カレンを語るスレでSS禁止という事を忘れて投下してしまったSSを再投下いたします。
設定は、ライとカレンが結婚し、子供二人とカレンの母親と一緒に暮らしているという感じでしょうか。
「あれ? ライったらどこ行ったのから……」
思わず、きょろきょろと周りを見回して呟く。
「パパ、女の人とお話してたよ。ねーっ」
お兄ちゃんが楽しそうに報告してくる。
「うん。たのしそーに……」
そして、妹もそれに相槌を打つ。
わが子ながら、絶妙のコンビネーション。
まるでかっての私とライのようだ。
そう思ったが、今は「女の人とお話」という部分がすごく引っかかる。
「どこでっ、だれとっ……」
思わず、そう聞き返した。
「ジュースのみたい」
「うんっ。のみたい、のみたい」
くっ……。
なんか、こういう駆け引きの強いところは、ライ譲りなのかしらと思う。
だが、今は、背に腹はかえられない。
「いいわ。ジュース、買ってあげる。で、パパは?」
にこにこと嬉しそうな兄弟はとても微笑ましかったが、今は、それよりも優先事項がある。
「「あっちーーっ」」
私は、二人に急いでジュースを買ってあげると子供達が指差す方に走り出した。
「「がんばってー」」
子供達の声を背に受けて……。
「ライっ……」
確かにその場所には、ライと女性がいた。
じつに楽しそうに会話している。
間違ってはいない。
ただ……その女性は、私の母だった。
そして、気が付く。
しまったーーーっ。
ハメられた……。
わが子ながら、末恐ろしさを感じてしまう。
「うん? どうしたのカレン……」
ライが少し驚いて聞いてくる。
「あ、いえ……。そのね……」
言葉に詰まる。
顔が真っ赤になっていくのがわかる。
頭がパニックになっていく。
怪訝そうな二人の顔が目に入る。
どうかしなくては……。
思いだけが空回る。
するとそんな私が心配になったのだろう。
すーっとライが私を抱きしめる。
「もう大丈夫だから……。ね、落ち着いて……」
優しいライの声が耳元で囁かれた。
それだけでほっとしてしまう。
「うふふふ……。お邪魔みたいだから、子供達と先に帰ってますからね」
そう母は言うと、走り寄ってくる子供達をつれて帰ってくれた。
なんか、その母の気遣いが、とても嬉しくて恥ずかしかった。
ありがとう……。
そう思ったが、子供たちに説明する台詞を聞いて感謝の気持ちが薄れてしまった。
だって……、「今から、パパとママは、ラブラブしちゃうから先に帰ってましょうね」って言わないでよっ。
そして、子供達もお願いだから「いつものやつだね」とか「熱々なんだよね」とか言わないでっ……。
本当に、はずかしいんだからーーっ……。
以上です
ライ×カレンを語るスレの皆さん、その祭は、ご迷惑をおかけしました。
では、失礼します。
>>270 投下乙でした!
子供達が可愛い……
軽いいたずらって微笑ましいですね。
それにしてもカレン母、ノリノリである。
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
なんか読んでてこっちまで幸せになりそう。乙です
POPPO卿、投下GJ&お疲れ様でした。
>>261で言われていた修正は全て処置が完了しました。
あと、別に見つけた誤字も挙げておきます(修正済み)。
>>232 その間は僕が指揮を取る。 → その間は僕が指揮を執る。
>>254 君は身の心も捧げていたんだよ → 君は身も心も捧げていたんだよ
重ねて申し上げますが、誤字修正についてはいつでもどんなに古いものでも受け付けております。遠慮なくお申し付けください。
>>トーマス卿へ
誤字脱字ではなく、領地の編集や更新、及び領地の追加を言われているみたいですよ。
現在出来ないと以前言われていたようなので、彼にもはっきりとそう言った方がいいのではないでしょうか。
どうやら、以前、何度もスレッドに書き込まれた分やこの前の質問に答えた部分は、まったく読んでおられていないようですので。
ROM専住人から感想と批評と苦言をいくつか
まずBLUEDESTINYさんへ
BLUEさんの作品を見るに、多分書きたいのはSSではなくて小説なんだろうと感じました
以前書き込みのあった
「コードギアスのキャラを使ったオリジナルなのに」という指摘は正鵠を射ているのではないでしょうか?
そういえばスレ外ですが、二次創作としてはかなり面白いと評されながら「1.5次創作」と評されたこともあったようです
ご本人はご存知のことと思われますが
作品(この場合は新手をとりあってとさせていただきます)については、これもご本人は承知のことと思いますが、
語彙が少ない、表現のパターンが少ない、一つの話の中での展開が時系列順という形にとらわれているという幾つかの難点があるものの
それらを感じさせない勢い、流れ、物語のベクトルとでも申しましょうか・・・がそれらの弱点を感じさせにくいようにしていると感じます
アイデアの勝利と言いますか、次を期待させる物語には秀逸なものがあると評価できると思います
それと、これは苦言ですが
自分が他人に必要とされている実感がなければ立ち上がれないというのは悪いことではありません。むしろ共感できるようなものではあります
しかし、貴方に対する声を感じられない、気が付こうとしないで引き篭もるようにするのは良いことではないと断言いたします
このSSスレ、この板への再登場を祈願しております
あしっど・れいんさんへ
貴方さまの多作には非常に驚きを禁じえません
作品への熱意と愛情には本当に賞賛すべきものを感じます
それだけにいくつかの辛辣とも受け取られかねない言葉をお許しください
あしっど・れいんさんの作品について見受けられるものでいささか違和感を感じるものがいくつかあります
ひとつの文を文節で区切って改行するという表現についてなのですが、これはもちろん表現としてはよく見られるものです
区切った文節や単語を強調する際に用いる表現です
ただ、あしっど・れいんさんの場合、それの多用が鼻に付くことが多いと感じます。また、強調することに意味がないと思われる部分での使用も見られるのです
これらは文章のテンポを崩し、多用されることによって本来強調すべき部分を埋没させてしまうことになりかねません
これに関係することですが、次にのそして」「そう〜」「だが」などの多用について
短い文節で区切ったあと、「そう、〜〜」や「そして〜〜」とつながることが非常に多いのですが
やはりこれは表現としてあまり褒められるものではありません。
ある本に「接続詞はなくて普通、あるのが特別だ」という言葉がありまして、文豪の推敲は本文よりも接続詞などに集中するなどといったお話があります
消したり書き直してある箇所を見ると、その原稿は一たん清書して三べんが四へんくらい読みなおしてあると推定できた。
その加筆訂正でいじくってあるある箇所は、「・・・何々何々であるが」というようなところの「が」の字と、語尾と、
語尾の次に来る「しかし」または「そして」という接続詞とにほとんど限られていた。
その本からです。例え文豪と呼ばれる方であっても気をつけ、注意せざるを得ない接続詞について一考する機会としていただければ幸いです
あしっど・れいんさまのSSについては
・一行ですむ文章をあえて分ける表現
・接続詞のあまりの多用
これらの見直しでかなり完成度があがるものと感じます。今後ともどうぞご研鑽ください
最後にPOPPOさま
先のお二人について長くなってしまいましたので次レスにて
POPPOさまについてです
少々きつい言い方になってしまうかもしれませんが、どうぞ虚心にお聞きください
映像媒体と文字媒体は違うものです
SSを小説と同じ文字媒体であるとするならば、アニメやマンガは映像媒体であると規定できます
少し話がズレますが、
小説を丸々マンガにすると大体どれくらいの分量になると思われるでしょうか?
もちろん色々と誤差はあるでしょうし、タイトルにもよるのですが、某小説によれば小説一巻と少々がマンガ5冊分になったそうです
関係がないと言われればそうなのですが、同じ物語を表現媒体を変えて表現するとこれだけの差が生まれてしまうということとご理解ください
私が感じたのはPOPPOさまもマンガないし、アニメのような映像媒体として考えた物語をそのまま小説のような文字媒体に置き換えて書かれていたのではないかと言うことです。
SSを書かれる方ではそう珍しくないことだと私などは思うのですが、それゆえに無駄な表現、無駄な改行、無駄なetcが増えるとなると書き手としてはマイナスに他ならないと思うのです
具体的に例をあげるとするならば、
39スレの245 同248 などでしょうか
もちろんこれらは小説としてはナシであっても、SSそしてはアリの表現なのかもしれません。あくまでSSも小説などに含まれる文字媒体としての指摘です。そこはご勘弁を
しかし、シチュエーションの理解を完全に読み手に丸投げしてしまうような表現、あえて言わせていただければ画面に写った映像をそのまま文字に写し取ったような文章などは
書き手としては厳に慎むべきものであると私は思うのです。
もうひとつあげようと思っていた点は物語そのものについてです
起点となるのは行政特区日本がうまく運営されているところ
物語が集約される終点となるのはアニメ第一期とおなじルルーシュとスザクの対峙
物語のキモはライと彼のかつての契約者X.X.の邂逅でしょう
それにケチをつけるわけではありません
ただ、物語があっちいきこっちいきという印象を禁じえなかった部分に少々首をかしげていました
冒頭主人公として(?)登場したリリーシャですが、彼女の立ち位置がはっきりせず、本当に事態を引っ掻き回しただけの人物になってしまったことが残念に感じられます
・ゼロにうらみがある
・アッシュフォード学園の生徒である
・知能が高く、行動力がある(女性版ルルーシュ)
・ジェレミアの妹
結局のところ、彼女の物語→日本・黒の騎士団とブリタニア軍の戦い→ライとX.X.の邂逅&ルルーシュとスザクの撃ちあい
上記の設定の豪華さに対して、その次の物語の流れを鑑みるに、人物の活かし方が彼女に関しては上手くいってないように感じたわけです
今後も続く中で活かされてくるというのであれば話は変わってくるのですが、現状00話によってのみで感じたことについて述べさせていただきました。
最後にもう二つ程苦言なのですが
この際に言わせていただきますが、保管庫の編集が(中編6)で止まっているので更新をお願いします。
あと、出すぎたマネかもしれませんが、領地一欄に「POPPO」を加えていただけないでしょうか?
(トーマス様の事情や移転の関係でご迷惑がかかるようでしたら、この意見を却下してもらっても構いません)
これは少々いかがかと思います。わかっていらっしゃるのにあえて言うというのはどうでしょう
よく出没する荒らしについてもそうですが、トーマスさんは保管庫の管理人であって、スレ全体の奉仕者ではありません
「してくれない!」ではなく「してもらえたらいいな」くらいのつもりであるべきなのではないでしょうか
もう一つ
6.作者名(固定ハンドルとトリップ)について
・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
トリップについてはスレ冒頭でも注意書きがあり、以前にも投下の後の感想に指摘があったはずですが、トリップは付けられていらっしゃらないですね
それに関してだけではないですが、指摘に対して謙虚に受け止めるということはやはり大事なことではないでしょうか
同じ意味で先の友人からの電話に出ていて投下できなかったというのも、やはりマナー云々で非常に失礼なことではないかと思います
高校生ということですが、未成年だから社会のマナーについては疎くても仕方ないなどということはありません
指摘や注意を聞く。自分の行いを省みる。同じ場にいる方への配慮を怠らない。全て今の自分に、これからの自分に有益なことです
かなり説教染みたことを申し上げましたが、受け入れていただければ幸いです
そういやトリップつけろってもともとトーマスさんが言い出したことなんだけど。
卿はトリップについてどう思っているのかな?意見を聞いてみたい
言い方悪いけど、トリップ付けずに何か問題が起こった場合、一番被害を受けるのはスレッドです。
そして、彼以外の名前付きの方は、ほとんどトリップをつけている。(名無しを除く)
まぁ、新人さんならいざ知らず、POPPOさんはもう何回の投下している方であり、感想と一緒にアドバイスもあったと思うのだがそれを付けていない。
それが問題であり、別にトーマスさんが言い出したという事は関係ないと思うのだが。
トリップというのは、このスレッドを大切に思っている証だと思うし、このスレを楽しんでいる人たちに対しての敬意だと私は思っている。
だから、よほどの事が無い限り、つけるべきだと思う。
実際、問題起こりましたよね。
最近、テリーさんの成りすましがあって、少しスレッド荒れかけました。
さらに、蒼姐さんの偽者が出てきましたけど、トリップのおかげで問題なくスルー出来ましたよね。
そういう事を考えてみてください。
>>274 ふむ…、ご自身で気付かれるかと思いましたので敢えて書かなかったのですが…
>>277 すいません、ちょっと突っ込み入れさせて下さい。
>トリップつけろ
この文言だと、あたかも私が強制しているように読めてしまいます。嘗て私がやったのは「提案」レベルです。
細かいかも知れませんが…
さて、こう言うのもなんですがいい機会ですので、トリップについて私個人の意見をこの場を借りて述べさせていただきます。
トリップとは確かに個人識別に於いて非常に有効な手段であるが、強制ではなくあくまで「任意」という形でした。(276氏、言ったそばから誠にすみません)
元々2ch自体が名無しが基本ということもありましたしね。
ただしかし、職人を騙る心ない人が実際に出てきた以上、「コテハンを持っている職人様は可能な限りトリップを付けてほしい」と言うのが私の本音でございます。
偽物だと判りやすくまた不快レベルで済むならともかく、例えばそう―
トリップのない職人の名を騙り「一身上の都合により作品を全て消してください」
などと言われた日には…。私もスレも大混乱は避けられないでしょう。ですので、非難を覚悟で申し上げます。
コテハンを用いる時点でその人は既に「名乗っている」。ならばトリップも付けたほうがあらゆる意味で好ましい
と、言いきってしまいます。反論その他色々ございますでしょうが、この際ですので。
後ほどちょっと重要なお知らせを致します。
お待たせしました。
〜業務連絡〜
4月20日0時頃から21日24時頃までの約48時間、現在の保管庫のアドレス(
>>1に張ってあるやつです)が使えなくなります。
その間は下記のアドレスをお使い下さい
http://anime.geocities.jp/codegeass_lostcolors_2ch/0.html また、それと同時に、20日の深夜(2200〜ぐらいを予定)保管庫の全機能が停止します。
トップ画面のみ残し、リンクの代わりに「工事中」という表記が出ます。
具体的な日程は次のような日程になります
http://anime.geocities.jp/codegeass_lostcolors_2ch/stop.jpg 期間中ご不便をお掛けしますが、ご了承のほどよろしくお願い致します。
ついでに。久しぶりになりますが、アンケートを取りたいと思います。
Q. 皆様はどれぐらいの頻度でPCのON/OFF(厳密にはOSのON/OFF)をしていますか?
1. 1日数回
2. 1日1回程度
3. 2・3日に1回程度
4. 1週間ぐらい点けっぱなし
5. もしくはそれ以上長いスパン
6. 基本的に切らない
「保管庫関係ないじゃん」と御思いでしょうが、結構重要だったりします。例の如く数字で構いませんので(コメントがあればそれはそれで参考になります)、
感想や雑談の末尾にでも入れていただければと。宜しくお願い致します。
>>279と合わせて長文失礼しました。
自分は2番です。20、21日は投下も出来ないと言うことですか?
>>281 いや、投下は問題ないかと。
スレッドではなく、倉庫の運営が止まるだけなので。
私は、4番。
トーマス卿がこれだけの長文書いてるの久々に見た。常日頃の精力的な更新本当にお疲れ様です。
アンケについては4でお願いします。
>>270 かわいいです。
お母さん、元気になったんだなとほっこり。良かった。
親になったカレンとライ、見てみたくなりました。
>>280 2です。
たまに1です。
>>280 トーマス卿、お疲れ様です。3でお願いします
トーマス卿、これにはどんな意味が有るんですか?回答ありがとうございます。
おおートーマス卿のアンケ久しぶりに見た!しかも重要事項とな?
基本3、時々2です。よろしくおねがいします!
>>280 う〜んほとんど2かな?あ、いつも乙です。停止期間とありますが、改装でもなさるんでしょうか?なんだか楽しみです。
トーマス卿、GJです!アンケートについてですが、自分は3であります!
いつも応援してます!これからも頑張ってください!
>>280 3
べ、別にトーマスのためなんかじゃないんだから!保管庫のためなんだから勘違いしないでよねっ!
>>280 乙です。2でお願いします。
>>288 俺も気になってる。が、そこはあのトーマス卿のことだ、そのうち話してくれるだろう。ゆっくり待とうぜ。
お疲れ様ですトーマス様。
私の場合は2でお願いします
>>295 すごいですねえ
アンケートは2でお願いします
トーマス卿お疲れ様です。貴方の常日頃のこのスレへの貢献振りにはただひれ伏すのみの者です。
いつも応援しています。これからも頑張ってください。
>>280 お疲れ様です。アンケートは久しぶりですね。私は基本1、時々2です。よろしくおねがいします
乙であーるトーマス卿!我は2であーる!
>>291 大改装フラグktkr
>>280 いつも頑張ってるトーマスさんに全力で賞賛と感謝を
あんけは3でお願いしますね。あと大改装ってマジですか!?
えー…早速の大盛況ありがとうございます。でもほんとに「ついで」でいいんですよ。あ、あと以前と同じで本アンケートは現スレのみでお願い致します。
>>288 ちょっと説明しずらいですね…ただ、重要な案件であるのは本当で近いうちに説明したいと思いますのでしばらくお待ちください。
>>302 いや、大改装とかないです。残念ながら。マジで。ちょこっとメンテナンスするだけです。
あらら…そうですか。でもなんにせよ乙なことには変わりないですよ。無理せず頑張ってくださいね。
あらら…そうですか。でもなんにせよ乙なことには変わりないですよ。無理せず頑張ってくださいね。
でも期待せずにはいられない。だってトーマス卿だから。
アンケは3です。
だよね。なんてったってあのトーマス卿ですもんね!
アンケートは2で頼みます
あんま期待のしすぎは重荷になるからしないほうが良いと思う
でも期待してしまう、トーマス卿だもの
アンケートは2です
ではさっそくなので。
2ですー。
トーマス卿、お久しぶりです。いえ、ちょくちょくお見かけはしていましたが今回のような形ではという意味です。
本当にいつもお世話になっています。ありがとうございます。
アンケートは3ですね。ますますのご活躍を期待しております。
夜分遅くにこんばんわ。前作の続きを投下します。13レス程度使用しますので
支援の程よろしくお願いします
【メインタイトル】コードギアス 反逆のルルーシュ L2
【サブタイトル】〜 TURN02 逆襲の処刑台(後編)〜
【 CP 】無し
【 警告 】●根幹は黒騎士ルートを準拠してのR2本編介入ものですが、オリジナルな設定と話も多々あります。
●王様ライの性格は自分の考えに依存してます。苦手な方はご注意下さい。
●オリジナルの名称が出ます。同じく苦手な方はご注意下さい。
それでは、投下行きます。
しえん
―――――――――――――――――
コードギアス 反逆のルルーシュ L2
〜 TURN02 逆襲の処刑台(前編)〜
―――――――――――――――――
ショッピングモールにて、ミレイ達と共にルルーシュとシャーリーを尾行していたロロは、突然起きたパニックにより又してもルルーシュを見失ってしまった。
前回の二の舞だけは何としてでも避けたかったロロは、状況を確認するべく機情の地下施設に向けて全力で駆けていた。
だが、やっとの思いで辿り着いたロロが見たのは無人の施設。
「誰も…居ない?」
困惑しながらもロロが歩みを進めると、突然背後から銃口が向けられた。
「C.C.を探しに行ったんだよ」
その言葉にハッとなったロロは、ゆっくりと顔を動かすと自身に銃を突き付けている存在、ルルーシュに対して告げた。
「……やっぱり記憶は戻っていたんだね」
「ああ。尾行者を俺の奴隷に、絶対支配下に置かせてもらった。やはりお前達はC.C.の捕獲が最優先らしい。例え間違った情報でも……フッフフフ」
嘲笑いながらルルーシュは語る。
しかし、ロロは内心嘲笑いながら気取られない様に冷笑を浮かべると、ギアスを発動させた。
訪れる王の時間。ルルーシュの動きが止まる。
ロロは慣れた手つきでルルーシュから銃を奪うと悠々とした足取りで背後に回る。
そして、ルルーシュの頭部に狙いを定めた時、王の時間は終わりを告げた。
「何っ!?」
突如として眼前からロロが消えた事に一瞬ルルーシュは困惑したが、続いて後頭部に冷たい感触を感じた時、ギアスを使われたのだと瞬時に理解した。
「お前のギアスは、時を止める能力か」
確認するかのように吐き捨てるルルーシュだったが、ロロに自身のギアスの効果を教える気など更々無い。
代わりに、ロロは死に逝く者への最後の手向けとでも言わんばかりに語る。瞳を暗殺者のそれにして。
「答える理由は有りません。僕に与えられた指令は2つ。一つはC.C.の捕縛。そしてもう一つは、ルルーシュ・ランペルージの記憶が戻ったなら、ゼロが復活したなら抹殺する」
「16…17…18…19…」
「何です?その数字は?」
ルルーシュの生殺与奪はロロが握っている。にも関わらず、ルルーシュは当然意味不明な数字を読み上げ出した。
それに対して怪訝な表情でロロが問うと、ルルーシュが告げた言葉はロロのギアスの効果そのものであった。
ロロはこんな短時間で見抜かれた事に内心驚きつつも、皮肉めいた言葉を浴びせる。
「今更分かったところで、何が出来ると言うんです?」
その答えに、自身の仮定が正しかったと理解したルルーシュは籠絡するべく行動を開始した。
「ロロ、お前は正しい。直ぐに俺を殺さないのは分かっているからだろう?このままでは2つとも手に入らないと」
「2つ?」
一瞬、何を言っているのか分からなかったロロだったが、2つの内の一つについては直ぐに理解した。
しかし、もう一つは皆目見当が付かなかった。
ロロは視線で続きを促すと、それを認めたルルーシュが語る。
「1つは、この俺を餌に探していたC.C.――」
「それは分かります。もう一つは?」
「お前の命」
「僕の?」
答えを聞いたロロは僅かに眉を顰めた。それを手応え有りと受け取ったルルーシュは、慎重に言葉を選ぶ。
「ロロ、未来とは何だ?」
「未来……」
その言葉を聞いた時、それまで殆どと言っていい程鉄仮面を貫いて来たロロの表情に、明らかな変化が現れた。
唇を噛みしめてジッと哀しみに耐えるかのような表情。それを動揺と捉えたルルーシュは内心ほくそ笑む。
しえん
「未来とは希望だ。お前の任務の先に希望はあるのか?C.C.を捕まえる事で、お前にはどんな未来が開ける?今のままだ。何も――」
「フッ、フフフフ…」
だが、ロロは突如として俯きがちに笑い出し、ルルーシュの言葉は最後まで聞かれる事は無かった。
今までとは全く違う反応を見せるロロ。その予想だにしていなかった反応にルルーシュは少々面食らった。
「何が可笑しい?」
その瞬間、ロロは勢い良く顔を上げたかと思うとあらん限りの声で叫んだ。
「C.C.を捕らえれば、未来は繋がるんだっ!!」
先程までとは打って変わって、ロロは平静さを失っていた。瞳には涙さえ浮かべている。
それは紛れもないロロの本心だった。
あの日以来、ロロはライに見限られたと思っていたからだ。
とはいえ、未だC.C.捕縛という使命まで失った訳では無い。だからこそ……。
「今は、今は駄目でも捕らえたらきっと……また"あの人"と……!!褒めて貰うんだ!!」
「あの人?誰だそれは?」
感情的になった事で余計な事まで言ってしまったロロだったが、ルルーシュの問いに我に返ると一転して冷え切った瞳を向けた。
「少し、話し過ぎました。ルルーシュ、その悪魔の瞳と伴に……死ね」
――こ、このままではっ!
焦ったルルーシュが咄嗟に口にした一言。それが彼の命を救う事となった。
「俺を殺せばC.C.は捕らえられないぞ!?」
ロロの片眉が一瞬ピクリと動きトリガーを引く指が止まる。それを見逃すルルーシュでは無い。
ロロの言うあの人が誰を指しているのか。今のルルーシュは知る由もない。
しかし、ロロの心に深く入り込んでいる人物だということは容易に想像出来た。
そして、先程の半泣きとも言えるロロの表情を見て、両者の間に何らかのトラブルがあったと想定したルルーシュは餌をちらつかせる。
「俺を見逃してくれたら、C.C.を引き摺り出してやろう」
「売るのか?C.C.を……」
努めて平静に言ってはみたものの、ロロの心は揺れ動いていた。敬語を忘れているのがその証拠だ。
C.C.を捕らえる事が出来れば、それがきっと再び自分とライの架け橋になるとロロは信じていた。
それは先程ルルーシュが言ったロロの未来に他ならない。
一方で、ルルーシュはロロの瞳が揺らいだのを認めると静かに振り返る。
「自分の命とは比べられないからな」
「本当、でしょうね?」
未だ警戒の念を湛えた瞳でロロが問う。
対して、ルルーシュは普段のように優しさを湛えた表情で答える。
「ああ、明日俺がC.C.を引き摺り出してやれば、お前は未来を掴めるんだろう?大丈夫、お前に嘘は吐かないよ。お前にだけは」
その表情を認めたロロは、依然として警戒の念を解くこと無く暫しの間思慮に耽る。
しかし、どれ程考えても最良の答えは同じ。取るべき手段は一つしか無かった。
今はもう、ルルーシュの言葉を信じるしか無かったのだ。
それに、もし仮に嘘だったとしたならば、憂さ晴らしの意味も込めてV.V.から言われた使命を果たすだけ。
その後で時間は掛かるがC.C.を探せばいい。
その考えに到ったロロは、静かに頷くと銃口を降ろした。
しかし、本来ならば魔人の言葉など聞くべきでは無いのだが、今のロロにそれが出来る筈も無い。
知らず知らずの内に魔人の腕がその身に迫っている事に、ロロは気付けないでいた。
―――――――――――――――――
時計が夜中の24時を回った頃、機情の地下施設では定時連絡が行われていた。
「それと最新の動きとして、領事館で小規模な爆発がありました。公式発表は未だなされてはおりません」
「ソチラハ"ギルフォード"ニ任セテオケ。ソレデ、ソノC.C.ヲ見タトイウ隊員ノ証言ニツイテハ?」
「はい。それに基づき探してはみましたが、その……申し訳ありません」
ヴィレッタは頭を垂れた。
「ソノ時ノ"ルルーシュ"ノ状況ハ?」
「ロロが尾行していましたが、これといって不審な点は無かったと」
「ソウカ。今度ハ見失ナワナカッタカ」
面を上げたヴィレッタが再度報告すると、カリグラは僅かに肩を揺らした。
しえん
それを見たヴィレッタは驚きのあまり思わず瞳を見開いた。
――珍しい事もあるものだ。明日は槍でも降るのか?
そうヴィレッタが思うのも無理はない事。
カリグラに仕えて一年近くになるが、彼が喜ぶ様子など初めて見たからだ。
「"ロロ"モヤレバ出来ルトイウ事ダナ」
すると、カリグラが珍しく誉めた事が影響したのか、とある理由でその名前を持つ少年の存在が耐えきれなくなっていた一人の隊員が身を乗り出した。
「カリグラ卿!申し上げたい事があります」
「控えないか」
ヴィレッタは慌てて隊員の肩を掴もうとした。
理由は二つある。
一つは、彼女なりの部下への気遣いだった。
如何にカリグラの機嫌が良いとはいえ、万が一下手な事を言えば部下の身に危険が及ぶ可能性は十二分に考えられるからだ。
二つ目は、普段カリグラはヴィレッタ以外の部下の上申を許す事は無い。言った所で無駄だと思っていた為でもある。
だが、前述の通り機嫌が良かった事が影響したのだろう。カリグラは珍しくそれを許した。
「構ワナイ。何ダ?」
許しを得た隊員は、悲しみを宿した瞳を向けると言った。
「ブルーノが、殺されました」
「ブルーノ?」
その名を聞いたカリグラはあろうことか首を傾げてみせた。
まるで「それは誰だ?」とでも言わんばかりの態度に、隊員達は思わず絶句した。
一方、カリグラはそんな彼等の様子さえもお構い無しといった態度で、暫しの間考え込む素振りを見せる。
やがて、漸く思い出したようでカリグラは僅かに頷くと問い掛けた。
「アノ男カ。誰ニ殺サレタ?」
「あ、あのガキです!彼奴がブルーノを……」
我に返った隊員は憎々しげに答えるが、返って来たのは非情な言葉だった。
「ソウカ。デハ、代ワリヲ送ル」
「それだけ…ですか?」
「他ニ何カアルノカ?」
カリグラは再び首を傾げると、今度こそ皆目検討がつかないといった様子で一向に語ろうとしない。
業を煮やした隊員は思わず拳を机に叩き付けた。
「これで5人目なんですよっ!?」
が、既にその怒りがロロでは無くカリグラ向けられている事は誰が見ても明らかだった。
咄嗟に限界だと悟ったヴィレッタが割って入る。
「いい加減にしないか!その態度は上官反抗罪に当たるぞ!」
その指摘にハッとなった隊員だったが、尚も諦めきれないようで悔しさを滲ませながら呟いた。
「仲間を殺す死神と、チームは組めません」
――死神――
正にロロに打ってつけの二つ名と言えた。
前述の通り、ロロはこれで5人殺した。
しかし、ロロとしてはギアスを知られた可能性がある場合は消せという命に従い、忠実に実行した結果に過ぎない。
確かに、中にはロケットに触ったというだけで殺された不憫な者もいたが……。
だが、彼等は訴えるべき相手を間違えていた。いや、正確には知らなかった。
モニターに映る銀色の仮面。その下に在る素顔の持ち主こそロロを死神にした存在、ライなのだと言う事を。
「何ヲ言イ出スカト思エバ、仲間ダト?下ラナイ」
当然の如くカリグラは吐き捨てる。
すると、今度は余りにも非情なその言葉に堪り兼ねたのか、彼とブルーノの仲を知っていたヴィレッタが叫ぶ。
「カリグラ卿!それは――」
「黙レ!」
だが、一喝されてしまった。
そしてモニター越しに滲み出るえも言われぬ覇気に気圧された彼女は、声を失ったかのように押し黙らされてしまった。
「何レニセヨ、数ガ減ッタノデアレバ補充スル。以上ダ」
カリグラは話は終わりだと言わんばかりに告げると、一方的に通信を切った。
しえん
―――――――――――――――――
通信を切ったライが仮面を外した時、広間に幼い少年の声が響いた。
「どうだったの?」
ライが無言のまま声がした方向へ視線を向けると、不意に柱の影が揺らいで声の主が姿を現す。
その姿を認めたライが問う。
「V.V.、何処に行っていた?」
「ちょっと良い所にね。君にも何れ見て貰おうと思ってるけど」
V.V.は楽しそうにクスクスと笑いながら歩み寄ると、怪訝な表情を浮かべているライを他所に彼の右隣に据えられた椅子に腰掛けた。
「それにしても、本当に相変わらずだね」
先程の会話を聞いていたのか陰惨な笑みを浮かべるV.V.に対して、ライは乱れた髪を手櫛で整えながら口を開く。
「盤上の駒に仲間意識など必要無い」
そう言って、まるで路傍の石でも見るかのような表情を浮かべてみせた。
すると、その表情が気に入ったのか、V.V.が笑みを一層深くしていると――。
「王様!どうぞっ!」
快活な声と共に一人の少女が紅茶を運んで来た。
ライは僅かに口元を緩めながら受け取ると、普段の様に香りを楽しむとゆっくりとした仕草で飲み始める。
運んで来た少女は階段下に居る仲間の元に戻ると、共に惚けた表情を浮かべながらライの姿を見つめていた。
やがて、ライが飲み終わったのを見計らったV.V.が問い掛ける。
「結局C.C.は見つからなかったの?」
「ああ」
「随分と落ち着いてるね。本当に居た可能性もあるかもしれないのにさ」
「痕跡は何処にも無かった。そもそも、見たという証言だけでは信憑性に欠けるからな」
「そっか……」
V.V.は残念そうな表情を浮かべたが、それも一瞬の事。
「そういえば、領事館で爆発があったって?」
「公式発表は未だ無い。原因は目下調査中だ」
「調査中?盗聴中の間違いじゃないの?」
笑いを湛えながら問うV.V.に対して、ライは僅かに口元をつり上げるだけで何も答えない。
だが、V.V.はそれを見逃さなかった。
「ライ、まさか君がやったの?」
そう言ってV.V.は疑うかのような視線を投げ掛けた。
しかし、突然被疑者扱いされたにも関わらずライは一笑してみせる。
「クハハハハッ!…馬鹿な事を。見ろ」
ライは慣れた手つきでパネルを操作すると、モニターには爆発直後の領事館の画像が映し出された。
「私がやったのなら、今頃領事館は消し飛んでいる」
「そんな事したら――」
「C.C.はお前と同じく不死。違うか?」
その問いにV.V.の瞳が肯定の色を帯びると、ライは再び口を開く。
「瓦礫の中から捜せばいい」
「犠牲が出れば、中華連邦本国も黙ってないんじゃない?」
「名目上は災害救助とする」
「それでも疑われたら?」
「ゼロのせいにでもしておけばいい」
「……君じゃない事は分かったよ」
V.V.は矢次早やに問い掛けたが、ライからの返答は一切淀みなく流暢だった。
その為、疑念が払拭されたV.V.はそう言ったのだが、逆にライは柳眉を顰めるとそれを不思議に思ったV.V.が問い掛ける。
「どうしたの?」
「妙に素直だな」
「妙に説得力があるからね」
屈託無く笑うV.V.に対して、ライは少々訝しみながらも話題を変えた。
「何はともあれ明日だ。さて、私は先に休ませてもらうか」
そして、未だ階段下に居る子供達に対して「お前達も早く寝ろ」と告げると、ライは悠々とした足取りでその場を後にする。
V.V.はそんな彼の後ろ姿を無言で見送った。
そして、日は昇り……遂にその日はやって来た。
しえん
―――――――――――――――――
「イレブン達よ。お前達が信じたゼロは現れなかった。全てはまやかし。奴は、私の求める正々堂々の勝負から逃げたのだ……。構えっ!」
ギルフォードの指示の元、機銃が藤堂達に照準を合わせる。彼等の命は今正に風前の灯火だった。しかし……。
「違うな!間違っているぞ、ギルフォード!」
突如として一帯に響き渡った声。その主を認めたギルフォードが叫ぶ。
「成る程、後ろに回ったか!ゼロッ!」
振り向いたギルフォードの視線の先には、ナイトメアのコックピットより悠然と身を乗り出しているゼロの姿だった。
それを受けて、機情の一室も俄に熱気を帯びる。
「ゼロが現れました!」
だが、やや興奮した面持ちで告げるオペレーターとは対照的にカリグラはあくまでも冷静だった。
「"ルルーシュ"ノ現在地ハ?」
「30分前よりスパイラルシアターに。ロロが付いています」
「ソウカ……」
「動きます!」
その言葉に、カリグラは再びモニターに視線を戻すと、そこに映っていたのはブリタニア軍に対して単身乗り込むゼロの姿だった。
「お久し振りです、ギルフォード卿。出て来て昔話でも如何ですか?」
「折角のお誘いだが、遠慮しておこう。過去の因縁には、ナイトメアでお答えしたいのだが?」
「フッ、君らしいな。では、ルールを決めよう」
「ルール?」
「決闘のルールだよ。決着は、一対一で付けるべきだ」
「いいだろう。他の者に手は出させない」
「武器は一つだけ」
「よかろう」
二人がルールに合意した時、それを聞いていたカリグラは思わず笑いを溢すと、それに気付いたヴィレッタが尋ねる。
「どうされました?」
「何、忠義ヲ貫キ過ギルノモ考エモノダト思ッタマデダ」
「それは、どういう意味でしょうか?」
「見テイレバ分カル」
理解しかねたヴィレッタは再び尋ねたが、返って来たのは何とも曖昧な返答。
ヴィレッタは不に落ちないといった表情を浮かべながらも、言われるがままモニターを注視した。
「質問しよう、ギルフォード卿。正義で倒せない悪が居る時、君ならどうする?悪に染まってでも悪を倒すか?それとも、己が正義を貫くか?」
「我が正義は姫様と共にっ!」
ゼロの問い掛けに対して、ギルフォードは誓いの言葉と共にランスを突き出し突進する。
だが、ゼロは些かも動じなかった。
「そうか、ならば私は悪を成して、巨悪を討つ!!」
ゼロがそう告げた次の瞬間、地響きのような音と共に一帯が競り上がるとそれを見たカリグラは思わず呟いた。
「ブラックリベリオン、カ」
あの時と同じく租界の構造を利用したゼロの策。
しかし、それが嘗て自身が立案した策だとは今のライは夢にも思わない。
――見ているか?ライ。お前の策で俺は彼等を……。
ライが考えた策で、今度は彼が大切にしていた仲間を救う。
そんなルルーシュの誓いと共に、総領事館の敷地に滑り落ちて行くブリタニア軍。
その様子を見ていたカリグラは簡潔に思いを述べた。
「勝負アリ、カ……」
しえん
◇
「カレン、突入指揮を取れ!卜部、お前はカレンを援護しろ!」
「はい!」
「承知っ!」
ゼロの指示を今か今かと待ち望んでいた二人は力強く応えた。
更にカレンは左手を見つめると心の内でそれよりも強く叫ぶ。
――行くわよ、ライッ!!
そうして、操縦管を力強く握り締めたカレンはペダルを踏み込んだ。
「二機私に付いて来いっ!扇さん達の救出が最優先だっ!」
「残りは俺に続け。紅月を援護するぞ!」
「「「「はい!」」」」
二人からの指示の元、他の隊員達は瞬時に別れると後に続く。
遂に、紅い鬼神が駆け出した。
◇
「逃げられてしまう。中華連邦内に……」
部下の呟きに、椅子に座り込むと思わず首元を緩めるヴィレッタ。だが、そんな彼女の仕草に対して仮面の下でライは瞳を細める。
「ドウシタ?」
「い、いえ。何でもありません」
無意識下の行動だったとはいえ、目敏く指摘されたヴィレッタは慌てた様子でモニターに向き直ると、飛び込んできたのは騒然とした現場の映像だった。
G−1からの映像は既に途絶え、中継ヘリからの映像も疎開構造帯が激しく叩きつけられた影響で噴煙しか映っていない。
「こ、このままでは本当に逃げられてしまいます!」
焦りを隠し切れなかったのか、隊員の一人は思わずそう叫んだ。だが、カリグラは機械的に返すのみ。
「目的ハアクマデモC.C.ダ。"ゼロ"ハ"ギルフォード"ニ任セテオケ」
「Y、Yes, My Lord!」
――ゼロの土俵に上がった時点で負けだがな。
部下からの返答を聞き流しつつ、ライは心の内で嘲笑うと再びモニターに視線を戻した。
が、相も変わらず現状把握は困難を極めていた。
しかし、そんな現場を眺めつつも依然として彼に焦りは無い。
「良ク見エナイナ」
「そ、そんな事を仰ってる場合では――」
「ヴィレッタ。一体何ヲ焦ッテイル?」
「あ、焦ってなど…ただ、これではC.C.を確認する事さえ不可能だと思ったので……」
実際のところ、噴煙のせいで扇がどうなったのか分からずヴィレッタは内心気が気では無かった。しかし、そんな事を言える筈も無い。
その為、咄嗟に嘘を吐いたのだが、彼女は続けざまに告げられた言葉に恐怖する事となる。
「……ソウイウ事ニシテオコウカ」
自分の気持ちを、あるいは嘘を。まるで見透かしているかのようなその言葉に、ヴィレッタは思わず粟立つ肌を押さえたい衝動に駆られながらも何とか耐える。
そして、今度こそ気取られぬように奥歯を噛み締めると、モニターに映る噴煙立ち込める領事館の映像に再び視線を向けた。
◇
その中では死闘が繰り広げられていた。
紅蓮が猛進する。立ち塞がる敵を粉砕して。
卜部達もそんな紅蓮をサポートするべく必死だ。
しかし、カレンは背後に…自身の背中に若干の不安を感じていた。
それは卜部のサポートが不安だからという理由では無い。
彼女が安心して背中を任せられる存在は一人しかいない。だが、その存在はもう居ない。
しえん
それでも…いや、だからこそカレンは駆ける。ライが大切に想った仲間を、自分にとってもかけがえのない仲間、扇達を助けるべく。
やがて煙の向こうに仲間達を捕らえていたトレーラーの影が見えると、それまで険しい表情を浮かべていたカレンの表情が僅かに緩む。
「後少し!」
だがそう言った矢先、カレンの視線を遮るように金色の大型ランスを手にしたグロースターが。グラストンナイツの一角を担うアルフレッドが立ち塞がった。
それを認めたカレンは再び叫ぶ。
「ブリタニア!ここはねぇ、もう日本の領土なんだよっ!」
「紅いナイトメア…お前か!馬鹿め、日本など存在しない」
「あっそ。これだからブリタニアはっ!」
「ハッ!だから何だ?さぁ、次はお前の番だ!」
「…何、ですって?」
アルフレッドの言葉にカレンは表情を強ばらせると、同時に紅蓮の機動も僅かに鈍る。
それを動揺と受け取ったアルフレッドは、ランスを繰り出しながらも意気揚々と語る。
「双壁の一翼。その翼は一年前に焼け墜ちた。お前も最早恐るるに足らん!」
だが、その台詞はカレンの神経を逆撫でるには十分過ぎるものだった。
「さらばだ!イレブンのエース!」
勝利宣言と共に、動きを鈍らせた紅蓮の左腕を弾き返すと懐に飛び込んだアルフレッドは至近距離より銃撃を浴びせた。しかし……。
「なっ!」
咄嗟に突き出された紅蓮の異形の右腕。そこから発せられた紅い壁に阻まれた。
「防いだっ!?この距離で?」
アルフレッドが驚嘆した瞬間、彼のコックピットに振動が走る。
紅蓮の右腕が猛禽類さながらにグロースターの頭部を鷲掴みにしたのだ。
「これが輻射波動。あなたが懐に飛び込んで来た時点で私の勝ちは決まっていたの」
そう告げたカレンは、次に射殺さんばかりの瞳で睨み付けると必殺の一撃を見舞う。
「じゃあねっ!」
「うわあぁぁぁっ!」
轟音をたてて爆散するグロースター。
だが、カレンは爆散を見届ける事無く再び扇達の元へ駆け出した。
「よくもアルフレッドを!」
「よせっ!ここは中華連邦の治外法権区だ」
「しかしっ!!」
「報道カメラも入ってるんだぞ!」
レーダーから兄弟機の反応が消えた事に怒りを露にするエドガー。だが、クラウディオに静止させられた。
「くそぉっ!」
目の前に仇が居るというのに手を出せない。
エドガーが歯痒さを噛み締めていると、突如として通信機よりヴィンセント突入の一方が響いた。
「ヴィンセント、ダト……?」
同じくその一報を聞いたカリグラは、思わずそう言葉を漏らした。
そして瞬時に記憶を探った彼は、ある事実に気付くと確認の意味も込めてヴィレッタに問い質す。
「アノ機体ハ、アノ日"ロロ"ガ使用シテイタ。ソウダッタナ?」
「は、はい。間違いありません」
「何故今頃突入ヲ……?」
カリグラは再び呟くと、何か胸に引っ掛かる物を感じつつもモニターを見やる。
モニターの向こうは、やっと視認出来る程度には晴れ始めていた。
◇
その中では、ロロが目に映る光景に言葉を失っていた。
突然の狙撃により避けられないと直感的に死を意識したその時、直撃コースに突如としてゼロが割って入り、結果としてゼロの機体は両腕を失い地面に倒れ伏す事となった。
ロロはそれを未だ呆然と見つめながら、信じられないといった様子で呟いた。
「どうして、僕を……」
それはごく自然な反応だった。
殺しに掛かった筈なのに、気付いた時には助けられていた。
何よりも、奪い続けて来たロロにとって助けられるなど初めての経験だったのだから。
その呟きを聞いたゼロ、ルルーシュは仮面の下で口元を妖しく歪ませた。
魔人の右腕がロロの心に巻かれた銀の鎖に迫る。そして――。
332 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 02:54:02 ID:yqihdlSs
しえん
「お前が…弟だから」
「!!!」
「植え付けられた記憶だったとしても、お前と過ごしたあの時間に嘘は無かった」
甘言と共に魔人は鎖を引き千切ると、続けざまに剥き出しになったロロの心。そこに刺さった楔をへし折った。
その時、ロロの脳裏に浮かんだのはこれまでルルーシュと過ごした穏やかな思い出。
たどたどしく蚊の鳴くような声でロロは語る。
「今までの事が、嘘じゃなかったって……自分の命が大事だって、そう言ったくせに。そんな下らない理由で……」
それを聞いた魔人は、最後に新たな楔を手に取ると――。
「約束したからな。お前の新しい命。お前の未来は…俺と」
「っ!!」
ロロの心に打ち込んだ。
一方で、ゼロの機体が停止している事を好奇と捉えたギルフォードが叫ぶ
「ゼロ。ここで因縁を断とう。この一撃で!この鉄槌で!」
手にしたランスの矛先をゼロに定めるとあらん限りの力で投げ付けたが、それは後一歩という所でヴィンセントに阻止された。
「なっ!?どういうつもりか、キンメル卿っ!!まさか…ゼロの仲間かっ!?」
その時、ギルフォードの驚愕を通信機越しに聞いていたカリグラが指示を飛ばす。
「ヴィレッタ、二人ニ連絡ヲ取レ」
「その――」
「ドチラデモイイ!」
「は、はい!!」
ヴィレッタは慌てて携帯を取り出すと電話を掛け始めた。
――あれに乗っているとしたら……ロロ、この私を裏切る気か?
そんな彼女を尻目に仮面の下でライが思慮に耽っていると、通話口に向かってヴィレッタが口を開く。
「ル、ルルーシュか?」
『どうされたんですか?』
「いや…少し心配になってな。総領事館の件なんだが、聞いているか?」
そう尋ねながらヴィレッタはモニターに視線を移す。が、銀色の仮面より浴びせられた視線に思わず身震いした。
『ええ、何でも――』
「ま、待て。ロロはどうしたんだ?」
ヴィレッタが慌ててルルーシュの言葉を妨げると、ルルーシュは内心嘲笑いながらも口を開く。
『どうしたんですか、一体……ロロですね?ちょっと待って下さい』
そう告げると、暫しの間を置いて通話口よりロロの声が響く。
『…はい』
それを聞いたヴィレッタは再びモニターに視線を移すと、カリグラは静かに頷いた。
その様子に内心胸を撫で下ろしつつも彼女は再び問い掛ける。
「ロロか?何処に行っていた?」
だが、そこにルルーシュが割って入った。
『やだな先生、トイレぐらい別々にさせて下さいよ。で、何でしたっけ?さっきの……』
「総領事館の話だろ?」
『あぁ、すごい騒ぎらしいですね』
二人のやり取りを聞きつつも、ロロはコックピット内で狼狽していた。
――いけない、今までの事が知られたら機情から廃置される。あの人だって……。
一方で流石と言うべきか、あっけらかんとした様子で語るルルーシュ。
だが、そんな彼をヴィレッタは咎める。
「ルルーシュ。一つ言っておくが――」
『分かっていますよ。もう危ない事に弟を巻き込みません』
――っ!!
再び弟と呼ばれた事にロロが心を震わせていると――。
「ほぅ、この前の件で少しは改心したのか?」
ヴィレッタが苦笑しつつ問い掛けると、ルルーシュはロロに対してとどめとばかりに言い放った。
「当たり前じゃないですか。ロロには人殺しがある世界なんて似合わない」
――僕が…弟…。
ルルーシュの言葉をロロが必死に反芻していると、突如として領事館より星刻の声が響いた。
「そこまでだ、ブリタニアの諸君。これ以上は武力介入と見なす。引き上げたまえ」
その通告を聞いたヴィレッタが再びモニターに視線を移すと、カリグラも再び小さく頷いた。
しえん
「それじゃあな、ルルーシュ。あまり遅くなるなよ?」
『やだなぁ。そんなに信用無いですか?俺って』
「知りたいのか?」
『いいえ。遠慮しておきますよ。それじゃあ』
「ああ」
通信を切ったヴィレッタが携帯を仕舞いモニターに向き直ると、カリグラはオペレーターに問い掛けた。
「発信元ハ?」
「スパイラルシアターです。間違いありません」
「ソウカ……」
そう呟くと顎に手を当てて何やら考え込む素振りを見せるカリグラ。
そんな彼を余所に、ヴィレッタは指示を請うべく口を開く。
「この後は如何が致しますか?」
「……ヤムヲ得ナイ、カ。現時刻ヲ以テ作戦ハ終了トスル。但シ、引キ続キ"ルルーシュ"ノ行動ニハ注意シロ」
「その事なのですが、卿は未だあのゼロがルルーシュであるとお疑いなのですか?」
今回の一件はヴィレッタの疑念さえ払拭するに十分だった。その為、未だルルーシュを監視せよとの命は些か慎重過ぎると思った彼女は思わず尋ねたのだが、カリグラは何も答えない。
気になったヴィレッタは自身の考えを告げた。
「今回の事を鑑みても、同一人物と断定する事は些か無理があるのでは?」
その問いに、ようやっとカリグラは口を開いた。
「証拠ハ何処ニ有ル?」
「先程の通話が全てではないでしょうか?」
「確カニナ。ダガ、発信元ヲ偽ル事ナド容易イ。今回ノ一件モ前回ト同ジ。状況証拠ヲ積ミ上ゲタニ過ギナイ」
「しかし、今回はロロが付いています。まさか、ロロが裏切ったというのですか?」
「ソノ可能性モ含メテ、私ハ考エル」
「それは些か――」
ヴィレッタは、「慎重過ぎるのでは?」と続けようとしたが、遮るように告げられたカリグラの言葉に思わず息を呑む。
「アラユル可能性ヲ考慮シロ。"ゼロ"ノ力。ソノ恐ロシサ。忘レタ訳デハ無イダロウ?」
――ゼロの力――
その言葉を聞いたヴィレッタは思わず声を荒げた。
「卿はご存知なのですか!?」
よもやカリグラもギアスについて知っているとは思っていなかったからだ。しかし、一方で機情の長ならばと納得もした。だが、ヴィレッタは続け様に告げられた言葉に少々拍子抜けする事となる。
「何ヲ言ッテイル?"ゼロ"ノ力ハ天賦ノ才トデモ言ウベキ謀略ト、ソノ頭脳ヲ駆使シタ狡猾サダロウ?"ナリタ"デハ、コーネリア皇女殿下ヲ追イ詰メ、アノ枢木卿サエモ騙シ続ケタノダカラナ」
「……はい?」
「何ダ?ソノ態度ハ……」
「い、いえ!何でもありません」
咎められた事に狼狽するヴィレッタ。
だが、仮面の下でライはそんな彼女の様子を目を細めると愉快そうに眺めていた。
――馬鹿め。知っていると言うとでも思ったか?
ギアスについて、ライはおいそれと告げる気は毛頭無かった。
仮に知られれば、それはまず間違いなくロロに伝わる事となる。
そうすれば、ロロは自分と機情の関係を勘繰るようになる可能性が出て来る。
下手をすれば気付かれる可能性さえも。そうなった時、ライに依存しきっているロロの事だ。
週に一度の定時連絡は任務を遂行している事への褒美。
それを心待ちにしていたロロにとって、毎日行われている機情の報告の際にいつでも話せるという事になってしまう。
そうなれば、任務に支障が出る事は十分に考えらる。
ただ全ては仮定に過ぎない。
だが、そういった芽は潰しておくに限るとライは考えていた。
「引キ続キ監視ノ目ヲ緩メルナ」
最後にそれだけ告げると、カリグラは通信を切った。
―――――――――――――――――
しえん
領事館の敷地内は喜びに溢れていた。
ある者は手を、またある者は互いに抱き合うと互いに解放された喜びを噛み締めていた。
無理も無い。彼等は一年もの長きに渡り拘束されていたのだから。
そんな彼等の間を紅髪の女が縫うように走る。
「扇さん!!」
カレンは瞳に涙を浮かべながら駆け寄ると、その勢いそのままに扇の胸に飛び込んだ。
扇はそんな彼女を優しく抱き止める。
「ありがとう、カレン」
「ううん、良いの。良かった、無事で……」
夕日を背に再開を喜び合う二人の姿は傍目には親子のように映り、それを見ていた隊員達の目には薄らと光が零れていた。
一方、二人の背後では卜部が俯いたまま男泣きしていた。
「中佐…よくぞ…御無事で…」
「済まない、迷惑をかけた」
そう言って藤堂は卜部の肩に手を置く。
「め、迷惑などっ!!」
慌てて顔を上げると否定に走る卜部だったが、藤堂の表情を見た瞬間、感極まったのか再び俯くと肩を震わせ始めた。
そんな彼の様子を、他の四聖剣の面々は微笑ましげに見守っていた。
やがてその中の一人、朝比奈が口を開く。
「苦労したんでしょ?」
「あぁ……別の意味で苦労させられた」
顔を上げた卜部は目尻に残る雫を拭い答えると、朝比奈は思わず苦笑した。
「何ですか、それ」
「女性の言い争いを仲裁するのは骨が折れるって意味さ」
そうだけ告げると未だ扇にあやされながら会話しているカレンと、その遥か向こうから我が物顔で歩いて来るC.C.に視線を向けた。
それに気付いた朝比奈は「そういう事ですか」と納得したようで、今度は愉快そうに笑うと、残りの同僚二人も後に続いた。
「全く、あの二人は……」
「ハッハハハ。今日は目出度い日よな」
千葉は呆れたように言葉を零すが、その表情に棘は無い。方や仙波もその表情を見て楽しげに語る。
だがそんな彼等とは対照的に藤堂は目を伏せると一人呟いた。
「そうか、やはり彼は……」
「……はい」
藤堂のどこか哀しみを湛えた言葉に卜部が相槌を打つと、残りの面々は一様に眉を顰めた。
二人の口論を止めるのは、ゼロが居ない時は専らライの役目だった。
それをこの一年は卜部が担っていたという。その事からも導き出せる結論は……やはり、一つしか無かった。
藤堂達は一年かけてある程度気持ちに整理を付けていたとは言え、「何処かで……」といった思いを完全に払拭する事は出来ていなかったのだ。
「中佐……」
「いや、済まない。俺とした事がつい、な」
再び告げられた残酷な現実。
尋常ならざる藤堂の苦悶の表情を心配した千葉が問い掛けると、藤堂は力なく笑った。
そんな彼等の会話が聞こえていたのだろう。
扇もまた、カレンに問い掛ける。
「カレン、よかったら教えてくれ。ライは、その…本当に……」
カレンは一瞬哀しげな表情を浮かべると直ぐに顔を伏せた。
だが、彼女にとって父親とも兄代わりとも言える他ならぬ扇からの問いだ。何とか答えようとしたのだろう。
カレンはゆっくりと顔を上げて口を開く。
だがその時、空気の読めない男、玉城の声が響いた。
「なあなあ!あのパイロットは?」
「っ!?…あれは……」
驚いたカレンが言葉に詰まっていると、その様子を見た玉城が誤解した。
「ひょっとしてよ!アイツなのか!?」
「っ!!」
カレンの表情は先程とは比べ物にならない程の哀しみに染まるが、彼女は何とか言葉を絞り出した。
338 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 02:57:59 ID:yqihdlSs
しえん
「…ちがう…わ」
すると、そんな悲痛なカレンの様子を見ていられなくなった扇は堪らず声を荒らげた。
「おい!玉城っ!!」
「な、なんだよ…そんなに怒る事ねぇじゃねえかよ…」
玉城のボヤキを余所に扇はカレンに向き直ると、なるべく彼女を傷付けないように尋ねる。
「やっぱり、そう…なんだな?」
その優しさが伝わったのだろう。カレンは静かに頷いた。
「そうか…」
それを見た扇はそうだけ告げると、唇を噛み締める。
だが、そんな扇に対して一転して精一杯の笑みを浮かべたカレンは左手を胸に抱くと言った。
「でも、ライなら居るわ。ここに」
カレンの言葉を聞いた扇は、彼女の前では涙を見せたく無かったのだろうか。思わず天を仰いだ。
「ああ、そうだな…そうだよな」
二人の間を哀しくも暖かい何かが包み込む。
そんな最中、背後で二人の会話を聞いていた千葉は一歩前へ出る。
それを見た朝比奈は、今は野暮だとでも思ったのだろうか。止めようと手を伸ばすが、それを仙波に窘められた。
驚いた朝比奈が仙波を見やると、彼は答える代わりに首を横に振った。
「では、あのパイロットは?」
突然の問いにカレンが視線を向けると、飛び込んで来た千葉の表情に思わず目を見張る。
千葉の表情には、既に先程の憂いは無かったのだ。
そこに有ったのは、彼女が戦いの最中に見せるようなどこまでも冷静な瞳。
しかし、それは千葉が非情だからでは無い。
尋ねた側が悲痛な面持ちであれば、答える側は尚更苦しむ事になる。それは千葉なりの優しさだった。
それがカレンにも伝わったのかどうかは定かでは無い。
だが、その表情を認めたカレンは涙を拭うと、ここに来て初めて真剣な眼差しで告げた。
「あの機体は敵だったの。でも、今のパイロットは私も……」
「そうか」
同じくカレンの表情を認めた千葉は短くそう答えた後、ほんの僅かではあったが目元を緩めるとカレンもまた釣られるように笑みを浮かべた。
そんな時、辺りに彼女達とは別の女の声が響いた。
「ゼロを救ったのだ。少なくとも敵では無いだろう?」
驚いたカレン達が振り向くと、そこにはいつの間にかC.C.が居た。
そんなC.C.の言葉を聞いた藤堂は、未だ領事館の外で自分達に手を振る数多の同胞達に視線を移すと、日本の解放とライの仇をという新たな決意を胸に抱く。
「背負うものが、また増えたな」
だが、その言葉に気負いは微塵も無い。
藤堂の側でその言葉を聞いていた5人は静かに頷く。
カレンは頷きこそはしなかったが、想いは扇達と同じだった。
――ライ、皆は取り戻したわよ。次は日本と、そしてあなたの仇を……見ててね。
彼等が決意を新たにしたその頃、C.C.の姿をコックピット内より認めたロロ。しかし、以前とは違いその心は……。
「目の前にC.C.が居るのに…僕は、僕はっ……」
既に漆黒の鎖に絡め取られており、最早何も、指一本動かす事さえも出来ないでいた。目の前に、"彼"との未来が居るというのにだ。
その呟きを聞いた魔人は再び動く。
「ブリタニアにお前の安らぎは無かったんだ。お前の居場所は…此処にある」
宥めるかのような優しい口調。
だが、その言葉はロロの心を締め上げるには十分過ぎる程のもので……。
それ以降、ロロが言葉を発する事は無かった。
方や、その反応の無さこそ魔人が確信を抱くには十分なものであり、ルルーシュはその端正な顔を妖しく歪ませる。
――フッ、堕ちたな。ナナリーの居場所を奪った偽物め。散々利用して、ボロ雑巾のように捨ててやる。
しえん
―――――――――――――――――
様々な思いを胸に彼等が再開を果たしていたその頃。
遥か彼方。
領事館の敷地を一望出来るビルの屋上が僅かに光った事に、その場に居た誰も気付けなかった。
光源の場所には、一人の男が居た。
男はうつ伏せになると身を隠すかのような姿勢を取り、その紅い縁取りに彩られた瞳で通信機片手に望遠レンズを覗き込んでいる。
「C.C.を最大望遠で確認」
嘗てカノンの右腕として暗躍したその男は、通信機の向こうに居る新しい主に向かって、まるで人形のような表情を貼り付けたまま抑揚の無い言葉を発すると、通話口からは若い男の声が響く。
『こちらでも確認した。やはり、領事館に居たか』
新しい主は満足げな声色で語った後、新たな指示を男に与える。
「お前は別命あるまで身を隠せ」
「Yes, Your Majesty」
その言葉を最後に通話が切れるのを確認した男は、素早く機材を仕舞い込むと足早にその場を後にした。
―――――――――――――――――
通信機を置いたライがモニターに視線を向けると、そこに映っていたのはつい今しがた撮影されたC.C.の画像。
それを眺めながら、ライは邪な笑みを浮かべると一人呟く。
「魔女め、やっと姿を現したか」だが、それも一瞬の事。
ライは不意に自身の右隣。そこに有る空座の椅子に視線をやると、次に正面に向き直る。
そして、ライは階段下に居る子供達を視界に捉えつつも、その先で一人縮こまっている黒衣の男に問い掛けた。
「この大事な時に、V.V.は何処に行った?」
ライが剣のある口調で問うと、男は声を震わせながら答える。
「V…V.V.様は、現在、その…研究棟においでです。じ、直にお戻りになられる、かと……」
男は完全に畏縮していた。今の彼の心労はヴィレッタの比では無い。
だが、そんな事はライには関係無かった。
「研究棟?そんな場所が有るのか?」
「は、はいっ!」
「そうか……では、案内しろ」
「陛下、V.V.様は直にお戻りになりますので…その……」
男は何とかライを引き留めようと言葉を搾り出すが、それがいけなかった。
その瞬間、子供達は皆一様に哀れむかのような表情を浮かべた。
その仕草に男が怪訝な表情を浮かべると――。
「次は無い。案内を」
ライは有無を言わさぬ口調で命じた。
しかし、そんな言葉とは裏腹に彼の口元には三日月が浮かんでいた。
それは、傍目には大層美しく映るだろうが、今の男にとっては悪魔の笑みと同じだった。
その時になって、男はようやっと先程子供達が浮かべた表情の意味を理解した。
「わ、分かりました!ですから、どうか命だけはっ!」
「クハハッ!その様な事、する筈が無いだろう?」
男の返事を聞いたライが玉座より立ち上がると、子供達も同じく立ち上がる。
そして、ライが男の元へ歩み寄るべく階段を降り始めると、子供達も心得たもの。
ライの邪魔にならないよう道を譲った。
やがて、ライは片膝を付き肩を震わせながら臣下の礼を取っている男の元まで歩み寄る。
「何をしている?さっさと案内しろ」
「は、はい!」
慌てて立ち上がった男がライを先導するべく歩き始めると、満足したのかライは無言で後に続いた。
一方、ライに道を譲ると再び階段に腰掛けた子供達は、徐々に小さくなっていく二人の後ろ姿を眺めながらヒソヒソと話始めた。
「さっきの王様、本気だったわよね?」
「だね」
「それでも気付かないなんて――」
「大人は鈍いって事よ」
「うん、鈍い鈍い」
子供達はどうやら結論に達したようで皆一様に口元を妖しく歪ませると、その場でライの帰りを待つ事とした。
以上で投下終了です。
こんな真夜中だというのに支援して下さった方々、本当に有難うございました。
ライカレ厨卿の大作が久しぶりにktkr
ずっと楽しみに待ってました!乙!
>>342 ライカレ厨卿、GJでした!
ハハハッ! やはり最高だ、貴公のライは!
あらゆる可能性を考え、時には冷酷非情、たまに現れる傲慢、まさに王! といった具合です。
ロロにとってC.C.を捕まえなければならない理由が強く、逆にルルーシュの言葉に引っかかりやすい。
しかし、ライがC.C.を確認し、ロロ(というかおそらくすべてのものに対して)にも疑惑を持っている。
ロロの命運は如何に……
ライについて、騎士団でのやり取りを見ていると思わず袖を濡らしてしまいました。
読者観点からすれば、生存を知っていますが、それ故になお悲しみが伝わってきそうでした。
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
>>342 投下ご苦労様でした。
いやぁ、実に面白かった。
こっちでR2やり直して欲しいくらいに面白かったです。
特に、ロロ、ヴィレッタの心境が細かいのがいいですね。
人物の心の動きや考えに重点を置いていると感じました。
その為、話がすごく濃いと感じ、その分、じっくりと読み応えのあるSSになっていると思います。
しかし、本当に先が読めないなぁ、ライカレ厨さんのは。
TV基準でここまで出来るというのは、すごいですよ。
本当にGJです。
次回も楽しみにお待ちしております。
GJですぜ!
ライカレ厨卿のSSはのめりこみすぎて他の事が手につかなくなるから困るw
ともかく久々の更新乙です!
>>280 トーマス卿お疲れ様です。アンケートは3でお願いします
ライカレ厨卿のSSキター!
待っていた甲斐があったぜ!
GJでした!!
大変面白かったですが、ロロについては少し疑問が残りました。
本編においては、ただの道具でしかなく空っぽだったがゆえに、ルルーシュに篭絡されましたが、
すでにライとの繋がりがあり、そこに依存しているロロが本編に沿った行動を取るのはありえないかなと。
それとも、この先にその答えがあるのでしょうか?
もしそうだとすれば、申し訳ありません。
次回も大期待しています
ライカレ厨卿お久しぶり&お疲れ!今回もタップリ楽しませていただきました!
>>280 いつも乙でーす。アンケは3でーす
>>342 GJでした。
次回も楽しみに待っています。
さっきから保管庫に行けないんだけど…
ありがとう?
>>280のアドレス行っても弾かれるみたいなんだけどみんないける?
行けるみたいだけど……。
同じく
こんばんは。今夜2200より予定通り保管庫が停止いたします。分かっておられる方が殆どでしょうが、一応念のため。
>>288氏の問いにお答えいたします
今後、当保管庫は「定期的にアドレスが切り替わる」こととなります。ややこしいのでよくお読みください。
・
>>1に張ってあるアドレスは不変
・コンテンツ全体を纏めて一つのフォルダに格納する
・関門ページの「入る」のリンクアドレスと、コンテンツを格納してるフォルダの名前が定期的に変わる
・結果、入りっぱなしではなく定期的にTOPから入り直さなくてはならなくなる(フォルダの名前が変わった状態でリロードしても「ファイルが見つかりませんと返される」)
なぜ、このような面倒なことをするかというと、ズバリ「運営速報」を定期的に見てもらいたいからです。
今後、保管庫運営に関する重要な事柄は運営速報にて(場合によっては勿論本スレでも)通知致します。
本スレは昔ほどでないにしろ流れが速いので見逃す方がいる、運営速報に書いても入りっぱなしでは殆ど見てもらう機会がない…ということで今回のような処置を取ることに決まりました。
そして、「PCを再起動すれば、当然保管庫にもTOPから入り直さなくてはならない。じゃあ、みんなはどのくらいの頻度でONOFFしてるのか?」という統計を知りたかったため
今回のアンケートを実施するに至ったわけです。御協力いただきました方には改めてお礼を述べさせていただきます。尚、アンケート自体は現スレが終わるまで募集しております。
>>357氏
当方でも色々試してみましたが、特に問題は見つかりません。引き続きこちらでも調べてみます。
さて。皆様にひとつ我儘をば。既にご存じの方もいると思いますが、当方「(ロスカラの))801板」の保管庫もこちらと並行して管理しております。
つきましては、TOPページにそちらへのリンクを張らせていただきたいと思います。(両者を混合するという意味では決してありません。ただ、同じ階層で扱わないと大変なものでして)
免疫のない方、未成年者に対する配慮もきちんといたしますので、何卒ご了承ください。
以上、長くなりましたがご質問ご要望等あればこちらの可能な限りで応えますので、どうぞお申し付け下さい。
トーマス卿いつもお疲れ様です。
大変とは思いますが頑張ってください。応援してます。
乙です。スレ進行ならともかく保管庫の運営についてはよっぽどのものでもない限り
いちいち住人の顔色を見なくてもいいと思いますよ。こういってはなんですが保管庫は完全にトーマス卿の管理化にあるわけだし、というか自腹切って毎月お金払ってくださってるんだし…
あとアドレスが切り替わるとのことですが具体的にはどれくらいのスパンで変わるのですか?
>>361 ありがとうございます。何よりの励みです
>>362 知っております。と言うか保管庫自体既に作っています。サーバーには上げておりませんが。
えー…、801板については、「保管庫を望む声があり、また公開している」(今回のリンクについてもメールにて多数の要望があった)
しかし、エロパロ板では保管庫を望む声が無い。
ということで…当方としてはどうしたらいいかわからない状態です。
>>363 ありがとうございます。まだはっきりとは決まってないのですが、現段階では一週間に一度程度が妥当かと思っております。
>>364 既にあるとは…。
>保管庫を望む声が無い
私は望みますよ!勿論!
お願いします!!
エロパロ板の管理ですが私も希望します。トーマス卿が大丈夫ならば、ですけど
もうなんかこんなに甘えてしまっていいのかという…
工事中に切り替わったね。全体が消されてるっぽい
エロパロ板…かしこまりました
…後戻りは出来ませんよ?
うお…マジですか…すげえ…
復活マダー?
すいません、予定よりかなりずれこみそうです…
待っておられる方、もう休まれた方がいいと思います。
朝までには何としても形にはしてみせます。
最近トーマス卿が化け物じみてきた件について
前々から化け物じみてましたよ
そんなトーマス卿がみんな大好きです
この人いったいいつ寝てるの?
体を壊さないでくれればいいんだけどな
本当頭下がるよ
おそらくトーマス氏は二、三人いる
きっとあれだ、トーマスというのは、グループの名称ではないだろうか。
スレッド監視の担当とか保管庫担当とか。
それなら納得できるww
トーマス卿の正体には色々な説があるんだな……
・自宅に3人くらいいる
・保管庫管理人グループ
・本人がサイボーグ
どれも有り得るのがすげぇ……
ワラタ
385 :
短パン:2009/04/21(火) 23:19:54 ID:2hM6zXmC
かいじょーい
トーマス:喪服の似合う美女。ただしショタ。
青い人:神風ナース
全力:黒服の大学生らしい
>>386 そこは神風ナースではなくてダイナマイトナースと書くべきだろう。常識的に考えて
>>386 >>387 ./ ニYニヽ
r、r.rヽ / (0)(―)ヽ
r |_,|_,|_,|/ ⌒`´⌒ \ ふむふむ・・・なるほどなるほど・・・
|_,|_,|_,|_,| , -) (-、.|
|_,|_,|_人 (^ i ヽ__ ノ l |
| ) ヽノ | ` ⌒´ /
| `".`´ ノ
入_ノ
\_/
/
/
./ニYニヽ
r、r.rヽ. / (0)(0)ヽ
r |_,|_,|_,|/ ⌒`´⌒ \ で?っていう
|_,|_,|_,|_,| , -) (-、.|
|_,|_,|_人 (^ iヽ__ ノ l |
| ) ヽノ | `ー'´ /
| `".`´ ノ
入_ノ
\_/
/
/
/ \Y/ヽ
/ (ー)(ー)ヽ
/:::::::⌒` ´⌒:\ トーマス:喪服の似合う美女。ただしショタ。
| ,-) ヽ__ノ(-、| 青い人:神風ナース
| l |r┬-|. | 全力:黒服の大学生らしい
\ `ー'´ /
ノ \
/´ ヽ
| l \
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
/ ノ Y ヽヽ
o゚((●))((●))゚o
/:::::::⌒`´⌒:\
ミ ミ ミ .| ,-) (-| ミ ミ ミ そんなことどうでもいいっていうwwwwwwwwww
/⌒)⌒)⌒. | l ヽ__ノ l| /⌒)⌒)⌒)
| / / / \ |r┬-| / (⌒)/ / / // バ
| :::::::::::(⌒) | | | \ ゝ :::::::::::/ ン
| ノ | | | \/ ) / バ
ヽ / `ー'´ / / ン
| | l||l 从人 l||l l||l 从人 l||l
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
>>388 ほんとどうでもいい。
そこだけは同意する。
ぶっちゃけ馴れ合いの駄目なエッセンスだけが凝縮された流れになってる気がする
馴れ合いをいいとはいわないが、だからと言ってバカ丸出しなAAやらのレスで容量を無駄遣いしていいってわけでもない
気に食わないにしろ荒らしまがいのことなどするなってことだ
そっちのAAの方がよっぽど不快だ
AA使って正論書いた気になってるおとこの人って・・・
画像掲示板投下報告です。
>>4のリンクよりご覧いただければ幸いです。
・・・・・・・
「虫食い同好会!」
余暇さんのSSシリーズ虫食い同好会より。
中盤までのナンバー会員の小さなキャラでフィールドワークです。
・・・・・・・
〜ノンストップで広がる虫食いの輪はやがてワールドワイドに。
広がるばかりでなく最終的に世界平和まで成し遂げる
風呂敷の畳みっぷりには驚嘆!
キャラクターたちが違和感なく、
当然のようにギャグを繰り広げる様にうきうきします。
描いてみたくなる人々や場面が多くて困りました。
またの続編を拝見できるのを楽しみにお待ちしています。
あれ、窓の外めっちゃ明るい……
もうトーマスは消えろ
てめーのせいでスレが滅茶苦茶じゃねーか
しゃべんな回線切って引きこもってろクズ
「カレン〜♪」
ミレイさんが、小悪魔的な微笑を向けて私に声をかける。
「な、なんでしょう……」
ちょっと怯え腰なのは、今までの経験で身体が覚えた警戒の反応だった。
しかし、逃げ出すわけには行かない。
逃げ出したら、後で何倍にもなって帰ってくる可能性がとてつもなく高いからだ。
「実は、カレン、ライの事、好きでしょ?」
その言葉に、私の顔が一気に熱が集中して熱くなるのがわかる。
多分、真っ赤になっているだろう。
「ち、違いますよっ……。そ、そんな事ありませんっ。あんな奴、大嫌いですよっ」
「ふーーーんっ」
「本当ですったらぁっ。あんなルルーシュみたいになよなよしたのは駄目なんですっ」
思わず、そう言ってしまう。
ごめんなさい、ライ。
あんな綺麗に引き締まった身体をこんな風にいう事を許してっ。
これもミレイさんの疑いを晴らすためなの。
「あら、そんなになよなよしてたかしら? もっと彼の身体は、引き締まってて……こう…肉が……」
思わずその言葉に、私はミレイさんに掴みかかる。
「ライったらミレイさんにも見せたんですかっ」
その瞬間、ニタリと笑うミレイさん。
し、しまったーーーーーっ。
どっと汗が噴出す。
「ふふん〜♪カ・レ・ン。どうやら、じっくりお話しする必要がある見たいね」
そして、生徒会室から助けを求めるカレンの叫び声が響く。
だが、ミレイさんの怖さを知っている生徒会役員は、誰も助けようとはしなかった。
おわりです。
おわりと入れるの忘れてた。
即席なのですみません。
>>395 乙でした。
ミレイさん、何故知っている!?
いや、あるいはハッタリか?
……事実はミレイとライにしか分からない。
GJでした!!
ライの事になると、慎重さを忘れてしまうカレン
いいですね
それにミレイさんっぽいカマの掛け方だし
楽しませて頂きました
生徒会室に向かって歩いていると、ドアのところに人だかりがある。
シャーリーにカレン、さらにニーナが何やら聞き耳を立てているみたいだ。
「どうし……」
そう言いかけてカレンに口を塞がれる。
「今、いいところなんだからっ」
シャーリーがすごい真剣な表情でささやく。
それで僕も中の様子に耳を傾ける事にした。
「会長っ、実は俺……」
緊張した声はリヴァルだ。そして、言葉からどうやらミレイさんもいるらしい。
周りの皆がごくりと唾を飲み込む。もちろん、僕もだ。
しかし、聞いている方が緊張するのは何故なのだろうか。
「俺、会長……じゃないっ。ミレイさんが……好きなんだっ」
ありったけの勇気を絞って話すリヴァル。
思わず同じ男として応援したくなる。
よく言ったっ。がんばったな、リヴァル。
そして、ミレイさんの返事が……。
「ごめんね。私、リヴァルの事、そんな風に見れないの」
少し申し訳なさそうなミレイさんの言葉。だが、その言い方は正しいのかもしれない。
彼女にとって、リヴァルは生徒会役員であり、友人の一人という認識なのだろう。
さすがに空気が読めないリヴァルもその意味を悟ったのだろう。
「そっか……」
溜息とトーンダウンした言葉が、リヴァルの激しい落ち込みを表していた。
残念だったなリヴァル。でも、お前の事をわかってくれる女の子がきっといるさ。
そう思っていると、とんでもないことをリヴァルは言い出した。
「やっぱ、会長の好きな相手って……ライ?」
その言葉の瞬間、僕の周りの女性たちがより真剣に聞き耳を立てているように感じたのは気のせいだろうか。
しばしの沈黙の後、「うんっ……」微かだが、確かにミレイさんはそう言った。
その瞬間、僕と一緒に聞き耳を立てていた女性たちの視線が僕を向く。その目は、とてつもなく真剣というより、殺気立っているといった方が正しいと思うほどだ。
「ど、どうしたのかな……みんな……」
思わず、後ずさりしてしまうのは、身体が警戒信号を発しているためだろうか。ともかく、無意識的にじりじりと後ろに下がる。
ずりずりと近づいてくる彼女達。
ヤバイ……。
キケンだ……。
僕は身体の向きを変えると一気に走って逃げ出した。
こうして、ミレイさんの一言で、なんとか危ういバランスを保たれていた僕の平穏な日常は吹っ飛んだ。
そして、後に残されたのは、僕という獲物を奪い合う女性たちの血で血を洗う争いの日々だった。
え?
僕の意見ですか?
そんなもの……最初っからスルーされています。
ああ、僕は貝になりたい……。
そして、どこか一人で静かに平穏に暮らしたい。
そう強く願った。
…………………ばっどえんど…………………………
>>398 リヴァルと飲みに行きたい…。
無論、俺の奢りで…。
それから始まるライ争奪戦・・・やべ、ちょっと見てみたいかもw
リヴァル……泣けんでぇ。
そしてなんというバッドエンド。
女性陣全員ヤンデレ化ですね、分かります。
402 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 18:24:54 ID:yEZLUZKk
>>398 GJ、面白かったよ。
ただ一つだけ
>でも、お前の事をわかってくれる女の子がきっといるさ。
ライはリヴァルをお前とは言わないんでは?保管するとき直すようにお願いしてみてはどうだろう
「えっと……読んでください」
そう言ってニーナから渡されたのは1通の手紙。
それを僕が掴むと彼女は真っ赤になって走り去った。
も、もしかして……これって……。
ごくりっ。
唾を飲み込む。
震える手でゆっくりと封筒を開けて、中の手紙を開く。
そこには、ニーナの僕に対する思いが込められていた。
そして、最後に書かれていた文章。
−こんな私でよかったら付き合ってください。
その文章に、僕はすーっと意識が遠くなりかける。
あのニーナが、僕の事を……。じーんっと心が痺れるような感覚。
やばい。やばいよ。
無茶苦茶うれしいじゃないかっ。
思わず飛び跳ねたい心境に駆られる。
ああ、こういうのをハッピーとかテンションが高いって言うんだろうなとか思ってしまう。
ともかく、返事しないと……。
僕はニーナを探す為に学園内を探し回ってやっとニーナを見つける。
実験準備室に彼女はいた。
僕は何度か深呼吸を繰り返し、ゆっきりと口を開く。
食い入るように僕を見ている彼女の顔は真っ赤だったが、目をそらすようなことをしなかった。
意外と芯は強いのかもしれない。そんな事を思ってしまう。
だが、今は返事を言うのが先決だ。
「ニーナ、手紙ありがとう。すごくうれしかった」
そこで言葉を止めて、深呼吸。
「あ、あのね、僕でよければ喜んで。えーっと……つまりOKだから……」
なんとかそこまで言う。
だが、彼女の反応は無い。
やっぱり、はっきり言わなきゃ駄目か。
そう思いなおして言い直そうかとした時、ニーナが僕に抱きついてきた。
「う、嬉しいですっ……」
僕も彼女を優しく抱きしめる。
「僕の方こそ、よろしくね」
「私の方こそ……」
そう言って互いにまた強く抱き合った。
だが、僕は気付かなかった。
抱きついた彼女の口が、残忍で不気味な形に歪んでいた事に。
そして、悲劇はここから始まった。
…………………ニーナ惨劇ED…………………………
ぴろりん〜♪
じゃじゃんじゃーーーんっ。(音楽)
ミレイ&シャーリー「コードギアス反逆のルルーシュ ロストカラーズR2。ハッピーエンドにいけない貴方の為のアッシュフォード生徒会エンディング解説情報局〜♪」
ぱちぱちぱち〜♪(拍手)
シャーリー「しかし、なんでこんなエンディングになったのかしら? 好感度はうまく上がっていたし、イベントもうまくいってたのに……」
ミレイ「これは、きっとニーナ以外の女性キャラクターの好感度を中途半端に上げすぎたのが原因ね」
シャーリー「そういうものなの?」
ミレイ「そうなの。ライってフラグ建築士一級の腕前でしょ。だから他の子とのフラグを立てすぎると、ニーナみたいな思い込みの強い子は暗黒面に落ちることが多いわけよ」
シューリー「へぇ……。思わぬ落とし穴ってやつですね」
ミレイ「そうなの。ですから、皆さん、ハッピーエンドやトゥルーエンドを狙いたいなら、その子だけに集中しましょうね。八方美人は損するだけですよ〜っ」
シャーリー「はーーーいっ。勉強になりましたっ」
ミレイ「それでは、皆さん、次のプレイをお待ちしております」
ミレイ&シャーリー「では、またね〜♪」
じゃんじゃん〜。(音楽)
ぴろりん〜っ♪
▼タイトルに戻ります。
以上で出終わりです。
皆さん感想ありがとうございます。
>>403 そうですね。
お前→君 に変えたほうがいいですね。
指摘ありがとうございました。
何だこの「教えて美麗先生」www
よし、今すぐルート分岐前からやり直すんだw
グッドエンドと見せかけてバッドエンド、ひでぇw
>ニーナ惨劇ED
これはwwひどいwww
乙ですた!
ハッピーと見せかけてバッド
(・∀・)イイ!
ところで405みたいなのってたまに見るけど元ネタはなに?
GJ。394と398は同じ人かな?
あと、まとめるか分割するか一言言っておいた方がいいと思いますよ。
管理人様が困っておられるようですので。
>>409 月姫の「教えて知得留先生」が元ネタです。
Fateの「タイガー道場」は、月姫のそのコーナーを受け継いだものですね。
詳しくは、「月姫 wiki」で検索してください。
>>管理人さんへ
管理人さんがやりやすい方法でやってもらってかまいません。
3つまとめても構いませんし、別々でもOkです。
保管庫の管理人さんへ。
なんで宣伝やアフィリを頑なに否定するんですか?いまどきどこのサイトでもバナーの一つや二つ貼ってますよ。
だいたい必要も無いのに有料サーバーにして自腹切るはめになるとか馬鹿馬鹿しいと思わないんですか?
みなさんだって華やかな方がいいですよね?
お答えください。あなたはこれからもずっと宣伝や宣伝を貼ってるHPを否定するつもりなんですか?
早く答えてください。今も見てるんでしょう?
いいかげんにしてください、保管者トーマスさん。
そうやって自分の都合の悪いことは無視ですか。卑怯ですよ。
日の変わり目まで待ちます。それまでに何も返答がなかった場合こちらにも考えがあります。
このスレになにかあったらそれは全て保管者トーマスさんの責任ですので。
また屑が沸いたね、これ今までと同一人物なのかな?
だったらキモいにも程がある粘着振りだな。
無視ですか。まあそれもいいでしょう。
貴方の後悔する顔が目に浮かぶようです保管者トーマスさん。
念のため言っておきますが荒らすわけではありませんので。あしからず。
AA荒らし?連投荒らし?違います。
言ったはずです荒らさないと。そして荒らしには絶対になりえない。
投下するものはたった1レス、しかも短い。
ですが…それの破壊力はいかほどのものでしょうか?
全ては貴方次第なのですよ。保管者トーマスさん。
223 名前:名無しさん 投稿日: 2009/04/24(金) 23:47:21 ID:S9JI30A20
そもそも自分の質問(と言えるかと言うと質問にすらなっていないが)に答えなければ
相手にとってダメージとなることを行うという宣言を行ってる時点で脅迫なわけだよね
おれの言うことを聞け!でないと大変なことになるぞ!と言ってるわけだから
やればいいさ
だけどやれば脅迫行為の成立でサイバー警察への通報要件を満たすわけだから
こっちも堂々と相手できる
じゃあもういいです。いままでのなしで。トーマスさんは関係ない方向で。
そのかわり住民の皆さんに聞きたいことがあるんですよ。とくに職人さん。
投下するけどいいよね?
答えは聞いてない!
まえがき
タイトルは「伝説の演説」
・ジャンルはギャグです。
・これが私の全力全壊! かーなーりパロディだ!
・短いから支援要らないよ。
「第98代唯一皇帝陛下のお言葉!」
アッシュフォード学園講堂、モニターには皇帝『シャルル・ジ・ブリタニア』が映し出される。 それを見てわずかに拳を握り締める生徒がいた。
しかし、そんな些細なことでは世界は変わらない。
ブリタニア国歌が流れる中、皇帝は演説を始めた。
「諸君 私はおっぱいが 好きだ」
その言葉にその演説を聞くものすべてが唖然とする。 いきなり性癖を暴露されても普通困る。
スピーカーから漏れるざわつきはブリタニア本国にいる者も混乱している証であろうか。
しかし、そのざわめきに躊躇することなく皇帝は続けた
「諸君 私はおっぱいが 好きだ
諸君 私はおっぱいが 大好きだ
巨乳が好きだ 美乳が好きだ 貧乳が好きだ 爆乳が好きだ
虚乳が好きだ ツルペタが好きだ 膨らみかけが好きだ 母乳が好きだ 普通のおっぱいが好きだ
Aカップ Bカップ Cカップ Dカップ Eカップ Fカップ Gカップ Hカップ
この地上に存在する ありとあらゆる おっぱいが 大好きだ
胸をはった 女性兵士が訓練中 動くたびに揺れるそのおっぱいを 眺めるのが好きだ
空中高く飛び上がった女性のおっぱいが 空気抵抗と重力でばらばらに 揺れる時など 心がおどる
女医の操る 聴診器の ゴム管(なんかぷらぷらしてるアレ)が 少し胸に挟まって いるのが好きだ
視線に気づき 慌てたようにして 手で聴診器の先を持ち ごまかすような笑みを浮かべていた時など 胸がすくような 気持ちだった
爪先をそろえた 女学生の行列が 通勤中のサラリーマンの戦列を 蹂躙するのが好きだ
痴漢と間違われたくないからと 道をあけるサラリーマンを 尻目に ゆうゆうとその胸をはり 自己主張している様など 感動すら覚える
快楽主義の 妻たちの胸を儂の手で 揉みしだいていく 時間などはもう たまらない
泣き叫ぶ妻達が 私の降り下ろした 手の平とともに
金切り声を 上げてベッドに ばたばたと倒れていくのも最高だ
哀れな抵抗者(レジスタンス)達が 精一杯身につけた 技術で 健気にも立ち 上がってきたのを
私の指(エンペラーフィンガー)の 振動が 彼女らのおっぱいを 打ち負かした時など 絶頂すら覚える
長年の妻たちの胸に 滅茶苦茶に されるのが 好きだ
必死に守るはずだった 妻たちの乳が垂れたり 娘たちが 「もうお父様とお風呂は・・・」と言う様は とてもとても 悲しいものだ
新妻の若さに 圧倒されて 屈伏されるのが 好きだ
豊満な乳を 揉めぬまま 泥のようにベッドに 倒れこむのは 屈辱の極みだ」
その勢い、口調は演説を聞くほぼすべての男を引き込んでいた。
演説の最中に手を前にだし虚空を揉みしだく皇帝のその姿はまさに『漢(おとこ)』であった。
一切のためらいもなく言い切る皇帝はさらに演説を続けた。
「諸君 私はおっぱいを 天国の様な おっぱいを 望んでいる
諸君 私に付き従う 帝国臣民諸君
君達は 一体 何を 望んでいる?
更なる おっぱいを望むか?
情け容赦のない 悪魔の様なおっぱいを 望むか?
豊満で美麗で 男に尽くし 三千世界の欲望を満たす 太陽の様な乳を 望むか?」
そこで彼は言葉を切る、何かを待つように。
――――――その何かは間を置かずにやってきた。
「乳(おっぱい)!! 乳(おっぱい)!! 乳(おっぱい)!!」
魂の慟哭。心の振動。男のサガ。
様々な感情の交じったその言葉が演説が放送されている場所に響く。
モニター越しの声とそうでない声が混じり合って。
そのすべての声を聞いたかのように満足げに頷き、言う。
「よろしい
ならば乳(おっぱい)だ
我々は満身の 力をこめて 今まさに 振り下ろさんとする うごめく掌だ
だが この広大な地で 何世紀もの間 支配を続けて来た 我々に
ただのおっぱいではもはや足りない!!
夢のおっぱいを!!
一心不乱となれるおっぱいを!!
征くぞ 諸君
オール・ハイル・おっぱい!!!」
最後に皇帝は右腕を高く振り上げた。
その瞬間、ブリタニア本国、並びに全エリアの漢たちの声が上がった。
「オール・ハイル・おっぱい!!!」
「オール・ハイル・おっぱい!!!」
「オール・ハイル・おっぱい!!!」
「オール・ハイル・おっぱい!!!」
「オール・ハイル・おっぱい!!!」
――――――この演説はのちの「おっぱいは平等ではない」から始まる演説とともに伝説の演説として歴史に刻まれた。
あとがき
みんな大好きだろう? おっぱいがッ!
SSではない、もはやネタ。
書いてて楽しかった、後悔はない。
あと、僕はうなじも好きだ。
乙でした。
>あと、僕はうなじも好きだ。
然り気無く付け加えとるしwww
全力さんはうなじ好き……とφ(..)
おっぱいはいいよね。
うなじもいいよね。
でもね、こうスカートから伸びる足のラインもいいものだよ。
パンストとかニーソなんか履いてるとさらにいい。
おっと、話がそれた。
全力卿、GJでした。
次回の投下も全力でお待ちしております。
>>427 GJでした!
俺の脳内では、皇帝ではなく、クロヴィスが演説してる映像に切り替わってたんだぜ!(中の人的な意味で)
記憶が曖昧なんで、wikiで確認したのは内緒だ
>>427 ギャグとかパロディっていうより、完全に改変コピペネタですよねw
そういうネタ的な意味では、やはりシャルルではなくクロヴィスに演説させるべきだったかも?
あるいはライにして、妻じゃなく各おにゃのこのおっぱいについて具体的っぽく演説させた方が
ロスカラSSスレ的にはよかったんじゃないかなと思いました
見乳必揉!見乳必揉!
我々の前に現れるあらゆるおっぱいを揉め!
揉みまくれ!
全てのおっぱいは ただ触り揉み潰し前進しろ!
それがたとえ誰のおっぱいであっても!
それがたとえどんなおっぱいであっても!
なんちってw
あの…なんでみんな容認ムードなの?コピペ改変だしロスカラ全く関係ないじゃない
スルーすればいいのでは…
スルーとか嗜好以前の問題では?はっきり言ってスレ違いだと思います。
あれは、その時にトーマス卿アンチが荒らし予告をしてて、空気が悪かったとこへ
敢えて馬鹿ネタを投下して流れを変えたってのが解からんかな〜?
それはわかりますけど、せめてライの名前を出すとかそれぐらいしてもよかったんじゃないですか?
いやここでライを使うとネタ的に面白く無くなると思うね。ライはこういうの言いそうに
ないキャラだし。まあなんにせよこういう批判を恐れずに此れを投下した全力氏に感謝を
捧げたい。GJ!でした。
じゃあこれを保管するのかトーマス卿に問いただして見ます。失礼しました。
「会長、どうしたんですか?」
「ああ、ライね。聞いてよぉ〜」
またか……。
そう思ったが、声をかけた以上、仕方ない。
「はい。聞きますよ」
「やっぱり、ライっていい男よね。私と結婚しない?」
茶目っ気のある笑顔でそういうミレイさん。
冗談っぽく言ってるけど、彼女の場合は、洒落にならない事になる可能性が高い。
だから、はっきり断った方がいい。
「あー、愚痴は聞きますけど、結婚はまだ嫌です」
その言葉に膨れるミレイさん。
でも、すぐに普段の表情になった。
この切り替えの速さが彼女の長所であり、怖いところなのだ。
「まだって事は……。うふふふふ……」
ゾクッとしたものが背中に走る。
「で……何なんです?」
慌てて話を進める。
それで、納得したのか話し始めるミレイさん。
「実はさぁ、いろんな事やりたいんだけどさ、文句ばっかりなのよねぇ」
ぷーと膨れる顔がなんか可愛い。
「あれも駄目、これも駄目ってさ……」
「そりゃ、規則だから……」
慌ててブレーキをかける。
そうしないと暴走するのは間違いない。
「でもさ、文句ばかりでみんな大切な事を忘れていると思うの」
「大切な事?」
「そうそう。大切な事」
何なんだろう……。
うーーん……。
考えている僕を無視して、ミレイさんは言葉を続ける。
「確かに規則も大事だし、守るべきだとは思うの。でもさ、細かく言うのはナンセンスよ。そんなんじゃ、もっても大切な事………楽しむことが出来ないじゃないの」
それでミレイさんが言いたいことが僕もわかった。
彼女にしてみれば、「楽しむこと」が大前提なのだ。
確かに言われてみればその通りなのかもしれないと思う。
でも、それだけでは駄目な気がする。
だから、僕は言う。
「確かにそれは大前提だと思いますよ。でも約束事は守らないと……」
「でもさ、それも時と場合によるんじゃないかな」
「うーーん……。それはそうかもしれませんね」
思わず、そう言ってしまう。
確かに規則だけでは、対処できない時もあるのだ。
「でしょ? だったら、賛成してくれるよね」
いきなり、ミレイさんの顔が僕の顔に寄せられて同意を求められ、思わずドキリとしてしまい、頬を染めてしまった事が自分でわかる。
「な、何をですかっ……」
危うく「僕でよければ…」と言いそうになったが、違う言葉をいう事に成功する。
以前も似たような流れで酷い目にあったような気がする。
案の定、その言葉に「ちっ」と舌打ちするミレイさん。
それで、自分がミレイさんの術中から逃げれた事がハッキリした。そして、思い当たる事が1つあったことを思い出す。
「まさか……、この前の女装コンテストの件じゃないでしょうね」
その瞬間、ミレイさんの顔が苦笑に変わる。
「あーー、やっぱりわかっちゃった?」
「やっぱりですかっ。あれは却下です」
はっきりとそう言う。
「えーーーっ。いいじゃないのっ」
駄々を捏ねるミレイさんをじとーと睨みつけ言い放つ。
「ミレイさんの場合は、自分が楽しければいいっていうのが大前提になってますっ」
「えええーーっ。そんなことないのにーーっ」
それでも何とかしようとミレイさんは食い下がろうとするのだが、その手には乗りません。
というか、乗ったら、僕とルルーシュが一番の被害にあってしまうのがわかっているのだ。
絶対に賛成なんてするものか。
「駄目といったら駄目です」
だから、はっきりとそう言った。
さすがに、それ以上は、無理だと思ったのだろう。
ミレイさんもすごすごと諦めてくれたようだった。
だが、僕は自分の甘さを後日知る事になる。
3日後、学園女子全員の署名により、女装コンテストが実施される事が決まってしまったのである。
そして、コンテストの強制参加者リストの中には、僕とルルーシュの名前がしっかり入っていたのだった。
終わり
以上でおわりです。
みんな、楽しみましょうよ。
ただ、それだけです。
一言言わせてくれ。天才だよあんた
全力さんGJ!
笑いが止まらなかったw
全部若本ボイスで脳内再生されたぜ!
>>439 GJ!
内容も面白かったが絶妙のタイミングでの投下だった、と思う
>>441 GJというか尊敬するよマジで。楽しむのにも大賛成だぜ。
>>441 GJでした!
そうだよね、楽しめれば良いよね。
……でも、女装コンテストって……
優勝=可愛い、綺麗 だから男として微妙な気持ちになりそうだ。
>>441 GJ
産まれた子供に名前をつける(つけさせる)のは、親の仕事。
作品にタイトルをつけるのは、作者の仕事だと思います。
せっかくの良いSS、ぜひともタイトルをば!
皆さん、感想ありがとうございます。
30分くらいで書いて、睡魔と闘いながら投下したものでタイトルまで頭が回りませんでした。
(投下後、爆睡して、さっき目が覚めました)
そうですね、タイトルをつけないと駄目ですね。
意見ありがとうございます。
タイトルは「本当に大切な事って…」とします。。
管理人さん、倉庫に載せる祭はよろしくお願いいたします。
では……
>>441殿 GJでした!
『本当に大切な事って…』なんだか深い言葉ですね
確かに最近は微妙な雰囲気ばかりでしたから、
もっと楽しんでいきましょうというライからのメッセージだったのでわ?
などと思ってしまいました
とにかく、貴殿の次の作品にも期待しております
長文駄文失礼しました
30分という短時間、睡魔と言う敵。
劣悪な条件の中これほどの作品を作り上げる才能には驚嘆を禁じ得ない。
みんな大変だ、トーマス卿が今の保管庫無くすって言ってるぞ!
ごめん俺の早とちりだった
見れなくなるだけだった
スルーしてくれ
>>441 皆楽しそうでこっちまでテンションがあがります。GJ、GJ!
30分って凄すぎる…。
さてお久しぶりです、多分覚えている人は一人もいないでしょうが。
1時間で書いたライシャリを投下するぜ!萌えってすごい
読む前にご注意
・青月ルートのシャーリーエンドから10年くらいたったと考えてください
・オリキャラが出ますのでご注意を、子供ネタが苦手な方は特に。
・10年後、ということでライのキャラがかなりまろやかになっています
・やまなしおちなしいみなし
支援はいらないと思われます。10レスでおさまるはず。
トリップはこれで間違っていないはずだ!久々で間違っていたらどうしよう…。
うっおおおおおおお!なんつーひさしぶり!支援!
温めに作ったココアを差し出せば、明るいオレンジ色の髪を持った子供は嬉しそうに笑って「ありがとう!」とココアを受け取ってソファに座る。
僕もその隣に座って自分用のココアをテーブルに置いて隅に置いてあった本を取り出す。
しおりを挟んであるそれは、先週からずっと読んでいるシリーズ物の本だ。
古本屋でついつい見つけて思わず衝動買いしてしまったそれは僕好みな文章で、思わずあいた時間を見つけてはのめり込むように読んでしまうのだ。
横では嬉しそうにココアを飲んでいる子供の姿。
自分が飲むココアより牛乳と甘さを足したそれは好みの味に仕上がってくれたらしい。こくこくと喉をならして読む様子に微笑みながらも本に視線を移す。
先週から読んでいるせいで古本屋で買った大量の本もこれが最後だ。
シャーリーに「よくこんな長くて難しそうな本を読めるね」だなんて言われていた本だが、活字中毒のような自分には苦ではなかった。
シャーリーは恋愛物の本が好きだから、こういう硬い文章の本はあまり読んだことがないのだろう。
だから難しいと感じてしまうんじゃないか、と僕は勝手に思っている。
「ねえ、お父さん」
「ん? なんだい?」
「何の本を読んでるの?」
本から子供へと視線を戻せば、そこにはちょこんと首をかしげて僕を見ている姿が。
その姿に「かわいい」だなんて思う自分は親馬鹿路線を進んでいるんじゃないかと思いながら、僕は子供の頭を優しく撫でた。
それを気持ちいいと感じたのか、子供は嬉しそうに目を細める。
さらさらと、シャーリーと同じ色の髪が揺れた。
「昔のお話を書いた本だよ」
「昔の? シンデレラとか、白雪姫とか?」
「王子は出てくるけれど、シンデレラや白雪姫は違うな」
子供らしく、そして女の子らしい発想についつい笑みがこぼれてしまう。
この子は僕を笑わせる天才なんじゃないか、と時々思うくらいだ。いつだってこうして僕を笑顔にさせてくれる。
学生時代は人形みたいだと言われ、今でも表情があまり顔に出ることは無いと言われているのに。
「じゃあ、何のお話なの?」
「これはね、王子様が願い事を叶えようとしたお話なんだ」
子供体温、とでもいうのだろうか。
僕よりも温かい体を近くにあったタオルケットで包みながら、ソファで寝てしまった子供を見てまた笑みを浮かべた。
この子を見ていると、いつだって自分は笑顔を浮かべずにはいられない。
飲み干したココアのカップを2つ、シンクへと片付けて眠っている子をベッドへ運ぼうかと考える。
ソファでは起きた時に体が痛くなってしまうだろうから。
時計を見れば、針は短針がちょうど2の数字を指している、ちょうどいい昼寝の時間だ。
この分なら寝かせたままでも問題はないだろうし、今日はあたたかく過ごしやすい一日だから風邪をひくことも無いだろう。
「あれ、寝ちゃった?」
さて連れて行こうかと子供を抱き上げようとしたところで、隣の部屋で縫い物をしていたシャーリーが顔を出した。
針仕事をしているときに子供が傍にいるのは危ないから、ということで僕が子守をしていたのだが、どうやらその必要はもうなくなったらしい。
もっとも、子守らしいことはほとんど何もせず、ただココアを作ったり話していたりしただけなのだが。
それでも子供が嬉しそうに笑っていたのだから、間違ってはいないと思う。
シャーリーの手には今しがた出来たのであろう、女の子向けのキャラの絵が縫い付けられてあるかわいらしい手提げ袋があった。
それは、彼女がせっせと朝から作っていた力作の作品だ。
「残念、せっかく出来たから一番に見せようと思ったのに」
「僕が一番になってしまったね。起きてからふてくされなければいいけど」
「楽しみにしてたもんね」
お母さんに縫ってもらうんだ!と興奮して疲れ眠ってしまった子供の顔を見て苦笑する。
昨日から「お母さんに手提げ袋を作ってもらうの!」と喜んでいた様子を考えるに、もしかしたら昨日は興奮して眠れなかったのかもしれない。
だから普段はしない昼寝までしてしまったのかもしれない。
起きたらきっと残念に思うことだろう。
出来上がったら家の中をお出かけ気分で歩くの!なんて言っていたくらいなのだから余程楽しみにしていたに違いない。
けれど今起こすのは可哀想なので寝かせておくことにしよう。
ふてくされてしまったとしても、その機嫌もシャーリーご自慢の手提げ袋ですぐに元通りになるだろうから。
「ライ、子守してくれてありがとう」
「何言ってるんだ、僕の子でもあるんだから当然だろう?」
「でも折角の休みだったんじゃない。疲れてない?」
「むしろ癒されたよ」
柔らかい子供の頬をつつけば、ふにふにとマシュマロのような感触がする。
この時期だけの子供特有の柔らかさなのだろう、これは。
こんなマシュマロみたいに甘くて柔らかい子の傍にいて癒されないわけが無いだろう、と思う。
「もー、ライってば本当に子煩悩なんだから」
「しょうがないだろう。なんたって僕とシャーリーの子供なんだから」
「なら奥さんのことも甘やかして欲しいなあ」
子供の方ばっかりずるーい、とシャーリーがじゃれるように僕に抱きつく。
そんなシャーリーを抱きしめながらも、僕は笑う。
子供だけじゃない、シャーリーといるときの僕だって自然と笑みが浮かんでくる。まるで魔法みたいだな、とらしくないことを思う。
昔のギアスという、魔法のようでいて呪われた力を持った僕の能力より、ずっと素敵なものだ。
「子供みたいだぞ? シャーリー」
「だって私だって構って欲しいんだもん」
「構ってるじゃないか、いつだって」
学生の頃から変わらない、オレンジ色の綺麗な髪をすいて額にキスをする。
そうすればシャーリーは少しだけ頬を赤く染めて、嬉しそうに笑って僕の胸に顔をうずめた。
そのことによってとくりとくりと少し早い彼女の心臓が体越しに伝わってくる。それが嬉しかった、まだ彼女は僕にこうされて緊張してくれているのだと。
「あ、ねえライ」
「ん? なんだいシャーリー」
すうすうと眠る子供の横でお互いをただ抱きしめていれば、不意にシャーリーが先ほど僕が読み終わらせた本に手を伸ばして手繰り寄せた。
読みたいとでも思ったのだろうか、と考えていれば、シャーリーはペラペラと本のページをめくって「やっぱり難しいよこれ…」と顔をしかめた。どうやらお気に召さなかったらしい。
「これ、何の話なの?」
「王子の話だよ。実に愚かで馬鹿な王子の話」
もう何百年前になる話かは忘れたが、異国の血をひいた一人の王子の話。
呪われた魔法の力を欲し、その力で母と妹を幸せにしようとした王子が兄達と王を殺して、下克上のように自分が王となり幸せを築こうとした話だ。
大切なもののために自らを犠牲にし、民を犠牲にし、国までもを道具として使いひたすらに二人の幸せを願った、愚か者の話。
そう言えば、シャーリーは悲しげに言う。
「かわいそう、王子様」
「そうかな、自業自得なんじゃないかとも思うけど」
「だってお母さんと妹のために頑張ったんでしょ? それなのに……」
「結果のために走りすぎて周りを見ることが出来なかったんだ、その王子は。強い力にはそれなりの代償があると分かっていたのに、手を出してしまったから」
「最後は? ハッピーエンドにはならなかったの?」
シャーリーの手の中の古びた本を見る。これが書かれたのはいつのことだったのだろうか。
あの時、民は全て死んだと思っていたのに、生き延びた人がいたのか。
語り継がれていた、はるか昔に滅んだ国。まだブリタニアと呼ばれる前の国の一部。
語り継いだのは誰なのだろう。
本の結末は王が民を巻き込んだ戦に出たところで、終わっていた。
そこから先は書かれていない、勝ったのか負けたのか、王がどうなったのかも。
これはハッピーエンドといえるものなのだろうか、と少し考えて僕は口にだす。
「最後には、王子も幸せになっているよ」
そう言ってシャーリーを強く抱きしめれば、シャーリーは嬉しそうに「よかったぁ」と言って笑った。
その笑顔がひどく心地いい、と思いながら彼女にくちづけた。
そうだ、王子はきっと今幸せに違いない。
だからきっと、物語はハッピーエンドなのだろう。
以上でございます。久々だし、創作発表では初めての投下です。
これから過去のSS読み漁りにいきます、徹夜覚悟で。
ライシャリっていいよね!
トリップ、間違っていたら申し訳ありません。
あとトーマスさんの手が空いた時に私の過去の文章を消していただけると幸いです。
昔の文章すぎてぶっちゃけ、恥ずかしいのでぱぱっと消していただけるとありがたいです…。
すみません、文章がおかしい…。
保管庫からこのSS以前のものを、手があいた時に消していただけたらと思います。
トーマスさんの状況がちょっと分からないので、本当にお暇な時で構わないです。
よろしくお願いいたします。
お疲れ様でした。久々のご登場に感激です。またの投下をお待ちいたしております!
>>457 投下お疲れ様でした。
しかし、ライシャリ10年後とは、初めて読んだ。
(もしあったらごめんなさい)
しかも、あの王子様の話を持ってくるとは、これは一本取られました。
山田くんっ、聖さんに座布団(GJ)3つあげてくださいっwww
というわけで、GJ×3でしたwww
次回作も全力でお待ちしております。
あたたかい、幸せな文章です。
シャーリーが幸せそうだとすべて許された気持ちになってしまうなあ。
娘のほほをつつくシーン、やわらかさまで伝わってきそうできゅんとしました。
ほっこり。
ありがとうございました!
>>458 聖卿、乙でした!
>このSS以前のものを消して欲しい
なん……だと……!?
いや、書いた本人が消して欲しいと言っているのだ。 どうこう言っても仕方がない。
未来において過去を振り返り、現在を幸せだと思える。
……いいね。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>このSS以前のものを消して欲しい
こんなこと言っちゃいけないんだろうけどすごく残念です
傑作ぞろいだったし消す理由なんてないと思うのですけど…
あれ?トーマス卿が消す前に保管庫行って保存しようと思ったのに行けないんだけど。
うおほんとだ
聖卿の分回収しようと思ったのに見れない
466 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 09:46:12 ID:fvRzaa6A
なんで保管庫を消すことになったんだ?教えてくれ。
前にいた荒しが何かやったか?
トラブルがあっただけじゃないか?
慌てず、騒がず落ち着こうぜ。
これ文句言っていいんじゃね?
調整中ってだけじゃね?
みんな、一応言っとく。
変なのがここ最近、ずっとわいてこのスレ荒らそうとしていることは知っていると思う。
(わからないなら、このスレ最初から読んでくれ)
だから、煽るような言い方はしないで欲しいし、そういうのはスルーしてくれ。
このスレを大切に思うなら、騒がす、先導されず、落ち着いて待て。
それに、今日は平日だという事を忘れるな。
せめて、夜まで静かに待て。
いま直ってるみたいだけど、何があったのか本人の説明ぐらい聞きたいよ。
予告なしのダウンもこれが初めてじゃないし、いいたかないけどトーマス卿が
荒らしに荒らす口実与えてしまってるじゃないか
そういう風に書き込むのがかえって口実になると思うんだけど?
今日は、平日という事を考えれば、せめて夜までは待つべきだと思うぞ
それに、勘違いしてないか?
ずっとつきっきりで管理しているわけじゃないんだから
あくまでボランティアであって、管理が仕事ではない
その辺の事を考えよう
まあまあ、まったりといきましょう。
ということで流れを変えるために投下。連続で申し訳ないです…。
連続投下になりますが大丈夫でしょうか? テンプレみたけど分からなかった…。
カップリングはライミレとなります。
「綺麗な折り紙ね、これ…花?」
「ええ、桜を折っていたんです」
生徒会の仕事も終わり、本日は解散!というミレイさんの一言でほとんどのメンバーが帰っていった生徒会室。
残っているのは僕と、会長であるミレイさんだけだ。
鍵を預けてくれれば僕が後で鍵をかけて職員室に返してきますよ、と言ったのだけれどもミレイさんは僕の折っている折り紙に興味があるようで、帰ろうとはしなかった。
「ライは日本人とブリタニア人のハーフなんだっけ。桜を知ってるってことは、日本にいたことがあるのかもしれないわね」
「どうなんでしょう。これが桜で、どういう風に折るのかは知っていたんですけれど、誰に教わったのかまでは分からないんです」
桜という花がどんなものか知っている。日本というものがどんなものか知っている。
けれどそれは知識として、だ。実際に桜を見て綺麗に思っただとか、日本の風景を見て感動しただとか、そういうことはまるで記憶に無い。
記憶喪失というものはこういうものなのだろうか。
この桜の折り方も、ナナリーと一緒に折った鶴の折り方も、どうして僕は知っていて手が覚えるほどに折っていたのかは分からない。
もしかしたらナナリーのような妹がいたんじゃないかと思うけれど、実際のことは分からないままだ。
「ナナリーちゃんも喜ぶわね、こんなにいっぱい桜を折ってもらって」
「そうだといいんですけど」
「きっと喜ぶわよ!だってライが喜んで欲しいってひとつひとつ、丁寧に折ったものじゃない」
そう言ってミレイさんは出来上がった桜の折り紙に触れる。
ナナリーが痛い思いをしないように、と角という角をやや丸めに作ったそれは桜というには花びらが丸すぎたが、かわいいものねと言ってミレイさんは笑った。
それから、机に置いてある色とりどりの折り紙を一枚とって首をかしげる。
「ねえライ」
「なんですか?」
「教えてくれない? 桜の折り方」
何故か桃色の紙でなく、青色の紙を使って桜を折っているミレイさんにひとつひとつ僕は桜の折り方を教えた。
山折だとか、谷折だとか、そういうものを折っていくたびに「懐かしいわね」と嬉しそうに頬を緩めながら綺麗に桜を折っていく。
ミレイさんらしく、角まで綺麗に尖ったつくり途中の桜を見ては「子供のころやったなあ」と小さく呟いた。昔のことを思い出しているのだろう。
僕はミレイさんの子供の頃を知らないが、きっと器用で折り紙なんかはよくやっていたんじゃないかと思っている。実際はどうなのか知らないのだけど。
「色はそれでいいんですか?」
「ええ、これがいいの。青色の桜っていうのも素敵じゃない」
「そういうものですか」
「そういうものなんです」
これで桜の折り方をマスターできたら私もナナリーちゃんに桜を折ってあげられるわね!
とミレイさんは喜びながら僕の言葉通りひとつひとつの動作を丁寧にしていく。
慣れた手つきから、ミレイさんが僕の想像通り子供のころはかなり折り紙を折っていたんだろうことが分かる。
「ねえライ」
「なんでしょう?」
ミレイさんに教えながら折っていた僕の桜が完成した。
今回はミレイさんに教えるためだから花びらはしっかりと尖っている。これはナナリーにはあげられないから自分の部屋に置いておくべきだろう。
ミレイさんの桜も僕の後を追うようにして完成する、それは初めて折ったとは思えないほど上手く出来ていた。
「ライってまるで桜みたいよね」
「僕が桜…ですか?」
「そう、桜よ。ライは桜」
出来上がった青い桜を持って、ミレイさんは「教えてくれてありがとう」と嬉しそうに僕に微笑んだ。
それから出来上がっているナナリーにあげる桜とは違うところに置いてある、先ほどまでミレイさんと一緒に作っていた尖った桜を手に持って、そのかわりというように生徒会室の鍵を置いた。
「これ、もらっても構わないかしら」
「どうぞ」
「ありがとう」
じゃあ鍵締めよろしくぅ!と笑いながらミレイさんは生徒会室のドアを開ける。
そのまま出て行くのかと思っていたのだが、ミレイさんは何かを考えるそぶりをした後振り返った。
見送るためにミレイさんを見ていた僕と必然的に目が合う。
「ねえライ」
「はい?」
「私、桜って好きよ」
それも青い桜は特に。
言うだけ言ってミレイさんは生徒会室を出て行く。
「……え?」
後に残ったのは、意味深な言葉のせいで顔を赤くした僕と、桃色の桜の花だけだった。
以上で投下は終了です。題名は多分「さくら」とかそんなところ。
前のSSに感想ありがとうございました!
以前のSSはあまりのヘタレ具合に私の精神が耐えられなくて…い、一年前のSSでしたし、ね。
そしてトーマスさん、忙しいでしょうにこちらの我侭を叶えてくださってありがとうございました。
>>477 聖卿、乙でした!
ライが桜みたい……
どういう桜のイメージでそう言ったのか気になりますね。
あるいは単に「好き」なことを伝えたかったのか。
真実はミレイさんの心の中……
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
連日の投下GJでした!
ミレイさんの含みを持たせた言い方に年上のお姉さんと言う印象を持ちました
そして、予想通りに振り回される事となったライwww
いや、良い物を見させて頂きました
又の投下をお待ちしてます
こんばんは。
突然ですみません、一身上の都合により少しの間このスレから離れることになりました(その間、更新も停止します)。
保管庫に足繁く通って下さっている方、職人の皆様方、まことに申し訳ありません。
本日の午前中、保管庫が繋がらなかったのは階層構造の変化をリンク指定に反映させるのを忘れていたこちらの不手際によるものです。
こちらも重ねてお詫び申し上げます。
一身上の都合ってなんだよ。またサボりかあクソ管理人?
>>477 投下お疲れ様でした。
いやぁ、ほんわかしてたSSですね。
それに文章のつなげ方とか、間の取り方とかうまいなぁと思いました。
さらに、桜という花を持ってくるあたりもセンスの良さが出ていると思います。
うーんっ、今回も座布団3枚ですかねぇwww
というわけで、(どういうわけだよwww)山田君っ、聖さんに座布団(GJ)3枚追加ね〜っ。
GJ×3でしたっ!!
次回の投下も全力でお待ちしております。
>一身上の都合により少しの間このスレから離れることになりました(その間、更新も停止します)。
まず一身上の都合とやらを説明しろ。てめえの勝手な都合で住民を振り回すな。嫌だってんなら
金輪際お前の戻ってくる場所なんかないよ。この際だからこのまま永久に消えたらどうだ?
>こちらの不手際によるものです。
ほんとミスだらけだな。お前の人生自体ミスなんじゃないのか?
返事ないな。見てないのか?まあいいや。それならそれでメール送れば済む話だからな。
[email protected] 俺は今から送る。みんなで詰問してやろうぜ。ここで甘い顔したら駄目だ。
えーと、即席ですけど投下します。
愚痴言ったり、文句言うのは、仕事だけでたくさんでしょ?
ここでは、みんな楽しみましょうよ。
なお、10分程度で書いたので、すごく短くてごめんなさい。
では、スタートします。
「どうしたのよ、ライっ。顔色が真っ青じゃないのっ」
慌ててミレイさんが駆け寄ってくる。
「大丈夫ですよ」
「いいえっ。その顔は大丈夫な顔じゃありませんっ。こっちに来なさい」
そう言われ、僕は長椅子に無理やり寝かしつけられた。
「いや、本当に……」
そう言いかけたが、ミレイさんの表情を見て言葉が出なかった。
そう、彼女は怒っていたのだ。
「なんで、こんなになるまで無理するのよっ」
「で、でも、学園祭の責任者だから……」
なんとかそう返事をして起き上がろうとした僕は、バンッというミレイさんのテーブルを叩く音で動きを止めた。いや、止めさせられた。
「責任者が何よっ、無理したら意味ないじゃないっ」
「でも……」
再び、テーブルが叩かれる音。
もう、何も言えなかった。
彼女が本当に心配してくれているのがわかったから。
「……ごめん……」
なんとか言えたのは、そんな言葉だけ。
だが、その言葉を言った途端、僕はやさしくミレイさんに抱きしめられていた。
「ライが学園祭にがんばってくれている理由も私はちゃんとわかっているつもりよ。でも、心配させないで……」
「ごめん……」
しばらくそのまま抱きしめられていたが、すーっとミレイさんが離れて僕を包み込んでいた暖かな温もりが無くなっていく。
「それにね、無理な時や疲れた時は、ちゃんと言って……。学園祭は、貴方一人で何とか出来るものではないわ。皆で少しずつ協力し合ってやっていくものだもの」
そう言うミレイさんの表情が、いつの間にか微笑へと変わっていた。
「皆を頼ってよ。きっと皆、そう思っていると思うよ」
そして、暫く間が空いて、顔を真っ赤にしてミレイさんが付け加える。
「それに……、貴方には、私がいるわ」
その言葉にドキリと心臓が高鳴る。
「それは……」
僕は、その意味が僕の思ったとおりの意味なのか知りたくて言葉を続けようとした。
だが、ミレイさんの人差し指がすーっと僕の唇に当てられる。
「それは……学園祭の時に……ね?」
そして、ミレイさんは僕を再度長椅子に寝かしつけると「ちゃんと休んでなさいよっ」と言い残し、生徒会室を出て行った。
それを呆然と見送る僕。
多分、そんな風に言われなくても僕は動けなかっただろう。
なぜなら、その微笑と言葉に僕はノックアウトされてしまっていたのだから。
おわり
以上です。
皆様が少しでも楽しんでいただければ、幸いです。
では〜♪
おお〜やるじゃん。
>>486GJだ。職人の技が冴えるな。
それにくらべてあのカス管理人は…
ほんとあいつ存在してる意味あるのかねえ?
>>487 乙でした!
ちゃんと会長をやっているミレイさん、良いですね!
この前後の展開はどうなのか、想像してみるのもまた楽しい。
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
>>487 GJっす!
>私がいるわ
このセリフ、イエスだね!
丸一日投下どころか一件のカキコもない…
おまけにトーマス卿はよく分からない理由(←これなにげにすごいこと)で離脱…
正直やばくね?
確かにここ最近は色んな意味でヤバいかもしれないなぁ
でもきっと虎視眈々と投下するタイミングを図ってるんだと思いたい
な、なんで?なんか間違ったこと言った?
どんまい
ただの認定厨だ
まあ、ここに書き込んでなにかが変わるわけではないし、まったり待とうや。
>>495 すまん、何か”トーマス郷のよく分からない理由”って部分で
悪口を言ってるように捉えてしまった・・・
>>498 トーマス卿って更新停止するときにはいつも明確に理由を言ってるでしょ。コミケとかお葬式とか。
それが今回は言葉を濁してるし保管庫でもなにも言ってない。なんとなくやばい匂いがしたんだ。
言い方が悪かったってのは認めるよ。ただあの人を心配しての発言だと受け止めてくれ。
>>449殿
まぁみんながトーマス卿の事が心配なのは変わらないわけさ〜
でもやっぱ心配だな
トーマスさんの事は心配だが、一日投下無いのは最近じゃ珍しい事でもないでしょ
それに、ここは雑談しながら投下待つってスタイルは嫌われるみたいだしさ
トーマスさんもSSも、のんびり待とうよ
管理人さんが停止宣言だしたのはアンチの荒らしの中傷メール攻撃に疲れたからかもなあ〜?
結構頻繁にあったらしいし、しかもしたらばの方にロスカラのSS板が立ったしね。
したらばの板のほう、かの人が何を思って立てたのか
もともとトーマス氏と申し合わせてあったのかはわからないけど
削除されたみたいだね。
直接、脅すみたいに閉めろって書き込まれたら、良かれと思ってやってたら閉めるんじゃないの?
良かれとは言うけど、
このスレが不要と言っているようなものじゃないかと思うよ
隠すつもりなかったみたいだから触れるけど、
トリップから察するならあの板立ち上げたのって酸性雨さんだよね?
移転したかったってことなのか。
最近自分の投下頻度が上がってるから分散目的とか?
つかもう理由とかどうでもいいからさっさと復帰してくれ
困るわマジで
ここで愚痴る暇があるならその思いをメールにして送ればいいじゃん
移転というより、避難所だったんじゃね?
投下しにくい雰囲気だったし、いろんな人が投下しても流れ変わりにくかったし。
まぁ、今となってはわかんないんだけどさ。
つうかなー。
お前らはトーマスさんトーマスさん言い過ぎだ。管理人も職人も住人の玩具じゃないんだから、そっとする時はそっとしといてやれよ。
こんな時ぐらい、雑談をして空気を変えてもいいんじゃないかと思うんだが
どうだろう?
やっぱり、投下しずらくなるかな?
自分で振っといてなんだが…
なんかネタ無いかね…orz
管理人にも職人にも当然モチベーションってもんがあるから
無理強いは出来んがこれだけは言える
荒らしに屈すると荒らしはこう考える
『気に入らないのが潰れたw なーんだ、荒らせば思い通りになるもんだなww』
『テキトーに荒らしてたらスレ潰れたwうはw俺スゴスwww』
そうなれば荒らしはまたどこかのスレで同じ事を繰り返す、
荒らせば自分の思い通りになると思って
こんな事は絶対にあっちゃあならない
管理人も職人も自分のペースで全然構わない、やりたい時にやってくれりゃそれで十分だよ
だから『視聴者様』や荒らしに屈しないで欲しいと思う
このスレに、職人に、管理人に、ロスカラにこれからも幸あれ
514 :
POPPO:2009/05/01(金) 01:07:15 ID:0Gfch1PG
POPPOです。
今から
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN01 「2人のゼロ」
を投下します。
支援お願いします。
515 :
POPPO:2009/05/01(金) 01:10:50 ID:0Gfch1PG
a.t.b. 2018
ブリタニア人住居区域 トウキョウ租界。
曇り一つ無い晴天の空の下、蜜柑色の気球船がブリタニア人住居区であるトウキョウ租界上空にさしかかっていた。
操縦席に座っている、緑色の長髪を持った女はトウキョウ租界航空管理局との通信を終えた後、可愛らしいストラップが付いた桃色の携帯電話が鳴った。
彼女は白を基調とした独特のスーツを身に纏い、美女と呼ばれる容姿をしていた。その女は操縦桿から右手を離した。胸ポケットから携帯を取り出すと、電話を繋いだ。
「どうした?」
『ねえ、本当に大丈夫なの?大規模な作戦なのに、ナイトメアはたったの十機、それも旧式なんかで…』
「心配するな、井上。そっちは任務に専念しろ」
『準備はすでに整ってるわ。あとは貴方たちの行動を待つだけ』
「そうか、報告感謝する。だが、余計なことは気にするな。なぜなら――」
モニターにはトウキョウ租界の南東に聳え立つ、一際異彩を放った建築物が映し出された。彼女はそれを眼前に捉える。
「これは、『ゼロ』の命令だからな」
整った容姿に、魔女は微笑みを浮かべた。
支援
517 :
POPPO:2009/05/01(金) 01:11:55 ID:0Gfch1PG
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN01 「2人のゼロ」
曇り一つ無い晴天の空の下、ヴィレッタ先生の追っ手から逃れたサボりの常習犯兼副会長、ルルーシュ・ランペルージはリヴァルのバイクを借りて、ロロ・ランペルージと一緒に目的地であるバベルタワーに向かっていた。
会長の差し入れであるパンをロロに噛ませると、車体が大きく揺れる。
冷静沈着なルルーシュも、弟の運転に少しひやっとした。
「おいおい!…ロロ」
「んっ!だって、兄さんが…」
「ははは。分かってるさ。だが、安全運転で頼むぞ」
「うん」
そういうとロロはブレーキに少し力を入れた。
スピードを落とし、バイクは都市高速のカーブを曲がっていった。
ルルーシュはパンを包んでいた袋をサイドカーのダストシュートに入れる。向かい風でページがめくれるのを押さえながら、「カラマーゾフの兄弟」を読みふけっていた。
(ふん……小説でも現実でも、悲劇は連鎖するものだな)
ルルーシュが小説を読み終えたとき、バイクが信号に捕まり、吹き付ける風が止んだ。
都市高速を下り、目の前にはバベルタワーまでの一直線の道路が見えていた。
巨大スクリーンから流れるカラレス総督の声が、ルルーシュの耳に入る。
ルルーシュは目を細めて、ヘルメットについた青いサングラスを通してスクリーンを見た。
眼前では黒の騎士団のメンバーが射殺される光景が映った。
執行後、カラレス総督の声がスピーカーを通して周囲に大きく響いた。
『これはイレブンに対する差別ではない!区別だ!』
ブリタニアの武官らしい風格と、武官らしい言動がルルーシュの心を曇らせた。
518 :
POPPO:2009/05/01(金) 01:12:43 ID:0Gfch1PG
行政特区日本崩壊から、もうすぐ1年。
ゼロが起こしたクーデター、『二〇一七事変』の真相については、当時様々な情報が飛び交っていたが、ブリタニアの公式発表によればこうだ。
設立からわずか半年で、黒の騎士団は行政特区日本が保有する軍隊として正式に任命された。
急激過ぎる進展。
だが、ゼロの思惑はそれだけにとどまらなかった。
黒の騎士団は裏で軍備拡張を続け、ブリタニアの傀儡となることを恐れたゼロは、行政特区日本の崩壊と共に独立を目論んでいた。
そして、式典で起こった惨事。
ゼロは『新日本党』を利用し、混乱に乗じて、ユーフェミア様を亡き者にしようと企んでいた。
ゼロの目論見に気付いたユーフェミア様は、それを止めるべくゼロをけん制したが、失敗に終わり、命を落とした。
そう考えれば、ゼロが反行政特区組織であった『新日本党』と裏で繋がっていたことも納得がいく。
ゼロは新たな国家を作りたかったのか、それとも特区日本の実権を握りたかっただけなのか、今となっては分からない。
いずれにせよ、特区日本は終わった。
(たとえ、日本がブリタニアの属国になったとしても、血を流さずに戦う方法は幾らでもあったはずだ…)
黒の騎士団は敗北し、ゼロは捕らえられた。
数日後には処刑され、その功績で、生徒会のメンバーであったスザクはラウンズに就任した。
それを祝って、俺たち生徒会のメンバーもささやかなパーティをしたものだ。
名誉ブリタニア人が、軍の最高位であるナイトオブラウンズに就くなど、ブリタニア始まって以来の異例の出世だ。
一部のメディアが冷ややかな報道をしたが、俺たちにとっては嬉しい出来事だった。
しかし、半年前に『ゼロ』は復活する。
EUに亡命を果たしていたゼロは、活動を再開した。
今年は12カ国の国家がブリタニアの支配下に入り、神聖ブリタニア帝国の侵攻の勢いはさらに増した。
このエリア11のこのような植民地は増加しつつある。
その時代の中で、ゼロの鮮やかなパフォーマンスで彩る逆転劇に、イレブンの人々だけではなく反ブリタニア勢力も希望を取り戻し、近頃のテロは活性化しつつあった。
スザクが捕まえたゼロは偽者だったのか?
だが黒の騎士団は一時期、壊滅寸前まで陥っていた。ゼロが何らかの理由で表舞台に出てこられなかったのは確かだった。
今のゼロは別人なのか?
本当にゼロは生きているのか?
ゼロに関する様々な噂は絶えない。
だが…
(…俺には、関係の無いことだ)
ルルーシュは小説を閉じると、バイクを運転する弟に声をかけた。
「ロロ、早く行こう」
「わかったよ。兄さん」
信号が変わると共に、ロロは思い切りアクセルをきった。
支援
しえん
521 :
POPPO:2009/05/01(金) 01:14:57 ID:0Gfch1PG
エレベーターを降り、ルルーシュとロロはイレブンの格闘場を無視して、チェスやルーレット、カードのギャンブルが行われている場所へ足を運んだ。
チェスが置かれている台の一つに、一際賑わっている箇所があった。ルルーシュは名のある打ち手が来ているのかと思い、見物客を割って入っていった。
そこではルルーシュの予測どおり、賭けチェスで有名な棋士の決闘が行われていた。
「チェックメイト」
カツ、とクラッシュアラバスターが奏でる木質の音と共に、透き通った声が辺りに響いた。
煌びやかな服を纏ったギャラリーから声が上がる。
「黒のキングが負けた!?」
「すごい…圧倒的だ」
貴族を示すような顎鬚を生えそろえた中年の男、『黒のキング』は、震える手で決闘の相手を指差した。
「い、イカサマだ!これは!」
「あら?何をおっしゃいますの?黒のキング様。それとも、本当の決闘を申し込まれたいのかしら?」
黒のキングに打ち勝った相手は、黒服の女だった。
肩を晒した漆黒のドレスに、二の腕まである黒のロンググローブ、赤いバラをさした黒の帽子には目元と鼻の辺りまで覆う黒のベールを纏っていた。
その下に表れているのは透き通ったように白い肌と、ピンク色の彩られた唇であり、整った体型と、そこから想像させる美女の輪郭は、男の視線を惹きつける魔性の雰囲気を漂わせていた。
彼女は透き通るような声一つで、怒りに身を震わせる『黒のキング』を制していた。
ルルーシュは、男の怒鳴り声に動じない女の胆力に内心賞賛しつつも、彼女の真意を見抜いた。それは彼女の左胸に飾られている金色の翼のようなアクセサリーだった。
このカジノで一握りの会員が付けることを許された装飾品であり、それは彼女の身分を表すことと同然だった。
(ほう…あの女、貴族か。それも侯爵じゃないか)
黒のキングもエリア11にいる貴族であり、一時の癇癪で決闘を起こせば、人のつながりが最も重要である貴族としての地位を揺るがしかねない。
そして、『黒のキング』は男爵だ。
『男爵程度の下級貴族が、私に刃向かう気か?』
と、暗に意味していたのである。
「ちぃ!…どけどけっ!」
周囲に群がる人々をどかし、黒のキングは二人のボディガードを連れて、眉間にしわを寄せたまま去っていった。
その情けない後姿を見つめていると、唐突にルルーシュに声がかかった。
「…もしや貴方は、『プリンス』様では?」
その声に、周囲の人々の視線がルルーシュに集まった。
彼の隣にいたロロはいきなり注目を浴びたことで、身を縮めてしまった。
ルルーシュが目を見開いたのも一瞬、顔に微笑みを浮かべて彼女に返事をした。
「これはこれは…光栄ですね。近頃、噂になっている『魔術師(メイガス)』様に気を留めてもらえるなんて…」
「あら、近くで見ると中々の坊やね。では、一局いかがかしら?」
「…喜んでお受けいたします」
人々から、軽い歓声が上がった。
先ほど、名立たる打ち手が負けたのを目の当たりにしておきながらも、年端もいかぬ若者が物怖じせずに彼女の挑戦を受けたのだ。当然の反応だった。
ルルーシュは席に座り、ロロが椅子のすぐ後ろに控えた。
スーツを着た男が駒を揃え始めた。
だが、『魔術師(メイガス)』は左手でそれを止めた。
「待って」
「どういたしました?」
彼女の行動が理解できなかったスーツ姿の長身の男は、戸惑いの心情を声に乗せていた。
ルルーシュもそれは同様だった。
彼女は黒いロンググローブを纏った指先で、ルルーシュが手にしていた物を指差した。
「どうせなら、貴方のボード、ギースベルト社の一品で行いましょう。イカサマと疑われるのは心外ですので…」
『魔術師(メイガス)』の視線の先で、『黒のキング』がグラスを床に叩き付け、大きな舌打ちをした。2人の屈強なボディガードを引き連れ、不愉快を示す足取りで大きな自動扉をくぐっていった。
周囲の見物客から、失笑が漏れる。
鼻から上の顔を隠す黒のベールが揺れ、『魔術師(メイガス)』の鮮やかなピンク色の唇が、魅惑的な微笑を模った。
「では、プリンス様のお手並み拝見といきましょうか」
522 :
POPPO:2009/05/01(金) 01:17:34 ID:0Gfch1PG
すいません!
投下ミスりました!
519と521の間に一つ文章があります。
521がダブりになりますが、どうか許してください!
523 :
POPPO:2009/05/01(金) 01:18:27 ID:0Gfch1PG
バイクをバベルタワーの地下駐車場に置き、歩いてバベルタワーのエントランスホールへ向かった。
高貴な身分が集まる会場に相応しい、豪華なエントランスホールをまたぐと、黒スーツを纏った男が近寄ってきた。ルルーシュは彼に会員証を提示した。
赤い絨毯が敷かれた階段を上り、カジノに直通のエレベーターに乗り込んだ。
「兄さん。今日は幾ら稼ぐつもりなの?」
「なに…ここまでの往復のガソリン代と、2人分のディナーの食事代を稼げればいいさ」
「それと、シャーリーさんの誕生日プレゼント代も、でしょ?」
「ん?そういえば…あったな。そういうのも」
「それはひどいよ。シャーリーさんが可哀想だ」
「なぜだ?恋人でもあるまいし…」
「…やっぱり、ひどい」
「ははっ。俺にとって、お前以上に大切なものなんて無いさ。ロロ」
ルルーシュの言葉を受けて、ロロは照れてしまう。だが、ロロはルルーシュの表情から憂いの感情を感じ取った。携帯を制服のズボンのポケットに入れる。
「…ありがとう。兄さん。でも、ほどほどしたほうがいいと思うよ。気持ちは、分かるけどさ」
「……相手になる奴がいないからな」
「…早く、帰ってくるといいね」
「……ああ」
ルルーシュはエレベーターのガラスごしに、小さくなっていくトウキョウ租界を見下ろしていた。
トウキョウ湾では大型タンカーなどの多くの船が行き来しているのが見える。
彼はため息をつくと両肘を金色の手すりに置き、表示される階の番号に目を向けた。
ふいに紫色の瞳が揺れる。ルルーシュの顔に哀愁の表情が浮かんだ。
ライ。
お前は何処にいる?
会長のから元気は、もう見たくはないんだ。
お前が好きだったカレンは、黒の騎士団のメンバーだった。
ショックなのは分かる。
でもな。
その悲しみを皆に与えるんじゃない。
お前は強い男だろう?
お前がいれば、俺はこんなことはやっていない。
退屈なんだよ。
俺は…
支援
525 :
POPPO:2009/05/01(金) 01:19:27 ID:0Gfch1PG
エレベーターを降り、ルルーシュとロロはイレブンの格闘場を無視して、チェスやルーレット、カードのギャンブルが行われている場所へ足を運んだ。
チェスが置かれている台の一つに、一際賑わっている箇所があった。ルルーシュは名のある打ち手が来ているのかと思い、見物客を割って入っていった。
そこではルルーシュの予測どおり、賭けチェスで有名な棋士の決闘が行われていた。
「チェックメイト」
カツ、とクラッシュアラバスターが奏でる木質の音と共に、透き通った声が辺りに響いた。
煌びやかな服を纏ったギャラリーから声が上がる。
「黒のキングが負けた!?」
「すごい…圧倒的だ」
貴族を示すような顎鬚を生えそろえた中年の男、『黒のキング』は、震える手で決闘の相手を指差した。
「い、イカサマだ!これは!」
「あら?何をおっしゃいますの?黒のキング様。それとも、本当の決闘を申し込まれたいのかしら?」
黒のキングに打ち勝った相手は、黒服の女だった。
肩を晒した漆黒のドレスに、二の腕まである黒のロンググローブ、赤いバラをさした黒の帽子には目元と鼻の辺りまで覆う黒のベールを纏っていた。
その下に表れているのは透き通ったように白い肌と、ピンク色の彩られた唇であり、整った体型と、そこから想像させる美女の輪郭は、男の視線を惹きつける魔性の雰囲気を漂わせていた。
彼女は透き通るような声一つで、怒りに身を震わせる『黒のキング』を制していた。
ルルーシュは、男の怒鳴り声に動じない女の胆力に内心賞賛しつつも、彼女の真意を見抜いた。それは彼女の左胸に飾られている金色の翼のようなアクセサリーだった。
このカジノで一握りの会員が付けることを許された装飾品であり、それは彼女の身分を表すことと同然だった。
(ほう…あの女、貴族か。それも侯爵じゃないか)
黒のキングもエリア11にいる貴族であり、一時の癇癪で決闘を起こせば、人のつながりが最も重要である貴族としての地位を揺るがしかねない。
そして、『黒のキング』は男爵だ。
『男爵程度の下級貴族が、私に刃向かう気か?』
と、暗に意味していたのである。
「ちぃ!…どけどけっ!」
周囲に群がる人々をどかし、黒のキングは二人のボディガードを連れて、眉間にしわを寄せたまま去っていった。
その情けない後姿を見つめていると、唐突にルルーシュに声がかかった。
「…もしや貴方は、『プリンス』様では?」
その声に、周囲の人々の視線がルルーシュに集まった。
彼の隣にいたロロはいきなり注目を浴びたことで、身を縮めてしまった。
ルルーシュが目を見開いたのも一瞬、顔に微笑みを浮かべて彼女に返事をした。
「これはこれは…光栄ですね。近頃、噂になっている『魔術師(メイガス)』様に気を留めてもらえるなんて…」
「あら、近くで見ると中々の坊やね。では、一局いかがかしら?」
「…喜んでお受けいたします」
人々から、軽い歓声が上がった。
先ほど、名立たる打ち手が負けたのを目の当たりにしておきながらも、年端もいかぬ若者が物怖じせずに彼女の挑戦を受けたのだ。当然の反応だった。
ルルーシュは席に座り、ロロが椅子のすぐ後ろに控えた。
スーツを着た男が駒を揃え始めた。
だが、『魔術師(メイガス)』は左手でそれを止めた。
「待って」
「どういたしました?」
彼女の行動が理解できなかったスーツ姿の長身の男は、戸惑いの心情を声に乗せていた。
ルルーシュもそれは同様だった。
彼女は黒いロンググローブを纏った指先で、ルルーシュが手にしていた物を指差した。
「どうせなら、貴方のボード、ギースベルト社の一品で行いましょう。イカサマと疑われるのは心外ですので…」
『魔術師(メイガス)』の視線の先で、『黒のキング』がグラスを床に叩き付け、大きな舌打ちをした。2人の屈強なボディガードを引き連れ、不愉快を示す足取りで大きな自動扉をくぐっていった。
周囲の見物客から、失笑が漏れる。
鼻から上の顔を隠す黒のベールが揺れ、『魔術師(メイガス)』の鮮やかなピンク色の唇が、魅惑的な微笑を模った。
「では、プリンス様のお手並み拝見といきましょうか」
支援
527 :
POPPO:2009/05/01(金) 01:20:40 ID:0Gfch1PG
アッシュフォード学園の高等部の校舎、日差しが差し込むテラスで、金髪の女子生徒、ミレイ・アッシュフォードはルビー色の携帯電話を切った。
紅茶を運んできた生徒会メンバーの女子生徒、シャーリー・フェネットはミレイに話しかける。
扉をあけた音と共に、テラスの手すりに留まっていた鳩は飛び立った。
「随分と長い電話でしたね」
「本国の叔父様から電話があって、今日の中継を見忘れるなって…」
「何かおめでたいことでもあったんですか?」
「声が弾んでたからそうだと思うけど……どんなサプライズをするのやら、不安で仕方ないわ〜…叔父様のやることって、想像がつかないから」
彼女にしては珍しく真面目な表情で、ミレイは両肩を抱いて身を振るわせていた。
シャーリーはミレイの反対側の席に座り、紅茶を一口すすった。
「…会長が言えるセリフじゃないですよ。それ」
栗色の長髪をした彼女は、ミレイの意外な言葉に独りごちた。
528 :
POPPO:2009/05/01(金) 01:21:37 ID:0Gfch1PG
プリンスとメイガスが繰り広げるチェスの決闘に、周囲の人々は惹きこまれていた。熱狂という名の沈黙が辺りを支配していた。
彼らが織り成す至高の駆け引きは、もはや芸術の域に達している。
「どっちが勝ってるんだ?」
「分からない。だが…プロ並みだぞ。この二人」
ある者は声を潜めて言葉を交わし、ある者は腕を組み、二人の決闘を固唾を呑んで見守っていた。
「…兄さん」
ロロは不安な口調で兄に話しかけるも、彼には届いていなかった。
「くっ…」
ルルーシュは戸惑っていた。
ライ以来だった。
彼をここまで追い詰めた相手は。
(ルークを動かすと、ナイトに切り込まれる。そして、クイーンは囮。12手目にポーンをクイーンにして、再びキングを狙ってくる。
だが、ここで叩かないと17手目にはこっちのクイーンがやられる。
しかし、その場合は左方が手薄になり、ビジョップがナイトに取られた場合、対処のしようがない…
いや、待て。
29手目のことを考えると、このルークもサクリファイスとして成立するぞ。
くそっ、このままではステールメイトに持ち込むしか…)
ルルーシュは一瞬で何十通りの手を考え出していたが、彼女の手は全てが本当で、全てが囮のようにも感じられる手ばかりだった。
噂以上の腕だった。
彼の額に緊張の熱に当てられた雫が、頬を伝う。
(…若干だが、旗色は俺が悪い)
ルルーシュが額に手を当て思考していると、唐突に『魔術師(メイガス)』の声がかかった。
「プリンス様」
「…なんです?メイガス様」
「貴方は強い」
「ほう、この状況で貴女がそ…」
「ただ、それだけです」
彼女はルルーシュの声を遮るように言った。
「貴方では、私には勝てません。たとえ何回やっても、何千回挑んできたとしても…」
メイガスの言葉はルルーシュの癇に障った。彼の整った容姿に眉が吊り上る。戦局が悪いこともあって、ルルーシュは不快な表情を隠せずにいた。
「…もう勝利宣言ですか?随分と強気ですね」
ルルーシュの視線を受けたメイガスは唇に笑みを浮かべた。その表情が彼をさらに苛立たせた。
不敵な笑顔で、メイガスは白のポーンの駒を進めた。
「貴方は失ってしまった」
「・・・失った?」
「ええ。もっとも大切なものが……そう、『真実』というピースがね」
「真実?そんなもの、語られないほうが多いのでないのでは?」
「ですが、それは貴方にとっての真実なのですよ」
「…おっしゃる意味が分かりかねますが?」
「いえ、『今』の貴方に理解できないのは当然です」
「……『今』の俺?」
ルルーシュに後ろに立っていたロロの表情が鋭くなった。
メイガスの言葉が理解できず、ルルーシュに一瞬の隙を与えた。黒のナイトをボードに置いた。そのとき、ルルーシュの思考は止まった。
はっとなり、先ほど置いたナイトを見た。
(し、しまった…駒の配置を間違えた!くっ!この女、俺の動揺を誘ってっ!)
メイガスの唇が薄く開いた。それを見たルルーシュは、ベールに隠された笑みの表情を連想し、不快な思いがこみ上げてきた。
「ふふっ。この勝負、見えましたね。では・・・」
白のクイーンが黒のキングを捕らえ、チェックがかかった。
メイガスの唇が歪む。
「貴方に『真実』をプレゼントいたしましょう」
魅惑的な笑みを浮かべる黒服の女性に、ルルーシュは目を奪われた。
素顔こそ分からないが、あざや名ピンク色の唇と透き通った白い肌から連想される彼女の美貌に、頭を刺激される。
この時、彼には黒服の女が『魔術師』ではなく、本物の『魔女』に見えた。
支援
猿か?
支援
支援
猿でしょうね。
前回の時も感想と一緒にアドバイスあったのに。
読んでないのかな?
さるさん( 過剰数の投稿に対する規制 )
・1時間に投稿できる数は10レスまで。それを超えると規制対象に
・毎時00分ごとにリセット。00分をはさめば最長20レスの連投が可能
533 :
POPPO:2009/05/01(金) 02:02:20 ID:0Gfch1PG
その時だった。
爆音と共に、カジノが揺れた。
シャンデリアが落ち、ガラスや壁が砕け散る音と共に周囲に煙が舞った。強い風がルルーシュたちを襲う。
盤上の駒は全て弾かれ、その場にあったグラスや花瓶は吹き飛んでいった。
「うわあああっ!」
ルルーシュは椅子から離れて、床にたたきつけられながらも無意識に両手で顔を覆った。
灰色の煙が漂う中、ルルーシュはすぐさま立ち上がり、大声で叫んだ。
「何処だ!ロロ!」
悲鳴を上げて、周囲にいた人々は逃げ出した。駒が散乱していたが、彼はそんなことを気にとめていなかった。
足を誰かに掴まれた感触がしたルルーシュが下に目を向けると、怯えた表情で視線を合わせない弟を発見した。
「ロロ!大丈夫か!?怪我は…」
ルルーシュの言葉が耳に入っていないのか、ロロは震える手である方向を指差した。その先をルルーシュは視線を向ける。
「兄さん。あれって…」
約5メートル先の眼前には、紅いナイトメアフレームがいた。そして、眼前にはその状況に臆することもなく、ゆっくりと椅子から立ち上がるメイガスの姿が映った。
機械音が鳴り、紅いナイトメアフレームの右腕にある銀色の鉤爪が鈍く光った。ルルーシュの背筋に悪寒が走った。
(見覚えがある。あれは…)
「あ、あの赤いナイトメアはっ!」
「逃げろお!ゼロの双璧だ!」
「くっ、黒の騎士団が!エリア11に帰ってきた!」
周囲の悲鳴がさらに鋭くなる。
客だけではなく、従業員さえ物を放り投げて扉のほうへ逃げていく。
突然、ルルーシュの手が掴まれた。
「逃げよう!兄さん!」
「あ、ああ…」
「何!?」
『魔術師(メイガス)』は声を上げた。
黒光りする小さなポケットから耳に装着する通信機を取り出すと、多くの人が走っていく方向を指差して、叫んだ。
「カレンさん!後を追って!」
『了解!』
ナイトメアのオープンチャンネルの声が響き、ランドスピナーが起動した。
左腕に武装されたコイルガンで扉を壊すと一気に跳び上がり、紅いナイトメアフレームは走り去った。
それを確認したメイガスは右手で通信機のボタンを押した。周囲の状況に全くといっていいほど動じていない彼女は、服装の色とは対照的な白い通信機でやり取りを交わしていた。
『ルルーシュを見失った?』
「ええ…かけていたのに、いつの間にか解かれていたのよ」
『では、あの少年はお前の予想通り…』
「対ギアス能力でないとしたら…」
『メイガス』は金色の懐中時計を取り出し、蓋を開けた。秒針が刻々と動くギリシア数字表記の盤面に目をやった。
「そうね…時を止めるギアス。人間の体感時間を止めるギアスといったところかしら?」
534 :
POPPO:2009/05/01(金) 02:03:52 ID:0Gfch1PG
ロロと逸れ、ルルーシュは先ほどの飾り立てられた室内の雰囲気とはうって異なる、物寂しいコンクリートがむき出しの空間を彷徨っていた。
「!?」
そこでブリタニア人やイレブンの無残な死体を目の当たりにして、強烈な吐き気を催し、吐き出してしまった。
全身が凍りつくような不安に襲われながらも、心は弟の安否だけで埋め尽くされていた。
イレブンのバニーガールが手にしていた一枚の写真が目に入る。
血で濡れたゼロの写真がそこにあった。
(馬鹿だ!こんな奴をいまだに信じてるなんて…だからお前たちは!)
死体が連なる先には、サザーランドではない青いナイトメアが静かに佇んでいた。
ルルーシュは目を見開いた。
片腕に大きな鉤爪がある青いナイトメアが、ゆっくりとルルーシュの方に向いた。
「く、黒の騎士団!」
ルルーシュの声に反応したように、ナイトメアのコクピットのハッチが開き、一人の少女が現れた。
緑色の髪をした少女だった。
白を貴重としたパイロットスーツを身に纏い、整った女の体躯が暗闇でも分かる。
一筋の光が彼女を照らす。
「ルルーシュ」
酷く綺麗な声が耳に届く。
「・・・な、なぜ、俺の名を」
彼女は美しかった。ルルーシュが見てきたどんな女よりも美しく、そして全ての男を虜にするような魔性を放っていた。
魔女の言葉に操られたように、ルルーシュは足を進めた。
目には彼女しか映っていない。
その時、彼に近づいてくる足音が木霊した。
ルルーシュはすぐさま振り向いた。
そして、凍りついた。
「ゼロ!?」
忘れるはずが無い。
黒いマントをなびかせ、黒い服で全身を覆いつくす仮面の反逆者が眼前にいた。
このエリア11に新たな波を引き起こしたテロリストの首領が、単調な歩行でルルーシュに近づいていた。
コツコツと、仮面の人物がコンクリートを踏みしめる音がルルーシュを怯えさせた。
後ずさるも、足がすくんで尻餅をついた。
喉が冷えあがる。
このエリア11に戦争を起こした張本人が眼前にいる。
震える声で、ルルーシュはゼロを指差した。
「お前は、死んだはずじゃ…」
仮面の人物は答えない。
『お忘れですよ。プリンス様』
ゼロは足を止めると、ルルーシュにあるものを投げつけた。
それを受け取ったルルーシュはさらに驚愕した。
「なっ!?なぜこれをっ…!」
茶色のチェスボード、混乱の中、ルルーシュが置いていったものだった。
仮面から、副生音が彼の耳に届いた。
『だから、言ったではありませんか。貴方に『真実』を見せてやると…』
「……まさか、お前は!」
535 :
POPPO:2009/05/01(金) 02:05:39 ID:0Gfch1PG
ルルーシュの言葉は、コンクリートの壁がナイトメアの銃弾によって破壊される轟音によって塗りつぶされた。
彼が振り返った目の先には、アサルトライフルを構えたサザーランドが立ちふさがっていた。
床を蹴る多数の足音と共に、完全武装したブリタニア兵が姿を現した。
ライフルの金属音が木霊し、銃口がゼロを狙っている。
ブリタニア兵の姿を見た途端、ルルーシュの心は安堵と恐怖に締め付けられた。
(…助かったが、まずい!これでは、俺が黒の騎士団の一員だと誤解されてしまう!)
「へ、兵隊さん!ゼロです!ゼロが!」
「まあ、慌てるな」
低い男の声がルルーシュの耳に届いた。
サザーランドのハッチが開き、パープルを基調とした軍服を纏った中年の男がワイヤーを使って降下する。
その右手には拳銃を構えたまま、ルルーシュを見据えた。
「まさか、魔女と一緒に、『ゼロ』までエサに引っかかってくれるとは…私にもツキが回ってきたということかな」
「え、エサ?」
「そうだよ。ルルーシュ・ランペルージ君。君は魔女を捕まえるためのエサなのだよ」
「魔女?…エサ?…何を言ってるんですか!?俺はただの…」
「ごくろうだったね。君は役目を十分に果たした。だから、もう…」
ゼロの仮面の一部がスライドし、琥珀色の瞳が晒された。
その瞳に、赤い紋章が宿る。
鳥のような形をした悪魔の刻印が、妖しく輝いた。
司令官の男の目が、赤い光に彩られた。
「……かっ、か…」
その男は驚愕の顔を浮かべ、両手で首を押さえた。
喋ろうとするが、口が動かず、命令を下すことが出来ない。
途中で声が途切れたことに疑問を思った数人の兵士が、司令官の方を向いた。
彼はなんでもない、と手を振ると言葉を紡いだ。
「まだ撃つな。殺すのはゼロの最後の声を聞いてからにしよう」
(…口が、勝手に、動いた…!?)
誰も彼が苦悶の表情で声を発していることに気付かなかった。
魔女は彼の表情を見て、くすりと笑うと、ルルーシュに口付けた。
「本当の自分を思い出せ―――――――――ルル―シュ」
536 :
POPPO:2009/05/01(金) 02:07:09 ID:0Gfch1PG
何だ。これは?
見知らぬ光景が映し出される。
いや、知っているはずの光景が映し出された。
魔女の出会い。
鉄と血にまみれた日々、
嘘で固めた日常、
悲劇の過去、
親友との再会、裏切り。
そして、出会うはずの無い人間との遭遇。
境遇を知り、苦しみと喜びを分かち合い、手を取り合った日々。
俺たちが手にした本当の平和。
だが、それは一瞬で砕け散った。
力が欲しいか?
――――力ならお前はもう持っている。
――――忘却の檻から、お前を解き放つ!
俺の日常にとげのように突き刺さっていた苛立ち。
ああ、思い出した。
俺は――――――――――
俺が――――――――――
『魔神』は目覚める。
「――――――礼を言う。C.C.」
魔女から唇を離した『魔神』は、ブリタニア兵のほうへと向けた。
黒髪が揺れ、紫色の瞳が妖しく光りだした。
「残念だったな、ブリタニア。本当のエサは誰だったか、それを俺が教えてやろう」
『魔神』は大きく腕を仰ぐ。彼に絡み付いていた呪縛を振り払うように。
537 :
POPPO:2009/05/01(金) 02:09:28 ID:0Gfch1PG
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる」
「――――――――――――――――死ね」
『魔神』の左目に赤い紋章が輝いた。
不死鳥をかたどった刻印がブリタニア兵士を襲った。
抗うこともできずに、赤い光が宿った兵士たちは微笑みながら、互いに銃口を向けた。
司令官である男は、拳銃を首筋に押し当てた。
彼らの最期の言葉が、狂喜に満ちた声で紡がれる。
『Yes! Your highness!』
銃撃が鳴り響き、多くの兵士たちの命は散った。
凍てついた瞳で、ルルーシュは亡骸を見下ろしていた。
「そう、俺はゼロ。ブリタニアに反逆し、世界を変える男…」
突然、天井の一部が崩れ落ちた。
瓦礫を散らせながら、地響きと共に紅いナイトメアフレームが降り立った。
蒼の月下と紅蓮弐式。
『ゼロの双璧』が立ち並ぶ。
2機のナイトメアフレームの間には、彼らの守るべき主君、『ゼロ』が佇んでいた。
ゼロはC.C.の肩をたたいて、横を悠然と通り過ぎる。
黒いマントを靡かせながら、仮面を被った主君は『魔神』の元へ足を進めた。
ゼロは静かに『魔神』に告げる。
『お待ちしておりました。ルルーシュ・ランペルージ様――――――――
いえ、反逆の皇子、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア様』
538 :
POPPO:2009/05/01(金) 02:10:52 ID:0Gfch1PG
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN01 「2人のゼロ」
投下終了です。
すいません。サルに引っかかってしまいました。
はじめて気付いたのですが、パソコンの時間表が15分ほど遅れていました。
(ニコ動と比較して、気付きました)
支援ありがとうございます。
トリップというのが良く分からないんですが、これって適当につけていいんですか?
あと、ジャンルなんですが、この回はシリアス、カップリングは無しでお願いします。
現在は更新停止されてるようなので、更新を再開されるときのために書いておきます。
誤字報告
528
あざや名→鮮やかな
後編5の始め。
後編4のプロローグがかぶってます。削除お願いします。
コメントを読み、文章を改善してみました。
少し手厳しかったですが、自分のSSを読み返して「幼稚なぁ・・・」と思っていたのは確かです。
皆さんの意見を参考にして、読みやすくて面白いSSを書ければそれだけでいいので、どんなコメントも大歓迎なのでどんどんお願いします。
それでは。
次回。
TURN02 「合衆国 日本」
投下お疲れ様でした。
やっぱり面白いな。POPPOさんの長編は。読み応えがある。
メイガス、黒衣の女性はやはりあの人でしょうか。
ゼロを勤めてきた男にメイガスに、騎士団側の人的資源が潤沢だ。世界奪れるよ!
今回R2第一話に合流する形で収束しましたが
POPPOさんの大胆な切込みを見られるのを楽しみにしています。
また、以前受けていた指摘とかぶる部分も多いかと思いますが、
投下に関する二点について。
まず支援要請についてですが、支援を必要とするときは
事前の「投下予告」を行ってから(そのときに本投下開始時間を予告しておく)
本投下を開始するまで15分程度?時間を空けて
支援の名乗りを上げてくれる人を待った方が良いかと思います。
3分程度では、誰かが気付いたときには手遅れになることが多いかと。
無計画にさるに引っかかることは支援者を無為に、より長く拘束することになります。
加えて、「支援」は他の方が時間と手間をかけてしてくれる行為です。
してくれた方には感謝(の言葉)を忘れずに。
次点、トリップについて。
これは、例えば 「 POPPO#codegeass 」 でもなんでもいいのです。
「 名前+#(半角シャープ)+(半角英数で適当な文字列) 」
を名前欄に入力して書き込むと、「 POPPO◆tpZelq9PwM 」
というような # 以降が全く別の文字列に変換されたものが表示されます。
他人には元の文字列がなんだったのかを知ることができないので
名前欄に一定の文字列「トリップ」を表示することは本人の証明になり、
なりすましなどを防ぐことができるとされます。
POPPOさん自身で何か忘れずに済む思い入れのある言葉を(こっそり)決めて使ってください。
今一度、このスレ冒頭のテンプレ、特に
>>2-3を熟読されますよう。
それでは
あ 読み違えていた。そういうことか
>>538 POPPO卿、GJでした!
黒衣の女性「魔術師」がゼロ?
そしてギアスが使える……そういうこと、なのか?
この時点でロロのギアスに検討が付いている、井上生存、おそらく進んでいる技術、女装している?ライ。
どういう展開となるのか……
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
トリップは好きに決めて構いませんよ。
ただ、単純な数字(例:1234)等だとバレやすく成り済ます人が出てくる事があるため注意です。
誰かあれからトーマス卿から何か聞いてる人いる?
連休前のウキウキもこれじゃ半減だ…
せめてなにか連絡がほしい
もう諦めたほうがいいかもな
連休だからじゃね?
連絡無いのも投下ないのも。
あの管理人実は新型インフルエンザで死にかけだったりしてなw
トーマス卿伝々言ってる人の自演が分かりやすすぎて困る
547 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 11:09:10 ID:c+I2wq/J
POPPO卿、GJです。
最初にR2の一話を見た時に、話がどうつながっているかよく分からなかった。
今もそんな感じがちょっとあった。
続きを楽しみにしています。
伝々って間違い方は斬新だなw
伝々吹いたw
>>538 POPPO卿、GJでした!
井上さんが生きているのが何気に嬉しいw
そして、魔術師の正体とはやはり…
次回の投下を楽しみにお待ちしております!
初めまして、ここでは初のレスとなる者です。宜しくお願いします。
これから5レス投下しようと思います。支援は必要ありません。
タイトル【ヘタレ男の片思い】序章 彼女は俺の天使だ!
ライ×カレン←オリキャラ という中編もののプロローグです。
そのオリキャラ、設定がかなり可哀相に作られていますが、同情は必要無いです(ぇ)。
*注意*
・オリキャラが主人公の、ライ×カレン←オリキャラの中編SSです。
・ライの出番は3章からなので、序章〜2章では出てきません。
・一部、キャラ崩壊アリ。
ライカレシーンはあまりありませんので、ギャグとして受けとってください。
・上記の通り、主人公は名前も可哀相なコンセプトから生まれています。
同姓同名だった方は、すみません!
からりと晴れ上がった青空の下、俺は口笛を吹きながら租界を歩いている。
仕事場へ行くための通勤さ。
俺は名誉ですらないイレヴンだから、車なんて高級品はここじゃ乗れないから徒歩で行くわけ。
それも、今まさにパソコンのモニターを見つめているお前等にとっちゃあ、ウハウハ天国であろう、休日の日曜日にだ。
そりゃあ、俺だって仕事が無けりゃあ、こんな租界をぶらぶら歩いたりせず、昼間まで眠りこけているところだ。
だが、用事が仕事だけなら、果たして口笛を吹くほど機嫌よく行くだろうか?
まずげんなりオーラ全開で行くよな、普通。
俺だってそうだろうし、別にその仕事に誇りを持っているわけでもない。
というか、サボりたい気は満々だ。
仕事が仕事だから、どうせならブリタニアにちょっとペコペコしながらも、とりあえず生きられる名誉ブリタニア人になった方がまだマシとか思うくらいに。(現在、俺はあるツテで居候だから他のイレヴンよりは裕福かもしれんが)
ん?そう思っているのなら、何でただのイレヴンに成り下がっているのかって?
フッ……お前等、本気で恋をしたことがあるか?
ほーら、そこ。「質問を質問で返して話そらそうとすんな」とか固いこと言ってんじゃねえ。
そういう奴に限って失恋経験があったりするもんだけどな、俺の経験上。
俺はお前等みてぇな負け犬とは違う!
只今、片思い中のごく健全で純情な青年なのさ!
……何ィ?「どう見ても30のおっさんだろ」だとおぉ!?
お前等、極度の遠視じゃねぇのか?俺はまだ22だっつーの!!
全くよぉ。お前等が話そらしてんじゃねえか。
機嫌悪ぃからさっきの質問は後で答えてやるよ。
まぁ、そんなわけで今、仕事場にいる。
……「どんなわけだ」と突っ込むのは作者に言ってくれ。
8時25分、俺はいつもこの時間に出勤というか、まぁ仕事服に着替えている。
余談だが、俺はこの制服、結構気に入ってるんだ。
黒一色ってのがまたカッコイイし、バイザーとか特にお気に入りだから、意味も無く着けるときもある。
い、いや、コスプレは好きじゃないぞ!
特撮ヒーローものは割りと見てるけど……
とにかく、今日はバイザーを着けなかった。
俺の人生で一番大事な日課に、遅れるわけにはいかなかったから。
…続きは?トラブルかなにかかな?
なんなんだ・・・
これは・・・
ライが主人公じゃないって
なんだかな〜
厨房8号室さんへ。
はじめまして。
初の投下という事ですが、もしかしてリアルタイムで書いていらっしゃるのですか?
もし、それならば、他の住人や職人さんに大変迷惑になりますので完成してから、再度投下しなおしてください。
また、用事で投下できない場合は、そのむねを書き込むのがマナーだと思います。
なお、PCのトラブルの場合は、後日でもいいので理由を書きこまれるといいですよ。
そうしなければ、荒らしと思われてしまいますから。
ライが主人公ならたとえライカレじゃなくてもいいけど
いくら設定がライカレでもライが主人公じゃないのはもうロスカラってかライSSじゃなくね?
しかもオリキャラって…せめて別キャラ視点ってのならまだわかるが
失礼します。
ただいま別の方から代理投下の依頼を受け付けました。
取り敢えず2215まではこのまま待機しますが、その時点で何も応答がない場合は投下を実行致します。
なお、支援の必要はなさそうです。
559 :
代理投下:2009/05/02(土) 22:18:17 ID:scdZeMUa
時間になりましたので開始します
タイトルは「蒼の悪鬼 序」
その他のカプなどの指定は特に受けておりません
次レスより本文開始します
560 :
代理投下:2009/05/02(土) 22:19:56 ID:scdZeMUa
蒼の悪鬼 序
「ねぇ、ライ。話したいことがあるの。聞いてもらえる?」
月下の整備をしていたら、後ろから声をかけられ.る。
誰だか判ったが、念のため振り返って確認してみる。声の主は思ったとおりカレンだった。
「ああ、整備しながらでいいなら構わないよ」
僕は、整備しかけた部分に視線を戻して話す。
本来なら整備するのを中断して話を聞くべきなのだろう。
だが、ここ最近は彼女を意識しすぎて、真正面から顔を見て話すのがとても恥ずかしいというか照れてしまう。
だから、こうやっての会話の方がまだ落ち着いて対処できると思ったからだった。
「うん。かまわない。その方が私も助かるから」
その言葉にいつもの元気は無い。
どうしたんだろう。
しかも、その方が助かるってどういう意味だ?
訳がわからずに聞き返そうと思ったが、どう聞いたらいいのかわからず、結局何も聞けなかった。
その無言を話を進めろという意味に取ってくれたのだろう。
カレンが言いにくそうにぽつり、ぽつりと喋りだす。
「あのさ、この東京決戦が終わったらなんだけど……」
僕の整備の手が止まる。
無意識的に、この話は大切なものだと認識したのかもしれない。
しばしの沈黙が、カレンの迷っている心を表しているかのようだった。
そして、彼女は決心したのだろう。
「……もし、よかったら……なんだけど……」
震える声が響く。
彼女の緊張が、僕にも伝わってくる。
「私と……付き合ってほしいの」
その言葉と同時に駆け出す音が響く。
僕がその言葉に一瞬我を忘れ、慌てて振り返ったときには、そこにはもうカレンの姿はなかった。
561 :
代理投下:2009/05/02(土) 22:20:44 ID:scdZeMUa
結局、カレンに返事を返せないまま、東京決戦は始まった。
いつもなら僕とカレンはペアを組み戦うのだが、今回の戦いは味方の数が多いうえに寄せ集めという状態。
そのため、指揮系統を統一化する為に僕もカレンも別々の部隊を率いなければならなかった。
いつもは傍にいるはずの彼女がいないだけで、こんなにも不安になるとは思いもしなかったが、やるしかない。
そう自分に言い聞かせ、戦いに飛び込んだ。
激しい戦いが繰り広げられていった。
戦いは、序盤こそ黒の騎士団が優勢であったが、ゼロの戦線離脱により形勢は逆転されてしまう。
それでも勝利を信じ、奮戦する仲間達。
だが、僕の目の前で多くの仲間たちが倒れていく。
そして……。
「危ないっ、井上さんっ……」
僕の叫びも虚しく、爆参する井上さんの無頼。
ああ……なんで……。
また一つ、大切なものが消えていく。
僕の両腕からするりと抜け落ちるかのように。
なんでだっ。
なんでなんだよっ。
心にズキリと鋭い痛みが走り、僕の精神を切り刻んでいく。
その痛みが僕の正常な判断を狂わしていく。
畜生っ。
僕の……。
僕の大切な仲間たちをっ……。
そして、僕の中で何かが切れた。
「死ねよ……」
ぽっりと口から言葉が漏れる。
一度、漏れた言葉はより強い思いが篭ってまた漏れた。
「しねぇぇぇぇーーーーーーっ!!」
僕の心が殺意で満たされる。
目の前にいる敵が、いつしか人と認識できなくなったいく。
ただ、目の前の敵を殺して、壊して、潰していくことだけ。
そう、オレの大切なものを消し去っていく貴様らには、死んでいくのが相応しい。
ゾクゾクした刺激が背中を走り抜けていく。
それは、まるで本来の自分に戻ったかのような感覚だった。
記憶が戻ったのではない。
そう、身体が覚えている感覚といった方が正しいのかもしれない。
それがますます僕を変えていこうとする。
オレはそれに逆らわない。なぜなら、逆らう理由がないのだから。
562 :
代理投下:2009/05/02(土) 22:21:43 ID:scdZeMUa
「ライっ、ライはどこっ……」
私は、必死になってライを探す。
戦場は混戦となって連絡がいきわたらない上に、指揮系統がズタズタにされてしまい、事実上、黒の騎士団は敗北状態にあった。
だから、私は必死になって彼を探す。なぜなら、今、見つけられなかったら二度と彼に会えないような気がしたから。
そして、運がいいのだろうか。ついに私は、ライを見つける。
だが、私は、見なければよかったと後悔することになった。
そこには、まさに悪鬼と化し、ブリタニア軍兵士を容赦なく惨殺する蒼い月下の姿があったからだ。
敵ナイトメアを破壊すると中の兵士を引きずり出して、握りつぶして殺していく。
吹き出す紅い液体が機体に降りかかる。
蒼い機体の大半が紅く濡れているのは、間違いなく……。
私は、嫌悪と吐き気を覚える。
呆然と立ち尽くす私の紅蓮を月下のセンサーがやっくりと捕らえる。
その姿は、まさしく鬼だった。
殺戮を楽しみ、血にまみれた一匹の悪鬼。
私の背中をゾクリとした寒気が走る。
あれは……だれよ……。
本当に……ライ?
あのやさしいライ……なの?
ガタガタと身体が震える。
その時だ。ピーッという警戒音が響く。
慌てて回避行動を取ろうとしたが、間に合わずにミサイルが当たって紅蓮の右腕が爆散して紅蓮が壁に叩きつけられる。
「くっ……」
私は痛みを抑えながら、ゆっくりと紅蓮を立ち上がらせる。
そして、私の目に入ったのは、私を攻撃したブリタニア兵士を殴りつけて殺す月下の姿。
その光景を見た瞬間、私にはライの狂ったような高笑いが聞こえたように感じた。
いや、もしかしたら本当に聞こえていたのかもしれない。
頭に響く、甲高い狂気の笑い声。
その恐ろしいまで歪んだ狂気に私は怯え、その場を逃げ出した。
東京決戦は結局、黒の騎士団の敗北に終わり、私は逃げ延びた仲間たちと共に潜伏する道を選んだ。
国外に脱出するという手もあったが、それは私の中では選択肢に無かった。
私の祖国はここなのだ。
国外に逃亡するなど逃げ出すように思えてしまい、それがとてつもなく嫌だった。
そして、ライとはあの時から会っていない。
なによりも生きているのか死んでいるのかさえもはっきりしていない状態なのだ。
ただ、判っている事は、捕虜になった中に彼の名前が無い事だけ。
たが、その結果、会えないことでほっとしている自分がいる。
会って何を話せばいいのだろう。
どんな目で彼を見たらいいのだろう。
何より、私は真正面から彼を見ることが出来るのだろうか。
それほどまでに、あの時の光景が私の精神を怯えさせ、話す言葉を消し去ってしまっていたのだから。
そして、半年後、私は風の噂でブリタニア軍の黒の騎士団残党狩りを襲う者がいることを聞くことになる。
その者は蒼いナイトメアフレイムを狩り、ブリタニア軍を皆殺しにしていくという。
普段の私なら、そんな噂を聞いても、にわかに信じなかっただろう。
そんなのは、しょせん噂なのだと。
だが、私は見たのだ。
あの狂気に満たされた血に濡れた蒼い月下を。
だから、私はそれが噂ではなく、真実だと確信した。
彼は、あれから生きのこってまだ戦っているのだと。
563 :
代理投下:2009/05/02(土) 22:23:50 ID:scdZeMUa
以上、本文終了。
これにて投下終了です。皆様ありがとうございました。
>>563 代理投下、乙
職人さんには、誤字報告
>>561 >>爆参する井上さんの無頼。→爆散
>>562 >>月下のセンサーがやっくりと捕らえる。→ゆっくり
>>その者は蒼いナイトメアフレイムを狩り、→フレーム
565 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 22:45:04 ID:rkJ1Au3a
→フレームを駆り、
>>563 職人さんGJでした!
代理投下の方も乙です!
リアルタイムで読む事は滅多になかったんで、誤字報告を先にさせてもらいました。
タイトルに「序」が、あるって事はシリーズもの?!
自分の事を「オレ」と呼ぶライ・・・
「狂王」と区別して、「悪鬼」ならではの呼び方という事でしょうか?
捻りがきいてます。
ダークなライにドキドキ♪ GJでした〜
騎士団→解放戦線→出戻りルートでブラックリベリオン発生で、
R2開始前くらいの設定でライと卜部とC.C.(カレン留守)話
カプは特に無し
5レスくらいです
ブラックリベリオンの幕切れは、それはもうひどいものだった。
指揮官のゼロはいきなりKMFごと行方をくらますし、当然同乗者のC.C.も然り、
扇副指令は負傷で、戦力の要であるところの紅蓮まで消えた。
あれで状況をどうにかできる人間がいたとしたら、そいつはもう人間ではなく化け物かなにかだろう。
ともあれ、僕らは大惨敗した。
だから混乱の果てに再会した仲間がいくらか情緒不安定になっていたとしても、それは仕方のないことである、はずだ。
はずだったら、はずである。
そんなフォローに思考がまわっていたせいか、ライはしばらく何のリアクションを取ることができなかった。
で、あるからして、ぐぐぐと押しのけながらじろりと男を睨みあげたのもしばしの間の後のことである。
「卜部中尉、苦しいです」
かつて黒の騎士団から離れていた時期に行動を共にした解放戦線の卜部は、ライよりもはるかに長身の男だ。
その身長の割には痩躯といっていい体型ではあるが、それでも抱きつかれたら鬱陶しい体躯の持ち主である。
「あ、すまん、つい」
ライから離れ、卜部がぼりぼりと頭をかきつつ詫びの言葉を口にした。
「まさか、少尉にまた会えるとは思っていなくて」
卜部が浮かべた笑いには、わずかな苦味を含まれている。
無理もないとライもまた苦笑いで応じた。
戦線の崩壊後、ライも潜伏を余儀無くされていた。元々の容貌がブリタニア人よりであるとはいえ、
そもそもが得体の知れない施設から逃げ出した身である以上、ブリタニアの目を避ける必要があった。
そんな緊張だらけの中で、ようやく黒の騎士団の残党と合流できたもののあの動乱から半年は過ぎていたのだ。
卜部らにしてみれば、とっくに死んだものと思っていて当然の話だろう。
だから顔を見るなり抱きつかれたのもまあ許容の範囲といえば許容範囲内といえた。呼吸を妨げられない限り、ではあるが。
「少尉が生きていてくれて本当に助かった」
ライに部屋にあがるよう促しながら、卜部は再びそんなことを口にする。
よく見れば涙ぐんでさえいるその姿に、くすぐったさすら覚えながらライは室内をちらりと一瞥した。
ブリタニアでは一般的な間取りのそこは、荒んだ生活を強いられているだろう割には片付いているように見える。
さらに奥を覗き込めば、馴染みの顔がベッドに寝転がっている。
「なんだ、お前生きていたのか」
寝転がったまま顔を上げてそんなことを言ったのは、C.C.だ。
「紅月もここで暮らしてるんだが、ちょっと今は用事で出ててな」
その彼女にはまったく目もくれずに卜部はずかずかと台所まで大股に進むと、苦笑いでそう口にした。
C.C.と卜部の態度に、ライはこの調子だとゼロもまだどこかで生きているのだろうという確信を得た気がした。
藤堂らが囚われの身でゼロの処刑の報道(素性さえ明らかにしなかったそれは、
ライ自身も疑わしいとしか思えなかった)もあった割には、どこか奇妙な余裕があるように見えたのだ。
「卜部中尉、あの」
「多分、俺は少尉がいなかったら限界だった」
ライの言葉を遮るように、卜部がぽつりと呟きを漏らした。
片手にミトンをつけ中華なべを火にかける姿には、微塵の隙もない。
見れば調理の最中だったのか、台所には整然と調理具やスパイス、それに具材が用意されていた。
そこから献立を推測しながらも、弱気とすら取れる卜部の言葉をどうにか紛らわそうとライはかぶりをふる。
「そんな大げさな、やめてくださいよ卜部中尉」
鍋からは目を離さず、ライの態度にむしろ卜部は語気を強めた。
「いや、大げさなんかじゃないぞ、断じて大げさなんかであるものか」
じゃっという音とともに、具材が焦げ目をつける程度にいためられていく。
軽く炒めるやスープを加えたその手順に、どうやら炒め煮の一種らしいととライは悟る。
その視線の先で、卜部はただ鍋だけを親の敵のように睨みながらたまりかねたような顔で口を開いた。
「俺だけじゃもう、紅月もあのクソ女の面倒は無理だ!!」
「はい?」
ついに鍋から目を離し、卜部がライに顔を向ける。その勢いたるや、ぐりっと音がしそうなほどだった。
「いいか少尉、ひどいんだぞあいつら!?」
「え、あの」
クソ女って、まさかC.C.のことか、聞こえていようがお構いなしかこの人。
返す言葉を失ったライに、卜部はさらにまくし立てる。
「飯はカレー以外ろくに作れねえわ、掃除はしねえわ、下着は平気で脱ぎ散らかすわ、
人のことおっさんだの味オンチだの言うわ、めちゃくちゃなんてもんじゃねえぞ!!」
まくしたてながらも、鍋から気がそれているでもなく火加減は調節しているあたり、さすが四聖剣と感心すべきなのか。
ライの思考はさらに混乱するばかりだ。
「あの、僕はですね」
「おまけになんだ、せっかく人が見るに見かねて面倒みてやりゃあ、『和食よりピザがいい』だの、
『部屋だけじゃなくて風呂の掃除も』だの『ブラは手洗いしろ』だの、
俺はオカンか?あいつらのオカンとボクと時々オトンなのか!?」
限界って、限界ってそういう。
「半年間中佐達の安否で気が気じゃなくてとかそういうシリアスな方向を期待してた僕の気持ちを何だと思ってるんですか、この虫食い野郎」
「ああ俺は確かにあいつらにちょっとはいい顔したいとか思ってたよ、思ってたさ、でもな、そこでこう、あるだろ?一言『ありがとうございます(はぁと)』とか『キャー(はぁと)卜部さん男前ー抱いてー』とか……今少尉ひどいこと言ったよな」
ライの冷めた視線に、卜部もまたいささか落ち着きをとりもどしていた。
支援…?
573 :
代理投下:2009/05/03(日) 01:05:18 ID:m44OS2qV
ご本人が規制に引っ掛かったらしいので、もう少々お待ち下さい。
574 :
代理投下:2009/05/03(日) 01:09:18 ID:m44OS2qV
「言っても差し支えないくらい、今の卜部中尉はうんこです、がっかりです」
容赦のない言葉を受け肩をおとした卜部に、ライはそれでも厳しい目を向ける。
あの動乱後だからとフォローにまわる思考をしていた自分が、バカみたいじゃないかという腹立ちも
混じっていたのは仕方のないことだろうという思いも込めて。
「……そんなにか」
「はい」
ふ、とため息を漏らし、卜部は再び黙々と調理に専念した。
横で改めて眺めていると、手際は実にいい。解放戦線時代よりも手馴れている感がある。
どうもこの半年、本当に彼女らの面倒を見っぱなしだったらしいことが窺えた。
「あ、少尉、みりん取ってくれ」
「はい、どうぞ」
目分量でみりんを入れる手つきも危ういところはまったくない。
しばらくして、卜部は鍋の火を弱め大きく息をついた。
「ゼロはすごいな、俺は今本気であいつを尊敬してるよ」
うっかり頷きそうになりながら、ライは前後の文脈を思い返し踏みとどまった。
「……ええまあその、異論はないと思いたいのは山々なんですが、ものすごく同意したくないです」
仮面男のおさんどん姿というシュール極まりないものを連想しつつ首をふったライに、卜部が不満げに、
いやすげえよゼロなどとぼやく。
だからその、『すごい』のポイントがどう考えてもおかしいでしょうとライが言い募ろうとした時、ひょこっとC.C.が顔をのぞかせた。
575 :
代理投下:2009/05/03(日) 01:10:06 ID:m44OS2qV
「おい、また和食か。いいかげん趣旨換えしたらどうだ、こう、デュラムセモリナとかオリーブオイルとかそういったワードと縁のあるジャンルにだな」
ようするに、ピザ、である。
彼女の要求するものは、どうやら相変わらずのようだ。
「うるせえ食いたきゃ勝手にデブ食ってろピザ」
「卜部さん、一応あれでも女の子なんですから」
即座に毒づいた卜部とそれを諌めるライをじろりとひと睨みすると、C.C.はふたたび寝室へと引き上げた。
引き際が、良すぎる。
ライは魔女殿のいやにあっさりした態度に不安を覚えたものの、調理の手伝いを促されそれをひとまず心の棚に押しやった。
ついでにその他諸々の不安や疑問もすべて押しやり、手伝いに回ることにした。
今は目の前のことに専念した方が、いくらか健康的に思えたからである。
無限の時間を生きる魔女は、己にとって小僧といって良い歳の二人を壁越しに睨む。
卜部は言うまでもなく、『一応あれでも』呼ばわりのライもかなり失礼な話である。
「……あいつじゃなくて、お前らにコード押し付けてやろうか。楽しいぞーエンドレス火あぶり」
そんな物騒な呟きは、壁向こうで夕食の支度に追われる野郎二人の耳に届くことはない。
男どもは無駄口を叩かず、おとなしく自分のために尽くせばいいのである。
それが魔女のモットーであった。
<おしまい>
576 :
代理投下:2009/05/03(日) 01:11:54 ID:m44OS2qV
以上、代理投下終了です。失礼します。
クソワロタwww
CCの傍若無人ぶりにGJを言わざるをえない
苦労は人を変えるのだなあ。
CCの引き際に年の功を感じます
職人さん、投下の方々、乙です。
>>560-562 何かひやりとする怖さがあります。
生きているなら、なぜライは合流しないのか?
亡霊や都市伝説のようだ。悪鬼という言葉がピタリと。
>>569-575 さくっと読めて面白いー!
ブラは手洗いですかそうですか。
軽いノリのお話が久しぶりな気がして新鮮でした。
画像掲示板投下報告です。よろしければ
>>4 よりどうぞ。
・・・・・・・
「公式ラウンズ+α」
ナイトオブラウンズを並べました。
小さいのを作り始めたら止まらなくなったので
ついでにカレンも加えて総勢十名でキリ良く。
・・・・・・・
・・・・・・・
いつも投下報告でスレストかけてしまい申し訳ありません。
また、画像掲示板を連続で埋めてしまって申し訳ありません。
場違いだとは自覚しつつ、ロスカラやそのSSの絵を描くのは自分なりのラブコールなのだと思い定め、
これからも時々お邪魔させていただければ幸せに思います。 それでは
>>563 代理投下乙、そしてGJでした!
ライが黒すぎる……真ゲッ○ーのパイロットレヴェルだ……
人の命を大事にしないやつめ、死ねぇ! よりヤバいぜアニキ!
続く……のか? どうなるのか楽しみです。
>>576 代理投下乙、そしてGJを!
卜部www 落ち着け、お前は錯乱しているwww
そしてライもさり気に酷いwww 愚痴くらい聞いてやれw
エンドレス火あぶり、物凄いレベルのサウナ感覚でんなこと言うなよwww
貴公らの次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
584 :
自爆と誤爆:2009/05/03(日) 15:02:34 ID:hiy/2m0H
初めましてです。
今までの皆さんの作品を読んで突然出てきた電波をSSにしてしまいました。
反省はしてません。
17:00に投稿するのでよろしくお願いします。
一応、支援
586 :
自爆と誤爆:2009/05/03(日) 17:21:55 ID:hiy/2m0H
時間通りに投下できずにすみませんでした。
一応、初期(R2じゃない)で展開的にはかなり最初ぐらいの部分を書きました。
タイトルは【彼の日常】
587 :
自爆と誤爆:2009/05/03(日) 17:23:25 ID:hiy/2m0H
とてとてとて…
「彼」は今日もお気に入りの場所を探して歩きます。
とてとてとて…
しかしお気に入りの場所は中々見つかりません。
「あら?」
赤毛の少女が「彼」を見つけて寄ってきました。
「こんにちわ。どこかにお散歩?」
「彼」は軽く返事をします。
「フフ…」
少女は軽く笑った後、彼を少し撫でて別れました。
とてとてとて…
しかしお気に入りの場所は中々見つかりません。
すると
「ルルー!今日は授業と生徒会!2つともサボらない様にね!」
「いや、その、いつも済まないとは思ってるんだ。だが、今日もちょっとだな…ん?」
オレンジ色の髪の少女と黒髪の青年が何か揉めていますが「彼」を見てピタッと止まりました。
「あれ?どうしてここにいるの?スザク君が探してたよ?」
「ちょうどよかった!シャーリーはコイツを頼む!俺はスザクを呼んでくるから!」
「あ、ちょっとルル!あーもー!また逃げてー!もう…。ホラ、おいでって…あれ?」
黒髪の青年が去った時には既に「彼」は少女の場を離れていました。
588 :
自爆と誤爆:2009/05/03(日) 17:25:43 ID:hiy/2m0H
とてとてとて…
そろそろ眠くなってきました。
お気に入りの場所は何処へやら…
「あれー?どうしたのー?こんなとこで?」
「クラブハウスにいなきゃ、駄目ですよ?」
今度は金髪の少女と黒髪の眼鏡を掛けた少女が話しかけてきました。
「ホラ。こっちにおいで…」
金髪の少女が抱こうと腕を伸ばしてきましたがそうはいきません。
「彼」は外で昼寝をしたいのです。
ピョン、と彼女の腕を飛び越えました。
「アララ…。素っ気無いわねぇ…」
「じゃあ今度は私が…チッチッチッ…」
黒髪の少女が「彼」に不思議な音を出しながら手招きしてきます。
本来なら「なんだろう?」と鼻で嗅いを確かめたい所なのですが、今はお気に入りの場所でのんびりお昼寝をしたいのです。
我慢してその場を去りました。
「ごめん。ミレイちゃん。駄目だったみたい…」
「今日はご機嫌斜めなのかしら?」
金髪の少女がそんな事をいったけどそんな事はありません。
「彼」は今日もご機嫌です。
とてとてとて…
しかし、これだけ探しても見つかりません。もう適当な場所で眠ろうかと考えた頃でした。
「あれ?アーサーじゃん」
藍色の髪の青年が話しかけてきました。
「彼」の理解者の1人です。
「ライならあっちで寝てるぜ。って…アララ」
「彼」が少年の指を指した方向にまっしぐらに行ってしまったので少年は呆れ返ってます。
「雄の猫まで落としちまったよアイツ…」
「彼」はようやくお気に入りの場所に出会いました。
お気に入りの場所は今、ちょうど良く芝生で眠っています。
お日様もまだ高い位置にあり、気持ちよさそうです。
なので「彼」はお気に入りの場所でのんびり寝る事にしました。
589 :
自爆と誤爆:2009/05/03(日) 17:28:46 ID:hiy/2m0H
ドスッ
いきなり腹に重い物が乗っかってきた。
「うっ……またか」
首だけ起こして腹の辺りを見るとアーサーが気持ちよさそうにスースーと鼻を鳴らして寝ている。
最近、僕が昼寝をしているといつもこうだ。
どこで寝ていてもアーサーがやってきて僕の上で昼寝するようになった。
別にそこまで重い奴じゃないので乗られても問題は無いのだが、何しろいきなり乗ってくるものだから夢の世界からいきなり現実の世界に戻されてしまう。
まぁ、そのおかげで僕も昼休みに寝過ごす事はないんだけど。
「うーん…そんなに気持ちよく寝られると起こしにくいなぁ…」
「あ、いた!アーサー!」
スザクがルルーシュと一緒に走ってきていた。
ルルーシュは少しゼェゼェ言ってるけど。
「スザクか。ちょうど良かった。もうすぐで昼休みが終わるからアーサーをどうにかしてくれ」
「分かった。もう…アーサー。ほら、こっちに…イッツ!」
「うわ!痛っ!」
スザクがアーサーを抱こうとした時、アーサーに思いっきり噛み付いた。
僕は噛み付かれていないがアーサーの余りの噛み付きっぷりについ声をあげてしまう。
「アーサー…」
スザクが悲しい声でアーサーに語りかける。
だが、アーサーはスースーと寝息をまた立て始めた。
「駄目だよ。アーサー。我侭いっちゃ。ホラ…」
「馬鹿!やめろ!そんな痛々しい噛み跡を見せられる人の気持ちにもなれ!ここは俺が…」
「ルルーシュ、アーサーをもって生徒会室までいけるの?」
「どんだけ虚弱体質だ俺は!猫一匹ぐらいで骨が折れると思ってないだろうな!?」
「違うの?」
「なっ…!ス、スザァァァァク!」
2人の漫才を見ながら僕は上半身を軽く起こす。
「ニャー…」
アーサーが少し不満気な声を上げたが無視してアーサーを抱いた。
「ほら、スザク。これならアーサーも噛まないだろ?」
そういってスザクにアーサーを抱いて渡す。
「あ、ありがとう。それとゴメンね。アーサーが迷惑を掛けちゃって」
「これぐらいなら平気さ」
スザクが笑顔で生徒会室に行こうとしたが、ルルーシュがスザクの肩を掴んだ。
「待て!スザク!アーサーは俺に任せろ…!そこまで馬鹿にされては引き下がれん!俺にもプライドはある!」
「え?いいけど…骨折しても知らないよルルーシュ?」
「折るかぁぁぁぁ!!」
2人が立ち去った後、空を見上げる。
空は今日も綺麗な青空だ。
590 :
自爆と誤爆:2009/05/03(日) 17:29:53 ID:hiy/2m0H
おまけ
「フハハ…ハハ!どう…だ!スザク…!猫一匹を…生徒会室に運ぶくらいで…!この!俺…が!骨を折るはずないだろう!」
「う、うん。だけどルルーシュ…それはもうアーサーが猫じゃなくて重りになっちゃってるみたいだけど…」
「いやかましぃ!とりあえず俺は耐え抜いたぞ!後はこの扉を開ければ生徒会…」
ギィィ…
「あら、ルル。お帰り♪」
「シャ、シャーリー!?なぜここに!?ハッ…!まさかスザク!?」
「ゴメンね。シャーリーは本当にルルーシュを心配しているようだったからさ…」
「クッ!馬鹿な!この俺が謀られるなど!」
「さ、今日はちゃんと授業と生徒会、まとめて出るのよ?私がちゃんとマークします!
それとコレ。溜まっている書類ね♪今日中に皆、仕上げましょ?」
「待て!シャーリー!スザク!俺は今日も大事な用が…!」
「大事な用って私以上に大事な用?」
「そこまで言うなら話してもらわないと納得できないよ?」
「く…おのれえええええ!!」
その夜、黒の騎士団でゼロが急用により不在となった。
591 :
自爆と誤爆:2009/05/03(日) 17:31:36 ID:hiy/2m0H
以上です。
…投下し終えて読み返して自分が馬鹿な事をした事に気づきましたorz
あまりに酷い
>>591 ようこそ…ロスカラの世界へ
アーサー可愛いよアーサー
GJ!
>>591 自爆と誤爆卿、GJでした!
猫はいいねぇ……猫はエジプトの生み出した癒しの極みだよ。
読んで顔がほころぶ、癒し系なSS、あぁ、いい……
あなたに感謝を……!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
>>591 乙でした!
何処が酷いのでしょう?
動物さえも落としたライw
ホンワカしていて和みました
そして最後のオチw
ルルーシュはオチ要員ってのは伝統ですねw
次回の投下をお待ちしてます
2315より代理投下をいたします。
支援は必要ありません。
よっ待ってました!
随分お待たせしました。それでは投下させていただきます。
題名は『遠い貴方へ』でお願いします〜
ライと名乗った青年に対して、私 セシル・クルーミーは最初にどんな感情を覚えただろうか?
IDも持たない身元不明な記憶喪失者でありながら、とても人が出来ていると思った。
ロイドさんが重点を置く身体能力とかではなく、人に接する礼儀や心配り。
だが皇族のような芯の強さに隠されて、記憶を持たないゆえの危うさを持っていたのだ。
故に彼の事がたびたび脳裏を掠めるのはいわゆる母性本能であると思っていた。
「何時頃からかしら?」
この胸のトキメキが母性によるものではなく、愛と呼ばれる感情だと気がついたのは……
行政特区の大混乱の中、命を落とされたユーフェミア皇女殿下の冷たくなった手を握ること一分ほど。
伏せていた瞼が見開かれ、隣で崩れていたスザク君を見るでもなく、ライ君は静かに呟いた。
「逝くぞ」
それだけの言葉。それだけなのに駆け巡るのは絶対零度の悪寒。
女の勘だった。『ライ君を行かせてはダメだ!』と。
アヴァロンの内部構造の把握はライ君よりも私の方が上だったから、格納庫へと先回りした。
「行ってはいけません! これは上官として命令です!!」
クラブのキーを引き抜くだけでは安心できず、パスワードを変えてロックまでした。
これでもう出撃する事は出来ない。歪んだ安堵を感じているはずなのに、体がカタカタと震え出す。
冷たい視線……ツンと突き出された指は私のオデコを僅かに掠り……
「万全な状態で私を見送れ、セシル・クルーミー」
赤い鳥のような紋様が羽ばたいたのを覚えている。
「イエス、ユア・マジャスティ」
そう答えたことは覚えていない。
「あれ?」
次に意識を取り戻したのはKMF二騎分のスペースが空いた格納庫の中だった。
彼らの乗騎はそこには無くて、ライ君たちの姿もそこには無い。慌てて制服の内ポケットに手を突っ込んだ。
「ない……」
絶対に渡すまいと決めていたクラブの機動キーもない。
意味が解らずに右往左往していると、何故か頭にタンコブを作ったロイドさんが現れた。
しかもキャラじゃない感じに怒っている。
「もう! なんであの二人を行かせたのさ、セシル君!!」
「え? 私はそんな……」
記憶には無い。けれどロイドさんがワザワザ嘘を吐くような人でもない。
だからきっと……
「君以外に居ないでしょ! 止めようとした僕まで殴り倒してさ!? みて、この瘤!!」
私が……行かせた……
「もう! どうしてくれるのぉ〜あの二人の様子、見てなかった?
アレはさぁ……目的を失っているのに気付かないで突っ走って……嬉々として死を選んじゃう目だよ?」
解っていた。どうしてライ君を行かせたくなかったのか?
実に簡単な事だ。自分の前から遠くへ行ってしまうと、感じさせたからに他ならない。
そのためにキーを引き抜いてロックまでしたのだ。なのにどうして彼はここに居ないの?
「あぁ……なんで……」
膝から力が抜けていくのが解る。合金製の冷たい床を掌で感じて……
「セシル君? ちょっ! 衛生兵〜衛生兵ってば!!」
意識を手放した。
結論だけを見れば、ライ君は死ぬなんて事は無かった。
スザク君と一緒に無事に帰ってきてくれたのである。でも遠くの存在になったのは間違いない。
二人はブラックリベリオンで武勲を上げ、皇帝陛下直属の剣 ブリタニア最強の騎士 ナイトオブラウンズになったのだ。
「似合わないよね? スザク」
「ライ、君はボクよりもずっとそれらしいと思うよ」
ラウンズのみが許される金縁のマントを身に着けて笑いあうライ君とスザク君。
今まで何度も見てきたような微笑ましい光景だったけど、何だかその色は全く違うモノになってしまったような気がする。
「あれっきり二人も会ってないみたいだし……」
スザク君と私達 特派の関係は少し変化したけど途絶える事は無かった。
ただ私たちの名前がナイトオブセブン スザク君専属のメカニックチーム キャメロットと言う名前に変わったくらいだ。
「でもライ君は遠くに行っちゃった……」
ライ君とスザク君には違う点が多い。
例えばラウンズ入りを決定した武勲。スザク君はゼロを捕らえるという実に単発的なもの。
しかしライ君は錯綜した指揮系統下、自ら指揮を取ってゼロ不在の黒の騎士団を完膚なきまでに叩き潰した。
その人種も大きな違い。ラウンズになったとは言え、支配地出身のナンバーズ。
片や限りなく本物のIDを持ち、ブリタニアが新大陸に居を移す前から連なる古き血筋を持つ者。
どちらが神聖ブリタニア帝国を動かす貴族と言う人々に好印象を与えるか? そんな事は直ぐに解った。
スザク君のサポートを私達が引き続き行うのは、彼が本来ナイトオブラウンズにとって必要不可欠な支援を受けられないからである。
私の淡い希望としてはライ君のバックアップも行いたかった訳だけど……もう側にいない。
あっと言う間に貴族の間での株を上げた彼は幾つもの大貴族がスポンサーとなり、瞬く間に自分だけのチームを作ってしまったのだ。
夜も更けてきて閑散とした仕事場には私だけが残っている。
遅い夕食にはエリア11で覚えたライスボールをパクパクしながら、ニュース番組をちらりと横目で見た。
今夜のトップニュースは……
『ナイトオブイレブン、エリア6の反乱を鎮圧』
お米が喉に詰まりそうになった。テレビ画面には若い女性のアナウンサーと老年の知識人が映り、会話を始める。
「本日のトップニュースですが、三ヶ月前にエリア6で発生した麻薬組織絡みの混乱が終結しました。
鎮圧の功労者は最近この番組でも御馴染みのこの方! ライ・ランペルージ卿です」
ウキウキとした調子、仕事以外の楽しみを滲ませてフリップを取り出す女性アナウンサー。
フリップにライ君の顔写真の他に彼のこれまでの経歴が載せられている。
『天涯孤独の身に……』
『エリア11で学生生活をしていたが特派にスカウト』
『日本解放戦線殲滅作戦に参加し、危機に陥ったコーネリア殿下を救出』
『キュウシュウ戦役にてナイトオブセブンと共に上陸の突破口を開く』
『ブラックリベリオンでは臨時の指揮を取り、黒の騎士団を壊滅へと追い詰める』
『その成果を認められ、ナイトオブラウンズへ。ナイトオブイレブンを拝命』
ここまでは私も良く知っている。だがそこから先は……ライ君が一人で積み上げた戦果。
その項目が一つ増えるたびに、私が知らない彼がドンドン増えていく。
「いや〜一ヶ月前に新たなエリア成立の功績をお伝えしたばかりなのに、こんなに早くライ卿の武勲が増えるとは思いませんでした。
まずは反乱の概要を簡単に説明いたします。まず……」
簡単に要約すれば反乱の原因となったのは、エリア農村部に蔓延っていたケシ栽培と麻薬密売組織の黒いネットワーク。
自分のエリアのみならず、本国すら侵す麻薬の根源を断つのは武力的に言えば簡単だ。
しかし軍部すら犯す麻薬絡みの裏金が蔓延しエリア6は混乱を極め、総督ですら容易く改善を実現できない状況。
それを武力の面でも、行政の面でも瞬く間に改善してしまったのがライ君だったらしい。
「この難解で面倒な事態を瞬く間に打開してしまったわけです。どう思われますか? アドルフさん」
ここで初めて話の流れが老年の知識人へと移る。今まで微動だにしなかった老人の口から零れるのは生きてきた時代の長さを感じさせる重い言葉。
「軍人の功績として目を奪われがちになるのは、どうしても『敵騎を何騎撃破した』とか『一人で戦線を破った』などの戦果です。
しかし今回に限らずですが、ライ卿の評価されるべき点は別に在ります」
「と、いうと?」
「彼は反乱鎮圧後の円滑なエリア運営、つまり政治の面での問題改善も考えて、軍事行動を行っている点です。
今回の点で言えば森林山岳地帯でゲリラ戦を展開する敵に対し、絨毯爆撃によるあぶり出しと言うセオリーを選択しませんでした。
爆撃は簡単な手法ですが、一帯の農民の生活基盤を奪う事になるからです」
その言葉に女性アナウンサーは首を傾げる。ブリタニアでは味方の犠牲すら戦果に対して軽く見られるものだ。
しかも今回問題に成るのは非支配層のこと。何故そんな事が話題に上ったのか首を傾げていると知識人は話を続けた。
「確かに一時的な混乱の鎮圧だけを考えれば、そのような考えは無用な産物でしょう。
しかし元を辿れば混乱の元凶は総督府の目が行き届かなかった点であり、そこを利用して築かれた裏のネットワークなのです。
もしここで再びその点を蔑ろにした場合、今回と同様の混乱が起こるでしょう」
その言葉に女性アナウンサーは納得行ったように頷き、慌てて次のフリップを取り出す。
「そのような点とリンクする事になりますが、今回ライ卿はエリア運営についても進言をしており、その内容が物議を呼んでいます」
アナウンサーが読み上げるフリップに並ぶ幾つもの項目。
つまりライ君がした助言の内容に目を通せば、彼の本質は変わっていないと思える。
並ぶ内容はエリア6でのナンバーズに対す待遇改善制作……きっとライ君もユーフェミア様の目標を追ってるんだ……
「待遇を改善する事により生産性を向上させると同時に、決起が起こるような事態を避ける為ことを目的としているのでしょう。
しかしその内容は前例が無い革新的で野心的なものです。今後エリア6、本国の文官・武官を交えた論争が考えられますね」
しかしライ君がやることなのだ。きっと何とかしてしまうだろう。
だって彼はきっと……
「こうして見てみますと、ライ卿は他のどんなナイトオブラウンズとも違うという印象を受けます。
例えば同じ時期に加盟したナイトオブセブン、人種こそ違えど彼は『騎士』と呼ぶに相応しい人物です。
力があり、忠誠心がある。けれどライ卿はそれに加え……考えている。深く、深く……」
「あの……アドルフさん?」
どこか自分の思考に酔ってしまったかのように呟くアドルフに話しかける女性アナウンサー。
不意に老人が吐き出した言葉は……放送事故の元。
「ライ卿……彼は王だ」
画面が一瞬ブラックアウトし、『しばらくお待ち下さい』の表示。
シュルル皇帝陛下を唯一王とするブリタニアではしていけない発言だった。下手をすれば不敬罪で重責を問われるかも知れない。
けれど私は心臓が違った方向で飛び跳ねた。他人にすら、私以外の人間すら、彼をそう言った存在だと認識している。
何処にでもいる技術士官とは……遠すぎる。
「ライ君……会いたいな」
仕事を放り出して、酔いたい気分になった。
以上です……なにこれ暗い!?(自分で書いておいて
しかも中途半端だ〜もしリアルとスレの皆さんが許してくれれば、続編も書きたいと思います。
以上です。
>>603 貧弱な軍馬卿、GJでした!
>逝くぞ この一言は不吉すぎる……!
なんというか、小さな喜びと大きな切なさが一緒くたになった気持ちが伝わってきそうですね。
コメンテーターの老人が思わず紡ぎ出してしまった言葉はまさしく真理。
続きも気になりますが、これはこれで一つ纏まっていて……難しい。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
リアルはともかく、許さないわけがない!>続編
いやむしろ書いてください!お願いします!
面白かったです
ライは殆ど話していないのに、他者の視点から語るだけでライが十分魅力的に映る
カッコイイなぁ
607 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 09:12:19 ID:D5plgL6x
ライ君、カッコイイー
貧弱な軍馬卿が続きを考えているのであればぜひお願いします。
私たちは全力で応援します。
608 :
羽付き羊:2009/05/04(月) 10:16:14 ID:Oe+d90xq
皆さん初めまして
羽付き羊と申します。
今回は構想という名の妄想を形にした長編ができましたので
投稿しようと思います。
とりあえず予告のみ15分後投稿します。
609 :
羽付き羊:2009/05/04(月) 10:29:40 ID:Oe+d90xq
では投下します。
610 :
羽付き羊:2009/05/04(月) 10:31:11 ID:Oe+d90xq
予告篇
彼は失った すべてを擲ってでも護りたかった人を、彼の生きる灯を…
彼は眠りについた 生きる意味を失ってしまったから 生きて欲しいと願ったものを…
彼は失った 護ると決めた人達の為に、明るい光に包まれ『自分』という存在すべてを…
彼は眠りについた 自分の意思と無関係に、逆らえぬ力によって…
しかし彼らは目覚めてしまった。
同じ時代、同じ場所、同じ者の手によって
そして彼らは違う方向に向かって歩き出す。
それぞれの友、仲間を得て、それぞれの敵を倒す為に…
「僕は、絶対に護る!もう…もう失うのは嫌なんだ!!!」
「戦場に立ったからには、力で証明するしかない…それが此処での唯一のルールだ。」
「「だから、負ける訳にはいかない!!!」」
加速する運命の歯車…
人は何を求めて戦うのか 何が理由で殺し合うのか
求めた先にあるものは?
それは求めなければわからない
人は愚かであり 賢明であるから…
同じ場所から始まった物語
それがどんな結末を迎えるのかは 神すら知らない。
『コードギアス LC 〜反逆者達の願い〜』
「護ると決めたんだ。命に代えても…」
「男が泣く時は、全てを終わらせた時だけだ…」
神すら知らぬ物語が今、産声を上げる…
611 :
羽付き羊:2009/05/04(月) 10:33:32 ID:Oe+d90xq
投下終了ですが何かエラーになったのは一体?
このssにはオリキャラが出ます。ライ並の能力を持っている人物とライが主人公です。
特派ルートと黒の騎士団ルートの両方を成立させる為にそうなりました。あれこれ妄想しながら執筆しましたので…
皆さんよければアドバイスと感想を頂ければ幸いです。
スペースで区切ってたり読点で区切ってたり統一していない部分が気になったり、「神すら知らぬ」という表現は集合無意識的に何か重要なキーワードであったりするのかが気になります! とか……
う〜ん、アドバイスとか感想って言われても予告篇だけじゃ何も言えないよう……。私も人にとやかく言える立場にないしねー。
個人的には予告篇より本編投下バッチコーイ! な心境です。
では微妙に重圧がかかったところで15分後に投下でも……
>>611 羽付き羊卿、乙でした。
予告……むぅ、なかなかありきたりなかんじであり評価しづらいですね。
逆にありきたりだからこそ物語は広がりそうですが。
オリ主か……いろいろ難しいこともあるかと思いますが頑張ってください。
期待を胸に、貴公の次の投下を全力でお待ちしております。
4月といえば「出会い」ですね。もう終わりましたが。
しかしここに来れば素敵なSS達に出会えるではありませんか! お、もっふーいいこと言った!
ってなわけでピンクもふもふです。
そういえば投下前に名乗ったのなんて随分と久しぶりな気がします。七年ぶり、くらいでしょうか。
新年度になって全然投下してないような……したっけ? たぶんしてない。ひと月も離れると文章ってのは錆びれるものです。というかネタが無い。
だからー今回のSSはー私が他のアニメを見て思ったことをーただライ達にしゃべらせただけのーつまらないものですー。
まぁ暇な人は暇つぶしに読んでくだせぇ。支援は必要ありません。
カップリングはもっふーお得意のちまーじょさ!
615 :
◆j7R1Qu6Krs :2009/05/04(月) 12:05:46 ID:gSozARdb BE:1855598786-2BP(0)
あれ、トリップ間違えてる……また間違っててもSSで分かるよう努力!
アーニャは外食が好きだ。
家で食べることになると必ず自分ではなくライが作ることになるので、女としては若干どころかかなりプライドを傷つけられる。
それでも料理を練習しないアーニャに問題はあるだろうが……。
特にする気も無いので、すっかり常連となった近所のファミリーレストランにて今日の夕飯を食べる事になった。
「何かを得るためには、相応の対価が必要になる、か」
レストランのメニューを見るなり、ライはそう言った。
いきなりこんな事を言う彼に最初は戸惑ったものだが、慣れとは不思議なもので、今ではこちらから聞きたいと迫るようになっていた。ライがどんな事を考えているか聞くのは好きだったし、と言うより、それが恋だったのだろう。
「なにそれ」
「等価交換って話」
それをメニューを見ながら考えていたのか。
呆れる一方感心する。
「偶然見たアニメで言ってたんだよ」
「へぇ」
「タイトルは鋼の……あれ、なんだっけ?」
まあ、こんなものだ。
恐らくそのアニメで冒頭辺りに流れたのだろう、とアーニャは予測した。そのフレーズに興味を持ったライは本編そっちのけで思考にふけっていたのだろうとも。
「まあいいや。このメニューを見て少し不思議に思ったんだよ。これも等価交換なのかなって」
アーニャは首をかしげた。
「そういうものじゃないの?」
「そういうものなのかな?」
疑問を疑問で返す論法にとっさに言葉が出ない。
ライは続ける。
「貨幣は、事物に価値を見出す事で等価交換を可能にするものだ。価値なんて時や人によって変わる物だから、レストランのメニューにその価値があるかどうかなんて言わないよ」
一息ついて、
「でもさ、この貨幣だって、僕は働いて手に入れた訳だ。労働という対価を払って、お金を得たんだ。なのに僕は今、それを対価として払おうとしている」
ああ、とアーニャは頷いた。
ライの言いたい事がようやくわかった。
お金を得るために対価を払った。そして何かを得るためにお金を払って――
「つまり、何を得ようとしているのかが、分からないってこと?」
「そう、その通り」
分かってくれて嬉しいよ――そう言ってライは柔和な微笑みを投げかけた。
この笑顔を貰える事が、アーニャの一番の幸せだった。もしくは二番目か、三番目か。
実際はライの考えている事の半分も理解しきれていないのだろう。
それでも、どこかで繋がったような感覚が生まれる。幸せだと実感できる。
「対価を払って手に入れたお金を再び払って、何を得るんだろう? 最終的に、何を得るんだろう?」
「食べ物? 衣食住とか」
「それが最終目標なのかな? 食べる事をエネルギー摂取に置き換えると話にならないから、この場合は【より幸せな生活】と捉えるべきか」
と、そこでライが話を一旦中断する。
どうやらウェイトレスが注文をとろうとテーブルの側を言ったり来たりでそわそわしていたようだ。
確かに、お茶すら頼まず長々と話し込むのはマナー違反だろう。ここら辺の常識を理解するまで、かつてのアーニャはひどく苦労した。
ウェイトレスがほっとしたように近づいてきたところで、アーニャは重大な事実に気がつく。
……あ、まだ決めてない。
ライとの話に夢中でメニューを決めていなかったのだ。
「ええと、このサラダを二人前。ドレッシングは必要なくて――」
いつものサラダを注文するライは自分の分はちゃっかり決めているらしく、『山の幸炊き込みご飯と和風ミネストローネ』なんてこじゃれた物を頼んでいる。
ウェイトレスがアーニャの方を向いた。
……何を頼もう?
一度迷うとなかなか決められないのがレストランのメニューだ。気になるものはいくつかあったのが、
「あっこの子はハンバーグカレーでお願いします」
ゴツン、と凄い音をたててアーニャはテーブルに頭を打ちつけた。
ウェイトレスがぎょっとするが知ったことではない。
それよりも、
「何で、ライが、勝手に決めるの!」
「え。だってアーニャがメニュー眺めてた時に目を留めてたから、てっきりこれかと」
「うっ……」
何で見ている、とは言えない。
細かいところまで見られているのは嬉しいのだが、
「こ、こんなの欲しくないもん」
こんなの呼ばわりでハンバーグカレーも可哀想ではあるが、いかにも子供向けのメニューに惹かれていたことを認めるのは、アーニャのプライドが許さない。
そっかごめん、とライは頷いて、
「こっちのドミたまハンバーグだったか」
ガツン、と盛大な音をたててテーブルに頭を打ちつけた。
ライが指差したのは目玉焼きが乗ったハンバーグという、それもアーニャは気になっていたメニューだが、いかにも子供向けのメニューだ。
「なんで……」
「え。これも見てたから」
違う? と首をかしげられても、頷く訳にはいかない。
「こ……」
こんなの欲しくない、と再び言おうとしたところでアーニャはウェイトレスの視線に気づいた。
早く決めてくれ、と言外に語っている。
……私? 私が悪いの?
思わず心が挫けそうになるが、ここは自分が大人になって子供向けメニューを選んでしまえばいいかと結論づけた。
「もう、これでいい……」
「はい、ドミたまハンバーグセットですね? 以上でよろしいですか? では、注文を確認します……」
少し早口でウェイトレスは注文を確認して、さっさと厨房へと行ってしまった。
ライは何ら気にした様子もなく、冷水で乾いた喉を潤して、
「さっきの続きだけど」
と切り出した。アーニャは頷いて、
「私は恥という対価を払って、ドミたまハンバーグセットを手に入れた……」
他にも大事な物を失った気がするが。
ライはアーニャの嘆きを無視して話を続けた。
「【より幸せな生活】を仮に終着点だとすると、そこに終わりはあるのか」
また長くなりそうだ、とアーニャは冷水を口に含みながら、
「終わり?」
と首を傾げた。
そう、とライは頷いて、
「たとえば、僕は今、アーニャといられて幸せだ」
ぶはっ。そんな漫画みたいな勢いで水を吹き出してしまった。――いきなり何を言いだすのか、この男は。
「アーニャ、お行儀悪い」
ライはおしぼりで机を拭きながら、アーニャをたしなめた。
……私? 私が悪いの?
いまいち納得できないまま、アーニャはごめんなさいと謝る。
ライは気にしてないよ、と言って、
「で、僕は幸せって話に戻るんだけど」
「う、うん……」
改めて言われるとまた恥ずかしい。ライの方も若干照れているのか、はにかんだ笑顔を浮かべている。
そんな表情をされて、何も思わないはずがない。
……今夜は寝かさない。
そう静かに決意してライの話に耳を傾けた。
「それでも僕達はこうして外食に来ている。別にご飯が美味しくなくても、僕は幸せでいられるという確信があるのに、だ」
「っ……でも、美味しいものは食べたい」
「じゃあどれくらい美味しいものが食べたい?」
「どれくらい……」
「人間の欲なんて限りはない。【より幸せな生活】にも限りはない。ではそんな事で、果たして僕達は【より幸せな生活】という物を手に入れているのだろうか?」
「贅沢しなければ?」
「それはその人が満足するレベル、という基準点だから明確ではないね」
「じゃあ答えなんてない」
アーニャは口を尖らせて言った。
ライは先ほどからずっと楽しそうに話している。誘導する様な言動で自分の考えをなぞらせるのが好きなのだ。
手のひらの上で踊らされているようであまり面白くないが、ライと同じ事を考えていくという感覚は好き、という板挟みな状態が歯がゆい。
「そう、答えなんてないのかもしれない。――でもそれじゃあ面白くないから逆に考えてみた」
「逆?」
「一般的な生物における、最終目的とは何か」
一息、
「繁殖、つまりは生殖行為な訳だ」
「せっ……!」
思わぬ変化球にアーニャは声を裏返した。
生殖行為を人間で表すなら、要するにセックスのことである。
自分でも真っ赤になっている事が分かるアーニャの表情を見て、ライは苦笑した。
――今夜、する?
アーニャにだけ聞こえるように囁いた。
声に出す事はできず、アーニャはこくんと頷く。奇しくもアーニャの望みが叶ってしまった。
ライはアーニャが落ち着くのを待った後、
「かつては人類もそうだったんだろうね。生きることが目的で、子孫を残す本能に従って対価を払い続けてきた。等価交換に忠実な世界だったと思うんだ」
でも、
「今は違う。その一番の理由は……やっぱり社会システムかなぁ」
「社会システム?」
「社会性というだけなら他の生物にもあるんだろうけど、貨幣なんてシステムをここまで発達させた生物はいないよね、たぶん。僕が一番気になったのは、流通というシステム」
言いつつ、ライは人差し指で円を描くようにテーブルを擦った。
「このシステムで金持ちに求められているのは、投資だ。おかしな話だよね。まるで……」
アーニャはその先の言葉を取った。
「対価を払うことが前提になってる?」
「そう。社会の原則たるシステムが、もう等価交換から外れている。でも、そう考えれば説明がつくかもね」
何のためにお金を稼いでいるのか。それは等価交換でも何でもなく、労働力を得るため、対価を払う事が前提の社会システムを作り出した結果。
つまり、
「人類が個人の自立力を失う代わりに社会の利便性を手にしたように――人類は等価交換の原則を対価に払って、新たな社会の原則を手に入れた」
ライはそう結論づけた。
「その新たな原則って?」
さぁ? とライは肩をすくめた。
「分からないんだよね。この結論だと、等価交換を対価に、新たな原則を手に入れたことにしたんだけど……」
ああ、とアーニャは頷いた。ライがどこでつまづいているかが分かった。
「それ、等価交換の原則が今も働いていることになる」
「そうなんだよね。だから今の原則はそうした矛盾も含まれた原則か――」
――もしくは、等価交換の原則そのものが初めから存在しなかったか。
ライは少し落ち込んだ様子でそう言った。
アーニャは何と声をかけるべきか迷い、結局その答えも出ずに、料理が来るのを待つことしかできなかった。
レストランからの帰り道、夜空を見上げながらライがふと呟いた。
「例のアニメの後の番組がニュースだったんだ。冒頭が自殺のニュース」
「自殺?」
そう、とライは頷いた。
「それで考え始めた。彼を含め……自殺した人達は、死という対価を払ったのか、逆に死を得たのか」
人は生きる。生物としての本能が生きて繁殖するという物であるのなら、
「死は対価じゃないの?」
「死は終わりを意味するはずだ。だとしたら、その対価で何も得なかった事になる」
じゃあ死を得たの? アーニャが首を傾げると、ライは頭を振った。それも多分違う、と。
「だとしたら対価は何だ? 自殺した少年はイジメにあっていたそうだ。少年は死を望んでいた訳じゃない」
ではイジメられた事や、そういう生き方をした事が対価にならないのか。そう言おうとして、アーニャは気がついた。
「イジメという対価が、先に支払われている……?」
それは先ほどの、流通というシステムでライが語ったことに似ている。対価が先に支払われる、別の原則。
「そう。だから今の世界は等価交換なんかじゃないって思ったんだ。考えてみれば当たり前だよ。努力が必ずしも上手くいくとは限らないんだから」
だから等価交換なんて無い。
ライはまた、寂しげに等価交換を否定した。
「ライは、何かを手に入れたいの?」
「うーん、そういう訳じゃなくてさ。僕はもう払ってしまったんだ、対価」
「あ……」
ようやくアーニャはライの表情の意味を理解した。
ライはかつて、国を、民を滅ぼしたと語った。ギアスという未知の力で人を操って。
「だから……僕は、アーニャとの幸せを得る事は出来ないんじゃ――」
「ばか」
最後まで聞かずに、アーニャはライの尻を蹴り飛ばした。
「いっ! アーニャ、いきなり何を!」
「ライは馬鹿。どうしてそういう事を一人で考えて、悩むの」
アーニャが涙目になってそう言うと、ライはばつが悪そうに俯いた。
「だって」
「だってじゃない。ライ、さっき幸せだって言った。あれは嘘?」
「嘘じゃないよ。でも、やっぱり少し不安でさ。僕がアーニャを幸せにできるか――」
「ばか」
今度は俯いた頭をはたいた。
何か言いたそうなライを視線で封じつつ、
「わたしは幸せ」
ライが目をまん丸に開いて驚いた。
それはそうだろう、とアーニャは内心頷いた。こんな言葉、普段の自分なら絶対に言わない。
だが、アーニャにも譲れない物もある。だから、
「わたしは、幸せ。だって……」
――ライと一緒だから。
最後の方は消え入るようになったため、案の定ライは聞き返してきた。
「え?」
……ああ、いつものライに戻った。
聞こえなくて良かったと安堵し、聞こえなくて残念と思うのもいつものことだ。
だからこれでいい、とアーニャは思ったが、ライはそうでもないらしい。
「え、アーニャもう一度言ってよ」
「やだ」
「そんな、珍しく素直なアーニャの言葉なのに」
不満気に口を尖らせるライを見て、アーニャは何かを感じ取った。これはいつもと違う、と。
「ライ……聞こえてた?」
「いや、聞こえなかった」
それで全てを悟る。アーニャは顔から火が出る思いがした。
「嘘っ! 聞こえてたの!?」
「聞こえてなかったって。だからもう一度言ってよ。ほら、ライと……?」
ライがわざとらしく首をかしげる。
アーニャは頭を抱えて逃げ出した。このネタで、一週間は遊ばれる。
「いやっ! 二度と言わない!」
「お願いだから」
「言えない、言わない、言いたくない!」
二人でわめきながら夜道を走るのもまた恥ずかしかったが、それもまた幸せだと、アーニャは思う。
――だって、ライと一緒だから。
621 :
@株主 ★:2009/05/04(月) 12:17:21 ID:gSozARdb
大体お分かりかと思いますが元ネタは『鋼の錬金術師』と『THE NEWS』。アニメのおかげで今が旬のネタですね。まあ私は時間の都合で鋼のEDからしか見ていないのですが。ねぇ、めぐーは……めぐーは?
○等価交換の原則
普段から私はこんな事をだらだらと考えるのが好き。一つの答えを追求するために試行錯誤する理数ばかりやっていると、こういう最初から答えのない証明は大好きなのです。
まあ、そんなこんなで改めて等価交換の原則ってどんな物だろうと考えていたところで、ためしに書いてみたものです。
ならハガレンキャラでやれよって感じですが、あちらの世界観では等価交換はそれこそ“原則”なのです。俯瞰で見るためには別の視点を持ってくる必要があった訳で。
それでもギアスキャラでやる必要性は皆無ですが、可愛いアーニャが書きたかったので!
あ、因みにこのSSでは、ライはそういう論法が好きとアーニャにフォローさせるほど、論理展開がめちゃくちゃになってますが、真剣に考えた訳ではないので許して下さい。
○ドミたまハンバーグ(名称は「よつばと!」より抜粋)
ハンバーグを取り扱っている店で迷わずたまご(目玉焼き)が乗っている物を選ぶ昔の弟を思い出しながら書きました。
その時の弟は見るからに微笑ましく、私はこう思ったものです。――妹なら良かったのに、と。
弟は今年高校生になりましたが、未だに「お兄ちゃん、お兄ちゃん」とじゃれついて兄を慕う健気な子です。
兄は言います。弟に直接言います。
「お前が妹だったら良かったのに」
「そういうのは心の奥にしまっておこうよ」
家庭的な妹が「お兄ちゃん、今日はお弁当作ってみたの」と絆創膏を貼った手でおずおずと弁当を差し出してくる――というのは妹を持っていない全男子共通の妄想なのではないでしょうか。
ですが現実に妹がいる人は、そんなことあり得ないと言うのでしょうね。
事実、妹を持つ友人にこの話をすると口を揃えて言われます。夢見んな、と。たまに「流石もっふーだ」と返されますが、何が流石なのかは分かりません。呆れられていた事は確かでしょうが。
……と、何か妹で随分と話してしまいました。痛いですね。ここいらでやめておきましょうか。
いや、もう少し話しましょう。
兄妹にも、年子であったり年齢に開きがあったりと、様々な兄妹があります。その一つの極地とも言えるのが双子の兄妹です。
双子の兄弟なら知り合いに二組ほどいるのですが、なかなか双子の兄妹はいませんでした。残念極まりない。
しかしそんな私の前に舞い降りた高校二年目。近くの席の人がなんと双子の妹がいるというじゃないですか! ……あ、そうです。高校時代でもっふーがこの反応をするということは、随分昔、小学生の頃からもっふーはこんな感じでした。
で、この同級生にすかさず当時の私は……ああっ、もう容量が2KB超えている……そろそろやめよう。
では今回はこんなところでおしまいです。
SSは、読まれることで完成します。このSSを完成させて下さった方々に心からのお礼を。
SSを書くという行為で、私は果たして何かを得たのかそれとも対価を払ったのか、どちらだろうかと考えつつ――
また次のSSでお会いしましょう。
>>621 ピンクもふもふ卿、GJでした!
ハンバーグカレー美味いじゃん、カレーでいいじゃん!
子供扱いにむくれるアーニャ……愛らしい。
>絆創膏を貼った手でお弁当を 違うな、間違っているぞ、もっふー!
妹が料理を作ってくれる、確かに嬉しいだろう。 しかし、妹に料理を作って食べてもらう。
そして「美味しい」の一言を言う妹……そう、こちらから行動することにより喜びは増す!
―――少し脱線してしまった。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
アーニャへの愛を感じます。
トリップ間違えても、ぶっちゃけ無くても問題ないでしょう。
貴方への成りすましは不可能です。
GJ!
もうね、なんかね、久しぶりに見てね、感極まっちゃってね、上手く感想が書けないんだ
とにかく、軍馬さんも、もっふーも乙!
皆様、ご無沙汰しております。長らくお待たせいたしましたが、明日より更新を再開いたします。
おっしゃああああ!やったぜ!
乙です
トーマス卿お帰りなさい!
一部の心無い人のことなんか気にせずに自分のペースで頑張って下さいね。
おかえりなさいました
かなり心配しておりましたよ
様々な人達がいますが私はトーマス卿の味方ですよ
631 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 07:47:56 ID:7fB4dmXT
おかえりなさい
632 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 10:30:58 ID:5ocD90zD
トーマス卿おかえりなさい!!!
あなたが帰ってくるのを待っていました。
トーマス卿おかえりなさい!
更新はご自身の生活に支障ないレベルで結構ですので
つか、今更だが、アーニャとかノネット以外のラウンズとか
R2手前までデザインギリだったキャラとかもライと接点なくね?
もうゲーム関係ないのか
トーマス卿乙です!待ってました!
>>634 確かにどうかと思うし俺もちょっと嫌だな微妙だなとは思うが
そこは黙ってスルーするのが大人の対応だぞ
トーマスさん。復帰、おめでとうございます!
お体が優れないという話がありましたが、もしそうであれば健康にお気をつけください。とても心配していました。
早速ですが、
20時30分から
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN-1,223 「ライカレッ♪」~side story 1~
TURN01 「2人のゼロ」 (修正版)
TURN02 「合衆国 日本」
をトーマス卿復活を記念して投下したいと思いますが、よろしいでしょうか?
しかし、問題が…
容量的に39スレに入らない気がします…
私は作り方が分からないので、皆さんにお願いするしかありません・・・誰か40スレの作成お願いします。
>>637 別に一気にまとめて投下する必要はないんじゃないの。
特に今回は3つに分かれているのなら、こっちで投下できる分を投下して、出来ない分を次レスにすればいい。
分けて投下とか考えないんですか?
そうしたいのは山々なんですが、インターネットを使える時間と日が限られているので、
この機を逃すと、いつ使えるか分からないんです。
(最近、両親の目が厳しいので…)
TURN03もすでに書き上がっているんですが、容量的にやめにしました。
やはり、無理ですか?
あ、すいません。読み間違えました。
容量的にTURN-1,223 「ライカレッ♪」~side story 1~は39スレ。
残りの二つは次のスレに、というのはどうでしょう?
641 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 19:22:25 ID:kadDJVuP
>>637 すごく今更なんですが・・・・・、
余計なお世話とは思いますが、SSなんだから、もうチョイはしょれませんか?
面白いけども。自分もPOPPO卿の作品 好きですけども。
あの、39スレって気軽に言いますけど、前回言われた事読んでますか?
さるさん( 過剰数の投稿に対する規制 )
・1時間に投稿できる数は10レスまで。それを超えると規制対象に
・毎時00分ごとにリセット。00分をはさめば最長20レスの連投が可能
つまり、TURN-1,223 「ライカレッ♪」~side story 1~だけで2時間以上かかるって事なんですけど。
さらに、猿にかかるともっと時間かかりますよ。
どう考えても、3つは無理でしょ。
取り敢えず次スレは立てる方向でいいんかな?一応容量は到達してるようだけど
すいません
スレたてするなら関連スレにエロパロ板と801スレ追加してもらえませんか?
一緒に管理してくださってるんだし、もう隠さずに含めてもいいとおもうのですが
>>648 ふむ、尤もな意見か。おっけおっけ
文言修正中に言ってくれてよかった
>>647 私は良いと思いますが、他の方はそれで良いでしょうか?
ここ専用UP板ないですよね?
http://www.dotup.org/ ↑みたいなのにテキスト形式でアップして公開、トーマスさんに保管は任せるっていうのは無理ですか?
他のスレでは長編になるのは専用UP板にテキスト投下推奨してるところもありますし。
POPPOさんも短時間で公開できるのでこれならTURN03も今日公開できると思うのですが…
あ、
>>647さんが構わないのなら代理投下で私も異議ないです
654 :
647:2009/05/07(木) 20:03:36 ID:9vr5N+wh
>>652 構わない。つーか、新規のやつはここに落としてくれないとマスターコードの関係でエライことになってしまいます(焦
修正版というやつはそちらでも構いませんが…
>>654 新参者なもので的外れな意見だったようですがお許しを^^;
ここのやり方があるでしょうから常連さんにお任せします。
>>653さん、スレ立て乙です。
「ライカレッ♪」が4つ。
turn01が13つ
turn02が14つ
という感じなんですが…
どうすればいいか…
657 :
647:2009/05/07(木) 20:21:32 ID:9vr5N+wh
>>656 取り敢えず、「ライカレッ♪」のturn01を、この39スレに落としていただければ。
支援はしますよ。
スレ立て乙
落とせるだけこっちに落とせばいいんじゃないかなあ。
保管はしてもらえるし、旧スレ埋める手間もはぶける。
猿はスレ単位だから新スレでは解除されるだろうし
少し早いですが、ではまず、「ライカレッ♪」
いきます。
一応、本編のショートストーリーです。
ジャンルは『コメディ』
カップリングはもちろん『ライ×カレン』です。
ラブコメ要素が強いのでお気をつけください。
支援
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
~side story 1~
TURN-1,223 「ライカレッ♪」
行政特区日本が成立してから3ヶ月の月日が流れた。
神聖ブリタニア帝国の援助の下、行政特区日本がようやく動き出した頃、激務の合間を縫って、休暇が取れたスザクは久しぶりに学園を訪れていた。
そこには黒の騎士団のリーダー、ゼロであるルルーシュも出席していて、いつも通りに生徒会室で雑務をこなしていた。
日は既に暮れていて、生徒会室にはミレイ、シャーリー、ニーナ、リヴァル、ルルーシュ、スザクがいる。皆は会話を挟みながらも淡々と書類に目を通していた。
「…うーん」
腕を組んで、何やら眉を顰めるミレイ・アッシュフォード。その姿を見たシャーリーが声をかけた。
「どうしたんですか?会長」
他の生徒会のメンバーはサプライズイベントを思案していると予想していたのだが、彼女から出た話は異なるものだった。
「ライとカレンのことを考えてて…あの二人、付き合ってるのよね?」
ミレイは訝しげな目でテーブルの空席に目をやった。
ライは欠席。カレンは午前中で早退。
サボり癖がある生徒会のメンバーが久々に集まっていたので、その二人が来れば今日は生徒会のメンバーが全員揃うはずだったのだ。
「ええ。確かにそう言ってましたよね」
「…の割には、俺たちの前ではそんな雰囲気はまったく無いですよねぇ?」
「確かに、無いですね」
「言われてみれば、そうだね」
「…そうですね」
ルルーシュは鈍感でも空気を人一倍読める人間だ。皆、語尾が「〜ね」で終わっていることに気づいて咄嗟に合わせた。
書類もあと一時間もすれば片付く。一息つくように、ライとカレンのことが話題に上がった。
「今日もこっそりデートしてるのかな〜?」
「よくよく考えれば、カレンも時間はいくらでも作れるよなぁ。くぅー、うらやましいぜ。ライッ」
「本当にすぐだったね。あの二人が付き合いだしたのは…」
「あはは…」
スザクは声に出して苦笑し、
ルルーシュは内心で苦笑する。
ライとカレンは黒の騎士団の幹部であり、今日はメディカルチェックとKMFの騎乗訓練がある。だから今日は欠席している。
ミレイはテーブルに両肘を付きながら、頬杖をついた。彼女の豊満な胸が揺れたのを見て、リヴァルの目が泳いだことをここに記しておく。
支援
「ライったらさー。また告白されてたのよ。今度は中等部の女の子」
「「「「「えっ?」」」」」
「カレンはカレンで親衛隊がいるし、ライにもファンクラブが出来たのよねー。はい、これ」
と、ミレイは皆に一枚のA4の用紙を見せた。
部活動設立の申請書であり、部活動の名前には「『銀の王子様』を見つめる会」と書かれてあった。
それを見た生徒会のメンバーは、まあ仕方ないかな、という目で見つめる。
「…まあ、ライ君なら分かる気がしますね」
「部長って、俺たちのクラスメイトじゃん…」
「体育で怪我をしたときに、ライに介抱されてたヤツだろう?…まったく、あの男は」
「まあまあ、仕方ないよ。ルルーシュ。それがライのいいところなんだから」
「でも、私がカレンだったら、複雑な気分よねー…ライって最近、すごくモテるから」
…カレンに模擬戦でボコボコにされた日か。
あれは酷かった。
今日の紅月隊長には鬼神が宿っている、なんて言われていたからな。
確か、介抱した翌日の昼休みに手作り弁当を渡されて、それをカレンに見られたとかで…
ライの体に出来た傷が生々しかったのを覚えている。
ルルーシュがあごに手をあて、かつての出来事に思いふけっていると…
「ルルーシュ。聞いてる?」
「あっ、すいません。会長。何でしょうか?」
「またトリップしちゃってた?んーもう、ルルーシュも気をつけなさいよ?」
「大丈夫ですよ。会長。俺はシャーリー一筋ですから」
「え、ええっ!?」
突然、シャーリーは顔を真っ赤にして声を上げた。
ルルーシュの大胆発言に生徒会のメンバーは様々な反応をとった。
「おおーっ」
「ルルーシュ…」
「大胆…」
「ルルーシュ…言うようなったなぁ」
皆の視線にひるむことなく、ルルーシュは平然と紅茶をすすっていた。
ミレイは告げる。
「よーし!ここは私が一肌脱ぎましょう!」
イヤな予感がする…
生徒会メンバーの皆がそう思ったのは自然のことだろう。
支援
「は、はい。あ、あーん…」
何でこんなことになってるんだろう?
昼休み。
僕は今、アッシュフォード学園の大食堂にいる。周囲には学食をとっている同級生や下級生が席を埋め尽くしていた。
その一席で可愛らしい弁当箱を開いて、これまた可愛らしいフォークでミートボールを刺して僕の口に運ぶカレンの姿があった。
カレンは顔を若干赤らめて、恥ずかしそうだった。
僕だってそうだ。
最近、僕は、専用機である青い月下では物足りなくなっていた。
紅蓮可翔式が完成し、そのテストパイロットとして、フロートユニットを付けた月下と戦ったのだが、これがまた凄まじかった。
出力を武装も紅蓮弐式とは比べ物にならない。
ラウンズだって対抗できるんじゃないか?
そう思うくらい、凄いものだった。
今、ラクシャータが僕専用のナイトメアフレームの開発に取り組んでいるらしいのだけど、一旦開発にのめり込むと完成するまで連絡を取ってくれないから困る。
ラクシャータの研究チームからは「期待してお待ちください」と言われているし、予算から見てもかなりの機体を開発してるみたいなんだけど…
ミレイさんとの食事の最中、そんなことを考えていると、
「ねえ、ライ。貴方、カレンと付き合ってるのよね?」
フォークを置いたミレイさんは僕に問いかけてきた。
「え、ええ。そうですけど、何か?」
ミレイさんは僕のファンクラブが出来たこと、自分に気がある生徒が多くなってきているという話をした。
こんな僕のどこがいいんだ?と、思ったけど、それを言うとミレイさんがため息をつきそうなのであえて言わなかった。
「…じつはね。私、貴方たちの仲を知らしめるために、良いアイディアを思いついたのよ♪」
イヤな予感がする…
ライはそう感じた。
「う、うん。お、おいしい、よ。カレン」
「そ、そう。お口にあって、な、なにより、だわ…お、おほほ…」
うぅ、皆の視線が痛い!
ミレイさんが僕たちに会長命令で言いつけたのは『ラブラブ弁当作戦☆』だった。
ようするに、手作りのカレンの弁当を皆の前で食べろ、ということ。
…戦場でも無いのに、なぜか殺気を感じる。
カレンも僕も、緊張と恥ずかしさで一杯だった。
美味しい彼女のハンバーグも、今はまったく味が分からない。
どうにか、この状況を打破しないと…
この後、どうなるか…全く想像ができなった。
食堂の入り口付近には生徒会メンバーが覘いている。
ニヤニヤしている会長とリヴァルが勘に触る。
くそっ!
無くなったギアスが惜しいと思ったのはこれが初めてだ!
そのとき、
僕はあるドラマであったワンシーンを思い出した。
それは昔、ブリタニアで放映された人気番組だそうで、その再放送のときにミレイが言っていたのを思い出した。
ミレイさんが言うには、あまりにもベタなセリフと王道の展開らしく、(僕はドラマというもの自体知らなかったが)現実的にありえないと、僕も苦笑していた記憶がある。
(…試してみる価値はあるかもしれない)
この危機(?)を打破するきっかけを、僕は見出した。
支援
支 援
僕は食べるのを止め、スプーンを持つカレンの手を両手で握りしめた。
「え?ライ?」
顔を近づけ、僕はできるだけ声を震えないように注意しながら、みんなに聞こえるように言った。
「カレンが食べたいな♪」
空気が止まった。
「へっ…?」と、カレンは小さく声を上げて目を見開いた。言葉の意味を理解したのか、みるみる顔が真っ赤になっていく。
食堂は静寂に包まれた。
皆は呼吸することも食事することも忘れ、ライとカレンの姿を凝視していた。
刹那―――――――
ガタガタガタガタッ!
席を立って、殺気立つカレンファンクラブの男子生徒が血なまこになって、僕たちのほうに襲い掛かってきた。
いや、女性陣のほうは多い気が…
ちょっとまって!
まさか、あれが僕のファンクラブの人たち!?
多すぎだよ!
『おのれええええええええ!ライ!』
『ら、ライ様!?何ておっしゃったの!?』
『た、たべっ、食べっ!?な、何を食べる気だコラアアアアアア!!』
嵐の前の静寂は、四方八方から来る怒号によってブチ壊れた。
命の危険を察知した僕は、咄嗟にカレンを抱き上げた。
「きゃっ!?ライ!何を…!」
「舌を噛むかもしれないから、気をつけて」
「は?…まさか……」
その『まさか』さ!
僕は、食堂のテーブルを一直線に走ると、そのまま2階の窓から飛び降りた。
「き、きゃあああー!」
カレンが僕の耳元で女の子らしい悲鳴を上げた。
そんなカレンも可愛いなと思ってしまう僕はSなのかな?
カレンを抱き上げたまま、僕はリヴァルのバイクが置いてある場所へ一目散に走り出した。
こんなこともあろうかと、リヴァルから鍵を借りていたのはよかった!
あとでお礼をするよ。リヴァル!
僕たちの後姿を唖然と、もしくは羨望の眼差しで見送る生徒たちは、二階の食堂の窓からどうすることも出来なかった。
(…うん!今日は天気もいいし、絶好のドライブ日和だな!)
午後の授業をサボり、僕たちは『青春』と言われる1ページを刻んだ。
曇り一つ無い空に輝く太陽が、とても眩しかった。
僕は、こんな日々が続けばいいと、そう思っていた…
支援
「ライカレッ♪」
投下終了です。
支援してくださった皆さん、ありがとうございます!
…意外に短い。
turn01はこっちに投下すべきでしょうか?
お願いします。
万が一スレを跨っても、保管庫で十分カバーできますので。
了解しました。
それではいきます。
a.t.b. 2018
ブリタニア人住居区域 トウキョウ租界。
曇り一つ無い晴天の空の下、蜜柑色の気球船がブリタニア人住居区であるトウキョウ租界上空にさしかかっていた。
操縦席に座っている、緑色の長髪を持った女はトウキョウ租界航空管理局との通信を終えた後、可愛らしいストラップが付いた桃色の携帯電話が鳴った。
彼女は白を基調とした独特のスーツを身に纏い、美女と呼ばれる容姿をしていた。その女は操縦桿から右手を離した。胸ポケットから携帯を取り出すと、電話を繋いだ。
「どうした?」
『ねえ、本当に大丈夫なの?大規模な作戦なのに、ナイトメアはたったの十機、それも旧式なんかで…』
「心配するな、井上。そっちは任務に専念しろ」
『準備はすでに整ってるわ。あとは貴方たちの行動を待つだけ』
「そうか、報告感謝する。だが、余計なことは気にするな。なぜなら――」
モニターにはトウキョウ租界の南東に聳え立つ、一際異彩を放った建築物が映し出された。彼女はそれを眼前に捉える。
「これは、『ゼロ』の命令だからな」
整った容姿に、魔女は微笑みを浮かべた。
支援
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN01 「2人のゼロ」
曇り一つ無い晴天の空の下、ヴィレッタ先生の追っ手から逃れたサボりの常習犯兼副会長、ルルーシュ・ランペルージはリヴァルのバイクを借りて、ロロ・ランペルージと一緒に目的地であるバベルタワーに向かっていた。
会長の差し入れであるパンをロロに噛ませると、車体が大きく揺れる。
冷静沈着なルルーシュも、弟の運転に少しひやっとした。
「おいおい!…ロロ」
「んっ!だって、兄さんが…」
「ははは。分かってるさ。だが、安全運転で頼むぞ」
「うん」
そういうとロロはブレーキに少し力を入れた。
スピードを落とし、バイクは都市高速のカーブを曲がっていった。
ルルーシュはパンを包んでいた袋をサイドカーのダストシュートに入れる。向かい風でページがめくれるのを押さえながら、「カラマーゾフの兄弟」を読みふけっていた。
(ふん……小説でも現実でも、悲劇は連鎖するものだな)
ルルーシュが小説を読み終えたとき、バイクが信号に捕まり、吹き付ける風が止んだ。
都市高速を下り、目の前にはバベルタワーまでの一直線の道路が見えていた。
巨大スクリーンから流れるカラレス総督の声が、ルルーシュの耳に入る。
ルルーシュは目を細めて、ヘルメットについた青いサングラスを通してスクリーンを見た。
眼前では黒の騎士団のメンバーが射殺される光景が映った。
執行後、カラレス総督の声がスピーカーを通して周囲に大きく響いた。
『これはイレブンに対する差別ではない!区別だ!』
ブリタニアの武官らしい風格と、武官らしい言動がルルーシュの心を曇らせた。
行政特区日本崩壊から、もうすぐ1年。
ゼロが起こしたクーデター、『二〇一七事変』の真相については、当時様々な情報が飛び交っていたが、ブリタニアの公式発表によればこうだ。
設立からわずか半年で、黒の騎士団は行政特区日本が保有する軍隊として正式に任命された。
急激過ぎる進展。
だが、ゼロの思惑はそれだけにとどまらなかった。
黒の騎士団は裏で軍備拡張を続け、ブリタニアの傀儡となることを恐れたゼロは、行政特区日本の崩壊と共に独立を目論んでいた。
そして、式典で起こった惨事。
ゼロは『新日本党』を利用し、混乱に乗じて、ユーフェミア様を亡き者にしようと企んでいた。
ゼロの目論見に気付いたユーフェミア様は、それを止めるべくゼロをけん制したが、失敗に終わり、命を落とした。
そう考えれば、ゼロが反行政特区組織であった『新日本党』と裏で繋がっていたことも納得がいく。
ゼロは新たな国家を作りたかったのか、それとも特区日本の実権を握りたかっただけなのか、今となっては分からない。
いずれにせよ、特区日本は終わった。
(たとえ、日本がブリタニアの属国になったとしても、血を流さずに戦う方法は幾らでもあったはずだ…)
黒の騎士団は敗北し、ゼロは捕らえられた。
数日後には処刑され、その功績で、生徒会のメンバーであったスザクはラウンズに就任した。
それを祝って、俺たち生徒会のメンバーもささやかなパーティをしたものだ。
名誉ブリタニア人が、軍の最高位であるナイトオブラウンズに就くなど、ブリタニア始まって以来の異例の出世だ。
一部のメディアが冷ややかな報道をしたが、俺たちにとっては嬉しい出来事だった。
支援
支援
猿は00分に解除されてるはずですが…
…何かあったのか?
しかし、半年前に『ゼロ』は復活する。
EUに亡命を果たしていたゼロは、活動を再開した。
今年は10カ国の国家がブリタニアの支配下に入り、神聖ブリタニア帝国の侵攻の勢いはさらに増した。
このエリア11のこのような植民地は増加しつつある。
その時代の中で、ゼロの鮮やかなパフォーマンスで彩る逆転劇に、イレブンの人々だけではなく反ブリタニア勢力も希望を取り戻し、近頃のテロは活性化しつつあった。
スザクが捕まえたゼロは偽者だったのか?
だが黒の騎士団は一時期、壊滅寸前まで陥っていた。ゼロが何らかの理由で表舞台に出てこられなかったのは確かだった。
今のゼロは別人なのか?
本当にゼロは生きているのか?
ゼロに関する様々な噂は絶えない。
だが…
(…俺には、関係の無いことだ)
ルルーシュは小説を閉じると、バイクを運転する弟に声をかけた。
「ロロ、早く行こう」
「わかったよ。兄さん」
信号が変わると共に、ロロは思い切りアクセルをきった。
バイクをバベルタワーの地下駐車場に置き、歩いてバベルタワーのエントランスホールへ向かった。
高貴な身分が集まる会場に相応しい、豪華なエントランスホールをまたぐと、黒スーツを纏った男が近寄ってきた。ルルーシュは彼に会員証を提示した。
赤い絨毯が敷かれた階段を上り、カジノに直通のエレベーターに乗り込んだ。
「兄さん。今日は幾ら稼ぐつもりなの?」
「なに…ここまでの往復のガソリン代と、2人分のディナーの食事代を稼げればいいさ」
「それと、シャーリーさんの誕生日プレゼント代も、でしょ?」
「ん?そういえば…あったな。そういうのも」
「それはひどいよ。シャーリーさんが可哀想だ」
「なぜだ?恋人でもあるまいし…」
「…やっぱり、ひどい」
「ははっ。俺にとって、お前以上に大切なものなんて無いさ。ロロ」
ルルーシュの言葉を受けて、ロロは照れてしまう。だが、ロロはルルーシュの表情から憂いの感情を感じ取った。携帯を制服のズボンのポケットに入れる。
「…ありがとう。兄さん。でも、ほどほどしたほうがいいと思うよ。気持ちは、分かるけどさ」
「……相手になる奴がいないからな」
「…早く、帰ってくるといいね」
「……ああ」
ルルーシュはエレベーターのガラスごしに、小さくなっていくトウキョウ租界を見下ろしていた。
トウキョウ湾では大型タンカーなどの多くの船が行き来しているのが見える。
彼はため息をつくと両肘を金色の手すりに置き、表示される階の番号に目を向けた。
ふいに紫色の瞳が揺れる。ルルーシュの顔に哀愁の表情が浮かんだ。
ライ。
お前は何処にいる?
お前が好きだったカレンは、黒の騎士団のメンバーだった。
ショックなのは分かる。
でもな。
その悲しみを皆に与えるんじゃない。
俺は会長の空元気は、もう見たくはないんだよ。
お前は強い男だろう?
お前がいれば、俺はこんなことはやっていない。
…退屈なんだよ。
俺は…
支援
エレベーターを降り、ルルーシュとロロはイレブンの格闘場を無視して、チェスやルーレット、カードのギャンブルが行われている場所へ足を運んだ。
チェスが置かれている台の一つに、一際賑わっている箇所があった。ルルーシュは名のある打ち手が来ているのかと思い、見物客を割って入っていった。
そこではルルーシュの予測どおり、賭けチェスで有名な棋士の決闘が行われていた。
「チェックメイト」
カツ、とクラッシュアラバスターが奏でる木質の音と共に、透き通った声が辺りに響いた。
煌びやかな服を纏ったギャラリーから声が上がる。
「黒のキングが負けた!?」
「すごい…圧倒的だ」
貴族を示すような顎鬚を生えそろえた中年の男、『黒のキング』は、震える手で決闘の相手を指差した。
「い、イカサマだ!これは!」
「あら?何をおっしゃいますの?黒のキング様。それとも、本当の決闘を申し込まれたいのかしら?」
黒のキングに打ち勝った相手は、黒服の女だった。
肩を晒した漆黒のドレスに、二の腕まである黒のロンググローブ、赤いバラをさした黒の帽子には目元と鼻の辺りまで覆う黒のベールを纏っていた。
その下に表れているのは透き通ったように白い肌と、ピンク色の彩られた唇であり、整った体型と、そこから想像させる美女の輪郭は、男の視線を惹きつける魔性の雰囲気を漂わせていた。
彼女は透き通るような声一つで、怒りに身を震わせる『黒のキング』を制していた。
ルルーシュは、男の怒鳴り声に動じない女の胆力に内心賞賛しつつも、彼女の真意を見抜いた。それは彼女の左胸に飾られている金色の翼のようなアクセサリーだった。
このカジノで一握りの会員が付けることを許された装飾品であり、それは彼女の身分を表すことと同然だった。
(ほう…あの女、貴族か。それも侯爵じゃないか)
黒のキングもエリア11にいる貴族であり、一時の癇癪で決闘を起こせば、人のつながりが最も重要である貴族としての地位を揺るがしかねない。
そして、『黒のキング』は男爵だ。
『男爵程度の下級貴族が、私に刃向かう気か?』
と、暗に意味していたのである。
「ちぃ!…どけどけっ!」
周囲に群がる人々をどかし、黒のキングは二人のボディガードを連れて、眉間にしわを寄せたまま去っていった。
その情けない後姿を見つめていると、唐突にルルーシュに声がかかった。
「…もしや貴方は、『プリンス』様では?」
その声に、周囲の人々の視線がルルーシュに集まった。
彼の隣にいたロロはいきなり注目を浴びたことで、身を縮めてしまった。
ルルーシュが目を見開いたのも一瞬、顔に微笑みを浮かべて彼女に返事をした。
「これはこれは…光栄ですね。近頃、噂になっている『魔術師(メイガス)』様に気を留めてもらえるなんて…」
「あら、近くで見ると中々の坊やね。では、一局いかがかしら?」
「…喜んでお受けいたします」
人々から、軽い歓声が上がった。
先ほど、名立たる打ち手が負けたのを目の当たりにしておきながらも、年端もいかぬ若者が物怖じせずに彼女の挑戦を受けたのだ。当然の反応だった。
ルルーシュは席に座り、ロロが椅子のすぐ後ろに控えた。
スーツを着た男が駒を揃え始めた。
だが、『魔術師(メイガス)』は左手でそれを止めた。
「待って」
「どういたしました?」
彼女の行動が理解できなかったスーツ姿の長身の男は、戸惑いの心情を声に乗せていた。
ルルーシュもそれは同様だった。
彼女は黒いロンググローブを纏った指先で、ルルーシュが手にしていた物を指差した。
「どうせなら、貴方のボード、ギースベルト社の一品で行いましょう。イカサマと疑われるのは心外ですので…」
『魔術師(メイガス)』の視線の先で、『黒のキング』がグラスを床に叩き付け、大きな舌打ちをした。2人の屈強なボディガードを引き連れ、不愉快を示す足取りで大きな自動扉をくぐっていった。
周囲の見物客から、失笑が漏れる。
鼻から上の顔を隠す黒のベールが揺れ、『魔術師(メイガス)』の鮮やかなピンク色の唇が、魅惑的な微笑を模った。
「では、プリンス様のお手並み拝見といきましょうか」
支援
アッシュフォード学園の高等部の校舎、日差しが差し込むテラスで、金髪の女子生徒、ミレイ・アッシュフォードはルビー色の携帯電話を切った。
紅茶を運んできた生徒会メンバーの女子生徒、シャーリー・フェネットはミレイに話しかける。
扉をあけた音と共に、テラスの手すりに留まっていた鳩は飛び立った。
「随分と長い電話でしたね」
「本国の叔父様から電話があって、今日の中継を見忘れるなって…」
「何かおめでたいことでもあったんですか?」
「声が弾んでたからそうだと思うけど……どんなサプライズをするのやら、不安で仕方ないわ〜…叔父様のやることって、想像がつかないから」
彼女にしては珍しく真面目な表情で、ミレイは両肩を抱いて身を振るわせていた。
シャーリーはミレイの反対側の席に座り、紅茶を一口すすった。
「…会長が言えるセリフじゃないですよ。それ」
栗色の長髪をした彼女は、ミレイの意外な言葉に独りごちた。
支援
プリンスとメイガスが繰り広げるチェスの決闘に、周囲の人々は惹きこまれていた。熱狂という名の沈黙が辺りを支配していた。
彼らが織り成す至高の駆け引きは、もはや芸術の域に達している。
「どっちが勝ってるんだ?」
「分からない。だが…プロ並みだぞ。この二人」
ある者は声を潜めて言葉を交わし、ある者は腕を組み、二人の決闘を固唾を呑んで見守っていた。
「…兄さん」
ロロは不安な口調で兄に話しかけるも、彼には届いていなかった。
「くっ…」
ルルーシュは戸惑っていた。
ライ以来だった。
彼をここまで追い詰めた相手は。
(ルークを動かすと、ナイトに切り込まれる。そして、クイーンは囮。12手目にポーンをクイーンにして、再びキングを狙ってくる。
だが、ここで叩かないと17手目にはこっちのクイーンがやられる。
しかし、その場合は左方が手薄になり、ビジョップがナイトに取られた場合、対処のしようがない…
いや、待て。
29手目のことを考えると、このルークもサクリファイスとして成立するぞ。
くそっ、このままではステールメイトに持ち込むしか…)
ルルーシュは一瞬で何十通りの手を考え出していたが、彼女の手は全てが本当で、全てが囮のようにも感じられる手ばかりだった。
噂以上の腕だった。
彼の額に緊張の熱に当てられた雫が、頬を伝う。
(…若干だが、旗色は俺が悪い)
ルルーシュが額に手を当て思考していると、唐突に『魔術師(メイガス)』の声がかかった。
「プリンス様」
「…なんです?メイガス様」
「貴方は強い」
「ほう、この状況で貴女がそ…」
「ただ、それだけです」
彼女はルルーシュの声を遮るように言った。
「貴方では、私には勝てません。たとえ何回やっても、何千回挑んできたとしても…」
メイガスの言葉はルルーシュの癇に障った。彼の整った容姿に眉が吊り上る。戦局が悪いこともあって、ルルーシュは不快な表情を隠せずにいた。
「…もう勝利宣言ですか?随分と強気ですね」
ルルーシュの視線を受けたメイガスは唇に笑みを浮かべた。その表情が彼をさらに苛立たせた。
不敵な笑顔で、『魔術師(メイガス)』は白のポーンの駒を進めた。
「貴方は失ってしまった」
「・・・失った?」
「ええ。もっとも大切なものが……そう、『真実』というピースがね」
「真実?そんなもの、語られないほうが多いのでは?」
「ですが、それこそが、貴方が必要としている『真実』でもあるのですよ」
「…おっしゃる意味が分かりかねますが?」
「ええ、『今』の貴方に理解できないのは当然です」
「……『今』の俺?」
ルルーシュに後ろに立っていたロロの表情が鋭くなった。
メイガスの言葉が理解できず、ルルーシュに一瞬の隙を与えた。黒のナイトをボードに置いた。そのとき、ルルーシュの思考は止まった。
はっとなり、先ほど置いたナイトを見た。
(し、しまった…駒の配置を間違えた!くっ!この女、俺の動揺を誘ってっ!)
メイガスの唇が薄く開いた。それを見たルルーシュは、ベールに隠された笑みの表情を連想し、不快な思いがこみ上げてきた。
「ふふっ。この勝負、見えましたね。では…」
白のクイーンが黒のキングを捕らえ、チェックがかかった。
メイガスの唇が歪む。
「貴方に『真実』をプレゼントいたしましょう」
魅惑的な笑みを浮かべる黒服の女性に、ルルーシュは目を奪われた。
素顔こそ分からないが、ピンク色の唇と透き通った白い肌から連想される彼女の美貌に、頭を刺激される。
この時、彼には黒服の女が『魔術師』ではなく、本物の『魔女』に見えた。
支援
その時だった。
爆音と共に、カジノが揺れた。
シャンデリアが落ち、ガラスや壁が砕け散る音と共に周囲に煙が舞った。強い風がルルーシュたちを襲う。
盤上の駒は全て弾かれ、その場にあったグラスや花瓶は吹き飛んでいった。
「うわあああっ!」
ルルーシュは椅子から離れて、床にたたきつけられながらも無意識に両手で顔を覆った。
灰色の煙が漂う中、ルルーシュはすぐさま立ち上がり、大声で叫んだ。
「何処だ!ロロ!」
悲鳴を上げて、周囲にいた人々は逃げ出した。駒が散乱していたが、彼はそんなことを気にとめていなかった。
足を誰かに掴まれた感触がしたルルーシュが下に目を向けると、怯えた表情で視線を合わせない弟を発見した。
「ロロ!大丈夫か!?怪我は…」
ルルーシュの言葉が耳に入っていないのか、ロロは震える手である方向を指差した。その先をルルーシュは視線を向ける。
「兄さん。あれって…」
約5メートル先の眼前には、紅いナイトメアフレームがいた。そして、眼前にはその状況に臆することもなく、ゆっくりと椅子から立ち上がるメイガスの姿が映った。
機械音が鳴り、紅いナイトメアフレームの右腕にある銀色の鉤爪が鈍く光った。ルルーシュの背筋に悪寒が走った。
(見覚えがある。あれは…)
「あ、あの赤いナイトメアはっ!」
ルルーシュが告げる前に、一人の男が叫んだ。
「逃げろお!ゼロの双璧だ!」
また、逃げ惑う民衆の中から、男の大声が響き渡る。
「くっ、黒の騎士団が!エリア11に帰ってきた!」
周囲の悲鳴がさらに鋭くなる。
客だけではなく、従業員さえ仕事を投げ出して、扉のほうへ逃げていく。
突然、ルルーシュの手が掴まれた。
「逃げよう!兄さん!」
「あ、ああ…」
「何!?」
ルルーシュの反対側の席に座っていた『魔術師(メイガス)』は声を上げ、椅子から立ち上がった。
黒光りする小さなバッグから、耳に装着する通信機を取り出すと多くの人が走っていく方向を指差して、叫んだ。
「カレンさん!後を追って!」
『了解!』
ナイトメアのオープンチャンネルの声が響き、ランドスピナーが起動した。
左腕に武装されたコイルガンで扉を壊すと一気に跳び上がり、紅いナイトメアフレームは走り去った。
それを確認したメイガスは右手で通信機のボタンを押した。周囲の状況に全くといっていいほど動じていない彼女は、服装の色とは対照的な白い通信機でやり取りを交わしていた。
『ルルーシュを見失った?』
「ええ…かけていたのに、いつの間にか解かれていたのよ」
『では、あの少年はお前の予想通り…』
「対ギアス能力でないとしたら…」
『メイガス』は金色の懐中時計を取り出し、蓋を開けた。
「そうね……時を止めるギアス。
正確には『人間の体感時間を止めるギアス』といったところかしら?」
秒針が刻々と動くギリシア数字表記の盤面に目をやった。
支援
フィニッシュか
次のスレにいってもよろしいでしょうか?
どうぞ〜
スレ立て乙です
>>694 乙です
見やすくてすごく軽い!
保管庫複数あるSSスレは珍しくないし、
負担にならない程度に続けて貰えれば良いなあと思います
今499kb
梅時ですかね
虫食い同好会会長卜部のテーマ
虫食い軍人! 虫食い軍人! 虫食い軍人 卜部ー!
今日も地球が平和なのは 虫食い同好会 (会長!) 卜部がいるからさー
強いぜ! 強すぎるぜ! グランド月下マンー!
「えっ、何故そこで僕!?」
装備も充実嬉しいなー 形態変形! (フォームチェーンジ!)
「英訳!?」
呼べば集まる腐れ縁! 国越えた仲間 個性にあふれた人材!
ゼロ! (条件はクリアされたも同然!)
スザク! (生きる!)
ルキアーノ! (お前の一番大事なものは何だ!)
「そこでそうくる!?」
名誉総裁クルクルパーマ! 実は皇帝 えらいぞ! シャルル! (ぶるぁぁあぁぁぁぁ!)
敵か味方か 藤堂さん! (……ナレーターだ) (僕もいるよ!) byロロ
だけど寂しいこともある (カレンに会う時間が少ない……)
くらわせろ! くらわせろ! 俺も知らない謎の液体 80リットル!
虫食い軍人! 虫食い軍人! 虫食い軍人 卜部ー!
同好会員増えているのは 虫食い同好会 (会長!) 卜部がいるからさー
怖いぜ 怖すぎるぜ プラント団
中にはいい奴いるけれど 正義の刃だ! 『Z・E・R・O・ビィィィィィム!』
「刃じゃない!?」
カリカリ食感 もぐもぐ食える 腹もちのいい未来の主食ー!
(セミの殻揚げ!)
高タンパクで 高カロリー! 「そんな未来はイヤだ!」
だけどつらい事もある (セシルさんの料理はもう食べたくない……)
なごむぞマリーカ! なごむぞ天子様! 心のオアシスだー!
くらわせろ! くらわせろ! 俺も知らない謎の液体70リットル!
虫食い軍人! 虫食い軍人! 虫食い軍人 卜部ー!
なんか亀虫くさいのは 虫食い同好会 (会長!) 卜部がいるからさー
ヤバいぜ! ヤバすぎるぜ! スズメバチ
勝利を分かち合いたいけど 正義のとどめさ! (百虫夜行!)
「もうイヤだあああ!」 byライ&ゼロ
甘い香りと 塩辛さ 腹もちのいい未来の煮付け (ミミズの煮付け)
材料費はタダ 節約だー 『そいつは昆虫なのか!?』byゼロ
だけど気になることがある
(目玉焼きはメイプルシロップだよな?) 「おかしいですよ、卜部さん!」
だるいぞ体! だるいぞ体! そんなに若くない
くらわせろ くらわせろ 怒られる覚悟決めてから使う大変身! 斬月マン!
「この泥棒猫がぁ!」 byミラクルトゥードゥー
虫食い軍人! 虫食い軍人! 虫食い軍人 卜部ー!
「誰かー新メンバーの中にツッコミの方はおられませんかー!」 byライ