【ヒーロー】ヒーロー学園物語 三時限目【ダークヒーロー】

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1創る名無しに見る名無し
ヒーローは時代を映す鏡である・・・
ヒーローの黎明期・・・
それは「正義VS悪」の図式を確立した時代である。
そして、地球外の生物、怪獣、怪人の存在が確認されると、
対するヒーロー達も超人的な能力を備え、熾烈を極めた戦いが続いた黄金期。
そして、現在・・・それはヒーロー乱立の時代。
名ばかりのヒーローが自分たちの勢力拡大に明け暮れる日々。
正統派の正義、悪のヒーローたちの存在はそこにはなく、
戦いは「正義VS正義」、「悪VS悪」にまで及んでいた。
世の人々は真のヒーローの登場を待ち望んでいた。

このような状況を見かねた歴代のヒーロー達によって、設立されたのが『私立ヒーロー学園』である。
「健全な正義 VS 悪の復権」を理想に掲げたこの学園は、明日のヒーローを夢見る若者が日夜、勉学に励んでいる。真の正義のヒーロー、真の悪のヒーローを養成する唯一の養成機関が私立ヒーロー学園なのだ。
そこで、ヒーロー学園“進路指導教師”として抜擢されたあなたの使命・・・
それは生徒達を『新しい世代の真のヒーロー』に養成し、彼らをその任務に就かせることである。生徒の将来は正義か悪か・・・・・それはあなたの指導にかかっているといっても過言ではないのだ。
英雄に正義、悪の真実(こたえ)はない。

医大のヒーローものみたいな感じになる予定です。
みんなで創作しましょう。

まとめサイト
http://www27.atwiki.jp/herogakuen/

前スレ
【正義】ヒーロー養成所が舞台の小説【悪】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1226892101/
【正義】ヒーロー学園が舞台の小説 二時限目【悪】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1231683165/



2創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 23:17:46 ID:mp/uKPms
前スレより
503:創る名無しに見る名無し :2009/01/03(土) 20:38:22 ID:G0IYEoNx [sage]
>>487
2万年前の環境破壊で体を機械化し、魔法を操る悪魔族(アクマイザー3)
それらのロストテクノロジーにより改造・機械・超能力の技術が生まれ、悪魔から神を復元しようとする(009)
それらの技術からショッカー・ダークロボット・デスパーなどの下部組織に派生(色々)
大本営が自然消滅し、組織が分解、それぞれが軍事企業になる(平成ライダー、平成特撮)
というのが裏設定

空想科学読本で「世界征服するのに活動が町内会レベル」とか「1対1しか出来ない怪人に意味はあるのか」と
突っ込まれれてたので反論

ライダーや戦隊がド素人でも使える装着式になったのは商品だからということにしといてね


3創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 23:20:46 ID:mp/uKPms
前スレからの流れとか、わかってることとか
どんなスレかとか書いたほうがいいんじゃないかな

・ヒーローをめざす生徒達の学園物スレ。
 ほのぼのから恋愛、バトルまで有り。
 SSほか創作歓迎。

・ヒーロー学園
 島にある。正義部、悪部がありそれぞれに正義舎、悪舎がある。
 他に本館、研究棟、寮などがある。六年制、ゼミ制。
 カラクリ校舎という忍者育成施設もある。
 バイオ科、機械科、戦隊科などの学科がある。
 学園の近くには商店街がある。島には発電所などもある。
 男子寮、女子寮がある。

自分には今のところこんなくらいしか書けませんが
初めて来た人にも興味持ってほしいですね
4創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 00:18:54 ID:HlsLymig
投下そして新スレ乙です。
刑事さんは自治会に入れられるんか?w
ハルカはなんか気の毒な位置づけだ。
5錯綜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/01(日) 20:17:46 ID:G3Ktkq/Z
(困ったな。)
アイ殿から得た情報を元に
イルーゼという魔法使いを探しているのだが、未だに見つからないでござる。
登録されておる住所は、もぬけの殻でござった!

(もしや、 避けられておるのか)
なれど何ゆえに候
未だ會った事もない拙者を、避けねばしからばぬ事の由とは?
困り果ておった拙者は、再度アイ殿を、訪ねることにしたでござる。

先刻は、夜分でござったゆえ、 様々手順を、踏まねばしからばのうこざったが、
もたわごとんな刻限を、選んでおる余裕は、ござらん!
拙者の頭に記録じゃれておる歴史と現在起ことはゐることは、 既に大幅にずれてきておる!
早う過去を、正常に致さぬと、 拙者の存在事態が危うくなり申してしまうやもしれぬ!

いやはや、 拙者の存在のみにてしからば未だ良ゐ。
いかがせ拙者は、造りものの命。
由々しき事態は、未来が変ずることにで候とは、
過去を、正すために旅立つと云ふ存在が居ござらぬなり申してしまうやもしれぬことにある。

「アイ殿……良かった。」
格納庫の入口でアイ殿とバッタリ遭遇したでござる。
「あらウラノス君どうしたんですか?」
「先刻アイ殿から聞いたイルーゼとか言う魔法使いが見つからぬ。」
「本当ですか?」
「学生課に登録されていた住所に行ってみたが、そこは既にもぬけの殻でござった。
 寮には1年のときに出て行って以来、住んではいないようでござる。
 ひょっとして避けられているのであろうか?」
「ああ……、可能性はあるかもしれませんね。」
「拙者には全く心辺りはないのだが……。」
アイ殿の両肩をグラングラン揺すりながら尋ねる。
6錯綜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/01(日) 20:18:13 ID:G3Ktkq/Z
「ウラノス君って傷つきやすいですか?」
「拙者のボディーはクマムシの細胞を培養し強化してあるでござる!!」
両手を腰にあて胸をドンとはった。
「多分ウラノス君って初対面の人は絡みにくいと思う。
 だって初対面の人が黒装束にお面被っていきなり目の前に現れて
 しかも『拙者は過去に行く』とかいうんですよ?」
「そんなに絡みにくいでござるか……。」
「銀河連邦警察に不審者として、通報されても文句は言えませんね。
 私だってデータ通信してなければ速攻逃げてますよ。
 ってウラノス君?大丈夫ですか?」
あまりにショックな発言に、拙者の頭がフリーズする。
さすがアンドロイドだけあって発言が容赦ないでござる。

(拙者のファッションはそんなに変なのか。)

「というか。外見がコピーできるんだから、服装もコピーできるんじゃないですか?」
(ん?その発想は無かった。)
確かに触れた相手の声や指紋までコピーできるのだから、服装も出来るかもしれないでござる。

「今度試して見て下さい。
 ところで、今からイルーゼちゃんの所にお手伝いに行くんだけど来ますか?」
それならそうと早く言ってくれれば良かったのに……。
「それは無理、位置情報を貰うだけでござる。」
「無理?」
「一度でも人の世話になると、
 お返しということで骨の髄までしゃぶり尽くされるので、
 人に迷惑を掛けてはならないというのが母上の教えでござる。」

なんでも母上は学生時代に一度不良からノートを取り返して貰ったというだけで、
シャダイムとかいうアンドロイドのメンテナンスを今でもさせられているとか……。
7錯綜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/01(日) 20:19:57 ID:G3Ktkq/Z
「ウラノス君のお母さんってどんな人なんですか?」
「拙者はそんなに何度も会ったことはないでござる。忙しいでござるからな。」
「お……お母さんなんですよね?」
アイ殿が思わず絶句している。
(前々から感じていたのでござるが、
他の家でもこうだと母上が言っていたのは嘘だったのでござるか?)
「拙者はヘラという女性型アンドロイドに育てられたでござる。」
「この前探してた方ですよね?その方もお母さんが造ったの?」
「いや、育ての母は知人から譲り受けたと聞いた。
 なんでも父上も母上も多忙で育児放棄寸前だったそうでござる。
 そんなことより、イルーゼ殿について聞かせて欲しい。」

「イルーゼちゃんのこと?」
「そう何故住所が学生課でわからぬ?」
「単純に届けだし忘れたんじゃないですかね。
 イルーゼちゃん忙しいですから。」
「忙しい?」
「イルーゼちゃんは絵描きさんなのです。
 私もお手伝いをよくするです。」
「そんな者とアイ殿はどこで知り合ったでござるか?」
拙者の問いにウーンと腕組みをしたアイ殿が考え込む。
(何か拙いことを聞いてしまったでござろうか。)
こんなことだから、絡みにくいといわれてしまうのでござる。
 
「わかりました。ちょっとだけ見せてあげましょう。
 私とイルーゼちゃんの出会いを……。」
そういうとアイ殿は拙者の手を強く握った。
目の前の景色が変わり、またどこか別世界へと飛ばされた気分でござる。
アンドロイド同士の手つなぎは、ケーブルをお互いに接続するのと同じ意味があり、
お互いのことを深く知ることができ、人間のように自己紹介しなくて良いので楽なのである

しばらくして接続が切れたのか……。切られたのか。
景色が元に戻る。
8錯綜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/01(日) 20:21:26 ID:G3Ktkq/Z
「それでイルーゼ殿はアイ殿のなんなのでござるか?」
「友達ですよ。デストロイヤー王国を一緒につくるのです。」
拙者の知る歴史では、そのような王国は無かったのでござるが、
名前が似た王国ならあったでござるが……。
(それを言って良いものでござろうか?)
アイ殿は悲しむ顔は見たくないし、もしかしたら地図に載っていないだけやもしれぬ。
世界は広いと聞く、
それに王国というからには地図が機密情報になっておるのかしれん。

「ちなみにウラノス君も友達にもうなってますからね!
 今度はそっちの番です。少し未来を見せてください。」
それだは駄目だって母上にきつく言われんでござる。
ただアイ殿はアンドロイドだから寿命に限りがないわけで、
仮に未来を見せて知ったとしても、どうせその未来をいずれ見るわけだからして……。
(何か頭がこんがらがって来たでござる。)
「どうしたんですか?
 早く見せてください。イルーゼちゃんの家に着いちゃいますよ〜。」

その後ようやくイルーゼ殿を発見し、占い師は食堂に居るという情報を得たでござる。
ちなみに魔法というものを初めて見せて貰った。
拙者の擬態とはメカニズムがちがうようであった。
いずれ元の時代に戻ったら、解明してみようと思うでござる。
9錯綜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/01(日) 20:22:25 ID:G3Ktkq/Z
「おっかしいですねぇ。」
僕の名前はカストル、ヨコヅナでもなければ、デブでもないカストルです。
みんな覚えてくれたかな?
さて僕は愛しのジュリさんと姉さんに頼まれて、
変身が出来なくなったというハルカさんの診察をしています。
イクサ改造も後は微調整だけだし一息つけると思ったら、
今度はネロに変身グッズを頼まれたから、また忙しくなりそうなんだよね。

「そんなに悪いのか?」
肩越しからレントゲンをジュリさんが覗き込む。

「逆です逆。」
「逆ってどういう意味?」
ハルカさんも首を傾げます。
「アキレス先輩の診断結果と一緒ですよ。
 むしろどこも悪くありません!!
 ちょっとベルト出してください。」
もしかしたら、画像ではわからない故障があるのかもしれない。
「う〜ん、変身って言葉に体が反応しないのよ。」
これじゃぁ、診察のしようもないね。
10錯綜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/01(日) 20:23:07 ID:G3Ktkq/Z
「だいたいナツミさんが設計したんですよね。
 あの人が検体が怖くなったくらいで、
 変身が出来なくなるような設計をするとは思えないんですよね。ほげ!!」
ジュリさんのゲンコツに思わず舌を噛んでしまった。
「検体とはなんだ!検体とは!!!もっと他の言い方をしろ!!!」
(こだわるなぁ。)
「変身者って言えば良いんですか?」
「なんか変質者みたいだね。
 でも別に私はもう気にしてないよ。
 ハイドとだってもう普通に話してるし……。」
どうもそういう表面的な話では無いような気がします。
姉さんの話では未だに夜うなされてるらしいし。
「ちなみに初めて変身したときとか、新しいフォームになったときのことは覚えてますか?」
「無我夢中だったのよねぇ。気合じゃないかな?」
(あのナツミさんが、よく我慢できましたね。)
さっきから話を聞いていても抽象的とでも言うんでしょうか。
僕の聞いてみたかったエンペラーストーンのメカニズムについては、
残念なことにヒントすら貰えませんでした。
11錯綜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/01(日) 20:25:53 ID:G3Ktkq/Z
「時間が解決してくれんじゃないですか〜?」
「それじゃ遅いのよ!!!」
「知りませんよ。ナツミさんに聞いてください。ヘゲ」
「それを言うな!!!!」
あ……そうでした。
さっきジュリさんにきつく言われたんです。
なんでも目の前でナツミさんがさらわれた時に、
変身できなかったことを随分気にされてるんでしたね。
(ジュリさんは優しいなぁ。)

「しょうないですねぇ、
 それならショック療法試してみます?」
僕は携帯電話を取り出しながら、ハルカさんの顔を見る。
「ショック療法???」
「ちょっと待て、今危ないこと考えてないか?」
ジュリさんが僕の体をグラングラン揺らす。
「だって急いでるんでしょう?
 そしたらこう刺激与えてみるしかないですよ〜。
 それに凄い改造してるから、多少の刺激じゃ刺激にならないんですよ〜。」
12錯綜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/01(日) 20:43:25 ID:G3Ktkq/Z
「それでどうするんだ?」
「自家用ジェットを手配しましたんで、ちょっと待っててくださいね。」
「ジェット??」
「はい、大気圏まで飛びます。」
何で二人とも首を傾げているんだろう。

「ちょっと待てカストル……、
 まさかとは思うが……落としたりしないよな?」

「そんなに驚かないでくださいよ〜。
 だってシャダイムのボディーはクマムシ並の環境適応能力がありますから
 電気ショックとかじゃ痛い思いするだけですよ?」

適応できるというのは、決して痛くないという意味ではないのがポイントです。

(何でそんなややこしい事したんだろう?
 適応は画期的だけど、それなら無効化する技術も確立してると思うんだけどな。
 まぁこの二人に聞いても、わかんないだろうね。)

「それで変身できるようになるの?」
ハルカさんは不安そうです。
「100%かと言われると、絶対そうだとは言えませんし……。
 かといって全く無駄かというとそうでもないと(モゴモゴ)」
「ようはカストルにもわからないんだな?」
(実際のところそうなんですよね。)
アポロンにも聞いてみたんですけど、
予知によるともうすぐ変身することになるみたいです。
ただそれがいつかと言われると、例の如く定かでないわけで……。

「わかった、やってくれ。」
ハルカさんは僕の手をギュッと握ると力強く頷きました。
13 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/01(日) 20:50:40 ID:G3Ktkq/Z
スレ立て 乙です。


閉鎖区域が存在しその閉鎖区域は第九層ある。
階層の敵は奥(数が小さくなる)へ行くごとに、
敵(アンゴルモアの寄生体やパンドラの実験体など)が強くなり、
6層以上は敵が複数になる。
腕試しに出た学生がたまに帰れなくなるので、
忍者ゼミの面々が24時間交代で警備を行っている。

ちなみに殆どの最上級生は1人で1層まで行ける。

こんな感じかな。
他にあったっけ?
14創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 13:11:22 ID:MktaEGuI
スレ立て&投下乙
3限目ですか。
またヒルトとイシイさんのバカ話が読めると良いね。
15創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 14:50:46 ID:PAC/wGIN
いつになったら終わるんだこれw
16創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 15:23:44 ID:PkeDMy3M
エンドレスでもいいしいつか終わるんでもいいんじゃないのん
WIKIちょっとだけ更新しました 火花と疑念
変なとこないか暇なときにでも確認してみといて
前スレの落ちる前に更新したほうがいいんだろうけど
俺仕事遅くてなー
17創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 15:26:52 ID:vEV7Z9pP
いちいち読まねぇよ。
18創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 15:46:06 ID:MktaEGuI
マターリとヒーロー見習い達の学生生活を描くスレだし良いんじゃまいか。
ドラえもんやサザエさん方式とでも言うのかw

新規も積極的に投下すればよろし
19創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 21:08:23 ID:fZbT2S0W
更新乙です。
ふと思ったんだけど、特撮かSFに出てくる科学者で生き残ってるのっている?
20創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 14:08:05 ID:BSU4c2NB
宇宙刑事さんはもう続きないのかな?
バレー戦隊も良かったから続きみたいな
21創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 23:42:21 ID:4UPCGzR/
ヒルトまた降臨しないの?
DBのZみたい位置づけで〜
22 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/05(木) 21:21:57 ID:IbjfSu4y
静かに消えようかと思ってたけど過疎っぽいから投下してみよう
優柔不断だなおいらは……
23試験 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/05(木) 21:24:37 ID:IbjfSu4y
 教室にはナオコ一人しかいない。テスト用紙を前に、ナオコはシャープペンを動かした。
 答えはレオパルトが教えてくれる。不正ではない。ヒーロー学園においては、カンニング
はバレなければ立派な技術として認められている。
 ベルが鳴り響く。ユウトがテストを回収した。

「はい、ペーパーテストは終了よ」
 にこやかに言うと、シロキは教室を出ていった。
「休憩のあと実技試験です」
 アオミ・マタサブロウという助手が伝える。やや顔色が悪い男だ。マタサブロウも廊下へ出た。

「まったく、入学テストの手伝いなんてめんどくせーな」
 愚痴りながら、ユウトはブラシで背の羽根をなでつけた。
 人質がいたのに攻撃してしまったペナルティで、ユウトは臨時入学試験のアシスタントを
している。
「人質っつってもヒーローだったんだしいいじゃねーか……」
「知ってる人がいてよかったです」
 心細かったナオコにはありがたかった。
「おまえはそうかもしんないけど」


 休憩が終わり、ナオコは第二体育館へと移動した。
「それにしても広い学校ですねえ」
 ナオコは体育館の高い天井を見上げた。
「ああ。実は俺も全体はよくわからないんだ。たまに空から眺めるんだけどさ」

「はい、おしゃべりはやめよ」
 シロキがやさしくたしなめ、ナオコとユウトは黙る。
 体育館の出入口が大きく開かれ、ロボットが入ってきた。太い腕、短く太い足でゴリラに
似ている。背でぜんまいがゆっくり回っていた。

「ここからは俺が担当するぞー!」
 あとから入った、こちらもゴリラを思わせる大男が声を反響させる。
「俺は実技担当キミドリ・イワオだー!」
「はあ」無駄に高いテンションにナオコは圧倒された。
 ロボットが腕を上げ、重い吠え声で耳を打つ。

「こいつはヒーロー学園研究部が開発したテスト用ロボット・源内八式だー!
 すごいだろー!」
「ぜんまいですね……」
「ただのぜんまいじゃないぞー! 超合金ですごく固い! ヒーローじゃなきゃ巻けない!」
 限界まで巻けば百時間稼働するすぐれものだ。鈍い金属光沢のゴリラ型ロボットは、なかなかに迫力があった。

「それじゃ、そろそろはじめるわよ。武器は一つまで使っていいけど」
 シロキがうながした。
「私はこれでいいです」
 ナオコは携帯電話を出した。黒ヒョウの首にヒモが巻かれてストラップになっている。
24 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/05(木) 21:26:00 ID:IbjfSu4y
続きはまた今度 ではー
25混乱 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/05(木) 21:58:24 ID:rUi9OTei
「パンドラ様……4体の兵器が完成いたしました。」
「ほぉ、ナツミ博士、今度はどんな怪人だ。」

「デスストーカー、タイガービートル、クロドクシボグモ、ブラジルサンゴヘビに不死身昆虫と呼ばれるクマムシのDNAを掛け合わせました。
 もともと持っていた毒の精製機能も強化したことで、
 遅効性・即効性・神経毒・出血毒など戦闘の相手や状況に応じて
 最も有効な毒を自由自在に精製できるようになりました。」

「それは頼もしい。しかし毒を扱う者は時としてその毒針封じられてしまうと弱いと聞くが?」

「ご安心をこの者達は血液も毒液となっておりますので、
 爆破すれば半径5km以内にそれは飛び散ることになるでしょう。」
「ちなみに毒はどのくらいの毒性なのだ?」
「自在に変化しますので一概になんとも言えませんが
 マウスに対する最小致死量測定では0.0000001μg/kgを計測いたしました。
 人間で説明いたしますと、0.001gで10万人を殺せる計算になります。
 あくまで最低ベースですけども。」
「ふむ、まぁ良い。名はなんと言うのだ?」
「サンプル11号、12号、13号、14号でよろしいかと思いますが……。」
「ふむ、今回は出来も良さそうだし、
 いずれは我が要塞の護衛や侵略作戦では中核に当たることになるであろう。
 よってこのパンドラが直々に名前を付けてやるとしよう。
 まずお前…お前はサソリだから……。」
パンドラがそれぞれに名前をつけている間、私は地面に足の先で絵を描いて退屈しのぎ。
26混乱 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/05(木) 21:58:55 ID:rUi9OTei
スコーピオン (人間名 コン・マゼラン)
サソリの中で一番強力な毒を持つといわれるデスストーカーとモウドクフキヤガエルがベース
長い両手のハサミと尻尾の毒針と高い跳躍力が最大の武器。
ハサミは片手で電柱すら簡単に切ってしまう。
毒針は飛ばすこともでき、その貫通力はウエットスーツはおろか鉄の板数枚を楽々貫く。
体色は鋏と足に尾部の色が黄色み、胴体の色はそれに加えて黒みがかかっている。
その胴体部にある単眼部分と尾の第五節部分に強い黒みがかかっており、最大の特徴。
性格は礼儀正しく、4人の中で一番頭脳に優れている。
変身前の状態は黒髪に眼鏡の男性と一見オタク青年風。
ベースのサソリが夜行性のため、夜でもハッキリとモノが見える。

ビートルハンター (人間名ハル・ガリレオ)
ハンミョウの中で特に毒性の強いタイガービートルとキロネックスフレッケリがベース。
体に対して頭部が大きく、複眼や大顎が発達している。また、脚も細長く発達している。
全身が金属光沢で鮮やかな体色をしている。
動作は非常に敏捷で、素早く走り回ったり翅を使って飛び回ったりする。
飛行距離は100km程度。4人の中で唯一空を飛ぶことが出来る。
強力な大顎は特殊合金の板でさえ食いちぎる。
(噛み付いたときに毒を流し込み中から腐らせる。)
全身に小さな突起があり、そこから毒を出すことも可能。
性格は残虐で獰猛。
ナツミでさえ殺されそうになった事がある。
27混乱 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/05(木) 22:00:56 ID:rUi9OTei
スコーピオン (人間名 コン・マゼラン)
サソリの中で一番強力な毒を持つといわれるデスストーカーとモウドクフキヤガエルがベース
長い両手のハサミと尻尾の毒針と高い跳躍力が最大の武器。
ハサミは片手で電柱すら簡単に切ってしまう。
毒針は飛ばすこともでき、その貫通力はウエットスーツはおろか鉄の板数枚を楽々貫く。
体色は鋏と足に尾部の色が黄色み、胴体の色はそれに加えて黒みがかかっている。
その胴体部にある単眼部分と尾の第五節部分に強い黒みがかかっており、最大の特徴。
性格は礼儀正しく、4人の中で一番頭脳に優れている。
変身前の状態は黒髪に眼鏡の男性と一見オタク青年風。
ベースのサソリが夜行性のため、夜でもハッキリとモノが見える。

ビートルハンター (人間名ハル・ガリレオ)
ハンミョウの中で特に毒性の強いタイガービートルとキロネックスフレッケリがベース。
体に対して頭部が大きく、複眼や大顎が発達している。また、脚も細長く発達している。
全身が金属光沢で鮮やかな体色をしている。
動作は非常に敏捷で、素早く走り回ったり翅を使って飛び回ったりする。
飛行距離は100km程度。4人の中で唯一空を飛ぶことが出来る。
強力な大顎は特殊合金の板でさえ食いちぎる。
(噛み付いたときに毒を流し込み中から腐らせる。)
全身に小さな突起があり、そこから毒を出すことも可能。
性格は残虐で獰猛。
ナツミでさえ殺されそうになった事がある。
変身前の状態は、ロンゲの金髪の男性と分かりやすい悪役
28混乱 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/05(木) 22:01:52 ID:rUi9OTei
クロドレーガー(人間名 ローガー・ジャック)
世界で最も猛毒といわれるクロドクシボグモとミノムシとイモガイをベースにしている。
戦闘中は手が八本になる。
4人の中で一番素早く行動でき、唯一水中でも陸地と同じように戦うことが出来る。
また武器の使用にも長けている。
毒を注入する牙は驚くほど長く60cmほどあり、身長も2.5mとかなり大型。
容姿はストライプの入った貝殻の帽子を被った蜘蛛男とふざけた外見。
自分のテリトリーに粘着糸を吐き進行具合を計ったり、獲物を捕らえたりする。
ボディーには絶縁コーティングがされおり、電気をとおさない。
糸は透明と白い糸の二種類があり太さや長さは自由自在にコントロール可能であり、
共に1000-2000℃の熱にも溶けず
強度が強いだけでなく、火にも強く、紫外線による劣化も起こらず、
吸水性が高いため電気を通さず、埃もつかない。
4人の中で一番早口で行動も早い。
変身前の状態は初老の中年

サンゴチャク(人間名 サンゴ・トニー)
蛇のサンゴヘビとスナギンチャクを元にした怪人
体形は細く眼は大型で、眼は赤い。
眼には赤外線感知機能がある。
体色は赤、白、黒の横帯が入り基本カラーはグリーン、頭部は明色だが成長に伴い暗色になる。
4人の中で一番後に完成したため現在発展途上であるが、
最も毒の精製能力と戦闘能力が高く、特に神経毒の精製が得意。
手には肉球があり、全身の薄い体毛と合わせて触れた者に毒を与える。
出血毒や溶血毒だけでなく、ただのパンチ・キックがそれぞれ必殺の威力を持つという。
また毒量も多く、一噛みで注入する毒の量は成人男性の致死量1000000人分。
非常に攻撃的な性格で肉食だが、仲間思いで同性ということもありナツミに一番なついている。
変身前の状態は、フランス人形を成長させたような容姿にし、綺麗なバラには棘があるの典型的な例。
ベースが蛇のため、神経質でストレスを感じやすい、また冷え性である。

共通事項
4体とも息は毒ガスになっており、風上に立たれると非常に危険。
(会話などのときは、本人の意思で切り替え可能。)
クマムシのDNAを掛け合わせており不死身に近い
自己進化・自己再生が可能である。
29混乱 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/05(木) 22:02:34 ID:rUi9OTei
(敬語なんて慣れないもの使ったから鳥肌が立ってるわ。)
私は4体の怪人と別れると急いで部屋(牢屋)へと戻る。
「では皆さんお元気で〜。」
甘い言葉に騙されて自ら道を踏み外した科学者や、
私のように強制的に連れてこられた科学者達は、夜は大きな牢屋に閉じ込められ、
朝8時の起床から、夜20時の消灯まで兵器の開発をさせられているの。
(生活自体は学園とそんなに変わらないんだけどね。)
強制されるというのは気分の良いことではない。

牢屋には3種類あって、最初に15-20人の科学者が入れられるのが第一牢、
次に入れられるのは、5-6人が入れられる第二牢、
そして最後に1人ずつ入れられるのが第三牢というらしい。

有力な兵器を開発した科学者は、先程のように親玉のパンドラと謁見し評価して貰うの。
一定期間で結果の出せない(パンドラを満足させられなかった)科学者は、
問答無用で殺されてしまう。

(全く貴重な頭脳をなんだと思ってるのかしら。)
ちなみに私の場合もそろそろだったので、実は結構危なかったのよ。
いくつか同時進行で開発はするけど、全部が期間内に終わるかなんてわからないからね。
30混乱 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/05(木) 22:04:20 ID:rUi9OTei
「なんでこんな所に?貴方アンゴルモアの手下だったんじゃないの?
 宣戦布告のテレビにも出てたじゃない。」
「あれは拙者のクローンでござる。」
わかったわ!!
(これは罠ね?)
私としたことが危ない危ない。
危うく引っかかるところだったわ。
忠誠心を試すテストね。
そんなことでボロを出す私じゃないわよ!!
「信じておらんでござるな?
 拙者は二重スパイだったのでござる。」
「二重スパイ?」
そんなベタな引っ掛け今どき、映画でもやらないわよ。
「左様、アンゴルモアの情報を学園側に流し、重要でない情報を敵側に流しておったのでござる。
 流していたのは……。」
31混乱 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/05(木) 22:06:12 ID:rUi9OTei
「さっさとこっちの第二牢に入れ!!!」
看守が私の背中をドンと強く押してせかす。
(パニック映画だと真っ先に仕返しされるタイプね。)
「わかってるわよ。」
私の首には首輪、さらには後ろ手に手錠を掛けられ、足には鎖と鉄球がつけられている。
自殺や逃亡を防止するためのものみたいだけど……。
(動きにくくてしょうがないわ。)
倒れたら朝まで起きれないので、私も細心の注意を払って牢屋に入る。
「ふん。まぁ精々これからもパンドラ様のために兵器を開発することだな。」
看守はそういってニヤリと笑いながら、ガシャンと牢屋に鍵をかけた。

「新人さんでござるか?」

奥から声がする。
牢屋には経費節減ということで照明器具が一切設置されておらず、
何しろ世界中からめぼしい科学者をスカウトしてきているから、牢屋の数だけでも馬鹿にならないのである。
さらには地下牢のため窓も無く明かりが一切入らないので、相手の顔は見えない。
(はてどこかで聞いた声のような……。)
「貴方お名前は?」
「ん?その声?どこかで聞いたようなヒーロ学園の者でござるか?」
「ええそうよ、貴方は?」
「クラマでござる。学年にすると……。3年生のはず……でござる。」
誰かと思えば裏切り者クラマじゃないの。
32創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 22:06:27 ID:4sNJ6brJ
33混乱 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/05(木) 22:07:36 ID:rUi9OTei
「なんでこんな所に?貴方アンゴルモアの手下だったんじゃないの?
 宣戦布告のテレビにも出てたじゃない。」
「あれは拙者のクローンでござる。」
わかったわ!!
(これは罠ね?)
私としたことが危ない危ない。
危うく引っかかるところだったわ。
忠誠心を試すテストね。
そんなことでボロを出す私じゃないわよ!!
「信じておらんでござるな?
 拙者は二重スパイだったのでござる。」
「二重スパイ?」
そんなベタな引っ掛け今どき、映画でもやらないわよ。
「左様、アンゴルモアの情報を学園側に流し、重要でない情報を敵側に流しておったのでござる。
 流していたのは……。」
34混乱 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/05(木) 22:09:22 ID:rUi9OTei
「ヘックシュン!!!」
「風邪かい?」
「いや別にそういうわけじゃないですよ。」
「なら良いだわさ、それより少しスピードを上げるだわさ!」
巨乳忍者とハイテク忍者がゼミに来ないので、GPSで探してみたら
二人は閉鎖地区へ向かっているようだったのだ。
第1区では先日パンドラの空中要塞へと繋がっていると思われるゲートが発見されたばかりである。
ナツミを助けに行くと息巻いていたから悪い予感はしていたんだが、俺の悪い予感というのはいつも当たるんだよな。

「ガルル…」
「邪魔だわさ!!」
ミユキ女史が足を伸ばしてクルクルと回転し敵を一掃する。
相変わらず諜報とは程遠い慌しい戦闘スタイルだ。
(変に騒ぎになるよりマシか。)
「こういう任務はユキチさんの方が向いてるんじゃないですかね?」
「仕方ないわさ、実習が再開したんだから。」
「そもそも何でですかね?こんな時期にしなくても……。」
「いつ戦いが終わるかもわからないし、
 アタイ達もいつまでも立ち止まっているわけにはいかないからね。」
(そりゃそうだ。)
「ん?なんだわさ?」
ミユキ女史が足を止め、白い糸に触れる。
「また新しい怪人じゃないですか?
 それより早く先に進みましょうや。まだ7層ですよ!」
「う〜ん、何か気になるんだわさ。」
ユキチ女史はポリポリと唇を描きながら糸を調べている。
シュッと何か発射する音が聞こえたかと思うと、ユキチ女史が地面にバタリと倒れた。
「しくじったわさ。体が痺れる……。」
(そういえば、刺されたときはダメージを感じるんだっけな。)
35混乱 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/05(木) 22:09:56 ID:rUi9OTei
「我はポイズナー4兄弟の長男……スコーピオン。
 貴様等も先程の人間達と同じ目に合わせてやろう……。
 とくと味わうが良い。」
雑木林の中からカエルの顔をした怪人が現れる。
そのとき低いだみ声がした。
「貴兄はそっちの女のトドメをさせ。
 そっちの息の良さそうな男は俺がやる!!」
声の主らしき怪人は木の上から颯爽と現れ、俺の背後を取る。
「何者だ?」
「我はポイズナー4兄弟、三男クロドレーガー。覚悟するべ。」
クロドレーガーと名乗る蜘蛛の顔をした怪人の口から牙が見る見るうちに顔を出す。
(二人を相手にするのは厄介だな。)

だから言ったろ?
俺の悪い予感当たるんだって……。
36 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/05(木) 22:11:55 ID:rUi9OTei
wiki更新ありがとうございました。
更新したらあげちゃっていいよね?
牢屋に閉じ込められた科学者が希望を失わないように空中要塞ということは内緒になってます。
37 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/05(木) 22:17:02 ID:rUi9OTei
すみません。
30ですが投下ミスですので、無視してください
38創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 10:52:29 ID:P9fnFC0Y
投下乙でーす。
一作はこれから、もう一作は山場っぽいね。
期待してます。
39 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/06(金) 21:09:50 ID:iK+q6ZB/
乙です
ナツミさんふびん クラマは活躍するんだろうか
ではひっそり>>23の続き
40試験2 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/06(金) 21:12:01 ID:iK+q6ZB/
「最近は携帯電話で変身する子多いわね」
「いえ、ストラップのほうです」
「あらそう。じゃ、はじめましょう」

 シロキのくわえた笛が、身の引き締まる高音を鳴らす。
 ナオコはストラップのレオパルトを握り、念じた。レオパルトとナオコの精神が一つになり、
光が発せられ姿が変わる。
 黒ヒョウの頭、全身黒くなめらか、揺らめく長い尾のシュバルツェル・レオパルトが
あらわれた。
 ちなみに、これは簡易な試験だ。ブラックスミスを撃退した功績で、難易度の低い入学
試験を受けることが許された。
 普通の入学試験はこれよりやや厳しく、課題も多い。

 源内八式はすばやく跳ね飛び、ナオコに向かって鉄の拳を繰り出す。
 見た目からは想像できない敏捷性だ。
 黒ヒョウに変身したナオコは全身バネにし真上に飛んで、大きな握り拳をかわした。

「ガトリング・パンチ!」
 黒い手がいくつも増えたようになって、源内八式の樽みたいな頭に降り注ぐ。
 固い音が体育館に何度も鳴り響いた。
 源内八式は腕をうならせて振り、シュバルツェル・レオパルトの黒い姿を追う。

「ちょっと源内の動きがおかしくないですか」
 シロキがキミドリにきいた。
「速すぎますね!」
「C設定にしましたか?」
「昨日したはずですが、確認し忘れました! はっはっは」

 キミドリは大きな口を開けて肩を揺らした。
 源内八式は腕を変形させ、ドリルにして回転させた。
「ありゃA設定だな!」
 A設定は実戦レベルだ。「何とかしてよぉー」
 とつぶやきながらも、ナオコは襲いかかるドリルをかわす。スピードにおいてはナオコに
まだ分がある。

「笑ってる場合っすか!」 ユウトがあわてて、背の白い羽根を広げた。
「心配するな! ゲンパチは頭がいいからな、いえばわかる! おーいゲンパチ! これはテストだー!
 設定をCに落とせー!」
 キミドリは余裕ある態度で呼び掛けた。
 だが、源内八式は聞こえていないかのように腕を振り回す。
 ドリルの回転音が耳障りだ。
 シュバルツェル・レオパルトは尾をしならせ、ドリルを華麗によける。

「ゲンパチ! なぜ俺のいうことがきけないんだー!」
 こめかみ辺りに血管を浮かせるキミドリに、シロキが口をきく。
「もしかして、データが初期化されているんじゃ?」
「何ー? 俺とゲンパチの友情のメモリーが消えてしまったのかー!」
 うおおんとキミドリ男泣き。

「それより何とかしてっての」
 牙の見えるヒョウの口からナオコがこぼす。テストに使うだけあって、源内八式は頑丈だ。
41 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/06(金) 21:14:01 ID:iK+q6ZB/
ちびちび投下
正規の入学試験はハンター試験みたいにおもしろいもんではないかなと予想
ではまた
42創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 00:16:36 ID:TkTSswag
投下乙〜
入学試験ってそういえばどんなのがあるんだろう?
そもそも学園の存在はどこで知るんだ?w
43創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 16:30:35 ID:HMPZndW6
戦隊科と機械科でも違う試験だろうし
学部でも違う試験では?
44創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 17:11:07 ID:FvQsObp+
正義部は人格面重視、悪部は強ければOKみたいな感じでは?

誰も見ていない所で幼児からアメを取り上げる
正義のヒーローは失格、みたいな。

誰も見ていない普段の私生活を、構内のカメラからメインコンピューターに監視される。
特捜部は事件解決のキャリア、マシンやアンドロイドは人間と共存できるレベルの温厚な知性。

それらの条件が満たされないと悪部へ配属、
悪部でも力が弱すぎると脱落。

要するに性格が最悪で、弱い奴から足切りされる。
45創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 20:32:45 ID:TkTSswag
なるほど気がついたら試験は終わってるってわけか。
悪部にも何か条件が欲しいなぁ。

強いだけじゃなくて
例えば幼児からアメを取り上げた上に飴を踏んで心まで折ってしまうとかw
46創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:02:02 ID:FiKUIOes
扱いやすい性格の人間の方に学園側が潤沢な装備が回すだけでは?
悪部の条件をそう厳しくしても……

幼稚園バスジャックとか交番爆破、天災レベルの器物破損
デパ地下の試食コーナー荒らしやピンポンダッシュが出来れば悪。

人殺したらアウトサイダー。
47創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:48:34 ID:2LY2TB8P
そもそも変身システムは全部学園製なんだから
手に終えなくなった時点で変身すら出来なくなる希ガスw
48 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/07(土) 21:52:00 ID:FCmZ1H16
学園にとってよい子じゃないと捨てられちゃうんだろうか
などといいつつ空気読まず投下>>40の続き
49試験3 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/07(土) 21:56:26 ID:FCmZ1H16
 動き回るナオコはさながら黒い旋風だ。
 ユウトはロボットの背に回り、強制停止スイッチを探した。
「ナオコ、こいつの動きを止めろ」
「そ、そういわれても」
 パワーでは金属のゴリラには、とてもかないそうにない。
(ナオコ様、やりましょう)
 レオパルトの声がナオコの脳内に響く。
「うん、わかった。あの先生には悪いけど」

 精神が研ぎ澄まされると、ナオコのサイキックパワーが増大する。
「サイキック斬鉄爪!」
 爪の一閃、直後に源内八式は動きを止めた。機械の体が傾むく。源内八式の短い足が
一本、床に倒れた。
 片足になったロボットの背に飛び付き、ユウトはぜんまい近くのスイッチを切った。ぜんまい
が止まり、源内八式は目の光を落とす。モーター音が消えていった。
「うおーっ、ゲンパチの友情がーっ!」
 太い声でまだ泣くキミドリ。
「落ち着いてください、キミドリさん。データはパソコンにバックアップがあるはずですから」
 シロキがなだめていう。
「あっ、そうですね」
 キミドリはあっさり我に返った。
「私はどうすればいいんでしょうか」
 ナオコがやや不満そうにきくと、シロキは申し訳なさそうな笑顔を作る。
「ごめんなさいね。試験は終了でいいわ。結果はあとで連絡するわね」
「にしても、誰が設定変えたんだ」
 ユウトはいまいましそうに口をゆがめた。


 海岸へと急ぐアオミマタサブロウの姿があった。
「アオミさん」
 岩陰から呼び止める声がする。女の声だ。

「ツクヨミさん」
 アオミはあわてたようすで見回した。
 仮面をつけ、ローブで全身を隠した人物がたたずんでいる。
「どうでした」
「はい、ヤス・ナオコは源内に勝ちました。たぶん合格です」
「筆記試験の点数を下げられませんか?」
「まさか! 採点には監視があります、そんなことをしたらどうなることか……」

「そうですか。落ちてくれたら楽だったのですが」
 奇妙な模様が書かれた仮面の裏で、ツクヨミは声の調子を落とした。
「私にはわかりません。ツクヨミさん、何を恐れているんです? もっと強い生徒がヒーロー
学園にたくさんいますよ」

「私は別にヒーローの強さを恐れているわけじゃありませんよ。しょせん彼らは兵卒では
ないですか」
「はあ……。ヤスは記憶がないそうですが、やはり何かまずいことでも……」

「アオミさん、あなたも余計な詮索をしないことです」
 ツクヨミの声が急に冷たくなる。
「とんでもない。私はただ平穏無事に過ごせればそれでかまいません」
「ええ、あなたのポストは用意しておきますよ。あなたは賢い。最後に勝つのは正義でも悪
でもありません。私たち」
 海風がツクヨミのローブをはためかせた。

「……市民!」
 ヒーローたちの新たなる敵、『市民』が静かに動き始めていた。
50 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/07(土) 21:59:26 ID:FCmZ1H16
改行大杉食らってしまった
ツクヨミはバビル二世の宿敵ヨミの親戚さん
次からやっと学生生活です
51創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 22:19:35 ID:+oluc59z
プロ市民キタコレ
52創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 22:49:04 ID:FCmZ1H16
うん ヒーロー反対派ってのを出そうと思っている
エックスメンに出てきたのみたいな
正義も悪もとにかくヒーロー反対っていうシーシェパードみたいな奴ら
そいつらを裏で扇動しているのがツクヨミ
53創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 11:14:20 ID:p14nLEAz
第3勢力の登場か
楽しくなってきたな。
ふと思ったんだけどリレー小説とかどうよ?
入学から卒業までをみんなでリレーして描いてみないか
54創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 14:44:17 ID:lmZQD9Vr
リレーかー
途中で消えちゃわないような工夫がなんかあったらいいんじゃないかな
55確執 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/08(日) 21:14:01 ID:1ATNvhuH
(さぁ、今日から新しい兵器開発ね。)
先日開発した4体の怪人はまず、実戦経験を積ませるとかで最前線に配置されたらしい。

「あれこの怪人達……。ナツミちゃんがこの前開発した奴じゃないか。」
今日の修理リストをパソコンでチェックしながら、オクトパス博士が呟くのが聞こえた。
(何ですって?)
結構自信作だったんだけど、どれが破損したのかしら。
リサイクルできる部品があれば出来るだけ回収しないと……。
「良かったね。壊れたわけじゃないみたいだよ。」
右隣に座っていたドゥーム博士が独りポツリと呟く。
二人とも独り言の声が大きいので稀に反応してしまうのよね。

「やっぱり彼らにも私のように鎧を与えるべきだったね。」
ドゥーム博士は実験の失敗によって、
醜く破壊された顔を隠すために鋳造した全身鎧を身にまとっているの。

この前知ったのだけど、タルタロスの鎧を開発したのも彼らしいわ。
確かに言われてみると鎧の形状はドコとなく似ている気がする。
(冥府ってそんなに暇なのかしらね?)
ちなみに左隣に座っているオクトパス博士と助手のレディ・オクトパス博士はケルベロスを改造したんですって。
ケルベロスがバイクに変身するなんて私知らなかったわ。
そんな彼らは記憶喪失で街を彷徨っていたところをパンドラに連れてこられたの。
記憶の方はタルタロスが怪人を倒すのをみて取り戻したんですって。
でもここから逃げてもすることないから、今は手を抜き過ぎない程度に兵器開発をしてお茶を濁してる。
56確執 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/08(日) 21:15:10 ID:1ATNvhuH
ちなみに私の兵器開発にも同じ研究室にいるという縁もあって
性格のモデル設定と自己進化機能の追加など、ずいぶん手を貸してくれたので、
そのうちお礼でもしようかと思ってるわ。

もちろんレディ(レディ・オクトパス博士の愛称)に媚を売っているとか、
あばずれとかいわれない程度のお礼だけどね。
彼女は優秀なんだけど、オクトパス博士の事となると眼の色が変わるので注意が必要よ。
尊敬とは明らかに違う感情を抱いているのは明白なんだけど、本人は気がついていないみたい。

まあそんなことはどうでも良いわね。
パソコンから見れる情報によると、4体とも軽い負傷で昨日の夜から調整槽で修理中とのこと。
(今何時かしら?)
時計を見るともう少しで昼だ。
情報によると、一番重傷なハルを残して修理はもう終わってるみたい。
(いい気味よ。)
私は首筋を擦りながら、ハルに首を絞められたことを思い出していた。
(とはいえ……。)
今後の兵器開発のために、何があったのかだけは把握しておきたい。
そもそも自己再生・自己進化機能があるのに、何故調整槽に入る必要があるのかしら。
(もしかして、早くもサボり癖がついたとか?)
「ちょっと出掛けてきます。」
ホワイトボードに行き先を書き込み、研究室を後にした。
57確執 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/08(日) 21:16:26 ID:1ATNvhuH
「博〜士〜。」
調整槽のあるシェルターに入ると、すぐにどこからかサンゴが抱きついてきた。
彼女は4体の中で一番私に懐いている。
私というよりも、人間に興味があるみたい。
一番最後に出来たのに、一番最初に人間の言葉を喋ったという変わり者。
「久しぶりねぇ、今までどこで何やってたのかしら?」
「サンゴ達ね、仮面ライダー?っていうヒーローと戦ってきたの!!
 凄いでしょ!!!褒めて褒めて〜」
(う〜ん。)
彼女の性格はユイとエリカを足して、2で割ったような温和な性格にしたつもりだ。
でもどうやら失敗したよう。
最初は可愛かったけど、少し面倒くさいのよね。
「んとねぇ、サンゴはデルタってをあと一歩まで追い詰めたんだけど、邪魔が入っちゃって〜。」
「うん、タナトスとかいうライダー、ずるいんだよ!鎧着てるんだもん!!
 ハルに手伝って貰ったんだけどね〜。
 コンとローガーはトールってライダーと戦ったんだって〜。」
まさか私の名前出したりしてないでしょうね。
「ちょ……。」
「愚かなる人間に造られし、怪人はさっそくヒーロー達にやられて帰ってきたようであるな。」
自動ドアが空き、科学者のトップの地位にあるギルモアとコズミを筆頭とする腰巾着達がやってきた。
58確執 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/08(日) 21:17:35 ID:1ATNvhuH
「博〜士〜。」
調整槽のあるシェルターに入ると、すぐにどこからかサンゴが抱きついてきた。
彼女は4体の中で一番私に懐いている。
私というよりも、人間に興味があるみたい。
一番最後に出来たのに、一番最初に人間の言葉を喋ったという変わり者。
「久しぶりねぇ、今までどこで何やってたのかしら?」
「サンゴ達ね、仮面ライダー?っていうヒーローと戦ってきたの!!
 凄いでしょ!!!褒めて褒めて〜」
(う〜ん。)
彼女の性格はユイとエリカを足して、2で割ったような温和な性格にしたつもりだ。
でもどうやら失敗したよう。
最初は可愛かったけど、少し面倒くさいのよね。
「んとねぇ、サンゴはデルタってをあと一歩まで追い詰めたんだけど、邪魔が入っちゃって〜。」
「うん、タナトスとかいうライダー、ずるいんだよ!鎧着てるんだもん!!
 ハルに手伝って貰ったんだけどね〜。
 コンとローガーはトールってライダーと戦ったんだって〜。」
まさか私の名前出したりしてないでしょうね。
「ちょ……。」
「愚かなる人間に造られし、怪人はさっそくヒーロー達にやられて帰ってきたようであるな。」
自動ドアが空き、科学者のトップの地位にあるギルモアとコズミを筆頭とする腰巾着達がやってきた。
59確執 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/08(日) 21:35:33 ID:1ATNvhuH
「何ですって?」
顔を引きつらせながら聞き返す。

「欠陥だらけの人間の造る兵器など必要ないということだ。」
私はこのチームギルモアが大嫌い。
理由は簡単何かにつけて偉そうな態度だから。

「ギルモア様……、こんなの相手にしても時間の無駄ですよ。
 早くハイパー怪人5人衆を調整槽から出しましょう。」
(ハイパー怪人?)
「うむ。」
ギルモアが頷くと、コズミがパソコンの操作を始める。

「ハイパー怪人って何の話よ?」

「盗み聞きとは、やはり人間は卑劣だな。
 まぁ良い、卑しき人間よ特別に教えてやろう。
 ハイパー怪人4人衆とは、1人が怪人1000人分に匹敵する強さを持つ怪人を超えた怪人達のことである。
 ちなみにベースの細胞はパンドラ様の細胞を培養しており
 アンゴルモアの大王が4人居ると思えば、わかりやすいか。」

(ネーミングセンスはないわね。)

「何なら怪人同士で戦わせて見るか?
 もし万が一貴様の怪人が勝てば、
 牢屋から出して貰えるようにパンドラ様に取り次いでやろう。」

「え?」
それはちょっと魅力的だが……。
果たして出来たばかりの4人で勝てるだろうか。
シャダイムと比べても遜色は無い、
(いやむしろ)
ドゥーム博士達の協力を得たことで、私の最高傑作になったという気さえする。

「どうした?」

だからこそ、今もし壊されてしまっては勿体無い。
もう少し自分の力を理解して、120%発揮できるようになってからの方が良い気がするの。

「怖じ気づいたのか?ははははは!!!」
ギルモアの高笑いが響く。
「トレーニング場に怪人の設置完了しました。」

「よろしい、では我々も行くとしよう。
 いつでも挑戦は受けてやるぞ!!」

続く
60 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/08(日) 21:36:44 ID:1ATNvhuH
ハイパー怪人についてはまだ何も考えてませんので、
ご自由にいじっちゃってください。

次回からまた舞台が学園に戻ります。

61創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 22:45:01 ID:lmZQD9Vr
ギルモア悪なのか
ハイパー怪人……ちょっと想像つかん
ナツミかわいそーに タルタロスは何やってんのかね
62創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 14:58:10 ID:aI+S0/y3
仮面ライダースピリッツ的展開が良いな。
リレーはリレーとわかるように
名前の所に共通の記号でもつけていくしかないな。
wikiにも書いておかな

にしても、さらってきた科学者を競争させるとは
意外と策士じゃまいかw
63 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/09(月) 17:45:12 ID:YstfwC7i
ライスピ俺も好きだ けどあれシリアスだからなあ
なるほど科学者に競争させたら効率いいな
ではちょい投下
64発端1 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/09(月) 17:46:46 ID:YstfwC7i
 学園の寮ではじめてナオコは朝を迎えた。ゆっくり明るくなる部屋は狭いが、ベッドが
あり東南向きの窓があって、ナオコは満足だった。とりあえず着替えなど済ます。
 ナオコは高校のブレザーを着た。中途の入学者だし目立たないほうがいいだろう、と思って
のことだが、かえって目立つということにはまだ気付いていない。
 まずは寮の食堂に行ってみる。

 校舎が正義舎と悪舎に分かれているので、正義と悪は完全に分断されているのだとナオコは
勝手に思っていた。が、寮がくっついていたり同じ食堂を使っていたりと、混沌としている
ことに彼女はとまどった。
 正義と悪の女生徒が並んで談笑などしていることに、この新しい生徒は驚かされた。

「ナオコちゃん」
 朝食を選ぶナオコを、後ろから呼ぶ声があった。振り向くと、浅黒い肌、波打つ髪のいかにも
健康的な女性がいた。フェイクファーの服に身を包んでいる。

「あっ、ナミさん」
 二年生のサエジマ・ナミだ。
「最初はミックスサンドにするといいよ」
「じゃそうします」
 知人が少ないので、ナオコにはナミがいてくれるのがありがたかった。
 ナミのほうでもナオコが今日から学生生活をはじめると知って、力になろうとしていた。
 ナミはチキンサンドにし、二人は並んで座った。窓の外に見える中庭では、小鳥が遊んで
いた。木漏れ日が暖かそうだ。

「ゼミはどうするの?」
 チキンサンドを手にしたナミがきいた。
「ユウトさんがペナルティとかで、相談に乗ってくれることになってるんです」
「人質がいたのに攻撃しちゃったからね。私も関係あるし、付き合うよ」
「ほんとですかぁ。ありがとうございます」

 食堂の一角で騒ぎが起きていた。
「宇宙刑事かな」
「なんかあったんですか」 ナオコは人垣の向こうを見ようとする。ナミも抜群の視力で様子をうかがった。
「……あんまりかかわんないほうがいいかも」「なんでですか?」
「クイーンにエレボスじゃね……」「クイーン?」「その内教える」
65発端2 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/09(月) 17:49:24 ID:YstfwC7i
 そんなやりとりのあと、二人は食堂を出て正義舎に向かった。
 空へと突き出る正義舎はまぶしいほど白く、誇っているかのようだ。
 反対側にある真っ黒な悪舎は、存在感があってふてぶてしさが伝わってくる。

 正義舎の入り口に、ユウトが背の羽根をたたんで立っていた。柄付きブラシを持っている。
「おっ、来たか」
 ユウトはブラシで羽根をなで付けた。羽根がある以外は、スポーツマンタイプの青少年
といったふうに見える。
「よろしくおねがいします」
 ナオコは頭を下げておく。
「シロキゼミを紹介するんですよね」
 当然のことのように、ナミがきいた。
「ん、いや」

 ユウトは素早く首を振ると、歩きだす。ナオコとナミは顔を見合わせてから、ユウトの背
の羽根を追った。
 正義舎は内部も清潔感がある。壁には正義心得等が貼られていた。

「何でうちのゼミを紹介しないんですか?」
 ナミがきくと、ユウトはどこか不機嫌そうに答える。
「なんかさあ、ヤスって成り行きでヒーローやってるように見えるんだよなあ」
「えっ」と思わずナオコは声をもらした。
「俺たち、真面目にヒーローめざしてんだよ。おまえはなんか違うんじゃないか?」
「先輩、まだ最初なんですし」
 ナミは気をつかっていう。

「一年なんて一番やる気ある時期だろ普通。だから乱闘だって許されるんだし」
 一年生は入学すると上級生に集団でケンカを売り、学園を牛耳ろう、などとできるわけも
ないことをやらかすのが恒例行事だ。そこで返り討ちにあい、目を覚ましてからが学生生活
のはじまりになる。

「まあそういうわけだから、おまえにちょうどいいゼミ教えてやるよ」
「はあ」
 確かに成り行きのところがあり、ナオコは何やら申し訳なく思う。

 着いたゼミ研究室のドアを、ユウトがノックした。
「すんませーん」
 三人が研究室に入る。ナオコの瞳に異様な人物が映った。
 中国風の服を着ているが、顔は毛に覆われ頭に耳を縦、細い目をして髭を顔の左右に
生やしている。
 体型は人間だが、顔は老いた猫のようだった。

「おはようございます、マスター・シャーフー」
 ユウトがおじぎした。合わせてナオコも頭を下げた。
「ゼミに入れてほしい新入生をつれてきたんですが」
 ユウトは重い空気を感じ取った。
 老いた猫の口が動く。
「希望者か……」

 マスター・シャーフーの前には、生徒が二人立っていた。男子生徒と女子生徒だ。
66発端3 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/09(月) 17:52:45 ID:YstfwC7i
 シャーフーはゼミ生らしい男女に厳しく言った。
「おまえたち、ツヨシを取り返そうと思わんのか」

「あの人はいつも変身してるんですか」
 ナオコが小声でナミにきいた。
「なんか昔、禁断の技を使ったとかで、いつもあんななの」
「そうなんですか」と返事し、ナオコはまた猫の顔をした教授を眺めた。
 マスター・シャーフーはゲキレンジャーを指導した人物で、スクラッチ社というスポーツ
メーカーにも所属している。
 そのため、このゼミは就職に有利だ。だから生徒に人気がある。だが、そういう理由で
集まる生徒はいまひとつヒーローらしくなかった。

「悪へ行ったのが本人の意思ならしょうがないですし……」
 クールそうな男子生徒が頭に手をやる。
「セイジ、モミジ。君たちそれでいいのか。ゴウとレイはどこじゃ」
「さあ、デートじゃないすか」
「やれやれ……。では、赤は誰がやるのじゃ」

「俺はいいよ、おまえやれよ」
 セイジはモミジになすりつけた。
「私はいいよ、あんたやりなよ」とモミジが返す。
「俺はいいよ」「じゃあ私がやるよ」「じゃあ俺がやるよ」「どうぞどうぞ」「おい!」

 マスター・シャーフーは髭の下で大きくため息をついた。
「お笑いじゃあるまいし。昔はみんな赤をやりたがった。戦隊科は真っ赤じゃった。くじ引き
やトーナメント戦で赤を決めたもんじゃ」
 シャーフーは細い目で窓の外を見つめた。空はそ知らぬふうでよく晴れて、まばらな雲が
ゆっくり流れている。

「今はみんなで緑を取り合っておる! 情けない……」
 猫の頭が左右に振られて、髭が揺れた。
「そんなことで卒業できるのかね」

「卒業できなきゃ超日本警備社に入ればいいですし」
 セイジは軽い調子で言った。スクラッチ社と超日警にはつながりがあり、このゼミにいる
と就職しやすい。
「超日本警備社はヒーローになれなかった生徒のためのセーフティネットじゃ、救済措置じゃよ」

 超日本警備社は民間の警察的組織で、ヒーロー学園を卒業できなかった生徒、成績が
あまり優秀でなかった生徒を優先的に雇用する。
 ヒーローくずれが、ならず者にならないための社会的救済という側面がある。給料は安い
が半分公務員のようなところがあるので、就職氷河期の今、ここを有り難がる生徒は多かった。
67 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/09(月) 17:55:48 ID:YstfwC7i
とりあえずここまで
ではまたー
68創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 20:40:24 ID:xCvNslsy
就職氷河期・・・・せちが無いなw
そして戦隊のゼミは大変だな
細かいことだけど、生徒じゃなくて学生の方がぽくないか?
69創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:32:39 ID:YstfwC7i
大学っぽいから学生のがしっくりくるかなあ
WIKIで生徒になってるので今のところ生徒で統一してる
70創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 16:06:41 ID:4OJnZopm
次は上級生に挑んでいくのかな?
楽しみだな
71 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/10(火) 17:57:08 ID:JUK+QOdo
なんか展開読まれてるかな
まあいいや >>64-66の続き
72戦争!1 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/10(火) 17:59:24 ID:JUK+QOdo
 毛を逆立てて、シャーフーは語気を荒げた。

「結果的に超日警に入るのはよい、経験を積んで第一線の組織に入り直す者もおるしな。だが
超日警をはじめからめざすのは本末転倒じゃ!」
 さすがにセイジ、モミジも黙り込んだ。教室が重い静寂に支配される。
「あの、なんかまずいときに来ちゃったみたいで……」
 ユウトは一礼し、出ようとした。
「待ちなさい」「はい?」
「ちょうどよい。そちらの子がゼミ志望者じゃな」

「は、はい」と、小さい声でナオコは返事した。
「ゼミ生選抜をおこなう。ゼミ生とゼミ志望者は悪部へ挑戦しなさい!」

 シャーフーの思い付きに、セイジとモミジはええと嫌そうにした。
「勝てと言っておるのではない。挑戦し、戦いさえすればよい。挑戦すらできん者はいらん!
 挑戦のなかに修業ありじゃ。ゼミ生全員に一斉メールを送る!」
 猫の手でシャーフーは器用に携帯電話を操作した。

「さあ、行きなさい」
 追い立てられるように、生徒たちは研究室を出た。
「まいったなあ」
 セイジはため息つき、肩を落とす。
「マスター・シャーフーがあんなに怒ってるのはじめて見たな」
 ユウトは驚いた様子で羽根を動かした。
「俺たちもだよ。なあ」
 冷静そうに見えるが、セイジの目には気弱そうな色がある。
 モミジもうなずいた。シャーフーは温厚で知られている。

「でも、あれじゃ怒るのも無理ないぞ。ツヨシ、悪に行ったのか」
 ユウトが不機嫌そうにきく。ツヨシはセイジたちとゴクレンジャーを結成していた。
 ああ、とセイジが答える。
「だってしょうがないだろ。本人が決めることだしさ」
「学科もバイオ科になったの。改造かなんかされたみたいで……今の時期そんなことしたら
単位取れなくて留年決定なのに」
 暗い表情で、モミジは小さなため息をつく。

「正義から悪に移るとかってよくあるんですか?」
 後ろを歩くナオコがきいた。
「たまによくあるよ」と、ナミがいう。
 たまになのか、よくなのかどっちだよ、とナオコは心中突っ込む。だが、ブラックスミス
を正義に移すこともできるかもしれない、とナオコは希望をいだいた。

「変なことになっちゃって悪かったなあ」
 ユウトは頭をかいて、ナオコに謝った。ナオコは両手を振った。
「いえ、そんな」
「俺も行くからよ」
「うん、私も行くね」
 ナミはナオコの肩に手を置いた。どこかうれしそうな目をしている。ブラックスミス脱走
の時といい、ナオコはこの同性の先輩に少し呆れた。
73戦争!2 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/10(火) 18:02:59 ID:JUK+QOdo
 黒い悪部舎の前に、続々とシャーフーゼミ生、ゼミ志望者が集まる。七十人ほどの正義
の生徒が集結した。
 それだけの数の生徒が、たのもう、とやったから悪部は大騒ぎだ。

 蜂の巣をつつくとはこのこと、悪の生徒たちが兵隊集めに走り回った。
「緊急緊急!」「出入りだ!」「戦争だ!」
 仮面ライダーダークキバを大将に、集合がかかる。悪は悪というだけあって不真面目で、
集まりが悪い。
 それでも五十人ほどが駆け付けた。

「たったこれだけか! 俺にはキングとしての信望がないのだろうか……」
 黒いライダーは腕組みし、自らの資質に悩んだ。
「キング、そんなことはありません」
「来ない連中が腰抜けなのです」
 悪の生徒が内心うんざりしつつも、なだめにかかる。

「しかたがない。どの道俺一人で足りるしな」
 気を取り直したダークキバに続き、悪の生徒たちが悪部舎前に出た。
 悪の生徒たちのありようといったら、さながら地獄の軍団か、猛獣蛇蝎の群れといったところ。
 かたや正義の側はといえば、腕に覚えのないヒーローばかり。

「王の務め、俺が相手だ! ……何か見ない顔ばかりだな」
 ダークキバは首を傾げる思いだ。
 正義の側ではおいおい、と相談が始まる。
「空気読まねえな、あいつら」「そこが悪なんだろうな」「どうするよ……?」「形の上でやる
だけやるか」

 嫌々ながら、正義の生徒たちは変身してポーズをとった。
 ナオコはブラックスミスの姿を探したが、凶悪そうな生徒たちの中にはいなかった。
 地を強く蹴ると、ダークキバは正義のヒーローたちへと突っ込む。その姿は迫力があって、
見る者の身をすくませる。
「ダークネスヘルクラッシュ!」
 ヒーローたちが弾き飛ばされ、跳ね上げられて空を舞う。
 セイジもモミジもなすすべなく吹き飛ばされる。ヒーローたちは、竜巻にあう木っ端の
ごとくに巻き上げられた。
 暴れ回るダークキバの恐ろしいさまに、ナオコは身動きもできない。

 悪の生徒たちは拍手喝采やんやの声援、実はもともと彼らに戦う気はあまりなく、ダークキバ
に任せるつもりだった。
「何だ、手応えのない連中だな」
 ダークキバは相手があまりにも弱すぎて、むしろ不気味がる。
74戦争!3 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/10(火) 18:06:00 ID:JUK+QOdo
「ヒーロー無双だな、こりゃ。よし、俺もやるか」
 ユウトは白い羽根を広げると、空高く飛び上がった。
「いくわよーっ、サーブ!」
 バレーボールが波動をまとってダークキバへと一直線に突き進む。

「こんなもの」
 ダークキバは片手で跳ね返す。戻ってくるボールをユウトがアタックした。
 球は威力を増してダークキバを襲う。
「ん? 少しはできるか」
 それでもダークキバにはどうということもなく、また片手で持ち主へと弾き返す。
 戻る球をまたユウトが打ち返す。するとまた威力を上げて、ボールは強力なオーラを帯びた。
 ここでようやく、ユウトが打てば打つほどボールは力を増すのだとダークキバは気付いた。

「おもしろい!」
 ダークキバは拳で殴り付けるようにして、バレーボールを打ち返す。激しい光が閃き、衝撃
が空間を揺らす。
 球はまたユウトへと返っていく。
「あの野郎、わざと俺を狙って返してやがんのか」

 いらつきながらも、ユウトは迫るボールをまた打ち付けた。誇りにかけて、バレーボールを
返さないわけにはいかない。
 隕石のような勢いになって、バレーボールがダークキバに突進する。避ければいいのだが、
ダークキバはあえてレシーブの構えをとった。
 強烈なアタックがダークキバの両手に激突した。大地は揺れ、大気は裂ける。

 めりこむ校庭の上で、ついにダークキバは球を返した。白い球は高く飛んでいって正義舎
の窓をぶち破った。
 対戦車砲にも耐えるガラスだが、盛大に粉砕されて破片を地にばらまく。
「ああっ! くそーっ、また怒られる!」
 ユウトは羽を何枚か落として、バレーボールを取りに飛んで行った。

「さすがに腕がしびれたな。さあ、次はどいつだ」
 ダークキバが見渡すと、正義の生徒は恐れて足も動かない。
「わしが相手じゃあぁー」
 しわがれた声を出し、ダルマストーブのような体、老人の頭をした改造人間が走る。高齢
ヒーロー、コテツだ。

「日露戦争を思い出すわいー!」
「うむ、お年寄りは大切にせねばな」
 敬老精神を発揮し、ダークキバは拳を下げた。ブリキのような足が固い足音を立てる。
「御国のため、ギョ・ク・シャーイ!」

 鉛色の体が膨らんだかと思うや、大爆発が起きた。爆風とともに、ネジ、歯車が飛散する。
75 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/10(火) 18:07:37 ID:JUK+QOdo
とりあえずここまで
ゼミ生って何人くらいが普通なのかよくわからんかった
76決意 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/10(火) 23:57:20 ID:YJtNlpUB
「タ〜ルちゃん。」
ゼミ室の窓から夕日を眺めている彼の名を呼ぶと、クルっと振り返る。
「ユイ殿でござるか。」
「どしたの?黄昏れちゃって〜。」
椅子にストンと腰を下ろす。

「拙者は何をしているのでござろうか?」

(まだ気にしてるのねぇ。)

先日、タルちゃんとユイはなっちゃんを助けるために禁止区域に行ったんだけど、
変な怪人に邪魔されちゃったのよね。
その怪人、階層の割には結構強くてさぁ、
やばいってときに、コウジさん達が助けに来てくれたんだけど、
そのときミユキさんが怪人の1人に毒針を刺されたの。
カストル義兄さんの話では未知の毒なので、解毒剤を造るのには時間がかかるんだって。
一番早いのは怪人を捕まえてきて血清を造るのが早いみたい。
でもあんなの捕まえられないと思うな。

「肝心な時、姫の傍に居ない拙者に意味はあるのでござろうか。
 挙句の果てには、ミユキ殿にまで迷惑を掛けてしまった……。」

負のオーラ出てるなぁ。
そこだけ蛍光灯切れてるみたいだよ。

「すぐ良くなるって。
 タルちゃんは知らないんだよ、ミユキさんの生命力凄いんだから!!!」
ユイは合宿のとき、散々その生命力の凄さを見せつけられたから知ってるんだい。
77決意 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/10(火) 23:57:55 ID:YJtNlpUB
「こんなことなら家来など当てにせず、
 分身の術で分身を残しておくんだったでござる。」
ああ……、ハルカちゃんのことね。
「タルちゃんは1人で抱え込みすぎよ。
 悪の組織を冥府に連れ戻すのも、なっちゃん守るのも全部1人でやろうとせず
 もっとユイのことも頼ってくれて良いんだよ?」
そりゃぁ頼りないかもしれないけど、一応先輩なんだしねぇ。

「学園に1人どうしても倒せねばならぬ奴がいるでござる。」
「どうしても?」
「また邪魔が入ると厄介ので手伝って欲しいでござる。」
まさかハルカちゃんのことじゃないよね。
そしたらユイ止めないと……。
「心配せずとも、倒すのは家来ではござらん。
 家来を倒すと姫に叱られるからな。」
読唇術らしいんだけど、考えてることを読まれるというのはあんまり気持ちよくないなぁ。
「え?それじゃぁ誰なの?」
「とある悪の組織の首領が蘇えって入学しているのでござるが……。」
タルちゃんが唇をグッとかみ締める。
「どうかしたの?」
「何を思ったか正義部に入学しておるから、なかなか手を出せなかったでござる。」
「強いの?」
「いや、入学したときに一度処刑を試みたでござるが大したことは無かった。
 そのときはプルートの邪魔が入ったために中止したのだが、それ以来警戒してなかなか一人にならぬ。
 ユイ殿には邪魔が入らぬようにして欲しいでござる、」

何でも言ってていった端から悪いんだけど、
プルートちゃんにはタナトスのこと内緒なんでしょ?

デルタを見たらユイ寮で夜問い詰められると思うんですけど……。
78決意 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/10(火) 23:59:37 ID:YJtNlpUB
「拙者は鬼になるでござる。
 もう全力を出すことを迷わぬ!!
 姫を助け出すその日まで拙者はもう負けない!!!」

夕日をバックに叫ぶタルちゃんの背中をドキっとする。
一瞬なっちゃんがちょっと羨ましいと思っちゃった。

「では行くでござる。」
「行くってどこへ?」
「相変わらずユイどんは鈍いズラ、
 ネロの所に決まっておろう。」
「えええ……、もしかしてケルちゃん?」
窓の外に巨大な物体が浮いている
見るたびに姿が変わってて落ち着かないんだけど、
あの黒い大きな翼とライオンの顔なにより、ふてぶてしい口調ケルちゃんに決まってるよ。
最初会ったときは、子猫みたいな顔してて可愛かったんだよ。

「また太った?」
「なんてデリカシーがない女だズラ、成長したというズラ。
 そういうユイどんだって、胸が1サイズ大きくなってるのは脂肪だずら?」
慌てて手でパッと胸を貸す。
ムッツリスケベのタルちゃんは薄目で、チラッとユイの上半身を見てサッと目を逸らしたよ。
なっちゃん帰ってきたら絶対チクってやるんだからね。
「御主人の目や他の男子の目は誤魔化せても、オイラの目は誤魔化されないズラ!!」
「そんなことで凄まないでよ!
 気にしてるんだから!!」
ハイテク機能をそんなことに使っちゃ駄目だと思う。
79決意 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/11(水) 00:00:10 ID:bYVopr9L
続きはまた
80創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 08:33:07 ID:tkfM41Tx
乙です
ユイのおかげでなんかほのぼのするw
ネロとの戦いか でも負けた怪人ってナツミが作ったんだよな
なんだかなあって感じだなw
81創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 13:10:20 ID:WPz+1rkJ
確かに殺されるとなれば真剣に作るだろうけどw
いらん科学者根性出しちゃったって感じか
82決意 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/11(水) 22:57:08 ID:bYVopr9L
(格闘技部の道場かぁ。)

お姉ちゃんがいるんだろうなあ。

この前、コウジさんの自室で行われたハニートラップの試験を見られてから
ちょっとギクシャクしているんだよね。
ハニートラップっていうと聞こえは良いんだけど、
ツルヒメ先生によるとユイのは単なる色仕掛けらしい

(違いがいまいち分からないよ。)

ユイがコウジさんからパスワードを聞くという課題

一応言っておくけど、その模様はツルヒメ先生達がリアルタイムで採点を行っているの。
上目遣いとか、声のトーンまで採点項目に入ってるのよ。
(信じられないでしょ?)
もしコウジ先輩が狼になったら、すぐ駆けつけるから思う存分誘惑してくれとは言われたけどさぁ、
本当に来てくれるのかちょっと心配なんだよね。

さらに断っておくけど、別にユイの胸が多いから思いついたわけじゃなくて、
ミユキさんだって、三年生のときにレジェンドルガの先輩相手にやったらしいよ。

あるモノは使わないと勿体無いとか言われたてもねぇ。
普段顔合わせてる人だと恥ずかしくってさ。
しかもユイ男の人の部屋なんて入ったこと無かったから。

それにさぁ
ハニートラップの試験って分かってたらトラップの意味ないと思わない?
(もはや悪意すら感じるよ。)
こんな試験何の意味があるっていうの。
ユイは別に殺し屋とかになるつもりないのに!!

よく働き出すと女の敵は女って言うけど、それ本当だと思うのね。
ツルヒメ先生ユイに凄く厳しいんだよ。
この前なんてお化粧の仕方から駄目だしされたもん。
大きなお世話だい!!
83創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 22:57:32 ID:Uo1aQh6f
84決意 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/11(水) 22:58:09 ID:bYVopr9L
話を戻すと、その日で二週間目でさぁ
ユイもいい加減焦ってたんだよね。
だって終わった後、
反省会で三人の先生とコウジさんとタルちゃんと悪忍者ゼミの先輩達でビデオ鑑賞しながら、
『この仕草はどういう意図があったのか』とか一つ一つ聞かれるんだもん。
それを毎晩……毎晩……もうセクハラを越えてると思うんだ。
羞恥プレイっていうらしい。(タルちゃんに教えてもらった。)
女同士のときってセクハラになるのかなぁ。
でもツルヒメ先生もスタイル良いから、僻みとも思えないし……。

(とにかく、もうユイお嫁にいけないよ。)

あとお酒が入ってて気持ちが高揚してたんだよね。
そこへさぁ、何も知らないお姉ちゃんが来ちゃったんだ。

それもノックも無しに……。
監視カメラでわかってるんだから、先生が止めてくれれば良かったのに〜。

忍者ゼミ専用の寮なのに、何で当たり前のように合い鍵持ってるの。

元彼の家に夜な夜な遊びに来てるって、カストル義兄さんは知ってるのかなぁ。
もしかしてマリッジブルーかしら。
しかもさぁ
いきなり入って来たもんだから、
ちょっとしたパニックになっちゃってさ
『試験』って言っても信じてもらえないだろうなぁと思って色々言い訳したんだけどさぁ、

何故か先輩と同棲してるみたいに取られちゃったのよね。
(お姉ちゃんのわからずや)

その後は売り言葉に買い言葉で、
「コウジさんの女遊びが激しかったのは、お姉ちゃんに魅力が足りないからよ!!!」とか
言っちゃったらしいんだよね。
(酔ってたからあんまり記憶に無いの。)

流石に凍り付いてたらしいんだよね。
85決意 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/11(水) 22:59:42 ID:bYVopr9L
その後 ツルヒメ先生に抗議してたけど、
先生はミユキさんに輪をかけてトラブルメーカーでしょ。

上手く説明してくれるはずもなくてさ。

こんなときに
格闘技部の後輩を闇討ちするなんて知ったら、喧嘩になると思うんだよね。

「ユイ殿どうしたでござる?」
バイクに変形したケルちゃんに乗り込んだタルちゃんが後ろを向く。
前見て運転しないと危ないと思うんだ。
「タルちゃん、今日はやめない?」
「何故でござる?」
「ユイまだ試験終わってないから、勉強しなきゃいけないの。」
ツルヒメ先生……ユイの苦手な試験ばっかり組んでる気がする。
一発合格なんてしたことないもん!

流石に三週間も掛かってるから、そろそろハニートラップの試験も突破したいなぁ。

だから今日はコウジさんに借りたDVDや
タルちゃんに借りた小説で勉強しようと思ってたんだよね。


「照れながら言うから、後でみんなに爆笑されるのでござる。」
「タルちゃん!!
 なっちゃん帰ってきたら言いつけるからね。」
タルちゃんはむっつりスケベなんだ!
「そんなに怒ることないでござろう。」
「タルちゃんなんかもう知らない!!!」
「ん? 幸い一人のようでござる。」
(ラッキー!!)
じゃあユイもう帰って良いよね。
「いつもどこからか現れるでござる。じゃよろしく!!」
タルちゃんはそう言い残すと、バイクでネロちゃんに突っ込んでいく。
86決意 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/11(水) 23:00:28 ID:bYVopr9L
「死ね!!!」
「現れたな、黒騎士!!
 返り討ちにしてやる。見よ、カストルに造って貰った新たな変身を!!!!」

どこからか蝙蝠のロボットが現れると、ネロちゃんはそれをベルトに取り付ける。

「我は仮面ライダーキバ エンペラーフォーム!!!
 戦うからには名を名乗れ黒騎士!!!」

「貴様がこの世で最後に聞く名だ心して聞くがいい。
 拙者は仮面ライダータナトス……コーフーコーフー
 ウルヴァリン流殺法 剣の舞 三の型 コーフーコーフ」


バイクを駐車場に止めからユイは、
物陰からタナトスとキバっていう
金色のボディーに赤いマントをしたライダーの戦いを影から見守ろっと。

仮面ライダーキバ
カストルがネロに造った変身ベルト
ダークキバを正義っぽく、かつもっと派手にして欲しいという要求に答えたもの。
エンペラーフォームというフォームで剣を扱う。

(それにしても、動きが早いよねぇ……。)
「いけ!!いけ!!」
タルちゃんが押してるし一安心だね。
もう夕飯時だから、ギャラリーも集まる気配はないよ。
さっさと終わらせて寮に帰ろう。
今日はユイが食事当番だから手伝ってね。
87決意 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/11(水) 23:01:14 ID:bYVopr9L
忍者ゼミ生専用の寮

夜間訓練等があるため、正義部・悪部の忍者ゼミ生には専用の寮が用意されている。
ゼミ担任の六人も泊まっているので安全だろうということで、男女の学生が一つ屋根の下に寝泊りしている。
一般寮と違い、食事は自分達で自炊しなければならない。

尚、ユイはこの寮で暮らすまで自炊をしたことがないため、
  いつも変わった料理を開発し美食家のツルヒメを驚愕させている。

「こんなところで何してるんですか?」
タルちゃんの言ったとおり、
本当にどこからかプルートちゃんの参上だよ。
「ユイ先輩?どうしたのじゃ?」
「プ……、プルートちゃんこそどうしたの?」
「余も来年は誰かに誕生日プレゼントを造りたいので勉強です。」
そういえばハーレーをプレゼントされたんだっけ。
てことは駐車場に向かってる?
(まずいじゃん!)

駐車場からはタナトスとキバの戦いが丸見え

「あっちでお茶にしない?」
「嫌じゃ、今日はアキレス先輩に勉強を見て貰う約束じゃ。」
(あれ?)
こんなに勉強好きな子だったけ?
エリカちゃんと一緒で読めない子だな〜。
「ところでユイ先輩……、タロスも一緒じゃろうか?」
「え?」
「双子じゃからかのぉ、昔から近くに居るとわかるんじゃよ。」
(タルちゃん〜)
そんな超能力のこと、ユイ聞いてないよ。
プルートちゃんが背伸びするので、必死に後ろを隠そうとしたんだけど
それはフェイントだったみたい。
ユイが背伸びした瞬間スッとプルートちゃんが横に抜けていったの。
88創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 23:01:57 ID:Uo1aQh6f
89決意 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/11(水) 23:02:21 ID:bYVopr9L
「ちょっと待ってこれには理由が……。」
プルートちゃんを慌てて追いかける。
駐車場の前では倒れたネロちゃんの首筋に魔剣テュルフィングの剣先が向けられてるよ。
(相変わらず真っ黒な剣だよね。)

「もう勝負はついておるではないか!」
勇敢にもプルートちゃんが飛びかかろうとするので、
必死にお腹にしがみついて取り押さえたの。
「ユイ先輩はあれを見てもなんとも思わんのか?
 正義部の自治会であろう!!」
それはそうなんだけど、話せば長くなってしまうわけで……。
「変身!!!」
ええ……、プルートちゃんも変身しちゃったよ!
(どうしよう?)
ユイも変身した方が良いのかなぁ。
「コーフーコーフー」

「この感じ、まさかタロスか?」

ゴーストライダーに変身したプルートちゃんが、チェーンでタナトスの首をしめあげる。
(ああ……、最悪の展開じゃない。どうしよう……。)
90決意 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/11(水) 23:02:57 ID:bYVopr9L
「プルートちゃんあのね。」
「先輩は黙ってて!!」

炎をまとった髑髏顔に言われると怖いよ。
声もちょっと低くなってるし……。
でもさぁふと思ったんだけど、
タナトスって全身を鎧で覆われてるんだから首もガードされてるんじゃない?

「何でネロを狙うのじゃ?」
よく見ると、剣先はネロちゃんの喉からピクリとも動いてない。
「プルートよ、我はお主に内緒にしていたことがある。
 我は冥府からの脱走者なのだ。
 この者はそれを追いかけてきたのであろう。」
「何じゃと?
 ネロになってからは悪いことは何もしておらんではないか。」

冥府ってそんなふーんで住むような場所なの?

「一度でも罪を犯したものは罪を償わねばならん。コーフーコーフー」

「なら余が裁きをくだす。
 父上達が同窓会のときに裁判官を任された理由をタロスも知っておろう。
 余の右は普段は危険極まりないが、
 変身すると見た者の悪意や悪行に応じた分だけ心や体を焼く事が出来る。」

心を焼くってことは精神攻撃ってことなのかなぁ?
91決意 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/11(水) 23:06:09 ID:bYVopr9L
「プルートちゃんあのね。」
「先輩は黙ってて!!」

炎をまとった髑髏顔に言われると怖いよ。
声もちょっと低くなってるし……。
でもさぁふと思ったんだけど、
タナトスって全身を鎧で覆われてるんだから首もガードされてるんじゃない?

「何でネロを狙うのじゃ?」
よく見ると、剣先はネロちゃんの喉からピクリとも動いてない。
「プルートよ、我はお主に内緒にしていたことがある。
 我は冥府からの脱走者なのだ。
 この者はそれを追いかけてきたのであろう。」
「何じゃと?
 ネロになってからは悪いことは何もしておらんではないか。」
冥府ってそんなふーんで住むような場所なの?
「一度でも罪を犯したものは罪を償わねばならん。コーフーコーフー」
「なら余が裁きをくだす。
 父上達が同窓会のときに裁判官を任された理由をタロスも知っておろう。
 余の右は普段は危険極まりないが、
 変身すると見た者の悪意や悪行に応じた分だけ心や体を焼く事が出来る。」

心を焼くってことは精神攻撃ってことなのかなぁ?
92決意 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/11(水) 23:06:42 ID:bYVopr9L
「ネロよ、余の一番の友達よ。
 余を信じてこの忌まわしき目を見てはくれんだろうか?」
「我はカストルとの約束を守らねばならん。死ぬわけにはいかん。
 お主を信じるぞ。」
「バロールの邪眼!!!」
ゴーストライダーとネロちゃんが見詰め合う。

「なんともないじゃろ?タロスよ、これで納得したか?」
チェーンを外してタナトスに尋ねる。
「例え今何もしてなくても、いずれ何かやるに決まってるでござる。」
変身を解いたタルちゃんが剣を鞘にしまう。
「そんなことは余がさせない!」
「ではこやつは任せるとしよう。
 しかし少しでも不審な点が出れば容赦なく斬り捨てる。」
「安心せい、我はしばらく旅に出る。」
「何の話じゃ?」
「カストルに頼まれての、
 ジュリ先輩が銀河連邦警察 時間保護局 特別捜査官として
 過去に行く任務があるので手伝って欲しいとな。」

お姉ちゃん……、そんな話ユイ聞いてないよ。
それに結婚するからてっきり捜査官は辞めるのかと思ってた。
え?ユイ?
無理だよ。ヘレネちゃんでしょ、ナッちゃんでしょ。それにタカちゃん
この三巨頭が居る限り無理だからとっくに諦めてるよ。
ユイは諜報員になってもっと悪い奴を倒すんだい。
93決意 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/11(水) 23:08:14 ID:bYVopr9L
興醒めでござる。
 結局、拙者の独り相撲でござるか。」
(タルちゃ……ん。)
そんなこと無いと思うよ。
タルちゃんに駆け寄ろうとしたその瞬間
携帯電話が振動する。
そっか、さっき運転のときにマナーモードにしたままだった。
「ワン切りか。」
見慣れない番号なので、とりあえず切って履歴をみる。
(何コレ?)
思わず目を疑う。
ゼミのみんなから何件も着信がある。
そこへ一通のメールが入った、それを開くと
体中から滝のように汗が出てきたよ。

内容は
「夕飯はまだ?」というツルヒメ先生からのメール。
時計を見るともう20時じゃん。

帰りにコンビニで冷凍食品買って、それをプルートちゃんに温めて貰って
裏山で炭火でこだわって焼いてましたとか言うしかないよね……。

数十分後
真っ黒焦げになったお惣菜を皿に盛り付け、またツルヒメ先生に叱責されるユイなのでした。。
(プルートちゃんの火の温度は、調整出来ないなんて知らなかったんだもん。)
94 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/11(水) 23:13:36 ID:bYVopr9L
戦闘を第三者(ユイ)視点から書いてみたんだけど……
ちょっとわかりにくくなっちゃいましたね。

ユイとツルヒメの話はそのうち書きます。
まぁSSとかで誰か書いてくれてもいいっすよ。
ベテランOLが新入社員イビル感じですからw
95創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 11:00:37 ID:RVw7NHFM
投下乙
卒業式シーズンですね
学園の卒業式はどんな感じだと思う?
96創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 11:18:38 ID:j/MWVW5d
誰も覚えていないと少し悲しいのですがw
宇宙刑事マリリン書いていた者です。

上に出ている「リレー小説」の件ですが、事件簿でやりませんか?

これなら少年探偵団っぽくSSも長編も書きやすいような気がするんですが、
皆様の意見はどうでしょうか?
とりあえず、今日は考えた分短編投下しますね。
97宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 11:19:34 ID:j/MWVW5d
前略 お母さん

警察学校を卒業しセントラルシティ署に配属になってから、全然連絡できずごめんなさい。

まだ新米なんで自分の時間があまり無いんです。

さて早速ですがリカは今署長室に呼び出されてます。

怒られるようなことはしてないつもりですが、

世間では私達若い世代を『ゆとり世代』と呼び、

目の敵にしている人達(年配が多いそうですね。)もいると聞きますので、

もしかしたら知らないうちに虎の尻尾を踏んでしまったかもしれません。

P.S 今度の休みには三人で温泉にでも行きませんか?

「入れ!!」
不機嫌そうな声が私を呼んでいます。

手鏡で服装に乱れが無いか確認して、恐る恐るドアを開きます。
「五分前行動でよろしい。」
「は!」
「休め。」

声の主は私の予想通りフジノ・ジュンコ警視正でした。
警察学校時代からの私の直属の上司です。
私は彼女に育てて貰ったと言っても過言ではありません。
彼女は警察学校では鬼教官と恐れられ、
同期の何人かは厳しい訓練に耐え切れず、警官を諦めて事務方に進路を変更してしまいました。
私はなんとか乗り越えたのですが、
もう泣かされたくないので(特に射撃訓練と格闘訓練で)、どんなときでも絶対服従なのです。
実は自分にもっと厳しいと知ってからは良い上司だと思っているのですが、寝相が悪いのが玉に傷……。
98宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 11:20:27 ID:j/MWVW5d
「まぁまぁ。」
横にはヒグチ レイコ警視正がいらっしゃいます。
この方は初めてメタルヒーローになられた方で私達女性警察官の憧れの存在……。
確か銀河連邦警察の捜査官として、活躍されていると聞いていましたが異動でしょうか?
でも下部組織である警察に異動になるなんてありえない気がします。

ヒグチ警視正はある意味銀河連邦警察が男女平等であることの象徴的存在ですから、
ここはやはり私を怒るために来たと考えるのが妥当と思われます。
(でも何をしてしまったのかしら?) 
先程から胸に手を当てて考えるのですが、全く心当たりが無いのです。

「あら、何やってるんですか?」
甲高い声の女性が入ってきました。
「サラ〜久しぶりじゃな〜い。」
(サラさん?)
もしかしてブルースワットで活躍されたというサラ警視かなぁ。
(私どうなるんでしょう?)
不安そうに顔を俯けます。

「先日のグレムリン殲滅作戦実に見事でした。」
「あ……ありがとうございます。」
珍しく褒められてちょっと混乱してしまいます。
雨でも降るんじゃないでしょうか。
「サオトメ刑事……警官になって何年になるのかしら?」
「三年目であります!」
唯一の部下とのコンビ歴くらい覚えておいてくださいよ。
警察学校から数えると、五年くらいになるんです。
99宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 11:22:04 ID:j/MWVW5d
「そっか、うん。
 アンタとも長い付き合いになったけど、遂にお別れになりそうよ。
 いやぁ、アンタを0から仕込むのは骨が折れたわ……。」
「え?」

「アンタが常々希望していたヒーロー学園への入学が許可されました。
 まぁ試験はあるみたいなんだけどね。
 そこで勉強して銀河連邦警察 特別捜査官を目指しなさい。」

銀河連邦警察 特別捜査官
特別捜査官にはメタルスーツが与えられ
どこら辺が特別かというと、
警察手帳を開示すれば世界の98%の施設(軍需施設などを含む)を捜索することが許され、
交通機関・ホテルなどが無料になるだけでなく、
(もちろん捜査の際のみである。)
外交官等の政府関係者に対しても礼状なしで尋問をすることが許されている。

「怒られるんじゃないですか!」
「怒って欲しいの?」

そんなわけ無いじゃないですか。

「餞別というわけじゃないんだけど、私が卒業して随分経つじゃない?
 最近の近況を若い子にアドバイスに来てもらったわけ。
 私みたいにドジ踏まないように気をつけなさい。」

「来てもらったって言うか、
 私達はカタギリ署長に呼ばれたはずなんだけどね。」
そういえば、ここは署長室ですよね。

「署長の椅子に座っちゃって大丈夫なんですか?」
「良いよ、別に後輩だし。それに今日会議で出張だもん。」
こういう人なんですよ。

それにしても特別捜査官ってことは、キャリアってことじゃないですか。
お母さんもお父さんもなれなかった特別捜査官……。

(私になれるんでしょうか?)
100宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 11:23:50 ID:j/MWVW5d
『プオーン♪』
船の汽笛でハッと目を覚まします。
そうでした私は今ヒーロー学園に向かう貨客船の中に居るのでした。
どうやら昨日送別会で呑みすぎてしまったようです。

ちょっとデッキにでも出てみましょうか。

(ああ〜気持ち良い……。)
海風が気持ち良いです。


「タロス大丈夫か?」
「大丈夫でござる。」
横目で声の方を見ると、黒い眼帯をした女の子が男の子の背中を擦っています。

「全く情けないのぉ。」
「どうしたんですか?」

「おお、余はプルートじゃ、こっちは双子の兄のタロス……。」
「初めまして!私はサオトメ リカです!!」
私が元気良く挨拶します。

「お……おお。」
「双子の兄弟ですか、あんまり似てませんね?」
「まさか双子だからテレパシーだとか思っとらんじゃろうね?」

ドキリ
(だってお約束じゃないですか。)

「余は母上似、タロスは父上似なのじゃ。」
「ゲホゲホ……。」
「大丈夫か?」
プルートさんが心配そうにタロス君の顔を覗き込んでいます。
「熱は無いようじゃのう。」
(兄妹って良いなぁ。)
助け合ってるって感じがして、微笑ましいですよね。
「ちょっと部屋で休んでくるでござる。」
タロス君はヨロヨロと立ち上がると部屋へ戻っていきました。
101宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 11:24:46 ID:j/MWVW5d
「プルートさんはどうしてヒーロー学園へ?」
「兄上がおるのじゃ。」
(三人兄弟なんですね。)

「リカはどうして来たのじゃ?」
「私は特別捜査官になるために来ました。」
「特別捜査官???」
あんまり耳馴染みがないんでしょうかプルートさんは首を傾げています。
「大変そうじゃのぉ、お……、あの島じゃ!!」

その時マイクから
入学希望者は背番号をついたゼッケンを身に付けるようアナウンスが流れます。
デッキはあっという間に埋め尽くされしまいました。

「プルートさんこっち。」
「さっきから思っておったのじゃが、同級生なのじゃからプルートで良いぞ。」
「そうですか?」
「うん。」
港がドンドン大きくなります。
「車とバイクは置いたままでって変な指示じゃのぉ?」
「そういえば、そうですね。」
私も愛車で来ているのでちょっと不安です。
102宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 11:26:59 ID:j/MWVW5d
『ウワウワァ!!』
上陸すると同時にみんなダッシュです。
何故走るのかはわかりません。

『止まれ…ここを通りたければ私達を倒せ。』

ロボット警備兵達がそれを制します。
聞き間違えで無ければ倒せって言いませんでしたか?

発砲してきましたよ。
(どうしましょう。)
「リカよ、ここは余に任せよ。」
「へ?」
プルートは冥府から来たって言うくらいですから、武術にも長けているのでしょう。
「燃えるが良い。」
彼女が眼帯をずらすと、辺り一面が一瞬で火の海となりました。
確か火って温度によって色が違うんでしたよね。
青っていうよりも蒼っていう黒い感じです。

「すご〜い、手品ですか?」
「種も仕掛けもないんじゃよ。
 余は火の精霊と契約しておるんじゃ。
 まぁ良い、行くとしよう。」
説明くらいもう少し聞いてから、倒したほうが良かったような気もしますが、
どうせ一本道ですし、心配しなくても大丈夫ですかね。
103宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 11:27:57 ID:j/MWVW5d
上りの螺旋階段は、山の頂上まで続いているようです。
学園はどこにあるんでしょうか。

「噂どおりだねぇ。」
「油断せずに行こう。」

「はじめまして、リカといいます。」
隣で不敵な笑みを浮かべている二人組に話しかけてみました。
「はじめまして、私達はファンガイアの王族親衛隊を継ぐ者、
 ちなみに私はキマイラ、こっちはルークよろしくね。」
警察学校で習った通り、普通の人間と同じ外見なんですね、
ていうか人間よりも綺麗かも……。
「余は冥府の主 エンマ大王の娘 プルートじゃ。」
階段を上りながらお互いの自己紹介をしていると、キマイラの肩がお婆さんにぶつかります。
体勢を崩したお婆さんは持っていたミカンを地面に落としてしまいました。
「ちょっとキマイラさん?拾わないの?」
「何で?ぶつかってきたのそっちでしょ!」
まぁ確かにそれはそうですけど。
(キマイラさんだって、喋りながら歩いてたんだからお相子じゃないですか。)

「すみませんのぉ。」
お婆さんはガクガク体を震わせながら謝っています。
「なんだったら余が冥府に送ってやろうか?」
何て事をいうんでしょうか。
プルートが言うと洒落にもなりません。
104宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 11:31:08 ID:j/MWVW5d
「余はキマイラ達と先に行くから、タロスと会ったら伝えてくれ。」
「わかったわよ。」
ミカンを拾いながらぶっきら棒に答えます。

困った人を助けろって冥府では教わらないんでしょうか?
ファンガイアやタロス君もはこのように横暴なんでしょうか?

「ごめんなさいね。
 これ一個あげるから食べて。」
お婆さんは丁寧にお礼を言うと、サッと姿を消します。

(え?消えた??なになに?)

疲れているんでしょうか。
とりあえずミカンもって歩くの変ですし、先に食べてしまうことにします。
それにしても、予想以上に時間を費やしてしまいました。
「集合時間には絶対に遅れるな、」「私に恥を掻かせるな」と
フジノさんからも念を押されてるんですよね。
プルートが説明員も兼ねていたと思われるロボットを燃やしてしまったので、
正確な集合時間まではわかりませんが、
周りに人がまばらなことから少しペースアップが必要だと容易に判断できます。

(よし、行こう。)
続きの階段を上り始めると、上の方から男の子が落ちてきます。
男の子は猫の様にクルンと回転すると地面に着地しました。
「タロス君!」
「タルタロスでござる!略すな!」
だってプルートが言ったんですよ。
(そんなに怒らなくても)
105宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 12:02:29 ID:j/MWVW5d
「まあいい、でプルートは?」
「先に行っちゃいました。」
「1人で?」
「ううん、ファンガイアの人達と一緒です。
 どうかしました?」
「まぁ誰か一緒ならとりあえず辿りはつくか……。
 問題はこっちでござるな。」
問題ってなんでしょう。

『うわぁ!!!』

どこかの国では蛙が降ってきたと聞いたことがありますが、
人がそれもこんなに大勢降ってくるというか、落ちてきた?というののは初めて聞きました。
降ってきた人達は、怯えたようにゾロゾロと船へ引き上げていきます。
「危ない!!」
今度は男の子が一人だけ落ちてきます。
意識を失っているのか受身を取る様子はありません。
「大丈夫ですか?」
「ありがとさん。」
牧師の格好をした男の子は、ヨハネ君というそうです。
タロス君とヨハネ君のお話だと、
階段を上っていくと門があり近づこうとしたら、いきなり殴られたんですって。
106宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 12:04:17 ID:j/MWVW5d
「あれや!!!」
上の踊り場につくとヨハネ君の人差し指の先には、二人の女性が立っています。

「今年の新入生は根性がないだわさ。」
「ミユキ先輩、私にも残しておいてくださいよ。」
「お……、あの牧師と黒装束は二度目のチャレンジだわさ。」
「真ん中の女の子は初めてですね。」

「来るで!」
「構えるでござる!!!」
え?まだこんなに距離があるのにですか?
殴られたんですよね。
「へ?」
突然拳が私の目の前に現れました。
慌てて顔をガードで覆います。
「新入生今後のために一つだけ教えてあげる。
 どんなときも攻撃から目を話しちゃ駄目だわさ。」
ドゴンという音と同時に、私はお腹に強い衝撃を感じて体をエビの様に曲げ地面に膝を付きました。

(い……息ができない……。)
息を吸い込んだ瞬間にボディーブローを受けてしまったようです。
でもボディーブローって遅効性ですよね?
こんなのインチキじゃないですか!!
地面を爪で掻き毟りながら考えようとしますが、頭が働きません。
「手が伸びるって言ったでござろう。」

絶対初耳です。
タロス君次からは早めにそういうことは言ってください。
私は声にならない嗚咽で抗議します。
107宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 12:05:19 ID:j/MWVW5d

「……?生きとるか?」
ヨハネ君の声がだんだんハッキリしてきます。
「だ……大丈夫です。」
なんとか立ち上がったけど、足が痙攣して動けません。

「ちょっとやすんどり、これで貸しかり無しやで。」
ヨハネ君は私を道の端に運びながら笑います。
「ありがとう。」
「タルタロスとか言うたな?」
「ああ……」
「手伝えや、やられっぱなしは性にあわん!」
二人は腕が伸びた方の女性に果敢に挑んでいきます。
2対1っていうのが少し気になりますが、今は自分のことで精一杯です。

「アンタはもう終わりか?」

「わぁぁ。」
いつの間にか、隣にもう一人の門番のショートカットの方の女性が座っていました。
「こんなこと学園に入ったらいくらでもあるぞ?
 悪いことは言わんから、帰った方が良いんじゃないか?」
「わかってますよ、でも特別捜査官になりたいんです。」
「特別捜査官ってことは機械科希望か?」
「ええ……まぁ……。」
何だか嬉しそうです。

「あの門の先には厳しい世界が待ってる。
 私達人間が最下層の世界だ。
 それでも良ければ通って良いぞ。」
108宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 12:06:06 ID:j/MWVW5d
「え?」

「もともと私とミユキ先輩は根性無しや、弱い奴を振り落として
 困難にぶつかっても挫けない強い精神力の持ち主を選別するために門番をしてるんだ。」

(それじゃぁ)

「ヨハネ君達はもう戦う必要ないんじゃないですか?」

「そうだぞ。
 ミユキ先輩もそれを伝えに近づいたはずなんだが戦闘になってるな。」
ハッと引きつった苦笑いを浮かべながら答えます。
先輩の名前はジュリさんという方で、イクサというメタルスーツを先祖代々使っていらっしゃるそうです。
きっと相当優秀な家系なんですね。
109宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 12:06:37 ID:j/MWVW5d
「止めなくて良いんですか?」
「そのうち終わるよ。」
ジュリさんは携帯電話でメールをチェックしはじめました。

「だと良いんですけど……。」
小一時間程戦いは続き、どちらともなく攻撃を止めました。

「そうならそうと、もっと早く言ってくれれば良いでござろう。」
不満そうなタロス君をなだめながら、お二人に別れを告げ門をくぐります。

「結果より過程が大事だ。それを忘れるな。」
「ジュリ喋りすぎだわさ。」
「すみません。」
別れ際にジュリさんが何を言いかけたのか
それは私にはわかりませんでした。

ただ試験はまだどうやら終わっていなかったようです。

「また階段って嘘やろ!!!」
私ももう限界です。
幸いなことに今度は100段くらいで終わりそう。
「もう嫌でござる。」
タロス君が踊り場で息を切らせる。

「安心しろ。
 ここが最後の関門だ。」
110宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 12:08:06 ID:j/MWVW5d
また門番が居ますよ〜。
今度は黄色のライダーです。
変身してるってことは今度こそ戦闘試験でしょうか。
「お前ら集合時間がとっくに過ぎていることは、わかっているのであろうな?」
「え?」
慌てて時計を見ると、確かにもうジュリさんに聞いた集合時間はとっくに過ぎていました。

「そこでどうだ?
 金を払えば時間通りに来ていたことにしてやろう。
 悪い話ではないだろう?」

「!!!!」

それって不正行為ですよね。
タロス君とヨハネ君は財布を出しています。
「お前はどうするんだ?」
「わ…私は……。」
どうしよう、困ったなぁ。
私は警察官……、良心に従って行動しろと叩きこまれています。
でも良心に従って遅刻して、入学できませんでしたなんて事になったら笑いもの。
両親にも迷惑を掛けてしまうことでしょう。
ここは身より実を取った方が良いのかもしれません。

「さっさと出せ、金さえあれば何でも出来るんだよ。」

「……、違うと思います。」
「は?」
三人が私の顔をギョッと見つめます。

「私の尊敬する先輩は特別捜査官でした。
 でも追い詰めた犯人が逆上して銃で撃たれて、
 治療費を払ってやるから捜査をやめろと脅されて拒否して
 結局その怪我が原因で前線を退かれました。
 でも後悔はしてないって仰ってました。正義はお金では買えません。
 私は来年また来ます。」

ヨハネ君達は呆れ顔。
111宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 12:08:39 ID:j/MWVW5d
「自分どうすんねん?」
「拙者達が小一時間も戦っていたせいでござるよな。」
「こいつ気絶させるのはどうや?」
駄目です。

「なるほど斬るのでござるな、なかなか血の気が多い。」
もっと駄目です!!

ていうか警察官の前で殺人予告とか暴行予告はやめてください。

「お金以外に方法は無いんですか?」
「そうだ良いことを考えた。
 お前ら殺しあえ、残った一人だけ通してやる。」

学園ってみんなこんな人ばかりなんですかね。
さっきの意味不明な試験といい、先が思いやられますよ。

「そんな無茶やろう。」
「じゃ三人とも来年また頑張ってな。」
「やるしかないようでござるな。」
「せやな、恨みっこ無しやな。」

二人が武器の刀に手を当てる。
私の手持ちにある武器は、レーザー銃二丁だけ
(どうしましょう。)
実力行使というのは、あまり気が進みません。

「変身!!×2」

ずるい!そんなの勝ち目ないじゃん!!
まだ私、スーツ貰ってないって言いませんでしたっけ?
言いましたよね。
ヨハネ君はまぁ、いいです。
タロス君?君には船でも言いましたよね。
112宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 12:09:15 ID:j/MWVW5d
「仮面ライダータナトス参上!」
「仮面ライダーサリエルや!!」

黒と白の鎧を纏った姿は五月人形のよう。
「時間もないし、コインで合図するからさっさと終わらせてくれ。」
親指でコインを飛ばす。
クルクルと回転してコインが地面に落ちていく。

「ちょっと私はまだ戦うとは!」
そう叫びながらも、両手はホルダーにしまわれた銃に向かっています。
条件反射って怖いですね。

二人の武器は刀です。
さっき変身前の腕前を少し見ましたが、抜刀の瞬間すらわかりませんでした。
変身前ですらそうだったのですから、変身後はもしかしたらもっと早いのかもしれません。
(一か八か……。)

引き金を引こうとした瞬間、視線が下がりました。
「あれ?」

「はああい、ここまで!」
女性の声が耳元でする。
「もうシロキ先生出てきたんですか?せっかく良いところだったのに。」

「時として避けられない戦いもあけど、それは最後の手段……。
 それを決断する決断力をみる試験だって説明したわよね。
 ガタック、デルタ、シャダイムもう離してあげて。」

「何者でござるか?」
タロス君の質問は無視して、シロキ先生と呼ばれた女性は解説を続けます。

「そして漁夫の利を狙わない潔さ……、
 うん、三人とも希望の正義部に合格で良いでしょう。
 ゼミも出来る限り希望通りになるように手配しましょう。」

「合格ってなんやねん?」
「貴方達の行動は船に下りたときから審査してました。
 ようこそヒーロー学園へ。」

ジュリさんの過程が大事ってのは、こういうことだったんですね。
113宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 17:53:44 ID:j/MWVW5d
「気がつかなかったのでござるか?
 この島に下りてから尾行がついておったでござろう。」
「せやせや。」
それには全然気がつきませんでした。
多分ヨハネ君も気がついてませんね、タロス君が気がついていたので焦っているようです。

「ってことはあのみかんのおばあさんも?」

「そう。試験の一つです。」
それで消えたのか。
疲れてたわけじゃなかったんですね。
「さぁとにかく、入学手続きして明日から頑張ってね!」

シロキ先生達と別れた私達が今度こそ正門をくぐります。

『銀河連邦警察の方は、こちらでメタルスーツの登録申請書を提出してください。
 スーツの召還コードと新しい警察手帳の方は、後日ゼミの教授から手渡しされますので
 現在の手帳はこちらにお預けください、責任を持って焼却処分致します。」』

「行かなきゃ!」
「その前に聞きたいやけど、自分どっち撃つつもりやったん?」
「内緒!」
実は二人とも狙うつもりだったんですよね。
射撃はあんまり得意じゃないんで、一回で決めたかったんです。
「まぁこれから六年間仲良くしましょや。」
「そうでござるな……。」
男の人と握手するの初めてだったんですけど、男の人の手ってゴツゴツしてるんですね。
その後スーツを申請した私は寮で泥のように眠りました。

本当は両隣と上と下の先輩にはキチンとご挨拶したかったんですけどね。
(まずいのかな。)
挨拶しないと六年間いじめられるって先輩達に脅かされたんです。
114宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 17:55:00 ID:j/MWVW5d
翌日

昨日の疲れもあって昼まで寝ていた私は、
聞き覚えの無い携帯電話の着メロで目を覚ましました。
好きな曲が多いので、一人一人違う着メロにしてあるのです。
(このメロディーって誰でしたっけ。)
ゴソゴソと手を伸ばして、ホルダーごと布団の中に引きずり込みました。

「もしもし?」

「サオトメ リカさんの携帯電話で宜しかったでしょうか?」

「はい。」
「私 ヒーロー学園 業務部 学生課のトヨトミと申します。
 あ!!その前にお電話大丈夫ですか?
 声がこもってらっしゃいますけど……。」
「え……、大丈夫です。」

まだ布団の中とは言えません。

「サオトメさんのメタルスーツ認証コードと手帳の件でお電話いたしました。」
そういえば、昨日ゼミの教官から受け取るって話でしたね。

「サオトメさんのゼミ担任は、上司の方からの推薦書、
 また入学試験での成績や行動などを総合的に評価致しまして、
 サワムラ教授またの名をシャイダー教授になりましたので至急訪問してください。
 試験結果等の開示要請につきましては、
 1週間以内に学生課へ申請していただければ閲覧可能です。
 何か質問はありますか?」

「大丈夫です。
 ちなみに同級生の警官は何人くらいいらっしゃるんでしょうか?」
「大変申し上げにくいのですが、今年は不作だったのか、
 応募の割りに試験が難しすぎたのかわからないのですが、
 サオトメさんともう一方だけが合格者です。そちらはギャバン教授のゼミです。
 他の受験生は所轄の署に戻されました。
 刑事さんに関わらず、全体の合格者が例年の半数以下でして……、
 追加募集を掛けるか検討しております。」
「ええ?」


プルート大丈夫だったのかしら。
115創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 17:55:53 ID:PpEe33Vf
116宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 17:58:04 ID:j/MWVW5d
「そのことで、サワムラ教授はかなりご立腹との事ですので、
 お会いの際にはくれぐれもお気をつけ下さい。」

「ありがとうございます。」
「それでは何かありましたら、
 お気軽に実りある学園生活をサポートする学生課までお尋ねください。」
「ツーツーツー」

てことはマンツーマンってことですか?
怖い先生だと嫌だなぁ。
フジノさんのことだから、推薦書って言っても良く書かれてるとは思えないし。
鏡に映る自分の顔を見てハアとため息をついてしまいます。

「良し、行くか。」
とりあえず真面目っぽく見せようと、スーツなんて着てみましたが無駄ですかねぇ。
「あら?新入生の方ですか?」
隣室の先輩もちょうど出かけるところみたいです。

黒髪をした綺麗な先輩……
踊り子さんみたいな服を着ていらっしゃいます。
どうして先輩だとわかったかって?
チチ!
これだから素人は困ります。
昨日の今日で友達を部屋に招く新入生がどこにいますか?

「は…はい…、昨日そのご挨拶にお伺いしようと思ってたんですけど……
 す……すみません……、そのまま寝ちゃいまして……、本当にすみませんでした……。」
だから苛めないでくださいとは口がさけても言えません。
もし相手にその気が無くても、その気にさせてしまうかもしれないじゃないですか。

「ナツミ様やアキレス姐様じゃあるまいし、心配しなくても大丈夫ですよ。」

「よく言うわ。」
117創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 17:58:21 ID:PpEe33Vf
118宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 18:00:53 ID:j/MWVW5d
その方達が怖い先輩なんでしょうか。

ちなみに踊り子みたいな方がダークエルフ族のフレイア先輩で
お尻の大きな方がイルーゼ先輩だそうです。

正義部と悪部の方が仲が良いっていうのも違和感ありますね。

お二人を本館に送りがてら、
(なんでも今日は新入生が上級生を襲撃する日だとかで)
色々教授や女子寮での暗黙の了解について教えてもらいました。

女子寮暗黙の了解
@服や髪型がかぶったときは、後輩が譲ること。

Aファッション雑誌は読み終わったら、捨てずに食堂に持っていくこと

B人の恋人を誘惑したりしないこと。例え相手に誘われても断固拒否すること。
 そのため恋人が出来た際には馴れ初めから包み隠さず食堂にて発表すること

C大浴場や共同トイレの掃除は寮母のミサキ教授の指示の元行われるので、
 一年生は積極的に参加すること。

D月に一度の地域交流(ゴミ拾い)や年に一度のお祭りは必ず参加すること。

E寮生はみんな家族だと思い、尊重しあい悩んだときは相談すること。

F旅行や帰省の際にはお土産(食べる物が好ましい)を買ってくること。

この6つを破ると大変なことになるそうです。
(肝に命じておきましょう。)

「ところでお二人はどういった関係なんですか?」
「ああ……、魔法使い仲間なのよ。
 ちなみに師匠はドクトル・マザー」

ドクトル・マザー(追加)
ドクター・ストレンジの唯一の弟子
魔法・魔術というオカルトな力を使って戦っていた珍しいヒーローである。
自らの努力で長い修行の末に力を手に入れただけあって、人生経験が豊富である。
よく出来た人格者として、多くのヒーロー達の相談相手となっており、
彼らが様々な困難に直面した際には彼らを導く存在として頼りにされているおり、
在校生だけでなく、スランプに陥った卒業生が相談に来ることもある。
119創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 18:01:40 ID:PpEe33Vf
120宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 18:04:33 ID:j/MWVW5d
「今イルーゼ様は地域交流が嫌で、近くにマンションを借りてらっしゃるんだけど、
 月に最低一度はこうして寮で食事をされるの。
 こう見えても作家さんなのよ。」
「凄いんですね。」
イルーゼさんは照れてるのか顔を真っ赤にしています。

「まぁそのうち本あげるわ。」

どんな本なんでしょう。
やっぱり魔法に関する本なんでしょうか。

フレイア先輩を図書館、イルーゼ先輩を正義舎にの正門前へ送り届け、

(アッシーみたいなもんです。)

私はシャイダー先生の部屋へ向かいます。

「失礼しま〜す。」
「君がサオトメ君か?」
「は!本日よりよろしくお願いいたします。」
ビシッと敬礼します。
何事も第一印象が大事です!

「うむ。」
シャイダー先生は頷くと、机の上のA4の便箋を私に渡しました。
(なんでしょうか。)
121宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 18:06:06 ID:j/MWVW5d
『前略 ヒーロー学園 正義部 機械科 シャイダー教授様及び機械科教授会様
    ご無沙汰しております。第40期卒業生のフジノ・ジュンコです。
    例の怪我をしてから、今日まで後進の育成に時間を費やしておりました。
    さて今日お手紙致しましたのは、部下のサオトメ リカの推薦をするためです。
    彼女は警察学校時代から私の部下をしているのですが、
    融通が利かない、詰めが甘い、想像力がない、本番に弱い、自尊心が強い
    と正直褒める所を探す方が難しい人物です。
    
    そんな彼女ですから、入局3年以内という推薦期間ギリギリになってしまったのもご理解いただけることと思います。
    本番に弱いですからもしかしたら、
    セントラルシティ署はこんな人材を推薦してくるとは、どういうつもりかと試験結果からお怒りの事かと思います。
    
    ただ一つだけ褒めても良いかなと思えるところは、馬鹿が付く程正直で真面目なところでしょうか。
    これは信頼を重んじる特別捜査官にとって、一番大切な資質だと私は考えております。
    また教えて習得できることではないと思われます。
    どうか彼女に関しては長い目で、見てやって頂けませんでしょうか。
    
    私は不慮の事故により、皆様のご期待を裏切ってしまいましたが、
    彼女はきっとその期待に応えてくれるであろうと信じております。    

 追伸 ドクトル・マザーとシロキ先生にもよろしくお伝えください。
                                  以上』

「君の推薦文だよ。彼女は元気にやっているか?」
(ええ、そりゃぁもぉ。)
むしろ有り余ってるくらいです。

「彼女が怪我をしたと聞いたとき、
 ひょっとしたら教えそびれた事があったのではないかと
 私は随分考えさせられた。
 それぐらい優秀な学生だった。」
(意外ですねぇ。)
122宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ビギンズ〜:2009/03/12(木) 18:13:53 ID:j/MWVW5d
「その話今度ゆっくりするにして、、
 問題は今回特別捜査官見習いとして、
 合格したのが二人しか居なかったということだ。
 全く最近の若い刑事が出世意欲が無いというのは本当のようだな。」

特別捜査官って危険・きつい・辛いの三拍子揃ってますからね。

「今日から君は特殊刑事科 マリリン特別捜査官見習いだ。
 スーツの方はちょっと特殊な仕様になっていて、
 使えば使うほど体に馴染んだり動作が素早くなるそうだ。
 詳しいことは助手のアニー助教授に聞いてくれ。
 同じ女性だし何かと相談もしやすいだろう。
 えっと後は……。」

アニー助教授
今は無き惑星・マウント星出身。
元々はシャイダー同様に宇宙刑事候補生であり、
捜査官としての力量及び戦闘力は高い。
テレパシー能力を持つ。

ギャバンとシャイダーが長年のライバル関係であるように
助教授ミミーともライバル関係にある。
ちなみに女子寮母のミサキ教授とは飲み友達である。
上司であるシャイダーの前では、猫を被って紳士的な態度をしているが、
姿が見えなくなった途端に口が悪くなり、手が早くなる。

「スーツの召還コードでは??」
「おお……、そうだそうだ。
 君に設定されたコードは「殖装」だそうだよ。
 当分は座学で勉強だから、変身することもないから忘れないように……。」
(肝心なことじゃないですか。)
先生のやる気の無さに一抹の不安を感じながら、私の学園生活が幕を開けました。
123創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 18:16:38 ID:j/MWVW5d
長々と失礼しました。
気が向いたらまた投下します。

>>94
色々キャラ借りました。

もう一人の合格者ってのとライバルとして切磋琢磨して
特別捜査官として成長していくっていうリレーはどうでしょ?

性別はやっぱ男が良いのかな。
124創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 18:22:57 ID:j/MWVW5d
wikiの登場人物詳細設定更新しておきましたんでよろしく〜
125創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 19:42:14 ID:RVw7NHFM
大量投下乙
一瞬スレ間違えたかと思ったw
宇宙刑事の名前って俳優が由来なんだよね。
ライバルは誰が良いだろうね。
バレー戦隊の人の入学試験とは随分ちがうな
126創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 20:37:28 ID:m2m5NExZ
力作乙です
入学試験おもしろいな しかしすぐに結果が出るんだな
宇宙刑事以外はこれの前にもテストがあったんだろうか
クロスがうまくできてていいね 寮生活も楽じゃないなw
127創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 14:20:02 ID:4VmsbVmX
投下乙です
まさかの定員割れw
ミユキ女史がいい味出してるな。
128 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/13(金) 20:52:31 ID:VmanKVxn
投下乙です
ひっそり咲く花になりたい
というわけでひっそり投下>>72-74の続き
129戦争!4 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/13(金) 20:54:40 ID:VmanKVxn
 爆音とどろき高熱が広がった。黒い煙の中で、ダークキバは何事もなく立っている。

「おーい、体を集めてくれぇー」
 コテツの頭がわめいている。手足があちこちに転がってばたついていた。
「生きていたか、よかった」
 舞う火の粉の下で、ダークキバはコテツの無事を喜ぶほど余裕を見せた。

 ようやく騒ぎをききつけた正義の生徒たちがやってきた。
 仮面ライダートール、仮面ライダーサリエルほかヒーローたちが到着する。

「何やってんだ、おまえら」
「真打ち登場といったところか」
 ダークキバが足で地をこすり、構えをとる。
 トールは剣を抜いて光らせた。

「こんなゴミどもはどうでもいいが、おまえとは決着付けてやる。戦いが呼ぶ、血が呼ぶ、
女が呼ぶ、悪を倒せと俺を呼ぶ。俺の名は仮面ライダートール!」
 二人は飛び上がると超高速の戦いをはじめた。音速を超えるたびに衝撃波が飛んで壁や地面
に亀裂が走る。
 ヒーローとはこういうものか、とナオコは恐れて口もきけなかった。

「こっちもやるか」
 サリエルたちも武器を取って悪に向かった。
「私たちも行こう」
 牙を見せて吠えると、胸当てや肩当てで武装し、獅子の顔をした戦士へとナミは変身した。
 しかたがないので、ナオコも携帯電話を取る。
「はい」
 揺れる黒ヒョウのストラップが光り、ナオコは全身なめらかに黒くし目を輝かせ、とがった
耳を頭に立てた。
 悪の生徒もやる気を出して、正義へと迫る。
 正義の側でまた変身の光が起きた。

「剛力招来!」
 トドロキ・アカネという生徒がヤゴ女になる。トンボの改造人間なのだが、トンボ女に
なる前にヤゴ女になる必要がある。
 だが、ヤゴでも強い。水陸両用でもある。
 ヤゴ女アカネが悪の生徒にキック、パンチを食らわして打ちのめした。
 悪側もいきり立って、正義の側を殴る蹴るする。
 戦塵の中に響く怒号罵声、火が飛び稲妻走る大合戦、ヒーローたちの影が飛び回っては
地に沈む。
 超力招来によりトンボ女と化したアカネが何を思ったか正義舎へ飛んでいった。トンボ返り、
女子生徒を腕にぶら下げて舞い戻る。

「キョウコちゃん、変身してよ」
「えぇー、眠いぃー」
 黒髪で色白、ピンクのワンピースに身を包むキョウコは、小さな口に手を当てあくびした。
 トンボ女がキョウコを地に下ろし、おだてなだめすかして変身をうながす。
130戦争!5 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/13(金) 20:58:00 ID:VmanKVxn
 まわりの生徒も手もみし愛想笑いして、変身を頼んだ。
「キョーちゃんお願い!」「あとでおごるから!」「お菓子あげるよ」
「んんー、わかったぁー」
 キョウコは肩下げの小さなバッグから、マスカラを出す。
「へぇーんーしぃーんー」
 まぶたが紫に塗られると、キョウコは光り輝いて姿を変え、体を大きくしていった。
 見る間に大きくなって、キョウコは天にも届くかという巨人になる。身長三十七メートル、
体重三万四千トン、銀の地に紫の模様が入ったウルトラマン・バステトだ。三角の角を二つ、
頭に立てている。
「ジャー!」

「宇宙科だ」「宇宙科きやがった」
 悪の生徒があわてふためき浮き足立つ。
 宇宙科の巨大宇宙人は、普段は変身してはいけないことになっている。怪獣が暴れている
とき、天災があったときなどに限られるはずだった。

「ジャー!」
 頭の辺りが霞むような超巨人が、悪の生徒たちを踏みつぶそうと右足を上げた。
 凶悪そうな生徒たちがわあわあ騒いで、散らばっていった。
 大きな足が地に落ちると、地震のようになって生徒たちがひっくり返った。

「ええい、うろたえるな!」
 ダークキバが飛び上がった。女ウルトラマンの左足に乗り、駆けのぼっていく。
 不気味な赤い満月が空に浮かんだ。

「キングスバーストエンド!」
 ウルトラマンバステトの背中を、ダークキバのキックが突き刺す。
「ジャー!」
 痛がってバステトは身をよじった。
 ダークキバはバステトの巨体をはい回って攻める。針の一刺しにバステトは苦しんで、
自分の体を平手でたたいた。
「ジャー!」バステトの声が響き渡る。巨人が足踏みするたび、島全体が揺れるようだ。
 そうこうしているうちに、悪の側でも宇宙科の生徒が引きずられてくる。

「ペギー!」
 ペギラツーという悪部宇宙科の生徒だ。アザラシとペンギンの合いの子のような姿で、
いつもは人間ほどの大きさだ。
「ペギちゃん頼むよ!」「あとで魚あげるから」「千両役者!」「宇宙一!」
「ペギー!」
 気を良くしたペギラツーが巨大化をはじめた。見る見る大きくなって、身長五十メートル、
体重四万二千トンの大怪獣と化す。
 かたやウルトラマンバステトは、胸にある鈴のようなカラータイマーを光らせた。よく
知られるように彼らの活動時間は三分だ。
131戦争!6 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/13(金) 21:01:04 ID:VmanKVxn
「ジャー!」と、バステトは指を額に当て光線を撃とうと力を高める。
「そうはさせん」
 ダークキバがバステトの首によじ登り、痛烈な蹴りを食らわした。
「ジャー!」
 バステリウム光線は狙いを外して空へと放たれる。まぶしい光線は空を裂き、宇宙へと飛んだ。
 エネルギーを使い果たし、バステトは小さくなっていく。ダークキバは飛び降り、校庭に
着地した。
 悪部生徒が、キングを誉め讃えて声援を送る。
 元に戻ったキョウコは疲れ切って眠りについた。トンボ女アカネが飛び付き、抱えて
飛び去った。

「形勢逆転のようだな!」
 ダークキバの背後には、超巨大なペギラツーが空を隠して立っている。
「あんなもんデカいだけだ。俺がたたっ斬ってやる」
 トールは剣に電流をまとわせ、構えを取った。

「いったれペギちゃん!」「正義舎ごと凍らせろ!」
 悪部生徒の声に応えて、ペギラツーは冷凍光線を吐こうと一歩踏み出した。
 足の裏に何か異物を感じ、怪獣は下を見る。生徒たちが何か叫んでいた。

「キング!」「キングが……」
 ペギラツーが足を上げると、くぼんだ足跡にダークキバがめりこんでいる。
 ペギラツーが申し訳なさそうに、羽根のついた手を頭にやった。
 踏ん付けられたダークキバは動かない。
 正義と悪、一同静まり返った。

「あーあ、ダークキバさん死んでもうたがな」
 サリエルがのんびりした調子でいった。
 トールがおごそかに手を合わせる。
「奴のことは決して忘れまい。三日くらいは」
 さてどうしようか、と生徒たちは途方に暮れた。

「ほな葬式したろか」
 サリエルの指示でロッカーが運ばれてきた。彼は神父のバイトをしている。
 ダークキバの体は、無造作にロッカーへと突っ込まれた。
「棺桶代わりや。女子更衣室のロッカーや、本望やろ」
 サリエルは適当な説教をはじめた。
「キリストはいわはった。なんやったかな、ま、ええわ。どうせおまえらにいうてもわからへん
わいな。ほな、火葬にしよか。誰か百円ライター持ってへんのかいな。最近は禁煙禁煙や
からな。火葬終わったらみんなで葬式まんじゅう食おな」

 そこへ、一人の女が飛ぶようにやってきた。
「キング!」
「おお、クイーン」
 むくりとキング・ダークキバが起き上がる。
「なんだこの騒ぎは! また迷惑かけたな!」
 クイーン・リョウコにぶったたかれると、ダークキバの頭がずれたようになった。
「ち、ちが……」
「迷惑おかけしました」
 クイーンは一礼すると、ダークキバを引きずっていった。
「王の威厳が……」

 残された面々は立ち尽くすばかり。
 サリエルがぽつりとつぶやいた。

「葬式まんじゅう、食い逃したがな」

132 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/13(金) 21:05:17 ID:VmanKVxn
とりあえずここまでで 色々キャラ使わせていただきまして失礼しました
宇宙科の設定は邪魔なら捨てちゃってもいいです……
ではまたー
133正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 22:27:18 ID:hO3bGNqm
「は〜い、免許証と学生手帳見せるべさ。」
「タカノリよ見逃してくれよ、
 同級生の仲じゃないか、今度合コン呼ぶからさ。なぁ?」
お前らがこうして遊んでいる間も俺は仕事中ないんだよ!!!
「買収とは良い度胸だべさ。今度言ったら撃つべ?」
カチッと銃のリボルバーを親指で引きながら嘯く。
「すみませんでした。」

自治会に強制的に入れられて、この業務に携わってもう三年だぞ
入学ホヤホヤの一年のときならイザ知らず、
色々な人種や民族の応対をすることで、
捜査官としての目を養ってきた今の俺が、そんな甘い言葉に騙されるはずがない。
(何度も騙されて学習したからな。)
「ふん、分かれば良いんだべ。」
(書類にタッチペンで記入して、学生課へ違反者データを送信っと)
治外法権のヒーロー学園島とはいえ、交通ルールは守ってもらわないと困る。

気をつけるよう軽く説教をしてから解放だ。

『お疲れさん。次5号線に行ってくれる?』

バイク(サイドバッシャー)でパトロールに戻ると、
すぐにサポート係のシホリから連絡が入る。
「人使い荒すぎだべ。」
「文句言わないでよぉ。」
「へいへい。」
134正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 22:29:35 ID:hO3bGNqm
サイドバッシャー
ペガサス株式会社で改造されたタカノリ専用のバイク
最高時速/1200km(バトルモード時は1600km)
動力/フォトンジェネレーター(出力は950馬力)
設計・開発/ペガサス株式会社

サイドカータイプの可変型バリアブルビークル
色はカイザの黄色と同じ。
変形機能があり、バイク型(ビークルモード)から
二足歩行型戦闘メカ(バトルモード)に変形することができる。
ビークルモードはどんな荒地でも安定走行が可能で、
カウルに装備されたライトは5000m先まで昼間のように照らすことが可能。
偵察用カメラを搭載したサイドカー部分(ニーラーシャトル)は分離して自走させることも可能。
バトルモードはカイザを上部に載せて、
右アームに装備された10連装バルカン砲「フォトンバルカン」(毎秒900発の連射が可能)、
左アームに装備された6連装ミサイル砲「エクザップバスター」で敵を吹き飛ばすほか、
ボディからフォトンフィールドを発生させて身を守ることも可能。
カイザフォンに「9821」と入力すれば呼ぶことができる。
ちなみにペガサス社長のシノハラ・ナツミと副社長のヤガミ・ヨウコは、研究セクションの客員教授
135正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 22:30:09 ID:hO3bGNqm
5号線に進路を取り、しばらく走ると車線が合流する。
「そろそろ来るはずよ、5…4…3…2…1…0」
カウントダウンが0になった瞬間、横をビュっという風がふく。
「来るって言ったじゃん。」
「いきなりカウントダウンするからだべ。」
シホリは衛星から交通違反者を探しているのだ。
情報分析能力は高いのだが、それを伝える能力が著しく欠けていると言わざるを得ない。

シホリ・ヤノ
黒髪のポニーテールがチャームポイント。
シノハラの愛弟子、開発なら男と対等に勝負が出来ると考えている。
ナツミやカストルのように画期的な発明や根本的な理論構築は少ないが、
それらを流用し組み合わせる頭の柔らかさ(発想力)は、学園でも一目を置かれている。
またバイト先でシノハラに叩き込まれた修理技術は、他者の追随を許さない。
タカノリを改良する際に、ユイやシャダイムの改良を参考にしている。(ナツミ公認)
漫画好きのちょっと天然で、ユイやナツミとは入学試験のときからの大親友
カストルとは同じゼミで学園ではジュリ以外で唯一ヘラと会った事がある。
女子寮の部屋はリカの下の部屋。
ポニーテールをしていないと、後ろから見たときエリカと区別が付かない。

どう考えても速度違反である。
こんなことじゃ、
またゴシップ誌に『一般社会と掛け離れた概念』とか書かれるんだよ。
「9(ピ)-1(ポ)-3(ピ)っと変身!!!」
カイザフォンにコードを入力しベルトに装着する。
銀河連邦警察 警備部 公安課 高速機動隊 特別捜査官(候補)の目の前で、違反するとは良い度胸だ。
136正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 22:32:23 ID:hO3bGNqm
高速機動隊
人間、電脳化した人間、サイボーグ、アンドロイド、バイオロイド、怪人が混在する社会の中で、
テロや暗殺、汚職などの犯罪を事前に察知して、
その被害を最小限に防ぐデカマスター宇宙警視総監直属の攻性の公安警察組織
(今年 前総監のギャバンは学園に天下りをした。)
事前調査だけではなく、異常犯罪やサイバー犯罪などの国民に与える影響の大きな犯罪の捜査、
テロリズムの抑止・検挙、暗殺などのカウンターテロと、
それに伴う警備又は要人警護も担当と総合的な防諜部門である
社会正義を実現するためには武力をもって、
これを成し遂げることも辞さない、まさに攻性色の強い組織

ちなみにユイとハルカは、同じ警備部 警備課 の特別捜査官見習いだった。
(成績がTOP3に入れなかったため資格喪失した。)
こちらは通称 『シークレットサービス』と呼ばれ、主な任務は要人の警護、
及び偽造通貨などの取り締まり、様々な不正経理犯罪・個人情報窃盗の捜査、
地域犯罪における科学捜査・検挙である。
137正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 22:33:12 ID:hO3bGNqm
「そこのピンクの超次元スポーツカー止まるべ!!」
まずはマイクから紳士的に警告する。
(まぁ最初はな。)
ギュイーン
「おい!」
むしろスピード上がってねぇ?
「今から言うナンバーの所有者調べてくれねぇか?」
「良いわよ。」
(どこのどいつだ。)
バイクを加速し横から運転手を見ようとする。

(フルスモークかよ!!)

もしかしてVIPな来訪者とかじゃねぇよな。
「ついでに調べて欲しいんだけど今日ってさぁ、
 どこかの偉い人が来客で学園に来てたりすんべ?」
「特に聞いてないよ。
 聞いてたら最初から行かせないしよ、どうしたの?」

もしかしたらと思ったけどやっぱり違うよな。
138正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 22:34:29 ID:hO3bGNqm
(ということは、いつも通りで良いな。)

「おら止まれって言ってんだろうが!!!!
 無視ってんじゃねぇよ!!!!オラオラ!!!」

車の助手席側のドアを蹴りまくる。
ちなみに高速移動中なので、絶対に真似するなよ。

(ようやく諦めたか。)

車がスピードを落とし、路肩に停車する。
俺もバイクを運転席の方に回して窓をコンコンと叩く。
パワーウィンドウが下がり、運転手の顔が出てくる。

「お前何考えてんだ!!!!」

顔を出したのは、黒いサングラスを掛けた後輩のリカだ。
「良い度胸だな。
 制止を無視して!」
「先輩〜ちょっと、どうするんですか……、どうするんですか?」

助手席のエリカの体を揺らしながら尋ねている。

「スーピー♪スーピー♪」
(寝ているのか。)
「賤しくも特別捜査官を目指す者が、過ちを人のせいにするな!」
「2秒前まで起きてたんですよ。」
だからなんだ。
運転してたのは自分じゃないとでも言うのか?

「なに?もう着いたの?あれどうしてカイザがいるの?」
寝ぼけ眼をこすりながらエリカが目を覚ましたようだ。
139正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 23:00:11 ID:hO3bGNqm
「ダメだよ、
 リカちゃんは正義部なんだから、交通ルールは守らないと……。
 急がなくて良いよって、アタシ言ったじゃん〜。」

「そんなぁ。」

リカは慌てふためいている。

「これ制限速度70キロオーバー&蛇行運転
 あと横断歩道前の一時停止無視・信号無視と
 さらに捜査官現場指示違反で違反金120%増し……。」

「70キロぐらいガタガタ言ってんじゃねぇよ!!」

「なんだと?」

タッチペンを操る手がピタッと止まる。

「何も言ってません。」
リカがブンブン首を横に振る。

「一時停止無視と点滅信号くらい、後輩なんだから見逃してよね。
 点数稼ぎばっかりで、小さい男よね。
 そんなんだから、万年三位なのよ。」

「今度は聞こえたぞ。」
「エリカさん声色使って、私のフリするの止めてください!!!」
(なんだ声色か。)
点数計算するため、一端バイクに戻る。 

「こんな嘘で引っかかるなんて単純ね。
 彼女がずっと出来ないわけだわ。」

140正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 23:03:41 ID:hO3bGNqm
カチーン!!!
もう声色かどうかなどどうでもいい。
(おちょくるなら、相手をみておちょくるんだな。)

「ちょっとお前ら全員車降りろ。」
「これからアルバイトなんで、早く終わらせてください。」
後部座席のドアがウィーンと開き、キマイラのノーブルな顔がちょこんと顔を出す。
「この蹴ってへこんだところの修理代は、後で請求しますからね。
 さっさと終わらせてよねぇ〜」

(こいつら反省してねぇな。)

例の件もあるし、ちょっと懲らしめてやるか。
「どこだべ?見せてみろだべ。気のせいだべ〜」
「よく見てよこれ。ポン」
俺の右肩にキマイラの手が触れた瞬間、大袈裟に倒れる。

「情けないわねぇ。」
「や…やめるべ。」
差し出された手をずらし、胸部に当てるとまた大袈裟に体を揺らす。
「ちょっと何?」
権利を読み上げキマイラの両手を後ろに回し、強化手錠を掛ける。
「職務質問中に捜査官に対して、脅迫行為を行い、暴行を働くとはとんでもない奴、
 公務執行妨害及び職務強要で緊急逮捕だべ。」

「頭オカシイんじゃないの?」

「詳しい話は後で聞くから、サイドカーに乗れ。
 言っとくけど俺達、公安の取調べは、刑事課のように甘くないからな。」

「ちょっと先輩何言ってるんですか!!」
リカが駆け寄ってくる。
「あ〜、もしもし〜
 衛星動画と通信記録ちゃんと残しといて欲しいべ。
 今から連行するべさ。」

「了解。」
シホリはガチャガチャと通信をつけたまま作業を始めた。
多分頼まれた作業の事で、頭が一杯になってマイクの存在を忘れてる。
一生懸命というと聞こえは良いが、もう少し何とかならないもんだろうか。


「お前らはもう帰って良いべ、
 ちゃんと学生課に支払いに行くべよ。
 こいつの身元引受人は、上級生じゃないと無理だべさ」

バイクを走らせ、学園へと戻る。
141正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 23:04:27 ID:hO3bGNqm
カチーン!!!
もう声色かどうかなどどうでもいい。
(おちょくるなら、相手をみておちょくるんだな。)

「ちょっとお前ら全員車降りろ。」
「これからアルバイトなんで、早く終わらせてください。」
後部座席のドアがウィーンと開き、キマイラのノーブルな顔がちょこんと顔を出す。
「この蹴ってへこんだところの修理代は、後で請求しますからね。
 さっさと終わらせてよねぇ〜」

(こいつら反省してねぇな。)

例の件もあるし、ちょっと懲らしめてやるか。
「どこだべ?見せてみろだべ。気のせいだべ〜」
「よく見てよこれ。ポン」
俺の右肩にキマイラの手が触れた瞬間、大袈裟に倒れる。

「情けないわねぇ。」
「や…やめるべ。」
差し出された手をずらし、胸部に当てるとまた大袈裟に体を揺らす。
「ちょっと何?」
権利を読み上げキマイラの両手を後ろに回し、強化手錠を掛ける。
「職務質問中に捜査官に対して、脅迫行為を行い、暴行を働くとはとんでもない奴、
 公務執行妨害及び職務強要で緊急逮捕だべ。」

「頭オカシイんじゃないの?」

「詳しい話は後で聞くから、サイドカーに乗れ。
 言っとくけど俺達、公安の取調べは、刑事課のように甘くないからな。」

「ちょっと先輩何言ってるんですか!!」
リカが駆け寄ってくる。
「あ〜、もしもし〜
 衛星動画と通信記録ちゃんと残しといて欲しいべ。
 今から連行するべさ。」

「了解。」
シホリはガチャガチャと通信をつけたまま作業を始めた。
多分頼まれた作業の事で、頭が一杯になってマイクの存在を忘れてる。
一生懸命というと聞こえは良いが、もう少し何とかならないもんだろうか。


「お前らはもう帰って良いべ、
 ちゃんと学生課に支払いに行くべよ。
 こいつの身元引受人は、上級生じゃないと無理だべさ」

バイクを走らせ、学園へと戻る。
142正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 23:08:10 ID:hO3bGNqm
「カイザ特別捜査官候補!
 これはどういうことかね?」
今年から俺のゼミ担任のギャバン教授が慌てたように近づいてくる。

「高速蛇行運転を繰り返し、停止するよう警告をしたのですが、
 無視した為にこのままでは、市街地に突入し民間人に危険が及ぶ可能性があるのと判断し、
 カイザに変身し力ずくで止めました。
 その際に捜査官を脅迫し、暴力を振るったため拘束し連行いたしました。」

「ちょっといい加減にしてよ。
 陰謀よ!暴力って自分で勝手にこけたり頭ぶつけたんじゃない!
 脅迫って修理代は払ってもらうって言っただけじゃないのよ。」

「教授!
 私が何故そんなことをする必要があるのでしょうか?
 車を止める際に多少強引でしたが、
 それを罰せられていたら、逃げた者勝ちということになってしまいます。
 無線記録等をシホリから提出して貰う予定ですので、
 そちらを聞いていただければわかりますが、事前に停車するように警告を発しております。」

誰がそんな話を信じるか。
俺を誰だと思ってるんだ?
成績優秀、正義部の自治会のメンバー、さらに特別捜査官候補だぞ。
ただの一年生の証言とどっちが信用されるか。
少し考えればわかりそうなものだ。
いくら弁護士資格を持っていても、所詮は一年生だ。
俺を甘く見ているようだが……。

リカとは違うのだよ、リカとは!

143正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 23:09:13 ID:hO3bGNqm
「カイザ特別捜査官候補!
 これはどういうことかね?」
今年から俺のゼミ担任のギャバン教授が慌てたように近づいてくる。

「高速蛇行運転を繰り返し、停止するよう警告をしたのですが、
 無視した為にこのままでは、市街地に突入し民間人に危険が及ぶ可能性があるのと判断し、
 カイザに変身し力ずくで止めました。
 その際に捜査官を脅迫し、暴力を振るったため拘束し連行いたしました。」

「ちょっといい加減にしてよ。
 陰謀よ!暴力って自分で勝手にこけたり頭ぶつけたんじゃない!
 脅迫って修理代は払ってもらうって言っただけじゃないのよ。」

「教授!
 私が何故そんなことをする必要があるのでしょうか?
 車を止める際に多少強引でしたが、
 それを罰せられていたら、逃げた者勝ちということになってしまいます。
 無線記録等をシホリから提出して貰う予定ですので、
 そちらを聞いていただければわかりますが、事前に停車するように警告を発しております。」

誰がそんな話を信じるか。
俺を誰だと思ってるんだ?
成績優秀、正義部の自治会のメンバー、さらに特別捜査官候補だぞ。
ただの一年生の証言とどっちが信用されるか。
少し考えればわかりそうなものだ。
いくら弁護士資格を持っていても、所詮は一年生だ。
俺を甘く見ているようだが……。

リカとは違うのだよ、リカとは!

144正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 23:11:51 ID:hO3bGNqm
「このように興奮状態にあり、薬物を使用している可能性もあるかと思われます。」
怒りで体を揺すっているキマイラを見ながらトドメだ。
「ふざけんな!!
 そんなことしてないわよ。離してよ!」

「自殺されてもメンドクサイですし、
 目隠しと猿轡と足枷をつけて、暫く暗室で落ち着かせます。
 その後取り調べと薬物検査を行う予定です。」

「さすがカイザ捜査官、三年生だけあって完璧だな。
 よし連れて行け。」

はい、いっちょあがり。
俺をナメルとどういうことになるか思い知ったか。

「あ……、家宅捜索もした方がよろしいでしょうか?」
女性捜査官に連れて行かれるキマイラに聞こえるようワザと大きめな声で尋ねる。
「それもそうだな……。」

ガチャンとドアが閉まる音がした。
「やっぱり、尋問してからで良いと思うぞ。」

「了解しました。
 喋らないようでしたら勾留期間を延長しても?」

「許可する。」
誰を怒らせたのか思い知るがいい。
145正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 23:15:45 ID:hO3bGNqm
2週間後
散々尋問で精神的……肉体的にいたぶられた末、
証拠不十分で釈放されたキマイラの
自慢のノーブルな美貌からはすっかり精気が無くなっており、
支えられて歩くのがやっとで
ファンガイアの先輩のリョウコ先輩に引き取られて帰っていった。
いやぁ、あんなにペコペコ頭下げてるの初めてみたぞ。
王族ともなるとやっぱり世間体とかあるんだな。
(くくく、これで悪部の連中も少しは大人しくなるかな。)
 
「この屈辱は一生忘れない!!
 必ず殺してやる!!!」
とキマイラが場所を考えない発言を残してから数時間後

俺はギャバン教授の研究室に呼び出された。
「お呼びでしょうか?」
「うん、君に頼みたいことが出来たんだ。」
「と言いますと?」

論文の作成か、それともまた面倒なことじゃないだろうな。
お陰で俺は女子全員を敵に回したんだからな。

「実はユグドラジル帝国を第一級テロ組織に認定することになった。」
世界征服を企んでるくらいだから、むしろ遅いくらいだ。
「そこはまぁ、特別捜査官に任せるんだが、少し厄介なことになっててな。」

「と言いますと?」

「奴等どうやら過去にアスガルド軍団を放ったようなんだ。
 そしてヒーローを倒そうと計画しているらしい。」
146正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 23:16:15 ID:hO3bGNqm
「我々はどうしたら過去に出来るだけ影響を与えず、
 かつアスガルド軍団を殲滅できるかを検討した。」

「俺に何をしろと?」
「過去のヒーロー学園に生徒として潜り込みのだ。
 これが一番影響が少なそうなんだ。」
「それって時間保護局の仕事でしょ?」

そのとき、別のドアが開き、ジュリ先輩と見掛けない学生が入ってくる。
「よ!!女子学生全員を敵に回したイカサマ刑事!」

少なくとも先輩とユイとハルカとシホリはこっちの人間だろうに。

「なんで先輩がここに来るんだべ?」
「イクサを見て気がつかなかったのか?
 どう見てもメタルスーツの系等だろ。
 お前もまだまだだな。」

「なんだ知り合いだったのか。」
「はい、格闘技部の後輩であります。」
「明日から半年間過去に行っている間、君達二人を特別捜査官に任命する。」
お……、期間限定だが見習いじゃなくなるのか。
「でも単位は??」
「問題ない。
 ジュリ捜査官はもともと来年からヒーロー実習だし、
 お前とそのウラノスの単位は保証しよう。」
147正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 23:16:45 ID:hO3bGNqm
それを聞いて安心した。
世界平和も大事だが、俺の未来も大事だからな。
「でも過去に行くわけですよね。
 どうやって戻るんですか?
 確かまだ過去にはいけるけど、未来に進む技術は開発されてないですよね?」

「それはウラノスが対応してくれる。
 しかし回数に限りがあるので気をつけてほしい」

作戦としては、まず正義部長が現役だった時代に飛び企みを阻止、
その後敵を追いつめていき、全滅させたら一気に現代に戻るという作戦らしい。

詳しいことは先輩に任せるとしよう。

「それにしても驚きだべさ。
 先輩と過去に行くなんて〜。」
「最後のご奉公だからしっかりやらないとな。」
「最後?」
どういう意味だろう。

「知らないのか?
 私結婚するから捜査官見習いを辞めるんだよ。
 当然学園も辞めることになる。
 辞表をユウリ助教授に出したんだが、却下されてなこんなことになったわけだ。」

「あの金髪豚野郎と本当に結婚するんですか?」
148正義の鉄槌 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 23:20:02 ID:hO3bGNqm
言い終えた瞬間、体が宙を舞う。
いつ投げられたんだ?
「何か言ったかね?」
「んや、何も……。」
ポンポンと埃を払って起きあがる。」
「とにかく明日の夕方出発だ。 
 どんな敵かも知れないし、
 片道切符になるかもしれないから、別れを告げたい人が居るなら告げとくんだな。
 会いたい女子がいたら、呼び出してやっても良いぞ。?」

「そんなもんいるわけないべさ?」
自信持っていえるぞ。

「私は愛する旦那様と約束があるからそれじゃあな。」

さて俺は何をしようかな。
まず最悪のときに備えて特にお気に入りの映像ディスクと雑誌を破棄して、
PCの動画ファイル(とてもやばいののみ)も削除して……。
全部削除すると削除したのがばれてしまうからな。

それからそれから……。
(いろいろやる事あるかも)
149 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/13(金) 23:26:02 ID:hO3bGNqm
>>123
投下乙です。
キャラを上手く使ってくれてありがとう。
タカノリ君一応先輩なんで、
こんな形で経験の差を出してリカのリベンジさせてみました。
(もともと彼……、
 初登場時外道だけど、不思議と周りに人が集まるキャラだったので、
 良い意味で成長させたつもりです。)
ちなみにハイドは鬼畜ね。
他の皆さんも自由に使っちゃってください!
150創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 12:38:15 ID:wL5o3gZt
各作者様 投下乙です。

それぞれ盛り上がってきてますな。

マリリンのライバルはエリート男に一票です。
そんでサポートが女性で彼女もエリートなのです。
でいちいち張り合ってくると。

一方のマリリンには無愛想でオタク風なサポート役がつくのですが…みたいな。
メカイジリは好きだけど情報分析には全く興味がないから、
仕方なく女の情報分析官が追加されるとかどうよ?

カイザはそういえば初期にハイド達をリンチしようとしたんだよね。w
151宇宙刑事 マリリンの事件簿〜マリリン・チーム結成の巻〜:2009/03/14(土) 19:38:41 ID:tDBy41To
「うん、授業にもちゃんと出てるし、このペースで頑張りなさい。」
今日は入学して半年経ったので、前期の成績発表とシャイダー先生との面談です。

「ありがとうございました。」
「じゃぁ、俺はちょっと学会に行くから、アニー君とも話してくれ。」
そう言い残してシャイダー先生は面談室を出て行きました。
(二人にしないでください……。)
「じゃ始めようか?」
「はい……。」

「どこ座ってんの?そっちでしょ?」
アニー先生が顎で床をクイっと指しました。
(そう来ましたか。)
仕方なく床に体操座りすると、顔を見上げます。
「正座に決まってるっしょ、あとこれを太腿の上に置こうか。」
先生は面談室の飾ってある鉄の北極熊の彫刻(実寸大)を渡してきます。
「重!!!」
「うっさいわねぇ。ガタン」

先生は足を机の上に乗せると、私の成績に対しての批評を始めます。
「リカさぁ、やる気あるの?」
「ありますけど……。」
「顔は上げな、体罰みたいだろ?」
これを体罰といわず、何と表現すればいいんでしょうか。

「リカの成績=私の評価になるからって最初に言ったよね。
 あとミミーのところのトシゾウ君だっけより悪かったら、
 タダじゃすまさないとも言ったはず。」
152宇宙刑事 マリリンの事件簿〜マリリン・チーム結成の巻〜:2009/03/14(土) 19:40:27 ID:tDBy41To
「トシゾウ君はお父さんもお母さんも親戚一同が特別捜査官だから……。
 蛙の子は蛙って言うじゃないですか?生まれながら特別優秀なんです。」

「ほぉ、これを見てもまだそれを言えるかな。」

指や首をピキパキと鳴らしながら、一枚の紙を私の顔の前にかざしました。
「上から見てくれる?」
「はぁ。」
どうやら格闘技実習の学年全体の成績一覧のようです。

蛍光ペンで上位のトシゾウ君のところには、印が付けられています。
「あれれ??リカちゃんの名前が見あたらないなぁ。」

スッと紙を上に上げ下の方を見せます。

「あれれ、この紙にはないみたいだなぁ。
 二枚目かなぁ〜。」
そういって二枚目の紙の下の方を見せます。
ようやく私の名前がありました。
(わかってますよ。)

「久しぶりに笑わせて貰ったわ。」
顔はニコニコと笑っていますが、決して先生のブルーの瞳は笑ってません。

もしここで「そうですか?」
なんて言ったら、
机の上に乗せられたスラっと長い足と
その先にある15kgの錘が仕込まれたスニーカーの踵が、
正座で逃げ場のない私の頭の上に容赦なく振ってきます。

「あとさぁ、ユリコから聞いたよ。」
聞いたってまさかミサキ先生……、
絶対言わないでってあれ程お願いしたじゃないですか!!
153宇宙刑事 マリリンの事件簿〜マリリン・チーム結成の巻〜:2009/03/14(土) 19:43:37 ID:tDBy41To
「プリン事件での迷捜査官ぶりね。
 いやぁ、女子教員慰労会で聞いて大爆笑
 (ミサキ・ミミー・ツルヒメ・アニー・シロキ・ユウリのただの飲み会)
 スッカリ赤っ恥かかされたわ。
 私に何か恨みでもあるのかしら?」

「あれは抜き打ち試験だったんですよね?」

私の右往左往ぶりをシャイダー先生はリアルタイムで、
カラクリ校舎にある通信指令室から見ていたそうです。

確かその場にアニー先生は居なかったと聞いていたので、
内緒にしておいて貰うようお願いして、その代わり食堂の清掃を手伝ったんですけど……。

「捜査官たる者常に冷静であれって教わったでしょ?(シャイダー先生から)」
「ううう…」
それを言われると確かに頭に血が上ってたとしか言えません。

「ところでさぁ、
 アンタ授業終わったら速攻自室に帰って、
 そのまま朝まで出てこないって聞いたんだけど何してるの?
 休日なんか部屋から出てきたことないって。
 もしかして、あれ?私を毒殺しようと計画を練ってるとか?」
「そんな発覚したら後が怖いことできませんよ。
 勉強ですよ!
 実技が駄目だからせめて、座学の方では頑張ろうと思ってるんです。
 あと弁護士資格の勉強とか……。」

「それでこの成績なら辞めた方が良いんじゃない?」

(グサ)

「それは言わないでくださいよ〜〜。
 私だって頑張ってるんですよ!!」

「泣いたって駄目よ、
 シャイダー先生ならごめんな、
 今のは言い過ぎたとか言うんでしょうけど。
 覚えておきなさい?女の涙は女には通用しないの。」

別にそんなつもりは無いのですが、先生にピシャリと切り捨てられてしまいました。
154宇宙刑事 マリリンの事件簿〜マリリン・チーム結成の巻〜:2009/03/14(土) 19:44:10 ID:tDBy41To
「結果が出てないんだから、やり方を変えなさいと言ってるの。
 何よりせっかく六年間も学生生活あるのよ?
 もっと楽しまないと損でしょ。
 誰も風俗店で楽しめとは、一言も言ってないからね。」
例の件を思い出したのか、ポカポカっと私の頭にゲンコツを二発落とします。
「アガ。」
下顎が熊にぶつかって舌を噛んでしまいました。

「まさかずっと暗い穴倉の中でコソコソやってるつもりじゃないわよね?
 捜査官になったら色々な人と話さなきゃいけないの。
 今からそれで大丈夫なの?」

いつも厳しい口調ですが、
実はシャイダー先生よりも私の事を心配してくれているのです。

「やり方を変えるって具体的にどうすれば良いんですか?」
ポカポカポカとゲンコツが再び落とされました。

「捜査官たる者、自分で考えろって言うんですよね、
 でもアドバイスくらいしてくれても良いんじゃないですか?」

「私に意見するとは偉くなったわね。」
いや、あの意見とかじゃなくて、お願いというんじゃないでしょうか。
155宇宙刑事 マリリンの事件簿〜マリリン・チーム結成の巻〜:2009/03/14(土) 19:46:26 ID:tDBy41To
「アドバイス……、アドバイス……。
 そうね部活とかやってみたら?
 格闘技部とか新入生多いみたいよ。」

「う〜ん。」
なんかベタ過ぎですねぇ。

「あんまり気が進まない?
 まぁリカって現役を退いて、随分になる私より弱いしね。」

ゼミのときによく、お稽古をつけて貰うのですがなかなか上達しないのです。
「アルバイトでも良いんじゃない?
 社会ってのを肌で感じるのは、捜査官としてけっして−にはならないわよ。
 まぁそれが社会の全部とか勘違いされると困るんだけどね。」

「アルバイト……。」
そういえば、キマイラとアキレス姐さんは弁護士事務所でアルバイトしてると言っていました。
ちょっと相談してみることにしましょう。

「あとね、半年経ったってことで、リカにもサポート係が付きます。
 まずスーツの強化とか修理とかメカニカルなことを担当してくれるのが、
 機械科1年生ゲンナイ・サカモト君。
 次にスピード違反の取締りのときの指示とか、
 捜査実習のときの情報分析とかを担当してくれる情報官が、
 機械科1年生キイ・トウゴウさん。」
「上級生のキイさんってどんな方なんですか?」
156宇宙刑事 マリリンの事件簿〜マリリン・チーム結成の巻〜:2009/03/14(土) 19:47:19 ID:tDBy41To
「それは寮に住んでるのリカの方が詳しいはずでしょ?」
飽きれたように先生がため息をつきます。
確かにそうかもしれません。(汗)

「三年生のタカノリ君のサポート係で研修してたんだけど
 シホリさんがもう充分出来るって推薦するから、お願いすることになったの。
 二人とも優秀な子だからよく勉強させて貰いなさい。」
私の学年は学生が少ないので、(特に機械科は)
二人係でサポート体制を敷くことになったそうです。

並み居る人を押しのけて加わっていただけるということは、とても頼もしい方なのかもしれません。

「これからはチームなんだから、より一層頑張りなさい。
 私もリカの興味のありそうなアルバイトとか探してみるからさぁ。
 少し視野を広げてみなさい。
 なんでも良いから、犯罪行為とか非合法スレスレとかでなければ……。」

もうその話は止めて下さいよぉ。
反省してるんですから……。
157宇宙刑事 マリリンの事件簿〜マリリン・チーム結成の巻〜:2009/03/14(土) 19:48:08 ID:tDBy41To
(その夜)

アルバイトの話を聞くために食堂へ
食堂では思い思いに夕飯を食べています。

端のテーブルにキマイラがチョコンと座っているのが見えました。

お誕生席に座ったキマイラを取り囲むように
アキレス姐さんとクイーン先輩とヘレネ先輩の姿も見えます。

悪部女子の3巨頭が何の話をしているのでしょうか。
近くの席に腰掛け、親子丼に舌鼓を打ちながら耳をすませます。

「災難だったわね。」
「全くよ、どうして会いに来てくれなかったんですか?」
キマイラがコップをテーブルにガンと叩きつけます。

「行きやんしたとも、やてタカノリはん捜査に非協力的やので、
 証拠隠滅の恐れがおますため会わせられへんって言わはったんどす。」

「大人気ない奴じゃ、エリカの声色がまずかったんじゃろうか?」
「まぁ何にせよ、お勤めご苦労様。
 取調べ中、ずっと二人っきりだったんでしょ?
 何か面白いこと無かったの?」
キマイラはブルブル体を震わせ、ノーブルな顔を紅潮させます。
158宇宙刑事 マリリンの事件簿〜マリリン・チーム結成の巻〜:2009/03/14(土) 19:49:05 ID:tDBy41To
「私はファンガイアのそれも王族の親衛隊ですよ。
 恋など許されないのです。
 そりゃぁ、口で言い負かされたの初めでですけど……。」

「別にいいけど?私だってキングいるし。」
「恋の話やらなんやらどなたはんも言うてへんのに考えるちゅうことは、
 少しは意識をしたはるんどすなぁ。
 シホリはんちょいおこしやすくれまへんか?」
アキレス姐さんがシホリ先輩を呼びます。

話題はタカノリ先輩の話みたい。
「呼びました?」
「あら、後ろにいるのはリカちゃんじゃない?
 珍しいじゃな〜い。
 こっちにいらっしゃいよ。」

「居たの?」

キマイラが驚いて振り返ります。
「こっち来なさいよ。
 そもそもエリカ先輩に煽られて無茶な運転したのは貴方でしょ!!!」
私の二つの三つ編みをグイグイ引っ張ってきました。

「痛いです!!反省してますから。ごめんなさい。」
私は席をシホリ先輩の隣に座りなおします。
159宇宙刑事 マリリンの事件簿〜マリリン・チーム結成の巻〜:2009/03/14(土) 19:56:31 ID:tDBy41To
「でどないなのよ?
 タカノリはんって今どないなのよ?」

「……と言いますと??」
シホリ先輩はまだ事態が飲み込めてません。

「キマイラが彼の事気になってるらしいの。」
「はぁ、そういうことですか。」

シホリ先輩の話では、
一年生のときはクイーン先輩に憧れていて、
女子寮で一緒のシホリ先輩からしきりに情報を聞いていたとのこと。
「確かにクイーン先輩は、一年生からもモテますもんね」

でも競争相手がキング先輩と知って、早々に諦めたようだとのことです。


「その後、恋の話は聞いたことが無いですね。
 彼は面食いですから。」

「ファンガイアがタイプならチャンスね。」
クイーン先輩ノリノリじゃないですか。

「シホリ先輩に悪いですよ。」
「お気になさらず、コンビ組んでてカップルなんてめんどくさい。
 末永くお幸せに!!!!
 でも問題が一つ、明日の夕方から任務で過去に行くそうよ。
 さっきメールが来てた。」
シホリ先輩はいつも通り淡々と話します。
先輩が驚いたりとか、声を上げたというのは聞いた事がありません。

「それなら良い考えがあるわ。」
クイーン先輩達がどこかに行ってしまったので、
私はシホリ先輩に話しかけてみました。
「そういえば、キイさんてどんな人ですか?」

「ちょっと待ってて、キイ?今どこ?
 じゃちょっと降りてきて、2分ね!!」
シホリ先輩も意外と無茶言うんですよね。
ご本人は冗談のつもりでも、声が冷静なんでわかりにくいですね。

するとボーイッシュな女子が、ダッシュで食堂に入ってきます。

「こっち!」
シホリ先輩が手を上げて呼んでいます。

「何か御用ですか?」

「座って良いわよ。
 みんな見てるじゃない。」

「あの……、私……。」

「リカさんでしょ?
 知ってます。これからよろしく。」

無愛想に先に挨拶されてしまいました。
161宇宙刑事 マリリンの事件簿〜マリリン・チーム結成の巻〜:2009/03/14(土) 20:07:19 ID:tDBy41To
このあと良かったらリレーでやってみませんか?
中途半端なパスですみませ〜ん。

◆Omi/gSp4qg さん◆ccu2hP6PPAさんみたいには書けないや。
結成が無理だったらアルバイトの巻とかどうでしょうか?
162創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 22:27:42 ID:kuhQTczi
乙です リカちゃん報われないなー
アニーってそんなキャラだったかなw
リレーは正直ちょっと感じがわからないけど俺の理解力不足かな
例というかなんかあるだろうか
163前夜〜case ジュリ〜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 00:50:15 ID:lg6pU1Zm
(そうだ。)
カストルの研究室に行く前に、ユイとも少し話しておくか。
ミユキ先輩の話ではゼミを変わって苦労しているようだし……。
(ん…あれは!!)
カラクリ寮の前でタカノリとユイの姿が見える。
(ほぁ〜。)
あの二人そういう関係だったのか。
(ん?)
女子寮の方からハルカもやって来たぞ。
何の話をしているのだろう。
もしかしたら、三角関係なのか?
(こりゃあ邪魔するのが野暮だ。)

カストルの研究室にいくとしよう
研究室とはいっても、
エリカが買ったマンションをヘレネの仲介を得て、
買いあげてその一室を研究室に改造した非公認のものだ。


研究室に入ると
カストルが黙々とカバンに何かつめている

「これが熱さましの薬と、腹痛の薬と……。」
「旅行にでも行くのか?」
「なに冗談言ってるんですか。
 学園辞めるなんて聞いてませんでしたよ
 しかもそれが保留になって、
 過去に飛ぶって、もう僕の昨日見た未来はメチャクチャですよ。」

その未来をあるべき姿に戻すために行くんだ。
ウォッチメンの妻として当然じゃないか。
164前夜〜case ジュリ〜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 00:50:46 ID:lg6pU1Zm
(そうだ。)
カストルの研究室に行く前に、ユイとも少し話しておくか。
ミユキ先輩の話ではゼミを変わって苦労しているようだし……。
(ん…あれは!!)
カラクリ寮の前でタカノリとユイの姿が見える。
(ほぁ〜。)
あの二人そういう関係だったのか。
(ん?)
女子寮の方からハルカもやって来たぞ。
何の話をしているのだろう。
もしかしたら、三角関係なのか?
(こりゃあ邪魔するのが野暮だ。)

カストルの研究室にいくとしよう
研究室とはいっても、
エリカが買ったマンションをヘレネの仲介を得て、
買いあげてその一室を研究室に改造した非公認のものだ。


研究室に入ると
カストルが黙々とカバンに何かつめている

「これが熱さましの薬と、腹痛の薬と……。」
「旅行にでも行くのか?」
「なに冗談言ってるんですか。
 学園辞めるなんて聞いてませんでしたよ
 しかもそれが保留になって、
 過去に飛ぶって、もう僕の昨日見た未来はメチャクチャですよ。」

その未来をあるべき姿に戻すために行くんだ。
ウォッチメンの妻として当然じゃないか。
165前夜〜case ジュリ〜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 00:51:50 ID:lg6pU1Zm
「イクサの修理はヘラがしてくれます。
 君がジュリさんを守るんだよ。
 最悪のときは君が盾になるんだ。」

カストルが告げるとヘラがうなづく。

「一応シホリさんからカイザのフォローもお願いされてるけど、
 それはどうしてもやることが無くて、暇で暇でしょうがないときだけで良いから
 ネロのキバも同様だからね。
 食事も新鮮な素材はジュリさんに、腐りかけのを男性陣でいいから。」

「はい 博士!!」

おい ちょっとそれはまずくないか?
「ネロとは友達だろ。」
「それとこれとは話が別です!」
「ネロは腐ったモノを食べても平気なんです。」

何度も言うがあれは納豆というちゃんとした料理だぞ。

珍しく強い口調でカストルが言い切る。
「どうせ、過去の学園に潜り込むんだから危険なんてないだろ?」
「ジュリさんは一人になるわけですからね。
 もし敵襲があったら大変じゃないですか。」
心配しすぎたとは思うのだけど、
カストルは過去の裏側を全て知る者だからなぁ、
不安になるんだよな。
166前夜〜case ジュリ〜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 00:55:12 ID:lg6pU1Zm
「ところで、ジュリさん、これ姉さんからです。
 何でもナツミさんの置き土産の強化薬だそうです。」
カストルが緑色のカプセルを机の上におく、
「ヘレネから?珍しいな。」
「はい、虚弱体質のアキレスさんもこれを飲んで体質改善したそうです。」
私は健康だぞ?
「健康な人が飲むと、不老で寿命が延びるそうです。
 僕も一応妖狐族の端くれですから、寿命は結構長いですかね。、
 ジュリさんが淋しい思いをしないようにってことだと思います。
 じゃ夕飯にしましょう。」
(ふぅーん。)
私はカプセルを掴むと飲み込む。
(にが)
机の上にはカストルとヘラが作ってくれた夕食が並べられている。
意外と思うかもしれないが、ヘラに料理を教えたのは他ならぬカストルである。

掃除洗濯のスキルも私より明らかに上だ。
本人曰く、料理は夜食を作っていたら上手くなったと言っていたから
過去に行ったら練習してみようと思う。

そのカストルの作ってくれる美味しい食事も、暫く食べれないかと思うと寂しいもんだ。
167前夜〜case ウラノス〜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 00:56:16 ID:lg6pU1Zm
ここはいつもの機械科格納庫

拙者はアイ殿に別れを告げるためにやってきた。
何度もケーブルを繋げて会話をしてきたわけだが、
それも今宵が最後である。

「こんばわ、ウラノス君」

「明日過去に出発することになったでござる。
 アイ殿にはいろいろ世話になったな。」
まさか預言者に辿り着くまでに、こんなに時間が掛かると思って無かった。

「こうやって、会うことはないであろうな。」
「どうしてですか?」

「過去の敵を全て倒し、皆を現代に戻したら、拙者は本来の居場所(未来)に戻る。」

「私は寿命がないからきっとまた会えますよ。」
「そうであったな。」

「忘れないでください。」

生憎、母上は忘れるという機能をつけてくれてない。

「どうかお気をつけて」
「アイ殿も達者で!」
168 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 00:58:19 ID:lg6pU1Zm
続きはまた明日にでも。

>>162
スレの雰囲気を壊さなければ自由に書いていいってことじゃないの?
本当に報われないから少しいい所を誰か作ってあげて欲しい。
169創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 10:56:10 ID:kz4lY2xD
投下乙
過去へ行くのかー おもしろそうだな
カストルいい夫だなw
170前夜〜case ネロ〜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 11:05:36 ID:lg6pU1Zm
今夜は雲ひとつ無い満月である。

我にとって満月と言えば、プルートとツーリングである。
誕生日プレゼントでハーレーを貰ってから、プルートは本当にアクティブになった。
何故満月にこだわるのかは教えてもらっていない。

「今度はここに行きたいから連れて行け。」
と何度お願いされたされたことか。

ちなみに今日はナイトサファリパークに行ってきた。

あの口調で本人は可愛くお願いしているつもりだというのだから、
さすが冥府の女王の娘である。
クライシス帝国にもあんなに強気な女は居なかったと思う。

「どうしたのじゃ?」
「いや別に、明日は出発だなと思ってな。」
「タロスのことは気にせずとも良い。」
 
カストルとの約束は、別にそれとは関係ない
だが冥府からの追っ手に最初に襲われたときから考えていたことがあるのだ。

「昔、散々悪行の数々をしでかしておきながら、
 冥府での刑期も果たさず、
 こうしてのうのうと過ごしていて、良いのだろうかとは思っていたのである。」

「そんな昔の事、誰も知らんじゃろう。」
プルートがあっけらかんと呟く。
「もうやったことを無しには出来んが、
 我にまた力が与えられたからには、人より多く善行をしてやっと普通なのだ。」

「真面目な奴じゃ
 ネロらしいという気もするぞよ。
 余は待っておるからな!
 ちゃんと帰って来るんじゃよ。」

「うむ。」

それにプルートには口が裂けても言わんが、
勇敢さをアピールしてヨハネに一歩リードできるのも大きいしな。
171旅立ちの日〜case タカノリ〜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 11:08:57 ID:lg6pU1Zm
一通りの作業は終わった

これならいつ誰が部屋に入っても大丈夫だ。

夕方の出発までまだ時間もあるな。

(飯でも食べるか。)
カレーライスを食していると、ハイドがドスっと正面の席に座った。
「なんだよ?」
「別にただ空いてた席にすわっただけである。」
席ならいくらでもあるだろうに……。
何が悲しくて最後の晩餐を、鬼とにらめっこしながら食べなきゃならないんだ。
(ここは監獄か?)
「えっとあのだな、貴様には……。」
ハイドがモゴモゴと喋りだす。
「気にするな、
 お前はアンゴルモアの本体を叩けば良い
 半分がパンドラ、半分がなんたら軍団の軍団長で過去に行ったって話だ。
 お前が行くとどっちが悪党だか、過去の人間にはわかんないからな。」

「別に我輩は気になどしておらん。
 ただ貴様が居なくなると、
 もう決闘を申し込まれることも減るので、清々すると言おうとしていたのである。」

「ふん。」
帰ってきたら真っ先に申し込むから首を洗って待ってろ。

ハイドと別れた俺はバイクに乗り込む。
整備も給油も完璧だ。
時間がまだだいぶん早いということもあり、少し寄り道をすることにした。
(この風景も暫く見納めかもしれないしな。)
172旅立ちの日〜case タカノリ〜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 11:18:35 ID:lg6pU1Zm
しばらく走っていると、聞き覚えのある叫び声が聞こえた。
正直悪い予感がする、でも聞いた以上は正義のヒーローとして行く義務がある。
自分から名乗る義務はないんだけどな。
そこ等へんは医者と一緒なのだ。

「当たってないじゃないですか。」
「先輩そういうの恐喝罪ってわかってんの!」
興奮したキマイラが不良の一人に詰め寄っている。
「うるせーよ。」
「コイツが当たったっていってんだろうが!!!」
「やんのかぁ!!」
ハーレーとピンクのスポーツカーそれに歩行者がトラブルのようだ。

「誰か来てくださいよ。」
叫んでるのはリカのようだ。
(あの馬鹿……。)
捜査官見習いだろうが何で変身しない?
次から次へとトラブルに巻き込まれる奴だ。
(ちょっと物陰から様子を見ておくか。)

「残念だったな。
 正義部の自治会はもう居ないんだよ!
 会長はやる気ないし、副会長とタカノリは過去に行くからな。
 今日からは俺達のバラダイスだ。」

次々ギャラリーが増えてくるところを見ると、これは嵌められたな。
173旅立ちの日〜case タカノリ〜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 11:22:17 ID:lg6pU1Zm
「そなた達正義部であろう!!」
「そうだよ。
 だから悪には何やっても許されんだよ。」

男達の高笑いがドッと起こる。

(絡まれてるのは
リカとキマイラとプルートとそれにエリカか)

まぁエリカはいつも通り自治会のくせに狸寝入りだが……。
(あの女はいつ起きてるんだ。)

「おい、お嬢ちゃんも起きて俺達と楽しいことしようぜ。」
思い出したあの顔……、

エリカを揺り起こすどこかで見たかと思ったら二年の不良どもか。

「無視しないで遊ぼうぜ〜。」

(甘いな。)

その女は面倒を避けるためなら、
呼吸どころか体温を0にしたり、それどころか心臓すらも止めてしまう。

狸寝入りのエリカとまで言われる女だぞ。

本気で起こしたいなら、
両手両足を重りで縛って、プールに沈めるくらいしないとダメだ。

にしても気分が悪い。
(昔の自分を見ているようで……。)
174旅立ちの日〜case タカノリ〜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 11:23:27 ID:lg6pU1Zm

「なぁ、ユートピアってどこにあるんだ?」

「た……タカノリさんじゃないですか。」

「何か揉めてるようだが?」

「いえいえ。
 ちょっと運転が乱暴なので注意してたところです。
 自治会のタカノリさんに出動いただくことじゃないんですよ?」
「事故か?」
「あのミラーが僕の腕に当たってですね。」
男の一人が腕を擦りながら答えた。

「嘘つくんじゃないわよ!」
キマイラの威勢のいい声が聞こえる。

「それは大変だな。」
「でしょう。
 タカノリさん今日はお出掛けなんですよね
 お気をつけて!!」
どうやら俺を早くこの場から退散させたいらしい。

「おう。
 ところでやはり事故を自治会として無視できん。
 やはり凶悪犯を野に放ってしまったか。」
 チラっとキマイラを見ると俺を睨みつけている。

「あーもしもし。」
「はい、シホリでーす。」
相変わらずテープ案内かと疑いたくなるような無機質な声だ。

「俺だけどさぁ、
 A-4地区の第7ブロックの第3交差点の監視カメラの録画映像見てくれるか?」

「ちょっと時間大丈夫なの?」
「急いでるから、すぐ調べてくれ。」
そういうと電話をいったん切る。

「監視カメラってなんすか?」

不良共の顔がみるみる青ざめていく。
175旅立ちの日〜case タカノリ〜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 11:24:18 ID:lg6pU1Zm
「バイオ科のお前等は一生関係無い話だが、
 世の中には事故に扮して、治療代などの金を要求する馬鹿がいてな。
 いちいち俺達が出るのも時間の無駄だから、交差点には監視カメラが至るところに仕掛けてある。
 場所を全部知ってるのは、正義部長と刑事局長だけだ。」

「こ……困った奴も…い…いるもんですね……。」

「どうした?
 顔色悪いぞ。頭も打ったんじゃないか?
 緊急車両呼んでやろうか?」

不良の顔を覗き込んでいると電話がなった。
「すぐ解決してやるからな。」
(というより)
俺も急いでるからな。
「もしもし」
「シホリです。映像の件ですけど…」

「そうそうでかいハーレーとピンクの車だ。
 ピンクの車と人がぶつかってないか?」

「ううん。
 スーパースローで見るとわかるけど、当たってないよ。
 これ常習者じゃない?
 本部に連絡する?」

「いや良いよ、注意しとく。」

電話を切って不良共を見据える。


「スーパースローでみないとわかんない神業ができるならもっと他でいかせよな。」
176旅立ちの日〜case タカノリ〜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 11:27:04 ID:lg6pU1Zm
「うるせー!!」
「こっちは何十人も居るんだぞ、一人で何が出来る?」
「やっちまぇ!!!」

パンパンと拍手が聞こえてきた。
拍手はショッピングモールの屋根の上から聞こえる。
(なんであんな所にいるんだ?)

「いやぁ名演説やわ。」
「ちょっと自治会はタカ君だけじゃないんだけど〜、ユイだっているんだからねぇ!!!」
「やる気のない会長とは俺のことかな?」
「多分そうじゃないですか。
 後はやっとくから、タカノリはもう行って良いぞ。」

「ウルヴァリン流殺法  剣ノ舞い 8ノ型 昇龍剣」

滅殺昇龍剣
峰を片手で支え、下から飛び上がりつつ、刀の腹で斬り上げる。

マンホールの蓋が飛び、中から黒装束の男が出てきた。
(仮面してるぞ。)
不良の一人はその剣を顎でまともに受け地面に落ちてくる。

(誰の攻撃か知らんが、死んでないだろうな。) 

「タルちゃ〜ん、来てくれたんだ〜。」
ユイが嬉しそうに手を振っているのが見える。
(アイツの友達には変わり者しかいないのか、)
「なんだ。お前変な格好出てきやがって。」
「拙者の剣は一振りで五人を斬る。」
「何ブツブツいってやがる。」
177旅立ちの日〜case タカノリ〜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 11:30:30 ID:lg6pU1Zm
「プルート伏せてるでござる。」
「へ?」
タルと呼ばれる男は刀を鞘にしまう。
「いかん、地面に全員寝ろ!」 
コウジさんが大声で叫ぶ。

男は目にも写らぬ速さでバッタバッタと不良を斬っていく。
「相変わらずタルタロスの縮地は凄いな。」

縮地
瞬時に相手との間合いを詰めたり、相手の死角に入り込む体捌きを指す。
デルタやスカルマンの高速移動用ブースタの機能と同じことを体得しているため。
変身していなくても使うことが可能。
その速さは目にも写らぬ速さといわれる。
ちなみにヨハネの場合は無意識に空間を歪ませて、ショートカットしているので微妙に違う。

「コウジさんより速いんですか?」
「ナメルな、俺もあれくらいなら出来る(多分)
 ただアイツあれで全力じゃないからな。
 その証拠にただ斬ってるだけだろ?」
「あんだけ抜刀も速いと先読みが意味をなさず、
 痛みも感じることなく、一瞬で死ぬんやろうな。
 もしかしたら、本人誰斬ってるか、わからんのんちゃうん?」
「殺してないよね?」
「アイツはナツミ以外の者のことは、
 これっぽっちも考えない男だからな。半殺しで済んでれば良いな。」

(呑気に感想を述べてるとこ悪いんだが、
さっき「殺法」とか言ってたし、それなら止めた方が良いんじゃないか?)
178旅立ちの日〜case タカノリ〜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 11:31:59 ID:lg6pU1Zm
「くっそ、散れ!散るんだ!!」
「こんなに人数居るんだ。
 俺居なくなっても大丈夫だよな……。」
突然の予期せぬ来訪者に現場は大混乱だ。


「貴様等どこへ行くつもりだ?」


「わぁ、こっちからも来たぞ!
 悪部の自治会だ!」


「我輩の可愛い妹相手に当たり屋とは良い度胸である。
 判決を言い渡す死だ!
 地獄の業火に身を焼かれよ。
 本当の悪というのをその身に刻みこんでくれよう。」


「キマイラよ大丈夫か?
 悪部の自治会長である以上に、ファンガイアを守るのが王の務め。」


「ユイ達もやろう!」
「変身×6」
(あの黒装束は変身しないのか。)
「畜生!俺達だって変身×20?」
179旅立ちの日〜case タカノリ〜 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 11:32:59 ID:lg6pU1Zm
気の毒にちょっとした遊びのつもりが大火傷だな。
俺はそろそろ集合時間だし、行くとするか。
バイクに跨ると向こうからキマイラが歩いてくる。
(おいおい。)
「危ないぞ。」
「先輩過去に行くんですってね。」
「ああ……、嬉しそうだな。
 悪さしたら帰ってから覚えておけよ。」
「これあげる。」
「何だコレ?」

キマイラは黄色ミサンガを俺に手渡す。

「感謝して、手編みなんだから。」

ふとキマイラの手を見ると、バンソコウだらけである。
取調べの時にはなかったから、
昨日の夜から今朝に掛けて出来た傷であろうことは容易に予想できた。

「はぁ、腕にすればいいのか?」
「そう。」
言われた通り右手につける。
なんだ?腕にピッタリになったぞ!
「引っかかったわね!!
 そのミサンガは私達ファンガイアに伝わる呪いのミサンガ。」
(はぁ??)
この忙しいときに何て事ををしてくれるんだ。
「先輩は私の獲物……!!
 他の奴なんかに渡さない。
 それを身に付けた者は私にしか殺せない。」
「誰が殺されるか!俺は急ぐんだよ、」
全く物騒な物を渡されてしまった。
(待てよ。)
キマイラにしか殺せないんだったら、過去で何があっても死なないのか??
180 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/15(日) 12:06:08 ID:lg6pU1Zm
次回、過去に飛ぶ予定です。

ただ実際は、現代のメンバーがワープした直後に
任務を終えた1.5年後(戦隊物の期間)のメンバーが戻ってきますんで、
クロスにはバッチリ対応可能です。w
(ウラノスはそのまま未来に帰ってしまうので、そこ等へんが違いと言えば違いかな。)

そこ等へんはまた次回
181創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 14:13:42 ID:gDDvLBAI
投下乙
不良フルボッコですなw
クロスがいい感じですらすら読めたぞ
182創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 10:51:34 ID:8qT5SaN5
乙です
ヒーロー学園の不良も楽じゃないな
前スレの話WIKIにちみちみペーストしてるんだけど
前スレ199あたりのアイの猫の話はタイトルどうしたらよいかな?
コータのはコータの訓練って勝手にタイトルつけちゃったけど
あんまセンスないのつけちゃ申し訳ないし普通っぽいのがいいかな
183 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/16(月) 11:39:52 ID:8qT5SaN5
誰もおらんかな わからんかったからアイと七号にしときました
あと動揺と苦悩、編集しときました
こっそり投下しようかな
184哀歌1 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/16(月) 11:42:14 ID:8qT5SaN5
 散々な目にあった、と正義部の生徒たちは足取り重く、正義舎に帰った。
「ヒーローって……すごいですね」
 他にどう形容したらよいかわからず、ナオコは隣のナミにすがるように言った。
 うん、とナミは小さく答える。
 正義舎の入り口に、マスター・シャーフーが立っていた。
「おまえたち、よくやったな。今日戦った生徒は全員ゼミ生として認めよう」

 はあ、とセイジたちは一応喜んだ。
 猫の顔の後ろから、ユウトが出てきた。浮かない顔だ。
「またペナルティ食らっちゃったよ」

「何だか私のせいみたいで……」
 ナオコは頭に手を当て、おじぎしつつ、自分のせいではないがなあと困惑した。
 その場で解散、ということになり、正義の生徒たちは医務室なり寮なりへと散った。
 ナオコは簡単な手続きのために、研究室へ行くことにした。ユウトとナミがつきそい、
セイジとモミジもついていく。
 研究室に入ると、ナオコの知らない人物が二人いた。大柄な男と、白い顔の女だ。

「ゴウ、レイ! どこ行ってたんだよ、おまえら」
 セイジが責めるような大声を出した。
 ゴクレンジャーの残る二人だ。
「大変だったんだぞ」
「そうか」と答える大柄なゴウの態度は、どこかよそよそしい。
 上品そうなレイが、小さな口を開いた。

「私たち、学園やめることにしたの」
「え?」
 目を大きくしたセイジは、固まったようになった。
「何で?」と、モミジが高い声できくと、ゴウが話す。
「超日本警備社に就職するんだ」
「えっ?」
「この前アオミさんに勧められたあれか? あれは無しになったんじゃ……」
 うろたえるモミジとセイジの前で、ゴウは淡々と読み上げるように言った。
「うん、今なら研修期間も手当が付いて、正規の給料とほとんど変わらないってきいてよ。
やっぱ入ることにした」
「だからって、おまえ……」

「どうせこのままいたって卒業できそうもないし」
「親に色々言われてるしさ」
「いつまでもモラトリアムじゃいられないよ」
 ゴウとレイはすっきりした、というような表情だった。
「おまえらもよく考えろよ。早いほうがいいだろ」
 ゴウはセイジを口説きにかかった。レイも口をそろえる。
185哀歌2 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/16(月) 11:44:03 ID:8qT5SaN5
「目出鯛だの招き猫だの、恥ずかしい。お笑いじゃないんだし」
「どうせ、おまえらも卒業なんかできるわけないよ。閉鎖区域の最初の一層も越えられない
んだろ?」

 黙り込んで、セイジはうつむいた。
「ま、考えとけよ。これ、人事の連絡先な」
 ゴウは紙を差し出す。セイジが取ろうとしないので、モミジが受け取った。
「ヒーローになんかなれるわけないって、本当はわかってるんでしょ」
 レイの痛烈な捨てゼリフに、部屋の空気が冷えたようになった。
「じゃあな」
 ゴウとレイはナオコたちに少し目をやると、出ていった。

 重い空気の中、ナオコはどうしたらよいかわからない。
 セイジの背は小刻みに震えていた。
「セイジ、泣いてんのか」
 ユウトが声をかける。
「笑ってくれよ。これでも地元じゃ敵無しだったんだぜ」
 鼻をすすり、袖で目をぬぐうと、セイジは荒く呼吸した。

「怪人だってたくさん倒したし、子供たちにも人気でさ。地元でゴクレンジャー知らない子供
なんかいなかったんだぜ。みんなに期待されて、学園に来たんだ……」
 顔を覆い、もう人目をはばからずにセイジは泣いた。
「地獄の軍団にも忍者にもなれなくてよ……今じゃお笑いだよ……」

 セイジの肩に、ユウトが口をきいた。
「セイジ……。おまえ、もう一回頑張ってみろよ」

「頑張る!」
 セイジは赤い顔をして怒鳴った。
「頑張ったらどうなるんだ? じゃあおまえ、頑張ったらライダーに勝てるの
かよ!」
「そ……それは」
「ウルトラマンとサシで戦う怪物だぞ! どう頑張ったってどうにもならねえよ!」

 叫び終わると、セイジはまた泣いた。
 モミジも顔をそむけて、何度も涙をふいた。
 セイジは自らあざけるように言う。
「正月帰ってさ、知ってる子供にお年玉あげようとしたらよ……いいよって……。
 お兄ちゃんがヒーローになったらもらうから、がんばってねって……。
 子供に気ィつかわれてんだよ、俺……」

 机に伏して、セイジは肩を揺らした。
 こればかりは誰にも、どうしようもなかった。最近のライダーは異様なほど強かった。
 際限なく強くなる、それだけを目的にしたようなライダーたちにがいる一方で、そうでない
者に努力しろとも言えない。
 気をつかい、シャーフーはナオコたちとともに部屋をあとにした。
 マスター・シャーフーは黙って、廊下の窓から外を眺めた。こんな時だというのに、空は
残酷なほどの晴天だった。

 ヒーローになるということがどういうことか、ナオコは考えもせずここに来たことを恥じた。
186 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/16(月) 11:46:18 ID:8qT5SaN5
>>129-131の続きでした
じゃまた
187創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 12:16:33 ID:PVa4s+rH
更新乙
そして投下乙です。
俺もちょっと考えた話しあるから投下してみようかな。
にしても盛り上がってきたな。
188創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 12:18:42 ID:PVa4s+rH
勝手に想像してみた。
シロキ先生が主人公です。

女子教員慰労会
 (ミサキ・ミミー・ツルヒメ・アニー・シロキ・ユウリ)


「お疲れさ〜ん。」
ジョッキがぶつかる。
「でどうよ、最近?」
皿の上に山盛りになった枝豆に手を伸ばしながらユウリが尋ねる。
「ウチのリカは時間がかかりそうね、そっちは?」
「トシゾウ?優等生で楽よぉ、ちょっと大人しすぎるけどね。」
機械科の二人がそれぞれの批評を述べ終えると障子があく。
『唐揚げ2つと、シーフードピザ2皿お待たせいたしました。』
「あら?ヘレネさんこんな所で何してるの?」

赤いお盆に注文の品を乗せ、やってきた店員は悪部のヘレネであった。
「アルバイトじゃ。」
「一人で?偉いじゃない。」
「弟の結婚祝いを買ってやろうと思っての。
 エリカはつまみ食いが、多すぎて皿洗いに回されたんじゃ。
 ユイもホールで働いておるぞ。」
「そう、それにしても何その格好?」
189創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 12:21:40 ID:PVa4s+rH
薄赤のワンピースと
フリルの付いたショッキングピンクのエプロンを組み合わせたエプロンドレスに、
同じく白いフリルの付いたカチューシャの組み合わせ
最近話題のメイドという格好らしい。

「このお店怪しい店じゃないの?スカート短すぎ〜。」
「ただのメイド居酒屋じゃ。」
スカートの丈は膝上10cmと街中の女子高生顔負けの露出っぷりだ。

「このお店ってテーブルごとに専属の店員が、メイドとして付くのよね?」
「そうじゃよ。」
それを聞いてアニーがニヤニヤしながら意地悪をする。

「じゃさぁ、何もかも未熟な、何も出来ない新入メイドですが、一生懸命がんばりますから、
 宜しくご指導、ご鞭撻をお願いいたします御主人様って可愛く言って。」

その場で立ち竦んでしまう事のなかったのは、気丈なヘレネなればこそ、である。
たどたどしい口調で言い終えるもアニーは納得しない。
「え〜気持ちがこもってないよ。
 もっとこう女の子、女の子してさぁ。」
ヘレネの声は行き場の無い屈辱と憤懣にかすれていた。
「な、何もかも未熟な・・」

「ごめん、よく聞こえなかったわ、授業のときみたいに大きい声で言ってよ。」
アニーって結構意地悪な性格してるのよね。
「もっと胸を張って、メイドさんなんだから姿勢よく。もう一度初めから」
「何もかも・・」

「気をつけの時は、手は横で伸ばす。学園で教わらなかった?ヘレネちゃん」
「可愛いよ!ヘレネちゃん」
ミミーの野次に個室が、どっと笑い声につつまれる。

何度も繰り返し、つかえるたびに挨拶を言い直させられる、ヘレネの顔色は、ほとんど蒼白になっていた。
既に、彼女自身が持っていた、侵し難い雰囲気とでもいうべきものが喪われてしまっている以上、
周囲を気で圧しえた冴えた美貌も、
彼女たちの加虐的な欲望を刺激する催淫的なパーツのひとつでしかなかった。
190創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 12:25:45 ID:PVa4s+rH
「お連れ様いらっしゃいましたので、ご案内いたしま〜す。」
障子が開きユイに案内されて、ツルちゃんが入ってきた。

「遅れて御免、ミユキがうなされててさぁ。」

そういえば、ミユキは封鎖区域で怪人の攻撃を受けたと聞いている。

「そんなに具合悪いの?」
「何の毒を受けたのかわかんないのよねぇ。
 あ……、ユイ私焼酎お湯割りロック。」

「焼酎は米・麦・そば、泡盛がございますが……。」
「米。」
「承知いたしました。」

「あ…ごめん、この辛口の日本酒にする…一番大きいサイズは?」

「1升です。」
「めんどくさいからそれ二つ持ってきて。」
注文を終え、ツルちゃんが掘りごたつに足を伸ばす。
(あら、そういえばヘレネは?)
いつの間にやらヘレネの姿が消えている。

「……で何の話してたの?」
「ヘレネをからかって遊んでたの。」
「ふぅーん。ユイは姉のジュリに結婚祝いするんだってね。」
私は寮で報告を受けていたがみんなは初耳だったらしい。

「うん、今日退職願と退学届出しにきたよ。」
ユウリはそういえばジュリの指導教授だったわね。

「え?辞めちゃうの?」
「らしいよ。結婚して普通の仕事に専念したいんだって。」
「生意気……。」
「教え子が結婚したって聞くたびに焦るわよねぇ。」
ミミーとアニーが顔を見合わせてため息をつく。
191創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 12:27:06 ID:PVa4s+rH
続きはまた夕方にでも。
192創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 16:41:10 ID:8qT5SaN5
乙です
メイド居酒屋ってマニアックだなw
女の先生にはかかわりたくないもんだw
193創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 18:41:23 ID:PVa4s+rH
「で退学届けは受け取ったの?」

「保留にした。」

「保留?」
「うん、ジュリが家庭に入てうまくやれるとは思えなくてね。
 聞けば旦那さん家事は完璧だって言うじゃない。
 第一ここまで頑張ってきたのに勿体無いでしょ?」
「ユウリさんの評価も下がるしねぇ。」
「そうそう、それにあの子料理本当に下手だからね。
 外で暴れてるくらいがちょうど良いのよ、」
そういえばジュリが料理をしているところを見たことが無い。
ひょっとしたら、
四年間で一度も女子寮で料理を作っていないのは、彼女くらいではないだろうか。

「お待たせしました。
 日本酒でございます。グラスは人数分で宜しかったですか?」
「あらヘレネ、いつのまに元気になってたの?」
アニーがニヤニヤ笑いながら尋ねる。
「止めな、ヘレネは仕事中だよ。」
それをツルちゃんが遮る。
「は〜い。」
一睨みで黙らせる辺り流石若くして教授になっただけのことはある。
「ヘレネ……、お前さんはいずれは妖狐の女王になるんだろ?
 レーダーのように立派な女王になるんだよ。
 今は失敗しても良いから、色々経験して器を大きくしな。」

そういえば、ツルちゃんはヘレネの母親と同級生でよく決闘したよね。
当時はまだツルヒメを襲名してなかったから旧姓だったけど・・・・・・
ちなみに先代は別にお母さんでもなんでもない。
さらにいうと
私とツルちゃんは学園で同級生だったのだ。
194創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 18:43:08 ID:PVa4s+rH
「ミサキさんはいける口でしたよね?」
「ええ……。」
グラスに日本酒を注いでいく。

ツルちゃんは学園でも指折りの酒豪なのだが、
ゼミでお酒を呑める人が居ないのでストレスなんだとか。

「レーダーといえば、この前三者面談でコレーにあったよ。」
コレーというのも私の同級生で、今は冥府で女王をやっている。
正義部で三人仲良くやっていたのだけど、
悪部のエンマに誘拐同然にさらわれたそのまま結婚したのだ。

※コレーとレーダーにつきましては、まとめwikiをご参照ください。
(◆31P.4mZG16氏の作品の過去へにあります。)

「元気にしてました?」
「子供が居なくって毎日楽でしょうがないとか言ってたわ。
 全く変われば変わるもんね。」

「かつての同級生の子供を教えるってどんな気持ちですか?」

天然なのか無神経なのかミミーが尋ねる。

「別に長く教師やってりゃぁ、いくらでもあるわ。
 何しろ私の同級生には、在学中に出来ちゃった結婚した子もいるくらいだからね。」

(いましたねぇ。)

そんな子も確かポントスでしたっけ。
あの子今何してるのかしら。
195創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 18:47:18 ID:PVa4s+rH
「そういえばジュリとユイのお母さんも同級生でしたよね?」
「イサミか?イサミの事はシロちゃんの方が詳しいよ。」
いや、卒業してから連絡とって無かったからなぁ。
亡くなったって聞いたのも、基礎演習でジュリから聞いたわけだし……。

リカの寮での話とか、ジュリで合コンを開かせようとか話題は弾み
それから数時間程経って、会計をテーブルで済ませたその時

「すみません!!クリーニング代は払わせていただきます。」
「当たり前だろ!だがな今日親分は取引があるんでぃ。
 責任者呼べ!責任者!」
ガラの悪そうな大声が入口の方から聞こえる。
「シロちゃんちょっと見てみなよ。」
障子をちょっとだけ開けて入口の方を見ると、ユイが呆然と立ち尽くしていた。
「ユイがトラブってるみたいですよ。」
「やっぱりか、ユイはテンパルと声がうわずるからね。」

「すみません!!すみません!!」
ユイは平謝りだが客の気は、それでは治まらなかったようである。
「ツル先輩行った方が良いんじゃないですか?」
「いやいや、ここは店長に任せた方が……。」
「でもそっち系の人だと面倒なことになりません?」
「シロちゃんどう思う?」
ツルちゃんはグラスを空にすると、最後の一本に手を伸ばす。
これで10升目……日本酒はほとんど彼女一人で呑んでいる。
今日店にある日本酒は殆どこのテーブルに出てしまったとヘレネから聞いた。
「う〜ん、まぁその自分で解決することも勉強かも?」
196創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 18:52:56 ID:PVa4s+rH
半疑問系で答える。
「幸いまだ酒もツマミもあるし、様子を見るとしよう。
 ミサキはカキフライ駄目なのかい?」
「そうなんですよ、良かったらどうぞ。」
「これだけ呑んでよく食べれますよね。」

「カラクリ寮でも一番食べるわよ。
 最近の子は食が細いわよねぇ。」

断言する昔の子でもそんなに食べない。
ツルちゃんは学園時代食堂や商店街のチャンプとして君臨していたが、昔より食べている気がする。
ちなみに学園時代いくつかの店では、
ハットリ(ツルちゃんの旧姓)お断りのお店があって
私達はちょっとカフェでお喋りというのに苦労したものだ。
別にツルちゃんだってカフェでは苺ジュース飲むだけなのにね。

「それでスリム体型と軽快な身のこなしでしょ?
 学園の七不思議ですよね。」

それにあれだけ呑んだのに、
白い宝石とまで謳われるその美貌は少しも赤くなっていない。
ツルちゃんが酔って乱れるところを一度で良いから見て見たいものだ。

「ようはメリハリよ。」
「と言いますと?」

全員の目が真剣になる。
「帰りはユイと走って帰る。
 疲れたら特訓ってことにして、ユイに背負わせる。」
「走るってここからカラクリ寮までですか?」
「フルマラソンの倍くらいありますよ!」
「ジョキングよ?最近の子は体力も無いからねぇ。
 昔だったらそれに鉄下駄と金の延べ棒を100本くらい背負ってたわよ。」
「本当ですか?シロキ先輩?」

(私に話題を振るな。)
197創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 18:54:06 ID:PVa4s+rH
そういうのが正義部のほんの一部の男子の間で、武勇伝作りで流行ったこともあった。
だから100%嘘かと言われると、そういうわけでもない。
かといって、女子もやっていたかというと、やっていたのはツルちゃんだけだ。

「ええ……、まぁ……。」
「凄かったんですね。」

「ミサキ先輩、今度ファンガイアのクイーンに教えてあげたらどうです?」
「え?」
「ほらキングって悪部なのに、いつも朝と晩、凄い走りこみしてるでしょ?」
「あ…見たことある。」
「多分それ教えたら、悪格闘技部の練習メニューに加わる気がする。」
「皆を鍛えるのも王の務めとか言っちゃったりして」 

(あほらしい。)

アニーがお嫁にいけない理由は間違いなくこの性格だ。
私はユイの様子が気になり障子の隙間に体を向けた。
「申し訳ありませんでした。」
ユイはこぼれたままの液体の上で土下座させられていた。
「もう良いであろう。
 無料券あげるから!!」
見かねたヘレネが助けに入る。
「なんだ、お前は!」
「お前も謝れ!連帯責任だ!!」
男達は酔っているのか、声が大きい。
198創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 18:55:25 ID:PVa4s+rH
『警察呼べって!!』

「てめえ、マッポ呼んでんじゃねぇぞ。」
子分の一人が店の電話を取り上げる。

「お嬢ちゃん、俺ら別に事を荒立てるつもりはないんだよ。
 ただ謝ってくれれば良いんだよ。」
男達はヘレネを取り囲む。

「わ……わらわが謝れば帰ってくれるのか?」

「さぁまずは試してみたらどうだ?」

「わ……わかった。」
ヘレネは渋々その場に正座するとお詫びの言葉を述べた。
理不尽な仕打ちだが、相手は酔っ払い逆上すると何をするかわからない怖さがある。

「で店長さんよ、いくら払ってくれるんだ迷惑料?」
「約束が違うではないか。」

「うるせいよ!大人には面子ってものがあんだよ!
 ガキは引っ込んでろ!」

ヘレネが悔しそうに下唇を噛む。
「シロちゃんちょっとどけて。」
199創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 19:04:04 ID:PVa4s+rH
障子がパンと開かれ、ツルちゃんが裸足のままスタスタと歩いていく。

「ボーゾックファミリーのドン・ドルネロさんでございますね。」

一番奥にいる男、つまりは私達から見ると手前で立ち止まると、
その場にペタンと正座し顔を見上げる。

「そうだが、どちら様かな?」

「私、ヒーロー学園正義部忍者ゼミで教員をしてあります。 
 名を29代目ツルヒメと申します。」

「でその先生が何のようだい?」

「へぇ、実はこのドジな店員と無礼な口を利いた店員は私の教え子でして、
 子分さんの小娘の土下座では面子が立たないというのはごもっとも、
 しかし生娘達にこれ以上体で払わせるというのは、酷な話でございましょう。」

「ほぉ、先生が体で払ってくれるのかい?」

「弟子の不手際は全て師である私の責任でございます。
 よってこの体でその責任を取らせていただきます。」

そういうとツルちゃんが、白い鞘に包まれた脇差を胸元から取り出す。

「今どき小指なんぞ受けとれんな。」
「この脇差は代々のツルヒメが継承の証として、
 肌身離さず持っておくものです。
 では弟子の不手際の責任取らせていただきます。」

そういうとツルちゃんは髪を普段より高く結い、
カッターシャツをバッと開きm鞘から脇差を引き抜く。
(まさか……。)

「では御免!!」

ブスっと嫌な音が店内に響く。

「ここからが見所ですので……。
 お見逃しの無いよう」
「正気かアンタ。」
「先代はこの名を私に継がせるときに仰いました。
 人を育てるということは花を育てるように丹念に気長に育て、
 そして一度面倒を見たら決して見捨ててはならんないと、
 この者は今はまだ未熟者ですが、いずれ花開くときが来るでしょう。
 その花を咲かせることができるのなら、この命喜んで差し上げましょう。」

ツルちゃんは笑みを浮かべて、相手の顔を見つめる。
傷口からは少しずつ出血している。
200創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 19:09:14 ID:PVa4s+rH
「もう良い。
 お前らいくぞ、お嬢ちゃん邪魔したな。」

マフィアご一行が店を去ると、私は慌ててツルちゃんに駆け寄る。
「だ……大丈夫?」
「ユイ、簡単な応急処置法はこの前教えたね?」
「はい……。」
「店長さん申し訳ないんですが、針と糸を貸していただけませんでしょうか?」
「は…はい!!」
一気に酔いがさめた私達を気にも留めず、ツルちゃんは脇差から血を拭う。
こんなときでも勉強させるって先生の鑑だね。
私にはとても無理。

「い……痛くないんですか?」

「私程の忍者ともなると、自己催眠で麻酔を掛けれるの、今度教えてあげる。
 さぁ縫っておくれ。」

これが歴史の授業で教えてた古代の戦士の切腹というものか。
実際に見たのはもちろんこれが初めてだ。
今度学生に質問されたら、ツルちゃんに質問させることにしよう。

「もっと間隔狭めて縫いなさい。」
「は…はい…。」
「そこ間隔広くて大丈夫よ。」
ユイが慣れない手つきで傷口を縫っている。
慣れないとはいえ、初めてというわけでは無そうだ。

「喋らないで下さいよ、傷口が歪んじゃって縫いにくいんですよ。」

「チンタラ縫ってるからでしょ?
 サッと縫いなさいサッと。
 こんなのユキチやミユキなら5秒、コウジやタルタロスでも10秒あれば終わるわよ。」

「ツルちゃん……、忍者ゼミって確か諜報員を育成するゼミよね?」
「諜報員だからね、病院にいけないこともあるかもしれないじゃない。」
そういうことか、流石だねぇ。
201創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 19:12:44 ID:PVa4s+rH
「終わりました!!」
「まぁまぁね。じゃお会計。」
「本日は結構でございます。」
店長らしき人物がペコペコお辞儀している。
というか次回から入店拒否される気がするんだけど。

「ラッキー、
 じゃ、血を補充しなきゃいけないし焼肉でも行こうか!!
 ヘレネとユイとエリカもバイトもう首だろうし、
 今日までの分のお給料今のうちに貰ってついてきなさいよ。」

(エリカは完全な巻き添えね。)

言い出したら聞かないのがツルちゃんだ。
その後移動中に見つけた
クロノ先生とシャードームーン先生とシャーフー先生を財布代わりに
もう店に酒も食料も無いので許してくださいと店長が泣きつくまで、
焼肉屋に居座ったのであった。

ちなみにその席でエリカがツルちゃんと同じくらい呑めることが判明し、
飲兵衛同士で、意気投合していたような気がするが定かではない。
 
店を出たときには太陽が顔を出していた。


おしまい
202創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 19:13:31 ID:PVa4s+rH
長々と失礼しました。
途中で誰か主人公かわかんなくなった。

それでは
203創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 22:31:42 ID:fBt75mom
投下おーつ
先生もストレスたまってんだな。
204創る名無しに見る名無し:2009/03/17(火) 09:50:03 ID:WL2FciG7
良作ばかりの中刺激されてちょっと書いてみた。

キャラは自由に使っていいってレスを見たので
エリカのアルバイト話を書かせてもらいました。
205エリカのアルバイト:2009/03/17(火) 09:50:44 ID:WL2FciG7
(今度のアルバイトはどうなるだろう。。)

怪人ナビに掲載されておるアルバイトようなバイトは、

・免許なし(ちなみに取る気もなし)
・平日門限21時厳守
 (今度破ったら向こう3ヶ月外出禁止というウィンディーとの約束)
・ちなみに休日は24時が門限。

のアタシには少し厳しいんだよね。

貯めたお金は何に使ってるの?とよく聞かれるんだけど、
お給料が入ると、ウィンディーがお酒を一杯買ってきてくれて、
カブトと三人で朝まで呑んで、起きたらなくなってるの。

(不思議だよね。)

さて今日は
美食家のツルヒメ先生が昔アルバイトしたというお店に来てるんだ。

(灯台の下暗しとはこのことね。)
寮の近くにこんなお店があるとは知らなかった

噂によると多種多様な民族が利用し
リピーター率もかなり高いのだとか
早い、安い、美味い、多いと超一流店と比較しても遜色がないんだって。

アルコールは禁止だから酔っぱらいに触られることもない
何よりヘレネに連れてきて貰わなくてもいいのは大きい
いつもじゃ流石に悪いもんね。
基本厨房だから運んでいる間に匂いで、食欲を刺激されることもない。
206エリカのアルバイト:2009/03/17(火) 09:51:59 ID:WL2FciG7
学園に10箇所ある食堂の中で一番小さいけど、創設と同時に出来たくらい歴史があり、、
(全部で60席程度の座席の内カウンターが20席)
唯一、平日休日関係なしに地域の人達も家族連れで訪れることが可能で
グルメ雑誌にも隠れスポット何度か掲載され
昼は食堂、17時以降はレストランへと生徒顔負けの変身を遂げる。
(ちなみに昼・夜とも予約不可)

どうして今まで入ったことが無かったかというと、
雑誌に載っているコース料理の値段もさることながら、
(アラカルトもあるらしいんだけどね。)
そもそもいつ行っても一杯なのだ。
昼間は上級生のたまり場だしね。

1時間待ちなんてザラらしいよ。
学園関係でいうと、実習と実習の合間に再会する5年生達と
就職活動でボロボロになった6年生、
それに先生達の歓送迎会くらいしか使わないような店(食堂)らしい。

ウエイターはタキシード、ウェイトレスも制服着用を義務づけられ、
バイトでも超一流ホテルの新入社員研修と同じ研修を受けさせられさらに試験もあるんだ。
キングとクイーンが私口調なのはここでの研修のせいなんだよ。
ちなみに髪の色は黒オンリー。
そんな店だから、Gパンの客は入店すらできない

食堂でそこまでやるなんて大袈裟だよね。
でもツルヒメ先生曰く、学園に偉い人が来たときに食事する場所としてそういうのも必要なんだって。

さらに従業員はイメージを高めるため、
スナック菓子の購入やファーストフードへの入店を禁じられるという厳しい条件もあるらしい
(アタシは特に問題ないけどね。)

私は更衣室のロッカーで清潔にクリーニングされた白で統一された制服(ネクタイ、ダブルの上着、エプロン チェックのズボン)に着替え、
最後に白い帽子をチョコンと頭の上にのせる。
207エリカのアルバイト:2009/03/17(火) 09:52:29 ID:WL2FciG7
「おばあちゃんが言っていた料理は人を幸せにすると……。
 君が見学のエリカさんかい?」

「はい!」
初めが肝心と元気良く挨拶する。

「俺は天の道を往き、総てを司る男、ソウジ・テンドウ
 ここでシェフ・ド・キュイジーヌをしている。
 ディスカビルコーポレーション 総本店へようこそ。」

「テンドウシェフ、もう少し穏やかな自己紹介をしたらどうだい。
 俺は経理の面においても頂点に立つ男 ツルギ・カミシロ!」

「二人とも飛ばしすぎよ。
 彼女困ってるじゃな〜い。」

クスクスと笑いながらスーツ姿の女性が現れた。
「こんにちわ、
 私はオーナーのユヅキ・ミサキよ、
 こっちは本当のシェフ・ド・キュイジーヌ ジイヤ
 テンドウ君はスー・シェフでしょ。」

(濃いお店だなぁ。)

でも今までのアルバイトだと名前も呼ばれなかったから、
わざわざこんな盛大な出迎えされるなんて歓迎されてるのかなぁ。
208エリカのアルバイト:2009/03/17(火) 09:55:04 ID:WL2FciG7
説明しよう

ディスカビルコーポレーション
学園全ての食堂を運営している会社
食品や食材に特化した世界最高峰の総合食品メーカー
その食材は自家農園で栽培され、高品質で世界中の料理人から高く評価されている。

ソウジ・テンドウ
ディスカビルコーポレーションの副総料理長
「俺」という言葉遣いは腕が良いのと料理人なので大目に見られている。
中卒でこの業界に入っており、若いがキャリアはかなり長い。
初対面の人間には総料理長と名乗る。
ちなみに仮面ライダーカブトとは無関係。
あっちこっちの食堂に視察にいっており、総本店にいるのは金・土・日の3日だけ。

ツルギ・カミシロ
よみがえりの儀式で最近復活したスコルピオワームだが、
記憶を失っており自分を人間だと思い込んでいる。
料理は不得意なため、経理部門を統括しており、
あだ名は『ドンブリ勘定のカミシロ』。
人手が足りないときにはウエイターもやる。
(やるというかユヅキに連れてこられる。)

ジイヤ
料理の腕前は超一流で、
かつて唯一出版した料理の本は、
自信家テンドウが教本とし文字通り肌身離さず持ち歩くほど。
そこからテンドウに師匠と尊敬されている。
通称“光の料理人”。 みんなからジイヤと祀りあげられている。
普段は総本店にいる。

ユヅキ ミサキ
個性的なメンバーを取りまとめるオーナー兼ウエイトレス
初心を忘れないためと時間が有れば総本店でウエイトレスをしている。
209エリカのアルバイト:2009/03/17(火) 09:57:07 ID:WL2FciG7

「学園といえば、
 正義部のナツミさんも昔バイトしてたのだよ。
 研究で忙しくて時間が取れないとかで辞めちゃったけど
 化学に詳しいだけあって、良い料理人になると思ったんだけどねぇ
 元気にしてるのかい?」
ミサキオーナーとカミシロさんと別れ、厨房の中を案内される。

ナツミちゃん今何してるんだろうね。
何か聞いた気がするけど覚えていないの。

「今日は1日見学して、やってみたいことを私に言ってください。」

「え?決まってないんですか?」
「料理は想像力が命だからな、
 この総本店では自主性を重んじているのだ。」
ハイドみたいに偉そうな喋り方をする人だよね。 
(実際偉いんだけどね。)

「では開店しましょう。」
ジイヤさんの合図で店が開く、
と同時に行列になった人達が一人づつ入店してくる。
さすが超一流店だけあって、お客さんもお行儀がいいなぁ。

「これって何ですか?」
私が鍋でグツグツと煮込んであるスープを指差す。
「食べてみるかい?」
「良いの?じゃなかった。良いんですか?」
この店はつまみ食いをしても良い店みたい。
サッパリしてて美味しいな。
「これはね、こうなるんだよ。食べてごらん。」
小皿に乗せられた前菜をペロリと平らげる。
「美味しい!じゃなかった美味しいです。」
「だろ!自信作なんだ!」
こんなこと初めてだよ。
ここは地上の楽園なんじゃないかな。
210エリカのアルバイト:2009/03/17(火) 09:58:38 ID:WL2FciG7
肉料理、魚料理、メイン、デザート、アラカルト
厨房の端から端までの料理を食べ尽くした
全部一口だけど結構な量になったね。

「エリカさん!」

やばい流石に食べ過ぎたか
みんな笑顔で食べさせてくれたから、つい調子に乗ってしまった。

「それで何がやりたいですか?」

ジイヤさんは満面の笑みを浮かべながら尋ねる。
時計を見れば、もう閉店の時間じゃない。
食べるのに夢中になって気がつかなかったよ。

「怒らないんですか?」
「怒られるようなことをしたのかね?」
包丁を研いでいるテンドウさんに尋ねる。
「いいえ、熱心に勉強してました。」

(勉強?)
何のことだろう?
実は食べ歩きながら、一つ目をつけていたポジションがあるんだ。

「あれやりたいです。」

「あれで本当に良いのですか?
 見た目以上に大変な仕事だから中途半端な覚悟じゃ困りますよ?

「簡単そうに見えるけど、今やってる奴はもう2年目なんだぞ。」

二人が私の指先を見ながら尋ねる。

「頑張ります!」

出来るだけ多くの絶品料理を食べるためにはどうしたら良いか

考えた末 出した答えは皿洗いだった。
211エリカのアルバイト:2009/03/17(火) 10:02:12 ID:WL2FciG7
翌日から皿洗いのアルバイトが始まった。
まぁ皿洗いなんてどこでやっても一緒だから慣れたもんだ。

(美味しそう)

まれに殆ど手をつけられていない料理があればしめたもの
隠しておいて あとからジックリ食べるんだ。
冷めても美味しい料理ってあるんだねぇ。

その上、新メニューの試食や賄いなどもついてお金も貰えるの。
これってとても幸せなことだよね。
一週間で5キロ太ったのは内緒だよ。

「エリカちゃんこれ水滴残ってる。
 やりなおし!!」

いけない いけない。

「すみません、やり直します。」

二年目の先輩バイトの厳しいチェックが入る。
彼は実家の家業を継ぐとかで今週一杯なのだ
そしてそれは来月からアタシ一人で、
この膨大な皿を洗わなければならないことを意味するんだ。

(ただでさぇ二人しかいなくて忙しいのに!!!
 食べる時間ないじゃん!!!)

今日は最後の日ということもあり
馴らし運転でアタシ一人で皿洗いをしているのだ。
212エリカのアルバイト:2009/03/17(火) 10:05:49 ID:WL2FciG7
「皿まだか!!」
テンドウさんが鉄鍋から火を出しながら尋ねる。
(あれはチャーハンかな。)

よりにもよって、今日は金曜日、 店は超満員でテンヤワンヤ

「エリカ……エリカ……。」
ウィンディーの声がする。
(この忙しいときに何よ?)

「真面目に頑張ってるようだし、少し手伝ってあげるわ。」
「主よ、ワシも手伝ってやろう。」
「出来るの?
 まさか実体化したりしないよね?」
精霊が実体化なんかしちゃったら、ジイヤさんビックリして心臓麻痺起こすよ。

「エリカ久しぶりの登場で忘れたのかしら?
 私を誰だと?」
「水道の水はもう要らないわよ。」

(何をするつもりだろう。)

言われた通り蛇口をひねって水を止める。
「では始めるとしようかの。」
皿に触れると汚れが一瞬で落ちた。


(あれ?)

「大気中にある水分を振動させて洗浄したわ。」
「そしてワシが時間を飛ばしたから、
 パッと見だと、触ったら汚れが落ちたように見えるというわけじゃ。」
「もちろん洗剤や水滴がつくなんてこともないわ。」

なんかわかんないけどスゴい!!!
今日だけじゃなくていつもしてよ。

「仕方ないのぉ。」
「カブトはエリカに甘すぎるんです。」
「孫みたいなもんじゃからのぉ。」

ああ……、夫婦喧嘩はさ。
アタシが授業中に寮の部屋で、実体化してやってくれないかなぁ。
213エリカのアルバイト:2009/03/17(火) 10:22:29 ID:WL2FciG7
それから1ヵ月後(バイト過去最長記録更新中)

「相変わらず見事な腕でした。」
閉店した客先ではミサキさんとジイヤさんが、中年のお客さんと握手を交わしている。

「テンドウさんあれって誰ですか?」
背の届かないところにお皿をしまって貰いながら尋ねる。

「ああ……、アイアンマンだよ。」
「アイアンマン?」
「あのなぁ、お前は知ってないとまずいだろう。」
テンドウさんが厭きれた様にため息をつく。

「うへぇ?」
(先生じゃないよね?)
悪部の関係者で居たっけ?
明日ヘレネに聞いてみよっと。

「S.H.I.E.L.D 長官のダビンチだよ。」
※詳しくはまとめウィキ参照

「そんな偉い人がなんで?」
もっと他に行くところはあるだろうに……。

「学生時代よく来てたし、ここにもお忍びでたまに来てるぞ。
 お前がミーハーじゃなくて助かったよ。」
もしかして芸能人とかも来てたりするのかな。
「チェ教えてくれれば良いのに。」
「ウチはマスコミお断りだからな、忘れそうだが基本は食堂だからな。」
(よくいうよ、目立ちたがり屋の癖に)
テンドウさんはこの前テレビで、イケメン料理人として料理番組に出演していた。
「どうでも良いですけど、ジイヤさんと握手してるのは何でですか?
 もしかしてどこか遠くに行っちゃうとか?」 
「お前本当(ホント)シフト表見てないだろ。」
「はい。」
「カレンダー見ろ。」
「カレンダー?」
今月の最後の水曜日に赤い丸が付けられている。
「あの丸ですか?」
「銀河系連合政府に加盟している国の政府首脳達
 とS.H.I.E.L.Dの幹部それに学園のお偉さんが会談するらしいぞ。
 今日はその下見だ。」
「へぇ〜。ここでですか?」
もっと他にするとこあるだろうに……。
214エリカのアルバイト:2009/03/17(火) 10:23:32 ID:WL2FciG7
「ヒーロー反対派からテロ予告が出てるから、万全を期すらしいぞ。」
そういえば、朝ヘレネとアキレス姐さんが話してたっけ。
「料理人としては緊張しますか?」

私は皿洗いだから特に影響ないし、むしろ貸切だから暇かもね。

「俺は天の道を往き、総てを司る男だぞ?
 第一1ヶ月もいてわからないか?」
この人は凄い自信だなぁ。
謙虚さとか辞書にないんだろうか。

「俺達はいつもお客様を王様や神様として扱っている。
 たかが大臣クラス恐れるに足らん!」

「でも料理の説明とかどうするんですか?
 色んな国の言葉で説明しないといけませんよね?」

もちろん私には説明できませんよ。

「心配はいらないよ、
 エリ〜カ、俺は料理の説明の面においても頂点に立つ男だ!」

「だそうだ。」
カミシロさんじゃないですか。
言葉どおりなら本当に頼もしいんだけど……。
でも本当に大丈夫なのかなぁ。

ナレーション
この会談が後の大事件の引き金となるのだがそれはまた別のお話〜

終わり
215創る名無しに見る名無し:2009/03/17(火) 10:26:03 ID:WL2FciG7
>>◆31P.4mZG16氏
キャラ借りました。
ストーリーは思いつくんですが、キャラクターが思いつかない俺には嬉しいスレだ。

でも実際こうやって書き込みするのは初めてなんで感想聞かせてくれる嬉しいです。
ではでは
216創る名無しに見る名無し:2009/03/17(火) 12:25:33 ID:WL2FciG7
335レス目まで収録しておきました。
鮮血のバレンタインは独断と偏見で分割してしまいました。

スカルマンまた読みたいっす
イシイもう読めないのが惜しい
217創る名無しに見る名無し:2009/03/17(火) 12:44:15 ID:7e+kngLJ
投下乙です
ギャグだと思って笑ってたら重い展開になりそうだな
こういうのあるとキャラが深くなってくね
そして編集乙です
けっこうな量になってきたな
218創る名無しに見る名無し:2009/03/17(火) 21:55:56 ID:f/Ndq5wQ
投下乙です
反ヒーロー派はどんな感じなんだろう。まだ全容つかめてないよね

今見たらパート2全部アップ終わってるね
収録された方大変だったっしょ。
219 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/18(水) 06:35:16 ID:SFIb+xcT
投下乙です
にぎやかで世界が見えてきていいと思うよ
編集乙です
七不思議もあるとは
>>184-185の続き少し投下
220裏バトル! ◆Omi/gSp4qg :2009/03/18(水) 06:37:09 ID:SFIb+xcT
「ヤス・ナオコはマスター・シャーフーゼミか……とりあえずツクヨミさんに報告しておこう」
 校舎裏で不健康そうな細い男、アオミ・マタサブロウが携帯電話を手にしていた。
 足音に敏感に気付いて、マタサブロウは顔を向けた。
 ステテコ腹巻の太った中年男がやってくる。

「生徒の情報を売る奴は……」
 禿げた中年男は、のこぎりをブン回す。
「死刑!」
 空を斬る刃をマタサブロウはのけぞってかわし、後方へ跳んだ。

「な、なんだ悪部の事務員さんじゃないですか……。ちょうどいい。そんなもの振り回さない
で、どうです、協力しませんか。ヒーロー学園がいつまでも存続するとは限りませんし、別の
商売も考えたら」
 醜い笑顔で、マタサブロウは震える声を出した。

「黙れ、小悪党! ……はっ!」
 悪部の事務員ギロチンピエールは飛び上がると、光を放ち姿を変える。
 きゃしゃな体を白銀の鎧で武装し、栗色の長い髪、輝く瞳の可憐な少女が地に降り立った。

「美少女騎士マリーヌ・ダルクワネット、華麗に見参! ですわ!」
 少女は細い指を立て、しなやかな四肢でポーズをとる。
 悪部の事務員ギロチンピエールは変身し、正義部の事務員にしてジャンヌ・ダルクとマリー・
アントワネットの遺伝子を持つ人造人間・美少女騎士マリーヌ・ダルクワネットになったのだ。

「学園の事務を乱す者はケーキを食べればいいじゃない! ですわ!」
 絹のような頬、赤い唇、ダルクワネットの長いまつげに飾られた瞳には星が宿る。
 マタサブロウも見とれる思いだ。だが、彼は女の美のために安寧を捨てるほど『男』ではなかった。

「研究部のホムンクルスが、いい気になるんじゃありませんよ」
 マタサブロウの姿が透けていく。
「インヴィジブル!」
 マタサブロウは影もなく消えて、気配があちこち高速で跳ね飛んだ。

「透明化なんて、影の薄いおまえにぴったりですわ!」
 マリーヌ・ダルクワネットはよく光るのこぎりを振り回す。念力の衝撃波が飛んで周囲
の壁、地面を切り裂いた。

「正面から戦う気はありませんよ……さようなら」
 マタサブロウの気配は校舎壁に貼りつき、登っていった。
「逃がしませんっ! ですわ!」
 女騎士の振るうのこぎりが、白く光って波動を飛ばす。
「アモーレ断罪斬!」
 聖なる波動が透明なマタサブロウを襲い、壁面に裂け目を刻んだ。

「事務、ご苦労さん。お疲れさま……」
 マタサブロウの声は遠退き、気配も消える。
 マリーヌ・ダルクワネットはゆっくりのこぎりを下ろすと、玉のような顔の汗を手でふいた。
「逃がしましたですわ。次こそは尻尾をつかんで、……死刑!」

 女性騎士の姿は、もうそこにはない。ステテコ腹巻の太った中年男が、のこぎりを振り回し
ながら去っていった。
221 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/18(水) 06:39:23 ID:SFIb+xcT
以上 ではどうも失礼
222創る名無しに見る名無し:2009/03/18(水) 10:04:14 ID:myGX0qNt
投下乙です。

http://jbbs.livedoor.jp/internet/3343/
1限目のときにヒルト氏がネタにしていた掲示板
実際に作ってみました。
まだまだ調整中ですが、良かったら雑談とか提案とかに使えませんかね?
223創る名無しに見る名無し:2009/03/18(水) 15:53:59 ID:DOaj3BPh
投下乙です。
誰が敵で誰が味方なのやらw

そして掲示板設置乙次回テンプレ追加だ今見たら面白いスレ立ってるね。
224創る名無しに見る名無し:2009/03/18(水) 21:06:45 ID:SFIb+xcT
>>222
おおー乙です
おもしろいな 規制巻き添えの時とかもいいかも
アナログモノクロ絵携帯から貼ったりとか
まとめからリンクしたらいいんじゃないかな
225旅立ちの日 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 01:17:36 ID:0eE8mUSq
「頭が痛くなったときは、
 まず一粒飲んでそれでも効かなければ、もう一粒飲んでください。」
横ではカストルが薬の説明をしている。

「この薬は眠くなるので気をつけてください!」
あのさぁ、カストル
確かに私は電化製品の説明書も読まない。
あんなもの使ってみて、本当に必要な機能だけ分かればいいんだ。

(だいたい最近の電化製品は多機能過ぎる。)
カストルから貰ったこの最新携帯にしてもそう
同時通訳機能はともかく、カロリー計算機能なんて誰が使うというのだろうか。

「聞いてますか?」
「あ……ああ……。」
心配してくれているのはわかるんだけど、
集合時間が近いのに誰かに見られたら恥ずかしい。
「それよりカストル、私の居ない間に無駄遣いするなよ?
 サプライズとか要らないからな。」
「わかってますよぉ。」
一応ユイとヘレネにお目付け役は頼んでおいたけど……。

「あらまだ一人だけ?」
ピンクのミュールを履いたユウリ先生が入ってきた。
「もうそんな時間ですか?」
腕時計を見ると、まだ三十分も時間あるじゃないか。
相変わらずマイペースな女性だ。
226旅立ちの日 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 01:19:32 ID:0eE8mUSq
「あら?それが噂の旦那さん?
 着グルミじゃないわよね?」

驚きのリアクションだ。
ちょっと変わった所がある人だとは思っていたけど、
この展開は私も予想していなかった。

(時間には早めに現れるので、カストルを紹介するところまで想定していたけど)

ユウリ先生はカストルの背中に回り込み、チャックを探そうと躍起になっている。
「くすぐったいですって!」

「ちょっとジッとしてなさい。
 精巧な着ぐるみねぇ。
 どこにチャックがあるのかわからないわ。」

「だから着ぐるみじゃないですって!!
 ジュリさん頑張ってくださいね!」
カストルは顔を紅潮させて、部屋を出て行ってしまった。
「あれ?嫌われちゃった?
 スキンシップじゃんね。」

どこの世界に初対面の人を着ぐるみ呼ばわりするスキンシップがあるんだ。

「困ったなぁ。」
「どうしたんですか?」
「確かオリュンポスグループの社長さんでしょ?
 独身の若い金持ちの幹部、紹介して欲しかったんだけどなぁ。」
そういうことって隠して近づくもんじゃないのか。
まぁここまでハッキリと言ってくれれば、スッキリするけどね。
「ねぇジュリ?」
「はい?」
「貴女のことは入学当初から、特に目を掛けてきたつもり!」
「分かってますよ。」
227旅立ちの日 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 01:20:13 ID:0eE8mUSq
「確か事情を知らない学生から、体罰ではないかと通報されたんですよね。」
(本当は私がフリーメールアドレスでメールした。)

「あれには参ったわ、ホンゴウ正義部長から大目玉食らったのよね。
 でも懐かしいわよね、
 稽古終わったあと、ミユキやユキチそれにコウジに手伝って貰って練習したねぇ。」

先生にはそう見えたのかもしれないが、
ミユキ先輩とコウジは、好き勝手に私を新技の実験台にしてただけだ。
ユキチ先輩はその特異体質を活かして、腕立て伏せやバーベルあげの際の重り代わりになってくれた。

「気がつけば格闘技部の副将でしょ、ほんと時が流れるのは早いわよねぇ。
 自分では気がついてないかも知れないけど、ジュリだって充分強いの。
 リョウコとコウジが特別になんであって、少し自信を持ちなさい。
 貴女がリーダーなんだからね。
 気が変わったら、いつでも退職届は返してあげるから。」
(そうは言っても同級生だもの
 意識するなという方が無理だよ。)
何度やっても勝てないもんだから、
一度は諦めたんだけどイクサを改造していて、実はまた戦いたくなっていたりする。
少し環境を変えてジックリ考えてみよう。

「ところでみんな遅いわね?」
「タカノリは相変わらず時間にルーズですね。」
(ユイはあんな男のどこが良いのか。)
いっそ過去に行ったときにドサクサに紛れて殺るか。
私は絶対認めないからな。

「そうそう、タックからねチーム名聞いてきたの。
 時の番人クロノスだって。」
局長の事を呼び捨てにできるのは、宇宙広しといえども先生だけだ。
228旅立ちの日 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 01:21:16 ID:0eE8mUSq
ユウリ先生は私の指導教官なのだ。
入学当初の成績は下の方から数えた方が早かった私を辛抱強く鍛えてくれた。
このままでは特別捜査官として致命的だからと
勝手に格闘技の使い手のオキ教授のゼミに、
(当時は無理矢理)押し込まれたこともあったっけ。

「だからお願い〜、合コン開いて。」
「アサミ教授がいるじゃないですか?
 知ってますよ、土曜部にデートしてたそうじゃないですか。」
「デートくらいするわよ。
 いくつだと思ってるの?
 リスク回避よ、もう失敗は許されない年なのよ。
 女性職員で最後になるのだけは勘弁!!」
パンと両手を合わせて私に拝む。
「伝えるだけなら……。」

「持つべきモノは玉の輿にのった教え子よね。
 それにしても、
 『学園開校以来最低の特別捜査官候補』とまで言われたジュリが今やこうだもんね。
 まぁ私の完璧で一部の隙もない指導の賜物だと思うけど、どう思う?」

相変わらず先生は自信家だなぁ。
でも実際その通りだ。
入学したときはすぐ退学になると思っていた。

「今だから言うけどさぁ、
 ジュリすぐ辞めちゃうと思ってたんだ。
 だってなんかいつも、オドオドして自信無さそうにしてたじゃない。」

(本人がそう思ってたんだから、そりゃぁ思うよねぇ。)

「その話、ユイの前では絶対にしないでくださいよ。」

「格闘技部だって最初は授業終わると、同時にサッと逃げるから、
 私がわざわざ探して、毎日無理矢理引きずってたんだもんね。」
229旅立ちの日 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 01:22:47 ID:0eE8mUSq
227は投下ミスです
230旅立ちの日 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 01:23:21 ID:0eE8mUSq
「確か事情を知らない学生から、体罰ではないかと通報されたんですよね。」
(本当は私がフリーメールアドレスでメールした。)

「あれには参ったわ、ホンゴウ正義部長から大目玉食らったのよね。
 でも懐かしいわよね、
 稽古終わったあと、ミユキやユキチそれにコウジに手伝って貰って練習したねぇ。」

先生にはそう見えたのかもしれないが、
ミユキ先輩とコウジは、好き勝手に私を新技の実験台にしてただけだ。
ユキチ先輩はその特異体質を活かして、腕立て伏せやバーベルあげの際の重り代わりになってくれた。

「気がつけば格闘技部の副将でしょ、ほんと時が流れるのは早いわよねぇ。
 自分では気がついてないかも知れないけど、ジュリだって充分強いの。
 リョウコとコウジが特別になんであって、少し自信を持ちなさい。
 貴女がリーダーなんだからね。
 気が変わったら、いつでも退職届は返してあげるから。」
(そうは言っても同級生だもの
 意識するなという方が無理だよ。)
何度やっても勝てないもんだから、
一度は諦めたんだけどイクサを改造していて、実はまた戦いたくなっていたりする。
少し環境を変えてジックリ考えてみよう。

「ところでみんな遅いわね?」
「タカノリは相変わらず時間にルーズですね。」
(ユイはあんな男のどこが良いのか。)
いっそ過去に行ったときにドサクサに紛れて殺るか。
私は絶対認めないからな。

「そうそう、タックからねチーム名聞いてきたの。
 時の番人クロノスだって。」
局長の事を呼び捨てにできるのは、宇宙広しといえども先生だけだ。

「時間保護局じゃ駄目なんですか?」

「何よ、不満そうね?」
別にそういうわけじゃないですけど……。
「現地でバッタリあったら困るでしょ。」
ああ……、そりゃそうだ。
231旅立ちの日 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 01:24:13 ID:0eE8mUSq
「ではまず手順を説明する。
 最初に飛ぶ時間は、ホンゴウ正義部長の改造手術の前だ。
 君達は脳改造直前に脱出しようとする正義部長をサポートするんだ。
 あくまでサポートだから注意するように!
 その後は臨機応変に敵を追いかけて欲しい。
 諸君等の健闘を祈る。」
「了解しました!」

出発式が厳かに行われている。
我は今敬礼したジュリ殿の傍にいればいいのだな。

コウタロウが心配そうだ。
(大丈夫である。)
本当の変身体さぇ見せなければ怪人と間違って襲われることはない。

「次に戻ってくる時間だが……。
 ウラノスから説明してくれ。」
「御意、全てを終えて戻ってくる時間は、出発した時間の5分後でござる。」

「ちょっと待て!
 ってことは他の奴からすると、タバコ吸いにいくような時間じゃないか。
 こんなことならユイにハッパかける必要なかったな。」
タカノリ先輩が自嘲気味に笑う。
232旅立ちの日 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 02:02:25 ID:0eE8mUSq
「ですが、無事に帰って来れるという保証はどこにもござらん。
 なにぶん敵の情報が少ない故……。」

「実際に飛ぶ期間はどうなるんだ?」

こんなときでも挙手するジュリ殿は流石であるな。

「それも敵の数がわかりませんので、なんとも言えませんが、
 今わかっている情報では、半年から一年くらいではないかと。」

(六ヶ月と十二ヶ月では随分違う気がするが、我にはあまり関係の無い話だ。)

まぁ我はカストルとの約束を果たせばそれで良い。
それにしても、あのウラノスの体にそんな秘密があったとは驚きである。

(それはそうと……。)

そのカストルの姿が見えぬ。

あの愛妻家のことだから、絶対見に来ると思っていたのであるが……。

「それでは質問も無い様だし、時の番人クロノス 出動!!!」
233 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 02:04:39 ID:0eE8mUSq
>>215
エリカSSお疲れ様でした。
上手く繋げられるよう頑張ります。
みんなさんもジャンジャン使っちゃってください。

掲示板が出来たんですか……。
凄い盛り上がりようですね。

チャットはどう使いましょう?
毎日20時からとかで待ち合わせます?
234創る名無しに見る名無し:2009/03/19(木) 14:20:48 ID:vg8XrrFD
投下乙です
魔女っこのまとめwikiから来ました。

学生さんが主人公なんですねぇ。

さて立派な掲示板をお持ちのようですがもし良ければ、まとめwikiが相互リンクのスレ仲ですし、共有掲示板にしてみてはどうですか?
235嵐の前の静けさ ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 21:06:30 ID:0eE8mUSq
私の名前はナツミ、
ヒーロー学園 正義部 三年生だったわ。
どうして過去形かというのは、話すと次スレまでかかるので
まとめwikiか面倒な人は掲示板で聞いて頂戴。

さて今日は何かにつけて、
この私に突っ掛かってくるチーム☆ギルモアと怪人を戦わせているの。

結果はこの通り
リング上にはハイパー怪人と呼ばれていた怪人の残骸がまだ残っている。

「まさか……、ハイパー怪人四体ともだと?
 それもたった一体の怪人にだと……。」

グシャッと踏み潰される頭部がディスプレイを赤く染めると、

チーム☆ギルモアの面々は言葉を失った。

「言ったでしょ?
 勝ち抜き戦でも、総当り戦でも変わらないって……。
 ビートルハンターは、4人の中で1番弱いのよ?
 一番力弱いんだから。
 あなた才能ないんじゃないの?」

私は堪っていた不満を一気に吐き出す。

「なんだと!!
 いくら力が弱くてもあのベルトはインチキだろ!!」
「あら、人間の造った怪人とでは、差が大きいからハンデだっていったのは自分じゃない。」
「おのれ〜、人間の癖に忌々しい。」

「やめよ、パンドラ様の御前であるぞ。」
側近であるクラマのクローンが口を尖らせる。
236嵐の前の静けさ ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 21:09:00 ID:0eE8mUSq
「よかろう
 ナツミ博士 望み通り部屋を一部屋やろう
 ギルモア博士 貴様は牢屋から出直せ!!!」

パンドラがクラマのクローンに指図する。

「パンドラ様何故ですか?
 このギルモアがどれだけパンドラ様に尽くしてきたと?」

衝撃の結果に我を忘れ、呆然と立ち尽くしていたパンドラが口を開く。

「身内にも勝てぬ怪人など作りよって、
 ハイパー怪人などと大袈裟な名前をつけおって、危うく赤っ恥をかくところであったわ。」

「うぐぐぐ。」
苦虫を噛み潰したような顔をしながら、私をキッと睨みつけている。

「パンドラ様、恐れながら手伝いに何人か借りても宜しいでしょうか?」
それを無視してパンドラに尋ねる。
「構わぬ 好きにせよ。
 我が期待を裏切ってくれるなよ。」

「ハハー。」
地面に跪くとパンドラは奥へと引っ込んでいく。
(早くあの体に触れてみたいわ。)
237嵐の前の静けさ ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 21:09:47 ID:0eE8mUSq
数時間後

「博士〜、この箱にどこに行けば良いの?」
銀色の長髪をゴムで結んでポニーテールにしたサンゴが尋ねる。
「ドクター・ドゥームかドクター・オクトパスのじゃない?
 私のではないわ。」
「レディーこれどこにおけば良いの?」
それを聞いたサンゴは、パタパタと足音を立てて助手を探しにいく。
「サンゴ、スリッパを履きなさい!」
聞いているのかしら、どうもユイやエリカの悪いところもインプットしてしまったみたい。
私としたことが、完璧すぎるのも考えものってことね。

「つ…。」
突然壁に叩きつけられる。
「ハル、どうしたの?」
「外せ!!」
「何故かしら?」
「このベルトを付けてから、傷の治りが遅いんだよ!!」
先程四体の怪人を圧倒的力でスクラップにしたハルが、右腕の傷を見せる。
この四体の学習能力はまず負けることは無いと思ってはいたのだが、
万全を期すためにハルにルインのベルトを与えたのだ。

説明しよう
ルインのベルト
別名、破滅のベルトとも呼ばれる。
ナツミが攻撃の破壊力をいかに高めるかだけを考えて作ったベルト
装着者の生命エネルギーや大気を変換・吸収し力をドンドン増幅させるため、
普通の人間は一度変身したら灰になってしまう。

どうやら力は得られるけど、反動が強すぎるみたいね。

(諸刃のベルトというわけね。)

「実際どうか仮面ライダールインの力は?」
「破壊力は素晴らしい。
 変身しなくても力があふれ、非力な俺でもあんなに戦える。」
「とりあえず、この手を離してくれないかしら?
 私の首が千切れたら誰もベルト外せないわよ?」

相変わらず反抗的だ。
4人のうちどうしてハルだけがこんな性格になってしまったのかはいまだ不明
もしかしたら元になった動物や昆虫が凶暴だからかしら?
(まぁ良いわ。)
238嵐の前の静けさ ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 21:18:18 ID:0eE8mUSq
ハルを診察台に寝かせベルトを外す。

やはりオリジナルのようにはいかないか。
「もう要らないわね!」
ベルトに触れるとバチっと火花が飛ぶ。
(熱!!!)
思わず手をパッと離したら、そのまま窓の外に飛んでいってしまった。
地面に落ちる音が、まだ聞こえない。
(もしかしてこのアジトは、地上にあるんじゃないのかしら?)
先程チラッと窓から風景を見たら、雲が近かった気がした。

(まぁ良いか。)
「コン・ハル……、アナタ達に頼みがあるんだけど、聞いてくれるかしら?」
「何……何?サンゴは?サンゴにお願いは?」
「サンゴは今回はお休み。
 ローガーと一緒に兄達を見送りに行ってきてちょうだい。」
「着いていっちゃだめ?」
私の顔をキラキラした大きなグリーンの瞳で見る。
(めんどくさいわねぇ。)
「駄目よ。」
「え〜、つまんない!つまんない!」
「ローガー、説明している間、外であやしててくれないかしら。」
「はいよ。」

4人が去った後

「アナタはギルモアを見張って頂戴、クラマ頼んだわよ。」

部屋を貰うついでに実験体として解放して貰ったの。
パンドラにしてみたら、
クローンで忠実なクラマが手に入ってるから用済みなのか
2つ返事で了解してくれたわ。

「お主何を考えているでござる?」
「アナタもメンドクサイわねぇ。」
「どういう意味でござるか?」
「何でもないわ。
 口実は人間の下でなど働けぬとかでどう?」
クラマが両手を挙げて首を傾げる。
「信じてよいのであろうな?」

色々私だって考えてるのよ

「ギルモアに知られると面倒だからね。」

「食えぬ女でござるな。
 よかろう……。」
239非情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 21:23:22 ID:0eE8mUSq
拙者の名前はタルタロス。
タルとかタロスとか、色々呼び方があるので好きに呼ぶが良いでござる。
先日誕生日を迎えてちょっと大人に近づいた。

「バシュ!!」

拙者の仮面に返り血が飛ぶ。

(弱い……。)

「自分やりすぎやて」
「悪事を働いた者は処罰されて当然であろう?」
「ちょっといやぁ、良いやん。」
「徹底して追い込まねばまた繰り返すでござる。」

ヨハネが拙者のテュルフィングをエクスカリバーで受け止める。
この男は神父の癖に変態だ、みんな清潔な身なりに騙されているのだ。

「これでは稽古にもならぬ。」

「自分変身もせんと、6年生にこんだけやれるのにまだ不満なん?」
「タルタロスはナツミどんが居なくなってからずっとこうだズラ」

コウジ殿はタケシ殿に勝つまで、もう相手にしてくれぬというので、
さっそく悪部のタケシ殿に挑んでみたのが、手も足も出ず負けてしまった。
婚約者のリョウコ殿を人質にしたのが、功を奏したのか手加減も無く、
一蹴にされたのである。
240非情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 21:24:05 ID:0eE8mUSq
それから自分を追い込むため、修行を閉鎖区域でしていたら、
手伝ってくれたら姫が戻ってきたとき褒めてくれるというので、
ユイ殿に誘われて自治会に入ったのだが……。

拙者の中で再戦の条件として
正義部…悪部構わず強い奴を変身せず100人斬ったらと思っているのだが…。

(当然弱い者は斬ってもノーカウントでござる。)

この者は不良共によると、
6年生の裏番とやらで期待していたのだが弱すぎる
三の太刀と一の太刀の区別もついていなかった。

「一応98人目でござるな。」
「最強とか目指してん?
 100人倒したらどうなんねん?」

「そんなこに興味ないでござる。
 ただ強くありたいだけ……」

「ほんなら、強くなってどうすんねん?」

「強くなったらもっと強くなるよう修行する。
 そして自分自身を磨くでござるよ。」

「自分マゾやんな。」

(なんとでも言えばいい。)
拙者は姫が見つかったときに
すぐに助けに行けるよう準備をしているだけだ。
241非情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 21:24:54 ID:0eE8mUSq
その夜


「無事… 死…無事…死……無事……。」
「タルちゃん何してるの?花占い?誰か好きな人でもいるの?」
ユイ殿が拙者の手にある花びらを見ながら尋ねる。
「姫が無事かと占っていたのでござる。」
「タルちゃんってやっぱり変わってるよね。」
ユイ殿には言われたくない。

自治会は修行にならないから、閉鎖区域で修行すると言ったらついてきたのだ。

(あれは?)
拙者の気づいたのかこっちに向かって人が走ってくる。
「姫のご学友のシホリ殿ではないか。」

タルタロスの認識
ハルカ…ナツミの家来
エリカ…ナツミのペット
シホリ…ナツミのご学友
 ユイ…ナツミの実験材料
ユウキ…ナツミの師匠

「どうしたのでござるか?」

「研究棟で研究しててちょっと休憩がてらトイレに行ったときに見たんだけど、
 見慣れない学生達がナッチの部屋に入ってたの。」

「姫の部屋に?」
(はて確か)
「鍵がかかっていたはずでござろう。」
それも最新式の鍵のため、姫の師匠でも複製不可能と聞いていたはずだが……。
「開いたのよ!不思議な事に……。」
タルちゃん行くよ!という掛け声と共にユイ殿が拙者を追い越していく。
相変わらず頭より先に足が動くようでござるま・
(敵の武器も姿もわらかぬのに。)
242非情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 21:26:42 ID:0eE8mUSq
こういうときは
研究室にしかけてある盗聴器の出番だ。

「タッチ何聞いてるの?」
シホリ殿が乱暴にイヤホンを一個とりあげる。

「盗聴器ね?
 女子寮の食堂にも仕掛けてたでしょ?」

「姫が次の日の行き先を教えてくれぬからな。」

「この際だから言っとくけど、そういうの忍者じゃなくて
 ストーカーっていうのよ!知ってる?」



 ガーーーン



拙者の事をみんなそんな風に見ていたのか。

「それにしてもなんで盗聴器のことを?」
「ヘッチンとエッチンの写真騒動のときに、女子寮の食堂で見つけたのよ。
 なんで取り外さないのかって……。馬鹿ね〜、外したに決まってるじゃない?」

「6個全部でござるか?
 この通りまだ聞こえるでござるよ。」

「2個じゃないの?」
シホリ殿は丸い目をさらに丸くして尋ねる。
「広いでござろう?」

食堂はみんなよく喋るから、念のためたくさんしかけておいたのだ。
ちなみにそれはリョウコ殿を誘拐する際にも大活躍したのである。

「カチーン、ナッチに言ってやろ。」
「それは困るでござる。」
姫には颯爽と駆けつけて良い所を見せたいのだ。
243非情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 21:27:23 ID:0eE8mUSq
「じゃあユイっち手伝ってくれたら内緒にしといてあげる。」

「取引というわけか、
 また仕掛け直すのは簡単でござるが……。」

「交渉成立ね。」
どうも拙者は姫といい、このシホリ殿といい物静かな女子が苦手なのかもしれない。

パリーンと姫の研究室の窓が割れてデルタが落ちてくる。
「いかん!とにかく内緒でござるよ!!」
デルタをキャッチすると地面に着地する。

「ほぉ、誰かと思えば…。」
デルタと戦っていたと思われる怪人が窓から飛ぶおり、拙者の顔を見て意外そうに驚く。
「貴様は確かスコーピオンとかいう名前でござったな?」
「いかにも。」
「姫の研究室で何をしていたでござる?」
「探し物だ。」
「少し詳しく聞く必要がありそうでござるな。
 ちょっと待ってるでござる」
拙者は変身の解けたユイ殿を少し離れたベンチに座らせると、
物陰からこっちを見ているシホリ殿を手招きで呼び、介抱をお願いしているとヒュっと音がする。
(バレバレでござる。)

尻尾をテュルフィングで叩き落す。
「あのときも戦っている拙者ではなく、後ろにいたミユキ殿を狙っていたでござるな。」
「え?今私狙ってたの?」
「さよう、あの男はそういう奴でござる。」

そんな場所に呼ぶなというシホリ殿の言い分もわかるのだが、
多分、奴もシホリ殿の視線に気がついていたから、遅かれ早かれ狙われていたはずである。
戦いの最中にウロウロされるよりも、一箇所にジッとして居てくれた方が守りやすい。
244非情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 21:30:54 ID:0eE8mUSq
「待たせたな。」
「変身しないのか?」
「変身?そんな事している間に貴様はシホリ殿を狙うのであろう?」
唾に指を当てながら間合いをつめる。
「よく分かったな。」
「貴様はそういう男でござる。」

「引き上げだ!!」
もう1人いたのか……。
そういえば「達」って言ってたような気がする。
「何者でござる?」
「別にどうでも良かろう。」
その手には青白いベルトが握られている。
(あれは……。)
確か姫が大切な研究サンプルだと言っていたでござる。

(守らねば!!!この命に代えても!!!!)

「もう1人も一緒に相手してやるでござる。」
「貴様1人で?冗談であろう?」
スコーピオンが鼻で笑う。

「お前と遊んでいる時間は無いのだよ。」
「何?」
窓から怪人のもう1人が翼を広げると、スコーピオンがジャンプして足に捕まる。

「奥の手は取っておくものだよ、さらばだ。」
245創る名無しに見る名無し:2009/03/19(木) 21:31:44 ID:3xZYZd8W
246非情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 22:00:37 ID:0eE8mUSq
おのれ……。
拙者はギリギリと歯軋りをしながら空を見上げる。
敵の姿はあっという間に豆粒になって見えなくなった。
「タッチちゃ〜ん、カモーン!!」
手袋をしたシホリ殿が落ちていた尻尾を拾っている。
「危ないでござるよ?」
あのミユキ殿が苦しむくらいだから、科学者のシホリ殿には辛いはず。
(正直どうでも良いんでござるが……。)
姫が帰ってきたときに、
拙者に危ないところを助けてもらったと証言してもらわないといけない。

「ユイっちの話だと、ミユキ先輩ってこれに刺さったんでしょ?」
「然様。」
「ジライヤ教授が分析すれば、もしかしたら毒の成分くらいはわかるかもよ?」

それは良かった。

(ミユキ殿が99人目か。)

「タルちゃん顔がにやけてるよ?」
「え?」
「さっきまで血走ってたのに変なの……。
 ユイっち行こう。」

2人は手をつなぐと、カラクリ寮にあるジライヤ師匠の研究室に向かって歩き始める。

25代目ジライヤ
薬物・毒物・暗号分析などの情報関係におけるスペシャリストの忍者
どこかの星からやってきた宇宙人であるとの噂がある。
ちなみにデスクワークのスペシャリストだから、
ツルヒメや赤影よりも体術が劣っていると思われ勝ちだが、そこまでの差はない。
その文武両道ぶりは、愛弟子のユキチへと受け継がれている。


32代目アカカゲ
剣術、忍術、体術、暗殺術、変装などの諜報術のスペシャリスト
冷静沈着でリーダーシップがある。
年下のツルヒメやジライヤからも信頼されている様子。
弟子のコウジやタルタロスには、とにかく実戦を多く積むように言い聞かせている。
(ツルヒメは逆に訓練で出来ないことは、実戦でできないというタイプ)
247非情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 22:01:33 ID:0eE8mUSq
「見つけたぞ!!」
男の声がして振り返る。

(この声は?)
「なんだお笑いファンガイアコンビでござるか」

ルークとキマイラが構えをとっている

「この前はよくも我ら親衛隊をコケにしてくれたわね!」

リョウコ殿をさらうときに、邪魔だから眠ってもらったことを言っているのだ。

「死んでもらう。変身!!!!×2」

「99-…それに100か。」

「何をブツブツ言っている?
 いくぞ我はファンガイア王族親衛隊ライオンファンガイア!!」

ライオンファンガイア (ルーク変身後)
城壁を模した皮膚は非常に固く、剣での攻撃にまったくダメージを負わない。
さらに両手の爪を高速で射出するロケットクローも備え、
連射スピードもさることながら強烈な威力を持つ。
また、爪を伸ばしたまま相手を貫くことも可能で、ダークキバでも簡単に貫くほど。

仮面ライダーナイト(キマイラ変身後)
魔法剣士のような戦闘スタイルをしており、
右手についているカードデッキに、父から受け継いだカードを挿入することで、
様々な魔法を使用できる。
また翼召剣を用いた剣術でも戦える。。

「喰らえ!!!」
ナイトが竜巻を起こす。

(ふん。)

避けた先には
ライオンファンガイアで、ファンガイアで一番攻撃力があるキングに匹敵する力を持っているらしい。
なるほど確かに強力なパンチだ。

「あのときのように、不意打ちでなければこんなもんだ。」

「死にたくなければ、
 二度とクイーンに近づくでない!!!」

「なるほどお前等はリョウコ殿の犬というわけか。」
248非情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 22:03:43 ID:0eE8mUSq
「なんだと!!!」

服のホコリを払い立ち上がりながら、口から垂れた血を拭う。
(良かった。)
姫から貰った仮面は無事だ。
ユイ殿達は研究所へと先に向かった様子。

「変身もしない体で生きているとはなかなかやるな。
 しかし俺にはダークキバのザンバットソードも効かぬ。」
ライオンファンガイアがニヤリと笑う。
「変身?
 貴様等如きに必要とは思えぬ。」

「冥土の土産に良いことを教えてやろう。
拙者のベルトには、72の魔神が封印されている。
そいつらの中には貴様のように体が特殊な奴も沢山いた。
拙者は冥府の守人として、そいつらを時に死線を越えて封印したでござる。」
そういえば、こいつ等死と隣り合わせの修行をしてきたとか言ってたな。

「死を恐れる臆病者に見せてやろう
 死という壁を越えた力!!!」

「何?」
縮地で一気にライオンファンガイアとの距離をつめる。

「ウルヴァリン流殺法 拳の型 パニッシャー拳!!
 アタタタタタタタタタタタタタタ!!!」

パニッシャー拳
パニッシャーとハイドに習った白兵戦での戦闘術を拳法にしたもの。
またこの時習得した呼吸法のため、タルタロスは己の身体能力120%発揮できるのである。
常に進化を続ける点から「進化する拳」と呼ばれている。
攻撃の最たる特徴は、敵の経絡秘孔を突くことである。
経絡秘孔は全身に850あり、柔らかく押せば体内の治癒力を活発化させるが、
深く突けば血の流れを異常促進させ細胞を破壊する。
つまり、極意は身体を外部からではなく、むしろ内部から破壊することにある。
直接的な破壊、拳の物理的な力を重視し
冥府最強と呼ばれるハイド拳に対し、気の流れを重視している。
249非情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 22:06:18 ID:0eE8mUSq
「なんだ?」

「生物である以上、エネルギーの流れがあるのは必然でござる、
 お前の秘孔は全て突いた。もう動くことは叶わない。」
 本来ならそのまま殺すところだが……。
 剣が効かぬ本当かどうか試してみよう。」
それにダークキバの攻撃が通用しないということは、こいつが斬れればキングに勝てる。
「まてまだ私がいる!!」
「お主に用はない。」
「女だからってなめるな!!!」
ナイトが剣を抜こうとする。

「お主は拙者と対峙したとき真っ先に距離をとり能力を見せた
 そしてそれを守るようにルークが立った
 つまりお主は近距離に自信が無い、遠距離中距離攻撃担当
 戦いかたからみるに親衛隊は、三人もしくは四人でペアなのでござろ?」

キマイラの指がピクリと動く。

「ちなみにこの距離なら、
 お主が指を動かした瞬間に首を落とせるから
 長生きしたいのなら余計なことはせぬことだ。」

キマイラがへたへたと地面に崩れる。

「待たせたでござるな。
 ウルバリンリ……」

「そこまでです タロス君!」

今度はマリリンに変身したリカ殿と
ゴーストライダーに変身したプルートだ。

全く次から次へと……。
250非情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 22:08:25 ID:0eE8mUSq
「愚かなる妹よ、最初にいっておく
 バロールの邪眼は見た者の悪意に反応し精神をやきつくす。
 しかし拙者やコウジ殿のように心を無にできる者は、
 悪意はもとより感情がないから反応しない。
 そして自慢の炎はただ暑いだけだから我慢すれば良い。」
「いつのまにそんなに強くなったのじゃ?」

拙者は冥府で迷子になったプルートを探す係で、
プルートを探しているときに師匠達と出会ったのだ。

「おしゃべりがすぎた
 一歩でも動けば敵とみなして斬る。」

「もう勝負はついています。
 これ以上何の意味があるんですか?」
リカ殿が体を震わせながら尋ねる。

「心優しき宇宙刑事よ、その者に君の言葉は届かぬ
 生まれてきたを後悔させてやろう。
 愚か者を始末するのも王の務め」

キング殿の声がする。
この前と同じでとても機嫌が悪そうだ。

「来たでござるな。」

「変身!!!×2」
ルークとナイトを倒したので
ちょうど目安にしていた100人……、拙者はどこまで強くなったなのだろうか。
251非情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 22:18:14 ID:0eE8mUSq
「クイーンをさらった時にも言ったが、ファンガイアを傷つけるな。」
「今回はファンガイアにこだわっていたわけではござらん。」
それにキマイラとルークのは正当防衛のはずだ。
「何故その力を正義部らしく使わん?」
「拙者は鬼にになると誓ったでござる。」

「わからぬ奴、そうそうに終わらせるとしよう。
 ファイナルフェッスル
 見よザンバットソード真の力、
 散れ!! ザンバットソード!!」

「ウルヴァリン流殺法 剣の舞 奥義 天剣」

ファイナルフェッスル
ザンバットソードを完全に手から離し、
地面に向かって放り落とす。刀は地面に吸い込まれるように消え、
同時に足元から巨大な千本の刀身が立ち昇る。直後それらが一斉に舞い散り、 
数億枚とも言われる刃と化す。
桜色の濁流とも捉えられるその無数の刃を縦横無尽に操る事で、
攻防一体・死角皆無の完全なる全方位攻撃が可能となる。 
手元には爆発的に殺傷能力を高めた形態のザンバットソードが現れる。
ちなみに学園でこの技を使ったことは過去に2度しかない。
2度ともリョウコに絡んだ上級生や下級生をぶちのめすのに使用された。


奥義 天剣
全力の縮地からの超神速の抜刀術
抜刀する瞬間に絶妙のタイミングで鞘側の足、
つまり左足を踏み出し、その踏み込みによって刀を加速し「超神速」にまで昇華させる。
初撃をかわされたとしても、超神速の刀が空を切ることで弾かれた空気が敵を打ち据えて行動を阻害し、
さらに空気が弾かれてできた真空空間が元に戻ろうとする作用が相手を引き寄せ、
回転による遠心力も加えたさらに強力な二撃目で斬る、二段構えの抜刀術。
天剣に限らず、タルタロスの抜刀術は、全て隙の生じない二段構え。

『いざ尋常に勝負!!!」
252裏事情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 22:22:07 ID:0eE8mUSq
ユイの名前はユイ。
巨乳忍者ライダー見習い。
この前テュポン先輩にお風呂を覗かれたのはビックリ。
(特異体質の悪用だよ!
 あ……でも悪部だから正しい使い方か。)
どうして男子ってそういうことするのかなぁ。
ツルヒメ先生だったら、大変なことになってたよ。

「終わりましたなぁ。」
「う〜ん、難しい判定になりそうだムーン。」
「これお茶です、皆さんでどうぞ。」

さて気持ちの悪い怪人の残骸を持ったシーちゃんとユイがさ、
カラクリ寮の飛び込んで侵入者の件とタルちゃん大乱闘の件を報告したの。
そしたら何て言ったと思う?

「ちょうど良い、試験にしよう。」

アカカゲ先生とジライヤ先生が抜き打ち試験の手続きを始めたの。
何がちょうど良いの全然わかんないよ。
(みんなは分かるのかなぁ。)

たまたまジライヤ先生のところに
遊びに来ていたシャイダー先生とシャドームーン先生、
それにツルヒメ先生の所に遊びに来ていたビシュム先生もノリノリでさ。

「じゃぁ、ついでに合同試験にしましょうか。」

という流れになって
大型ハイビジョンテレビで今までの一部始終を見ていたってわけ。
253裏事情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 22:23:44 ID:0eE8mUSq
ユイの名前はユイ。
巨乳忍者ライダー見習い。
この前テュポン先輩にお風呂を覗かれたのはビックリ。
(特異体質の悪用だよ!
 あ……でも悪部だから正しい使い方か。)
どうして男子ってそういうことするのかなぁ。
ツルヒメ先生だったら、大変なことになってたよ。

「終わりましたなぁ。」
「う〜ん、難しい判定になりそうだムーン。」
「これお茶です、皆さんでどうぞ。」

さて気持ちの悪い怪人の残骸を持ったシーちゃんとユイがさ、
カラクリ寮の飛び込んで侵入者の件とタルちゃん大乱闘の件を報告したの。
そしたら何て言ったと思う?

「ちょうど良い、試験にしよう。」

アカカゲ先生とジライヤ先生が抜き打ち試験の手続きを始めたの。
何がちょうど良いの全然わかんないよ。
(みんなは分かるのかなぁ。)

たまたまジライヤ先生のところに
遊びに来ていたシャイダー先生とシャドームーン先生、
それにツルヒメ先生の所に遊びに来ていたビシュム先生もノリノリでさ。

「じゃぁ、ついでに合同試験にしましょうか。」

という流れになって
大型ハイビジョンテレビで今までの一部始終を見ていたってわけ。

タルちゃんが最近ピリピリしてるか心配だったんだけど、
何か言うと先生達が帰ったあとに、
ツルヒメ先生に生意気だって叱られるから、シーちゃんと一緒に静かに見てたんだよ。

(ユイの試験のときは、ツルヒメ先生、事前に予告してくれるのかなぁ。)

そんなわけで、
「タルちゃんが大暴れしてるよ」ってハルちゃんに知らされたプーちゃんとリカちゃん
「キマちゃんとルーちゃんが大ピンチっすよ。」とタカちゃんに誘き出されたタケシ先輩の合同試験となったわけ。
あと夕飯の支度をしていたユキチ先輩は解毒剤の試験、

ちなみにテレビを見ていたコウジ先輩は、試験が終わったら戦いを止める係になったの。

(どうやって止めるんだろう。)
254裏事情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 22:25:06 ID:0eE8mUSq
気の毒な話だよね。
コレで誰か単位貰えなかったら、ユイ凄く罪悪感覚えちゃうんだけど……。

タカちゃんなんか、明日から過去に行くんだよ?
『告白されるのかと思った。』とか嘯いてたけど、
確かにそういう状況であっても不思議ではないわけだよね。
実際ユイはタカちゃんがフリーなことを知ってるわけだし……。
でも正直タイプじゃないんだよね。
ユイさぁ、年上にグイグイ引っ張って貰うのが好きだから。

さてそれはさておき、
どんな評価になったのかなぁ。

試験項目
タルタロス:冷静に相手の力量を見極めれるか、

リカ:自分が不利な状況でも正義を主張できるか。

プルート:チームプレーが出来るか。

タケシ 大切な者のために伝家の宝刀を抜けるか。

ユキチ:解毒剤を的確に作ることが出来るか。

試験結果(担任コメント)

タルタロス:力量が下の者が相手の際には変身しないなど、自分をキチンと理解できていると考えられる。

リカ:唯一の取り得と思われるが、やはり自分に自信が無いため説得力が無いと思われる。

プルート:情報が少ないため、別途追試を行うこととする。

タケシ:問題なし

ユキチ:即戦力としてやっていけるものと思われる。
255裏事情 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 22:50:29 ID:0eE8mUSq
「ところであのタルタロス君でしたっけ?
 ウチのプルートの双子のお兄さん。
 彼どうするんですか?」
「そういえば、最近随分暴れまわっているようだムーン。
 正義部なのにまるでダークヒーローだムーン。」
「そっちは考えてあります。
 あれに対応させますんで……。」
親指をクイっとこっちに指す。

(え?ユイ?)

先生達の視線がユイに突き刺さる。

みなさん「こいつで大丈夫か?」という疑いの目だよ。

(ツルヒメ先生〜〜、助けてくださいよ〜。)

アカカゲ先生あんなこと言ってますよ。

首をクルクルと回して先生を探す。

「シホリおかわりだわさ!」
「ユキチおかわり!快気祝いだから酒も!」
駄目だ、今の先生は食べることしか考えてない。
ミユキ先輩が心配で食が細くなったとか言ってたから、
元気になって安心したんだろうなぁ。

(細くなった食っていうのは、
 いつも丼8杯のところが4杯になっただけだから、どこまで深刻だったのかは謎だけど)

ミユキ先輩ほんの数時間前まであんなに苦しんでたのに
流石ユキチ先輩の解毒剤だよね、もうご飯食べてるし……。

「ユイ〜、それ食べないなら貰うわさ」
ユイの皿からエビフライが消えたよ。
出たよ。オカズはご飯と違ってお代わり自由じゃないから
ユイのお皿からお代わり(強奪)するんだよ。
最初の頃はさ、
右にはツルヒメ先生・左にはミユキ先輩と挟まれて座ってたから
ほとんどオカズ食べれなかったんだよ。

席替えして↓の席順になったから、ちょっとは食べれるようになったんだ。
 ツアジガヌべ
ミ     テ
ユアエユタコ

「そう言うのって取る前に言いませんか?
 それだと貰ったわさ。の完了系の方が正しくないですか」
「小さいことを気にすんじゃないわさ、
 シホリそれ貰うわさ。」
初めてここでをするシーちゃんは、あまりの素早さに言葉を失っている。
(ミユキ先輩は食べた栄養どこに行ってるんだろう?)
256 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/19(木) 23:00:53 ID:0eE8mUSq
席順にブルーべり忘れてた(汗)

ルインのベルトは英語通り、破滅を呼ぶベルトで
どんどん弱くなっていくベルトです。
できれば、カミシロ君に拾わせて欲しいなぁとか思ってたりします。

>>234
変身系小説スレの避難所みたいな位置づけで良いと思うけど……。
みんなはどう考えてるんだろう?
掲示板一応まとめwikiには追加しておきました。
257創る名無しに見る名無し:2009/03/20(金) 07:46:57 ID:PebaaAPS
大量投下だなあ 乙です
規制くらわんように気を付けて
さすがナツミwギルモア涙目
タルタロスもやりすぎで困ったやつだな

掲示板はいちおうこの世界のなかの設定だろうけど
まあ魔女の世界からアクセスしててもいい気もする
258創る名無しに見る名無し:2009/03/20(金) 15:12:00 ID:FH71Dj5z
大量投下乙
ナツミは元気そうだなw
試験いろいろ思いつくな。
空飛ぶ怪人はどうやって戦うんだろ?

掲示板は良いんじゃない?
259創る名無しに見る名無し:2009/03/20(金) 22:07:28 ID:xqUMk0q+
大量投下だなあ 乙!!
ユイで大丈夫かw
糸のない凧を操るようなもんだな

魔女スレは変身ヒロインもテーマみたいだし、OGって事でいいんじゃないか?
260創る名無しに見る名無し:2009/03/21(土) 17:10:39 ID:orYgVDoc
先生まで寮で住み込みとは、大変だな。
ユキチ哀れw
261宇宙刑事 マリリンの事件簿〜部活見学〜:2009/03/21(土) 22:17:51 ID:u4VgsPuo
ワタクシはサオトメ・リカと申します。
現在 ヒーロー学園 正義部にて 特別捜査官見習いとして修行しています。
さて今日はアニー先生から前期のワタクシの成績を見て
「部活でもやってみたら?」
というアドバイスを頂きましたので見学に来たのです。

「誰か居ますか〜?」
ドアに鍵はかかっていません。
盗むモノなんて無いという意思表示なのか、
それとも『ウチの部の物に手を付けたら、どうなってわかるんだろうな』という意思表示なのでしょうか。
ワタクシとしては、前者である事を祈りたいところです。

(おかしいですねぇ。)
今日は平日のはずなのですが、道場は真っ暗です。
もしかしたら場所を間違ってしまったのでしょうか。

ポンポン
(ん?)
右肩を叩かれます。

「入部かい?」
タンクトップの女性が、細い首をコキコキ鳴らしながら尋ねます。

「入部というか……。」

「ほぉ道場破りとは良い度胸だわさ、
 リハビリにちょうど良いから、アタイが相手してやるわさ!!」
262宇宙刑事 マリリンの事件簿〜部活見学〜:2009/03/21(土) 22:19:24 ID:u4VgsPuo
(はい?)
今なんと仰いましたか。
ワタクシ見学者のつもりだったのですけど〜。

「宜しくお願いします。」
「お願いします。」
何故か戦う羽目になってしまいました。
互いに礼をしたあとの意識はありません。
そして一瞬でボコボコです。
(これはある種の暴力に等しいのでは無いでしょうか?)
あんなに距離があったのに、気がついたらテレポートのように目の前に現れました。

「見学ですよぉ。」
軽く涙目になりながら、声を振り絞ります。
「ほへ?」
ワタクシを殴りつける拳がピタっと止まります。
「はやく言えば良かったわさ。」

言う前にもう戦闘態勢だったじゃないですか。

このミユキ先輩のお話では、
今正義部の格闘技部は開店休業状態とのことです。
別に入部するのは構わないけど、
6年生のミユキ先輩は、いつも面倒をみてくれるわけではないそうです。
263宇宙刑事 マリリンの事件簿〜部活見学〜:2009/03/21(土) 22:20:06 ID:u4VgsPuo
「アタイは今ユイっていう出来の悪い後輩の面倒を見てるんだわさ。
 それが姉以上のグズでさぁ……。
 とはいえ、手ぶらで返すのはあれだし……。」
ミユキ先輩は暫くうなってから手をポンと叩く

「ちょっと付き合うわさ。」

車を言われた通り走らせる

「これから会いに行く奴は学園で一番基本に忠実な奴なんだわさ。」
「はぁぁ。」

古びた建物の前で車を止めると、太鼓の音が中から聞こえる
「1989……1994…、そこちゃんと地面に胸をつけろ!!
 次見ついたら全員0からやりなおしである。」
何でも悪部格闘技部は部員が多すぎて、道場に入りきらないそうです。

「頼もおう!!!」
「ミユキ先輩?」
ワタクシは思わず耳を疑いました。
(これって道場破りみたいですよね。)
竹刀を持っていた男性がこっちを見ています。
264宇宙刑事 マリリンの事件簿〜部活見学〜:2009/03/21(土) 22:21:20 ID:u4VgsPuo
「キングに挑戦しにきたわさ!
 邪魔する奴は蹴散らす!」

ミユキ先輩の前にモーゼの十戒のように一直線の道ができます。
もしかしてミユキ先輩って有名人なんでしょうか。

「もう少し腰を突き出して、脇をしめるのだ。」
「押忍!!!」
「そこ、関節技は決めた瞬間に破壊しろ!!!
 中途半端は相手に反撃の機会を与える!!!
 どんな名刀も抜かなければ、ナマクラと一緒だ!」
「押忍!!押忍!」
かなり実践的なことをやられてるようですね。

(逃げましょう。)
ワタクシ恐る恐るバックします。

「相変わらず実践格闘技の癖に親切な奴だわさ。」

「これはこれはミユキさん
 先程表が騒がしかった理由がわかりました。」
「道場破りに来たわさ。」
「あなたに前に挑んで完敗してから、悔しい思いをしておりました。
 汚名返上させていただくきます!!」

「だがその前にこのリカと戦ってからだわさ。」
2人が話に夢中になっている間に道場を出て、
走り出していた私の服の襟が引っ張られます。
265宇宙刑事 マリリンの事件簿〜部活見学〜:2009/03/21(土) 22:25:30 ID:u4VgsPuo
「いやいや!!!嫌です!!」
体が宙に浮いて引っ張られます。
(あ……。)
慌ててドアノブにしがみつきました。

(そうか。)
思い出しました
入学試験のときの腕が伸びる先輩ですね。

「いやぁぁ。」

とうとうドアごと、道場に引きずりこまれてしまいました。

「ドアの修理代はコウジに請求するわさ。
 こいつに勝ったら戦ってやろう。
 ただし……。」

「ただし?」
「ザンバットソードとフェッスルは禁止な。
 一年生だから。」
「良いでしょう。変身!!!」
「え?もう?殖装!!」

説明しよう
殖装(結晶に追加)
ヒーロー学園が管轄する軌道衛星から放たれた、光線に含まれる微小の分子体と結合!
僅か0.01秒でメタルスーツへと変身を完了するのだ!(ポロリもあるよ)
今年から喧嘩等に使えないように、担当教授が調査し
不適当と判断された場合には、強制的に変身が解除されてしまう。
266創る名無しに見る名無し:2009/03/21(土) 22:31:51 ID:u4VgsPuo
思いついたので書いてみました。
とりあえず前半です。
267創る名無しに見る名無し:2009/03/22(日) 06:53:22 ID:wbUO2Zc8

なぜまずその部に行くんだろうなw
268創る名無しに見る名無し:2009/03/22(日) 16:48:54 ID:KFTeyU3b
投下乙です
リカちゃん報われないなぁ。
ユウトの更新まだかなぁ
269創る名無しに見る名無し:2009/03/22(日) 23:57:59 ID:wbUO2Zc8
マリリン魔女っ子のほうに出張してるなあ
大変だなw
270 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/23(月) 08:05:09 ID:XlDk8iM2
おはよう
投下してみよう
271陰謀1 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/23(月) 08:08:13 ID:XlDk8iM2
 波の音を風が運んだ。たまに海鳥の声もきかれる。
 ナオコは砂浜に足跡をつけ、たまに専用のトングでゴミを拾った。左手にはゴミ袋を持って
いる。
 潮風がナオコの黒髪をたまに乱した。今もこの一年生女子は高校からの制服をそのまま
着ている。
 同じシャーフーゼミのモミジ、コテツも海岸のゴミ拾いをした。
 あとから歩く、背に白い羽根を付けたユウトが、不機嫌そうにトングを鳴らした。

「ペナルティでゴミ拾いかよ、ちくしょー……」
「ほら、羽落ちてるよ」
 バッグを肩にさげるモミジは、砂の上に落ちた一ひらの羽を指さした。
「抜け毛みたいなもんなんだよ、俺の繊細な心が傷つくと羽がこう抜け落ちてさ、まさに翼の
折れたエンジェ……」
 つぶやきながら、ユウトは落ちた羽を拾い上げる。
 ナオコたちは単位のため、海岸のゴミ拾い兼ヒーロー反対派対策に来ていた。
 ヒーロー反対派は海から船でやってきて、抗議活動することがある。
 正義も悪も関係なく、とにかくすべてのヒーローに反対するという集団だ。
 ときにはテロ行為までしでかすが、いちおう市民なので正義のヒーローは手が出せない。
 悪なら対抗できるが、その場合正義のヒーローが守らなくてはならない。何とも面倒な
相手だった。

 今あるのはゴミばかりで、ヒーロー反対派の姿は見当たらない。
「知ってるか? 生徒の中にはな、正義部長が現役の時代にタイムスリップして戦う人もいる
んだぜ」
 ユウトは情けなさそうに言った。ガラスを割ってしまったことで、ユウトはゴミ拾いの
手伝いをさせられている。単位は直接関係ない。
 ナオコは素直に感心した。
「へー、すごいですね」
「ああ、すごいよ。かたや俺たちはと言えば、海岸のゴミ拾いだよ!」
 ユウトのたたまれた羽根が少し下がった。
 モミジに顔を向け、ナオコは逃げるように話題を変えた。

「セイジさん、どうしてますか」
 今日のモミジは髪を後ろで束ねていた。表情は浮かない。
「自分の部屋にひきこもってるって。もう学園やめちゃうかもなあ……」
 モミジは重いようなため息をついた。
「そうですか……」
 ナオコは消え入りそうな声で答えた。

「ナミも思い詰めてたなあ」
 ユウトが思い出したように言う。
「ナミさんが?」
「あいつも成績悪いからな」
「そうなんですか?」
 意外だったので、ナオコは声を高くした。
272陰謀2 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/23(月) 08:10:20 ID:XlDk8iM2
「ああ、あいつバランスはいいけど決め手がなくてさ。あんま改造してないしな。だから、
なんか事件が起きるとはりきって活躍しようとはするんだけどさ、なかなかなあ……」

「そうだったんですか」
 ナミがたまに事が起こると喜ぶのを、ナオコは知っていた。それを不謹慎ではないかと
感じていたが、事情をきくと納得し、悲しくも思う。
「なんとかならないんですか」
「俺だって他人事じゃねえよ」
 ふてくされたように言い、ユウトはゴミを探した。
 缶やビン、花火のカスなどが落ちている。ナオコは注射器のようなものを見付け、拾おうと
した。

「おい、気ぃつけろよ」
 ユウトが声をかける。
「これ、なんですか」
「キュアだよ!」
「キュア?」
 ナオコは頭をかたむける。
「何にも知らないんだね」
 呆れた様子でモミジは教えた。
「ミュータントを普通の人間にしちゃう薬よ。ヒーロー反対派がたまに銃で撃ってくるの」

 へえ、とナオコは声を出した。
「へえじゃねえよ。俺の羽根がなくなっちゃうかも知れないんだぞ。大惨事だろうが」
「そりゃあんたはね」
 強化スーツを着込むタイプのモミジは、別にキュアを恐れない。
「ユウトみたいなのにとっては、ネズミにネコイラズみたいなものなの」
「もっといい例えしろよ」
「ナメクジに塩とか……」
「辛口だな、おまえは」
「あ、塩だけに辛口。しかも黄色でカレーだから、うまいなあユウトさん」
 モミジはゴクレンジャーのイエローだ。ナオコは無理に盛り上げようと、明るく振る舞う。
「ゴクレンジャーももうおしまいだけどね……」
 青ざめた顔で、モミジはまたため息を深くついた。
 気まずくなって、ナオコは引きつった笑顔をする。腫れ物に触るようとはこのことだ。

 ユウトもいたたまれず、話を戻した。
「ヤス、おまえもキュアに気つけろ。サイキックパワーがなくなるかも知んないぞ」
「それは困ります」
「だから素手で拾うなよ。慎重にな」
 いらだつユウトはナオコに言い付ける。
 はあ、と答えつつ、自分は拾わないんだなあとナオコは苦い顔をした。
273 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/23(月) 08:11:44 ID:XlDk8iM2
>>220からの続きでした では
274創る名無しに見る名無し:2009/03/23(月) 17:41:05 ID:I+8iDyXx
投下乙です
展開読めねぇなぁ
魔女っこスレに投下したものです。
こちらにもはっておきます。

わたくしの名前は、サオトメ・リカと申します。
ヒーロー学園 正義部機械科にて 銀河連邦警察 刑事部 刑事課 特別捜査官候補生として勉強している者です。
肩書きの方は特に覚えていただかなくても、一年生と覚えておいていただければ結構。

さて今日はどうしてこの魔法大陸の方に来ているかと申しますと、
ドクトル・マザー先生の魔法学の授業にて、魔法についてのレポートを出す課題が出たからです。
あの先生については、ドクター・ストレンジ先生のお弟子さんという事しか、わたくしは存じ上げません。

「そこは右です。」
助手席に座っておられるのは、悪部2年生のフレイア先輩です。
フレイア先輩はエルフの王様の娘さんで、マザー先生の教え子ということもあって魔法に詳しいのと、
女子寮で隣室の縁がるのと、今回引率者をしてくれました。

「たく、俺が何で責任者なんてしなきゃいけないだよ〜。
 もっと適任者いるだろ、イルーゼとかイルーゼとか……(ブツブツ)。」

後部座席に1人座ってらっしゃるのは、正義部4年生のコウジ先輩。
今回のツアー(?)の責任者をやってくれています。
魔女の国には女性が多いと聞いて、2つ返事で引き受けてくれました。

「リカさん、そこ左折して!
 コウジ様、何度も言いますが学園でのような振る舞いをすると、
 国際問題になりかねませんので、気をつけてくださいね。」

コウジ先輩は女性が大好きなので、フレイア先輩が改めて釘を刺しました。

(あ……。)

今後方確認をしてい思い出しました。
後に黒いバイクと白いバイクが走っているのですが、
別にワタクシ達が当局にマークされているとか、この車がスピードー違反をしているというわけでありません。

黒いバイクに乗っているのが、タルタロス君、
白いバイクに乗っているのがヨハネ君です、同じく正義部 機械科 一年生の学生です。
本来ならばこの車で一緒に行く予定だったのですが、
責任者がコウジ先輩と聞いて逃げたんです。
正確に言うと、確信犯的寝坊とでも言うのでしょうか。
「出発時間を遅らせようか?」という提案もしたのですが、
「先輩を待たせるなんて失礼でござる。」とか
「これから旅の安全を願って、祈りを捧げんねん。」と乗りたくありませんというアピールされました。
わたくしも空気を読んだわけであります。

お陰でわたくしは、学園からずっと運転です。
先輩に「運転してください。」なんて言えないじゃないですか。
船に乗っていつまでもクルージングできていればどんなに良かった事でしょう。

『残り500mで目的地付近です、音声ガイドを終了します。』
最初の目的地は、港からそう遠くない『海の星タウン』です。
今回のレポートはこの大陸を西から東へ横断し、
その感想をまとめる課題でして、演習の少ない一年生では進級に大きく影響するようです。

『商店街で強盗が〜』
『道端に刺し傷のある男性が倒れて〜』
『議員のB氏が汚職を〜』

どこでも聞けるニュースですが、初めての街で聞くと不安になるのはわたくしだけでしょうか。

「いやぁ、スマンかったなぁ。(棒読)」
「2人一緒になったのは、たまたまでござる。(棒読)」
駐車場に車を止め、3人に合流しました。

タルタロス君のバイクは、冥府の番犬と呼ばれる相棒のケルベロス君が変身した姿なのです。
「ちょっと早いですが食事にでもしませんか?」
フレイア先輩がレストランを指差します。
「あ……、俺パス、
 俺はそこ等辺ぶらついて、適当に女捕まえてデートでもしてるから
 用事が済んだら、知らせてくれ。」

コウジ先輩はそういうと、金髪の頭をかきあげ振り向き歩き始めます。

(なんですか、このフラグみたいなのは……。)

「コウジ様はもう4年生ですし、あれだけ念を押せばトラブルは起こさないでしょう。
 さて私達は食事にしましょう。」
フレイア先輩とわたくし達はレストランで早めの昼食を取ることにしました。

「申し訳ありません。
 当店はペットのお持込はお断りさせていただいております。」
ウェイターさんがペコペコ頭を下げます。

(ペット?)

「ペットなんていませんよ?」
思わず聞き返してしまいました。

「ワイはどっから見ても、牧師やで。
 ちょっと緑やから違うかもしれんけど……。」
「拙者は黒装束に鬼の面と怪しく見えるかもしれぬが、身分証もちゃんとある。」
フレイア先輩も人間の姿をしているから、問題ないはずですし……。

(まさか。)
おかしいです。
「わたくしは……。」

「いえ、そちらのお客様が……。」
ウエイターさんの指先に視線が集まります。
「あ!!!×4」

「なんだズラ?」
そうですよね。
学園では確かに見慣れてるから、1人ってわたくしはカウントしましたけど、
一般的には匹って数えるのが普通ですよね。
ニックネームも番犬ですし。

「ペットだズラ?これ程の屈辱を受けたのはユイどん以来だズラ。
 絶対に訴えてやるズラ!!(タルタロスが)」
「拙者でござるか。」

(ユイ先輩そんなこと言っちゃったんだ。)

でも確かに相棒って紹介されても、
ライオンの顔にヘビのたてがみをした生き物をペットと言わずして、何と表現すれば良いのでしょう。

しかもこれがピンクとかこう爽やかな色なら、まだ言い訳のしようもあるかもしれませんが、
真っ黒ですからね、不気味を通り越して怖いと思う人も居るかもしれません。

ちなみに最近知ったのですがメスだそうです。

「仕方ありません。
 他を探しましょう。」
フレイアさんはそういうと店を出ます。

「二度と来るかズラ!
 絶対地獄に落としてやるズラ!!!
 魂の色覚えた!!」

タルタロス君は冥府からやってきたのです。
あのエンマ大王の息子さん、
その相棒が地獄に落とすというのが、シャレであることを祈りましょう。

「困りましたねぇ。」
その後片っ端から入店拒否をされ困り果てたワタクシ達は、
公園のベンチで途方にくれていました。

「この街は呪ってやるズラ!」
「ちょっと黙ってるでござる。」
空腹のタルタロス君は少し不機嫌そう。
「教会もここらへんあらへんしなぁ。」
「みなさん、本題を忘れていませんか?
 ここにはランチを食べにきたわけでも、観光に来たわけではありません。
 実習で来ているんですよ。」
流石、フレイア先輩は気丈に振舞います。
「腹が減っては戦ができぬというズラ。」
台無しの一言です。
諸悪の根源の自覚はありません。

『君達、落ち着いて。』
(え?)
そのとき、マイクの拡声器の音がしました。

『その生き物が研究所から逃げ出した兵器だということは分かっています。
 今麻酔銃を撃ち込むから待ってるんだ。』

銃を構えた機動隊員達がジリジリと近寄ってきます。

「誰と間違えているのかしらんが、拙者に刃を向けるとは……、
 生憎今機嫌が悪いでござる。」

「今度は強盗ってどうなっとんねん。」
(あの人の話聞いてますか?)
フレイア先輩は諦めたのか、ジッと目を瞑っています。

空腹で虫の居所が悪い2人は、腰にある刀に手を当てながら武装警官との間合いを計り始めました。
2人とも剣術の達人のため、凄惨な現場になる可能大です。

(そんな事になったら、また怒られてしまいます。)

2人の親指がピクと反応した瞬間、

「プリティミューテーション・マジカルリコール!!」

わたくしたちを眩い光が包み込ました。
280 ◆4fjagbuKVQ :2009/03/23(月) 23:37:51 ID:A2cpp8+6
続きは
魔女っ子&変身ヒロイン創作スレ2でクロスして公開中です。
>>265
割り込みスマソ

>>256
フレイア借りました。

>>273
投下乙です
ごきげんよう

ここは魔女島の首都
あ〜この地域では、日本という国なのでしたね。
とにかく東京という街に来ています。

私はヒーロー学園悪部バイオ科二年フレイアと申します。

ある理由で今は一族を追放され、ダークエルフをしていますがその話はいずれ

「俺達はマリリンの事件簿を見に来たんだ!」とか
「エルフは引っ込んでろ」とブラウザを閉じようとしている方々
ちょっと待っていただけませんでしょうか?

これには理由があるんです。

先日のサミーさんの件でのリカさんの提出前のレポートを拝見したら、
あまりにも出来が悪く、
これでは単位の修得が危ないということで代筆することに致しました。

タルタロスさんとヨハネさんはいつのまにかレポートを送っているので

どんな内容になってるかは見ていません。

さて前書きはこのくらいにして話を進めましょう。

海の星タウンからここ桜花シティーに来るまでの道中で
いくつかのトラブルがあったのですが、

それは皆様のご想像にお任せ致します。

桜花シティーというのは、

23のエリアと16のシティーから形成される東京の中では三番目に大きいシティーです。

若干中心地から離れてはいますが、首都圏ということもあり人も車も混雑していました。

私達が宿に到着したのは夜中でした。
「ここ温泉なんですか?」
ずっと運転しっぱなしのリカさんは少し嬉しそうです。

「しかも混浴やで。」
ヨハネさん……あからさまに大声出しすぎです。
初心なリカさんがドン引きしてますよ。

「当たり前だ 誰が取ったと思ってやがる。
 俺はちょっと出掛けてくるからな。」

コウジ様が車内で一番暇なので宿の手配をされたのです。
(私は運転手のリカさんの話し相手という重要な任務があります。)

「こんな時間におでかけですか?」
「旅の恥はかき捨てっていうだろ?」
最初の海の星タウンから気になっていたのですが、
コウジ様はリカさんのいうとおり、本当に喜んで責任者になってくれたのでしょうか。
それに私達がサミーさんと会っている間は、本当にナンパにくりだしていただけなのでしょうか。
どうしてこんなに気にするかと申しますと、少し気になることがあるのです。
道中は学園から支給されたお金で生活しておりまして、
私が無くさないように毎日回収して帳簿をつけているのですが
コウジ様の分は全く減っていないのです。

あれだけ行く先々で単独行動をとっていれば、とっくに使い果たしているはずなのですが……。

それにナンパなどしなくても
学園に帰れば他の二人と違って、(失礼)
コウジ様に言い寄ってくる女性などいくらでもいます。
(私は違いますが……。)

「明日は早いですからね。」
「わかってるよ。」

「フレイアさ〜ん部屋いきましょうよ〜。」
コウジ様の背中を見つめていると、リカさんの甲高いアニメ声が聞こえます。

「はいはい、 今行きますよ。」
次の日

「じゃ行きましょうーか。」

時間はまだ朝の5時
朝に弱いリカさんでなくてもまだ眠い時間ですが、目的地まではまだだいぶん距離があります。

ふと後部座席で紙を見ているコウジ様に話しかけます。

「コウジ様、
 今回保護する方の情報はないのですか?

「ああ、宿でメールを印刷して貰ったから見せてやろう。」

鞍馬 麻衣子:身長178cm スタイル・モデル体型 誕生日8月8日 血液型AB型
       髪型・銀髪を丁髷のようにしている。
       服装:銀色のコートを着ている。
       能力:ヒーロー学園クラマの妹で817歳。風術剣士に変身する。
          兄の行方不明により、第55代鞍馬天狗の継承権が転がり込んだ。
          兄と同じで風輪斬術という殺人剣の使い手だが、奥義は習得していない。
          (奥義書を継承者の兄が持っていたため。)
          ちなみにこの剣術は完全習得するには、100年近くかかるところを5年で習得した。
          充分早いのだが兄は3年で習得したため、自分には才能がないと思い込んでいる。
          性格は心配性のため、雑魚を叩くときは大技を使う。
          何故か男言葉を使う。
     決め台詞:「お前も聞いただろう?風の声を……。」
          武器はチェーンソーの様な大刀。名前は風正(妖刀)の二刀流
       変身後:大天狗に変身し、剣術や風の忍術を扱う。
      保護理由:次元魔城には奥義書を報酬として貰えるという契約で宝石の間の用心棒としていたが、
           当然約束は反故にされ、離脱しヒーロー学園に連絡を取った
      

深田 音葉 :身長168cm スタイル・巨乳体型 誕生日5月5日 血液型A型
       髪型・赤いロングヘアーをポニーテールにしている
       服装:黄色服を好む
       能力:無音神風流という殺人剣をマスターしており、指の動きでかける催眠術が得意技
          厳しい修行のお陰で盲目になったことを機に、剣術の1つの究極の型『心眼』を開く。
          その正体は、数十キロ先で食事をしている客が使ったのは、醤油とソースの音を聞きつける程の異常聴覚である。
          また匂いにも敏感である。
          戦闘では、筋肉の軋む音から相手の攻撃姿勢を、足音と空気を切り裂く音から相手の位置を予測して攻撃する。
          また、心音を聞き取ることで相手の心理状態を読むことができる。
          字を読むことはできないが、書き順などから推理したり、キーボードの音でだいたいの文面を予測可能。
          性格は非常に温和 黄色の瞳
     決め台詞:「聞かせてやろう!!死への交響曲第〜楽章。」
           武器は虎徹のような形状 名前は無音丸(仕込み刀)
       変身後:仮面ライダー(剣)ブレイドに変身し、タルタロスやコウジのように縮地からの剣術と音や催眠術を操り戦う。
           (滅多に変身しない。) 
    保護理由:出身は不明だが魑魅魍魎を1000人以上を斬ったため、
         次元魔城にて囚われの身になっていたので、鞍馬と一緒に脱出した。
284 ◆4fjagbuKVQ :2009/03/24(火) 00:01:10 ID:xcAY4B+d
こちらの続きも魔女スレにあります。
ちなみに2人は忍者ゼミに所属しますので、適当にいじってください
285創る名無しに見る名無し:2009/03/24(火) 08:54:33 ID:1g+MAmT6
他スレとうまくクロスできてすごいなー
しかもそんだけの量 おそるべし
286 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/24(火) 11:20:54 ID:1g+MAmT6
では>>271-272の続きを
287陰謀3 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/24(火) 11:22:33 ID:1g+MAmT6
 近づく人影に気付いて、ナオコは頭を上げた。
 魔神の像のような黒い鎧をまとう男が、やってくる。海からの風が、男の白金の髪を
なびかせた。

「ブラックスミス!」
「おお、マイリトルプリンセス・ナオコ!」
 鎧の男が砂を踏んで近づく。
「会えてうれしいぞ、私のシュガーベイベ」
 はあ、とナオコは頭に手をやり、照れ笑いした。ブラックスミスの言葉が、ナオコには
いちいちくすぐったい。
「ナオコの彼氏?」と、モミジはユウトにきいた。
 ユウトは答えず、ブラックスミスに歩み寄る。

「この前はよくもやってくれたな。こんどは綿百パーセントだぞ」
 ユウトは自慢するようにジャージを見せ付けた。
「無粋な男め、感動の再会を邪魔するとは」
 ブラックスミスの足元で、砂が黒い砂鉄と化してゆく。

「太子、待ってくださいざんすー」
 鳥の頭、軍服を着た女の体、黒い羽根を背に負うシュヴァルベが歩いてきた。台車を押して
砂浜に跡をつけている。
「まったく、あちこちゴミだらけざんす。やや、ナオコに羽根男」
 シュヴァルベは忙しくクチバシを開閉させた。

「おまえらもゴミ拾いか」
 ユウトがきくと、ブラックスミスは表情に影を落とした。
「中途の新入生は色々つらいのだ」
 ため息が海岸にいくつも流れる。波の音がやけにむなしい。

「ゴミ拾い同士戦ってもサマにならねえや」
 ユウトは肩を下げ、白い羽根を動かした。ブラックスミスも白金の髪を揺らして、うなずく。
「同意だ。それよりここは協力しよう」
「さすが太子、器が広いざんす」
 シュヴァルベは主人を持ち上げる。
 じゃあ、と正義・悪の生徒は垣根を越え、力を合わせて任務を遂行することにした。

 拾ったゴミをブラックスミスは鉄に変え、台車のカゴに放る。
「鉄を売るとア・リトル儲かるのだ」
 せこい太子だな、とユウトは言いかけるが、便利なので黙っていた。
 ナオコが缶を拾い上げようとすると、ブラックスミスが寄り添うようにした。

「プリンセス、いいから私に任せろ。おまえはこんなことをしなくていいのだ、私のハニー」
「う、うん」
 そういうしゃべりをやめてくれないかな、とナオコは人の目を気にした。変人だがブラックスミス
の顔はよく整ってまぶしいくらいに美しい。
288陰謀4 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/24(火) 11:25:02 ID:1g+MAmT6
 何やらおもしろくなく、ユウトは腕組みして海を眺めた。
「どうしたざんす? やいてるざんすか?」
 二振りの刀を腰の左右に差したシュヴァルベが、ユウトに近寄る。
「だーれが」
「元気出して、あちきがいるざんしょ」
 キャッとシュヴァルベは恥ずかしがって手で顔を覆う。クチバシまで覆い切れていない。

「冗談じゃない」
 身を震わせ、ユウトはシュヴァルベから離れた。
 海に、ユウトは船を見つけた。
「なんだあれ」
 船からやってきたと思われる、黒いゴムボートがいくつか、波にもまれている。
 ゴムボートには数人の男女が固まっていた。何となく、ただ事でない雰囲気を感じさせる。
 波に上下しながら、男女は拡声器越しに声を投げ付けた。

「ヒーロー反対!」「ヒーローは経済をおびやかす!」「ヒーローは治安を悪化させる!」

 ブラックスミスはゴミ拾いをやめ、波打ち際に近づいた。
「来たな、ヒーロー反対派か」
「あんたもヒーロー反対派対策で来たの」
 言いながら、モミジは肩下げのバッグから、メガホンを取り出した。
「当たり前だ。ただゴミ拾いだけするほど海が好きではない」
 ブラックスミスはいまいましげに、ヒーロー反対派を見つめる。

「ヒーローは差別を生む!」「ヒーローは戦争を生む!」「ヒーローは格差を生む!」

 ゴムボートの上で怒鳴る男女に、モミジはメガホンで呼び掛ける。
「危険ですからやめてくださーい。ご意見は上陸して手続きしてから学園の受け付けで
どーぞー」
 モミジはまた別のメガホンを取った。
「ほら、コテツさん、ナオコも。ユウト、こっち来なよ」
 不愉快そうな顔をして、ユウトは首を振り羽根を動かす。
「いやだよ、キュア打たれたらどうすんだよ」
 ヒーロー反対派は専用の銃でキュア注射器を発射するときがある。
 しょうがないな、とモミジは頭に手を当てた。

「ヒーローは人権侵害!」「ヒーローは雇用機会を奪う!」「ヒーローは教育に悪い!」
 二隻のゴムボートが上下しながらわめき散らす。

「危険ですよー」「ちゃんと港から上陸してくださーい」
 ナオコたちはメガホンで穏便に返す。
「なんで上陸しないんでしょうね?」
 ナオコは不思議がってモミジにきいた。
「いちおう手続きしなきゃならないから、それがいやなんじゃないの? 勝手に上陸する
ときもあるけど」
289 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/24(火) 11:26:29 ID:1g+MAmT6
俺も魔女っ子とクロスしたいけど難しそうだなー
ではまた
290宇宙刑事 マリリンの事件簿〜部活見学〜:2009/03/24(火) 11:49:11 ID:LxMervw+
>>265の続き

(何の意味があるんでしょうか。)

それから数週間、ワタクシはただやられるためだけに道場の方へ足を運びました。

翌日はミユキ先輩もついて来てくれたのですが、

その翌日からは1人で通っています。

そんなある日

キング先輩の足の動きが特殊なことが気がつきました。

(こんな感じかな?)
たまにはワタクシも何かしなくてはと、ちょっと真似てみました。

ゴ ツ ン

勢い余ったキング先輩にぶつかってしまいました。

「いたたた。
 お前も縮地が使えるのか、それとも今まで隠していたのか?」
まさかワタクシが向かってくるとは思っていなかったのか、
キング先輩は少し驚いています。

「使えるというか、使えたというか……。」
「ふむ、ちょっと待っていろ。」
そういうと、正座して周りを囲んでいる優秀な部員さんの1人を呼びました。

「キングよ、何か?」
ライオンの怪人さんが呼ばれています。
「あのマリリンと戦ってみろ。」
「しかし女を殴るというのは……。」
キング先輩冗談でしょ。
ライオンですよ、ライオン……。
291宇宙刑事 マリリンの事件簿〜部活見学〜:2009/03/24(火) 11:50:25 ID:LxMervw+
「ルークよ、耳を貸せ。」
キング先輩はワタクシに聞こえないように、何かを耳打ちしていました。

「勝ったら、あの女を好きにして良いと?」
「ああ。」

「キマイラに断られた、
 あ〜んなことや、
 こ〜んなことをさせても良いわけだな?」

ルークがニヤっと薄気味悪い笑みを浮かべたのをみて、
ゾクッと寒気がしました。

「キングお前もやっぱり男なんだな、見直したぞ。」
「流石はキング。」
「やっちまえ!」
「ルーク俺達にもわけてくれよ。」
他の部員達の声から貞操の危機だということはよくわかりました。

(キング先輩だけはそういうのないと思ってたんだけどな。
 クイーン先輩に言いつけてやります。)

さっそく興奮したルークが襲いかかって来ます……。
授業のときよりやる気なのは夏だからでしょうか。
でも……。

(あれ?遅くない?)

これならワタクシにもなんとかなる。

その位のスピードしかありません。

もしかして、なぶり殺しにするつもりなのでしょうか。
それとも寝技でセクハラ紛いなことでもするつもりなんでしょうか。

(これなら何とかなるかも?)

いずれにせよ、周りは悪部の人ばかりです。
自分のみは自分で守らなければなりません、
一度捕まってしまうと、体力は筋力の差で不利になる気がします。
(先手必勝!!)

確かキング先輩はこうしてこうして……。
292宇宙刑事 マリリンの事件簿〜部活見学〜:2009/03/24(火) 11:51:30 ID:LxMervw+

   ド カ 

見様見真似ですが
左隅に崩しながら、
前回りさばきで踏み込み体を沈め、左腕を受けの脇下にいれ、肩にのせ、
受けの体を背負い上げて、
投げる腕をとり投げてみると、あっさりルークが地面に背中をつきました。

柔道の試合だったらこれで終わってるはずです。

「おいおい!」
「一本背負いって初めて見たぞ。」
「ていうかいつ投げたんだ?」
「あの体重さでどうして投げれるんだ?」
「そりゃぁ、おめぇあれだよ。」

他の部員達がざわめきます。

キング先輩は倒れたルークの状態を確認しています。

「あまりの速さで受身を取り損ねたか。
 修行が足らん。
 次はお前だ。」


もう少し初勝利の余韻を味わいたかったのですが、
どうやらそうはいかないようです。

次々と他の部員が襲いかかってきます。
よく考えたら、キング先輩の驚異的な統率力で統率されていますが、
ここは悪部の格闘技部、
いわば武道派の悪部の中でも,さらに腕を磨こうという人達の集まりなわけで
勝っちゃったら、潰しにくるに決まってました。

(でも……。)

みんな遅いです。
キング先輩はもっと早かったですよ!
さっき真似たステップは完全に習得できました。
一気に間合いを自分でコントロールできるので、とても便利です。

(キングさんと比べると止まってるみたいだ。)

授業で習った拳法を使ったり、こんな技はどうなるんだろうというのを試し放題。
293宇宙刑事 マリリンの事件簿〜部活見学〜:2009/03/24(火) 11:52:39 ID:LxMervw+
「もう良いだろう。」
どのくらい時間が経ったのでしょうか。
キング先輩が太鼓を叩き、今日の練習が終了の合図をします。

気がついたら道場にいた部員の殆どが床に倒れこんでいました。

「マリリンよ、もうここには来なくて良い。」
「え?」
「後は自分で考えて修行せよ、さぁ早く逃げるのだ。」
「逃げる?…」

外にはまだ300人近い屈強な部員がいるんです。
この光景を見れば、大騒ぎになることは一目瞭然ですよね。
「でも〜、ワタクシがやったと思う人なんていますかね?」
「私がいう。」
いや、ここは黙っておきましょうよ。
「今日よりお前の認識を改め、倒すべき正義部の人間と認識する。」
今まではどう思ってたんでしょうか。

「そろそろかと思ってたわさ。」
入口の方から拍手が聞こえます。
「ミユキさん、いつからいらしてたんですか?
 相変わらず人が悪い。」
「そこのライオンがのびたところから。」
なら助けてくださいよ。
こっちはハラハラしたんですから。
294宇宙刑事 マリリンの事件簿〜部活見学〜:2009/03/24(火) 11:53:28 ID:LxMervw+

「アンタの動体視力が良いことは、
 初日に投げられたと見えていたときにわかってたんだわさ。
 だからキングと戦わせることで実感させるのと、
 柔術や拳法の基本を覚えさせたの。」

覚えさせたというんでしょうか。

「ミユキ先輩が教えてくれれば……。」
同じ女性じゃないですか。

「何事も最初が肝心 
 基本がちゃんと出来れば、後は個性がにじみ出てくる。
 実際さっきも最後はオリジナルの技がいくつもあったわさ。」

無我夢中だったんで、あんまりよく覚えてないんですけど……。

「自転車と同じで一度覚えたら忘れないわさ。」

こうしてワタクシは悪格闘技部のお尋ね者になってしまったのでした。

え?部活選びですか?

また一から探しなおしです。

今度は静かな部が良いです。
295宇宙刑事 マリリンの事件簿〜部活見学〜:2009/03/24(火) 11:54:32 ID:LxMervw+
>>280
クロスお疲れ様です。
今後とも期待してます。

俺もまた思いついたら何か書いてみますね。

そういえば、掲示板もっと有効に使えないかな?
296創る名無しに見る名無し:2009/03/24(火) 11:55:48 ID:LxMervw+
以上、創発避難所よりレス代行でした
投下乙です
297創る名無しに見る名無し:2009/03/24(火) 13:53:33 ID:htA2lDVi
作者のみなさん投下乙です。

反対派の連中のスパイが学園にいたりとかどうかな?

望まないのにヒーローになってしまったとか居ても不思議はないような。

科学者にも居そうだよね。
298創る名無しに見る名無し:2009/03/24(火) 17:57:41 ID:1g+MAmT6
マリリンは潜在能力高いのかな
>>297
いいんじゃない 学園の転覆崩壊を企む奴らとか
299見えないモノ ◆4fjagbuKVQ :2009/03/24(火) 20:32:01 ID:xcAY4B+d
大きな爆発音で目を覚ます。

(敵襲?)

昨日簡単に説明を受けた
アスガルド軍団とかいう奴等が攻めてきたのでしょうか。

枕元の仕込杖に手を伸ばします。
盲目のオイラはこれで足元に石が無いかを確認するんです。

数人の足音が爆発音のした部屋に向かっているよう。

部屋の中に人は居なかったのだろうか。

(良かった。)
無事なようだ。

さて
簡単に自己紹介するとオイラの師はジライヤ師範

色々あって囚われの身になっていて、
縁あってユキチ殿に、このカラクリ寮につれてきて頂いたのです。

(ん?)

一緒に学園に来たマイコ殿が廊下を歩いているようみたい。
あの子は確か兄上が行方不明だとかで、悪部に入部したと聞いている。
何にせよ、具合は良いみたいだから安心です。
ワタシは目が見えないから、このように音で人を判別するのだ。
同じ足音でも体重の掛け方、身長体重で全然違う音なのよ。
見せてあげられないのが、本当に残念
300見えないモノ ◆4fjagbuKVQ :2009/03/24(火) 20:33:19 ID:xcAY4B+d
(ん?)

もう足音が……。
足音を消そうとして失敗しているところが初々しい。
オイラの部屋に向かっているみたい。

(ユキチ殿では無さそう、あの人はそんなヘマはしない気がする。)

身長はワタシと同じくらい……、

いや少し低いみたい。

体重は……。

バラの香水をつけているし、踵が高い靴を履いているから女性のようだし内緒にしておこう。

コンコンとドアがノックされる。

「開いております。」

「ユイでーす、よろしくね。」

匂いが濃くなったので、顔を近づけてるのがわかる。
距離的に言うと鼻がぶつかる位。
今度はどうやら手を振って、眼球の動きを見ようとしているらしい。

見えてないけど、わかると遊ばれてるようで気分悪いです。

「昨日ユキチ先輩が保護した人だよね?」
301見えないモノ ◆4fjagbuKVQ :2009/03/24(火) 20:34:23 ID:xcAY4B+d
「さようでございます。」

(ん……。)

何か部屋の隅で動いたような。

「どうかした?」
気のせいのようです。
「なんでもありません。」
「今日これからどうするの?」
「学園とやらを見学して回ろうと思っております。」

「ユイが案内してあげようか?」
「それは有り難いのですが、ユキチ殿に聞いてみないと……。」
まだちゃんとお礼もいえてませんし……。

「別に良いぞ。」
ユキチ殿の声が背後からします。
「いつから居たんですか?」
「最初からユイちゃんと一緒に三人で居たよ。」
「三人??」

「賭はアタイの勝ちだわさ。」

まさか……。

「ごめんね。
 ユイとユキチ先輩は良くないって言ったんだけどさ。」

ユイ殿の心拍数がドンドンあがっていく
「別に怒ってませんよ?」
ただワタシに悟らせないとはと驚いていたのです。
「凄いユイが今怒られると思って焦ったのわかるんだぁ。」
「ユイちゃんはいつもビクビクしてるじゃないか。」
嘘がつけない人のようです。
「ユイは普段バラの香水なんてつけないもん。
 それに足音だって消せるもん。」
302見えないモノ ◆4fjagbuKVQ :2009/03/24(火) 20:36:10 ID:xcAY4B+d
ポカポカとユイ殿の頭がはたかれます。
はたかれたのは分かるのですが、方法はなんでしょう?
(今のミユキ殿の筋肉の動きはなんだ?)

「嘘です…。三歩に一歩は失敗します。」

なんか面白い方ですね。

「ユ〜イ、オトハは盲目だから口を尖らせても多分わからんわさ。」
「ちょっと笑うなんて失礼でしょー。」
「いやぁ、何か久しぶりに笑ったものでつい……。」

「さてそれじゃあ
 アタイはそろそろ行くとしようかね。
 寝込んでた間に、入社前研修がたまってるんだわさ。
 ユキチの部屋を借りるわ。」

「またパソコン壊したんですか?×2」
ユキチ殿とユイ殿が感嘆の声を上げます。
どうやら常習犯のようですね。

「課題が終わったら
 尚このディスクは秘密保持のため自動的に消滅するって爆発したんだわさ。」

ミユキ殿はどうやらアンダーグラウンドな会社に入社するらしい。
いや、2人は半信半疑ですけど、
心拍数に動揺がないから、事実だとオイラにはわかるんだ。
303見えないモノ ◆4fjagbuKVQ :2009/03/24(火) 20:42:11 ID:xcAY4B+d
(さっきの音はそれですか。)

「放っておいていこう。」

ユイ殿がワタシの手を取る

「すみません、
 ミユキ殿が孫の手みたいに使ってる杖返してくれませんか?」
「ああ、すまん。」
これが無いと石とかに躓くんですよね。
「というわけで新しいパソコン買ってくれ。」
「ゼミの予算もうないですよ。」
「何にそんなに使ったんだわさ?」
「いや、まぁあのうん…それはですね……。
 ああ、いかん、実習に行かねば、それでは……。」
「ユキチ待て!」
「部屋の鍵は4重になってますから多分ミユキさんじゃ開けれませんよ。」

ユキチ殿とミユキ殿の口喧嘩が始まったので、
ユイ殿と共に部屋を後にした。
なんかよくわからないけど、強者が集まる場所のようです。
304兄妹と姉弟妹 ◆4fjagbuKVQ :2009/03/24(火) 20:43:57 ID:xcAY4B+d
「姉ちゃんがそんなことすることないって。」

「そないへーかいな。
 テュポンはネクタイちゃんとして、今日の面接で最後のつもりでいくんどす。
 内定が出ていた悪の組織が合併して取り消されたなんて、よくあることや。
 気にしはる必要おまへん。
 アンタは自治会長までつとめたんや。
 もっと自信を持ちよし
 エキドナは早うヒーロー実習に出発せえへんと、遅刻してしまいまんねんよ。」

「あのお忙しいようでしたら、別に良いですよ?」
ワタシが新聞を開きながら背後に目をやります。

「てめぇ、姉ちゃんがわざわざ案内してやろうって言ってんだろうがああ?」
エレボスさんが口から刀を取り出し、ワタシの喉元にあてる。

「そうだぞ、殺すぞ!!風呂覗くぞ!」
この3姉弟が我が家とは違って、大の仲良しなことは昨日すぐわかった。

「やめよし!!!」
「だってマイコが生意気なんだもん。」
「そうよ、そうよ、ちょっと上下関係を教えてやろうよ。」
「2人ともたいがいおしやす!!
 うちのゆーことがきけへんの?」
305兄妹と姉弟妹 ◆4fjagbuKVQ :2009/03/24(火) 20:45:01 ID:xcAY4B+d
昨日も似たようなやりとりを聞いたぞ。
確かテーマはテュポンさんが、もう就職活動なんてする気が起きないというテーマだったか。

「実習から帰ってきたら覚えておけよ。」
「楽しみにしてます。」
「泣きながら土下座させてやるからね。」

(出来ますかね?)
 
お2人が出掛けたあと
アタシが新聞を読んでいると
アキレスさんが煎餅をかじりながら尋ねる。

「ほなウチらもこれ食べたら女子寮いきましょか?」
「いや、本当に忙しいならいいですよ。」

「そうはいきまへん。
 これから最低でも四年、
 下手どしたらウチみたいに九年近く通うかもしれへんや。
 ちゃんとお連れ作って楽しくやった方がよろし。」

流石にそこまでは無いと思うな。
もしかしたら、今年は単位取れないかもしれないから、ダブりくらいはあるかもしれないけど。

「友達?」
「そう友達どす。
 これから女子寮を案内するどす。
 集めた資料が入りきらんもんどすから、ウチは向こうにも部屋があるんどす。」
306兄妹と姉弟妹 ◆4fjagbuKVQ :2009/03/24(火) 20:51:09 ID:xcAY4B+d
アキレス図書館

男子禁制の女子寮の一室、
アキレスとリョウコとエリカの凝り性3姉妹が、
集めた過去7年分の講義レポートやテスト問題がデータベース化されており、
室内の専用端末のみ閲覧可能、
また関連する教科書なども貯蔵されている。
もちろん教員非公認であり、
かつて寮母ミサキとシロキにより職員会議の議題に掛けたが、
悪にはずるがしこそさも必要というブラックショーグン悪部長
とタイムイズマネーという一部の科学者教師陣の主張が認められ、黙認されている。
ちなみに男子の問題も保管されている。

「姐さんどうしたんですか?
 白衣着てないの珍しいですね。」

3姉弟と聞かされていたんだけど違ったのか。

「ウチのゼミに転校生が来たから紹介にきたんどす。」
「姐さんの後輩?」
「学年的にプルートはんの後輩どす。」
「よろしく、私はハルカってんだ。」
「マイコです。」
「じゃあ、歓迎会ついでにご飯でも食べに行こうか。」
「まだ昼だよ?」
ざわざわと女子学生が集まってくる。
なんだこの求心力は……。
何者なんだ?アキレス先輩は。

こうしてワタシは初日より手厚い歓迎を受けることになった
307創る名無しに見る名無し:2009/03/24(火) 21:00:52 ID:xcAY4B+d
いじってください。と言ったは良いが……。
キャラ設定まで丸投げはさすがにまずいと反省して投下しておきます。
それじゃ、名無しに戻ります。

掲示板って
http://jbbs.livedoor.jp/internet/3343//
だよね。
初めて見た
308創る名無しに見る名無し:2009/03/24(火) 22:25:16 ID:htA2lDVi
マリリンは将来有望でみんなで育てていけば良いじゃん
309創る名無しに見る名無し:2009/03/25(水) 12:02:40 ID:ETarUi5w
盲目の女剣士か かっこいいなあ
クラマはどうなっていくんだろうか
310 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/25(水) 15:36:07 ID:ETarUi5w
ではまた投下させてください
>>287-288の続きです
311陰謀5 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/25(水) 15:38:12 ID:ETarUi5w
「ヒーローはエネルギーの無駄!」「ヒーローは動物虐待をやめろ!」「ヒーローは環境破壊!」

 これをきくとユウトは顔を赤くし、怒りを見せた。
「あいつら環境破壊っつったか? ふざけやがって、誰がゴミ捨ててんだ」
「えっ、ゴミ捨ててるのあの人たちなんですか」
 ナオコは驚いて、目を大きくする。
「キュアが落ちてるんだからわかるだろ! あいつら夜中にここらで抗議集会して、騒いで
汚して帰るんだよ!」
 そのゴミを生徒が片付けるわけだ。
「ひどい!」
 さすがにナオコも怒りを感じずにいられない。

「超日本警備社の船も来てるざんすねえ、太子」
 鳥人間型生体兵器シュヴァルベの、すぐれた視力が別の船をとらえた。
 視覚映像をテレパシーでブラックスミスの頭脳に送ることもできる。
「正義は手ぬるい。こうしてやれ」
 ブラックスミスはゴミを集めたカゴに手をかざした。黒い鉄クズが尖った形になり、海へと
飛んでいく。
 ゴムボートに鉄の杭が深く刺さると、ヒーロー反対派の男女は高い声で騒いだ。

「ブラックスミス! なんてこと……」
 ナオコにかまわず、ブラックスミスは次々鉄の杭を作って飛ばした。刺されたゴムボート
が歪み、ヒーロー反対派の男女がヒステリックに叫ぶ。

「やめて! あの人たちは普通の人たちでしょ?」
 ブラックスミスはすずやかな笑みを振りまく。
「普通? 心優しいハニー、あいつらにまで優しくしてやることはない。ここまで来てヒーロー
を侮辱したら自己責任だ。どうせ、あいつらの船が救助するだろうしな」

 ヒーロー反対派を乗せてきた船が動いて、沈みそうなゴムボートに向かった。
「私たちも助けなきゃ……」
 ナオコは岩陰を探して走った。
「おお、愛しいプリンセス、どこに行く!」
 ブラックスミスは追いかけようとする。その先で、岩の裏から全身黒い、ヒョウの頭を
したヒーローが飛び出す。

「おのれフーリッシュキャット! マイプリンセス・ナオコをどこへやった!」
 表情を一変させて、ブラックスミスは怒気を発する。
 ナオコとシュバルツェル・レオパルトが同一人物であることに気づかないブラックスミス。
 ユウトは呆れた。
「だいたいわかるだろ普通……」

「コテツさん、人を呼んでください! モミジさん、ユウトさん、助けましょう」
 牙のある口からレオパルトがうながす。
 しかたない、とモミジも携帯電話をかざした。黄色のパワースーツに包まれ、ゴクイエロー
に変身する。
 高齢ヒーローコテツは金属の足を動かし、学園へと走っていった。
312陰謀6 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/25(水) 15:41:42 ID:ETarUi5w
「ユウトさんも救助を!」
 ナオコは先輩に協力を頼んだ。
「やだね。キュア打たれたて羽根なくなったら俺、海に落ちて死んじゃうだろ。俺は泳げない
んだよ」
 堂々と言ってのけるユウト。
 シュバルツェル・レオパルトはあきらめ、モミジと海へ向かった。
 ゴムボートはもう沈んで、ヒーロー反対派のメンバーはしぶきを上げてもがいている。
 レオパルトとゴクイエローは溺れる人を抱え、海岸へと運んだ。

「ヒーロー反対派の船に何か近づいてるざんすよ」
 シュヴァルベがクチバシを動かし、ブラックスミスに伝えた。
「超日警はどうだ」
 黒い羽根を広げて飛び立ち、シュヴァルベは超日本警備社の船に目を向ける。

「動いてるざんす……カメラを持ってる人がいるざんすね。テレビって書いてあるざんす!
 おーい、あちきを撮ってるざんすか?」
 シュヴァルベは喜んで、カメラに向かって手を振った。
 その時、海上で爆音が鳴り響いた。
 ヒーロー反対派の船があかあかと炎上して、煙を空にのぼらせる。
 何かの破片が無数に飛んで海に落ちた。悲鳴がうるさくきかれる。
 熱は浜辺まで伝わろうかというほどで、燃える船は傾いていった。
 超日本警備社の船が、火事の船へと近づいていく。
 超日本警備社側から、スピーカーを通した声が届けられた。

「落ち着いてください。救助します」「救命ボートを出します」「今救助に向かっています」
 泣き叫ぶヒーロー反対派のメンバーたちに、超日本警備社は冷静に呼びかけた。
 黒い煙が広がって、陸まで焦げ臭さがただよう。

「なるほど、そういうことか」
 ブラックスミスは一人で納得し、うなずいた。気になり、ユウトがきく。
「おい、なんだよ」
「すぐにわかる。シュヴァルベ将軍、帰るぞ」
 黒いマントを潮風にひるがえし、ブラックスミスは歩いていく。
「お待ちを、太子」
 シュヴァルベは降り立つと、台車を押して主人を追った。
「なんだ、あいつ……」
 いぶかしみつつ、ユウトはブラックスミスを見送った。

 レオパルトとゴクイエローは救助を続けた。超日警も火事の船から人々を乗り移らせて
助け出す。
 学園から応援が来たときには、ほぼ救助活動は終わっていた。
313創る名無しに見る名無し:2009/03/25(水) 15:45:15 ID:ETarUi5w
ここまでで
全スレ埋めがてら、一限目からの簡単なあらすじなど作ってみてますが
エリカには生き別れの兄がいたんだな
リョウコの優雅なる日記帳

こんにちは

私はファンガイアの次期女王よ

ヒーロー学園
悪部バイオ科4年の学生。
一応副自治会長なんてやったりしてるんだけど、
ほとんど未来の旦那様に任せっきりなの。

むしろ吹奏楽部主将としての方が熱心かしらね。

今日は美味しいご飯を食べるという名目で、
後輩のエリカとプルート、ポルックス

それに正義部機械科トシゾウ、カストルと旅行に来てるのよ

「次のパーキングでは、ソフトクリームが美味しいらしいわよ。」

「また止まるんですか?」

トシゾウは少し不満そう。

「だめ?」

「魔女島に到着してはや一週間
 まだ三つしかチェックポイント通過してないんですよ。
 リカに負けちゃうじゃないですか!」

「えーあの子どんくさいからトラブルに巻き込まれてるわよ。」

ナレーション
『大正解』

「そうかもしれませんがね、
 俺は圧倒的にブッチぎって今後300年は 追いつけないと思わせたいですよ。」

トシゾウの鼻息は荒い。
彼の両親それに親戚はみな特別捜査員なので、当然長男である彼にかかる期待は大きい。
トシゾウにしてみたら、リカなんか野良犬同然でしょうね。

「そのためなら 、
 ファンガイアが空腹で餓死して、ミイラになるくらい大きな問題ではないと?」

私は大袈裟に泣きながら嗚咽を繰り返す。
涙を流すなんて手慣れたものよ。
「いーけないんだ、いーけないんだ。
 キングに言ってや〜ろ♪」
エリカが私の髪をなでながら指をさす。

「キ…ング…それはまずいな。」

キングは私の未来の旦那様で、悪部に居ながら学生の鏡として
学生はもとより教授陣からも絶大なる信頼があるの。
私も鼻が高いわ。
(何もしてないけど。)

「しかしですねぇ
 これは俺の魔法実習なわけでして……。」

「アタシ達は本来なら引率する正義部のジュリさんとタカノリが過去に行ってるから、
 どうしても協力してくれってギャバン教授が言うから仕方なく付き合ってあげてるんだよ?
 気に入らないんだったら、ホテルでセクハラされたとか、
 酔って身体検査と称して襲われたって報告してあげようか?」

「それは困ります。」

エリカ頑張れもう一息よ!

「カストルお前もなんとかいえよ。」
「僕はフォックスの強化とデータ収集が出来ればそれでいいから……。」
※フォックスというのは、トシゾウのメタルスーツの名前

「ジュリにはカストルは、とてもよくしてくれたと言っておくわ。」
「ありがとうございます。」

「わかりました。
 こうしましょう。
 幸いなことに、次のチェックポイントはもうすぐそこですし先に進みます。
 次のチェックポイントで先輩達は、自由行動ということでどうでしょう?」

「1対3なのにトシゾウってワガママなんだね。」
「特別捜査官だからってそんなに威張り散らしてると先が思いやられるわ。
 報告しておきましょう。」
私はカリカリとノートにメモを取る。
(性格に少し問題があると思われる……と)

「カストル、俺が悪いのか?」
トシゾウが助手席に座っているカストルに尋ねる。
なかなか頑固な性格なのね。
「ジュリさん頑張ってるかなぁ。」
慌てたようにカストルが顔を背け窓の外を見て呟いた。
なんやかんやで、ホテルに到着

本来ならご飯だけで学園支給分の予算を使い切るような超一流ホテルなんだけど
このホテルはカストルの経営するオリュンポスグループの関連会社
そのため宿泊費用や美容院代は全てタダ、
(あくまで私の立場からするとよ。)

『一度親切にされたら、骨の髄までしゃぶり尽くせ!!』
がポリシーの私とエリカは、
もちろん最初からそれが目当てで責任者と引率者を引き受けたわけ。
まぁ、消去法で行くと私達くらいしか居ないのも事実よね。

で将来のことも考えて、貸しをつくったままにしておきたくないという
特別捜査官候補生のトシゾウが、
(これは試験じゃないって言ったんだけどね。)
ホテルのレストランで夕飯をご馳走してくれることになったの。

「何で先輩達にまで奢らないといけないですかね?」
席に座って開口一番、トシゾウが不満そうに呟く。
「なんでこんなに機嫌悪いのじゃ?」
ハーレーで移動していたプルートは事情がまだ飲み込めていないみたい。
「さぁ?」
隣でバイクを走らせていたポルックスに聞いてもわかるはずないでしょう。

「社長 ご注文はどうしましょうか?」
カストルが社長って呼ばれてるわ
考えてみるとジュリって社長夫人なのよね

ポワーンとジュリがドレスを着た姿を思い浮かべてみたの。

(似合わないわ。)

普段ジーンズだから想像ができないし……。
結婚式が楽しみだわ。

「クイーンさんとエリカさん何か食べたければ、好きなものを注文してください。」

カストルが私とエリカにメニューを渡してくれたわ。。
「こういうところは流石よねぇ〜。」
チラリとトシゾウを見ながらチクリと嫌みを言う。

「じゃあアタシこのページとこのページのお酒全部!!」
「かしこまりました。」
水の精霊の影響で
どれだけ呑んでも酔わない酒豪のエリカは、お酒を注文したみたいね。
「フフフ」
また悪酔いしたフリして両サイドを困らせるのかしら……。
「エリカもまだまだね。
 ページ全部なんて、成金みたいではしたないわよ。
 先輩として、私が注文の仕方を教えてあげる。」
(どうせ払わないんだしね)

「このホテルで一番高い料理から順番に持ってきて頂戴。」
私がメニューも見ずに注文する。

「かしこまりました。」

「優雅じゃのぉ〜。」
「気品を感じるわ。」
「何が来るか楽しみですね。」
「いや払うの俺だし」

一人頭を抱えているトシゾウを尻目にお酒が運ばれてきたわ。

「長旅お疲れ〜乾杯。」

「ジュースみたいなお酒……。」
エリカが不満そうに首を傾げる。
「ねぇ店員さん
 さっきのお酒の注文なんだけど、このホテルで一番高いお酒から順番にに変更してくれない?」

「かしこまりました。」
「かしこまるなよ!」

「忘れないうちに実践しないと。」
エリカがあっけらかんと笑ってる。

「ところでカストルとポルックスは、お酒どのくらい飲めるの?」

「ぼくは……。」
「ハモった!!」
「兄さんからいいなよ。」
ポルックスが舌打ちしてカストルに順番を譲る。
この兄弟 ヘレネから聞いていた通り あまり仲良くないみたいね

(ま、どうでもいいけど )

そして
久しぶりのまともな食事を楽しんだわ

エリカは食堂の総本店でアルバイトしているだけあって、調理法に興味を持ったのか、
コックさんを何度か呼んで説明を聞いていたわ。

「お会計は98………195円となります。」
318 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/25(水) 22:10:49 ID:C7rPIoOG
こんな感じで魔女スレに投下しておきました。
見所としては、エリカの初自発的変身かな。
あと禁止されていた強すぎる能力についてとか……。

>>313
あらすじ作成乙です。
是非次回からはテンプレに加えましょう。
319創る名無しに見る名無し:2009/03/25(水) 22:28:49 ID:ETarUi5w
乙です
トシゾウってリカのライバルか いたなあ
あらすじはまあまだ最初のほうですがね
魔女っ子スレはなんか厳しいなあ ちょっとやめといたほうがいいかもね
320創る名無しに見る名無し:2009/03/25(水) 23:45:03 ID:j2Wu9riQ
投下乙
リカのライバルはエリートなんだよな
どんな成長をしていくんだろう

あらすじ分かりやすくて良いな
321創る名無しに見る名無し:2009/03/26(木) 14:16:07 ID:In/EOg9c
成績表貰うときって面談とかあるのん?確かシロキのSSか何かで見た気もするけど
322レス代行:2009/03/26(木) 14:52:49 ID:B+SyRnYz
避難所より
323学園祭実行委員会:2009/03/26(木) 14:53:36 ID:B+SyRnYz
交流戦のお知らせ

本年度の学園際(第159回)での交流戦の概要が
決定いたしましたので、ご連絡申し上げます。

今年度の学園祭が『繋がり』ということもあり、
格闘技部の学生だけでなく、
年齢・性別・学部・学科・立場にこだわらず、参加して貰うにはどうしたら良いか会議を重ねた結果

一本勝負のトーナメント戦を行うことが決定いたしました。

種目一覧(予定)、
一回戦 ジャンケン、(10人で8人勝ち抜け)
二回戦 早く押しクイズ (8人で6人勝ちぬけ)
三回戦 神経衰弱(カードゲーム)(総当たり戦で1人勝ち抜け))
    オセロ(ボードゲーム)(総当り戦で1人勝ち抜け)

これ以降、各ブロックの勝者が合流します。

四回戦 借り物競争(組に別れ、上位4名勝ち抜け) 
準々決勝 タッグマッチ
準決勝  シングルマッチ
決勝   シングルマッチ

尚、学園祭の主役は学生ということで、正義部、悪部の自治会長経験者は、
                 (ミユキ、ユキチ、コウジ、テュポン )
シード権を与えられ、4回戦から参加といたしますのでご了承ください。

参加資格、ヒーロー学園関係者であること。
     教職員・事務員・卒業生問わず参加の方お待ちしております。

参加決定教員リスト(敬称略)
正義部長 タケシ・ホンゴウ、悪部長 ブラックショーグン
 
ジョウジ・ユウキ、ユリコ・ミサキ、シャドームーン、ヨロイ元帥
地獄大使 、クロノ、シロキ、七塚博、ハンニバル、ドクトル・マザー
カズヤ・オキ、コウタロウ・ミナミ、シャイダー、再再再生蜘蛛男
スパイダーマン、アニー、ツルヒメ、ジライヤ、アカカゲ、ユウリ
ミミー、ギャバン、トヨトミ以下多数

参加決定OB・OGリスト(敬称略)
ダビンチ、コレー、エンマ、レーダー、メネラーオス、
ジュンコ・フジノ以下多数

詳しい日時につきましては、おってご連絡申し上げます。
エントリーに関してましては、学生課までお気軽にお問い合わせください。
                                   以上
324レス代行:2009/03/26(木) 14:54:52 ID:B+SyRnYz
小ネタを考えてみた。
詳細は雑談しがてら決めていこう
クロノ出しちゃったのまずかったかな?ヒルト作者様。
325創る名無しに見る名無し:2009/03/26(木) 20:18:59 ID:zlMSlabf
先生も入るのか
どうしたらいいんかな
決勝までが長すぎる気もするが
326破滅 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/26(木) 21:32:18 ID:evGqm0VG
(間に合うと良いんだけどなぁ。)

「結構なお手前でございます。」

(間に合った……。)

茶室の障子をソッと開けて中に入って正座する。
(え?)
自己紹介しろって?
アタシの名前はエリカっていうの。

今なんで廊下を走ってたかって?

(決まってるじゃない!)

おやつの時間だよ。
知らないの?おやつと言えば、
シロキ先生の茶道部か、ツルヒメ先生の華道部だよ。

この二つの部活は、お稽古のあとにお茶菓子が出るので有名なの。

(それもこだわりのね。)

フレイアとプルートの情報によると、今日のお菓子は特にこだわりの一品らしい。

(持つべきものは頼れる後輩よねぇ。)
327破滅 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/26(木) 21:35:33 ID:evGqm0VG
「じゃぁ、今日のお稽古はここまで。
 お茶菓子にしましょうか。」

え?最初からどうして部活に参加しないのかって?

毎日正座して苦いお茶飲んで何が楽しいのかね?

お花だってハサミで切って指すだけじゃん?

(そんなのマジ勘弁だよ。)

アタシは美味しいお菓子を食べれればそれで良いの。♪

う〜ん、おいしい。

何でも桜餅というお菓子で、ツルヒメ先生の故郷での名産物なんだって。

お菓子の説明はね、一応聴くわけ。

(ああ……、もう一個食べたいなぁ。
 でも太っちゃうしな〜。)

横の女子の皿のお菓子を眺めながらよだれをたらす。
これが知ってる子のだったら、もう食べちゃってるんだけどなぁ。

レストランでのアルバイトが続いているので
夕飯の量が結構あるから、おやつを減らさないと体重計に怖くて乗れないんだ。
もうかれこれ二ヶ月も続いている。
女子寮のみんなからはテンドウさんがテレビに出るたびに、
サインを貰ってきてくれとせがまれるのが悩みの種かな。
(どこが良いんだろう?あの俺様タイプの。)
328破滅 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/26(木) 21:41:04 ID:evGqm0VG

夕方

「いただきま〜す。」

「お前は本当に旨そうに食うよな。」

ジイヤの作ってくれた早目の夕飯(賄)を厨房の隅のテーブルで食べていると、
正面の椅子に座っていたテンドウさんがフッと笑う。

「アタシ美味しい物食べるの大好きなの。」
「昔は俺もそうだったよ。
 ひたすら旨いもん喰ったよ。
 ラーメンって知ってるか?
 あれを他の区域まで食べに行ったりもしたな。」
「今は違うんですか?」
「どっちかっていうと、今は作る方が好きかな。」
なるほど、言われてみると料理をしているときのテンドウさんは楽しそうで
怒ってるときもアイドルのような笑顔を絶やさない。
「お前も作ってみるか?」

「ええ〜、めんどくさい。」
「めんどくさいってお前なぁ……。」
だってスパイスの重さ量ったりしなきゃいけないんでしょ。
(そんなの嫌だぁい。)

「ちなみに今日の賄は、どうやって作られたかわかるか?」
「豚かた肉(かたまり)...400gカレー粉...小さじ1たまねぎ...
 1個じゃがいも...3個にんじん...1本サラダ油...大さじ2ローリエ...
 1枚にんにく...1片しょうが...10gケチャップ...大さじ2ウスターソースetc」

確か名前はカレーライスとかいう料理よね。
スパイスが効いててアタシは大好き。
でもカミシロさんは辛いのが苦手だから駄目なんだって。

「ほぉ、スパイスまでピタリと当てるとは、
 流石洗い物しながらツマミ食いしているだけのことはある。」

ドキ

思わずご飯を乗せたスプーンが止まる。
(良いって言ったじゃん!)
もしかして、昨日フルコース全部確保したのがまずかったか。
いや、それなら昨日怒られてるはずだよね。
329破滅 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/26(木) 21:48:07 ID:evGqm0VG
「お前今日から料理作ってみろ。」
「皿洗いで充分ですよぉ。」
ていうかめんどくさいし。

「俺の経験上、旨そうに飯食うやつの料理は旨いんだよ。」
なんですか?その持論。
「こんな顔して飯食ってるやつが旨い料理を作れるとは思わん。」
テンドウさんが眉間に皺を寄せる。
確かに美味しく無さそうだ。
「でもなんでアタシなんですか?」
「俺は全てを司る男だからな。ハハハハハ
 それにもしコックになれば、失敗した出来立ての料理を食べていいぞ。
 温かいのは旨いぞ?」
テンドウさんの言葉に思わず唾をゴクリと飲んでしまった。
確かに料理はやっぱり出来たてが一番美味しいんだよね。
(サラダとかも照明あびてると、カサカサになっちゃうんだ。)

そんなわけで、テンドウさんにのせられて
ちょっとコックやってみることにしたんだ。
330破滅 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/26(木) 21:56:41 ID:evGqm0VG


「これ食べれるのかな?」

アタシが緑色のキノコをカミシロさんに見せる。
「エリーカそれは毒キノコだよ。
 食べると体が痺れるから料理には使えないよ。」
「ごめん、こんなのアタシには無理だよ。」
料理を作るのならまずは素材を知らないとな。
とテンドウさんに言われ、ツルギさんと材料調達に来ているのだ。

(幼稚園の遠足みたいで楽しいなぁ。
 ママとも行ってみたかったな。)

「俺は山菜採りの分野でも頂点に立つ男だ!!!
 だから何でも聞いてくれ。」
もしかして
バイトが何人か辞めちゃって、コックの人手が足りなくなっただけなのかなぁ。
(テンドウマジック恐るべし!!)

キノコ採ってカミシロさんに聞いて、箱にしまってくりかえすこと1時間くらい。
もぉ、手は泥だらけ。

(こんなことなら、皿洗いのままで良かったのに〜。)
足元の小石を蹴ると、草むらの方でカシャンという音がした。
「あ……、いっけない。」
もしかして、誰かに当たってしまったかも……。

「すみませ〜ん、ん?」
草むらを掻き分けていくと、
地面に黒いベルトが落ちていたの。

(なんでこんな所にベルトが落ちてるんだろう?)

「これなんだろ?」
「エリーカどうしたんだい?
 今日は山菜採りだよ。」
「カミシロさ〜ん。これなに?」
「変身ベルトじゃないか。」
「え?
拾い上げようとした、アタシの手がビリリとはじかれる。
331破滅 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/26(木) 21:58:03 ID:evGqm0VG
「大丈夫か!! 」

カミシロさんが素早く駆け寄ってくる。
意外と紳士なのよね、人気は無いけどアタシはテンドウさんより好きよ。

「もうすぐ会食会だからな。
 指先は大事にな。」
「うん、ありがとう。」
「それにしてもなんだろうな。」
カミシロさんはベルトを拾い上げると腰に巻く。

「え?」
ベルトが消えたよ?
体内に吸収されちゃったのかなぁ。

「おいおいエリーカ何のベルトなんだ?」
「アタシ知らない……。」
というか触っただけで契約できるって、どんだけ尻軽な精霊なのよ。
(ウィンディーなら知ってるかなぁ。
 夜帰ったら聞いてみよっと。)

「変身!」
カミシロさんが見様見真似で変身ポーズを取る。
「いつものカミシロさんだよぉ?」
「俺はライダーの面においても頂点に立つ男だ、変身!」
気合を入れて(?)再度変身ポーズを取ってみたけど、やっぱり変身しない。

「壊れてるんじゃないですか?」
「つまらん。」
男の子ってそんなに変身に憧れるんだろう。
アタシは絶対変身したくないよ。
(狸だよ?ありえないよ。)
332破滅 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/26(木) 22:05:57 ID:evGqm0VG
「そろそろ行きましょうか。」
「だな、テンドウに怒られるし……。」
「ベルトの事はあんまり言わないほうがいいですよ。」
「そうだな、変身もできないし馬鹿だと思われのは困る。」

そんな会話をしながら店に戻ったの。
「ちょうどいいところに戻ってきた。」
「え?」
「コックとしての心構えから、親切丁寧に教えるゆとりは今うちにはない。
 したがって、この俺が直々にしごいてやることになった。」

(え?めんどくさそう。)

「短い間でしたけど、お世話になりました。」
「まぁそう焦るな。
 実際知ってのとおり、料理中にずっと横に居ることなど不可能だ。
 休みの日にちょっと早く来てもらうだけだ。」

「頼めませんかねぇ、とりあえず会食会までで良いからさ。」
テンドウさんはどうでもいいけど、ジイヤの頼みは断れないよなぁ。
(いつもお土産貰ったりしてしてるしなぁ。)

「会食会までやってみて向いてなかったら、また皿洗いに戻してくれますか?」
「ううん……。それはそのときに考えましょう。」
「じゃ、決まりだな。」

そういえば、初めてここに来たとき自主性を重んじるって言ってたから、
意外と好きにやらせてもらえるのかも……。


ナレーション
これが後に『食で世界を征服する エデンの総料理長』として、
エリカがその名を全宇宙に轟かせる第一歩となるのだが、
それはまたず〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと、ず〜〜〜〜〜〜〜〜と先のお話。
333 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/26(木) 22:09:31 ID:evGqm0VG
学園祭ですか。
四回戦までなら科学者も参加できそうだね。
名も無き学生にジャンケンで負けて落ち込むハイドとか見たいなぁw

ところで掲示板にある↓のチャットって使わないの?
http://chat.realint.com/chat.php4?roomno=1141&seqno=1&id=herogakuen
334332訂正 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/26(木) 22:15:16 ID:evGqm0VG
すみません332訂正です。

「そろそろ行きましょうか。」
「だな、テンドウに怒られるし……。」
「ベルトの事はあんまり言わないほうがいいですよ。」
「そうだな、変身もできないし馬鹿だと思われのは困る。」

そんな会話をしながら店に戻ったの。
「ちょうどいいところに戻ってきた。」
「え?」
「コックとしての心構えから、親切丁寧に教えるゆとりは今うちにはない。
 したがって、この俺が直々にしごいてやることになった。」

(え?めんどくさそう。)

「短い間でしたけど、お世話になりました。」
「まぁそう焦るな。
 実際知ってのとおり、料理中にずっと横に居ることなど不可能だ。
 休みの日にちょっと早く来てもらうだけだ。」

「頼めませんかねぇ、とりあえず会食会までで良いからさ。」
テンドウさんはどうでもいいけど、ジイヤの頼みは断れないよなぁ。
(いつもお土産貰ったりしてしてるしなぁ。)

「会食会までやってみて向いてなかったら、また皿洗いに戻してくれますか?」
「ううん……。それはそのときに考えましょう。」
「じゃ、決まりだな。」

そういえば、初めてここに来たとき自主性を重んじるって言ってたから、
意外と好きにやらせてもらえるのかも……。


ナレーション
これが後に『食で世界を裏から牛耳る株式会社エデンの総料理長』として、
エリカがその名を全宇宙に轟かせる第一歩となるのだが、
それはまたず〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと、ず〜〜〜〜〜〜〜〜と先のお話。
335創る名無しに見る名無し:2009/03/27(金) 21:31:01 ID:0ArrBRra
投下乙です
先生達はどんな戦いをするんだろう
336上陸 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/28(土) 20:48:42 ID:w/cHqGWP
「何でまた君と一緒なんだ?」
「それはこっちのセリフだよ。」

「ようこそ、箱庭館へ。歓迎するよ。」
「ワタシはヒーロー学園から研修で参りましたユキチと申します。
 この島で保安ですとか、警備関係のお仕事をお手伝いするよう言われております。」
やぁ、ボクの名前はユキチ……。
ヒーロー学園 正義部 忍者ゼミに所属する5年生で、世界中でヒーローのOJTを受けてきたんだ。
今回はその総括として、この島の治安を守るお手伝いを影からすることになったんだ。

「さっさといくよ。」

「別に一緒に来たわけじゃないよな?」
紅いスーツケースを引きずっている彼女の名は、エレボスという。
彼女も同級生で実習に来ている。

学園の船から一緒だったんだけど、まさか目的地まで一緒だとは思わなかったね。

何故、悪部の彼女と正義部のボクが同じ場所で研修をするのかというのは、
将来社会に出たとき、お互いに大人の事情等を理解するためらしい。

ちなみに
ボクはいわゆる正義の特殊諜報員として、この島の治安を守るお手伝いをするわけだけども……。
悪の特殊諜報員志望者であるエレボスが、この島で何の手伝いをするのかは知らないし聞くつもりはない。
どうせ悪事を手伝うに決まってし、それを探るのも課題の一部なんだ。
(でも安心して欲しい。)

体の血液を利用して、自由自在にあらゆる兵器を製造できるという特異な能力から
「動く兵器庫」とまで学園でも恐れられ悪の自治会長まで務めた彼女が、
この島の悪い連中とつるんで何を企もうと、このボクが阻止してみせる!!
337上陸 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/28(土) 20:49:25 ID:w/cHqGWP
「ここがユキチ君の部屋、隣がエレボスさんの部屋。」

「また覗くんじゃねぇぞ。」
「誤解されるようなこと言うな!」

ヒーロー学園にはカラクリ寮という諜報員育成専用の寮があって、
普段はボク達はそこで生活してるんだけど、
先輩に騙されて(恒例行事らしい)入浴の時間を間違えたことがあったんだ。
(あの時は死ぬかと思った。)

「あ……、管理人さんおはようございます。」
バタンとドアを開けて向かいの部屋の住人がでてきた。
「おはようってもう昼よ?ちょうど良かった。
 今日からこの館に来ることになった……。」
住人はドアを開けたままフリーズしている。
「テュポンさん?」
「兄ちゃん!!」

「やべ!!」

般若の面をした住人は体を透明にして、いずこへと消えてしまった。
恥ずかしがりやだからいつもお面をしているんだけど、
逆に目立つと思うんだよね。

「今のってテュポンさん??」
エレボスに尋ねるのは、テュポンさんが彼女のお兄さんだからだ。
ちなみに彼女は上にお姉さんもいるんだけど、色々あってお姉さんの方が学年は下なんだよ。

「知り合いだったのかい?」
「ええ……、まぁ……。」
「ちょっとワタシ気分が優れませんので失礼するわ。」
そういう言い残すとエレボスはズルズルとスーツケースを部屋へ運びこみ、
すぐに中からガチャっと鍵を掛ける。
338上陸 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/28(土) 20:50:05 ID:w/cHqGWP
「テュポンさんはいつ頃からここに?」
「う〜ん、彼透明人間になれるだろ?
 だから居るのか、居ないのか俺にはよくわかんないんだけど、
 最初に来たのはそうだなぁ……、
 3ヶ月前くらいに自分探しに来たとか言ってたなぁ。
 確か写真家だって聞いてたんだけどなぁ。」

(3ヶ月前というと……。)
ちょうどテュポンさんが内定していた悪の秘密結社が、
不況のあおりで統合になって内定取り消しを受けた頃じゃないか。

「食事は食堂で取れるから。」
「ありがとうございます。」
管理人さんはスタスタと元の場所へと戻っていった。

管理人さんが用意してくれた部屋に盗聴器や監視カメラが無いかを丹念に確認、
(最近のモノはとても高性能だから、しっかり確認しないとね。)
あとは早々、非常階段の場所の確認と……。

一通りの確認を終えると椅子に座り、ノートパソコンとプリンターを立ち上げる。
正義のヒーローであるボクのお約束のようにその正体を知られてはならない。

え?さっき名乗ったじゃないかって?

管理人さんは別だよ。

(さて今回は世を忍ぶ姿として何をしようかな……。)

今回はいつも通りでいこう。

この島でのボクは医者だ。
薬の調合は得意だし、医療技術もそこそこ自信がある。
人体にも精通しているから針治療だってできるし、これなら誰もボクがヒーローだとは思うまい。

(ポチっとな。)

さっそく白衣や医療器具や薬品の発注しないとな。
ちなみにこれらの経費は全てゼミ費で賄われるからって無茶やってると
後からジライヤ先生に大目玉を食らうので注意っと……。
339上陸 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/28(土) 20:51:00 ID:w/cHqGWP
一方その頃

「兄ちゃんのことは、後で姉ちゃんに報告するとして……。」

アタシの名前はエレボス。昼と夜の顔を持つ女。

どういう意味かって?

それは読んで字の如く、夜のお仕事をしてるってことよ。
詳しくは内緒★

ちなみに昼間はフリーライターをしているわ。
夜に得た情報や体験を記事にするも良し、ファンタジーを加えて小説として発表するも良しってところよ。

そんなアタシの本当の顔は……、
ヒーロー学園 悪部 裏忍者ゼミの5年生なんだけど、
この島には恒例のヒーロー研修の総仕上げとして来たわけ。

その最後の仕上げの相手の正義のヒーロー役が、
あのインテリエロコンタクトなんてついてないわ。
コンタクトといっても、目が悪いわけじゃなくて赤外線が見えたりとか、
色々な特殊な効果があるコンタクトらしいんだけど……。

(言わないとわからないから地味よね。)

まぁ良い、アタシはやるからには全力を尽くす女。
長年の決着を今度こそつけるとしよう。
とりあえず、この島を仕切っている一番悪い奴を探すとしよう。
そいつをサポートすることが今回のアタシの研修目的。

ヒーロー学園物語スレより
ユキチ&エレボス&テュポン 入館
340ファーストコンタクト ◆ccu2hP6PPA :2009/03/28(土) 20:53:19 ID:w/cHqGWP
こんにちわ!ボクの名前はユキチと申します。
まだまだ未熟者ですが、こう見えてもスーパーヒーローの卵なんだ。

今日は健康診断で箱庭小学校に呼ばれてます、

「お医者様ですね?こちらです。」

橋本先生という女の先生がボクを案内してくれた。

(次の人で最後か。)
商店街の関係者も集まったとあって、想像していた以上に大仕事だったよ。

「息を大きくすって。」

聴診器を胸にあて肺の音を聞く。

「異常なし」と……。

「ユキチ先生もあの館の人なの?」
「そうだよ 。」
「お母さんがあの館は変な人が多いから近寄っちゃいませんって」

そういえば
あの館にはボクらの他にも多くの住人がいるらしいんだけど、
ライフサイクルが違うのか、
あるいは既に何か逆鱗に触れ、館八分に合わせれているのか
まだ他の住人と顔を合わせたことはないんだ。
341ファーストコンタクト ◆ccu2hP6PPA :2009/03/28(土) 20:54:24 ID:w/cHqGWP
「わざわざすみませんでした。」
橋本先生がニコリと笑う。
(人の笑顔っていうのは良いもんだよなぁ。)

「いえ、医者として当然の事をしたまでです。
 また何かあればいつでもどうぞ!!」

軽い足取りで夕暮れの箱庭館に戻ると、小さな女の子が食堂で料理をしている。
(管理人さんの娘さんかな。)
お手伝いなんて感心感心。
あんまり良い匂いはしないけど、何を作っているのだろう?
鍋ではグツグツと黒い物が煮込まれているんだ。

「わたしのなまえは、ゆゆるです。」
「初めましてボクはユキチといいます。」
「これは何を作ってるんだい?」
「たべますか?」

答えを聞く前にスープをお皿に注がれてしまったら、断れるわけないじゃないか。

「どうぞ」

このヘドロのようにヌメヌメしたスープ(らしきもの)を飲めと言うんだね。
342野望 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/28(土) 20:55:31 ID:w/cHqGWP
俺の名前はテュポン。

ヒーロー学園最強にして、ウサギのように臆病な男と覚えておいて欲しい。

『パシャリ、パシャパシャ』
市長と地元企業の癒着という衝撃のシーンにカメラのシャッターを押す親指は止まらない。
ここ1週間、夜な夜な張り込んだかいがあったというものだ。

狙撃と写真は似ているというが
まさかここまでハマることになるとは、思ってもみなかった。

さて、この島に来たのは偶然だった。
今更就職活動をしてみたところで、ロクな組織があるわけもなく、
途方にくれていて帰りの船を乗り間違えたのだ。

最初はすぐに学園に戻ろうかとも思ったのが、
6年生の俺が戻ったところで何があるわけでもない。
それに周りの連中が「運が悪かった。」とか哀れむような目で見てくるのがうっとうしい。
というわけで、俺は今月に一度学園に帰る位で基本的にココを拠点に行動しているのだ。

就職先が潰れてわかった
これからは使われる奴は駄目だ
使う側にまわらなければ……。

(そのためには金がいる。)
この3ヶ月間でこの島の悪の勢力図を分析できた。
本来ならば一番大きい勢力に潜り込み組織ごと乗っ取る予定だったが、
ヒーロー研修で来たのがあのユキチということで、俺の計画は大幅な変更を余儀なくされてしまった。
343野望 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/28(土) 20:56:14 ID:w/cHqGWP
一番大きい組織はそう遠くない近い将来潰されることだろう。
エレボスが助っ人して多少延命はするかもしれいが、相手がユキチである以上もはやそれは必然。
運命には何者も逆らえないのである。

二番目に大きな組織もほぼ同規模なため、一番大きい組織と抗争が絶えない。
ここも大事をとってパスした。

三番目の組織はまだ規模も小さく、縄張りも狭いわけだが……。
この組織を利用すると決めたのには理由がある。

一つ目は
なにぶん俺はまだヒーロー学園に籍があるからして、
表立って悪の秘密結社を組織するわけにはいかないので、
馬鹿なボスを用意しなければならないというのを満たしているから。

二つ目は
この組織がちゃんとした企業を隠れ蓑にしているので
これからは力だけでは駄目だ、『征服ではなくいかに巧妙に支配するか』という
学園で学習したことが最大限に役に立つと考えたからだ。

他にもいくつか理由はあるのだが、
それはまた別の機会に語るとしよう。

さて
この写真がどうして金になるかというと、
もちろん双方を恐喝し金を引きずり出すのは勿論だが、
いずれ利用価値がなくなる直前に、盗聴テープとともにマスコミに売りつける予定なのだ。

(情報を制する者は世界を制する。)

大きなことをするには時間と金がかかる。
(焦ってはいけない。)
細心の注意を払って慎重に行動するのだ。

終わり
344 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/28(土) 21:01:19 ID:w/cHqGWP
336〜みたいな感じで
箱庭モノスレでユキチとエレボスのヒーロ研修を書いていく予定です。
ご興味のある方はご参照ください。
345 ◆61whokRPik :2009/03/28(土) 21:39:16 ID:ZyXrtUMq
魔女っ子スレからこんばんは

この度、クロスオーバーの企画を頂いたので、
ちょっとだけお邪魔させていただくことになりました

「マリリン魔法実習の巻」の裏側を書いた短いギャグコメです
よろしければお付き合いください
俺の名はコウジ。
ヒーロー学園の正義部4年生だ。

俺は今、何かの間違いで下級生どもの実習の引率を引き受けてしまい、
海の星タウンとかいう町まで来ていた。
奴らが何か用事を済ませてる間、俺の方はヒマなんで、
見知らぬ町でナンパでもしようと一人ぶらっと繰り出してきたって訳だ。

自慢だが、俺はかなりモテる。
黙ってても女はどんどん寄ってくるから、
その分、選り好みだって当然激しくなっちまう。




「あなた、カッコイイじゃない! あたしと付き合わないと校則違反よ!」

高圧的に迫ってくるショートカットの少女。
こういう我が強いタイプは駄目だ、自己主張ばっかりでこっちの言うことを聞きやしねぇ。



「あぁ〜ん、いいオトコ! あいうぉんちゅー」

媚び媚びの緑髪の少女。
一見、こういうタイプは狙い目に見えるが、そりゃ罠だ。
最初はこんな感じでも付き合い始めるとすぐに図に乗る、そういうタイプだ。



「あらまぁ、大変。素敵な殿方が女の子達に襲撃されているわ」

おっとりとした青髪の女性。
皮肉とかじゃなく、本気で言っているなコリャ。
天然は論外だ。オウムよりも話が通じないからな。
っつーか年増の時点で問題外だが。



「あ、あたし……その……」

目を逸らしてボソボソとしゃべる黒髪の少女。
いいねぇ、こういう子は好きだよ。
躾ければきっと立派なM奴隷になれる。


俺は、今日のターゲットを確定した。

「タウンの中心の一本杉で待ち合わせな。絶対来いよ」
「えっ……あ、あの……」

何か言いたげだった黒髪の少女を無視して、
俺は自分の言いたいことだけ言ってさっさと立ち去ってしまう。

こういうタイプは、有無を言わせずに約束を取り付けると、
99%は言われた通りにやってくる。
俺がご主人様だってことを最初のうちから刷り込ませる意味もあるしな。

極上の得物を見つけた俺はすこぶる上機嫌になり、
ふんふんと鼻歌を歌いながら待ち合わせ場所に向かった。





「……誰だ、オマエ?」

数刻後、俺の前に現れたのは、
妙ちくりんな漆黒のボンテージを来た、金髪の少女だった。

「ひどぉ〜い、スィートラバーの顔を忘れたのぉ?」
「いや、俺はオマエみたいな奴の顔は今初めて……」

そう言いかけて、俺は気付く。
言われて見ると、確かにその金髪少女の顔は見覚えがあった。

「オマエ……まさかさっきの黒髪の!?」
「イエース、ザッツ・ライト!
正解のご褒美に、あたーしのファンクラブ会報誌、『月刊ミサ様』の編集長の座を進呈するわ!」
「いらねぇよ!!」

思わず全力で突っ込んでしまう俺。

「そういやダーリンの名前は何て言うのぉ?」
「……コウジだ」
「コンストラクションねぃ! 手抜き建築で賠償マネーガッポガッポだわね!」
「そのコウジじゃねぇ!!」

またしても全力で突っ込んでしまう俺。
完全にこの金髪少女のペースに乗せられてしまっている。

「ねぇねぇ、夫婦漫才続けるのもインタラストだけど、
折角のおデートなんだからどこかゴーイングしましょうよぉー」

そう言って俺の腕に抱きついてくる金髪少女。
つーか勝手に夫婦にされてしまった。

当初のプランとは大分変わっちまったが……。
まぁいい、たまにはこんな奴と遊ぶのも面白いだろう。

「……で、オマエの名前は?」
「イエース、アイアム・ミサ!!
破壊と混沌とカオスを愛する悪の魔法少女、ピックシィーーー、ミッサ!!」
「長いな、ミサ子でいいな」
「あぁん、とりあえず『子』をつけとけっていう、
安易なネーミングセンスにシンパシーを感じちゃうわぁん♪」

これは褒められてるのか、バカにされてるのか……。

「さて、それじゃどこ行く―――」

(ぐうう)

ミサ子の腹がなった。
指をくわえて何か食べたいオーラを放出するミサ子。

「……仕方ねぇ、とりあえずその辺でメシでも食うか」
「あぁん、いきなり食べさせっこなんて、ダ・イ・タ・ン♪
ジゴロのプレイボーイのレディキラーに、
ミサちゃまはパクっと食べられちゃうのねっ!!」
俺は食べさせっこどうこうは一言も言っていないのだが、
ミサ子は勝手に一人で盛り上がっている。

それにしても、このイケイケハデハデガールと、
さっきのウジウジオドオドっ子が同一人物だとは、未だに信じがたいのだが……。
ウチの学園には変身する奴なんていくらでも居るが、
ここまで性格ごと変わっちまう奴は、ちょっとすぐには思い当たらない。

「ん……?」

見ると、ミサ子はゴソゴソと何かを着込んでいる。

「どうしたんだ、コートなんか着て? 今日、そんなに寒いか?」
「にょほほほほ、ミサはパワフル全開なぁみさえな人気者なのよ?
変装の一つや二つや三つや四つぐらいはしとかないと、
クレイジーなファンに拉致監禁されて大スペクタルになっちゃうわ!」

言いながら襟を立て、ついでにサングラスとマスクまで装着するミサ子。
逆に目立つだろって突っ込むのは野暮だろうか。

「そーか、じゃあそろそろ行くぞ」

だがヒーローたるもの目立つのを恐れてはやっていけない。
俺は構わず、ミサ子を連れてフライドチキンのチェーン店に入った。





「っぷっはー、食った食った!」

そう言いながら膨らんだ腹をぽんぽんと叩いたのは、俺ではなくミサ子だ。

「何だ、この程度でおしまいか?
もっとじゃんじゃん食っていいぞ、金は俺が出してやるから」

学園からの支給金はまだ大分余ってる。
デートのための予算は潤沢だ。

「にょほほ……そろそろ騒ぎを起こして……」
「ん、ミサ子どうした?」

ミサ子が何かブツブツ言いながら席を離れようとしているのだ。

「ん〜もう、ダーリンったら野暮ねぇ……。
レディにそんなことヒアリングするもんじゃないわよぉ」
「あぁ、便所か。さっさと行って来い」
「は〜い♪」

ミサ子の姿はカサコソと店の奥へ消えていき、やがて見えなくなる。

「まだ食いたりねぇかな。何か追加で頼むか」

そう思って、俺はナゲットを新たに注文する。



「コーリング・ミスティクス!!」

不意に、何かの呪文みたいな叫び声が店に響く。
「さぁ、行きなさいニワトリ女!!」
「コケェーーーー!! 油でぐつぐつ拷問されるなんてゴメンよーーー!!」

威勢のいい女の声が店内に響き渡ると同時に、
よくわからんニワトリ野郎が現れて、店を荒らし始める。

「なんだ、あの着ぐるみニワトリは?」

ナゲットを頬張りながら怪訝な顔をする俺。
一方、慌てる一般市民どもが叫ぶ。

「ラ、ラブラブモンスターだ!!」
「逃げろーっ、またあのモンスターに変なことされちまうぞっ!!」
「モンスターだと?」

どうやらこの町の連中はアレをモンスターと認識してるらしい。
俺にはニワトリの着ぐるみを被った変態野郎にしか見えないのだが……。

「いやぁ〜ん、ラブラブモンスターよぉ〜ん。コウジさん助けてぇ〜ん」

いつの間にか戻ってきやがったミサ子だ。
甘えた声を出しながら、俺の腰に抱きついてくる。

「まぁいい、ちょっと下がってろ」

俺はミサ子を離れさせると、クサナギブレードの柄に手をかける。
次の瞬間、俺はすれ違い様にニワトリ野郎をぶった斬った。

「うわっちゃーーーー!! ひゃっほーーーーいっ!!
ダーリン、ベリベリクールマッチョだわっ、ストロングだわっ!!」

ミサ子は興奮して鼻血まで出している。

「コケーーーッ!! インフルエンザの予防接種はお早めにーーーッ!!」

ワケ分からないことを叫びながらニワトリ野郎は倒れ、光の粒子を放射しながら消えていく。
後には何が起こったか分からないと言った様子のニワトリ(本物)が残った。
どうやらモンスターというのは本当だったみたいだな。

「み、店を救っていただき、ありがとうございますっ!
恩人から食事代は頂けません、さぁどんどん食べてください!」

ぺこぺこして全身で俺に感謝の意を示す店主と、それに追従する店員達。

学園の支給金はまだタンマリ残ってるから金に困ってるわけではないが、
タダにしてくれるって言うんだからありがたく頂いておくか。

「あぁーん、もう食べられないわぁー」

そう言いながらアレもコレもと手掴みで食いまくるミサ子。
案の定、数分後には食いすぎで動けなくなったミサ子を俺が担いで店を出るハメになった。




「コーリング・ミスティクス!! ドレス女!!」

ズバッ!!

「ありがとうございます! 服の代金は要りません!」



「コーリング(ry フィルム女!!」

ザクッ!!

「ありがとうございます! 映画チケットは払い戻しさせて頂きます!」



「コ(ry タクシー女!!」

バババババ、ボン!!

「ありがとうございます! 市内ならどこへでも無料でお送りしますよ!」





何の因果なのか、俺達がデートに行く先々で必ずモンスターが現れる。
そうして俺が退治して謝礼をもらっての繰り返しで、一向に財布の中身が減る気配が無い。
まぁそれはそれで別に構わないのだが。

「さて、そろそろ今日のラブラブデートのクライマーックスよ!! 番長女!!」

何度も聞いたような甲高い声が聞こえると同時に、ビルの陰からガクランを着た巨体が現れる。
なんだありゃ、4階建てのデパートより大きいぞ……。

「貴様がコウジだな!?」

ガクラン巨人は俺の姿を見つけると、両腕を組んで俺にガンを飛ばしてくる。

「そうだが……なんだテメェは? 悪部の人間か?」
「俺の名は番長女!! コウジ、海の星タウンの番長の座をかけて俺と勝負しろ!!」
「……はぁ?」

このタウンに来たばかりの俺に、何を言っているんだコイツは?
というか、まだ番長なんて絶滅危惧種が生き残ってたことに驚きだ。

「嫌とは言わせんぞ!! 貴様が拒否すれば、
このキュートでビューティなこのキャワイイ魔法少女の命は無い!!」

そう言って開いたガクラン巨人の手の中には……。

「ミサ子!?」
「ダーリン、ヘルプミーよっ!」

ニコニコしながら俺に手を振るミサ子の姿があった。

「……分かった、おまえをぶっとばせばいいんだな?」
「その通り!! だが俺は手ごわいぞ、女を助けたければ全身全霊で―――」
ガクラン巨人が喋っているのを無視して、
俺は一瞬でミサ子が掴まっている巨人の手の上に飛び乗ると、
ミサ子を捕まえ、ぽいっと地面に放り投げる。

続いて俺は全身に電流を漲らせ、間髪入れずにガクラン巨人の口から体内に突入した。

「ぐおおおおおおおおおおおおっ!? なんだああああああああああ!?」

俺の一連の動作が速すぎて、ガクラン巨人は何が起こったかも理解できていない。
身体の内側から高圧電流を流されたのだ、いくらこの巨体でもたまらないだろう。

「…………ふっ…………効いたぜ、おまえのパンチ…………」

パンチは一発も繰り出して無いが、
ともあれガクラン巨人が消滅したので、当然俺も自然に奴の身体の外に出る。

「あぁ〜ん、ダーリン! 怖かったわぁん!」
「あっ!? よせっ!!」
「あびびびばばばばばばばばば!?」

まだ臨戦体制を解除してなかった俺は、身体中に電気を纏ったままだった。
そんな俺に抱きついて来たもんだから、ミサ子は派手に感電する。

「お、おい、大丈夫かミサ子!?」

俺は慌てて電流を解除する。

「うぅ……スィートラバーにこんな仕打ち、絶対許せないわ!!
破局よ!! あんたなんか離婚だわっ!!」

黒焦げになってプンスカするミサ子。
俺は何とかミサ子をなだめようとするが……。

「おいっ、ピクシィミサだぞ!?」
「本当だ、悪の魔法少女のピクシィミサだ!!」

突然、ミサ子の姿を見た一般市民がざわめきだす。

「ホワットっ!? ア、アンビリィーーー、変装がっ!?」

ミサの変装用のコートは電撃で焼け焦げてしまったのだ。

「じゃあさっきの巨人もこいつの仕業か!?」
「またミサがラブラブモンスターを召還したのね!!」

一般市民が口にした一節に、俺はピクリと反応する。

「ミサ子がラブラブモンスターを召還だと?」
「しーーーっ!! エビワン、それはオフレコでプリーズ!!」

ミサは慌てて一般市民どもに口止めを迫るが、
だれもそんなことは聞いてくれない、というかもう遅い。

「おい、ミサ子……。じゃあ、今までのは全部オマエが……?」

今日、行き先々で俺が倒してきたモンスターは、全部ミサ子が召還してたって言うのか?
つまり、今日の騒動は全部ミサ子の自作自演ということになるが……。
それよりも、あれだけのモンスターを召還しても
全く疲れないほどの強大な魔力を持っていることに俺は驚く。
「……にょっほっほ、バレちゃあしょうがないわね!」


ミサ子は開き直ったのか、電灯の上に飛び乗って大声でスピーチを始める。


「魔法少女は正体がバレたらM78星雲に帰るのがオキテっ!!
ダーリン、名残惜しいけどさらばよっ、トゥデイは楽しかったわ!!」
「お、おい待てミサ―――」
「しゅわっち!!」

ミサ子は一方的にまくし立てると、
俺が静止する間もなく、両手を掲げてあっという間にどこかへワープして行ってしまった。


あれから俺はミサ子を町中探したが、
とうとう奴の姿を再び見つけることは出来なかった。







後輩達から用事が終わったと連絡を受けた俺は、奴らと合流する。
しかし、合流してからも、俺はずっとミサ子のことを考え続けていた。

そんな物憂げな俺に気付いたのか、後輩の一人であるフレイアが話しかけてくる。

「コウジ先輩、どうしたんですか? ナンパ、失敗したんですか?」
「いや、成功したことは成功したんだが……」
「……?」

フレイアはいぶかしげな顔をするが、特に深く突っ込んでも来なかった。
なので、俺もそれ以上は何も言わなかった。


ナンパしたのは確かに俺の側からだったが……。
しかし終わってから振り返ってみれば、
最初から最後まで、俺はミサ子に振り回されっぱなしだった。

……そう、みっともなくて言えるわけがねぇよ。
この俺、雷神のコウジさまが、年端も行かないガキに手玉に取られちまったなんてな。
353創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 21:47:14 ID:ZyXrtUMq
お邪魔いたしました。
人様のキャラを借りて書くのは初めてなので、いい経験になりました。
コウジのキャラや設定がおかしかったらごめんなさい。

BONさんアイシテル
354創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 23:22:05 ID:ob3e24KI
おー乙です
交流があってにぎやかでいいね
コウジはそんな目にあっていたのか……そりゃ言えんわw
355女の勘 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/29(日) 22:55:45 ID:HLatEfs1


「ずりゃあ!!」
「こ……この女つええ……。」
(まだまだだね。)

テュポン兄ちゃんなら、死んだことすら対象に気がつかせないはずだし、
アキレス姉ちゃんだったら、殺さずもっと有効利用するはずだもん。

優秀な兄と姉を持つと、末っ子は苦労するんだ。

ガサガサと背広の胸ポケットを漁ると手帳が出てきた。
(帰ってゆっくり読むとしよう。)

あとは通り魔的な犯行に見せかけるために財布をいただいてと……。
ユグドラジル帝国は、よみがえりの儀式とやらで厄介な事をしてくれたもんだよ。
http://www27.atwiki.jp/herogakuen/pages/314.html

この島最大の悪党は、アスガルド軍団リメンバーズというのが率いていて、
彼らは組織を再度正義のヒーローに壊滅させられ、行き場を失った怪人達で構成されているみたい。

そんな連中が集まってるわけだから、
当然今までの実習のように、
すぐに組織の信頼を得ることは難しくなってるの。

(流石は最後の研修だけあって、結構ハードルが高いわね。)

だからこうして、ちょっとしたことから信頼を得て、
幹部のハルと
http://www27.atwiki.jp/herogakuen/pages/246.html

ローガーにもっと近づこうと考えているわけ。
http://www27.atwiki.jp/herogakuen/pages/247.html

ユキチには暫く大人しくして貰う予定だけど、あまりのんびりしている余裕は無いだろし……。
(まぁ、やるしかないか。)
356女の勘 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/29(日) 22:56:52 ID:HLatEfs1
「ただいま〜。」
今夜の一仕事を終えたアタシは箱庭館に戻る。
「おかえりなさい。」

この魔女のゆゆるは実に良い働きをしてくれたわ。
子供と少女に弱く人を疑うということを知らないアイツは、まさか彼女が魔女だとは気がつくまい。
「ただいま。あらそちらは?」
「私の名前はジークリンデ・ハルトシュラーよ。」
「アタシの名前はエレボス、フリーライターをしているの。」

(悪の秘密結社なんて言えるわけが無いじゃん。)

「ここへは何か取材か何か?」
「ええ、まぁそんなところよ。
 ここだけの話、聖杯伝説の取材をね。」
自分で言うのもなんだけど、完璧なカモフラージュじゃないの。

「せいはいってなんですか?」
「持つ者の願いを何でも叶えるらしいわよ。」
アタシも詳しい事は何も知らないから追求されるとまずいな。
(さて何の話題に変えようか……。)
ジークリンデとは初対面だし、もう少し彼女のことを探ってみるとしよう。
「アンタは何しに来たの?」
「静養ってところかしらね……。
 弟と来てるわ。」

「兄弟居るんだ?アタシにも姉と兄がいるの。」
「テュポンさんから聞いてるわ。」

なんでここで兄ちゃんの名前が出てくるんだろうか。
357女の勘 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/29(日) 22:58:22 ID:HLatEfs1
(こういうのがタイプだったのか。兄ちゃん……。)

確かにちょっと清楚な感じなキレイ系だ。
ジーと頭の先から足の先までを採点していく。
(だけど、なんか胡散臭いんだよねぇ。)
女の勘というか、なんというか、言葉の節々から違和感を感じるの。

アタシがこういう性格じゃない。
同じ穴のムジナというか、類は共をよぶというか……。
そんな気がするんだよね。

「ああ、別にちょっとしたフォトグラファー仲間ですよ。」
怪しむアタシの視線に気がついたのかジークリンデが関係を説明する。
珍しい単独行動を好む兄ちゃんが……。

(透明人間になるのに、1人じゃないと意味が無いからねぇ。)

ていうか兄ちゃん本当に写真を撮ってるだけなんだね。

(ちょっとガッカリだよ。)

「どうかしましたか?」
「いえいえ、」

「ゆゆるはおかしのいえがほしいです。」


こんな感じで朝までゆゆる、それにジークリンデと語り明かしたの。

続く
358屈辱 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/29(日) 22:59:22 ID:HLatEfs1
(屈辱だよ……。)

いったいボクは何時間寝ていたのだろうか。

医師を装っていながら、薬を飲まされるなんて……。
それも迂闊にも初対面の人間が調理した料理を口にしてとは、
恥ずかしくて研修レポートにも書けない。
管理人さんの中では、
ヒーロー学園の評判が地に落ちてしまったかもしれない。

それどころか、ゼミ担任のジライヤ先生の顔に泥を塗ってしまった

(腹を斬るか。)

ここまで恥をさらして以上
ツルヒメ先生に教わった方法で、死んでお詫びするくらいしか思いつかない。

色々考えたんだけど、
それだと研修を遂行できなかった半端者が忍者ゼミにいたと記録に残るだけだよね。

ここは屈辱を糧に出直すのが得策なのかも。
359屈辱 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/29(日) 23:00:52 ID:HLatEfs1
(それにしても……。)

エレボスの奴、
まさかボクにもわからないような無味無臭な薬を作れるようになっていたとは、
一体ボクは何の薬を飲まされたんだろうか。
血液分析等思いつく限りの検査をしてみたんだけど、未だに主成分さえ解明できていない。

もしこれが実戦だったらと思うとゾッとするよ。

(これは挑戦状。)

『お前なんかいつでも殺せるんだよ!』というメッセージに他ならない。
実際もしこれが即効性の毒だったら、ボクは二度と目を覚ますことは無かったはず。

いたいけな少女を利用するとは、相変わらず手段を選ばない卑劣な奴だ。
(甘かった。)
まずは何を飲まされて、どうして特殊能力が使えなくなったかの分析から始めよう。
エレボス退治はその後だ。
360 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/29(日) 23:02:52 ID:HLatEfs1
箱庭スレではこんな感じで
テュポンの起業活動
ユキチとエレボスの実習を取り上げていく予定です。
本編に関係のありそうな箇所や、クロスに役立ちそうな箇所は転載していきますが
できれば向こうも見てくれると嬉しいかも
361レス代行:2009/03/30(月) 14:03:02 ID:U7qaitQk
出張乙です。
箱庭で初めて読みましたが、色々シェアできそうなスレですね。
これから昔のも読んでみる予定で〜す。

ちなみにヒーロ反対派について、もう少し詳細な描写が欲しいかも。
気になってしょうがないw
362 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/30(月) 20:48:25 ID:USrJLyuy
乙です
箱庭は把握してないなあ
見ときます
>>311-322の続き投下させてもらいます
363 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/30(月) 20:49:32 ID:USrJLyuy
間違えた>>311-312の続き
すんまへん
364黒幕1 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/30(月) 20:52:22 ID:USrJLyuy
 小さなボートを岩の間に隠す人影があった。
「ご苦労でしたね」
 労をねぎらうのは白いローブに身を包み白い仮面で顔を隠す女、ツクヨミだ。
「はあ、あんまいい気分じゃないっすね」
 答える声は、大きな口から出るものだった。
 赤い毛を全身に生やした狼男は、遠くの煙を眺めた。

「悪が板に付いてきたんじゃないですか、フォッケヴルフ君」
 ツクヨミが仮面の裏から言うと、フォッケヴルフは狼の頭をわずかに振る。
「ツクヨミさんほどじゃないですよ」
 波が岩に当たると、白い水しぶきが立つ。あとに残った泡が消えていった。

「変身を解いてもいいんじゃないですか、ツヨシ君」
 ツクヨミの脇から、アオミ・マタサブロウがやせた顔を出した。
 赤い狼男は一回り小さくなると、赤っぽい髪の若者になる。
 元ゴクレッド、ツヨシだ。
「ツクヨミさんにこの能力をもらったのは感謝してますよ。言われたら何でもやりますけど、
よかったんすか? あれ、ツクヨミさんの船でしょ?」

「かまいませんよ。買いかえの時期でしたから。捨てるのも金が掛かりますし、あのほうが
手間がはぶけます」
 ツクヨミはさらりと返した。マタサブロウは機嫌よさそうにする。
「しかもヒーロー学園の評判は落とせて、超日警の評判は高まる、一石三鳥ですね」
 ツクヨミの仮面を通して笑顔が見えるようだった。
「さらにヒーロー反対派に同情が集まって寄付が増えます。一石四鳥ですよ」

「でも、学園だって気づいてるんじゃないですか?」
 ツヨシはやや不安げな顔をした。
「事務員のギロチンピエールはもう察知しているようです。ということは、学園はある程度
把握しているでしょうねえ」
 マタサブロウも心配そうな表情で、ツクヨミにすがるような目をする。
365黒幕2 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/30(月) 20:54:47 ID:USrJLyuy
「ええ、気づいているでしょう。思えば、ギロチンピエールがブラックスミスをかくまった
のも私を牽制するためでしょう。でも、何だっていうんです?
 私は非公式ですが、ヒーロー反対派に多額の寄付をして言うことをきかせられます。
 表向きには超日警の筆頭株主で経営顧問です。何を恐れることがありますか」

 うねった模様の仮面が顔を隠しているが、ツクヨミは余裕があるらしい。
「近いうち、私は正面からヒーロー学園に入ってみせましょう。誰も私に手は出せませんよ」

「そんな、無茶な」
 アオミはあわてて、不健康そうな顔をいっそう青白くした。
「私は善良な市民ですよ。ヒーローは攻撃できないでしょう」
「善良?」思わずツヨシは腹を抱えて笑いだした。
「そりゃ今年一番のジョークっすよ」

「ですが表向きには事実です」
 平然とするツクヨミ。
 海ネコの鳴き声がどこからか耳に届いた。
 マタサブロウは気が気でない。
「ツクヨミさん、正義部はおとなしくしてても、悪部はどうでしょうか」

「心配には及びません。悪部が動けば正義部は止めに入らなければなりません。ひいては
正義部・悪部の、教師を含む全面戦争になりかねないでしょう」
 学園が真っ二つ。それだけは学園側も避けたいはずだ。

「だから結局、悪も学園周辺では私に手出しできないんですよ。水面下で交渉してます。近々
に学園に訪問しますよ」
 ツクヨミの白いローブが風にはためく。
 恐ろしい人だ、とツヨシは冷たいものを背に感じた。不意に、ゴクレンジャーだった頃を
思い出す。

(ずっと昔のことみたいだ。ゴウとレイはやめたらしいけど、セイジとモミジどうしてるかな)
 ツヨシはまた、海の上に残る黒煙を見つめた。
(自分で選んだ道だ。後悔はしない)

 さみしさを振り切るように、ツヨシは小さく息を吐き、首を振った。
366 ◆Omi/gSp4qg :2009/03/30(月) 20:56:50 ID:USrJLyuy
とりあえずここまでで
他スレとクロスとかすごいなー
自分には難しいかもです
367創る名無しに見る名無し:2009/03/30(月) 21:33:52 ID:lDUTRK0R
投下乙です

凄い盛り上がりようを見せてるなぁ。
どうなっていくんだろう。

アオミ・マタサブロウとかの設定はwikiには追加せんの?
368創る名無しに見る名無し:2009/03/30(月) 23:01:35 ID:USrJLyuy
正史じゃない気がしてのせてないんだよ
でもその内下の方にのせとこう
ちなみにユウト、ナミ、マタサブロウとかはキャラ案からいただいたです
前スレより
名前 ユウト
学年 3年生
学科 バイオ科
成績 普通
性格 神経質
能力 背中に翼がある。

戦隊科
バレーボールズ(バレーボールを武器に戦う。)
レシーブが続くごとにボールの威力が上がる。

名前 サエジマ ナミ
性別 女
学年  2
学部 正義部
学科 バイオ科
成績 落ちこぼれ
性格 几帳面
能力 ライオンマスクに変身する。
百獣の王なので助けようとしてるのに襲ってると間違えられるのが悩み

名前 トドロキ アカネ
性別 女
学年 3
学部 正義部
学科 機械科
成績 普通
性格 綺麗好き
能力 トンボの改造人間

教師
アオミ マタサブロウ
…就職試験の健康診断で引っかかり不採用となる。
その後行く当ても無いのでとりあえず講師となった典型的サラリーマン講師
(助教授や教授になる程の力はないのは自覚している、)

キミドリ イワオ
体育会系の気質で暑苦しいと一部女子生徒から不評
現役時代はライダーのサポート役として活躍?
子供には絶大なる人気を誇っていた反面、主婦からは不評だった。
369創る名無しに見る名無し:2009/03/31(火) 19:48:42 ID:J0NP7If/
学園祭はどうなるのん?
370親心 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/31(火) 20:03:33 ID:pT6qGdHy
私の名前はツルヒメと申します。

正確にはツルヒメというのは、
名前というよりは通り名でして、29代目になります。
ちなみに独身ですので、男性の皆様是非アプローチしてください。
浮気しても、気がつかせないような方を希望しています。

「ユイ開けなさい!!」

先程から私がこのようにドアを叩いているのには理由があるのです。

私のゼミには六年生のミユキと、三年生のユイという女子学生が所属しているのですが、
先日ジライヤ教授のところに一人女学生が編入してきまして
その学生の実力を知るために、ユイと戦わせて見たのです。
『心眼』を開眼していると言うだけのことはあり、結果はユイの負け。

本来上級生が下級生に負ける等ということは、絶対にあってはならないことです。

…が私としては、今回は最初から勝敗は度外視するつもりでした。

六年生のミユキは今年で卒業しますから、
これから二人で切磋琢磨して欲しいと思っていたからです。

(それにユイにはまだ剣術教えてませんし・・・。)
確か科学者のナツミに作って貰ったいう小太刀を持っているのですが
それより先に毒に対する訓練とか色々やることがあったものですから。

どうしても勝たないといけないのならば、
直接の兄弟子になるユキチか、もしくはウチならミユキと戦わせてます。
371親心 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/31(火) 20:04:52 ID:pT6qGdHy
(少し考えればわかりそうなものですが……。)

ところが戦いが終わってから、自分の部屋に閉じこもってしまったのです。

オートロックで中から鍵が掛かっているとはいえ、
力付くで引きずりだせないわけではないのですが…。

(ここはユイ自身に開けて欲しいところですね。)

「別に怒ってないから開けてくれないかしら?」

かれこれ二時間近くやりとりをしているのですが……。

「最後通牒よ。
5つ数えるうちに開けないと酷いからね。」

(5……4……3)
「オイラ悪いことしちゃったのかな。
 ここは後輩らしくわざと負けた方が空気読めてた? 」

杖をカツカツ地面に当てながら、例の転校生が恐る恐る尋ねます。
変な気の使い方する子。
ワザと負ける必要なんてありません。

「オトハは気にしなくて良いの。」
「でもユイ殿には学園を案内してもらってるし…。
 とても優しい人です、
 だから怒らないであげてください。」

(2…… 1)
「怒らないわよ。」
372親心 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/31(火) 20:05:58 ID:pT6qGdHy
教え子達はどうも私の事を誤解しているような気がします。

確かに私はユイやミユキに厳しい課題を与えていて、
時に重箱の隅をつつくような指摘をしたり、容赦なく手をあげることもありますし、
出来るまで寝こさないというスパルタ教育をしたりもします。

人伝に聞いた話ではあのミユキですら、
『アメ』と『ムチ』で例えるなら、ムチばかりだわさとこぼしたことがあるそうです。

でもそれは彼女達のため
今では先人達の血の滲むような努力と
多大なる犠牲のお陰で、女性ヒーローの地位は飛躍的に向上しております。

(でも・・・)

まだまだヒーロー界は男社会です。

年配ヒーロー達の中には、
お色気要員とか入浴シーンのポロリのためだとか
そういうアイドル的なことしか、評価してくれない先人達も少なくありません。

ちなみにこの学園の男性教員の中にも何人かそういう方はいらっしゃいます。

そんな中でも
輝けるように技や知識を少しでも多く身につけて
活躍して欲しいからこそ少人数制にして、厳しくしているのですが……。

私には先代のように学生を導く力はないのでしょうか。
373親心 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/31(火) 20:19:52 ID:pT6qGdHy
こんな私ですが、
学生時代からの付き合いのあるシロキ助教授(通称シロちゃん)によると、
卒業生が会いにくる割合が多いのが、実は私なんだから気にしなくていいそうです。
そう言われて見ると、
遠方に就職したため会えない学生もメールや手紙で近況報告をしてくれるため
ゼミ生のOG訪問や職場見学で困ったことはありません。
みんなそうなのかと思っていたのですが、どうやらそうではないようです。
ミユキが面接会場で一騒動起こしておきながら、
そしらぬ顔で帰ってきたときも、それを知らせてくれたのも卒業生でした。

どうやら私の指導は在学中には伝わらないようです。

(0!)
というわけで、
ドアをけやぶって2人で中に入ると、窓からヒューと風の音が聞こえます。

「何かしら?」

机の上には書き置きがポツンと置かれていました。
(馬鹿なこと考えてないでしょうね。)

結構繊細で線の細い子なので心配です。

『探さないで下さい。
夕方には戻るつもりですが、もしかしたらそうはならないかもしれません。』

思わずクシャとそれを握り潰してしまいました。

「怒ってるフリをしているけど 嬉しそうですね。」

(嬉しそう?私が?)

言われて見ると、確かに条件反射で手紙を握りつぶしましたが、
私に悟らせず寮から脱出できる程に
気配を殺すのが上手になったのかとちょっと嬉しかったりします。

(それにしても……。)

ユイはどこに行ったのでしょうか。
374 ◆ccu2hP6PPA :2009/03/31(火) 20:25:54 ID:pT6qGdHy
>>369
せっかく考えてくれたんだしやろうか。
ただ俺1人で全部やるのは厳しいから、分担にしませんか?
最初の流れと一回戦は書いてみるよ。
375創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 12:41:53 ID:rcKC3map
投下乙です。
ヒーロー界にも男女雇用機会均等法みたいなのあるんか?w
基本肉体労働だからしょうがない面もあるような。

そしてヒーロー反対派が潜りこむってことは、入学式とか入学試験が見れるのか今度はどんな試験なんだろ。
376レス代行:2009/04/01(水) 13:24:36 ID:exJ2VImK
学園祭楽しみだな。

創作は難しいけど、ロボットのキャラ考えてみたよ。
アイちゃんの友達とか、実はツクヨミ対策として誰かが送り込んだとか
色々いじれるかもしれない。
良かったら使ってください。


名前 ガジェット
学年 2年生
学科 正義部 機械科
経歴 銀河連邦警察 対犯罪用凡用兵器課というロボットの憧れの地位にいたが
   ある理由からヒーロー学園にやってきたが、本庁の前線への復帰を望んでいる。
   
   原動力は原子力で、無茶はするものの放射能漏れは起きていない。
   体格は大柄、寸胴で短足(俗に言うメタボ体型)、そのせいか走るのは遅い(まれに速く走れる)。
   
   体重は400kgもあるが、特殊調合金のためイスに座っても壊れないし自転車にも乗れる。
   頭部はピーポー君のような形をしていて、額には日章が付いている。

   そのボディーは最新テクノロジーの宝庫で、
   目で犯罪者の照合ができ、落下物の軌跡を予想することもできるが、あまり役に立ってない。
   感極まると涙(レンズ洗浄液)を流す。耳(?)は物音に反応してピクッと動き、感情にも連動し驚くと逆立つ。引っ張られると痛がる。
   口で食物を処理すことができ、アルコールも処理可能。あごにはUSBケーブル等が付いている。
   股間の部分に男性の生殖器を思わせるような器官が存在しているようだが実際は冷却水を廃棄する為の器官である為厳密な性別は無い。
   調書や日記を書く様子から右手が利き手のようだが、手先は不器用。右腕には様々な武器が仕込まれており、
   これまでにバズーカ砲、ブレード、レーザー砲の使用が認められ、他にも警棒、ハンマー、ドリル、ロボットアーム等が確認されている。

性格:(クソ)真面目で卑屈、ドジですぐに落ち込み、悩むとすぐにオーバーヒートする。
    考え込む時に指を「カリカリ」させる癖を持つ。
   学習能力が高く、人の感情をも解析し、「痛み」に似た感情をも持つようになった。
   複数の犯罪行為を確認したり、正当防衛が成立すると「正義の執行」というプログラムを作動させ、
   平常時以上の力を発揮し犯罪者や敵の殲滅を行う。「正義の執行」時は顔が暗くなる。
   しかし、感情が高揚や些細なことでも作動してしまうというバグがあり、そのせいで前線から外されヒーロー学園へとやってきた。

   限りなく人間に近い設定のため。男子寮で寝泊りしている。


備考 警官時代ジャンパーソンが直属の上司だった。
377創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 16:28:05 ID:c/dtZ2AW
投下乙です
盲目の下級生に負けたらショックだろうけどな
学園祭ジャンケンからか
ヒーローがみんなでジャンケンしてるのはなんだかおもしろい光景になりそうだなw
>>376
そこまで作ったら書いてみてもいいと思いますが
でも使わせてもらおうかな
378 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/01(水) 17:00:52 ID:c/dtZ2AW
では>>364-365の続き投下してみます
379点火1 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/01(水) 17:04:08 ID:c/dtZ2AW
 女子寮の食堂は、ちょっとしたテレビ視聴会になっていた。
 プルート、フレイア、キマイラといった女子生徒たちは、椅子を並べてテレビに目を向けた。
「お菓子あります」
 サトミという生徒が袋を差し出す。
「あ、ちょうだい」
 菓子の袋があちこちに回される。
 モミジはリモコンを向けて音量を上げた。

――超日本警備社密着二十四時! この後すぐ!

「いいなー、テレビ出れて」
 分厚いメガネの位置を直すアカネは、トンボ女に変身できる三年生だ。

「私も映りたいよ」「呼んでほしかったなー」
 生徒たちがうらやましがる。部外者による学園の撮影は、原則禁止だ。島の周辺は問題
ない。
「この前の救助が放送されるといいですね」
 ナオコはとなりのモミジに言った。海岸での騒動が放送されるときいて、彼女らは集まった
のだ。
「うん。セイジが見てて少しはやる気出してくれたらいいんだけど」

 ナオコの隣に、浅黒い肌でフェイクファーを着たナミが座った。
「私もゴミ拾い行ったらよかったかな」
 ははは、とナオコは愛想笑いした。喜んでゴミ拾いにいく生徒は、なかなかいないだろう。
 CMのあと、番組が始まった。
――取材班は超日本警備社に密着した……

 超日本警備社の簡単な説明が入り、訓練の模様などが映る。
「学園まだあ?」「たいした訓練じゃないじゃん」
 女子生徒はしゃべったり食べたりと、口をよく動かす。

 舞台は海へと変わった。超日本警備社の船が、海上を滑るのが映し出される。
――ヒーロー反対派が危険な行動に出る……
 ゴムボートの上で拡声器を持った男女が、陸に向かって叫ぶ様子が映った。
『ヒーローのみなさん、話し合いましょう』
『私たちは、わかり合いたいのです』
『ヒーローのみなさん、心を開いてください』

「何これ! あいつらこんなこと言ってないよ」
 モミジは怒って立ち上がる。
「音声が編集されてますね」
 サトミが、スナック菓子の袋を逆さにしていた。
「音の質が違います」
 彼女は魔法使いで、漂流していたところを拾われたという変わり種だ。

「口の動きとも違いますしね」
 プルートがその眼力で確認する。変身するまでもない。
「そんなあ……」
 ナオコは口を開けて肩を落とす。一般の視聴者にはそんなことはわかるまい。

――カメラは若い女のヒーローをとらえた! ……
 顔にボカシの入った女が、メガホンを手に声をかける。モミジに違いない。
『うっせー馬鹿死ね! くんなボケ! 消えろ!』
 ボイスチェンジャーで変えられたやけに低い声で、罵声が飛ぶ。
380点火2 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/01(水) 17:06:39 ID:c/dtZ2AW
「ちょっと、私こんなこと言ってないって!」
 モミジは髪も逆立つようだ。
 別の女もメガホンを取るのが映る。ボイスチェンジャーの高い声でヒーロー反対派を罵倒し、
たまにピー音がかかる。

「これは音声自体変えてるからわからないです」
「顔もボカされてて、口の動きもわからないですね」
 二人の女は首をかしげ合った。
「私、こんなこと言ってないですよ」
 ナオコがあわてると、ナミがなだめた。
「だいじょぶ、わかってるから」

――その時!
 顔はボカシが入っているが、ブラックスミスが鉄の杭をいくつも飛ばし、ゴムボートを刺す
のが映し出された。
――ヒーロー学園の生徒と思われる男が、ヒーロー反対派を攻撃した! ……

「誰、あれ」「悪部?」「あんなのいたっけ」
「私と同じ、中途の新入生です」
 ナオコが知らせたあと、モミジが付け加えた。
「ナオコの彼氏だよ」

「うそ、まじで」「つーか何で報告しないわけ」
 険悪な雰囲気が流れる。
「ち、違います」ナオコの否定は遅かった。
「食堂と寮のトイレ掃除ね!」
 メガネを光らせ、アカネが指示した。
「そんなあ……」
 がっくり頭を垂れるナオコ。

――懸命の救助をする超日本警備社の警備員たち……

「何よ、救助したの私でしょ」
 泣きそうになりながら、モミジは口をとがらせた。

――一方、何もしないヒーロー学園の生徒……
 立っているだけの、背に羽根を生やした男が映った。顔は見えないがユウトとすぐわかる。

「あれも編集?」
 ナミがナオコにきいた。
「いえ……あれは本当です」
「あーあ、ユウト先輩またペナルティだよ」
「そうですか……」またグチをきくのか、とナオコは苦笑いする。ナミは深刻な顔になった。
「あんまりペナルティが重なると単位なくしちゃうかもなあ」
「そうなんですか?」
「ユウトさん、留年かも……」
 ナミは先輩を気にかけ、ほおに手を当てた。

「ナミってユウトと付き合ってんの?」
 メガネを通して、アカネが恐ろしい目をナミに向ける。
「違います! 全然違います!」
 ナミは激しく首を振って髪を乱した。そこは同罪になってくれないかな、とナオコは残念
がる。

――さらに、ヒーロー反対派の船が炎上!
 船が燃え上がるところを、テレビが映し出した。
 まるでヒーローが攻撃して火事になったような構成だ。
 超日本警備社の救助の様子が、ひたすら映される。

 モミジは唖然として、口もきけない。
381点火3 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/01(水) 17:09:05 ID:c/dtZ2AW
 スタジオに戻り、知識人文化人たちがしゃべった。
『あれじゃヒーローなんていらないよね』
『ユグドラシル帝国対策にはヒーローの力が必要と言われていますが……』
『すでに多くの国がユグドラシル帝国に降伏するか、従っています。ヒーロー大国アメリカ、
ヒーロー先進国日本は当分無事でしょうが、そう考えると彼らは一種の国軍、民兵です』
『世界平和とか言ってるけど、ヒーローって国ごとの軍隊じゃないの?』
『しかも彼らの思想は非常にかたよっていますしねえ』
『超日警は世界に支部があります。こちらの規模を拡大し、ヒーローは減らしたら、そのほうが
よほど世界平和に近づくのでは……』


「なんだよこの番組。超日警とヒーロー反対派の宣伝じゃん」
 アカネは軽く伸びをすると、あくびしながら食堂から出ていく。他の女子生徒たちも呆れ、
それぞれ散っていった。
 モミジは怒り疲れてぐったりしている。

「あんなの放送されたら、もうクニに帰れないよ……。こうなったら悪になろうかなあ」
「そんな……」
 ナオコは眉を下げるが、何とも言いようがない。

 食堂には三人だけが残った。
「ナオコちゃん、掃除手伝うよ」
 ナミの瞳にはなぜか光がともっていた。
「モミジさん、たぶんあれ全部自作自演なんじゃないですか」
「えっ」と、モミジは顔を上げた。
「超日警とヒーロー反対派。だって、あんなのタイミング良すぎるじゃないですか」
「あの火事、わざとってことですか」
 ナオコは目を丸くする。人が死ぬかもしれない事故だった。

「ピンチはチャンスってこともあるよ。これ、うまく解決したらかなりのポイントかも」
 ナミは奮い立つようにして、モップを手にする。
「ライダーとか強い人たちには内緒にして、ユウトさんやセイジさんとで協力しましょう。
私も入れてください」

「うーん……そうだね。つーか、もうそれしかない」
 モミジは生きる力を取り戻したかのようだ。
 うなずいて髪を揺らすナミは、ナオコに顔を向ける。
「だから、ナオコちゃんも先生に言わないでおいて。先生たちはある程度わかってるかも
知れないけど」
「はい……わかりました」
 教師に言わないのはまずいようにも思えたが、さすがにナオコも怒っていた。

 弱小ヒーローたちの意地が燃えていた。
382 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/01(水) 17:10:06 ID:c/dtZ2AW
ここまでで ではまたどうも
383創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 21:40:01 ID:QvAXnk13
投下乙です。
捏造キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
今後どうなっていくんだろうか
384創る名無しに見る名無し:2009/04/02(木) 11:49:45 ID:IOTBOHGt
ガジェット、ここだけが飲み込めないが面白いキャラだな

>   体重は400kgもあるが、特殊調合金のためイスに座っても壊れないし自転車にも乗れる。
385創る名無しに見る名無し:2009/04/02(木) 14:33:08 ID:5lQcS7kI
俺も気になったけど授業を普通に受けれるってフォローじゃないか?
インストール出来そうだけどな。w
386創る名無しに見る名無し:2009/04/02(木) 22:25:09 ID:iQwv1787
今後どう絡んでくるか期待大だな。
その他にも色々使い道ありそうだな
387創る名無しに見る名無し:2009/04/03(金) 23:11:49 ID:2//80z+O
教師は黙認するのか
388創る名無しに見る名無し:2009/04/03(金) 23:46:45 ID:GoG2fU6r
特殊超合金は磁石の性質かなんかがあって、ドラえもんのように何ミリか浮かんでるのか。
質量あるのだから、負荷がかかるはずだが、上手く説明ができない。

うーん、教えてエロい人
389レス代行:2009/04/04(土) 00:53:25 ID:RKdSHttQ
>>388
実は椅子も特殊仕様ってことで良いじゃん。
よく考えたらいろいろな民族が座るわけだしね。
どんな風に登場するか楽しみだな、
390学園祭 ◆ccu2hP6PPA :2009/04/04(土) 21:08:09 ID:hquepLDu
パラレルワールドと考えてください。
パラレルなんでナツミとか普通に出てきます。
ジュリやネロは強化後って事でお願いします。

あと試合が多すぎるんでじゃんけんの後はタッグマッチで個人戦にしません?
ミユキとかは2回戦に参加ってことで、あんまり小ネタが得意じゃないので、
2回戦以降はどなたかお願いします。
391学園祭 ◆ccu2hP6PPA :2009/04/04(土) 21:09:55 ID:hquepLDu
「学園祭ということで、解説席にはこちらの方々をお招きしております。
 男子の解説を担当していただきますウォッチメンの後継者にして新婚ホヤホヤ カストルさん
 女子の解説を担当していただきます女子寮のドンことアキレスさん
 教職員の解説を担当していただきます恋するクリーニング屋さんことキクチさんです。」
「よろしくお願いします。」

1回戦 組み合わせ表(競技 じゃんけん)

Aジュリ リョウコ ミサキ レーダー エリカ

Bハイド ヘレネ ジライヤ アカカゲ ナツミ

Cタルタロス ルーク キマイラ タカノリ カズヤ

Dプルート ポルックス ヨハネ ネロ イルーゼ

Eガジェット ゲンナイ ユウキ、シホリ、アイ

F謎のマスクマン カラッカス、マイコ、リカ、オトハ

Gコレー シロキ ツルヒメ シバ  ユイ

Hユウリ アニー ミミー ハルカ フレイア

Iヒルト クロノ コータ ウラノス キイ

Jゲンナイ トシゾウ マイコ ブルーベリー ブラックショーグン

Kハンニバル ドクトルマザー シャイダー ギャバン

etc
392学園祭 ◆ccu2hP6PPA :2009/04/04(土) 21:11:12 ID:hquepLDu
「注目のカードはどこですかね?」

「僕はジュリさんしか興味ないんで!」
カストルの頭には『必勝』という紅いハチマキが巻かれていて、
コロシアムの客席ではJURIと書かれたTシャツを着たチアガールが応援をしている。

「本当は会社を総動員したかったんだけど、ジュリさん恥ずかしがり屋だから……。
 でもジュリさんが勝ったら、花火を打ち上げる予定です。」
「アキレスさんとキクチさんはどうですか?」
「そうどすなぁ、
 弟達は予選免除どすし、個人的に言いますとB組なんか死の組じゃないどすか?
 謎のマスクマンは正義部長なのバレバレですねぇ。」
「オレはやっぱシロキ先生のいるG組かな。」
どうやらアキレス以外まともな解説者はいないようだ。
解説者がガクっと肩を落とす。

「それではこれより……、第545回学園祭を……。」
審判委員長タチバナの開会宣言に耳を傾ける者は少ない。
参加者は思い思いにアップをしている。

両自治会長の選手宣誓
部旗の返還etc

開会式は滞りなく終了し、
コロシアムから歓声とミユキのヤジが飛ぶ

「さていよいよ一回戦が始まるわけですが、
 ジャンケンのポイントはどこですかね?」
「運じゃないですか?」
「心理戦だと思いますなぁ。」
「シロキ先生純粋だから不利だよ。」
「ジュリさんだって純粋です!!!」
393学園祭 ◆ccu2hP6PPA :2009/04/04(土) 21:11:56 ID:hquepLDu
1回戦 Aグループ
「私は面倒だからグーを出すわ。」
「じゃぁアタシも!」
リョウコとエリカはゼミのシャドームーンが勝手にエントリーしたので、あまりやる気が無い様子。
「私の若い頃は義母に立て付くなんてことはなかったわ。
 時代の流れかしらねぇ。」
姑レーダーが義娘ジュリにプレッシャーを掛けてきたので、思わずミサキと顔を見合わせている。

Bグループ
(グーだな。)
(超光速で指を動かしてごまかすとしよう。)
「こういうときに役に立つのはプロファイリングよ。」
ナツミには何か作戦がある様子。

Cグループ
「勝ちあがって姫とぶつかったらどうしたら良いのでござろうか。」
『それでは構え!』

Gグループ
「ちょっとした同窓会みたいじゃ。」
「悪いけど教え子(ユイ)の前なんだからかっこつけさせてよ。」
「それいったら朕だって子供の前じゃよ?」
「私だって義娘の前よ?」
「3人とも相変わらずねぇ。」
「シロちゃんは控えめだから譲ってくれるじゃろう。」
(凄くやりにくいんだけど、ユイ棄権しちゃ駄目かな?)

このようなそれぞれの思惑の中
タチバナが号令を掛ける。
『それでははじめい!』
「じゃんけん。ポン」

結果
A ジュリ、リョウコ勝ち抜け
B アカカゲ、ナツミ勝ち抜け
C タルタロス、キマイラ勝ち抜け
D プルート、ポルックス勝ち抜け
E ガジェット、アイ勝ち抜け
F 謎のマスクマン、オトハ勝ち抜け
G ツルヒメ、ユイ勝ち抜け
H アニー、ハルカ勝ち抜け
I ヒルト、クロノ勝ち抜け
J ブルーベリー ブラックショーグン勝ち抜け
K シャイダー、ギャバン勝ち抜け
その他にも数名通過
394学園祭 ◆ccu2hP6PPA :2009/04/04(土) 21:12:46 ID:hquepLDu
次回予告
予定を変更して、タッグマッチの組み合わせ抽選が行われる。
果たしてその組み合わせとは……。
そしてジライヤの語るオトハの致命的弱点とは?
遂にベールを脱ぐ、ユキチ、エレボスの実力とは?
395 ◆ccu2hP6PPA :2009/04/04(土) 21:17:34 ID:hquepLDu
盲目の剣士オトハはガジェットが天敵なんだとか勝手に妄想してみた。
ロボットだから筋肉の軋む音から相手の攻撃姿勢とかがわかりにくいし
心音を聞き取ることでできないというのが理由。

できれば2回戦書かれる方取り入れてくれると嬉しいな。
396 ◆ccu2hP6PPA :2009/04/04(土) 21:19:05 ID:hquepLDu
>>388
空気椅子とかガンダニウム調合金とか色々説があっていいと思う。
397創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 23:45:28 ID:q6EY7GGU
お疲れさーん
なっちゃん勝ち残っちゃったね。
398創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 14:17:30 ID:6kedPNjL
カストルの愛妻っぷりがおもしろいなw
399創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 17:00:58 ID:mGcjO33Z
たまには小ネタもいいな。
本編もがんがれ
400創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 18:20:50 ID:jDfouhFL
ガジェットは無駄に寮のテレビでモザイク外しとかさせられてて欲しい
401 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/07(火) 20:06:32 ID:O1P9Qp+r
学園祭いいね 自分は書けなそうだけど
>>379-381の続きちびちびいってみます
402潜入1 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/07(火) 20:10:46 ID:O1P9Qp+r
 厚い雲が空を覆って、昼だが夜のようだった。それでいて雨も降らず風もない、奇妙な
日だった。
 教授や職員が学園の門に出て、来客を迎えた。白い正義舎と黒い悪舎が見下ろす。
 超日本警備社の幹部たちだ。中に白いローブに白い仮面の、ツクヨミが混じっている。

「ようこそお越しくださいました」
 教授を代表して、シャイダーが進み出た。
 男たちの間を割って、ツクヨミが進み出る。
「わざわざ出迎えていただき、ありがとうございます」
「あいにく正義部長は留守にしています」
 誰がおまえなんかを正義部長に会わせるか、とシャイダーははらわたも煮えくり返る
思いだ。
 公式には、ツクヨミは超日本警備社の代表なので、学園側も丁重に迎えなければならない。

 シャイダーが門の内側へと招いた。
 ツクヨミは白いローブのすそを揺らし、堂々と校庭を歩く。
 やせた顔のマタサブロウはその光景に、感動すら覚えて笑みを漏らした。
(なるほど、市民こそ最強だ!)

 何しろ、超日本警備社はヒーロー学園の中退者、成績が優秀でない者を積極的に雇い入れて
くれている。
 おかげで就職率も上がるし、ヒーローまがいのならず者が生まれずにすむ。

「最近、ヒーロー反対派の一部がますます過激派化しています」
 シャイダーはわざとらしく言う。
「まったく、彼らには我々も頭を痛めています」
 ツクヨミもしらじらしく、仮面を付けた顔を振ってみせる。

(おまえが裏で糸を引いているんだろうが!)
 と、叫びたいシャイダーだが、ここはこらえた。
 ヒーロー学園の諜報能力を持ってすれば、ツクヨミがヒーロー反対派にかんでいるという
ことぐらい、わかっている。
 ツクヨミの側でも、それは承知だ。

 お互い知った上で、こんな茶番をやらかしているのだった。
 教授たちは頭に血がのぼって、煙が出そうなほどだ。
 だが、やはり相手は超日警代表で、何より一市民だ。どうしようもない。

「そこで私の提案した、ヒーロー反対派対策委員会の設置ですが」
 ヒーロー学園関係者と外部の人間による特別委員会を設置しよう、とツクヨミは持ちかけ
ていた。
403潜入2 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/07(火) 20:13:40 ID:O1P9Qp+r
「あなたが委員会に入ってくださったらどうでしょう」
 シャイダーの皮肉だったが、ツクヨミは意にも介さぬ、といったようすだ。
「私は忙しいので」
 何を企んでいるのか、と教授たちはツクヨミから何か読み取ろうとするが、仮面の表情から
ではわからない。
 教授たちと超日警関係者は、学園の会議室へと入っていった。

 出迎えの生徒たちの中にナオコ、ユウト、ナミもいた。
 ナオコらは教師にも秘密に、独自に超日警とヒーロー反対派のことを調べている。

「あのツクヨミって奴が裏でなんかやってるのは間違いないんだけどなあ」
 ユウトはいまいましそうにつぶやく。
 ナオコは記憶のどこかに、ツクヨミという名がある気がしていた。
「ブラックスミスが、ツクヨミがなんとかって言ってた気がするんです」
 レオパルトにきけばわかるのかも知れないが、最近レオパルトはナオコに話しかけなかった。
 レオパルトは、力をなくしてしまったのかもしれない。

「おまえとかブラックスミスが入ってきたのも、無関係じゃないってことか。タイミングを
考えても、まあそうなのかな」
 ユウトはあごをさすり、背に生えた羽を少し動かした。
「セイジとモミジ、大丈夫かな」



 セイジとモミジの二人は、ヒーロー反対派の集会にまぎれこんで調査していた。
 ヒーロー学園から遠くない公園に、男女が集まっている。
 異様に高まる緊張感が、空気をいつもと違うものにしていた。
 若い女性もちらほら見られる。鉢巻きをしたり、プラカードを掲げたりして、ヒーローの害
を訴えていた。

 集団の中に、冷静そうに見える表情のセイジ、勝ち気そうな目でやや尖った口のモミジ
もいた。二人とも目立たない普段着だ。
 変身しなければ平凡な若い男女の姿なので、二人には向いている。
 設置された壇に男が立ち、ヒーロー排除を必死に訴える。

「ヒーローは雇用問題を悪化させ、治安を悪くした。ヒーローは子供たちに悪影響を与え、
環境を破壊し、動物たちが虐待されている。ヒーロー関連業界は汚職の総合商社だ!」
 ヒーロー反対派の男女は拳を挙げ、目に涙を浮かべて賛同した。
「NO HERO!」「NO HERO!」
404 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/07(火) 20:16:14 ID:O1P9Qp+r
今日はここまでで
ガジェットちょっとだけ使わせてもらおうかなと思ってます
今後の展開がだいたいどうなるかとか書いておいたほうがいいのかな
405創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 12:48:49 ID:IcG7Yqan
投下乙

展開は楽しみにとっといて欲しいな。

ところで先生の名前は変身前なの後なの?
406 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/08(水) 17:44:45 ID:aMwsD1bp
どうもです じゃあ今後の展開はいらないかな
書いてるうちに変わったりするし そういうことあるよね……
シャイダーは沢村というみたいだけどそれだと誰だかわからんので
では>>402-403の続きです
407 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/08(水) 17:47:49 ID:aMwsD1bp
「ひどい言われようだな」
 ぼやきつつも、セイジもまわりを真似て手を挙げる。
 人は増えて、公園には入り切らなくなった。
 ヒーロー反対派の行列が商店街を埋め尽くす。半分は冷やかしのじゃじゃ馬だったが、
それを引いても結構な数だ。
「ヒーローなんていらない!」「NO HERO!」

 大勢の叫び声が、少しずつ学園へと近づいていく。
 潜入してすでに情報を集めていたセイジとモミジは、行列から離れ、ヒーロー反対派が
密かに集まるという商店街の外れの店に向かった。
 見た目にはただの喫茶店だ。セイジがゆっくりドアを押し開ける。
 チャイムの音が鳴り、コーヒーのいい香りがセイジの鼻に届いた。

「いらっしゃいませ」
 カウンターの向こうにいる店主が、声を出した。客たちが振り返り、品定めするように
二人を眺める。
 緊張しながらも、セイジとモミジはカウンターに並んで座った。
「何にしますか」

 セイジは咳払いすると、ブレンドコーヒーを頼んだ。モミジはアメリカンを頼む。
 二人は携帯をいじるなどしながら、コーヒーを待つ。少しすると、コーヒーカップが二人
の前に置かれた。
 セイジとモミジは、コーヒーの香りと苦みを楽しんだ。

「ところでお客さん」
 店主の声には不吉な響きがある。セイジは思わず声を上ずらせた。
「はい?」
「誰かの紹介で来たんですか」
「いや……」
「そうですか。実はねえ、うちは会員制でねえ」
「え……」
「非会員や初来店は、まずフルーツパフェを注文するのがルールなんですよ」

「は、はあ、すんません、知らなかったんで」
 セイジは作り笑いし、頭に手を当てた。店主は凄味を見せる。
「何者だ?」
 すでに客が周りを取り囲んでいる。セイジとモミジはイスを蹴り、逃げようとした。
 が、足腰立たず、二人はふらついて床に倒れた。

「しまった……毒……」
 セイジはまぶたを落とし、意識を失った。
408潜入4 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/08(水) 17:51:04 ID:aMwsD1bp
 気が付くと、セイジは薄暗い場所にいた。ほこりっぽく、のどがやや痛む。身動きできない
ので見ると、縄で腕と足を縛られていた。
 となりにモミジが寝ている。
「おい、起きろ」
 セイジは体を揺すってモミジにぶつけた。

「う……何、ここどこ」
「倉庫らしいな。海が近い」
 セイジは波の音をきき取った。二人はもがくが、縄はきつく結ばれてほどけそうにない。
「ケータイも取られたな」
「変身できないじゃん……」
 絶望感にとらわれ、二人は床に体重を預けた。
 セイジの体に足音が伝わる。
 頭を上げると、二つの影が動いている。セイジは身を固くした。

「大丈夫ですか」
 セイジに顔を近付けるのは、理知的に見える顔をした若い男だ。
「おまえは……?」
「正義部機械科一年、トシゾウです」
 もう一人がモミジの縄をほどきにかかる。
「かたくてほどけませんね。ちょっと動かないでください」
 小太りの男は、右手からレーザーメスを光らせる。縄が切れて床に落ちた。

「僕は機械科二年ガジェット、高性能ロボット刑事です」
 帽子を取り、ガジェットは尖った頭を見せた。尖った先に球がついている。顔もマスコット
のようだ。
 セイジも縄を切ってもらうと、立ち上がった。

「おまえら、何でここに?」
「捜査ですよ、僕らは先輩と違ってシャイダー先生の指令で動いてますがね」
 トシゾウがさも迷惑そうに言う。後輩に叱られたようで、セイジとモミジは具合が悪い。
「携帯電話、取り返しておきました」
 トシゾウは青い携帯電話と黄色い携帯電話を差し出す。
 セイジは情けなさそうに受け取った。
「やっぱダメだ、俺は」
 ポケットに携帯電話を入れながら、セイジは頭を垂れた。

「そりゃ、こっちは銀河警察のサポートがありますから」
 さすがは高性能を自称するガジェット、先輩に気をつかう。
「さあ、逃げましょう」
 トシゾウは窓を指し示した。
 四人は窓から外へ飛び出した。港近くの海岸だ。波がテトラポッドを洗っている。
「でも、収穫も少しはあったんだ。ヒーロー反対派はベルトを仕入れてる。ガイスト社って
とこから」
 走りつつ、セイジはトシゾウにきかせた。ヒーロー反対派がヒーロー変身ベルトを仕入れ
ていたら、これはスキャンダルだ。
409 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/08(水) 17:53:52 ID:aMwsD1bp
タイトル付け忘れた407潜入3で
トシゾウも使ってみました
ではまたー
410創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 22:43:40 ID:3r1h3myV
大量投下乙です

トシゾウはギャバンのゼミで学んでるって設定だったんだから、
ギャバンの指示の方が自然な気がする。
細かい違和感でした。
ゼミ担任のギャバンは何してるんだろう。w

偽仮面ライダー路線でいくのかな。
イメージダウン作戦に期待
411創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 10:15:45 ID:5DBj/ytN
お互いさぐり合ってるのな。
もしかして反対グループは裏でよみがえりの儀式で蘇った誰かが操ってたりして。
先が読めないな。

ガジェットはナツミが開発してた戦闘ロボットGシリーズの最終携帯だったりしないだろうか。
(テロ組織とか犯罪組織にナツミが誘拐されないように機密事項になってるけど。)
412創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 14:07:15 ID:uM3HJJI2
学園祭の続きは?

ギャバンとシャイダーの確執も楽しみだな
413復活 ◆ccu2hP6PPA :2009/04/11(土) 22:07:18 ID:VoAk4+TY
オレの名はデルタ
一応こんな姿だけど精霊なんだぜ。

さて今日は相棒のユイが突然釣りに行くと言い出したので付いてきたわけだ。
まぁ付いてきたとはいっても、
精霊であるオレはいつもユイと一心同体なわけだから、半ば強制連行に等しい。

「釣れないなぁ。」

部屋から抜け出してどこへ行くのかと思ったら……。
それなら堂々とドアから出れば良かったと思うのだが。

『なあ、実体化して良いか?』

「駄目」

『何故だ?』

「騒がしいから。
 ユイは心静かに釣りをたのしみたいの。」

相変わらず暢気な相棒だ。
後輩に負けたことなんぞ気にしていないらしい。


「ルアーが悪いのかなぁ。」

普段はのんびりしてるのに、こと釣りとなるとせわしくなる

ちょっと場所変更だの
やれ竿やルアーの種類を変えるだの

『どうせならカラオケで騒がないか?』
414復活 ◆ccu2hP6PPA :2009/04/11(土) 22:09:54 ID:VoAk4+TY
「いや!!!」
(なんなんだこの間は。)
契約した当初は、こんな巨乳と契約出来たなんてラッキーと思っていたんだが
この相棒が独特な世界を持つ人物だということを知り、後悔するのに時間はそう掛からなかった。

ポチャン
「釣りは精神鍛錬にちょうど良いのだ。」
「ねぇ、キング〜、ジュリが居なくなったからつまんな〜い。」

向こう岸に居るのは、誰かと思えば悪部のカップルじゃないか。
パイプ椅子に腰掛けたキングの肩にはクイーンの頭が乗っかっている。
一瞬どこにバカップルかと思ったが、鍛錬の一環だったとはストイックな奴だ。
竿がプルプル震えているのは、けしてドキドキしているからじゃないよな。

『あ〜いうのやり取りしたくないのか?』
「誰とするの?」
(そりゃそうだ。)
こんな陰気くさい趣味の相棒には無駄な質問だったな。
そういえば、男の話など聞いた事が無いし、
もしかしてそっち系なのか?
415復活 ◆ccu2hP6PPA :2009/04/11(土) 22:23:57 ID:VoAk4+TY
「カップルかぁ……。」
相棒がフウーっと息を吐く。

「お姉ちゃん……、
 戦士に恋など必要ないとか言ってたのに、結婚しちゃったしなぁ。
 ユイもう1人ぼっちだよ。
 なっちゃんも居なくなって、ハルちゃんも遊んでくれないしさ。」

『どうしたんだ?』
「オトちゃん強いから、
 きっとツル先生もユイなんてもうどうでも良くなっちゃうんだろうなぁと思ったら
 なんか空しくなっちゃってさ。
 これからどうしようか?
 学生生活後3年半もあるんだよ?」

全然気がつかなかったけど……、意外と気にしてたんだな。
最近心の閉ざし方が上手くなったのか、たまに感情を読み取れないことが多いんだ。

一応これはたぶん成長してきた証拠だと思うのだが……。
上手く表現できないのがもどかしい。
(まぁそのうちなんとかなるか。)
416 ◆ccu2hP6PPA :2009/04/11(土) 22:25:26 ID:VoAk4+TY
>>411
ナツミどんだけ優秀なんですか。

ガジェット誰かSSとかマリリンと絡んだりとか、色々出来ないか…
417創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 23:25:15 ID:CTKE03vJ

デルタ初登場じゃね
418創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 08:24:20 ID:8VVuagNr
乙です
精霊視点新鮮だな ユイの趣味は釣りだったか
ハルカなんで忙しいんかな やっぱナツミ関係か
419 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/12(日) 14:34:23 ID:8VVuagNr
>>410ギャバンのほうがよかったかー ご指摘ありがとうです
把握が甘くてすんません
では>>407-408の続きちびちびと
420再会 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/12(日) 14:38:55 ID:8VVuagNr
 トシゾウとガジェットはうなずき合う。

「まさに僕らはそっち方面からアプローチしてここにたどりついたんです」
 ガジェットはコートの内側から、黒いベルト二つを出して見せた。
「ガイスト社からヒーロー反対派へ売られていたベルトです」
 なんだ、とセイジはうなだれた。何もかも後輩に先を越されていたようだ。

 四人の行く手に、数人の男女が立った。
「超日本警備社だ。窃盗はよくないな」
 黒い制服をまとい、黒いヘルメットをかぶった大男がセイジたちに近づく。

「……ゴウ!」
 セイジは苦しそうに名を呼んだ。かつての仲間、元ゴクブラックのゴウだ。
「ようセイジ。懲りずにまだ青やってるのか」
 ゴウのとなりには、同じ制服を着た、白い顔のレイもいる。
「盗んだものを出しなさい」
 レイは特殊警棒をガジェットに向けた。

「これは不正売買の証拠品です! だいたいこの島であんたたちに何の権限がありますか」
 ロボットのわりには感情的に、ガジェットは叫ぶ。
「現行犯逮捕は誰にでもできる。基本だろ、刑事さん。早く出せ」
 ゴウのほうがむしろ機械的だった。セイジは悲しみに瞳をうるませる。
「ゴウ……俺たち優秀なヒーローじゃなかったけど、正義の心は嘘じゃないだろ?」

「意外と熱い奴だったんだな。こっちは仕事だからよ。もう学生さんじゃないんだよ」
 ゴウも腰のホルダーから特殊警棒を取り、ガジェットに向けた。
「さあ、早くよこせ」
 ガジェットは右腕を変形させ、カノン形態にする。
 超日警の社員たちは恐れ、身構えた。

「だめですよ、ガジェットさん」
 トシゾウが先輩のロボットを止める。
「撃つのか? 俺たちは警備員、しがない市民だぞ」
「あんたたち、ヒーロー学園にいたんでしょう?」
 ガジェットは怒りのせいでオーバーヒート気味だ。
「ええ、学園には本当にいやな思いをさせられたわ」
 レイが特殊警棒を振って光らせる。

「あんたたちに渡すくらいなら!」
 ガジェットは二つのベルトを手にはさみ、おしつぶす。不快な音とともに、黒い破片が
落ちた。
「おい、証拠じゃないのかよ」
 セイジはガジェットの手につぶされたベルトを目にして、うろたえる。

「大丈夫、情報はデ……カストルに送られてます」
 トシゾウが、わざとゴウたちにきこえるように教える。
「あの一年のデ……結婚した奴か」
 目立つ生徒なので、セイジもうっすらとは記憶にある。
421 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/12(日) 14:46:53 ID:8VVuagNr
やべ 次の文章の一部消しちゃった
とりあえずここまでで
422創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 14:56:45 ID:0LtlUnwV
乙です。
ハルカはまだ変身出来ないのかな。
釣りが趣味って意外だ。
423魔女 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/12(日) 15:01:16 ID:8VVuagNr
「悪いな、そっちにも手は回ってるんだ」
 ゴウは内心安堵していた。不正ベルトが壊れて助かったのはヒーロー反対派であり、超日警だ。
「おとなしく、交番にきて」
 レイは手錠を手にした。
「それをかける気?」
 モミジは恐れたような目をする。レイは一瞬、人間らしい顔になった。
「かけたくないから、抵抗しないで」

「抵抗なんかしませんよ。僕は宇宙刑事の卵ですよ? すぐ解放されますよ、まったく」
 トシゾウはすすんで交番へ向かう。超日警が取り巻いた。
 セイジ、モミジも歩く。交番が近くなると、一般人が増えた。嫌でも見物される。
 セイジはみじめな気分を味わった。



 研究棟の一室で、カストルはキーボードをたたいていた。清潔感のある白い壁に囲まれて、
大きな体のカストルはたまにコーヒーカップを口に運ぶ。
 カストルが動くと、イスが苦しんで悲鳴をきかせた。

「ガジェット君は僕の倍ぐらい重いのに、何でイスが壊れたりしないのかなあ。今度調べ
させてもらおうかな」
 つぶやきつつ、カストルはベルトのデータを解析していた。
「どこかで見たことあるなあ、このベルト。確か……」
 カストルは脳内の記憶をあさる。
「姉さんの彼氏? の、コータさんの……グロウベルトだっけ?」

 不意に気配を感じ、カストルは太い体をねじって振り向いた。
 ワンピースをまとう、やや高い鼻の女が立っている。髪の黒色はやけに目を引く。

 カストルは太い指をほおにやった。
「どなたでしたっけ」
「はじめまして……正義部一年サトミよ」
「はあ、どうも」
 カストルは頭を下げながら、何をしにきたのかと不思議に思う。
「何か用ですか?」

 サトミの瞳が妖しく紫に光る。魅了の魔法だが、妖狐の王子カストルにそんな術は効かない。
「ちょっと忙しいので何もなければ」
 胸の中で舌打ちしつつ、サトミは口を開いた。
「実は……私……」
 サトミは突然、カストルに抱きつく。
「あなたのこと、好きだったの!」
「はあ? いや、すみませんけど、僕は……」
 困惑し、カストルはサトミの細い腕を振りほどこうとした。

「カストル……」
 よく知る声のするほうへ、カストルは顔を向ける。
 世にも恐ろしい気配を漂わせ、ジュリが仁王立ちしていた。
「あっ、ジュリさん、あのこれはね」
「浮気者、殺してやる!」
 研究棟に悲鳴と物音が響き渡る。
「ち、違うんだぁー……」
 カストルの絶叫もやがて消えた。

 サトミは一足先に部屋を抜け出していた。魔法でベルトのデータは抜き出している。
「ヒーローばっかり強くなっちゃ、魔法の出番がなくなっちゃうもんねえ。でも新婚さん
には悪いことしたかなあ」
 サトミは軽やかな足取りで研究棟をあとにした。

「ま、いっか。私、魔女だし」
424 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/12(日) 15:02:41 ID:8VVuagNr
ここまでで
サトミはヒーローちゃんねるのキャラ案からいただきました
ではー
425創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 21:22:13 ID:ivT+6o+7
トシゾウはどういうキャラ設定?
426創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 16:58:29 ID:0XIKz6na
エリートを鼻にかけたちょっとやな奴なイメージかな
WIKI更新少しやっときました 錯綜と混乱
ハルカは変身できなくなってたんだったな

自分で投下したぶんのキングの口調ちょっと直しときました
俺じゃなくて私だったね 失礼しました
427創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 13:04:03 ID:EAhPspB6
あらすじのまとめは次回テンプレートに入れるにしても、
そろそろスレ落ちそうだから
こっちにも貼ったら?
428創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 19:10:22 ID:IFV3SZlQ
ヒルト系のあらすじ

・ブラックホール精製時の事故により、算譜体(プログラム)ヒルト参上
・開発されていたカブトガニ型マシンボディに憑依する
・コピーされたプログラムからベロニカが分離*1
・ヒルト、身分を隠す為にハンニバルと学園に潜伏
・安定しない事故現場の放射線を取り除く為、副業でスカルマンを始める
・コータ、グロウベルトに寄生され生体兵器化するが、自覚無し
・アイ、姉妹2名が処分され、AIチップを引き継ぐ*2
・イルーゼ、監視役としてアイの面倒を見始める
・(本編ここから)
・ヒルト、試験官として雇われコータらと出会う
・ノブ、死なない兵士開発の謎を追う*3
・ヒルト、スカルマンとして老年ライダーに引退する切欠を作る*4
・クロノ、スカルマンに報復しようと意気込むも返り討ちに遭う
・コータ、グロウベルトにより完全生体兵器化、処分命令が下る
・ヒルト、コータを呼び出し、仲間に引き込む
・(本編ここまで)

(*1)ヒルト本体は時空や時間に影響されないプログラムなのでコピー可能
(*2)アイのAI、トライシステムは長女・服従回路、次女・悪魔回路、三女・良心回路
の三重人格で構成されており、有事の際に切り替わる
(*3)死なない兵士=コータ
(*4)クロノのヒーローIDは引退した老年ライダーから受け継いだ(イベント書き損ね)
429創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 19:12:07 ID:IFV3SZlQ
・ハイドがドクトル・マザーに拾われる。ハイドには記憶が無い。
・ハイドがエリカ、ヘレネ、クラマと会う。アンゴルモアのことを知る。
・ハイドたちは洞窟の奥で正義の生徒、古代のロボットと戦う。
・ハイドが記憶を取り戻す。タカノリがカイザと契約する。
・一年後、ハイドたち、タカノリたちは自治会に入っていた。
・セリーヌ含む宇宙刑事たちとヘレネ、クラマ、エリカ、タカノリ自治会の戦い。
・エリカとセリーヌの戦い。エリカは水の精霊ウンディーネと契約していた。
・エリカはラグーン族で、ラグーン族はアンゴルモアに滅ぼされた。
 ウルフル族に助けられ、兄シゲルとは別れている。
・エリカたちとキング、クイーン、オウ、ヒルトの試合。
 クイーンとジュリはコウジをめぐって因縁がある。
・オウが殺される。犯人はライダートール・コウジ?
・元セリーヌ・ハルカがオウから遺言とピアスを預かり、リョウコ・クイーンに渡す。
・ハルカがライダーマンゼミでライダーシャダイムになる。
 シャダイムがナツミのノートを取り返すため戦う。

・エリカがカブトゼクター、ヘレネがガタックゼクターをクイーンからもらう。
・学園祭で試合の予定。ヘレネが原田シンと試合。エリカはハルカと、クイーンはジュリ、
クラマはユイ、キングはコウジと試合予定。
・ハルカとユイ・デルタがロボットと戦う。
・ハルカとユイが歴代ライダーたちから特訓を受ける。
・ハイドとアンゴルモアの因縁。
・ハルカとユイの特訓が終わる。学園祭の交流試合へ。
・ヘレネ対原田シン。ヘレネ変身、勝利。
・エリカ対ハルカ。ハルカの攻撃に対しカブトゼクターが防衛反応。エリカ自動的に変身。
・カブトの攻撃に対し、エリカ・シャダイムがタイムライダーに二段階変身。
・ダメージを受けたエリカはカブトによって外へ出ていく。場外で試合はハルカの勝利。
・チェックメイトに囲まれたエリカをクラマが助ける。ラッキークローバーにエリカがとらわれる。
・クラマがタカアキたちを殺す。クラマは一族のため、アンゴルモアの飼い主パンドラに協力していた。
・ジュリとクイーンの試合中、エリカとユイをさらったことをアンゴルモアが知らせる。
430創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 19:14:51 ID:IFV3SZlQ
・クイーン、ヘレネ、ハイド、ジュリ、ハルカがエリカを助けにいく。
・ラッキークローバー・マナミとチェックメイトナンバー5ユウコ、カブトのエリカとユイを操る。ヘレネたちが戦う。
 ジュリがライダーアギトに変身。
・ジュリとリョウコ・クイーンの因縁。ジュリはリョウコに助けられたことがある。
・レジェンドルガとの戦い、クイーンがライダーサガに変身。
・ヘレネのガタックがハイパーガタックに。ユイ・デルタを助ける。
・シャダイムがユニコーンライダーになる。エリカのベルトを刺す。
・エリカのウィンディーとカブトが協力、ハイパーカブトになる。


・グリフォンレジェンドルガ去る。エリカたちは解放される。ヘレネはシンと付き合っている。
・リョウコはレジェンドルガともめ事を起こした罰を受ける。
・ナイト、ポーン、ルーク、ビショップに痛め付けられるリョウコ。
 オウを殺したのはビショップだった。
・タケシがビショップと戦い勝利。
・ハイドがルーク・ライオンファンガイアに勝利。

・ナツミはシャダイムのメンテナンスをしている。ユイを紹介される。
・研究棟に侵入者。アンゴルモアに殺されたナツミはクローンだった。
 タカアキを殺したのはクラマだとナツミは知っている。
・エリカたちがクイーンに会おうとキャッスルドランに。ナイトが立ちはだかる。
 冥府の女王コレーがあらわれる。ヘレネが倒れる。エリカがコレーに追い詰められる。
 カブトとガタックはコレーの知り合い。ヘレネの母レーダーもコレーの知り合い。
・レーダー登場。エリカ助かる。ハイドの父エンマ、ヘレネの父メネラーオス登場。
・リョウコの母シバが扉を開け、レーダーの案内でエリカは過去へ。母ポントスに会いに行く。
・研究棟に侵入していたクラマたちをユイたちが逃がしてしまう。
431創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 19:16:52 ID:IFV3SZlQ
WIKIにもあった気したけどいちおう貼ったよ
なんか秒数規制されてるな めんどいなあ
432 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/15(水) 17:03:20 ID:/VTUEtKh
では>>420>>423の続き
433襲撃 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/15(水) 17:06:01 ID:/VTUEtKh
 大ホールでは、ヒーロー学園代表と超日本警備社代表出席の記念式典が行われていた。
 ヒーロー反対派対策委員会の発足について、壇上で超日警代表がしゃべる。
 学園関係者や生徒たちの表情は複雑だ。

 対策委員会に選ばれた一人、キミドリも固く結んだ口を曲げていた。
 キミドリはツクヨミの推薦で、委員会のメンバーに入った。
 なぜ自分が、とキミドリはいぶかしむ。
 まわりから見ても、意外な人事だった。

 一通りのあいさつがおわると、立食パーティーが開催される。
 ナオコ、ユウト、ナミは入り口近くに立っていた。ツクヨミを監視していたが、特に変わった
点は見つけられない。

 長いテーブルに肉や魚や野菜果物、色とりどりの料理が盛られて美を競うようだ。
 テンドウという、このあたりでは有名なシェフが料理を作った。ルックスと堂々とした態度
で、女性からの人気も高い男だ。
 学園関係者、超日警関係者が表面上はなごやかに会食する。

 テンドウは不機嫌だ。
「あのツクヨミとかいう奴……」
「評判悪いそうですね」
 調理を手伝った悪部の女子エリカは、他人の食事へよりは自分の食事への興味が強い。
「評判なんてどうでもいい。さっきから俺の料理に手をつけてないじゃないか」
「あの仮面外さないからじゃないですか。よっぽど顔に自信ないのかなあ」
 などと言いつつエリカは口にエビのチリソースを入れる。

「許せん、一言言いにいってやる」
 周囲の制止に逆らい、テンドウはツクヨミに近づいた。
 何事か、と周囲が注目する。
 そのとき、別の場所から物音が響いた。見ると、大男が倒れている。

「キミドリさん!」「キミドリ、しっかりしろ!」
 キミドリが床に突っ伏して動かない。
 ギャバンがかがんで、倒れたキミドリを観察した。
「頭に傷があるな。誰か、ドクトル・マザーを呼べ、大至急だ」

 生徒、教師があわただしく走り回る。場の空気が一気に緊迫した。
「これは事件です!」
 真面目なリカが、宣言するように言う。機械科一年で、トシゾウとはライバル関係にある。
「宇宙刑事が捜査に当たります。みなさん、動かないでください」
434襲撃2 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/15(水) 17:09:29 ID:/VTUEtKh
「大変なことになりましたね」
 ツクヨミは白いローブを揺らし、キミドリに近寄る。
「ここはお任せください」
 さり気なく、シャイダーはツクヨミを現場に近付けさせないようにする。何かされない
とも限らない、とシャイダーは疑っていた。

「これだけの人がいる中での犯行、これは難事件です!」
 リカはやけに張り切り、険しい顔をした。
「監視カメラがあるだろう。連絡を」
 ギャバンは落ち着いたもので、周りに指示した。サポートのミミーが携帯電話をとり、
何やら話した。
 ミミーとギャバンが小声で話し合う。ギャバンはかぶりを振った。

「馬鹿な、信じられん」
「どうしました?」
 シャイダーがきくと、ギャバンは難しそうな顔をした。
「学園のメインコンピュータがごく短時間、ダウンしていたそうだ。今は復旧している」
「なんだって? じゃあ映像記録は……」
 面食らうシャイダーに、ギャバンは首を振った。周囲の学園関係者は驚きを隠さない。
 学園のメインコンピュータがダウンするなどとは、きいたことがない。

「ほんのわずかの間だったそうだ」
 ギャバンはうなるように言い、ひたいを押さえた。
 エリカが思いつき、しゃべりだした。
「ロボットが見てたら? その映像を解析すればいいじゃないですか」
「だめだ。学園のロボットは機械科生徒も含め、学園のメインコンピュータにつながって
いる。
 学園のメインコンピュータが落ちた少しの間、ロボットは機能不良を起こしていたはずだ」
 シャイダーはいまいましげにため息をついた。

 白衣のドクトル・マザーがやってきて、キミドリの手当てをする。
「頭を強打されてますね。命に別状ないとは思いますが、検査したほうがいいでしょう」
 マザーの指示で担架が運ばれてきた。
 ツクヨミが仮面の裏から声をきかせる。

「誰の目にもとまらなかったということは、犯人はヒーローの加速装置を使ったのでは
ないですか」
 素人が口出しするな、といいたそうにシャイダーが反論した。
「こんなところで加速装置を使ったら、空気抵抗が風を起こすし音速を超えれば衝撃波が
飛びます。すぐわかりますよ」
「加減すれば静かに、見つからずにできるのでは?」
「可能かも知れませんが、変身せずに加速装置やそれに似た能力を使える者は限られます」

「ここにはいるんですか?」
「まあ、何人かは……」
 シャイダーは見回し、数人と目を合わせる。
435 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/15(水) 17:10:19 ID:/VTUEtKh
ここまでで ではでは
436創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 21:17:51 ID:KJpfbqXb
投下乙
これって話題になってた会食会なんかややこしいな。
パラレルなのか
437創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 21:39:29 ID:/VTUEtKh
前に言われてた会食会とは別と思われます
パラレルかどうかは自分にも何とも
多少つながってるとおもしろいとは思う
438創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 14:28:24 ID:SqN6LTOr
ヒルトはもう出てこないんかなぁ。
スカルマン(ヒルト)とゴーストライダー(プルート)って遠い親戚かな?w
439創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 21:58:38 ID:mxNU7prV
クロスはちゃんと理解してからじゃないと難しいな
440 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/20(月) 19:25:03 ID:qR6cV7Ij
>>433-434の続き
441襲撃3 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/20(月) 19:28:46 ID:qR6cV7Ij
「そういえば、そこの女は縮地って技でルークをブン投げました」
 タイガーバズーカという生徒が、リカを鋭い爪のある指でさした。
「あ、あれは……」
 リカはうろたえて、何度も手を振る。
「それを使えば、犯行が可能なのですか」
 ツクヨミはシャイダーとギャバンの顔へ、交互に仮面を向ける。
 まずいことになった、と二人の宇宙刑事は険しい顔をした。

「失礼、悪部にサイコメトラーがいます。今呼んだのでもう来ます」
 再再再生蜘蛛男が、助け船を出した。
 ホールに小柄な男が入ってくる。
「ケンイチ君、頼むよ」
 蜘蛛男は毛むくじゃらの顔を縦に振った。

 ケンイチは手を緑色に光らせ、現場辺りにかざした。情報を読み取ろうとする。
「どうだね」
 ギャバンが祈るようにきいた。
「なんか……、変な念に邪魔されてわかりにくいっす。魔法っつうんっすかね」
 ケンイチは眉を下げて答える。
「魔法がサイコメトリーを妨害しているのか」
 再再再生蜘蛛男は大きな手を、虫の口近くに当てた。

「リカって魔女の島かどっかに研修に行ったんだったよな?」
 またタイガーバズーカが意地悪く言う。
「そ、それは……」
「でしゃばって出てきたのが怪しいぞ」
 タイガーバズーカは肩の砲口をリカに向けた。
「やめなさい、何の根拠もなく」
 蜘蛛男は砲身を押しやる。
「何の動機もないじゃないか」
「動機? あるんじゃないすか? 超日警は民間警察でしょ? 宇宙刑事からしたら邪魔なんじゃ
ないですか」

 そのとき、携帯電話の着信音が鳴り響いた。ミミーが電話をとる。
 小声での、ギャバンとミミーのやりとりがまた始まった。
「今度は何です」
 シャイダーがいらだたしそうに尋ねる。
「トシゾウ君が現行犯逮捕されて、交番へ連行されました」
 ギャバンは深刻な顔になる。宇宙刑事たちは頭を垂れた。
442襲撃4 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/20(月) 19:30:34 ID:qR6cV7Ij
「銀河警察はこの件から手を引いてみてはどうでしょう。わが超日本警備社に任せていただけ
ませんか」
 ツクヨミは優しい声で提案した。シャイダーは手を前にやる。
「せっかくですが、そういうわけには」
「では、共同捜査では? あらぬ疑いをかけられては損でしょう」
 ツクヨミに再度持ちかけられると、断りにくい空気になった。

「わかりました、協力して捜査に当たりましょう」
 観念して、ギャバンは受け入れる。
「これは挑戦です。ヒーロー学園と超日本警備社の友好をよく思わないやからのしわざで
しょう。力を合わせて、真実は必ず明らかにしましょう」
 超日本警備社の幹部たちは、力強くうなずく。

 ナオコたちは遠巻きに眺めるしかなかった。
「これも自作自演か?」
 ユウトはナミに小さな声できいた。
「でしょうけど、キミドリさんがヒーロー反対派ってことはありえませんよね」
 彼の性格上、まず考えられない。
「じゃあ、キミドリさんは被害者ですか」
 ナオコがいうと、ナミは真剣な目でうなずいた。
「にしても、どうやってキミドリさんを殴ったんだろうなあ。あったまくんなあ、くそっ」
 ユウトは何かを払うように、背の羽根を少し動かした。



 弱い雨が降る中央棟の裏庭に、ツクヨミは立った。
「見られたら面倒です。そのままききなさい」
「はい」と、透明なマタサブロウは雨を気にしながら返事した。
「私は殺せといったはずですよ。なぜキミドリを仕留めそこなったのです」
「いやあ、奴もヒーローの補佐ですし」
 マタサブロウの弱気な笑顔が見えるようだ。

「嫌いだと言っていたではないですか。チャンスをあげたのに! いまさら恐れているの
ですか?」
「そうではありませんけど、やっぱり殺しとなると、その……」
「学園のコンピュータを数分ダウンさせるのに、一体いくらかかったと思っているのです!」
 専門家を集め、多額の報酬、口止め料をツクヨミは裏で払っている。
「も、もうしわけない」
「私を裏切る気ではないでしょうね」
「ま、まさか」

「キミドリの穴はあなたが埋めるのです。あなたはヒーロー反対派対策委員会に入ります。
アオミさん、ゆくゆくはあなたを学園を仕切る立場にしてあげます。あなたも腹をくくり
なさい! もう引き返せないのですよ!」
 ツクヨミの声は若い女なのだが、その威圧は恐ろしさを感じさせる。
「は、はい」
 透明なマタサブロウが頭を下げると、雨水が数滴落ちた。
443創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 22:55:36 ID:RsIKhJV8
投下乙?
なんか複雑な展開だな
444創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 11:14:30 ID:rCL+1Jvg
ガジェットと正反対な存在が欲しいな
ガンギブソン的なの
445創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 13:55:01 ID:ZRrJcx76
ナツミは死んじゃうのかなぁ?
446 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/28(火) 16:08:16 ID:8sIFREHi
>>441-442の続き
447張り込み1 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/28(火) 16:12:13 ID:8sIFREHi
 近ごろ、世の中を騒がせているニュースはライダー窃盗団だ。
 不鮮明な映像で、ライダーと思われる黒い影をテレビはよく放映した。
 ニュースキャスターやコメンテーターは深刻そうな顔を作って、ライダー窃盗団を批判
する。

 ライダー窃盗団は仮面ライダーらしい集団で、金持ちの家や有名宝石店などを襲撃した。
 何しろライダーなので一般市民にはもちろん、警官にも手出しのしようがない。
 超日本警備社の警備員だけが頼りだった。

 今日も女子寮食堂のテレビは、ライダー窃盗団の話題に時間をさいていた。
 知識人と言われる出演者たちは画面の向こうで、ヒーロー学園が関与しているのでは
ないか、ヒーロー学園が悪い、と偉そうな態度で代わる代わる口を動かす。

「悪部の生徒じゃないよね?」「教師に無断でこんなことやらないよ」「悪部でも調べてる
けど出てこないみたい」
 女子生徒は食事をしながら、情報を交換し合った。

 ナオコはそんな女子の集まりから少し離れていた。
「やっぱり、例の不正ベルトでしょうか」
 モミジは指を口の辺りに当てる。
「そうだとすると、ヒーロー反対派のしわざよね」
「ガジェットが壊しちゃったからなあ」
 ナミは肩を下げ、息をついた。つられてモミジもため息をつく。
「デ……カストルもデータとられたっていうし」

「キミドリさんの襲撃事件もわかりませんしね」
 ナオコはひたいを押さえた。キミドリ襲撃については学園・宇宙刑事と超日警の合同捜査
が進められている。生徒に情報は降りてこない。
「もうどうしようもないのかなあ」
 彼女たちには冴えない日がつづいていた。

 メール着信音がして、ナミはポケットから携帯電話を取った。
「ユウトさんからだ」
 中身を見て、ナミは瞳を輝かせた。こんなときは何か事件だ、とナオコにはわかる。
448張り込み2 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/28(火) 16:14:44 ID:8sIFREHi
 夜空の下の風変わりに曲線でできた建物は、不気味にも見えた。
 ナオコはユウト、ナミと周囲を見回る。

「海が近いから夜だとさみいな」
 ユウトは背の羽根を風に揺らし、埋立地を歩く。海の向こう、島からはるばる渡って来た。
 ここは宝石展示会の会場だ。

 向かいから、男の影が二つやってくる。小太り体形のシルエットで誰だかわかる。
「ガジェット、どうだ」
 ユウトが声をかけると、尖った頭の先についた球が振られる。
「今のところは何も」
「本当に出るのか? ライダー窃盗団」
「僕の優秀なコンピュータによる計算では、まちがいありません」
「恥をかかされましたからね。リベンジしてやらなきゃ気が済みませんよ」
 一年のトシゾウは鼻息を荒くする。ガジェットとトシゾウは独自に得た情報をユウトたち
に流し、教師に無断で手柄を立てる計画に参加していた。

 ユウトの携帯が振動音をきかせた。
「セイジだ。出たかな」
 ナオコ、ナミはセイジとモミジが張り込む南側へと急いだ。
「先に行くぞ」
 ユウトは羽根を広げ、黒い空へと舞い上がっていった。白い羽がいくつか散る。

「僕も空を飛べるように改造してもらおうかなあ」
 ガジェットはユウトを見送りながら、つぶやいた。
 もう少しやせたほうがいいのでは、と言おうとしたが、ナオコは黙って走った。


 黒い集団を見つけ、ナオコは携帯電話をかざした。ストラップが光り、全身黒くなめらか
になり、顔はヒョウになって目が光る。
「変身!」と、隣を走るナミもライオンマスクになって、吠え声を闇夜に反響させた。

 ゴクブルー、ゴクイエローに変身したセイジとモミジがすでに倒れている。
 囲んでいるのは黒いベルトを腰に巻く、黒い仮面ライダーたちだった。

「セイジさん、モミジさん!」
 ナオコ、シュバルツェル・レオパルトは素早く駆けて、セイジとモミジを守る。
「一応、変身してるときはヒーローネームで呼ぼうね」
 ライオンの顔の武装したナミが、牙を見せて後輩にアドバイスした。
「あ、すいません」
 普段の名前で呼んだら、日常生活が危険にさらされる恐れもある。
449 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/28(火) 16:16:46 ID:8sIFREHi
今日はここまでで ではまたー
450創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 18:53:30 ID:nOM51IwM
ガジェットは現役警察官だから「私」とかの方が官僚っぽくない?
451創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 20:33:26 ID:8sIFREHi
本官とかねー まあぶっちゃけ自分が作ったキャラじゃないもので
真面目で感情的なやつだと思ってる
452 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/29(水) 13:12:39 ID:Xbq81EsO
>>447-448の続き
453捕り物1 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/29(水) 13:17:57 ID:Xbq81EsO
 トシゾウはフォックスになって、金属光沢で体を鈍く光らせた。
 ガジェットは右腕をビームカノンに変形させる。
「動くな、泥棒!」
 ガジェットの命令を無視し、黒いライダーたちは右へ左へ高速で飛び跳ねた。その姿は
カラスに似ている。

「いくわよーっ、サーブ!」
 空からユウトが白いバレーボールを打ち飛ばす。球はオーラをまとい、勢い良くライダー
を狙う。
 ライダーたちは動き回って、ボールをよけた。
 地に落ちると球はただのボールになって、むなしくバウンドする。

 ナミがボールを拾い、空のユウトへ投げた。
 スーツの裏でトシゾウ・フォックスがすきをうかがう。
「かなり速いですね」
 ライダーの手刀がナオコを襲った。間一髪、ナオコはチョップをよけ、後方へ跳ねる。

「仮面ライダーグロウのチープチョップに似ているそうです」
 カストルの通信を伝えつつ、フォックスはレーザーブレードの刃を美しく光らせた。
 ライダーは飛び上がり、フォックスに向かって一直線に降下する。ダブルライダーキック
どころではない、フォックスはレーザーブレードで闇夜を裂くも、蹴りを食らって吹っ飛んだ。
 フォックスもたいしたもので、斬り付けられたライダー二人が倒れる。

「フォックス! よくも!」
 ガジェットのビームカノンが火を吹いて、光線が放たれる。まぶしい光に撃たれ、ライダーが弾き飛ばされた。

 バッグを抱えたライダーが逃げようとした。ナオコの夜行性の目が見逃さない。
 爪がひらめくとバッグが切り裂かれる。色とりどりのまばゆい宝石が、あたりに散らばった。

「やっぱり泥棒か、待てールパーン!」
 ナミは銭形の物真似をしながら、パンチを繰り出す。
 大きな目の窃盗犯は風のような動きでかわし、仲間を抱えると走った。

「逃がすな!」
 高度を下げて追うユウトに、別の影が飛ぶ。ユウトはたたき落とされ、地面に激突した。
「ユウトさん!」
 あわててナミが駆け付ける。白い羽が舞う中で、ユウトは咳き込みつつ言った。
「馬鹿、いいから追え!」

 ライダーは次々増え、倒れた仲間を持ち上げて走る。
 トシゾウは光線銃を数発撃つが当たらず、ライダーたちは走り去っていった。
「逃げられましたか。数が多すぎましたね」
454捕り物2 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/29(水) 13:20:52 ID:Xbq81EsO
「怪我人もいるししょうがないよ。宝石を回収できただけでもよかった」
 ガジェットは右手を元に戻し、宝石を拾い集めた。
 ナオコも変身を解き、落ちた宝石を拾った。
 ナミ、ユウトは倒れているゴクブルーとゴクイエローを助け起こした。

 少しすると、足音がいくつか近づいてきた。警備員の制服を着ている。
「超日警だ」
 ナオコたちに近づき、超日本警備社の社員は高圧的に言った。年配の男の社員だ。

「おまえたち、ヒーロー学園の学生か。許可とってるのか」
「今頃来て何を偉そうに。宝石は僕たちが守りましたよ」
トシゾウは誇らしげに、宝石をさす。
 超日警の社員は、集められた宝石を懐中電灯で照らして確かめた。

「ご苦労。だが、これは全部じゃないな」
「えっ」
 何のことか、とナオコは声を上げ、目を大きくした。
「展示会の目玉、『ナイルなトトメスの涙』がない。たぶん窃盗団は二手に分かれていた
んだろう」

「あとから来た連中が持ってたのかもなあ」
 ユウトはいまいましそうにつぶやく。
 超日警の社員は不機嫌そうに命令した。
「とにかく、この件は超日警に任せろ」
「嫌ですね。銀河警察に報告し、本格的な捜査を要請します!」
 トシゾウは強い調子で譲ろうとしない。

「とりあえず、今は非公式な捜査なら、帰ってもらおうか。こっちは展示会主催者にも、
警察にも許可を得て捜査している」
 事務的に言われると、トシゾウも返しようがなかった。
 しかたなく、ナオコたちは島をめざして海岸へと足を運ぶ。

「僕たちが宝石を取り返したのに!」
 ガジェットはロボットのわりには怒りをあらわにし、頭から湯気を出した。
「まあいいじゃないですか。あとでギャバン先生に報告しましょう」

 今になって打撲が痛み、トシゾウは顔をゆがめた。
 海岸に停めておいたボートへと、ナオコたちは乗り込む。
 ユウトは羽根を広げて、島へと飛んでいった。
 島までは結構な距離がある。船は水しぶきを飛ばして、海の上を走った。
 ガジェットが進める船の上で、ナオコはうとうととまどろんだ。
455 ◆Omi/gSp4qg :2009/04/29(水) 13:22:26 ID:Xbq81EsO
今日はここまでです 次からラストに向かう予定です
456創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 14:26:59 ID:gXGMZdrY
投下乙です。
長く続いて欲しいな。
457創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 22:43:07 ID:qqNi4lyY
乙っす
458 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/03(日) 08:24:56 ID:HCBZ0MDz
ありがとうです
では>>453-454の続き
459包囲1 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/03(日) 08:28:53 ID:HCBZ0MDz
 ナオコらが宝石を取り返してから数日。昼過ぎ、何か騒がしいので、ナオコは目を覚ました。
 夜更かしして寝過ごしたが、ざわついた外からの雰囲気が彼女を駆り立てるようだ。
 高校時代の制服に着替え部屋を出て、ナオコは正義舎に向かった。

「あっいた、ナオコちゃん」
 呼び止められてナオコが振り向くと、ナミがいた。
「ナミさん。何かあったんですか」
「うん、外、行こう」
 ナミが小走りするので、ナオコも急いだ。


 校門あたりに人だかりができている。学園前にはかなりの人が集まっているようだ。
 超日本警備社の警備員らしい男女を、ナオコは見た。
 にらみ合っているのは、マスター・シャーフーやシロキら、学園の教職員だ。
 正義・悪の生徒もようすを見に集まっている。
 ユウトの白い翼を見つけて、ナオコとナミは駆け寄った。
「どうなってるんですか」
「ああ、なんかすげー人が来ててさ。学園のまわりが反対派に埋め尽くされてんのよ」
 ユウトも重い口調になった。
「えっ」とナオコは声を上げた。

「学園は超日警の捜査を受け入れるべきです」
 据えられた壇の上で、スピーカー越しにしゃべるのは、ツクヨミだ。
「ライダー窃盗団は学園関係者の可能性があります」
 そうだそうだ、と反対派の声がいくつも重なって響く。熱気がナオコたちにも伝わった。

「ひとまず反対派のかたは引き上げてもらえませんかな」
 マスター・シャーフーは髭をなでながら、弱ったようすで言う。
「疑いを晴らせばすむことだ」「ヒーローの秘密主義はおかしいぞ」
 反対派はいきり立って、今にも暴動を起こしそうだ。

 超日警の幹部社員が、シロキたちに申し込んだ。
「反対派はうちが押さえますがそれも限界です。超日警を学園に入れてくれませんか」
 シロキたちは口を結んで、答えない。狙いはわかっている。超日警を入れたが最後、『ナイルな
トトメスの涙』が学園内で見つかった、などと捏造事件を起こすに違いない。

「ヒーローは泥棒だ!」
「ヒーローは犯罪集団だ!」
 反対派がこぶしを振り上げ叫ぶ。生徒たちは怒り、反対派をにらみつけた。
460包囲2 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/03(日) 08:31:25 ID:HCBZ0MDz
「絶対に手を出してはいけないぞ」
 再再再生蜘蛛男が毛むくじゃらの手をやり、教え子たちを制止する。
「ヒーロー学園は運営体制を変えてはどうでしょう」
 壇上で、ツクヨミがスピーカーから声を響かせた。
「今後はヒーロー反対派対策委員会を軸に、学園を一般に開放する方向で運営してはどうで
しょう」
 群衆が応じて拍手する。大気が揺れるようだ。

「学園が乗っ取られますよ」
 再再再生蜘蛛男はシロキにささやく。
「ヒーロー反対派対策委員会は結局、ツクヨミの部下みたいなものですからね」
 シロキも不安そうな顔で、ひたいを押さえた。
 いちおう超日警が反対派の侵入を止めてはいるが、いつまでも持ちそうにない。


 タケシ・キングは道場を出て、校庭へと向かった。黒と赤のダークキバに変身する。
「キング、どうしても行くのですか」
 ルークが神妙な面持ちで声をかける。
「これ以上の暴挙、ファンガイアの王として、一人のライダーとして、見過ごすわけには行かない」
「じゃあ、俺たちも行きます」
 悪部の生徒たちが我も我もと意気込んだ。
 キングは首を振る。
「悪部が総出したら、正義部との全面戦争になってしまう。私はすでに退学届けを提出して
いる。いまや学園とは関係ない」

 王の決意に、悪部の生徒は涙した。
「決して戦うな。おまえたちはこれからの悪部を支えなくてはならない」
 言い残し、歩いていくダークキバの背中に、ルークたちは深く頭を下げた。
 壁に寄り掛かって、ハイドが腕組みしていた。
「見送りに来てくれたか」
 ダークキバは意外に思う。
「いや、見送りではない」
 壁から背を離すと、ハイドも校庭に向かった。
「我輩も退学届けを出した」
「なんだって? おまえはアンゴルモアとしか戦わないんじゃなかったのか」
 驚いたキングは声を大きくする。ハイドは他人事のような顔だ。

「ちょっと気が変わったのでな」
「私に付き合うことはないぞ」
「別にそうではない。たまたま退学届けを出したくなって、出したら偶然こんなときに
重なったまで」
「ハイド……」
 キングの熱い友情をやや暑苦しく感じ、ハイドは早歩きした。
461 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/03(日) 08:32:58 ID:HCBZ0MDz
今日はここまでで
またちょっとキャラ使わせてもらいます すいませんね
ではではー
462創る名無しに見る名無し:2009/05/03(日) 21:10:59 ID:vcryzCj3
乙〜
ただ退学届はどうなんだ?
相談とかしてるなら良いけど。
463 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/03(日) 22:35:56 ID:HCBZ0MDz
すみませんでした
先に言っておくと退学しません
ヒーローちゃんねるのスレとかで言っときゃよかったですね
まあ半分パラレルと思ってください
464 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/04(月) 09:24:30 ID:A8frfpPu
では>>459-460の続き
465友情1 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/04(月) 09:28:25 ID:A8frfpPu
 校庭に二人の男が立つ。
「王の務め、私が相手だ!」
 ザンバットソードが光り輝く。ハイドも大鎌を構えた。
「おまえたちに判決を言い渡す。死だ!」

「馬鹿な真似はやめなさい」
 再再再生蜘蛛男が止めるが、キングとハイドはひかない。
「すでに退学届けを出しています。もはや私たちは一介のヒーロー」
「好きにさせてもらうぞ」
 教師の制止を無視し、キングとハイドは超日警に向かう。
「大変なことになりましたね」
 シロキがまゆをせばめる。
「彼らは間に合わんか……」
 再再再生蜘蛛男は祈るような気持ちで、天を見上げた。
 蜘蛛男にはいちおう、切り札があるにはあった。が、いまひとつ頼りない切り札であり、
蜘蛛男の大きな目は憂いの色に染まっていた。

「市民に手を出すつもりですか?」
 待ってましたといわんばかりに、ツクヨミはスピーカーを正義部の側に向けた。
「日頃正義を振りかざすヒーローの皆さん、当然市民を守るのでしょうね?」
「そうだそうだ!」「いつも偉そうにしてるんだから悪と戦え!」
 群衆が正義の側に向かって、強く求める。
「あいつら文句ばっか言いやがって、今度は助けろだあ?」
 ユウトは翼を動かし、怒りをあらわす。
「ふざけやがって!」
「どうしましょうか」
 ナオコがナミとユウトにきいたとき、長身の男が人垣を押しのけた。コウジだ。あとに
牧師風の男と、忍者のような格好の男がつづく。

「コウジ……とうとうおまえと決着をつけるときが来たか」
 キングは剣を油断なく構える。コウジは微笑すると、さり気ないしぐさで変身した。
「それがそうもいかないらしくてな」
「何?」
 キング・ダークキバは不思議そうにする。ヨハネもサリエルに変身した。
「わいらも退学届け出してきましてん」
「力を添えさせていただくでござる」
 タルタロスが頭を下げた。ハイドの弟だ。
「コウジ……! おまえはただの女たらしの馬鹿だと思っていたが……」
 キングは感動に身をふるわせる。
「うるせえ、気持ちわりいからそう思ってろ。たまたま退学したくなっただけだ」
 コウジ・ライダートールが剣を抜く。電流が走って周囲を照らした。
466友情2 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/04(月) 09:32:02 ID:A8frfpPu
 悪部の側からはリョウコ、ヘレネ、エリカ、プルートが、正義部の側からはジュリ、カストル、
ネロ、ユイ、ミユキがやってくる。
「私たちもたまたま退学届けを出してみたよ」
 リョウコ・クイーンがキングに笑いかける。
「いやあ、偶然というものはあるんじゃのう」
 ヘレネはわざとらしくうなずいた。
「お、おまえたち……うおおーっ!」
 キングは感極まって叫び声を上げる。
「学園に入ってヨカッター!」
 若干うっとうしく感じ、周りのヒーローは苦笑いした。

「おまえらまで辞めたら、父上母上に会わす顔がないではないか」
 タルタロスとプルートに、ハイドがやや渋い顔で言う。
「どうせ拙者たちは一年、入りなおせばいいでござる。そしたら来年から兄上とは同級生で
ござる」
「そうそう」
「おお、それはいい」
 プルートとネロが喜び合った。
 うーむ、とうなり、ハイドは少し後悔する。

「おまえまで辞めることはないんだぞ、カストル」
 ジュリがカストルをたしなめるように言った。
「ジュリさんがいなくなったら、学園にいる意味がないですよ!」
 カストルの太い体は、喜びと幸せに満ちあふれているかのようだ。
 ヘレネは首を振り、ため息をつく。
「妖狐ともあろう者が人間の女にたぶらかされおって、情けない」

「ミユキ女史、あんたもう卒業っしょ。就職断られますよ」
 心配半分呆れ半分で、コウジ・トールがきいた。
「就職なんて私ならいつでもできるわさ。一番大事なもの、それはヒーローの魂だわさ!」
 上級生のミユキが言い切ると、キング・ダークキバは頭を深く垂れた。
「さあ、あんな連中敵じゃないわさ。一歩たりとも学園に入れるんじゃないだわさ!」
 おう、とヒーローたちが超日本警備社の社員たちへと向かって歩きだした。
「私は見てるー」と、エリカは手を振って見送る。

「ヒーローが市民に手を出そうとしていますよ! 正義の皆さん、止めるんですよね?」
 壇上のツクヨミはどこかうれしそうでもある。ヒーローが公衆の面前で市民を傷つければ
まさに好都合、正義部の生徒と戦うならそれもよし、ツクヨミにとって勝利は確定していた。
467 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/04(月) 09:34:55 ID:A8frfpPu
とりあえずここまで
刑事ドラマで手帳と拳銃置いて出ていく感じのお約束な
そんな感じですんで辞めることにはなりません ご安心をー
468創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 10:40:47 ID:z72EU7TH
投下乙
パラレル良いね。
そろそろ四時限目のスレタイでも考えますか。


新規の書き手さんも来ないかな。
ガジェットの物語が読みたい。
469 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/05(火) 09:11:08 ID:iPi9Quoj
前スレ埋めたほうがいいかねえ
では>>465-466の続き
470爆発寸前1 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/05(火) 09:13:52 ID:iPi9Quoj
「しかたがない……市民を守るのがヒーロー。やるしかないぞ」
 マスター・シャーフーが正義部の生徒に呼び掛けた。
「市民のため、戦いましょう」
 リカが光線銃を手にし、ダークキバたちの前へと走った。それを見て、トシゾウも銃を
とった。
「リカさんがやるならやりますか……」
 とはいえ、さすがに気が乗らない。勝てるわけがない上に、向こうが正しいようにトシゾウ
には見える。

 正義部バイオ科一年のミキとミカも、リカにつづいてダークキバたちの前に立つ。この二人
はオルフェノクだ。
「コウジさんやめちゃうんですかぁー、ショックですぅ」
 ミキは涙声を出す。
「よお、ミキ、ミカ。おまえらもこっち来いよ」
 コウジに誘われ、ミキは迷ってミカを見た。ミカは怒って友を叱る。
「正義部に入ったんだから、らしくしなさいよ」
「でもぉ」「しゃきっとしなさい」「だってぇ」「だってじゃない!」

「なんだあの子たちは」
 シャーフーは調子が狂ったようで、髭を下げた。
「あれでいいんです。時間稼ぎです」
 蜘蛛男が小声で伝える。
「何かあるのですかな?」
 シャーフーにきかれ、蜘蛛男はうなずいた。
「ええ、いちおう……しかし、間に合わないかも」

「ええい、もういい」
 キングがザンバットソードをミキ、ミカに向ける。剣の輝きに二人はふるえ上がった。
 正義部側からブルーベリーが飛ぶ。ガジェットも走った。アカネも駆け付け、ヤゴ女に
変身する。
「やるしかないか」
 ユウトも観念し、翼を広げた。
「でも、絶対勝てませんよね」
 ナミが声をふるわせた。彼らはダークキバ一人にまったくかなわなかったのだ。

「それでもやるしかない。ヒーローだからな」
 あきらめに似た決意を固め、ユウトは羽を大きく広げて舞い上がる。
 ナミも変身してライオンの顔になると、あとにつづいた。
 ナオコは携帯電話のストラップを握り、そのまま駆けた。

 退学を決めたキングたちと、正義部の生徒たちが対峙する。
 彼らの間に風が吹き抜け、砂ぼこりを巻き上げた。
 空気は張り詰め、一触即発かというとき、辺りが不意に暗くなる。
 何事かと、生徒たちは頭を動かしてあちこち見回した。
471爆発寸前2 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/05(火) 09:16:54 ID:iPi9Quoj
 地が揺れ、重い音が響き渡った。大きなゴリラ型のロボットが立っている。

「源内八式ですか?」
 頭まで六メートル以上はありそうだが、太い腕に短い足といった形は、ナオコが簡易
入学試験で戦ったロボット、源内八式だ。
「いや、源内シリーズですが八式じゃないです」
 ガジェットが教えた。
 生徒たちが見守るなか、鈍く光るゴリラ型ロボットは、口を大きく開けた。
 バルコニーのようなものが口からせり出してくる。一組の男女が立っていた。
 設置されたマイクから拾われた声が、ロボットの肩からよく響く。

「花も実もない砂漠なら!」
「咲かせてみせます悪の華!」
「べらぼーブラボーベラドンナ一味の女ボス、ベラージョ様とは私のことだよっ!」
「ヒーロー学園女子生徒のみなさーん、べらぼー天才カラッカスよーん」
 顔にペルソナを付けた女と、とがった鼻のやせた男がポーズを取る。

 生徒たちが落胆して肩を落とした。
「留年組の馬鹿かよ」
 そんな声がどこかから漏れきこえてきた。
「誰ですか?」
 ナオコはユウトにきいたが、ユウトは頭に手をやる。
「誰だっけなあ?」

 生徒たちの低いテンションに、カラッカスは思わず愚痴る。
「なんだよ、せっかくみやげがあるのに。あーあ、もうやめようかな、やんなっちゃったな」
 見た目は五歳児程度のブルーベリーが、風呂敷のようなマントをひるがえし飛び上がった。
「マスター・カラッカス、何かあるのデスカ?」
「あるけどなー、こんな空気じゃなー、どうしようかな」
 すっかりふてくされたカラッカスは、生徒たちに背を向けつぶやき続けた。
「もっとこう、満を持しての最終兵器的な登場のつもりだったんだけどなー。なんだろうな、
この感じは。あーあ」

「カラッカス、いいからはやくしなさい」
 地上で蜘蛛男がせかす。
「へいへい、しょうがないな。じゃあいくぞ、今週の山場ー!」
 カラッカスがリモコンを取り出し操作する。ロボットの腹が開き、板が出てきた。

 板の上には少女の影が一つあった。二つの赤い瞳か輝いている。
472 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/05(火) 09:19:09 ID:iPi9Quoj
ここまでで ではでは
473 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/06(水) 09:34:34 ID:Uzpi/cFK
>>470-471の続き
474逆転イッパツ!1 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/06(水) 09:37:17 ID:Uzpi/cFK
「アイですよ」
 赤い瞳の少女が手を上げ、おじぎした。
「あっ、アイちゃーん」
 ガジェットは尖った頭から湯気を出して、アイに手を振る。
「あれは誰ですか」
 ナオコがまたきくと、リカが答えた。
「アイさん、機械科の生徒さんです」

「さっきから一体、何をしているのですか」
 いらだつツクヨミが、スピーカーから声を投げかける。
「きけ、詐欺野郎。このアイちゃんはこう見えてアンドロイドなんだがな、キミドリさん襲撃
の現場を目撃していたんだよ!」
 カラッカスのケンカ口調に、ベラージョが付け加える。
「記録映像があるんだよ、このトントンチキ!」
 ヒーロー反対派の群衆がざわついた。キミドリ襲撃は銀河警察と超日警が合同捜査している
が、いっこうに解決のメドは立っていない。

「嘘です! そのとき学園のメインコンピュータがダウンしていて、学園のロボットはデータ
を残していないはず!」
 ツクヨミはその場をしずめようと、大声を発した。
「ところが、このアイちゃんだけはどういうわけかメインコンピュータから切り離されて
独立してたのだ!
 このことに気づいたのが天才のこの俺ってわけだ」
 ロボットの足元で、悪部一年のケンイチが不満そうにした。
「俺がサイコメトリーで見つけたのになあ」
 サイコメトラー・ケンイチは現場を丹念にサイコメトリーし続け、アイをつきとめたの
だった。

「んで俺が自腹切って、アイちゃんに金払って買った視覚データがこれだ!」
 カラッカスのリモコン操作で、ロボットの目から光が出て空間に映像が浮かび上がる。
 映像は立食パーティーだ。エリカが何かを大量に食っている。
「やだ! ちょっと止めて!」
 見上げるエリカは手を必死に振った。
 場面は変わり、キミドリが見えない何かに後頭部を打たれる。
 パーティー会場は大騒ぎだ。

「だ、誰も見えないではないですか」
 仮面をかぶるツクヨミの動揺は、隠せていない。
「そう、だがアイちゃんにはサーモグラフ機能、電磁波視覚化機能などなどがついている。
それらを解析した映像がこれだ!」
 映像はいったん消えた。今度は不鮮明な白黒の映像が浮かび上がった。
 不鮮明なエリカが何かを大量に食べる。
475逆転イッパツ!2 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/06(水) 09:40:35 ID:Uzpi/cFK
「何でここから流すの、やめてよ!」
 手を振るエリカをヘレネがおさえる。
「食い意地張るのが悪いのじゃ、少し懲りんか」
 続いて、映像は不鮮明な人物を映し出した。その人物が、棒でキミドリを殴り付ける。
「こんな映像ではこの男が誰かわからないでしょう」
 ツクヨミはスピーカーを使って文句を付ける。

「ところが、宇宙刑事がご苦労にも輪郭と動きを学園のコンピュータにかけて、全教職員
全生徒と照合したんだそーだ」
 カラッカスがやり返し、ベラージョも勝ち誇って口を動かした。
「そしたらアオミマタサブロウと一致したってさ!」
「アオミさんは、おまえがヒーロー反対派対策委員に指名したんだよな!」
 カラッカスが壇上のツクヨミを指さすと、群衆はまたどよめいた。

「黙りなさい! 陰謀です! ひどい捏造です! あんな映像はインチキの作り物です!」
 仮面をかぶっていても、ツクヨミの焦りと激怒がよくわかる。
「作り物かどうか、世界中の専門家にきいてみたらどうだ? この映像はもうネット配信して
アクセス百万件突破したぞ!」
 カラッカスはあざけって舌を出す。ヒーローたちが揚げる喜びの声が高まって、校舎も
揺らすようだ。
「うるさい! みなさん、私を陥れようとする罠です! きいてはいけません!」
 ツクヨミは必死に呼び掛けた。ヒーロー反対派はどうすべきか迷い、どよめき続けた。

「もうアオミは宇宙刑事につかまって、今頃ゲロ吐いてるよ!」
 ベラージョがとどめをさすようにいったとき、空を何かが飛んできた。
 ギャバンのサイバリアンと、シャイダーのブルホークだ。宙に浮かぶブルホークは、ロープ
でやせた男を吊り下げている。
 吊られているのは、縛られたアオミ・マタサブロウだ。

「さあアオミ、全部しゃべってもらおう」
 ギャバンはマイクをアオミの口に近付ける。
「言います、全部言います。全てはツクヨミの計画だったんです。あいつに命令されて、私は
キミドリを殴ったんです」
「嘘です、無理矢理言わせているのです! あんなのは拷問です」
 ツクヨミは叫び声に近い声で、非難した。

 シャイダーが落ち着いた態度でツクヨミにきく。
「解析後の映像を見たとき、あなたは『この男が誰かわからない』と言った。だが、あの映像
では犯人が男かどうかもわからなかったはずでは? 実際、私たちは男女全ての学園関係者と
照合したんだが?」
476 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/06(水) 09:42:14 ID:Uzpi/cFK
ここまで ではではー
477創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 16:46:50 ID:kx+nykjU
クライマックスかな?

次回作は予定あるの?
478創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 19:31:19 ID:Uzpi/cFK
ありがとうです
もう少しで終わる予定
次回作はまったく考えてません
ネタができたらまた書かせていただきたいものです
479 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/10(日) 10:45:50 ID:lMzU5axV
>>474-475の続き
480決戦1 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/10(日) 10:52:32 ID:lMzU5axV
 辺りが静まり、群衆はツクヨミの返答を待つ。
「だ、黙りなさい! 屁理屈です! アオミ氏を尋問にかけ、私を陥れる策謀です」
「だそうだが?」
 ギャバンはまたアオミにマイクを向けた。アオミは足を動かし、吊られた体を揺らす。

「違う、私はもうあんな奴の下で働くのが嫌になったんだ。あいつはキミドリを殺せといった、
だが私はできなかった! 私だって一度はヒーローをめざしたんだ! きいてくれ、ライダー
窃盗団はツクヨミが不正に買ったベルトで……」

 銃声が反響した。
 静寂が訪れる。
 アオミはぐったりとして動かなくなり、口から血を垂らした。
 ツクヨミは、煙を漂わす拳銃を握っていた。

 ヒーロー反対派の群衆が、悲鳴を上げる。
「終わりだ! 何もかも終わりだ!」
 ツクヨミはスピーカーを壇に叩き付けた。嫌な音が人々の耳に伝わる。
 ヒーロー反対派の男女は逃げ惑い、ぶつかり合い、泣き叫んだ。

「ツクヨミ! あんた、なんてことを!」
 赤い髪の生徒が飛び出した。元ゴクレッド・ツヨシだ。
「ツヨシ……」
 正義部の生徒の間で、元ゴクブルー・セイジがつぶやいた。
「クズどもめ、もう少しだったのに……!」
 ツクヨミは手を揚げ、念力を広げた。

「マインド・コントロール!」
 超能力の波動が広がり、一帯に伝わる。超日警の警備員たちが、目をうつろにさせた。
 ぼんやりとした顔でバックルを取り、警備員はベルトを腰に巻く。
「変身……」
 元ゴクレンジャーのゴウ、レイも操られて変身した。
 黒いライダーたちが居並ぶ。

「なんだ、超日本警備社の連中がライダー窃盗団だったんですか」
 驚きあきれ、トシゾウは声を大きくした。ライダー窃盗団が捕まらないはずだ。
「ゆけ、ライダークロウたちよ! 学園を占拠しなさい!」
 黒いライダーたちはすばやく動き回り、キングたちにせまる。校庭が砂煙に包まれた。
「よし、これなら遠慮なく戦えるな!」
 キング・ダークキバはザンバットソードを手に、ライダーの群れへと突っ込む。
 コウジたちもあとにつづいて飛び込んだ。

「私たちも行きましょう。殖装!」
 リカはマリリンになって、光線銃を手にした。
481決戦2 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/10(日) 10:55:43 ID:lMzU5axV
「やっとわかりやすく戦えるね!」
 ガジェットはうれしそうに右手をレーザーブレードへと変形させた。
 トシゾウもフォックスになってレーザーブレードを構える。

 バイクの音が近づき、一人のライダーがさっそうと地に立った。
「僕は仮面ライダーグロウ!」
 ライダーグロウ・コータがポーズを決める。
「こいつらは僕を実験台にして作られた廉価版量産型ライダーなんだ。いわば僕のクローン、
僕が始末する!」
「おおコータ先輩、かっこいいぞ」
 ヘレネが声援を送ると、いやあー、とコータは照れて頭に手を当てた。
 男子生徒たちの嫉妬の視線が、コータに突き刺さる。

 ライダーたちはさすがに手強いが、それでもキング、ハイド、コウジが暴れ回ると斬られ
焼かれて、次々倒れる。
 コータも参戦し、黒いライダーを蹴り飛ばした。
「ライダークロウだけではありませんよ」
 白いローブをひるがえし、ツクヨミはマインド・コントロールを発揮する。
 ヒーロー反対派の特に過激な者たちがうめき、苦しんだ。
 反対派の男女は体の形を変えていく。ツヨシも苦しみ、姿を狼人間に変えた。

「改造宇宙ビールスによるサイキック怪人たちです! やれ、学園を奪い取るのです!」
 虎や熊、ワニなど半分獣になったヒーロー反対派が、校庭を走る。吠え声がうるさく重なった。
 サリエル、タルタロスが剣を光らせ、怪人たちをなぎ倒す。
 ジュリもアギトになって拳を振るう。クイーンもサガと化し、ヘレネもガタックとなり
ライダークロウや怪人を突き、蹴り、眠らせた。
 ミユキは手足を伸ばし、見えない速度で走り回り、次また次とライダー、怪人を地に
沈める。ミユキの手足が伸縮みするたびに、動物と人間の合いの子みたいな怪物が殴られ
蹴られ、叫んでは倒れる。
 砂ぼこりのなかに悲鳴がいくつもとどろいた。

「さあもういいぞ、生徒たち、敵ははっきりした! おおいに戦いなさい!」
 マスター・シャーフーが呼び掛ける。悪部からルークたちが応じて駆けた。
「よっしゃあ、キング! 加勢します!」
 ライオンファンガイアのルークがライダークロウに飛びかかる。
「アイもやるですよ。デン・ジ・エーンド!」
 交差したアイの腕から光線が飛び、爆発が起きてライダーたちが吹っ飛んだ。
482 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/10(日) 10:57:23 ID:lMzU5axV
ここまでで ではではー
483創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 21:59:21 ID:kpchIPgq
投下乙
次は反対派のスパイの話しをリクエストしたい
484創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 16:05:36 ID:qpWJnPWR
反対派の話を別の角度から掘り下げて書いてみると面白いかも?
全貌がいまいちわからん。
485創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 21:13:53 ID:pZTFt9Li
ありがとうです
この話はもうすぐ終わりますが反対派がらみの話いずれ書けたら書きたいです
では>>480-481の続き
486再生戦隊1 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/11(月) 21:18:31 ID:pZTFt9Li
 マインド・コントロールの力に抵抗し、ツヨシはうずくまって苦しんでいた。
「ツヨシ……」
 赤い毛の狼は、かつての仲間を目に入れた。
「セ、セイジ……」
「この馬鹿が!」
 セイジは思い切りツヨシの狼の頭を殴った。
「うう……」
「この馬鹿が! 馬鹿野郎、馬鹿野郎!」
 セイジは何度もツヨシを殴り付けた。

 誰かにやられて変身を解いたゴウとレイが、セイジに近づいた。モミジも駆け付ける。
「おまえもだ、馬鹿が! 馬鹿野郎、馬鹿野郎!」
 ゴウを見つけると、セイジは何度も殴る。
 モミジも平手でレイの横っ面をはたいた。レイの白いほおが赤くなる。
 変身を解き、人間の姿に戻ったツヨシは、涙を何粒も落として地面をしめらせた。
「す、すまねえ……」
「……俺を殴れ」
 セイジの言葉に、ツヨシは泣き顔を上げた。

「俺が悪かったんだ。俺が、チャラチャラして真面目にやんなかったから……」
「セイジ……」
 ツヨシは鼻をすすると、立ち上がった。
「そうだね……私も悪かったわ」
 モミジは涙をためた目でレイにほおを向けた。
「そうだ、おまえが悪いんだ、適当にやりやがって!」
 ツヨシが力を込めてセイジを殴る。
「おまえのせいで俺は悪部に行ったんだ、おまえがちゃんとしねーから! くそっ!」
 ツヨシは何度もセイジを殴った。
「俺もだ、おまえらがいい加減だから学園やめたんだ!」
 ゴウの大きな拳がセイジを殴り付けた。
 レイもモミジのほおを強くたたいた。

「いてえよ! そんなに殴るな!」
「うるせー! おまえも殴ったじゃねーか」
 セイジ、ツヨシは怒鳴り合い、笑い合った。それから五人は泣き合った。
 マスター・シャーフーが歩み寄り、髭をなでてうなずいた。
「遠回りしたのう。それもよい、遠回りのなかに修業ありじゃ」
「マスター・シャーフー……」

 また涙する五人に、大きな体が近づいた。
「セイジさん、モミジさん。よかったら使ってください」
 カストルが黒いバックルを見せた。
「ガジェットさんが壊したのを直して改造してみました。クロウカスタムです」
 セイジとモミジはうなずき合い、バックルを手にした。
487再生戦隊2 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/11(月) 21:21:27 ID:pZTFt9Li
 セイジはポケットから赤い携帯電話を取り出す。
「ほらよ、ツヨシ」
「俺が赤でいいのか……」
「いいから、早くしろ」
 セイジにうながされ、ツヨシは力強く赤い携帯電話を受け取った。
 ゴウもセイジから黒い携帯電話を受け取り、レイはモミジから白い携帯電話を受け取る。
「行くぞ!」
 五人は力を高めてポーズをとった。

「変身! フォッケヴルフ!」
 ツヨシは赤い毛色の狼怪人へと変身する。さらに狼は赤い携帯電話をかざした。
「二段階変身! ゴクレッド!」
 ツヨシ・フォッケヴルフはゴクレッドへとさらなる変身をとげた。
「変身! 仮面ライダークロウカスタム!」
 セイジはクロウカスタムに変身し、青い携帯電話をかざした。
「二段階変身! ゴクブルー!」
 クロウカスタムはゴクブルーへと変身する。同じようにモミジもクロウカスタムベルト
を装着した。
「変身! クロウカスタム! 二段階変身! ゴクイエロー!」
モミジはゴクイエローへと変身した。ゴウ、レイもそれぞれクロウベルトを腰に巻き、ポーズ
を取る。
「変身! 仮面ライダークロウ! 二段階変身! ゴクブラック!」
「変身! 仮面ライダークロウ! 二段階変身! ゴクホワイト!」

「五人そろってゴクレンジャー!」
 それぞれ五色のスーツに身を包む、五人のヒーローが並ぶ。
「さあ、行くぞ!」
 ゴクレンジャーは駆け出し、ライダークロウと怪人の集団へと突っ込んだ。
 二段階変身はさすがに強い。次から次へとライダークロウ、怪人が弾き飛ばされ宙を舞う。
 五色の竜巻が木っ端を巻き上げるかのようだ。

 見る間にライダークロウとサイキック怪人が減っていく。
 壇上でツクヨミは体をふるわせた。
「許さんぞ……、おまえたち!」
 ツクヨミはサイキックパワーを高め、怪人たちを操る。
「おまえたちの力を一つにするのです!」
 怪人たちはサイキックパワーを一点へと集中させる。中空に光の球が浮かんだ。
 光る球は超高熱・超高圧のエネルギーの塊と化した。

「校舎を破壊してしまいなさい!」
 太陽のようなエネルギーの球は、学園中央棟へと放たれる。
 まぶしい光は目をつぶし、その熱は何者も近付けさせない。
488 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/11(月) 21:24:00 ID:pZTFt9Li
とりあえずここまでー
反対派が完全壊滅するわけではないのでそっち側を書ける人がもしいたらどうぞ
って無責任か ではー
489創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 22:39:28 ID:OLH7HpDD
投下乙
思想・結成の動機など等が不明すぎて◆Omi/gSp4qg氏以外には書けないと思われる。
490創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 16:45:43 ID:u0ySDcGl
投下乙
中途半端な残り容量だね。
次スレ立てて長編はそっちに投下とかにした方が良くないすか?

個人的にはスピンオフが読みたい
491 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/13(水) 18:29:07 ID:EGHAYU/e
自分の投下はこのスレ内で終わるかと思ったんですが
ほかに投下したい人がいる場合は次スレあったほうがいいのかも
いなかったらまあなくていいのでは……ccu2hP6PPAさんの邪魔をしているだろうか俺は
といいつつ>>486-487のつづき
492終戦1 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/13(水) 18:33:17 ID:EGHAYU/e
「ジャー!」
 空から銀色の巨人が降り立ち、ひたいに指を当てた。
 バステリウム光線がエネルギー球を撃ち、押し返す。エネルギーのぶつかり合いが激しい
熱と光を生む。
 衝撃波が周囲に飛び、学舎の強化ガラスすべてが今にも割れそうな音をたてる。

 アザラシとペンギンを足して割ったような巨大怪獣もあらわれた。山のような怪獣は、
口から冷凍光線を吐いた。
「ペギー!」
 超低温がエネルギー球の力を弱める。
 ついにエネルギー球は押し返され、遠く空のかなたへと飛んでいった。
 光が宇宙へと消えると、力を使い果たしたウルトラマンバステトは飛び立った。
「ジャー!」
 冷凍怪獣ペギラツーも体を小さくしていく。
「ペギー!」

 怪人たちは力尽き、倒れて人間へと戻っていく。ライダークロウたちは呆然と間抜けの
ように立っていた。
 壇上にツクヨミはいない。
「奴が逃げたからマインド・コントロールが解けたんじゃな」
 マスター・シャーフーは深いため息をついて、髭を揺らした。

「みんな、ケガ人を医務室へ運べ。手があいた者はツクヨミを探せ。どうせもう逃げ場はない」
 シャイダーが指示する。
 はい、とマリリンは怪人から戻った反対派を担ぎあげた。
「どこまでも迷惑ですね」
 うんざりしながらも、トシゾウも倒れた反対派を抱き上げた。

「あー、すっきりしたな」
 コウジは変身を解き、首を回した。
「だが、これで退学なんだな……」
 ダークキバはなごり惜しそうに、学舎をながめた。
「ありがとう、ヒーロー学園」
 キングは学舎に深く頭を下げた。
493終戦2 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/13(水) 18:35:15 ID:EGHAYU/e
「あなたたちの退学届けはまだ受理されてないわよ」
 シロキが教えると、ダークキバはえっ、と顔を上げる。
 ステテコ腹巻の中年男が、鼻歌をきかせながらやってきた。

「事務員さん……」
 つぶやきつつ、キングも変身を解き、人の姿に戻る。
「こんな退学届けは……」
 悪部の事務員ギロチンピエールは、腹巻から封筒の束を取り出す。それぞれの退学届けだ。
「死刑! ……ですわ!」
 退学届けを空に放ると、中年男は光を発し、武装した美少女に変身した。
 退学届けは輝くのこぎりに切り刻まれた。無数の紙片は桜吹雪のようになって、風に乗り
辺りを舞う。

「退学するくらいなら、ケーキを食べればいいじゃない! ですわ!」
 粋なはからいに生徒たちは歓声を揚げた。
 正義部の事務員マリーヌ・ダルクワネットは背を向けると、事務室へと歩いていった。
 よかったよかった、と生徒らは喜びあう。コウジだけは何ともいえないような顔をして
いた。

「どうかしましたか、コウジさん」
 不思議そうにネロがきく。
「正義の事務員ってあんなおっさんだったのか!」
 生徒たちは顔を見合わせた。
「わりと有名な話だと思いますが……」
 一年のネロやカストル出さえ知っていたことを今きかされ、コウジはがっくりと肩を落とす
のだった。
494 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/13(水) 18:37:58 ID:EGHAYU/e
今日はここまでで
>>489
そうですか……パラレルでいいかと思うんですが
WIKIに書かせてもらったらいいかな
ではではー
495創る名無しに見る名無し:2009/05/13(水) 23:00:17 ID:iWd7OY4Q
投下乙
俺は次スレ立ったら投下する予定だよ。
不景気だしマターリ待ちましょう
496宇宙刑事 マリリンの事件簿〜ドキドキ調査実習〜 :2009/05/13(水) 23:23:53 ID:iaYhtHvR
「こちらペーター
 マルタイ女子寮を出ます。」

「了解 尾行を続けて。」

無線の先のキイさんが無機質に指示する。

前略

私の名前は宇宙刑事マリリン、

みんな(特に悪部男子)からは、うっかりマリリンと呼ばれています。

別にワザとやってるわけじゃないんですよ?

今日はちょっとした実習というか、演習?を上級生と合同で行っているのです。


「こちらアルファー
 マルタイが食堂に向かう模様
 総員注意してください!!」

ガジェットさんはやる気満々のようです。

取り調べで心拍数や脈拍の些細な変化を冷静に指摘したり、
精度の高いプロファイリングをしすぎるあまり、
容疑者が逆上して襲いかかって来たのを返り討ちにしたところ
(本人曰く正当防衛)
凄腕の弁護士に暴力警官の汚名を着せられて学園に左遷されてきて
初めての重大事件ということで気合いが入っているんですね。

実はこのガジェットさん
銀河連邦警察では、対犯罪用凡用兵器課という所にいたエリートさんなんです。
どんな部門かと申しますと
悪の組織に開発されたロボットとか、
アンドロイドとか、マシンとかを破壊もしくは制圧を目的とする
いわば対人外テロ対策チームなんです。

「残り15.71秒で交差点を迂回。」
ガジェットさんの装備(最新テクノロジー)が役に立つ事件なんて
学園でもそうそうあるものではありません。

何せキイさんやシホリさんの話では、本気を出せば国をひとつ消滅させるくらいわけないそうです。

今回はあのキングさんの素行調査ということで、
その最新鋭の装備をフル活用して
良いという許可が学部長から出ているそうです。

ちなみに
この調査実習は忍者ゼミ全面協力してくれています。

「こちらシグマ、二人が接触する。」

トシゾウ君も張り切ってますね。
(私も負けてられないわ。)
497創る名無しに見る名無し:2009/05/13(水) 23:25:36 ID:iaYhtHvR
ちょっと小話を思いついたので投下してみます。
結構長い話になるかも?

>>491
邪魔とかじゃないくて単純に設定がわかりにくくなるから
自重してるんでは?
498創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 08:09:19 ID:guNvfMuI
乙ー
ガジェットすごいやつだったんだなw
つづき楽しみです
499創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 13:23:08 ID:GNlmMGx/
新作楽しみだな
500創る名無しに見る名無し:2009/05/15(金) 07:52:21 ID:zYpAXaC8
Fuck Jap【韓国ヒットチャートNO1!!!】
http://www.youtube.com/watch?v=eQck6z4q3_A
韓国で一時期ヒットチャートNO1になった曲です。
日本にはこの情報の事は隠蔽されています。
韓国の捏造された歴史と反日教育の賜物ですね。
流石、戦争で日本が負けた時に裏切った国のする事は違います。
501創る名無しに見る名無し:2009/05/16(土) 21:11:05 ID:gQfmPkn2
>>496
投下乙
楽しみだな。
次スレ立てれなかったよぉ
502 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/17(日) 20:29:04 ID:C5f2cBYs
>>492-493の続き
このあとはつまらない気がするので早めに終わらせます
503仮面の裏1 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/17(日) 20:31:56 ID:C5f2cBYs
 ツクヨミは、白いローブに苦戦しながら、海に向かって岩場を走っていた。
「くそっ、あと少しだったのに! アイだのカラッカスだの、なぜあんなゴミクズどもに私の
計画が邪魔されんだ!」
 ツクヨミに影が落とされる。
「なぜか教えてやろうか!」
 ツクヨミが見上げると、空を飛ぶユウトが翼で日を隠していた。

「ヒーローの魂があるからよ!」
 ライオンマスク・ナミが走ってくる。あとからナオコもスカートから伸びた足を動かし、
追い付いた。
「黙れ!」
 ツクヨミは拳銃の引き金を引いて、上空のユウトを撃つ。
 発砲音が海岸に響き渡った。
 ユウトは羽で弾を払った。軽い音をきかせ、弾は地に転がる。

「ヒーローに銃はきかない!」
 ユウトは岩の上に降り立った。
「アオミさんも死んでないよ」
 ナミは爪を光らせ、油断なく歩を進める。
「化け物どもが……」
 仮面の裏から、ツクヨミの歯ぎしりがきこえてきそうだ。

 海に、モーターボートが上下している。ツクヨミの逃走用らしい。
 だが、三人を相手に逃げるのもツクヨミには難しそうだった。
「まだだ、駒は切らしていないぞ。ナオコ……」
 ツクヨミはうめくような声を出す。
「記憶を知りたくないか、ナオコ。私たちはかつて、日本でクライムファイターをしていた」

「私の記憶……知っているの?」
 ナオコは記憶をなくしている。自分を普通の女子高校生だと思い込んでいた。
 気配が近づくのを感じたライオンマスクは、顔を動かした。つられて、ナオコもそちらに
目を向けた。
 黒い鉄の鎧をまとう、白金の髪をした男がやってくる。
「年貢の納めタイムのようだな、ツクヨミ」

「ブラックスミス……」
 ナオコは自然とつぶやいた。
 ツクヨミは肩を揺らした。泣いているのだとナオコは思った。
「ククク……ハハハ!」
 ツクヨミは激しく笑った。
「よく来たブラックスミス! まだツキはこちらにあるということだ」
「なんだあ?」
 いぶかしむユウトが大声を投げた。

 ツクヨミはゆっくりと仮面をとった。白い仮面が落ちて、乾いた音が鳴る。
504仮面の裏2 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/17(日) 20:34:53 ID:C5f2cBYs
 ナオコは凍りついたように動けなくなった。
 あらわになったツクヨミの顔は、ナオコと同じ顔だ。
 そっくりなどというものではない、まったく同じ顔をしている。
「これは、どういうことだ……」
 ブラックスミスもわからないらしく、表情をこわばらせた。

「な、何でツクヨミが私と同じ顔なの……」
 唇まで青くするナオコに、同じ顔が笑いかける。
「逆だ。おまえが私と同じなのだ、ナオコ。いや、ツクヨミ、私のクローンよ」
「く、クローン?」
 ひどく動揺し、ナオコは息を荒くする。

「わけわかんねえ、何いってんだ」
 面倒そうに、ユウトは翼を動かした。白いローブに身を包む女は、話しはじめた。
「簡単なことだ。私がブラックマリアで、ナオコはツクヨミ。私たちは入れ替わっていたのだ。
私とブラックスミス、それにレオパルトとシュヴァルベ、私たちはバビル二世の意志を継ぎ、
クライムファイターをしていた。私は自分の片腕としてクローンを造り、仮面をかぶせて
従わせた」

 波が強くなり、岩に当たって水しぶきが上がった。
「あるとき、私はすばらしいアイデアを思いついた。ヒーロー学園のできの悪いヒーローを
安く雇い、現場仕事を経験させて使えるようになったら高く売る。ヒーローの売買だ」
 ナオコと同じ顔がみずからの考えにほれぼれした、といったふうになる。
「そんなものは人身売買だ。認められん」
 ブラックスミスは否定しながらも、うろたえて身を震わせていた。

「私は私のクローンであるツクヨミにこのことを持ちかけた。だが、ツクヨミは反対した。
だから私はツクヨミのマインド・コントロール能力を奪い、記憶を操作し、私がツクヨミに
成り代わって、超日警とヒーロー反対派を操ったのだ」
 恐ろしい話に、ナオコは身動きもできなかった。
「おまえは私のクローン、ツクヨミだ!」
 同じ顔の女に指さされると、ナオコは感電したようになった。

「馬鹿な……」
 ブラックスミスはかすれた声でつぶやくことしかでなきなかった。
「ブラックスミス、おまえが愛したブラックマリアは私だ! そこのクローンではない!」

「うるせえ、おまえが誰だろうが、やってきたことはおまえの責任だろうが!」
 ユウトはバレーボールをレシーブする。球は一直線に白いローブの女へと飛んだ。
505真・シュバルツェル・レオパルト1 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/17(日) 20:37:29 ID:C5f2cBYs
 ブラックマリアが手をかざす。ボールは女の細い手に当たると、粘土のようにつぶれ、
形をゆがめて地面に落ちた。

「あれはブラックマリアの能力、周囲の無生物を軟化する力だ。やはり、奴がブラックマリア
だったのか……」
 ブラックスミスは悲しげにうなだれた。
「そんな……」
 自身が誰かのクローンに過ぎなかったことを知り、ナオコは悲痛にただうちひしがれる。

「なら直接ぶん殴ってやる!」
 ユウトがブラックマリアに襲いかかる。黒い影が飛び降りてきた。光の軌道がユウトを狙う。
 反射的にユウトはのけぞった。ユウトの髪が数本、宙を舞い散る。

「ブラックマリアをお助けしないといけないざんす」
 軍服を着た鳥人間シュヴァルベが、二振りの刀を構えて立ちふさがる。
「おまえ、こんな奴を」
 ユウトは刀を警戒して距離をとった。
「あちきたちは結ばれない運命だったざんす」
「……それはそうだけどよ」

 ライオンマスク・ナミがうなり声を上げて飛び出し、ブラックマリアに向かった。
「卑怯な奴め!」
「黙れゴミが!」
 ブラックマリアが念を発すると、地がゆがみライオンマスクの足が沈む。
 地面は泥のようになってライオンマスクの足を粘っこくとらえた。
「く、くそっ!」

「レオパルトよ」
 ブラックマリアが呼ぶと、ナオコのポケットにある携帯ストラップから黒いもやもやとした
ものが浮かんだ。
「レオパルト……」
 ナオコは中空の黒いかたまりに弱々しい声をかけた。
「ナオコ様……。どうやら、私は行かなければなりません」
「あなたも行ってしまうの……」
「ですが、正しいのはあなたたちだと思います」
「私には何もないわ」
「いいえ、ナオコ様。あなたにもまだ……」

「早くしろ、レオパルト!」
 厳しく命令され、レオパルトはブラックマリアに吸い込まれた。
「変身!」
 叫ぶと、ブラックマリアは全身黒い姿へと変わっていく。目を光らせ、牙を伸ばし、ヒョウ
の顔になった。
 勝ち誇るように、ブラックマリアは天に吠えた。
「私が真のシュバルツェル・レオパルトだ!」
506真・シュバルツェル・レオパルト2 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/17(日) 20:39:53 ID:C5f2cBYs
 ライオンマスクは足を引っ込抜き、拳をうならせた。
「獅子奮迅拳!」
 ブラックマリア、シュバルツェル・レオパルトは合わせてパンチを繰り出す。
「ガトリングパンチ!」
 二つの拳が交差して、ヒョウとライオンの顔が打たれる。

 地面がやわらかく踏張りがきかないぶん、ナミの獅子奮迅拳は不完全だった。
 ブラックマリアは牙の間から笑い声をきかせた。
「しょせんゴミだ!」

 ガトリングパンチの連打を受け、ライオンマスクはよろけ、ふらつく。足が地にめりこんで
倒れることも許されない。 ユウトはシュヴァルベの刀に追われて、助けにいけなかった。
「私には何もない……」
 ナオコは呆然と、殴られるナミをながめていた。
「何も……」

 ナオコの脳裏にヒーローたちの姿が浮かぶ。恐ろしく強かったヒーローたち。
(私もヒーロー学園の生徒だったんだな……)
「私には……」
(まだ……残っている!)

「食らえ、ライフルカノンパンチ!」
 ブラックマリア・シュバルツェル・レオパルトがライオンマスクにとどめをさそうと、力を
強めた。
 生身のナオコが飛び込み、拳を受けようとする。
「貴様!」
「まだヒーローの魂があるわ!」

 シュバルツェル・レオパルトの拳が止められた。
「ば、馬鹿な……」
 黒ヒョウの拳を、ブラックスミスがわしづかみにしている。
「ブラックスミス、なぜ邪魔をする!」

「私はキャットは嫌いだ」
 ブラックスミスのサイキックパワーがシュバルツェル・レオパルトを吹き飛ばす。
 ブラックマリア・シュバルツェル・レオパルトは弧を描いて地面に叩きつけられた。
「お、おのれ……許さんからな」
 呪うように言うと、シュバルツェル・レオパルトはすばやくモーターボートに駆け込んだ。

 モーターボートがしぶきを上げて、沖へと海面を走る。
「待て!」と追いかけようとするユウトを、シュヴァルベの刀が止める。
 モーターボートは遠ざかって、エンジン音も潮の音に消えていった。

「ちくしょう、鳥野郎、あいつ逃げらちまうじゃねーか!」
 あせってユウトは早口になる。シュヴァルベは両手に刀を持ってクチバシを動かした。
「しかたないざんす。あちきらはブラックマリア様、ブラックスミス太子のしもべざんす」
507 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/17(日) 20:45:06 ID:C5f2cBYs
今日はここまでで
このスレ内には入りそうですが、そのあとすぐスレ落ちちゃうかも
自分の投下は控えてるからいいですが、他の投下がWIKI更新されるまで待ったほうがいいですかね?
508創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 00:00:14 ID:Mody5/CA
投下乙
ほどほどで次スレ立てて
前みたいにちこちこやればいい
509創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 15:36:39 ID:EhSTMnGX
おお次スレたっとる
テンプレ貼ってみよう
510創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 15:51:28 ID:EhSTMnGX
とりあえず貼ったよ
二時限目埋めたほうがいいよなあ
511創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 18:23:05 ID:tQ2t4TvP
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1242615844/
次スレです。
>>507
このスレの埋め立てよろしく。
512創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 22:54:00 ID:EhSTMnGX
このスレ埋まって落ちちゃったらWIKI更新できなくならないかな
と思ったけど前スレがまだあるくらいだからそんなすぐには落ちないか
513創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 08:15:38 ID:wsIWiOI6
>>503-506の続き
514落雷 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/19(火) 08:18:33 ID:wsIWiOI6
 モーターボートが小指ほどにも小さくなったとき、空に暗雲がわいた。
 見る間に黒い雲は山のようになる。

 黒い雲が光ったかと思うや、一条の雷が海に落ちた。
 一瞬、波が照らされた。
 大音とともに爆発が起き、海に煙があがる。
 嫌なにおいが陸にまで届いた。

 ナオコたちは何もできずに、海をながめるばかりだ。
「あいつ……雷に打たれちゃった」
 ライオンマスク・ナミが牙のある口を開閉させた。
「偶然……なわけないですよね」
 ナオコは傷ついたナミを支えつつ、煙を見つめた。

「口封じかも知れん。ユグドラシル帝国やガイスト社とも取引していたようだからな」
 海風に白金の髪をなびかせながら、ブラックスミスはつぶやいた。
「私は旅に出る」
「えっ」
 ナオコは改めてブラックスミスの顔に目を向けた。

 ブラックスミスは背を向け、歩きだす。
「さらば、ナオコ。行くぞ、シュヴァルベ」
「太子!」
 シュヴァルベは浜に降り立つと、ブラックスミスのあとを追った。

「おい、学園やめんのかよ」
 ユウトは去りゆく二人に声を投げた。応えて、ブラックスミスは片腕を上げ、親指を立てた。
 シュヴァルベは投げキッスする。
「さようなら、愛しい人」
 ユウトは身震いし、地面に墜落した。砂ぼこりが舞い上がる。
「いてて……」

 ナオコ、ナミ、ユウトはどうすべきか知らず、潮騒をきくとなしにききながら、ただ海を
見ていた。

515別れ ◆Omi/gSp4qg :2009/05/19(火) 08:20:56 ID:wsIWiOI6
 タラップの前には、ナミ、ユウト、シロキ、キミドリ、マスター・シャーフーとゴクレンジャー
の五人が見送りに集まった。
「別にやめなくてもいいと思うけどな。サイキックパワーはまだあるんでしょ? 改造するか、
スーツ着ればいいんだし」
 ナミが残念そうに言うと、ナオコは風に乱れる髪を直しつつ微笑した。
「けじめっていうか、区切りと思って、マスター・シャーフーがくれたバイトのほうでがんばって
みます」

 ナオコはマスター・シャーフーにスクラッチ社関連の住み込みバイトをもらったのだった。
「学園の購買に配属されるかも知れんからな。そうなればまた会える」
 マスター・シャーフーはにこやかにうなずき、髭を揺らした。
 出港を知らせる汽笛が鳴り響いた。
「じゃあ、行きます」

「じゃあな」
 短い別れの言葉をユウトは口にした。
「はい。ユウトさん、ナミさん、本当にありがとうございました」
 目に涙を光らせ、ナオコはタラップを渡った。
 タラップが立っていき、船がまた汽笛をきかせて港を離れる。

「またなー」「メールちょうだいねー」
 ヒーローたちは船がかすんで小さくなるまで、声を飛ばし続けた。
 ナミは小さく息を吐くと、涙をふいた。
「ナオコちゃん……。誰かのクローンなんて言われて、ブラックスミスも人違いだったわけ
だし、かわいそう……」
 こらえていた悲しみが堰を切り、ナミは顔を手で覆う。

「こればかりは本人が乗り越えねばならんのう」
 マスター・シャーフーも沈んだ表情で、ため息をついた。ユウトもつらそうな目をする。
「気にしなくていいことだけどなあ。そうもいかないだろうな」
 水平線に消えていく船を、ナミ、ユウトたちは見送った。

「結局、あの雷がなんだったかもわからないし、ツクヨミ……、ブラックマリアの死体も
上がってないし。一件落着とは言えないっすね」
 ユウトはシロキに言った。
「そうね。でも、ここから先は警察の仕事。学生は本分に戻りなさい」
 後味悪さを感じつつ、はい、と生徒たちは応じた。
516潜伏…… ◆Omi/gSp4qg :2009/05/19(火) 08:25:07 ID:wsIWiOI6
 船を見送る別の者たち三人が、埠頭にたたずんでいた。
「これで終わりかあ。なんかあっけねーな」
 虎の姿で大砲を肩につけた悪部の生徒、タイガーバズーカがつまらなそうにした。
「ブラックマリアは焦りすぎたわね。でもいいことを教えてくれたわ」
 黒髪で高い鼻をした、魔女のサトミが冷たい微笑を浮かべた。
「うまくやればあのくらいヒーローを追い詰めることもできるのね。強さは関係ないわ」

「死んだのは本当にオリジナルじゃったのか? 死んだあれがクローンで、ナオコがオリジナル
ということはないのかのう?」
 ブリキのおもちゃのような体に老人の頭をつけた高齢ヒーロー、コテツがたずねる。
「いいじゃない、どっちでも。死んだほうは自分をオリジナルだと思い込んでたんだから、
幸せよ」

「よく言うぜ。おまえの魔法の雷で殺したくせに。恐い女だねえ」
 タイガーバズーカは牙を見せ、首を振る。
「そうよ。だから私を怒らせないことね」
 サトミの手には、魔力を高める宝石、『ナイルなトトメスの涙』が妖しく輝いていた。

「なんにせよ、これで終わりか」
 コテツは無念そうに、入れ歯のはまった口を動かした。
「ヒーロー反対派の種はまかれたわ。バラバラに活動するでしょうけど、またいつか一つに
なることもあるかもしれないし」
 もともとヒーロー反対派は一枚岩ではない。人権団体系、政治経済団体系、環境・動物愛護
団体系などさまざまだ。それをまとめたのがツクヨミだった。

「ヒーロー反対派のそもそもの始まりって知ってる?」
「さあ? 人権人権の連中じゃねーの」
「最初はね、ヒーローちゃんねるのコピペだったのよ! ヒーローに関するデマ、悪口の
書き込み。それがあちこち貼られて、チェーンメールになったりして、今じゃ寄付の集まる
大団体なんだから、わからないわよね」
「時代じゃのう……」


「いずれまた楽しめることもあるでしょう。今は……潜伏しましょう」
「うむ。わしは御国・ユグドラシル帝国のために」
「俺はガイスト社のために」
「私は魔法のために……」



 三人はそれぞれの道を歩き、去っていった。
517 ◆Omi/gSp4qg :2009/05/19(火) 08:27:46 ID:wsIWiOI6
これで終わりです
埋めというほど埋まらんかった
他の人の投下も考えたらまあよかったでしょうか
しばらくほっといてその内コピペかなんかで埋めます

もうネタないし当分投下しません
失礼もあったかも知れませんがお許しを
ありがとうございました
518創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 23:22:35 ID:ZpaTwAQ+
長編投下乙でした。
519創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 13:33:12 ID:nY5+g8+w
埋め依頼ありましたので雑談から
残り40Kb、埋め落とすのが適切かと思われるので、埋めに


次スレ
【ヒーロー】ヒーロー学園物語 四時限目【ダークヒーロー】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1242615844/
520創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 13:37:15 ID:nY5+g8+w
御法度の気もするが…。                                                                                
AAで埋めるのも気分が悪いので長文系埋め                                                              
                       





























                                                                                                        
























                                                                                                        
                                                                                                        
                                                                                                        
521創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 13:46:54 ID:nY5+g8+w
ヒーロー(英:hero)あるいは、英雄(えいゆう)は、神話や物語などで主人公を務める人物。
主人公と同じ意味で使われる場合もある。女性の場合はヒロインと呼ぶ。

ただし、ヒロインとは男性主人公の相手役、もしくは英雄に救出されるお姫様役のキャラクターを指すイメージが根強い。
よって英雄的な活躍をする女性キャラクターにあえて「ヒーロー」という呼称を使う場合がある(ディズニー映画『ムーラン』など)。
これは日本だけでなく、英語圏の米国でも同様である。厳密な男性形・女性形よりも、単語のイメージやニュアンスが優先されたためと考えられる。

また、女性主人公と恋仲になる男性キャラクターの呼称としても呼ばれることがある。

ヒーローの多くは、普通の人を超える力や知識、技術を持ち、それらを用いて一般社会にとって有益とされる行為、いわゆる救世主としての行為を行う。
多くの物語では、これを阻止しようとする悪役・敵役が共演することになる。また、突出した能力を持っていない場合でも、何らかの形で英雄的行為をすることがある。
522創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 13:48:35 ID:nY5+g8+w
一般的に誰かがヒーローになるには、人々に賞賛される素晴らしい行為を行う必要がある。伝統的なヒーローは怪物を倒したり、人の命を救ったりするなど、
そのヒーローが属する文化で高潔な正義の振る舞いをし、幸福な結婚や出世をすることになるが、悲劇では性格や弱点などを持ち、それを突かれて悲劇的な結末を迎えることになる場合もある。

実在する人物が、伝承や噂の中でその行為が膨らみ、ヒーローとして人々の中で一人歩きを始めることがある。この場合は、いつの間にか超人的な行為を行ったことになっていることが多い(→聖人伝説、英雄伝説)。

研究者の中には、社会情勢が不安定になったり、国家の行く先が不安になったときに、模範的人物としてヒーローが求められるようになると主張している。
特に若い人の中でこの傾向は顕著であるとしている。ユング派深層心理学に置ける集合的無意識の顕在化であるとする説もある。

多くの文化では、有名なヒーローは神と同じように扱われる(エウヘメリズム)。ヒーローという言葉は古代ギリシア文化と神話から来ている。多くのギリシア神話のヒーローは、神の子孫である都市、国家、領土の名祖である。
必ずしも模範的な人物であったり、英雄的な素質をもっているわけではなかったが、多くは半神の存在であった。
神話と歴史が未分化であったこの時代を「英雄時代」と呼ぶ。この時代はトロイア戦争と共に終わり、ヒーローたちは家に帰り余生を過ごすか、当ても無くさまようことになる。
ヒーローは叙事詩やギリシア悲劇の主人公として扱われ、このため西欧語では英雄を意味する語は「主人公」をも意味する。よく知られた英雄にアキレウス、オデュッセウス、オイディプスがある。

キリスト教以前のほとんどのヨーロッパの宗教が、ヒーローをその神話の中に抱えている。これらのヒーローは、その性格や功績、崇拝方式が正教会やカトリック教会の教義の中に吸収・習合され、現在の聖人崇拝の元となっている。

悲劇性を帯びたヒーローとして日本では日本武尊、源義経などが知られるが、後には戦死を含め不慮の死が悲劇として捉えられ、御霊信仰に繋がった。
祟りを恐れて平将門らが神として祀られたのがその一例である。戦時中では決死の攻撃をした者が軍神として英雄視される事もあった。その一方で徳川家康を祀る東照宮のように悲劇とは無縁の例もある。

最近の映画や漫画、アニメでは、ヒーローは特別な力を持たない普通の人物であるが、社会から迫害されており、最後にそれに打ち勝つというような例も多い。

さらに、近年顕著な傾向だが、ヒーローはすべてを救えないときもある。そのとき描かれる人間性の輝きが人の心を惹きつけるために使われる。
523創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 13:50:04 ID:nY5+g8+w
ヒーローと敵役 [編集]
ヒーローと敵役(ライバル)は密接な関係にあり、ある文化でヒーローであっても、その文化に隣接している別の文化では逆に描かれることが多い。
この場合、反社会的とされる行為でもその人物を打ち倒したために賞賛されることが多いが、必ずしも一般的にその行為が社会的に受け入れられているわけではない。
たとえ同じ行為であっても、その文化内で行われた場合は非難することが多い。しかし、そのために敵役を事実に反し、文化外の人物に設定することでヒーローの権威を高めることも行われる。
524創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 13:56:32 ID:7XUTClwq
常識的なヒーローの属性、たとえば「正しい人」であったり、「強い人」であったり、
「美しい/外見的にカッコいい人」である等を部分的あるいは全面的に裏切る主人公、
あるいは主要登場人物をアンチヒーローと呼ぶことがある。  
この記事ではどのような人物がアンチヒーローと見なされてきたかを例をあげて説明するが、
アンチヒーローについては明確な定義が見出されておらず「癖の強い主人公/登場人物」とアンチヒーローの境界は曖昧であり、
読者や視聴者の主観に拠るところが大きいことには留意されたい。

いつ頃から、アンチヒーローに分類される主人公がフィクションに登場したのかは定かではないが、
紀元前3世紀にロードスのアポローニオスによって書かれた叙事詩『アルゴナウティカ』のイアソンとアルゴナウタイは、
他のギリシアの物語に登場する英雄たちよりも臆病で受動的であり、アンチヒーローであると分類する説がある。[2]

クリストファー・マーロウの『フォースタス博士』のフォースタス博士
ウィリアム・シェイクスピアの作品に登場するフォルスタッフ
ジョン・ゲイ『ベガーズ・オペラ』
ジョージ・ゴードン・バイロンの作品の主人公
水滸伝の梁山泊集団


「正しくない」ヒーロー [編集]
物語の世界において、多くのヒーローは倫理的に優れている「よい」人物として語られるが、倫理的に正しくない行動をとるヒーローもまた数多く造形されてきた。
それが極端な場合にアンチヒーローと呼ばれるものと考えられる。

例えば、大きな目標のために手段を選ばないという主人公類型が存在し、これは歴史上の人物に仮託されることも多い。『三国志演義』で天下の奸雄として描かれた曹操は、
しばしばこのタイプの残忍な英雄として描かれてきたし、日本の戦国時代にあって全国統一事業を進めた織田信長はその残忍・激烈な性格も併せて描かれることが多い。
国家統一のために権謀術数を駆使したとされるオットー・フォン・ビスマルク、チェーザレ・ボルジア等といった歴史上、評価の分かれ易い人物等もこの例に該当する。
アニメ、漫画等サブカルチャー作品でも例えば前者の意味では『DEATH NOTE』の夜神月、後者の意味では『機動戦士ガンダム』のシャア・アズナブルなど多くの類例をみることが出来る。

また、ピカレスク小説(悪漢小説)の分野では、多くの場合主人公は最初から犯罪者であるが、この流れは、
犯罪小説やフランスのシネ・ノワールやアメリカのギャング映画やクライムアクションゲームなどでも同様であり、多くのアンチヒーローを生んできた。
また、日本でもヤクザ映画(たとえば『仁義なき戦い』シリーズ)、バイオレンス小説(たとえば大藪春彦の作品群)などで窃盗や暴力や殺人などの犯罪に手を染めるヒーローが物語られてきた。
これは遡れば盗賊集団を主人公に据えた歌舞伎の『白浪五人男』などを先例と見なすことができるかもしれない。
このようなタイプのヒーローは、ダーティーヒーロー、ダークヒーロー、バッドヒーローとも呼ばれることがある。
極端な例では羊たちの沈黙のレクター博士などは食人殺人を繰り返しているにもかかわらず、ヒーロー的に描かれている。

これ等のヒーロー達が、犯罪、悪事に至る理由は様々である。なんらかの絶望によるもの(『北斗の拳』の聖帝サウザー)、
仲間の裏切や社会からの冷遇によるもの(漫画『子連れ狼』の拝一刀親子、『銭ゲバ』の蒲郡風太郎)、
そしてその復讐のため(小説・映画『復讐するは我にあり』の榎津巌)、
愛する者のため(『スター・ウォーズ』シリーズのダース・ベイダーことアナキン・スカイウォーカー)、あるいは職業として(漫画『ゴルゴ13』のゴルゴ13) 等である。
また、本人の性格的な問題から組織をはみ出して法を逸脱する例もある(映画『ダーティハリー』のキャラハン刑事)。
525創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 13:58:42 ID:nY5+g8+w
「美しくない」ヒーロー [編集]
物語の世界において、多くのヒーローは外観的に優れている人物として語られるが、それを裏切るヒーローもまた少なからず造形されてきた。

風采の上がらない主人公としては、TVドラマの『刑事コロンボ』や横溝正史の探偵小説に出てくる金田一耕助などがあげられる。
また、ヒーローの出自を魔物や妖怪などに設定する場合もあり、漫画の『デビルマン』等、禍々しい外見が描かれている。
外観についての極北を行く主人公としては、「エレファント・マン」ことジョゼフ・メリックなどがいるが、こうした類例をアンチヒーローと呼ぶかどうかは議論が分かれるところである。


「強くない」ヒーロー [編集]
一般的にヒーローとして想像される人物像は、肉体的にも内面的にも強くて逞しい精悍なイメージである。
しかし、肉体と精神のいずれか、あるいは双方の意味で脆弱で臆病なヒーローの例もあり、『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジなどが該当する。
こうした類例もアンチヒーローと呼ぶかは議論が分かれる。

また、コメディでヒーロー像を逸脱させた例もある。『ニッポン無責任時代』から始まる植木等主演の映画「無責任男」シリーズは、
お気楽な性格と運の強さだけが取り柄の主人公が、追従とお世辞を繰り返しながら大活躍する物語であり、異色異能のヒーローぶりを発揮している。


アンチヒーローの実在モデル [編集]
こうしたヒーローは、評判を呼んだ実際の犯罪者がモデルにされているケースも少なくない。例えば、上記の『白浪五人男』は江戸時代に起きた捕物がモデルであるし、
『仁義なき戦い』も原作はノンフィクション小説である。アメリカでのカップル銀行強盗犯のボニーとクライドは『俺たちに明日はない』で映画化された。
『大列車強盗』も実際の犯罪が評判を呼び、国外逃亡先でテレビ出演までした主犯が人気者になったことで映画化されたケースである。

義賊ともてはやされた鼠小僧のように、ある条件が合致した場合には、法を犯した犯罪者をヒーローとみなす庶民感情がそこに介在していると考えられる。
つまり、国家や「お上」からみれば犯罪者であっても、庶民の味方であるという存在である。
たとえば、TVドラマ『必殺仕置人』をはじめとする「必殺シリーズ」も表の社会で裁けない悪人を非合法に成敗するという話であり、中世文学から現代娯楽メディアまで洋の東西を問わず枚挙に暇がない。

こうした反逆的ヒーローに対する庶民の共感は、プロレスのギミックにもよく利用されている。たとえば新日本プロレスの蝶野正洋は、体制(会社)の方針に異を唱えて対立するキャラクターを演じ、
タイトルマッチに関する反対を表明する(このパターンは古くは長州力の維新軍団、さらにはジャイアント馬場に挑戦した若き日のアントニオ猪木にまでさかのぼる)。 
アメリカンプロレスでも、WWEのストーン・コールド・スティーブ・オースチンがこうしたキャラクターを演じている。

また、「自らに課した掟(コード)にのみ忠実で、法的・社会的規則は無視する」という人物をアーネスト・ヘミングウェイはコードヒーローと呼んでおり、反逆的ヒーローの一類型としてその呼称が用いられることがある。


アンチヒーローとは異なるもの [編集]
「普段は駄目人間だが副業としての裏の顔は凄腕」という物語も数多いが、これは『スーパーマン』と同様に変身ヒーローの一種と考えられる。ただし裏稼業が非合法的なものであれば、
その点ではアンチヒーローとみなせるかもしれない。アメリカン・コミックの登場人物である「デアデビル」ことマット・マードックや、バットマンが該当する。

また、物語の開始時点では駄目人間だったが物語の進行とともにヒーローぶりを発揮していくのは成長物語の一典型である。
ファンタジーなどでも普通の少年や虚弱な少年が異界でヒーローになるという物語が多く見られるが(『ナルニア国物語』、『はてしない物語』など)、通常はそれらの少年を指してアンチヒーローとは呼ばない。
ほとんどの場合、彼らは内面的あるいは外面的成長を遂げて異界から帰還するために、これも成長物語に属する。
526創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 14:01:18 ID:7XUTClwq
ヒーロー(英:hero)あるいは、英雄(えいゆう)は、神話や物語などで主人公を務める人物。
主人公と同じ意味で使われる場合もある。女性の場合はヒロインと呼ぶ。

ただし、ヒロインとは男性主人公の相手役、もしくは英雄に救出されるお姫様役のキャラクターを指すイメージが根強い。
よって英雄的な活躍をする女性キャラクターにあえて「ヒーロー」という呼称を使う場合がある(ディズニー映画『ムーラン』など)。
これは日本だけでなく、英語圏の米国でも同様である。厳密な男性形・女性形よりも、単語のイメージやニュアンスが優先されたためと考えられる。

また、女性主人公と恋仲になる男性キャラクターの呼称としても呼ばれることがある。

ヒーローの多くは、普通の人を超える力や知識、技術を持ち、それらを用いて一般社会にとって有益とされる行為、いわゆる救世主としての行為を行う。
多くの物語では、これを阻止しようとする悪役・敵役が共演することになる。また、突出した能力を持っていない場合でも、何らかの形で英雄的行為をすることがある。
一般的に誰かがヒーローになるには、人々に賞賛される素晴らしい行為を行う必要がある。伝統的なヒーローは怪物を倒したり、人の命を救ったりするなど、
そのヒーローが属する文化で高潔な正義の振る舞いをし、幸福な結婚や出世をすることになるが、悲劇では性格や弱点などを持ち、それを突かれて悲劇的な結末を迎えることになる場合もある。
実在する人物が、伝承や噂の中でその行為が膨らみ、ヒーローとして人々の中で一人歩きを始めることがある。この場合は、いつの間にか超人的な行為を行ったことになっていることが多い(→聖人伝説、英雄伝説)。
研究者の中には、社会情勢が不安定になったり、国家の行く先が不安になったときに、模範的人物としてヒーローが求められるようになると主張している。
特に若い人の中でこの傾向は顕著であるとしている。ユング派深層心理学に置ける集合的無意識の顕在化であるとする説もある。
多くの文化では、有名なヒーローは神と同じように扱われる(エウヘメリズム)。ヒーローという言葉は古代ギリシア文化と神話から来ている。多くのギリシア神話のヒーローは、神の子孫である都市、国家、領土の名祖である。
必ずしも模範的な人物であったり、英雄的な素質をもっているわけではなかったが、多くは半神の存在であった。
神話と歴史が未分化であったこの時代を「英雄時代」と呼ぶ。この時代はトロイア戦争と共に終わり、ヒーローたちは家に帰り余生を過ごすか、当ても無くさまようことになる。
ヒーローは叙事詩やギリシア悲劇の主人公として扱われ、このため西欧語では英雄を意味する語は「主人公」をも意味する。よく知られた英雄にアキレウス、オデュッセウス、オイディプスがある。
キリスト教以前のほとんどのヨーロッパの宗教が、ヒーローをその神話の中に抱えている。これらのヒーローは、その性格や功績、崇拝方式が正教会やカトリック教会の教義の中に吸収・習合され、現在の聖人崇拝の元となっている。
悲劇性を帯びたヒーローとして日本では日本武尊、源義経などが知られるが、後には戦死を含め不慮の死が悲劇として捉えられ、御霊信仰に繋がった。
祟りを恐れて平将門らが神として祀られたのがその一例である。戦時中では決死の攻撃をした者が軍神として英雄視される事もあった。その一方で徳川家康を祀る東照宮のように悲劇とは無縁の例もある。
最近の映画や漫画、アニメでは、ヒーローは特別な力を持たない普通の人物であるが、社会から迫害されており、最後にそれに打ち勝つというような例も多い。
さらに、近年顕著な傾向だが、ヒーローはすべてを救えないときもある。そのとき描かれる人間性の輝きが人の心を惹きつけるために使
527創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 14:03:44 ID:nY5+g8+w
常識的なヒーローの属性、たとえば「正しい人」であったり、「強い人」であったり、
「美しい/外見的にカッコいい人」である等を部分的あるいは全面的に裏切る主人公、
あるいは主要登場人物をアンチヒーローと呼ぶことがある。  
この記事ではどのような人物がアンチヒーローと見なされてきたかを例をあげて説明するが、
アンチヒーローについては明確な定義が見出されておらず「癖の強い主人公/登場人物」とアンチヒーローの境界は曖昧であり、
読者や視聴者の主観に拠るところが大きいことには留意されたい。
いつ頃から、アンチヒーローに分類される主人公がフィクションに登場したのかは定かではないが、
紀元前3世紀にロードスのアポローニオスによって書かれた叙事詩『アルゴナウティカ』のイアソンとアルゴナウタイは、
他のギリシアの物語に登場する英雄たちよりも臆病で受動的であり、アンチヒーローであると分類する説がある。[2]
クリストファー・マーロウの『フォースタス博士』のフォースタス博士
ウィリアム・シェイクスピアの作品に登場するフォルスタッフ
ジョン・ゲイ『ベガーズ・オペラ』
ジョージ・ゴードン・バイロンの作品の主人公
水滸伝の梁山泊集団
「正しくない」ヒーロー [編集]
物語の世界において、多くのヒーローは倫理的に優れている「よい」人物として語られるが、倫理的に正しくない行動をとるヒーローもまた数多く造形されてきた。
それが極端な場合にアンチヒーローと呼ばれるものと考えられる。
例えば、大きな目標のために手段を選ばないという主人公類型が存在し、これは歴史上の人物に仮託されることも多い。『三国志演義』で天下の奸雄として描かれた曹操は、
しばしばこのタイプの残忍な英雄として描かれてきたし、日本の戦国時代にあって全国統一事業を進めた織田信長はその残忍・激烈な性格も併せて描かれることが多い。
国家統一のために権謀術数を駆使したとされるオットー・フォン・ビスマルク、チェーザレ・ボルジア等といった歴史上、評価の分かれ易い人物等もこの例に該当する。
アニメ、漫画等サブカルチャー作品でも例えば前者の意味では『DEATH NOTE』の夜神月、後者の意味では『機動戦士ガンダム』のシャア・アズナブルなど多くの類例をみることが出来る。
また、ピカレスク小説(悪漢小説)の分野では、多くの場合主人公は最初から犯罪者であるが、この流れは、
犯罪小説やフランスのシネ・ノワールやアメリカのギャング映画やクライムアクションゲームなどでも同様であり、多くのアンチヒーローを生んできた。
また、日本でもヤクザ映画(たとえば『仁義なき戦い』シリーズ)、バイオレンス小説(たとえば大藪春彦の作品群)などで窃盗や暴力や殺人などの犯罪に手を染めるヒーローが物語られてきた。
これは遡れば盗賊集団を主人公に据えた歌舞伎の『白浪五人男』などを先例と見なすことができるかもしれない。
このようなタイプのヒーローは、ダーティーヒーロー、ダークヒーロー、バッドヒーローとも呼ばれることがある。
極端な例では羊たちの沈黙のレクター博士などは食人殺人を繰り返しているにもかかわらず、ヒーロー的に描かれている。
これ等のヒーロー達が、犯罪、悪事に至る理由は様々である。なんらかの絶望によるもの(『北斗の拳』の聖帝サウザー)、
仲間の裏切や社会からの冷遇によるもの(漫画『子連れ狼』の拝一刀親子、『銭ゲバ』の蒲郡風太郎)、
そしてその復讐のため(小説・映画『復讐するは我にあり』の榎津巌)、
愛する者のため(『スター・ウォーズ』シリーズのダース・ベイダーことアナキン・スカイウォーカー)、あるいは職業として(漫画『ゴルゴ13』のゴルゴ13) 等である。
また、本人の性格的な問題から組織をはみ出して法を逸脱する例もある(映画『ダーティハリー』のキャラハン刑事)。
「美しくない」ヒーロー [編集]
物語の世界において、多くのヒーローは外観的に優れている人物として語られるが、それを裏切るヒーローもまた少なからず造形されてきた。
風采の上がらない主人公としては、TVドラマの『刑事コロンボ』や横溝正史の探偵小説に出てくる金田一耕助などがあげられる。
また、ヒーローの出自を魔物や妖怪などに設定する場合もあり、漫画の『デビルマン』等、禍々しい外見が描かれている。
外観についての極北を行く主人公としては、「エレファント・マン」ことジョゼフ・メリックなどがいるが、こうした類例をアンチヒーローと呼ぶかどうかは議論が分かれるところである。
「強くない」ヒーロー [編集]
一般的にヒーローとして想像される人物像は、肉体的にも内面的にも強くて逞しい精悍なイメージである。
しかし、肉体
528創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 14:04:35 ID:7XUTClwq
ヒーロー(英:hero)あるいは、英雄(えいゆう)は、神話や物語などで主人公を務める人物。
主人公と同じ意味で使われる場合もある。女性の場合はヒロインと呼ぶ。

ただし、ヒロインとは男性主人公の相手役、もしくは英雄に救出されるお姫様役のキャラクターを指すイメージが根強い。
よって英雄的な活躍をする女性キャラクターにあえて「ヒーロー」という呼称を使う場合がある(ディズニー映画『ムーラン』など)。
これは日本だけでなく、英語圏の米国でも同様である。厳密な男性形・女性形よりも、単語のイメージやニュアンスが優先されたためと考えられる。

また、女性主人公と恋仲になる男性キャラクターの呼称としても呼ばれることがある。

ヒーローの多くは、普通の人を超える力や知識、技術を持ち、それらを用いて一般社会にとって有益とされる行為、いわゆる救世主としての行為を行う。
多くの物語では、これを阻止しようとする悪役・敵役が共演することになる。また、突出した能力を持っていない場合でも、何らかの形で英雄的行為をすることがある。
一般的に誰かがヒーローになるには、人々に賞賛される素晴らしい行為を行う必要がある。伝統的なヒーローは怪物を倒したり、人の命を救ったりするなど、
そのヒーローが属する文化で高潔な正義の振る舞いをし、幸福な結婚や出世をすることになるが、悲劇では性格や弱点などを持ち、それを突かれて悲劇的な結末を迎えることになる場合もある。
実在する人物が、伝承や噂の中でその行為が膨らみ、ヒーローとして人々の中で一人歩きを始めることがある。この場合は、いつの間にか超人的な行為を行ったことになっていることが多い(→聖人伝説、英雄伝説)。
研究者の中には、社会情勢が不安定になったり、国家の行く先が不安になったときに、模範的人物としてヒーローが求められるようになると主張している。
特に若い人の中でこの傾向は顕著であるとしている。ユング派深層心理学に置ける集合的無意識の顕在化であるとする説もある。
多くの文化では、有名なヒーローは神と同じように扱われる(エウヘメリズム)。ヒーローという言葉は古代ギリシア文化と神話から来ている。多くのギリシア神話のヒーローは、神の子孫である都市、国家、領土の名祖である。
必ずしも模範的な人物であったり、英雄的な素質をもっているわけではなかったが、多くは半神の存在であった。
神話と歴史が未分化であったこの時代を「英雄時代」と呼ぶ。この時代はトロイア戦争と共に終わり、ヒーローたちは家に帰り余生を過ごすか、当ても無くさまようことになる。
ヒーローは叙事詩やギリシア悲劇の主人公として扱われ、このため西欧語では英雄を意味する語は「主人公」をも意味する。よく知られた英雄にアキレウス、オデュッセウス、オイディプスがある。
キリスト教以前のほとんどのヨーロッパの宗教が、ヒーローをその神話の中に抱えている。これらのヒーローは、その性格や功績、崇拝方式が正教会やカトリック教会の教義の中に吸収・習合され、現在の聖人崇拝の元となっている。
悲劇性を帯びたヒーローとして日本では日本武尊、源義経などが知られるが、後には戦死を含め不慮の死が悲劇として捉えられ、御霊信仰に繋がった。
祟りを恐れて平将門らが神として祀られたのがその一例である。戦時中では決死の攻撃をした者が軍神として英雄視される事もあった。その一方で徳川家康を祀る東照宮のように悲劇とは無縁の例もある。
最近の映画や漫画、アニメでは、ヒーローは特別な力を持たない普通の人物であるが、社会から迫害されており、最後にそれに打ち勝つというような例も多い。
さらに、近年顕著な傾向だが、ヒーローはすべてを救えないときもある。そのとき描かれる人間性の輝きが人の心を惹きつけるために使
529創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 14:05:49 ID:nY5+g8+w
ちょっと中断

もし埋める人いたら500kb手前でもう一度次スレ貼ってください
530創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 14:57:48 ID:ykxQvnHG
こうしてみると鉄鍋のジャンみたいな実力がある上で卑怯な主人公もアンチヒーローの分類か
そういうヒーロー書いてみようかな
531創る名無しに見る名無し
埋め乙です! ってことで再び次スレ

【ヒーロー】ヒーロー学園物語 四時限目【ダークヒーロー】
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