【お題で創作】月間創作発表スレ2【S−1】

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お絵描き板からの投稿です。柿板のレベルさげてごめんなさいv

http://imepita.jp/20100611/493750
ごめんトリ間違った。

久しぶりなんでみなさんヨロ。
規制長かったけど見てたよ。
409創る名無しに見る名無し:2010/06/11(金) 22:06:55 ID:uS9B9eIO
柿板からとは珍しいな
すげえシュールで、なんか懐かしい感じの絵だ
410創る名無しに見る名無し:2010/06/12(土) 20:40:01 ID:vUFaBN/j
状況がさっぱりわからんw
だがなんか味のある絵だ
411創る名無しに見る名無し:2010/06/17(木) 14:32:59 ID:F8bnt5na
募集チュウ
412携帯 ◆4c4pP9RpKE :2010/06/26(土) 17:02:48 ID:8wUYJmX5
《結婚式》

 西暦2856年、男性が極端に減ったこの時代に於いて雄は超法規的な人類レベルで守るべ
き種の財産とでも言える別格の扱いがされるようになっていた!
 男子が生まれた家系はNMBF(ナチュラル・メイル・ボーン・ファミリー)として国家に
庇護され男子嫡出の遺伝子として人類の恒久的繁栄に活かされる栄光を受け、ついでに超
好待遇の男子嫡出安楽街と呼ばれる酒池肉林のハーレムに住むことを許されるのであった!
 でもそれは安楽街以外の女子が男日照りに遭うと言う悲劇をももたらしたのだった!


 とある木造二階建て家屋の玄関に一人の女が立っている。腰には2丁のフルオートカス
タマイズされたグロック。要塞と化した男子嫡出家庭の家屋を攻略するには短期決戦を望
む他に道はなく、弾薬は最低限に絞っている。
 女はインターホンをピンポーンと鳴らし、はい田中ですどなたですかという応対に大声
で返答を叩き付けた。

「御義父様、御義母様!私です!花子です!健治さんを、私に下さい!」
『あらまあ』

 間延びした返事をした田中のお母さんは更にこう続けた。

『土に帰りなさい薄汚い泥棒猫め』
「!」

 キュイ、とアクチュエーターの照準音を鳴らして玄関上部の鴨居の影に潜んでいたカメ
ラ付自動防衛機構が9mmパラヴェラムの豪雨を花子に降り注ぐ。
 花子は横様に跳び、備えあれば憂い無しと渾名される銃弾の名にアイロニーを感じる間
もなくグロックのフルオート射撃を防衛機構にばらまいて更に前回り受け身じみた前転で
田中家の愛犬ワードックの犬小屋に隠れる。
 ワードックは柴犬で、突然飛び込んで来た花子に容赦なく吠え、噛み付いた。
「い、いい子だから!噛まないで!」
 花子は思い人の愛犬を傷つける訳にもいかず狼狽する。花子の耳にインカムからの通信
が響いた。
『こちら二号!本命を援護する』
 二号──よし子がホネっこを持って生垣をぶち破って花子の援護にやってきた。
 ワードックはホネっこにむしゃぶりつき、安心した花子の目の前で二号の頭が弾け跳ん
だ。スイカが爆発するようだった。
『狙撃だ!三軒隣りに健治の妹が構えてる!庭から離れろ!』
 3号からの通信に蒼白し、花子は庭から田中家のリビングにつながる大開放にグロック
を乱射し、頭から突っ込む。
 頭から突っ込むつもりなどなかったが、足が無くなったのではないかと思うほどの衝撃
が太股を貫き体勢を保てなかった。狙撃に違いない。
 突っ込んだリビングの中では、田中の母がソファの影に伏せていた。

 花子は下卑た嘲笑を含んだほほ笑みが見えた気がした。
自らの身体の下に、白い紙粘土のようなもの。
(──C4)
 猛烈な爆発。
 花子の思考は炸薬の名を最後に思い浮かべ、たんぱく質の塊に帰った。

 結婚して珠の輿、というのは、いつの時代も難しいのだった。

終わり
413創る名無しに見る名無し:2010/06/26(土) 17:03:58 ID:8wUYJmX5
このスレまた盛り上がらないかなぁ
414創る名無しに見る名無し:2010/06/26(土) 21:51:43 ID:1mQD+zv/
こんな世界住んでみてえw
なんか無駄に殺伐としてるけどwww
415創る名無しに見る名無し:2010/06/27(日) 08:08:09 ID:4QzeNdds
出だしの設定よかったなぁ。
話は未消化なんじゃない
416創る名無しに見る名無し:2010/06/27(日) 22:03:33 ID:iPCnQ/xL
>>415
御察しのとおり未消化であります。
とりあえずS1に書きたいけど何も閃かなくて無理やり即興で書いたらこんな結果に

SSの道は険しいスなぁ
417創る名無しに見る名無し:2010/06/28(月) 02:45:13 ID:nrs6LsBW
来月のお題を決めましょう!
「夏」「海」「怪談」あたりですかね?
418創る名無しに見る名無し:2010/06/28(月) 02:59:24 ID:7r69PCO0
七夕とかはどうだろう
419創る名無しに見る名無し:2010/06/28(月) 03:51:27 ID:nrs6LsBW
「七夕」も良いすね。
去年も頑張って七夕で書いた気がします。


「夏」「海」「怪談」「七夕」
420創る名無しに見る名無し:2010/06/28(月) 12:38:17 ID:yinAwZNI
追加で「夕暮れ」「風鈴」「金魚」とか。
421創る名無しに見る名無し:2010/06/28(月) 13:26:16 ID:lCgLjKTZ
ああくそ、もう夏かー
最近時が過ぎるのが早いwww
422創る名無しに見る名無し:2010/06/28(月) 13:29:15 ID:utbuOG0+
このスレ見てると特に時の流れが早く感じるなw
423創る名無しに見る名無し:2010/06/29(火) 07:54:49 ID:Rifw4mn2
なかなかに風流なお題ぞろいだねぇ。楽しみ。
424みんなで幽霊キャラと怪談をつくるふえ:2010/07/05(月) 19:57:40 ID:HUztj+8k
メカメカしい何かを体中につけた少女が、トイレの一番奥の扉に三回ノックしたあとに。
「はーなこさん、あーそびましょ。ふぇふぇ」
「いいぜ」
はなこさんは普通に出て来た。
何故か口調が男勝りだが。
「やった!わたしコックリさんの用意してきたんだあ、ふえふえええ」
「マジかよ。悪霊大決戦になったらごめんな。やるけどな」
コックリさんコックリさんお出でください私たちに予言をお与えください。
そのとき、どろんどろんと煙があがった。
「げっほ!げほっ!煙いザマス!な、何なんザマスか!此所は一体どこザマス?!」
「ふむ?ここは何処じゃ?さっきまで鬼が島でCセットを待っておったはずなのじゃが」
「あれ?おいら、兵十にぶっころされたはずじゃ?」
なんか超狐っぽい獣人と巨乳の狐耳美人と狐があらわれた。
メカメカしい少女は叫んだ。
「やばい、呼び過ぎたっぽい!ふえふえええ!ふえええええ」
「俺、知ってるぜこいつら。大稲荷誠って先生と、信太主って大妖と、元祖狐話のお狐様だ」
はなこさんは何故か詳しく解説してくれた。口調は男勝りだ。
「困るザマス!今授業真っ最中だったザマス!」
「Cセットが冷める前に帰りたいのじゃが」
「おいら、まだ死んでなかったんだな。兵十、おいらをゆるしてくれっかな」
三者三様口々に別のことをしゃべる。
「うーん、全くまとまりがないでしね。ま、大は小を金本と言うしいいです。皆で遊びましょうふえふえ」
メカメカしい少女は携帯電話を取り出した。
「メリーサン(=陽気な太陽神)という人に繋がるケー番をゲットしたんでしゅよ。ちっと掛けて見るし。ふぇ」
ぷるるるぷるるる。がちゃ。
『は〜い、今日もあなたの子猫ちゃん夜伽の達人珠夜ちゃんですニャ』
ぶち。
「あ、キモいから思わず切ってしまったでし。ふえふえ」
「メリーさんなら俺が番号知ってるぜ。連絡とってやるよ」
と口を挟んだのははなこさん。口調は男勝りだ。
ぷるるるぷるるる。がちゃ。
「よう、俺おれ。はなこだよ」
『……妖怪から電話掛けられても呪いようがなくてスゴく私困るの』
「知らねぇよ、紛らわしいってんなら商売用とプライベート用に番号分けろよ」
『便所くせぇ自縛霊にアドバイスされたくないの』
「部品脱落の不良品が家に来るなんてPL法だか消費者契約法だかから脱法しまくった悪霊に言われたかねぇんだよハゲ」
『やろうっての?』
そのとき、メカメカしい少女はトイレの窓を突き破って男が入ってきたのに気がついた。
「な、なんか敵きたでしっ?!ふぇ!」
「いや、俺の敵は君じゃない。俺の敵は……お前だ!」
突如現れた男は手に魔素を集めてはなこさんに放った。
「波ぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!」
「ちっ、邪魔が入った、またな!」
はなこさんは魔素の光球を受けて半身を吹き飛ばされたが、怯むスキも見せずトイレの暗がりに溶けて消えた。
「ほう、はなこさんを屠るとはの。貴様が伝説の……寺生まれのTか」
キッコさまは何故か関心しきり。
「ちゅーか遊ぶ前に帰りやがったですし。はなこさんのばか、ふえ」
「もう帰りたいザマス」
「兵十め、絶対に祟ってやらぁ」
「なにかあったらまた俺を呼びな」
『……せめて現場までいきたかったの』
混沌の怪談は幕を閉じた。
もう開くことはないだろう。
いやマジごめんなさい。

終わり
425創る名無しに見る名無し:2010/07/05(月) 21:08:55 ID:5y/faN6A
なんというカオス
426創る名無しに見る名無し:2010/07/06(火) 06:40:52 ID:7ry+G+/j
わけわからんwww


が、しかし中々……
427創る名無しに見る名無し:2010/07/06(火) 18:04:07 ID:Y8Zni9Fj
おつおつ
そしてなんかすげえことになってるwww
そしてどうでもいいがTさんネタかぶったあああああ!
428創る名無しに見る名無し:2010/07/07(水) 14:21:50 ID:3gKRBkQ4
ワロタ
騒がしいトイレだなぁ
4297月「あわいにて」 ◆mGG62PYCNk :2010/07/07(水) 16:21:06 ID:aVNkwHXM
投下します。
お題は

『怪談』
『夕暮れ』
『七夕』
『夏』

です。
4307月「あわいにて」 ◆mGG62PYCNk :2010/07/07(水) 16:21:49 ID:aVNkwHXM

 夕暮れ時、逢う魔が時とも呼ばれる時間帯、青々と茂る竹藪の中に大小二つの人影があった。
 小さい方の人影が大きい方の人影に歌を披露している。
小学生くらいだろうか、夕日に照らされて映える赤い吊りスカートに赤いランドセルの女の子が歌うのは今日この日に相応しい歌だ。
「さーさーのーはーさ〜らさら――」
 大きい方の人影、青年を見上げてたなばたさま≠フ歌を舌足らずに歌う女の子の声はうっすらと緊張を孕んでいる。
 ひと通り歌い終わると女の子は青年を上目使いに見上げた。採点を乞うようにおずおずと訊ねる。
「……どお? お兄ちゃん」
 問われた青年は口許を緩めると女の子のおかっぱ頭に掌を乗せた。
「上手だよ花子さん。感動した」
 褒めながら髪を撫でると花子さんは誇らしげにえへへと笑う。
 彼女は満足すると青年にランドセルの中に入った紙の束を差し出してきた。
「はい、赤い紙さんと青い紙さんの紙でみんなでつくったんだよ」
「確かに受け取った」
 青年が紙の束を受け取ると花子さんは「おつかい、ぶじにできた!」と微笑み、あのね、と青年に話し出した。
「これからね、なつになってね、あつくなるでしょ? だからね、わたしたちね、すっごくいそがしくなるんだー」
 怪談の時期だからな、肝試しをする連中もいるだろう。
 そう思いながら青年はクリスマスが待ち遠しくてたまらない子供と同じように期待に興奮を露わにしている花子さんを見て苦笑した。
「あまりおいたをしないように。と皆にも言っておいてくれ」
「はーい」
 さて、どこまで分かっているのだか。
 元気に手を挙げて返事をしている花子さんにそう感想を抱いていると、竹藪にもう一つ人影が侵入して来た。
 それに気付いた花子さんがその影に呼びかける。
4317月「あわいにて」 ◆mGG62PYCNk :2010/07/07(水) 16:22:37 ID:aVNkwHXM
「お姉ちゃん!」
「花子ちゃん、そろそろ帰りましょうか」
 顔に友人からもらったという口許を覆い隠す大きなマスクを付け、
頭から帽子を目深にかぶっている彼女は親がいない花子さんの姉を自任している女性だった。
 青年は彼女に手を軽く振りながら空を見上げる。
今日は快晴だ。日も沈みかけ、夜空を飾る天の川が赤から紫に移り変わり始めた空の色を通してぼんやりと見える。
 それを確認したうえで青年は女性に言葉をかけた。
「雨の日以外も外に出られるようになったか」
「ええ、おかげさまで。いつまでもひきこもってはいられないでしょう?」
 そう言って女性は自慢気に花子さんの手をとる。
「じゃあまた」
「ばいばーいおにいちゃーん!」
 花子さんを連れて歩いて行くその姿は仲睦まじげで、本物の姉妹と見紛う程で、
 もう彼女は以前のように子供をひきずって彷徨うこともないだろうな……。
 姿が見えなくなるまでずっと手を振り続ける花子さんに手を振り返し、青年は少女が差しだしていた紙の束を見た。
紙一枚一枚に学校の皆のそれぞれの願い事が書かれている。
 ……まあ、これくらいは役得だろう。
 青年はひと通り短冊の体裁を整えた紙の束に綴られた文面を見て楽しむと、それを大事に懐へとしまい込む。
 さて、と一息つき、唐突に地を蹴った。
 宙に浮いた足の下を風が駆け抜ける。
 風は直進方向にあった竹をニ、三本勢いのままに捻じ切ると青年の方へと方向を変える。
「ふむ」
 その様子に青年は頷き着地すると片手を前に突きだした。その手には光が宿っている。
 小さく肺に空気を入れ、間髪いれずに鋭く喉を震わせた。
「破ぁっ!」
 裂帛の気合と共に手から光弾が疾り、青年に向かっていた意志ある颶風の先端で白光が弾けた。
 同時に獣が地面に落ちる。
 地面で呻いている旧知の顔を確認すると青年は呆れ半分感心半分に声をかけた。
「懲りんなぁ……」
「うるせえ、俺の勝手だろうが」
4327月「あわいにて」 ◆mGG62PYCNk :2010/07/07(水) 16:23:19 ID:aVNkwHXM
 地面に落下した青年の旧知、中年男性の顔をした犬がだみ声で青年に悪態をついた。
「たまには身体を動かしたくなんだよ」
 尚も不遜な態度で人語を繰る人面犬に髪をボリボリ掻きながら青年はポケットに手を突っ込んだ。
中から煙草とライターを取り出すと火を付け、中年男の顔を持つ犬へとくわえさせてやる。
 当然のように人面犬は深く煙を吸いこむと、満足そうに煙を吐き出した。前脚で青年の持っている彼用の煙草を指し、
「おい、お前も吸え」
「俺は要らんよ」
 付き合いわりいなと毒づく人面犬に青年は小さく笑う。
「あんたこそ、禁煙したらどうだ?」
「あー? うっせえよ」
 余計なお世話だと言わんばかりに吠える人面犬は更に毒吐きを続けるためか空気と共に煙草を深く吸い込んだ。
「――ってかおまえなあ」
 言葉と共に煙を吐き出し、
「いいのか? 俺達にこんなに深く関わっちまって。今ではお前がほとんど俺達と同義の存在だろうが」
 青年は自分を心配しているともとれる人面犬の言葉におや? と思い、反射的に空を見上げた。
 空は未だ快晴だ。
 ……珍しいこともあるものだ。
 そう思いながら青年は人面犬に答える。
「構わないさ――それに」
「おーいTさーん、町内会の祭り始まっちまうぜー」
 竹藪の外から人が呼ぶ声がする。
 それに青年は大声で少し待つよう応え、人面犬に片目をつぶって笑ってみせた。
「俺は友達が多いんだ。人にも、それ以外にもな」
「ケッ、これだから寺生まれは……」
 笑みの響きを含んだ声で言うと人面犬はそっぽを向いた。「あばよ」と吠える人面犬の後ろ姿に青年は声をかける。
4337月「あわいにて」 ◆mGG62PYCNk :2010/07/07(水) 16:24:00 ID:aVNkwHXM
「これから町内の七夕祭りに出てきてあの子が持ってきてくれた短冊を飾るんだが、来るか?」
「誰が行くか、あの小娘も小娘だ。
七夕に短冊飾りてえなら学校にも竹の一本や二本生えてやがるだろうに、なんでお前の所にわざわざ持って来るかねぇ」
「皆と一緒に飾りたいんだろう。学校にいる仲間たちだけではなく、生徒も含めた学校の皆とな。
 普段はそんな事出来ないからせめてこういう機会にでも」
「そういうもんかねえ」
「そういうものさ」
「俺みたいな一匹狼にゃあ胸もない小娘の感傷は分かんねえなぁ」
 煙草を吐き捨てて土をかけている人面犬にしょうがない奴だと言いおいて、青年はもう一つ誘い文句を投げかけた。
「待っているといい。二時間もすれば帰って来る。天の川を肴に酒でも飲もう」
 人面犬が振り向いた。
「お、話がわかるじゃねえか、流石寺生まれだ」
 小さな尻尾を振ってあっさりとおもねった人面犬にたっぷりと呆れた目を向けた後、青年は竹藪を抜け出た。
 竹藪から出てきた青年に友人がわけ知り顔で言う。
「また何か出たのか?」
「ああ、頼まれごとをされたよ」
 そう言って懐を軽く叩く青年に友人は相変わらず寺生まれはすげえなと笑った。
「まあいいや、行こうぜ。町内の超人がいないと祭りもいまいち盛り上がりに欠けるんだ」
「人を見せ物にするな」
 青年の言葉はスルーされ、友人は青年の手を引いて駆け出す。
 その勢いに数歩よろめきながら青年は空を見上げた。
 空は快晴、徐々に盛りへと近付いて行く夏の空を光の帯が煌びやかに流れ、周りに散らばる星々が彩りを添える。
 人も妖も等しく笹の葉に願いの札を下げては空に願いを託すだろう。
 両者の間を行き来する青年はそれを佳いことだと思い、頬を緩めた。
4347月「あわいにて」 ◆mGG62PYCNk :2010/07/07(水) 16:25:38 ID:aVNkwHXM
以上です

こんなTさんがいたっていいじゃない
435創る名無しに見る名無し:2010/07/08(木) 00:11:29 ID:RLEw9AY/
そういえば日常のTさんって見た事なかったなw
436『嗚呼、夏休み』:2010/07/10(土) 02:54:50 ID:gB7knEu+
 大学が夏期休暇に入る。
 よくある夏の憧憬はやっぱり憧れであって、俺には関係が無い事なのだと思う。
 夏の思い出といえば海や川や山なんかの自然と戯れたあの日あの時に思いを馳せる人が
多いのだろうが、俺の夏はいつもインドアだった。
 小学生の頃は皆がプールに行ってる時に用もないのに図書室に行って偉人伝を読んだり
漫画を持ち込んで怒られたり暇そうな図書委員とポケモンの交換なんかに勤しんだ。毎年
夏に小学校で停電騒ぎがあったのは、俺含む数人のインドアギャングが屋上へ続く階段の
踊り場のコンセントに裁縫セットから持って来た二本の待ち針を突っ込んでショートして
火花を散らさせる遊びをしていたせいだ。すみません先生。

 中学になってもインドア癖は治るはずもなく続行された。
 その癖が高じて科学部になんて所属したのが運のつきだ。
 科学部は科学するところだとの了解のもと入ってみたはいいが、科学よりもオタク文化
に先鋭化した比い稀なる精鋭達に俺の無垢は辱められ汚され犯され、ついには中学の裏社
会に組み込まれる事となってしまった。
 中学の裏社会と言ってもそれはやはりインドアな裏社会であって、主な活動は学校のP
Cにパスワードを知る生徒のみが遊べるようにエロゲをインスコしたり日本では犯罪にな
るような女体の陰部がありありと写った画像を希望者に配付したり輸入された海外のビデ
オやDVDを交換する仲買をおこなったりした。
 思えば、教師がパソコンに無知でネット環境が一部の者しか使えなかった時代だから成
立った裏社会である。
 裏社会の運営を執り仕切って居た科学部部長とPC部部長とJRC部部長が卒業し、P
Cに精通した新任の先生が赴任して来たのを期に、その裏組織は自然に分解した。
 残ったのは、倉庫係に抜擢されていた俺の部屋に詰まれたダンボール三箱のいかがわし
いエロゲとエロビとDVDの山であった。恥を忍んで兄貴に頼み込み売って来てもらった
ところ総額十三万円だった。裏社会の元構成員10人でカラオケやゲーセンに使った。

 高校は化学専攻の科に入ったので、やっと科学部でやるべきだった様々な薬品を扱う実
験を思う様試行できた。エグイ色のエグイ香りを撒き散らすエグイ煙を発生させる実験や
液クロマトグラフにジュースを通しまくって詰まらせたりガスクロマトグラフに唾液を検
査させて詰まらせたりエタノールにサイダーを混ぜて飲み明かしたり射出成型機の2トン
プレスにコインを挟んで平らにしたり金メッキ装置でチョーカーを金にしたりした。
 夏休みだというのに引率の教師も碌ろくいないまま実験設備を貸し出してくれた学校に
は感謝と不安を訴えたい。

437『嗚呼、夏休み』:2010/07/10(土) 02:56:32 ID:gB7knEu+
 そして今、大学は夏休み。
 就活もそこそこに、一回生二回生三回生に混じって四年なのにソーラーカーの開発に参
加している。
 やはり工房に引き籠もってインドアに夏を過ごしている。工房に寝泊まりして毎日ムサ
い野郎どもの顔を見て「さて今日もやりますか」「いや先輩もう就活してくださいよ」
「あーあーキコエナイー」なんてやりとりをする作業を終え、またエンジンに必要な部品
を旋盤で削り出したりする。

 海も川も山も無かったが、今振り返って見れば妙に楽しかったし、今だってやけに充実
している。
 学生の皆さん、インドアな夏を過ごして見ませんか?
 アウトドア派だった社会人の皆さん、こんな夏もあったんですよ?
 憧憬とは明らかに内容が違ったが、俺の夏はそこそこに輝いていた。

終わり
438携帯 ◆4c4pP9RpKE :2010/07/10(土) 02:58:18 ID:gB7knEu+
なんだかほぼノンフィクションになってしまったw
439創る名無しに見る名無し:2010/07/10(土) 03:12:21 ID:gB7knEu+
あげ忘れた
440名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 19:14:31 ID:buxkrDzk

いいじゃねえですか
ある意味充実した夏休みww
俺は……今年の夏もだらだらしつつたまに古い友人とどっかに行ったりしつつで過ごすのかな
441名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 23:13:56 ID:GQ5sfRht
ある意味リア充
442なつのあめ:2010/07/18(日) 10:22:05 ID:k/AJjMx4
蒸したての肉まんみたいな暑苦しい夕方、雨に降りこめられた。
本屋の軒下で今買った漫画が詰まった紙袋片手に、
戻ろうか考えてから一度出た店にまた入る気まずさを鑑みて、空を上目に仰ぐ。

ごろごろごろ。
稲光。

天気はご機嫌だ。
雨降りを、おてんと様の機嫌が悪い、なんて喩えるけど、間違いだと思う。
だって、猫と比べてみ?
機嫌が良いとき、ごろごろごろって鳴らすでしょ。
機嫌が良いとき、遊んでやるか、って感じでバタバタすると、抜け毛が舞うでしょ。
天気って、ペットみたいな可愛い奴なんだ。
空に、でっかい入道雲をみたら、でっかい猫が寝てるんだ、
そろそろ起きてきて、遊んで遊んでって寄って来るぞって。
そう考えると、夕立になりそうでも、あえて買い物に出ちゃう。

そしたらホラ。
遊んで遊んで、楽しいな楽しいな、って。
可愛い奴だ。

「ご機嫌だね」

楽しさと雨粒を撒く雲に声を掛けてみる。
暇なときの雨宿りは、なかなか愉快なんだ。

終り
443創る名無しに見る名無し:2010/07/18(日) 13:02:36 ID:ZB0xy7dT
なんか詩的な感じ
444創る名無しに見る名無し:2010/07/18(日) 23:45:57 ID:beFHV98O
詩的賛成
いいな、ちょっと天気の見方変わるかも
445創る名無しに見る名無し:2010/07/23(金) 22:18:56 ID:5HrLEn2H
さて、そろそろ来月のお題を考える時期なわけだ
順当に『夏休み』を挙げとく
446創る名無しに見る名無し:2010/07/23(金) 22:19:42 ID:5HrLEn2H
スレもageとく
447創る名無しに見る名無し:2010/07/23(金) 22:22:29 ID:mSiCe7ln
スイカとかもいいな
448創る名無しに見る名無し:2010/07/23(金) 23:24:13 ID:Zl78JJ8d
「――もしもし」

何回コールしたかわからない。
けれど、彼女が電話に出てくれた事を嬉しく思う。

僕は彼女に謝らなければいけない。
許して貰えるかはわからないけれど。

『……』

彼女が無言なのも無理も無かった。

「ごめん! 本当にごめん!」

だって、約束を破ってしまったのは僕なんだから。

『……どうしてあの日、来なかったの』

感情の篭っていない声で彼女が問いかけてきた。
でも、その理由は絶対に言えないのだ。

「……ごめん」

だから僕は謝った。
謝ることしか出来ないのなら、そうするべきだと思うから。

『――そういえばさ』
「?」

彼女の声の調子が変わった。
それまでの感情の篭っていないものとは違う、陽気な声。
僕は彼女のそんな声が大好きだった。

『今年のW杯、凄く面白かったよねー!』

『私的には、ドイツ×スペイン戦が良かったなぁ!』

――嗚呼、駄目だ。

――完全にバレている。

『ねえ、ブブゼラの音って実際に聞くとどうなの?』


――僕が彼女との約束をすっぽかし、W杯を見に行った事が。


『ねえ、どうなの?』
「……」

迂闊な事を言っては彼女の怒りの火に油を注ぐだけ。
ここは、冷静に対処しなければいけない。

「……――僕達が会えるのは一年に一度。W杯は四年に一度なん」

『死ねッ!!!!』

今年の夏は、彼女の怒りによって暖められた天の川のせいで暑くなりそうだ。

おわり
449創る名無しに見る名無し:2010/07/23(金) 23:28:02 ID:mSiCe7ln
彦星さんそれはないっすよw
450創る名無しに見る名無し:2010/07/24(土) 00:03:36 ID:RbPFMBSZ
おいおい何やってんすか彦星さんwww
織姫さんの機嫌取りに行くんだ早くwww
451金魚:2010/07/25(日) 02:20:04 ID:84GavgcF
金魚は泳いでいた。
夏の底を泳いでいた。
夏からずっと泳いでいた。
死んでからずっと泳いでいた。

百もの夏をさかのぼった昔、人間が夏祭りと呼ぶ儀式で桶に仲間共々詰め込まれ、
紙の掬いで水から出され、やがて小さな瓶に放された。
でも金魚はすぐに死んで、河原に埋められた。
金魚は馬鹿だから死んだことに気がつかなかった。
百もの夏を泳いで過ごした。
悠久の憂いも知らないまま、川面の下に見える泥鯉に恋したり、
川面のアメンボによだれを垂らしたりして過ごした。
爆弾が落ちて来て焼けた人が川に浮かんだり、儚んで飛び込む愚図がいたり、
硬い岩に変化する灰色の泥を河原に人間が塗ったり、河原の景色は百の夏を通して見ても全然飽きなかった。
ある日、金魚に仲間が出来た。
でもそれは金魚と同じではなかった。
それは人間の雌らしく、ブクブクに膨れた身体は青白くて、金魚にしても不細工な色をしていた。
鰭に似たひらひらがたくさんついているが、それは服というものであって真の身体ではなく、
ごすろりと呼ばれるものだと金魚は説明されて初めて知った。
金魚は新しく出来た仲間と親しく話した。
新しい仲間は、どうやら自分の意思で此処に居着いたわけではないらしい。
河原でマワされたあげく縛られて沈められ、半端な流れの日だったせいでだいぶ苦しんでから死んだという。
ブクブクに膨れた身体は、どざえもん、というらしい。
金魚には人間の生殖のやり方は分からなかったし、
結構あっさり死んだので生にしがみついてもがくことの必死さも全然理解出来なかったが、
そこにある怒りと憎しみだけは本能として理解した。
金魚は百の夏を過ごすうちに馬鹿なりに覚えたひとの言葉でしゃべった。

辛かったね。
悲しかったね。
仕返し、したい?
協力するよ。
僕ができるのは、“底”に語りかけるくらいだけど。

仲間はうなづいた。
金魚はすいすいと空まで泳ぎあがり、仲間をぐいぐいやって縛って流した人間の雄達を探した。
金魚は馬鹿だけど、川の出来ごとは全部見ているのだ。
仲間が沈められていた様子も、川の景色のひとつとして、ちゃんと眺めていたのだ。
金魚は金属に良く似た輝きをした目に、仲間を沈めた雄達を写した。
“底”が、雄達を飲み込んだ。

次の日、河原を何台かの救急車とパトカーが通り過ぎた。
幾か所かで、何人もが不審な水死をしたのだ。
トイレで。
街なかで。
山で。
およそ水死など有り得ないところで、何人もがぐっしょりずぶ濡れの青白いどざえもんになっていた。

金魚が河原に戻ると、もう仲間は消えていた。
河原の水草が増水で流されたくらいには悲しかったが、金魚にはどうしようもないことだった。

金魚は泳いでいた。
夏の底を泳いでいた。
夏からずっと泳いでいた。
死んでからずっと泳いでいた。
これからもずっと、泳いでいるつもりだ。

終わり
452携帯 ◆4c4pP9RpKE :2010/07/25(日) 02:22:14 ID:84GavgcF
動物お題を消化してなかった罠
453創る名無しに見る名無し:2010/07/25(日) 16:20:50 ID:WL1nr0UV
淡々とした語り口だな
454創る名無しに見る名無し:2010/07/25(日) 19:11:20 ID:RdnmKr4Y
この金魚実は川の霊的な主みたいな存在になってそうだww
本人の自覚なく
455創る名無しに見る名無し:2010/07/26(月) 05:53:03 ID:T8KDaLkK
むしろ祟りをもたらす神か妖怪的なものになってる感じだw
淡々とした語り口がなんとも合ってるね
456代行
なんかいい。ある意味純粋な金魚が怖くて哀しく、
また、いじらしい。

始まり方と終わり方もいいね! GJ